【読むのが】ストーリーを教えてもらうスレ Part4【面倒】
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__,,,,.. --_─_一_-_-、-、、,,,,__ ギリ
ビキ ,r'´-_-_‐_‐_‐_‐_-_-、`-、ミ`ヽ ヾ`ヽ、
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l(i,i'´⌒ヾトヽ、ヾ ヾ ヾ ))_,ィ,'イ」〃川 jノjノjノ}
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ヾ、ニ,,.ノノ〃ィ":::::::::::::: /;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;!
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鶴田謙二「まんがアベノ橋魔法☆商店街 〜アベノの街に祈りを込めて〜」
と、
赤美潤一郎「妖幻の血」
をお願いします。
依頼テンプレは>1のまとめサイトを見ればいいのかな?
次の日の朝、麻子は駅で季晋を待ち伏せしていた。
定期を買うと言う季晋に6か月にするように麻子は言う。
6か月なら少なくとも6か月間はここにいるでしょ?という麻子にもう引っ越さないと季晋は言う。
季晋は大喜びする麻子を見て、感情を露骨に出すようになった。麻子は変わったなと思う。
そして、麻子は二人で麻子の父が指揮をするコンサートに行く約束を取り付ける。
学校でも機嫌がいい麻子。
掃除中に「「緒方」と「二階堂」はよっぽど失敗しない限り2次予選までいくわよ」という
クラスメイトの会話が耳に入る。
「緒方くんは「毎コン」にはでないわよ」と麻子は言うが
「へたな口工作でわたしたちを油断させるつもりなのよ」と言われてしまい麻子は怒る。
そこに伊波が来る。堂園大学に入ったことを自慢しにきたのだ。
伊波と一緒に依里を探しにいく。依里はレコード屋にいた。
その店で麻子は父の指揮した第九の録音盤を見つける。
クラスメートの「この人顔に似あわずすっごくおかしいの。
譜面台たおしそうにるし、花たば落っことすし」と笑うのを聞いて恥ずかしく思う。
父が指揮をするコンサートに行く途中、花たばを買うことになる。
どうせ渡しても落としちゃうような人だから花なんかいらないと言う麻子に
どういう人だろうと母のあこがれた人だから悪くいうなと季晋は言う。
結局花屋で花たばと季晋の父の趣味のサボテンを買う。
父の指揮をする姿に目を奪われる麻子。
たった1人遠い外国でわたしたちと暮らすために一生懸命苦労してがんばってきたのに、
何年も夢みてきたのにこの間は残酷なことをしてしまったと涙をながす麻子。
演奏が終わると麻子は花たばとサボテンを間違えて掴み「おとー・・・・・・さん」と舞台にかけよって行く。
父の昭和フィルの常任指揮者が決まる。
麻子はもうじききみをびっくりさせることがあると言ったのはこのことだったかかと思う。
季晋は今年から「昭和フィル」は「毎コン」の受賞者発表会のバックもすることになった。
麻子が受賞したらお父さんの指揮するオケと競演できることになると季晋は続ける。
お父さんの指揮でわたしがピアノと麻子は夢見る。
麻子は先生に話して、ゆるしてくれたら参加すると季晋に言う。
松苗にレッスンを頼む麻子。松苗は1か月だけレッスンすると言う。
2か月後堂園大学へ転任するというのだ。
麻子は悲しむがクラスメイトはあっさりとしていた。
麻子はみんな音楽やりすぎで感情がマヒしてるんじゃないかしらとなじる。
依里が伊波にきしんちゃんが毎コンに出場するのかを調べさせる。
リストをやると言っていて、実際に弾いてるところも見たという伊波はきしんちゃんの弾き方の真似をする。
その真似から麻子はきしんちゃんが腱鞘炎だと気づく。
心配し、きしんちゃんちに向かう麻子。きしんちゃんは父の客がくるからとすきやきの準備をしていた。
麻子はこれだけは作れると言って勝手にシチューを作っていく。
麻子は毎コンに向けて先生から「おほめのことば」を貰うことを目標に練習を重ねる。
父が麻子を訪ねてくるが会わずに練習を続ける。
最後のレッスンの時、
「最後の先生のレッスンだけはほめていただきたくて、ていねいにみてきたつもりです」
という麻子に
「おまえはわたしにほめてもらうためにピアノを弾いているのか!?」と怒られ
先生に誉めてもらうことばかりを考えていたことを反省する。
まわりを良く見ろ。おまえが他生徒よりいかに人間的に劣ってるか分かるという松苗にショックを受ける麻子。
レッスンは数時間に及ぶ。外は暗くなる。
松苗はわたしがきみを手助けできるのはここまでだ。
見聞をひろめなさい。頭をやわらかくし、いろいろな考え方のできる人間になりなさい。
自分をみがけばみがくほど美しい絵がかけるだろう。楽しみにしていよう。
と言って松苗はレッスン室を後にする。
ドアの外では掃除の時間でもないのに掃除をしているクラスメイトがいた。つづく
第19話 紙の冠の王様
午前中、ケビンとローズマリーがお茶を楽しんでいると、教授の屋敷がケビンのせいで買えなかったと、引っ越し荷物と共にエスメラルダが押しかけてくる。
Jrの調査の事で貸しがある、と言われたケビンは言い返せず、同居を認める。
病院に出掛けるのを見送るローズマリーにケビンは、「病院に行くのはこれで最後にしたい」と言う。
病室にJrは不在で、ケビンは最上階の特別室―リチャードの病室に通される。
Jrはケビンに、その時していたゲームのボードを投げつけて出て行ってしまう。
角で頬を切り、血を流すケビンに、リチャードは「綺麗な血だ。我々のとは違う」と言う。
病気の辛さは本人にしか解らないが、思い遣りを持って接する事は出来る、と語るリチャード。
エスメラルダとの事に話が及び、健康になって、必ず彼女を守る、と言う。
ケビンが特別室を去った後、Jrがやってくる。
Jrは「(ケビンを無くして)無くなって悲しいものはもうないから、ここを出て行く」と言う。
その日の夜。病院の柵の下に掘った穴から脱出したJrは「いい晩だね」とケビンに声をかけられ、驚く。
「お前の父親の為かもしれない、その償いかも――でも、これだけは伝えておきたかったんだ。
お前の事を思っている者がいるという事を。お前がひとりではない事を――
一緒に暮らそう、ニックJr。もう二度と、お前を病院に見舞うつもりはないよ。
だから、一緒に暮らそう」
ごめんなさい、と泣きじゃくるJrを、ケビンは家へ連れ帰る。
翌朝Jrを連れ戻す為にやってきたグロリアに、エスメラルダが、ブラックウェル夫人の立場を利用して、手続き全てをもみ消す、と宣言。
Jrに何かあった時は連絡する、とグロリアの住所を聞き出したエスメラルダは、昼の内に彼女の家具をケビン宅へ搬入。
夜、慌ててやって来たグロリアとエスメラルダが大喧嘩になり、仕方なくケビンは庭で仕事をする。
そこへJrがやって来て、「ケビンはここの王様だね」と紙で作った冠を被せるが、ケビンは深い溜め息をつくのだった…
10 :
マップス:04/04/21 08:39 ID:???
旅立ちの日が来た。勇者ダイナック・ゲンとリプミラを中心に、ツキメ・ザザーン・ガッハ・へクススキー教授・
プテリス・エイブの各人が率いる軍団に、キャプテン・ヒイがその存在を知る「光破船団」を計算に入れた
「七つの軍団」を中心とする計二億隻の大艦隊。留守番役となった星見とメタル・ビーチを後に残し
艦隊は一路、銀河の果てにあるという伝承族の本拠地を目指す。
大旗艦が作り出す大型ワープホールに全艦隊を吸い込ませ、艦隊を一つの超巨大艦としてワープさせる
「エントランス・アウトメイカー」によって、全艦は足並みをそろえ超空間を進む。
その彼らの前に、伝承族反乱軍が操る3万隻強の艦隊が現れた。
反乱軍の狙いは、銀河同盟軍をブゥアーと相打ちさせること、この艦隊も挑発に過ぎないと読んだ一同は
軽い前哨戦のつもりでこの敵艦隊に相対する。
ところが、敵艦隊のしんがりに控えていたニードル・コレクションが、突如、味方のはずのこの艦隊を撃ち
その爆炎を目くらましに、銀河同盟軍の真っ只中に飛び込んできた。
同士討ちを恐れて各艦が動けずにいる中、ニードル・コレクションのうちの2隻
「船体がゴムのように柔軟に変形する」ソフティカ・リップと、「飛び道具を一切持たず、超硬質の船体による
体当たりで攻撃する」ハーザン・リップが大旗艦のエンジンに迫る。
艦隊全艦を支えている大旗艦のエンジンを爆破し、全艦隊をまとめて葬り去ろうというのだ。
「なぜだ!?奴らは我々とブゥアーの同士討ちを狙っていたのではないのか?
全滅させる気なら“円卓”でもできたはず。なぜ、遠征に出させてからたたくのだ?」
大旗艦はエンジンの切り離しを図るが、すでにニードル・コレクションが遠隔操作回路を破壊してしまっていた。
リプミラ・シアン・リムの3隻と、キャプテン・ヒイの船が協力して、エンジンを艦隊から突き放すが
その直後、エンジンは爆発。エンジンの最も近くにいた4隻はそのエネルギーの波にさらされ消失する。
やがて、通常空間に放り出されたリプミラ号。艦隊も、シアンやリムの姿も近くには無い。
現在位置を確かめようとした彼女の目に飛び込んできたのは、彼方にある銀河の姿……
そう、驚くべきことにリプミラ号は、銀河障壁を超えて外宇宙へと飛び出していたのだった。
11 :
マップス:04/04/21 08:40 ID:???
亜空間での爆発に巻き込まれ、本隊を見失ったシアンは、キャプテン・ヒイに助けられる。
彼女はヒイと共に、本来の目的であった「光破船団」を求め、とある赤色巨星にたどり着いた。
そこでシアンは、ヒイの言う銀河先住民族が、恒星の中に生きるエネルギー生命体であると知る。
エネルギーの中にいる限り、老いることなく何十億年でも行きつづけられる代わりに
物理的な衝撃には弱い──ヒイの正体は、そんなエネルギー生命体の性質に限界を感じ
己の意識を物質生命の体に移植した、元エネルギー生命体の長“始まりの者”であった。
だが、ヒイの弟である“終りの者”は、戦いを恐れるあまり、伝承族に恭順していた。
深く封印された光破船団を目覚めさせようとするヒイとシアンの前に、伝承族の使者を名乗って
“終りの者”を味方につけたソフティカとハーザンが立ちふさがる。
傷ついてなお前に進もうとするヒイに、シアンは敬意と恋愛感情……そして劣等感を抱く。
自分が、心身ともに強いヒイの荷物にしかなっていないのではないかと。
だが、そんなシアンの迷いをヒイは静かに正す。アマニのコレクションとして、生きながら朽ちつつあった彼を
目覚めさせてくれたのは、間違い無くシアンの信念だったのだから。
外の守りをシアンに託し、光破船団の再起動スイッチを入れたヒイは、“終りの者”と向かい合う。
“終りの者”は、兄であるヒイの余命がもはや数分しか残っていないと見抜くが、ヒイが足を止めることは無い。
「弟よ、わがままばかり言ってすまなかった。……これが最後のわがままだ。
残りの数十秒は──“始まりの者”としてではなく、キャプテン・ヒイとして生きさせてくれ」
その言葉通り、苦戦していたシアンのの援護に入ったヒイは、余命僅かな己の身と引き換えにハーザンを撃破。
残されたシアンは、自分の身を砕き、その破片にビームを乱反射させて、卓越した回避力を持つソフティカを仕留めた。
息を引き取ったヒイにすがり泣くシアンの前に、“終りの者”が現れ、自分に「ヒイ」を継がせてほしいと申し出る。
シアンはそれを了承。“終りの者”は自らの意識を「ヒイ」の体に移植し、新たなヒイとして
銀河同盟軍への参戦を宣言する。敬愛すべき“彼”が銀河に放った希望──光破船団を見上げながら
シアンはひとり涙を流すのだった。
12 :
マップス:04/04/21 08:41 ID:???
一方、シアン同様に本隊からはぐれたリムは、船に同乗していたへクススキー教授、そして
教授の預かりとなっていたリトル・ラドウとともに、無人の惑星に漂着していた。
海上で修理を続けていたリムを、突如謎の攻撃が襲う。彼女を追ってきたニードル・コレクション
「流体を自由に操る」力を持つバオン・リップが、周囲の水を使って船体を締め上げたのだ。
辛うじてバオンの船体に接近し、頭脳体どうしの格闘戦に持ちこむリムとラドウ。
深海での戦闘にも耐えるほどの防御力を持つバオンはリムを圧倒するが
危機的状況にあって、ラドウは念動による重力攻撃の能力に覚醒。不意打ちを食らったバオンは
切り札として与えられていたあるアイテムを使う間もなく敗れ、その「アイテム」を奪われてしまう。
バオンを倒して油断するリムとラドウ。だがその時、海を割って巨大な黒龍が現れた。
ダード・ライ・ラグン。伝承族反乱軍に回収され、彼らに従うよう洗脳を施された彼が
戦力テストのためにバオンに同行していたのだった。
リプミラですら苦戦するダードに、勝てるはずもなく追い詰められるリム。だがそのとき
ラドウが膨大な量のエネルギーを発し始めた。彼女の周囲の水が急速に原子分解し、再構成される。
一瞬にして、彼女はゼロから自分の船体を「再生」し、ダードと戦い始めた。
自分に拮抗するほどの戦闘力を持つラドウを相手に、楽しげに哄笑するダード。
戦闘経験の差でラドウを圧倒した彼は、ラドウの船体を破壊し、彼女を捕らえる。
「来るがよい、ラドウ。光はお前に似合わぬ。闇と破壊のみがお前に安息を与えよう。
──この私と、同じように!」
かつての戦いよりさらに強くなったダードに、リムは反撃すらかなわず、ラドウを奪われてしまった。
自分のふがいなさを痛感し、リムは泣く。そして、自分をより進化させ、ラドウを助け出せるような
強さを得ることを誓う。
そんなリムの成長をサポートしながら、へクススキー教授はある事実に気付く。
ラドウの機体再生速度の異常な速さと、地球での戦闘データを分析した結果、彼は伝承族の真意を知った。
「彼らの目的は……我らの目を地球からそらすことだ!ラドウの再生頭脳体は、一体だけではなかった!」
第20話 スリー・ドッグ・ナイト
前夜、ケビンと共に庭にいたJrは高熱を出し、寝込む。
出勤したグロリアは院長から呼び出され、今回の件は彼女の責任問題だと糾弾され、昇進の話が見送られたと告げられる。
帰り際、病院の事務員に住所変更の手続きを頼まれたグロリアは、すぐ元の住所に戻るから、と断る。
夕食時、ワゴンに乗った夕食をエスメラルダがJrの部屋に運ぶ。
ジョシュアを抱いたエスメラルダに、Jrが「2階へは行かない様にする」と言うと、彼女は「子供が変な気を回すな」と怒る。
興奮して更にJrの熱が上がり、怒るケビンにエスメラルダは、Jrが出会った頃の、父親の陰に怯えるリチャードに似ていて苛立つ、と話す。
それを聞いたケビンは、ゲームの駒の様に人を動かすエスメラルダにそんな事を言う資格はない、と彼女を責める。
グロリアを巻き込んだ事を怒るケビンに、エスメラルダは、グロリアがケビンを愛し始めていると告げる。
帰宅してJrを診たグロリアに、Jrが新しい環境で緊張していると言われたケビンは、
クリフとローズマリーを連れてJrの部屋を訪れ、一緒に眠る事にする。
翌朝、Jrの熱は下がる。
Jrの容態が落ち着いたので、自分のアパートへ帰ると言うグロリアを、ケビンはひき止める。
「もう少し君にここに居てほしい」
第21話 誰かが道をやってくる
互いの気持ちがはっきりするまでケビンの家で暮らそうと、グロリアは住所変更の手続きをする。
Jrは環境に慣れ始め、少しずつ元気に、明るくなってきたいた。
ケビンはJrを学校に入れ、様々な経験をさせてやりたいと思い、グロリアと共に小学校を訪ねる。
JrのAIDSが母子間ではなく、生活感染であるとグロリアから説明を受けた校長は、
小さな子供は怪我が日常茶飯事であり、感染を拡大する恐れがある、とJrの編入を断る。
「主のお恵みと共に」と送り出された帰り道、怒りを抑えきれずケビンは「神なんかいるもんか!」と荒れる。
その様子を見たグロリアは「神はいるわ」と冷たく言い放つ。
「人間の生まれる時間、死ぬ時間。神はそれら全てを支配し賜う。
そして、定められた死の時を狂わすのが、私逹、医者の仕事…」
俺が君を支える、とケビンに肩を抱かれ、グロリアは彼への気持ちを自覚する。
グロリアモノ「支えてくれる手を必要としていたのは、彼ではなく、私の方だったのかもしれない。
精一杯無理をして、気を張って、心を奮い立たせて――
私は…ケビンの事が、好きなんだわ……」
クリスマスも近くなった、ある日の帰り道。
グロリアは女の子のヒッチハイカーを拾う。
ケビンの家へ向かうと言う彼女は、夏の島のジゼル――シェリルだった。
「彼のお陰で、自分で閉じかけてた夢がまた、少しずつ、少しずつ、動き出して…
今日、思い切って、列車乗り継いで、彼に告白しに来たんです!
あたし、ケビンの事が大好きなんです!」
第22話 魔女の集会
Jrと雪道を散歩しながら、ケビンは都会へ戻り、Jrを受け入れてくれる学校を探そうかと考えていた。
気掛かりはローズマリーの事――彼女は、生まれ故郷のここを捨ててまで、連いて来てくれるだろうか?
そんな折、シェリルを連れたグロリアが帰宅。
居間で再会を懐かしむ中、シェリルはあの夏からの事を語る。
彼女は猛レッスンの末、ロイヤル・バレエ・スクールに合格し、ケビンに告白しにきた、と言う。
その時、グロリアに視線を走らせたケビンに、シェリルは二人の関係を察知する。
気まずい雰囲気をローズマリーが取り為し、何となく皆は部屋に戻る。
シャワーを浴びたグロリアの部屋にエスメラルダが待っており、「あんな小娘に負けたら怨むわよ」と言って去る。
荷ほどきをするシェリルの部屋にはJrが訪れ、エスメラルダやグロリアとは違う、女の子らしい雰囲気に惹かれてゆく。
夜、Jrを診て部屋を出たグロリアを、シェリルが待っていた。
ケビンをどう思っているのかを聞かれたグロリアは、「彼が好きよ」と告げる。
シェリルは「私、負けませんから!」と走り去るのだった。
第23話 氷の貴婦人
Jrはシェリルに懐き、よく遊んでいた。
それを見たエスメラルダは、「子供の相手は子供にしか務まらないって事ね」とグロリアに言う。
グロリアは、シェリルは大人の女性だと言い、どちらを選ぶかはケビン次第だ、と沈んだ様子を見せる。
外から帰り、仕事場に押しかけてきたシェリルに、ケビンはうんざりして、俺がバレエを辞めろと言ったらどうするか、と聞く。
シェリルはまさかと思いつつ、ケビンの真剣な顔に出会い、「あなたの為なら辞められます」と答えるが、
ケビンは、人に流されるシェリルには、本当の意志が見えない、と言う。
病院ではグロリアが新人医の研修をこなし、「鋼鉄のデンシャム」と陰口を叩かれていた。
ふとシェリルの事を思い出し、あの子はこんなあだ名で呼ばれる事は一生ないだろう、と考えていたグロリアに、外線電話がかかる。
《続く》
BASTARDとパトレイバー、どっちも長いらしいので大変かと思うけど教えてほしい
スークの家でおこった殺人事件はスークの手によるものとみなされ、チェコ警察は
スークの捜索を始める。しかしスークはいち早くグリマーと共に逃亡していた。
一方チェコまでやってきていたテンマは新聞でこの事件を知り、『3名毒殺』『毒入りお菓子』
といったキーワードからかつて自分の病院で起こった院長ら殺人事件と似ている部分があることに気付き
事件の陰にヨハンがいるのではないかと疑う。
テンマはスークの居場所を知ろうとして彼の母親が入院している病院に行く。
彼の母親は痴呆症でまともな会話ができないが、彼女の話すスークの昔話の中から
スークが隠れている場所のヒントをつかんだテンマは彼の元へと急ぐ。
そしてテンマが去った後の病室では、スークの母親がテープを聞きながら
「なまえのないかいぶつ」の一節をつぶやいていたのだった。
グリマーと共に逃亡したスークは例のテープを母親の元に送り
廃墟で身を潜めていた。180度変わってしまった自分を取り巻く環境に錯乱するスークだが
グリマーの「自分を信じろ」という言葉で落ち着きを取り戻す。
グリマーはこの事件が10年前ドイツのある病院でおこった殺人事件(テンマが容疑者となっている事件)
によく似ていることに気付いていた。
その時窓辺に近づいたスークが何者かに銃撃された。二人がいる部屋はいつの間にか数人の人間に
包囲されており、彼らはテープを要求するがグリマーが「ここにはない」と答えると
わざと急所を外して何発もスークに銃弾が打ち込まれる。
何とか彼を助けようとするグリマーだが、彼もまた狙撃銃で狙われていて動くことが出来ない。
絶体絶命の状況に陥った彼は異常に呼吸が荒くなり頭を抱え込んでしまう。
二人のいる廃墟にたどり着いたテンマは、離れた所で二人のいる部屋を狙っていた狙撃手から
事情を聞きだし、二人の元へと駆けつけた。静まり返った部屋に乗り込むと
そこには顔をぐちゃぐちゃにされた男達と、両手を血まみれにしたグリマーが佇んでいた。
グリマーは「超人シュタイナーが…またやっちゃった…」と独り言のようにつぶやき、
テンマは彼が以前自分を助けてくれた男だということに気付く。
そして我に返りテンマに気付いたグリマーは、自分が511キンダーハイムの出身で
この惨劇は自分の中のもう1人の自分がやった事だと話し出した。
グリマーが覚えている唯一の幼い頃の記憶は「超人シュタイナー」というアニメ番組だけだった。
そのアニメの主人公はひ弱な青年だが、ピンチに陥ると自分でも気付かないうちに超人シュタイナーとなり
悪者を倒す。そんなアニメを見ているうちに、いつの間にか自分がピンチになった時にも
超人シュタイナーが現れるようになり、気付くと悪い奴らは倒されていたと彼は話す。
そしてそれ以外の記憶は全て511キンダーハイムに奪われたとも話す。
スークらに応急手当を済ませ救急車を呼んだテンマは「自分も511キンダーハイムに関係がある」といい
二人は現場から姿を消した。
ホテルにたどり着いたテンマはグリマーに511キンダーハイムについて尋ねる。
グリマーは断片的にしか残っていない記憶を元に自分の過去を話し出した。
彼は14歳ごろ511キンダーハイムを出て両親役の人間に引き取られた。そして名前が与えられ
スパイ教育として様々な外国語を覚えさせられたり笑顔をつくる訓練を受けさせられたのだった。
スークの無実を証明するため、スークの収容された病院を訪れた二人だが
彼は何者かに連れ去られていた。そして二人の前に男が現れ同行するように言われる。
車で連れて行かれた先にいたのは旧チェコスロバキア秘密警察の大物カレル・ランケ大佐という人物だった。
彼がスークを連れ去った張本人で、例のテープと引き換えにスークを返そうと言い出す。
彼はテープをビジネスの道具として欲していたが、グリマーが511キンダーハイムの出身者として
あんな事を繰り返してはいけないと言う。すると大佐は急に一枚の写真を取り出し「この子を知らないか?」
と尋ねた。写真に写っていたのは大佐の甥である少年で、少年もかつて511キンダーハイムに
いたのだという。しかしグリマーはあの頃の事を思い出せないのだった。
結局話し合いは決着がつかず次の機会に先送りされることになった。
そしてその場から立ち去ろうとするグリマーだったが、ふいに「思い出した…」とつぶやく。
グリマーは再び大佐の元に戻り「あいつはココアが好きで、絵を描くのが好きで、虫が好きだった」
と話し出し、その名前を口に出した。
それを聞いた大佐は目に涙を浮かべ「私の甥だ」と一言言い残し去っていった。
かつて幼い双子とその母親が住んでいたと思われるチェコのある家にやってきたニナとディーター。
しかしニナは断片的な映像しか思い出す事が出来ない。「なまえのないかいぶつ」、見知らぬ男、
ドアを開けて帰って来た自分、それを迎える自分、そんな映像が頭に浮かぶ。
次の日再び大佐がやってきた。
15年前にヨハンとその母が秘密警察により当時住んでいた所から連れ去られた事を調べ上げていた
テンマは、その真相を聞き出そうとする。大佐は何も知らないと言うがその代わりに
自分の知らないところで行動することが出来た唯一の人物であったフランツ・ボナパルタ
という男の名前をあげ、彼が関係しているかもしれないと話した。
結局テープは渡せないが、中身を聞くことを許された大佐は二人と共にスークの母親がいる
病院へやってきた。スークの無事も確認され三人はテープを聞くことに。
「僕が一番怖いもの、それはね…アンナを忘れてしまうこと。毎日毎日おかしな授業で
記憶がなくなっていくんだ…お願い…アンナを忘れさせないで…
世界には、アンナと僕二人だけなんだ……この記憶だけは…お願い…」
しかしここで少年の言葉は途絶え、なぜか現在のヨハンの声が流れ出した。
ヨハンは三人が病院にやってくるよりも前に女装をしてスークの母親の元を訪れ
テープの上から自分の声を録音していったのだった。そしてテープの中のヨハンは語る。
「聞かせてあげられるのはここまでだよ。このテープを聞いて、やっとわかったんだ。
僕がどこへ行くべきか…やっとわかったよDr.テンマ。」
オリスルートの銀の小枝
辺境警備
妖精国の騎士
お願いします。
ARMSお願いします
伸たまき パームシリーズ
片山愁 ドラゴン・フィスト
橘皆無 螺旋のかけら
お願いします
マップス乙
これは省略の加減が難しいね
今日本屋に行ったらテレプシコーラとアラベスクの冒頭部分が
載ってる本があったので買ってみた。
めっちゃ面白かった!
このスレ見て無かったらきっとずっと読んでなかったと思う。
テレプシをリクした人&書いてくれた人、ありがとー。
引越しの荷解きしてたらクロノクルセイド全巻+超解の発掘に成功。
7巻以降の展開はすぐには出せないが、今やってるアニメも独自路線に
突入が確定したことだしネタバレ危険度も薄いってことで予約させて
もらっていいか?
ちなみに超解(正式:超解!クロノクルセイド)ってのは富士見マンガ・
ラノベに付き物の資料集のことね。
魔探偵ロキをお願いします
27 :
マップス:04/04/22 09:13 ID:???
銀河障壁外へ飛び出してしまったリプミラ号。ゲンとリプミラの二人に加え、事故のときに
たまたま同乗していたプテリスと、リプミラ号の最新装備「オプション」の頭脳体である
簡易ビメイダー「レニー」「デニー」を道連れに、銀河への帰路をたどる。
その途中で出くわした1隻の宇宙船──それは、他の島宇宙から銀河へやってきた探検船だった。
その船を見て、ゲンは以前から考えていた懸案に思い至る。
銀河同盟の勝利を確実なものにするため必要な戦力──伝承に無い「第八の軍団」。
銀河外から来た彼らが、第八軍になってくれるのではないかと期待したのである。
紆余曲折を経て、探検船乗組員と話し合いの場を得たゲンは、そこで思わぬ顔と再会した。
ダードが根城にしていたビメイダーの星で、参謀を務めていた女性型ビメイダー、オルシス女史である。
彼女たちビメイダー反乱軍は銀河外への脱出を目論み、銀河外文明との接触を試みていたのだ。
オルシスの通訳と、プテリスのテレパシーによって会談は進む。探検船の船長“片キバ”は
ゲンの友好を受け入れるが、彼らには銀河の戦いに加わる動機も余力も無かった。
また、会談に同席したオルシスの態度も冷ややかなものだった。銀河の現状においてビメイダーは
「物」として扱われる。この認識が変わらぬ限り、たとえ伝承族に勝ったところで
ビメイダーにとっては、備品としての耐用年数が延びるだけの違いでしかないのだ。
交渉が難航する中、ニードル・コレクションが探検船を襲い、リプミラが迎撃に飛び出す。
「二つの頭脳体を持ち、船体を分離できる」ゼルルゼ・リップを難なく降したリプミラの前に
ニードル・コレクションのリーダー、スガラが立ちはだかる。彼女の能力は「相手の船体をコピーする」こと。
同等の戦力、同等の射程で、確実に相打ちに持ちこむのがスガラの戦術。
相手の攻撃パターンの読み合いの末、辛勝したリプミラ。だがスガラは不敵な笑みを浮かべる。
「“おとり”は私の方だったのだ…そして、ダイナックは“最強のビメイダー”の手によって死ぬ」
次の瞬間、背後から忍び寄ったゼルルゼ・リップの攻撃がリプミラを襲う。
強力な電磁波で、ビメイダーの…機械の記憶を破壊する「デンジャーノイズ」!
28 :
マップス:04/04/22 09:14 ID:???
リプミラとニードル・コレクションの戦闘で負傷し、“片キバ”船長の船に収容されたゲン。
リプミラの帰還を待つ彼の前に、ゲンを敵と呼ぶリプミラが現れた。ニードル・コレクションによって
記憶を失い、海賊時代に戻ってしまったリプミラは、ゲンが伝承族の手先だと吹き込まれ
彼に敵対すべく武器を向けてきたのである。
ゲンは、人間の記憶喪失のようにショックで記憶が戻らないかと考えるが、オルシスはそれを否定する。
「ビメイダーが記憶を失うというのは、コンピュータのメモリーが消えたということだ。消えたものは戻らない。
“ない”ものを戻すことはできない──人間とビメイダーの決定的な違いだ」
辛うじてリプミラを退けるゲン。リプミラはそのまま、ニードル・コレクションと共に宙域を離脱していった。
リプミラが敵に回ったことで、事情を知らない“片キバ”の態度も硬化する。交換条件として
補給物資を必要としていた彼らにゲンの星図のデータを提供することになったが
データを分析した“片キバ”は、物資補給のため伝承族の本拠に乗り込むことを決める。
その合間に、回収されたリプミラ号の破片を調べていたゲンは、デニーとレニーを発見する。
なぜか動かない二体を調べたゲンは、簡易ビメイダーのはずの二体が、リープタイプ並のハードを備えて
いることに気付く。デニーとレニーは、今は亡きリプミラの姉妹、ダインとレインの人格データの断片から成る
擬似リープタイプだったのだ。そして、デンジャーノイズで記憶を消されそうになった瞬間に
リプミラはこの二体に自分の記憶を移していたのである。
一方その頃、リプミラはニードル・コレクションに連れられて、彼女たちの本拠地「湾曲空間」へ入る。
銀河同盟軍が伝承族の本拠地として目指していたその場所は、実は伝承族の「刑務所」であった。
ニードル・コレクションをも信用していないリプミラは、この地を預かる伝承族ギツアートに挑みかかるが
彼のそばに控えていたダードとラドウによって、逆に捕らえられてしまう。
ギツアートはリプミラを取り押え洗脳しようとするが、そこへ“片キバ”船長の船が割って入る。
焦ったギツアートは、洗脳の代わりにリプミラに偽の記憶を刷込んだ。
「お前の主カリオンを殺したのは、ダイナック・ゲンだ!ゲンを殺せ!」
>23
ありがとうございます。「マップス」はエピソードが多い上伏線が利いているので
どこを削るか本当に悩みます。>11の「「四十億年のプロメテウス」のエピソードにしても
良い台詞を抜き出そうとしたら、前の台詞が後の台詞に関係している部分が多くて
「あー、この台詞は30ページ前のアレに掛かってるなあ、両方使うわけにいかないから削るしかない」
とか…。
31 :
マロン名無しさん:04/04/22 21:38 ID:FFwTwXYe
君の心の弱々しい迷いと裏腹に 君の手は強く握りしめて離さない・・・・
大事なものを失って・・・ 身も心も疲れ果て・・・
けれどそれでも決して捨てることが出来ない想いがあるならば
誰が何と言おうとそれこそが君だけの唯一の真実
真実の・・・
藤子不二雄の「まんが道」をお願いします
>15続き
電話は母親からで、いつも結婚しろとうるさかったのに「もう何も言わないわ」というものだった。
ケビン宅。レッスンするシェリルを見たエスメラルダは、オルゴールの人形の様だと言う。
ムッとするシェリルにエスメラルダは、自分も4歳からロイヤル・バレエの講師に個人教授を受けていた事、技術だけでは金は取れない、と語る。
エスメラルダから『氷の貴婦人』(後述)の話を聞いたシェリルは、女王の気持ちが理解できず、好きな人の為なら自分が死ぬ、と言う。
「それじゃ村娘Aは踊れても、氷の貴婦人は演じられないわね」
夜、居間でシェリルが落ちこんでいると、グロリアがケーキを買って帰ってくる。
バレリーナ志望でダイエット中の自分に気を遣え、とシェリルが八当たりして居間を出ようとした時、グロリアにぶつかり、ケーキは床に落ちてグチャグチャになってしまう。
シェリルは謝りかけるが、グロリアに対して素直になれず、そのまま居間を後にする。
暫くして、やはり謝ろうとグロリアの部屋を訪ねたシェリルは、ケビンとグロリアの話を立ち聞きする。
グロリアは、シェリルは一所懸命で純粋で羨ましい、と言う。
そして、ケビンに母親からの電話の話をし、仕事の辛さを語る。
「私、今の仕事、嫌いじゃないわ。自分の望んだ仕事に就けたんですもの。でも、時々ふと…不安になるのも本当よ。
仕事に慣れるにつれて、技術が上がるにつれて、どんどん女らしさや素直さ、人間らしさを失っていく気がして…
私すっかり忘れてたんだけど…今日、誕生日だったのよ…」
優しくグロリアの肩を抱くケビンを見て、ドアの前に立ちつくすシェリル。
クリフを連れて探しにきたJrに声をかけられたシェリルは、吹雪の外へ飛び出して行ってしまう。
[民話:氷の貴婦人]
雪の女王は狩人の若者に恋するが、婚約者が居る若者は彼女になびかない。
我慢ならない女王は、若者を冬の森で凍死させてしまう。
自分で殺しておきながら、女王は若者の亡骸に取り縋り、泣き続ける。やがて涙は雪となり、吹雪となる。
今でも酷い吹雪の時は「女王が泣いている」といわれる。
第24話 死にたい奴はいるか
一緒に行くと言うグロリアを家に待たせ、ケビンは二人を探しに出る。
シェリルを追うJrとクリフは、サリーが死んだ沼に出る。
シェリルは凍った沼を滑り、死んでしまおうか、と呟く。
それを聞いたJrは、死ぬのなら付き合う、と自分の境遇を語る。
「もう疲れたんだ。誰かが自分を望んでくれるのを待つのも、病気が治るのを待つのも。」
そこへ、通りすがりの町の男達にシェリル達の行方を聞いたケビンが辿りつく。
ケビンの姿を見たシェリルは、「あたしの事を見てくれないケビンなんて大嫌い!!」と、氷の薄い沼の中央へ向かう。
氷は割れ、シェリルは沼に落ちてしまう。
ケビンはシェリルを追って沼へ潜る。
家では、胸騒ぎがする、とグロリアがケビン達を探しに出る。
ケビンに来るなと言われたJrは、走って助けを呼びに行こうとするが発作を起こし、クリフを走らせる。
何とかシェリルを助け上げたケビンは力尽き、沼へ沈んでしまう。
先刻の男達とグロリアが行き合い、シェリル達の事を聞いている場に、クリフがただならぬ様子で走ってくる。
男達と一緒に沼へ急いだグロリアは、倒れているJrと、氷の上に横たわるシェリルを見つける。
第25話 Watermark
ケビンの姿が見えず、グロリアは恐慌状態になるが、男達に諭され、落ち着きを取り戻す。
男達がボートで氷を割りながら沼を進む。
医師である自分は、助かる可能性が高い人間を優先させなければ、とシェリルを先に助けるグロリア。
人工呼吸でシェリルが息を吹き返した頃、ケビンが助け上げられる。
心停止状態のケビンに、グロリアは必死の心臓マッサージを施す。
《続く》
小学6年生の高松翔は、最近母親の干渉が鬱陶しく思えるようになってきた。
ある朝大切にしていたビー玉などを捨てられて母親と大喧嘩してしまう。
「今日限り、あんたなんか母親と思わないからなっ!!」
「ああそう!私もお前なんか子と思いたくはないわ!!」
思春期の子供なら一度は言ってしまう言葉、親との衝突。
「もう二度と帰ってこないから!!」
「ああ結構よ!!もう二度と帰ってきて欲しくないわ!!」
翔は学校へと走って行った。母もそんな翔の背中に怒鳴りつけた。
……お互いの言葉が真実となることも知らず。
登校中にクラスメイトの信一と合流するが、
二人は給食費を忘れたことに気付く。
信一はいったん取りに家に帰ることにしたが、
翔は「あんな家もう絶対二度と帰りたくないから」とそのまま学校へ向かった。
――給食費を持って学校へ向かう信一は、学校の方角からしたすごい音にしゃがみ込む。
通学路である商店街のガラスが割れ、地面にひびが入るほどの衝撃だった。
「まさかと思うけど、学校が……!!」
急いで学校へ向かう信一の足に、彼等の通う小学校「大和小学校」の看板が当たる。
「なぜこんなところに………?翔ちゃん!!」
信一は学校に、………「学校があったところ」にたどり着く。
大和小学校があったはずの場所は、大きな穴があるだけだった…。
翔の母は、彼と喧嘩したことを後悔していた。
「帰ってきたら謝らなくちゃ」
給食費を払う日だったのでは、と学校に電話してみるが受話器からは何も音がしない。
それじゃあ直接……と学校まで向かう途中、周囲の異変に気付く。
「大和小学校が爆発したそうだっ!!」
「全生徒、血だらけで重症だそうだっ!!」
町を走る人々の声やサイレンの音が母を走らせる。
「し、信一くん!!うちの翔は!?」
学校の看板を手に抱えたまま、「みんないなくなってしまった」とパニックを起こす信一。
人を掻き分けて、母が見たものは……。
――信一と別れた後、翔はそのまま学校へ向かった。
いつもと同じ平凡な授業が進む。「今日は早く帰ってお母さんに謝ろう」
突然校舎が大きく揺れだした!!
みんなビックリして机に潜る。
……………。
………揺れがおさまった。
「やっと平常に戻ったようだから、授業にかかるかな。
どんな場合でも慌ててはダメだぞ!理性が狂うからね」
授業を続行する中、突然「ギャーーーーッ!!」という叫び声。
なんだなんだと窓から校庭を見ると、一人の教師が地面によろけ倒れていた。
担任の先生が見に行くが、気になった男子の代表の翔と女子の代表の咲っぺで様子を見に行くことに。
校門の前に先生たちが突っ立っていた。
一緒になって校門の外を見ると、一面砂と岩ばかり。道路も周囲の建築物もなにもない、一面の砂漠……。
「学校の外が、みんななくなっちゃったーっ!!」
教室へ駆け戻りみんなに報告する翔。まさかと笑った生徒たちも、廊下の窓から外を見てパニックを起こす。
「屋上へ確かめに行こう!!」みんなして階段を駆け上がる。
……広い広い砂漠の真ん中に、ジオラマのように、
大和小学校の塀で囲まれた敷地だけがポツリとあるだけだった。
「あたしのうちは?」「ぼくんちはどこへいったんだ?」
「おかあさんっ!!おかあさーん!!おかあさんどこなのっ!?」
屋上のフェンスによじ登り、母を捜そうとした女生徒の一人が地面に落ちた。
嫌な音とその変わり果てた姿を見てしまった生徒たちは「家に帰る」と校庭に飛び出した。
校門のところにいた教師たちは慌ててみんなを止めようとする。
「心配ないから落ち着くんだっ!!」叫ぶ担任の手も震えている。
「おかあさん!!」生徒たちに混じって翔も叫ぶと、急に涙が出てきた。
今朝の母とのやり取りが頭に浮かぶ…。
この騒ぎを聞きつけて他の生徒たちも校庭に飛び出してきた。
女教師を踏みつけてまで外に出ようとする惨事に、一人の教師が強行に出た。
自分の眼鏡を握りつぶし、父の元に飛びついてきた自分の息子の腕につき立てたのだ!
「これでも騒ぐつもりかーーっ!!」
怯える生徒たちに担任は上級生たちに体育館へ行くよう指示する。
このままだと校舎にいる他の学年の生徒までパニックを起こしてしまうからと。
「学校の外で何かが起こっているか調べるならテレビをつければいいと思います!
ぼくに電話をかけさせてくださいっ!!」
声を待たず、翔は職員室へ駆けて行った。「もしもしっ!!もしもしっ!!」
「おかあさん、なぜでないんだっ!?何が起きたっていうんだっ!?」
テレビも電気が止まってつかない。教師の持っていたトランジスタラジオも聞こえない……。
女教師の一人が心臓発作を起こし苦しむ…頼ろうとした担任も冷たく突き放す…。
そこへ頭から血を流した校長が入ってきた。強盗にやられて教師たちの給料を奪われたと言う。
今まで気を失っていたという校長は、電話が通じないと知って強盗の足跡を追って走り出した。
塀を越えたらしい足跡を見定めようと外を見てショックのあまり倒れてしまう。
事態を重く見た担任は、翔に体育館にいるみんなに嘘をつけと言う……。
「電話は通じた、お母さんが出た、お母さんはうちにいたんだ」
担任に言われ、生徒たちがパニックを起こさないようにと嘘をつく翔。
だが正直者の翔の嘘はクラスメイトの大友に見破られる。
「嘘つきっ!!」翔を殴りつける大友を、咲っぺは必死にかばう。
そんな騒ぎの中、放送部の先生が舞台に立ってみんなに宣言した。
「放送室の無線が突然鳴り出した、私たちを探しているという日本のニュースだった。
私たはどこか他の土地にいる、だからお父さんやお母さんは生きています!」
大喜びの生徒たちの中、「みんなをがっかりさせないために嘘をついてるんだ」と険しい顔の翔。
「屋上にのろしをあげましたが、救い出されるまで学校で生活しなくてはなりません。
学校の外には出ないでください。下級生をいたわってあげてください」
上級生たちの理性を信じて辛い嘘をつく教師たち。
翔たちが教室に戻ろうとすると、何も知らない1年生の教室からは歌声が聞こえてきたが、
3年生の教室に異変が起きていた。
縛られた女教師が「生徒が一人校舎の外に逃げた」と叫ぶ。
「あれは私の弟よ!誰か止めてちょうだい!!」
弟を止めようとする咲っぺ。だが弟は「お家に帰る」と走って行った。
そして、遠くで突然倒れた。そのまま動かない。
助けに行こうとする咲っぺをみんなも担任も止めた。
咲っぺを引っ張って教室に戻る一同。
「クラスのものは兄弟だと思ってしっかり手を繋いでいこう。
君たちがうちに帰れる日がくるまでは先生はみんなのお父さんだ」
亡くなった者たちにみんなで黙祷を捧げる。
「給食を食べて元気を出そうじゃないか。翔、お前給食がどうなっているか見に行ってこないか」
教室を出るとすぐに誰もいないところへ行って大声で泣いた。
大声で泣きたかった自分の気持ちをわかってくれた担任に感謝しながら…。
ひとしきり泣いた後、給食室へ向かう翔。
「きみ、6年3組の子だろ?僕たち4組のものだけど」
男女二人に声をかけられ、共に給食室へ。
「これはみんなの噂なんだけど、今食べる給食がなくなったら
食べる物がもうないんじゃないかって……」
給食はその日食べる分だけ給食屋のおじさんが運んでくる。
ひょっとしたら給食やさんが来ないうちにこんなことになったんじゃないか…。
給食室の扉を開けると、床にパンが落ちていた。
手を伸ばしてパンをつかんだ男子の手に、突然モップの柄が突き刺さった!
返すモップで翔が殴りつけられる。
「いいかっ!!ここにあるパンは全部おれのものだっ!!」
給食のおじさん関谷が「まだパン代をもらっていない」と権利を主張し出したのだ。
給食のおばさんや給食を受け取りに来た他の生徒たちが遠巻きにしている。
教師が分け合おうと主張するも、モップで殴られてしまう。
包丁を手に、みんな出て行けと追い出したが、一人の女生徒が逃げ遅れて閉じ込められてしまう。
中から関谷の怒号と女生徒の悲鳴…。
翔は慌てて教室に駆け戻り、担任やクラスメイトに報告する。
みんなは「あのやさしい給食のおじさんが……!」と驚きを隠せない。
給食当番だった愛川さんが翔を迎えに行ったと聞き、逃げ遅れたのは愛川さんだとわかる。
担任が様子を見に行くと、給食室の前には事情を知った他の教師たちも集まっていた。
「関谷さん、ここをあけてくださいっ!」
「愛川くん!!愛川くんはいるかっ!?」
中から相川さんの声がした。どうやら無事のようだ。
関谷は扉の内側から教師たちの足元に灯油を流し込み、火をつけた!
勢いよく火が回り、炎に包まれる教師たち。
自ら両足を焼かれながらも担任は消火器で消火し、そのまま倒れた…。
「ここにある食い物は全部俺のものだ!今日からこの学校は俺のものだ!」
愛川さんに包丁を突きつけ、再び給食室にこもる関谷。
「先生たちが話し合ってるのを聞いたんだ、助からないんだ!俺は絶対に生きのびてやる!」
「先生たちが大やけど、愛川さんが人質に!?」
女生徒の報告に、翔のクラスはパニックになる。
1・2年生たちもお腹がすいたと泣き始めているようだ。
電気もつかないし水も出ない。このままでは飢え死にだ!
「僕たち何人かでこっそり給食室に忍び込んで愛川さんを助け出し、
その後みんなで一気に関谷に飛びかかるんだっ!」
校舎の外側から給食室に回りこむ。学校の電池時計はまだ3時なのに、もう日が暮れてきた。
翔たちと二手に別れた二人の男子が、落ちていたピストルを発見。
「なぜ学校にピストルが!?たまも本物だ!」
驚いた拍子に発砲してしまう男子。この音で関谷に気付かれたのではと不安がる連れを置いて、
武器を手にした勢いで威勢良く給食室の扉を開けてしまう。
………いつの間にか外に回っていた関谷に背中を刺される男子。
苦し紛れに撃った弾は、連れの身体に命中してしまう…。
なんとか愛川さんを救い出すことができたが、ピストルを関谷に奪われてしまった。
翔は慌てて逃げた際に牛乳瓶とパンをつかんで来てしまったらしい。
教室に戻ると「パンが一つ足りないと関谷がピストルを手に暴れてる」との情報が。
「きみを探しに来ないといいんだけど…」「…このパンどうしよう…」
パンと牛乳を前に悩んでいると、校庭から笑い声がする。
窓から見ると、グラウンドに三輪車に乗った小さい子の姿。翔はその子供に見覚えがあった。
事件の前日の夕方、寄り道した学校の校舎で一緒に遊んだ男の子だった。
グラウンドに下りて確かめると、やっぱりその子だった。名前はユウ。
「明日も遊ぼうって言ったから朝からずっと学校にいたの」
ユウちゃんの三輪車にくくりつけられていた物は、すっかり錆び付いた大和小学校の看板だった……。
看板を抱えて校門へ走る翔。看板があった位置には長方形のくぼみだけ残っていた。
はめ込んでみるとぴったりだった。見覚えのある傷もある。
なんだか嫌な予感がしてユウちゃんに看板のあった場所の事を聞いてみた。
「砂場の中にあった。石に字が書いてあった」
持っていたローセキで地面に書きだされた「ね む れ」の文字が不安を掻き立てる。
学校の砂場を探すが見つからない。「そこじゃないったら!」「なんにもないじゃないか!」
「砂場じゃないんだもん!」「さっき砂場って言ったのに、嘘つき!」
嘘つきと言われて、拗ねて帰ろうとするユウちゃんを慌てて引き止める。
「今夜はお兄ちゃんと学校で寝るんだよ」外はもう真っ暗になっていた。
お腹が空いたと泣くユウちゃんを抱えて教室に戻る。
みんな空腹だったが、ユウちゃんにパンと牛乳を譲ってあげた。
お腹がふくれてユウちゃんは眠りについた。
教室はもう真っ暗だった。遠くでピストルの音がする。
誰かが給食を取りに行って関谷にやられたのだろうか。
男子の一人が机の木を擦って摩擦でノートの紙に火をつけてみようとチャレンジする。
……と、ある男子がポケットにキャンディがあったと取り出した。
「みんなも探してごらんよ!」「そういえば………」
女生徒たちがこっそり持ってきていたお菓子が結構な数になったのだ。
「これだけあれば少しはもつぞ!」
みんなが涙を流して喜ぶ中、ノートに火がついた。カンシャク玉の粉を混ぜたのがよかったらしい。
紙と鉛筆をくべて、看板を照らしてみた。
「もしこれが門についてた物だとすると、僕たち、もしかしたら……」
その時、突然5年生の生徒が飛び込んできた。
関谷がパンを盗んだ人を探して回っているという。
それどころか、みんなの持ってる食べ物まで奪うのだと……。
懐中電灯と包丁を手に、生徒たちから食べ物を奪う関谷。
切り付けられうずくまる生徒たちを踏みつけ、「関谷さまと呼べ!」と高らかに笑う。
その笑い声は翔たちのクラスまで響いてきた。
みんなは翔に逃げるように言うが、翔はきかなかった。
「それでみんなに迷惑がかかったら悔しい、
それに僕はこの子(ユウちゃん)を守らなければならない責任があるんだ!」
関谷が近付いてくる。お菓子を隠し、女子は机でバリケードを作る。
扉が開いた。入ってきた関谷に男子が飛び掛った!
ピストルで応戦され、包丁を振り回されて犠牲者も出た。が、無事関谷を縛り上げることに成功。
「ピストルに弾があと1発残っているぞ!撃ち殺してやるんだ!」
「許してくださいっ!私が悪かった!ぼっちゃんっ!」
泣いて懇願する関谷に容赦なく発砲するが、弾は外れてしまった。
拷問を提案する生徒たちを、「そんなことをしたら関谷と同じになってしまう」と止める翔。
貯蔵庫の鍵を手に入れ、無事に給食を分け合うことができた。
マッチも油もあるから、ランプもできた。
給食の他にジャガイモやメリケン粉(昔の漫画ですから)もあった。
咲っぺがこっそりと翔に言う。
「貯蔵庫の鍵は翔ちゃんが持ってた方がいいわ。今はみんな突然の出来事で夢中になっているけど、
そのうちまた関谷みたいなことが起きるわ。もしかしたら、もっと酷いことが……
昔戦争でニューギニアに取り残された兵隊が飢えに襲われたときのことよ…」
これ以上はとても言えないと怯える咲っぺを元気付ける翔。
関谷は縛られたまま更衣室に入れられ鍵をかけられた。
【おかあさんの料理を一度だって感謝して食べたことのなかった僕を許してください】
給食を食べ終わると、みんな疲れが出たのかすぐに眠りに落ちてしまったようだ。
ユウちゃんはもう目覚めて三輪車で遊んでいた。
「おはようお兄ちゃん。変なお日様が出てるよ」
「日食だっ!!」
大声でみんなを起こす翔。みんなもビックリして日食を見上げている。
「日食はこの辺じゃ当分起きないって理科で習ったじゃないか。
学校の外の物が突然になくなったんではないんだ!!
突然になくなったのは僕たちの方なんじゃないだろうかってことだ!!」
詳しい説明を求めるみんなに答えを濁す翔。
看板が出てきたところに連れて行って欲しいとユウちゃんに案内を頼んだ。
校庭の砂場を越えて、裏門から外に出るユウちゃん。
みんな慌てて止めるが、ユウちゃんは平然と答えた。
「砂場ってここのことだよ。昨日ずーっとここで遊んでたんだよ」
指差した先には大きな石版のようなものがある。翔は看板を持って駆け出した!
『大和小学校の862人の霊ここにねむる』
862人の霊……!?僕たちのことだっ!!」
翔の様子がおかしいと気付き、みんなもつられて外に飛び出した。
「みんなこれを見ろ!僕たちは未来へ来てしまったんだっ!!」
みんなで石版を掘り出してみると、看板がぴたりとはさまるくぼみもあった。
全生徒・全職員の名前が刻み込まれた慰霊碑だったのだ……!
未来に来てしまったと知り、みんなそれぞれ自分の家のある方向に向かって走り出した。
翔も走った。家のあった場所は何もない、ただの砂漠だった……。
教師たちは日食を見てパニックを起こしてしまう。
校長はただ笑い続け、もう一人の教師は自ら首を掻き切ってしまう。
「私を縛ってくださいっ!!どうかお願いです!このままではきっと!早く!」
担任は教師たちに懇願した。「この木に縛り付けてください!!」
木にすがりつくが「だめだ、もう遅い!!」とうずくまる担任。
肩を貸して教室に連れて行こうとする教師の首を静かに絞める。
「だから縛ってくれと言ったのに……」
倒れた教師に驚き駆け寄った他の教師に、ベルトを巻きつける……。
翔が家のあった場所からとぼとぼと帰ってくると、学校では生徒たちが泣いていた。
「先生がみんな死んでしまったんだっ!!」
担任が生きていることを喜ぶ翔。他の教師たちはみな自殺してしまったと言う。
「常識の矛盾に耐え切れなかったから、こうせずにはいられなくなってしまったんだ…
高松、手に怪我をしているぞ」
家のあった場所を掘っていたせいで、手に擦り傷を作ってしまったらしい。
ポケットから出した紐状の布で「包帯をしてやろう」と怪しく手を伸ばすが、
他の生徒たちがやってきたので、普通に包帯を巻いてやった。
教師たちの死を嘆く生徒たちを優しく慰め、学校の一角に葬ってあげようと運び出す。
更衣室の内側から関谷が叫ぶ。
「人殺しだっ!!私は見たんだ、ここで先生が首を絞めるところを!
早くつかまえないとあなたたちは全員殺されますよ!!
教えてあげたんだから出してくださいっ!!」
出してもらうための嘘だろうと、関谷の叫びもみんなには通じない……。
45 :
マロン名無しさん:04/04/23 23:27 ID:Rw1JlgRz
コエーぞ(((; ゚д゚)))
亡くなった生徒や教師たちのお墓を校舎の片隅に作った。
職員室の先生たちのタバコを線香代わりにし、みんなで祈った。
担任は残っていた自動車で様子を見に行こうと提案、
6年生のクラス代表5人と担任とで探検に行くことになった。
翔もその中に加わった。理科室にあった磁石を持つのを忘れなかった。
都心に向かう途中、人を発見して呼び止めた。5年生の西さんという女の子だった。
彼女は小さい頃転んで脊髄を傷めてから松葉杖が離せない状態で、
自分が何かするとみんなの足手まといになるし、みんなは自分と遊ぶことを嫌がるし自分を見て笑う。
前から誰も人のいない世界に生きたいと思っていたらこんなことになってしまって不思議だけど、
ここにいてもみんなの足手まといになるから生まれた長野に帰ると言う。
「バカっ、何を言うんだ、それに方向が違うじゃないか!」
強引に車に乗せる翔。西さんを加えての道中、さっきから方角が違うことに翔は気付く。
荒川だったらしい場所に出た。水はもうない。橋も土になっていた。
花が咲いてる!と手に取ってみたらプラスチックの造花だった。
他にもビニールやポリエチレンがあちこちに…。
「そうだ、決して自然分解しないのだ、燃やす以外は…そして燃やすと毒ガスが出る」
気がつくと、生徒の一人がいない。慌てて探しに走る翔の足を、誰かがつかんだ!
足元の砂からいきなりのびた手にビックリして掘り返すと、いなくなった生徒だった。
ビニールを顔に巻きつけられて苦しむ生徒。どうにか解いてやると、担任にやられたと言う。
背後にせまる担任は、車に乗って走り去ってしまった。
「僕たちを置き去りにするつもりだっ!!」
焦って追いかけるが、逆に追われ、ひき殺されそうになる。逃げる生徒たち。
西さんに肩を貸しながら逃げる翔はみんなに置いて行かれてしまう。
「私を放って逃げて」と言う彼女の頬を張り、みんなに追いつこうと頑張って歩き出す。
ところが先に逃げていった生徒たちは次々担任の車に跳ねられ、ひき殺されていった……。
最後の仲間が殺されて、西さんと翔の二人だけになってしまった。
疲れて動けない西さんをかばうため、両手を広げて叫ぶ翔。
「先生は僕たちのお父さんになってくれると言ったじゃないですかっ!!」
担任は正気に返らない。車のスピードは変わらない。
西さんが翔を突き飛ばし、松葉杖をフロントガラスに投げつけた!
が、西さんも跳ね飛ばされてしまう。
幸い気を失っているだけのようだったので、彼女を抱えて必死に逃げる翔。
洞穴を発見し、暗闇の中をどんどん進んでゆく。
背後から懐中電灯の光が見える。担任が追ってきたのだ。
横穴がたくさんある場所に出た。同じ穴が規則正しく並んでいる。
その中のひとつに飛び込んでみた。……出口だ!さっそく逃げようと足を踏み出したが、
そこは断崖絶壁だった。洞穴だと思ったのは老廃した建築物で、横穴は窓だったのだ。
高層ビルだったのか、地面は遠かった。
思わず西さんをその場に取り落としてしまう。
「おかあさん!」背後に担任が迫り、両手が翔の首を強くつかんできた。
「おかあさん!たすけてーーっ!!」
これから先、ちょっとデムパな展開になりますのでご注意ください(w
この土日でできる限り書いてゆきたいですが、
間に合わなかったら続きが遅れそうです、スマソ
手天童子といい、これといい、こういう話に弱いのか、自分_| ̄|○
大和小学校があったはずの場所は、バリケードが張られていた。
その周りを父兄が取り囲み、子供はどうなったんだと警官に詰め寄っている。
鉄条網を越えようとする翔の母。警官に止められ、泣き崩れる。
信一が母を見つけ、翔の父を呼んできてくれた。
雨が降ってきた。日も暮れて暗くなってからと説得して母を連れ帰る父。
ずっと付き添っていてくれた信一にお礼を言って、二人は帰宅する…。
帰宅してもずっと後悔し泣き続ける母。食事もロクにとろうとしない。
何かがわかるかも、とテレビをつけると信一が出ていた。
事故に遭うまでのいきさつを話す姿を見て、
「あなたは助かったのに、なぜ翔だけが!?」と嘆く母。
アナウンサーの「小学校の人々はおそらく……」「言わないでっ!!」
テレビを叩く母。「翔が死んだなんて!!」
半狂乱になる彼女は、それでも鳴った電話に「警察からかも」と受話器をとった。
聞こえてきたのは………
「おかあさん!!」
「翔!!」
「おかあさん!!たすけてーーっ!!」
「翔!!どこなの!?もしもしっ!!もしもしっ!!」
涙を溢れさせながら、翔の返事を待つ母。
どうしたんだとやってきた父が受話器をとると、信一の母からだった。
「奥様はどうしてるのかと思いお電話いたしましたが、お電話しない方がよかったのでは…」
「もしもしっ、翔!!」受話器を奪い取り、何度も問いかける母。
「よさないかっ!!」慌てて電話を切る父。彼には翔の声は聞こえないのだ。
「やっぱり翔は生きているのだわ!!そして何か困ったことが起きて助けを呼んでるのよ!!」
街中へ飛び出す母。だが途中で力尽きて倒れてしまう。
うなされながら息子の名を呼ぶ母を、父は抱きかかえて連れて帰った。
……真夜中、うなされていた母は、救いを求める翔の声で目を覚ます。
ネグリジェ姿で家を飛び出す母。声に導かれるように走ってタクシーを止める。
おびえる運転手に声の聞こえる方向を指示し、やってきたのは高層ホテル。
料金も払わずにタクシーを駆け下り、エレベーターに飛び乗り、
声のするだろう部屋を激しくノックし、中に飛び込んだ。
部屋を家捜しし、中にいたカップルに「翔はどこ!?あなたが隠したのねっ!?」
とつかみかかった事でフロントに連絡され、父に連れ帰されてしまう。
もう一度あのホテルに、あの部屋に行きたいとせがむが、
「私たちは顔を覚えられてしまった。名前から住所まで控えられてしまった。
今度何かあったら警察に訴えると言われた」と止められてしまう…。
…翌日、大和小学校の新聞記事を読む母。
「爆発により全員粉々になった」との内容に「嘘よ!」と新聞を丸めてしまう。
泣きながら翔の部屋に行き、机の中にしまわれてた翔の大切にしていたナイフを手にする。
「お前はもう二度と帰らないと言って出かけて行った。でも今お前はきっとこれが必要なのよ!」
ナイフを手に自分の部屋に駆け下り、鏡に向かって着替えだす母。
「おかあさんはあなたを助けます、なんとしても!!」
ヘアーピースを取り出し、化粧をばっちり決めて別人のようになる母。
「あのホテルへ翔を助けに行きます。もう電話で嘘の住所と名前で申し込んでおきました。
お金は貯金から10万円おろしました。私今夜は帰りません、もしかしたら明日も明後日も」
止める父を振り払い、タクシーに乗り込んでホテルに乗り込んだ。
ボーイの案内も拒み、さっさと部屋に入った母は、なんと電動ドリルで壁に穴を開け始めた!
父が大変そうだな
ものすごい音に苦情が来てるとのボーイの訪問に、テレビの音を大きくかけすぎたと苦しい言い訳。
母は信一を電話でホテルに呼び出した。自分を信用してきてくれた信一に事情を話す母。
「翔は生きているのよ、そして今殺されようとしているの!
行けるなら私が助けてやりたい、でもどこにいるかわからないのよ!
だからせめてこれを翔の手に握らせてやりたい!!これは翔のナイフよ!!」
この辺から聞こえたから、と窓際の壁にナイフを埋めようと言うのだ。
信一の見張りのおかげで、無事に穴を開けることができた。
錆びないようにビニールやナイロンで包んだナイフを穴に入れ、奇麗に埋めなおした。
――担任に首を絞められ、絶体絶命の状況で、翔は無我夢中で手を伸ばす。
と、そこに母の託したナイフが!
夢中で担任の喉に突き刺すと、彼は足を踏み外してはるか下に転落する。
担任の死を嘆く翔。安全な場所に西さんの身体をずらすと、彼女が目を覚ました。
「私、夢を見ていたわ!高松さんのお母さんが出てきて…高松さんを探しているの!
そして高松さんの持っていたナイフを、ホテルケイヨーの4225室の壁に埋めるのよ」
その言葉に驚いて手元を見ると、確かに翔のナイフだった。
担任に刺した弾みで刃の部分は折れて、柄もボロボロにはなっていたが。
不思議な符号に戸惑いながらも、やっぱりここが未来であることを実感し、慄く二人。
担任のことはみんなには内緒にしよう、全員事故で死んだと言おうと
涙ながらに決意して学校に戻る…。
SFホラーだぁぁ(((( ;゚Д゚)))
ようやく学校が見えてきた。
「おーーーーい!!」と足早に向かう翔のもとへ、咲っぺが走ってきた。
「逃げてっ!殺されるわ!!止めようとしたけどダメだった!!」
傷だらけの咲っぺは、ぐったり倒れてしまう。
咲っぺを西さんに任せて、翔は校内に突入する。
そこには磔にされた男子生徒がいた。傷だらけで、助けを求めている。
まわりにはたくさんの下級生たちが集まって木片を足元に積んでいた。
翔が「何をする気だ」と叫ぶが、生徒たちに石を投げられてしまう。
体育館の扉が開き、クラスメイトたちが翔を招き入れてくれた。
「どうしたというんだっ!?」
1・2・3年生が辰巳という番長をあんな状態にしたのだと言う。
翔たちがいないあいだに学校生徒の間に変な噂が立ったのが原因らしい。
「この学校の中に一人だけよくない人がいる。名字のはじめに「た」がつく人らしい」
「僕も高松だからたの字がつくじゃないか!」
もちろん、彼ら以外にもたの字のつくものは大勢いる。
番長核の辰巳はみんなを苛めていたのでその恨みが出たのだろう。
「火あぶりにして、苦しんでいるところをヤリで突き刺すんだ!!
突っついて流れる血が火を消せば雨が降るんだ。
雨が降れば飢え死にせずに済むし、雨が降ると学校の外の景色も現れるって…」
「それじゃあまるで野蛮人のまじないじゃないか!!」
「でも雨が降らないと水がもうないんだ!!」
「君たちまでそんなこと言って……!!」
辰巳くんが焼け死んでしまう!と無意識のうちにバケツを持って走り出す翔。
「水を!!」とやってきたのはプールだった。
「水だ!こんなにあるじゃないか!!」
さっそく汲んで火を消す翔。学校のみんなにも水の存在を知らせ、
他にもまだ何かあるかもしれないと探させる。
学校の外側の塀に、どこかのマーケットの倉庫がくっ付いてきていた。
中にはたくさんの食料品。缶詰も豊富にあった。
電気製品の工場や、関谷の自動車の中に古米が入っているのも発見した。
6年生で相談をして、全校集会が開かれることとなった。
舞台に立つ翔は、みんなに未来に来てしまった事実を話す。
「大人の人はみんないなくなってしまった、だから僕たち自身で生きていかなければならなくなった。
先生が死んでしまったのは、大人の人は理屈で物を考えるから
理屈に合わないことが起きた時耐え切れなくなったんだと思う。
大人の人はもう自分のものさしができてしまっているが、
僕たちは色々な可能性を考えることができるからこうして生きていられるんだと思う。
でも逆になんでも信じてしまって今回のようなことになったりもする。
食べ物や水も見つかったから当分は安心だが、いつまでも続かないんだ。
身の回りにあるものは大切にしなければならないんだ」
翔の話を、みんなはまじめに聞いていたが、下級生から質問があがった。
「お父さんやお母さんは死んだんですか?」
「それは!!生きています!!」
不思議なほどにはっきり言う翔。
「じゃあなぜお父さんやお母さんはいないのですか?」
答えにつまる翔。そこに5年生の転載少年我猛くんが代わりに答えてくれた。
「たとえば僕たちは新幹線のひかり号に乗りました。お母さんたちは普通列車に乗りました。
同じ時間に東京を出発したのに、今は別々の場所にいるのです。それと同じです」
「みなさん!!僕たち6年生は、他の人たちの親になろう!!
男の人はお父さんに、女の人はお母さんになろう!!
僕たちを親だと思って頼ってくださいっ!!」
翔の宣言の後、みんな嗚咽を噛み締めていた。
プールの水を水槽に移動し、プールには蒸発を防ぐビニールシートを被せるなどの対策をして、
その夜はみんなで体育館で眠ることにした…。
も、も、もしや、六年生の男女がセックルという展開に!?
