バイオハザード LEVEL20

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1名無しになりきれ
一つの物語が終焉を向かえる。
されど死者は起き上がり、恐怖は永劫に終わる事無く――

前スレ: バイオハザードLEVEL19
ttp://changi.2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1223827775/
事件記録
バイオハザードLEVEL18
ttp://changi.2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1210329267/
バイオハザードLEVEL17
ttp://etc7.2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1196602823/
バイオハザードLEVEL15(実質16)
ttp://etc6.2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1185199935/
バイオハザードLEVEL15
ttp://etc6.2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1168761968/
バイオハザードLEVEL13(実質14)
ttp://etc5.2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1155459155/
バイオハザードLEVEL13
ttp://etc3.2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1148827033/
バイオハザードLEVEL12
ttp://etc3.2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1140017281/
バイオハザードLEVEL11
ttp://etc3.2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1134481456/
バイオハザードLEVEL10
ttp://yy32.kakiko.com/test/read.cgi/trpg/1127133199
バイオハザードLEVEL9
ttp://etc3.2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1125492687/
バイオハザードLEVEL8
ttp://etc3.2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1123596356/
バイオハザード:LEVEL7
ttp://etc3.2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1115544611/
バイオハザード:LEVEL6
ttp://etc3.2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1112377111/
バイオハザード:LEVEL5
ttp://etc3.2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1109768811/
【聖なる死?】バイオハザード発生4【苦痛の生?】
ttp://etc3.2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1106439258/
バイオハザード:LEVEL3
ttp://etc3.2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1101242999/
【感染】バイオハザード:LEVEL2【拡大】
ttp://etc3.2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1097602917/
【スレッド名】バイオハザードが発生したら
ttp://etc3.2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1092878452/
2名無しになりきれ:2009/11/08(日) 21:35:52 0
※参加したい方は、名無し、コテハンを問わず
 避難所に向かわれる事をお勧めします

暫定避難所:なりきりネタ板総合避難所
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1240221186/


バイオハザードまとめサイト分室
(舞台説明、状況、現在地など)
ttp://blog.goo.ne.jp/trpg2ch_001/

TRPG系全般のHP(過去ログ
PC:ttp://verger.sakura.ne.jp/
携帯:ttp://verger.sakura.ne.jp/top/top.htm
3森村 彩 ◇gnJnZEDBsY :2009/11/08(日) 21:40:31 0
>286−289
>「残念だが、これは政治的決定なんだ。民主主義に基いて皆が決めた事なんだ。
> 君達を殺す。人々は直ぐに忘れる。安心して眠れる。」
目の前の男の人と私との間に、見えない壁があるみたいだった。
「・・・・・・皆って誰?」
>「そちらの被検体が要求に応じれば、とも考えたんだよ。私もね。
> だが、それでは不公平だ。」
男性が空を見上げた。そしてこう言った。
>「世界は残酷なんだよ、お嬢さん。」 と。
そんなの、言われなくても分かってる。
だから私はここにいて、あなたはこうして私を見下ろす。

男が銃を抜いた。山田さんが私を庇った。銃声が鳴り響く。どさりと何かが投げ出された。
>「突撃!」
そこから、状況が一変した。

>「彩ちゃん!こっちだ!」
「おじいちゃん!・・・・・おじいちゃん!よかった!」
私は、飯田のおじいちゃんにしがみ付いた。
「無事で良かった・・・彼らは、私の戦友だから心配しなくていい。」
「戦友・・・・・・」
私は知ってる。彼らは宿舎の中にいた、大昔の軍人さん達だ。
そうか、飯田のおじいちゃん達は、あの軍人さん達のことを・・・・・・。

大宮のおじいちゃんと軍人さん達は、村人達を守ってくれた。
おじいちゃん達の攻撃は、ヘリがいっぱい来て、攻撃命令が撤回されたと聞かされるまで続いた。
その後、軍人さんもおじいちゃんも逝ってしまった。

私が泣いている間にも、めまぐるしく事態は動いていく。
テントが張られ、村人達は医師の診察を受けている。
ルー達は缶詰を振舞われて(パッ缶で良かった)すっかり安心しているみたいだ。

>「無事で良かった。あの後、分校へ村人達を迎えにいったんだ。
> 地下に移動した方が安全だと思ってね。」
ヘリの近くで飯田老人が少女に向かって話しかける。
>「途中で道に迷ったが・・・この子のお陰で無事に追いつく事が出来たんだ。」
>トイプードルが老人の足元で吼えた。
「モフ!ああ、良かった!お前も無事だったのね!」
私はモフを抱きしめた。
>「ミヒャエル君が隠れていたんで、何かあると思ってね。
> それで・・・戦友たちの・・・戦友たちの力を借りたんだ・・・」
私は、おじいちゃんの肩におでこを押し当てた。
「死んだ後も、私達を守ってくれたんだね」
水野のおじいちゃんも戻ってこなかった。・・・・・・・犠牲は決して少なくなかった。
4森村 彩 ◇gnJnZEDBsY :2009/11/08(日) 21:47:32 0
>「貴方も助けに来てくれたんですね?ありがとう。
>君も、よく頑張ったわね。もう大丈夫よ。」
「あ、ありがとうございます」
まっすぐな目をした、綺麗な人だ。
すんなり受け入れられたのは、彼女もまた同じ痛みを知っている気がしたから、かもしれない。
彼らは大人と一言二言会話を交わした後、自衛隊の人達の方へ歩いていった。
多分、彼らはまだ彷徨っている亡霊たちを眠らせに行くんだろう。

