塚本��史の小説について語るスレだわァ！

「光武帝」「白起」「呂后」など、塚本��史の小説について語るスレです。
氏の小説が好きな方、一言物申したいことがある方は是非。

もうこいつのことは忘れたいのに

郭聖通とか緑姫の書き方はよかった。
霍去病は李広を落としすぎで駄目。
始皇帝のアイキャンフライは吹いたｗ

ついに塚本スレかｗｗｗｗｗ

立派になったものよのォ！

宮城谷厨だが、最近、塚本青史が高校のＯＢだと知ってしまった…。
宮城谷厨でも読める塚本小説あるかな？

力子都主役で光武帝の小説書いた人かｗ

>>6
宮城谷の爽やかな風は塚本にはないけど
笑いの風は吹いているよ。

スレタイに吹いたwww
最初に読んだのは「始皇帝」だった。
始皇帝についてあんまり知らない時だったので、
あのアイキャンフライが史実だと危うく信じるとこだったよ。

いちおう呉越舷舷までは全て読んだ
尤も↑が見限るきっかけになったわけだがのォ！

>>6
亀甲文字から学ぶ宮城谷と、原典もまともに読まない青史を比べるのは…

>>11
何から学ぼうが小説としての面白さはまた別だよ
青史についてはノーコメントだが

なるほど、よくわかった…。
無駄遣いは止めときますね＾＾

あまり語られることのない人が主人公の小説を見つけて
手に取ってみるとこいつの作品だった時のがっかり感はもう

まぁ、知識を大量に集めれば人物像がイキイキするかと言えば、
それはまったく別の話だしな
人物に生命を吹きこむのは、また別のテクニックが要るわけで

まあ、そんなことを考えなくていいくらい、
塚本作品はどうしようもないんだがｗ
病気・麻薬を影の主人公にするのが塚本節ｗ
こいつが苻堅を書いたら、間違いなく五石散でラリった前秦軍が
勝手に負ける、ﾎﾟｶｰﾝな「淝水の戦い」になると思うｗｗｗ

しかしここまでいい評価を聞かない中国史小説家も珍しい。
たとえば田中芳樹も、小説家としての手腕は評価されてるほうだと思う。
(よく批判が集まるのは言動や思想)
　
塚本の作品は読んだことないけど、語彙力、知識、構成といった点で論外なのかな？

>>15
いや、むしろ五石散ドーピングだろｗ
ドーピング兵士同士で激突

>>16
なんか粗い感じがするし勢いで押し切るほどの熱意も感じない
完全なフィクションも評伝も書けないから歴史小説書いてる感じ

>>16
感動を覚えるほど凄い訳じゃないが、とくに駄目とも思わない。
散々な評判の光武帝も結構読めたし、英雄をしょぼーんにする手腕にむしろ俺は惚れたｗ
>>15>>17みたいなギャグ小説は是非とも読みたいね。

いい食材を探してくるんだが、その料理法がハチミツをぶちまけるくらいしかないのが問題

>>19
光武帝はそもそも主役が光武帝と違うだろw

「光武帝」を読んだ印象は「週刊少年漫画」だった
共通点は
・展開によって主役がいつの間にか代わる
・伏線をいろいろばら撒くがうやむやになる(作者が忘れる)
・登場人物の口調が極端
・突然打ち切りのように終わる

漫画の場合人気しだいで編集が口出して展開が変わるのは良くあることだが
長編小説でやられると・・・

だわァ！よのォ！の連呼で埋め尽くされると思ったら
内容の話も結構してるじゃないか
実は熱心な読者が多いと見た

初期はそこそこ良かったよ
「田釐子成子」あたりからあきらかに質が落ちておかしくなった

この人はせめて題材を漢代に限定した方がまだ読める

光武帝は主人公が劉秀じゃなかったが、どんな小説にも良くあること。
フィクションのキャラが主役以上に動くのも良くあること。

最初から最後までその状態というのは珍しいし、まあ読んでいてイライラする。
伴野朗に呉三国志に似ているか。ただ朗は知識だけはあると思うんだが青史はそれもないようだ

初めて読んだ中国史小説がこの人の光武帝だったが、そこで中国史を諦めなかった過去の自分を褒めてやりたいぜ・・・


でも多分抑止力になったのは、そのあとすぐに陳・司馬・宮城谷をコンボで読んだから。

今は愚痴で盛り上がってるが、
いずれは儲が来ないと盛り上がらんな

始皇帝のアレは趙高すらドン引きしてたのが印象深い

　　　　　　　　　 　　:::;:: : : : : : : : }ﾐ川: : : :|:i : : : : : : : : :|
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　　　:::...　　...　 ...::;|: :|: : |:|〃￣ヽ　V〉〃￣ヽ}:/:/: /V　　ここは変態さんの多いインターネッツですわね
　　　　::.....　　...::::;八:.ﾄ、 }|ヽiヽiヽ　 /;ヽiヽiヽｲ ｲ: /　　　
　　　　∧ ::...::: /|iT::ﾈ|: ヽ:{　　　　　　′　　　}: [/　　　　
　 　 　 { ヽ| |ノﾉ.|i:|: :|:|: : ト ､　　 t―‐ｧ　　／i: :}
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　 } 　 ――ー-{　　　 /　 ヽ.�Y:::::jﾄ､¨¨´ ／　./　 /　ヽ/: :| ヽ∧
　 ヽ　　--―‐r'＿＿ｲ　　　/: l｀¨: :∧￣　　 /＿/: : : : : : :'.　 __}
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　　　　｀ｰ┴ ´　　/　 　 /: : : : : : : : : }　　 ′ /￣: : : : : : : : ＼

>>24
実は俺が最初に読んだのがそれなんだ。＞田氏

・・・最後まで読めなかった小説なんて久しぶりだったよ・・・。
他国の状況ダラダラ並べていて本筋どこ？みたいな。

>>19
でも、>>15>>17みたいなことを大真面目にやるのが塚本なんだぜ…

田氏のアレは、「平仲」を晏嬰の諡と書いてるのが凄い
平仲って、たしか晏嬰の字と諡の合体でしょ？

この人の三國志曹操伝って読んでみる価値あるかな？
やっぱ地雷？

今すかいらーくで初めて塚本の本読んでる(呉越舷舷)、
いろいろ我慢しながら読み進めてきたがP161で黒酢ドリンク噴いたｗ

『子常は費無忌を処刑して、脚光を浴びた人物である。
ちなみに子姓は、もともとイン(漢字出ないので仮名で失礼)王家の末裔を意味している。宋王家がその
直系として有名だが、鄭国の名宰相の誉れ高い子産も、楚国の子常も、皆この流れの一族と見てよかろう。』



よくねーよｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗ

なんというルーツ君御用達の小説

子常はわからんけど子産は字で鄭は姫氏の国だよな。

>>23
話の題材自体は魅力的だからつい読んでしまうんだよ
たとえそれが塚本だとしてもな

>>27
だがいま中英板で一番勢いがあるのはこのスレだわァ！

項羽は割りと楽しめた

>>33
俺がこの作者を見限る決定打になった部分だわ、それ

あまりにも春秋時代の理解と考察が貧しすぎる
この作者、史料を登場人物と時系列の手引き書としてしか捉えていないんじゃ
ないかって気がする
北方もそれっぽいところはあるけど

いろいろと眉を顰め、笑いを堪えて読了して帰ってきた。
もう買わねｗ

>>35
塚本の頭の中では子産は鄭にいた公族とは関わりない子姓の貴族なんじゃないか？
宋から亡命してきた公子・公孫かその末裔とでも思ってるのかもしれないし。

>>38
史料読んでたら子常や子産を子姓の族とは言わないだろｗ
｢楚の歴代宰相は皆子姓か。凄い大族だなァ｣とか思ってたら驚きよォ

>>38
北方氏も官職とかいろいろ「あれ？」な処はあったりするけど、
(確か、三国志で司馬炎が司馬師の息子になっていたな)
小説自体は面白いし、熱い展開があったりするんで
個人的にはあまり気にならないんだけどな。しかし塚本氏のは・・・。
でも、このスレは面白い。不思議なものよのォ。

ﾊﾞﾝﾔﾛｰスレもおもしろかった

ﾊﾞﾝﾔﾛｰスレはみんな金返せっ！って言ってたなｗｗ

これだな

【三流】呉・三国志【伴野】
http://ex24.2ch.net/test/read.cgi/warhis/1059322158/l50

【閑話休題】呉・三国志【ミッドウェー】
http://ex24.2ch.net/test/read.cgi/warhis/1064240294/l50

面白ければ細かいところは目をつぶるんだよ
面白ければ・・・

そろそろ盲目的な儲が来てもいい頃よのォ！

宮城谷より塚本の方が好きだわァ！

宮城谷の主人公の聖人君主ぶりと爽やかな風が気持ち悪い
塚本の小説の人物はそこら辺にいる人っぽくて話もどうでも良くて
宮城谷に疲れた自分には何も考えずに読めていい
読後に何も残らないけど、小説の本来の意味としてはそれでいいと思う。

あと、活字読んでて眠くなったのも塚本先生が初めてでした。
本読んでいると眠くなる人の気持ちが分かって、マジで感謝してます！

pcで読むのに慣れると活字は全部うざったくなる。

塚本氏はアレだよね、題材チョイスがフロンティア精神に溢れてて、中国史マニアの心をくすぐる所がすごいよね！



それ以外に褒める所が見つからないのがもっとすごい・・・

「凱歌の後」だったかな。楚漢戦争の後日談、みたいなの。
あれは、自分的にはまぁまぁ良かったかな。
図書館に入れば(買う気はない)、曹操伝も読もうかと思ってる。

>>45の言う通り、盲目的な儲が来て、
良い所を色々語ってほしいものよのォ！

>>48
期待させといてあの文章だからガッカリ度合いが半端じゃないんだよな・・・。

逆に考えるんだ。新分野の1番手がこの程度なら、後続は気が楽じゃね？と考えるんだ

そろそろネタも尽きたのォ！

俺、今の会社で金貯めて塚本が書いた題材で歴史小説書くんだ

北方は面白くするために史実スルーしたり死んでるはずの人間が生きてて無様なことしてたり
貶められてる人物が居たりなんでも調練が調練で調練だったり主人公格が皆どこか疲れてたり
塚本と似た欠点もあるが面白い作品は面白いからな。

山なし谷なし麻薬・弩ありだけではどうしようもないわァ！

>>53
オイラも『光武帝』を読み終わったときは、一瞬創作意欲を掻き立てられたよ
小説なんか一度も書いたことないオイラがね

この人の小説を読んで「俺の方がもっと面白い物が書ける」とか思う奴が増えて、そのうち中国物の歴史小説を書く作家が増えることを期待してる

問題は、出発点が塚本な奴らに読書を惹き付ける作品が書けるかって点だな。

塚本レベルの中国史小説家が割拠するなど、想像するだに恐ろしいわァ！

呉越舷舷の解説SUGEEEEEEEE！本文よりﾜﾛﾀｗｗｗ
よくこうも誉められるなｗむしろ皮肉か？

いつまでたっても儲が来ぬわァ！

そもそも2chに儲がいるのか疑問だわァ！

じゃあもう厨でもいいわァ！

だわァ！だのォ！だけで1000を目指すスレだとばかり思っていたわァ！

NHK教育で宮城谷氏が出てて、戦国時代について語っていた。
先週は北方氏が出ていて、北宋について語っていた。
塚本氏がああいう番組で中国史を語ることはあるのだろうか。
ちょっと見てみたいと思うけど。

わしは絶対観るがのォ！

初めて読んだ中国史小説が塚本の小説だったから
ここまで評判が悪いとは思わなかった

>>62
意外と言っている事はまともで（勘違いはあるが）
文才に激しく恵まれていないだけ・・・だったらどうしよう。

>>65
生じゃないから、間違っている部分は編集され、
いくらでも正しい中国史を語ってるように見せられるんじゃないか。
しかも話上手だったら、それを見て勘違いした人が小説を読むかも。
もし出演したら、このスレ大変な事になりそうだね。

なんでみんな、だのォ！とかだわァ！とかつけてるのかのぅ？

塚本小説を読んだ事がないワシにも教えてほしいのぅ 教えてほしいのぅ

……ギギギギ

能書きやごたくを並べたてる暇があるなら、まずは読んでみればいい話だのォ！
まったくもって困り者にもほどがあるわァ！

『王莽』はそれなりに楽しめたばってん、『光武帝』で期待ば裏切られたけん、それ以来食指が動かんとです

どげんかせんといかんばい！
つかもっしぇんしぇー

「凱歌の後」は結構面白かったんだけどなあ…

この著者は漢代だけはまだまともに読めない事もない
初期の長編や短編なら、まだそれなりに楽しめる

逆に春秋モノは最悪
時代考証もできてないし、この時代特有の観念や通俗的な部分なんか
理解できてるのか無視してるのかデタラメ

>>62
北方氏の北宋語りは聞きたかったなぁ…

最近中国史にハマって、今更ながら司馬遼太郎の項羽と劉邦読んだ。徹夜で本を読み耽ったのなんて久しぶりだったぜ・・・
この王朝の続きが気になったので、本屋でこの人の呂后買ってきた。楽しみ。

覚醒剤の後に睡眠薬か･･･

呂后の戚夫人をいたぶる描写が生々しくて笑った

この作者は中国史の小説よりエロゲのシナリオライターに向いてそうだと思った。

エロゲオタクがそう言うなら、そうなのかもしれん

エロゲのシナリオライターなら文章力は必須。
塚本の文章力じゃとてもとても。

エロゲという単語が出てきた途端食い付いたオマイラにﾜﾛﾀ

エロゲが駄目ならRPGとかはどうだろう？
それならなんとかなるんじゃなかろうか。
最後の最後に、コントローラーを投げたくなるような
とんでもないオチを用意してくれそうな気がする。

塚本ってそんな文章力なかったっけ？
簡素で読みやすかった記憶があるんだが。

このスレッド、初めて知った。
昔の伴ﾔﾛｰスレと同じノリだねwww
だいぶ前に項羽の小説読んだことあるけど特におもしろいとも感じずそれ以来手はつけてなかった
伴ちゃんと同じで隙間商売がうまいね
中国史好きなら光武帝や呉越戦争の小説なんて読んでみたいと思うもんなあ…
話しのネタになんか読んでみたいけどオススメある？

三国志曹操伝読んでみてよ

>>80
不老不死の薬を飲んだ魔王がアイキャンフライするのか？

>>82
霍光読んでﾚﾎﾟしてくれ。
気になってはいるんだが、この人の本は前情報無しで読む勇気がでない。

>>85
あの下世話なオチのヤツか

>>85
霍光がファースト塚本だったよ
安能・宮城谷・陳あたりを好んで読んでたせいもあって
時系列をだらだら追ってるだけっぽい文章に疲れた
そして誰が何だったのかわからないまま話が終わった
とりあえず面白くなかった
それ以来塚本本は買ってないｗｗｗ

単行本も文庫も持っている俺

で？

儲ｷﾀｰ？

>>88
頼む、儲らしいことを言って、このスレを盛り上げてくれだわァ！

水銀燈「『〜だわァ』って言い方、ダサいわぁ〜」
真紅「『〜だわァ』は、品が無いのだわ」

お前らは塚本氏を馬鹿にするけど氏の歴史に対する認識はお前らを遥かに凌ぐものだよ
俺は東洋史を専攻してる大学生だけど、氏の作中に見られる解釈を見たときは思わず唸ったよ

発想の逆転というか……天才とは塚本氏みたいな人のことなんだろうね

塚本さんの文章は下手とか言うけどケータイ小説よりはずっとマシだろ

この流れ、周通さんに通じるものがある

>>95
バカ！周通さんの場合は、皆心の底から尊敬してんだ！一緒にするな！

ここに塚本��史という男が登場する。
この男、妖しげな中国知識をあやつり三国志ブームの末期に引っ掛かるようにして小説家のはしくれになったが文才が無く、
ただ「だわァ！」「だのォ！」という独特の語尾をもって語るさまに奇妙な愛嬌があり歴史オタに一目置かれていた。
しかし受注が多様化すると馬脚を現すのは早かった。
塚本はかつて著書の中で中国史をうっかり「神話から戦国まで」「漢代〜晋」「それ以降」と分けてしまい歴史オタを失望させてしまっている。
現在の塚本からは想像しにくいことだが一時の塚本には歴史小説界のスキマ産業的人気があった。
それがこのあまりに粗雑な分類によって「塚本は日本語訳された史書しか知らないしまた書けないのではないか」と言われるようになる。
げんに書けなかった。


司馬遼太郎風に

司馬風……？

アイキャンフライってどういう流れで出たの？

始皇帝「アーーイキャンフラーーーイ！！！？」

趙高「イエーース！！ユーキャンフラーーイ！！」

>>99
どういう流れ、という質問に答えられているかどうか分からんが、
確か、不老不死の妙薬と言って出された麻薬を始皇帝が吸って、
それでラリって飛び降りた。という結末になっているから。
まぁロープなしで山頂からバンジージャンプしたらそら死ぬわな。

今まで比較的合理的な人間としてキャラ立てしてきたのに
唐突にラリッたら笑うだろう。えーここで死ぬの？みたいなタイミングだし。
塚本は笑いのコツを知っているよ。

「アイキャンフライ！」アタシは死んだ。不老不死（笑）

霍光の武帝もそれに近い扱いかも

笑えなくていいから、面白い小説ないですか？

で、実際『三国志曹操伝』を読んだﾔｼってここにいるの？

なんか無駄に大長編ぽいんだが。

大長編が無駄なのはいつものことだわァ！

短編だって無駄

塚本に肯定的な人が殆どいないな

>>106
図書館で借りようとしたら置いてないｗｗｗｗ
リクエストしてきた

図書館だって予算があるのに、どうしてそんな無駄使いをさせるのか

塚本初挑戦で、光武帝を借りてきて中巻まで読んでるが、後の光武帝こと
劉秀、歴史上の出来事をみると、人格にも優れとんでもない活躍をしてるように見えるけど
この本では、なにかあると「妻を娶らば陰麗華」というばかりで
なんかキャラクターにあまり魅力がない。これから叛乱が本格化すると
メキメキと魅力も増してくるんだろうか。

>>94
まがいなりにもプロと携帯小説を比べたらイカンと思うのォ！

「まがりになりにも」だわァ！

ならばライトノベルとでも比べればいいのだわァ！

ライトノベルをバカにする奴はライトノベルを読んだことが無い奴
とマジレス

塚本をバカにする奴は呉三国志を読んだことが無い奴
とマジレス

ﾊﾞﾝﾔﾛｰも神だが、塚本も神とマジレス

>>116
それはありえんのォ！

>>118
他の人の作品を読むと大変面白く感じるというご利益があるわけだのォ！

己の書棚を振り返れば、「呉越舷舷」までの作品は全て揃っているといふ

おまけに中には単行本・文庫の両方で揃っているのもあったり…

なんて奇特なマネを・・・

121氏が単行本・文庫を両方買うまで駆り立てた理由が知りたいのォ！

歴史小説は残らず集めてるのか？

なるほど、コレクターか。しかし塚本作品まで買い求めるとは、なんとも律義だな。

律儀であるし、同時に健気でもある。

そして不憫でもある。

◆天誅４
Wii　10月23日（木）発売

〓公式サイト〓
天誅４
http://www.tenchu.net/four/

力丸　：声優　小山力也（ジャック・バウアーなど）

面白さと精巧度
キングダム＞＞＞＞＞＞＞＞＞【函谷関】＞＞＞＞＞＞＞＞＞塚本青史

キングダムってそんなに面白いか？

超人が出てきて闘ってるだけであまり歴史物の面白さは感じない。

歴史物の面白さと言ったら、何と言っても塚本氏よのォ！

それはないｗｗｗ

オマイラがあんまり話題にするもんだから、始皇帝読んじゃったよ。
もう何も言うことは無いよ・・・

>>112から
光武帝読み終わった。力子都を話の軸にするのはいいんだけど
なんか光武帝はのみこみの遅いバカみたいだし、28将も全員チンピラみたな
小物感を出したのはなんでだろう。
あと、十八史略など歴史関連の本をよんでいたら、エピソードの宝庫みたいな光武帝と２８将なのに
本編で全然そういうのが出てこなかったのでがっかりした。数十万VS3000人の闘いも
あっさりすませてしまってもったいない。

もっとちゃんとした光武帝の小説ってないんだろうか。

>>135
残念ながら、光武帝をメインに据えた小説は今のところ塚モっつぁんのしかない。
詳しくは、つい最近に中国歴史小説スレで光武帝の話題が出たから行ってみるといいよ。

予定としては田中芳樹が書くはずなんだが…
先に蘭陵王とかなんとか。

このスレは読んでるだけで面白いわァ！

これもひとつの愛され方よのォ！

みんな飽き気味だのォ！

じゃあ俺は上で出てきた「三国志曹操伝」でも読もうかのォ！

とんだつわものが現れたものよのォ！

我もその勇気にあやかりたいものだわァ！

ぜひ感想を聞きたいものだのォ！

ちょっとした気まぐれで言ってみただけなのに、まさかｵﾏｲﾗがこんなにノってくるとは思わなかったのォ！
身銭は流石に切れんから、明日にでも図書館で借りてくるわァ！





しかし、何やら多大な負債を抱え込んだ気分だのォ！ふしぎ！

>>141殿はとんだ豪傑であるのォ！

参考になるかならんかわからんが、
昔、肥出版の三国志ｱﾝｿﾛ小説集なるものがあって、
塚本氏が孫堅の若い頃をテーマにした
短編シリーズを書いておった。






が、どういうわけか孫堅の話より
宦官のおぞましい行状の説明ばかりが蜿蜒と描かれ
自分がいま何の本を読んでるのか
さっぱり判らんかったわァ！！

参考になるかならんかわからんが、
昔、肥出版の三国志ｱﾝｿﾛ小説集なるものがあって、
塚本氏が孫堅の若い頃をテーマにした
短編シリーズを書いておった。






が、どういうわけか孫堅の話より
宦官のおぞましい行状の説明ばかりが蜿蜒と描かれ
自分がいま何の本を読んでるのか
さっぱり判らんかったわァ！！

>>146
三国志と言いながら後漢中期以降の権力闘争を延々書いてた某宮城谷氏と同じだな

二重カキコorz
山頂から飛びおりてくる

>>146
大事なことなので二回言いました。

>>148
塚本と一緒にすんなｗ

>>148
さすがにそれは無礼にもほどがあるのォ！

なにやらスレが伸びていると思ったら、
>>141殿という英雄が現れたからか。
いやはや、感想が楽しみだのォ！

数日レスがないだけで寂しい思いに駆られるのは我だけかのォ！

>>142
小説読むのに勇気が必要なんて
ある意味塚本はすごいな

>>153
わしもおことと同感だわァ！

>>141殿の消息が気になるわァ！
どこぞで息絶えておらねばよいが・・・。


しかし、この口調は癖になるなｗ

>>156
ここにいるぞォ！

実は借りたはいいものの、1ページも開いてないのだわァ！
いや…久方ぶりに小説十八史略も借りちゃって、こっちが面白くてつい…

これはとんだ食わせ者だのォ！

揃いも揃って一杯喰わされたようなものだわァ！

>>157
その十八史略とやらを閉じて我らが塚本を開いて欲しいわァ！

宮城谷三国志の文庫版の1巻が見つからず、他の本にしようとして危うく凱歌の後を買いそうになったわァ！

目的のことをやると見せかけて、全然別なことばかりやるのは塚本の十八番だな。

三國無双5の四コマ漫画に塚本が紹介されてるというか、
「曹操伝」の宣伝が載ってるんだけど、
「中国歴史文学の鬼才」って紹介文に書かれてる・・・。
いや、ある意味鬼才かもしれんが。

奇才　のほうがしっくりくるな

アイキャンフライが読みたいんですが、タイトルを教えてください

この人の小説を読んでるとお腹と背中がくっついてしまいそうじゃのぅ

人に読め読め言うだけなのもなんだから
自分も図書館で借りてみたんだが（人生2度目の塚本経験）
1ページ目にして日本語がおかしくてくじけそうです･･･。
せめて校正くらいやってください。

「だわぁ」ってのは校正しようがないのぉ

>>164
始皇帝

>>166
タイトルは？

この人、自分で原典から調べたんじゃなくて
そうやって書いた人達の小説からパクって繋ぎ合わせただけじゃないか？
エピソードの言い回しとか前に読んだあれこれとそっくりで凄い気持ち悪い。

塚本は紀伊国屋で手に入りそうな史料しか見とらんぞ

>>170
他人の作品から
エピソードまんまパクるって･･･




それってまさにﾊﾞﾝﾔﾛｰの所業じゃんか(lllﾟдﾟ)…

>>169
霍去病。1ページ目からってのはちょっと言い過ぎた。
あとは斗宿星（初塚本）しか置いてない。

アイキャンフライを探すのに有給休暇を含めた連休の半分を費やしましたが見つかりませんでした
こうなったら新幹線で国会図書館まで行ってきます

>>174
そんな無理してまで読む事はないと思うぞ。
新幹線代が勿体ない。余計なお世話かもしれないが、
そのお金で別の本を買った方が良いかと。

最近、人が居らぬのォ！

この前『始皇帝』立ち読みした。まっさきに最後のページを読んだ
始皇本紀をバカ正直になぞっても作家の仕事にはならないはずで
身投げするラストもありといえばありなのよ
しかし突飛でありさえすればそれでいいのかという問題もあるわな

スレの伸び的に吉川英治の三倍近い人気があることが分かった

アマゾンレビューを書く奴らは、全くもってわかってないのォ！
話が唐突に終りすぎだの中国史に造詣が深くないだの、御大の真の理解者はこのスレの住人だけだわァ！

凱歌の後を見つけたんですが、裏表紙の紹介文が魅力的ですね
内容はどうなんでしょうか？
まっとうな意味での評価をお願いします

故うぶ鼎よんだけど上のさわりで秋田

三国志曹操伝を読むと豪語していた豪傑のレビューはまだかのォ！
待ちくたびれたわァ！

もう読むのも諦めたのかもしれんのォ！

もう待ちきれんのだわァ！

みんな買おうぜｗ

いや…　もう…　光武帝だけでおなかいっぱい、だわァ…

>>180
楚漢戦争の後日談。
塚本の小説の中では、まだ面白い方だと思います。
個人的には、>>70,71氏と同意見です。

この人って題材は面白そうなのに内容、文章がちっとも面白くない
なまじ宮城谷さんに慣れてるから比べてしまうけど、まあ単に合わないだけかな

合うとか合わないとか、そういったレベルではないと思うがのォ！

途中で見事挫折しました。
図書館の本なのに漢字ミスに鉛筆で訂正が入っていたよ･･･。
気持ちは痛いほどわかるぜ・・・。

漢字ミスｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗ

>>187
>>楚漢戦争の後日談。

って、戦争の勲功者を「処刑だわぁ」と言いながら皆殺しにする話なのか。

>>188
歴史小説は推理物やハードボイルド書いてる人間がちょっと史書読めば書けるジャンルでもある
たぶん筆力より流通に上手く乗っかる能力が重要なんだろう

会話文にやたら　！ がでてくる。
首をはねよ！ とか読んでて痺れました！

痺れるというと河豚毒みたいなもんだわなァ！

このスレも終わったか・・・

なんとも気のはやい御仁だのォ！

まだ始まってすらいないですぜ
「曹操伝」のレビューを待ちましょうやァ

>>198
その「曹操伝」を読破する猛者が出てくることを
祈るしか無いのォ！

今、三国志正史の曹操の部分を読んでるが
塚本の曹操伝はこれよりおもしろいのかのォ？

おこなことを申すな！
そんなこと、言うまでもないことだわぁ！

アイキャンフライ！

地元のブクオフ等古本屋を巡ってこの人の本探したんだけど
目当てのものはなかった。いろいろ作品あるのにね

アイキャンフライに恋い焦がれているのに見つからない
仕方なく安能努のを読んだ
それなりに面白かったけど、俺が求めているのはこれじゃないんだ
今日も近隣エリアのブックオフを巡るか・・・

なんか地味に「始皇帝」が人気があるようですな。
所謂怖いもの見たさという奴かな。
ところで、このスレで名前出てた伴野氏の小説を
初めて読んだ。皆が言ってること、分かりました。
塚本氏と違う意味で読むのが辛いわ・・・。

>>205
トモローちゃん、なかなかポイント高いよね？
多分春秋戦国の人物の短編集だったと思うけどハンレイの短編のタイトルが
「春秋時代のスーパーマン」ってなってて立ち読みだったけどコーヒー吹いたよｗｗｗ
時代小説に外来語とか英語入れるなとは言わないけどこの人はKYな感じで突然出て
きたりここで英語は使わないだろ？ってとこで使ったりセリフでで英語使ったりするん
だよねｗ
セリフで使うのは塚本も一緒かｗｗ

>>206
邯鄲盛衰を読んだんだけど「メガトン級のパニック」
という表現にワロタwww
「天地がひっくり返るような」とか「青天の霹靂」とか、
英語使わなくても表現出来るだろうに。
あと、自分の思い出話を入れるのもどうかと思ったわ。
とりあえず、この人と塚本氏が中国歴史小説の
地雷双璧なのかね。いや、他にいても困るけどさ。

伴野に較べたら塚本の方が地の文章はずっと良い方じゃないかな

なんせ伴野の場合、ニュースやらファンやらという単語がポンポンと出てくるわ、
いきなり自身のスポーツやらなんやらの経験談を語り始めたり、おまけに
戦争ネタになればミッドウェー海戦なんかに話が飛んでみたりと、もう苦痛で
読んでられない

そしてそれらのネタの後には、お決まりの「閑話休題」

とにかく地の文章が安っぽくて緊張感や盛り上がりの欠片もない

>>206
それがタイトルなのかよｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗ
ひどすぎるｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗ

まあ死人の著作を悪く言うのはよそうや

>>207
＞あと、自分の思い出話を入れるのもどうかと思ったわ。

上海記者時代に〜〜ってやつだっけ？

>>211
それもあったが、中国に行った時そこで食った刀削麺が旨かったとかな。
そんなことは、旅行記にでも書いてくれと思ったわ。
しかし、この方はもう亡くなられてたのか。
>>210の書き込みで初めて知った。

ところで、始皇帝を探している方々には、
読んだ感想を是非このスレに書き込んでほしいものだわァ！

間違えた。「中国」じゃなくて「北京」だった。

やっぱりこのスレ終わってねーか？

まさかァ！

もうこうなったら近所のブックオフに売ってる凱歌の後を買って読んで感想を書くしかない気さえする

>>216
期待してるわァ！

>>216
現代のスーパーマン、だのゥ！

>>218
バンヤローｗｗｗｗｗｗｗｗｗ

>>216
途中で挫けず読破してくれ。
と言っても、凱歌の後はまだ読めるというか、
個人的には良かった方だと思ってる。細かい所は忘れたが。

じゃ俺も人柱になろうかな
三国志曹操伝あたりでwww

急にスレが伸び始めたのォ！

この作者、始皇帝の前に荊軻も書いてたりする

俺は呉越絃絃まで制覇してはいるけど、もう辛くてｲｯﾊﾟｲｲｯﾊﾟｲ

ちなみにバンヤローも「始皇帝」書いてる。
読み比べてみるのも一興だのゥ！

解脱出来そうな読み比べだのォ！

近所のブックオフに一冊もなかったのが残念だわァ！

凱歌の後が売れてしまっていた・・・
伴野始皇帝ならあったんだが、この人のは何か特筆点あるの？
それこそアイキャンフライに比肩するくらいのさ

ほぉ、伴野氏も始皇帝を書いているのか。
今、吉川氏の水滸伝を読んでるんだけど、
これ終わったら読んでみようかな。

しかし、アイキャンフライに比肩するような展開ってのも
中々難しいような気がする。
そう考えると、塚本氏は凄いよな。

だわァ！でも読み続けた。
だのォ！でも読み進めた。


その結果待っていたのが「アイキャンフラーイ」だった。
あんまりだ。

お前さんは何か勘違いしとりゃせんか？
物語なぞ脇に置いて、だわァ！だのォ！を堪能してこそ塚本
早くその境地に辿り着け

この人っていくつなの？

明年をもって耳順をむかえるようだのォ！

このスレ読み終わったら塚本に対する印象が180度変わった

141氏による『曹操伝』の感想が一向に書かれぬわァ！
こうなったら吾輩が取って代わるしかないのォ！
……というわけで市立図書館を訪れたら『曹操伝』が置かれておらなんだわァ！
仕方がないのでアイキャンフライを借りてきたわァ！
レビューを書いてみるので儲は戦々恐々として待っておるがいいわァ！

“あの頃、樊於期と燕丹がこまめに身の回りの世話をしてくれていた覚えがある。”

これがアイキャンフライの書き出しだわァ！
勘のいい人は一発で嬴政（始皇帝）視点であることがわかる文章だのォ！
それなのに次のページで早くも

“この事情は、少し時代を遡って説明せねばならぬであろう。”

と地の文章が時代背景を語り出しておるのだわァ！
視点がコロコロ変わるのは読者が混乱するから避けた方がいいと思うがのォ！
もう少し工夫していただきたいところだわァ！
この辺が塚本氏やバンヤロー氏の批判される一因であろうかのォ！

長平の戦の要因についてもひとこと述べさせてもらいたいのォ！

“秦はかつてより、韓の肥沃な地方である上党を併合すべく、
前二七〇年を過ぎた頃から、虎視眈々と狙っていた。”
“（略）農作物が豊饒で、出来のよい武器の生産地でもある。
農業と手工業が発達しているのであれば、喉から手が出るような土地といえる。”

「言えねーよ」と裏拳で突っ込んでしもうたわァ！
上党の、というよりも三晋（趙・魏・韓）地域の特徴は春秋以来の歴史の古さと
それに付随する経済力の高さ・独立性の強さにあるのだわァ！
黄河流域の諸都市は古い時代から発展してきたせいで、それぞれ独自に
名目貨幣を発行していたのだわァ！
経済が中央集権的に統制されていた他国とは大違いだのォ！
上党の住民は韓から趙に帰属することを願ったのだが、その理由は
秦に支配されてはこれまで通りの経済活動が望めなくなるからだわァ！
宮崎市定がつとに指摘していたように春秋戦国時代には民会らしきものが存在したのだが、
要するに上党は民意に従って秦を嫌って趙を望んだのだわァ！
この辺の事情は江村治樹『戦国秦漢時代の都市と国家』を読むことをお勧めするわァ！

「秦軍は、趙の将軍が廉頗で、助かったと言っているらしいぜ」
「へえ、そりゃまたどうしてだ？」
「決まってるだろう。廉頗は勇猛果敢な男だが、ちょっと、おつむが単純にできてやがんだ。
秦は、そこを突く策戦らしいぜ」
（中略）
「だれなんでえ？　もったいをつけんなよ！」
「いいか、ここだけの話だからな」
「判ったよ。だから、だれなんだ？」
「それが、趙括様なんだとよ！」
「あっ、なるほどなァ」

これが古代支那における民衆の会話かと思うと、涙が噴きこぼれて仕様がないわァ！
もう少しリアリティというか、歴史の薫りを匂わせてほしいものだのォ！
あと上は趙都邯鄲での会話ということであるが、場所は市に絞ってほしかったのォ！
当時の市が輿論形成の場として機能していたことは、
古くは貝塚茂樹が論じておったのだがのォ！
リアリティを構築する手間を極限まで省くのが塚本氏の手法とは知りつつも、
さすがに努力が足りぬと断ぜざるを得ぬのォ！

支援だわァ！

「秦軍は、趙の将軍が廉頗で、助かったと言っているらしいぜ」
「へえ、そりゃまたどうしてだ？」
「決まってるだろう。廉頗は勇猛果敢な男だが、ちょっと、おつむが単純にできてやがんだ。
秦は、そこを突く策戦らしいぜ」
（中略）
「だれなんでえ？　もったいをつけんなよ！」
「いいか、ここだけの話だからな」
「判ったよ。だから、だれなんだ？」
「それが、趙括様なんだとよ！」
「あっ、なるほどなァ」

これが古代支那における民衆の会話かと思うと、涙が噴きこぼれて仕様がないわァ！
もう少しリアリティというか、歴史の薫りを匂わせてほしいものだのォ！
あと上は趙都邯鄲での会話ということであるが、場所は市に絞ってほしかったのォ！
当時の市が輿論形成の場として機能していたことは、
古くは貝塚茂樹が論じておったのだがのォ！
リアリティを構築する手間を極限まで省くのが塚本氏の手法とは知りつつも、
さすがに努力が足りぬと断ぜざるを得ぬのォ！

うっかり二重投稿してしもうたわァ！

何か知らんが呂不韋が胡人にされてしもうたわァ！
『史記』の「呂不韋は陽翟の大賈の人なり」という文章を
ブッチで無視する塚本氏の勇気にはほとほと感服するわァ！
高い鼻と切れ長の目とを持つ始皇帝の父親だからかのォ！
それをいうなら秦人は西方の影響を強く受けていたし、
秦地には義渠のようなイラン系住民が雑居していたので、
容姿的遺伝子的には始皇帝の父親はむしろ子楚らしいのだがのォ！

