2 :
キリマンジャロ ◆0HwNPvscuo :2006/03/14(火) 22:23:52 ID:GKcSRe6+
2げと
/ , ィ弋 ヽ ヽ\ヽ \
/'7´ィ、ヾ、ヽヘ i 丶ヽ. ド
,ィ7,1「i ト ! >:ヘ l r‐、i |│ト
/ ハl.| トヽ lイ,.ャサLュ' {う !リ l│!
! |!1| レ,ニ ! ´ ト7j '_/イ i|│ト
! イ. ト:ヘソ` |/〈| / く!| ||‖〈, / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ `ヽ
/ j,〉lハ ゝ _,.ィ !六ト、 、j川 ハ! / Y
君達とお姉さんとの約束だ!> /ム|ソ 丶、 j │' ヽ |'// / 全 荒 批 s i
/ /7'¬' / / ー-i !,r'⌒ヽ、ヾ/ l 員 ら 判 a |
/ /,イ / / / /,1 l' ` 、 | ス し ば g |
/'/ /// ' / / //イ ! i、 l ル だ か e |
/ / 〃' ,' / / ///i| / ヘ ! | り ず |
/ / /// ,i/ / ////7 i i ゝ そ す に |
/ / ///! ,″ / ////ノ / / l ⌒ヽ い る !
/ / //// / / / /´ l / / ハ ` い つ ヤ /
. / / ///イ i ,/ ,∠. !/ l j! ト | い ら シ /
/ / //// ! |〃, /i ヽ |! ! / / '、 ! ね は は /
/ / //// | ‖ / /,ハ ヾ / / ,/ i ヽ、 /
楓の中にチャチャゼロがいるのか?
乙
>1乙
あすにゃんGet
美空げと・・微妙w
渡辺茶々丸ゲトー
第9部<< 41 虎口を脱す >>までのまとめ 【残り18人】
支給武器 殺した人物
○2番 明石裕奈 ベレッタ
○3番 朝倉和美 リボルバー 17椎名(銃殺)
×4番 綾瀬夕映 ハサミ
○5番 和泉亜子 ハズレ札
○6番 大河内アキラ 煙玉
×7番 柿崎美砂 輪ゴム
○8番 神楽坂明日菜 ロープ
○9番 春日美空 首輪探知機
○10番 絡繰茶々丸 ライフル 7柿崎(銃殺)
○11番 釘宮円 ハンドガン
×12番 古菲 デザートイーグル
?13番 近衛木乃香
○14番 早乙女ハルナ 銃 4綾瀬(銃殺)
○15番 桜咲刹那 小刀 16佐々木(斬殺)
×16番 佐々木まき絵 ポケットピストル 26エヴァ(銃殺)
×17番 椎名桜子 モデルガン
×18番 龍宮真名 コイン 30四葉(絞殺)22風香(銃殺)23史伽(銃殺)
○19番 超鈴音 吹き矢
○20番 長瀬楓 クナイ 12古菲(斬殺)
○21番 那波千鶴 ??????
×22番 鳴滝風香 手榴弾
×23番 鳴滝史伽 ナイフの束 18龍宮(爆死)
○24番 葉加瀬聡美 携帯ゲーム
○25番 長谷川千雨 ??????
×26番 エヴァ 鉄扇
○27番 宮崎のどか ??????
×28番 村上夏美 大鍋
×29番 雪広あやか 針金
×30番 四葉五月 サバイバルナイフ
○31番 ザジ 出刃包丁 28村上(刺殺)
現在の団体行動中グループ
・2 明石/6 大河内
・3 朝倉/8 神楽坂
・10 絡繰/24 葉加P
・11 釘宮/27 宮崎
積極的な参加者
10 絡繰/14 早乙女/20 長瀬/21 那波/24 葉加P/31 ザジ
木乃香げっと
今日は作者9氏来ないのか…
来なくてよい
現在ちまちま書いてるんですが・・予約の最後に入れてもらえるとうれしいですぉ
いやだと言ったらどうする気だ?
ところで提案なんだが、作者の予約はその作者の最後の書き込みから2ヶ月間程度、というルールはどうだろうか
消息不明のまま予約だけが残っている作者もいるし、待ち時間が長いと、新規作者も予約しにくいと思うんだが。
ただ、現時点で予約済みの作者は今、この時間から2ヶ月間、ってことで。
めんどい
今日も投下なかったらもう次いかね?
じゃあ今日の夜までにこなかったら次ということで。
おまいらホントに9嫌いだなwww
さすがに1日2日でそういう判断になるのはどうかと思うぞ。
せめて、1週間ぐらいは猶予取るべきだろ。
後、その場合次の作者も投下しにくい雰囲気になる可能性が高いし、作者9自身にも辛いものがあるだろう。
9はそんなに酷いのか、1終わってから読んでないからワカンネ
確かにイマイチだけど何事も経験が大事だと思う。もしかしたら大化けするかも知れないしね。とりあえず勝手に投下するのは作者に失礼じゃない?どうしても投下したいなら作者の了承を得て投下するがヨロシ。
9の作品が面白いか面白くないかは別として書くペース遅いなぁ。
出来てから投下じゃなかったか?
中途半端なところでやめないで欲しいな。
今までの作者さんとまとめの人に失礼だし。
俺も作者志望なんだけど、ネギま!とBR以外から
ネタをインスパイアしてきちゃ駄目かな?
ネタ次第だろうな。
あくまで個人意見で、人によって意見は大きく変わるだろうが
展開ならセーフ、声優ネタセーフ、キャラアウト(AI止ま、ラブひなならセーフ)かな。
あと、武器とかは違和感感じなければあまり突っ込み入らないかも。
ただ、人によって受け取り方は違うし、批判覚悟でもいいなら何を書いてもいいと思う。
五月ゲット
31 :
マロン名無しさん:2006/03/16(木) 16:42:23 ID:/SwdRgGN
ザジGET
すまん、sage忘れorz
33 :
28:2006/03/16(木) 17:07:42 ID:???
>>29 キャラは流石に変えようとは思ってない。
某スネークスレみたいになったら嫌だからな…
ちなみに今書いてるのはBRと似たような雰囲気のGANTZネタとか入ってたりする。
茶々丸強くしすぎたり、魔法使えないキャラに魔法使わせたりしちゃってるし・・・
あと一番やばいのは武器に戦車やらミサイルやら入れたのかな・・・
35 :
28:2006/03/16(木) 17:14:11 ID:???
>>34 どのへん?兵器類?
あとめっちゃ軍ネタが入ってるんだが・・・
33じゃないが、魔法使えないキャラに魔法使わせるのが気に入らない
あとはどうでもいいがキャラ設定だけは変えないで欲しい
俺も33じゃないが、その部分が特に気になったな。
ただ、そのあたりの説明をしっかりして
さらにその内容が実は○○でした、系ではなく
開始後に何かが起こって使えるようになった、なら俺の場合はギリギリ許容範囲。
あと、キャラの設定変更も、BRの開催理由に関係していることとかならある程度までは大丈夫だと思う。
理由次第だと批判もものすごいだろうがな。
まぁ、結局は「違和感」とか、「イメージの崩れ」さえ抑えられていれば、基本的には問題ないと思うぞ。
で、作者9の投下マダー?
逃げたんじゃない?
>>41 ここまでボロクソに言われれば当たり前かと
9の次って誰?
いや、この状況じゃ次の作者も名乗りにくいだろう。
それに、まだ数日しか立ってないし、PCトラブルの可能性もあるからもう少し待った方がいいんじゃないか?
まぁ、もう数日しても現れなかったら次の部行ってもいいと思うが。
>>1 スレ立て乙です。
それでは今日の投下を始めます。
<< 42 切り裂きジャック >>
和泉亜子は、未だに森の中をさまよい続けていた。
丸腰の亜子は必死に仲間を探したが、まだゲーム開始から一人も生きた人間に会っていなかった。
そう…生きた人間には……
「……ひいっ…もうこんなの嫌や……」
亜子の前に四葉五月と村上夏美の白骨死体が現れた。
誰がどんな風に殺したら、こんな白骨死体ができるのだろう?
亜子は恐怖で身の毛がよだつ思いだった。
「ああ…誰でもいいから…早く誰かに会いたい…」
亜子がそう思っていると、ついに亜子の前に人影が現れた。
「あ…あれは…長瀬さん……」
すぐに亜子はそれが長瀬楓であることに気付いた。
亜子は楓がさんぽ部に所属していることくらいしか知らなかったが、穏やかそうな人だという印象はあった。
しかもやっと念願の仲間ができたと思った亜子は、全く警戒せずに近寄った。
しかし楓の顔が見える距離まで近寄ったとき、亜子は息をのんだ。
その楓の顔は亜子の知っている楓の顔とは似ても似つかなかったのである。
この世に鬼人がいるとしたら、まさに今の楓がそれだったのだ。
「………あっ!」
亜子が恐怖を感じたときにはもう遅かった。
亜子の腹はもうすでに楓のクナイに切り裂かれていたのだ。
続いて背中に激痛が走り、ついで足、腕とどんどん切り裂かれていく。
(まき絵…みんな…ごめんな……)
亜子は嵐のような斬撃のなかで息絶えた。
しかし楓は、亜子が息絶えた後も、切り裂くのを止めなかった。
楓は不気味な笑いを浮かべながら、亜子の体に切り傷を刻み続けたのだ。
やがて楓は満足したのか、クナイを握る手を止めた。
そこには無数の切り傷が刻まれ、原型を留めていない亜子の死体があった。
楓は亜子を一瞥すると、血に濡れたクナイをペロリと舐め、その場を立ち去った。
楓は、完全に殺人快楽者と化してしまっていたのだ。
【出席番号5番 和泉亜子 死亡 残り17人】
<< 43 償い >>
神楽坂明日菜と朝倉和美は、桜子の死体を丁寧に埋葬してやった。
これが、二人が桜子にしてやれる、せめてもの償いだったのである。
「…悪かったよ、アスナ…やっぱり私はあの時、もっと冷静になるべきだったんだ…
……いや、やっぱり私は一番桜子に謝らないとね…私が勘違いしたせいで…桜子……」
和美の目からは大粒の涙が溢れていた。やはり和美も責任を感じていたのだ。
(朝倉……)
明日菜は和美が泣くところなどほとんど見たことが無かったのである。
明日菜は、和美を元気付ける為に、わざと明るく振舞った。
「…元気だしなよ。朝倉。そんなに責任を感じること、無いんじゃない?」
「…アスナ……でも、私のせいで、桜子が……」
「…いや、これは朝倉のせいじゃないわ!みんなこんな馬鹿げたゲームのせいよ!
だから、二人でこのゲームをぶっ潰しましょう!そうすれば天国の桜子もきっと喜んでくれるわ!」
アスナは必死に和美を元気付けた。
「……分かったよ、アスナ。私はこれから全力でゲームを止めて見せる。
それが私のできる桜子への償いになるのなら……」
「…ふふ。やっぱり朝倉は、そうでなくちゃ!
じゃ、そろそろ私は睡眠をとるから、朝倉、見張りお願いね〜♪」
「ええ!?アスナ、何言ってんの?」
「私はいつも習性で夜の9時ごろになると眠くなるのよ!
…という訳で、朝倉、お休みなさ〜い。」
「…お、おい、アスナ!?」
「……………zzz」
明日菜は完全に眠りに入った。
「やれやれ……ゲームを潰すといったそばからこれか……ま、アスナらしいけどね。
…とにかく、アスナ、元気付けてくれてありがとね………」
和美は明日菜の寝顔を見て、ちょっとだけ微笑んだ。
【残り17人】
<< 44 血濡れの殺人鬼 >>
「…そろそろ3回目の定時放送があるな…おや、あれは?」
森の中を歩いていた桜咲刹那は、前方に誰かがいるのに気が付いた。
辺りはすっかり暗闇になっていたため、刹那は注意深く近寄った。
そこには、刹那の戦友の一人である、長瀬楓の後姿があった。
「………楓!大丈夫か!?」
刹那はさほど警戒せずに楓に声をかけた。
楓も刹那に気付いたらしく、ゆっくりと振り返った。
その顔を見て、刹那はすぐに異変を感じた。
(…おかしい。これはいつもの楓じゃ……ない!)
そう思った刹那は、楓に尋ねてみた。
「お、おい、楓。顔色が悪いぞ。一体何があったんだ……」
その質問が終わるか終わらないうちに、楓が刹那に向かって瞬動術で迫ってきた。
「…………くっ……」
刹那は間一髪でかわし、楓のクナイは空を切った。
相手が強敵だと判断した楓は、ニヤリと笑って懐からデザートイーグルを取り出した。
「あ…あれは…マズい!」
寮で龍宮真名と一緒に生活している刹那は、その銃の威力はよく知っていた。
危険を感じた刹那は、懐から一枚の札を取り出し、楓に向かって投げた。
その瞬間、辺りに閃光が走った。
「……………!」
あまりの眩しさに目が見えなくなった楓は、デザートイーグルを乱射した。
……カチャ、カチャ。
デザートイーグルが弾切れになったが、楓は引き金を引き続けた。
程なくして楓の視力は戻ったが、そこに刹那の姿は無く、刹那が護身用に持ち歩いていた『閃光札』が落ちていただけだった。
楓は一瞬悔しそうな顔をしたが、すぐにまたニヤリと笑った。
そこには、刹那のものと思われる血痕が、ポタリポタリと落ちていたのである。
楓はすぐに、その血痕を追って歩き出した。
【残り17人】
<< 45 不法侵入? >>
「…ふう。今夜はここで休もっか。のどか。」
円とのどかは、とある民家の玄関先に立っていた。
「…でも、釘宮さん…こんな所に勝手に入って、大丈夫なんですか?」
「うーん。その辺はどうなんだろ…不法侵入とかにならないかな…」
円が迷っていると、ポツ、ポツと雨が降り出した。
「…仕方ない。雨も降ってきたし、とりあえず中に入ろうよ、のどか。」
「…え?本当に入っちゃうんですか?」
「平気平気。だってネギ君、無人島だって言ってたし。」
そう言って円は中に入った。
「ま、待ってください、釘宮さあん。」
のどかもしぶしぶ中に入った。
民家の中には、冷蔵庫、ガスコンロなど生活に必要なものは一式揃っていた。
「うーん、もっと早いうちからこの辺にくればよかったね…」
円はそう言って布団を敷き始めた。
「…よし、布団を敷いたから、とりあえずのどかはここで休んでてよ。」
「えっ、じゃあ、釘宮さんは?」
「…私は、一応誰かが来たらいけないから、寝ずに見張りをしてるよ。」
「…分かりました。じゃあ、3時間寝たら交代しますんで、起こしてくださいね。」
「うん、分かった。それじゃ、おやすみ、のどか。」
「…おやすみなさい……」
そう言ってのどかは横になった。
円は交代するとは言ったが、最初から今夜は寝るつもりは無かった。
桜子を守れなかった円は、せめて自分の隣にいるのどかだけでも絶対に守ってやろう、と心に決めていたのである。
「雨、強くなってきたな…」
円がそんなことを考えていると、3回目の定時放送が聞こえてきた。
【残り17人】
<< 46 定時放送その3 >>
ついさっき降り出した雨は、どんどん大降りになっていた。
大河内アキラは、やっとの思いで病人の明石裕奈を洞窟の中に運び込んだ。
「…はぁ……はぁ……」
裕奈の呼吸が落ち着いてきたので、アキラはやっと一息つくことができた。
しかし安心したのも束の間、また例の放送が聞こえてきた。
「…皆さん、午後9時になりました。只今より第三回定時放送を始めます。
まずは、お待ちかねの死亡者の発表です。
出席番号22番、鳴滝風香さん。出席番号16番、佐々木まき絵さん。
出席番号26番、エヴァンジェリンさん。出席番号18番、龍宮真名さん。
出席番号23番、鳴滝史伽さん。出席番号5番、和泉亜子さん。以上6名です。
もう、ほぼ半分の方がお亡くなりになりました。ご冥福をお祈りいたします。」
「ま…まき絵……亜子……そんな……」
そこにはアキラの親友の佐々木まき絵と和泉亜子の名前があったのだ。
これで運動部四人組はアキラと裕奈の二人になってしまった。
アキラの目から思わず大粒の涙が流れ落ちた。
「えー、次は、禁止エリアの発表をします。
今から僕も睡眠をとるので、一気に明日の午前6時まで発表しときますね。
では、まず、22時に6−E、23時に1−G、0時に4−F、1時に5−C、2時に2−E、3時に3−Aです。
これ以降は、6時まで禁止エリアは増やしません。
…では、また明日の午前6時にお会いしましょう。それでは皆さん、お休みなさい…」
アキラは地図を開き、自分達のいる場所を見て思わず息をのんだ。
アキラたちのいる洞窟は3−A、つまり明日の午前3時には禁止エリアになってしまう場所だったのだ。
【残り17人】
<< 47 万事休す >>
長瀬楓は、刹那の血痕を追って、ある教会にたどり着いた。
途中からかなり雨が降ってきたが、楓はもろともしなかった。
楓は濡れながらも、ただ不気味な笑いを浮かべているだけだったのだ。
楓は教会の扉を開き、中に入った。
この教会は、だいぶ昔に建てられたものらしく、壁には美しい絵が描かれていて、天井には大きなシャンデリアがあった。
楓は辺りを見回し、教会の隅っこに刹那がしゃがみこんでいるのを発見した。
刹那は、うまく閃光札を使って逃げられたはいいものの、逃げる途中に楓の乱射する銃弾がわき腹を掠ってしまった。
掠っただけなので命に別状は無かったが、傷跡からはかなりの量の血液が流れ出ていたのだ。
「か…楓…どうして…狂ってしまったんだ……」
刹那が楓に尋ねるが、楓からの答えは無い。
ただ刹那の方を見つめ、ニタニタと不気味に笑っているだけだった。
(…くっ…これ以上言っても無駄だな……許せ、楓……)
そう思った刹那は、ポケットピストルを取り出して発砲した。
パン、パン。
しかし銃弾は楓の方には飛んでいかず、天井の方に向かって飛んでいった。
「………刹那。どこを狙っている?」
楓がついに口を開いた。その口調はいかにも、今この状況を楽しんでいるかのようだった。
…カチャ、カチャ。
「ぐっ………」
ついに刹那のポケットピストルの弾も底をついた。
楓はゆっくりと教会の中央部分まで歩み寄り、瞬動の構えを取った。
刹那の後ろには壁があるため、瞬動をされたら避けることはできない。
「……ゲームセットだ。刹那。」
そう言って楓は両足に力を込めた。
…………ピカッ。
その瞬間、どこかに雷が落ち、閃光が走り、雷鳴がとどろいた。
【残り17人】
それでは失礼します。
………なんか急に文章力が上がったような……。
気のせいかな?
昔乱造されてた和製アドベンチャーブックみたいな文体だな。
59へ進め
58
あんだけボロクソ言われりゃ上手くなるわな。
作者9は今回は練習だと思って気楽にやってくれ。途中で逃げるなよ。みんなに失礼だからな。とりあえず次回作に期待。
よくぞ戻ってきてくださった GJ!
数日投下しなかったことを謝れとまでは言わないが、せめて理由を説明するのは礼儀じゃないか?
2、3日用事があったから投下出来なかった、くらいさ
63 :
マロン名無しさん:2006/03/16(木) 23:53:31 ID:6KRMcZ+4
本当だな
最近思った。
速い順番に投下する作者は、順番待ちの作者から目の敵にされて叩かれやすいから、
真っ当な評価が欲しければ、最後列に並んだ方が良いと。
カラオケで他人が歌ってる時に、
速く自分の番が来ないかとイライラしてる状況と似てるんだよな。
待ってる作者達にとっては。
逆に、今投下してる作者にとっては、
待ってる後列の作者は潜在的な敵なんだから、
言葉遣いや言動、些細なことで揚げ足を取られる。
作者ではない、順番待ちもしてない、ROM住人にとっては、
どうでもいいようなことで。
作者9ってほとんどレス返さないよね
>>66 別に、今いったこと以上のことは何にも。
特定の何か、というよりも、
あくまで、一般論として。
69 :
28:2006/03/17(金) 07:16:54 ID:???
>>36-37 このかや夕映も駄目?せめてサギタマギカくらい使わせたいんだが
あとキャラ設定って・・・性格とか?
流石にアニメのラストの全員パクティオーみたいにはしないけど
茶々丸改造(ミサイル搭載)くらいはいいよね?
70 :
36:2006/03/17(金) 08:12:52 ID:???
俺は受け付けないな
まあ話の流れにもよるよ、使えるようになったいきさつが不自然じゃなけりゃいいかもしれん
逆に最初から魔法バンバン使える設定で話が進むならそれこそ読む気しない
禿同
むしろ原作(ネギま、バトロワ)の原点に帰れと
>>38のリンクは言いすぎだが、某ロワの「ボタンの掛け違い」は芸術の域に達してるし、
そろそろいい意味での作者対抗戦としてリレーも見てみたい
講談社つながりでドラゴン桜ネタを振って東大特進クラス担任・浦島景太郎を担当教官、
武闘派や魔法キャラ対策に青山素子とカオラ・スゥを助教に
会場はモルモル王国の無人島かバキみたいな秘密の闘技場がいい
リレーは自分も読んで見たいし、参加してみたいな。
ただ、1部2部先だと、予約した作者がいるし
3、4部先をリレー専用として予約しておくというのが一番現実的じゃないか?
なんか最近、ココつまんねぇ
もし俺が作者だったら今の状況で投下したくないな
叩かれるのが目に見えてるし
74 :
71:2006/03/17(金) 14:48:37 ID:???
落ちる前に一言
作者さんたちに贔屓のキャラとか聞いてみたい
リレーって主要人物が各作者にバラけてないと円滑にいかなそう
一人の作者でここまで狂うとは…
もうここもダメかな?
76 :
彗星:2006/03/17(金) 17:33:47 ID:???
9は氏ねばいい
彗星キターw
作者9にはちゃんとどこどこが悪いか書かれた批判を受け止め
詳しいことが何も書かれていない批判をスルーしてがんばってほしい。
ただ、だいぶ無意味な批判も増えてきているので、投下ペースを上げてほしいかも。
とにかく、作者9氏がんばってください。
彗星wwバロスwwww
何故だか知らんが彗星はこのスレのスターだな
出て来ただけでこの騒がれ様
バトロアの構想練ってたら
学期末テストで赤点が過半数を超えました
本当にありがとうございました
>>81 俺もだ・・・
ていうか、前スレで予約したはずなんだが入ってないぽい
よろしくたのも
ところで…9はどうした?
今日もいろいろあって投下が遅くなってしまい申し訳ありません。
それでは投下を始めます。
<< 48 裁き >>
裁きの時は、突然やってきた。
突然、天井から、あの巨大なシャンデリアが降ってきたのだ。
「……………!」
楓はあまりに突然だったため避けることができず、そのままシャンデリアに押しつぶされた。
これが、悪魔の囁きを聞いてしまった哀れな殺人鬼の、最期だった。
………ピカッ。
再び雷が落ち、教会内が照らされた。
刹那は荒い息遣いをしながら、呆然とその場にしゃがみこんでいた。
「…はぁ……はぁ………済まない…楓…こうするしか…無かったんだ…」
刹那は、ポケットピストルで、最初から、天井のシャンデリアを狙っていた。
ポケットピストルで撃つことによって、老朽化したシャンデリアを刺激し、落とすのが目的だったのだ。
しかしいくら老朽化しているとはいえ、落ちる保証は無かったので、これは刹那にとっても危険な賭けだったのだ。
………フラッ…
「……ぐっ………」
突然刹那は視界が傾くのを感じた。
刹那はこの一日で、体力的にも、精神的にも、疲れきっていたのだ。
(お嬢様…エヴァンジェリンさん……楓……龍…宮……)
刹那はその場に倒れ、深い眠りに落ちた。
【出席番号20番 長瀬楓 死亡 残り16人】
<< 49 行動開始 >>
…ピピピピ…ピピピピ……
大河内アキラは、腕時計のアラームの音で目が覚めた。
「………2時、か……」
この区域でいたらあと1時間で首輪が爆発してしまう。
しかし病人である裕奈を雨の中動かすわけにもいかないので、時間ギリギリまで雨が止むのを待っていたのだ。
幸いなことに、雨は小降りになっていた。
「…よし、行こう!」
アキラは裕奈を背負い、小雨降る洞窟の外へ出て行った。
「…頑張れよ、ゆーな……」
アキラは裕奈を全力で励ましながら歩いていた。
…ビシュッ!
突然、どこからかボウガンの矢が飛んできた。
アキラは間一髪でそれを避け、矢は近くの木に突き刺さった。
「…………誰だ!」
アキラが叫ぶと、暗闇の中から那波千鶴が現れた。
「…あら、惜しかったわね……」
そう言いながら千鶴は次の矢をボウガンに装着していた。
【残り16人】
<< 50 嵐の夜の決闘 ―前― >>
アキラはその千鶴の姿を見た途端、言いようの無い威圧感に襲われ、思わず息をのんだ。
まるで、体からどす黒いオーラが出ているように見えたからだ。
それでもアキラはなんとか冷静さを取り戻し、とりあえず背中に乗っている裕奈を地面にそっと寝かせた。
場合によっては千鶴と戦うことになるかもしれない…アキラはそう考えたのだ。
「…千鶴さん、どうしていきなりボウガンを撃ったりしたんですか。」
このような状況でも、アキラは冷静に、千鶴に話しかけた。
「……あらあら、わざわざ理由がいるのかしら?これは、仮にもバトルロワイアルなのよ。」
千鶴は表情一つ変えずにそう言った。
「……それでも、あなたは躊躇無くクラスメイトに武器を向けられるのですか?…私にはそれが分からない!」
いつの間にかアキラの口調も攻撃的になっていた。
アキラも、親友二人を奪ったこのゲームに怒りを感じていたのだ。
「だって、しょうがないでしょう?…夏美ちゃんも、このゲームで誰かに殺されたのよ…?
私は、夏美ちゃんが殺されたのに他の人たちが悠々と生き残っているのが、どうしても許せないのよ!」
そう言って千鶴はボウガンをアキラに向けた。
アキラはボウガンを向けられていたが、手持ちのベレッタを構える気にはなれなかった。
やはりどうしてもアキラにはクラスメイトを殺すことはできなかったのだ。
(ゆーな…ごめん…やっぱり私…裕奈を守りきれなかったみたい…)
アキラは静かに目をつむった。
ドン。
その瞬間、アキラは何かに突き飛ばされ、地面に転がった。
「…………!」
アキラは目を開け、思わず絶句した。
「へへ……アキラ……私はアキラに助けてもらったんだから…今度は私が…助ける番だよね…」
なんとアキラを突き飛ばしたのは、ついさっきまで横で寝ていたはずの裕奈だったのだ。
「…ゆーな!」
アキラは裕奈に近寄ったが、一目で裕奈がもうあまり長くないことを悟った。
裕奈は胸に千鶴のボウガンの矢を受けていて、おびただしい量の血が流れ出ていたのだ。
「アキラ…向こうへ行っても…いつまでも…私たちは親友だよ…」
裕奈はそう言って息を引き取った。
アキラは裕奈の死体をしっかりと抱きしめた。
「…あらあら。あなた達とっても仲がいいわね〜。」
千鶴はあざけるようにそう言った。
…雨が、また強くなってきた。
【出席番号2番 明石裕奈 死亡 残り15人】
<< 51 嵐の夜の決闘 ―後― >>
やがて、アキラはゆっくりと立ち上がった。
「…千鶴さん。私は…あなたを絶対に許さない!
だからもうクラスメイトだからとかそんなのは関係ない!…私はあなたを、今ここで全力で倒す!」
アキラはそう言って、千鶴に向かって突進した。
アキラの目にはもう迷いは無かった。
「ふふ…だから…どうするの…?」
千鶴は冷静にアキラに向けてボウガンを撃った。
…ザクッ。
矢はアキラの右足に深々と刺さった。
ふふ。これでもう走っては来れまい。千鶴はそう判断し、次の矢を装着しようとした。
しかし、アキラは、右足に矢が刺さってもなお、千鶴に向かって突進を続けたのだ。
「い…一体何者なの…?」
千鶴は一瞬迫り来るアキラに驚き、動きが止まった。
それが、千鶴の命取りとなった。
……パアン!
ついに、アキラのベレッタが火を噴いた。
千鶴は銃弾を胸に受け、その場に倒れた。
その瞬間、アキラは千鶴の周りを覆っていたオーラが引いていくのに気がついた。
「……私は完全に殺人鬼に成り下がっちゃったのね…これじゃ…天国の夏美ちゃんに…合わせる顔が無いわ…」
「……………」
アキラは無言のまま、千鶴を眺めていた。
「……アキラさん…あなたの手を汚させることになって…本当にごめんなさい…
…でも…どうか…あなたに…止めを刺して欲しいの…お願い…できるかしら…?」
千鶴はアキラにそう頼んだ。
「………分かりました。」
アキラはそう言ってベレッタを千鶴に向けた。
(…私は多分地獄行きだろうけど…夏美ちゃん…天国でも幸せでね…)
………パアン!
乾いた音が森中に響き渡った。
【出席番号21番 那波千鶴 死亡 残り14人】
<< 52 親友 >>
「…くっ……」
アキラは突然、足の痛みでその場に座り込んだ。
見ると矢は右足に深々と刺さっていて、今まで走れていたのが不思議なくらいだった。
アキラは腕時計を見た。
「…午前2時…50分か……」
時間まであと10分しか残されていない。アキラはこの足では禁止区域から時間内に抜け出すことは不可能だと判断した。
アキラは地面を這いながらも、何とか裕奈の死体のところまで移動した。
「…ゆーな……」
裕奈の死に顔は安らかで、まるで眠っているかのようだった。
アキラは裕奈の手を握って、裕奈に語りかけた。
部活のこと…修学旅行のこと…麻帆良祭のこと…
思い出はどれだけ語っても尽きることは無かった。
しかし無情にも時は来て、アキラの首輪の警告音が鳴り出した。
「…どうせ首輪で爆死するんだったら……いっそのこと…」
そう思ったアキラはベレッタを自分の心臓の辺りに突きつけた。
「亜子…まき絵…裕奈……今そっちに行くね……」
そう言ってアキラはベレッタの引き金を引いた。
……パアン!
辺りに銃声が響いた。
首輪はアキラの死亡を確認すると、…警告音を鳴らすのを止めた。
(アキラ…向こうへ行っても…いつまでも…私たちは親友だよ…)
アキラは、最後に裕奈のそんな声が聞こえたような気がした。
【出席番号6番 大河内アキラ 死亡 残り13人】
<< 53 夢 >>
刹那は、夢を見た。
「せっちゃ〜ん、こっちや、こっち!」
「このちゃ〜ん、まって、まってぇ〜」
夢の中ではまだ刹那も木乃香も6歳で、一緒に京都の総本山の周りを走り回っていた。
いつの間にか木乃香は川の向こうに行っていて、刹那に呼びかけていた。
「せっちゃ〜ん、早ようこっちに来な〜!置いてくえ〜!」
「このちゃ〜ん、今からそっちに行くから、待っててや〜!」
そう言って刹那は川に入っていこうとした。
この時、刹那は聞きなれた声が聞こえたような気がした。
「せつなサン、そっちに行ったらダメネ!今すぐ戻って来るネ!」
刹那がハッと目を覚ますと、そこはとある民家の台所だった。
刹那が辺りを見回すと、誰か他の人物がいるのに気がついた。
「…あれは…ザジさん…?私を助けてくれたのだろうか……?」
刹那は、同じクラスのザジ・レニーディが、奥の部屋で出刃包丁を熱心に研いでいるのを発見した。
【残り13人】
それでは失礼します。
9乙。今日のはなかなか良かったと思う。
…一瞬またアキラが壊れるのかと思ったがw
千鶴の言動はすさまじいものだった
久々にここを訪れました。
9部作者さん、初めの頃よりも技術は上がっています。
批判に負けずに頑張ってください。
分岐シナリオは亜子エンド、本編真エンドの二つだけとなりました。近々亜子エンドを投下予定です。
乙。初めから読んだが別人じゃないかと思うほどの成長ぶりに素直に驚いたよ。批判する奴が多いが次もがんばれ。
後、批判する奴はどこがダメなのか指摘しようぜ。作者のレベルアップになるし、つまんねえとか糞とか言うと他の作者も投下しにくくなるしスレの雰囲気が悪くなる。
長文スマソorz
_ ∩
( ゚∀゚)彡 作者1!
⊂彡 作者1!
作者9氏に心がけて欲しいのは文章の強弱かな。
特にキャラの死に際は気を付けて欲しい。テンポと描写量に強弱を付けるだけで格段に良くなるから。
今回のアキラの最期は巧く出来ていたと思う。
あと、自分はストーリーを完全に理解してても、読者が理解するには情報を完全に与えておかねばならない。
必然的に文字数は増えてしまうが、テンポに気を付けてなるべく短く纏めるのが作者の実力の問われる箇所だ。
えらそうな意見垂れてスマン。頑張って書き上げてくれ。
え?超なんですかそうなんですか
>>9氏
つコミュニケーション能力
109 :
マロン名無しさん:2006/03/18(土) 17:32:12 ID:QWeXzfel
・心理描写
・効果音
が足りない
つ…ついに作者1さんにレスしてもらえた…本当に感激です。
皆さん多くのご意見本当にありがとうございます。励みにしつつこれからも頑張りますのでどうかよろしくお願いします。
それでは本日の投下を始めます。
<< 54 イレギュラー >>
長かった夜が、静かに明けてきた。
春日美空は、武器の首輪探知機のおかげで、未だに誰にも会わずにこの島を歩くことができていた。
「…もう6時は過ぎてるのに、まだ定時放送がないな…どうしたんだろ?」
不審に思いながら歩いていると、突然前に誰かの人影が見えた。
「…どうして!?だって首輪探知機は………」
美空はもう一度首輪探知機を見てみたが、そこには何の反応も無かった。
美空が焦っていると、前にいる人物が美空に急にライフルを向けてきた。
……ズギュン!
「……どう…して…茶々丸さん…」
美空はゆっくりとその場に倒れ、そのまま動かなくなった。
――絡繰茶々丸と葉加P聡美は、昨日一日をかけて工業地帯を探索し、使えそうなものがないか調べていた。
そして、残るは大きな二つの倉庫だけになっていた。
しかし、二人が中に入ろうとした途端、思わぬ異変が起こった。
なんと、突然、二人の首についていた首輪が、音を立てて外れたのだ。
「…何だか良く分からないけど、とにかくラッキーよね、茶々丸。」
聡美がそう言った途端、森の方から何かの気配がした。
「……誰かいるみたい。ちょっと見てきてよ、茶々丸。」
「……了解しました。」
茶々丸が様子を見に行くと、そこには春日美空の姿があった。
そして茶々丸は何のためらいも無く、ライフルの引き金を引いた…
「…さて、首輪も外れたことだし、とっとと倉庫を探索しよっか。
じゃあ、私がこっちの倉庫を調べるから、茶々丸はあっちを調べてよ。」
「…分かりました。」
そう言って二人はそれぞれ倉庫の探索を始めた。
【出席番号9番 春日美空 死亡 残り12人】
<< 55 信じるものの為に >>
「…よし!できたぞ!これできっと大丈夫だ!」
長谷川千雨は、ついに首輪解除プログラムを完成させていた。
そして、先程から本部のパソコンに進入し、首輪を一つ一つ解除していたのだ。
「よし…あと一つで全部解除できる…」
千雨がそう思っていると、突然誰かが倉庫の階段を上ってくる音がした。
「…げ!こんな大事なときに、一体何なんだよ……」
上ってきたのは、同じクラスの絡繰茶々丸だった。
茶々丸は千雨を見つけるとすぐに、持っていたライフルを向けた。
「…!待て、茶々丸さんよ…話せばわかる!」
千雨は説得を試みたが、茶々丸は全く聞く耳を持たなかった。
……ズギュン!
銃弾は千雨の腹を貫通した。
致命傷を与えたと確信した茶々丸は、それ以上撃ってこようとはせず、ライフルを体に格納した。
「…がはっ……くそっ………」
千雨はそれでも、作業を止めなかった。
(よし…あとはエンターキーを押すだけ…)
……タタタタタタ……タン!
千雨はついに全員の首輪を外し終えたのだ。
(みんな…後は、頼んだぜ……)
もう自分の命はあまり長くないと悟った千雨は、ゆっくりとリュックの中のある『スイッチ』を押した。
茶々丸がゆっくりと千雨に近づいてきた。
「…申し訳ありません、千雨さん……」
そう言いかけて、茶々丸は、千雨のノートパソコンに気がついた。
「……この首輪を外したのは、千雨さんだったのですか………」
「…そうだ。」
「…珍しいですね。千雨さん。あなたが他の人の為に動こうとするなんて…」
「…自分でも、良く…分かんねぇよ…ホントに…
でも、それでも…何だか分かんねぇけど…やりたかったから…やったんだ。それだけだ…」
「…そうですか……」
「……茶々丸さんよぉ…あんた…どうやら誰かにプログラムをいじられてるみてぇだな。
そのおかげで…今までも…誰かを殺してきた……違うか?」
「はい…私は確かにハカセにプログラムを改変されています……
しかし、これは半分は、自分の意思なのです。」
「……何だって…?」
「ハカセは自分を作ってくれた恩人……ハカセの為なら、私はどんなことをしてもいい…
だから、確かに私はあなたに会うまでに、柿崎さん、春日さんを殺しましたが…これは私の意志…やりたかったから、やったのです。
…そう、先程千雨さんがおっしゃったように…」
「…成程な…茶々丸さん、あんたの言いたいことは大体分かったよ…
でもな…あんたがやってることはな……他の多くの人たちが犠牲に…なるんだよ…
だから…私は…どうしても…あんたのやってることが…許せないんだ…」
「………………」
「ハハ…何でかな…こないだまで私はこのクラスのことをただの変人集団としか思ってなかったのにな…
それでも…どうしても…私はあんたが許せない…あんたのやってることを…止めたいんだ…
だから…茶々丸さんよぉ…あんた、私とおしゃべりしてる暇は、もうねぇぜ……」
「…まさか!」
茶々丸は急いで千雨のリュックの中を見た。
そこには、千雨の武器である、小型時限爆弾があった。
しかも、もうすでにスイッチが入っていて、いまにも爆発寸前だった…
「…緊急事態。回避不能デス。」
茶々丸の思考回路はそう判断を下した。
「……へへ。あばよ、茶々丸さん。あんたとは、もっと別の場所で会いたかったなぁ……」
……ドォォォォン………
その瞬間、倉庫が大爆発した。
【出席番号25番 長谷川千雨 死亡 残り11人】
<< 56 恩人 >>
「な、何!?今の音?」
爆音に気がついた聡美は、急いで倉庫から外に出た。
聡美が外に出てみると、茶々丸が入ったはずの倉庫が、爆発していた。
「…茶々丸!」
見ると、聡美の足元に、爆発でばらばらになった茶々丸の首と胴体が、分かれて落ちていた。
「…申し訳ありません、ハカセ…」
茶々丸が話し始めた。首部分は胴体と離れても少しの間、動くようになっていたのだ。
しかし長時間茶々丸の首に電気がいきわたらない場合、機能を停止してしまい、今までの記憶も、全て消えてしまう。
それは、茶々丸にとって、いわゆる『死』を意味していた。
「…私は…あなたをお守りしたかった……ですが、こんな途中で倒れてしまい、本当に申し訳ありません…」
「……いい…いいのよ、茶々丸…そんなに自分を、責めないで…」
さっきからずっと茶々丸の瞳から、レンズ洗浄液が流れ出ている。
その姿はまるで、茶々丸が泣いているかのように、聡美には見えた。
「…ハカセ…あなたには本当に感謝しています…あなたに作っていただいて…本当に良かった…」
「…茶々丸………」
「だから…次に生まれ変われるのなら…人間の女の子として…あなたと…会いたい…デ…ス………」
そう言うと茶々丸は永遠に動かなくなった。
これは人間になりきれなかったロボットの、哀しい最期だった。
【出席番号10番 絡繰茶々丸 死亡 残り10人】
<< 57 親心 >>
「茶々丸……ごめんね……」
聡美は茶々丸の首を抱きしめた。
『あ、あの…これは、どういった…』
『さあ茶々丸、もっとカワイイポーズで工学部男性の視線を釘付けにしてみてーっ!』
『あの……でも……』
『おおっ、やはりわずかに上昇しています!』
『いえ、あのっ……』
全ては、科学の進歩のため。聡美はそう信じて、研究を続けてきた。
そして、その為なら、少々の非人道的行為も仕方ない。聡美はそう考えていた。
しかし、聡美が今までやってきたことは、全て自分のためだったのではないだろうか?
自分の研究が認められ、ノーベル賞を取り、有名になりたい。本当はこの思いの方が強かったのではないだろうか?
そして、その為に、単に茶々丸を利用していただけではないだろうか?
「…そうだよね……私…今まで…茶々丸を道具としてしか見てなかったかもしれない…
思えばこのバトルロワイアルでも…茶々丸を利用していただけだよね……」
聡美は、側に茶々丸の胴体が転がっているのを見つけた。
胴体は丈夫な金属でできているため、ほとんど破損していなかった。
聡美は茶々丸の胴体を開き、中から茶々丸の支給武器のライフルを取り出した。
そして、ゆっくりと自分のこめかみに押し当てた…
…………ズギュン!
辺り一面に銃声が響きわたった。
【出席番号24番 葉加P聡美 死亡 残り9人】
<< 58 助っ人登場 >>
<< !この章には不確定要素が含まれていますのでそういうのが嫌いな方はご注意ください。 >>
刹那の意識がだんだんはっきりしてきた。
この民家には、自分とザジの二人だけ。他には誰もいない。
そして、台所のガスコンロでは大鍋がぐつぐつと煮えたぎっていた。
しかし刹那は、おそらくザジは朝食の準備でもしているのだろう、というくらいにしか考えなかった。
刹那は横になったまま、何気なく窓の方に目をやった。
「…マズい。寝過ごしたか!?」
窓の外は、すっかり明るくなっていた。
ネギの話では、今日の午前6時に禁止エリアの放送がある。…もしかすると聞き逃したかもしれない。
そう思った刹那は、自分の腕時計で時間を確認しようとした。
しかし、その手は、動かなかった。
「……これは………?」
刹那はこの時になって初めて、自分の両手が後ろで縛られているのに気がついた。
「……………」
奥の部屋で包丁を研いでいたザジが台所に入ってきた。
ザジは刹那が目を覚ましているのに気づき、右手の包丁を構えた。
刹那は身構えるが、両腕を縛られているためどうすることもできない。
そして、ついに部屋の隅に追い詰められてしまった。
(くっ…最早……これまでか………)
……シュバッ!
しかし刹那が諦めかけた瞬間、いきなり吹き矢が飛んできて、ザジの喉元に突き刺さった。
「…………」
矢には毒が塗っていたらしく、ザジはそのまま倒れ、動かなくなった。
「大丈夫カ?せつなサン。」
吹き矢を放った超鈴音が刹那の方に駆け寄ってきた。
「超さん…私は、大丈夫です。」
超は刹那の無事を確認すると、自分の腕時計を一瞥し、はっきりとこう言った。
「…それは良かったネ、せつなサン。もし私が来るのがあと1分36秒遅かったら……せつなサン、あなたは今頃殺されてたネ。」
これを聞いて刹那は、自分の背筋に思わず寒いものが走るのを、感じた。
【出席番号31番 ザジ・レニーディ 死亡 残り8人】
<< 59 私はスナイパー >>
…私の名前は早乙女ハルナ。
どこにでもいるごくごく普通の女子中学生……だった。
そう、こんなゲームに参加させられるまでは。
ゲームが始まって初めて自分のリュックを開けてみたとき、私は目を疑った。
中に入っていたのは……本物のマグナム銃だった。
私は驚くとともに、何故か、この銃を撃ってみたい、という衝動に駆られた。
それは私自身にとっても、不思議な感覚だった。
今でも、何故あの時あんな気持ちになったのかは、分からない。
これはいわゆる魔が差した、とでも言うべきだろうか。
ただ、この銃で、誰でもいいから、とにかく人を殺してみたかった。それだけだった。
そう思っていると、偶然、近くに夕映が通りかかった。
私は、早速こんなに美味しい機会を与えてくれた神に、感謝した。
そして、いつものように夕映に近づき、全くためらうことなく………撃った。
私はこの一発で、人殺しの味を覚えてしまった。
もう元には戻れない。
おそらく、あの快楽は一生忘れることはないだろう。
早く次の人を殺したい。とにかくどんどん殺したい。
殺さないと、私はダメになってしまうような気がする。
…あそこに誰かがいる。どうやらこれは……二人だ。
最近失敗続きだから、今度はちゃんと殺したい。
早く、人が死ぬ直前の、あの断末魔の表情を、もう一度見たい。
私は今までは普通の女子中学生。
でも、今は腕利きの、スナイパー…ってところかしら?
【残り8人】
明日は諸事情により休載とさせていただきます。
それでは失礼します。
>>129 乙 文章が最初より良くなってきたね
遂に残り8人。これから終盤への展開が楽しみだ
>>つ…ついに作者1さんにレスしてもらえた…本当に感激です。
なんか無性にむかついた
132 :
マロン名無しさん:2006/03/18(土) 23:51:47 ID:Dy3X7ohz
作者1さん以外は無視ですか?
(´・ω・`) 死ねよ
ノーベル賞って茶々丸が作れる程の技術でも受賞できないんですね
その技術を公表しなければ無意味
>>136 という事はハカセはノーベル賞を受賞できる技術をもっているのに公表してないんだよね、ノーベル賞を受賞したいのに
作者9のハカセは矛盾してるよね
ここ見ていたら書きたくなってきた。気付いたら書いてたorz
作者12くらいにノミネートさせてくださいノシ でないと完結しそうにない…
でも最初に比べかなりよくなってるな
茶々丸って魔力で動いてなかったっけ?だから魔法バレになるから公表しないのでは?
と都合よく脳内補完
>>137 んなどうでもいいことに熱くなんなよ
そんなに作者9を批判したいのか?
てかノーベル賞とりたいってどっからでてきたの?
公式設定?
いいかげんノーベル賞から離れろよもういいじゃねぇか
そんなに重要なことじゃないだろノーベル賞うんぬんは、作者9氏だって大して考えてなかったと思うぞ
要はノリだよ、ノリ。いちいちそんなの気にしてたらおもしろくないだろ?
知るか
どっちにしろおもしろくない
>>138です。トリップつけてきた
ノミネートさせてください。後のほうでいいから
ノミネート(笑)
オファー
スマソ、順番待ちorz
まぁこんなのが書くものだから内容は粗末なもんだがw
弟にネギま借りて読んで、やっとキャラクターを半分ほど把握した。
さっちゃんかわいいよさっちゃん(*´д`*)
キャラも満足に知らないのに書こうと思ったのかスゲェな
褒美にケツの穴舐めさせてやるよ
SSじゃないが今書いてるやつの一部
偶然裕奈を撃っちゃった夕映。お目汚しですが。
銃を撃ったときの反動で、夕映はその場にへたり込んだ。
同時にがしゃん!と鈍い音を立ててリボルバーは草むらに落ちた。
「あっ…」
夕映の目の前には、明石裕奈がいた。
しかしその裕奈は夕映がいつも見ていた彼女ではなかった。
綺麗に顔の右半分が欠けていて、残った左半分はピンク色の白子のようなものと
赤い液体で染まっている。動くわけもなく、虚ろな目が自分を捕らえていた。
立ち上がってその場を去ろうにも、その光景を見て腰が抜けていたのと、
取り返しのつかないことをしてしまったという罪悪感、
そして何より、裕奈のその目が、逃げることを許してくれないように思えた。
ーーひどいよ、綾瀬さん。私何もしていないじゃない。
それなのに、どうしてこんなことするの…?
「ち、違うです…これは、事故…事故で…」
続き。
もちろん裕奈は何も言っていなかったのだが、夕映にはそう感じられた。
幻影を見ているのか、幽霊なのかわからなかったが(実際夕映は見たことがなかったが、
幽霊と呼ばれる存在がクラスの中にいることは知っていた。
だからこそそれがリアルに感じられた)、
ただ夕映は小さな肩をがくがくと震わせ
「ごめんなさい…こんなつもりじゃなかったです…ごめんなさい…」
と言うことしかできなかった。視界はあっという間に滲んで何も見えなくなった。
熱い涙が頬を伝う。いつまでも夕映は、裕奈の幻と亡骸に謝り続けていた。
とまぁ。こんな感じで。わかりづらいですが。
ポタリ、ポタリ…………。
切先から滴る紅い雫の音。
ポタリ、ポタリ…………。
グレーの空から降り注いでいく雨。
足元には瓦礫の山。
目を凝らすと見える肉の欠片、紅い液体。
今日も誰からも指示されていない任務を成功させた。
あの日に私は復讐を誓った。
人を斬ることで剣技は勝手に上達し、夕凪は血を吸う度に切れ味を増していった。
銃器も使うたびにしっくり馴染む物になっていった。
身を危険に晒すことで自らの解決能力に磨きをかけた。
毎日が実戦、終わりのない命のやり取り。
私は一度も負けることはなかった。
当然のことだ。
安全な場所から殺し合いを見物している奴らと私とでは秘める決意が違う。
生半可な気持ちしか持ち合わせていない脳の腐った連中とはくぐり抜けてきた修羅場が違う。
ゆえに無敗は必然と言えた。
「……あっ……」
花曇りとなった空から時に強弱を付けて降り続く五月雨が緊張で火照った体を癒す。
人からの温もりを感じなくなった自分。雨から温もりを感じるとは……。
本当なら3−Aのみんなと慌しく日々を過ごして、高校生になって、私の周りにはまき絵、ゆーな、亜子がいて……。
私の人生は親友と共にあるはずだった。
でも現実は程遠いものだ。私だけ生き残り、今はゲーム関係者の残党を狩るアサシンとなっている。
私、3−Aのすべてを壊したあのゲーム、許せない。許さない。
私は関係者をあぶり出し、真相を看破しなければならない。
それは生き残った私の責務。
「……まだやるべきことがある。止まってなんかいられない」
銃を左脇に仕舞って、縛っていた髪を解く。
長く伸びる髪が私が大人になったことを自覚させる。
私には過去しかない。だから時間は十分にある。
暖かい雨に身を任せながら私は空を見上げる。
ポタリ、ポタリ…………。
それは私の頬を伝って地面へと落ちた。
人である感情を雨とともに流し、彼女は荒廃の地を後にした。
さあ再開しよう。
ゲームは終わらない。
今度は私が鬼となろう。
どこへでも逃げるがいい。獲物は必ず狩ってみせる。
〜ネギまバトルロワイアル第八部アンソロジー・生存者アキラ編〜
作者1キタ━━(゚∀゚)━━!!
160 :
157:2006/03/20(月) 01:00:14 ID:???
許可なく作者1氏のアンソロジー書かせてもらいました。
気を悪くされた方がいたならこの場を持って謝らせてもらいます。
調子乗ってすいません。
謝るなら書くなよ。
なかなか上手いじゃないか。
とでも言うと思ったか?死んで償え。
>>160 いえいえ、短編としてはいい出来だと思いますよ。
自分自身、他の生存者の作品も見たいと少なからず思ってしまいました。
間が空いたときのアンソロジーとしては自分の判断ながら最適だと思います。
亜子エンド投下は25日の夜予定となりました。それでは失礼します。
>>160はGJなのだが、もういっそバトロワ短篇スレ立ててくれ
と思う俺ガイル。作者志望者の腕試しにもなるし
そして投下予告キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!
やっべ、マジで25日が楽しみだ
短篇スレいいかもな。
1.短い話でどれだけ上手く表現できるかを試すことができる。
2.初心者には丁度いい練習になる。
3.本編連載してるけど投下したいという欲求を解消できる。
と、三つの利点がある。
荒れるな
同じマロンのザジちうを見てるとそんなに荒れない気がするのだが・・・
こっちは厨多いから無理か・・・
本編で荒れるよりか全然いい
やめとけやめとけ
本編書くのマンドクセ、とか思ってる俺のような輩も
ぽつぽつ短編ならいけそうかな?と
今のままじゃ短編は休載時のみだから、殆ど投下されない罠
何が言いたいのかと言うと、
いま一度クギミーと美砂のSS書いた方の短編が読みたいんだあぁぁ〜〜〜っっ!!!
>>170 俺も。あといいんちょのもだよな。あれはすごくいい。
短篇は本編とはまた違ったおもしろさがあるからな。できれば立てて欲しいけど、まとめサイトが大変だろうな。
あなたの武器は何ですか?―
自己の為に武器を使う人は負け犬だろう
あなたの武器は何ですか?―
人の為に武器を使う人は悲劇だろう
あなたの武器は何ですか?―
人を傷付ける武器は強い。しかし私はもっと強い武器を知っている。どんな力にも屈せず、誰もが持っている。
それは―
あなたの武器は何ですか?―
―それは心です。
作るとしてスレタイはどうなる?
いや、わざわざ別スレにする必要は無いんじゃないか?
