ネギまいじめスレその4

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1マロン名無しさん

2マロン名無しさん:2006/07/16(日) 23:35:33 ID:???
あ、立ってしまった。

とりあえずテンプレ

――行き過ぎた愛は
    やがて歪んだ支配欲となる――

復活のネギまキャラいじめスレその2。

過去ログ倉庫(おもにvip)
ttp://www.geocities.jp/negiijime/index.html

↑のwiki
ttp://www.wikihouse.com/negimaizime/

ここのwiki
ttp://www13.atwiki.jp/negiijime2/
3マロン名無しさん:2006/07/16(日) 23:37:26 ID:???
>>前スレ883
チャチャゼロ残酷編14  2人はいつも

――事態は、どんどん悪化していた。
この1週間、連続して起こった、3−A女子生徒連続暴行事件。及び、巡回中の魔法使いへの攻撃。
現時点で魔法先生たちが把握しているだけで、直接の被害者が8人。うち、死者2名。
木乃香のような間接的な影響(と魔法先生たちは思っている)を加えれば、さらに人数は増える。

「さらに、昨日の朝から、ガンドルフィーニ先生の行方が分からなくなっている。
 魔法も使って探してみたのだけど、気配すら掴めなくてね」
「事件とは無関係に、麻帆良を離れられただけなのではないですか?
 あるいは巡回や事件が嫌になって、逃げ出したとか……」
「いや、それはない。彼には妻も子もいる。あの愛妻家が家族を置いて逃げ出すことは、ありえないよ。
 念のため、奥さんにも話を聞いたのだがね。
 日曜の朝は学校に溜まっている仕事があると言って出て行ったきり、音信不通だそうだ」
「…………」

麻帆良学園の、学園長室。
学園長不在のこの部屋に集まっていたのは、魔法先生たちだった。
教授。刀子。瀬流彦。弐集院。シスター・シャークティ。黒スーツにサングラスの2人。そして、ネギ。
「学園長の調子は?」
「ここに来る前に病院に寄ってきましたが、かなり弱られているようです。
 特にお孫さんの事件が相当応えられたようで……。
 学園長も、まだまだ魔力は衰えないとはいえ、もうかなりの高齢ですし」
「高畑君は?」
「タカミチさんは連絡取れませんね。向こうも大変なことになっているようですから。
 先週の金曜に国際電話で話した時は、早めに切り上げて帰りたいと言ってたんですが……」
教授の問いかけに、刀子と瀬流彦がそれぞれ答える。部屋の空気が、さらに重くなる。
4マロン名無しさん:2006/07/16(日) 23:38:12 ID:???

体調を崩して入院中の学園長と、海外出張中にトラブルに巻き込まれたらしいタカミチ。
学園最強の魔法使い2人を実質欠いた状態の魔法先生たち。
彼らは、もはやこの事態が自分たちの手に負えないことを認めざるを得ない。
特に、龍宮真名と犬上小太郎の2人が返り討ちにあったという事実は、彼らの絶望を深くしていた。
戦闘力に限れば、ひょっとすると魔法先生たちをも上回る彼ら。
生き残った真名の証言から、ある程度敵の手口も分かってきてはいたが……しかし、それにしても。

「……死亡した犬上小太郎は、どう処分します?」
「ココネ君と同じく、一般生徒には死亡の事実は告げられないだろう。
 表向きは『失踪』ということになってもらうしかないね。申し訳ないが、彼には家族もいないことだし。
 シスター・シャークティ、辛いとは思うが、丁重に葬ってあげて下さい」
「……はい」
暗い顔で頷くシスター。彼女はつい昨日もココネの密葬を行ったばかり。
自分の直属の部下に続き、同じように未来ある子供を、こんな形で、続けざまに……。

その隣では、子供先生・ネギが、拳を震わせていた。
真っ赤に泣きはらした目。昨夜小太郎の無惨な遺体と直面し、号泣しながら明けた朝。
一晩泣き通して涙は枯れ果てていたが、犯人への怒り、そして自分の無力さへの怒りは未だ収まらない。

そんな彼を見ながら、教授は小さく溜息をつく。
これから告げる作戦変更に、彼は一体どんな顔をするのだろうか。
できれば教授自身、こんな方法は取りたくない。一種の賭けでもある。
しかし、この低下した戦力と、敵の手強さ・敵の悪質さを考えると――

「ネギ君、済まないがね。今日から少し、やりかたを変えてみようと思うんだ。
 それで、ものは相談なんだが――」

5マロン名無しさん:2006/07/16(日) 23:38:58 ID:???


「――ネギ先生が、担任を外れる!?」
月曜日の午前中。休講の後に登場した瀬流彦先生の言葉に、3−Aの一同は一斉に声を上げた。
教壇の上には、申し訳なさそうに頭を掻く優男の姿。
「あー、ここ一連の事件で、彼にも少し休息が必要だろう、と判断されてね。しばらく休職されるんだ。
 で、あくまで一時的な処分だけど、彼が離れている間、ボクがA組の担任も兼任することになった。
 みんな、短い間だとは思うけど……よろしくね♪」

ネギと3−Aを、試験的に切り離してみる――これが、教授の案だった。
何故かこのクラスにだけ集中する被害。他のクラスや学校には一切出ない被害。
事件に積極的に関わった美空や真名は除外するにしても、これは明らかに不自然だった。
何か、3−Aが狙い撃ちにされる理由があるに、違いなかった。
そして――最も疑われたのが、ネギの存在。「ネギが受け持つクラスである」という理由。
修学旅行で買った恨みの延長か、それともサウザンドマスターの息子という理由なのか。
3−Aにはエヴァンジェリンや木乃香など、トラブルの種になりうる存在は他にも居たのだが。
まずは一旦ネギをクラスから引き離し、様子を見てみようという作戦。
「それにネギ君――君には、本当に休息が必要だ。傍から見ても尋常な顔色ではないよ。
 先生の仕事に加え、夜中の巡回に日々の修行。そのままでは、敵を見つける前に君が参ってしまう」
教授の細い目が、眼鏡越しにネギを射抜く。鋭い視線が、ネギの反論を封じてしまう。
何事にも手を抜けぬネギ。思いつめやすい性格のネギ。どうみても、彼はオーバーワーク気味だった。
実際、彼がいくつもの重要な手がかりを見過ごしていたのも、この過労による思考力低下によるもの。
教授でなくとも、この10歳の少年に休みを与えねば、と判断したことだろう。
そして、ネギをクラスから外すだけでなく、教授はさらに……。

「それから――」
ざわめくクラスの面々に向け、瀬流彦の言葉は続く。
「一連の事件を受け、女子中等部では『夜間外出禁止令』が出されることになった。
 日没後、寮から出る用事がある時は届け出るように。許可なく1人で出歩かないように――」
6マロン名無しさん:2006/07/16(日) 23:39:20 ID:???
⊂二二二( ^ω^)二⊃ブーーーン
7マロン名無しさん:2006/07/16(日) 23:39:32 ID:???

夜間外出禁止令。
これまでの事件は、全て寮の外、日が暮れてからに集中している。
少なくとも魔法先生たちが「事件」として認識できているものは、この状況に限られている。
ならば、その状況の目を摘んでしまえばいい。そう考えたのだ。
既に夜間の外出を控えている生徒も居るようだが、全員が外出しなければ、被害も出ないのではないか。
生徒が襲われる状況を作らないことで、襲撃自体を防止しようという発想である。

それでもなお、何らかの事情で出歩かなければならない者には、事前に届出をさせておく。
こうすれば、魔法先生たちが陰から護衛することができる。
生徒自身には気付かれないよう、その背中を守り、万が一の時には守ることができる。
夜間動き回る生徒の数を減らし、その動向を把握していれば、広範囲の巡回をせずとも守りきれる――

逆に言えばこれは、今までの夜間巡回をすっぱり諦める作戦でもあった。
今まで被害が出ていない、麻帆良学園女子中等部以外については、もう最初から無駄な力を割かない。
他校の生徒が無防備に襲われる危険は除外しきれなかったが、しかしこの作戦に賭けるしかない。
もはや魔法先生たちの人数も力も、全てのフォローは到底無理なのだ。

そんなわけで――
ネギの休職と、夜間の行動の不自由を一遍に知らされた3−Aは、ちょっとした騒ぎになった。
……けれど、クラスの半分ほどは心身を病んでいて。一番騒ぐであろう雪広あやかは、未だ入院中。
せいぜい、「ちょっとした騒ぎ」で、収まってしまった。
新田先生が隣のクラスから飛んでくるようないつもの「大きな騒ぎ」に発展することなく、終ってしまった。
明らかにクラスは精彩を欠いていた。活力を失っていた。普通ではなかった。

そんな中――未だに普段の調子を崩さない小さな影が2つ。いや1つ。
「ウヒヒヒッ。ダメって言われると、意味もなくやりたくなっちゃうよねー?」
「だ、だめですよお姉ちゃ〜ん! ホントにホントに危険なんですから〜!」
8マロン名無しさん:2006/07/16(日) 23:40:09 ID:???

禁じられると、かえってやりたくなってしまうもの――
鳴滝風香の言葉は、ある意味で人間心理の真実を突いたものではある。
ただ、妹の史伽が言う通り、普通はこんな状況でそんな無茶はしない。
現実に危険が迫っているのである。リアルに犠牲者が出ているのである。
しかし、風香はまるで深刻に考えてはいないようで。
「寮の近くなら大丈夫だってば。森の方とか行かなきゃさ」
「で、でも、センセーがダメだって……」
「瀬流彦なんかネギ君よりも怖くないって。度胸試しだよ、度胸試し!」
そう、風香の言う通り、一般の生徒たちは「寮の近くは安全」だと思っていた。
過去に被害が明らかになっている人々は、どれも森や林の中を抜ける道の途中での被害。
寮の裏庭で事件を起こしたチア3人組の例もあるのだが、しかしこれは一般に知られていない。
そして、これが「おばけの仕業」だと思っていれば、双子も怯えたかもしれないが……
一般生徒たちはこの時点でもまだ、変質者のような「ちょっとおかしい人間の仕業」だと思っていた。
魔法先生たちは人外の存在の可能性を考え始めていたが、しかしこれを公にできるはずもない。

「よーし、では早速今夜やるよー! 参加者を募ってー、寮からこっそり抜け出して……」
「――駄目でござるよ、風香殿」
拳を振り上げた風香の頭に、ポンと手が乗せられる。
振り返れば、そこには糸のように細い眼をさらに細めて笑う、長身の女性。
2人の姉貴分、隠れた実力者、長瀬楓だった。
「今は本当に危険でござるからな。迂闊な行動は控えるが吉でござるよ」
1人では姉の暴走を止めきれなかった史伽が、救い主の登場にぱぁぁっと顔を輝かせる。
抗弁する風香、優しく諭す楓。どうもこの調子では、「度胸試し」は行われないかと思われたが……

「ケケケッ。自殺志願者ガ居ルナラ、ソノ期待、応エテヤラネートナァ」
教室の片隅、そんな3人を静かに見ている冷たい視線があった。小さな含み笑い。
絡繰茶々丸。そして、その頭上に今日も乗っていた、悪意の人形・チャチャゼロ……!


 14th TARGET  →  出席番号22番 鳴滝風香? 出席番号23番 鳴滝史伽?
9マロン名無しさん:2006/07/16(日) 23:41:03 ID:???
(・∀・)
10マロン名無しさん:2006/07/16(日) 23:41:52 ID:???
ゼロキタ━━━(゚∀゚)━━━!!


スレも新しくなったし…心機一転してまた良い流れに戻しましょう!
11マロン名無しさん:2006/07/16(日) 23:46:13 ID:???
⊂二二二( ^ω^)二⊃ブーーーン
12マロン名無しさん:2006/07/16(日) 23:51:27 ID:???
(^ω^;)
13マロン名無しさん:2006/07/17(月) 00:09:02 ID:???
このスレは
                 ,, -―‐┬-、
              ,.-:'":.:.:.:.:.:.:.:l:.:.:.:丶
             /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:,ィ⊥、:.:.:.ヽ
            /:.:.:.:.:.: --―(〈@〉)、:.:.',
          /:.:.:.,:r''" ..::::::::::` ̄´:::::ヽL,__
         ,':.:.:./_:;:;:_; ≦=―‐z=r‐ ''"
         丶:.f:::::::::〈`゙Zニエッ`'゙'Kエン',
          `',:::r、::{   '"´'′ ',  l    いたずらにしてはやりすぎだな
           ',::{fiY    , イ_ ,)、イ    なぁ石垣君
            ',ヽ'{, :;、  / ,.`二、{, ,'
            ',ノー'、':, /ニ二二7}/
             l  丶、 ー=ニ='rム
            ∧  ':,` ‐---‐イ/ 丶-、
            l 丶   ':,   ,, ,/  l:.:.:ヽ
           /^l  \  ':, ノ/    !:.:.:.:
         //:.:.l    \ ', /     l:.:.:.:
       , ィ":./:.:.:.l     ,.工、     ,':.:.:.:
    _,,.ィ":.:.:.:./:.:.:.:.l   ,イ:::::::::7ヽ、  ,/:.:.:.:.
   /:.:.:.:.:.:.:.:./:.:.:.:.:.', /  l:::::::/  \/:.:.:.:.:.:.:
''"´:.:.:.:.:, - '":/:.:.:.:./∨   ゝイ    /⌒ヾ-‐

『いたずらにしてはやりすぎだな。なぁage厨君』ネウロの提供でお送りしました
14マロン名無しさん:2006/07/17(月) 00:12:58 ID:???
( ゚д゚ )( ゚д゚ )
_(__つ/ ̄ ̄ ̄/
  \/     /
15マロン名無しさん:2006/07/17(月) 00:16:48 ID:???
確かにちょっとやり過ぎじゃないかい?
16マロン名無しさん:2006/07/17(月) 00:21:13 ID:???
他のスレまで迷惑を掛けるのはちょっと洒落にならんよ
17マロン名無しさん:2006/07/17(月) 00:33:42 ID:???
自演乙、age厨君
18マロン名無しさん:2006/07/17(月) 01:18:19 ID:???
ゼロ師(T_T)
19マロン名無しさん:2006/07/17(月) 02:47:54 ID:???
こんなスローペースで荒らされても保守と大差ないし無視してりゃいいんだよ。
20マロン名無しさん:2006/07/17(月) 08:16:37 ID:???
そうそう、完全スルーでよろ
21マロン名無しさん:2006/07/17(月) 11:27:23 ID:???
携帯って永久規制だっけ?
22マロン名無しさん:2006/07/17(月) 11:31:25 ID:???
1乙
23マロン名無しさん:2006/07/17(月) 12:51:15 ID:???
いいから肝井先生呼んでこいよ
24マロン名無しさん:2006/07/17(月) 13:05:16 ID:???
ほんと肝井先生の続きは常に読みたいよなぁ
25自殺日記:2006/07/17(月) 13:14:29 ID:???
桜子の言う通り、柿崎は駅の改札口の前で監視カメラのように歩いていく人々を観察していた。
他の連中がいないのは、おそらく途中で逃げたか面倒くさくなったのか。まぁそんなところだろう。
のどかは改札口の横で寂しく立っている柿崎に苦笑しながらも、行動を開始した。
のどかはまずわざと見つかるような場所に立ち、見つかった途端柿崎をおびき寄せるためわざと自分の後を追いかけさせたのだ。
おそらく逃げる弱者を追いかけ回し、捕まえてボコボコにするというシチュエーションに酔っているのか。柿崎は満面の笑みでのどかの後をつけている。
そんな柿崎を確認しながら、のどかはいつも人通りの少ない自転車駐輪所へと逃げ込んでいく。
この駐輪所はなんで造られたんだ?とみなが首をかしげるほど利用者が少なく、今では不良たちも近付かない危険な洞穴と化している。
中ではいけなきお薬が売買されている。指名手配犯がここで影を潜めて生活している。などという意味不明な噂がたつほどの場所だ。
(もちろん嘘だが)
こんな所に喜んで利用する人なんていないのだ。
26自殺日記:2006/07/17(月) 13:40:47 ID:???
わざと追い詰められるように逃げていくのどか。
さすがに体力の限界がきたのか、本気で息を切らして立ち止まってしまった。
後ろからニタニタと笑いながら歩いてくる柿崎。
まるでターミ〇ータ3だ。

「私から逃げるなんていい度胸じゃん。」
柿崎はジリジリとのどかを壁に追い詰めていく。
「アデアット」
「あ?」
のどかの手にはいつの間にか広辞苑のような本が開かれていた。
こうしてのどかは口を開く。

「柿崎さん、そういえば今朝先生が言っていたスリの犯人。誰だと思います?」
その瞬間、柿崎は明らかに動揺していた。
「実は私、その犯人知ってるんですよ。」
「ふーん、その犯人を私って言いたいんだ。」
動揺から一変、柿崎は勝ち誇ったような笑みを浮かべている。
「でも証拠がない。私がやったっていう。」
私の勝ちだ!柿崎はきっとそう思っただろう。しかし
「証拠なんてありませんよ。」
「え?」
「私はただこれを周りに言いふらすだけですから。」
27マロン名無しさん:2006/07/17(月) 13:41:37 ID:???
自殺日記久しぶりに北
28自殺日記:2006/07/17(月) 13:42:26 ID:???
のどかはニッコリと微笑んだ。
「はぁ?ふざけんな!名誉棄損で訴えるぞ!」
普通ならそういう流れになるだろう。しかしのどかには自信があった。
「今度は脅しですか?別に怖くないですよ。」
「あ!?」
「それにあなたは訴える事は出来ませんよ。では。」
のどかはそれだけ言うと、そのまま背を向け帰ろうとする
「あ、てめー、オイ待て!」
しかし柿崎はそれ以上のどかを追う事はしなかった。
まるで心を読んでいるように自分の弱みに正確にナイフを刺して来るのどかに恐怖さえ感じてしまった柿崎美砂。
柿崎はのどかが消えてくれて正直ほっとしていたのだ。
「なんだよあいつ…。」
後にはのどかへの恐怖しか残らなかった。


その夜
研究所には超が独りでキーボードを叩いていた。
テーブルには写真が無造作に散らばり、パソコンの周りにはドリンク剤の茶瓶が転がっている。
プルルルル〜♪プルルルル〜♪
超はキーボードを打つ手を止め、電話を手に取った。
「ハイ、…決まったカ。…すまないネ。で、いつ来てくれるカ…。分かったヨ。これで安心して眠る事が出来るヨ。じゃあヨロシクヨー♪」
電話を置くと不敵な笑みを浮かべ、またキーボードを叩き始める超。
29自殺日記:2006/07/17(月) 13:43:21 ID:???
「フフフ…。これでエヴァさんも終わりネ…。」
この日、研究所のキーボードの音が止むことはなかったという。

θθθθθθθθθθθθθθ

コンコン…
「どうぞ…。」
ドアの向こうから力のない優しい声が聞こえてくる。
「失礼するよ。」
高畑はドアノブに手をかけ、ドアを開いた。
そこには机に向かってノートを広げて勉強している五月の姿があった。
「高畑先生…。」
思わぬ訪問者に驚く五月。
「君に大切な話がある。」
高畑は真剣な表情でそう告げた。
「…大事な…話…ですか?」
「そうだ。単刀直入に言おう。君のクラスメートのほとんどが殺された。」
「え?」
最初は冗談だろうと思っていたが、高畑の真剣な顔がそう思わせてくれなかった。
「生存者は君と木乃香君、あやか君、美砂君。行方不明が楓君とサジ君。そしてハルナ君だ。」
「え?じゃあ超さんも古さんも葉加瀬さんも…。」
「それだけじゃない。先ほどエヴァ君と茶々丸君の死亡も確認された。まぁこの二人を殺ったのは違う人物だろうけどね…。」
「そんな…。」
五月の目には涙が流れていない。
吐き気だけが五月を襲う。
急にクラスメートが死んだと言われて全てを一瞬で理解し整理するのは難しい。
30マロン名無しさん:2006/07/17(月) 13:45:09 ID:???
「君には辛い話かもしれない。だが、私は知りたいんだ。何故君は学校へ行かないんだ?何故いつも君が大事そうに持っていた中華包丁の黒いケースがこの部屋にはないんだい?」
「え?なんでそんな事を…。」
「悪いとは思ったが、少し魔法を使わせてもらった。すまない。」
よく見ると部屋に置いてある物が所々移動していて、高畑の手には五月の学校鞄が握られていた。
「僕は知りたいんだ。この事件の始まりを…。」
手に持っていた鞄を床に降ろし、深々と頭を下げる高畑。
無礼の詫びと願いを込めて…

「なんで私は料理人になったかわかりますか?」
突然振られた五月からの問い。
高畑はしばらく考え、こう言った。
「僕は世界中を旅した事があるんだが、その時知り合った料理人はこう言ったよ。『食べるだけならそこらへんに植えてある大根を洗ってかじればいい。料理は人にその時だけの至福を与えるためにある。』
彼はわざわざ危険な戦地に飛び込んで、現地人のために沢山の料理を作ってきた。まぁそんなこと考えて料理作ってるヤツなんてほんの一握りだろうけど、君も彼と同じだろ?」
黙って聞いていた五月は高畑の顔を見て
「当たりです。」
とだけ呟いた。
31自殺日記:2006/07/17(月) 13:46:08 ID:???
「私は人の笑顔が見たくて今まで包丁を振ってきました。私の料理を食べる度においしいと言ってくれれば、それだけで私は満足です。ですから代金も材料費しか貰っていませんし、お客さんに不味いと言われたら、そのお客さんが今度は美味いと言ってくれるように、寝ずに努力しました。
でも、私の包丁が原因であんな事が起こって…私は私の包丁で人々を幸せに出来ないのなら、いっそのこと料理人なんて辞めてやろうと思いました。だから包丁も棄てました。あれを止められなかった私には料理人を名乗る資格なんてないですから…。」
こうして五月は語り始めた。
全ての始まりを…
32自殺日記:2006/07/17(月) 13:48:53 ID:???
今回は途中で文が消えたり
料理を語ったり
あまり自信がない

変な所があったらスマソ
33マロン名無しさん:2006/07/17(月) 13:50:51 ID:???
超GJ!リアルで読めてウレシ杉!
34マロン名無しさん:2006/07/17(月) 14:23:24 ID:???
ッグッジョブ!!
35マロン名無しさん:2006/07/17(月) 17:54:02 ID:???
おもろいです!!!ゴッジャブ!
36マロン名無しさん:2006/07/17(月) 18:03:35 ID:???
ゴッジャブってwwwおまwwww
37マロン名無しさん:2006/07/17(月) 20:41:44 ID:???
神ってことなんだなぁ?
38マロン名無しさん:2006/07/17(月) 21:03:41 ID:???
>>37
日本語でおk
39マロン名無しさん:2006/07/17(月) 21:47:55 ID:???
おK
40マロン名無しさん:2006/07/17(月) 22:57:32 ID:???
もはや今更だが、







朝倉いじめまだー…
41マロン名無しさん:2006/07/17(月) 23:38:12 ID:???
自殺日記で刹那生き残ってなかったっけ?
42マロン名無しさん:2006/07/17(月) 23:54:56 ID:???
>>40 覚えていてくれて嬉しいです!
朝倉いじめはあれで終わりです…。次はアスナ…
43マロン名無しさん:2006/07/17(月) 23:57:33 ID:???
え、朝倉の最後ってどんなんだったっけ?かなり楽しみにしてたの駄菓子菓子
44マロン名無しさん:2006/07/18(火) 01:22:59 ID:???
恥辱に耐え切れなくなった朝倉は、教室を飛び出してしまった…ってとこです。
前スレ>>759です。

あやかいじめはどうでしょうか…(前スレ>>944)
45マロン名無しさん:2006/07/18(火) 07:19:29 ID:???
>>41
素で忘れてた…
スマソ
46マロン名無しさん:2006/07/18(火) 07:59:51 ID:???
よかった…
せっちゃん死んだかと思って落ち込んでたトコロ
47マロン名無しさん:2006/07/18(火) 10:41:35 ID:???
>>44
あやかいじめ期待
48マロン名無しさん:2006/07/19(水) 07:35:18 ID:???
一日スレスト記念age
(T_T)
49マロン名無しさん:2006/07/19(水) 10:09:04 ID:???
>>8
チャチャゼロ残酷編14  後編

日が暮れる頃から、寮の中は騒がしくなった。
普段なら遅くまで部活動などに励んでいる生徒たちも、皆揃って帰ってきているのだ。
大浴場などはいつもより早く混み始め、食堂などにもヒマを持て余した生徒が溢れる。
3−Aだけでなく、念のため女子中等部全体に出された『夜間外出禁止令』は、かなりの影響を出していた。

そんな中、寮の屋根の上に立つ人影が1つ。
忍装束に身を包んだ、長瀬楓だった。
彼女の視線が、寮から出て行く1人の女生徒に向けられる。
「……なるほど、魔法先生たちが護衛するでござるか。考えたでござるな」
どうやら工学部の研究棟に向かうらしい葉加瀬聡美。その後方、彼女に気付かれないよう後を追う影。
おそらく気配を消す術か何かを使っているのだろう、聡美はその「密かな護衛」に気付かないようだったが。
彼らがついているなら、まあ安心だろう。
楓は「外出時に許可を申請させた」先生たちの意図を理解し、目を細めて何度も頷く。
「拙者がフォローせねばならぬことは、なかったでござるかな? 週末の罪滅ぼしをしたかったでござるが」

実は楓は、魔法先生たちの護衛のシフトなどには、組み込まれていない。
刹那やネギなど、魔法先生たちと繋がりのある知人から情報を得て、独自に活動していたのだ。
まあそれらの動きも全て、魔法先生たちの努力と同様、空振りに終っていたわけだが……。

特に楓を苦しめていたのは、土日の間に出た被害について、である。
ネギがエヴァの所で修行に没頭していたように、楓もまた、己の無力さを痛感し、山に篭っていたのだ。
そしてその間に出たいくつかの被害。美空や真名、小太郎のような「力あるもの」たちの敗北。
もし楓が居たところで何か出来たとも思わないが、しかし。
「コタロー、お主ほどの者が、何故……」
全身バラバラに刻まれていたコタロー。将来を期待していた少年の早すぎる死に、楓は唇を噛む。
50マロン名無しさん:2006/07/19(水) 10:09:34 ID:???

と――
屋根の上に佇む楓の感覚が、何かの接近を捕らえる。
忍びの鋭敏な感覚を駆使するまでもない。派手に炎を噴き、ふわりと浮き上がってきた人物。
「……ここにいましたか、長瀬さん」
「これは茶々丸殿。拙者に何か用かな?」
思わぬ来客に、目を細める楓。
そもそも茶々丸は寮に住んでいるわけではない。彼女が住んでいるのは、エヴァの家だ。
学校でも普通に会えるというのに、わざわざやってくるとはどういうことなのか。
屋根の上に降り立った茶々丸は、しかし何か迷っているようで。
「…………」
「黙っていては、分からぬよ。思うに、相談か何かがあるのでござろう?
 どれだけ力になれるかは分からぬが、この場でよければ話を聞くでござるよ」
もじもじする茶々丸に、助け舟を出す楓。
やがて茶々丸を意を決したように真剣な、無表情な顔になると、楓の顔をしっかと見つめる。
「……自分がどうするべきか、最適解が見つかりません。参考になる意見が必要です。
 様々な条件を照らし合わせた結果、長瀬さんが最も相応しい相談相手と思われました」
「ふむ。して、悩みとは」
「昨夜――犬上小太郎さんが命を落とされた現場に、私も居合わせていました。
 龍宮真名さんは、プロフェッショナルとして沈黙を守って下さったようですが」
「…………!!」
楓の目が、さらに細められる。僅かに開かれた片目が、鋭く茶々丸を射抜く。
「それは――もっと詳しく聞かせて欲しいでござるな?」
51マロン名無しさん:2006/07/19(水) 10:10:13 ID:???

「ウヒヒ。よし、誰も居ない。今のうちに……」
「や、やめるですお姉ちゃ〜ん!」
寮の裏手、あまり知られていない、普段なら住人も近づきもしないような非常口の1つで。
小さな影が2つ、何やら小声で囁きあっていた。
それはもちろん、鳴滝風香と、鳴滝史伽の2人。

子供っぽく悪戯好きの2人。いつも明るく陽気な2人。
――そんな彼女たちも、繰り返される事件に神経をすり減らしていた。
変わっていくクラスの空気、暗くなっていくクラスの空気に、息苦しさを感じていた。
特に彼女たちに衝撃だったのは、頑張って開いた亜子退院記念パーティの空振り。
少しでもいつものクラスの明るさが戻ってくれれば、と願っていたのに――

そんな中、姉はなおも、無理矢理にあの明るさに戻ろうとした。
そんな中、妹は諦め、現実的な危機回避を第一にしようとした。
止められても賛同者が誰も出なくても、なお推し進めようとした風香の「度胸試し」。
ほとんど意固地とも言える風香の態度には、実は彼女なりに必死な無意識の想いがある。
自らの半身、本当にヤバい時にはブレーキをかける役でもある史伽の声も、かえって反発しか生まず。

「とにかく、僕は行くからね! 臆病者の史伽は、1人で残ってりゃいいんだ!」
「もうッ、知らないですからね! お姉ちゃんなんか、1人で襲われちゃえばいいんです!」
とうとう、史伽も堪忍袋の緒を切らし、ぷいッとそっぽを向く。
史伽を挑発することで同行させようとしていた風香も、もはや引っ込みがつかない。
こちらもぷいッとそっぽを向き、ずかずかと、足音も荒く寮の裏庭を抜けて出て行って……
暗い非常口、後には、史伽1人が残された。
小さく溜息をつく史伽。そんな2人を、こっそり見ている邪悪な影が1つ……!
52マロン名無しさん:2006/07/19(水) 10:11:28 ID:???

「……ふむ。それは確かに大変なことでござるなぁ」
茶々丸の告白に、楓は悩みこむ。
エヴァの潔白のために、巡回中の真名と小太郎を支援しようとしたという茶々丸。
彼女が交わした契約と、彼女が良かれと思って持ってきた銃。そしてその銃の爆発と、犯人の逃走。
茶々丸の言葉が真実なら、確かにネギたち魔法先生には相談できまい。
ネギ1人ならともかく、魔法先生たちは完全に茶々丸を、ひいてはエヴァへの疑いを固めてしまう。
犯人側にとって都合の良すぎる銃の爆発と、それを予見したかのような契約内容のために。
普段の茶々丸の真面目さを知る楓たちクラスメイトなら、そんなはずがないと考えるところだが。
「しかし、それだけのケガをしておいて沈黙を守るとは、流石は真名殿」
「ええ……私も、魔法先生側に知られることは覚悟していたのですが」
だが真名が沈黙を守ったことで、茶々丸は困ってしまったという。
今さら名乗りでるわけにも行かない。名乗り出たところで、真名の証言に追加することもないだろう。
だが果たして、このまま黙っていていいものだろうか。
「2人がかりで敵わなかったのではなく、茶々丸殿も加わっての敗北、でござるからな。
 魔法先生たちが、犯人の強さを勘違いする恐れもあるでござる」
「はい。私もそれが心配です。
 マスターにも無断で行動していたため、マスターに相談するのも躊躇われます」
「それで、拙者か」
魔法使いたちの裏事情を知っており、エヴァを敵視しておらず、魔法先生たちに直接協力してもいない。
確かにこのような立場の楓は、他には無い相談相手である。
相談相手ではあるが……楓としても、すぐに妙案が出てくるはずもない。
茶々丸の立場も考え、どうするのが最善か、考え込む。

楓は、気付かない。
茶々丸が嘘を言っている可能性を。真実の一部を意図的に伏せている可能性を。
そして「秘密の共有」を強いることで、楓を茶々丸の「味方」にしようとしていることなど、気付くはずもない。
茶々丸は本来、そんな交渉や駆け引きをやる者ではない。エヴァも、こんな搦め手は使わない。
茶々丸の後ろに性格の悪い黒幕が居て全ての絵を描いていることには、気付かない。
53マロン名無しさん:2006/07/19(水) 10:12:46 ID:???

と、突然。楓の眉が、ピクリと動く。
「どうなさいました、長瀬さん?」
「今、何か、どこかから声が……!」
言いかけて、楓は気付く。
夜風に乗って届く、微かな血の臭い。
彼女は急いで身を翻す。屋根の上を走り寮の裏手へと急ぐ。
「長瀬さん!?」
「話は後でござる! 次の事件やもしれぬ!」
後ろから呼びかける茶々丸に、楓は振り返りもせずに叫び捨てる。後を追う茶々丸。
そして……。

……寮の裏手、非常口の前に、血まみれの少女が2人、転がっていた。
姉が心配で、非常口の所で待ち続けていた妹。
妹が心配で、途中ですぐに引き返してきた姉。
2人がバツの悪い対面をしたその瞬間――2人は揃って、小さな怪人に襲われた。
宙を舞うワイヤーに首を絞められ、悲鳴1つ上げる余地もなく、気を失った。
そして意識を失った双子に加えられた、刃の攻撃。ただ痛めつけるためだけの攻撃。
楓が聞きつけたのは、意識を失ったまま漏れた呻き声。嗅ぎ取ったのは、その血飛沫。

楓の目の前に、2人の少女が仲良く並んで横たわっていた。
風香の右目は、潰されている。史伽の左目は、潰されている。
風香の左耳は、斬り落とされている。風香の右耳は、斬り落とされている。
風香の右手は、肩から斬り落とされている。史伽の左手は、肩から斬り落とされている。
風香の左足は、太腿から斬り落とされている。史伽の右足は、太腿から切り落とされている。

2人合わせてようやく両の目と耳、手足が揃うような、2人の傷。
血まみれの2人は、しかし微かな微笑を浮かべたまま、それぞれ無事な手を繋ぎあって。
「……風香ッ! 史伽ッ!」
楓の悲鳴。しかし瀕死の2人に、その呼びかけは届かずに。
54マロン名無しさん:2006/07/19(水) 10:18:11 ID:???

――ごめん、史伽。僕が意地を張ったりしたから
――ううん、いいんです、お姉ちゃん。
切り刻まれながら、なおも赦しあう姉妹。朦朧とした意識の下、互いの手を握り合う。
2人の間に、言葉は必要なかった。すぐに、互いの意志を察っすることができた。
2人はいつも一緒。時にケンカや仲違いをしても、彼女たちは常に一緒。
襲撃者は、忌々しげに舌打ちする。あの耳障りな笑い声は、漏れ出さない。
苛立ちにまかせ、2人の身体を刻んでいく。
とうとう、それぞれの腕1本、足1本を刻みきって、ゼロは呟く。
「……ケッ。オ前ラハ、2人合ワセテ ヨウヤク1人前ナンダヨ」
そしてゼロは逃げる。楓と茶々丸の接近を察して逃げる。

ゼロが本当に裂きたかったのは、2人の仲。
互いに罵りあい傷つけあい、責任を押し付けあう姿が見たかったのに。
「お前のせいだ」「お姉ちゃんのせいです」と言い合う姿が見たかったのに。
身体こそ散々に痛めつけたものの、ゼロは微妙な敗北感を味わう。
少しずつ、何かが上手く行かなくなりつつある。
「ケケケッ。マア、たーげっとハコイツラダケジャネーシナ。次行コウ、次」
ゼロは頭を切り替える。次なる目標に狙いを定める――。


――夜が明ける。
寮の屋根の上には、再び楓と茶々丸の姿。
風香と史伽を発見し、止血をし、人を呼び、病院に収容して――
姉妹の緊急手術が無事に終ったのを見届け、戻ってきた2人。
姉妹の病室に留まっているべきだったのかもしれないが、しかし。
「……茶々丸殿が見たという、犯人でござるが」
「はい」
「失礼を承知で、あえて聞きたい。
 エヴァ殿の従者が1人、チャチャゼロ殿が犯人である可能性は、無いのかな?」
55マロン名無しさん:2006/07/19(水) 10:19:27 ID:???
子供あるいはそれ以下の小柄な体格。刃物を使う手口。
魔法先生たちの内情に通じているとも思われる作戦に、優れた戦闘力。
……楓はゼロの戦闘を直接見たことは無かったが、しかし刃物を持ち歩く姿は見ている。
魔力不足でロクに動けないとは聞いてはいたが、しかし「あの」エヴァの従者だ。弱いはずがない。
薄目を開けて茶々丸を睨む楓の視線に、茶々丸は。
「それはない、と断言します。
 真名さんと小太郎さんの事件の時ではありませんが、別の事件の際、姉にはアリバイがあります」
「アリバイ、か」
「もっとも、そのアリバイも私が証言できるというだけです。証拠能力はあまりありません。
 何となれば画像データとして出力も可能ですが、改竄も容易な電子データですから……」
「疑いを払拭するには足りぬ、と……。あい分かった、拙者が悪かった」

明け広げに語る茶々丸の姿に、楓は自らの仮説を放棄する。
あの茶々丸がこうまで言うのだ、その証言には間違いあるまい。楓はそう考える。
元より言ってみただけの話だ。まだチャチャゼロ1人に疑いを固めたわけでもない。
そんな楓に対し、茶々丸は、最後に一言、言い添えた。

「私の言葉を信用するのなら、姉についても、信用してください。
 姉を疑うというのなら――私をも、疑う必要があります」

無表情の茶々丸。朝日に照らされた横顔。
今の茶々丸には、これが精一杯。ゼロに魂を拘束された茶々丸が言えるのは、これが精一杯――

 NEXT TARGET → ???
56マロン名無しさん:2006/07/19(水) 12:01:25 ID:???
( ;゚Д゚)ヒエー…
57マロン名無しさん:2006/07/19(水) 18:08:35 ID:???
感動!!実は武道四天王がやられるのに気体…
58テストですぅ:2006/07/19(水) 20:56:42 ID:???
アヒャアヒャ(゚∀。)
59マロン名無しさん:2006/07/19(水) 21:10:10 ID:???
>>58氏ね&>>49-55GJ
60マロン名無しさん:2006/07/19(水) 21:21:35 ID:???
>>14-58は同一人物?
61マロン名無しさん:2006/07/19(水) 23:25:00 ID:???
>>60
だとしたら壮大な自演だな
62自殺日記:2006/07/20(木) 11:07:52 ID:???
@@@@@@@@@@@@@@@@

10/29
この所なんの変化もない。
あいつらはあいつらで私と目を合わせようとはしないし
こちらもわざわざ話しかけるような事もしない。
もしかして飽きたのだろうか
どっちにしてもこの勝負は私の勝ちに向かっていっている。
私は絶対に負けない
私の味方をしてくれたいいんちょや木乃香、本屋ちゃんのためにも
それはそうと、最近超さんの様子がおかしい
私のほうをジロジロ見てはニヤニヤと笑う
少し気味が悪い
まぁ、だからなんだって訳じゃないけど…


こんな事書いても、読んでいる人には訳がわからないと思うから
今日は事の始まりを書こうと思う。
私も実際よく分からない所もあるけど
私の分かる範囲で書いていきたい

あれはたしか…
63自殺日記:2006/07/20(木) 11:08:41 ID:???
「え?…ち、ちょっと待ってよ…。あ!」

部屋が静まりかえり、電話が切れた音が微かに彼女の耳に届く。
この日、柿崎美砂は一年付き合ってきた彼氏にいとも簡単にフラれてしまったのだ。
理由は飽きたの一言。
一生懸命な恋だったために、ショックが大きかったのだろう。
彼女は受話器を握り締めながら、涙を流していた。

その三十分後、同居人である釘宮円が部屋に帰ってきた。
真っ暗な部屋のなかで泣く柿崎を見た円は困惑しながらも場の空気を読み、彼女を一人にさせてあげることにした。



どのくらい時間が経ったのだろう。
気がつくと柿崎は床にはいつくばる形で眠っていた。

彼女は夢を見ていた

一年前のあの日、初恋のあの人に告白したことを。
彼はニッコリと微笑みながらそれを承諾してくれた。

彼は彼女を遊園地に連れていく。
彼女の手を優しく引きながら
ジェットコースター、コーヒーカップ、メリーゴーランド
そして観覧車
彼と一緒になって笑っている柿崎

楽しい時が過ぎ、当たりは夕焼けで紅く染まり始める。
『あのさー。』
彼が彼女に微笑みながらこう言う。
『お前、もう飽きた。』
64自殺日記:2006/07/20(木) 11:09:58 ID:???
『え?』
その瞬間彼は霧のように消え、代わりに遊園地にいた人々が柿崎の周りに集まっていく。
『あきた』
紅い風船を持った子供が言う。
『あきた』
遊園地の清掃員が言う。
『あきた』『飽きた』『厭きた』『秋田』『明田』『飽きた』『あきた』
全ての人が彼女に向けて『飽きた』とだけいう。
『や、やめて…。』
柿崎の膝が笑い始める

ジェットコースターが紅く燃える。
『実はさ』
遊園地のスピーカーから彼の声が聞こえてくる。
コーヒーカップが紅く燃える。
『最初から』
メリーゴーランドが紅く燃える
『お遊びで』
『いやぁー!』
柿崎は人込みを掻き分け、耳を塞ぎながらその場から逃げ出した。

薄々感づいてはいた。ただそれを彼の口からはっきりとは聴きたくはなかった。
まだ…彼には棄てられたくは…

気がつくと彼女は観覧車のなかで眠っていた。
隣りには彼がいる。
彼は微笑みながら柿崎の頭を優しく撫でる。
そして彼は言う
『外を見てごらん』
外では燃えている遊園地の大広場で人々が集まって騒いでいる。
なにかのライブだろうか。歌っているのは…柿崎美砂。
円も桜子も亜子も柿崎とともにステージに立っていた。
65自殺日記:2006/07/20(木) 11:11:54 ID:???
美砂はこの光景に見覚えがあった。
たしかあれは麻帆良祭の…

そして次に気がついた時、彼女はステージの上で歌っていた。
沸き上がる歓声。弾ける音楽
美砂の頭は次第に混乱と熱気で溶けていった。

そして彼女は見てしまう。
観客席で女とイチャつく彼の姿を
『美砂…フラれちゃったね…。』
『残念。完璧遊ばれてたね。』
『気にする事ないって!次ガンバロ!』
後ろの三人が笑いながら彼女に話かける。
三人とも目が光り、口がニヤけている。
『あきた』『あきた』『あきた』『あきた』『あきた』
三人が美砂に迫っていく。
背後には知らない女と接吻をしている彼が立っている。
まるで美砂にわざと見せつけるかのように。
『あきた』『あきた』『あきた』
『イヤァァァァァ!!』
美砂の目の前が真っ暗になった。

ここで彼女は目を醒ました。
床は涙でグシャグシャに濡れている。
美砂は何もなかったかのように立ち上がると、薬箱から目薬を取り出し、充血した両目に 一滴ずつ注した。
『残念。完璧遊ばれてたね。』
夢のなかで桜子が彼女に言った一言。
所詮は夢。本当に遊ばれていたのかは分からない。
だが…、はっきりと否定できる自信がなかった。
66自殺日記:2006/07/20(木) 11:13:24 ID:???
「あぁ!もう!」
思わず持っていた目薬を床に叩きつけてしまった美砂。
今の彼女には総てが疎ましく思えてしかたがなかった。


「ただいま。」
床にこぼれた目薬の液を片付けている時、桜子が部屋に帰ってきた。
一晩中何していたんだろうと思っていたが、聞くことはしなかった。はっきり言ってどうでもよかったからだ。
「おかえり。どうしたの、こんな朝早くに。」
『いい、今日は部屋に帰っちゃ駄目!明日菜の部屋でも泊めてもらいな。いいから今日は絶対部屋に帰っちゃ駄目!』
「う、うん。ちょっと用事があってね。」
美砂の問いに桜子の脳裏から円の言葉が甦る。
反対に美砂は桜子の様子がおかしい事に気付きながらもたいして気にする事をしなかった。

桜子が部屋に帰ってきてから数十分が経つが、部屋には言葉ひとつ飛び交わない沈黙が続く。
美砂はベッドの上で仰向けに寝転がり、桜子は机で携帯をいじっている。
桜子はこういうしんみりした空気が嫌いだ。
それは美砂も知っていたが、今は桜子と楽しくお喋りできる気分ではなかった。
桜子は桜子で話しかけようか迷っているが、話題もなく、たいしてモチベーションも上がらなかった。
67自殺日記:2006/07/20(木) 11:19:52 ID:???
チク…チク…チク…
普段ならば学校へいっている時間。だが今日は日曜日だ。
桜子は暇すぎて死ぬと言わんばかりに机の上でダラダラと顔を伏せて寝ている。
一方美砂は仰向けで天井をじっと見つめていた。
こうして長い静寂がいつまでも続いていく。
チク…チク…チク…


「あ…あのさ。」
さきに言葉が出たのは桜子。
やはり彼女にはこの静寂には耐えられなかったようだ。
「あのさ…。」
言ってみたはいいが、これといった話題が頭に思い浮かばないのか、話という話が前に出てこない。
「(なんかないかなー。話になるような…。)」
芸能、ショッピング、ファッション、飲食物、コミニケーション、etc…
頭で話題になるような物を探してみたが、特にピンと来る物もない。
ただ無駄に時間だけが過ぎていく…
チク…チク…チク…

チク
「彼氏とどうなったの?」
桜子自身もなんでこんなことを聞いてしまったのか分からない。
ただ口から出てきた言葉がたまたまそれだったのだ。

『残念。遊ばれてたね。』
美砂の脳裏に夢のあの言葉が甦る。

「別れたよ。昨日。」
―え…?
空気が凍り、桜子の頭から全てが消えた。
68自殺日記:2006/07/20(木) 11:22:26 ID:???
「へ、へぇ。そうなんだ。」
桜子は自分の愚かさを初めて呪った。


こうしてまた静寂が続く。

「あ、あのさ。」
先ほどと同じく静寂を破ったのは桜子であった。
「私…、コンビニ…コンビニ行ってくるね。」
分かりやすく動揺した桜子は逃げるように部屋から出ていった。
『今日は絶対部屋に帰っちゃ駄目!』
何故昨日、円があんなことを言ったのかやっと理解し、そして自分の愚かさに泣いた桜子であった。
そして桜子は最後まで気がつく事はできなかった。
美砂が右手の拳を握りすぎて、出血していた事には…


正直美砂もあそこまで直球で聞かれたので、どう対応すれば良いのか分からなくなってしまったのだ。
そのまま無視することも出来た。あんなことを笑いながら平然と聞いてきた桜子を思いっきり殴り飛ばすことも出来た。
しかし実際は何も出来ず、本当の事…、美砂にとっては信じたくもなかった事をいつの間にか言ってしまう。
美砂は自分自身、本当はなにがしたかったのか頭で考えることができなかった。
『残念。遊ばれてたね。』
また頭のなかであの言葉がよぎる。
美砂にとってこの言葉は、いい加減うざったかった。
気がつけば自分の右手は堅く握られ、中から血が垂れている。
69自殺日記:2006/07/20(木) 11:25:33 ID:???
…美砂は自分がわからなくなっていた。

『美砂…。フラれちゃったね…。』
たしかあの夜からだ。美砂が狂ったのは。
『残念。遊ばれてたね。』
ちょっとした出来事にもすぐ反応し、カッとなる。
『気にする事ないって!次ガンバロ!』
そして、それはやがて罵声と暴力に変わる。
『お前、飽きた』
美砂の変貌は異常であった。
まるで『柿崎美砂』であって『柿崎美砂』ではないというか…。
もっと言えば、内の美砂が『何か』に支配されてしまったかのような…

月曜日、この日も美砂は独りで朝食をとっていた。
右手の掌には所々に絆創膏が貼られている。
何故、同居人である円と桜子がいないのだろうか…。
実はあの後の事だ。
桜子はしばらくあの部屋にいることは出来ないだろうと思い、しばらく明日菜の部屋に泊めてもらうことになった。
ネギは美砂のことを心配して反対したが、事情を説明し快く承諾してくれたのだ。
一方の円は、桜子から
『美砂怒らせちゃった…
今日も部屋には帰らないほうが…』
というメールが届いた。
明日は学校なのに勝手なことをしてくれる…。と呆れながらも、とばっちりをくらいたくないので、大人しく桜子に従って鳴滝姉妹の部屋に泊めてもらうことにした。
70自殺日記:2006/07/20(木) 11:26:45 ID:???
…美砂は自分がわからなくなっていた。

『美砂…。フラれちゃったね…。』
たしかあの夜からだ。美砂が狂ったのは。
『残念。遊ばれてたね。』
ちょっとした出来事にもすぐ反応し、カッとなる。
『気にする事ないって!次ガンバロ!』
そして、それはやがて罵声と暴力に変わる。
『お前、飽きた』
美砂の変貌は異常であった。
まるで『柿崎美砂』であって『柿崎美砂』ではないというか…。
もっと言えば、内の美砂が『何か』に支配されてしまったかのような…

月曜日、この日も美砂は独りで朝食をとっていた。
右手の掌には所々に絆創膏が貼られている。
何故、同居人である円と桜子がいないのだろうか…。
実はあの後の事だ。
桜子はしばらくあの部屋にいることは出来ないだろうと思い、しばらく明日菜の部屋に泊めてもらうことになった。
ネギは美砂のことを心配して反対したが、事情を説明し快く承諾してくれたのだ。
一方の円は、桜子から
『美砂怒らせちゃった…
今日も部屋には帰らないほうが…』
というメールが届いた。
明日は学校なのに勝手なことをしてくれる…。と呆れながらも、とばっちりをくらいたくないので、大人しく桜子に従って鳴滝姉妹の部屋に泊めてもらうことにした。
71自殺日記:2006/07/20(木) 11:29:10 ID:???
>>70は誤爆
最近調子悪くて話が前に進んでいかない…
orz
72マロン名無しさん:2006/07/20(木) 12:32:56 ID:???


みさみさカワイソス('・ω・`)
73マロン名無しさん:2006/07/20(木) 14:33:17 ID:???
美沙はそれでおかしくなっちゃったのか…
74マロン名無しさん:2006/07/20(木) 16:28:33 ID:???
美砂の「彼氏」って原作でも存在感ねーしなぁ
唯一「確実に彼氏が居るキャラ」なのに

しかしそれをこうもってくるかー
75マロン名無しさん:2006/07/21(金) 00:24:44 ID:???
素晴らしい職人達がいるのに…!
76マロン名無しさん:2006/07/21(金) 00:28:55 ID:???
本当にね
なんでこんな過疎ったんだろ
77マロン名無しさん:2006/07/21(金) 00:45:18 ID:???
今の読者層がライトになった、てことじゃね?
やはりイジメというテーマだから新規はあんま寄り付かないだろうし

まあ、職人さんが頑張ってる内はまだまだ大丈夫。このままマターリ進行しよう
78マロン名無しさん:2006/07/21(金) 01:06:11 ID:???
そう、本当に怖いのは職人に見放された時。
多少レスが少なくても気にせずまたーりいこうまたーり。
79マロン名無しさん:2006/07/21(金) 08:53:40 ID:???
職人の最大の滋養源は読者のレス。みんな感想言おうぜ
80マロン名無しさん:2006/07/21(金) 09:45:47 ID:???
>>55
チャチャゼロ残酷編15  (副題)

――朝。
神楽坂明日菜は、鳴り響く目覚まし時計を、叩いて止める。
「うーん、もうちょっとだけ……」
もぞもぞした彼女は、しかしやがて気付く。
誰も居ない部屋。自分1人しか居ない、広すぎる部屋。
バイト遅刻するよ、と声をかけ朝食を作ってくれる親友も居ない。
ベッドに潜り込んで来るガキっぽい子供先生も居ない。
口だけは達者な、あの憎たらしいオコジョ妖精も居ない。
掛け値なしに、自分1人きりの部屋。
「……静かだ、な」
なんとも場違いな感想が、明日菜の口から漏れる。

昨日の夕方、荷物をまとめて出て行ったネギ。
なんでも魔法先生たちの命令で、一旦3−Aの面々と距離を置かねばならないのだという。
元々、犯人は「ネギのクラスだから」3−Aを狙っているのかどうか、を確認するための担任停止だ。
それなのに彼が女子寮に暮らし彼女たちと接触を持っていては、意味がない。
なんでも学園都市内の別の学校の教師の所に預けられ、しばらく連絡を絶つとのことだったが……
彼らの狙いを聞かされた明日菜は、それでも納得できていなかった。
そんなことではこの惨劇は止まらない、という、理屈を越えた直感があった。
直感があったのだが――しかし、明日菜は怒る気力さえなくて。
「いってらっしゃい」、小さく微笑んで、ネギを送り出してしまった。

「……こんなに広かったんだな、この部屋……」
明日菜は思わず涙ぐむ。目は冴えてしまっているのに、起き上がるだけの気力が湧いてこなくて。
――その日、明日菜は新聞配りのバイトを、休んでしまった。そんな元気は、とても無かった。
81マロン名無しさん:2006/07/21(金) 09:46:41 ID:???