「ルー達は、これからどうするの?」
私はルー達の頭を撫でながら、返ってくるはずの無い質問をした。
また地下の、過酷で不思議な世界に戻るのかな。
願わくば、どこかで静かに暮らさせてあげたい。

>「いよぉー!英雄ミヒャエル様ただいま到着ー!」
ミヒャエルさんの明るさにはいつも救われる。
>「あのよぉ?タバコねぇか?ずっと吸ってねぇからニコチンが切れちまったよ!」
「おかえりなさい。よかった、チビちゃん達も一緒だったんだね。
 ミヒャエルさん、ヒーローの約束、ちゃんと守ってくれたんだね」
>「そーら帰るぞー。お前らも新しい家連れてってやっからなっ!」
チビ猫達は首を振って移動する事を拒んだ。
「ミヒャエルさん、連れ帰った後、この子達は安全に暮らせるの?最後まで守ってくれるの?」

>「先ほどのヘリは良いとして・・・君は一体誰なんだね?」
指揮官らしい男が尋ねた。
>「酒は無いが、煙草でも吸いながら少し話を聞かせてくれないか?
>歩く猫達を運ぶ手伝いも出来るかもしれない。」
「運ぶって、どこへ運ぶの?」
私は不安にかられて、大人の会話に割り込んだ。
私には何の力も無い。
だけど、そんな私でも慕ってくらた猫さんたちの力になりたい。
「この子達は私の友達なの。
 彼らが見世物にされたり、実験動物みたいに扱われたりするのだけは嫌!
 指揮官さん、お願いです。歩く猫さんたちを、見なかったことには出来ませんか?」

言うべきことは言った。
後は、力を持つ大人に任せるしかないだろう。
「ルー、フォード。猫さんたち。多分私は、ここでお別れになると思うの。
 ・・・・・・・守ってくれてありがとう。元気でね」
抱きしめた毛皮はふわふわで、暖かかった。
地上に出た彼らが、なんとか幸せになれるよう祈るしか出来ない自分が歯がゆい。

遠く遠雷のような音が、村の方角から聞こえてくる。
猫さん達のつぶらな目を見ていたら、涙が出てきた。
私は、ルー達とその仲間に囲まれながら、私のパパとママを射殺した自衛官のことを考えていた。
あの人を憎んだことも、もう遠い昔のことのように思える。
今はもう怒りはない。たたただ悲しいだけ。
パパもママも死んで、私も一人ぼっちだ。
何か察したのか、足元でモフがワンと鳴いた。
「・・・・・・そうだね、お前がいたね」
5森村 彩 ◇gnJnZEDBsY :2009/11/08(日) 21:56:11 0
自衛官を率いていた男は、こう言っていた。
村を封鎖したことも、助けが来なかったことも、逃げ出す村人を殺すことも。
全てが、皆で決めたことなんだと。
そしてその「皆」の中に、殺される村の人達入っていなかったことも。
それが結果的に、村を襲った悲劇を助長した。
死ななくても済んだ人が、大勢死んだ。
分別のある大人が皆、正しいと決めたことなのに。

朝日に輝く冬山の景色は、昨日と同じ景色で。
だけどもう二度と、パパとママと過ごした「あの日」が戻ってくることは無い。
私は、ポケットの中の形見をぎゅっと握り締め、目を閉じた。
――――ああ、本当に。
なんて世界は美しくて、こうも不公平なんだろう。

だけど、と思う。
理由はさまざまであっても、私達を助けに来てくれた人達もいた。
総理や、ミヒャエルさんや鈴木さんや、ジェイファーさんやヘリのあの人達だけじゃない。
おじいちゃん達のように、村の皆を守るために命がけで戦ってくれた人も。
逃げる途中ではぐれてしまったけど、柴さんやロバートさん、滝沢のお兄ちゃんに・・・。
他にもたくさん、たくさん。
彼らがいてくれたから、この先何があっても、私は人を信じていける。