似たようなスレを2つ立てると、板のほかの住人にも迷惑になるだろ。
短編はいつでも気にせずに投下するとか、曜日を借りるとか、どっかで板借りるかがいいと思うが。
ネギまロワイヤル 〜短篇集〜
ショートストーリーに長編も短編も無いと思うんだ
作らなくていいよ
今日の投下分には、数あるネギまの不確定要素の中でも、最もタブーに近いと思われる部分が含まれていると思います。
嫌いな方には誠に申し訳ありませんが、どうかご理解お願いします。
それでは本日の投下を開始致します。
<< 60 いざ行かん >>
怖い夢だった。
桜子が突然銃を向けてくる。明日菜はなすすべもなく、追い詰められる。
そこに和美がやってきて、突然桜子の胸を撃ち抜く……
「………はぁ、はぁ…」
明日菜が目覚めると、そこは昨日の島のままだった。
すぐに明日菜は、これが夢でなく、昨日本当に起こったことであることを理解した。
あの、桜子が胸を撃ち抜かれ、倒れる瞬間は、今でも明日菜の瞼に焼き付いていて、忘れられない。
もしこれが本当に夢で、いつものベットでいつものように目覚めることができら……
いつものように早朝のバイトに出かけながら、ああ、今日も怖い夢を見たな…なんて思うことができたら……
一体どんなに幸せなことだろう……明日菜はそう思った。
明日菜は腕時計を見た。…もう、午前7時になっていた。
いつも早朝のバイトに行っている明日菜が、こんな時間まで寝ていることはあまりない。
やっぱり自分の感覚もおかしくなってるのかな……明日菜はそう感じた。
「……おはよう…朝倉。」
「お、起きた?…まったく、昨日は本当に苦労したんだからね〜……
あの後雨が降ってきてさ……アスナ、ぜんぜん起きないもんだから、私がこの大木の下まで運んであげたんだからねっ!」
「…そう。ありがと、朝倉。」
「…さて、それじゃ、メシにしますか?」
和美はそう言って朝食の準備を始めた。
すると、突然、異変が起こった。
………カチャ。
明日菜と和美の首に付いていた首輪が、何の前触れもなく外れたのだ。
「……!?朝倉…何が起こったの?」
「う〜ん、私にも分かんないけど、これはもしかしたら、もしかするかもね…」
「…どういう事?」
「…おそらく、このクラスの中の誰かが、本部のパソコンに侵入してロックを解除したんでしょ。
ま、その程度で解除できるんなら、本部の方も甘かったと言わざるをえないけどね。」
「……うーん…良くわかんないけど、これってチャンスよね…?首輪外れたんだし…」
「ん?…まあ…そうなるね。」
「…よし!じゃあ…これから、最初の学校に行って、あのバカをぶっ飛ばすわよ!」
明日菜はそう言って、猛スピードで学校の方に走っていった。
「やれやれ…アスナはいっつもこれだなぁ……おーい、アッスナー!」
和美も明日菜の後を追い、学校へと向かった。
【残り8人】
<< 61 計画崩壊 >>
あーあ…寝過ごしちゃった。
もう8時、か…今日の6時に放送を入れる予定だったのにな…
…ま、いいか。さて、夜の間に、一体何人が死んだのかな……
「…これは……?」
ネギはパソコンの画面の表示を見て、思わず目を疑った。
なんと、昨日まで半分以上残っていた首輪の生存反応が、全て消えていたのである。
(全滅、か……それはちょっと考えてなかったな…)
ネギは最初、全員が夜のうちに死んでしまったものと思った。
「さて。どちらにしても『あのお方』に連絡を入れないとね。」
そう思ったネギは、近くの電話を取ろうとした。
このとき、ネギは何気なく、島内の監視カメラのほうに目が行った。
…そこに映っていたのは、ネギの想像を絶する光景だった。
なんとそこには、死んだはずの明日菜と和美がいたのだ。
『ほんっと、あのバカ、腹立つわ!一体、何を考えてるのかしら?』
『…まあまあ、アスナ、落ち着きなって。』
「アスナ……さん?」
おかしい。二人は死んでいるはずなのに。そう思ったネギは、カメラをよく見て、ようやく事態が飲み込めた。
カメラに映っている二人の首には、もうすでに首輪は付いていなかったのだ。
「…なるほどね…こいつは一本取られちゃったかな……
う〜ん。これじゃあ『軍の皆さん』をほとんど動かしちゃったのはまずかったかな…?
……でもアスナさん、ゲームはまだまだこれからだよ……」
ネギの顔には、未だに焦りは見られなかった。
【残り8人】
<< 62 タブー >>
<< !この章には不確定要素が含まれ、かつ原作の設定と大幅にずれていますので、そういうのが嫌いな方はご注意ください。 >>
「…よし。それじゃ、せつなサン、ついてくるネ。」
超に縄を解いてもらった刹那は、とりあえず超に従って島の中央へ向かっていた。
しかもこのまま行くと『禁止エリア』だ。…超は何を考えているのだろう。刹那は疑問に思った。
しかも、刹那は、超がさっき、1分36秒などというあまりにも具体的過ぎる時間を口にしたことも、心の隅に引っかかっていた。
……どうして、ここまで正確に私が死ぬ時間が分かっているのだろう。刹那には何が何だか分からなかった。
…突然、超が歩くのを止めた。
「……どうしたんですか?超さん。」
「ここから先は『禁止エリア』ネ。今入ると一瞬でオダブツヨ。
…だから、少し待つネ。」
意味が分からない。この首輪がある限り、待ってどうなるものでもない。
…やっぱり超は何も考えてないのか?…さっきの、1分36秒というのも、適当に言っただけなのか?
刹那が超の行動に半ば呆れ始めていると、急に、二人に異変が起こった。
……カチャ。
なんと、今までさんざん二人を苦しめていた首輪が、急に外れたのだ。
「…!?超さん、これは?」
「………ああ。おそらく千雨サンが外してくれたみたいネ。」
超には全く驚きの色が見られなかった。
「…え!?超さん、私に会う前に、千雨さんにも会ったんですか?」
「……いや、会てないネ。」
「……超さん、私にはあなたの言動が全く理解できません。
どうしてあなたは私の死ぬ時間が分かったり、首輪が外れるタイミングが分かったりするんですか?」
刹那がこう尋ねると、超はとんでもないことを口にした。
「…どうしてって、私が全部分かてるのは当たり前ネ。
………だって、私は、この時代の人間じゃないんだからネ。
…まあ尤も、私は今、歴史を一つ変えちゃたから、これから起こることについては責任持てないケドネ。」
「…何だって!?」
刹那は超の言うことが信じられなかった。
「…でもそんな人が、どうしてこんな時代に?」
「………未来人がわざわざ過去まで来て、やることは一つネ。」
「………………まさか!」
「うむ。……そう、私はこの、忌わしい過去を変えに来たネ!」
超ははっきりと、そう言った。
「…そんな……信じられない……」
「信じられなくても、これが事実ネ。」
「…それでは、超さんは具体的に、この過去の何を変えたいのですか?」
「……未来人がそれを本来の時代の人に喋るのは、時空間上のタブーとされているネ。
…だから、とりあえずせつなサンは私についてくるネ!」
それだけ言って、超は再び歩き始めた。
【残り8人】
<< 63 開放 >>
「…のどか。起きて、起きて。」
「……釘宮…さん……?」
円の呼ぶ声で目を覚ましたのどかは、すぐに異変に気がついた。
なんと、今までさんざん自分達を苦しめていた首輪が、いつの間にかなくなっていたのだ。
「…!?釘宮さん、首輪は…!?」
「……私にも良く分かんないけど、さっき、急に外れたの。
…つまり私たち、助かったんだよ!」
円の声は首輪の呪縛からの開放感に溢れていた。
「…首輪が外れたから、きっと皆本部に向かっているはずだよ!
だからのどか、今から私たちも本部へ行ってみようよ!」
「………はい!」
そう言って二人は民家の外へ飛び出した。
円は本部へ向かっている間、今まで起こったことを回想していた。
…キャンプからの帰りのバスで……私たちは急に眠たくなって…
それで、目が覚めたら見知らぬ教室にいて……しかも首にはいつの間にか怪しい首輪が付いてて…
…この時、私はあんまり実感無かったんだ…だって人を殺すだなんて、良く分かんないじゃない。
そりゃあ…テレビのニュースとかで…たまに殺人事件の報道とかあるけど…
…その、他人の命を自分の身勝手な理由で奪う、という感覚が…私にはよく分からなかったんだ…
だから、最初にこのかが私たち全員の前で殺されたとき、正直私はぞっとする思いだった。
…今から私たちもこういうことをさせられるのかって。この時初めて実感したよ。
私はそれが嫌だった。どうしても、たとえ自分の命がかかっていてもクラスメイトを殺すなんて、そんなことできない。
…だから、リュックに入っていたハンドガン、あれは絶対に護身用のためだけに使おうって、私は決心したんだ。
…でも、私が試し撃ちをしてたら……たまたま桜子のいる方に撃っちゃって……
それで私、思わず桜子の所から逃げてきちゃったんだ……
…本当に私は身勝手だ。自分の命が惜しかったから親友を見捨てて逃げるだなんて。
もし私があの時桜子の誤解を解いていたら……、桜子は多分、死なずにすんだんだ。
……あの時の桜子の顔………今でも目に焼きついていて忘れられない。
…だから、私……、決心したんだ。…自分の横にいるのどかは、絶対に守ってやろうって。
済んだ事を悔やんでも仕方がない。でも、私にはまだ、やるべきことがある。
…そう思えたから、徹夜は辛かったけど、なんとか見張りを続けられたんだ………
……でももう、私たちを縛っていた首輪はない。
本部にはきっと、みんなが待ってる。
…私も、のどかも、家に帰れるんだ!
【残り8人】
本日の投下は以上です。
それでは失礼します。
超未来人説は・・まぁ批判もいろいろあるだろうけどガンガレ
俺は応援してるよ(偉そうなこと言ってスマソ
個人的に、超未来人説に限定していえばあまり批判する気にはならないな。
この場合、BRが発生したことによって追加された設定になるしな。
作者9乙。今後もがんばってください。
もうなんでもこいよ、明日菜覚醒とか
十分抗体はできた
木乃香が黒幕だったら、もうなんだっていい
200 :
マロン名無しさん:2006/03/21(火) 01:26:13 ID:V/WX0hgD
うん
関係ないけどタイムマシンをつかっても過去をかえる事は理論的?に無理らしいね。
ドラゴンボールとかはかわっちゃってるけどね
トランクスのいた未来は変わってないけどな
あのお方はこのかの肉親?
残っているのもあと8人。いよいよ大詰めです。
最後まで全力で頑張りますので、どうかよろしくお願いします。
それでは本日の投下を始めます。
<< 64 命懸けの戦い ―前― >>
………パアン!
突然、銃声がした。
頬に強い痛みを感じた円は、自分の頬にゆっくりと手を当ててみた。
……その手は、真っ赤に染まっていた。
銃弾は、円の頬を掠っていたのだ。
「…きゃあああああ!」
後ろでのどかの悲鳴がする。
「…のどか!」
この悲鳴で我に返った円は、後ろを振り返り、…言葉を失った。
「……また会うなんて、本当に奇遇ね、のどか。それに、……釘宮さん。」
何と、そこには、昨日のどかを襲った、早乙女ハルナが立っていたのだ。
「…ハルナ!」
円も、手持ちのハンドガンを構えた。
「…あ……あぁ………」
のどかは、完全に腰が抜けてしまって、立てないようだった。
円は、このような状況でも、できるだけ冷静になるように努めた。
「…ねえ、ハルナ。私たちはもう、首輪も外れたし、何も戦う必要なんて無いのよ。
それなのにどうして…こんな事をするの?」
昂ぶる気持ちを抑え、円はハルナにこう尋ねた。
「……あんたたち、何にも分かっちゃいないようね。」
ハルナが、ゆっくりと口を開いた。
「いくら首輪が外れたからといって、このゲームはまだ終っちゃいないのよ!
…そう、私たちが最後の一人になるまでは!」
その声は、もうすでに普段のハルナでは無かった。
「……でも、首輪が外れた以上、本部に私たちを拘束する力は無いわ!
…だから、お願いだからハルナ、こんな事は止めて!」
円は、それでも必死に説得を続けた。
「……釘宮さん、人を殺したときの気持ちって、どんなのか分かる?」
「………えっ…?」
突然変なことを聞かれて、円は動揺した。
「…私ね、昨日のどかを襲う前に…夕映を殺したんだけどね…
あの時の夕映の顔、今でも忘れられないわ!」
……ピクッ。
ハルナのこの言葉を聞いて、側にうずくまっていたのどかが、少し反応した。
「…何ですって…?ハルナ、夕映を殺したって、本当……?」
円がハルナに聞き返した。その声は、怒りに溢れていた。
「…ええ。本当よ。
私ね、武器のマグナムを手にしたときから、この銃で誰かを殺したい、って思ってたのよ。
何であの時そういう気持ちになったのか、未だに分かんないんだけどね。
…そこに、たまたま夕映が通りかかった。私が夕映を殺した理由は、それだけよ。
別に、夕映じゃなくても、殺せる相手なら、誰でも良かった。正直そんなところよ。
…でもね、一度夕映を殺してみて、私、感じたのよ。
目の前の、ついさっきまで生きていた人間の、命を奪った感覚。
そうね。一種の…優越感、とでも言うのかしら?」
「……うわあああああ!」
そこまで聞いて、いきなりのどかが立ち上がり、ハルナに向かって突進した。
「……!?のどか?」
不意を突かれたハルナに、一瞬の隙が生じた。
(……今だ!)
そう思った円は、手持ちのハンドガンの引き金を引いた。
……パアン!
銃声が響き、銃弾はハルナの胸に命中した。
「…そんな…こんな……ことって……」
ハルナはゆっくりと、その場に倒れた。
「……はぁ…はぁ……夕映の……仇!」
そう言ってのどかは、ハルナのほうに近寄った。
「………………」
ハルナを撃ってしまった円は、しばらくは実感がわかずに、ぼんやりとハルナのほうを見つめていた。
しかし、円は、ハルナの手が、僅かに動いたのを感じた。
「………危ない!のどか!」
「…えっ……?」
円は叫んだが、もう遅かった。
……辺りに、銃声が響きわたった。
【残り8人】
<< 65 命懸けの戦い ―中― >>
…銃弾は、のどかの腹に命中した。
辺りに鮮血が飛び散り、のどかはゆっくりと倒れた。
円はまるで、スローモーションの映像を見ているかのようだった。
いつの間にか、ハルナは立ち上がっていて、円の方を見ていた。
「…ど…どうして…銃弾は当たったはずなのに……」
円はあまりのショックで頭が真っ白になってしまいそうだったが、何とか堪え、ハルナに尋ねた。
すると、ハルナは、無言で制服をその場に脱ぎ捨てた。
…何とハルナは、その下に『防弾チョッキ』を着用していたのだ。
「…のどかが持っていたリュックを調べてたらね…こんなのが見つかったのよ…
……本当に…のどかには、感謝しないとね…」
ハルナは薄ら笑いを浮かべ、そう言った。
「ハルナ……あんたは…何て奴なの…」
円の声は怒りに震えていた。
「…次は、釘宮さんの番よ。…覚悟しなさい。」
ハルナはそう言って円に銃を向けた。
「……くっ…」
円は咄嗟に、側にあった大木の蔭に身を隠した。
「…隠れたって無駄よ……」
ハルナはそう言って、次の行動を考えていた。
…いつかは、釘宮さんは出てくる。その時を狙えばいい。
そう思ったハルナは、銃を大木の方に向けて待っていた。
(落ち着いて…落ち着くのよ円…)
大木の蔭に隠れた円は、必死に自分を落ち着かせていた。
…目の前にいる、ハルナを倒さない限り、この馬鹿げたゲームは終らない。円はそう感じた。
しかし、そう思えば思うほど、気持ちが昂ぶってきて、冷静になるのは難しかった。
この時、円の頭に、あるイメージが浮かんだ。
『おっ、私って結構射撃の才能もあるかも。』
…あの時、私が試し撃ちをしたときの感覚だ。
間違いない。あの時は特に何も考えずに引き金を引いたからこそ、うまく命中したんだ。
きっと今も、無心で行きさえすれば……きっとうまくいくはず!
だから…桜子…みんな…私に力を下さい……
円は、大木の陰から外に飛び出し、思いきりハンドガンの引き金を引いた。
【残り8人】
<< 66 命懸けの戦い ―後― >>
…勝負は、一瞬だった。
円の放った弾丸は、ハルナの眉間に命中し、…ハルナは即死だった。
一方、ハルナのマグナムの方からは、銃弾は発砲されなかった。
…ハルナのマグナムは、先程のどかを撃ったのが最後の銃弾で、弾切れになっていたのだ。
円は、静かにハルナが倒れるのを見ながら、先程ハルナが言った言葉を思い出していた。
『…一度夕映を殺してみて、私、感じたのよ。
目の前の、ついさっきまで生きていた人間の、命を奪った感覚。
そうね。一種の…優越感、とでも言うのかしら?』
…馬鹿げている。実際に人を一人殺し、円はそう思った。
戦いの後に残るものは、例え自分が戦いに勝利したとしても、それは優越感などではない。
…そう、それは、ただ…虚しさだけなんだ。
だから、もう二度と、このような事は起こってはならないんだ…円はそう思った。
「……そうだ、のどか!」
円は、のどかが撃たれた事を思い出し、急いで駆け寄った。
「……釘宮…さん…?」
のどかはまだ、かろうじで生きていた。
円は、のどかをしっかりと抱きかかえた。
「…のどか…ハルナは死んだから…もう、大丈夫だよ…
だから…一緒に…麻帆良へ帰ろうよ……」
円の目は涙に溢れていた。
「…はい……楽しかった、あの場所へ……一緒に帰りましょうー……」
そう言って、のどかはにっこりと微笑みかけた。
【出席番号14番 早乙女ハルナ 死亡 残り7人】
<< 67 一人目の生還者 >>
バララララララ……
突然、円の頭上で音がした。
「……何?この音……」
円は涙をぬぐい、頭上を見上げた。
そこには、いかにも自衛隊が使っているようなヘリコプターが一機、飛んでいた。
「ハハ…どうやら首輪が外れたことがバレちゃったみたいだね…
これじゃ…帰れそうにない、か…」
それでも円は、のどかの側を離れるつもりは無かった。
死ぬときは二人一緒に…円はそう思っていた。
やがて、ヘリは近くの広場に着陸し、中から人が降りてきた。
その人物を見て、円は自分の目を疑った。
それは、昨年まで2−Aの担任を勤めていた、高畑先生だったのだ。
「やあ、釘宮君。怖かったろう。大丈夫かい?」
高畑は、円に優しく言葉をかけた。
「…のどか。高畑先生が助けに来てくれたよ。私たち助かったんだよ!」
円はのどかにそう言ったが、のどかからの返事は無かった。
「そんな……のどか、目を開けてよ……
私たち、一緒に麻帆良に帰ろう…って、約束したじゃない…
…のどか…お願いだから…お願いだから、目を開けて!」
円は何度もそう言ったが、ついにのどかは目を覚ますことは無かった。
「高畑先生…のどかを、のどかを助けてください!」
円は必死に頼んだが、高畑は静かに、首を横に振っただけだった。
「済まない…釘宮君…僕がもっと早くこのことに気付いて…
もっと早くこの島に駆けつけていたら…君にこんな思いをさせずに済んだんだ!」
高畑の目からは、大粒の涙が流れ落ちていた。
「そんな………のどかあああっ!」
静かな朝の島に、円の叫び声だけが響いていた。
【出席番号27番 宮崎のどか 死亡 残り6人】
本日は以上です。
それでは失礼します…
円も死ぬんじゃないの?
タカミチでしたか
あの御方は高畑だったりして。
あの御方がナギ・・という考えが頭をよぎった・・・orz
流石に銃弾がほっぺたかすったくらいじゃ死ねないよな…
釘 宮「あたしの顔に傷つけたね…」
ハルナ「くくくくくぎみやが悪いんだ、わ・・・わたしを怒らせるからああああ!」
釘 宮「そうやって言訳臭いところが全身全霊大っキライなんだよ!」
武器のナイフを出し
釘 宮「相手になったげる。
あたしの全存在をかけて、アンタを否定してあげる!」
ハルナ「うわー」
逃げるハルナをつかまえ、馬乗りになり、ハルナの触覚をナイフでメッタ突きにする釘宮
228
ワロスwwwwwwww
千鶴「よっ、よかったよ……。桜咲ィ……」
刹那「ああっ。そうだっ。そうだよっ、千鶴…」
千鶴「お前なんかの胸よりっ、私の胸の方がデカくて強力だもんなっ」
刹那・近衛「!」
刹那「千鶴!?」
千鶴「うおっうおおおおおっ!!」
胸を横に振りかぶる千鶴
刹那「よせ!!」
近衛「ああっ、せっちゃん!!」
刹那「くっ」
体を屈めて千鶴に体当たりし千鶴と一緒に崖から落ちる
刹那「ううっ、ハッ!千鶴っ」
千鶴は顔を自分の胸に潰されてた
刹那「ちっ、千鶴…。バッ、バカヤロォオッ!!」
刹那「あ…あやか……」銃ん構える雪広あやか
雪広「――長なのよ」
刹那「!?」
雪広「わっ……私のお父様は雪広財閥の社長なのよ…。そっ、それに私はクラス委員長で真面目だし、成績も優秀なのよっ…。だから私が生き残ってお家に帰るのよっ!!」
パンッ!
雪広「うっ、うあああ゙あ゙あ゙あ゙っ!!」腕が飛ぶあやか
刹那「たっ…、龍宮!!」
二番煎じってのはどのジャンルでもおもしろくないものなんです
消えてください春厨さん
春だなぁ
すんません、ちょーしのってました。ほんとーにすいません。つってきます…
【232番 春厨 死亡確認】
もう痛々しくて見てられない
いつからこのスレは痛い厨の巣窟になったんだ?
いつからって言うと、とても言いにくい
しいて言えば最初かr・・・いや、彗星様があらわれたときからにしとこう
彗星?そんなのいた?
243 :
彗星:2006/03/22(水) 17:28:23 ID:???
彗星本物か?
>>241 このスレの名物の名前を500回書いてから来い
247 :
彗星:2006/03/22(水) 20:15:04 ID:???
>243は偽者、俺が本物だ
それでは本日の投下を始めます。
<< 68 接近 >>
「…さて。着いたようネ。」
超と刹那は、ようやく島の中央の施設に到着した。
しかし施設の周りには迷彩服の男が大勢いて、とても侵入できる状況ではなかった。
「……超さん。こんな施設にどうやって侵入するんですか?」
「…なーに、施設の見取り図ならあるから、大丈夫ネ。
ここの裏口が手薄だと思うから、ここから侵入するヨ。」
「………は、はあ…」
…どこでそんな物を仕入れたんだろう?刹那は疑問に思いながらも、超の指示に従った。
「……!?誰だ!お前らは!?」
「…………神鳴流奥義、斬岩剣!」
裏口にも見張りの男が二人いたが、たとえ気が制限されていても二人程度なら刹那の敵では無かった。
刹那は小刀で男を倒し、中へ侵入した。
超の持っていた見取り図は非常に正確なものだったので、二人は敵にほとんど遭遇せずに施設の中央のエレベーターに到着した。
「……フウ。意外と楽勝だたネ。」
そう言って超は下へ向かうボタンを押した。
ジリリリリリリリ…………
この時、超の想定外の事態が起こってしまった。
なんと突然、施設内に非常ベルが響き渡ったのだ。
「…しまっタ。油断したネ!」
おそらくこのエレベーターは罠だったんだろう。超はそう思った。
二人が慌てている間に、エレベーターが到着し、扉が開いた。
超は即座に次の行動を決め、刹那にこう言った。
「……せつなサン。今から私が言うことを、よく聞いて欲しい。
このエレベーターで一番下の階に行って、それからずっと真っ直ぐいった突き当りの部屋に、…黒幕がいるネ。
…私は今からここに集まってくる敵を食い止めるから、せつなサンにはここからは一人で行ってもらう事になるが、宜しいカ?」
「……しかし、それでは超さんが……」
「…大丈夫。私はこれくらいのことでやられるような、ヤワな鍛え方はしてないネ!」
そうこうしているうちに、四方の通路から敵がやって来た。
「…さあ、せつなサン。早く行くネ!」
「…え…ちょっと、超さん!」
超は刹那を無理やりエレベーターの中に押し込み、こう言った。
「…せつなサン。あなたが今から見るものは、あなたにとっては残酷なことかもしれないネ。
でも、せつなサン、絶対に早まってはいけないヨ。
何せ、未来を変えるのは、せつなサン貴方だからネ!」
超がそう言い終ると同時に、エレベーターの扉が閉まり、動き出した。
【残り6人】
<< 69 囮 >>
「つ……ついに…着いたわ…」
明日菜と和美はついに、本部、すなわち全員が最初に出発した中学校に到着した。
「…どう?アスナ。」
和美が明日菜に尋ねた。明日菜は持ち前の視力で、遠くの草陰から学校の方をうかがっていたのだ。
「……うーん、どうやら、入り口の所に三人くらい見張りがいるみたい。
まずはあの見張りをどうにかしないと、中には入れないわね……」
明日菜がそう言うと、和美は意外なことを申し出た。
「……よし!アスナ、あの見張りを何とかすればいいんでしょ?
それなら、私が囮になって、あいつらを引き付けるわ!」
「………ちょ、ちょちょちょっと、朝倉、正気!?」
明日菜は和美がどうして突然こんなことを言い出したのか、分からなかった。
「アスナ、一流のジャーナリストっていうのはね、紛争地帯でも果敢に取材に行くものなのよ。
だから、こんなことで弱気になっちゃいられない……ってね。」
和美の声には力が漲っていた。
「…でも、朝倉。相手は戦闘のプロなのよ。何されるか、分かったもんじゃないわ!
だから朝倉、二人であいつらと戦おうよ!その方がいいって!」
明日菜は必死に和美を説得した。
「……何にも分かっちゃいないなあ、アスナ。
私たちは二人いるにはいるけど、これが悲しい事に、銃は一丁しかないんだな…
…だから、二人であいつらに向かっていった所で、二人ともやられるに決まってるって。
…でも、一人が囮になれば、確実に一人は中に入れる。そうだろ、アスナ?」
「……でも………」
「…大丈夫だって。アスナ。私には、一応このリボルバーがある。
だから、そうやすやすとやられることは無いって。
……だからアスナ、ネギ君のこと、頼んだよ!」
和美はそう言って、草陰の外に飛び出した。
【残り6人】
<< 70 再会 >>
……おかしい。未だにネギ君からの連絡が無い。
今日の午前6時、定時放送が終るとすぐに、私のほうに連絡を入れるように言っておいたはずだ。
…もしかして、何かあったのか…?…いや、ネギ君に限ってそんな事はないだろう。
何せ、彼は私が見込んだ男なのだから…
…彼と始めて会ったとき、私は彼の能力も見させてもらった。
まだ未熟な部分もあったが、一目で私は彼が天才であると見抜いた。
…彼となら、私の常々からの夢…『一部の強力な魔法使いによる一国完全支配』も完成しうる。そう思えた。
だからこそ、ここまで順調に来れたんじゃないか。ネギ君がしくじるはずはない。大丈夫だ。
…そうだ。『あの娘』は大丈夫だろうか。
昨日の9時の段階ではまだ生きていた。それは間違いない。
でも、この島では何が起こるか分からない。夜の間に誰かに殺されていなければいいが…
彼女は、私にとって、最も大切な存在だ。彼女無しでは…私はダメになってしまうかもしれない。
こんなことなら、彼女だけ、特例措置を取るんだった。
…が、今更悔やんでも仕方ない、か……今はとりあえず、無事を祈るとしよう……
突然、部屋の中に人の気配がした。
…おかしい。こんな所に入ってくる人なんていないはずなのに…そう思った彼女は、ピアノを弾く手を止め、扉の方に目をやった。
そこに立っていた人物を見て、彼女は自分の目を疑った。
「………せっちゃん…」
そこには、今の今まで彼女が安否を心配していたまさにその、桜咲刹那の姿があったのだ。
【残り6人】
今日の投下は以上です。
…それでは失礼します。
やっぱりこのかかよwwwwwwwwwwwwww
何で数行で投下するかな…最後の方なんて3、4行じゃん
相変わらず投下少ないな。ちゃんと25日までにおわる?
<< 70 再会 >>まで更新しました
9ってダメダメだな
(´・ω・`)9は史上最悪の厨房
マロン帝国∩(・ω・)∩ 万歳
9=春厨
だな
キリマンジャロは死ねよ
もう少しもちつけ
だな
作者9には作者9なりの個性があるし
もしかしたら今後他の作者を越えるほど文章を書くのがうまくなるかもしれないじゃないか。
どんなにダメでも、具体的な改善点や感想を言って、最低限の礼儀は守るべきだと思う。
キリマンジャロはただのコーヒー
何も意味もなく批判する春厨はとっとと巣にカエレ!
だな
みんな頭悪いから春厨としか言えないのかな
だな
頭の悪さは関係ないだろう
だな
いやいや関係あるかもよ?
287 :
彗星:2006/03/23(木) 19:09:03 ID:???
>>247 春房さんですか?
俺が本物なのに、なんで自分は本物とか言うんですか?
本物っぽい彗星ktkrwwwwwwwww
コテないからわからない
それでは、本日の投下を開始致します。
<< 71 二人の記憶 >>
…誰かが階段を上ってくる音が聞こえた。
ネギは、誰もいない教室の教壇に一人立ち、ゆっくりとその時を待っていた。
……ガラッ。
教室の後ろの扉が開き、神楽坂明日菜が入ってきた。
「……遅刻はいけませんよ、アスナさん。」
ネギはそう言って教壇の引き出しを開け、中から拳銃を取り出した。
「………………」
明日菜は、黙ったままネギの方を見つめていた。
しばらく、二人の間に沈黙が続いた。
「……入り口に見張りが三人いたでしょう。アスナさん、あれはどうしたんですか?」
沈黙を破り、ネギが明日菜に尋ねた。
「………朝倉が、囮になって三人を森の方へ引き付けてくれたの。
…だから…私はここまで辿り着けたのよ…」
明日菜がゆっくりと口を開いた。
「へえ…あの3人を1人で引き受けるとは、なかなかいい度胸じゃないですか。
…でも、さすがの朝倉さんもあの3人相手では、今頃生きてはいないでしょうね。
…まあ、アスナさんも今すぐそっちに送ってあげますけどね。」
そう言ってネギは、明日菜に銃を向けた。
「ネギ。あんたはいつからそんな奴になっちゃったの?
少なくとも私の知ってるあんたは、そんな奴じゃ無かったはずよ!」
明日菜がネギに尋ねた。
「…最初からですよ。僕は最初からこの計画を実行するつもりで、この学校に来たんですから。」
ネギは、きっぱりとそう答えた。
「…ネギ。今までの私たち、3−Aの半年間は、一体何だったの?
楽しかった思い出も全部、ネギにとっては何でもなかったことなの?」
明日菜は、必死にネギに訴えかけた。
「…ええ。もちろん。」
ネギはあくまでそう言った。
「…………嘘ね、ネギ。」
明日菜がポツリとそう言った。
「……何を言っているんですか、アスナさん。僕は…」
「…だって、私には分かるのよ。ネギ。あんたは、私を殺すのをためらってる。」
「…黙ってください。アスナさん。今僕が引き金を引けば、あなたなんか簡単に殺せるんですよ!」
「…なら、何で撃たないの?」
「………それは…」
「…確かにあんたは、最初から私たちにこのゲームをさせるつもりで麻帆良に来たのかもしれない。
でも、あんた、私たちと半年間過ごしてきて、だんだん心が変わってきたんじゃないかしら?
…だから、あんた今、すごく苦しんでる。…そうでしょ?」
明日菜は優しく、ネギに語り掛けた。
「……黙れ!これ以上喋るなあっ!撃つぞ!」
ネギは、完全に興奮していた。
(これ以上何を言っても無駄ね…)
そう思った明日菜は、静かに目をつむった。
「……さようなら。アスナさん。」
そう言ってネギは、銃の引き金を引いた。
…そして、銃声。
【残り6人】
<< 72 正体 >>
「未来を変えるのは、せつなサン貴方だからネ!」
超がそう言った直後、エレベーターの扉が閉まった。
エレベーターで施設の最下層まで降りた刹那は、超に言われた通り、通路を真っ直ぐに進んだ。
最深部の扉まで辿り着いた刹那は、扉の鍵が何者かに針金でこじ開けられているのを発見した。
「……私が来る前に、誰か来たのだろうか…?」
刹那は不審に思いながらも、扉を開けて慎重に中に入った。
中では、誰かがピアノを弾いていた。
ピアノを弾いていた人物は、刹那に気付いたらしく、ピアノを引く手を止め、刹那の方を見た。
「………せっちゃん…」
聞き覚えのある声。刹那はその人物の顔を見て、思わず息をのんだ。
「………お嬢様……」
…刹那の前に立っていたのは、刹那がいつも命懸けで護衛していた刹那の親友の、近衛木乃香だったのだ。
「……木乃香お嬢様、どうしてこんな所に…」
状況がまったく飲み込めていない刹那は、木乃香にそう尋ねた。
しかし木乃香はその質問には答えず、ポケットから小型の杖を取り出した。
「……魔法の射手、光の一矢!」
…閃光が、走った。
【残り6人】
<< 73 ずっと一緒だよ >>
「………はぁ、はぁ、ホント頑張ったよね、私。
やっぱ、人間やる気になれば、何でもできるん…だな。」
ついに、3人目の男が倒れた。和美はなんと一人で、戦闘のプロを3人倒したのだ。
しかし、和美もまた、男の放った銃弾を何発か体に受けていた。
そのため、和美はゆっくりと、その場に倒れた。
この時、和美の目の前に、相坂さよ(出席番号1番)が現れたような気がした。
さよは幽霊なので、いつもは和美には透けた姿だけが見えていたが、今はくっきりと姿が見えていた。
「…さよちゃん…私、きっと地獄行きだよね…
だって私、桜子を殺しちゃったし……」
さよは和美に近寄り、そっと和美を慰めた。
「…朝倉さん。さっきの朝倉さんの行動、ずっと見てましたよ。
自らを犠牲にして、囮になった朝倉さん、とっても格好良かったです。
……だから朝倉さん、きっと大丈夫ですよ。」
そう言ってさよは、和美に微笑みかけた。
「……そう…だよね……私、最後に一つだけ、正しいことができたような気がするな…
だから…さよちゃん…私たち、これからずっと一緒だと…いいね…」
「…はい。朝倉さん…これからはきっと…ずっと一緒ですよ……」
こう言うと、二人は遠くへ旅立っていった。
【出席番号3番 朝倉和美 死亡 残り5人】
<< 74 末路 >>
(私……死んじゃったのかな…)
銃声がしたとき、明日菜は即座にそう思った。
しかし、明日菜の体には、どこにも銃弾が当たったような痛みは無かった。
不審に思った明日菜は、静かに目を開けてみた。
すると、明日菜はすぐに、目の前のネギが倒れているのを発見した。
「……………ネギ!」
明日菜はネギに駆け寄った。
しかしネギは、拳銃を自らのこめかみに当てて発砲しており、即死だった。
「…ネギ……ほんっと…あんたって…バカね……」
ネギの死体を抱きしめた明日菜の目から、大粒の涙がこぼれ落ちた。
「…明日菜君!大丈夫か!?」
突然教室の扉が開いて、高畑が、ついで釘宮円が駆け込んできた。
高畑もすぐにネギの死体に気付き、言葉を失った。
「…た……高畑…先生……」
「…明日菜君。ネギ君はきっと、才能がありすぎたんだ。
その上に、ネギ君はまだ若かった。そう。若すぎたんだ。
…だから、きっと善悪の区別がつかず、こんな事をしてしまったんだろう。そうに違いない。」
「………………」
「…明日菜君。我々は、おそらく普通の人間より、なにかしら強大な力を持っている。
そう、僕も、明日菜君も、咸卦法が使えるようにね…
だから、そういう力を持った人間は、その力を正しく使うよう自覚しなければならない。そうだよな、明日菜君。」
「…………はい……」
「…明日菜君。怖かったろう、でも、もう大丈夫だ……」
そう言って、高畑は明日菜を抱きしめた。
【担任 ネギ・スプリングフィールド 死亡 残り5人】
<< 75 親友の誘い >>
魔法の射手は、刹那には当たらずに、後ろの壁に命中した。
刹那が後ろを振り返ると、壁が、見るも無残に破壊されていた。
(魔力が制限され、しかもたった一矢で、この威力とは…)
刹那は改めて、木乃香の持つ力の強大さに驚愕した。
すると刹那は、足元にある、人間の死体に気がついた。
それは、恐怖に顔を歪めたまま絶命していた、雪広あやかの死体だった。
「……まさか、いいんちょさんも、お嬢様が…?」
刹那は木乃香に尋ねたが、木乃香は聞く耳を持たなかった。
「…せっちゃん。今度は外さんで。」
そう言って木乃香は、2発目の魔法の射手を撃った。
(…マズい…避けきれない!)
そう思った刹那は、ありったけの気を左手に込め、体の前でガードした。
「………ぐあぁ……」
しかし、何とかガードできたものの、刹那の左腕は、攻撃に耐えられずに吹っ飛んでしまった。
その痛みに耐え切れず、刹那はその場にうずくまった。
木乃香が、ゆっくりと刹那に近づいてきた。
「さすがやなあ、せっちゃん。せっちゃんなら、ちゃんとガードできると思っとったえ。」
「………………」
「……なあ、せっちゃん。ウチなあ、せっちゃんのことが、大好きなんや。
…せっちゃんがおらんとウチ、ホンマにだめになってまうかもしれんのや。
…だから、せっちゃんもなあ、ウチのやってることに協力して欲しいんや。」
「………お嬢様…」
「…手荒なことして悪かったなあ…せっちゃん。その左手、すごい痛いやろ。
でもな、せっちゃん。その左手も、ウチの回復魔法ですぐに治したるで。…こんくらい簡単や。
だからなあ、せっちゃん。ウチと一緒に、ウチらの、平和で、楽しい国を、作ろうや……」
そう言って木乃香は、そっと刹那に手を差し伸べた。
【残り5人】
このか強すぎじゃね?
明日は、いよいよ最終回です。
今まで、非常に大変でしたが、ここまで投下を続けられたのは、皆さんの応援のおかげだと思っています。
この第9部は、いろいろな面で相当な問題作になっているとは思いますが、
私も一度投下を宣言した以上、最後まで全力で投下させて頂こうと思います。
明日も全力で頑張りますので、どうか最後までよろしくお願いします。
その息だ、頑張れ応援してるぞ
やっと終るか
作者9、まぁがんばれや応援してるから
とりあえず乙
でも今作以降は投下しなくていいよ
>>308 かなり批判は多かったみたいですがお疲れ様です
応援してるぜ
乙。明日でラストか…。がんばれよ。
文書力は大分上がったから後は設定だな。違うのを作ろうとしすぎてメチャクチャな話になっちゃったな。
取り敢えず短篇でもちょくちょく書いてキャラの個性の勉強をすればいいかもな
長々と偉そうにすまんね
おれも一言だけ
無駄な改行・スペースが多すぎ、VIPとかでバカにされてた中高生の小説サイトのくだらん小説とそっくり
次は作者1氏の分岐だからいいけど、
この流れだと作者10になる人は大変だな・・・
しばらく短編祭りになる予感
私はまた生き残ってしまった…。
『残ってしまった』と言う事は私は死にたかったのだろうか?
フ…、昔の私だったらこんなこと絶対思わないだろうな。
私は何百年と生きてきて人の死は沢山見てきた。もう慣れた筈だった…。
何故だろう。胸が痛い。
何故だろう。目尻が熱い。
何故だろう。この孤独感。
いや、孤独感は前からあった。ただあいつらの所為で忘れてただけだ。
純粋で真面目な少年
馬鹿で自分勝手だが人外の私と普通に接してくれた少女
馬鹿みたいに騒がしかったあのクラス。
居心地は悪くなかった。だがあいつらはもういない…。
初めてだった。他人の為の復讐は…。
「フフ…、これでは茶々ゼロに馬鹿にされるな」
今宵も満月が美しい…
END
なんであと1日待てないの?ねえ。なんで?
知るか
ヒステリー起こすなカス
文才ないのは同意だが、ちょっと言いすぎじゃね?他の人が書きづらくなる。
もっとマターリいこうぜ。
だが、やっぱりだめだな。9以下だな。
9は大分成長したようだし。
量書けば誰でもある程度まで上手くなる
そして、ある程度を超えられる奴が神に成れる。
こんなスレにそんな神が降りるわけないがな
326 :
マロン名無しさん:2006/03/24(金) 16:45:03 ID:mlN5ePzD
ま、9に期待だな
次は確か9だよね?作者8からここしばらく投下なかったから楽しみ
ちょwwwwwおまえらwwwww
文才があるとかないとか
よくわからん
それでは、最後の投下を開始致します。
<< 76 終末 >>
…刹那は、その隙を見逃さなかった。
「………はあああああっ!!」
刹那は、ありったけの気を足に込めて瞬動し、残った右手で、小刀を木乃香の胸に深々と突き刺した。
「……せっ……ちゃん…?」
全身の力が抜け、木乃香はストン…とその場に膝をついた。
「…………………」
刹那はただ、無言で木乃香の方を見つめていた。
刹那は表情一つ変えていなかったが、目にはたくさん涙を溜めていた。
少しの間、沈黙があった。
しかし刹那には、この時が、まるで永遠のように感じられた。
やがて、木乃香がゆっくりと口を開いた。
「…やっぱりな。…それでこそ……せっちゃんや…
ウチな…途中から……自分のやってることが…だんだん分からんようになってきてたんや…
…だから…せっちゃん。…ウチを止めてくれて…ほんまにありがと…な…」
そう言って、木乃香は、ふらっ…と刹那の方に倒れた。
刹那は、残った右手で、しっかりと木乃香の体を受け止めた。
しかし、もうすでに刹那には、木乃香の体を支えるだけの力は残っていなかった。
「…このちゃん……ウチも、もう…だめみたい…や…」
刹那の意識は、そこで途切れた。
【出席番号13番 近衛木乃香 死亡 残り4人】
【ゲーム首謀者死亡のためプログラム終了】
<< 77 天才 >>
「……どうやら、終ったようネ。」
何と超は、施設にいた男達を、全員たった一人で、しかもたった一本の吹き矢で倒していた。
超は、たった一日のうちに、吹き矢の使い方を完全にマスターし、実戦で使えるレベルまで到達していたのだ。
これぞ、天才少女の成せる業、と言った所である。
しかし今、その超の体は、薄く透けてきており、今にも消えかかっていた。
そして超には、その意味が、良く分かっていた……
超のいた未来。そこでは、木乃香とネギのクーデターが成功し、二人は独裁政治を行っていた。
そんな中、二人は結婚し、子供をもうけていた。
そう、その子供こそが、超鈴音だったのだ。
超は、将来の後継者として、二人から多くの期待を受けていた。
しかし、超自身は、少数の魔法使いだけが独裁を行う、というやり方に疑問を感じていた。
そんなある日、超は、好奇心から、入室を固く禁じられている資料室に侵入した。
そこで超が見つけた物は、どれも超の想像を絶する物ばかりだった。
…それは、25年前に行われた、バトルロワイアルの鮮明な記録だった。
その記録を見て、超は自分の両親がどのようにして現在の地位を得たのかを、幼心ながら理解した。
そして、その次の日から、超は、来る日も来る日もタイムマシンの製作に明け暮れたのだった……
…そう、この忌わしい過去を、変える為に……
…今、超の両親は、どちらもこの世にいない。
超を産む前に死んでしまった以上、超はこの世界に存在することができなくなってしまったのだ。
「……せつなサン。これからの世界を支えていくのは、君達、ネ…
…だから、これからの未来を……君達に任せた…ヨ……」
そう言って、超は、この世界から姿を消した。
【出席番号19番 超鈴音 消滅 残り3人】
<< 78 帰還 >>
………暗いよう…何にも…見えないよう…
………あ!あそこに人がいる!あれは、……このちゃんだ!
……え?このちゃん、こっちに来ちゃダメ…って、どういうこと!?
…待ってよう!このちゃん、ウチを置いて行かないでよう………
「……ここ…は……?」
「………目が覚めた?刹那さん。」
刹那が目を覚ますと、そこは大きなヘリコプターの中だった。
刹那はベッドに横になっており、右手に刺さった注射針からは、輸血が施されていた。
「…アスナさん…他の人たちは……?」
「…今、魔法使いの先生達が、島中を探し回ってるんだけど…
どうやら、生き残ったのは、私と、刹那さん、それに釘宮さんの3人だけみたい…」
「…え!?たった…3人…ですか…?」
明日菜から告げられた驚愕の事実に、刹那は驚きの色を隠せなかった。
「…そう…このかも…桜子も…いいんちょも…それに、朝倉も……
みんな、みーんな死んじゃったのよ……」
明日菜の目からは、涙が流れ落ちていた。
すると、二人の耳に、操縦室でヘリを操縦している高畑が、誰かと無線で通信しているのが聞こえてきた。
「……瀬流彦君か。こちら高畑。」
『…高畑先生。…今、ほぼ生徒全員の死体を収容し、身元も確認できました。』
「…そうか。ご苦労だったな。」
『…ですが…一つ問題が……』
「…ん?何だ?」
『…例の問題生徒、超鈴音の死体だけが、いつまで経っても見当たらないんですよ…』
「…そうか。…まあ、捜索作業もあまり長引かせるわけにはいかないし、そろそろ引き上げるように、皆に伝えてくれ。」
『…分かりました。』
刹那だけが、その理由を知っていた。
だが、刹那は超から、このように言われていた。
『せつなサン。私が未来人だということは、例え口が裂けようと、誰にも…言っちゃダメヨ。』
『は…はあ……』
刹那は、このことを、自分の胸の中だけにしまっておこうと、固く決心した。
3人が帰還した後、この事件のことは、魔法使い達の長い長い議論の結果、公にしないことが決定した。
その為、一般の新聞には、生徒達27人とネギ先生は、キャンプから帰る途中の事故で死んだ、と報道された。
こうして、この忌わしい事件は、永久に闇に葬り去られることとなった……
そして、10年の時が流れた。
【ゲーム終了】
生存者 3名
8番 神楽坂明日菜
11番 釘宮円
15番 桜咲刹那
<< 79 残された者たち >>
2013年、4月。
そこには、麻帆良学園に10年前に作られた事故の慰霊碑に、花を供えている釘宮円の姿があった。
「…早いもんで、もう10年、か……」
円は、これまでの10年、自分が歩んできた道を、思い浮かべていた。
円は、あの島から帰ってきてすぐは、あまりのショックの為にずっと家に引きこもってばかりいた。
そんなある日、彼女の元に、ある訪問者が現れた。
「……円姉ちゃん、入ってもええか?」
「………キミ、は…?」
円の家に現れたのは、ネギの親友の、犬上小太郎だった。
「……そうか…ネギや千鶴姉ちゃん達が死んだのは、事故や無かったんやな…」
「…うん……本当はこんな事、人に言っちゃいけないんだけどね…」
「…いや、本当の事を言ってもろて、姉ちゃんには感謝しとるで。ホンマに、おおきにな。
……大丈夫、心配せえへんでも、俺は誰にも言わへんわ。」
「…うん………」
この時、円の目からは、自然に涙が流れ出ていた。
「…何や、姉ちゃん、泣いとんか。」
「……うん…小太郎君に全部話したら……のどかが死んだときのこと、思い出しちゃって…」
「……そうか…俺も、ネギや千鶴姉ちゃんが死んだって聞いたとき、もうホンマ、泣いて、泣いて、泣きまくったな。
…あん時はもう、自分が壊れてまう、とまで思った程や。
…でもな、姉ちゃん。あんまり泣いてばっかりじゃ、いかんと思うんや。」
「………え…?」
「……俺な、自分がいつまでも泣いてて、他の事が何にも手につかんようになったら、それこそ死んでったネギにあわせる顔がない、と思うんや。
だからな、姉ちゃん…姉ちゃんも辛いと思うけど、姉ちゃんには死んだ皆の分まで、頑張る義務があると、思うんや。」
「………………」
「…まあ、すぐに頑張れ言うて、頑張れるもんやないけど、少しずつでも、何かを変えていくと、ええと思うんや。
……俺から言えることはそんだけやな。偉そうな事言うて悪かった。そろそろ…帰るわ。」
そう言って、小太郎は円の部屋を後にした。
円は小太郎が帰った後も、その言葉を何度も頭の中で繰り返していた。
「……頑張る義務、か……そうだよね…私がいつまでもしょげてたら、皆に悪いよね……」
そう思った円は、次の日から来る日も来る日も猛勉強を始めた。
そして、その努力が報われ、円は、この春から警察官に就職し、新しい生活を始めることとなった。
もうこのような事件が二度と起こらないように、悪事を根絶やしにしてしまいたい…そう思って、円は警察官という道を選んだのだった。
ここまで非常に長い道のりだったが、とても充実していたように、円には思えた。
「…………釘宮さん!」
自分の名前を呼ばれて、円が振り返ると、そこには神楽坂明日菜が立っていた。
「……アスナ…帰ってきてたんだ……」
実に10年ぶりの再会だったが、円はすぐに、明日菜だと分かった。
明日菜は、あの島から戻るとすぐ、高畑先生に頼み込んで仮契約を交わし、真名が昔所属していた組織『四音階の組み鈴』に参加した。
その後10年間、明日菜は高畑と二人で、世界中の戦場を歩き回っていた。
そして、今ちょうど、日本に帰ってきていたので、ふと麻帆良学園に寄ってみたのだった。
「…昔と全然変わってないわね、釘宮さん。」
「……それを言うなら、アスナこそ。」
「……そうだ、今日は釘宮さんに、ビッグニュースがあるのよ。」
「…え?アスナ、何?何?」
「……実はね、あの刹那さんが、麻帆良学園に戻ってきたみたいなの!」
<< 80 力を持つ者の責任 >>
春。それは、新しい始まりの季節。
桜咲刹那もまた、新しい出発に向けて、麻帆良学園の廊下を歩いていた。
刹那は、島から帰ってきてからすぐに、魔法使いの存在全てを公にするよう、強く主張した。
この事件を通して、刹那は、力を持つ人間がこの先政治を乗っ取ってしまう可能性があることを、強く実感したのだ。
その主張は、今まで問題児扱いされていた超鈴音と全く同じものなので、魔法使い側は刹那の突然のこの態度に、驚きを隠せなかった。
また、魔法使いには、プライドの高い者達が多く、一般人に自分たちのことを知られたくない、という者たちがほとんどだった。
その為、刹那のその主張が通ることは無く、魔法使いの存在も未だに公とされないままだった。
しかし刹那はそれならせめて一般人の全てに気の使い方を教えるよう、魔法使い側に提案した。
これならもし一部の強力な魔法使いが反旗を翻しても、一般人もある程度の抵抗はできる。刹那はそう考えたのだ。
この事件によってそういう危険性があることを知らされた魔法使い側は、その提案はあっさりと飲んだ。
こうして、一般の学校でも、『気』の授業として、気の使い方を習うのが必修科目となったのだ。
刹那の努力は、一応一つ報われる形となった。
…そして、刹那はその『気』の授業が専門の先生として、麻帆良学園に戻ってきたのだった。
「…刹那さん。久しぶり!」
廊下の途中に、明日菜と円が立っていた。
「…アスナさん!それに、釘宮さん!」
「…刹那さん、今から、授業?」
「…はい。今年は、中等部の3−Aを受け持つことになりました。」
「…3−A…か。何か、運命っぽいものを感じるわね。」
そう言って明日菜は、刹那の左手に気がついた。
「…刹那さん、その左手の義手、だいぶ慣れた?」
「…ええ。おかげさまで。もう、この義手に気を込めたり、なんて事もできたりしますよ。」
「へえ……」
「…おっ。いけない。こんな時間か。それではお二人とも、また後で……」
そう言って、刹那は小走りで教室の方へ向かった。
「…刹那さーん、頑張ってねー!」
後ろから、明日菜の声が聞こえた。
刹那は、3−Aの教室の扉を開けた。
…あの時と大きく顔ぶれは変わっている。しかし、この教室、この雰囲気は、全て楽しかった、あの時のままだ。
そう、私は、楽しかった3−Aに帰ってきたんだ。
刹那は教壇に立ち、少し心を落ち着かせてから、生徒全員に向かって話し出した。
「……皆さん。今日からこの学校で、『気』を教えることになりました、桜咲刹那です。
これから1年間の間だけですが、よろしくお願いします……」
ネ ギ ま バ ト ル ロ ワ イ ア ル
第九部 完
これにて、第九部は終了とさせていただきます。
私が未熟なために至らぬ部分も多々ありましたが、最後までお付き合い下さり本当にありがとうございました。
乙乙乙!!
面白かったよ
乙!よく頑張った!感動した!
作者1マダー?
乙です
9乙
とてもつまらない作品をありがとう
ここに二度と来るな
乙です
まぁいいほうかな?こうゆう言い方はしたくないのだが
もうちょっと修行したほうがいいかな?
実は今日リアルタイムで投下を見てましたw
いや〜、作者9氏たいへん乙でした!!