人魚の恩返しの巻
学校裏の童守寺へぬ〜べ〜は招かれた。蔵を整理していたら人魚のミイラが見つかり、
ぬ〜べ〜の鬼の手でミイラに霊力を込め、生き返らせてほしいと和尚は頼む。
ぬ〜べ〜は、どうせ魚と猿のミイラをくっつけただけなんじゃないかと疑いつつも、
人魚のミイラに霊力を注ぎ込む。しかし何も起こらなかった。
ぬ〜べ〜が生徒たちと下校していると、参考書を読みながら歩く中学生にぶつかった。
中学生は自分からぶつかっておきながら「気をつけろ!」と広に怒鳴った。
「受験シーズンだからな。この時期受験生はイライラしてるのさ。受験てのは大変なんだぞ。
中にはノイローゼ゙でおかしくなる人も…」ぬ〜べ〜が説明していると、
セーラー服を着た少女がぬ〜べ〜に走り寄ってきて「私を食べてください!私の体を貴方に捧げます!」と叫んだ。
ぬ〜べ〜は、少女を受験のストレスでおかしくなった子だと思い、説教をする。
しかし少女は尚も自分を食べろと迫ってくる。しまいには「焼き魚好きですか」などと言い自らに火をつけた。
ぬ〜べ〜は燃える少女を抱え海に飛び込んだ。すると、少女の足が魚の尾に変わった。
少女は昨日ぬ〜べ〜が霊力を注いだ事によって目覚めた人魚だったのだ。
人魚はぬ〜べ〜と和尚の消えた夜中に目覚め、セーラー服は盗んだ物だった。
速魚(はやめ)と名乗る人魚は、恩返しとしてぬ〜べ〜に自分を食わせ、不老不死にしてあげたいというが、
ぬ〜べ〜は、永遠の命を手に入れるよりも人間として限りある命を生きたいと言い、断った。
海の方から悲鳴が聞こえ、ぬ〜べ〜は駆け寄る。幼児が海に落ちて溺れていた。
ぬ〜べ〜は幼児を助けるが、テトラポットに激突し、折れた肋骨が肺に刺さるという大怪我をした。
速魚は自分の血をぬ〜べ〜の傷に零した。途端に傷跡ひとつ残さずぬ〜べ〜は回復した。
肉ではなく血だけなら不老不死にならず、傷を癒すだけだという。
ぬ〜べ〜が感謝の言葉を言うと、速魚は少しでも喜んでくれて良かった、と海へ帰っていった。
しかし人魚の血には思わぬ副作用があった。
バカでマヌケな速魚の血は、血を浴びた者の知能さえ一時的に下げてしまうのだ。
ぬ〜べ〜はしばらくの間まともに授業が出来なくなった。
妖怪しょうけらが窓から覗くの巻
リツコの担当する五年二組の生徒の風間が、肺炎のため入院している。
お見舞いにリツコが行くと、そこにはぬ〜べ〜がおり、
風間は自分が病気になる前に体験した不思議な出来事をぬ〜べ〜に語っていた。
学校の帰り、風間は隣の家の屋根の上で誰かが踊っているのを見た。
それはどう見ても人間ではなく、風間に気づくとニヤリと笑い、どこかへ飛び去って行った。
次の日、その家のおじいさんが死んだ。きっと、屋根の上に居たあいつが何かをしたんだ…
そして風間の具合もその頃から悪くなり始めた。
リツコは「うちの生徒にまでちょっかいを出すな」とぬ〜べ〜を病室から追い出した。
何であんな教師に人気が集まるのだろうとリツコは怒る。風間はリツコに言う。
「リツコ先生はぬ〜べ〜をよく知らないから そんな事言うんだよ。本当のぬ〜べ〜を知ったらきっと好きになるよ」
ぬ〜べ〜を好きになるなんて有り得ないとリツコは思う。
突然、風間が吐血した。窓の外、向かいの建物の屋上で何かが激しく踊っているのをリツコは目撃する。
その怪物は窓の目前にまで迫ってき、風間に怪しげな液体を吐きかけた。
リツコは怪物に向かって物を投げるが、やって来た医者たちには怪物が見えず、
錯乱していると勘違いされ鎮静剤を打たれた。あの怪物を倒さなければ…リツコは消火器を持って怪物の元へ向かう。
消火器を振り回し戦おうとするが、自分の何倍もの巨体を持つ、恐ろしい顔をした
怪物に足がすくみ、武器である消火器を地面へ落としてしまう。
リツコは自分は死んでしまうのだと、風間を守れないのだと泣いた。
すると、経文を唱える声とともに、ぬ〜べ〜が現れた。
怪物は疫病神の一種である しょうけら だとぬ〜べ〜は説明する。隙を見ては人を襲い、家に災いをもたらす妖怪だ。
ぬ〜べ〜が勇ましく鬼の手を奮う所を、鎮静剤のため消えていく意識の中でリツコは見た。
目覚めるとリツコはベッドの上にいた。昨日妖怪と会った事なんて夢だったのだとリツコは思う。
しかし、リツコは気づいた。昨日夢の中で自分が落とした消火器が、夢の中と同じ場所に放置されている事に。
では、昨日の鵺野先生の勇姿も夢ではなかったの?リツコはぬ〜べ〜を見て顔を赤らめさせた。
スマソ、ものすごい誤字や変換ミスがあちこちに_| ̄|○
全部書き終えたら修正など施してどこかにまとめてウプします…。
この時点で文庫版全6巻の2巻の真ん中あたりです(;´Д`)ナガイ…
不要な部分ははしょるように、上手い具合にまとめられるよう精進します…。
真夜中。校門に何かがぶつかる音がした。
翔と咲っぺが様子を見に行くと、担任に襲われて死んだと思っていた長田くんだった。
長田くんは手に木の葉っぱを握っていた。「どこにこれが!?」
うなり声を上げて、長田くんは死んでしまった。口の中に砂をたくさんつまらせている。
「ひもじくて砂を食べようとしたのよ!みんなに木のある場所を知らせようと学校まで…」
「長田くん、ありがとう!!」
次の日、そのことをみんなに知らせるとみんな大はしゃぎ。
長田くんのことは悲しかったが、植物があるということは大きな可能性だったから。
その木を求めて、探検隊を組んで出かけることになった。
そんな中、閉じ込められていた関谷が小細工をして出てきてしまった。
ユウちゃんを人質にとって、果物がある場所に連れて行けと脅してきた。
関谷は未来に来たことを信じず、「1ヶ月もすればアメリカの兵隊が助けに来る」などと言う。
長田くんの足跡を追ってゆくと、薄気味悪い植物の生えている森があった。
「あそこに実がなっているぞ!」
関谷は翔に毒見をさせるが、一口噛んだら口の中で砂になってしまった。
だが葉っぱが何かにかじられた跡がある。卵の抜け殻もある。
生き物がいるんだ!
関谷に確かめてこいと蹴飛ばされた翔。助けに行ったみんなは、巨大なムカデのような怪虫を発見!
慌てて逃げる一同。卑劣な関谷は気絶してる翔を怪虫の前に放り投げ、時間稼ぎに利用した。
翔を食べ終えたのか怪虫が迫る。このまま学校まで怪虫を案内させるわけにはいかないと、
勇敢な池垣くんが関谷を羽交い絞めにする。抵抗した関谷に散々蹴られるが、気絶しても離さない。
怪虫がふたりに迫る……!
残った三人の生徒は、ユウちゃんを先に学校へと逃げさせる。
「僕たちは戦うんだ!」大友くんが提案するが、臆病風に吹かれた残り2人は大友を殴って気絶させ、
おとりにして逃げてしまう。「ごめんよ、ぼく怖かったんだ!」
一人が勇敢にも引き返し、怪虫に勝負を挑むが、あっけなく食べられてしまう…。
逃げる彼・赤羽は途中でユウちゃんを見つけ、背負って泣きながら学校へ走った。
「みんな怪虫に食われてしまった!ぼくは一生懸命戦ったけどダメだった!」
怪虫の迫る危機をみんなに知らせに校内を走る咲っぺ。
そこになんと女番長がいた。「お姫様と呼んでもらいたいわね!!」
楯突く男子をやっつけて、自分が指導権を握るべきだと主張する。
女番長はみんながこんなことになったのは翔のせいだと言い、赤羽もそれに同調して翔を弱虫だと言う。
反論する咲っぺを容赦なく殴りつけ、女番長は君臨した。
「倉庫の食料が無断で盗まれていた、犯人は靴を片っぽしか持ってない人だ」
シンデレラよろしく、手元に残った靴を一人一人に履かせてみようというのだ。
犯人らしき生徒が学校の外へ逃げ出すと、そこには翔がいた!
みんなも生きていて、後からやってきた。
女番長に翔の卑怯な行いや弱虫ぶりをけなされるが、翔にはもちろん心当たりがない。
大友くんは気絶したままだが、自分が殴られておとりにされたことをうわごとで言っていたという。
赤羽は激しく動揺し、逃げ出してしまう。
関谷は怪虫に襲われたショックで幼児退行してしまっていて役に立たない。
女番長はさっき逃げ出した生徒を捕まえてリンチを行おうとする。
生徒は靴をすりかえられたんだと無実を主張するが、言い逃れだと言ってきかない。
指を一本一本折ってゆくリンチを始めようとしたその時。
屋上にたくさんの1年生たちが集まって泣いていた。
「おとうさあーん、おかあさあーん」
フェンスによじ登り、大きな声で親を呼ぶ1年生たち。
そのうちの一人が「鳥になってパパやママのところに飛んでいくんだ」と
フェンスを飛び越えた………。
霊能力美少女イタコギャル・いずなの巻
童守町センター街は町内で最も人通りの多い繁華街である。童守小ではこの辺りで遊ぶ事を禁止している。
この辺りで生徒が遊んでいるという噂があるため、ぬ〜べ〜は見回りにきていた。
ぬ〜べ〜は生徒四人を発見し、追跡した。四人の向かう先には、いずなと呼ばれる女子中学生がいた。
四人は天気予報などをいずなに訊いた。するといずなはリップクリームの筒を取り出し、筒の中から獣が飛び出した。
その獣が『くだ狐』と呼ばれる妖獣だという事にぬ〜べ〜は気づいた。
くだ狐は東北のイタコが使うもので、竹筒などの管の中に入れて持ち歩き、それを使って様々な能力を行使できる。
その能力は使う霊能力者の霊力によって決まる。つまり強い霊力の持ち主ほど強いくだ狐が生まれるのだ。
くだ狐の能力は一匹ずつ異なり、その数が多いほど多くの術が使えるようになる。空高く昇り、天気を見て来ることも可能だ。
翌日、ぬ〜べ〜はいずなから話を聞いた。いずなは東北のイタコの家に生まれ、
イタコとしての修行の途中で東京へ来たのだという。東京で霊能力者として名を上げるのが夢なのだ。
「だったらなおの事、実家に帰って修行をやり直すべきだ。今の君の霊能力ではくだ狐を扱いきれん」
ぬ〜べ〜はそう言うが いずなは聞く耳をもたなかった。
いずな が部屋に帰ると、部屋で飼っているくだ狐たちが怯えるように隅の方によっていた。
どうやら新しく生まれたくだ狐を恐れているようだ。いずながそのくだ狐に触れようとすると、
くだ狐はいずなに攻撃し、窓から外へ逃げ、人に憑依した。人に憑依するのが あのくだ狐の能力のようだ。
くだ狐は憑依した人間の体で暴れまわり、他の人間に憑依し、また暴れた。
いずなが止めても そのくだ狐は応じない。こんな事は初めてだ。いずなは涙を流す。町は大混乱に陥った。
そこに現れたぬ〜べ〜はマジックの筒から、いずなのくだ狐を出した。
「これは前に君が忘れていったくだ狐だ。そのくだ狐は俺の家で新しいくだ狐を産んだ」
ぬ〜べ〜はもう一本マジックの筒を取り出した。中からは巨大なくだ狐が現れ、暴れていたくだ狐を食い殺した。
くだ狐の能力は使う者の霊能力に比例する。あんな強力な力を持つくだ狐を操れるなんて…
いずなはぬ〜べ〜の元で修行すると宣言した。
「鳥になって、飛んでいってしまった!!僕も飛ぶんだ!!あたしも!!」
次々飛び降りる1年生たち。彼らは次々地面に激突してゆく。
止めようとしたすぐ目の前で男の子が落ちて、翔はキレた。
「バカーッ、やめろ!!こうなってもいいのかっ!!」
泣きながら遺体を抱えて屋上に見せつける翔。
「6年生や5年生も見ろーっ!!これが僕らが争ってた間の結果だーっ!!」
みんなその叫びにうたれて翔のもとに駆け寄ってゆく。
不機嫌になった女番長はリンチを中断した。
天才少年我猛が「政治が必要」と提案した。
心理学によると、このような状況下で一番大事なのは決断力のあるリーダーなのだという。
我猛の予想通り、女番長は親分を選挙で決めようと言ってきた。
翔と女番長は同点だったが、我猛が翔に入れて翔が総理大臣となった。
女番長と彼女を慕う数人は、学校を出てゆくと言う。
赤羽は泣いて翔たちに詫びた。
「覚えといでっ!!」
最後に一発赤羽を殴りつけて、威勢よく去って行った……。
日本の国会を真似て、他の大臣を他の6年生から任命した。
クラス委員の大友くん・厚生大臣
勇敢な池垣くん・防衛大臣
天才少年我猛くん・文部大臣(5年生だが特別に)
あとの3人は面識がないので他の人に選んでもらった。
この7人で頑張って行こうとした矢先、給食室の近くで生徒が倒れていると連絡が入った。
ガチガチ震えてうなり声を上げ、ひたすら空腹を訴える姿に仕方なく雑炊をやるが、
もっともっとと欲しがって苦しんだ。
「どういうわけかお腹が空いてたまらない」と言う彼。なんと倉庫の食べ物を盗んだことを白状した。
10人分はあったのに、全部食べてしまったのかと驚く大臣たち。
我猛が言うには「恐怖心の曲げられた表現」らしい。
元の世界に戻らない限りは永久にお腹が空くのだと。
だが彼にこれ以上やるわけにはいかない。暴れだす彼を仕方なく押さえつけ、
彼のクラスでロープで縛ったまま見張っててもらうことにした。
時をかけるぬ〜べ〜の巻
男が道を歩いていると、天から下がる巾着袋を発見した。
怪しみながらも、男は巾着に手を伸ばす。途端に男は気を吸われ死んでしまった。
巾着は人の気を吸う『チャブクロ』という妖怪だったのだ。
しかし邪心のない清らかな心の持ち主がその巾着に触れると時間のトンネルを抜け
過去に戻り、過去の失敗を一つだけ修正出来るという。
生徒たちからそんな怪談話を聞いたぬ〜べ〜は、帰りにチャブクロに遭遇する。
ぬ〜べ〜は恐る恐るチャブクロに触れた。場面は突然変わり小学生の頃の自分が見えてきた。
霊感が強いため霊にとり憑かれやすい一方で、まだそれを追い出す力のない
幼いぬ〜べ〜は霊によく憑かれその度同級生たちからいじめられていた。
同級生から石を投げられ苦しむぬ〜べ〜の所へ、当時の担任で、霊能力者でもある
美奈子先生が助けにきてくれた。優しくて厳しくて美人だけど豪快で、
ぬ〜べ〜が一番尊敬している人、ぬ〜べ〜が生まれて初めて憧れた先生。でも…先生は……
「先生は、どうして僕に優しくしてくれるんですか?友達は僕の事化け物だって言ってるのに」
「先生もね…霊能力があるでしょう。子供の頃それでよくいじめられたわ。あいつは人間じゃない、魔女だって。」
「先生は魔女なんかじゃないよ!先生の能力は良い能力じゃないか!
病気や怪我を治したり…みんな喜んでるよ!」
「鵺野くんの能力も同じよ。いつかキミの能力を必要とする人が大勢現れる。先生にはわかるわ」
ぬ〜べ〜が教師になろうと決意したのは、この言葉のためだった。
ぬ〜べ〜は、妖怪にとり憑かれ保健室へ運ばれた。トウビョウという蛇神が憑き
腹の皮膚の下で蛇が蠢くかのようだった。美奈子はそれをいつものように退治しようとする。
「だめだ!先生!あなたは…これが原因で…」
叫ぶより早くトウビョウが美奈子にとり憑いた。美奈子は苦しみながらも
ぬ〜べ〜に逃げろと叫びかける。小学生の頃のぬ〜べ〜は非力で、
ただ美奈子が苦しむのを見ている事しか出来なかった。しかし、今は違う。
今なら美奈子を守れる。そのために過去に来たんだ。
「鬼の手よ時空を超えてその力を示せ!」ぬ〜べ〜は鬼の手を召還し、妖怪を倒そうとする。
しかし、その途端ぬ〜べ〜は現代に引き戻されていった。
気づくとぬ〜べ〜は現代へ戻っていた。チャブクロは邪心のない者しか過去に連れて行かない。
左手に封印したとはいえ鬼の手は邪悪な力。だからはじき出されてしまったのか。
過去は変えられないのだ。
大臣たちは中断されていた会議を再開した。
怪虫は必ず学校へやってくる。見てない人は存在を信じていないが、
あいつが学校に入り込んだら大変なことになるだろう。
「門から入ってきたら上から重しのついたクイを落とす」
「障害物競走の網で動けないようにする」
「理科実験室に塩酸か硫酸を探す」
などの案も出た。防衛大臣池垣くんはここぞとばかりに張り切った。
やがて、重しと網のついたクイが完成した。さらに落とし穴を下に掘って、
穴に落ちたらクイが落ちるように工夫したのだ。
数日後、大食いの彼が逃げ出した。クラスの人たちの食べ物を容器ごと奪ったのだ。
クラスメイトたちが同情してのことだった。
彼は落とし穴の存在を知らず、近くにしゃがんで必死に食べていた。
食べ終えた彼を翔が呼ぶ。責められると勘違いした彼は、落とし穴の方に逃げてしまった。
追いかけて彼をかばう翔。その上にクイが落ちてきた!
幸い、倒れた場所がよかったのか、翔も彼も無事だった。
ところがそこに怪虫が迫ってきた!肝心な時に罠は作動しなくなる。
防衛大臣の池垣くんは、翔に教室に入れと命令。二人は握手を交わした。
校庭に怪虫が侵入してきた。池垣くんたちが巨大なボウガンのような物を怪虫に当て、
硫酸と塩酸の瓶を投げるが、全然堪えない。彼らは慌てて校舎に入り、非常シャッターを降ろした。
2階のシャッター前まで非難するが、もうこっちに迫ってくる。
池垣くんたちは翔たちに3階に行けと命令する。
「僕が2階でやられたら、きみが3階で戦うんだっ!!」
シャッター越しに「がんばれ!!」「あとをたのむぞ!!」と声を掛け合う2人。
2階のシャッターが破られ、怪虫が侵入してきた!
斧を手に飛び掛る池垣くんだが、大きな爪に右手を挟まれ斬られてしまう。
「僕の手!!」左手に斧を持ち直し、「最後までやるんだっ!!」と飛び掛る…。
「バキッ」 「ギャッ」
大きな音と声が翔たちのいる3階に響き渡る。
我猛くんは実際目にするまで怪虫の存在が信じられなかったと言う。理論的に不自然だと。
砂漠の中の森にしても、出し抜けに大きな木が生えるわけがないと…。
「僕も前に自動車で探検した時に通ったのに、その時は何もなかった」
とずっと戸惑っていた翔も疑問を口にした。
前に翔たちが襲われた時のことを聞き、気絶している人や
関谷のように精神が眠っている人が助かったのだとわかった。
標本の中のありったけのクロロホルムでまず下級生を眠らせた。
が、もうクロロホルムが残っていない。
「そうだみんな、考えを止めるんだ!みんなでイスになるんだ!!」
精神力をギリギリまでもたせるように、翔が廊下に立ち、みんなにいっせいに合図を送った。
「イスになれーーーーっ!!」
イスのことだけを考えて、イスになった者は怪虫も気付かずに通り過ぎ、
耐え切れずにパニックを起こした生徒は、無常にも切り刻まれ食べられてしまう。
嵐のようなとても長い時間が過ぎていった。
助かった者たちは無事を喜び合ったが、精神統一の続かなかった者たちは無残な姿となっていた。
2階へ駆け下りると、そこにはボロ雑巾のような姿になった池垣くんが、いた。
池垣くんにすがりついて涙を流す翔。
【池垣くんの身体は肉がちぎれ内臓がはみ出て血にまみれていたけど、
僕は気持ち悪いなどとはちっとも感じなかった】
怪虫は去って行った。が、倉庫の食料まで食い荒らされてしまった。
怒りに震える翔は、こっちからやっつけに行って池垣くんたちの復讐をする決意を露にする。
そこに大ぐらいの彼が食べ物を欲しがってわめき始めるが、
「怪虫が池垣くんたちを殺して、その上食べ物まで食い荒らしていった!君にやる分はない!!」
我猛の重大な話も聞こうとせず、4年生の男たちに後を任せて、5・6年生のみんなで森へと向かった。
……いない。戸惑う男たち。まさか僕らがいないうちに学校を襲ったのでは……?
大ぐらいの彼がまた苦しみだした。「仲田くん!!」
食べると砂になってしまう果物を食べようとする彼を、みんなで必死に止める。
そこに西さんがやってきた。学校は無事だが、気になることがあるから追いかけてきたのだと言う。
彼女が差し出した紙には、怪虫の絵が描かれていた。「2年4組なかた」とある。
今5年生の大ぐらいの彼・仲田が2年生の時に描いたものらしい。
職員室を調べていて見つけたと言う。
西さんは2年の時彼と同じクラスで、「一番怖かった絵」を描くように言われて描いた絵らしい。
怪虫の背景は、この森の植物と同じ……。
我猛がさっき中断された重大な話をする。「怪虫や植物は彼の妄想ではないか」
「でもちゃんと手で触れるし怪虫は仲間を殺したんだぞ!」
「仲田くんがお腹が減るようになったのと森が現れたのが同じ頃です。
それに彼が食べ物を食べると怪虫が現れるということです!」
食べ物のエネルギーがすべて妄想の怪虫のエネルギーになるのではという大胆な推理。
試しに彼に食べさせてみると、途端に地中から怪虫が現れた!
みんなで怪虫に飛び掛るが、我猛は必死に止める。
「仲田くんに大きなショックを与えれば妄想は消えるはずです!!」
翔は仲田に絵を見せ、君の妄想だと言うが、仲田は認めようとしない。
植物にくくりつけ、怪虫から助かりたければ妄想を消すよう言うが、
大友はそれじゃ甘いとナイフを突きつける。「こいつが死ねば妄想なんて消えてなくなる」
「もしも本当に妄想じゃなかったらどうするんだ!!」
そこへ戒めの解けた怪虫が迫ってきた!翔は大友からナイフを奪い、
「許してくれーーっ!!」とぶつかっていった。
今にも食いつこうとしていた怪虫や植物は、砂となって消えていった…。
帰ってきた妖狐・玉藻の巻
郷子の知り合いの女子大生が、夜中に体が膨張する奇病にかかったという。
原因不明の病気だと入院させられたが、霊に憑かれたために起こる現象だから
病院にいても無意味だ。ぬ〜べ〜は女子大生の面会に向かった。
そこでぬ〜べ〜は医者となった玉藻に遭遇した。
玉藻は以前ぬ〜べ〜に敗れた。それから玉藻は、その原因が何なのか考えていた。
ぬ〜べ〜は生徒を助ける時、霊力を無限に高める事ができる。
それはぬ〜べ〜の生徒へ愛の成せる技だ。妖狐の玉藻にはない
愛という感情を理解すれば玉藻にもぬ〜べ〜のように無限の霊力が手に入るはずだ。
他人を助け、愛という感情を得るために玉藻は医者になったのだという。
玉藻は女子大生のレントゲン写真を見せた。心臓の横に、しこりがある。
医学的には謎の腫瘍、だがこれは、女子大生にとり憑いている霊の姿だ。
玉藻は女子大生の除霊に取り掛かった。すると、女子大生の体の中から醜い女の霊が現れた。
醜さゆえに誰からも愛されず、美しい女を嫉んではとり憑いていたのだ。
玉藻は霊を切り裂こうとするが、ぬ〜べ〜は自分の体でそれを止める。
「こんな哀れな霊を斬るなど俺が許さん。どんな霊にも憐れみは必要だ」
霊はまた女子大生の体の中へ戻ってしまった。
「私が人間を助ける事で人の愛を知り、貴方以上に強くなる事を恐れたのか!?
しょせん貴方も薄汚い人間だ!彼女はもう助からない!貴方が殺したも同然だ!」
玉藻はぬ〜べ〜を非難した。
女子大生のレントゲンを撮ると、心臓の横の腫瘍――霊の姿が消えていた。
霊は成仏して、自分から消滅していたのだった。
「私はまだまだ人間の心を勉強する必要があるようですね。
だがいつか必ずあなたを越える霊力を手に入れて見せますよ…鵺野先生」
上から九行目を
それはぬ〜べ〜の生徒への愛の成せる技だ。妖狐の玉藻にはない
に修正してください。すみません。
仲田くんは自分が刺されたと思ってそのショックで妄想が消えたが、
ナイフで突いた瞬間に刃ではなく柄の方をぶつけただけで、無傷だった。
植物が偽者だったことにショックを受け、弱音を吐いてしまう大友くん。
だが、怪虫がい消えていった場所には捕られたはずの食べ物があった。
喜んで拾い集める翔たち。
見張り役だった生徒が、学校の方から誰か来ると言い出した。
疲れきった様子の女生徒が2人、こっちに向かってきたが倒れて動かない。
身体中に小さいぶつぶつの穴がいっぱいあいていた。
何かが学校で起こっているらしい。みんなは石斧を持って学校へと戻った。
学校はやけに静かだった。校庭に落ちているランドセルには血が…。
1年生から6年生まで、すべての教室に誰もいない。
生徒の一人がザワザワと変な音がする教室に入った。
「誰もいない」と言う報告の後に聞こえたものすごい悲鳴。
慌てて扉を開けた翔たちが見たのは、服と骨だけの姿となった彼だった…。
潮が引くみたいに遠ざかってゆく音を追って地下室へ。
懐中電灯で照らしてみるが、地下室には何もない。暗い変なシミのようなものが見えるだけだ。
安心して中に入った生徒の足元から、ザザザと黒い物が覆いかぶさってくる。
黒い粉のような物にたかられた場所からどんどん骨になってゆく…。
身の危険を感じた翔たちは、彼を地下室に閉じ込めてしまった。
断末魔の声に罪悪感を覚えて泣き出す生徒たち。
「痛いっ!!ギャッ!!」一人の腕の中に何かが入ってきた。
苦痛のあまり、腕の肉ごとそれを食いちぎる。
翔がそれを石斧で潰すと、なんと怪虫の子供だった。
まだ妄想が続いているのか、と疑惑の目を向ける生徒たち。
仲田はもうお腹は空かないから僕の妄想じゃない、と否定する。
そんな仲田を西さんはかばう。2年生の時苛められてた自分を励ましてくれた、
足が悪くて一人ぼっちだった私と今の仲田くんはそっくりだ、と。
「私はこんなことで私を理解してくれた友だちを失いたくない、逃げて!」
仲田は西さんの手を引いて逃げ出した。追う大友たちを翔は止めるが、殴られてしまう。
正門の扉を閉めて退路を塞ごうとしたが、扉には怪虫の子供がびっしり張り付いていた。
生徒たちを襲う虫津波は学校の外まで追ってくる。
西さんは砂漠に倒れたままみんなの蹴った砂ほこりにまみれて姿が見えなくなった。
はるか遠くに咲っぺやユウちゃんたちがいた。他の生徒たちも逃げてきたのだと言う。
こっちにも虫は近付いてきた。このままじゃみんなやられる!
「犠牲者を選んでそいつが食べられているうちに逃げるんだ!」大友が叫ぶ。
みんなで仲田を責めるが、西さんが虫たちに追われて逃げてきた。
みんなに追われて逃げる仲田は、西さんのピンチに勇気を振り絞った。
「虫の群れ、消えろ!!元の世界に戻れ!!西さん、僕のこと忘れないでねっ!!」
石斧を自ら額にぶちあてて、仲田は倒れ、虫は消えた。
「やっぱりあの虫も仲田くんの妄想だったんだっ!!」
大友の言葉に翔は怒る。
「もしかしたらあれは本当の生き物で、仲田くんの最後の一念が消したかもしれないじゃないか!!」
仲田の死を悲しむみんな。さらに恐ろしい事件が生徒たちを待っている…。
さすがに疲れたので続きはまた時間をおきます。
これで3巻の真ん中まで行きました。
ぬ〜べ〜の方、被りまくりですみません。続き楽しみにしています。
鬼の手の秘密(前編)
鬼の手が暴走した。玉藻は広たちからそう聞き、ぬ〜べ〜の元へと駆けつけた。
左手首から先だけにあった鬼の手が、左肩まで広がっていた。
今日は絶命受死日といい、ぬ〜べ〜の霊能力が一生のうちで最も下がる日なのだ。
そのため鬼の手を封印する力が弱っていた。このままではぬ〜べ〜は鬼に身も心も支配されてしまう。
味方になる気などないが、ライバルをこんな形で失いたくもない。
玉藻はぬ〜べ〜の変わりに鬼の手を封じようとするが、一体どうやって封じたのかがわからない。
最初にぬ〜べ〜が鬼の手を封印した方法がわからなければ。
ぬ〜べ〜は新任で童守小へやって来て、鬼に憑かれた生徒を除霊し、鬼の手はその時に封じた物だ。
それ以上は誰も知らず、除霊を行った教室は開かずの間になっている。
玉藻と広と郷子はその教室へ入り、玉藻の力によって過去の映像を見た。
まだ人間の左手を持っているぬ〜べ〜の映像が見えた。まるで本当に目の前にいるかのように
リアルな映像だが、触れる事は出来ない。思考も過去の気として残るため、当時のぬ〜べ〜の
考えている事も頭の中に流れ込んできて、三人はぬ〜べ〜に美奈子という恩師がいた事、
そしてその恩師との悲しい別れを知った。
何かに憑かれている生徒が、学校で飼われている鶏を生のまま食べている所を見つける。
ぬ〜べ〜は除霊をしようと放課後、その生徒を椅子にくくりつけ、生徒にとり憑いているものの姿を現させた。
それはただそこにいるだけで、気によって周りの物を壊すほどの巨大で凶悪な鬼だった。
その鬼の最初の一撃で、ぬ〜べ〜の左手首から先はちぎれ飛んだ。
「バカな!こいつを封印したというのか?私の想像よりもはるかにこの鬼は…
勝てるわけがない。…この鬼の霊力は鵺野先生の数百倍…私は間違った過去を見ているのか?」
玉藻は驚愕した。
自分もそろそろ疲れてきたので寝ます。
単行本の12巻の所を今やっています。
続きは明日。
>>73 いえいえ、こっちが後から割り込んだので。
でも連続書き込み規制を考えると、こういうのでもいいのかもしれない。
自分も漂流教室楽しみにしてます。ドラマとかなり内容違うんですね
すみません、気が昂ぶって眠れないのでできるとこまでまとめちゃいます。
今しばらくお付き合いのほどを。
大友の先走った行動をきつく注意する翔。
翔がリーダーであることを忘れていたと謝罪し、握手を交わす。
西さんと咲っぺもお互いに自己紹介。
本当の姉妹のように仲良くしようとの言葉に西さんは涙を流して喜んだ。
仲田くんの遺体を運びながら学校へと向かう生徒たち。
【これがうちに帰るのならどんなに嬉しいでしょう!!
どんな悲しいことも苦しいこともいっぺんに消えてしまうでしょう!!
今までなら学校が終わるとそのまままっすぐうちにかけて帰った。
うちにおやつがあっても、食べたくない時はかじっただけで捨てたりもした】
校門の前で足を止める翔。これがうちの門だったらどんなにいいだろうと考える。
心の中で「ただいま」と言ってみたら、涙が溢れて止まらなかった。
僕は総理大臣だから泣き声を出す訳にはいかない。そう言い聞かせてまっすぐ門の中へ入った。
「ただいま!!」
口に出てしまったこの言葉を、大友くんも、みんなも、口に出して中に入った。
「翔ちゃん!これから僕たちの合言葉は「ただいま」だっ!!
本当に僕たちが「ただいま」と言える日がくるように、その日がくるように頑張るために!」
大友くんが泣きながら提案する。みんなも泣いて同調した。
「僕は国語が得意だったけど今まで気付かなかった、
「ただいま」なんて気にも留めてない言葉だったけど、言い切れないほどいい言葉だっ!!
今の僕たちにはこのありふれた言葉が一番重くて、一番遠くにある言葉なんだねっ!!」
一人の生徒のこの言葉に、みんなは堪えきれず大声で泣き出した…。
会議室で今後のことを話し合う大臣たち。
全校生は810人、関谷を入れても811人。先生たちを入れて51人も死んでしまったのだ。
どんなに少なくしても、食料はあと20日くらいしかない。
プールの水や溜め置きの水もそんなにはもたないだろう。
外で何か騒ぎが起きている。慌てて見に行くと、プールで男子生徒が溺れていた。
なんとか助け出すが、水泳の得意な橋本くんだったので一体なぜだと驚く翔たち。
溺れたなんて嘘で、プールの水を飲もうとして落ちたんだ、
大騒ぎになったから溺れたふりをしたんだと主張する生徒たち。
なかなか起きない橋本くんを見てみると、すごい熱だった。水を吐き出させて保健室へ連れてゆくことに。
翔は咲っぺに病気に詳しい医者の息子の柳背くんを呼びに行かせた。
ベッドでうなる橋本くんを見て、柳背くんは肝臓が悪いことを指摘する。顔色が黄色いのだ。
人体解剖図を見ながら触診すると、確かに肝臓が腫れていた。
熱を下げさせるためにアスピリンを飲ませるが、心細くなった橋本は怯えて叫ぶ。
咲っぺが背中をさすったりして落ち着かせている間、柳背は翔たちにこっそり打ち明けた。
「助からないんじゃないかと思うんだ。肝臓はなかなか悪くならない代わり、
悪くなったら治りにくいんだ。心臓や脳は機械で代わりができるが、肝臓だとそうはいかない。
たとえお医者さんがいても、あんなに腫れあがっていては……」
「このままでは死ぬのを待つばかりと言うなら僕たちも一緒だ、
このままだとみんなくたびれるし橋本くんも可哀想だ。…橋本くんを殺すんだ!」
大友くんが恐ろしい提案をしてきた。彼は橋本の声に耐えられず、翔につかみかかる。
そこへ男子がやってきて「桃の実が食べられるぞ!」とみんなを呼んだ。
思わぬ朗報に、喜んで保健室を飛び出す一同、後に残された橋本は、血を吐いて苦しんでいる…。
「桃の実なんてどこにあったんだ?」
「昔植えた桃の木の花が咲いたんだ!実がなるから秋には食べられるんだぞ!」
男子生徒の言葉に大友は怒り出す。
「そんな実がなるまでまってられるか!僕たちはあともう20日……!」
慌てて大友の口を塞ぐ大臣。翔が大変なことに気がついた!
「このままでは、学校にある植物は全部実がならないかもしれない!!」
よろよろと保健室を抜け出し、床を這いずる橋本。
そこに数人の生徒たちが現れ、彼の吐いた血を拭き取ってやる。
「トイレ………」弱弱しく訴える彼は、間に合わずに下痢をしてしまったのだ。
優しい生徒たちはパンツを脱がし、奇麗に拭いてあげる。
後始末中に手についてしまったが、汚がってる場合じゃないと仲間に怒られる。
拭いた物やパンツは、再利用のために学校の外の砂漠にほうり投げて捨ててきた。
彼らは「下痢のことは内緒にしておくよ」と言って、彼を保健室のベッドに寝かして去って行った。
翔はみんなに説明する。「花粉はハチや蝶や風で運ばれるんだろう?ここには昆虫も風もない!
僕たちの手で全部つけてやらなければいけないんだっ!」
絶望する大友を叱りつけ、生きる努力をしようと仕事を開始する。
咲っぺと柳背は橋本の様子を見に行く。
「待てっ!!あぶない、近寄るなっ!!」
橋本の側に行こうとした咲っぺを止める柳背。衝立の後ろに見えた足には黒い斑点が…!
「ペストかもしれない!!肝臓だと思った腫れはリンパだったんだ!!」
僕らにもうつったかもしれない、高松くんたちが感染していたら他の人にもうつるぞ!!
咲っぺが慌てて駆けて行き。翔たちに報告する。
ペストは1日で発病し、酷い熱が出てリンパが腫れて下痢をして3日か4日で死んでしまう恐ろしい病気だ。
橋本くんがプールに落ちた時に下痢をしていたらもうプールの水も使えない。
1日経てば証拠が現れる。その時にはもう取り返しがつかなくなる。
翔たちは自分たちがペストにかかった可能性があるとみんなに言い、
喉が渇いてもプールの水は飲むな、全員他の校舎に移り、医務室に近付くなと注意する。
そして昨日から橋本くんと一緒にいた人を呼ぶが、誰も出てこない。
我猛と西さんは別行動をしていたため感染の危険はないようだ。
翔たちは校庭に出て、我猛に指示を飛ばす。
「6年生に言って他に大臣を決めてくれ、僕たちが明日になって熱が出て
ペストにかかってたらガソリンで焼いてくれ!」
大友たちもその言葉には激しく動揺し、助かる方法はないのかと柳瀬を問い詰める。
ストレプトマイシンという薬があれば助かるのだが……。
医務室の方から煙が上がる。橋本くんの悲鳴も聞こえる。
火をつけられ、橋本くんが燃えていた。
ペストを恐れるあまりの、みんなの凶行だった。
翔たちにまでガソリンをかけて燃やそうとしたので、慌てて学校から離れた。
橋本くんは可哀想だったが、もうこれで学校の中にペスト菌はないだろう。
安心しかけたその時、咲っぺがとんでもないことに気がついた。
「橋本くんをベッドに寝かせた時と頭と足の位置が逆だったわ!」
「誰か橋本くんに接触した人たちがいる!!」
橋本くんの汚れたパンツが捨てられていた。これは確実にペストだ。
土をかけて埋めて感染を防いだが、これで感染者が校内にいることが判明してしまった。
足跡を辿る。やっぱり学校へ続いている。途中で転んだ跡があった。
背の小さい人で、胸にマンガバッジをつけていることが読み取れる。
咲っぺは3人はいると推測した。その事実を我猛に伝えようとしたら、彼が飛び出してきた。
新しい大臣を任命したのは誤算だった、翔に関係する人間はペストの疑いがあると言われ
皆殺しにされると逃げ出してきたのだ。
魔女狩りのような状態になって、翔たちはふたたび逃げ出した。
総合病院があったらしい場所を見つけ、そこを探してみるが、薬瓶はみんなボロボロになっていた。
病院の地下室らしい穴を見つけ、潜り込む翔は、そこでミイラを発見、大騒ぎになる。
そこに我猛がやってきた。どうやら無事だったようだ。
側にくるとペストがうつるぞ!と止めるが、我猛はそれでもいいと言う。
手を取り合う2人。ミイラのあった場所で夜を明かすことにした。
翌朝、みんなは発病していなかった。ユウちゃんや西さんや学校のみんなが心配だと言って
翔は大臣を一人連れて学校へ向かう。
ユウちゃんたち翔の関係者は新大臣に旧校舎に閉じ込められ、窓に板を張られていた。
大臣の手には斑点が…その配下の3人の中に、背の低い、マンガバッジをつけた生徒がいた。
みんなの元に戻れと言われ姿を消したその3人は、校舎の影で倒れていた。
翔に発見されて詫びる彼ら。橋本くんに親切にしてあげたばっかりに、彼らはペストになった。
彼らがいなかったら自分たちが感染していた……むせび泣く翔に、新大臣が襲い掛かる!
「この手で触れたぞ!」
3人が新大臣につかみかかるが、新大臣はそれを返り討ち。学校中の奴にペストをうつすとヤケになる。
旧校舎に火がつけられた。学校は殺し合いのパニックになってしまう…。
学校の方から昇る煙を見て、大友たちが解決策を必死に考える。
……ミイラを動かして「怪物が来たぞーーー!!」と威嚇して争いを止め、旧校舎を消火する。
ところが、全員斑点が身体に現れ、倒れてしまう。
翔は叫ぶ。「おかあさんっ!!助けてっ!!薬をくださいっ」
「翔!!翔、どこなの!?」
学校に響き渡る母の声。その声に向かって必死に叫ぶ。
「僕たちは未来に来てしまったんだ!地球は砂漠になっているんです!
それに僕たちは全員ペストにかかっているのですっ!!薬をくださいっ!!」
側に倒れていた西さんに躓き、倒れながらも叫ぶ翔……。
翔の母は走っていた。大和小学校のあった場所に慰霊碑が建てられたのだ。
翔の名前があることに怒り、花や線香を払い捨てる。
大友の母が彼女を止める。「慰霊碑ができたことでみんなあきらめることにしたのです」
「翔は死んでなんかいない!!」つかみかかる母。
こんな場所には二度と来ないと言い残し、泣きながらその場を去った。、
帰宅すると、玄関先にユウの母親がいた。
「勇一はまだ3歳で、小学校へ行く年じゃないのに、
あなたの息子さんに無理やり連れられて学校へ行ったんですよ!?」
ユウの母を追い返す翔の母。
彼女は誰もいない時間帯に、慰霊碑に花を置きに行く。
父から警察は翔たちの捜査を打ち切るそうだと聞かされ激しくショックを受ける。
突然東京の一角でペストが発生して大騒ぎらしい。
ニュースを見ると、アメリカから帰国したAさんの飼っていたリスが媒体となって広まった模様。
2匹のうち1匹が行方不明と伝えていた。
突然テレビが砂嵐になり、翔の声を運んできた!
「おかあさん、みんなペストにかかっているんだ、薬をください!」
「どうやって薬を渡せばいいのっ?」
「ミイラがあります!ミイラの中に薬瓶を入れてください!
学校の近くにある大きな病院の地下室の冷蔵庫のようなところから出てきたミイラで、
右の手首に傷があります!」
そこまで言ったところで、テレビはもとのニュース番組に戻ってしまった。
父にはただの砂嵐にしか聞こえなかった………。
翔の母は雨の中ストレプトマイシンを買いにくる不審な女性として近隣薬局からマークされて、
薬を売ってもらえない。
「翔!!お母さんは何としても、どんな恥ずかしい思いをしても薬を手に入れるわ!!」
翔の言う病院の地下室にこっそり忍び込み、死体を調べるが傷などない。
途方に暮れた母が受付の前を通ると、偶然ミイラと同じような傷を持った男を発見する。
「右手を見せてください!あなたはどなたです?顔を見せてくださいっ!」
サングラスを外すようすがりついて頼み込むが、不審に思われて逃げられてしまう。
そこにちょうど信一くんが現れて、代わりに男の後をつけて行った。
結局まかれてしまったが、男の正体はすぐにわかった。有名なプロ野球選手・大木だったからだ。
信一と一緒に野球場に試合を観に行く母。翔も彼のファンだったと教えてもらう。
野球好きの信一は、大木の活躍に大はしゃぎ。翔もきっとこんな風に夢中になっていただろうと思いにふける。
そんな中、大木選手がボールに当たって倒れ、病院に運ばれてしまう。
「ベッドで昏睡状態……面会謝絶……何としても会わなくては。
あの人はミイラになるのよ…そして翔の言葉通りにミイラの中にストレプトマイシンを入れなくては」
母は救急車を一台電話で呼んで、自分の腕を包丁で斬り付けた!
希望通りに大木選手と同じ病院に運ばれる母。看護婦に容態を聞いてみるが面会謝絶の一点張り。
こっそり病室に忍び込むと、大木選手は元気だった。
自分の能力に限界を感じ、野球をやめたいと漏らす大木。
その時、外で悲鳴が上がった。
「誘拐だっ!!患者の子供が!!」
犯人らしき男が駆けて行くのが窓から見える。大木はバットを手に窓から飛び降り、子供を救う。
が、犯人に刺され、そのまま死んでしまった。
父が見舞いに来た。明日退院する前に今夜どうしてもやらなくてはならないことがあると言う。
病院のストレプトマイシンをこっそり盗み出していたのだ。
これを大木選手の身体の中に隠すのだ。大木選手の遺体は今回のことで、この病院に永遠に残ることになったのだ。
父は入ってきた看護婦の手前、翔が砂漠の中にいるなんてないと断言。
ストレプトマイシンをさりげなく自分のカバンに入れ、帰って行く。
置き去りにされたカバンを開けてみると、手術道具が入っていた。
「死体に薬を入れる時の………あなたっ!!」
深夜、母はミイラの中に薬を入れ、強引に退院した。
「神様、どうか薬が翔の手に届きますように!
どこか知らない未来で、翔が薬を手にしていますように!」
未来世界。苦しむ翔がミイラを調べると、中から薬が出てきた!
柳瀬を呼んで、彼に処置をしてもらい翌日には元気になった。
でも半分近くの生徒が間に合わなくて死んでしまった。
死んだ生徒は古い校舎ごと燃やすことになった。大木選手のミイラも。
「学校にリスがいる!!」
生徒の報告に喜ぶ一同、つかまえて大事に育てようと提案するが、柳瀬に却下される。
「あのリスがペストをばら撒いたんだ!このまま放っておくと同じことが起きる!」
せっかく見つけた仲間を殺さなければならない悲しい事実。
リスの死体は燃え盛る旧校舎に投げ込んだ。
悲しみを乗り越えて、生きる手立てを始める提案をする翔。
畑をこしらえて、学校中の食べられる植物を増やす。
理科室に会ったとうもろこしの種をひとつぶずつ配布し、
良い場所が見つかったらそこに植えてこの砂漠を緑の世界に戻そうと呼びかける。
大小便もクロレラを培養してプールで増やせばいいし燃料にもなる。
明かりは学校にある自転車の発電装置を使えばいい。
色々な案が出る中、一人の生徒が辛い知らせを運んできた……。
プールの底にひびが入り、水が全部なくなっていた。
至急水を求めて探検に出ることになった。翔たちは東京湾だった場所に来たが、
そこも砂ばかりだった。船だった残骸が残っているだけの乾いた世界。
翔たちは乾きに疲れ途方に暮れていた…。
学校に残った女生徒は、植物の植え替え作業をしていた。
まわりの生徒たちは水を求めてよくない雰囲気になってきている。
ユウちゃんが心配になり探しに行くと、ユウちゃんは水が飲みたい、おうちへ帰りたい、
ママに会いたいと泣き出してしまう。
「ママはこのお姉ちゃんでしょう?パパは翔ちゃんじゃないのっ!
いいわ、ママが雨を降らせてあげる!!」
咲っぺは女生徒を集めてヤケ半分で指示した。
「オルガンをグラウンドへ出して、私が弾くからみんなで合唱してお祈りするのよ!!」
みんなで歌い出すと、本当に雨が降ってきた!!
ありとあらゆる物に雨水を溜めるべく容器を並べる生徒たち。
「学校を燃やしたから雨が降ったのよ!大火事の後には雨が降るそうよ!
大声で歌ったことも空気を振動させたのね!あながち迷信じゃないわね!」
ところが、その恵みの雨が、また悲劇のもととなる…。
雨を喜ぶ翔たち。彼等のいた場所は底なしドロの海だったらしく、
急がないとどんどん沈んでいってしまう。
ぬかるんでうつ伏せに倒れて沈んでゆく翔。
「みんな、僕を踏んづけてわたれっ!早くしろっ!」
お詫びをしながら翔を踏みつけにする生徒たち。3人のうちの一人は足を滑らせ、落下してしまった。
翔を救い出すべく手を伸ばして引っ張り合う際に、また一人犠牲になって沈んでいった…。
その頃、女生徒たちのいる学校も危機が迫っていた。
山津波が学校を襲ってきたのだ。水が学校の中に入ったら、せっかく植えた植物がダメになってしまう!
咲っぺが校門へ走る!流れ込む水を、自分の身体の分だけ入れないつもりで、
背を向けて門にしがみついた。他の女生徒たちも、一緒に防波堤になろうと頑張る。
水は激しく流れ込み、最初の一撃で女生徒の首が吹き飛んだ!
咲っぺの隣で必死に耐えていた女生徒がさようなら!と叫ぶ。
と同時に彼女は地面に倒れこんでしまった。フェンスをつかんだままの手首を残して…。
次々倒れてゆく女生徒たち。咲っぺも限界だった。
気付くと、門に砂がたまって防波堤になっていた。
安心して倒れる咲っぺ。雨もあがりはじめていた。
戻ってきた翔はなんて無茶をと嘆くが、彼女たちのおかげで植物は無事だった。
この夜、自転車発電機のおかげで、初めて体育館に明かりがともった。
みんなは安心して落ち着いた眠りにつくことができた…。
翌日、畑に薄気味悪いキノコが増殖し、せっかく植えた植物がしおれてしまった
学校の人数は442人になったので残りの食料は約1ヶ月ぶん。
このキノコが食べられれば貴重な蛋白源だが…。
咲っぺが未包装の食品すべてにキノコが生えてきたと持ってきた。
食べ物が半分になってしまったと嘆く咲っぺ。
が、このキノコを食べれば2倍に増えたことになると提案する大友。
関谷に食べさせてみればいい、との言葉にみんなは大賛成。
反対した翔は木に縛り付けられて、見ているしかできない。
「僕らの先祖だって試行錯誤を繰り返して食べ物を見つけてきたんだ!」
みんな「試行錯誤」と呪文のように唱えながら、幼児退行している関谷を校庭に連れ出す。
途中で関谷が階段から落ちてしまったが、急におとなしくなったので気にせず連れ出した。
関谷の前にキノコを投げつけ、食べさせる。
両手でキノコを抱えるように持って食べる関谷。1個目は大丈夫そうだったが、次はどうだろう?
2個目を、鼻をつまんで無理やり口に入れようとしたら、口から1個目を吐き出して苦しみだした。
これはダメだと関谷を保険室に運んで吐かせる。
そんな騒ぎの中、校内に探検隊が帰ってきた。メンバー外だったが、勝手に出て行ったのだという。
彼は「怪物がいる、大和小学校を襲う相談をしていたんだ」と訴えるが、正気を失っているようだ。
とにかく保健室に連れて行ったら、関谷がいなくなっていた。
生徒の一人・大月が関谷を探していたが、彼は関谷がキノコを食べるふりをしていたことに感づいていた。
その背後に忍び寄り、強引にキノコを食べさせる関谷。
階段から落ちた拍子に正常に戻っていたのだ。
キノコの反応を見ていたが、大月は関谷にナイフを突きつけられてるのに楽しそうにしている。
みんなの声がする。関谷はまたバカのふりをするから口裏を合わせろと言う。
大月も楽しそうにそれを承諾し、関谷は自分が見るから大丈夫だと人払いをする。
一方、翔たちは自称探検隊の少年から話を聞こうと頑張っていた。が、どうしようもない状態だ。
そこへ大月が楽しげにやってきて、キノコを目の前で食べて安全をアピールし始めた。
「関谷のおじさんはお腹の具合が悪くて吐いただけだよ。僕はこっそり食べてみて大丈夫だってわかったんだ」
みんなに大声で知らせてまわる大月を必死に止める翔。
これは未来の植物、僕たちは未来植物を食べて生きていくんだと言って今までの植物を引っこ抜いた。
大友も大月の意見に賛成し、これから何でも食べて行けるようにならなくちゃいけないと主張するが、
「僕たちの植物をとってしまったら何が僕たちの吸う酸素を作ってくれるんだ!」
翔も咲っぺも、みんな一丸となってキノコを引っこ抜き始める。
大月は呆れて学校の外に遊びに出てしまった。
「どうして今まで砂漠を恐れていたんだろう?」
翔たちはわずかな食料を大切に食べる。
「食べる前のお祈りを神様にしよう」
神様は見えないからわからない、と泣く下級生のために、大臣の一人が石膏像を持ってきた。
工作の時間に翔が作った、お母さんの像だった。
美川さんという女生徒は食事に手をつけず、咲っぺにあげると言って出て行ってしまった。
給食後はそれぞれの作業を進める。畑に草を植えていたら、そこに翔たちの神様が捨てられていた。
今まで石膏像が置いてあった場所に、一つ目の光る不気味な粘土細工のような像が置かれていた。
何のためにこんな悪戯を、と怒る翔。夜は必ず見張りを立てることにした。
その夜、翔は他の生徒と見張りを交代して眠りについた。
そこに、翔を迎えに来たと言う声がする。いきなり見張りの生徒に襲い掛かってきた。
騒ぎにみんな目を覚まし、侵入者を見て泣き叫ぶ。
すぐに出て行ったものの、みんなは朝まで怯えて過ごした。
手足に大きな爪を持ち、顔に蛇のような鱗が生え、胸に槍を突きたてられても平然としている、明らかな化け物。
だがその姿はどことなく大月に似ていた…!
「キノコを食べるとああなるのか?」
美川さんがそれを聞いて救いを求めてきた。「私もあんなふうな姿になるわっ!」
大月のように朗らかになれるなら、と彼女もキノコを食べてしまったのだ。
でもあんな姿になるのは嫌だと、けれど大月の姿を気味悪いとも思えないと言う…。
一つ目の神様は美川さんの仕業ではない。他の誰かと言う言葉に仲間の存在を感じ、
全員の身体検査を行った。キノコを隠し持ってる生徒が何人かいた。
何かしていないと不安に襲われる。汲み置きの水にも限りはあるし、井戸を掘ることにした。
昔川があっただろう場所を掘り返すが、何も出ない。
ろくに食べていないのでみんなやつれていた。
そんな中、美川さんだけが水も飲まないのに元気そうだった。
夜、咲っぺが理科室にいる美川さんを発見する。
顔に変なできものができていたが、それをうっとりとガラス戸にうつして眺めているのだ。
去ろうとする咲っぺを、変なお面を被った生徒たちがつかまえる。
美川は咲っぺに一つ目像を見せ、一つ目教に入るよう脅しにかかる。
咲っぺは必死に抵抗して、そんな気味の悪い宗教には入らない、と叫ぶ。
鳥の剥製の足をもぎ取り、その足の爪で咲っぺの顔を引っかこうとするが、そこに翔が助けに入ってきた。
ずっと見張っていた大友たちが逃げる彼女たちを捕まえようとするが、とても無理だ。
「誰か来てーっ!!」
思わず叫ぶ咲っぺ。そこに一人の女生徒が現れた。
「小山さんっ!」小山さんの説得に、美川が正気を取り戻し始める。
その夜、「ヒイーーーーーーー」という薄気味悪い声に導かれて美川が外に行こうとする。
キノコを食べた生徒たちも起き出して外に出た。
「行かせて!殺される!」と小山の制止を振り払おうとする。
美川の耳をふさいで、薄気味悪い声が聞こえないように必死に守る小山。
「神様が私を殺しに来る!!」今度は美川の目を塞ぐ小山。
自転車の発電装置を作動させ、武器を手に待ち受ける生徒たち。
不気味な一つ目の神様がやってきた。
「もう目隠しなんて意味がなくなったのよ!」
この世界での友だちに別れを告げ、これから起きることを見せないために小山自身の目を塞がせる。
四つんばいの怪しげな姿で、神のもとへと走り去る美川。
恐怖は去ったが、美川さんを守ることも怪物をやっつけることもできなかった…。
生徒たちの中に、やたら翔に突っかかってくる者たちがいる。
「みんな噂してるぞ!君の悪戯からこんな未来へ来てしまったんだと!」
走り去ってゆく生徒たち。翔は大友に事情を聞くが、ちゃんと答えてくれない。
未来へ来たのは大地震のエネルギーのせいだと言うが、それと自分とどういう関係があるのかわからない。
苦しい立場に追われた翔に、関谷がボウガンを突きつけ、神様の像を打ち砕いた。
「今日から神様はこの俺だ!高松が何をしたのか知ってる奴は言ってみろ!」
大地震の前の晩、翔がこっそり学校に来て、職員室の縁の下に入っていったのを見たと言う。
みんなで縁の下を調べたらダイナマイトの破片を見つけたと見せびらかしてきた。
「高松くんは勉強が嫌いだから学校を吹き飛ばそうとしたんだ!爆発が大地震を引き起こしたんだ!!」
みんなに殺されそうになる翔。だが偶然起きた地震のおかげで命は助かった。
が、翌日誰も口をきいてくれない。食べ物ももらえない。
校庭に飛び出す翔の後を、大友や咲っぺたちが追ってくる。
食べ物を分け与える彼らに腹を立てた関谷に、井戸掘りを命じられる翔たち。
上に上がる梯子を取り上げられ、水を見つけない限りずっとそこで暮らすように言われてしまう。
関谷は軍隊式の教育法で残った生徒たちをしごきにかかる…。
井戸の奥に、地震でできたらしいひび割れがあった。奥に穴があったので潜ってみることにした。
そこは地下鉄の線路だった。地下鉄が走っているのを発見し、人がいるのだと期待する翔たち。
線路を歩いて東京駅の方に向かうが、知らない駅を見つけ、そこにさっきの電車が停まっていたので
上に上ってみた。どこかのビルの地下に続いているようだった。
そこは一つ目生物たちの集会場だった。ソファーの後ろに隠れて様子を探る翔たち。
美川さんや大月たち、キノコを食べた生徒たちもいた。
彼らはもうすぐ一つ目の種族に変化すると言う。背中にコブができ、一つ目ができかけていた。
一つ目の神は、時折過ぎ去ったものに対する儀式として、
部屋の明かりをつけたり地下鉄を走らせたりしているらしい。
神はテレビに「祖先の映像」を見せはじめた。
公害で濁る空、排気ガス一杯の道路、人々が捨てるゴミで汚れる町・山・海。
奇形の魚・母親のえい児殺害・一つ目にそっくりの子供を生み捨てた母親の姿、
世界各地に大地震、大津波来襲、自殺者急増、各地の水不足、食糧危機、姥捨て復活、
地球全体が砂漠になっていく様が細かく映し出されていた。
翔たちは声を出さずに泣いていた。もしこの映像が本当なら、母たちはどうなったのだ。
人類が20世紀の終わりに滅び、一つ目たちが生まれてきたのだ。
仲間割れを起こして共食いを始める彼らにショックを受け、咲っぺが悲鳴をあげて見つかってしまった!
思わず美川さんに助けを求める咲っぺ。
「早く逃げるのよ!!」
かすかに残っていた理性で、美川さんたちは一つ目たちに立ち向かう…。
地下鉄を動かして、慌てて逃げる翔たち。東京駅には地下の商店街がある。
食べ物を探しに行くが、缶詰が食べられた形跡があった。しかもまだ新しい。
たくさんのミイラや骨がお墓のように集まっていた。
遺体のポケットを探るとライターやハンカチ、さらには10万円札まであった。
ほこりを踏んでできた足跡がある。誰か生きてる人がいるんだ!
ある部屋の中に、ぼろぼろの服を着た老人がいた。
翔たちと目が合い、話しかけられたショックで彼は死んでしまった……!
意気消沈する翔たち。が、彼が今まで生きていたということは水がどこかにあったのだ!
足跡を追ってゆくと、泉を発見した!割れた地面から奇麗に澄んだ水が湧き出ているのだ!
みんなで喜んで飲んだ後、信じてもらうために落ちていたウイスキーの瓶に水を入れて
持って行こうとしたその時、その穴から熱湯が噴出した!
火山帯ができていたらしく、今にも爆発しそうな勢いだ。
地中をやたらに掘り返し、管を突き刺すからこんなことになるんだ!
翔は今まで母に助けられていたことを打ち明け、今回も母に救いを求める――
「管を地面に突き立てるのをやめてくださいっ!」
母は翔に20通目の手紙を書いていた。
手紙と一緒にヒエの種を同封し、瓶に詰めて海に流した。
翔の声は聞こえない。
翔がいくら叫んでも、状況は変わらない。
……西さんだ!あの時は西さんが側にいて、僕とお母さんを結び付けてくれたんだ!
激しい地震の中、必死に出口へと向かう翔たち。
みんなを先に通すため岩を持ち上げていたスコップが折れ、挟まって出られなくなった。
咲っぺは翔を助けようとするが、大友は見捨てて逃げようとする。
出口はふさがってしまったが、火山が爆発した風圧で地上に出ることができた。
大友が鉄版を押し、前にいた翔を殺そうとした!
「まさか大友くんがわざと倒したのでは……?」
2人は殴り合いの喧嘩になってしまう。
止めようとした咲っぺが大友の背中についたクモの糸を見つけ、喧嘩どころではなくなった。
一つ目がつけたんだ!慌てて逃げ出す翔たちの背後に、一つ目が迫る!
追ってきた一つ目をなんとか倒すが、未来人類が大勢でやってきた!
学校へ逃げ込もうとするが、関谷が頑丈なバリケードを作らせて入れないようにしていたのだ。
中からは何も知らない生徒たちの歌声が聞こえてくる…。
学校の塀にクモの糸で翔たちを固め、一つ目たちが学校内に侵入してきた。
音楽室では、関谷が流行歌を歌えと無理を言う。酒も歌も無しでこんなまずい物が喰えるかと
貴重な料理を床にぶちまけ、足蹴にした。女生徒も容赦なく殴りつけて命令する。
そんな暴君ぶりの中、怪物が侵入してきた!関谷は竹やり特攻戦法で生徒たちを犠牲にしてゆく…。
翔たちは必死にクモの糸を抜け出した。関谷の自動車が走って逃げてゆく。
関谷の自動車から零れ落ちたビスケット。きっと関谷は食べ物を全部持って逃げたのだ。
絶望する翔。未来生物に襲われる生徒たちの悲鳴を聞いて、
翔は鉄条網のめぐらされた塀を越えて校内に飛び込んだ!
「お願いだっ、やめてくれっ!お前たちも人間なら、どうか聞いてくれ!
僕たちにはもう食べ物がないんだ!僕たちはもう飢え死にするだけだ!
放っておいても飢え死にする僕たちを、今こうして殺すのだけはやめてくれ!!」
力尽きて倒れる翔。彼は夢を見た。原始人になって狩りをする夢、
遊びで釣りをして魚を殺してしまい、怖くなって水にかえす翔。
力の限り走って帰宅する翔を迎えてくれる母。
「おかあさーん!!」そう叫んで目を覚ます翔。
未来人類は学校から出て行ってくれたのだ。
食べ物は関谷が踏み潰した、ほんのわずかな物だけだった…。
こんなにスレを消費して申し訳ない…これで5巻の真ん中まで行きました。
これからまたデムパやガクブル な展開が待っております。
それではまた…。
。・゚・(ノД`)・゚・。
乙
恐いよぅぅ
鬼の手の秘密(後編)
ちぎれた左手を止血しながら、ぬ〜べ〜は美奈子を思い出す。
俺は美奈子先生と同じ教師になった。貴方と同じように霊に憑かれて困っている子供を救うために。
貴方は俺に憑いた悪霊を祓うために自らの命を投げ出した。
俺はその遺志を継いだのだ。必ず…必ず生徒を助けてみせる。
ぬ〜べ〜は左手を失いながらも、果敢に鬼に向かい立つ。
しかし攻撃され、床に倒れた。鬼はとどめをさそうとするが、様子がおかしくなった。
「私を…封じなさい。早く…今のうちに。私は…信頼している貴方に、貴方の力で封じこめられるために…来た」
鬼はそう言うと、自らの顔を裂いた。そこから美奈子先生の顔が現れた。
「ば、馬鹿な。俺は夢を見ているのか!?」
「これは現実よ。しっかり受け止めてちょうだい。」
美奈子は泣きながら説明する。
「私は貴方の除霊に失敗して殺された。
その後私の魂は地獄の奥深くに引きずられたのです。
悪霊たちにすればそれが私への復讐だったのでしょう。
私の魂は地獄の鬼に吸収されました。霊力の強い私の魂は鬼にとっては格好の餌食でした。
私は吸収され、鬼の一部になったのです。だけど…鬼の中で私の意識は残りました。
だから鬼が世に災いを起こすため現世へ来た時、貴方に封じてもらうため、ここに来るよう仕向けたのです」
嘘だ!ぬ〜べ〜は泣き叫んだ。
「さあ早く…!放っておけばこの鬼は何人もの子供を殺すわ!私もろとも鬼を封印するのよ!
何をためらってるの?鵺野くん!貴方は教師なのよ!」
玉藻は鬼の力が弱まるのを感じた。美奈子が内側から鬼の力を抑えているのだ。
ぬ〜べ〜は、泣き叫びながら鬼へと向かい、失った自らの左手に鬼を封じた。
「美奈子先生…いつか必ず貴方を鬼から救ってみせます。その日まで俺は悪霊たちから生徒を守ります。
貴方の魂の宿った、この鬼の手で……」
鬼の手はぬ〜べ〜一人の力で封じたわけではなかったのだ。
美奈子の魂が協力し、内と外から二重の封印をしていたのだ。
玉藻達は現代のぬ〜べ〜の元へと帰り、鬼の手の中にいる美奈子を呼び覚ませた。
「立派になりましたね、鵺野くん。私はいつでも貴方を見守っているわ。
さあ…元気におなりなさい。貴方の霊能力が下がった今日は、私が全力で鬼を抑えます」
美奈子の力により、鬼の手は暴走を止め元に戻った。広と郷子は喜び、ぬ〜べ〜に飛びついた。
鬼の手は最強の武器であると共に諸刃の剣でもある。
そこには一つの悲しいエピソードがあった。
もう手遅れだと断言する大友。彼の指差した先…グラウンドには、巨大なオニヒトデの大群がいた。
屋上から竹やりで突くと、フェンスに一部肉片を残してヒトデは落下した。
このヒトデの肉は食べられるだろうか?
生でかじったらドロのような変な味がする。
焼いてみたら化学薬品のような臭いがして、涙が止まらなくなった。
「きっと化学薬品か何かが溜ったところで発生したものなんだ!
もうこの世界には僕たちの食料になる物は何一つないんだ!」
「こんな世界にしてしまったのは、僕たちの親や僕たちの仲間さ!
自分勝手に未来の分まで使い果たしていい思いをしたからさ!」
大友は翔を責めたてる。お前のせいでこんな世界に来てしまったと罵倒する。
翔は誤解を解こうとするが、信じてもらえない。
「なぜ大友くんはそんなに僕を目の敵にするんだ!」
「なぜだって?君と一緒にいたくないだけだ!僕はこれから別行動をとる!」
翔ももう限界だった。学校にあるみんなの全財産を公平に分けることにした。
一人分の米と、植物や野菜の種、草の苗も分け合った。
学校に留まるのも出てゆくのも自由、飼っていた小鳥たちも自由にしてやろうとするが、
大友は貴重な最後の肉だと反対、殴り合いの喧嘩になってしまう。
ぶつかった際に鳥かごが開き、小鳥たちは飛んでゆく。
小鳥たちに別れを告げる下級生たち。
大友も翔も喧嘩をやめ、中断していた配給を続ける。
ユウちゃんには亡くなった生徒のランドセルを与えてやった。
1年生になったと無邪気に喜ぶユウちゃんに涙を流す咲っぺ。
大友は「新校舎はきみにやるから、残りは僕がもらう!」と宣言、
足を踏み入れたら殺すと言ってきた。
【お母さん、僕は今日からお母さん宛に手紙を書くことにします。
でも決して届くことのない手紙です。
紙も鉛筆もわずかしかないので、長い手紙を書くことはできません…】
ノートに今までのことを書き込んでゆく翔。
大友と彼につく者は、他の校舎に閉じこもり、侵入者は本当に殺す気らしい。
翌朝、大友所有の東校舎と翔の給食室を取り替えて欲しいと投げ文が来た。
当然翔は断った。が、大友の仲間が給食室を奪い取ろうと責めてきた!
本気でかかって来られ、思わずヤリで突いて殺してしまった。
「僕、人殺しをしてしまったんだ!もうお母さんのところへは戻れない!」
翔の仲間たちは、死んだ大友側のランドセルから食料を取り出した。
「事態が悪くなるからやめろ!」と止めようとした翔が腹痛に襲われた!
盲腸かもしれないと慌てて教室に運び込む。
そんな翔に見切りをつけた仲間が、大友の仲間になりに行ってしまった…。
炊事用のゴム手袋に水を入れて冷やすが、ちっともよくならない。
手術をするしかない!だが誰が?
医者の息子の柳背くんがやってきた。やはり手術しかなさそうだ。
翔が死んだら、みんな大友に殺されてしまう!
玄関に大友たちがやってきて、翔を出せ!と騒ぎ立てる。
「私が行ってくる!」咲っぺがヤリを持って玄関へ走った。
大友たちは、翔側の裏切り者の死体を持ってきた。
咲っぺはひるまず堂々とやり取りする。
上の階から聞こえてくる翔のうめき声。「あれはなんだっ!?」
「一人言うことをきかない人がいたから、罰を与えてるのよ」
どうにか大友たちを追い返し、翔のもとへ走る咲っぺ。
そこでは麻酔のない手術が行われようとしていた…。
みんなに手足を抑えられ、苦しむ翔。
鉛筆削り用のカッターを職員室にあったウイスキーで消毒し、
人体解剖図を見ながら執刀開始。
カッターで腹を割き、看護婦志望の女の子が指で切り口を広げる。
その度に恐ろしい悲鳴が上がる。
「誰か……っ少しでも痛みを止める方法を知らないのっ!?」咲っぺが泣いて訴える。
我猛がスズランの汁が麻酔薬になる、と言ってきた!スズランなら校庭にある。
が、スズランは大友のいる校舎脇にあるのだ。咲っぺと女生徒たちは花壇へ走る!
スズランを引っこ抜くが、大友勢に囲まれてしまう…。
手術は続く。看護婦が足りないとの声に、西さんが名乗り出た。
盲腸を切り取ったが、出血が多いため輸血をしなければ危ない!