早朝の麻帆良学園。
朝練の部活の生徒たちがランニングをし、気の早い生徒たちがちらほらと学校に向かう中。
世界樹広場で、しょんぼりとうな垂れる人影が2つ。
中国武術研究会部長・古菲と、新体操部の期待のホープ・佐々木まき絵だった。
「……ネギ君、来ないね〜」
「……来れないと言うてたアルからね」
すっかり日課になっていた、朝の自主練習。
世界樹広場で並行して行われていた、中国拳法と新体操の不思議なコラボレーション。
それが今朝は手すりに座り込んだまま、全く何もしていない。
言うまでもなくそれは、2人の目的であるネギの不在によるものだった。

古菲にとって、ネギは初めて本格的に拳法を教え込んだ一番弟子。
恐るべき吸収力と学習力を持つネギに拳法を教えるのは、当初考えていた以上に面白い体験で。
古菲自身、教える過程で中国拳法の奥深さを改めて認識し始めていた。
毎朝、ネギと拳法の鍛錬を行うのが楽しくて楽しくて仕方なかったのに――
日々繰り返される事件で、どんどんネギはやつれ、暗くなり、そしてとうとう、この半強制的な休職だ。
犯人逮捕の役に立てない自分自身の無力感も加わり、古菲は深く溜息をつく。

一方のまき絵は、こんなところで1人で朝練をするようになったのは、完全にネギが目当てだった。
まき絵にとって大きな転機になった、あの代表選抜。
あれで何かを「掴んだ」まき絵は、その感触を忘れまいとこの自主的な朝練を繰り返していた。
ネギの努力する姿を横目に見ながらの、自分自身の練習。まき絵の演技に、艶が増していく。
……だがそんなまき絵も、同室の亜子が暴漢?に襲われて以来、気分が晴れることはなく。
亜子が退院してからも、彼女の憂いは全く晴れない。

「……つまらないね」
「……つまらないアルね」
バカレンジャーの2人は、顔を見合わせ溜息をつく。なぜ、こんなことになってしまったのだろう――
82マロン名無しさん:2006/07/21(金) 09:47:36 ID:???

早朝の室内プールに、水音が響く。
がらんと人気のないプール。泳いでいるのは、1人の女子選手。
彼女は岸にタッチすると、顔を上げて時計を見る。

「……あと3本くらい、泳げるかな。昨日できなかった分、取り戻しておかないと……」

大河内アキラ。3−Aの生徒の1人。水泳部の期待のエース。
普段は彼女も、こんな時間に泳いだりしない。
彼女が自主的に朝練をしているのは、例の『夜間外出禁止令』のためだった。

高等部などもプールを使う関係上、常に日が暮れる前に部活が終るわけではない。
日によっては、日が暮れてからでないと使えない場合がある。
しかし例の外出禁止令のため、夜の時間が割り当てられていた昨日は、部活が休みになってしまった。
部活動は休みでも、アキラ自身はいつもの練習を休みたくなかった。同量の練習をしておきたかった。
しかし夜の外出は書類提出が面倒だし、許可が下りるかどうか分からない。
そこで、この朝練だった。誰も居ないプールを使っての、自主練習だった。

アキラは再び、泳ぎだす。誰も居ないプールで、泳ぎ始める。
……そんな彼女を、こっそり見守る小さな影が1人。

「……ケケケッ。昨夜ハ ツマンネー結果ニ終ッチマッタカラナ。
 丁度1人デ居ルコトダシ、チョット チョッカイ出シテミルカナ……?」

 15th TARGET  →  出席番号06番 大河内アキラ?
83マロン名無しさん:2006/07/21(金) 10:00:34 ID:???
もう誰もゼロを止められないのか…
84マロン名無しさん:2006/07/21(金) 10:00:57 ID:???
アキラついにキター!!
85マロン名無しさん:2006/07/21(金) 10:23:09 ID:???
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!
86マロン名無しさん:2006/07/21(金) 10:43:36 ID:???
アキラいkたーーーーーーー!!
87マロン名無しさん:2006/07/21(金) 12:13:39 ID:???
昼休みになって覗いてゼロキテター!

でもお前ら(>>83-86)早過ぎw 午前中から何なんだお前らw
88マロン名無しさん:2006/07/21(金) 12:16:11 ID:???
>>87
ヒント:今日から夏休み
89マロン名無しさん:2006/07/21(金) 12:18:09 ID:???
学生諸君はいいなぁ… ちなみに俺は新参者 いじめスレおもしろいよ
90マロン名無しさん:2006/07/21(金) 13:51:07 ID:???
本編じゃまず在り得ない展開だからハマるんだよね。
91マロン名無しさん:2006/07/21(金) 14:17:36 ID:???
今年は夏休みなんてねえよ・・・いじめかよ・・・orz
92マロン名無しさん:2006/07/21(金) 14:21:34 ID:???
ネギ「てめーら今年は夏休みなしだ!わかったかゴラァ!!」
93マロン名無しさん:2006/07/21(金) 15:07:42 ID:???
>>92
それいいね! モラタ
94マロン名無しさん:2006/07/21(金) 18:15:33 ID:???
茶々ゼロがスク水姿のアキラにちょっかいか
プールでスク水姿のアキラがヤられるのを想像しただけで勃ち読みできるじゃないか
毎回毎回楽しみにさせる
95マロン名無しさん:2006/07/22(土) 00:26:38 ID:???
96マロン名無しさん:2006/07/22(土) 00:54:44 ID:???
??
>>95 ウイルスどこ!?
97自殺日記:2006/07/22(土) 10:18:46 ID:???
『残念。遊ばれてたね。』
美砂は変わってしまった。
美砂の眼には感情というものが籠っていない。
食事もロボットのように食パンをかじり牛乳を飲むの繰り返し。
なにを考えているのかもわからない。
一体何が彼女を変えてしまったのか。
そして事件は起こる…


「おはよ、美砂。」
静かに席に座っていた美砂に肩を叩いて声をかけたのは明日菜であった。
このとき明日菜は一瞬茶々丸と似た何かを感じたが、気のせいだと思いたいして考えることはしなかった。
美砂はうざったそうに明日菜の方を向いた。
「あんた、桜子と喧嘩でもしたの?今日も桜子私の部屋に泊まってきたけど。」
「別に…。」
「別にって事ないでしょ!一体何したのよ!」
「だから別にって言ってるでしょ!」
両手を机にたたき付け、明日菜を睨む美砂。
突然の事にクラス全員が目を丸くして二人を見ている。
「な、なによ!」
「あー!うざいっ!私は今、あんたと話す気分じゃないのよ!空気読め!この馬鹿女。」
普段ならば煽りを入れるクラスメートだが、美砂の変貌ぶりにさすがにそんな気分にはならなかった。
「うるさいわね!馬鹿は関係ないでしょ!『あんななんて彼氏に捨てられたくせに!』」
「え?」
98自殺日記:2006/07/22(土) 10:20:54 ID:???
明日菜の言葉に美砂の全ての機能が一瞬フリーズしてしまった。
何故そのことを知っているのかより、何故そんな事をここで言うのかが不思議だった。
『えー?美砂って捨てられたの?』
『可哀想…。』
『でも美砂って案外男を見る目ないね。』
美砂を笑う声と憐れむ声が同時に美砂の耳に入っていく。
『ハハハはは葉刃歯母羽派覇波HAha』
笑うクラスメートたち。
『捨てられたくせに偉そうな事言わないでよ。』
ニヤリと嫌な笑みを浮かべる明日菜。
「い…、いや…。」
『 捨 テ ラ レ タ 』
「いやぁぁぁぁぁ!!」

突然悲鳴をあげる美砂。
「ちょっと…美砂。どうしたのよ!」
明日菜が心配そうに肩に手をかける。
「ちょっと美砂、ど「うるさい!」
明日菜の手を払い除ける美砂。
美砂の目にはもう、怒りしか見えていなかった。
「あ、ああああんたのせいだだだだぁぁぁ!」
美砂の拳が明日菜の顔に飛んでいく。
しかし、明日菜も黙って殴られるほど馬鹿ではない。
美砂の伸びる腕を逆に掴んで簡単に投げ飛ばしてしまった。
投げられた美砂は背中から机に飛び込んでいく。
「キャアアア!」
悲鳴があがり、明日菜はここでやり過ぎたことを反省した。
99自殺日記:2006/07/22(土) 10:23:51 ID:???
「くそっ…くそくそくそくそくそぉぉぉぉ!」
フラフラになりながらもゆっくりと立ち上がり、明日菜を睨みつける美砂。
背中を強打したようで、上半身が曲がっている。
『捨テラレタ捨テラレタ。ハハハハハ』
美砂の頭には自分を見下して、嫌な笑みを浮かべている明日菜が立っている。
「消えろ…。」
手に握られている物に力が入る。
キエロキエロキエロキエロキエロォォォォォ!!
「アスナァァァァ!」
美砂が明日菜に向かって突進していく。
手には鋭い中華包丁が握られている。
言うまでもなく五月の包丁である。
おそらく美砂が机に激突したときに床に転がったのだろう。
「あ!私の包丁…」
五月が気付いた時には美砂はもう明日菜の懐に入っていた。
「アスナァァァァ!!」
クラスメートの叫び声とともに、包丁が風を斬る。
それを紙一重で躱した明日菜は美砂の首に手刀を打ち込む。
「うぐっ…。」
美砂はそのまま膝をついて気絶してしまった。
手からこぼれた包丁が嫌な金属音をたてて床に落ちた。

「あ、明日菜、腕から血が…。」
木乃香の言う通り、明日菜の腕から血がピチャピチャと床にたれていた。
「ああ、こんなのたいした事ないよ。それより…」
100自殺日記:2006/07/22(土) 10:27:05 ID:???
クラスのほとんどが気絶している美砂を見ている。
美砂の変貌ぶりは異常であった。
悪く言えば麻薬中毒者のような…。
クラスのほとんどの生徒が美砂に少なからず気味の悪さを感じているだろう。

「取りあえず美砂を保健室に連れて行って。あと散らかった机も片付けて。」
何を思ったか突然指揮をとり始める明日菜。
「え?明日菜は行かへんの?」
「私はいいよ。たいしたことないし。」
明日菜は持っていたポケットティッシュを傷口に押し当て、それをセロハンテープでぐるぐる巻きにして、倒れた机を直し始めた。
教室の隅では血を見た亜子が気絶してしまい、あーだこーだやっていたが、それはまた別の話。

クラスを元の状態に戻し、授業はいつもどおり行われた。
美砂は結局顔を出す事はせず、ずっと保健室で寝ていたようだ。
五月は早退してしまった。
自分の包丁が明日菜を傷つけたことに責任を感じ、帰る直前まで明日菜に何度も頭を下げていた。

「明日菜さん。少しお聞きしたいことが。」
昼休み、次の授業の準備をしていた明日菜にあやかが近付いていく。
しかし表情はどこか気まずそうだ。
「なに?いいんちょ。」
101自殺日記:2006/07/22(土) 10:29:07 ID:???
「柿崎さんのことを…、その…ネギ先生におっしゃらなくて宜しいのですか?」
刃傷沙汰を起こしたのだから普通ならば当たり前である。
「うん…、いいよ。たいした怪我じゃないし…。」
それを明日菜は拒んだ。
明日菜が言わない理由は魔法が関与している可能性があるからである。
いくら嫌な事があったとしても、包丁を持って襲ってくるなんて異常である。
そして美砂に触れた時に感じた何か。
明日菜にとって見ればネギに言って解決するような簡単な事件ではないような気がしてならなかった。
それにわざわざネギに助けを求めるなんて明日菜のプライドが許さない。
「まぁ明日菜さんがそうおっしゃるなら…。」
あやかは少々不満げな表情を浮かべながらも、大人しく引いてくれた。
しかし美砂の気配には気付いていた明日菜でも、クラス全体の変化には気がついてはいない。
毒はすでにクラス中に回ってしまっていた。


※※※※※※※※※※※※※※※※※

「少し…休憩しようか。」
窓からは夕焼けが差し込み、部屋全体が赤く染まる。
時計は午後の四時半をさしていた。
「そうですね…、お茶入れます。」
102自殺日記:2006/07/22(土) 10:30:10 ID:???
五月は立ち上がると、台所で湯を沸かし始めた。
グツグツと湯が音を立て始める。
高畑は煙草を吹かしながら、段々と暗くなる空を眺めていた。
「ネギ君…、君の生徒達のほとんどが命を落とした。君は今どこにいるんだい?」
高畑の目からは自然と涙がこぼれた。


図書館島捜索から七時間が経つ。
二人は今、図書館島最深部に到達していた。
修学旅行終了後、ネギが夕映とのどかを連れてナギの手掛かりを捜索しようとしたフロアである。
「しかし…、ここはどこまで続くんだ。」
「さすがにちょっとキツイですね…。」
二人とも服が破けてはいないがボロボロである。
おそらく図書館島の罠に引っ掛かった結果であろう。
さすがに二人の顔には疲労が見える。
「ん?」
突然ガンドルフィーニの足が止まる。
「どうしましたか?」
「いや…、なんでもない。(気のせいか…?)」
少し首を傾げながらも歩き続けるガンドルフィーニ。
辺りには光がなく、ガンドルフィーニが持つランプだけが唯一の道を示す物となっている。
しかし光源があるのか段々と周りになにがあるのか肉眼でも微かだが見えるようになってきている。
103自殺日記:2006/07/22(土) 10:32:08 ID:???
「ん?」
今度は刹那の足が止まる。
「どうしたかね。刹那君。」
「…微かですが…、ネギ先生の声が…。」
「なに!本当か!」
烏族の力であろうか。 人間には聞こえない音が彼女には聞こえるようだ。
しかしネギの声が聞こえたのに、刹那はどうも浮かない顔をしている。
「ですが…。どうやら笑い声のようです…。」
「笑い声?」
こんな暗い所で独りで笑っている人など馬鹿か狂人しかいない。
なのにネギ先生の笑い声が聞こえるとはどういう事なのだろうか。
「…行きましょう。」
「…よし、行こう。」
二人は走り出した。

「やはりな…。」
ガンドルフィーニの顔が確信へと変わる。
「どうしたんですか?」
「ああ、どこかで血が流れてる。今は微かだが、段々強くなっていっている。」
「血…ですか?」
「嫌な匂いだ。…頭が痛くなる。」
通路が段々と光が通り、ランプもいらないほど明るくなっていた。
そして二人のずっと先にはここからは小さくしか見えない門がそびえている。
一歩ずつ踏み出すごとに強くなる笑い声と匂い。
果たして扉の向こうにはなにが待っているのか。


刀子が穴をたどって行くと、そこには剣で人間でいう心臓部を串刺しにされ、剣に寄り掛かるように機能停止している茶々丸がいた。
104自殺日記:2006/07/22(土) 10:33:48 ID:???
おそらく少女の穴も木々の穴も全て茶々丸の目のレーザーが貫いたのだろう。
剣に突き刺さっている所を見ると、おそらくは少女はこの剣で茶々丸を刺し、この場を去ろうとしたが、茶々丸の最後の反撃にあい、茶々丸ともども命を落とした。と推測出来る。
しかし目的がわからない。
肝心のエヴァンジェリンもどこかへ消え、何も手掛かりとなるような物がないのだ。
「瀬流彦先生は…。」
そうなると独り残してきた瀬流彦が心配になってきた刀子。
あくまで仮定の話だが、あんな中学生ぐらいの少女が相撃ちとはいえ、超高性能ロボットの茶々丸を倒したのだ。
いくら魔法先生と言えど、出会って無事ですむほど生易しい人々ではない。
刀子は茶々丸から記憶メモリーチップを抜き取ると、もと来た道を走っていった。

空が暗くなっていく。
「なにか食べに行きましょうか?」
五月は冷めた茶を机に置いて言った。
それを聞いた高畑は少し淋しそうな表情をしながらこう言った。
「もう、料理は作らないつもりかい?」
五月は少しためらいながら、ゆっくりと小さく頷いた。
それを見た高畑は煙草を捨てると、懐から薄い長方形の黒いケースを五月に差し出した。
ケースの隅にはリボンで出来た花がつけられている。
105自殺日記:2006/07/22(土) 10:35:49 ID:???
「これは…。」
「葉加瀬君の机の中に入っていた物だ。多分君へのプレゼントだよ。」
黒いケースのなかには立派な中華包丁が入っていた。
光が反射し、刃がキラキラと光っている。
「今は葉加瀬君の遺品だ。大事に保管しておくんだ。それと…。」
高畑は真っ直ぐな目で五月を見据える。
「葉加瀬君がどんな気持ちでそれを君に渡そうとしたか…、是非考えてほしい。」
「…はい。」
小さい。が、力の入った声。
高畑はニッコリと笑う。
「…私が料理…作ります。」
それだけ言うと五月は黒いケースを持って台所に行ってしまった。
そんな五月をいつまでも微笑んで見つめていた高畑であった。


誰もいない世界樹公園。
世界樹に寄り添う形で早乙女ハルナは座っていた。
手には明日菜の自殺日記。
ただし『自殺日記2』と書かれている。
冷たい風が草木をなびかせる。
空には綺麗な夜空にオリオン座が浮かんでいる。
「私…、何がしたいんだろ…。」
明日菜が死んでから不登校になっていたハルナ。
しかし今日の朝、目が覚めると、そこには明日菜の眠る教会の前に立っていた。
私は怖かった。自分が怖くてしかたがなかった。
106自殺日記:2006/07/22(土) 10:37:10 ID:???
知らぬ間に教会まで歩いていた自分に…。
「明日菜…ごめん…。」
ハルナは一言そう言うと、寒い風のなか静かに眠りについた。
107自殺日記:2006/07/22(土) 10:40:15 ID:???
もうすこしで一部完
やっぱり戦闘描写は難しい。
改めてゼロ氏はすごいと実感した。
また所々間違ってるかもしれないので不自然な所があれば言ってください。
108マロン名無しさん:2006/07/22(土) 10:48:00 ID:???
なぜ投下前に見直さないの?
109マロン名無しさん:2006/07/22(土) 11:07:23 ID:???
いや、いちよう見直したが
自信がない
110マロン名無しさん:2006/07/22(土) 12:10:21 ID:???
誤字程度なら脳内補完出来るし、いちいちレス付けなくても大丈夫っすよ
111マロン名無しさん:2006/07/22(土) 15:03:56 ID:???
おもしろいっす!!ハカセはいい子
112マロン名無しさん:2006/07/22(土) 15:04:27 ID:???
おもしろいっす!!ハカセはいい子
113マロン名無しさん:2006/07/22(土) 16:27:13 ID:???
そういや自記ってなかなか感想つかないけど
読んでる人少ないの?
俺読んでんだけど
114マロン名無しさん:2006/07/22(土) 16:51:00 ID:???
読んでいる人というか、住人自体が少ない
115マロン名無しさん:2006/07/22(土) 19:48:59 ID:???
おもしろいよ、かなり
116マロン名無しさん:2006/07/22(土) 20:31:53 ID:???
俺はY太の作品が結構好きだったんだが、最近見ないな
117マロン名無しさん:2006/07/22(土) 20:51:40 ID:???
あいつ今、新婚スレにいるよ。
このスレに見切りつけたんぢゃね?
118マロン名無しさん:2006/07/22(土) 20:52:14 ID:???
それは寂し過ぎる
119マロン名無しさん:2006/07/22(土) 21:26:23 ID:???
Yはいい加減wikiを最新しろよ
120マロン名無しさん:2006/07/22(土) 21:39:15 ID:???
wikiも見限ってます
121マロン名無しさん:2006/07/22(土) 21:59:19 ID:???
Y死ね
122マロン名無しさん:2006/07/22(土) 22:06:31 ID:???
最低なヤロウだ
123Y:2006/07/22(土) 22:17:49 ID:???
ごめんなさい!新婚スレに入り浸っていました!
124マロン名無しさん:2006/07/22(土) 22:22:12 ID:???
おい、お前ら!
Yばっか批判すんな
このザド星人が
125マロン名無しさん:2006/07/22(土) 22:24:10 ID:???
>>123
朝倉いじめは?
126マロン名無しさん:2006/07/22(土) 22:31:32 ID:???
上の香具師らはYを愛してるからこんなこと言ったんだ
許してあげて





俺も言ったけど
127マロン名無しさん:2006/07/22(土) 22:41:50 ID:???
Y氏ね
128マロン名無しさん:2006/07/22(土) 22:44:37 ID:???
Yドンマイ
ただ少しでも手を出したんだから中途半端なことをするのはマズい。
ネウロに逃げんなって言われたろ
129マロン名無しさん:2006/07/22(土) 22:47:24 ID:???
wiki見たが
自記の題が適当っぽくね?
130マロン名無しさん:2006/07/22(土) 22:49:29 ID:???
wikiの自記の『チンピラ』が訂正されてないね
131マロン名無しさん:2006/07/22(土) 22:57:34 ID:???
Ywwwちょwww適当すぎwwwwwww
132Y:2006/07/22(土) 22:59:52 ID:???
>>129
すみません!急いでいたもので!
ネウロ氏すまそ…見限らないで…
133マロン名無しさん:2006/07/22(土) 23:01:16 ID:???
おめーら文句ばっか言ってないでお前らもwiki更新手伝えや。
文句なら猿でもいえんだよ
134マロン名無しさん:2006/07/22(土) 23:02:21 ID:???
>>133
Y以外出来ないんだよ。
残念だったねwww
135マロン名無しさん:2006/07/22(土) 23:03:32 ID:???
>>134
トップページはな
他はできんだろうが
136マロン名無しさん:2006/07/22(土) 23:05:41 ID:???
前、いじれるから大変なことになった気が
137マロン名無しさん:2006/07/22(土) 23:09:12 ID:???

ゼロ書いてる者です。

1つだけ>>80に訂正。
冒頭、(副題)となっているところを、『 人魚姫は泡の中で 』 に変更お願いします。
滅多にやらないミスやっちゃった…… orz


では流れぶった切りですいませんが、アキラ編・後編行きます。
138マロン名無しさん:2006/07/22(土) 23:09:23 ID:???
>>136
あったなぁ
ミラー氏とかアキラ編とか消えてたな
139Y:2006/07/22(土) 23:09:49 ID:???
>>133
荒らし対策で僕しか更新できないようにしているんです…
でも開放したら
 Λ_Λ   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
( ◎◆◎)<  しょぎぃーん
 >   > \_______
 | | |
 (__)_)
です…
140マロン名無しさん:2006/07/22(土) 23:09:57 ID:???
>>82
チャチャゼロ残酷編15  後編

大河内アキラは、泳ぐことが好きだった。
大袈裟かもしれないが、彼女の生きる理由と言ってもいい。
水の感触が好きだった。飛び込みの緊張感が好きだった。ターンの時の水中回転が好きだった。
息継ぎの直前の、息苦しくて気が遠くなりかけるあの感覚さえも好きだった。
3−Aでは珍しく、物静かで自己主張の少ない彼女だったが、それもある意味、水泳があったから。
大声で自己を主張するまでもなく、彼女の中に確固たる軸が存在したから。
プールの中では、彼女は人が変わる。文字通り水を得た魚。

「……これからも朝練、やろうかな……」
泳ぎながら、アキラは考える。
朝早く起きるのは大変だし、前日の夜のTV番組をいくつか諦めなければならないわけだが。
こうして人の居ないプールで泳ぐのは、実に気持ちがいい。
夜間の外出禁止が解けても、時々やろう。時々こうして、泳ぎに来よう。

「……ッ!?」
と、突然に。
彼女の足が、思うように動かなくなる。バタ足が止まり、速度が落ちる。
「攣った?!」
しかし攣ったにしては痛みがない。そして次の瞬間、アキラはさらに驚愕する。
もう片方の足も動かない。手が動かない。腕が動かない。
まるで水の中、見えない網に絡め取られたように、手足の自由が利かない。
もがきかけた不自然な格好のまま、身体がキツく縛られたかのように動かなくなり。
そのまま、沈み始める。プールの底へと、ゆっくり沈んでいく。
141マロン名無しさん:2006/07/22(土) 23:10:32 ID:???
>>137
自殺日記のミスの多さに比べればマシ
142マロン名無しさん:2006/07/22(土) 23:11:06 ID:???
「……!」
アキラは混乱する。
今までも、泳いでいる最中に足が攣ったことはある。ターンで壁を蹴る時、足首を捻ったこともある。
けれど、こんな風に急に全身が動けなくなったことなどない。
そして足が攣った時でも、冷静になって体の力を抜けば、自然と浮かぶものだ。
なのに――今、この場においては、まるで身体が浮かばない。
石のように、沈んでいく。
「ゴボッ……ゲボガボッ……!」
アキラの口から、空気が漏れ泡となって浮かんでいく。
水の中で、ほぼ唯一自由になる頭を振り乱す。帽子が外れ、長い髪が水草のように大きく揺れる。
誰か。誰か気づいて。
心の中で叫ぶが、アキラの中の冷静な部分が、「誰も居るはずがない」という冷酷な事実を告げる。
誰も、助けてくれない。
本気で、死ぬ。
アキラはそして、生まれて初めて恐怖する。水の中という環境に、とてつもない恐怖を覚える。
視界に入るのは煌く水面。あまりに遠すぎる水面。
揺れる黒髪に、自分の口と鼻から噴き出す泡。
視界が霞む。意識が遠のく。呼吸の限界がすぐそこに迫ってきているのを感じる。
「嫌ッ、死にたく、な……!」
アキラの最後の言葉は、しかしゴボゴボという泡になって、誰に届くこともなく、消え失せた。

「……ケケケッ。ホラ、シッカリ泳イデ、自分ヲ助ケナ」
アキラが意識を失ったのを見て、「それ」はようやく動き出す。
水の中に伸びた人形繰り用の糸を操り、アキラの身体を操る。
意識のないアキラの身体が、ぎこちないフォームで泳ぎはじめる。
岸に着き、プールサイドに上がり、そしてその場にゴロンと横たわる。
143マロン名無しさん:2006/07/22(土) 23:11:42 ID:???

アキラの異常、それはもちろん、ゼロのちょっかいによるものだ。
空気中でも不可視の人形繰り用。水に入れば操りにくい代わりに、尚更目につきにくい。
そして泳いでいる最中に糸が絡まれば、溺れてしまうのも当然だろう。
抵抗力を失ったアキラを、操り人形にして水から引き上げて、そしてゼロはアキラの腹の上に飛び乗る。
衝撃で口からゴボゴボと溢れるプールの水。ゼロはアキラの口元に耳を寄せる。
……大丈夫、かなり水を飲んではいるが、息を吹き返した。
元々、殺すのが目的ではない。酸欠で痛めつけるのも目的ではない。
酸欠で、脳に障害が出るようなことになれば、それはそれで面白いだろうが……
今回はゼロにとって、そういう趣向ではなかった。昨夜へし折り損ねた鳴滝姉妹の精神、その再挑戦。

「んッ……ううん……」
「ケケケッ。デハ、始メルカナ」
聞きようによっては色っぽい声を上げ、ゆっくり頭を振るアキラ。
意識が戻りかけ、しかしまだ朦朧としている隙をついて、ゼロは彼女の顔を覗き込む。
精神的に弱くなっている隙間に、邪悪な言葉を、滑り込ませる……!

「……あれ? 私は、いったい……」
――十分後。
大河内アキラは、目を覚ました。そして辺りを見回して、頭を押さえる。
少し記憶が混乱している。
確か、1人で泳いでいて、急に足が攣って(?)、そして溺れかけて……
そしてどうして今、プールサイドで寝ているのだろう。あの状態からどうやって助かったのだろう。
考えるアキラは、そしてふと時計を見て、慌てる。
「あッ、いけない……! もうこんな時間……!」
のんびりしていては学校に遅刻してしまう。シャワーを浴び着替える時間を考えたら、もうギリギリだ。
彼女は慌てて、更衣室の方に走る。
プールの方は、とうとう振り返らなかった。そしてそんな不自然な自分に、気付きもしなかった。
144マロン名無しさん:2006/07/22(土) 23:12:40 ID:???

学校の授業が、淡々と続く。
空席の目立つクラス。覇気のない学級。
アキラはいい加減、もう慣れてしまった。慣れてしまった自分が、ちょっとだけ悲しかった。
今日は隣の史伽の席が空席。姉の風香と共に、昨夜寮の近くで襲われたという。
アキラはぼんやりと、またお見舞いに行かなきゃな、と思う。夕方の部活が終ったら行ってこようか。
慌てて全てを差し置いて病院に行こうとしない自分に気付き、また溜息。
感覚が、完全に麻痺している。最初の犠牲者・和泉亜子の時には、あんなに心配したというのに。

「……え? 木乃香、意識戻ったの?」
「うん、さっき刹那さんから連絡あった。千雨ちゃんも目を覚ましたって。
 まだ調子は完全じゃないらしいけど……お昼休みにでも、ちょっと顔出してくる」
遠くの席で、美砂と明日菜が話している声が聞こえる。
どうやら先週の金曜に襲われた千雨と、土曜に「体調を崩した」木乃香が回復したらしい。
ああ良かったな、と意識の上っ面だけで考える。まるで心が動かない。

たぶんこんな感覚は、アキラだけではないのだろう。
見渡せばクラスに残っている誰もが、暗い顔をしている。余裕のない顔をしている。
……そういえば、休職させられたというネギ先生は、今、どんな気持ちで居るのだろう?
アキラはちょっとだけ気になったが、それっきりだった。


夕方。
アキラは浮かない気持ちのまま、プールに向かう。
「……うん、泳げばきっと、気持ちも晴れる」
根拠のない考えで、自分を奮い立たせる。こういうときは、動いて気持ちを紛らわせるのが一番。
彼女は帽子をしっかり被り、プールサイドに立って……
145マロン名無しさん:2006/07/22(土) 23:13:46 ID:???
「……え?」
グラリ。
煌く水面を見た途端、世界が揺らぐ。
いや違う、アキラの側が眩暈を感じたのだ。貧血の時のような、激しい眩暈。
プールに入らねば。あの水面に飛び込まねば。
そう頭で考えるのに、身体が動かない。眩暈が酷くて、立っていられない。
ガクガクと、膝が震えだす。呼吸が、できなくなる。
「……アキラ?」
「ちょっとどうしたの? 顔色悪いよ、調子悪いの?」
周囲の部活仲間が彼女の顔を心配そうに覗きこむが、アキラは答える余裕がない。
訳が分からない。プールを見ただけで……水面を見ただけで、こんな風になってしまうなんて。
自分の身体はどうなってしまったのだろう。自分の心は、どうなってしまったのだろう。
「これ、これって……こ、こわ」
口に出してみて、初めてアキラは気付く。
怖いのだ。
どうしようもなく怖いのだ。
プールが、水が、怖いのだ。
また溺れたらどうしよう。また水中で手足が動かなくなったらどうしよう。
また沈んで、今度は誰も助けてくれなかったりしたら、どうしよう。
強烈な恐怖が、アキラの足を竦ませる。
「恐怖」という感情を自覚する前に、無意識に身体がプールを拒絶する。

「い……い……いやぁぁぁぁぁッ!」

そしてアキラは、逃げ出した。唖然とする仲間も何もかもほうり捨て、プールから泣きながら飛び出した。
恐怖を自覚してしまった今、プールサイドに残っていることはできなかった。
146マロン名無しさん:2006/07/22(土) 23:14:28 ID:???

「……どうしちゃったんだろう、私……」
逃げ帰ってきた学生寮。アキラは1人、溜息をつく。
こんなことは、一度もなかった。生まれて始めての体験に、彼女はどうしたらいいか分からない。
「……とりあえず、お風呂入ってこよう……」
アキラはのろのろと準備を整え、大浴場へ向かう。まだ時間は早いが、もう入れるはずだ。
汗を流して疲れを取って、さっぱりすればまた考えも変わるはず。
今日はきっと、自主的な朝練で疲れ過ぎていたのだ。
今夜は休んで明日部活のみんなに謝って、また頑張ればいい。きっとみんな許してくれる。
そういえば双子へのお見舞いも結局行かずに帰ってきたけれど、これもまた明日になれば……

ガラッ。
そんなことを考えながら、大浴場の扉を引き開けたアキラは……
瞬間、凍りつく。
湯気の向こうに煌く、広い広いプールのような水面。実に豪華な大浴場。
アキラの動悸が、再び早くなる。眩暈がする。顔が蒼ざめる。膝が笑いだす。
あの浴槽の中で、足が攣ったらどうなるんだろう。また身体が動かなくなったらどうなってしまうんだろう。
目の前に乱れる泡の幻覚が浮かぶ。息苦しくなる。呼吸ができない。
怖い。怖い。怖い怖いこわいこわいコワイコワイコワイコワイ……

「い……いやぁぁぁぁぁぁぁッ!!」

アキラは悲鳴を上げる。入浴道具を撒き散らし、その場を逃げだしてしまう。
服を着る間さえ惜しむかのように、全裸で寮の廊下を逃げていく。
他の寮生の驚きの視線すら、まるで気にならない。全くもってそれどころではない。
怖い、怖い、怖い。1秒だってあんな場所に居られるものではない――!
147マロン名無しさん:2006/07/22(土) 23:15:53 ID:???

――恐怖症。
特定のあるものに対する、過剰な恐怖反応。
精神疾患の一種とされているが、しかしその発生の仕組みは今でも謎が多い。
よく知られるのが、高い場所に対する高所恐怖症。開けた場所に対する広場恐怖症。
そして、海やプールなどに対する恐怖症。「深く広い水」に対する、恐怖症。
単に「何かが怖い」というレベルではない。
恐怖症という精神疾患は、もうその恐怖の度合いと恐れ方が常識を逸しているのだ。
ただアキラの場合、本当にそれは精神医学に言う「恐怖症」なのか? となると……

「……ケケケッ。『刷り込み』ハ上手ク行ッテルミテーダナ?
 楽シイネェ、アアヤッテ右往左往シテルノヲ見ルノハヨ」

小さな邪悪な影が、廊下を裸で走り去るアキラを見送っていた。
茶々丸の頭の上に乗った、チャチャゼロ。ゼロが溺れたアキラにかけた、催眠術。
ある意味、通常の恐怖症よりもタチが悪い。
悪意を持って精神に仕込まれ、悪意をもって構築され、そして、自然に克服されることはありえない。
彼女がこの恐怖を克服することは、決して。

プールの中では、水を得た人魚のようだったアキラ。
しかし今やその水こそが彼女の最大の恐怖。
生きる理由を失い、魂の最大の支えを失い、いずれ、彼女の落ち着きも失われるだろう。
そんな未来を思い浮かべ、ゼロは含み笑いを隠しきれない。

「ケケケッ。ソンナモンニ心ノ拠リ所ヲ求メテルカラ、俺ミタイナ悪イ奴ニ狙ワレルンダヨ。
 今度ハモット安全ナすぽーつヲ選ブンダナ。キャハハハッ!」

 NEXT TARGET → ???
148Y:2006/07/22(土) 23:25:53 ID:???
「んッ……ううん……」 のとこ興奮しました…
149マロン名無しさん:2006/07/22(土) 23:27:31 ID:???
GJ
だがこれで明日は暇だな
どうせ明日は自記もゼロも来ないだろうし
こういう時こそ朝倉いじめが(ry
150マロン名無しさん:2006/07/22(土) 23:44:47 ID:???
だから朝倉いじめはもう終わったって。
過去ログも読めんのかお前は
151マロン名無しさん:2006/07/22(土) 23:50:31 ID:???
お前らY太にばっか負担かけんなよ
Y太、就職失敗してニートになっちゃうぞ
Y太以外でもトップ編集出来るようになんか良い方法無いだろうか?
152マロン名無しさん:2006/07/22(土) 23:50:40 ID:???
本当に暴言がよく飛ぶスレで
153マロン名無しさん:2006/07/22(土) 23:58:27 ID:???
真性のサドが集まるスレだからな

言葉責めハァハァ
154マロン名無しさん:2006/07/23(日) 00:04:17 ID:???
言葉責め…スクデイのあの方は責めたくないな〜。

…責められたいケド。
155マロン名無しさん:2006/07/23(日) 00:06:08 ID:???
ホラ変なのが沸いた
またしばらく荒れるなこのスレ
156マロン名無しさん:2006/07/23(日) 00:10:20 ID:pCXlUQt/
気がついて声を漏らすアキラ
ストリーキングしているアキラ
マジで勃ち読みできた
157マロン名無しさん:2006/07/23(日) 00:13:38 ID:???
陰陽ともども気配が怪しいな
まぁ別に結婚スレがどうなろうが知った事じゃないが
俺あのスレ嫌いだし
158マロン名無しさん:2006/07/23(日) 00:31:36 ID:???
>>155
変なのって誰の事だ?
159マロン名無しさん:2006/07/23(日) 00:33:08 ID:???
うん、別に君がどう思うが勝手だが、わざわざ公言する必要も無いと思うが
160マロン名無しさん:2006/07/23(日) 00:34:00 ID:???
>>158
お前のことだよ
さっさと寝てろ
161マロン名無しさん:2006/07/23(日) 00:55:09 ID:???






   ━そして誰も居なくなった━






162マロン名無しさん:2006/07/23(日) 01:01:57 ID:???
このスレ定期的に荒れるNE!
163マロン名無しさん:2006/07/23(日) 01:03:45 ID:???
やっと静まったか…
さて、ゆっくりチャチャゼロ読んで寝よ
164マロン名無しさん:2006/07/23(日) 01:14:07 ID:???
いじめスレだし暴言が飛び交うのも悪くない ある意味愛情だし
165マロン名無しさん:2006/07/23(日) 01:32:13 ID:???
この流れを見たら、どう見ても愛情があるとは思えないんだが…
166朝倉いじめリターンズ:2006/07/23(日) 01:40:20 ID:???
あらすじ
朝倉は五時間目に教室を出て行ったきり、戻ってくることは無かった。

―帰りのHR
「あれ…?朝倉さんは…いいんちょさん、知りませんか?」
窓側の先頭の席に誰もいないのだから、ネギは不思議そうにたずねる。
「知りませんわ♪お体の具合が悪そうだったので早退したと思われます」
あやかがしれっと答えた。ネギもああそうですかとすっかり信用して
帰りのHRを終えた。

…そして放課後
3−Aの廊下の前に何故か人だかりができている。
「なぁなぁザジちゃーん、ちょっとでええんよ」
その中心にはこのかとザジがいた。
「……(ふるふる)」ザジはかたくなに何かを断っているようだった。
「なぁなぁええやん、悪い事には使わんからぁー」しつこくこのかがせまる。
「貸しときなって、アンタも朝倉みたいになりたいの?」
「このかぁー!?殴ってい!?殴ってい!?」柿崎とアスナが便乗する。
「いや……帰らせて……」
これほどまでザジを困らせるとは、一体このかは何を頼んでいるのだろうか。

「アンタに拒否権なんてないんやえ…?いいから"ゾウ1体"貸しぃや!!」

つづく
167マロン名無しさん:2006/07/23(日) 01:41:08 ID:???
>>164
言う方は良いが、言われた方はキツいと思うぞ。
サドは打たれ弱いんだから。
168マロン名無しさん:2006/07/23(日) 01:43:31 ID:???
朝倉いじめ復活シタ━━━━(゚∀=(゚∀゚)=∀゚)━━━━!!!
169朝倉いじめリターンズ:2006/07/23(日) 02:06:24 ID:???
>>166

―このか一行(柿崎、アスナ他)は曲芸部サーカステントにきていた。
「ほぇー立派なテントやなぁー…」「でっかい猫ー…」「アスナ、ありゃ虎だよ」
「……」
しかしザジは相変わらず何も答えない。これに答えたところで
「うちのおじいちゃんのおかげやえ」と嫌味を言われることはわかりきっていたから。

そして一行はお目当ての"ゾウ"の檻の前に到着した。
「…なんや臭いけど、立派なゾウさんやなー♪」
「こんな近くでゾウ見たの初めてー」「うん○もデカイんだろうなぁー」
一人下品な事を言う者もいたが、素直に喜んでいるようだ。
「……団長に貸してもいいかきいてくる…ちょっと待ってて」
それを見て少し安心したザジ。当然許可が下りるはずは無いが、聞くだけでも聞いてみる事にした。

「………アスナ、やれ」
このかはザジが向こうに言ったのを確認すると、アスナに何かを命じた。
「うん、わかった!……うっおおおお!!」
アスナはゾウの鉄柵をつかむと、破壊を試みた!
「頑張れアスナ!」
「ドムゴォォォォ……!!」さらに力を込めるアスナ…。
『パォォォォォっをン』ゾウがいななく!
どうやらザジに気付かれたようだ。
「まずいえ!アスナ!フルパワーや!」
「っしゃぁぁぁあああ!!!1」
ゾウに勝るとも劣らない掛け声とともに、ゾウを囲う鉄柵が開いた。
「よし!逃げるえ!くーふぇ、ゾウの操縦頼んだえ!」
「お任せアル〜♪」ひょいとゾウの背中に乗ると、いともカンタンに走らせる。
170マロン名無しさん:2006/07/23(日) 07:33:49 ID:???
つまんない
171マロン名無しさん:2006/07/23(日) 08:38:25 ID:???
書いてくれた人には悪いけど、
これは確かにつまらんな、
つか朝倉いじめはもう終わりで良いじゃん
そういやネギいじめがどうたらこうたら言ってけどあれはどうなった?
172マロン名無しさん:2006/07/23(日) 09:30:21 ID:???
続き待ってるからガンガレ!  これからなのに潰すな ばかたれ
173マロン名無しさん:2006/07/23(日) 09:36:37 ID:???
やっぱり荒らしが住み着いたか?
174マロン名無しさん:2006/07/23(日) 10:08:44 ID:???
入院した
しばらくここ来ないんで


自殺日記
175マロン名無しさん:2006/07/23(日) 11:09:56 ID:???
ご愁傷様
176朝倉いじめリターンズ:2006/07/23(日) 12:04:37 ID:???
ごめんなさい、やりすぎました
軌道修正するのでよろしくお願いします

>>174 そんなー(T_T)
177マロン名無しさん:2006/07/23(日) 12:22:06 ID:???
いや、象をいじめにどう使うかわからんからあんなレス付いたんじゃね?
178マロン名無しさん:2006/07/23(日) 12:52:46 ID:???
自殺日記…一体何があったんだ…orz
179マロン名無しさん:2006/07/23(日) 13:00:18 ID:???
夏休みに入院って…
本当に御愁傷だな
180マロン名無しさん:2006/07/23(日) 17:34:44 ID:???
これでゼロとYしかいなくなった…






過疎るなこのスレ
181マロン名無しさん:2006/07/23(日) 18:05:16 ID:???
>>177
踏み潰すに決まってるでしょ
182マロン名無しさん:2006/07/23(日) 21:32:38 ID:???
ちょっと叩かれただけで折れるなよ……。>リターンズ
固定アンチついてるの分かってて始めたんだろうしよ
そういう態度はますますアンチ増殖に繋がりますぜダンナ
183マロン名無しさん:2006/07/23(日) 21:54:19 ID:???
とりあえず

 Λ_Λ   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
( ◎◆◎)<  しょぎぃーん
 >   > \_______
 | | |
 (__)_)

の意味を誰でもいいから教えてくれ
184朝倉いじめリターンズ:2006/07/23(日) 22:07:51 ID:???
>>169

―そして、世界樹広場まで逃げてきたこのか一行。
 途中ザジが追ってきたが、団長に呼ばれてしぶしぶ戻っていった。

『ぱぉぉぉぉん』
ゾウが大きな声でなく。放課後の学生でごった返す世界樹広場では
いささか人目がうるさい。
「よしよし、ええ子やから黙れ?な?」
このかが睨み付けると、ゾウは一発で静まる。
「さてと…これでひとまず準備は整ったえ、ほなアスナ、和美ちゃん呼んでーな」

―アスナはケータイで朝倉に電話をかける。
 しかし何度鳴らしても電話に出ない。
 結局直接寮に行って拉致してきた。―

朝倉がアスナに手を引っ張られながら世界樹広場にやってくる。
「…なんなのさっ!もういいかげ……ゾウ!?」

「うんうん、二次会の始まりやえ♪」
そう言って、このかは天使のような笑顔で笑った。
185大河内アキラ:2006/07/23(日) 22:24:30 ID:???
ニダ!
186マロン名無しさん:2006/07/23(日) 22:25:49 ID:???
すみません誤爆しました。
187マロン名無しさん:2006/07/23(日) 23:18:49 ID:???
自殺日記入院記念?

ゼロ「オイ!自殺日記ガ入院シチマッタゾ!」
Y「どうしよう…。」
ゼロ「コノスレモモウ終ワッタナ。」
Y「そんな…、でも真名スレだって職人一人でがんばってるじゃないですか。」
ゼロ「ダメナモノハダメナンダヨ!ソレヨリオ前、最近コノスレ放ッタラカシテ新婚スレ行ッテタラシイナ。」
Y「それは…すみません!」
ゼロ「オ前ガソンナ態度ダカラ過疎ルンダヨ!」
Y「それを言うなら、ゼロさんだって葱バトロアスレでなにかやってたそうじゃないですか。」
ゼロ「知ラネェナァ。ソンナ話。」
Y「え〜?ホントですか?」
ゼロ「テメェ殺ス」
Y「すいませんすいません。ごめんなさい殺さないで。」





反省してるよ
ゼロ氏、Y氏すいませんでした
188マロン名無しさん:2006/07/23(日) 23:35:25 ID:???
夏だなぁ…
189マロン名無しさん:2006/07/23(日) 23:36:45 ID:???
>>187
せっちゃん虐待氏も入れてやってくれ
190マロン名無しさん:2006/07/23(日) 23:43:59 ID:???
>>189
最近来ないね…
191マロン名無しさん:2006/07/23(日) 23:50:58 ID:???
また自分探しの旅に出たのか
192マロン名無しさん:2006/07/23(日) 23:54:09 ID:???
このスレの住人が欲張り過ぎだよー。筆速い職人に恵まれてるからって
193マロン名無しさん:2006/07/23(日) 23:54:45 ID:???
みんな忘れてると思うけど那婆いじめどうなったんだ
194マロン名無しさん:2006/07/23(日) 23:56:54 ID:???
>>193
ダレソレ?
195マロン名無しさん:2006/07/24(月) 00:07:20 ID:???
>>192
自記は速かったな
最初のころは毎日投下してたし
最近でも二日に一回は投下してたような希ガス
ゼロも多分二日に一回のペースだったような…
196マロン名無しさん:2006/07/24(月) 00:42:15 ID:???
>>194
明日菜とのどかが千鶴の机に那婆って彫り込んだ話
197朝倉いじめリータンズ:2006/07/24(月) 01:08:13 ID:???
>>184

「せっちゃん、世界樹広場からヒト遠ざけてーな」
刹那はこくりとうなづくと、人払いの術を唱える。
みるみるこのか達を囲んでいた野次馬が散っていく。
「…ちょ、ちょっと、私をどーする気!?」朝倉が動揺する。
「あはは、ほな美沙と桜子、和美ちゃん逃げ出さんよーにしっかり押さえとってな☆」
柿崎と桜子が朝倉を羽交い絞めにする。
「わぁっ…離して!アンタ達!こんなことしていいと思ってんの!?」
「……ちょっと、コイツまだションベンくさいよぉー?」
「ほんとだ。ばっちぃーぜ」
「!!」だが柿崎と桜子の言葉を聞いて黙ってしまう朝倉。

「これからもーっと恥ずかしいことしてあげるかんねー♪」

「ぇ……!?」
固まる朝倉。桜子の無邪気な声が逆に恐怖を駆り立てる。

「ほな、いくえー♪くーちゃんよろしくぅー」
198マロン名無しさん:2006/07/24(月) 08:42:48 ID:???
いちいち目欄でコメントしなくていいから
199マロン名無しさん:2006/07/24(月) 11:16:22 ID:???
>>198
いちいちageなくていいから
200マロン名無しさん:2006/07/24(月) 11:23:30 ID:???
目欄でコメントすんなって言うならどこでコメントしろっつうんだよ。
本文に書いたり、後からレスしたりするより100倍マシだろうが
201マロン名無しさん:2006/07/24(月) 11:27:08 ID:???
ウザいからコメントなんてしなくていいです
202マロン名無しさん:2006/07/24(月) 12:05:45 ID:???
今さら感はあるが
このキャスティングはいろんな意味でいじめ
ttp://up.spawn.jp/file/up30471.jpg
203マロン名無しさん:2006/07/24(月) 12:22:43 ID:???
コメントはどうでもいいけど、必要事項くらいは要るな。
204マロン名無しさん:2006/07/24(月) 12:24:30 ID:???
>>202
な ん だ こ れ は
205マロン名無しさん:2006/07/24(月) 12:44:26 ID:???
コメントなんていらないからSSだけ書けばいい
206マロン名無しさん:2006/07/24(月) 12:57:57 ID:???
うはwww何様だよwww
207マロン名無しさん:2006/07/24(月) 13:01:37 ID:???
夏休みだなぁ…
208マロン名無しさん:2006/07/24(月) 13:13:27 ID:???
            三`J

       (  _,, -''"      ',             __.__       ____
   わ   ( l         ',____,、     (:::} l l l ,}       /      \
   は   ( .',         ト───‐'     l::l ̄ ̄l      l        │
   │   (  .',         |             l::|二二l      |  わ こ  .|
       ( /ィ         h        _,;'┴─-┴ニヽ.、   |  は や │
⌒⌒⌒ヽ(⌒ヽ/ ',         l.l       /レ'´       `ヽ、  |  │ つ │
        ̄   ',       fllJ.      //● / , ,、 ヽ ヽヽ ト、 |   ! め │
            ヾ     ル'ノ |ll     /7O j_ノ_/ハHl、_j l lN l       |
             〉vw'レハノ   l.lll    〈7イ ´|/l/   `ヘノ} jrく)jヽ  ____/
             l_,,, =====、_ !'lll   r‐ヶハl  c⌒r─ォ⌒c,ハヽ〉   )ノ
          _,,ノ※※※※※`ー,,,   Y//,ハ>、j>l、_ノ.イレ1l レ′
       -‐'"´ ヽ※※※※※_,, -''"`''ー-、\l l//` ` ̄´ j l レ'
              ̄ ̄ ̄ ̄ ̄       `''ー-、′r。~。ヽ レ'´
209マロン名無しさん:2006/07/24(月) 16:42:43 ID:???
ゼロー!
早く続き書いてくれー!
自記ー!
早く退院しろー!