<< 80 力を持つ者の責任 >>まで、更新しました
作者9氏 お疲れ様です
駄目だな
笑いをこらえるのに必死だった
こうなったら今予約してるやつ含めてテストで短編を投下させてみてはどうだろう
それで投下OKかNGか決める
そうすれば作者も余計な恥かかなくてすむし、9みたいな事もおきないだろう
9氏お疲れ様でした。
あまりに否定的な意見が多いのはネギまの世界観を滅茶苦茶にされたからで
そこを除けば割と良かったと思います
特に後半は書き慣れてきたせいか前半より読みごたえがありました
もし次回作に取り掛かるつもりがあるならもっと読み手に気を配ったストーリーを考えてください。
皆こんぐらい言ってやれよ
内容へのレスがないから相当なんだな。
当分新規の作者減りそうだ
自己厨の考えそうなことですね
読み手を意識するのは悪いことじゃないが、それだと自分が書きたいものが書けなくなってしまう。
てか編集長でもプロデューサーでもないただの一般人が投下を決める権限はない。
投下は自由だし、気に入らないなら自分で納得のいく作品を作る。
まあ、何が言いたいかと言うと結局SSなんて作者の自己満なのよ
作者9氏、乙。たしかに前半は問題アリだったけど後半は結構楽しめたんだけどな。ねぇ?投稿するひとがいないと俺らも楽しめないんだから。適当な批判はスレのレベル下げるだけ。
超が消えるとこでふいちまった
同じく
364 :
マロン名無しさん:2006/03/25(土) 02:19:07 ID:3sMdxVzh
∩(・ω・∩)age
作者9さん乙でした
まあオリジナル展開はおいといて(某アニメに比べりゃ(ry
文章自体は後半になるにつれて、読んでて興味を惹かれるようになっていったのが良かった
366 :
彗星:2006/03/25(土) 07:44:21 ID:???
作者9はオリジナル使いすぎ…
もう、駄目だな…
慧星氏ね
作者9氏乙
後半の文章は面白くてすごくよかった
ただ原作の設定を無視しすぎるのはちょっとよくないな
次に何か書くときはそこに気をつけてくれ
本当に乙
タイムマシンによる影響がなんかおかしい
タイムマシンについて勉強する事をおすすめする
けいせいwwwm
m9(^д^)プギャー
スカイライナー
アンチロワスレで壷ポエ夢と言われた事だけはあるな>作者9
基本としてロワで大東亜(原作バトロワの世界)以外の外部設定を入れるのはご法度ですよ
それが元作品のキャラならなおさらだし、どれロワで未登場キャラをオリ化した時も後々問題になった
作者9氏には三大ロワ執筆時のログを読む事を勧告する
もう短編や外伝はある程度自由に投下していいんじゃないか?
ハカロワやどれロワだと死亡キャラを書きたい人は時系列をさかのぼって既存の部分と矛盾しない範囲で書いてたし
外伝て何さ
流れを切るようで悪いですが。
そろそろ第8部分岐ルートを投下してもよろしいでしょうか?
自分はかまいません、投下しても問題ないんじゃないでしょうか。
というか、投下してください。待ってました。
作者1が帰ってきた!!
やっと分岐ルートが見れる
期待してますよ!!
《74B.雨と銃弾−前−》
ザァァァァァァァ
雨がまた強くなった気がする。昼の放送前は小雨でほんの少しの間雨が止んだ。
だがまた小雨になり今は本降りになった。
窓から眺める千雨は、この雨が何だか鬱陶しく思えてきた。
後ろでは聡美がシステム破壊プログラムを懸命に作っている。
千雨はいつでも戦闘に出られるように銃を構える練習をしていた。
「千雨」
和美が話しかけた。
「何だ」
「千雨さ、生き残ったら何がしたい?」
「……お前に教える気はねぇよ」
和美の会話をすぐに遮断する。
「…大丈夫だよ。どんなスクープ見つけても…もうこの手じゃ…」
3本指が欠けた右手を見て皮肉めいたため息をつく。
「…お前はそれでも報道部を続けろ」
聞こえるか聞こえないくらいの声でそう言った。
「え?何か言った?」
「ただの独り言だ。気にするな」
「う〜ん。気になるなぁ〜」
和美が千雨に詰め寄る。
「ほっとけ」
「出来ました!」
聡美がそう言って大きく背を伸ばした。
「出来たの」
和美、美空、千雨がパソコン画面に釘付けになった。
「あとはEnterキーを押すだけで…」
ついにこの戦いに終止符を打つことができる。殺し合いをしなくていい。
恐らくすべてを止めることになれば自分たちを兵士が殺しにくるだろう。
それなら迎え撃ってやる。全力で戦って生き抜いてみせる。
美空はショットガンを、千雨はコルトガバメントを力強く握り締めた。
「それじゃあ行くよ」
皆が頷き、聡美がEnterキーに指を置く。
「3…2…1!」
聡美がEnterキーを強く押した。
「…」
「…何も起きないよ」
画面は全く変化はなかった。
「どうして!?」
聡美は慌ててパソコン画面を切り替える。
突然警告音と共に画面に真っ赤な英語の文字が現れた。
「そんな!?アクセスが拒否されてる!」
「えぇ!!」
あまりのことに驚く一同。聡美は再度アクセスを試みるが全く反応が無い。
「駄目、何も受け付けなくなってる」
「くそったれ!!」
千雨が近くの壁を思いっきり蹴った。
「……ん!?誰かこっちに来るぞ」
千雨は窓の外に人影を見た。
「誰!もしもゲームに乗った人だったら…」
聡美はショットガンを構える。同時に千雨もいつでも撃てる体勢になる。
「……あれは超さん!」
聡美が立ち上がり出口に向かって走る。
「ハカセ!駄目!!」
美空は聡美の腕を掴む。そうあいつに会ってはいけない。
美空の任務のもうひとつそれは…
聡美は美空の制止を振り切り雨の中飛び出し超に駆け寄った。
「超さん!首輪…どうやって」
超は不気味に笑ってH&Kを聡美に向けて一発放つ。
「!!」
弾丸は聡美には当たらず近くの地面を打ち抜いた。聡美の顔が徐々に強張る。
「超さん…まさか」
「そうネ。悪く思わないでネ」
「ハカセ、逃げて!!」
すぐ後ろで話を聞いていた美空が割って入りショットガンを放つ。
超はすぐに後ろの茂みに隠れてしまい、そこから銃弾がいくつも飛んでくる。
「二人とも逃げて!」
呆然とする聡美を連れて美空は走り出した。小屋を捨てて雨の中を必死に走る。
「くそったれがぁ!!」
どこからともなく飛んでくる相手に向かってコルトガバメントの引き金を引く。
だがどこに隠れたのかわからないため無駄弾を撃っただけだった。
超がどこからともなく銃を放ち千雨の足近くにあたり千雨が転ぶ。
「千雨!!」
千雨の手からコルトガバメントが滑り落ち和美の足元に転がる。
和美はそれを拾い、千雨の下へと走ろうとしたが。
「馬鹿!来るな!!」
「長谷川さんは私に任せて二人は上に逃げて!」
千雨と美空はそう告げて走るのを止めた。それでもやってくる銃弾。
徐々にこちら側に近づいているのは確かだ。
「どうしたらいいの!」
「とにかく逃げましょう!」
和美はコルトガバメントを左手で持ち、聡美は大きく切り立った崖を上る。
自分の身長ほどの高さだ、それほど苦労はしなかった。
「さ、早く」
「…うん」
段差が急なためか上るだけで一苦労だった、差し伸べられた聡美の手を握る。
「長谷川さん!大丈夫!」
「な、何とかな…」
膝を擦りむいたが無事である。千雨の無事を確認すると美空はすぐにショットガンを茂みに向ける。
どこかの茂みに消えた。いつ出てくるかわからない。
緊張感が二人を包む。
「…」
「…」
静寂、何も音がない。聞こえるのは雨の音。体が雨で濡れ制服が肌にべったりとくっつく。
狙おうと思えばすぐ撃ってくるはずだ、なのに何故超は撃ってこない。
何故!?
ダァァァン
その静寂を破ったのは一発の銃声だった。
【残り14人】
《75B.雨と銃弾−後−》
「!?」
突然の音に驚く。銃声だがこちらには弾丸は飛んでこない。
なら何処に飛んだ!?
「朝倉さん!」
聡美の声と同時に和美が段差から落ちてきた。
落ちてきた和美の胸からは血。
「朝倉ぁ!!」
千雨は走り出し和美の体を掴む。
「うああああ!」
雨でぬかるんだ地面、茂みとは反対側へと滑っていく千雨と和美。
その先にあるのは崖。
「朝倉!!」
美空が詰め寄ろうとしたがその瞬間銃声。
「うあっ!」
超の銃弾を肩に食らいその場に跪く美空。
迂闊だった、超は自分たちではなく崖を上ろうとしていた無防備な二人を狙ってきた。
それでは聡美は?
「ハカセ!」
「あ…朝倉さんが…朝倉さんが…」
震えて返事をする聡美。
「私のことはいいから…逃げて」
「で…でも…」
「逃げて!!」
「ひっ…」
その言葉に聡美は勢いよく逃げ出した。
「く、と…止まれぇぇぇ!!」
どんなに踏ん張ってもぬかるんだ地面は止まることを許してはくれなかった。
「ああぁぁ」
千雨と和美が崖から落ちる。千雨は大木の枝に手を伸ばし必死に掴んだ。
「ぐ…、おい朝倉!しっかりしろ」
千雨の問いかけににも無反応な和美。胸の血は止まることを知らない。
「うそだろ…返事しろよ!こんなんで死ぬんじゃねぇよ!!朝倉あああああ!!」
千雨の叫びも空しく、何も返答しない和美。その瞬間、二人の体を支えた枝が音を立てて折れた。
「うわあああ!!」
「二人とも!!」
美空が駆けつけ手を伸ばす、途中で何発もの銃弾が飛んできたがそんなこと構ってられない。
手と足を銃弾が掠めながらも美空は手を伸ばし千雨の手を掴む。
しかしそれは無意味だった。ぬかるんだ足元は全くブレーキが掛からず美空もまた千雨と同じように落下するしかなかった。
ほんの一瞬の無重力体験。3人は何の抵抗も出来ずに落下するだけであった。
「あ…アデアット」
美空がカードを取り出し力を引き出そうとするが、カードは何の反応も示さない。
何故、私はこうも無力なの。肝心なところで何も出来ずに…ただ…
美空は絶望に打ちひしがれながら木々が多い茂る森へと落ちていった。
【出席番号3 朝倉和美 死亡 残り13人】
76、77、78話は同じになります。
《79B.救出》
ドォン パァン
「何?今の音」
「そろそろここも危険か…」
納屋から動かないようにしていた4人だったが、銃声が近くから聞こえたため移動をすることになった。
裕奈がデイパックを持ち、アキラが亜子を背負い、真名を先頭に歩き出した。
たまに聞こえる銃声。もっと安全な所に行こうとした。
ガサガサガサガサ
「ひぃ!」
裕奈の後ろで何かが落ちる音がした。
すぐ後ろは森だ。とすれば木の上から何かが落ちたのか?
「お前らは動くな」
真名がデザートイーグルを構えて音のした方向へと向ける。
音からしてかなりの大きさだ。油断は禁物なのだが地面には何もない。
だが何かが動く音がする。真名は視線を上に向けた。
「うぅぅ…痛たぁ…」
「…春日か!?」
真名は目を見開く。何故木の上に引っかかるように美空がいるのか。
ここは崖に面した森だ。考えられることと言えば…
「お前…あの崖から落ちてきたのか…」
「う…うん……」
千雨と共に崖から落下した美空は下が森だったことが幸いし、何度も体を木にぶつけながら落下し
落ちた衝撃を最小限に食い止められたのだ。
と言ってもやはり高さが高さなため体中傷だらけ、制服も所々破けている。
「降りられるか」
「何とか…でも…」
横にいる和美は胸を撃ちぬかれ、もう呼吸もしていなかった。
「ちくしょう!!」
さらにその横で千雨が乱暴に木の枝を蹴った。すると、支えていた枝も折れていまい二人は落下してしまう。
「うわ!」
ズーーン
真名は千雨をうまくキャッチできたがおもいっきり腰を強打してしまった。
千雨も腰を抑えている。
「どうしよう…」
現在の状態
健康、龍宮真名、大河内アキラ、長谷川千雨。軽い怪我、明石裕奈、春日美空。
右腕損傷、朝倉和美。重症、長谷川千雨。かなり重症、和泉亜子。
かなりまずい状態だ。これだけの人数が固まっていると狙われやすい。
だからと言って今更二つに分けることもできない。
八方塞がりになり困り果てていた。
ピー
「えっ!?」
突然みんなの首輪が鳴り出しそして止まった。
「何が…」
「首輪が解除されたようだ」
突然誰かの声に驚く一同。
「みなさん無事ですか?」
そこにいたのは派手な服を着た少女だった。
「あなたは…」
「私はあなたたちを助けにきた者です」
そう言って高音は自身ある表情をした。
【残り11人】
80話は同じで81話は途中から変化します。
本編の↓より変化。
震えている聡美の横では亜子が寝ている。
亜子も立ち直れないのかもしれない。アキラはそんな二人をやるせない思いでそれを見つめていた。
「…」
千雨はただその棺桶の中を無言で見つめていた。
和美は命を落とし、自分は生き残った。確かにゲームは閉じることは出来たが…その代償は大きかった。
「馬鹿野郎…勝手に死ぬんじゃねぇよ…」
「…」
遠目で真名と美空がこちらを見ていた。
真名には見えていた、和美の棺桶のそばで涙を流し泣いているさよの姿を。
あんな悲しい顔をされてはさすがの真名もその場を去ることしか出来なかった。
彼女もまた、大事な戦友を失ったのだから。
「…ちょっと外の空気を吸ってきます」
聡美が重い表情で医務室を出る。
「私も一緒に行きますよ」
「すみません」
それに愛衣が同行する。
「さて、新田先生。超君。事情を話してもらいましょうか」
「…」
フェリーの外では、新田が魔法生徒先生に囲まれていた。無論超も。
「言う必要はないネ」
「何だと!麻帆良祭の時とはいかない!超鈴音、君は一体何を考えているんだ。」
ガンドルフィーニもやや感傷的に言い寄る。
「…超君。諦めよう、本当のことを話すんだ」
新田は俯きながらそう喋る。
「…」
何も言わずに新田を睨む超。
「私は教師の身でありながら生徒を見殺しにしてしまった。教師以前に、人として最低だ」
神妙な面持ちで空を眺める新田。
「…私が話せるだけのことを言おう…それがせめてもの罪滅ぼしなら」
「新田先生…」
新田は穏やかな顔だ。依然として超は新田を睨んだまま…
「私は…」
ガチャリ
「!?」
何かの音に反応する高畑。
咄嗟にフェリーの方を見た。誰かがこちらに向かって銃を向けている。
誰が!?生徒全員武器は持っていないはず…
「逃げろぉぉぉぉ!!」
ダァァン
「!!」
その弾丸は新田に当たった。
「あ…あぁ」
弾は新田の心臓を撃ち抜きその場に倒れた。
魔法生徒、先生は目を見開く。
フェリーの方向にコルトガバメントを構える人物がはっきりと見えた。
【残り11人】
《83B.地獄巡りの片道切符》
フェリーが動き出した。だが何かがおかしい。
裕奈やアキラはそう感じ取った。
亜子を医務室に残して二人はホールに向かう。
途中でハルナや夏美、息を上げて駆けつけた美空と真名。傷ついたあやかもそこにいた。
「一体何が起こってますの!?」
あやかの問いかけに誰も答えない。いきなりの出航、取り残されている先生たち。
おかしい、この嫌な空気は何なのか。
「そ…それは」
和美がそれを言おうとした時に後ろのホールの扉を蹴破る音が聞こえた。
「超!?」
そこから現れた超は聡美と愛衣に銃を突きつけていた。
「超さん、一体何の真似ですの!?もう殺し合いはしなくていいのですのよ!」
「どんな真似でもないヨ。これが真実ネ」
「真実…」
「殺人ゲームは続くネ。主催者が生きてれば」
何それ…その言い方じゃまるで…
「このゲームを仕組んだのはこの私ヨ」
「!!!!」
全員が絶句する。まさか参加していた生徒の一人がゲームを仕組んでいたなんて…
この一人の生徒のせいで20人もの同じクラスメイトが犠牲になった。
「あなたが…」
「超…一つ聞こう…」
「何ネ」
真名が話しかける。
「主催者の身でありながら、何故参加した。殺されるかもしれないと思わなかったのか」
真名の言うとおりだ、なぜリスクを犯して主催者がゲームに参加するのか、それが一番知りたい。
「…分からないカ?」
「何?」
「これは殺人“ゲーム”ヨ。ゲームなんだから楽しまないとネ」
なんて呆気ない返答だ。
「貴様…」
真名の拳が強く握られるが人質がいる以上下手に動くと危険だ。
「…もうやめて…二人を離して!」
「ん!!うぐぅぅぅうぅ!!」
愛衣が必死に何かを言おうと叫ぶが口に巻かれたタオルがそれを許さなかった。
「先生もバカネ。武器をこのフェリーに保管するなんて」
実際フェリーに武器が保管されていたのは知っていた。ただそれがどこに隠してあるのか分からないだけだった。
こちらはまったくの丸腰。集団で襲い掛かっても精神的に満身創痍な連中では歯が立たない。
「そこで取引ネ。このホールのセットの中に武器が隠してあるヨ。それと人質一人でどうネ」
「…もう一人は」
「それはまた後で言うヨ」
「…」
反論してもこちらが不利になるだけだ。しかたなく真名がホールに向かおうとした。
「待つネ。龍宮サンじゃここからでも私を狙えるネ…村上サンがやるヨ。龍宮サンは荷物の受け渡しをやるネ」
「…分かった」
龍宮の銃の腕前なら多少離れていようが確実に相手を撃ち抜けるだろう。
だからこそ銃を握らせても安全性がある村上を選んだ。
夏美がセットに向かい、蓋を外す。するとそこには29ものデイパックが収められていた。
「何が欲しいんですか…」
「やっぱり銃ネ。あと日本刀とか」
夏美はしかたなくデイパックを片っ端からさぐり銃や日本刀を取り出した。
「…!」
デイパックの奥にあるものが隠されていることに気づいた。向こうはまだ分かっていない。
こっそりとデイパックで隠した。
取り出された銃類は裕奈とハルナが受け渡した。
「約束だよ。一人離して」
「…いいヨ」
すると超は聡美を開放した。
聡美は泣きそうな顔で裕奈に飛びつく。
「うわぁぁぁ…怖かったよぉぉ…」
「大丈夫だから…」
聡美を宥める裕奈の正面で不敵な笑いを浮かべる超。
「何その顔…武器なんてなくったってこっちには龍宮さんがいるんだから!」
裕奈の強気な発言も聞き流しているとしか思えないその笑み。実に不愉快だ。
ハルナは泣いている聡美を抱きしめた。
その腹に硬いものが押し付けられている違和感に気づいたときには遅かったのかもしれない。
ドォォン
銃声が響いた。
今一体なにが起きた!?超は銃をこちらには向けてない誰が…
その瞬間に裕奈の体が頽れた。
「パル!!」
夏美が叫ぶ。
至近距離から鉛弾を撃ち込まれ、ハルナの制服は腹から真っ赤に染まっていた。
「ふぅ…超さん。迫真の演技でしたよ、ほんとに殺されるかと思ったよ」
「それを言うならそっちこそ。演劇部に入ったらどうネ」
二人の会話。
今、さっき裕奈に聡美が飛びついた。その後銃声。そして倒れる裕奈。
聡美の手には和美が拾ったはずの千雨のコルトガバメント。
「…て…てめぇ!」
千雨が声を出す。
聡美の眼鏡の先の瞳はドス黒い殺気に包まれていた。
【出席番号14 早乙女ハルナ 死亡 残り10人】
82話は同じです。そして今日はここまでになります。
最近忙しくてなかなか進んでいないのが現状ですが、何とか間に合わせてます。
と言うかキャラを入れ替えたようにしか見えないかもしれません。orz
それでは明日。
>>385 >現在の状態
>健康、龍宮真名、大河内アキラ、長谷川千雨。軽い怪我、明石裕奈、春日美空。
>右腕損傷、朝倉和美。重症、長谷川千雨。かなり重症、和泉亜子。
この部分朝倉いませんよね?
現在の状態
健康、龍宮真名、大河内アキラ、長谷川千雨。軽い怪我、明石裕奈、春日美空。
右腕損傷、朝倉和美。重症、長谷川千雨。かなり重症、和泉亜子。
これちょっとおかしい
まぁまぁ作者1も大変なんだから
とりあえず作者1さんがんばってください!
>>388 にその場にいるはずのない人の台詞を見た。
朝倉あああああああああああああああ
いいんちょww
>現在の状態
>健康、龍宮真名、大河内アキラ、長谷川千雨。軽い怪我、明石裕奈、春日美空。
>右腕損傷、朝倉和美。重症、長谷川千雨。かなり重症、和泉亜子。
ちうが二人いるな。
関係ないが個人的に1部と6部が好きだ。
君とは気が合いそうだ
1部と6部も好きだが7部も良くね?
8部の『綾瀬のどか』はグッときた。
>>398 おかしい、この嫌な空気は何なのか。
すると後ろからホールの扉を蹴破る音が聞こえた。
>>401 健康、龍宮真名、大河内アキラ、長谷川千雨。軽い怪我、明石裕奈、春日美空。
かなり重症、和泉亜子。
に修正しておきます。ホントすんませんでした。orz
それでは投下します。
《84B.盾》
それはあの雨が降りしきる崖を上る二人の時まで遡る。
「くそっ!どうしたらいいの!」
先に上がった聡美の後を追って上っていたが段差に阻まれてしまい動けなくなった。
「早く、朝倉さん」
「う、うん」
和美はコルトガバメントを聡美の目の前に置き、手を掴んだ。
聡美はそれを逃さずコルトガバメントを奪う。
「!!」
ダァァァン
千雨と美空がそれに気づいた頃にはもう撃たれたあとだった。
聡美はすぐに銃を隠してあたかも目の前で千雨がやられた演技をする。
「テメェ…よくも朝倉をやりやがったな」
千雨が鋭い目で睨み付ける。
「千雨さん…残念でしたね……パソコンをいじっている時点で気づくべきでしたよ」
不敵な笑みを浮かべ銃を構えなおす。
「すべて…あなたたちが仕組んだことでしたの…」
「そうです。悪く思わないでくださいね」
なんという残酷な現実。この中に二人も裏切り者がいたことに。
対峙する二人の少女。真ん中で血だまりの中に倒れているハルナ。ただ見ているしかない残りの生徒。
「あのプログラムは、私にしか操作できないようになってたんですよ」
「だからダミーを作ってわざと失敗したように見せかけた……」
「そういうことネ。みんな死んでもらうヨ」
「ひぃ」
「それはどうかな!」
突然真名が前進する。その手には10円と100円玉。
パシュンパシュン
「うっ!!」
真名が硬貨を超と聡美に向けて放つ。それは二人の持っていた銃を弾いた。
「今だ!」
真名は一気に超に近づき、明日菜張りの派手な蹴りをかます。
超は受身を取るが体格で勝る真名の蹴りを受け流すことはできず、持っていた武器を大量にばら撒きながら吹き飛ばされた。
愛衣をこちら側に引っ張り込むと足元にあったワルサーP38を手に取り皆に合図する。
「行け!外に救命ボートがあるはずだ!」
「逃がさないヨ」
超が引き金を引いた。咄嗟に愛衣を庇って右腕を撃ち抜かれる。
「ぐあっ!」
「龍宮さん!」
咄嗟にアキラが手榴弾を拾い二人に向けて投げる。
ズズーーーン
爆風が体全体を襲う。超は爆風で吹き飛ばされた。
「今だ!行くぞ!」
皆を連れて外のデッキに走り出す。聡美も遅れて真名たちを追う。
「逃がさないヨ!」
パァン
「!!」
体を弾丸が突き抜けた感触。爆風の砂埃の中から一発の弾丸がアキラの胸を貫いた。
「アキラ!」
「み…みんな…逃げ…」
アキラは胸を押さえながらも超の行く手を遮る。
「邪魔ヨ!退くネ!」
パンパンパン
2発、3発とアキラの体に弾丸がめり込みその場に倒れてしまう。
「アキラーーーー!!」
「行きますわよ!明石さん!」
あやかが裕奈の手を掴む。
「嫌ぁ!離して、アキラが!!」
「アキラさんは自分を盾にして私たちを逃がそうとしたのですのよ!その思いを無駄にする気ですの!」
あやかが涙を流し裕奈に一括する。
「うぅぅぅ…」
裕奈はそのまま背を向けて走り出した。
「…今回は私の勝ちのようネ。アキラサン」
アキラの体を見下ろし勝ち誇ったように呟く超。
超が飛び出そうとしたがそこへ銃声。千雨がデザートイーグルを向けている。
「ここから先には…行かせねぇ…」
「…ふぅん、銃もろくに握ったこともないのに威勢がいいネ」
裕奈は急いで医務室から亜子を連れ出した。あやかの背中におぶられ亜子は裕奈に問いかける。
「何があったん!…アキラは?」
「……アキラは…」
裕奈はそこから先を答えない。いや、何も答えないのが答えだ。
「嘘や…嘘って言うて!」
「…」
裕奈は何も答えない。涙を流して何か言おうとしているのをぐっと耐えている。
「嘘や!嘘やぁぁぁ!!」
あやかの背中で泣く亜子。裕奈とあやかは涙で前が見えなくなっても走り続けた。
千雨を除く7人がそこに出た。
「これだけあれば何とか…」
救命ボートは結構あった。逃げられる、そう思っただろう。
「私が見てきます」
愛衣がボートの中を確認する。
「ふふふ…そうはいきませんよ」
聡美が笑い、あるボタンを押した。
「!?」
ピッピッピ
ボートの中にあった黒い箱が点滅する。
「みなさん!逃げてくだ
ドォォォォォォォン
激しい爆発音。
その爆風に愛衣は吹き飛ばされた。そして次々と爆発する救命ボート。
逃げ道は立たれた。
【出席番号6 大河内アキラ 死亡 残り9人】
《85B.希望と絶望》
「うわあああ!!」
みんなの目の前で次々と爆破されていく救命ボート。
一瞬で絶望の底に叩き落される感じだった。
「おい!しっかりしろ」
爆風で吹き飛ばされた愛衣が倒れていた。命に別状はない、気を失っているだけだ。
「どうです?これで逃げ道はなくなりましたよ」
聡美が銃をこちらに構えている。
「貴様…」
痛む右腕を庇いながら睨む真名。左手でも何とかなる、銃など握ったことのないみんなに殺しをさせたくはない。
せいぜい銃を扱ったことがあるのは真名とあやかくらいだ。
パンパンパン
「こっちだ!」
何とかしてみんなを助けないと、だがこんな360度見渡す限りの大海原にダイブする気は全くない。
それこそ自殺行為だ。
真名が左腕に持つ銃で牽制しながらほかのみんなを逃がす。
「もーどうしたらいいの!」
裕奈が頭を抱えている様を無言でかみ締める真名。
「…ねぇ、あれ!」
夏美の指差す先、それは出航直後に通信室の兵士から逃げ出すときにアキラと和美が隠れた救命ボートだ。
アキラが出てくる際、足に黒い箱を引っ掛けて海に落としてしまったがどうやらそれが運命の分かれ道だった。
その箱こそ超の作った自爆発火装置だったのだ。
「とにかく乗ろう!」
念のためボートの中を確認、何もない、これなら安全だ。
「何でボートが!?」
駆けつけた聡美が驚くがすぐにボートに向かって銃の引き金を引く。
パァンパァン
「きゃあああ!」
銃弾に驚く裕奈。
「私が食い止める、早く乗れ!」
片腕しか使えないが相手を撃ちぬくだけなら。真名は左手で銃を構える。
「さっ!今のうちに、早く」
あやかがまず乗り込み次に裕奈が乗る。
「和泉さんを乗せたほうがいいですわ」
あやかの提案で次は亜子が乗ることになった。背中の亜子をゆっくりとボートに乗せる。
ズドン
「がっ!!」
後ろで銃声。聡美の小さな悲鳴。
真名が聡美を撃ちぬいた。その場に倒れ動かない聡美。
「急げ!」
皆の手伝いで亜子を急いで乗せていた。
「ごめんな…ウチ、こんな体で…」
「大丈夫だから…」
裕奈が宥めゆっくりと搬入していた。
「これ以上はやらせないヨ」
超がデッキに姿を現した。先ほどの戦いで千雨を蹴散らしてきたのだ。
超は銃を取り出しボートを繋いであったロープを一発で撃ち抜いた。
パチン
「うわああああああああ!!」
救命ボートは一気に傾く。
尚も超は二本、三本とロープを撃ち抜き、遂に抵抗がなくなったボートはあやかと裕奈を乗せて海の真ん中へと落下した。
「亜子ぉぉぉぉ!」
亜子は入れる最中だったために投げ出され真名が辛うじて左腕を掴んで落下を止めることができた。
搬入を手伝っていた美空はボートと共に落下しかけたが一本のロープが腕に絡まったおかげで落下せずにすんだ。
デッキに残ったのは右腕が傷ついた真名、そして左手一本で海に落ちるのを必死に絶えている亜子。
アキラが掴んでいる手を離せば亜子は海に落下。両足と右腕が動かせない亜子はすぐに溺れ死ぬだろう。
「さて…どうするかネ」
真名と亜子に銃を向ける超。さすがに傷ついた右腕では銃を握れない。
「やめろ!私の命をくれてやる!だから和泉は…和泉だけは助けろ!」
真名が必死に懇願する。
「あかんて…龍宮さん…あかん」
「お前は何も言うな!!」
必死になる、たった左手一本で亜子を支えている。もう一本の右腕は何の役も立たない。
その下では美空がいる。また自分は何も出来ないの…また自分は見ているだけなの…
そんな悲痛な思いで超と真名のやり取りを見ていた。
「…」
超は何も言わずじっとこちらを見ている。
ただ沈黙。
そして超がゆっくりと口を開く。
「それでいいのカ?」
「ああ!」
真名が覚悟の返事をする。そうだ約束したんだ、彼女たちを助けると。
結果的にアキラが命を落とした。私のミスだ、逃げ道を確保しようとして先走ってしまったのだから…
だから…もう誰も死なせない。
助けるためとはいえ、私みたいに平然とクラスメイトの命を奪った者よりも…
「龍宮さん……もうええんや……ウチのために…」
「こいつは傷ついているんだ!早く助けてやれ!」
「……分かったヨ!」
ドン
【残り9人】
《86B.ヒーロー》
超がいきなり引き金を引いた。
「うぁっ!!」
超が狙ったのは真名の左腕、。
それだけで亜子の手を掴んでいた真名の手は緩み亜子の手を離す結果となった。
「!!!」
血に濡れた左手でまた手を伸ばすが空しくも届かず、落下する亜子。
(ええんよ……こんなウチのために…死なんでも……あ、これじゃゆーなにまた怒られるわな…)
徐々に真名の顔が小さくなる。
美空はそれを見た。またなのか…また助けを求める人の手を掴むことが出来ないのか。
(そんなの…)
自分はとことん無力だった。さっきの銃撃戦だって逃げ道を確保して逃げている。
必死に食い止めるために戦う真名とは違い、安全な道を進んでいる。
いいのか、ただ生きるために他の生徒を見殺しにしても…
「そんなの…そんなの嫌だ!!」
美空は意を決し、掴んでいたロープを手放した。
亜子と同じように落下する。だが今回ばかりは違う。魔法を制御する首輪は外してある。
縛るものは何もない、ポケットからパクティオーカードを取り出す。
ただの逃げ足専用。だが使い方次第では人も助けられる。
今それを証明する!
「アデアット!!」
美空の両足が光り、超加速が出来る状態になった。
「うおりゃあああああああ!!壁走りいいいいいいいいいいいいい!!!!!!」
美空はフェリーの壁を走りながら勢いよく亜子に近づく。
「だあああああああああああああああっ!!」
亜子の唯一動く左腕をしっかりと掴んだ。
(もう離さない。これ以上誰かが死ぬところを見たくなんかない!)
亜子の体を掴んだままで一気にデッキまで走りあがる美空。
「!?」
「し、シスター美空!」
それはヒーローアニメでよくある、『大ピンチなヒロインを助けるヒーロー』的なように見える。
「ちぃ!」
超が銃を取り出し美空に向けるが真名が飛びつきそれを阻止する。
「離すネ!」
「お前という奴は!!」
傷ついた両腕で超と戦う。もう誰も…殺させない!
【残り9人】
今日はいろいろありましてこれだけになりました。
テキスト形式で修正を加えていたのですがまたミス、誤植がありましたらご指摘お願いします。
それではまた明日。
GJ!!
ネギバトで美空活躍するの初めてじゃね?
>「…今回は私の勝ちのようネ。アキラサン」
まるでナイアラルトホテップような存在に超が見える。
この9回(分岐ルート含めたらそれ以上)もチャオラルトホテップとして宇宙の外から作っていそうな気がする。
422 :
マロン名無しさん:2006/03/26(日) 23:46:48 ID:ZavzUWOw
アキラは死んでる
>>420,422
アキラが掴んでいる手を離せば亜子は海に落下。両足と右腕が動かせない亜子はすぐに溺れ死ぬだろう。
↓
真名が掴んでいる手を離せば亜子は(ry
でお願いします。
「し、シスター美空!」
て誰が言ったの?
ちゃおりんじゃね?
美空超かっけー
遅レスで申し訳ない
>>作者1氏へ
《83B 地獄巡りの片道切符》にハルナが裕奈のままになってる箇所があると思われるのですが・・・
ここからが亜子ルート、って感じですね。期待してます!
でも、お忙しいようなので、あまり無理をなさらずに・・・
美空ってこれまではあまり活躍しなかったけど今回の分岐ルートで
けっこう活躍してる、っていうかそれを考えた作者1もすごい!!
>>427 その瞬間に裕奈の体が頽れた。
「パル!!」
夏美が叫ぶ。
至近距離から鉛弾を撃ち込まれ、ハルナの制服は腹から真っ赤に染まっていた。
「ふぅ…超さん。迫真の演技でしたよ、ほんとに殺されるかと思ったよ」
「それを言うならそっちこそ。演劇部に入ったらどうネ」
二人の会話。
今、さっき裕奈に聡美が飛びついた。その後銃声。そして倒れる裕奈。
聡美の手には和美が拾ったはずの千雨のコルトガバメント。
↓
その瞬間にハルナの体が頽れた。
「パル!!」
夏美が叫ぶ。
至近距離から鉛弾を撃ち込まれ、ハルナの制服は腹から真っ赤に染まっていた。
「ふぅ…超さん。迫真の演技でしたよ、ほんとに殺されるかと思ったよ」
「それを言うならそっちこそ。演劇部に入ったらどうネ」
二人の会話。
聡美の手には和美が拾ったはずの千雨のコルトガバメント。
に修正しておきます。ご指摘ありがとうございました。
それでは投下します。
《87B.助ける人、命を奪う人》
「う…く…」
中ほどのデッキで夏美は愛衣を引きずっていた。
爆風で愛衣は吹き飛ばされ、近くにいた夏美もまた吹き飛ばされてしまった。
愛衣は幸い軽症で気を失っているだけだ、夏美も大したことなく愛衣を安全な場所まで引きずっていた所だ。
他は誰もいない、突然不安になった。
「龍宮さん!いいんちょ!」
そばの階段の裏に聡美が身を潜めていることなど夢にも思わずに…
超が現れたと同時にバトンタッチをするかのように下のデッキに逃げ込んだ聡美。
撃たれたわき腹を抱えるように座り込み、流れる血が完全に止まるのをじっと待つつもりでいた。
この辺りなら気配を消せば誰かに見つかる事はないだろう―――音さえ出さなければ。
幸い、痛みは耐えられないものではない。痛みこそすれど動かせない程ではない。
何かが聞こえる。人の声だと確信するのに多少の時間を要した。
しかも今の疲れきった思考力では、その人間がうめき声らしきものを発している事しか理解できなかった。
(誰かが殺されかけたのかな…?)
だが愛衣を引きずる夏美は、確実に自分がいる場所に近づいてきている。
(何で…こっちに…!?)
それを考えている間にも相手は徐々にこちらに近づいてくる。
相手の声に敵意は感じられない。純粋に誰かに助けを求めている声。
だが今の聡美にとって邪魔な存在。今のうちに排除しておけば楽だろう。
聡美はそう判断してコルトガバメントを構えた。
簡単だ。これを二人の頭に向かって何度か引き金を引くだけでいい。
「誰か!龍宮さん、明石さん!いいん
ドン
夏美の体が跳ねた、続いて愛衣も。
あまりにもあっけなく、二人は逝った。
【出席番号28 村上夏美+佐倉愛衣 死亡 残り8人】
《88B.闘い》
「…ち、ちくしょう」
ホールにただ一人取り残された千雨は必死に体を引きずっていた。
銃を握ったことがあるとはいえ所詮は素人、超の敵ではなかった。
左腕と右足を撃ち抜かれながらも千雨はデッキへと向かった。
途中の階段で誰かがこちらに降りてくるのが分かった。
千雨は身を隠す。デザートイーグルは超に奪われた、今の自分は丸腰だ。
だが戦わないといけない、あいつらを許さない。
壁に張り付いた体勢から大きく足を踏み出して階段の方に向き直り、真っ先に認識したのは銃だった。
銃口が下を向いてはいるが、紛れもない実銃、それも元自分の武器であったコルトガバメント。
そして次に目に映ったのは、撃たれたわき腹を押さえながら歩く姿、見慣れた制服と三つ編みと眼鏡。
情報はそれだけで充分だった。
相手の銃口がこちらを向く前に飛び掛った。手ごたえがあった。重力のかかるままに聡美の体を押し倒す。
視界が揺れてすぐにわけがわからなくなった。襲い来る幾度もの衝撃と共に、銃声が鼓膜に突き刺さった。
左耳に熱が走る。すぐに撃たれたのだとわかった。しかし、耳ならいい。耳なら死ぬ事はないのだから。
「放して!」
暴れようにも押さえつけられ、さすがに身動きが取れないのか、聡美は明らかに狼狽している。
元自分の武器であったコルトガバメントはまだ手にしているらしいが、その腕は千雨の傷ついた左手が押さえ付けていた。
ほとんど無意識のうちに、だが。 更に左手に体重をかけようとするが。
「ぐ…」
左手に力を入れようとする度、激痛が走り、腕が震えた。濃厚な血の匂いに吐き気までしてくる。
傷口がどくんどくんと怯えるように脈打ち始めていた。痛みで気が変になりそうだ。
「離せぇぇ!!」
「るっせぇんだよ!てめぇ!」
夢中で両腕に体重をかけ続け、気が付くと千雨は組み伏せた聡美ごと下のデッキまで転げ落ちていた。
デッキに落ちた笑撃で聡美の手からコルトガバメントが離れた。
二人とも同時に傷ついた体を起こす。互いの眼鏡の奥に、殺意に満ちた目が睨みすえてくる。
そして銃目掛けて飛びついた。完全に取っ組み合いとなる。
聡美はなりふり構わず抵抗をしてくる。その振動さえ傷を苛んだ。
もし一瞬でも痛みに耐えかねて力を抜けば、銃を奪われ…
殺される。
左腕と右腕は痛みで使い物にならない、自分の体の事を考えると、長期戦は不利だと言わざるを得ない。賭けに出てでも一気に決めるしかなさそうだ。
「こんなところで私は死ねない!」
「そうかい、なら送ってやるよ。地獄にな!!」
声はまるで遠くから届いているかのように聞こえていた。
左耳の鼓膜が多少痛んで聞こえにくくなっているだけかもしれないが、ともかく、千雨は妙に静かな気持ちで迸る声を聞いていた。
それは本当に、不意に思いついた行動だった。
千雨は腕と足が痛みを訴えるのを承知の上で、頭を振り下ろしていた。
聡美のその憎い顔目掛けて頭突きをお見舞いし、その隙に右腕でコルトガバメントを拾う。
顔を上げざま、そしてほとんど右手の位置はずらさぬまま向きだけを変えてコルトガバメントの引き金を引いた。
聞き慣れ始めた銃声が轟然と鳴り響く。
小うるさかった顔と頭の一部が見事に弾けた。
しつこそうな手合いだったが、これで間違いなく死んだだろう。
同時に右腕が激しい痛みを伴う。手首をやったなと思った。
赤やピンク色をしたものが辺りに飛び散ったのを見て、掃除が大変だろうなどと思いつつ
千雨はその場に倒れた。
【出席番号24 葉加瀬聡美 死亡 残り7人】
>>435 長期戦は不利だと言わざるを得ない。←ここから改行お願いします。
賭けに出てでも一気に決めるしかなさそうだ。
《89B.殺し合い》
「離すネ!」
「超!貴様ぁ!!」
両腕の自由が利かない真名だが左腕がかろうじて動く、そのわずかな力で超の銃を奪おうとする。
「…刹那サンが」
あいつの…親友の名を口にするのは卑怯だと分かっていた。
「地獄で待ってるヨ」
真名の理解が及ぶより先だった。超が真名の腹を蹴り飛ばしたのは。
低く寝そべるようにして、怒号と銃声が猛る。
獣の叫びのようで、超に迫る真名。
計算なんてもうなかった。目指しているのは“超を殺す”そのものだった。
「龍宮さん!!」
美空は全力で叫んだ。音と迫力に耳をやられる。自分にももう冷静さも余裕もかけらも無い。
だが今動けば亜子が傷つく、せっかく助けた命を散らせることは出来なかった。
真名は背後から超を羽交い絞めにして海へ引きずり出そうとしたとき、ダン!と左腕を激しく突かれた。
まるで左腕がもげたかと思った。
「ぐ…っ!」
痛みではない。掠めただけにしては威力が違う。
「甘いネ!!」
超の声は聞こえない。ただ火傷をしそうな感触が、腕からも耳からも。
「龍宮さん!!」
真名の頭に超の銃が押し付けられる、そして引き金を…
引かなかった。
「…弾切れか?」
さっきとあまり変わらない、真名の声が聞こえる。
「っ」
いきなり真名が超の髪を掴み、超は体を引きずられる。
「…した!!」
真名が叫ぶ。
「お前が刹那を壊した!!!!」
真名は声を出せる全快の音量で叫んだ。
激昂が、一つになっていく感触。髪を掴まれた超が何か喚いていた。
「うるさいヨ」
「…殺す」
不意に体が、さらに引っ張られた。
「お、おあ、ああああ!?」
左腕を庇う暇すらない。引きずり出された体は信じられない力で、デッキの反対側へ向かって突き飛ばされる。
蹴り飛ばされた感触すらした。
「がっ…!?」
超がデッキの手すりに体をぶつけられる。
カチャリ
超が持っていたワルサーを奪い、両手で超に向けた。
「……早く撃てばいいヨ」
ぼそっと呟いた超。ポケットに手を突っ込むと何の抵抗もしなくなった。
「…」
ぐっと引き金に力を入れる真名。
その瞬間、超がデリンジャーを取り出してきた。
「!?」
ドン
咄嗟に弾丸をかわしたが、その隙を突いて超が立ち上がりデッキの下へと走って降りていった。
「待て!」
真名が追う。
美空はそれをただ見ていることしか出来なかった。
(龍宮さん…)
【残り8人】
非常に申し訳ないのですが、今日の仕事がハードで体力がゼロになってしまいました。
今日の投下はこれまでにして明日に備えてゆっくり寝たいと思います。
それでは失礼します。
乙。最後の残り人数は7人だよな?
2chよりもリアルが大事ですし、ゆっくり休んでください。
笑撃ねぇ
>>435 乙です。仕事のほうを優先してがんばって下さい。。
デッキに落ちた笑撃になってますが・・・衝撃ですよね?
乙。無理しないで仕事を大事にしてください。
続きが早く見たいですが、それよりも作者の体調が心配です。
投下が遅れても自分は平気です。頑張ってください。
今思うと作者9のときが一番レス多かったなぁ
ID出ないしね。
作者1さん、乙。仕事頑張ってください。
>>442-443 ギャグ小説なんかで使おうと登録していた“笑撃”が出てしまったようですね。
本来は“衝撃”でした。ご指摘ありがとうございます。
それでは投下します。
《89B.NEXT》
「…痛てぇ」
体が痛い。階段から転げ落ちた衝撃でどこかまた痛めたようだ。
「…ちくしょう」
もう指一本動かせない。それほど千雨の体は傷つき、疲労しきっていた。
カンカンカン
誰かが階段を下りる音。目を向ければそれは超であった。
「…よくそんな体で戦ったよネ」
「うるせぇ…今更命乞いなんかしねぇ…さっさととどめをしやがれ…」
もう何の抵抗も出来ない千雨は覚悟を決めた。今ここで超に殺されることを。
「…」
超は何も言わずに千雨を見つめている。
実際には考えているのだ、今自分が追われているのにそれほど考えなくてはいけないこと。
「千雨サンは利用価値があるネ」
デリンジャーを片付けポケットから別のものを取り出す。
意識が朦朧とする千雨にはそれが丸い何かにしか見えなかった。
「超!」
真名が追いついた、目に映ったものは千雨に何かをしようとしている超。
殺させるものか。そんな思いで真名は傷ついた両手を前に突き出し引き金を引く。
ドンドン
「…ちっ」
超がバックステップでかわす。
「長谷川、大丈夫か!」
「…もう駄目かもしれねぇな…」
真名の問いかけにも力のない返事をするのが精一杯な千雨。
遅れて亜子を背負った美空が上のデッキに姿を現す。
咄嗟に“来るな”と声を出しこれ以上の進行をさせなかった。
「…ふふふ、どうやらもう時間のようネ」
超が不適に笑い意味深なことを述べる。
「時間?何が時間だ……!?」
それは戦闘を経験している真名ですら驚くほどの早業だ。
フェリーのデッキや外から次々と軍服を着た兵士がやって来たのだ。
「何だ!?こいつら!」
上のデッキにいる美空もあっという間に囲まれた。
「出席番号9番、春日美空。魔法の危険性あり。だが彼女は走るだけだ」
美空は驚いた。何故、一般(と言っても普通じゃない)の兵士が魔法の存在を知っているのか?
「…くっ」
傷ついた両腕で彼らを相手にするにはあまりにも厳しい。
「…彼らは私に協力してくれた組織の人間ですヨ。ただいろいろあって来るのが遅れただけネ。
多分ネギ先生の所にも別部隊が向かってるから助けは来ないヨ」
「き…貴様ぁ…」
千雨が重い体を起こして超を睨む。
「千雨サン。あなたはおもしろい存在ネ。今度会った時はいい演出を用意するヨ」
超がポケットから仕舞ったそれを取り出す。
それは手のひらくらいの大きさのある懐中時計。
「それじゃ、サヨナラネ」
シュン
「!?」
手品かマジックか?目の前にいたはずの超が突然姿を消した。
消したというよりは消滅に近いのか。
だがそれが何か考えるより前に兵士の銃弾が襲い掛かった。
「!!」
真名は千雨を抱えて船内に逃げ込む。
「アデアット!かそくそーち!!」
アーティファクトする美空。亜子を抱えていて遅くはなったが、それでもすさまじい加速で銃弾をかわし
真名の入った入り口目掛けて走り出す。
ダダダダダダダダダダ ビシッ
「ぐっ!?」
わき腹に衝撃が走ったがそれでもかまわず走り、扉を蹴破って中に入った。
【出席番号19 超鈴音 消滅? 残り6人】
《90B 世紀の大脱出作戦 》
「くそっ!また防火シャッターだ!」
「構わん!壊せ!」
「お前たちは裏から回れ、生きて帰すな!」
フェリーの下層、兵士たちの怒号と銃声がこだまする。
その中の一室で真名たちは隠れていた。
「大丈夫か、春日」
「ん…何とか…」
真名、美空、千雨、亜子。たった4人。
うち二人はもう立つことすら出来ない。真名は両腕をやられ、美空はわき腹を撃たれた。
亜子を背負っているから当たるのは亜子かと思ったが、こんなときに貧乏くじを引く自分を呪った。
行く途中で防火シャッターのスイッチを押して何とか時間を稼いでいるが、それも長くは持たないだろう。
「どうする」
真名が美空に尋ねる。
「…一つだけあるよ」
美空が口を開いた。
「…この先をまっすぐ行って突き当たりを右に曲がり、さらにまっすぐ行った所にB-34ブロックという場所があります」
「それで」
「私が初日に調べたときに脱出用のポッドがあったんです」
初日に全部というわけではないがフェリーの中を大体拝見しておいた。それで場所を覚えたのだ。
「ならそこまで行けばいいのだな」
「…だけど、そこへ行くには大量の兵士がいる所を突っ切らないといけないの」
それは自殺行為だろう。脱出するために命を捨てる人物が誰がいるか。
「……だが、行かなくてはならない…だろ」
「…うん」
真名と美空は互いに頷いて部屋にあるものを漁りだす。
それは料理を運ぶときなどに使うキャスター。
上の段に千雨、下の段に亜子を乗せてさらに真名も台に足を乗せて一気に走る。
もちろん美空のアーティファクトと真名の援護射撃が必要不可欠だ。
3人を一気に運ぶのは骨が折れる作業だろう、だがこうでもしないと生き残れない。
すべては美空の体力にかかっている。
「少し痛いかもしれないけど我慢してね」
亜子にそう語る美空。亜子も弱弱しいながらもしっかりと頷いた。
「…こけて全滅になって見やがれ。末代まで呪ってやるからな」
「大丈夫だって…何とかするよ」
睨む千雨に優しく話しかける美空の顔は険しかった。
「…準備はいいな……行くぞ!!」
真名の合図と同時に一気に走り出す。
「うわああああああ!!」
「アデアット!!」
キャスターを押しながら兵士の中を突っ切る美空と真名。
銃を構えてた人を構わず撃ち抜いて蹴散らす。両腕が完全じゃない真名だが何とか最低限のことは出来た。
突き当りを右に曲がる、後は一直線。
ダダダダダダ
「しつこいんだよ!」
真名が応戦する、そこで違和感に気づいた。少しずつだが速度が落ちてきている。
「春日、どうした!」
美空のわき腹の赤いしみが徐々に大きくなっていっている。そのたびに呼吸が乱れ、顔が厳しくなっていく。
「春日!お前やっぱり」
「大丈夫!!ちょっとペース配分を間違えただけだから!!」
助ける、今まともに動けるのが私だけなんだ。真名は応戦するだけで手一杯。
私がペースを落としたらそれだけ目的の場所に着くのが遅れる。つまり死ぬ可能性が増える。
それだけは何としても、何が何でも避けたい。
「うあああああああ!」
美空の加速がさらに凄みを増す。あともう少し、あと数十メートル。
(…やっぱ無理みたい……)
「!?」
真名が驚く、少しずつ確実にキャスターのスピードが下がっていく。
「春日!」
「は、はは…もう…限界みた…ゴホッ!」
美空が血を吐いた。目が霞む。無理をしてペースを上げた結果、出血が酷くなり美空は持てる体力を使い切ってしまった。
「春日!てめぇ!」
千雨が声を出すが、後ろから兵士が追いかけてくる。ここで捕まれば、待っているのは…死。
「くそ!このままだと」
「…………」
美空の足がもう歩くスピードにまで落ちた。
また、また助けられないのか?せっかく亜子を助けたのにこれじゃ亜子を助けた行為はまったくの無駄になってしまう。
しかも陸上部でありながらたったこれだけの距離を走りきれないなんて。
どうして私ってこうも……
「うあああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!」
最後の力を振り絞りアーティファクトの持てる力すべてを右足に集め、力の限りキャスターを蹴った。
力の限り蹴られたキャスターは3人を乗せて一気にB-34ブロックにまで走っていった。
「春日!!」
美空は壁にもたれ掛かり目の前にあった防火シャッターのボタンを押す。
シャッターが閉じられる、その閉じられる直前に見たのは…
美空の笑顔だった。
【残り6人】
《91B.シスター》
今ので全力、すべての力を出し切った。
後悔はない。私を置いて3人で逃げて欲しい。
龍宮さん、あとは頼みますよ。
あと長谷川さん。助けたのだから末代まで呪うのは勘弁してほしいな。
そして和泉さん…生きて。
3人に…神のご加護がありますように。
「また防火シャッターか」
「仲間を逃がすために、あえて犠牲になったか。見上げた根性だ」
兵士たちの声が聞こえる。武器は…あぁ、これがあった。
ここの防火シャッターは二重になってるから一つくらいなら何とかなるでしょ…
もう走れなくても戦う、みんなを…大事なクラスメイトを助けるために!
「なめないでよ…ここから先には…絶対行かせないんだから!」
防火シャッターの前で立ちふさがるように両手を広げる美空。
「構わん!撃て!!」
耳がおかしくなりそうなほどの銃声。
体に何発もの銃弾が突き刺さった。
ものすごく痛い。狂ってしまいそうだ。だがここを離れるわけにはいかない。
ここで逃げたら、みんなを裏切ってしまう。
それにあの島で死んだみんなに比べたらこんな痛みなんて…
銃声が止んだ。
「ぐ…ゴボッ……ゲホッ……」
喉から大量の吐き気がこみ上げたかと思うと、一塊の血を吐き出した。
苦しい、もう私は死ぬ。
だけど……
「しぶとい奴だ。だがもういいだろう…楽にしてやれ」
一人の兵士がそういって銃を向けた。
今しかチャンスはない!