確かに、夜は明けていた。
6九武村包囲部隊 ◆K3F.1.DICE :2009/11/08(日) 22:18:48 0
「えーと、失礼。山田あすかさんは此方に?」
医務官らしき人物が猫の群れを掻き分けてやってくる。
隣には、白衣姿の白人女性が立っていた。
黒い髪をショートカットにしており、日差しの強い地域に住んでいるのか日焼けしている。
「こちらはドクター・コンツェビッチです。
 iRNA治療の専門家で、貴方のようなウィルスによって変異した症状の治療を専門としております。」
ハイ、と照れるように笑うコンツェビッチの歯は義歯なのではないか、と思うほど白い。
まぁ、実際ある事情で義歯となったのだが。
>「で、一体何をしようって言うの?」
「えーと、ですね。」
医務官が説明を始める。
山田あすかの現在の状態は、ウィルスによって書き換えられた遺伝子の産物だ。
外見的特長である金色の瞳も同様である。
RNA干渉治療では、設計図である遺伝子を読み取って工場に運ぶメッセンジャーRNAに干渉する事で、
実際に作られるタンパク質を限定する事が可能、と言う話だった。
元々は遺伝病の治療を念頭に研究が進められているが、
この技術を使えば山田あすかの症状を治療する事も可能だった。
>「でも、まだ精々治験レベルなんじゃないの?」
「ええ、今後も実験が必要になると思われますが、スパコンを使ったシミュレートは殆ど終っています。」
>「またモルモットにしようって訳?」
山田あすかの表情が険しくなる。
「いえ、そういう訳ではなく・・・」
>「研究に付き合っても良いけど、条件があるわ。
  あたしの体の抗体を研究してウィルスの治療薬に出来るようにして頂戴。
  それからなら研究に付き合ってあげる。」
医務官がコンツェビッチに英語で囁きかける。
コンツェビッチは彼女の決意に答えるように右手を差し出す。
山田あすかが答えるように右手を強く握り返した。
7九武村救助部隊 ◆K3F.1.DICE :2009/11/08(日) 22:28:51 0
>3−5
>「死んだ後も、私達を守ってくれたんだね」
「いや、彼らは生きていたんだ。
 ずっと地の底で生きていた。最期まで兵士らしく戦って死んだんだよ。
 彼等の事を忘れないでやってくれ。」
宿舎で遭遇した竹沢金夫中尉とは違い、彼らは明確な意思を持っていた。
年を取った飯田老人を人目で見抜いた目には、知性が宿っていた。
人として年を重ねた飯田少佐に対する怒りも嫉妬も無く、義務を果たそうとする意思だけがあった。

彼らは人間だった。
人間以外の一体何が、あのような地下深くで人間らしい知性を保ったまま、生き延びられるというのだ?
そして人間で無くなった後も、一体何が国家を守る為に、人々を守る為に銃を取れるというのか?
人として家族を作り、戦後の平和の中で年を重ねた飯田少佐を許せる連中が、人間以外の何だというのだ?
「伝える事は出来なくとも、忘れないでやってくれ。」
ようやく第531連隊の戦争が終った。
60年前のあの日、決して流れる事の無かった涙が流れる。
記憶の中の玉音放送が甦り、頭の中で大音量で流れている。
決して伝える事の出来ない活躍は、時代の流れと共に忘れ去られるだろう。
「ミヒャエル君、君にも礼を言う必要があったな。有難う。」
生き延びた老兵たちが背筋を伸ばし、敬礼をする。
周囲にいた自衛官たちが釣られるように敬礼し、感謝の気持ちの篭った目でミヒャエルを見た。

>「この子達は私の友達なの。
  彼らが見世物にされたり、実験動物みたいに扱われたりするのだけは嫌!
  指揮官さん、お願いです。歩く猫さんたちを、見なかったことには出来ませんか?」
「見なかった事には出来ない。」
自衛官の後ろから声がする。
血で濡れていたスーツの上に防寒ジャケットを着た総理だった。
振り返った自衛官の顔付きが険しくなる。
「目撃者が多過ぎて放って置く事は出来ない。
 かと言って見世物にするのは、昨今の情勢から宜しくない。
 貴重な生き物だからこそ、実験で使い捨てにする訳にもいかない。
 となると、復興予算を増額して希少動物保護費を捻り出すとしよう。」
短いセンテンスを繰り返す独特のしゃべり方で反論を許さない口調だった。
「予算を出す以上、政府が責任を持って管理者と協議。
 我が国独自の希少な生物の生物の保護を求める。
 見たまえ、保護された猫達は尻尾が短い。
 これは我が国の猫全般の特徴だ。」
総理が自衛官の肩を叩いて頷き掛ける。
「それでどうかな?」
総理がミヒャエルと少女に向かって言った。
8ルーとフォード:2009/11/08(日) 22:40:17 0
>4−7
>「ルー達は、これからどうするの?」
ルーとフォードは首を傾げる。
落ちていた小枝を拾って、地面に絵を描き始める。
まず最初に少女、次にウルタール達。最後にサカナが現れる。
ここは伝説に伝わる約束の地「地上」だ。
言い伝えでは、地下世界よりも安全で人間たちが気紛れにサカナをくれると言う。
しかし、今の所サカナは貰っていない。
>「この子達は私の友達なの。
 彼らが見世物にされたり、実験動物みたいに扱われたりするのだけは嫌!
 指揮官さん、お願いです。歩く猫さんたちを、見なかったことには出来ませんか?」
>「予算を出す以上、政府が責任を持って管理者と協議。
 我が国独自の希少な生物の生物の保護を求める。
 見たまえ、保護された猫達は尻尾が短い。
 これは我が国の猫全般の特徴だ。」
フォードが指差された尻尾をクルクルと回してみせる。

