やまだたいちの奇蹟連載中 第一戦

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1マロン名無しさん
週刊少年ジャンプ平成3年25号より
「ペナントレース やまだたいちの奇蹟」という漫画が連載された。
この漫画について語ろうじゃないか。
この漫画はペナントレースが舞台なため、一日に一話ずつの速度で連載されるようだ。
なお、時々作者がネコにびびって動けなくなったりして、
変な時期に合併号になる事もあるが気にしないでくれ。
このスレの詳しい事は連載中スレの楽屋裏にて。ちなみに今日は1991年(平成3年)25号の発売日だ。

連載中スレ 楽屋裏 第22幕
http://anime2.2ch.net/test/read.cgi/csaloon/1174134453/l50
2マロン名無しさん:2007/03/26(月) 00:58:10 ID:???
第一回 プロ野球・熱い思いと厚い壁

アストロズ対ジャイアンツ最終戦、九回裏、同点。
マウンドの桑田が投げた球は、外野へと運ばれ、サヨナラランナーホームイン。
見事「プロ野球界の排泄物」と呼ばれるアストロズが、リーグ優勝を決めた。
サヨナラ打を放った打者、山田太一は、今年度三冠王獲得・MVPも確実。
そして彼は、アストロズの監督、三原に褒め称えられ、嬉し涙を流すのであった。
・・・という夢を、授業中に居眠りしながら見る少年。
彼の名は山田太一。いつものことらしい。

彼が所属する野球部は、甲子園出場の準備に入っていた。
4番エースで頼りにされる、山田「泰二」。彼は、太一の双子の弟だ。
弟は全プロ球団の勧誘を受ける、高校球界のスーパースター。
本人は巨人以外の球団にはいかないと言っている。
一方兄は・・・ボール運びも満足にできず、ベンチ入りすらできない。
「弟の残りカス」とまで言われる始末。
 
その夜太一は、明日のアストロズ入団テストを受ける、と家族に言う。
たちまち家族に非難される太一。泰二に「兄貴の存在は迷惑」とまで言われてしまう。
二人が野球を始めたきっかけは、幼い頃の野球観戦、そこで見たアストロズ三原選手の
ガッツ溢れる姿、またその三原にサインを貰った時に言われた
「三人でアストロズの黄金時代」という言葉に触発されたためらしい。しかし・・・
今現在の、双子の予想以上の差を嘆く山田家の父であった。
3マロン名無しさん:2007/03/26(月) 00:59:56 ID:???
次の日、アストロズ入団テスト会場。場所は河川敷。
そこにはテストを受けに来た太一、アストロズ三原監督、
そしてなんだかんだで太一を見に来た、山田家一同の姿があった。

50m6秒5、遠投90mが最低通過ライン。張り切る太一。
受験資格の「身長」が足りずに落とされても、なお試験を受けようと必死だ。
そこへ、泰二が三原監督に頼みに来る。自分の兄が、プロで通用する器でないと、
試験を受けさせてわからせてやってほしいと。監督は許可する。
必死に50mを駆け抜ける太一だが、結果は7秒0、問題外。
もう一度、という太一に、三原監督はもう一回走らせてやれと言う。
太一の姿を見て思い出す三原監督。彼が8年前、現役復帰絶望かという
大きな怪我を負った時、病室から彼を連れ出し、野球遊びに付き合わせた
山田兄弟。その彼らとの話の中で出た「プロに入るという強い意志」が、
結局のところ自身の現役復帰を助ける事ともなったのだった。

その兄弟を見て、この8年間でずいぶん立場が変わったという三原監督。
弟はジャイアンツ以外は行かず、アストロズを「プロ野球の排泄物」と
呼ぶようになった。一方兄は、8年前から体も頭の中身も、ちっとも変わっていない。
   
太一のもう一回の挑戦も、結果は7秒0。けれどなお走る太一。結果は変わらず7秒0。
あまりにもしつこいので、ベンチにくくりつけられるが、それを担いで
なお走ろうとする。それを見た三原監督は、そいつの気がすむまで走らせてやれという。
4マロン名無しさん:2007/03/26(月) 01:01:57 ID:???
自分の力の無さを自覚させるのが目的なんだろと問う三原監督に、
もうひとつ、監督自身から兄貴にプロは無理だと告げて欲しい、そうすれば兄貴も
さすがにあきらめるだろうから、と答える泰二。
結局の所、泰二は兄に、自分と同じ野球をやっていてもらいたくないようだ。
その太一は、途中7秒1が出るも持ち直し、再び7秒0を連発していた。
  
夕立が降るも、なお走り続ける太一。未だにタイムは変わらず7秒0。
すでに30回以上は走っている。
なにもここまで、と言われた太一だが、受かるまで止めない、という。
「だっておれは アストロズにはいって」
「それでアストロズを…」
「アストロズを…」

涙と鼻水を流しながら、50mを走り抜ける太一。勢いよくヘッドスライディング。
結果は…「6秒8」  唖然とする面々。
自分が兄弟に言った「強い意志」を思いだす三原監督。
そして、50mを切り上げて、遠投に移ると太一に言う。肩を落とす太一。

三原はタイム測定係に問う。6秒8じゃなく、6秒5の見間違いじゃないのか、と。
係が否定するも、頭突きを加えてなおも詰め寄る。結局、係も、6秒5の間違いだったと証言した。


これにより、太一の50mテスト合格が決定した。
5マロン名無しさん:2007/03/26(月) 02:21:53 ID:???
このまま同情で入団する形になるんだろうな
6マロン名無しさん:2007/03/26(月) 10:16:14 ID:???
太一、普通に速くね?
7マロン名無しさん:2007/03/26(月) 11:31:04 ID:???
おー、新連載か楽しみだ
8マロン名無しさん:2007/03/26(月) 15:51:19 ID:???
アストロ球団?
9マロン名無しさん:2007/03/26(月) 23:04:15 ID:???
>>6
つーより持久力が凄い。
1500m走ってスピードが落ちないんだから。
10投下:2007/03/27(火) 00:01:44 ID:???
第二回 運命の一振り・合格か不合格か!?

遠投テストを続ける太一。しかし結果は66m。
60回やっても90mには届かない。しかしなおも投げる気満々である。
そんな太一に合格を言い渡す三原。周りの抗議にも、こんな不恰好な投げ方で
66mも飛ぶのだから大したものだと言って耳を貸さない。
それを聞いて泰二は、ここにいる人全員、兄貴がプロで通用するなんて
思っちゃいないと返す。周りもそれを肯定する。三原はそれに対して、
泰二は自分はすぐにでもプロで通用して当然と思っているようだが、
自分から見れば兄も弟も同じようなもの、しょせん双子だ、という。
一番気にしている所を突かれ、顔面蒼白な泰二。さらに、
おまえを取るくらいなら兄貴を取ったほうがましだと言われる。

そこで泰二は、兄と自分の力量の差を今ここではっきりさせよう、と
申し出る。承諾する三原。
ドラフト一位候補がこんなところで、試験を受けていることがばれたらまずい
と言われても、責任は全て自分がひっかぶる、これは俺のカケだと言って一蹴する。
「おい山田太一、おめえの一番得意なポジションはどこだ?」「ホ…ホケツ…」
赤面する3人。そこで今度は、泰二の球を太一が打つ事になる。
ヒットを打てたら入団テスト合格、打てなければ不合格。
そんな条件を突きつけられた太一は・・・
11投下:2007/03/27(火) 00:02:51 ID:???
「とーぜん、やるっ」やる気満々だ。それを聞いて泰二も、
有り得ないがもし打たれたなら、フルチンで三原監督に土下座し、
自分もアストロズに入れてくださいとひれ伏す、と言い出す。念を押す三原。

準備も完了し、いよいよ対決の時。結果はだれもが、やる前から
分かりきっているようだ。泰二も「自分が引導を渡してやる」と意気込む。

第一球、泰二の投げた球は、重い音を立ててミットの中へ。
太一はバットを振ることもできない。
その剛速球に感心の声が上がる。太一はまだ闘志満々だ。
三原監督は言う。いくら頑張った所で、太一がプロになれないなんて
誰にだって分かる。しかし、太一の頭の中が小学生からちっとも進歩
していないことがどうにも気になる。あっさり捨てるには惜しいくらいに。
なにかこの対決でわかるのではないか、そう思ってカケたのだという。
泰二の第二球。ミットに入ってからバットを振る太一。
そんな太一にアドバイスしようとする三原監督。泰二もそれをOKする。
もっとも、太一は技術的な事は何一つ覚えられないらしい。そんな太一への
アドバイスは・・・「ぴっという音が聞こえたら、真ん中を思い切り振りぬく」事。
泰二は太一をど真ん中速球で打ち取る気らしい。それ以外の球は、
彼のプライドが許さない。それを逆手に取るようだ。
12投下:2007/03/27(火) 00:04:03 ID:???
泰二の第三球、ピッ!という音と共に、剛速球が飛んでくる。
真ん中を振りぬき、バットに当てた太一は・・・球の勢いに、後ろに
吹き飛ばされた。あまりの球威に、手もしびれてしまったようだ。
その太一に、もうひとつアドバイスをする三原監督。果たして、その内容は…?

泰二の第四球、太一は監督のアドバイスを思い出す。「音が聞こえたら、1・2・3で打て」。
そのアドバイス通り、太一は数を数え、そして、3でバットをボールに当て…
弾き返した。打球は…



ライト後方の、川に着水した。推定飛距離、130m。
普通の球場なら、ホームランの当りだ。

それを見た誰もが驚いた。太一本人でさえも。そして三原は考える。
もしやあいつは、頭の中だけで無く、肉体すらも小学生のままなのでは、と。
もしそうなら、太一はまだこれからどんどん成長していくという事になる。
つまり太一は、「超未完の大器」なのではないか、と。

まさかと思いつつも、その考えを打ち消しきれない三原。
そして・・・太一は晴れて、アストロズ入団内定が決まったのだった。
13マロン名無しさん:2007/03/27(火) 11:53:23 ID:???
こんな決め方で入団って決めれるもんなんなの?
なんか色々ルール破ってると思う。
14マロン名無しさん:2007/03/27(火) 12:30:28 ID:???
良いんじゃね?
各球団でやってるテストだし。

弟も一緒に入るのかこれ。
15マロン名無しさん:2007/03/27(火) 15:38:36 ID:???
弟は一見優秀そうに見えて最終的には兄貴の主役パワーの引き立て役になるかませ犬か
16マロン名無しさん:2007/03/27(火) 20:51:27 ID:???
あれだけ偉そうに大口叩いて
これだけ無様に打たれたら
俺なら恥ずかしくて生きてらんない
17マロン名無しさん:2007/03/27(火) 22:59:44 ID:???
みんなひどすwでもだめチームを一人で強くするのは不可能だから、
弟も活躍するさきっと。
18マロン名無しさん:2007/03/27(火) 23:12:43 ID:???
>>14
よくわかんないけどドラフトで指名せんでいいの?
ドラフトで漏れるような選手はテストで獲っていいの?
しかも兄貴はともかく弟は現時点では全球団が欲しがるようなすっげぇ優秀な選手なんでしょ?
19マロン名無しさん:2007/03/27(火) 23:37:49 ID:???
>>18
ドラフト外入団というドラフトで指名しなくても選手を獲れるシステムがある。
今年から禁止されるが、まあそれはこの際言いっこなしだ。
あと、別に泰二は勢い任せでアストロズに入ってやるって行っただけで
実際はドラフト会議で他の球団に指名されるだろう。
複数球団に指名されりゃくじ引きになるから、アストロズが泰二とるならくじ運頼みになるな。
当てた所で泰二が拒否すりゃ結局獲れんけど。
20投下:2007/03/28(水) 00:14:03 ID:???
第三回 泰二の心・勝利こそが栄光だ

ドラフト会議 第一回選択選手 山田泰二
大勢の記者に囲まれている泰二。甲子園は、優勝という華々しい結果で終わったようだ。
指名球団 ジャイアンツ アストロズ
他球団が泰二の指名を避けるなか、アストロズが果敢に一位指名。
抽選が始まる。必死に祈る泰二だが、結果は・・・「アストロズ!!!!」
ジャイアンツに入った時の、ひかり輝く未来を考えていた泰二は、現実の落差に、倒れる。
一方、太一は教室で、変わらず居眠りをしていた。三原監督に言いつけられたらしい、連日連夜の特別訓練。
体を休められるのは授業中だけなんだからと、先生も居眠りを許可する。
しかし、泰二がアストロズに指名されたと聞いて、太一は目を覚まして泰二の元に駆けつける。
兄の恥ずかしい行動と、記者が入団テストの時の一部始終を知っていることに、青くなる泰二。
だが姿勢は変わらず、アストロズは徹底拒否の構えだ。

太一がなんとかアストロズに入ってもらおうと、帰り際泰二を誘うが、
逆に泰二に、契約金などの現実を突きつけられてしまう。

「おれは 一億円以上の価値がじゅうぶんあるといわれてるっ
だが あの貧乏のどん底の 排せつ物球団アストロズが そんな大金だせると思うかっ」
ちなみに太一の契約金は十万円だそうだ。そして、泰二が入団を嫌がる理由は、金だけではないらしい。

すると今度は、幼少時、兄弟と三原監督がともに野球をして遊んだ、
例の公園にこないかと言う。特別訓練も、そこで行っているようだ。
しかし泰二は「くだらねぇ」とその誘いを断るのだった。
21投下:2007/03/28(水) 00:15:57 ID:???
夜。太一が玄関で眠ってしまっている。以前は家までたどりつけなかった時もあったようだ。
毎日毎日のこの有様に、一体何をやっているのか疑問に思う妹達。そして泰二。

後日、太一の練習を、泰二は見に来ていた。
内容は・・・木にボールを当てて、跳ね返ってきたら、また取って当てて、
そしてまた取る。それの繰り返し。
あまりに幼稚で単純な練習をはじめは馬鹿にしていた泰二だったが、
そこに見える太一の上達に、だんだん目を奪われていく。
と、そこに三原監督が現れる。隠れて見ていた泰二も呼ばれる。
何故ここまで、泰二がアストロズを嫌うのか、その理由を知りたいようだ。

泰二は太一からボールを奪い取ると、木に向かって投げる。
ボールは、球威と激しい回転によって、ボールぐらいの大きさの木の節にねじこまれていく。
その光景を見て、自分との違いを痛感する兄と、二百年に一人・・・以上の逸材かもしれないと評価する監督。
そして泰二は言う。自分は野球で勝ち続けてきた、負けを知らない。そんなもの知りたくも無い、
勝ち続けるには、アストロズではどうしてもだめなのだと。そこに監督は、
3百勝投手・金田や、ノーヒットノーランをした上自分でサヨナラ本塁打まで打った、江夏などの例を出す。
22投下:2007/03/28(水) 00:17:17 ID:???
対して泰二は、金田がいた時の国鉄スワローズが優勝したか、
江夏がいた時の阪神タイガースが優勝したか、と返す。
…木の節にねじこんだボールに、再びボールを当てて落としながら。太一呆然。
しかし監督は、おまえは金田・江夏程度の器しか考えていないのか、それだけの球を見せておきながら、
たったひとりで、アストロズを優勝させてやるってぐらいの気概はないのか、
と逆に煽る。なぜか感動して燃え始めた太一にも、
「おれは王・長嶋・落合・清原以上の選手になってやるっていいてえんだろ」
と言う。力強くうなづく太一。その上で泰二に、「このままじゃ兄にもおとるってえやつだ」と焚きつける。

それを聞いて黙っていられない泰二。入団OKをするが、
アストロズ優勝の際には、自分を自由契約にしてもらうと申し出る。
監督もその条件を飲む。夢にまで見た黄金時代の到来の予感に、体を震わせる太一。
そして、目の前にいる兄弟が、みかけも中身もまるっきり違うが
根本は同じものが流れてる、やはり双子の兄弟だ、と感じる監督。

後日。新聞の一面記事。
そこには、泰二が契約金4千万円、太一が十万円で、アストロズへの入団が決定した事が書かれていた。
23マロン名無しさん:2007/03/28(水) 00:21:56 ID:???
マジで安すぎるw
煽るのうまいなかんとく
24マロン名無しさん:2007/03/28(水) 01:15:37 ID:???
割と演出が上手いな。
「金田がいたときのスワロースが優勝しましたか?」
「江夏のいたときのタイガースが優勝しましたか?」のあたり、微妙な緊張感がいい空気作ってる。
25マロン名無しさん:2007/03/28(水) 01:35:56 ID:???
>>24
弟の言ってることは正論だけど、
だからもともと強いジャイアンツに行きたいなんて奴が大成はしないわな。
26マロン名無しさん:2007/03/28(水) 02:30:27 ID:???
泰二扱いやすすぎだろいくらなんでも。
俺でも説得できそうだ。
27マロン名無しさん:2007/03/28(水) 03:55:20 ID:???
10万円ワロタ
しかし泰二は一億円もらえる価値があるのに四千万とは悲惨だな
28マロン名無しさん:2007/03/28(水) 08:30:49 ID:???
>>26
能力は凄いけどバカだろ、こいつ。
ひょっとすると兄の方以上に。
29マロン名無しさん:2007/03/28(水) 08:33:35 ID:???
>>25
いやでも、ホークスとかタイガースとかロッテとかよりは
巨人、西武、近鉄とかの強豪球団に入りたいと思うのは人情だぜ。
それにごねた所でドラフトは好きなところにそうそううまく入れるわけじゃないし。
30マロン名無しさん:2007/03/28(水) 10:33:10 ID:???
野球以外何もしてなかった馬鹿って感じだな、弟は。
31マロン名無しさん:2007/03/28(水) 11:58:42 ID:???
その後に三原が言った「金田、江夏程度」という発言がどうも引っかかる
太一への発言で、「王、長嶋、落合、清原以上の選手になれ」とか言ってたけど、
この漫画家の中では清原>>>>金田、江夏なのかよ
32マロン名無しさん:2007/03/28(水) 12:33:13 ID:???
清原はまだ未来があるからな、いつかはその3人以上の活躍するに違いない。
33マロン名無しさん:2007/03/28(水) 14:31:55 ID:???
>>31
どう考えたらそうなるんだw
弟には「金田、江夏レベルで満足しないでそれ以上になれ」
って旨の話をしたんだから、兄の方には
「王、長嶋、落合、清原以上に」ってなるのは自然だろ。

たんに投手と野手では引き合いに出す名前が違うってだけだろうに。
34マロン名無しさん:2007/03/28(水) 17:02:34 ID:???
つーか太一ってポジションどこなの? あの練習見る限りじゃ内野手っぽいけど。
35マロン名無しさん:2007/03/28(水) 23:19:07 ID:???
補欠だから決まったポジションないんじゃない?
36マロン名無しさん:2007/03/28(水) 23:22:29 ID:???
初期たろーのごとくろくに練習すら参加させてもらえてないっぽいし
どこでもない気がする>ポジション
まあこせきは長嶋ファンだけあってサード大好きだからな
サード守らすんじゃね。多少下手でもなんとかなるし。
37投下:2007/03/29(木) 00:12:30 ID:???
選手更衣室で着替えている山田兄弟。
太一は、憧れのアストロズに入団した事を実感して、
目に涙を浮かべていた。

第4回 憧れと現実・波乱の入団初日!

しかし弟泰二は、そんな兄の感情を理解できない様子。

グランドに出た兄弟を待っていたのは、アストロズの選手達。
さっそく野次が飛ぶ。真に受けて真っ赤になる太一。そして監督に言われ、自己紹介をする。
太一は例によって子供の頃の約束を持ち出し、優勝しようね、と選手達に呼びかけて、
一人で盛り上がる。その様子を見て、さきほど野次を飛ばした選手が「ぱっぱらぱーか」と言う。
一方弟の泰二は、アストロズは自分ひとりの力で優勝させてやる、そしてさっさと
この排泄物選手のそろった球団を出て行く、と宣言する。選手達は憤る。さらに太一が、
これまで排泄物だったけど今年は違うと、悪気無く言う。怒りのあまり震える選手達。
それをなだめる一人の選手。八木沼と言うらしい。さっき野次を飛ばした選手だ。
三原監督は、この二人を見て何か思い出さないかと八木沼に言う。
三年前、八木沼がアストロズに入団した時、彼もまた山田兄弟のように、アストロズを優勝させると
宣言していたのだった。それを思い出し、三年前のことなんか覚えちゃいないと照れ隠しをする八木沼。
38投下:2007/03/29(木) 00:14:13 ID:???
そこへ泰二が言う。俺は八木沼選手のようにはならないと。打率は二割八分そこそこ、
本塁打は二十本程度、おまけにチャンスに滅法弱い、いつもヘラヘラしているだけの
「史上最悪の4番打者」と言われている八木沼選手のようには、と。
泰二曰く「排泄物の中のうじ虫のような選手」。「お…おれだって うじ虫 やだぞーっ」と、太一。
それを聞いた八木沼は、ある提案をする。紅白戦をしないかと。
一軍メンバーVS山田兄弟+二軍。その提案を…「うけましょう」「おれもうけるっ」…兄弟は受けた。

紅白戦開始。マウンドには泰二。そして三塁は太一が守っていた。三原監督は八木沼に、
もし二軍が勝ったらどうする、と聞く。対して八木沼は、一軍はそろって二軍に落ちてやる、と言う。
結果的に、一軍二軍総入れ替えとなる訳だ。それを聞いた太一は、喜びでぼんやりとする。
一回表、一番バッターは村上。泰二はデータをもとに、冷静に相手を分析する。
第一球、泰二の投げたストレートは、村上選手の空振りしやすい外角低めに、狂い無く入った。
村上選手空振り。スピードもかなりのっていると、記者の面々も感心する。
第二球。またも同じコース。打たれるかと思いきや・・・球はシュートしてさらに外角に逃げ、
ミットの中へ。バットが空を切る。その投球術に記者も唖然。ピッチングコーチも感心する。
しかし監督は言う。泰二の力はこんなもんじゃないと。
第三球。八木沼に煽られ、三振しまいと打ち気にはやる村上。振っていったその球は・・・
高めのボール球。見事に空振りし、バッターアウト。感嘆の声が上がる。
監督によれば、泰二はすべて計算した上で、三振を取るのに三割程度の力しか使っていない、と言う。
それを聞き、唖然とするピッチングコーチ。ただ、泰二の力を見抜き、
山田兄弟を計算どおり、上手く入団させた監督でも、わからないことがあるらしい。

それは泰二の兄、山田太一の事。果たしてただのボンクラなのか、それとも
超未完の大器…弟以上の器の持ち主なのか・・・?
39マロン名無しさん:2007/03/29(木) 00:43:00 ID:XgY6ur6i
>>打率は二割八分そこそこ、
本塁打は二十本程度、おまけにチャンスに滅法弱い、いつもヘラヘラしているだけの


原辰徳のことかーーー!
40マロン名無しさん:2007/03/29(木) 00:45:34 ID:???
「優勝させてやる」って意気込んでた奴が三年でダメ人間化って妙にリアルな話だな
41マロン名無しさん:2007/03/29(木) 00:46:14 ID:???
排泄物にこだわるなあオイ
42マロン名無しさん:2007/03/29(木) 11:13:52 ID:???
太一ってきちんと守れるのか?
43マロン名無しさん:2007/03/29(木) 20:13:09 ID:???
仮にもプロの打球を補欠だった太一が取れるとは思わんなぁ
44マロン名無しさん:2007/03/29(木) 22:07:46 ID:???
3年目で二割八分、 二十本て実はかなりよくないか?
45マロン名無しさん:2007/03/29(木) 22:22:01 ID:???
高卒なら凄い。大卒でもまあまあだな。
46投下:2007/03/30(金) 00:06:24 ID:???
第5回 プロの意地・八木沼燃える

二番の選手も三振に切って取る泰二。その実力に感心している一軍メンバー。
だがまだ危機感は無く、二軍行きなど考えていない様子。
太一は泰二に、自分のところへ打たせるよう言う。しかし泰二は、
相変わらず太一の所へ打たせる気はないようだ。そして次のバッターを迎える。
3番は、プロ生活14年目、ベテラン巧打者岩田。もっとも酒の飲みすぎで体はよれよれになっている。
一球あれば十分と、泰二が投げた球は、ど真ん中ストレート。打たれるものの、
打球はつまって二塁後方の、平凡なフライになる。これでスリーアウトと、マウンドを離れる泰二だが…
打球は取られず、二塁後方に落ちて二塁打に。どうも守備の動きが悪い。
泰二がセカンドに問いただすも、「どーせ負けちゃうんだから」と、全くやる気無し。
そこに三塁から太一が走ってきて、「一軍にいこーっ」と、守備陣に呼びかける。
一軍に行きたくないのかと聞かれて、言葉を濁す二軍選手。
逆に、本気かと聞き返される太一。当たり前と大きく返事をする。
しかし、それを二軍選手に笑われて、そんなにいうならお前ら二人で勝ってみろと言われる。
「よしわかった おれがこれからぜんぶ 三振とってくれるっ」と泰二。
「よーしわかった これからぜーんぶ おれがアウトにするっ」と太一。
見事にタイミングピッタリ。それが可笑しいのか、思わず笑う三原監督。
そして4番、八木沼を迎える。八木沼の顔つきは…さきほどまでと違い、
真剣そのもの。そして泰二が投げた球は…これまで対した3人とは、威力が全く違うもの。
ワンストライク。泰二は、4番の八木沼をも、三振にとるつもりのようだ。本領発揮である。
更に…八木沼もまた、その顔つきを変えつつあった。
47投下:2007/03/30(金) 00:08:18 ID:???
第二球。三振を取られてたまるかと、振っていく八木沼。しかし、ボールは
そのバットの上を通り、重い音を立ててミットの中へ。ツーストライク。
4番打者が、泰二のボールに力負けしている。その屈辱に震える八木沼。監督が
見た八木沼の入団当時の顔つきに、だんだんと戻っていく。
タイムを取り、バットを地面に打ちつけながら、公式戦初打席を思い出す八木沼。
相手はヤクルトに入団したての川崎。あのときも追い込まれながら、
三球目ストレートをレフト前にはじき返した。
そして泰二に対して、「こんどははじき返してくれる」と宣言する。
…そして、それをみていた太一は、おれも早く参加したいとぞくぞくしていた。
第三球。泰二の投げた球は、内角高めストレート。三振を取りに来た。
今度は八木沼のバットがついていく。ついていくっ。そして・・・まっ芯でとらえた。
(みろっ)(これが プロの打者ってえもんだっ)
打球は三塁に、弾丸ライナーとなって飛んでいく!慌てる泰二。
だが、その打球は…股下に構えていた太一のミットに、どっぱぁぁぁんと収まった。
驚く八木沼、泰二、そして監督。勢いで半回転する太一だが、球は落としていない。
取った球を喜びのあまり、監督や選手、果ては八木沼にまで見せる太一。
だが、運がよかっただけと言われ、しょんぼりする。

しかし、打った八木沼自身の考えは違っていた。あの強烈な打球は、運がよかっただけでは
取れない。たとえ構えていた所に来たとしても、プロだってはじくのがやっと。

(こ…公園でやってた練習だ 兄貴はあの手ぶくろみたいなお子様用グラブを使って
親指と小指ではさむように 確実にボールを取っていた
そ…それが それがいきたんだ…)
48マロン名無しさん:2007/03/30(金) 03:59:14 ID:???
八木沼からはヤムチャ臭がする
49マロン名無しさん:2007/03/30(金) 10:31:04 ID:???
八木沼ちょっとかっこよかった。見直した。

弟がいまいち好きになれないせいかもしれんが
50マロン名無しさん:2007/03/30(金) 11:10:50 ID:???
俺はまだ兄貴が好きになれないなぁ
51マロン名無しさん:2007/03/30(金) 22:43:51 ID:???
ただのダメ人間じゃなかったのか八木沼
52投下:2007/03/31(土) 00:17:19 ID:???
3回表が終わった。依然、紅・白ともに得点は0。
その上、紅、つまり一軍側は、泰二に一回以降ノーヒットに抑えられ、
6三振も取られていた。ほんとーに二軍が一軍を破るのでは、と懸念するピッチングコーチ。
しかし監督は、まだ打順がひとまわりしただけ、こっからだという。
それに…二軍側も、一軍先発の武藤に抑えられ、いまだランナーは一人も出ていない。
まだ一人も。そう言う三原監督であった。

第6回 新旧対決・エースはおれだ!!

