台ってヒャダルコ使えたっけ?
>>748 オリジナルストーリーにそういうツッコミは野暮ってもんだぜ
えなりスレ見てから、ここに来ようとしたら、向こう見たときに
「403 Forbidden」って出て見れなかったんだが、これってどういうこと?
スレ違いとは分かってるが、どこでこういう事聞けばいいか知らなくて。
誰か新スレ立ててやれよそろそろヤバイだろ?俺挑戦したけど出来なかった
何でこんなにスレ立てづらくなったんだ?
今382KBです
もうしばらくは大丈夫かな?
<第3幕>
緋村は凍りついた腕をなんとか元に戻そうと必死だった。
それをあざけ笑うかのようにダイがさらにスピードをあげる。幸い、気温の
高かったこの日、腕の氷の解け具合は早かった。
「ダイ君のあの力。異国では当たり前のようだが、あれはすばらしいものだ」
局長、近藤勇が上座に座りながらそう言った。
「ええ、なんでも「呪文」というらしいですが。我々の知っている仏教の呪文とはわけがちがいますな」
近藤の言葉に新撰組副長、土方歳三がそう答えた。
「同じく異国から来た者として、君はどう思うかね?ヤムチャ君」
「いやあ、俺の国ではあんな力なかったですからね。びっくりですよ、はっはっは」
「ふ・・・君は楽天的でいいな・・・」
腕の氷の解けた緋村は一気に攻勢に出た。スピードでは自分が上回る。
「飛天御剣流、龍翔閃!!」
緋村の剣が下からダイの体を捕らえた。腹部に直撃を受けたダイが上空へと飛ばされる。
「げほ、げほ、ま、参りました・・・」
「よし、勝負あり!!」
<第4幕>
「参りました。緋村さん。呪文使おうと思ったんだけど、腹が痛くて声がでなかったや」
「剣心でいいよ。ダイ、よろしくね」
その夜、晴れて新撰組隊士となった緋村を歓迎しようと、宴会が行われた。
酒も飲めない緋村だったが、隊士となった喜びをかみしめながら、楽しい夜をすごしていた。
「緋村君、隊士のみんなを紹介するよ」
局長、近藤勇が緋村を引っ張っていき、皆に挨拶をさせた。
沖田総司、永倉新八など、噂でしか聞いたことのなかった名だたる隊士たちを前に、
緋村はただただ緊張するばかりだった。ただ一人、目の前にしても緊張することのなかった男がいる。
勘定役のヤムチャだ。
「緋村君、俺はさ、隣の清国で盗賊をやってたんだよ。でもよ、日本で一発成功してやろうと思ってナ」
「ヤムチャさんも異国から来た人なんですか?」
「ああ、俺の国では拳法が盛んでな。俺も実は拳法使いなんだよ。今度見せてやるよ、俺の狼牙風風拳を」
「・・・名前は強そうですね」
「バカにするなよ!!本当に強くて速いんだ!!」
「・・ははははは・・」
新撰組でこんなに気さくで話しやすい人がいるとは緋村は思っていなかった。
強さ云々は別として、緋村は、人として、日に日にヤムチャのことを慕うようになっていった。
<第5幕>
緋村が新撰組隊士となって一ヶ月が過ぎた。隊士といってもまだ実戦には出してもらえていない。
斉藤一がなぜか緋村を実戦に参加させるのを制しているのだ。
緋村、ダイの両名は、欲求不満ながらもそれなりに充実した日々を送っていた。そんなある日の夜。
「・・・ヤムチャさんだ・・・こんな夜中に、あんな店で・・・」
ふと、夜の歓楽街を通りかかった緋村はとある店で女に囲まれながら酒を飲むヤムチャの姿を見た。
少し、開いた窓から、話し声が聞こえる。
「お客さん、さっきからひたすら飲んでるけどお金だいじょうぶなの?」
「大丈夫!俺は新撰組の勘定役だぜ!?ちょっとぐらい隊の金をくすねても平気なのよ」
「でもさあ、ばれたらやばいんじゃない?」