注射器は衛星室にあるが、翔の血液型がわからない。
「誰か知ってる人は?」「咲子さん(咲っぺ)です!」
咲子はスズランの花を捕りに大友の敷地へ行ったとの言葉にみんな青くなる。
早く連れてこなければ翔が危ない!
バトンリレーの用にスズランを投げながら、一人残った咲っぺが翔の陣地へと走る。
女性陣の援軍によって、咲っぺもスズランも無事戻ってきた。
患部は縫合も終わり、スズランは必要なくなってしまったが…。
翔も咲っぺもAB型と判明、輸血を行う。
輸血も無事終了、看護婦志望の杉山さんはこんなところに来てしまって
夢はもうダメだと思っていたけど、本当は逆だったと気付いたという。
最後まで頑張ろう、と柳背と握手を交わす。
もう一人の看護婦、西さんにお礼を言おうとするが、目を開いたままぐったりと倒れていた…。
夢の中でうなされる翔。母に救いを求めて叫ぶ。
「僕もうダメだっ!苦しい!」
いつか合図があるからと翔のトランシーバーを受信可能な状態にしていた母は、翔に応える。
教室では、寝たままで弱音を吐く翔と、やはり寝たままの西さんが母の声で、お互いに会話をしていた。
咲っぺもまわりの生徒もビックリしながら聞いていた。
確かに翔の母の声で、学校のみんなの帰宅を待っていると言ってくれたのだ…!
漂流教室もぬ〜べ〜もハードになってきたなあ
そんなみんなのもとに、突然老婆のような女が現れた。
とてもそうは思えなかったが、前に学校を出て行った女番長だった。
「富士山の見えるところに天国があるわ…水も食べ物もなんでもあるわ…
でも私はどうしても学校に帰りたかった……」
咲っぺの差し出す水筒の水を一気に飲んだショックで女番長は死んでしまった。
天国があるのに、なぜ戻ってきたのだろう?
翔は永い眠りから覚めた。なんと4日間も眠り続けていたのだ。
その間みんな食料は、昨日一口と水を少しだけしか食べていないと言う。
咲っぺもユウちゃんもやつれていた。
西さんもずうっと眠っている。
大友たちはそのままだと言う。グラウンドに気味の悪い生物が現れて外に出られないのだ。
未来人間が学校の側でグラウンドにいたのと同じ生物を食べている。
「あの時僕たちもキノコを食べていれば、あの生物を食べて生きて行くことができたのに!」
お腹が空いたと泣き出し、最後の食料を食べてしまおうとするみんなを、咲っぺが制止した。
「変な臭いがするわ!」
人間たちにはとても不快な臭いだが、生物たちはその臭いに引き寄せられるように
巨大な蛇のような生物の口の中に潜っていった……。
未来人類は食べられてしまった。恐るべし食物連鎖。
妖狐・過去の名前の巻
賞味期限の過ぎたまんじゅうを食べたため、腹痛を起こしたぬ〜べ〜たちは
玉藻のいる病院へと向かった。すると、玉藻の所で騒ぎが起こっていた。
「会いたかったわ明彦さん!ずっと探していたのよ!今までどこへ行っていたの!?」
患者として玉藻の元へきた岩崎友絵は、玉藻に抱きつきそう叫ぶ。
「人違いだ。私は明彦という名では…」玉藻は否定する。
「嘘よ!私達あんなに深く愛し合っていたじゃない。間違えるはずがないわ。
貴方は南雲明彦…私の恋人よ!」他の患者に迷惑だからと友絵はその場から出された。
ぬ〜べ〜は玉藻から事情を聞く。玉藻は、明彦は自分のもう一つの名だと言う。
妖狐が化けるには人のドクロを使う。玉藻の使うドクロは行き倒れの既に死んでいた登山者の物だ。
持ち物でわかったが、その死体は民俗学を研究する南雲明彦という学生だった。
今の玉藻の姿はドクロの持ち主である南雲に瓜二つ。友絵が間違うのも無理が無い。
「深く愛し合った仲なら、いずれ本物との違いに気づくでしょう。もし…私の正体を知られたら…」
玉藻が自室へ帰ると、友絵が居た。明彦と撮った写真を管理人に見せ、鍵を借りたのだという。
「これ民俗学の研究資料でしょう?こんな変なもの集めるの変わり者のあなたしか…」
首さすまたに触れる友絵に玉藻は怒り首を締めた。怒りで玉藻は妖狐としての新の姿を現す。
友絵は逃げ出し、それを追いかけようとして玉藻は待ち構えていたぬ〜べ〜に会う。
「心配になって来てみれば…お前は人間の愛を理解したいと言っていたはずだ。その言葉は嘘だったのか?」
「あの女を放っておいては人間を理解するという私の目的が果たせなくなるんですよ。
私は目的のためなら手段を選ばない…」
友絵は一人町を歩いていた。あれは何だったのだろう。人間ではなかった。
明彦は狐の伝承をテーマにし、最後に出会った日、妖狐伝説を求めて山へ行った。
もしかして彼は狐にとり憑かれたの?友絵は真実を知りたくて玉藻の元へ行く。
二人は車に乗り童守港へ向かう。
変な黒い雲がどんどん大きくなりながら学校に近付いてくる。
雨雲にしては黒すぎる……。
「未来人類も生物もいなくなったから、大友たちはきっと食料を奪いにやってくる!
だから先にこっちから攻めて食料を奪ってやれ!」
生徒の一人が恐怖のあまりに仲間を募って行ってしまった。
止めようとした翔は、ずっと寝ていたので思うように動けない…。
先手必勝とばかりに、翔の仲間たちは大友勢の1年生を殺して食料を奪い、その場で食べて戻ってきた。
彼らは大友勢に引き渡されるのを恐れ、校舎の外に逃げ出した!
屋上から望遠鏡で様子を見るが、彼らは黒雲の方に向かって駆けて行く。
黒雲に包まれ、苦悶の表情で倒れる彼らを見て、ただの雲じゃない!毒の煙だと知る。
「スモッグの塊が襲ってくるぞー!!」みんなして学校の外へ逃げ出すことになった。
翔はいまだ目の覚めない西さんを連れて行くと言う。病み上がりの上何も食べてなくてフラフラなのに!
みんなの非難をよそに、翔は西さんを放っておけないと叫ぶ。
咲っぺの心配をよそに、翔は咲っぺとユウちゃんをせかして歩き始めた……。
学校がスモッグに包まれた。大友側の生徒たちとごっちゃになってしまった。
なぜかみんなはいつの間にか富士山を目指して歩いている。
女番長の一言でこんなことになるなんて、天国なんて本当にあるのだろうか?
女番長の精神は異常だったのか?いや、学校を追い出された復讐のために、
わざと嘘をついていたとしたら……この先にあるのは天国じゃなくて…。
前方に細長い筋が見える。地割れだった。
迫ってくるスモッグに焦った生徒が飛び越えようとして落ちてゆく。
翔はなんとか一番狭い幅の場所を見つけたが、それでも2メートルはある。
翔は最後に飛ぶと言う。大友が第一に飛び越え、みんなに勇気を与えた。
出っ張りがもろくなっているので、下級生から先に飛ぶことになった。
ユウちゃんが一番に飛ぶ。向こう側の大友は悪態をつきながらも
ユウちゃんをしっかり受け止めて助けてくれた。
口封じに彼女を殺すのではないかとぬ〜べ〜は後を追う。二人は童守港につくと車から降りた。
「私は明彦さんを愛していた。彼は私の人生だったの。貴方が化け物でも何でもかまわない。
明彦さんの事を知っているのでしょう?教えて、あの人は生きているの?」
涙を浮かべながらそう問う友絵に、玉藻は「明彦は死んだ」と答える。
明彦がいないのならば生きている意味がない。友絵は車に乗り込み事故を起こし自殺しようとする。
玉藻は炎上する車から友絵を助ける。「命を粗末にするな」玉藻はそう言い、明彦の遺品を渡した。
「明彦は山で遭難して死んだ。私は妖狐・玉藻。わけあって彼の姿を借りている。ここに連れてきたのは
その話と、遺品を渡すためだ。魂は、地上に強く思う人がいると成仏できない。
ましてや君が自殺して自縛霊となり地上に残れば彼の魂は永遠に成仏できなくなる。
忘れろ…そして新しい愛を見つけるのだ。それが明彦のためでもある…」
友絵は泣きながら頷いた。陰で隠れて見ていたぬ〜べ〜は現れ玉藻に言う。
「少しは人間の心ってもんが理解できるようになったか?」
「別に…あの女を殺して貴方の怒りを買うより説得して諦めさせた方が良いと判断したのでね。
私は狐です。口先で人を丸め込むのは得意ですから…」玉藻はそう言うが、
ぬ〜べ〜は玉藻が少しずつ人間に近づいてきたのではないかと思った。
落ちてしまった生徒もいたが、大半の生徒が向こう側に飛べたのだ。
残ったのは西さんと翔と咲っぺの3人だけ。
翔はインスタントラーメンをひとかけだけ食べると、西さんの両腕をつかんで振り回した!
無事向こう側に飛んでいった西さん。翔の仲間たちは腕を組み合って、
彼らを助けられるように待っていた。翔は咲っぺと手を取り合ってジャンプ!
どうにか越えることができたのだ!喜び合う翔の仲間たち。
ひたすら急いでスモッグから逃れるために歩き続けた。
そしてとうとう、富士山らしい山の残骸を発見。
大友たちの足跡を辿ってゆくと、空飛ぶ円盤があった!
「富士・大レジャーランド・天国」
そんな看板らしき物が落ちていた。これが女番長の言ってた天国?
円盤の内部に足を踏み入れると、「ようこそ天国へ……」という声と女性の姿が!
………それはマリリン・モンローの本物そっくりに作られた人形だった。
母のおっぱい恋しさに、下級生がその豊満な胸に手を伸ばした。
作り物の皮膚は溶けるように崩れ、機械の内部を醜く露出させて倒れた。
その拍子に故障したのか、その怪力で生徒たちの頭を握りつぶしてゆく。
逃げる翔たちが次に入った部屋は恐竜のいる世界。
壊れた人形が施設のコンピューターを弄り回したせいで、
恐竜たちのロボットも滅茶苦茶に動き回って生徒たちを踏み潰した!
次の洞窟は原始時代。暴走した原始人ロボットたちがみんなを追いかける。
戦国時代を通り抜け、現代の銀座に辿りついた翔たち。
お菓子屋さんの透明なケースに入ったお菓子やジュースを発見して大喜びでスイッチを押す。
「ご自由にお食べください」の言葉もむなしく、ボタンを押しても作動しない。
動力源が切れているのだ。鉄パイプで叩いてみてもびくともしない。
そこに大友側の生徒たちがやってきて先に来たんだから俺たちのだと権利を主張した。
翔側の下級生を殺し、ランドセルから食べ物を奪い取る。まるでけだものだ。
恐ろしくなって逃げ出す翔たちは「未来への入口」と書かれた扉に飛び込んだ。
………ところが、扉の向こうは途中から壊れて、目の前には砂漠がうつるだけ。
絶望のあまり「私たちの未来はどうだって言うの?」と叫ぶ咲っぺ。
すると壁面に残っていた コンピューターが喋りだした。
みんなで一斉に質問するが、ファジーな内容は理解できないようだった。
苛立った生徒に蹴られて本格的に狂ってしまうコンピューターに、翔は最後の質問をする。
「大地震と共に突然砂漠と化した未来へ来てしまったらどうやって元に戻ればいいかっ!?」
『過去に戻る方法、それは時間の壁が破れた場所に戻り、巨大な衝撃力で時間の壁を広げること』
時間の壁が崩れた場所……学校だ!みんなは力尽きて学校に戻る気力もない。
ショックと飢えで死んでしまった生徒に怯え、。みんなで最後の食料を口にした。
翔たちがこれで最後なら、大友たちはもうとっくに食べてしまったのでは…?
その不安は的中した。大友たちが食料をよこせと飛び込んできたのだ。
みんな食べてしまったと言うが、彼らは死んだ仲間を連れて行ってしまう。
「いったい何をする気なんだっ!?」
空腹で途方にくれる翔たちのいる部屋に、肉を焼く臭いがしてきた!
何か食べ物を手に入れたんだ!翔は仲間と様子を見に行く。
キャンプファイヤーのように火をくべて、何かを丸焼きにしている。
大友は焼けた肉片を切り取り、一人の生徒に毒見をさせた。
何も言わず夢中で食べ続ける毒見役の姿に、みんな我先にと肉に飛びついた。
その美味しそうな臭いについ音を立ててしまった翔の仲間はヤリで刺されて倒れてしまう。
「*1匹*やった!!もう*1匹*も逃すなーっ!!」
大友の恐ろしい命令でヤリが飛び、翔のランドセルに突き刺さった。
みんなのもとに駆け戻ると、手に手に武器を構えた仲間たち。
「あの臭いはなんだったの?」
「ブ、ブタ肉の丸焼きだった!あいつら全部食べてしまった!
僕と一緒に行った仲間も殺されてしまった!」
得体の知れない恐ろしさに嘘をつく翔。
先に殺さなきゃ僕らがやられる!あいつらは肉を食って力がついてるんだから!」
やってきた大友側と全面対決となり、醜い争いが始まってしまった。
翔は自分もあの中に加わって同じことをしそうになる衝動を必死に抑えていた…。
木枯らしに消えた雪女の巻
日夜ゆきめはぬ〜べ〜に必死にアプローチするが、
ぬ〜べ〜はゆきめに冷たい態度をとり、リツコにでれでれするばかり。
「鵺野先生…私の事を嫌っているの?私が妖怪だからいけないの?」
ゆきめは手作りのぬ〜べ〜人形を抱きかかえ、自室で泣いた。
するとそこに、一本ダタラが現れた。山の神の使い魔が何故ここに?
「その様子じゃ山へ帰る気はないようだな。ならばいっそ人間になれと山神様はおっしゃった。
雪女が人間になるには、美しい女を氷づけにしてその魂を奪えばいいのさ」
本当に人間になれるの?でも、人を殺すなんて…美しい女…リツコ先生?
ゆきめは陰からリツコを見る。氷の心を失ったゆきめには躊躇いなく人を殺す事はできない。
迷うゆきめに痺れを切らした一本ダタラは、雪を使い、リツコを拉致した。
ゆきめはリツコを下着姿にして、手足の自由を氷で奪った。何故こんな事をするのとリツコは泣く。
「貴方を凍らせて魂を奪うの。そうすれば私…人間になれるのよ。妖怪のままじゃ、
鵺野先生と結ばれないもの…私は先生が好きなの!愛しているの!」
ゆきめもそう言い涙を浮かべる。妖怪である限りぬ〜べ〜は自分を愛してくれないのだ。
一本ダタラは「強い気が近づいてきた邪魔が入らないうち早く殺せ」とゆきめを急かす。
ぬ〜べ〜がゆきめを追ってきたのだ。ゆきめはリツコを殺そうと力をこめる。
しかし、暖かい心を持ってしまったゆきめには出来なかった。ゆきめはリツコに謝る。
「人を殺せば人間になれるなど嘘だ。人を殺せばお前は一人前の雪女として山に連れて帰れたが…
それが出来んようでは貴様は妖怪失格、妖気を枯らして雪に戻せと山の神は言われたのだ」
全てが嘘だと知り、ゆきめはリツコを逃がし、一本ダタラを攻撃する
逃げ出したリツコは、ぬ〜べ〜に助けられる。中は危険だから行くなとリツコはぬ〜べ〜にすがる。
「私…貴方が……鵺野先生の事が…好きです。だから…行かないで…死なないで…」
リツコはぬ〜べ〜に愛を告白する。しかしぬ〜べ〜はそれを喜べなかった。
「でも…俺はゆきめが好きなんだ…命にかえても助けに行く…」ぬ〜べ〜はゆきめの元へ走った。
いつだって ゆきめは俺に対して真剣だった。雪女の掟を破り、
とても耐えられない夏の人間の町でも住み着いた。なのに俺は妖怪だというだけで
ゆきめの気持ちに答えてもやらず…今、やっとわかった。俺はゆきめを愛しているのだ。
ぬ〜べ〜は自分のゆきめへの愛に気づいた。
辿り着くと、ボロボロになったゆきめが氷の壁に磔にされていた。
一本ダタラはぬ〜べ〜を攻撃する。ゆきめはぬ〜べ〜を助けるため力を振り絞り、
一本ダタラを攻撃する。「お前にはもう妖力はないはず!」一本ダタラが叫びながら死んでいく。
その途端、氷でつくられた洞穴は消えた。
「人を愛する心ってのはね…ゼロからでも力を振り絞れるのよ…」
倒れるゆきめをぬ〜べ〜は支え、「やっと自分の気持ちに気づいた。愛している」と言った。
「ああ うれしい…私…幸せです。でも私…もう…妖力を使い果たして…」
ゆきめの体は雪となって消えていった。その場にいた郷子は泣き出す。広はそれを支える。
「ゆきめさん…本当に死んじゃったのか……?」リツコも泣きながら答える。
「彼女は…雪に戻ったのよ…きっとまたどこかの山に降ってそこで生まれ変わるのよ…
きっと…どこかの山で…」
ユウちゃんは泣いていた。本当のパパとママじゃなきゃいやだと泣き叫ぶユウ。
泣き出す咲っぺに、涙で顔をぐしゃぐしゃにしながら「泣くな!」と叫ぶ翔。
「ふん!!仲のいいこった!!まるで夫婦気取りじゃないかっ!!」
大友が現れ、前からそのイチャイチャしたところが気に入らないと言う。
「その女をこっちへよこせっ!!」
「お前たち、人の肉を食ったなっ!!」
お互いに手にしたヤリで戦いだし、お互いフラフラになりながらもやめようとしない。
咲っぺの必死の願いも二人には届かないのか……?
「翔……」
「お母さんっ!!」
再び西さんが母の声で語りだす。
「お前の声がさっきからずっと聞こえているのですよ…。
学校のある場所が一番こことそことが近いということじゃなかったの…」
自分の声はどうやって伝わるのかと訊ねる母。西さんの口を通じてだと答える翔。
「すごいことを思いついた!その時は合図するからお母さんも協力してくださいっ!
できれば日本中の人に協力してもらってくださいっ!!」
それまで西さんの力を溜めておきたいと言う翔。
母に挨拶をして、学校へ戻るべくみんなのもとによろよろと向かう…。
怪我だらけで苦しむみんなに「学校へ戻って、もとの世界へ帰ろう」と言うが、
みんなはこの場所を離れないで、ここを自分の物にするんだと言い張る。
「何の肉でもいいから食いたい……」
1人の生徒が誰かの手の肉を見つけるが、翔はそれを奪い取った!
「ふん、バカどもはここにいろ!僕は学校へ戻ってもとの世界へ帰るぞ!
噂通りにこの世界に来てしまったのは自分のせいだと暴露する翔。
だからみんなのために一生懸命やっていたが、もういいやと学校へ向かう翔。
みんなは怒りをパワーに変えて、翔を殺してあいつの肉を食ってしまえと追いかけてくる。
翔は西さんを抱え、ひたすら学校まで歩き続けた。スモッグはもうないようだ。
ひび割れにぶつからないように回り道をして、ようやく学校に辿りついた。
力尽きてよろけた翔に、大友たちが襲い掛かる。
「待ってくれ!僕がダイナマイトを仕掛けた犯人だと告白したのは、
みんなを怒らせてここまで連れてくるためだった!」
「黙れ卑怯者ーっ!!今さら何を言う!!死ねーっ!!」
大友のヤリが翔の腕に突き刺さる。が、大友の仲間はふらふらで手元が狂ってはずしてしまう。
「みんな聞いてくれ、もとの世界に返りたくないのかっ!?
僕はみんなを怒らせてここまで連れてくるのが目的だった!そしてみんなは学校へ帰ってきた!
ダイナマイトを仕掛けたのは、本当は僕じゃないんだ!!」
大友はみんなに早くこいつを刺せと叫んでいる。
「学校がもといた世界に一番近いのはコンピューターでわかった、
ここで少しでも早く強いショックを起こせば、帰れるんだ!
でも僕はダイナマイトの作り方を知らない!僕が犯人ならよかったんだけど…」
「みんな、騙されるな!帰れる保証なんてあるか!」翔の腕からヤリを引き抜く大友。
翔は西さんの不思議な力について説明する。
声が届くくらいだから、物質だって届くはずとの言葉にみんなは動揺する。
「西さんはいつも別の世界に行きたいと考えていた、その精神の集中力のせいだ!」
「黙れっ、騙されるなっ!みんなでやっつけてしまえっ!いくぞみんな!!」
先陣を切ったはずの大友が、仲間たちを妨害して翔を守った!
「やめろーっ!!」翔の前に両腕を広げて、翔をかばう大友。
「やめろみんなっ!!犯人は僕だーーーーっ!!」
今まで毎日がとても苦しかったと泣きながら懺悔する大友。罪の意識から逃れることができず、
翔に罪をなすりつけてしまった。心が痛めば痛むほど翔に冷たくあたってしまっていた。
クラス委員で成績優秀でいなければならない重圧に耐えられなかったのだ。
学校なんかなくなってしまえばいいと思ってダイナマイトを仕掛けたが、
職員室はバラバラにならなかった、だから今度こそと思ってもう一つ用意していたのだと
ランドセルからダイナマイトを取り出す大友。
「大友くん!そのダイナマイトは上手く爆発させることができるのかっ!?」
「もちろん、今度こそは!!」
今までのことを心から詫び、力を合わせてゆこうと硬い握手を交わす2人。
まわりの生徒も泣きながら歓声を上げた。
咲っぺやユウちゃんも翔を信じて学校まで戻ってきてくれた――。
みんなでグラウンドに輪になって手を繋ぎあう。
「ダイナマイトに火がついたら、みんなで一斉に元の世界に帰りたいと願うんだ、
怪虫に襲われた時、イスになるようにと思ったのと同じように!
そうすればきっと元の世界に帰れるんだ!」
一緒に連れて帰るんだと、ユウちゃんが三輪車を輪の中央に転がして手を繋ぎなおした。
「これから始めますよ!僕たち、全員で帰ろうと心で強く祈ります!
どうかお母さんも僕たちが帰るようにと心で強く思ってください!
日本中の人にも僕たちが帰るようにと思うようにお願いしてくださいっ!!」
「わかりました………」西さんを通じて母の声が聞こえてくる。
ダイナマイトに火がついた――!
ETVテレビ局では、歌番組の生放送の最中だった。
人気グループエンジェル4の歌が終わり、
司会者がエンジェル4と馴染みの深いふるさとの人を紹介し始める。
翔の母が司会者のマイクを奪い取り、日本中、世界中の人々に
大和小学校の子供たちが帰るように心で強く念じて欲しいと呼びかけた。
テレビ局は大騒ぎ、母はスタッフに取り押さえられる。
ラーメン屋で放送を見ていた子供たちは不思議に思いながらもやってみることにした…。
ダイナマイトが爆発した!が、地面に穴があいただけで、実験は失敗だった。
ところが、ユウちゃんの三輪車だけが消えてゆき、とうとうどこにもなくなってしまった。
失敗を不思議がる翔たち。西さんは苦しそうにうなされている。
遠くで火山の噴火が始まった!ダイナマイトの爆発が火山活動を誘発したのだろう。
火山帯が学校の下を通っていれば学校ごと吹き飛ばされる危険もある。
咲っぺがいない!彼女のいた場所には、ノートを引きちぎった置手紙があった。
『さようなら。翔ちゃん、それから学校のみなさん。元の世界へ帰れなかったのは私のせいです』
咲っぺは翔が好きだった。お互い好き合ってると思い込んでいた。
でも翔は西さんが好きなのだとわかってしまった。だから自分は帰りたくなかった。
ここにいればユウちゃんのパパとママでいられるから。
自分の心がみんなの心を邪魔したから帰れなかった、だからさようなら。
追おうとする翔を引きとめ、大友が駆け出した!「僕に心当たりがある!」
雨の降る中、翔の母は憔悴していた。
ひたすら翔のことを思い続け、引き寄せようとしているのだ。
玄関先で音がする。もしやと思い走ってゆくと、三輪車が玄関に置いてあった。
捨てられた物だろうと父は言うが、この雨にも濡れてないから、
翔の帰ってくる前触れに違いないと主張した。
翌朝、ちゃんと玄関に三輪車が置いてあった。
翔が帰ってくる印だからとここに置いておく事にしたのだ。
大和小学校関連のニュースに、慌ててテレビの前に座る。
小学校に事件前夜忍び込んで教師たちの現金袋を盗んだ泥棒が、
翌日逃走しようとして爆発に巻き込まれたのだが、
奇妙なことに右腕と右顔半分が失われていた。……いや、失われてるように見えたのだ。
彼にとってはちゃんと右手の先は存在し、石をつかむ事だってできる。
顔半分欠けてしまえば普通は生きていられない、自分の手と顔は砂漠に存在しているのだと…。
「あっ、女の子がやってきたーっ!おーいっ!!」
泣きながら砂漠を走る咲っぺ。大友が追ってくるがかまわずに走る。
絶壁から飛び降りようとして、体当たりで止められてしまった。
「きっと君は公園の跡へ来ると思った。君は何かあるとよくここに来ていたから」
泣き出す咲っぺにどこにも行かないでくれと懇願する大友。
「おれ、き、きみが前から……好きだったんだっ!!」
いろんな感情が混ざり合って余計に泣き出してしまう咲っぺ。
「高松くんのことすぐには忘れられないだろうけど……
おれのことあまり好きじゃないかもしれないけど……
おれのこと好いてくれなくても、おれはきみのこと、ずっと好きでいるよ」
2人、崖の上に横たわり、砂漠を見つめている。涙はもう枯れ果てた。
と、ゴーという音を聞きつけ、例の地割れの場所に行ってみると、
「水だーっ!!地下水だーっ!!さっきの火山の爆発で出てきたんだーっ!!」
「風も出てきたわ!」
よみがえり始めた自然に、手を取り合って喜ぶ二人。
みんなに知らせようと走る咲っぺは何かに躓く。大和小学校の生徒の死体だった。
せめて埋めてあげようとよく見たら、身体から草の芽が出てきていた。
「みんなで分けた草の種が、死体の養分を吸って芽を出したんだっ!!」
「みんなの死は……無駄じゃ…無駄じゃなかったのねっ!!」
優しく土をかけて大きく育つことを祈る二人。
学校へ戻り、みんなにこのすばらしい奇跡を伝えると、学校の畑にもキュウリやマメがなってるとのこと。
みんなは喜ぶが、ユウちゃんは早く帰りたいと泣き続けている。
今度は火山の力を利用して挑戦しようとする。
そん彼らを遠くから見つめる男がいた。関谷だ。
「失敗しろ、バカめが!!」
いくらやっても上手くいかない。みんなも焦り始めている。
翔が思いもかけないことを言い始めた。
「僕たちは今まで狭い範囲で判断していたのじゃないだろうか?
僕たちは選ばれた人間なんだ!世界では何かが起きてみんな滅茶苦茶になってしまった!
そして生きているのは僕たちだけだ!
僕たちは何かの手により未来にまかれた種なのだ!!」
「そうだ!!」大友が同意する。
「僕たちのしてきたことが、少しずつでもこの世界を変えてきた!
もっと考えてもっと行動すればもっともっと変わると思う!!」
学校の中には緑が一杯だ。逃がしてやった小鳥たちも帰ってきた。
……突然上空からロケットが降りてきて着陸した。
宇宙人かと警戒して近寄るが、何も出てこない。
用心深くタラップを登ると、そこには一通の手紙があった!
「高松翔さまへ………お母さんからだっ!!」
「な、なんだって!?」
手紙は確かに母の字だった。泣きながら声に出して読む翔。
「ロケットにはあなたたちに必要な物が濃縮したりしてすべて入っています。
人工衛星があなたたちをキャッチしたらロケットが降りていきます。
あまり長い手紙は書くことができません。ロケットの重量限度ギリギリにいろんな物を積むからです。
でも、紙の裏表にびっしり書きます。他の人のお家の方もみんなお元気です」
感極まって泣き出す翔。
「このロケットは、元の世界から僕たちに送られた物だ!僕たちはこの世界で生きていくんだ!!」
「いやだ!!」
ユウちゃんだ。パパやママのところに帰りたいと泣き出すユウ。
元の世界はやがてこんな風になる、そんな恐ろしいことを体験するよりここにいる方がいい。
そう説得してもわかってはもらえない。
「ウソつき!」翔を責めるユウ。
「みんな!ユウちゃんだけは、なんとしても帰そう!!ユウちゃんはまだ子供なんだ!
たとえどんなことになってもパパやママの側がいいんだ!!」
「うん!!」
みんな集まって輪になり始める。咲っぺが言う。
「ユウちゃん!おねえちゃんのこと、きっといつまでも忘れないでね」
「うん!本当のママのところに帰っても忘れないよ!」
みんなの言葉を受けて、ユウは約束する。
「うんとお勉強して偉くなって……きっとこんな世界にならないようにする!!」
我猛がそれを聞いて興奮した。
「もしユウちゃんが元の世界に戻り、元の世界を変えたとしたら、
僕たちの目の前からユウちゃんが消えてしまったその瞬間に、この世界が変わるかもしれない!!
そうか!僕たちが未来へ来たのは振動のせいだ!光より速い振動を起こせば過去に戻れるぞ!
僕、きっとタイムマシーンを発明して、君に会いに行くからね!」
翔はユウちゃんに、元の世界に戻ったらお母さんに渡して欲しいと今までつけていた日記を託す。
みんなが祈り始めたその時、俺が帰るんだと関谷が乱入してきた!
ナイフを持った関谷がユウに近付く。
……と、ユウのランドセルの中に隠れていた泥棒の右手と顔半分が関谷に飛び掛った!
関谷の首を絞め、絶命したのを確認してから、手と顔はもう一度輪の中に戻り、
ユウと共に現代へ帰っていった……。
そして現代。泥棒男の手と顔が元に戻っていた。関谷との乱闘で手に傷は負ってはいたが。
玄関の人の気配に、翔の母は慌てて迎えに行くと、そこにはユウがいた。
「おにいちゃんから預かってきたの」とノートを託すと、置いてあった自分の三輪車をこいで帰って行った。
「翔のノート……翔の字だわ!!」
玄関先で泣きながらノートを見つめる母………。
ユウは疲れ果てながらも、自分で三輪車を転がしてゆっくり家に向かっていった…。
来る日も来る日も、母はひたすら玄関先で翔の帰りを待った。
もしドアを開けて「ただいま」と帰ってきたら「おかえり」と言って迎えてやりたくて。
もう帰らないと知りつつも……。
月日は流れてゆく。
母は何度も何度も繰り返し翔の日記を読み返していた。
翔が怪虫と戦っているところを読んで、
「あんなに頼りないと思っていたのにこんなに頑張れるなんて」と感心する。
でも母には一つだけわからない文章があった。
「一番最後の走り書きの【お母さん、空からの贈り物ありがとう】ってなんのことかしら…?」
母にアメリカから電話がかかってきた。翔にあてた瓶詰めの手紙がアメリカ太平洋岸で見つかったという。
その手紙を読んで非常に感激された科学者からだった。
「いいえ、私英語はできません。なんですって?私に会いたいですって?」
一体どういう用件だろう。でもその人はわざわざ日本まで会いに来てくれるのだ。
窓から星空を見上げ語らう高松夫婦。
「よかった。少しでも未来に望みを繋ぐ糸口ができたんだ」
「ええ!私、もうくよくよせずに未来にいる翔のため頑張るわ、もっと…。
たとえ誰もが信じなくても…翔は未来で立派に生きている!
ここにいなくても、未来にちゃんといる!」
その時、夜空を翔たちが元気よく駆けてゆくのを母は見たような気がした――。
長々と駄文にお付き合いいただきありがとうございました。
誤字や誤変換などのミスもたくさんあるかと思います…スマソ
時間作って修正版をどこかにウプするかもしれませんので、
まとめサイトの方、その時は何とぞよろしくです。
ぬ〜べ〜の方にことごとくぶつかってごめんなさい_| ̄|○
あなたの紹介が終わったら、全巻揃えて読んでみたいと思いました。
いやあ、あなたすごいよ。マジで。お疲れです。
漂流教室一度読んでみたいと思いつつも
何となく手が伸びなかったので、大感謝っす。
。・゜゜・(`Д´)・゜゜・。うわぁぁぁぁん!!
映画もドラマも嘘っぱちやあ!!サバイバルSF超大作じゃないかああ!!
お父さんは心配性でやってた時空移動ネタはこれのパロだったのか・・・
やるなあーみん
漂流教室必死だな・・・じゃなくてご苦労さん
こんな怖い作品が少年サンデーに連載されてたのか…
トラウマものじゃないかと。・゚・(ノД`)・゚・。
ぬ〜べ〜、確かレギュラーキャラがあと少しいたでしょ?
帽子かぶった不良っぽい奴と幼い感じの男の子とのろちゃんとかいう
おとなしい女の子と金持ちの息子。
ストーリーに深く関わってないけど、軽く紹介を入れてくれないかな。
どんな初登場の仕方したのかとか。
最終回近くしか読んでなかったから、その辺知らなくて。
漂流教室の人乙。
洗礼(楳図かずお)
わたしは真悟(楳図かずお)
コブラ(寺沢武一)
ふたり鷹(新谷かおる)
お願いします。
まとめサイトの画像が綺麗ですね。
「同じ月を見ている」をお願いいたします。
とても心に響く作品と聞いております。
キャラの心の機微を中心にじっくりとよろしくなのです。
自分もいくつか書けそうなのがありますが、
時間がないので予約は入れません。
いつかこっそり投入します。
“片キバ”船長の船と共に、湾曲空間内へ攻めこんだゲン。デニーとレニーが保持していた
リプミラの記憶を込めた特殊弾は2発のみ。これをリプミラに当てる以外、記憶を戻す方法は無い。
だが、伝承族の暗示によってゲンを憎むよう仕向けられたリプミラには隙が無い。戦っているうちに
ゲンとリプミラは惑星の深部へと転がり落ちていった。
そこで二人が見たものは、地底の谷を埋め尽くす無数のリープタイプ船。
5万年前に処分されたはずのリープタイプ…だが“彼女たち”はまだ生きていた。生贄砲のために
時間をかけて苦しめられながら、処分され続けていたのだった。
これこそがニードル・コレクションの行動原理。孤高を気取るかのような彼女たは
姉妹船の自由を勝ち取るために、あえて暗殺者に身を落としていたのだ。
この処刑場から抜け出すため、共闘を余儀なくされるリプミラ。だが、ゲンと二人で戦っていくうち
リプミラは違和感を覚える。ゲンの行動は、リプミラに対してあまりに無防備だった。
リプミラを無条件に信頼するゲンの振舞いと、自分の中の“記憶”の矛盾に苦しむリプミラ。
ゲンを殺さず立ち去ろうとするリプミラに、ゲンは記憶弾を装填した銃を向ける。
「信じてくれ、リプミラ。この中にあるのは間違い無くほんとうのお前の記憶だ!」
「その記憶とやらのほうが作り事でないとどうして言える?私は…誰も信じてはいない」
地底の洞窟に銃声が響く。
やがて、地底処刑場の最奥部、全てのリープタイプの母“ファースト・ボーン”の眠る広間で待つ
ニードル・コレクションの前に、ゲンを引きずったリプミラが姿を現した。スガラは勝利を確信する。
だが、彼女たちが気を許した瞬間、リプミラと、死んだふりをしていたゲンは反撃に移る。
ゲンの説得は成功していたのだ。
時を同じくして、シアンとリムが、光破船団の力で銀河障壁を突破し、この星に駆けつけてきた。
そして、もう二人…リープタイプの工場でもある“ファースト・ボーン”を介して生まれた
ダインとレインの記憶を受け継ぐリープタイプ「デニー」と「レニー」が戦列に加わる。
“5人の幽霊船”姉妹VSニードル・コレクション。いま、決着の戦いが幕を開ける。
ニードル・コレクションは、非常時の切り札として、伝承族の遺伝子入りカプセルを与えられていた。
ラドウのように綿密に調整されていない以上、そんなものを投与すれば暴走して自壊する。
しかし、自壊するまでの短時間、攻撃能力は格段に跳ね上がるという最強最悪の武器。
だが、彼女たちは自ら遺伝子カプセルを放棄する。彼女たちの目的はあくまでリープタイプの開放。
リプミラがそれを任せるに足るものか、見極めようというのがこの戦いの目的なのだ。
だが、決着は意外にあっさりと着いた。リプミラたちの圧勝である。ゲンとリプミラの固い絆を目の前にして
己の信念を揺らがされていたニードル・コレクションに勝機は無かった。
リプミラとニードル・コレクションは、そのまま共闘してリープ・タイプの救出に動く。
今やギツアートは、自分が追い詰められた事を知った。この大乱闘が、伝承族評議会に気付かれぬはずは無い。
反乱軍に肩入れしていたことがばれて、粛清されるのは時間の問題だ。
なりふり構わず襲い掛かるギツアートだが、リムがその攻撃を反転させてたたき返し、リプミラがそこへ切りこむ。
敗れたギツアートは、湾曲空間と共に消滅し、そして…リープタイプは開放された。
開放を喜ぶ10万機の翼と、その奇跡を成し遂げたゲンとリプミラの絆を間近に見て、オルシスは一つの決断を下す。
すなわち、自分たちビメイダー反乱軍が「第八の軍団」を名乗って銀河同盟軍に加わること。
たとえ、今すぐに人間とビメイダーの和が成らずとも、そのための時間を作ることに意味はあるのだ。
参戦宣言の中で、オルシスは銀河中のビメイダーに呼びかける。
「自然発生人が、我らを“見えぬ”と言うなら、この戦いでまぶたに焼き付けてやろう。
我らに“心”があることを──賭ける“命”があることを、教えてやろうではないか!」
今まで備品扱いされ、総じて士気の低かったビメイダーたちは、この言葉に歓喜した。
各軍に、自然発生人の3倍は配備されているビメイダーがこうして奮起することで生まれる誤差が
一軍団の加勢に勝る戦力増強であることに気付いた者はまだ……少なかった。
伝承族から開放されたリープタイプは、銀河同盟軍の戦列に加わることになった。
だが、リープタイプの母である“ファースト・ボーン”は、長い幽閉にもかかわらず伝承族への忠誠を示し
「伝承族の真の目的は、銀河全ての命より尊いものだ」というメッセージを残して自爆する。
その直前、ファースト・ボーンから与えられた情報によって、ゲンは“さまよえる星人”の真相を知った。
“星人”は一つの民族ではなく、旅を愛し宇宙を放浪する、雑多な民族の集団だったのだ。
ではなぜ、“星人”や、その子孫であるゲンには銀河障壁が効かないのか?考えた末に
リプミラがひとつの解答を見出す。“星人”の真の力とは「自由な心」そのものに他ならないと。
常に旅に身を置き、全てを己が心でありのまま捉えるがゆえに、“星人”は、固定観念への暗示である
銀河障壁を無視できる。その自由さゆえに、“星人”は境を越え、どこへでも行けるのだ。
自分に与えられた無限の旅路を知った上で、しかしゲンは、今は“片キバ”船長と、銀河外宇宙に別れを告げ
銀河を救うために戻ることをあらためて決意する。
そして、一行は銀河同盟軍と合流を果たし、地球へ帰還する。伝承族の開戦予告日の三日前。
だが、ゲンの目の前で、突然現れた大きな手が、地球を掴みあげた。
伝承族の長“神帝”ブゥアーが、己の予告を早めて攻撃を開始したのだ。
そのころ地球では、ゲンの帰りを待っていた星見の前に、伝承族反乱軍のガタリオンが姿を現していた。
彼の背後に控えるのは、無数の“ラドウ”…先の会戦で敗れたかに見えたラドウは、その崩壊の間際に
大量のコピーを地球上にばらまいていた。ガタリオンたち伝承族反乱軍も、最初から地球に潜んでいた。
生贄砲発動の瞬間に、もっともブゥアーに接近できる場所である、この地球で!
惑星を手玉に取るほど巨大なブゥアー、無数のラドウを戦力として擁するガタリオン。
数百億の艦隊すら霞むこれらの敵を倒さない限り、銀河はきょう消滅することになる。
───ついに、最終決戦のときが来た!
神那木琉花(かんなぎ・るか)はごく普通の女子高生。
内気で男の子と話すのも苦手なルカは、17年間付き合ったこともない。
そんなルカを見かねた親友の奈美は、ある男の子を紹介してくれる。
彼の名は、天文部の柿沢。
文化祭の時に喋ったことのある男の子だった。
だが、内気なルカは告白も最後まで聞かずに逃げ出してしまう。
それを知った奈美は、バレンタインを利用して挽回しようとチョコを買いにルカと街に出た。
奈美が会計を済ましている時に、ルカは怪しげな露店を見つける。
‘幸福の夢を運ぶ魔法石’を売っているという。
その石を持っていると不思議な夢を見るとルカの学校でも噂になっていた。
女の子達が面白がって買おうとするのを見て、ルカは無意識に「だめ」と呟いていた。
だが、次の瞬間には自分が何をしていたかも忘れ、奈美と共に帰っていった。
次の日、三日も学校を休んでいたクラスメイトの真帆が久々に出て来ていた。
事情を聞く奈美達に、真帆は、夢の王子様の話しをする。
皆にもあげると取り出したネックレスはあの露店のものだった−。
その頃、ルカはチョコを渡す為に柿沢を待ち伏せをしていた。
だが、声をかける前に、後輩の女の子が彼にチョコを渡しているのを見てしまう。
柿沢はルカにはフラれたと思っていて、後輩からのチョコを受け取った。
「ありがとう。今はこれしか言えないけどほんとに嬉しい…」
ルカは、ショックを隠し切れない。
告白が嫌だった訳でも恥ずかしかった訳でもなかった。
ただ、自分の気持ちが見付からなくて、
何て言ったらいいのか分からなくて逃げてしまったのだ。
柿沢の言葉を浮かべながら、あんな風に言えばよかったんだ…
と後悔するのだった。
だが、悲しんでばかりもいられなかった。
ルカの周りで何人もの女の子が原因不明で倒れ出したのだ。
その中には、奈美の姿も。
女の子達は皆、あのネックレスをしていた。
それを見たルカは街に出て露店を探した。
きっとあのネックレスがカギを握っている筈だと信じて。
けれどそこには誰もいない。
「これを探してるの?」
不意に声をかけられ振り向くと、ネックレスを持った真帆がいた。
ルカは事情を聞こうとしたが、真帆は多くを語らず、その場で寝てしまう。
恐る恐る真帆の持つネックレスに触れてみた。
すると夢の中に現れたのは美しい男。
この人が王子様?
だが、ルカは他の皆のようには騙されなかった。
王子様は男ではなく、女だと見破り、一連の事件はこの女がもたらしたものと気付く。
皆を元に戻してと頼むが、女は応じず怪しげな怪獣を差し向けてきた。
夢の筈が、逃げ回ると疲れも、転ぶと痛みも感じる。
遂に怪獣に追い付かれ、絶体絶命かと思われたその時
ルカは助けを求め無意識に「エリュシオン!」と叫んでいた。
すると、まばゆい光と共に怪獣は砕かれた。
「そうだったのか。見つけていたわけか 私はとうに。
しかも…カケラなどではなくまさかこんな こんな完全な形できさまが蘇っていようとは…な…女王…」
不可解な言葉を残し、女もまた朽ち果てた。
怪獣と女が砕け散った後、ルカには不思議と奈美達の無事が感じられた。
しかしルカだけは異世界から帰ることは出来なかった…
ルカは森の中をさ迷っていた。
そこへ現れた双子の兄弟ノアとティト。
彼らは女に追われているという。
この世界では男は女の奴隷で、彼らは狩りの獲物だった。
ルカは双子を追って来た女戦士ジーラとネストラに嘘を教えて彼らをかくまった。
逃げ切れたかと思ったが、追っ手はもう一人いた。
タニアという女戦士はノアに深手を負わせた。
それを見たルカは助けてあげてとタニアに懇願する。
タニアは自分の剣を投げ、それで自分にひと太刀でも触れられれば双子を譲ると宣言。
勝負が始まるが、剣が鞘から抜けない為に苦戦する。
実はタニアの剣は本人にしか抜けないものだった。
それを聞いたルカはわざと深手を負って剣を手放した。
タニアはその剣を拾うと鞘から抜き、とどめを刺そうと詰め寄る。
まんまとタニアに剣を抜かせたルカは一瞬の隙を逃さず、剣を奪回しタニアに矛先を突き付けた。
勝負はついた。けれどタニアは剣に向かって呪文を唱え出した。
ルカの首を切れと命令する。
しかし、剣は命令を聞かずにびくとも動かない。
ルカに前女王アリステアを重ね見たタニアは恐れを成してそのまま逃げ出した。
聖剣はルカを新しい主人に選んだのだった。
ルカはノアとティトと共に元の世界に帰るべく動き始める。
とは言ってもアテもない為、とりあえず服や宿を求めて街へ出ようということに。
街では当然のごとく女は主人で男は奴隷として存在していた。
ルカは「ヴァルキュリア=戦士」になりたいと剣の練習をする女の子に出会う。
戦士とは天馬を駆って敵と戦う正義の味方だという。
前の女王が裏切り者で仲間の男奴隷と一緒に処刑されたが何故か結晶が残らなかった。
次の女王は前女王の心臓の結晶を手に入れないと即位できず、
その為未だに決まらず国中が混乱していると少女は語る。
そんな中、陰からルカを見つめる怪しい人影が…
奴隷の競りに出ていたその男はライナス。一際目を引く美形。
次の女王の呼び声高いリーリア姫の使いの者だが、周囲の者は知る由もない。
ルカ達が洋服や宿を調達しようとして揉めていると、ライナスは競りから逃げ出し、ルカ達の前に現れた。
そこに盗賊団とネストラ、ジーラ達も現れ大混乱。
ネストラはルカを助け、何かトラブルがあった時は自分の名を使っていいと告げる。
そしてルカは、ノア達が止めるのも聞かずに聖剣を売り払い、隣町へと足を進めた。
隣町ではルカ達は占いをしに来ていた。
故郷への帰り道を聞くルカにオババは西の都へ行けと告げる。
本当はルカにとって西は災いの場所だった…
オババは一足早くやって来ていたライナスから脅されて、西へ行くよう嘘をついたのだ。
罠とは知らずに王都シュタールへやって来た三人だったが、通行証がないと入れてもらえないといわれる。
困り果てたその時、ライナスが通行証を持って現れる。
一緒に入れてやるから主人のフリをしてくれと言うライナスに押し切られて遂に都の中へ…
ライナスはわざと人目につく行動をしてルカを陥れる。
最初の町にいた奴隷商人がそこにいたのだ。
琉花は脱走した奴隷を泥棒した罪で牢獄へ入れられてしまう…
ノア達は、ネストラの名を使っていいと言われたのを思い出して門番に告げる。
しかし、ネストラは不在で、代わりにやって来たのはあのタニアだった。
怯えるルカに、タニアは逃がしてやると持ち掛ける。
ノア達を置いて一人だけ逃げられないと拒否するも、
双子は後で逃がすと丸め込まれてしまう。
後ろ髪引かれながらも、ありがとうと言い出ていったルカに高笑いするタニア。
泥棒だけなら祭礼の時期で罰金だけの特赦もあったのに脱獄は見つかれば殺されてしまうのだ。
そうとは知らないルカは逃げる途中にリーリアに出会う。
どことなくリーリアは奈美に似ていて親近感を覚えるルカだったが、
脱獄犯が捕まらない場合は奴隷が代理処刑されると聞いて引き返す。
処刑場では双子が張り付けられていた。
そこに死刑囚達が入門し、ルカも現れた。
驚く双子とネストラ、ジーラ。
死刑囚達は最終試合と呼ばれる試合に勝つと無罪放免になるという。
訳も分からないルカに世話を焼いてくれる女がいた。
子供の為にも絶対に生きて帰るという彼女とルカも武器を選ぶ。
そこには売り払ってしまったあの聖剣が!
ルカはそれを手にする。
「執行者」という名の巨大怪物が現れ、あっという間に仲間がやられていく。
ルカは皆で協力して倒そうと作戦を立てる。
作戦は見事成功し、怪物はカケラになった。
喜びを分かち合おうと仲間の元へ走るルカだったが、優しくしてくれた女に刺されてしまう。
「ごめんよ。けど言わなかったっけ?生きてここから出られるのはたった一人…」
無罪放免になる勝者は一人だけだったのだ…
見ると残ってた仲間も既に殺されていた。
ルカにとどめを刺そうとしたその時、女は砕け散った。
ルカの持つ聖剣が女を刺し殺していた…
「勝者ルカ!!」
割れんばかりの歓声の中、勝利を告げる声がもの悲しく響いた。
『クリスタル・ドラゴン』(著・あしべ ゆうほ)は、主人公が仲間やアイテムを集め、
それなりの力を得て敵を倒す…ことになるんだろーなーと思われる物語です。
大雑把にまとめただけだし文才もないので、わかりにくい所もあるでしょうがご容赦を。
先に、説明すると長くなる事や、知っていたら話がわかりやすいかも?と思う事を書いておきます。
〈クリスタル・ドラゴン〉
伝説の竜。 水晶宮に住んでいる。
〈エリン〉
アイルランドの古名。 アリアンロッドの故郷。 住民はケルト人であり、金髪碧眼が多い。
〈アリアンロッド〉
主人公。 名は『銀の車輪』の意。 魔法使いの弟子。 気が強く大雑把な性格。
黒髪で、取り替えっ子と言われながら育つ。
(黒髪の者は、本来妖精郷に生まれるべきであったが、妖精と取り替わって人間に生まれたのだとされている)
〈サークレット〉
リング状の装飾品。 額を横断するように頭につける。 ドワーフの作品には不思議な品が多い。
アリアンロッドのサークレットは聖なる力を持っており、時々形が替わる。 アリアンの力を引き出すための道具。
〈真実の名〉
通り名とは別のもの。 その人間(精霊なども)の本質であり、それを知れば支配することもできる。
〈クラーナ〉
一族のこと。 大抵は一つの一族が一つの村を作っている。 族長(リー)が治めている。
族長を束ねるのは上王(アード・リー)で、エリンには7人の上王がいる。
アリアンロッドのクラーナはグリアナン・クラーナ(緑の原の一族)
〈邪眼のバラー〉
ドームニュー・ガワン・クラーナ(深淵の谷の一族)の族長。
姉である魔法使い・エラータの魔力により、邪悪な闇の神と契約を交わして一族を支配している。
右目は邪眼、普段は眼帯で隠しているが、はずすことで闇の神と入れ替わる。 アリアンロッドとは古の同族。
説明すると長くなる事や、知っていたら話がわかりやすいかも?と思う事2です。
〈ヘンルーダ〉
グリアナン・クラーナの族長の娘。 気が強くしっかり者。
〈杖なき魔法使い〉
古い予言の詩に出てくる人物。
古き砦に闇が巣くう時 杖なき魔法使いが現れる
杖なき者は魔法を持たず 闇は嵐を呼ぶだろう
杖なき魔法使いは杖を求め 天と地との境 水晶宮への道をたどる
黄昏の地にて杖を取りし者は 闇が光掲げて己を広げし様を見るだろう
光が闇の翼に包まれているのを知るだろう
〈グリフィス〉
バラーの側近。 頑固で義に厚く、信頼できる人物。
子供の頃バラーに助けられた事があり、以来バラーに忠誠を誓っている。
アリアンロッドの敵でありながら、なぜかいつも手助けをしてしまう。
実はアリアン・サイドに立つべき人物であったらしい。
〈狂戦士(ベルセルク)ソリル〉
『百の傷のソリル』と呼ばれている屈強な大男。 陽気で女好き。 中々の策士でもある。
ヴァイキングの村の次期族長。 現族長の息子が病弱であるため養子となった。
ローマで剣闘士として戦っていたこともあるが、貴族に不敬を働き船奴隷として売られた。
アリアンロッドの乗った船にいたが、仲間のヴァイキングに助けられ・・以下あらすじで。
〈北欧〉
アリアンロッドの国はケルト神話の世界。 ソリルの国は北欧神話の世界。
国が違えば言葉も神話も違う。
例えば『女魔法使い』はドルイダス(ケルト)→セイズコナ(北欧)
〈盾の乙女〉
スカルメールまたはワルキューレ。 男達と共に戦う戦乙女のこと。
男達の士気を鼓舞し、瀕死の戦士の魂をワルハラ(天国みたいな所)に送るのが主な役目。
漂流教室凄いな…。
こないだ週刊ポストで紹介されてたけど
こんな話だとは思わなかったよ。
希望が持てるエンドってのがいいね。
ぬ〜べ〜、鬼の手にあんな壮絶な設定があったとは。
両人とも、乙!
ルカが負った傷も深く、それから二日も眠ったままだった。
目を覚ますとネストラの城に運んでくれたという。
おまえはもう自由の身だと言われて泣き出すルカ。
それはつまりあの人達の誰ひとりも助からなかったということ。
そして名前さえ聞かなかったあの女の人を自分が殺してしまったということ…
深い悲しみに暮れるルカを乱暴ながら慰めるネストラ。
そこへ、ジーラが宮廷からの勅令を預かってやってきた。
ルカに出廷命令が下された。
意図しないところでルカが英雄並に人気を博すようになった為
リーリアとライナスがまた何かを企てていた。
ネストラに案内されながらルカは色んなことを聞く。
女王は不在だが、大公殿下(リーリア)がほぼ王位についていること。
昔から女王が亡くなる時には後継者に心臓のカケラを残していったものだが、
アリステアの結晶は砕け散りそのままどこかへ消え去ってしまったこと。
それを求めて凄まじい血が流されたこと−
ネストラは、掟など破ってしまえばいいと言う。
血を流さずにすむならカケラなどなくともと。
ルカはそれを聞き気持ちを新たにする。
過去を悔やんでも取り返せないのなら悔やまない未来を築いていけばいい−
謁見室に入ると、そこにはあのリーリアがいた。
リーリアはルカの罪は冤罪だったと言う。
かくして奴隷商人が捕らえられルカは本当の無罪に。
自分の奴隷の気まぐれで迷惑をかけたと詫びを兼ねて褒美を受けとれと言われる。
悩むルカだったがリーリアから友情の証にと互いの宝物を交換しようと持ち掛けられる。
それはライナスと双子の交換だった。
断ろうにもリーリアに早々に出て行かれ、ルカはとりあえずネストラ城に帰って来た。
ネストラはそれを聞き解せないと言う。
リーリアがライナスを手放すとは考えられないと。
国が荒れていた頃、事実上の実力者・リーリアと、血族から大将軍家ケンプを推す者、
剣闘試合を開くべきと意見はバラバラだった。
それが数年前、リーリアがどこからかライナスを連れてきてから形勢は一気にリーリア有利に。
黒い噂の陰にライナスが関わっていたとの声があるという。
そんな話をしてる中、早くもライナスが贈られてきた。
断ることもできずに受け取ってしまうルカ。
ネストラは約束を違えることはできないからと双子を返礼しろと言い、双子も快諾する。
ライナスは、双子に王宮ではイジメがあるからせいぜい気をつけろと忠告。
それを聞いたルカは双子もライナスも返さないと息巻く。
リーリアに会って話してくると城を後にする。
その頃、ネストラはジーラからルカに関わるなと忠告を受ける。
リーリアに事の全てを話したルカ。
リーリアは全てをなかったことにしようと言ってくれる。
そして、ルカはリーリアに制服のリボンを差し出す。
「何でも与え合うのが友達ではないと思う。
でも…これあなたに預ける。
あげられないの。大切なものだから。
でもリーリアを信じてるからあなたに預ける」
リーリアは大好きだった人の形見だとイヤリングをルカに渡す。
ルカが付けると鈴の音がした。海鳴り石といい、ルカに預かってて欲しいと渡す。
「ありがとう。あなたと友達になれて本当に嬉しい」
そう言って出て行ったルカ。
リーリアモノローグ
『私もよ、ルカ。だからこれ以上あなたに惹かれない内にあなたを消し去ってしまいたいのよ−』
そしてルカのリボンを破りさる。
『あなたがやはり別の世界から迷い込んだ異邦人だったのだとしても
持ち主以外の耳にその音を奏でるはずもない海鳴石が
アリステアの石が
事もなげにあなたに奏でてみせたとしても
そんなことはもうどうでもいい
ルカ あなたがアリステアであろうとなかろうと私にはもうどうでもいいのよ
私はあの頃を思い出したくない
アリステアに惹かれ続けたあの頃の自分を−
蘇ってくるがいいアリステア
何度でも 私は何度でもあなたを殺す
あなたを殺し続ける…』
コミックマスターJ、よかったら第1話だけじゃなく、続き書こうか?
個人的に6巻で盛り上がる縦のストーリーも魅力だと思うんで、第1話だけだともったいない。
エリン
>>137に住む幼いアリアンロッド
>>137は、海辺でレギオンと名乗る銀髪の美しい戦士に出会う。
彼はアリアンに、地下の小人族・ドワーフの細工したサークレット
>>137と真実の名
>>137を与える。
数年後、成長したアリアンは見習いの女魔法使いとして修行に励んでいた。
しかし、アリアンの一族グリアナン・クラーナ
>>137は、
ドームニュー・ガワン・クラーナの邪眼のバラー
>>137によって滅ぼされてしまう。
復讐を誓ったアリアンは風の精の王・パラルダの助けを借り、
ローマ貴族アントニヌスの娘コンスタンスと偽って、ドームニュー・ガワンへ乗り込んでいった。
アリアンは捕らえられていた同族の娘・ヘンルーダ
>>138に再会し、
そこで出会った元奴隷の少年・ボリと共にバラーを殺そうとする。
だが、黒い血を持つバラーは心臓を刺されても死なず、
邪眼のせいで視力を失ったアリアンは、火の精の王・ジィンの力で何とか谷を脱出した。
『七つの眠りの島』にやって来たアリアンは、これより後に現れる全ての魔法使いの杖がある『学びの園』で、
自分が詩に伝わる『杖なき魔法使い』
>>138であることを知る。
〈ドームニュー・ガワン〉
バラーは自分の血をヘンルーダの額につけ、ボリと共にアリアンの元へ返した。
そして、アリアンがバラーの胸を貫いた短剣は側近のグリフィス
>>138に渡され、
グリフィスはアリアンを捕らえるべく後を追う。
二つの血は惹きあい、たとえアリアンがどこへ行こうともグリフィスをその場へ導くのだった。
〈アリアンロッド〉
ヘンルーダと再会したアリアンは、一族の復興を誓い、バラーに対抗できる『助け手』を探して旅立った。
一行は上王にして予言者・ミアーハの治める沈黙の一族の村へ入る。
祭りの準備で賑わう村にはレギオンも来ていた。
だがこの時、ドームニュー・ガワンでは村への襲撃準備が進んでいた。
祭りの夜、巫女役を引き受けたヘンルーダは妖精の輪の中に消え、アリアンもその後を追っていく。
直後、村は襲撃されて惨憺たる有り様となり、上王・ミアーハも殺されてしまうのだった。
辛くも生き残ったボリはレギオンと共に旅立ち、
妖精の道を抜けたアリアンは、ヘンルーダの待つ『眼病を癒す泉』へ到着する。
泉の精の助言によりアリアンの視力は戻った。
そしてしつこく追ってくるグリフィスの手を逃れ、海へと脱出する。
エリンを離れブリタニーに入ったアリアンとヘンルーダ。
二人が逗留したイケニの村はローマの支配下にあった。
だが、後継者問題から一族は蜂起し、アリアンとヘンルーダも争いに巻き込まれてしまう。
イケニ一族は奮戦し、ローマのコロニア(駐屯地)を占領した。
ところが、息つく間もなくグリフィスが現れる。
しかし今は同種族で争っている時ではない。 グリフィスはイケニの族長の願いを受けて味方についた。
そして、ローマ軍の反撃が始まった。
大掛かりな武器を使うローマ軍に前に、勇猛果敢なイケニもついに敗れ、族長は自害した。
死を覚悟したアリアンだったが、ローマ貴族アントニヌスに救われ命拾いする。
(アントニヌスは以前アリアンが騙ったコンスタンスの父。その縁からコロニア占領の折アリアンが助けた)
アリアンとヘンルーダは旅の再開を決めた。
だがその時ヘンルーダの身に異変が起こる。 バラーに付けられた血がグリフィスを呼んでいるのだ。
ヘンルーダの額に浮き出た黒いシミが原因だと悟ったアリアンが
自分のサークレットで封印すると、ヘンルーダはたちまち気を失った。
正気に戻ったヘンルーダと共に、アリアンは船で出発した。
父親と食事に出かけた麻子は「月刊おんがく」の編集者坂本と知り合う。
坂本は季晋の母華子の日記のことを知っているようだった。
日記帳のことを聞く麻子に、坂本は愛子には日記帳のことは知られてはならないと言う。
坂本は麻子の父から聞いたと言って話し始める。
麻子の母は父よりもピアノを愛した人だが、ピアノと父の間にもう一つ大事なものがあったと。
友人のいない愛子に初めて接してくれたのが華子だった。
そして、愛子は華子とのピアノの刺激あいが今日のピアニストとしての自分を
つくりあげたと信じてるという話だった。
麻子は坂本の話で愛子が華子を友人でありライバルとして大切に思っていることを知る。
問題の日記帳は新婚当時の麻子の父に華子自身が
「あなたにあずけることで気持ちの整理をしたい」と押し付けた物だった。
だが、父は日記帳を盗まれて無くしてしまっていた。
父と初めて会った時の玄関でのきしんちゃんとの会話を思い出し、
盗んだのはきしんちゃんだと麻子は思う。
坂本は愛子が日記を知ったら相当ショックを受けるだろうし、
華子の気持ちに気づいていたら父のプロポーズも断っていただろうと言われていた事と
母との復縁を願う父も不利になるから日記のことは愛子に内緒と釘を刺す。
麻子は父に日記を返してもらうきしんちゃんに話すと言う。
父は日記にはさんであった写真のことを話す。
麻子は「母の部屋で見たアルバム」が日記帳だったことを知る。
母が日記帳のことを知っていたことに気づき、復縁の望みがうすれたこと、
きしんちゃんがお母さんに日記帳を見せたことに麻子は愕然とする。
麻子は「毎コン」で優勝して父と共演し、麻子を見に来たお母さんとおばあちゃんが
麻子がいっぺんで魅了された父を見て心を動かしてくれることを願う。
レッスンの担当が松苗先生から高橋先生に替わる。
麻子は松苗と逆のことを言う高橋にとまどう。
教室に戻ってきた麻子は学級日誌に
―――きょう松苗先生が行ってしまわれた。あの先生のことだ、送別会をやっても
「そんなヒマあるか!!」とどやされることになりかねないので、そうじするふりして
先生の歩く道をきれいにしつつひそかに見送ったが門前で斉藤が
「先生を追って堂園大学へいきます」と声をかけたところ
「おまえら不自然な時間にそうじなどするな」と結局どやされた。―――
とあるのを見つけた。
みんな本当に先生を慕っていたのにじっと取るべき態度をとって耐えた。
わたしはただただいかないでといわんばかりに泣くばかりだったと反省する。
麻子は友だちと一緒に堂園大学をまりあに案内してもらう。
まりあは季晋が毎コンに出ないと言ったが麻子への復讐心が消えた今、
出ないのはもったいないと話す。
あちこちのレッスン室から「毎コン」課題曲のショパンのソナタが聞こえてくる。
一番奥の部屋からタッチといい音色といい全然違う曲が聞こえてくる。
松苗先生だ!麻子は奥の部屋を目指して走っていく。
窓からのぞくと弾いていたのはきしんちゃんだった。
きしんちゃんが松苗先生のレッスンを受けていたのだ。
思わず中へ入ろうとする麻子にレッスン中よとまりあが止める。
迫力ある季晋の演奏に麻子は
信じられない。これが本当に腱鞘炎の奏でる音だろうかと驚く。
音が突然途切れてしまう。中では松苗と季晋が話していた。
松苗は季晋の手のことを見抜いていた。
なぜ、無理をしてまでコンクールにでる?と松苗は聞く。
黙り込む季晋に「須江麻子に勝ちたいかね?」と松苗は言う。
松苗は華子の愛子へのライバル意識のことを知っていた。
ライバル意識は結構だが君のやり方は不自然だ。間違っていると季晋に言う。
例えば今年の「毎コン」で麻子を負かして優越感に浸っても、数10年後いや数年後には
まったく逆転しうるかもしれない。ピアニストの価値など簡単にはかれない。
今年の毎コンはやめておけ。もっと自分を大事にしろ。
そんな手で弾き続けたらヘタをすりゃピアノをやめるはめになるかもしれないと言う松苗に
ぼくは・・・そうなってもかまいません。逆転がなければいいんです。
この「毎コン」で須江麻子に勝てたらピアノをやめます。そして記録は永遠に残る。
それほど今度のコンクールはぼくにとって命がけなんです。と季晋は言う。
きみの特別指導はことわる!!と言い松苗は部屋を出て行く。
レッスン室の前にいた麻子達に気づく季晋。
どうして大学にいるのかまりあが季晋に尋ねると
音楽界でも名うての松苗先生にぜひ一度レッスン願いたくてわがままいって頼んだんだ。
と麻子の方に向かって答えた。
課題曲を弾いていたから気が変わって毎コンに出るのかと思ったとまりあが言うと
やはり麻子を見て、あれは先生があの曲をとおっしゃったんだよと言う。
麻子はわたしはなんにもたずねてないのに、なぜわたしに向かって答えるの?と不安に思う。
夏休みで言えに帰る前に麻子は「大屋医院」に寄る。腱鞘炎について聞きにきたのだ。
そこで、華子は腱鞘炎が慢性化してしまってピアノを止めたと麻子は知る。
医者は季晋は大事をとってピアノを休んでると聞いたから大丈夫だと言う。
家でピアノを弾いていると、
おばあちゃんに「ショパンのソナタ」第3番を弾いてごらんと言われるが、
松苗の「そこは重々しく」と高橋の「そこはしっとりと」という正反対の意見に
麻子は混乱してしまい弾けなくなってしまう。
そこにお母さんからきょうも別荘に泊まると電話がかかってくる。
麻子が「毎コン」の第2次予選の曲と相性が悪いことを話そうとすると
自分の言いたいことだけを言って切れてしまう。
お母さんの「つきのひかり」という言葉が気になった麻子は別荘に行くことにする。
麻子は別荘に行く前に去年の男の子の音が懐かしくなり、会いに行くことにする。
「茶色のこびん」聞きにきたわよと言う麻子にもう弾かない。ピアノやめたいんだと話す。
ぼくももう子どもじゃないもん。いろいろと悩みがふえるんだよ。と言う男の子の話に
麻子は子どもの頃は先生のおっしゃる通りに弾けはよかったから悩まなかったが今は
考えるようになった。もしかしたら相性がわるいわけでなく、
どちらの弾き方もしっくりきてないんじゃないかしらと思う。
男の子はピアノを習ってるぼくと習ってないクラスメイトが「茶色のこびん」を弾いた時、
その子とぼくは同じくらい拍手されたよ。
ぼくは、ちゃんとピアノを習って一生懸命勉強してるのにどうして
そのクラスメイトと同じくらいの拍手なの?と涙ぐむ。
そんなことないよ・・・・・・きっと、きみの方がひとり分拍手が多かったわよ。
こんどは数えてごらん。努力して勉強してるんですもの。
普通の人の力よりプラスα分多いわよ。と麻子はなぐさめる。
男の子は麻子をそのクラスメイトがいるバレエ教室に連れて行く。
そのクラスメイトの女の子は発表会で主役になれなかったことを拗ねて座りこんでいた。
レッスン後、麻子と男の子はバレエ教室に入っていく。
わたしたちに踊ってみせてくれない?わたし音楽の係りやらせてもらうわ。
と話しかけるが女の子はそっぽを向いてしまう。
「あたえられる音楽が楽しければわたしたちは歌いたくなる
おどり手はおどりださなきゃうそだわ
どんなふうに弾くかなんて考えるのはしばらくやめよう
いまのわたしにできるのはあの少女のためのたったひとつの弾き方しかない
りくつなんか二の次よ 完璧なんかのぞまない
あのこが踊ってくれるほど楽しく弾ければすてきじゃない」
と麻子は自分のショパンを弾く。
女の子はたった一度きり、トゥール(回転)する。
別荘に着いた麻子は「毎コン」の曲はぜたったいショパンのソナタ3番に決めたと
母に話す。
「ほらごらんなさいよ、外。海面にね、つきのひかりがうかんできれいなのよ」
という母の言葉に電話でのつきのひかり意味が分かる。
1次予選の日。麻子は一人で会場に向かう。
入り口で友だちの応援にきたという折田に会う。
折田はさっき、きしんちゃんを見たと麻子に話す。
うそよ。きしんちゃんは腱鞘炎だもの。出られるわけがないわという麻子に
勝負したがってるのは彼の目の中のお母さんかもしれないわと折田は言う。
カイ少年だ。きしんちゃんは鏡の破片が入ったままだった!と麻子は楽屋に走る。
手をどうするのよ。そんなムリしてひけなくなったらどうするのよ。震えながら麻子は言う。
どうするかなと言う季晋をひっぱたく麻子。そして
「おばちゃま!おばちゃまは腱鞘炎にかかって苦しんだと聞きました。
その苦しみを知っていながらなぜ同じことをきしんちゃんにやらせるんですか?