暇だぁーーー!
210マロン名無しさん:2006/07/24(月) 16:52:31 ID:???
宿題でもしてろよ夏厨
211マロン名無しさん:2006/07/24(月) 17:05:04 ID:???
ふと思ったんだが
病院って携帯使えないの?
自記って携帯厨だし
ここに来れない理由などないと思ったが
212マロン名無しさん:2006/07/24(月) 17:21:57 ID:???
とどのつまりは


           飽  き  た   んだろ
213マロン名無しさん:2006/07/24(月) 17:24:17 ID:???
そうだな
建物の外でなら使えるはず
動けないならまだしもね
214マロン名無しさん:2006/07/24(月) 17:47:20 ID:???
入院報告出来るくらいだから、動けないわけでもなかろうしな


でも入院したくらいなんだから、あんま無茶言うもんじゃないな
215マロン名無しさん:2006/07/24(月) 18:44:07 ID:???
>>211
病院が圏外とか
ただ使わないだけとか
医療機器の関係とか
ただ病室に持ち込まなかったとか考えられないか
216マロン名無しさん:2006/07/24(月) 18:55:22 ID:???
電池が切れて携帯が動かないとか
どうせ病室ってコンセントなんかねーだろ
217マロン名無しさん:2006/07/24(月) 19:42:51 ID:???
病院で使えても普通投下しなくね?
218マロン名無しさん:2006/07/24(月) 20:06:38 ID:???
>>217
それもそうだな
下手したら周りのやつにネギま好きがバレてかなり恥ずい
しかもネギまのSS書いてるなんて知られた日には
笑い者だな
219マロン名無しさん:2006/07/24(月) 22:07:20 ID:???
>>202
ちょwww何これwww
220マロン名無しさん:2006/07/24(月) 23:41:05 ID:???
>>202
全く、キャラと宇宙人同士に共通点が見つからないのだが
何がしたいんだw
221マロン名無しさん:2006/07/25(火) 00:45:59 ID:???
>>220
共通点が見つからない=いじめってことじゃ?

てか風香とかカワイソス
222マロン名無しさん:2006/07/25(火) 01:38:35 ID:???
>>221
無理矢理だなw
223マロン名無しさん:2006/07/25(火) 04:48:27 ID:???
だな
224マロン名無しさん:2006/07/25(火) 09:31:22 ID:???
まったくだ
225マロン名無しさん:2006/07/25(火) 10:09:19 ID:???
っつーかよく見たら単純に宇宙人は登場順に並んでるだけだね。
生徒も出席番号順だから、共通点など無くて当然かw
226マロン名無しさん:2006/07/25(火) 11:26:36 ID:???
なんじゃそらw
227マロン名無しさん:2006/07/26(水) 01:06:36 ID:???
今日はみんなのってないな
休載は自殺日記だけじゃないのか
228マロン名無しさん:2006/07/26(水) 08:49:26 ID:???
みんなネタがないんだね
229マロン名無しさん:2006/07/26(水) 09:59:17 ID:???
そうだね
230マロン名無しさん:2006/07/26(水) 10:00:16 ID:???
プロテインだね
231マロン名無しさん:2006/07/26(水) 10:29:57 ID:???
>>147
チャチャゼロ残酷編16  辿り着く者たち

2週目の火曜日の朝――
近衛木乃香が、目を覚ました。

先週の土曜からだから、ほぼ3日間眠っていたことになる。
その間ずっと枕元につきそっていた桜咲刹那。病院に泊り込んでいた刹那。
彼女は、木乃香が目を開けたその瞬間にも、木乃香のすぐ傍にいた。
「…………あー」
「ッ!? こ、このちゃんッ!?」
「……ここ、どこ……? うち、何してるん……?」
「このちゃんッ! 大丈夫ッ!?」
「……? 誰ー? ……まあええわ。せっちゃん、どこにおるか知らん?」

……この一言が、全てを意味していた。
やがて医師が呼ばれ、目を覚ました木乃香が調べられ、問診を重ねられ……
そして、医師たちは、聞いたこともない珍しい症例に、頭を抱える。
「どうなってしまったんです、お嬢様はッ!?」
「我々も、こんな症例聞いたこともないんだがね……
 おそらくは高次脳機能障害による相貌失認、ということになるのだろうが」
現代医学でも未だ完全には解明されていない、人間の脳機能。
特にその、高次の複雑な機能が侵される障害。
その症状は多岐に渡り、また本人も周囲も気付きにくい障害は多い。
「相貌失認」もまたその症状の1つだが、しかしこんなピンポイントにはっきり出るとは……。

目が覚めた木乃香は、人間の見分けがつかなくなっていた。
相手の顔の特徴を認識し記憶と照合し、目の前の相手が誰かを判断する能力を失っていた。
良く見知った知り合いに会っても、それが誰だか分からない。初対面の他人にしか思えない。
他にも軽い健忘や視覚失認も見られたが、しかし……。
232マロン名無しさん:2006/07/26(水) 10:31:17 ID:???
別の病室では――
長谷川千雨もまた、木乃香とほぼ同時期に目を覚ましていた。
一報を聞きつけ、かけつけた綾瀬夕映が面会する。

「……千雨さん、」
「? 『ちさめ』って誰のことかな、ゆえっちー」
「?!」
「私の名前は『ちう』だぴょん♪ で、ちうに何か用かなー?」
「千雨、さん……!?」

いつも不機嫌そうな様子だった千雨とは180度違う、能天気で突き抜けた陽気な人格。
木乃香の時と同様、あるいはそれ以上にありえぬ症状に、頭を抱える担当医たち。
これもまた高次脳機能障害、ということになるのだろうか。
確かに、性格や行動の急変というのは良く知られた症状の1つではある。
けれどここまで極端な例はそうそうない。自己認識上の名前すら変化するとは。
まるで二重人格の知られざる人格が登場して、それがそのまま固定化したような雰囲気。
軽い健忘の症状もあって、事件前後のことは覚えていない様子。

木乃香の異常も、千雨の異常も――やはり、木乃香の使ったあの『禁呪』が原因だった。
普通では絶対にありえない、『ダメージの分配』。不安定な魔法。
2人はそれぞれに、再び目覚めるだけの回復を遂げることができたが……
その脳が受けたダメージは、深刻だった。深刻かつ、通常ではありえない形だった。
加えて、木乃香には現代医学が把握した症状に加え、大幅な魔力の低下も見られて。

魔法使いの才能を失い、親しい人々をそうと見分ける能力を失った木乃香。
人格が崩壊し、別人と化した千雨。
2人の受けたダメージは、ある意味『精神的な死』と言って過言ではないものだった。
……周囲や本人がそのことを完全に認識するには、今しばらくの時間が必要なようだったが。
233マロン名無しさん:2006/07/26(水) 10:32:21 ID:???

……放課後。
ノートPCを小脇に抱え、図書館島にやってきた夕映は、本棚の前で意外な人物に出くわした。

「あれ? ゆえっちも調べ物?」
「朝倉さん……?」
まさに夕映が調べようと思っていた、『学園史編纂室』の会誌が並ぶ本棚の前。
麻帆良パパラッチの異名を取るジャーナリスト・朝倉和美が会誌のページをめくっていた。
「珍しいですね、こんなところで」
「そっちも珍しいじゃん、パソコン持ち歩いてるなんて。今日は本屋ちゃんのことはいいの?」
「これは千雨さんのものです。のどかについては、気にはなりますが後回しです」
「そっか」
しばしの沈黙。夕映は弱小サークルである学園史編纂室の会誌を、順に追っていく。
……どうやら夕映が用事がある一冊は、今まさに和美がめくっている一冊のようだ。
「……ん〜、やっぱわかんね。『事件』ってのはコレのことだと思うんだけどさぁ」
「何を調べているのです?」
「いやね、さよちゃんが言ってたことなんだけど……」

「ゆえっち、『笑う人魚』って知ってる?」

「…………」
「なんか、15年前の事件と関係があるみたいなんだけど。調べても何も見つかんないんだよねー」
「それでしたら……」
夕映は手にしていたノートPCを起動させる。千雨から聞き出したパスワードで、ファイルを開く。
「『にんぎょ』というのは知りませんが、『笑う人形』なら。時期も丁度、15年前です。
 千雨さんが襲われる直前、調べてまとめかけていた私的なレポートの中に、この通り」
「…………ッ!」
2人は顔を見合わせる。
合致する時期。合致するキーワード。異なる場所から出てきた情報。
探求者2人が、それぞれ真実の断片を携えて、ここに遭遇する――
234マロン名無しさん:2006/07/26(水) 10:33:45 ID:???

夕方の寮の廊下を、素っ裸のアキラが駆けていく。
感情のない目でその姿を見送る茶々丸。その頭上で小さく笑うチャチャゼロ。
2人はそのまま寮の廊下を進んで、とある一室を訪ねる。

「はーい、どなたですかー、って……!」
「ケケケッ。連絡ネェカラ、コッチカラ来テヤッタゼ」
「……ッ!」
葉加瀬聡美の私室。そこに無遠慮に踏み込み、後ろ手に戸を閉める茶々丸。
機械の腕を外した痛々しい姿で、聡美は彼女たちに怯える。
「ほ、報告は、もうちょっとしたらこちらからするつもりでしたー。遅れてごめんなさいですー。
 既に『仕掛け』は完成してますー。あとは茶々丸の側の発信機の改造だけですかねー」
「ケケケッ。ナラ、サッサト始メテクレ。コノ場デ出来ルンダロ?」
「は、はい〜ッ」
何やらゼロの命令で動いていたらしい聡美。
彼女は工具を取り出し、作業を開始する。途中で不自由に気付き、慌てて義手をつける。
カチャカチャと作業を進めていく……

コンコン。ガチャッ。
「おーい、ハカセ。ちょっと聞きたいんだけどさー」
無造作に部屋に入って来たのは、これまた意外な人物。
早乙女ハルナ。図書館探検部の一員にして中学生離れした画力を持つマンガ家。
同じ3−Aの生徒ではあるが、聡美とはほとんど接点のない人間である。
彼女はしかし馴れ馴れしくも部屋に入ってきてから、笑顔で謝る。
「ありゃ、取り込み中だったかな?
 ゴメンゴメン。いやちょっと聞きたいことがあってさー」
235マロン名無しさん:2006/07/26(水) 10:34:33 ID:???

「な……何でしょう?!」
「ハカセのその腕の怪我だけど……本当のとこ、どうなわけ?
 『実験中の事故』とか言ってたけど、本当に事故だったの?」
「は? あの、その、何でまたそんなこと……!?」
単刀直入なハルナの質問。
耳のハッチを開けたままの茶々丸と、壁際に座らされた格好のゼロにも、緊張が走る。
その2人の存在を意識しつつ、聡美はしどろもどろに誤魔化そうとする。
「いや、その、本当に事故なんですけどー」
「ふぅん……。その事故さ、人為的な事件だった可能性ってないの?
 誰かが機械に細工してたとか、そーゆー可能性って」
「はえッ?! いや、そ、そんなことないと思いますー。完全に私のミスですー」
必死に否定する聡美。
ハルナはそんな聡美を、眼鏡の奥からじいっ、と観察して。

「……うん、分かった。ごめんねハカセ、急に押しかけて、変なこと聞いちゃって」
「い、いや、それはいいんですけどー。何で私に、そんなこと……」
「ああ、ちょっと『ある可能性』に気付いちゃってさ」
来た時と同様、さっさと立ち去ろうとしたハルナは、戸口のところで振り返って聡美に微笑む。

「ひょっとしたら、例の一連の事件の被害者、実はもっと多いのかもしれないな、と思ってさ。
 ここ一週間くらい、変になった子多いじゃん。裕奈とか、のどかとか、チアの3人とか」
「……!」
「で、ハカセにもちょっと聞いてみようと思ってさ。でも違うならいいんだ。
 じゃ、また明日〜」

閉ざされる扉。沈黙の戻る室内。
236マロン名無しさん:2006/07/26(水) 10:35:44 ID:???

「……どどどど、どうしましょうゼロさん〜! わ、わ、私……ッ!」
「落チ着ケヨ。コノ程度ジャ何モ心配スルコトネーッテ」

明らかに不審を抱かれたに違いない聡美。ウソのつけない性格。
ゼロを気にして大いに動揺する聡美だったが、当のゼロは軽く笑い飛ばす。
笑い飛ばしながら……しかし、しっかりと現在の危機について認識していた。

普段はふざけているくせに、イザというときには無類の勘の良さを発揮するハルナ。
彼女は鋭敏な直感力と旺盛な行動力を活かして、一歩ずつ真相へと迫りつつあった。
そして真相に到達した時、それは彼女の噂拡大能力によって誰もが知るものとなるだろう。
――危険だ。コイツは危険だ。放置しておいていい相手ではない。
どうやらまだ、茶々丸やゼロへの疑いには至っていないようだが……
この調子では、いつ彼女たちの所まで到達しないとも限らない。

「ケケケッ。不安ノ芽ハ、サッサト摘ミ取ッテオクニ限ルゼ。
 早速、潰シテオクゼ。ケケケッ!」

ゼロは覚悟を決める。
暇つぶしでも歪んだ楽しみのためでもない。
自衛のために、刃を振るってハルナを潰すのだと。
待ち構え好機を見て襲うのではなく、危険を冒してでもできるだけ速やかに潰すのだと……!

 16th TARGET  →  出席番号14番 早乙女ハルナ ?
237マロン名無しさん:2006/07/26(水) 14:00:26 ID:???
千雨に泣いた
238マロン名無しさん:2006/07/26(水) 16:00:27 ID:???
ゼロが降臨してもスレがないとは…
239マロン名無しさん:2006/07/26(水) 16:17:24 ID:???
このかとちうがかわいそう…。パルはどうなる!?朝倉、夕映は!?続きwktk
>>238
レスの間違えでは?
240マロン名無しさん:2006/07/26(水) 16:46:34 ID:???
梅雨の長雨を名前のせいにされる千雨とザジ
241マロン名無しさん:2006/07/26(水) 18:03:18 ID:???
このか…ネギの村もうだめぽ
242マロン名無しさん:2006/07/26(水) 19:00:24 ID:???
パルううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううう
243マロン名無しさん:2006/07/26(水) 23:28:13 ID:???
―5時間目、英語の時間

ネギ「はぁーまだ降ってますよ…雨は嫌いです…特に日本はじめじめしてたまんないですね」
ネギが教室に入ってくるなりため息をついて窓の外を眺める。
あやか「これは梅雨と言って日本では本しゅ(ry」
ネギ「知ってます。今朝このかさんに聞きまーシタ。このかさんは物知りな上
   とてもカワイイデース」
このか「やん、ややわぁネギ君たら♪」
ネギ「では号令お願いします、いいんちょさん」

―授業が始まって数十分後…
ネギ「…ではここの英文の訳、ザジさ…あれ、そういえばザジさんの苗字って…」
あやか「レイニーデイですわね、ネg」
ネギ「知ってますー。アレー、ひょっとしてザジさんが雨をー?」
ザジ「・・・」(ふるふる)ザジは黙って千雨の方を指差した。

つづく
244マロン名無しさん:2006/07/26(水) 23:37:58 ID:???
⊂二二二( ^ω^)二⊃ブーーーン
245マロン名無しさん:2006/07/27(木) 00:13:56 ID:???
>>243
ここでもちうがひどい目にあうんだなw
246マロン名無しさん:2006/07/27(木) 01:20:39 ID:???
>>243

千雨「(ぐっ、あのピエロ!これじゃネギ先生に嫌われちまうじゃねーか!)!!」
ネギ「確かに"千"と"雨"…なるほど…」
千雨「(やるしかない……)先生!!!私は"ちう"です!!」
クラスの視線が千雨に集まる。
ネギ「…??」
千雨「ち…ちうだっぴょーーん!!ネギせんせーよく見てネ☆」
そう言って千雨は眼鏡をはずしてネギにウィンクをした。
ネギ「……!(ち・ちうたん萌え〜ッ)」
クラスメートがドン引きの中、ネギ一人ほほを染めていた。
ネギ「お、おほんっ、ち、ちうさん、後で職員室に来てください、話があります…」
ちう「はーいだぴょーん☆」
ネギ「それからザジさんッッ!!!」ネギはばしっと教卓を叩く。
ザジ「……!!!」
ネギ「返事もできないのかッ、先生は悲しいッ!!!」
ザジ「……」
ネギ「ナンだねその反抗的な目はッ!!!」
247マロン名無しさん:2006/07/27(木) 01:25:28 ID:???
何かが色々とおかしいwww
248マロン名無しさん:2006/07/27(木) 06:13:00 ID:???
続き木盆
249マロン名無しさん:2006/07/27(木) 07:23:56 ID:???
イラネ
250マロン名無しさん:2006/07/27(木) 07:41:21 ID:???
もういいってage男君は
キモいから去れよ
251マロン名無しさん:2006/07/27(木) 09:30:29 ID:???
いいんちょがいじめられてるようにも見えるな













メインはザジだが
252マロン名無しさん:2006/07/27(木) 11:19:08 ID:???
後ろから自転車にひかれて入院してしまったが
無事(?)退院できた。
そのうちまた投下再開します


自殺日記
253マロン名無しさん:2006/07/27(木) 12:07:45 ID:???
退院おめ!無理せずガンガレ!
254マロン名無しさん:2006/07/27(木) 12:43:01 ID:???
自転車かー大変だったな



自転車…(゚Д゚;)
255マロン名無しさん:2006/07/27(木) 12:54:25 ID:???
自転車?
(;゚д゚)

(つд⊂)ゴシゴシ
  _, ._
(;゚ Д゚) …?!
256マロン名無しさん:2006/07/27(木) 13:06:56 ID:???
あるある!
俺もこの前、夜ランニングしてたら自動車に…




( ゚Д)え?自転車?





( ゚Д゚ )





(;゚Д゚)と、とにかく御愁傷様でした!
257マロン名無しさん:2006/07/27(木) 13:23:24 ID:???
自転車を舐めちゃいけない。真面目に自転車との衝突で怪我する人は、少なくない。
結構速度出るし、自動車よりも交通マナー悪いの多いしな。
258マロン名無しさん:2006/07/27(木) 13:43:17 ID:???
俺も自転車に轢かれたことあるけど、痛かったよ
259マロン名無しさん:2006/07/27(木) 15:58:52 ID:???
>>257
確かにマナーは悪いし
けがは多いけど
ほとんど>>258みたいに痛かったで済むだろ
自殺日記の作者は体が弱いのか
しかし退院おめでとう
260マロン名無しさん:2006/07/27(木) 16:09:06 ID:???
>>259
骨折したんじゃね?
入院期間もあんま長くないし
261マロン名無しさん:2006/07/27(木) 16:40:59 ID:???
>246
ちうとザジの仲が悪いのは新鮮だな
俺的には某スレのように仲良しでいてほしいが
262マロン名無しさん:2006/07/27(木) 17:35:09 ID:???
だから他のスレとごっちゃにするなと(ry
263マロン名無しさん:2006/07/27(木) 17:40:09 ID:???
全くだ。むしろつまんなくなる
264マロン名無しさん:2006/07/27(木) 17:52:56 ID:???
>>252
退院おめ!!待ってました!
265マロン名無しさん:2006/07/27(木) 22:19:12 ID:???
>>236
チャチャゼロ残酷編16  後編

最初に襲われたのは亜子。続いて返り討ちにあったらしいあやか。
千雨が3番目で、4番目が五月。そして昨日の夜中に鳴滝姉妹――
一般の生徒が知る「襲撃事件」は、これが全てである。合計、6人。
全て夜中に、寮の外を歩いていた所を襲われたと見られている。

だが、明らかにおかしな「不幸な偶然の一致」が、他にもいくつもあった。
入院した人間が2人。病院の世話になったのが2人。病院にも行かなかった怪我人が3人。
「事故に遭って両足切断の怪我を負った」と説明されている美空。
「急病を発症し関係者以外面会禁止」という処分の続く木乃香。
「ライフルが暴発・破片で目に怪我を負った」と言い張る真名。
「実験中にビームに誤射されて片腕を失った」という聡美。
未だ詳しいことを語らないが、その様子から凄惨なケンカを演じたと噂される美砂、円、桜子。
以上7人の病人・けが人の上に、精神の調子を乱している者も何名もいる。
どう見ても不自然なリストカットを繰り返すようになった裕奈。
唐突に引き篭もりになり、親友の夕映やハルカさえも避けるようになったのどか。
木乃香の入院以来、そのベッドサイドに張り付いて動こうとしない刹那。
感情の起伏が以前よりも平坦になった茶々丸に、和美の目の前から姿を消したさよ。
そして、ついさっき寮で騒ぎを起こしたストリーキング・アキラ……
……ああいや、アキラの場合、露出狂というより、水恐怖症とでも言うべき精神状態だったらしいが。

何かが、狂っている。
それがどこまで同じ根と繋がるものなのかは分からないが、とにかく何かが壊れている。
そして、これらの事件も同じ犯人・同じ原因によるものだとしたら――

――今誰もが信じ、夜間外出を禁じてまで取っている対策は、一気にその意味を失うのだ。
266マロン名無しさん:2006/07/27(木) 22:19:48 ID:???

「……なるほどねー。うん、お騒がせしたね、じゃ、また明日」
「ごめんねー、あんまり役に立てなくて」

ハルナがまた、自分の部屋ではない一室から出てくる。戸口まで見送り、戸を閉める村上夏美。
聡美に続いて話を聞きに行ったのは、あやかと同室の夏美と千鶴のところ。
千鶴の方はあやかのお見舞いに行っていて留守だったが、代わりに残っていた夏美から話が聞けた。
あやかが襲われた状況については、特に新たな情報もなかったのだが……
「夏美の『弟』の小太郎クンが、日曜の夜から『行方不明』、ね……」
日曜の夜、と言えば、五月が襲われ真名が視力を失った時期とほぼ一致する。
やはりコレも、偶然とは思えない。
「うーん、でも、どういう関係があるのか、イマイチ見えて来ないんだよなァ……」
廊下で腕を組んで、考え込むハルナ。
彼女が珍しく「頑張っている」のは、のどかの一件があるから。
もし全てが関係しているなら、何かのどかを回復させるきっかけみたいなものが掴めるはず。
雲を掴むような話ではあるが、何もしないでじっとして居るより、ずっといい。
早乙女ハルナは、友情に篤い女なのだ。

「……早乙女さん」
「うわっ!? びびび、びっくりしたー。いきなり声かけないでよ」
「……申し訳ありません」
背後から声をかけられて飛びあがったハルナは、振り返って相手を見る。
絡繰茶々丸。さっき聡美の部屋に居た人物だ。
いつも通りの、無表情というか真面目というか、ともかく平坦な顔と口調で、淡々と語る。
「少し、お話があります。お時間宜しいでしょうか?」
267マロン名無しさん:2006/07/27(木) 22:20:25 ID:???

「……つまり、ハカセについて突っ込むな、ってこと?」
「はい。一歩間違えば、ハカセの身の危険にも繋がります」
寮の裏手、非常階段の踊り場。
誰にも聞かれたくない話がある、と言ってハルナを引っ張ってきた茶々丸は、淡々と語る。
「元々、工学部に潤沢な予算が下りているのは、極めて政治的な判断によるものです。
 おおっぴらにはできない兵器開発を、ここ麻帆良という閉鎖された環境でこっそり行う……
 具体名は申し上げられませんが、日本のみならずいくつもの大国の思惑が絡み合っています」
「ふむ……」
「そしてハカセのあの沈黙が、これらの裏事情に起因するものであった場合。
 無責任な噂のレベルであっても、そこに深く関わるハカセは、とても危険な立場に立たされます。
 最悪、抹殺されることでしょう。
 下手をすればハカセ1人に留まらず、工学部の優秀な人材が、根こそぎ何十人も」

多少表現を大袈裟に言ってはいるが、茶々丸の話は真実の一端を語っている。
ロボット工学の枠を大きく踏み越えた、各種兵器の開発。武装を組み込まれた茶々丸や田中さん。
これが社会的に問題にならない理由は、1つしかない――既に、根回しが済んでいるのだ。
本来それを咎め、罰すべき立場の人々が、既に知った上で黙認しているのだ。
こんな微妙な話を迂闊に突付いて変な噂でも立てば、それだけで工学部はもうおしまいである。

「…………」
「今言ったお話も、他言無用でお願いします。
 貴女の良識に掛かっている命があるということ、お忘れなきよう」
そのまま、茶々丸は非常階段をトントンと降りて行き、その場を立ち去る。
思いもかけず深刻な話をされてしまったハルナは、踊り場の柵にもたれかかって。
沈み行く夕陽を、ぼんやりと眺める。
「……はぁ〜、どうすっかねェ。これって、爆弾探してたら別の地雷踏んじゃったような感じ?
 黙っていろと言われてもねェ……。私、我慢できるかなァ……」
268マロン名無しさん:2006/07/27(木) 22:21:14 ID:???
夕陽を見て、たそがれるハルナ。
彼女自身、親友のため、のどかのためにと思って動いていたのだ。
同じく「親しい人」のために忠告してきた茶々丸を、無視できるわけがない。
彼女はその場で、大きく伸びをする。凝り固まった肩と思考をほぐそうと、両手を上に挙げて伸びをする。
「んッ……。そうだね、ハカセはちょっと迂回して、別のトコから攻めますか……!」

ひゅんッ。
すぱッ。
……パシャッ。

「……へ?」
そしてハルナは、両手を頭上に伸ばした格好のまま、しばし固まる。
頭上を駆け抜けた風切り音。唐突に降り注いだ赤い液体。パラパラと降ってきた小さい「何か」。
少し遅れてじんわり来た、とてつもない痛み。
ハルナは自分の血を浴びながら、頭上を見上げる。頭上に伸ばした、自分の手を見る。

……右手の指が、綺麗に5本とも、すっぱり切り飛ばされていた。
非常階段の踊り場に、切り刻まれた「指だったもの」が散らばっている。
漫画家の命。彼女の利き腕。物語を紡ぎ絵を書き上げる、何よりも大事な自分の指。
「えっ、ちょっ、嘘っ……ええッ? い、いま私、誰に何されたの……!?」
ハルナは周囲を見回す。けれど何も見えない。誰も居ない。
見えないナイフが飛んできて、指だけを切り飛ばしていったような感覚。ハルナは混乱する。
「わた…私の指ッ!? 私の、手がぁッ!!」

「……ケケケッ。マ、コレデ暫ク、調ベ物ドコロジャネーダロ」
「…………」
エヴァの家に帰る道中。茶々丸の頭上で、ゼロは笑う。
茶々丸を使って人気のない所に呼び出す。真実の一端を明かして相手の注意を惹き付ける。
その上で、小太郎を葬ったワイヤーによる切断術。姿を隠したまま遠距離からゼロがキメる。
作戦の成功に、ゼロはご満悦だった。
自分の才能、生きる目標を理不尽に奪われて、混乱しない人間などいない。
自分のことで手一杯の状態にすれば、他人の心配をする余裕など、失われてしまうはず――
269マロン名無しさん:2006/07/27(木) 22:22:21 ID:???

「ケケケッ。人間ナンテ、ソンナモンサ。結局ハ テメーノコトガ一番可愛インダヨ。
 覚エテオキナ、茶々丸。アンナ連中、信ジテヤッタトコロデ、最後ノ最後ニハ必ズ裏切ルノサ」
「……本当に、そうでしょうか……?」
「ナンダヨ、文句アンノカヨ」
「いえ、別に」
ゼロの殺伐とした人間観に、茶々丸は小さく抗議しかけたが。
結局反論を諦め、黙々と歩く。エヴァのログハウス目指して、静かに歩き続ける。

「……遅かったな、茶々丸、チャチャゼロ」

――ログハウスの前。
腰に手を当て待っていたのは、エヴァンジェリン・A・K・マクダウェル。彼女たちの主人。
エヴァが従者たちの帰りを玄関前で待ち受けるなど、滅多にないことだった。
そしてエヴァは、不機嫌そうな表情のまま、ゼロたちに対して言い放つ。

「血の臭いがするぞ。今度は誰を襲ってきた? 誰の将来を、奪ってきた?」
「ケケケッ。何ノコトダヨ、御主人?」
「今さらとぼけるな、チャチャゼロ。私が何も気付かないと、本当に思っていたのか?
 ……まあ私も、茶々丸がお前の『奴隷』にされてるとは信じたくなかったがな」
静かに語るエヴァンジェリン。
その静けさが、彼女の怒りの深さを窺わせる。冷たい怒りが、その鋭い目に込められる。

真実に近づきつつあったのは、夕映や和美、ハルナだけではない。
ゼロたちの主人も、また――!

「少し調子に乗りすぎだ、このバカモノどもが。
 これはちょっとばかり、手厳しいお仕置きが必要かな? 覚悟しておけよ……!?」

 NEXT TARGET → ???
270マロン名無しさん:2006/07/27(木) 22:26:32 ID:???
とうとうエウ"ァ来るのか…!
271マロン名無しさん:2006/07/27(木) 22:41:12 ID:???
とうとう反乱か!?
272マロン名無しさん:2006/07/27(木) 23:11:33 ID:???
ほんとチャチャゼロは読ませる文章書くな
目が離せんばい
273自殺日記:2006/07/27(木) 23:18:35 ID:???
時計はすでに七時を指そうとしている。
カーテンは閉められ、部屋が蛍光灯で明るくなる。
その下で二人は静かに時を過ごしていた。
あやかはベットの上で起き上がり、本を読んでいる。
その横でパイプイスに座っている小太郎はなにか考え事をしながら下を向いていた。
「なぁ…、あやか姉ちゃん…。」
小太郎の声にしては覇気がない。
「なんですの?」
「…良い知らせと…、悪い知らせと…、すっごい悪い知らせがあんねやけど…どっちから聞きたい…?」
小太郎の様子から本当に悪い知らせだと察したあやか。
本をテーブルに置き、真剣に小太郎を見据えて言う。
「悪い順に聞きましょう。」

小太郎にとってみれば意外だった。
普通ならば良いほうから聞くところだが…もうすでに覚悟が決まっているようだ。
あやかの目の色が違う。
「分かった…。まず、すっごい悪い知らせは…クラスメート全員が死んだ…。」
「え?」
「ちづ姉も…夏美姉ちゃんも…全員…。」
小太郎の目から涙が零れる。
「…あ、明日菜さんは…。」
あやかの声は弱く、微かだが震えている。
「三日前に…睡眠薬を大量に飲んで…。」
小太郎の拳が堅く握られる。
小太郎はネギを疑った。
自分の大事な生徒達が大変な時に奴は…
274自殺日記:2006/07/27(木) 23:19:48 ID:???
そう思うとネギを過大評価していた自分が急に憎たらしくなってきた。
正確には全員死亡ではないのだが、おそらくここは小太郎の聴き違いだろう。
「…明日菜さん。」
あやかはベットの横に置かれている写真に目を通す。
そこには笑顔で笑う幼い日のあやかと明日菜。
悩みなどないと言わんばかりに太陽のような満面の笑みである。
涙は不思議と流れてこなかった。
理由はわからない。
ただ泣こうとしても涙は外へは出てはくれない。

「嫌な事は?」
泣きもせず、聞いてくるあやかに女性の強さというものを知る小太郎。
それは小太郎が今まで生きてきて初めて知る強さであった。
「あやか姉ちゃん…。」
何故泣くべきはずのあやかが泣かず、自分が泣いているのか。
あやかにとってあのクラスはどうでもいい物だったのか…
それは違う。少なくとも友達が死んで泣かないような冷酷な心をこの女性は持ち合わせていない。
…簡単な事だ。自分の心が弱く、彼女の心が強いのだ。
楓やクウネルに負けた理由が少し分かったような気がした。

「ネギが行方不明になった…。」
「…。」
今度は驚くような事はせず、ただ黙って小太郎を見つめるあやか。
275自殺日記:2006/07/27(木) 23:21:01 ID:???
「俺訳分からんわ。担任のネギは消えてまうし…。ちづ姉や夏美姉も死んでしまうし…。」
小太郎は布団に顔をうずめて、声を殺して泣いた。
声を出さなかったのは小太郎なりの男の意地だろう。
そんな小太郎の頭を優しく撫でてやるあやか。
愛犬を可愛がるように優しく…暖かく…
「きっとネギ先生にも色々と事情がおありなんでしょう…。でも、きっと帰ってきます。きっと…だから、それまで涙はとっておきましょう。それまで…」
聖母のような暖かく優しい目が小太郎を包み込む。
小太郎は頭を上げ、あやかの手を振り払い涙を垂らしながら
「あ、アホか!なんで俺がネギに涙見せなあかんねや!」
と、顔を赤らめて言った。
顔は涙でグシャグシャになっているが、いい色をしている。
声も泣いたせいか少し汚くなっていたが、覇気が籠っている。
「決めた!俺はもう泣かん。絶対や。」
袖で涙を拭いながら小太郎は力の籠った声でこう言った。
その言葉を聞いた途端、気がつくとあやかも自然と笑っていた。
何故かはわからない。
小太郎が子供じみた事を言ったからか、それとも久しぶりに生き生きとした小太郎に逢えたからか。それはあやか本人にしかわからない。
276自殺日記:2006/07/27(木) 23:22:03 ID:???
「あ!なに笑ってんねん!俺は本気やで!」
「ふふ…、はいはい。」
「『笑うなー!』」

一瞬、小太郎の声と明日菜の声がダブって聞こえてきた。

「…コタローさんって明日菜さんにそっくりですわね。」
「え?」
風が吹く。
部屋のガラスがガタガタと音を鳴らし始める。
「ふふ…明日菜さん、あっちでも暴れてなければよろしいですが…。」
「あやか姉…ちゃん…。」
ここで初めてあやかは頬を濡らした。
雫は頬を伝い、あやかの手に落ちていく。
「あら…、せっかく…コタローさんが泣かない…っておっしゃったのに…年上の私が泣いていては…もともこうもありませんわ…。」
言葉とは反対に涙はどんどんと流れていく。

小太郎は自分の家族が目の前で泣いているのに何もする事が出来なかった。
抱き締めてあげる。頭で分かっていても自分の意地がそれをさせてくれない。
「(くそっ…俺は無力だ)」
自分の無力さを心のなかで噛み締める小太郎。

『それは逃げでござるよ。コタロー殿。』
『え?』
自分の中にいつの間にか楓が立っていた。
『女性だから本気が出せない。どうすればいいか分からないから、女性が泣いているのに只黙って見ている。それは逃げではござらぬか?』
277自殺日記:2006/07/27(木) 23:24:49 ID:???
『な、なんやと『ネギ坊主は刹那と戦い、多少の手加減はあったものの、ネギ坊主は本気で戦い勝利したでござる。たいしておぬしは修学旅行の時、拙者に情けをかけ案の定負けた。』
『ぐっ…』
小太郎が一番思い出したくない記憶が甦る。
『甘ったれるな!拙者は情けをかけられるほど弱くはないし、お主も情けをかけていいほど強くはない。』
楓の言っていることは全て的を得ている。
結局は勝てば官軍負ければ賊軍。今の小太郎に反論など出来ない。
『今の時代、女性も男性も関係ない。強いものが生き、弱いものは死ぬ。下手に情けをかければ自分だけでなく、大切な物まで失ってしまうでござるよ。』『大切な…物?』
『少しは理性を捨て、本能で生きることも大事な事でござるよ。コタロー殿。』
楓はそれだけ言うと目の前から消えてしまった。
小太郎のなかでなにかが切れた。

「コタロー…さん?」
小太郎はあやかを抱き締めていた。
優しく包み込むように…。
「…葬式、明後日やて…。一緒に行こう…。」
あやかは最初は驚き気が動転しながらも、黙って頷き、それを受け入れた。
こうして静かに夜は過ぎていく。

上巻 終
278自殺日記:2006/07/27(木) 23:31:28 ID:???
今回は文のキレがいつも以上に悪い
ちょっと首を捻る所があるかもしれないがそこはあとで訂正を。
ともかく上巻が取りあえず終了
上中下巻か上下巻かはまだ決めてないけど
次は行方不明の二人中心に書きたいと思う。(多分思い通りにはならないだろうが…)
ただ次はバトル描写ばっかりになると思うけど…
出来ることなら最後までお付き合いしてください。
279マロン名無しさん:2006/07/27(木) 23:33:56 ID:???
>ゼロ&自記

乙!残酷編はいよいよ佳境に入ったのか、それとも・・・・・
自記は中間点(?)に到達。どちらも続きがますます気になるね。
280マロン名無しさん:2006/07/27(木) 23:37:53 ID:???
一時はどうなるかと思ったが、なんとか持ち直せそうだなこのスレ。
281マロン名無しさん:2006/07/27(木) 23:54:54 ID:???
自記ツマンネ
282マロン名無しさん:2006/07/27(木) 23:58:18 ID:???
>>281
おまっwww本当の事言うなよwwwww
283マロン名無しさん:2006/07/28(金) 00:01:05 ID:???
そういう気持ちの時は、黙ってゼロの方の感想を書くんだ
284マロン名無しさん:2006/07/28(金) 00:03:17 ID:???
今ひどい自演を見た。
285マロン名無しさん:2006/07/28(金) 00:05:06 ID:???
嫌ネウロ厨もしつこいね
286マロン名無しさん:2006/07/28(金) 00:27:31 ID:???
どうすれば自記は面白くなるのか話し合おう
287マロン名無しさん:2006/07/28(金) 00:31:37 ID:???
確かに前置きが長くて無駄な描写が多いが、
ツマらんことは無い。
むしろ面白い。レベル高いし
288マロン名無しさん:2006/07/28(金) 00:37:59 ID:???
自記は次に期待
289マロン名無しさん:2006/07/28(金) 05:32:52 ID:???
ねーよ
290マロン名無しさん:2006/07/28(金) 06:10:48 ID:???
自記
ネウロ
291マロン名無しさん:2006/07/28(金) 06:13:56 ID:???
なんの恨みがあるんだろう
292マロン名無しさん:2006/07/28(金) 07:14:00 ID:???
>>290
はいはいすごいね。
君は賢いね
293マロン名無しさん:2006/07/28(金) 08:23:40 ID:???
夏か…
294マロン名無しさん:2006/07/28(金) 10:01:39 ID:???
夏だな
295マロン名無しさん:2006/07/28(金) 10:21:14 ID:???
俺はネウロよりYが嫌い
あいつ人になれなれしい
296マロン名無しさん:2006/07/28(金) 10:32:07 ID:???
お前の事なんか相手にしてないだろうから気にするな。
297マロン名無しさん:2006/07/28(金) 10:46:22 ID:???
295:マロン名無しさん :2006/07/28(金) 10:21:14 ID:??? [sage]
俺はネウロよりYが嫌い
あいつ人になれなれしい
298マロン名無しさん:2006/07/28(金) 14:53:05 ID:???
ここはSS職人を叩く最低なスレ
299マロン名無しさん:2006/07/28(金) 15:20:14 ID:???
今更過ぎる
300マロン名無しさん:2006/07/28(金) 15:32:16 ID:???
>>1-297
偉そうな事言うんだったらテメェらでSS書け!
301せっちゃん虐待7:2006/07/28(金) 18:53:32 ID:???
「・・・ひゅーっ・・・ひゅっ・・・・ひゅ・・・・」
エヴァに激しく暴行を受けた刹那は床の上で生死の境をさまよっていた。
殴打により肋骨は折られ、その状態でなおも殴られ続けたことでさらに、砕かれた骨は肺をズタズタに破いている。
不完全なエヴァの治癒魔法で辛うじて自力での呼吸ができる程度にまで身体は回復されたが、
依然肋骨は折れたまま、肺にも空いたままの複数の穴。
一呼吸するたびに襲ってくる、身体の中で焼きゴテをかき回されるような激痛。
だが、それほどの苦痛と引き換えに得られる酸素は全身が必要としている量にはほど遠い。
気絶しそうな痛みに耐えながら、必死に酸素を求める刹那。
息を吐く時には吸う時とはまた別の激痛に悩まされ、時折喉まで血が逆流してくる。
「げほっ・・・がほっ・・・」
自分の血に溺れかけ、刹那は自分の意思とは無関係に吐血を繰り返した。
その時の痛みと苦しみは、通常の呼吸をさらに一段上回る。
苦しい。思い切り酸素を吸い込み、繰り返し呼吸がしたい。だが息を吸うたびに痛い。吐くのも痛い。もう呼吸などしたくない。
残酷なジレンマと矛盾。どう転んでも苦しむ事となる最悪の需要と供給のバランス。
それでも生きるため、激しい苦痛を伴う呼吸を刹那は酸欠寸前の弱弱しさで行う。
それは永遠にも思える時間だった。けれどその地獄の時間も終わりが近づいく。
刹那の体力、ひいては生命活動そのものの限界によって・・・
302せっちゃん虐待7:2006/07/28(金) 18:54:27 ID:???
目に見えて悪化していく刹那をエヴァは茶々丸に診察させていた。
「破損した両肺が徐々に縮小しています。体温、脈拍ともに一時急上昇ののち、低下・・・・
大変危険な状態です。マスターご判断を」
「状態の悪化に回復が追いついていないようだな・・・肉体だけではなく精神が衰弱しているためか・・・?」
(流石に死なれるのは困る・・・・さて、どうしたものか・・・)
暫し考えた後、エヴァは瀕死の刹那のもとに近づくと、耳元で囁いた。
「おい・・・どうやら近衛木乃香はお前を捨てたわけではなかったようだぞ・・・・?」
その名前を聞いた瞬間。刹那の目に光が戻る。
(くく・・・・この名前はこいつにとっては一種の魔法の呪文だな)
「外に出て魔力の低下した所を狙い、私を殴るとはなかなか大したタマだ。恐らくは気絶している隙に仲間を・・・
ぼーやか神楽坂明日菜あたりでも呼んで貴様を助けるつもりなのだろうな」
続く言葉に刹那の表情は困惑に曇る。あのお嬢様が自分のためにそんな事をしたとは信じられない。
そして、それが事実なら状況は決して楽観できない。
刹那のその不安を代弁するように言葉を続けるエヴァ。
「だが、もしそうならそれは大きな失敗だ。私はその前に意識を取り戻してしまった。
そうなった以上、この空間では私は誰にも負けない。助けを呼んでも無駄だ。
まったく、どうせやるなら二度と意識が戻らぬぐらいやるべきなのにな・・・・
こうなった以上、ここに戻って来るにせよ来ないにせよ奴にも制裁を加えぬわけにはいかなくなったな。
ここでおとなしくしている限り手は出さないと言ったが、約束を破ったのは向こうだ」
最も恐れていた事が現実になる。刹那は暫し痛みも忘れ叫ぼうとした。
303せっちゃん虐待7:2006/07/28(金) 18:55:02 ID:???
ビチャビチャッ・・・・!

だが、ボロボロの身体からは叫びではなく、喉に溜まった血が吐き出さた。
「がはっ・・・・・ゲ・・が・・・・がほっ・・・・」
「おい、無茶するな。本当に死ぬぞ?」
「や・・・めで・・・くだ・・・・さ・・・・そ・・・れだけ・・・は」
弱った呼吸器系から空気を搾り出すように、刹那は懇願した。
消えようとしていた彼女の命の灯は使命感と、そしてわずかな希望によって再び燃え始めている。
重症である事は変わりない。苦痛が消えたわけでもない。だが、先程の死にかけていた人間ではない。
(やはりそうか・・・全くあのお嬢様の事となると死の淵から生還さえするとはな・・・)
エヴァは刹那の生存を確信した。しかし、そうなると彼女は容赦せず、次なる試練を刹那課そうとしていた。
「そうか。やめて欲しいか。なら、貴様にも協力してもらう」
エヴァの言わんとする事がわからず再び困惑する刹那。
「先程言ったように、ここに近いうちに貴様を救うため誰かが来るかもしれん。
ここで私が戦って負けることはありえないが、面倒事は避けたいんだ。
貴様も自分を助けに来たお友達が痛い目に逢うのは嫌だろう?」
刹那は黙って首を縦に振る。
「そこで貴様は、もし誰かがこの中に来ても自分が監禁、拷問されている事を否定し平静を勤めるようにしろ。
とりあえず、私にこってり搾られている・・・という事にでもしておけ。
まぁ、ある意味本当の事だし、貴様さえ普通にしている分には当事者以外はいくらでもごまかせよう」
「わか・・・りました。だ・・・から・・・お嬢様にだけは・・・・」
刹那は他の事など忘却の彼方で、このかの身だけを案じエヴァの言葉に頷いた。
「では、服を着て表に出ろ。その格好では言い訳もできまい」
茶々丸に制服を用意させ、エヴァは刹那を促す。
(ここまで扱い易い奴も珍しいな・・・・くくく)
304せっちゃん虐待7:2006/07/28(金) 18:56:26 ID:???
刹那は実に丸二日ぶりに衣服を着ることを許された。全裸でいる屈辱と不安からはようやく開放されたが
ただ服を着る、という行為ですら今の刹那には激しい痛みを伴う重労働であった。
そして拷問部屋から屋外に出る階段を登る事も、普段の彼女ならそれこそ一足飛びに越えられる距離でさえ
その一段一段登る行為が酷く辛く、長く感じられる。
ようやく、別荘の屋外のテラスに出て椅子に座る事に許さうと、そこに倒れこむ様に腰掛けた。
「はぁ・・・・はぁ・・・・」
拷問部屋からここまで歩いてきただけで、フルマラソンを走ったような息切れ。
そして、今の身体の息切れは地獄の苦しみを意味する。
精神力の回復に比例し、刹那は本来の気力と、不完全ながら効果の持続していたエヴァの魔法との相乗効果で
彼女の身体は短時間で驚異的な回復を見せていたが、それでも先程まで生死の境を彷徨っていたのだ。
本来歩く事など出来ない重症に変わりはない。
「そんな顔をしていられるのは今のうちだぞ。どんな苦しくとも平静を保ってもらわねばならん。お嬢様を守りたいならな。
・・・しかし『そんな顔をしていられるのは〜』という言葉を辛い顔をしている人間に用いるのは少し不自然だな」
苦痛に顔を歪ませる刹那を愉しそうに眺めながら、来るかも分からぬ招かれざる客をエヴァは待った。
305せっちゃん虐待7:2006/07/28(金) 18:57:07 ID:???
時間は外の時間で少し遡る。
エヴァの推測は概ね当たっていた。表に出たこのかの次に行った行動は、助けを呼ぶこと。
まだ別荘内にはエヴァの従者である茶々丸がいる。自分一人では刹那を救出することはできない。
そのため、このかは救いを求めて走った。
エヴァと対等に話せる数少ない人物である自分の祖父である学園長。
刹那とは仕事仲間で、高い戦闘力を持つ仕事人であるクラスメイトの龍宮真奈。
さまざまな人間が頭によぎるがそれでも彼女の頭に最初に浮かび、そして助けを求めに行ったのは
彼女の担任である一人の少年の元だった。

「・・・・ネギくん・・・・!!」
息を切らしながら障子を開くこのか。
そこは、まほら武道会において龍宮神社拝殿内に設けられた臨時救護室。
「このかさん・・・どうしたんですか!?」
このかの切迫した表情と声、そして血に汚れた彼女の衣服に尋常ならざるものを感じたネギは立ち上がる。
医務室にはネギの他にベッドの上で全身に包帯を巻かれ死に掛けている神楽坂明日菜の姿があった。
「ギギギ・・・・」
これは刹那たちをさらう前の試合でエヴァ(スク水ネコ耳Ver)にボコボコにやられたものである。
306せっちゃん虐待7:2006/07/28(金) 18:58:16 ID:???
うめくアスナを他所に、このかはネギに助けを求めてきた。
「助けて・・・・せっちゃんを助けて・・・・」
ネギは、ひとまず彼女を落ち着かせ、自分も極力冷静さを失わぬよう事態の把握に努める。

「・・・・・話はわかりました!行きましょう・・・・師匠がそんな酷い事をしているとは信じたくありませんが・・・」
「ギギギ・・・・!(現に私が酷い目に逢わされてるだろうが!)」
「あ・・・忘れてた。アスナ、今ウチがなおしたるよー・・・」
こうして、回復したアスナを含めた3人はエヴァの別荘に向かう。しかしその間に別荘の主は目を覚まそうとしていた。

余談ではあるが、まほら武道会準決勝第ニ試合のカードは 
ネギ・スプリングフォードvsエヴァンジェリン・A・K・マクダウェル。
エヴァが会場に現れなかったため、大会記録上はネギの不戦勝となったが
皮肉にも同日中に非公式の場でこの対戦が実現する可能性が生まれていた。


307せっちゃん虐待7:2006/07/28(金) 18:59:38 ID:???
またしても間が空いてしまって申し訳ない。

自転車で人轢いちゃって警察の厄介になってました。
308マロン名無しさん:2006/07/28(金) 19:05:56 ID:???
ギタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!
309マロン名無しさん:2006/07/28(金) 19:10:57 ID:???
自転車…
自記も自転車で怪我だったよな…









( ゚Д゚)
310マロン名無しさん:2006/07/28(金) 19:29:15 ID:???
>>307
犯人はお前か!w
311マロン名無しさん:2006/07/28(金) 20:51:34 ID:???
(;゚д゚)

(つд⊂)ゴシゴシ
  _, ._
(;゚ Д゚) …?!
312マロン名無しさん:2006/07/28(金) 22:06:44 ID:???
せっちゃん虐待氏はコメントがいちいち面白いなw
313マロン名無しさん:2006/07/28(金) 22:31:26 ID:???
>>306
せっちゃんせっちゃん…
このちゃんこのちゃん…
314マロン名無しさん:2006/07/29(土) 09:35:10 ID:???
内容は好きだがそういうたちの悪いレスは好かんな
315マロン名無しさん:2006/07/29(土) 09:52:39 ID:???
細かいこと気にする人だなー
316マロン名無しさん:2006/07/29(土) 17:04:11 ID:???
317マロン名無しさん:2006/07/29(土) 17:20:24 ID:???
キタコレ
318マロン名無しさん:2006/07/29(土) 17:42:27 ID:???
しかし人いねーな
319マロン名無しさん:2006/07/29(土) 18:07:09 ID:???
フィギュメイトで遊ぼう!
320マロン名無しさん:2006/07/29(土) 21:34:45 ID:???
―夏休み

あやか「………」
??『プルル…プルルルル…プルルルル』
あやか「出ませんわね…うぅ…」
??『もしもしー!?どしたいいんちょ!!』
あやか「あ、朝倉さん?今からわたくしと一緒に南の島にでもいきまs」
朝倉『あーごっめーん!今アスナ達と海で遊んでんだよね…きゃっ、ネギ君やったなぁー!待てぇプツッ!!』
あやか「あ、あの!ちょっと朝倉さん!?」
『ツーッ…ツーッ…ツーッ…』
あやか「……ふっ…ひっぐ…わたくしも誘って欲しかったですわ…今年も一人の夏休み…」

※ちなみに夏美と千鶴は二人で旅行に行った。コタロもネギに同行
321マロン名無しさん:2006/07/29(土) 21:48:38 ID:???
終わり?
322マロン名無しさん:2006/07/29(土) 21:49:24 ID:???
ネギ「いいんちょさんってハミってんすかwww」
323マロン名無しさん:2006/07/29(土) 21:52:46 ID:???
あやか「…ぐすっ、泣いている場合じゃないですわ!今年こそ、今年こそ…」
??『プルルルル…プルルルル…がちゃりっ』
あやか「あ、こんにちはまき絵さん!」
まき絵『んー、どしたいいんちょー?』
あやか「い、今お暇ですか?」
まき絵『暇だよー☆珍しいねーいんちょから電話来るなんて』
あやか「そ、そうですか?あの、よろしかったら今からプールなんてどうですか?」
まき絵『おー!いいねいいねー行く行く!ちょっと待って、亜子達にも聞いてみるから』
あやか「(嫌な予感…)は、はい」
―2秒後
まき絵『ごめーん、ちょっと亜子とアキラが行けないって…また今度誘ってねー…』
あやか「そ、そうですか…残念ですわ…」
※電話越しの会話
亜子(いーからいーから風邪って言って!いんちょなんかと行きとーないわ!)
アキラ(私もちょっといいんちょとは…疲れるし…)
まき絵『(わかった!)ごめんねー…二人とも風邪ひいたみたいなのー…』
あやか「わ、わかりました…ではまた今度…(丸聞こえでしたわよ…)」

あやか「………今年の夏も2ちゃん漬ですわね…」
324マロン名無しさん:2006/07/30(日) 00:46:57 ID:???
あやか夏厨だったんかww
325マロン名無しさん:2006/07/30(日) 00:54:56 ID:???
ひょっとしたらあなたのスレにもあやかが…
326マロン名無しさん:2006/07/30(日) 02:12:43 ID:???
2ちゃんですら居場所が無いいいんちょさん
327マロン名無しさん:2006/07/30(日) 04:44:53 ID:???
腹いせにネウロを叩くいいんちょ
328マロン名無しさん:2006/07/30(日) 08:16:30 ID:???
いんちょモエスwww
329マロン名無しさん:2006/07/30(日) 09:43:41 ID:TfrDG2vy
    