「へへへへっへ・・・ばれやしねえよ!もしばれたとしても俺が新撰組をぶっつぶしてやらあ」
自分の館に戻った緋村は愕然とした。上に伝えるべきだろうか。ヤムチャさんの不正を。
伝えたらヤムチャは間違いなく粛清される。新撰組では、決まりを守れない者は粛清される。
敵前逃亡でも重罪だ。ヤムチャを慕っていた緋村は、彼の粛清の場面を想像するだけで頭が痛くなった。
「緋村君、どうした?」
館の玄関で履物も脱がずに悩んでいる緋村を見つけた斉藤が、話しかけてきた。
「い・・いえ、なんでもないです斉藤さん」
「俺の目はごまかせんよ・・・君がそんな顔をしているのは始めてだ。何か身内のことで悩んでいるな」
「ち・・・違います!!そんな・・・違いますよ!!!」
斉藤に心を読まれた気分のした緋村は、履物を急いで脱ぎ、2階へと上がっていった。
その姿を斉藤は神妙な表情で見つめていた。
翌日、緋村は斉藤に呼ばれた。
「緋村君、実は今日、ある料亭で長州の会議が行われる。この意味がわかるね?」
「ええ、討ち入りですね?」
「そうだ、そこで今日は君にも実戦に参加してもらう」
「・・・お、俺がですか?」
「そうだ、実戦は始めてだろう?君には期待しているからね。新撰組隊士として、一皮剥けられるかどうか、今日、確かめさせてもらうよ」
<第6幕>
漆黒の夜・・・
十人ほどの新撰組隊士が京都の町をゆく。
その中には少年隊士、緋村剣心の姿もあった。始めての実戦参加である。
だが緋村は不思議に思っていた。なぜ今まで実戦参加を止めてきた斉藤が今日になって許可したのか。
言いようのない緊張感が緋村を包んでいた。実戦の緊張感、そして斉藤に一人前の隊士として
認められるほどの働きをしなければならないという決意から来るものだった。
「あそこの料亭だ。行くぞ」
料亭の前、後ろの出口を数人が固め、緋村、斉藤を含めた5人が突入部隊となった。
斉藤の合図と共に、5人が突入する。ついていた明かりを消し、料亭内は真っ暗となった。
あたりには客の悲鳴の声が響いた。
「奥の部屋だ。緋村、行け!!」
「は・・・はい!!」
料亭の一番奥の宴会場、そこで会議が行われているらしい。緋村たちは、宴会場のふすまを開け、
中へと、突入した。部屋では10数人の男が、暗くなり、悲鳴の聞こえるこの空間に、混乱している
状況があった。斉藤達隊士たちは、そんな男達を次々と切っていった。
剣を構えている者、混乱し、叫び声をあげる者、さまざまだった。
「一番奥の男を狙え、緋村」
「は・・・はい!!」
何も行動をしていなかった緋村の背中を斉藤が押した。緋村は一番上手に座っていた
男に対して突撃していく。男はなにやら中国刀のような獲物を構えていた。
「・・・・・な・・・・なに・・!?」
「・・・ひ、緋村君・・・」
そこに立っていたのはヤムチャだった。斉藤は、長州の会議と嘘をつき、ヤムチャの粛清に緋村を巻き込んだのである。
「ヤムチャさん、な・・・なんで・・・」
「どけ!!緋村君!!」
後ろから斉藤の声が響いた。緋村がその声に反応し、右に体をよけると同じに、ヤムチャの体に斉藤の
左片手平突き「牙突」が突き刺さった。傷を負った部分を押さえながら倒れこむヤムチャ。
「緋村君、それはまだ生きている。君がとどめをさすんだ」
「え・・・?でもヤムチャさんは仲間じゃないですか!!」
「君はこれの隊士規則違反を見過ごすというのか?」
「・・・!!」
「ヤムチャ・・・隊の金を不正に使う。ばれていないとでも思っていたのかね?」
「く・・・」
下を向きながらヤムチャが悔しそうにうめき声を上げた。