おばちゃまはだれかのピアノを聞いて、
涙があふれるほどの感動を体験したことがおありですか?
わ、わたしはたったいちど、昔のきしんちゃんが弾いたショパンのワルツを聞いた時だけです。
今のきしんちゃんはピアノはうまいけど、まるでピアノをにくんでいるみたい。
前のピアノに愛されていた時のきしんちゃんとはちがう。
今ピアノを弾いているのはほんとうのきしんちゃんじゃない・・・・・・
きしんちゃんをかえして、かえして」と泣き出す。
「やめろ!!」と季晋は怒鳴るが
「・・・・・松苗先生が・・・・・・音楽にはその人自身が素直にあらわれるっておっしゃった。
勝負するですって?いいわよ。お望みどおり参加してあげる。
だけど、今のきしんちゃんがピアノ弾いたってだれにも勝てっこない。勝てっこない!」
と麻子は言い返す。
麻子が待機するよう呼ばれる。
こんな気持ちでどうやって弾けばいいのよ。と麻子は舞台の下手に走っていく。
おちつけ、おちつけと自分に言い聞かせる。その時、調律する音が聞こえる。
子どもの頃、きしんちゃんと音当てして遊んだことを思い出し落ち着きを取り戻す。
季晋の心の中に麻子の「今のきしんちゃんがピアノ弾いたってだれにも勝てっこない」
という言葉が響く。
数日後、痛み止めの注射を打ちに大屋医院へ来た季晋。
その帰りに道でうずくまっている麻子のおばあちゃんを見つける。
家に送っていく季晋にまた昔みたいにおいでよ。わたしもひとりが多いし、あんたも麻子もひとりっ子。そうだよ、またくれば楽しいじゃないかと話す。
黙っている季晋に
もっとも・・・・考えようによっちゃあんたはいつもお母さんと一緒にいるようなもんだねぇ。
麻子なんか親が健在でありながら、ほとんど一緒にいてもらえないんだから
これじゃほんとにどっちが不幸だなんて決めかねるわねぇとつぶやく。
季晋がおばあちゃんを送りとどけ麻子の家を出ようとすると、麻子が帰ってくる。
麻子は、なっ・・・・・なにやってんのよ!!と怒鳴る。なんにもしてないよと言う季晋に、
家にうらみを持ってるきしんちゃんがわけもなくここに来るわけないじゃないと言う麻子。
季晋が黙ってると、追い詰められた麻子は
あっ、そう。わかったわ。「偵察」ね。
きしんちゃんは「偵察」なんかするほどなさけない人になっちゃったの!?と逆ギレする。
そこにお母さんが帰ってくる。
お顔を見せてと季晋を見つめる母に「・・・・目を、目をみるな!!」と叫び逃げ出す。
目をそらしたのは季晋の中の季晋の母だった。
母は麻子に1次予選合格を告げる。高校生で受かったのは麻子と季晋だけだった。
おばあちゃんに知らせてくるとはしゃぐ麻子に
「なあに?さっきの季晋くんへのいいぐさ。
あなたがあんな陰険な言い方するなんて。はっきりいってがっかりしたわ」と母は言う。
あれは・・・と言い訳しようとする麻子に
「よくもまああんないい方する人が予選を通過するような曲を弾けたこと」と続ける。
お母さんはきしんちゃんを誤解してる。と麻子は
「い、いっとくけど予選を通過できないような人はきしんちゃんの方よ」と言い返す。
そこにおばあちゃんが来て「きしんちゃんはいい子だよ。
あの子わたしが病院前で気分悪くしてるとこ助けてくれたんだから」と言う。
「2人ともわかってない。きしんちゃんはコンクールを争いごとの道具にしているのよ。
友だちのことばをかりれば、そんなの音楽への冒?でしょ!?ゆるせないわ」と言う麻子に
「へんねぇ、どうも今までの様子を見た限りでは
コンクールの「勝ち負け」を意識してるのは「あなた」の方みたい」と母は笑う。
明日の公開レッスンが早いからもう寝るという母に
わたしですら教わったことないのに!!
お母さんがだれにもレッスンしない主義だったから、がまんしてきたのにずるいわ。
わたしにも教えてよ。と麻子は言う。
お母さんに一晩特訓してもらえば、もしかしたらひょっとしたら、
第2次予選もパスできるかも。とただ勝つことを意識してピアノに向かう麻子に
「ねぇ麻子。あなた今どんな顔で弾いているかわかる?」と母は言う。
えっ?なにかついてる?と鏡を見に席を離れると母はピアノに鍵をかけてしまう。
蓋をガタガタさせる麻子に
「おぼえてないかもしれないけど小さな時の麻子はね、ピアノに頭をぶつけたら
じぶんの頭よりもピアノをなでたのよ。
なのに近頃の麻子はそんな思いやりをどこへやったのかしら。
コンクールのせいで頭がおかしくなっちゃったのかしら」と母は言う。
ほかのピアノを弾きに行こうとする麻子に
「残念ね。家中のピアノの鍵よ」と母は鍵の束を見せる。
あけて、あけてよーっと麻子はピアノを叩き続ける。
翌日、母の公開レッスン会場に向かう麻子。
母は「キャベツのせんぎり」でも思い出して軽快に楽しくと指導する。
会場はキャベツですって!?と騒然となる。
生徒の母親は指にケガしたら大変だから、
せんぎりどころか包丁を持たすことすらしない。と当たり前のように答える。
「・・・・それはこまりますね。
体で覚えた感覚というのはことばではいくつあっても伝えられないことがあります。
ですけど、音にならじゅうぶんすぎるほど素直に伝わりますわ。
皆とわかりあうためには、皆と同じ生活が必要です。
ピアノの音にだけでなく、まわりの音にも耳をすましてみることがどんなに楽しいか
少しでも音楽を愛する者なら、まわりの音を音楽にかえることなんてたやすいことですわ」
「先生は、そんなおそろしいこと人の子には平気でおっしゃる。
先生のお子さんにはそんなことさせられますか?」と非難する生徒の母親に
「麻子はシチューが得意です」と自信気に答える。
その様子を見ていた麻子は
はっきり知った。お母さんはわたしに生活させるためにわたしをつきはなした。
わたしをつつむみえないお母さんの腕のあたたかさが、すっかりひえきっていた
わたしの体に充電される。すごい秘密兵器だ。
どんどんきもちを大きくしてくれる。
さっきまで、しっとや裏切りにふりまわされていた自分がうそのよう。
といままでの母への誤解が解けていく。
人ごみの中麻子に気づかずに会場を去ろうとする母に
もしかしたらお母さんは口をきいてくれないのではなく、
昔のわたしのように口ベタなのかもしれない。
もしかしたらお母さんは人づきあいが悪いのではなく、
はずかしがりやなのかもしれない。
もしかしたらお母さんはことばではなかなか答えてくれないけれど
もしかしたら、これならふりむいてくれるかもしれないと鍵盤を叩く。
母の音と重なる。横目でみると隣には母がいた。
「あなたなにしてるの?」と呆れたような母の手を麻子は掴んだ。
コンクールの朝、父から電話がかかってくる。
母と麻子を間違えて父は一方的に喋る。
その内容から二人は常にコンタクトしていたことをしり嬉しくなる。
母が出がけに季晋くんに渡してと紙袋を麻子に渡す。
渡すのは演奏後にと念を押す母に中身は日記帳だと気づく。
母は以前から送り主が季晋だと知っていたと話す。
「きしんちゃんへの怒りは消えてもお母さんにショックを与えるような罪をおかした
きしんちゃんをゆるす気にはなれないわ」と言う麻子に
「残念ながらショックなんてうけなかったわ。だから彼も罪をおかしていない」と笑う。
驚く麻子に
「だってその中身は新婚時代に盗み見してしまって、とっくの昔から知ってたんですもの。
盗み見なんて簡単よ。だらしない稔さんの机の上に放りっぱなしだったもの。」
呆れ何も言えない麻子に
「もし、あがってしまったら客席でひとりだけ知ってる人の顔を見つけるとおちつくわよ」
と言って母は出かけて行く。
予選会場には依里と伊波が応援に来ていた。荷物を預かると言う。
日記帳の入っている紙袋にも気づき、預かると言う。
あとできしんちゃんに渡すものだからと一旦断るが結局預けることにし楽屋に向かう。
伊波がおれが緒方くんに渡してくると言う。
依里は昔勝手なことして麻子におこられたと注意するが、伊波は
「これ、須江さんからきみにわたしてくれってあずかっただよ」と渡してしまう。
蒼い顔で麻子のところに来る季晋。
麻子は季晋の手に日記帳があることに気づきまっさおになる。
「こーいうもんちらつかせて、おれがどうかするとでも思ってんのか」
「それは・・・・お母さんが持っていても意味がないからおかえししたんです」
「まったく強気だな、おまえのおふくろ」
きしんちゃからみれば、私のお母さんは幼いわたしがいだいてたイメージと同じで
いまだにこわく冷たい人なんだ。無理もないことだわ。
娘のわたしですらお母さんを理解するのにこんなに時間がかかったんですもの。
だからきしんちゃんのやり場のない気持ちが、印象悪いお母さんへのにくしみに
変わってしまったのはしかたのないことかもしれない。
本当のお母さんを語るのは簡単よ。
だけど「今のきしんちゃん」じゃわかってくれっこない。
そこにまりあのクリスマスパーティで会った戸部が麻子に近づいてくる。
肩に手を伸ばす戸部に
「さわるな!!」子どもの頃のきしんちゃんが重なる。わ・・・・・わかってくれる!!
「きしんちゃん!きしんちゃん聞いて・・・・!わたし見たのよ。
おばちゃまが亡くなられた時に「あのお母さん」が涙を流していたのをわたし見たの
おばちゃまはお母さんをきらっていたかもしれないけど、お母さんはお父さんよりも
おばちゃまを大事にしていたことを知っておいてほしいの」と麻子は訴える。
「そう、須江愛子はなにもしちゃいない。したたかな女さ。やり口がうまいよ。
だけどあの女の存在がおふくろの精神をおびやかし、
おふくろをピアニスト挫折の道にまでおいこんだのは確かだ」と言い放つ。
「でも、おばちゃまがピアノをやめなければならなかった直接の原因は
そうじゃないでしょう。おばちゃまがもっと体を大事にしていれば
腱鞘炎を慢性化してしまうほど無理をしなければピアノをやめることもなかったはずよ。
それをすべてお母さんのせいにしてしまうのは、お母さんがかわいそうよ」
「・・・・・慢性化・・・・・?」季晋は慢性化していたことを知らず驚く。
放心状態の季晋に麻子は季晋が落とした日記帳を拾いながら
母が新婚時代に日記を読んでいたこと、そのあとすぐに離婚したことを話す。
「それじゃ、うちのおふくろの気持ちを知って分かれたってことか?
そんな愛情より友情をとるようなお人よしな女っているかよっ」と食って掛かる季晋に
「わたしにはわからない。お母さんに直接聞いて」と日記帳を手渡す。そして
「だけどお母さんはきっとこういうわ。「別れたのはお父さんがぐうたらだったから」
わたしのお母さんはそういう人よ」と麻子は微笑む。
いるかよ・・・・そんな人って・・・・と日記をめくると
愛子から季晋くんへ
幸せになりなさい。あなたはもっと自分を大切にしてもいい。
あなたはお母さまのために弾くのではなく、お母さまと一緒に弾いているのです。
じぶんをだめにすることは、あなたのたいせつなお母さまをだめにしてしまうことです。
だれでも考え方ひとつで幸せになれるのではないかしら。幸せになりなさい。
とあった。
舞台に出て行く麻子。真っ先に松苗先生が手を叩いてくれるがあがってしまう。
朝の母の助言を思い出し知ってる顔を捜すと
茶色のこびんの男の子とバレエの女の子が来ていた。
やーだ、あの2人。まるでわたしたちと麻子は思う。同時に思い出がよみがえってくる。
麻子のピアノをBGMに、季晋は愛子からの言葉に泣く。
勝負なんかとっくについてたよ。あの女から目をそらしてしまったあの時から。
演奏後、季晋は麻子に拍手を送る。
「もうっなんてことでしょう。あんなにあっけらかんと。
あそこはあんなにしっとり弾くようにいったのに」と嘆く高橋に
「しかし楽しく聴けましたよ」と松苗は言う。
季晋の演奏が始まる。季晋の奏でる音に麻子は泣き出す。
氷が解けていく。
演奏後ものすごい拍手に会場は沸く。
季晋とまりあは第2予選を通過する。
本選の日応援に来た麻子に季晋はくずれるように抱きつく。
麻子は季晋を抱きしめる。
「ショパンのソナタを弾きおえた時、ピアノを続けたいと思ったよ。
だからおふくろのようにこれ以上手をダメにするわけにいかない。」
と本選を棄権すると季晋は言う。
「きっとおばちゃまが救ってくれたのよ。
わたしステージのきしんちゃんとおばちゃまの姿がだぶったもの」
「怪奇現象だ」季晋は遠くを見て言う。麻子は季晋を見る。
「なんか食べるか?」と聞く季晋に「ボールペン売ってるかしら」と麻子は言う。
「上邑さんへ「毎コン」のパンフレットに2人からの報告をかいて渡さない?」
笑う季晋。
「なにがおかしいの。ぜったい、いい考えよ。それで
優勝まちがいなしのまりあさんに運んでもらうの。ね?」
音楽だ。わたしのまわりのすべてが歌いはじめた。
時計の音がバッハを奏でる。
女学生のおしゃべりはモーツアルトに変わり
きしんちゃんのポケットからショパンが聞こえた。 終わり
完結乙
メルヘンだのう(*´・`*)
現在規制に巻き込まれてます。
このレスは依頼スレでお願いしました。
先日強引に一斉投下しておいて本当によかった…。
規制が解除されて時間ができたらになりますが、
「洗礼」予約させてください。
地球を体内に取り込んだブゥアーの次の行動は、自らの“拡大”だった。
体を構成する原子の間隔を開くことで、ほかの物質と衝突することなく自らを巨大化させ
直径10万光年…あたかも銀河障壁を卵殻とした雛のごとく、銀河一杯に広がったのだ。
真っ先にブゥアーの中に飛び込んだリプミラを始めとする突撃隊は、ブゥアーに巻き込まれる形で
共に“拡大”されたが、他の部隊は原子間隔が異なりすぎるブゥアーへの干渉手段を失ってしまった。
それでも地球を追いかけるリプミラたちの前に、ガタリオンが擁するクローン・ラドウの群れと
もう一つの反乱軍の切り札、量産型ダードの艦隊が襲い掛かる。
だが反乱軍に与するはずの量産型ダードは、同型機やラドウへも攻撃を仕掛け始める。
それは、オリジナルであるダードの仕業だった。彼が量産機の頭脳を破壊し、同士討ちを演出していた。
反乱軍のミスである。戦艦たるダードに、輸送機であるリープタイプと同レベルの洗脳を施していたのだ。
ダードはとうに自我を取り戻し、己のパートナーとしたリトル・ラドウと共に反旗を翻していた。
「ガタリオン、お前がそう呼んだではないか…私はもっとも危険なイレギュラー。龍を御すことなどできぬのだよ!」
数万の同型機を倒すという、まさに「自分との戦い」を経て進化したダードは、伝承族すら圧倒する。
その彼の前に、反乱軍の最終兵器が現れた。クローン・ラドウの指揮艦、“終末(The End)”の名を持つ者…ジェンド・ラドウ。
その頭脳体がダードを、そして船体が地球に接近するリプミラを迎え撃つ。
リプミラは、ジェンド・ラドウが地球を巻き込まぬよう動くと判断し、地球側から回り込んで攻撃しようとする。
しかし、ジェンド・ラドウはそれを読んでいた。彼女は一瞬でリプミラとの間合いを詰め、攻撃しようとしたリプミラを
船体、頭脳体ともに完膚なきまで粉砕してしまう。
そして、リプミラの最期に思わず目を奪われたダードも、ジェンド・ラドウの攻撃で深い傷を負ってしまう。
なおも戦おうとするダードに対し、ジェンド・ラドウは彼自身を撃つのではなく、リトル・ラドウを狙った。
、とっさにラドウを庇ってしまったダードは、致命傷を受け機能を停止する。
そして、ダードの守ろうとしたラドウも、ジェンド・ラドウの手に落ちる。…ここに、銀河の戦士たちは敗北した。
大破したリプミラ号から放り出されたゲンを救ったのは、へクススキー教授だった。
彼は、先のバオンとの戦いで入手した「伝承族遺伝子」を自らの体に移植することで
各種超能力と、伝承族の肉体に関する知識を獲得していた。
だが、教授は同時に己の危機も気付いていた。伝承族遺伝子には、その被移植者を侵食し
体だけでなく精神も伝承族へ変えていく特性が含まれていたのである。
教授が己の身と引き換えに託した逆転のプラン、その最初の一手は、ダードの協力を得ることだった。
満身創痍となり、クローン・ラドウによる分解処理を待つばかりの状態でありながら
なおも動こうとするダード。彼は、連れ去られたラドウの身を案じていた。
以前に“兵器で無くなった”リプミラに敗れた彼は、自分と同じく兵器としての本能に悩むラドウを
己がパートナーとすることで、リプミラの強さに迫ろうとしていた。そして今、彼を突き動かすものこそ
彼が望んでいた新たな強さに他ならなかった。
ゲンに助けられ、クローン・ラドウを退けたダードは「ジェンド・ラドウの左目を狙え」という言葉を残して
その機能を停止した。
ダードの機体に乗りこんだゲンは、教授のテレポートによって、ブゥアーの中枢神経へと特攻する。
そのころ地球上に、東京へ向かうエイブとツキメの姿があった。ジェンド・ラドウにリプミラが倒された瞬間
エイブは、超能力でリプミラの頭脳核だけを抜き取り、保護していたのだ。
リプミラの指示で東京にたどり着いた二人が見たのは、新宿都庁地下の秘密基地に隠された
リプミラ号の船体だった。銀河文明から地球への技術供与として、リプミラ号の複製が建造されていたのである。
地球製のボディを得て、今リプミラは復活した。
敗北を超え、ゲンとリプミラは、それぞれの機体でブゥアーの中枢…この戦いの真髄へと突き進んでいく。
銀河消滅まで、あと24時間!
まとめサイト管理人様、サイトの「マップス」の項に
「フレッドウォード氏のアヒル」の解説文が混じっております。
お手数ですが、確認と再編集お願いいたします。
「マップス」全17巻中、残り二巻未満まで到達いたしました。
次がおそらく最後の解説になるでしょう。
やんややんや
クライマックスにゃ
順調な航海も束の間、船はヴァイキングに襲われ、狂戦士ソリル
>>138の奴隷として彼の故郷へ向かうことに。
風の精の王に助けを請おうにも、国の違ってしまった今風は応えず、アリアンは孤立無援だった。
〈ドームニュー・ガワン〉
谷ではバラーが花嫁を迎えていた。
冷酷非情なバラーに嫁いだ上王カメロンの娘・ウーナ、その不幸な身の上の少女は、
バラーを殺すため谷に入り込んだ沈黙の一族の刺客・ラズモアを愛してしまう。
〈アリアンロッド〉
北欧
>>138のソリルの故郷に入ったアリアンは、女魔法使い・ハルベラに預けられた。
翌日、川で女が殺される。
傍に倒れていたヘンルーダの頭にサークレットは無く、その腕は血まみれになっていた。
人殺しと罵られるヘンルーダを助けたのはソリルだった。
そしてアリアンは、族長の息子・病(肺結核)持ちのギルスと共にサークレットを探して回る。
白妖精に持ち去られたと知った二人は妖精を追い、そこに現れた老婆に妖精郷へ招待された。
だがサークレットは老婆が、『ミズガルズの蛇』と呼ばれる竜に贈ってしまいすでに無かった。
アリアンは代わりの護符を老婆にもらい、人間界へ帰る。
護符を身に付けたヘンルーダは、己の身に不安をいだきながらも気丈に日々を過ごす。
そして実直な優しさを示すソリルに惹かれていった。
アリアンは盾の乙女
>>138となるべく剣の特訓に明け暮れる一方、妖精郷の老婆の元へ通い魔法を学ぶ。
そこへやって来たレギオンに「名は変われど、それはそれ」と教えられ、
国や名は違っても本質は変わらないことを悟って、風の精の王を呼べるようになった。
「みらくるミミKun」と「とんで!小鳥ちゃん」をおねがいします
説明すると長くなる事や、知っていたら話がわかりやすいかも?と思う事3です。
〈ラズモアの恋〉
実はこの辺り、当り障り無く書いたので、ラズモアとウーナが恋人同士のように見えるけど、
ラズモアが本当に好きなのはバラーで、ウーナには同情してるだけだと思います。
何でそう書かないかというと、作品中にはそう思わせる描写があるだけではっきり書いてないからです。
人物の行動から推理したことを書いてみます。
〔ラズモアは友に「ウーナを助けるから自分のことは見捨てろ」と言う〕腹の子がバラーの子でなければ
ウーナ共々殺されるので、谷から逃げることではなく、ウーナが殺されない様にするための計画を立てた。
〔友が密告する〕これは計画のうち。
〔ラズモア、毒を手に入れる〕バラーを殺すため。自分も死ぬつもり。
〔逃げるが捕まる〕はじめから逃げられるとは思っていないので、計画のうち。
〔ウーナと腹の子を人質に逃げようとする〕これは狂言。周囲の人間にバラーの子だと思わせるため。
〔バラーに好きだと告げ、毒を含んでキスをする〕ここでバラーを殺せばウーナの子は族長の子として
大切にされるはず。ウーナも殺されない。
ただし、愛の告白はキスをするための口実だと周囲には思われるけど、実は本心。
刺客であるラズモアがバラーを自分のものにし、なおかつ子を救うには上手い計画だと思う。
以上です。 もしコミックスを読む機会があったら考えてみてください。
〈竜の杖〉
杖なき魔法使いの杖。 一人の魔法使いに一本の杖が原則だが、竜の杖だけは持ち主が幾人も替わっている。
魔法使いの祖のものであったとされ、太初の強大な魔力を持ち主に与える。
4つに分断されその所在は不明。 女好きでノリの軽い、ふざけた樫の精霊でもある。
〈巫女姫セクァヌ〉
元は『泉の女神セクァヌ』の加護を受けた巫女。
バラーの姉・エラータの呼び出した魔に体を乗っ取られ闇の巫女となる。
バラー(の中の闇の神)に心酔している。
〈ペトロニウス〉
ローマ貴族。 ここではただの脇役。 『サテリコン』の作者。
『サテリコン』は、古代ローマの頽廃的な社会に生きる若い学生のぶっ飛んだ話。
〈ドームニュー・ガワン〉
バラーはウーナの父、自分の義父でもある上王・カメロンを討ち、自ら上王となる。
日々の辛さにウーナは泣き暮らし、ラズモアに救いを求めるのだった。
そんなある日、ウーナはラズモアの子を妊娠し、そのことを彼に告げる。
二人は谷から逃げる決心をするが、逃亡は失敗し、ラズモアはバラーの毒殺を計る。
だがバラーに毒は効かなかった。
ラズモアは死に、女魔法使い・エラータはその骸に沈黙の一族の上王・ミアーハの魂を入れた。
>>168 〈アリアンロッド〉
ソリルの村では、族長と隣村の若者による女の取り合いで殺人が起き、
その場に居合わせたヘンルーダの護符が壊れてしまう。
そしてヘンルーダは、エラータの放った悪霊の宿主と化してしまうのだった。
殺人事件は戦へと発展し、アリアンも盾の乙女として参戦することとなる。
しかし、仲間の死を見て戦うことのむなしさを知ったアリアンは、風の精の王を呼んで強引に終結を促した。
身の内に不気味な存在を感じるヘンルーダは自分が信じられない。
そんなヘンルーダを慰めるソリル。 その日二人は結ばれた。
アリアンとヘンルーダはサークレットを求めて旅立った。
ソリルはその後を追おうとしてボリに出会う。
そして「ヘンルーダを助けたいなら南の聖地へ向かえ」というレギオンの伝言により、ボリと共に出発する。
アリアンとヘンルーダは北へ急いだ。
吹雪の中を進むアリアンは、途中で行き倒れたグリフィスを救った。
〈ドームニュー・ガワン〉
谷はいよいよ闇の気が濃くなってくる。 家畜や人から禍々しい姿の者が生まれだしていた。
〈アリアンロッド〉
命を助けられたグリフィスは、アリアンに一時協力することを誓い、三人で『火と氷の島』へ行く。
そこで現れたレギオンに案内され、眠れる竜・ミズガルズの蛇の寝床へ入ったアリアンは、
サークレットと自分の杖(竜の杖)
>>168の一部を手にした。
その時巨大な穴が出現し、三人は穴の中へ落ちていった。
山本直樹、「あさってDANCE」「はっぱ64」お願いします。
クリスタルドラゴン、なんだかさっぱり分からない・・・。
複雑なんだね。
わりと有名だし、単行本で読んでみようかな。
〈ソリル〉
聖域に入ったソリルはレギオンに会い、納められている聖剣を手に入れるよう言われる。
だが剣を手にするためには、少年の姿をした幻と戦わなければならなかった。
傷だらけになりながらも資格を認められたソリルは剣を取り、いきなり現れた悪霊の影を切る。
切られた悪霊はヘンルーダに姿を変えた。
ミズガルズの蛇の寝床と聖域の空間がつながったのである。
しかしアリアンとグリフィスは聖域に入れず、異空間を流されていった。
ソリルが切ったのはヘンルーダの中の胎児であった。
まだ生まれてもいないヘンルーダとソリルの息子、彼は少年の幻として父に剣を渡し、
母の代わりに悪霊を取り込んで切られたのだった。
〈アリアンロッド〉
アリアンとグリフィスは、ローマの近くアレシア村の巫女姫セクァヌ
>>168の元に現れた。
セクァヌは結界を張って二人を街に閉じ込め、グリフィスにアリアンをローマへ連れて行くよう命じるのだが、
グリフィスはそれを拒み、一人結界を抜ける方法を探した。
一方アリアンは、ローマ軍こそがバラーを倒すための『助け手』ではないかと考え、
ローマ商人・エフィデルに雇われてローマへ行く機会を待つ。
祭りの夜、グリフィスはセクァヌを襲った。
しかしセクァヌは、二人を結界に封じるために使用した金円の首飾りを残して逃げてしまう。
街の結界は消え、商隊はローマへ向けて出発した。
〈ソリル〉
ソリルはローマの船主に雇われローマへ向かった。
浮気を心配したヘンルーダは、軍艦の艦長・フリウスに頼み船に乗せてもらうのだが、
彼はセクァヌに「ヘンルーダを得れば益となる」と入れ知恵された人物だった。
途中の港町でヘンルーダの事を知ったソリルは、急ぎローマへ向けて発ち、山の中でグリフィスに出会った。
〈アリアンロッド〉
ローマへの山越えの途中で商隊は山賊に襲われ、アリアンは重傷をおって捕らえられてしまう。
山賊の狙いは商隊の荷だけではなく、アリアンでもあった。
アリアンは山賊の村を仕切る年老いた巫女に洞窟へ連れて行かれる。
そこには数代前の朽ちかけた巫女がおり、アリアンの杖を奪って洞窟の奥へ向かって行った。
巫女を追ったアリアンがそこで見たのは、竜の杖を手に水晶の中で眠るレギオンの姿だった。
朽ちかけた巫女の名はサリ。
その昔レギオンを愛し、彼を目覚めさせるためにドワーフの血を吸って生き長らえ、竜の杖を探していたのだ。
アリアンは襲ってきたサリを殺し逃げるが、自分の竜の杖を無くしてしまう。
だがそこへドワーフが現れ、竜の杖は彼等が探してくれることとなった。
また、ドワーフの長・リアムの話により、洞窟のレギオンは水晶宮に眠る彼の幻影であることを知るのだった。
〈ヘンルーダ〉
ローマに着いたヘンルーダはフリウスにサークレットを取られ、その瞬間セクァヌに取り憑かれてしまう。
そしてバラーのため、ローマを手に入れようとするセクァヌの暗躍が始まった。
〈アリアンロッド〉
山賊村の年老いた巫女の恨みを買ったアリアンは、サリの子孫・少年サールに奴隷市場へ連れて行かれた。
売られまいと騒ぎを起こしたアリアンに奴隷商人・フロンティヌスが近づき、
「ヘンルーダがローマにいるから共に来い」と言う。
それがソリルの差し金であることを知ったアリアンは、奴隷としてローマへ行くことにしたのだった。
〈ドームニュー・ガワン〉
ミアーハは事あるごと人々に反乱を起こせと説いて回る。
だが人々の心は弱く、邪悪な気はますます強まっていく。
異形として生まれた人間や家畜はその中で強く育ち、やがて普通の人間までもが体に変化をもたらしていった。
>>171 すみません・・・わからないですかぁ。
話を省きすぎたでしょうか、それとも文章自体がわからないのか。
ほんとごめんなさい。
前スレの509さんも途中まで書いてたっていうし、かわっていただけますか?
ダードの機体を受け継いだゲンは、クローン・ラドウの猛攻を退けつつ
ブゥアーの最深部、生贄砲発動の瞬間だけ開く脳中枢へ入り込む。
そこで彼が見たのは、ブゥアーから流出する膨大な宇宙の記憶と
肉体を捨て、ブゥアーの頭脳内に打込まれた意識だけの存在となったガタリオンたちだった。
唖然とするゲンに、ガタリオンは得意げに自分たちの勝利を宣言する。
ブゥアーの正体、それは、遥かな昔にある宇宙の住人が作り上げた「記録装置」だ。
避けられぬ滅びに至った宇宙の全てを記憶し、他の宇宙へと移動していく。
そして、移動先の宇宙をも記録し、次の宇宙へ…ブゥアーがある限り、宇宙は「記録」として残りつづける。
エントロピーに逆らい、宇宙を永遠とする試み……だが、記録された宇宙が兆を超えるにいたり
ブゥアーは肥大した自分を維持するエネルギーを得られなくなり、遂にある悪魔的発想を抱いた。
自分の膨大なデータ蓄積があれば、宇宙の終りまでを律儀に記録する必要はない。
初期のデータさえあれば、宇宙の終りまでを自分の中でシミュレートすることはできるのだから。
だから、データ収集が終わった時点で宇宙を破壊し、純エネルギーとして“食べて”しまおう。
永遠たるブゥアーの記録と維持は、有限なる宇宙の存続に優先するのだから!
これが、ブゥアーの「生贄砲計画」の真相。そして伝承族は、その計画のために作られた遺伝子。
彼らが異常に大きな脳を持つのは、最後にその脳を、ブゥアーの記憶素子として使いまわすため。
──伝承族反乱軍は、それを知ってしまった伝承族幼生体たちの結社。彼らはその情報収集により
成体となった伝承族が、進んでブゥアーに己を差し出すほどの「遺伝子の奴隷」と化すことを知った。
そして彼らが立てた計画は、自分たちの意志を失う前に、その自我をブゥアーの脳に刻むこと。
ブゥアーの支配者となることで己を守るだけでなく、ブゥアーが記録として蓄えた宇宙を自在に閲覧し
改変することすらできる“神”の座を得ることだったのだ。
だが、全てを知ってなお、ゲンは彼らの行動を認められなかった。今こうして生きている宇宙を否定し
データをもてあそぶブゥアーもガタリオンも、彼の目には醜悪なものとして映る。
「ふざけるな!俺は認めない!貴様らの記録と生きてる宇宙の違いを、俺が証明してやる!」
怒りと共に戦うゲンを、ガタリオンは悠然と見下ろす。今やブゥアーとひとつになった彼は
ブゥアーの演算能力を介して、あらゆる現象を予知する力を得たからだ。
ゲンの行動を予測し、なぶるようにジェンド・ラドウに攻撃させるガタリオン。だが、最後にジェンド・ラドウが
必殺のつもりで放った攻撃を、ゲンは渾身の力を振り絞って回避してしまう。
同じ頃、銀河同盟軍と戦っていたブゥアー自身も、予知を超えたダメージを受けつつあった。
メタル・ビーチの念動力を介した次元転移装置により、ついにブゥアー内部に援軍が到達したのである。
さらに、切り札のクローン・ラドウ群も、洗脳して取り込んだはずのリトル・ラドウの妨害によって
ネットワークを乱され、壊滅に向かっていた。
「ありえん!銀河軍の動きは全て“見えて”いたはず!奇跡でも起きん限り誤差さえ予測内のはずだ!」
「奇跡じゃねぇよ…奇跡を呼ぶ力なんか、俺にも、誰にもありゃしない!今、銀河中の生き物が
生き延びるためにしている努力が…ほんの小さな誤差が積み重なって、ブゥアーの計算を上回ってるんだ!」
勝利を掴んだはずのガタリオンは、今や完全にゲンの勢いに呑まれていた。焦るガタリオンは
ジェンド・ラドウにゲンの排除を命ずるが、そこへリプミラが、仲間と共に駆けつけて来た。
まったく予想外の反撃に、ついにジェンド・ラドウも、後退を余儀なくされる。
リプミラと合流したゲンは、パニックを起こして暴走していたリトル・ラドウを説得にかかった。
兵器の本能のままに、周囲の同型機もろとも破壊の限りを尽くしていたラドウは
リムの説得で我に返るが、今度は本能を押さえられなかった自分を恥じ、自爆しようとする。
そんなラドウをすんでのところで取り押えたのはリプミラだった。ラドウをしっかり抱きしめ、親愛の情を伝えた
リプミラとリムによって、ようやくラドウは沈静化する。
そして、一堂に会した仲間たちに、ゲンはへクススキー教授から託された最後の計画を明かした。
「ブゥアーの打倒はもう決定的だ…その前に俺とリプミラは、ブゥアーを銀河から引き剥がしにかかる!」
打倒ブゥアーの最終計画、それは、ブゥアーを銀河から引き離し、自壊させること。
ブゥアーがいかに大きかろうと、脳の構造は変わらない。宇宙船のビームを使って脳細胞を刺激すれば
ブゥアーに「銀河から去れ、そして自滅せよ」という命令を打込むことができる。
他の仲間たちに、地球の奪還と脱出の先導を任せ、ゲンとリプミラは最後の戦場に向かう。
ブゥアーの脳内で、自殺命令を打込もうとする二人に、ブゥアーの意識と一体化したガタリオンが襲い掛かる。
彼が使ってきた武器、それはブゥアーの記憶そのものだった。圧縮された記憶を衝撃波として放ち
機械であるリプミラの頭脳を焼き切る──追い詰められた“ブゥアー”の捨て身の戦術。
いかなる攻撃兵器とも異なるこの攻撃は、通常ののバリアーでは防げない。だがその時
ゲンがかざしたある物が、ブゥアーの記憶を受け止めた。彼らが保有する、最大密度のデータ。
すなわち……“三つの星図”!
星図に蓄えられたデータと引き換えにその身を守りきったリプミラは、ついに最後の命令を打込む。
自己保存の力を失い、崩れゆくブゥアーの脳と共に消滅するガタリオン。それは同時に
最強の者の傀儡であることを誇りとしてきた、ジェンド・ラドウのアイデンティティの死でもあった。
狂乱のジェンド・ラドウがリプミラに襲い掛かる。──最高性能のリープタイプである自分を差し置いて
最強の男に愛された妹に。
リプミラ号の船首から相手の船首へ飛び込み、頭脳体同士で交錯するリプミラ。そして倒れたのは
ジェンド・ラドウであった。先のダードとの戦いで、ダードが命と引き換えに着けた傷が
ジェンド・ラドウの頭脳核に付けていた傷を、リプミラが貫いたのだった。
全ては終わった。銀河中が見守る中、ブゥアーは銀河を離れ、銀河から5000万光年の空間で
自爆し……銀河障壁は消滅した。銀河は、五十億年に及ぶ伝承族の支配から開放されたのだ。
それは同時に、ブゥアーが目論んでいた醜悪なる“永遠”の終りでもあった。
あの戦いから一年、銀河の復興は軌道に乗りつつあった。もちろん、犠牲は少なくなかった。
メタル・ビーチは、艦隊をブゥアー内に送り込むための転移装置に全力をつぎ込み、己が脳を焼き切って死亡。
自分の体で伝承族遺伝子を実験したへクススキー教授は、肉体を爆破し、自我を電子頭脳に移して生き延びた。
ニードル・コレクション5人のうちスガラとソフティカは、ブゥアーからの撤退の際にしんがりを務め、戦場に消えた。
オルシスたち第八軍の独立は結局認められず、彼女たちはまた流浪の民として去っていった。
……そして、勇者ゲンとリプミラもまた行方不明となった。戦勝イベントに当の勇者が不在だったことで
結果として、銀河の人々はこの勝利が自分たちの努力の賜物だったと気付き、大きな自信を得ていた。
「勇者なんて要らないんだ」と常々語っていた彼の意思は、皮肉な形で実現したのである。
だが、彼らの帰還を望む者たちもいた。「いなくなった者のことは早く忘れるべきだ」と、商人らしいリアリズムで
語るガッハに、今もゲンを待つ星見は語る。「たとえあと1000年掛かっても、私は待ちつづける」と。
星見に別れを告げて帰るガッハは、帰り際に、風を乗せて飛ぶ白い翼を、雲の上に見たような気がした。
一陣の風が星見の部屋を吹き抜け……そして、星見の部屋には、もう誰も残っていなかった。
────その日、銀河は風にそよいでいた。
勇者ダイナックの伝承はこれにて終わる。幾つかの記録には、彼と彼の翼が、その後も無数の冒険に挑んだと
伝えるものもある。曰く、未来の銀河に到達してしまった彼らが、元の時代に戻るべくさまよったとか
あるいは異世界に迷い込んだ彼らが「巨大な剣に変じる緑の巨人」や「髑髏を掲げた白い機動戦士」と共に
神と戦いこれを倒した物語だとか。
………だが、それはまた別の物語である。
……終わった。ムチャクチャ疲れた。何が疲れたって
長くなりすぎるとアレなので、好きなシーンやら台詞やら外伝的ストーリーやらを
どう削ぎ落としていくか考えるのが辛かった。
これで興味を持った人がいたら、ぜひ本物を読んで下さい。メディアファクトリー文庫で
全十巻(一冊650円。なお本編は9巻まで出、10巻は外伝集です)で出版されています。
なお、最後の文章のネタは分かる人なら分かるわけですが。、分からない人のために言うと
本編終了後に執筆された「マップス外伝(文庫10巻に収録)」および
作者長谷川氏による同人誌「ひとりスーパーロボット大戦 大外伝(現在入手困難)」ネタです。
お疲れ様でした
巨大な剣に変じる緑の巨人=ダイソード
髑髏を掲げた白い機動戦士=クロスボーンガンダムかな?
乙ー
ビメイダーPってのはマップスとは関係なしですか?
>>180 あとダンクーガBURNも出るんだよね。
ありがとうございます。
>180
はい、その通りです。
>181
「ビメイダーP」は、マップスの連載開始とほぼ同時期の作品です。
マップスと直接の関係は無く、ビメイダーの概念(この『ビメイダー』という単語自体長谷川先生の造語のようですが)
と、主人公のクラブ顧問が「狩尾 理文(カリオ・リフミ)」というどっかで見たような女教師だというくらいですねw
長谷川さんっておちゃめさんなんだね
なんか好きだ
(´-`).。oO(TVチャンピオンで優勝してなかった?特撮王)
第二話夢がたり
桜になった少女の話。
宿場へ女衒(ぜげん)に売られていく途中で13歳のお咲は道端で難儀している
旅芸人一座に出会う。女衒らは旅芸人に関りたくないと無視するが、咲は
水筒をそっと一座のほうへ投げ、去る。一座の三つ目が気づき、水がなく
ぐったりしている子河童の皿に水をかけてやる。このところの凶作、旱魃で
今の娘も売られてきたのだろう、と兄さんらは推測し、なにか礼をしようという。
売られた宿屋で、使いに出された途中、咲はからくりやしきを見かけ、
興味を持つ。そこへそのからくりやしきの座長の兄さんがあらわれ、
咲に自分の長い黒髪を縛っていた鈴のついた紐をあげ、ひとつだけ願いを
強く念じ、その紐が消えればどんな願いも叶うという。
その頃、旅籠など裕福な家の娘が行方不明になる事件が相次ぐ。
化け物に襲われたと噂が立つ。通りがかりに咲はその話を聞いていたが、
周りの子供に女郎屋の女だと石を投げられ、買い物の品を駄目にしてしまい、
飯抜きにされる。咲は川辺で泣きつつ、父の言葉を思い出す。
「おおきに お咲 おまえがいってくれるおかげでお父さん(おとさん)
の薬も買える 赤子の乳ももらえる おおきにな…」そこに三つ目と子河童が
現れ、咲がまだ紐を持っているのを不思議がる。咲は、父の病気が治りますように、
上の弟が学校に行けますように、畑がもう少し豊かになりますように、など、
いっぱいありすぎて迷っているといったあと、顔を赤らめて、
「けど…もし願い事叶えてもろたら消えてしまうんやろ?この紐…」
そこへ兄さんが三つ目らを迎えに来、咲はあわてて帰る。
「兄さん…いっしょに」いいかける三つ目をさえぎり、
兄さんは昔あんな人間の子供を連れ歩いた事があったな、という。
「その子があんまり可愛て 可愛て ああ連れて来るんやなかったと
死ぬほど後悔したよ…」
(兄さんモノローグ)だから早く その紐を使っておしまい
私らがお前を連れて行きたいと思わないうちに お前がおまえ自身を救っておしまい…
(三つ目モノローグ)−でも…兄さん あの子は自分のこと何にもお願いしてへんかったよ…)
後日、またもや峠で若い娘が襲われ、化け物がさらったという目撃者の証言で
いつも妖怪の扮装をしていた夢やしき一座が疑われ、上演は中止、座長の兄さんは警察に連れて行かれる。
娘を返せと泣く母親に石を投げられる一座を見て、あの人たちは犯人ではない
と咲はいうが相手にされず、宿屋の女将は咲の初見世が決まったと咲を着飾らせる。
咲は一座の事がどうしても気になり、若い娘がさらわれた峠にいく。
そこへ妖怪が現れるが、それは咲を売るときの仲買いをした女衒が扮装していた姿だった。
不景気でもうからず、化け物にさらわれた事にすれば元手はただ、
あとは大陸にでも売ればばれず、罪は化け物屋にかぶせればいいと、
咲をももう一度売ろうとする。咲は彼らの隙を突き、おびえるほかの誘拐された女らを
説得して逃げようとするが、大きな姿をした妖怪のだいだら坊、ぬらりひょんなどが現れ、
つかまってしまう。咲は「そんな格好であの人らに迷惑かけないで」と泣いて妖怪にすがる。
「聞いたか?」「おお聞いた 可愛えのう…」妖怪らは話し合う。
そこへ妖怪の扮装をした女衒らがあらわれ、身長5メートルほどの妖怪に驚く。
そこへ警察から消えた兄さんが警察を誘導し、首領格の男は捕まる仲間を尻目に逃げる。
鬼の面をかぶったまま逃げるその男にふいに声がかけられる。
「そういうわけかい 女子買う金をケチってもそんな格好する手間はかけるわけや
けどわしらとしてもそんなんといっしょにされてはたまらんでのう…」
長い黒髪をなびかせ、額に角を生やした男だった。それを見て逃げていた男は
悲鳴を上げて気を失い、駆けつけた警察に捕まる。
さらわれた娘の親たちが駆けつけ、「おまえが売られでもしたらお母さん
死んだほうがましや」と娘を抱いてなく。咲の下にも病気の父が現れ、
「よかった」という。咲は泣いて抱きつくが、父は「女将がお前が逃げた言うて」
目を見開く咲。消えた咲を宿屋の女将は足抜けだと思い、父に連絡したのだった。
「みつからなんだら金返せいわれての ほんまによかった よかったのう…」という。
「キズものにされてないやろね」という女将に咲はうつろに謝り、
化け物屋敷の人が来てくれなかったらどうなってたか、というと、
みな不思議がり、犯人は女衒の三人だけでほかにはいないだろうという。
(なんで なんで誰も覚えてへんの 確かそこに…)
咲は呼び止める声を無視して峠のほうへ駆けつけると、一座と黒く長い髪を風になびかせ
舞い落ちる花びらをその髪に受けている額から角を生やした片目のない鬼と出会う。
兄さんの真の姿だった。去る彼を見ながら、咲は思う。
(花になりたい…花になってあの人の髪に降る花びらのひとひらになって
あの人についていきたい)自分のための願いを初めて咲はこころから願う。
そして二度と咲の姿は見つからなかった。
今年も一座はその峠へ咲が姿を変えた桜の木の満開の姿を見にやってくる。
ろくろが「ばかだねえ こんな事しか思いつかんほど不幸せだったんかねえ…」
いえば兄さんは桜の花びらをその髪に降らしながら
「笑とるよ この木は笑とるよ 楽しいて 人間だったころより寂しないて
幸福やて 笑とるよ…」その言葉に答えるように桜の木は一層花びらを降らせた。
第二話 終
奇形児を見たことはありますか? これは北海道の網走市であった話です。
古塚美枝さん(当時23) は、いわゆる売春婦でしたが夫がいました。
しかしその夫は働こうとせず、酒に溺れる毎日、そして酔うと必ず美枝さんに
暴力を振るいました。83年の夏、美枝さんは体調を崩し病院へ行きました。
原因は妊娠によるつわりなどでした。売春婦であった美枝さんは、
まず誰の子なのか考えましたが夫の子である事を確信し、
早く報告しようと急いで帰りました。しかし夫は自分の子とは信じず、
中絶を命じました。 それから5ケ月。結局美枝さんは中絶を拒み、
生むことを決意しましたが、夫は従わなかった事を不満に思い、
さらに暴力を振っていました。 そしてその日夫は美枝さんの腹部に
膝蹴りをしました。する と、美枝さんの股間からは溢れる様に血が流れてきました。
そして美枝さんは崩れ落ち、声にもならない 様なうめき声で唸りながら
........流産でした。夫は慌てて家を飛び出して行きました。何故?
それは生まれてきた子供が余りにも醜かったからです。目はあべこべに付き、
片方の目は眉毛の上に付いていました。鼻はだらしなく直角に曲がり、
口なんぞは縦向きに、しかも耳のつけねから裂け目の 様に付いていました。
動きもせず、ただこちらを眺めていました。 それからどうなったかは分かりません。
ただ、この話を聞いた人は最低3日間気を付けてください。
うしろで何か気を感じても振り向いて いけません。
それはあの子があなたを眺めているから。 10分以内にこれを
掲示板の5箇所に貼らなければそのままあの子は離れて行きません。
お気を付けて。
「不思議な少年」をお願いしたい
189 :
マロン名無しさん:04/04/26 15:33 ID:gg1vdLCK
『Sci-Fi HARRY(サイファイハリー)』『ドラゴンボール』『幽々白書』
をお願いいたします。
クロノクルセイドを投下します。予約宣言したとき反応なかったので
いいのか悪いのかわかんないけど、無言なのは「とりあえずやってみれ」って
ことだと解釈させてもらいます。
毎回1巻程度のペースでやるつもりですが、情報を可能な限り盛り込んで
いるので1巻分のわりにはかなり長いかと思われますが、ご容赦願います。
主要キャラ紹介Vol.1
○ロゼット=クリストファ(シスター・ロゼット)
エクソシスト(悪魔祓い師)を擁する「マグダラ修道会」に所属するシスター。
よく言えば勇猛果敢、悪く言えば猪突猛進な正確のじゃじゃ馬娘。
相棒であるクロノのツッコミには容赦なく手を上げ足を上げる。
苦手なものは始末書と上司であるシスター・ケイトのお小言とサブミッション。
○クロノ
常に陰に陽にロゼットを支える良き相棒。何かと多方面に迷惑をかける
ロゼットをたしなめてはグーを貰う毎日である。
だが、彼にはある大きな秘密がある。それは・・・
○ユアン=レミントン牧師
ロゼットとクロノをマグダラに導いた牧師にしてエクソシストの優男。
二人の事情を良く分かっているからか、少々甘いところがある。
エクソシストとしての腕は超一流で、ロゼットの憧れの人。
○シスター・ケイト
「マグダラ修道会」の幹部にしてロゼットの直属の上司。
悪魔の跋扈以上にロゼットの破壊活動に頭を悩ませる日々を送る。
得意技はサブミッション(対象は主にロゼット)。
○長老(エルダー)
マグダラの戦闘力・移動力等の要である技術部の主任を務めるエロ老人。
スカートめくり、脱衣所進入はお手の物だが、頭と腕もピカ一。
クロノとロゼットの境遇を察しているものの一人でもある。
<イントロダクション編>
ここはは1924年、アメリカ。今港に辿り着こうかという貨物船では
地獄絵図が展開されていた。必死に「ヤツ」を食い止めようとする船員たち。
だが・・・
その船を遠くから眺めるものがいた。ロゼットである。
マグダラに連絡を取るも「別件で人員は割けない。貴方たちでやりなさい」と
いうシスター・ケイトのセリフに腹を立て、今だ寝ているクロノに起すついでに
八つ当たりのケリを食らわす。目覚めたクロノと憂さ晴らしに成功したロゼット
は、一路港を目指す。
港では、船の惨状に警察やヤジ馬が溢れていた。その時、船がら何かが現れる。
それは・・・エスニックな風貌の化け物だった。
化け物の出現に逃げ惑う人々に逆らい爆走する車がひとつ。
ブレーキが効かないのか、港に降り立った化け物に体当たりを敢行しようやく
止まったその車からは、罵声とともにドアを蹴破りシスター・ロゼットが登場。
唖然とする警察らに令状を見せ、現場に踏み込む。
聖水を詰めた弾丸「聖火弾(セイクリッド)」で攻めるロゼットとそれを的確に
サポートするクロノ。逃げる化け物を追い船に突入する。
だが、船は動き出していた・・・。
そんなこととは露知らず応戦を続ける二人。貨物室の金銀財宝の山(英国の
第一次大戦での借金のカタ)に感服する二人を化け物は急襲、ロゼットは
抜けた床に飲まれ落ちていってしまう。
落ちた先は機関室。化け物は食らった人間の魂を使役し船を動かしていたので
あった。そこにクロノから「十字結界(対悪魔用の結界。捕縛にも防御にも
使える)の準備が出来た」との報告。
しかし、その時化け物がロゼットを取り込もうと襲い掛かる。
意識を乗っ取られようとする最中にロゼットが見たのは、黄金京滅亡の刻。
故郷に帰りたいという化け物の怨念に圧倒されようとしていた、その時・・・
「そのヒトの魂はボクのモノだ」
クロノのその言葉と共に十字結界が作動、化け物は身動きが取れなくなる。
とりあえず魂が誰の物だって!?とクロノをいびり倒すロゼットはトドメを
刺しにかかるも、聖火弾は尽きてしまった。ならば、とこっそりエルダーから
渡されていた新弾丸を装填。
迷える子羊に安寧を 狼の牙にひと時の安息を そして悪魔に死の鉄槌を
新弾丸「福音弾(ゴスペル)」が光を放ち、化け物を浄化する。
後に残ったのは金で出来た神像と思しき物。どうやら植民地化されたときの
虐殺による怨念があの化け物を作っているようだった。
「封印」を少し緩めてあげるから元の場所に返してあげて、というロゼットの
願いに答え、クロノは力を行使し神像は帰っていった。
夜も開けすがすがしい朝を迎えた二人を待っていたのは、船が自由の女神像に
突撃していたという事実であった・・・。
明けて翌日。朝早くからロゼットは呼び出されて先の一件などの説教を
されていた。だが、うっかりロゼットはこの惨事を本にでもすれば印税が、
などと口を滑らせる。
ロゼットを追い執務室に向かうクロノは調査を終え戻ってきたレミントン牧師と
鉢合わせ。二人して執務室の扉を空けたとき、そこで見たものはシスター・ケイトの
見事なコブラツイストであった・・・。
ロゼットの関節を心配するレミントンにシスター・ケイトは甘いんじゃないかと
指摘するも、いいタイミングでロゼットはエルダーからお呼びがかかり逃走。
後に残されたシスター・ケイトとレミントンは、二人のこと、特にクロノが
本来マグダラにとって異端な存在であることへの危惧を語っていた。
一方、エルダーの研究室に辿り着いたロゼットを待っていたのはエルダーの
スカートめくりだった。もっと色気のあるもん穿けというエルダーを足蹴にし、
先日放ったゴスペルの感想を告げる。
そのとき、ゴスペルに似た黒い弾丸を発見する。エルダー曰く「セイクリッドの
聖水の代わりに悪魔を詰めた、ゴスペルより強力な弾丸」なのだそうだ。
試作品なのでじゃじゃ馬にゃ使わせられんと言うエルダーの言葉を無視し、
こっそりその弾丸を盗み出したロゼットはクロノの静止すらも無視し、
射撃場で弾丸を撃ち放つ・・・!
大爆発。封じていた化け物が二人を襲う。
それを発見したシスター・ケイトは完全にブチ切れていた。
少々心許無い武装ながら、必死で立ち向かうロゼット。だが、一瞬銃が
弾丸を正常に発射できなかったスキに化け物は豪腕を振るい、ロゼットを
殴り飛ばす。気を失うロゼット。
「爵位も名前もない下級の分際で・・・
大切な契約者が動かなくなったじゃないか・・・
どうしてくれるんだ・・・!」
怒りと共にその形相を激しく歪ませるクロノ。それに合せる様に周囲の木々が
枯れ果てていく。クロノが木々の生命を吸っているのだ。
シスター・ケイトは語る。クロノは普段はロゼットが身に着けている懐中時計で
力を封じられているものの、その本質は「悪魔」である、と・・・。
クロノごと化け物を退治せんと指示を送るシスター・ケイトをレミントンは
静止する。ここで終わるようではロゼットらにはこの先の困難に立ち向かう
ことなど出来やしない、と。
今まさにその力を発揮せんとするクロノに、意識を取り戻したロゼットが抱き
つき、自分は大丈夫だから、とクロノをなだめる。
元に戻ったクロノとロゼットが退避したところでエクソシスト達による
一斉掃射。化け物は退治された。
二人の間に絆がある限り、クロノは心優しいままでいられるはずだ、と語る
レミントンとエルダー。シスター・ケイトも二人を見守ることにしたのだった。
だが、そんなことで被害が消えるはずも無く、ロゼットはお仕置きの
サブミッションフルコースと掃除を仰せつかったのであった・・・。
キャラ紹介Vol.2
○クロノ(2)
クロノは前編で言われたように、本来はマグダラの敵である「悪魔」である。
その力は契約者であるロゼットと彼女が身につける懐中時計により封印されて
いる。その力が解放されるとき、クロノの真の力が解き放たれる。
○アズマリア=ヘンドリック
通称アズ。俗称アズっち。
ポルトガルの生まれで楽団の歌い手として生活していたが、突如悪魔信奉者
リカルドの養子に迎えられる。だが、そこで待っていたのは、神の御使い
「地上代行者」の力を制御するための強引な実験の日々であった。
「地上代行者」として他人を癒し浄化する力を持つ反面因果律が常に悪い方向に
傾き、そのせいで「周囲の不幸は自分のせい」と思い込むようになってしまって
いる。
<ベガスの歌姫編>
ここはラスベガスのとあるカジノ。
あまりの当らなさにスロットを破壊するのは、そう、ドレスに身を包んだ
ロゼットである。今回二人に課せられた任務は、かなりの名を馳せる悪魔
信奉者リカルドの養女アズマリア=ヘンドリックの保護。
当人を遠目ながら発見したロゼットらは、その見事な歌声に酔いしれていた。
しかし、リカルドは満足でない様子。従者のレライエが「規定値の半分にも
満たない」と語るや否や実験を中断させる。
アズを部屋から外に出すなと命じられていたメイドは、アズが窓から外に
脱出した後を見つけ、ガードマンと共に捜索に当る。
だが、実はアズはソファの下に隠れていた。メイドたちが出て行った隙を突き
アズは部屋から逃げ出す。
そのころ、ロゼットは内から、クロノは外からリカルドのプライベートスペース
に進入していた。周囲の混乱に身動きが取れないロゼットの耳に届くのは、
クロノの不満声。だが不意にクロノとの通信が途絶え、つい声を上げてしまう。
見つかったらヤバいということでシーツ用の荷車に飛び込んだ彼女を待って
いたのはなんとアズ。
貴方を保護しに来たと語るロゼットの手をアズが取ろうとしたそのとき、
レライエが突如現れる。その圧倒的な迫力に何も言えなくなるロゼット。
自ら身を投げ打ってロゼットを庇い立てするアズにロゼットが歯がゆさを
噛み締めているその時、突如としてクロノの悲鳴が響く。
警護のため配備していた石人形(ガーゴイル)に発見され、格闘していたのだ。
今がチャンス、とアズを奪い去り、ビルから脱出する3人。
ロゼットから「クロノ」と呼ばれた少年の姿にレライエが醜悪な笑みを浮かべ
ながら、なぜか特に動くということも無く見送る。
脳裏に、かつて完膚なきまでに「ヤツ」に叩きのめされた記憶がよぎる。
無事着地できた3人を待っていたのは相変わらず追ってくるガーゴイル。
不運に巻き込んでしまって申し訳ないと語るアズに、ロゼットは自分が
いるから大丈夫だと励ましながら、武器を取りに先行したクロノと合流。
翼を落せば自重で砕けるというクロノの進言どおりにガーゴイルを撃退して
いくロゼットだったが、場所が悪かった。落下するガーゴイルの下敷きに
なって、多くの人が傷ついてしまった。
その光景を見たアズは、グレゴリオ聖歌を歌う。背には光の翼が羽ばたき、
癒しの光が怪我人を癒していく。
その光景に、二人は驚きを隠せなかった。
その光景に、リカルドとレライエは「規定値を大幅に超えている」と大喜びで
あった。レライエの顔には、いつでも奪還できるという自信とは他の、別の
感情が表れていた・・・。
アズは語った。7年前、咳と熱にうなされる自分に天啓が降りてきて、それ
以来歌に聖なる力が宿るようになった、と。
マグダラで迎える朝。アズが目覚めるととこにはクロノと凄まじく寝相の悪い
ロゼットが。なかなか起きないロゼットをクロノが池に落すという和やかな
光景で今日が始まる。
アズはほかのマグダラの人と一緒に教会の掃除にすることに。楽団では自分で
なんでもやらなきゃいけなかったからこのくらいへっちゃらです、と語る。
その一方でシスター・ケイトとレミントンはアズの経緯・リカルドの行動の
調査結果を話し合っていた。あまりにずさんなリカルドのやり口、かつて
アズがいた楽団は身元の特定はおろか何人だったかすら分からないほどに
惨殺されていたこと。これらから推察できるのは、リカルドが焦っているのでは
ないかという推測、悪魔がやはり絡んでいること、いつでも取り返せるという
自信があるということだけであった。
ロゼットは泣いているアズを見つける。どうやら先の話を立ち聞きしてしまった
ようだ。必死で泣いていることを隠すアズを見たロゼットはもどかしさを感じ、
彼女に目隠しをしてある場所に連行する。
そこは、ロゼットとクロノにとって思い出の場所に良く似た、森の湖であった。
3人で水浴びなどして、悲しいことなど吹き飛ばすように笑いあい、語り合う。
自然な表情を浮かべるアズに、悲しいことは自分ひとりで抱えてないで周りの
人間に打ち明けてほしい、もっと自分に素直になればいい、とロゼットは語り
かける。
本当に言って欲しかった言葉。心のどこかで誰かに言って欲しかったその言葉に
アズは、思わず嬉し涙を流す。
突如、クロノが殴り飛ばされる。
クロノはその相手を「子爵」レライエと呼び、レライエはクロノを「罪人(とが
びと)」クロノと呼ぶ。
圧倒的な力で迫るレライエに、アズは懇願する。自分は大人しくするから
二人にはこれ以上手を上げないで欲しい、と。
だが、アズを抱えたレライエは二人に向かい光弾を浴びせかける・・・!
リカルドは帰還したレライエに縛鎖(ギアス)による制裁を加える。
ギアスがある限り逆らえないのだからあえて時間をかけるような真似はするな、
というリカルドの言葉に苦虫を噛み潰したような表情でレライエは答える。
その後ろで、アズは、奇妙な装置に繋がれていた。
ロゼットたちは、無事であった。場所の目検討がついていたレミントンが先頭に
立ち、二人の保護や消火活動が進む。
なぜか妙な虚脱感を感じるロゼットに、防御結界と自己修復のためにちょこっと
力つかっちゃったテヘッと語るクロノ。とりあえず制裁。
レミントンは知っていた。軽々しい感じで受け答えしてはいるが、クロノの
力の源は、契約者ロゼットの魂そのものであることを・・・。
レミントンは、ロゼットに「神託」、「第3の予言」のことを話す。
神託とは、7年前にポルトガルの農村の子供たちの前に突如聖母マリアの
幻が現れ、今起こっている戦争が間もなく終結すること、20年後にもう一度
世界規模の戦争が起こること、そして「神の御使い」「地上代行者」が
現れることの3つ。この3つ目の予言とアズの力が繋がるものであり、その力が
目当てでリカルドはアズを確保しようとしたというのだ。
リカルドたちは私用の飛行船で何らかの儀式を遂行しようとしているらしい。
リカルドが強引に、ずさんに行動を起していたのは空の上では手出しできまいと
いう自信があってのことであった。さすがにお手上げか。
でもアズに会ってひとりじゃないと伝えてあげたいロゼットの声に応えるような
タイミングで、飛行機が一機降り立つ。
目が覚めたアズが見たものは、繋がれた自身の体と、大きな水槽に浮かぶ女性。
リカルドの目的は、アズの歌声によって呼び起こされる「アストラルライン」
と呼ばれる目に見えない魂の奔流を取り込み、妻を生き返らせることであった。
機械が機動し、決して歌声とはいえないアズの悲痛な叫び声と共に儀式が始まる。
飛行機に乗り込み、半ば強引にリカルドの飛行船に乗り込むロゼットとクロノ。
メイドやらガードマンやらが出てくるが、クロノは「人間は二人しかいない
から撃って構わない」と語る。その言葉を信じメイドに弾丸を撃ち込むと、
メイドの姿は崩れ虫のような化け物へと変わっていく。メイドたちは
リカルドが使役していた群魔(レギオン)であった。レギオンどもを蹴散らし
ながら、二人はアズが待つ部屋へと急ぐ。
もっと「らしい」悪魔でもいるのかと思っていただけに拍子抜けな感じの
ロゼットに、レライエだけが特殊で、ヤツはロゼットと会う前に殺したと
思っていた「追っ手」の一人だと告げる。
リカルドの儀式はいよいよ佳境を迎えていた。いよいよ妻が蘇る・・・と
期待していた矢先、水槽が割れ、作り直した妻の体が崩壊することに狼狽する
リカルド。
アズは気付いていた。自分が集めていた力がレライエの方に集まっていたことに。
体に埋め込んだレセプターにアストラルをたらふく溜め込んだレライエはギアスを
引きちぎり、リカルドを消し飛ばす。
ちょうどそこに二人が到着。だが、レセプターのおかげでかつてよりも強くなり、
クロノへの復讐に燃えるレライエの前になす術がない。
残された手段は只一つ、封印解除。
寿命が縮むことになるんだと説得するクロノに、10分だけだから、そのうちに
決着つけちゃってと告げ、懐中時計のスイッチを入れる。
圧倒的な力にご満悦のレライエに一陣の閃光が迫り、アズを抱える腕を斬り飛ばす。
その光の主は封印を解除され真の力を発揮したクロノ。
アズをロゼットのもとに退避させ、レライエとの戦いに赴く。
レセプターのおかげで力だしまくりのレライエに対し、力を使うほどロゼットの
命を食うことになるため全力を出せないクロノ。かつては圧倒的だった差も
この状況下ではクロノが不利。
一方ロゼットはアズに、「30まですら生きられるかどうかわかんないけど、
やることやんなきゃ死んでも死に切れない。やれることがあるなら勇気を持って
やらなきゃ」と告げ、秘策を巡らす。
押され気味のクロノに満足できないレライエは、標的をロゼットらに変更。
左腕を巨銃に変え撃ちぬく・・・!
かに見えたその時、レライエの半身が吹き飛び、レセプターが割れる。
ハナっからこちらを狙ってくることを読んでいたロゼットは先手を打って
十字結界を張り、クロノに見せ付けるべく動きを止めて攻撃を仕掛けるその時を
待っていたのだ。
敗因を教えておいてやるよ
お前は人間をナメすぎた
クロノの腕がレライエの心臓を抉り出し、引きちぎり、握りつぶす。
そして、レライエは光と消えていった。
だが、事態はそこで終わらない。クロノVSレライエで激しく損傷した飛行船は
降下の一途。クロノも時間切れでいつもの姿に。
打つ手のない3人。
ロゼットの「やることやんなきゃ死に切れない」という言葉を受けたアズは
勇気を振り絞って力を発動、二人を救い出すことに成功。最後は飛行機に
乗ったレミントンが3人を空中で拾って万事解決。
マグダラに戻り一夜明けた翌朝。アズは先日の一件以来力が発動しないことを告げた。
世話になっていた劇団ももうないし、自分に力があるから保護してくれた教会も
力がなくなってしまったらもう居場所はないだろうと言い出すアズに、ロゼットは
聖歌隊に入ることを提案。
アズはこぼれんばかりの笑みでそれを受けることにしたのであった・・・。
これにて1巻終了。編立ては自分でしたものです。
一応言っておきますが、変身後のクロノはゲームなんかでよくあるような
悪魔というよりは、20歳前後の逞しい男性に悪魔らしい翼を取り付けた
ような姿と思ってください。
では、今回はこれにて。
乙
>>174 クリドラは歴史+神話+漫画オリジナルのストーリーだし
地域も移動するので書きづらいですよね・・・。
前スレで途中まで書いてたって言った者ですが。
最近読み返してるのはローマ編に着いてからなので、
現在の担当者さんの続編という形でいいでしょうか?
私が書いてたのはやはり最初の巻なので、始めるまで時間がかかるかもしれませんが。
「パラノイアストリート」お願いします
規制解除されたので「洗礼」いきます。
今度は漂流教室ほど長くはならないはずです(;´Д`)タブン
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
若草いずみ。
幼い頃からその美しさでスターとして生きてきた大女優。
美しさは彼女の誇りだが、同時に美しさをなくすことを恐れ、
その事で熱を出すほどであった。
その度に主治医に慰められ、恋もせず一筋に生きてきたが、
そんなある日、その美しい顔にシミやシワが……!