>「ルー、フォード。猫さんたち。多分私は、ここでお別れになると思うの。
  ・・・・・・・守ってくれてありがとう。元気でね」
抱きしめられたルーとフォードは気持ち良さそうに笑い、少女を抱きしめ返した。
地上にやって来て初めて解った。
少女は神様でもなんでもなくて子供だった。
チビ猫達と変わらない存在で、大人であるルーやフォードよりも弱い存在なのだ。
だから、二匹は笑ってお別れを言う事にした。
ミヒャエルに連れられるまま、手を振って笑ってお別れをするのだ。
あの地獄のような旅の果てに一族は再会を果たした。
きっと少女と再会する事も出来る筈だ。
何時かきっと。

シナリオクリア
9ミヒャエル ◇lV/QWYBPUU :2009/11/08(日) 22:47:11 0
1人の自衛官から謝辞を述べられる。周囲の兵も同様に視線を向け敬礼をする。
「あーあーよせよせ。ガラじゃねぇよ!爺さんにいい所もってかれたしな」

生き残った猫達の今後についての話を静かに聞く。沈黙の後、口を開く。
「小難しい話は分かんねぇーけどよ。やっぱ猫は野良より旨い魚のある家の方がしっくりくると思うんだ」
「無駄にでけー敷地でよぉ、1人・・・いや2人ひっそり暮らしてやがる寂しい奴が居るんだわ」

子猫達の眉間をそっと撫でると総理の方へ向き直る。
「あんたはまだやる事沢山あんだろ?それまでの間俺が預かってやらぁ」
「本当ならこのガキんちょも連れて行く所だが・・・まぁ落ち着いた頃にでも遊びにコイや」

煙草の煙をくゆらせ、空を見上げる。
「・・・いい天気だなぁ」
1機のヘリが視界に飛び込む。前頭部の髪が寂しい人物が手を振る姿を捉えた。
「って人が感傷に浸ってるっつーのに」

猫達と子供に語りかける。
「おぅ。あの禿げ散らかってるのが新しい家の持ち主だ。名前はしばらく呼んでないから忘れた。ドクで大丈夫だぞ」

着陸したヘリに乗り込み、新しい上着を羽織る。
「おーい、糞ガキ!ちょっとこーい!」
「ドク、ペン貸せ。あと紙。髪じゃねぇから安心しろw」

ヘリの窓に紙をあてがい何かを書き記す。
「まだ開けるんじゃねぇぞ?落ち着いて外出て遊べるようになったら見ろ」



――――ヒーローから弱っちいチビへ
俺様の助けが必要になったら連絡する事。チビ共や勇敢な猫達に会いたくなっても同じ。
あと美人歓迎。酒も歓迎。
連絡先は0xxx-7xx6xxxxxx Email ????????@XXX??.com
住所 悪ぃ事情があって書けねぇ。
            最強のヒーロー様より――――
10ミヒャエル ◇lV/QWYBPUU :2009/11/08(日) 22:54:21 0
少女に手紙を渡し、足早にヘリに乗り込む。
「さ、ドク帰ろうぜ。去り際のタイミング逃すと帰り辛ぇからな」
「じゃーなー諸君!ヒーロー様はこれで帰るぜ!」

大きく手を振り離陸する。
ヘリの中、小さくなった村を見下ろす。
「そういやぁ仕事忘れてたわ。骨折り損ってやつだぜ」
『お前以外に無事だったやつらも一緒さ。やつらも今頃ベッドでダウンしてるさ』
「そっかぁー。全滅したかと思ってたぜ」

村から離れ、その姿が見えなくなった。
「話てぇこといっぱいあったのになぁ。何だか忘れちまった」
『・・・ほぉ。で、このさっきから俺の貴重な毛を毟ってるこの獣はなんだぁ!コラァ!』
「おいおい、俺様の貴重な客だぜ?つまりドクの客でもある訳。お分かり?」
『てめぇ勝手に何決めてんだコラ!ぶっ殺すぞ!』
「面白ぇ上等だコラ!帰ったら絶対ぇーぶっ殺す!」


賑やかなヘリが空の彼方へ消えてゆく。


                  シナリオクリア...

epilogue
--------------------------------------
「間違いねぇ。あいつの他に―――
『・・・そりゃ本当の話か?―――
--------------------------------------
11森村 彩 ◆gnJnZEDBsY :2009/11/13(金) 00:55:16 0
ドクター・コンツェビッチという人は、山田さんの病気(?)を治せるらしい。
私は、はらはらしながら2人の会話を盗み聞きしていたけど・・・・・何度かのやり取りの後、2人は握手している。
交渉はうまくいったようだ。
ドクターの後ろには、毛布を肩にかけた見慣れない女性が立っていた。
齢の頃は20代後半か30代くらいかな?
泣きボクロが印象的なその人は、山田さんに軽く会釈している。
どうやら2人は知り合いみたいだ。

「色々ありがとう、山田さん」
山田さんはドクターと一緒に行く。私とはここでお別れだ。
「・・・・・・元気で」
あんなにお世話になったのに、いざとなると、本当にありきたりの言葉しか出てこなかった。

>7
>「いや、彼らは生きていたんだ。
> ずっと地の底で生きていた。最期まで兵士らしく戦って死んだんだよ。
> 彼等の事を忘れないでやってくれ。」
「うん」
それがどれ程重い意味を持つか、そのときの私にはまだ気づけなかった。
>「伝える事は出来なくとも、忘れないでやってくれ。」
「うん」
飯田のおじいちゃんの流した涙の、本当の意味も。