「斉藤さん!俺にはできない!!ヤムチャさんをこの手で殺すなんて、俺には・・」
「君も規則に違反するというのか?粛清対象の隊士は敵同然だ。君は、今、敵前逃亡をしていることになる。敵前逃亡は打ち首だ」
「・・・・・!!」
「新撰組隊士としての誇りか、友情か・・・どっちを選ぶのかね、緋村君」
斉藤は緋村の顔をじっと見つめた。そんな緋村はうずくまるヤムチャをずっと見つめていた。
ヤムチャは緋村に命乞いをするかのようにうるんだ目で何かを訴えていた。
「・・・・・・わかりました斉藤さん」
「よし、では君一人でやるんだ。」
緋村がヤムチャに向かって剣を構えた。
「よ・・・よしてくれ・・・ひ、緋村君・・・やめてくれ・・・」
震える声で命乞いをするヤムチャ。それを聞きながら、緋村は何か、吹っ切れたような感情に陥った。
「・・・・見苦しいですよ・・・ヤムチャさん・・・うわああああああ!!!」
「見事だ・・・緋村君」
「斉藤さん、後の処理・・・任せてもいいですか?」
「ああ、やっておくよ。君は疲れただろう?一足先に館へ帰っていなさい」
「わかりました」
血だらけになって横たわっているヤムチャの亡骸に目をくれることもなく、緋村は料亭を後にした。
シリアスストーリーだが、激ワラタ
ヤムチャゆえの悲しさか・・・
翌日・・・新撰組館で、緋村にお清め代が支払われた。
手に入れた3枚の小判を握り締めながら、緋村は一人、たたずんでいた。
「緋村君・・・」
「斉藤さん」
斉藤がやって来た。2人はしばらく、何もはなさず、何かを考えていた。
「斉藤さん、なぜ突然ヤムチャさんを粛清しようと?」
「・・・君の目だ。あの日、何かを悩んでいるようだった君の目を見て、好機だと思った」
「好機?」
「君に、ヤムチャの粛清をさせて、隊士としての自覚を持ってもらおうとな」
「・・・俺がヤムチャさんの不正を目撃したことを見抜いていたんですか?」
「ああ、なんとなくわかったよ・・・」
緋村は少ししたを向き、また何かを考え始めた。
「もう一つ・・・あのとき、俺がヤムチャさんを切るのを拒否し続けていたら、あなたは俺を殺していましたか?」
「・・・ああ、だが、君はやってくれるよ確信していたよ」
「・・・なぜです?」
「今度も君の目だよ。あの時、新撰組の誇りと友情、どっちを取ると俺は言った。その直後、君の目に何かにごりのようなものを感じた」
「それで俺はやると?」
「ああ、それまで、すんだきれいな目をしていたのにな。だが、俺は嬉しかったよ。君が一人前の隊士となってくれたことが」
斉藤のその言葉を聞いた直後、緋村はなぜか涙を流し始めた。それを見て斉藤が言葉を続ける。
「心が痛むか?そうだろう。だれだって始めて人を殺めたらそんなもんだ。ましてや自分の慕っていた身内とあってはな」
「・・・・・・」
「君も信念を持って戦っているのだろう?ならばいずれわかる。たとえ、それが自分の慕っている人物だとしても、犠牲はやむをえないこともあるということを」
「・・・・・」
斉藤が去った後も緋村の涙は止まらなかった。
自分の手でヤムチャを殺してしまった、殺さざるをえなかった悔しさ。
そして自分を一人前の隊士として認めてくれた斉藤の言葉。
緋村の涙は嬉しさと悔しさが入り混じった複雑なものだった。
だが緋村は思った。金輪際、涙を見せるのはやめよう。今度涙を見せることがあったら
それは自分の人生の終わりの時だ。たとえ、同僚が何人死のうが、絶対に涙は見せない。
弱い自分を見せてはならないと・・・
戦乱を生きる修羅の目覚めだった。<つづく>
ヤムチャキターーーー!!