                      ,.イ′
                     /,'
                  / .,.'.r-、
                   i { !  `ー‐--、__
               , ヘ 「i!    i、    ̄ヽ  オナニーってなんですか?
             ,. ',´  ヽリヾ=ト _  ヽ 丶、  ヾ ‐、
            , ' ., '  / , ! `ト-ュ二 ‐'--丶_  ',', 丶     
          ,.'  /  .//テl  ! ヽ  ̄i iー ┬` l i ヽヽ
.         / 〃  // 〃.!   ト、ヽヘ  i,ヽ  l   i !  i ヽ   
         ,.' .//  /メ‐ ナ  ! │ ヾ¬─トヾ.、 i   i ト  ! ヽ
          /.,ィ,.,'  〃  _   ',  !  `、 `、 ! ',丶!.  i l !  |  `,
.        ,'./ i7!  ,´ ,イ外ミ  ', ! ´,チ┬ヽ  '., i  | | l  ト、  ',
       i,' |!.|   ,' i/ !´ !    i |  ,!ー'  ト、  ', l  l !. i | !.  !
         i|.l  ,' .i |! l_    ',i  i    j i  'i|   リi ! li ト、 i
          !| ハ ,! ヽr' ヽ‐-、,r‐ 、, !、 /  i!  l!. l--、i |i.i | ヽ!
            | ,' i  丶.ノ   ゝ ノ  ー'      i. ,!、i } | i!  !
          il  i、                   !,'丿' /| !──‐ュ
           !  \   マ' ¬、      U   '´! _,.イ    二三. _
                丶     丿        ,ィ´:ア/     、-─ '´
                    \        , ‐'´ レ'T´     ヾ‐ 、
                  丶 _,.. - '´     ヒ─-、   r、 ヽ
                     /i       ア   ヽト、 i  ` `
                ┌‐:ァ'´ i !   ,. ‐'´   , -`ー=┐
                    ノ く   「! ,. '´,. -─ '´       
330マロン名無しさん:2006/07/30(日) 10:35:45 ID:???
>>327
はいはい
面白いよ
331マロン名無しさん:2006/07/30(日) 14:24:31 ID:???
ハブられて2ちゃん漬けになるいいんちょモエス
332マロン名無しさん:2006/07/30(日) 15:05:44 ID:???
>>330は いいんちょ
333マロン名無しさん:2006/07/30(日) 15:26:35 ID:???
―夕方
コタロ「ただいまぁー!いやーやっぱ夏は海やなー!」
朝からネギ達と海に行っていたコタローが帰ってきた。

―あやか部屋
あやか「あわわ…コタロー君が帰ってきた……なんなんですの!?これ!?」
『厨房ホイホイ』。あやかはブラクラを踏んであわてふためいていた。
コタロ「おーい、あやか姉ちゃんなにやっと……す、すまん!!!」
なぜかコタローは慌ててドアを閉じた。それもそのはず…
あやか「…?!あああああ!!!!1わたくしったらもう生きていけませんわー!!」
なんとあやかは下はパンツ一枚、上はTシャツという腐女子そのものの
格好をしていた。しかも見ているサイトは2ちゃんねる…。
あやか「あ…あ………どうしましょうどうしましょう…」

あやかピンチである。
334マロン名無しさん:2006/07/30(日) 16:30:35 ID:???
あやかwww
335マロン名無しさん:2006/07/30(日) 18:26:04 ID:???
腐女子化したとは言えいいんちょの格好を想像したら勃った
336マロン名無しさん:2006/07/30(日) 20:20:00 ID:???
>>333
コタロ「なぁなぁあやか姉ちゃん入ってえーか?」
実はコタローも隠していることがあった。ネギの前では大人ぶって
かっこつけている彼であるが、実は家の中では千鶴でさえ
手を余すほどの甘えん坊のエロりん坊であった!特にあやかはなつかれているようである。
あやか「ま、待ってください!いまズボンをh」
コタロ「ばーん!待ちきれへんわぁーええやんええやん♪」
コタローが制止も聞かず部屋に侵入する。
あやか「あぁ!!だめですわ!出てってください!」
コタロ「まぁまぁ!パソコンでなに見とったん?」
聞く耳持たずでコタローがPCをいじくる。
コタロ「なんやブラクラに引っかかっとったんかいな。こんなんリセットで無問題や」
あっという間にPCを強制終了して再起動をかける。そしてブラウザを開くと
履歴を見て驚く。
コタロ「なんやあやか姉ちゃんもvipperだったんかいなwははぁーん…」
コタローはベッドに乗っかっているあやかを見るといじわるな顔で笑った。
あやか「??なんですの…?ズボンはきたいので出てってくださる?」
337マロン名無しさん:2006/07/30(日) 20:24:15 ID:???
あやかはネラー
338森山直太朗:2006/07/30(日) 20:24:26 ID:???
犬上小太郎 死ね!
339マロン名無しさん:2006/07/30(日) 23:38:20 ID:???
とりあえず…

そろそろこのスレは、夏厨が沸いてるみたいなのでこのスレは

━━━━━━━終了━━━━━━━
340マロン名無しさん:2006/07/30(日) 23:41:10 ID:???
夏厨が居るという理由だけで打ち切るスレなんて初めて見た
341マロン名無しさん:2006/07/30(日) 23:56:21 ID:???
>>339
「このスレは」を二回も使うなよ…
日本語でおk
342マロン名無しさん:2006/07/30(日) 23:56:59 ID:???
あやか「ス…スレが終わってしまいますわーっ」
コタロー「うっさいわあやか姉ちゃん」
千鶴「肛門にネギを挿入されたいのですか?あやか」
夏美「いいんちょが大声出すからはぐれメタル逃げちゃったじゃーん!」※言いがかり
あやか「あぅ…すみません…」
コタロー「大体居間のPCで2ちゃんなんてやんなや気持ち悪い!」
夏美「ホントホント!いい加減言いふらすよ!」
343マロン名無しさん:2006/07/31(月) 00:12:09 ID:???
居間でやってんのかよww
344マロン名無しさん:2006/07/31(月) 01:45:58 ID:???
いいんちょの肛門にネギ入れてあげたい
(´Д`;)
でもどうせいいんちょにネギを入れるなら玉ネギを入れてあげたい
345マロン名無しさん:2006/07/31(月) 03:04:28 ID:???
玉ネギが取り出せなくなって焦る血津流
346マロン名無しさん:2006/07/31(月) 18:09:20 ID:???
千鶴がいいんちょの肛門にネギを入れる・・・・・

あやか「千鶴さん、やめてください!そんなの入れたら裂け、あぁっ・・・・・」









あやか「ひ、ひどいですわ・・・、(´;ω;`)私のお尻にネギ先生を入れるなんて・・・・・」

なんて展開を想像して勃ってしまった
(´Д`;)ハァハァ
紛らわしくて不快に思った人スマソ
347マロン名無しさん:2006/07/31(月) 21:58:35 ID:???
>>336

コタローは急におとなしくなってキーボードをたたき出す。
あやかは気になったが、ひとまずズボンをはかねばなにも
できないのでベッドからそーと降りるとクロゼットに向かった。
が、その瞬間、あやかを閃光が襲った。
あやか「うひゃ!?」
コタロ「…へっへへ!!これで俺はうp神や!wwwうぇっうぇw」
あやか「ちょ……ちょっとコタロー君!?何をする気ですの!?」
パンツ姿をデジカメにおさめられたあやかは慌てる。
コタロ「俺のたてたスレにうpするんや!はっはは!」
あやか「…!?や、やめてください!!」
コタロ「やだネ〜♪これで俺は神になれるんや!>>1天才!ひゃほー!」
あやか「や、やめてよぉ…ひっぐ…お願い…うっぅ…」
あやかはその場にペタンと座って泣き出してしまった。
コタロ「あ、あやか姉ちゃん!何も泣くことは…」
あやか「ぐすん…」
コタロ「(…ゴクリ、まじかわええな…あやか姉ちゃんは…)」
コタローは普段は絶対見せないあやかの年相応の弱気な姿に興奮を覚えた。
348マロン名無しさん:2006/08/01(火) 08:31:11 ID:???
>>269
チャチャゼロ残酷編17  過去からの呼び声

 ――それは、いつのことだったか。
 エヴァもチャチャゼロもまだまだ今ほどの力のない頃だから、相当昔だったことは確かだ。
 おそらくはゼロが生まれて間もない頃。エヴァが百年生きたかどうかといった頃。

 「……お前は、私を裏切らないよな?」

 降りしきる雨の中。夜の森の中。
 屍の山を前に、エヴァは背中を見せたまま呟く。
 まだ弱かったエヴァが、必死の想いで倒した敵。つい先日まで、彼女の仲間だったはずの人間たち。
 エヴァの身を染めるのは、返り血だけではない。『再生』の追いつかない傷からの血も混じる。
 夜の闇に包まれた中、エヴァの表情はよく見えない。

 人々が吸血鬼を恐れる気持ちは分かる。悪の魔法使いを恐れる気持ちは分かる。
 しかしどうしてここまで裏切られ続けるのか。誰も彼女を受け入れてくれないのか。
 人間など信用できない。魔法使いたちも信用できない。自分以外の誰もが信用できない。
 ……その絶望が、彼女をして「人形使い」の道に進ませた。
 吸血鬼の真祖たる彼女なら、いくらでも簡単に血族を増やし部下とすることもできたはずだが……
 望まずして吸血鬼になった彼女自身の過去と、人間たちへの嫌悪と不信が、それを拒ませた。
 自ら人形を作り、下僕とする術。目の前の屍たちと違って、決して裏切らない下僕を得る術。

 そしてその人形作りのスキルを最大に注ぎ込んだ、「己の意志」を持つ稀有なる人形は。
 エヴァの絞り出すような問いかけに、小さく短く、こう答えた。
 エヴァの背後、主人の弱々しい背中に向かって、嘲るようにこう答えた。

 「……オマエモナー」

349マロン名無しさん:2006/08/01(火) 08:31:53 ID:???

命ある人形・チャチャゼロは、エヴァンジェリンに『作られた』存在である。
だからエヴァの『命令』には逆らえない。そしてエヴァに対して明確な『嘘』はつけない。
――これは、ゼロの普段の様子を知る者にとっては、少し意外な事実かもしれない。

エヴァの『参謀役』たることを期待されているゼロは、自由に意見することが許されていた。
1人では見落としてしまうものもある。多角的な視点が有効な局面もある。
そのため、主人から独立した視点を持ち独立した判断力を持つ存在として望まれたのが、ゼロという人形。

その延長として、ゼロには独自の判断で行動を起こす自由もある。
何らかの命令がない限り、勝手気ままに時間を過ごす自由がある。
知ること全てを報告せずとも良い自由すらある。
実際、過去のいくつかの危機において、ゼロの判断が生死を分けたこともあったのだ。
普段の軽口や不忠な態度も、それらの成果があればこそ大目に見られてきたのだ。

ただし――
それでもゼロは、根本的なところではエヴァには逆らえない。
「ゼロがそうと信じる限りにおいて」エヴァに決定的に不利な行動はできない。
「ゼロがそうと信じる限りにおいて」エヴァ本人のためになると思われることしかできない。
エヴァンジェリン本人の意見と対立することは、日常茶飯事でさえあったが。
根本的なところでは、ゼロはエヴァを裏切れない――

――裏切れない、はずであった。

だからこそ、エヴァンジェリンは怒る。
この10日ほどの、チャチャゼロの好き放題な暴れぶりに怒る。
エヴァンジェリンの信頼を裏切り、勝手にクラスメイトを襲ったゼロに怒る。
350マロン名無しさん:2006/08/01(火) 08:32:25 ID:???

「……確かに私は半月ほど前、貴様の問いにこう答えた。
 『あの能天気な連中の1人や2人、欠けたところでどうでもいい』と。
 だがこうも言ったはずだぞ? 『しばらくは自重しろ』と。
 クラスから死人を出さなければそれでいい、というものではないのだ」
エヴァは溜息をつく。
目の前の従者2人は、片方は完全に無表情、片方は張り付いたような歪んだ笑み。
どちらも表情の変化に乏しいから、説教を真面目に聞いているかどうか、イマイチ分かりづらい。
エヴァは手ごたえのなさを感じつつ、言葉を重ねる。
「一言で言えば――貴様らは、やり過ぎた。
 本当に1人や2人で済ませておけば、私だって大目にみたものを。
 半分以上を傷つけて、魔法生徒どもを殺害し、無用に魔法使いどもを挑発して……
 とうとう、ぼーやは隔離されて、修行どころではなくなってしまった。
 適度で抑えておけば、ぼーやのやる気を出すの役にも立ったろうに。
 ゼロ、貴様はやり過ぎだ。いくらなんでも、調子に乗りすぎだ」
「ケケケッ。要スルニ、アノガキ取リ上ゲラレテ怒ッテルノカヨ」
魂さえ凍りつくようなエヴァの怒りの声に、ゼロはしかし不敵にも笑ってみせる。
夜の闇よりなお暗い、虚ろな穴のような両の目でエヴァを見下ろす。
茶々丸の頭上に乗ったまま、自らの主人を上から見下ろす。

「御主人ノ本音ガ ソウイウコトナラ、俺ニモ考エガアルゼ――茶々丸」
「はい、姉さん」
ゼロの合図を受け、茶々丸が手袋を脱ぐ。ロボットの手の関節を隠すための薄手の白手袋。
脱いだソレを、茶々丸はエヴァンジェリンに向けて投げつけて――

「決闘ダ、御主人。支配権ヲ賭ケテノ、『契約』ニ基ヅイタ決闘ダ。
 御主人ニハ――貴様ニハ、コレヲ断ル権利ハ ナイハズダゼ?」
351マロン名無しさん:2006/08/01(火) 08:33:00 ID:???

――『契約』。そして『決闘』。
これは実は、先に述べた「ゼロはエヴァから独立しつつも裏切れない」という呪縛とも関連している。

「絶対の忠誠を誓う代わりに、主人が『それに相応しくない存在』に堕した時、逆の立場となる」――
これは、高度な霊的存在と契約を結ぶ際などによく使われる条件である。
召喚した高位の悪魔などを隷属させる代わりに、主人が悪魔より劣る存在となった時、立場が逆転する。
悪魔を使役する者が、悪魔に使役される者と化す。
より強い方が主人。優れた者が主となる。優れていると思うからこそ忠誠も誓える。
この緊張感が主人・部下ともにより高い能力を発揮することに繋がる。
そしてまた、契約がひっくり返らずにいる限り、裏切りなどの心配をする必要もない。
独自の判断や思考をさせ、参謀役として使役することも可能になる。

チャチャゼロの場合、エヴァンジェリンに作られた存在ではあったが。
その期待された役割と高い霊格から、この条件が与えられていた。
『エヴァンジェリンがチャチャゼロの主人として相応しくない存在となった場合、主従が逆転する』
……ただし、『相応しくない存在』という条件は、実に曖昧なものだ。どうとでも取れる単語である。
何かしら線引きをしておかないと収拾がつかない。

そこでゼロには、下克上を賭けた『決闘』を申し出る権利が与えられていた。
互いの全存在を賭けた、真っ向からの勝負。これに勝てばゼロが新たなる主人。
ただし負ければ、ゼロの精神から「反抗しよう」という意志が大幅に削り取られることになる。
そして申し出る権利があるのはゼロだが、条件を設定するのはエヴァの側の権利。
場所から時間から勝利条件から、全ては「今現在の主人」であるエヴァが優先的に決めることができる。
何かしら強大な外敵が居る場合には、延期を申し出ることも許されていた。

数百年共に歩んだ人生の中、ゼロがエヴァにこうして『決闘』を挑んだのは過去に3度。
いずれもエヴァの側の、辛勝であった。
最強のはずのエヴァが柔術や魔術などの鍛錬を欠かさないのも、常に身近に『強敵』が居たからだ。
352マロン名無しさん:2006/08/01(火) 08:34:00 ID:???

――そして、『決闘』を申し込まれたエヴァの方は。
「……ふ。ふふふ。ふふふふふ」
俯いたまま、エヴァは笑う。
茶々丸から投げつけられた手袋を握り締め、壮絶に笑う。
そしてガバッと上げたその顔には、燃え上がるような怒り。
つい先ほどまでの冷たい怒りとはまた異質な、激しい、焼けるような怒りの表情。

「いい度胸だ、チャチャゼロ。私の叱責に弁解するどころか、『決闘』を持ち出すとは――
 確かに前の『決闘』から百余年。そろそろ『契約』の効力も弱まってきていたか?
 ――良かろう。貴様の性根、我が手でもって叩き直してやる。従者の務め、思い出させてやる」
「ケケケッ。今度コソ、貴様ノ負ケサ。ドッチガ主人ニ相応シイノカ、思イ知ラセテヤルヨ」
エヴァのログハウスの前に、緊張が走る。睨み合う主従。
エヴァはそして、壮絶な笑みを浮かべたまま、2人に背を向ける。
「――時間は1時間後。場所は『別荘』の中。塔の上の闘技場で、どちらかが敗北を認めるまで、だ。
 ゼロ、貴様が茶々丸を『使う』のもいいだろう。好きにしろ。
 その代わりこちらも『人形たち』を使わせてもらうぞ」
「ケケケッ。好キニシナ」

バタン、と戸を閉じてログハウスの中に消えるエヴァ。
1時間の準備時間があれば、「魔法使い」としてのエヴァは用意万端整えることができるだろう。
魔力に満ち、常に満月の昇る『別荘』という環境なら、エヴァの能力も最大限に発揮される。
また現在では事実上『別荘』内でしか使えないエヴァの『人形たち』も、実は相当な強敵でもある。
片方が敗北を認めるまで、という条件では、不意打ちやトラップで手っ取り早く倒すこともできない。
ゼロたちにとって、かなり絶望的な条件の中。しかしゼロは、不敵に笑った。

「ケケケッ。計算通リダナ。場所モ条件モ、コッチノ予想通リ。
 今度コソ下克上、キメサセテモラウゼ――!」


 17th TARGET  →  出席番号26番 Evangeline.A.K.McDowell ?
353マロン名無しさん:2006/08/01(火) 10:45:41 ID:???
オマエモナー
354マロン名無しさん:2006/08/01(火) 11:53:26 ID:???
チャチャゼロムカツくなー
エヴェにゃんヤッちまってください!
355マロン名無しさん:2006/08/01(火) 14:04:47 ID:???
最早2次創作のレベルじゃねぇな これは
356マロン名無しさん:2006/08/01(火) 15:27:16 ID:???
実はプロだったりして…
357マロン名無しさん:2006/08/01(火) 15:32:22 ID:???
キャラを崩壊させずあくまで本編設定のまま
新たな世界観を構築している所が凄いな。
358マロン名無しさん:2006/08/01(火) 19:33:34 ID:???
最近ゼロも自記もなかなか現れなくて
盛り上がりにかける
359マロン名無しさん:2006/08/01(火) 21:26:34 ID:???
現れたその日にそれを言うか
360マロン名無しさん:2006/08/01(火) 21:35:11 ID:???
もりあげていっきましょー
361マロン名無しさん:2006/08/01(火) 21:53:11 ID:???
続ききぼんぬ
362マロン名無しさん:2006/08/02(水) 11:39:49 ID:???
まあそう焦るな、大人しく待ってれば投下されるよ、
363マロン名無しさん:2006/08/02(水) 12:44:43 ID:???
自記が最近全く来ない件について
364マロン名無しさん:2006/08/02(水) 16:50:32 ID:???
自記って轢かれて死んだんじゃ無かったっけ?
365マロン名無しさん:2006/08/02(水) 17:11:24 ID:???
なぜ自記は叩かれてんだ?
ていうか>>364は最低だな
366364:2006/08/02(水) 17:24:03 ID:???
叩いた訳じゃないんだよ
ごめんね自記しゃん
367マロン名無しさん:2006/08/02(水) 17:27:05 ID:???
どうせ補習と予備校の嵐にでも巻き込まれてんだろ
そっとしてやれ
368マロン名無しさん:2006/08/02(水) 19:09:18 ID:???
ありがち
369マロン名無しさん:2006/08/02(水) 22:53:24 ID:???
ネギ達に阻止され結局未来に戻ることができなかった超。
結局失敗に終わった超の計画はいたずらに学園中を混乱させただけだった。
魔法先生たちは直ちに超を退学させようとしたが、ネギ必死の
懇願でなんとかそれはまぬがれた。だが―

『超いじめ』

超、学園祭事件後から始めての登校。ネギの考慮で一緒にクラスに
行くことになった。
「おはーようごーざいます!」
ネギが元気よく扉を開ける。その後ろを超がうつむき加減でついて行く。
「学校辞めたんじゃなかったの!?」「マジふざけんなや・・・」
「中学最後の学園祭だったのに…」「一生許さないッ」
次々に超に投げかけられる汚い言葉…。ある程度は予想していたが
さすがの超も眉をひそめた。
「皆さんやめてください!クラスメートにそんなことを言ってはダメですー!」
ネギが教卓を叩きながら怒鳴る。
「超さんは…その…と、ともかくっ!今度超さんにそういうことを言ったら僕が許しません!」
まさか超の計画を口に出すことをできないネギ。それは火に油を注ぐようなものだった。
「ネギくーーん!?なんでそんなヤツの肩もつのさー!」「ネギ君もグルなのー!?」
370マロン名無しさん:2006/08/02(水) 23:00:19 ID:???
なんでクラスメートどもは超が麻帆良祭を荒らした事を知ってるんですか?
371マロン名無しさん:2006/08/02(水) 23:08:56 ID:???
>>370
思考力の無い人ですな
372マロン名無しさん:2006/08/02(水) 23:10:57 ID:???
こりゃハカセやサツキも苛められるのか、それともちゃっかり連中は超を売って難を逃れたのか
373マロン名無しさん:2006/08/02(水) 23:22:45 ID:???
>>369
wktk
374マロン名無しさん:2006/08/03(木) 00:11:38 ID:???
>>372
五月関係ないじゃん
むしろ超裏切ったし
375マロン名無しさん:2006/08/03(木) 01:15:14 ID:???
そうだ、そういやさっちゃんは超を裏切ったんだ
376マロン名無しさん:2006/08/03(木) 01:43:37 ID:???
>>369
うまく説明できないネギはあうぅとオロオロする。
「ネギ坊主…もういいヨ。私今日は帰るネ…」
「ち、超さん…!!だめですー!」
立ち去ろうとする超の腕をつかむネギ…
「「わわわ!」」
その時、体勢を崩した超がネギに覆いかぶさってしまった!
「痛タ…す、すまないネ、ネギ坊主…」
「い、いえー僕の…方こそ…(超さん…寂しそうな顔…抱きしめてあげたい…)」
見つめあう二人…。だが、このタイミングはあまりに悪すぎた。
「超さん?いつまでそうしているつもりなんですの?」
「あ…いいんちょサン…?」
見上げると、そこにあやかが立っていた。
「超さん…わたくし達があなたをこのまま帰すとお思いですか?」
顔は笑っているが、その殺気は隠しきれない。
「ネギ先生?超さんはわたくし達が責任を持ってせっかn、教育しますわ!ネギ先生は
 安心して仕事をしていてください。ではきりーつ!」
勝手に号令をかけて朝のホームルームを終わらせる。
「さ、ネギ先生、次に教室に来るのは5時間目ですわよね?」
あやかがクイッと顔を動かす。すると運動部四人組がネギを取り囲んだ。
「ばいばーいネギ君ー♪」「授業がんばってーな」「しばしの間さよならだネギ先生」
強引にクラスから追い出されるネギ。
「あうー、超さーーん!!」
「ネ、ネギ坊主っ…」
377マロン名無しさん:2006/08/03(木) 08:42:14 ID:???
一体どうなってしまうのか!?











すまん さっきまでようつべでガチンコ!見てたんだ
378マロン名無しさん:2006/08/03(木) 16:58:58 ID:???
>>352
チャチャゼロ残酷編17  過去からの呼び声 中編

 ――屍の転がる戦場跡を、2人で歩く。
 1人、先を進む金髪の少女。数歩遅れて、その後を追う小さな人形。
 人形は呟く。主人にも聞こえぬ声で、小さく呟く。
 「オ前ノ味方ハ、俺ダケダ。ドコマデ行ッテモ、俺ダケダ」
 人形は少女の後を追う。彷徨い続ける少女の後を、どこまでも追い続ける。
 少女が夢を、諦めるまで。
 誰かに受け入れてもらえるかもしれない、という、儚い希望を捨てるまで――

 ――南海の孤島に、2人で住む。
 1人、無数の「魂なき人形」たちの奉仕を受ける少女。その脇に控える小さな人形。
 人形は呟く。主人にも聞こえぬ声で、小さく呟く。
 「オ前ノ味方ハ、俺ダケダ。ドコマデ待ッテモ、俺ダケダ」
 人形は少女と共に戦い続ける。少女を討ちに来た「覚悟ある者たち」と、どこまでも戦い続ける。
 少女が待つのを、やめるまで。
 誰かが別の目的で訪れてきてくれるかもしれない、という、儚い希望を捨てるまで――

 ――はぐれた主人と合流した時、しかし、そこに居たのは主人だけではなかった。
 1人、勝手に歩く男。その後を数歩遅れて追う少女。さらにその少女を追う、小さな人形。
 人形が居ない僅かな時間のうちに、一体何があったのか。
 長き生を生きてきたはずの不死者が、まるで初恋に狂う乙女のようで。
 人形は呟く。主人にも聞こえぬ声で、小さく呟く。掠れるような声で、小さく呟く。
 「オ前ノ味方ハ、俺ダケダ。ソイツジャアナイ。俺ダケナンダ」
 人形は少女の後を追う。伝説の男を追う少女を、どこまでも追い続ける。
 少女が目を、覚ますまで。
 目の前の男が少女の味方になってくれるかもしれない、という、儚い希望を捨てるまで――
379マロン名無しさん:2006/08/03(木) 17:00:03 ID:???

南海の孤島を模した『別荘』の中に、波の音が響く。
空には真ん丸な満月。この『別荘』の夜空には、常に満月しか昇らない。
満月の下には、巨大な塔。塔の頂上には、中央にオベリスクを抱く闘技場。
エヴァンジェリン・A・K・マグダウェルは、静かに目を閉じ、『敵』の到着を待っていた。
手を開いたり閉じたりしながら、己の身に集まる『魔力』の量を確認する。

エヴァンジェリンが扱える魔力は、4つの要素によって大きく変わってくる。
1つは呪い。1つは月齢。1つは吸血行為。そして1つが、周囲に満ちる魔力量である。

サウザンドマスターに敗れ、その身にかけられた『登校地獄』の呪い。
麻帆良学園に仕掛けられた、エヴァ1人をターゲットとした電気仕掛けの『学園結界』。
この2つの呪いによって、エヴァの魔力は2重に封じられ、押さえ込まれている。
何らかの形でこの学園都市を離れることができれば、これらの影響は即座に消えうせるのだが……。

また、魔に属する彼女は、月齢に応じて大きく魔力が変動する。『人間』の魔法使いにはない特徴だ。
満月の時が最高。新月の時が最低。月の満ち欠けに応じて、扱える魔力量が変わる。

さらに彼女は、吸血鬼として誰かの血を吸うことで、己の魔力を増幅することができる。
もっとも血を吸うためには牙が伸びてなければならず、牙を伸ばすのにもまた魔力がいる。
ある程度の魔力を扱える時期にのみ、僅かに増幅ができる程度だ。あるいは、消費した魔力を回復させるか。

そして最後に、周囲に満ちる魔力量。これはエヴァに限らず、魔法使い全てに共通するもの。
この『別荘』は、学祭期の麻帆良学園にも劣らぬ魔力の充溢を実現している。
常に昇るのは満月、というのも、魔法的異空間ならではの仕掛けである。

これらの条件、全て合わせれば……
この『別荘』内なら、エヴァは触媒薬なしでも魔法を扱うことができる。
全盛期ほどの威力もないし魔力総量もそう多くはないが、それでも『外』とは比べ物にならない。
380マロン名無しさん:2006/08/03(木) 17:01:30 ID:???

もっとも――
エヴァが魔力を扱える、ということは、ゼロもまた自由に動けるということでもある。
こちらも全盛期には程遠いだろうが、それでも十分達人レベルの動きをすることだろう。
これが『契約』に基づく『決闘』でないのならば、エヴァの側からの魔力供給を全てカットする手もあるのだが。
残念ながら、「互いの実力を比較する」という『決闘』の趣旨もあり、それは禁じ手とされている。

「だが……それでも、私が有利なはずだ。奴もそれは分かっているハズ……」
エヴァは呟く。
互いの手を知り尽くした両者。2人の間には、下手な小細工は通用しない。
そして柔術にせよ人形繰りにせよ、ゼロの技は全てエヴァの劣化コピー。
ナイフ格闘術のように、ゼロだけが使える技もないわけではないのだが……
しかしそれら全てを合わせても、エヴァが持つ「吸血鬼としての能力」に果たして及ぶものかどうか。
それが技術的なモノならゼロも技を盗むことができるが、身体的な特性に由来するものはどうしようもない。
もし今のエヴァに不安要素があるとすれば、それは……
「やはり、茶々丸か。奴の自信もそこにあるのだろうしな……」
魔力を封じられ身の危険を感じたエヴァが、葉加瀬聡美たちのチームとの取り引きで獲得した従者。
魔法的な動力源と魔法の知識を提供する見返りに、自分が受け取ったロボット兵器の試作1号機。
確かに、魔法の使えぬ普段のエヴァにとっては、恐るべき敵だ。だが……
「この空間なら、私にとっては大した敵でもない。手の内も分かっているしな」
そう、実はあまり怖くもない。
万が一にも聡美たちが裏切った場合を考え、対茶々丸戦の思考実験も何度も繰り返している。
普段の魔力がない状態では、状況によっては逃げるしかないかもしれないが……
今のエヴァなら、あの茶々丸をも叩きのめすことができる。この『別荘』の中なら、なんとでもなる。
マントをまとい、満月の下、エヴァは待つ。従者どもの到着を、待ち続ける。

「……遅いな。まあ、外での数分の差が、こちらでは大きく伸びるからな……」
381マロン名無しさん:2006/08/03(木) 17:02:24 ID:???

 チャチャゼロは、エヴァのエゴから生まれた存在である。
 エヴァ1人のエゴのみから、生まれた存在である。

 普通の命は、両親の愛の行為の果てに生まれる。
 あるいは愛のない性欲の果てに生まれる場合もあるかもしれない。望まぬ妊娠もあるかもしれない。
 けれど少なくとも、ほとんどの場合において、両親2人の想いと行為の果てに命は生まれる。
 また想いと行為さえあれば生まれるというものでもなく、いくつもの幸運と偶然が必要となる。
 「授かりもの」などと言うように、人間の意志とは無縁の、運命としか呼びようのないものも関与する。
 人間だけではない、動物も、怪物も、亜人間も。大抵の命はそうやって生まれてくる。

 チャチャゼロは、そうした自然の摂理に反して生まれてきた存在だった。

 孤独には耐え切れず、さりとて他人を血族に加えることも選べなかったエヴァ。
 そんな彼女が、魔術の粋を尽くし気の遠くなるような魔法儀式の果てに、命なき人形に宿らせた命。
 それが、生き人形・チャチャシリーズのゼロ番目、チャチャゼロである。

 だからゼロは、エヴァを許さない。
 エヴァの裏切りを、決して許さない。

 子は親に似る、という。
 不自然なる生を授かったゼロもまた、エヴァンジェリンの人格の一側面を反映した性格を得た。
 ただし――今現在のエヴァンジェリンの人格、ではない。
 ゼロを作った、その当時の想い、その反映。
 あれから時が流れ、エヴァの考え方も性格も少しずつ変わってはいったが。
 ゼロは、変化しない。変化できない。成長できない。
 人形の体が成長しないように、その魂もまた、自然な成長は望めない。
 エヴァンジェリンの後ろをついて歩きながら、ひたすら、少女の背を注視し続ける――
382マロン名無しさん:2006/08/03(木) 17:03:33 ID:???

――『別荘』の中。
転送の『門』の中に、2つの人影が出現する。
チャチャゼロと、茶々丸。どちらもナイフや銃などで、完全武装状態。

「……デ、例ノ仕掛ケ、効果出ルマデ、アト何分カカルンダヨ?」
「予測では通常時間で1分弱、『別荘』内体感時間で22分です。±1分程度の誤差は含みおき下さい」
「ッテコトハ、奴ノ猛攻ヲ20分以上耐エナキャナンネーノカヨ。タマンネーナ」
「……申し訳ありません、姉さん。システム的な問題なものですから」
何やら囁きあいながら、橋を渡る。
橋の向こう、巨塔の上の闘技場には、腕を組んで挑戦者を待つ、エヴァンジェリンの姿。
普段のちょっと間抜けな愛すべき吸血鬼少女の雰囲気など、微塵もない。
射るようなその冷たい視線だけで、心臓の弱い者は倒れかねない、そんな緊張感。

「……遅かったな。準備はいいか?」
「アア、モウチョット時間欲シカッタンダガ……仕方ネーナ」
「では――始めよう! 勝負だ、チャチャゼロ! 茶々丸!」

エヴァンジェリンが、バサリとマントを跳ね上げる。その手が宙を掻くように動き、細い糸が煌く。
そして糸の煌きに応じるように、闘技場の外周部に次々と跳び上がってきた人影。
メイド服に身を包んだ、長身の女性たち――エヴァの『人形たち』だ。
チャチャゼロの『妹』。茶々丸の『姉』。それが、ざっと見ただけでも20体以上。
手に手に大剣や斧、槍や石弓などの武器を持ち、闘技場の上のゼロと茶々丸を、グルリと取り囲む。
圧倒的な数の差。それでも、ゼロは笑う。

「ケケケッ。15年越シノ『裏切り者』ニ、己ノ罪ヲ思イ知ラセテヤルゼェッ……!」


 NEXT → ???
383マロン名無しさん:2006/08/03(木) 17:58:04 ID:???
ゼロに制裁を…ッ!エヴァがんばれ!
384マロン名無しさん:2006/08/03(木) 18:14:29 ID:???
>>376
キーンコーンカーン…
タイミング良くチャイムが鳴る。
「ネギ坊主…ネギ坊主…」超がネギの名前を何度もつぶやく。
これで完全に孤立無援となった。
「ッシャ!やっべーわくわくが止まらない!」
お祭り娘のゆーながぶんぶんと腕を振り回す。もっともこれから始まるのは血祭りだが…。
「夕映、アイツまだネギせんせーの名前呼んでるよ…?もういないのに…w」
のどかが超の表層意識を読み取る。のどかも超に強い恨みを持つものの一人だ。
「私、一発蹴りいれてくるー」
「のどか…落ち着くです!ここは皆の出方を見るですよ。でしゃばった真似を
 すると…あの通り」
「キャッハハハ!どう?私のキック力!?」
美空に強力な蹴りをいれられた超が床でのたうちまわっている。
「そい!そぉい!そーーい!!!ヒャオジョアホア!」
「春日さん?邪魔ですわよ…?」
「なにいってんのいいんちょぐぇッ!?」
ゆーなのするどいパンチが美空のボディにめりこむ。
「勝手な行動は許さないにゃ♪」
「な…にすんねん…」
385マロン名無しさん:2006/08/03(木) 18:29:00 ID:???
>>382
17th TARGET  →  出席番号26番 Evangeline.A.K.McDowell ?
ではなく
NEXT → ???
と出たということは・・・・・?
386マロン名無しさん:2006/08/03(木) 18:52:34 ID:???
勝負はまだわからないッ!
邪魔が入るのかも!?
387マロン名無しさん:2006/08/03(木) 19:03:36 ID:???
>>384
美空ってほんと悲惨なポジションだナw
388マロン名無しさん:2006/08/03(木) 20:09:58 ID:???
>>387
永久欠番の存在しないはずのキャラなんだから
出してもらえるだけいいよ
389マロン名無しさん:2006/08/03(木) 21:15:31 ID:???
ゼロ→ワイヤーで両足チョンパ
自記→のどかに秘密をバラされ、龍宮にボコられる。最終的に誰かに殺される
真名スレ→いいんちょうを笑い、いいんちょうにボコられ、それ以降出番さえ剥奪された。
超→空気を読まずに超に攻撃。裕奈に殴られ悶絶

さて誰でしょう。
390マロン名無しさん:2006/08/03(木) 21:19:01 ID:???
は?そんな目にあった奴なんかいたっけ?
391マロン名無しさん:2006/08/03(木) 21:46:13 ID:???
これこそいじめスレの流れ
392マロン名無しさん:2006/08/03(木) 22:07:50 ID:???
美空は来週大活躍だよ
393マロン名無しさん:2006/08/03(木) 22:08:24 ID:???
>>384

気絶した美空は掃除用具箱に突っ込まれ存在を無かったことにされた…。
「あ…あ…」
「わかったですか?のどか。あなたも気をつけるですよ…」

―1時間『化学』。
「…ハイ今日はフナの解剖をします。後ろの方に水槽があるので各班2匹ずつ
 すくってください」
394マロン名無しさん:2006/08/03(木) 22:39:54 ID:???
これはヒドスwww
395マロン名無しさん:2006/08/04(金) 03:38:07 ID:???
美空美空って知らない名前挙がってるけど誰だよ
マジで教えて
396マロン名無しさん:2006/08/04(金) 03:40:50 ID:???
このスレのオリキャラじゃないの?
俺も良く知らないけど
397マロン名無しさん:2006/08/04(金) 04:39:50 ID:???
>>395
永久欠番の出席番号9番を補完するために創造されたこのスレのオリキャラ
いじめられる役所が多いため、いたずら好きの短髪陸上少女(魔法生徒)という、
萌えないようで萌えると見せかけて実の所はやっぱり萌えないキャラになっている
398マロン名無しさん:2006/08/04(金) 09:23:13 ID:???
結局萌えないのかw
399マロン名無しさん:2006/08/04(金) 12:11:11 ID:???
>>396-397
dクス
400マロン名無しさん:2006/08/04(金) 14:10:55 ID:???
>>393

生徒達は一斉に後ろの水槽に走り出す。
「ッシャーッ!一匹ゲットォォォ!」「テメッ!ヨコセッ!」
化学室の水槽は大抵臭い汚いキモい?の3Kであるがここも例外ではない。
のはずなのだが…今の彼女達は血をみたくてウズウズしているようだ。

一方超は…
「ハカセ、五月、店まかせっきりですまなかたネ」
五月:はやくサバきたいなーフナ…
「五月…?」
五月:ついでにあなたも…
「やっぱり解剖は人間でやったほうが勉強になりますよねー」
「へ……んぶっ!?」
呆然とする超に突然生臭い水がぶっかけられた。
「ケホッ、ケホ…うっぉぇえ!!」あまりの臭さに戻しそうになる。
「おっとと、すまないアル!手がすべって…」班長のくーふぇだ。
フナの入っていた水槽の水をおもっくそひっかけたのだ!
思えば最も超を恨んでいるのはくーふぇかもしれない。
吐き気を催す邪悪とは(ry
「フンッ、お前にはその姿がお似合いアルな。臭いから半径1メートル以内に近づくなアル」
五月:うっ!私も吐きそう…フナと間違って解剖しちゃいそうだー
401マロン名無しさん:2006/08/04(金) 17:29:05 ID:???
>>400

「わぁー…まだピクピクしてるぅー、人間もこのぐらいやっても死なないのかなー…」
内臓があらわになったフナをみてつぶやくのどか。
「は、ハハハ、宮崎は解剖がうまいなぁー(ちょ、こえーよコイツ)」
さすがの先生も恐怖を覚える。

ケロロ軍曹始まるので…すみません。
402マロン名無しさん:2006/08/04(金) 18:20:41 ID:???
つまんない
403マロン名無しさん:2006/08/04(金) 18:21:27 ID:???
そうでもない
404マロン名無しさん:2006/08/04(金) 21:22:00 ID:???
>>382
チャチャゼロ残酷編17  過去からの呼び声 後編

――まあ、一言で言えば、「かなり善戦した」と言ってやってよいだろう。

満月に照らされた、『別荘』の闘技場。
あちこち石の柱が崩れ床にも亀裂が入り、ピクリとも動かぬ人影が無数に散らばる。
チャチャゼロと茶々丸に倒された、エヴァの『人形』たち。
壊され散らばるその数は、優に30体を超えるが――

肝心のゼロは今、エヴァの目の前で『人形』4体がかりで押さえ込まれ。
茶々丸は、少し離れた所で、身体全体を魔法の氷の中に捉えられていた。
ゼロを見下ろすエヴァンジェリンは、服が破けて、半裸を晒している。しかし『再生』する身体に、傷はない。

「――15分、いや16分といったところか。思ったより、頑張ったな」
「グ、ギギギ……!」
「さっき見せた、人形繰りの糸で相手を切断する技は面白いな。アレがお前の『切り札』だったのかな?
 ……まあ、何にしても、もう終ったようなものだ」
エヴァンジェリンの予想を超えた奮闘を見せた、反逆の従者2人。
けれども、倒しても倒しても補充が現れる『人形』たちの前に。
触媒薬や増幅用アイテムを惜しげもなくつぎ込んだエヴァの魔法の前に。
こうして、叩きのめされてしまった。

「さて――もう反撃の手段は残されておるまい。さっさと素直になって、敗北を認め、謝罪しろ」
「……ケケケッ。『謝罪』ト キタカ」
絶体絶命、もはや状況は覆せぬ状態で、しかしチャチャゼロはなおも笑う。
押さえ込まれ動けぬ体で、首だけ上げて、エヴァンジェリンの顔を見る。
「ソノ様子ダト、俺ガナンデコンナコトシタカ、未ダニ分カッチャイネーヨーダナ。
 15年前ノコトニツイテモ――」
「じゅうごねん……まえ?」
405マロン名無しさん:2006/08/04(金) 21:23:02 ID:???

 ――15年前。
 サウザンドマスターに破れ、『登校地獄』の呪いを受け、麻帆良学園に捕らわれたエヴァ。
 学校に通わねばならないことに、愚痴をこぼす主人の姿に、ゼロは、行動を起こした。
 ゼロ自身の判断で。『悪の魔法使い』の従者らしい方法で。

 夜の闇に乗じて、生徒を襲う。
 魔力を封じられた主人、それに応じて大きく低下したゼロの身体能力。
 著しく不利な状況の中、それでもゼロは生徒を襲い続けた。
 罠を張り、策を巡らし、麻帆良学園女子中等部の生徒たちを、襲い続けた。

 ……それは、生徒を襲い始めてから、どれくらい経った頃だったろうか。
 ある日、エヴァンジェリンは学園長の所から帰ってきた後、魔法の道具類を漁り始めた。
 何やら大掛かりな、儀式魔法の準備を始めた。
 『オイ御主人、何ヤッテンダヨ?』
 『このところ妙な事件が多いからな。
  じじいに頼まれて、学園全体に監視用の『結界』を張ることになった』
 『ソンナモン、出来ネーッテ言ッテ逃ゲレバイイダロ? 真面目ニ相手スンナヨ』
 『そうもいかん。私が卒業するまで、この学園に消えてもらっては困るのだ。
  ナギのバカが、卒業する頃には帰ってくる、と言ったからにはな』
 『…………』
 『お前も――無茶はやめておけ。いくつかはお前の仕業だろうとは思うが、もうやめろ。
  現時点はともかく、いずれ私もフォローできなくなるからな。いいキリだろう』

 その日以来、ゼロは生徒を襲うのを、やめた。バカらしくなって、やめた。
 エヴァが、外敵侵入察知用の『結界』を完成させたから、ではない。
 エヴァ自身が、麻帆良学園の存続を望んでいる、と知ってしまったからだ。
 敗北し、望まずして縛られたはずのこの学園に、留まる気でいると知ったからだ。
406マロン名無しさん:2006/08/04(金) 21:24:28 ID:???

「15年前ハヨ……俺ハ、コノ下ラネェ学園ヲ ブッ潰スツモリダッタンダヨ」
「…………!!」
押さえ込まれ動けぬ身体のまま、ゼロは語る。
15年前の連続暴行事件、『笑う人形』伝説、その真実を明かして、そして笑う。

「アノ頃ノ俺ニハ、手ッ取リ早ク生徒ヲ皆殺シニスルダケノぱわーハ ナカッタカラナ。
 シカシ、怪事件ヲ連発サセテ、『生徒モ守レナイ学校』トノ評判ガ立テバ……
 麻帆良カラ生徒ガ逃ゲ出シ、先生モ逃ゲ出シ、ソノウチ潰レルト思ッタノサ。
 ソウナレバ、御主人ハ自由ダ。縛ラレル学校ガナクナレバ、『登校地獄』ハ自然ト消エル」
「き、貴様……! そこまで……!」

エヴァンジェリンにかけられた、『登校地獄』の呪い。
その呪いの中には、術をかける段階で既に、登校を強いる学校名が組み込まれていた。
いくつもの学校をその懐に抱える麻帆良学園都市。中学校だけでもいくつも存在する。
それなのに、エヴァが毎年毎年飽きもせず、麻帆良学園中等部に通っていたのは。
学園都市内の別の学校に転校することもなく、何度も何度も通い続けたのは。
かけられた呪いが、『麻帆良』という学校名を指名していたからだ。
学園都市内にある『別の名前の学校』では、呪いの条件が満たされないからだ。

そして、この手の『何らかの行動を強いる呪い』というのは――
何らかの理由で実行が完全に不可能な状況になれば、自然と解けてしまう。
呪いの犠牲者本人は、それを意図した行動を取ることも封じられているが……しかし、従者なら。
主人とは独立した意志と判断、そして仮初めとはいえ独立した魂を持つ、チャチャゼロなら。

怪事件を起こし、生徒を傷つけ、逃げ出させて……最終的には、麻帆良学園の閉鎖にまで追い込む。
そして麻帆良学園そのものを消滅させることで、エヴァを呪いから『自由』にする。『解放』する。
――それが、15年前のチャチャゼロが描いたシナリオだった。
407マロン名無しさん:2006/08/04(金) 21:26:06 ID:???
「……で、またお前はこの学園をひっくり返そうとしたのか?」
「…………」
エヴァはゼロを見下ろす。
足でチャチャゼロの頭部を踏みつけ、グリグリとなぶる。
「私が本当に、そんなことを望むとでも思ったのか?
 そんなことが、本当に私のためになるとでも思っていたのか?」
「……ギギギッ」
「答えろ。答えないと言うなら……このままその頭、踏み割ってやろうか?」
笑うゼロの頭を踏むエヴァの足に、力が篭る。ゼロの笑い声が、いびつに歪む。
今現在、エヴァンジェリンの体力は何もせずとも成人男性並み。
ましてや、意識して足に魔力を込めたりすれば……これはもう、象に踏まれているようなものだ。
チャチャゼロの頭が、メキメキ、と嫌な音を立てる。ゆっくりと、歪んでいく。
虚ろな目をした茶々丸は、魔法の氷の中。ゼロを押さえ込む『人形』たちも、主人の行為を止めようとしない。
このままゼロの頭が、クシャリと踏み潰される、と思った、その時――

――突然、エヴァの全身から、力が抜けた。

「――え?」
何の予兆もなかった、急な脱力。思わずバランスを崩し、その場に尻餅をつくエヴァ。
ゼロを押さえ込んでいた『人形』たちも、文字通り糸が切れた操り人形のように、その場に崩れ落ちる。
ゼロ自身も、動かない。ピクリとも動かない。いや、動けない。
「これは――『魔力』が、なくなったのか?!」
エヴァはそして、理解する。その鋭敏な魔法的感覚で、すぐさま感じ取る。
『別荘』の中では自由に使えるはずの『魔力』が、急に失われていた。
外界において、最も魔力が無い時期とほぼ同等の状態。ただの10歳の少女と同等の身体。
そして、魔力を失ったエヴァの目の前で……
茶々丸を覆い、捕らえていた魔法の氷が、砕け散る。
維持できなくなった『氷の棺』を内側から砕き割り、冷酷な戦闘マシーンが戦線に復帰する。
尻餅をついたエヴァと、ピクリとも動かないゼロの前で、茶々丸は感情のない声で呟いた。
「……『学園結界』へのシステム介入成功。マスターへの魔力封印の強化を確認。
 マスター、この戦い――我々の、勝ちです」
408マロン名無しさん:2006/08/04(金) 21:27:01 ID:???

これと『同時刻』――『別荘』外。
学園都市は、唐突に発生した停電に、パニックになっていた。

「な、何が起こってるんだ?!」
「ブレーカーが落ちた?」
「だーッ! 作りかけのレポート、保存してねーのにパソコンの電源がーッ!」
「誰か来てー! エレベーターの中に、閉じ込められた人がー!」
……こんな騒ぎが、学園のあらゆる所で起こっているのである。
年に2回の学園都市メンテの際の停電のような、備えや予告あってのものではない。
学園の関係者は、すぐにその原因を探したが……調べても首を捻るばかり。
「なんか、電力が学園の『表』の方に回らず、別のところに回されてるようだが……?」
「これ、俺らには触れる権限ないじゃん。学園長に相談しないと」
非・魔法使いの関係者には、触れることのできないブラックボックス。
魔法先生たちでも、事情を知りコレを弄れる人間はほんの一握り。
しかし学園長は入院中、相互に連絡を取るための手段も停電によって著しく制限を受けて……

……茶々丸がやったことは、言葉にすれば簡単だ。
一連の吸血鬼騒動、最後のネギとの決戦。『魔力封印の結界』にハッキングを仕掛け、無効化した茶々丸。
あの時の、『逆』をやったのだ。
大量の電力を消費する『封印結界』に、さらに電力を注ぎ込み、結界を強化する。
エヴァンジェリンの魔力を封じる2つの呪いの片方を倍化し、『別荘』内でさえ魔法の使えぬ身体にする。
その電力を確保するため、麻帆良学園の『表』の方から電気を拝借、大停電を引き起こしていたが……
それによる混乱は学園関係者の動きを妨害し、回復までの時間稼ぎにもなる。
学園で10分も停電が続けば、それは『別荘』内では4時間にもなるのだ。ケリをつけるには、十分な時間。
葉加瀬聡美を使い、茶々丸に細工をしていたのも、全てはこのための準備。
下準備をさせ、いざとなれば茶々丸のアンテナを通し、無線で全ての仕掛けを発動できるようにしたのだ。
そして――『別荘』に入る直前に、起動。効果が発揮するまで、約1分弱。
409マロン名無しさん:2006/08/04(金) 21:28:05 ID:???