墨家集団が商人の用心棒風情にまで落剥させられてしもうたわァ！
始皇帝の同時代人である韓非の著作『韓非子』に
「世の顕学は儒墨なり」と書かれておるのを知らぬのかのォ！
始皇帝の小説を書くのに『韓非子』を読まぬとは全く以て恐れ入った次第だわァ！
墨家が三派に別れたことはアイキャンフライで書かれておるが、その一派が秦に渡って
治外法権的な勢力を誇ったのは渡辺卓『古代中国思想の研究』で論ぜられておるのだがのォ！
ちなみに読めば分かるが『古代中国思想の研究』は酒見賢一氏が『墨攻』を書くにあたって
大いに手助けになったであろう学術書であるわァ！
墨家に関する近代的かつ網羅的な研究であり、大学図書館くらいなら所蔵していると思われるので
興味のある方は一読をお勧めするわァ！

始皇帝の母親を墨家集団のリーダー鉅子の娘とするのはフィクションだからいいとして、
彼女を朱姫と称するのは勘弁して欲しいのォ！
というのは『史記』の「秦始皇本紀」に
「秦の昭王四十八年の正月を以て邯鄲に生まる。生まるるに及び、名づけて政たり。姓は趙氏」
とあるからだわァ！　始皇帝の生まれた頃の名乗りは趙政であったのだわァ！
その理由は注釈では色々と論ぜられておるが、私見を述べさせてもらえば
母親の姓が趙氏であったからではないかのォ！
趙翼『廿二史箚記』の「皇子繋母姓」に、漢では皇子が母親の姓を名乗っておったと
論ぜられておるのと同じ話だわァ！
実際には皇子に限らずに当時の貴戚は母親の姓を名乗るケースが多かったわァ！
武帝の皇后の衛子夫やその弟の衛青あたりが有名だのォ！
少なくとも朱姫という称が塚本氏の頭の中でこしらえられたものであることは確実だわァ！
ところで後記に

“始皇帝が趙都邯鄲（河北省邯鄲県）で生まれたとき、彼の故国秦は趙国へ攻め込もうとしていた。
母親朱姫に抱かれたまま、彼の命の火は、いつなんどき消えてもおかしくない状況であった。”

と書いてあるのはいただけぬわァ！
自分設定をあたかも史実であるかのように読者にミスリードさせるのは不見識の極みだのォ！

まだ第一章だけだというのにこれほどまでにツッコミどころがあったとは、
想像の埒外であったわァ！
今では疲労感ばかりが押し寄せて来るのォ！
二章以降のレビューを続けるか否かは天のみぞ知るところだわァ！

長文乙ｗ
２ｃｈであっても
塚本節だと長文でも読むのが苦にならないのォ

おかげでうつったわァ！

　　　　　　　　　　　ヘ
　　　　　　　　　　⌒ヽ）
　　　　　　　　　 ――-''"￣￣｀ﾞ''ｰ-､
　　　　　　　 .／　　 　　　　　　　　　　ヽ
　　　　　　／　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ
　 　　 　／／/　　　::::　　　::::　　 　 　 　 　.i
　　　 　ﾉノ/ 　 ::::／| .　 .ト､:::　､ 　 ､　　　　　l　　　やる夫殿　サラディン殿は
　　　　　/　/. ::::/./ | .|　 |::::ヽ､　ヽ　 l 　 　　　l　　　かつてラシュディに師事していたそうですが
　　　　　| ./|　/ イｿ=l/| 　|::''ﾗ＝､ ﾄ､ :|:::....　 　l　　　今は袂を分かち　我々に協力したいと
　　　　　|ノ | ｜|ｌ} il゜;;ｊ:::ヽ |::::'il゜;;;j|Y ::y　:::::　 ア　　　申し出ているのです
　.　　　　 　ヽ　Ｎ|::'￣ 　::ヽ|::: ￣::::}:/^｝ :::::/リヽ
　 　 　　　　　Ｖ　 l,　　ｉ　　 ::: 　 ::::ﾚ'ノ::/ﾚ
　　　　　　　　 　　ヽ　　ー　　　　ｲ"::;/
　　　　　　　　　　　　ヽ,　　_,..イ　 |::;（
　　　　　　_.＿-''''^'ーＹ「 　　 　／.|ｿ￣｀">ヘ
　　　　／､　､　＼　　 |ヘ◇Ｖ/.l　__,.ｲく-z'〈m(ryヘ






　／　　　,　,ｨ ﾊ i､　、 　 　 !
　/ｲ　 ,ｨ/l/ l/　ﾘ ヽ!ヽﾄ、　.|
　　ｲ /r ＞rjﾍ;=:r‐=ｔj＜ヽ│
　　r､H 　 ┴'rj　ｈ ┴'　 }'|ﾄ､
　　!ｔ||. `ｰ-‐ベ!` ` ｰ-‐'　ﾙﾘ　　 …私は師と兄弟子を止めなければならない
　　ヾｌ　　　　-─-､　　　/‐'　 　　師の野望を食い止める責任がある……
　　　 ﾄ､　　　 ‐‐ 　 　 ,ｲl.
　　　,.| : ＼ 　 　 　 ／ ; ﾄ､
-‐''7 {'　:: 　 ` ー '　　,;　ゝ:l`ｰ-＿
　 /　 ＼ ::　　 　 　 , '／　 :|　　　　 `'''ｰ- ､
　/　　 　 ＼　　　 ／　　 　 |　　　　　　　 | ヽ

誤爆した　すまん…

乙だわァ！しかしこうして見るとやはり塚本史観とはすごいものだのォ！

>>233
長文乙です。素晴らしい。
いやもう、いっそ貴公が「始皇帝」を書かれては、
と言いたくなりましたわァ！

さるさん規制を喰らったから書き込むのが遅れたわァ！
塚本氏の名誉のために一つ訂正させてもらおうかのォ！
調べてみたら始皇帝の母親を朱姫と称するのは一人塚本氏のみにあらず、
諸家の記すところであったわァ！
『史記』に書かれているわけではないし出典も見あたらぬので史実ではないかも知れぬが、
少なくとも塚本氏の口から出任せではなかったわけだのォ！
それなのに吾輩は調子に乗ってベラベラベラベラと、穴があったら坑殺されたいわァ！

三国志の裴松之注みたいに、塚本の本も２ちゃんねらー注つきの本にすれば
笑いどころも増えて売上も倍増よのォ！

吾輩は233であるわァ！
いくつか反応があったので欣喜雀躍としてレビューを続けるわァ！
レス乞食の面目躍如といったところだのォ！

始皇帝の父親が秦の次期国王になるために色々と水面下で動きがあるのだが、
どいつもこいつも自分の利益しか考えていないように書いておるのが
塚本氏の好ましいところだわァ！
優れたところと評価せぬのは個人的な趣味に過ぎぬからだわァ！
宮城谷昌光氏の小説のように、爽やかな風が吹き抜ける聖人君子たちが
ご立派なことばかり仰っておるのを読んでいると時おり耐えられなくなるわァ！
著者の偏愛を受けた身ならば何とでも言えるであろうからのォ！
そんなふうに考えるのは吾輩が小人だからかのォ！
もっとも塚本氏の小説の登場人物はどいつもこいつも小人ばかりで
魅力的なキャラが一人もいないおかげで読み進めるのが非常に苦痛だわァ！

>>252
コテつけくれないか？
非常に勉強になる

ろくな出番もなかったくせに白起の末路が割合くわしく描写されておるわァ！
話の本筋に関係ないことを延々と書くのは塚本氏の悪い癖だのォ！
作中では白起がずいぶんと持ち上げられておるわァ！
自作の登場人物にほとんど情愛を注がない塚本氏には珍しい所業だわァ！
氏の別の小説『白起』の主人公であったからかのォ！
ちなみに吾輩は以前に『白起』を古本屋で購入したものの、
あまりに退屈だったので四五十ページ読んだあたりで諦めて本棚の肥やしにしておるわァ！
どんな内容なのか知らぬので誰か義侠心を発揮してレビューしてくれぬものかのォ！

尉繚が蘇代の隠し子にされてしもうたわァ！
いくら実像の掴めぬ人物だからといって、武経七書の一、『尉繚子』の著者と伝えられる人物の系図を
好き勝手に拵えるのはフィクションとしてもやりすぎの気味があるのォ！
なお尉繚は『史記』に始皇帝の同時代の人であると書かれてあるものの、
著書『尉繚子』の開巻劈頭で梁の恵王（始皇帝の時代の百年以上も昔の王様だわァ！）と
平気で問答しておるのだわァ！　無茶苦茶だのォ！
ちなみに「やる夫が李斯なようです」では「尉繚の名を継いで行く家系」説を取り入れておるわァ！
このシリーズは最近では展開が遅い上に退屈な会戦シーンの連続で中だるみしておるが、
それでもアイキャンフライに比べれば出来映えの差は月と泥亀であるわァ！

ところで蒼い子が吾輩の嫁であることはすでに衆目の一致するところであるが、
しからば吾輩はやる夫を義父として仰がねばならぬのかのォ！
されども翠星石を義母と呼ぶのは大歓迎だわァ！
夢の母娘どんぶりまでもう一歩だわァ！
あとは次元の壁を突破するだけだのォ！

……それが一番の難関であることは言われずとも分かっておるわァ！
くやしいのォ！　くやしいのォ！

“南海の真珠や鼈甲細工の装飾品、北方からもたらされる雪豹の羽織物や白熊の敷物など、
今や彼女の周囲には所狭しと犇めいているのだ。”

まことに戦国時代にはふさわしからぬ贈り物ばかりだのォ！
真珠という名詞はいかにも現代風で、歴史物にはそぐわぬ感じがするわァ！
当時の呼び名に従って明月の珠と書いて欲しかったところだわァ！
鼈甲という単語もいただけぬのォ！　玳瑁（タイマイ）をチョイスすべきであったわァ！
タイマイを鼈甲と呼ぶようになったのは江戸時代に贅沢禁止令が発布された際、
「これはタイマイではなくてスッポンの甲羅だわァ！」と誤魔化したのが語源なのだわァ！
玳瑁の簪なら『史記』に登場しておるので使用しても何ら問題なかったのだがのォ！
雪豹や白熊に至っては頭を抱える他ないわァ！
「和氏の璧に明月の珠、玳瑁の簪に黒貂の裘」とでも書いて欲しかったのォ！
和氏の璧は現在では固有名詞のように認識されておるが、古くは禺氏の璧と称せられ、
現在のホータン地方産出の玉を指す一般名詞だったのだわァ！

我ながら重箱の隅をつつくようなことしか言えぬ男だのォ！

“孔子の始めた儒学は、十哲らに引き継がれたが、その後の儒者は冠婚葬祭の儀式屋に過ぎなくなっていった。
（中略）
　儀式をすることによって口を糊していた儒者どもにとって、辛い状況を救ったのが、孟子なる人物である。”

因果関係が逆転しておるわァ！
そもそも儒者の本業こそが冠婚葬祭の儀式屋なのだわァ！
彼らは小儒あるいは小人儒と呼ばれ、大儒あるいは君子儒とは区別されておったわァ！
ちなみに大儒とは上層階層の知識人たちであったわァ！
そこへ孔子という巨人が現れて儒学を昇華したのだわァ！
詳しくは加地伸行『儒教とは何か』を読むことを推奨するわァ！
本来ならば先に白川静『孔子伝』を読むべきであろうが、白川静の文章は難解な上に
はっきり言って悪文なので正直なところお勧めできぬわァ！
それと孔子十哲から孟子に至るまでの期間にも歴史に残る儒者はおるのだがのォ！
例えば孔子の孫の子思は『中庸』の著者と伝えられ（現在では否定されている）、魯の穆公の師となったわァ！
他にも子夏の弟子の段干木は魏の文侯に賓客として敬せられたわァ！

始皇帝の両親がSMプレイに興じておったわァ！
本気で何とかならぬものかのォ！
いや、エロがいかんと道学者ぶっておるのではないわァ！
大衆小説が読者に迎合するために不必要な濡れ場を用意するのは構わぬのだがのォ！
例えば国民作家・司馬遼太郎の作品にゴシップや下ネタが氾濫しておることも知っておるわァ！
というかシバリョーはスカトロネタを頻用する作家だわァ！
吾輩が最初に読んだ氏の長編小説『燃えよ剣』で
土方歳三と沖田総司が連れ野グソするシーンには面食らったわァ！
その後は鍛えに鍛えられ、『翔ぶが如く』の冒頭で
川路利良が渡欧中に列車の中で便意に耐えきれずにブリブリやったのを
新聞紙に包んで窓から放り捨てたのを読んでも
「これこそシバリョーだわァ！」と感心したくらいだわァ！

ちなみに上の川路利良のエピソードは史実だわァ！
シバリョーのスカトロネタの白眉といえば『韃靼疾風録』に止めを刺すのォ！

“庄助はすでに、尿が、シッカであることを知っていたから、頭のなかで女真語を組みたて、
御国の婦人は尿で顔を洗うのでござるか、ときいてみた。
アビアが当然、怒る。そのことを覚悟した。
が、彼女ははじめて目をふせた。恥らい、やがて庄助をじっと見、かすかにうなずいた。
庄助は、息をわすれた。”

うっかり特殊性癖に目覚めて『いいなり！あいぶれーしょん』の大人買いに走りかねないほどの
破壊力を秘めておるわァ！
要するに吾輩が声を大にして主張したいのは、
「しっかり読者をﾊｧﾊｧさせてほしいのォ！」
ということだわァ！
「ああっ、もう、お許しくださいませ。ああ〜、もう、これ以上……」
とセリフだけで済ませる手抜きっぷりでは誰も喜ばぬわァ！

あと母親の嬌声で性に目覚めてしまった幼き日の始皇帝には心から同情するわァ！

読み返してみるとSMプレイではなくてノーマルな行為であったわァ！
始皇帝の弟が虐めているとか言ったせいで勘違いしてしもうたわァ！
謝罪と賠償を要求したいのォ！

233乙
非常に興味深いよ

ただ、sage進行で頼む

この人の文は一々突っ込みいれたくなるんだよな。
気持ちがよくわかるぜ。

塚本と言えば、熟女よのぉ！
初塚本の呂后の濡れ場に閉口したものだが、
慣れてきたのか光武帝の呂母には、ハァハァしたわァ！

>>233氏には
ぜひとも三国志曹操伝のレビューもお願いしたいものよのォ！

白起は好きなんだろうなと思える

レビュー乙だわァ！塚本作品は人物が小人ばかりという点はまこと頷くばかりだのォ！
光武帝をあれだけ魅力のない人物に書くのは逆に難しいだろうと思うわァ！

それでは本日もレビューという名のツッコミを始めることに致すわァ！
ところで吾輩は2ch初心者であるからsage進行のことなど知らなんだわァ！
肉袒して罰を待つ他ないのォ！
あと『曹操伝』のレビューは御免蒙るわァ！
図書館に置いていないからのォ！
『光武帝』なら置いてあるのでリクエストがあればやらせていただくわァ！

“かつて秦では孝公（嬴渠梁）に登用された商鞅が、一般庶民にも爵位を与えて、
功績があると位を上げていった。徹侯はその中での最高位で、領主貴族を表す爵位である。
漢朝の中期には、武帝の諱である『徹』を憚って、列侯と言われるようになる。”

概説書に書かれていそうなトリビアに関しては細かいのが塚本氏だわァ！
ところで氏の数少ない功績の一つに、荘尤の名を広めたことがあるかのォ！
もはやネット界隈では厳尤と呼ぶ者は少数派になってしもうたわァ！
『漢書』以下の諸書では厳尤と記されておるが、これは後漢の明帝・劉荘の諱を憚ったからだわァ！
すなわち荘尤の方が正確なのだわァ！
班固が荘の字を避けたために、例えば『史記』の荘助という人物が
『漢書』では厳助に改名させられておるのォ！
むろんソースケとかゲンスケとか読んではならぬわァ！

>>269
青史の功績なのか？それ
そんなに広まるほど読まれt

しかし何もかもが中途半端に終わるのが塚本氏の塚本氏たる由縁であるわァ！
楚漢戦争で有名な蒯通は本当は蒯徹という名前なのだからのォ！
やっぱり武帝の諱を憚ったからだわァ！
『三国志平話』の冒頭では彼は本名の蒯徹で登場しておるわァ！
ちなみに『三国志平話』では蒯徹は諸葛孔明に転生しておるわァ！
そのくせ旧主の韓信は曹操に生まれ変わり、劉備の前世は彭越なのだから大概カオスよのォ！
さておき塚本氏の『項羽』では蒯通の名が使用されておるわァ！
物事は首尾一貫した方が美しいと思うのだがのォ！
もっとも司馬遼太郎も陳舜臣氏も宮城谷昌光氏もみーんな蒯通なのだから
塚本氏ばかり責めるのは酷というものよのォ！

“彼（呂不韋）は、周宗室の故地である三川郡洛陽県周辺の荘園を封土としたが、……（後略）”

荘園という中世的単語を使用した時点で塚本氏が秦漢時代の侯国システムを、否、
古代支那の社会・経済をまったく理解していないことが丸分かりであるわァ！
封土は主君から授けられるものであるが、そこから得られる収入は
民戸からの租税が主なものであったのだわァ！
要するに当時の封土で重要なのは民戸の数だったわけだのォ！
『史記』の「秦始皇本紀」には

「呂不韋は相たり、封ぜらること十万戸、号して文信侯という」

とあり、同じ「呂不韋列伝」には

「荘襄王元年、呂不韋を以て丞相たらしめ、封じて文信侯となし、河南雒陽十万戸を食ましむ」

とあるわァ！　荘園などという単語はどこにも見あたらぬのォ！
愚按ずるに、岩波文庫『史記列伝（二）』の「呂不韋列伝」に、

「荘襄王の元年（前二四九年）、呂不韋を丞相（総理大臣）にとりたて、文信侯に封じ、
河南の雒陽附近十万戸の所領を与えた。」

とあるのを塚本氏が読んで「所領といったら荘園に他ならぬわァ！」と勘違いしたのではないかのォ！

しばらく脇道に逸れて荘園について講義させていただくわァ！
前漢中期以降、大土地所有が進行していったのだわァ！
必然的に庶民間の貧富の格差が増大していくわけだのォ！
やがて大土地所有者は豪族へと成長し、私有地に資本を投下して
荘園へと発展させていくのだわァ！
当時の有名な大土地所有者には光武帝の母方の祖父の樊重がおるのォ！
貧富の格差は前漢末には完全な社会問題になってしもうたわァ！
王莽の王田制、土地を国有化して政府が庶民に与える制度は
当時の社会問題を解決するために行われたのだわァ！
要するに王莽は共和政ローマのグラックス兄弟と同じような問題に直面し、
似たような解決を図り、そして破滅したわけだのォ！
附言するならば王莽の王田制は北魏や唐の均田制、日本の班田収授の法と同じ理屈だわァ！
王莽の政策は千年前の周王朝に萌え狂っただけと全否定されるのが常であるが、
実際には五百年近く先んじておったのだわァ！
同時代人がついて行けなければ復古的でも先進的でも変わりはないのだがのォ！
かくして王莽の政策は失敗し、後漢の光武帝は抜本的な改革を行いえず、
従って大土地所有問題は解消されなんだわァ！
そして豪族は荘園による経済力を背景に魏晋南北朝を主導する貴族へと成長していくのだわァ！

この辺の事情を理解しておれば、よほど鈍い人でない限りは
荘園という単語を使おうとは思わぬはずだがのォ！

笑えるだけでなく、ためになるレビューだのォ！

王莽については目から鱗だワァ！

“彼らが率いている護衛は、戦闘の専門家墨者だ。彼らは楊端和、羌瘣、任囂、柑騰、桓齮などと名告った。”

名前しか残っていないことをいいことに、出身を勝手に墨者にさせられてしもうたわァ！
アイキャンフライを通読しても彼らが元墨者である必然性はほとんど見受けられぬわァ！
歴史に名を残すのも考えものだのォ！

>>萌え狂っただけ

…ツボった…

“「『魚鱗懸かり』ということを、知っておるか？」
　嬴政は、突然そのような質問をしてみた。かつて邯鄲の秦公子屋敷で、樊於期から教わった兵法である。
（中略）
「『孫子』だ」”

『孫子』十三篇を引っ繰り返して読んでみたが魚鱗懸かりなど出て来ぬわァ！
あるいは孫武ではなくてその子孫の方かと考えて『孫臏兵法』を本棚から引っ張り出して
調べてみたが、やっぱり影も形も見あたらぬわァ！
しかし八陣という気になる単語があってのォ！
八陣と聞いて思い出されるのはご存じ諸葛孔明が編み出して武田信玄が使用したと伝えられる

武田八陣形＝衝軛、鶴翼、長蛇、雁行、方円、魚鱗、蜂矢、偃月

であろうのォ！　史実かどうかはこの際まったく関係ないわァ！
ちなみに徳間書店『孫臏兵法』で訳者の村山孚氏が

“篇名の「八陣」は、八つの陣を指しているわけではない。
中国古代の人びとは、布陣の法をいう場合、しばしば「八陣」といったのである。”

と身も蓋もないことを仰っておるわァ！
そもそも「懸かり」とはバリバリの日本語であるわァ！
つらつら惟みるに、『戦国の陣形パーフェクトガイド　〜これであなたも戦国武将！〜』とでも題する
質のよろしくない本に「魚鱗懸かりなどの八陣は『孫子』が出典だわァ！」とでも書かれていて、
それを塚本氏が読んで鵜呑みにしたのではないかのォ！

吾輩は浅学菲才の身なれば、これ以上のことは分からぬのォ！
識者の卓見を待つことにするわァ！

始皇帝がマムシで毒殺されかけたわァ！
その一件で下手人が推理されていくくだりはさすがミステリ畑出身の塚本氏と思わせるものがあるのォ！
あまりに場違いで竹に木を接いだような違和感プンプンなので
アイキャンフライが始皇帝を主人公にした小説であることをうっかり忘れそうになるわァ！
しまいにはマムシ酒まで登場してしもうたわァ！
塚本氏の豪腕にはいつもいつも瞠目させられるのォ！

逆に読みたくなってきたぜ

233◆w1a/4xucQw殿の批評は実に痛快だのォ！

みどももその批評の合間に時折挙がる書の大方を持ちたるが、
かようにまで語る気力はとても涌かんのだわァ！

それでは本日も逝く逝くパッ君だわァ！
王莽に対して再評価の目を向けてくれたら欣快の至りだのォ！
レビューは対象に対する愛さえあれば可能だわァ！
塚本作品は一度読んだだけでは「二度と手に取らぬわァ！」と叫ぶこと請け負いだが
そこで諦めたら試合終了だわァ！
何度も挑戦していくうちに次第に、他の歴史小説とは別次元の楽しみを見出していくものだわァ！
塚本作品に必ずといっていいくらい登場する麻薬の楽しみに似たところがあろうかのォ！
それ駄目駄目じゃんとか言ってはならぬわァ！

始皇帝が父親の元側室を相手にして童貞を捨てたわァ！
悪い意味で現代的かつ俗っぽい展開こそが塚本氏の真骨頂よのォ！
父の妾であった人でも母の如く扱うのが漢族的発想なのだがのォ！
ところで、匈奴のような遊牧民族は未亡人が夫の息子もしくは兄弟と結婚する風俗があったわァ！
文化人類学でいうところのレヴィレート婚だのォ！
そういう観点からすれば春秋時代の晋の公族は祖先が遊牧民族らしいのだわァ！
連中、平気でレヴィレート婚しておるからのォ！
たとえば晋の献侯は父の妾と結ばれて長男の申生をもうけ、その申生の未亡人は
弟の夷吾と再婚したわァ！
ちなみにこいつらは春秋五覇の一、晋の文公の親兄弟だわァ！
晋の文公は甥っ子の未亡人と結婚したわァ！
その辺の事情を鑑みて、塚本氏が秦の王族と遊牧民族との関係を暗示しているのかと考え直して
読み返してみたものの、そんな気配は微塵も感じられぬわァ！
結局のところ、借景小説としか評しようがないのォ！
もっとも北方謙三氏の歴史物にも似たところがあって、ぶっちゃけ固茹で卵な連中が
コルトガバメントを扱う代わりに刀槍を振り回し、スポーツカーに乗る代わりに馬に跨るような
小説ばかり書いておられるが、作品そのものが面白いから
突っ込みレビューをする気はさらさら起きぬわァ！
乱暴に分類するならば

北方氏……おもしろい借景小説
塚本氏……つまらない借景小説

とでもなろうかのォ！

>北方氏……おもしろい借景小説
>塚本氏……つまらない借景小説

これは確かに。北方氏も結構突っ込みどころあるけど、
面白いから気にならなかった。
しかし、233氏のレビューは面白いのォ！
この調子で頑張ってほしいのだわァ！

尉繚に続いて鄭国までもが蘇代の隠し子にされてしもうたわァ！
史上に名高い鄭国渠の建設者にまで塚本氏の魔の手が伸びてしもうたわァ！
恐ろしいのォ！　恐ろしいのォ！

始皇帝が自分の実の父親が子楚ではなく呂不韋であることを知ったわァ！
しかも呂不韋が母親とよりを戻していることも知ったわァ！
それなのに恐ろしいくらい淡々と話が進んだわァ！
まことに山なし谷なし超低空飛行、砂漠の地平線のように単調なストーリー展開よのォ！
多少の衝撃は受けたものの、そのリアクションが緑姫（父親の元側室）を自殺に
追い込むだけに終わったのだから小人の所業と断ぜざるを得ぬわァ！
多感な思春期の少年が、しかも支那史に消すことの出来ない影響を及ぼした希代の傑物が、
自分の出生の秘密と母の不義とを知らされたのだから、
もっと大きな反応を示してほしかったのォ！
これでは後に巨人へと成長することなど期待できぬわァ！

“「酒の量が、日増しに多くなりまして」
多分、姫妾との同衾と、深酒の繰り返しになったのである。ついには肝臓が硬くなって
解毒作用の機能を果たさなくなり、帰らぬ人となったのだ。”

信陵君が死んだわァ！
一世の英傑が不帰の人となったのに悲しみが湧き上がって来ぬのは
ちっとも英傑らしく書かれなかったせいであろうのォ！
あと、肝硬変についての現代的知識をわざわざ挿入したおかげで
話の腰を折ること甚だしいわァ！
深酒で死んだ、の一言で済ませていた方がずっとスマートだったわァ！
塚本氏は読者が書いて欲しいことを完全に省略し、要らんことばかりに紙数を費やす人だわァ！

“荒れ地に水を注いでも、穀物が実るという保証はない。もし、苔が生える程度で、
米麦菽はおろか、稗や粟すら実らなければ、金銭や時間、人々の力が壮大な徒労に帰することになる。”

塚本氏は当時の主食が粟であることを知らぬのかのォ！
たとえば仕官してサラリーをもらうことを「粟を食む」といったわァ！
伯夷叔齊が「周の粟は食まぬわァ！」と啖呵を切って首陽山で餓死したエピソードは
『史記』読みにとっては割と有名なはずだがのォ！
もしかしたら塚本氏の世界観では当時の人たちは茶碗に米のメシをよそって
食っているのかも知れぬのォ！

>>285
『霍光』では○○帝も○○帝も×××の子孫にされたぞ
なんだそれくらい

＞始皇帝が自分の実の父親が子楚ではなく呂不韋であることを知ったわァ！
＞しかも呂不韋が母親とよりを戻していることも知ったわァ！

こういういかにもドラマ仕立てにしやすい所は、
（始皇帝書くなら大抵ここが最初の山だろ）
敢えてスルーしたかったんじゃね？ｗ

20ページほど読んでみたが、『だわぁ！』とか『だのぉ！』とか言ってなくね？
これ以上読むのつらいんで、どこか該当シーン教えてくれ。

意外とわァのゥ言ってないんだよね実は

この人の「カクキョヘイ」はどうですか？

一回「わァ」をみたら、百回見た気になる。

>>293
まだまだ十分に読める
最初期の作品でもあるし

>>294
真理だな。あまりにインパクトが強すぎて、
使いまくっているように思えてるが実際はそうでもない。

普段のセリフでつかってないのに唐突に「だのォ」とか言うから
なんだこれは、となる。

懲りもせずにレビュー開始だわァ！

塚本氏は系図捏造において前科持ちだったとはのォ！
『霍光』は主人公に興味があるものの、著者が塚本氏のせいで読むのに二の足を踏んでいたわァ！

ドラマ仕立てにしやすいところをあえてスルーしたとは、驚き桃の木山椒の木だわァ！
塚本氏にとって吾輩は、釈迦の掌の上で踊る孫悟空だったということかのォ！
そうとも知らずに嬉々としてレビューしていたとは、まったくもって恥辱の限りよのォ！

アイキャンフライの「わァ！」についてはP140に呂不韋が
「まあ、精々王后と愛妾の間を、行き来するがいいわァ」
と言っておるわァ！
！マークが附いていないので画竜点睛を欠くきらいはあるがのォ！
というか登場人物が毎度の如く連呼しているわけではないわァ！
インパクトの強さでネタになっておるのだわァ！
星一徹のちゃぶ台返しが原作漫画では一回だけというのと同じようなものよのォ！
もしくは日下部みさおの語尾みたいなものなんだってヴぁ！　……もとい、だわァ！

『霍去病』は塚本氏の小説の中では良作の部類に入ろうかのォ！
少なくとも氏が『史記』と『漢書』をしっかり読み込んでおられることは窺えたわァ！
もしかしたら氏が執筆するにあたってもっとも努力を注いだ小説かも知れぬのォ！

“後宮を整えた嬴政に、長男が誕生した。
（中略）
しかし嬴政は、特別寵愛する相手を作らなかった。そこには、母親への複雑な思いがあったのだ。”

始皇帝に寵姫がいないことは周知の事実よのォ！
というか扶蘇や胡亥の母親の名前すら伝わっておらぬわァ！
このあたりは始皇帝の生い立ちと性格に起因するものかのォ！
塚本氏の解釈にしては王道を践んでおるわァ！

“（ロウアイに）長信侯という領主貴族の称号を与えることにした。これだけならば、
長信などという荘園もないので、形式的なだけで出費も抑えられる。”

本気でわけが分からぬわァ！
『史記』によればロウアイは山陽の地を与えられ、さらに河西の太原郡をロウアイの国としたと
あるのだがのォ！　称号だけではなくて実質でも立派な領主貴族だわァ！

本日はこの程度しか言うことはないわァ！
吾輩の螺旋力も種切れかのォ！
だからと言って作品のクオリティが上がっているわけではないのが悲しいところよのォ！

「光武帝」を読む限り、塚本は「史記」と「漢書」は読んではいるようだが、
「後漢書」はロクに読んではいないな。
でなければ「有名なエピソードを書かない」、「史実と大きく異なる人間関係や出来事」等の説明が付かない。

>>302
前者と後者の違い

「全訳の有無」（後漢書はまだ完結もしていない）

w1a/4xucQw 　今日も乙　勉強になった

後漢書の全訳って完結してなかったんだ
知らなかった　てっきりしてるものとばかり

まったく、そなたの働きには頭が下がるのォ！
スレが長くなればまとめサイトなど必要になるかもしれぬわァ！

それでは今日もゆるりと参るかのォ！

“将来を見据えた嬴政は、今読んでいる書物に夢中だった。
「李斯よ。『人主、将に姦を禁ぜんと欲すれば、則ち刑名を審合すとは、言事に異ならしめざるなり』と、
どうだ？　そこもと、この意味が判るか？」
「はい、『君主が臣下の不正を防ぐには、仕事と内容を一致させることで、役職名のとおりの職務に
励んでいるかを、しっかりと監督すべきだ』と、いう意味です」”

漢文の書き下し文を現代文に改めただけだわァ！
李斯は始皇帝を馬鹿にしておるのかのォ！
というかこやつらが何語で話しているのかが疑問だわァ！
書き下し文などは純然たる日本語であって原文はひらがななど附されておらぬからのォ！

“そこで、ある若者が韓王（韓安）の、『王宮へ参内せよ』とだけ認めた親書を携えて出かけていった。
（中略）
数日後、韓非は韓王（韓安）と直々に面談し、秦との和平の使節に立つよう、辞を低くして要請された。
（中略）
刑名の学を修めた韓非は、先代の恒恵王や今の王（韓安）へ、政に対する意見を具申した。”

（韓安）がたった一ページの間に三度も出て来たわァ！
しつこいのォ！　しつこいのォ！
ここまで繰り返さねば読者は記憶できぬと見下げられておるのかのォ！
塚本氏に鳥頭と思われておるのは屈辱の限りよのォ！

“「たっ、たたた、たっ確かに。しっ、しっしし、しかし、みどもは、そ、そっそっそなたに、きゅっ、
久闊を叙するため、こっ、ここここへ来たのではないぞ」”

いくら韓非が吃音だからといってわざわざセリフで示すかのォ！
やる夫シリーズとか漫画とかなら必要でもあろうが、小説なら地の文で済ませればいいと思うがのォ！
陳舜臣氏の『小説十八史略』のようにのォ！
塚本氏は『霍去病』でも東方朔の間延びした物言いをひたすらにセリフに起こしていたから
読んでいてイライラしてしもうたわァ！

支援

“（韓非の）身の回りの世話に、丞相府に属する上卿の姚賈が当てられた。
　この男は突然の異動に、内心不快感を示していた。彼は代々秦の大庶長（凖貴族）の
家柄であったため、たとえ他国の王族であっても、自分が世話をする立場に置かれたことに
屈辱を感じたのである。”

塚本氏は残念ながら秦漢時代の二十等爵についてもご存じないようだのォ！
張家山漢簡の二年律令・置後律によれば、
二十等爵のうち最高級の徹侯と第十九級の関内侯とは爵位を嫡子にそのまま継承させられるものの、
第十八級の大庶長から第十級の左庶長までは嫡子の爵位は第八級の公乗にまでランクを落とされるのだわァ！
ちなみに第九級の五大夫は第七級の公大夫、第八級の公乗は第六位の官大夫、……とズレこむのだわァ！
要するに代々大庶長の家柄など存在するはずがないということよのォ！

……というか『戦国策』を読み返してみたら韓非が姚賈を指して「梁の監門（門番）の子」と言っておるので
姚賈は魏人であるわァ！　秦人ですらないわァ！
姚賈が上卿の位を得たのは全くの独力によるものだわァ！
アイキャンフライの第二章を読めば塚本氏が『戦国策』にも目を通していることは分かるのだが
読み込みが足りぬようだわァ！　残念だのォ！

“嬴政は、韓非の罪状と処罰を示す書類に玉璽を捺した。”

玉璽、というか当時の印鑑は書類に捺すものではないわァ！
何に捺すかというと、それは封泥なのだわァ！
当時は書類を封印するために泥（粘りけのある粘土を連想してもらいたいのォ！）を使用したのだわァ！
西洋での封蝋と同じ働きをするものだのォ！
志賀島の金印を思い出してもらいたいのだが、現在のハンコは文字の部分が盛り上がっているのに対し、
古代支那の印鑑は逆に凹んでおるわァ！
あれは封泥の上にポンと捺したときに文字を浮き上がらせるためのものなのだわァ！
というか当時の竹簡の幅はだいたい一センチ以下であって、一寸（2,3センチ）四方の玉璽を捺したのでは
印影がはみ出してしまうわァ！

以上だわァ！
アイキャンフライも五合目を過ぎたあたりなのに、始皇帝がちっとも英傑らしく思えぬのは
読んでいて苦痛だのォ！

これはひどいとかしか言えぬのォ！

今日も笑わせ、いや勉強させて貰ったのォ！
俺の知識でも歴史小説を書ける気がしてくるから不思議としか言えんわァ！

今日も乙
＞漢文の書き下し文を現代文に改めただけだわァ！
ワロタｗ　その通りだよなｗ

なんとも本編より評論が面白いとは不可思議なものよのォ！

233◆w1a/4xucQw殿の論評が見事なりし所以は、読み手の歴々が
漠然なりとも疑問と憶える箇所やら、明らかなる誤りを正すばかりか
著者を上回る深みと諧謔に富んだ舌鋒にこそあるのだわァ！

みどももこぼれる笑みを抑えるのに苦労するほどに痛快至極！
正鵠を失わずとは、まさにこのことよのぉ！

＞東方朔の間延びした物言いをひたすらにセリフに起こしていたから
＞読んでいてイライラしてしもうたわァ！

激しく同感。

>>318
ああ、あれホントウザかったわ
もう設定無茶するのは許すからあの物言いはやめて欲しかった

233◆w1a/4xucQw殿、乙でございます。
今日も堪能させて頂きました。
何故か「始皇帝」をもう一度読みたくなってきますなぁ。

＞漢文の書き下し文を現代文に改めただけだわァ！
これに私もワロタw
なんかこれって始皇帝に対してじゃなくて、
読者に対して分かり易く説明したみたいだな。

スレ住人から過分の褒詞を賜り、面映ゆい思いがするのォ！
やはり東方朔のセリフには諸氏も辟易しておった模様だのォ！
吾輩一人の思いではなかったと知って心強いものを感じるわァ！