雰囲気が良いですね。
続きに期待しとります
やべぇ面白い
763 :
トモ:03/07/06 15:55 ID:???
新撰組列伝作者です。
ヤムスレにしばしば現れるヤムチャ様。
ご覧になっておられたら申し訳ありません。
緋村の成長のために犠牲にしてしまいました。
殺しやすく、かつ、剣を持っているキャラというのはあなたしか見つからなかったのです。
今日、一気に考えていたネタを消費してしまったので続きが思いつかない。
ゆっくり書いていきます。
今後ともよろしく。
>>708 ―一週間後・東京・千代田区・桜田門・警視庁―
「納得できません!」
バンドエイドをいたるところに貼り付けた両手を机に叩きつけながら、警部はあらん限りの大声で怒鳴った。
同時に、戦場を思わせる喧騒の只中にあった捜査第1課の室内が瞬時にして静まり返る。
電話の応対をしていたもの。聞き込みの報告書をまとめていたもの。しくじりをしでかした部下を
しかりつけていたもの。打ち合わせを行っていたもの。
警部が感情を爆発させると、捜査第1課にいた全ての人間は手を止め、警部の方を―警部と、彼が
叩いた机の主である捜査第1課長の方を、何事かとみやった。
大半の人員が出払っているとはいえ、それでも10人を超える警察官の好奇心剥き出しな視線に
晒された格好の課長は、決まり悪げに空咳をしつつ、警部を見上げる。
「そんなに大声を出さなくても、聞こえとるよ。いいかね」
「ならば!」
警部はもう一度、机を―今度は比較的バンドエイドの数が少ない右手で叩き、あっさり課長の話を遮った。
「どうして検問を解除させたのですか!」
「1週間も検問を実施したにもかかわらず、いっこうに容疑者がつかまらないからだよ、警部。
遺憾ではあるが、おそらく容疑者はいまだ都内に潜伏中であるか、あるいはすでに検問を潜り抜けて
しまったかのどちらかだと、判断せざるを得ない―となれば、いつまでも警官を千人単位で動員して
おけるわけなどないだろう?警視庁にはもっと警察官を必要としている案件が多数あるのだ」
なだめるような課長の言葉は、警部をさらに激昂させただけだった。
「あの倉庫で18人も死んでいるんですぞ、課長!大河内組の組長警護隊が10人、おそらくは
大河内組系列と思しき愚連隊が7人!そして・・・大河内佐武郎も、あそこで死んでいるんです!