三回裏、先頭打者も、あっという間に三振に取られる。
相手は去年8勝を挙げているかせぎ頭、武藤さんだからしょうがないやと
相変わらずやる気なし。しかしその「8勝」の部分に武藤が反応。
「3点とられりゃもう敗色濃厚のアストロズでの8勝はわけがちがーうっ」らしい。
他のチームにいけば15勝はしてる、最多勝も夢じゃないと豪語する。
去年のオフには、ヤクルト広沢との1対1トレードも持ち上がったらしい。もっとも
あっさり断られたそうだ。しかしそんな武藤に泰二がつっかかる。
武藤の8勝は、すべてアストロズが大量得点したゲーム。おまけに緊迫した
ゲームになると、ノミの、いやイエダニの心臓が顔を出す。そして左腕が震え出して、
へろへろ球投手になってしまうのだという。それがなければ軽く15勝はしているのに、と言う。 
「だいじょーぶ 今年はおれと泰二と三原監督がいるから きっと
イエダニの心臓でも 15勝くらいできるよっ」と、太一も言う。言葉に詰まる武藤だが、
監督に、山田兄弟をあっさりかたづけてしまえばいいと言われ、納得する。

一方山田兄弟も、八木沼におまえら二人で点をとってみろと煽られる。
ふたりで点とろーなっと熱くなる太一だが、泰二は…(おれひとりでやるしかないか)と当てにしていない。
そして、まずは太一と武藤が対戦する。挑発された太一に、以前打たれたことを大声で言われ、青くなる泰二。
53投下:2007/03/31(土) 00:21:53 ID:???
本文長すぎエラーorz
ちょいとお待ちを。
54投下:2007/03/31(土) 00:24:57 ID:???
武藤の第一球。太一は以前と同じくタイミングを取って打とうとするが、当たらない。
ど真ん中を思い切り振っても、相手はど真ん中に投げてはくれない。
監督にボールを良く見ろと言われても、140キロ以上の球がよく見えれば苦労はしない。
ましてや打者は太一。案の定第二球も空振り。太一を格下とみた武藤はいいピッチングをしている。
(いつでもだれにでも こういう投球できりゃー武藤の天下なんだがな)と監督は評する。
その一方で、太一にもっと体の近くに来るまで、ボールを見ろと言う。
武藤が投げた第三球。太一はボールをよく見る。じ〜っと見る。その眼は…速球についていく。
それに驚く監督・コーチ・武藤。そして、ボールは…
バットを掠めつつ、キャッチャーミットの中に収まった。空振り三振。打たれる恐怖に息切れを起こした武藤。
ベンチに帰る時、二軍選手達に馬鹿にされる太一。その太一を見やる、泰二は次のバッターだ。
武藤が、心の中で現状への不満を漏らしつつ投げた第一球は、泰二の頭のすぐそばを通っていった。
その泰二は、臆する様子もなく微動だにしない。武藤は言い訳をするも、明らかに狙っている。
そして第二球、また頭へ。すると今度はそのボールを打とうと、泰二がバットを振りかぶる。
そのバットは、すっぽ抜けて武藤の頭を掠めた。
バットを拾いに来た泰二に武藤は問い詰めようとするが、泰二は逆に
「あたらなかっただけ」「運がよかった」と冷静に言い放つ。
怒り爆発の武藤に殴られても、「おれはけんかをやりたいんじゃない 野球をやりたいんだ」
あくまで冷静だ。武藤も怒りで、イエダニの心臓どころではない様子。
第三球、内角高めにボールが来る。ベストピッチング。今度はまともに勝負をしようという気らしい。
しかしその球を、泰二は三塁方向に打ち返す。ヒットになるかと思いきや、
サード八木沼が、横っ飛びファインプレー。見事にキャッチしてアウトになる。
いつもならさっさとあきらめる、ユニフォームを汚したこともない、あの八木沼が。
太一唖然。プロなら当然という八木沼も、似合わないと監督に笑われる。
太一は八木沼を超えなければレギュラーになれないと知るや、闘志を燃やし始めた。
…そして監督は感じていた。「それにしてもこの試合……公式戦より よっぽど試合らしくなってきたじゃねーか」 
55マロン名無しさん:2007/03/31(土) 00:45:40 ID:???
泰二は何気にアストロズに詳しいなw
56マロン名無しさん:2007/03/31(土) 00:53:18 ID:???
実は大ファンなのか
57マロン名無しさん:2007/03/31(土) 00:54:39 ID:???
一応入団するにあたって調べたんじゃないか
58マロン名無しさん:2007/03/31(土) 10:52:10 ID:???
たかだか八勝でエース面できる球団て……。

そりゃうんこ扱いされて当然だわ。
59マロン名無しさん:2007/03/31(土) 17:31:42 ID:???
このチームは年間何勝なんだ
60マロン名無しさん:2007/03/31(土) 20:46:06 ID:???
30勝前後じゃねないかな
61マロン名無しさん:2007/03/31(土) 21:38:12 ID:???
3勝20敗みたいなピッチャーいそうだな
62マロン名無しさん:2007/03/31(土) 22:52:35 ID:???
抑えのエースのセーブ数と負け数が同じくらいだったりしてな
63投下:2007/04/01(日) 00:21:26 ID:???
第7回 忘れかけた夢・やるならやらねば!

八木沼を超える事を決意する太一。
4回表・いよいよ二巡目、2番から。相手は一軍。三回までの6三振のようにはいかない。
一軍選手の目の色も変わってきている。そんな中で、八木沼は太一にアレルギーを催していた。
泰二の第一球はストレート。意気込む打者だが、球威に負けて打球はボテボテ。
だがショートの動きが鈍い。そのままセンターに抜けていく。太一が追いつこうとするも無理だった。
どうやら八木沼を本気で追い抜く気らしい。笑う八木沼だが、太一ににらまれアレルギー発生。
一方泰二はショートに文句をつけていた。だがまともに取り合わない。泰二が頼れるのは自分だけ。
3番岩田はセーフティバント。一塁方向に転がる。しかし今度はファーストがモタモタしている。
泰二が代わりに拾うも、今度は一塁に誰も居ない。セカンドがカバーしていない。
さらにわざわざ三塁の太一がカバーしようとしたため、隙を突かれてランナー一塁三塁。
そして…4番、八木沼を迎える。三振を取りにいく泰二。
一球目・二球目ともに見逃す八木沼。どうやら甘い球を待って、一発長打を狙っているようだ。
第三球、ボールになる球かと思いきや、外角いっぱいのカーブ。見抜いた八木沼はそれをカットする。
三塁方向へのファール。太一は勢いあまってベンチの奥の壁にぶつかるが、肝心の球はスタンドへ。
四球目、今度は外角高めのストレート。またもカット。それをまたも追いかける太一。
常に三塁方向にカット。八木沼は、太一の挑戦を受けて立っているのだった。
またカット。今度はゴロのファールだが、やはり太一は追いかける。そして壁に激突する。
初めて、4番の座への挑戦を受けているからか、八木沼はとても楽しそうに野球をやっている。
カット。太一はもう、足がふらふらになっている。
八木沼は無意識のうちに、野球とアストロズが好きな事に関しては、太一が一番だという事を
感じているのではないか、と監督は言う。
64投下:2007/04/01(日) 00:22:51 ID:???
必死にボールを追いかける太一を見て、ショートの選手は思い出す。
現役時代の三原監督を。ボール以外何も見えていなかった三原選手を。
そしてショートの彼もまた、そんな三原に憧れて、わざわざ入団テストを受けてまで
アストロズに入ったのだった。それも、東大法学部を出て、司法試験に受かりながら。
太一は相変わらず、カットされたボールを追いかけている。どんな打球にもくらいつくあたり、
ボールに対する反応は早いらしい。
そして、ついに21球連続で三塁方向へのファール。いまだに泰二は甘い球を投げていない。
太一もボロボロ。
あれだけ挑戦されて打ち取られれば、プライドがズタズタになる。そのためか八木沼も必死だ。

太一の姿を見かねてか、ショートの選手(ヒラタというらしい)が、泰二に声をかけてくる。
「外角低めのストレートを、ボール一個分ベースの内側に入れろ」と指示する。
「このままじゃ九回なんてとてももたない おまえも……それににーちゃんの山田太一もな」
渋る泰二だが、言うとおりに投げる。八木沼が待っていた甘い球。
三遊間ど真ん中にライナーで打ち返すが、そこにはヒラタが。八木沼と同期のヒラタは、
八木沼の癖を熟知していた。しかし、取り損なって後ろに弾いてしまう。三塁ランナーが走リ出す。
と、太一が、恐怖の電車バック!なんとか弾いた球に追いつき、ノーバウンドの球をキャッチ。
三塁ランナーは意表を突かれた。三塁にヘッドスライディングするも、突っ込んできた太一と
正面衝突、間に合わず。結果

ダブルプレー!!
65マロン名無しさん:2007/04/01(日) 10:58:39 ID:???
ちょっとずづやる気が伝染する展開か?
66マロン名無しさん:2007/04/01(日) 13:16:03 ID:???
最終的にみんなの気持ちが一つになるのかな
67マロン名無しさん:2007/04/01(日) 19:08:37 ID:???
海空並の単純な連中だな
68マロン名無しさん:2007/04/01(日) 20:07:08 ID:???
泰二泰二雨泰二じゃないと優勝できんな
69マロン名無しさん:2007/04/01(日) 23:43:00 ID:???
21球連続でしかも狙った方向にカットされる泰二ってなんかショボイ。
70投下:2007/04/02(月) 00:24:03 ID:???
第8回 エリートの反乱・おれは野球が大好きだ

太一の取ったダブルプレーに、一同呆然。
太一自身もだったが、ヒラタにアウトを二つ取った事を聞かされ、感激する。
八木沼に自慢までしに行く。だが、ヒラタによれば、これからどんどん打球が
飛んでくるという。そしてヒラタは、泰二にも話し掛ける。
「おれのいうとおり投げれば いまみてーにぜったいうまくいく」と。
「人の力などかりない」という泰二だが、
「それほどいうなら 平田さんに野球をやらせてやってもいい」と、指示を受ける事にした。

次のバッターは5番・三島。平田の指示は、まん中から胸もとへくいこむ
やや高めのシュート。そして投げる泰二。打たれるが、打球はショート正面へ。
四回表も0点に抑えられる。そして四回裏も0。だが武藤の顔つきは険しくなっている。
紅組の攻撃。今度はサードへのボテボテゴロ。太一が一塁に投げた球はへろへろだが、
なんとかアウトになった。嬉しがる太一に、あんなのアウトにして当たり前という泰二、
そして、アウトはアウト、その調子だと褒める平田。そして一軍が点を取れない事に、イラつく武藤。
その後、攻撃は続くものの、ことごとく打球を平田に取られる。

六回になっても0対0。あせればあせるほど、平田の術中にはまっていく。
平田は今でこそ二軍だが、東京六大学リーグ戦で、東大を3位にまで引き上げた
司令塔らしい。そしてその平田も、泰二のコントロールの良さを認めていた。

平田が突然、二軍選手(タケダというらしい)に呼び止められる。
「まさかおめー 山田太一に影響されて 一軍に勝とうなんてスーパーアンポンタンなことを
考えはじめたんじゃねーだろな」というタケダに、「それがどーしたい」と返す平田。
71投下:2007/04/02(月) 00:25:17 ID:???
それに対して、タケダたちは嘲笑する。
「平田 おめーもこのみっともねーはずかしやろーと 同類になりてーのか」と。
それに対して平田は言う。おれは二軍でタラタラ野球をやるためにアストロズへ入ったんじゃない、
なにがはずかしーだ、おまえらも太一みたいに、「自分の手でアストロズを優勝させてやる」なんて
考えてたんじゃねーのか、と。

「プロで生きてこーってんだから そのくれー考えてあたりめーだよな」
「ところがよー アストロズはどん底の最下位の連続で その一軍にも
いけねーでくすぶってるもんだから……はずかしくって そんなこともいえなくなっちまう」
「おれも……そうだった」 「だがよー……」
「かっこつけてやる気ねーふりしてるほーが」 「よっぽどはずかしくはねーか」

呆気に取られる二軍選手達。そして平田はバッターボックスへ向かう。
平田にイエダニの心臓と挑発され、力む武藤。彼が投げた球は・・・

どぼぉっと、平田の腹にめり込んだ。六回にして、二軍側初めてのランナー。
一点の重圧と、相手が格下なためのプレッシャーで、イエダニの心臓が顔を出し、
手元がふるえだしたなと監督は言う。
(世の中ひろい 兄貴みたいなバカがほかにもいた)と平田を見て思う泰二。
イラつく武藤だが、次のバッターは山田太一、ふつうに投げてりゃ三振間違いなしと、
岩田になだめられる。太一も余計なことはしなくていいと泰二に言われ、納得しないまま
バッターボックスへ。そしていよいよ武藤が投げる…時になって
「や…やっぱり」

「おれは 打つ!!!!」
大声にびっくりした武藤が投げた球は、内角高めの打ちごろの棒球。太一でも打てる!?
72投下:2007/04/02(月) 00:27:09 ID:???
が、初めの勢いこそ良かったものの、空振りする太一。そのよれよれなスイングを見て、
落ち着きを取り戻す武藤。チャンスを逃した太一。そして第三球。
自信回復の武藤が投げた球は、大自慢の豪速球。
「どーだっ どまん中でもとてもうてまい」『まん中』に反応する泰二と監督。

太一は打った。打球は右中間の奥へ。泰二との勝負の時、太一は
唯一真ん中だけは打てるようになった。武藤はそこへ投げ込んでしまったのだ。
そして平田が、一気に本塁へと突入する。ボールはもう返ってきている!
そして勢い良くヘッドスライディング!あれだけ馬鹿にしていた二軍選手達からも、
声援が飛ぶ。

「平田ーっ!!!」「つっこめ―――――っ ぶちあたれ〜〜〜っ」
「死ぬな てめ〜〜〜〜〜っ」
キャッチャーも「誰が二軍なんかに点を」と、がっちりブロックしようとしている。
「いけえ〜〜〜〜〜っ」

ズ ガ ッ
キャッチャーの肩に顔からぶち当たる平田。だがその手を必死にベースに伸ばす。
結果は……セーフ!

「や・・・」
「山田太一――――っ!!!」
「一点とったぞーっ!!!!!!」
73マロン名無しさん:2007/04/02(月) 00:29:02 ID:???
おお、初めて面白いと思える回だった
74マロン名無しさん:2007/04/02(月) 00:30:50 ID:???
平田いいキャラだな。
75マロン名無しさん:2007/04/02(月) 00:36:57 ID:???
東大出て司法試験合格するだけでも相当なもんだが
あの東大を3位に引き上げたって一体どんな策士だよw
76マロン名無しさん:2007/04/02(月) 06:37:02 ID:???
平田かっこいいよ超かっこいいよ平田
77マロン名無しさん:2007/04/02(月) 10:03:06 ID:???
>>75
東大3位にするほうが司法試験よりはるかに難しいよな
78マロン名無しさん:2007/04/02(月) 13:02:35 ID:???
六大学野球は良く知らんが東大=アストロズみたいなもんなのか?
79マロン名無しさん:2007/04/02(月) 14:50:26 ID:???
>>78
東大以外の六大学=プロ球団の1軍
東大=アストロズの2軍
くらいの戦力差がある。
80マロン名無しさん:2007/04/02(月) 23:15:39 ID:???
自分と向き合った平田はかっこいい
81投下:2007/04/03(火) 00:19:52 ID:???
第九回 復活の左腕!・アストロズの屋台骨

自分がヒットを打てた事を信じきれない太一だが、監督に
二塁打のタイムリーヒット、得点打であると改めて聞かされて、泣く。
今のヒットが、生まれて初めて、試合で打ったヒットらしい。そんなバッターに
打たれた事を知り、武藤愕然。そして自信を失っていく。さらに二軍選手達も、
先制点を取った事から、勝てるかもしれないと考え始める。
「『勝てるんじゃ…』じゃなくて 勝つんだよっ」「相手の攻撃はあと三回じゃねーか」
「あ…あと三回」「三回……」

左腕がぷるぷるしたまま、次のバッター泰二に投げた球は、棒球。
それをライトフェンスへ直撃されたが、当たりが良すぎてランナー一塁三塁。
さらに、われもわれもとやる気を出し始めた二軍の、次のバッターへ
デッドボールを与えて、これで無死満塁。左腕の震えは止まらない。
だが岩田に「かわるか」と言われても、意地でも降板する気はないらしい。
しかし、二軍に負けるような奴はアストロズにはいらない、ただで他の球団にくれてやる、
と監督に言われ、詰まる。
と、太一が武藤の側によってきて言う。「ほ…ほかの球団に いったらだめだね」

「武藤さんが10点とられても いっしょのチームにいれば おれと泰二と三原かんとくで
11点とるから……20点とられたら 21点とるっ 
アストロズにいれば 武藤さんがどっかんどっかん打たれて 10点とられても20点とられても
勝てる ぜったい勝てる きっと今年は 15勝でも20勝でもできる」
「だから アストロズにいないとだめだっ」

武藤は、太一を殴り飛ばした。
82投下:2007/04/03(火) 00:20:51 ID:???
「お…おれが 10点も20点もとられると思ってんのか きさまー」
「ふ…ふざけんなー」
「いくら最下位でもなー この数年間 このおれがアストロズをささえてきたんだ」「お…おれが…」
「じゅ…10点とられたら 11点とるだと……」
「ア…アストロズを優勝させようだと…」

武藤の左腕の震えが止まった。前よりも球が走っている。
あっというまにバッター三振。太一もそのピッチングに驚いて感心し、
「そ…それならアストロズぜったい優勝できるっ きっとできるっ」と大声で称えるが、
八木沼に、今は敵であることを指摘され、混乱。そして、二軍チームは三者三振。

(兄貴め……)(だまっていりゃあ 自然につぶれていたのに……よけいなことを……)

武藤が左腕の震えから立ち直るのは、入団以来初めてらしい。それも無死満塁から。
限界を超えてひらきなおって 本当の力をだせたのさという監督。
いままでは負けても「アストロズだから」という甘えがあったが、今は違う、相手は二軍。
山田兄弟や平田、二軍の選手達が、武藤をギリギリまで追い込んだのだ。
そして、その二軍チームは、…さきほどまでとは違い、平田に
自分のところに打たせろとまで言うようになっていた。平田も了承。

一方、一軍チームもやる気になっている。武藤さんまで、山田太一のスーパーアンポンタン菌に
汚染されちゃったんじゃないかという、危機感の無い選手らも、他の大勢のメンバーから
総スカンを喰らう。二軍以下だとまで言われてしまう。そして八木沼は言う。
83投下:2007/04/03(火) 00:22:29 ID:???
「あいつらは今年のペナントレースで アストロズを
セントラルリーグで優勝させようと 真剣に考えはじめてる」「それを……」
「それを一軍がだまって ぽけーっとみてられるかってんだよ……」

円陣を組み、気合を入れなおす一軍メンバーたち。そして試合が再開される。
泰二の第一球、打たれた球は、平田の狙い通り二塁へ。だが球がのびている。
セカンドも負けじとジャンプ!グラブの端で、どうにかボールをキャッチする。
悔しがるバッター。平田の計算以上に、力を出してきている一軍。完全に本気だ。
これには監督も計算外だったらしく、興奮する。そして太一も・・・
ものすごく、ぞくぞくしている。

(な…なんだか……なんだか ものすごーいことになってきた…)
84マロン名無しさん:2007/04/03(火) 00:27:07 ID:???
ここ数週いい展開が続くなー。
一軍の意地に燃えた。
85マロン名無しさん:2007/04/03(火) 00:38:53 ID:???
う〜ん、どっちが勝つか読めん!
86マロン名無しさん:2007/04/03(火) 01:36:48 ID:???
もしかしていい漫画なんじゃないのか?
87マロン名無しさん:2007/04/03(火) 08:12:31 ID:???
最終話 希望を胸に すべてを終わらせる時…! C・Y・C第1巻は、発売未定です。 こせきこうじ
太一「チクショオオオオ!くらえ!ジャコビニ流星打法!」
武藤「さあ来い太一イイ!オレは実は一回打たれただけで炎上するぞオオ!」
(カキーン)
武藤「グアアアア!こ このイエダニの心臓と呼ばれるアストロズの武藤が…こんな小僧に…バ…バカなアアアアアア」
(ドドドドド)
武藤「グアアアア」
村上「武藤がやられたようだな…」
岩田「フフフ…奴はアストロズの中でも最弱…」
八木沼「二軍ごときに打たれるとは一軍の面汚しよ…」
太一「くらええええ!」
(ズサ)
3人「グアアアアアアア」
太一「やった…ついに一軍を倒したぞ…これで巨人のいるペナントレースの扉が開かれる!!」
桑田「よく来たなやまだたいち…待っていたぞ…」
(ギイイイイイイ)
太一「こ…ここが東京ドームだったのか…! 感じる…巨人軍の魔力を…」
桑田「太一よ…戦う前に一つ言っておくことがある お前は私を倒すのに『三冠王』が必要だと思っているようだが…別になくても倒せる」
太一「な 何だって!?」
桑田「そしてお前の弟は覚醒してきたのでうちの打線は沈黙しておいた あとは私を倒すだけだなクックック…」
(ゴゴゴゴ)
太一「フ…上等だ…オレも一つ言っておくことがある このオレに生き別れた山下たろーくんがいるような気がしていたが別にそんなことはなかったぜ!」
桑田「そうか」
太一「ウオオオいくぞオオオ!」
桑田「さあ来い太一!」
太一の奇跡がアストロズを救うと信じて…! ご愛読ありがとうございました!
88マロン名無しさん:2007/04/03(火) 19:25:23 ID:???
一桁勝利投手が何を偉そうに
89投下:2007/04/04(水) 00:39:06 ID:???
第10回 勝敗より勝負!・四番打者のスイング

「センタ―――――っ」「いくぞ―――――っ」
三番岩田の打球は、大きな当たりになる。あわやフェンス直撃かと思われたが、
センターがジャンプして取った。見事にアウトにし、そして…
とうとう、二軍が1対0とリードしたまま、九回表ツーアウトまで来た。

一軍が、平田の計算以上の力を出したことで、逆転できるとコーチは思っていたらしい。
しかし、ランナーはでるものの、肝心な所で二軍の好守備に阻まれ、未だ得点はない。
コーチは懸念する。二軍が勝っちゃったりしたらどうするんだ、と。
「こ…これもみんな あ…あの山田泰二と…」
「山田太一のせいだ……」
「おいおい まだ一軍が負けたわけじゃねーんだからよ」と監督。
あとひとり。だが次のバッターは、四番・八木沼。緊張する守備陣。
そして「四番の意地をみせろっ」というコーチに、不敵な笑みを浮かべる八木沼。

泰二が投げた球は、外角低め・ボール一個分ベース内側のストレート。
平田の計算では、三遊間に打球がいく。移動する平田、だが・・・

八木沼はその球を引っ張って、ライトの上空に持っていった。
惜しくも切れてポールの外、ファールとなるも、打球はスタンド中段に突き刺さる。

(だ…だめだ… 八木沼にはもう 俺の計算は通用しない)
90投下:2007/04/04(水) 00:40:44 ID:???
泰二に指示する平田。今の八木沼とのまともな勝負は危険、だという。
だが泰二は…

「ここで…」「『はいそーですか』と おれが返事できると思いますか」
「四番 八木沼さんとの勝負をさけて勝っても」「意 味 が な い」
「うん」「うん」と太一も。

勝敗よりも勝負にこだわる兄弟。その性格に、目の前の兄弟がやはり双子である事を実感する平田。
平田も真っ向勝負を了承。
(へへっ うれしーこといってくれんじゃねーか)と八木沼。
そして、泰二の判断に「八木沼のおもうつぼ」「にーちゃんとおなじで大バカヤローだっ」
と大笑いするコーチ。コーチでありながら、完全に一軍寄り。

泰二が次に投げた球は、内角高めストレート。八木沼が空振りしやすいコースだが、
甘く入れば長打コースとなる。これまで130球以上投げてきた泰二の球の力では・・・

だが、泰二の投げた球は予想に反して、スピードの乗った勢いのある球。
そして八木沼も、豪快に空振りする。ストライクツー。
動揺もしない八木沼と泰二。興奮する太一と平田。
と、八木沼の所へ、コーチが駆けつける。なんだ今のフルスイングは、今の状況を考えろ、と。
だが八木沼は取り合わない。そんなのは一・二番がやりゃーいいと言う。

「おれはですねー」
「おれはアストロズの 四番打者ですよ」
91投下:2007/04/04(水) 00:42:30 ID:???
大バカたれやろーは、兄弟だけじゃないと言う事だ。おどおどするコーチを静める、三原監督。
そして、三球勝負・ラストの一球。全員緊張している。
これだけの真剣勝負、滅多に見られない。球界の大エース野茂と、大四番バッター清原。
その名勝負以上かもしれないと例える監督。まさしく、意地と意地のぶつかり合い。

そして、泰二は投げた。コースはさきほどと同じ、内角高めぎりぎりいっぱい。
だが今度はバットが合っている!平田は外野に大声で「さがれ――――っ」と指示を出す。
しかし、その球種はさっきとは違う。外角へ逃げるシュート!
ひっかけたら三遊間にくる!今度は太一に指示を出す平田。そしてバットに当たる。
体勢は苦しい。が、それでも力を込める八木沼。そして、

八木沼の打球は、バックスクリーンに直撃した。起死回生、同点ホームラン。

周りから褒め称えられる八木沼。そして泰二と、その実力を称えあう。


「しかし…」
「これでいきおいにのったと おもわないほうがいい… 九回裏は おれに打席がまわってくる」

「お…」
「おれにもまわるぞーっ」
92マロン名無しさん:2007/04/04(水) 01:14:52 ID:???
おもしろくなってきた!
93マロン名無しさん:2007/04/04(水) 13:01:41 ID:???
平田、頭と口の回転早すぎ。
94マロン名無しさん:2007/04/04(水) 13:02:45 ID:???
なんだかんだいっても八木沼ってすごいのな
95マロン名無しさん:2007/04/04(水) 18:16:19 ID:???
なんだかんだいっても泰二は高校のガキなんだけどな
96マロン名無しさん:2007/04/04(水) 20:56:07 ID:???
これは太一が試合決めるフラグ立った?
97マロン名無しさん:2007/04/04(水) 22:32:39 ID:???
二流でもプロの四番の意地か…なんか熱くなってきた。
98マロン名無しさん:2007/04/04(水) 23:45:07 ID:???
八木沼はやる出せば3割30本打てる
99マロン名無しさん:2007/04/05(木) 00:12:27 ID:???
第11回 奇蹟の一打・どまん中を振れ!