“秦の攻勢は無論留まらず、次なる目標は趙とされる。だが、ここでも李牧と司馬尚の
抵抗にあって、秦将王翦は苦戦した。
「もう少しの辛抱です」
　自信たっぷりに言うのは、尉繚である。
「どんなことが起こるのだ？」
「李牧を、追い落とします」
　それは、尉繚らが金銭で抱き込んだ郭開を、再三再四焚きつけたことである。
「李牧は、将軍として実績があるのを鼻にかけ、戦闘のどさくさに司馬尚と一緒に邯鄲へ
引き返すつもりのようです」
「それで、どうするのだ？」
　趙王（趙遷）は若いだけに、郭開の揺さぶりに心が乱れ動いた。”

気が付いたら場面が秦から趙へと時空転移を起こしておったわァ！
吾輩、生まれてこの方これほどまでに急速かつ不親切かつ説明不足な
舞台転換にお目にかかったのは初めてだのォ！
一瞬、我が目と我が正気とを疑ってしまったわァ！

荊軻が始皇帝の暗殺に失敗したわァ！
「荊軻列伝」といえば『史記』刺客列伝のなかでも出色の文章として名高いというのに、
アイキャンフライでは長たらしくて間延びして緊張感が大いに殺がれておるわァ！
ここに引用するのも憚られるほどにのォ！
「荊軻列伝」は宮崎市定の説によれば漢代の語り物の筋書きをそのまま
司馬遷が書き写したものらしいが、もちろん文章そのものの価値はまったく減ぜぬわァ！
秦舞陽が失禁したとか、荊軻が唾を始皇帝の口に入れたとか、
そんなことばかり付け加えられても読者が喜ぶはずがないというのにのォ！
氏の別の小説『刺客荊』の設定だと荊軻は病気持ちで唾でも他人に感染するらしいのだが、
そんなことは知ったことではないわァ！

“一番誤算だったのは、いや、嬴政はそうあれかしと思っていた節もあるが、郢に封じた昌平君の
楚への寝返りである。彼は、荊軻による暗殺未遂事件で、嬴政から信を喪ってしまった。
（中略）
昌平君は、功績から楚の将軍格の扱いを受け、荊王と称した。これは、自分を追い込むこととなった
荊軻の名字を借りて、禍を吹き飛ばす意味らしいが、実際には案外自棄だったのかもしれない。”

自棄になるのはむしろ吾輩の方だわァ！
塚本氏は楚の別名が荊であることをご存じないのかのォ！
というか昌平君は『索隠』に楚の公子とあるから荊王（楚王）に即位しても不思議ではないわァ！
彼はロウアイの乱の時に昌文君とともに相国となっておったのだが、
当時は他国出身の公子が宰相に任じられるケースがままあったのだわァ！
斉の孟嘗君が魏の宰相に任じられたあたりが有名かのォ！
要するに昌平君は楚の公子でありながら秦の相国に任じられ、楚の旧都の郢に移されたものの、
楚の滅亡にともなって項燕に御輿として担ぎ上げられたのだわァ！
新しいキャラが登場するたびに史書を紐解いていたのでは時間がかかりすぎるために
スルーを基本としておるが、有り得ぬような解釈をされてはさすがに突っ込まざるを得ぬわァ！

支援

そんなこんなで始皇帝が四海を統一したわァ！
それなのに全く達成感を覚えぬのはひたすらに淡々と征服が進んだからであろうのォ！
正直『史記』の原文を読んでいた方が面白かったわァ！

＞正直『史記』の原文を読んでいた方が面白かったわァ！

これには同意せざるを得ないのォ！

塚本氏はぁ〜、史記のぉ〜原文を〜ぉ読んでいるのかのぉ〜。
宮城谷みたくぅ〜写本しろとはぁ〜言わんがぁ〜、
中国語はぁ〜勉強して欲しいなぁ〜。

メーデーだわァ！　メーデーだわァ！
投下を開始するわァ！

『秦の徳は、周の火徳に打ち勝つ水とする』
『朝賀の式（年始）は、十月一日に行う』
『水徳にちなんで、旗、幟、節などは、黒を基調とする』
『数は六を基準に考え、車軌（車輪一対の幅）や度量衡（長さ、広さ深さ、重さなどの単位基準）、
文字の意味や書体までを、すべからく統一する』

始皇帝の統一語の偉業が箇条書きで済まされてしもうたわァ！
その意義とか後世への影響とかも完全スルーだわァ！
手抜きってレベルじゃねーのォ！
そのくせ全国巡遊とか驪山陵やら阿房宮やらの造営とか焚書坑儒とかいった
始皇帝のマイナス面にはしつこく書いておるのだわァ！
そのくせ後記では

“（略）彼は最初の皇帝へと即位し、度量衡の統一、法家思想に立脚した犯罪抑止策、
郡県制による行政、騎馬軍による常備軍の増強と軍用道路網の拡大整備など、
近代国家顔負けの中央集権政治を展開していく。”

と書いておるのだわァ！
本当に始皇帝を評価しておるのなら作中でしっかり描写して欲しかったのォ！

あと例によって重箱の隅をつつくわけであるが、
“すべからく”の用法が間違っておるわァ！
“全からく”と漢字で書くと思い込んでおられるのであろうが実際は“須く〜べし”であり、
“当然”とか“need to”とかいう意味で使われるのだわァ！
ちなみに“須く〜べし”を誤用するきっかけであるが、高島俊男氏のエッセイによれば
学生運動の時期に左翼学生がアジテーションでさかんにスベカラクを連発していたらしいのだわァ！
まったく連中はロクなことしおらんのォ！

ついに麻薬が登場したわァ！
やはり塚本作品には麻薬が欠かせぬのォ！
『To L○VEる』（←伏せ字の意味が全くないわァ！）において
パンツが出て来ぬと話が始まらないのと同じ理屈よのォ！
ちなみにアイキャンフライではスプーンですくって火で炙って煙を吸い込んでおったわァ！
むろんパンツではなくて麻薬をだわァ！
相変らず妙に現代的よのォ！

支援

“「黥布って、男だそうです」
　李斯は、尉繚の言う意味が判りかねた。
「なにが？」
「脱走の首謀者です。廃材を積み上げた場所に火をかけて、見張りの兵士を殺して
武器を奪って暴れ回っているとか」”

黥布の登場はここだけだわァ！
項羽と劉邦の時代についてくわしい読者のためのサービスかも知れぬが、
完全な初心者に対しては不親切な書きようとしか言えぬのォ！
アイキャンフライを単体の作品として見た時には減点対象にしかならぬわァ！

読んでないけど、当然そんなサービスするんだからショウカを御史に取り立てようとかそういう会話もあったんだろうね？

以上だわァ！
アイキャンフライも残り後一章だわァ！
年内に宿題が片付けられそうでせいせいするのォ！

たのむ。ブログ立ち上げて、そのノリを継続してくれ

塚本登場人物口調で歴史小説を評価するブログとかかｗ

233殿のレビューも今日で最後なのか。
面白いし、知識の足りてない自分には凄く勉強になった。
また書いて頂きたい・・・と思うけど、
塚本の小説をまた読んで頂かねばならんのは、
ちょっと酷のような気もしますなぁ。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　レビューを始める前に言っておくわァ！
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　吾輩は以前に塚本氏の『項羽』をほんのちょっぴりだが読んだわァ！
　　　　　　　　 ,. -‐'''''""¨¨¨ヽ
　　　　 　 　 (.＿＿_,,,... -ｧァﾌ|　　　　　　　　　　あ…ありのまま　読んだ内容を話すわァ！
　 　 　 　 　 |i i|　 　 }!　}} /／|
　　　　 　 　 |l､{　 　j}　/,,ｨ//｜　　　　　　　『アイキャンフライで始皇帝が崖の上から飛び降りたと
　　　　　　　 i|:!ヾ､_ﾉ／ u {:}//ﾍ　　　　　　　　思ったら実は『項羽』で先に語られていたわァ！』
　　　　　　　 |ﾘ u' }　 ,ﾉ　_,!V,ﾊ |
　　 　 　 ／´fト､_{ﾙ{,ィ'ｅﾗ　, ﾀ人　　　　　　　　な…　何を言ってるのか　わからねーと思うが
　　　　 /' 　 ヾ|宀| {´,)⌒`/ |<ヽﾄiゝ　　　　　　　　吾輩も何をされたのかわからなかったのォ！
　　　　,ﾞ　 ／ )ヽ iLﾚ 　u' |　| ヾｌﾄﾊ〉
　　 　 |／_／　 ﾊ !ニ⊇　'／:} 　V:::::ヽ　　　　　　　　頭がどうにかなりそうだったのォ！
　　　 /／ 二二二7'T'' ／u'　__ /:::::::/｀ヽ
　　　/'´r　ー---ｧ‐ﾞＴ´　'"´ ／::::／-‐ 　＼　　　　伏線だとか多作品との結び付きだとか
　　 / // 　 广¨´ 　/'　　 ／:::::／´￣｀ヽ ⌒ヽ　　　　そんなチャチなもんじゃあ　断じてねえわァ！
　　ﾉ ' /　 ノ:::::`ー-､___／:::::／/ 　 　 　 ヽ　　}
_／｀丶　/::::::::::::::::::::::::::￣`ー-{:::...　　　 　　　ｲ　 もっと恐ろしいものの片鱗を味わったのォ！

徐福が始皇帝に献上した仙薬とはおそらく麻薬であったのだわァ！
それを始皇帝はキメにキメてラリって仙人になったと思い込んで
空へと羽ばたくつもりで崖から飛び降りて結果的に投身自殺したのだわァ！
おそらくこれが始皇帝の急逝の真相であろうのォ！

……という風に『項羽』に書かれておったのだわァ！
アイキャンフライがあまりにも唐突に幕切れしたのは『項羽』で説明されたので
塚本氏はそれで充分と考えられたのであろうのォ！
戦慄を覚えるほどに一見さんお断りの発想であるわァ！
旧来からの固定ファンならばともかく、
一見さんが本当に一見で塚本作品を見限る要素になるとしか吾輩には思えぬわァ！
塚本氏は新規ファンを開拓しようとする意欲を持ち合わせておらぬのかのォ！

アイキャンフライの印象が強すぎて最終章でレビューすることはないのォ！
というわけでこれにて一件落着だわァ！
……しかし今まで塚本作品の美点をほとんど取り上げてこなかったことについては
内心忸怩たるものがあるのォ！
というわけでここから先は塚本氏の長所を紹介していくことにするわァ！

まず塚本氏の持ち味として真っ先に思い出されるのが、題材の目の付け所の良さであろうのォ！
氏の小説の主人公は霍去病、白起、霍光、王莽、光武帝といった、
他の作家がなかなかメインに取り上げようとしない魅力的な人物が目白押しであるわァ！
支那史好きなら思わず本棚に手が伸びるラインナップであるのォ！
はいそこ、塚本氏の小説家としての技倆が“素材の味を殺し切る”シロモノであることは
この場合は忘れておくのだわァ！

さらに長所の一つとして氏の文体が数えられるのォ！
吾輩から見ればとにかく俗っぽくて敵わぬものの、裏を返せば
漢字が苦手な支那史小説初心者にとっては読みやすいわけであるからのォ！

同じような意味で、氏の作品のミステリ要素も挙げられるわァ！
読者の中には推理小説を読むような気分で氏の作品を楽しまれた方もおられようからのォ！
会話文と説明口調とでストーリーが進行するのも、考えようによっては
読者に理解しやすい表現方法と言えるわァ！
登場人物が小人ばかりなのは魅力が足りないのではなくて現実的なのだわァ！

要するに塚本作品を楽しむにはジョースター卿の発想を常に胸に秘めておくことだわァ！



　　　　　　　　､--‐冖'⌒￣￣`ｰ-､
　　　　 ／⌒`　　　　　　　　　三ミヽｰ-ﾍ,
　　　__,{　;;,, 　　 　 　　　　　　 ミミ　　　ｉ　´Z,
　　 ゝ　　　''〃//,,, 　　　 　,,..｀ミﾐ､_ノリ}j;　f彡
　　_)　　　 　 　 〃///,　,;彡'rffｯ､ｨ彡'ﾉ从iﾉ彡
　　>';;,, 　 　　　 ノ丿川j !川｜;　 :.`7ﾗ公 '>了
　_く彡川fﾞノ'ノﾉ ノ_ノノﾉイシﾉ｜ }.:　'〈八ﾐ､､;.)
　 ヽ.:.:.:.:.:.;=､彡／‐-ニ''_ｰ＜、{_,ﾉ -一ヾ`~;.;.;）
　 く .:.:.:.:.:!ﾊ.Yイ　　ー':ｪｪヮ,`ヽ｝_-ｪｪ-ニ|ィ"~
　　 ):.:.:.:.:|.Y }: :!　 　 ｀二´/'　;　|丶ﾆ　 ﾉﾉ 　　　逆に考えるんだ
　 　 ） :.: ﾄ､リ: :!ヾ:、　　　丶　;　|　ﾞ　　ｲ:}
　　 ｛ .:.: ｌ　｛: : }　 ｀　　　　,.__(__,}　　　/ﾉ 　　とにかく逆に考えるんだ
　　　 ヽ !　　`'ﾞ! 　 　　　 ,.,,.`三'ﾞ､,_ 　/´
　 　 ,/´{　　ﾐ　l　　　　/ﾞ,:-…-…､ ） | 　　　　　　何が何でも逆に考えるんだ
　　,r{ 　 ＼ ﾐ 　＼　　 `'　'≡≡'　" ﾉ
__ノ 　ヽ 　　＼　 ヽ＼　　　　彡 　,ｲ_　
　　 　 　＼ 　　＼ ヽ 丶. 　　　　ノ!|ヽ｀ヽ、
　　 　 　 　 ＼ 　　＼ヽ ｀……´/ |ｌ　ト､　｀'ｰ-､__
　 　 　 　 　 　 ＼　　｀'ｰ-､　　/／　/:.:.}　 　　 　 ｀'ｰ､_
　　　　　　　 　 ｀､＼　　　／⌒ヽ　 /!:.:.|
　　　　　　　　　　｀､ ＼ /ヽLｆ___ハ/　　{
　　　　　　　　　　　　　 ′ /　! ヽ

支援

というわけで今年のレビュー納めも終わったわァ！
来年は『光武帝』についてレビューしようかのォ！

光武帝と言えば、なンと言っても呂母よのォ！
氏の書く熟女は無意味に魅力的だが、その白眉と言えば呂母だわァ！
それにしても233殿が中国のみならずジャンプにも精通しておるとはのォ！

乙ｗ
最後にフォローするなんて味なまねをしおるのォ！

光武帝は主役以外の人物の方が生き生きとしておるからレビューがどうなるか楽しみだわァ！

上・中・下の三巻もある光武帝をレビューしろというのはいささか酷だのォ！
でも233 ◆w1a/4xucQw氏ならやってくれると信じておるわァ！

233 ◆w1a/4xucQw殿、本当に乙でした。楽しませて頂きました。

しかし、別の小説で既にアイキャンフライが
披露されているとは知らなかった。
いや、良いスレに出会えたものだ。
このレビューを読んでアイキャンフライが
読みたくなった方もおられよう。
読んだ人は是非感想書き込んで欲しいものだわァ！

明けましておめでとう、をこのスレ風に言うと、
明けましておめでとうだわァ！かな。

年が明けたわァ！

めでたいのォ！ めでたいのォ！

明けましたわァ！
おめでたいのォ！
というわけで今年も一つレビューと行こうかのォ！
吾輩『光武帝』全三巻を古本屋で買ったはいいものの、ページを捲るごとに
睡魔が鯨波を上げて隊伍を組んで押し寄せて来たせいで
半分くらい読んだところで白旗を揚げてしもうたのだわァ！
せめて元は取らねばと思い立って今回の苦行……もといレビューを始める決心をしたのだわァ！

大司徒柱天大将軍、斉武王が劉演と表記されておるわァ！
正確には劉縯、サンズイではなくてイトヘンなのだがのォ！
しかし宇都宮清吉『漢代社会経済史研究』にも山田勝芳『貨幣の中国古代史』にも
劉演と書かれておるのだわァ！
両書の著者は二人ともれっきとした歴史学者だわァ！
あまり細かい点に目くじらを立てる必要はないのかも知れぬのォ！
朱祐が朱佑へと微妙に誤記せられておるのも同じく甘受すべきだわァ！

あと劉秀の姉の一人、劉黄が存在ごと省略されてしもうたわァ！
劉秀のきょうだいは本来なら三男三女なのに三男二女にさせられたわァ！
宋弘の“糟糠の妻”のエピソードも一緒に消されてしもうとるのかのォ！

李通が以前に役所勤めをして蜀に赴任したことにされたわァ！
『後漢書』によれば五威将軍の従事となり、巫の献上に任命されたとあるわァ！
役所勤めはいいとして、巫は蜀ではなくて南郡に属する県なのだがのォ！
塚本光武帝はこの手の細かい間違いを挙げたなら枚挙に暇がなくなるわァ！

劉秀の父の劉欽が世間の侮りを受けるようになって
居摂三年（AD8年）に自刎したことにされておるわァ！
塚本氏もおいたが過ぎるのォ！
『東観漢記』によれば劉欽は元始三年（AD3年）に没したのだわァ！
死因が書かれていないのでおそらく病死であろうのォ！
さらに舂陵劉氏の当主の劉敞も自刎したことにさせられたのだが、
これまたやっぱり史実ではないわァ！
おまけに劉敞が遺言として当主の地位を劉利の家系へと移したと言うが、
もちろんそんな事実はなくて息子の劉址へとちゃんと受け継がれたわァ！
まことにフリーダムよのォ！

“自刎した劉敞の長男劉址が、微醺を帯びて言った。頭領の家筋が変わったといっても
悔しさをあまり露わにせず、やや暢気な男のようだ。劉敞が自刎したのは、案外、総領
息子を見限ってのことかもしれない。そのように思わせる人物であった。”

冷静を通り越して冷酷に達しておる描写だわァ！
塚本氏の血は何色なのかのォ！
確かに劉址は主導的な働きを起こしたことはほとんどないのであるが、
それは彼のあまりにも無惨な過去にあると吾輩は考えておるのだがのォ！

数えで十五歳の時に劉址は結婚したのだがこれは明らかな政略結婚であったわァ！
当時は王莽が漢を簒奪する直前にあり、舂陵劉氏は王莽に対抗するために
翟氏と婚姻関係を結んだのだわァ！
そして翟氏の末弟の翟義が蜂起し、劉址の妻は捕えられて処刑されたのだわァ！
すると劉敞は手の平を返して王莽に忠誠を誓ったのだわァ！
翟義の蜂起は失敗したのだから正しい選択ではあったのだがのォ！
結局のところ劉址は少年といっていい年頃に周囲の都合で得た新妻をすぐに殺されたのだわァ！
気の優しい人間なら精神が壊れてもおかしくないほどの衝撃であったと思うがのォ！
塚本光武帝のみならず、歴史小説は登場人物が多くなるために群像劇としての性格を帯び、
個々のキャラクターの個性を明確にするために極端な性格付けがなされるケースが多いのであるが、
いやしくも実在の人物なのであるから少しは同情と憐憫の目で見てやって欲しいのォ！

王莽の改革がどれもこれも愚策であるように書かれておるが、
必ずしもそうでないことはアイキャンフライのレビューでも触れたのォ！
一々論じていては煩雑になりすぎるし本筋からも離れるので
地名の改称についてだけ述べさせてもらおうかのォ！

王莽が長安を常安、洛陽を宜陽という具合に地名を更えたのは史実であるわァ！
そのために迷惑を蒙った人間がいることも事実であろうのォ！
しかし裏を返せば、王莽が敗れて漢の地名が復古せられたときにも
やはり迷惑を蒙った人間がいるということだわァ！
新の治世は十五年、すでに慣れて古い地名を覚えているものも減り、
あるいは最初から知らぬものすらおったであろうからのォ！
しかしそちらについてはあらゆる史書が沈黙を守っておるわァ！
マスコミの強みは恣意的な情報を流すことだけではなく、
自分たちにとって都合の悪い事実を報道しないことにもあるのだが、
それは歴史家についても同じ事が言えるのだということを忘れないで欲しいのォ！

記憶が定かでないが、糟糠の妻はあった気がするわァ！
光武帝はまだイケる方だと思うが233殿にはキツイかのォ！
ひとつ指南してやろうかのォ！

前半は呂母・力子都がそれなりに魅力的なので注目し、
後半は郭聖通のツンデレぶりを笑えばいいんだわァ！
ツンデレというか、バカ女っぷりが正確かのォ！
見てて殺意を覚えるツンデレバカ女を書くとは、
塚本氏は中々のリアリストと感心するもンだわァ！
もう、光武帝を主人公だと思ったらダメダメなンだわァ！

あけましておめでとう　そして　乙

＞光武帝を主人公だと思ったらダメダメなンだわァ！
ワロタｗ…けどタイトルに偽りありとかそれ酷くね？

　

乙だわァ！まさか本当に光武帝レビューをやってくれるとはまこと期待を裏切らぬ御仁だのォ！
しかしみどもも一応光武帝は読破しているのにほとんど思い出せぬのだわァ！
233 ◆w1a/4xucQw氏のレビューも新鮮味を持って読めるというものよのォ！

>>361
狂言回しという主人公の形式もあってのォ！

233、ここに推参だわァ！
いざいざ尋常にレビュー開始だわァ！

琅邪郡海曲県の県宰が太守・�ｷ尉などの名称の改変を説明口調で語っておるわァ！
不自然なほどに親切だのォ！
しかし塚本光武帝では琅邪郡と書かれておるが、新の制度だと填夷と呼ぶのだわァ！
塚本氏も相変らず詰めが甘い御仁よのォ！

呂母の息子が呂稠という名前で県宰の腹心となっておるわァ！
続漢書に「呂母の子の名は育、游徼たり。罪を犯す」とあるのだがのォ！
呂稠という名の出所を知りたいところだわァ！
朱姫の二の轍は踏みたくないのでちょっと日和った突っ込みになってしもうたのォ！
あと県宰の腹心といえば功曹・主簿あたりであるのだがのォ！
ついでに言えば游徼の所属は県宰ではなくて県尉だのだわァ！

支援だわァ！

高句驪侯の騶が欲ボケのせいで荘尤に謀殺されたわァ！
ちなみに騶は高句麗の伝説的な初代国王・朱蒙のことらしいのだわァ！
Kの国の人たちの謝罪と賠償の要求も恐れぬとは塚本氏も剛胆よのォ！
ちなみに朱蒙といえば、ペ氏の主演の韓国ドラマがあったはずだのォ！
観た方は感想のほどを書いていただきたいのォ！

呂母が三十路半ば過ぎの未亡人に設定されておるわァ！
吾輩、呂母が後に息子を殺されて仇討ちに狂奔することから
ジョジョ第三部のエンヤ婆のような老女をイメージしておるのだわァ！
塚本光武帝の呂母についてはこのスレでも割に好意的に評価されておるわァ！
このあたり、塚本氏もさすがは筆でメシを食っておられる人であるのォ！

乙、だわァ！
最近は233殿のレビューを読まンことには、
眠れない体になりつつあるのォ！

おつ　半島の歴史にも詳しいのか
すごいなァ

第三章のレビューを始めるわァ！

“彼（劉秀）は、一人でここへ来るつもりだった。だから新野県まではそうしたのだ。
だが姉の劉元は、道すがらの危険を言い募り、夫にかけあって一族の�ｹ禹と縁者の来歙を
従者として付けさせたのだ。”

何とも身分不相応な従者もいたものよのォ！
�ｹ禹は後に劉秀に、�ｹ氏の子なので新末の動乱が無くても掾や功曹になれたと太鼓判を押されたし、
来歙は劉秀のイトコで劉嘉の義理の兄であり、六代前の来漢は光禄大夫を拝した家柄であるわァ！
二人とも従者を務めるような微賎の輩ではないわァ！

「仕宦當作執金吾、娶妻當得陰麗華」
塚本光武帝では史実を全く無視したストーリー展開であると聞き及んでおるが、
このエピソードだけは採用されたわァ！
さてここでひとつ、執金吾の地位について解説させてもらおうかのォ！

執金吾（新の官制では奮武）は中二千石の官であるわァ！
漢では官の等級を俸給の額で表現しておってのォ！
たとえば二千石は年に二千石の穀物（おおざっぱな数字だがのォ！）が支給される地位なのだわァ！
もっとも前漢も後半では俸給は穀物ではなく銭で支払われるようになったのだがのォ！
それはともかく、漢の官位のトップは万石、これは宰相クラスだわァ！
ついで中二千石、これは九卿と呼ばれる閣僚クラスの官位だのォ！
九卿にはいろいろなカウント方法があるのだが、ここでは触れぬことにするわァ！
要するに執金吾とは閣僚クラスの顕官であるわけだのォ！
しかも劉秀の家系は父が県令（六百石〜千石）、祖父が�ｷ尉（比二千石）、曾祖父が太守（二千石）と、
一度も中二千石の官に就いたことがないのだわァ！

すなわち劉秀が執金吾の地位を本気で望んでいたとしたら、
ちょうど明治の若人が青雲の志を胸に抱いて
「末は博士か大臣か」と嘯いたのと同じような思いであったということよのォ！
ただの戯れ言気分で言ってみただけかも知れぬがのォ！

馬援が先祖のせいで出世がおぼつかないことになっておるわァ！
たしかに馬援の四代前の先祖の弟・馬何羅は謀反を起こして誅殺され、
祖父と父とは顕官に就くことができなんだわァ！
しかし漢から新へと命が革まったおかげで馬援の三人の兄は
みな二千石の官となったのだわァ！
先祖の罪は漢の滅亡とともにチャラになったわけだのォ！
要するに王莽が皇帝にならなければ、馬氏はずっと日陰者のままだったわけだのォ！
しかし世に馬援に言及する書は数あれど、そのことについては誰も指摘せぬわァ！
まこと世間は敗者に冷たいものよのォ！

あと馬援が黄山宮の衛兵を勤めておったわァ！
実際には郡の督郵であったのだがのォ！
この分では出身経歴が史実通りの人物の方が少ないかも知れぬのォ！

＞しかし世に馬援に言及する書は数あれど、そのことについては誰も指摘せぬわァ！
我輩が知る限り、陳舜臣「続･中国任侠伝」収録「伏波将軍まかりとおる」ではその件に触れていたわァ！
だが、その陳舜臣も「小説十八史略」では光武帝には頁を割かなかったのォ！

馬援の、というか馬一族のやってることといったら
明らかに歴史改ざんなのに美談にされるお国がらだもののォ！
万事、歴史とは勝者に都合のいいものだわァ！
でも馬援を語るさい、馬何羅がセットで語られてる現状を見ると、
はたして馬援のしたことに意味があったのか疑問すら覚えるわァ！

>>377
直しきってなくて一部馬通・馬何羅のままになってるのが班固の良心なのか直しきれなかっただけなのか
班固自身も外戚伝に自分の一族を滑り込ませたり知り合いの家が王莽に協力した事実を抹殺しようとしたりしてるから、まあそれくらいはカワイイものだよ

>>378
馬通、馬何羅の部分は班彪の記述部分で子としては直せなかったんじゃね？
とか原文も精査せずにいい加減なこと言って見るわァ！

＞我輩が知る限り、陳舜臣「続･中国任侠伝」収録「伏波将軍まかりとおる」ではその件に触れていたわァ！
ご指摘感謝だわァ！
陳氏は『小説十八史略』で王莽をほとんど全否定的に描写しておったので
てっきり他の著作でも同様と思い込んでしまっておったのだのォ！
それではここで陳氏が『小説十八史略』で光武帝を詳しく書かなかったことについて
愚案を述べさせていただくわァ！

吾輩のドドメ色の脳細胞をフル回転させた結果、環境のしからしむるところ大であったと結論づけたわァ！
『小説十八史略』がサンデー毎日に連載を開始したのは1974年、大陸では
いまだ文化大革命の終息を見ぬ時代であったわァ！
日本では産経のような一部のマスコミを除けば文革を人間の解放と礼賛し、
その悲惨な現状は全力でスルーされておったわァ！
天安門事件、ベルリンの壁崩壊、ソ連の崩壊といった社会主義の完全な失敗によって
日本は九十年代ようやく愛想を尽かしたのだのォ！
そのような時代に執筆された小説が光武帝に好意的なはずはないからのォ！
そのことを端的にあらわす文章として、文庫本第三巻316ページに

“食えなくなった農民は、どんなことでもする。彼らのエネルギーを、有効に集め、
正しいルートにみちびいて行けば、大きな力を発揮するものなのだ。
惜しいことに、赤眉軍も緑林軍も、指導者に人を得なかった。
　農民政権樹立の可能性は消え、彼らの決起は光武帝のような豪族に利用されることになった。
光武帝によってはじめられた後漢王朝は、乗っ取った政権といえよう。”

と、まるで共産党の御用史家のようなことを書いておられるわァ！
何やら光武帝が唾棄すべき反動主義者、社会主義の芽を摘んだ悪逆無道の修正主義者、
革命の成果を独り占めした卑劣な帝国主義者、神聖なる階級闘争を私物化した資本家の走狗、
そんな感じの評価であるのォ！
もっとも赤眉軍による掠奪を避けたりはしておられぬので、
陳氏は必ずしも中共のスポークスマンというわけでもないわァ！

また、批林批孔運動の余波も受けておる可能性は高いのォ！
王莽と同様に光武帝もまた儒教大好き知識人だったからのォ！
儒教と言えば旧時代の遺物、偉大なる中華文明の躍進を妨げた
封建主義の象徴（という設定）が当時の共通認識であったのだわァ！
あと吾輩の見るところ、陳氏が漢の宣帝を高く評価するのは儒教に批判的だったからだと思うのだわァ！
宣帝といえば瑞祥好きだったり、元帝期の宦官専横の端緒を開いたりと、
割とやることやっているのだが、その辺はスルーされておるのォ！

加うるに、光武帝が支那の巷間では意外と評価されていないことも挙げられるかのォ！
京劇『打金磚』では劉秀は泥酔して雲台二十八将を鏖殺する勅令を下し、
霊に祟られて狂死する末路を迎えるのだわァ！
また『説唐』でも同じように酒に酔って二十八将を誅殺し、唐の太宗に転生するという
筋書きなのだわァ！
元曲『趙礼譲肥』では馬武ばかりが目立って光武帝は名前しか出て来んのだわァ！
支那の歴史小説が塚本氏も裸足で逃げ出す史実ガン無視の集大成であることについては、
小松謙『中国歴史小説研究』を参照することをお勧めするわァ！
民間伝承とはまことにカオスよのォ！

加うるに、光武帝が支那の巷間では意外と評価されていないことも挙げられるかのォ！
京劇『打金磚』では劉秀は泥酔して雲台二十八将を鏖殺する勅令を下し、
霊に祟られて狂死する末路を迎えるのだわァ！
また『説唐』でも同じように酒に酔って二十八将を誅殺し、唐の太宗に転生するという
筋書きなのだわァ！
元曲『趙礼譲肥』では馬武ばかりが目立って光武帝は名前しか出て来んのだわァ！
支那の歴史小説が塚本氏も裸足で逃げ出す史実ガン無視の集大成であることについては、
小松謙『中国歴史小説研究』を参照することをお勧めするわァ！
民間伝承とはまことにカオスよのォ！

ここでさらに余談を述べさせていただくわァ！
『三国志演義』を説三分であるからといってことさらに低い評価を下す輩が氾濫しておるが、
他の演義小説に較べればずっとマシであることを指摘させてもらいたいわァ！
羅貫中は『三国志平話』等の先行する小説・講談から可能な限り荒唐無稽な虚妄譚を廃し、
士大夫の観賞にも堪えうる見事なエンターテイメント作品を作り上げたのだわァ！
四大奇書の一に選ばれておるのは伊達ではないのだわァ！
そもそも日本人が三国志に親しむきっかけになったのは正史の正確性によるものではなく、
演義の面白さが江戸時代から連綿と受容され続けた結果であることを忘れてはならぬのォ！
その辺の事情を解さないと最悪の場合、

「『三国志演義』はフィクションが混ざっておっていけぬのォ！
しかし他の演義小説はきっと史実に忠実でなおかつ面白い作品に決まっておるわァ！
日本で読まれておらぬのはモノの価値の判らぬ不明ゆえよのォ！
偉大なる中国サマの文学作品の素晴らしさに気づかぬとは哀れな話だわァ！
ここで吾輩が『隋唐演義』や『説岳全伝』などを翻訳して紹介すれば、
吾輩は一朝にして中国文学の第一人者となれようのォ！」

と算盤を弾いて大コケにコケて取らぬ狸の皮算用に終わることになるわァ！
や、誰とは言わぬがのォ！
某田中芳樹氏のことなど毛頭考えておらぬわァ！

塚本光武帝については語ることがほとんどなかったのォ！
呂母サイドであるために史実に抵触しないフィクションの部分が多くて突っ込みどころが少ないのだわァ！
あえて言うなら樊崇が最初から三老の地位にあることくらいかのォ！
史実では百余人を率いて挙兵して泰山に隠れた後に群衆のリーダーとして三老を自称したのだわァ！

起伏の無いサクセスストーリーって物語としては面白くないからねえ
劉邦程度に負けたり酷い目に遭ったり自分も酷いことしたりするくらいの方が物語としては色々面白いんだろ

>>他の演義小説はきっと史実に忠実でなおかつ面白い作品に決まっておるわァ！

ああ、そう思っている人もいるかもしらんね…
三国演義に比べたら、荒唐無稽を通り越して、構成が破綻しているだけどなぁ。

>>387
劉秀も結構酷い目に遭ってるぞ
敗走するとき姉と3人の姪を見捨てなくてはならなかったり、
陰謀で兄を殺されたり、部下の略奪が原因で親類に背かれたり

>>389
自分で子供を捨てて逃げたり、人質になった親父を見捨てたりするような業がまだ足りないな

基本的に善人だからな、光武帝は・・・
臣下の諫言を聞かず御忍びで街に遊びに行ったため、宮殿に入れてもらえなかった・・・
会議中に美人画を見ていることを家臣に注意された・・・皇帝即位後も前線に出て自ら得物を振るい、敵に捕らわれかけた・・・
廃した皇后を次男に預け、時々会いに行った・・・駄洒落が好き・・・占い好き・・・
20のとき10歳の少女に恋をし、9年後、妻とした・・・
どれも>>390の言う業とは違うな・・・

>>391
ま、嫌いというのとは違うし一つ一つは面白かったりカッコよかったりするエピソードだけど、そういう話ばかり繋げても面白い物語かどうかは怪しいと思うんだよね

いや、ロリコンは十分業が深いと思うわァ！

光武帝はファンサイトまであるから面白い人物なんだよね。
確かキャッチコピーは「冗談で皇帝になった男」。

呉越舷舷てどうですか？
呉越の話を読みたいのですが、残念ながら氏の小説しか見つからず。
図書館で借りるつもりなので、地雷でもかまわないのですが。。。

>>395
地雷としかいえんのだわァ！
みどもがこの著者を見限る所以となった作品だのォ！

〜をテーマにした作品を読めるのは、塚本青史だけ！

って言う、一昔前のジャンプシステム。
これが塚本青史生存の最大の原因だわァ！

呉越なら海音寺潮五郎「中国英傑伝」「孫子」陳舜臣「小説十八史略」「ものがたり史記」
などが良いかのォ！
ところで塚本光武帝(上)の作品紹介
＞白水郷のほとりに、とんでもない緋桃色の大鯉出現。新資料により、2000年前の人物の盛衰を迫力十分に描く、書下ろし傑作長篇。
にある新資料とは何の事なのかさっぱりわからんのだわァ！

>>398
それ当時から話題だったけど、後漢書の邦訳のことじゃないのかな

そこらの小説を資料にして描いたとしても塚本を越えられる書き手は雲霞のごとく
俺はその一人と信じてこの隙間産業で身を起こそう
差し当たって安能氏から学としよう

アイキャンフライ

エマージェンシーだわァ！　エマージェンシーだのォ！
本日もレビューという名の重箱つつきが始まるわァ！

“「それゆえ物が動かず、馬適求も困っておるというのか」
「さあ、御曹司。そこなのです」
「！……というと？」
「……どこまで、そのお方が本気かということです」
「ほ、本気？」
「そうです。つまり、馬適求というお方、……いや、馬適氏だけを言えば、
劉氏よりもずっと格下ですが」
　劉秀は、李守がなにを言っているのか、よく判らなかった。
「李守殿の言うこと、みどもには理解しかねるが」
　劉秀が率直に言うと、李守は深呼吸して再び腹を決めたようだ。”

