【邪気眼】二つ名を持つ異能者達【其ノ弐】

このエントリーをはてなブックマークに追加
109清浦藍 ◆xnSJXfYAaI
>>106-108
二次元世界から現実世界に戻った私は、自分に似た姿をした化身アイリスの存在に諦めを感じた。

「…ハッピーエンドで終わらせようとしてるところに水を差すようで悪いけど、もうこの世界にも未来はないよ」

それまでの大団円な雰囲気を打ち壊す一言は、その場にいる皆の視線を向けるには充分だった。

「化身アイリス…昔と違って、今の世界は一瞬でもあなたが存在する事を許しはしないの。
 今この街には殺された異能者達の怨念のオーラで溢れている。
 そんな中で化身であるあなたの無限のオーラは、存在するだけで彼等の怨念のオーラを誘爆していき…」

角鵜野市を中心に世界中が地響きに見舞われる。

「世界を崩壊させるエネルギーを生み出します」
「…っ!いきなり出てきて何言ってるんですか?
 どうしてこの流れで世界崩壊になるんですか!?」

その場にいた海部ヶ崎綺咲の突っ込みが入った。その言葉遣いに違和感を感じる。
…ああ、この世界で面識があったのは虹色君だけだったね。

「言ったじゃないですか。この街で殺された異能者の怨念が、化身の力を使って引き起こしてるんです。
 あなた達はこの戦いで生き残りました。でも彼等も生き残りたかったんですよ。
 彼等は歴史をやり直して貰いたがってるんです」

私の視線の先には異空間…もとい時空間が開いていた。
この街で最後に死んだ雲水凶介の怨念が作り出した、過去に繋がる時空間。

「みんなの奇跡で世界の崩壊を食い止める…なんて事もできるのかもしれない。
 でもそれは彼等の気持ちを踏みにじる事に他ならない。
 そんな世界が一時的に助かってもいい未来なんてやってこないと思うの。
 歴史を変えようとすれば今度死ぬのは自分かもしれない。
 でも私は、誰もが納得できる幸せな歴史がある事にこの命を賭けてるの。
 幸せな歴史になるか、私が死ぬまでこれからも何度でもやり直すよ」

私は渦巻く時空間に向けて歩を進めていった。

【世界崩壊の兆し、時空間の出現】
【清浦藍:過去に繋がる時空間に向かう】