九回表、八木沼のホームランで同点に追いついた紅、一軍チーム。
これで裏を抑えれば、なんとか引き分けに終われると安堵する大友コーチだが、一軍二軍とも、
引き分けで終わらせるつもりはない。決着がつくまで続ける気のようだ。

この回先頭バッターは平田。非力な自分には、内角高めのストレートで来る、と読む。
投げる武藤。読みは当たった、しかしやはり非力はどうしようもなく、打ち上げてしまう。
だが、打球は、ライトのファール線上にポトリと落ちる。フェア。好運な二塁打だ。
無死、ランナー二塁、次のバッターは、山田太一。

「や…やったーっ お…おれが すっごいの打って」
「それで決めるときが ついにきた…!」

だが武藤は鼻で笑う。太一はどまん中しかスイングできない。相手もそれを分かっている。
泰二にも「ここは当然送りバントだっ」と言われるも・・・

「バ…バントって どうやんの……?」太一は、バントのやり方を知らなかった。

「い…いいよ…… バントじゃなくて さっさとワンアウトとられてきな」

大友コーチも嘆く。
「あああ〜〜 バ…バントもできないやつがプ…プロなんかにはいっちゃってていいのだろーか〜〜〜〜〜〜っ」
「しょーがねーだろ もう いれちゃったんだから」と監督。
100投下:2007/04/05(木) 00:15:32 ID:???
ピッチャーの武藤も、むしろ次の泰二を警戒している。平田の読みでは、一球目は外角低めストレート。
もうど真ん中は、絶対に投げてこないだろう。読みはあたる。へろへろの空振り。ストライク。
次の球は、外角低めへ入ってくるカーブ。当然打てない。ストライクツー。
球は見えていても、どまん中以外はまるで小学生以下だ。
平田は策を練る。山田太一でも、小学生でも理解できるやり方・・・

平田は何か思いついたようだ。三球目を投げる前にタイムをかけ、太一にアドバイスする。
どまん中以外打てないのなら、むりやりどまん中にするしかない。
三球目はきっと内角高めのストレートで、三振を取りにくる。だから…

アドバイスは終わったようだ。「どーだやってみるか」という平田。
「う…うん や…やるっ」「だ…だって おれ一軍にいって…」
「そ…それで」「アストロズを優勝させないといけないから」と太一。
それを嘲る八木沼。

「これで……」「さっさと消えろっ」武藤の投げた球は、読みどおり、内角高め。
すると…太一が、その体をぐんと伸ばした。太一は、いつのまにか縮こまっていた!
武藤が高めだと思ったコースは、実はまん中ぐらいだったのだ。だが、高低はともかく、コースは内角だ。
すると今度は、太一がバッターボックスの外側に移動した。これで内角高めの球は、どまん中になった!
太一は打ちにいく!
「で…でた―――――っ」「どまん中の みちがえるようにするどく速いスイングッ」

だが、わずかにまだ高めだった。ボールは、バットのうわっつらへ当たる。 芯をとらえきれなかった。
行方を見守る面々。そして…太一はバットを振りぬいた!
101投下:2007/04/05(木) 00:17:01 ID:???
打ち上げられた球は、キャッチャー上空へ上がった・・・かと思いきや、
今度はピッチャー上空へ。と思いきや、さらにセカンド上空へ。まだ伸びる。
バックするセカンド。やっとボールが落ちてきている。キャッチャーフライになるはずが…。
ジャンプして取ろうとするセカンド、だが、

「山田太一のどまん中のスイングは普通じゃね―――――っ」
「われわれの常識的な予想をはるかに超越した とんでもねーいきおいがあるんだ――――っ」

ボールはグラブの上を通り、倒れこむセカンドの後ろに、ぽとりと落ちた。
ここぞとばかりに走る平田。本塁へ、ヘッドスライディング!キャッチャーのタッチとほぼ同時。
結果は…セーフ。サヨナラランナー、ホームイン!


「か…」「勝った……」「勝っちまった……」

「勝ったぞ 山田太一」「一軍に勝ったんだ――――っ」


「か…」


「勝った……」
102マロン名無しさん:2007/04/05(木) 00:27:08 ID:???
みんなの説明口調おもろいw
103マロン名無しさん:2007/04/05(木) 00:29:54 ID:???
>「われわれの常識的な予想をはるかに超越した とんでもねーいきおいがあるんだ――――っ」


どんなんだよな
104マロン名無しさん:2007/04/05(木) 00:48:04 ID:???
2割8分20本の八木沼と8勝武藤以外入れ替えかな
105マロン名無しさん:2007/04/05(木) 01:15:23 ID:???
よくわからんが、太一が通天閣打法を使ったということだけはわかった。
106マロン名無しさん:2007/04/05(木) 05:40:13 ID:???
よく分からんが平田と兄弟だけで勝ったのは分かった
107マロン名無しさん:2007/04/05(木) 06:37:26 ID:???
総入れ替えといっても山田兄弟と平田だけかな
108マロン名無しさん:2007/04/05(木) 10:17:30 ID:???
なんか昔にも一軍と二軍が戦って入れ替えって野球漫画があったような・・・?
一軍と三軍だっけか?
109マロン名無しさん:2007/04/05(木) 11:12:57 ID:???
ああ、オレも読んだ記憶がある。
でも1話しか思い出せないのは何故だ?
110マロン名無しさん:2007/04/05(木) 19:34:50 ID:???
ひょっとして第三野球部じゃないか?
111投下:2007/04/06(金) 00:27:51 ID:???
第12回 動体視力・鵜の目鷹の目 太一の目!

新聞記事を見て驚く山田家一同。その記事は、先日のアストロズの紅白戦の事を知らせるものだった。
『山田兄弟の活やくで二軍が一軍を敗る!!』 
『山田泰二 超大物ぶり発揮 一軍を一点におさえ堂々の完投「久しぶりの投球なので こんなものでしょう」』
『大ぐうぜんか先制打決勝打と 2打点の奇蹟的大かつやく ベンチのすみで感涙にむせぶ山田太一』
太一が活躍したという記事に、驚きを隠せない山田家。
『バントもできないのに アストロズを優勝させると 聞いてもいないのにしつこく語る山田太一
打てたのは事故のようなもんで ただのバカたれの可能性がつよい』
「…………」

アストロズは練習中。選手達は、自分達から積極的に練習をこなすようになっていた。
ノックの順番で、争いまで起きている始末。
以前の、さぼることに努力を惜しまなかった彼らとは別人のようだ。
入れ替わった二軍、一軍それぞれ、また二軍に落ちまいと、また一軍に這い上がろうと必死だ。
「あの山田兄弟が たった一日でこんだけアストロズを変えちまうんだからよー」
とくに太一。だが当の本人は…

相変わらず、どまん中以外はまったく打てなかった。しかし、二軍に落ちるのも
時間の問題と言われても、太一は一軍に残る気満々。ぶんぶんバットを振り回しながら、喚く。

と、三原監督のもとに、捕手の格好をした平田がやってきた。
捕手に転向する事に決めたらしい。一軍で生き残るために、自分の特性を生かすようだ。
チームメイトに、打つったってどうやって打つんだよと、からかわれている太一。
その太一が、「どまん中以外でも打てるようになるか おれにまかせてくれませんか」と言う平田。
やけに面倒見がいいと疑問を口にする三原。
「アストロズを一日でここまで変えたやつを また沈没させてしまうのはどーもね……」と平田は答える。
平田もまた、救われたひとりだった。
112投下:2007/04/06(金) 00:30:17 ID:???
そして、平田はこれが捕手初仕事だと考えていた。
選手を見る目が必要な捕手として、やっていけるかかけてみるつもりらしい。
「三原監督もいったじゃないですか 
『山田太一は 頭も体も小学生のまんまかもしれねー』『もしかすると 弟の泰二以上の大器かもしれねー』って…」
ぴくっと反応する泰二。不気味に笑う兄を見つつ、その考えを打ち消そうとする。
「ほんとーにそうなのか おれもおおいに興味があるんです」と平田は言う。しかしあの調子じゃあてにならないと
言われると、ひとつ調べてみたいことがあるんです、と答える。

平田が持ってきたのは、動体視力計。紅白戦、プロの球のスピード、に太一の目がついていっていたかどうか、
確認するのだと言う。見えていたなら、どうにかなるかもしれない。
見えていたという太一。だが周りはまともに信じていない。これを使えばはっきりすると言う平田。

まず、アストロズで一番目がいいといわれている、岩田選手がやってみることになる。通常視力、一・五。
計る方法は、時速30キロで流れてくる文字を見て、何が見えたか言う、というものだ。
答えていく岩田。判定結果は、一・二。普通は通常視力の70%ぐらいだから、岩田はかなり優秀と言う事だ。
さて次はいよいよ太一。 台の上に正座して、計測器を凝視する。通常視力は岩田と同じく一・五。
いちいち大声で答えていく太一。そしていよいよ判定結果が出る。結果は…

「一・五」

驚く面々。つまり太一の動体視力は、通常の、静体視力と違いが無いと言う事。
疑う選手達。てきとーにいってんのがあたっちまったんだろ、とまで言われる太一。そこで平田は、今度は
ボールに何か描く。そして太一に打席に立つよう指示する。泰二に回転の少ないフォークボールを投げてもらい、
「描いたもの」を太一に言ってもらう、という寸法らしい。
113投下:2007/04/06(金) 00:32:29 ID:???
(バカバカしい…)と泰二は全力投球。球は140キロ近いスピードが出ている。
凝視する太一。ボールは、ベース上にすとんと落ちた。「どーだ 山田太一」と平田が聞く。
見えたものは…「ドラえもん」「ひげが2本おおい ドラえもん」

ボールには…ひげを4本ずつ生やした、ドラえもんが描かれていた。

一同、顔面蒼白。あまりのことに震える者まで居る。やはり、太一はボールに目がついていっている。
「て…天才的打者が絶好調のときに ボールが止まってみえるというが…」
この事態に、「どまん中以外でも打てるよーにしてみせますよ」と、決意を新たにする平田。
一方、兄の見込みを聞かれる泰二。ひとつ思い当たることがあるらしい。
それは、公園で特別訓練をしていた時のこと。
風呂で疲れて寝てしまい、水死体になりかけた太一を発見した、妹が言っていたという。
それによると、太一は18歳なのに…

「い〜〜〜っ」「ま…まだはえてないだってーっ」
さっそく確認のために、パンツまで脱がされる太一。すると、ほんとうに…。

三原監督の想像が、すこしずつ現実味を帯びてきた。

(この成長の極端におそい山田太一は まだまだはかりしれねー可能性があるってえわけか)

(こ…こいつは ほんものの…)
114マロン名無しさん:2007/04/06(金) 01:51:54 ID:???
チ○コはえてないのかwww
115マロン名無しさん:2007/04/06(金) 02:36:16 ID:???
>>114
ちょwwwww女wwwwwwww
116マロン名無しさん:2007/04/06(金) 07:15:19 ID:???
>>114
ねーよwww

最終回間近にもさもさに毛が生えるんかいな
117マロン名無しさん:2007/04/06(金) 09:38:15 ID:???
なんて基準で納得するんだwww
118マロン名無しさん:2007/04/06(金) 13:08:28 ID:???
平田の頑張っても納得してなかったのにチン○で納得すんのかよw
119投下1/3:2007/04/07(土) 00:07:14 ID:???
第13回 平田の秘密兵器・本塁打王をめざせ!

太一の前には、大きな鏡が置かれている。その下の方に、
太一のストライクゾーンを示すと思われる、赤いテープで形どられた縦に長い四角があり
そしてその真ん中とそれぞれの角に、電球が取り付けられている。
平田命名「山田太一大本塁打王養成機械装置」。

八木沼に、生えていないことをからかわれ、真っ赤になって追いかける太一。
平田はまじめだ。西部清原の、一年目本塁打数、31本をこえることすらできると思っているらしい。
馬鹿にされる平田だが、プロの球のスピードに平気で目がついていくこと、
入団テスト時の泰二との勝負で放った、八木沼の本塁打より大きいと思われる
130m級の本塁打など、根拠はあるようだ。そして、どまん中しか振れないという弱点を、
「山田太一大本塁打王養成機械装置」で克服させるつもりらしい。

だが八木沼は取り合わない。装置を一笑に付し、
「こんなもんで山田太一が本塁打王になれたら 山田泰二じゃねーけど
 フルチンになって 新宿でも原宿でも どこでも大行進してやらーっ」とまで言った。
「こうかいするぞーっ」という太一。だが逆に、平田の言う事を真にうけていることを、笑われる。
「やるか 山田太一」と平田。「おーっ」その光景を、監督は笑って眺めている。

練習方法は、不規則に点灯する電球のコースを、バットで振ること。当面の練習は、走りこみとこれだけ。
どのコースも自由に振れるまで続ける。とりあえずよく見えているので、ボールは打たない。
(それも そのみえかたは普通じゃない 
もしかすると動体視力に関しては 球界ナンバーワンかもしれないんだからな)と、平田。
そして、清原の本塁打数を自分が抜く事を妄想し、悦に浸る太一。不気味だ。
120投下2/3:2007/04/07(土) 00:08:49 ID:???
いよいよ練習が始まった。最初は外角高めが点灯。しかし太一が振った場所はどまん中。
まったくコースがあっていない。次は内角高め。あわせようとするも、スイングはへなへなだ。
フォームを気にせず、思いっきり振るよう指示する平田。時間がかかりそうだ。

夜の九時を過ぎても、太一は選手寮に帰ってこない。今だ練習を続けている。
12時を過ぎても尚、帰ってこない。様子を見にいくと…
布団を持ち込んで、球場に泊り込んでいた。もう二月の、寒空だというのに。

次の日の朝早く。選手達が球場に到着すると、もう太一は練習を始めていた。
そばで見ている平田。そして太一の進歩の程はというと…まだ全然、コースからバットが離れている。
他の選手達の練習も始まった。泰二は兄の練習を見つつも、気にもとめず、投げ込みを続けている。
一方、八木沼は、太一の練習に気をとられ、ノックの球を取れず叱咤される。
監督に「山田太一が気になるか?」と問われるも否定する八木沼。だがやはり気になる様子だ。

夜中、雪が降ってきた。明日の練習が中止になる、この時ばかりは室内練習場もない
極貧球団に感謝したくなると喜ぶ選手達。だがそんな天候でも、太一はもくもくと、球場で練習を続けていた。
夜中、八木沼が何やらごそごそとしている。同室の平田に、どこにいくんだと聞かれると、
トイレと答える。だがバットを持っている。
平田に、都心でフルチン行進が実現しそうな事をおそれているんだろと看破され、
苦し紛れに「おれはバットもってうんこがしてーんだっ」と答えて部屋を出て行く、八木沼。
太一の潜在能力を認め始めた彼は、雪の降りしきる中、寮の屋上で素振りを始めるのだった。
121投下3/3:2007/04/07(土) 00:11:40 ID:???
雪が降り積もり、チームメイトが見守る中、練習を続けている太一。
(近づいている)(たしかにきのうより 確実に バットはひかる電球に近づいている)
内角高めが点灯する。平田が叫んだ。

「山田太一――――っ その内角高めを 
20勝あげてセ・リーグの優勝に大貢献した ジャイアンツの斎藤投手の球だと思えーっ」

太一フルスイング!バットは…内角高め、電球の上に直撃、鏡を打ち倒した。
振り返り、みたかといわんばかりに笑みを浮かべる太一。だが平田に「これからだぞっ」と言われ、
更に練習を続ける気だ。しかし、鏡はひび割れて倒れている。

「新しいのつくって」

「…………」
(ご…五万 六千円の カガミ……)
122マロン名無しさん:2007/04/07(土) 00:41:02 ID:???
かなりユニークな練習だな。どっかに前例ある?
123マロン名無しさん:2007/04/07(土) 05:31:22 ID:???
平田さん給料なくなっちゃうよ平田さん
124マロン名無しさん:2007/04/07(土) 12:10:14 ID:???
深夜のうさん臭げなテレホンショッピング番組とかに出てきそうだな。
「これさえ有れば君も今日からホームランバッターさ、HAHAHA!」「まぁ、すごいわスティーブ!」
みたいな
125マロン名無しさん:2007/04/07(土) 14:46:31 ID:???
最後ワロスw
126投下1/3:2007/04/08(日) 00:19:34 ID:???
第14回 必殺遊び人・才能 あるのみ!

結局、新しい鏡は買ってもらえなかったらしい。ひび割れをテープで修繕した鏡で、
太一は練習を続けていた。しかし、本塁打王になればカガミの二枚や三枚
アストロズが買ってくれるだろうと平田から聞かされて、俄然やる気を出す。

妄想に浸り練習を中断していた太一(の尻)に、「しりの穴攻撃」という掛け声とともに
バットのグリップが突き刺さった。犯人は、学生服姿のはげ頭。太一も八木沼も、
彼を知っているらしい。彼の名は大山慎一郎。アストロズが今年、ドラフト三位指名した選手だ。
夏の甲子園準々決勝、泰二の高校に敗れたが、三番エースとして活躍。センスにすぐれ、
その才能を高く評価する者は、数知れない。

彼は泰二にも声をかける。アストロズに入ったのが意外だったらしい。
大友コーチが、遅れて練習にやって来た彼に怒る。本人によると、「とっくん」をしていた
ためだそうな。さらに、「夜にそなえてもうねないと」という理由で、大山は
大きなバッグを背負い、鼻歌を歌いながら、球場を出て行ってしまった。

夜、練習を終えた選手達が寮に帰ってくると、ユニフォームに着替えた大山が
待ち受けていた。「さっそく会場へ」と促す。何の事だかわからない選手達。
大山は、とぼけていると思ったらしい、「アストロズ恒例の麻雀大会の会場」と
選手達に説明すると、なおも連れて行こうとする。
練習でつかれていると選手が言っても、大山は信じない。「とっくん」とは、
麻雀の練習だったらしい。毎日楽しく遊べると聞いて、アストロズに来たそうだ。
「たしかに4・5日前なら そういうこともやってたがな…」
「今は状況がかわって もう誰もやってねーよ」と言われても、それも信じない。
ついに、「自分で会場さがしてみな」と突っぱねられる。
127投下2/3:2007/04/08(日) 00:22:08 ID:???
大山は、八木沼を追跡することにした。「そんけーする日本一のあそび人」八木沼を追っていけば、
会場に辿り着けると思ったらしい。その八木沼が向かった先は、屋上。
そこで、八木沼は素振りを始めた。その光景にしばし唖然とする大山。
(へ…へんだ)
(どーしたってんだ)(アストロズがおかしくなってる)

今度は山田兄弟を誘いに行く大山。だが二人とも部屋には居ない。平田に教えられて、
グラウンドに行くと、そこには練習を続ける太一が。もう4日も同じ事を続けている。
それを聞いて、大笑い。
「はっはっはーっ いまさらこーんなことやってて プロでやってけるわけねーや」
「練習なんかやんなくたって とびきりうめーのがプロってーもんなのに やーいバーカバーカ」
「プロってえもんがどーいうもんか ぜーんぜん わかってねーなあいつは」
大山の言う事ももっともという平田。「だが」

「だが こんな単純で幼稚な練習で もし山田太一が大打者になっちまったらどーする」
その問いに、大山は太一を指さした後、腹を抱えて笑い転げる。そして、平田は帰っていった。

太一をずーっと見ている内に、眠り込んでしまった大山。時計を見ると、もう夜中の3時。
遊びに誘うためか、太一に近寄っていき話し掛ける。大きなバッグから出した者は、携帯麻雀。
無視して練習する太一。大山はさらに、次々とバッグから、遊び道具を出してくる。
それも目に入れず、練習する太一。痺れを切らした大山に罵られる。

「おい そんなことしてたって 体にわりーだけだぞっ」
「おれ……」「まだまん中しか うまく振れないから」
「だったら野球なんかやめちまえって」
「練習しなくたってうまいやつはうまいんだから このおれみてーになっ」
「ひっしに練習するやつなんてさいて――――っ
そんなもん 才能のねーやつが やることじゃねーかっ」
128投下3/3:2007/04/08(日) 00:23:37 ID:???
しかし、太一はなおも素振りを続ける。「お…おれ……」
「アストロズ 優勝させないとだめだから」
「おめーなんかいたって 役にたつわけねーだろ」と言われても、続ける。

すると、大山がバッティングフォームに口を出す。太一はひじとグリップが同時に
上下にしていて、そのせいでまん中しか振れないらしい。
グリップもひじもほとんど動かさないようにすれば、どのコースもどまん中と同じように振れる。
手本のスイングを見せる大山。その速さに感心する太一。
太一はフォームをまねようとする。それを修正していく大山。
今度はコースを振り分けていく事になり、二人での素振りが続いていった。

次にティバッティングを提案する大山。だが、太一のわくわくする顔を見て我に帰る。
気づけば汗もかき、息も切らしている。すっかり太一のペースにひきずり込まれている。
「おれの調子をくるわすんじゃねーっ」と太一に当たる大山。
そして、断っても断っても、一緒に練習しようとする太一を見て、気づいた。
(あ……)(こ…こいつだ……)

(このアンポンタン野郎が 楽しい毎日のはずのアストロズを 汚染してるんだ)
(こいつが悪の元凶…)

いつの間にか、夜があけてきていた。
「あかるくなってきたから ボールよくみえるよっ ねっ ねっ」

(ま…まずい)(ひじょーにまずいぞ)

(こいつがいると アストロズがどんどん息ぐるしい集団に かわっていっちまう…)
129マロン名無しさん:2007/04/08(日) 00:24:58 ID:???
いつの間にか練習に引き込まれている大山の描写は
なんか妙に説得力あるな。
130マロン名無しさん:2007/04/08(日) 01:42:35 ID:???
平田の練習だけじゃホームラン王にはなれない事はわかった
131マロン名無しさん:2007/04/08(日) 08:08:43 ID:???
平田め、よくそんなんであの東大を(ry
132マロン名無しさん:2007/04/08(日) 10:50:34 ID:???
八木沼ってあそび人だったのか
133マロン名無しさん:2007/04/08(日) 13:35:17 ID:???
しかも日本一のw
134マロン名無しさん:2007/04/08(日) 15:33:37 ID:???
ああ見えて茶道や能にも通じた稀代の遊び人なのかもしれないな…
135マロン名無しさん:2007/04/08(日) 19:41:53 ID:???
フォームが根本的に駄目なんだからちゃんと直してからあの装置を使えと思った。
136マロン名無しさん:2007/04/08(日) 22:04:39 ID:???
>「しりの穴攻撃」

アッー!
137マロン名無しさん:2007/04/08(日) 22:21:44 ID:???
平田はやっぱり実際の細かい指導はできないんだろうな…
おそらく実際のバッティングの指導になると『グッと踏み込んで、バッとと振る!』くらいのことしか言えないんだろう
138マロン名無しさん:2007/04/08(日) 23:44:32 ID:???
しかし八木沼は日本一の遊び人っていわれるほどなのに
打率.280 20本ってどんだけ天才だよw
139マロン名無しさん:2007/04/09(月) 00:06:48 ID:???
他の球団もアストロズにはローテーションの谷間の
たいしたことないピッチャーを当ててくるんじゃね?
140投下1/3:2007/04/09(月) 00:18:12 ID:???
第15回 大山との勝負・負けてくやしい花いちもんめ

監督は、レギュラーメンバーについて悩んでいた。どーしても、一番打者が決められない。
「ほしい……」「アストロズに いい一番バッターがほしい……」

アストロズグラウンド。黙々と素振りを続ける太一に対して、大山は
ベンチで朝からずっと眠りっぱなしだ。それを大友コーチが咎めても、
「あとで10球も投げときゃあそれでじゅーぶん」と、余裕しゃくしゃく。

しかし監督によれば、監督は大山を「投手」ではなく「打者」としてとったらしい。
「投手やりたくてアストロズにはいったんだ」と抗議する大山だが、
「大山は投手じゃやってけねーよ」と、監督に返されてしまう。
大山はストレート一本で、甲子園までいったらしい。江川二世とまで呼ばれたとか。
だが、そのストレートを、泰二にホームランにされて、1対0で負けた。

しかしその事実をつきつけられても、大山は全く動じていない。

「あー あれっ ありゃーしょーがねーや」
「なんだ……くやしくねーのか」と監督。「ぜんぜん」
「ま…おれ 全力で投げてたわけじゃねーしな」「負けてくやしかったことなんかねーよ」
「いちいち負けてくやしがってたら つかれるだけだ そんなやつぁー バカだね」
太一のほうを見る大山。「大山は 真剣に野球やってたわけじゃねーのか」と監督。
「しんけんだよ しんけん へっへっへ――――っ」「…………」

「兄貴以下だな」と、泰二が言い放った。
141投下2/3:2007/04/09(月) 00:20:00 ID:???
それを聞き、太一以下の奴なんかこの世に存在しないと笑う大山。
「弟の山田泰二が ここにいるっていってんじゃねーか」と突っ込む監督。

「たしかに兄貴は 力もないのに自分をわきまえず プロにはいってしまうという
とてつもないバカだ プロ野球界どこをさがしてもいない 最悪のバカ選手だ」「しかし……」
「しかしこんなどーしようもない兄貴でも 西部の清原や 中日の落合に負けてもくやしがるだろーな」
(くっく)(たしかにそーだ)と監督。
(山田泰二も山田太一も これほど負けることがきらいなやつはいねー 双子は双子か……)

だが大山は真面目に取らず、それどころか太一には何百球投げても打たれない、とまで言う。
監督も、練習しないから大山は投手としてだめだ、という訳ではないらしい。そして、
その監督から、太一との勝負を提案される。太一が倒れるまで振っても、大山の球を
打てなければ、さすがに投手として認めない訳にはいかない、と言う。