“「え、おぬしには判るか？」
「判ると言われれば困りますが、推測ぐらいはつきましょう」
「どのように？」
「黄山宮は、放火です。だから、その下手人が流した噂でしょう」
「なぜ、下手人が？」
「噂を浮浪人に流せば、このようになると踏んだのです」
「このようにとは、彼らが住み着くということか？」
「そうです」
「なぜ？」
「世間では、下手人を、逃げた匈奴だと決めてかかってますな」”

“「せっかく建てた住まいを、流されることなどあるのか？」
　李守に言いながらも、劉秀は莫迦な質問だと思った。黄山宮は、やや高台にあるのだ。
渭水が氾濫しても、まず水に呑まれることはない。あるとすれば洪水で、離れ小島状態に
なって取り残されることだろう。”

秀才だの学士だのと持ち上げられておる割には察しの悪い男だのォ！
才知の閃きという奴が全く感じられぬわァ！
特に二番目に引用した箇所など『一休さん』のどちて坊やを思い出してしもうたわァ！
塚本氏は劉秀を魅力的に描くことを最初から放棄しておるとしか考えられぬのォ！

塚本節の一つに、会話のみによるストーリー進行が挙げられるのォ！
この場合、一人だけでダラダラと喋っていたのでは平板で面白みがなくなるので
もう一人を配して合いの手を入れさせる必要があるのだわァ！
そのキャラクターの血のめぐりを悪く設定して質問ばかりさせておけば
説明的口調も少しは自然になる算段であるわァ！
塚本作品の登場人物のほとんどが鈍物に見える理由もそこら辺にあると愚考するわァ！
劉秀の従者あたりの配役で架空のキャラクターを登場させ、
そいつをスケープゴートにすれば（要するに太郎冠者的キャラだわァ！）劉秀の地位も守られ、
おまけに両者の個性は両極端なのでお互いに存在感を増し合うはずだがのォ！

会話だけでストーリーを進行させるのは地の文章による長々とした解説で
読者の興味を逸らすまいとする塚本氏一流の技法なのやも知れぬが、
おかげで劉秀その他が馬鹿に見えてしまうとしたら
差し引きしたときマイナス部分が大きすぎると愚考するがのォ！

作中で淡桃鯉が王莽の母の生まれ変わりという詐欺を原渉が働いておったが、
転生は仏教の発想であって儒教にはないはずなのだがのォ！
儒教では死ねば黄泉に堕ちてそこで死後の生活を始めるのだわァ！

ついでに友人と資金を出し合って驢馬で運送業を始めた話や、
朱祐とワリカンで蜜を買ったエピソードについては一切語られず仕舞いであったわァ！
塚本光武帝だけを読んだ人にとっては劉秀の留学生活は
まったく逸話のない退屈な日々であったと思われるであろうのォ！
ただでさえ劉秀は面白みのない男という通念が流布されておるというのに、
これではますます劉秀が不人気になるだけだわァ！

>>404
大丈夫だ、塚本光武帝を読んでいる人間なんて相当限られてる
影響はほとんどないだろう

確かに、あえて好ンで塚本青史を読むなンて、
光武帝好きなど一部の人間に限られるわけだわァ！
しかし、この一部以外が読まンとすれば、問題は深刻としか言えンわァ！

身銭切っているンだから、マンセーぶりが鼻につくとはいえ、
無料で楽しめる光武帝ファンサイト以上のクオリティは欲しいものだのォ！
ttp://www.geocities.jp/kaysak864/

>>405
宮城谷で中国史小説にはまって、読みあさってる時に
偶然ﾌﾞｸｵﾌで塚本光武帝発見。
「この時代はまだ読んだことなかったなあ・・」

そんな一瞬の気の迷いのせいで、光武帝アレルギーに
どんな話だったか一行も覚えてないｗｗｗ
レビュー読んでも思い出せないよ・・

力士都に感情移入しちゃったから割と楽しく読めた俺は異端かのォ？

力子都だったわァ！

ファンサイトなんてあったのか　
それだけ魅力的な人物だったということなんだろうな

よし俺も塚本光武帝を読んでみ（ｒｙ

421 ：名無しさん＠お腹いっぱい。：2008/01/21(月) 18:10:52 ID:+gX6uQ5F0
塚本��史の「凱歌の後」（講談社文庫版）を購入。
まあ内容はともかくとしてだ、

「『凱歌』が『垓下』の掛詞であると判る方は、いわゆる中国史通といえる。」
（後記より）

まったく大したセンスだのォ！
到底マネなどできないわァ！

('A`)

塚本はもう当分1から勉強して出直したほうがいいよ。
その間に他の人がいいもの書いてくれるしね。

568 ：名無しさん＠お腹いっぱい。：2008/02/27(水) 22:18:30 ID:VACjLNBG0
>>567
＞1から勉強して出直したほうがいいよ。
肥水の戦いを書きたいと言っておきながら、出してる本の内容は史記・漢書・三国志を読むだけで書ける時代に限られているんだよな
「中国英傑伝」で人物を時代ごとに分けるのに春秋戦国・秦楚漢・三国・中世〜近代なんて分けかたしてる時点で勉強する気なんか無いだろうよ

569 ：名無しさん＠お腹いっぱい。：2008/02/27(水) 22:44:50 ID:kOgDWJP10
>>三国・中世〜近代

おいいいいい！！！
近世は？　唐宋変革は？？
中国史の一大転換期はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ！！！？

571 ：名無しさん＠お腹いっぱい。：2008/02/28(木) 00:15:00 ID:7NjnQr3z0
>>568
「中国英傑伝」なんかしらなかったのでアマゾンで見た。
書評がボロクソだが、これでも光武帝の評価よりわずかにマシなんだな

572 ：名無しさん＠お腹いっぱい。：2008/02/28(木) 08:00:12 ID:RTFoXsbm0
>>569
李世民や李靖、趙普や文天祥がだのォ！だわァ！言うくらいなら無視してくれて結構ｗ

小池一夫風味の喋り方の人が紹介されたサイトは吾輩もたまに覗くわァ！
そのたびに光武帝のあまりな持ち上げっぷりに辟易してすぐに退散するのだがのォ！
このサイトの管理人氏は光武帝が主人公の武侠小説を執筆するおつもりらしいが、
光武帝サイドを全肯定して都合の悪いことは敵対者に押し付けられる
種や種死のごとき駄作に終わる悪寒がそこはかとなく感じられるわァ！
それでも出版されれば確実に読んでしまうと自覚しておるのが救えぬのォ！
ところで小池一夫で真っ先に脳裏に浮かんだのが以下のやりとりであるわァ！

郭聖通「どうしてエレクチオンしないのォ！」
光武帝「愛してないからだわァ！」

我ながら下らないこと考えるのォ！

>>413
光武帝がほんとうに愛しててエレクチオンするのは郭の方だったんじゃねえの？皇后から落とした後も抱きに行ってたんだろ？
通説と違って、陰を嫁にっていうのは「南陽豪族バックにつけてのし上がったる」という政略結婚のことだったのかもしれんし

新末の大イベントの一つ、呂母の乱が起こったわァ！
呂母がすでに力子都や樊崇と面識を持っているのは史書の記述と食い違えども、
個々の人物の結び付きを強固にするための技法であるので、
これくらいのフィクションは目を瞑るべきものと思うわァ！
他はおおむね駄目駄目なのだがのォ！

呂母が海上に出ずに県宰を殺したわァ！
また、海曲県の役人たちが県宰の命乞いをせなんだわァ！
どちらも『後漢書』には書かれているのに『漢書』では省かれている部分だわァ！
先進諸氏の指摘する通り、塚本氏は『後漢書』に目を通しておらぬ模様だのォ！
塚本光武帝が上梓されたのは2003年、当時は岩波版後漢書がすでに半分ほど
刊行されておったので、ズボラをせぬ限りは史料に不足はなかったはずなのだがのォ！

史料が足りない部分は当然ながら頭の中で拵えられた創作で埋められておるのだが、
それが退屈で冗長で薄っぺらくて歴史ロマンを全く感じさせない
シロモノに仕上がっているあたりが塚本節よのォ！
読むだけ時間の無駄であるわァ！

まじめに読む気が起きぬせいでレビューまでつまらぬものに成り下がってしもうたわァ！
強烈なネタが欲しいところよのォ！

全くもってどうでもいいことだが、
233氏が種や種死をご存知とは思いもよらなんだわ。

塚本作品一覧
(中国物)
孫子伝
史記遊侠外伝一諾
三国志曹操伝(上中下)
凱歌の後
呉越舷舷
裂果 趙襄子伝
張騫
始皇帝
光武帝(上中下)
斗宿星
��光
王莽
項羽 騅逝かず
呂后
白起
蔡倫
��去病
(その他)
妃・殺・蝗
中国英傑伝
業平の窓
マラトン
塚本邦男の宇宙 詩魂玲瓏

順不同だわァ！抜けているのがあれば教えてほしいのォ！

劉秀が常安から帰途についてお使いイベントを果たしたわァ！
前回に輪をかけて平板な内容であったのォ！
二日前に読了したジェイン・オースティン『高慢と偏見』もおよそ事件の起こらぬ小説であったが、
心理描写の妙と洒脱かつ知的な会話とで全く退屈を覚えなんだわァ！
登場人物がみな単純な頭をしていて、卑俗かつ無知的な会話を交す塚本小説とは雲泥の差であったのォ！

“「てへっ、そこまで不自由な暮らしをせねばなりませんか？」
「おまえは、またこれだ。一緒にいては、命が幾つあっても足りぬわァ」”

李通と李守との会話であるわァ！
李守の語尾も塚本節がキいておるが、李通の“てへっ”の前にはインパクトも霞むのォ！
いや実際のところ“てへっ”とは何のつもりなのかのォ！
李通はイマドキ流行りの萌えキャラとして売り出す所存なのかのォ！
三十前後のヒゲ面オヤジが自分の頭を軽くこづいて舌を出して語尾に星形マークをくっつけて
“てへっ☆”とやろうものなら吾輩は殺意の衝動を抑えきれる自身がないのォ！

“「おまえが宴会ばかり開くから、儂の体が鈍るのだ」
「そりゃ、違いねえ。それじゃ道中は、酒を抜きにしますか？」
　口に入れるものを、せっかく酒を持ち込んできたのにと、李通は膨れっ面をして
意地の悪い提案をした。
「それだけか？」
　劉秀も負けずに売り言葉を放った。
「それじゃ、女も抜きにいたしますか？」
　李通が買い言葉で受けると、劉秀は戯けて思案顔をする。
「女はなくてもよいが、やはり酒は、ちと困るな」
　その返事に、�ｹ禹と来歙は弾けるように笑う。
「へえ、吾しとは反対だ。女日照りだと、仕事もなにも嫌になりますがねえ」
「そんなものか？」
「『そんなものか？』はないでしょう。全く、堅いおひとだ」
　李通は呆れながら干物を頬張りだした。”

野卑に過ぎてたまらぬ会話だのォ！
こいつらホントに当時の上〜中流階級の人間なのか疑わしいわァ！
地下人や浮浪人のセリフとさほど変わらぬというのが遣り切れぬのォ！

興味の湧かぬ陰謀ばかり書かれていて、ストーリーが習字用の半紙よりも薄っぺらいわァ！
早いとこ舂陵劉氏が蜂起してくれぬかのォ！
レビューする気がなければさっさと読み飛ばしてしまいたいところだわァ！
しかし塚本光武帝を読んでいると、東南アジアの森林資源の無駄遣いについて
しばしば思いを馳せてしまうわァ！
環境問題に目覚める分については意外と優れておるやも知れぬのォ！

こんなおっかない人がやる夫李斯を見てるのかと思うと、
代わりに書いてくれと思ってしまう。

>>419
荊軻も書いてるのぉ！

乙
なんか書いてることがどんどん辛辣になってるなｗ

ところで高慢と偏見を読んでみたくなった
誰の訳がお勧めかおしえてくれないでしょうか
スレチで申し訳ない

塚本作品一覧
(中国物)
孫子伝
史記遊侠外伝一諾
三国志曹操伝(上中下)
凱歌の後
呉越舷舷
裂果 趙襄子伝
張騫
始皇帝
光武帝(上中下)
斗宿星-田釐子・成子伝
��光
王莽
項羽 騅逝かず
呂后
白起
蔡倫-紙を発明した宦官
��去病-麒麟龍彗星譚(上下)
刺客荊
(その他)
妃・殺・蝗
黄土の虹-チャイナ・ストーリーズ
中国英傑伝
業平の窓
迫迫-送春短編集
水無月祓
マラトン
>>425
指摘、感謝だわァ！修正したわァ！
あと、お父上の詩集は外したわァ！

ttp://www.gamecity.ne.jp/media/book/report/200712/
貼り忘れたわァ！

>>427
お役に立ててなによりだわァ！
みどもが購うたのはこれくらいかのォ！

史記遊侠外伝一諾
凱歌の後
呉越舷舷
裂果 趙襄子伝
張騫
斗宿星-田釐子・成子伝
��光
王莽
項羽 騅逝かず
呂后
白起
蔡倫-紙を発明した宦官
��去病-麒麟龍彗星譚(上下)
妃・殺・蝗
マラトン

半分は単行本・文庫ともに手に入れてしもうたわァ！
なんとも散財の限りを尽くしてしまったものよのォ！


くやしいのォ！ くやしいのォ！

それだけ買うとざっと計算して3万円。
そんな散財できるとは429殿は財閥でござるのォ！
図書館借り組の吾からすれば信じられんことだわァ！

>>430
10冊くらい、文庫で買ってしまった自分を嘆いていたが、なんか安心した。
いやー、『光武帝』とかマイナーなとこ付いてくる上、
『��光』に比べれば『白起』は面白いなぁ、とか感じてくるんだよね…。

霍を面白い字に間違えてますぞ

「かく」とも読むけど、今は「すい」って読むのか。

>>429
まっとうな意味で一番出来が悪くないのはどれでしたか？
噂に違わず題材だけは魅力満載だから気になって仕方ありません

429じゃないが、初心者なら短編がいいんじゃね？
特に前漢を舞台にしてるのはまだ読める、という感じ。
俺は呂后、一諾と順に読んだが、普通に面白いと感じた。
マイナーなの出してくるから、調べたりが楽しんでた。
これが長編だと読むのが苦痛になるからな…。

みどもを財閥などとは褒め言葉が過ぎるのォ！
認めたくないものだのォ！ 若輩であったがゆえの過ちというものわァ…

>>434
お役に立てるかは怪しいながらもお答えいたすわァ！
長編では「霍去病」、「白起」のふたつしかまともにお薦めはできんのォ！
「項羽」、「霍光」、「王莽」は貴殿の度量に委ねるといたすわァ！

「斗宿星-田釐子・成子伝」、「裂果 趙襄子伝」、「呉越舷舷」には気の迷いでも
手を出してほしくはないのォ！

短編なれば、「呂后」、「凱歌の後」、「張騫」、「蔡倫」の順に読むべきかのォ！
初めて塚本作品に手を出す御仁には、まずはこのあたりから読んで免疫を
つけるべきだわァ！

ついでながら、短編でとりあげられておる人物を詳らかにしておくかのォ！
「呂后」　呂后、朱虚侯・劉章、淮南王・劉長、周亜夫
「凱歌の後」　臧荼、曹姫、韓信、趙姫、彭越、簿姫、黥布、戚姫、盧綰
「張騫」　張騫、司馬遷、雋不疑
「史記遊侠外伝一諾」　朱家、田仲、季心、劇孟、王公、郭解

といったところだのォ！
いずれに手を出されるか、目安となればさいわいだわァ！

…しかしなんとも、我が事ながら、よくもここまで手を出してしまったものよのォ！


虚しいのォ！ 虚しいのォ！

霍去病はあれでもまともな方なのか。
東方朔に耐えかねて途中で投げ出してしまったが
読んでみるか･･･。

恥ずかしながら、霍去病のときは儲だったからのォ!
遠征中の霍去病たちが休憩のため入った洞窟で明かりをつけると
恐竜の骨を発見してしまい、
「霍将軍は常人とは違うのォ!　竜の化身に違いないわァ!」
とかの演出はわりとよかったと思うんだわァ!

その頃塚本は墨攻漫画版を読んだ直後だったりしてな

短編集の「張騫」では雋不疑の話は面白かった
そして司馬遷の話はいろんな意味でキツかった…

>>385
ｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗ
田中よしき（笑）

マイナーなのやって成功したのは安能務くらいだろ。
いや正しくは藤崎竜か。
そのうち北方が岳飛やらかす可能性があるが…。

また通り一遍のハードボイルドになりそう
というか北方はもう少し文章力と語彙を豊かにしてから書いてくれと

>>442
漫画はありゃもう、しょっぱなから完全に別物だろ。
成功とはいわん。

>>442
北方は今「楊令伝」の中で岳飛出してるから多分また岳飛は書かないと
思うよ

>>442
封神は中文系の大学教授から思いっきりダメだし入ったけどな。
むしろ成功して影響力大きくなったから大学教授レベルが無視できなくなったんだろうけど。

>>443
北方はあれはあれで文章力豊かだろう。
自分のスタイルを確立していて何を書いてもブレがない。
まるで歴史小説向きではないのが欠点なだけで。
完全フィクションで実在の人物はゲスト的にしか出てこない時代小説ならアレが生きて来るんだろうが。

アク禁くらってこれまで書き込みできなんだわァ！

吾輩、『高慢と偏見』は講談社文庫版しか読んだことがないので訳の善し悪しは量りかねるのォ！
最寄りの図書館に所蔵されているのを借りて読めばいいと思うわァ！
なおBBC製作のドラマがニコニコ動画に上げられているので視聴することをお勧めするわァ！
視覚的イメージを捉えるのに打ってつけよのォ！

ttp://www.nicovideo.jp/watch/sm4605882

“ちなみに、雲梯や衝車をはじめとする攻城兵器のほとんどは、平和主義者墨家の発明である。
彼らは、攻めることを否定する思想から、防衛を主体とした戦いを専門的に請け負う傭兵集団だった。
だが。守りを突き詰めて考え抜いた結果、攻撃を仮想し過ぎて、当時としては究極の攻城兵器を
考案するようになったと思われている。”

吾輩、墨家集団が防御戦術をよくしたことや守城兵器の開発に従事していたことは存じておるが、
攻城兵器を考案したとはあまり聞かぬのォ！
そもそも雲梯は墨子でなくて公輸盤の発明と『墨子』に伝えられておるわァ！
『史記』好き日本人からすれば、公輸盤とは墨子と戦術シミュレーションを行って
完敗を喫したイメージが強いであろうが、支那では工匠の神として尊敬を集めておるわァ！

“「哥兄も、お楽しみでしたね」”

力子都が遅昭平とよろしくやった翌朝にかけられた言葉であるわァ！
オノレはドラクエ�Tの宿屋の主人かのォ！

ようやく歴史物に相応しい大規模な会戦が行われるようになったわァ！
その割に血も沸かず肉も踊らぬのが塚本節の真髄よのォ！
氏の処女長編『霍去病』でも飛び道具の応酬だけで戦闘が終わって
「これは一体なんなのかのォ！」と手許の本を取り落としそうになった憶えがあるわァ！
しかし塚本光武帝で人食い蟹の大発生が勝負の明暗を分けたのには
筆舌に尽くしがたい衝撃を受けたわァ！
なお第八章（AD19年）で赤眉軍の討伐に廉丹が派遣されておるが、実際には
地皇三年（AD22年）の話なのだがのォ！

乙。　公輸盤についてのエピソードは興味深いな　
あと
＞人食い蟹の大発生が勝負の明暗を分けた
これマジ？　なんという超展開ｗ

しばらく見ないと思ったらアクセス禁止とはのォ！
それにしてもニコ動まで精通しておるとは、
233殿の博覧強記なること驚くものだわァ！
是非に年齢を知りたいものだのォ！

むしろコンヨウの戦いがいつのまにか
終わってたことの方が強烈だったから蟹は忘れてたのォ！

　　　ﾄ､ﾄ､ﾄiヽ
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　ﾄﾞ　　　　　　ﾙﾘ
トﾞ　　 r"⌒""ｰ`L/
iヽ　 ／＿＿ハ＿｣
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`/::/::::ﾊﾄi、ヾ::ヽ
ｉ:ﾉ|ﾙiｲﾚr―"`i-ﾐ:jﾘ
｜ﾉくﾉﾉ　( ｡iﾉ〔｡{/
ﾉ|た||　u`"" r_ >ﾞﾘ､
ﾌﾞこjﾘ U r―――っ<
７くﾉリ　||￣￣|l/-､
ｌ　/ｉ　||-､、|ﾘ　i
ｌ /　ヽ |i ) )}　 i
ｌ､　　ヽヽ`二ノ∧∧
/＼　/-７`―-"＜あは
　　　　　 　∠ ぁあ
　　　　　 ／ ∠あ!!
　　　　　　／ /ＶＶ

誤爆だわァ！！

しかし流れ的にはあまり誤爆でもないのォ！
人食い蟹の詳細が気になって塚本光武帝に手を出してしまいそうだわァ！

濡れ場でwktkするお年頃ではないが、
この人の描写はどうにかならんのかのォ！
下卑た感じでどうにも好きになれぬわァ！

「下世話」とか「俗悪」という言葉を思い出してしまう。

それを楽しむのも乙なもんですぜ！

トシを訊かれたのでお答えいたそうかのォ！
吾輩がこの銀河を統括する情報統合思念体によって
対有機生命体コンタクト用ヒューマノイド・インターフェースとして造られたのは
三年前のことだWAWAWA忘れ物だわァ！
それでは本日もごゆっくりだわァ！

人食い蟹の詳細についてはここでは触れぬことにさせていただくわァ！
是非とも知りたい方は塚本光武帝を読むことをお薦めするのォ！
そして銭形警部に

「233はとんでもないものを盗んでいきましたのォ！
　あなたの時間ですわァ！」

と言われるのだわァ！

>>458
呂后の狂犬病から進化してるな、悪い意味で

塚本氏の超必殺技・魅力デフレスパイラルがみンごと伯升に炸裂したわァ！
吾輩の見るところ、伯升はやる夫光武帝のDIOがハマリ役のDQNな英雄であると思うておるが、
塚本光武帝では嫉妬深くて乱暴で文句ばかり言って頭の回転は悪いという
ヤクザ映画の斬られ役の若頭みたいな嫌われ者に成り下がっておったわァ！
歴史上の英雄を低俗に描くことに関しては塚本氏の右に出るものはおらぬわァ！
誰も右に出たがらないのが最大の理由であるがのォ！

劉玄が食客の曹竟と謀って隨の県宰以下百名を皆殺しにしたわァ！
犠牲者の耳に溶けた鉛を流し込むというチンギスハン流の殺害方法であったわァ！
ちなみに劉仲は考えなしに鉛を噛んで材質を確かめようとしたわァ！
コヤツは何でも口に持って行きたがる五歳児かのォ！

なお『漢書』によれば曹竟は字を子期といい、官を辞して王莽に仕えなかったところ、
更始帝に徴されて丞相（正確には左丞相）に任命されたのだわァ！
要するに劉玄の挙兵以前に食客になっておるのは不自然きわまりないのだわァ！
ちなみに徴（徴招）とは皇帝による官吏の登用をいうのだわァ！
大将軍・太傅・三公・太守・�ｷ尉などの場合は辟（辟召）と呼ばれたわァ！
くわしくは五井直弘「後漢時代の官吏登用制「辟召」について」を読まれたし、だのォ！

塚本氏ほど史実という名の枷から自由な歴史小説家は少ないであろうのォ！

隨の県宰以下を殺したことで劉玄は緑林に身を潜めることになったのであるが、
これも史実とは違う展開だのォ！
『後漢書』によれば劉玄の客が法を犯したので平林に身を隠すことになったのだわァ！
このとき官吏は劉玄の父を人質にして劉玄を誘き寄せようと企んだわァ！
すると劉玄は死んだと偽って自分の棺を故郷に担いで行かせ、
官吏に父を釈放させたのだわァ！
頭も切れるし度胸もある豪傑だのォ！
それなのに劉玄は『後漢書』において、光武帝と対立するようになった途端に
救いようのない愚物として扱われるようになるのだわァ！
唐の劉知幾は、『後漢書』で劉玄が即位の際に恥ずかしがって汗を流したと書かれておるのを
曲筆によるものと断じておるわァ！
吾輩も劉知幾の説におおむね同意するものであるわァ！

魅力的つーか印象に残るのが李軼と力子都と呂母と郭聖通だからのォ！

光武帝陣営の諸将の印象の薄いことｗ

たとえば光武帝の業績の一つとして『漢書』や『後漢書』では五銖銭の復活を挙げておるわァ！
しかるに最近の考古学的発見によれば更始帝がすでに五銖銭を発行していたのだわァ！
それなのに史書には一言も記されておらぬわァ！
山田勝芳『貨幣の中国古代史』から抜粋しようかのォ！

“後漢王朝にとっては、王莽政権同様、更始政権は否定すべき存在であった。そのため、後漢時代に
編纂された歴史書を材料として編纂された『後漢書』でも、もとの歴史書の内容を反映して、更始政
権に関しては批判的に書いていることが多い。王莽の諸制度を廃止し、前漢の諸制度を復活したのは、
更始政権ではなく、後漢王朝の創始者光武帝であるべきだったからである。後漢では、このような王
朝を正統化しようとする強い意志が働いていたのである。”

おそらく五銖銭の一件は例外的曲筆ではなく氷山の一角であり、
更始帝の善政や功業で光武帝のそれとカブるものは
ことごとく抹殺されたと考えるのが自然というものよのォ！
光武帝が英雄であることは間違いないものの、班固や范曄の主張を盲目的に全肯定するのは
きわめて危険ということだわァ！

>>460
> 誰も右に出たがらないのが最大の理由であるがのォ！

ワロタｗｗ

233の経歴は不明ながら東洋史から東方まで
幅広い分野の知識を持ってることが分かった。

アレだ、逆に考えるんだ。
史実の光武帝は塚本氏の描く程度で、
史書の方がおかしいって考えるんだ。
…つまり、塚本小説はアカシアのレコードに基づいて
描かれたまぎれもない真実だったんだよ！

>>466
ﾅ、ﾅﾝﾀﾞｯﾃﾀﾞﾜｧ！

塚本光武帝のレビューも中巻に入ったわァ！
史実との乖離が上巻よりもさらに強烈になったのォ！
むろんフィクションはフィクションとして大いに結構であり、
ときには退屈な史実よりも血湧き肉躍る虚構の方が歓迎されるケースもあるが、
塚本氏が史実の枷から解き放たれて奔放なイマジネーションの赴くままに筆を走らせたら
登場人物がことごとくみみっちい欲望を追って悪口ばかり言って味方の足を引っ張って
自陣のファインプレーではなく敵方の失策によって勝利していくという
スカッとサワヤカ感ゼロの歴史絵巻が描かれることになるのだわァ！

ここで上巻を振り返ってみると全九章のうち、奇数章が光武帝視点で話が進むのに対して
偶数章では呂母――力子都サイドなのだわァ！
おそらく光武帝と力子都とを二人の主人公に据え、二人を通して
後漢王朝と赤眉軍との性格の違いを相互に引き立たせ、なおかつ新末から後漢初にかけての
時代の流れを複眼的に書いていこうという塚本氏のテクニックであろうのォ！
……そんなふうに考えていた時期が吾輩にもありましたわァ！

しかし中巻を読んでみるとそんなことは全然なかったわァ！
光武帝も力子都もチンピラに毛が生えたような頭脳と性格の持ち主であり、
豪族・官僚・盗賊・流民の性質の違いも明確ではなかったわァ！
おかげで視点がコロコロ入れ替わるデメリットばかりが目立って
読みづらいことこの上なかったのォ！

劉良がやたらと反乱に乗り気なように描かれておったわァ！
『後漢書』によれば劉良は反対派で、志操を同じくしていた（と思い込んでいた）劉秀が
反乱を起こすと聞いて「お前と伯升との志は違うておったはずではないかのォ！」と
叱責するような人物であったわァ！
実際のところ、舂陵劉氏の反乱は伯升に引き摺られた部分が大きいのであるがのォ！
劉秀もあまり乗り気ではなかったわァ！

朱祐が劉仲の屋敷で食客になっておったわァ！
朱祐の母親は復陽劉氏の出身であり、若い頃から伯升や劉秀と仲がよく、
劉秀と同時期に常安に留学もしたのだわァ！
食客にならねばならぬほど貧窮してはおらぬはずであるがのォ！

支援だわァ！

塚本邦雄の青春　楠見朋彦　ウェッジ・ウェッジ文庫2/20

ついに舂陵劉氏が蜂起するに至ったわァ！
しかし史実との齟齬が多すぎてどこから突っ込めばいいのか判断に迷うほどであったがのォ！
塚本光武帝での蜂起のきっかけは劉秀たちが王莽の屋敷の食客と刃傷沙汰を起こしたせいであるが、
実際にはそんな目立つことは極力ひかえて深く静かに計画を進めて
舂陵・新野・宛の三箇所で一斉蜂起する予定であったのだがのォ！
ちなみに史実では宛での蜂起は劉秀と李通・李軼が担当しておったが失敗に終わったわァ！

塚本光武帝では全国で飢饉が起こる中で南陽郡は比較的豊作という設定であるわァ！
『後漢書』に「地皇三年、南陽は荒饑し、諸家の賓客は多く小盜と為る」と書かれておるのを
ご存じないのかのォ！
ご存じないのであろうのォ！
というか塚本光武帝ではかなり初期から全国レベルの飢饉が続いて南陽郡だけ別であるのだが、
十年近くずっとそうなのだから異常ってレベルじゃねーわァ！

更始将軍の廉丹が再び赤眉軍に敗北を喫して今回は戦死したわァ！
こたびも蟹が勝敗の決め手となったのがある意味では徹底しておるのォ！
廉丹といえば新を代表する将軍の一人で、赤眉軍との戦いで劣勢になったと知っても
退かず媚びず省みず更始将軍に逃走はないのだわァ！　と言わんばかりの勢いで
戦場に踏み留まって華々しく散ったのだわァ！
廉丹の死を知るや、校尉の汝雲や王隆たち二十余人は廉丹のあとを追って
ことごとく戦死したのだわァ！
それなのに塚本光武帝では廉丹は退却する軍馬の下敷きになって死んだことにされてしまったわァ！
もしかしたら塚本氏は歴史上の英雄すべてに深刻な憎悪でも抱いておるのではないかのォ！

劉秀たちが闘車部隊を率いて宛の兵士二百人を蹴散らして県の糧秣を奪ったわァ！
本当に塚本氏は『後漢書』を読んでおられぬのだのォ！
劉秀たちの宛での蜂起が失敗したことは先述したわァ！
そもそもこのときの宛には都試のために南陽郡の精鋭が集結しておったのだがのォ！
都試とは材官騎士（歩兵と騎兵）に課せられた能力テストのことであり、
年に一回、郡の首都で行われたのだわァ！
そのときには太守・�ｷ尉・令・長・相・丞・尉が臨席したのだわァ！
南陽郡のような大郡の材官騎士がわずか二百人のはずはないと思うがのォ！

ちなみに『後漢書』李王�ｹ来列伝によれば劉秀たちは都試の日を期日として
前隊大夫（南陽太守）と属正（�ｷ尉）を劫掠して大衆に号令しようとしたと記されておるわァ！
まともにぶつかっても勝ち目はないので郡のナンバーワンとナンバーツーを人質にでもして印綬を奪い、
その権限で南陽郡の支配権と正規軍とを丸ごと乗っ取ろうと計画しておったのであろうのォ！
要するに楚の項梁が呉でクーデターを起こしたのと同工異曲なのだわァ！
ところで伯升たちが小長安で敗北するまで戦勝を重ねられたのは
南陽郡の精鋭が宛に集中していたのが大きな理由であろうのォ！
もちろんそれも反乱計画に織り込み済みであったであろうがのォ！
もし劉秀たちが失敗しても伯升たちが生き残っておれば反乱の火は絶えぬと踏んだ
二段構えの計画であったのだわァ！
もっとも政府の側から見ればまことにタチの悪い同時多発テロだわァ！

劉秀たち南陽の劉氏って、王莽の親族の王立と癒着して、外戚の権力で美味い事やってたんだよね
王莽の時代になったら自分らが皇族から外されるわ、後ろ盾になってた王立も主流から外れるわだったんだよね

＞それなのに劉玄は『後漢書』において、光武帝と対立するようになった途端に
＞救いようのない愚物として扱われるようになるのだわァ！
＞唐の劉知幾は、『後漢書』で劉玄が即位の際に恥ずかしがって汗を流したと書かれておるのを
＞曲筆によるものと断じておるわァ！
＞吾輩も劉知幾の説におおむね同意するものであるわァ！

233氏、大丈夫だ？
光武帝スレで、このことを話題にしたら、かなり頭がﾔﾊﾞｲと思われる光武帝信者が
理屈にならない理屈で煽りとともに見境無い無差別攻撃に出ていたぞ・・・
光武帝信者はかなり強固だからなあ。李世民同様、捏造がある可能性を指摘すると・・

知っててやっているなら度胸あるな、と思います

>>480
ああ、なんかそういう流れあったな。
まぁ、とるにたらないんじゃないかと…　学会のセンセイならあれですが。

＞劉秀たち南陽の劉氏って、王莽の親族の王立と癒着して、外戚の権力で美味い事やってたんだよね
＞王莽の時代になったら自分らが皇族から外されるわ、後ろ盾になってた王立も主流から外れるわだったんだよね

王立とはまた面白い人物を取り上げられたものよのォ！
ちょっと説明すると、王立とは王莽の叔父であり、封国の紅陽国は南陽郡に属しておったのだわァ！
『漢書』元后伝に

「初め、紅陽侯の立は南陽に就国し、諸劉と結恩し、立の少子の丹は中山太守たり。世祖の初めて起こるや、
丹は降りて将軍たり、戦死す。上之を閔れみ、丹の子の泓を封じて武桓侯たらしめ、今に至る」

とあるわァ！
王立は亡命者をかくまったり、賓客が群盗となったりと、タチの悪い豪族そのままの人物であったので
同じ豪族であるところの南陽劉氏とはウマがあったのであろうのォ！

ちなみに『漢書』外戚恩沢侯表には

「武桓侯の泓、建武元年父の丹は将軍たるを以て戦死す、往（かつて）上と旧有りて、侯たり」

とあるので王立の死後も紅陽王氏と舂陵劉氏の付合いは続き、しかも光武帝とは古いなじみであったわけだのォ！
『後漢書』などで触れられておらぬのは光武帝と王莽の一族が仲良くしていたのでは
格好がつかないと考えたのか、あるいは光武帝の覇業にあまり影響を及ぼさなかったから
重要視されずに記録されなかったかのいずれかであろうのォ！
光武帝は伯升や劉玄と較べると大人しめのイメージがあるものの、庶人時代は亡命者や死刑囚をかくまったり、
南鳴市に拘束されて獄吏の差し入れを受けたりと、立派に侠客やっていたのだわァ！

＞233氏、大丈夫だ？
＞光武帝スレで、このことを話題にしたら、かなり頭がﾔﾊﾞｲと思われる光武帝信者が
＞理屈にならない理屈で煽りとともに見境無い無差別攻撃に出ていたぞ・・・
＞光武帝信者はかなり強固だからなあ。李世民同様、捏造がある可能性を指摘すると・・

＞知っててやっているなら度胸あるな、と思います

心配をかけて恐縮だのォ！
吾輩は反論に対しては出来るだけ歴史書や研究論文を引用し、
根拠をはっきりさせる所存なので、相手も分かってくれると楽観しておるわァ！
もっとも議論は苦手なので、できるだけ来て欲しくはないのであるがのォ！
もしかしたら完全スルーが最も無難やも知れぬのォ！

>>483
＞『後漢書』などで触れられておらぬのは
まあどう考えても前者だろうね

王充なんか、明らかに王莽らの一族魏郡元城県王氏でありながら、そのことは触れずにおかれてる
一種のタブー状態というか公然の秘密だったんだと思う
みんな知ってるけど声高にはしない、と
（班固は後漢の人なので、漢書元后伝で触れているのはちゃんと怖れずに書いているとも言える）
光武帝聖天子伝説を汚したくない後漢書は意図的に外したんだろう

劉玄が白水郷を中心として蔡陽県を舂陵と改名するつもりらしいわァ！
何を言っておるのかさっぱり要領を得ぬのォ！
そもそも舂陵郷とはもともと零陵郡の冷道県に属しておったのであるが、
劉秀たちの先祖が封地替えを上奏して納れられ、南陽郡の蔡陽県の白水郷に移住し、
そのときから白水郷は舂陵郷と改名されたのだわァ！
塚本光武帝に於いて舂陵�ｸを白水郷と呼んでおる方が不自然なのであるがのォ！