それを隠すためにした化粧のせいでますます酷くなってゆく。
仕事を終えた後、いずみはばあやを追い払ったマンションでたった一人で泣き苦しんでいた。
…その夜、数年ぶりに電話で主治医を呼ぶいずみ。
主治医がどのように、どんな言葉でいずみを慰めたのかは誰にもわからない。
だがその後、いずみは事あるごとに「自分の子供が欲しい」と言うようになった。
そしてある夜、誰とも知らぬハンサムな男と一緒のところを目撃され話題となった。
やがていずみは病院で彼女によく似た可愛い女の子を産む。
父親はどこの誰なのかも知らない、自分はただ可愛い子供が欲しかったのだと言う。
そしてある日、突然あっさりと芸能界を引退、ばあやがマンションを訪れるともぬけの殻で、
いずみは娘と共に行方をくらましてしまった―――。
数年後。
ある町はずれにとても仲のよい母娘が住んでいた。
顔に大きな痣のあるでっぷりとした母と、とても可愛らしい小学生のさくら。
母は生まれた時から痣のせいで誰にも相手にされず、ずうっと世間から隠れて生きてきた。
だから一度も結婚ができなかったのだが、どうしても子供が欲しかったから
誰とも知らない人との間にさくらを産むしかなかったと言う。
だから娘のさくらには美人に育って欲しい。それが母の生きがいだった。
ある日、さくらが額に小さな傷をこさえて帰ってくる。
バレーの練習でクラスメイトの良子さんの手がぶつかったのだと言う。
「これくらい別になんともないわ」
「傷を!!良子さんが私の可愛いさくらの顔に傷を!!」
ものすごい形相で家を飛び出してゆく母。
良子の家に行くと、出てきた良子を何度も何度も殴りつけた。
良子の母と追いかけてきたさくらが必死に止めると、母はやっと正気に戻った。
自分のした事に気付き、良子と良子の母に平謝りする母。
とぼとぼと帰宅するさくらと母。
「お母さんはいつもそうよ。私があんまり大切すぎてこんな風になるのよ」
私は普通でいいのよ、と言うさくら。が、母は自分の顔を見せ、
お前だけはこんなにしたくない、お前は私の望みのすべてだと言う。
突然やってきた大型トラックからさくらをかばい、撥ねられてしまう母。
「さくらが車に撥ねられるっ!!わたしのさくらがっ!!あーっ!!」
病院でさくらの名を呼びうなされる母。
飛び起きた母はさくらを見て「無事だったんだね」と抱きしめるのだった。
「上原さくらさんの作文『わたしのやさしいおかあさん』が文部大臣賞を受賞しました」
さくらの担任の男の先生が、みんなの前で報告する。
さくらの誕生日には必ず帽子を買ってあげる母。
そして母もその帽子を被り、「お前もずいぶん大きくなったね」というくだりが
深い親子のつながりを感じさせる、と。
「おかあさんと2人テレビに出てもらいたいということです」
良子と仲良く帰宅するさくら。先日の母の失礼を心から詫びる。
良子は全然気にしていなかった。さくらちゃんがよっぽど可愛いのねと逆に感心している。
良子はまださくらの家に遊びに行った事がない。母が他人と話をするのが好きじゃないからだ。
「でもいつか遊びに来てね良子さん」
帰宅してさっそくテレビに出ることを報告するさくら。
顔の痣に手をやり、「おかあさんは出ないわ!」と叫んでしまう。
「おかあさんがダメなら私一人でもいいんだって」
「お断りしなさいっ!!テレビなんか絶対に出てはダメよ!いいわねっ!!」必死に止める母だった。
――その夜。ふと目を覚ましたさくらは、隣のベッドで寝ているはずの母がいないことに気付く。
玄関の戸が開いている。そこからこっそり覗くと、母が昼間作ったダンゴを皿にのせて地面に置き、
玄関でそれを見つめていた。やがて野良犬がそれを食べに来ると、いきなり犬を捕まえる母。
犬は母の手に噛み付くが、ぐったりとしてしまう。「眠り薬が効いてきた」
腕から血を流したまま、犬を引きずって2階へ行く母。
「2階の先生のところへいくのだわ!」
母の子供の頃からの主治医である先生は、ずっと2階に閉じこもって研究をしているらしい。
さくらは一度も会ったことがないその主治医の存在を不気味に感じていた。
2階から聞こえる犬の悲鳴に、恐ろしくなってベッドに潜り込む。
が、天井からさくらの布団に血が落ちてきた!「ギャッ」悲鳴をあげて気絶してしまう…。
>>206 クリドラ書いてた者です。
できれば初めから書いていただいたほうが良いと思います。
私が書いたものは無かったことにしてください。
ローマ編前がわからないままではその後もわからないでしょうから。
下手な者が書いたせいでご迷惑をおかけしてすみませんでした。
クリドラは漫画自体も積極的にファンタジーを読もうとしないと
なかなかとっつきにくい難しい作品だと思います。話がまだ
終わってないのも書きにくい原因ですよね。
ともかくまとめてくださる方々は乙です。
翌朝、目を覚ましたさくらは真っ先に布団の血の跡を確認する。
が、どこにもそんな跡はない。
「目が覚めたかい ずいぶんよく眠ったねえ」穏やかな顔で母が挨拶をする。
肩に置かれた右手には包帯が巻かれている。
「おかあさん、その手は…」
「ちょっと手入れをしていて怪我したのよ。
お母さんの身体なんかどうだっていいの、お前さえ健康なら」
これからお祝いをすると言う。お母さんのためのお祝いを。
「今までよくないお母さんだったわね。すぐカッとなったり良子さんをぶったりして…
でももうあんなことしなくても済むようになるの。心から優しい人になれるのよ。
――先生の実験が成功したの」
キッチンには豪華な料理。「もうすぐ先生もおいでになるわ」
2階から迫ってくる不気味な足音に耐えきれず、学校へ行くと飛び出してしまった。
図画のカバンを忘れたことに気付き、引き返すさくら。
自分の部屋にカバンを取りに行くと、カレンダーに印がついていた。
「おかあさんがつけたんだわ。15日っていえばもうすぐだわ」
1階では母が先生に何やら話しかけている声がする。
思いきって2階の部屋を確かめてみよう、とこっそり忍び込むことにした。
……部屋には、一面に猫や犬、サルや蛇などの動物が血まみれのバラバラで散乱していた。
脳をくりぬかれている夕べの野良犬。思わず後ずさった足に当たるサルの頭。
「ヒイッ」とっさに飛びついた布がめくれ、山と積まれた犬の首は、すべてに脳がない。
転がってくる首の山に慄き手を伸ばした先にテーブルのような物がある。
よく見ると、それは人の形にくりぬかれた拘束台だった。
「私にちょうどぴったりだわ」
隣にはふたまわりは大きい人の形にくりぬかれた台が……。
「もしやこれは私の……そしてあっちのは……ゲエッ」
恐怖に顔を歪め、嘔吐するさくら。
研究室の電話が鳴る。ベルの音にせかされるように受話器を取ってしまう。
「先生、さっきのお話ですけど…予定の日まではとても待てません。
さくらの頭の中へ私の脳を移しかえても大丈夫です!!
さくらの顔に傷ひとつつけずに育て上げたのも何もかも私のものになると思えば……
そのためにさくらを産んだのよ!!」
「そのためにわたしを………産んだ」
「さくら!!」
受話器を取り落とすさくら。実験室の二つの台、手術道具……たまらずさくらは飛び出した!
切れた電話に2階へと走る母と、階段を挟んで鉢合わせる……。
「さくら!!」
「お………おかあさん」
涙ぐみながらすがるように母の元へ飛びつくさくら。
「ふん!!」「あっ!!」そのさくらの腕を思いきりつかみあげた!
「今のはすべて本当のことだよそのためにお前を産んだのだよ!!」
絶叫し、気を失うさくら。「ホッホッホッホッホッ……」母の高笑いが屋敷に響く…。
215 :
206:04/04/26 20:17 ID:???
>>211 お邪魔したみたいな形ですみません。
>>211さんはコミックスに忠実にまとめられてると思いますよ〜。
クリドラ自体が一巻から伏線貼りまくりだから複雑なんですよね・・・
お言葉をありがたく頂いて、とりあえずまとめてある一巻からという形で行きますね
(以後は
>>146さんがまとめられている内容です)
ヒロイン、アリアンロッド(和訳『銀の車輪』)はエリンの島(アイルランドの古名)
の緑の原の一族(グリアナン・クラーナ)に生まれた長い黒髪の巻き毛の娘。
ケルト人は一般的に金髪碧眼であり、珍しくも黒髪のアリアンは幼少時より
一族から外れた「妖精の取り替えっ子」(イギリスの『取り替えっ子』民話
=親に似ない子は妖精に取り替えられた子 を参照)
と言われ差別を受けていた。
が、そんな自分を卑下する幼いアリアンの元に、自然界の精霊を従えた不思議な銀髪の男が現れる。
男はレギオンと名乗り、アリアンロッドに真の名と美しいサークレットを与えるのだった。
「真の名」とは日本の言霊のようなもので、精神的な力を持つゆえに安易に他者には
明らかにしてはならず、他者に真の名を握られると、呪術を用いて支配されるなど
制約を受ける材料にもなる。
つまり、人間であれ精霊であれ、他者を支配するには真の名を知らねばならない。
(ちなみにアリアンの「真の名」は以後、現連載に至るまで明らかにされていません)
成長し美しくなったアリアンは、魔法使い(ドルイドと読む。
古代ケルト民族の呪術者であり、賢者であり、医者であり、
また政治的にもある程度の発言力を持つ)に弟子入りする。
エリンのドルイドには古くから伝わる伝説があった。
【古き砦に闇が巣くう時、杖なき魔法使い(ドルイド)が現れる。
杖なき者は魔法を持たず、闇は嵐を呼ぶだろう。
杖なき魔法使い(ドルイド)は杖を求め、天と地の境水晶宮への道をたどる】
(↑以後の展開に関わってきます)
しかし平和だった一族の生活は突如壊乱される。
緑の原の一族は、突然、最近に勢力を伸ばしてきた深淵の谷の一族
(ドームニュー・ガワン・クラーナ)に侵略を受け、アリアンを残して全滅してしまった。
憔悴したアリアンは領地に残されるが、精霊の助けによって一族の女達と
族長の娘、ヘンルーダが生きていることを知る。
アリアンは戦士であった実の父と代父ともいえる師・ドルイドの死を共に見届け、
復讐を誓うのだった。
ケルト人、つまりエリンに住む者はほぼ金髪であるが、南方に住み
イングランドに駐屯地を置いているローマ人は黒っぽい髪・瞳の者が多い。
それを利用し、また、なぜか自らアリアンに真の名を教え、使役されることを
了承した風の王・パラルダから援助を得たアリアンは、単身、深い淵の一族の
本拠地に乗り込み、族長バラーを殺して自分の一族の復讐を遂げることを計画する。
現時点で、アリアンの持っている利点は
「容貌から緑の原の一族とは見破られにくいこと」
「風の王・パラルダの助けを得られること」
「師のドルイドが死ぬ間際に真の名を託した火の王・ジィンの助けもまた得られること」
である。
風の王・パラルダはイングランドに駐屯するローマ貴族の娘・婚スタンスが
海遊びで遭難し、亡くなったことを告げる。
深い淵の一族が勢力を伸ばしてきた背景には、族長がバラーという名の片目で
冷酷無比な若者に代替わりし、また、バラーの姉がエラータという強力な女魔術師
(ドルイダスと読む。『ドルイド』の女性形)であることに由来する。
しかし、深い淵に乗り込んで「私は海で遭難したコンスタンスです」と
名乗っても、実際に遭難したコンスタンスがいるのでは、エラータの得意とする
水鏡による占術でも真実は見破られにくいだろう。
アリアンは「コンスタンス」と偽り、単身深淵の谷の一族の本拠地へ乗り込むのだった。
自室のベッドでうなされるさくら。目が覚めると、母が自分の額に手をやっていた!!
「おやさくらお前熱があるねえ。勝手に2階にあがるからだよ」
学校へは風邪で休むと連絡しておいた、麻酔の注射をして眠ってしまえば終わりだからね、
頭の手術をする時に着る服ももうすぐできあがるよ、と縫いかけの手術着を見せる母。
「おかあさんは気が変になったのねっ!!」
「何もかも昔からの計画通りよ。あなたはそのために産んだのよ。
悪いけどあなたには人生なんてないのよ。わかった?」
真面目に、笑顔で答える母。「おかあさん!!」泣き叫ぶさくら。
逃げるといけないから、と身体を紐で結わえられていた。
紐がきつくて痣ができたら大変、と気を遣う。
嬉しそうに身体のサイズを測ってゆく。「毎年まだかまだかと思いながら測ったのよ」
「今まで帽子を買ってあげてその後おかあさんが被ってみて
お前の頭が大きくなったかどうか調べたものよ」
でももう芝居はごめんだわ、お前に知られてスッキリしたと話し出す母。
「2階にあった美しい女の写真を見なかったかい?あれはおかあさんの若い頃の写真なのだよ。
若い頃から痣があって醜かったというのは嘘よ!お前には信用できないだろうから見せてあげるわ」
歌いながら部屋を出てゆく母。必死に紐を噛み切って玄関に通じるドアを開けた!
乗り込んだアリアンは、
元バイキングであり、囚われて深淵の谷の一族の奴隷となっている少年ボリや
ヘンルーダと再会し、復讐を共にする味方を得る。が、
同時にエラータや、族長バラーの側近であり小姓でもあるグリフィスにも素性を疑われる。
そんな折り、アリアンはバラーの寝所へと呼ばれた。
ただの気まぐれでローマ娘を弄ぼうとするバラー。
ここが正念場とバラー殺害を企てるアリアン。
アリアンは隙を見て、ついに宿敵バラーの胸を短剣で突き通す。
しかしバラーは死なない。
その胸から流れ落ちる血は赤くはない。人の物ではない、黒い血…。
なぜならば、バラーは族長となる際に、闇の術に長けたエラータの協力を得て
闇の者(アリアンが協力を得ている精霊とはまた別種の、暗黒の精霊)に
その身を明け渡していたからであった。
バラーが片目なのはその代償である。
バラーは生まれた当時は両目が揃っていたが、片目を闇の者に捧げることによって
闇の精霊の援助を得る。
よって、バラーは生まれた当時の目で見ている時は生身の人間だが、
生まれたときの目を塞ぎ、闇に捧げた目で生きる時は不死の闇の者であるのだった。
(このバラーの二面性は後でも伏線になってきます)
(また、アリアンを近づける際、危険を感じて「人間バラー」の承諾を得ないまま
自己判断で「闇のバラー」に変化させておいたのはグリフィスです)
バラーが死ななかったことによって、バラーへの刺客という正体がばれ、
深淵の谷の領海内で追われる身となったアリアンは窮地に陥る。
しかし回廊で松明を見つけ、師から伝授された「火の王サラマンダー・ジィン」
に助けを求めることによって、かろうじて我が身一人は脱出する。
しかし、取り残されたヘンルーダとボリは尋問にあう。
ヘンルーダはエラータの魔術によって、幻惑され真の名を明かしてしまい、
以後エラータの魔術(闇の魔術)の支配下に置かれるのだった。
脱出したアリアンは風の王・パラルダに導かれ、全てのドルイド候補が
ドルイドとなるために修業するという「賢者の島」にたどり着いていた。
この地には、過去から現在にかけて、すべてのドルイド/ドルイダスの杖が
存在するという。
しかしアリアンは自分の杖を見いだせない。
アリアンが伝説の【杖無き魔法使い(ドルイド)】である可能性が示唆されるのだが…?
「賢者の島」から戻っアリアンは、(実はエラータによってわざと逃がされた)
ヘンルーダとボリと再会する。
アリアンとヘンルーダは、一族の復興とバラーへの復讐を誓う。
「蒼天我が身に落ち来たらぬ限り、緑なす海我が身を飲み込まぬ限り」
そして二人とボリは、現時点ではバラーに敵わぬことを悟り、
協同してバラーにあたることのできる「助け手」を求めて旅立つのだった。
しかしヘンルーダは真の名を握るエラータによって放たれた餌だった。
ヘンルーダと共にいる限り、アリアンの居場所は察知され、
またヘンルーダの体もエラータに支配されるので、二人の行動を遮る事もできる。
更にバラーの側近グリフィスは、「人間バラー」の了承を得ずして
「闇のバラー」を目覚めさせた為に、「人間バラー」の怒りを買い、
代償としてアリアンロッドを生かして連れ戻すことを命じられる。
ヘンルーダへの呪いという枷、グリフィスという明敏な追っ手。
これからの二人と一人の旅はどうなるのだろうか!?
「やっぱり逃げるつもりだったんだねさくら 外で立って待ってたんだよ」
バラの華やかな模様の膨らんだ袖のワンピースをピチピチに着こなし、
ごつい輪郭に痣の目立つ顔にはけばけばしい化粧、似合わぬかつらにリボンをつけた
おぞましい姿の母が、同じ格好をした若草いずみのパネル写真と共に立っていた。
「これがかつてのおかあさんなのだよ。似てるだろう そら そら」
さくらの目の前に自分とパネルとを見せつける母。「よして〜〜っ!!」
「信じないのだね!!おかあさんがおかしくなったと思っているのね!
無理もないわすっかり太って醜くなってしまったんだもの」
パネルを割り、足で踏みつける母。
「でもまもなくこんな過去とはさよならできるのよ。人生をやり直すの。お前のこの身体で」
わめいても外へは聞こえない、この家を買う時にちゃんと調べて買ったのだと言う。
さくらをベッドに連れて行き、今度はもっと丁寧に紐で結わえ、麻酔薬を注射する。
動けないさくらの前で、歌いながら姿見の前で踊る母。
かつらを外し、鏡にうつる自分の顔に別れを告げる母。
「今度は誠実な男の人と結婚して幸せな女の一生を送るわ」
ピンポーン。見舞いに来た良子がさくらの家のインターホンを鳴らす。
ちょうど遺産相続の件でやってきた男と共に、母はさくらの部屋へと招き入れる。
良子に「声をかけないでくださいね」と釘を刺し、その場で遺産相続の話を進める母。
自分の名義になっている財産をすべてさくらのものに書きかえて欲しいと言う。
近々さくらを置いて外国へ行く、そのわけはこの顔を見ればお分かりいただけるでしょう…。
さくらが目を開け、何か言っているようだ。注射をしそのまま眠らせる母。
良子に「よくなったらすぐに行くから、その時はよろしくね」と言い、良子を帰らせる。
帰り道、良子はちょっと不思議がる。「まるでおばさんが学校に来るような変な言い方ねえ。
それにさくらちゃんの唇の動きが助けてって言ってるみたいだったけど…
でも熱があるから苦しくてそれで助けてって言ってんだわ……」
「やっぱり逃げるつもりだったんだねさくら 外で立って待ってたんだよ」
バラの華やかな模様の膨らんだ袖のワンピースをピチピチに着こなし、
ごつい輪郭に痣の目立つ顔にはけばけばしい化粧、似合わぬかつらにリボンをつけた
おぞましい姿の母が、同じ格好をした若草いずみのパネル写真と共に立っていた。
「これがかつてのおかあさんなのだよ。似てるだろう そら そら」
さくらの目の前に自分とパネルとを見せつける母。「よして〜〜っ!!」
「信じないのだね!!おかあさんがおかしくなったと思っているのね!
無理もないわすっかり太って醜くなってしまったんだもの」
パネルを割り、足で踏みつける母。
「でもまもなくこんな過去とはさよならできるのよ。人生をやり直すの。お前のこの身体で」
わめいても外へは聞こえない、この家を買う時にちゃんと調べて買ったのだと言う。
さくらをベッドに連れて行き、今度はもっと丁寧に紐で結わえ、麻酔薬を注射する。
動けないさくらの前で、歌いながら姿見の前で踊る母。
かつらを外し、鏡にうつる自分の顔に別れを告げる母。
「今度は誠実な男の人と結婚して幸せな女の一生を送るわ」
ピンポーン。見舞いに来た良子がさくらの家のインターホンを鳴らす。
ちょうど遺産相続の件でやってきた男と共に、母はさくらの部屋へと招き入れる。
良子に「声をかけないでくださいね」と釘を刺し、その場で遺産相続の話を進める母。
自分の名義になっている財産をすべてさくらのものに書きかえて欲しいと言う。
近々さくらを置いて外国へ行く、そのわけはこの顔を見ればお分かりいただけるでしょう…。
さくらが目を開け、何か言っているようだ。注射をしそのまま眠らせる母。
良子に「よくなったらすぐに行くから、その時はよろしくね」と言い、良子を帰らせる。
帰り道、良子はちょっと不思議がる。「まるでおばさんが学校に来るような変な言い方ねえ。
それにさくらちゃんの唇の動きが助けてって言ってるみたいだったけど…
でも熱があるから苦しくてそれで助けてって言ってんだわ……」
2階で先生が歩き回る音がする。手術を承知してくれたのだそうだ。
さくらはもう3日も何も食べていない。美しい顔がやつれたと嘆く母。
無理やり食べさせるが、さくらは吐き出してしまう。
「脳を入れかえるってどういうことなの 脳を入れかえたらどうなるの」
さくらを安心させるために優しく説明する母。
「お前はちっとも変わりゃしないのだよ。このままの美しい姿でまた学校に通うんだよ。
この身体で……そしておかあさんの身体はいらなくなって捨てるの…。
だっておかあさんの脳みそがお前のこの頭の中に入るんだもの。
でもお前の脳みそは捨ててしまうのよ」
「いや〜〜〜っ!!」
手術着を着せるために紐を解くと、すぐに逃げようとした。
が、少しも食べていないし結わえられてて体が痺れてロクに動けない。
研究室へ連れて行かれる途中、思わすつかんだドアのノブがとれ、2本の鋭いとげがむき出しになった。
さくらはそれを自分の顔につきたてると脅して外へ逃げ出した!が、結局連れ戻されてしまう。
ぐったりとしたさくらは運ばれながらも家の敷地で大きな石をこっそり拾う……。
研究室の拘束台に乗せられ、手術のために髪の毛を剃られてしまう。
再び逃げようと抵抗するさくらは、はずみで母を石で殴りつけてしまう。
倒れたまま動かぬ母。「いかん!!すぐはじめなくては」先生の声が遠くで聞こえる…。
ごめんなさい。洗礼:8の222は間違いです。途中送信してしまいました…。
これから怖い世界に突入しますが、今日はここまでにしておきます。
文庫版全4巻の1巻の半分までいきました。
導入部は大事なところだったのではしょれませんでしたが、
今後はできるだけはしょってゆこうと思いますのでまたお付き合いくださいませ。
はしょらなくていいよぅ
こわいよう
こわいよう
おつ
(すいません;上の「賢者の島」は
>>146さんの「七つの眠りの島」が正しいです)
旅を続ける二人はヘンルーダの親族、上王(アード・リーと読む。
「族長」(リーと読む)の数種族を統べる格上の族長)ミアーハの
沈黙の一族に援助を求めて訪れる。
しかし「沈黙の一族」は突如侵攻してきたバラーに破れてミアーハは戦死。
一族は緑の原の一族ほどのダメージは受けなかったものの、かなり弱体化する。
しかしかなりの戦士が残ったのだから(当時は男は皆殺し、女は捕虜が慣習だったらしい)
これで一族を復興しようというミアーハの母(=ヘンルーダの姉。よって親族)
しかし、あくまでバラーへの復讐を企てるミアーハへの忠誠が強い一派。
後者に属する「狼」と「狐の手袋(ラズモア)」は深淵の谷へと潜入し、バラー暗殺を企てる。
「沈黙の一族」は精霊との直接交渉を持つ稀なる一族であり、
ミアーハ自身も予知能力を持っていた。
彼の予知によるものか、それとも運命だったのか、アリアンとヘンルーダの二人は
再度の戦が始まる以前に時を飛び越え、後の季節へとたどり着いていた。
(ここで未来へと飛べなかったボリと一旦別れる)
そして既に沈黙の一族が破れたことを吟遊詩人の歌で知るのだった……。
エリンでの助け手に希望を失った二人は、海を渡って隣のブリタニー
(イングランドの古名)へと向かおうとする。
ヘンルーダの呪いという道しるべがあるグリフィスは、追跡を止めない。
(ここでエリン=アイルランドから離れます。ので、一旦切ります)
リツコ先生、がんばる!の巻
昔、怖い体育の先生がいた。忘れんぼの子はその先生の授業の前に
赤白帽を無くし、先生に怒られるのが怖くて三階から飛び降り自殺をした。
その子は霊となってからも赤白帽を探して校内を彷徨っている。
地面に落ちた時に頭皮がはがれ、その霊のシルエットは、赤白帽をかぶっているように見える。
そのためか、いつしか「赤白帽」と呼ばれるようになったその霊は、ひどく錯乱していて、
出会った人を無差別に襲うという……
童守小で、赤白帽に襲われる児童が多発した。ぬ〜べ〜は除霊しようとするが、
熱が出ているために失敗してしまう。このままでは生徒達が危険だ。
リツコはぬ〜べ〜の代わりに除霊をしようと、広・郷子・美樹を連れ、夜の校内を歩き回った。
極度の怖がりのリツコを美樹が面白がって脅かし、リツコはその場を一人走り去り、皆からはぐれてしまった。
我に帰ったリツコは、暗い夜の校内に怯え、震えながら皆を探す。
「ないよ…ここにもない……みつからない…みつからないよおお…おこられるよおお〜…」
生徒が教室の中で泣いていた。こんな時間に何故?リツコは怯えながら近寄る。
リツコに気づき振り向いた生徒は、頭皮がはがれ、血を流していた。赤白帽だ。
赤白帽は泣き叫びながらリツコに襲い掛かった。
熱の引いたぬ〜べ〜は、リツコの悲鳴を聞いて現場へ向かった。
そこには、赤白帽を抱きしめるリツコの姿があった。
「可哀相に。こんなに怯えて…貴方がこんな霊になったのは私達教師の責任よ。
もう探さなくてもいいのよ。貴方はとても良い子だから。だから…さあ…おやすみ」
リツコのその言葉に赤白帽は成仏していった。霊への憐れみの心が経文と同じ効果を上げたのだ。
「みごとでしたよ…しかし、人一番怖がりの貴方が何故除霊など…」ぬ〜べ〜は聞く。
「少しでも貴方の役に立ちたかったの。わかっています…貴方の心にはまだあの子の事が…
でも私は貴方が好き。だからいつでも傍にいたいし力になってあげたい。
それにあの子が教えてくれたわ。叶いそうにない恋でも、思っていれば必ず相手に届くって…」
ぬ〜べ〜はただ戸惑うばかりだった。
>>124 初期のコミクスを知人に貸し出し中なのでしばらくお待ちください。
何気にぬ〜べ〜は脇役が多い…
>>漂流教室の中の人
お疲れさまです。
洗礼もがんばってください。
謎の人体発火現象の巻
いずなの身に、突然服や靴などが燃え出すのに体には火傷一つなく、
全裸状態になるという不思議な現象が頻繁に起こるようになった。
これでは着る物にも困る。いずなはぬ〜べ〜に相談する。
1886年カルフォルニアでは見るだけで物が燃やせる少年がおり、
1929年西インド諸島では突然服だけが燃え、常に着る物に困っている女性がいた。
これらの事例は人体発火現象と呼ばれている。
「こういう現象は不安定な精神が、思春期の抑圧された性欲が引き起こすと言われている。
特に君のような霊能力の強い子が。もしかして恋でもしたんじゃないか?
恥ずかしがるなよ相談に乗るぞ」ぬ〜べ〜はそう言うが、いずなは恥ずかしがって言わない。
美樹は1951年フロリダで人体発火の末足首だけを残して燃え尽きた女性の話をした。
最悪の場合いずなもそうなってしまうかもしれない。理由を話せと言う。
いずなは恥じらいながらも、道ですれ違った男子生徒に恋をしている事を打ち明ける。
告白しないからストレスが溜まって発火するのだ、告白しろと美樹達は言う。
しかし男子生徒には恋人がいた。ショックでいずなの霊力は異常に上がり始めた。
このままでは炎が身を守る力を上回って燃えてしまう。いずなは泣きながら海へ向かって走り出す。
「海に飛び込んで消すつもりか!?あの高温で水に触れたら水蒸気爆発をおこすぞ!」
陰からいずなの様子を見ていたぬ〜べ〜は慌てて飛び出し、鬼の手を出した。
こうなったら鬼の手でいずなの恋に関する記憶を消すしかない。
しかしいずなは海の手前で止まり「バカヤロー!」と叫んだ。途端に火は消えていった。
「落ち込むもんか…たかが失恋くらいで」全裸のいずなにぬ〜べ〜は服を渡した。
失恋したり泣いたり裸になったりと恥ずかしい所見られたいずなはぬ〜べ〜を睨み付ける。
すると、ぬ〜べ〜の体が燃え始めた。
「どうやら発火現象をコントロール出来るようになったなったわ。また将来の大霊能力者に近づいたわ!」
松本洋子の「にんじん大好き」とかいうホラー漫画お願いします。
あと「北宋風雲伝」お願いします。
女郎蜘蛛のまき
糸美という何年生かも、そもそも童守小の生徒かもわからない美少女が現れた。
彼女はすぐに男子生徒の中でアイドルと化した。ぬ〜べ〜は糸美から妖気を感じ、
糸美を霊視した。すると、糸美の頭の辺りから赤い糸が生えでて、それが糸美の
とりことなった男子生徒達に伸びている事に気づいた。
糸美に邪気が無いので、ぬ〜べ〜は一先ず糸美を放っておく。
しかし何か引っかかり、図書室で妖怪に関する書物を紐解いた。
どの民族学者も言っている。妖怪とは人間の心が生み出した物だ。
それらは悲しみや恐怖などの負の感情から生まれる事が多い。
その妖怪の能力は人間に害を与える…。雪山への恐怖が生んだ雪女の能力が、
男を凍らせその魂を奪う能力であったように。きっと、あの子の能力も……。
糸美は放課後に一人で苦しんでいた。体が変形していく。自分が違うモノに変わっていく。
糸美の赤い糸をつけられた男子生徒達は、むくりと起き上がり糸美の元へ向かった。
巨大な蜘蛛――変形した糸美は男子生徒を食らおうと牙を向けた。
「やめるんだ糸美!人間を…殺してはいけない!」ぬ〜べ〜が現れ言うと、糸美は人間の姿へと戻った。
糸美は泣きながら言う。頭の中で声がする、お前は人の恐怖を吸って生まれた
人を食え、食わねばお前は元の年老いた蜘蛛に戻る。そして今夜寿命で死ぬと。
「でも、でも…私出来ない。皆を食べて…殺して…そんな事をしてまで私…この世にいたくない!
皆に…皆に伝えて…短い間だったけど、楽しかったって…」
――ねえ…先生…妖怪って幸せになれないの…?
泣く糸美がぬ〜べ〜には、死んだゆきめと重なって見えた。ぬ〜べ〜は神に祈る。
「この子の魂を成仏させたまえ。そして来世には人間として生まれ変われるように…!」
糸美はぬ〜べ〜の腕の中で、小さな蜘蛛の死体へと姿を変えた。
ぬ〜べ〜がその小さな蜘蛛を、校庭の片隅に埋めた事を知る者は誰もいない。
一行目「女郎蜘蛛の巻」でした。すみません
前スレ>436より続きです。
vol.10:PAIR
昴流は幼い頃の自分と、その自分と会話する男の夢を見る。
京都で生まれた昴流は、皇一門の当主となるため初仕事を行うべく東京に祖母と来ていた。
そして桜の下で男と出会い、賭けをしたことを思い出す。(→Vol.3と同じ場面、会話が交わされます)
その場面を見ていた昴流は、後から声を掛けられる。そこにいたのは顔がよく見えないが星史郎らしき男。
そしてその腕に抱かれた、胸を貫かれ血だらけになった自分の姿だった。
驚きその男の名を呼んで目を覚ます昴流。
あれは夢ではない『現実』、『記憶』だ…
衝撃を受けた昴流は、目覚めたとき誰の名を呼んだのか覚えていなかった。
星史郎の見舞いに行こうとした昴流に、北都は話しかけた。
昴流は桜塚星史郎のことをどう思っているのか、と。
北都は昴流のように陰陽術を操る才能は持っていなかった。だがそんな北都は昴流にない力を一つだけ持っている。
それは自分の心に鈍感な昴流の心がわかる力だった。
そして昴流に「今回の事件で誰が一番変わってしまったのか」を考えるよう言い聞かせる。
右目を失った星史郎だと答えようとする昴流を北都は否定した。
「あの人は変わっていない。強いて言えば…もう『装う』ことをやめてしまっただけよ」
北都は昴流がずっとはめている手袋、祖母しか知らないその理由がもうすぐ分かる気がする、でもその時が…
と暗い未来を暗示した。
そして昴流を抱きしめ、「大好きよ だから『どこか遠くへ行ってしまわないで』」と願った。
病院に向かった昴流は北都の言葉に従い、自分が星史郎のことをどう思っているのかを考え出した。
星史郎が右目を切られた時、自分は何も考えられなかった。
なぜ北都の声も分からないほど混乱していたんだろう…
そう昴流が何かに気づきだした時に、目の前で盲導犬を連れた盲人が絡まれているのを目撃する。
盲導犬珍しさに絡んでいる高校生をいなし、昴流は目が見えない人の話を聞きたいと思い色々話をした。
右目を失った星史郎はいずれ左目も見えなくなるだろう、その時自分になにができるかと必死に考える昴流に、
そのおじさんは昴流がその相手のことを本当に好きなのだねと言った。
病院に着いた昴流は星史郎の病室の前で色々と思いを巡らし、そして気づいた。
「僕は星史郎さんに、嫌われるのがこわかったんだ」
人の想いに敏感で相手の心が分かっても、昴流は今まで相手に何かを望んだことはなかった。
相手にどうして欲しいとか、どう思ってもらいたいとか思ったことはない、
だが星史郎が昴流をかばい斬られたとき、自分は彼に嫌われたのだと、もう会えないのかと恐れて泣いていた…
昴流は星史郎が自分にとって『特別』の『好き』な相手であることに気づく。
そして病室に昴流が入った時、そこは平常の空間ではなく桜の舞う術中の空間だった。
とまどう昴流の目に、桜の木の下に佇む冷酷な笑みを浮かべた星史郎が写り、『賭け』の決着を宣言した。
Vol.11:END
賭けの決着をつける時がきた、と言う星史郎にとまどう昴流。
「貴方と僕が再会してから今日で一年立ちました。『約束』の日ですよ」
わけが分からない昴流だが、今朝見た夢をもう一度その場で見る。
そして星史郎は、あの昴流と話している男は誰なのかを思い出させた。
昴流と星史郎は7年前に会っていた。
それを忘れていたことを訝る昴流に、星史郎は自分が記憶を消したからだと答える。
なぜと問う昴流に、さらに星史郎は記憶を想起させた。
そして昴流は、7年前に星史郎の足元に少女の死体があったことを思い出した。
あのとき祖母を待っていた昴流は何かに呼ばれ、東京を歩いていて桜の木に辿り着いた。
その桜の木には多くの怨念が宿っており、昴流はその怨念を取り除きたいと願い術を行使していたが、
そこで少女の胸を貫いた男とはち合わせたのである。
過去の星史郎は昴流を眠らせその処分を考えていたが、目覚めた昴流が何も覚えておらず無垢だったことに
興味をひかれた。そして何喰わぬ顔で会話を始めたのだ。
一連の流れを見てショックを受ける昴流に、星史郎は自分が『桜塚護』であることを明かす。
『桜塚護』を見たものは必ず殺される、なのになぜ僕が生きているのかと混乱する昴流に、
星史郎はそれは『賭け』をしたからだ、手袋をはめている理由を思い出せ、と告げる。
幼い昴流は、両手に『桜塚護』の獲物だという印を刻まれた。再会したときにすぐ分かるように。
かけつけてきた祖母は孫の両手に宿敵の印が刻まれていることに驚愕し、封印の手袋を施したのである。
しかし今、星史郎は祖母のかけた封印をあっさり破り、昴流は倒れた。
そして『賭け』の内容を思い出させる。
「君と僕がまた会えたら 一年間だけ一緒に過ごしましょう」
星史郎は昴流の真っ白な心とは正反対の心を持っていた。
もし再会したら、星史郎は昴流を『好き』になるよう一年間だけ努力してみる、
もし一年たって星史郎が昴流を『特別』だと思えたら、昴流の『勝ち』だから殺さない、と。
それが賭けだった。
星史郎は人間を殺しても何も感じない人間なのだと言う。
『桜塚護』は自分一人しかいない、継承するときに先代もろとも周りの全ての関係者を殺すので
常に一人しかいないのだと。星史郎は先代・自分の母を殺して『桜塚護』を継いだ。
自分は昔から『人間』と『物』との区別がつかない、といい星史郎は昴流の腕を折る。
さらにバカスカと蹴り、それでも何も感じない星史郎は『賭け』は自分の勝ちだとして昴流を殺そうとした。
反撃もせず力無く泣く昴流に、星史郎は
「人間が人間を裏切る、そんなことは『東京』にはどこにでも転がっています」とこともなげにいい、別れを告げた。
しかしそこに祖母の式神が現れ星史郎の術を破る。
とりあえず星史郎は退散し、傷ついた昴流は一人病室に残された。
北都の予言通り『特別』な者に裏切られた昴流は、心が壊れ廃人のようになってしまう。
何も食べず話さない昴流に、北都は泣いて自分のせいだと詫びた。
北都は、聖人のごとく過ごし自分に執着をもたない昴流に「人のことなどどうでもいい」
そう思えるほど『特別』な思いを持って欲しいと願っていた。
そして星史郎なら昴流の特別になれる、と分かっていた北都は
彼の危険性を分かっていながらもむざむざと近づけてしまったのである。
こんな結末になって死ぬより辛い目にあわせた、ごめんね とひたすら謝り、北都はある覚悟を決める。
『桜塚護』は必ず昴流を殺しにくるだろう それだけはさせない、と。
北都は「どうか戻ってきて」と告げ、姿を消した。
北都が消えて1カ月、寝たきりの昴流は自分を呼ぶ声を聞く。
夢の中で見たものは、あの日見たのと同じもの。
しかし星史郎に抱かれ、胸を貫かれ息絶えているのは北都だった。
叫びながらはね起きた昴流を祖母は必死に止め、昴流は崩れ落ちる。
それからかかってきた電話は、北都の死を知らせるものだった。
正気に戻った昴流は「姉さん…」と涙を流し、決意する。
「あの人だけは僕が… 殺します」
<END>
*そして「X」という別作品に続きます。
人相も性格も全く変貌してしまった昴流と、全く変わっていない星史郎が
主役ではなくメインの登場人物で出てきます。
彼らの決着は一応「X」で着いています。
東バビの方乙ですた。
もしお持ちならXのストーリーも教えてくださいませんか?
二人がどうなったかが知りたい…
魔法騎士レイアースお願いします
バビリオンリクエストしたヤシです。
書いてくださった方乙です。
Xのほうは読んでいるのですが、時々チラチラ出てくる
二人の過去話がずっと気になってました。
ありがとうございました。
Xは難易度高そうだな…
ではXかいてみます、が、もし無理そうだったら下書きでやめて
どなたかに早々にバトンタッチ致しますのでおながいします
うーむむずそう
242 :
夢使い:04/04/27 14:49 ID:???
第2章いきます
阿部銀樹(ぎんじゅ)は許嫁の家庭的な美少女・瑠瑠(るる)と
同棲しているという皆のうらやむ設定の中学生。
しかし彼には秘密があった。
瑠瑠はガラクタで作られた人形なのだ。その本体は心臓にある
黒い石で、その中には小さな少女が入っている。
銀樹は毎朝瑠瑠の鼻から息を吹き込むことで、命を与えねばならない。
一日の活動を終えると瑠瑠はその熱を使い切って冷たくなり、
夜にはガラクタの身体に戻る。
瑠瑠を与えたのは銀樹の父で、その時こう言われている。
「息を吹き込むのは鼻から。口づけをしてはならない。
その他、激しい欲求をぶつけるのは禁忌(タブー)である」
一方、福岡から九州担当の夢使い・茶川三時花(さがわ・さとか)が上京、
童遊斎おもちゃ店を訪問する。
茶川三時花、土曜星、塔子を「塔子さま」と呼ぶ14歳。メガネっ娘。
何故か普段は人民帽を着用。
彼女は「中に人間の入った黒い石」を探していた。
まとめさん江
漂流教室の最初のネタバレは消しましょうや(苦笑
頼みますぅ
244 :
夢使い:04/04/27 15:03 ID:???
長崎に甕島(みかじま)という人口80人ほどの小さな島がある。
かつて隠れキリシタンがいたというこの島には、ある伝承がある。
何百年も昔、中に小さな人間の入った石が隕石として降ってきた、というものだ。
島民はその石を「黒い聖母」として祀った、という。
そして10日ほど前、その甕島の島民が全員行方不明になった。
(この件は報道関係には伏せられている)
島外に住む村長の知人の話によると、それより1ヶ月ほど前から
「“小さな人間が入った黒い石”をよこせ。さもなくば禍が起こる」という
電話がかかってきていたという。
この島民失踪事件を追うことになった三時花は、黒い石が鍵と考え、
それを追っていたのだった。更に調べたところによると、隠れキリシタンの
宗主だった一家は明治になった時に「黒い聖母」を持って島を出ており、
その子孫が東京の阿部という家だという。
一方その阿部家でのこと。いつになく無口だと思うと、いつもより早く冷え切り、
ガラクタに戻りかけている瑠瑠。原因は学級委員の銀樹が放課後、副委員の
中島さん(メガネ、巨乳)に告白されたのを見てしまったかららしい。
精神的な落ち込みなどがあると、瑠瑠は急激に熱を失っていくのだ。
245 :
夢使い:04/04/27 15:17 ID:???
自分はガラクタ、人間の女の子を好きになったら、その子のところへ
行っていいという瑠瑠。それに対し銀樹は、ガラクタでもいい、
許嫁なんて関係ない、瑠瑠が好きだ、とはっきり言うのだった。
すると再び熱く火照り、人の姿になる瑠瑠、その日は深夜までガラクタに
戻ることはなかった。
この時胸を触ってしまった銀樹は、特に悪いことはなかったし、
キスしても大丈夫なのでは、と思うが、この時には実行できないまま。
その頃、黒い石を求める謎の少女が、阿部家に辿り着いていた。
(書き忘れていたが、阿部家に銀樹と瑠瑠以外の者が住んでいる気配はない。
ただ、暗い部屋の中に向かって銀樹が「ただいま父さん」と挨拶をしている)
翌日、吹奏楽部の練習で遅くなってから帰る銀樹を、1人の少女が呼び止める。
瑠瑠の正体を知る彼女もまた、ガラクタの身体に石の心臓を持っていた。
かなり強引に連れ込まれた廃工場には、まったく同じ外見の少女が
他にも3人、待機していた。その4人の少女達は更に別の、やはりガラクタの
身体に石の心臓を持つ模造人間を銀樹にあげようと言う。
姿も性格も好きなようにするので、代わりに瑠瑠をくれ、というのだ。
そんなことはできない、と逃げ帰る銀樹。
246 :
夢使い:04/04/27 15:31 ID:???
少女達は皆スピカという名で、互いを青・黄・緑・紫と色で呼び合っている。
そして5人目、赤のスピカに阿部邸に先回りするよう伝えるのだった。
帰宅した銀樹に迫られる瑠瑠。しかし、その銀樹は赤のスピカの変身だった。
瑠瑠を一部ガラクタに戻し、胸の黒い石を確かめるスピカ。
そして、その石の中の人間が完全な形であることに感嘆するのだった。
彼女達の胸の石の中の人間は、不完全な形なのだ。
錬金術における究極の物質、第五実体、またの名を“賢者の石”
しかし今の地球上には完全なそれを作る技術はないと語るスピカ。
瑠瑠の胸の石は、失われた第五実体かも知れないのだ。
阿部家を訪問する燐子と三時花。(ここで、夢使いとしては自分の方が
先輩だ、という燐子を三時花が「燐子ちゃん先輩」と呼ぶコントが)
そこへ急いで帰ってきた銀樹は2人を追い抜き、2人の申し出を
「今度にしてくれ」と切り捨てると家に飛び込もうとする。
しかしその途端家の中からクリスタルの塊が出現、銀樹を包み込むと
また引っ込んでしまうのだった。
すかさず“転装”する夢使いの2人。
ドアをあけても中いっぱいにクリスタルがつまっているのを見ると、
燐子が四次元鋏を発動、切り開きにかかるのだった。
247 :
夢使い:04/04/27 15:45 ID:???
家の中は辺り一面クリスタルの異層空間になっていた。
銀樹と瑠瑠はクリスタルに閉じ込められている。
瑠瑠を連れて行こうとするスピカ達と夢使いで、戦いが始まった。
相手を手ごわいと見たスピカ達は、1人を残し、
2人ずつで胸の石から発する光を合わせ合体、巨大なクリスタルの塊に
なると、回転し燐子達を押し潰しにかかるのだった。
燐子は超伝導フリスビーを発動、一方三時花は箒神にお菓子の本を
入れると、「チョコ・スティック・ミサイル」で迎え撃つ。
三時花はお菓子のイメージを操る夢使いだ。
撃破され、一端退却するスピカ。異層空間が消え、家の中に戻る。
そこで夢使いの2人も、瑠瑠の胸の石を見るのだった。
しかし外に出る、5人のスピカ全員が合体、巨大なクリスタル塊に変身していた。
「ドリル・オブ・ソフトクリーム」で撃ち落とす三時花。(下が川だったから
良かったものの、民家の上にでも落ちたら、というコントも入る)
しかし、川から上がってきたスピカ達はあまりこたえていない様子。
ドラゴンの頭の形になり、口から巨大な光弾を吐き出そうとするが、
その時スピカ達の“マスター”が登場。大っぴらな行為を許可なくするなと
止めに入る。
248 :
夢使い:04/04/27 15:59 ID:???
マスターの奇妙な仮面と服の紋章から、燐子は相手の正体を見抜く。
相手は錬金術の始祖、ヘルメス・トリスメギストスを奉じる秘密結社、
「ヘルメス教団」のメンバーだった。
マスターは戦っている暇はない、と言うと2人をあっさりクリスタルに閉じ込め、
スピカ達を連れて家の中に入る。
だが、瑠瑠は助けを求めていた。銀樹が「父さん」と呼びかけていた暗い部屋に。
マスター達が探し出した時、瑠瑠と銀樹はクリスタルに包まれていた。
一方外では、クリスタルの空間構成は複雑で、燐子は切り裂くのに苦戦していた。
三時花も四次元鋏を発動、2人でやることに。
教団に来れば生き神のごとくうやまわれるだろう、と言い、瑠瑠を誘うマスター。
しかし銀樹と離れ離れにはならないと言う瑠瑠に対し、
マスターはある現実を見せ付ける。
青のスピカに口づけをするマスター。すると胸の石がスパークし、手が、足が
爆発して落ちていく。他の4人が悲鳴をあげて止めた時には、青は
両腕もない上半身の一部だけになっていた。
愛する人間と恋愛的行為をすれば黒い石がオーバーヒートし、燃え尽きてしまう。
それが模造人間。人間の少年と一緒にいても、幸せにはなれないのだ。
249 :
夢使い:04/04/27 16:16 ID:???
しびれを切らしてクリスタルを力づくで破ろうとするマスターに対し、
瑠瑠は1つの決断をする。気を失っている銀樹を起こし、
キスを願ったのだった。目を覚ました途端異常な状況下での
申し出に驚く銀樹だが、瑠瑠の必死な態度に、それを受け入れるのだった。
マスターの止めるのも虚しく、唇を合わせる2人。
ここで夢使いの2人もようやく脱出、追いついてくる。
胸の石が火花を発し、2人を包んでいるクリスタリ自体がスパークすると、
瑠瑠は倒れ、ガラクタに戻った。石の中の少女が、うっすらと目を開ける。
銀樹が息を吹き込んでも、もう人にはならない。
銀樹が叫び、父に助けを求めると、空間が渦巻き、父の姿が現れた。
父は言う。「いずれ禁忌を破ることは分かっていた。だが一度だけならそれを
覆す方法がある。将来瑠瑠を自分の妻にすると誓いを立てればいい」と。
当然だ、ずっと瑠瑠が好きだった、という銀樹。石は誓いを聞き入れた、
と言う父。石の中の少女が、完全に目を開いた。
更に父は手から1つのクリスタルを出現させ、銀樹に渡す。
その中には銀樹とよく似た学ランの少年の姿、
今の銀樹と同じ14歳の時の父の記憶が入っていた。
更に父は告げる。「その石を持って甕島に行け。石の導いてくれる場所に、
瑠瑠を人間にする方法がある」と。
250 :
夢使い:04/04/27 16:30 ID:???
「わたしも14歳の頃人形を甕島の“聖所”で人間に変えた。
その女を妻とし愛し合い生まれたのが銀樹、お前だ」そう父は言う。
阿部家の男は代々、自らの息を吹き込んだ人形を人間に変え妻としてきたのだ。
非生命から生命を作り出す力、それこそが賢者の石の力。
やはり求めていたものがあったとマスターは喜び、スピカ達と力を
合わせて襲い掛かるが、銀樹の父は再び渦巻いて消えていきながら、
最後にマスターに向けて巨大なビームを放つ。
クリスタルが砕け散り、そしてマスター達も父も消えてしまった。
再び瑠瑠の鼻に息を吹き込み、人間の姿にする銀樹。
燐子は狙われていることだし、うちに泊まらないか、と2人を誘うのだった。
ここで、壊れた青のスピカが置いて行かれていたことを三時花が発見、
これも連れて行くことになる。
童遊斎おもちゃ店に帰ったところで、
留守番の塔子曰く、もう夜なのに「まだ晩ご飯の準備ができていない」
誰が当番をやるか、となるが瑠瑠が引き受け、皆感動、とオチがつく。
(続く)
>>243 ネタバレのためのスレみたいなもんだし
いいんじゃありませんか
>243
私は好きです(w
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
いつの間にか意識を失っていたさくらが気がつくと、母と共に拘束台に乗せられていた。
先生が菜箸のように長く太い針をたくさん持って立っていた。
「この針を身体中のツボにつき立てて麻酔をする。これが私の方法なのだ」
「私から先にやってください。さくらの身体に針が突き刺さるところはとても見ていられないから」
太い針が母の身体のあちこちに突き立てられてゆく。ブスッと音を立て、たらりと血が流れる。
「平気だわ 若く美しくなれるんだもの…」
母は笑みさえ浮かべているが、さくらは恐怖に打ち震えている…。
目を見開いたまま、意識を失う母。頭皮をめくられ、剥き出しになった頭蓋骨に穴があけられる。
円を書くようにいくつもあけられた穴同士を糸ノコでガリガリと削り、頭蓋骨を丸く切り取った。
脳を剥き出しにされた母を放置し、さくらの手術が開始される。
何本も刺される麻酔針。ところが恐怖のせいか、さくらの意識は残ったままだ。
「いいかげんに意識をなくした方がいい。頭の骨に穴をあけるところまで自分で味わうことになる」
頭皮にメスが入る。ガリガリと嫌な音がする。
めくった頭皮を針で固定し、ドリルのような物でいくつも穴をあけられる。
そして糸ノコでガリッガリッと骨を削られ脳を出される…。そのひとつひとつを味わうさくら。
ペシャッ。床に落とされるさくらの脳。母の脳を取り出し、さくらの頭に入れる。
神経をひとつひとつ結束させるという、難しい手術がはじまった……。
………一週間後、「さくら」が目を覚まし、よろよろと起き上がる。
近くの台に乗せられたコップの水を一気に飲み干し、再びぐったりと横になる。
「もう大丈夫だ。それでは私は行くよ。どうか悔いのない人生を送ってくれ。影で祈っているよ」
先生が去ってゆく。カツン、カツンと遠ざかる足音を、さくらはただ聞いていた…。
置いてあったサンドイッチをむさぼり食い、やっと一息つくさくら。
視界に入った鏡に飛びつき、自分の姿に笑みを浮かべる。
後頭部には大きな傷跡が残ったが、そんなものはどうにでもなる。
鏡に映し出される、床に放置されたさくらの脳みそ。
それをブチュッと踏み潰し、笑う「さくら」。
「これでもうさくらはこの世のどこにもいないのよ!!ハハハ…ホホホホホ…
もうこんな醜い身体を毎日見ながら暮らさなくてもすむのよ!」
拘束台に横たわる母の顔に、ペッと唾を吐きかける……。
――その夜。さくらは母の身体を引きずって庭に出る。
事前に掘られていた大穴に母を入れ埋めてしまうが、見ていた野良猫をスコップで殴り殺す。
「どうかみんな私を邪魔しないでおくれっ!!私はこれから普通の人生を送りたいのだから」
映写機に映し出されるかつてのさくら。
テープに録音されたさくらのおしゃべり。
それを見て癖やしゃべり方を記憶する「さくら」。
学校のことや友だちの名前なども調べてはいたが、
自分が知らずに他のみんなが知っている「さくら」の記憶や行動まではわからない。
「特に良子さんには気をつけなくちゃ。私の知らない約束や秘密があるかもしれない」
翌朝、かつらを被りさくらの服を着て家を出るさくら。町の人は普通に歩いている。
「誰も感づかないわ。そうよ感づくはずがないわ」
「あれはさくらちゃんだわ。病気がよくなったのだわ」
学校へ向かう良子は前の方を歩くさくらに気付き、驚かそうとこっそり近寄る。
「変だわ。歩き方や後姿が何となく違うみたい…。
でもさくらちゃんならこの次の花屋さんの前で必ず立ち止まるわ」
しかし花屋を素通りしてゆく。追い越して何気なく振り返る。やはりさくらだ。
「後ろから見たら別の人かと思っちゃったわ。きっと病気をしたせいだったのね。
さあ早く学校に行きましょう!みんな大喜びするわよ」
手をとって走り出そうとする良子をさくらが止める。
「私まだ走ることができないの。まだ熱がすっかり戻ってないの。
だから時々変なことがあるかもしれないけど気にしないでちょうだい」
「ええ。私気になんかしないわ」ゆっくり歩き出す2人。
「でも何だかさくらちゃんのしゃべり方ったらお母さんそっくりねえ」
さくらの眉がピクリと動く……。「学校に着いたわ」
見当違いの下駄箱をあけるさくら。「こっちよ」と良子が教える。
「ちょっとお休みしてる間にカンが狂っちゃったみたい」
「さくらちゃーん!病気がよくなったのねー」
廊下にいた女子たちが我先にと走り寄る。それをかばって良子が言う。
「だめよ乱暴しちゃ。さくらちゃんはまだすっかりよくなってないのよ」
「まさか自分の席まで忘れてるなんてことないでしょうね」
笑いながら冗談を言う女子。「あの、私ちょっと先生に挨拶してくるわ」
だから私の机においといてくれない?とカバンを良子に渡して職員室へと向かうさくら。
職員室に入ると、担任の谷川先生はすぐに気付いてくれた。
「さくらじゃないかっ!学校に出てこれるようになったか!」
「せ 先生!!」
ひしと抱き合う先生とさくら。一見感動的な光景だが、さくらの目は見定めるように光り、
先生の背中に回された手はしっかりつかんで離さない……。
お母さんはどうした、との問いに「ヨーロッパへ行きました」と手紙を渡すさくら。
さくらをくれぐれもよろしくと書いてある。どうしてさくらを残してまで、と不思議がる先生。
「お母さんは醜い自分の姿を気にしなくてもすむところへ行きたいといつも言っていました」
「さくらはお母さんをそんなに醜いと思うかね?」
「それでは先生は醜くなかったとお思いですか 顔のこんなところに大きな痣があったのですよ
それに太っていてシワだらけで!!年よりもうんと老けて見えるんです!!
きっと先生は人ごとだからそんなことを平気でおっしゃるのです!!」
熱弁するさくら。いつの間にか泣いていた。
「もしいくら若くてもそんな女が先生のお嫁さんになりたいと言ったら
先生は断るでしょう!!そうでしょう!!」
慌てて慰める先生。「日曜に先生の家でお祝いのパーティーをやろう」
「は はい………」パッと笑顔になる。「さあ、教室に戻りなさい」
教室に戻ったさくらは自分のカバンの置かれた座席に座る。途端にまわりが笑い出した。
「さくらちゃんたらやっぱり自分の席を忘れているんだわ」隣の席の女子が笑う。
「そこは私の席なの。わざとさくらちゃんのカバンを置いといたのよ……」
みんなが笑ってる。他愛のない子供の悪戯だ。
「ひどいじゃないのっ!!」だがさくらは真剣に怒り出した。
「ごめんなさい、そんなに怒るとは思わなかったの。みんながやれって言うから……
あなたの席はこっちよ、すぐに変わるわ」自分の座っていた席を空ける女子。
「あら フフフ」コロッと笑顔になるさくら。
「あーあ、ずいぶんお休みしているうちに私ってぼけちゃったのね。
早くもとに戻らなくっちゃ」みんなと一緒に微笑むが、目が笑っていない…。
「さあみんな勉強をはじめよう。それではまずさくらにやってもらおうかな」
社会科の第4章の勉強するテーマ、前に習ったことだから教科書を見てはだめだと言う。
「さくらのことだからちゃんと覚えているはずだ」
「ウウ、ウウウッ!ちょっと頭が……じっとしていればすぐによくなります、大丈夫です」
机に突っ伏するさくら。先生は質問を他の人に答えてもらうことにする。
隣の女子が手を上げた。「中島か……よし、言ってみろ」
正しく答えた中島が逆に質問を返す。「先生はいつお嫁さんをもらうんですか?」
むせて真っ赤になる先生。冷やかされてますます赤面する。笑う生徒たち。
「私大きくなったら先生のお嫁さんになろうかしら」
みんなの笑い声の中、突っ伏したままのさくらの目がぎろりと光る……。
放課後、先生にまとわりつく女生徒たち。
「先生は私たちのクラスの女子で誰が好きなの?言わなくても知ってるわ!
中島さんでしょ、………それから最後に上原さくらさんよ。女の子って敏感なんだから」
そんな先生と女生徒たちを、さくらは遠くで見つめていた。
「あなたは誰にもあげないわ、私だけのものよ!
そして私の女としての幸せをはじめるのよ。これが私の第2の目的よ!!」
そこへ良子がやってくる。「島くんが帰り道で待ってるって」「島くん……?」
中島が今日はにわとり小屋の掃除当番の日だとさくらを引き止める。
「にわとりのピコはさくらちゃんにしか馴れないんだから」
掃除に行くさくらを追いかけようとした良子を中島が引き止める。
「さくらちゃん少し変だと思わない?さくらちゃんじゃないみたいな感じよ」
後をつけて様子を見ると言う中島を追って良子も走り出した…。
にわとり小屋に入るさくらに、にわとりが飛び掛ってきた!
さくらの顔や手を傷だらけにするにわとり。カッとして思わずひねり潰してしまう。
小屋を出た傷だらけのさくらを見て、どうしたのと驚く中島と良子。
震える手で顔に手をやるさくら。心配する良子をよそに、1人で帰ると歩いてゆく…。
>「さくらのことだからちゃんと覚えているはずだ」
>「ウウ、ウウウッ!ちょっと頭が……じっとしていればすぐによくなります、大丈夫です」
ワラタ
1人で歩く帰り道、突然男子生徒が声をかけてきた。
「ぼくだよ。今朝廊下ですれ違ったのに知らない顔してるんだから。
声をかけようとしたけど、クラスの奴がいたから冷やかされるだろ…」
「なんですって?」
「きみ病気だったからずいぶん心配してたんだ……
でも僕のこときみのお母さんも知らないだろ?」
そうか、彼が「島くん」で、「さくら」はこの少年と……。
「ホホホホホ」高笑いするさくら。
「あんたなんかもうなんとも思ってやしないわ!
子供なんて相手にしないわ。私の欲しいのは大人の愛よ」
呆然とする島くんを置いて、さくらは去ってゆく。
「何としても先生を私のものにしてみせるわ。あの人は前から私の理想の人だった!!
あの人は独身だし、今の私ならあの人をものにするのは簡単だわ」
若く美しい女性の身体を手に入れ、暴走するさくら。
「あの人のあたたかい胸は私に幸せを与えてくれるわ!
私もあの人に心から仕えてきっときっといい奥さんになるわ!」
日曜においでと言われたけどとても待てやしない、今夜行ってみよう。
あの人の大好きなのり巻きを持って先生の家へと向かう。
「あの家だわ。きっと1人で本でも読んでいるわ」
開いていた窓からこっそり様子を見ると………
「あなた、お食事の用意ができましたわ」
赤ん坊を抱いた女性が、先生を「あなた」と呼んでいる!
「和代、今度の日曜に上原の退院祝いパーティーをやろうと思うんだ。
その日は実家に行っててくれないか?みんなは俺を独身だと思ってるんだ」
あきれた和代が真実を言えばいいと言うが、どんなデマが広がるかわからない、
ウチのクラスにはすごく口の悪い女の子がいるんだと先生は必死に頼む。
じゃあせめて料理の下ごしらえだけはしておきますと実家に帰ることを承諾する和代。
2人の笑い声を背に、さくらはある決意を秘めた顔で去ってゆく……。
みなさん乙ですー。
>>190 まとめサイトのほうにも書いてますけど、「○○やります」と断言調でないと予約欄にはのせないように
してます。これは「○○やりましょうか?」で載せちゃったらプレッシャーかかるかなー? と思うので。
でまぁ本来別に予約なんてしなくてもいいんで、気にせずばんばん書けるものは書けばいいと思います。
>>243 勝手に消しちゃったら書いた人に申し訳ないなぁと思うし、ネタくさい、というと失礼だけど
「知ってる人が読んだら確かに合ってるけど、知らない人からみたら全然あらすじになってないよ!(笑)」
的なの、自分の中ではMONSTERの最初の、味っ子、エヴァもどうにかしないといかんなぁ、とか思ったり。
でも確かに冒頭でネタバレしてるのはどうかなぁ、と思うんですよね。しかし最後に持ってきたとしても、
それまでの読んでたら載せる意味はないか、とも思うし。けど削除はしたくない、というジレンマ…。
単に自分の頭が固いだけかもですけど。なんかいい策ないですかね。
あと私信ですけど、神さまのつくりかた、遅くなりましたがありがとうございました。
今後リクするときは名無しでやります。
260 :
243:04/04/27 20:29 ID:???
初期の半ネタのは別段構わないと思うのです。
誰か完全版出揃ったらHappyやり直してくんないかなー_| ̄|○トラウマー
通常版コミックス譲っちゃったし
訂正
別段削除なり別枠にリンク貼るなり改造して構わない
>◆ncXKkmcQGA様
いつも乙です。
作品項目を二つに分けるのはどうでしょう?
「オチだけです」とか注意をつけて、それをクリックするのは閲覧側の自由と言うことで。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
翌日、さくらの家に良子が迎えに来た。
日曜のパーティーのメンバーに良子や島くんも加わっていると言う。
話ながらさくらの腕をとる。さくらはそれを振り払った。
「さくらちゃんのことお母さんに話したら家へ来たらどうかしらって」
「いいのよ気を遣ってくれなくても」
「昨日島くんとてもがっかりしていたわ、なにかあったの?」
「なんでもないわ」
今日も授業が始まる。憲法の話になる。
「女子は16歳になると結婚してもよいことに……」
「フフフ……」中島が笑う。ギクリとする先生。先生は彼女に悩まされているようだ。
「先生は何歳でしょうかー」「そんなくだらないことを大きい声で聞くな!」
「だって日本の法律によると先生はあと7年は結婚できないことになってるわ」
「えっ!?な……なぜ……」
「あらにぶいのねえ……だってあと7年経たなきゃ私16歳にならないじゃない」
こんなやり取りはいつものことらしく、みんな大笑い。
放課後、当番の良子はさくらを先に帰す。
そこに話しかけてくる中島。彼女はさくらを怪しんでいるようだ。
「今日の書き取りのさくらちゃんの字、大人びた書き方だったわ。
これには絶対秘密があるのよ。私絶対突き止めてみせるわ。」
日曜日。今日はパーティーの日だ。
放置して腐らせた残飯を小瓶につめて持参するさくら。
先生の家はとても手入れが行き届いていた。きれいに飾り付けもされている。
食事の用意もできてるとの言葉に、大喜びでキッチンへ行く生徒たち。
鍋にはスープ、冷蔵庫にはアイスクリーム。隙を見てさくらは小瓶の中身を鍋に入れる…。
「さくらの病気全快、おめでとう!それではスープで乾杯といこう!」
先生がこんな美味しそうなスープを作ることができるなんて夢にも思わなかったわ。
一刻も早く私が先生のお嫁さんにならなくちゃ…このままじゃ妻になってもすることがなくなっちゃう」
中島は今日も相変わらずだ。「スープで乾杯!」
みんなでスープを飲むが、中島だけは飲まない。「実はあたしケーキの方が目当てなんだ」
「おいおい、そんな食い意地の張った嫁さんはもらわないぞ!」
「まあ……ということは先生ったら私を………」真っ赤になって照れる中島。
「おいおい、そんな意味で言ったんじゃないぞ、変な中島…」
大笑いするみんなの中、1人静かに座ってるさくら。
「おや、どうしてさくらだけ笑わないのだね」
「なんでもないの、ちょっとつまらないことを考えていたから」思わせぶりなことを言う。
中島がみんなと一緒に聞きだした。
「じゃ言うわ。もしかしてほんとは先生に奥さんがいるんじゃないかしら。
もしそうなら中島さんは先生の奥さんにはなれないわね」
「まあっ、なんてことを言うの」
「ふふふただの空想よ。だからちゃんともしかしてって言ったでしょ。
もしかして先生には奥さんやお子さんがいてそれで今日のパーティーのために
どこかに行ってもらったりしてたら……」
「まあ!さくらちゃんったら失礼ねえ。そんなバカなことがあるわけないわよねえ先生」
「うっうん……さ、さあレコードでもかけよう」楽しい音楽で盛り上がるみんな。
島の様子が何だかおかしい。「なんだかお腹が変なんです……」
「そういえば私も……良子さんはなんともない?」他の女子も苦しそうだ。
「ええ……ほんとは私もさっきから我慢していたの………」
「変ね私はなんともないわよ」ケーキをぱくつきながら平然としている中島。
「お腹が痛い!」「あーっ苦しいっ!!」一斉にテーブルに突っ伏し苦しむ生徒たち。
先生と中島が慌てて介抱するが、先生も腹痛に襲われた!