「見なかった事には出来ない。」
自衛官の後ろから声がする。
血で濡れていたスーツの上に防寒ジャケットを着た総理だった。
総理の話を要約すると、猫さん達を希少動物として保護・・・・・・するらしい。
ルー達は短いしっぽをくるくる回している。
それを見ながら、私は、非常食の中に魚の缶詰が無かったことを残念に思った。

>「それでどうかな?」
総理がミヒャエルと少女に向かって言った。
有無を言わせない言い方に、私は唇をかみ締めた。
大人は勝手だ。本当に。私もはやく大人になりたい。
「政府の方針とやらが変わっても、猫さん達は変わらず大事にしてもらえるんでしょうか?」
私は精一杯の皮肉を言った。
だけどミヒャエルさんは、やっぱり大人だった。
>「小難しい話は分かんねぇーけどよ。やっぱ猫は野良より旨い魚のある家の方がしっくりくると思うんだ」
>「無駄にでけー敷地でよぉ、1人・・・いや2人ひっそり暮らしてやがる寂しい奴が居るんだわ」
>「あんたはまだやる事沢山あんだろ?それまでの間俺が預かってやらぁ」
>「本当ならこのガキんちょも連れて行く所だが・・・まぁ落ち着いた頃にでも遊びにコイや」
「・・・・・・・ほんとに?」
ミヒャエルさんの表情を見た私は、こくこく、と何度も首を縦に振った。
「・・・・・・嬉しい。じゃあ、何着ていこうかな?」
未来の話は楽しい。
たとえそれが、これっきりの口約束でも。

猫さん達と一緒にヒーローを囲んでいると、新たなヘリがやってきた。
どうやらミヒャエルさんとも、ここでお別れみたいだ。
ヘリで新しい上着を来たミヒャエルさんは、なぜか私を手招きした。
ドクって人と早口で何か会話してるみたいだけど、外国語なのでよく分からない。
12森村 彩 ◆gnJnZEDBsY :2009/11/13(金) 00:56:39 0

>「まだ開けるんじゃねぇぞ?落ち着いて外出て遊べるようになったら見ろ」
「う、うん」
>少女に手紙を渡し、足早にヘリに乗り込む。
その後に猫さん達がぞろぞろと続いた。
もう二度と合えないかもしれない。だから、笑顔でお別れするんだ。
>「さ、ドク帰ろうぜ。去り際のタイミング逃すと帰り辛ぇからな」
>「じゃーなー諸君!ヒーロー様はこれで帰るぜ!」
「うん。色々ありがとう。
 猫さん達のこと、どうかよろしくね!サカナ!サカナを食べさせてあげてね!
 それと、今度会えた時には、あのきれいな花火、また見せてね!」
手の中には未来。
精一杯の笑顔で送り出そうとしたけれど、記憶があふれて、涙は自然と零れてしまった。
また、逢う日まで。
私はいつまでもいつまでも手を振りつづけた。

シナリオクリア。
13九武村救助部隊 ◆K3F.1.DICE :2009/11/13(金) 23:06:20 0
>11
>「色々ありがとう、山田さん」
「いいのよ、彩ちゃんが無事で良かった。」
それにファンシーな猫達も、と山田あすかが笑顔で言った。
>「・・・・・・元気で」
山田あすかが驚いた顔をした。
「何言ってんの、あたしはまだ暫く此処にいるわ。」
看護師の手が必要な人はまだ居る。
目の前の怪我人を救わないで、世界を救える筈など無い。
まぁ、彼女は白衣の天使だったわけだ。
ちょっぴり乱暴で気が強いけど、それでも天使に見えない事も無い。
天使ってのは天の使いで、何かをする為に遣わされるのだから。

>「政府の方針とやらが変わっても、猫さん達は変わらず大事にしてもらえるんでしょうか?」
「その批判精神は素晴らしい。
 但し、人に意見する時は、自分なりの解決策を言うべきだ。」
総理が笑いながら斬り捨てる。
「だから一度にまとめて予算を出すのさ。
 その金で彼に面倒を見てもらえば、方針なんて関係無い。」
総理は少なくとも徹底している。
妥協をせず、やり遂げる訳だ。
時に間違う事はあるが、その時は国民が間違いを正せばいい。
まぁ、それだけの話だ。
14九武村救助部隊 ◆K3F.1.DICE :2009/11/13(金) 23:08:48 0
事件から3日が経つ。
地下研究所から発見された遺体は、鈴木と名乗る工作員だと見做された。
警察はFBIを通じて傘社に資料提供を求めるも、
データベースが破壊された為、不可能だと断られた。

事件から一週間が経つ。
マクナブが病院で目を覚ます。
起き上がろうとしてバランスを崩した。左手が無い。
思わず絶叫した。
駆けつけた医者が鎮痛剤を打つと、マクナブはベッドに倒れこむ。
目を覚ました途端、ブコウスキーと秘書が一方的に話を始める。
24時間眠っていた患者に対する仕打ちという訳か。
「契約を破棄し、貴方には退職して頂きます。
 この箇所にサインを。」
書類の内容にマクナブが驚く。サインをせざるを得なかった。
彼はその日の内に病院を追い出された。