ついでにいえば史実では建武六年に舂陵は郷から県へと昇格し、また章陵と改められたのだわァ！
別に蔡陽県を併合したわけではなくて章陵と蔡陽は並立しておったわァ！
なお舂とは“うすつく”と読み、臼を突く人あるいはその行為を意味するのであるわァ！
また女性の労役刑徒の中でもっとも重い者は舂とされ、臼を突く労働を課せられたのだわァ！
たとえば「二年律令」盗律によれば660銭以上の価値のものを盗んだ女性は
イレズミを入れられた上に舂とされたわァ！
文帝十三年の刑法改正によってイレズミは廃止されて
髠刑（髻を落としてザンバラ髪にする刑罰だわァ！）に替えられたのだわァ！
当時の刑罰について詳しく知りたい方は冨谷至『古代中国の刑罰』を読まれることをお勧めするわァ！

要するに舂とはろくでもない字であって、帝郷には相応しからぬ字なのだわァ！
おそらく光武帝は故郷の地名があんまり好きではなかったのであろうのォ！

劉秀が牛に乗って挙兵したとか、
伯升が反乱すると聞いて郷里の者が逃げ出したのに劉秀も参加すると聞くと騒ぎが静まったとか、
劉秀が略奪品の再分配を行ったとか、
その手の面白いエピソードがことごとく省かれてしまったわァ！
もっとも考えようによっては面白すぎるが故に史実としては少々疑わしいと言えなくもないし、
本職の歴史家なら慎重な取り扱いを必要とされるであろうが、
塚本氏のことだから最初から知らなかったと考えるのが自然であろうのォ！
あと劉秀の麾下に二万以上の兵がいて伯升の本隊よりも多いことになっておるが、
これまた史実とははなはだ乖離しておるわァ！
実際のところ劉秀は昆陽の戦い以前はおおむね伯升の驥尾に附していたのであるがのォ！

桓譚が豊県の三老にされてしもうたわァ！
実際には桓譚は沛国相県の人で、王莽政権では掌楽大夫を務めておったのだがのォ！
ちなみに桓譚は図讖を信じなかったせいで光武帝にあやうく殺されかけたことがあったわァ！
このときのやりとりが『後漢書』や『蒙求』に収められておるわァ！
光武帝が功業のわりに不人気なのはあるいはこの辺に一因があるやも知れぬのォ！

みどもは一度塚本光武帝を読破しておるのに233 ◆w1a/4xucQw氏のレビューを見ても
何も思い出せぬわァ！ここまで史実との乖離がひどい作品という印象はなかったがのォ！
脳内フィルターで斜め読みしてたせいかのォ！

>>489
科学的な思考などが長所にはなっても、そうではないところは
余程度を越さない限り、人物像の根幹に関わる短所とまで見る人は少ないんじゃないかな。

それに欠点を言いだしたら、彼より遥かに欠点ある人物で、
彼より遥かに人気のあるのなんて大勢いるわけで。

あと、彼を取り上げた本がかなり少ないわりにファンはちゃんと居るし、
相対的には人気は相応じゃないかと。
こんだけ小説作品数少ないわ、本スレ行ったら入門に後漢書と研究書読めって言われる
状況にも関わらず厨が出るくらいなわけで。

光武帝の知名度がイマイチなのはライバルが不在なせいかな
劉邦に対する項羽、劉備に対する曹操みたいな
劉秀にも敵対する群雄はいるが、永遠のライバル的な存在がいないし
それのせいで物語としては作りづらいんじゃないかな

このスレは面白いのォ！
みどもは昔、宮城谷スレで「塚本氏の本は面白いのか？」と質問をしたことがあったわァ！
それに対する返事は「塚本氏のアプローチの仕方は宮城谷氏と正反対だから合わない人には合わない」
というものだったわァ！
今にして思えばこれは『春秋の筆法』というやつだったのかのォ！

宮城谷氏の登場人物と塚本氏の登場人物を足して二で割れば
普通の人間の出来上がりだわァ！

どっちがどっちなのかは言うまでもないがのォ！

>>484
＞吾輩は反論に対しては出来るだけ歴史書や研究論文を引用し、
＞根拠をはっきりさせる所存なので、相手も分かってくれると楽観しておるわァ！

とても分かってくれる相手ではなかったが・・
まあ、来ないことを祈る

>>492
２３３氏は日本でのことではなく、本場中国での過去からの伝統的な人気を言っているんじゃない？
光武帝ものって中文でもほとんど見たことがない
『蒙求』は広く読まれた書だから、悪いイメージがつきまとったと。
光武帝サイトって、日本でできたのが、最初って噂も聞いたことがある。
軍記がうけなかったのは、>>492の理由だろうけど
現代視点なら、王莽、劉玄、赤眉を格好良く書けるんだろうけど、塚本じゃな

“「王莽は、成昌で赤眉軍に大敗したのに懲りて、梁丘賜なる将軍を洛陽付近へ出し、
南陽郡大尹の甄阜をも出陣させてきたということだから、安全を図ってやったのだ」”

塚本氏が当時の事情を全く理解しておられぬことが丸分かりであるわァ！
まず甄阜を南陽郡大尹としておるがこれは真っ赤なウソで甄阜の肩書きは前隊大夫であるわァ！
王莽は天鳳元年四月に南陽・河内・潁川・弘農・河東・河内の六郡を
前隊・後隊・左隊・右隊・兆隊・祈隊の六隊へと改名し、
それぞれに大夫（漢の太守）と属正（漢の�ｷ尉）とを置いたのだわァ！
塚本氏には王莽が太守を大尹と改称したことしか頭になかったのであろうのォ！

また梁丘賜を甄阜よりも格上のように書いておるが、これも間違っておるわァ！
秦漢時代では有事の際には太守が将軍を兼務し、�ｷ尉は部将として従ったのであるがのォ！
少し詳しく説明すると、銅虎符の左半分は中央が保管し、右半分は太守が持ち、郡兵を動員するときに
中央から派遣された使者が太守と符を合わせて初めて発兵できたのだわァ！
要するに郡の兵権は実際には�ｷ尉ではなくて太守にあったのだわァ！
詳しくは鎌田重雄「漢代の郡�ｷ尉について」を参照されたいのォ！

なお、こないだのやる夫李斯で活躍した内史の騰が対韓総司令官として出征したが、
これは内史（漢の三輔に相当する行政区であるわァ！）の兵を率いて戦ったのであろうわァ！
また蒙恬がオルドスに進軍したのも内史としてだわァ！
漢で銅虎符の制度が完備されたのは文帝期で、それまでは動乱期ということで
わりと好き勝手に発兵できたのであろうのォ！
ちなみに地皇二年に翼平連率の田況が発兵したのを王莽が「いまだ虎符を賜らずして云々」と
叱責しておるので、新でも銅虎符システムは継承されたことがわかるわァ！

劉秀たちが小長安で大敗を喫したわァ！
それがなぜか荘尤の策戦によるものとされておるわァ！
当時の荘尤は王常たち下江軍と戦っていたのであるがのォ！

あと荘尤とコンビを組んで光武帝たちと戦った秩宗大将軍の陳茂の存在がガン無視されておるわァ！
陳茂は荘尤の前の大司馬で、要するに荘尤よりも先輩だったのだのォ！
後に二人が劉望に降ったときも荘尤が大司馬が任じられたのに対して陳茂は丞相となったわァ！
史書では荘尤の出番が多いので陳茂よりも格上に錯覚しがちであるが、
少なくとも社会的ランクは陳茂の方が上と当時では認識されていたのだのォ！

ちなみに王莽敗死の報に接したとき、荘尤は漢の復興を寿いだが、
陳茂は地に伏して涙を流したのであるわァ！
荘尤としては王莽への進言を何度も無視された身なのでザマミロという気分があっても無理はないが、
陳茂としては王莽は仕えるに足る君主であったのやも知れぬのォ！

劉秀の姉の劉元が死んだわァ！
史実なら小長安の敗戦で妹の伯姫と逃げ回っていた劉秀を救うためにその場に留まり、
三人の娘とともに惨殺されたのであるが……塚本光武帝ではあまりに酷い書かれようであるので
あえて言わぬ事にしておくわァ！
あと劉秀の次兄の劉仲も死んだがこちらはどうでもいいわァ！

劉玄が主導して甄阜・梁丘賜と小長安で戦って撃破したわァ！
滅茶苦茶ここに極まれりだのォ！
まず舂陵劉氏の主将は伯升だったわァ！
このとき史実では劉玄はなにをやっていたのかすら不明なのだがのォ！
また甄阜たちが陣取ったのは小長安ではなくて��水と黄淳水の狭間であるわァ！
ついでに言えば伯升が王常たち下江軍と同盟を結んだとか、
別働隊を率いて藍郷を夜襲して敵の輜重をことごとく獲たとか、
その辺のエピソードも完全に無視されておったわァ！

韓歆が木っ端扱いされておるわァ！
彼は実際には南陽の豪族であったのだがのォ！
ちなみに韓歆は光武帝に帰順してからは�ｹ禹の軍師となり、尚書令から沛郡太守を歴任し、
ついには後漢朝の四代目の大司徒となったわァ！
直言して憚らぬせいで光武帝に嫌われて免職させられた上に
親子もろとも自殺に追い込まれたのであるがのォ！
光武帝は一人も功臣を殺さなかったとよく書かれるが、
韓歆は功臣の内にカウントされぬのかのォ！
しかし吾輩、光武帝ファンの神経を逆撫でするようなことばかり書いておるのォ！
自分の根性の悪さが嫌になるわァ！

>>501
桓譚の件といい、光武帝は直言嫌いだったようだのォ！
まぁあれだけ順風満帆に生きてたら極度の自信家でもおかしくないと思うわァ！
馮異の豆粥の逸話を自信家に変貌していくことへの諷諫と裏読みしてしまいそうになるのォ！

>光武帝は一人も功臣を殺さなかったとよく書かれるが、
>韓歆は功臣の内にカウントされぬのかのォ！
譴責されて、韓歆は自殺した。この場合も殺した内にカウントされる
のかのォ！

積極的なあるいは直接的な粛清とは違うけど
完全無欠の聖人君子と見るのは控えねばならぬ
故事として留意すべきだのォ！

昆陽の戦いが始まったと思ったらすぐに終わったわァ！
そろそろ塚本光武帝に慣れてきたと自負するようになっておったのに、
不意打ち気味に後頭部をガツンとやられた気分だのォ！
それくらいサラリと流されたわァ！
狐につままれたような感じで読み返してみると
わずか二十ページちょっとしか書かれておらなんだわァ！
道理であっさり決着を見たはずだのォ！
盛り上がらぬこと甚だしかったわァ！
こんなことなら蟹やら連弩やら説明的かつ浅薄な会話やらにページを割かずに
昆陽の戦いの方に回してほしかったわァ！
塚本氏が努力を傾ける方向はまっこと斜め上よのォ！

劉秀が郾を攻略中に伯升が宛を陥としたことになっておるわァ！
それが史実なら劉秀もそれほど苦労せずに済んだであろうのォ！
実際には宛を救援しようと進撃する新軍を足止めするために
劉秀たちは昆陽で頑張ったのだがのォ！
あと劉秀が独力で昆陽・定陵・郾を攻略しているかに書いてあったが
あれも大嘘だわァ！
潁川へと進発した更始軍には
成国上公の王鳳や驃騎大将軍の宋佻や廷尉大将軍の王常といった格上の人物が大勢いて
太常偏将軍の劉秀はメインではなかったのだがのォ！

塚本光武帝においては昆陽に進軍した新軍の総数は五十万ということになっておるわァ！
百万の話半分という計算式で弾き出された数字だわァ！
塚本氏はなかなか独特な考え方をされる御仁だのォ！
ちなみに昆陽の新軍については
『論衡』には三万人とあり、
『東観漢記』には五六万といい、
『漢書』には四十二万人と書かれ、
『後漢紀』には四十万と記され、
『後漢書』には兵百万・その甲士四十二万人とフかれておるわァ！
諸書もまた塚本光武帝に負けず劣らず無茶苦茶だのォ！

劉秀たちが郾を攻略している内に新軍が陽関から父城を抜けて昆陽を囲んだわァ！
ちょい待てやと言いたいのォ！
実際には劉秀たちはまず新軍を陽関で防ごうとして果たせず、
昆陽に退いて立て籠もり、
劉秀以下十三名が新軍による包囲をかいくぐって定陵・郾へ行き、
そこで兵を徴発して昆陽へと引き返して新軍に突撃したのであるがのォ！
昆陽の戦いについては細部が違ってばかりなのでいちいち突っ込む気も失せるわァ！

“「ちぇっ、腰抜けには付きあえんわァ！」
　劉秀は大きくそう叫ぶと、騎馬隊を一列に整え、再び並足で新帝国軍の中へ堂々と
入っていった。
「威勢のいい小隊だ」
「よく暴れてくれたぜ！」”

ついに劉秀までもが「わァ！」と言いだしたわァ！　わァ！　わァ！
彼に贈られた賛辞もまた腰が砕けそうになる言葉遣いだわァ！
昨今ラノベでもここまで安っぽいセリフは少ないのではないかのォ！

さて吾輩、昆陽の戦いについては塚本光武帝ではなくて
正史の方にも色々と言いたいことがあるので
次回はそちらについて書くことにするわァ！
できればスレ違いと突っ込まんでいただきたいのォ！
あと、やる夫光武帝の幕間で銀様と新世界の神（自称）とが
昆陽の新軍百万の真偽について寸劇を繰り広げておるが
そんなことはウイグル獄長のごとく
あ〜聞こえんのォ！

233氏の突っ込み見てると、塚本っつぁんの小説は歴史好きで
予備知識なしの読者だったら楽しく読めそうな気がしてきたｗ

>>507
ちなみに『三国志』裴注の「諸葛亮集」を引いての諸葛亮と魏の幕僚達との愛の交換日記の記述では確か、
四十余万となってるわァ！
ここで孔明は数千で四十余万を打ち破った光武帝は、
十数万集めても自分達に勝てない曹操よりはるかに強いというようなことを言っていたわァ！

某『お前は何を言っているんだ。』と格闘家の人が言ってるネタ画像が脳裏をよぎったわァ！
もちっとマシな負け惜しみ考えられなかったんかのォ！

>> 233 ◆w1a/4xucQw
王邑と王尋の扱いはどうかのォ？　突っ込み"射"れ所満載の塚本氏ゆえ、
また久しからずや、と思われるがのォ！

>>508
あれ？「王莽」とは昆陽の戦いの内容が違うような？
まあ、盛り上がりに欠ける所は共通してるが・・・

＞513氏
＞王邑と王尋の扱いはどうかのォ？

そういえば塚本光武帝にも二公は登場しておったのォ！
あまりに影が薄かったので素でスルーしてしもうたわァ！
ざっと読み返して二公が登場する場面を抜き出してみることにするわァ！

“「なんだ？」
「はい、新帝国の荘尤将軍が、王邑と王尋両将軍に百万の大軍を洛陽で集めさせ、
旬日前に南へ向けて出発したとの知らせがまいっております」”

命令系統が無茶苦茶だわァ！
まず王邑と王尋とに洛陽で兵を集めさせたのは王莽の勅令だわァ！
このとき二人の役職は大司空と大司徒、すなわち三公であったわァ！
『論衡』や『東観漢記』で彼らを二公と呼ぶのは二人の三公という意味であろうのォ！
一方、荘尤はこのとき納言大将軍であったわァ！
納言とは漢の大司農であり、要するに荘尤は王邑たちよりも一ランク下であったのだわァ！

“「そんな、莫迦な……」
「将軍の王尋様は討ち取られたらしいな」
「ああ、王匡様や荘尤様は？」
「判らん。どこへ行かれたかも」”

判らんのは戦局ではなくてコイツらの脳内であるわァ！
なぜ何の前触れもなく王邑が王匡へとメタモルフォォゼを起こしておるのかのォ！
上ではちゃんと王邑が出陣しておったはずなのにのォ！
なお王匡は王莽が敗死したときに洛陽を守備していたので、
おそらく昆陽の戦い当時には常安か洛陽におったと思われるわァ！
もっとも王邑の名はこの二ページ前にも一ページ後にも出て来るので、
王匡とあるのは単なる誤植か塚本氏の勘違いであろうのォ！

>>516
＞“「そんな、莫迦な……」

>>515に続いてこの文を読んだから噴いてしもうたわァ！
そこもとの心情を吐露した台詞のように見えてしまったからのォ！

>>516
多分王さんだらけでどの王かわからなくなってしまったんだろうのォ！
ただでさえ同時代に三人いる王匡をこれ以上増やさないで欲しいわァ！

>>511
歴史好きは、架空の人物が史実の人物を越えるのは嫌いなんじゃないかのォ！
光武帝は、架空の人物のほうが史実の人物より、ちったあましな描写になっているからじゃわァ！
まあ小説なんだから歴史を改変するのは構わないのだが、塚本のはあまりに面白くないからのォ！



この小説を読んで一番違和感があるのは「連弩」
あんなに核兵器並・・・はいいすぎだか、しかしあそこまで戦局を左右する威力があったんだろうか。

>>519　
飛び道具は剣よりも強しだのォ！

話に連弩を入れるより、話の錬度を上げるべきよのォ！

うまく言ったつもりで得意げか？
だがそれしきでは参らんわァ！

>>511
ちゃうちゃう、233氏が面白いだけで塚本は面白くない

さて今回は趣向をかえて、以前にも言っていたように
昆陽の戦いにおける新軍の数について愚見を述べさせていただくことにするわァ！
まず昆陽の新軍について、諸書の記すところをザザッと挙げるわァ！
＞507にもある通り、

『論衡』には三万人とあり、
『東観漢記』には五六万といい、
『漢書』には四十二万人と書かれ、
『後漢紀』には四十万と記され、
『後漢書』には兵百万・その甲士四十二万人とフかれておるわァ！

伝承というヤツは後世の資料になるほど不正確で大袈裟で余分なディテールばかり詳しくなるものなので
古い資料ほど信頼性は高いものよのォ！
で、上記の五資料のうち、『論衡』の著者の王充と
『東観漢記』の「世祖本紀」および『漢書』の著者の班固とは同時代人であり、
光武帝の一世代ちょっと下の人間だわァ！
これに対して『後漢紀』の著者の袁宏は東晋の人であり、『後漢書』の著者の范曄に到っては
後漢滅亡から二百年以上経過してから『後漢書』を書いたのだわァ！
よって『論衡』『東観漢記』『漢書』の記述は『後漢紀』『後漢書』のそれよりも
正確であろうという前提から始めることに致すわァ！

まずは王充の『論衡』であるわァ！
『論衡』の「恢国篇」に

　　漢伐亡新、光武将五千人、王莽遣二公将三万人、戦于昆陽、雷雨晦冥、前後不相見。
漢兵出昆陽城、撃二公軍、一而当十、二公兵散。

とあり、この記述を信じれば新軍はわずか三万の兵力しかなかったことになるのォ！
劉盼遂の注釈では三は百の壊字とされておるが、劉盼遂が1966年に自殺した二十世紀の学者であり、
また三を百と読み替える根拠を『後漢書』に求めているので正直なところ信用ならぬわァ！

特に“一而当十”とある部分に注目していただきたいのォ！
一をもって十に当たるのだから、五千人だと五万人分の働きしかできぬわけだのォ！
五万vs百万ではお話にならぬわァ！
五万がさらに一をもって十に当たっても五十万、
もひとつ一をもって十に当たってようやく百万を超えられるわァ！
ここはやはり5000×10＞30000という意味が込められていると解釈すべきだわァ！

ということで「恢国篇」においては王充は新軍を三万人と考えていることはほぼ明白よのォ！

ところがどっこい、同書の「語増篇」には

　　紂之悪不若王莽。紂以嗣立、莽盗漢位。殺主隆於誅臣、嗣立順於盜位、士衆所畔、宜甚於紂。
漢誅王莽、兵頓昆陽、死者万数、軍至漸台、血流没趾。

とあり、新軍は昆陽で万単位の戦死者を出したことになっておるわァ！
吾輩案ずるに、こちらは文学的表現であろうのォ！
というか「語増篇」の文章そのものがレトリックによる記述で出来上がっているのだわァ！

まず王莽の悪行は殷の紂王よりも甚だしいと決めつけ、いろいろと比較した後に昆陽の戦いに移り、
そこから時空転移して三ヶ月後の長安へと飛んで王莽の敗死へと至っておるわァ！
“血流没趾”というレトリックは王充のオリジナルであるわァ！
言うまでもなく牧野の戦いの“血流浮杵”という描写を意識したものであろうのォ！
というわけで王充は

　紂王――牧野の戦い――武王発
　王莽――昆陽の戦い――光武帝

というラインを構築することで光武帝が周の武王をしのぐスーパーな名君であることを
ほのめかしておるのだわァ！
死者万数というのは光武帝のスーパーぶりを強調するための数字であろうのォ！
そもそも『論衡』は王充が三十余年に渡って書き継いできた書物であり、
�ｩ篇の間には割と矛盾や食い違いが生じておるのだわァ！

ということで新軍の数については「語増篇」よりは「恢国篇」の方が信頼を置けるであろうのォ！

つづいて『東観漢記』に言及するわァ！
同書の「世祖本紀」には

　　二公兵已五六萬到。

とあり、こちらは新軍の数が五〜六万ということであるわァ！
違う板本だと五六萬が五六十萬と記されておるのだが、そちらは少し怪しいのォ！
なんとなれば班固が「世祖本紀」を著したのは『漢書』に手をつける以前のことであったからだわァ！
仮に五六十万という数字が真実であったとすれば、なぜ班固は『漢書』で少ない数字を採用したのかのォ！
光武帝の勝利の価値をわざわざ下方修正したとは考えにくいわァ！
やはり班固は「世祖本紀」の時点では五六万のつもりで書き記したのであろうのォ！

ということで『東観漢記』が新軍五六万説を採った場合、
『論衡』と『東観漢記』との間には二倍近い開きが生じておるのだが、
古代の数字というモノはたいていいい加減なものであるわァ！
あえていうなら『論衡』に“各”の字が抜けていたと考えれば
王邑と王尋とはそれぞれ三万を率いていたことになり、
合計六万なら『東観漢記』との間の矛盾はほぼ解消するのだわァ！
一而当十については昆陽城の守兵を併せれば六千は超えようからのォ！

しかし吾輩、文章を好き勝手に改変するのは趣味に合わぬので、
やっぱり『論衡』は『論衡』で三万だったとしておくことにするわァ！

そこでネックになるのは『漢書』の

　　定會者四十二萬人。

という記述であろうのォ！
『東観漢記』の「世祖本紀」と『漢書』とは班固によって記されておるので、
両者の間に甚だしい矛盾があるのは腑に落ちず、
どちらかが間違っておると考えるのが自然な流れであるわァ！
しかるに倍ならまだしも、六〜七倍ときたのではさすがに差が開きすぎておるわァ！
数字を改めるにしても、四十二（古代の表記では卌二）と書かれているので
一字や二字の変更ではとても追っ付かぬわァ！
『論衡』や『東観漢記』の方に手を加えようとした先学たちの気持ちがちょっと理解できるのォ！

しかし脳中に秘策あり、矛盾のない解釈が可能なのだわァ！
これから魔法のような手品を御覧に入れようと思う（by宮崎市定）わァ！
といっても『漢書』の該当部分を先入観無しに読むだけの話であるがのォ！
ちと長くなるが、正確を期するために引用させていただくわァ！

　　四月、世祖與王常等別攻潁川、下昆陽、郾、定陵。莽聞之愈恐、遣大司空王邑馳傳之雒陽、
與司徒王尋發衆郡兵百萬、號曰「虎牙五威兵」、平定山東。得顓封爵、政決於邑、除用徴諸明兵法六十三家術者、
各持圖書、受器械、備軍吏。傾府庫以遣邑、多齎珍寶猛獸、欲視饒富、用怖山東。
邑至雒陽、州郡各選精兵、牧守自將、定會者四十二萬人、餘在道不絶、車甲士馬之盛、自古出師未嘗有也。
　　六月、邑與司徒尋發雒陽、欲至宛、道出潁川、過昆陽。昆陽時已降漢、漢兵守之。嚴尤・陳茂與二公會、
二公縱兵圍昆陽。嚴尤曰「稱尊號者在宛下、宜亟進。彼破、諸城自定矣」邑曰「百萬之師、所過當滅、
今屠此城、喋血而進、前歌後舞、顧不快邪！」遂圍城數十重。城中請降、不許。
嚴尤又曰「『歸師勿遏、圍城為之闕』、可如兵法、使得逸出，以怖宛下」邑又不聽。
會世祖悉發郾・定陵兵數千人來救昆陽、尋・邑易之、自將萬餘人行陳、敕諸營皆按部毋得動、獨迎、與漢兵戰、不利。
大軍不敢擅相救、漢兵乘勝殺尋。昆陽中兵出並戰、邑走、軍亂。大風蜚瓦、雨如注水、
大衆崩壞號謼、虎豹股栗、士卒奔走、各還歸其郡。邑獨與所將長安勇敢數千人還雒陽。關中聞之震恐、盜賊並起。


かいつまんで説明すると、王莽は山東を平定するために王邑に洛陽へと赴かせ、
州・郡の牧・守に軍を率いて馳せ参じるように命じたところ、四十二万人が集まったということだわァ！
そして王邑と王尋とは洛陽を出発したとあるが、ここで肝腎なのは

“王邑たちが四十二万人全軍を率いて洛陽を出発した、とは明記されておらぬ”

ということだわァ！
すなわち王邑たちが四十二万のうち五〜六万を選抜して更始軍征伐に向かったと解釈すれば
『東観漢記』と『漢書』との間の矛盾は解消されるのだわァ！
『論衡』を含めるなら三万ないし五〜六万というべきであろうのォ！

ここで疑問が浮上するとすれば、なぜ全軍を動員しなかったかということであろうのォ！
戦いは数だよアニキだからのォ！
その点については補給の確保やら何やらが考えられるが、最大の理由は『漢書』に書かれてある通り
王邑たちの戦略目的が山東の平定にあったからであろうのォ！

古代支那に於いては山東とは現在のように泰山以東（狭義では山東省）を指すのではなく、
太行山脈よりも東の地域、ぶっちゃけ洛陽以東を指しておったのだわァ！
すなわち王邑たちは更始軍のみならず、青徐の賊と呼ばれていた赤眉軍も討伐する必要があったのだわァ！
後世の人間は光武帝が最終的に勝利したことを知っているためにどうしても更始軍をメインに考えてしまうが、
王邑サイドからすれば優先順位は変わらなかったはずだわァ！
東方の敵への備えを放棄して南方の敵へ全軍を振り向けるような冒険は
とてもではないが無理であったのだろうのォ！
洛陽の御留守番部隊は赤眉軍への抑えと見れば合点がいくわァ！

また、なぜ班固は王邑たちが全軍を率いなかったと明言しなかったかという疑問も生じようのォ！
こちらは『漢書』が勅命によって編纂された正史であることで説明が可能と考えるわァ！

まず班固は蘭台令史に任命され、他のメンバーと共に「世祖本紀」その他を著したわァ！
そこで改めて『漢書』の完成を命じられたのだわァ！
後漢朝が班固へ有形無形のプレッシャーを加えたことは想像に難くないのォ！
しかし「世祖本紀」に五六万と書いた上では大幅な変更はデキッコナイスだわァ！
それでも班固はやっ太わァ！
洛陽に集結した四十二万だけ記し、そこから先は詳しい兵数を書かないことで
新軍が全軍を率いたようにミスリードさせるズルっこい描写を選んだ、と吾輩は考えるわァ！

＞512氏が指摘された手紙だと、孔明は『東観漢記』よりも『漢書』を信用したわけだわァ！
班固のミスリードにまんまと引っ掛かったと言うべきかのォ！

というわけで『東観漢記』と『漢書』の間の矛盾は解消されたとすれば、
『後漢紀』と『後漢書』の数字についてはあまり拘泥する必要はなくなったわァ！

『後漢紀』の四十万という数字は孔明と同じように『漢書』を丸呑みに信じた結果であろうし、
『後漢書』はさらに新軍百万という大ボラを真に受け、なおかつ『漢書』の数字も取り入れた結果、
戦闘兵とその他という構成になったのであろうのォ！

さてここで王邑の戦略について講義させていただこうかのォ！
新軍の総勢が三万ないし五六万であったということは、最初から宛を救援する気がなかったということだわァ！
更始軍十数万に対して半分以下の兵力で突撃するのは無謀の誹りを免れぬからのォ！
それは新軍が洛陽からまっすぐ南下せず、迂回して潁川郡に進んでいることからも明らかであるわァ！

ちなみに洛陽から宛へと南下するルートの途上には魯陽があるわァ！
更始軍も馬鹿ではないので魯陽を奪取し橋頭堡とするために部将を派遣していたわァ！
それが劉稷、伯升が謀殺されるきっかけとなったあの劉稷であるわァ！

魯陽といえば、その地の封君である文君が墨子を招聘した地でもあるわァ！
魯陽の文君と墨子との対話は『墨子』の「魯問篇」に収録されておるわァ！
おそらく魯陽の文君は北方の魏に対する防衛力を必要として墨子を招いたのであろうのォ！
また逆に南方から洛陽を臨む場合にも魯陽は戦略的価値を発揮したわァ！
後漢末に孫堅が洛陽を攻略するために駐屯したのが魯陽であったことからも窺えようのォ！

>>532
面白い。多分その兵士数考証は正解じゃないかな。
班固は『漢書』でたまに後漢の朝廷や大臣に気を使った表現や叙述トリック的な記述をやってるから、この兵士数もその一環かもしれんのォ！

かくして王邑は正攻法ではなく搦め手で更始軍に勝利するつもりであったと知れるわァ！
思うに、王邑の脳裏には呉楚七国の乱における周亜夫の戦略が浮かんでいたのではないかのォ！

呉楚七国の乱についての概略は以下のようなものであるわァ！
呉王劉濞をリーダーとした東方諸国の反乱に際し、漢は周亜夫を大尉に任命したわァ！
周亜夫はまず榮陽に兵を集結させたわァ！
このとき呉軍は梁を包囲し、梁王は周亜夫に救援を求めたわァ！
それなのに周亜夫は昌邑に陣取って一向に梁を助ける気配を見せず、自軍の守りを固めるだけだったわァ！
そして部下に軽兵を率いさせて呉軍の糧道を断ち切って兵糧攻めに持ち込んだのだわァ！
かくして呉軍は乾上がり、撤退する途中で周亜夫の精鋭に後背を突かれてボロ負けしたのだわァ！

王邑の目には自分が周亜夫に、呉王が更始帝に、梁が宛に、そして昆陽が昌邑に見えていたのではないかのォ！

前述したように宛を包囲する更始軍は総勢十数万、食わせるだけで一仕事の大軍であるわァ！
潁川郡に進発した別働隊が牛馬財物・穀物数十万斛を宛へ輸送したというのも
更始軍の巨大な胃袋を満たすためであったのだろうのォ！
また光武帝の義兄の陰識は、その列伝によれば宛の包囲中に別働隊を率いて
新野・淯陽・杜衍・冠軍・湖陽の五県を降らせたとあるわァ！

ところがどっこい、『後漢書』の「宗室四王三侯列伝」では新野を従えたのは伯升として書かれておるわァ！
当時の陰識は伯升の部下であったので、陰識は五県を降らせた“戦いに参加していただけ”と
考えた方が正確であろうのォ！
紀伝体というスタイルは列伝の主人公があたかも全部やりとげたような書き方をするし、
ついてに主人公の悪い部分はつとめて避けるようにしているので
読むときには意外と注意が必要なのだわァ！
たとえば秦の始皇帝が呂不韋の息子だというゴシップ記述は『史記』には
「秦始皇本紀」ではなくて「呂不韋列伝」に収録されておるし、
また劉邦が尻に帆かけてトンズラこいている最中に車から子供たちを放り捨てたということは
「高祖本紀」ではスルーされて「樊酈滕灌列伝」の方に書かれておるのだわァ！

ともあれ更始軍はのんきに宛に貼り付いていたばかりではなくてしきりに四方を切り取っていたのだわァ！
それを邪魔すれば更始軍は瓦解する、と見るのは極めて妥当な判断であろうのォ！
そこで王邑たちは宛ではなくて昆陽を包囲し、更始軍への補給をカットする作戦に出た、と愚考するのだわァ！
おそらく宛が陥落するとは夢にも思っていなかったはずであるわァ！

支那の都市が城壁に囲まれていることは諸君もご存じであろうのォ！
あちらの城攻めはそれこそ数ヶ月から数年にわたるケースすらあるのだわァ！
呉楚七国の乱においても結局のところ梁は周亜夫の呼んだ通り持ち堪えたからのォ！
また王邑の同時代でも攻城戦に耐え抜いた都市があるのだわァ！
その名は莒、戦国時代に楽毅率いる五国連合軍の猛攻をついに乗り切った都市として知られておるわァ！
新末において莒は樊崇率いる十余万の大軍に包囲されること数ヶ月、陥落されずにやり過ごしたわァ！
当時の五大都市の一つであった宛が降伏するとは考えにくかったと思われるのォ！

ということで吾輩の想像する王邑の戦略とは以下のようなものであるわァ！
まず洛陽の四十二万から精鋭を選抜し、宛を包囲する更始軍の主力を叩くことは避けて
潁川郡の別働隊に力攻めで勝利し、賊軍には断固たる姿勢を見せることで敵の士気を沮喪させ、
しかる後に昆陽を拠点として軽騎兵を繰り出して更始軍の糧道を断ち、
敵が完全に疲労困憊したところへ満を持して洛陽の御留守番部隊も含めて全軍突撃するのだわァ！
これぞ孫子の「近きを以て遠きを待ち、佚を以て労を待ち、飽を以て飢を待つ」を体現した大戦略よのォ！

まぁ結局のところ机上の空論として画餅に帰したのであるがのォ！

さて、王邑が持久戦を考えていた場合、荘尤の遣策はまったく別の色彩を以て立ち上がってくるわァ！
昆陽を捨て置いて宛を衝けと言う荘尤の主張は、まさしく周亜夫に救援を要求した梁の悲鳴と
全く同じ意味を持っておるからのォ！
戦史も読まず戦略も知らぬ小僧っ子のわめきとして王邑には聞こえたのではないかのォ！
あんまり知られておらぬのだが、実は王邑の戦歴は荘尤のそれよりも古いのだわァ！

もし王邑が最終的に更始軍に勝利して新が二世・三世の長きにわたるようなことがあれば、
やはり昆陽の戦いも呉楚七国の乱のような語られ方で歴史に記されたと思われるわァ！
もちろんその場合、王邑は最初から最後まで全てを見通していた神智の名将として、
荘尤は一を知って二を知らぬ小賢しい喧し屋として設定されていたであろうのォ！
しかるに王邑は破れたわァ！
そして周亜夫は前漢を代表する名将の一人として青史に令名を輝かせ、
王邑は史上稀に見る愚将として後世の人の嘲りを受け続けておるわァ！
将才とはとどのつまり結果でしか判断できぬということよのォ！
悲しいのォ！　悲しいのォ！

ざっと説明するだけのつもりだったのに気が付いたら吐き気を催すほどの長文に成り果ててしもうたわァ！
スレの私物化ここに極まれりだのォ！

>>540
いや、凄い面白かったわァ！
王邑の印象が百八十度程大回転してしまうわァ！
荘尤の印象が下方修正されるかわりに王邑が燦然と輝き出したのォ！

223復活！
223復活！
223復活だわァ！！

>>540
まるで推理小説を読んでいるかのようであったわァ！
資料を丹念に読みこなすとここまで躍動感が生まれるのかのォ！
塚本氏にはぜひ233氏の爪の垢を煎じて飲んで欲しいわァ！

しかし、疑問も残るのゥ！王邑が率いた兵力が五〜六万だとすると、
昆陽での敗戦後も洛陽には三十万以上の兵力があったことになるが、その兵力はどうなったのかのゥ！
みどもは十万以上の兵力があれば再戦して大勢を挽回することも可能かと愚考するのだわァ！
それに昆陽の更始軍は万に満たぬ兵力とはいえ、篭城すれば数ヶ月は持ちこたえられるはず、
なのに劉秀はなぜ危険を犯して城外に兵力を集めに脱出したのかのゥ！
もしかすると、昆陽城内には糧食が乏しく、劉秀は糧食を集めて城内に運び込もうとしたのかもしれんのゥ！
昆陽に入るため敵中突破した時、偶然にも新軍の本営を突く形になった可能性もあるかもしれんのだわァ！

ところで塚本の新刊の「仲達」ってどうなの？

>>545
出たことも知らなかったがいかにもいやな予感がするね
晋書の話題はまるで出てこない悪寒

＞544氏の疑問を拝読し、答えの形で愚見を述べさせていただくわァ！
まずは昆陽の戦い以後について概要を述べようかのォ！

昆陽の戦いで敗北した王邑は数千騎を従えて洛陽に逃げ帰ったわァ！
このとき王邑は宛がすでに陥落したことを知っていたであろうから、
これまでとは別の戦略を採る必要があったであろうのォ！
ところが幾何もなくして王邑は長安に召喚されたのだわァ！
なぜかというと、王莽の腹心中の腹心であった劉歆が謀反を企てたのだわァ！