「中島、病院へ電話してくれっ!それから女房の和代に電話して帰るように言ってくれ……」
「えっ!?女房 それじゃ………」動揺しながらも病院と和代に電話する中島。
医者はすぐ来てくれたが、和代は近所のお宮に行っているとのことだった。
生徒たちの家族が子供を連れて帰りに来た。女房の作ったスープが悪かったようだと謝る先生。
大半の生徒が帰ったあと、和代はやっと帰ってきた。
良子の母がさくらも一緒に連れて帰ろうかと言うが、先生は自分の責任だからとそのままにしておく。
和代に「俺のことはいいからさくらの面倒を見ろ、お前のスープにあたったんだ」と怒る。
寝ているさくらの元に、赤ちゃんを抱いたままやってくる和代。「大丈夫ですか…?」
大袈裟に苦しむさくらに驚き、赤ちゃんを放り出してさくらの背を撫でる和代。
「先生!先生!」必死に手を伸ばし苦しむさくら。
「あなた!」やってきた先生が背中を撫でてやると、やっと静まった。
あなたは休んでてくださいと止める和代。さくらは「ここにいて、私怖いっ」と引き止める。
先生はさくらの隣に布団を敷いてもらい、さくらに手を握られて横になった。
泣いてる赤ちゃんを放ったまま和代は悩む。
「なぜこんなことになったのかしら……私が疑われているような様子だったわ!」
「私はわかっているわ。先生の奥さんがそんなことをしたんじゃないって…ちゃんと知っているんです」
弱々しく答えるさくら。先生はさくらにお礼を言う。
「なぜ中島さんだけスープを飲まなかったのかしら……私、眠くなったわ………」
和代は生徒の家に見舞いに行き、帰宅する。2人とも落ち着いたのか、ぐっすり眠っていた――。
>>259 「MONSTERの最初」って
何かやばいこと書いてましたでしょうか〜( ̄Д ̄;)アワワ
差し障りがあるようなら消して下さい・・・m(_ _;)m
>>265 いえ、先にちょろっと、というかオチだけ書かれた方が別にいらっしゃるのです。
ルカはネストラの城に戻ると、ノアとティトに事の顛末を告げる。
ルカはリーリアを優しくきれいでいい人だと二人に説明する。
しかし、何もかもが罠だった。
ルカは奴隷交換の約束を交わしながらも自分の奴隷を渡せないと言い、
にもかかわらずライナスの返還も拒否したとして処刑を言い渡されていた。
そしてその極秘任務を任されたのはネストラだった…
そんなことは露知らず、ルカはリーリアからもらったイヤリングを傍らに眠りにつく。
夢の中にはアリステアとエリュシオンが出てくる。
アリステアはエリュシオンがいけにえにされるのを阻止すると言う。
そんなことをしてはアリステアが罰を受けると危惧するエリュシオンに、アリステアは味方がいるから平気だと笑う。
自分を慕ってくれる大公家の娘が手引きをしてくれると。
エリュシオンモノローグ
『全てを捨てて私を守ると言って下さった 貴女の運命をこそ
我が命にかえてでも お守りしたかったと…』
物音が聞こえ夢から覚めるルカ。
そこには自分に向かって剣を突きつけるネストラがいた。
けれどもネストラにはルカを殺すことは出来なかった。
逃がそうとルカと双子を乗せ真夜中に馬車を走らせる。
しかし、検問が行く手を阻む。
ネストラは楯となりルカを逃がす。
ルカ達は森の中を走り、川に浮かぶ舟を発見する。
しかし、そこに行くまでには追っ手に丸見えになってしまう。
ティトは自分が囮になるから二人で逃げろと走り出す。
走りながらティトはライナスに言われた言葉を思い出していた。
「どうして俺達男は女の為にそこまでしなくちゃならない…?」
ティトモノローグ
『同じこと考えてた
俺もずっと同じこと考えてたよ ライナス
あの日まで そうルカに会う日まで
なんでかなんてわからない
答えなんてでやしない
でも
でもひとつだけ
ひとつだけ今の俺に言えるのは…』
鈍い音がしたと思うとティトの身体は槍に射貫かれ崖から落ちていった…
ルカはティトの声が聞こえたとノアに舟を戻すように頼むが、
ノアは涙を流しながらも舟を戻そうとはしなかった。
ティトモノローグ
『でも 今の俺は
好きな女のために死んでいける自分が
嬉しくてたまんないよ…』
ルカとノアはそれから一昼夜、口もきかずに舟を漕ぎ続けていた。
雨も上がり、海に浮かぶ船を見つけ、乗せてもらうことに。
ルカ達はそこで口のきけない青年、ロキと仲良くなる。
そこに突然二頭竜が船に襲いかかってきた。
ルカは聖剣を手にすると一瞬で竜を倒した。
北の都エレガンに着くと船員達はルカに救われたお礼にとロキを譲ってくれた。
ロキは、伝説の一族の出身だった。
霧に包まれて暮らす一族。
三つの目は遥か未来までも読み、その叡知は彼方宇宙にまで及んだ。
いつしか彼らを手に入れた者が世界を手にするのだという噂が広まり
あらゆる手段で彼らは狩られ続けた。
やがて彼らは滅びの途を辿り、伝説の中にのみ存在する一族となった。
自分の集落もそうやって滅ぼされたと語るロキ(実は喋れた)
長い迫害の歴史から身を守る為に一族は先見の力もなくし、額の目も閉じてしまった。
わずかに一族の長の直系にのみその能力を残すとも言われるが、生き残った者の話しも聞かないと語る。
その頃、ネストラは瀕死のティトを見つけると聖剣で傷を治してやり、変装して逃げていた。
反逆したネストラを討伐するのを、親友であるジーラの隊に命ずるテス将軍。
それは表向きで、将軍は実際に手を下す人物にはあのタニアを任命していた…
翌朝。先生は学校へ行くと言う。さくらはまだ具合が悪いようだ。
和代は治るまで家で預かるのかと不満そうだ。
「さくらは誰も身寄りがないんだ、ちゃんと治るまではな」
「私スープを作る時ちゃんと確かめました」泣く和代をなだめる先生。
先生もまだ具合はよくない。中島の他はみんな休むそうだ。
が、自分まで休むわけにはいかない、みんなの家にも様子を見に行かねばと無理して出かけた。
学校では、中島が昨日の騒動をみんなにしゃべっていた。
「先生に奥さんがいたのよ!赤ちゃんまでいるんだから!!
夕べ先生の奥さんが訪ねてきたのよそれでなんて言ったと思う?
私がスープに何か入れたみたいな言い方をするのよ!
ウチのお父さんもお母さんももうカンカンよ!」
「もしかして奥さんがわざとやったんじゃない?嫉妬して」
先生が来たので話はいったん中断された……。
夕方、帰宅した先生は和代を責める。
「お前が変なことを言うから生徒たちの様子が変だ、お前がやったって噂が広まってしまった」
さくらは「具合が悪い」と何も食べないでいたと言う。医者にはもう大丈夫と言われているのだが…。
「先生、今夜はついていてくれなくてもいいわ」「どうして?」
「だって奥さんに悪いもの。先生の奥さんって優しくて本当にいい人ね。
私先生の奥さんが大好きよ。私ずっと先生のおうちにいられたらどんなにいいかしら。
でもよくなったらすぐに出て行くわ」
2人の話を、和代は障子越しに聞いていた……。
翌日。「ハアハア」と苦しそうにしているさくら。
おかゆを持って和代がやってきた。「いいの。まだ具合が悪いの」
先生はまだ学校にいる。他の人たちももう登校しているそうだ。
「気分がよくなったら一口でも食べてちょうだい」とおかゆを置いて、
息子の貢が寝ているうちにとマーケットへと出かけて行く。
買い物かごを手に急いで戻る。ドアを開けるとガスの臭いが充満していた!
「貢!!」買い物かごを放り出して家中走り出すが、階段を踏み外して落ちてしまう。
よろけながら子供部屋に行くが、貢はいない。
ガスの苦しさに耐えられなくなり、外に出ると、そこに貢を抱っこしたさくらがいた。
「赤ちゃんは私が助けました。ガスの元栓もちゃんとしめておきました」
安心して倒れる和代。手と足をくじいてしまって動けない…。
「私、いろんなことを考えていてそれで元栓をしめ忘れたのだわ…」
「私がお掃除やらお洗濯やら赤ちゃんの世話やらなんでもするわ。いいでしょう?
だって奥さんが動けないのですもの、それくらいするの当たり前だわ。
今まですっかりお世話になったんだもの、恩返ししなくちゃ」
「さ さくら………」
「いいでしょ。もう決めたっと。奥さんがよくなるまでそうするわ。
ああよかった。私これで少しの間ここにいられるわ!ねっ貢ちゃん!!」
赤ちゃんを抱っこし、返事を待たずに決定するさくらだった。
リーリアは、みすみすルカ達に逃げられ、ライナスも帰ってこない事に腹を立てていた。
ライナスは単独行動を取り、ルカ達を追っていた。
北の海を懐かしそうに眺めるライナスは過去を思い出していた。
ロキもまた過去をルカ達に話していた。
ロキ視点:
襲撃は突然やってきて、村長の子(回想によりライナスと判明)は母の手により海へ落とされた。
前の神官が散ったその日、その時刻に生を受けた運命の子。
ライナス視点:
母は自分を助ける為に海に突き落とした。
自分の名はライナスではない。
神官の名を継ぐ最後の子。
ロキ、ライナス:
その名はエリュシオン…
それを聞いた途端、ルカは気分が悪いと倒れてしまう。
ノアとロキが、ルカを横たわらせ薪を取りに出て行くと、ライナスが山小屋にやってきた。
どうして居場所が分かったのかと驚くルカに、一族の能力だと教える。
そうして全てはリーリアの仕組んだことだと告げる。
親友と思っていたリーリアが…ショックを受けるルカ。
ルカを殺そうとするが戻って来たノアとロキの気配に気付いたライナスは、姿を消した。
再び外に出たロキに、ライナスが接触する。
そこで、お互い一族の者だと分かった時、二人はリーリアが飛ばしたギネア(大鳥)に襲われる。
ライナスはロキを庇い囮になって森の中へ逃げ込む。
しばらくして戻ってこないロキを心配したルカとノアが探しに来た。
怪我をしたロキは、自分を庇って森へ行ったあの人を助けてと譫言を繰り返している。
ルカはそれを聞くと一人で森の中へと走っていった。
剣も持たずにライナスを助けようとするルカを何故か庇ってしまうライナス。
ギネアはライナスの手によってカケラとなった。
吹雪の為に帰るに帰れないルカは、ライナスの傷の手当てをする。
ルカはライナスに何故自分を殺そうと思ってるのかと聞くと、ライナスは女が嫌いだからだと答える。
リーリアは?とルカが聞くと、リーリアが欲しがったのは自分のこの能力だと笑う。
リーリアに理由も分からず追われて辛いだろうけど
いつか見てろと、仲間たちの仇を絶対討ってやると思ってるだけで
この先きついことがあっても耐えられると、ライナスは自分の境遇になぞらえながら話す。
そんなライナスにルカは少し心を動かされる。
一方ネストラ達は、タニアに襲われていた。
そこに何かおかしいと気付いたジーラが現れる。
犯罪者はいかなる者であれ生け捕りが原則で、
追討隊隊長の自分がネストラ達を預かると主張する。
が、タニアは「どんなやりかたでもネストラとティトを確実に殺せ」と命令があったと拒否。
そこでジーラはタニアに戦いを挑んだ。
焼け落ちた小屋の周囲にはおびただしい数のカケラが散乱していた。
リーリアはその報告を聞くと、たったひとかけだけ風に乗ってたどり着いた
ギネアのカケラを手に静かに怒りを増長させた。
「いったい何人巻き添えにすれば気が済むのかしらね、ルカったら…」
リーリアモノローグ
『ライナス
愛していると夜ごとに私の耳に髪に囁いたあなた
あなたにとってはそれが生活の糧を得る手段に過ぎないことなど分かっていたけれど
あなたは私の言葉もまた似たようなものだと思っていたのね
私が本当にあなたを王冠を得るためだけに利用していると
私のこの想いまでもが嘘だったと…
許さないわ
ライナス そしてルカ−』
ルカモノローグ
『リーリア 私はもう逃げない
例え あなたの側にどんな理由があるとしても』
ルカ『あなたがどうしても私と私の仲間たちを狙うというのなら』
リーリア『どうしても私の前に立ちはだかるというのなら』
ルカ、リーリア『−私は闘う−』
翌朝。先生がキッチンに行くと、もう朝食ができていた。
「私お料理は得意なの」「ほう、これはうまい……」
先生を先に学校へ行かせ、奥さんに食事を持ってゆくさくら。
「奥さんのお食事はここへ置いておきます。私は学校に行ってきます」
ベッドの上で小さい土鍋のふたを開ける。
中にはゴキブリだらけのおかゆが入っていた………!
「ギャーーーーーッ」
慌ててふたを閉め、「誰か!!」と叫ぶ和代。そこにさくらが入ってくる…。
包帯の巻かれた手を思いきりつかみ、「横になっていなくちゃ」と押さえつける。
貢はビックリして泣き始めた。
「私のこしらえたおかゆをどうして食べないの。食べさせてあげるわ」
口をあけないとこぼして火傷する、あけないと怪我したところをひねるわよと脅し、
ゴキブリがゆをすくったスプーンを口に持ってゆく。
強引に口に入れられ、背中を押されて飲み込んでしまう。
必死に抵抗しておかゆを床に落とすが、自分もベッドから落ちてしまった。
「ふん!ずっとそうやっているといいわ。」
泣いてる貢をよしよしと抱っこする。
「貢ちゃん、あなたのママは今日からこの私よ。先生によく似ていてなんて可愛いのかしら」
「よしてっ!!」
泣き止むのよ、と大きく放り投げて高い高いをする。「やめて!!」
「おっと」受け止めそこなって落としそうになる姿を見て、和代は気絶してしまう……。
そうでしたか。
勘違いしてスマソ(ノA`)アチャー
高らかに笑いながら学校へ行くさくら。
みんなにずっと先生のうちにいることを報告する。
「それに先生の奥さんが怪我して動けないから代わりに私が色々してあげなくては」
「怪我!!いったいどうしたの?」「なんでもないの」
「奥さんが怪我して動けないって言ったじゃないの」「あら私そんなこと言ったかしら」
「言ったわよ、なぜ動けないほどの怪我をしたのよ」
「じゃあ言うわ……ガスの元栓をしめ忘れたらしいのよ」
「まあっ危ない それで奥さんはどこにいたの?」「買い物に行ってて家にはいなかったわ」
「まあ無責任ねえ、家には誰もいなかったの?」
「私がまだ具合が悪くて寝ていたわ……それに2階には赤ちゃんがいたの」
「まあっ!!もしかしたら奥さんはさくらちゃんと赤ちゃんを
ガス中毒にさせるつもりだったんじゃないの?先生との仲が上手くいってなかったのよ!」
奥さんを責める女生徒たちを必死に止めるさくら。
「みんなそんな風に言わないで、お願い!!先生の奥さんはとってもいい人なのよ。
先生とも仲がいいし私にも優しいわ。奥さんは他のことには目もくれず赤ちゃんを助けようと
駆けていってそれで階段から落ちて怪我をしたの」
「それじゃさくらちゃんはどうでもよかったのね」「い いえ そ そんな……」
「そうに決まっているわ、それで誰が赤ちゃんとさくらちゃんを助けたの?」
「私が助けたの。気付いたらガスが充満していて……でも必死に元栓をしめて
赤ちゃんを抱いて外に出たわ。外へ出たら力尽きてしまって………」
「まあ酷い………先生もよく我慢できるわねえ………」
そっと顔を背けるさくらをよそに悪口に花を咲かせる女生徒たち。
さくらはこっそり舌を出した……。
先生が家に帰ると、さくらが晩御飯の用意もできていると出迎えた。
「おや まるで主婦のようだ」
玄関脇に荷物が置いてある。さくらの布団と洋服で、後から机やイスも届くそうだ。
「あの……奥さんがさっきから先生の帰りを待っておられます」
さくらとともに和代の部屋に行くと、和代は半狂乱でさくらを追い出せと叫んだ。
「私にゴキブリを食べさせたのよ!それに貢を放りあげたりしたのよ」
きょとんとする先生の後ろから腕にしがみついたさくらが顔を出した。
「よしてっ、うちの人に触らないでっあなたそいつを追い出してっ」
「いったいどうしたというんだっ!!」
嬉しそうに笑うさくら。「あっ笑ったわ!!」
先生が振り向くが、さくらは硬い表情のままだ。「今笑ったのよほんとよ!!」
「私にゴキブリ入りのおかゆを食べさせたのよ、ほらおかゆのこぼれた跡が!!
それに貢をバスケットボールみたいに放り投げたのよほんとよ!」
ワッと泣き出すさくら。「私……赤ちゃんをあやしただけですそんなことしません。
それにゴキブリだなんてあんまりです」
「嘘よっあなたでたらめよ信じては駄目よ!
あなたっあの子は悪魔よっ!!すぐに追い出してっ今に殺されるわっ」
「あんまりですっ」1階に駆け下り、キッチンで泣くさくら。
「和代は少し頭が混乱しているんだ」
「私……やっぱり先生のお家にいてはいけないんだわ」
出てゆこうとするさくらを必死に止める。そこに運送屋がやってきた。
「こっちへ運んでください、ここをさくらの部屋にしよう」
「先生!あ ありがとう」
キティクだぁ(((( ;゚Д゚)))
運送屋が荷物を置いて帰っていった。さくらは先生に着替えるように言う。
肌着もちゃんと取り替えるように言うが、先生は脱衣所でそのままズボンだけ履き替えようとする。
そこへさくらが入ってきた!「だめよ そのパンツを脱いでちょうだい」
パンツに手をかけるさくら。そこへ和代が乱入してきた!
「なぜこの子がこんなところにいるの、よく恥ずかしくないものね……」
「さくらはまだ4年生だっまだ子どもだっ」
「ごめんなさい私洗濯をしようとしてそれでそれで」
さくらを突き飛ばして制止する和代に、先生は手を上げる。
悲鳴をあげて自分の部屋に逃げ込むさくら。
追おうとする和代をみっともないと怒り、2階に連れてゆく。
その声を聞きながら、さくらは歌って踊る……。
「あの子は悪魔だ、大人のような口のききかたをする」と主張する和代。だが先生は信じない。
「もういいわほっといてっあなたは向こうへ行ってっ」
「そうか俺も疲れたから書斎へ行く、書斎で寝る」
そして夜。先生の書斎にさくらが訪れる。
「お勉強を教えて欲しいの」
2人で楽しそうに勉強するさくらと先生。
「いやだっ先生のおひげくすぐったい!くすぐったいわ!!ハハハハ」
楽しそうな笑い声が和代の寝ているベッドにまで響きわたる。和代は悔し泣きをした……。
こっそりと起き出して1階に降り、電話をかけようと受話器をとる和代。
ダイヤル(昔懐かし黒電話)を回すが、間にカッターの刃が仕込まれていて右指を切ってしまう。
「あの子だわ!」刃を取り除き、ダイヤルを回す。
実家の母に明日来てもらう約束を取り付け、受話器を置く。
そこへいきなり電話のベルが!降りてきた先生と鉢合わせて焦る和代。「おトイレにきたのよ」
学校の教頭から、生徒が警察に保護されているからすぐ来て欲しいとのこと。
行かないでと和代は止める。電話のダイヤルの刃のことを言うが、「早く薬をつけるんだ」と
取り合ってくれない。先生は行ってしまった。
和代の包帯の巻かれた足を思いきり蹴るさくら。痛みにうずくまる和代を無視して
「用心が悪いから」とノブに紐を結わえつけてまで戸締りをし、「おやすみなさい」と行ってしまった。
「手を怪我してほどけないのを知っていてわざとやったのね!!」
2階で貢の泣き声がする。「またなにか酷いことをっ……」慌てて2階に這って行くと、
貢がベビーベッドで泣いていた。布団を剥ぐと、脳をくりぬかれた猫の死体を紐で身体に結わえられていた!
紐を歯で噛み切り、死体を投げ捨て貢を抱きしめる。「なんて酷いことを!!」
突然明かりが消える。目の前にさくらのシルエット。しかし頭に獣のような耳がついている。
「いったい何が目的なのよ!私のうちに入り込んできて」
暗闇に目が慣れてきた。脳をくりぬかれた犬の首をかぶったさくらだった。
「ギャーーーッ」火がついたように貢が泣き喚く。
「貢がひきつけを起こしてしまう、やめてっ!!」
逃げる和代の行き先に立ちふさがり、「そっちへ行くのよ」と誘導してゆく。
窓を開け、ベランダに出る。…と、首にロープがかかった。輪になっている…。
「そのまま手すりの外へぶら下がるのよ。みんなはきっとノイローゼで自殺したと思うわ」
不自由な手で必死にロープを首から外すが、あまりのショックに気絶してしまう。
「ふん。倒れても自分の子どもだけはしっかり抱いているわ」
和代を室内に引きずり込む。
「あんたには別に怨みはないけど一緒に住んでるうちに憎しみでどうしようもなくなってくるわ!
睡眠薬を飲ませておけば朝まで何にも知らずにぐっすりよ」
口にコップで流し込み、背中を叩いて無理やり飲ませた。
――深夜、先生が帰ってきた。さくらが貢をあやしながら出迎える。
「貢ちゃんが泣いてどうしても眠らないからあやしているの。留守中変わりはなかったわ」
和代は眠っていると言う。きっと疲れたのだろう。
さくらにも寝るように言い、寝室に行くと、和代はいびきをかいて眠っていた…。
――翌朝。先生が起きると家中ピカピカになっていた。靴も磨かれきれいになっている。
「今日はゴミの日だから台所のゴミを出しておかなくちゃ」
バケツを持って外に行こうとするさくらを止める和代。
「その中に猫の死骸と犬の頭が入っているのよ!こっそり捨てる気なのね!」
バケツを奪い取ろうとする和代に悲鳴をあげてていこうするさくら。
「なによわざと悲鳴なんかあげたりして。夕べはあんなに恐ろしいことをしたくせに」
もみ合ってるうちにさくらが倒れ、バケツの中をぶちまけてしまう。
「ない!!ないわっ!!だだましたのねっ!!」
先生に他のゴミの中を探すように訴える和代。夕べのことも話すが先生は取り合わない。
「夕べはぐうぐういびきをかいて寝ていたくせに、それに朝は朝でいつまで寝ているんだっ」
「あなた!!そそれは違いますっ」
和代を責める先生をさくらが止め、一緒に学校へ行ってしまう。和代はゴミの散乱した廊下で泣き続ける…。
先生と別れ、教室に入るさくら。「さくらちゃんがきたわよ」
中島が女生徒たちと何やらたくらんでいる。
「あれがほんとのさくらちゃんならビックリするはずよ。
だってこの中にはさくらちゃんの大嫌いな物が生きたままではさんであるんだもの」
さくらに1冊の絵本を差し出す中島。「前に読みたいって言ってたでしょ」
「ありがとう。私この本読みたかったの」みんなの前で席につき、絵本を開く。
「あっ!!キャーーーッ!!」
大きなムカデが1匹はさまっているのを見て、さくらは本を投げ出して廊下へ駆け出した!
逃げるムカデを瓶に詰める中島。「さくらちゃんの驚く様子見た?」
「廊下で震えているわよ、やっぱりあれはさくらちゃんよ、思い過ごしよ」
「ますます変だわ。私でたらめ言ったんだもの。この本さくらちゃんはとっくに図書室で
読んでたの私知ってるのに、「これ読みたかったの」だって……」
「それなら読んだの忘れちゃったのよ、私たちしょっちゅうだもんねえ!」
大笑いする女生徒たち。さくらは廊下で「いけないいけない」と舌を出す……。
放課後。ムカデの瓶がないと騒ぐ中島を尻目に下校するさくらと良子。
「中島さんがあんなにいじわるするのは、先生のお家にいるからヤキモチやいてるのよ。
ところでお母さんからは連絡ない?」
「ないわ。お母さんは可哀想な人なの…。今まで普通の人が味わう幸せを知らずに年をとったの。
だからあの人を自由にさせてあげたいの。……それじゃ良子さんここでさよならするわ」
「そうよ。私はただ幸せになりたいだけよ。何としても平凡な女の幸せをつかんでみせるわ!!」
今日はここまでです。2巻の半分くらいにいきました。
もっと書きたいけどさすがに寝ないと仕事に差支えが_| ̄|○
続きはまた夕方以降になると思います。
はしょったつもりが長いですね(;´Д`)
ここからまたエグイ展開になりますがなにとぞよろしくです。
。・゚・(ノД`)・゚・。 乙ぅ
>34続き
三日後、昏睡状態だったケビンは目を覚ます。
丁度部屋へ来ていたエスメラルダから、Jrとシェリルも無事であると聞き、ケビンは安心する。
エスメラルダはケビンが気付いたとグロリアに言いに行くが、疲れきっているグロリアを気遣い、そのまま休ませる。
場面は変わって、ケビンを見舞うJr。
「僕はずっと、死ねる場所を探してたんだ。
知ってたんだ、小さい頃から、自分が病弱で育ちも不幸な事。
死んだって、僕を知って少しの人は悲しむだろうけど、だからって、世の中が変わる訳じゃない。
だから僕みたいな人間にとって、死ぬって事は、病気の痛みと苦しみが終わる、ただそれだけの事だったんだ」
沼での出来事に想いを馳せるJr。
「あの時――心底、腹が立った。生まれて初めて、病気が憎かったんだ!!
あの時、助けを呼びに行くのは、僕でありたかった。僕がケビンを助けたかったんだ!!」
ケビンはベッドの上、体を引きずるように、Jrに手を伸ばす。
「数日、高熱が続いただけでこんなに辛いなんて、今、身をもってお前の辛さが解ったよ。
ニック、俺もお前に死なれちゃ嫌だぜ。」
「大好きだよ。ケビン…」
ケビンはローズマリーに手伝ってもらい、眠るシェリルの部屋を訪ねる。
「ねぇローズマリー。シェリルには俺が必要なんだろうか?
そんなに俺が付いていないとダメなんだろうか。
こんな無茶をやらかして…少しでも目を離したら、今度はどんな無理をするか。
一生、俺が側で見守ってやらないと、この子はダメな子なんだろうか?」
その場面を偶然に目撃したグロリアは、声をかける事が出来ず、立ちつくす。
ジョシュアに食事をさせるエスメラルダを見ながら、グロリアは、自分も今頃は母親だったかもしれない、と過去を語る。
「8年前ね、婚約者がいたの。
私達は医者になりたての大学院生で、同じ臨床医を目指してた」
負け知らずで常にトップだったグロリアは、婚約者の「彼女に対する焦り」に気付かなかった。
婚約は解消され、相手はひと月も経たない内に、十代の女性と結婚した。
シェリルのような、可愛い女性と…
《続く》
>286続き
「男って…どうして…人の心に二度と消せない程、強く自分の面影を焼き付けておいて、平気で去っていけるのかしら…」
その言葉にエスメラルダは、グロリアが昔の傷を癒せぬまま生きている事を知る。
「私はまた今度も、あの時と同じ想いを味わわされるのかしら…」
そう言ってグロリアは、独りで考えたいから暫く病院に泊まる、と言う。
「ケビンに伝えておいて。暫くここには帰らない」
目を覚ましたシェリルの横にはJrが待っていた。
ドクターが助けてくれた、とのJrの言葉に、シェリルは「ドクターはどうしてあたしの邪魔ばかりするの!」と怒るが、Jrは冷静に、助かって良かった、と言う。
「ちっとも良くないわ!何も分かってないくせに余計な口きかないで!子供のくせに!」
「僕は、僕とシェリルが助かって良かった、なんて言ってない!僕は、ケビンが助かって良かった、って言ってるんだよ!」
ハッとするシェリルにJrは更に続ける。
「ねぇシェリル、僕は君が大好きだよ…でも、ケビンは違うんだ。
好きとか嫌いとか、そんな問題じゃない。そんな気持ちを越えちゃってる。
例え彼が過去にどんな過ちを犯したとしても、例え未来にどんな罪を犯すとしても、総てを許せる…そんな存在なんだ。
だから――彼にもしもの事があったら、僕は君を一生許さない!!
僕はケビンが目覚めるまでそんな事ばかり考えてたんだ。君を、憎まなくちゃいけないんじゃないか、君を、大嫌いにならなきゃいけないんじゃないかって!」
シェリルは愕然とする。
「あたし、もう少しで人を殺すところだったのね――」
―ドクターがいなければ、あたしはこの手で、最愛の人を死なせるところだったんだ!!―
「あたしは自分の事しか頭になくて、身勝手で、取り返しのつかない事を…」
シェリルはベッドに突っ臥し、誰にともなく、ごめんなさい、と泣きながら謝り続ける。
翌朝、嫌々ながら朝食を運んできたエスメラルダに、シェリルは告げる。
「駅までタクシーを呼んでいただけませんか?あたし、学校へ戻ります」
第27話 バイバイ ブラックバード
ケビンに会わず、黙って行ってしまった方がいい、と言うシェリルに、エスメラルダは、後悔するから、とケビンに別れを告げる事を勧める。
「あなたはまた、他の誰かと出会って、新しい恋をするのだから。
辛くても、今はケビンにさよならを言わなければ…」
もう二度と恋はしない、何も出来ない、と泣くシェリルに、エスメラルダは言う。
「バレリーナになりたいんでしょう!?だったら、意地を見せてごらんなさい。
自分の力で幕を引いてごらんなさい。あなたに拍手を贈るわ…」
夜。グロリアの帰宅が遅い、と心配するケビンに、エスメラルダはグロリアの伝言を告げる。
「ケビン、あなた、シェリルとグロリア、どちらを選ぶの?
あなたの何も言わない優しさが、二人の女を傷付けてるわ。
このままじゃ、グロリアはあなたの元を去って行くでしょうね」
翌朝。気落ちするシェリルを慰めようと、Jrは庭の薔薇を大量に彼女のベッドへ運ぶ。
シェリルはJr礼を言い、この家を出ると告げる。
嫌がって、バレエを辞めてしまえと言うJr。
「あたしには沢山の勉強と、更に多くの経験が必要なの。
バレエを辞めたら、あたしがあたしでいられなくなるもの」
シェリルは着替え、ケビンの部屋を訪ねる。
杖をついて歩行訓練をするケビンに、すまなそうな表情を見せるシェリル。
「最後に一つだけ答えて下さい。
もし、ケビンがグロリアさんに出会う前に、あたしがここへ来ていたら、あたしを選んでくれましたか?」
「……いいや。多分、俺は――」
シェリルはケビンの言葉の途中で膝を引き、バレエの幕引きのポーズをとり、走り去る。
―踊り子の唇は、微かに震えた。あの時、さよなら、と―
コートを着込み、トランクを手に家を出たシェリルを、エスメラルダが車の前で待っており、拍手を贈る。
駅に着いても沈んだ様子のシェリルにエスメラルダは過去を語る。
貴族の娘に生まれながらも、父親と折り合いが悪く、パリでモデルになろうと、エスメラルダは家を出たのだった。
《続く》
>288続き
「ポケットには片道分のチケットと、執事から借金した紙幣が3枚。
見送ってくれる人なんか誰もいなくて、手足は凍えて…
道行く人の顔さお見上げられず、恐ろしくて、狂いそうだった。
そんな時たった一人だけ、見送りに来てくれた人がいたの。あたしの、バレエの先生」
「うちの学校の?」
「有名なダンサーだったから、あなたも名前だけなら知ってると思うわ」
エスメラルダは持っていた袋から箱を取り出す。
「先生がね、この箱を取り出して、こう言ったの。
―これを受取りなさい。モデルもダンサーも、役者だって同じです。
普通の人間が普通の人間を感動させる為に、どれ程の苦労と努力を重ねなければならないか、思い知りなさい。
そして怯まず進みなさい。未知の世界を恐れる者は、自分の影を怯えるものです―」
列車に乗り込んだシェリルに、エスメラルダはその箱を渡す。
「あげるわ。今度はあなたが持つ番なのよ」
列車の中、箱を開けたシェリルが見た物は、丁寧に包まれたトウ・シューズ。
シェリルは、シューズの横に名前が書いてあるのを見つける。
ジェニファ・アシュトン――それは、シェリルの叔母の名だった。
―時は流れて行く。
この列車の様に、前へ、先へ、未来へ―
ケビンは外出着に着替え、ローズマリーの前に杖を置き、決然と告げる。
「グロリアを連れ戻してくる。力ずくでもね」
>◆ncXKkmcQGA様
いつもお疲れ様です。良かったらまとめサイトの方にBBSを設置してくれませんか?
こちらではあまり細かい要望などが書きづらいので。もし良かったらお願いします。
>>290 まとめサイト立ち上げた直後にいるかなと思って聞いてみたんですが、
「作るべき」という意見がなかったんで作ってませんでした。
が、今はどうなんでしょうかねぇ。
以前のやりとりはPart2の52からありますです。
要望書きづらいかな?
そんなこともないと思うけど。
「強殖装甲ガイバー」
「ニニンがシノブ伝」
の大体の話をよろしくおねがいします。
確かに誤字の修正の依頼などここではやりづらい感がある。
あればありがたい
294 :
マロン名無しさん:04/04/28 09:59 ID:3yIcjbjH
「先生のお気に入り」相原みき
お願いしますm(_ _)m
前回のおはなしは
>>191-203 <Interlude1>
アズマリア奪還から数日経ったある日のこと、マグダラ内で夜な夜な幽霊が出る
ようになったというウワサでもちきり。訓練後のシャワールームでもその話は絶えない・・・
が、ロゼットはなにやらおねむの様子。ちょうど下着を盗みにきたエルダーとロゼットを
呼びにきたクロノをシスター総出でタコ殴りにした後、エクソシストたちはシスター・ケイトの
執務室へ。
シスター・ケイトは今回の件を重く見ているようで、さらには主に女子寮で頻出している
ということもあり、シスターだけで速やかに解決せねば、と居眠りするロゼットの額にペンを
投げ刺しつつ語る。その夜から見回りが強化されることとなった。
いい機会だからとアズも見回りに加わることに。アズをひやかすロゼット、「精神年齢は
アズの方が上じゃ・・・」などと言って鉄拳制裁をくらうクロノ。
気がつけばロゼットはスープの海にダイブ爆睡。なにやら病的なものすら感じられる
ロゼットの異常な眠さ加減に一抹の不安を感じるアズとクロノ。
案の定、夜の見回りの時間になってもロゼットは起きてこない。仕方が無いので
ロゼットはあとでお説教を食らってもらおうという結論を出し見回り開始。
そのころ、ロゼットは寝覚めスッキリいい気分。思わず空を飛んでしまい・・・
ってホントに飛んでる。幽霊の正体はなぜか抜け出したロゼットの魂だったのだ。
事態を伝えたいロゼットだが回りからはどう見てもゴーストそのもの。アズは見たとたん
失神、シスターたちからは十字結界とセイクリッドの集中砲火。
シスターたちはまたもロゼットを探すついでに下着を盗みにきたエルダーをフクロに
しつつ、ロゼットの魂とは知らずゴーストをを追い込んでいく。
そして、ロゼットももはやこれまでかというとき、突如として閃光が。
そこでロゼットが見たものは、クロノと契約をした「あのとき」の光景。
だが、ホントのそのときとは違うらぶらぶちっくな展開に思わず手を上げる・・・
と、その拳はクロノのこめかみにクリーンヒット。無事ロゼットは覚醒する。
エルダー曰く、今回の一件は、クロノVSレライエのために封印を解いたことに
起因する懐中時計の動作不良によるもの、とのこと。自分では及ばないほどの
技術で作られたブラックボックスの塊だから大事に扱え、とエルダーは告げる。
そして、夢の中身を思い出して思わず赤面するロゼットが照れ隠しにクロノに
一発食らわせて、騒動は一件落着したのであった。
楳図作品を書いてるかた乙です。
洗礼ってアレですか、もしかして一緒に風呂に入って「どうして隠すの」って
やつですか……。
漂流教室も14歳もそうなんだけど、「まことちゃん」と同じ人が描いてるってのが
すごいと思う。笑いと恐怖は紙一重。
キャラ紹介Vol.3
○ロゼット(2)
元々はセブンズベル孤児院に住む戦災孤児だったロゼット。弟のヨシュアの
体調が芳しくないことや、最近何かにつけてヨシュアを教会に連れて行こうとする
牧師(レミントン)の出現などでちょっとヨシュアを過保護ぎみに扱う。
○ヨシュア=クリストファ
ロゼットと同じくセブンズベル孤児院に住む戦災孤児でロゼットの弟。
他人のキズを癒すことができる代わりに自分のキズは治せず、さらに能力の
反動で常に床に伏せがちな毎日を送る。
夢はでっかく「世界でまだ誰も行ったことのないところにロゼットと二人で行くこと」。
病気がちの体が心の奥底に生み出したコンプレックスが、悲劇の幕開けを
告げるベルとなる・・・。
○クロノ(3)
ロゼットとヨシュアが遊びに行った森で、偶然落とし穴に嵌って見つけた地下の
遺跡の奥で眠っていた。ロゼットの第一印象は「自分を『悪魔』と呼ぶヘンなヤツ」。
二人との出会いは偶然か必然か、再び己が運命に立ち向かうこととなる。
<過去・セブンズベル編>
帰りにレミントン牧師を拾ってこいとのお達しに上機嫌のロゼット。
ウキウキ気分でグランドセントラル駅に車を走らせる。
が、当のレミントンは抵抗不能の窮地に立たされていた。
それは数時間前のこと。密かに「罪人(とがびと)」を探らせていた工作員を
レミントンは待っていた。だが、そこに来たのは見知らぬ一般人。
だが、その口から放たれた言葉は
彼は来ないよ 私が食った 骨、肉のひとかけらも残さずね
男を組み敷き銃を向けるレミントン。だがその男は理解できない状況に泣き出す
ばかり。だが、今度は周囲の人々が突如ガラスの破片を首筋にあてがう。
人質。要求はロゼット。
ロゼットが駅に入る直前、一瞬のスキをついたレミントンは正面に立つ先ほどの
男の背に回り首筋に手をかける。その手の中には蜘蛛。その蜘蛛を使って駅に
いた人たちを操っているようだ。
そしてロゼットが駅に入ってくる。操っていたヤツがロゼットに集中している
一瞬の間に十字架から光の刃を発生させ蜘蛛の糸を断ち切り、ロゼットに
銃を撃つように指示。わけも分からず引き金を引くロゼット。
人々を操った張本人には逃げられたが、とりあえずその場は片付いたようだ。
しかし、ロゼットには気がかりなことがあった。そして、レミントンが見せた
一枚の写真がその気がかりを現実的なものへと変えていく。
写真に写っていたのは、たったひとりの大切な弟、ヨシュアの姿であった。
ロゼットとクロノはある場所へ赴く。
二人にとってはじまりの場所、セブンズベル孤児院。
そこは、永久に時が動かなくなった場所・・・。
4年前のセブンズベル孤児院。そこはどこにでもあるごく普通の孤児院。
今日も元気にガキどもが暴れ周り、ロゼットがブチ切れる、そんな毎日。
ロゼットは今日は体調がいいんだというヨシュアをつれて森に遊びに行く。というのも
今日もまたあのいけすかない牧師がヨシュアを連れ出す算段を立てにきたからだ。
レミントン曰く、ヨシュアには特別な才能があるからマグダラに迎えたい、とのこと。
だが、ロゼットに嫌われているという自覚もある手前、無理にとは決して言わない。
ヨシュアは都会へのあこがれを語り、ロゼットは実験に使われるだけだから
行くな、と反対する。そのとき、不意に足元の土が抜け、そのまま穴に転落。
落ちた拍子にヒザを怪我したロゼットを「力」で癒すヨシュア。
自分の体も直せればいいのに、と語るヨシュアに、貴方が人を癒す分周りが
貴方を守る、私が貴方を守ってあげると諭すロゼット。
出口を求め辿り着いたのは大きな扉。何やら字が書いてあるようだがかすれて読めない。
だが、ヨシュアが扉に手をかけた瞬間音も泣く扉が開く。そこで見たものは大きな棺桶と
思しきものと、その傍らに佇む少年であった。
少年は語る。自分の名前はクロノ、人間が『悪魔』と呼称する存在だ、と。
301 :
マロン名無しさん:04/04/28 13:48 ID:iHYUZlz0
起き上がろうとするもアストラル不足で満足に立ち上がれないクロノを、
起き抜けで腹ペコなのかと判断したロゼットは隠し持っていたおかしをあげる。
こうして、3人の交流が始まった。
時には「誰か」の昔話、時にはクロノがハズレのサンドイッチ(ロゼット作)で
リバースと楽しい日々を過ごす。
あるとき、クロノはヨシュアに請われるままに、天空を流れる魂の大河
「アストラルライン」の話をする。目を輝かせたヨシュアはお返しとばかりに
「前人未到の地にロゼットと二人でいくんだ!」とでっかい夢を語る。
そして、新しい夢。「アストラルラインの行き着く果てに、自分と、ロゼットと、
そしてクロノの3人で行こう」。
夢をかたって大いにはしゃいで疲れ眠るヨシュア。力を得て以来発作がちになり
夢を語らなくなったからもう忘れてしまったのかと思っていた、とちょっと
れしいロゼット。思わず一言。「私がもしいっぱい勉強したら、お医者さんに
なれるかな・・・?」
それから数日後、夕暮れ時に突如クロノが眠る遺跡にロゼットが駆け込む。
何やら視線を感じるというクロノにロゼットは泣きすがる。
ヨシュアが誰にも相談せずにひとりでマグダラ行きを決めてしまったのだ。
そのとき、ヨシュアはレミントンに語る。もう誰にも負担をかけたくない。
ロゼットも自分のために無理することなんてない。マグダラに行けば強く
なれるかな?
クロノが泣きじゃくるロゼットをなだめているその時
ヨォ、相棒
声の主、それはかつての仲間にして盟友、アイオーン。
「ちょっと人手が要るようにになったから、こっちに戻って来い。
いまだったら『あのとき』のこともチャラにしてやるし、『尖角(ホーン)』も
返してやるぞ?」
ハテナマークが浮かぶロゼットにアイオーンは語る。
悪魔の力の源は尖角にあり、そして尖角は悪魔にとって必要なアストラルを吸収する
為の器官でもあること、その悪魔の生命線である尖角を折られたクロノは力を失い
堕落した存在であることを。
クロノにとっては実に魅惑的な交換条件。だが、クロノはアイオーンの提案を
撥ね付ける。空の上では見つけられなかった、大事なものがここにはある。
しかし、アイオーンは続ける。
「この尖角いらないのなら、誰かにくれてやろう。ちょうどアテもあるしな」
寝込むヨシュアにアイオーンは語る。
「世の中にゃ外を走り回るガキどもがいるのにおまえは寝たきり。
そんなの不公平とは思わんか?思うならこれを受け取れ」
アイオーンの目論見が読めたクロノは無理を承知で真の姿となり、ロゼットを
抱き孤児院へと一気に飛び立つ。
ヨシュアは言われるがままにクロノの尖角を受け取り頭に取り込んでいた。
接合部からは血が噴出し、これまで感じたこともない激痛が絶叫となって孤児院に
木霊する。
そして、ヨシュアは見る。心配になってやってきた孤児院の仲間や院長先生から
立ち上る不快な「ノイズ」を。それは心の声。
あまりに不快すぎるノイズに思わずヨシュアは叫ぶ。
ノイズを、止めろぉぉぉぉぉ!
閃光がほとばしり、孤児院の子供の一人が石と化す。逃げ惑う孤児院の人々、
ノイズに苦しむヨシュア。
そこに、ロゼットとクロノが到着。だがクロノは無理に力を発動したせいで
リバウンドに苦しむ。
ロゼットは急ぎヨシュアの元に向かい、それをクロノが静止するその時
孤児院から大爆発。ギリギリ範囲外にいたロゼット、クロノ、ヨシュアを除く
孤児院の人々の時間が、凍結する。
ロゼットの声に一瞬正気を取り戻すヨシュアだったが、今度は力を制御できずに
暴走させ、周囲に時間凍結の霧を発生させる。
残り少なくなった力を防御と飛行にあて、クロノはロゼットを抱き遠くに逃げる。
力の源たる尖角もなく、契約者もいないクロノには何も出来ない。
契約者がいればなんとか出来るのなら私がなってあげるというロゼットに、
契約として差し出すものは魂の時間すなわち寿命であり、契約者になって
しまえば常人の半分の長さも生きられやしない、そんな人生でいいのか、
とクロノは迫る。
それでも、ヨシュアを止めなきゃいけない。夢をかなえに行こう、って言って
あげなくちゃいけない。
ロゼットの強い決心を悟ったクロノは、ロゼットと契約する。
その後レミントンに拾われた二人はマグダラで訓練を受け、戦う術と、そして
ヨシュアの手がかりをついに手に入れることが出来た。
この場所で止まってしまった時を再び動かすために、二人は歩き出す。
キャラ紹介Vol.4
○アイオーン
かつてのクロノの仲間であり兄弟分。ある「計画」のためにヨシュアにクロノから
もぎ取った尖角を与えさらった張本人。この時点では今だ姿を見せておらず、
使い魔の鷹で暗躍。
ついでの用語解説その1
○アストラル(霊素)・アストラルライン
アストラルとは要するに純粋な魂。誰のものとは決まっていない。基本的に魂が
個人のものとなるのは肉体の情報によるもの、とのこと。
悪魔にとっては、人にとっての酸素であり食料である。
で、アストラルラインは死んだ人や動物などの魂がひとつに集まり流れる見えない大河。
FF7をやったことがある人はライフストリームを連想してくれると分かりやすいかと。
○尖角(ホーン)
悪魔にとっては、人間の肺であり、消化器官であり、(あるとして)魔力の源。
悪魔の個々の能力は尖角によって定義され、ヨシュアが放った時間凍結能力は
元々は尖角の持ち主クロノの能力。
○悪魔との契約
クロノのように尖角を失ったなどの理由で力を失った場合に、相手の同意を持って
魂から直接アストラルを譲り渡してもらう契約を為す事。
契約者の魂を直接減らすことになるので、契約者の寿命は縮まる。
今日のところはこれまで。2巻はもうちょい続きます。
対応できる範囲で用語解説などもしていくつもりです。
実家の母を招いてさくらの事を話す和代。だが母はなかなか信じてくれない。
そこへさくらが帰ってきた。来客に挨拶をする。
和代は母を廊下へ連れ出す。「おとなしそうな可愛い女の子じゃないの」
「あれは見かけだけよ」「様子を見てみないとわからないから明日から来てみるわ」
応接室に戻る二人。さくらはコートかけの近くに立って待っていた。
コートを羽織って車で帰ってゆく母。運転中、コートの中から首筋にムカデが這い出てくる……。
ムカデに驚きハンドルから手を離してしまい、事故を起こしてしまう…。
電話のベルが鳴る。和代より早くさくらが受話器をとった。
「えっ奥さんのお母さんが交通事故で 亡くなられた!!」「なんですって!?」
「市立病院ですねすぐ行きます」そのまま電話を切ってしまう。
頭を抑える和代にさくらが話しかけてくる。「奥さんのお母さんが交通事故で…」
「わかってるわよ今聞いたわっ!!」家を飛び出してゆく和代。
さくらはピアノを指で一音一音鳴らす。悲しい音色が部屋に響く……。
「おや今のピアノはさくらだったのか。聞いたこともないとても悲しいメロディーだった」
「先生!!」帰宅した先生にしがみついて泣くさくら。
「どうしてだかわからない…とても悲しいの。先生!私が好き?」
「ああ好きさどうして?」「私をどこへもやらないでね」「もちろんさ……」
そこへ和代が血相を変えて飛び込んできた!二人を無理に引き剥がし、さくらの首を締め上げる。
必死に止める先生。「お母さんが亡くなっただなんてよくも嘘をついたわねっ」
「先生!!奥さんは私の言うことをなんにも聞かないで飛び出して行ったんです」
「こいつがお母さんまで殺そうとしたのよっ怪我はたいしたことなかったけど入院しなくては
ならなくなったのよっみんなこいつのせいよ!」
「俺がいない時にお母さんが来たのか!」
明日から来てもらうことになっていたと聞き、勝手なことをと怒る先生。
「さくらは気にせず部屋に行って勉強しなさい」
深夜。包帯の取れた和代がさくらの部屋に忍び込む。
寝ているさくらの鼻と口に濡れタオルを被せ、窒息死させようとする!
目を覚まし唸るさくら。力を込めるためにさくらの上に覆いかぶさった。
「ギャッ」胸を押さえて布団から離れる和代。布団から何本も突き出ていた針が刺さったのだ。
「ふん、たぶんこんなことだろうと思って待っていたわ」呼吸を整え、アイロンを和代の前にかざす。
「熱を最高にしてあるのよ。大きな声を出したければ出せばいいわ。
でもそうしたら先生が目を覚ましてやってくるわ。それとも私が悲鳴をあげようかしら…
どっちにしてもこんなところにいるあなたが責められるだけね」
裸になるのよ、と頭にアイロンを押し付ける。「ジュッ」髪の毛が焦げる音がする。
熱さによろける和代に馬乗りになり、ネグリジェを裾からまくり上げた!
茶巾絞りのように首から上をネグリジェに覆われて動けない和代に机を乗せ、重しにイスを乗せた。
「あなたの一番大事なところを焼きつぶしてやる!」
和代のショーツに手をかけ、思い切り引き下ろす。
そして馬乗りになったさくらが足を開き、股間にアイロンを押し当てた!
「ウ〜〜〜〜ン」
「ホホ……残念ねえ……コードがはずれていたわ。どう?まだここにいる気?
今度は私が悲鳴をあげてみましょうか?」
裸の胸を揉み、顔を寄せる。おぞましさに和代がうめく。
「先生がこんなところを見たらどうなるかしらねえ。先生は今に私のものになるわ。
私は先生を愛しているわ。先生も私を愛しているのよ」
部屋を出て行く和代。さくらは笑いながら布団に入りなおした――。
早朝。和代は話があると先生をキッチンに呼び出した。
「あなた!あの子と私のどちらを愛しているのですかっ!!」
その様子をさくらは陰で見ている………。
「なんというくだらないことを!こんな話がさくらに聞こえたらどうするんだっ!
さくらの純真な心をキズつけ汚すだけだっ」
「あの子が純真ですって?」笑い飛ばす和代。
「私が愛しているのは残念ながらお前だっ!!」「あなた……」
愛だのなんだのと薄汚い言葉を言わせてくれたなと怒る先生。
「愛という言葉を利用してお題目にしているだけじゃないかっ!!」
「私を愛してくれているのはわかったわ。それじゃあの子をどう思っているの?」
「もちろん愛している。教え子として……」
「教え子として……」さくらは涙を必死に堪えた。
「こんなことをしゃべらせたお前とは口もききたくない!」部屋を出る先生。
「さくら!今のを聞いてしまったのか」「いいえ私今起きてきたの…」
「人事みたいな言い方しないでよ!何もかも自分が仕掛けたくせに!!
何が純真よこいつは子どもじゃないわ!そうよ子どもの皮を被ったおとなのバケモノよ!」
「おはようございまーす」勝手口の方から声がする。出てみるとずんぐりとした男が立っていた。
「まん丸商店です。今日はお入用の物は?美味しい干物が入っていますよ」
朝早くからと思ったが通りかかったものだから…と照れる御用聞き。和代に気があるらしい。
和代はそれに気付かない。「夕方2人分だけ届けてちょうだい」
「たしか女の子がいるのじゃ……」
「いないわよ、私と主人と2人よ。貢がいるけどまだ小さいから」
それじゃあ、とドアを閉める和代。御用聞きはその閉まったドアをいつまでも見つめていた――。
「また私のことで何かあったのね」
先生と登校中ぽつりとつぶやくさくら。「勉強が終わったら一緒に遊ぼう」と先生は誘う。
放課後、喫茶店で飲み物を飲む。「こんなところへ入るの初めて……」
デパートで可愛いブローチを買ってもらって涙を流して喜ぶさくら。
「今日は楽しみに来たのだぞ!」「これは嬉し涙です。こんな幸せは初めてだから……」
「映画を見よう」と映画館の入口に立つ2人。「あっ!!」
看板に書かれた「若草いずみ」の文字。いずみの似顔絵。
「永遠の美女と言われたかつての大女優のリバイバル映画だ」
家中の鏡を叩き割り、どうか私に美しさを返してくださいと泣くいずみ。
泣きながら主治医を電話で呼び出すいずみ。
でっぷりとした身体にいずみの服を着て、さくらに「これがお母さんなのだよ」とパネルを見せつける…。
手術から逃げるさくらを追いかけ、「もう離さない」とつかまえる。
逃げようとしたさくらを追うが石で頭を殴られ、意識を失う……。
やがて、恐ろしい手術の風景。取り出された脳がさくらの頭の中に入れられる……。
次々浮かぶ光景に、強張った顔で頭をおさえるさくら。
「私この映画見たくないんです」
「色々まわって疲れたんだな。公園へ行って休もう」
公園につく。さくらは「良子さんに電話をかけたい」と10円を借り、近くの電話ボックスへ入った。
「もしもしまん丸商店さん、あーらあなたね。私よ谷川よ今朝はどうもありがとう。
例の干物のことだけど今すぐ持ってきて欲しいの」声色を変え、御用聞きと話し出すさくら。
「今朝あなたに会った時の私の目の合図がわかった?
主人は今日は遅くなるって言ってたから大丈夫よ。
私前からあなたのこと好きだったのあなたに滅茶苦茶にされたいの。
お勝手口の鍵は壊してあるわ。待っているわ」
電話を済ませ、先生の元に戻るさくら。「ずいぶん楽しそうに話していたな」
「ええ良子さんったら冗談言うんだもの」
さっそく遊具で遊びだすさくら。照れる先生も強引に滑り台を滑らせる。
「次はブランコよ」2人楽しく遊びはじめる――。
…読むのが怖いよママン
干物を手に、勝手口から中に入って和代のいる2階へ行く御用聞き。
物音に出てきた和代にいきなり抱きついてきた!
「奥さん、好きだ」「よ よしてっ、ああっ」いきなりスカートの中に手が入ってくる……。
無邪気に笑いながらブランコをこぐさくら。先生も一緒になって笑っている…。
「やめてっ!!」腕に噛み付き、慌てて部屋に逃げ込む和代。追ってくる御用聞きの指がドアにはさまった!
血が流れるのも構わず思いきりノブを引っ張る。「早く出て行ってちょうだい、警察を呼ぶわよ」
「自分で電話して呼んだくせにっ」「電話なんかしないわっ!!」
「間違いなくあんたの声だったっそれに今朝は目で合図をしたじゃないかっ!!」
「そんなものしないわっ!!早く早く出て行ってっ」
御用聞きはやっと諦めて出て行った。貢を抱き怯える和代。
「あなた!早く帰って来て!!」
ブランコに乗ったまま、夕焼けを眺める2人。
「これでとうとう昼は終わったのね。今日はとても楽しかったわ」
帰宅すると、誰もいない。「貢を連れて病院の母のところで泊まります」とメモがあった。
迎えに行ったらどうかと言うさくらにクセになるからと無視する先生。
「今日はご馳走にしよう、おかずを買ってくる」
「私はご飯の支度をするわ」
先生が出かけ、家にはさくら1人だけ。
「もうすぐもうすぐこの家は私のものになるのよ。先生と私とここで暮らすのよ」
ラララとキッチンで踊りだす…。
>297さん、ばらしちゃいやん(;´Д`)
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
先生がたくさん食材を買って帰って来た。先にお風呂に入るよう言われて浴室に行く。
身体を洗い出すと、そこに全裸のさくらが入って来た!
「先生 背中を流すわ」広い背中をごしごしこする。
背中にぴったり顔を寄せる。「こうしていると先生じゃないみたい……まるでお父さんみたい」
泡だらけになりながら身体中を洗うさくら。「あっよせっくすぐったい」
ハハハと笑いながら立ち上がる先生。
「先生って意外と毛深いのね……」「えっ……」さくらが下半身をまじまじと見ていた。
「あらどうして隠すのへんねえ。平気よ」ちょっと見るだけだからと隠す手を外す。
「こんな風になってたの……私もう先生のこと誰よりも一番よく知っているのね」
ふふふと喜ぶさくら。
「ハアハア」(←原文ママ)汗をかき動揺する先生。
「今度は先生がさくらの背中を流してあげる……よし、これで終わりだ」
お風呂から出て、食事を食べる2人。「何だか私先生の奥さんになったみたい」
「ごちそうさま。……先生はちょっと外へ出てくるよ」「奥さんのところへ行くのね」
ばつ悪そうにうなずく先生に「奥さんを連れて帰ってあげてね」と見送るさくら。
「ここの奥さんだけどねえ……だんなさんの留守の間に他の男の人と浮気してるって
もっぱらの噂よ。………あら、ご主人よ」
近所の主婦が噂話をしている。先生は横目で睨み、病院へ向かった――。
「奥さんは帰らないわ」
自分の部屋をきれいに飾りつけ」、布団のカバーを取り替えて部屋中に香水をふりまく。
ネグリジェを着て先生の帰りを待つさくら。
……酔っ払った先生が帰って来た。玄関先で倒れ込んでいる。
「お酒を飲んできたのね。和代さんとケンカをして、バーでお酒を飲んで……
たぶんこうなるんじゃないかと思っていたわ」
妖しく微笑むさくら。「あなた………しっかりしてちょうだい、ここで寝ちゃ駄目よ」
「さくらか………」先生を自分の部屋へと連れてゆく。
「おっ!!いいにおいが……」布団の上に倒れこんで眠る先生の服を脱がし、口付ける。
「好きよ 愛しているわ……やっとつかまえたわ もう私のものよ!」
ズボンの中に手を伸ばすさくら。
<森の中。さくらがチョウチョをつかまえる。>
寝返りを打った先生がさくらを抱きしめる。
「抱いて!もっと強く!もう離さないわ!」
<素裸のさくらが森の中を自由に駆け回る。
咲いている一輪の花を、幸せそうにその胸に抱きしめる――>
翌朝。目覚めた先生は腕の中で寝ているさくらに気付く。
さくらの胸に乗っている手を慌てて離す。
ネグリジェを着ているが、その裾は乱れている…。
「さくら!!」ゆっくりと目覚めるさくら。「おはよう」
「先生は夕べお酒を飲んで酔っ払っていたんだ、夕べのことはよくわからないんだ」
「それじゃ先生が私の寝ているところへ入って来たことも……」
「アドルフに告ぐ」
「コズミック・コミックス」
「9th SLEEP」
「秘境探険ファム&イーリー」
「カルバニア物語」
「石の花」
おねがいします
「さくら……もしやお前に何かしたのでは………」
しばしの間。
「いいの。私は平気よ」
「そ それじゃ…やっぱり」
ガクガクと震え、うずくまって苦悩する先生。
「そんなに気にすることないわ。だって私先生が好きだもの、先生も私が好きでしょ。
それに私今はまだ子どもだけどすぐにおとなになるわ。そうしたら何も気にすることなくなるわ」
軽く慰め、さあ朝ごはんを作らなくちゃ、と立ち上がった……。
楽しそうに朝食をテーブルに置くさくら。「いっぱい食べなきゃ駄目よ」
先生はテーブルに着いてはいるが、暗い顔でうつむいている。
「今日は奥さんが帰るわね。奥さんと別れるのよ。そして私たちで暮らしましょう」
先生の肩に手を置き、耳元で話しかけるさくら。
「私きっといい奥さんになるわ。今の奥さんよりもっともっといい奥さんになるわ。
そうだわ、奥さんの物を全部私の部屋に入れて私は2階で先生と一緒に生活するのよ」
2階へ行き、和代の服や持ち物を自分の部屋に放り込む。「あなたも手伝ってちょうだい」
「さ さくら………」「いいわやっぱり私が1人でやるわ」
あとは自分の物を2階へ運べばいいだけの状態で、二人は学校へと向かった――。
「いいわねきっと奥さんと別れるのよ」
別れ際にそういって、さっさと教室へ走って行くさくら。
集まっている中島たちに「また何か私の噂をしていたの」と声をかける。
焦る中島に軽く笑い、「もう恐れる物はなくなったの」と言い、席に着いた。
「やっぱり変よ…なんか急におとなびたみたいで薄気味悪いわ」
ほんとのさくらは殺されて、誰かがさくらになりすましてるのだと言う中島。
それを聞いた良子はたしなめるが、中島は昔さくらが押した手のスタンプを持ってきて、
こっそり手に入れてきたアルミ粉で今の指紋をとって調べようと言う…。
わざとらしくさくらの前に三角定規を落とし、それを拾わせることで指紋の採取に成功した。
休み時間に集まって調べるが、指紋はすべて一致した。
「指紋が同じだからって疑いが晴れたわけじゃないわよ!
何者かがとりついているということだってあるわ!」
必死に主張するが、他の女子たちはあきれて去ってゆく。
「私さくらちゃんを疑って悪いことしたわ」他の女子に慰められながら良子も去る。
「見てるといいわ。絶対に私1人で正体を暴いてあっと言わせてやるから」
放課後、良子や他の女子がさくらを追いかける。
「ごめんなさいさくらちゃん、なんだか仲間はずれみたいにしちゃって」
「いいのよ。私仲間はずれの方がいいの、ほっといて」
スタスタ去ってゆくさくら。
「機嫌を悪くしただけだからすぐに戻るわよ」泣き出した良子をみんな慰めた。
「ふん!もう元には戻らないわ。誰があんな子どもなんかと……」
先生の家とは違う方向へ行くさくらを、中島が怪しんでつけていた。
時々立ち止まり、壁に矢印を書き込んでいる。
「何のために……?ますます怪しいわ」
見失ってしまったが、矢印が残っていたのであとを辿ることができた。
「だんだん寂しいところに行くわ……地下室の跡だわ」
まわりを砂利の山に囲まれた、建物の残骸。その地下室へと向かうドアに矢印があった。
中に入ってみるが、中には誰もいない。「さくらちゃーん」突然ドアが閉じられた!
「あけてっ助けてーっ」必死に叫び、ドアを叩く中島。
外ではさくらがコンクリの塊を置いてドアを開かないようにしていた。
そのまま立ち去り、砂利の山の上から建物を見下ろすさくら。「トラクターが来たわ」
砂利の山を崩し、建物を埋めてゆく……。「キャ〜ッ」
「さよなら中島さん。飛んで火にいる夏の虫って…あなたのことね」
「あの女はきっともう帰っているわ…そしてあの人はまだ帰ってないわ」
家から少し離れた電柱の影に立ち、家を見つめているさくらに、
買い物かごを持ったお婆さんが「どうしたの?」と声をかけた。
「なんでもないの。あのドアのところまで何歩で歩けるか考えていたのよ」
子どもってくだらないことするんだねえ、とお婆さんは行ってしまった。
門を開けて玄関まで入る。「きっと私を待ち伏せているわ…
それとも鍵をかけて家に入れないようにするか……その手は食わないわ」
ノブに手をかける。そこに電流が流れた!「ギャーッ」感電し気絶するさくら。
電気コードを手にした和代が、さくらを引きずって家に入れる…。
意識を取り戻して呻くさくらを動けないように羽交い絞めにする。
「ごめんなさい許しておばさん、あたしこれからいい子になるから許してっお願い」
「ふん!そんなか細い声出したってもう騙されないわ!」
テーブルの角にあごを乗せ、首を絞める。
「今日は今までみたいにはいかないわ、今日で私の苦しみは終わりにするわ」
「ふん!この浮気女!自分の夫がいないうちによその男といつも何をしてるのよ。
近所じゃあんたのことをどんな風に噂してるか知ってるのかい」
「お前が何もかも仕組んだのよっ悪魔っ!!悪魔っ!!」
後ろ手に縛り上げ、猿轡をする。両足首も縛って袋に詰める。
和代の部屋に袋を持ってゆく。「よくも部屋の中をこんなにして……」
押入れに放り投げてふすまを閉めてしまう。
ピンポーン。「うちの人が帰ってきたわ」慌てて出迎える。
「さくらは」「あの子はいないわ。もう飽きたから出て行くって言って出て行ったわ」
「どこへ行ったって言うんだっ」
「知らないわ。もうここへは戻らないようだった。これでようやくホッとしたわ」
「変ねえ。女の子なら家へ入るところを見たんだけどね」
先生の後ろから、さっきのお婆さんが顔を出した。
「いえねさっきこの前を通りかかると可愛らしい女の子が立ち止まっていてね、」
先ほどのさくらとのやりとりを説明するお婆さん。
「子どもなんてのはなんてバカバカしいことをするんだろうと思って通り過ぎたんだけど
気になって振り返って見ていると…確かにこのドアのところへ来てそれからしばらくして
ギャッていう悲鳴が聞こえたから……変だなと思ってたらこの人が帰ってきたんで説明したのさ」
「し 知らないわ」
お婆さんはそれだけ言って帰ってゆく。和代を問い詰める先生。
「知らないったら知らないわ さっき勝手口の方から出て行ったわ」
泣き出す和代。嘘をついてると気付いた先生は家中を探し回る。
和代は先回りして、袋詰めのさくらに布団を被せて隠しておいた。
一通り探し回った先生はさくらの家へ探しに走った。
いつの間にかあたりはすっかり暗くなっていた。
「今のうちに早く……そうだわ、電車に轢かれたことにすれば…」
袋ごと貢の乳母車に乗せ、踏切まで転がして走る。
遠くで電車の音がした。「来た!」
袋からさくらを出し、戒めを解いて線路に横たわらせた。
降りる遮断機をくぐって出ると、そこに先生が立っていた!
「様子がおかしいから隠れてずっと見ていたら……」
踏み切りの中に入り、さくらを助け出す。危機一髪、電車は通り過ぎていった――。
布団に横になっているさくら。和代は下の部屋でわめいている…。
「明日…気付かれないように上手く病院へ連れて行くのよ。
あの人は正気じゃないのよ…やっとわかったでしょう」
「わかった……そうしよう………」重々しく先生は頷いた。
「私じゃない!!私じゃない!!私が悪いのじゃないわっあいつのせいよ、だからよ!」
キッチンのテーブルを何度も叩き、叫ぶ和代。
「あなたっ私は悪くないわ聞いてちょうだい話し合いをすればわかるわ」
やって来た先生に必死に訴えかける。
「何であんなことをしたのか自分でもわからないの あなたっ疑っているのね!」
和代の両肩をつかみ、落ち着かせようとする先生。だが……。
「あなたの目は疑っているわ、私があいつを殺そうとしたって言ってるわ」
話し合えばわかると言われ、「離して」と抵抗するうちに……、
「ヒーッハハハハハ ホホホホホ………」
さくらのいる階段まで和代の笑い声が響く。
「とうとうほんとにおかしくなってしまったのね………
もうあなたはここにはいることができないのね さよなら」
翌朝。散々騒いで放心状態の和代。
「私じゃない 私じゃない」頭を抱えて呟いている。
タクシーが来たから病院へ行こうと和代を誘う。
「嫌よ!!私病気じゃないわ」
病院のお母さんをお見舞いに行くんだ、貢も置いてきたままじゃないかと説得し、
共にタクシーに乗って病院へと向かう夫婦……。
「私の勝ちね。これでとうとうこの家は私のものだわ!
私の願いがやっとかなったのだわ!こんな生活がしたかった!!」
キッチンで勝ち誇るさくら。床に跪き両手を組み合わせる。
「どうか…どうかもうこれからは誰も邪魔などしないで欲しい!
私はただ普通に……普通に生きたいだけだから」
さくらは泣きながら祈りを捧げる――。
鉄腕アトムもうリク入ってる?
まだならお願いします
歌いながら学校へ走るさくら。良子に声をかける。
良子はビックリしている。
「こんなこと言っていいかしら……私今までさくらちゃんとお友だちだったけど
今までのうちで今日は一番晴れ晴れとした顔をしているわ」
校内に入ると、女生徒たちが集まってなにやら話していた。
「また私の噂話?」「ち違うわ……中島さんのことよ」
「「昨日埋立地で埋められてしまったところを見つかったのよ」
「見つかった!?中島さんが助かった!?……よ よかったわね……」
今は家で寝ていると言う。放課後みんなで見舞いに行くことにした。
「どうして今日は谷川先生は学校を休んじゃったのかしら」
「ええ……ちょっと奥さんが……前から具合が悪かったから…」
「あれっそうかなあ、ちっとも具合が悪そうじゃなかったけど…」
「身体のことじゃないのよ。もうその話はやーめよ!中島さんのお家はもうすぐだっけ」
中島の家に行くと、母親は泣き出した。「会っても無駄だけど」と案内された。
恐怖のために髪の毛が真っ白になった中島が、ベッドに横たわっていた。
目を開いたまま、何を言っても反応しない――。
帰り道、「どうしてあんなことになってしまったのかしら」
「あの人探偵に凝ってたからまた何か考え付いたのよ」
「きっとまた私の秘密でも探り当てたんじゃない?」
さくらの一言にみんな笑い出す。良子も笑ってしまい、慌てて口を押さえた。
さくらは「ふふ……」と笑い、楽しそうにみんなと別れて帰って行った……。
帰宅するさくら。「さあ今日はうんとご馳走をこしらえてお祝いするのよ!
あの人と2人きりの生活が始まるんだもの」てきぱきと準備を進める。
「私今日から心から優しい人になるわ。そうだわ誰よりも一番優しい人になるわ!!
そしてどんな人にも優しくしてあげることができるわ」
先生が帰宅すると、さくらはずっと玄関で待っていたのか飛びついてきた。
「奥さんを病院に入院させた?」
「上手く言いくるめるのに苦労したがね」
医者に診てもらったら潜在的な病気のせいだったと言う。それが突然あのように現れたと。
さくらに乱暴を働いたのもそのせいで、さくらがいなければ貢を乱暴しただろうと……。
和代は元々病気だったと言う言葉に、安心して一瞬意識を失うさくら。
「よかった………」目を閉じたまま、小さく呟く。
「私のこと好き?愛している?」「好きだよ。愛しているよ」
「これからずっと一緒に暮らせるのね。嬉しい!」抱きついて喜ぶさくら。
「私じきにおとなになるわ。そして赤ちゃんも産むわ!さあお祝いしなくちゃ」
キッチンへ案内する。テーブルにはきれいなバラや食べ物がたくさん並んでいた。
「これをさくらが しかしこれを作るための費用はいったい」
「お母さんが預金通帳をくれたから。私の名前になってるでしょう。
中身もちゃんと入っているわ。必要なことに使いなさいって」
通帳を見せるさくら。「300万!!こんなに!」
「私に預けた方が安全なんですって。ちゃんとよく考えて使うわ。
そして必ずあなたに見せるわ、あなたと結婚するまでずっと」
「さくら……」
「私あなたのためにうんときれいになるわ!あなたに恥ずかしい思いをさせない人になるわ!