「思ッタヨリ、効果ガ出ルマデ時間カカッチマッタケドナ。
 ソレマデニ、茶々丸ガ壊サレタラドウシヨウカ、ト心配ダッタンダガナ。
 シカシ結果ハ、俺タチノ、勝チダ」

――『別荘』内。
茶々丸は、もはや指1本自分の意志では動かせなくなったゼロを拾い上げ、頭に乗せる。
エヴァへの魔力供給が滞れば、自然とゼロの動きも鈍くなる。
もうゼロ自身には、軽口を叩く以上のことはできない。できないが……しかし、ゼロには茶々丸がいる。
魔力で動く『人形』たちを失い、掛け値なしに10歳の少女でしかなくなったエヴァは、ジリジリと下がる。
エヴァの額には、脂汗。もうこうなってしまえば、エヴァの側には勝ち目はない。
まさか、ゼロ自身も動けなくなってしまうような、こんな捨て身の策を打ってくるとは――!
さっきベラベラと喋っていた15年前の話も、単なる昔話などではなかったのだ。
この結果を見据えての、勝算あっての『時間稼ぎ』だったのだ。

「――何故だ?」
「アアン?」
「何故、ここまでする?! 何が気に喰わないんだ、貴様はッ!」
過去3度あった、支配権を賭けての『決闘』。真剣ではあったが、ゼロはここまでの策を練ってはいない。
こんな必死な、一歩間違えば自滅が確定しかねない策など、使ったことはない。
もし万が一にも茶々丸が壊されていれば、動けぬゼロを生身のエヴァが小突いて終わりになっていたのだ。
エヴァはゼロの想いの深さを実感する。しかし理解できるのは想いの根深さだけで、その内容が分からない。
何がゼロをそこまで駆りたてるのか。問いかけるエヴァに、ゼロは答えず。
「……ヤレ、茶々丸」
「はい、姉さん」
「!!」
茶々丸が、エヴァンジェリンに飛びかかる。人間を遥かに超えた速度で、襲い掛かる。
反射的に合気柔術の技で受け流し投げ飛ばそうとするが――遅い。
魔力をほぼ完全に失った身体では、スピード・パワー共に足り無すぎる。
成人男性並みとまで行かずとも、せめて、中学生程度の身体能力があったなら――
410マロン名無しさん:2006/08/04(金) 21:29:12 ID:???
「ぐッ!?」
人間の反射神経の限界を超えた速度で繰り出された、茶々丸の足払いに、エヴァは転倒。
その上に素早く覆い被さる茶々丸。文句なしのマウントポジション。大の大人でも脱出困難な体勢。
そのまま、茶々丸は拳を振り上げる。茶々丸の拳に、ゼロの叫びが乗せられる。
十数年の間、胸の内に溜め込んできた叫び。愛を知らぬ呪いの人形の、怒りの叫び。

「――何故ダト? 何ガ気ニ喰ワナイダト?!
 『サウザンドマスター』ト出会ッテカラ 今マデノ、オ前ノ全テガ許セネーンダヨ!」


 ――ナギへの執着も、エヴァが本気で彼を『下僕』にするつもりだったなら、ゼロも許したろう。
 奴を襲い、奴の血を吸い、血族に加え真祖の『下僕』にしたのなら。
 たとえ第一の従者の地位を譲ることになったとしても、ゼロは許しただろう。
 けれど、エヴァはそうしなかった。口ではそれに近いことを言いながら、そんな真似はしなかった。
 しまいには、真正面から決闘を挑み、逆に罠にハメられ、極東の島国の学園に縛られて……

 それでも、ゼロは待った。主人が目を覚ますのを待った。ナギに愛想をつかすのを待った。
 麻帆良学園転覆計画を途中で放棄して、長い待ちに入った。

 3年待った。約束に反して、ナギは呪いを解きに戻ってはこなかった。
 しばらくエヴァは荒れたが、だがそれだけだった。文句を言いながら、なお学校に通い続けた。

 5年待った。風の噂で、サウザンドマスターの死を知った。
 しばらくエヴァは荒れ、泣き、悲しんだが……それだけだった。
 呪いの研究を始め、『登校地獄』を解呪する素振りを少しだけ見せたが……じきにやめてしまった。

 とうとう15年、待った。ゼロは待ち続けた。エヴァがこの学園に愛想をつかし、動き出すのを待った。
 しかしエヴァは学校に通い続けた。動かなかった。何かを待ち続けるように、動かなかった。

 そして今年。『先生』として赴任してきた彼の息子、ネギ・スプリングフィールドに、エヴァは……
411マロン名無しさん:2006/08/04(金) 21:31:28 ID:???

「馴レ合ッテンジャ、ネェヨ! 何ガ、『弟子』ダヨ!? 何ダヨ、アノ生温イ決闘ハヨ!?」
ドガッ。
ゼロの叫びと共に、エヴァの小さな身体に茶々丸の鉄拳が叩き込まれる。
魔力障壁さえ展開できない今のエヴァに、その衝撃はストレートに伝わる。
肋骨が折れる。鎖骨が折れる。見る見る頬が、腫れ上がってゆく。
「何度モ裏切ラレ! 何度モ絶望シ! 何度モ世界ヲ呪イ!
 ……コッチカラ聞キタイゼ! 何デアイツラト、仲良クヤッテルンダヨ?!」
ドガッ。ゴキッ。メキッ。
茶々丸は無表情なまま、拳を振るい続ける。やがて血が散る。折れた歯が飛ぶ。
15年前の、エヴァの自由を図っての学園転覆計画と違い、今回の一連の事件は、単なる憎悪によるもの。
エヴァが親しい3−Aの生徒への憎悪。エヴァが入れ込むネギへの憎悪。エヴァ自身への憎悪。
「オ前ノ味方ハ、俺ダケダ! ドコマデ行ッテモ、俺ダケダ!
 オ前ガソウヤッテ、俺ヲ作ッタンダ! オ前ガ誓ッタンダ! 裏切ッタノハ、オ前ノ方ダ!」
ゴスッ。グチャッ。ドグッ。
嫌な音を立てて、エヴァの身体が軋む。拳の形に、凹んでいく。
エヴァの死は、ゼロ自身の死をも意味する。なのにゼロは攻撃を止めない。止めさせない。
泣き出しそうな声で、しかし泣くこともできぬ人形の身体。
機械的に規則的に叩き込まれる、茶々丸の拳。ガードしようとするエヴァの両腕は、とっくに折れている。
ヒューヒューと、危険な息を吐くエヴァ。
流石に生命の危険を察知した茶々丸が、攻撃を止める。
『再生』もままならない現状では、本気でエヴァも死にかねないのだ。だが、そんな茶々丸に、ゼロは。
「勝手ニ止メルンジャネェ。足リネェヨ、コンナモンジャ」
「しかし、姉さん、これ以上は……」
「ふ……ふはは……ハハハハ……」
揉め始めた姉妹の前で、攻撃の手を止められたエヴァは、やがて笑い始める。
思わず注視した姉妹の身体の下で、歯が折れ鼻も折れ片目も潰れた無惨な顔で、それでもエヴァは笑う。
虚ろに、笑う。聞き取りにくい声で、自嘲する。
「ハハハ! わ……私は、『過去の私』に殴られているのか……!
 ふふふ……ハハハッ! こいつは傑作だ、アハハハッ!
 参った! こいつハ参った! ハハハハ! ゲフッ、ごほッ、あは、あはは、アハハハハハッ!」
412マロン名無しさん:2006/08/04(金) 21:32:26 ID:???

満月の照らす『別荘』の上。
周囲に散らばる『人形』の残骸の中、エヴァンジェリンは笑う。泣きながら笑う。
因果応報。人を呪わば穴2つ。
遥かな過去、理解者なき己の身を呪って作った『絶対に裏切らない相棒』、チャチャゼロ。
それが今こうして、エヴァを責めている。
当時の想いを忘れ、人々と交わり、『未来』へと進もうとするエヴァを、過去に引き戻さんとしている。
――全てはエヴァが望んだこと。彼女が過去に、望んだこと。
エヴァは笑う。もうこれは笑うしかない。己の愚かさを、笑うしかない。
あの時、孤独に耐えかねチャチャゼロを「作った」のが悪かったのか。
それとも、己の分も弁えず、サウザンドマスターに恋してしまったのが悪かったのか。
エヴァには分からない。分からないながら、笑い続ける。
己の失敗と敗北、全て受け入れるしかなくって、ただ、笑い続ける――!


――エヴァのログハウスの地下に、光が灯る。
転送の門を通り外界に出現した3人。エヴァンジェリン、茶々丸、そして、チャチャゼロ。
「停電ハ終ッテイルヨウダナ?」
「はい、姉さん。システムの回復を確認。どうやら侵入などの事実はまだバレていないようです」
「エヴァンジェリン、身体ノ調子ハドウダ? 問題ナイナ?」
「……ああ、ゼロ。『再生』は全て完了している。何の問題もない」
ドカッ。
傷ひとつない綺麗な顔に戻り、不機嫌そうに答えたエヴァンジェリンを。
チャチャゼロは飛びあがって、殴り飛ばす。手にした巨大なナイフの腹で、思いっきりぶっ叩く。
無様に床を転がるエヴァの身体。チャチャゼロはナイフを担いで、エヴァを見下ろした。
「俺ノコトハ、『マスター』ト呼ベ、コノ阿呆ガ。身分ヲ弁エロ。言葉遣イヲ考エロ」
「…………」
「何ダヨ? 文句アンノカヨ? 貴様ナンゾ、俺様ノ『魔力タンク』デシカネェンダヨ!
 ソレモ、無能デ呪イニ捕マッタ、全然使エネー『魔力タンク』サ!」
「…………」
「分カッタカ? 分カッタラ返事ヲシロ」
「……分かりました、『マスター』。今後は注意します……」
413マロン名無しさん:2006/08/04(金) 21:33:13 ID:???
「あの」エヴァンジェリンが、苦々しげな表情を残しつつ、ゼロの前で膝をついて頭を下げる。
逆転した主従。新たな呪縛に、強烈に捕らわれたエヴァ。
今の彼女は、もはやチャチャゼロの主人などではない。
チャチャゼロに魔力を供給し続けるための『魔力タンク』。チャチャゼロに使える従者の1人。
未だ『登校地獄』の呪いにより学校に通わねばならぬ身だが……しかしそれもそう長くはないだろう。
ゼロはすぐにでも、麻帆良を潰しにかかるつもりだった。学園を潰し、今度こそ自由を手に入れるのだ。

「魔力封印ノ結界モ、自由ニ弄レルヨウニナッタ。御主人モ茶々丸モ、支配シタ。
 モウ怖イモンナンカネーゼ! ケケケッ! ケケケケケッ! キャハッ、キャハハハハッ!」

エヴァンジェリンの頭の上、笑うチャチャゼロ。黙って従う従者2人。
地下室から階段を上がり、ログハウスの玄関の戸を開け、外に出て――

「――ナンダ、オ前ラ?」
エヴァンジェリンの家の前。ゼロたちを待ち構えていたのは――6人の人影。
真実に辿り着いた最後の6人。
 袴姿で刀を提げた、桜咲刹那。
 拳法着に身を包み構えを取る、古菲。
 忍び装束で巨大手裏剣を担いだ、長瀬楓。
 制服姿の3名。朝倉和美。綾瀬夕映。那波千鶴。
停電から復旧し、街灯の明かりに照らされた家の前。
彼女たち6人は、揃って鋭い視線でエヴァたちを、そしてチャチャゼロを睨みつけている――

「――チェックメイトです、チャチャゼロさん。貴方は、やり過ぎましたです」


 NEXT TARGET → ???
414マロン名無しさん:2006/08/04(金) 21:44:03 ID:???
チェックメート!!ゼロの快進撃もこれまでか!?
415マロン名無しさん:2006/08/04(金) 21:51:34 ID:???
面白すぎる!!!!!本にして売り出しましょうか
416マロン名無しさん:2006/08/04(金) 21:58:35 ID:???
ちょっ、武道四天王の残り3名揃い踏みかよ!
エヴァは負けフラグ立ちまくりだったけど、今度はどうなるよオイ
417マロン名無しさん:2006/08/04(金) 22:23:57 ID:???
続きがすごい気になる!!
418マロン名無しさん:2006/08/04(金) 23:20:58 ID:???
これがさよ編の伏線回収か…
奥深くて脱帽!
419マロン名無しさん:2006/08/04(金) 23:46:56 ID:???
ゼロってミラー?
420マロン名無しさん:2006/08/05(土) 00:07:18 ID:???
>>419
もうそれはいいって(苦笑)
421マロン名無しさん:2006/08/05(土) 09:57:46 ID:???
なんか、たまんねぇ…

>>415
そこ、他人のふんどしで商売すんなw
422マロン名無しさん:2006/08/05(土) 11:59:00 ID:???
イラスト付でだれか売って
423マロン名無しさん:2006/08/05(土) 13:07:20 ID:???
絵描きの腕次第だが金を出してもいい、コレは
424マロン名無しさん:2006/08/05(土) 22:29:09 ID:???
今夜は誰も来ないのー?
425マロン名無しさん:2006/08/05(土) 22:47:36 ID:???
書き手の状況
超いじめ 不明
自記 不明(予備校か?)
刹那いじめ 不明
Y 論外

( ゚Д゚)
426マロン名無しさん:2006/08/05(土) 23:05:32 ID:???
>>425
その作品のどれかYが書いてるやつあるんじゃないか?
それっぽい文体あるし。
427マロン名無しさん:2006/08/05(土) 23:29:23 ID:???
>>425
強いて言えば全員不明じゃねーかw
428マロン名無しさん:2006/08/05(土) 23:36:04 ID:???
Yです、今は超編を書いています!不評ですが(^^;)
429マロン名無しさん:2006/08/05(土) 23:36:07 ID:???
まぁ猥太は、実質wikiの更新も一人でしてるんだから、大目に見てやってくれ。
430マロン名無しさん:2006/08/05(土) 23:42:51 ID:???
Y太は新婚スレに染まったのか、最近キレが悪いな。
Yの全盛期は初代スレ〜二代目スレだった。
431マロン名無しさん:2006/08/06(日) 00:28:29 ID:???
取りあえず定期age
432マロン名無しさん:2006/08/06(日) 15:20:44 ID:???
この炎天下の中無休憩で拳法の修行をやらされるネギ。
433マロン名無しさん:2006/08/07(月) 20:53:00 ID:???
ちょと過疎なので投下します

8月6日。連日の猛暑。お祭り娘が集う3−Aもさすがにピリピリしていた…。
「ちょっと!茶々丸さんのモーター音うるっさいんだけど!!」
「むっ危険だ!至急エイトフォーを貸してくれ!」「ちょっと!ベタつくから触らないで!」
朝から険悪な雰囲気が漂う。こうなるとネギのエンジェルスマイルで癒され…
―ガラッ!
「おはよう、あやかたn、ゴホン、雪広君号令ッ!」
…だが入ってきたのはむさ苦しいおっさん、新田先生だった…。
「どういうことですの!?ネギ先生は!?」あやかがかみつく。
「ネギ先生は今朝熱中症で倒れた。今日は副担任の私が見る。」
「そ・そ・そ・そんなぁーーーー!!」
「…えぇ?なんでぇー…私こんなのと一日とか無理〜」「目がエロい」
口々に不満を言う3−A。
434マロン名無しさん:2006/08/07(月) 21:03:20 ID:???
433に期待
435マロン名無しさん:2006/08/07(月) 21:08:24 ID:???
「ねぇねぇ刹那さん、ネギ君今日も朝練したの?」まき絵は斜め後ろの刹那に話しかける。
「いえ…今日は明日菜さんと軽く打ち合いをして…多分古さんと一緒だと…」
「なぁなぁくーふぇ、今日ネギ君朝練行ったん?ウチが起きたときには居なかったんやけど」
それを聞いた木乃香がくーふぇにたずねる。
「来たアルよ。私との練習中に倒れたネ」
いともカンタンに答えるくーふぇ。コレにはさすがの木乃香も、いや、くーふぇ
の声を聞いたものが一斉に非難する。
「それはないんやないん!?ネギ君死んでまうえ!」「コイツ馬鹿じゃん!?」
「ちょっと!?何考えてんの!?」「信じられないわ…この日射の中で…」
「この程度で倒れるほどヤワに鍛えてないアルよ?」
だがそれでもくーふぇはケロっとしていた。馬鹿なのか自分の教え方によほど自信があるのか
まるで亀田親子のような態度である…。
「ハイッ!!いいかな!?ネギ先生はかなり重症みたいで脱水症状をおこしていた。
 皆も水分補給をしてしっかり体調を管理するように、以上!あやか号令!」
どさくさにまぎれてあやかと言ったが誰も気付いたものはいなかった。
「……(くっ、くーふぇさん…本当に信じられませんわ…ッ!)」
「おい雪広!号令だ!」
「キリッィイッ!!レーーーッ!」
ほとんど怒号とも言える号令で、朝のホームルームは終了した…。
436マロン名無しさん:2006/08/07(月) 21:26:22 ID:???
ワクテカ
437マロン名無しさん:2006/08/07(月) 22:33:56 ID:???
ここで亀田を例に出すとはw
438勘違い熱血教師 体育会系ネギ:2006/08/07(月) 23:30:27 ID:???
まほら学園中等部の体育館の中。同学園3−Aの生徒達は体操着姿で汗にまみれていた。
彼女達の表情には大きな疲労と苦痛が色濃く出ており、中には涙を浮かべている少女もいる。
「さぁさぁ、みなさん!諦めてはそこで終了ですよ!もう一度行きましょう!」
そんな彼女達に向かって、一人嬉々とした表情で元気に激を飛ばす男がいた。
このクラスの担任であるネギだ。今3−Aの生徒が苦しんでいるのはこの男の何気なく言ったとんでもない提案のせいだった。

『去年の体育祭でみなさんは5段ピラミッドを作ったそうですね。
では今年は6段・・・・いや、それじゃ人数が半端だな。よし、今年はクラス全員で7段ピラミッドを作りましょう』

生徒達は皆「無茶を言うな」と心の中で突っ込む。
5段ですら中学生の女子にはかなりキツイのだ。そこから2段も増やせるわけがない。
しかし、体育会系脳みそは算数ができないので5段が7段に変わっても、朝のジョギングの距離が2km伸びたようなモン
としか考えていない。仮にその難易度の違いを説明し理解させたとしても、『それでも努力と根性で何とかできる』
と本気で考える人種なのでどうしようもない。
こうして、少女達は体操服に着替えさせられ、強制的にピラミッドの練習をさせられるに至ったのだ。

憂鬱そうな生徒達と対照的に明るい表情の普段着のジャージ姿のネギ。
「じゃあまず、位置を決めましょう。下の段は順に明石さん、朝倉さん、ゆえさん・・・・・
この男は本当に何も考えていない。体格、体力を考慮せず、ハピマテのように出席番号順に下の段から並べるつもりである。
「あ・・・あの、ネギ先生。私は一番下の段だと潰れてしまうです・・・・」
ゆえがたまらず、ネギに言った。
「ああ、考えてみればそうですね。じゃあ、下の段の七人は重い順に。
200キロの茶々丸さん、72キロの龍宮さん、70キロの五月さん・・・・
年頃の少女達の体重を連呼して行くという、非常にデリカシーのないマネを悪気もなく行うネギ。
頭、とりわけ記憶力と算数が弱いにも関わらず保健体育に関する数字だけは正確に覚えているようだ。
439勘違い熱血教師 体育会系ネギ:2006/08/07(月) 23:31:31 ID:???
「ひぃっ!」
「きゃああっ」
「たわばっ!!」
「お嬢様大丈夫ですか!!」
少女達の悲鳴とともに本日十数回目のピラミッドの倒壊が起こった。
3段目の途中でいつも崩れる。ここがバランスと重みの臨界点だ。
「ああっ!あと少しなのになんでいつもここで失敗しちゃうんですか!さあ、早く立ってください!」
無責任にネギが叫ぶ。
出席番号順よりはマシとはいえ、ネギは単純に体重順に生徒を並べただけだ(なぜか出席番号9番の生徒は飛ばされた)
それに対して、ハカセと超が異を唱えた。
「ま・・・待ってください、先生。少し配置を換えましょう・・・・」
「一番下の段の端より、5,6段の真ん中の方が体重がかかるアルよ・・・支える力も自重と比例するとは限らないし・・・」
しかし、二人の発案をネギの無駄に元気な声がかき消す。
「理屈じゃないんですよ超さん!要は根性と団結です。諦めなければきっと成功します!さぁ行きましょう」
それでもなんとかネギを言いくるめ、3−Aの生徒達は休憩をかねて配置を練った。
ネギは話し合いには参加せず、体育館の端で一人腕立て伏せを始めている。

体格、体力、バランスを考慮した結果まず、この形で試す事になった。

一段目         エヴァ
二段目        鳴滝姉妹
三段目      ゆえ ザジ ハカセ
四段目     夏美 亜子 まき絵 のどか
五段目    釘宮 超  刹那  古  祐菜
六段目  千雨 柿崎 アスナ あやか 桜子 朝倉
七段目 ハルナ 五月 楓 茶々丸 龍宮 アキラ 那波


近衛このかは抜ける事になった。
ピラミッドが潰れるたびに、彼女の身を安じてうるさいのがいたせいである。
440勘違い熱血教師 体育会系ネギ:2006/08/07(月) 23:32:08 ID:???
気がむいたら後編に続く。
441マロン名無しさん:2006/08/07(月) 23:35:07 ID:???
>>435

朝のホームルーム後の10分休み。くーふぇの周りに人だかりができていた。
「ちょっとどういうことですの!?納得のいく説明をしてください!」
「このゴリラ女!ネギ先生いなきゃ学校来る意味ないじゃんかっ!!」
あやかを筆頭に、3−Aズが今にも飛び掛らん勢いでくーふぇにほえる。
「…私はネギ坊主のためを思ってやったアル。ちょっと残念ネ、この程度で倒れるとは」
言いたいだけ言えばいい、そんな態度だ。
「キィィィィ!なんですの!?その言い方!?もう怒りまs」
「まぁまぁいいんちょ殿落ち着く出ござるよ…」
楓が暴れるあやかをひょいとつまみだす。彼女にしては乱暴なやり方だ。
「古、頑張るのも良いがネギ坊主はまだ10歳でござる。お主だってjy」
「私とネギ坊主は師弟関係アル!ネギ坊主は私のものアルーッ!!」
そう言ってくーは人の壁をかき分けて教室を出て行った…。
442マロン名無しさん:2006/08/07(月) 23:40:16 ID:???
>>439
うちの体育教師とクリソツw
443マロン名無しさん:2006/08/07(月) 23:46:15 ID:???
>>440
体育会系の先生は、悪い人じゃないんだけど…ってのがほとんどだよなw
グッジョブ
444マロン名無しさん:2006/08/08(火) 00:01:25 ID:???
>>438-440
一人余りが出て人数が合わないと思ったら
木乃香を削ってうまい具合に人数を合わせたな
マジGJ!
445マロン名無しさん:2006/08/08(火) 00:21:06 ID:???
  「なめんな!」
446マロン名無しさん:2006/08/08(火) 00:34:01 ID:???
>445
7段ピラミットから逃れたお前は楽だぞ。芸人としては最悪だが。
俺が7段ピラミットからはずされたら確実にラッキーだと思う。
447マロン名無しさん:2006/08/08(火) 00:46:29 ID:???
>>446
お前何に話しかけてるんだ?
そこには空気しか無いってのに。
霊と交流でもしてるのか?
448勘違い熱血教師 体育会系ネギ :2006/08/08(火) 00:56:52 ID:???
訂正・・・・・するまでもないかもしれんけど、段の数字が逆だね。
作中の3段目、5,6段目は上から数えてです。紛らわしくてゴメンなさい。
449マロン名無しさん:2006/08/08(火) 09:52:58 ID:???
>>413
チャチャゼロ残酷編18  最後の6人

「――チェックメイトです、チャチャゼロさん。貴方は、やり過ぎましたです」

桜咲刹那。古菲。長瀬楓。朝倉和美。綾瀬夕映。那波千鶴。
真実に到達した、最後の6人。
夕映の言葉に、残る5人も深く頷く。
それぞれの立場から到達した、1つの結論。人形とその周囲に向けられた疑いの目。
生半可なことでは許さないという、強い意志がゼロたちに叩きつけられる――


――桜咲刹那が真実を知ったのは、実にストレートな方法。つまり近衛木乃香本人から、聞いたのだ。

「お嬢様――倒れられた直前のこと、覚えてらっしゃいますか?」
「うん、覚えとるよー。で、ウチのこと『お嬢様』呼ぶんは、誰ー? お父様のトコにおった人なん?」
「……そう思って頂いて、構いません」
刹那の顔も声も忘れ、要領を得ない脱線を繰り返す木乃香。
しかし刹那は、辛抱強く話を聞いた。絶望に泣き出し叫び出したくなる自分を抑え、質問を重ねた。

「……これ、言うてええことなんかなぁ? 秘密って約束やったし……」
「心配なさらずとも、私の口の堅さは信用して貰って構いません」
「せや言うたかて、初めて会った人になぁ……まあええか。ほんまに秘密の秘密やで?
 あんな、エヴァちゃんとこで修行してた時、ゼロちゃんがな……」

そして木乃香は語り始めた。刹那を刹那と認識できないまま、その熱意に負けて語り始めた。
かの『禁呪』を使うに至った経緯。ゼロがした説明。その結果。
人の顔の見分けがつかなくなった木乃香だが、過去の記憶は壊れていない。言葉もしっかりしている。
その全ての話を聞いて、木乃香ほどにはお人よしではない刹那は、理解した。
――チャチャゼロだ。諸悪の根源は、あの邪悪な人形だ。
そして恐らく、木乃香が癒した犠牲者たちを襲ったのも、あの性格の悪い人形が――!
450マロン名無しさん:2006/08/08(火) 09:53:57 ID:???

――長瀬楓が相談したのは、被害者の1人にして最強の1人だった。

「――そうか、茶々丸本人が、そんなことを」
「秘密を要求した本人の言葉でござる。拙者相手に、沈黙する理由はもう無いでござるよ」
楓の言葉に、漆黒のサングラスをかけた真名は静かに頷く。
鳴滝姉妹を襲った際、楓の注意を引くために、茶々丸が明かした真相の一端。
思い返せば、少し唐突な感もあった真実の暴露。そして、楓が抱いた疑いに対する、茶々丸の返事――

 『姉を疑うというのなら――私をも、疑う必要があります』

あの時点では、「茶々丸に対する信頼を、ゼロにも向けてくれ」という意味に取った。
楓も真名も、茶々丸の「人格」については信頼していた。
エヴァや超の「悪だくみ」に加担することはあっても、「邪悪な行為」に手を染めることはないと信じていた。
頭のどこかで、「真に取り返しのつかないこと」はしないだろう、と思い込んでいた。
だが、あの時の茶々丸の言葉を、別の解釈で捉えれば――

「……茶々丸を、正体不明の魔法人形同様に、疑ってかかるのならば。
 楓、確かにお前の言う通り、1つの可能性が浮かぶ。あの夜の出来事を、説明できる仮説がある。
 私としても、己の不覚と先入観を告白するようで、認めたくはない考えではあるんだが……な」

そして真名は辿り着く。五月が襲われ小太郎が命を落とした夜の真相に、到達する。
真名が楓と共に辿り着いた真実、それを彼女は、楓に託す。
純朴にして誠実な人型ロボット・茶々丸が、『悪』の手先・『悪』の奴隷になっていたという事実。
悪の黒幕が茶々丸の信用を利用して、真名と楓、2人の達人を手玉に取ってしまったという事実。
そして、その黒幕は考えるまでもない。茶々丸の姉、チャチャゼロ以外、ありえない――!
451マロン名無しさん:2006/08/08(火) 09:54:43 ID:???

――古菲は、友からその事実を聞かされた……というより、「読まされた」。

「……はぁ!? 茶々丸アルか?」
 私も、信じたくなかったのですが。一瞬見えたあの顔は、間違いありません。
ベッドの上で、サラサラとペンを走らせ筆談していたのは、入院中の四葉五月。
その「証言」内容に、見舞いに訪れていた古菲は、素っ頓狂な声を上げる。

料理人の命とでも言うべき舌を切り取られ、味を感じることもマトモに喋ることもできなくなった彼女。
しかし丸一日が経過し、五月は自分の見たものを「証言」できるほどに回復していた。
己の最も大事なモノを理不尽に奪われ、それでも決して、安易に狂気に逃げたりしない強靭な精神。
戦闘の技術も魔法の心得も無い彼女だったが、この種の「強さ」では、3−Aでも最強なのかもしれない。
現実に足をつけ、苦しみさえも真正面から受け止め、落ち着いて自分のやるべきことを把握している。

フード付きのマントで身を隠した茶々丸に急襲され、手刀の一撃でKOされてしまった五月。
しかし、意識を失うその瞬間、彼女は確かに見ていたのだ。襲撃者を恐れることなく、目で追っていたのだ。
フードの陰に隠れていた、その顔を。猛スピードで迫り来る、その顔を。
お客さんの顔なら、たとえ一度きりの来店であろうと決して忘れぬ五月である。
そんな彼女が、一緒に『超包子』の屋台をやっていた仲間の顔を見間違えるハズがない。
仕掛けた側は、暗い環境・顔を隠すフード・視認困難な速度、で誤魔化せると思っていたのだが……。

 ただ、私にもこれが茶々丸さん自身の意志だとは思えません。
 きっと、彼女にソレを強要した『誰か』がいるはずです。
「だ、誰アルか?!」
 分かりません。ただ、超さんやハカセではないでしょう。エヴァさんでもないと思います。
 恐らく、その『誰か』が、刃物を使って私の舌を切り取ったのではないでしょうか。

刃物を使って戦ったことはなかった茶々丸。なのに「切り取られていた」舌。
そこから導き出される、当然の帰結。
そして古菲は思い至る。エヴァの身内。茶々丸の身内。常に刃物を持ち歩く、小さな影の存在に――!
452マロン名無しさん:2006/08/08(火) 09:55:42 ID:???

――那波千鶴は、病院にて真実の断片に遭遇した。それも、別々の2人の人物から。

相変わらず精神的なダメージが深く、ロクな会話のできぬあやか。
入院当初はクラスメイト全員が押しかける勢いだったが、一週間もすれば訪問客も減る。
それでも、毎日欠かさず1日3回、朝・昼・夕と通っていたのが、千鶴だった。
ただ、あやかの身の回りの世話を続ける。ただ、あやかの心身の回復を横から助ける。
ただ、ブツブツと漏れ出す要領を得ない言葉に、静かに耳を傾ける。

そして千鶴は、その根気強さで、あやかを襲った『犯人』について、多くのことを把握していた。
 犯人は、子供よりなお小さな体格でしかなかったこと。
 犯人は、あやかの師範よりなお優れた、合気柔術の達人であったこと。
 犯人は、人間とは思えぬ、耳障りな声と笑い声を持っていたこと――
いずれも強いて聞き出したものではない。断片でしかない言葉を掻き集め、少しずつ見えてきた事実。
急いて事実のみを求めんとする者には、決して到達することはできなかっただろう。
千鶴だから、到達できた事実なのだ。

「これって……『あの時』みたいなことが、起きてるのかしら?
 あのコタロー君が来た夜、『伯爵』とか名乗っていた人のような……?」

千鶴は、魔法の実在を知らない。知らないが、「何か不思議な裏の世界」があることは勘付いている。
そこに安易に踏み込むべきでないことも。関係者たちが、その事実を知られたがっていないことも。
どうやら今回の一連の事件も、同じ根を持っているらしい……と、千鶴は直感的に、確信する。
彼女は悩む。覚悟を決めて踏み込むべきか。それとも、もう少し様子を見守るべきか。

そして……その日、あやかの病室から帰ろうとした彼女は。
病院の入り口で、その日その時点での、最新の犠牲者とばったり遭遇する。偶然出くわす。
救急車で運ばれてきた、早乙女ハルナ。ストレッチャーで運ばれる、意識を保ったままの被害者。
「は……ハルナさん?! あらまぁ、大変!」
「えへへ……ヘマ打っちゃった。なんか、私のコトが邪魔だった奴が、いるみたいでさァ……!」
453マロン名無しさん:2006/08/08(火) 09:57:49 ID:???
そしてハルナは語りだした。部分麻酔を受け、右手の緊急手術を受けながら、語りだした。
痛みより治療より、「自分の掴んだ真実を誰かに伝えること」を優先した。医師に怒られても曲げなかった。
そう――ゼロの予想より、遥かに早乙女ハルナは「強かった」のだ。
千鶴は悲惨な様子にも目を逸らすことなく、ずっとハルナの脇に付き添い、その想いを受け止めた。
ハルナは語った。聡美の研究の裏事情については、流石に伏せたが……
それ以外の全てを語った。自分の調べていたこと、自分の抱いた疑い。
そして何より、部屋を訪れた時の聡美の様子……とりわけ、茶々丸や「人形」の方をチラチラ窺う様子を。
茶々丸に呼び出され、取り残された踊り場で、「茶々丸以外の第三者」に襲われた自分の状況を。
……ここまで情報が出揃えば、魔法を知らぬ千鶴にも、全てが見える。全てが分かる。
那波千鶴は、覚悟を決めた。あやかとハルナ、そしてクラスのみんなのために、覚悟を決めた。


――朝倉和美と綾瀬夕映は、違う道を辿って同じ所に到達した2人である。

和美はさよから。夕映は千雨から。それぞれ獲得した、「笑う人形」「15年前の事件」というキーワード。
そして和美も夕映も、さよや千雨の知らぬ事実を知っている。
直接・間接に、聞いて見て会って、知っている。
エヴァンジェリンの従者、生きた人形・チャチャゼロの存在と性格。
そして、エヴァンジェリンの大まかな過去、彼女が麻帆良にやってきた時期についての情報。

ゼロの存在や人格を知る者にとって、「笑う人形」「人を襲う殺人人形」と言えば、ゼロのこととしか思えない。
エヴァが麻帆良に来た時期を知る者にとって、「15年前」という時期の一致は大きな意味を持つ。
そして、1つならば偶然の一致もありうるだろう。情報ソースが単一なら、疑いの余地もあるだろう。
しかし複数のキーワードが、全く別の所から出てきた情報によって、一致してしまえば……。

和美と夕映は、確信する。
アイツだ。エヴァンジェリンの所にいた、笑う人形。15年前に麻帆良に入り込んだ異物。
誰もが涙無しには聞けなかったネギの過去の話に、ただただ笑っていたサディスト。歪んだ感性の持ち主。
間違いない。都市伝説の伝える通り、次々と生徒を襲っていった犯人は――!
454マロン名無しさん:2006/08/08(火) 09:58:50 ID:???

奇跡のように、あるいはユングの唱えたシンクロニティのように。
異なる経路・異なる理由によって、しかしほぼ同時に真実に到達した6人。
いや――『シンクロニティ』と呼ぶならば、真実を知った後に彼女らが取った行動こそが、ソレであろう。

「――で、何でアンタたち、揃いも揃って私の部屋に押しかけてくるわけ?!」
続々と寮の部屋を尋ねてきた6人に、明日菜は困惑を隠せない。
急な停電に、パニックに陥る学園。機能を停止した暗い寮。
そんな闇に覆われた混乱の中――刹那が、楓が、古菲が千鶴が和美が夕映が。
次々に戸を叩き、自分の到達した『真実』を語る。1人が語り終えるより先に、訪れるもう1人。
そして6人が6人とも、表現や内容こそ違えども、同じ結論。同じ犯人。
他の人の話を聞き、互いに大いに驚いた彼女たちだが……同時に彼女たちは、ますます確信を深めて。
互いに顔を見合わせ、頷き合う。

「何故と言われても……理由は1つでござるよ、なぁ?」
「そうねぇ。みんな同じことを考えているようだしねぇ」
「確かに、明日菜にも知っていて欲しいってのはあったんだ。でも、それだけじゃなくて……」
「明日菜さんに、お願いがあります。恐らくこれは、我々6人、全員の願いでしょう」
「これから私は――いや私たちは、エヴァの家に行くアルね。あの人形、ボコボコにして吊るし上げるアルね」
「けれど、出来ることなら……その場に、ネギ先生にも居て欲しいのです。
 ネギ先生の前で、チャチャゼロさんに土下座させてやりたいのです。謝らせてやりたいのです」

事件の初期から今までずっと、守れなかった生徒たちのことを悔やみ続けていたネギ。
無理を重ね、空回りを続け、調子を崩し、とうとう隔離までされてしまったネギ。
この一連の事件の終幕に、彼の存在は無くてはならない。このまま蚊帳の外で終ってしまうべきではない。
そう思うから、彼女たちは明日菜の所に立ち寄ったのだ。ネギの住んでいた部屋に来たのだ。

「明日菜なら、緊急用の連絡先か何か、聞かされてるだろ? 何か連絡取る方法、持ってるだろ?
 ネギ君を連れて、一緒にエヴァちゃんの家まで来てよ。みんなで、全部終わりにしちゃおうぜ――!」
455マロン名無しさん:2006/08/08(火) 10:00:15 ID:???

――エヴァンジェリンのログハウスの前。停電から回復した街灯の明かりの中。
待ち受ける6人の前に、堂々と出てきたエヴァ、茶々丸、チャチャゼロの3人。
6人は鋭い目でゼロを睨みつつ、小さな声で囁きあう。

「こちらから動くのはネギ坊主の到着を待ってから、という話ではなかったでござるか?!」
「向こうから出てきてしまったんだ、仕方ないだろう。よもやこの場で見過ごすわけにも行くまい」
片目を開き、隣の刹那に囁く楓。硬い表情で返す刹那。
同じ所に辿り着いたとはいえ、実は6人の認識や目標が完全に一致していたわけでもない。
木乃香の信頼を裏切ったゼロへの怒りに燃える刹那は、やる気十分。すぐにでも斬りかかる構え。
対する楓は、双子の仇、とも思いつつも、冷静な戦力分析を欠かさない。
向こうは3人、こちらも戦えるのは3人――果たして真正面から戦っていいものかどうか。

他にも、犯人に一言文句を言ってやりたいと思っている千鶴。
一体さよに何をしたのかと小一時間問い詰めたい和美。
コソコソと隠れて襲っていた以上、犯人看破の事実を突きつけるだけで十分折れる、と推理した夕映。
古菲に至っては、バカイエローの名に恥じず「何も考えていない」。ただ怒りに握り締めた拳があるのみ。

ゼロが犯人だ、と見抜いた6人。ゼロを糾弾するつもりで押しかけた6人。
けれども、その考えの細部は、必ずしも噛み合ってはいなくて……。
そんな彼女たちを前に、ゼロは笑う。実に楽しそうに、嬉しそうに笑う。

「ケケケッ。オ前ラ、遅過ギルゼ。アト半日モ早ケレバ、全然状況モ違ッタノニヨ――
 イイダロウ。遊ンデヤル。思イッキリ、ヤッテヤルヨ!」


 18th TARGET  →  出席番号03番 朝倉和美  出席番号04番 綾瀬夕映
                出席番号12番 古菲  出席番号15番 桜咲刹那
                出席番号20番 長瀬楓 出席番号21番 那波千鶴   ……??
456マロン名無しさん:2006/08/08(火) 11:03:40 ID:???
すごい・・・
457マロン名無しさん:2006/08/08(火) 11:09:39 ID:???
クライマックス…!燃える展開!!!
458マロン名無しさん:2006/08/08(火) 11:25:05 ID:???
いよいよクライマックスなのか!?そうなのか!?
459マロン名無しさん:2006/08/08(火) 12:27:17 ID:???
さっちゃんとパルの強さに痺れた
460マロン名無しさん:2006/08/08(火) 13:12:24 ID:???
461マロン名無しさん:2006/08/08(火) 14:56:24 ID:???
>>460
怖ッw
462マロン名無しさん:2006/08/08(火) 15:45:02 ID:???
「ここは私に任せて。」
千鶴は一人でチャチャゼロに挑む気だ。
「ケケケ、俺モナメラレタモンダナ。オバサンニ俺ガタオセルワケネーダロ。」

3分後、千鶴に葱を口に詰め込まれ再起不能となってしまったチャチャゼロの姿があった。
「哀れね…。」

だったら嫌だな。
463マロン名無しさん:2006/08/08(火) 16:46:31 ID:???
>>462
何故か男塾を思い出したw
464マロン名無しさん:2006/08/08(火) 16:52:33 ID:???
魁!!ネギま塾
465勘違い熱血教師 体育会系ネギ :2006/08/08(火) 19:58:14 ID:???
>>439

3−Aのピラミッドが初めて下から5段目まで成功する。残るは鳴滝姉妹とエヴァだけだ。
「みなさん、どうです。やればできるんですよ!努力して出来ない事なんかありませんっ!!」
これは、新しい配置に変えた事で、今までより全体が安定したのが大きいのだが、ネギは純粋に
徐々にクラスの団結が強まった結果だと信じて疑わない。
心底嬉しそうな担任に対し、生徒達。とりわけ下から2段目中部のアスナといいんちょあたりは表情に余裕がない。
「うっ・・・・動かないでくださ・・・・痛い・・・・です・・・・わ」
「ぐええっ・・・・うごご・・・・うでが・・・・ぜぼねがおでる・・・!!」
彼女達にかかっている重みはすでに自重の倍を余裕で超えている。5段くらいまでのピラミッドなら
真ん中の人間の負担を減らすため、両サイドに体重を分化させる事も可能だが、今の少しでもバランスを崩せば
ぶっ壊れるピラミッドにそんな余裕はない。グラグラと揺れ、逆に瞬間的にかかる重みは、彼女達の3倍以上に達する時もあった。
「がんばってください!アスナさん、いいんちょさん、みんな!あと少しです。団結のパワーを見せるです!」
そもそも組体操のピラミッドは団結の象徴とするにはあまりにも不平等だ。参加している生徒の中で苦しんでいないものはいない。
それでも、その中で必ず「特に」苦しむ者が生まれるのがこの種目である。
一番体重のかかる位置の茶々丸こそ、彼女の性質上、表面に変化はないが、両サイドの楓と龍宮は珍しく表情に余裕がない。
人間外の体力をもつ彼女達をしてこの位置はなかなかにキツイのだ。
体格のせいで下段の中部に配置されたが、あくまで一般人の五月、アキラ、柿崎、桜子あたりに至ってはすでに顔色がヤバイ。
いつ、死人が出てもおかしくない状況だ。
466勘違い熱血教師 体育会系ネギ :2006/08/08(火) 19:58:58 ID:???
そして、今まで出番がなく、ピラミッドが崩れるたび、目をそむけ、悲鳴に耳を塞いでいただけだった鳴滝姉妹が
いよいよ、途中まで完成したピラミッドに加わる。
両サイドから、クラスメイト達の階段を登っていく双子。そうして6段目に到達するが・・・・
「こ・・・・こわいよ〜お姉ちゃん・・・」
「だ・・・・ダイジョブだよ・・・ひいっ!」
すでに、ピラミッドは姉妹の身長の倍の高さに達し、しかも非常に不安定な足場だ。
去年の5段ピラミッドの際、姉妹は二つのピラミッドのそれぞれ頂点を担当したのだが、それもかなり怖かった。
今回はそれよりさらに高く、さらに不安定だ。
5段目の真ん中のザジは職業柄(?)慣れているため安定しているが、
両サイドの二人は恐怖も相まってガタガタ震えているため、その足場はマリオのちくわブロックのようである。
それでもクラスメイトの『早くしろ』と言う無言の圧力が痛いほど伝わって来たため、
意を決して、最上段に乗る双子だったが・・・・・案の定バランスを崩した。
「「きゃーーーーっ!!」」
ドゴォォッ!!
約2メートル50センチの高さから双子は左右対称にスカイラブハリケーンに失敗したかのように体育館の床に叩きつけられた。
メメタァッ!!
それから1テンポ遅れて、5段目まで完成したピラミッドが潰れる。
普段なら、高所から落下した姉妹の身をクラスメイト達は安じただろうが、もはや今の彼女達にその余裕はない。
それどころか『ようやくここまで来たのに何やってんの?』『ずっと重みに耐えてる下の気も知らないで』
と不満を抱いている者すらいた。
ネギはこのピラミッドをきっかけにクラスの絆がより強まり「和」を深めるはずだと信じているが、
むしろピラミッドとともにクラスが崩壊しかけている事に気づいていない。
467勘違い熱血教師 体育会系ネギ :2006/08/08(火) 19:59:48 ID:???
「うごごごご・・・・・!」
痛みと疲労に呻く少女達の中にさらに異質の苦悶の声を挙げる者がいた。
中枢にいたアスナである。不幸にも真下の茶々丸の身体と床に手が挟まれ、しかもその上から
多くのクラスメイト達の体重がかかったので、彼女は手の関節が増えてしまっていた。
まわりの少女達も、これには流石に心配したが同時にこう考える。
(アスナには気の毒だけどラッキー・・・こんな酷いケガ人出たら練習も、いやピラミッド自体中止っしょ)
そもそも、ここまで大きな怪我人が出なかった事が奇跡に近かったのだ。
しかし、ネギは一向に動じない。
「あ〜、これはいけませんね。このかさん、治してあげてください」
「ほいな♪」
この短いやりとりの後、このかがアーティファクトを発動させて、すぐさまアスナの怪我を治してしまった。
3−Aの生徒一同唖然とする。
クラスの半数はこのかの魔法の存在すら知らなかったわけだが、もはやそんな事はどうでもいい。
問題はまだこの地獄が終らないという事実。
「ウチはこんな事でしか、役に立てんからなー。皆も怪我の心配はせんでええよー(はぁと)」
もうピラミッドには参加していないこのかが事もなげにそう言う。
(悪魔だ、こいつは悪魔に違いない)
刹那以外のクラスメイトの総意だった。しかしネギはなにやら感動している。
「これこそワンフォアオールの精神です。素晴らしいですね。さぁ、3−A、30人全員の力でやり遂げましょう」
このかが悪魔なら、彼の心は天使の様に清みきっていた。

疲労と絶望でうすれそうになる意識の中で超 鈴音はふと考えていた。
(あれ・・・?30人?おかしいアルね・・・なんで28人でピラミッド
作ってて余りが一人アルか・・・・?ああ、ネギ坊主の奴、自分も入れてるアルね
ホント、都合のいい時だけ、生徒と対等になりたがる・・・・
・・・・てめーは野次飛ばしてるだけで何もしてねーだろーが)
468勘違い熱血教師 体育会系ネギ :2006/08/08(火) 20:03:14 ID:???
終らなかったのでこれは中編という事で。
469マロン名無しさん:2006/08/08(火) 20:43:25 ID:???
ASS菜カワイイ(^ω^)!
超おもしろいっす!!
470マロン名無しさん:2006/08/08(火) 20:48:10 ID:???
ピラミッドと共にクラス崩壊バロス
471マロン名無しさん:2006/08/08(火) 21:54:45 ID:???
472マロン名無しさん:2006/08/08(火) 22:10:03 ID:???
>>471
えらい肩がガッチリした明日菜だなw
しかしグッジョブ
473マロン名無しさん:2006/08/08(火) 22:29:30 ID:???
絵師にはもっと来て欲しいな〜。色々画像化して欲しい
474マロン名無しさん:2006/08/08(火) 22:50:07 ID:???
>>467
生徒29人の3-Aにちゃっかり担任の自分を入れて30人にするとはさすが熱血教師だ
475マロン名無しさん:2006/08/08(火) 23:10:34 ID:???
>>473
昔は何名かいたのですが…もうきてくれないのかなぁアキラの人…
476マロン名無しさん:2006/08/08(火) 23:24:24 ID:???
>>475
新婚スレ行けば会えるよ
477マロン名無しさん:2006/08/08(火) 23:30:14 ID:???
あっちのスレでも見た覚えは無いが
478マロン名無しさん:2006/08/08(火) 23:41:33 ID:66QJpdB0
>>476
てか新婚スレなくね?
479マロン名無しさん:2006/08/08(火) 23:42:29 ID:???
ageスマソ
480マロン名無しさん:2006/08/09(水) 00:01:05 ID:???
新婚スレ消えたのか?
481マロン名無しさん:2006/08/09(水) 00:07:51 ID:???
>>480
まだある
文句言われそうだからリンクは貼らない
482マロン名無しさん:2006/08/09(水) 00:15:19 ID:???
>>481 GJ
483マロン名無しさん:2006/08/09(水) 00:23:08 ID:???
うん、賢明な判断だ
484マロン名無しさん:2006/08/09(水) 01:03:36 ID:???
自記も刹那いじめも来ないね
485マロン名無しさん:2006/08/09(水) 10:45:13 ID:???
ゼロの同人誌化は、腕の良い絵師がついてくれるかどうかにかかっている
486マロン名無しさん:2006/08/09(水) 11:01:04 ID:???
赤松絵でグロが描けるかな?
487マロン名無しさん:2006/08/09(水) 11:09:16 ID:???
みんなの絵が見たい
488マロン名無しさん:2006/08/09(水) 12:03:19 ID:???
崩れる寸前のピラミッド、絵で見たい……みんなそれぞれの表情の違いとか
489マロン名無しさん:2006/08/09(水) 12:22:31 ID:???
テメーが書けクレ厨が
490マロン名無しさん:2006/08/09(水) 13:36:05 ID:???
他の書き手が影に隠れてるぞ
491マロン名無しさん:2006/08/09(水) 13:43:41 ID:???
くやしく
492マロン名無しさん:2006/08/09(水) 14:21:57 ID:???
ゼロの影響力ありすぎ
ほかの書き手が霞んできてる
なんかそのうち真名スレみたいになりそうだな
493マロン名無しさん:2006/08/09(水) 14:34:00 ID:???
ゼロ氏の正体が気になる…。
ドンにゃ人なのでしょうか
494マロン名無しさん:2006/08/09(水) 15:10:54 ID:???
>>475
お久しぶりです。
たびたびスレを覗いてはいるのですが。
アキラと亜子以来久しぶりに一枚投下します。

>>465の茶々丸さんを描いてみた
ttp://www.42ch.net/UploaderSmall/source/1155102315.jpg
495マロン名無しさん:2006/08/09(水) 15:27:15 ID:???
>>494
うわわっぁっぁぁぁl!!!!!!
すごいかわいいい!!!!色付!!
この柔らかいタッチ大好きです!!
496マロン名無しさん:2006/08/09(水) 15:57:21 ID:???
>>494
茶々丸の表情や影の付け方や機体の軋み具合が表現できててマジでうまい
思わず保存したよ
しかしデカいな
497勘違い熱血教師 体育会系ネギ :2006/08/09(水) 18:15:25 ID:???
こうして特訓は日が落ちるまで続き、とうとう最後の一段。エヴァまで回ってきた。
(うおぉっ!まさか私に回ってくるなんて!)
絶対完成するわけがないとタカをくくっていたエヴァだったが、ピラミッドは奇跡的に6段目まで完成していた。
ネギの言っていた根性論もあながち間違いではないのかもしれない。
「うう・・・早くぅ・・・・・」
「つっ・・・潰れる・・・」
「エヴァちゃん・・・・ギギギギ」
沈むと解っているタイタニックに乗り込む様な気分で仕方なくエヴァは不安定なピラミッドに登る。
そのエヴァの姿をこのかは(サウザーが造らせたアホな塔に登らされるシュウみたいやなー♪)と思った。
・・・・・そしてエヴァは頂点にたどり着いた。
「ひいぃっ!高い!」
思わずちびりそうになるエヴァだったが、なんとか下の姉妹の背中に爪を食い込ませてバランスを取る。
その姿を見て、ネギは人目をはばからず涙した(もっとも今、ネギの顔を見る余裕のある生徒はいない)
これで・・・これでようやく完成か・・・少女達はそう思った。

ttp://strawberry.web-sv.com:900/Sn/5/vgv/ok4049.bmp

「や・・・やった!さぁ、師匠!そこで立つんだよ!!!」
興奮して口調が変わるネギ。
「「「な、なんだってーーーーーーー!!」」」
数十回目の限界を迎えた少女達。
498勘違い熱血教師 体育会系ネギ :2006/08/09(水) 18:18:12 ID:???
ピラミッドも本日数十回目の倒壊を迎える。今回は左右に体重が逃げるように両サイドから崩れた。
頂点のエヴァは、素直にどちらかに転んでおけば良かったのだが、下手に踏ん張った結果、左右に割れていく
足場(鳴滝姉妹)にそれぞれ足を預ける事になる。
「ぎゃああああっ!!」
中世、魔女狩りにあい、両足を馬に括り付けられ股裂きにされた時の事をエヴァは思い出していた。
そのまま、彼女は垂直に落ちる、その真下には、先程アスナの手を潰してしまってから、ピラミッドが崩れようとも
自分だけは決して体制を崩さぬようにしていた茶々丸がいた。

ガンッ!!!