劉歆の謀反は未然に防がれたものの王莽の精神的ショックは甚だしく、
今では最も信頼が置け、なおかつイトコにあたる王邑を側に戻したくなったのだわァ！
洛陽駐屯の後釜は太傅の王匡と国将の哀章とに命じられたわァ！
前者はかつて赤眉軍にボロ負けした男、
後者は王莽に自分の名前入りの符命を献じて富貴の身となった男であるわァ！
どっちもろくな人材ではないのォ！

おっと訂正、王匡は太傅ではなくて太師であったわァ！

悪いことは重なるもので、�ｹ曄と于匡という二人の人物が百余名をもって放棄したわァ！
ただの雑軍が、気が付いたら武関を陥として長安へのルートを確保してしまったのだわァ！
これほど重要な役割を果たした男たちが伏線ゼロで唐突に出現したのだから、
これが小説だったらプロットの甘さを大いに攻撃されるところであろうが、
史実なのだから仕方がないわァ！

かくして更始帝は軍を二つにわけ、定国上公の王匡に洛陽を攻めさせ、
西屏大将軍の申屠建と丞相司直の李松とには武関に向かわせたのだわァ！
王匡は更始帝政権の��2であるため、こちらが主力であることを考えれば、
王匡の役割は洛陽の軍を拘束して長安へ向かわせないことにあったのではないかのォ！
王莽の首さえ取れば全ての始末はつくのであるからのォ！

かくして更始帝の作戦は図に当たり、申屠建・李松ペアは首尾良く王莽を仕留めたわァ！
ここで王邑の奮戦について語らせていただこうかのォ！
王邑は一昼夜ぶっ続けで戦って疲れ果て、麾下の手勢もほとんど死に絶えたので宮中に退いたわァ！
そこで自分の息子が敵前逃亡しようとしているのを見つけたので叱り飛ばして連れ戻したわァ！
包囲中の敵兵に射掛ける矢も尽き、ついに白兵戦を交えて息子と共に斬り死にしたのだわァ！
王邑は敗れたりとはいえ、王莽への忠誠は一片の曇りなき至純のものであったわァ！
……付き合わされた息子にとっては迷惑千万であったやも知れぬがのォ！

主力を拘束して武関から関中を突くのは楚懐王の取った策と同じだねえ
劉邦の秦下しを参考にしたんだろうねえ

そして洛陽の王匡と哀章とは更始軍の王匡（同姓同名だのォ！）に降伏したわァ！
おそらく王莽の死を聞いて万事休すと諦めたのであろうのォ！
乱世の風雲に乗じて一旗揚げようという気力は持ち合わせておらなんだのであろうのォ！
かくして王匡と哀章とは宛に送られて斬首されたわァ！

とどのつまり、新軍は実力を発揮せぬまま降伏したというのが吾輩の所見であるわァ！
王莽サイドのグダグダっぷりも去ることながら、
相手の実を封じて虚を突いた更始帝の戦略も優れていたと考えるべきよのォ！
兵力はただ集中して運用するのみにあらず、臨機応変に離合集散して使うものなのだわァ！

劉秀が城外に兵力を集めに脱出した理由については、
昆陽城内の士気が甚だ揮わなかったからではないかのォ！

『東観漢記』や『後漢書』を読むに、王鳳たち諸将は新軍に包囲されて意気消沈し、
そこを劉秀が叱咤激励して立ち直らせたのだわァ！
劉秀の官職は太常偏将軍であって諸将の中では格下であり、
帝国陸軍の辻ーんのように（最低最悪にヒドイ例えだのォ！）主戦論を叫び続けなければ
全軍のイニシアチブが取れない立場にあったわァ！
城外に脱出して兵を集めたのも、その手勢を率いて無謀極まりない突撃をかましたのも、
城内の士気を維持・昂揚するためのデモンストレーションの意味が強かったのではないかのォ！

また、新軍の目を自分たちに集中させて離さない考えであったやも知れぬのォ！
仮に王邑の戦略が持久戦であったにしろ、それを路線変更しない保証はないのだわァ！
王邑が万が一にも荘尤の遣策が納れられて昆陽を置き捨てて宛へ直行し、
勝利してしまったら劉秀たちに明日はなくなるのだわァ！

最悪の場合は捨て石になる覚悟で、足掻いて藻掻いて頑張り続けた末にもぎ取った勝利、
それが劉秀たちにとっての昆陽の戦いではなかったかのォ！
『東観漢記』や『後漢書』に書かれてあるように、劉秀が
スーパーでウルトラでグレートでデリシャスでワンダフルなボンバーをかまして
さも当然のように新軍を撃破したと考えるのは、
劉秀が抱いたであろう焦燥や不安や絶望を一切無視する見方だと吾輩は思うわァ！
劉秀が昆陽の戦いで勝利することは後世の人間にとっては既成事実であるにしろ、
当の本人にとっては未来に何の保証もないのであるからのォ！
劉秀を無制限に超人扱いするのは、かえって本人に失礼ではないかのォ！

塚本氏が新作を上梓したとは初耳だわァ！
……聞かなかったことにしていいかのォ？

ここは233氏が人ばし…じゃなくレビューいたすと喜ばれるがのォ！

この解釈の場合だと更始別働隊が陽関を捨てて昆陽に撤退して
しまったのはその時点で士気が甚だ低かったのか、王邑が
数十万人でやって来たと誤認したとか、そんな感じになるのかのう。

仲達とはまた微妙な人選だわァ！

>>555
個人的には『霍光』や『王莽』のように主役になりにくい人物が
主役を張るのは大歓迎なのだわァ！
内容が面白くなければ元も子もないがのォ！

王莽に関しては東晋次という学者が積極的に再評価を行っているね。
ちなみにこの人の著作の『後漢時代の政治と社会』は後漢政治史を詳しく知りたい人には是非一読して欲しい。

個人的には孔明より仲達のほうが好きなので
読んでみたいと思うのだが、
筆者が塚本だから二の足を踏んでしまうわァ!

>>558
よう、俺。
取りあえずは立ち読みかのォ！

>>557
値段がたかすぎるのォ！

塚本氏は題材のチョイスに関してだけは目の付け所の優れた御仁であるからのォ！
孔明ではなくてあえて仲達を選んだあたりは慧眼と評しうるわァ！
内容についてはあえて触れぬことにするがのォ！

ところで聞くところによれば塚本氏は苻堅を書きたがっておられるらしいのォ！
吾輩、五胡の君主の中では苻堅は石勒の次に好きな人物なので
塚本氏にはお手柔らかに願いたいところよのォ！
そういえば石勒は曹操・司馬懿親子を雑魚扱いし、
光武帝を自分と同レベルと見なし、
劉邦については自分の方から幕下に加わりたいと言っておったのォ！
塚本氏は劉邦を除けば石勒が挙げた人物全員を主人公にして
小説を上梓しておられるわァ！
やっぱり内容についてはあえて触れぬことにするがのォ！

２３３氏とは比べものにならぬほど浅学非才な我輩だが、
一つレビューに挑戦してみようかと「孫子伝」を借りてきたのだが・・・
一章で挫折したわァ！素人目にもおかしい描写の連続で、
ツッコミ入れたいのだが知識が無くて突っ込めないもどかしさ・・・
とりあえず各章のタイトルのセンスの無さはなんとかならんものかのゥ！

562という、新たな勇者の誕生したわァ！
手持ちのはブクオフ売却してしまった我輩なれど、
全力で応援するんだわァ！

塚本氏の光武帝衝動買いしちゃったけど、まだ読まずに放置中だな

「霍光」読んでみたけど、最初から最後まで全然盛り上がらないな。

>>531
なるほど、洛陽に集まったのは四十二万人、だが班固は潁川に入ったのは、幾万か
記載していないと。では、『漢書』の以下の王邑の台詞も解説して頂けないかのォ？

邑曰「百萬之師、所過當滅、今屠此城、喋血而進、前歌後舞、顧不快邪」

「百万の師、過ぎる所まさに滅ぶべし、今この城をほふり、血を踏んで進み、前に
歌い後に舞う、快を顧みらざるや（痛快ではないかのォ！）」

王邑は百万と言っておるんじゃがのォ！　先にわざと兵数を言わないことで兵数を
隠して、この台詞があるのは、如何なる了見かのォ！　また賢将とは思えぬ台詞よ
のォ！　班固が捏造したとも思えぬがのォ！

＞566氏の疑問にお答えいたすわァ！
吾輩、この部分にも手抜かりなく説明したつもりであったが
文才ゼロのおかげで伝えられなんだようだのォ！
＞538に書いておいた王邑の戦略を読み返していただきたいわァ！

＞まず洛陽の四十二万から精鋭を選抜し、宛を包囲する更始軍の主力を叩くことは避けて
＞潁川郡の別働隊に力攻めで勝利し、賊軍には断固たる姿勢を見せることで敵の士気を沮喪させ、
＞しかる後に昆陽を拠点として軽騎兵を繰り出して更始軍の糧道を断ち、
＞敵が完全に疲労困憊したところへ満を持して洛陽の御留守番部隊も含めて全軍突撃するのだわァ！

洛陽の御留守番部隊も含めて、というところに注目していただきたいわァ！
吾輩、王邑のいう百万の数字は洛陽の御留守番部隊を考慮に入れた兵数と解釈したわァ！
「百萬之師、所過當滅」については宛における最終決戦を指し、
「今屠此城、喋血而進、前歌後舞、顧不快邪」の部分は昆陽を陥とすことについて語っていると
愚考したのだわァ！
洛陽の御留守番部隊は、赤眉軍への備えに加えて戦略予備にも運用できるからのォ！
勝敗の帰趨が明らかになった場合なら鎧袖一触に屠れるがゆえ、
速戦即決で終わってすぐに部隊を洛陽に戻せるはずだったわァ！

附言するならば、「口では何とでも言える」ということを考えていただきたいのォ！
一つ例を挙げると、当時を生きた男の一人に馮衍という名文家がおるのであるが、彼の文章の一つに
「長躯武関、破百万之陣、摧九虎之軍」
というフレーズがあるのだわァ！

ところがギッチョンだわァ！
『漢書』によれば
「莽拜将軍九人、皆以虎為号、号曰九虎、将北軍精兵数万人東、内其妻子宮中以為質」
とあり、九虎が率いたのは数万人とあるのだわァ！
武関が破れてから九虎の軍が戦うまでには交戦の記録は残っておらぬし、
百万の陣とやらと戦っていたとすれば班固がスルーできっこないほどの規模であるからのォ！
百万の陣が九虎の軍を指していることは明白だわァ！
すなわち本当なら数万人の兵力を馮衍は百万とフかしておるのだわァ！

史書には当時の人物の言ったセリフや書いた文章が引用されていて、
それらはおそらく第一次資料的な価値を有しておるのであろうが、
誰が・いつ・誰に対して・どのような時に、言ったり書いたりしたのかについても
精査する必要ありと愚考する次第であるわァ！

もはや普段から、このノリでしゃべってるとしか思えない自然さであるのォ！

>>562殿が
>とりあえず各章のタイトルのセンスの無さはなんとかならんものかのゥ！
と書き込まずにはいられないタイトルを見てみたい気もするのォ！
本屋にあったら立ち読みでもしてみようかのォ！

司馬懿って名門の出なんだよな　うろ覚えだけど
自分のイメージだと上品……というか少なくとも下品な感じはない
だわァ！　だのォ！言う司馬懿なんて想像できないんですけどｗ

このスレに触発されて昨日本屋で「霍光」をパラパラと読んだのだが・・・

ハナっからコネで昇進した男についてケツの穴の小さい男がねたみから主人公・霍光に
毒を吐く、それについて霍光も、強く反論もその態度に諫言もしない。
（相手に遠慮してる訳でも、格別発言に注意してる訳でもない）

しかも、この三人が物語の主要人物とあっては、もはやタメ息しか出て来なんだわァ！

先輩諸氏の申す通り、歴史小説家のクセに歴史上の人物を魅力的に書くということが
まったく出来んお人であるようだのォ！

てへっ、おかげで肝心の新刊を見てくるのを忘れてしまいました☆

>>571
父親の躾というか、教育が厳しかった、
と何かの本で読んだ気がするわァ！
我も>>571殿と同様、だわァ！などという司馬懿は見たくないのォ。

司馬懿は曹操に無理矢理出仕させられたらしいが
その辺りはどのように書かれているのか
興味はそそられるのだか、それだけで身銭は切れぬのォ！

後記を立ち読みしてみたら、わりとマトモなこと言ってんじゃね？
と思って「仲達」を購入してしもうたわァ！
初塚本、（色々な意味で）わくわくするのォ！

改めて後記を読んでいたのだが……
ちょおっと待てェェェ！！！
曹芳はまあ、ともかくとして、曹髦が凡庸以下の暗君とはどういうことなのかのォ！
曹髦とはあれだよな、司馬昭を逆クーデターで除こうとして失敗し、
悲劇的な最後を遂げた曹髦よなァ！？
233氏のように博識でないどころか、中国史を学び始めてまだ日が浅い身なのだが、これはちょっと……だわァ！
いやしかし、これだけでダメだこりゃ、と投げ出してはいかんよなァ！
まだ本編を読んでおらんしのォ！

>>575
憧れの塚本本を手に入れて有頂天になるのはわかるが落ち着け、だわァ！
そして感想を聞かせてもらいたいものよのォ！

塚本作品をデビューから読み続けてきたみどもからすれば、>>575氏の驚きも
瑣末事に過ぎんと思えてしまうわァ！

なんともありがたみのない免疫よのォ！
これまでの己が虚しくなるわァ！

>>576氏
つっこみ感謝だわァ！
後記を読み直していた時、ファミレスにいたのだが動揺しすぎて
ホットコーヒーにガムシロップを入れてしまったわァ！
>>577氏のように何事にも動じない精神をもってして本編を読むことにするわァ！

途中棄権をしてもご容赦願いたいものよのゥ！

>途中棄権をしてもご容赦願いたいものよのゥ！

少なくとも我は全面的に赦すわァ！
というか、自分は呉越なんとかを途中で投げ出しそうになったし。
まぁなんとか最後まで読んだけど、
どんな内容だったかほとんど覚えとらんわ。

初塚本を新品で買うとは、英雄豪傑とは575氏のために
ある言葉としか表現しようがないのォ！
我輩はブクオフか図書館の択一だわァ！

曹操「天下で英雄と呼べる人間は2人しかおらぬわァ!」
劉備「びくびく…そ、それは誰ですか？」
曹操「それは233と575だわァ!」

これをきっかけに塚本レビュアーが増えてくれると
うれしいものよのォ！

無闇に犠牲者を広める結果になりはせんかのォ！
後で恨まれたりするのは勘弁願いたいわァ！

このスレじっくり読んでいる者なら、手を出さないか、はたまた無類の
勇者と思われるわァ！
手を出して恨むなどせせこましい者がいたら、嗤うべきよのォ！

「仲達」を３分の２まで読み進めたわァ！

正直に言うが、諸兄が口を酸っぱくして警告をならし、
233氏が有り余る知識をもってしてレビューをしているのにも係わらず、
みどもは
「そうはいってもこれだけの冊数を刊行しているプロの作家なのだし、
　ひどいらしい、という先入観があるぶん、読んでみたら意外と……ということもあるだろう」
などと思っていたのだわァ！

……………

甘 か っ た わ ァ ！

真定の梨に蜂蜜ぶっかけてもなお足りないほどに甘い考えだったわァ！
諸兄そして233氏の教えを素直に受け止めなかったみどもはとんだ大馬鹿者だわァ…
恨むなど笑止千万、むしろ恨むならみどもの浅はかさだわァ！

しかしこのままでは英雄豪傑と称えてくれた諸兄に申し訳がたたぬので、
「仲達」はこのまま読み進め、読み終わった暁には感想をあげたいと思っているわァ！


いや、本当にきっついわ、コレ……

>>585
お疲れです。
3分の2も読んだのかと驚いたが、よく考えるとまだ3分の1も残っている・・・
塚本作品の底知れぬ恐ろしさが現れておるのォ！

なんか気の毒になってきたわァ…

自分の言葉に責任を持てるなんて、男らしい…。
575になら抱かれてもいいッ！

『霍光』のオチは『二人のガスコン』のオチと同系統なのに、どうしてこうも読後感が違うのだろうか

このスレを見る前は『始皇帝』とか『凱歌の後』を
普通に楽しんで読んでたのはここだけの話だわァ！

>>585
しかしまぁ百聞は一見に如かずと言うし、
これもまたいい経験だとおも・・・えんか、流石に。
とりあえず、お疲れさまです。

感想楽しみにしているが、もし余力があれば、
「これはどうよ」と思ったところも
書き出して頂きたいものよのォ！

この人の本を立ち読みしていると笑える表現がないか
探している自分がいることに気がつく
こうやって前後の文脈を無視してあら探しするのって
本当は感心しないことなんだろうけどなあ

我もこのスレにすっかり毒されてしもうたわァ！

そういえば何かの戦いの時に軍隊の例えで
突然赤血球だか白血球が出て来た時には吹いたわァ！
我が読んでいたのはいつの間にか医学書だったのかのう。

保健体育じゃなくてかのォ！

早く仲達の感想が聞きたいのゥ

「蟲達」だったら良かったのに

肚の中にいっぱい蟲飼ってるのか？

>>597
実は人名

諸兄の声援に支えられて「仲達」を読み終えたわァ！

率直な感想としては、
・通して読んでも主役である司馬懿に魅力を感じられなかった
・塚本氏が司馬懿を題材にして何を書きたかったのか、何を伝えたかったのかわからない
といったところだわァ！

ところで諸兄のなかには細かいレビューを望んでおられる方もいるようなのだが、
ここで少しご相談したいことがあるのだわァ！
レビューをすること事態はやぶさかではないのだが、いかんせんみどもは浅学の身。
233氏のように素晴らしい突っ込みを入れることは到底できそうにもないのだわァ！
レビューをするにしても、みどもが疑問に思ったところを挙げていき、
自分なりの見解を述べつつも諸兄や233氏の突っ込みやフォローなどを仰ぐという形、

つまりほぼ常にレスクレクレになってしまうのだが、そのような形でもいいものかのゥ！

それと、レビューをするとなると233氏の形に倣うことになると思うので、
きちんと233氏の了承も得て筋を通したいと思っているのだわァ！
諸兄らのご意見を聞かせていただきたいものだのゥ！

ここまで書いて思ったが、もうこの時点でみどもはかーなーりうざったいのゥ！
このまま退散したほうがいいような気がしてきたわァ！

待て待て、ここまで来て人ばｓｒ　ｹﾞﾌﾝｹﾞﾌﾝ　
勇者に去られてなるものか

>>599
お疲れ様でした。
感想については>>599氏が読んで思ったことや、
「ちょっとそれは・・・」と思ったことを
あげてくれればそれでいいと思います。
233氏他、知識のある方が疑問に答えてくれると思いますよ。

このスレの最初からいる我としては、
>>599氏は全くうざくはないわァ！
というか、手っ取り早く言えば、
燃料を投下してくれということだわァ！

＞つまりほぼ常にレスクレクレになってしまうのだが、そのような形でもいいものかのゥ！

＞それと、レビューをするとなると233氏の形に倣うことになると思うので、
＞きちんと233氏の了承も得て筋を通したいと思っているのだわァ！

吾輩は一向にかまわんッッ（by烈老師）わァ！
吾輩はここしばらく塚本ポイズンが全身に回ってレビューに手をつけられぬ体たらくであるので、
＞575氏には是非ともレビューをお願いしたいところよのォ！

575、仲達に一番のり！

退屈に耐えてよく読み切った、感動したわァ！
575殿には是非に住民になって欲しいのォ！

ご意見感謝だわァ！
諸兄、そして233氏のご好意に甘えて稚拙ではあるがレビューをさせていただくわァ！
233氏においては一日も早い塚本ポイズンからの回復を祈っているわァ！
氏のレビューは面白いし勉強になるからのゥ！

ではさっそくレビューのはじまりはじまりだわァ！
場合によってはみどもの学のなさを露呈することになるかもしれぬが、そこはそれ、
生暖かい視線で見守ってくれィ！


第一章　魏と蜀帝国二世比べ　（220〜223）年

Ｐ．11
「不本意であったろうな？」
夏侯尚が指揮をして運んだ曹操の棺を見ながら、曹丕がぽつりと零す。
（省略）
「いかが、なされました？」
彼も小声で訊き返す。だが、曹丕は応えず、葬儀の型だけ振る舞うと、魏都[業β]にある宮殿銅雀
台の執務室に二人は入った。

「仲達」の冒頭は曹操の葬儀のシーンから始まるのだわァ！
しかしんなことよりも、みどもはまずたった数文字で場面があっという間に飛んだことに驚いたわァ！
いわゆるファーストインパクトというやつかのゥ！
“葬儀を終え、ひと段落つくと二人は魏都〜”くらいに説明してくれるとありがたいと思うのは、みどもの読解力が低いせいかのゥ！
ここで早くも疑問に思ったのが、銅雀台のことだわァ！
しばらく銅雀台が曹操の居住兼執政場の宮殿としてちらほら出てくるのだが、銅雀台というのは宴や特別な催し物のために建てたもので、
住んだり仕事をしたりする宮殿とは別物、つまりこの作品中の扱われ方とは正反対のものだとみどもは長年思っていたのだわァ！
実際、銅雀台とはどのような用途で使われていた建物だったのかのゥ！

Ｐ．12
蜀の劉備の弟分で、立派な頬髯ゆえに美髯公と尊称された関羽は、前年（二一九年）呉の将軍
呂蒙に討ち取られた。彼は、曹操の魏軍と攻防を繰り返していた、そして、荊州の麦城で息子の
関平ともども捕えられ、処刑されたのである。

ここから先しばらくは、曹操の死と前後する数年の情勢が語られているわァ！
しかしいくら読み進めても「三国志」という時代の背景についてはまったく触れられずじまいだったわァ！
いや、後漢が腐敗したとか献帝が傀儡だったとか要所要所では思い出したかのようにきちんと触れているのだが、
まず大前提として、物語の最初にまとめて時代背景についてざっと説明しておくとわかりやすいと思うのだがのゥ！
ちなみに司馬懿については同じくＰ．12の最初のほうに
“司馬懿は八人兄弟で、皆字に達を当てられた。八人と
　も、出来がよかったので、兄弟全員を指して八達と言われた。”
という説明はあったものの、河内群温県の出身で父は司馬防といい、代々高官を輩出した家柄だったとか、
最初は出仕を拒んでいたが結局曹操に仕えることになった、とかというエピソードはまったく語られなんだわァ！
個人的には曹操との確執を思わせるエピソードは面白いとは思うだが、塚本氏は取り入れられなかったようだのゥ！

Ｐ．14からＰ．15
それゆえ、三年前の建安二二年（二一七年）、曹丕の太子冊立は決定したのであった。
このとき、曹操に命じられて、曹植が祝いの詩を披露した。

薄雲ぞ朧に月へかかりける
風の流れに雪ひるがへり
軽やかに咽喉へむかふその前を
赤き唇濡れて輝く
鮮やかに取り巻きてある皓き歯の
澄み渡りなほ眸にも明るく
洛水の女神笑窪も愛らしく
わが兄にこそ位贈らぬ

明眸皓歯という有名な四字熟語が、この『洛神の賦』の一節から（後日杜甫の『哀江頭』に
四文字並べて詠じられて）生まれた。曹植の詩は、故事の一端をも担っているのだ。

あの有名な洛神の賦がさっぱりとした詩になってしまったわァ！
賦は長いので一節だけを引用しよう、とかそういう類のもんだと思ったら、そんな説明はまったくなかったわァ！
しかも曹丕のための祝いの詩にもなっているのだが、みどもはそのような詩の存在自体知らなんだわァ！
というか、洛神の賦の成立は曹操の死後、かつ甄夫人の死後だったと記憶していたのだがのゥ！

ところで曹植がこの詩を詠んだ時に甄夫人もその場におり、曹植の自分への思いを感じ取って微笑んだとか、
後日二人が宮中で擦れ違って（多少酔っていた＆丁兄弟を連れていた）曹植が甄夫人に話しかけたとか、
さらに曹丕が帝位についたあと、参内した曹植が廻廊で倒れてその場で宮廷人の人だかりのなか（宮廷人は曹丕が来ると去っていった）
甄夫人（この時点ではすでに皇后）の介抱を受けたとかいう描写があるのだが、
この時代の、しかも太子妃＆皇后という高い身分の女性が私的なものだか公的なものなのかはわからないが
宴に同列しかつ宮中内をほいほいと出歩けるものなのかのゥ！
みどもは昔の女性は身分が高ければ高いほど、後宮という宮殿内でも限られた場でしか自由に行動ができず、
だからこそ曹丕が仲間内の宴に甄夫人を出席させて顰蹙を買い、出席していた劉�驍ｪ懲役させられたり呉質が左遷されたりしたのだと思っていたのだがのゥ！
まあ上の詩の成立年だとかこの女性の立場だとかは、物語をおもしろくさせるためならば多少変化をつけてもかまわないとも思うのがのゥ！
……それでおもしろくなるのなら、だがのゥ！

Ｐ．20
曹丕は、ゆったりと座り直した。そのとき、彼の左胸が少し傷んだ。上司の体調の変化を目敏
く見つけた司馬仲達は、妾で医術の心得がある張[女夸]を、近々診に遣ろうと思いながら説明する。

司馬懿の正妻・張春華も出ていないのに、創作人物である妾の名前が先に出ているわァ！
ちなみにこの張[女夸]は登場人物紹介にもしっかりと名を挙げられておるのだが、張春華は挙げられていないのだわァ！
諸葛亮の妻・黄月英は紹介されているのに不思議だのゥ！

Ｐ．21からＰ．22
そう言えば、皇帝劉協の伏皇后は建安十九年（二一四年）に、謀反の廉で処刑されている。
今の夫人は、曹憲、曹節、曹華の三姉妹で、曹操の娘だ。つまり、曹丕の妹である。
「主上、早う御位を、兄上にお渡しなさいませ」
「そうでございますぞ。政など忘れて、わらわたちと遊んで暮らしましょうぞ」
「その方が気楽で、ゆったりと長生きできましょう」
耳もとで代わる代わる囁かれると、皇帝劉協は真綿で首を絞められるような具合になる。

曹節は禅譲の際に兄・曹丕を詰ったことでそこそこ知られているが、ほかの二人の娘の名も挙げてくれるとは塚本氏もなかなかやるのゥ！
ちなみにここで娘たちは曹丕を詰るどころか禅譲を進めているが、これは塚本氏の創作ではなく演義の弘治本のほうを採用したみたいだのゥ！

Ｐ．24
これにて皇帝だった劉協は、後漢最後の皇帝として献帝（国を献呈したの意）と生前であるにも
かかわらず諡された。無論、正式には彼が薨去する青龍二年（二三四年）に贈られたことに
なっているが、実際にはこのときから決まっていたのだ。

献という諡の裏に「国を献じた」という意味が込められているとうのはたびたびみたことがある説だが、
死ぬ前から決まっていたというのは初耳だのォ！
退位してから亡くなられるまでは封じられた地名に則って、山陽公と呼ばれていたのだとみどもは思っていたわァ！

Ｐ．24からＰ．25
「ただ、即位しただけで喜んでいては、あいつ（劉協）と変わらぬ。尚書の陳羣が提案していた
法を制定するか？」
皇帝丕は、今後の帝国運営を司馬仲達に相談していた。
「はい。尚書の提案は、もともと漢が採用していた推薦制度と同じです。地方官が、地元から優
秀な人物を見つけ出すのが基本となります。今までとの違いは、官と人を一品から九品に格付け
して分け、評価の五品を、官の九品に充当させるというものです。まあ、いいのではないですか」

重用な国家運営に関することを二人だけで話し合っていいのかとか、提案した陳羣がその場にいないのはどういうことだとか突っ込みたいが、
それよりもこれはもしやかの有名な、三国時代以後の中国で延々と続いていった「九品官人法」のことなのかのォ！
三国時代、ひいては中国史全体からみても重用なこの法をこうもあっさりさらっと流して採用していいものなのかのォ！
まあ、この小説はあくまでも司馬懿が主役なので細かいことまで取り扱っていたらキリがないとは思うが、晩年の司馬懿が手を加えた法でもあるのだがなァ！

Ｐ．26
張[女夸]は、母親の鄒娜ともども華佗の弟子だった。
師の逝去後も医術の修得に精進して、今は司馬仲達の妾に収まっている。
翌日、彼女は司馬仲達と一緒に宮殿にやってきた。そして物怖じすることもなく、皇帝丕の瞳を覗き込んで脈を取った。

謎の創作人物・張[女夸]がついに登場したわァ！
それにしても、上でさんざん言っていた女性の立場云々と同じようなことなのだが、いくら相手が皇帝で旦那も伴っているとはいえ、
それなりの身分である家の妾がほかの男性と顔を合わせてもいいのかのォ！
皇帝相手だからこそ妙な勘繰りを受けて疑われそうだと思うのはみどもの考えすぎかのォ！
ところでまったく関係ないのだが、そんなことをつらつらと考えていたら、
太后に呼ばれた自分の妻が皇帝と密通したと疑って、草鞋を叩きつけた蜀の劉エンを思い出したわァ！
こんな逸話があるから皇帝相手でもむやみに会ってはいけない、とみどもは思い込んでいたのだわァ！

Ｐ．35
甄夫人の葬儀が終わった後、曹植が[垔β]城王に移封された。甄と[垔β]の旁が共通しているのは、明
らかに皇帝丕の嫌味であろう。

劉備か即位したり曹植を臨シ侯から安郷侯に格下げしたり甄皇后が自害したり、
張飛が部下に殺されたりさらに曹植が移封されたわァ！
しかし、みどもの手持ちの辞書では[垔β]と甄は前者はおおざとヘン、後者はかわらヘンに属していて、
左側が同じだからどうこうとはまったく触れられておらぬのォ！
というか、旁とはそもそも右側のことではなかったかのォ！
まさか塚本氏は見た目だけで[垔β]に曹丕が嫌味を込めたと判断したのではなかろうなァ！

Ｐ．39
また、曹真自身も曹休を慕っており、曹操亡き後も、二人は曹氏の固い結束の象徴的存在だっ
た。
ただ、司馬仲達に対しては、やはり距離を保っていた。それは、戦場を知らぬ者への蔑みと、
聡明さへの気後れだったのかもしれない。

劉備と孫権が荊州で対峙し始め、于禁らが呉から送り返されたり曹真や曹休などの重要人物の名前もちらほら出始めたわァ！
しかし“戦場を知らぬ者”とはまさか司馬懿のことなのかのォ！
司馬懿は曹操の漢中出兵の際に従軍していたはずで、戦場をまったく知らぬわけではないはずだがのォ！

Ｐ．40
「出かけていたのか？」
司馬仲達が屋敷へ帰ると、張[女夸]も門を潜るところだった。
「はい、夏侯尚様の奥方が熱を出されたので、診て欲しいと馬車を廻されて」
そう言えば、かつて夏侯尚は宮中の廊下で、釘で怪我をした。それを、偶然通りかかった張[女夸]
に、手当てしてもらったことがあった。
彼女は皇帝の主治医ではないが、専属に近い。だから、普通では治療を受けるのを、遠慮するも
のだ。
「まあ、夏侯尚であれば」
司馬仲達は、さして問題はなかろうと思った。

いや、問題あるだろう、だわァ！
皇帝の主治医云々の前に、正妻ではなく妾とはいえ自分の妻がほかの男の屋敷に行けば多少は問題視するものではないのかのォ！
というか妾であろうと旦那の断りなくホイホイ出歩いていいものなのかのォ！　みもどの頭が固すぎるのかのォ！
ちなみにこの前にいわゆる夷陵の戦いがあり、その大敗の前に馬超が亡くなったわァ！

Ｐ．49
「あの医師はどうだ？」
「はい、なかなか可愛いやつです」
声に聞き覚えがある。ぞんざいに問いかけているのが曹彰で、応えているのは夏侯尚らしい。
だが、確か曹真と一緒に南郡へ出陣したはずだ。
（中略）
「薬は効くのか？」
「はい、それは覿面です」
「そうか。後日、儂にも分けてくれ」
「はい、お楽しみに」
そこまで聞いて、司馬仲達は背筋が震える悪寒を感じ、同時に怒りも湧いた。夏侯尚の、笑い
顔が見えるようだった。
「ところで、主上も同じ薬をお飲みになっているのか？」
「それで奮い立って親征に行かれたという件ならば、違います。あいつは動悸を抑える薬を、強
精剤にもなると言って渡しているのです。畏れ多くも、主上相手に悪戯をしています」
「悪い女だな。相手もあろうに、主上を騙すとは」
「そのような度胸の良さも、みどもは堪りませぬ。戦陣にあっても顔が思い出され、武器を取る
どころではありませなんだ」
（中略）
彼らの会話を聞きながら、司馬仲達はその部屋をそっと出た。かといって、彼らに斬りかかる
度胸もないのが悔しい。
それから一月して、魏軍が大敗したとの一報が入った。

曹丕が一回目の呉への出兵を行ったわァ！
それにまぎれて司馬懿の妾の張[女夸]はたびたび夏侯尚の屋敷に呼ばれているような描写があったのだが、
曹丕の留守を預かっている間に司馬懿は夏侯尚と張[女夸]の二人が密通していることを司馬懿は知ったのだわァ！
しかし自分の妾が密通していることはもちろん、皇帝を騙していることに関しても言及せずに一月が経ってしまったわァ！
司馬懿はずーっと黙ったままで張[女夸]になにも聞かなかったのかのォ！
密通云々はまあ個人的なこととしても、皇帝を騙していることに関しては臣下として捨て置けぬと思うのだがのォ！
司馬懿がいったい何を考えているのかみどもにはわからんわァ！

このあと曹休が洛陽に戻ってきて司馬懿に大敗の顛末を伝え、さあ帰ってくる皇帝を迎える準備をしなければ、
というところで張[女夸]がしばらく屋敷に戻っていないということを伝えられて第一章は終わるのだわァ！

なんだかレビューというよりもあらすじを書いているみたいだのォ！
第二章からはもう少し簡潔にまとめられるように心がけることにするわァ！
あと、ところどころ語尾が「ゥ」になっているが気にせんでほしいわァ！

マジで晋書見てないから張春華知らないのかもよ？

ｼﾝ夫人については、そもそも史実では曹ヒの正妻になったことがないという

皇帝が臣下の妾に診療させるてｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗ
その発想はなかったわァ！ｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗ
なんかマジで「ファンタジーライトノベル」って感じだな…

あかん…　ハラ痛ぇ…　ネタ本か？
575は国士無双よのォ！
かえって読みたくなるから不思議だわァ！

>>575氏、お疲れさまです。

晋書って確か和訳でてないんだよね。
>>610の言う通り、読んでなさそう。
あと、晋書で曹丕は司馬懿に対し、
確か「私が東に行った時は、貴方は西へ〜(以下略)」
みたいなこと言ったと書かれていたと思うのだが、
妾のことといい、あまり仲が良いようには思えないなぁ。
いや、まだ一章だし、これからか。

それにしても、無理矢理出仕させられたエピソードを削るとは、
さすが塚本氏よのォ！

無理矢理出仕も晋書にしか載ってないからじゃない？
削ったんじゃなく知らないだけなのだよ

こやつめ、ハハハ！
自信がないとか言いながら中々の出来だわァ！
出仕を嫌がってニートしてたとか
有名なエピソードが省かれておるのは
まさに塚本クオリティとしか言いようがないのォ！

>>614
あれ？そうだったっけ？
結構有名なエピソードだと思ったけど
しかし父の司馬防について触れられていないということは、司馬防がかつて曹操を洛陽の
北部尉に任じたエピソードもガン無視したってことか？

575氏、乙だわァ！
吾輩も負けてはおられぬのォ！



＞605
＞河内群温県の出身で父は司馬防といい、代々高官を輩出した家柄だったとか、
＞最初は出仕を拒んでいたが結局曹操に仕えることになった、とかというエピソードはまったく語られなんだわァ！

歴史小説において登場人物のバックボーンを語ることは当時の社会や風俗と密接な関わりを持つので
非常に重要な作業であると吾輩は考えるのだがのォ！
『白起』では、前半生が完全な闇に包まれている白起の出身や家庭、後に秦の将軍として活躍する動機についてまで
物語の序盤で用意周到に語っておられた塚本氏とは思えぬほどの杜撰さだわァ！
やっぱり氏は『史記』や『漢書』のように正史の邦訳が出版されている時代しか扱わぬ方がいいのではないかのォ！


＞606
＞司馬懿の正妻・張春華も出ていないのに、創作人物である妾の名前が先に出ているわァ！
＞ちなみにこの張[女夸]は登場人物紹介にもしっかりと名を挙げられておるのだが、張春華は挙げられていないのだわァ！