ブコウスキーはその足で記者会見に向かい、生物災害対策組織の必要性を訴えた。
まだ設立準備中だが、その基礎は出来ていると言った。
その後、総理官邸にて会談を行い、復旧協力を約束した。

事件から二週間が経過する。
連日の報道は一段落し、徐々に人々が日常へと戻り始めた。
被災者を除いてだが。
ブコウスキーは帰国し、書類仕事に忙殺されていた。
ノックと共に秘書が新たな書類を持ってきた。
「あの人、面白いですね。
 何時山登りが出来るんだ、リハビリをさっさと始めてくれってスタッフを困らせてます。」
「それよりもメールのチェックを手伝ってくれんか?」
15終幕 ◆K3F.1.DICE :2009/11/13(金) 23:14:16 0
事件から二十日が経つ。
マクナブは退職金代わりに株を譲渡され、ヒューストンに居た。
低価格で高性能な義肢の研究開発を行っているベンチャー企業の本社だ。
近々株式公開を行う予定で、アナリスト達からは高値が期待されている。
つまり、彼は生身と遜色の無い義手と大金を手にする訳だ。
運が良ければナイトの称号が貰えるかも知れない。
まぁ、運が悪くとも日本への片道チケット位は買えるだろう。
その前にカエルのキーホルダーを無くさなければ良いのだが。


事件から一ヶ月が経つ。
傘社内でブコウスキー派が株主総会に備えた資料作りを始める。
スペンサー卿への言い訳。リストアップされた問題点。対策は無し。
ブコウスキーは日本での記者会見に連日出席していた。
彼は傘社の良心として振舞った。
B.S.A.A.による生物災害防止構想への参加企業の数を増やす事を約束した。


事件から三ヵ月が過ぎた。
ブコウスキー部長は、早期退職者の募集を開始した。
沈み掛けた船から多くの人々が逃げ出そうとした。
こういったケースは株価に影響を与えるから表立って募集はしないものだ。
それでも市場はデータと思い込みで成り立っている。
結局、逆に株価を上げる結果となった。
それだけ思い込みたい人間が居た訳だ。


そして事件から半年が過ぎた。
彼は再び来日し、B.S.A.A.構想の進捗を説明した。
こっそりと製薬企業連盟を脅し、宥め、冷徹な視線で再び脅し、金を掻き集めた。
その一方でスペンサーの影響力を封じるべく、やはり製薬企業連盟に相手に暗躍していた。
倒産に備えて技術を優先的に譲渡するプランを提示し、更に研究員の再就職を約束した。
それでもまぁ、世間の連中は彼が良心だと信じていた。
その日、FBIが傘社への強制捜査に踏み切ったにも拘らず。
16終幕 ◆K3F.1.DICE :2009/11/13(金) 23:19:59 0
8ヵ月後。
総理は靖国神社へと参拝した。
彼の真意を知っている人間は数少ない。
だから、当然批判は集中した。
中国へのメッセージと言う側面もあったのだろうが、彼は約束を守ったのだ。
8月末になると事後処理が終った事を宣言し、総理を辞職した。

そして同日、ブコウスキーが退職を決意する。
傘社を潰す準備は殆ど終えていた。
後は政府が動き出すのを待ち、見守るだけだ。
日本国内のマスコミは、暫くの間は総理を叩くだろう。
不思議な話だとブコウスキーは思う。
どうしてあれだけの事件を引きこした傘社の問題を追及しないのか?
そして星の王子様の一節を思い出す。
『大切なものは、目に見えない。』
ブコウスキーは、一度もサン・テグジュペリの本を読んだ事が無い。
それでも、彼はサン・テグジュペリと一度会って話した事がある。
だから間違った引用だと理解出来る。
17ブコウスキー ◆K3F.1.DICE :2009/11/13(金) 23:28:21 0
ブコウスキーの朝は早い。
それが退職を明日に控えていても、だ。
毎朝7時半にはオフィスに到着し、ぶっ通しで書類に目を通す。
語るべき事実からブコウスキーの名前や部下の名前を慎重に削除する。
探すべき名前を見つける度に関連する書類が新たに4通、つまり報告書、議事録、指令書、コピーが出て来る。
その上、日に2度のミーティングが待っている。
日によっては政府の役人相手に予定外のミーティングが発生する。
時間が幾ら合っても足りない。