そして嘘をつかない素直な優しい人になります!」
「さくら 愛しているよ」「嬉しい!」
見せたいものがあると2階へ行くさくら。ドレスに着替えて階段を下りてくる。
きれいだとの言葉に喜んで駆け寄ろうとするが、足を滑らせて軽く転んでしまう。
「大丈夫よ、夢中だったからつい足がもつれたの」
ぶどう酒で乾杯する2人。先生は口をつけなかったが、さくらは一気に飲み干した。
レコードをかけ、ワルツを踊る。「ラララ」踊りながら口ずさむさくら。
「今何て言ったんだ?」「あらいやだ何にも言わないわ、ラララって言っただけよ」
真顔になる先生。ちょっと休むと言って席に着き、たばこに火をつける…。
「おやレコードが終わりそうだ」吸いかけのタバコを置いてレコードをかけなおす先生。
さくらはその間にタバコに火をつけ、ひとふかしして再び踊り始めた…。
「おや?」席に戻った先生が一つ増えた吸殻を見て不思議そうにさくらを見つめる――。
さくらは酔いしれながら軽やかに踊っていた、つもりだった。
だがその足取りは鈍く、声はまるで年取った女のように聞こえた。
それでもさくらは歌い、踊り続けた……何も気付くことなく……。
「ああ楽しかったわ。疲れたわ……あんまり幸せだと帰って疲れるのね。
どうかこの幸せが永遠に続きますように………」涙ぐむさくらに、熱いコーヒーを入れてやる。
「あなたがこんなに優しいと何だか怖いわ……」
「さくららしくないぞ。コーヒーでもう一度乾杯をしよう」
コーヒーを飲むさくらのひたいにホクロを見つける先生。
「いいえホクロなんかないわ、さっきちょっとお化粧したから汚れがついたのよ」
洋服を着替える、と2階に上がる。鏡で見てみると、ひたいに黒い点があった!
「こんなところにホクロなんかなかったはずだわ!いつもあんなに観察してたんだから
見落とすはずがない!たかがホクロくらいどうと言うことないわ」
様子を見に来た先生を「疲れたから1人でぐっすり眠りたい」と部屋から出す…。
考え込みながら眠りにつくさくら。
「美人になんかならなくていい」と言うさくらに自分の痣を見せる母。
あなたはそのために産んだ、あなたには人生などないと言う。
さくらの頭の大きさを測る母。
鏡の中の自分に別れを告げ、高らかに笑う……。
「嫌な夢ばかり見たわ」今日は日曜だが寝過ごしてしまった。起きてすぐに鏡を見る。
「大きくなっている!!」ホクロだと思っていた黒い点は、小さな痣のようになっていた。
精神安定剤の瓶をよろよろと拾うさくらの姿が鏡にうつる。
「動作も元のままだわ!!このまま元に戻ってしまうんだわっ!!」一気に薬を飲みくだす。
先生の元へ走って行き、朝食の準備をしている彼にしがみついた。
「お願い、私を捨てないで!!どんなことがあっても!!」
「何を言ってるんだ捨てるなどと…私が愛しているのはお前だけだよ」
やっと落ち着いたさくらをドライブに誘い出す先生。海の方へ出る。
「これからちょっと病院へ寄ってみようか。和代の入院している病院だ。
離婚の手続きをするために……」
「行きたくない」と言うさくらを「そのほうが決心がつく」と連れ出した―−。
「和代はここの病棟にいるんだ。ここで待っていてくれたまえ」
ある部屋に案内され、座って待つさくら。
窓の外についたオリを見て不快になり、和代の病室を探しに廊下に出た。
受付で聞くとそんな人は入院していないと言う。
「何のために私をこんな病院へ……先生はどこに……」ある部屋から先生の声がする。
開いたドアから後姿が見えた。
「待たせてあります……お話したようにごく普通の少女なのです…ただちょっと私の妻が怯えまして」
「感づかれないように診てみましょう」医者らしい男の声もする。
さくらは慌てて病院を飛び出した!誰もいない部屋を見て気付かれたかと焦る先生と医者。
先生の車に「先に帰って待っています」とメモを残し、タクシーで和代の実家へ向かう……。
和代がいた。貢を抱いて縁側に座っている。楽しそうに笑っている。
「やっぱり!!私は騙されていたんだ……入院させただなんて嘘をついて…先生は私を…」
車を飛ばして先生がやってくる。和代にさくらが病院から帰ってしまったと言う。
「まさか感づいたんじゃ…つけられたんじゃないでしょうね」
まさかどこからかここを見ているのでは、と怯える和代。
すぐに帰宅しないといけないが、顔を見たくて寄ったんだと言い、お茶を飲みに家に入ってゆく…。
誰もいない海に出る。岩場に立ち、風に吹かれながら泣き続けるさくら。
やがてある決意を秘めた顔で、その場を立ち去った――。
先生が家に帰ると、さくらは笑顔で出迎えた。
「出し抜けにいなくなるから心配したぞ!」
「ごめんなさい、だって私1人を放っておいてなかなか戻ってきてくれないのですもの。
それにあの病室のどこかに和代さんがいると思ったらじっとしていられなかったわ」
「和代が離婚を承知したのだ」離婚届を見せる。これを役所に持ってゆけば和代とはもう他人だと言い
明日一緒に行くかと聞く。が、あなた1人で行ってと断った。
「ニセの離婚届なんかこしらえたって私にはすぐわかるわ。
役所へ持って行ってどのようにごまかす手はずがついているのか知らないけど。
私を愛してなんかいないのだわ、そのうち様子をみて私をここから出すつもりよ」
食事後、さくらの母について訊ねる先生。その話はしたくないと拒むさくら。
「お母さんも思い出して欲しくないと思うわ……醜くて年よりもずっと老けていて……
ここに……こ ここにこんな大きな痣があったから……」震えながら額に手をやる。
「でもきっと今に手紙をくれるわ」
外の空気を吸ってくる、と先生は家を出てゆく。
「どうせ和代さんに電話をかけるつもりだわ。私の様子を知らせるためにね。
でもあなたは誰にも渡さないわ、どんなことをしても!!」
不安になり鏡を見に行く。痣はますます大きくなっていた…!
「キャ〜〜〜ッ!!」床に倒れ、パニックを起こすさくら。
「このままじゃまた元へ戻ってしまう!!何もかも終わりになってしまう!!
せっかく美しい女の子に生まれ変わったというのにまた元に戻ってしまう!!
嫌だ!!私は元の醜い姿に戻りたくない!!」
「せ 先生!!」1階へ駆け寄り、受話器を手に取る。
「もう一度先生に手術を!!それより他に方法がない!!」
数回のコールで先生は出てくれた。
「私は元に戻ってしまいます、もう間もなくさくらではなくなるでしょう!!
身体にまで脳の影響が出て来るなんて!!こんなバカなことがあるのでしょうかっ!?」
先生が帰ってきた。「悲鳴が聞こえたようだが」
「さっき階段を踏み外して転んだ時に悲鳴をあげたんだわ。
それから今良子さんに電話をかけていたの。それじゃおやすみなさい」
さっさと部屋に戻ってゆくさくら。
その頃、良子はさくらを心配していた。お母さんのことで悩みでもあるのかもしれない、
いつもお母さんをかばっていた。人に会うのを嫌がって授業参観に来なかったけど
怨んでなんかいなかった。前は何でも打ち明けてくれたけど…。
「明日は思いきってさくらちゃんに話しかけてみよう!!」そう決意して布団に入った。
翌朝、さくらが通る道に立って待っていると、後ろからさくらが話しかけてきた。
顔の左半分に包帯を巻いている……。「ど どうしたのっ!?」
「きっとここで待っていてくれると思っていたわ。良子さんに電話したらもう出かけたって言うから
きっと私のこと心配して待ってくれるのだとわかったわ。だって小さい頃からのお友だちだもの」
路地の奥に連れ出し、誰にもしゃべらないでと約束して、包帯を外す――。
「さくらちゃん ど どうしたというのっ!!」「一昨日は小さなホクロだったのよ!!」
先生にはとても言えない、だから先生は知らないと言い、良子に助けてと懇願する。
このまま包帯をしていたらみんなに聞かれる。そうしたら先生も確かめようとする。
だから怪我をした事にしたい、みんなの見てる前で自分を突き飛ばして欲しいと頼む。
仲良しのさくらちゃんを突き飛ばすなんてできないと言うが、これは私のためだ、
ただのお芝居だからと説得し、学校の門の近くですることにした。
クラスの女子がやってくる。良子が彼女らに挨拶する。「あらあれはさくらちゃんだわ」
前の方を歩くさくらに気付いたふりをする。「そっと近付いて後ろからおどかすわ」
「わっ!!」と軽く突き飛ばす。が、さくらは大きくよろめき、
近くの工事現場の鉄条網に顔をぶつけてしまう。「さくらちゃん大丈夫!?」
さくらが振り向く。手で押さえたところからだらだらと血が流れ出る……。
「キャーッ血が!!」「良子さん打ち合わせ通りにするのよ、早くっ」
動揺する良子にてきぱき指示するさくら。
「さくらちゃんごめんなさい、私が突き飛ばしたばかりに怪我を…」
みんなが集まってくる。「大丈夫よ たいしたことないの」
「近くに病院があったから診てもらいましょう」さくらを連れてみんなから離れる良子。
ついてゆこうとするみんなを、「遅刻するわ」と先に行くようとさくらは止めた…。
長い_| ̄|○ノシごめん、ホントごめん。
いったん寝ますが、今日は休みなんでなるべくたくさんうぷしますね。
この先個人的にちょっと辛い展開になるのでそこんとこだけはしょらせてください(´・ω・`)
はしょっても大きな影響はないのですが、ごめんなさい。
怖がりつつも楽しみにしてくださってる住人の方、(*´∀`)アリガトン
329 :
マロン名無しさん:04/04/29 00:39 ID:ksdhrFt9
>>乙です。怖がりながらも期待してます。
330 :
329:04/04/29 00:40 ID:ksdhrFt9
恐いけどぐんぐん引き込まれる…。
山口晶
第2話「賽の河原の地蔵虐」で初主演。
性格は真面目で努力家で、工作や研究が好き。
しかし、どんなに努力してもいつも報われない。
晶は幼い頃海で溺れ、仮死状態になった事がある。
親より先に死んだ子供は、親を哀しませた罰として賽の河原で石を積み続けなければいけない。
その石積みは永遠に終わる事がない。何故なら地蔵虐という鬼が来て、
石を崩してしまうからだ。晶は仮死状態になった時、地蔵虐を現世へ連れてきてしまったのだ。
それ故積み重ねた石を崩されるように、いつも晶は努力しても報われない結果に終わっていたのだ。
ぬ〜べ〜が地蔵虐を退治した事により晶は自分の能力を発揮できるようになった。
後半マッドサイエンティストな方向へ突っ走っている。
栗田まこと
第6話「河童と鉄棒」で初主演。
放課後鉄棒の練習をしている時に まことは河童に会う。
まことは河童を恐れるが、実は河童は校庭の下に
不発弾がある事を知らせにきた良い妖怪だった。
幼児のような無邪気さを持っており、そのため河童以外にも
他の生徒には見えない妖怪を目撃する事も多々。
六年生の才女・篠崎愛と仲がいい。
>>124 こんなのでいいでしょうか?
木村克也
第7話「はたもんばの呪い」で初主演。
日頃から悪い事に憧れる傾向があり、煙草を吸ったり物を盗んだりは日常茶飯事。
ある日神社の賽銭を盗み、その神社にまつられている刀が妖怪化した
「はたもんだ」という妖怪に殺されそうになる。
友人や妹まで殺そうとする はたもんだを倒すため、自らおとりになったりと、
根の方では他者を思いやる気持ちや正義感もある。
中島典子
第133話「お色気妖怪・精霊パウチ」で初主演。
普段は全然目立たない大人しい子だが、人を淫らにさせる精霊・パウチにとり憑かれ
大胆なお色気キャラに変貌。五組の亀山君に迫ってキス寸前の所まで行く。
ぬ〜べ〜に除霊され元に戻るが、その後亀山君とは友達以上恋人未満な関係になる。
皆にはのろちゃんと呼ばれている。菊池静と仲が良い。
路地裏に行き、良子に包帯を巻いてもらう。
「ほんとに怪我をしてしまったのね、ごめんなさい」
「いいのよ。私の秘密を誰にも言わないでね」
学校へ行く。クラスメイトたちが心配して駆け寄ってきた。
「そんなにたいした怪我じゃないわ、ただちょっと……ホホホ」
笑うさくらの陰で、暗い表情で黙り込む良子。
クラスのみんなが良子をひそひそと批難するが、良子は懸命に堪えた。
「何を言われても平気よ、さくらちゃんのためだもの。
それに私が怪我をさせてしまったのだから……」
授業中、さくらの朗読を聞きながら良子は思う。
このごろのさくらはお母さんそっくりだ、しゃべり方や笑い方、しぐさまでも。
それに同じところに大きな痣まである……。
「誰かがさくらちゃんになりすましているのよ」中島の言葉が頭に浮かぶ…。
図画の時間、みんなで校庭に写生に出た。さくらと並んで植物をスケッチする。
「さくらちゃんのいつもの描き方とちょっとだけ違うわ」
描いた絵をさくらの分も一緒に提出すると預かった。持って行きながら何気なく見る。
「上原松子!さくらちゃんのお母さんの名前じゃないの!なぜお母さんの名前なんか」
こっそり消して書き換えようとする良子に、さくらが近寄る。
「名前を書き間違えたのね!いつの間に!」
放課後、「ぜひあなたに聞いてもらいたいことがある」とさくらの家に良子を招く。
「私の部屋へ………」さくらの部屋を素通りし、母の部屋へ行く。「私の部屋よ」
紅茶を入れ、向かい合わせに椅子に座る。
「あなたならきっと私の話を信じてくれると思うわ!信じてくれるわね」
「さくらちゃんのことなら何でも信じるわ」
さくらは、本当のことだと前置きして、身の上話をはじめる――。
第28話 永遠(とわ)につかまえて
ケビンは病院へ車を走らせる。
―彼女がYESと言うかNOと言うか、正直それは分からない。ただひとつだけ確かなのは、このまま黙って彼女を諦めれば、俺は一生、悔いる事になる―
病院でのグロリアは、仕事に身が入らず、新人看護婦に注意される始末。
そんな時、小児科の医師、クレモンズに食事に誘われる。
彼のオフィスに通されたグロリアは、やっと自分がナンパされたと気付く。
クレモンズはグロリアの雰囲気が柔らかくなり、綺麗になったと言う。
「アベルと読んで下さい。僕から何を感じますか?」と手を握るクレモンズに、グロリアは何も感じる事が出来ず、
ケビンを強く求める気持ちを自覚し、手を振りほどくと、自分のオフィスへと走り戻る。
自分の軽率さと弱さを悔いていると、オフィスのドアをノックする音。
クレモンズが追いかけてきたと思ったグロリアは、ドアを押さえる。
「ごめんなさい!今夜はどうかしてたの!私、他に好きな人がいるの!!」
「……俺以外に?」
それはケビンの声だった。グロリアはドアを開ける。
「どうして何も言わずに行ってしまったんだ?自分に自信が無かったから?それとも、俺の事が信用出来ない?…エスメラルダから聞いたよ、婚約してたって男の話」
「違うのよ。私はシェリルの様に、好きな人の為に自分の生き方を変える事が出来ないのよ!!」―8年前も今も―
「そんな必要はない」ケビンは静かに答える。
「君はシェリルじゃない。俺は君の昔の婚約者じゃない。どうして、こんな簡単な事が解らない?
人は皆、別々の人生と、それぞれの道を歩んでる。だから、本人の意思に反して、ねじ曲げる様な事をしちゃいけないんだ。
君は俺の為に、自分の能力を抑える必要なんてない」
立ちつくすグロリア。
「グロリア、俺の事、好き?俺は君の事が好きだけど、支えたいけど、君が力を与えてくれなければ、俺は君を守る事さえ出来ない。
……だから、聞かせてくれないか?」
グロリアはケビンに歩み寄り、彼の首に腕を回す。
「好き…」オフィスの窓から差し込む月灯り下、二人はキスを交す。
――幾千の昼と幾万の夜、ずっと君を捜し続けて来た気がする。君と巡り逢って来た気がする。
生まれる前世(マエ)と死んで来世(ノチ)、君を再びこの腕に抱くのであろう真実を――
今から48年も昔、さくらの母は生まれた。彼女の家はとても貧しかった。
が、ふとしたことで4歳の時に映画監督の目にとまり、たちまちスターとなった。
彼女はたった4歳で父や母を養わなければならなかった。
彼女の出演する映画はすべて大当たりをとった。彼女の芸名は若草いずみ。
いずみはますます美しくなり、いつもどこへ行っても評判の的だった。
そのことは彼女自身もよく知っており、それが自分の美貌にあることもわかっていた。
仕事のない時など1日中鏡を覗き込んでいた。
ある時、とある名作のヒロインの子ども時代の役を演じることになった。
彼女の大人時代を演じるのは当時の有名美人女優だった。
そしてドラマは撮り進められ、いずみの子役の最後の場面が終わろうとしていた。
そばで大人役の女優がメイクを終えて待っていた。
演技にも熱が入り、みんなが固唾を呑んで見守る中、突然いずみが泣き出した!
慌ててカットし、どうしたんだと集まるスタッフ。泣き続けるいずみにわけを聞く。
「私はあの人みたいにぶさいくじゃないわ!!なのにあの人が私の大人になった時の役だなんて!」
いずみの暴言に唖然とする一同。謝りなさいと言われるが、「本当のことを言って何が悪い」と泣く。
女優は眉をひそめたものの、さすがおとなである。「私はなんとも思っていませんから」
自分はあちらに行ってますから撮影を続けてくださいとその場を離れた。
映画は無事撮影を終え、大ヒット。美しくかれんな彼女の姿に観客はみんな涙を流した。
いずみは日ごとに美しくなっていた。おとなでさえその美貌にたじろいだ。
まして同じ子役同士顔を合わせた時、いずみはまったく相手にしなかった。
彼女はいつでも不動のスターだった。人々は絶えず彼女に熱情と期待を寄せた。
彼女にはいつでも仕事が待っていた。仕事の中で彼女の精神は年齢以上に成熟していった。
彼女の身の回りの世話は母親がしたが、他人の目にはとても親子には見えなかっただろう。
きれいな服を着た美少女と貧しい身なりの女、それはスターとそれに仕える人だった。
娘に養われているという気持ちが母親を後ろめたくさせた。病身の父親でさえそうだった。
父親は片隅でひっそり生き、母親はひたすら娘に仕え、娘が少しでも病気や怪我をした時は狂奔して看病した。
その夜、いずみは熱を出した。「没落する前はかかりつけの先生が側におられたのに」
お医者様に来てもらおうと出て行く母。
苦しんでいるいずみの元にある男がやって来た。「安心しなさい、私はかかりつけの医者だよ。
お母さんも後からすぐ帰るからね。……すごい熱だ。どうしたのだね」
誰にも言っちゃいやよといういずみに、医者は必ず秘密は守らなくてはいけないんだと約束した。
「お母さんがこしらえたリボンを破いちゃったの……気に入らなかったのじゃないわ、
お母さんがリボンをつけようとして近付いたからよ。お母さんたら白髪があるのよ。
手のシワだってはっきりと見えたわ。私ちゃんと知ってるわ、誰でも必ず年をとるんですって!!
私お母さんみたいになりたくないの!!だからお母さんをぶったの!!」
思いを吐露するいずみの頭を、先生は優しく撫でる。
「心配しなくてもいいんだよ、そんな時が来たら必ず私があなたを助けてあげる。
何もかも話したら気分が楽になっただろう?さあ心配しないで眠りなさい」
息を切らして帰ってくる母。「熱が下がっているわ!!ど どうして………」
それからの彼女は母親が近寄るのを嫌った。母は遠くから娘を見守るしかなかった。
美しく成長するいずみ。この美しさを失いたくないと彼女はたびたび熱に倒れた。
誰もその訳を理解することができなかった。
その都度幼い頃からのかかりつけの先生の世話になるしかなかった。
「不思議ね、先生に会っただけで心が落ち着くの」
「それは私があなたがなんにも知らない頃からのかかりつけの医者だからだ…。
私はずっとあなたの側にいます。あなたを愛しているからです」
やがて父も母も死に、成人した彼女は1人となった。
でも悲しくはなかった。美しさをなくすことに比べれば…。
彼女の人気はさらに高まり、永遠の聖美女と呼ばれた。人々の期待に答えなければならなかった。
次から次へと待っている仕事。厚いドーラン、強すぎるライト…。
そして今若さの最中にあるというのにもう彼女は若さを失いつつあった!
苦悩するいずみ。どんなことをしてももう元には戻らなかった。
それでも彼女は仕事をやめることは許されなかった。
再びドーランで顔を隠し、ライトに照らされ、スターでなければならなかった。
その頃からサングラスをかけるようになり、人を避けるようになった。
休みの日は部屋に閉じこもって誰にも会わなかった。
でもある時、彼女は顔半分がくすんでいるような気がした。光の影かと思いよく確かめてみた。
が、気のせいではないと気付いた時の驚き!先生の慰めだけが彼女の支えだった。
医者はいずみを助けるために研究に励んでいると言う…。
月日と共に痣はくっきりと形を表していた。化粧のしすぎだった………たぶん。
美しい花は少しの間咲き誇り、たちまちしおれて散ってしまう…。
ある日いずみは苦悩のあまり家中の鏡を叩き割り、先生を電話で呼びつける。
やって来た先生がいずみにとある方法を説明した。
「あなたを救う方法はただ1つ、もう一度生まれ変わることです。
それには可愛い女の子を産むことです。その子が大きくなったら脳みそを取り出し
そこへあなたの脳を入れるのです」思いもよらぬ言葉に驚愕するいずみ。
「どうして私が今もあなたの主治医でいるのかご存知ですか?
このことを成功させたいからです!!これはあなたの…自分の子どもでなければできないのです」
先生の説得にいずみは耳を傾け始める…。
「これには大きい賭けがあります。それはあなたが果たして女の子を産むかどうかと言うことです。
もし男の子なら…殺すのです……どうです、やってみますか」
「やります…必ず可愛い女の子を産むわ、そして大切に育てるわ!!脳の手術のできる日がくるまで」
もうどんなに醜くなっても平気だと安心して先生の胸で泣くいずみ……。
>>332-333 ありがとうございます。
克也の初登場ってそういう話だったんですかー。
晶ってのは覚えてないな……
ティーカップをカチャカチャと震わせ、良子が話を中断する。
「ま まさかその子供というのは………さくらちゃんのことじゃ………」
「そうよ」「ヒイッ」「でもまだ話は終わってないわ。おしまいまでちゃんと聞くのよ」
ある夜、いずみははじめて人に隠れて外に出た。そして行きずりの男と一緒だった。
……やがて彼女に子どもが産まれた。女の子だった。
彼女の喜びはたとえようもなかった!!念願の女の子だったのだから。
誰も本当の心を知る者はいない……女の子の名前をさくらと名づけた。
ある朝ばあやが訪ねてみると、そこで空き部屋だけを見たことだろう…。
彼女は新しい街へと向かった。もう顔の醜さを隠す必要もなかった。
こうして電車に乗っているのが大女優であることに気づく者など1人もいなかった。
先生も一緒だった。人目にとまらない街はずれの古びた洋館……この家へ。
2階では先生が生体実験をくり返していた。彼女はさくらの成長だけを待った。
灰色の目で見守りながら……さくらは何も知らずに美しい少女に成長していった。
でもさすがに何かを感じたのだろう、さくらは決して2階へは行きたがらなかった…。
彼女はさくらに帽子を買ってやっては頭の大きさを測った。そしてついにその日が来た!!
先生へかけた電話をさくらが聞き、手術を知って逃げ出すさくら。その手をつかみ高らかに笑う。
「そんな時良子さんあなたが訪ねてきたのよ。あの時さくらは麻酔薬を注射していたのよ」
そしてついに手術をすることになった!!さくらは信じられないほどの抵抗をした。
石で頭を殴りつける。……でもとうとう手術は行われた。
さくらの脳は取り出し捨てられ、かわりにいずみの脳がさくらの頭の中へ……。
「そうよこの中へ……この中へ入れたのよ」頭を指差すさくら。
ガチャン、ティーカップを床に取り落とす良子。「まさか……それじゃあなたは!!」
包帯とかつらを外し、顔の痣と頭の傷跡を見せ付ける。「これがそのときの手術の跡よ」
椅子から倒れ落ち、ランドセルの中身をばら撒いてしまう。床に伏したままの良子を椅子に座らせる。
「どうか力になってくれるわね。あなたはさくらのお友だちですもの…まだ話は終わっていないのよ」
手術が終わって何日か経って、私は目が覚めた。私はよろけながらも起き上がった。
気がつくとさくらの脳みそが落ちていた。私はそれを踏み潰した。
さくらは死んだ……でもさくらの脳みそはとっくに腐っていた。
体力を回復させるために休んだ私は、元の身体を庭の穴に埋め、2階にある動物の死体を始末した。
手術台も床も壊して床にこびりついた血を拭き取った。
そしてみんなかたがついて学校に出かけることとなった。
さくらの癖などについては前から詳しく調べておいたが、一番心配だったのは良子のことだった。
でも優しい良子はちっとも疑わなかった。私はついに新しい人生をやり直すことができるのだ!!
そしてすでに第2の目的を決めていた。谷川先生の奥さんになることだ!!でも先生には奥さんがいた…。
…その時の驚きと悔しさは逆に決心を強めた。みんなでパーティーをした時に腐った物を入れたのは私よ!!
こうして奥さんに罪を着せ先生の家に入り込むことに成功した。
先生がいなくなると私は奥さんをあらゆる方法でいたぶった。ガスの元栓を開いておいたのも私よ。
奥さんはすっかりノイローゼになり先生との仲も悪くなっていった。
私はさりげなく先生を誘惑した。奥さんを病院に入れ、先生と奥さんは離婚することになった。
ついに私は勝ったのだ!!
だが喜びのすぐ後から顔に小さなホクロが。そして瞬く間に元の痣そっくりに広がってしまった。
「それからの事は良子さん、あなたが1番知ってるはずよ。私が先生の愛を勝ち取ったと思ったのは
ただの夢でしかなかったのよ。先生は今でも奥さんを愛していた、そして2人とも私を疑っている!
私に残された方法はたった1つしかないのよ。それは私が奥さんになることよ!!」
良子に奥さんを上手く騙してここへ連れてくるように説得するさくら。
庭に連れ出し、元の体が埋まっている場所を見せ、家のカギの隠し場所を教える。
「私の秘密は何もかも話したわ。いいわね、手術は明日始めるわ。奥さんを連れてくるのよ」
母の動向を先生に聞かれているので、先手を打つために手紙を書いた。
外国の切手や消印を用意して、母から来たものと見せかけた手紙を作り、
良子に先生の家に投函するように手渡す。「私があの人と一緒にいる時に入れるのよ」
良子に先生が帰宅するまで外で待っているよう命令し、帰宅するさくら。
「良子さん!あなたの性質はよくわかっているわ。このさくらを裏切れないわ。
あなたは友だち思いだから」キッチンで支度をしながらひとり呟く。
「あなた!……私はこの家から1歩も出ないわ。あなたが私を愛していないことも知っているわ。
それならそれで結構よ。私はあなたが愛しているあの女になるわ!!
たとえそれから後どんな風になろうと構わない!あなたの女をつかみたい!!」
先生が帰ってきた。「良子に突き飛ばされたそうだが怪我は大丈夫かい」
「大丈夫よ、お医者さんに見てもらったから」お茶を入れるさくら。
カタン、外で音がする。「手紙じゃないかしら。あなた見てきてくださらない?」
母からの手紙を、先生は持って戻ってきた――。
よろよろと帰宅する良子。心配する母に大丈夫だと言い、横になりながら今日のことを思い出す。
母に呼ばれて夕食を食べる。平気なふりをしていないと母に感づかれる!
自室に戻り、ランドセルの中を整理する。が、お父さんの万年筆がない!
さくらの家に落として来たに違いない。散歩に行くと言って家を出た……。
「この家よ……幽霊屋敷と言うのは。苦しそうなうめき声が聞こえるそうよ」
近所の主婦がさくらの家の側を話しながら通りすぎて行く。
恐怖に震えながら良子は家に忍び込んだ。ところが万年筆は見つからない!
もしやと探しに2階へ行くと、中からくわえタバコの男が出てきた!
フリールポライターだと言うその男は、若草いずみのその後の生活を記事にしようと
ここを調べ上げてきたと言う。何かを知っているらしい良子に探りを入れる……。
必死に逃げ帰ってきた良子は、翌朝熱を出してうなされながら目を覚ます。
今日は学校を休みなさいと母に言われるが、
ルポライターらしき男が道をたずねに家にやってきたことを知り、学校へ行くと飛び出した!
「ゆうべのことさくらちゃんに知らせなくちゃ!」泣きながら走る良子。
「いくら脳みそがお母さんでもさくらちゃんに変わりはないわ!!」
その頃、さくらにルポライターが接近してきた。「夕べ君の家を調べさせてもらったのさ」
動物の毛や血がびっしりついた2階の床のタイルの裏面を見せ付ける。
メスやピンセット、動物の死体もみつけたと言う。
慌てて家へ調べに帰るさくら。ところがそれは男の罠だった。カマをかけたのだ。
メスで刺し殺そうとするさくらの手をひねり上げた拍子に、包帯とかつらの下を見てしまう。
助けに入る良子に「いずみは果たして本当に外国にいるのかな?」と言って去って行く…。
登校すると、中島が復帰していた。今朝変な男が来てさくらのことを色々聞いてきたと言う。
「今までのこと話してしまったわ。でもどうせたいしたことじゃないのでしょう?」
先生のうちに良子と帰ると、先生がお客が来ていると待っていた。
「ばっ……ばあ………」「お嬢様っ」1人の老女が飛びついてきた。ばあやだった。
「あの小さかったさくらお嬢ちゃんがあんなに大きくなられて…」
思わず涙を浮かべてしまうさくら。「お母さんはよその国に行ってるわ、ヨーロッパのどこかよ」
「どうして突然お母様はあなたを連れて行方をお隠しになったのでしょう…。
今でもおきれいなのでしょうね」本当にお母様そっくりだと喜ぶばあや。
「お母様はおきれいな女優でした」「やめてっ!!」さくらはばあやを突き飛ばす。
「私あんたなんか知らないわ。誰に頼まれてやって来たのよ」「オレさ」ルポライターの男だ。
「航空会社の知り合いに調べさせたが、この少女の母親は外国には行っていない。
この国の中にいると言うことです。だがこれ以上は私個人の仕事に関わることだから」
「どうしていずみ様は行き先もお知らせにならずに……」
「ばあやさん、あなたは何も知らないだろうがいずみはいまじゃすっかり醜くなって
顔に包帯で隠さなきゃならないような痣があるんだ」
「やめてっ!!」叫ぶさくら。「まさかあなた様のその包帯は………」
「ふん!安っぽちい人情劇にまんまと乗ってしまって、涙なんか出るはずがなかったのに」
いずみの地むき出しではすっぱに話し出すさくら。
「そこにいる人間のクズのような男に1つだけ教えてやる。いずみがどこにいるか
お前さんがどんなに探したって絶対にわからないだろうよ。
お前さんがどんな風に思っているかは知らないけどいずみは今もちゃんと生きているのだから」
「これからちょっと東京へ戻ってかかりつけの医者というのを調べてくる」
ばあやから話を聞き、とっくに医者を辞めているらしく住所はわからないが探し出してみせると言う。
去って行く男。ばあやはわけがわからないながらも帰ることにすると言う。最後に昔の話をして。
「医者の先生についてですけど、1つだけおかしなことがあったのでございますよ……」
いずみがさくらを産む前のこと、いずみが取り乱したように帰宅して、ばあやに帰るように命令した。
ばあやは最近様子のおかしかったいずみが気になってドアのところで立っていた。
中からはいずみの泣く声がする。こっそり中に入ると部屋は真っ暗。
いずみは先生に電話をかけているようだった。気が変になりそうだ、すぐに来て欲しいと言う。
立ち聞きに耐えきれず一端帰宅するが、どうしても気になって眠れない。
夜が明けるのを待たずにいずみのマンションに向かうばあや。
かかりつけの先生に一度会ってみたかったからだ。再びドアの前で中の様子を聞くと、
先生と話をしているらしいいずみの声がかすかに聞こえた。
帰るらしい先生の足音も近付いてきたので慌てて先回りして1階で待った。
ところがいくら待っても誰も降りてこない。出入り口はここしかないのに。
「一体先生はどこへ消えてしまったのでしょうか?」
人の出入りが何度かあったが、知らない人は誰も通らない。
いずみの部屋に行くと、晴れ晴れとした表情のいずみが迎えてくれた――。
かかりつけの先生の家に向かうルポライター。
いずみの肉体がこの世に存在せず、脳みそだけが娘の肉体に宿ったという恐ろしい考えが浮かぶ。
「この世に希望と知恵がある限り、人はいつも罪深い………」
編集部に電話を入れる男。記事のスペースをあけといてくれ、とスクープをほのめかす…。
さくらが先回りして、男を麻酔針で刺してきた!倒れて動けない男に口付ける。
「かわいそうだから最後にキスをしてあげるわ。もっとしてあげたいけどやめておくわ。
愛していないから……私の愛している人はただ1人よ……谷川先生なの……私の夫よ」
顔面を何度も石で殴りつけ、お酒を流し込み、陸橋から線路に突き落とす。
落ちた男の上を電車が過ぎてゆく……。
執念深く追ってきた男は、さくらの目の前でトラックに轢かれて潰れて死んだ――。
男が死んだと良子に報告するさくら。
和代を自分の家へ連れてくるように言う。
「先生と私が一緒のところを見たと言って呼び出すのよ。
あなたが言えばビックリしてやって来るわ。先生は私がどこかへ連れ出しておくわ」
暗くなった道を、1人帰宅するさくら。
「もうこうして隠してばかりおれないわ…」両手の甲をまじまじ見つめる。
「こんなにシワが…和代になるしかない…たとえまた同じことになったとしても……」
翌日。さくらは先生に別れの挨拶をする。
「私やっぱり1人の方がいいと思ったからです……あなたのこと心から愛しているわ……」
「さくら……私も……」「何も言わなくていいわ……いつかきっとあなたとめぐり合う日が来るわ」
どういう意味だと聞く先生。さくらは答えず続ける。
「私も母の後を追って旅に出ようと思うのいつか……今日ここを出るわ。
たった1つだけお願いがあるの。私が出て行ったことを奥さんには黙っていて欲しいの少しの間…
私の机や服なんかもそのままにしておいて欲しいの少しの間」
「いいとも。必ず約束するよ」
ああよかった、せいせいしたわとかつらと包帯を外すさくら。
「これは私の母が私に譲ったものよ。もしまたあなたがこれと同じ物を見たらそれが私よ…」
「わけを聞かせてくれないかね」
「言えないわ。わけなんてないのよ、誰だって子どもは親に似るしかないのよ。ただそれだけよ」
これから外で一緒に最後の食事をしたいとレストランに連れ出した。
「私にビーフシチューを頼んでくれない?うんとよく煮込んで欲しいって言ってね。
ちょっと疲れたから薬を買ってくるわ」
レストランを出るさくらは、待たせてあったタクシーで自分の家へ向かう――。
先生のライターを門の側に落としておき、準備を始めた。
良子が和代を連れてきた。「ほんとにうちの人があの娘と一緒に……?」「え ええ………」
ライターを見つけ、玄関から中に入る。「うちの人のシャツが!!」
落ちていたシャツに手を伸ばす和代。仕掛けられていた罠に手を挟まれた!「キャッ」
和代を拘束台に乗せるさくら。猿轡でしゃべれないようにする。
「良子さんごくろうさん、あなたの演技もすばらしかったわ。女ってダメね。
いくら愛し合っていても夫が浮気をしていると聞かされるとすぐもしやと思ってしまうのだから…」
戸締りを良子に任せ、先生に電話をかけるさくら。「先生、用意ができました」
震えながら見守る良子は、恐ろしいことに気づいた!
さくらが受話器を置いた。「先生はすぐ来られるそうよ、タクシーで」
「今……今誰とお話していたの、本当にその人は来るの?」
「村上先生よ…今来るって話したばかりじゃないの」
怯えながら床を指差す良子。電話のコードが切れていた。
「そんなはずないわ。今先生とちゃんとお話したんだから。あんたがコードを外したのね、
私が電話をかけ終わってからわざと外したのね、和代を助けるために」
コードで良子の首を絞めるさくら。いい子だからおとなしくしているのよ、と後ろ手に縛る。
呼び鈴が鳴る。「先生が来られたのだわ」窓から姿を確認するさくら。
「これから起きることが見えないようにきれを被せてあげるわ」良子に布を被せ、
先生を迎えに行く……。先生と一緒に研究室に入るさくら。
良子と和代を先生に紹介する。和代は目を見開いて震えだした。
「手術の道具はあそこに……なにもかも用意してあるわ。
今度のは最後の賭けだから先生の力を集結してやって欲しいの。これが最後のお願いになるわ」
布きれから顔を出し、声の方を見る良子。
「さくらちゃん!!誰と話をしているのっ!!」さくらがゆっくり振り向いた。
「誰って、先生とよ。他には誰もいないでしょう」「どこに?どこに先生が……」
「ここにいるじゃないの」隣にいる先生に触れ、教えるさくら。
「嘘よさくらちゃん、他には人など誰もいないのよ!」
『あの少女は気が触れているようです、構わずに……』
「そうね 恐怖のあまりおかしくなったのよ」「さくらちゃん!!さくらちゃーん!!」
「バカねせっかくきれを被せてあげたのにとったりするから、
これから始まる一部始終を見なくてはならなくなったわ。さあ始めてちょうだい」
先生の指示で麻酔針を取り出すさくら。和代が暴れて逃げようとする。
「先生おさえてちょうだい!!私がやるわっ」
和代の足に針をあてる。先生の指示で思い切り突きたてようとするさくら!
「キャーッやめて!!」力の限り叫ぶ良子。
隠れていた谷川先生が飛び出してさくらを羽交い絞めにした!
「あなたっいつの間にっ!!騙してたのねっ」
針を手に叫ぶさくら。村上先生に救いを求める。「先生!!先生!!助けてっ!!」
「そんな人はどこにもいない!!村上主治医は何十年も前に亡くなってもういないのだよ、
きみのお母さんがまだ小さい頃に死んでいるんだよ」「えっ!?」
『いずみお嬢様信じてはいけません嘘です!!ほら私はちゃんとここにいます。
そんな男の言うことなど聞いてはいけません!!聞くのをおやめなさい!!』
針を手から離し、床にしゃがみ込むさくら。先生は和代を台から下ろす。
「怖かったわ……でもあなたの言うとおりにしたわ」
良子を助け、さくらを説得し始める先生。「医者などどこにもいない、よく見るんだ!!」
『聞いてはいけない、耳を閉じるのだ』
「お前はどこにもいない人と電話をしていたんだっ電話線を切っておいたのは私だ、
お前は自分の中のまぼろしと話をしていただけだ、手術なんてなかったんだっ!!
聞いているのかっ!!脳の入れかえなんてなかったんだっ!!」
『聞いてはいけない!!いずみさまっ脳の手術は行われたんだっ!!
その痣とその頭の手術の跡が何よりの証拠だ!!』
微笑むさくら。「そうよ手術は行われたのよ。この痣がそうよ」かつらを外し、傷を見せるさくら。
「それにこの手術の跡が何よりの証拠よ」「人間の脳の移植などできるはずがない!」
「村上先生にはできるのよ」「それじゃ身体はどこにあるんだっ」
「それは言えないわ……」良子をひと睨みすると、良子は怯えて震えだした。
『いずみさまもうしゃべるのはやめなさい、聞くのもやめなさい、耳を塞ぐのです。
この人たちはあなたの味方ではないのだから』耳を塞ぎ、しゃがみ込むさくら。
そんなさくらを囲んで途方にくれる一同。
「わけはわからないがさくらには人に言いたくないわけがあるのだろう。
こうして我々がいる限り余計心を開いてはくれないだろう」
「でも放ってはおけないわ。なんとか方法がないのかしら」和代が心配そうにさくらを見つめる。
「今のままでは無理だ……どこにもいないはずの医者がさくらに見える限り」
今もこの部屋のどこかに村上医師がいると言う。気味悪がる和代を安心させる先生。
「気味悪がることはない……さくらの頭の中での出来事だから。
さくらがどこへ行こうとそれはついて来るだろう。それを消し去る方法が見つからないのだ」
すっかり日が暮れてしまった。良子はここに残ってさくらの元にいると言う。
「私ならただの普通の女の子だからさくらちゃんは別になんとも思わないのです。
それよりもさくらちゃんがとても可哀想で……さくらちゃんはとても寂しいんだと思います。
こうしてさくらちゃんが1人でいるんだから、私だって他に誰もいなくても我慢できるはずです」
私の母に説明してください、と先生たちに外に出るように言う。
ショック続きで熱を出した和代を連れて、すぐに戻るからと先生は外に出た。
しゃがみ込んでいるさくらと2人、屋敷に残る良子。
遠くからうめき声が聞こえてきた――。
声の方へ行くと、庭に出た。かつていずみの身体を埋めた場所から、うめき声と共に手が出ている!
悲鳴をあげて地面に突っ伏し、震える良子。
振り向くと、中からいずみが這い出てきた……!「キャ〜〜〜ッ!!」
さくらの元へ走り出す。「お母さんがやって来る!!殺しにやって来るわ!!早く逃げなければ!!」
さくらを引っ張って階段を下りてゆく良子。「先生!!助けて〜っ!!」
村上医師は、さくらの後ろをついて歩いている…。
げっそり痩せこけたいずみが土からようやく起き上がった。「さくら……」
家に入る。姿が見えない……。「さくら〜〜っ」
良子はさくらを引きずり、逃げていた。そこへメスを手にしたいずみが迫ってくる!
「さくらっもう逃がさない!!」
「お母さんだ!!さくらちゃんのお母さんだ!!そうよお母さんは生きていたんだ!
さくらちゃん、この手をとって聞いてちょうだいっあれはお母さんよ!!
お母さんが生きているということは脳の手術なんてなかったのよ!!」
『そんな言葉など聞いてはいけない!!』
「さくら!!」迫るいずみ。
「よく聞いて!!手術なんかしなかったのよ、それはきっとさくらちゃんのただの想像だったのよ!
そうよ!今までのは何もかもただの幻想を見ていただけよ!だから立って逃げるのよ!」
苦しむさくら。『想像なんかではない!!今までのはみんな本当のできごとだっ!!』
「さくら〜〜〜っ!!」すごい形相でいずみが走ってくる!!
「お母さん……お お母さん………」『信じてはいけない……し 信じ………グワ〜〜ッ』
砂のように崩れ、消えてゆく医師。
目が合うさくらといずみ。「お母さん………お母さんだっ!!」
メスを持ったいずみに向かって走る!いずみはメスを取り落とし、さくらを受け止め、抱き合った!
しっかり抱き合って泣く母娘。走ってきた先生に、良子は飛びついて泣き出した。
「あっ!!見ろ!!さくらの頭の手術の跡が消えてゆく!!」
驚き、側に寄る先生と良子。泣いているさくらの顔から痣が消えていた。
「手術が行われたと強く思い込んだから……それであんな物が……できたんだ……」
時が過ぎ、さくらといずみ…松子の入院している病院に来た良子と先生。
「もうよくなったかしら……」
「ああ……よくなったと思う…だけどずいぶん長い間の心の苦しみが原因だから
当分このままにしておいてあげよう」
「そうですね。さくらちゃんは自分でも気がつかないうちに心の底で苦しんでいたのですね」
病室のドアの前に、クラス一同からの花束を置き、歩き出した。
「良子はほんとに偉いな……よく1人で苦しみを耐えられたと思う。
良子のような友達がいる限り、さくらやさくらのお母さんはきっと幸せになれる」
お母さんが穴から出て来た時に、咄嗟に手術が行われなかったことに気づいた事を褒める先生。
「さくらちゃんの話じゃお母さんの脳がさくらちゃんの頭に入っているということだったんだもの、
それだったらさくらちゃんのお母さんは頭をくりぬかれて死んでるはずよ。
お母さんの頭には手術の跡なんてなかったわ」
「いや……咄嗟になかなかそこまで判断できないものだ」
「でもどうしてこんな出来事が起きたのかしら」
「それは一口には言えないと思う。さくらのお母さんが美しさをなくすことを恐れた時からだろう。
自分を救ってくれる者が欲しい…そこで主治医を作り出したのだ。
その時にはほんとの主治医は死んでたのだけどね」
主治医といる時だけ錯乱せずに済んだ……だが本当は逆だった。
主治医がいる時こそ錯乱している証拠だった。母が主治医がこの世にいるものと信じていたから、
だからさくらもそう信じていた。そしてさくらは手術をさせられることになった。
だがさくらは抵抗し、殴りつけた母が気絶し倒れた。
それから後、さくらだけの想像の世界が始まった。
想像の中で手術が行われ、さくらは母になりきっていた。でも手術は行われなかった。
さくらの心の中で母の望みをかなえてあげたい気持ちと母を憎む気持ちと、
そして自分ではまだ気づかないおとなへの憧れと幸せになりたいと思う気持ちが
今度の出来事を引き起こした……。
こちらを指差し、先生は言う。
「だが、さくらを誰が責めることができるだろうか!さくらはただ敏感に感じ取ったのだ……
自分の周りがいびつなことを…。いびつんな者は自分でそれを感じることはできない、
そしてそれを感じた者がいびつにされる!!
狂った世界の中にただ1人狂わない者がいたとしたら、果たしてどちらが狂っていると思うだろう?」
これで終わりです。長くなってしまって申し訳ない_| ̄|○
ラストのどんでん返しを上手く表現できたかどうか不安ではありますが、
どうにか仕上がって一安心です。
それにしても谷川先生って結構酷い奴だと思うのは私だけでしょうか?
描写をはしょったのはルポライターがさくらや良子を手玉にとって
色々と聞き出すところです。大きな影響はないのですがごめんなさいでした。
こっちも漂流教室もいつか折を見て修正版をアップしたいです。
お付き合いいただきありがとうございました(*´∀`)
洗礼乙です。
丁寧な描写で読みやすかったです。
恐いながらも面白かった〜
お疲れ様でした〜。とてもわかりやすく、かつ引き込まれそうになる説明で、今か今かとリロード
しながら読んでました。
鬼の手・超パワーアップ!?の巻
その昔、役行者(えんのぎょうじゃ)という史上最強のパワーを持つ霊能力が居た。
彼は『御鬼輪(ぎょきりん)』という、地獄の鬼を自在に操る法具を
『前鬼』『後鬼』という鬼にはめ、自分の思うままに操ったという。
その御鬼輪が童守寺から見つかったという。ぬ〜べ〜は怪しみながらも
左手に御鬼輪をつける。すると、鬼の手が刀のような形に変形した。
戻れと念じると、鬼の手の形は戻った。鬼の手の形が自在に変えれるとは…本物だ。
これがあれば鬼の手を制御出来る。鬼の手の中にいる美奈子先生を救える。
美奈子を鬼の手の中から出し、成仏させてあげたいが、ぬ〜べ〜一人の力では鬼の手は制御できない。
しかし御鬼輪で100%鬼の手を制御できれば、美奈子の魂を鬼の手から開放出来る…
夜の校庭で、ぬ〜べ〜は御鬼輪でどれだけ鬼の手を開放出来るか試す。
刀のように、ムチのように、鎌のように鬼の手は変形する。かなりの精神力を要した。
美奈子は「私のために無理をしないで」と言うが、ぬ〜べ〜は御鬼輪を使い続けた。
「俺は貴方を鬼の手から救うと約束した…これは俺の人生の、霊能力者 鵺野鳴介としての最大の目標なのです!」
翌日、姉が妖怪にとり憑かれている、退治してくれと生徒から頼まれた。
どれだけ鬼の手の力が開放できるかという実験もかね、ぬ〜べ〜は妖怪と戦った。
しかし、妖怪を倒せたものの、御鬼輪は力を50%開放した所で壊れてしまった。
「それは本物の御鬼輪ではないのです…少し名の知れた高僧が作ったまがいものだったのでしょう…」
美奈子の言葉に、ぬ〜べ〜は涙を流し、血が出るまで拳を地面に叩きつけた。
あと少しで美奈子先生を助ける事ができたのに…
だが、希望もわいた。この世のどこかに必ず本物の御鬼輪がある。
それを見つけて必ず…必ず美奈子先生を助けてみせる…
ゆきめ再開の巻
童守小の生徒たちは、スキー場へ来ていた。地元の人の話によれば、最近雪女に襲われる者が続出してるという。
ぬ〜べ〜の頭にはゆきめが浮かぶ。ゆきめは山の神の使いにより雪の結晶に戻った。生きているはずがない。
しかしこのスキー場は、五年前始めてゆきめと出会った場所だ…
ぬ〜べ〜は夜中一人でスキー場へ出た。広・郷子・美樹もそれを追う。
しばらく歩くと、山小屋を発見した。中から強力な妖気を感じ、
ぬ〜べ〜は広達と共に山小屋の中へ入る。中には、以前と変わらぬ姿のゆきめがいた。
「掟は破ったが、あまりに可哀相だと山の神が哀れみをかけてくれて
もとの姿に再生してくれたのです」ゆきめは熱い鍋物をぬ〜べ〜達によそいながら言った。
生徒達が眠ってから、ゆきめはぬ〜べ〜に「愛し合いましょう」と迫る。ぬ〜べ〜はゆきめの目に冷たい物を感じ、拒む。
「君はゆきめじゃない。ゆきめは温かい料理などつくれない!いつも冷たい物を俺に食べさせ困らせていた!
君は誰だ!何故ゆきめの姿で俺の前に現れた!?今も俺を殺そうとしたな?…いったい…」
「その通り。私はゆきめじゃないわ。貴方達の事も山の神に聞いて知っただけ。ゆきめは死んだわ。
そして雪の結晶に戻った。山の神はその結晶を再生して私を作った。でも、人間に恋するような
出来損ないの雪女…ゆきめの心までは再生しなかった。そして新たに別の人格を吹き込んだの。
伝説通りの冷酷な雪女の心をね!」ゆきめは氷と雪でぬ〜べ〜に攻撃する。途端に山小屋は消えた。山小屋は幻覚だったのだ。
「思い出せゆきめ!お前の体がゆきめの結晶で出来ているなら、その結晶の一つ一つにゆきめの記憶があるはずだ!
鬼の手よ!俺の心の中の思い出を彼女に伝えよ!」鬼の手を介し、ゆきめは全てを思い出す。
幼い頃にぬ〜べ〜に危機を救われ、ぬ〜べ〜を一生愛し続けると誓った事を…
ゆきめは涙を流しぬ〜べ〜に抱きつくが、冷酷な雪女としての心がそれを拒否する。
「ゆきめ…その人間に近づくな!そいつはお前をたぶらかす。山へ帰れ!」ゆきめの頭に山の神の声が響く。
ゆきめはその場を去った。あの様子ではゆきめはもう人間を傷つけないだろう。
ぬ〜べ〜は生徒達とともに童守町へ戻った。いつの日かゆきめが童守町へ帰るのを待ち望みながら。
357 :
297:04/04/29 22:39 ID:???
ああ、ごめんなさい。(-人-;)>洗礼を書いた人
ちょっとそのシーンだけ楳図マンガのなかで生々しくて印象に残ってたもので、
何となく洗礼だったかな〜って思って書いたら当たっちゃったのね。
何はともあれ、乙でした。当時のドキドキ感を思い出しました。
卓球戦隊ぴんぽん5をお願いします
次スレ立てる時さ、まとめサイトのトップへのリンクだけじゃなくて
未解決リストへの直リンクも付けた方がいいんじゃないかな
洗礼、面白かったよ乙〜!
ラストがヤバイかとドキドキしていたので安心した。
イティハーサ希望します。
5巻まで読んだところで続き見つかんない_| ̄|○
362 :
マロン名無しさん:04/04/30 13:20 ID:40mt9Mlv
漂流教室、洗礼お疲れ様!!
おもしろかった!!
ひとつ疑問が。さくらの母は土地に埋められてたのに
何日間も生きていたの・・?
MMR(マガジンミステリー調査班)をお願いします
また規制………_| ̄|○ダメポ
今回のレスも依頼スレでお願いしました。
楳図氏の作品には
>362さんの言うようなおかしな点は結構あります(w
まあ、いい作品であることに変わりありませんから
矛盾点は目をつぶってしまうことをお勧めします_| ̄|○
「赤ん坊少女」とかもいい作品ですので書いてみたいと思ってます。
久々ですので、終わってたり続いてたりリクしたのに載ってないという
間違いが多いかと思われますがご容赦願います。
【現在、未解決分】 抜けてたら追加お願いします
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【終わったか微妙】・ドラゴン騎士団 ・ドラゴンクエスト ダイの大冒険 ・ナイトガンダム物語 ・リボンの騎士
ますます大変なことになってきましたね… 職人さん頑張って下さってるけど足りないわあ
ドラゴンクエストモンスターズってドラゴンクエストモンスターズ+の事?
もしそうなら書けるけど
吉崎観音の奴でなんですが、それかな?
お願いできますか?
371 :
369:04/04/30 21:08 ID:???
「わたしは真悟」やってみたいが、
漂流教室・洗礼の人みたいには出来なそうだ…
>372
絶賛してる人が多いから、私が特殊なのかもしれないけど、もうちょっと短めに
あらすじ中心でまとめてもらえると読みやすくて嬉しいなーとか思う事がありますw
切り口は人それぞれだし、遠慮しないで頑張ってみて欲しいです。
羅列乙です
この中ではRAVEしか出来そうにない…
てことでRAVE予約します
あのー牛島慶子の「アリス同盟」の
コミック未収録分の話が知りたい、とかって
ここでお願いしてもいいもんでしょーか…?
<旅立ち編>
アズマリアは夢を見た。喪服に身を包んだ少年と話をする夢を。
アズは問う。貴方は誰?
しかし、アズがご就寝のその時間は授業時間だった・・・。
ロゼットはクロノを引き連れてシスター・ケイトの執務室へ。ヨシュアの行方が
分かったとなればいてもたってもいられない。今すぐにでも旅立たせてくれと迫る
ロゼットは、感情的過ぎる、組織として行動するにはあまりに情報が少なすぎる、
と理詰めでシスター・ケイトに攻められ知恵熱でショート寸前。
必死の反撃の言葉は
ブ・・・ブ〜ス・・・!
奇声を発しブチ切れるシスター・ケイトの執務室を全力ダッシュで走り去る二人・・・
だが、そのとき居眠りのバツ当番で資料運びをやらされていたアズとクラッシュ。
お互いの荷物が散乱する。
ロゼットの荷物の中にあった写真を見てアズは、その写真に写ってる少年が自分の
夢に出てきた少年にそっくりであることに驚く。
写真に写ってるのは弟よ、と写真をアズから取り上げて先を急ぐロゼットとそれを
追うクロノ。
そのとき、ロゼットの「ここを抜け出してでも探しに行っちゃる!」という言葉に
言い様のない不安を感じるアズであった。
ロゼットとクロノは武器庫へ向かう・・・が、その行動はレミントンには見抜かれていた。
どうしても行きたいというロゼットに彼は、エクソシストのランク1st「修道騎士(ミリティア)」
になれば、権限のひとつである独立調査権でもってヨシュア捜索に出れる、と持ちかける。
当然断る理由などありはしないロゼットであった。
時を同じくして、アズの「ロゼットのようになりたい」発言で紅茶を口からぶちまけて
ひっくり返るシスター・ケイト。ロゼットのように、どんな困難が立ちふさがろうと勇気を
持って立ち向かえる人になりたいと語るアズ。
当初は儚げであったアズがロゼットとの出会いを通じてこれほどまでに成長したのかと
感心し、その姿を「聖女マグダレーナ」に重ねるシスター・ケイト。
そして、悪魔祓いを学んでみますか?と提案する。
シスター・ケイトはアズを連れ、教会地下にある悪魔祓い訓練施設へ向かう。
ここでは擬似的にポルターガイストを発生させそれを用いて訓練を行うのであるが、
今回はそれをせず精神集中の場として用いる、とのこと。
・・・だが、年のせいか(といっても29歳だが)冷え症で、もよおすものが近くなって
しまったシスター・ケイトは、アズに施設に立入るように行ってトイレへ駆け込む。
一方ロゼットとクロノはなぜかいるシスター・ケイトにハテナマーク。とりあえずいなく
なったようなのでいざ昇級試験・・・というところでなぜか遅れてきたレミントンの含み笑い。
懐中時計をレミントンに預け、試験のため施設に乗り込むロゼット。
とりあえず試験を始めたところでレミントンがぶっちゃける。下に一匹封印されていた
魔物を一匹放してきた、こいつを倒せればシスター・ケイトも断りきれなくなるだろう、と。
その言葉に鬼の形相でレミントンに攻め寄るのは帰ってきたシスター・ケイト。
下にアズがいる、との言葉に「やっちまった・・・」と顔面蒼白の二人。
そんなこととは露知らず、迫り来る気配に背筋が寒くなるのを感じるアズであった。
目の前の擬似ポルターガイストを次々と打ち倒していくロゼット。その脳裏には
過去受けた訓練の日々がよぎっていた。
そのとき、レミントンから通信が入る。まずひとつは試験のついでに魔物を放ったこと、
もうひとつはすれ違いで施設に入ってしまったアズと連絡が取れないこと。
放った魔物というのは、相手の心に取り付き殺戮の限りを尽くすという霊魂系の魔物
「マインド・イーター」。
その時、電波障害。そこにいたのは、マインド・イーターに憑依されたアズであった・・・。
心は魔物、体はアズ。どうしようもなく逃げ惑うロゼット。一瞬のスキをつきアズを押し倒し
十字結界に閉じ込めるが、マインド・イーターは思いのほか強力で追い出すことが出来ない。
打つ手もなくなり、ロゼットには任せられないとロゼットより腕の立つエクソシストを呼びに
行こうとするシスター・ケイトを制止するレミントン。
レミントンもロゼットも、決断した手段は同じ。相手の精神に飛び込み内側から除霊する
「潜行(ダイブ)」。レミントンは、この先の苦難はただ引き金を引くだけで解決できるもの
ばかりではないというのを悟り、精神的に成長するにはいい機会だと語る。
準備も完了し、いざダイブ。
アズの深層心理。そこは墓地であった。墓地に佇み外からの干渉を拒絶するアズと、
アズの姿を模したマインド・イーター。
自分の力が周囲に不幸をもたらしてきた、だから自分が嫌いで嫌いでしょうがない、
とアズの心理を語り支配権を完全に掌握するマインド・イーター。
だが、それでもロゼットはアズに語りかける。同じように自分の力に苦しんでいた弟は
結局その力から来る恐怖に負けてしまった、一人でダメなら二人で克服できる方法を
見つけようよ、と。
その言葉に心動かされ、ロゼットの手を取るアズ。心の奥底から放たれる閃光は
マインド・イーターを光の彼方に消し去る。
目覚めたロゼットと駆けつけた3人が見たものは、力を取り戻し光の翼をはためかせる
アズの姿であった。
なんだかんだで、結局「ミリティア見習い」ということでヨシュア捜索に向かうロゼット、
助手クロノ、エクソシスト新入りとしてロゼットについて行くことになったアズ。
二人のこれからの動向は、全米はおろか悪魔の世界までも巻き込む大きなうねりに
なっていくだろう。レミントンはそう語るのであった・・・。
しかし、彼女らの道には悪魔などいなくても「まとも」という言葉はあり得ないわけで、
何の因果かパンクを起す。おニューのミリティア制服が汚れると修理をクロノに任せて
ひとり芝生に寝そべり歌うロゼット。それは、昔ヨシュアと歌っていた聖歌であった・・・。
場所は変わって海岸沿いのコテージ。ここでも聖歌が。
メイド服の少女・フィオレが歌声の主、ヨシュアを呼ぶ。雑談などしながらコテージに戻り
食事をとり、ニンジン嫌いのヨシュアを偏食は体に良くないとフィオレがたしなめたその時、
上空から刃が。
寸でのところでかわした二人が見たものは、子爵ボルゾを筆頭とする悪魔の大群。
罪人アイオーンを狩るべくしてやってきた刺客であった。
その光景を特にどうとも感じずコーヒーをフィオレに頼むヨシュア。
それから数分、コーヒーを持ってきたフィオレと、それを受け取ったヨシュアは、
悪魔の死肉と血でまみれた海を見ながらの食後のティータイム。
その晩、アイオーンから「ベガスの歌姫とはすれ違いになった」との連絡を受ける。
今だ見ぬもう一人の地上代行者と、そしてあの時以来会っていない「ねえさん」に
思いを馳せるヨシュアであった。
キャラ紹介Vol.5
○フィオレ
ヨシュアの世話を一手に引き受けるメイドの少女。身体能力は常人を凌駕している
あたりになにやら秘密の匂いを感じる。ヨシュアのこととなると意固地になる部分もある。
○ヨシュア(2)
かつては体の弱かったヨシュアも、あのときクロノの尖角を宿してからは健康そのもの。
陽気な笑顔で悪魔の大群を虐殺する。その反面、昔よりシスコンの気が増したようだ。
ついでの用語解説その2
○エクソシストのランク
3rd・助修士(コンバーサス)・・・いわば見習い。2ndや1stの補助担当
2nd・修練士(ノービス)・・・マグダラ各支部の管轄内のみで活動する実働隊
1nd・修道騎士(ミリティア)・・・支部の管轄を超えて活動できる権限を持ち、
強力な武装を扱うことが出来る。
2ndと1stの関係は、言わば現代アメリカの州警察とFBIのような関係。
第29話 夏の雨
グロリアを連れて帰って来たその夜、酷い嵐となる。
薬を飲んで眠ったJrのベッドからクリフは抜け出し、何事か気遣う様にローズマリーに付き添い、彼女の部屋で眠る。
真夜中。
激しい雷雨の音で目覚めたJrは、クリフもおらず、怖くなってケビンの部屋へ行くが、彼は居なかった。
嵐の去った翌朝、ダイニングに集まった皆の前で、ケビンはJrに「昨日は誰のベッドに潜り込んだのさっ!」と暴露され、非常に気まずい空気が流れる。
取りなそうとしたローズマリーの動きが止まり、彼女は急に意識を失ってしまう。
絹のシーツを張ったベッドにローズマリーを運び、獣医を呼んだケビン達は、ストレスが原因との説明を受ける。
外傷は無く、数日の安静で元気になるとの事で、ケビン達は安心するが、獣医は言う。
「喋れない動物にとっても、倒れるなんてのは異常事態です。
必ず反応が遅くなったり、すぐにしゃがみこんだり、何かの危険信号を出していた筈だ。
絹のシーツに寝かせる程大切なペットなら、どうしてもっと気を配って見てやらなかったんです?
あなたは、このアヒルの何を見ていたんですか?」
獣医が帰った後、ケビンは、ローズマリーに甘え過ぎていたと反省し、もっと強くならなければ、と心に誓う。
――俺がしっかりしなければ、ニックをローズマリーを、そしてグロリアを支える事なんて出来ない。
リチャードも言っていた。健康になって、強くなって、エスメラルダと息子を守る、と。
俺にも、守るものが出来たんだ――
しかし、当面の問題は家事である。
家事経験が殆んど無いエスメラルダには期待出来ず、家電製品を触れば壊す。
ケビンには締め切りが4つ、グロリアはあまり仕事を休めない。
かくして――
フレッドウォード邸は、恐怖の生ゴミ屋敷へと変わろうとしていた…
>374 RAVEキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!
長くても短くてもいいのでがんばって下さい!
楽しみに待ってます!
第30話 夜の音
過労とストレスでローズマリーが倒れてまる二日。
エスメラルダはオーブンとレンジ、洗濯機と掃除機、花瓶と皿5枚、カップ1つと窓ガラスを破壊。
ケビンとグロリアのシャツをアイロンで黒こげにした。
これ以上何かを壊されるよりは、と家事を引き受けたケビンだが、エスメラルダから食事にケチをつけられ、キレる。
果敢にジョシュアの離乳食作りにチャレンジしたエスメラルダ。
苦心して作った食事をジョシュアが食べてくれず、怒るエスメラルダに、ケビンが言う。
「これで解ったろう。自分が折角作ったものを、まずいとか嫌いだとか、一言の元につっ返されるのがどんなに嫌な気持ちか!