あの時、咄嗟に拾った手榴弾を取り出す。
「アーメン!」
銃弾が自分の体を貫いたと同時にピンを抜いた。
「―!退避ーーーーー!」
もう遅い。
ズーーーーーーーーーーーン
だから言ったでしょ…なめないでって……
【出席番号9 春日美空 死亡 残り5人】
《92B.そして…生還》
外から爆発音が聞こえた。
防火シャッターが大きくへこみ、隙間から黒い煙が見える。
「…ぐ…春日ぁぁぁぁぁぁ!!」
千雨が声を挙げた。
「バカヤロウ……格好つけやがって!死んだら何にもならねぇじゃねぇかよ……」
千雨の眼鏡が涙で濡れた。朝倉に続いて美空まで死なせてしまった。
あまりに情けない自分に腹が立ち、どうしようもなく泣いた。
「そんな……春日さん…」
同じ運動部、部活は違えどグラウンドでたまに顔を見せて部活についていくつか話したときがあった。
そして自分が落下しそうになったときなど、命を掛けて助けてくれた。
(この体が…動けば…)
何も出来ない自分が悔しくて亜子も涙で顔を濡らす。
シャッターの反対側ではシャッターを叩く音、傷ついた仲間に向かって声を掛ける者。
あのシャッターの向こうがどんな惨劇になったか想像すらしたくない。
「行こう…春日の犠牲を無駄には出来ない……」
真名が二人を抱えて脱出ポッドらしきものに乗り込む。
「…お前…強いんだな」
千雨が力なくそう呟いた。
「………慣れてるだけだ…2年前に一度、そしてあの島でさらに一度…だ」
真名はそれ以上続けることはなくポッドのボタンを押す。
何かのコネクトが外れ大海原に投げ出されたポッド。
フェリーは徐々に小さくなっていく。
「……さらばだ、シスター美空」
「うぅぅ…春日さん…」
「…ちくしょう」
それから一時間後、脱出ポッドは兵士部隊を蹴散らしてきたネギたちが発見。
それより少し前に発見された明石裕奈と雪広あやか同様、彼らの手により引き上げられた。
【生存者】
出席番号2 明石裕奈
出席番号5 和泉亜子
出席番号18 龍宮真名
出席番号25 長谷川千雨
出席番号29 雪広あやか
>>441 遅れました、7人でしたね。失礼しました。
明日で亜子エンド―というか亜子“が生き残る”エンドっぽいように出番が少ないですが―終了です。
それでは失礼します。
美空最高ですな!ですな!
これ、亜子エンドじゃなくて美空エンドだろ?
ってぐらい美空GJ!!
超のその後もかかれるんですかね。期待です。
美空ぁーーー!GJ!!もう地味キャラとは言わせない!
…で、美空ってだれだっけ?( ´・ω・`)
464 :
美空:2006/03/29(水) 00:19:33 ID:???
なめんな
ねた丸かぶりorz
再考せねば
466 :
マロン名無しさん:2006/03/29(水) 18:43:00 ID:n2SrbCru
なんで、なんでシスターがーーーーーーーーーーー
投下します。
《93B.生き残った者》
「はい、亜子」
リンゴの皮を剥いて亜子に差し出す裕奈。
「うん…ありがと」
包帯だらけの左腕で受け取り、しっかりと一噛みずつかみ締める。
右腕と両足は見るからに重そうなギプスでガチガチに固定され天井に三角巾で吊るされていた。
頭や体も絆創膏やシップなどで張られている。よく集中治療室で面会謝絶にならなかったと思った。
「…ありがとな…ゆーな」
「いいって、亜子こそ早く元気にならないとね」
にっこりと笑う裕奈、しかしその心中は複雑であった。
あの後、すぐに病院に全員収容され強制入院させられた。
その理由は真相が公に出ないようにするためのカモフラージュ。
表沙汰は合宿先に向かう途中の事故という形で公表された。
たいした怪我ではないあやかと裕奈は全治2週間の怪我で面会謝絶扱い。
その間に龍宮真名と長谷川千雨は腕や足に銃弾を受けたが、それは骨折と言う形で処理。
唯一、瀕死の重症を追った亜子の様態だけが正しく報道された。
あれから1ヶ月、亜子を除いた4人は無事に退院。
偽りの2週間の入院の間に耳に蛸が出来そうなほどのカウセリング、軍関係者による口止め。
まるで監獄でいるような2週間を過ごしていた。
さらに正式な決定が出るまで寮で待機とネギからの通達、出来るだけ外に出ないようにとも言われた。
「…亜子…私たちどうなるんだろうね」
「…分からへん……ウチらどうやって生きていったらいいんかな…」
覇気がない返事が裕奈の耳に届く。
「失礼します」
そこへあやかがフルーツの入ったバスケットを持って亜子の病室に入ってきた。
「あっ、いいんちょ」
「…私はもう委員長ではありませんわ」
まるで表情を押し殺したような顔。いつもの華やかさを失っていた。
「どうぞ亜子さん。よかったら食べてください」
「おおきにな…いいんちょ」
「だから私は…」
「言わせてよ……いいんちょって呼び名…使い慣れてるから…さ」
3−Aにいたころのあの元気がない。
「…」
それが3−Aの生き残った者の宿命なのか…それは誰にも分からない。
それから10日後、正式に学業への復帰が認められた。
《94B.孤独》
「卒業証書、和泉亜子さん」
ベッドで不器用に受け取った卒業証書。
結局亜子は卒業式まで外に出ることは出来なかった。
その代わりにクラスメイトとネギがやってきて、この場で亜子だけの卒業式が行われた。
あやかがスピーチをして真名と千雨で式の進行、裕奈が掛ける言葉を言い、ネギが卒業証書を渡した。
「おおきに…みんな…ほんまにおおきにな」
ぽろぽろと涙を流して喜びを表す亜子。
手足を満足に動かせずにベッドから起き上がることも出来ない。
寝ている間もしつこいようにやって来る軍の関係者。
バトルロワイアルのことは絶対に喋らないことと、超鈴音の居場所だった。
あれから超は未だに何処に消えたのか分からない。
消息を追っているらしいがその手がかりすら見当たらない。
だが亜子はただ知らないと言うぐらいしかできなかった。
ギプスで固められた両足を見る、医者によればまだ外せない状態だそうだ。
骨の一部が粉々に砕けており完治しまともに動けるにはかなりの時間が掛かると告げられた。
「えーと、あとは特別ゲストが来るって聞いたけど…ネギ君、それ誰?」
ネギに尋ねる裕奈。
「少し待っててください、呼んできます」
ネギが急いで外に出ていく。
…
10分は経過しただろうか、ようやくその人物が姿を現した。
「失礼します」
「あっ、あなたは…」
「な…ナギさん」
それは薬を使って大きくなったネギであった。
「亜子さん、大丈夫ですか」
いかにも、今知ったのような素振りで亜子に近づくナギ(ネギ)。
「…ウチは大丈夫や…でもうれしい…ナギさんにまた会えて…」
涙を流していた亜子はしゃくりあげながら泣いていた。
亜子の手をそっと握る。
「亜子さん、がんばってください。きっと歩けるようになりますよ」
亜子の前で微笑むナギ(ネギ)。
「ネギ君もよく演出してくれるわね」
裕奈がそういう横で千雨と真名はナギ(ネギ)を見つめていた。
(おい、あれってやっぱり)
(ああ、ネギ先生だな)
こそこそ話もすぐに切り上げ散らばる二人。
亜子にとってはとても幸せな一日が過ぎていった。
「…亜子、また来るからね」
卒業式も終わり病室に残っていたのは裕奈と亜子だけだった。
ネギは医者に伝えたいことがあるからと言って病院に残った。
「うん、ええで。待っとるわ」
にこりと微笑んだ亜子を残して病室を後にする。
「…」
裕奈は亜子のあの笑顔を思い出す。まるで無理をしているようにも強がっているようにも見える笑顔。
少し気にしすぎかなと思うが、どうしても気になる。
「あっ、私の卒業証書!」
うっかりして自分の卒業証書を亜子の病室に忘れてしまった。
急いで引き返して病室に向かう、あと少しで面会時間が終わってしまう。
自慢の脚力を使って階段を上った。
「えーと…ここだね」
亜子の病室が見えた。扉に手を掛けた瞬間、扉の奥で何か音がした。
「これ…ベースの音」
扉を開けると亜子が小さなベースを弾いていた。
「…ゆーな、どうしたん?」
「いや…私の卒業証書を忘れちゃって…」
裕奈は自分の卒業証書を拾うとベースについて尋ねた。
「…弾けへんのや……」
震える指を見ながら涙する亜子。
「肝心なところで全く指が動いてくれへん…もう直ったはずやのに!」
ベースのように繊細な楽器は指が命だった。
しかし亜子がベースを操作すると必ず指が痙攣を起こして動かなくなる。
「…なんでや……なんで動かへんのや…」
もう直ったはずの右腕を見つめる亜子。
「どうしてなんや!!この足も!!!」
痙攣した指を力の限り握り締め、ギプスで固められた足を叩く。
指がまた震えるがそれでも叩き続けた。
「動け!動け!動けぇぇぇ!!」
「亜子!止めて!せっかく直りかけてるのに!」
裕奈が手を掴む。
「離してぇ!直っても言うこと利かん手足なんかいらん!」
亜子が声を上げて暴れだす。
「ウチは何も出来んかった!アキラも春日さんも助けれんかった!円かてウチがしっかりしとったら
狂わずにすんどったんや!!」
両手が真っ赤に腫れ上がったところでギプスを叩くのをやめた。
「もう嫌や!何もかも嫌やぁ!!みんな優しくしてくれるのにウチは何も出来ん……
今日かてナギさんが来てくれたのに、そこまでされたら…ウチ…弱くなれんやん……」
本当は自分の弱いところを見てほしかった。何もかも忘れてナギに抱きつきたかった。
だけど出来ない。そこまでしてくれたみんなやネギに悪い。
みんなを第一に考える亜子にとってとても耐えがたかった。
「ウチが何か悪いことしたんかぁ……何でウチがこんな目に遭わなならへんのやぁぁ……
…ゆーな教えて!……何でなん!…何で………うぅぅぅぁぁ……うわああああああああああ…」
我慢していたことがすべて表に出た、歯止めは利かない。
親友の目の前で言いたい本音をすべて曝け出した。
言うだけ言って泣きじゃぐる亜子。
その親友をただ黙って見ているしか出来なかった裕奈。
「…」
そして偶然にもその会話は、帰ろうとしたネギの耳にも届いた。
「……亜子さん」
病室の前でネギは俯いていることしか出来なかった。
申し訳ありませんが今日もまた仕事で力尽きてしまいました。
明日で本当に最後にいたします。
最後の分岐エンドですが、仕事が今週一杯忙しくなること確実なので
明日から一週間後に投下を予定したいと思います。
もう疲れきったので早めに寝ることにしますそれでは…zzz
>>474 GJ!!!
続きはwktkですが作者1さんのリアルの方がずっと大事です
どうか無理せずがんばってください
あーやっぱ切ないなぁ
てか超のこととか収拾つくのかな
とりあえず作者1さんGJです!仕事忙しそうですが、どうか無理せずに
続き楽しみに待ってます
なぁ、一週間どないしょうか?
リレーでもやってみぃひん?
リレーとかwwwねーよwwwww
1人でやったらリレーなんねぇじゃん
やってみれば?
作者1さん、GJ!!
やってみれば?
そういえば、10部作者は誰になるんだ?
予約済みで、投下準備完了してる作者どれくらいいる?
…作者、逃げた希ガス
皆さんお久しぶりです〜。
久しぶりに来てみたら作者1氏が再び連載しているではないですか。
相変わらず素晴らしいですね。美空があんなに活躍したのは初では?GJです。
それでですね、私も作者1氏に再び触発されまして、
ネギロワ2作目を執筆しておるのです。
よろしければまた私も作者予約に加えてもらえないでしょうか?
久しぶりにきていきなりこんなこと言うのもなんですが。
よろしくお願いします。
失礼だけど作者6さんって何部書いてたっけ?
基本的に数字と書いた部数は同じだぞ。
ちなみに、6部は木乃香のみが生き残ったやつな。
なかなか好きだったんで、期待してます。執筆がんばってください。
作者6さん頑張って下さい このスレに神風を!!
それでは亜子エンド、最後の投下を始めます。
《95B.麻帆良のために》
ネギ先生、お元気でしょうか?
あれからもう5年の月日が流れ、私は麻帆良に残っています。
教師の勉強も大変そうですが私はいつでもネギ先生を見守っています。
もうすぐ麻帆良に帰ってくると思うと私は居ても立っても……
「ふぅ」
あやかは会計簿を書く手を休めた。カップを取って紅茶を飲む。
バトルロワイアルが行われてもう5年、あやかは麻帆良学園の運営の手伝いをしていた。
あれから色々な事があった。
沢山の死を埋め合わせる為のあらゆる作業。
あやかが頼み込み、雪広財閥そうバックアップで壮大な葬儀が行われ、あやかたちは必ずそれに参列した。
そしてその葬式であやかは明日菜の写真の前で泣き崩れた。
その横では大切な人を失い悲しみに暮れる高音や小太郎の姿も。
イギリスへの名門大学への留学の道もあったが、あやかはそれをあえて蹴った。
今必要なのは学歴やプライドではなく、確固たる意思。
今度ある学園祭の計画表や運営はあやかと高音を中心に急ピッチで進められた。
書記と会計をまとめてやるものだから忙しい。
ピンポーン。
玄関先で、来客を知らせるチャイムが鳴る。
あやかはパタパタとスリッパの音を立てて向かう。
「あやか姉ちゃん!手伝いにきたぜ!」
小太郎が尋ねてきた。
見上げるほどの身の丈にいい体格をしている青年に成長した小太郎。
彼も彼なりに生き方を見つけ生きている、真っ直ぐ前を見て生きようとする瞳。
自分たちがなくしてしまったものを、あやかは見たような気がした。
そして、彼や新しくこの学園に足を踏み入れる者達の瞳を、自分が味わったような惨劇で汚してはならない。
固く心に誓いながら、あやかは言った。
「分かりましたわ。麻帆良学園のために頑張りましょう」
《96B.ダ・カーポ》
「久しぶりだな、龍宮さんよ」
「そうだな…」
二人は偶然にも再会を果たした。
龍宮真名と長谷川千雨、あのフェリーからの生還者。
5年前、卒業式の後に忽然と姿を消した真名。
そして自分の生活に戻った千雨。何だか懐かしい感じがした。
二人はその足で3−Aの慰霊碑へと向かった。
ガラス越しにゲートの中を覗き込む。
濃紺の石で作られた慰霊碑が、薄暗い中に浮かび上がっているのが見えた。
犠牲になった生徒の名前と出席番号が刻み付けられた碑だ。
なんて多くの名前が刻み付けられているんだろう…
「…今まで何処にいたんだ」
「ちょっと…な」
あまり多くを喋りたがらない真名、茶を濁すようして押し黙る。
「……あれか、5年前のあのことを追っているのか」
「…」
5年前、自分たちのいた3−Aクラスが崩壊した。
その原因はバトルロワイアルと言うなの殺人ゲームが行われたからだ。
あの日以来、真名はその事件の詳細と実行犯の超鈴音の行方を追っていた。
どんなに追い詰めてもその部隊や組織は逃げられた後、巧妙な情報伝達能力と緻密な計画。
さすがの真名も個人では追いきれないことがあった。
それに超の行方も分からない。
「…私は行く、長い出来ないんでね」
「ちょっと待てよ」
すぐに立ち上がる真名を呼び止めた。
「…私にも協力させろ」
それは思っても見ない提案だった。あの千雨が自分から協力を志願してきたのだ。
「やめておけ。これはお前で解決できるものではない」
「分かってるさ。でもな……許せないんだよ…私は」
千雨の拳が強く握られる。
「こうやって普通の生活をしてても…私の心はまだ5年前のあの時のままなんだよ…」
「長谷川…」
正直、返答に迷った。
この問題は自分個人だけの問題ではない、クラス全体の問題だ。
こんなことを言ってくるやつがいると思った。
「…やはり、止めておけ」
真名は協力を拒んだ。戦いに赴くのは自分だけでいい。
「…そうか」
そう言うと千雨は鞄から一つのCD-ROMを取り出した。
「これは?」
「私の作った特殊なツールさ、使い方はテキストで中に入っている」
自慢気味にそういってそれを渡す。
「そうか、すまんな」
そう言って真名は何処かに消えていった。
「やっぱ駄目か…」
千雨はため息をついた。
何の変哲もない日常。千雨の望んだことだ。
「…あんなもん見せられて…今更普通の日常に戻れるかよ」
魔法や殺し合い、人が懐中時計で消える瞬間まで見てしまった。
今度は何が来る、UFOか?ネッシーか?アトランティス大陸か?もしや火星人か?
もう何が来ても驚かなくなった。
「…」
千雨は春日美空の欄を見た。
ボロボロになったフェリーの中から美空の死体は見つからなかった。
あの爆発でばらばらに吹き飛んでしまったのだろう。
ただ、焼け焦げたロザリオが瓦礫の下から発見された。
遺族の了解を得、そのロザリオは現在千雨の所有物となっている。
焦げた臭いが鼻を突いたが、大して気にはならない。
見つめている内、だんだんとロザリオの輪郭がぼやけて滲んでいく。
最後の最後にいい格好して自分たちを助け死んでいった。そこまでして生きろと言っているのだ。
千雨はそのロザリオを握り締め、泣いていた。
帰り道、空を眺めていると超の顔が浮かぶ、ゲームを主催した張本人。
千雨は超が何処に消えたか知っている。
フェリーで死闘を演じて、手足を撃ち抜かれたときにそれを見た唯一の生存者。
だがそれを真名に教えたところでどうすることも出来ない。
自分たちはこの世界で生き、5年も過ごした。過ぎた時間はもう戻せない。
抜け殻同然の亜子があそこまで頑張れたんだ、人間の可能性をもっと信じたい。
だからこそ超に問う。
「超、またか…また繰り返すのか……初めから…」
この世界を生きる千雨にとって、それはあまりにも悲しい一言であった。
《97B.5年越しの真実》
和泉亜子という人物が麻帆良高校に進学を果たした。
5年前、あの殺人ゲームに巻き込まれ、亜子の体は大きく傷ついた。
亜子が自力で外に出られるまで1年。
それまではあやかや裕奈の力を借りないとベッドから起き上がれない状態だった。
動くようになった右腕も使い、松葉杖をついて賢明に前へ進む。
走ったり飛んだりと自由に動かせるようになるまでさらに一年半。
気づけばもう4年も経過していた。
4年経ったにもかかわらず身長は3センチ縮んでいる。両足粉砕骨折で足の長さが短くなってしまったのだ。
さらに右足と左足とで長さが1センチ近くも開いていた。
右足だけ垂直になった状態で固定している。もう亜子の右足首は二度と曲がらなくなっていた。
ベース関連のものも弾かなくなっていた。
亜子の右腕の指先は半分麻痺に近い状態になっており、思い通りに動かせなくなった。
そのため今は左手で生活している。
食事も字を書くのもすべて左手。当然不便に決まっている。
今まで使っていた右手の代わりに左手でやる訓練もとても大変だった。
それもすべてみんなのために、死んだクラスメイトのために生きるため。
卒業後の半年近くはずっと無気力な生活が続いていた。
魂が抜けたかのような落ち込み方、もう死にたい。
一度、自殺未遂にまで発展したことまであった。
今は裕奈やあやかたちの励ましで乗り越え、必死に生きる道を選んだ。
必死に勉強して復学、ようやく麻帆良高校に入学できた。
それまでの生活観がガラッと変わり、不自由な生活を強いられた亜子にとってとても辛い1年だった。
それでも自分のクラスの人たちは、そんな亜子のことを優しく迎え入れてくれた。
時には笑いあい、時には助け合い。
そして亜子は2年に進学。クラスは2−Aだった。
「2−Aか……懐かしいな」
「ねぇ亜子、知ってる?今度の担任って年が15歳らしいよ」
「へぇ、そうなん?初めて聞いたわ」
クラスメイトに聞かれてもそのときはパッと来なかったが…
ガラッ
「おっ!噂をすればなんとやら」
騒がしかったクラスが一斉に静かになる。
(高畑先生)
そこに姿を現したのは高畑だった。
「えーと、これから紹介する担任だが…」
その担任が教室に入る。
「え…」
亜子には見覚えのある人物、5年前のあの人にそっくり…
その人物は教卓に移動し、こう言った。
「はじめまして、僕は……」
ほんの少しの間だけ亜子と目が合う。
「……ネギ・スプリングフィールドです」
その瞬間、亜子の目から涙が一筋零れ落ちた。
「教える科目は英語で…その……亜子さん?」
ネギが亜子の方を向いた。
5年ぶりの再会、嬉しさで涙が止まらない。
「………おかえり…ナギ…いや…ネギ先生」
終
これで亜子エンドは終了です。
いろいろ引っかかる所はあると思いますが、それはすべて一週間後に投下する
真・エンドで明らかになる予定です。
それでは…
GJ!!作者1さん、乙です。
1週間後、楽しみにしてます。
GJです!!
作者6氏がまた書いてくれるのは嬉しいのだが
予約している作者が姿を現さない。
こんなことなら9叩くんじゃなかった…
まずは作者1氏乙。そしてGJ!
真エンドへの引きはさすがとしか言いようがないです
最後に15才ネギとの再会(?)はベタなのに引き込まれてたせいで素直に感動しました!
こいつは1週間後が楽しみです
作者1氏や作者6氏のように好きな職人様がこうして帰ってきてくれると
嬉しすぎて涙が出る・・・
作者6氏、頑張ってください!
あとは司書さんの次回作が見たいな〜
そろそろリレーきぼんぬ
個人的には大東亜共和国(原作バトロワの世界)準拠のガチバトルが見たかったりする
ところで作者のみなさまに質問
リレーするとして自分が書きたい(担当したい)キャラは?
だからリレーはここではやらないってずっと前から言ってるだろ
あっちの春スレで勝手にやれって。
何部か先の部をリレー用として、予約しておく案もでているだろ。あくまで案で決定とかは全然してないが。
それに、似たようなスレを複数立てるのは板全体の迷惑になるんじゃないか?
つかもう厨のせいで立ってるし.。
削除依頼出してもごみ箱未満なマロンはめったに削除されない
どうせなら有効に使ったほうがいいだろ
十番目の作者はまだ決まっていないようだな。
なんとなしに書いた部分的なくり抜き小説、まぁ短編みたいなもんを投稿するのってありなのか?
その前後の設定とか小説とかは全然考えてないんだが。
とりあえず誰か投稿していいのかどうか教えてくれ。
できれば短編スレに投下してほしい 漏れ的にはいいんだけどここだと非難の対象になる
前に投下されたクギミーと柿崎の短編くらいクオリティ高ければ文句はない
いや、非難の対象になるのは連載中に投下するからであって、今みたいな間なら問題ないんじゃないか?
まぁ、立ってしまったスレを有効利用するなら向こうでいいかもしれないが。
つまり
短編>箸休め代わりなんだから本編のインターバルにだけ投下汁
リレー>ここを他の厨ロワみたいにつぶす気か? 冗談はチラシの裏に書け
ハカロワやどれロワみたいな神揃いの作者連ですらモメたんだぞ
でFA?
511 :
505:2006/03/31(金) 22:24:05 ID:???
ということは、この間に投下するのはOKってことでいいんだな。
>>507 クオリティ高いかどうか自分じゃ判断できない。
低いと判断したら適当に文句言ってくれ。自分の身の程が判るから。
今から投下させてもらうけど、言ったとおり、前後の話とかはぶっちゃけると考えてない。
一応それだけ言っておきます。んじゃ僭越ながら投下。
512 :
505:2006/03/31(金) 22:29:09 ID:???
「なんで……こんなことになったんだろ……」
森の中、大雨が降っている中で、出席番号28番・村上夏美は呆然と立ち尽くしていた。
大雨が降って全身はずぶ濡れで、流していた涙も雨水と一緒に重力に逆らえずに下へと流れていく。
夏美は自分の前に聳え立っている大きな樹木の根元へと視線を向ける。
そこには、ついさっきまで人であり、今はもう人ではない”モノ”が左胸から大量の血を流して、
大きな樹木に寄りかかっていた。
「どうして……私達がこんな目に遭わないといけないのかな……」
夏美はその人だった”モノ”に話し掛けるように、独り言をポツリと放つ。
その人だった”モノ”が何か返すわけもなく、雨音だけが空しく耳に届く。
「ちづ姉……幸せそうな顔だね……」
目の前にある人だった”モノ”の名を呼び、その表情を見て夏美はまたポツリと呟く。
人だった”モノ”、出席番号21番・那波千鶴の死に顔は、何故だかこれでもかというほどに幸せな笑顔。
一体彼女は死に際に何を思っていたのだろうか。どうして、こんなに幸せそうな死に顔なのだろうか。
夏美はゆっくりと那波千鶴だった”モノ”に近づき、そっとその前にしゃがんで、その顔に触れてみた。
人としての温もりは当の昔に消え去り、雨水と同じ温度が手に伝わる。
「ちづ姉……。ちづ姉が、最期に私に何を伝えたかったのか、私には判らないよ、ごめんね……」
夏美は両の手をしっかりと彼女の頬に当て、微笑を浮かべながら呟く。
「もう一つ謝りたいことがあるんだ……。多分、私もすぐにそっちに行くと思う。もし、
『夏美は生きて』って願ってたら、その願いは守れないかも。だから、ごめんね……」
そう言いながら、夏美は手を彼女から離し、ベルトに挟んでいた拳銃二丁を両手に一つずつ持って、ゆっくりと立ち上がる。
513 :
505:2006/03/31(金) 22:30:41 ID:???
「せめて……、私の最後かもしれない生き様ってやつ……そこで見てて……」
にこりと微笑み、そう呟いた瞬間、夏美は体をすぐさま反転させて両手の銃を構えて引き金を引いた。
ドンッ、ドンッ。
二度の銃声が響き、二発の銃弾が一直線に”誰か”に向かって飛んでいく。
しかし、その”誰か”は即座に木に身を隠して銃弾を回避した。
夏美は拳銃を下ろさず、その”誰か”がいるほうへと構えたまま、鋭い目つきでその方向を睨む。
「不意打ちなんてセコイ真似してないで、正々堂々と出てきたらどうなの?」
雨音で声がかき消されないように、大きめの声で夏美が相手に言い放つ。
その声が届いたのだろう、木の陰に隠れていた”誰か”が、ゆっくりと姿をあらわした。
その相手を夏美は憎悪に満ちた目で睨みつける。
「……あんたがやったんだね?」
千鶴だけでなく、多くのクラスメイトを手にかけたのかという意味を込めて、夏美は問いかけた。
それを相手も察することが出来たのだろう、相手は何も言わずに口元を三日月のように歪ませて笑うと、
右手の指を四本立て、左手をパーにして右手を重ねた。
それが何を意味するか、すぐに夏美は理解し、さらに怒りの表情を浮かべた。
こいつは殺したんだ。笑いながら両手で示した、九人のクラスメイトを。
「許さない……、絶対に許さない……」
夏美はしっかりと両手の銃を握り、引き金に人差し指をかける。
「あんたは私が……この手で殺す」
夏美はそう呟き、相手を見据えてその名を叫んだ。
「アキラァ!!!」
その叫び声に続いて響く二発の銃声。
それが、殺し合いの合図だった。
え、おわり?
515 :
505:2006/03/31(金) 22:54:29 ID:???
うん終わり。
前後はぶっちゃけ考えてない。いや、後は考えてないわけじゃないんだが。
銃撃戦が苦手なもんで、はしょってるから楽しみないと思って投下してない。
それでいいなら謹んで投下するけど、それってどうよ?
名前欄消して投下して
「これが……あんたの最期だよ……」
夏美は地に伏せているアキラの頭部に銃口を向け、悲しそうな表情を浮かべて呟いた。
苦しそうに息を乱し、撃たれた肩に手を当てて顔を苦痛で歪めるアキラ。
あんなに綺麗で優しかったのに、こんなにも変わってしまうなんて。夏美はふとそう思い、悲しい表情が一層濃くなった。
「ふ……ふふ……あははははは」
突然、アキラが笑い出した。それは今まさに死ぬ寸前の恐怖からの乾いた笑いでなく、まるで夏美を嘲笑っているかのような笑い。
「貴女に人が殺せるかな、村上さん」
「……どういうこと……?」
銃口を向けたまま、夏美はアキラに問いかける。
するとアキラはまた小さく声を出して笑った。
「私を殺して、貴女がこのまま生きて帰っても、”人を殺した”という重圧に押しつぶされる。貴女は争いが嫌いな平和主義者、
そんな貴女に人を殺せる? 殺せたとして、これからそのことから逃れられると思う? まだ一人も殺してないんでしょ? 私を殺したら、
”人を殺した”という事実に押しつぶされて、貴女は必ず精神的崩壊の一途を辿るだけよ」
アキラは追い込まれてるにも関わらず、まるで冷静にそう言う。
夏美は驚きと不安が混ざったような表情になる。アキラが言っていることは、きっと本当のことになるだろうと予想がついたからだ。
「それでも私を殺せる? 貴女に私を殺すことが出来る?」
アキラはそう言い、今度は大きな笑い声を上げた。夏美に自分を殺すことなんて出来ないという自信でもあるからだ。
夏美もいざその瞬間が訪れて、明らかに迷いがあった。自分の手で人を殺すという恐怖、それが自分の心を蝕んでいく。
(ちづ姉……私、やっぱり出来ない……)
夏美は不安に押しつぶされそうになりながら、目を瞑って心の中でそう呟いた。
――――何があっても、どんな苦しみがあろうと、生きてください、夏美さん。
――――夢に向かって突き進んでみなさいよ。きっと、幸せに近づけるわよ。
その時、あやかの最期の言葉が、アスナの励ましの言葉が蘇ってきた。
自分のために言葉を投げかけてくれて、自分のせいでこの世を去った友たちの言葉が。
(いいんちょ……アスナ……)
二人のことを心の中で呟いたとき、彼女の声が聞こえてきた。
『夏美、私達の分も幸せになって。苦しいことがあっても、一生懸命に生きて』
幻聴かと思った。けれど、夏美にはしっかりと聞こえた。
今は亡き、最愛の友である千鶴の声が。
夏美は瞑っていた目をそっと開けて、視線を少しだけ空に向けた。
いつのまにか、あの大雨も止んでいる。見えるのは真っ青な空。
そんな空を見て夏美は小さく微笑むと、改めて地に伏せているアキラを見据えて銃口を向けた。
「殺せるの? 私を殺して、貴女はのうのうと生きていけるの?」
嘲笑を浮かべてアキラは問い掛けてくる。
そんなアキラをしっかりと睨みつけて、夏美はゆっくりと口を開いた。
「私は、生きなければならないの。それが、私のせいで死んだいいんちょやアスナ、それから……ちづ姉の願いだから。
生きることは、私の願いじゃない。強いていうなら、私の”使命”だよ」
そう答え、夏美は人差し指に力を込めて引き金を少しだけ引く。あとほんの少し力を加えれば、銃弾は発射される。
アキラは夏美の目を見て本気だとわかり、さっきまでの余裕さを完全に無くしたように不安の表情になった。
「し、使命なんて綺麗事じゃない! 私を殺したら、貴女はその事実に押し潰されるだけよ!!」
声を荒げてアキラがそう言うが、夏美は動揺せず、口を開いた。
「私はその事実から逃げない。止めどない苦しみが生まれたとしても、いいようのない不安に苛まれたとしても、私は生きる。
生きて、生きて、生き抜いて、みんなの分まで生きてやる。みんなが空から安心して見守ってくれるように、強くなってやる。私は……負けない」
「そ、そんなこと、偶像でしかないじゃない!! そんな偶像、すぐに壊れるに決まってる!! 人間なんて、そんな簡単に強くなんてなれやしないわ!!」
全てを悟っているかのようなセリフを叫ぶアキラ。
けれど、夏美はそんなアキラを見てやはり動揺せずに言葉を続けた。
「ちゃんと強くなるまでは偶像でいい。いつか私がちゃんと強くなるその時まで保てばいいの。私は出来るよ」
「嘘だ!! 出来るはずがないわ!! 貴女なんかに!!」
「アキラちゃん、一つ忘れてない?」
ポツリと夏美が呟き、アキラが言葉を止める。
すると夏美はアキラに小さく微笑みかけた。
「私は演劇部員。本当に強くなるまで、その偶像を演じ続けることぐらい、出来るよ」
夏美の言葉を聞いたアキラの表情は愕然とし、諦めや絶望に似た表情になった。
理解した。夏美の心は揺るがないと、もうその手を止めることは出来ないと。
夏美は微笑みだった表情をまた悲しみに染め、銃口をしっかりとアキラの頭部に定める。
「お別れだよ、アキラちゃん。みんなのところに送ってあげるね……」
夏美がそう呟き、ゆっくりと目を瞑る。
「……さよなら……アキラちゃん……」
パーンッ。
最後の銃声が島に響き、戦いの終わりを告げた。
【出席番号6番・大河内アキラ 死亡】
名前欄消すって意味が良く判らなかったので名無しに戻って投下した。間違ってたらごめん。
改めてこれで終わりです。駄文失礼しました。
GJ!
…と言いたい所だが自分的にはアキラの壊れ方がイメージしにくいかな。
でもよかったですよ。
俺はよかったと思う 長編のほうも書いてほしいくらいだ
少なくとも中学生の喋る言葉ではないな
でも悪かないよ
アキラ壊れてんのかな?と思いきや、最後まで悪だったから
アキラがこうなった過程が気になって仕方がない
何が言いたいかといえば、
YOU長編書いちゃいなYO
アキラはなんだかんだで、ちょっと壊れは入ってたりするけど。
本当にね、この短編は前の話を全く考えてないから。申し訳ないけどな。
長編は難しい。ネタがないってのもあるが、時間もないからな。
あと引っ越すからネット当分できないし。
思ったよりも悪くないコメントもらえて本当に嬉しい。
これからもここには来させてもらうから、気が向いたらまた投下させてもらうよ。
俺なんかの駄文にコメント来れた奴に本当に感謝。
べ、別にアンタの作品を誉めたわけじゃないからね!勘違いしないでよ!
>>527 じゃあその絆創膏だらけの手に持ってる二つの弁当箱は何だ?
529 :
マロン名無しさん:2006/03/32(土) 02:14:50 ID:j77/R/yI
こ、これはあたしが両方食べるの!!
あげちった…スマソ
つか日付が…w
性転換の上そのまたバトロワ、という荒行に挑戦する人はさすがにいないか。
1部〜9部生存率ランキング 矢印の横の数字は前スレ455-456での順位。
※数字は終了したエンドのみで計算した生存率。 順位は未完のルートも含めた順位
※1部は1ルートにつき4分の1で計算 3部・8部は1ルートにつき2分の1で計算。
※8部亜子ルートの超は消滅となっていますが、カシオペア使用っぽいので生存判定。今後の展開や作者から何かあれば修正します。
1位 2↑桜咲刹那 58.3% 刹那 2部BAD 3部改訂 4部アキラ 7部 9部
2位 1↓近衛木乃香 47.2% 刹那 2部BAD 3部改訂 5部 6部
3位 3→明石裕奈 41.7% 1部 古菲刹那 2部BAD 3部 7部 亜子
4位 5↑龍宮真名 38.9% 2部BAD 3部改訂 5部 亜子
5位 4↓長谷川千雨 36.1% 千雨 2部BAD 5部 8部亜子
6位 14↑神楽坂明日菜 33.3% 2部BAD 3部改訂 9部
7位 7→那波千鶴 27.8% 2部BAD 3部 4部アキラ
13↑釘宮円 27.8% 3部 7部 9部
9位 8↓朝倉和美 27.8% 2部 3部改訂 8部
10位 12↑長瀬楓 25.0% 古菲 2部BAD 3部改訂
11位 5↓早乙女ハルナ 22.2% 3部 4部アキラ 8部
14↑鳴滝史伽 22.2% 4部アキラ 5部
13位 9↓古菲 22.2% 1部 古菲 3部 4部
14位 10↓大河内アキラ 19.4% 刹那 2部BAD アキラ 8部
10↓宮崎のどか 19.4% 1部 2部BAD 3部 アキラ
16位 17↑雪広あやか 19.4% 刹那 7部 亜子
17位 22↑和泉亜子 16.7% 2部BAD 亜子
18位 16↓エヴァ 13.9% 刹那 BAD 3部改訂
19位 18↓春日美空 11.1% 3部改訂 アキラ
20位 18↓超鈴音 11.1% 3部 亜子
21位 22↑綾瀬夕映 11.1% 2部BAD
22↑佐々木まき絵 11.1% 4部アキラ
22↑四葉五月 11.1% 4部アキラ
24位 18↓絡繰茶々丸 *5.6% BAD 3部
18↓村上夏美 *5.6% 8部
26位 26→柿崎美砂 *2.8% 1部
27位 27→鳴滝風香 *0.0%
27→椎名桜子 *0.0%
27→葉加瀬聡美 *0.0%
27→ザジ *0.0%
刹那と木乃香の順位が逆転。明日菜が大幅ランクUP
今回は3部改訂版、8部亜子ルート、9部の分のデータを一気に入れたので順位変動が多いです
が、0.0%な人たちに変動なし。 双子の生存率の差はどこから来るのか・・・
平均遭遇人数です。 死体発見の場合や、相手が誰かわかる前に攻撃して逃げた場合でもカウントしています。()の中身は生存率での順位です。
会ったと言えるかどうか微妙なところがかなりあるので、他の人が集計したら結果が違ってくると思います。
助けがきたりした場合等で集合した後の場合、死者のみノーカウント
1位 ( 1) 桜咲刹那 11.14人 16位 (18) エヴァ 6.67人
2位 ( 4) 龍宮真名 10.19人 17位 (11) 早乙女ハルナ 6.44人
3位 ( 5) 長谷川千雨 9.44人 18位 ( 7) 那波千鶴 6.11人
4位 ( 3) 明石裕奈 9.14人 19位 (27) 椎名桜子 5.44人
5位 (14) 大河内アキラ 8.78人 20位 (21) 綾瀬夕映 4.89人
6位 (20) 超鈴音 8.56人 21位 (16) 雪広あやか 4.56人
7位 (17) 和泉亜子 8.06人 22位 (13) 古菲 4.28人
8位 (24) 絡繰茶々丸 7.94人 23位 (21) 佐々木まき絵 4.22人
9位 (14) 宮崎のどか 7.83人 (27) 葉加瀬聡美 4.22人
10位 ( 2) 近衛木乃香 7.81人 (11) 鳴滝史伽 4.22人
11位 ( 6) 神楽坂明日菜 7.75人 (24) 村上夏美 4.22人
12位 ( 9) 朝倉和美 7.61人 27位 (21) 四葉五月 4.00人
13位 (10) 長瀬楓 7.31人 28位 (26) 柿崎美砂 3.72人
14位 (19) 春日美空 6.83人 29位 (27) 鳴滝風香 3.11人
15位 ( 7) 釘宮円 6.78人 (27) ザジ 3.11人
31位 (―) 相坂さよ 2.89人
遭遇率の高い組み合わせ
89% 近衛木乃香-桜咲刹那/鳴滝風香-鳴滝史伽
78% 絡繰茶々丸-エヴァ
72% 明石裕奈-大河内アキラ/明石裕奈-釘宮円/神楽坂明日菜-絡繰茶々丸
537 :
◆4PrNzn9VH2 :2006/03/32(土) 19:17:58 ID:IkeVkNij
てすてすてす
誤爆です ごめんなさい
引越しでしばらく顔出せませんでした。作者1氏、作者9氏乙です。
ちなみにニ部作マターリ書いてます。どうにも時間がなくて……。
ある程度できたら正式に予約したいと思います。
ひさしぶりです
あまりに9氏が叩かれていたので
自分もちょっと不安になりました
まだ投下はできません(ちょっとやってみたいことがあるので)
ご迷惑をおかけして申し訳ありません
司書さまお帰りなさいませ。
新作楽しみにしてます
次誰だよ
そして誰もいなくなった
原作とは極端に違う設定でもかかれていなければ、そこまで叩かれることはないと思うぞ。
どうしても不安なら、最初の1、2話だけ投下して、文章としてのレベルや
どこを直した方がいいかを聞いて、それで直すなり投下するなりもいいだろ。
1、2話だけとかじゃなくて、書下ろしでの短編もアリな。
それに、叩かれても、きちんとどこが悪いか言ってくれる人もそれなりに多いから、得られるものも多い。
怖がらずにどんどん投下していいと思うぞ。投下前に順番いいか聞いてからだけどな。もちろん。
>>544 なかなかいいこと言うね、俺もその意見に同感だなw
547 :
宮田 一郎:2006/04/02(日) 02:23:06 ID:???
チャナ、SSのコツはな…、設定と ハートだぜ。
もういっそこのスレ終わりでいいんじゃねえの?
ネギベルから変なのが流れ込んでるようにしか見えないし
一人で終わってな
ネギまDEベルサイユのばら
>>544 とりあえず短編を投下して皆さんの反応を見てから投下します。
まだ短編も投下できませんが、頃合いを見て投下するつもりです
保守
現在執筆中なんですが、少し質問させてもらいます。
その場にいるけど、口を開かない人がいる場合ってやっぱり読んでいて気になりますか?
8人ほどそろっている状況で会話させているんだけど、どうしても3、4人しか会話に参加させられずに、残りが黙りっぱなしになってしまいます。
やっぱり、書いた文の口調とかを変更してしゃべらせた方がいいでしょうか。 それとも、しゃべる必然性がない会話の場合は黙らせっぱなしでも問題ないですかね。
んなの聞かれたってわからんよ、状況次第でどっちも有り得る
そんくらい自分で判断しぃ
確かに状況次第ですね。わかりました。
出来る限り自分の文章力を信じて、自分のいいように書いてみたいと思います。
こんな質問に答えていただきどうもありがとうございました。
同じところを何度も書き直してしまったり、書いてる時間がかなり不規則で完成時期は未定ですが
完成したときはよろしくお願いします。
暇
次の作者は誰だ
この際次の作者出るまでは短編でもいいから誰か燃料を……
「ジュ…ジュース分が足りないです…
くっ…こ、このままでは…誰か…ジュースを…
う……胸が…ハァ、くっ苦しいです…
禁断症状が……ひっ…死ぬ………………あ……
……………………うひっ…………」
その後小一時間全裸でハピマテを熱唱し続け、心臓発作で死亡
全編通して凶人化してないキャラが結構いるよな?
俺のあいまいな記憶では
さよ・朝倉・裕奈・亜子・柿崎・明日菜・釘宮・古・史伽・いいんちょ
だが、間違ってるかも
みんな正義感強いんだよ。
柿崎(第五部)・くぎみー(第八部)・史伽(第七部)は凶化確認。
何部になるかは知りませんが予約を入れさせて下さい。
一応今日、最後までは書き終わりましたので、もうちょっと推敲してようと思います。
今現在はすぐに投下できそうな作者がいないっぽいから
見直しが早めに終わればすぐに投下できるかもな。
ただ、早く投下することよりも、作品のクオリティを上げることをがんばってください。応援してます。
見直ししながら投下すれば?
予約してるのいないのか?10番以内希望とかいうやつどうした?
>>562 凶人=恐怖or復讐心で狂っちまった奴と定義するなら千雨と龍宮も全編通して凶人化してないはず
あの二人は冷静に殺してってるし
とりあえず今投下準備できてるorもうすぐできそうって香具師いないの?
10日ぐらいになっても10番に予約した香具師が現れなかったら、今準備できてる香具師が投下してもいいんじゃね?
十日も!待てない!
三日でいいんだよ三日で
最も、投下準備できてる奴がいたらだけど
一応見直すだけなら二、三日あれば十分だと思います。
>>570 一週間弱って意味だったんだけど、たしかに三日あれば投下できる香具師がいるなら三日でいいか
>>572以外にいなければ、だけど
丁度作者1が投下する次の日あたりだな
4月に入って勤めている会社の工程のリーダーになりました。
そのためさらに忙しくなりました、かつて1部を投下していたあのころが懐かしいです。
真・エンドの投下は少し遅れて金曜の夜になりそうです。
質問ですが、今日マガジン本誌で明日菜が告白しましたが、書いてる中では学祭後でまだ告白してないことになっています
それがストーリーに関わってくることはないんですが、そのままでも説明すればご理解頂けるものでしょうか?
それともやはり修正するべきでしょうか
それくらい自分で判断しろよ
基本的に修正したほうがいいが、あまりに手間がかかりそうな場合はしなくてもいいと思う。
結局は自身の判断だな。
>>575 おめでとうごさいます! お忙しいでしょうが頑張って下さい
なんか今、投稿の順番めちゃくちゃだな。
予約してた?氏はどこへ行った?
>>582 やっぱそれか
にちゃんだしある程度の批判はハナから覚悟しとけと言いたいが、批判する側も相手の技術向上に貢献するような批判した方がよかったと思う
そういう意味じゃ叩かれまくっても最後まで投げなかった9氏は偉いな
作者9を見て投下をためらうような作品なんてどうせ駄作だろうから別にいいよ
つうかあん時は調子に乗ってた奴らが沢山いたからな
執拗なまでにけなしてたし
あのときの最後の方は叩ければなんでもいい、って感じなやつもいたな。
いい作品を書いてもらいたいとか、そういうのが一切なくて他人を攻撃するのが楽しいと思ってそうな感じのやつ。
そういうのはスルーが一番だな。
ただ、作者9にもそれなりにちゃんとした批判や
いい部分をきっちりほめるやつもいたし、そこまで他の作者もそこまで怖がらないでもいいと思う。
早い話が、次の部も楽しみです。
なんにせよ、皆読めたらいいんだろ?
でも駄作でもその作者が一生懸命に書いたんだから
叩くのは程々にした方がよくね?それで誰も書かなくなったら誰が責任取るんだよ
回を重ねる毎に読んでる俺たちの目も肥えちゃったからなあ・・・
ぶっちゃけネギロワを漫画化してほしいw
もしそうなったら俺絶対買うし、皆もそうだろ?
で、作画は誰が?
8部で絵描いた人に一票
漫画化は非現実的だが、名場面ごとにイラストつけて小説化はできそうだなw
ラノベ
もしくはよくあるノベルゲームみたいにやってみるとか。
それなりに絵をかける人がいないと成立しないけどな。やっぱり。
定期age
ノベルゲームなら専用のツールとフリーの背景と音声素材さえあれば作れるかもな
それでもかなりの時間と苦労がかかるだろうけど
ぶっちゃけ秋田
結局今制作中の人は何人いんの
推敲中が一人はいたはず
あとは不明
600 :
マロン名無しさん:2006/04/07(金) 01:26:47 ID:Mj69hHML
推敲中←どういう意味?
すいこうちゅう
詩文の字句や文章を十分に吟味して練りなおすこと
あとsageて
漫画化とか言っている子供がいるが、このスレが明らかに旬を過ぎたことがわからないのかい?
だいたい、話がワンパターン。
もう、このスレに時間かけないほうがいいと思うよ?
旬が過ぎた、というのは否定はできないが、まだ楽しめる余地はあると思う。
それに、楽しめない、つまらない、と思ったら自分から去りますよ。
何が好き、何を見るのも個人の勝手だしな。
旬も何も基本的には作者の自己満足なんだし、書き手がいる限り終わらないよスレは
その書き手がいないわけだが
作者6他書き途中の人は3、4人いるよな
書き手が現れる前の糞スレ化一直線だった頃に比べたらこの程度の過疎ぐらいなんとかできるさ
旬が過ぎたとか言われるとなんだか寂しいな…。
俺このスレ見てからネギま読み始めたのに。
書き手さん頑張れ!応援するぞ。
611 :
彗星:2006/04/07(金) 13:27:26 ID:???
過疎は避けるべきだな
皆で盛り上げようぜ
お?彗星だ。久しぶり〜ノシ
>>611 久〜ノシ
>>608 意外といるんだよな
あ、俺今ネタ練ってる最中だからできたら予約するわ
それでは真・エンド投下します。
<補足>
・この作品はどこから分岐すると言う概念がないので、新たに真1話として投下してます。
・真・エンドは展開重視のため、意見が多かった第9部よりもさらに突拍子もないこと展開に
なっていると思われます。その辺をご理解お願いします。
・仕事が忙しくなっているので一日の投稿ペースは2話〜3話ほどになると思われます。
《Ex1.RESTART》
それはいきなりの宣告だった。
「これからお前たちには殺し合いをしてもらう」
これを初めに聞いた人間はどう思うだろう。事情も何も知らされず、昨日までの友と殺しあえと言うのだ。
こんなことに巻きこまれば、正気でいるほうがおかしいとおもうだろう。
だが実際にそれに参加させられた学園の生徒たちはわざと言っているのかと思った。
そんなことがあるはずない、嘘だと言ってくださいよ先生。
これは合宿前のパフォーマンスか何かでしょ先生…
そんな趣で見ていたのだろう。
だがその教師はその合宿に参加しなかった生徒を連れ、みんなの目の前で殺した。
悲鳴、その場に蹲る者、混乱する者。
だが主催者はその場で喚く事すら禁じた。
他の生徒は、それに従うしかなかった。
そして始まった殺し合い。
ある者は友と、またある者はあまり面識のない相手と手を組んで何とかこのゲームを止めようとした。
当然その狂気に取り憑かれ、昨日までのクラスメイトを殺す人物も現れた。
みんながみんな生きるために、ただそれだけのために戦った。
その戦いで散っていった命。
復習のために命を奪うもの、生き残りたい一心で命を奪ったもの、仲間を守るためにあえて手を汚す道を
選び命を奪ったもの…
決着が付くまで戦うはずだった。
だがそれは起きなかった、このゲームを止めようとした人たちによりゲームは中断された。
そして残り11人……
《Ex2.DEJA-VU》
私は一人で何処かの山道をさまよっている…
周りには誰も居ない、手には銃が握られている。間違いなく殺し合いだろう。
だがそこにいるはずなのに現実感が全く無い。
ここに立って意識もはっきりしているがどうしても分からない違和感。
(私は…一度これを見たような…)
初めての体験なのにまるで昔にそれを体験したかのような錯覚、それをデジャヴと言う。
(どうもこうもじゃねぇ、朝倉とかみんながいねぇぞ!?)
千雨は慌てて周りを見ようとしたが、なぜか体が動かない。
(どうしたんだ!?何で動かねぇ!)
そういえば言葉を発しているはずなのに自分の耳には入ってこない。思ったことを言おうとしているのに
頭の中だけでそれが繰り返される。
しいて言うなら、魂だけが他人の体に入っている感覚。
(まさか…私、幽霊になっちゃったとか?)
それはありえない。現に体は千雨自身だ、なのに体が動かない。いや動かせない。
(どうなってんだ?こりゃ?)
考え込んでしまった千雨だが、不意に誰かの姿が目に止まる。
顔は真っ青で必死に何かから逃げるように走っている。すると何かに躓いたか、派手に転んでしまった。
(何やってんだ、このままだと)
そう思った瞬間、自分の腕が勝手にその相手に向かう。
(な、何だよ!?どうなってんだ!?)
その相手に向かって千雨は銃を構える。
(どうなってんだよ!!やめろ!撃つなぁぁ!!)
パァン
「!!」
気づいたときには小屋の天井が目に写った。
…夢?
そう信じたいが、どうしても拭えない現実感。
さっきのあれは夢で間違いないだろう、しかし千雨はあれがどうしても夢とは信じられなかった。
「…は、まさかな」
嫌な思いを断ち切り、もう一度眠りなおそうと布団を頭からかぶる。
あの嫌な夢のせいで、寝て体力を温存させようとしたが逆に消費したようだ。
ふと眠気がやって来た。
「長谷川さん」
途端に美空の声に起こされる。
「…長谷川さん。時間ですよ」
「……あぁ」
あまりよく眠れてないが仕方ない。千雨は気だるそうに立ち上がり見張りに付いた。
そして数時間後。
「出来ました!」
聡美がそう言って大きく背を伸ばした。
「出来たの」
和美、美空がパソコン画面に釘付けになった。千雨はそれを遠巻きに見ていた。
知っている。この展開はどこかで見覚えがあったはず…
「3…2…1!」
Enterキーを押しても何も起こらない。
「…」
「…何も起きないよ」
「どうして!?」
当然だ、葉加瀬の奴が仕組んでんだからな。
…何故そんなことを知っている?私は未来から来た未来人ですとでもいうのか?
「ちっ!!」
千雨が近くの壁を思いっきり蹴った。
「……ん!?誰かこっちに来るぞ」
千雨は窓の外に人影を見た。
確かこの後は超が来て、だからどうしてそんなことを知っている。
そして予想通り超が襲ってきて、千雨と聡美は二人で崖を上ろうとした…
「くそっ!どうすりゃいいんだ」
「とにかく逃げましょう!」
聡美は大きく切り立った崖を上る。
「さ、早く」
「…」
差し伸べられた聡美の手を握る。
これでよかったのか…?
たしかこのあと待ってたのは……思い出せない、この肝心な時にどうして……
千雨がコルトガバメントを地面に置いた瞬間に聡美がそれを奪った。
「!!」
引き金を引く。
ダァァァン
「はっ!!」
「千雨!大丈夫!?」
和美が話しかけてきた。
千雨が目覚めた時、ゲームは終結していた。
【残り11人】
今日はこれだけです。少なくてすみません。
まぁ、このスレの最初の作品もパクリだったんだしな。こんなもんか。
ここの住人は「殺し合いのバトルロワイヤル」にしか興味ないの?
別の事でのバトルロワイヤルは必要ないの?
真エンドとか全文投下すんのに何日かかんだ、まさか1話目から始まるとは思って無かったよ
作者1この前9部やって、一週間前分岐やって、いつまでスレ独占する気だ?気に入らん
作者1さん、乙です。
620は何を言っているんだ?
誰も投下してないんだから好都合でしょ。
独占されようが何も投下されていないよりははるかにマシだ。
>>619 乙
なんか千雨がメインっぽいし、千雨スキーな俺はワクテカしながら続きを待ちます
>>620 すまん、俺理解力無いせいかイマイチ理解できなかった
>>621 第一話っていってもダイジェストみたいなもんだろ?
