★ベア見送りと非正規化賃金抑制の仕組みが整う★
イフを振り返るために、時間を02年に戻してみよう。 この年、トヨタ労組は春闘で、前年の妥結額600円を
上回る1000円のべースアップを要求した。これに対して、トヨタ経営陣の出した回答はベアゼロ。完全失業率が
5%を超え雇用環境が戦後最悪となる中、日経連(02年に経済団体運合会と統合)の会長でもあった奥田碩
トヨタ会長(当時)は、雇用維持のため「ベア見送り、定期昇給の凍結にも踏み込む」姿勢を打ち出していた。
奥田氏はことあるごとに「賃上げは論外」と労働側を牽制していた。
ちょうどこの頃、日本の産業界では中国脅威論が強まる。圧倒的に安い中国の人件費を前に、日本企業の
高コスト体質をどうするのか。いかに人件費を固定費から変動費に切り替えるかが、大きな経営課題になっていた。
奥田氏は産業界を代表して、賃上げ論を牽制し続けた。トヨタの労務担当役員に労使交渉を委ねていた
奥田氏は、春闘のさなかに「トヨタがベアで有額回答へ」とのニュースが流れるや、「まだ従来型の1OO円玉を
積み上げる交渉をしているのか」と、社長以下の経営陣を一喝したともいわれる。
グローバル競争に勝つために、人件費はできるだけ抑える。利益1兆円が確実なトヨタを率いる奥田氏の
強い姿勢は、ほかの企業にも伝播する。それは一つはベアゼロであり、労働の非正規化=非正社員を増やすことであった。
【週刊東洋経済】豪腕・奥田会長 日本の賃金を下げる 〜給料はなぜ上がらない〜[08/03/23]
http://news24.2ch.net/test/read.cgi/bizplus/1206284933/