それを聞いて、俄然やる気を出す太一と大山。そして勝負の準備に入る。
野次馬も集まってきた。
(ストレートのコントロールは 抜群の大山のことだ…)
(どまん中には ぜったいに投げてこない…… 
山田太一がやってる どまん中でも打つ練習の成果をみる いいきかいだ) と捕手を務める平田。

いよいよ勝負開始。大山がまず投げた球は、凄く手を抜いた内角高めの球。
だが太一は打てない。空振り。あいかわらずだ。そして勝負は続く。
手抜きの球にもかかわらず、太一は空振りばかり。
(前よりはだいぶおもいきり振れるようになってるが ボールとバットはまだ大きくひらいてる
どまん中のフルスイングとはまだまだ雲泥の差があるな)と平田。

45球もやっても、太一はいまだにかすりもしない。しかし闘志は萎えてはいない。
142投下3/3:2007/04/09(月) 00:21:10 ID:???
一方、監督は大山を見て、感じていることがあった。

「くっく……」「負けてくやしかったことないか……」
「大山は よろこびいさんでアストロズにくるわけだ これまでのアストロズと体質がピッタリだ」
「なー八木沼」「へっへ――」

勝負は続いている。そろそろくたばってもいーころだ、と大山は目星をつけていた。
太一は、ゆうべから一晩中バットを振り続けて、一睡もしていない。
その太一に平田からアドバイス。力を抜いてみろ、ということだ。

そして、内角高めにまた手抜き球が来た。しかし今度はジャストミート。
唖然となる大山だが、ボールはきれてファール。

「へへ」「これだよこれ」
「これに山田泰二も」「おれたち一軍もやられてきたんだよなーっ」

ショックを受けた大山が次に投げた球は…今までとは比べ物にならない本気の球。
「これなら永遠にうてねーよ ざまーみさらせ」と大山。しかし相手は、太一。
大山が本気になればなるほど、太一もまた力を出していく。
そして大山の顔つきは、前のものとは明らかに違うものになってきている。

「大山はさっき…真剣になったことなど ないといってたが…」
「どっかで負けるのをおそれて」「力ぬいて投げることで 逃げ道つくってたんだろーな」
監督の推測に納得する八木沼。意外と大山は、気の弱い所があるのかもしれない。
「しかし… これで逃げるわけにもいかなくなった」睨み合う、太一と大山。

(くく…)
(これがうまくいきゃあ うってつけの一番打者ができるかもしれねえ……)
143マロン名無しさん:2007/04/09(月) 06:26:42 ID:???
このまま投げ続けて打たれたとしても
投手としての力不足じゃなく、ただ単に疲労からになるんじゃ…
144マロン名無しさん:2007/04/09(月) 06:42:16 ID:???
そんときは投手としてスタミナ不足
145マロン名無しさん:2007/04/09(月) 08:33:15 ID:???
>>143
どう転んでも投手にするつもりのない三原の策略です
146マロン名無しさん:2007/04/09(月) 09:47:27 ID:???
>>145
さすが魔術師と同姓同名なだけはあるな
147マロン名無しさん:2007/04/09(月) 22:04:13 ID:???
>「兄貴以下だな」
なんかいいなぁ、こーゆーの。
148マロン名無しさん:2007/04/09(月) 22:30:35 ID:???
駄目兄貴だからと言って何から何まで全て否定しているわけじゃないんだな>泰二
149投下1/3:2007/04/10(火) 00:08:06 ID:???
第16回 全力勝負・打つか倒れるか

太一と大山の勝負は、まだ続いている。「おい 今ので何球だ?」と監督。「72球」「72球か……」
大山が本気を出し始めてから、太一は一球も当てることができていない。
気力こそ持ってはいるようだが、肩で息をし、スイングも波打ってフラフラだ。

スイングした後、そのまま後ろに倒れる太一。
「よし これでおしめーだな」と、余裕をもってマウンドから去ろうとする大山。
だがその後ろに、太一がピッタリと張り付くようにして立つ。
「お…おれは」「まだ まいって ない」そしてそのまま離れない。結局、勝負続行となった。

まだまだ余力がある大山。いまだ打てない太一。照明が点いても、まだ勝負は終わらない。
百球を超えた。スイングのあと、よろめきながら倒れる太一。
「て…てこずらせやがって〜〜」大山も、肩で息をするようになっている。
そして、動けなかった太一も、水をバケツでかけられて、復活。まだ勝負は続く。

もう夜中。星が見えている。ふたりの勝負は終わっていない。
大山がこれだけの球を投げているのに、どーして投手として使えないと監督は言うのか、
疑問を口にする選手。
(大山が プロでは投手でやっていけない 理由…)と、平田。

百八十球をこえた。打つ打たれるより、どっちが先にくたばるか、の勝負になってきた。
気迫のこもった表情で、勝負を続ける二人。だが、スイングした後
体をささえきれず、またも太一は倒れた。
そして、星空を見ながら、大山との練習を思い出し始めた。
150投下2/3:2007/04/10(火) 00:11:49 ID:???
『あーあ それじゃーまん中しか振れねーわけだ グリップと
ひじもいっしょに 上いったり 下いったりしちゃっちゃーなあ』『え…』

『高目はこう 低目ならこう』『こ…こーか?』『ちがう こーだよ よくみろバカっ』

『こう?』『ん…まあ…そんなもんかな』『ほんとっ』

「山田太一」「山田太一」
八木沼につつかれて目を覚ます太一。勝負再開。
さきほど思い出した、大山に指導された内容を意識しながら、太一はバットを振っていく。
だんだん、バットとボールの差が無くなってきた。

『グリップと ひじはまん中に』内角高目いっぱいのボールに、太一のバットがかすった。
(ス…スイングがかわってきた)と平田。「きのう深夜の 大山の指導がきいてきたかな」と監督。
監督の言っていることの意味が、さっぱりわからない選手。

「これならどーだい」と大山が投げた球は、太一の苦手な外角低目。
だが、太一はその球に、バットをあてて打ち返した。

そして打球は、ライトスタンド最上段の、フェンスに直撃。皆唖然。
そのまま前のめりに崩れ落ちる太一。呆然となる大山。監督は大山に話し掛ける。
151投下3/3:2007/04/10(火) 00:14:29 ID:???
「フラフラで ぶっつぶれる寸前の
山田太一のスイングでも あそこまでもってかれちまう」倒れた太一の顔は、笑顔だ。
「この球質の軽さはどーしようもあるめえ なあ大山」膝をつく大山。
「どーだ……」「はじめて真剣にたたかって 負けた感想は……」

体を震わせ、顔を歪めて涙を流す大山。
だが監督に振り向けたその顔は、涙を流しながらも、笑っている。
そして、大山はそのまま前に倒れた。

「ばーかめ 大山も 山田太一のスーパーアンポンタン菌の侵入を許したな」と八木沼。
「大山の抗体もやぶれたか」と監督。大山の周りには、太一の顔をした菌がうようよ。

勝負を終えた、太一と大山。二人はそれぞれの場所に、静かに倒れ伏していた。
152マロン名無しさん:2007/04/10(火) 00:29:11 ID:???
こんだけ投げさせられたらそりゃ打たれるだろという気がしないでもない。
153マロン名無しさん:2007/04/10(火) 01:31:52 ID:???
球質が軽いってレベルじゃねーぞこれ!
ピンポン玉でもあんだけ飛ばねえよ
154マロン名無しさん:2007/04/10(火) 06:36:09 ID:???
球質が軽いというのを利用してバットからフワリと避けるボールの開発をしなきゃ
155マロン名無しさん:2007/04/10(火) 09:41:25 ID:???
>>154
それどこの大リー○ボール3号?
156マロン名無しさん:2007/04/10(火) 18:32:42 ID:???
スーパーアンポンタン菌ワロスw
157投下1/3:2007/04/10(火) 21:48:49 ID:???
第17回 外人選手・ハローさむらい野球

朝早く。八木沼たちが、練習のために球場へいくと、そこには左打ちのスイングをする大山と、
それを見ている太一の姿があった。大山は、スイッチヒッターになるらしい。
「右で3割打って 左で3割打って あわせておれは6割打者だっ」と、意気込み十分。
さらに、その大山にバカにされて、太一も
「お…おれだって 右で2回ぶん3割打って 6割打つっ」と、張り合う。

大山は、今まで左で打った事などないはずなのに、
もう、10年は左で打っているかのごとく、左打ちのスイングが出来ていた。
(たいした練習などしなくても 身についてしまう 
このずばぬけた野球センス 運動神経のかたまりのような身のこなし……)

(これで 一番 二塁手は決まりだな) 監督は、そう考えていた。

太一と八木沼は、トスバッティングをしていた。太一はなんとか、
トスでなら、外角低目以外は当てられるようになって来ていた。感激する太一。
「お…おれ…… こ…こんなにボールが バットにあたるのってはじめて……
おれ 高校のときなんか 一度もまともに あたったことなかったんだ……」
涙と鼻水を垂れ流しながら、感激に浸る太一。
「あ〜〜」「す…すっごく き…きもち い〜〜〜」

(あ〜あ)(おれは こんなのと同じ プロ野球チームにいるのかと思うと…)気分が沈む八木沼。

「なんだ?」「トスバッティングできたくらいで 感激してるこの子供は?」
その疑問を口にしたのは、ベンチに座っている、一人の金髪の男だった。
158投下2/3:2007/04/10(火) 21:50:53 ID:???
彼の名は、トム・ブラウン。正式な名前はトマス・ブラウン。
アメリカから来た、メジャーリーグ経験もあるという、アストロズの助っ人選手らしい。
メジャーリーグという言葉に緊張して、トムの膝をちょいとさわるにも、どきどきする太一。
しかし、監督がいっていた、「底抜けに陽気なやつ」には見えないという八木沼。

「なんなんだよ この気味の悪いやつは」と、トムは太一についての説明を求める。
監督に、プロの選手だと説明を受ける。
自分の夢物語を、トムに熱弁する太一。「あ…頭おかしいのか こいつは」とトム。
しかし太一はおおまじめ。それを聞いて、トムは何やら顔色が悪くなっている。

監督に、トムは太一の一番苦手な外角低目打ちの名人と、メジャーリーグでいわれていたと聞き、
さらに、よく教わったらどうだ、と提案された太一。さっそく教わる気まんまんだ。
だが、トムの方は、教える気はないらしい。願いを断る。
「メジャーリーグで やったこともあるおれが……」
「おめーみてーなやつと いっしょに練習なんかできるか バーカ」とトム。だが
「へん なにがメジャーだよっ 結局日本の 排せつ物球団に ながれついちゃったくせによー」
と、大山に突っ込まれる。それでもトムは、強硬に太一の願いを突っぱねる。

しかし、それでも教えを乞おうとする太一に対して、トムはとうとう手を出した。
それでもお願いする太一。今度は蹴り飛ばす。それでもなお、夢物語を口走ろうとする
太一。今度は首をつかんで持ち上げ、壁にたたきつけ、さらに顔からもう一回。
「おまえがこれ以上 しつこくつきまとうなら…」「おれがこの くされ球団をでていく」
なぜここまで、トムが太一につらく当たるのか、周りの選手達は理解できない。
159投下3/3:2007/04/10(火) 21:51:58 ID:???
夜中、一人でもくもくと素振りを続ける太一の元に、現れたトム。
太一は喜び、トスバッティングの相手をしてもらおうとするが、トムの様子がおかしい。
「おまえが どーしてもでていかないというなら…」「おれが むりやりにでも……」
わくわくして太一が待っていたボールは…太一の顔に当たった。しかも明らかに力のこもった投球。

「そんなに打ちたかったら」「打ってみろ」
「打てっ」「打てよーっ」「打てってんだよーっ」

散々ボールを当てられ、ダウンする太一。さらに投げつけようとするトム。だがその右腕を
八木沼が止めた。「だまってみてりゃ――」「すきかってなこと やってくれんじゃー ねーかい」
トムを殴り飛ばす八木沼。さらにもう一発いこうとするが、
いまだに教えを乞おうとする太一に、止められる。

八木沼によれば、トムは本気で太一を追い出す気らしい。トムのことを、調べてみたのだと言う。
「そしたら おっもしれーの」

「こいつは 山田太一に そっくりなんだ」「えっ」

「お…」「おれに………」
160マロン名無しさん:2007/04/10(火) 21:55:55 ID:???
この調子で各ポジション揃うまでスーパーアンポンタン菌が感染していくパターンを続けるのか?
161マロン名無しさん:2007/04/10(火) 23:51:14 ID:???
キャッチャー:平田
ファースト:岩田
セカンド:大山
サード:八木沼
ショート:?
外野:?

トムはショートか外野か。つか、たいちはマジでどこ守らせる気なんだ?
162マロン名無しさん:2007/04/10(火) 23:52:21 ID:???
あとは押さえのエースくらいじゃないの?
163マロン名無しさん:2007/04/11(水) 01:50:50 ID:???
たぶん太一は代打の切り札だな
164マロン名無しさん:2007/04/11(水) 07:31:01 ID:???
>「こいつは 山田太一に そっくりなんだ」

トムもあそこの毛が生えてないんだろうか
165マロン名無しさん:2007/04/11(水) 09:36:48 ID:???
ブラウンか……将来一塁ベースを投げたりホームベースを隠したりする監督になりそうな気がするぜ。
166マロン名無しさん:2007/04/11(水) 09:52:31 ID:???
岩田ってだれだっけ?
167マロン名無しさん:2007/04/11(水) 12:04:59 ID:???
>>161
サード以外穴だらけの気がするのは俺だけか
168投下1/3:2007/04/11(水) 20:55:32 ID:???
第18回 回想・ブラウンの太一的?な過去

八木沼に言わせれば、トムは、太一に似ているなどというものではなく
アメリカ版「山田太一」らしい。とぼけるトムだが八木沼は、もう分かっている、と言う。
太一は三原選手で始まったように、トムの始まりは
ニューヨークメッツで「黒い稲妻」と呼ばれた、大四番打者・ブルーベリー選手だったらしい。

幼少時代のトムは、ブルーベリー選手にサインをもらっていた。
憧れのブルーベリー選手に、質問をぶつけるトム。
「お…おれみてーに ガリガリでちっこくて さ…才能も あんましなくても」
「そ…それでも 大リーガーになれっかな―――っ メッツでかつやくできるかな―――っ」
どきどきして答えを待つ、トム。

「あったりめーだ 大リーグはおまえのような 闘志むきだしの熱血漢を 大歓迎するよっ」
「おれは世間では『黒い稲妻』といわれているが
おまえは『白い稲妻』になって そのいきおいでメッツにこいっ」
そうすればメッツも強くなり、ワールドチャンピオンも夢じゃない、というブルーベリー選手。
ワールドチャンピオンの言葉に、立ち尽くすトム。

「きっとこいよ トム・ブラウン」トムはその場にへたりこんだ。

結局トムは、ブルーベリー選手の言葉を信じて、本気でメッツ入りを決めてしまった。
「なーっ 山田太一そっくりだろっ」「そ…!それでそれで―――っ」
トム・ブラウンはドラフトのラストでなんとかメッツに入れた。その時の監督はブルーベリー。
しかし…そうかんたんに、メジャーにあがれるわけもなかった。
169投下2/3:2007/04/11(水) 20:58:17 ID:???
幼少時に言われ決心したらしい『白い稲妻になる』を口に出して、チームメイトに笑われるトム。
練習を続けるも、問題は中身、一日に二時間も集中してやれば十分、
それで上手くなれないようなら、野球なんかやめたほうがいいとチームメイトに馬鹿にされる。
だがそれでもなお、トムは練習を続ける。
(お…おれは)
(得意の外角低目打ちと だれにもまけねー強肩で)
(かならず……メジャーに………)(メジャーに……)(メ ジ ャ ― に……)

ウェイトトレーニングをしているトムの所に、チームメイト達が、夜の街に誘いにくる。
練習を続ける気のトム。そのトムが使っているウエイトは50キロ。
しかし、その誘いにきたチームメイト達に、重しを追加されてしまった。100キロダンベルになった。
なんとか持ち上げるトムだが、支えきれなかった。どすっ「ぐ え えーっ」

そしてトムに、メジャーへ上がるチャンスが訪れた。シーズン終了も近い、九月中旬。
三番・フェルナンデス選手が、二週間の怪我で一軍登録抹消。
ついにトムも、正真正銘の大リーガーになった訳だ。
ブルーベリー監督に会い、約束を話すトムだが、監督に心当たりはないようだ。
そしてトムは、この好機をのがしてたまるかと、意気込む。

トムの初試合、対パイレーツ戦がすすみ、1対0、九回裏、二死二塁三塁。
一打逆転サヨナラのチャンスだが、メッツの打者は今日、投手にタイミングが合っていない
ジョンソン選手。チャンスに自分の交代を願うトムだが、監督が指名したのは別の選手。
すると…トムはバットを持って、勝手に打席へ向かおうとする。
押さえつけようとするチームメイト達だが、トムはバットを振り回して抵抗。
だが結局取り押さえられる。審判に交代を告げに行く監督。
170投下3/3:2007/04/11(水) 21:01:22 ID:???
「かんとく……」 「代打……」
「かんとく――――っ!!!!」  「トム・ブラウン」

監督によれば、トムがさきほど見せた、むき出しの闘志にかけたくなったのだという。
そしてトムのメジャー初打席。相手はウォーク投手。
最大の武器である、外角低目のストレートで勝負にくると読む、トム。そこはトムの一番の得意コース。
読みが当たった。見事に外角低目をジャストミートするトム。だが…
打球はぼてぼての、キャッチャーゴロ。アウトにされ、試合終了。

監督から、マイナー行きを宣告されるトム。だが監督は期待していた。
(トム・ブラウン……さっきおまえが 打席にむかったときの あの火のでるような気迫…)
(それさえあれば また いつかかならず メジャーにはいあがってこれるはずだ……)
「こんどは メジャーでも通用する力をつけて あがってこいっ」
「それまで おれはまってるぞ トム・ブラウン……」

だが落胆しきったトムは二度とメジャーにあがれず、それどころか立ち直れないまま
クビになって、日本にくるしかなくなってしまった、と語る八木沼。
メジャー経験はたった一日、それも一打席の、キャッチャーゴロ。
「あーそーだよっ」
「おれや山田太一みてーな 才能も力もねーやつは 結局こーなっちまうんだっ
だからおまえもはやく プロ野球界から身をひけと おれはいってるんだっ」
「このままつづけても だめになるにきまってるっ」と語るトム。

「そう かってに決めつけるのはどーかな」そこに現れたのは、平田だった。
171マロン名無しさん:2007/04/11(水) 21:50:51 ID:???
「役者は揃った」の煽りがカコイイな。
172マロン名無しさん:2007/04/11(水) 22:40:50 ID:???
ブルーベリーって…
目が良さそうだな
173マロン名無しさん:2007/04/12(木) 01:07:30 ID:???
前回の八木沼の台詞から今回の内容は読めていたはずなのに、
トムは珍しくきつめ系のイケメンなので昔のトムを想像できなかった。
174マロン名無しさん:2007/04/12(木) 06:17:47 ID:???
なるほど、確かにアメリカ版太一だな
175マロン名無しさん:2007/04/12(木) 11:12:16 ID:???
きっと『ふ、腹筋が8つに割れてるバ、バッドマン』とか答えてたんだろうな、ブルーベリー
176マロン名無しさん:2007/04/12(木) 12:01:55 ID:???
ブルーベリーカッコいいな。
アメリカンヒーローのステレオタイプだ。
177投下1/3:2007/04/12(木) 21:58:57 ID:???
第19回 新兵器・外角低目打ち克服装置

「山田太一がトム・ブラウンのように だめになっちまうって決めちまうのはどーかな」と平田。
八木沼も「そーだそーだ エーエーッ」とトムを野次る。だがトムは、
「そんなこと信じてるなんて おまえらどーかしちまってんじゃねーのか」と返す。
「どーかしちまった……か」「そーかもしれないな」 平田はそれを否定しない。

「しかしだな」平田は言う。山田太一が、苦手な外角低目を3日で打てるようになったら
どうする、と。そうすれば、例えトムと太一が同じ道をたどってきているとしても、
最後のとこで、トムと同じように駄目になってしまうか分かるはず、と。
八木沼もそれに同意する。太一が3日間で外角低目を克服できれば、
太一がだめになるなんてとても言えない。当の太一も、だめになる気はない。

だがトムに、トスバッティングでもまともに当たらない外角低目を、
3日間で打てるようになるのかと聞かれ、太一は言葉が出ない。さすがの太一も自信がないらしい。
そこに平田が条件を付ける。太一に外角低目打ちを指導するのは、トム・ブラウン。
トム・ブラウンは外角低目打ちの名人だからうってつけ、と八木沼。
その名人に指導されても打てないようじゃ、もうだめだという事だ。

教える気の無い様子のトムだが、八木沼に
「おっ にげちゃうつもり?」「山田太一が打てるよーになっちゃうのが こえーのかい」
「まーそーだろーな トムとしちゃー 山田太一は
いっしょにいつまでもだめな奴で いてほしーもんなー」と煽られ、言葉を失う。
平田に、「来日記念のかわった勝負」の提案を受けるトム。
三原監督は、その光景を陰で見ながら笑っていた。
178投下2/3:2007/04/12(木) 22:01:20 ID:???
後日、よく晴れた日。選手達の目の前には、木にひもで吊るされたボールと、
その前に、斜めになった板が くくりつけられた棒が、前を阻むように
連なるようにして何本も立てられていた。これが、外角低目打ちを克服するための装置らしい。
からかう大山。大山に笑われて赤面するトム。

トムが、太一はなぜ外角低目打ちが苦手かを説明する。
ひとつはボールが目から遠いという事、さらに、体の小さい太一は特に、よっぽどふみこまないと
バットがボールに届かない、という事だ。そして、さらに重要なのがミートポイント。
内角は前の方、まん中はベースの前はしあたり、そして問題の外角は、
もっとボールをひきつけないとだめだと言う。そのミートポイントが、ボールが吊るされている位置。
感心する太一。

手本を見せるトム。センターより右方向に打ち返すのが、ヒットになる可能性は高いと
トムが打った球は、右方向の板に当たり跳ね返ってきた。コースはまた外角低目。
正しく右方向に打ち返せば、外角低目にもどってくるよう調節してあるらしい。
それをまた打ち返すトム。また球は跳ね返って外角低目へ。
「おれはこれを 五十球でも百球でも 続けることができるっ」
「一ミリのくるいもなく 自分のミートポイントを おぼえてしまっているからなっ」
延々と打ち返していくトム。そして練習を止め、太一の方へ振り返る。
こんなこと三日でできるわけがないと、チームメイトに止めるよう薦められる太一。
(そーだ たった三日でできるわけがない)(このおれだって 一ヶ月以上かかってやっと…)

しかし、それでも練習を始める太一。掛け声をかけての
最初のスイングは…空振り。止まっているボールにすら当たらない。
トムに指摘され、こんどはふみこんで振っていくが、かすっただけ。そのままボールは
上の枝で跳ね返り、太一の顔に当たった。しかしやる気はまだある。
179投下3/3:2007/04/12(木) 22:06:11 ID:???
今度は、ボールではなくひもにバットが当たり、勢いでそのまま巻き込み、
バットを振り切った後、ボールが太一の顔に当たった。見た目より、この練習ははるかにハードだ。
考案者のトムでさえ、最初は一時間で音を上げてしまったと言う。
(三日…… そうだ……こいつがこの練習を 三日も続けられるわけがない)

今度はうまく打ち返したと思いきや、左の板に当たったボールはそのまま 
太一のきんたまに直撃した。太一涙を流し絶句。
その後も練習を続けるも、自打球ばかりでなかなか上手く打てない太一。

太一が練習を始めてから七時間が経った。様子を見にいこうとする選手たち。
「おいトム おめーはきっと太一が木にへたりこんで ギブアップしてるとおもってんだろ」と大山。
「ちがうのか」 「けっけっけ〜〜〜〜〜」「…………」

太一は自打球を繰り返しながら、いまだ練習を続けていた。
なぜこれほど楽しそうに、このハードな練習をするのか、トムは分からない。
(お…おれも……外角低目が…)カキ(外角低目が打てるようになれる)め り っ 太一のきんたま直撃。

トムに話し掛ける監督。あてがはずれたか、と。
「おまえはたいへんな遊び道具を 山田太一にあたえてしまったかもしれねーな」
このままいくと、おめー負けるかもしんねーぞ、と八木沼。
だが、これがそうかんたんにできるはずがない、とトムは言う。

「も…もし…もし かりにできたとしても 実戦で
外角低目を打つには これの10倍も20倍も たいへんなことがまってるんだっ」

練習を続ける太一の顔は、笑顔だ。
180マロン名無しさん:2007/04/12(木) 23:58:39 ID:???
おい・・・股間をあんなに強打して大丈夫なのか・・・
181マロン名無しさん:2007/04/13(金) 05:42:59 ID:???
トムは実は良い奴オーラがでまくってる
182マロン名無しさん:2007/04/13(金) 08:43:17 ID:???
なんか太一時空に引きずり込まれた経験者達が
新たな犠牲者をニヤニヤしながら見守ってるのが受けるw
183投下1/3:2007/04/13(金) 20:49:16 ID:???
第20回 特訓の果て・外角低目の恐怖

練習を続けるも、またもやきんたまに自打球を直撃させている太一。
二日目に突入しても、まだまだ連続で打てる状態ではない。

太一は、前日の夜もほとんど眠らず、この練習を続けていたらしい。
寝るより練習をやっているほうが楽しいのだそうな。
「楽しい……」「楽しいだと…」
「おれがあれほど苦しんだ練習を…」「楽しいだと〜〜〜〜〜」とトム。
自打球直撃を繰り返しつつも、練習を笑顔で続ける太一。

こいつは変態か、とトム。知らないのなら、そう思っても無理はないと八木沼。
太一は、小学生で野球を始めて以来、初めて、ボールにバットがあたるようになったのだ。
そのことに驚愕し、いくら日本とはいえ、そんなやつがプロにいていいのかと言うトム。
「はっはー もういるんだからしょーがねーや」と八木沼。泰二にも同意を求める。
一度この快感を覚えたら、こいつは死ぬまでやめない、と大山。「けっけ エテ公エテ公」

「しかし…… おめーらも経験ないとはいわさねー
ガキのころを思いだしてみー はじめて ボールを打てたときのことをよー」と監督。
否定できずも、この歳になってと赤面する選手達。

「それが どーしたというんだ」
184投下2/3:2007/04/13(金) 20:50:56 ID:???
「兄貴が こんな練習をうれしそうに続けたからといって どーなるというもんじゃない」
「これが さわぐようなことか……」「くだらん…」

さすが双子の兄弟、よくわかってるじゃないか、とトム。そのトムに
「兄貴が今やっていることが いかにむなしいことか…  二日後にはわかる」
「トム・ブラウンが 大リーグで味わったようにな」と、言い放つ泰二。