予約いっぱいならともかく、「誰か投下できるやついねぇの?過疎り杉」な状況なんだし俺は作者1が投下することに何ら問題は無いと思うが……
>620を翻訳すると
BRNみたいなスカートめくりとかおじゃ魔女のペアバトロワ(実質ガッシュねた)とか
殺伐としていない競争物を見たい
>>620も
>>621も、第9部で執拗に批判ヅラの無意味な罵倒でスレの雰囲気を悪くした
ゲス荒しかその同類だ。1氏はじめ書き手諸氏もROM側も相手にする必要ないって。
>>625 スカートめくりとかだとノリが原作のネギの唇争奪戦(正式名忘れた)に近いから、どっちかっつーとザジちうスレ向きっぽいけどな
>>621 気に入らないなら2度とここ来なくていいよ。
作者1さん乙です。
630 :
彗星:2006/04/08(土) 06:42:06 ID:???
>>620-621 お前ら何様?お前らみたいに空気読めんやつらはここに来るな
あとお前らがどうこう言う権限はないこの下等生物めが
どっちも必死になりすぎ
人が殺しあう話に喜んでるお前らは、まぁ、外道だな。
そろそろ双方スルーしようぜ……
スルーしようぜ キリないし
一週間たっても作者1氏の投下がない……何かあったのだろうか?
彗星に本物なんていない
641 :
彗星:2006/04/08(土) 16:53:51 ID:???
ん?
642 :
彗星:2006/04/08(土) 17:05:33 ID:???
死ねよ
前いた厨にあやかって彗星よりも慧星を氏なせようと思う
644 :
慧星:2006/04/08(土) 19:29:06 ID:???
呼んだかね?
てゆーか彗星って何者?
もう何だかわけわかんないことになってる…
投下します。
リアル遭遇ktkr
《3.CAUTION》
「これはすごい戦いになりそうネ」
「そうですね」
茶々丸を前にした超と聡美は笑いノートパソコンでデータの書き換えの最終段階を行っていた。
「まったくまいったネ。茶々丸のコード変更途中で本番になっちゃうもんネ」
「仕方ないですよ、あそこで無理したら私たちが疑われるんですから」
動くことができない茶々丸のデータを書き換える。
「それじゃ、別行動ネ」
「それでは」
互いに首輪のロックを外して別々の道へと向かう。
その後、聡美は茶々丸の状態を見るために戦闘マシーンと化した茶々丸の後をつけた。
古菲を、千鶴を、夕映、ハルナ、アキラ、そして右腕を戦闘不能にした真名。
腕を直そうとしたが部品がない。
仕方ないのでそのままにして歩いていると美空たちを発見した。
聡美は茶々丸に襲われたように見せかけ(聡美自身にロックオンを外すようにしている)、美空側に付いた。
超はその足で市街地に向かい木乃香と出会う。
木乃香にじっとしているように言い聞かせ、刹那を探しに向かう。
そして罠を張って刹那の手で木乃香を殺させ、刹那を自殺に追い込んだ。
「…さて、次のターゲットは誰がいいかナ」
だがそれも長くは続かなかった。ネギたちが助けに来たからである。
「超鈴音、無駄な抵抗はしないほうがいい」
「……チッ」
舌打ちをして武器を高畑らに投げ渡す。
ポケットに入っていた懐中時計とは咄嗟に制服の隠しポケットの中に隠した。
「葉加瀬聡美さんですね、もう安心ですよ」
「ひぃぃ…」
いかにも怯えた演技で相手を油断させた。
フェリーに連れてこられても誰とも話さず別の所で隠れチャンスをうかがっていた。
コルトガバメントも分からないように隠し、一切の面談を断る。
新田は乗り気ではなかったため、捕まると確実に自供しそうだ。
聡美は立ち上がると外へ行くと見せかけデッキに向かう。
その途中で愛衣が付き添ってくれた。
これは好都合だ、何かあったときのために人質に仕える。
聡美はそのまま銃を向けた。
「葉加瀬さん!何を…」
魔法生徒や先生は皆外だ。今のうちに愛衣の口にタオルを巻いて操縦室に乗り込みフェリーを動かす。
そのまま愛衣を連れデッキに上がった。
下では超と新田が取り調べを受けている、皆超と新田を見ている。今がチャンスだった。
「んー!んんー!!」
首を振って止めさせるようにした愛衣を銃で脅してコルトガバメントを新田に向ける。
「さよなら、新田先生」
ドン
それと同時に超は組織の人間からもらった閃光手榴弾を投げる。
あらかじめ呼んでおいた組織部隊が周りを囲み、超は労せずしてフェリーに乗り込み聡美と合流。
あとは物事がこちら側にすすむはずだった。
【残り11人】
《4.NIGHTMARE》
「…ここは?」
千雨がベッドから起き上がる。
「大丈夫なの!?銃で撃たれたんだよ!」
体が痛む、ふと撃たれた胸を弄った。
「あ、それ…」
千雨が取り出したのは2枚の鉄板だった。超が襲ってきたドサクサに紛れて壊れたストーブの
厚めの部分を取り出し、こっそりと忍ばせた。
そのため銃弾は千雨の体を多少傷つけたのもの、命に別状はない。
「よく準備できたね」
「…」
千雨はどうしてもしなくてはならなくなった、そうして助かった。
だがどうしても分からない。
何故、自分は撃たれると分かったのか。聡美があの場所で裏切ることを知っていたのか。
「…いや、なんとなくだ」
こんなこと誰かに話したところで分かるはずがない。
それに一癖も二癖もある3−Aのクラスに自分までそんな人間だと思われたくなかった。
(ゲームを壊そうとしたのは気に入らなかっただけだ、クラスなんて関係ない)
どんなに言い聞かせてもやはり拭えない違和感。
フラッシュバックするような夢。
「長谷川さん、無事だったんだ」
亜子の看病をしていた裕奈が話しかけた。
「……お前、死んだんじゃなかったのか」
ふと口に出した言葉、そうあの夢では死んだはずだ。
「何言ってるの?私はこうして生きてるよ」
「…そうだよな」
いろいろあって疲れているのかもしれない。少し頭の中を整理しようとベッドに横になる。
「ってそんなことしてる場合じゃねぇ!葉加瀬は!」
千雨がすぐに起き上がり和美を問いただす。
「えぇ!?さっき外に行ったけど」
「なんだって…それはまずい」
そうだ止めなくてはならない。
すぐに立ち上がり武器を調達しようとしたが肝心のデイパックはない。
「朝倉、武器は!」
「どうしたの千雨、もう戦わなくてすむんだよ」
「戦いは終わってねぇ!葉加瀬と超のやつが」
「葉加瀬が!?」
千雨の発言に和美は驚く。
だがそれと同時に銃声、そして動き出すフェリー。
「ちっ」
千雨はベッドから起き上がり走り出す、体は重かったが動けないわけではなかった。
「待ってよ、千雨!」
和美と裕奈も千雨の後を追う。
今、自分の記憶などどうでもよかった。
自分の倒すべき敵を倒すのが第一目標だった。
「それじゃあ、すぐにスタンバイネ」
超は組織部隊にコンタクトを取っていた、もう失敗はしない。
この連絡を怠ったために自分は一度死んだようなものだ、今度はさらに早く来るように仕向けた。
その懐中時計を見つめつつ、悪夢はさらに闇へと染まっていった。
【残り11人】
《5.MEMORY》
千雨は走りホールに入る、そしてセットの中を探った。
「千雨、何してるの!」
「ここに武器が隠されてるんだ」
銃やナイフなどの武器が入ってあったデイパック、それはこの奥にあるはず。
隠してあった板を外すとそこには11のデイパック。
それに手を掛けた途端、後ろの空気が変わった。
「!?」
「さて、おとなしくしてもらおうか」
そこには大きなライフルを構えた軍服の人間が立っていた。
そんな馬鹿な!?兵士はすべてネギたちがやっつけたんじゃなかったのか?
そんな思いとは裏腹に兵士たちは一斉に周りを取り囲む。
「一体何ですのこれは!?」
あやかは声を出すが他の人は全く答えない。
千雨、和美、裕奈、あやか、真名、アキラ、ハルナ、夏美とホールの真ん中へと連れて行かれる。
亜子は突入した部隊の手に捕まった。
「驚きました、まさかあなたが生きていたなんて」
コルトガバメントを構えた聡美が現れる、後ろから愛衣と亜子を人質にとった超が出てきた。
「けっ、臭せぇ三流芝居やってんじゃねぇよ」
「お願い、亜子を離して!!」
裕奈とアキラが必死になって亜子を解放するように懇願するが超は受け入れない。
「何故ですの、何故超さんと葉加瀬さんが…」
あやかが絶望にも似た表情で二人を見た。
「それに答える義務はないヨ」
「そうです、あなた方はここで死ぬのですから」
二人の言葉に怒りをぶつける様に睨む真名。
千雨はまた記憶がフラッシュバックされる。
違う、こんな展開じゃなかったはずだ。どうしてこの隠し場所を知っている。
やっぱり私はおかしくなったのか、予知能力にでも目覚めたか?
予知能力の割には記憶が曖昧だ。
それに異様な現実感。こればかりは拭えなかった。
一度見た光景をビデオで巻き戻してみているような感触。
この現実が現実ではないような違和感。
なら今見ているこの“現実”は何だ。
まるで超と聡美は自分が見た夢の内容をすべてを知っているように思えてきた。
【残り11人】
今日はここまでです。
明日は用があるので休ませてもらいます。
それでは月曜日にお会いしましょう。
>>655 乙でした。
今までにない展開にwktk
>>655 斬新な切口でかなりwktk
月曜を楽しみに待ってます
超と聡美、原作でもそうだけど他のネギまキャラとは違い悪役を完全にこなしている。
他のキャラってネギロワでもそうだけど「悪人を演じている」にしか見えないんだよね。
それがネギまクオリティ
忙しいのはわかるがそれにしてももうちと投下量増やせないもんかね
明日投下できないならなおさら
>>660 自分が中心に世界が回ってると思ってない?
あなたみたいに暇な人ばかりじゃないんだよ
662 :
マロン名無しさん:2006/04/09(日) 11:41:44 ID:aaK6toV+
春だな
664 :
彗星:2006/04/09(日) 21:50:21 ID:???
おいーっす
>>663 そろそろ新学期始まっててもいいころなのにな
一応今書いてるんだけどなんか人死なない感じになりそうなんだけど・・大丈夫かな?
何が?
脱出メインになるってことじゃないの?
BRUの後半みたいに生徒VS国ってことかと俺は解釈した
俺はパンチラとか、少しほのぼのしたタイプになるのかと解釈した。
ただ、どっちでも特に問題はないと思うぞ。
670 :
彗星:2006/04/10(月) 18:22:04 ID:???
厨房は帰ってもらえないかな?
それでは投下します。
《Ex6.PAIN》
千雨たちは兵士に取り囲まれた。
武器も奪うことが出来ずに何も出来ない。まさに絶体絶命。
「く…」
正面に立っている超の顔がとても憎らしく思えた。
真名は何処かに隙はないかと、そのままの体制で視線を左右に動かした。
「龍宮サンは動かないほうがいいヨ、あなたが一番危険ネ」
「な、くっ…」
超の一言で後ろにいた兵士に両腕を捕まれる。
「どうして…ねぇどうしてなの!どうしてこんなこと」
裕奈の問いかけにも、二人は無反応だった。
「みんな。あまり変な動きをすると…」
超はストレッチャーに乗せられた亜子の右腕を掴み固定されていた包帯を剥ぐ。
その腕は所々傷ついており、骨折した箇所は紫に変色していた。
「い…嫌やぁ…やめて…」
痛みで顔を歪める亜子。
「や、やめて!亜子は…」
だが裕奈の言葉も空しく、超はその折れた腕を力の限り振った。
「い!?いぎゃあぁぁぁぁぁぁあぁぁあぁぁぁ!!!!」
右腕に激痛が走り、亜子は声を上げて泣き出した。
「痛い!痛い!痛いよぉ!!!助けてぇぇ!!」
「もう止めてぇぇぇ!!!」
裕奈が声を上げて超の前に崩れだす。
「お願いだから……これ以上…亜子を苦しめないで」
涙を流して懇願する裕奈。
超は何も言わずに亜子の手を離した。
「こんなことが起こるのです。みんな余計な行動は避けたほうがいいですよ」
コルトガバメントを構えた聡美は不適に笑う。
「…テメェ」
千雨が聡美をにらみつけた。
「千雨さん、あなた生きていたのですね。死んだと思ってました」
すぅ、とコルトガバメントの照準が千雨を向く。
「どうネ、撃たれると分かっていても避けることが出来ないっテ」
「何!?」
千雨の表情が変わる。やはりこいつは何かを知っている。
しかし少しでも動こうとすると後ろの兵士が銃を構えてくる。
もうどうすることも出来なかった。頼みの綱の真名ですら体の自由を奪われた状態だ。
「どうします、超さん?」
「そうネ…手始めに一人死んでもらうネ」
全員に衝撃が走った。
「さて…誰からに…?」
気づくと横に居た愛衣が首を振っている。止めさせてほしいと言っているのだろう。
そんな彼女の足を撃ち抜いた。
「う、ふぐぅぅぅぅぅぅぅ!!!!」
口を塞がれ、悲鳴にも似たうめき声を上げてその場に倒れる。
「邪魔はさせないネ。まずはあなたから死んでもらうヨ」
超が銃を向けた。
「やめてぇぇ!」
アキラが声を出す。
「お願いだから…もうやめて……許してあげて…」
「……」
アキラの必死の頼み込みに少し考え込む超。
「なら…アキラサン。あなたが先に死ぬカ?」
「!!」
アキラはその場で硬直した。
「その代わり、アキラサンの命を差し出せば…助けてあげてもいいヨ」
「……」
アキラの口が少し歪む。
「だめ…や……そんなん…あかん」
「そうだよ!きっとみんな殺す気なんだよ!」
亜子や裕奈の声、とても大切な親友だ。もしも自分の命でみんなが助かるなら…
「ごめん」
アキラはその場で立ち上がると超の目の前で両手を横に大きく広げた。
すべての覚悟を受け入れた瞬間だった。
「…いいヨ」
「駄目!アキラ!」
「止めろ!お前本気か!?」
他のみんなの声が聞こえるがアキラは耳を傾けない。
じっとしたまま目を閉じた。
「……」
「いい心がけネ」
そっと銃をアキラに向ける超。
「やめてください!アキラさん!!」
「ぐっ、くそぉ。アキラ!やめろ!!」
あやかや真名も制止しようとしたが兵士たちに阻まれ動けない。
「さよなら、2度も殺すことになるネ」
ぼそっと呟き、超は引き金に力を入れる。
ダァン
銃声と共に弾丸が飛び、アキラの体を貫く…はずだった。
「ゆ…ゆーな!!」
そこに飛び出してきた裕奈がアキラを突き飛ばし、弾丸を食らったのだ。
「!?」
思いがけない行動に顔を歪めた超。
アキラが裕奈を抱き起こす。裕奈の胸から大量の血が流れ出てた。
「ゆーな!どうして…」
「…は…はは……死ぬ命は…私でいいよ…」
口から血を吐き、息も絶え絶えな裕奈はそう言った。
「いやぁ!ゆーな、ゆーな!!」
ストレッチャーで寝かされた亜子はその体勢で裕奈に向かって叫んだ。
「……亜子……ごめんね」
ひゅぅと息を吐いて、裕奈は完全に力尽きた。
【出席番号2 明石裕奈 死亡 残り10人】
《Ex7.BREAK THROUGH》
「……いや…いやぁぁぁあぁぁ!!ゆーな!!」
裕奈を抱きしめるアキラ。
真名の顔が一層険しくなった。
「もう我慢できませんわ…」
あやかが言った。
「親友の思いを踏みにじって…そんな酷いことをする超さん!……あなたを許すことは出来ません!」
「…それじゃあ、どうするネ」
周りは兵士に囲まれ、こちらは丸腰。せめて真名に武器があればと思った。
「そうでしたか…悩む必要はなかったのですね」
あやかはため息をついて軽く笑った。
「…その顔、気に食わないネ。さっさとやるヨ!」
超が兵士に合図を送った。兵士たちは銃を一斉にあやかたちに向けた。
あやかは体に纏っていた包帯を解くと、すぐさま真名の方を向く。
その顔はこれからこの絶体絶命の状況を逆転する自身の現れにも見えた。
「撃つネ!」
兵士が一斉に引き金を引く。
耳を塞ぐようなうるさい銃声。ハルナや夏美らは顔を抑えて蹲り、アキラも裕奈の亡骸をしっかりと抱きしめた。
あやかはその銃弾の中を走った。
銃弾の雨を見たのはこれが初めてではない、腕や腹に銃弾がめり込んでもあやかは走る足を止めなかった。
正面突破、これしか方法はない。
真名のいる兵士のところに飛び込んだ。
「何をしてるネ!」
超も引き金を引いてあやかに銃弾をお見舞いした。
「ぐ…!」
あやかの頭を銃弾がかすった。塞がりかけていた傷がまた広がり血で真っ赤になる。
「龍宮さん…後は任せましたわ」
そう呟くとあやかは真名を押さえ込んでいた兵士の手を掴む。
「雪広あやか流 合気柔術 雪中花!」
あやかは兵士に雪中花をお見舞いする。
一瞬の内に兵士の視界は180度反転した後、地面にたたきつけられる。
その隙に銃を二丁奪い真名に手渡した。
一丁を手に取ると隣の腕を押さえていた兵士に銃弾を浴びせる。
「このぉ!!」
倒れた兵士から銃をまた奪い、無抵抗になった亜子と愛衣の傍にいる兵士を一瞬のうちに片付けた。
「超!」
「くっ」
超は銃を真名に向けるが戦闘のプロたる真名は銃弾の軌道を読んでかわす。
持っていた銃を弾くと腹に強烈な蹴りをかまして吹き飛ばす。
時間は稼げた。次は残りの生徒。
まるで映画を見ているような見事な射撃。
一人、また一人と倒れていく兵士。
「…私たちの…勝ちですわ…」
傷口を押さえたあやかは息も絶え絶えな声でそう呟き。
ダァン
「―!………」
聡美の銃弾に倒れた。
【出席番号29 雪広あやか 死亡 残り9人】
《Ex.8 The truth》
「ハカセ!テメェ」
千雨が飛び掛り銃の奪い合いとなる。
「私たちは負ける筈がない!こんなの!」
「うるせぇ!お前らは負けたんだ!」
そう言って聡美の顔面を思いっきり殴りつける。
「ごがっ!?」
眼鏡が吹き飛び聡美はその場に倒れこむ。
その胸倉を掴んでコルトガバメントを押し当てた。
「ひぃ!」
途端に情けない声を出す聡美。
「あんたたちは負けたんだ!……いいんちょが、その突破口を作ってくれたから」
和美の声だ。
和美はあやかの頭をそっと撫でる。すべてをやり終えた安らかな顔だった。
「さて…」
多少傷はあるが兵士すべてを片付けた真名が超に歩み寄る。
「超、すべて話してもらおうか」
「…」
超は何も言わずに睨みつける。
ストレッチャーで動けない亜子、足を撃たれた愛衣、裕奈の亡骸を抱きしめたアキラ、
千雨、ハルナ、和美、夏美、真名。
逆に囲まれてしまった。
「やっぱり、このクラスの人たちはやることや可能性が未知数ネ」
ふっとため息をつく超。
コルトガバメントをこちらに向ける千雨。
「テメェが死んだらすべてが終わる!覚悟しやがれ!」
「…。長谷川サン、あなたは何のために戦ってたノ?」
突然、千雨に語りかける超。
「何言ってんだ!この糞ゲームをぶっつぶすに決まってんだろ!!」
乱暴にそう言う千雨だったが、超は不適に笑う。
「笑わせるネ。少し前まであんなに殺したがってたのに」
「…何」
意味が分からない。殺したがっていた?このゲームを潰すために戦ってきたのになぜ殺したがっているんだ?
だがいきなりあの夢がフラッシュバックされた。
突然の寒気、いきなり体が震えだす。
「ど…どうしたの千雨!しっかりしてよ」
「う、嘘だ…そんなことがあるはずが…」
千雨の顔が段々、青ざめていく。
「…真実を見せてあげるヨ」
ポケットから懐中時計を取り出すと、その時計は凄まじい光を出した。
数瞬して、そこにいた生徒らはすべて消えた。
【残り9人】
それでは失礼します。
これって前スレ791の桜子が記憶もったまま並列世界の
バトロワ繰り返す短編の影響受けました?
俺もあれはタイムマシン+αと組み合わせたら実現可能?で
かなり面白いアイデアだと思ったけど、早速作品に取り入れる
とはさすが作者1さんだな。
「ネギま」の一巻読んだとき「コレ絶対ネットでBRにするやついるな・・・」と思ってたら、ホントにいたよw
いやパク(ry
>>682 影響といいますか、元からそういう展開で作っていました。
そのため桜子の平行世界の短編を見た時、“まずい、ネタバレするかも”と思いました。
なお、今回は展開上かなりのオリジナルが入っています。
ストーリーを進める上でどうしてもしなくてはならなかったので批判覚悟で作成しました。
それでは投下します。
《Ex9.MARDAR》
「……く…何だ…」
光から目を覚ました時には、どこかの森にいた。
身に覚えのない場所だ、少なくともあの島ではない。
(…またか)
またも体の感覚がない、また夢を見てるのか。
その証拠にデイパックと持っている武器も全然違う。
(くだらん、さっさと目覚めろって…)
その視界にある二人が写る。
(あいつらは…)
知っている人物だ、近衛木乃香だ木に凭れているのは桜咲刹那のようだ。
「た、頼むわ。せっちゃん怪我しとるんや、一緒にせっちゃん運ぼ」
「動けないのか」
「そうなんや。せやから肩担いで…」
それはまずいだろう、まぁ足手まといでならない程度で…
「そいつは好都合だ」
サイレンサーの付いたソーコムピストルを向ける千雨の腕。
(な、何だよこれ!?)
「私は生き残りたいだけなのさ」
(違う!殺す気なんてない!)
いきなり体が勝手に動き、さらに口が勝手に考えることと正反対のことを喋る。
「お、お嬢様逃げてください。ここは…私が食い止めます」
「あかん。せっちゃんを置いていけへん、約束したやろ一緒に生き残るって」
傷ついた刹那は木乃香だけでも何とか逃がそうとしている。
しかし、木乃香は聞こうとしない。
(嘘だ!こんなの何かの間違いだ!)
「アハハ。馬鹿じゃねぇの、生き残るのは一人だけだって聞いただろ」
「お嬢様を侮辱するな…あぁっ!」
千雨の腕は引き金を引き刹那の左腕を撃ち抜いた。
(止めろ!止めてくれ!こんなの…)
千雨の思い裏腹に逆の行動ばかりとる。
「せっちゃんは殺させん」
刹那の前に立ちはだかる木乃香。グロック17をその手に構えて。
千雨はもはや混乱しきっていた。
突然、懐中時計でこの森に吹き飛ばされ、しかも自分の体が勝手に動き刹那と木乃香の二人を相手にしている。
(ちくしょう!やめろ!やめろぉぉぉぉ!)
「…正直、もう嫌なんだよ」
(え…)
千雨のいきなりの一言に黙る二人。
止まってくれた、何とかして体の自由を取り戻さないと。
「何の目的かしらんが、殺しあうなんてもう嫌になってきた」
「千雨ちゃん…」
千雨は二人の前で膝をつき顔を押さえた。
「…く…うぅ…」
「千雨ちゃん!それやったら一緒に行動しよ。生き残る方法を探すんや!」
木乃香が近づいて説得をする。
(頼む、私の体をどうにかしてくれ!)
必死の呼びかけにも千雨の体は全く言うことを聞かない。
「やっぱ甘いな。お前」
「え」
顔が一段と険しくなったかと思うと、ソーコムピストルを木乃香に向けた。
(やめろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!)
パスパスパス
小さな音と共に木乃香の体に赤い点がつき、大きく後ろに飛ばされた。
(うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!)
何だ、この記憶は!夢にしてはあまりにも酷すぎる。
「うわああああああああああああああああ!!!」
後ろで刹那がマシンガンを構えて襲い掛かってきた。
だが傷ついた刹那は全く照準が合っていない。千雨ですら簡単によけられる程度だ。
そして何の慈悲もなく撃ち殺した。
(止めろ!止めろ!止めろおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!)
どんなに叫んでも、暴れようとしても、自分の体は自分とは正反対の行動をとる。
そして、次々と生徒を殺していく。
出会った裕奈を古菲をのどかを美砂を…戦いで散っていく命。
(……ははは、お願いだ…もう止めてくれ)
自暴自棄になっていた千雨はもう力なく呟くことしか出来なくなっていた。
その後、何者かに助け出されてそこで聞いた一言。
「生き残ったのは長谷川千雨さん、彼女一人です」
(…)
生き残ったのはただ一人。
生きるためにクラスメイトの命を奪い、勝ち残った。
(……なんだよ。こんなの…)
寮でぼんやりする千雨。
「…!?」
気づくと体の自由が聞くようになった。
「…んで、何で今更なんだよぉ!!」
椅子を蹴飛ばし泣き叫ぶ千雨。
「なんだよ…何でなんだよぉぉぉぉ!!」
誰も居ない、クラスメイトも先生も頼るべき人をすべて失った。
これが超の言っていた現実なのか、ならさっき見た世界は何なのか。
もう精神的にも限界の千雨には理解する力はない。
(分かったカ?これが現実、これが本当の長谷川サンの正体ネ)
「超!?」
後ろで超が立っている。何故ここに?
そして見た光、あの懐中時計から出てきた光だった。
【残り9人】
《Ex10.ALTERNATE WORLD》
「はぁ…はぁ…」
千雨が目を覚ました、息遣いはとても荒い。
「大丈夫!?千雨」
和美が横で心配してくれている。みんながいる、あれは夢なのか?
「朝倉…私は今まで…」
「夢を…たぶん夢を見てたと思う…」
和美は俯いていた。他のみんなも何故か浮かない顔。
ここはどこだと言いそうになったが言わなかった。説明不要だがあの船の上だ。
「現実が分かったかネ」
みんなが立っている後ろで超が懐中時計を持って立っていた。
「お前…何だ今のは……私が殺しを楽しむキチガイになっちまった夢……」
「千雨も見たの」
「何を」
「バトルロワイアルに巻き込まれる夢、もっとも私は龍宮さんに殺されてすぐ目が覚めたけど」
他のみんなも驚く、みんなが同じような夢を見ているのだ。
「それはそうネ、これもまた一つの現実の世界だから」
「なに…」
「この世界は、現在を繋いでいる並行世界、『パラレルワールド』が存在するヨ」
超の口から出てきたのはあまりにも突拍子もないものだった。
つまり、今見た世界もまたバトルロワイアルがあって、そして殺しあった。
「とある世界での長谷川サンは…生き残るためにゲームに乗って、本当に一人になるまで殺したヨ」
「!!」
みなが千雨を見る。当の本人は口をかみ締め黙ったままだ。
「ところがその世界の長谷川さんは最後に生き残ってその過ちに気づき、こう願ったネ」
“もう一度やり直したい”
「…そうだ、私はそう願った……そうしたら、テメェが出てきた!」
千雨は超を睨む。
「私はその願いを聞き入れたヨ、その世界の長谷川サンを連れて…この世界に来たネ。
あ、もちろん、そこら辺の記憶はいじっておいたネ」
「…ちょ、ちょっと待ってよ!」
その会話に和美が割り込む。
「それじゃあ、そこに居る千雨は向こうの世界の人間だってこと!?じゃあこの世界の千雨は!」
和美がそう尋ねた。まさにそうだろう、向こうの世界の千雨がここに来たのだとしたら、本来の時代にいた
千雨はどこに消えたのか。
「……同じ人間が存在なんて出来ないヨ。仕方ないから私たちの方で処理したネ」
「処理したって!?」
処理、言うまでもないが間違いなく殺したのだろう。
「お前は…何を考えている」
真名が超に向かって銃を構えた。しかし超は不適に笑う。
「ちゃ、超さん…」
胸倉をつかまれた聡美は不安そうに超を見つめるが超はまったく無関心の顔をしている。
「なら…もっと見せてあげるネ!」
懐中時計を掲げた途端にまた光。
次に見たのはさっきと同じ光景、だが決定的に違うこと。
夕凪を持った血に濡れたアキラがいることだ。
「何これ…」
アキラは自分自身の姿に驚愕する。どれだけの人間を殺せばこれだけの血を浴びれるのだろうか。
目の前には聡美の姿、アキラはゆっくりと夕凪を構えた。
(いや、止めて!!止めてぇ!)
だがアキラの思いとは裏腹に夕凪は聡美の腹を貫いた。
「いやあああああああああああああああああああああああああああ!!!」
アキラはそこで意識を取り戻す。
「これが…もう一つの世界ヨ」
「何だと…」
「これはまた別のパラレルワールドネ。この世界だと私はアキラサンに殺されたヨ」
超はそう言った。
「この世界を見た私はこう思ったネ、私の世界だと絶対死なないっテ」
「何だと、お前にとってこの現実はゲームのつもりなのかぁ!」
千雨が立ち上がり超に殴りかかる。
だが超はまた懐中時計を掲げ、また光に包まれた。
今度はまた違う世界。
出てくる人間の性別が逆になっていた世界、はたまた百合な世界、誰かがネギと結婚する世界。
いろんな世界が目に写った。そして最後に飛ばされたのは身に覚えのない場所、今度は何処なのか。
「千雨…いつのまに髪の毛の色、変えたの?」
はっとする、千雨の髪の色が緑に変わっていた。
しかもクラスメイト全員とネギがパクティオーする瞬間だった。
(この世界は…)
光がまた消え、元の世界に戻ってきた。
【残り9人】
《Ex11.ADEAT》
「どうネ、この世界はいろんな世界が存在するヨ。これを考えた創造主は偉大なものネ」
懐中時計を掲げた超は誇らしげに言った。
「このカシオペアはタイムマシンだけでなく、他の次元を切り開く能力を偶然にも発見したヨ」
「他の…次元?」
千雨が言った。
「でもそれを動かすには膨大とも言える魔力が必要だったヨ、腕利きの魔法使いが10人集まってもなかなか
あつまるかどうか分からないネ」
超は難しそうな顔でそう呟く。
「だから…だからどうしろというんだ」
「知ってる?人の命って魔力と直結してる話」
「!!」
魔法の存在を知っている人らは衝撃に刈られた。魔法を知らない生徒はポカンとしているだけだ。
「まさか…おまえ、そのために…」
「魔力のある人の命って、結構すごい魔力になるようネ。明日菜サンとか刹那サンとかエヴァンジェリンさん
とかはとてつもなかったネ」
「お前は…お前は次元を開くために、あれだけの人を殺してきたのか!!」
やっと理解できた。この殺人ゲームは初めから魔力の強い3−Aの生徒をターゲットに絞っていた。
カシオペアの次元を開く燃料として、それだけのために20人近い生徒が犠牲になった。
「何故だ!何でこんなこと!そこまでして何がしたかった!!」
「なら、これを見るネ」
みんなの目の前にある文字が出された。
駄作、おもしろくない、つまらない、ご都合主義、作画崩壊、などまるで批判の山だ。
「何だよこれ。どういうことだ!」
「今居る世界はこんな評価を受けてたヨ」
「評価…だと」
真名はそういうが理解できない、評価とは一体誰がしているのか。
「この世界を作った創造主たちの世界ネ」
「!!」
何かに打ちのめされたような感覚が走る。
「創造主はたくさんいるヨ。でも中には批判もあるヨ。それが多かったのがこの世界ネ」
「…ふざけるな…なにが創造主が何が批判だ!」
千雨は叫ぶ、あまりにも酷い現実。
「あれだけ必死に生きてきて…評価だと…私らはただの見世物の動物かよぉぉ!!」
「酷い…こんなの嘘だよ!じゃあ私たちの現実って何!どれが本当の現実なの!!!」
アキラも続いた、もうみんなが理解をする範囲を超えている。
「所詮私たちは籠の中の鳥ヨ、でも私はその籠を乗り越えてみせるネ」
カシオペアを握り締めた超はそういった。
「そのためなら、私は悪魔に魂を売ってやったヨ!」
「うるせぇ!!」
胸倉を掴んだ千雨は超を追い詰める。
「邪魔ヨ!アデアット!!」
創造主たちの世界では駄作だの失敗作だのと批判の多かった世界。
ただし他の見た世界と決定的に違うこと。
他の生徒たちも同じようにパクティオーカードを持っていることだった。
逆手で手を掴み逆に千雨を追い詰めた。
「このおおおおぉぉ!!」
千雨もポケットから一枚のカードを取り出す。
超のたった一つにして最大のミス、現実世界を閉じていなかったこと。
「アデアット!」
光が千雨を包み、派手な衣装に身を纏った姿となって飛び込んだ。
「千雨ーーーーー!!」
和美が追おうとしたが二人は下のデッキに落ちていった。
【残り9人】
それでは失礼します。
かなりオリジナルや想像で補っているところがあるため
原作を重視する人にとっては少し納得がいかないかもしれません。
先に謝罪しておきます。
ちょwwwwwすっげええええええええええええええええええええwwww
予想外すぎだこりゃあwwwwwwwwwwGJです!
………作者1は文才の塊だな。
痺れた。GJ!!!!
今まさに起こり得ないあらゆるパラレルワールドが繋がった。
つーかこれ完結っぽいな。次の作者はやりづらいかも…。
すげぇぇえぇぇぇッ
平行世界ネタは被るの覚悟でやろうかと思ってたけど、こんな神がかった展開のあとじゃやれねぇよww
とにかくGJ!
続きにwktkしながら推敲し直そ……
超GJです!!
こういう展開大好きですよ!
最早原作を越えた
>出てくる人間の性別が逆になっていた世界、はたまた百合な世界、誰かがネギと結婚する世界。
これなんて2chスレ?
1部の木乃香と刹那のあのシーンは今までで一番好きなシーンだったから、読んでてなんか燃えた。
とにかくGJ!
文才がある程度あれば内容がぶっとんでようが楽しめるって事がわかった
706 :
彗星:2006/04/12(水) 00:44:32 ID:???
やっぱり1の作品が一番だな
漫画のキャラが自分が漫画キャラだと気づいて作者とドタバタ繰り広げるようなハナシ
昔は読んだことあるなあ。
永井豪の「真夜中の戦士」 …はちょっと違うか?
それでは投下します。
今日は結構多めになります。
《Ex12.LAST BATTLE1》
そこに取り残された人。
真名、和美、聡美、アキラ、ハルナ、夏美、亜子、愛衣。
それぞれが複雑な顔でその瞬間を見た。
ただ一言「アデアット」と叫んだ瞬間に光が彼女を包み、別人に変化した。
魔法、別世界、パラレルワールド。
もう理解の範囲を超えた、SFの世界か集団催眠でもかかっているのかと思ったほどだ。
ただ魔法についてはほんの少し理解したような気がする。
しかし、それでも全体を把握するにはあまりにも突然すぎたのだろう。
「…私たちの生きてきた世界って…なんだろう」
アキラがそう言った。
「…これが現実、これが真実……こんなの」
和美がかみ締める。
ザッザッザッ
「!?」
そこに聞こえた大群の足音。
超と聡美が手を組んだ組織部隊の第二派が到着したのだ。
「こっちです!」
聡美が叫び兵士を呼び込む。
「ちっ!」
真名はみんなを誘導し安全なところへ走り出す。
アキラは亜子を、和美は愛衣を背負って走る。
「撃てーー!」
耳を突く大きな銃声。
あまりにうるさすぎて、頭がおかしくなりそうだった。
「どうするの!」
「どうするもこうするも…」
一難去ってまた一難。
さすがに真名の銃の弾薬も残り僅かで勝てる見込みがない。
「…」
和美が皆を見る。
「どうした朝倉」
「…ねぇ、千雨があんなこと出来るんだから…ひょっとして」
「!!」
「この近くだ、隈なく探せ!」
乱暴に扉を開けて銃を構える兵士、聡美はその参謀役をしていた。
「さぁ!出てきなさい。もう逃げ道はありませんよ」
拡張機で呼びかける聡美。
正直なところ、勝ち目はない。
そんな絶望的なところに謎の飛行物体が飛んできた。
「…なんだあれは」
「構わん、撃ち落せ!」
大量の銃声、モニターが一瞬にして砂嵐に変わる。
「朝倉、どうだ」
「数は381人プラス1人、銃は標準で装備してて一気に叩くなら反対側の窓から外に出ていくほうがいいよ」
小さなモニター画面持つ和美はそう言った。
「…そうか」
「朝倉さんは下に降りて長谷川さんを」
「まかせといて」
アキラにそう言われ和美は下のデッキに走る。皆が腹を括った、チャンスは一度。
ザッ
「いたぞ!」
真名、アキラ、ハルナの三人がまず姿を現す。
「ふふ、覚悟を決めましたか?」
「…覚悟?覚悟ならしている」
真名の返事に聡美はさらに不敵な笑いをする。
「そうですか、なら死んで…」
「死ぬつもりもない!」
「…何?」
三人はポケットに手を入れた、それに合わせ兵士は銃を構える。
「私たちは助かるために戦う」
「残りのみんなの命を救うために」
「だから死ねないのよね、こんなところで!」
三人がポケットから取り出したもの、それは超が平行していた世界を閉じ忘れたときのままだったもの。
「アデアット!」
《Ex13.LAST BATTLE2》
カードから出された光は、瞬く間に三人を包みカードと同じ姿へと変わる。
「はぁぁぁぁ!!」
真名が先陣を切って正面から突っ込み、拳銃ですさまじい数の兵士を撃ち落す。
しかし撃つ弾丸の数にも限りがある、その瞬間を狙っていたように兵士はライフルなり銃なりを向ける、
だがそれは横から浴びせられる鉄砲水にすべて阻まれた。
「アクアスプラーシュ!!」
さらにハルナはペンを走らせ人の姿を描く。
あの戦いで散っていったクラスメイト、ハルナは傷ついた手で必死に書いた。
持てるすべての画力を注いで、死んだすべてのクラスメイトを書いた。
「こ…これは」
聡美が見たもの、それはハルナの手により蘇った3−Aの生徒であった。
「それでは皆さん、参りますわよ」
あやかの一言、それが合図だった。
「何だか知らないけど、こいつらを倒せばいいのね!」
ハマノツルギを構える明日菜は大降りに振って相手を吹き飛ばし。
「これ以上の惨劇は、繰り返させません!」
夕凪を構えた刹那は羽を大空に広げ、空中から切りかかる。
「行くでござるよ」
「「うん、楓姉ぇ!」」
鳴滝姉妹に楓は分身の術を使い、一斉攻撃を開始。
「あなたたちに、アンコールは用意してません」
ザジは銃弾を素晴らしいとしか言いようのない身のこなしでかわし、鋭利なトランプを投げつけた。
「派手に行くアルよー!」
古菲はトンファーを構えて正面から次々となぎ倒す。
「フレーフレー!3−A!私たちのために!!」
美砂、円、桜子は見事なフォーメーションで応援する。それがみんなに力を与えてくれた。
「こいつは足が速くなるだけだ!集中して攻撃しろ!」
隊長格の人間が美空を指差し攻撃を促す。
「神の…お怒りです!」
美空は天に手を上げるとそこから強大な雷が兵士に落ちる。
「なんか、こんな力手に入れちゃったんだよね」
「今です、近衛さん!」
雨のように飛び交う銃弾を千鶴は魔法障壁で跳ね返す。
「もう大丈夫や、ウチが直したるからな」
木乃香の放つ光で亜子の手足が徐々に回復していく。
「これでええで!」
「すごい、動く!ウチの手足動く!」
喜びもつかの間、後ろに回りこんだ兵士が銃を向ける。
「これ以上はやらせないよ!」
まき絵がリボンを使って銃を弾き落とし、器用にそれらをすべて回収する。
「これは龍宮さんに!アクアスプラーッシュ!」
「任せて!」
アクアスプラッシュで兵士を吹き飛ばすアキラの声に元気に応える裕奈。
「ダーンクシュート!」
亜子の手を掴むと天高く飛び上がる、そして亜子と奪った銃を投げ渡す。
「アデアット!」
亜子は皆と同じようにパクティオーカードを取り出し、クラス全員に遅れながらもアーティファクトをする。
猫耳ナースの姿になった亜子は巨大な注射器を使って攻撃する。
みんなが戦ってくれている、自分自身が幻と知りながらも。
すべてを終わらせるために、戦っていた。
気づいた時にはすべての兵士を倒した後だった。
残ったのは聡美ただ一人であった。
「そんな…ありえない…」
聡美が跪く。
「私たちは…絶対助かるために何度もこの世界を繰り返したのに…どうして…どうして駄目なの」
「…お前がこの選択肢を選んだときから…負けは決まっていたんだ」
銃を向ける真名。
「……じゃあ、何に縋ればよかったの……」
涙を見せる聡美、もう戦う気力はなかった。
「縋るものなんてない、私たちみたいに互いに助け合って戦うんだ。それが出来ないなら…」
真名が引き金を引いた。
銃声は聞こえるが弾は聡美の横に当たっただけだった。
「死ぬだけだ。今度は何も縋らず、自分の力で生き抜け。その罪を自分で償え」
真名は銃を捨てる。
「ううぅぅぅ。うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」
その場に泣き崩れた聡美、かつての千雨のように自分の過ちに気づくのが遅かったのだ。
【残り9人】
《Ex14.LAST BATTLE3》
「うわあああっ!」
ガキィィィン
「ふんっ!」
キィィン
下のデッキでパクティオー状態の千雨と超がぶつかり合っていた。
超は扇、千雨は眼鏡が変化したステッキで応戦している。
ぶつかり合うたびに飛び散る火花。仕込み式なのか超の扇は鋭い。
「これでどうだ!!」
千雨はステッキからハート型の光をばら撒く。
「はっ!とぅ!」
パリーン
扇であっという間にすべての光を弾き返す超。
「このぉ!」
再びステッキを使って接近戦に持ち込むが、如何せん超の方が運動能力が上。
簡単に殴られ、蹴られ、デッキの端に追い詰められる。
「無理ネ、長谷川サン弱すぎヨ」
こんなことなら少しくらい運動しておけばよかったと後悔した。
超がゆっくりと近づく、千雨は懇親の力でステッキを振り上げたが超は簡単にかわし
蹴りを浴びせた。
「ぐがっ!」
手すりに体を打ち付ける、ステッキはその衝撃で海に落ちてしまう。
「もうおしまいネ」
抵抗する力が失せたのか、千雨はがくりとうな垂れている。
「さよなら!」
扇を千雨の首に向けて振り下ろす。その隙を狙っていた。
千雨は立ち上がり横っ腹でそれを受け止める。
「ぐぅ…」
今の衝撃で肋骨が何本かやられたのかもしれない。だが千雨は肉を切られて骨を絶つ戦法に切り替える。
扇を持った超の腕を脇でしっかりと掴む。
「離すネ!」
「この距離で避けられるものなら、避けてみろ!!」
千雨は渾身の力で超の横っ腹に拳をめり込ませる。
「ぐ!?」
超の顔が歪む。
「…離すヨ!」
千雨の顔に衝撃、超が顔面を殴った。
「るっせぇんだよ!!」
お返しとばかりに超の顔を殴る。報復にまた顔に衝撃。
異常に接近しあった二人は一気に肉弾戦になった。
「朝倉さん!急いでください。大変なことになってます」
さよの誘導で必死に走る和美の目に飛び込んできたものは、互いに殴り合っている超と千雨だった。
「千雨!」
「ぐぉぉぉぉぉあぁぁ!!」
超の顔を殴り少し体勢が崩れたところを狙って超の胸倉を掴む。それで脇が緩み超の腕が自由になった。
「往生際が悪いネ!」
千雨の顔に振り下ろされる扇。
「千雨ーーーーーーーーー!!」
「消えるヨロシ!!」
「お前もな!」
千雨の手に握られていたもの、それは超の持っていたカシオペア。
「!!!!!!!」
超はその手を止めようとしたが止まらなかった。
ガッ
超のカシオペアに扇がめり込んだ。
パキッっと音を立ててカシオペアが一段と大きな光を伴う。
パァァァァァァァァ
「止まるネ!こんなことで終われないネ…だから止まるヨ!!」
「そんなに創造主の所に行きたいんだったら…自分の力で行けばいいだろ!!」
超の顔を思いっきり殴りつける千雨。
「私は…こんな……」
そう呟き、超はカシオペアの光に飲み込まれる。
超を取り込んだカシオペアの光がまた強くなった。このままでは…
「千雨!!」
「バカ!来るなーーーーーーーーー!!」
それでも和美は歩みを止めない、必死で走り左手で千雨の腕を掴んだ。
それが二人の見た、この世界での最後の景色だった。
光が収まった時、そこには壊れたカシオペアだけが取り残されたいた。
【出席番号3、19、25 朝倉和美、超鈴音、長谷川千雨 消滅 残り6人】
《Ex15.FINAlE》
下のデッキから見える眩しい光。
「何だ!?」
一段と大きくなってそして消えていった。
「…あれは……」
その瞬間、ハルナの描いたクラスメイトたちが光に包まれだす。
「どうやら終わりみたいね」
「どういうこと!?」
ハルナが明日菜に問いただす。
「この平行世界は閉じられたの、もうこの力を使うことはないわ」
「…閉じられたって……」
徐々に光が強くなり消えていく生徒たち。
「パル、私たちがこんな形で再会できたのは、あんたのおかげだよ」
明日菜はにっこり笑い、そして消えていく。
「ゆーな、まき絵…」
アキラと亜子の目の前で親友が消えようとしていた。
「大丈夫、ちょっと天国に先に行ってるだけだから」
「二人とも元気でね」
光になって消えていく裕奈とまき絵。
「ちづ姉!」
今まさに、あの殺人ゲームで再会を果たすことなく死んだ大切な人物が消えようとしていた。
「夏美、何があっても諦めないこと。覚えておいてね。あと小太郎君にごめんって伝えてね」
最後にそう伝えて、千鶴は消えた。
「ち…ちづ姉ぇぇぇぇ!!!!」
「…刹那」
「龍宮、さよならは言わん。また会おう」
「あぁ、いつかな。近衛と仲良くな」
「大丈夫や。なっ、せっちゃん」
「…お嬢…いえ、このちゃん」
木乃香と刹那もまた真名の目の前で消えていった。
傷ついた手をかばいながら二人に近づくハルナ。
「…ごめん、生き残るために……二人まで戦いに巻き込んで」
「それでも生き残った人たちが助かるなら本望です」
「そのために私たちを呼んだんでしょ、ハルナ」
「…うん」
涙目のハルナの目の前にいるのどかと夕映、にこりと笑うと光になって消えた。
「ありがとう…みんな」
そして手に持っていたパクティオーカードもまた光になって消える。
そこにあった幻はすべてが消え去った。
それを最後に戦いもまた終結を迎えることになった。
【生存者】
出席番号5 和泉亜子
出席番号6 大河内アキラ
出席番号14 早乙女ハルナ
出席番号18 龍宮真名
出席番号24 葉加瀬聡美
出席番号28 村上夏美
>>713 最後で【残り9人】が抜けてました。
明日を持ちまして最後の投下となります。
支えてくださった皆様、本当にありがとうございました。
超GJ!!なんかほんとにバトロア完結編ぐらいの快作だなww
アクアスプラーシュ!!wwキタコレwwwwwwwww
でもやっぱすげえ・・・パルが描くって発想がすげえ!!!GJ
GJ!
バカバカしさと感動と、いい感じに融合していてとてもよかったです。
あと、生存率とかを表にしてまとめる時に
これは8部の分岐にするのと、独立した一つの部にするのと、集計対象外のどれがいいでしょうか
どう集計するか迷っているので、作者1さんに決めてもらえれば幸いです。
すげぇぇえぇぇぇwwww
バトロワ独自の欝展開とマンガチックな展開が見事に合わさった感じだwwww
ネギバト一桁目の締め括りにふさわしいな
不覚にも…ちょっとキてしまった…
作者1さん超GJです!!
千雨と超の殴り合いはいままでのバトルシーンで一番興奮しました。
二人の気迫が伝わってきそう。
8部はかなかな組、エヴァ、楓とかいった原作出番一線級が早く退場し。
現時点では二線級の運動部、龍宮、千雨、朝倉だけでも充分物語が作れることを証明したな。
窓際族や窓の外でしがみついているシスターも存在感出てたよ。
あと超、貴方は過去最高の悪役でした。
容量288kb
だめだ作品が良すぎて頭がおかしくなりそうだ
この作品は歴史に残ってもおかしくない!!GJ
歴史には残らない
メチャクチャな設定なのに不快感がないのはなぜだろう?
文にそれなりの表現力とか説得力があるからじゃね?
大体のdデモ設定は書き手の文章力でなんとかなる。
まぁ、普通の設定が読み飽きたってのもあるだろうけど。
そういえば、今日最後の投下だよね?