その日は特に酷かった。
3時半からのミテーィングは絶望的だった。
参加していたマットとクレイ――彼らは狭戸市のオペレーターだ――がラップトップの操作ミスをした。
聞いた事も無い歌手の、とびきりホットなヴィデオ・クリップがモニター一面に映し出される。
彼らがどんな努力をしても、そんな筈は無いのだが、どういう訳か延々と一曲流れ続けてしまう。
自分に対する敬意が無くなりつつある。
好かれる為に仕事をしている訳ではないし、自分が無理をして来た事実も認めよう。
だが、幾らなんでも酷過ぎる。
夜中に3度、トイレに向かって萎びた代物に相応しい勢いで小便をする年寄りなのだ。
近頃の唯一の楽しみといえばスペンサー一族をもう少しでトイレットペーパーと一緒に流せる事だけだ。
アメリカ人らしくホームパーティーに部下達を誘う事無く、家族も居ない孤独なドイツ系移民。
貧乏な生活にうんざりして年齢を偽って軍隊に入って、ようやく一人前のアメリカ人として認められ、
機転とヤバければヤバい程、クールになるドイツ野郎の魂で生き延びてきた年寄りに過ぎない。
アーカンソーの貧乏白人の軍曹風に言えば、とびっきりタフなドイツ野郎は死に掛けていた。
死に損ないと言う表現の方が正しいのかもしれない。
自分の過去を振り返れば、死んでしまった方が世の中の為なんだろう。
だが、死を恐れながら業務を遂行してきたお陰で完璧なセキュリティを生み出してしまった。
くそ、あれほど死に近づく事を愛するメイド・イン・USAの兵隊だったと言うのに!
間抜けだから、死にたいだけの狂人だから、と死後に噂されるのを恐れたのが間違いだった。
18ブコウスキー ◆K3F.1.DICE :2009/11/13(金) 23:34:34 0
性質が悪い事に、失敗はそれだけじゃない。
夜の10時半に業務を終らせ、運転手に目的地を告げる直前に渡された資料も最悪だ。
部下にすぐさま資料を出すように言ったのが間違いだった。
これもブコウスキーのミスだ。
頼むから眠らせて欲しかった。
死ねば充分に眠れるなんてジョークを飛ばせる歳じゃない。涙が出そうだ。
それでも資料を読まねばならない。
幸運だったのは、単なるコピーであって修正の必要性がゼロと言う事だけだった。

運転手に礼を言いそうになるのを堪え、メイドが週に3回掃除する屋敷へと帰る。
冷蔵庫のビールが数本無くなっているのに気が付いたが、まぁ特に言う事は無い。
寝室に入ってビールを片手にテレビを付ける。
なぁ、親父。大したもんじゃないか、俺も。
テレビの中で俺の勤務する会社の工作員がインタビューに匿名で答えてるよ。
上手い事逃げ切ったタフな野郎だと思わないか、親父。
ドイツ語はすっかり忘れちまったが、タフの意味は解るだろう?
ぼやけて見えない資料を睨みつけ、老眼鏡をジャケットから引っ張り出す。
発見された死体は、目撃者の情報を元に鈴木と名乗る工作員の遺体と見做す。
大口径の拳銃弾によって大脳及び小脳を破壊されており、
自殺後の火災によって遺体が損傷したものと考えられる。
上顎及び下顎の損傷が酷く、原因はやはり大口径の拳銃による損傷と思われる。
損傷した顎の周辺からは少量ながら火薬の燃焼に伴い発生するカーボンが検出された。

1.肺の中に煤煙が含まれていない点と頭部の弾痕から拳銃自殺と思われる。
2.銃器に付着した拳銃の指紋からの特定を図るも、指紋は一切検出出来なかった。
  恐らく薬品で定期的に指紋を焼いていたと思われる。
  (活動拠点と思しき廃寺からは酢酸が発見されており、指紋を焼いていたと思われる。)
3.同じく廃寺から発見された故障した機械式腕時計や写真から身元の特定を図るも、
  盗品である事が判明した。
4.上顎と下顎の損傷により、歯科治療記録からの身元特定は不可能である。
  (周辺に落ちていた空薬莢から、上顎・下顎に自ら銃弾を打ち込んだと思われる。)
5.生存者の証言では身元不明の遺体は、生前に重度の感染症を引き起こしていた。
  麻酔無しで自身の顎への発砲、その後頭部への発砲は可能と推測する。
  