そのトムは、泰二に言う。そのむなしさを味あわせるのは、山田泰二しかいない。
太一が、外角低目を打てるようになったか ためすときは、泰二に投げてもらう、と。
兄の存在をうとましく思ってるんだろ、だったらちょうどいいとトムに言われ、
さらに監督にも、入団試験時にやられたままであることを言われ、泰二は、提案に頷いた。

う わ − い と、巨大な喜びの声が上がる。見ると、太一が打った球が
初めて、外角低目に返ってきていた。さらに打ち返そうとする太一だが、かすっただけ。
木の幹で跳ね返り、ボールは太一の首に当たる。
止まっているボールはなんとか打てても、動いているボールはまだまだ時間がかかりそうだ。
だがそんなことを聞かされても、太一のやる気が衰える気配は、無い。

3日目に突入。雨が降っている。昨日から降り続いているらしい。
そして太一は、その雨の中でも一晩中、練習を続けていたそうだ。期限は、明日。
選手達が見守る中、太一が打ったボールは、外角低目に返ってきた。
それをさらに打ち返す。また外角低目に返ってきた。3球目は失敗したが、
二回連続で打てたことに気分を良くして、自慢しまわる太一。喜びに浸かる。
「けけけ しあわせのぜっちょーだって顔しちゃって」と大山。
185投下3/3:2007/04/13(金) 20:54:55 ID:???
練習を続ける太一。そして今度は、三回連続成功。
泰二に、あすにむけて投げ込んでおいた方がいいんじゃないか、とすすめるトム。

勝負当日。マウンドには泰二。打席には太一。
山田太一が、外角低目を打ち返せば、トムおめーの負けだという監督に対して、
「それはない」
「山田泰二なら 兄の山田太一をたたきつぶしてくれるよ 山田泰二なら…」と返すトム。
そしていよいよ勝負が始まった。

投げる泰二。全力投球だ。一方の太一は、外角低目打ちのポイントを思い返す。
(えーと 前におもいっきりふみこんで)(それでボールをひきつけて……)

だが、泰二の投げたボールは外角低目には行かず、内角、ふみこんだ太一の右わき腹にめりこんだ。
衝撃で、宙に浮く太一。大友コーチが泰二を問い質そうとするが、
審判の判定は、ストライク。太一は痛みが激しいのか、立ち上がれない。
そしてトムは言う。「ふふふ……」「これだよこれ」

「これが 外角低目を打ちにくいという」「最大の 理由なんだ」
186マロン名無しさん:2007/04/14(土) 00:03:18 ID:???
弟はまた兄貴の踏み台か
187投下1/3:2007/04/14(土) 21:54:54 ID:???
第21回 トム・海を越える思い

汗をたらし、地面に倒れている太一。トムは言う。実戦で投手が
外角低目ばかり投げてくるわけがない、打者がふみこむと知れば、内角にも攻めてくる。
「どうだ この痛さは…」
「大リーグでも通用するとおもわれる 山田泰二が全力で投げた球が
あたった激痛は… これまでの球あそびであたってた痛さとは わけがちがうだろ」と、太一に聞くトム。
当の太一も、よほどの痛みなのか声も出さない。

「ボールに対する恐怖心だ」「その恐怖心が 外角の球を打てなくさせてしまう」

特に太一は手が短く、さらに前にふみこまなければならない、内角のストライク球が体にあたるほどに。
「たしかにトム・ブラウンのいうとーりだ……」と八木沼。
「ボールがこわくなっちまっちゃー 腰がひけて外角なんてとても打てやしねー」と大山。
泰二の、兄に対する容赦のなさに驚いている平田。
そして、地面に這いつくばっている兄を見下ろし、勝負をやめることをすすめる泰二。

だが太一は、汗をダラダラと流しながら、バットを握って笑って立ち上がった。

「ふーん そーかー それで外角低目って打てないんだなー ふーん」
「おれ かなり よーくわかったぞ  わーい」
トムに対して、へらへらと笑いかける。そして勝負を続行しようとする。
兄の姿を見て泰二は、事の重大さをほんとうにわかっているのか、疑問に思う。
そして、投げた。球は、外角低目に向かっている。
トムが言う。
188投下2/3:2007/04/14(土) 21:56:41 ID:???
「どーだ 恐怖のために ふみこもうとしても 無意識のうちに腰がひけてしまうだろう」
「激痛をともなう死球を受けたあとは たとえ
どんなプロの大打者でも 恐怖のために 打撃不振におちいってしまうっ」
「だからこそ おれは外角低目に目をつけた」
「恐怖をものともせず 自由自在に外角低目を打てるようになれば 大リーグでも生きていけると考えたんだ」
「そうなるには 並大抵のことじゃなかったがなっ」

しかし、太一は怯えるそぶりも見せず、また大きくふみこんでいった。バットを振るも空振り。
理解できないトム。(や…山田太一には… 恐怖ってえ ものがねーのか)
(いや…… そんなはずはない そんな人間がこの世の中にいるわけがない そ…そんなの 人間じゃねえ…)
(この 石みたいに硬いボールが 一五〇キロのスピードで体に激突するんだ 恐ろしくないはずが……)

勝負は続く。こりずにまたもふみこむ太一だが、球のコースは内角、顔面近く。
顔面直撃はまぬがれたが、ヘルメットに当たり、後方に飛ばされる。
だがそんな目にあっても、太一は臆する様子もなく、勝負を続ける意思を見せる。
「兄貴は おそろしいほどなんにもわかってない」事を確信した泰二。

また、来た球に対してふみこんでいく太一。今度は、球が左わき腹にめりこんだ。
衝撃で後方に吹き飛ばされる。だが太一は、痛がりこそすれども、あきらめようとはしない。
(あ…兄貴の頭の中には…… 恐怖より もっと強いものが……)

トムは、なぜ太一が、あぶら汗をながしながらうれしそうにむかっていくのか、疑問を隠せない。
それに対して答える監督。「そりゃーおめー 山田太一が外角低目を打ちたいからだろ」
ボールにバットが当たるあの快感を味わいたいから、それしかねーだろと監督は言う。
外角低目に球が来ても、空振りしてしまう太一。泰二は手加減などせず、びしっと球を決めて
189投下3/3:2007/04/14(土) 21:57:59 ID:???
「ば…ばかな……」と、理由が信じられないトム。その発言に笑う監督。そしてトムに問う。
なぜ、日本に来てまで野球をやろうとしたのかと。それも、日本語をここまで完ぺきに話せるようになってまで。
そうまでして、日本で野球をやろうとする外国人はめったにいない。
「なんだーかんだーいっても トム・ブラウンは今の山田太一とも そっくりじゃねーか」
「そーまでしても 野球をつづけてーんじゃねーのかい えーっ!?」言葉を失うトム。

泰二の球が、太一の左手甲に直撃する。痛みでひざをつく太一。「山田太一だって そーだ」と監督。
太一はうめきながらも、手をべろべろとなめて、涙目になりながらも立ち上がる。
監督は言う。「山田太一もトム・ブラウンも プロで野球がやりたくってしょーがねーんだよな…」
「山田太一なんか その思いが強すぎてよー 恐怖なんか どっかにふきとんじまってるってー かんじだもんなー」

勝負続行の意思を強く見せる太一。だが…その左手は、先ほどの死球で、バットが握れなくなってしまった。
「ここまでか…」「トム・ブラウン どーやらおめーの勝ちみてーだな」
監督に勝負を止められる太一。大山や八木沼も、太一の負けだとして守備から離れていく。
そして、泰二もマウンドから離れていく。やる気をみせるも、一人取り残される太一。

だが、トムが泰二に待ったをかけた。そのトムは太一の元へ行き、太一の両手を
布で、バットのグリップに縛り付ける。さらに泰二にも、まだおわってねーと、マウンドへ戻るよう促す。
泰二も、何も言わずマウンドへと戻っていく。再び勝負の準備ができた。
そして、トムは太一に話し掛ける。

「い…いいか 山田太一……」「外角低目を打つにはなーっ……」
190マロン名無しさん:2007/04/14(土) 22:35:59 ID:???
うお、熱い展開じゃないか。
これはあと1〜2回でトム改心だな。
191マロン名無しさん:2007/04/15(日) 00:53:58 ID:???
まあ主人公だから活躍すると思うけど
シーズン開始までにプロの打者として間に合うのか?>太一
桑田みたいな駆け引き使われたら
このバカ対応できねーだろ
192マロン名無しさん:2007/04/15(日) 01:56:27 ID:???
太一丈夫だな。
150キロなんてスピードの球が直撃して骨に異常はないのか?
193マロン名無しさん:2007/04/15(日) 08:44:05 ID:???
>>191
「来た球を打つ」で行くしかないんじゃね?
194マロン名無しさん:2007/04/15(日) 13:30:06 ID:???
トムも太一に影響されたな
195マロン名無しさん:2007/04/15(日) 17:21:11 ID:???
しかし、影響はされてもトドメを刺すのはいつも三原監督な気がするよ。
196マロン名無しさん:2007/04/15(日) 18:08:30 ID:FKfc054n
一日で無名の選手のマニアックな情報を詳細に調べ上げる八木沼さんは平田よりキャッチャー向き
197マロン名無しさん:2007/04/15(日) 18:23:11 ID:???
>>193
史上最強の四番打者乙
198投下1/4:2007/04/15(日) 21:07:08 ID:???
第22回 踏みこみ・恐怖に打ちかて!

「ボールが投手の指先から 離れる瞬間から」
「バットにあたる瞬間まで ボールから目をはなすなっ」
「いま投げてくるのはストレートだけ よく見ていれば
投げた瞬間に内外角の区別はつくっ 外角と判断したときはおもいっきり踏みこめっ」
「もう……」「やみくもに前に踏みこんでいくのはやめろ…」

しかし、頭でわかっててもなかなかできないから苦労するんだよな、とトムに言う三原監督。
だがトムは、太一ならできる、と言う。太一は、泰二の剛球があれだけあたっても逃げない。
バットがにぎれなくなっても。「常人なら とっくに野球やめてるところだ」そう言うトム。

太一は動体視力がいいと言っても、果たしてトムの言った事を実行しきれるのか。疑問を口にする平田。
だが太一はやる気まんまんだ。「みるっ」「おれ みるっ」
「そーすればおれ 外角低目打てるよーになるよねっ!?」「ねっ ねっ」
「ああ」トムはそう、答えた。

「じゃー みる」「おれ 外角低目 打てるよーになるんだーい!」

三原監督は、トムに疑問を投げかける。あのままほっときゃおまえが楽に勝てたのに、
よけーなことするじゃねーか、と。汗を流しながらも、
「おれはまだ 山田太一が打てるなんておもってない」
「だいいち 山田泰二が 打たれるような球を投げるわけがないんだ」と返すトム。
199投下2/4:2007/04/15(日) 21:09:04 ID:???
(まだ まだ 甘いよ兄貴)
(外角低目は投手のもの…… 打者にはどうしてもわたせない…… 打たすことの許されないコースなんだ)

泰二の一挙手一投足に注目する太一。ボールが手から離れる瞬間も、しっかりと見ている。
今度の球は内角。太一は、トムのアドバイスを思い出す。そして…そのまま踏みこまず、内角球を見逃した。
にた〜と、不気味な笑みを泰二に向ける。

監督はトムに言う。「おめーのアドバイスは かえって逆効果かもなー」と。
一度、腰をひくことを覚えてしまったら、はたして外角球に、またおもいっきりふみこめるのか。
太一はもう、4発も弟の剛速球を体にもらっている。左手はバットもにぎれない。
そぶりこそないが、頭の芯まで響くほどの激痛が走っているはずだ、と。それでもまだ、ふみこめるか。

(外角低目だけは……)(だれにも)「わたさん!!」力の入った表情で、球を投げる泰二。

問題の外角低目に、球が来た。渾身の力のこもった、とびっきりの速球。
「きた――っ 外角低目―――っ」太一は、何の迷いもなくふみこんでいく。
しかも本気になって、目でボールを追っている。みえてるわけがないと叫ぶ大友コーチ。
だが太一は、泰二の速球をバットにあてた。それも芯にあたっている。
だが、バットも握れない左手で、はたして打ち返せるのか。トムが声を出した。

「ふ……」「ふれ――――っ」「力のかぎり ふりぬけてめー このやろ〜〜〜っ」
太一は、バットを前へ、前へと持っていく。
200投下3/4:2007/04/15(日) 21:10:14 ID:???
そして、バットを振り切った太一。だが、打球はボテボテのキャッチャーゴロ。
トムの、メジャーでの唯一の打席と同じ結果だ。
しかし、太一は一塁に向かって、必死に走っていく。打った後一歩も動かなかった、トムとの違い。

太一は、鬼のような顔をして、必死に走る。捕手の平田が送球しようとするが、
太一が振り回しているバットが邪魔で、投げられない。
そして、その太一の姿を見たトムの周りに…太一菌がうようよと漂いだした。

突如、太一と並走しはじめるトム。その顔はくずれて、まるで太一のようだ。
「すべれ――――!このタコ――――っ」どたどたと走りながら、太一に叫ぶトム。
平田が一塁の岩田に送球。だが、ボールは太一のふりまわすバットに、弾かれてしまった。
そしてトムと太一は、一緒に一塁へ、頭から滑り込んだ。

トムは顔を上げて、ボールを確認する。転がっているボールを見て、
「内野安打だ 内野安打――――っ」喜びのためか、奇妙な踊りをし始める。
太一も自分が打った事を知って、喜ぶ。いまのって守備妨害じゃ、と大友コーチは言うが、
とはいっても、手とバットがくっついちゃってるから、それにトムがヒットと言うんじゃしょうがない、
ヒットじゃ負けになるトムが。そう言う監督。感激で共に踊る、トムと太一。

太一が打てた事を、ぐうぜんだと思う泰二。その泰二に、太一は
「おれ ちゃーんと 打つ瞬間までボールみて打ったんだ―――っ」と言う。
それをトムは笑い飛ばす。ああはいったが、実際打つ瞬間までボールが見えるわけはない、
そこまで目がいいのは、大リーグでもたったひとり、ボストン・レッドソックスの往年の大打者
テッド・ウィリアムスくらいのものだと。太一をうそつきよばわりする。
201投下4/4:2007/04/15(日) 21:11:05 ID:???
だが太一は、「ボールのまーるいマーク」にバットが当たったのを見たという。
岩田がボールを持ってくる。太一が打ったボールには、公認マークのところに、傷がついていた。

全員驚愕。言葉も出ない。泰二は太一を見て、青ざめる。
監督に、本当に四番サードの座があやういんじゃないかと言われ
嫌な予感がした八木沼が振り返ると、そこには笑う太一が。太一アレルギー発症。

そんなものを持っているようには見えない太一の、すさまじい動体視力に、
あらためて驚きを隠せないチームメイトたちであった。
202マロン名無しさん:2007/04/15(日) 21:16:29 ID:???
化け物なのか馬鹿者なのかイマイチ分からんな兄貴は
203マロン名無しさん:2007/04/16(月) 00:27:09 ID:???
>(まだ まだ 甘いよ兄貴)

なんだかんだいって兄貴が嫌いじゃなさそうな態度なんだな
204マロン名無しさん:2007/04/16(月) 09:35:32 ID:???
前回左手ぶつけたあとにマウンド下りるときも本当に残念そうな表情してるもんな。
自分が活躍してるところに兄貴がしゃしゃり出てくるのは嫌だけど、
兄貴が努力すること自体は全く構わないというかちゃんとそれなりに認めているのかもしれん。
205マロン名無しさん:2007/04/16(月) 12:09:41 ID:???
キャッチャーゴロでもトムとは違い走り出すシーンがよかった
喜ぶトムの姿を見てトムが好きになった
206投下1/3:2007/04/16(月) 21:38:43 ID:???
第23回 猪突猛進・帰ってきた男

トムがフェンスの近くから投げた球は、捕手の平田まで一直線に飛ぶ。
自慢するだけあって、たいした強肩だ。誇らしげにするトム。
これで、五番外野手は決まり、そう言う監督。

監督の持つメモを覗き込み、山田太一をどうするか迷ってんでしょう、と聞く八木沼。
それもあるが、実は監督は、一番で悩んでいるらしい。
大山は器用だから、二番も十分こなせる。もっと衝撃的な一番打者がいてもいい。
しょっぱなから相手をびびらせる、核弾頭のようなバッター。
去年までのアストロズに一番欠けていた、いきなり勢いをつけてしまう一番打者、と監督。
八木沼はそれに、太一をすすめるが、監督としては太一を使う気はないらしい。

と、巨大な男が、監督達の後ろで、ベンチの天井に頭をぶつけた。
突如として出てきたその男は、走って選手達を弾き飛ばしながら、ホームベースにすり寄った。
そして、今度は太一の持っていたバットを奪い取り、抱きつく。

練習のじゃま、と選手が男にいおうとするも、ばっちーんと吹っ飛ばされる。
怒った他の選手がバットを肩にたたきつけるも、男は全く動じず、今度はエルボー。またも吹き飛ばされた。
険悪な雰囲気になり、大友コーチがなだめようとするも、男に張り手をくらう。
膝をつき、えびぞりになったまま、コーチは動かなくなった。

「あいかわらずだな」監督が男に声をかけた。「いつ刑務所からでてきたんだ 二階堂」「み…三原監督」
刑務所という単語に驚く選手を、ぎろっと睨む二階堂という男。選手はもっていたバットを放り投げ、後ずさった。
207投下2/3:2007/04/16(月) 21:40:39 ID:???
監督によれば、二階堂は3年前にドラフトで指名されたが、練習にもこないまま、開幕戦の日に
刑務所にぶちこまれたのだと言う。太一は理由に興味津々。だが他の選手に口を塞がれる。

3年前の開幕戦の日。球場で、ある入場券係の女性が、不良たちにからまれていた。
あやうく別の場所に連れていかれそうになるが、そこへ二階堂が。不良たちを壁にたたきつけていく。
三人の不良は、一命はとりとめたものの、一人は重体、あとの二人は全治六ヶ月。
さらに、駆けつけた警官3人も殴り倒して負傷させ、刑務所内でも七人ほどはったおした。
それにより、一試合も出場しないまま、刑務所で3年を過ごすことになったのだと言う。
「そ…それなのにアストロズは こ…こいつをクビにしなかったんですか……」
「だってこいつは 悪い事したと思ってねーから」「そ…そーいう 問題じゃ……」

当然おれの四番の座はあけてあるんでしょーね、と二階堂は監督に聞く。
しかし、八木沼の存在を聞き、さらにもう「山田太一」という挑戦者がいると聞き、
太一を探す。その太一は…いつのまにか、二階堂に踏まれていた。
太一の存在に気づいた二階堂。太一の胸倉をつかみあげ、八木沼にいどむのは俺だと挑発。太一も張り合う。
もう野球なんか忘れてんじゃないのか、と聞く監督に、だったらためしてみなっ、と二階堂。
「刑務所の中にいたって おれは… ずーっと……」「おれは……」「や…野球を……」
「…………」二階堂は、体を震わせる。

打席に立つ二階堂。久しぶりのバットの感触を懐かしむ。でかけりゃいいっていうもんじゃない、と八木沼。
武藤が投げた第一球。太一注目。二階堂は、豪快にレフトフェンスへ直撃させる。
「お〜〜〜〜」「きーもちい〜〜〜」「どんどんこーい」
第二球。今度はスタンド・イン。第三球。今度は…場外。「こりゃー 山田太一なんて問題になんねー」
「も…もしかして 八木沼をけおとして ほんとーに四番に…」
208投下3/3:2007/04/16(月) 21:42:32 ID:???
3年も野球を離れていた二階堂にことごとく打たれ、意地になった武藤が次に投げた球は、カーブ。
それを、二階堂は豪快に…空振りした。そして抗議する。
「ばっかもーん なんだー いまのぐにゃぐにゃした球は―――っ ちゃんと投げろちゃんと―――っ」
「まったくなさけねー」二階堂は、ストレートしか知らないようだ。それに驚愕する選手達。
「キリッとこいっ」「キリッと」

そして平田は予感していた。
「も…もしかすると 二階堂は…… 八木沼の四番の座をねらっている 山田太一の競争相手となるかもしれないな」
209マロン名無しさん:2007/04/16(月) 22:31:45 ID:???
これは八木沼が一番か。
210マロン名無しさん:2007/04/17(火) 01:15:23 ID:???
腐っても元4番なら、次は3・5番じゃね?
211マロン名無しさん:2007/04/17(火) 18:40:34 ID:???
てかこれで懲役3年って可哀想だな
212マロン名無しさん:2007/04/17(火) 20:48:32 ID:???
つか、全治6ヶ月よりも重く扱われる重症ってどんなケガさせたんだろうか。
重体よりは軽いんだよね?
213マロン名無しさん:2007/04/22(日) 00:40:28 ID:???
今のところ野手でレギュラーになりそうなのは
八木沼・平田・大山・トム・二階堂か,
一応太一も入れとくとして残り3人か・・・
早く試合がみたいぜw
214マロン名無しさん:2007/04/22(日) 10:22:22 ID:???
全員スタメンが固まるまでこういった話をつなげるのかな?
新キャラを掘ると同時に太一のパワーアップって感じで。
215マロン名無しさん:2007/04/25(水) 16:46:00 ID:???

216マロン名無しさん:2007/04/27(金) 13:45:21 ID:???
新キャラを掘る・・・アッー!
217投下1/2:2007/04/27(金) 21:02:32 ID:???
第24回 カーブ・打つのはおれだ!

何度やってもカーブを打てない二階堂。本当に、カーブを知らないらしい。だが監督は、無理もないと言う。
監督によれば、二階堂は超どイナカの弱小高校出身で、ストレートしか投げられないような
弱いチームとしか当たった事がない。そこで打った140m弾に、スカウトが
惚れこんで、くわしく調べもせずに入団させてしまったという。

二階堂は、ぐにゃぐにゃ球を禁止させると言い出す。その二階堂を引っ張って、
太一は「おれ ぐにゃぐにゃしたのでも打てるね―――っ」と言う。
カーブを打ったところをみたことがないと言う八木沼に、いまからみせるという太一。
だが、いざカーブを投げられると、ストレートと同じタイミングで振って空振り。頭をおさえる弟、泰二。

二人に手本を見せる八木沼。武藤のカーブを、かっ飛ばしていく。
太一はどうやってカーブを打つのか知りたい様子。八木沼が言うには、速球のタイミングが
「一」「二」「三」なのに対して、カーブは「一」「二の」「三」、特に『の』が重要だという。

コツを知って、打てるようになると意気込む太一。一方の二階堂は、
脅してカーブを投げさせなければいい、という事を自信満々に語る。最後には高笑い。
スタンドからその光景を見ている外部の人たち。その中に一人の女性がいた。

武藤は八木沼に言う。太一と二階堂は、ボールに対する恐怖心がない。
おまけに、どんな変化球も同じ「ぐにゃぐにゃした球」に見えてしまう。
それは、どれほど投手が頭を使って工夫して投げても、同じ球にしか見えないということ。
投手にとって、これほど恐ろしい打者はいない、と言う。
その武藤の後ろでは、さっそく太一が「一」「二の」「三」の素振りを始めていた。
218投下2/2:2007/04/27(金) 21:03:44 ID:???
夜中、太一は練習を続けている。そして寮で寝ていた二階堂の元に、
面会人が来た。今日スタンドにいた、あの女性。三年前の、二階堂に救われた入場係のおねーちゃんだ。

女性はグラブとバットを差し出し、
「きっとアストロズの四番打者になってくださいましね わたくし毎試合 四番打者の
二階堂さんをみに 球場に足をはこびますから きっとなってくださいましね」と、二階堂を激励する。
だが、二階堂はグラブをはねのけて、突っぱねた。
「やーなこった! そんなことすんじゃねーっ うっとうしいだけだよバーカ
おめーの顔なんかなー もうみたくねーっ 二度とくるんじゃねーぞ わかったか このぶすっ」
そして、部屋を出て行った。後には、グラブが顔に当たり、鼻血をたらす女性がひとり。

帰ろうとする女性に声をかける、監督。ちょくちょく二階堂のところにきてやってほしいと言う。
返事をためらう女性。ちょっときてみなと誘う監督。監督に連れられていった先には…

「『いち』『にの』」「『さん』だったな」

「ふっふっふっ」「おれは 山田太一より さきにカーブを打てるよーになって 八木沼もおいはらって…」
「それでおれが……」「四  番」

浮かれた表情で、素振りを始める二階堂の姿があった。
219マロン名無しさん:2007/04/27(金) 21:41:53 ID:???
二階堂、お前は小学生か。
220マロン名無しさん:2007/04/28(土) 08:40:22 ID:???
連載再開キター!
221マロン名無しさん:2007/04/28(土) 10:07:24 ID:???
二階堂も野球バカなんだな
222投下1/3:2007/04/29(日) 01:28:12 ID:???
第25回 爆発・三年間の情熱

二階堂もカーブ打ちの練習を始めたと、選手達に知れ渡る。
女性が原因かと話をしているのを聞きつけた二階堂、強くそれを否定。
投手は自分におそれをなして、カーブなんていうひきょうな球で逃げようとする、
「だったらおれは そのカーブを打って」
「そんなよわっちい投手に ぐっさりとどめさしてやるしかねーだろ」と言う
。最後には高笑いをしながら去っていく。
「カ…カーブが おそれをなして逃げるための 
ひきょうな球だなんて い…いったい だれがいったんだ………」「くっく」「か…かんとくーっ」

バッティングマシーンで、カーブ打ちの練習に入る、太一と二階堂。入る前から張り合っている。
まず太一に球が来る。
タイミングをとりながら振るも、空振り。二階堂はそれをバカにするが、こちらもやっぱり、空振り。
「おれは バットとボールの間が二十五センチくらいだった」「おれのほーがちか――い」
「三十センチも二十五センチも あたんなきゃおんなじだよ」と監督は冷静に突っ込む。
互いに負けじと、練習を再開する太一・二階堂両名。その「プロの練習風景」に、悲しくなってくる選手達。
「八木沼の四番も とーぶんは安泰そうだな」と監督。「はっはっはっ」と笑う八木沼。

昼食の時間になっても、ふたりは練習を続けていた。二階堂が、女性の言葉でコロリだったことを
笑う選手二名だが、他の選手に止められる。「二階堂にきかれたら 殺されんぞっ」
二階堂は、あくまで自分ひとりの問題、「女にいわれてやるなんて 史上最大の恥辱」と考えているらしい。
そこに、練習を切り上げたふたりが来る。手当たり次第に昼食をかっこんでいく二人だが、
量が多すぎ、勢いよく吐き出してしまう。そして今度はトイレへ走る。小便中、互いのアレを覗きあい。
二階堂にんまり、太一は…驚愕した表情。二階堂、勝利の高笑い。太一、赤面。
そして、カーブ打ちの練習を再開する二人であった。
223投下2/3:2007/04/29(日) 01:29:54 ID:???
夕方。まだ二人は練習を続けている。ふたりともまだ、かすってもいないらしい。
しかし、二階堂がここまで続いていることに、驚きを隠せない大友コーチ。
「三年間の思いってーのが あるからな………」と監督。「三年間……」

昨日、面会に来た女性が言っていたという。女性は刑務所にも、面会のため何度も足を運んでいたようだ。
二階堂の頭の中には、野球のことしかなかったらしい。差し入れに要求するのは、
スポーツ新聞やプロ野球雑誌ばかり。話すことは、ばかみたいにプロ野球のことばかり。
それも三年間、服役している間ずっと。「そんな二階堂の姿をみちまったからこそ」
「あのこは必要以上に 責任をかんじてしまっているのかもしれない」と、監督は言う。

二階堂本人は、三年間の思いが、太一を起爆剤として一気に爆発しているのだろう、と監督。
二階堂の三年間に、思いをめぐらせる大友コーチ。「三年間か…」
「た…たしかに…… かんたんに三年間といっても 野球しか楽しみのない奴にとっちゃ……」
「気絶するほど ながーくかんじてただろーな」

平田は、太一のカーブが打てない理由に、思い当たるものがあるようだ。監督に言う。
「三原監督…… もしかしたら 山田太一はボールコースを振っているんじゃ…」「ん?」
カーブは、ベース手前のストライクゾーンを横切って、ボールゾーンへ出て行く。
そこを、太一は振ってしまっているのではないか、と。
手の短い太一には、ボールゾーンの球は、とてもとどかない。「ためしにいってみたらどーだ」「はい」

太一に耳打ちした平田が、戻ってきた。こまかいことは話さなかったという。
ただ、投手よりに立ってみろといったらしい。そうすれば、自然と
ミートポイントが、前の方…ストライクゾーンにくることになるから、と。納得する監督。
そして、太一は初めて、カーブにバットを当てた!
224投下3/3:2007/04/29(日) 01:30:55 ID:???
先を越されても、強気の二階堂。だが、やはり動揺は多少あるようだ。
その二階堂に、今度は監督が、大声を出す。
「二階堂―――っ カーブは 投手がおめーをおそれて 逃げる球だといったよな――っ」
「逃げるものを なぜおいかけていかねーんだ―――っ」

カーブが来た。球は曲がり、外角へ逃げていく。それを二階堂は、体ごとおいかける。
フォームはもうグズグズで、スイングにもなにもなっていない。
それでも、ほとんど腕だけでバットを振り切る二階堂。ブチイという音。
ボールは転々と、三原監督の方へ転がっていく。

「もうちょっとでホームランだったのにな―――っ」と、悔しがる二階堂。
「どこが――っ」と突っ込む大友コーチ。だが、一方の監督は、
「二階堂のいうことは そう大げさでもねーかもな」と、コーチにボールを放り投げて渡す。
「うっ」「な…なんだ―――っ この こげたよーなにおいっ」

そしてコーチは突如、顔面蒼白となり、まさかといった表情で、ボールを指差す。
ボールには、焦げ目がついていた。監督は答える。
「そうだよ…… バットとのまさつでだ…」
「二階堂は あれだけよれよれに体せいくずしながら これだけのスイングをしたんだ……」

「『日本一の大ボケスカウト』といわれてる 鈴木スカウトだが……」
「もしかすると ものすごいとんでもねー大ひろいものを してきたのかもしれねーな」
225マロン名無しさん:2007/04/29(日) 02:12:16 ID:???
アストロズ意外と人材揃ってきてるな
226マロン名無しさん:2007/04/29(日) 02:12:29 ID:???
これがプロの練習なのか
227マロン名無しさん:2007/04/29(日) 11:51:07 ID:???
平田頭良いな。
選手より監督とコンビ組んだ方が良いんじゃね?
228マロン名無しさん:2007/04/29(日) 19:16:20 ID:???
二階堂すげー
229投下1/4:2007/04/29(日) 22:00:25 ID:???
第26回 たぎる情熱・負けてたまるか!!