股を開いた状態で鋼鉄の身体を持つ、自らの従者の上にエヴァは落ちた。
またしても自らの倒壊に巻き込まれ、思い思いにもがき苦しむ少女達。
その中で一人股間を押さえてうめくエヴァ。
「・・・・・マスター、計算によると、瞬間衝撃は2250g/平方cm・・・・・ご無事ですか?」

下段の生徒達の筋肉がオーバーヒートし、本人達の意思とは無関係に段の姿勢を取る事すら出来なくなった時
ようやく特訓は終了した。
「まさか一日でここまで完成させるとは、思ってもいませんでした。皆さん今日は本当にお疲れ様!」
ネギは本当に嬉しそうに、生徒達にジュースを配って労いの言葉をかける。
生徒達の中には以外にもネギに感化されて、清清しい表情の者もいる。
「いやー、しかしすごい大変だったけどウチらもやるもんだね。まさか7段まで行くなんて」
釘宮がジュースを飲みながらチア仲間の柿崎と桜子に何気なくそう言う。
だが、彼女達は極限の疲弊のせいで言い返す気力もなかった。
(・・・・てめーは一段上の端だから楽なんだよ。こっちがどれだけ地獄見てるかわかってんのか)
ネギは数人の少し達成感を得ている生徒(主に比較的楽で安全なポジション)を見て、
クラス全体が同様だと、信じて疑わない。そしてますます、情熱を燃え上がらせたのだ。
「じゃあ、体育祭当日まで毎日朝と放課後練習して確実に成功させる様にしましょう。明日は朝6時集合ですよ」

「「「 ・・・・・な(ry    !!!!!! 」」」

499勘違い熱血教師 体育会系ネギ :2006/08/09(水) 18:19:42 ID:???
調子に乗って挿絵も描いた。いろんな意味で後悔している。
500マロン名無しさん:2006/08/09(水) 18:26:57 ID:???
500式
股間を抑えて苦しむエヴァに勃った
茶々丸が凶器に見えてきた
501マロン名無しさん:2006/08/09(水) 19:00:22 ID:???
五月の汗にワラタw
502マロン名無しさん:2006/08/09(水) 20:48:36 ID:Lk45Rlcb
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503マロン名無しさん:2006/08/09(水) 21:30:30 ID:???
乙だけど、bmp形式はやめてください……重い、重すぎる……。
504マロン名無しさん:2006/08/09(水) 21:41:06 ID:???
重いっつうか見れない
505マロン名無しさん:2006/08/09(水) 21:59:13 ID:???
まとめにjpgで載せました!
506マロン名無しさん:2006/08/09(水) 22:00:00 ID:???
>>492
だからお前さんは何したいんだ、そのレスによって

あれか? 勝手に自分を卑下して逆恨みした書き手か?
そうなら変に恨まず書いて投下しろ。みんな何だかんだ言って待ってるから。
それとも変に気ィ使ってる読者か? でもそういう指摘って何も生まないんじゃねぇの? 誰が幸せになるよ?
あるいはこのスレ荒らしたいだけ? ……なら俺が悪かった、みんなと同じように今後はスルーするわ。
507マロン名無しさん:2006/08/09(水) 22:05:43 ID:???
>>506
なに語ってんの…
ダサッ
508マロン名無しさん:2006/08/09(水) 22:06:31 ID:???
>>505
ようやく見れた。こりゃ大変なことになってるなw
509勘違い熱血教師 体育会系ネギ :2006/08/09(水) 22:06:51 ID:???
>>503-504
ごめん、知識と充分な環境がないのになんとか四苦八苦してうpしたもので。


>>505
ありがとう!仕事が早いですな。
510マロン名無しさん:2006/08/09(水) 22:06:53 ID:???
>>506
いちいち反応すんな
氏ね
511マロン名無しさん:2006/08/09(水) 22:10:13 ID:???
>>509
なばーばの化粧(鎧)が剥がれ落ちてきてますねw
512自習日記:2006/08/09(水) 23:14:45 ID:???
自分はあの時、なにをしてしまったのか…
…思い出せない。
ただ私は知らぬうちにとんでもない罪を犯してしまったようだ。
私がなんの罪を犯したのかはわからない。
ただ紅く染まった服が罪の重さを物語っている。
そして今、自分はその身に覚えのない罪によって裁かれようとしている。
逃げる忍と追う道化。
私は取り返しのつかないほどの罪を犯したのだ。
喜んで罪を償おう。
ただ私は真実が知りたい。
私はなにをしてしまったのかを…。

≦≦≦≦≦≦≦≦≦≦≦≦≦≦≦≦

釘宮円の脳内日記(天国への階段)

あ…私死ぬな…。もう頭がくらくらする。
私の人生は15歳でお終い…。
ま、いっか。たった15年だけどそれなりに楽しかったし。
まぁ大人になってもっと色々してみたかったけど…
喉にナイフが刺さっちゃ助からないし。
じたばたするのも見苦しいしね。
最後くらいカッコよく死なせてよ。
…殺されてカッコいいもカッコわるいもないか。
でもやっぱり死ぬのって怖いな…。地獄に逝くのかな?天国に逝ければいいなぁ。

あれ?泣き声…美砂…。あんた無事なんだ。
あんた最近目茶苦茶だったね。
桜子は…ダメか…。
513自殺日記:2006/08/09(水) 23:15:46 ID:???
美砂、私も桜子ももうダメだ…。
美砂…、あんた一人で生きていける?
あんたって時々暴走するから心配なんだよ…。
せっかく助かった命、大切にしなさいよ。
あ、桜子が呼んでる…。それじゃあ…もう逝くわ…。じぁ…あね…
楽し…かっ……た…。

クラスは明らかに沈んでいた。
理由は幾つかある。
しかし一番の原因は明日菜の自殺だ。
明日菜が死んで一日が経つ。が彼女達の心のしこりが晴れることはない。
彼女達の心の中は今、明日菜を殺した罪悪感で満ち溢れていた。
明日菜をからかった者、それをおもしろおかしく観戦していた者、怖くてなにもしてあげることができなかった者。
みんな思いは同じだ。ただ二人を覗いて…。
美砂は明日菜が死んだと思わせないほどニコニコと静かに笑みを浮かべて席に座っている。
彼女には罪悪感などない。
あるのは邪魔な物が消えた爽快感だけ。
明日菜の机に置かれた高価な花瓶と綺麗な赤い薔薇。
実はこれも柿崎の仕業だ。
『死んでくれてありがとう。』とでも言いたいのか。普通の神経をした人間がすることではない。
そんな美砂を憐れむように遠くからみている桜子と円。
美砂は変わってしまった。もう美砂には二人の声など届かない。
514自殺日記:2006/08/09(水) 23:17:49 ID:???
キーンコーンカーンコーン…。
最後のチャイムが鳴った。
最初の授業は自習である。

私はいつから他人にこうも無関心になってしまったのか。
沈んだクラスのなかで龍宮真名は独りで考えていた。
龍宮は明日菜がいじめられているのを感じた時、感情らしい感情が出てこなかったのを覚えている。
美砂が暴れた時も止めに入る事はいつでも出来た。だが結局龍宮が行動を起こすことはなかった。
興味がないといったら嘘になる。
ただそれは仕事ではない。
もしあの時、金を貰えばおそらく美砂を押さえこんでいただろう。
…いつからそんなに汚い人間になってしまったのか。
自分が今までしてきた事を思い出すと腹が立つ。
彼と戦地を旅していた時はそんな金がどうとか言った事もなかった。
私も彼も最低限の生活できるような物しか持たず、手に入った物はその地の難民に無償で寄付していた。
彼はいつも私にこう言っていた。
自分が我慢すれば何千の人々が助かるのなら俺は喜んで我慢しよう。
彼は生まれてこのかた一度だって贅沢などしたことがないと言っていた。
その証拠にいつも貧相な服を着て、干からびた肉を喜んで食し、ゴツゴツした岩の上でも平気で寝ていた。
515自殺日記:2006/08/09(水) 23:18:53 ID:???
そのくせ人が苦しんでいると聞けば、寝るのも惜しんでその地に向かったりと…。自分より他人を大切にするような人だった。

他の事は知らないね。
麻帆良祭の時にネギ君に吐き捨てた言葉。
彼が聞いたら私になんて言っていただろう。
私はいつの間にか墜ちる所まで墜ちていた。
グサッ…。

龍宮の首にはくないが刺さっていた。
おそらく即死だろう。

最初はなにが起こったのかは分らなかった。
突然龍宮が崩れ、倒れてしまったのだ。
首にはくない。そして龍宮の背後には楓が立っていた。
楓がおかしいのは一目見てわかる。
まるで生気が感じられない。
顔も無表情で楓の面をつけた人形がそこに立っているようにしか感じる事が出来ない。

「き…きゃ」
悲鳴が上がろうとするが、そんな声もすぐ死んでしまう。
声をあげようとした裕奈とアキラの喉にはナイフが正確に刺さっていた。
理解が出来ない。理解したくても頭がついていかない。
何故、楓は真名やアキラや裕奈を殺したのか。何故人を殺したのにそんなに平気な顔をしてられるのか…。
楓は相変わらず無表情。手には何本もの小型ナイフが握られている。
516マロン名無しさん:2006/08/09(水) 23:20:33 ID:???
「き」
すべてを理解できたやつはやつで悲鳴をあげようとするが、そんな声も簡単に絶たれてしまう。
悲鳴をあげようとしたのは鳴滝史伽。
史伽はその場で崩れて絶命した。
「い…いやっ」
それを見ていた風香。目は涙がすでに溢れていた。
「ふみっ…」
容赦なく刺さるナイフ。
風香も史伽と同様、その場で崩れてしまった。
17/22

カリカリ…カリ…
朝倉は教卓に身を隠しながら手を伸ばして黒板になにかを書いている。
そこにはたった一言だけ、『声を出すな』とだけ書かれていた。
たしかに考えて見れば今まで殺されたのは真名を除けばみんな悲鳴をあげた者だが。
たいした気休めにしかならないことは書いた朝倉にも分っている事だ。しかしなにもしないで死んでいくなんて出来るほど彼女は弱くはない。
葉加瀬や夏美は涙目になりながら必死に口を押さえて声を殺している。
のどかは教室の隅でガタガタと震え、そんなのどかを両手で優しく抱いてやる夕映。
亜子は気絶してしまったようで机に伏せた状態でぴくりとも動かない。

「もういやぁ!!」
まき絵は泣きながら教室の出入り口へと走っていく。
「や、やめ」
朝倉が反応した時にはもう楓の手にはナイフが一本消えていた。
517マロン名無しさん:2006/08/09(水) 23:21:30 ID:???
しかしナイフはまき絵には刺さらなかった。
横から現れた白い布が投げられたナイフを弾き飛ばしてしまったのだ。
古菲の布槍術。武道会真名戦で一度だけ見せた古菲の秘術。
槍はそのまま楓に向かって飛んでいく。
「まき絵!今のうちに早く逃げるアルね!…まき絵?」
返事はなかった。まき絵の喉にはすでにナイフが刺さっていたのだ。
「まき絵…」
いつ殺されたのかはわからない。
ただ槍で防いでいるにも関わらずナイフは容赦なく古菲に飛んでくる。
おそらく少しでも気を許したら喰われるだろう。
そのくらい楓の投げるナイフの早さ、威力ともに凄まじい。

「アデアット。」
クラスのほとんだがその闘いを凝視しているなか、約一名だけこそこそと影でなにかやっている少女がいた。
少女の足が光に包まれ、少女にはやや不似合いなシューズが現れる。
「悪いね。私戦闘向きじゃないから。」
美空は意地悪な笑みを浮かべ、クラスメートに小さく手を振る。

ギュウウウンンン!!

靴の裏のギアが超高速で回り始め、靴の周りには見ても分るほど空気が渦を巻いていた。

次に美空を見た時には壁にぶつかって床に倒れていた。
ナイフは刺さっていない。
死んではいないのだろう。
518マロン名無しさん:2006/08/09(水) 23:23:00 ID:???
しかし結局美空は何がやりたかったのか。
それを知っているのはごく少数しかいない。
大半は美空の存在さえ気がつかなかった者ばかりだから。
美空らしい憐れな末路であった。

さて古菲と楓の攻防だが、一方的に古菲不利な状態が続いていた。
古菲の服はボロボロで所々血が滲んでいるのに対して楓はもう槍を避ける事さえしなくなっていた。
ここでちょっと考えてみよう。
古菲の秘技である布槍術だが相手に届くまでにどのくらいの時間を要するのか。
武道会真名戦で木の床をも撃ち抜く羅漢銭を打ち落とした布槍とすると一撃の発動時間の速さでいえば布槍=羅漢銭となる。
では何故布槍は楓のナイフにはついていくことが出来ないのか。
例えば布を相手に飛ばすのを一秒としよう。
そうすると真名がコインを指で弾くのに大体一秒かかるという計算になる。ナイフも相手に投げるのに一秒。
これではたいした差はない。
しかし古菲の場合、布を手元に戻し、体せいを元に戻すのに一秒半。全体的に二秒半かかる事になる。
真名の場合はそのまま打ち続けることは出来るが、弾補充におよそ三、四秒かかるだろう。
弾はおよそ十発で交換。そうなると羅漢銭と布槍は程よく釣り合うのだ。
519マロン名無しさん:2006/08/09(水) 23:24:02 ID:???
しかしナイフの場合は違う。
楓の場合、右手でナイフを投げる時に左手にはすでに袖口から流れ出てきたナイフが手にある。
そして左手でナイフを投げる時には右手にはナイフが握られる。
つまり一秒ごとにナイフが一本飛んでくるという計算になる。
しかもこれはあくまで大体の速度を一秒で計算したが布よりも軽いナイフが布槍より遅いわけがない。
結果的に古菲が一回槍を放つごとに、ナイフが三、四本飛んでくるということになるのだ。
しかも楓の武器はもはやナイフだけではなくなっていた。
鉛筆、定規、シャーペン、筆箱、etc…
楓の身の回りにある全ての小物が武器となり襲ってくるのだ。
特にシャーペンやボールペンは先が鉄で出来ていてナイフより軽いので避けるのはかなり難しい。

クラス中の生徒たちがその戦いを静かに見つめていた。
もう誰もが感じている事。それは古菲が負ければ全員殺されてしまうだろう。
生徒たちはそこの見えない崖に立たされた状態で必死に考えるしか生きる道はのこっていない。
考える事はただ一つ。
どうやって古菲を援護するか。
今、このクラスには古菲以外の戦闘員がいない。
520マロン名無しさん:2006/08/09(水) 23:26:40 ID:???
すごい…想像したら悪夢のような光景…wktk
521マロン名無しさん:2006/08/09(水) 23:27:09 ID:???
受験生なのに勉強する気がなくてワロタw
武器の速度の所はちょっとおかしいかも
文才なくてスマソ
やっぱ格闘描写苦手デス orz

自記
522マロン名無しさん:2006/08/09(水) 23:29:41 ID:???
このヤロウ!散々人を待たせやがって!GJだバカヤロウ!
523マロン名無しさん:2006/08/09(水) 23:43:17 ID:???
GJ! 待ってた甲斐があったぜ
524マロン名無しさん:2006/08/09(水) 23:57:25 ID:???
>>521
GJ!ちょっと心配してました…!
525マロン名無しさん:2006/08/10(木) 00:14:53 ID:???
自記すげぇよあんた!
GJだ!
526マロン名無しさん:2006/08/10(木) 00:16:48 ID:???
>>521
黒楓ktkr
って言うか
布よりも軽いナイフって言ったらおもちゃみたいな小型の物かステンレス製の物くらい
あとナイフは極端に重くない限り重い方が勢いがついて速くなるよ
527マロン名無しさん:2006/08/10(木) 00:30:12 ID:???
>>526
カーテンって総重量結構あるから重量的には
布>ナイフ
なんじゃない?
528マロン名無しさん:2006/08/10(木) 00:36:13 ID:???
>>527
なるほど
それなら納得できる
529マロン名無しさん:2006/08/10(木) 00:39:04 ID:???
美空にワラタw
530亀田 ◆KqB27Ik5Mg :2006/08/10(木) 14:42:01 ID:YGjO+Rj8
アニメはいいから次は俺の戦いを見てね
531松下 ◆URKsjZ77iU :2006/08/10(木) 15:09:33 ID:B0VNJ8VZ
俺「うら」バキッ
こ「うっ」
俺「ゴラ」ボキッ
こ「ぐふっ」
俺「シャラ」ダキッ
こ「がくん」
532マロン名無しさん:2006/08/10(木) 22:03:25 ID:???
>>455
チャチャゼロ残酷編18  中編

街灯に照らされた、ログハウスの前。
エヴァンジェリンとその従者2人……否、チャチャゼロとその従者2人の前に立ちはだかった6人。
彼女たちの前で、チャチャゼロは耳障りな笑い声を上げた、その途端――

――街灯の明かりが、唐突に消えた。

「!?」
街灯だけではない。ログハウスの窓から漏れ出ていた電灯の光も。
森の向こう、学園都市中心部からうっすらと射していた、街の明かりも。
全てが一瞬で掻き消えて、周囲は闇に包まれる。
空にあるはずの月は、厚い雲の中。星々の光も届かずに、森の中は闇に包まれる――
そして、明かりが落ちたその瞬間、その場から一気に飛び出した、エヴァ・茶々丸・チャチャゼロ。
「くッ!」
「やるアルかッ!」
「なんのッ!」
視界を奪われたその瞬間に起こされた動き。
何が起こったのか全く分からないし、闇に慣れてない目はまだよく見えないが……
それでも武闘派3人は咄嗟に身構える。刹那・古菲・楓、それぞれに防御の姿勢を取る。
が、次の瞬間……!

「うわぁッ!」
「ぐッ! め、目がッ!」
「はぅっ! 冷たッ」
何かが彼女たちの脇を走り抜ける。宙を舞う糸が、貫くような閃光が、何本もの氷の矢が、走り抜ける。
そして同時に上がる3つの悲鳴。
武道の心得ある3人ではない、戦闘の素人3人。和美、夕映、千鶴の叫び――!
533マロン名無しさん:2006/08/10(木) 22:04:25 ID:???

そう、ゼロたちはこの「突然の再停電」という絶好の好機を活かして。
戦闘力ある3人を襲うのではなく――戦闘力なき3人を、まず狙ったのだ。
戦いの定石では、ここは普通は逆である。後々脅威になる相手に、一撃でも加えることを優先する所だ。
なのに、ゼロたちは迷わず非戦闘員3人を狙った。容赦なく、狙った。
それも、今までのゼロによる襲撃同様、極めてタチの悪い攻撃を――。

チャチャゼロの放った糸は、和美の両手の指をことごとく切り飛ばしていた。
もう、カメラもペンも握れまい。記事をタイプすることもできまい。記者として、もう終わりだ。
茶々丸の放ったビームは、出力こそ大いに落としていたが、夕映の両目を直撃していた。
命に別状はないだろうが、その目は完全に失明。もう大好きな本も読めないだろう。
そしてエヴァンジェリンの放った無詠唱魔法の射手・氷の4矢は、いずれも千鶴の胸に突き刺さっていた。
手加減したのかいずれも命取りになるようなダメージではないが……豊かなその胸は、完全に氷結。
クラスで一番の巨乳は、もはや「死んだ」ようなものだ。

いずれも、ゼロが好んだ「才能や長所を削ぎ落とすような攻撃」。
その攻撃の意味を悟った、残る3名は――
「き……貴様らぁッ!」
「待て刹那! 迂闊に動いては――」
「許さないアルよ!」
楓が残る2名を止めるヒマもあらばこそ。刹那と古菲は、怒りにまかせて突進する。
チャチャゼロ目指して、突進する。
だが、その前に立ち塞がる影が2つ。
「……力が入りすぎだな、刹那。隙だらけだぞ」
「……申し訳ありません、古菲さん。排除させて頂きます」
刹那の斬撃はエヴァの鉄扇に止められて、そのまま刹那自身の勢いを利用され投げ飛ばされ。
古菲の突進攻撃は、横から飛び込んだ茶々丸の回し蹴りに捉えられ、これも吹き飛ばされ。
それぞれ、遠くに弾き飛ばされる。弾き飛ばした2人を、追うようにその場から跳ぶエヴァと茶々丸。
残されたのは、ゼロと楓、そしてそれぞれの痛みにのた打ち回る、和美、夕映、千鶴……。
534マロン名無しさん:2006/08/10(木) 22:05:13 ID:???

「ケケケッ。何ダヨ オ前ラ。連携ハ テンデ駄目ダナ!」
「……やはり、この停電で『魔力』が戻っているでござるか。これは厄介でござるな……」
笑うチャチャゼロを前に、楓の額に汗が滲む。
楓の脳裏に、ここに来る前、明日菜に聞かされた話が蘇る――

 「この停電だけど――そういうことなら、ひょっとしたら『あの時』と一緒かもしれないよ」
 これからエヴァの家に行くのだ、と意気込む6人に、不安そうな声をかけたのは明日菜だった。
 春の定期メンテナンス、あの学園都市大停電に乗じて行われた、エヴァとの戦い。
 あれを知っている明日菜は、今起きたこの停電も、何か関係があるのでは、と直感する。
 だが、6人は。
 「しかし、エヴァ殿の魔力が解放されたならば、拙者たちにも気配くらいは分かるでござるしなァ」
 「確かに気になる偶然ですが、考えすぎでは?」
 楓、そして刹那の「感覚」は、特に何も捕らえておらず。その場では、明日菜の心配は無視された。
 ……まあ、無理もあるまい。『一回目』の大停電は、エヴァの魔力を『封じる』方向で使われたのだ。
 何も感じられなくて当然だ。電力を消費する『封印結界』も、普段から誰にも感じられないもの。
 今さらそれが強化されたからとて、何を感じられるというのか。しかし……

「しかし、今度の停電は、明日菜の言っていた通りでござろうな。
 エヴァ殿の『無詠唱呪文』、ゼロ殿の動きの速さ……『封印結界』を、無効化したか」
「正解ダ。マ、分カッタ所デ何モデキネェダロウガナ。ケケケッ!」

茶々丸が無線を通じ、再び行ったハッキング。今度は、学園結界への電力流入のカット。
それの副作用として、学園都市全体の電気が、またしても途絶え、再度の大停電となっていた。
この『2回目』の停電は、あの吸血鬼騒動の最後の戦いと同じもの。
エヴァンジェリンの魔力が復活し、その延長としてチャチャゼロの運動能力も復活する。
535マロン名無しさん:2006/08/10(木) 22:06:05 ID:???

停電に乗じた最初の攻撃。戦えるものたちの頭に血を上らせ、その後の戦いを有利に進める……
全て、ゼロの計画通り。
……いや、今このゼロの目の前にいる楓の冷静さは、いささか計算外ではあったが。

「ソレデモ、オ前程度ジャ俺ニ勝テネーヨ。オ前1人ジャヨ!」
「……随分な自信でござるな。
 だが、拙者とて、1人でこの場に立っているわけではござらぬよ」
笑うゼロに、楓は目を細める。
彼女とて、怒りがないわけではない。ただ、その表現の仕方が刹那や古菲とは違うだけだ。

「甲賀中忍、長瀬楓。及び――『龍宮真名』。参る!」

彼女の強い意志の篭った声と共に、無数の『分身』が出現する。忍び装束の楓の姿が、何体も出現する。
そしてその『楓たち』が揃って手に取ったのは、忍び装束におよそ似つかわしくない近代的な兵器。
「ハンドキャノン」の異名を取る大口径拳銃、デザートイーグル。
視力を失いリタイアした龍宮真名に託され預かった、真名の愛銃。真名の『意志』。
ゼロと直接対峙した時には、とうとう最後まで使う機会のなかった、ライフル以外のもう1つの武器――!

「短筒の扱いも、忍びの技の1つなり。流石に真名よりは一歩劣るやもしれぬが――
 繰り返して申す。拙者、1人でこの場に立っているわけではござらぬよ。
 その意味、貴殿の身をもって理解して頂くッ!」
「ケケケッ! 面白イ! マトメテ返リ討チニ シテヤルヨ!」

片手にクナイ、片手にデザートイーグルを構えた無数の『楓たち』は一斉に跳躍して――
ログハウス前、痛みに苦しむ3人の目の前で、第一の死闘が始まった。
536マロン名無しさん:2006/08/10(木) 22:06:51 ID:???

「……エヴァンジェリンさん。正直あなたには、失望しました」
「……フン。何とでも言うがいい。私自身、とうの昔に自分自身に失望しているわ」

森の中。
『合気』の力で投げ飛ばされた刹那と、それを追ってきたエヴァが対峙していた。
木々の間で、尻餅をついたような姿勢のまま呟く刹那。マントを広げ宙に浮かぶエヴァ。
刹那はヨロヨロと立ち上がる。俯き加減のその表情は、周囲の暗さもあってよく見えない。

「しかし……私はある意味、ツイていたかもしれませんね」
「? どういう意味だ?」
「あなたを倒せば――魔力の源たるあなたを倒せば、あの人形も自動的に『死に』ます。
 あなた自身にも、あの人形を制しきれなかった責任がある。それだけの罪がある」
「ほう……私を倒す、と。随分とデカい口を利くものだな、刹那。
 ゼロに破れ従者の身分に堕したとはいえ……まだまだ私は、お前などよりずっと強いぞ?」

エヴァは笑う。
彼我の戦力差を示し、エヴァは笑う。
以前と身分が変わったとはいえ、その自信もプライドも未だ『エヴァンジェリン』のまま。
刹那の言葉に、自信を持って笑う。余裕をもって笑う。
だが……
「……それは、『全ての呪いがなければ』の話でしょう。未だあなたは、『登校の呪い』に捕らわれたまま。
 普段よりは強いとはいえ、修学旅行の戦いの時ほどの力はありません。それに……」
「それに?」
「それに、私もまた、普段の自分ではありませんから」

刹那がそう呟くと同時に、その両手が胸の前で交差される。何か力を溜めるような動作。
次の瞬間――
537マロン名無しさん:2006/08/10(木) 22:07:23 ID:???
バサッ。
光と共に、白く、巨大な翼が、大きく広げられる。
舞い散る羽毛。高まる『気』の力。
袴姿の刹那は――烏族の衣装を纏った彼女は、その真の姿を露わにしていた。
禁断の姿を、現していた。

「な――」
「……もう、何もいらない……」
白い翼を広げ、誰にも明かしてはいけない正体を堂々と晒して。
目を丸くするエヴァの前、俯いたまま、刹那は呟く。
「このちゃんを守りきれず……クラスのみんなを守りきれず……
 学園長に、恩も返せず……こんな自分なら、もう、いらない……もう、どうなってもいい……」
そして刹那は、ゆっくりと顔を上げる。
エヴァに向けられたその表情は、もはや人間のモノではない。
見る者に白目と黒目が逆転したかのような錯覚を与える、その凶眼。壮絶な笑み。

「……もう、何もいらない……! 人間の世界にも、未練はない……!
 ただ、このちゃんの仇さえ取れるならッ!
 このちゃんをあんな風にしたお前らに、仕返しできるならッ!」

絶叫。絶叫と共に、翼の生えた刹那は『夕凪』を振るいつつ跳躍する。
正体を露わにしたことで、解放された真の力。人間離れした『気』の力。
その全てを刃に乗せた、大技・『雷鳴剣』。
もはや他人に正体がバレようとどうなろうと知ったことではない。
一族の掟によって烏族の里に引き戻されることになろうと、知ったことか。
守るべきもの全てを傷つけられた戦士は、開き直った復讐鬼と化して――

森の中。立ち並ぶ木々を吹き飛ばす、巨大な雷鳴と共に。
人外同士の第二の死闘が、始まった。
538マロン名無しさん:2006/08/10(木) 22:08:12 ID:???

――ガラスが割れて、古菲の身体が暗い室内に叩き込まれる。

「クッ! やるアルね!」
「……目標の戦闘力、未だ衰えず。戦闘を続行します」

咄嗟に受身を取って、ログハウスの室内で立ち上がる古菲。
無機質な表情のまま、茶々丸がその後を追う。その足元で、踏み割られたガラスがペキリと音を立てる。
2人の戦いは、最初の一撃からそのまま連打戦になって。
茶々丸の蹴りが決まって、ここ・エヴァのログハウスの内部に場所を移していた。
1階のリビング。障害物の多い部屋の中。
2人は無数のぬいぐるみに囲まれて、テーブルを挟んで対峙する。
明かりに乏しい夜の闇、建物の中はさらに暗く、可愛らしいはずのぬいぐるみもどこか不気味な影を落とす。

「サツキは茶々丸のコト、心配してたアルよ。悪いヤツラにそそのかされてるんだ、ってネ」
「無意味な感傷です。私には意味のないことです」
「……つれないアルね」

五月の想いに対し、そっけない言葉を返す茶々丸。
しかし古菲の方も、本音を言えば五月の想いのみでない、胸の奥から湧き上がるモノを感じていた。
茶々丸相手に本気で「戦える」この機会に、ワクワクしてしまう自分を自覚していた。

ネギのエヴァへの弟子入りを賭けた、茶々丸との試合。
あの時点でネギに授けることのできた技は、古菲自身も満足の行くレベルではなかったのだが……
あの戦いを見て、どうしても考えてしまうのだ。1つの考えが、いつまで経っても頭から離れないのだ。

もし、あの時茶々丸と戦っていたのが古菲自信だったなら、一体どういう結末になっていたのか、と。
539マロン名無しさん:2006/08/10(木) 22:08:53 ID:???
人間離れしたスピードとパワー、そして正確さを併せ持つ茶々丸。
ジェット推進で加速される拳。人間を超えた間接の可動域を活かした、独特の体術。
ネギとの試合と、今の数合の手合わせ。まだまだ茶々丸の「底」はこんなものではないはず。
果たして自分の技が通用するのか。どんな戦いができるのか。
武人としての血が、騒ぐ。
背負った想いを抜きにしても、純粋に、茶々丸と戦いたい。
そして茶々丸の性格まで考慮すれば、彼女が本気を出してくれるこんな機会は、二度とありえない――

「――こうしてバラけたのは、逆に幸いアルかもね。邪魔される心配は、ないアル」
「…………」
「いざ尋常に――勝負ッ!」

古菲は、どこか嬉々とした叫びと共に、茶々丸に向かって飛びかかって――
第三の死闘が、始まった。


ログハウス前の、楓とチャチャゼロ。
ログハウス脇の森の中の、刹那とエヴァンジェリン。
ログハウスの中の、古菲と茶々丸。
3箇所に分かれて始まった死闘、その結末は、果たして――?


 NEXT → ???
540マロン名無しさん:2006/08/10(木) 22:14:27 ID:???
いやぁー……おもしろいっ!!
541マロン名無しさん:2006/08/10(木) 22:14:28 ID:???
GJ!GJ!
続きもワクテカして待ってます!
542マロン名無しさん:2006/08/10(木) 22:14:54 ID:???
楽しみでゾクゾクするぜぃ!GJ!
543マロン名無しさん:2006/08/10(木) 22:19:06 ID:???
きょぬーを狙うエヴァに笑ってしまった俺は死んだ方がいいかもしれない。
544マロン名無しさん:2006/08/10(木) 22:20:52 ID:???
ちづ姉なら「アラアラ…」で済みそうで怖いw
545マロン名無しさん:2006/08/10(木) 23:06:47 ID:???
千鶴の取り柄は巨乳かよww
546マロン名無しさん:2006/08/11(金) 01:19:43 ID:???
うん・・・古菲が勝てる気がしない古韮・・・
547マロン名無しさん:2006/08/11(金) 02:05:33 ID:???
>>543
不覚にも俺も笑ってしまった
548マロン名無しさん:2006/08/11(金) 22:48:33 ID:???
hosyu
549マロン名無しさん:2006/08/12(土) 00:02:14 ID:ftT+PU1c
あげ
550マロン名無しさん:2006/08/12(土) 00:18:57 ID:???
>>549
age厨逝ってよし
551マロン名無しさん:2006/08/12(土) 00:21:31 ID:???
逝ってよし(笑)
552マロン名無しさん:2006/08/12(土) 13:25:02 ID:???
煮てよし
553マロン名無しさん:2006/08/12(土) 13:39:57 ID:???
焼いてよし
554マロン名無しさん:2006/08/12(土) 15:28:43 ID:???
でもタタキはいやッツ
555マロン名無しさん:2006/08/12(土) 19:34:07 ID:???
タンノくん乙
556自発日記:2006/08/12(土) 22:53:22 ID:???
>>519
たしかに超がいるのだが、超はさっきから自分の目を塞いで、体を丸くしてガタガタと震えている。
なにが超に恐怖を与えているのかはわからない。
ただ超がこんな様子でわ、まともに動く事すら出来ないだろう。
美空を叩き起こして援護させるという手もあるがどうせまた逃げるに決まっている。
それに補助に周ればそれなりにリスクは高い。
相当勇気がなければ出来ない事である。
そんな中、千雨が右手を背後に回してなにかやっている。
千雨の手には携帯電話。SOS通信でも送るつもりなのか。
しかしどうやら電話をするわけでもメールをするわけでもないらしい。
折畳み携帯電話は閉じられている。
彼女は誰にも気付かれないように自分の鞄から小さい鏡を取り出すと、それを後ろに回し、携帯電話のライトで光を反射し始めた。
光は窓を通り抜け、廊下の天井を照らしだす。とは言っても昼なので微かにしか見えないが、それでも十分である。
彼女は先ほど美空が校庭側のガラス窓に思いっきりぶつかったのを覚えている。
なぜあんなに勢いよくガラス窓にぶつかっておいてガラス窓は割れなかったのか。
原理などは全く分らないが自分の力では脱出不可能なのはこれではっきりとした。
557自殺日記:2006/08/12(土) 22:54:11 ID:???
そのために千雨が考えたのはスモール信号である。
確率はかなり低い。光が薄いうえに今は授業中。
だいたいスモール信号なんて読めるやつなんてほとんどいないだろう。
確率は2%。しかしなにも出来ない以上、その2%にしか縋るものはなかった。

「くっ…」
ナイフが右手の甲を掠る。
段々と古菲の防御地域が狭くなっていく。
いまでは頭と胸(臓)を守るだけで精一杯だ。
「か、楓!どうしたアルか!なんでこんなこと…」
反応はない。古菲の目の前にいるのは楓の格好をした殺人人形なのか?
違う。あれは楓だ。
いつも笑ってて、のんびりしてて、やさしい。先ほどまでそこにいた楓。
古菲は今、大切な友と殺し会いをさせられている。
生きるか死ぬか
弱肉強食
強い者が生き、弱い者は死んでいく自然の摂理。
古菲が今まで嫌と言うほど己に聞かせてきたものだ。
格闘家たる者、情けをかければそれ即ち死を意味する。
小さな兎にも全力をもって狩りをする虎のように格闘家も全力で相手に挑まなければならない。
しかし…。しかし足が前に進んでいかない。
手から段々と力が抜けていく。
古菲の体は知らず知らずのうちに悲鳴をあげていた。
558マロン名無しさん:2006/08/12(土) 22:57:07 ID:???
「(…情けをかけちゃ駄目アル。動け…。なんで動かないアルか!)」
体の限界に気がつかない古菲。
しかも限界を情けをかけいるせいだと思い込み、明らかに苛立っていた。
もちろん楓も例外ではない。
ナイフを持つ両手の指からは出血し、楓の目の前では床が紅い水玉模様をつくっていた。
心理を追い込まれ、体力の限界にも気付かない古菲。
もう勝負は見えていたのかもしれない。


………ドクッ………
………ドクッ………ん?……
…ドクッ……生きている…ドクッ………

気がつくと自分は机の上でうなだれていた。
首が動かない。何かが首に刺さっていて動かすと強烈な痛みが走る。
首に刃物が刺さってて生きているのが奇跡だ。
おそらく傷が浅かったのだろう。
だが死ぬ。自分でもわかる。自分はあと30分もしないうちに地獄に墜ちる事になるだろう。
怖くはない。死ぬ事よりも怖い事など生きてるうちに何度もあった。
ただ悔いがある。自分はまだしなければならないことがある。
まだ…

古菲の手からカーテンが落ちていく。
古菲の息は明らかにあがっていた。
「(そんな…、体が動かない…。)」
559マロン名無しさん:2006/08/12(土) 22:58:00 ID:???
肉体、精神ともどももう限界のようだ。
古菲の指はもうカーテンを拾う力もなくなっていた。
「(………)」
もう自分への怒りしか沸かない。
担任の教師の師匠などと偉そうな事を言っといて、簡単に丸め込まれ、弟子を裏切ってしまった。
弟子は師匠の前から姿を消し、行方不明。
師匠も自分を師匠、いや格闘家と名乗るのをやめた。
それがせめてでも消えた弟子に謝罪となるのなら。
だがその結果、彼女は壊れた友を止めることも、一発殴ることさえも出来ないほどふ抜けになってしまっていた。
少女の明るい太陽は黒く荒んでいく。
あの頃の馬鹿だけどいつも明るく笑っていた彼女はもうそこにはいない。

心が抜けた古菲に対し、一方の楓はナイフが切れたのかこちらも攻撃が止まっている。
古菲のことをじっと見つめ、出方を伺っているようだ。

一人の少女、いや女性が古菲のもとへ歩んでいく。
もちろん女性は戦闘員でなければ武器も持っていない。
攻防が止んでいるとはいえ、丸腰で古菲に飛び込む事がなにを意味するのかこの女性はわかっているのか?
女性は古菲の前に立ち、屈んで古菲の顔を見る。
古菲の目には女性の姿など見えてはいない。
560マロン名無しさん:2006/08/12(土) 22:59:24 ID:???
そこにあるのは自分への怒り。
弟子を裏切った自分への…、格闘家として恥ずべき事をした自分への…
怒り

バチンッ!

頬に走る強烈な痛み。そこには千鶴が透き通ったような目をしてこっちをじっと見つめていた。
「古菲、自分を責めちゃダメ!あなたは何も悪くない!」
千鶴の目が古菲の黒く荒んだ心に深く突き刺さる。

「「え?」」
クラス全員が己の目を疑った。
そこに立っていたはずの人形はいつの間にか消えていて、古菲の背後に亡霊のように立ちすくんでいた。
右手にはくない。
楓は右手を振り上げ、古菲の首筋めがけ、くないを振り落とす。
「キャアアア!!」
ブシッ…
血が飛び散り楓が紅く染まる。
くないは千鶴の背中を一閃してした。
古菲の目に映る紅い血。
なにかが壊れた音がした。

「千鶴!!」
「イヤァァァァァ!」
古菲の体からずれ落ちるように倒れていく千鶴。
目は空ろで危険な状態なのは一目でわかる。
千鶴は守ったのだ。自分を犠牲にしてクラスの最後の希望を。
それでも楓の攻撃は止まらない。
古菲の首を絶とうと横に一閃しようとする。
しかし古菲はこれを避けることはしない。
なぜなら結果はすでにわかっていたから
561マロン名無しさん:2006/08/12(土) 23:01:26 ID:???
古菲の拳が楓の腹部に思いっきり入っていた。
くないが手から落ちていく。
一撃は明らかに大きなダメージを与えている。
楓は苦しそうにもがきながらその場で崩れこんでしまった。
さすがの楓も古菲の拳をもろにくらって無事ですむということはないようだ。
千鶴が楓に斬られた時、古菲のなかで楓という人物像が全て崩壊した。
かわりに生まれてきたのは、目の前の人形に対する敵意と殺意。
古菲は足下で倒れている楓に目をやる。
何も情が沸かないといえば嘘になる。
ただ以前のような感情はもう沸く事はないだろう。
古菲は少し悲しくなった。

その隣には背中を血で染めた千鶴が、倒れていた。
目は空ろ。おそらくもう長くはないだろう。
「千鶴…、すまないアル。私まだまだ修行が足りないアルよ…。」
古菲は千鶴の血に塗れた手をそっと握り、心配そうに顔を覗く。
手の感触に反応したのか。千鶴は微かにしか見えない目で古菲を捕え、ニッコリと笑いこう言った。
「あ……弱く…いわ…。」
それが彼女の最後の言葉となった。

千鶴は言い終わると糸が切れたように目を閉ていく。
とても殺された人とは思えないほど安らかに眠っていた。
562マロン名無しさん:2006/08/12(土) 23:03:41 ID:???
古菲は手を優しく置き、何も言わず合掌する。
彼女なりの敬意なのだろう。一部始終を見ていたクラスメートたちも、黙祷を捧げている。
勇気を持って希望を守り抜いた千鶴はみんなに看とられ、幸せそうにこの世を旅立った。

ぐさっ…
「え゙?」
古菲の首筋にナイフ。
皆が己の目を疑ってしまう光景。
楓ではない。楓は千鶴の隣でのびている。
古菲は最後の力をふり絞って背後を覗く。
逆光ではっきりとは分からない。
短髪、短い身長、青白い髪の色
そこに立っているのは先ほどまで気絶していたはずの亜子であった。

14/22

古菲は死んだ。最後の希望はなんの変哲もない少女が簡単に絶ってしまう。
理解が出来なかった。何故亜子が古菲を殺したのか。何故亜子は古菲を殺せたのか。何故亜子は気絶からこんなにも早く醒めたのか。
千鶴の遺体に被さるようにして倒れた古菲。
本人も信じられないというような表情をしている。
簡単なことだ。『敵は一人とは限らない。』
その可能性すら考えなかった古菲の負け。
なにも戦いとは力だけではない。古菲は戦略で負けたのだ。
ある意味古菲らしい最後であった。
こうして悪夢の弟2ラウンドが幕を開ける。
563マロン名無しさん:2006/08/12(土) 23:05:01 ID:???
亜子は楓が落としたくないを拾い、生徒たちに向かって突進していく。
満面の笑み。まるでこれから始まる殺戮を心の底から楽しむかのように
亜子の襲ってくる姿は気味が悪い。
足よりも上半身が前に出た走り方。
頭がおかしいのかと思わせるような狂った笑顔。
昔の古い映画で包丁を持った人形が人々を追いかけ回し、殺していくなんていうホラー映画があったが、今の亜子をイメージでたとえるとまさにそれ。
もう皆の心の中は亜子への恐怖しか沸いてこなかった。

亜子は葉加瀬に向かって突進していく。
当然葉加瀬は逃げるが、それを追う亜子。
机の上をおぼつかない足取りで駆けていく二人。止める者は誰もいない。止めればその者は確実に死ね事になるからだ。
机を降りては走り、机に昇ればまた走り。
そんなことをしているうちに葉加瀬の体力は限界へと近づいていく。
所詮は椅子に座ってばっかりの科学者と雑用でこき使われるサッカー部マネージャーの力の差か。
葉加瀬と亜子の差は段々と狭まっていく。
「はぁ…はぁ…だれかっ!…はぁ…誰か助けっ!」
葉加瀬は必死に逃げながら涙を流し、クラスメート達に嘆願する。が、今葉加瀬を見ている人など誰一人いなかった。
564マロン名無しさん:2006/08/12(土) 23:14:47 ID:???
目を合わせるな!目を合わせたら助けなくちゃならない!
クラスメート達は葉加瀬を見捨てることにした。
先ほど勇敢に散った千鶴を見ていると、とても自ら死にいくような勇気がもてない。
くないが背後に迫る。
あと10cm
クラスメートたちが血を見るのを恐れ、目を閉じ始める。
あと7cm
葉加瀬が目の先で小さく震えている超に手を伸ばす。
あと6cm
超がふと顔を上げると葉加瀬が救いを求めている。そして葉加瀬と目が合う。
あと5cm
葉加瀬が超に向かって叫ぶ。
あと4cm
超はそっと目線を逸らした。
あと3cm
一瞬、超の思わぬ行動に葉加瀬の頭が真っ白になる。
まであと2cm
くないが白い制服を突き破り、皮膚に先端が当たる。
心臓まであと1cm
皮膚を突き破り制服が紅く染まり始める。
心臓まであとαcm
くないが心臓へと刺さり、葉加瀬は力が抜けたように膝をつき、そのまま前に倒れ、永眠
のはずだった。
心臓まであとα=2cm
突然亜子の目の前に棒が現れ、顔面に直撃。
心臓まであと5cm
亜子の体が浮き、手に握られていたくないが地面に落ちていく。
565マロン名無しさん:2006/08/12(土) 23:16:03 ID:???
心臓まであと4m
恐怖の人形はそのまま頭から床に落ちていった。

「はぁ…怖かった。」
手からリコーダーが落ちていく。
桜子は赤くなった手を見つめながらゆっくりと溜め息をついた。
「第一号サヨナラ満塁ホームラン…っと!」
桜子は両手を斜めで上げ、ゆっくりと教室の間を走り出す。
おちゃらけてはいるが挙げられた手は小刻みに震えていた。
打たれた亜子の鼻はグシャグシャになっていて痛々しい。
桜子の満塁ホームランと呼ぶに相応しい活躍劇であった。
566マロン名無しさん:2006/08/12(土) 23:17:56 ID:???
取りあえずここまで
続きは明日携帯を機種変してから考えたいと思います。

自殺日記
567マロン名無しさん:2006/08/12(土) 23:30:43 ID:???
流れを変えてしまうようで悪いけどスモール信号じゃなくてモールス信号では無いかい?
568マロン名無しさん:2006/08/12(土) 23:31:49 ID:???
スモール信号バルスw
569マロン名無しさん:2006/08/12(土) 23:35:18 ID:???
>>567>>568
マジでミスった
スマソ
570マロン名無しさん:2006/08/12(土) 23:43:23 ID:???
今回は不発だったな
571マロン名無しさん:2006/08/12(土) 23:43:43 ID:???
面白いから問題ない GJ!
572マロン名無しさん:2006/08/12(土) 23:56:53 ID:???
自記はなかなかレスがつかないな
やはりどうしてもこういう所で
ゼロとの優劣がはっきりと出てしまう
573マロン名無しさん:2006/08/13(日) 00:38:06 ID:???
面白いっ!!超はいいヤツとして書いてくださいw
574マロン名無しさん:2006/08/13(日) 02:13:56 ID:???
内容っつーか、その日投下分の切り方で損してるかもね
575マロン名無しさん:2006/08/13(日) 07:48:54 ID:???
あーあ桜子死亡フラグかな・・・
576マロン名無しさん:2006/08/13(日) 11:24:28 ID:???
弱気なちゃおりんハァハァ
577マロン名無しさん:2006/08/14(月) 00:32:10 ID:???
>>441

「「信じらんなーーーい!!」」
唖然とした3-Aズ。ここで逃げるのはマズかった。
「いつアイツのモノになったんだよー!?」「ネギせんせーは私のものですー」
やり場を失った彼女達の怒りは教室の熱気と共にどんどん膨れ上がっていく。

キーンコーン…
そして1時間目の開始を告げるチャイムが鳴った。
「くっそ…戻ってきたら絶対○○してやる…」「もう許しませんわ…」

―一方くーふぇは…
「大丈夫アルか?ネギ坊主…ポカ○持ってきたアルよ…」
「はい……すみません古老師…」
保健室で横になっているネギの元にいた。
「謝るのは私の方アル…ネギ坊主はエヴァにゃんとの修行で疲れてたのに…ホント
 に申し訳ないネ…」
「い、いえ…!僕の方こそ…自分の体調管理もできなくて…情けないです…
 教師失格ですね…って、古老師!授業は!?」
「………サボッたアル…」
「だ、だめですよー…、さぁ早く行ってください!」
「…ネギ坊主…私もうクラスに戻れないアル…」
いつになく弱気なくーふぇ…。
578マロン名無しさん:2006/08/14(月) 02:05:53 ID:???
>>577 過疎ってる中の投下GJです。でも中途半端な切り方されると続きが気になって仕方ないorz
579マロン名無しさん:2006/08/14(月) 02:50:49 ID:???
ゼロ氏はお盆で帰省中かな?
580マロン名無しさん:2006/08/14(月) 23:21:51 ID:???
このスレの作者紹介

1、ゼロ
文章、構成、内容どれもズバ抜けてうまいこのスレのヒーロー
このスレでこの人の作品を読んでいない人はいないと言うほどの大人気職人。
スレが過疎ると「ゼロまだー?」などの声がちらほら
彼なしではこのスレは語れない

2、自殺日記(ネウロ)
いろいろと問題のある作者。
「ネウロ×ネギ」の作者でもある。
ネギまなのに他作のネウロが出てくる斬新(?)なSSに最初はなかなか好評ではあったが、やっぱり批判が殺到し、失脚。
スレが荒れた原因をつくった張本人。
2作目の自殺日記は賛否両論である。
どうしようもない間違いが多い。
あと何故かこのスレはネウロから始まり、ネウロで終わる。(おそらく葱ロアの彗星を意識したものと思われる)

3、刹那いじめ
時々しか来ない気まぐれ作者。
来ない理由を冗談で紛らす事も…
文体はなかなか光るものを感じるが、中身はえぐいものもあり、そういう手の物が苦手な人は少し勇気がいるかもしれない。
ファンは多いほう…かな?

4、Y
まとめサイト管理者にして、このスレで最も古いSS職人。
文体は酷いが内容がそれをうまくカバー。
Yが立てまくったくそスレ(一説にはネウロ復活のために立てたとの噂が…)の中の一つ 「結婚スレ」
581マロン名無しさん:2006/08/14(月) 23:23:22 ID:???
>>580
に入り浸り批判増大。ある意味一番の嫌われ者

失敗スマソ
582マロン名無しさん:2006/08/15(火) 00:29:59 ID:???
そういうのイクナイ
583マロン名無しさん:2006/08/15(火) 02:35:28 ID:???
>>577

「ど、どうしたんです…?何かあったんですか?」
「……じゃあ戻るネ!また次の休み時間に来るアルヨ!」
そう言ってくーふぇは急ぎ足で保健室を出て行った。あっけにとられるネギ。
「くーふぇさん…うぅ…頭が……」

―教室。
「…緑を別に出したから、オレンジを別に求めたから接点てぃ…」
ガラガラ…
「きた…!」「うぁゴミ虫だ…帰ったんじゃなかったのかよ…きめぇ」
くーふぇが教室に入ったとたん、口々に彼女を非難する声が聞こえる。
「お、くーふぇ。あと30秒遅れてたら今日の授業欠席になってたぞー」
先生に声をかけられても黙ったまま、席に戻った。
「…?じゃ続けるぞー、ここですぐ使うじゃん、黄色をなんたらかんたら…」

つづく…
584マロン名無しさん:2006/08/15(火) 05:55:03 ID:???
>>582
だって本当じゃん
585マロン名無しさん:2006/08/15(火) 12:48:12 ID:???
ゼロ儲うぜぇ。あるいはアンチゼロによる褒め殺し作戦か?
586マロン名無しさん:2006/08/15(火) 13:12:34 ID:???
となりのトトロは怖い

お父さんの研究って一体何?
お母さんは何の病気なんだろう
田舎に引っ越した本当の理由は?
あの親切なおばあちゃんは一体
さつきに欲情する男子小学生
そもそもトトロって一体

想像したら怖くなって…
587マロン名無しさん:2006/08/15(火) 22:08:28 ID:???
>>583

「クスクスクス…」「やぁだぁ…w気付いてないんじゃない?ゴリラだしw」「きったねーw」
くーふぇが戻ってきて数分、いたる所からいやらしい囁き声が聞こえてくる。もちろん原因は…。

「(ほらっ、茶々丸さんも…消しゴムのカス集めてこーして…)」
ゆーなが消しカスを大量生産してくーふぇの頭にぱらぱらと降りかける。
「(ぶふふふふwwわっ、さすが茶々丸さん!もうこんなに作ってる!ナイス!)」
よくわかっていない茶々丸はペコリと頭を下げる。
「(よーし、いまだ!)」
先生が黒板に向かっている時を見計らい、山盛りの消しカスをくーふぇの頭にぶっかけた!

「「「ギャハハ!!!www」」」

「!?なっ!?どうした!?」
突然教室中に響いた笑い声に先生が目を丸くして驚いている。
「なんでもありませんわ、せ・ん・せ?」
すかさずあやかがフォローを入れる。成績優秀容姿端麗の彼女に言われ、
素直にはいと返事をする馬鹿教師であった。
588マロン名無しさん:2006/08/15(火) 22:30:05 ID:???
>>539
チャチャゼロ残酷編19  後編

――ログハウスの前。
目にも留まらぬハイスピードバトルが、繰り広げられていた。

「ニンニンッ!」
5人の『長瀬楓』が走る。走るチャチャゼロを取り囲むようにして走る。
ログハウスの前、動けぬ3人の間を駆け抜けながら、激しい攻防を繰り広げる。
離れればデザートイーグル。近づけば『気』の篭った掌底や逆手に握った刃。
身長よりも巨大な手裏剣が、まるで回転ノコギリのように回りながらチャチャゼロを追い立てる。
対するチャチャゼロは……
「ケケケッ!」
一瞬の休みもない、多種多様なその攻撃を、両手に握ったナイフでことごとくいなしていた。
凄まじい威力の弾丸を弾き、クナイを止め、あるいは身を捻ってかわし。
合間合間に投げナイフやワイヤーを使い反撃までする。
流石に大口を叩くだけのことはあるようだ――ただそれでもなお、楓の方が優勢で。
何しろ事実上5対1なのだ、ワイヤーもナイフもほとんどが空を切る。

「どうしたでござる?! 拙者『たち』を返り討ちにするのではなかったでござるか?!
 逃げてばかりではどうしようもないでござるよ!!」
息もつかせぬ攻撃を加えながら、楓は笑う。笑いながら……しかし、内心は決して穏やかではない。
嫌な予感が、するのだ。
防戦に徹するようなゼロの姿に、やる気なくワイヤーを飛ばすゼロの姿に、嫌な予感がするのだ。
その高い防御の技術を見るだけで分かる、ゼロの実力は、まだこんなものではないはず。
なのに、何故もっと攻撃してこないのか。何を狙って時間稼ぎのようなことをしているのか。
焦る楓の安っぽい挑発にも、ゼロは耳障りな笑い声を上げるだけで。

「ケケケッ。急カスナヨ。今、準備ガ出来タトコサ、マア見テロッテ!」
そして、次の瞬間。拳銃を構えた楓の前に、立ち塞がったのは――!
589マロン名無しさん:2006/08/15(火) 22:31:32 ID:???