このまま甘やかし続けたらな、今にこの子は、お前の様に他人を思い遣る心を持たない、誰からも嫌われる、貧相で惨めな最低の人間になるぞ。
子供を連れてさっさと街へ帰れ!」
一念発起したエスメラルダは家事に頑張るが、うまくいかない。
様子を見ていたグロリアに、化粧が禿げ、髪も爪も荒れて、このままではリチャードに嫌われる、とエスメラルダは愚痴る。
リチャードは現在無菌室に入っており、吐気が続き、痩せ細っているという。
それを聞いたグロリアは、無菌室に入るのは強化療法が出来る程に体力がついたのだ、と元気 付ける。
「それに、子供はね、お母さんから甘いお菓子の香りや、お料理や石鹸のいい匂いがするの、好きよ」
ケビンはJrとその様子を見ていた。
――あんな酷い事を言っても、ちゃんとグロリアがエスメラルダを庇ってくれてる。これが家族というものだろうか?――
Jrはこのまま時が止まればいい、と言う。「ずーっと皆で一緒にいたいね…」
ローズマリーが目覚め、ケビン達は皆で彼女に謝る。
休んでいろ、と家事をするケビン達の様子を見て、ローズマリーは
「ここでの私の仕事も、そろそろ無くなってきているのかもしれませんね…」
と呟くのだった。
残すところ、あと一巻となりました。もう少しお付き合い下さい。
最終巻はかなり詳細な描写が必要ですので、長くなるかもしれません。
先にお断りしておきますm(_ _)m
続きはまた今度。
蜘蛛男はまだ生きていた。うつぼ男に助けられ、基地で再改造を申し出る。
蜘蛛男がやられた話は瞬く間に基地中に広がった。そして蝙蝠男に蜘蛛男と
一緒にいくように命令が下された。
本郷家では緑川ルリ子が保護されていた。しかしルリ子は本郷が父を殺したと思い込
んでいるため、ここから一刻も早く逃げ出したいと思っている。そしてルリ子は友人の
ヒロミに来てもらうよう電話を入れる。しかしヒロミは本郷家へ来る途中、蝙蝠男に襲
われて操られる。全くそんなことを知らないルリ子は本郷家へヒロミを上げてしまう。
話を切り出そうとした時、ルリ子にヒロミが襲い掛かる。
一方、本郷は蝙蝠男と一緒にやってきた蜘蛛男の襲撃に遭っていた。蜘蛛の糸に縛られる
本郷。風のエネルギーがないため仮面ライダーに変身できないのだ。本郷にのしかかり、
首を絞める蜘蛛男。そこにヒロミが降ってきた。ヒロミの行動に不審を抱いた立花藤兵衛
が助けに入り、ヒロミを窓から突き落としたのだ。みるみるひからびていくヒロミ。
「くそ、蝙蝠男め! じゃましやがって! はっ、本郷は?」
本郷はすぐさまガレージからサイクロンを引っ張り出し、ライダーに変身した。
しかし距離が短いため完全なエネルギーを得られず100%のパワーが出せない。
直線的に蜘蛛男を何度もはねとばすが致命傷に至らない。しかし、観念した蜘蛛男は
毒を含んで自殺した。
次の瞬間ライダーは宙を舞っていた。蝙蝠男がライダーを宙吊りにしたのだ。
「ギギギ! 死ね!」
超高高度から落とされるライダー。しかしこれはライダーに取って渡りに舟。落下により
ベルトの風車からエネルギーを吸収し、反撃のライダーキック! 蝙蝠男はひとまず退散する。
ヒロミの死体は灰のように崩れていた。本郷がサンプルを分析した結果、新種の知能を
持ったウイルスであり、これに毒された人間は蝙蝠男の発する超音波で自由に操られ、
大きな物理的ショックを与えると自壊するということがわかった。
藤兵衛はもう一度ヒロミのマンションを見ておきたい、というルリ子に同行していた。
しかしマンションの住人も既にウイルスに冒されており、二人とも噛まれてしまう。
そのまま屋敷に戻るも本郷に見破られ、当て身で気絶。とりあえず未完成ながらも血清
を打って進行を遅らせることに成功した。
夜、本郷の寝込みをこうもり男が襲う。なすすべもない本郷にウイルスとしびれ毒を
注入し勝ち誇る蝙蝠男。
「キキキ 冥土の土産に教えてやろう血清はこの爪の中さ!」
しかし先ほどの血清を打っていた本郷は反撃、蝙蝠男の羽を鉄柱で串刺しにする。
羽が使えなくなったので飛び去ることが出来なくなった蝙蝠男は必死で逃げる。
本郷は変身し、サイクロンで追う。蝙蝠男は墓地に逃げ込んだ。そこへいきなりの銃撃。
最期のあがきか、周りの人間を全てウイルスで操り、ライダーにけしかけさせたのだ。
強烈なショックを与えると崩壊してしまうため、なんとか逃げるライダー。そして
最深部へ蝙蝠男を追い詰め、羽をもぎとり血清を入手。
「きさまは危険な化け物だ。気の毒だが生かしておくわけにはいかない」
ライダー十字架を蝙蝠男に打ち込んだ
「蝙蝠男は死んだ…だがこの男もショッカーの哀れな犠牲者なのだ
この不幸をなくすにはショッカーを根絶やしにする他に方法はない!」
以上第2話です。ちょっと前のブレイドで「お前の体の血清をよこせ〜」とか言ってて
おいおい血清ってのはかかった人から作るんだろ〜なんだこの超脚本とか思ってたけど
この話のリスペクトだったのかしらん。
ライダー乙。
ブレイド見逃したorz
>>365 神さまのつくりかた。は終わってたのでは。
あと夢使いも途中だよ。書くけど。それとまとめサイトでは
「現在雑誌連載中」になってるけど終わったんだよね。夢使い。
>>388 あんまり関係ないけど血清じゃなくて抗体と言ってたような>ブレイド
>>389 きょ、今日土曜だよね?? ブレイドはどうでもいいけどプリキュア見逃したかと思った…。
>>390 自分も全ての漫画が続いてるのか終わってるのか把握はしきれないのでそういう指摘はありがたいです。
後で直しておきます。
リクエストは以前まとめて頂いたのをベースに手いれて未解決ページに載せてるんで、そっちで
確認して貼って頂けると混乱は少ないかと…。
で、抗体でしたっけ? 女の子が毒かなんかにやられてカリスが取りに行ったら橘さんがいて
そこに剣崎がやってきて、事情を話せばいいのにいきなり殴りかかって、もう一体このドラマは
どうしたいんだーとなってたのでウロってる可能性大。
あと掲示板作るのはやぶさかではないんですけど、何がいいですかね? 実はteacupしか
借りたことなくって。他に知ってるのはしたらばしかないという。多分訂正用1つでいいだろうから
teacupでもいいのかなーとは思うんですが。
登場人物
・紅裕次郎(くれないゆうじろう)
情熱だけは誰にも負けない能天気野郎。
「紅スペシャルギャラクティカバーニング
流星スマッシュ」を必殺技に持つ。
・石黒諒平(いしぐろりょうへい)
中学の時に県大会で優勝したことのある実力者。
高校生になってからは卓球と縁を切ろうと思っている。
・山吹真理(やまぶきしんり)
中学の途中まで卓球をやっていた。
彼が卓球をやめた理由、それは……。
・水野蒼一(みずのそういち)
デカくて無口でケンカが強い。
中学を影でシメていたという噂もある。
・アンソニー・エヴァグリーン
英語の苦手なアメリカ人。
裕次郎のライバルとなる人物。
・鹿内桃子(かのうちももこ)
石黒の中学の同級生。同じ卓球部に入っていた。
・白井麻妃子(しらいまきこ)
生徒会書記。卓球も卓球をやってる奴も嫌い。
アンソニーの幼なじみ。
卓球の試合中。
「紅スペシャルギャラクティカバーニング流星スマッシュ!!」
紅裕次郎が放ったその技を受けた対戦相手は、顔面から血を流して
その場に崩れ落ちた。ころころと転がる球。
息を呑む観衆。名前が覚えにくいうえに危険な技……。
「俺はきっとこの技を完成させ、高校卓球会を制覇するぞ!」
紅裕次郎、中学三年生。
でもその前に高校に受からなくちゃね、という同級生のツッコミ。
春。
念願かなって高校に入学、華麗なピンポンライフの幕が上がると
浮かれる裕次郎。だが実はその高校には卓球部がなかった。どうやら
部員がいなくなったので自動的に滅亡したらしい。
一瞬気を落とす裕次郎だが「なくなったものは俺がこの腕で復活させる
までだ!」と情熱の炎を燃やす。中学からの友人は「お前の卓球は危険
すぎる。卓球部がないならそのままにしておけ」と忠告するが、裕次郎は
全く話を聞かない。5人以上人を集めれば部として認められる、まずは
仲間探しだ、と大ハリキリする。
中学校の時に県大会で優勝した「石黒諒平」という奴が別のクラスにいると
いう情報を入手した裕次郎。さっそく彼にアプローチするが、あっさりと
断わられる。
「なんで俺がわざわざ卓球部のない高校を選んだと思ってるんだ?」
「……まさか何か不祥事を起こして卓球界を永久追放に?」
「ち が う !!」
聞けば、もともと卓球は好きでもなんでもなく、中学の時に友達と遊ぶ程度だった
のだが、顧問にどうしてもと頼み込まれて卓球部に入ったとのこと。いったん
引き受けたことを投げ出したくはないので続けてはいたが、ハンパじゃない練習量に
嫌気がさしていたらしい。
「そして俺は決心したんだ。高校に入ったらのんきな帰宅部ヤローになって、カノジョ
作って小指と小指をつないで外が明るいうちに帰ろう、ってな。そういうわけだから
他を当たってくれ」
石黒の言葉に、本人にやる気がないんじゃしかたがないとあきらめる裕次郎。しかし
「でもこれで、県内の高校卓球界トップの座は、この紅裕次郎がいただくことに
なりそうだな」と去り際にポツリ。「ま、もう卓球やめた奴には関係ないか」
裕次郎のその言葉にカチンとなる石黒。「待て! 俺はなあ、お前みたいに自分を過信
してる奴はガマンできねえんだよ。俺と勝負しろ」
卓球はやめるけどお前より俺のほうが上だとわからせてやる、と石黒。
じゃあ俺が勝ったら俺と一緒に卓球部復活のために闘え、と裕次郎。
「試合は明後日の放課後。じゃあね、諒ちゃん」
急遽、二人の試合が組まれることとなった。
「諒ちゃん、だと。なれなれしい#」
校舎裏。
壁打ちで一人練習する裕次郎。
コントロールの外れた球が、一人の女子生徒の足元に転がる。
裕次郎は彼女に練習相手になってほしいと頼むが、彼女は「あたし
卓球嫌いなの。卓球をやってる奴もね」と言って、球を池に投げ捨ててしまう。
決戦の日。
石黒は、自分は県内で一番卓球の上手い高一男子だと自信にあふれていたが、
それと同時に裕次郎の落ち着きはらったふてぶてしい態度に不安を感じていた。
「………………頼むぜ黒龍号」ラケットに名前をつけている石黒。
試合開始。
先行、石黒のサーブ。
その素早いサーブに、裕次郎は微動だにしない。ざわめく観衆。
(なんだこいつ。俺の球を観察してんのか?)
「……すっげえ! すごいよ諒ちゃん!」
ハア?となる石黒。バカにしてんのかと思いながらも、続けて石黒のサーブ。
しかしメチャクチャなフォームでもたもたよろよろとする裕次郎は、全く球を
受けられない。あっというまに5-0。
続いて裕次郎のサーブ。
空振り。当たればアウト。あさっての方向にホームラン。そして7-0。
(こいつ、もしかして)
「……初心者か?」
「…………(こくり)」
ぴき、と顔のこわばる石黒。
「……しかも、ど ヘ タ?」
「(こくり)」
回想。
「紅スペシャルギャラクティカバーニング流星スマッシュ!!」
裕次郎の手からスッポ抜けたラケットが、対戦相手の顔面を直撃した。
対戦相手は、顔面から血を流してその場に崩れ落ちた。全く違う場所に
転がる球。
対戦相手を介抱しながら、初めてにしては下手すぎる裕次郎の卓球を
不思議がる同級生たち。体育の成績は5で運動神経もいいはずなのに、
どうして卓球が下手なのか?
しかし裕次郎は話を全く聞いていなかった。
「……おもしろい!! ラケットを持った瞬間わかったんだ。俺は卓球を
やるために生まれてきたんだって」
よせ、やめろ、誤解だという周りの声は裕次郎には届いていなかった。
回想終わり。
バレちゃしかたない、勝負はここまでという裕次郎に怒る石黒。
「てめ〜、人をバカにしてんじゃねえぞ! おりゃあホンキでやってたのによ!!」
俺だって本気だったよ、と裕次郎。
「勝てれば勝つつもりだったし。俺、本当に、卓球を愛する気持ちは誰にも
負けないから」
ぷつ、と切れる石黒。裕次郎につかみかかろうとするも、周りに止められる。
「放しやがれ仮にも県大会優勝の俺がこんなトンチキな初心者ヤローにくぁwせdr
ftgyふじこlp」
「諒ちゃん意外と熱血漢だな」
校舎裏。
壁打ちで一人練習する裕次郎。
コントロールの外れた球が、一人の男子生徒の足元に転がる。
球を拾ったのは石黒だった。
「俺、一緒に卓球やってもいいぞ」
諒ちゃん怒らせたからもうあきらめてたのに、と嬉しがる裕次郎。
「いや〜、お前の卓球にかける情熱に胸を打たれたんだよ」
「ようし、諒ちゃんが味方につけば百人力だ。卓球部復活のために闘うぞ!!」
はりきる裕次郎を冷ややかに見つめる石黒。
(フフフ、バカめ。これは俺の復讐の序曲だ。協力すると見せかけてじわじわとさりげなく
イジメたり、土壇場で裏切ってお前の努力を水泡に帰すなどして、俺を怒らせたことを
思いっきり後悔させてやるぜ!)
「よーし、がんばるぞ!」球を空振りする裕次郎。
「……ラケットの持ち方が変なんじゃねーか。見せてみろ」
復讐すると言いつつも、ちょっとお人よしな石黒であった。
第一話 完
う〜、長い。会話をなくしてもっと淡々とやれば短くなるんだろうけど、
でもそれだと桑田マンガの味がなくなっちゃうんだよなあ……。
本当なら、バックの全く関係ない書き文字まで書きたいぐらいだってのにw
>>397 いやおもしれーよ!
こんな感じで続きもよろしくお願いしたい。
他のスレ(忘れた)で見かけて変な題名が気になってなんとなくリクしただけだし
聞いたことねえから書く人いないんじゃないかと思ってたけど。
登場人物1
クリオ
この漫画の主人公でどこの世界にもいる勇者に憧れる少年
家族は母と妹だけで父親はかなり前に他界している模様
わたぼう
巨大な木の上に建国されたタイジュの国の精霊、実は大魔王クラスの実力を持ち
気まぐれに異世界からモンスターマスター(以後M・M)を連れてくる。
M・Mとは俗に言う魔物使いの事
テリー
わたぼうがクリオの前に連れてきた少年で史上最強のM・M
タイジュの国の英雄だが現在消息不明、ミレーユという姉がいる
タマミ
タマゴ鑑定士でハープの音色で生れてくる魔物の性別を変えたりする
ショタ大好きのお姉さん
モンスターじいさん
通称モンじい、魔物を配合するモンスター配合士でタイジュのグランド・マスター
何代か前のほしふりの大会優勝者で今でも優れた魔物を持つ
ある所にテリーとミレーユという姉弟が住んでいました。
ある晩いつもの様に姉弟が眠ろうとした時、タンスからワルぼうと名乗る魔物が現れ
ミレーユを攫ってしまいます。次にわたぼうと名乗る魔物が現れ
「ミレーユを助けたいなら付いておいで」と言いタンスの中に消えていきます。
テリーがタンスに飛び込むとそこは巨大な樹の国タイジュ。
タイジュに伝わる伝説によると48たび満月が訪れる度に開催される、ほしふりの大会で
優勝すると一つ願い事が叶うとのこと。
テリーは数々の試練を乗り越えついにほしふりの大会で優勝し、ミレーユと共に帰って行きました。
しかしテリーはその後も度々タイジュを訪れM・Mの腕を磨いていきました。
さてここから+のお話は始まります
どこかの世界のどこかの村、勇者に憧れる少年クリオは幼いながらも男として家族を守る
と日々思っていました。ある夜、クリオの前に精霊わたぼうが現れクリオにタイジュの国
を助けてくれと頼みます。クリオは勇者になるチャンスと二つ返事で答え
タンスからタイジュの国へ旅立ち、立派な勇者になると意気込むクリオ。
しかしわたぼうは君は勇者ではなくM・Mになるんだ、と告げ消えてしまいます。
「じょ、冗談じゃないぞぉ!俺は勇者になるんだ!何だよM・Mって…!」
「……勇者よりかっこいい職業さ……!」
タイジュの国でクリオを迎えたのは、綺麗なお姉さんと澄んだハープの音色でした。
タイジュの樹の一番下、神聖な星降りの祠から一番上の城まで向かい王様と謁見し
勇者としてこの国を救うと誓うクリオ、しかし王様も側近もいやお前はM・Mになるんだ
というわたぼうと同じ反応、クリオは来る場所を間違えた、そのテリーとかいう奴に頼め
と言いもとの世界へ帰ろうとします。姉さんがそのテリー君が消えちゃったと言った瞬間
玉座の間に魔物が現れ、兵士達を蹴散らしクリオに襲いかかり、大ピンチに。
しかしその時しんりゅう、ゴールデンスライム、ローズバトラーといったハイレベルな
魔物を率いて現れたモンスターじいさんに助けられます。
「人間ごときに魔物は止められはせん!魔物には魔物、この世界の鉄則じゃ!その魔物と
共に戦い学びその固い絆で一つの力を成す…それがM・Mじゃ!お分かりかな?クリオ君
ついでにテリーはわしよりもっともっと格好よかったぞい!」
モンじいの魔物さばきを見てクリオは考えを改め一流のM・Mになる事を決意したクリオ。
消えてしまったわたぼうとテリーを見つけだし異世界から魔物がやってくるという事態を
鎮める、という王の願いを聞き入れます。
「テリーか…どんな奴なんだ?すっげえ会ってみてぇ!そんなにかっこよくて強いなら…
俺も負けてられるかよ!!」
第三話夢遠日(ゆめとおび)
田舎の村で畑仕事に精を出す母親に、子供らが旅芸人のお囃子の音をきいて駆け出していく。
母親は遠い昔、自分の街にも来たことがあったことを思い出す。
大店の亀山屋。縁日だから半日暇がもらえるのを楽しみにした女中が浮かれるのを
その店の嬢さん(とうさん)はとがめるが、それをその店で幼いころから働いている
佐吉がいさめ、女中を縁日へいかせてやる。嬢さんは下賤の集まりだと馬鹿にしていた縁日に興味をおぼえ、
佐吉を伴いでかける。
「ゆめやしき」と言う旅芸人一座で女中らを見かけ叱る嬢さん。
それを止めようとした三つ目の腕を振り払い当り散らす。座長の兄さんは泣く三つ目の頭を下げさせる。
それをいさめた佐吉に「どうでもええやないの あんな汚い子ら」と言い放つ。
「でも…僕の田舎ではみんなもっと汚いかっこしてました」佐吉は小さく言う。
店では、店の帳簿があわず、管理をしていた佐吉は番頭らにとがめられ、
わがままお嬢の世話だけしてればいいもんではないといやみを言われる。
佐吉は「ゆめやしき」へ行き、嬢さんの行いの詫びとして身銭を切って10円払う。
兄さんは受け取ろうとしなかったが強引に受け取らせる。兄さんに嬢さんを
「わがまま娘」と言われ、佐吉は「根は悪い人ではない」とかばう。
佐吉は水呑み百姓の三男で口減らしのため幼いころ亀山やへ奉公に出された。
店一番の出世頭といわれるが、人をだまし、おだてる商人に疲れを感じていた。
「時々いやでたまらんかったあの泥だらけの暮らしに戻りたい」と兄さんにぽつりと漏らす。
兄さんは「戻られへん理由はわがまま狐か」と聞き、
「お前さんが正直になったらなあの娘の気性も直りませんやろな」といって消える。
店へ帰った佐吉に嬢さんは新しくあつらえた着物をみせ、「きれいやというて」とねだるが、
佐吉は「小さい子供を泣かし女中が擦り切れた木綿を着て、寒い朝から働くそばで
次々と新しい着物を作る嬢さんはちっともきれいに見えしまへん」といってしまい、嬢さんに頬をはたかれる。
「誰のために次々つくっとる思うねん」そういって部屋に帰り、
(佐吉だけは一度もきれいやいうてくれたことあらへん)と泣き伏す。
ある日、佐吉は夜中に蔵に明かりがついてるのを不審におもい、
行くと番頭が帳簿をごまかし店の金を取っていることを知ってしまう。
番頭は佐吉を痛めつけ、それらの悪事を佐吉に押し付けることにする。
そこへ佐吉を探して嬢さんが来てしまい、番頭らは彼女を縛り上げ、蔵に火を放つ。
佐吉は足を折られて動けず、嬢さんだけでもにがそうと嬢さんを縛る縄を噛み切り、
蔵に唯一ある高窓へ縄をかけて嬢さんを上らせ逃がそうとする。
一瞬、一人で逃げようかと考えるが、嬢さんは気を失った佐吉を自分の帯で自らにくくりつけ、
縄を上ろうとする。佐吉は気がつき自分をほっておけと懇願する。
「好きです 嬢さん だれよりも…そやから生きて…」そういいまた気を失う。
嬢さんはその言葉に泣き、
「負けるもんか 許さんからね 私を置いて死のうやなんて 絶対…」
と必死で縄を登り、炎に焼かれつつも窓へたどり着く。
そこへ「ゆめやしき」の妖怪たちがやってきて、番頭たちをおどし警察まで連れて行き、
蔵の火事を火喰いが食べることで治まっていく。
嬢さんと佐吉は命こそ助かったものの、嬢さんはその美しい顔半分に醜いやけどを負ってしまう。
「こんといて いやや 見ないで あっちいって」と悲鳴をあげる嬢さんに、
佐吉は「きれいや 嬢さん 今まで見ただれよりも
どこの娘さんよりも今の嬢さん僕にとっては世界一の別嬪さんや…」といい、
嬢さんはその言葉に泣いて佐吉に抱きつき、二人は抱き合う。
田舎の村で畑仕事に精を出す母親に、子供らが旅芸人のお囃子の音をきいて駆け出していく。
母親は遠い昔、自分の街にも来たことがあったことを思い出す。
旅芸人を見に行った子供らに村のほかの子らが
「おまえの母ちゃんおおやけどばばあ お化けの子」とからかう。
上の子供は「あれはなあ、お母ちゃんがお父ちゃん助けてできたやけどなんや
お父ちゃんいつもいうとんぞ うちのお母ちゃんは世界一の別嬪さんやて!」と食って掛かる。
第四話夢あそび
新田真吾は妹の千代と二人で逃げていた。
士族の貧しい生活で、父母をなくし、妹と二人きりの生活で、
生きるために彼は何でもやってきた。そのために学問も恋もあきらめた。
病気になった妹千代の薬代をかうため、政府高官暗殺に手を貸すが、
その政府高官の娘は新田が恋した少女だった。
遠くで会釈するくらいしか触れ合ったこともないので知らなかったのだ。
新田は彼らを逃がし、父親が娘を呼ぶ声で、はじめて恋した人の名前が沙映ということを知る。
そして仲間に裏切り者として追われることになる。家に帰ると、千代はすっかり元気で、新田は妹を連れ逃げ出す。
宿へ泊まろうとしていたところ、手配されているのを見てためらっていると、
とおりすがった「ゆめやしき」一座が団体のフリをして一緒に宿にとまることになる。
翌日、青空興行している一座の様子を千代は楽しそうに見、
からくりがわからず全部本物みたい、とはしゃぐ。
兄さんの眼帯をした片目もからくりか、ときく千代に兄さんは
「これは人に上げたんですよ」という。
新田を追っていたものたちに見つかるが、追っ手は白い猫に襲われ手間取る。
その間に新田は「ゆめやしき」をでていき、妹を一座においてゆく。
「妹を頼む」という手紙を見ながら、泣く一座、そして兄さんは
「兄一人 妹一人で 友も初恋も失って この上たった一人の妹まで失くしたと知れば、
彼はとうに生きていなかったろう だからおまえさんは、息を引き取ったお千代になって彼の生きる支えになろうとしたんだね…」
そういう兄さんに千代の姿をしていた猫は泣いて
「あの人を助けて」とすがる。ただの子猫であったが、
自分を可愛がってくれた新田のため、そして千代の死に際の願いを叶えたくて、
その身を化け物に変えてでも新田を守ろうとしていたのだった。
兄さんは「君と同じように彼を思う女にも約束したから彼を守る」と約束する。
新田はかつての友の下へ赴き、殺されようとするが、そこへゆめやしき一座の邪魔が入り、
新田の姿をとった兄さんを追っ手は銃で撃ち、剣で突き刺し逃げる。
新田は呆然とするが兄さんの体には傷ひとつない。兄さんは新田に妹が死んだことを思い出させ、
千代と一緒に旅したはずだ、という新田に
「おまえさんはずっと一人で旅してたやないか」といい、
新田真吾は死んだ、お前を追うものはいない、お前は自由だ、と告げる。
新田は戻って妹の墓をきちんとし、妹の猫を探した後、出頭することに決める。
新田に兄さんは帰りの道中は女人峠から戻った方がいいと告げ、新田はその言葉に従う。
新田が去る姿を見ながら白い子猫が兄さんの肩で泣く。
「彼は留置場に入ることになってもきっと幸せになる」兄さんはそういい子猫を慰める。
新田は帰路、彼を追いかけてきた沙映と、女人峠で再会する。
夢やしきへようこそ、全十三巻のうち、一巻収録分まで終わりました。
長いのにペースがおそくて申し訳ありません。
CITY HUNTER
CATS EYE が抜けてます
改めてお願いします
仕事ばかりで家庭を全く顧みなかったため妻と娘に家出されたルンゲ警部は、仕事でもミスを犯して
干されてしまったので、長期休暇をとりチェコのプラハにやってきた。
以前「なまえのないかいぶつ」という絵本にヨハンのメッセージと同じ文があることを
偶然見つけたルンゲは、チェコ警察の知人を訪れチェコ語の絵本をドイツ語に翻訳してもらうように頼む。
その時スークの事件の詳しい情報を耳にしたルンゲは、この事件がテンマの事件に似ていることに気付く。何となくスークのここ最近の様子を彼の友人らに聞いてみると、近頃スークはアンナ・リーベルト
という女性(実は女装したヨハン)に好意を抱いていたという。
ヨハンの双子の妹であるアンナの名前に、ルンゲは興味を示すのだった。
「なまえのないかいぶつ」の出版社を訪れたルンゲ。この絵本の作者エミル・シューベは
他にもいくつかのペンネームを持っていた。
その中の一つ「クラウス・ポッペ」の名前が書いてある段ボール箱を開けてみると、
中には妊婦、二人の赤ん坊、男の子と女の子の双子などのラフスケッチが入っていた。
その後知人から翻訳が済んだとの連絡が入り、ルンゲは気になっていた絵本の最後のページのセリフを知る。
『せっかくなまえがついたのに、だれもなまえをよんでくれるひとはいなくなりました。
ヨハン、すてきななまえなのに』
「ヨハン」とつぶやいたルンゲは、見る見るうちに仕事モードになっていった。
殺害された511キンダーハイムの元院長は自宅で孤児院を開いていた。そしてその孤児院の子供達は
元院長を殺害した犯人と思われる長い金髪の女を目撃していた。
その子供達はグリマーの事を慕っていたので、グリマーの疑いを晴らすために金髪の女を捜し始めた。
その中の1人の少年ミローシュが偶然女を見つけ、後をつけるが逆に見つかってしまう。
女の「何をしているの?」という問いに、ミローシュがとっさに「お母さんを探していた」と答えると
女は「お母さんがいるはず」と言ってミローシュを娼婦街へ向かわせた。
グリマーはテンマと共に孤児院の子供達が引き取られた施設を回るが子供達が自分を慕っている事に
戸惑いを覚える。彼は511キンダーハイムで感情を奪われ、その後いろんな感情表現を覚えさせられたが
こういった時どういう顔をすればいいのかわからないと言う。
かつて結婚をして子供が産まれたが、その子供が死んでしまった時も
自分がどんな反応をすればよかったのか今でもわからないとも話した。
そんな時、ミローシュがいなくなった事を少年達から聞いたテンマ等は街の人達に聞き込みをする。
女は近所の人にアンナと名乗っていた。テンマは、もしアンナと名乗っている人物がヨハンならば
彼はミローシュにとって一番残酷な事をした後ミローシュを殺すだろうと考え
グリマーと共に娼婦街へ向かう。
ミローシュは母親が自分を見ればすぐに声をかけてくれる思っていたが、誰も見そんな事はしない。
娼婦街を歩きながら、アンナに言われた「誰に望まれたの?」という言葉を思い返す。
そしてこの世に絶望し橋の上から川へ飛び込もうとする。
そこにテンマとグリマーが駆けつけるが、グリマーはこんな難しい感情は教わってないと言う。
どうにかミローシュを保護することが出来たが既にミローシュは心を閉ざしてしまっていた。
そんなミローシュを見たグリマーは演技ではない涙を流し「お前は誰かに望まれて生まれてきた」と言う。
グリマーの言葉にミローシュは心を取り戻したのだった。
絵本の作者のペンネームの1つであるフランツ・ボナパルタという名前から彼の屋敷を突き止めたルンゲ。
そこは「赤バラの屋敷」と呼ばれていた。ここに来る前に彼はランケ大佐と会っていたが
ある日この屋敷にいた人間全員が消えてしまったのだと教えらた。
イバラで覆われ廃墟となった屋敷に入ったルンゲは、まるで封印するように隠されていた扉を見つける。
その扉を開け部屋に入ったルンゲは、この部屋で20人以上の人間が死んだことを感じ取った。
その部屋には以前見たラフスケッチに描かれていた双子の母親らしき女性の肖像画が飾ってあった。
その絵の裏には双子の母親に宛てたと思われる『怪物から美女への恋文』と書かれた手紙が隠してあった。
ドイツ語で書かれたその手紙には相手への想いや懺悔のような気持ちがつづられていた。
「君の全てを食い尽くすために見ていた。だが、逆に君の全てが私を侵食した」
「一番罪な事は…人の名前を奪い去ること」「君に名前を返そう」「今はただ悲しい…悲しい…悲しい…」
グリマーはスークの罪をかぶって警察に追われる身になることを選びテンマと別れた。
その後グリマーは事件の真犯人を語って警察に手紙を出し、それによってスークの疑いは晴れることになる。
そして二人が別れた直後、テンマは市民の通報によって駆けつけた警察に拘束されてしまうのだった。
Dr.ライヒワインのもとにアルコール中毒患者として、テンマの元恋人エヴァがやってきた。
ちょうどその時TVでテンマ拘束のニュースが流れ、お互いがテンマの知人だということを知る。
二人はテンマに会いにチェコへ向かうが、警察はドイツに強制送還するので面会は許さないと言う。
その頃、テンマの元患者やシューバルト親子といった今までテンマが助けてきた人達は
テンマを助けるために、法曹界の寵児フリッツ・ヴァーデマンに弁護を依頼していた。
スパイと疑われ、無実の罪をきせられたまま死んだ父親をもつヴァーデマンは今まで様々な冤罪を
覆していて、今回もテンマの無実を信じバウルという弁護士と組んでテンマを担当する事を決めた。
しかしバウルという弁護士は、あのロベルトだった。
ルンゲはチェコの警察署でテンマと会うが、すれ違いざまなぜかテンマに
「警察が取り調べの時一番苦労するのは、何もしゃべらず表情を変えない奴だ」と教えていた。
その教えに従って黙秘し続けていたが、ロベルトが面会に来て「エヴァを消す」と言ったため
エヴァを助けるために脱走を決意する。
ヴァーデマンはライヒワインやエヴァにも事件について聞き込みを始める。
しかしエヴァはテンマを不幸にしたいがため、ヨハンを目撃していながらも法廷での証言を承諾しない。
だがそんな彼女にも良心が残っていたのか、証言する事を了承する。
そんな時テンマが脱走したことがTVで報道され、同時にエヴァの前にロベルトが現れた。
テンマは脱走したその足でエヴァの泊まっているホテルの部屋に駆けつけるが
すでに部屋にエヴァの姿はなかった。
ルンゲがヴァーデマンをたずねて来た。彼は「なまえのないかいぶつ」の著者について調べているうちに
その著者とヴァーデマンの父親が赤バラの屋敷で会っていた事を突き止めていた。
ヴァーデマンが何も知らないと言うとルンゲは帰っていくが、ヴァーデマンは動揺したそぶりを見せる。
その後ヴァーデマンは車に乗り外出しようとするが、いきなりテンマが乗り込んできて銃を突きつけて
「エヴァはどこだ」と言う。テンマはヴァーデマンをロベルトの共犯者だと疑っていた。
しかし彼は本当に何も知らないようなので、ロベルトについて説明する。
するとヴァーデマンは「信じてもいいのか」とテンマに尋ね、自分の父親について話し出した。
彼の父親はスパイ容疑をかけられていたが、後に冤罪が立証された。その後ヴァーデマンは
冤罪がこの世からなくなるようにと必死に勉強をしていたのだが、ある日父の遺品から
スパイ活動の記録や、フランツ・ボナパルタといった名前が綴られたメモ帳を見つけた。
父親は本当にスパイだったのだ。その日からヴァーデマンは人を信じられなくなっていた。
その話を聞いたテンマは、ロベルトの本当の目的はその手帳を手に入れることだと気付き
ヴァーデマンの自宅に向かう。
自宅は既に物色された後で、「赤バラの屋敷に来い」という置き手紙が残されていたが
幸いメモ帳は無事だった。ヴァーデマンはテンマを信じることに決め、テンマにメモ帳を託す。
メモ帳を受け取ったテンマは、単身赤バラの屋敷へ向かった。
MONSTER乙です!続きも楽しみです。
『恋するスパークリングフラッシュ』をお願いします
猫柳田博士がつくった巨大化するクスリを青年が盗って飲んで、
魚とか食べまくって栄養とって巨大化して敵をたおす。
3分で巨大化した分の細胞が死滅して大量の垢として出てあたり一面臭くなる。
最終話ではカルシウム光線を撃って自爆するけど生きてる。
それじゃ何の漫画かワカンネ
空想科学大戦の1巻でしょ?
「敵」って何?
やぶうち優の「少女少年」と福島聡の「少年少女」
どっちも読んだことないからかこんがらがってややこしい
すっきりさせたいのでよろしく
419 :
夢使い:04/05/02 20:08 ID:???
三島家の止まった夜、瑠瑠との思い出を夢に見る銀樹。
しかし目を覚ますと、夢使いの少女達が三人、布団に潜り込んでいる。
塔子曰く、夢に入り込んで情報を知る共感呪術だとか。
そして傍らで、瑠瑠はガラクタに戻っている。(なお、スピカもやはり定期的に
マスターから息を吹き込んでもらわねばならないが、毎日ではないらしい)
ふと、唐突に三時花が箒神を持ってくると、夢使いの力でソフトクリームを出し、
銀樹の鼻先につけてなめとる、という奇妙な行動をとる。すると、三時花の
流した涙から煙が立ち昇り、少年の姿になった。
三時花が「悟くん」と呼ぶその少年は、2年前に死んだ三時花の彼氏だという。
その言葉は三時花にしか聞こえないようだが、三時花は熱心に話している。
彼女はこうして、依頼を引き受けるかどうか伺うのだと塔子達は言う。
更に塔子の言うには、夢使いの能力は自分の命より大切なものを失うことで
与えられたもの。(三時花の場合は彼氏)「つまりわたしたちは、未来を
託したかったものをとっくの昔に失っているのです。だからこそあなたのような、
これから未来を切り開こうとしている人には手を貸してあげたいのです」
翌日、橘を加えた4人の夢使いに銀樹、瑠瑠、それにスピカを加えた一同は、
甕島へと向かう。橘の操縦するボートで甕島へ渡る一行。
なおその場面はないが、銀樹はやはり、出発前に瑠瑠に息を吹き込む場面の
箱庭を作らされている。
ゆきめ・童守町へ帰るの巻
ゆきめは山の中で一人、ぬ〜べ〜に会った時の事を
思い出しては不思議な胸の痛みを感じていた。
この痛みは、溢れる涙は何なのだろう。
ゆきめはその正体を知る為に、童守町へ向った。
そこでゆきめは以前自分が使っていた生活用品を発見する。
その一つ一つに宿るぬ〜べ〜との記憶をゆきめは思い出す。
ゆきめの存在に気付いていたぬ〜べ〜は、生徒達と共に
ゆきめを歓迎する。山には無かったもの、温かいもの…
自分の望んでいたものはこれだとゆきめは喜びの涙を流す。
すると、いつの間にかゆきめの荷物に紛れ込んでいた
こだまねずみ という山の神の使いの妖怪が現れた。
また掟を破って人間界で男と暮す気か、と使い魔は言い
体を風船のように膨らませた。こだまねずみは膨れて
爆発する事で掟を破った者を抹殺するのだ。
ぬ〜べ〜はこだまねずみから生徒とゆきめを守った。
ゆきめはぬ〜べ〜に抱きつくが、すぐに体を離す。
「私…やっぱり以前のゆきめじゃない。いくらゆきめの魂を持っていても
性格が違う、妖気が違う…私の中の二人のゆきめが統合し
元のゆきめに戻るにはまだ時間がかかる…それまで…待って下さい」
こうして新しく生まれ変わったゆきめは童守町へ戻ってきた。
童守小・恋の大混戦!の巻
以前と違い、熱い料理も作れるようになったゆきめは
早速熱いお弁当を作ってぬ〜べ〜のもとへ向う。
そこでゆきめは、ぬ〜べ〜がリツコにデレデレしている所を見てしまう。
ゆきめは怒るが、ぬ〜べ〜は優柔不断な態度をとるばかり。
「私 山に帰る!そしてまた人間を襲う凶悪妖怪に戻ってやる!」
ゆきめは町へ飛び出す。折角元に戻りかけていたゆきめの魂は
山の神に吹き込まれた冷酷な雪女に戻ってしまった。
「どうせ山に帰るんだ、お土産に男を凍らせて山に持って帰ろう」
ゆきめは顔の良い男を見つけては氷で手足の自由を奪い、
有る程度の数の男を凍らせてから、本格的に男達の魂を奪おうとした。
契りの口付けをすれば男達の体も魂もゆきめの物になるのだ。
そこへぬ〜べ〜が現れるが、ゆきめは構わず男に口付けしようとする。
「俺としろ!」ぬ〜べ〜はゆきめを男から引き離し、ゆきめに激しいキスをした。
キスでぬ〜べ〜の本当の気持ちを知り、ゆきめは元に戻った。
ぬ〜べ〜・過去を知る男の巻
ぬ〜べ〜は生徒達と共に心霊番組を見る。
番組では無限界時空という霊能力者が除霊をしている所だった。
時空はかなりの力を持つ霊能力者だが、同時に数百万という
金を巻き上げるがめつい男でもあるのだという。
ぬ〜べ〜は広と同じサッカー部の生徒を除霊しに行った。
生徒は体中に膿んだ傷を持っている。ヤコオ憑きという、
小さな傷から体に入り込み、その後どんな小さな傷でも
毒の舌で舐めて化膿させて広げていくという厄介な悪霊だ。
生徒の母親はお金が無く何のお礼も出来ないというが、
「いえ、『人間バカになって人を救え』ですよ」ぬ〜べ〜は笑顔で返す。
すると、時空が現れた。生徒の父親が家を担保にして呼んだのだという。
「フン…バカになって人を救えだと?笑止な!相変わらずだなクズ教師!」
ぬ〜べ〜を知った様子の時空は嘲笑う。他の者を出し、二人で除霊する事に。
「ヤコオ憑きのおとし方は憑かれた者を吉方に向け寝かせ体に浄水をかけ
胸に十字を書き剣を腹に置き、左に三転させておとすという」時空は刀を出しながら言う。
「的確な除霊方だ。何故その力を金儲けなどに?」ぬ〜べ〜の言葉に時空は語りだした。
423 :
夢使い:04/05/02 20:23 ID:???
島に上陸すると、先日銀樹が父から与えられたクリスタルが光り出し、
身長十数cmの小さな、14歳当時の銀樹の両親の姿が現れる。
両親の記憶に導かれて山の中へ歩いていく内、塔子が眠りについて倒れる。
夢で真実を知る“夢見”に入ったのだ。一端一向から離れ、塔子を担いで
山を下りる橘。
行き着いたところは泉だった。その泉を横切って飛び石が並んでおり、
真ん中には男女が手を取り合っている「双体像」がある。
両親の姿は飛び石を渡っていき、手招きする。銀樹と瑠瑠がついていくと、
双体像を指差す。像と同じように手を取り合ってみると、像の目が光り、
2人は水の中に沈んでしまう。
“転装”しようとする三時花を燐子が制止、少し様子を見ることに。
暗闇の中で、銀樹は右手に瑠瑠の手の感触を感じていた。だが一方で、
左手を握ってくる者がいる。闇の中に見えたそれは、母の姿だった。
母に抱きしめられる銀樹。
一方で瑠瑠は、銀樹がみるみる石になっていくのを見ていた。うろたえながら、
最後に石化が及んでいない指先を必死にくわえる。すると、その指先から
身体が元に戻っていくのだった。
昔は時空にも、貧しいが幸せな親子三人の家庭があった。
その頃の時空はどんな除霊にも金を取らない善意の霊能力者だった。
時空は町中の人々から好かれていた。それが誇りだった。
ある日最愛の妻が病に倒れた。病気は重く、手術には大金が必要だった。
時空は妻を救うため、今まで自分が救った者達に金を貸してくれと駆けずり回った。
しかし彼らは時空を煙たがり追い払った。雨の中走り回り家へ帰ると、
泣く幼い息子の傍らで、妻は冷たくなっていた。
「その時俺はわかった。善意などただの綺麗事、金こそがこの世の全てだと」
叫ぶ時空の横で、ヤコオ憑きが暴れだした。ヤコオ憑きは刀を奪い、それで時空の顔を傷つけた。
ヤコオ憑きは傷に憑く…時空に憑こうと飛び掛るヤコオ憑きから時空を救うため、
ぬ〜べ〜は自らの左手に傷をつけた。左手に憑いたヤコオ憑きを、
ぬ〜べ〜は鬼の手の封印を一時的に開放して吹き飛ばした。
「それは貴様にとっても危険な方法なはずだ。それを何故好かぬ俺のために?」
時空の返答にぬ〜べ〜は静かに答える。
「死んだあんたの妻はあんたが善意で人を救う姿を愛していた。
俺にもそうなって欲しいと………人間バカになって人を救え。
それは母さんが死ぬ間際に俺に遺した言葉だ……親父」
「…くだらん。それにもう…俺を父と呼ぶな。…俺は…お前を捨てた……」
動揺しながら時空は言う。
時空は除霊された生徒の父親に「金はいらん除霊したのはあいつだ」と言い、
金を受取らずにその場を去っていった。
ジョージ朝倉の
「ハートを打ちのめせ!」
「少年少女ロマンス」
「バラが咲いた」
「Punky Cake Junkie」
「カラオケ馬鹿一代」
「恋文日和」をお願いします。大量でスマソ
426 :
夢使い:04/05/02 20:44 ID:???
幼い日の姿に戻り、母に抱かれる銀樹は、右手が焼けるように熱いのを感じる。
その熱が全身に広がり、「熱い!!!」と叫ぶと、母の姿は砕け散った。
外では泉を渡った向こうの岩壁が開き、洞窟が出現する。入り口の
上には、「黒い聖母」の浮き彫りもある。
水の中から光の柱が出現すると、銀樹を瑠瑠も戻ってきた。
必死で銀樹の指を吸っていた瑠瑠はしばらくしてようやく戻ったことに
気付き、慌てて居住まいを正すのだった。
洞窟の中へ進む一同。だが、マスターと4人のスピカもやはり追って来ていた。
火曜星・燐子が札をたいまつに変え、洞窟を進む一同。
ふと、「何故敵だったわたしを連れていく」と聞く青のスピカに対し、銀樹は
自分が連れて行こうと主張したことを語る。聖所で瑠瑠を人間にできるなら、
スピカも救えるかも知れないから。更に「おまえだって喜んだり悲しんだり
するんだろう? 人間と同じじゃないか」と言い、模造人間の宿命を瑠瑠に
見せるためだけにスピカを壊したマスターを非難する銀樹。
洞窟の奥には、巨大な女の頭部の形をしたクリスタルがあった。
父が銀樹の、母が瑠瑠の肩に飛び乗り、そのクリスタルを指差す。
しかしその時、天井を突き破って巨大な円錐形のクリスタルが現れる。
4人のスピカの合体したものだ。再び黒い石を渡せと迫るスピカ達、
“転装”して迎え撃つ燐子と三時花。
427 :
夢使い:04/05/02 20:59 ID:???
激しい戦いから走って逃げ、女の頭のクリスタルに銀樹と瑠瑠が
辿り着くと、両親の記憶が手から光を放ち、そのクリスタルの
それぞれの目に当てる。すると、クリスタルの口が開きだした。
だがそこへスピカの1人が現れる。夢使い達と戦っているのは
囮だったのだ。(あ、てことは合体してるのは3人だな。失礼)
しかし、銀樹を始末しようとスピカの杖から放たれた光の矢は跳ね返される。
銀樹に背負われていた青のスピカが、やはり杖を出現させて口にくわえ、
術を使ったのだった。同様する相手を、青はクリスタルに
閉じ込めてしまう。
燐子は戦いを引き受け、三時花に2人の後を追わせる。
閉じ込められた敵のスピカを見て「青はもう味方だ」と描くにする三時花。
青は「この2人を進ませた方が我々にも有利だと思っただけだ」と答えるが・・・
口が開くと、中には炎が燃え盛っているように見える。動揺しつつも中に
入ろうとする銀樹を、瑠瑠は何故か引き止めるのだった。
しかしクリスタル像の目が開くと、銀樹と瑠瑠も、背負われているスピカも、
そして三時花も口の中に吸い込んでしまう。
三時花は私服姿に変わり、福岡の実家に辿り着いていた。
そして廊下の先に現れ、呼びかけてきたのは、まぎれもなく
死んだはずの「悟くん」だった。
(続く)
キャラとか用語
スラお
混じりっけなしの100%純粋スライム、かつてはテリーと共に冒険し
最強最大の魔法マダンテを体得していたが、今はもう忘れてしまった。
サーチン
M・M、本名サンチで実は女の子、ゲームにも登場してたりする
作戦
モンスターに指示する作戦、攻撃を指示するガンガンいこうぜ、補助を指示するいろいろ
やろうぜ、回復・防御を指示するいのちだいじに等がある。クリオは主にガンガン行こうぜ
旅の扉
魔物達が住む異世界への門、複数ありM・Mの強さに応じて潜る扉を選ぶ
つまり優れたM・M程強い魔物がいる世界を選ぶ。わたぼうの先祖が作ったらしい。
クリオはM・Mの戦い、すなわちモンスター・バトル(以後M・B)
を学ぶため闘技場を見学する。
基本的なM・Bのルール、魔物は三体まで、マスターは直接戦わず指揮に専念する
という事を教えられ、いよいよ試合開始。
この日はAクラスマスター・マチコ(魔物はマタンゴ×2とリップス)と
挑戦者・サーチン(魔物はガンコどり、ファーラット、ももんじゃ)の戦いだった。
先制したのマチコチーム、得意の相手の動きを制限する特技を使いサーチンチームを翻弄
しようとするが全て不発に終わり、サーチンチームが一気に反撃。
これが決め手となりそのままサーチンチームが勝利した。
見学も終わり、牧場にクリオの魔物を迎えに行くモンじいとクリオ。
その任務の重要性からグレイトドラゴンを与えられるという事を聞いたクリオは元の世界
の図鑑でみたグレイトドラゴンの姿を思い出し、にやけ顔が収らない様子
牧場へ着くとそこは荒れ果てていた。わたぼうが消え精霊の加護が薄れつつあり
魔物達は皆、野生化して逃げ出してしまったのである。
それでもクリオはまた俺が元通りにしてやるよ、と自信満々。だがグレイトドラゴンの
姿もどこにも見当たらない。代わりにいたのは一匹のスライム。名はスラお。
しかし会ってすぐに
「冗談じゃねぇよ…スライムなんて俺の世界にもうようよいたよ!やってられっか!」
「てんめ〜オイラの事バカにしたな!?いやスライム族の事までバカにしただろ!?」
といきなり大喧嘩。
その横でモンじいは一連の事件を起こしている力の存在を感じ、早く仲直りして旅立てと
仲介に入るが二人の喧嘩は一向に止まらない。
そこへやって来たのはサーチンとその魔物達
「スライムも仲間にできないM・Mと現役引退のスライム、まとめて消えろ!
テリーはこの私が探し出す!文句があるならかかってこい!」
とさらに火に油を注ぐ。しかしこの発言で二人は喧嘩を中断しサーチンとM・Bを開始
先制したのはサーチンチーム、打撃攻撃で攻めるがスラおはこれを何とか耐え反撃
かつてほしふりの大会で使用した特技マダンテを発動、威力を制限される闘技場・異世界
と違いタイジュの上でのマダンテはタイジュそのものを消し去ろうとするが野生化が進ん
でいたスラおはマダンテを既に忘れていた…。
ここでモンじいが止めに入り試合は中断、サーチンはテリーを捜すためタイジュと異世界
を繋ぐ門、旅の扉へと去っていった。
いよいよクリオとスラおが旅立とうとする時再び異変が起こった。
異世界から旅の扉を塞ぐ魔物が現れたのである。騒ぎを聞き旅の扉の間へと向かうクリオ
とスラお、そこで見たのは倒れているサーチン達と図鑑にすら載っていない魔物だった。
「なぜ来た?早く逃げろ!こいつはただの魔物じゃない…魔物の頂点に君臨する魔物……
…すなわち『魔王』だ!」
ここまで書いて思った
魔物とか呪文は名前だけで伝わるのかな?
ぬ〜べ〜激しいキスキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━エロ
気になるなら簡単な注釈つけたらどうかね>431
434 :
マロン名無しさん:04/05/02 22:15 ID:yZOA3M4F
>>431 ドラクエあんま詳しくないんでできれば注釈つけてほしいな
了解
んじゃ注釈つけます
注釈か。ロトの紋章のコミックスのカバー見返しとか
ドラクエ4コマ漫画劇場を思い出すな。
今ふと手元に狂四郎2030あるけどやってみていいですか?
前の人とは違うので、最初からやるか、続きをやるか
どっちでもいいと思うんですが、どうですか?
「僕といっしょ」を長めに教えて
>>432 自分は親父にキタ━━━(゚∀゚)━━━!だった
しかしぬ〜べ〜は悲惨な過去持ちまくってるな。
ところでぬ〜べ〜の人はテレプシの人同一人物?
はじめのスペースのつけ方が同じだから。
「まるいち的風景」
「一清&千沙姫シリーズ」
「サイボーグ009」
「とりかえ風花伝」
「回転銀河」
「NARUTO」
「くだんからの伝言」
「ハッピーファミリー」
「彼はカリスマ」
「西園寺さんと山田くん」
「神林&キリカシリーズ」おながいします
ナルトはもう書かれてなかったかな?
X
作者:CLAMP
1〜18巻(以下続刊)
*この作品は「東京BABYLON」や「CLAMP学園探偵団」などCLAMPの他作品がリンクしている形となっています。
この作品の特徴としては、
・やたらと見開きページと同じ描写が繰り返され、台詞が極端に少ない。しかも抽象的なものばかりである。
・『 』がジョジョのごとく多く、その用語は覚えておく必要がある
(が、一つの言葉が何度もしつこく出てくるので読み飛ばしも可)。
・主要登場人物が多い(最低14人)。
・世界設定上やたらと説明が多い。
・伏線が過剰。後々絡んでくるだろうと思わせる描写づくめである。
よって特に始めの方は物語が非常に分かりにくい。
・男同士でもやたらベタベタとスキンシップの描写(大抵が拷問シーン)がある(が、フォモではない)。
などがあります。特に『神威』『地球』『東京』『夢見』『神剣』これらのキーワードは強調、多用されます。
文中で異様に説明くさいものはここで紹介してしまいます。
<用語説明>
『世界の終末』を巡っての戦いの話
『七つの封印』:別名『天の龍』。『世界の終末』に関わる七人のこと。
『結界』を創世し、地球を守る力を持っている。どこかの名門ないしは宗派出身の術者であることが多い。
『七人の御使い』:別名『地の龍』。同上。
『東京』に張り巡らされた『結界』を壊し、破壊的な力で人類を滅亡させうる集団である。
例外もいるものの、殆どが人格破綻者ぞろい。
『東京』:地球を守る『結界』が幾つも張り巡らされている楔の土地。
ここの結界が全て壊れると世界が壊れて崩壊するらしい。
『結界』:二つの意味があるらしい。元から張られてるものと、『七つの封印』が作るもの。
前者は山手線やらサンシャインやらレインボーブリッジやら東京タワーやらの観光名所に張り巡らされている。
これを壊すと楔のバランスが崩れ、地震が起こって土地が崩壊し、即ち東京が、ひいては地球が滅ぶ。
後者は『七つの封印』のみが創世でき、作った当人が瀕死、死亡した時以外、第三者には解けない。
戦いの時に張ることで別空間を作りだし、被害を現実世界に及ばないようにすることが可能である。
『夢見』:夢占い師のこと
<人物紹介>
『神威』:本名・司狼神威(しろう・かむい)。主人公。『世界の終末』の鍵を握る少年。
不幸なことがてんこもりに起き、初期とでは人格が別人だが基本的に無口で素直なロリ顔の美少年のようだ。
桃生封真(ものう・ふうま):
神威の幼なじみの少年(オサーン顔)。刀隠神社の息子で、仏頂面で無口な頼りになる兄貴。
妹の小鳥と幼なじみの神威をとても大事にしている。
桃生小鳥(ものう・ことり):
封真の妹で同じく神威の幼なじみ。今時いねーよという病弱で純真な天然美少女。
幼い頃に離ればなれになった神威を想っている。
とりあえずこの主要な三人だけ説明して、後は出てきた際に。
<OP>
瓦礫の山となった都市の建物の上に7人の人物が立っている(既読の人には『東京BABYLON』の昴流がいると分かる)。
その中の一人が言った。「『あいつ』だけは俺が殺る」
<はじまり>
夜景の東京を見下ろして東京タワーに佇む謎の少年。
「6年ぶりの… 東京か 帰ってきたよ 母さん」といい彼はタワーから軽々とジャンプした。
ところ変わって桃生家の朝の風景。通学する桃生封真と小鳥。
通学途中で小鳥は封真に、今日は神威が帰ってくる良い夢を見た、と言う。
そして通学途中らしいが、昨日のタワーの少年は怪しい男達に絡まれていた。
その少年はかなり短気らしく、いきなり喧嘩腰で強力な力をぶっぱなし、周りの物も壊して大暴れ。
吹き飛ばされた男達は、人間の姿を崩し紙くずになった。どうやら何者かが放った式神だったらしい。
少年は式神に、俺の相手をするなら死ぬ気でこいやゴルァといい受けて立つ姿勢を見せた。
そして少年の戦いぶりを見守る二人の影。
「『結界』も張らず、力も使いたい放題。本当に彼が『神威』なのか?」
授業中の小鳥は昨日見た夢を思い出していた。
幼なじみで優しかった神威のことを思い小鳥がうっとりしていると、窓の外から少年の姿が見える。
授業中ということも忘れ、小鳥は窓に駆け寄り「神威ちゃん!」と呼んだ(見開きで見つめ合う二人)。
しかし次の瞬間には少年の姿は消えていた。あんまり会いたかったから幻を見たのかしら…と乙女チックな小鳥。
一方体育の授業中だった封真も、桜の木の下に佇む少年を見つける。「神威…?」
呼びかけたが彼は封真を無視していってしまった。
そしてその日、小鳥のクラスに転校生がやってきた。
「司狼神威」と紹介され、やっぱり神威だと興奮し狂喜する小鳥。
授業が終わり即行で教室を出ていってしまった神威を小鳥は追う。しかし再会を喜ぶ小鳥に、神威は
「俺にかかわるのはやめろ。二度と話しかけるな。もう6年前とは違うんだ。」と冷たく返した。
ショックを受け泣いて小鳥は立ち去る。
小鳥が立ち去った後、神威はいきなり空中を攻撃した。
どうやら何者かが『目』を飛ばしてきたらしい(ようはのぞき見)。
『目』を飛ばしてきた人物は、術を返されて衝撃を受ける。
姫様と呼ばれる古風なその少女は、神威を思い何かを暗示した。
「…神威… この世の行く末の鍵を持つ者…」
一方、倒れた小鳥は夢を見ていた。
(神威が丸いものを持っている。あれはボールではなく…地球?
地面に当たって、地球が割れ、壊れる。 神威が地球を壊す夢…)
そこで小鳥は封真に呼ばれ目を覚ます。保健医の女医は、二人を送り返した後外を見つめて呟いた。
「…ついに帰ってきたわね 『神威』」
*この漫画は場面がコロコロ変わり、妖しい術が沢山出てきます。
さらにこの時点ではまったく話は分かりません。おいてきぼりです。忍耐で読むべし。
神威は自分が6年前住んでいた家の跡地を見に行く。何もない跡地で神威は母親のことを思いだしていた。
「強くなりなさい お前はどうしても生きなければならないの 1999年の『約束の日』まで」(今となっては古い)
そして燃え落ちる母親の姿。駆け寄る神威の努力も虚しく、炎に焼かれながら母は神威に告げた。
「『東京』へ行きなさい お前の『運命』が 待っているわ…」
そして神威は東京へ帰ってきたのだが、帰ってきた途端わけのわからない連中につけられているのだった。
神威の前に現れた男は「お前が本当の神威か」と聞いてくる。
戦闘ギアがオンの神威はまともに話にとりあわず、「俺が『神威』だ」と宣言しながら力をぶっぱなす。
そして月をバックに戦闘開始(ベタな)。
手加減なしの神威にやられまくる男は、お前なんか神威じゃねーと言いながらかまいたちを放ってくる。
しかしフルパワー真っ向勝負で勝ったのは神威だった。
重傷の男をビルから足蹴で突き落とそうする神威(こいつ本当に主人公か?)の前に立ちはだかったのは
セーラー服の美少女。その美少女は手の平から刀を出し神威を牽制、男を連れ去った。
美少女が帰ってきたのは例の姫様のところである。
その姫様は「嵐殿」と少女を呼び、あの者は本当に『神威』だったのかと聞いてきた。
多分それっぽいと答える嵐に対し、神威にやられた男・砕軌は、あんな身勝手な奴が『神威』のわけねーと
反発する。「丁(ひのと)」と呼ばれたその姫は、盲目の占い師でありいわゆる『夢見』であった。
丁は嵐に「この世の終り」の夢を見た、と告げる。
丁の夢の内容
(崩壊した建築物、砂漠…壊れた地球の音がする。その中で残っている東京タワーに立つ6人の人影。
その中の一人は神威だ。神威は夢を渡っている丁に気づく。そして神威によって地球が壊れるビジョン…)
まだ不明なことばかりの中で、丁は嵐に
「どうか『神威』をお守り下さい。『神威』はこの世の行く末の鍵を持つ者」と告げた。
何故かだいぶ時間を置いて現れましたが「夢使い」書いてた者です。
その場で書いて投稿してるからしょうもないミスをするんだけど、
まとめの時には
>>426下から2行目の「4人のスピカ」を「スピカ達」にして、
>>427 5行目のカッコ内は「つまり、合体しているのは3人だった」に
しておいてくれると有難い。
ところで早くもそろそろ次スレ?
一方、砕軌との戦いで傷を負った神威も帰る途中で気絶していた。
買い物に出かけた封真は、昼間に神威はなぜ自分を無視したのだろうと考えていたが、
神威の家があった空き地を通りかかって傷ついた神威を見つける。
構うな放っとけという神威に喝を入れ、封真は神威を家に連れ帰った。
連れ帰った神威を見て怪我に驚く小鳥。しかし封真と小鳥の父は、神威そのものを見てショックを受けたようだった。
そして向かいの家の屋根にはまたなにやら謎の人物が…。
関西弁のその兄ちゃんは今までの一部始終を見ていたらしい。
そしてもう一人(いい加減に登場人物最初から多すぎる)謎の青年登場。
兄ちゃんの方は『結界』を張り、それをみて青年は「君も『世界の終末』の関係者か」と言った。
二人はどっちも『神威』に用があるといい、激突した。
兄ちゃんは有洙川空汰、青年は麒飼遊人と名乗り、激しく軽口と術の応酬をする。
しかし何者にも侵入できないはずの『結界』内に、買い物に来た封真が現れ大いに驚く二人。
神威を傷つけたのかと憤る封真に、二人は一旦休戦する。
空汰は封真に、神威に怪我をさせた奴は誰か、ときかれ答えた。
「わいもわからん。『世界の終末』とやらの関係者であることは確かや」
一方寝ている神威は夢を見ていた。(この漫画はやたらと皆、夢や幻を見ます)
神威は地球の中に女(丁)を見つける。
そして神威は自分と母親、封真と小鳥、そして二人の母の紗鵺(さや)といる幸せだった過去を見るが、
次の場面ではバラバラになって死んでいる紗鵺の姿があった。それを見てショックを受ける幼い封真と小鳥。
そう、紗鵺は六年前にバラバラになって謎の死をとげたのである。これはその時の過去の場面だ。
神威の母親は「紗鵺は私達のために死んだ これ以上刀隠神社の人たちを殺させる訳にはいかない」と言った。
次々と場面が変わる。崩壊した東京のビジョン、燃えさかる火の中で死んでいった母親とその時の言葉、
そして巨大な十字架にワイヤーで縛り上げられた小鳥の姿。
小鳥を呼ぶ神威の目の前で、ワイヤーに括られ小鳥の体がバラバラになった。すぷらったー
夢の中で泣き叫ぶ神威は丁に、これはお前が見せた夢かといい、丁はこれから起こりうる『未来』だと言った。
そして小鳥を救うためにも地球を救って、と頼んでくるが、今の映像に怒りMAXの神威は丁を術で夢から吹き飛ばす。
「封真と小鳥に指一本触れてみろ… 殺してやる」
丁が現実世界に追い払われ傷を負っているとき、それをさらにのぞき見している女がいた。
庚(かのえ)と呼ばれた妖艶なその女に連絡をとってきたのは、先程空汰と戦っていた青年で
『七人の御使い』のひとり、遊人である。報告を求める庚に、遊人は空汰を『七つの封印』だろうと評した。
庚は丁の妹である。
世界の終末に関わる夢を姉の丁が夢見した時、庚はその夢に侵入し映像を見ていた。
それは前に丁が見た夢とは若干異なっていた。
(瓦礫となった都市に死に絶えた人々。しかし東京タワーではなく、七人の人影はビルの屋上で佇んでいた。
その中には遊人もいる。(バビロン既読の人には星史郎がいることも分かる)。
そして少し表情が異なる(嘲笑を浮かべて悪そうな)神威…。)
次に庚は『匕人の御使い』のひとり、八頭司颯姫のところへ向かう。
颯姫はコンピューターと対話することができる能力者で、電脳ネットワークに侵入し
あらゆる情報を手に入れることができる。コンピューターの情報を得た颯姫は、神威を本物であると判断した。
神威が怪我と夢に苦しんでいるのを心配する小鳥。そこに空汰を連れて封真が帰宅する。
封真と小鳥の前では無口であったが、空汰と二人きりになった途端ガラが悪くなり豹変する神威。
それをなだめ、空汰は神威に自分の知っていることを語り始める。『結界』『世界の終末』『約束の日』のこと…。
空汰は自分は高野山のお坊さんであると明かし、一週間前に知り合いの『星見』の坊さんから使いがきて、神威が
「たった一人の肉親と死に別れて 己の運命の星に導かれて この東京へ帰ってくる」と告げられたと言った。
空汰と神威が話している頃、刀隠神社の神主である封真と小鳥の父は『神剣』を手にしていた。
「ついに帰ってきたか『神威』 この東京へ…」
『神剣』のため『神威』のために、妻の紗鵺に惨い死に方をさせた。
神威がこの『神剣』を手にするのにどうか相応しいかみきわめなければ、という父の前に見知らぬ青年が現れる。
その剣をもらいにきたという青年に、父は術を放ち応戦するが手強い。
『神剣』の雷光にも動じないその力に、相手が『七つの封印』もしくは『七人の御使い』であると感じる父は
青年に素手で心臓を貫かれ倒れた。青年は那托(なたく)と名乗り『神剣』を奪って立ち去った。
本堂での戦いに気づく封真と小鳥、そして『何か』に呼ばれた神威は本堂へ向かう。
息も絶え絶えの父は封真に「始まってしまった この世の週末のかぶら矢が放たれた」と、
神威に「『神剣』を取り戻せ 『結界』…を 七つの『封印』がとかれる前に 『御使い』を…」と告げる。
そして「封真… お前はかむいの…」と言いかけるが力つき、息を引き取った。
451 :
X :04/05/03 02:36 ID:???
*とりあえずストーリーがあまりに掴みにくいのでここで少し新しい登場人物と内容まとめ。(多少かぶります)
・母親が火事で死に、遺言で神威は6年ぶりに東京へ帰ってきた。
・神威は「この世の行く末の鍵を持つ者」である。
・色々な奴が、神威が本物かどうか確かめに何度も絡んでくる。
・夢見の姫、丁は世界が滅亡し、それに神威が絡んでいる夢を見ている。
・刀隠神社にあった『神剣』を巡り、封真と小鳥の父は殺される。
丁(ひのと):国会議事堂の地下にいる最高の力を持つ『夢見』の少女。日本の未来を予見している。
盲目であり、耳もきこえず、言葉を発することも歩くことも出来ない。会話はテレパシーで可能。
庚(かのえ):都庁の下にいる謎の妖艶な女。丁の妹。丁の夢に侵入し覗き見することができる。
『七人の御使い』とつるんでいる。
鬼咒嵐(きしゅう・あらし):手から剣を出し戦うクール系セーラー服美少女。
冷静で無愛想。丁との連携?で神威を監視している様子。
有洙川空汰(ありすがわ・そらた):関西弁で漫才師のノリのような明るい少年。高校二年生。
真言宗の総本山・高野山のお坊さん。『七つの封印』の一人。ある宿命を負っている。
麒飼遊人(きがい・ゆうと):
ホストのようなノリの美青年。区役所に勤める地方公務員。『七人の御使い』の一人。
八頭司颯姫(やとうじ・さつき):
コンピューターに愛される少女。電脳ネットに自在に入り込みあらゆる情報を得ることが出来る。
『匕人の御使い』の一人。庚とともに都庁の下にいる。
→続きます
ということで投下してみましたが、あまりに書きづらくて文章もヤバイです。
ごめんねリク主さん。
読んでて全然わからん、ということだったらあらすじだけ書くか
他の方に託そうと思いますので、遠慮なく仰ってください。
読めない名前のオンパレードにちょっと混乱したけど何とかわかりますた。
続きお願いします。
454 :
マロン名無しさん:04/05/03 06:50 ID:Kfazs6tV
ストーリーを書いてくれる方へのお願い。
・要望に出ている漫画のストーリーはどんどん書いて下さい。
ただ要望に出ていないものは敬遠される傾向にあります。
レスは期待しないで下さい。それでも良いというならどうぞ。
・この板は一般板なので18禁の漫画のストーリーの要望、紹介はご遠慮下さい。
・名前欄に作品名を入れてもらえると、まとめやすくありがたいです。
・時間を置いて数回に分けて投稿する際には、最後に「続く」と御書き下さい。
そうする事でストーリーの投稿の混交を防げます。
・これを書こう、と思われた際は「○○○○を書きたい」と意志表明し、予約していただけると、
投稿の重複が防げて大変ありがたいです。
また、書くのはよそう、と思われた時には面倒でも予約の取り消しを御願いします。
これ次スレからこっちでもつけようや。今は482kbなのでそろそろ次スレの時期だし。
>>454 ・・・なんか、ここの住人がひどい奴に思えるような注意書きなんだが・・・
王ドロボウJINGとKING OF BANDIT JINGを予約します
つかもう立てなくちゃ!早っ
それにしても未解決分かなり増えてきたな。
>365-368に目を通すだけでも本当に気が遠くなりそうだよ。
いくらここの住人がひどい奴に思えても>454をつけないと混乱が増すばかりじゃないかな?
>>454 「続きは後日」って場合に(続く)を入れるようにしてきたけどなあ。
書きながら投下してると十数分の間が空くから毎回入れた方がいいか?
でもあんまり時間空けずに投下してても混ざる場合ってあったんじゃないか?
以前は「名前入ってれば分かるから」って話になってたけど、どうすべき?
ついでに立ててこようか。
度胸星お願いします
ある程度、既存のリクエストが減るまで新規依頼を控えてもらうとか…
それで定期的に、たまってるリクエストのページへのリンクを貼るとか
今回はあ〜か行とか、強化月間みたいなのを作るとか。
少女漫画板住人に要請したい気分
書く側にしたら「これ全部書くのか」って訳じゃないだろ
選択肢が多いだけと思われ。
「書いてもらったらお礼の一つでも」とかのほうが大事だろーと思うけどなあ
どちらかというと、最初の方に依頼したものが忘れ去られちゃうって点から
新規リクエストの制限はあった方がいいかもと思う。
>>454 >・時間を置いて数回に分けて投稿する際には、最後に「続く」と御書き下さい。
> そうする事でストーリーの投稿の混交を防げます。
連続投稿規制防止に交互に投稿とかでもいいんじゃねいかな?
AA系の板と違って混ざって読む事はないだろうし
これって本家のRPG板の方のテンプレの漫画板版だろ?
向こうもこれで上手く行っているようだし、これでいいと思うけどな。
書いてもらえるのはありがたいけどやっぱりまとめサイトの管理人さんにもまとめがやりやすいように一定のルールは必要だと思う。
最近丁寧に書いてくださる人が多くて嬉しいんだけど
いざ書く方に回ろうと思うとすごくプレッシャーで。
依頼の中に持ってる本もいくつかあるけれど
全10巻超える作品を2スレとかですませるくらいなら
放っておいた方がいいんでしょうかね・・・?
大きな間違い。スレ汚しすまそ。
×2スレ→○2レス
>469
個人的には、長くても1レスで1巻くらいに要約して書いてくれる方が
ありがたいから、歓迎なんですけどw
自分としてはここでは(ネタバレしてもいいけど)あらすじ程度を知るのが
目的で、面白そうだと思ったら実際漫画で読みたいので、脚本みたいに
細かく無い方が好みです。
少数派っぽいけど。
>>469 自分は短いほうが好みだ。
長く書くほうが実はとっても簡単なんだよな。そのまま書けばいいわけだし
リク主が「簡単に」とも「詳細に」とも言ってないなら
自由にすればいいんじゃない?
「もっと詳細を」とか希望するなら再リクすれば。
>>439 実はそうだったりします。
>>469 自分のように粗筋というよりは小説化してるみたいなのよりは
短い方が読みやすいんじゃないでしょうか。
書き方は人それぞれだし、短くても内容が伝われば十分。
プレッシャーを感じる必要はありませんよ
475 :
469:04/05/06 01:43 ID:???
ありがとうございます。
よし!と奮起して書いてみたけれどやはり難しかった。
全9巻が8レス・・・。うぬぅ。
でも読んでほしい布教したいタイトルもたくさん上がってるので
数もこなす事を目標に恩返ししていこうと思います。頑張るぞー!
がんばれー
うちは知ってる漫画や持ってる漫画
それ自体が少なくてお役に立てない
ハートを打ちのめせの粗筋みて思ったけど、
最近の少女漫画はどんどんエロくなってくね
あ、パート3落ちた・・・
まぁいいんじゃない。ここはけっこう早めに移動したからまだまだ余りがあるしな。
避難所代わりになるから保守してこうや
とりあえず書いた方としてはどんなんでもいいから
少しでも感想もらえるとうれしく書く気になったりはします。
気持ちは分かるんだけど最近は神様多くて回転が速くて感想書く間がないのよ。
俺は来たものは残さず全部読んでる
>>477 あれは「少女」漫画というより、20代ぐらいの女性向じゃないかな。
エロ臭はかなり強いしキャラはDQN多いが話自体は面白いよ
>>481 こっちのスレに書けばいいんじゃないかな?
まだあっちの掲示板覗いてないなー
動いてるのかな
ほす