太一と二階堂は、いまだカーブ打ちの練習を続けていた。
しかし、まだ当てることもできない太一とは違い、二階堂はかろうじてながら
セカンドの頭を越えるであろう打球を、放てるようになっていた。
これじゃ勝負にならないとコーチ。自分と、このなにかの間違いでプロに入ったような奴を
比べるのが間違い、と二階堂は言う。

平田が言う。「これが とーぜんといえばとーぜんの結果だな」
二階堂と太一は、そもそも体格からして違いすぎる。二階堂は、その大きな体のため、
多少のボール球でも手がとどく。その上、体勢がくずれても、
ボールを引き付けてから、その強い筋力でむりやりはじきかえせる。
「これならカーブを打ちこんでいけば これからどんどんするどい打球を とばせるよーになるだろう」と平田。
二階堂も調子に乗る。一方で、小学生並の体格の太一は、おもいっきり踏み込んで、
やっとバットがボールに届く。ミートポイントは、ベースの手前一点。
そこをはずせば、もう打てない。「試合となれば 相手投手はかならず そこをせめてくるしな……
常識で考えれば 山田太一は 二階堂に勝つことはできない…」

平田の言葉で、二階堂は
「いよいよ おれがアストロズの 不動の四番打者か―――!」と浮かれる。
一方太一は… 「ううう〜」「や…」

「 や だ 」
230投下1/4:2007/04/29(日) 22:01:16 ID:???
その言葉に、皆太一に注目する。
「二階堂 まだちゃーんと 打ってないねっ その前におれが ちゃーんと打てるようになるんだいっ」
「おれ まだやるぞ―――っ」

また練習を再開する太一。「なんだ――っ」「あいつの のーみそ まるこめしんしゅーいちか――っ」と二階堂。
確かにこのままいけば二階堂が勝つ、太一はいつまでたっても打てっこないと八木沼。
「『打てっこねえ…』 『でも…』だろ」と大山。「そーそー」
「どーしてもそのあとに 『でも…』がついちまうんだよな これが」と、トム・ブラウン。
なんとかかすらせている太一。「でも…」の意味がわからない二階堂。

皆、二階堂が勝つことはわかっていると監督。だが、100%そーだと、信じこめない。
太一はこれまで、入団試験時、50m走の6秒8を始めとして、
つぎつぎと、信じられないことをやってきていると、二階堂に説明する。
「だから山田太一が 自分から『まいりました』ってーいわないかぎり『でも…』をつけるしかねーんだよ
 あの情熱ってーのか…… それに さんざんやられてきちまったからな」と、八木沼は言う。

(おれのほーが)(おれのほーが)太一はなおも一心不乱に振り続けている。

だが、二階堂は八木沼の言った事を笑い飛ばす。「そんなもんはな… おれの…」
「おれの三年間の… た…たまりにたまったぐらぐらと熱しきった この感情がありゃーな……」
「お…おれは……」「さ… 三年間だぞ〜……」
二階堂は刑務所の中でも、スポーツ新聞でアストロズの記事を見ながら、筋トレを行っていた。
自分が戻った時のことを考えながら。「くっくっく」「みてろ〜〜〜〜」
231投下3/4:2007/04/29(日) 22:02:38 ID:???
「三年間も蓄積した情熱は 山田太一など相手じゃない 負けるはずがないってか」
「その三年分の たまりにたまったものをはきだしてる今この時に
おれにかなうものはいない たてつけるやつさえいねえってんだろ
相手がぶつかってくりゃー 相手がはじける 無敵のマリオってーわけだ」と監督。
笑顔を返す二階堂。練習を続ける太一。

「なんだ…… たった三年か……」そう言ったのは、泰二だった。

「な…なんだと…」と二階堂。「そんなに三年間というのなら……」

「兄貴は 十二年間だ…」

太一は、小学校一年の時、三原選手にあこがれ、弟とともに野球を始めた。
だが、教えてもいくらなにひとつ満足にできなかった太一は、
そのあまりのどへたくそさゆえに、誰にも相手にされなくなっていった。小学校でも、中学校でも、高校でも。
「兄貴は十二年間 野球らしい野球を やらせてもらったことがない」

「うんこよりもじゃまなあつかいをうけて…」
「アストロズにはいって」「やっとはじめて……」

「はじめて みんなといっしょに 野球らしい野球が できるようになったんだ」
232投下4/4:2007/04/29(日) 22:03:36 ID:???
練習を続ける太一を見つめる、二階堂。

「兄貴はあいかわらずどへた野郎で どーしようもないが……」
「いくらどへたでも…… 十二年間 やすまず思い続けてきた 野球への情熱というならば…」
「残念ながら……」

「バカ兄貴でも…野球への情熱だけは」 「だれにも負けようがない」


「じゅ……」「十二年……」ひたすら振り続ける太一を見る、二階堂。
練習を続ける太一。「おれのほーが」「おれのほーが……」「おれのほーが さきだもーん」
バットを握る二階堂の手は、震えていた。

二階堂は、ふたたび練習を再開。チームメイトたちが見守る中、
太一と二階堂の二人は、ひたすら練習を続けるのだった。
233投下 蛇足:2007/04/29(日) 22:21:16 ID:???
あ、投下は4番で終わりです。(メル欄消し忘れた…)
234マロン名無しさん:2007/04/29(日) 22:47:24 ID:???
何このツンデレ弟
235マロン名無しさん:2007/04/30(月) 04:07:40 ID:???
泰二は本当に兄貴が大好きだなwwwww
236マロン名無しさん:2007/04/30(月) 12:38:29 ID:???
まさしくタイトル通りやまだたいちの奇蹟だな
237投下 1/1:2007/04/30(月) 22:27:05 ID:???
第27回 決戦前夜・球種をみわけろ! 

じょじょに当たりの良くなっていく二階堂に対し、太一はいまだ、かするのが精一杯。
監督から伝えられた、明後日の勝負。
「十球のカーブのうち どれだけ安打を打てるかで決める
とーぜん勝ったほうが 4番八木沼の座をねらえるってーわけだ」
同じ練習をしていたのでは、太一と二階堂の差は、ますます広がるばかりだ。

平田に言われて、太一は投球シーンのビデオの鑑賞に励む。本番は、機械ではなく人間相手。
それに、カーブだけでなくストレートも混ぜられる。さらに、フォームもまったく同じ。
投げた直後に球種を見分け、唯一のミートポイントを『いち』『にの』『さん』で
思いっきり振りぬく、そのためだ。それで、二階堂に勝てる可能性も出てくる。
なぜか八木沼も、太一の調子を気にする。だが、投げた直後に球種を見分けるなど、そもそも望み薄。
やはり調子のほどは、かんばしくない。さらに二階堂のカーブ打ちも、着実にサマになってきていた。

本番当日。結局、ビデオでは球種の見分けはつけられなかった。
そして先攻の二階堂、練習の成果に加え、あの面会に来た女性が応援に来た事によって
「おねーちゃん効果」を発揮。カーブのスペシャリスト、久保寺のカーブを、いともかんたんに打ち返していく。
「や…山田太一」「こ…この調子だと 二階堂は確実に 五本以上はヒットにしてくる……」
二階堂のカーブ打ちは、いまや完璧に近い。球種は見分けられそうになく、
どう考えても、一本もカーブを打てないであろう太一にとって、ますます厳しい状況に追い込まれた。

「だ…」「だったら……」
「だったら おれは十本 ぜーんぶヒットにすればいーんだいっ!!!」
238マロン名無しさん:2007/05/01(火) 11:21:45 ID:???
二階堂って天才じゃね?
239マロン名無しさん:2007/05/01(火) 18:56:24 ID:???
>>238
この勢いでスライダーもシュートもシンカーもフォークも打てるようになったらな。
240投下 1/2:2007/05/01(火) 21:25:41 ID:???
第28回 赤いうず・夕暮れの一撃! 

二階堂の番が終わった。カーブ10球の内、ライト前5本 センター前3本 レフト前1本 の9安打。
平田の予想をはるかにうわまわった。「こ…これならじゅうぶん 八木沼をおびやかす存在になる」
女性も、ベンチの陰に隠れながら拍手。

太一の順番が回ってきた。一球目カーブ空振り。二球目内角ストレート、球種を見分けられず
体を突っ込ませてしまい、デッドボール。そして…三球目カーブ、空振り。
これで、勝負は二階堂の勝ち、という事になったのだが…

「お…おれ まだ やる」太一はまだやめる気なし。

チームメイトたちも囃し立てる。「お―――っ」「やれ やれ―――っ」
二階堂は訳が分からない。監督は言う。「まあいっしょになってみてろって」
太一はまだ「まいった」と言っていない。言わないかぎり、なにかをやってくれる。
これまでがそうだった。だから皆、つい、それを期待してしまう。

(お…おれ) (アストロズで……) (四番打って) (そ…それで 大かつやくで…)
(それで……) 「う」 踏み込んだ太一の肩に、内角の速球が突き刺さる。
(アストロズを優勝させるって……) (おれと……) (三原かんとくと…) (泰二とで…) (も…………もう……)
(もう 決めたんだ…) 
なおも太一は、振り続ける。(だから………)(だから……)「だから〜〜〜っ」
太一は涙を流し始めた。それでも、バットを振り続ける。「だから〜〜っ」「だから〜〜っ」

グラウンドの照明に、灯りがつけられた。太一の頭頂部を、速球が掠めていく。
241投下 2/2:2007/05/01(火) 21:26:59 ID:???
監督の指示により、カーブはあと一球。

太一は球種の見極めに集中。踏み込む。球は…外角へ逃げる、カーブ。
そして、太一はカーブを振りぬいて打ち返す。打球は右中間、スタンド上段へ落ちた。

「で…」「でた―――っ ついにでた―――っ」トムを始めとする、チームメイトたちの歓声。
「山田太一―――っ」「わかったのか―――!? カーブがわかったのか―――っ」

太一は、ボールの赤いうず(つまり縫い目)が、顔の近くに来たストレートとは、違う風に見えたという。
平田は気づいた。「しょ…照明か……」照明によって、縫い目がくっきり見えるようになったのだ。
ベンチの陰に隠れて見ている女性も、思わず拍手。
そして二階堂は、何故、太一があの大きなホームランを打てたか、理解できずにいた。

「ひっひっひっ」監督が笑う。
「また期待にこたえちまった それもヒットなんてせこいんじゃなく 特大の飛球 大ホームランでな」
「二階堂がいった もっとも四番にふさわしくねー あの力のなさそーな ちんちくりんの体でよー」

「まあ勝負としちゃー 二階堂の大勝利だがなっ」
勝負に負けた太一の周りには、チームメイト達が群がっている。
そして、勝負に勝った二階堂は、ひとり取り残されてしまうのだった。
242マロン名無しさん:2007/05/01(火) 21:29:29 ID:???
わりと大した成績で勝ってるのに軽くスルーされる二階堂カワイソス
243マロン名無しさん:2007/05/01(火) 23:01:38 ID:???
とりあえず、打率1割のHR王よりは9割の首位打者を俺は取るな。
244マロン名無しさん:2007/05/02(水) 00:53:24 ID:???
ランスよりも正田の方が役に立つのと一緒の理屈だな
245マロン名無しさん:2007/05/02(水) 03:56:00 ID:???
ところでシュートとかスライダーとかフォークとかはどうするんだ
246マロン名無しさん:2007/05/02(水) 05:36:35 ID:???
太一と二階堂にとってはどんな変化球も同じぐにゃぐにゃした球ってことじゃないか
247マロン名無しさん:2007/05/02(水) 14:57:39 ID:???
二階堂カワイソス
248マロン名無しさん:2007/05/02(水) 18:03:51 ID:???
今のままじゃ外角いっぱいからの変化球を空振りして凡打の山築くのがオチだな
249投下 1/3:2007/05/03(木) 21:00:58 ID:???
第29回 奇蹟・四番打者の条件

勝負に勝った二階堂だったが、監督には「一番打者」に指名される。
抗議するも、「いやなら やめることだな」と、監督は聞く気なし。引き止めようとする
太一も張り飛ばして、球場を出て行った二階堂。彼に、かの女性が声をかけた。
二階堂は、一番打者にはチーム一の天才打者がなるべきだ、という考えがある事を彼女から聞き、さらに
「一回でもおおく 二階堂さんの打席をみたいですわ」と言われて、『みたいですわ』で頭の中がいっぱいに。
球場に走って戻ってきた二階堂は、一番打者をやる気まんまんになっていた。監督、かの女性にVサイン。
「さーて」「つぎは 問題の四番だな」

その夜 食堂に、オープン戦初戦(対西武)のスターティングメンバーの名が張り出された。
一同、驚愕。八番に、あの山田太一が入っていたのだ。あの西武ライオンズ相手に。しかもショートで。
皆、監督の正気を疑う。太一はまだ(ストレートとカーブは、多少打てるようになったとはいえ)守備も
全然駄目の、小学生レベルなのだ。その中で、平田は監督の意図を察した。
「三原監督はこの試合で」「八木沼と山田太一に 四番打者あらそいをさせるつもりだっ」一同またも驚愕。

この打線は、二つに分かれているという。一番から四番までと、五番から八番までだ。
【一番ファースト二階堂 二番ライト岩田 三番レフト トム・ブラウン 四番サード八木沼】
【五番セカンド大山 六番センター池上 七番キャッチャー平田 八番ショート太一】九番は先発ピッチャーの泰二。
つまり、四番を二箇所に置いて、争わせようという魂胆らしい。
本気の本気で、八木沼と太一に四番争いをさせようとしている。その争いから降りた二階堂は、
選手達が騒ぐのを(一番が チーム一の天才打者だともしらね―でよー)と、内心馬鹿にしていた。

太一はたしかに、今まで大したことをしでかしてきているが、それでも本当に、あの八木沼と…。
選手達の目が、一斉に渦中の二人に注がれる。
もう一人に向かって自信の笑みを浮かべる、山田太一。そして、笑みを向けられ太一アレルギーを起こす八木沼だった。
250投下 2/3:2007/05/03(木) 21:02:19 ID:???
監督に、明日の西武戦で太一を使うというのは…と進言する八木沼。
しかし監督も、今の太一が「使えない」事はわかっていた。突然、アストロズがオープン戦で、
西武に一度も勝ったことはないのは何故かと、八木沼に問う監督。八木沼が四番になってからも。

「現在 西武ライオンズは 名実ともに日本一のチームだからな
勝てないのはしかたないよな いまのアストロズが ライオンズに勝ったら 奇蹟だよなー」「………………」

「おれはなー 八木沼」「その 奇蹟が みてーんだよ」

皆に奇蹟を期待させ、そしてその奇蹟を起こしてしまうのが、本当の四番打者じゃねーのか、
四番打者というのはそういう存在じゃねーのか、と監督は主張する。
「で…でも いくらなんでも 西武ライオンズに勝つなんて ま…まさか」「それだよそれ」
その『まさか』を、今まで太一は見せつけて来た。
「しかしまあ… さすがに西武ライオンズ戦では 山田太一にそこまで望むのは無理だ…」
「と…いーながら どーしても頭のすみっこのほーにある
山田太一への期待を 消すことができない三原監督であった〜」「なーんてね」
「ふっふっふっ」「ひっひっひ〜〜〜」

「八木沼」監督は、八木沼の頭をつかんで引き寄せる。
「今年の八木沼は 去年までの才能だけで野球やってる ただの遊び人じゃねえ」
「この手…… この時期に何度もまめをつぶして こんなにかたくなった
おめーの手のひらなんかはじめてみるぞ 去年まではぶよぶよだったよな」

「いま いちばん 西武ライオンズに勝つという奇蹟をおこせるのは おめーだとおもってる」
「八木沼 ほんとーの ほんものの四番打者になってみろ 西武ライオンズとの試合でな」
青ざめる、八木沼だった。
251投下 3/3:2007/05/03(木) 21:04:23 ID:???
翌日の試合に向け、さまざまな思いを抱くアストロズのスタメン達。

寝つけず、わくわくどきどきではしゃぎはじめる太一。
自分一人で勝ってやると、ボールを握りながら決意を固める泰二。
太一のカバーに回る、明日の試合が待ち遠しい大山。
同じくカバーに回る、明日の試合への期待に胸ふくらませる、トム・ブラウン。
太一と共に(捕手としての)実質のデビューを迎えて、緊張するも開き直る平田。
笑顔で熟睡する、二階堂。

監督の「ほんものの四番打者」の言葉を思い出し、力をこめて素振りを始める八木沼。
そして、太一もまた、明日の試合を楽しみにして、外で素振りを始めるのだった。
252マロン名無しさん:2007/05/03(木) 22:33:57 ID:6Rtzw6ly
なんか良い感じじゃないか!
西武は現実でも強いからなぁ。
盛り上がってきたぜ!
253マロン名無しさん:2007/05/04(金) 01:24:33 ID:???
八木沼超頑張れ
254マロン名無しさん:2007/05/04(金) 05:08:50 ID:???
レギュラーほとんど入れ替わってるな
ファンは監督の頭がおかしいと思うだろう
255マロン名無しさん:2007/05/04(金) 05:31:28 ID:???
すっかり忘れてたが、四番争い、トムで良かったんじゃないか?
256マロン名無しさん:2007/05/04(金) 13:46:00 ID:???
実名球団と戦うのか
257マロン名無しさん:2007/05/04(金) 15:27:19 ID:???
>>254
オープン戦でそこまで思うやつはおらんだろ
258マロン名無しさん:2007/05/04(金) 18:58:15 ID:???
開幕戦の頃にはもっとイカレたオーダーかもしれんぞ
259投下 1/3:2007/05/04(金) 22:54:35 ID:???
第30回 西武戦@・森監督の不安

「おおお〜っ きたきたーっ プロ野球界の排せつ物 アストロズだ―――っ」
いよいよ、西武戦当日。太一いささか緊張気味。観客(ほとんどは西武目当て)の多さにびっくりして
どこかに走り去ろうとしたり、西武のメンバーに、アストロズのファンの子供と間違えられ、
シャツにサインを書いてもらったり。観戦に来ている山田家も、思わず赤面。

アストロズの先発オーダーを見て、森監督は「山田太一」の存在に気づいた。
一体どんな奴なのか、森監督はグラウンドに探しに出る。

強烈なライナーを、ライオンズベンチに飛ばしてきた
「おれは チーム一の天才打者だからなっ」と豪語する男…は山田太一に呼びかけている。違う。
外野から返球をしてきた、レフトを守るとおぼしき選手…も違う。
強いゴロを華麗にキャッチする、頭髪の薄い帽子を被っていない選手…も違う。

森監督は、打撃練習でかっとばす八木沼に話し掛けた。
「八木沼…今年はとばしてるじゃないか これならうちにきてもらいたいぐらいだ」
「へへへ――― なにしろこの試合で おれの四番の座をねらってるやつがいるもんで」
「ほー 八木沼の四番の座をねえ」「さーて…… アストロズに 八木沼以上の才能のもち主がいたかな……」
「それがいるんですよ 今年は」   「山田太一ってー やつがね」

一体山田太一とは誰なのか、森監督は悩む。そこに…

グラウンドをならす「トンボ」を引き摺って、太一がやってきた。
260投下 2/3:2007/05/04(金) 22:55:53 ID:???
なぜか、太一は打席での構えをとる。「お〜〜い それは バットじゃねーよーっ」
八木沼がバットを渡すと、今度は右打席の構えのまま、左打席に立つ。「ちがう ちがーうっ」
観客唖然「な…なんだあれ…」山田家は顔を伏せ、泰二は(くそバカ兄貴……)
「あ―― あ―― あ―― あんなにあがりまくっちゃって だいじょーぶかよ 山田太一のやろー」

森監督、山田太一の正体が判明して、思わずくらっとくる。目の前の
スイングもまともに出来ず、さらに体がよろけてケージに激突している、こいつが。
しかも監督によれば、今の球は得意のどまん中。太一は緊張のあまり、ぽーとしている。
山田家はさらに体を曲げて顔を伏せ、泰二は(だ…だから おれは…) 恥ずかしさで、体を震わしていた。

森監督は三原に声をかけると、先発オーダーの真意を問うた。
「どういうつもりだ 今日の先発メンバーは?」
「どうって……」   「そりゃーもちろん 西武ライオンズに勝つためですよ」
そこに太一も割り込んできた。森監督をつんつんとつつく。
「お…おれねー よんばんになって アストロズゆうしょーさせるんだよーっ しってる――っ?」
「え…」
「だから アストロズとせいぶライオンズで 日本一かけて たたかお―――っ」
太一に迫られて、思わず森監督は尻餅をついてしまう。太一はかわらず迫る。
「ねっ ねっ ねっ」 「やくそく ねっ」
兄の行動に、弟は恥ずかしさをこらえきれないのか、顔をゆがませる。「ぐぐ……」

ライオンズの選手たちも、「山田太一」の正体に気付いた。
「ち…血迷ったか 三原…」森監督の問いに、三原は答える。
「それは…… この西武ライオンズとの試合が おわってみればわかりますよ」

時計は一時を指し、いよいよ、アストロズ対ライオンズの試合が始まった。
261投下 3/3:2007/05/04(金) 22:58:38 ID:???
一回表アストロズの攻撃、一番はファースト二階堂、背番号7。
試合を見守るアストロズの選手達。その一方で、アストロズ相手だからか、なにか気合が入らないと話している
ライオンズベンチの選手達。そんな中で森監督には、気になることがあった。

それは、三原の目のかがやき。
森監督が巨人で捕手を務めていた時に見た、新人の時の三原のあの目とそっくり、
いや、あの時以上のかがやきかもしれない。

しょせんいつも逃げ腰のアストロズと、たかをくくっていた西武バッテリー。
だが二階堂に、初球をセンター前へ打ち返された。
アストロズのメンバーも感心。
「おれって天才すぎちゃってなー うんうん」
「すごいな すごいな―――っ 二階堂ってすごいな―――!」妙に感心する太一。

森監督は渡辺久信・工藤の両投手に、準備するよう声をかける。
さらに石毛・秋山・清原・辻・平野・デストラーデにも。
「か…監督……どーしたんですか? オープン戦第一戦 それもアストロズ相手だというのに」
「オープン戦といえども ライオンズがアストロズに負けるわけにはいくまい」
「は…?」
「思いすごしかもしれんが……」

「気になる…… 三原のあの目…… そして三原をはじめ
全員がなぜか気にかけている 山田太一…… 気になる………」

どきどきしている、太一だった。
262マロン名無しさん:2007/05/04(金) 23:33:27 ID:???
流石に鋭いと感心するべきなのか
意識しすぎると太一時空に引きずり込まれるぞと心配すべきなのか
263マロン名無しさん:2007/05/05(土) 05:28:02 ID:???
森監督がスーパーアンポンタンになって西武崩壊だな
264マロン名無しさん:2007/05/05(土) 10:29:38 ID:???
清原や秋山といったあのメンバーが相手になるのか
ていうかこの漫画選手が実名なんだな
265マロン名無しさん:2007/05/05(土) 14:01:53 ID:???
止まってるものと同じように動いてるものが見えて
ヘロヘロになってもバックスクリーン直撃するような変人と実在人物の戦いってどうなのよ
266マロン名無しさん:2007/05/05(土) 14:39:15 ID:???
>>264
何を今更
今までだって折に触れて散々実名選手が出てきているじゃないか
267投下 1/2:2007/05/06(日) 00:51:50 ID:???
第31回 西武戦A・太一の初打席!