――夜の森。
漆黒の闇に包まれた森は、連続する雷光にフラッシュのように照らされる。
立ち並ぶ木々が、紙細工のように軽々と吹き飛ぶ。

「くッ……! なんの躊躇もなしかッ!」
「神鳴流奥義――斬岩剣」
マントを翻し、木々の間を飛んで逃げるエヴァに、翼を広げた刹那が直上から迫る。
紙一重でかわしたエヴァ、その目の前で、空振りした剣が大地を割る。
十数メートルにも及ぶ長く巨大なクレバスが、剣の一振りで出現する。大木が正面から真っ二つになる。
なんとも凄まじいパワー。流石のエヴァンジェリンも、防戦一方。

翼を出す直前、刹那が指摘した事実。
エヴァンジェリンを縛り魔力を奪う2つの呪い、その片方が未だ残っているという事実。
――それが、この一方的な展開を生み出していた。
結界のみならず、『登校地獄』もまた学園内において、学業に魔法は不要とばかりに魔力を削ぐ。
2つの呪いが共になければ、リョウメンスクナノカミさえも瞬殺できるエヴァだったが……
学園の電気的結界の無効化だけなら、戦闘経験の無かった頃のネギと、魔力的にはほぼ同等。
吸血鬼騒動の時にも、ネギ相手に真正面から打ち合った大規模魔法で、ギリギリで打ち負けている。
今のエヴァも、その時と同等の魔力状態だから……翼を出した刹那に、パワーで敵うわけがない。
真の姿を晒した刹那が得るのは、飛行能力だけではないのだ。

半妖の膨大な潜在能力を露わにし、誰かに見つかることなど考慮せず大技を振るい続ける刹那。
森はもう大変なことになっている。この調子で戦闘を続ければ、この森は跡形もなく消えてしまうだろう。
エヴァは逃げる。ひたすら逃げる。
時折牽制程度に『魔法の射手』を放つ程度で、あとはひたすら、距離を置き、魔法の盾で逸らし。

「いやはや、恐るべきパワーだな……だがやはり、力み過ぎだぞ、刹那!」
「神鳴流奥義――百烈桜華斬」
逃げつつ叫ぶエヴァの叫びに答えず、刹那は狂気の滲む剣を振るう。
たった1振りで無数の斬撃が飛び出して、その1つ1つが、木の幹を断ち切るほどの威力を見せる。
森を壊し木々をなぎ倒しながら、超人たちの戦闘は続く――
590マロン名無しさん:2006/08/15(火) 22:32:10 ID:???

――ログハウスの中。
テーブルを割りぬいぐるみを弾き飛ばしながら、超人的なカンフーバトルが繰り広げられていた。
「…………」
「なんのッ! まだまだアルよッ!」
倫理的リミッターの外された茶々丸の打撃は、重く、鋭く、その全てが人体の急所狙い。
人間の反射神経を超えかけた速度で繰り出されるその連撃を、古菲はことごとく防ぎきる。
避け、止め、あるいは先に打撃を当て。
合間合間に放たれる茶々丸のビームも、今のところ直撃はない。

結局のところ――「速くて」「パワーがある」だけでは、古菲は倒せないのだ。
経験の差。そして、積み上げられた伝統の差。
中国拳法はその長い歴史の中で、よりスピーディな敵、よりパワフルな敵と戦ってきた経験を持つ。
そして、その経験の蓄積に基づく技や動きが用意されている。
古菲自身はその意味を理解していなくても、無心に学んだ技と型が自然と彼女を導いてくれる。
人体構造と照らし合わせ最適・最高の動作が、既に古菲の中に用意されている。
相手が刃物や最新の銃器、魔法のような超自然の技を使ってこない限り、古菲には「何とかなる」。

対する茶々丸の方は――この世に生まれて、まだ3年。
ある程度は技術的な継承があったとはいえ、「茶々丸の身体に合わせた格闘術」の歴史も、たった3年。
ロケットパンチを活かせるような格闘術は、人間の世界にはないのだ。自分で作るしかない。
また、今までは「倫理的リミッター」のために、「あえて急所を狙わない」技術を磨いてきた。
急にリミッターを外され、相手を潰すための戦いを命じられても、そのような戦闘の経験はほとんど皆無。
圧倒的に、経験値が不足している。速度とパワーが凄まじいだけで、ほとんど素人のケンカ。
目からのビームにしても、チャージに要する僅かな時間が、近距離戦闘では隙となる。

そして、ハイスピードバトルの中で、古菲は次第に茶々丸の「クセ」を把握しはじめていた。
足捌き。フェイントのかけかた。拳の軌道。防御時の体さばき。ビームを放つ直前の僅かな仕草。
これなら――戦える。これなら、十分勝機が見える。
「そろそろ、反撃させてもらうアルよッ……!」
591マロン名無しさん:2006/08/15(火) 22:33:03 ID:???

「ケケケッ!」
「ひ――卑怯でござるッ!」

ログハウスの前。ゼロに一方的に攻撃を加え続ける楓の前に立ち塞がったのは――
両手から血を流す朝倉和美。両目を閉じ痛みに呻く綾瀬夕映。凍結した両胸で苦しい息をつく那波千鶴。
――つまり、最初の先制攻撃で倒れた3人。
それが、顔を歪め、奇妙な足取りと動作で、ゼロを庇うように立つ。
「か……身体が勝手に!?」
「い、痛いですっ! 肩が、外れる……ですッ……!」
「うううっ……」
自分の意志に反して勝手に動く手足に、苦しみの声を上げる3人。
宙を掻くような奇妙なゼロの動作に、楓はすぐに理解する。
「人形使いの技術――でござるか」
「ケケケッ。『裏技』ダガナ」
ゼロが木乃香をたぶらかした時にも使用した、生きた人間を文字通りの「操り人形」にしてしまう技。
弱者を嬲ることを好まないエヴァは、ほとんど使用したこともない人形使いの『裏技』。
楓を狙ったように見せかけ飛ばしたワイヤーを、既に抵抗力のなくなった3人の手足に巻き付けて。
逃げ続けながら準備を進めて、用意し終えた人形3人。
3人の両手両足は既にゼロの思うがまま。自分の意志で動かせるのは、首から上のみ。

「ソッチモ分身使ッテルンダ。卑怯ッテ程デモネーダロ」
「貴様……!」
「サア――続キヲシヨウゼ! 『いざ、尋常に』ナ!」

3人を盾にし、両手の自由な夕映と千鶴にはそれぞれナイフを持たせ。
指のない和美の手にも、人形繰り用の糸を巻きつけナイフを持たせて。
ゼロは笑う。邪悪に笑う。対する楓の額には、脂汗が浮かぶ。
楓対チャチャゼロ、攻守の逆転した第二ラウンドに突入――!
592マロン名無しさん:2006/08/15(火) 22:33:44 ID:???

――それは、突然だった。

「神鳴流奥義、雷こ――!?」
木々をなぎ倒しエヴァを追い掛け回し、惜しみなく大技を放ち続けてきた刹那。
森の中を飛び回りながら、いつしかログハウスの近くにまで戻ってきていた2人。
楓たちとは建物を挟んで反対側、エヴァの家の裏手で刀を振り上げた刹那は。
空中で、目に見えぬ何かに絡め取られる。急に、手足と翼の自由を失う。

「だから『力み過ぎだ』と言ったんだ。ガラにもなく猪のように突進しおって」
空中で翼をバタつかせて暴れる刹那に、エヴァは溜息をつく。
よくよく見れば、夜の闇の中。視認も困難なほど細い糸が、まるで蜘蛛の巣のように空中に張られている。
人形使いの糸だ。エヴァが逃げ続け回りながらも、こっそり巡らせ準備していた罠だ。
白い翼の刹那は、まさに蜘蛛の巣にかかった蝶のような状態。

「これで終わりだ――
 リク・ラク ラ・ラック ライラック 来たれ氷精 闇の精……!」

見事に刹那を罠に誘い込んだエヴァンジェリンは、彼女の眼前にホバリングしながら、片手を掲げる。
ゆっくりと呪文の詠唱を開始する。現状のエヴァが扱える、事実上最強クラスの攻撃呪文。
それを目の前にして、刹那は――

「……この程度で私を押さえられるとお思いかッ、エヴァンジェリンッ!!」

その手足に、『気』の力が漲る。半妖ならではの強烈なパワーを漲らせ、手足と翼を大きく振るう。
たちまち蜘蛛の巣状の『糸』が引き千切られ、刹那は自由を取り戻す。
エヴァは未だ長い呪文詠唱の途中。今更止められない。西洋魔術師の最大の弱点を晒した格好。
刹那は歪んだ壮絶な笑みを浮かべ、自由になったその場で愛刀の『夕凪』を振り上げる。

「ッ!! 闇を従え 吹雪け 常夜の……
「遅いッ! 神鳴流決戦奥義、真・雷光け――」
593マロン名無しさん:2006/08/15(火) 22:34:40 ID:???

――それは、突然だった。

ログハウスの中、茶々丸の動きを見切り、反撃に移ろうとした古菲。
しかし突然何の前触れもなく、茶々丸は大きく距離を開ける。
古菲への攻撃を急に止め、大きくジャンプして窓際に跳ぶ。
「な、何のつもりアル――!?」
閃光。
古菲の疑問に答えることなく、その目からビームを放った茶々丸。
ただしその対象は、目の前の古菲ではない。
窓の外――正確には、窓の外に浮かぶ、白い翼を広げた刹那。
最大級の奥義をエヴァに向けて放たんと、空中に留まり刀を構えていた刹那。
最大出力で放たれた茶々丸のビームは、窓を破り真っ直ぐ直進し、見事に刹那の翼を貫いて――
窓の外、刹那はフラフラと落下して――

「刹那ッ!?」
「――吹雪け 常夜の氷雪 『闇の吹雪』!!」
古菲が叫ぶ間も、あらばこそ。
壁を突き破り、恐るべき威力の攻撃魔法が古菲を襲う。室内に吹き荒れる、黒い吹雪。
建物の外、エヴァンジェリンが唱えていた強力な攻撃魔法。確かに壁を破って余りある威力を持つ。
しかし、エヴァの位置からは直接見えない位置に居たはずの古菲を、どうやって狙ったのだ――!?
疑問を抱く間もなく、古菲の意識は極低温の闇の吹雪の中に飲み込まれた。

ログハウスの裏手。壁にブチ空けられた巨大な穴の前。
翼の根元を撃ち抜かれ、墜落の衝撃で片足を骨折し。地に這いつくばり苦しむ刹那。
混乱する刹那の前に、ゆっくりとエヴァが舞い降りてくる。
「ぐ、がッ……! い、一体、何がッ……!」
「……本当は、正面からの力比べもしてみたかったのだがな。
 確実に仕留めろ、との『マスター』の命令だ。悪く思うなよ、刹那、古菲。
 大体、1対1の決闘なのだと思い込んだお前たちも迂闊なんだ。
 ゼロの性格を知っていれば、『正々堂々』などあり得ぬことくらい、容易に想像できるだろうに」
594マロン名無しさん:2006/08/15(火) 22:35:38 ID:???

気付くべきでは、あった。少なくとも刹那は気付けるだけの知識と情報を持っていた。
最初の攻撃。停電と同時に繰り出された、3人の息の合った攻撃。
あの時、ゼロたち3人には相談する時間も素振りもなかったはずなのに。
そもそもこの6人が押しかけてくることなど、想像すらできなかったはずなのに。
あまりにピッタリ息の合った連携行動。狙ったように持ち込まれた、3組の1対1の戦い。
あんな行動、『声を掛け合って』でなければ、到底できるものではない。

つまりは3人は、『声を掛け合って』いたのだ。常人には聞こえぬ方法で。敵には分からぬ方法で。
――そう、『念話』である。

派手な攻撃魔法にばかり目が行きがちだが、なかなかどうして、エヴァは『念話』も得意。
修学旅行の戦いの折には、麻帆良学園に居ながらにして京都のネギたちに語りかけ。
京都に到着してからも、茶々丸に指示を飛ばし、千草を捕らえたゼロの報告を受け取っている。
……そう、ロボットである茶々丸もまた、エヴァの念話を聞き、また返すことができるのだ。
人間そっくりであれば人間同様に効果を発揮するという、『魔法』の基本理論の延長である。

今回の戦いでも、ゼロたちの側では『念話』が重要な役目を果たしていた。
ゼロの指示に従い、3人はそれぞれ相手を選び、それぞれにタイミングを計り。
エヴァと茶々丸でタイミングを合わせ、互いの敵の位置を教えあい。
最後の一撃は、互いの敵を交換して攻撃を放ち合った。1対1の戦いだ、と思い込んだ敵の隙を突いた。
「バラけたから邪魔される心配がない」と言った古菲は、根本的な勘違いをしていたのだ。
エヴァの策を「蜘蛛の巣で絡め取るだけ」と思った刹那は、その罠の位置の意味を考えてなかったのだ。

「――こっちは、こんな所か。さて、『マスター』の方はどうなったかな?
 楓が『マスター』を、チャチャゼロを倒してしまえば、私も自由になれるんだが……
 『マスター』は『手出し無用』と言ってくれたわけだし、な」
595マロン名無しさん:2006/08/15(火) 22:36:18 ID:???

――4対1。それは楓にとってもキツい状況だった。

操り人形にされて、盾にされているのは、楓が守りたい人たちだ。戦闘に関しては、一般人だ。
それが苦しみの表情を浮かべたまま、ゼロを狙った攻撃の進路に割り込んでくる。
分身を出して回り込もうにも、3人も『壁役』がいれば死角がない。
先ほどまでとは一転し、ゼロの側が楓を圧倒する状況。
操り人形の3人はそれぞれにナイフを握らされており、これらによる攻撃もなかなか厳しい。
「ケケケッ! サッキマデノ威勢ハドウシタヨ!?」
「くッ……しかし、何か隙があるはずッ……!」
楓は一旦距離を置き、身構える。
と――。悩む楓は、盾にされているうちの1人と目があう。
那波千鶴。魔法の存在も超人たちの技術も知らぬ彼女が、しかし気丈な表情で楓を見る。
楓の顔を見つめたまま、声を出さずに唇を動かす。千鶴の背後に居るゼロは、それに気付かない。
「……! なるほど! あい分かった、その策、乗らせてもらうでござるッ……!」
自分の身体が勝手に動き、仲間を妨害するこの状況。
常人なら怯えて混乱するところだろう。気の弱いものなら発狂してもおかしくない。
けれど、千鶴は冷静に、己のできることを考え、そして実行しようとしていた。
その覚悟を、楓は真正面から受け止める。

「おそらくコレは、拙者たちの最後の勝機……いざッ!」
楓は大地を蹴る。突進しながら出現するのは、楓にとっても最高の16分身。
一瞬ゼロの動きが止まる。流石にその全てに攻撃はできなくて、本体がどれか見極めんと目を凝らす。
しかし、普段なら『最後の策』である16分身も、今回に限ってはフェイク。真の狙いを隠すダミー。
そのゼロの視界を遮るように、大きく目の前に広がったのは……
「……!! コイツハッ!?」
「楓さんッ!」
「応ッ!」
首から上しか自由のない千鶴、その首が獅子舞のように大きく振り回され。
その長い髪が、ゼロの視界を遮る。
カーテンのように視界を遮る髪に、真名に託されたデザートイーグルを突っ込むようにして突き出して。
無数の分身を囮にした楓の『本体』が、引き金を――!
596マロン名無しさん:2006/08/15(火) 22:37:07 ID:???
――ドンッ。

千鶴のすぐ耳元で、銃声が響く。
視界を遮る髪のカーテンを貫き、銃弾がゼロの頭目掛けて直進する。
頭部に迫る銃弾、避けるにも弾くにも、もう距離がない。
ハンマーに殴られたように、ゼロの小さな身体が大きく弾け跳んで――
力を失ったゼロの身体が、地面を転がる。操り人形にされていた3人の身体が、その場に崩れ落ちる。
2回転、3回転……まさに壊れた人形の如く転がったゼロの身体が、動きを止めて。
ログハウスの前に、沈黙が戻る。

「や……やったでござる、か?」
「上手く行ったのかしら……?」
千鶴が考え、声を出さずに口にした策。読唇術の要領でそれを読み取った楓。
流石の殺人人形も、頭部に銃弾の直撃を喰らえば、オシマイだろう。
小口径のチャチな拳銃ではないのだ、最強のハンドガンに術を施した銃弾のオマケつきなのだ。
魔法で創られた存在でも、防ぎきれるものではあるまい。

至近距離での銃声に眩暈を起こした千鶴をその場に横たえ、楓はゼロに歩み寄る。
成果を確認し、まだ息があるようなら(?)トドメを刺すべく――

ピクッ。僅かに動く、人形の指。
「……いぎッ! い、いけないッ……!」
「!? どうしたでござるか、千鶴殿ッ!?」
トドメを刺すべくゼロに近づく楓の背後で、急に千鶴の悲鳴が上がる。次の瞬間――

ドスッ。
楓の背中に、一本のナイフが突き刺さっていた。
その柄を握っているのは、ありえぬ形に曲がった千鶴の右手。
肩の関節も肘の関節も手首の関節も外れ、人間には本来不可能な角度で突き出された腕。
それが、楓を刺していた。ゼロに握らされたナイフを使って、楓を刺していた。
597マロン名無しさん:2006/08/15(火) 22:37:37 ID:???
>>587

「………。」
汗ばんだ体に消しカスがまとわりつく。だが、くーふぇは黙って耐えていた。

「…(くーふぇ…。)」
そして、そんなくーふぇに哀れみとも言える視線を送っている一人の腐女子がいた…。
早乙女ハルナである。彼女も小学生までは当然のようにいじめられていた。
特徴でもあるゴキブリのような前髪…趣味がマンガを描く事というヲタな趣味…。
それでも持ち前のタフさと明るさでなんとか乗り切ってきた。
「…(くーふぇ、ここが頑張りどころだよ!アンタさっきもネギ君のとこ行ったんでしょ?)」

だが、そんな思いもむなしく、彼女たちの嫌がらせはエスカレートしていく…。

つづく…
598597:2006/08/15(火) 22:38:22 ID:???
最悪…ゼロ氏の邪魔をしてしまった…すみません
599マロン名無しさん:2006/08/15(火) 22:38:28 ID:???
「こ……これ、はッ……」
「ケケケッ。ケケケッ。」
楓の背に突き刺さったナイフ。脊椎の隙間を貫き脊髄を傷つける刃。
下半身に力が入らなくなり、どうしようもなく崩れ落ちてしまった楓の前で、耳障りな笑い声が響く。
ピクリとも動かなかった人形が、その上体をガバッと起こす。

……その口に、耳障りな笑い声を上げ続けるその口に、しっかりと銃弾が咥え込まれていた。

回避も防御も間に合わない、その一瞬。
ゼロは、自分の頭目掛けて放たれたその銃弾を、がっちりとその歯(?)で挟み込んでいたのだ。
激しい摩擦と衝撃に、ゼロの口元からうっすら煙が上がっている。
表情に乏しい……というより、顔をほとんど動かせない人形の身体。
その両目だって、その仮初めの命を得てからは開かれっぱなし。まばたきさえしたことがない。
そんな彼女が唯一自由に動かせるのが、その口だった。
魔力が無く身動きも取れぬ時にも減らず口を叩き続ける、その口だった。
エヴァの魔力が復活し、スピード・パワー共に取り戻したゼロなればこそ可能な、超人技。
プッと銃弾を吐き捨て、ゼロは笑う。

「ケケケッ。コンナ危険ナ方法、二度トちゃれんじシタクネェガ……惜シカッタナ、オ前ラ。
 ソレニシテモ、ソッチノ女、ナカナカヤルナァ。おっぱい潰シタ程度ジャ、全然メゲナイカ。
 エヴァンジェリンノ奴ハ、こんぷれっくすナノカ何ナノカ、ヤケニおっぱいニ拘ルカラナ。
 幻術デ作ッタ大人ノ姿モ、必要以上ニ胸デカイシナ〜。ケケケッ!」

非戦闘要員に対する、最初の攻撃。
『死なない程度に、精神的にダメージあるような攻撃を加えておけ』と命じたゼロ。
そしてエヴァンジェリンは千鶴の胸を狙ったわけだが。
ゼロは笑う。エヴァンジェリンの屈折した劣等感を笑いながら、千鶴の両腕を破壊していく。
千鶴たちを操り人形にしていた糸をそのまま用い、可動範囲を超えた動きを強要する。
「がッ……! ひッ……!」
600マロン名無しさん:2006/08/15(火) 22:39:18 ID:???
千鶴の腕が曲がる。ありえぬ方向に曲がる。
本来は、子供たちを優しく抱き寄せ慈しむはずの、千鶴の両腕。
それが楓を傷つける凶器にされた上に、徹底的に破壊される。肩が、肘が、手首が。
腱が千切れる。関節が軋みを上げる。関節包が破け、取り返しのつかない状態になる――


「……やれやれ、随分と『お楽しみ』のようだな、『マスター』。悪趣味極まりないぞ」
「姉さん、こちらの戦闘は終了しました。我々2名のダメージはほぼゼロ。完全勝利です」

千鶴をいたぶり続けるゼロの前に、2人の影が舞い降りる。
ログハウスの反対側で死闘を繰り広げていた、エヴァンジェリンと茶々丸。
茶々丸がその両肩に担いでいた2人の人物を、ゼロの目の前にほうり捨てる。

全身に氷が付着し、ぐったりした古菲。エヴァの凍結魔法を受けたその手足の末端は危険な色になっている。
重度の凍傷だった。下手すれば手足の一部を切断せねばならなくなるかもしれない。
肩甲骨の辺りに大きな傷を負った「翼の無い」刹那。……いや、茶々丸の怪力で、強引にもぎ取られたのだ。
両の翼を引き千切られ、烏族の力を失い、こちらも意識を失っている。
脊髄を損傷し下半身不随となった楓。既に痛めつけられた和美と夕映。両腕を破壊された千鶴。
ゼロはエヴァの頭に飛び乗ると、痛々しい犠牲者たちを見下ろしながら、命令を下す。

「サテ……マトメテ トドメ刺シテオクカナ。
 エヴァンジェリン。『命令』ダ。コイツラヲ、殺セ」
「…………。殺す必要はないのではないか? もう、勝負はついたろう?」

ゼロの命令に、不審な声を上げるエヴァ。
先ほどまでの戦いにしても、「殺す必要はない」と念話で言ったのはゼロなのだ。
それにエヴァは、抵抗力のない女子供を殺す趣味はない。弱った相手を痛めつける趣味もない。
だが、ゼロは邪悪な笑みを浮かべたまま、言い放つ。
601マロン名無しさん:2006/08/15(火) 22:39:57 ID:???
「ダカラ、ダヨ。意味ガネーカラ、イインダ。勢イトカ、正当防衛トカジャナイカラ、イインダ」
「…………」
「コレハ『儀式』サ。エヴァンジェリン、オ前ガ生マレ変ワリ、以前ノオ前ヲ取リ戻スタメノ、ナ。
 俺ヲ『作った』頃ノオ前ナラ、コンナ連中ト馴レ合ウコトモナカッタハズダ」
「…………」
「モウ1度ダケ言ウ、『命令』ダ。コイツラヲ殺セ。コイツラヲ殺シテ、馴レ合ッテタ過去ニ訣別シロ」
「……。リク・ラク ラ・ラック ライラック……」

ゼロの強制力ある命令の前に、とうとう呪文の詠唱を開始せざるを得ないエヴァ。
苦々しい表情を浮かべた彼女の手に、魔力が集まる。
今の彼女の魔法でも、動けぬ6人をまとめて死の淵に追いやるだけの威力は、十分にあるだろう。
真実に辿り着いた最後の6人も倒れ、ゼロたちを止められる者は、もうどこにも――


「――待ちなさいよッ! あんたたちッ!」
「――そこまでです、師匠、茶々丸さん、それに……ゼロさん」
「おいおい……ゼロよぉ、いくら何でもこりゃあんまりだぜ。俺ッちもフォローできねぇよ、こりゃあ」

――まだ、居た。
6人の集結に間に合わず、ほとんど全てが終ってからの到着になってしまったが――
まだ、ゼロたちの前に立とうとする意志が、ここに。
ログハウスの前、傷つき呻く仲間たちが待ち望んでいた、最後の希望。

大剣を手にした、神楽坂明日菜。
杖を手にした、ネギ・スプリングフィールド。
ネギの肩に乗る、アルベール・カモミール――!


 NEXT TARGET → ???
602マロン名無しさん:2006/08/15(火) 22:41:43 ID:???
>>597-598
ゼロ書いてるものです。
こちらこそ申し訳ないです。連続とは思わなかったもので。
謝るならこちらの方です。すいませんでした。

読者の方は……まあ、読めばわかりますよね、どのレスがどちらのお話かは。
603マロン名無しさん:2006/08/15(火) 22:53:15 ID:???
>>597-598
氏ね^^
604597:2006/08/15(火) 22:58:40 ID:???
絶対荒れる…。本当に申し訳ありません…。
605マロン名無しさん:2006/08/15(火) 23:48:36 ID:???
教室の中は今、ある意味将棋のような状態になっている。
王将のいない永遠に続く将棋
楓は飛車、亜子は桂馬。
その相手方は真名が飛車、美空が香車、超と古菲が角、千雨が金、のどかと夕映が銀、そのほかは歩と言った所だろう。
飛車楓は角古に取られ、その角も桂馬亜子に取られていく。
そこに漁夫の利とばかりに出て来た歩桜子。
桂馬を潰し、相手方の駒はいなくなった。
ただ忘れてはいけないことがある。
これはチェスではない。将棋なのだ。
そこに気がつかない限り彼女らに未来はない。

「で?どーすんの?」
桜子はおちゃらけて千雨の顔を除きこむ。
「な!…なんで私に聞くんだよ!」
携帯のライトを止め、うざったそうに答えた。
「だってさ〜。戸も窓も開かないんだもん。」
「知らねぇよ!あっち行けっ!」
「ブゥゥ」
桜子は不満げな表情をして円の所へ歩いていった。
夏美が一生懸命に戸を開こうとしているが、開く様子は無い。
亜子に追いかけ回された葉加瀬はひたすら超を睨み付けている。
裏切られたのだ。仕方ないと言えば仕方ないが…
楓も亜子も潰れ、もう敵となる人物はいない。
皆どこか緊張の糸がほぐれ、気が抜けているのだろう。

「痛っ…。あり?」
桜子のような気の抜けた声が千雨の耳に入る。
606マロン名無しさん:2006/08/15(火) 23:50:42 ID:???
美空はアホズラしてあくびをかいている。
「(…たく…、どいつもこいつも…)」
まだ造反が出るかもしれないと言うのに気の抜けたクラス。
千雨はここまで呆れたことは今まで生きてきて初めてのことだろう。

取りあえず楓と亜子を椅子に縛り付け、脱出する方法を考える事にしたクラスメートたち。
適当にバックを二人の頭に被せ視界を封じ、まき絵のレオタードやアキラの水着で二人の手足を椅子に縛りつけ放置。
しかしこれでは…
「(拉致されたみたいじゃねーかよ、こいつら…。まぁいいか。)」
もう千雨にはつっこむ気力さえ沸かなかった。

「危ないねぇ。」
皆が脱出について話し合っている時、美空は落ちているナイフを独り暇そうに拾っていた。
机に並べられたナイフ。なかには血痕がついている物もある。
ナイフの数は約60枚。よくもまぁ楓もこんなに体に隠すことが出来たものだ。

机には綺麗に並べられたナイフとくない。
美空はくないを持つとブンブン振り回し始めた。
「いやぁ。カッコいいね。」
くないを持って一人格好つけている淋しい美空。
見ていてかなり痛々しい。
「おい、危ねえからやめとけって。」
千雨の注意を耳を貸さず、相変わらずガキっぽい事をやっている美空。
607マロン名無しさん:2006/08/15(火) 23:52:35 ID:???
「おい、やめろって…」

将棋とチェスの違い。
それはチェスの場合、取られた駒は二度と使う事は出来ない。
将棋は駒を取られれば、その駒は自分に反旗を翻す。
そこが将棋の面白さでもあり、怖さでもあるのだ。

「千雨ちゃん…」
ぼやけた頭。桜子が自分を呼ぶ声がうっすらと聞こえる。
それが千雨の最後の記憶となった。

千雨の首にはくないが刺さっている。
刺したのは美空。美空の目はもう常人の目をしてはなかった。

アデアット
美空の足にあの靴が現れる。
美空のアーティーファクト。それは足が超人的に速くなるもの。
アサシンなど暗殺術に長けた者は俊敏な動きで相手を翻弄し、知らぬ間に相手の命を絶つ。
まさに暗殺にはうってつけのアーティーファクトである。

まさに香車という駒が飛車に成ったという有り得ない現象。

千雨の首からくないが引き抜かれ、くないから血の雫がポタポタとたれていく。
吐き気がする。
円は今までいろんなホラー映画を見てきたが、どれもそれほど恐怖を感じたことはなかった。
しかし今は違う。頭が痛くなるような血の匂い。首にくないが刺さるという衝撃的な映像への吐き気。
円は吐きそうになり、思わず手で口を押さえてしまう。
608マロン名無しさん:2006/08/15(火) 23:53:40 ID:???
美空の靴裏のギアが酷い音を鳴らし、回転し始める。
フッ…
たった一秒の間。もうそこには美空はいなかった。
バコッ!!
同時に鈍い音が教室に響く。
そこには敵である美空が額を赤く腫らせて倒れていた。
壁に少しヒビが入っている。
当たり前だが壁にヒビなど欠陥住宅でない限りそんな簡単に入らない。
おそらく金槌で思いっきり壁を叩いたくらいの衝撃を美空の走るスピードが持っていただろう。
壁のヒビがその時の衝撃を生々しく語っている。
当然押す力があれば押される力も存在するわけで…
こりゃ美空死んだな。
誰もがそう思った。
こうして飛車と成った美空香車は調子に乗って勝手に自滅してしまった。


しかしこの話はここで終わらない。
そのまま最終ラウンドへと突入する。
「え?」
皆が目を疑った。目の前で有り得ないことが起こっている。
「裕…奈?」
「アキラ…なんで…」
「まき絵さん…」
なんと死んだはずの生徒たちが次々に立ち上がってくるのだ。
まるでゾンビ。
先ほどまで仲のよいクラスメートだったのに今は近くにさえ寄りたくない。そんな葛藤が見て取れる。
609マロン名無しさん:2006/08/15(火) 23:56:20 ID:???
「…あぁ…」
ゾンビたちは何か言おうとしているが、彼女らの喉には先ほどまでナイフが刺さっていたのだ。
喋れるわけもなくただ不気味な叫び声と化している。
ただ微かに聞こえる声の中にはこんな言葉があった。
「…道…連……れ」
全身の身の毛がよだつ。
生徒たちにとってこれほどの恐怖は他にはない。

「超さん!…超さん!」
夏美が唯一の戦闘員である超に縋ろうとするが、超は微動だに動かない。
なにが彼女をそうさせているのかは分らないが、今はそんなこと言っている場合ではない。
そんなことしている間にもゾンビたちは一歩一歩生徒達に近付いていっている。

13/22

…まずい…このままだ…と…全滅…
早く…やつ…を…叩き起こ…

攻めてくる8人の元クラスメート。
それぞれの手にはボールペンやらカッターやらの文房具。
うまく使えば凶器になるようなものばかりだ。
くないは今だに美空の手で握られているので向こうに渡る心配はない。
問題は机の上に置かれた60枚もの投げナイフ。
あれがあちらの手に渡ればこちらの勝ちはない。

「ま、円!ゾンビってなにが効くんだっけ!」
「知らないわよ!なんでもかんでも私に聞かないで!」
610マロン名無しさん:2006/08/15(火) 23:57:07 ID:???
「葉加瀬はなにか知らないの!」
「そ、そんなこと言ったって…」
「もう!役立たず!」
「なによ!あんただって…」
内部崩壊。みんなが最も恐れていたことである。
こういう事はよくある事だ。
例えば無人島に閉じ込められた人々がいる。
最初は協力して食料や住宅を管理するのだが、そのうちストレスが溜まりささいなことから喧嘩がおこる。
こういうケースのものは大概助からない。
辿り着く先は餓死か殺し合いだろう。
こういう時、本当に一番必要なのは統率力のある人なのだろう。

「うるさぁーい!」
静かに教室に怒声が響く。
そこには夕映とのどかが立っていた。
おそらく怒鳴ったのは夕映だろう。
「こんな時に喧嘩している場合じゃないです。取りあえず目の前のゾンビをどうにかしないと。」
みんな下を向いて黙り込んでしまった。
夕映のいう通り今は仲違いしている場合ではない。
「よし…やろう!」
「おー!」
こうしてクラスメートたちは一つに纏まった。…超と美砂を除いて…

全く触れてはいなかったが、教室を見渡すかぎり美砂の姿がない。
一体美砂は何処へ消えてしまったのか。
実は楓対古菲戦にさかのぼる。
611マロン名無しさん:2006/08/15(火) 23:59:05 ID:???
今日は予備校サボって靖国神社行きました
勉強する気がなさすぎてワロタwww

自殺日記
612マロン名無しさん:2006/08/16(水) 00:56:48 ID:???
>>604
気にすんな。
でもSSはメモ帳かなんかに書いといてまとめて投稿するのをオススメする。
その方が文章もしっかりするしね。
613マロン名無しさん:2006/08/16(水) 01:03:52 ID:???
>>604
死ね^^
614マロン名無しさん:2006/08/16(水) 01:17:19 ID:???
ゼロも自記もうまく>>604に喰われたな
双方ともレスがつかない
615マロン名無しさん:2006/08/16(水) 01:32:22 ID:???
まぁよくあることだ。
616マロン名無しさん:2006/08/16(水) 01:45:43 ID:???
職人様はお前らの中身のないレスなどもはや期待しちゃいないさ
617マロン名無しさん:2006/08/16(水) 07:12:27 ID:???
>>611
偶然俺も
打倒シナ朝鮮を誓いました
618マロン名無しさん:2006/08/16(水) 07:23:54 ID:???
>>616
そんなわけあるか
応援レスは職人にやる気と希望を与える
619マロン名無しさん:2006/08/16(水) 09:25:14 ID:???
>>ゼロ氏
いよいよ佳境ですね!どうなってしまうのかまったく予測不可能で楽しみです。
>>自殺日記氏
お待ちしてましたーこちらも終盤ですかね?次の投下楽しみに待ってます!
>>くーふぇ氏
めげずにカンガレ!消しゴムは小学生とかがよくやってますね…なんかいじめ方がリアルでワクワク!頑張ってください
620マロン名無しさん:2006/08/16(水) 09:53:22 ID:???
>>618
禿同、ってか>>613-615みたいなコト書く間があれば何か内容に触れろと

>ゼロ氏
千鶴のおっぱいネタ、1人ツッコミですかw
>自殺日記氏
ゾンビって……元級友相手って相当キツそうだなぁ
しかし状況混沌としてて把握しきれないッス
>くーふぇ
茶々丸アホすw
621マロン名無しさん:2006/08/16(水) 10:41:14 ID:???
なにこの流れ
622アルはら:2006/08/16(水) 11:08:01 ID:???
3−Aの生徒一同は居酒屋で打ち上げを始めようとしていた。
「じゃあ、とりあえず中生30個ね」
店員にそう告げる神楽坂明日菜。
そんな彼女の発言に驚き、おずおずと宮崎のどかが言う。
「あ・・・あの、私お酒は飲めな・・・」
しかし、そんな彼女に一斉にクラスの冷めた視線が集まった。
「(゚Д゚)ハァ? 最初からソフトドリンク?マジありえないんですけど」
「今時小学生だって飲むっつーの。何カマトトぶってんだよ。ウザッ」
「っていうかビールなんか酒のうちに入んないっしょ。ホント冷めるわー」
(えっ・・・?えっ・・・!?)
予想だにしなかった周りの反応に困惑するのどか。
「まぁまぁ、本屋ちゃん。最初の一杯だけだから」
「付き合いやと思おてガマンしてよー」
そんな彼女にアスナと近衛木乃香が助け舟をだし、その場はひとまず収まる。
しかし、この二人は決してのどかの事を気遣ったわけではない。
アスナは自分がとっとと飲み食いしたいだけだし、もう一人に至ってはさらにロクでもない事を考えていた。
623アルはら:2006/08/16(水) 11:08:46 ID:???
かんぱーい!!!』
運ばれてきたビールで乾杯した後、各自飲む。大半が女子中学生とは思えない飲みっぷりだ。
中でもアスナはまるで水、いや、酸素のように一瞬にして中ジョッキのビールを飲み干し、
料理を運んできた店員に向かってその料理をつまみつつ、手当たり次第に酒を頼む。
貧乏人の彼女は飲み放題の時間内で限界まで飲むつもりだ。
それとは対照的にのどかは恐る恐る、舐めるようにちょびっとビールを飲んだだけでその少しの量を吐き出しそうになる。
(うえぇ・・・苦い・・・なんでみんなこんなの飲めるの・・・)

その後、飲み会はコール合戦が始まり、それは次第に激しさを増す。
たまに春日美空のコールがスベったりしたがかなりの盛り上がりを見せていった。
だが、その中でのどかは仲のいい友人ともロクに会話できず、料理にも殆ど手をつけずうつむいていた。
当然ながら目の前のビールも全く減っていない。
目立つのが怖かった。何かあったらすぐ自分に振られて「飲め」と言われかねない空気だ。
中でも恐ろしいのはいきなり複数人が指名されて飲まされる時だ。
チアの三人組や、よく遊ぶ運動部同士など、仲のいい接点のある者達が何度か飲まされている。
そんな中、場の流れで誰が言い出したか、自然と次のコールが振られた。
624アルはら:2006/08/16(水) 11:09:16 ID:???
「図書館探検部の〜〜友情イッキが〜〜〜見た〜い」
「はい、図書館探検部、きりーぃつっ!!!」
ついに恐れていた事態が起きた。今までの流れを怖々観察していたのどかは、ここで飲まない事が許されない事を悟っていた。
飲み残した者には、容赦なく酒が追加される。もちろん、拒否した者など一人もいない。
殆ど満杯に等しいジョッキビールを持ちながら、のどかは緊張と絶望で震えながら、立ち上がり、なんとか他の3人とグラスを交わす。
このかは三秒で飲んだ。早乙女 ハルナは二秒で飲んだ。
綾瀬 夕映もなんだかよくわからない酒をこくこく、と自分のペースであっさり飲んだ。
のどかも意を決して、一気にビールを飲もうとしたが、3分の1飲んだだけで、
ぬるくなったビールによって口内も食道も胃袋も一斉に悲鳴を挙げた。
それでも、ここで残したりしたら何をされるかわからない。のどかは目に涙を浮かべながら、必至に残りのビールを飲み干す。
何度も吐き出しそうになりながらようやく飲み終えた後、彼女はその場に崩れ落ちた。
舌がしびれて、胸が苦しくて、頭が痛くて、とにかく辛かった。
なぜ、こんな辛い思いをして飲まなければならないのかわからない。
みんなで、おしゃべりしながら楽しく食事が出来ればそれで十分なのに・・・・・
そんな辛さと悲しみを抱えながら、彼女は蚊の鳴くような声で側にいる友人に言った。
「みず・・・・お水ください・・・・」
笑みを浮かべながら声をかけられた生徒がグラスを渡す。その生徒は近衛木乃香だった。
「ほい、水」
のどかに渡されたのは割っていない焼酎。
そして、そんな悪意に気づかず、彼女は「くいっ」とそれを飲んでしまう。
625アルはら:2006/08/16(水) 11:10:03 ID:???
「・・・・・・!!!・・・ブボッッッ!!」

普段の彼女から似つかわしくない派手な音を立てて、のどかは焼酎を噴出し、目の前にいたアスナにぶっかける。
周りの爆笑に包まれながら、のどかは涙と鼻水を流して苦しんでいた。そんな彼女に追い討ちをかける声。
「あ〜、これは粗相やな〜。はい、もっかいきりーつ」
「そ・・・んな・・・このかさ・・・酷・・・い・・・」
あんまりな仕打ちにのどかは抗議の声を上げるが、まわりはすでにコールに包まれていた。
「そ・そ・お!そ・そ・お!」
「SO・SO・そ・そ・お!」
「D・V・D!D・V・D!」
絶望に打ちひしがれるのどか、だがその時、彼女に救いの手が差し伸べられた。

「あ、あの、お嬢様、少しやりすぎなのでは・・・のどかさんは本当にお酒が弱いようですし」
見ていられなくなった桜咲刹那が主に場を仕切っているこのかにそう訴える。
このかは一瞬だけ、眉をしかめた後満面の笑みを浮かべて言った。
「んーほな、せっちゃんが代わりに飲んであげるんかー?せっちゃんはやさしーなー」
刹那も酒は好きでも強くもないのだが、ここでのどかを見捨てることはできず「はい」と応える。
「みんなーせっちゃんが代わりにのむえー!・・・やっぱせっちゃんと言えばコールはこれやろ・・・・」
626アルはら:2006/08/16(水) 11:10:55 ID:???
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「サンダ〜〜〜バ〜〜〜〜ド〜〜〜〜 5号!5号!5号5号5号!!」
コールに包まれながら刹那は次々渡される酒を飲み続ける。
盛り上がるクラスの中で、のどかだけが青ざめていた。
(わ、私のせいでせつなさんが・・・・や、やめて・・・・そんなに飲んだら死んじゃうう・・・)
このかから手渡される酒を刹那は拒否する事は出来ない。
それでも10号を越えたあたりで顔は真っ赤に染まり、20号が出撃する頃には逆に蒼白になってきた。
(このちゃん、もう許して・・・)
と刹那は目で訴えていたが。それに対しこのかの目は全く許す気配はない。
結局THUNDERBIRDは28号まで出撃し、帰りは4号までしか帰還できなかった。
(せつなさん、ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・・!)
泣きながら刹那に心の中で謝り続けるのどか。
しかし、彼女達から既にクラスの興味は離れ、大河内アキラの鏡月一気飲みに注目が集まっていた。
627マロン名無しさん:2006/08/16(水) 11:14:38 ID:???
下らないから二度と来るな
628アルはら:2006/08/16(水) 11:15:55 ID:???
続くかもしれない
629マロン名無しさん:2006/08/16(水) 11:23:33 ID:???
ああ・・・もう末期的だ
630マロン名無しさん:2006/08/16(水) 11:37:48 ID:???
今時こんな飲み会できねーよ!w 店の側も自己保身あるしな
しかしこいつら、どこで覚えてきたんだこんな極悪な飲ませ方
631マロン名無しさん:2006/08/16(水) 11:38:44 ID:???
え、面白いんだけど…
632マロン名無しさん:2006/08/16(水) 11:47:45 ID:???
昨晩から何かにつけて荒らしたい奴が在住してるな
633マロン名無しさん:2006/08/16(水) 13:17:55 ID:???
>>620
自記の2部まとめ

明日菜が死んだあとの話。(なのでこのか、あやか、刹那、エヴァ、茶々丸、五月はいない。)
突然、楓が暴走。生徒数人殺傷したが、これを古菲が止めた。
すると今度は気絶していたはずの亜子が暴走。これは勝手に自滅。
そんで今度は美空が暴走。これも勝手に自滅。
すると死んだはずの生徒たちがいきなり襲いかかってくる。

生存者は亜子?、夕映、超、楓?、美空?、のどか、朝倉、夏美、葉加瀬、柿崎、円、桜子、サジ
(柿崎、サジに全く触れないのはおそらくこの後の展開のため)
超は何故か行動不能
あと死人の中に生存者がいる可能性あり
暴走、生徒ゾンビ化には秘密がありそうだが今のところ原因不明。
ハルナはこの時点で教室にはいない。



俺的に自記をまとめてみた
不備があったらスマソ
634マロン名無しさん:2006/08/16(水) 13:46:47 ID:???
普通に面白いよな
荒らしはもう少し考えて荒らした方が良いよ。
635マロン名無しさん:2006/08/16(水) 16:03:51 ID:???
今ひどい自演をみた
636マロン名無しさん:2006/08/16(水) 17:23:10 ID:???
とうとう俺にもアンチができたぜ
637マロン名無しさん:2006/08/16(水) 19:41:33 ID:???
>>636
誰だよ
638マロン名無しさん:2006/08/16(水) 20:17:08 ID:???
生徒名が入らなくなってからの過去ログって見れない?
テンプレ内は一通り探してみたつもりなんだけど。
639マロン名無しさん:2006/08/16(水) 20:52:25 ID:???
にくちゃんねるででも探せ
640マロン名無しさん:2006/08/16(水) 21:06:38 ID:e79Y49t5
>>639
thx! そうする。
641マロン名無しさん:2006/08/17(木) 00:02:40 ID:???
アルはらwktk
642マロン名無しさん:2006/08/18(金) 01:28:06 ID:???
>>622
なんで30個なのかと思ったらさよが物理的に飲めなかったのね
643マロン名無しさん:2006/08/18(金) 02:39:25 ID:???
また例の人が忘れられてるだけだろ
644マロン名無しさん:2006/08/18(金) 08:44:11 ID:Cy2Otjhe
ゼロゼロまだ〜?
645マロン名無しさん:2006/08/18(金) 10:52:12 ID:???
刹那「…ネギ…先生…ハァハァ…ネギ先生にあそこ見られたっ…ハァハァ」
ガチャ!!!
真名「ただいまぁー!はぁー暑いなーシャワーシャワー♪」
刹那「(ウソ!?なんで帰ってくるん!?ヤバイ!)」
真名「暑いから帰ってきちゃった〜♪ん?こんなクソ暑いのにベッドにもg
刹那「何!?いいからはやくシャワー入ってこい!」
真名「?冷たいな。顔赤いぞ!ホラ起きろ!暑苦しい!」
刹那「やめっ!やめて!…ああぁぁぁぁ」
真名「……ぇ……と……その……なんだ…まぁオナニーくらい私もするが…えーすまない」
刹那「う…ひっぐ…ばかーーーー!龍宮なんか死んじゃえーー!!」
646マロン名無しさん:2006/08/18(金) 11:14:15 ID:???
(*´∀`)
647マロン名無しさん:2006/08/18(金) 12:05:57 ID:???
せっちゃんかわええ
こっちよりあっち向きなSSだな
648マロン名無しさん:2006/08/18(金) 14:13:59 ID:???
アキラ「ただーいまー」
しーん…
アキラ「ふーっ(ゆーなはまだ帰ってないのか…)」
カバンをソファーに放り投げるとそのまま浴室へ向かう。

―隣の部屋
ゆーな「えー今日は普段無口で何考えてるかわからんアキラにドッキリを仕掛けたいと思いますっ」
まき絵「楽しみですねー、今回は超りんの協力で室内のいたるところにカメラを
    設置しましたっ!アキラの驚く表情を様々な角度からお楽しみください!」
亜子「ゲストにネギ君をお迎えしています!」
ネギ「あはは、で、肝心の仕掛けはなんなんです?」
3人「それは見てのお楽しみー☆」

アキラ「…ふぅ、スッキリしたぁー!ふんふふーん♪」
シャワーを浴びてご機嫌なアキラは鼻歌交じりで冷蔵庫を物色する。

―隣室
ゆーな「わぁ…鼻歌だ、これはレアアキラです。このメロディは…いま流行のハピマテだね」
亜子「テレビとか見てない言うてたのに案外チェックしてるんやね」

アキラ「ごく…ごくっ……げっぷ」

―隣室
一同「いまゲップしたよね!?ひぃいいっひっひっひwwwww」
まき絵「アキラがゲップwwいやー素晴らしいっ!」
ネギ「ちょ、ちょっとそろそろプライバシーの侵害なんじゃ…(アキラさんが…ww)」
649マロン名無しさん:2006/08/18(金) 14:28:10 ID:???
あ、つまんない…スマソ
650マロン名無しさん:2006/08/18(金) 14:33:44 ID:???
で肝心の仕掛けは?
651マロン名無しさん:2006/08/18(金) 23:05:35 ID:???
>>648

アキラ「…眠………」
短パンとタオルをソファに投げてベッドにもぐりこむ。

―隣室
亜子「わっと、ネギ君見ちゃダメや〜」
ネギ「あわわ…あの、肝心の仕掛けは?」
ゆーな「んー…食卓のイスにブーブークッショおいたんだけど…」
まき絵「どーしよー…このまま寝られたらただの盗撮映像だよー…」
ゆーな「(それはそれで売れるんだけど)そーだねぇ…じゃネタばらしすっかー」
ネギ「そうですよ!やっぱり隠し撮りは…?」

アキラ「…んっ……んぅ………ギせ……い…」

―隣室
ネギ「…?なんかもぞもぞしてますよアキラさん」
ゆーな「うそ……ぇ…マジ…?」
亜子「ちょ、どーすんねん!ウチもー知らんから早よカメラ切ってーな!」
まき絵「もーネタばらししよーよぉ!今なら間に合うって!」
ネギ「アキラさん…僕の名前を!?様子がおかしいですよ!早く行きましょう!」
一同「「「ネギ君!」」」

アキラ「…ハァハァ…ネギせんせぃ…たこやき………カワイイ…」
652マロン名無しさん:2006/08/18(金) 23:12:06 ID:???
>>651

ガチャガチャ…!!
アキラ「…え!?」
どたどたどた…
ネギ「アキラさん!!大丈夫ですか!?」
強引にアキラの手を取るネギ。
アキラ「わぁっ!?ネ、ネギ先生!?(ちょ、なんで!?え?)」
ネギ「お腹が痛いんですよね!?(手になんかべトっとしたものが?)」
アキラ「え?あ…えぇ…!?待っ

ゆ・亜・ま「「「ネギ君だめぇーーー!」」」
アキラ「ぇあ!?(ちょっとコレは非常にやば)」
653マロン名無しさん:2006/08/18(金) 23:42:53 ID:???
>>652

―数分後
アキラ「…………………」

ゆーな「アキラ…ほんっとごめんね…まさか…ねぇ」
亜子「アキラ…許してや…ほら!オ○ニーなんてウチらもよーやるよ、なーまき絵?」
まき絵「そ、そうだよー!私なんて一日3回はしてるし!ニキビできて大変なんだよねー」
ネギ「…?アキラさーん、大丈夫ですかぁ?」

アキラ「………………」
だがアキラは毛布をかぶって頭を出そうとしない。

パル「ど、どーしたのこの騒ぎ……?ネギ君まで…」
一同「「「パル!!!!」」」
いつの間にやらひょっこり顔を出していたパル。


アキラ「…………(もう人生終わった………)」ガクガクブルブル
654アルはら:2006/08/19(土) 01:47:33 ID:???
>>626

のどかは自分の代わりに大量の飲酒を強要され、その途中で倒れてしまった刹那を介抱していた。
最初はただ、辛そうにしていた刹那だったが、暫くすると様子がおかしくなる
「せつなさん・・・・!!大丈夫!?」
のどかが呼びかけても返事はなく、代わりにうわごとのように「寒い、寒い」と刹那はつぶやく。
店から毛布を借りて、羽織らせようとその体に触れると激しい心臓の鼓動が伝わって来た。呼吸も異常に早い。
急性アルコール中毒がどんな症状であるか、詳しい知識のないのどかだが、この状態が危ない事だけは理解できた。
「だ、誰か救急車呼んで!!このままじゃせつなさんが・・・!!」
彼女はすぐさま周りに呼びかける。