しかも、鉄パイプで串刺しにされて!」
ぐっと机の上に身をのりだし、警部はさらに言い募る。
「これはまぎれもない重大事件ですぞ、課長!その容疑者がいまだ補足も出来ず野放しになって
いるというのに、緊急配備を解除してしまうなぞ、正気の沙汰ではありません・・・お願いします、
もう一度、上に話を通してください!」
>>764 だが、課長は、警部の恫喝じみた懇願にいっかな心を動かされた様子はなかった。
「決定は決定だ。それはもう覆らない。・・・・・それに、この案件は我々の手を離れることもすでに
決まっている」
「な・・・・・なんですと!」
思っても見なかった課長の一言に、警部はそれだけを言うのが精一杯だった。
「では、どこがこの案件を受け持つ・・・・・と?」
「公安だ。総監の命令だよ」
警部の耳には、課長のその言葉は何かの悪い冗談にしか聞こえなかった。
思わず、バンドエイドだらけの両手を見る。
両手には、3日前まで、バンドエイドではなく包帯が隙間なく巻かれていた。
もちろん、包帯を必要とするほどの負傷を負ったのは、倉庫で出くわしたあの事件のせいだ。
あの後―バイクに跨った若い男の忠告どおりに、倉庫が吹っ飛んだ後、爆圧で撒き散らされた
倉庫の破片が、一番爆心地に近かった警部の身体のあちこちに傷をつけ、たった1日とはいえ
入院までしてしまう羽目になったのだ。
当然、警官隊のほうも、殉職者こそ出なかったものの、大半が爆発のショックで使い物にならなく
なっており、どうにか動けた残りの警官も、倉庫まで乗りつけたパトカーや幌付きトラックが爆発の
巻き添えをくらってスクラップになってしまったためまったく身動きがままならないとあっては、
容疑者を追いかけるどころではなかったのである。
―倉庫の中にいた人間は、全員が大河内組関係者であり、生存者は一人もいない―
その翌日、全身を包帯やガーゼでぐるぐる巻きにされた警部は、目覚めた病院でその報告を聞き、
医者や看護婦の制止を振り切って病院を飛び出すと、すぐ警視庁に戻った。
それから今日この日、彼の上司である捜査第1課長から、実質的な打ち切り命令を受けるまでの
1週間、寝る間も惜しんで捜査の現場指揮をとっていた。
報告を受け、状況を分析し、対応を指示している間、警部の脳裏には、ずっとあの日の情景が
写真のように焼き付けられていた。
>>765 ワーゲンを踏み台にして警官隊を飛び越し、からかうような言葉を残して去っていったあの男。
顔はわからないものの、年齢はおそらく20歳前後の若者で、これまで警部が相手にしてきたいか
なる凶悪犯とも異なる冷たい雰囲気を湛えたあの男。
あいつは何者なのだ。いかなる環境が、あのような男を作り上げたのだ。
ラーメンをすすりながら、わずかな仮眠を取りながら、電話口で罵声を放ちながら、警部はずっと
そのことを考えつづけていた。
それらは全て、奴を捕まえればわかることだ。
そう信じて、今の今まで肉体と知性を限界まで酷使しつづけていた警部は、課長の一言がどうしても
容認できなかった。
というよりは、理解しがたかったというほうが正しいかもしれない。
だからこそ、警部は、危うく課長の胸倉を掴みそうになった。
それほどまでに、怒りと屈辱が警部の全身を飲み込んでいた。
「そんな馬鹿な話がありますか!」
「落ち着きたまえ!」
これまで、どちらかといえばなだめるような口調だった課長が、無表情のまま不意に声を荒げた。
「私が・・・・・私が、上の決定を喜んで受け入れたとでも思うのかね?」
見れば、肘掛けの上に載せられた課長の両手が小刻みに震えている。
このひとも、納得できなかったのか・・・・・。
警部は、ふと課長の経歴を思い出していた。
日本が大日本帝国であったころからの警察官であり、日増しに強くなっていった軍部の圧力に、
最後の最後まで抵抗し―そのために、言うに言われぬ辛酸を味わい尽くしていた男。
戦争が終わり、警察の力が一挙に増大したとき、その機会を逃さずにあらゆる手をうち、警視庁捜査
第1課を日本でも最優秀の捜査チームに仕立て上げた伝説の男。
その課長が、おそらくは人生で何度目かになる挫折を懸命にこらえ、彼自身にとっても不本意極まり
ない決定を実行に移すべく煩悶している。
肘掛けの上で震える課長の拳と、あくまでも湖のような静謐を湛えた無表情を保つ課長の顔を
見ながら、警部は己の心に巣食っていた怒りがふっと引くのを感じた。
>>766 「・・・・・了解しました。決定を受け入れます」
「それでいい。・・・・・・・すまないな。無茶を飲んでもらって」
「いえ・・・・・命令は命令ですから。それに、私はもうすぐ異動でしたし」
「ああ、そうだったな」