《Ex16.Five Years Ago》
あの戦いを終えて五年。
生き残った生徒はそれぞれの生活に戻っていた。
バトルロワイアルに関係ある聡美を除いて。
両手に大きな傷跡を残したハルナは学園の外に出る。
あの時死んだみんなの慰霊碑がありそこに足を踏み入れる。
ずらりと並んだ24人、みんなあの戦いで命を落としたのだ。
しかし、今でも超鈴音と長谷川千雨に朝倉和美の遺体が上がっていないのが気になった。
ひょっとしたら生きてるのでは!?と思ったが生きているならどうして5年も姿を消さなくてはならないのか。
答えは簡単、姿を現すことが出来ないから。つまり海に落ちたか何かで死んだ、ということだ。
「…そういや明日菜のリボン間違えてたな」
最後に使ったアーティファクトでほんの僅かの間に蘇った生徒たち。
一人一人をじっくりと見ていく。
自分って細かいところも見てるつもりでもやはり本物そっくりには無理かなと思った。
それでも蘇った生徒はみな最後まで戦ってくれた、大切なのは画力ではなくそれを思う心。
漫画を描いている自分がそう思わされたほどだ。
すでに小さいながらもとある出版社の看板作家になったハルナは引越しの準備をしている。
だがその前に、死んだ生徒の顔を見ておこうと思った。
「あっ、パル」
そこに現れたのは夏美と小太郎、さらに亜子だった。
「パル、今日で引っ越すんだっけ?」
「うん、みんなと別れてちょっと寂しくなるね」
小さな会話もそこそこに次の話題を振る。
「亜子は今どうしてるの」
「ウチは介護学校に通ってるんや、傷ついたウチを近衛さんは治してくれた。今度はウチが
傷ついたみんなを助ける番や」
「たのもしいなぁ、そういやポニーテールのあいつは何処や?」
小太郎がアキラの存在を尋ねる。
「アキラは日本にはおらんよ、今は海外で水泳の日本代表なんや」
「そうなの?5年前に水泳辞めたんじゃなかったの?」
ハルナはそう言った。
「うん…そうなんやけど…」
亜子はあの5年前のことを話し出した。
《Ex17.COURAGE》
5年前、助け出された生徒は6人。
聡美を除く5人はすぐに病院に送られ、怪我の治療、カウセリング、情報操作を受けた。
3−Aの生徒は一足先に合宿を行うがその途中で事故を起こし遭難。
辛うじて6人の生徒の生存が確認されたことになっている。
その内の一人は精神に異常をきたし精神病院に送られ面会謝絶状態となる。
表向きはそんな感じだった。面会謝絶の生徒は聡美だ、あの首謀者の共犯を表に出すことなど出来なかったからだ。
生き残った生徒は生存を喜ぶ反面、受けた心の傷も相当深かった。
特にアキラは学業復帰後に再開した水泳で極度のスランプに陥ったからだ。
合宿前もスランプだったがそれに輪を掛けて酷くなった。
どんなに頑張ってもタイムは落ちるばかり、水泳界のマドンナの評価は地に落ちた。
「…」
「アキラ…」
公園のベンチでうな垂れるアキラ。ジュースを片手に何とか勇気付けようとしている亜子。
もうアキラは水泳から身を引こうとしていた。
今日、先生にすべてを伝えて引退する。退部届けしか用意してない。
「…じゃあ、行ってくる」
アキラは一呼吸置いて歩みだす。
「…ごめん、私はやっぱり駄目みたい」
いくら自分を追い込んでがむしゃらにしても、タイムは上がることはない。
あのバトルロワイアルの恐怖が目に浮かぶ。別世界の自分は夕凪を片手に大量の命を奪うマーダーと変貌した。
殺されたクラスメイトの復讐のために。
それが怖かった、一歩間違えばまたあの夢を繰り返すからだ。
俯きながら歩く。
「…」
ふと真名が現れすれ違う。
「どうした、水泳を辞めるのか」
アキラのスランプは真名の耳にも届いていた。
「ごめんなさい、もう限界なんです」
震える声でそう言った。
「そうかな、お前はただ自分を見失っているんじゃないのか」
「…」
「…口で言っても分からないか。ついて来い」
手を引かれる。案内されたのは世界樹である。
「…ここでなにが?」
そこで声が聞こえる、ネギだ。
「先生…」
そこで見たネギは古菲から教わった中国武術の練習をしていた。
助かったのはたったの6人、自分がしっかりしていればこんなことにはならなかったかも。
そんな思いでネギは一心不乱に自分自身を鍛えなおしていた。
「…先生」
「先生は守れなかったみんなを背負って自分自身と戦っているんだ」
真名はそう言った。
「お前は何のために水泳をしていた。記録のためか?」
「…私は」
訓練をするネギを見た、麻帆良祭で準優勝をとったほどの実力でありながらまだ上を目指そうとする。
行方不明の父を探して今も追い続けている。
守るべきものを守れなかった後悔を二度と繰り返さないためにネギは自分自身とも戦った。
「…」
何も言わずにその場を後にするアキラ。
水泳部の様子を見た、まだ1年生が必死に泳いでいる。2年後には自分たちが3年生となりみんなを背負う。
「そうだ、私も水泳を始めた時は…記録なんて気にしないで、ただ泳ぐのが好きだから」
まき絵みたいに小さいころから泳ぎが好きだから、そうやってがんばって泳ぐ自分が好きだから
アキラは水泳部に入った。
「もうええんちゃう?」
「亜子…」
そっと亜子が近寄る。
「アキラはアキラのままで」
「…」
じっとプールサイドを見つめる。
「そうだよね亜子、そうだった…」
ごみ箱に退部届けを投げ捨て部室に走っていった。
「…頑張ってねアキラ」
「きっかけなんて、意外といろんなところに落ちてるものさ」
真名がやってきてプールで泳ぐアキラを一緒に見つめた。
(そうだ、忘れていた。泳いでいる時がこんなに好きだったことを)
その日に出したタイムは、今までの麻帆良学園水泳部が出したタイムを1秒以上も更新していた。
しかし、そのタイムを計測した人物は一人もいない。
だがアキラはそんなことはどうでもよかった、背中から麻帆良のマドンナの重圧を捨てた今のアキラにとって。
「それでアキラは高等部を卒業してからは日本代表に選ばれたんや」
「そうなの、すごいんだね。今度それネタにしていい?」
ハルナはそんなことを言っていた。
「ごめんね、そろそろ時間だから」
「そうなんだ、それじゃあね」
「うん、他の皆にもよろしくね」
ハルナは皆に向かって手を振って去っていく。
「ほなら、ウチも帰るわな」
それに続いて亜子も姿を消した。
「…ふぅ、みんな頑張ってるね」
「夏美も頑張れよ、演劇部部長さん」
大学の演劇部の部長の背中を叩く小太郎。
「ははは、そうだね」
夏美も小太郎もまた笑っていた。
あの殺人ゲームの恐怖を完全に振り切ったわけではない、だがあれから頑張ってみんな生きてきた。
死んだ皆の魂を背負って生きていく。
それだけだった。
数日後、水泳日本代表が世界新記録を打ち立てた。
新記録を打ち立てた大河内選手のコメント
「新記録は嬉しいです。ですがそれは偶然です。私は水泳そのものを楽しむために来たのですから」
そこに写ったアキラの顔は今まで見せたことのない笑顔だった。
《Ex18.REDEMPTION》
「面会時間は5分です」
「はい」
真名は巨大な折の中に入る。
「待ってましたよ龍宮さん。1年ぶりですね」
牢屋の中には聡美が居た。
史上最悪の殺人ゲーム、それを行った人物の共犯者。それだけで重罪である。
だが今の聡美は穏やかな顔をしていた。
「私は、生きて償うつもりです…今更ですが…」
「そうか」
一年ぶりの再会なのにくだらない話をする。
それだけでいいのだ。今の二人にはそれだけで十分すぎた。
「今のまま大人しく服役していれば、少しは刑が軽くなるそうですよ」
「そうか、早く出られることを願っているぞ」
「ありがとうございます」
「もし出られたなら…お前の技術を生かせる職くらいなら探せるがな」
真名はそう呟く。
「いいですよ、私は誰も頼りません。自分の力で生きて見せます」
聡美の瞳はしっかりとしていた。
面会の5分が過ぎて真名は外に出る。
ネギ先生や真名がいろいろと掛け合ってくれたおかげか服役期間が少しは短くなった。
「おっと、そろそろ依頼の時間だな」
腕時計をみた真名はすぐに受けた依頼の準備をした。
今度は居なくなった犬の捜索らしい。
真名は小さなことから大掛かりなものまで手がける何でも屋として過ごしている。
そして人と共に過ごす日が多くなった。
「さて、依頼主が困り果てる前に探さないとな」
軽く微笑むと真名は依頼主の所へと歩き出した。
《Ex19.THE INFINITE FUTURE》
「――てな感じで、先生と○○さんは出来てるって話本当らしいよ」
千雨の横で和美はそんなことを言っていた。
「たしかにそりゃすごい話だな、信憑性は?」
「バッチリ、さよちゃんの協力もあるからね」
「はい本当そうですよ、長谷川さん」
あの日から、千雨はどういうわけかさよの姿をみることが出来るようになった。
あの世界だったら半透明だが見えるのだが、まだ続いているのかと思った。
超の戦いで光に包まれた二人はカシオペアの力で別の世界に飛ばされた。
そこは同じ麻帆良でありながらバトルロワイアルが行われなかった平和な世界。
無論、3−Aの生徒として。
「どうなってんだ?麻帆良祭の3日目に戻っているが」
「どうだっていいんじゃない?死ぬよりは絶対マシだよ」
「…本当によかったのか、本当の居場所じゃない上に私もまた別世界で人を…」
カシオペアは破壊された。もう二度と次元が開くことはないだろう。
だからこそ、何の関係がない和美まで巻き込まれたことに負い目を感じていた。
だがそんなことを言う千雨の頭を軽くでこピンした。
「痛てぇ!?」
「私はもう後悔したくないからあそこで飛び出したの、そんなこと言わないで」
「そうですよ。長谷川さんは今の長谷川さんなんですから」
「…」
「ここが私と千雨の生きる世界。あっ、さよちゃんもね」
「それじゃ、いきましょうか。長谷川さん」
「…フッ、そうだな」
軽く笑い千雨と和美は麻帆良学園に歩みを進めた。
―ここが私の居場所。この世界で答えを見つける。そして生きていく。
【完】
1部から数えて半年以上も経ちましたがついにこれで完結します。
正直なところ“クオリティがある”とか言われますが、ネタに詰まった時は
没になったネタや他のSSで参考にしようとしたものなどで埋め合わせたものもあるので
そのことになると自分はまだまだ未熟です。
しかしここまでできたのはこのスレの住人のみなさんのおかげだと思います。
この経験を元に別のSSスレでもがんばっていきます。
またザ(ryスレでも投下してますのでよかったら見に来てください。
それではこの投下で最後にいたします。
みなさまありがとうございました。
2006年4月13日
作者1より
SEE YOU!
素直に感動した・・
リアルと他スレでも頑張って欲しいがまた気が向いたら書いて欲しいと思う
乙・・
素直に良かったよ……
斬新なことやりまくったのに綺麗にまとまってたし
お疲れ、作者1氏
アンタがいたからこのスレは盛り上がれた
心から乙
映画化キボンヌ
…なんか言葉でうまく表せれないくらい感動しました。
作者1さん、本当におつかれさまです。
なんかネギまの世界観が広がった感じ。
・・・作者1、ありがとう
また、別の作品にも期待してます
感 動 し ま し た
作者1氏ご苦労様でした。
丘の作者の方々の作品を読むことは自身のはげみにもなりました。
ところで次回作をマターリ書いているのですが、至らない挿絵は必要でしょうか?
親切な誰か意見下さい。
まとめが更新されてるな
乙
>>752 どっちでもいいのでは?
俺達は出されたものを楽しむだけだから、「描きたいなぁ」と思ったなら描けばいいよ
描きたくもないのに無理して描くこともないし
…流石gjでした。
自分の拙作を書き始めた動機も半分くらいは作者1氏の作品を読んだ為で
多大な影響を受けていると思います。
作者1氏、本当にお疲れ様でした。
あと、気が早いかもしれないけれど次の作者さんは…誰かな?
一応待機。自分の予約は>565。
作者1さん乙でした。
ただ野暮とは思いますが質問を。
千雨たちがたどりついた世界の本来の彼女達はどういう位置付けに
なるのでしょう。また同じく当地の超達は…?
上書きされたと予想
「番長惑星」みたいに平行世界の自分と融合して超能力が身に付くとか。
作者1さんお疲れ様でした!だが、最後に気になる一言を残さないでくれ・・・
貴方があのスレで何を書いているのか気になって寝つけねえwww
>>755 俺も千雨達は上書きされたと脳内補完
超がどうなったかは俺も気になったww
ガチで消滅したのか?
>>758 禿同www
>>759 千雨達が飛ばされた世界がマガジンで連載中のネギまで
ラストバトルがあったのがアニメ版ネギま。
元いた次元は2chのこのスレ。
とりあえず、次の部は特定の日まで待って
その日までにすぐにかけると書いた作者の中で一番事前の予約早かった人が次の部、ってことになるのかな
俺個人としては3日後の17日あたりがいいと思うんだが、どうよ?
>>758 同じくwwでもあれかなーって思ってるのはあるw
作者1さん、お疲れさまでした。
本当なんて言いますか、「ありがとう」と言う言葉しか出てきません。
最後の締め方は作者1さんが一番上手だと思います。
1部の裕奈といい、今回の朝倉、千雨といい。
過去を完全にふっきり未来へ進んでいくというのが一番出てます。
作者1さんはあえて超がどうなったのかを書かなかったのかな?
次の方が書きやすいように。
一から別の次元で活動してそうだが。
聡美「往生際が悪いですね、超さん。まだあきらめていないのですね」
超「また一から新しくゲームをし直すネ」
とか!?
もし、また新しい作品を書くことにになりましたら。
また読ましていただきます。
お疲れさまでした。
某百合スレのミラーさんと作者1さんは同一人物ですか?間違ってたらすいません。
追求してやるな
「ぅ……ここ…は?」
眠りから覚めた超が見たものは巨城、湖、そして森。
カシオペアの光に呑まれた結果、辿り着いた世界。
「ここもまた平行世界……ではなさそうネ」
この世界は私の世界とは繋がっていない、完全に独立した別の世界。
超鈴音の存在しない世界。
3−Aのクラスメイトも当然存在するわけが無い。
それなのに――
「なっ、き貴様なぜここにっ!?
どうやって……いや、それ以前に死んだハズじゃ…ッ!」
聞き覚えのある声、そして振り返れば見覚えのある顔。
「エヴァンジェリン……!!」
有り得ない再会。
黒いローブを纏ったエヴァンジェリンの後ろで、無数のフクロウが飛び去っていくのが見えた。
お この展開ww
続けて欲しいぞ
>>766 どう見ても書き逃げです。
本当にありがとうございました。
少し思ったんだが…
フ ク ロ ウ で な く 、 コ ウ モ リ で は ?
ちょwwwwwwwwwwwwwwwフクロウwwwwwwwwwwww
バロスwwwwwwwwwwww
>>769 きっとエヴァじゃなくてハー〇イオニーなんだよ。
つまり超はホグワー(ry
ところで、結局次の部は誰なんだ?
また過疎る予感・・・orz
774 :
766:2006/04/16(日) 01:47:33 ID:???
初期からの住人でなくては意味がわからないはず。
エヴァンジェリン、フクロウであってる。
今の現状だと投稿したいと思ってる作者はもう少し強く自己主張してもいいと思う。
次の部が誰か、とか、そういうことをまとめている人が今いないから、作者自らが多少引っ張るぐらいで。
madの中身よりも、そのアドレスに吹いた。
期待してます。がんばってください。
MADムービーキタワァ*・゜゚・*:.。..。.:*・゜(n‘∀‘)η゚・*:.。. .。.:*・゜゚・* !!!!!
565氏改め作者10氏頑張って下さい。
>>776 いきなりハイクオリティなMADキタ━━━━━━━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━━━━━━━!!!!
>>776 アドレスに見覚えがあると思ったら・・・
投下されるのwktkしながら待ってます。
MADキタワァ*・゜゚・*:.。..。.:*・゜(n´∀`)η゚・*:.。. .。.:*・゜゚・* !!!!!
それでは、
ネギロワ第十部を投稿開始します。
一応自分なりには頑張ってみました。
『はじめに』
・一つ、作者は原作のバトルロワイヤルの小説なり映画を視聴した事がありません。その為、この小説は主にネギロワの作者様方の作品を読んだ経験から成り立っています。
・一つ、作者の力量、根気により一部の文章で描写、説明不足が多々あるかもしれません。
・一つ、キャラの設定や性格は色々原作とは変わってます。特にさよ、ザジ等はそれが酷いです。
・一つ、作者は銃火器には、とんと疎いです。実際、書いてる途中まで拳銃の安全装置の存在すら忘れていました。従って、知ったか知識への突っ込みには出来ればソフトにお願いします。
・一つ、この作品の殺し合いにはオリキャラが一人出てきます。しかも、結構活躍します。それについて作者からは何も申し開きはありません。
・一つ、このバトルロワイヤルには他作品(放送終了した某アニメ)のマジックアイテムがひとつだけ出てきます。その作品を知らない方は、何だこの武器と思われるかもしれませんが、そこは予めご了承下さい。
・一つ、予定ではエピローグを除き全14回に分け投下予定です。
#1 オーバーチュア(序曲)
ふわふわと浮いた足取りで和泉亜子(出席番号4番)は彷徨っていた。
元担任の冷酷な素顔、三年間一緒だったクラスメイトの死。そして、自分たちがこれから始める殺人ゲーム。
どれひとつをとってみても悪夢と呼ぶには相応しかった。その出来事が亜子の頭の中で先ほどからぐるぐると渦巻いている。
(いや…もしかしたらウチは、夢を見てるんやないか…)
そう思うと亜子は確かめるように首筋に手を触れ、その度に触れるリアルな首輪の冷たさに驚く。
(そう、これは、現実なんや…)
何度も自分にそう同じ推し問答をしながら亜子は自分に支給された荷物の確認もせず、当てもなくその森の中を彷徨い歩くのだった。
亜子がしばらく歩いていると今まで薄暗かった景色が急に明るくなる。
思わず亜子は顔を上げた。そこは森が開け、小さな滝が流れて池を作っていた。
ふと、亜子はその池の畔に一人の人物の姿を認める。だが、池の傍らに屈み込みこちらとは別の方向を向いたままの人物はまだこちらに気付いた様子はない。
(――ザジ…さん?)
ザジ・レニーデイ(出席番号31番)は亜子の方に背を向け、ただじっと何をするわけでもなく池の中を眺めていた。
その様子を伺いながら亜子はザジに声をかけるべきか少し戸惑う。亜子はザジと特別仲が良いと言う訳ではないし、そもそもそのザジと喋った事すらなかったからだ。
しばらくの考慮の後、亜子は前を向いたままゆっくりと後ずさりを始めた、一歩一歩慎重に。
結局、亜子はザジに声も掛けずトンズラしようと決めこんだのだった。しかし、数歩も進まぬうちに亜子のすぐ後ろで細い木の枝を踏む典型的なパキッという音が鳴る。
(ヤバっ)
そう感じたのが亜子の最後の思考となった。
バー―ン
ザジが後ろを振り返ったのと何か大きなものがドサッと草むらに倒れたのはほぼ同時であった。
「…………」
ザジのふたつの瞳は、ゆっくりと前の相手を凝視する。
「――やあ、同盟を組まないかネ、ザジサン」
突然現れた超鈴音(出席番号19番)は亜子の死体を前にしてザジにそう切り出した。
【和泉亜子(出席番号5番)死亡 残り29人】
#2 エチュード(練習曲)
「…ったく、冗談じゃないっての!」
彼女のスタート地点である浜辺に誰もいないのを確認すると釘宮円(出席番号11番)はそう悪態をついた。
「殺し合いだって!誰がそんなこと…」
してやるもんかと言いかけたところで先程のドロリと床を流れる生々しい血の臭いを思い出し、円は思わず吐き気を催した。
血の臭いなら、彼女も女なのだから日々の月もので知らない筈はない。だが、あれはそれとは全く異なる臭い。
そう、言わば死の臭いと言える物である。
「…ハァ」
視界の果ての水平線を眺め円は何とか気分を落ち着かせる。
まさか桜子や美砂と殺し合いになるとは思わない。けれど、他のクラスメイトに関して言えばどうか。
あのクラスメイトの死を間近に見て変な事を考えるクラスメイトだって、絶対いないとも言えない。とすれば殺さなきゃいずれ殺されるのは自分になるかもしれないだろう。しかし、そこで円は中央に眉を寄せる。
(確かにそうかもしれない…。でも、本当にみんながそんな気になるのだろうか?)
その疑問は円の中で大きく膨れあがる。そうでないとすれば円達にもチャンスはあるのだ。
けれど、……円はふと最初のタカミチの説明を思い出す。
「そういえば高畑先生、今回は特別ルールだ、とか言ってたっけ…」
そう言って円は自分の目からは見えない首輪の形を手探りで確認する。
その首輪には十二個の星型の穴が空いていた。そして、その内二つの穴には黄色い小さな星が埋まっている。それはちっぽけな星ではあるが今の円達にとってはこの星が生命を左右するほど重要なものなのだ。
「星を奪い合えって…私はどこぞの決闘者ですか」
おどけた風に笑って見せたが、そんな事をしても空しいだけ。だが、今の自分に出来る事といえばそんな風に皮肉を言ってやる事くらいだ。
「とりあえず、桜子と美砂を探すとしようか」
円は支給された武器である金属バットを一振りし片手に携える。そして、荷物を背負い人殺しゲームの始まる不気味な無人島の内部へと足を踏み入れていった。
【釘宮円(出席番号11番) 金属バット所持】
#3 プレリュード(前奏曲)
「ふむ、いいかな…」
高畑・T・タカミチは落ち着いた様子でクラスメイト達を見渡した。無論、彼女らには抵抗出来ないよう近くにいた兵士達の銃口が向いている。最早、タカミチの言葉に気軽に頷く者はいない。
落ち着き払ったタカミチと対照的におそらく彼の前にいる多くの少女は彼の様に冷静にはいられなかったろう。なにせその傍らには混乱し、ちょっとした不平を呈した鳴滝風香(出席番号22番)がすでに骸として床に転がっていたのだから。
「これでさっき僕が言ったことが君らを驚かす為の下らない冗談じゃないって事は分かってもらえたと思う」
彼は手にした拳銃でコンコンと軽く首を叩きながら話を再開させる。
「ところで…だ。ん…どこまで話したかな。そうそう、最近のBR法の参加者は何と言うかだな、殺し合いにネガティヴなんだよ。例えば一昨年の参加者ときたらゲームの期日が終了したというのに仲間同士で20人以上残っていたというし…」
何でだろうなと呟くタカミチを当然じゃないかという風に綾瀬夕映(出席番号4番)は睨みつける。だが、一体何故そんな事を今話すのだろうか。夕映の心に灰色の疑問が浮かぶ。タカミチはその夕映の視線に気付かない振りをし、話を続ける。
「……さらにつまらない事に去年は参加者の一部が結託してね、何でも政府に反旗を翻したらしい。当然、政府は起爆装置を起動。首輪は爆発して、去年の優勝者はゼロという事態になったのさ」
参ったねと言いながらタカミチは風香の側で静かに嗚咽を上げてうずくまっている鳴滝史伽(出席番号23番)を煩わしそうに見やった。
「で…、今回はそういう事を防ぐよう政府から特別ルールが考案され、一度試しに実行してみようという事になったんだ」
「特別ルールだと?」
そう不機嫌そうに訊き返したのはエヴァンジェリン・A・K・マクダウェル(出席番号26番)だった。先程から自身の魔法障壁が展開されていない。一体どういう理由からかは知らないがエヴァは魔法が使えなくなっていた。
「そうとも。どうしてもチームプレイを取りたがるこのバトルロワイヤルに優勝者1名は少なすぎると、まあそう判断したんだな。そこで複数の優勝者を認める事になった。参加者が僕らのいう変な気を起こさないようにね。
だが、当然それだと殺し合いそのものが起こらなくなる。ま、そのためにあるのがこの特別製の首輪なんだが……」
タカミチは足元に転がる風香の首輪をコンと軽く蹴る。
「おっと、さっきも言ったようにこの首輪は無理に外そうとすれば爆発するから気をつけるんだよ」
和泉亜子(出席番号5番)はそこでやっと周りの様子を観察した。自分の首輪の感触はあるが、爆発すると言われれば恐ろしくて触れる事が出来なかったからだ。
よく見れば首輪という物は周りのクラスメイトの首全てに付いている。そして、それら全てには小さな星型の穴が空いていて、穴にはそれぞれ首輪にひとつずつ星が埋まっていた。
「今現在、君達の首輪には現在、ひとつずつ星が埋まっていると思う。察しのいいものはもう気付いたと思けど…つまり、君たちには互いに星を奪い合ってもらいたい。そして、時間までにこちらが定める規定数以上集めなければ……」
そこで言葉を切ってタカミチはいやらしい笑みを浮かべる。
「――その首輪は爆発する」
【鳴滝風香(出席番号22番)死亡 残り30人】
#4 オペラ(戯曲)
五本の指先を摺り合わせて笑うタカミチとは対照的にクラスの雰囲気は静まり返ったままだった。
そんなバカな。これでは通常のルールよりも殺し合いが前提ではないか。なにせ星を取り合う理由は短的に命に関わるのだ。そこに殺し合いの原因が生まれない筈が無い。
「いいかい?現在はこの規定数というのは星一個。つまり、現在君たちにひとつずつある星が起爆を抑えてるってわけだ。
それが今日の午後六時時点で星三個、二日目の午後六時時点で星六個所持していなければならない。そして、三日目の午後六時時点、つまりゲーム終了時点で星十二個に規定数が引き上げられる。
当然、その時にそれ未満の星の数だと首輪は爆発する。ま、と言っても首輪の持ち主の生体反応が消失した時点でこの首輪の爆破機能は解除されるんだけどね」
そうでなければ安全に星を首輪から奪う事が出来ないからね、とタカミチ。
「端的に言えばこのゲームは星を集めるゲームだ。という事は逆に言えばこのゲームは星を十二個集めた時点でそれ以上星は集める必要性は無くなる。
尤も、君達が組んだ仲間の分を集めるために殺し合いを続けたいなら、別に僕は止めはしないけど」
タカミチはハハハと笑いながら大きく手を振る。
「そう、だからこのゲームの期限は明後日の午後六時までとなっているけど、それを待たなくても星を十二個集めて首輪に嵌めるとこの首輪は外れるようになっているんだ。
当然、首輪を外した後、星は首輪から外れないように作っているが…。首輪をとにかく外したいと思う者は三日といわず一日目から星を集めることだね。
ああ、そうそう。それとこの星は特別製だけど、実はそんなに頑丈には出来てはいない。だから首輪が爆発したのならこの星も同時に壊れてしまうだろう。ま、星に関する説明はそんなとこかな…」
「――あの、ひとつよろしいでしょうか?」
挙手し、そう訊ねたのは雪広あやか(出席番号29番)だった。タカミチは許可し、あやかの続く言葉を促す。
「その話を聞くと生き残るのは星を十二個集めた方のみなのですよね。現在このクラスの生徒の所有する星を全て集めても30足らず。ということは生き残るのはどんなに多くても二名ということなのですか?」
タカミチその言葉にキョトンとした表情をする。そしてやっとその言葉を理解すると手で顔を押さえて笑った。
「すまない、元々説明って言う奴が苦手だからね。よく言葉足らずになってしまう。いや、悪い癖だ」
「では一体どういう…」
「最終的に君たちに渡す星はひとつずつじゃないんだよ」
そこでタカミチは周りにいた兵士に多くの星とペットボトル。それとくじのようなもの、黒い布に包まれた包みを用意させた。
「共通して渡される荷物は二種類。この島の地理が書かれた地図と時刻を確認する為の腕時計。この二種類だけだ。その他三つの荷物は選択制となっている。同じ荷物を重複して選んでもらっても構わない」
タカミチは火の付いていない煙草を咥えながら続ける。
「選択出来る荷物は三種類。一つ目は支給する武器。中身はくじ引きで決めさせてもらう。勿論アタリがあればバズレもある。まあ、まったくの武器がなければこのゲームはきついだろうしこれ選ばないのは無謀だね。
二つ目は星。これはどうせ集めなければならないものだから初期に多く持っていればそれだけ有利になるだろう。ふたつ選んでおけば最初のひとつの星とあわせて三個になるから殺し合いに参加しなくても二日目の午後六時までは生き残ることも可能かもしれない。
最後は食料と水。このペットボトルに水が、黒い布に握り飯が入っている。量は朝夕二食で二日分だけだが切り詰めるのが得意なら二日半から三日は持つだろう。島には当然食料や水といった物は用意していない。
だから食料をひとつも選択しないのはある意味きついとも言えるね。だから少なくとも自分の分を確保しておきたいなら食料は一個は確保しておくことをお勧めする。
ところで説明が長くなってしまったね。君たちには今からこの三種の荷物の中から荷物を合わせて三個選んでもらう。後の自分の運命を決める選択だ。よく考えたまえ」
タカミチはそう言って一歩その場を引く。
その後、3−Aのクラスメイト達は早い者勝ちにそれぞれ三つずつの荷物を選択した。選んだ順番はばらばらで、他のクラスメイトの誰が何を何種類選んだかは一部のこのゲームを理解した生徒以外は誰も注目していなかった。
最後に史伽がやっと荷物選択を終えると、タカミチは意味深に口を開いた。
「さて、最後に僕からひとつ忠告だ。こんな考えを起こすのは一部のものだけだろうが、この司令部に反乱を起こそうなんて考えは止めた方がいい。何故かって?――なに、理由はすぐに分かる筈さ…」
そう言ってタカミチは皆より先に風香の遺体が未だ横たわるその部屋を後にした。
#5 コーラス(合唱曲)
「――同盟?」
ザジは掛けられた言葉を鸚鵡のように返した。
「そうネ」
亜子を撃った銃を服の下に素早く仕舞うとチャオは頷く。
「――少なくとも私は一刻も早くこんな馬鹿げたゲームを終わらせたいのヨ」
じっとザジは眼前の人物を見つめた。ついさっき人を殺したばかりだというのにその態度はといえば、どこか飄々としている。
「こんな何の理由も無く、益も無いゲームにつき合わされるのにはゴメンネ」
それはチャオの本心。事実、チャオはこんな意味のないゲームに辟易していた。
そこでザジは再度思い出したようにすでに事切れているだろうクラスメイトの後頭部を見た。
「――どうして亜子を…」
「ああ、それはネ。亜子サンが、ザジサンを殺そうと狙ってたからネ」
ザジはハッとした様子でチャオを見上げる。ニヤリと笑うそのチャオの笑顔に感情は無い。
「だから感謝してほしいくらいネ。私がアト一歩遅ければザジサンの命はなかったのだから」
愕然とし沈黙したザジは目を再び亜子に移す。
ザジは亜子と会話をした事は一度としてなかった。けれど別にそれは亜子が嫌いだったからではない。いや寧ろ、彼女の気弱だが何事にも一生懸命な姿勢には僅かな好意すら持っていた筈だ。
けれど、果たして亜子はそんな人物であったのか。その言葉すら交わした事の無い少女の死体が今、不信感を煽られたザジには何処か遠くに感じられた。
「――どうして、私と手を組みたいの…」
「このゲームを終わらせられる僅かな人間だからネ」
チャオは顎に指を当て答える。
「あの武装した兵士のうじゃうじゃ居る司令部に生身で乗り込める可能性がある人間といえば…そう、銃器に長ける真名サン、茶々丸。隠密性に長ける楓サン。あとは…フンム、完全人外であるザジサンぐらいしかいないからネ」
ふう、とチャオは息を吐いた。
「高畑先生は言ったヨ。星を十二個集めれば首輪が外れると。
なら星を集めザジサンの首輪を外し、司令部の兵舎を壊滅させ、あとは私を司令部に連れて行ってさえくれればこの天才の名にかけてそのコンピューターから私が皆の首輪を解除するネ」
チャオの口先から口上が述べられる。
――だが、それは嘘だった。チャオにはそんな気は全く無い。
ただ、自分のために星を集めれればそれで良かった。クラスメイトを助けようだとか、ゲームを終わらせようだとかそんな考えはこれっぽっちもない。チャオにはクラスメイトを助けなければならない義理など無いのだから。
それよりもザジと自分の星の数が合わせて十二個を超えれば不意を付いてザジを殺して星を奪ってしまい。あとはチャオ自身の首輪を外してゲーム終了までどこかで隠れていようと考えていたほどだった。
そんなチャオの思惑を知ってか知らずかザジは少し思案した後、ポツリと呟く。
「――分かった。同盟を組む」
「信じてくれて嬉しいヨ」
そのザジに向けて微笑む仮面の裏で、チャオは胸の底から込み上がる笑いを押さえつけるのに必死だった。
【超鈴音(出席番号19番) 拳銃(ルガーP08)所持 ☆いつつ】
【ザジ・レニーデイ(出席番号31番) 武器不明 ☆みっつ】
#6 モノフォニー(単声曲)
「――ハァッ…」
神鳴流の剣士、桜咲刹那(出席番号15番)は溜めた息を一瞬にして吐き出し、神速の抜刀術を近くの木に向かって繰り出す。普段なら木といわず大岩さえ鋭く切り裂く一閃の残光は木の幹に30センチほど食い込みその動きを止めた。
刹那はそれを見ると躊躇いがちにゆっくりとその刃を抜く。
「やはり、駄目か…」
その島に張られた結界の為だろうか、刹那もまた気を完全に使う事が出来なくなっていた。
魔力を抑える結界ならまだしも刹那は気を押さえる結界など聞いた事も無い。
最近のハイテクは進んでいるなとのエヴァンジェリンの言葉に今更ながらに同意してしまうのだが…、
「これでは意味がないじゃないか!せっかく自分の武器はアタリだと思ったのに…」
刹那は軽く奥歯に力を込め自分に支給された日本刀を見る。
その刃渡り一メートルほどのその刃に先程の木を切り損なったときの刃こぼれを幾つか見つけ、刹那はより一層の無力感を感じるのだった。
おそらく今の自分では拳銃の弾をはじき落とす事すら骨を折るだろう。弱い考えを振り払うように刹那は首を振る。
(駄目だ!そんなことでお嬢様が守れるのか!いつからそんなに弱くなった桜咲刹那!)
今はお嬢様と合流することだけを考えていればいい。相手が私を殺そうとすれば逆に殺す。それでいいんだ。
「――今はそれで十分だ…」
そう決めてしまうと刹那の溜めていた重い気持ちが幾分楽になったような気がした。
刹那は荷物をまとめ直す。刹那の選択した荷物は星ひとつに武器の日本刀がひとつ、もうひとつは食料だった。
つまり、現在刹那の首にある星の数はふたつという事だ。
その時、パァンと刹那の近くにあった木の幹の皮が弾けた。
瞬時に刹那は荷物をその場に置き横に飛ぶ。そして近くにあった岩陰に飛び込んだ。
(銃撃か!?一体どこから……)
岩陰から僅かに顔を覗かせ刹那は周りの様子を伺う。だが、その答えは逆に刹那自身が驚くほどに簡単に分かった。
刹那から20メートルほど離れた草叢の裏。そこに鳴滝史伽(出席番号23番)は自分の身を隠す事もせずカタカタと震えながら銃を構えていた。
【桜咲刹那(出席番号15番) 日本刀(菊一文字)所持 ☆ふたつ】
#7 ワルツ(円舞曲)
刹那はもう一度確めるように軽く岩陰から様子を伺う。
史伽からの次弾はまだ無く、その場から移動する気配は無い。
ただ、震えながら少し放心したように自分の撃った拳銃とその撃った弾の方向を見つめていた。
(今なら行けるか…)
キュッと刹那は刀の柄を握りなおす。
刹那ならこの距離は七歩、時間にして二秒弱で間を詰める事が出来る。とてもではないが素人の史伽が撃った弾が命中するとは思えない。そこに至り、後に残ったのは刹那の心の問題だった。
(いい加減にしろ、刹那。さっき自分で決めたばかりじゃないか…。相手に殺す気があれば殺す、そうだろう。一体何を迷っているんだ…)
それでも二、三度軽く躊躇した後にようやく腹を決めた刹那は軽く腰を落とす。
そして、脇にあった小石を左に投げると同時に岩陰とは逆の右から飛び出した。
一歩、二歩。
史伽は動かない。顔は刹那を向いていなかった。刹那が思っていたより石の方に注意が行ったのかも知れない。
三歩、四歩、五歩。
史伽の顔は動かない。石になど注意が行っていないのが分かった。でも、刹那にはそれが何か分からない。
六歩、七歩。
史伽の手は結局最後まで動かなかった。
刹那は史伽の首を掴み地面に組み伏せ、首筋に刀を突きつけた。同時に刹那は気付く。
「…やめてくれ」
自然に口から言葉が流れ出た。
刹那はやっと理解した。史伽のその濁った目の焦点は刹那に合っていない。
史伽は刹那など見てはいなかった。銃に指を掛けていたのは形だけ。彼女の指にもう一度引き金を引く力は無い。
「ころして……」
史伽が空に向かって呟く。刹那は一度目を瞑り、それに答えた。
「……史伽さん、私には…出来ません」
「…………。――うぅぁ…くっ…」
突然、せきを切ったように流れ出る史伽の嗚咽。その声は風香の死んだ時と同じく悲哀に溢れていた。
目は赤く、彼女の頬には伝った涙の筋が見える。そう、彼女の姉、鳴滝風香はもうこの世に居ない。それは早すぎる死だった。
そして、それに絶望した史伽もまたその後を追う為、刹那に殺してもらう為に刹那の近くの木に向けて銃を放ったのだ。そんな彼女にどんな理由であろうと刃を向けた自分は非道い恥知らずに思えた。
「すみません、手荒な真似をしてしまって…。しかし、お願いです…史伽さん」
手を離し刹那は立ち上がる。こんなお願いは滑稽だ。刹那はつい先程史伽を殺そうとしようとしたばかりではないか。
「生きてください…」
刹那は兵舎での長瀬楓(出席番号20番)の密かな行動を思い出していた。
忍者である楓は荷物選択の合間に人目を盗み死んだ風香から首輪の星を抜き取ると、姉が死に放心していた史伽の首輪にそっと、それこそ誰にも気付かれないように星を装着させたのだ。
「首輪の星の数を確認してみてください。貴女が選んだ星の数よりひとつだけ多い筈です…」
地べたに倒された史伽の眉がヒクリと動く。
「それは…風香さんの星です。――彼女の為にも、それを貴女に託した楓の為にも。史伽さん、貴女は生きるべきです」
刹那は史伽にそう言い放ち、最初の目的であった近衛木乃香(出席番号13番)を見つける為に島の西へとゆっくり歩き出した。
【桜咲刹那(出席番号15番) 日本刀(菊一文字)所持 ☆ふたつ】
【鳴滝史伽(出席番号23番) 拳銃(グロック17)所持 ☆よっつ】
今日はここまで。
問題がありそうなオリキャラは次回投下分から登場します。
反応については既にある程度は覚悟しています。では。
えっと、とりあえず。
鳴滝風香は10作中、分岐ルートを含めてまたリタイア!!
単声曲って何?
字的にみて、一人(一音?)で歌う曲だろうか
まだ最初だからなんとも言えないがとりあえず続きに期待
>>796 生存率0%組は生き残れるか?てか早くも風香リタイヤorz
>>797 そこ突っ込む所じゃないのでは?
曲の種類を題にしたのは失敗だな
【早乙女ハルナ(出席番号14番)
>>801取得】
パルktkrwwwwwwwwwwww
やべえ、8部亜子エンドの美空マジでやべえ。惚れた
作者10氏乙!!個人的に好みの文体なのでwktkが止まりません!!
刹那が気の確認をしたあたりがなんかいいなあ・・・
しかし、亜子早いよ亜子orz
↑と、軽くへこんでたのにパルwwwwwwww
星を奪い合うって遊戯王かw
釘宮がどこぞの決闘者って言ってるし
タカミチ「トラップカード発動!!破壊輪!!」
>>797 モノフォニーを作者が勝手に日本語に訳した言葉。
同じように幾つかのタイトルも仕方なく無理に訳した部分があります。
それでは今日の投稿を始めます。
#8 セレナーデ(小夜曲)
相坂さよ(出席番号1番)は切り立った山の崖の上に立ち眼下に広がる島を一望していた。
手には星の放つ電波を感じ取りそれをモニターに表示する機械、(言わば星探知機といえばよいのだろうか)を持っている。そして、その画面には現在さよの首の星がふたつ表示されていた。
幽霊の彼女にどうやってつけたのか知らないが、首輪が付いている。そう、彼女もまたこのゲームに強制的に参加させられた一人であった。
だが、相坂さよは特別であった。それは彼女が既に死んだ存在であるが故に死に得ないはずの者だからである。
たとえ銃で撃たれようと、ナイフで切り付けられようと、毒を盛られようと、どんな事があろうとも。彼女は死は存在し得なく、有り得ない。
食事さえとる必要がないのだから、ただ単に残るだけというのならさよはこの山の上でただ浮遊していればよかった。
だが、この山に送られる前にタカミチは言った。
『相坂君、君を殺すことは出来ない。君自身が武器を持つことが出来ないという弱点を除けば、どんな武器がこようと君は無敵だろう。――だが、当然それでは意味が無い…』
『…………』
『君の首輪は君用の特別製のものでねぇ。君のような霊体を吹き飛ばすように作ってある。首輪の星すら触る事の出来ない君には厳しいかもしれないが…。何、君はこのゲームに関しては僕よりも経験豊富だろう?』
その皮肉めいた微笑がさよにかつての自分が生きていた頃の記憶を呼び覚ます事となった。
(この国はまだこんなゲームを続けてるんだ…)
この島はちょうど60年前さよがその時のゲームに選ばれた時に舞台として使われたものだった。舞台となる島は幾つかあるという話だったが、偶然にも自分の死んだ島でまた殺し合いに巻き込まれるなんて常識外れの馬鹿げた話である。
だが、何時までも此処で呆けていても仕方がない。自分では星すら触れられないのだから自分に星を分けてくれるような仲間を探す必要があるのだ。
さよは星探知機に目を落とす。するとここから北西に100メートル程の地点に幾つかの星がある場所が見れた。
早速さよはその方向に向かってフワフワと漂い始める事にする。それが、自分の友達である朝倉和美である事を願って。
「そういえば…近衛君…。生き残れたかなぁ…」
その道中、さよは晴天の空を仰ぎ、60年前自分を包丁で刺し殺した男子生徒の名を思い出すのだった。
【相坂さよ(出席番号1番) 星探知機所持 ☆ふたつ】
#9 ポップス(流行曲)
「畜生ッ…何だよ!」
長谷川千雨(出席番号25番)は自分に支給されたふたつの荷物を広げ憤慨していた。
と言うのも千雨が選んだ荷物は武器みっつ。食料は当然ゼロ。首には最初から嵌っていた星がひとつ有るだけである。
つまり、千雨は星や食料を全く選ばず人から奪うという前提で荷物の全てを武器に選択したのだ。それなのに現在までに開けてみた武器を挙げてみればノートパソコンと下剤と書かれた瓶のふたつ。
(――使えねぇなあ…)
そう感じながら千雨は最後に残った支給された武器の袋を見る。これが何かはまだ分からないが、ハズレなら自分はこのゲームの運からまったく見放されたという事になる。そう、千雨にはさしあたって昼の食料すらないのだ。
「…頼むぜ」
千雨は恐る恐る最後に残った支給された武器を確認する。だが、その荷物の中にあるものが何かを認めると千雨は高笑いを始めた。
「ハハハ、ハハ…。どうやら私もまだツキには見放されていないみたいだな…」
そう言うと千雨は最後に残った荷物の袋からマシンガンを取り出す。その重量感と構造の造形美と言うべき美しさは惚れ惚れするほどだ。しばらくそのマシンガンとその使用法を眺めると千雨はその銃口を例の使えない荷物に向ける。
「物は試しだ」
マシンガンが大量の光と音を放ち、プラスチックで出来たノートパソコンの外装と下剤の瓶を砕いていく。割れた下剤の瓶からはわずかに残った液体がちろちろと流れ出し、地面の土を濁った色に変えた。
「……ハハハハ、こりゃ良い!」
自分の手に入れた銃の感覚と使えない荷物の処分に満足した千雨はそこで初めて島の地図と向き合う。
「さて、取り合えずは食料だな」
粉々になったノートパソコンを踏みつけ、肩からマシンガンを垂らすと人の集まりそうな古い市街地を目指し歩き出した。その千雨の目は飢えた狩りをする前の肉食獣に近いものがあった。
【長谷川千雨(出席番号25番) マシンガン(ブローニング M2)所持 ☆ひとつ】
#10 シャコンヌ(変奏曲の一種)
「ハハハ…」
乾いた笑いが出た。タカミチが正義の心と同時に心に暗い闇を飼っているのは自分が子供の頃から知ってた。
自分が一番タカミチの事を見ていたのだから。それでもタカミチの事が好きだった。いつか自分がその闇を晴らしたいと思っていた。それが自分の出来るせめてもの恩返しだったのだから。
「――結局、私じゃ無理だったのかな」
下を向いて歩きながら神楽坂明日菜(出席番号8番)は呟く。
明日菜はふと自分の武器に目を移す。その武器は人を殺すには十分すぎるほどの大口径の拳銃だった。
(…人殺しか)
明日菜はぼんやりと手に持った銃を眺める。だが、こんな物があっても仕方ない。自分に人は殺せない。
明日菜の中で出た答えは驚くほど簡単なものだった。
バラバラバラ
遠くで何かが鳴る音がけたたましい。
即座の判断で明日菜は近くにあった木の影に身を隠す。その頭上、木の枝の間を何かが通過する。
「あれって…ヘリ?」
そう言って明日菜は怪訝そうに上空を見る。そのヘリは司令部からではなく北の海から島の中心に向かっていた。――島のヘリではない。もっと別の場所から来たものであった。
「こんな時に一体なんなのよ…」
そう言いながら明日菜はそのヘリから言葉に表せない妙な気配を感じた。温かい様な、それでいて途方もなくゾクリとする。
「あー、もう気になるっ!」
気付くと明日菜はそのヘリを追いかけるために駆け出していた。
さよが参加とは新しい
幸運にもヘリはその場所から僅かに離れた所で静かに着陸する。
(……あれって)
それに遅れて到着した明日菜は木に隠れながらそっとヘリの様子を伺う。
一人の栗色の髪をした長髪の少女がヘリから降りた。小さなその身には麻帆良学園の女子の制服を纏っている。こちらを向いていないので顔は見えないが、その後姿に明日菜は誰かの面影を感じていた。
ヘリの中の兵士はヘリから降りた少女と二言三言話すと、ヘリは再び離陸する。
隙を付けばヘリを奪えたのではないかと一瞬思案したが、そんな事よりも今は目の前にいる少女の方に明日菜は心を捉われていた。ふっと少女が顔を横に向ける。
「……!!ネギッ!」
その少女の横顔を見て明日菜は木の陰を飛び出す。少女はゆっくりとこちらに顔を向ける。それは明日菜の担任のネギ・スプリングフィールドだった。
「ネギ!アンタ、無事だったの!?」
だが、少女は不思議そうな顔で明日菜を眺める。
「…………。誰、それ?」
「えっ…」
「――ネギって誰です?」
ネギの顔をした少女はゆっくりと右手を上げる。その手には黒光る銃が握られていた。
【神楽坂明日菜(出席番号8番) 拳銃(IMI デザートイーグル.50AE)所持 ☆ふたつ】
#11 キャロル(賛美歌)
「きゃあっ!」
少女の撃った銃弾は明日菜の近くの木に当たり、明日菜は声を上げる。その悲鳴は高く芳しい。長髪の少女は不思議そうに自分の銃と明日菜を見比べながら自分の撃った弾が外れたと知るともう一度、その狙いを明日菜に定めた。
「ちょっと、何の冗談なのよ!ネギ!」
「……さっきからネギって誰のことです?」
少女はまだ声変わりしていない、か細いネギの声で訊ねる。
「誰って、アンタよ!アンタ!何言ってんの!」
「――残念ですけど、人違いですよ。だって私の名前は……」
ふっと少女は無邪気に笑みを浮かべる。悪寒を感じた明日菜は斜め後ろに飛んだ。遅れて、今まで明日菜のいた場所に銃弾が着弾する。
「……!!」
明日菜はもう一度少女を見る。少女は三度明日菜に照準を合わせようとしていた。
どっと汗が出た。同時に全力で後ろに駆け出す。一体何がどうなってしまったのか分からない。ただ、明日菜に分かる事と云えばネギは本気だという事だ。
幸い周りには木が多い。だから、ジグザグに走れば明日菜の脚力ならばそのまま逃げられたかもしれなかった。
「うあぁっ!」
左足を銃弾が掠める。(実際の負傷自体は大した事は無かったのだが)足を絡ませた明日菜はその場に転倒する。急いで立ち上がろうとするその前に長髪の少女がザッと立ちはだかった。
「…………」
少女は相変わらず不思議そうな顔で明日菜をじっと見つめる。しばらくの間、明日菜とその少女の不思議な見詰め合いが続く。
そして、明日菜の滲んだ汗の滴が地面に垂れると同時に二人の少女は互いに相手の顔に銃口を向けていた。
明日菜の額からは新たな汗が溢れるように滲む。だが、その少女はと言えば落ち着いた顔で明日菜の表情を物珍しそうに見ていた。
「……合格です」
ふと少女の口からそんな声が漏れた。
「えっ…」
少女は自分の銃口を明日菜から外す。
そんな時だった。
「アイヤー!!」
突然、少女の後ろの木の上から影が飛び降りてきた。
長髪の少女もこれには虚を突かれたらしく、振り返るのが一瞬だけ遅れる。だが、影の人物にとってその一瞬で事を終わらせるには十分だった。
影の肘鉄により少女の拳銃は弾き飛び、同時に向き合った彼女の下顎に強烈な蹴りを決めた。吹っ飛ばされた少女はしばらく宙を舞い、そして地面にしたたか打ち付けられ気絶する。
「あや?ネギ坊主じゃないアルか?」
自分が倒した相手を認め、木の上から飛び降りた古菲(出席番号12番)は驚きの声を上げた。
【神楽坂明日菜(出席番号8番) 拳銃(IMI デザートイーグル.50AE)所持 ☆ふたつ】
【古菲(出席番号12番) 武器未所持 ☆みっつ】
#12 アンセム(合唱曲の一種)
「ちょっと、くーふぇ…」
「大丈夫アルか?明日菜。それにしても何故ネギ坊主がこんな所に居るアルか?」
クーは自身の疑問を率直に呈す。
「そんなの私の方が知りたいわよ…」
明日菜は地面に手を突きゆっくりと立ち上がる。明日菜はまだ少し混乱していた。
そうでなくてもこの島は異常なのだ。これ以上の面倒な事には巻き込まれたくは無い。明日菜は少女に目を移す。彼女は自分の事をネギではないと言った。ホント、一体何がどうなっているのか。
「…って、くーふぇ何やってんよ!アンタ!」
明日菜の叫び声に対しクーはきょとんとした顔で振り返る。クーは少女の落とした拳銃を拾い彼女に近づいていた。
「何って?ネギ坊主が何故このゲームに参加してるのか知らないアルが、ゲームに負けた者が荷物を奪われるのは当たり前アルよ」
「ゲーム?はぁ、何よそれ?」
「ほら、ネギ坊主も首輪してるアルし…」
クルリと少女の方を向き、クーはその首に付いた首輪を示す。ネギの顔をした彼女の首輪には参加者の証である星がふたつ埋まっていた。
「私が言ってるのはそういうことじゃなくて、荷物を奪うってどういうことなのよ」
「何かおかしいアルか?殺されそうになったんなら、殺しても正当防衛アル」
「……それは、そうかもしれないけど」
明日菜は歯切れの良くない返事を返す。
「でも、やっぱりそれっておかしよ。くーふぇ」
「…………」
クーは黙って明日菜を見つめていたが、やがて諦めがついたように息を吐く。
「分かったアル。確かにアスナの言う事も分かるアルしナ」
「悪いね。くーふぇ」
「私も甘いアルな」
「……え」
明日菜は目の焦点がぶれ、気が遠くなる。明日菜の腹にクーの鋭い拳を突き入れられていた。
「――これもアスナの為アルよ」
「なん…で…、くーふぇ…」
そこで明日菜の視界は暗転した。
「……ん…」
それからどれほど経ったろうか。かざした腕をずらし、ゆっくりと明日菜は瞼を開ける。
暗い漆黒の闇。どうやらそこは何処かの適当な洞窟の中らしかった。
「ここは……」
腕時計を確認すると時間にして先程の時刻から二時間ほど経過している。
「そうだ!ネギは!」
跳ね起きた明日菜は地図や方角を確かめる。先程クーたちに会った場所からそう離れてないようだ。
明日菜は自分のいた洞窟を飛び出し先程の長髪の少女が気絶した場所に向かう。
何か胸騒ぎがする。それは明日菜の野生の直感だった。
「うっ……」
その場所に着いた途端、明日菜はその光景に絶句する。その場に動くものは何も無い。
一面に黒ずんだ血が溢れ、その時計が止まったように静かな世界の真ん中に、ただ、静かに…。
眉間を撃ち抜かれた佐々木まき絵(出席番号16番)は倒れた彫刻のように仰向けに固まっていた。
【佐々木まき絵(出席番号16番)死亡 残り28人】
#13 パッション(受難曲)
話は明日菜が洞窟の中で目が覚めるより二時間程前の事。
「――悪いアルね、アスナ」
彼女の体にしな垂れかかる明日菜を受け止めクーは侘びの言葉を吐いた。
現在の所、クーには明日菜を殺すつもりは無い。というかそもそも殺すつもりなら明日菜を助けたりなどしない。
クーは軽く息を吐く。だが、自分も明日菜もこんな調子ではこのゲームで生き残れない事はクーには十分過ぎる程良く判っていた。
結局の所、星を奪い合わなければ遅かれ早かれ死ぬだけなのだから。けれど、実際クーの中で今ひとつ殺人に踏ん切りが付かないのも確かである。
クーは自分の首輪に手を触れた。今そこにはみっつの星が埋まっていた。とりあえずみっつあれば明日の夕方までは大丈夫だ。だが逆を言えば明日の夕方までに何とかしなければいけない。
そして、その何かとは要するに人を殺す事であり、それはクーの故郷の中国においても当然で最大の禁忌であった。
「どこかに都合よく星でも落ちてないアルかな…」
そうクーはそうぼんやりと藁にすがる思いで辺りを見回す。だが、そんなに簡単に星が手に入れば苦労は無い。
やがてクーの目は前にいるネギに似た長髪の少女に移る。
「アスナの頼みだからこの場は見逃すアルよ」
しかし、このままこの場に置いて行くのは少し癪に障った。それに彼女の武器をこのままにして行くのは少し危険に感じた事もあった。この少女は明らかにゲームに乗っている。
「……そうアルな。私はこの銃、アスナには星をひとつ貰っていくアルか」
そう言ってクーは少女の首輪から星をひとつ奪うとそれを明日菜の首に嵌めた。
「それじゃあバイバイアルな。……尤も、私の方はもう会うのは二度とゴメンアルが」
そう言って明日菜を背負ってその場を移動する。距離にして五百メートルほど行った所に安全な洞窟を見つけたクーはそこに明日菜を寝かせると、再び島の戦場へと舞い戻った。
さて、ここで場面を再びネギの顔をした少女に戻すとしよう。クーがその場を離れしばらく経った頃、彼女の側に寄る新たな影があった。
「あれ、ネギ君?なんでこんな所に?」
佐々木まき絵(出席番号16番)は驚いた様子で少女に駆け寄る。
「ねぇ!ネギ君、大丈夫!?」
気絶した少女を抱き起こし、まき絵は必死に介抱する。
「ネギ君、ネギ君ってば!」
「……ん」
薄っすらと少女は瞼を開け、ぼんやりと自分を介抱するまき絵をに目をやる。
「あ、気付いた?ネギ君」
「……あなたは?」
「……へ?もーやだな、ネギ君寝ボケてるの?私だよ、私。まきえだってば!」
こんな事になって不安だったんだよ、と言うまき絵をしばらく少女は黙って見つめた。それから少しの間宙を眺めていたが、急に何か思い出したようにふっと体を起こす。
「あぁ、起きて大丈夫?」
「……マキエさん、あなたの武器は何ですか?」
「え、えっとね。ちょっと待って…」
突然の少女の質問に驚き焦りながらまき絵は自分の荷物を引っ掻き回す。
「あ、コレコレ。えーと、"とぅるすきー・とかれう゛ぁ1930/33"とかいう銃だって、一応アタリって事になるのかな」
「――少し見せてもらっていいですか?」
「……え、別にいいけど」
少女は返事を待たずまき絵の手から銃を奪い取りそれをまじまじと見つめる。
「…ねぇ、ネギ君。何でそんな銃ばっかり熱心に見てるの。…何か怖いよ」
そこになってまき絵もようやく自分がネギと思っている少女のわずかな異変に気付く。
「他の荷物はどうしました?」
「え、うん。他は星にしたよ。ちょっとしたダイエットだと思えば三日くらい食べないのなんてどうって事ないし…」
「そうですか」
そこでようやく少女は銃から目を離しまき絵の方を向く。
「え……」
息が止まる。額に押し当てられた"何か"がヒヤリと冷たい。
「ねえ…、ネギ君。ハハ…やめてよそんな冗談、笑えないよ」
まき絵の額には先程少女に渡した銃の銃口が突きつけられていた。
「ネギ君てばっ…何とか言ってよ…ねえってば!!」
少女は答えない。結局、彼女がどんな表情をしているのかまき絵には捉える事が出来なかった。
何故ならまき絵が少女の顔を伺うより先に少女に握られた銃はまるでそれが当然のように火を噴いたからだ。まき絵は瞳孔を開いたまま後ろに倒れる。
「フフフ…。アハハハ…」
長髪の少女はあざ笑うかのように呼吸を荒げる。だが、それは目の前のまき絵に向けたものではない。
少女は自分が気絶する前に互いに銃の突きつけ合いをしたオッドアイの少女を思い返していた。その顔を思い浮かべるたびに胸の鼓動が早く高鳴る。
「……なんで、なんで彼女の事がこんなに気になるんでしょう」
少女は自分の呟やいた艶っぽい声を聴いて驚く。今までの彼女にとってそんな経験は皆無であった。そう、それはその少女にとって正しく初恋と呼べる代物だった。
そっか、恋かと少女は何度も何度も確かめるよう繰り返し呟く。
「――そうだ、思い出した」
ふっと少女は空を仰ぐ。
「彼女の名、……アスナさん、でした。カグラザカ…、アスナ」
そう少女は未だ一度も耳にした事の無い筈の名前を口に出し喜びに浸った。
定期的な電子音を報告する部屋。
その中でタカミチは巨大なモニターの画面に表示された少女の顔をぼんやりと眺める。
「やっと一人殺したんですか?思ったより遅いペースですね」
後ろの兵士がまき絵の死を確認するとタカミチに同意を求めた。タカミチはそれに鬱陶しそうに無言で頷き同意する。
「確か、キネちゃんがこのゲームに参加させたのはあなたの推薦でしたね。どうでしょうキネ・スプリングフィールドの状態は?」
さあてどうだろうねとタカミチは席を立つ。その様子を見、兵士はやれやれと肩を竦めてみせる。
(さて、これからどう出る。キネ君。君のお手並み…この席で拝見させてもらうとしようか)
そうしてタカミチはキネ・スプリングフィールドと呼ばれた少女を見つめ静かに笑うのだった。
【キネ・スプリングフィールド 追加 残り29人】
【古菲(出席番号12番) 拳銃(ベレッタ M92)所持 ☆みっつ】
【神楽坂明日菜(出席番号8番) 拳銃(IMI デザートイーグル.50AE)所持 ☆みっつ】
【キネ・スプリングフィールド 拳銃(トカレフTT-33)所持 ☆よっつ】
今日の投下分は終了です。
オリキャラ、キネ・スプリングフィールド登場しました。ネギとは別人で密かに百合キャラだったりします。
ついでにその容姿をイメージしやすいようにAAを。元絵は性転換スレより。
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/`>ヘ! { /_, -一' ¨´ ̄
/ /, , トイiニ -‐-、
/ /// ! l| \
/ ' ///´/ /| ヘ、 、 \ `、
// /〃 / / ! トヽ トヽ ヽ `、
/イ / '/ j__,厶 -! トゝ‐--`Y i `、 「――そうだ、思い出した」
/´ l イ N| /,ィrcュ:::、 !::rck、夊ト.ト i
レ1|/!ヘ.ハ,ゝヒ'::_}:::::ヽ|::ヒ'::jテヽ.N| `、 | 「彼女の名、……アスナさんでした。
l ! ノ ヘi、"" o‐-o ""// ,!リ ト! カグラザカ…、アスナ」
// / 丶、 T¬' ノ´ ヾ ヽ |i
// / / ,r< ¬ァ‐ ヾ_ i Yリ
// / /∠ _ ,.ゝ / ヽ / `¨>、 ヘ ヽ
//// / ,ィ′ 冫-、Y7⌒i / ヽ l i
//// / 爪ヽ / ∨ ! フ V } | |
//// / / l ト、 ヽ │ / `i | l ヽ
. // / / / / / | 丶、 '、 ! ,/ ノ │| i
// / / イ i ! j、 ヽ ゞ/ ,′ j. | !