「ちょwww救急車はヤバイですよ。そんなの呼ばれたら僕クビになっちゃうじゃないですか」
ネギが飲んでいた梅酒を噴出し、料理を取ろうと体を目の前に乗り出していたアスナにぶっかけた。
「・・・って、ネギ君いたの?存在感なさすぎなんだけどw」
そう言ったのは美空であったが、周囲には突っ込んですらもらえない。
その反面、のどかには再び心ない言葉が浴びせられる。
「・・・・救急車とか大げさじゃない?せっかく楽しんでるのに冷めるんですけど」
「っていうかさっきからあんた、自分が飲みたくないから桜咲さん気遣ってるフリしてんだろ?」
「自分を庇おてくれたせっちゃんをダシに使うなんて酷いなー」
絶句するのどか。
(なんで・・・・みんな・・・こんなの絶対おかしいよ・・・・どうしたらいいの・・・?)
しかし、のどかは不安と怒りと困惑をなんとか抑え、そして決意を込めて口を開いた。

「・・・・わかりました。じゃあ、貴女たちが満足するまで飲みます!そのかわり、それが済んだらすぐ、救急車を呼ばせてください」
のどかが力強い口調でそう言うと、彼女の予想だにしなかったその言葉に『おお〜!』と
ジーコ監督から巻の名前が出た時のようなサプライズの声が全体から漏れた。
「いや、だから救急車呼ぶこと自体マズいんですって。僕の立場を考えてくださいよ」
「ネギくんはちょっと黙っとき」
「はい、スイマセンでした」
655アルはら:2006/08/19(土) 01:48:52 ID:???
強い口調でああ言えば、みんなわかってくれるかもしれない。
そう少しだけ期待していたのどかだったが現実は非情であり、彼女はドレミファイッキをやらされる事になった。
これは音階に見立てた8杯の量の異なるコップに注いだ酒を飲ませる、非常にハードなコールで
ビール1杯すらまともに飲めない少女にやらせるにはあまりにも過酷で無慈悲なものと言えた。
(こ・・・こんなの絶対ムリだよ・・・なんであんなバカな事言っちゃったんだろう・・・・
ううん!やるしかないんだ。せつなさんだって・・・私のためにあんなに飲んだんだから・・・)
のどかは自分のために死にかけているクラスメイトを救うため、勇気を振り絞り最初のグラスを手にする。
「ド〜はドンドンイッキして〜♪」
ビール、モスコミュール、ジントニック・・・
どれも比較的弱い酒だが、のどかにはどれもとてつもなく不味く感じる。
それでも気力で飲み続けるが、肉体は正直に拒否反応を示した。
視界が霞む激しい頭痛。飲めば飲むほど眼球と脳の血管がぷちぷちと切れているのではないかと思えてくる。
横隔膜がせりあがり、体内に入ってきた液体を胃液ごと押し戻そうとしてくる。それをなんとか自分の意思で押さえ込んむが
それにより、みぞおちを思い切り殴られたような激痛が襲う。
「ソ〜は底までイッキして〜♪」
次はいきなり20度を超える芋焼酎が出てきた。先ほどは口に入れた瞬間吐き出してしまった酒を、のどかは口にした。
(ううぅっ・・・・!苦しい・・・!でも・・・・飲まなきゃ・・・」
まるで溶けた鉄を飲み込むような気持ちでどかはそれを飲み続む。
彼女の顔は普段の地味ながら美少女と呼べる容貌は見る影もなく、顔中の穴から体液を垂れ流した無残なものだった。
最後に40度を超えるウイスキーを飲もうとした時、彼女はとうとう限界を向かえ、
口と鼻からウイスキーを噴水のように逆流させながら後ろ向きに倒れた。
「今の倒れ方やばくね・・・・?あの子自分が救急車乗るんじゃない?」
「うぅ・・・(ゲロが)もるです」
656アルはら:2006/08/19(土) 01:49:47 ID:???
異常なまでのハイペースで進む飲みは刹那やのどかの他にも多くの脱落者を出していた。
トイレは男用も含め3−Aの生徒が便器を占拠し。中には店の厨房の流しに向かう者までいる。
「んー、なんか人が減ってきたなー?飲み残しだらけやん。みんなで協力して飲まんと別途料金請求されてしまうえー」
あくまでマイペースに他人に酒を飲ませ続けるこのか。
しかし、そんな彼女にその場に残った誰からともなく批判の声があがった。
「っつーか、アンタ人にばっか飲ませてないで自分も飲んだら?」
「そうそう、さっきから見てると大して飲んでなくね?」
クラスを裏で支配しているこのかに対して普段から不満、反感を抱いているものは少なくない。
彼女にはクラスメイト全員が過去なんらかの形で最低一回は酷い目にあわされていたのだ。
このかの護衛係が倒れた事と酒の勢いも相まってここぞとばかりに非難が集中する。
・・・しかし、このかは全く動じない。立ち上がり、手始めに自分のグラスの酒を飲み干すと周りに『注げ』とアピールした。
(ドアホが・・・ウチとあんたら凡人を一緒にすんじゃないえ?)
その後このかは注がれ、手渡される酒をことごとくクリアしていった。
このかの飲み方は常軌を逸している。周りが何も言わなくなっても、手当たり次第に残った酒を飲み続けた。
ビールをピッチャーでイッキする。ウイスキーボトルを空にする。一升瓶の日本酒を飲み干す。
クラスメイトは驚嘆と畏怖の視線を無言で彼女に送るしかなかった。
(やれやれやね・・・ウチがちょい本気見したら、どいつもこいつも怖気づいて、案の定盛り下がったわー
こうなるってわかっとっから抑えて、飲ませる方にまわってたんに。それにしても、今日はひさびさに飲んだなー。
ま、ウチはどんな飲もうと平気やけど・・・ね・・・)
その直後、このかの思考能力は急激に低下し、彼女はいつの間にか意識を失っていた。
657アルはら:2006/08/19(土) 01:51:11 ID:???
「すみません・・・お時間ラストオーダーになりますが・・・・・」
店の従業員が泣きそうな顔で訪ねてきた。
「えっと・・・・みんな。まだ飲みたいものある・・・・・・?」
従業員の近くにいたハルナが周りにそう訪ねるが、
他の生徒達は首を振るか「水」と答えた。
「もう結構です。・・・代わりにみんなに水をください・・・・」
従業員の安堵のため息が聞こえてくる。
「このかももういいよね・・・・・?って、このか!?」

そこには、死体のように蒼白な顔でまったく動きのなくなったこのかがいた。

酒に強い人間、というのは基本的にアルコールの分解速度が早いからである。
それゆえ、血液中のアルコール濃度を抑えることが出来るため、大量のアルコールを摂取しても激しく酔わずにすむのだ。
しかし、大量に一気飲みなどをした時は、その代謝が追いつかなくなってしまう。
同じ量のアルコールでも摂取に30分かけるか30秒しかかけないかで違うのだ。
自分は酒に強く、どんなに飲んでも平気だ。そう考えている人間がこの落とし穴にはまる。
このかもその例外ではなかった。
彼女が飲んだ量は本人の経験上はセーフティラインだったのだが、極めて短時間で飲んだ今回は違う。


「や、ヤバイ・・・・息してないよ・・・・」
「救急車!救急車!」
「今から呼んで間に合うの!?この時間混んでるっしょ!?」
今更ながらパニックに陥る生徒達。しかし、その時。
実際に世話になった事はなくとも、誰にでも聞き覚えのある音が近づいてきた。
「えっ・・・?救急車・・・・?ここじゃ・・・ないよね?」
658アルはら:2006/08/19(土) 01:54:02 ID:???
その音は店のごく近くまで来た・・・という所で止まった。
「こっちです・・・早くしてください」
救急隊員を誘導する声。綾瀬ゆえのものである。
救急車は彼女によって30分程前に既に呼ばれていたのだ。
「ゆえっちが呼んだの・・・?それも二台・・・」
ゆえは黙ってうなずく。一台は刹那の、もう一台はのどかのために呼んだつもりだった。
しかし結局、二台の救急車は緊急を要した刹那とこのかをそれぞれ乗せて、病院へと向かう事となった。

のどかの手を握り、ゆえは泣いている。
「のどか・・・ごめんなさい・・・・ごめんなさいです・・・」
とりあえず命の危険はない、二人を搬送した後念のため戻ってくる。と救急隊員に言われたが今なお苦しそうに呼吸をしているのどか。
(私にはこんな事しかできませんでした。同じ、図書館探検部なのに、私はのどかを助ける事もこのかを止める事もできませんでした。
何が友情イッキですか・・・・ばかです。私達は。・・・・最低です。私は)


「・・・・これはもう、間違いなく僕のクビ飛んじゃいましたね」

〜fin 〜


659アルはら:2006/08/19(土) 01:56:25 ID:???
今時イッキとか流行らないから辞めよう。
660マロン名無しさん:2006/08/19(土) 09:02:14 ID:???
ワロスwww
所々のギャグに光るものを感じた
661マロン名無しさん:2006/08/19(土) 11:43:48 ID:???
スゴク(・∀・)イイ!せっちゃん失禁してそう
662マロン名無しさん:2006/08/19(土) 11:54:48 ID:???
まあこんなネギはクビだわなw
663マロン名無しさん:2006/08/19(土) 21:16:40 ID:???
美空が密かに脱出を計ろうとしていた間に美砂も掃除用具のなかに隠れ込んでしまったのだ。
美砂は今、掃除用具の小さな隙間からクラスの中を足を震わせながら覗いている。
卑怯者と呼ばれるかもしれない。
しかし結局それは弱者の戯言。
いくら勇敢に戦おうが、死んでしまえばそれまで。
だったら自分はわざわざ死に行くような事はせず、隠れていた方が得策。
半分混乱した頭で必死になって自分に言い聞かせた。

古菲はどういうわけか動かない。
なので動いているゾンビは実質7体。
これならまだ勝機はある。
そして夕映はこの摩訶不思議なトリックに心当たりがあった。
麻帆良祭武道会。刹那対エヴァ戦で見たピアノ線による戦法。
夕映自身も忘れかけていたが彼女はドールマスター。
そうなるとこの不可解な現象は彼女の犯行と自然に行き着いていく。
「(どうする…どうする…)」
しかしここで困った問題が起こる。
エヴァの正体をクラスメートにばらしていいのだろうか。
エヴァの正体をばらせば当然魔法の事を触れなければならない。
易々と魔法のことを口外すれば、ネギだけでなく、学園中の魔法関係者がおそらく重い罪を償うことになるだろう。
664マロン名無しさん:2006/08/19(土) 21:17:35 ID:???
いや、それだけでは済まない。
自分たちだってどうなるか分からない。
記憶を消されればまだ良いほうで、下手したら存在自体消されかねない。
それほど裏の世界というものは恐ろしい。
まさに究極の選択なのだ。

「…火葬しましょう。」
「え?」
これにはクラスメートたちは目を丸くして驚いた。
なんと夕映は元クラスメートたちを燃やしてしまおうと提案したのだ。
たしかにこれなら魔法の事をクラスメートたちに話さずにすむ。だが
「…そ、それはちょっと…」
友達であった彼女らが炎で焼かれる姿など誰も見たくなどなかった。
普段、馴れ合って生きてきた彼女たちにとってはこれほど酷なことはない。
当然、夕映へ反対の声が上がる。
「じゃあみすみすここで殺されますか?」
夕映の言葉に教室が静まり返る。
敵になったクラスメートが火に焼かれるか自分が殺されるか。
これはもう答えは決まっていた。
しかし
「…私は嫌。」
言ったのは円。全員が円の顔を覗く。
円は夕映を憎むような目付きで睨み付けている。
円も何故こんなことを口走ってしまったのか分からない。
ただ仲間であった人々が火に焼かれていくのを黙って見ていられるほど円は人でなしではなかった。
665マロン名無しさん:2006/08/19(土) 21:19:05 ID:???
造反。
夕映が一番恐れていた事だ。
こうなると次々に造反が出てくるようになるだろう。
プライド、思いやり、友情。
夕映は初めてこの言葉がくだらない物に思えてきた。
大体夕映にとって見ればのどかが明日菜をかばったこともあまりよく思っていなかった。
そういう他人の事ばかり考えている人間が段々と腹立たしく思えてくる。

何故この単細胞どもは自分を大切にしないのだろう。

「ああ!もういい!」
桜子は苛立ちげにゾンビたちに向かって突進していく。
手にはヌンチャク。おそらく古菲が持っていた物をたまたま桜子が拾ったのだろう。
もちろん扱い方など出鱈目だ。
ただ目茶苦茶に振り回してるだけ。

それでもボールペンがヌンチャクに敵うはずもなく、ゾンビたちはどんどん倒れていく。
どうやら個人の能力は生前と変わらないようだ。
しかし倒されてもなお起き上がってくるゾンビ。
これではまるできりがない。
「私も手伝うよ。」
夏美と円も桜子のもとへ走っていく。
彼女たちの目的はあくまでゾンビたちの捕獲。
そんな友達思いの彼女たちを夕映は鼻で笑っていた。
やっと彼女たちが消えてくれたお陰で作戦会議ができる。
そう言いたげな顔で彼女らを見ていた。
666マロン名無しさん:2006/08/19(土) 21:20:27 ID:???
残ったのは夕映、のどか、朝倉、葉加瀬、超。
魔法と関わりのある生徒たちだ。
夏美、桜子、円はゾンビたちを必死に止めようと奮闘中。
こちらの声など聞こえないだろう。
美砂はロッカーのなかで震えているが、こちらもなんら問題はない。
超は使えない。なので実質行動出来るのは四人となってくる。
葉加瀬は傷をおってはいるが、それほど深くはない。
そして作戦会議が始まる。

「きりがないっ!」
「ねぇ…どうしよ〜。」
「どうしようって言っても…」
ゾンビと奮闘中の三人。
夏美、円は椅子のバリケードで交戦しているのに対し、桜子はヌンチャクでどんどんゾンビたちをなぎ倒している。
桜子は円のように仲間への思いやりというものがないようだ。
しかし倒しても倒しても甦るゾンビたちに桜子もいい加減疲れが見え始めてきた。

一方夕映は…
自分が今まで考えた推理を四人に話し出す夕映。
四人とも武道会で実際に見ていたこともあり、会議は楽々進んでいく。
だが四人は知らない。エヴァはピアノ線以外の方法でも人を操れることを。
エヴァはすでにこの世にいない事を。

こうしてついに会議は核心へと迫る。
「…んで、どうすんの?ピアノ線なんて簡単に切れる物じゃないし。」
667マロン名無しさん:2006/08/19(土) 21:23:13 ID:???
「いえ、あれはほっておきましょう。」
「ほっとく!?」
「はい。」
三人はお互いの顔を見合わせた。
夕映の言っている意味がいまいち理解出来ない三人。
「なんでほっとくの?」
「あの三人を見て分かるようにあのゾンビを叩いても無駄です。かと言ってピアノ線を短時間で切るなんて簡単なことじゃない。」
「うん。」
「なら本体を叩くしかありません。」
「え?」
明らかに無謀な作戦。
なんと夕映は世界最悪の魔法使いと戦いを挑もうと言うのだ。
「たしかにただ戦うだけでは勝ち目はありません。ですが、彼女の指はピアノ線でおそらく塞がってます。」
たしかにゾンビの数は8人。
動いていない古菲を除いても片手で7人も操るのは無理がある。
それが普通のドールマスターならの話だが
「だって相手は不死の魔法使いエヴァンジェリンですよ!私たちが束になったって…」
「葉加瀬さん。今日は何日か覚えているですか?」
それを聞いた葉加瀬はなにか思い出したようで曇りのない顔で手を叩いた。
「そうです。今日は12月1日。今日は満月からは程遠い。つまり今、エヴァさんの魔力は無いに等しい状態だということです。」
そう言われるとかすかだが希望が沸いてくる。
668マロン名無しさん:2006/08/19(土) 21:25:42 ID:???
「でも体術は?たしか麻帆良祭で刹那さんボコられてなかったっけ?」
「両手塞がっているのに体術もなにもないでしょう。」
「まぁそれもそうか。」
「……」
千雨がこのクラスを毛嫌いしていた理由が少し分かったような気がした。

「…で、どうやってエヴァちゃんを探すの?」
朝倉は一応周りを見回してみたが、エヴァの気配など微塵も無い。
「そこでのどかです。」
夕映が目で合図すると、のどかが気まずそうに前に出てくる。
「アデアット」
のどかの周りに風が取り巻き、手の中にはいつの間にか広辞苑並の本が大事そうに抱えれている。
「なるほど。」
これで四人とも理解することが出来た。
つまりエヴァの心を読んで居場所を特定させようというのだ。
こうして四人の作戦はスタートする。
しかし朝倉は内心どこか夕映に納得出来ないものがあった。
それがなにかかは自分でもわからない。
ただ自分はとんでもない間違いをしているような気がしてならないのだ。


もうなにもかもが面倒くさくなってきた。
ほんの研究心がここまで騒ぎを大きくしてしまうとは…
もう殺された彼女らに合わせる顔がない。
神楽坂明日菜。真実を知ったら彼女は私になんと言ったか…
669マロン名無しさん:2006/08/19(土) 21:29:16 ID:???
やはり怒り狂うだろうか。当たり前だ。ある意味彼女は私に殺されたようなものだ。
そもそもこんなことを始めたきっかけは…、あぁ…湾岸戦争からだ。
私は湾岸戦争や9.11、イラク戦争に幻滅しこれを造ろうとしたんだ。
これさえあれば戦争もテロ集団も消える。
私の嫌いな戦争も…なくなる…

『超とはまた手合わせして見たかったアル。』
かつての友の声が聞こえてくる。
友は何の疑いもなく超に笑いかけ、そして気がついた時にはそこはいつかの懐かしい場所に変わっていた。
麻帆良祭超お別れ会。
古菲はしんみりした様子で超の前に立っていた。
『わが師からもらた双剣ネ。超にやるアル。』
古菲から双剣が渡される。
ずっしりとした重みが超の手から伝わっていく。
握手をかわす二人。それを暖かい拍手で見守るクラスメートたち。
超は一瞬だが居心地がいいと思ってしまった。

「痛っ…」
突然頭から痛みが走り我に帰る超。
なにかが地面に落ちてきた。
金色の丸い板状の金属。500と書かれている。
飛んできた方向を見るとそこには死んでいるはずの真名がいる。
彼女は奇跡的に生きていた。
だが彼女は別にたいしたこと言うこともなく、ただじっと瞳孔むき出しの目で超を睨んでいる。
670マロン名無しさん:2006/08/19(土) 21:32:21 ID:???
ただ超には分かる。彼女が自分にたいして何が言いたいのかを…。

「あの…エヴァさん。聞こえたら返事してください。」
エヴァとの交信を試みるのどか。
やはり怖いのか手が震えている。
こうして一秒一秒が流れていく。
たった一秒のはずが彼女たちには何分にも感じられる。

「来ました!」
本の白紙にはマジックペンのような太さの線がなぞられていく。
四人はそれを興味深々にみつめていた。
「…コ?」
「ロ?」
「ス…」
「……」
これ以上本に文字が書かれることはなかった。
結局片仮名でコロスと書かれただけ。意味は説明するまでもないだろう。
皆その場で固まってしまった。
ある意味こんな言葉が書かれるとは誰も予想してはいなかったのだ。
「…なんかエヴァちゃんっぽくなくない?」
朝倉の言うことは間違っていなかった。
たった3文字の言葉ではあるがエヴァらしさというものがない。
「あの…あなたは誰ですか?」
のどかは震えた声で見えない敵に語りかける。
また数秒の時間が流れ、白紙に線が動き始める。
『私は明石裕奈。』
『私は和泉亜子。』
『私は大河内アキラ。』
『私は春日美空。』
『私は古菲。』
『私は佐々木まき絵。』
『私は長瀬楓。』
671マロン名無しさん:2006/08/19(土) 21:35:32 ID:???
「きゃっ…」
あまりの恐怖にのどかは本を落としてしまう。
自分たちを襲ってきた者の名前が綴られていく本。
これほど気味の悪い物はない。
『私は那波千鶴。私は鳴滝国香。私は鳴滝史伽。私は長谷川千雨。』
操られてた生徒はこれで全員そろった。かに見えた。
『私』
「え?」
なんと黒い線は止まるのをやめない。
つまりまだ操られている生徒がいるということだ。
『は』
一文字ずつゆっくりと書かれていく。
四人は固唾を飲んで地面に転がった本を見つめていた。
『朝倉和美』
え?
三人の思考が完全に止まる。
朝倉は目の前に…
グサッ…
夕映とのどかの首にはボールペンが貫通していた。
二人はなにも理解する事なくその場で倒れた。
それを冷めた目で見ている朝倉。
唯一助かった葉加瀬は突然起こった残劇に絶句している。
「……」
朝倉も糸が切れたようにその場で倒れた。

一方…
「がっ…」
「夏美ー!」
夏美の首にはナイフ。
刺したのは今までぴくりとも動かなかった古菲。
672マロン名無しさん:2006/08/19(土) 21:36:47 ID:???
手には楓のナイフが握られている。
夏美はその場に倒れてしまう。
「やばっ…」
次に狙われるのは桜子か円。
おそらく二人がかりでも勝ち目はない。
「桜子、逃げるよ!」
遅かった。円が振り向いた時には桜子は古菲の強靱な刃のまえになすすべなく倒れていた。
「さく…」
そして円自信も…
古菲に気を取られ、ほかのゾンビたちの動きなど全く目に入らなかった円。
胸にはカッターが刺さっている。
「あ…死んだ…」
円は声にならない声で最後にそう呟いた。
「ま…円…」
動かない体に鞭を打ち、必死に手を伸ばす桜子。
だがその手が円に届くことは永遠になかった。

8/22
673マロン名無しさん:2006/08/19(土) 21:38:32 ID:???
ゾンビたちが次々と倒れていく。
その様子を静かに見ている葉加瀬と超。
葉加瀬の隣りでは朝倉が気絶している。
朝倉もエヴァの毒牙にかかってしまったのか。
いや、そんなことどうでもいい。
今はただこの一時の安心感をゆっくりと味わいたかった。
674マロン名無しさん:2006/08/19(土) 21:43:36 ID:???
もうそろそろグダグダになって来たので円の脳内日記編を終わらせようと思う。
まぁ夏美とゾンビちづ姉のからみは欲しかったけど、あえなくカット。
次回、動き始める超。そしてついに犯人が!

自殺日記
675マロン名無しさん:2006/08/19(土) 21:49:54 ID:???
>>673オモシロッス!!
パル記念

ネギ「はーーい!今日はパルさんの誕生日ですねー☆」
ざわざわ
パル「やーありがとね、ネギ君ー!」
明日菜「おめでとーパル!はいコレ!アンタ漫画好きだからペン買ったの!」
このか「ウチもクッキー焼いてきたえー」
次々とパルにプレゼントが手渡されていく。

パル「あはは、皆アリガトー!でもホントはお金が欲しかった!なんちてw」

しーーーーん……
「「「…は?」」」
「ちょっと、冗談でもそーいうこと言う…?」「サイッテーですー…」「死ねです」

パル「あ、あは、あはは!怒った?きゃっ…
明日菜「返してよっ、なけなしのバイト代削って買ったのにっ…」
あやか「明日菜さん…私そーゆう冗談大嫌いですの!」
3−A「かーえれ!かーえれっ!Cね!Cーね!!」

パル「そんな……」

ネギ「あはは、おもしろーい」

676マロン名無しさん:2006/08/19(土) 23:43:44 ID:???
なんかネギ怖いなww
677ハルナ:2006/08/19(土) 23:52:35 ID:???
ってか私の誕生日昨日なんだけど…('・ω・`)
678リストカット:2006/08/20(日) 01:11:32 ID:???
あなたはリストカットをしたことがありますか。もしないならしないままでいて下さい。もししているならすぐにやめて下さい。これは私の専売特許なのだから。

夏美が学校を休んだ。ノートにいたづら書きをされたのが原因のようだ。明日菜と朝倉がほくそえんでいる。なんかムカつく。クラスメートのことが心配じゃないのか。
木乃香が明日菜に話しかけてきた。
「なーあ、次はなんて書くん?」
「『空気』ってのはどう?」
「さすが朝倉、面白いフレーズ思い付くわね。」
『空気』のどこが面白いんだ。この3人習字でも習ってるのか。
そんなこと考えながら、私は放課後に買いに行アニメ雑誌のことを考えていた。
夜、再来週から期末テストがあることを思い出した私は、教科書を開いた。音楽の教科書の表紙裏を見た。
そこには『空気』と大きく書かれていた。そうか、あいつらか。私は愕然とした。
それから数分間、私は何をしたか覚えていない。気が付くと、私の右手は包丁を握っていた。おそらくそれで左手を切ったのだろう。私は傷を洗い流すためにトイレに行った。そこで偶然亜子に会った。
「ちょっとその傷なんやの。早く包帯とか巻かへんと、血が、血が…。」
亜子が動揺してる。ああ、そういえばこの子、血が苦手だったな。
私は、亜子に見せ付けるように左手をかざした。
「見て、綺麗でしょう。」
私は、血まみれになった左手を、携帯のカメラで撮った。気を失った亜子を尻目に。
その日以降、リストカットをしては写真を撮り、それを自分のホームページにアップするのが私の日課になった。ホームページの作り方は長谷川に教えてもらっていたのでお手のものだ。
679リストカット:2006/08/20(日) 01:12:47 ID:???
私のホームページはマニアの人に受け入れられたようだ。BBSの書き込みを見てみると、
『美空ちゃんGJ』
『写真を見ると寒気がする。でもそれがいい。』
等々肯定的な書き込みが多くとても嬉しい。
中には『親から貰った体になんてことするんだ』なんて批判的な書き込みもあるが、そういったものはスルーすることにしている。
そろそろ腕だけじゃワンパターンで面白みがないなあ。太股を切ったらもっと綺麗に血が出るかな。それともお尻にしようかな。それとも…。
680バカレンジャー6人目の戦士:2006/08/20(日) 01:12:54 ID:???
日曜の朝。佐々木まき絵は目覚ましがなる前に目を覚ました。時刻は7時半。
「ふぁあ・・・眠い・・・ん〜まだこんな時間か」
彼女は日曜の朝8時から放送される仮面ライダーカブトを毎週楽しみにしていた。
うっかり二度寝して、見逃してはたまらないのでいつもより30分早くテレビをつける。すると轟轟戦隊ボウケンジャーがやっていた。
そこで彼女はある事に気づく。
「あ・・・あれれ?なんか光ってるのいるし、今の戦隊って6人なの!?」
クラスからバカレンジャー扱いされる事に密かなコンプレックスを抱いていたまき絵は、
これを機にもう一人こちら側に取り込んでやろうと思いついた。
「それにしてもこの黄色の女、ピンクより大分アホそうだねw
黒もアホっぽいし、赤はオッサンくさいし、青はウチのクラスの陸上部みたいに影が薄いしw」
自分と色のかぶるピンク以外の悪口を言いながら、ボウケンジャーの視聴を続けるバカピンク。

その頃バカレッドは新聞配達の後、うっかり二度寝をして「かいけつゾロリ」を観損ねた事を嘆いていた。
その傍らネギは(うっせーな、プリキュアが始まるまで起こすんじゃねーよ)と不機嫌になっていた。
681バカレンジャー6人目の戦士:2006/08/20(日) 01:14:58 ID:???
翌日、ブルーマンデーをさらに憂鬱にさせる学力テストが行われた。
しかし、まき絵は一人わくわくしながらテストを受けている。この結果、誰が6人目に加わるのか楽しみで仕方ないからだ。
(あたしら5人に次いで成績が酷いのはまずあのピエロ。でもアレはどっちかっつーと敵組織にいそうな感じだよね。
子供さらって風船にでもしそう。こえー、こえーw
他は名前がロボっぽい金髪ロリとその手下のまんまロボっぽいやつ。うーん、あいつらは取り込みにくそうだな。
あと、天然お譲の腰巾着も意外とバカなんだよな。真面目なくせに。あたしはちゃんと授業聞いてないからできないだけだよ。ウン。
あいつ、一、二年の頃、トモダチいなくて寂しそうだったから誘えば意外と乗ってくるかも。
しかし、この辺加えるとリアルでボウケンジャーより強くなりそうだな。すでに武道四天王2人入ってるし。
ぷっwそれにしても四天王って結局全員そろいも揃ってバカじゃんwガングロも成績微妙だし、脳みそまで筋肉なんじゃね?
そうそう、確かチアリーディングの三人もそろってバカだったよな。でもあいつら3人でようやく一人分みたいなもんだし、
一人だけ加えても地味かw6人目というよりミドレンジャーポジション)

テストの時間中ずっとこんな事を考えていたまき絵は今まで不動のナンバー1(ワースト1)だったアスナを下回る成績を取る事となる。

682バカレンジャー6人目の戦士:2006/08/20(日) 01:16:29 ID:???
ヤバイ?邪魔した?ごめんなさい。
683リストカット:2006/08/20(日) 01:19:04 ID:???
大丈夫ですよ。もう書き終えたし。
こっちこそタイミング外してすみません。
684マロン名無しさん:2006/08/20(日) 01:23:33 ID:???
なんだここ
ゼロが来ねぇと誰もいねぇのか?
レスしろよ
685バカレンジャー6人目の戦士:2006/08/20(日) 01:26:58 ID:???
こんな過疎ってるのに、作品の投下タイミングがやたら被るのは皮肉やね。
美空は毎回必ずネタにしないと気がすまないほど好きなので
続きがあるなら期待しています。
686マロン名無しさん:2006/08/20(日) 01:31:08 ID:???

  ま  た  自  演  か

 
687マロン名無しさん:2006/08/20(日) 01:33:57 ID:???
なんのだよ
688マロン名無しさん:2006/08/20(日) 01:53:09 ID:???
おもしろいですよ(・∀・)!
腰巾着ww
689マロン名無しさん:2006/08/20(日) 01:53:12 ID:???
両者乙。
リスカ痛々しいなぁ。
バカレンジャー、この先どう転ぶんだろ

>>684
そういうレスはしない方がいいよ。あらゆる意味において。
ゼロが来た時でも、投下被るとレス来ない。てかレスしづらい。
690マロン名無しさん:2006/08/20(日) 01:54:07 ID:???
みんな考えてること同じなんだなぁ
691マロン名無しさん:2006/08/20(日) 02:02:56 ID:???
自記が思いっきり無視されている件について
692マロン名無しさん:2006/08/20(日) 07:31:56 ID:???
ここは相変わらず職人をいじめる変わったスレですね。
693マロン名無しさん:2006/08/20(日) 08:31:45 ID:???
どーせやってるのは特定の一名だろ
694マロン名無しさん:2006/08/20(日) 09:02:38 ID:???
自殺日記はね〜ちょっと今回理解できなかったからわかるようになったらレスしようかと思ってた 一読者より 次もガンガレ
695マロン名無しさん:2006/08/20(日) 10:06:00 ID:???
自記は内容は悪くは無いが、レスしにくい面がある。
696マロン名無しさん:2006/08/20(日) 10:28:06 ID:???
レスはつけたきゃつけりゃいいし、書いてる方も好きで書いてるんだから

毎回レスがどうこう言ってるやつはただ雰囲気悪くしたいだけだから
無視してりゃいいんだよ。
697マロン名無しさん:2006/08/20(日) 10:55:03 ID:???
>>696
レスがつけばそれだけ職人のやる気が上がる
お前みたいな香具師がくるから職人が増えねぇんだよ
698マロン名無しさん:2006/08/20(日) 13:47:20 ID:???
だったらごたくはいいからお前がもっとレスしろや
699マロン名無しさん:2006/08/20(日) 13:56:47 ID:???
このスレオワタ\(^o^)/
700マロン名無しさん:2006/08/20(日) 18:16:30 ID:???

ガンドル「出席番号2番…明石ゆーな!まずはてめーだ…ヒヒヒ!」
ゆーな「あ…あ…」
よだれを垂らしながらゆーなに施された拘束具を解いていく。
ゆーな「き…嫌……」
素っ裸にされた朝倉の腕を掴むと教室の中心へ歩を進める。
ガンドル「良い乳してんなぁ…お前…ほんとに中学生かよ!?」
ゆーな「ひぃ……」
701マロン名無しさん:2006/08/20(日) 18:16:59 ID:???
この流れになるとまた、作品の投下待ちだな。
702マロン名無しさん:2006/08/20(日) 23:39:26 ID:???
>>700
誤字があるが期待してる
703マロン名無しさん:2006/08/20(日) 23:49:13 ID:???
>>678 描写が頭に浮かんできて手首が痛くなるしかも美空が主役なんて・・・DJ!! >>680 ツボにはまったwまき絵がダーク路線は斬新GJ!! そして自記個人的には好きだ、色々批判もあるだろうけど頑張れ!!
704マロン名無しさん:2006/08/20(日) 23:50:38 ID:???
エロきたー!次投下してくれー
705700:2006/08/21(月) 00:08:44 ID:???
かなりHentaiな内容になりそうですが…
706マロン名無しさん:2006/08/21(月) 00:23:38 ID:???
チャチャゼロ残酷編19  それは、愛


――少年の意識は、白い光の中に浮かんでいた。

心地よく、疲れを癒してくれる淡い光。どこまでも広がる、霧に包まれたような世界。
地面も、天井も、壁もなく。静寂に満ちた虚空に浮かびながら、少年は思う。

「僕は……眠っているんですね。これは、夢なんだ」

夢を夢と自覚しつつ、少年は目覚めることができない。
まだ、目覚める時ではない。
少年は思う。これまでのことを、思い出す。

最初の日の夜、亜子が病院に収容された、というニュースを聞いたのが初めだった。
2日目、裕奈が初めてのリストカットを行い。
3日目、雪広あやかが犯人に襲われ、手足と心に深い傷を負った。
4日目、チアリーディングの3人は、何か深刻なケンカをしたらしい。それぞれに傷を負い、友情は裂かれ。
同日、ネギは様子のおかしいのどかと、エヴァの家の前で遭遇。以来彼女は引き篭もりである。
5日目、千雨が夜の道で襲われ、意識不明の重傷。3人目の「公式の」犠牲者。
6日目、土曜の午前中、エヴァの家から出て分かれた木乃香は、禁呪に手を出して深く傷ついた。
同日夜、巡回中の美空は両足を失い、ココネは命を落とし。
7日目、聡美が実験中に片腕を喪失。そういえばこの頃から茶々丸の様子が少しおかしい。
同日夜、五月が襲われ、真名が両目を失い、小太郎が殺され……

……そこから先は、ネギは知らない。
さよの身に起きたことも、双子の被害も、アキラのトラウマも、ハルナの件も。
魔法先生たちの会議の席で、突然『眠りの霧』で眠らされて……
こうして、魔法の力で眠り続けている。
夢を見ながら、眠り続けている。
707マロン名無しさん:2006/08/21(月) 00:24:30 ID:???
「……治癒魔法の1種、なのかな……。
 まだまだ僕の知らない魔法、いっぱいあるんだ……」

夢の中で、少年は呟く。
おそらくこれは、安らかな眠りを維持することで、心身の疲労を回復させるための魔法。
考えてみれば、次々に発生する事態に追われ走り回っていたネギは、疲れ果てていた。
妥協のできない性格。ついつい無理しがちな性格
彼は、魔法先生たちから割り当てられた時間以上に巡回をし、また修行を重ね……
こうして隔離される寸前には、本当にフラフラの状態だった。
いつブッ倒れてもおかしくない状態。体力は限界に達し、思考力も失われ。
自分でも何をしているのか、何をしたいのか良く分からない状態が続いていた。

しかし、こうして強制的にではあるが、休息を与えられ。
ネギの心身は、ゆっくりと回復していった。
思考力も戻り、過去の記憶を思い出す彼は、やがてその記憶の中、いくつかのポイントに気付く。

エヴァの家の前、『いどのえにっき』を抱えていた宮崎のどか。その時以来、豹変した彼女。
彼女は一体、誰の心を読んだのか? 誰の心を読んで、ああなってしまったのか?
あの時、本の効果範囲に居た『存在』と言えば、のどか、ネギ、エヴァ、茶々丸、そして……!

エヴァの家を出る所で別れた、近衛木乃香。その後、病院に向かって禁呪を使った彼女。
彼女は一体、どうやってエヴァの膨大な蔵書の中から禁呪を見つけ出したのか?
あの時、木乃香と行動を共にしていたのは。家を出る時、木乃香が頭の上に乗せていたのは……!

他にも、様々な事実の断片が、ネギの中で組み合されていく。
思考力の戻った今なら、分かる。冷静に考えることができる。全ての元凶は、間違いなく、あの、

『……聞こえる、ネギ!? 返事しなさいよッ! ネギってば……!』

突如、白い光に包まれた夢の中に。
少年の思索を破る声が響く。懐かしい声。少年を、現実に引き戻す声――!
708マロン名無しさん:2006/08/21(月) 00:25:07 ID:???

……窓の外の暗い街に、パパパッ、と電燈が灯る。
数秒のタイムラグを置き、部屋の中も電灯がついて明るくなる。
「う〜ん、何とか回復したみたいだな」
「何がおきたんだろうねぇ。簡単には落ちないシステムになってるんだけど」
麻帆良学園都市の一角、住宅街エリア。その一室。
弐集院はその自宅で、停電から回復した街を眺めながら、オコジョのカモと言葉を交わす。

心身を回復させる、眠りの魔法をかけられたネギ。数日は目を覚まさないであろう彼。
彼が目を覚ますまで、その身柄を預かることになったのは、魔法先生の1人・弐集院だった。
ネギを暫く泊めることのできる家の広さ。ネギの面倒を見れる家族の存在。
弐集院の場合、その幼い娘も幻術を修める魔法使い一家だから、なおさら都合がいい。
事情を全て明かした上で、面倒を見ることができる。

「あの結界に関するトラブルとか、起きてなければいいんだけどねぇ」
「……なぁ、センセイよ。なんで兄貴を眠らせたりしたんだよ?
 結局事件は終る気配もねぇし、兄貴が欠けた分、逆に隙もできちまったようだし……何考えてるんでぃ」
「…………」
カモの言葉に、弐集院はしばし沈黙して。
細い目をさらに細め、渋い表情で外を見る。

「今回の敵は、おそらく、ロクな目的すら持っていない。愉快犯のクラッカーみたいなものだ。
 行為そのものが目的で――そのくせ、技術と用心深さは一級品だ。
 これは僕自身、電子精霊を扱いネット界に基盤を置く魔法使いだから、感じることなんだがね」
「ふむ……確かにな」
「しかも、相手を空回りさせる方法をよく理解している。こういうのは、ウチの娘が結構上手いんだが。
 ネギ君のような真面目なタイプは、一番相性が悪い。正面から挑んでも、無駄に消耗するばかりだ。
 一旦、距離を置く時間が、どうしても必要なんだ……遠回りに見えても、その間に犠牲が出ても、ね」
709マロン名無しさん:2006/08/21(月) 00:26:59 ID:???
「…………」
「さて、ちょっと出かけてくる。さっきの停電について、調べてこなきゃ。
 何かあったら、娘か妻に言ってね。ネギ君のこと、頼むよ、オコジョ君」
弐集院はそういい残し、部屋を出て行く。
そして弐集院の客間に残されたのは、眠り続けるネギと、ヒマを持て余したカモだけ。

「まさかとは思うけど……だが『奴』じゃないよなァ。そうであって欲しくねぇなァ。
 確かに、血の臭いとかしてた時あるんだけどよォ……」
ぶつぶつと、カモは1人呟く。
実は彼も、1人の容疑者を思い浮かべていた。
ネギと共に行動していた時、動物妖精ならではの嗅覚で察知した異常。
知り尽くした『親友』の性格と、それがもたらすかもしれない最悪の展開。
彼自身、その仮説を信じたくはなかったのだが……。

と、突然。
再び、部屋の明かりが唐突に消えて。窓の外の街並みも、次々に明かりが消えていく。
2度目の停電――。
カモたちが知る由もないが、それは丁度、エヴァのログハウスの前での死闘の開始の合図。
再び闇に包まれた、部屋の中で……。

「……ふぅ」
「おッ!? 兄貴!? 目ェ覚めたのかよ!? 大丈夫か、オイ!?」

むっくりと、起き上がる気配。
闇の中、そして彼はカモに手を差し出す。

「行こう、カモ君。みんなが、戦ってる。僕たちも明日菜さんと合流して、早く行かなくちゃ」

710マロン名無しさん:2006/08/21(月) 00:27:41 ID:???

――そして、物語は最後の局面を迎える。

チャチャゼロ、エヴァンジェリン、茶々丸の3人の前に傷つき倒れた、『最後の6人』。
そこに遅ればせながら到着した、ネギと明日菜、それにカモ。
明日菜は別に、和美たちの期待したような、「いざという時の連絡手段」など持ってはいなかったが……
それでも必死に彼女なりに考え、仮契約カードの機能を用いてネギに念話を送り。
夢の中でその声を聞いたネギは、予定より早く目覚めて。
こうして、揃ってエヴァの家に。

「……明日菜さん」
茶々丸が、静かに呟く。何を想っているのか、その仮面のような無表情な顔からは読み取れない。

「ふふ……ぼーやか。いい表情だ。
 見たところ、疲れも何も残ってはいないようだな」
エヴァンジェリンが、不敵に笑う。
楽しくて仕方ないといった表情。待ち望んだものがついに来たといった表情。
先ほど、6人へのトドメを命じられた時の不機嫌さなど、カケラも残っていない。

そして、そのエヴァの頭上。しがみ付くように乗っている人形は。
「ア……アルベール?!」
呆然と、『彼』の名を呟いた。ネギの肩の上に乗る、『彼』の名を口にした。
表情の変わらない顔。変えられない顔。ただその口をぽかんと開け、視線は彼に釘付けで。
この世で最も会いたくない相手に、会ってしまったという――そんな雰囲気。

3者3様の、リアクション。
対するネギたちは、無言のまま、1歩踏み出して――
激闘が、始まった。


 Final TARGET  →  出席番号08番 神楽坂明日菜  担任 ネギ・スプリングフィールド
                アルベール・カモミール
711マロン名無しさん:2006/08/21(月) 03:23:06 ID:???
ついにラスト!?
wktk!GJ!
712マロン名無しさん:2006/08/21(月) 10:56:24 ID:???
カモとゼロは涙なしでは見れなさそう
これ終わったらどうしよう…
713マロン名無しさん:2006/08/21(月) 11:51:05 ID:???
ゼロが消えたらこのスレ過疎るな
714マロン名無しさん:2006/08/21(月) 13:18:14 ID:???
一緒にこのうっとうしい奴も消えてくんねーかな
715マロン名無しさん:2006/08/21(月) 14:54:06 ID:???
>>714
いちいち反応すんな
回線切って首吊って氏ね
716マロン名無しさん:2006/08/21(月) 16:09:59 ID:???
以上、俺の自演でした
717マロン名無しさん:2006/08/21(月) 16:47:05 ID:???
まだゼロの犠牲になっていない生徒が何人かいますね。その子たちはこのまま空気と化してしまうのでしょうか。
718マロン名無しさん:2006/08/21(月) 16:59:30 ID:???
まき絵、超、村上、ザジか?
719マロン名無しさん:2006/08/21(月) 17:05:38 ID:???
まき絵は亜子の絡みで何度か出てきたし、夏美はハルナ編で顔出してる
超とザジの大物2人が全くスルーかな?
720マロン名無しさん:2006/08/21(月) 17:22:46 ID:???
超はまだなんかありそうだな…
721リストカット:2006/08/22(火) 01:02:22 ID:???
ACT.II 公園にて
私は悩んだ。ホームページがマンネリ化しているからだ。
手首以外にどこを切ればいいか色々試した。足の裏、太股、背中、どこを切っても手首以上の出血は望めぬ。
首筋を試したことはあった。命を落としかけた。それでも私は自傷行為を辞められずにいる。
色々考えてもしょうがないので、近くの公園に行ってみることにした。何かいいアイデアが出るかもしれない。
夜の一時。さすがにこの時間は誰も出歩いてないだろうと思っていたら、アキラと龍宮がいた。泣いているアキラを龍宮が慰めているようだ。
話を聞くと、龍宮とアキラのノートに各々「デカ女1号」「デカ女2号」と書かれていた。恐らく明日菜達の仕業だろう。
私は二人に近付くと、左手の包帯を取り、傷痕を見せた。
アキラはひきつった顔をしている。怖がれせてしまったようだ。
龍宮は興味を持ったらしく、傷痕を触りまくっていた。
30分後、私は公園を後にした。
結局いいアイデアは出なかった。公園から寮に帰る途中、墓地を見付けて思った。
私もいつかは死に、忘れ去られるだろう。でもそれでいい。空気と呼ばれる私を、気にとめる人なんていないのだから。
722マロン名無しさん:2006/08/22(火) 01:18:32 ID:???
アキラかわいい…慰めてあげたい…
723マロン名無しさん:2006/08/23(水) 08:18:29 ID:???
このまま1日レスがつかなかったら泣いてるアキラはオレのもの
724マロン名無しさん:2006/08/23(水) 08:32:26 ID:???
阻止
725マロン名無しさん:2006/08/23(水) 10:07:12 ID:???
定期age
726血の真実・種の真相:2006/08/23(水) 23:30:36 ID:???
いじめ・・・自分よりも弱い立場の弱者を傷付け一種の快楽を覚える行為。
      もしくは自分のストレス発散、社会的立場の死守の為に行う場合もある。
      故意にいじめ、捕食以外の目的で他の生物を殺すのは人間とイルカだけであると言われている。

麻帆良学園にはこの数日間ある問題が起きていた、麻帆良学園中等部3-Aの教室。
数日前から毎朝生き物の血が大量に教室中にばら撒かれていると言う事件が続いていた。
鑑識による調査で分かったのはその血がイルカの血である事、そしてわずかながら人間の血が混入しているという事。

「平本さん!この事件の資料早く目を通しちゃってください!」若い20代程の刑事が山の様な書類を持って一つのデスクに近付く。
「そこ置いとけ・・・そこコーヒーあるから気を付けろよ」40代程の男が非常に散らかった机に足を乗せ煙草を吹かしている。
「平本さん!!早くしてください、また今朝も血塗れだったみたいですし、現場の検分に行けって部長にも言われているんですよ!」
「うるせぇな・・・いいか松山お前は落ち着きってもんが足りない・・・分かった行くよ」平山は重い腰を起した。
平本は資料と煙草そして本来なら持ち出し厳禁の拳銃コルト・パイソンを持って駐車場へと向かった。
二人は平本の車に乗る、松山が運転席に座り平本は助手席に座る。

車を走らせる事1時間、二人の刑事は麻帆良学園に到着した。
松山は車を堂々と校門の前に止める「さて行きますか」松山は平本を見る「・・・面倒くせぇな」車から降りつつ、ぼやく平本。
現場では鑑識があの黄色いテープの中で現場検分を行っていた「ご苦労さ〜ん」気の抜けた声を出し平本がテープを跨ぐ。
「平本さん・・・相変わらずやる気無いな〜」40代程のやせた鑑識官が平本に声をかける。
「うぃーい元気しばちゃん?で何があったの?」「資料に目を通してないの!?」しばちゃんは目を丸くした。
「そうなんですよ、まったく目を通してないんです」「いいだろうが松山、さて仏さんは出たのかな?」平本は嬉しそうな様子で現場の教室を覗き込む。
「不謹慎ですよ平本さん」松山は平本の表情に呆れ顔である。






727血の真実・種の真相:2006/08/24(木) 00:00:51 ID:???
「これが・・・仏さんか?にしても臭いな」平本は部屋に入った瞬間鼻をつまむ。
「うわっ臭い・・・なんですかこれは・・・イルカですか?」松本は目の前の光景にいささか震えを覚えた。
平本と松山の目に飛び込んできたのは腹を何かで抉り取られたイルカ。
辺りには血が散乱しているが驚いた事に「こんだけ血は出ているのに内臓はナイゾウ」
「(さむっ!)」平本の駄洒落で思わず凍り付く現場「ええと・・・たしかに妙ですね」
「血の量を見てもここでこいつが殺されたのは間違いない、ただ内臓だけがどっかに持ち去られたのよ」しばちゃんが言う。
「なるほど・・・第一発見者は誰よ、そいつに事情聞いてみないと後ここは任せた」平本はそう言いながら部屋を後にする。
「了解・・・えーと第一発見者は学園長室だ、場所は・・・松ちゃん分かるよね?」
「ええしばちゃんさん大丈夫です、行きますか平本さん」松山が平本に目をやる「そうですね〜行きますか・・・」

「大丈夫じゃ木乃香」老人が華奢な体付きの少女を抱きしめ頭を撫でている。
突如ドアを叩く音が学園長室に響いた「・・・どうぞ」老人は少女を抱いたまま言う。
ゆっくりとドアが開かれる「どうも警視庁捜査課の平本孝利警部補です、こいつは松山幸太巡査部長よろしく」二人の刑事は学園長室に足を踏み入れる。
「あんたがこの学校の責任者?その娘は?」平本は首を傾げながら少女と老人に近付く。
「ワシがここの学園長じゃ・・・この子はワシの孫・・・今日の事件の第一発見者じゃ、名前は木乃香、近衛木乃香じゃ」
「よしああ木乃香ちゃん、おじさん達に話し聞かせてくれないか?何を見たんだ?」今までの態度が嘘の様に真剣な表情の平本。
「・・・うちいつより早く学校に来たんや・・・教室に入ったらイルカが死んでた・・・」木乃香は声を震わせながら言った。
学園長はよりいっそう木乃香を強く抱きしめた「なるほど・・・(んな事は俺でも分かるよ・・・)」平本の真剣な顔のままで軽く落ち込んでいた。
728マロン名無しさん:2006/08/24(木) 00:19:36 ID:???
才能ないね
729血の真実・種の真相:2006/08/24(木) 00:22:28 ID:???
結局木乃香はそれ以上の事は語らず平本達は学園長室を後にした。
「まったく、イルカが死んだなら八景島シーパラダイスにでも連絡しろっつーの」平本がぼやく。
「八景島シーパラダイスじゃ事件捜査は出来ないでしょ?あなたも割りといい加減ですよね」松山もぼやく。
「そのうち覚えるんじゃない?イルカねぇ・・・イルカ今どこにイルカ」
「いい加減その寒い駄洒落はどうにかできないんですか?」松山は平本を睨む。
「さて署に戻ろうか、後は鑑識待つしかないしょ」平山はそう呟くと足早に現場を後にした。

松山が運転する車の中「いいんですか本当に帰っちゃって?」松山は前を見たまま平本に言う。
「あれはさぁ、なんかに食い千切られた跡だ、口は大してでかくない」
「生き物ですか?・・・平本さん何で分かるんですか?」
「見た事があるのさ同じ歯形を、同じような傷跡をな」
「何所で見たんですか?もしかして映画で見たとか言うんじゃないでしょうね」
「あれはさ・・・そう『人間の歯形』だ」平本の顔が引き締まる。
「人間?・・・・・・人間の歯形?人間がイルカを?」
「そうだ・・・人食鬼の事件を担当した事があってな、その時と似ているんだよ・・・だがあれはそれ程大きいもんじゃない」
「どれぐらいの人の歯形なんですか?」
「俺は専門家じゃないが・・・恐らくは14〜15歳の少女の歯形」
「!?・・・それはつまり・・・あの学校の生徒がイルカを?」
「食っている・・・あれはまさしくそうだ、イルカを食っている、この山面白そうだ」平本は笑みを浮かべた。
730マロン名無しさん:2006/08/24(木) 00:32:19 ID:???
生徒同士が共食いすんのか?何かグロそう……
731マロン名無しさん
頭痛くなりそうだからもうヤメロ 刑事もの書きたいなら他に逝け