課長は、そこでふと何かを思い出したかのような表情を浮かべた。
2週間前に、眼前の警部への内示(異動の事前告知)を出したのは、課長自身だったためである。
「3課への異動は、来週付けだったね?」
わからないからではなく、確認の意味をこめて課長は警部に尋ねた。
「はい。引継ぎはすでにとりかかっております。後は、今の案件についてですが」
「公安の担当官に話をしたいかね?」
警部は黙って頷いた。
刑事犯罪を担当する刑事部と、政治犯罪を担当する公安部の仲は、同じ警察組織の中であっても
決して良好ではない―というよりは、明らかに悪い。
とくにこの案件は、最初から公安がある程度関わっていたとかで、1週間という短い日々の中でも
警部のもとに、公安筋から有形無形様々の圧力や合法的な嫌がらせが続いていた。
本来であれば、警部にとっての公安とは口も利きたくないような連中である。
しかし、事件を解決するのが公安だと言い張るなら、いくらかでも情報は回しておきたい。
いくらいけ好かない連中であっても、そいつらがあの男を逮捕してくれるというなら、それはそれで
もって瞑すべしというものだ・・・・・。
>>767 「その必要はないよ」
不意に、背後からからかうような声が警部に投げつけられた。
思わず警部は後ろを振り返り―そして、警部の表情が曇る。
警部の背後にいた公安警察官は、はじめてみる顔ではなかったが、何度も見たい顔ではなかった。
体つきは中肉中背であり、実は鋼のように引き締まってはいるが、外見だけではそれとはわからない。
というのも、その公安警察官は、司法警察員の俸給ではとうていまかなえるはずもないスリーピースの
スーツ―英国生地を英国の仕立屋であつらえた、本物の高級品をさりげなく着こなしていたからだ。
履いている靴は、イタリア製の本皮仕立てで、一足で確実に警察官の俸給を食いつぶしてしまうような
代物である。
しかし、てっぺんから爪先まであらゆる国のあらゆる高級品―地味だが、それゆえに尋常ではない
金額の―で覆われたその体、顔つきは、どこからどう見たところで警察官とはいえないような凶相であった。
「必要な情報はすべてこちらで把握している。いまさらそちらにおいで願う必要なない」
畜生、よりによってこいつが担当するのか。
警部の、一旦は納まりかけた怒りが熾火のように再びくすぶりはじめた。
今まで、刑事部と公安部という、天地ほどに隔たった部署にいたために、噂程度でしかこの男については
知らなかったが、その噂というのがそろいもそろってろくでもない代物だった。
いずれも、まともな人間であれば怒りと恐怖を覚えずにはいられないような話である。
しかし、それであっても、警察官にあるまじき人格と行動を具現していても、警視庁という組織は、その桁外れ
の能力と情報網により、この公安警察官を解雇することができなかった。
代わりに、この公安警察官にはいかなるポストも与えず、"公安部長付"なる妖しげな椅子を用意しているとも
いう。
その噂の数々を思い出した警部は、渋面を取り繕おうともせずに詰問した。
「貴様が担当なのか―垣原警部?」
垣原と呼ばれた公安警察官は、口を―刀傷が左右に数センチほど開いた口をニヤリとゆがめて
答えた。
「そうだ。私がこの案件を担当する。・・・・それとも、"公安部長付"という私では心もとないかね、
銭形警部?」
皆様こんばんは。外伝担当でございます。
先日申し上げましたとおり、幕間を更新させていただきました。
10レス程度とは申し上げたのですが、ちょっと長くなりそうな気がしてまいりました・・・・。
まあ、短くするのはもう諦めておりますが。
>>vsさん
リクエストを頂戴しました垣原、登場させました。
原作では暴力団の人間だった垣原ですが、私の妄想では警察官です。
彼が如何にして公安警察官となったかは、今後おいおい示してまいりますので、
どうぞよろしくお願いいたします。
なお、vsさんのリクエストにありました「クレイジーな役どころ」についても、あれこれ
ネタを用意しておりますので、今しばらくお待ちいただければ、と。
>>763 トモさん
初めまして。本スレで長いだけの話を書いております外伝担当と申します。
今後、お見知りおきを・・・・。
列伝を拝読いたしましたが、剣戟をメインにされるとお見受けしました。
テンポもよく、意外な取り合わせに膝をうつところしきりでございまして、続きが非常に楽しみ
でございます。
できうるならば、今後もこのスレッドに作品をアップしていただきまして、
パオさん、夜王さん、vsさんに続く第4の人間としてご活躍していただきたいと心から思います。
770 :
トモ:03/07/06 19:40 ID:???