『晋書』を引っ繰り返して呼んでみたら司馬懿の妾の一人に張夫人（張春華とは別人）という女性がおったわァ！
後の梁王、司馬彤を生んだ人だわァ！
張[女夸]がこの張夫人だとしたら塚本氏もなかなかやるとこれまでの認識を改めねばならぬところであるが、
正妻の張春華はむろんのこと、他の妾の伏夫人・柏夫人も無視されておるので
やっぱりただの偶然であろうのォ！


＞607
＞退位してから亡くなられるまでは封じられた地名に則って、山陽公と呼ばれていたのだとみどもは思っていたわァ！

575氏のおっしゃる通りだわァ！
『後漢書』でも『三国志』でも劉協は曹丕に禅譲した後は山陽公に封ぜられ、
死後に献の謚号を贈られたとあるわァ！
“実際にはこのときから決まっていたのだ”というのなら塚本氏には根拠を示していただきたいのォ！
なお『逸周書』の諡法解には「聡明叡哲、献と曰ふ」とあり、
別に国を献上したという意味は含まれてはおらぬのだがのォ！
俗説かのォ！

多分なんだけど、「仲達」は「三国志曹操伝」を読んでいないと意味不明な部分があるんじゃないか？

田釐子・成子伝で毒蛇使いの妾（当然架空人物）無双見てるオレは驚かないぞ

俺も「仲達」読んだけど、諸葛亮に台詞すらなかったり、
劉禅や曹髦が当たり前のように暗君扱いされてたり、
孫権の晩年の暴走が「耄碌してたから」で済まされたりしてるのが気になった

>>618
それ、十分あり得そう。
確か始皇帝のアイキャンフライも
別の小説で書かれていたとか・・・。
塚本氏の「仲達」は何をベースに書いているんだろう。
とりあえず晋書は違うということは分かったが。

620氏は575氏と別の方ですよね。
諸葛亮に台詞すらないって・・・。
さ、さすが塚本氏よのォ！
他の作家には決して真似出来ぬわァ！

今日ブクオフ105円コーナー覗いたけど塚本小説なかった。
しょうがないから宮城野の「重耳」３巻買ってきた。
ああ、始皇帝読みたかったよ。

意外と図書館においてあるもんだよ
そんなに大きくないうちの市立図書館にもあった
アイキャンフライのとこでは場所もわきまえず吹いたわｗ

>>622
宮城谷の間違いかのォ！
のォ口調が人名を浸食しておるわァ！

ここはアンチスレなのか？
にしては愛を感じるのだが

>>625
まごうことなき本スレにきまっておるわァ！

>>625
なんじのその感覚は重要よ。
大事にするのだぞ。



………あれ？

たくさんのレスを頂いて有頂天になっている575がただいま参上だわァ！
みどものレビューよりも塚本氏の小説自体がおもしろいから、と思うのは卑屈すぎかのォ！
ってかそんな心構えではレスをくれた諸兄＆233氏に失礼であるなァ！

>>620
みども以外にも「仲達」を読んだ方がいるとは心強いのォ！
氏のご感想などもぜひ聞かせて欲しいわァ！
独りよがりなレビューになっていやしないかとちょっと不安だったのでなァ！
ちなみに諸葛亮に台詞がなかったのは、この作品は本当に司馬懿だけを扱っているので、
あくまでも司馬懿とその周辺だけにとどめてあえて敵役については不透明にしておくという
手段の用いたのだな、とみどもは比較的好意的に捉えてあまり気にせなんだァ！
司馬懿周辺だけでもカオス過ぎるのに、この上に蜀についても語られたらどんだけカオスになるのかと思うと眩暈も覚えたしのォ！

>>233氏
突っ込み感謝だわァ！
献帝の諡に関しては、みどももどこで読んだかは忘れてしまったのだが、おそらく“献上”や“献呈”という
献が使われている単語からのニュアンスからで、俗説の域を出ないものだと思うわァ！


第二章のレビューに入る前に、みどもが疑問に思っていた銅雀台について自己解決したので一応ご報告しておくわァ！
コーエーから出版されている「三国志平話」の本文には銅雀“宮”と載せてありその注釈に、
「また「宮」（天子や皇后のいる宮殿）ではなく「台」（高い建物）である」
とあったので漢和辞典（旺文社第五版）で「台」を調べてみたら
解字：高（たかどの）の省略形と至（室）とで、土を盛って築いた物見台、高い建物の意。転じて、物をのせる台の意に用いる。
意味：�@うてな。物見台。�A高く平らかな土地。「台地」�B中央政府の役所。また、その高官。「台閣」（以下略）
とあったわァ！
結局、銅雀台がどんな用途で使われいたのかははっきりとしなかったが、塚本氏の
「銅雀台なる宮殿が建てられた」（Ｐ．16）は誤った文であるとみて問題ないということだわァ！
ちょいと揚げ足取りっぽいがのォ！

ではさっそくレビューをはじめるとするわァ！

第二章　劉備と曹丕崩御（二二三〜二二六年）

Ｐ．54からＰ．59
「確か、張済の娘だったな？」
どこからか、木を割る音と、そんな声が聞こえてくる。それは、塵屑を屋外へ直接棄てるため
の、竹筒を通してだ。
（省略）
「母親の鄒娜は……」
夏侯尚が、言葉を濁している。
無論、皇帝丕にも、その二人がだれかは判っている。
「武帝（曹操）が手を出して、張繍（張済の甥）の怒りを買ったのだったな。宛の宴会場で反乱
を起こされて、手酷い火傷をしたそうではないか」
この戦いで、本来の長男曹昂が討死し、丁夫人が一切口を利かなくなったと言われている。
彼女は、生みの親劉夫人が早逝したため、育ての親となっていたのだ。
「みどもは鄒夫人を覚えておりますが、あの器量なら、多少の火傷も本望と言うものでしょう」
「ほう、ならばそこもとも、張[女夸]のためなら、火傷を覚悟しているのだな？」
「無論です。だから、屋敷に留め置いて、外へは出しませぬ」
「それは、剛毅だな。しかし、主上の治療にも赴かぬとな？」
「どうせ強精剤ではなく、滋養を旨とした気休めの薬剤です。旬日ばかり飲まなくとも、本来は
健康には関係ないと、彼女も申しておりました」
そこまで聞くと、皇帝丕の血相が見る見る変わった。
（省略）
「張[女夸]は、屋敷の、どこにつながれておるのだ？」
言われて、このとき夏侯尚は初めて総てを悟った。
「それは、あれが帰りたくないと言いましたので……」
「仲達の内諾は、得たのか？」
「いえ、そのう……」
なにを問われても、夏侯尚はしどろもどろだった。
「では、張[女夸]のいる場所に案内しろ」
命じられて、彼は自らの離屋敷へ皇帝を案内した。
（省略）
「いいえ、そのようなことは……。信じて飲めば、薬は効きまする。それゆえ主上は、親征され
るほどお元気に」
張[女夸]が言うのは、今日プラシーボ効果という現象だ。人間の思い込みは、それだけで身体に良
くも悪くも影響を与えるものである。だが、当時は一般的ではない。
「言うな。偽物だからこそ、呉に後れを取ったのじゃ」
普通は、皇帝のような見解になる。
「いえ、効果の例はいくらでも」
張[女夸]が説明しようとしたとき、皇帝丕は夏侯尚が佩いていた剣を、脇から抜き取って斬りつけ
た。剣を取られた夏侯尚も司馬仲達も、止める隙がなかった。
（省略）
自分の妾が、いつの間にか他人の離屋敷へ行っていたには恥だが、それを皇帝が咎めて、なんとか恰好がついた。
しかし、まだまだ問題は先に火を噴くことになる。

呉への一回目の出兵に失敗し、帰還した曹丕が薬と夏侯尚の秘密を知って張[女夸]を斬ったわァ！
どうやら張[女夸]は夏侯尚が本妻（曹真の妹）以上に愛情を注いだために、
快く思わなかった曹丕が人をやって殺したという逸話の妾の立場であったらしいのォ！
実際、このあとのＰ．68には墓を暴いて死骸にすがる夏侯尚の姿がきっちりと書かれているわァ！
でもその人がなんで司馬懿の妾も兼ねてるんだ？　そういや夏侯尚の娘は司馬懿の長男・司馬師の妻で、
毒殺されたっていう話が残ってるな。なるほど、これはその話に深みをもたせるための設定なのか！
とみどもは塚本氏もなかなかやるのォ！　と感心したのだわァ！
……少しネタバレになってしまうが、最終的にはそんなことはまったくなかったのだがのォ！

ちなみに、233氏が指摘をしてくださったように、みどもも最初は張[女夸]は張春華とは別人である
妾の張夫人から引っ張ってきたと思っておったのだわァ！
しかし、張[女夸]を張済＆鄒氏の娘という設定にしたために起きた偶然、と捉えるのが正解っぽいのォ！

Ｐ．61からＰ．62
「それで、劉禅は、あのときよくぞ助けたと、思えるほどの人材か？」
同じ二代目で、相手の器量が気になるのか、皇帝丕はそんなことを訊いた。
「はっきり言って、皇帝の器どころか、官僚の端くれにも連なれますまい」
慎重に文言を考える司馬仲達が、にべもない言い方だった。
「それは、手厳しい意見だな」
（省略）
「それほど出来が悪いのか？」
「劉禅は父親に似ず、あの歳で後宮を構えて放蕩三昧です。政のまの字もございませぬ」

劉備が亡くなって劉禅があとを継いだわァ！
なんで曹丕が二代目なんだ、と思ったが塚本氏は曹操を初代皇帝として考えているようだのォ！
曹操は確かに武帝という諡名をおくられているし、魏帝国の基盤を築いてはいるものの、
個人的には“生きた”魏帝国の初代皇帝は曹丕だと思っているわァ！
しかし世間では曹操＝魏という認識なので、これはみどもの独りよがりに過ぎんがのォ！
それよりも劉禅が最初っから暗君にされていることが問題だわァ！
後年、宦官の黄皓を重要し、魏にあっさりと降伏してしまったことから劉禅は暗君の代名詞とされているが、
諸葛亮存命中はもとより、彼亡き後も蔣琬や費褘を信任して約30年も国を維持し続けているのだわァ！
まわりにいた人物が優秀であっただけで、劉禅自身はなにもやっていないに等しい、その二人が亡くなったあとがダメダメじゃん、
と言われるかもしれないが、劉禅の伝である蜀書・後主伝の魏略からの注釈では、
蔣琬が亡くなったあと劉禅自らが国事をみたと記されており（魏略曰、琬卒、禅乃自攝國事。）
決して“政のまの字もない”わけではなかったようなのだわァ！
これらからして、みどもは劉禅は名君とはいえないにしても、暗君ともいい切れない人物であったのではないかと考えているわァ！
長い年月にわたって暗君というイメージを植えつけられてしまったので、それを覆すのは安易ではないとは思うものの、
劉禅はもう少し見直しがされてもいいのではないかのォ！（近年、三国志ファンの間では見直されているようだが）

Ｐ．64
実は、この少し前に曹彰が薨去した。将軍として鳴らした皇族だけに、惜しまれたが、曹真や
曹休、それに曹洪らがいれば、その穴は充分に埋められる。

曹彰があっさりと亡くなったわァ！
曹操の死後、璽綬のありかを訊ね、異心があるのではないかと疑われたために曹丕によって毒殺されたのではないか、
という逸話は塚本氏は触れなんだなァ！
まあこの作品はあくまでも司馬懿がメインなので、曹家に関する逸話にいちいち触れていたら大変だからある意味仕方ないのかもしれぬのォ！

Ｐ．67からＰ．68
張[女夸]の父張済が死んで、張繍らが投降すると、鄒娜（張済の妻で張[女夸]の母）が曹操の姫妾にさ
さた。それを怒った張繍は、建安二年（一九七年）宛へやってきた曹操に、不意打ちを喰らわせた。
曹操はなんとか助かったが、長男（劉夫人の息子）が戦死した。また、鄒娜も大火傷を
食って華佗の介抱でようやく助かっている。その後、張[女夸]ともども華佗の弟子になったが、ここ
では詳細を省く。
（省略）
魏にあって、程�cや荀イク、荀攸とならんで謀略家と言われた賈クである。彼はかつて、張済や
張繍と行動をともにしていたのだ。
「葬儀には、朕も出席しよう」
皇帝丕がそのように言ったのも、張繍に悪意を吐いたことを、忸怩と思い起こしたからかもし
れない。
「主上のお出ましとあれば、家族も喜びましょう」
（省略）
皇帝丕はそのように言いながら、墓地に埋葬する所まで付き合った。
そして、いよいよ柩を穴に降ろして埋葬しようとしたとき、周囲で女たちの悲鳴が起こった。
「曝いています」
賈ク未亡人やお付きの侍女が、震えながら指差す先に、掘り返した土の盛り上がりがあった。
「あの場所は」
別に愕きの声をあげたのは、司馬仲達であった。それは、司馬氏ゆかりの墓地であったからだ。
（省略）
「今も、おまえが夢に出る。生き返ってくれないか」
彼はそう言って涙を流し、掘り出した遺骸に頬ずりしていた。
「夏侯尚ではないか……」
皇帝丕も司馬仲達も、おぞましい光景を見て、ぶるっと背筋を寒くした。最愛の張[女夸]と、終世の
上司と崇めていた曹彰に先立たれ、ついに頭の棙字が飛び散ったようだ。

先に触れた、夏侯尚の奇行が描かれている箇所だわァ！
曹丕が賈クの葬儀に出席しようと言い出したのは、張繍に「私の兄を殺しておきながら、よくおめおめと目通りに来れるな！」
と言ったことを後悔したから、と書かれているが、正史を読むと曹丕は賈クのことをよく重用しており、もし葬儀に出席するのなら、
張繍への暴言を気にしてではなく、純粋に賈クのことを惜しんでだろうなぁと思うのは曹丕に対する贔屓のしすぎかのォ！
墓地の形態に関しても（三国時代の墓地に詳しくないのでなんともいえないが）賈クほどの人物がまるで共同墓地のようなところに葬られるのはどうなのかのォ！
あと、本妻でもなくましてや醜聞を作った妾をゆかりの墓地に埋葬するってどうなんだ、と思ったが、
夏侯尚のすがっている遺体が張[女夸]のものだとははっきりと書かれていないことに気がついたわァ！
精神をやられてしまった夏侯尚が彼女の遺体だと勘違いしていたのかもしれんのォ！

Ｐ．68
それ以後、絶えて夏侯尚の噂はされなくなった。それは、尚書の陳羣がある触れを出したから
である。

大逆罪と反乱の陰謀以外、他人を密告してはならない。

他人を誣告した者は、訴えた内容の罪に落とす。

苛酷な政治は虎よりも猛々しい。役人は民を慈しむこと。

民を教化するため、文教行政に力を入れて太学も設置する。

迷信を布教して、民を混乱させることを禁じる。

以上のような内容であった。
これを見るに付け、夏侯尚の醜聞を揉み消すことの裏返しであることが判る。皇帝丕が陳羣を
して、そこまで夏侯氏への配慮をさせしめるのは、曹家の血が夏侯氏から来たものだからだ。

この政策のどこをどうみれば、夏侯尚の醜聞を揉み消すためだけに施されたものだと判断できるのかのォ！
夏侯尚の逸話に関しては、曹丕は（自分の行いを反省してかはどうかはわからないが）彼が重体になると彼の屋敷にたびたび行幸し、
手を握り涙を流した（尚疾篤、還京都、帝數臨幸、執手涕泣。）とあるのだわァ！
曹丕のこの政策は、純粋に皇帝として国を治めるため、民を慰撫するためのものだと評価するのが妥当だと思うのだがのォ！

Ｐ．71からＰ．72
司馬仲達は、皇帝丕の突然の思いつきがさっぱり判らず、仕方なく屋敷へ帰った。そして、以
前のことを思い起こしていた。かつては、後宮で満足の行く房事があった後に、機嫌よく親征を
言い出した。
心臓薬を強精剤として錯覚して、必要以上にやる気になったことが、武力の行使につながったらし
い。そう思ったとき、彼は張[女夸]の部屋が気になった。
（省略）
張[女夸]が夏侯尚の屋敷で斬られた後も、その部屋には薬が多くあった。使い勝手が判らず、だれ
も寄りつかなかった。司馬仲達の本妻も、しかりである。

ここでやっと本妻という言葉が出てきたわァ！　しかし張春華であるとは書かれておらぬのォ！
諸兄が推測するように、塚本氏は本当に晋書を読んでおらぬのかもしれんのォ！
しかし張春華の名や逸話については昨今の世、本に頼らずともネットでちょちょいと調べればいくらでも出てくるのだがのォ！
それと、晋書の司馬懿の伝である宣帝紀はすべてではないものの徳間書店・『中国の思想』刊行委員会[編訳]の
「正史　三国志英傑伝�U　成る」に翻訳が掲載されているのだわァ！
まったく関係ないが、みどもはこの本には大いに助けられているわァ！

Ｐ．72からＰ．77
司馬仲達が、それらの瓶をなおも眺めていると、『麻沸散丸』と書き付けたものがあった。麻
沸散だけなら、華佗が作った麻酔薬である。神経を麻痺させて、悪性腫瘍の除去手術ができたの
だ。
それをさらに精製し、丸薬から粉状態にすれば、他の薬にも混ぜることができるのではないか。
麻を使った薬は、覚醒作用ももたらす。それを飲めば、溌剌とした気分にもなるかもしれない。
司馬仲達は、親征の結果が気になった。
Ｐ．73からＰ．74
胸の発作らしい。以前なら張[女夸]の投薬で治まったのだが、彼女を斬って以来薬には頼っていな
い。
（省略）
胸に異常を感じながらも、それは一瞬のことで、次には房事を望む昂揚感が湧いてくるらしい。
後姿を見送りながら、司馬仲達は眉間に皺を寄せていた。皇帝丕の肉体は、躁と鬱とを間歇的
に繰り返すようだ。世間で言われる心の病に、よく似ていると思った。
もし、それを張[女夸]が作り出したのであれば、どうだろう。しかし、その理由が判らない。
彼は、あれこれと考えてみた。そう言えば、張[女夸]が夏侯尚の館で斬られたことで、司馬仲達に
はなんら咎めはない。医師とはいえ、妾の監督不行届と言えなくもない。
だが、皇帝丕はそのようなことに言及しなかった。飽くまでも、嘘の強精剤を飲まし続けた
ことを怒ったのだ。
それでも、彼の肉体的な昂揚は起こるのである。ならば、それは彼の潜在能力が、発揮されて
いるだけなのだろうか？
皇帝丕は、薬に頼らなくとも、絶倫である自らが嬉しいらしい。だから、司馬仲達の責任問題
を不問に付し、その余力を親征に向けているのだ。
それにもかかわらず、残念ながら軍事的成功は見ない。
彼は、それを肉体的な力が漲り過ぎているからと、一人で思っている。だから親征の失敗は、
自身のやる気の空回りと苦笑しているのだろう、
しかし司馬仲達は、別の角度から考えてみた。つまり、張[女夸]のことだ。
彼女は、張済の娘である。
（省略）
そこで張[女夸]らは、従兄の張繍とともに曹操に保護を願い出た。それは、あっさり受け入れられ
る。曹操は、敵の降伏は拒まず、すぐに自軍に引き入れたものだ。
しかし、母の鄒娜までが姫妾にされた。無論、張[女夸]は良い気分になれなかった。それにもま
して、張繍が屈辱を感じて怒っていた。
彼は、曹操が宛へ視察に来るのを、いや、鄒娜に逢うためやってくるのを狙って、火矢で襲撃
した。曹操は這々の体で逃げ帰ったが、鄒娜も大火傷を負った。
彼女は、荊州で刺史（太守の査察官）劉表の主治医をしていた名医華佗に救われたが、記憶を
失ってしまった。だが、逆境にめげず、華佗の助手として製薬と医術を修得した。張[女夸]も傍にい
て、同じことを手伝って成長したのだ。
（省略）
このホウ統という男は、諸葛亮に勝るとも劣らない才があるとされていた。だが、徐庶が自分を
差し置いて、諸葛亮を推薦したことを怨んだらしい。
母が処刑されたと聞いて怒った徐庶は、そのまま蜀へ奔って劉備に忠誠を誓う。そして、毒矢
でホウ統を暗殺し、素早く曹操のもとへ戻ってきた。出直しを覚悟していた彼は、親孝行のつもり
で鄒娜から医術を教わったのだ。
気の合った二人は、何年かして夫婦になって曹操によく仕えた。

（省略）
彼女の話から、徐庶は蜀へ連れて行かれたと判った。それは、蜀のホウ統を徐庶が暗殺した仇討
ちだと見られた。
後日、蜀からの使いの話では、徐庶は蜀で医術を生かしているという。きっと技術を惜しんだ
諸葛亮が、特別な計らいをしたのだと、だれもが理解した。
もともと、諸葛亮が劉備（蜀）に仕える糸口は、徐庶の高配だったことを考え合わせれば、そ
の措置も無理からぬわけだ。
しかし、ことはそれだけでは収まらなかったのだ。長安で話を漏れ聞いた鄒娜が、曹操が息を引
き取った混乱に乗じて、そのまま秦嶺山脈に入ったまま帰ってこなくなっている。
その地にしか自生しない薬草を採りに行って遭難したとも、蜀の兵士に捕われたとも、自ら
恋しい夫の元へ行ったとも囁かれている。
その中にあって、張[女夸]の心境はどのようなものだったのだろう？
司馬仲達はようやく今頃になって、自分の妾の気分や思考を思い遣るのがもどかしかった。
そう言えば、彼女がどのような気持で夫に接していたかなど、考えたこともなかったのだ。い
や、普通夫などというものは、その程度だろう。しかし、なぜ夏侯尚のもとに入り浸りだったの
か？
それだけは、いまだに謎である。
一つだけ思い当たるのは、華佗にも劣らぬ名医としての評判だ。それには、曹氏や夏侯氏を籠
絡するのが一番だった。それゆえ、夏侯尚の要望にも応えたのだろうが、相手が悪かったのかもし
れない。

どこで切ればいいのか判断がつかず、ほぼ丸々引用してしまったわァ！
曹丕が呉への２度目の出兵をして失敗したところだわァ！
徐庶や鄒氏の設定からして、この「仲達」は>>618氏の仰るように「曹操伝」を読んでいないと
理解しきれない作品らしいのォ！
しかしみどもは「曹操伝」を読む気にはまったくならないので、新たな勇者が出ることを待つことにするわァ！
しかし相変わらず司馬懿は薬について曹丕になんにも報告はしていないらしいのォ！
一応その体調の心配はしているらしいが、それよりもその体調の変化の原因となった張[女夸]の気持ちを慮っているとわのォ！
司馬懿にとっては、
死んでしまった上に醜聞を作った＆皇帝に変な薬を飲ませていた妾>>>>>>>>>>生きており、自分を特別重用してくれている皇帝
なのかのォ！
いやはやなんとも……だわァ！

Ｐ．80からＰ．83
宮廷人の懸念を他所に、皇帝丕は平然と親征を言い募る、その戦熱心を、司馬仲達はある愕き
で見つめていた。ここまで来れば、蜀の施設らが執拗に安否を訊いたことが、妙に暗合してくる。
そして、あることに通底すると初めて気づいた。だが、声に出すのが畏れ多いと同時に、怖
くなったのだ。
（省略）
なおも、夫婦の契りを交わしているうちに、鄒娜にかつての記憶が蘇ってきたのだろう。彼女
は、張済の妻だったことや、曹操の姫妾になっていたことを思い出し、徐庶と一緒に魏王への憎
悪を募らせたのかもしれない。
そこから、夫婦の共同戦線が始まったと考える方が妥当だ。薬に関しては、鄒娜が一枚も二枚
も技術が上手だった。すると、徐庶が襲われたことになっているのは、曹操暗殺後の逃げ場所の
確保だったと考える以外にない。
それならば、張[女夸]の役目は判然としている。曹操につづいて、親子二代に亘る曹丕の暗殺以外
に考えられない。だが、志半ばで先に処刑され、残念ながら挫折したことになる。
（省略）
薄めた毒を連日摂取すれば、致死量は上がるが、身体は確実に蝕まれるのだ。
曹操が息を引き取ったとき、鄒娜が関与しているなどと、だれも疑わなかった。いや、今も夫
を誘拐され、それを捜しに行ったまま行方不明の、健気な妻になっているではないか。
身寄りもなき、後を継いだ張[女夸]は、母に言いつかったことをつづけたのだ。だから曹丕も、曹
操と似たような状態になっているのだ。
（省略）
しかし、彼女が曹丕に斬られた理由は、飽くまでも『精力剤を偽った』からだ。その上、夏侯尚を相手にして。
だが、なぜあの男に付いて行ったのだろうか？　司馬仲達は、彼女を寝取られたことになる。
しかし、一方的な屈辱感など湧かなかった。それは、あの墓場での一件があったからだ。
死体愛好者に成り下がった夏侯尚は、それほど張[女夸]に惚れ込んでいたのか？
（省略）
彼女は、皇帝丕の発作を抑えるためか、あるいは一気に殺すため、薬を調整する実験をしたか
った。その絶好の対象として、夏侯尚が現れたと思しい。

一時期常用していたものの、飲ませていた本人が死んでからは飲んでいないのにもかかわらず、
なおも人体（曹丕）に影響を与えているとはおっそろしい薬よのォ！
塚本氏の小説には麻薬がよく出てくるらしいが、それはこれが顕著になったものかのォ！

Ｐ．83
それに付けてもと、司馬仲達はずっと思い悩みつづけていた。
わざわざ、夏侯尚などを実験台にせずとも、夫である自分を使えば、充分だったはずではない
かと。
にもかかわらず、敢えて外の男を相手にしたのは、夫を犠牲にしたくないとの気遣いだろうが、
世間には不倫にしか見えないのだ。つまり、社会的な体裁は悪くなる。
（省略）
それとは別に、司馬仲達は張[女夸]の心延えも考えた。彼女が、夫を理不尽に薬の実験台にしなか
ったのは、これまで慈しんでもらった愛情への、ささやかな恩返しだったのかもしれない。
敢えて、立場をなくさせるつもりはなかったろう。しかし、そこまで思い至らないのは、恥に
対する感覚の男女差だ。
司馬仲達と張[女夸]は、決して仲が悪かったわけではない。いや、彼女が製薬に没頭しているとき
以外は、むしろ二人の愛情は細やかだった。
だから彼女は、夫を薬の犠牲にしたくなかったのだろう。

上で夏侯尚に寝取られたけどくやしくないもんね！　と言っている割りには司馬懿は張[女夸]のことを気にかけているのォ！
たかだか妾のことで思い悩み続けている司馬懿をみどもは見たくないと思ったわァ！
それが曹丕の薬に関することならまだしも、張[女夸]個人のこととなるとなおさらだわァ！

Ｐ．87
だが、皇帝丕は曹叡の中に、曹植の影を見ていたのかもしれなかった。まさか、甄夫人と曹植
の間に出来た子とは思っていまいが、頭脳の切れは、酒浸りになる前の曹植と似ていた。
司馬仲達は、それをも含めて張[女夸]の思いを再度考えた。すると、ある道筋が見えてくる。つま
り、皇帝丕亡き後に曹叡を立てて、司馬仲達に曹家を乗っ取れと導いていたようだ。
偶然とはいえ、夏侯尚が廃人になったのも、大きな意味で張[女夸]の謎掛けと見れば、総てははつな
がる。

曹丕の息子・曹叡が登場したわァ！
それにしても曹叡といえば甄夫人の前の夫・袁煕の子ではないかという疑いが有名であるが、
塚本氏はそれには触れずに曹植のほうを持ち出してきたわァ！
曹丕と曹叡、そして甄夫人との確執をわかりやすくするためかのォ！
それよりもなによりも、みどもはそのあとの司馬懿の思考の方に驚いたわァ！
妾が曹家を乗っ取れと導いていた（かもしれない）など、想像や推測をとおりこして妄想の域に達していると思うのは、
みどもが低脳＆浅慮すぎるからかのォ！

Ｐ．89からＰ．90
そしてなにを思ったのか、洛陽への途中、曹植を封じた雍丘に立ち寄った。宮殿で兄皇帝を迎
えた曹植の方が、なにごとかとどぎまぎていていた。だが、皇帝丕は、弟にも同じことを言った。
その後、夕食を終えると曹植に五百戸を加増して、そそくさと退散した。皇帝丕に嫌われてい
ると、心中恐れていた曹植は、狐に抓まれたような感触で兄を見送った。
呉に進軍して、三度とも失敗するのは、彼に軍事的才能がないのだろう。だが、皇帝として、
無能をあからさまに宣言するわけにはいかない事情もある。その分、精神的な衝撃が、奇行とな
って現れたようだ。

曹丕が三度目の呉への出兵を行って失敗したわァ！
そのあとに曹植に会いに言った理由が奇行で済まされてしまったわァ！
そしてこの書き方では軍事的才能がない＝皇帝として無能、とも取られかねんわァ！
確かに曹丕には軍事的才能はなかったかもしれないが、その代わり政治的才能、
ひいては治世の皇帝としてはなかなかのものだとみどもは思っているのだがのォ！
もっとも、その一片が見受けられる曹丕の政策を塚本氏は「夏侯尚の醜聞を隠すため」として採用しておられるがのォ！

Ｐ．93
母の死に方が問題視され、周囲の百官は曹叡を敬遠した。そして、徐姫の息子曹礼に近づこう
とした。徐姫もそれを悟って、宮廷人に愛想が良かった。
Ｐ．94
徐姫が三公九卿や百官に対し、やたらと愛想を振りまいて我が子の印象を良くしているに過ぎ
ない。このまま皇帝にすれば、彼女が掌を返したような態度で、権力を恣にするのが目に浮か
ぶ。

曹丕が曹叡にではなく曹礼を太子に立てようと考えていた、という逸話は残っているが、
それについて曹礼の生母である徐夫人が積極的に工作していたとは初耳だのォ！
おそらく塚本氏の創作であろうが、あまり有名とはいえないこの話に目をつけるとはのォ！

Ｐ．94からＰ．95
司馬仲達は、今日の状態を導き出したのが、鄒娜と張[女夸]の練り上げた薬だと、はっきり確信で
きた。以前、蜀の使節が盛んに皇帝丕の安否を尋ねたのも、鄒娜と徐庶が薬の効果を確かめよう
としたからだ。
そして、彼らが最後にした念押しが、許昌の南門を焼くことだったと悟った。行幸直前に失火
すれば、たとえ放火であっても管轄する役人の首が飛ぶ。だから、これといった原因もないのに
崩壊したと報告がなされたのだ。
梁幾の報告は、そのようになっていた。
蜀の間者としては、してやったりの事態である。つまり彼らは、皇帝丕が不安がればいいので
ある。それで、魏皇帝の精神状態を不安定にして、薬で蝕まれた肉体を城門のように瓦解させて、
最期を迎えさせるわけなのだ。
皇帝丕は、原因が判らぬまま、本能的に死期を悟ったらしい。だから、皇太子を決めに掛かっ
たのである。

結局、曹丕が張[女夸]の薬が原因で亡くなってしまったわァ！
彼の死因は肺炎であったはずだがのォ、と思い正史を読み返していたら死因についてはなにも触れていなかったわァ！
あれ、マジで曹丕は風邪をこじらせて肺炎で死んだっていう有名な話の出典ってなんだ……？
それはまあともかく、ここからが司馬懿の活躍どころだのォ！
第二章からは簡潔に〜と言っておきながら第一章よりも長ったらしくなってしまったわァ！
引用しすぎて著作権の侵害にならないか心配だわァ！

ちょっと訂正だわァ！
>>636
>曹丕と曹叡、そして甄夫人との確執をわかりやすくするためかのォ！
ではなく
曹丕と曹植、そして甄夫人との確執を〜
だったわァ！

乙ｗ
そなたこそ万夫不当の豪傑よのォ！

>>575氏　乙だわァ！
確かに曹丕の死因については肺炎という説は一般的だな。
ふと思い出したが、北方三国志の曹丕も肺炎で死んでたような・・・。

>劉禅はもう少し見直しがされてもいいのではないかのォ！（近年、三国志ファンの間では見直されているようだが）

これは自分も同意。
あの状況で徹底抗戦をすれば民も巻き込まれて死ぬだろうし、
どう考えても勝ち目がないと分かっているのなら、
無駄な犠牲を出さなかった劉禅は正しいと思う。
ただ「戦わずして降伏するとは情けない」と蔑む気持ちも
分からんではないが。

>>575氏には乙というほか無いわァ！

>>633
＞『麻沸散丸』と書き付けたものがあった。

こ、これは粉薬なのか丸薬なのかどっちなのかのォ？！

>>641
あかん、最後のとどめ刺された。
腹筋返しやがれｗ

>>575氏まことに乙だわァ！
小生は233氏や575氏のような文才が無きゆえ詳しいレビューはできぬが、
曹丕といい劉禅といいあまりにも人物を小者に書きすぎていると思うのォ！
架空の妾の話を書くくらいなら曹叡との確執、曹植・曹彰をはじめとする
親族の冷遇をもっと掘り下げて欲しかったわァ！

233氏が言及しておられたが、クスリがでてこない塚本青史なんぞ
パンツの出てこないＴ○らぶるみたいなもんだわァ！

ところで、皇帝の名前は諡号で呼ぶのが通例と思っていたが、
塚本氏は一貫して「劉底」「曹丕」のように姓+名表記だのォ！
これはなんか意味があるのか、諸兄らに御教授たまわりたいのォ！

>>644
生きているうちは諡号で呼ばれるはずがない、というこだわりじゃない？
もっとこだわってほしい箇所はたいていこだわってないが

>>644
春秋・戦国時代を描いた白起や田釐子・成子など、初期の作品を読んでおる
読者なら御馴染みの表記なのだわァ！

塚本氏の君主の表記にはほぼ二通りあるのォ！
ひとつは、「姓（氏）＋名」というものであり、もうひとつは「国名＋爵位＋名」
となるようだわァ！

たとえば、斉の桓公なれば姜小白、秦の恵文王なれば秦王駟となり、
諡号での表記は歿して後に初めて登場するのだわァ！

これは>>645氏も申されるがごとく塚本氏独特の拘りだろうと察せられるのだが、
必ずしも読者が舞台となる時代に精通しておらぬ事を慮れば、配慮としては
いささか欠けるものがあるとみどもなどは思うのだが、読者諸兄におかれては
はたしていかがなものなのかのォ！？

以上、みどもの拙い講釈でいささかなりとも理解いただければ、幸甚と申すべき
ところだわァ！

575乙だのォ！
しかし読めば読むほど、仲達好きとしてはあまり女に悶々としてほしくないのォ！
徐庶や薬の設定も激しいわァwww

575乙！
塚本って、何故に面白い話を書けぬのかのォ！　触りを聞くだけでも
読む気が失せる筋だわァ！

>>645
だが、皇帝ともなれば「姓+名」で呼ばれる状況が想定しがたいのォ！
劉邦みたく叩きあげで、皇帝じゃない期間のが長いとか、
曹ヒのように慣例的に「姓+名」表記なのは除外するがのォ！
だから、地の文は諡号、会話文では「陛下」呼ばれば問題はないと思うんだがのォ！
塚本氏以外に、そういう無駄なこだわりを持っている作家はいるのか知りたいものだわォ？

>>649
文章中の表記であれば、呼び捨てでも構わないと思うがのォ！
会話で呼び捨ては、皇帝どころか同僚でもありえんわァ！

みどもの地元の図書館はおろか、県内の図書館すべてに「三國志曹操伝」がないと言う不思議
なぜ？「仲達」は入ったのに？出版社が光栄だからラノベだと思われてるのかのォ！

>>649
こだわり、というのも違う気はするが、
酒見氏とか、他にもいたような気がするんだけど、
諸葛亮だけが「孔明」になってて、
あとは劉備、関羽、張飛と「姓＋名」で呼ばれてるんだよな。
レッドクリフでもそうなんだけど、
何故に孔明だけが字呼びなのか不思議だ。

「諸葛孔明」が一般に通りがいいからじゃないか？
逆に「諸葛亮」に拘って、
なんかその辺に言明していた作者も居た気がする。

項羽とかも字での表記が一般だな。
隋唐演義の秦叔宝とか単雄信なんかも史書でも字表記だった。
名より字をもって知られるってなんか意味あるのかな？

>>654
確かに項羽も字の方が一般的だな。
司馬先生の小説のタイトル「項羽と劉邦」ていうのも、
音的には良いような気がするんだけど、
片方が諱で片方が字っていうのも変な感じがするんだよな。

これはあくまで私の勝手な思い込みだが、
字で呼ばれる方が、贔屓というか、尊敬されているような
上手く言い表せないんだけど、そんなような気がする。
これは本当に勝手な思い込みだけで、
ちゃんとした根拠があるのかもしれんが。