平田の配球を読んでの狙い打ち、レフト前ヒットで八木沼ホームイン。アストロズに三点目が入った。
観客は初回五安打三打点のアストロズの攻勢に、何が起きたのか分からない。
あのアストロズが西武相手に。投手が二線級とはいえ。そして、次のバッターはいよいよ、山田太一だ。

森監督は、投手の前島を下がらせた。代わりにマウンドに上がってきたのは、今やパ・リーグを代表する
速球派の投手、渡辺久信・背番号41。太一のプロ初の対戦相手となる。
渡辺が投球練習を始めると、突如太一が走ってきてバットを振った。もう始まっていると勘違いしたらしい。
空振りしたので無意味に悔しがるも、チームメイトに指摘され、赤面しながら引き下がる。
「どーもアストロズがかわった原因に あいつがかかわっているらしい…」と森監督。「あ…あいつが……」
(は…はやくあのバカ兄貴と わかれてえ………)
山田家の姉妹とおぼしき二人も、太一が身内であるという事に感づかれると、全力で関係を否定する。

いよいよ太一の初打席。八木沼が2点いれたなら おれは3点だねーっと意気込むものの…
グリップを握る手の上下が逆になっていたり、はんたいだぞと指摘されると今度は、
ミートする部分をその手のままで持ったりと、緊張は解けていないらしい。

渡辺久信、第一球。太一ぴくりとも動かず、ストライクワン。が、キャッチャーが返球した次の瞬間、
突然バットを振る。おもわず驚くキャッチャー。
第二球。今度は久信が腕を振る前にバットを振る。ストライクツー。

腹を抱えて笑う三原だが、笑ってる場合じゃないと笑顔の八木沼に諌められ、タイムをかけた。太一に耳打ちする。
そして西武ベンチでは…「森監督 どーみてもあいつは 去年のアストロズ以下ですよ 心配しすぎじゃないですか?」「…………」
三原が戻ってきた。太一へのアドバイスの内容は…。
268投下 2/2:2007/05/06(日) 00:54:42 ID:???
コミッショナー認定マークを狙い打てといったらしい。仰天する選手達。
「そ…そんな…… 渡辺のあのキレのいい するどく回転した球のですか〜っ」
「パンチ佐藤じゃねーんだから なー」
「いーんだよ みえるわけなくても…… 山田太一が みえると信じこんでりゃーな」
「ほー」

太一はにんていマークで頭がいっぱいだ。その太一相手に、捕手はこれで十分と
どまん中ストレートを要求する。要求された渡辺は、ある事に気付いた。
それは、アストロズの選手達の、期待にみちみちた目。なぜみんな あんなやろーに対して…
そう思った渡辺の目に、アストロズの選手たちの周りに漂う無数の、太一の顔をした菌が見えた。

太一のほうを向いてみると、こちらにも。渡辺はわが目を疑う。(な…なんだ いまのは……)
捕手は太一をなめきっているのか、どまん中ストレートを予告するも、太一はにんていマークの言葉を
ぶつぶつとつぶやくばかり。まるで聞こえていない。もう太一の頭の中は、認定マークの事だけ。
観客も、渡辺の顔も、なんにもみえていないと三原。

渡辺が投げた。コースは捕手が要求したのとは違う、内角高目のきびしいコース。
それもいちばんのびのあるストレートだ。太一は球を凝視する。認定マークが………見えた!
「にんて―――― マ―――― ク――――ッ」
バットを当てていく。だが球威におされている。バットがはじかれそうだ!しかし太一は大声をあげると…
そのまま、球を打ち返した。

勢いのあまり宙に浮き、そのまま倒れる太一。
打球は、西武守備陣が呆然となって動けない中、ライト前へぼとっと落ちる。
その光景に、森監督、泰二、そして三原を始めとするアストロズメンバーも、唖然とするのだった。
269マロン名無しさん:2007/05/06(日) 08:59:15 ID:???
ナベヒサ追悼スレが必要だな
270マロン名無しさん:2007/05/06(日) 14:06:22 ID:???
こうして西部も太一菌に感染していくのであった
271マロン名無しさん:2007/05/06(日) 16:18:23 ID:???
渡辺から打ちやがったw
272マロン名無しさん:2007/05/06(日) 17:34:46 ID:???
これは腹切って死にたくなるだろうな
273マロン名無しさん:2007/05/06(日) 17:45:08 ID:???
>>270
太一菌に犯された人たちでオールスター戦するんだな!
274投下 1/3:2007/05/06(日) 20:46:46 ID:???
第32回 西武戦B・燃えあがるレオ軍団

どぅっひぇえええぇーっと、観客たちからは驚きの大声。ヒットを打てた事に感動する太一。
その場に居合わせた誰もが、太一がヒットを打ったことを信じられない。打たれた渡辺本人も。
観客からは悲鳴が上がり、森監督には、悪夢に思えてならない。「あ…」「兄貴が…」
「あ…あの バカ兄貴が…」「と…とても……」 「とても この世の できごととは おもえん」
山田家も呆然。アストロズメンバーも唖然。

二塁走者の大山が還って、四点目が入った。そして一回表の攻撃は終了。第一打席は、八木沼2打点、太一が1打点。

いまだ渡辺が打たれた事を信じられない西武コーチは、ぐうぜんあてられたんだろと、渡辺に確認する。
だが捕手によれば、打たれたストレートは絶好調時の勢いがあったし、かするのがやっとのはず、それに
山田太一のバットスイングは、フォームこそ滅茶苦茶だが、あのスラッガー・門田選手の
スイングスピードに近いものがあるという。それでも偶然で片付けようとするコーチだが、
「ぐうぜんで おれのストレートを はじき返せるとおもいますかっ」
「ああ……… たしかに渡辺のストレートが みえていたとしかおもえんな」と森監督も。

アストロズの大友コーチは、西武から4点も取れて、この試合負けても思い残す事はないという。
だが太一は違った。「あ…あるーっ」今年はアストロズ優勝するから、それで日本シリーズも勝って
日本一にならないといけないから、「だから今日も かっとかないと だめなんだね―――っ」
息を切らす太一。「まあそーいうことです 大友コーチ」と八木沼。
「そのために…… おれはこの試合で 奇蹟をおこさなきゃなりませんからねー」「え…」
主要メンバー達も、勝つ気満々だ。「さーて 西武を0点におさえる守りにつくとするか」
八木沼の声を合図に、皆守備についていく。先発の泰二も、誰にもマウンドを譲る気はない。完投する気だ。
(試合終了まで マウンドはだれにもわたさない)(相手が西武ライオンズとなれば なおさらのこと)
275投下 2/3:2007/05/06(日) 20:47:36 ID:???
アストロズが西武に勝つ気なことが驚きの、西武メンバー達。去年まで、勝とうなんて気はかけらも
感じなかったのに。どーなっているのか、皆分からない。
突然、太一が森監督をつついてきた。森監督もびっくり。そして太一が話し掛けてくる。
「しってる――っ?お…おれねー 点いれて すっごーくうれしーんだけどねー まだ うかれたりしちゃいけないんだよー」
「なーんでかっ!?」「…………」
「それはねー」太一はきしししと笑う。「うかれていーのは アストロズがかってからだから」

「アストロズ にほんいちのせいぶライオンズに かつよ」
これだけいうと、太一は黄金時代の妄想をした後、不気味な笑みをうかべながら守備に戻っていった。

一回裏ライオンズの攻撃、一番は瓶子に変わり、'92シーズンに一億円プレーヤーとなった辻・背番号5。
「アストロズ相手なら 4点なんてすぐ返せる」「アストロズの投手は 高校出の新人だろ―――っ」と観客も騒ぐ。
「たいじ たいじ―――っ おれんとこなっ おれんとこ―――っ」やる気を見せる太一だが、
(死んでも ショートだけには 打たせるわけにはいかない)泰二は太一の所へ打たせる気はない。
高校出の新人にプロの洗礼をうけさせてやれーっと、西武ベンチは騒ぐ。
(そんなもの……)(おれには…)「無縁!!」

平田が要求した泰二の第一球は、顔の近くへのストレート。どおおっと決まる。「ボ…ボール」
「逃げ腰にならないのはさすがですね」と泰二。「ぐ…」
「ど…ど新人のくせに だいたんな…」「か…顔のちかくに要求した あの新しい捕手もだ……」

第二球。またも内角ストレート。それも、渡辺久信と比べても見劣りしない球。
ひっかけて三塁ゴロと思いきや、辻は強引にショートにもっていった。太一の真正面。
だが太一はガチガチで、まともにグラブも動かせない。バウンドした球が顔面直撃

かと思いきや、三塁の八木沼が横っ飛びキャッチ。そのまま回転して一塁送球、アウトにした。
276投下 2/3:2007/05/06(日) 20:48:15 ID:???
あの、手の届く範囲以外では動かないことで有名な八木沼が…驚く西武のメンバーだが、
それだけではない。なんと、レフトとセカンドも、太一の後ろにカバーに来ていた。
互いに笑いあう。「へへへ―」「けっけっ」「ふふ」平田も安堵の息を漏らす。

(三原監督…)
(おれってアストロズで 十年以上野球やってるけど…)
(こんな うかれた気分になったの はじめてだぁ)
(酒…のみすぎてんのかなー?)

西武渡辺は「み…みえないか?」と皆に聞く。気味の悪いバイ菌みたいのが無数に、
アストロズの選手達のまわりにただよっているのを見た、という。「バ…バイ菌って…」
アストロズの守備陣の周りには「気味の悪いバイ菌みたいの」が、ウヨウヨと無数に漂っていた。

西武平野が、突然「つぎはおれがっ」と言い出す。さらに秋山も。
そして清原、デストラーデ、石毛、田辺も、次々と試合に出たがり始めた。
「清原 デストラーデ 石毛 田辺 もちろんわしもそのつもりだ」と森監督。
「このアストロズ戦 いっきに 主力に総入れかえだ ま…まさか 日本一の西武ライオンズが…」
「排せつ物のアストロズなどに 負けるわけにはいかんからな――っ」「 お お っ 」

ひっひっひ〜〜〜と笑う三原。そして激しくぞくぞくする太一だった。
277マロン名無しさん:2007/05/06(日) 21:08:34 ID:???
たいちの勝利宣言になんだか吹いたw
いいシーンだとは思うけどさ。
278マロン名無しさん:2007/05/06(日) 22:19:28 ID:???
西武の選手は元々同系統の菌にやられているとしか思えんほどのリアクションの良さだなw
279マロン名無しさん:2007/05/06(日) 23:18:38 ID:???
王者だけに適応力があるのかもな…西部
その他の球団をどう特徴付けるのかが楽しみだ
280マロン名無しさん:2007/05/07(月) 01:06:22 ID:???
>>278
最強軍団だしデフォでたいちのような野球大好きで
努力を努力とも思わん連中が集まってるんじゃね。
そりゃたいちと相性よさそうだわ。
281マロン名無しさん:2007/05/07(月) 08:19:34 ID:???
これは最終的には日本球界がまるまるばい菌化しそうですね
282マロン名無しさん:2007/05/07(月) 14:42:18 ID:???
巨人とか阪神はすごいバイキン飼ってそうだな。
283マロン名無しさん:2007/05/07(月) 14:55:48 ID:???
なんで太一が一番守備力を要するショートなんだと思ったけど周りに人がいるからか?
284マロン名無しさん:2007/05/07(月) 18:07:27 ID:???
そういうことだろ。
太一サードでショート八木沼にした方がマシとは思うけど。
285マロン名無しさん:2007/05/07(月) 18:17:06 ID:???
サードじゃ投げた球がファーストに届かなかったんじゃない?
落合には落合菌がいるのではないかと、今から楽しみだ
286マロン名無しさん:2007/05/07(月) 18:54:56 ID:???
それよりセンターに配置してライトとレフトとセカンドが頑張れば・・・
287投下 1/3:2007/05/07(月) 20:49:31 ID:???
第33回 西武戦C・泥だらけの楽しさ

主力に総入れ替えした西武ライオンズだったが、五回まで得点を2点に抑えられていた。
それも、ショートの太一が、フォーメーションに全く参加できないために取れた2点。
ショートを狙ってみても、レフトのブラウン・セカンドの大山・サードの八木沼、彼らが
みんなショートを補助してしまう。「まったくよー」「休むひまなしじゃ」「つかれるよなー」
そして捕球こそできていないものの、抜けると思われる当たりでも、太一はすべて追いついていた。
つまり太一が、連携プレーなどもこなせていれば…「うちは…」
「山田泰二に……」「0点におさえられていることになるっ」

ずどっ 「ストライクツーッ」 デストラーデが追い込まれた。五回まで、甘い球は一球もない。
泰二はまだ、この3月に卒業式を迎える、十八歳だ。
そして捕手の平田。ことごとく、打者の読みをはずしてくる。森監督にとってははじめて見る顔だが、
西武のデータが、すべて頭の中に入っているとしか思えない。
(いいぞいいぞ 中盤にきても 山田泰二の球はおとろえない それどころかあがってきている)
(元・大リーガーのデストラーデ選手も 山田泰二にはとまどっているよーだな)平田は冷静に分析する。
一方‘カリブの怪人’デストラーデは、一死一塁二塁のチャンスに、同点に追いつきたいと考えていた。

泰二の第三球は、内角低目いっぱいのストレート。読みがはずれたデストラーデは、二塁右の方向に
ゴロで打ち返す。セカンド大山が横っ飛びでキャッチ、そのまま二塁に送球、ダブルプレー!

かと思われたが、ベースカバーのはずの太一が、大山をカバーするようにして後ろにいた。
いっしょにボールをおいかけてきたらしい。大山はすぐさま一塁に送球、こちらはアウト。
チェンジにはならなかったが、満塁は避けられた。
288投下 2/3:2007/05/07(月) 20:51:15 ID:???
「しょーがねーな チェンジのはずが 二死二三塁になっちまったじゃねーか」大山はぱこんと
グラブで太一を叩く。「へへへ〜〜〜 マヌケ―――マヌケ〜〜〜〜」八木沼もバカにする。トムも笑う。
(兄貴ははじめから 存在しないものとして投球してるんだ… しかたない) 二階堂も大笑い。

西武コーチは、なぜあんな初心者のような奴を、よりにもよって守りの要所ショートに使うのか
三原の意図がわからない。そしてそれを、アストロズの選手達が誰一人として疑問に感じていない事、
ミスをしても文句ひとついわない事がどーしてなのか、わからない。
「いくら第一打席で 大まぐれとしか考えられないヒットを打ったからといって
プロの試合で あんなのを使いつづけることが 理解できない」…だが、森監督は別のことに気付いていた。

「連けいプレーもできない初心者みたいなやつが 今の二塁手右の打球にも」「おいついていた…」

西武6番は、ベストナインの常連の三塁手、石毛・背番号7。
森監督は言う。三原監督は考えがあって、太一を使い続けていると。「三原のあの目がそういっている…」

(二死 走者二・三塁 ワンヒット同点… ここはなんとしても…)
打ち気にはやる石毛に、平田の要求に従い投球する泰二。外角の甘いストレート
かと思いきや、そのまま球がスライドしてきた。「こいつはスライダーも投げれたのかーっ」

石毛はファールで逃げる。フライの打球は一塁側の西武ベンチ方向へ。と、突如西武メンバーが驚きの声を上げた。
「どえええええ〜〜っ」打球を見上げていたコーチのみが、状況を把握できていない。

太一が、ベンチのすぐそばまで突っ込んできていた。ボールしか見えていない。
そのまま太一は、ベンチに顔から激突。皆唖然。

太一が上げたグラブの中には…ボールがしっかりと収まっていた。「ア…」「アウトーッ」
289投下 3/3:2007/05/07(月) 20:51:51 ID:???
そのプレーを、清原が「ナイスキャッチだ」と褒めた。そしてそれを機にして、
西武メンバーの拍手が始まる。観客達も、太一がはじめてアウトを取った、
すごいんだかなんだかよくわからないプレーに対して、拍手しはじめた。球場は拍手に包まれる。
太一は嬉しいのか、満面の笑顔でベンチに戻っていく。

「アストロズは明日なき戦いをしているかのようだ… まるで高校野球のようにな」と森監督。
まだオープン戦で調整中だというのに、こんなに本気になって戦ってたらこわれちまうだけだ、
バカな連中だとけなす西武石崎コーチだが、本気の相手に対して本気でかからなければ調整に
ならないと、選手から反論される。
アストロズのユニフォームは、人工芝だというのに、よごれまくっていた。
「まっくろになって あんな楽しそーに野球やってるアストロズなんて みたことがあるか…?」
「現役時代の三原以来だっ」

「どうやら…… 去年までアストロズが忘れてた」「野球をする楽しさってーやつを…」
あの 小学校一年生みたいなちんちくりんが    おもいださせてしまったらしい…

六回表は太一から。八木沼との争いに勝つため、二本目のヒットを打とうと躍起な太一。
あの、本来前にはとばないはずの球を、ライト前まで運んだ打撃が本物かどうか
(ひとつ……) (ためしてみるかっ)
渡辺が投げた球は、「ハ…ハーフスピードのどまん中 ど…どーしてっ?」

「で…でたぞ〜〜〜っ」
「やまだたいち 大とくいの どまん中のスイング―――っ」
290マロン名無しさん:2007/05/07(月) 22:45:15 ID:???
うおおおおお!スゲえ空振りしそうな気がするのは俺だけか!w
291マロン名無しさん:2007/05/07(月) 22:47:15 ID:???
西部の面子は普通にかっこいいな
292マロン名無しさん:2007/05/08(火) 01:14:18 ID:???
打っちゃうのか山田太一!
初実戦は衝撃デビューか?
293マロン名無しさん:2007/05/08(火) 03:19:44 ID:???
案外打ちごろの球は打てないかもな
294マロン名無しさん:2007/05/08(火) 10:32:11 ID:???
下手にオープン戦で活躍されて、マークされたら大変だと思うが…
当然そんな計算はしないよな、山田太一
295マロン名無しさん:2007/05/08(火) 14:02:17 ID:???
投手の泰二が打線に入ってる。
オープン戦初戦なのに、DHなしなんだよな。
西武のピッチャーも大変だ
296マロン名無しさん:2007/05/08(火) 18:42:06 ID:???
トムが普通に馴染んでるのがなんか嬉しい
297投下1/3:2007/05/10(木) 22:28:40 ID:???
第34回 西武戦D・原石のスイング

渡辺の投げた球はストレートかと思いきや、わずかに内角に曲がってくる。シュートをかけていた。
太一は構わず振りきって打ち返す。打球はレフト、ファールゾーンのスタンドに突き刺さった。
わざとファールを打たせたようだ。そして、渡辺は確信した。
「い…一打席目に打たれたヒットは」 「ぐうぜんではない」太一の出した、姿に見合わない飛距離に観客は混乱する。

あと少しでホームランにならず、打球の方向を凝視する太一。大山に、ファールになるのをわかっていて
わざと打たされた事を聞かされ、「そのとおり そうかんたんに ホームランなど打てるものか……おろかな」
泰二にバカにされても、大本塁打王になって アストロズを優勝させないと駄目だからと、なお
ホームランを打つ気だ。
「大本塁打王とは大きくでたな しかし ここで渡辺からホームラン打てたら 可能性あるかもな」
そう太一に声をかけたのは西武の捕手、'92シーズンに捕手として初めての一億円プレーヤーとなった伊東だ。
「ほ…ほんと―――っ!?」「ほんとほんと うそなんかいわないよ ふふ」
「よーし じゃーおれ ぜったいホームラン打つことに きめたもーん」
(『きめたもーん』か…) (きめて打てりゃー おれだって本塁打王になってるよ)バカにした笑みを浮かべる伊東。

「…………」「ふ…ふふふ…」監督が笑い出した。「なるほど…… わかってきた……」
「わかってきたぞ―――!」「山田太一が あの体であれだけの飛距離をだせるわけが」

シュートをかけていなければホームランになっていた、そう考える渡辺の第二球。
今度は顔の高さのストレート、完全なボール球。伊東の狙い通り、太一はダボハゼのようにくらいついていく。
その目はボールから離れない。西部バッテリーも一瞬怯えるが、太一のバットは空を切った。
あやうく当てられていたところだった。太一の目が、渡辺の速球についていっていることを伊東は確信する。
298投下2/3:2007/05/10(木) 22:31:01 ID:???
「あんなボール球に手をだしてるよーじゃ ホームランなんてとても打てないぞ」
「ぜ… ぜったいかーっ!?」
「ぜ…ぜったいってことはないけど……」笑顔になる太一。
「だったら おれ打つね―――っ」

平田は、太一の出す飛距離の原因を、三原に問う。三原は答える。「気がつかねーか?」
なんだかわけのわからない太一の空振りを見て、
西武ファンで埋め尽くされたスタンドが、凍りついたようになっている。確かに、太一のスイングは
お世辞にも格好いいとは言えない、なのに、なぜか観客はそのスイングから目が離せないでいる。

西武バッテリー、伊東の(気もちよく これでどーんとしめちまおうぜ)という提案に、渡辺は首を横に振る。
「いーか よーくみてろーっ」と監督。渡辺が投げる。太一がバックスイングに入った。
「まずは山田太一のバックスイング」「不自然なほど 体がねじれた このバックスイング!」
投手の側から、背番号と選手名が丸々見えるほど、太一は体をねじっている。
「ねじれるだけねじきって こっからだっ」太一がスイング直前の体勢に入った。「バットがでるぞ―――っ」
ど び っ「う っ 強力なはがねの弾力で はじかれたみたいにバットがでてきたーっ」
太一の頭の中は、ホームランの言葉しかない。(ホームラン)(ホームラン)

「これだよ これっ」「この 赤んぼうみてーにやわらかい体がなけりゃー とてもできねースイング」
「す…」  「すげげ―――っ」驚愕するアストロズ選手達。
「山田太一はアストロズにはいるまで 野球がどへたすぎてバットにあてることすらできなかった」
「だから 技術で打ち返すなんてー まったくしらねー」   
「ただ力まかせに ボールを遠くにとばしたいいっしんで」       
「無意識のうちに 貧弱な体を最大限にいかすスイングになってる」
299投下3/3:2007/05/10(木) 22:31:53 ID:???
「みがきをかけた 高等な技術を身につけたやつには とてもできやしねー」   
「超未完の大器かもしれねー 山田太一の天性のスイング……」

「なんにも手のくわわっていねー」「これぞ 野球の原石のスイングだ――――っ!!!!」
太一は、バットを勢い良く振り切る!

あまりの勢いで太一は宙に浮き、半回転して墜落。ボールは、まだ空中だった。
「ただし あれだけ大きく緩急の差をつけられると どーしよーもねーがな」スローボール。
そしてばすっとミットに収まった。「ス…」「ストライク バッターアウトーッ」
三振を奪った渡辺は息を切らし、青ざめていた。

とたんに、大歓声が巻き起こる。突然何の騒ぎなのか、混乱する西部・石崎コーチ。
「もちろん 山田太一に対する歓声だよ」そう言うのは、森監督だ。
コーチは納得がいかない。あいつは三振して…「ああ…… たしかにな…」「しかし…」
「これほどいさぎよくあっぱれな…… だれがみても気持ちよすぎるほど気持ちのよい 三振をみたことがあるか」
「敵にもかかわらず 歓声をあげずにはいられない 観客は正直だ……」「それに……」
「三振をとったはずの 渡辺をみてもわかるだろ…」渡辺は冷や汗ダラダラで、肩で息をしている。
がっくりした表情で、ベンチに戻っていく太一。

平田は監督に聞く。もし太一があのスイングで、変化球や緩急にも対応できる力を身に付ければ…。
「大本塁打王も 夢じゃねーかもな…」「あいつは 野球の原始人だからな」
球場にわきあがっている歓声。この事態に西武メンバーは…
(屈辱だ 屈辱……) (西武ライオンズ球場で) (相手に歓声をうばわれるとは…)

(こ…このままでは すまさん……)…雪辱に向けて、燃えていた。
300マロン名無しさん:2007/05/10(木) 22:55:05 ID:???
いきなり西部ナインが悪役風味にw
301マロン名無しさん:2007/05/11(金) 00:54:41 ID:???
太一の成長途中の身体でそんな事やったら、身体壊れないか?
302マロン名無しさん:2007/05/11(金) 05:51:50 ID:???
ていうか太一がスイングするだけの間にどんだけ喋ってんだよw
303マロン名無しさん:2007/05/11(金) 18:39:45 ID:???
野球マンガには良くあること。
304マロン名無しさん:2007/05/11(金) 19:53:48 ID:???
そんなつまらんこと気にしてると野球漫画は読めんな。
305マロン名無しさん:2007/05/14(月) 02:36:57 ID:???
保守するもんね〜っ
306マロン名無しさん:2007/05/15(火) 00:22:30 ID:???
お、おでだって〜保守するもんね〜
307投下1/3:2007/05/15(火) 23:20:42 ID:???
第35回 西武戦E・日本一の四番打者

いつか西武が逆転するだろうという、観客たちの予想に反し、8回まで4対2。依然、アストロズがリード。
そして8回裏、西武・辻が出塁。ワンアウト・ランナー一塁。
「たいじ〜〜〜っ」「えーと」「えーと」「あと アウトいつつ あといつつ」
(のーてんきな…強いチームというのはここから…… ここからが難関…)
打席には、三番センターの”走るホームランバッター”秋山・背番号1が入る。

泰二が投げた。秋山は振りにいくが、泰二が投げた球はボールになるスライダー。
内野ゴロがいいところかと思われたが、平田の読みを越え、打球はライト線際、深い所へ落ちた。
二塁打。ごーいんながらもヒットはヒットだ。
秋山は、太一に顔を向ける。「やまだたいち〜」「おもいどおりにはさせねーからな〜〜」
体勢を崩しながらもあそこまでもっていく、秋山にしかできない見事なバッティング。
さすが実力ナンバーワンだといわれる打者だな、と三原。
「六回の 山田太一の三振から……」「どーやら 西武打線が火をふきはじめてきたよーだ」

そして、次のバッターは、「四番」
「ファースト 清原」「ファースト 清原 背番号3」

史上最年少の一億円プレーヤー、清原が打席に向かう。とたんに起こる、観客達の期待の大歓声。
「どーだ 山田太一 すげーだろ」八木沼が太一に聞く。「うう ち…ちがう 八木沼さんとは ぜーんぜんちがう」
「い…いーか…これだけの期待をうけるのが四番ってやつだ 観客は 同点にしてくれるものとわくわくしてる」
「それも その期待にこたえなきゃならねー いや その期待以上のことをやっちまうのが 四番打者ってーもんだ」
そう八木沼は語る。

「やまだたいち―――!」清原が、太一に大声で呼びかけてきた。
308投下2/3:2007/05/15(火) 23:24:25 ID:???
「おれがほんとーの四番の打撃 いまっからみしてやっからな―――っ」
「めん玉ひんむいて よーくみてやがれ――――っ」清原は、太一をばっきばきに意識していた。
太一の三振で奪われた観客の歓声が、よっぽどこたえたらしい。太一も走っていって言い返す。
「だ…だめだねー」「たいじが ぜーったい打たせないも―――んっ」

いよいよ清原が打席に立った。清原の集中力に平田は、まともにいったら危険とボール球を要求した。
だが、泰二は首を横に振る。はじめて平田のサインに。そして、指示も終わらない内に投げてきた。
球は内角低目、ストライクになるストレート。まともに勝負してきた。
「し…しかし ここへきても まだ初回のいきおいがあるっ」
「うおおおおお〜〜〜っ」清原はその球をかっとばす。打球はライトスタンドポール際へ、あやうく
ホームランというところで、球はポールの外へ。ファールボール。泰二の速球にわずかに振り遅れたのだ。

平田は慌ててタイムをかけた。泰二に詰め寄る。なぜ今の清原選手とまともに勝負しようとするのか。
危険な事は、泰二も十分に分かっているはず。清原選手はこーいうときこそ力を発揮してくる。
ひっかけた時や満塁守備策も考え、平田はボール球中心を指示して、「わかったな」マウンドを離れようとする。
清原を歩かせるだろうことは、西武コーチや次の打者のデストラーデ、ファンの観客達もわかっている。
だが泰二は「わからない」 「えっ!?」平田は驚く。

「清原選手は逆転の走者 なぜ その走者を わざわざださなきゃならない?」
「それに…… 逃げにいっても打たれるかもしれん 秋山選手のようにね…」
平田は反論する。「だ…だったら まともに勝負にいって 打たれたほうがいいというのかっ!?」
泰二は、笑顔で返してきた。「おれは 打たれはしない」
問答を聞いていた太一も同意を示す。「だいじょーぶだね―――っ」
「たいじが打たれたって おれが打ってとりかえすも―――ん!!」
309投下3/3:2007/05/15(火) 23:27:23 ID:???
「な― たいじ―――!!」「おれは打たれないといってるだろ」
「でも もし……」「もし なんか ありえ―――――んっ」
他の守備陣も、勝負に乗り気だ。 「なー平田」 八木沼が、平田の肩に手を置いた。「よーく考えてみりゃーよー」
「こーやって 四番におびえて勝負を先おくりにして 深みにはまってたんじゃー これまでといっしょだ」

「ここで逃げにはいったんじゃー」「去年までのアストロズと ちーっともかわんねーやなー」

試合再開。指示に入る前、平田は考える。(た…たしかに そーだ……)
(お…おれが 弱気になってどーする)(も…もう アストロズは… 去年までのアストロズとはちがうんだ)
(…………) (よしっ これでいくぞっ 山田泰二) 泰二は指示に頷いた。

泰二の投げた球は、内角高目いっぱいのストレート。まともに勝負してきたのだ。
その球を見て、清原は実感する。「これだ……」  「これが 今年の アストロズ」
そして、打ちにいく。森監督やアストロズメンバーが見守る中、球は、どっぱぁんと平田のミットにおさまった。
清原空振り。「ストライク ツーッ」 ボール一個分でも間違えれば、ホームランのコース。

そして、その勝負をベンチで見ている森監督は、傍目から見てわかるほど
激しくぞくぞくしているのだった。「も…森監督……」
310マロン名無しさん:2007/05/16(水) 00:15:40 ID:???
盛り上がってきたぞ〜!
311マロン名無しさん:2007/05/16(水) 05:45:59 ID:???
おぉ、面白いな。

西部もアストロズも皆単純バカになってるのが良いな。
312マロン名無しさん:2007/05/16(水) 15:58:22 ID:???
気持ちのいいバカというか野球バカだよな
313マロン名無しさん:2007/05/16(水) 22:43:06 ID:???
> 「うう ち…ちがう 八木沼さんとは ぜーんぜんちがう」

地味にひどいw
314投下1/2:2007/05/17(木) 00:09:19 ID:???
第36回 西武戦F・清原に負けるな!