// / i ! j ノ 〉 ヽ/ イ| / l ト
さよ参戦はいい感じ。
千雨は部によって行動パターンが本当に正反対だな…
キネは…もう少し先の展開見るまではなんとも…
投下、乙でした。GJ!
ちょwwwネギ子ktkrwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
ネギ子wwwww
今度のちうたんは殺る気満々かぁ
つか殺る気のちうたんマシンガンとか強力な武器所持する確率たかいなww
>>809 ちょっと訂正。
>北西に100メートル程の地点に、を
>北西に1キロメートル程の地点に、に直しておいてください
殺気立ってる人がこれまでの作品より多い気がするのでwktk
怖い物見たさ、とでも言うべきだろうか
あと、
オリキャラってネギ子だったのかwwwwwwww
つまらん
実につまらん
どうでもいいことだけど
明日菜とまき絵の遭遇は実は今回が初。
とりあえず亜子の出席番号は5番だ
【】の中身はしっかり5番なのにな
なんでまき絵は必ずすぐに死んじゃうんだろね…w
ちょっとパーなのでw
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|;::::::::|,-----、 ~ニニ,,_` |:::::::::::::::::::|
`ヽ、i (、i´ノ ´い,, ノ ' |;;;::::::::::::::/ なんで、双子すぐ死んでしまうん?
. i ^~~~ー==-- ー'-+、 / ゙-、;;;;/
{ ヽゝ '-'~ノ
λ ''゙゙゙'''-''---、 /-'^
ヽ, ^~^ (
/ `丶 、 , - /^l
| /( ノ `''''''´~ __, - ' ゙i、
{ / /| ̄ ̄ ̄ ̄ _,- '¨ }
{/ / ゙ー────'~ \|
/ ヽ \
そういえばハカセも生き残ることが出来たから、生存率0%なのは残り3人か
とりあえず風香は確定として、ザジと桜子はどうなるか・・・
では投下を始めます。
#14 アダージョ(緩徐曲)
タカミチからバトルロワイアルの説明があった兵舎からさほど離れていない沼のほとり。その場所に二人の少女は対峙していた。
その一人である村上夏美(出席番号28番)は銃を両手に構え、もう一方の地面に手を付いて怯えている宮崎のどか(出席番号27番)を見下ろす。
何故そんな状態になったといえば簡単だ。
ゲームが始まって一時間ほどたったところでのどかに鉢合わせした夏美は出会い頭に銃を取り出した。
それに驚いたのどかは逃げようとしたところを足を木の根っこに引っ掛けて倒れ、恐怖のあまりそれから再び立って逃げる事が出来なかったのだ。
もう、かれこれ二分近くこの対峙が続いていた。しかし、のどかにとってその状態はほんの数分であるけれども数時間にも長く感じられのだった。
「別に…」
その中、先に口を開いたのは夏美。
「そんなに怯えなくてもいいんだよ。私が欲しいのは星なんだし…、そうでしょ。だからね、本屋ちゃん。星を大人しくくれるって言うんなら……」
そう言って夏美は右足を一歩前に踏み出した。
「――殺さずにおいてあげるから」
のどかは小さな悲鳴を上げる。その夏美の瞳にはすでに狂気の色が浮かんでいた。
「ああ……。う…ぅ…」
「あれ?本屋ちゃん、星結構たくさん持ってるんだ?」
夏美は驚いたようにのどかの首輪の星の数を数えだす。
のどかは荷物選択の時に星をみっつを選択していた。従って現在のどかの首にある星の数はよっつである。
「じゃあ、星をみっつくれたら殺さないであげるから…。大丈夫、本屋ちゃんが頑張って夕方までに星をふたつ奪えば明日まで生き残れるじゃない」
無理だ、と素直にのどかは思った。
武器も持たぬ自分が星をふたつも他人から奪える筈が無い。そもそも争い事を好まぬ自分がこんなゲームに勝ち残る事自体不可能なのだ。
(助けて…、ネギ先生…)
隙を突いて逃げる事ものどかは考えた。しかし、情けない事に逃げ出そうにも自分の足腰は震え、力を込める事が出来ない。そうという間にも夏美はゆっくりとのどかとの距離を確実に縮めていく。
のどかは恐怖した。
【宮崎のどか(出席番号27番) 武器未所持 ☆よっつ】
【村上夏美(出席番号28番) 拳銃(ピースメーカー)所持 ☆ふたつ】
#15 ポルカ(舞踏曲の一種)
夏美の足は止まらない。
その目にはもう如何程の理性が残っているのか、それすらも確認出来ない。
ならばその夏美を前にしたのどかの命はもう無いも同然だった。
今は何とか引き金に指を掛けるだけで済んでいるが、あと少し夏美の指に力が込められれば…、既に銃口を定められたのどかは呆気なく昇天するだろう。
だが、そうはならなかった。
「逃げるです、のどか!!」
叫び声と共に夏美の後頭部に一撃が喰らわされた。一瞬夏美はくらりとよろめくがすぐに体勢を立て直し鋭い目つきで背後にいる人物を振り返る。
その後ろ、綾瀬夕映(出席番号4番)は小さな本を手にし、夏美を睨み付けていた。
「うぐっ……」
もう一撃、今度は全力で側頭部を本で殴打される。血は出ないがハードカバーに包まれたその一撃はかなりの威力。
バランスを崩した夏美は地面に倒れ込み、夕映は間髪いれずその夏美に馬乗りになった。そして、両手でその首を絞める。
「う…あ…くっ……」
夏美は銃を放し、自分の首から引き離そうと必死になり夕映の両手を掴んだ。
「ぐっ……」
その夏美の握力の強さに夕映は思わず声を漏らす。その凶暴な力に一瞬でも気を抜けば両手は振りほどかれ、体重の軽い自分の馬乗りなど簡単にかわされてしまうだろう。
「死ぬです…。死ぬです!…死ね!…死ねっ!!」
搾り出すような声を出し、夕映は自身の両手に渾身の力を込める。夏美は口をパクパクさせ始め、夕映の腕を掴む両手の力も徐々に緩くなっていく。だが、夕映は両手に掛ける力を欠片も緩めない。
そうだ。芝居かもしれないのだ。演劇部に所属している夏美の事だ。夕映を油断させるために一芝居うち、それから反撃に出る事も十分に有り得た。
夕映は渾身の力を込めて夏美の首を絞め続ける。そして夏美の手が完全に夕映の手から離れても一向にその両手の力を緩めようとはしなかった。
死ね、死ね、死ね、ただ夕映は腹の底でその単語だけを連呼し夏美の首を絞め続けた。
「ゆ…え……?」
のどかの声を聞いて急に意識が冷え返り、我に返る。同時にやっと夏美の首から手を離した。だが、首から手を離した筈の夏美からはもう何の反応も返ってこない。
「あ…あ……」
夕映は顔を押さえ、後退さる。そこでようやく夕映は自分が夏美を殺害したという事を知った。
白目を剥き、扼殺死体によくあるように夏美はべろんと赤い舌を長く垂らしている。その首には薄っすらと赤い、絞めた夕映の指の跡が首輪の上から残っていた。
その凄惨な光景に夕映は思わずその死体から目を背けた。
【村上夏美(出席番号28番)死亡 残り28人】
【綾瀬夕映(出席番号4番) 日記帳所持 ☆ふたつ】
#16 メディテーション(瞑想曲)
「私は…何て事を……」
最初はのどかを助ける為だった。だが、夏美の目を見ている内に自分にも狂気が移ったのだろうか。足元にある死体に自分の影が写る。
「――私は別に殺す気は……」
殺す気は…無かったのか。いや、それは虚偽。自分のその時の行動を思い返せば思い返すほど熱病に浮かされたような殺意の衝動が込み上がる。
「ゆえっ!!」
二度目の呼びかけに夕映はようやくのどかを振り返った。その体の震えは止まらない。
「のどか…私は……」
夕映は恐れた。それは夏美に立ち向かった恐怖と別種の恐れ。親友であるのどかに自分がクラスメイトを殺す場面を見られた。普通に考えればのどかはこの狂った自分を軽蔑し恐れる。
それこそが夕映の恐れる結果だった。だが、のどかは優しく頷く。
「ごめんね…夕映。私の為に…」
「…………」
のどかの口から出たのは詫びの言葉。その理由は簡単だ。実際のどかは夕映を恐れた。
恐ろしくない筈が無い。いくら自分を助けてくれたといっても、夕映が普段の大人しい様子から豹変して口から死という言葉を吐き出した時は身が縮こまる思いだった。
――たとえ、それが自分を助けるためだったとしても、その事実は変わらない。
だからこそ、先程逃げ出す勇気すらなかった自分すら比較にならない。命懸けで自分を助け出してくれた夕映を恐れる。その卑怯な自分をのどかは最も嫌悪した。故にのどかは夕映を許した。
「でも、私は人を一人殺したです…。途中でいくらでも首を絞める手の力を緩められたはずなのに……。私は、私には…もう生きる資格はありません…」
「そんな事無いよ、夕映!」
「のどか…でも、私は一体どうすればいいですか!一体どんな罰を受ければ私は許されるんですか!」
慰めるようにのどかは夕映の頭に手を伸ばす。不覚にも夕映はそれにドキリとする。
「違うよ、夕映…。――どんな罰を受けても罪は許されない。そうでしょ」
のどかは諭すように言った。そんな事は自分でも判っていた。罰を受ける行為が一体どうやって罪を償う行為になるというのか。
「じゃあ!私は何をすればいいんですか!」
「それはこれから考える事だよ…。でも、今は――生きるの」
一層力強くのどかは言う。その力強さに夕映は一瞬たじろいだ。だが、よく見ればのどかは目尻には涙が浮かんでいた。その夕映が負うべき罪はのどか自身の罪でもあるのだから。
「そうですね。のどかの言う通りかもしれません」
そう言って夕映ものどかと抱き合って目を瞑った。
【綾瀬夕映(出席番号4番) 拳銃(ピースメーカー)、日記帳所持 ☆よっつ】
【宮崎のどか(出席番号27番) 武器未所持 ☆よっつ】
#17 バルカロール(舟歌)
「はー、どうしたもんかね…」
ある一室の中で朝倉和美(出席番号3番)は頭の後ろで手を組む。
彼女のスタート地点は島の北に位置する古い市街地であった。
元々、この島に僅かながらの住民が住んでいた様子が窺える。尤も、市街地と言っても建物の殆どがレンガや朽ちたコンクリートで作られて、島の中央にある兵舎とは作られた年代が明らかに異なっていた。
和美は街の様式から年代を大正の末期から昭和の初めごろと推定する。そこは電気や水道は当然通ってないし、インターネットの端末など全くの無縁の場所だった。
ひとつの建物に入って色々調べてみるが、すでに何者かによって持ち出された後らしく見事に何も残って無い。
水を汲む場所も探してみたが街の端に枯れた井戸がある以外は全くそれらしい物は見つから無かった。
「うう…、いい加減喉が渇いてきた。こんな事なら食料をひとつでも選んでおくんだったよ」
和美は机に突っ伏しそう呟く。そして、横目で自分の荷物を不満そうに見つめた。
「そもそも、武器が藁人形っていうのが運が無いよ、…全く。説明書には本当に恨んだ相手を殺せるって書いてあるけどねぇ……」
突っ伏した机の上に腰掛けた人形が置かれている。そして、その首に紅い短い紐が巻かれていた。説明書きによればその紐を解く事で恨みの相手を本当に地獄に落とす事が出来る…らしい。
「……嘘、臭っ」
はぁっと息を吐き、ボンヤリとしながら顔を横に向けた。
ふと和美は先程の荷物選択の時の光景を思い返す。
和美の覚え違えでなければ、さよと風香を除いたクラスメイト29名中、星をひとつ選んだのは12人。ふたつ選んだのが13人で、みっつ選んでいたのが2人、逆に全く選ばなかったのが2人であった。
最初に渡された一人一個ずつ計29個の星と合わせれば3−A全体に行き渡った星の数は累計73個になる。
「3で割るなら24人。6で割るなら12人。12で割ると生き残れるのは最高で6人か…」
いずれにせよ1個余るな、という事を考えながら和美はボンヤリと夢想する。
その時、窓の外に薄ら寒い気配を感じた。
和美は幼い頃からこういう時に限り微妙に霊感が強い。彼女は音を立てずにさっと窓の外から死角になる位置に移動する。窓の外の気配はゆっくりと部屋の中の様子を窺う。その空気はどこか重々しい。
(こいつぁ、マズイね……)
和美の額から脂汗が滲む。誰かは知らないが、信用出来る人間ならこんな風にコソコソと覗きはしまい。もし、武器を持った人物がまともな武器を持たない自分を見つけたらどうするだろうか。
(おそらく……十中八九、私の星を奪おうとするだろうね…)
嫌な思考が和美の頭に流れた。
(仕方ないか……)
軽く頷き和美は手に持った古びたレンガを構える。それは先程街中を探索した際拾った物だ。こんな間に合わせの物であるが不意を付けば気絶させる鈍器くらいにはなるだろう。
窓の外の気配は部屋に誰もいない事を確認すると今度は堂々と窓に向き合う。
(うそッ、窓を破る気?)
グッと赤茶のレンガを持つ手に力を込める。そして、次の瞬間その鈍器を全力で振り下ろした。
「キャッ!?」
窓の外の気配は窓を通り抜け、朝倉のレンガも素通りし、驚いたように悲鳴を上げた。
「あれ…?」
「え…」
和美と窓の外にいた人物の声がハモる。
「さよ…ちゃん?」
「朝倉さん…!」
強引に窓を通り抜け部屋に押し入った人物は麻帆良学園自縛霊、相坂さよだった。
【相坂さよ(出席番号1番) 星探知機所持 ☆ふたつ】
【朝倉和美(出席番号3番) 藁人形所持 ☆みっつ】
#18 モテット(宗教曲)
「なんだ、驚かせないでよ。さよちゃん」
和美はふっと安心して壁に背をつく。体に張り詰めた緊張が抜けていった。
何だか変に警戒した自分が馬鹿みたいだ。確かに霊体のさよならその空気が重々しい事にも納得がいく。
だが、そこで和美はさよの小さな異変に気が付いた。何故かさよは和美を直視するのを避けている。その顔色は心なしかどこか悪い。
「どうしたのさよちゃん?私なんか不味いことした?」
言って和美は自分がさよに向かってレンガの塊を振り下ろした事を思い出す。幽霊なのだから当然怪我はしないのだが、その凶行はさよの機嫌を損ねたのかもしれない。
「朝倉さん…。その煉瓦…」
さよの俯き気味に和美の持つ四角い塊を指した。
「あ、このレンガさ、一応護身用ってわけ。私の支給された武器無茶苦茶ハズレだったからさ」
「…………」
さよは何か考えるようにして佇む。
「……朝倉さん」
「ん、何?」
「その煉瓦で人を殺せますか?」
しばらくした後、さよが発した殺すという言葉は普段の大人しい彼女からは考えられない冷徹な単語だった。
「――何でそういう事言うのさ。レンガを振り下ろしたのを怒ってるの?アレは私が悪かったってば」
「……そうじゃないんです。逆なんです。人殺しをする覚悟ぐらいあるって言ってください」
そこでさよはまた黙ってしまう。だが、その目は真剣。さよは本気で和美に人を殺す覚悟の有無を聞いているのだ。だが、何だってそれは無茶だ。和美にクラスメートを今すぐ殺さなければならない切迫した理由はない。
「悪いけど私は襲われるのには自衛のために戦うけど、人を襲ったり、殺したりする気はないから」
「……朝倉さん、でも…」
「ごめんね、さよちゃん…」
「――でも……」
「お願い、そうゆうのだったら他を当たってくれない?」
「…………」
そして何度目かの沈黙。和美はさよの無言に重圧を感じる。
「――あなたが悪いんです。朝倉さん」
「……え?」
突然、窓ガラスが音を立て砕けた。一瞬、和美はさよのポルターガイスト現象が発動したものと思った。さよの感情が爆発すればガラス窓を揺らすくらいの事は出来たからだ。だが、それは和美の思い違いであった。
和美の胸から大量の血が吹き出す。同時に激しい激痛が和美を襲った。
「あ……」
瞬間、自分の身に何が起こったのか分からなかった。だが倒れる時、窓の外にもう一人の人影を認め、和美はやっと理解する。
(そっか…)
さよはこの建物に入るずっと前、もうすでに誰かと手を組んでいたのだ。そして、その二人で自分を殺しに来た。だから、さよは自分に殺人者となる事を強要していたのだ。そうでもしなければ朝倉和美は死ぬから。
(なんで…そんなこと、気が付かなかったのかなぁ…)
倒れた床から和美はさよを見上げる。
(駄目…だよ…。そん…な顔してちゃ……)
前髪を垂らし、唇を噛んださよが和美にはどこか泣いてるように見えた。そして、和美はゆっくりと瞼を閉じる。
【朝倉和美(出席番号3番)死亡 残り27人】
【相坂さよ(出席番号1番) 星探知機所持 ☆ふたつ】
#19 メヌエット(舞踏曲の一種)
「朝倉さん、あなたが悪いんです。あなたが……」
息絶えた和美の遺体を見下ろしさよはただそう呟き続ける。
窓の外の人影は正面の扉の方に回り、扉を開け堂々と部屋の中に入った。
「おおい、相坂!」
窓の外から和美を銃撃し市街地の建物の部屋に侵入した人物。その人物は和美の死を確認するとさよを後ろから呼び止めた。振り向かなくてもそれが誰だかは分かる。それは自分の仲間。自分の共犯者…。
「おい、相坂!聞いてんのか。さっき朝倉と何か会話してたよな。何を話してたんだ」
「……別に大した内容じゃありません」
長谷川千雨の二度目の呼びかけに、ようやくさよは振り返る。
「…お前、私を裏切るつもりじゃないよな」
ジロリと千雨はさよを睨んだ。その眼光は針のように鋭い。
「――私がですか?……馬鹿言わないで下さい。私がそんな酷い人に見えますか」
「フン、クラスメイトを見殺しにしといてそのセリフかよ…」
ひでー奴だな、と言いながら千雨は和美の荷物を物色し始める。その様子をさよは黙って見ていた。
千雨は強い。武器に関してもそうだが、さよが思ったのはそんな事からではなかった。
人を殺して、それでいて自己を見失なわない。簡単そうに見えてそれは結構難しい。かつてのバトルロワイヤル参加者であるさよはそれを知っていた。
たとえどんなに強い信念を持っていたとしても殺人という罪の意識は人を簡単に押しつぶしてしまう物だ。
そうならないという事はその程度では強固な自己の信念が揺るがないのか、それが当たり前になって慣れてしまっているのか、それとも実はすでに壊れているかのどれかだった。
「ほら、これでも持ってろ」
そう言って千雨はぽんと何か小さいモノをさよに投げてよこす。本来さよは物を持つ事が出来ない。だが、その時のさよは何故か無意識のうちにそれに手を伸ばしていた。すっと何かを掴む感覚。
それは和美の持ち物である首に紐の巻かれた藁人形であった。
(――あれ?どうして……これが持てるの?)
さよは唯一の所持品の星探知機(因みにこの星探知機は霊体以外、つまりさよ以外は触れる事が出来ない代物である)以外は触れる事の出来ないはずであった。
まじまじと藁人形をねめつける。何かえも言えぬ冷たい恐怖をさよはその人型の造形物から感じた。
「くそっ、朝倉の奴、肝腎の食料持ってねーじゃねーか!」
さよはビクッと肩を震わし、恐る恐る顔を上げる。荷物を物色していた千雨が和美を見ながら悪態をついていた。
「ウーン、仕方ねえ。星がみっつ得られたから今日はもうこれで終わりにする予定だったが食料調達のためだ。もう一人殺さなきゃいけないな…」
千雨は今度はさよの方を振り向く。先程のような険しい目つきではない。
「一応、お前の星探知機は頼りにしてるんだ。私を裏切らないでくれよ…」
そう言って千雨は和美から奪い取った星をひとつ、さよの首輪に付けてやる。
――星の譲渡。それが千雨とさよの間で交わした同盟の条件だった。
さよはそれに笑って答えてやる。
「長谷川さんこそ、先に死なないでくださいよ…」
「――いってろ」
千雨とさよは星探知機に映る新たなターゲットを目指し、市街地をあとにした。
【相坂さよ(出席番号1番) 星探知機、藁人形所持 ☆みっつ】
【長谷川千雨(出席番号25番) マシンガン(ブローニング M2)所持 ☆みっつ】
今日の投下分はこれで終了です。
キネ(ネギ子)への反応が普通で嬉しい限り。
さて今回登場した和美に支給された首に紐の巻かれた藁人形ですが、冒頭に書いた某アニメに出てくるというマジックアイテムです。
元ネタは「地獄少女」という作品で本来は紐を引くと恨みの相手を地獄送りに出来る代わりに、リスクとして自分も死後に地獄へ流されるという設定がある物です。
尚、関係ありませんが「地獄少女」にはネギま声優も多数出演してます。お奨め。
(ネギ、ナギ、美砂、茶々丸、ハルナ、刹那、千鶴、エヴァ、のどか)
10氏よGJです
あえて言うなら題名がひどい
別にいいじゃん
GJ!!
普通に続きが楽しみだ
題名は別として、区切りすぎじゃないか?
くだらん
実にくだらん
つまらん
実につまらん
まぁ、序盤ならこんなもんじゃね?
たいていメインキャラの動向表記して、仲間集めと武器集めに当てられてるし
今回は星とかキネとかいる分、何かアッと驚く展開が中盤くらいにあるんじゃないかと期待しておく
そしてその淡い期待は簡単に崩れるのだった
定期age
投下マダー?
投下始めます。
#20 ソロ(独奏曲)
「ハァ、ハァ…」
草を掻き分けエヴァンジェリン・A・K・マクダウェル(出席番号26番)は草原を駆けていた。
「クソッ!なんだあのふざけた武器は!」
言って足元の石を蹴り上げる。だが、少し大きいその石は少しも跳ね飛ばず、結果としてその行為は逆に痛みとストレスを溜める行為に終わる。
気と同様に魔力も封じられ人間の10歳と同程度の身体能力しかないエヴァはひどく苛立っていた。
というのもエヴァに支給され、先程開封したたった一つの武器といえば先が丸まった子供用のハサミ。実際、武器というよりは文房具に近い代物である。
「…とりあえず、今は茶々丸と合流することを考えよう」
幸いにしてエヴァは今でも自身の契約者、絡繰茶々丸(出席番号10番)との魔力の繋がりを僅かに感じる事が出来ていた。今はその魔力の流れを逆に辿って茶々丸に合流しようとしている。
「しかし、変だな…」
今更ながらにエヴァはポツリと呟く。
先ほどから自分が前進するにつれ徐々にだが茶々丸との距離が縮まっているのが感じられる、それはいい。
問題はその速さがエヴァの走っている速度そのままだという事。つまり茶々丸は移動せずもう一時間余りその場にボーっと突っ立っている事になるのだ。
「まさか…」
脳裏を嫌な考えがよぎる。もうエヴァと茶々丸との距離は50メートルを切っていた。
「茶々丸!」
エヴァは叫んだ。だが、その茶々丸からの返事はない。
ktkr
「茶々丸!私だ!どこにいる」
二度目の呼びかけにも応答無し。茶々丸との距離はおよそ20メートル。聞こえぬ筈はないだろう。
エヴァは注意深く周囲を見渡す。
「あっ!」
そこでエヴァはようやく草むらの陰に茶々丸を見つけた。
「ああぁ……。茶々丸…」
エヴァの口から息が漏れる。その茶々丸には首から上がない。ただ首無しの茶々丸の胴体がゴロンと草の上に横たわっていた。エヴァは茶々丸に駆け寄って胴体を抱き起こす。
「バカが…バカ者が!主人をほっといて一人で勝手に先に逝く奴があるか。――いや、この場合バカなのは私の方か。自分の従者ひとり助けられずに何が『闇の福音』だ!」
ぎゅっとエヴァは首のなくなった茶々丸の胴体を抱きしめる。
「茶々丸ゥ…」
「――ハイ…なんでしょう。マスター」
「!?」
エヴァはハッと顔を上げる。茶々丸の胴から1メートル離れた草陰にエヴァを見据える茶々丸の頭部が転がっていた。
#21 デュオ(二重奏曲)
「茶々丸生きていたのか!」
「この場合生きているという言葉は適切ではないかと。私はロボットなので…」
「細かいことはこの際どうでもいい。…とにかく無事なんだな」
ホッとエヴァは胸を撫で下ろした。その様子を茶々丸は申し訳なさそうに見やる。
「済みません、マスターに御心配させてしまった様で…」
「まあいい、それより茶々丸。一体何があった」
話を聞こうとエヴァは茶々丸の前に屈む。
「…ゲームが開始され私はとりあえず首輪を外そうと私の端末を首輪に繋ぎ、司令部のコンピューターに遠隔操作でハッキングを試みてみました」
「ハッキング?」
「ええ、逆検索をかけられなければ問題ないだろうと思っていたのですが…。こちらの思っている以上に反応速度が速く……」
言って茶々丸は一度目を閉じる。
「いくつかの情報は引き出すことは出来たのですが、首輪の起爆装置のスイッチが入ってしまいこのような状況に――」
「ふん、過ぎてしまったことは今はいい。で…得られた情報ってのはどんなのなんだ?」
エヴァは茶々丸の話を聞きながらその腕を組む。
「ハイ、まずこの首輪は気を抑える結界を有しているようです。おそらく気を抑えられてる方々はこの首輪さえ無ければ気を使えるようになるのではないでしょうか」
「気か…。まあ私は気なんぞ使わんからどうでもいいんだがな…。魔力を封じている結界の情報はどうだ?」
「魔力を封じてる結界は気を抑える結界とは別の巨大な、学園にある結界と同じような物でこの島全体に張られています。おそらくは司令部のコンピューターで操作しているものかと思いますが…」
「――という事は、あの兵舎ごとコンピューターを破壊すれば結界も消えるのか?」
「いえ、結界自体は自立性の高いものですからそのコンピューターから解除指令を出さない限りは結界は解除されないと思います」
「つまり、最低でも司令部のそのコンピューターがある部屋まで行かないといけないのか。それは厄介だな…」
エヴァは司令部の兵舎の状況を軽く思い出した。
銃で武装した兵士が少なめに見積もって30人以上。とてもではないが茶々丸を失った自分だけではどうしようも出来そうに無い。
そこでエヴァはふとある事に気付く。
「そうだ、茶々丸。お前ハッキングして私の首輪外せないか?」
「すみません。おそらく私がマスター…、いえマスターに限らず今度首輪をハッキングしても上手く外せる確率は五割……50%です」
「50%…」
エヴァは五割という言葉を聞いて沈黙する。
別に茶々丸を信用していないわけではない。……ないのだが、ここでここで茶々丸任せにしてしまうのも主であるマスターとして情けない話だ。
それに首輪が外れたところで別に魔力が使えるようになるわけでないエヴァにとって茶々丸の提示した50%という数字は正直言って微妙な数字だった。
「ところで茶々丸。お前、首輪の星はどうした?」
「すみません、マスター。星は爆発とともに砕け散ってしまったようで…」
「じゃあ食料は?」
「――私は機械ですので必要ないかと思い選択しませんでした」
「…武器は?」
「そこの荷物の袋に入ってると思われます」
そう言って茶々丸はカシュウゥーと首を自分の荷物の方に傾けた。エヴァは、なんとなーく嫌な予感がしつつも茶々丸の荷物の方に足を向ける。そして荷物の中身を確かめるとがっくりと肩を落とす。
「――これって…何かの冗談なのか?」
エヴァは力なく天を仰いだ。
その茶々丸の荷物には超強力瞬間接着剤と丈夫な厚紙が入っていた。
【絡繰茶々丸(出席番号10番) 戦闘不能】
【エヴァンジェリン・A・K・マクダウェル(出席番号26番) ハサミ、接着剤、厚紙所持 ☆みっつ】
#22 アラベスク(装飾曲)
島を流れる小川に沿って明石裕奈(出席番号2番)は行進を続けていた。
この島の北東には赤銅色の岩肌の剥き出しになった大きな山があり、そこから流れる川は途中ふたつに分かれてこの島の西と南の海岸に流れている。
ゲーム開始直後、川の畔にいた裕奈はとりあえず河川に沿い上流に向かう事にしたのだった。
「ちょっと早まったかな…」
歩き始めて一時間。ずっと川を眺めて歩きながら、裕奈は次第にそう思い始めていた。
確かに自分の位置も方角も確かめず、目的も無くただ闇雲に歩き始めた事は迂闊であるかもしれない。
「だってしょうがないじゃんか…」
裕奈にとって一刻も早くまき絵や亜子たちと合流する事が重要だった。それ故に殺人鬼は流石に不味いが、闇雲にでも誰かに会いたかったのだ。
「…裕奈さ…ん」
ふと誰かに自分の名が呼ばれたような気がして裕奈は振り返る。だが、そこには誰の姿も無い。
耳を澄ましてみても小川のせせらぎが聞こえるだけで他は静かなものだった。
(…気のせいか)
再び裕奈が行進を再開しようとすると後ろの草むらがカサカサと揺れた。
「誰!」
自分の武器であったサバイバルナイフを手に裕奈はさっと身構える。
「……警戒しないで下さい。私ですわ」
「い、いいんちょ?」
そう言って草陰の間からゆっくり姿を見せたのはいいんちょう事、雪広あやか(出席番号29番)だった。
「警戒しないでって、殺し合いをする気は無いの……」
「無論ですわ。といってもこんな状況で信じてもらうのは難しいかもしれませんが…」
裕奈はあやかとの距離を少し取る。実際に人に会ってみると裕奈の中でその人物を信じていいのかという猜疑心が鎌首をもたげた。だが、裕奈の心はそれほど時間を掛けず、すぐに決まる。
「分かった。信じるよ。いいんちょには世話になってるし」
そう言って裕奈はナイフをしまう。彼女は小学校からずっとあやかと一緒のクラスであった。実際に助けられた回数も十や二十といった数ではない。雪広あやかには信頼があった。
「信用して頂き嬉しいですわ」
言ってニコリと笑うあやかを見て裕奈はナイフを構えて悪かったなと思った。
「うん、ところで話は変わるけどいいんちょはどんな荷物選んだの?」
「ええ、私は星をふたつ、食料は無し。そして武器はこんなものです」
あやかは懐から催涙スプレーと書かれたスプレー缶を取り出す。
「へぇ、私は星をひとつ、食料ひとつ。そして武器はこのナイフだよ」
裕奈は腰にしまった自分の武器を示す。
「そうですか……良かった、安心しました」
そう言ったあやかの笑顔に裕奈は一抹の不安を覚えた。
「いんちょ…今のどういう…」
裕奈が全て言い終わらないうちにあやかは懐中から出した拳銃を向ける。
「な…、いいんちょ、何を」
答える代わりに冷めた目であやかは裕奈の足に銃弾を撃つ。
「うあああぁ!!」
裕奈は叫び声を上げ倒れる。
その様子を表情を変えずに見ていたあやかはそのままもう二発の銃弾を先程の足と反対の方の足に打ち込んだ。堪え切れない痛みに転がりまわりながら裕奈はその瞳にあやかの姿を捉える。
あやかは軽く顎を上げ、虫けらを見るかのように冷たく笑いながら裕奈を見下ろしていた。
【明石裕奈(出席番号2番) サバイバルナイフ所持 ☆ふたつ】
#23 シャンソン(仏歌曲)
「ぐっ…」
近づいて来たあやかを片手で突き飛ばし、這って裕奈は必死にその場を逃げ出す。
(なんで、なんで、なんで!)
地面を掻きむしり裕奈のやや伸び気味だった中指の爪が剥がれ血が吹き出した。撃たれた足が千切れそうなほど痛む。だがそんな事を感じさせないほど裕奈の心は混乱していた。
(なんで、なんでこんな事に)
あの時、ナイフを構えた自分が悪かったのか。それともその後、何かいいんちょの心を逆撫でる事を言ってしまったのだろうか。いや違う、あやかは狂ってしまったのだ。でなければこんな酷い事が出来る筈が無い。
「うっ……」
川辺にある草叢に逃げ込んだ裕奈の手元の地面がぬるりと湿っている。同時にどこかで嗅いだ事がある臭いにも気が付いた。
「これって、血の臭い…」
裕奈は草を掻き分け臭いの元を確かめる。
「…桜子ッ」
何故こんな所に居るのか。そこに横たわっていたのは椎名桜子(出席番号17番)の死体だった。
「――まったく、どこに行ったのかと思えばうろちょろと…」
裕奈は後ろを振り返る。そこにあやかが拳銃を右手に持ち裕奈を見下ろしていた。
「……アンタが…殺したのか」
「ハ?なんですか?聞こえませんわ、裕奈さん」
「桜子もアンタが殺したのか!」
キッと裕奈は睨み付ける。あやかはええ、とそれに軽く微笑んで答えた。
「なんでなんだ、いいんちょ!なんでこんな事するんだよ!」
「仕返し…ですわ」
そうあやかは呟く。
「仕返し?…私に?一体なんの!?」
心当たりがあるはずが無い。人を怒らせたりする事がまったく無かったとは言わない。人より口喧嘩する数は多かったのかもしれないが、それでも少なくとも人から、特にあやかから特別な恨みを買うような記憶はない。
「私の弟が死んだ時のです」
そう言った静かなあやかの瞳に一瞬静かな激情の色が灯る。
「何言ってんの!アンタの弟が死んだのは事故でッ」
「――貴女も桜子さんと同じですのね。もう自分のなさった事を忘れた…」
蔑む様にあやかは静かに銃口を裕奈に向ける。
「私は…、何もしていない!」
「そう、貴女達は…何もして下さらなかった」
その瞳の色は消え、また別の違った色が見える。
「私が、私の愛すべき弟を失くした時も…」
ダンと銃弾が裕奈の体に撃ち込まれる。
「私が、弟の死を引きずって不登校になった時も…。私がそれを夢に見、夜中にも関わらず何度も吐いた時も…」
「うあぁ!」
「私が、…!!」
言葉にならぬ声を発し、あやかは何度も拳銃の引き金を引き続ける。
(何もしなかったから…、何もしなかったから殺されるのか?それじゃあこの雪広あやかが本当に恨んでいるのは……)
拳銃の遊底が後退したまま止まり、あやかは自分の拳銃が弾切れになった事に気付く。
ふと裕奈を見やるとすでに事切れていた。
「少し…熱くなりすぎましたわね」
自嘲する様にあやかは髪を掻き揚げる。その後、裕奈と桜子の首輪から星を回収して他に使えそうな荷物はないかと物色する。回収し忘れていた桜子の首輪にはみっつの星が埋まっていた。
「それにしても笑ってしまいますわね。仲間だとか協力とか…まったく」
荷物を漁りながらあやかはそう一人呟く。あやかが信じるのは今も昔も自分一人だけだった。
「こう見えても感謝しているんですよ、アスナさん。今の私が存在しているのは貴女のおかげなんです。――貴女がいなければ、あの時に私という存在はとうに壊れていたのですから」
裕奈と桜子の死体に一瞥をくれるとあやかはそっと立ち上がる。
「だからせめてものお礼に殺してあげますわ、アスナさん。――貴女は、この私が」
【椎名桜子(出席番号17番)死亡 残り26人】
【明石裕奈(出席番号2番)死亡 残り25人】
【雪広あやか(出席番号29番) 拳銃(ザウエル P230)、サバイバルナイフ、催涙スプレー所持 ☆やっつ】
#24 インテルメッツオ(間奏曲)−1
「あーあー、テステス。――OK。昼の放送だ…みんな元気にやってるかな。
生きている人、おめでとう。生きてない人、ご愁傷様。今までに死んだ人間を放送するよ。
と、その前にひとつ言い忘れた事があったんだ。今回のゲームでは特別ゲストが一人がいる。君らの知ってる人では……ないけれど、まあ一目見れば分かる事だろう。
で、その一人を足して殺し合いをしてもらうはずだったんだけど、それをゲーム開始次点で言い忘れていたよ。いやいや、本当にすまないね。
それでは、気を取り直して死亡者の発表だ。
今回の死亡者は明石裕奈(出席番号2番)、朝倉和美(出席番号3番)、和泉亜子(出席番号5番)、絡繰茶々丸(出席番号10番)、佐々木まき絵(出席番号16番)、椎名桜子(出席番号17番)、村上夏美(出席番号28番)以上7名となっている。
次の放送は午後六時だ。その時点で星が三つ集まってない生徒は首輪が爆発するのだから気を付けてくれよ。それでは夕方の放送でまた会おう」
#25 パストラル(田園曲)
「――…それでは夕方の放送でまた会おう」
その放送を四葉五月(出席番号30番)は黙って聞いていた。クラスメイトが死んだ事に感慨など沸かない。
昼の放送が始まってクラスメイト同士が殺し合っている事実が確認出来た。そしてそれが現実の事として認識出来るようになり五月はやっと自分の首輪の星に手を伸ばす。
もう、既に後悔は無い。その為に支給された荷物、みっつの食料はすでに処分した。
「さよなら…みんな」
首輪は残った最後のひとつの星を取り外した。瞬間、それは音を立てて爆発する。
だが、五月には誰かを恨む気持ちも、同時に誰かを哀れむ気持ちも存在しない。
無心のままに彼女は逝った。そういう意味ではこの島で死んだ誰よりも遥かに彼女は幸せだっただろう。
ただ、誰かの為にもう料理が作れない。それだけが五月に残る唯一の心残りであった。
「四葉殿…」
足元に在るクラスメイトの亡骸を見て長瀬楓(出席番号20番)はボソリと呟く。
偶然近くで破裂音を聞いた楓はその様子を実に来て、五月を発見した。放送では既に七人、風香と四葉を合わせれば実に九人のクラスメイトがこの島で死んだ事になる。
楓は午前中、どうすれば一人の被害者も無くこのゲームを終わらせれるのか考えていた。しかし、どれだけ考えてもパッと旨い解決策が思い浮かぶ筈が無い。
いや、そんな事をする位なら考えも無しに島中を飛び回っていた方がまだマシだったかもしれない。楓は今更になって下唇を噛み締める。だが、今は後悔などしてる場合ではなかった。
「今は…拙者に出来る事をしないと」
やがて四葉の手にひとつの星が握られている事に楓は気付く。楓は黙ったままそれに手を伸ばした。
「クソっ…遅かったか」
不機嫌そうに千雨はまた舌打つ。その視線の先には爆死した五月の死体。首が千切れ、血が周りに飛散するその光景はどんな自殺の状況より凄惨なものだった。
千雨とさよは星探知機を頼りに五月の元に来ていた。だが、その星は丁度入れ違いになるように楓に持ち去られている。
別に星を奪いたかったのではない。奪うのには変わりないが今現在の千雨の主要な目的は星ではなく、むしろ食糧なのだ。
千雨は五月が荷物を食料みっつ選択した事を覚えていた。ならばこそ千雨は五月から食料を奪うためにわざわざ遠出をしてまで星がひとつの五月を探し当てたのだ。だが……、
「結局、無駄足か…」
五月の死体の側に水が僅かに残っていた。だが、みっつの食料、実に六日分もの食料は前述した通り、既に五月の腹の中に収められている。
少しぐらい私の為に残しておいてくれても良かったのに、と千雨は恨めしく五月を思った。その様子をなんとなく申し訳なさそうにさよは見つめている。
「――これからどうするんですか、千雨さん…」
「そうだなぁ…」
千雨は呟いて空を見上げた。五月を探すため相当遠回りをしたためだろうか、日は昇る頂点を過ぎ既に西に傾こうとしている。
照りつく日差しがジリジリと肌を焦がした。抉る様な痛みを与える太陽を眩しそうに見上げ手をかざす。
その千雨を見て「太陽が眩しかったから人を殺した」カミュの小説の主人公を相坂さよはぼんやりと連想していた。
【四葉五月(出席番号30番)死亡 残り24人】
【相坂さよ(出席番号1番) 星探知機、藁人形所持 ☆みっつ】
【長瀬楓(出席番号20番) 武器不明 ☆みっつ】
【長谷川千雨(出席番号25番) マシンガン(ブローニング M2)所持 ☆みっつ】
今日はここまでです。
題名のセンスの無さに関しては、何らかのゲームや漫画の影響を受けちゃってるかもしれません。では。
どーせ最後は鎮魂曲とかでしょ
読む気が起きないのは改行のせいかもしれない
861 名前:作者10 ◆jjWTI8ewtY [sage] 投稿日:2006/04/19(水) 23:02:24 ID:???
862 名前:マロン名無しさん[sage] 投稿日:2006/04/19(水) 23:02:24 ID:???
ktkr
作者10さん乙です。投下の邪魔するつもりはなかったんですが…
10氏乙
やる気満々のいいんちょにwktk
ラスト話のタイトルがハッピーマテリアルならネ申
好きになってもe-よだったら土下座して謝る
ここは「輝く君へ」だろw
>>880 それは普通にありそうだから避けといたんだよwww
日曜日
KIZUNA
あたりもありえそうだw
いいんちょ参加キター!!!
そして桜子死亡きたーorz
ここの住民のモラルはいつからこんなにも下がったのだろう?
一部の香具師だけか?
民度が低いのは最初からですが、何か?
桜子も死んだか…。
残るザジに期待したいがゲームに乗る奴は大抵死ぬからな
orz
ザジたんは裏切られて捨てられる姿しか浮かびませんorz
>>883 にちゃんの住人自体が(ry
冗談はおいといて、一部の香具師だろ
作者1氏みたいに叩きの少ない作品より、作者9氏みたいに叩き多い時の方がレス多かったし、叩き専門の香具師がいてもおかしくないっしょ
では叩きではなく苦情を。
作者10氏にはもう少しキャラの扱いに気を使って欲しい
何というか、作者の好みがモロに出ているのはちょっと・・・
そういう意見でスレが活性化するのは良いと思うけどね
作者11の座を狙うものとしては参考にしたいし
と言うかこいつら作者1大好きだからね、特別扱いだよ
逆に作者1じゃなけりゃ興味湧かないんでしょ
…いや、マンネリのせいか
>>889 失礼な!俺が大好きなのは作者6氏だ!!
あやかの弟は生まれてすぐ病死だべ。
しかもその頃あやかもまだ小1だし、死を引きずって不登校とか・・・。
作者はSS考える前にネギま全巻しっかり読んでほしい
>>892 作者10氏じゃないが、あれ病死だったのか
てっきり流産かと思ってた
病死じゃなくて、流産でいいと思うが・・・
どっちにしろ、生まれてすぐに死んだのは確実。2巻以外にわかるエピソードあったっけ?
遅レスだが千雨のブローニングM2って本体だけで30キロ以上ある50口径の重機関銃だぞ
エヴァや茶々丸ならいざ知らず、そんなもん撃つどころか持ち運べるとは思えない
どうしても重機を出したいならせめてMG43にしてくれ
>>897 GJ!
まぁ、データ見ても普通の女子中学生がどれなら扱えるのかわからんけどorz
いや、麻帆良の生徒は普通とは違う……か?
900 :
マロン名無しさん:2006/04/20(木) 19:58:07 ID:LSHC/OW3
900
>銃器関係
普通に考えれば一人で運んで使える武器ってのは短機関銃か突撃銃が上限ジャマイカ
>>901 銃器はバトロワ原作からまんま持ってこれば安心でFA?