>>769 こちらこそよろしくお願いいたします。
私は文才がないので、みなさんの文章には惚れ惚れする次第です。
私は実はヤムスレ出身であります。
一時期ヤムスレにこちらの話題が出たことがあり、こっちでも書いてみようかと。
私の最大の欠点は、「グラップラーバキ」なる漫画を一回も読んだことがないと言うことです。
今度、時間があったら読んで見ます。みなさんの作品をもっと楽しめるように。
771 :
マロン名無しさん:03/07/07 00:43 ID:oOIS3a9S
あげ
772 :
マロン名無しさん:03/07/07 12:21 ID:ISpV2zwO
保守
773 :
マロン名無しさん:03/07/07 12:58 ID:vOWyYJGp
勇気ある新人が現れたな。
面白いし。
メモリヤバイよ。
誰か立てられる人、新スレを・・・
775 :
_:03/07/07 15:16 ID:???
777 :
マロン名無しさん:03/07/07 16:05 ID:7txL3zYU
元に戻してPART4
久しぶりに来て見たらメモリやばそうですね。
もし今日、新スレ立ったら明日続き書きます。しかし最近さぼってるなあ。
あと新人さんが来ましたね。パオと申します。宜しく。
末永く書いてくださいね。今私はアメリカザリガニの様に後ずさってる状態。
私いずれ消えると思いますんで、ニューパワーは一読者としても嬉しいっす。
スレタイかぁ。別にこれでいいと思うけど。死刑囚編つくろうぜでもいいけど。
ま、立ててくれた方に命名の権利、という事で良いんじゃないでしょうか。
別にふざけたのでなければ全く新しいスレタイでも良いと思うし。
今週は多分明日と週末しか書けないなあ・・
779 :
◆v.smO/olzA :03/07/07 16:48 ID:C3TTpJGc
パオ、トリップ割れてるよ。
ゲッツ!
まあ明日来てくれるそうだし、その時から変えてくれれば無問題
あれ本当だ。なんでだろう。普通に入力したのに。
じゃ、明日から変えます。新スレという事で調度良い。
ところで本当にスレ立て辛くなったなぁ。
挑戦したけどマンキからでは駄目みたい。
783 :
_:03/07/07 17:08 ID:???
>あれ本当だ。なんでだろう。普通に入力したのに。
#が全角になってるね
786 :
マロン名無しさん:03/07/12 20:40 ID:yOyzJ4fa
めりーくりすます
787 :
マロン名無しさん:03/07/13 12:38 ID:Wk7i7ehu
788 :
マロン名無しさん:03/07/13 12:43 ID:Wk7i7ehu
hoshu
新撰組のやつの作者は最近ミブギシデンでも読んだのかい?
パクっちゃいかんよ〜
__∧_∧_
|( ^^ )| <寝るぽ(^^)
|\⌒⌒⌒\
\ |⌒⌒⌒~| 山崎渉
~ ̄ ̄ ̄ ̄
ほしゅ
ほっしゅ
794 :
マロン名無しさん:03/07/20 11:17 ID:f0JBJDyF
ほっしー
hoshu
保守
(^^)