四番清原を、ツーストライクと追い込んだ泰二・平田バッテリー。
泰二のこと、変化球には頷かないだろうと考えた平田が泰二に指示する。泰二はそれに頷いた。
清原も、泰二が得意のストレートで、三振を取りにくると予想。

泰二が今までよりも大きく豪快なフォームで、投げた。内角低めに、試合中一番速い球が
ものすごいうなりをあげてやってくる。ライオンズベンチ驚愕。「き…清原が……」「やられるっ」
「みてろよー 山田太一ーーーっ」清原は、その球を打ち返した。
打球はレフトへ。スタンドへ入ると思われたが、泰二の球につまらされているのか、打球は失速していく。
だがそれでも、ねばり強くスタンドへと向かっていく。トムがフェンスへよじ登った。
打球が来た。トムは腕を伸ばして取ろうとするも、わずかに、グラブはボールに届かない。
打球はレフトスタンドに、落ちた。「は…」「はい…」

「はいったーーーーっ」「ホームランーーーっ」「西部ライオンズ逆転ーーーっ 逆転スリーランホームランーーーっ」

八回裏、ついに西部ライオンズが一点をリードした。森監督は諸手をあげて喜ぶ。
太一は唖然。八木沼は言う。「これが……」「これが 四番ってーやつだよ」
打たれた泰二に、動揺の色は見えない。「ボールひとつぶん……」
「ボールひとつぶん 高めへはいってしまった……」「スピードに重点をおくとこれだ…」
「おれも…」「まだまだ未熟だと いうことだ……」

清原が大声で呼びかけてきた。「やまだたいちーーー!」「みたか 四番のバッティングをーーーっ」
315投下2/2:2007/05/17(木) 00:12:08 ID:???
「み…」「みた……」「みたーーーっ」「みたみたみたみたみたみたみたみたーーーーっ」

山田泰二は崩れるだろうと予想し、追加点をいれ突き放そうと気合いが入る西武ベンチ。だが泰二は、
デストラーデ・石毛を連続三振にきってとる。西部石崎コーチ混乱。ガタガタにくずれなきゃおかしいのに何故。
森監督は、さきほどとはうってかわって冷静だ。「あの山田泰二を」「並の投手といっしょに考えないほうがいい……」
そして次の九回表、打者は四番、八木沼だ。「おれも」「アストロズの四番として いっぱつで同点にしてきてやるかーっ」
その気になっていることを、他の選手にからかわれる。
アストロズがまだ勝つ気であることに、西部ベンチや、観客達も驚く。
西部バッテリーは三人で片づける気だ。そうすれば、正体不明・あの不気味な山田太一にはまわらない。
渡辺が投げた。ストレート。八木沼はその球を捉えた。「いっくぞー!」「空のかなたへ とんでけーっ」
だが打球は一塁側、ボテボテのゴロのファール。大山にからかわれる八木沼。渡辺の球は、一回から全然衰えていない。
そして太一が、今日の渡辺のストレートをライト前に運んだことに、八木沼は改めて感心する。
第二球、外角へ逃げるシュート。八木沼はなんとか打ち返す。打球はサード後方へ落ちる。無死ランナー一塁となった。

塁にでた八木沼は安堵した。「ふーーー」「これで…… あとひとり走者がでりゃー 山田太一までまわる」
太一の打席を、平田も、敵であるはずの森監督も、このまま終わることを願っている観客達も期待している。
投手の渡辺久信も、あいつまではぜったいにまわさんと心に誓っていた。

八木沼は気づいた。そして冷や汗だらだらでひきつる。(な…)(なにをいってんだ おれは…)
(そ…それじゃー おれは)(山田太一につなぐ 一・二番の役目じゃねーか…)
(ちがう ちがう)(そーじゃ ねーだろ………) (おれは…)
(おれは アストロズの 四番で…)

自分にまわってくるかわくわくする太一。汗の止まらない八木沼だった。

316マロン名無しさん:2007/05/17(木) 01:06:35 ID:???
>「みたかっ」
に対して
>「みたみたみたみたみたみたみたみたーーーーっ」
って太一…
みんな単純バカだが、やっぱり太一は抜けてるなw
317マロン名無しさん:2007/05/17(木) 07:10:04 ID:???
森監督が可愛く見えて来た

八木沼は四番吹っ切れるのか?
318マロン名無しさん:2007/05/17(木) 10:28:27 ID:???
冷静になって読むと、なんだか先が読める展開が多いな
319マロン名無しさん:2007/05/17(木) 11:21:27 ID:???
こいつらオープン戦なのに最後まで投げきるのか
320マロン名無しさん:2007/05/18(金) 09:14:06 ID:???
>>318
つ冷静になるとって…
実は興奮してる318に愛らしい気持ちが芽生えました
321投下1/2:2007/05/19(土) 23:41:51 ID:???
第37回 西武戦G・太一包囲網!

次の打者、大山が打席に入る。あと一人走者が出れば、太一に打席が回る。
絶対にまわさんと意気込む渡辺だが、投げる瞬間に太一の顔が脳裏に浮かぶ。手元がすべり、
内角、あわや死球のコースへ。当たっていないと思われたが、大山は当たったと主張。主審も
手の傷を見てそれを認め、デッドボールとなる。走者がふたりになってしまった。
清原は、大山の手につねったような爪痕発見。当たったというのは嘘だったらしい。発見された大山絶句。
「まっ これで山田太一の打席がみれるかもしれねーから いーけどよ」
「けけ〜〜〜〜〜 西部の選手がそんなこといっていーのー? 森監督にいいつけちゃおーかなー」清原絶句。

一方アストロズの攻撃、六番は三振にとられたものの、七番平田が送りバント。成功し、二死 走者二塁三塁。
これで太一に一打が出れば、再び逆転できる。「ツ…ツーアウトにしてまで……」
「ツーアウトにしてまで つぎの打者に期待をーっ」そして観客達も期待するなか。

「八番……」  「遊撃手 山田太一」 「遊撃手 山田太一 背番号96」
太一が登場した途端、観客達からは大歓声が。先ほどの、清原登場時をしのぐさわぎだ。
しかもここは西部ライオンズ球場だというのに。そして、森監督も妙にそわそわしていた。
「森監督 なんだかこっそりわくわくしてませんか…?」「い…いや べつに……」

西部バッテリーがマウンドで打ち合わせ。渡辺は、太一は意識するほどでもなく弱点もまるみえであることが
わかっていても、その顔が頭の中から離れないらしい。かといって、そのプライドから歩かせることもできない。
その渡辺に、おれにまかせておけよと伊藤捕手。
「おれの指示どおり投げれば ぜったいにあいつのバットにあてられることはないさ 安心して投げてこい」
322投下2/2:2007/05/19(土) 23:43:41 ID:???
意気込む太一に対し、弟泰二の目は冷ややかだ。
(おろかな…… どんなに意気ごんでも 兄貴が打てるよーな球を渡辺投手が投げてくるものか)
(それよりもなによりも あの伊藤捕手が)(そんな球を 要求してくるはずがない)

そして走者の八木沼は、太一に対して別の事を考えていた。
(八回裏の清原選手のように)(自然にいい場面にまわってしまうのが 四番打者ってーもの……)
(もしここで)(山田太一が逆転打でも打とーもんなら…) 
(おれの 四番打者の座も 今日までだな…)

調子に乗って、 スリーランホームラン打とーっと、などと言い出す太一相手に、伊藤が要求した第一球は
高めボール球のストレート。見極めることもせず、球にくらいつく太一だが、空振り。
渡辺のストレート相手では、タイミングはあっていてもボールゾーンではどーしよーもない。そして第二球。
今度はストライクゾーンだが、カーブ。太一空振り。あっという間に追い込まれた。

ここで平田がタイムをかけた。太一にアドバイスするようだ。
平田は、二階堂との勝負を思い出させる。太一は、球種の見分けが投げた直後につけられるようになった。
相手は太一の動体視力を知らない。だから、まずは球種を見極め、ボールにしかならない速球には振らない。
ねらいは、ストライクにいれてくるだろうカーブ一本と、そう太一に伝えるのだった。

試合再開。伊藤がまず要求した球は、ストレート。太一は振り出しそうになるも、球種を見極めなんとか見逃す。
ボール。ここまでは平田の策がはまっている。そして、次に要求した球は、カーブだった。
太一はタイミングをあわせて踏みこんでいく!「う…打てるっ」
だが伊藤捕手は、にっと笑うのだった。
323マロン名無しさん:2007/05/20(日) 00:07:17 ID:???
周囲を期待させて独特の空気を創り出す事だけはもはや一流だな
324マロン名無しさん:2007/05/20(日) 01:57:53 ID:???
太一の周りはアドバイスマンばかりだが、プロにはいるまでは何で誰も教えてくれなかったんだろうか
325マロン名無しさん:2007/05/20(日) 06:50:23 ID:???
つ教えられる前に殴られてた
326マロン名無しさん:2007/05/20(日) 13:56:16 ID:???
2話の回想から考えるに周囲からは全く才能がなさそうなんで放置され、
教えてやろうとした泰二もあまりの飲み込みの悪さに諦めたんだろ。
327投下1/3:2007/05/22(火) 00:52:30 ID:???
第38回 西武戦H・勝利へのスイング!

渡辺が投げたボールは、外角ボールゾーンへ外れるカーブ。太一には手が届かないコース。
「振るなーーっ やまだたいちーーっ」叫ぶ平田だが、時すでに遅し。
太一はスイングを開始していた。「あああああ〜〜っ」「やられた……」「西部バッテリーにしてやられた〜〜」

(どーだ その身長に短い腕じゃ どーしようもあるまい)
(これが このミットにおさまれば)(試合は終了……)
(よし これでっ……)目の前に、びゅうっとバットが飛び出してきた。(えっ!?)「な…なんだーーっ」

太一は体を傾けて、体ごとカーブを追いかけてきていた。あんなに体が傾いていたのでは、
バットを振るどころではない…「わはははははーー!!」「そりゃー どーかなーーーっ」
傾いてもなお、太一の体は勢いよく回っていた。
「あいつは ボールをすこしでも遠くにとばすことしか 頭にないやつだといったじゃねーか」
どんな体勢だろうと、そのぐにゃぐにゃの柔らかい体と短足でしっかり大地をふみしめ、
体の中心にばっしーんと軸が出来、回転している。
「山田太一はどんなかっこーになろーと 同じよーなスピードでバットが振れる
なにしろあいつのは 原始人のスイングだからなっ」

太一は、ライト方向にどっこんと球を打ち返した。勢いあまって転倒。打球は右中間に落ちる。
「ぎゃ…逆転…」「いや…まだだ」太一は倒れたまま。
「やまだたいちーーーっ 起きろーーっ 走れーーっ」
「一塁でアウトになっちまったらおわりだーーっ 点になんねーんだぞーっ」
太一はその声に気づいて起きあがると、一塁に向かって猛然と走り始める。
328投下2/3:2007/05/22(火) 00:54:13 ID:???
球が中継されてくる。そしてとうとう一塁へ。トムが叫ぶ。
「や…」「やまだたいちーーっ」「走れーっ すべれーーっ」「アウトになったら ぶっ殺すぞーーっ」
太一は勢いで、一塁ベースに足がひっかかってずっこける。一塁手清原の捕球とほぼ同時。
結果は…セーフ。

「逆転ーーっ」「九回表 こんどはアストロズが 西部ライオンズを逆転ーーっ」

三塁走者・八木沼と、二塁走者・大山の生還で6対5。スコアボードに2の数字が。
投手の渡辺は、伊東に謝る。だが伊東にいわせれば、渡辺はちっとも悪くない、要求どおりの球だったという。
「あんなボール球をずーっとおいかけて しかも あんなかっこうで外野まで打ち返せるやつなんていなかったからな」
「打ったほうが 強烈すぎたんだよ」

アストロズバッテリーが西部の攻撃をレフトフライで締め、試合終了。西部ライオンズが、アストロズに負けた。
球場で起こる、観客たちの大歓声。「アストロズが はじめて西部ライオンズをたおしたーーー!」
「それも あのバカチビと弟の泰二の大活やくで 勝っちゃったよーなもんじゃねーかーっ」
「おいおい おれだって活やくしたんだぞー」「おれが勝たせてやったのによー」「ふん」
一方、太一はなぜか無表情。「おーい なくなよなくなよ こんなもんでないてたら大笑いされるぞ」
「なかねーよなー」「あ…あったりまえだーーーいっ」強く答えるも、結局こらえきれず。
涙と鼻水を流す太一であった。「あ〜あ」

太一は、清原に声をかけられ、また日本シリーズであおうじゃねーか、と言われる。
「おれの高校出一年目の本塁打記録 31本を うわまわれるもんなら うわまわってみな」
「うん うん うん」「おれ 31本よりたくさん打って 日本シリーズきっといくよーっ」
329投下3/3:2007/05/22(火) 00:55:27 ID:???
森監督は、一抹の不安を覚えた。今のライオンズならば、日本シリーズでどこと当たっても負けない自信がある。
(でも…もし… まんがいちアストロズがでてくるとなると……)(…………)

「三原かんとくーーーっ」
「こ…これで アストロズの黄金時代が…」「くっく まだまーだ これからだよっ」
そんな二人の会話を見つめる八木沼。(…………)

(あーあ また…… 奇蹟を 起こしちゃった か…)
330マロン名無しさん:2007/05/22(火) 03:20:00 ID:???
忘れてたけどセ・リーグだったな>アストロズ
日シリ出るには投手の駒が足りなすぎるだろ

山田弟は本格派Pだから連投きかんだろうし
331マロン名無しさん:2007/05/22(火) 08:32:56 ID:???
7チームだから132試合制と仮定して、
優勝ラインがかなり接戦になって75勝(貯金18)くらいであればなんとか。
一軍の投手枠が12人なら、泰二と武藤で30勝&貯金15くらい稼げば
残りのヘボピーは平均4勝で少し勝ち越すだけでOK。
332マロン名無しさん:2007/05/22(火) 14:49:39 ID:???
どーでもいいことだが、森監督の感情に連動する帽子のレオマークが可愛い
333マロン名無しさん:2007/05/22(火) 15:42:07 ID:???
良い最終回だった
334マロン名無しさん:2007/05/22(火) 17:32:37 ID:???
>>331
どうせ混戦になるのは漫画的に確定だし、
あと一人10桁勝利を期待できる投手がいればいけそうだな。
カーブのスペシャリストに頑張ってもらうか?
335マロン名無しさん:2007/05/25(金) 02:06:31 ID:???
鉄壁の保守
336投下1/3:2007/05/27(日) 00:47:17 ID:???
第39回 八木沼の決心・新しいバット!

アストロズが西部ライオンズに勝利した事が、後日のスポーツ紙に一面で取り上げられる。
いままでで初めてのことに、選手たちは驚く。といっても、負けた西部の字ばかりが大きいのだが。
そして太一の活躍も、アストロズの秘密兵器か?という見出しで記事に。紙面で解説する下山田権造氏。
「ぐうぜんあたっちゃったんでしょ 渡辺久信も不運でした こーんなのに打たれちゃうなんて」
そして、秘密兵器について談笑するチームメイト達をよそに、八木沼は一人考え事をしていた。

アストロズグラウンドでは太一が、32号ホームランを打ってホームラン王になったつもりで
遊んでいた。そこに現れたのは八木沼。太一の遊びの誘いを断ると、質問する。
おめーいまのままで ほんとーにホームラン王なんかになれるとおもってんのか?と。
うなずく太一に、八木沼は太一の短い腕の事を持ち出し、あれじゃーホームランなんか ぜーったい打てねーよと宣告した。

困りだす太一に、ただひとつなる方法があると八木沼が持ってきたのは、長いバット。
話によれば、通常のバットよりも2インチ(=約5センチ)は長く、また重心もバットの先にあり、
グリップも細い。「これが どーいうことかわかるか?」悩む太一に、八木沼は答えを教える。「これはな……」
「やまだたいちが ホームランを打つためのバットなんだよ」

これは完全に、ホームラン狙いの長距離打者用。そしてこれなら太一でも、外角にバットが届く。
だが誰にでも振れるわけではない。普通の奴では振り遅れるだけ。
西部戦で太一が見せたような豪快なスイングでなければ、と、八木沼は言う。太一も納得。
「やまだたいちの その天性のやわらかい体を存分につかって
強力なはがねではじかれたみてーに バットがでてくる原石のスイング」
「そしてずばぬけた動体視力をつかって」「このバットで全打席ホームランを狙え」
337投下2/3:2007/05/27(日) 00:50:28 ID:???
「ヒットなんかいらねー」「ぜーんぶホームランだっ」
「このバットを 自由自在に振れるよーになったとき……」

ビッグ・バン
「やまだたいちの 大爆発打法が 完成する」

圧倒されていた太一だったが、奮起。さっそくスイングしようとするも、ひきずるような状態だ。
大笑いした後、八木沼は言う。「いーかやまだたいち そのバットを 開幕までに自在にふれるよーになれ」
「そうしたら 大本塁打王もほんとに夢じゃねえ」
 
「そーすりゃー おれもすっきりと 四番の座をおめーにわたせる」 「え」

「よ…四番を……?」「そーだよ」
「大本塁打王になりゃー だれがみたってやまだたいちが四番じゃねーか」
太一は言葉を失う。そして汗をかきながら、唖然とした表情で八木沼を見上げる。見下ろす八木沼。

「いーのかなー そんなこといっちゃって 八木沼ちゃん」声をかけてきたのは大山だ。
それに、平田やトム、二階堂も、いつの間にか来ていた。
大山に以前の、大都心フルチン大行進の宣言を持ち出され、青ざめる八木沼だが、
太一がホームラン王になれば、こんなちんちんの一本や二本いくらでもみせるという。
「やまだたいちが」「本塁打王になっちゃうってーことはよー……」
「そんときは アストロズが優勝できるってーことだからなっ」「わははははははははーっ」
338投下3/3:2007/05/27(日) 00:52:31 ID:???
優勝という言葉に、みな一時、言葉が出ない。そんな中、太一はさらにやる気をだす。
「よ…」「よーし」「おれ やる」
「このバット振れるよーになって」「おれもちんちんみせるもんねーーっ」
「ひっひ………」「やまだたいちの つるちんなんかみせたってしょーがねーよ」
真っ赤になって腕を振り回しながら、八木沼を追いかける太一であった。

大山が、太一用バットのスイングに挑戦するも、最後まで振れずよろけて倒れた。
次に二階堂が挑戦するも、今度は振れこそしたものの、腰から大きな鈍い音。
あと一ヶ月で振れるようになるのか疑う大山に、太一は迫る。「おれ やるよ」「やる……」

いよいよ、練習開始。投球マシーンの球を打つどころか、まともにスイングも出来ていない。
「あんなバット振ってたら 筋肉ぶちぶちきれて 骨ぼきぼきになっちゃうぞ」
「なにいってもやめねーよ こーなったら振れるよーになるか あるいは死ぬまでやめねーな」
「けけけっ エテ公 エテ公」そして、その練習をスタンド席から見守る、三原であった。

オープン戦。太一は三振の山を築いていく。とうとう打率も一割をきってしまった。解説の
下山田氏は紙面で語る。「あれじゃー 四番どころかつかいものになりませんなーー わははははーーーっ」
その記事を見る、西部・清原。「『つかいものになりませんな』………か」「わかってねーなー……」

オープン戦は全日程終了。いよいよ開幕間近だ。しかし、太一の調子は芳しくない。
一週間もないというのに。だが、平田は確信していた。
「いや……」「やまだたいちなら きっと振れるよーになるよ」

「これまでだってそーしてきたんだ  かならずね……」
339マロン名無しさん:2007/05/27(日) 01:54:56 ID:???
物干し竿という奴か?
340マロン名無しさん:2007/05/27(日) 07:21:28 ID:???
八木沼かっこいいな
341マロン名無しさん:2007/05/28(月) 00:48:14 ID:???
342マロン名無しさん:2007/05/28(月) 12:08:14 ID:???
八木沼さん逮捕で戦力激減フラグだな
343マロン名無しさん:2007/05/28(月) 14:44:15 ID:???
二本もってるのか?
344マロン名無しさん:2007/05/30(水) 20:19:34 ID:???
保守します。
345.:2007/06/01(金) 17:48:29 ID:dkOaRbp2
.
346マロン名無しさん:2007/06/04(月) 22:00:51 ID:???
保守
347マロン名無しさん:2007/06/06(水) 00:09:04 ID:???
ほしゅ
348.:2007/06/08(金) 15:54:34 ID:FhHZyA8g
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349マロン名無しさん:2007/06/12(火) 02:37:40 ID:???
保守
350.:2007/06/15(金) 14:59:19 ID:TCZNqZ7n
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351.:2007/06/18(月) 19:03:08 ID:Gx05cRlT
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352マロン名無しさん:2007/06/21(木) 03:37:20 ID:???
再開をあきらめない
353マロン名無しさん:2007/06/25(月) 08:18:30 ID:yA8rLIKx
連載再開マダー?
354マロン名無しさん:2007/06/28(木) 02:58:10 ID:???
保守
355.:2007/07/03(火) 17:51:12 ID:Pb57d7ae
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356.:2007/07/07(土) 00:14:36 ID:UhBKXlCW
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357.:2007/07/09(月) 18:32:17 ID:w7qoOrTO
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358マロン名無しさん:2007/07/10(火) 00:34:09 ID:QS6gCBb9
携帯漫画サイトで配信記念age
でも、どこのサイトかは忘れてしまったんだ
359.:2007/07/13(金) 15:17:07 ID:PJUv32E1
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360.:2007/07/16(月) 21:41:07 ID:YYWCO7nI
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361.:2007/07/20(金) 15:47:44 ID:8Vpfm0K0
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362.:2007/07/23(月) 17:02:18 ID:7Ubt6h+c
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363.:2007/07/26(木) 13:04:15 ID:MpwbJQy7
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364.:2007/07/31(火) 00:33:17 ID:4XA1GQ1y
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365.:2007/08/03(金) 17:13:04 ID:QK2AA8sS
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366マロン名無しさん:2007/08/06(月) 11:10:19 ID:???
71日経過
367.:2007/08/09(木) 18:57:17 ID:xUQ5Oue/
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368.:2007/08/13(月) 17:08:45 ID:oEx8dBMa
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369.:2007/08/16(木) 16:36:54 ID:Nup7Gzwc
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370.:2007/08/18(土) 14:01:46 ID:vH/WxIRt
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371マロン名無しさん:2007/08/18(土) 18:54:29 ID:???
この話、最初は夢中になって読んで、
で、単行本も買ってたけど、途中から
妙につまらなくなった記憶がある。

太一がスーパーマン過ぎたんだよね。
結局、優勝してホームラン王になったんだっけ?
いや、ピッチャーもやっていたような気もするが??
372.:2007/08/21(火) 17:54:12 ID:PgVDoau5
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373マロン名無しさん:2007/08/23(木) 01:56:05 ID:???
>>371
つ【本スレ】
意外と書き込みが充実してるWikiも見てみなされ。
374.:2007/08/27(月) 14:36:47 ID:aPw08pNN
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375.
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