では投下します。
リアルktkr
#26 カプリチオ(奇想曲)
負傷した刹那は丘の下の岩陰に身を潜り込ませた。額の側頭部からは深紅の血が流れる。
「あーひゃ、ははははは!何処ニ行ったんですか〜!刹那さん!!話をしましょうよ〜!」
あっけらかんとした明るい声と同時に刹那の有視界にあった樹木が根元から吹き飛ばされた。
(全く、洒落になってない…)
木乃香を探索しながら歩いていた刹那は、先程葉加瀬聡美(出席番号24番)に遭遇したのだった。彼女は肩に担ぐ巨大なミサイルランチャーを所有しており、それを刹那に向け有無を言わずに放つ。
ギリギリそれを躱し、直撃こそしなかったもののその爆風に吹き飛ばされた刹那は全身に軽い手傷を負ってしまっていた。
(この場合、止む得ないか……)
聡美が無差別に撃つ爆音を耳に入れながら刹那は一人思案する。すでに聡美は正気ではない。
それは誰の目からも明らかだ。彼女にはもう単に人を殺す思考しか残っていない。
少しでも正気が残っていれば分かる筈だ。このゲームの目的は"星を集める事"。だから、こんな星ごとクラスメイトを爆撃する攻撃方法は全く意味が無い。
自衛という目的があるにしても、この無差別破壊を前にしては閉口してしまう。
(だが、今のこの状況は不味い…。この体の傷では……)
そう、刹那の武器は刀であるのだから聡美に接近戦を挑む必要がある。だが、あのミサイルランチャーなら一撃を掠るだけでも致命傷になりかねない。
それに加え先程の足の負傷が刹那から鋭い素早さを奪っていた。先程の史伽に使った石を投げて気を逸らすという方法は無理だろう。下手をすれば今隠れている岩ごと爆破されないとも限らない。
「どうすれば……」
刹那はただ回りの正確な状況を知る為に自分の息を潜め、じっと耳を澄ませる事に努めた
「せつ〜なさん〜!う〜ん、隠れんぼなんか止めましょ〜うよ〜。近くに居るのは分かってるんですから〜〜」
首を振って刹那を探しながら聡美は圧力を掛けるため適当なアタリをつけては無差別に爆撃を続ける。その姿に諦める気配は無い。ならば動かぬ岩陰に隠れる刹那が聡美に見つけ出されるのも最早時間の問題であった。
「……え!?」
突然、さっきまで続いていた聡美の刹那を呼ぶ声がぴたりと止む。
「なんで…なんでアナタが…」
聡美は理解出来ないという声をあげる。
だが、刹那はこれを好機と受け取った。今の聡美にはどういうわけか刹那に意識が行ってない。
意を決した刹那は岩陰から飛び出る。その聡美が驚き戸惑っている人物を視界に捉え、動きを止めたが、刹那の止まったその時間はほんの一瞬だった。続けて刹那は聡美までの距離を詰める。
「しまっ…」
聡美が気付いて武器を構えたがもう遅い。その刹那の一太刀は呆気なく聡美の首から上を刎ねた。ゴロンと聡美の首が刹那の足元に転がる。
そして聡美の死を確認した後、もう聡美が驚き戸惑っていたその人物と視線を交差させる。
「……鳴滝さん」
そこに居たのは史伽だった。だけど、それはその場に居るはずの無い人物像。流れるのは涼風。
シニョンを解き、髪を二本のお下げの形に結んだ史伽のその姿は死んだ姉、風香に瓜二つであった。
【葉加瀬聡美(出席番号24番)死亡 残り23人】
【桜咲刹那(出席番号15番) 日本刀(菊一文字)所持 ☆よっつ】
#27 アンプロンプチュ(即興曲)
「見るです」
夕映は最初に島にある山を指し、次に比較的近いところにある兵舎のやや上空をさす。
地図の見方が分からないと言うのどかに対し夕映は渋々ながらレクチャーを開始していた。
「あそこにある山と、そして地図でいうと島の中心にある司令塔の兵舎に立っているアンテナ。位置の特定にはこれを使うです。このふたつは島の中ではかなり高いものですし、余程の深い森の中で無い限り島の何処でも見る事が出来るでしょう」
のどかは夕映の指の後を追って両者を見比べてみた。なるほどどちらも目印としての高さは申し分ない。
「あとはこのふたつの角度と方角さえ知ることが出来れば今の位置を特定することが出来るです」
「え?でも山までの距離は分からないんじゃ…」
確かに兵舎のアンテナはならともかく、ここから数キロは離れているであろう山までの距離は容易には窺い知れそうに無い。
「だから方角を知ればいいんですよ」
上目遣いにのどかを見て夕映は地図を広げながら答える。
「例えば今、北を12時の方角。山を3時の方角。アンテナのある方角を5時と仮定します。すると現在いる位置は地図で山から3時の方角の反対、つまり西側に直線を引き。アンテナからは5時の方角とは逆、つまり11時の方角に直線を引きます…」
夕映はそう言って両手で地図の上に指ですーっと見えない線を書く。すると二本の直線は島の北西のある一点で交わる。
「あっ!」
「分かりましたか」
つまりそこが今いる現在地となるのだ。
「…でも、夕映。どうやって方角を知るの?」
おずおずとのどかは訊ねる。確か、支給された荷物の中には方角を調べるコンパスは入っていない。
「太陽とこの腕時計ですよ」
夕映の腕のアナログ時計が太陽の光が当たり煌めく。
「方法は簡単です。まずこの時計の短針の向きを太陽の方角に向け、その短針と時計の12の文字とのちょうど間の方角が南です」
「え…?どうして」
「太陽は正午に必ず南中。つまり、太陽は季節に関わらず、いかなる時も正午に南にあるです。対して時計の短針は正午には12時の向きを向く。ただ、ここで気を付けないといけないのは太陽と時計の短針の速さの違いです」
そこで夕映は時計に目を移す。
「太陽は北極点を中心に一日…、24時間で一回転します。ですが、時計の短針はのどかも知っているように12時間で一回転するです。つまり、太陽の動きは時計の短針に比べ半分の速度しかないということになるですよ…」
「ああ〜…」
そこでのどかはようやく合点がいった。
「そっか、だから短針と12の字の間をとるんだ」
「理解が早くて助かるです」
「――でも、そんなことしなくても切り株の年輪とか見ればいいんじゃ…」
これは禁句だった。夕映のこめかみにピクリと青筋が走る。昔、どこかの本で読んだような気がするのだが。
「あんなものは俗説です。年輪の広がりは重力、つまり主に地面の傾斜によるものです。もちろん光や熱の効果が全く無いとは言いませんが……。そもそもこんな無人島に切り株の存在自体が…」
夕映はあれからいつもの理屈っぽい調子に戻っていた。それはのどかにとって凄く喜ばしい事だ。だけど、流石にぶつぶつと小うるさい夕映の雄弁を子一時間も聞かされればのどかだって思う。
――そんなに詳しいのなら学校の勉強もそれくらい頑張れ、と。
【綾瀬夕映(出席番号4番) 拳銃(ピースメーカー)、日記帳所持 ☆よっつ】
【宮崎のどか(出席番号27番) 武器未所持 ☆よっつ】
#28 カンタータ(交声曲)
「……いいの?」
ポツリと釘宮円(出席番号11番)は眼前の人物を見つめ呟く。
「――別に、構わないよ」
大河内アキラ(出席番号6番)は投げやりにそれに答えた。
島の南に位置する神社の境内にて二人の少女は言葉を交わしていた。
円は自身の武器である金属バット片手に引きずっている。一方のアキラと言えば境内にある階段に身を屈め、腕の間に顔を埋めたままであった。
円はバットを持ってないほうの手をアキラの首筋に伸ばすが、少し躊躇した後やがて手を引っ込める。
「ゴメン、やっぱいいや…」
ぼんやりとアキラは円を見上げた。そのアキラの首には星がむっつ埋まっている。アキラは先ほど自暴自棄気味に自分の星を円にあげると言ったのだ。
円は視線を逸らし、気不味そうに自分の頬を掻く。
「あの三人のこと、何て言ったらいいのか……。ゴメン、いざとなると咄嗟に言葉が出なくて……。励ますハズのチアリーダー失格だね……」
あの三人のこととはさっき昼の死亡の放送があったまき絵、裕奈、亜子の事だ。もうアキラと特別親しかった者たちは全員が死んでいる。
「ま、私の方も桜子なんかが死んじゃってたりするんだけどね…」
アハハ、と円は笑って見せた。本当は全然笑う気分ではない。だが、こんな時だからこそ無理にでも明るく振舞わなければいけないような気がした。アキラは目を細め静かにもう一度組んだ腕の中に顔を戻す。
「これからさ…どうするの?」
アキラは何も答えない。円は一人呟くように続ける。
「――私。やっぱ、美砂探すことにするよ。――私に出来ることがそれしかないんだったらさ、しなきゃいけないって思うの。だってそれでだよ、私の行動で万が一にでも美砂の命が助かるってんなら儲けもの…って、そう思わない?」
勿論それがつまらない詭弁だという事は知っていた。必死にあがいて、あがいて…。その先にあるものが全くの無駄だとしたら、酷く自分が惨めなだけではないか。それを恐れて円は手段の為の理由を作っているに他ならない。
自分を無理にでも行動させたいから、生かしたいから、その手段の為に目的はあとから付いて来ていた。
(…それでも)
円はアキラの様子を少しの間窺った。だが、アキラに新しい反応は無い。
「じゃあ、そろそろ私行くね…。アキラも夜までには他の場所に移動した方がいいよ」
そう言って円はアキラに背を向ける。
「――待って…」
それまで沈黙を守っていたアキラが口を開く。
「私も…一緒に美砂探すよ」
円はアキラを振り返る。
「武器も持ってない私でも…手伝える事があるなら……」
顔を上げたアキラの瞳には僅かに生気を取り戻しつつあった。
【大河内アキラ(出席番号6番) 星三点セット(武器を選んだ筈が中身は星がみっつ)所持 ☆むっつ】
【釘宮円(出席番号11番) 金属バット所持 ☆ふたつ】
#29 パルティータ(変奏曲の一種)
遠く離れた的。腕の揺れを出来るだけ押さえ照準を合わて的に狙いをつけた。
きりきりと弓を引き絞る腕が痺れる。普段の自分の運動不足が響くようだ。
ふっと離す自分の右手。支えをなくした矢は弦の張力により的のやや上方を向き緩めの放物線を描き、同心円の中心から僅かに離れ命中する。
「うーん、まあまあさまにはなってきた…かな?」
早乙女ハルナ(出席番号14番)は新しい矢をつがえ、もう一度矢を引き絞る。
ハルナに支給された武器は洋弓(アーチェリー)であった。といっても洋弓など引いた事の無いハルナはゲームが開始されてから今まで自分で崖に描いた的相手に弓を放つ練習をしているのである。
最初こそかなり回数を撃ち損なったものだが、今ではとり合えず十発に一回はほぼ完璧に飛んでくれるし。残りに関しても五発くらいはそこそこいい所まで行ってくれる。
「やばっ。もしかして私ってかなり才能あるのかも」
自惚れもいい所だがハルナは自信あり気に頷くと同時に矢を摘む指を離す。だが、矢は的を右上に1メートルほど外れた位置に刺さらずに飛び跳ねる。
「あん、もー。言った途端これだもんなぁ〜」
ハルナは手元に残った最後の一矢をつがえようと脇を振り向いた。
だが、そこには人が居た。
「え……」
そんな筈は無い。見間違えかと思った。
ハルナには仲間はいない。いればこんな支給された武器の練習など一人でしない。それなのにそのハルナから十メートル離れたその場所にザジが居た。そのふたつの目はじっとハルナを見据えている。
「あ……あ……」
声が出ない。ザジは一体何時から居たのだ。いや、そんな事はどうでも良い。何故自分はそれに気付かなかったのだ。自分が集中していたとはいえここまでの接近を見逃す筈が無い。
ハルナの手元には矢が一本残っていた。構えて撃てるかと思案する余裕は無い。ハルナは一切の思考を止め、持っていた最後の矢をつがえ、そしてそれをザジに放った。
矢は何の迷いも無くザジに向かっていく。それは十発に一発、いや百発に一発やっと出る完璧な飛翔であった。事実ハルナは放った瞬間ザジの心臓に矢が命中するのを確信したのだ。
だが、ザジはハルナの方へゆっくりと足を進める。
何故、どうしてと心の中で叫ぶがそれに答える声は無い。矢はザジを外れた。放つ瞬間これ以上ないほどの完璧だと感じた筈なのに…。ハルナにはそれが理解出来なかった。
【早乙女ハルナ(出席番号14番) 洋弓(アーチェリー)所持 ☆みっつ】
#30 トッカータ(即興技巧曲)
「何で…そんな…」
ザジはもう一歩ハルナのほうに足を踏み出す。
「嘘よォー―!!」
ハルナが叫ぶのと同時にタッとザジは駆ける。その右手に妖しく光るカッターナイフ。
「――……」
ハルナの悲鳴が途切れた。血飛沫の噴水が上がる。同時にザジは後ろに飛ぶ。
ザジに何をされたのかハルナは分からなかった。ただ、自分の中から吹き出すモノがあまりに多かったから、もう自分が助からない事だけは何となく分かった。
流れる血が視界を覆う。全身の力が抜け膝が折れた。
(ハァ…ハァ…)
息が出来ない苦しさと同時に全身の苦しみが抜けていく感覚に囚われる。実際苦しいのかそうでないのか分からない不思議な感覚。臨死に至りハルナはこの経験を漫画に活かせないかなと、下らぬ事を考えた。
「――流石、ザジサンネ。…喉笛をひと裂き。やはり、この程度の敵、朝飯前ネ」
失いかけた聴覚にその声が入った。そしてぼうっと自分はやはりザジに殺されたのだと再確認する。既に思考は途切れ途切れに断絶。一秒前に何を考えていたかさえ思い出せない。
(――夕映、の…どか、ホント…悪い。――私、先に…逝くわ)
ハルナはほとんど白みがかった最後の思考で自分の友人に詫びるとふっと目を閉じた。
ザジはハルナの体の前に屈み、星を奪うと再び立ちあがる。その瞳の感情は仲間であるチャオさえ何を考えているか読み取れなかった。
ザジは軽く自分の仲間であるチャオに目を移す。チャオはザジの首輪の星の数を確め、ザジに声を掛けた。
「これで二人の星を合わせて十一個。ザジサンの首輪を外すのに必要な星はあとふたつネ」
「――……そうだね」
ザジは素っ気なくそう言うとハルナの星を自分の首に嵌めるとプイっと反対の方向を向き一人で歩き始める。
「ああ、待つのヨ」
その背中を苦笑しながら追い、チャオはまた別の事考えていた。
二人の星は合わせて十一個。ならば、もうチャオにとって必要な星はふたつではなくひとつ。
(これは存外早くに星が集まるかもしれないヨ)
チャオにとってのこのゲームは開始五時間をわずかに過ぎた時点でもう終わろうとしていた。
【早乙女ハルナ(出席番号14番)死亡 残り22人】
【超鈴音(出席番号19番) 拳銃(ルガーP08)所持 ☆いつつ】
【ザジ・レニーデイ(出席番号31番) カッターナイフ所持 ☆むっつ】
今日はここまで。
>887
ご意見有難う御座います。
今からだと修正するのは難しいと思いますが出来るだけ善処します。
>あやかの弟に関して。
後でもう一度出てくるのでノーコメント。
>千雨のマシンガンに関して。
やっちゃいました…。参考にしたサイトに画像が無かったので勝手に持ち運び出来る物と思っていました。
しかも、マシンガン=短機関銃だと勘違いしてて片手で振り回す描写までありました。
以下、ブローニング M2からMAC M11(イングラム)に変更という事で。
というか銃の名前は書いた方が良いのか?
俺も現在執筆中だが拳銃は「拳銃」のままだ
>>917 ナカーマ
まぁ、龍宮以外は名前とかよくわからんだろうし、それでいいよな、たぶん
では投下。
#31 スケルツォ(諧謔曲)
「あのマスター…さっきから何をなさってるんですか…」
先程から何やら林の中で茶々丸の胴体をゴソゴソといじくっているエヴァに茶々丸は尋ねる。
「――ん?まあ、ちょっと待ってろ…」
同時にゴンと何か金属を叩く音がする。
残念ながら茶々丸の首はエヴァの方向に向いていないので正確な事は分からない。だが、時々うわっ、とか
う〜む、とか言う声を聞く限りどうやらなにやら相当酷く悪戦苦闘しているようである。
「あの…本当に何をなさってるんですか?」
「えっと、あとはここをこうすれば……と、よしっ!」
エヴァは本当に不安そうな茶々丸の言葉を適当に無視し作業を続行する。ガチっという何かが割れる音。その後にベキベキキという音が続いた。茶々丸は何か凄く嫌な予感がした。
「よし、いいぞ茶々丸」
少し得意げな様子でエヴァは茶々丸の頭を持ち上げ自分の方を向かせた。そこで茶々丸はやっとエヴァの行っていた作業の様子を直視する。
「……これは」
酷い有様だった。首から上の無い茶々丸の胴体から何枚かの装甲が剥がされている。どうやらハサミの刃にてこの原理を応用して茶々丸の外壁を無理やり破壊したようだ。
「フン、何をしてるんだと言う顔をしてるな。まあ聞け。ちょっとお前の装甲が何かに使えないかと思ったんだ。前にハカセに聞いた限りでは結構固くて軽く銃弾ぐらいはじくらしいからな」
エヴァはそう言って薄い胸を張る。
「ま、これを材料に使えば防弾チョッキがわりくらいにはなるだろ。フフン、こんな発想もこの国の某国営放送工作推進番組のおかげか」
「…………」
ビバゴンタ&ゴロリと叫ぶ様子を茶々丸は静かな目で見つめた。
それもその筈、茶々丸の装甲は本当はオーバーロード時や負傷時などにボタン一つで着脱可能なのだ。何も苦労してハサミなどで剥がす必要は無い。
「どうだ!後はこれをあらかじめハサミで切っておいた厚紙に接着剤を用いて付ければ茶々丸アーマー(防弾チョッキ)の完成だ!」
「……マスター」
ワハハと笑うエヴァに茶々丸はピシャリと言う。
「――本当にマスターの発想には頭が下がります」
「そうか?うん、そうだろう、そうだろう♪」
全く茶々丸はミニステル・マギの鑑だった。
【エヴァンジェリン・A・K・マクダウェル(出席番号26番) 茶々丸の頭、茶々丸アーマー、ハサミ所持 ☆みっつ】
#32 ヴァリエーション(変奏曲)
「あらあら…」
頬に手を当て那波千鶴(出席番号21番)はニコリと微笑んだ。
「…………」
額に汗を浮かべ龍宮真名(出席番号18番)は静かに目を瞑る。
片手に構えた拳銃が容赦なく火を噴く。それと同時に重く人が倒れる音。硝煙の残り香が鼻空についた。
「……ためらう事など、もうないと思ったんだがな」
真名は構えた銃を下ろし千鶴だった物の前で一人呟く。その真名の弾丸は千鶴の心臓を貫通し、一撃で死に至らしめていた。
「最後まで表情を変えなかったな、那波の奴……」
真名の目は微かに悲しみの色を浮かべている。
何が彼女を変えたのか。
昔の真名なら仲間だった物を殺すのにも戸惑いはなかった。気安くちょっかいをかけて来た仲間の男を半殺しにし、裏切り者を何の躊躇いも無く処分した。それ故に四音階の仲間内からも恐れられるほどだったのだ。
それが今ではどうだ。クラスメイト一人に銃を向けるだけで心は動揺し、引き金を引く指が微かに震えた。
「語るに落ちたな…私も…」
まったく、自己矛盾にも程がある。最初は自分が生き残る為にクラスメイトを殺すだけで良いと思っていた。だが、それでは駄目だと思い至る。
私には力がある。司令部にいた兵士、あの場にいたのは十数名程だったがその程度なら充分な武器さえあればたとえ気が使えなくても自分一人で片付けられる人数だ。
問題があるとすれば、この首輪。
おそらく真名が兵士を全て殺すよりも早く、先に自分の侵入を察知した司令部によってこの首輪は爆発されるだろう。
真名はその場に屈み千鶴の首輪の星を拾う。
それならば真名に出来るのは星を十二個集め首輪を外し、一刻も早くゲームを終わらせる。それが今の真名に考え付く、クラスメイトが最も多く生き残る方法だった。
「!!」
ガサリと草が擦れる音。真名は近くに置いた拳銃を手に取る。
どうやら少し考え事をしている間に誰かの接近を許してしまったらしい。
(本当。まったく、私らしくない…)
だが、相手の正確な位置が分からぬ内に先に発砲するのは無駄弾を使う事であるし、迂闊な事だ。
それにそこに隠れている気配はふたつ。たとえ銃が一方に上手く当たり仕留められたとしても、もう一人に襲われる可能性がある。
そうなのだ。真名は"らしくない"ピンチだった。
一度かぶりを降って真名は叫ぶ。
「…誰だ!!」
こんな事で相手が姿を現すとは到底思えない。
とりあえず相手を声によって牽制しその動きから相手の位置を特定しようと、そう考えての事だった。
「ひゃぁい!」
だから、その草陰から声が返ってき、しかもその声の主がゆっくりと顔を出すなど真名にとっては全く予想外の出来事だった。
「……宮崎のどか」
真名は一人呟く。
そして、そののどかを遮る様に夕映が渋々と立ち上がる。その目は危険な奴に会ってしまったと言っていた。
正直言って真名は二人を顔を見て、少しの間呆れた。
【那波千鶴(出席番号21番)死亡 残り21人】
【龍宮真名(出席番号18番) 拳銃(コルト ガバメント(M1911))所持 ☆むっつ】
#33 リート(独歌曲)
「全く…、お前たちはこのゲームを舐めているのか」
真名は痛そうに頭を押さえた。
「別にそんなつもりは毛頭在りませんが…」
「そうか?そうは見えないがな…」
真名との会話が少しではあるが成立している時点でのどかは緊張感は少し緩まる。だが、夕映は真名がそんな甘い相手ではないと既に感じ取っていた。
「その千鶴さん……一体どうしたですか?」
夕映は真名に訊ねる。のどかはそこで初めて視線を落として真名の足元にクラスメートの死体がある事を確認しヒャッ、と悲鳴を上げる。そののどかを夕映は右手で押さえた。
「私が殺した。その理由も聞きたいか?」
「いえ、結構です…」
その言葉だけで十分だというように夕映は自身の拳銃を構える。
夕映は出来る事ならもう人を殺したくはなかった。だが、こいつも夏美と同じだ。のどかと自分の生命を守るためなら、もう一度人を殺す覚悟はあった。そう、夕映には確かにあった筈なのだ。
「――見逃して貰えませんか…」
「ク、ククク…」
夕映の問い詰めに突然、真名は笑い出す。一体何が可笑しいのか。銃を突きつけられ、笑う真名を夕映は奇怪なものを見る目で見つめる。
「――『見逃して貰えませんか』だと?普通、自分が銃を突きつける場合『見逃してあげます』だろう、が!」
「あ……」
瞬間、真名の左手の銃は夕映の方を向いている。咄嗟に反応出来なかった。
その真名の行動があまりに早過ぎて、真名が拳銃を構えた事すら理解出来ない。当然、それに思考が追いついて自分の指が掛けていた銃の引き金に力を込める事さえ適わない。
「――却下だな…」
冷徹な真名の声。所詮自分などが真名相手に早撃ちを挑むのが無謀なのか。夕映の肌に遅れて汗が噴出す。その時、夕映は目を瞑り自分とのどかの死を覚悟した。
「――逃げるでござるよ。夕映殿!のどか殿!」
声と同時に石つぶてが真名に飛ぶ。真名はそれを銃を横に傾け払う。木の上から人影が飛び降りる。
「長瀬さん!!」
それは長瀬楓(出席番号20番)。手には楓の武器の鉄扇を所有している。
「早く逃げるでござる!二人共!!」
「でも…」
言い淀むのどかを楓は黙って見る。片目を開けたその目は強い決意が潜む。のどかの手をとり、夕映は駆け出す。
「行きますよ、のどか」
「夕映っ…。でもッ…!」
「早くッ!」
そして、駆け出した夕映は結局一度も楓の方を振り返る事は無かった。そうして夕映達はその場を離れる。
そうさせまいと真名は片手で銃を挙げた。それを遮る様に楓は真名の前に立ち塞がる。
【綾瀬夕映(出席番号4番) 拳銃(ピースメーカー)、日記帳所持 ☆よっつ】
【龍宮真名(出席番号18番) 拳銃(コルト ガバメント(M1911))所持 ☆むっつ】
【長瀬楓(出席番号20番) 鉄扇所持 ☆みっつ】
【宮崎のどか(出席番号27番) 武器未所持 ☆よっつ】
#34 ボレロ(舞踏曲の一種)
「真名…。何故こんな事をするでござる!」
「何故?」
それを言いたいのはこちらだという様に真名は楓に視線を投げる。
「どうして邪魔をするんだ楓…。あの二人を殺しておけば星が十二個集まったというのに…」
「…な。正気でござるか!」
狼狽する楓に真名は冷静に笑って返す。
「――狂っているでござる。千鶴殿だけでは飽き足らず、あの二人もその手に掛けようとは…」
楓はそう言って顔を押さえた。
「なあ楓、私は正直お前とは戦いたくない。――お前は私の"大切な友人"だからな。今後一切邪魔をしないと言うなら逃がしてやってもいいぞ」
「邪魔をしない…。だが、お主を放っておけばお主はまた新たに人を殺すでござろう」
そうだろうな、と真名は何も考えず答えた。だがそれも全てクラスメイトの為なのだ。多少の犠牲は止む得ないと考える真名と少しの犠牲も認めない楓の主張は平行線を辿る。
「ここで引くわけには行かないでござるよ。ここで引けば犠牲者は増える一方でござる」
「交渉決裂か…」
楓と真名は共に自身の武器を構える。じっと真名は楓を睨み付けた。
先に動いたのは楓。距離を詰め、持っている鉄扇を振り下ろす。だが真名はそれを銃によって受け止めた。
「――もう一度聞く、楓。お前は何のために戦う?」
「拙者は…お主のような殺人鬼に殺されそうになったクラスメイトのために戦う。こんな狂ったゲームに乗る必要はない!!クラス全員で協力すれば!協力すれば、必ず何か解決策が見つかるでござる!」
「――フ。やはり、それがお前の答えか」
距離をとるように真名は後ろに飛ぶ。楓は一瞬、真名の銃を警戒したが銃を撃つ様子はない。
「…なあ、楓。お前は綾瀬の首輪の星の数を見たのか?」
楓は真名の問いには答えなかった。だが、その沈黙は肯定を意味する。
「なら分かってるはずだよな。綾瀬はよっつの星を持っていた。しかも、武器食料持ちだった。ええ!」
楓は黙っているままだ。まるでその先の会話を拒否するかのように。
「つまり、綾瀬は人を最低でも既に一人殺してる!奴も立派な人殺しだ!」
真名の口を止めるように楓は突進するが真名はそれを躱し、続く言葉を言い放つ。
「私を殺人鬼と呼んだな。だがな、楓。お前が助けたのも人殺し!人殺しなんだよ!」
楓は三度鉄扇を振り回す。だがそれを真名は軽くいなした。
「…お前では無理なんだ、楓」
ふっと楓を見る真名の表情がさめる。
「人を殺さずにこのゲームは終えられない。お前がどんなに強くても人を殺した事の無いお前では永久にこのゲームは終わらせられない」
「拙者は!」
ドン
口を開けた楓は真名の撃った銃弾を紙一重でギリギリ躱す。だが迷いのある楓の動きに切れはない。加えて真名の正確無比な銃撃を躱すのは並大抵の事ではなかった。
「ふん。よく躱したと褒めてやりたいが…どうやら今は力的には私の方が上だな。気配を消して奇襲されれば私も危なかったが、こう正々堂々出て来られては殺してくれと言ってるようなものだぞ」
真名はそう言って銃口を楓に定める。楓は片目を開け真名を見た。その頬に汗が浮かんだのは実に久々であった。
#35 レクイエム(鎮魂曲)
真名と楓は対峙している。けれど、その二人は互角ではない。
武器の拳銃という差。そして、人を殺す覚悟という部分で真名に圧倒的に分があった。
「これで最後だ。もう一度だけ言う。お前とは戦いたくない。今なら見逃してやる、逃げるんだったら…」
「…拙者の答えは変わらんでござるよ」
そうか、と真名は諦めたように目を細めた。少しの間、静寂が訪れる。
そして二人は同時に動いた。
真名の頬を楓の投げた鉄扇が通り過ぎる。それが楓が真名に放った最後の攻撃だった。
「……くっ」
楓は腹を押さえ膝をつく。その腹部の銃痕からは大量の血が溢れ出していた。
「…流石でござるな。真名」
真名はじっと楓を見下ろした。しかし、その目は千鶴を殺した時と同様憂いの色を帯びている。
「すまないな。お前を戸惑わさせる事ばかり言ってしまって」
「何、惑わされるのは拙者の修行不足でござるよ」
楓の傷からは次から次へと赤い鮮血が指の隙間から地へと溢れ出して来る。それはどう処置しようが止まりそうになく、致命傷なのは明らかだった。
「――確かに夕映殿は一人、人を殺したのかもしれない…」
ふと楓は呟く。
「しかし、拙者は目の前でもう二度と人が死ぬのを見たくはなかった…。拙者のせいで人が死ぬのは御免だったでござる。もう、風香殿や四葉殿の時のように何も出来ないのは嫌だったでござるよ…」
楓は最後に真名に語りかけるように言葉を紡ぎ、ハァ…と苦しそうに息を吐く。楓は腹を押さえていた手を地に付けた。その表情は苦痛に歪む。対する真名の表情は変わらない。
「もし良ければ、真名。トドメをさされる前に遺言を頼めるでござるか…」
「――何だ?」
「このゲームで生きて史伽殿に会えることがあったら伝えて欲しいでござる…。拙者の死を悼む必要はない。拙者は自分の信念を貫いただけでござる。
だから、史伽殿も自分の意志で風香殿や拙者の分まで精一杯生きて欲しい…。決して後悔はしないで欲しいでござるよ…」
「何から何まで、随分と自分勝手な遺言だな」
「…すまないでござる」
真名は銃の照準を楓の頭に定める。ドン、と静寂を破るように一発の銃声が響き渡った。
楓は前のめりに倒れる。そして、そのままもう動く事はなかった。
傾陽の空。その中で真名はただじっと楓の死を看取ってやる。
「――お前の死を悲しむのは、なにも鳴滝妹だけじゃないんだがな……」
天を仰ぎ真名は呟く。――楓の事を"大切な"友人と呼んだ気持ちに偽りはなかった。その気持ちは真実だ。
いつの間にか真名の頬の片筋に彼女のマスターが死亡した時枯れた筈の涙が一筋、伝っていた。
【長瀬楓(出席番号20番)死亡 残り20人】
【龍宮真名(出席番号18番) 拳銃(コルト ガバメント(M1911))所持 ☆ここのつ】
今日はここまで。
明日の投下分でやっと一日目が終了するので、
その時ついでに参加キャラの初期星数を明らかにしたいと思います。
GJ!!!!
GJです。
中々の良作かとおもわれ
GJ!
なんかやる気の奴が多いからか脱出のために努力してる奴の印象が薄いわw
いや、個人的にやる気多数は喜ばしいんだけどな
話とタイトルのつながりがわからないものが多いです
もうすこしわかりやすくしてほしいです
俺は別にタイトルなんて何でもいいと思うけど
それよりどっちにしろ意味わからないから、いちいち(何とか曲の一種)みたいに説明しないで
カタカナのみにした方がかっこよくて良かったかも
今日の分を投下します。
#36 カンツォーネ(伊歌曲)
「桜子…」
思わず声が漏れた。円は片手で口を押さえる。
円とアキラは川辺の草陰で自身の親友、桜子の死体を発見していた。草虫がチリチリと鳴いている。それは死者を冒涜するかのようにあまりにあっさりと放って置かれていた。
「――裕奈も」
その側に歩を進めたアキラも同時に裕奈の骸を見つける。一方の裕奈はかなりの抵抗を試みた為だろうか。銃痕以外の傷がいくらか見受けられた。勿論、それらの傷はあやかから逃走する時に付いたものだ。
「酷い…こんなの酷すぎる…」
円達は死体を見つめ、裕奈達を殺した殺人鬼は誰だろうと頭の中で思考を巡らす。だが、その思い浮かぶ誰もが怪しく、疑わしく彼女らには感じられた。
尤も、その中にあやかが浮上する事が一度としてなかったのは彼女達にとってすれば無念な事だろうが。
円は涙を堪える。桜子が死んだという事は、とっくの前に知った事ではないか。だが、親友の死体を前にしてまで気丈に振舞えるほど強くなかったのだ。
「桜子…」
もう一度親友の下の名を口にする。円は確かめるように自分の武器のバットを強く握り締めた。その瞳は地に伏してもう二度と動かない桜子を見つめて。
その時、カサリ、と茂みの草が揺れる。アキラは近くの草陰に別の人間の気配を感じた。
「逃げよう、円」
「……え!」
突然、アキラは円の手を引きその場から駆け出す。円は何が何だか分からずに混乱した。
だが、すぐにアキラが何に感づいたのか気付く。悔しいが歩みを止めざるを得ない。
今まで居た場所から10メートルも走らぬ内に、茂みを飛び出したザジは道を塞ぐ様に円たちの前に立ちはだかっていた。その左手には光るカッターナイフを持ち。
「ぐっ…」
思わず舌打ちをしてしまう。相手のカッターナイフを見て円はすぐさま金属バットを構えた。
一瞬、ザジが桜子と裕奈を殺した犯人ではないかと考えたがそれは単なる自分の浅はかな思い違いだと気付く。武器が違うのだ。二人は銃で殺されていた。カッターナイフのような刃物傷ではない。
「――…ザジ…さん」
低く震える声で円はなんとかザジに語りかける。円は声をかけた後、失敗したかなと思った。相手は武器を構えてるのだ。それに答える可能性は低い。
事実、ザジは円の話に言葉ひとつ返さない。いや、ザジが声を返さないのはいつもの事だと割り切り、円は声を掛けるのを再開させる。
「――…私達は美砂を探してるの、柿崎美砂。知らない?」
ザジは何も答えず、ふるふると首を振る。それは否定。
だが、会話に応答した事に僅かに円達の緊張が解かれる。まだザジが構えたカッターナイフは下がった訳では無いので油断こそしない。けれど、出来れば円は誰が相手だとしても殺し合いなどに参加したくは無かった。
「私たちは殺し合いなんかしたくないの…。ザジさんもしたくないでしょ、殺し合いなんて…」
「…………」
三人の間を無言が支配する。ザジはそれに首を振るわけでもなく頷くわけでもなく黙ったままであった。それは肯定とも取れるし、また同時に否定とも取れた。
武器を構えたまま、交戦でも交渉でもない時間を過ごすのは円やアキラにとって何やらもどかしく、じれったい気分である。そして、ちょうど円がもう一度声を掛けようとした時、意外にも先に口を開いたのはザジだった。
「――…ふたつ、くれる?」
一瞬、円とアキラはザジの発した言葉の意味を図りかねる。その円達の表情を感じ取ったのか、もう一度ザジは訂正して言い直す。
「――…星を…ふたつくれる?」
そう言ってザジは構えていたカッターナイフを下ろした。
【大河内アキラ(出席番号6番) 星三点セット(武器を選んだ筈が中身は星がみっつ)所持 ☆むっつ】
【釘宮円(出席番号11番) 金属バット所持 ☆ふたつ】
【ザジ・レニーデイ(出席番号31番) カッターナイフ所持 ☆むっつ】
#37 コンチェルト(協奏曲)
『――…星を…ふたつくれる?』
ザジのその言葉を聞いて一番驚いたのは円でもアキラでも無い。それは先程からザジの後ろの草陰に隠れ、ザジたちの様子を伺っていたザジの仲間、チャオであった。
なるほど、円やアキラにとってその言葉は今の時点で脅迫程度の意味しか持たないだろう。だが、チャオにとってそれが成立する事は自分の計画が崩壊するほどの危険を意味していた。
ザジと共に星を集める。その計画はチャオ自身がザジを殺す事を前提に入れて計算したものだ。従ってザジを殺す段階になって、ザジ以外の仲間が居てはいけない。居ればその分ザジを殺す機会や確率が減ってしまうからだ。
ザジならば話しは通じないだろうし仲間を引き入れるほど器用でないだろうと考えての計画であった。
だが、自分がザジに披露した(チャオのではなくザジの)首輪を外す作戦を話されれば、円とアキラだって自ら協力を申し出るかもしれない。
当然、それでは不味いのだ。繰り返して言う、チャオにもう仲間は要らない。チャオにとってはここでザジは円かアキラのどちらか一人を殺してくれるだけで良かったのに…。
(仕方ないネ…)
チャオは持っている拳銃を取り出した。この拳銃の銃声一発でおそらくザジの拙い交渉は破綻する。そして出来ればその一発の銃弾で円かアキラの内どちらかを葬り去れればよいとチャオは考えた。
チャオは銃を円の後ろでただ突っ立っているだけのアキラに向ける。
(バイバイネ…)
チャオの所有する銃はそうして火を噴いた。
「――あ…」
呆けた様にアキラは声を出した。その場に血飛沫が舞う。
一瞬何が起こったのか判らず瞳孔を収縮させる。それはザジの後ろの草陰から放たれた物であった。自分は前のザジに気を取られ見過ごしていたのだ。――ザジの仲間の存在を。
「――そんな…」
ワナワナと手が震える。そんな、一体どうして…。
「大丈夫…?アキラ…」
アキラの眼前。円はニッと笑いかける。その腹部にはチャオの銃弾が喰い込み、紅の鮮血が流れ出していた。
出血に力が抜け円は体はその場に倒れそうになる。アキラは震える手でそれを支えた。だが、その手にはベットリと円の血が付着する。
「――あ…あ……」
チャオがその銃口をアキラに定める少し前、偶然にもチャオの存在に気付いた円は咄嗟に横に跳びアキラの身を庇った。その結果、チャオの銃弾はアキラの代わり円の体に命中する事となったのだ。
ザジは睨み付けるようにチャオの隠れる草陰の方向を向く。その瞳に僅かであるが怒りの感情が感じられる。その視線に気付き、チャオもその草陰から出ざるを得なかった。
【大河内アキラ(出席番号6番) 星三点セット(武器を選んだ筈が中身は星がみっつ)所持 ☆むっつ】
【釘宮円(出席番号11番) 金属バット所持 ☆ふたつ】
【超鈴音(出席番号19番) 拳銃(ルガーP08)所持 ☆いつつ】
【ザジ・レニーデイ(出席番号31番) カッターナイフ所持 ☆むっつ】
#38 ポリフォニー(多声曲)
「やれやれ…。そういう顔は止めて欲しいネ。ザジサン…」
チャオは両手を挙げ渋々といった様子で草陰から出てくる。
「私はザジサンのためを思ってやったのヨ」
実際は自分の為であったのだが…。その嘘に罪悪感を感じる事も無く、チャオは語る。同時に片目をザジの横のアキラ達に移した。
その前でアキラはひたすら円の名前を連呼する。円はそれに苦痛に表情を歪めながらも答えていた。
(どうやら、少し浅かったみたいネ…)
元々アキラを狙ったチャオの銃弾は円に即効性の致命傷を与えてはくれなかった様だ。
と言っても即死で無いというだけ。あの様子ではそう長くは無い。何も処置をしないのなら、長くて半日、早ければ数時間後には死に至るだろう。
だが、それで十分。チャオはひらひらと手を振りおどけて見せる。あともう少しだ。チャオの戦いはもうすぐ終わろうとしている。
「本当、アキラサンを撃つつもりがうっかり手が滑ったネ」
「…………」
ザジは黙ったままだ。チャオに対して一言も言葉を発さず大人しくしている。もう自身の交渉が破綻したのを受けてチャオに発する苦言すら諦めたのだろうか。チャオはもう一度アキラに目を移す。
「アキラサン、クギミーをそのまま置いて行くネ。何処へなりと好きに行くといいヨ。さもなくば…」
チャオは軽く笑ってアキラに銃を向ける。
「アキラサンも後を追うことになってしまうヨ」
別にチャオはアキラを殺すつもりなど無かった。それは単なる脅し。もう、円の首の星を足せば星の数は十分だったし、これ以上の殺人は必要ない筈だった。
「――人殺し!殺人鬼!!」
……なんだと。
叫ぶアキラの声がチリチリと耳の奥を付く。
「あなたが裕奈や桜子も殺したんだ!その銃、その銃で殺した!」
……こいつ、何を言っている。裕奈?桜子?確かにそいつらがその場に転がっているのは知っている。だがそれは自分の仕業じゃない。自分が来た時にソレは既にそこにあった。それをコイツは…何故こんなにトチ狂った事を言うんだ。
「狂ってる。円が何をした。円は美砂を助けたかっただけだ。それなのに……。裕奈を返して!桜子を返して!円を返して!……人殺し!自分の為なら人はどうなってもいいの。そんなの…非道い、あなたはまともじゃない!!」
……ああ、そうか。チャオは今更になり思う。
やはり、こんな奴らを助けてやる義理など無かった。これ程までに自分勝手な妄想で喚き散し、想像の中で私を三人の殺害者に仕立て上げた。――本当、下らない。こんな奴ら助ける価値も無い。
「――口上はそれだけカネ」
銃を一層アキラに向け、チャオは冷たく口を歪める。表情を引きつらせるアキラ。その時、ザジは驚いたようにハッとチャオに叫ぶ。
「―…チャオ!」
チャオはザジの叫びを無視し引き金に手を掛ける。
一発の銃声が響いた。一人分の体が地に伏せる音。ザジは、絶句した。
腰まで伸びた綺麗な栗色の長髪。麻帆良学園制服は二人目の血を吸い、更に紅に染まる。
「――これで二人目…。タカミチ褒めてくれるかなぁ…」
チャオの後ろ新たに現れた少女、キネはうっとりとした表情で銃に口を付ける。
そのキネの前、うつ伏せに倒れたチャオの頭から赤い液体が放射状に延びた。
【超鈴音(出席番号19番)死亡 残り19人】
【大河内アキラ(出席番号6番) 星三点セット(武器を選んだ筈が中身は星がみっつ)所持 ☆むっつ】
【釘宮円(出席番号11番)重傷 金属バット所持 ☆ふたつ】
【ザジ・レニーデイ(出席番号31番) カッターナイフ所持 ☆むっつ】
【キネ・スプリングフィールド 拳銃(トカレフTT-33)所持 ☆ここのつ】
#39 フーガ(遁走曲)
「ハァッ…ハァッ…!」
あれから何をどう走ったのかは知らない。目的地など知らずアキラはただひたすら必死に走駆する。
「う…あ……」
背負った円が僅かに呻き、アキラは走っている足を停止させた。
「ここは……。――あ…クゥッ」
同時にゆっくりと顔を上げる円の胴の傷が痛んだ。円は自身の武器の金属バットと一緒に長身のアキラに負われている。
「気付いた?円。…多分、もう大丈夫だと思う。さっきから追われてる気配は無いし…」
それは嘘。確かに追われている気配は感じていない。だがそれは自分がそんな事にまで気を回す余裕が無かったからに過ぎない。勿論、そんな事は手負いの円に言っても仕様がない事だ。
アキラはチラリと今まで自分が駆けて来た方を振り返る。
自分はもしあのままであればチャオに銃で撃たれ死んでいただろう。それをネギが銃をチャオの頭部に穿ち、阻止した。だが、アキラは何故ネギがあんな事をしたのだろうかと考えを巡らす。
(――いや、それよりもあれは本当にネギ先生だったのか…)
アキラはネギのあんな表情は見た事が無かった。
無論、彼女の言うネギとはキネの事であり、キネは別にアキラを助けるつもりだった訳ではない。
単にチャオがキネのターゲットの条件に当てはまり、尚且つ隙を見せていたからであって、別にアキラ達の為でない。言い換えればチャオは単に運が悪かったとも言える。
アキラはしばらく自分の来た道を振り返っていたが、追って来るものは誰もいないようだった。
「アキラ…。私、重いでしょ…」
ふと円が苦しそうに呟く。アキラは円に目を移す。
「――足手まといになるみたいなら、…捨てていって…」
「…弱気になっちゃ駄目だ、円!どんな事をしても美砂を探す…。私にそう言ったのは円でしょ」
円はそれに答えなかった。目は虚ろになり時間の経過と共に体力が低下していっているのが判った。
アキラは辺りを見渡す。
「あ……」
丁度、その先。道を進んだ先にぽつりと一軒、コテージ佇んでいるのが見えた。
アキラはそこに向かって走り出す。その背に負われた円はもう会話を交わす気力も無く、ぐったりとアキラに体重を預けていた。
【大河内アキラ(出席番号6番) 星三点セット(武器を選んだ筈が中身は星がみっつ)、金属バット所持 ☆むっつ】
【釘宮円(出席番号11番)重傷 ☆ふたつ】
#40 ミサ(弥撒曲)
先程からずっと自分の後ろをつける足音があった。
その音を無視して柿崎美砂(出席番号7番)は歩き続ける。その自分の歩く足音について近づきも離れもせず、ひとつの足音が後を追ってくる。
その足音は美砂が足を止めると同時に止まり、美砂が歩き出すと同時に動き出す。
(もう沢山…。一体、誰なのよ…)
その余りにも不器用で筒抜けな尾行はもう二時間にも及んでいた。勿論、美砂は途中何度か振り返ってはみたのだ。だが、その人物はたとえ尾行がばれていると知っても決して自分から姿を現そうとはしない。
時計が示す時刻はあと少しで午後六時、首輪の規定数が引き上げられる時間になる。
美砂は荷物を星ふたつと食料ひとつを選択していた。従って星はみっつあり既に規定数をクリアしているが、武器は無く襲撃者に対抗しうる手段は持ってないという事になる。
(相手は、まさか私の星を狙ってる?)
可能性は十分ある。それに対し美砂は武器も持っていないと言う有様。相手がその気になれば大した抵抗も出来る筈が無い。
けれども、それは相手がそれなりの武器を持っていればの話。相手は自分をつけているだけなのだ。従って相手も武器を持ってはいない、もしくはそれに準ずる大した武器では無い可能性が高かった。
日は沈みかけようとしている。そろそろ覚悟を決めねばなるまい。寝床を確保しなければならないし、何時までもこんな不審者の相手をしている暇は無い。
(本当はこういうの全然柄じゃないんだけどね…)
美砂はそこでやっと決心した。
突然、美砂が歩いていた道を駆け出した。それが余りに唐突であったのだから、美砂の追跡者は慌てて後を追う。
追跡者の足はこれでも美砂よりよっぽど速い。美砂が逃げ出したところでそれが無駄である事を追跡者自身が十分承知していた。
美砂はある木をポイントに90度方向転換する。同じ調子で追跡者は木をコーン代わりに曲がり視界から消えた美砂を追った。
「!!」
そこに居たのは向き合って細い倒木を構えた美砂。美砂は逃げ出す振りをして追跡者に反撃の機会を窺っていたのだ。
「このぉ!!」
「…グッ!」
視界がブレ、眩暈がする。美砂の倒木による殴打の直撃。
「う…ぅ…」
追跡者はよろめく。振り下ろした倒木を引き、その追跡者の姿を認め一瞬美砂はたじろいだ。だが、まともな取っ組み合いでは追跡者には敵わないと悟ったのか、初撃に使用した倒木を再び構える。
「――ごめんね…」
美砂は追跡者に謝罪の言葉を投げかけると倒木を振り上げる。追跡者の瞳がその美砂の姿を映す。
同時に一発の銃声が響いた。
「ぐ……。あ……」
美砂の口に生温かい血が逆流する。胸に追跡者の銃の銀弾が埋まっていた。
意外だという様に美砂は追跡者、古菲(出席番号12番)を見る。クーの側頭部からも美砂の殴打によって赤い血が流れ出していた。その震える手にはキネという少女から奪った銃が握られている。
美砂は後退り背後にあった木を背にぺたりと座り込む。
「まさか…銃持ってたなんてね…。予想外もいいとこ…。アハ…ハハ…」
クーは咄嗟に襲ってきた美砂に対して拳銃を撃った。それは十分正当防衛と呼べるもの。けれど、そのクーの顔色は蒼白に変わっている。
「私は間違ってないアル。私の選択は正しかった、アルよ……」
「そう、だね…。間違ってたのは、私の方…」
呟くように美砂は考える。そう、やっぱりこんなのは私の柄じゃなかったと。
「――ごめんね…」
美砂が死の間際にクーに向かって放った最後の言葉もまた「謝罪」の言葉であった。
【柿崎美砂(出席番号7番)死亡 残り18人】
【古菲(出席番号12番) 拳銃(ベレッタ M92)所持 ☆むっつ】
#41 ア・カペラ(無伴奏曲)
「…冗談じゃない!冗談じゃない!……冗談じゃない!!」
春日美空(出席番号9番)はその自慢の足で必死に駆けていた。
「こんなバカな事、あっていい筈が無い!!」
美空は天に向かって猛る咆哮を上げる。
一日中歩き回った。誰かを求めて徘徊した。それなのに誰とも遭遇しない。
声も上げた。神に祈った。人の集まりそうな場所も探索した。それでも美空は誰にも会えなかった。
時刻はもうすぐ夕刻の六時になろうとしている。
美空の首輪にある星はふたつ。つまり、誰かの星がひとつ無ければ美空の首輪はあとほんの数分で爆発する事になる。
手にはいつでも撃てるようにと美空に支給された拳銃が一丁握られている。だが生憎と美空には発射するような機会は無い。
空に向かって撃とうかとも考えたのだが、そんな事をして寄ってくる馬鹿もいないだろうと行動には移さなかった。
「ああ、時間が!」
もう、協力し合うとか話し合うといった選択肢は美空には残っていない。
そんな事をしている間にいつ自分の首輪が爆発するとも限らないのだから。もし、自分以外の人間に遭ったのなら、それこそ美空は速攻で手に持っている拳銃を打ち込むつもりでいた。
カサリと美空の近くで草が揺れる。
それは普段なら気にも留めない程の本当に僅かな物だった。だが今の鋭敏な美空はそれを聞き逃さない。美空はそれこそ間髪入れず銃を放つ。今のがもし、空耳だったら。そんな風に考えると美空は背筋に悪寒を感じた。
茂みの中ではギュという音がし、しばらくしてその下から赤い液体が見えた。
「やった!」
美空は急いで草叢を掻き分ける。殺したクラスメイトから星を奪うために。
数歩進み、思わず息が止まる。
「――そん、な…」
悲しい哉。そこに居たのは美空の想像した血にまみれたクラスメイトではない。
眉間を撃ち抜かれた野兎が一羽寂しく転がっていた。美空は悲壮さに涙が出そうになった。
「――アーメン…」
美空は胸で十字を切る。
その時、ボンという音が辺りに響いた。だが、残念ながら美空自身の耳にその音が届く事は無かった。
【春日美空(出席番号9番)死亡 残り17人】
#42 インテルメッツオ(間奏曲)−2
「あーあー、夕方六時の放送だ…どうだい一日もいれば慣れてきただろう。
この時間を以って首輪の規定数は星三個に引き上げられる。首輪の装着した本人が死ぬ前に星を三個以下にすると首輪が爆発するから注意する事。
それとついでだから教えてあげよう。結局首輪の星が足りなくて死亡したのは今回一人だけだ。みんな案外しぶといね。まあ、その分みんな殺し合ってくれたという事だから僕からすれば別にかまわないんだけど…。
ところで食料は足りてるかな。僕の言ったとおり食料全く選ばないと厳しいんじゃないのかな。ま、足りない人はその分他のクラスメイトを殺して補充するしか方法は無いね。
それでは、気を取り直して死亡者の発表だ。
今回の死亡者は柿崎美砂(出席番号7番)、春日美空(出席番号9番)、早乙女ハルナ(出席番号14番)、超鈴音(出席番号19番)、長瀬楓(出席番号20番)、那波千鶴(出席番号21番)、葉加瀬聡美(出席番号24番)、四葉五月(出席番号30番)以上7名だ。
ついでに次の放送は明日の正午を予定している。そして明日の今の時刻までに星むっつを集めている事。でなければ首輪は爆発するからね。それでは明日の放送でまた会おう」
今日はここまでです。
>935
話の内容とタイトルの繋がりは一部を除きあまりありません。
#8のさよと掛けた小夜曲、#29のパルと掛けたパルティータ、
#30のカッターと掛けたトッカータ、#40の美砂と掛けたミサなどは単純に語呂合わせのため曲の雰囲気すら合ってません。
>936
個人的にはタイトルは全話「○○曲」という書き方に統一したかったのですが流石に無理でした。
では、初期星数と一日目の行動表を。
さよ☆☆→和美と遭遇→千雨と合流→一日目終了
裕奈☆☆→あやかと遭遇→あやかにより殺害
和美☆☆☆→さよ、千雨と遭遇→千雨により殺害
夕映☆☆→夏美を殺害→のどかと合流→真名、楓と遭遇→一日目終了
亜子☆☆☆→ザジ、チャオに遭遇→チャオにより殺害
アキラ☆☆☆☆☆☆→円と合流→チャオ、ザジと遭遇→一日目終了
明日菜☆☆→キネ、クーに遭遇→一日目終了
美空☆☆→首輪の爆発による爆死
茶々丸☆☆→首輪の爆発により戦闘不能→以後エヴァとともに→一日目終了
円☆☆→アキラと合流→チャオ、ザジ、キネと遭遇→一日目終了
クー☆☆☆→明日菜、キネと遭遇→美砂と遭遇→美砂を殺害→一日目終了
木乃香☆☆☆→一日目終了
ハルナ☆☆☆→ザジ、チャオと遭遇→ザジにより殺害
刹那☆☆→史伽と遭遇→聡美と遭遇→聡美を殺害→史伽と合流→一日目終了
まき絵☆☆☆→キネにより殺害
桜子☆☆☆→あやかにより殺害
真名☆☆→千鶴と遭遇→千鶴を殺害→夕映、のどか、楓と遭遇→楓を殺害→一日目終了
チャオ☆☆→亜子を殺害→ザジと合流→ハルナと遭遇→アキラ、円と遭遇→キネと遭遇→キネにより殺害
楓☆☆→五月と遭遇→真名、夕映、のどかと遭遇→真名により殺害
千鶴☆☆☆☆→真名と遭遇→真名により殺害
風香☆→タカミチにより殺害
史伽☆☆☆☆→刹那と合流→聡美と遭遇→一日目終了
聡美☆☆→刹那と遭遇→刹那により殺害
千雨☆→さよと合流→和美と遭遇→和美を殺害→一日目終了
エヴァ☆☆☆→茶々丸と合流→一日目終了
のどか☆☆☆☆→夏美と遭遇→夕映と合流→真名、楓と遭遇→一日目終了
あやか☆☆☆→桜子を殺害→裕奈に遭遇→裕奈を殺害→一日目終了
五月☆→自殺
ザジ☆☆☆→亜子、チャオと遭遇→ハルナと遭遇→ハルナを殺害→アキラ、円と遭遇→一日目終了
キネ☆☆→明日菜、クーと遭遇→まき絵を殺害→チャオ、ザジ、円、アキラと遭遇→チャオを殺害→一日目終了
投下&スレ立て乙であります
GJそしてまとめ乙あーんどスレ立て乙
↓以下、殺伐としたスレに救世主登場?
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、 l _, -‐-、
ヽ/⌒ヘ~ ,ヘ ,rァ l
., 't,_,ノ丶 / '、 ,/ ,i '’
/ ! '` | '──--' { つ
,/ ● L_/ 'i,
/ l ,/ ● i, -っ
'i しii 丿 / ゝ-
|`:、\ 'ii __,/ `‐′
'i、 ̄~~ ij 乙__ノi ├
^-ァ __,ノ σ‐
r^~"i' 'l
!、 ! l ─‐
~^''!, ,_ ,!_ ー〜'ヽ
\ l,~^''‐--::,,⊃ ) ) ) ) )
`'‐’ ノ
殺伐としたスレに救世主が!!
⌒●__●⌒
ヽ|・∀・|ノ クーフェイマン!
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⌒●_●⌒
フ |・∀・|ノ よい
./|__┐
/ 銚子
""""""""""""""
⌒●__●⌒
((ヽ|・∀・|ノ しょっと
|__| ))
| |
銚子
"""""""""""""""""
梅
倦め
埋めないのか?
産め
孕め
γ´ ̄ソζ⌒ヽ ..'´ ヽ
l ノリ√ヽヾ)リ| |_llノリリ」〉
(d| ゚ -゚ノl ノノノ |ノ||. ゚ーノ| ノノノ
/ つ∪___ ザックザック ノ/ つ∪___ ザックザック
し'⌒∪  ̄M ザックザック し'⌒∪  ̄M ザックザック
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( ・∀・) ノノノ くノ(!|‐ヮ‐ノゝ ノノノ
/ つ∪___ ザックザック / つ∪___ ザックザック
し'⌒∪  ̄M ザックザック し'⌒∪  ̄M ザックザック
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/ つ∪___ ザックザック (/ つ∪___ ザックザック
し'⌒∪  ̄M ザックザック し'⌒∪  ̄M ザックザック
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ハミ((ノハ))ハ l((リハ从ハ)
从i| ゚ ヮ゚ノjj ノノノ 从(l ゚ ヮ゚从 ノノノ
/ つ∪___ ザックザック / つ∪___ ザックザック
し'⌒∪  ̄M ザックザック し'⌒∪  ̄M ザックザック
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|,ハリ(l ゚ ヮ゚ノ ノノノ ! l(l!゚ ヮ゚ノヾ ノノノ
/ つ∪___ ザックザック ノノ/ つ∪___ ザックザック
し'⌒∪  ̄M ザックザック ((し'⌒∪  ̄M ザックザック
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/il〈リノリノ))ヾ \ヘ iリノリノ)
ノノjハ "゚ -゚ハ( ノノノ ノj(b、゚ -゚ハ ノノノ
(((/ つ∪___ ザックザック ノ/ つ∪___ ザックザック
ノノし'⌒∪  ̄M ザックザック ノし'⌒∪  ̄M ザックザック
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i Lllノリリ」〉 \ l_i_i_i_l
| l ゚ _ ゚ノ| ノノノ /`ノリ@||゚ワ゚ノ|ノ\
ノ/ つ∪___ ザックザック レ´V´V.リつ∪__V ザックザック
ξ'⌒  ̄ M ザックザック / θ_θ ̄M ザックザック
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_ ィヽ∧ヘ
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i Lllノリリ」〉 \ l_i_i_i_l
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ノ/ つ∪___ ザックザック レ´V´V.リつ∪__V ザックザック
ξ'⌒  ̄ M ザックザック / θ_θ ̄M ザックザック
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, '´ バ `ヽ ,v,.'´ .iヘ`くv.`
l リハリ))ヾ <<)ミ(リ リ))〉
般(l ゚ ラ゚ノ ノj、(l ゚ ヮ゚ノ、
/ つ∪___ ザックザック ノ/ つ∪___ ザックザック
し'⌒∪  ̄M ザックザック し'⌒∪  ̄M ザックザック
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i Lllノリリ)」〉 l ノリ√ヽヾ)リ|
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ノ/ つ∪___ ザックザック / つ∪___ ザックザック
し'⌒∪  ̄M ザックザック し'⌒∪  ̄M ザックザック
'""''"~~ '""'''"~~
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,.'´ `ヽ ザクトハチガウエー γ´ ̄ソζ⌒ヽ
i Lllノリリ)」〉 l ノリ√ヽヾ)リ|
| l ゚ ヮ゚ノ| (d| ゚ -゚ノl
ノ/ つ∪___ ザックザック / つ∪___ ザックザック
し'⌒∪  ̄M ザックザック し'⌒∪  ̄M ザックザック
'""''"~~ '""'''"~~
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'´  ̄ ヽ ,v,.'´ .iヘ`くv.`
|!|((从))〉 <<)ミ(リ リ))〉
'(||" - "リ ノj、(l ゚ ヮ゚ノ、
/ つ∪___ ザックザック ノ/ つ∪___ ザックザック
し'⌒∪  ̄M ザックザック し'⌒∪  ̄M ザックザック
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ちづる「それはワタシのおいなりさんだ」