字表記が通例なのっていうと、思いつくのだと猪八戒とか。
人気って要素はあるんだろうなぁ。
でも、正史ですら「関公」って表記されてる関羽が
字で呼ばれてないってのは、あるいみ興味深いかもしれない。

霍去病を読んでたら、普通に醍醐が出てきたが
醍醐ってこの時代に存在したのかのォ！
『蒼天航路』の時代に曹操が北伐のとき持ってきた…
というのは漫画脳としても、Wikiで調べた限り
怪しいのだわァ！

孫子伝でも孫武が斉の都でよろず屋を営んで、竹細工やら飴やらを売っておったが・・・
物凄く違和感を感じたわァ！泥棒除けの罠が大量に仕掛けられた店内の床下にはなんと毒蛇、
外壁と内壁の間には蜂の巣と言う「万屋孫武」には泥棒、万引きの類はおろか客も来るとはとても思えないわァ！

何でも麻薬のせいにする設定って結構便利だよなｗ
趙匡胤の例のエピソードも、薬でラリって斧で転んで死んだとかにできそうだわァ！
あと金の海陵王も麻薬設定と相性よさそう

>>656
字表記の方が通例なのって春秋時代の晋の叔向とか
鄭の子産とか

あ、でも子産を字ではなく姓名だと思ってる人もいるみたいですね

>>659
たのむから、おれの趙匡胤を塚本節で汚さないでぇ

なにやら面白い話題が出ているのォ！
「仲達」作中の人物表記は地の文ではほとんどが姓＋名で、
司馬懿だけ姓＋字（司馬仲達）、曹丕は皇帝丕、曹叡は皇帝叡、曹芳は皇帝芳、となっているわァ！
ちなみに臣下が皇帝を呼ぶときは主上、亡くなった皇帝の場合は諡で呼ばれており、
さらに一人称も朕はもちろん孤（王の一人称）も使われておったわァ！
曹彰が曹操のことを「わが父武帝（曹操の諡）」と呼んでおったとき（Ｐ．55）は
すこーし説明くさいなぁとは思いつつも「なかなかやるのォ！」と感心もしたわァ！

ちなみに>>655氏の字で呼ばれる方が贔屓＆尊敬されているっぽいと感じるのにみどもはいたく共感するわァ！
みどもの場合は、昔の中国では相手を名で呼ぶことはとんでもなく失礼で、字は名の代わりのもの＆親しい者同士の呼び名、
というあやふやな知識を前提に「名を避けられて字で呼ばれている人は、礼を尽くされていているんだなぁ」と思っているだけだがのォ！

>>620（643）氏
みどもの我がままに応えていただき真に感謝だわァ！
そしてそのご感想に全力で同意するわァ！
周囲の人物だけならまだしも、主役の司馬懿ですら小ｍ…大物と捉えられないのが、
この小説の致命的なところだとみどもは考えるわァ！

ではここからレビューを……と言いたいところなのだが、最近まとまった時間がとれなくてレビューを書いている暇を見つけられんのだわァ！
私事で恐縮なのだが、「仲達」のレビューの続きはしばらくお待ちいただくことになってしまうわァ！
いつもレスをくださる諸兄にはまことに申し訳ないわァ！

しかし、疲れているときに塚本氏の小説に目を通すと、さらに疲れが増すのはなぜなんだのォ！

>>575氏
>昔の中国では相手を名で呼ぶことはとんでもなく失礼で、字は名の代わりのもの＆親しい者同士の呼び名

私もこれと同じ認識が前提にあるから、
それで字で呼ばれるのが通例になっている人は、
万民(という言い方は大げさかも知れんが)に慕われているような、
そんな感じがするんですよ。

この件については233氏の意見も是非お訊きしたいのだが、
もし見ておられたらお願いします。

575氏。どうか無理はせずに。
レビューの再開、楽しみに待ってます。

光武帝は評判悪いけどそんなに面白くないの？
やる夫で興味持ったんだけど。

かの田中芳樹絶賛のせいで（笑）
すでにファンと軽いアンチが、しのぎを削る状態になっている。
面白い面白くない、好き嫌いはその人の嗜好でしかないよ。

題材「だけは」いいんだよ。白起、霍光、王莽なんて殆ど取り上げられる事が
ないだけに上手く書ければ傑作になる。
如何せん文章力がいまいちだったり、ろくに史料を吟味してなかったりするから批判される。

項羽が項籍よりメジャーなのは、史記の項羽本紀ってタイトルが理由だとおも

秦叔宝や蔚遅敬徳の字がメジャーなのは隋唐演義の影響じゃなかろうか

三国志演義でも水滸伝でも各回の見出しに名前が載るようなメインキャラは姓＋字表記が多かったとおも

正史のほうは諡や諱が普通使われている気がする

>>667
>>秦叔宝や蔚遅敬徳の字がメジャーなのは隋唐演義の影響じゃなかろうか

《史記》がでてきているんだから、そこは《舊唐書》って言おうよ。

>>668
旧唐書は多分和訳がないんだと思うけど、読んだことないから字表記されてるのか知らないんだよね
まっ、原文を眺めるだけで字か諱かくらいはわかるとは思うけど

仮に旧唐書でも字表記されてても史記や演義物に比べたら影響力は小さいだろうけど

新と旧で字と名が入れ替わってるよね
顔師古とか

>>669
でも普通に、秦叔宝も房玄齢も程知節も高士廉もその他結構あざな表記だよ。
《舊唐書》は劉昫だから、五代後晋の時代。
影響力とかいう以前に、それで伝が立っているのが、そもそも
あざなが広まっている証みたいなもんじゃないかな。

>>671
字で伝がたってるんだね
史記の項羽本紀が例外的なのかなって何となく思ってた
特に唐代以降、完全に国家事業化した正史編纂では、諱表記で規格統一されているのかなって思ってた

興味深い指摘をありがとう

検索してみると新唐書なんかだと
「字をもって行われる（以字行）」例が大量に見つかるな

>>672
一応本記立てるくらいには経緯を払ってたから字なんじゃないかと。
李斯とかは李通古じゃないし。

素材を汲み取る目は確かなのに肝心の部分が足りないのは勿体無いのォ！

名と字についての風習であるが、名は目上からの呼び名、字は対等な相手と目下からの、
敬意を含んだ呼び名という理解が正しいはずだわァ！

アジアでは言霊信仰などの理由から本当の名前を呼ばれることを忌避する傾向にあったわァ！
名を呼ぶのは主君ぐらいなのは神(或いは天)を口寄せする巫女や祭祀を司る指導者だけは
名前を呼ぶ事が出来た名残りと考えるのが自然だろうのォ！
しかし、これでは対等な相手や目下の人間は名前を呼ぶことができないのだわァ！
要するに張さんだの李さんだののやたら多い連中を呼ぶときどうしたらいいか困ってしまうんだわァ！
呼ばれる側も有象無象といっしょくたにされては個人の尊厳もクソもないわァ！
そこで字を開発したのだのォ！

二段落目は想像含みで実は何ら根拠はないがのォ！
まぁ、字について大学教授が解説している頁を見たことがあるので、明日自宅に戻ったらURLを貼るわァ！
みどもの意見よりも納得と安心を得られるであろうからのォ！

漢語百題
http://c-faculty.chuo-u.ac.jp/~asuda/kishida/kango100.htm#2

週刊文春に塚本氏の仲達のインタビューが載ってた。
物語に薬を出すのは得意です！って言ってた。

マジで？ｗ

>>678
なにそのこのスレに対する回答のような内容

>>678
薬出すの得意って・・・それは自慢するようなことか？
薬で誤魔化しているようにしか思えんのは、
私の了見が狭いだけか？
しかし、ある意味我々の期待を裏切らんお方だな。
明日にでも週刊文春読んでくるわ。

薬と刺客か・・・伴野の剣法と妖術使いみたいなものか・・・

>>682
宮城谷の爽やかとか、陳の陰謀論と同じようなお約束なんだな

お約束。塚本は卑俗さ。

ざっと立ち読みしてきただけなのでうろ覚えだけど、
なんか薬の歴史？とか、そんなのを書きたいらしいね。
でもそれにはまだまだ勉強が必要だとか。
それ以前に読むべき史書があるんじゃないかと思ったが、
まぁ私の気のせいだな。

ヤクが主人公
歴史は調味料

そのことをどうしてここの連中は理解出来ないのだろうか

先生乙！

阿片戦争書かせたら名作になったりしてｗ

急に書き込みが止まったなぁ。

>>575様
週刊文春読んで中英板の司馬懿スレに行き、こちらに誘導された者です。
塚本本を読んだことがなかったので、このスレは初めて。
書き込み大感謝。このスレ発見大収穫。ぶったまげて首が180度回りそうだわァ！

>>690
お近くの図書館に塚本の本があって、
なおかつ時間が有り余っていたら読んでみて下さい。
きっとさらに首が180度回りますよ。

>>691
近くの図書館に数冊『仲達』あるようです。貸出中だって。
予約しました。周辺の自治体の図書館も検索してみたら、
どこでも所蔵してるうえ、貸出中だって。
なんでこんなに図書館に食い込んでるのだ？不思議な作家だわァ！

>>692
おお、早速予約されましたか。
少々中国史を知っておられる方なら
随時ツッコミいれながら読むという、
ある意味楽しい時間が得られるかもしれません。
読破されたら是非感想をこのスレに書き込んで下さい。

そういえば、「始皇帝」を探していたりする方が
結構いらっしゃったりして、不思議ですよ。
他の作家さんには真似の出来ない
ラストのとんでもないオチが良いのでしょうか。

また新たな犠牲者が増えたのォ！

素材はいいのに料理で半端になるというドイツの料理人みたいな人だよのォ、塚本氏は。

霍光を読み始めたが、2ページ目から「言いたくなるわァ！」と塚本節炸裂だわァ

殆どを単行本で購ったみどもからすれば、なんてことはないのォ！


…虚しいのォ！虚しいのォ！

くやしいのォ！くやしいのォ！

一つの民族云々と言ってたのが印象的だった

>>693
690です。１ページで数カ所ＯＴＬな状態になるので、
読破は無理そうです。ぱらぱら読んでます。
しょっぱなから、八達→はつたつって、万里の長城かよっ。はちだつだと思ってたわァ。
三国志の時代は医者は賎業で、華ダは「官僚である自分が医術を行う」
ことについて葛藤があったと言っていたように思います。
で、司馬家は曹家の妻妾が娼伎や未亡人が多いのを嫌い、
妾であっても、学者や士大夫の娘を求めた、とこの板で見ました。
もうね、なんかね、ハァ？なんです。
聞きしに勝る本だわァ！

連投スマソ。張済や徐庶の娘が医者で皇帝を診るって、その設定は、
韓流ドラマ「宮廷女官チャングムの誓い」を踏まえているような。。
チャングムは料理女官→流刑（罪人）→
医女（奴隷階級の女の職業→美貌と知性で出世（中宗の主治医になり、妾になることも求められる）
という話。このドラマは、中国では明時代のものだけど、古代の医者の身分
を考えると、士大夫の娘を医者に設定するなら、罪人に落としたほうが自然だと思います。

>>700
693です。気持ちはよく分かります。
時間の無駄だと思ったら即終了して下さい。無理は禁物ですよ。
ところで私は八達を「はったつ」と呼んでました・・・。

韓国のドラマでそんなのがあったんですね。
本当にそれをパク・・・いやいや、ヒントにしたのなら、
それはそれで吃驚ですね。
まぁ漢代あたりはまだマシみたいですよ。
春秋戦国ものはもっと酷いようです。

>>702
ありがとうございます。
八達で反応した私は、ちょっと色眼鏡で見すぎてるかもです。スマソです。
塚本氏のお父上塚本邦雄氏は、極端に賛否両論分かれる先端的歌人だそうですね。
さきほど短歌に詳しいひとに聞きました。天皇制反対派らしいです。
ご子息の��史氏が、このような！小説家になっていると知って驚いてました。

チャングムは東アジアの歴史もの、特に宮廷ものとしてよく出来てるから知らないなら見ておいた方がいいよ

ってか、そうか塚本はチャングムをパクｒｙして女医か・・・
でも霍去病でも女医が主要キャラに出てた（こっちは一応実在の人物）ので、単なる彼の趣味（性癖）かもしれない

>>704
わ、女医フェチか。塚本氏が嘉門達夫や双羽黒に見えてきたわァ。

>>704
良くできてる……ってあのフィクションにも程があるトンデモドラマが？
ま、光武帝を良くこれだけ素っ気なく書けるもんだと呆れ果てた塚本節とは
いい勝負かも知れないが。

『やる夫が光武帝になるようです』を読んだが面白いな。
二十八宿以下、大量のモブキャラまでうまくキャラづけされてやがる。
やる夫版がタダで読めたのに、わざわざ塚本版のを全巻揃えたことを後悔中…。

>>707
確かに。
こうなれば、あの作者が塚本版読んだ後、
塚本光武帝をやる夫シリーズにしてくれるのを待つかｗ

やる夫の台詞が「〜だお！〜だお！」じゃなくて「〜よのォ！〜だわァ！」になるのかｗｗｗ

「〜だォ！」とかｗ

>>707
その上、塚本がチェックできなかった史実を書き込んでいる。
（１）劉秀が更始帝を欺くため、兄の喪に服さずに陰麗華を娶ったこと。
　　　（儒家思想の歴史書では、皇帝の不義なので明確に書いていない）
（２）この頃の超兵器は烏桓突騎であり、その理由はまだ鐙が無いから
　　　馬の扱いに習熟が必要で、烏桓の熟練が突出していたこと。

スレ伸びてると思ったら、全然塚本の話題じゃないのォ！
ここのスレ住民は、けっこうやる夫版っての読んでんのか

やる夫がどうとか以前に光武帝は取り上げられる事自体少ないからな。
塚本だろうが何だろうが、食いついちゃう。

結果はやる夫には満足、これからも頑張っていただきたい。
塚本は・・・ご覧の有様よのォ！

「やる夫が李斯」や「やる夫が五胡十六国」もオススメだお！

既存の史料や解釈にとらわれないで
独特の魅せ方をする塚本先生はすばらしいと思います＞＜

型に囚われない料理を追及するあまり、食べる人間が悶絶しそうなスパイスやら
なんかを入れてしまう感じですか？

料理漫画の創作料理みたいだなｗ
１００回に１回くらいは大当たりを引くかもしれん。

>>706
チャングムはリアリティという意味ではドラマ的すぎる。（だから受けたのだが）
しかし、中宗お気に入りの女医が高い官位を得たという昏君な話を、歴史上の
人物の性格、エピソードを踏まえながら、あそこまで波乱万丈な話に膨らませた
脚本は凄い。
ま、歴史マニア好みの人物を取り上げるのが得意な塚本氏の作品では、上げては
落とすチャングムのようなドラマツルギーは無理だろう。

２ヶ月ぶりの575がご挨拶に参上だわァ！
みどもが年度末進行で死にそうになっている間に、新たな勇者630氏がいらっしゃっておったようだのォ！
630氏はその後無事？　に読破できたのかのォ！　気になるわァ！
そして233氏の姿をとんと見かけぬがいったいどうしたのかのォ！　心配だわァ！

さて「仲達」のレビューを再開したいところなのだが……あいだが開きすぎて耐性が薄れているようで、
なんかもういろいろとアレでレビューどころか本を開くことすら億劫になっているわァ！
ちょこっと読み返してみて、よく読破したものだと数ヶ月前の自分を褒めてやりたいわァ！
しかしながらこのまま放り出すのも諸兄らに申し訳が立たないので、前よりかはスローペースになるものの
レビューは最後までやり通すつもりなのでよろしくお付き合い願いたいわァ！
ただ、「もう必要ないわァ！」というのなら遠慮なく言ってくだされィ！
とりあえずＧＷ中に３章のレビューがアップできればと思っているわァ！

>>575氏
お久しぶりだわァ！
我はレビューを楽しみにしているわァ！

しかし、233氏はすっかり見なくなってしまって悲しい。
もう塚本のことなど忘れたいのかもしれんのォ！

久しぶりだのォ！
レビュー勇者なきあと塚本板の過疎っぷりは目を覆うものだわァ！
それがしも短編ならばと『呂后』レビューしようと思ったが、
どうにも読み進めることができんかったわァ！

>>721
その気持ち、よくわかるわぁ！
いや、図書館に行った時、ふと塚本のところ見るんだけど、
手に取る気にはならないんだよな。

ところで「呂后」は例の人豚のシーン入ってるのかな。
あれは別の書籍で読んだけど、想像すると気分が悪くなる・・・。

小学生の時読んでトラウマになったぜ・・・人豚。

たわけッ、塚本氏が人豚を書かないはずがないわァ！
しかし、そんな人豚が霞んでしまうほどに呂后と審食其のセクロスが酷いのォ！
生理終わってるとしか思えないババァの乱れっぷりまとか、
審食其の陽物がタチにくくなってきたとか、勘弁して欲しいんだわァ！
約70ページの短編で軽く3回はセクロスしてるが、ヤリすぎだと思うわァ！
まさか、読者サービスのつもりなのかのォ！
曽参をアル中にしちゃったりとか、ハンカイがボケてたりと英傑を低俗に
描写するとかは目に余るものがあるのォ！

この人、あらゆる時代を買いたいと言っていたのォ！
そうすると、「仲達」が終わったから、次は晋か五胡かのォ！

祖逖や石勒が、どれほどショボショボに書かれるかと思うと空恐ろしくなるわァ！
朱元璋なら塚本氏の毒を制しうるかもしれぬがのォ！
塚本氏が「明史」の本紀を読破し得るかも怪しいからのォ！

>>724
あー、やっぱり人豚あるのか。ありがとう。
>>723
呂后はあれを自分の息子に見せたんだよね。
私ならそんなの見せられたら、その場で吐くか失神するな。
しかもやったのが自分の実の母親ってのもキツいわ。

>>721
＞塚本板

すごい板だのォ！

>塚本板
書き込まれる記事全ての語尾に「だわァ！」「だのォ！」が
ついてるんですね。分かります。
ちょっと見てみたいかも・・・・。

俺は721だけど、誤記だわァ！
きっと、こないだ某SNSで塚本オフ会やった影響だのォ！

レビューでもやろうと、『呂后』に収録されてる2本目の短編、「朱虚候」を10ページ読んだわァ！
一度読んだはずなのに、まるで初めて読む小説のようだわァ！

>>729
「朱虚候」ってどんな内容ですか？
簡単でいいから教えて頂きたいのだわァ！
いえ、興味がありますので教えて下さい。

なんか気がついたらＧＷ最終日だったわァ！
というわけでささっと「仲達」のレビューを開始するのだわァ！

第三章　諸葛亮北伐（二二六〜二三一）年

Ｐ．98
「それで、襄陽へは？」
報告の順序が前後して、司馬仲達はやや気になったのだ。
「そこもとに任せる」
言われて、司馬仲達は耳を疑った。彼はこれまで、実戦に立ったことがない撫軍大将軍、つま
り帰還兵の癒し係としての将軍である。

みどももまだまだ勉強中の身である故、あまり偉いことは言えないのだが、これはちょっと将軍名の漢字から
受ける印象をそのままに受け止めすぎてはいないかのォ!?
撫軍大将軍の役職内容はともかく、司馬懿が実戦に立ったことがないというのはやはり違和感を覚えるわァ！
前にもちょろっと言ったと思うが、塚本氏の中では司馬懿の張魯討伐従軍はなかったことになっているのかのォ！
それともただついていって意見しただけで前線には立ってないっぽい＝実戦に参加したことがない、
ってことになっているのかのォ！

Ｐ．99
曹丕は、曹植をはじめ兄弟以下の曹一族を冷遇していた。それは戦場を知らぬくせに、持って
生まれた立場だけで口達者な傲慢無礼な輩が多いからだ。

曹丕をかばいたいんだか貶めたいんだか、よくわからんのォ！
個人的に曹丕が曹植をはじめとする兄弟たちを冷遇したのは、皇帝の権威をより確固たるものにするため、
また取り巻きたちが自らの立身出世のために曹丕以外の誰かを擁立して政権争いを起こさないためにの措置だったと思っているわァ！
それに「戦場を知らぬくせに〜」と書かれているが、曹彰はもちろん、曹植も父・曹操の馬超討伐に従軍しており、
まったく戦場を知らなかったとは言い切れないのだわァ！

Ｐ．99
「後将軍に任命して、失礼いたしました。このとおりです」
司馬仲達は、曹真を呼び出すだけでも気が引けた。そのうえ、将軍に『後』を冠したことを詫
びたのだ。それを態度にも表して、上半身肌脱ぎ（日本の土下座）になった。

曹真を後将軍に任命して気が引ける、というのも「後」＝「うしろ」というイメージが先行しすぎているのでは？　と思ってしまうわァ！
というか正史をさらっと斜め読みしただけだが、この時期に曹真が後将軍になったという記事が見つけられなかったのだが、
これはどこから出てきたものなのかのォ！　みどもが見落としているだけか、演義のほうなのかのォ！

Ｐ．100
張コウも、気合の入った返事をしてくれた。俗に、蜀の五虎将（関羽、張飛、趙雲、黄忠、馬
超）に対抗して、魏（曹操）の五虎将を並べることがある。

なんかいろいろごっちゃになっているわァ！
まず五虎大将というのは正史の関張馬黄趙伝の人物および並びをもとにして『三国志演義』で創作された称号であって、
実際の三国時代には存在していなかったのだわァ！
そして魏の五将軍も正史の張楽于張徐伝の人物および並びをもとにしているのだが、これは『演義』の創作ではなく、
近年になって三国志ファンの間で使われはじめたらしく、歴史上この称号が使われたことはないのだわァ！
創作として使うぶんには面白い称号だと思うので「使うな！」とは言わないが、まるで魏が蜀に対抗しました、と
事実であったかのように使用するのはいかがなものかのォ！
そしてみもどはこの『仲達』はてっきり正史に準拠していると思っていたのだが、もしかして演義よりに書かれているのかのォ？

Ｐ．103
「母上は罪を得て、父上、いや先帝から処刑されたことになっているが、讒言のうえ誣告された
ことが判ったのだ」
皇帝叡の話では、甄皇后と仲の良かった元の姫妾が遺言を伝えたという。それによると、かつ
て甄皇后と曹植の不倫が噂になったとき、郭皇太后の侍女が二人の密会を目撃したと訴えたらし
い。
だが、無論嘘である。穿った見方をすれば、総ては郭皇太后の作り話だったろう。これゆえ、
罪滅ぼしの意味と、徐姫に対抗するため、曹叡を養子にしたのであった。
しかし、策謀が露見した後、郭皇太后は蟄居状態にされた。

以前の章であれだけ甄氏の曹植に対する情を書き起こしておいて、すべては郭皇太后の作り話でした、
ってのはいかがなものかのォ！
実際には不倫まで至っていなかったのだからまあ讒言っちゃあ讒言だが、読み手からしてみれば甄氏の
あの態度はなんだったのか？　と少し混乱してしまうと思うのだがのォ！
というか郭氏が曹叡を養育していたのは自ら進んでのことではなくて、曹丕に命令されたからだと思っておったのだが、
これはその字から受ける印象と「甄氏が死を賜った原因になった（かもしれない）」というだけで悪女にされがちな郭氏を、
そういう方向に持っていかなかった塚本氏を褒めるところなのかのォ！

Ｐ．104
司馬仲達は応えながら、かつて蜀が語の陸遜にしてやられ、劉備が崩御した直後、孫権（呉）
の呼びかけに応じていたのを、思い出した。当時は、諸葛亮（蜀）が憎い呉と同盟したわけが判
らなかったが、このような深謀遠慮をようやく悟って、自らの不明を羞じた。

これは関羽北上の際に「孫権をつついて動かし、関羽を討たせましょう」と曹操に進言した司馬懿らしかぬ考えだのォ！
個人的に魏、呉、蜀の三国鼎立状態を司馬懿はよく理解しており、さらに上手く利用していたと思うので、諸葛亮が
呉を同盟をしたのかという理由がわからなかった、ということはないと思うのだがのォ。
それに司馬懿は夷陵の際に魏に降伏をした黄権から、諸葛亮の人となりについて聞いていたらしいので、
ますますもって諸葛亮の考えがわからないはずはないと思うのだが、と書いて、『仲達』では黄権のこの字も出ていないことに気がついたわァ！

Ｐ．105
皇帝叡の問いにすぐ答えたのは、劉曄であった。司馬仲達は頷きながら、彼が次の陣頭指揮を
執るつもりなのかと思った。
曹操の武将を務めていたときは、弩弓部隊の将軍だった。無論、それなりの戦果もあげている。
だから、腕が鳴るのだと思っていた。

麻薬とともに塚本作品になくてはならないらしい、弩弓部隊の名が登場したわァ！
もっとも、劉曄は張魯討伐の際に実際に弩を使用したらしいので事実無根ではないがのォ。
しかし、だからといって人物紹介のところにまで「弩弓部隊の将軍」と記す必要があるのかのォ！

Ｐ．110から111にかけて
後日、『出師の表』と呼ばれる諸葛亮の上書文であった。それを諸葛亮は、全軍の前で朗読し
たらしい。
「そっ、そんな……？」
司馬仲達は呆れた。
これでは正に遺言である。そう思いながらも、一方で彼は笑いだした。
「嘘だ！」
看破したように言ったとき、司馬仲達はさらに声を出して笑っていた。
「あの諸葛亮が、たった一度の戦いで、華々しく討死するような真似などするものか」
呉の孫権はやや直情径行なところはあるが、人となりが王族らしく大らかさに溢れている。だ
が、諸葛亮は、どこまでいっても策士だ。やることに、必ず裏がある。

Ｐ．104で諸葛亮が呉と同盟した理由がわかりませんでした、と羞じていた人物と同じとはとても思えないのォ！
以前のことを省みて相手の思惑をより深く探るようになったのかのォ！
もしそうだとしたら、司馬懿がそう思うようになった心の変化なりを描いてほしかったのォ！
ちなみにＰ．105から110までの間はなぜか劉曄の人となりやら動向やらについて書かれていたわァ！

Ｐ．118
「主上が親政に当たられるに際しての、勅命の文章をお願いいたしたし」
これは、諸葛亮の『出師の表』に対抗する文言が欲しいのだ。それならば司馬仲達は、甲冑を
着用しての陣頭指揮よりも、数倍得意である。
彼は早速執筆し、ものの半日勅使を待たせていただけで原稿を渡した。それは、皇帝叡を痛く感嘆
させ、そのまま言葉に発していた。
「全軍に告ぐ。故劉備は、前漢景帝（劉啓）の系統と言い募っているが、『史記・五宗世家』に
載っている中山靖王（景帝の息子劉勝のこと。異母兄弟に武帝と諡された劉徹がいる）は百二十
余人も子があった。無論のこと、一人一人の詳しい系図などどこにもない。ところが、劉備が簒
奪した益州は、漢の末裔が治めていたのである。当地の牧だった劉焉、劉璋父子こそ、歴とし
た景帝の公子、魯の恭王（劉余）に血筋ではないか。それにもかかわらず、どこの馬の骨とも判
らぬ者が帝室の血脈を誇るのは、おこがましくも恥知らずの一語である。彼の息子（劉禅）が皇
位にあるは、皇帝を僭称（根拠がなく勝手に即位すること）しつづけることであり、天帝を冒涜す
る行為である。それを、背後から操る丞相を気取った諸葛亮も、大罪人の汚名を免れまい。彼
は、劉備だけでは魏に対抗できぬと知り、呉を引き込んで赤壁の戦いを行った。また、呉から
荊州を租借して。益州を侵攻するという、吝嗇な戦略しか思いつかぬ策士である。劉備が天下人
に成れなかったのは、このような姑息な人材をありがたがったためだ。そして、その諸葛亮が、
魏に戦いを挑もうとしている。それも。魏の奥座敷たる漢中の西を狙って、狗盗同様の所業だ。
さあ魏の兵士たちよ。このような輩には、決して我が領地を一尺たりとも侵攻させるではない
ぞ！」
皇帝叡の演説は、宮廷人や兵卒を問わず絶賛され、兵士たちは喜んで漢中へ進軍していった。

え？　司馬懿がこんな上奏文を残していたっけ？　ああ、曹叡の勅命か……ってこれは『魏略』に載録されている
文書のこと？　ていうか五将軍といいなんでいちいちわざわざ諸葛亮（蜀）に対抗しないといけないの？　そもそもこの内容は……。
と、これを読んだときはかーなーり混乱したのだわァ！
史書から引っ張ってきたにしても創作したにしてもいろいろとつっこみどころのある文章だが、
そのまま引用しているので細かいつっこみは諸兄にお任せするわァ！

Ｐ．125から126
魏延と馬謖という古参と新鋭が、それぞれの代表として、諸葛亮には邪魔だったことになる。
「馬謖が、男色の相手だったとも言われております。処刑を言い渡した後、泣いておったとか」
「諸葛亮かが？」
「はい、そして自らも丞相を辞して、三階級の降格処分にしています」
涙は、恋愛感情だけではない。愛弟子として可愛がっていても零すだろう。
（中略）
そう言えば、諸葛亮には蓄妾の話がなかった。風采は上がらぬが、才女の黄月英一人だけを妻
としている。
それが、男色に走った原因というのは、たとえ敵としてでも無礼な話だ。

読んだ瞬間、時間が止まったわァ！
街亭での馬謖の登山云々の話なのだが、一体全体なんで男色なんていうものが出てくるのかのォ！
これはもしかして、女性読者のなかでもさらにごく一部の人たちに対するサービスみたいなものなのかのォ！

Ｐ．128
「いやだ。諸葛亮は、策が吝嗇臭い。天下を三分する、三角関係がお好きらしい。そのうえ、男
同士で現を抜かすそうな」
「悪口は、人の品性を示すぞ」
「ならば言おう。みどもはそこもとを知っているが、弓に番える矢は、そこもとを知らぬわ
ァ！」

陳倉でのカク昭の活躍が描かれるところだが、ここで初めて塚本節が登場したわァ！
ちなみにこれは同郷の靳詳と話しているカク昭の台詞なのだわァ！

このあと曹休が亡くなったり孫権が帝位についたり、大月氏の使節が来たり、
曹真が蜀討伐を言い出して陳羣が反対したり、そして鐘ヨウが亡くなって曹真が子午道に攻めたりして、次章へ続くのだわァ！
司馬懿が活躍するのはここいらあたりからなのだが、個人的にはイマイチ盛り上がりにかけるというか、
あらためてこれは正史なのか演義なのか？　と考え込んでしまったわァ！

さて次章のサブタイトルはついに「五丈原」だわァ！
なるべく間をあけずにレビューできればと思っているわァ！

久しぶりなせいか、読み返してみるとなんか薄っぺらいレビューになってしまったのォ！
こんなんでも諸兄のお役に立てれば幸いだわァ！

>>575氏、乙だわァ！
いくら何でも「蜀の五虎将」が演義のみで使われていることくらい
知っているだろうと思うが、塚本だしなぁ・・・。
演義と正史をごちゃ混ぜにしてるのかな。

>女性読者のなかでもさらにごく一部の人たちに対するサービスみたいなものなのかのォ！

三國無双というゲームで司馬懿が結構人気だからじゃないかな？
と一瞬思ったが、諸葛亮と馬謖か。
諸葛亮が泣いたのは、劉備が馬謖は口先だけだからみたいなことを
言われたにも関わらず、それを無視したことに対してだと思ってたが、
塚本はそんな風に解釈していたとは、こりゃまたびっくりだわァ！
それはともかく、日本の戦国時代はあったという話だけど
中国史で男色って聞いたことないんだが。

癒し系って見た瞬間、目を疑ったわァ！
作家なんだから、慰安とかなんか
まともな言葉をあてられなかったのかのォ！

五丈原楽しみだわァ！
死せる孔明〜について
陳舜臣の粛清を恐れて、という解釈は驚きだったが、
塚本はどういう処理をするのかのォ！
仲達が幻覚剤でラリってたとかだと面白いんだがのォ！

これまで塚本作品の殆どを購って参ったが、｢仲達｣は書店で手にした事すら
悔やむほどの代物であったわァ！

見当をつけずに幾箇所かを数項ほど目を通したが、モリモリと購入意欲が
萎んでいったのを今も昨日の事の様に憶えておるわァ！

中古書としてではなく、新品を大枚をはたいて購った諸兄には頭が下がるのォ！
その無謀と紙一重の勇気に漢惚れいたすわァ！

>>575様　�dクスだわァ！
私は図書館で借りてぱらぱら見て即脱落したので、ありがたくてたまらないのォ！
癒し係とは小学校の給食係のたぐいみたいだわァ！
孔明が男色とは、ぬううだわァ！
何の小説か忘れたが、孔明が孟獲の妹を妾にした、という設定よりもショックだのｫ！

「五丈原」を待っているわァ！

＞癒し係としての将軍
吹いたｗ　やっぱ塚本先生はセンスあるのォ！

>>737
>作家なんだから、慰安とかなんか
>まともな言葉をあてられなかったのかのォ！
伴野氏の「メガトン級のショック」よりマシな表現だと思った
私はどうすれば・・・。
それはともかく「五丈原」が楽しみだわァ！

>>739
孟獲の妹を妾にしたって設定って、確か北方氏だったような・・・。
いや、私も記憶が曖昧なので定かではないが。
最近柴田氏の「英雄三国志」を読んだけど、
これにはそういう設定はなかった。

>>736
＞中国史で男色って聞いたことないんだが。

コラコラ御主！「断袖」の故事を忘れたらいかんわァ！

>>742氏
「断袖」でググってみた。
そうか、普通にあったのか。とりあえず驚いた。
我が不勉強であったわァ！塚本のことを笑ってはおれんのォ！

光武帝にもホモップルがいたような気がするのだがのォ！
ホモネタもクスリと同じなのかのォ！誰が得するんだろうかのォ！
…実在の人物で、しかも史書にホモだったと記述があったら塚本氏には申し訳ないが、
いかんせん名前すら思い出せんわァ！

>>744
>ホモネタもクスリと同じなのかのォ！誰が得するんだろうかのォ！
やはり極一部の女性読者に向けてのサービスではあるまいか。
それはともかく、レッドクリフ好評らしいし、
その関係で三国志関係の本は売れてるだろう。
塚本も曹操を主人公にしたものを書いているし、
新たな犠牲者が出てきそうな予感がするのォ！
我の杞憂であればよいがのォ！

>>745
＞塚本も曹操を主人公にしたものを書いているし、
評判を聞いた事もないのは無事な証拠だよな（読者が）

既に犠牲者はここにおるぞォ!

先日、曹操伝を含め白起や凱歌の後、呉越舷舷などまとめて
BookoffOnlineに売ったので、我こそはと思うものは購入し、
みどもの屍を越えていくがよいわァ!

それをすてるなんてとんでもない！

>>747
曹操伝のレビュー書いて

>>749
実は上中下巻、全て発売日に買っては読みっぱなしだったので、
若き孟徳の新興宗教退治くらいしか印象に残っておらぬのよ。
すまぬのォ!新たな猛者の出現をまってくれぃ。

>>748
何故か『光武帝』だけは手元に残っておるわ。不思議よのォ!

>>747
何を思って発売日に…。
もはや歴史コレクターってレベルじゃねぇわァ！

>>739
孟獲の妹を妾にしたってのは『秘本三国志』の設定だわァ!

>>752
おお、陳舜臣だったのかだわァ！教えていただきうれしいのォ!
孔明の息子の知力が今ひとつだから、母親が黄夫人より知力が低そうな女性ってのは説得力あるよのォ!
塚本の男色説は、子供の数が少ない→アーッ！！という発想かのォ!

始皇帝のアイキャンフライ！といい、突飛な想像力だけは評価するんだがのォ！

だが孔明がアッーネタはもう20年以上も前にそれ使って異常なクオリティの
小説（商工業とか政争とか行政家としての孔明をしっかり描いてて濡れ場
以外が滅法面白いが、濡れ場を読まないと話の前後が分からなくなる怖ろ
しい罠）書いた腐女子がいて三国志マニアの間では伝説になっておったはず
だがのォ！

>>755
詳しく聞きたいのォ！

江森備の天の華地の風のことかァ！
江森三国志でぐぐると２ちゃんの過去ログとか色々出てくるはずだわァ！


ところで御大の白起、買ったまま未読なのだが読むべきかのォ！

もちろん読むべきだわァ！

ところで、やる夫の光武帝が先週で皇帝に即位してしまったのォ！
つまり、即位で尻切れトンボのように終わった塚本光武帝のストーリーを越えたわけだわァ！
この機会に、塚本光武帝を再読してみたが、わりとイケるんだわァ！
空気な感じで大量に出てきたキャラの性格みたいなものを抑え、
自分の中でだいたいの個性を掴んだからかのォ？

三国志とかなら読み手がほとんどの人物を知っているからいいんだろうけど、
光武帝というマイナー題材では、ちゃんと登場人物の個性を書かないと駄目だわな。

やる夫光武帝の二次創作のような感覚で読めたりするんかのお。

もうやる夫光武帝の作者が小説書けばいいんだわァ！