注意・・・傘社の工作員を名乗っていた為、傘社のデータベースを押収したFBIに協力を依頼するも、
     工作員に関するデータベースが破壊されていた事を理由に協力を断られている。
20名無しになりきれ:2009/11/13(金) 23:44:47 0
紫煙
暫くコピーを睨め、たっぷり残ったビールを流しに捨て、暫く黙祷した。
逃げ延びた男のコメントがテレビから聞える。
連邦法に違反してが、俺たちは下っ端だったんだと言い訳する。
インタビュアーが質問する。
「貴方達の名簿、若しくはそれに順ずるリストがあるのでは?」
「それは無いな。そのリストが破壊されたんだ。
 FBIが追跡しようにも証拠が無いんでね。
 ある男が逃げようとしたのか、俺たちを救おうとしたのか・・・
 理由はどうあれデータベースを破壊しやがった。」
あの名無しは、と逮捕を免れた工作員は最後にこう言った。
「最後の最後で誰かの役に立ったんだ。
 無名戦士は俺達を救ったんだ。」
ブコウスキーが鼻で笑う。
世の中推測ばかりで事実なんて何処に転がっているか解ったもんじゃない。
確かに傘社のレッドクィーンはクラッキングされ、データベースは破壊されていた。
逮捕を免れた工作員達の数は、かなりの数に登っていた。
22ブコウスキー ◆K3F.1.DICE :2009/11/13(金) 23:52:40 0
ブクの退職の日が訪れる。幾つかの書類にサインする。荷物は驚くほど少ない。
机の上に写真を置いた事も無かった。
万年筆とセイコーの電波時計、愛用のマグカップ。
時代の流れに合わせてカスタムされた45口径と予備のマガジン。
それとコーヒーカップと壁にかけられた感謝状が十数枚。
ダンボール箱一つ分の人生だった訳だ。
まぁ、花束をくれるような部下も居ないし、これで充分だろう。
オフィスを後に出ようとした所で、秘書がドアを開けた。
そのままブコウスキーを部屋に押し戻し、ドアの鍵を掛ける。
その様子は、隠しカメラを通して別の部屋のモニターに映し出されていた。
23ブコウスキー ◆K3F.1.DICE :2009/11/13(金) 23:58:01 0
いきなり部屋に入ってきた秘書とブコウスキーの付き合いは、10年程度と言ったところか。
つまり、どういう訳か人事課のミスで面接にやって来た痩せっぽちの17歳の面接をしたのだ。
ドラッグに嵌って薬漬けになった少女だったが、面接でもそうだった。
「お爺ちゃん、あんたの隣のバァサンよりは良い仕事をすると思うよ。
 それにさ、お爺ちゃん。
 何か気に喰わないって顔しているけど、何かあったの?」
下着を脱ごうとした所で、隣の女性役員が呼んだ警備員に追い出された。
が、話は終らない。
結局、彼は彼女――名前はマリサだ――のソーシャルワーカーを呼び出した。
そうして心底怯えていたソーシャルワーカーに多額の寄付をして、ある意味で彼女を買った。
マリサは施設に放り込まれた挙句、ブコウスキーの嫌味にたっぷりと付き合わされた。
フレンチフライとハンバーガーを運んで一生を過すだろうとか、どうせHIVでくたばるだろうとか、
終いには混ざり物たっぷりのドラッグの為に浮浪者の相手をするだろう、と言った訳だ。
ブコウスキーは挑戦的な笑顔で最後にこう囁いた。
「私もあの女役員は嫌いだし、君にあの女の尻を蹴っ飛ばすチャンスをくれてやろうと思う。
 どうせ墓の下には金は持って行けん。だったら金を使うに限る。
 それにこの顔はな、生まれ付きの顔なんだよ、お嬢さん。」
と言う訳で、ブコウスキーはマリサに優秀な家庭教師を付けて、大学に進学をさせた。
彼女にはそれなりの才能があったようで、見事な成績で大学を卒業し、
改めて女役員の面接をパスし、彼の秘書となった。

採用から数年後、マリサは麻薬中毒者の社会復帰を目指すNGOを設立した。
彼女は平日を秘書として過す一方、土日や帰宅後に精力的にNGOの業務に打ち込んだ。
その話を聞いた女性役員は、傘社主催の寄付金集めのパーティーを開いた。
こういう社会貢献を果たす人材は、企業に取ってもプラスになる。
世に言う社会貢献、利益の還元、税金逃れと言うやつだ。

パーティーで挨拶を終えたマリサは、その女性役員の耳元でこっそり囁いた。
「今回は下着を脱がずに済みましたよ、お婆ちゃん。」
女性役員は始めて面接にやって来たマリサを思い出し、卒倒した。
ブコウスキーの目論見どおり、マリサは彼女の尻を蹴っ飛ばした訳だ。
24ブコウスキー ◆K3F.1.DICE :2009/11/14(土) 00:03:50 0
そんな彼女に部屋の鍵を閉められ、監禁状態となったブコウスキーは焦った。
拳銃は弾を抜いた状態でダンボールの中だ。
ステッキを振り回すと言う手段もあったが、マリサが銃を持っていれば一瞬でケリが着く。
「ねぇ、部長。」
彼女がシャツを脱ぎ始めた。
ブコウスキーの無表情な顔の下に、焦りが浮かぶ。
監禁され、射殺されるよりも酷い。
リタイアした人生をスキャンダル塗れにするつもりなのか?
シャツの下からぴっちりとしたレザーか何かの衣装が現れる。
「私はこれから家に帰るんだ。」
部屋の電気が消え、真っ暗になる。
ドアが開き、体のラインを隠すようなブカブカの服に身を包んだマットが現れる。
そして最近流行の喋るように歌い方が始まった。
ああ、くそ。この曲は。

http://www.youtube.com/watch?v=-JchxJuK-CE
http://www.nicovideo.jp/watch/sm6460795
25ブコウスキー ◆K3F.1.DICE :2009/11/14(土) 00:20:10 0
3日前のミーティングで流れた曲じゃないか!
マットが喋り、いや、歌い終えるとマリサが傘を片手に歌い始める。
悪くない曲だった。今となってみれば。
女役員が現れる前までの話だが。
>「ミスタ・ブコウスキー!」
「ああ、これは部下が・・・」
比喩的表現を使えば、マリサに尻を蹴っ飛ばされた
「ええ。これが驚かされるという事です。パーティーでの一件、私は忘れていませんよ。」
女役員が笑った。それが合図だった。
彼の部下が花束を片手に部屋へと雪崩れ込んで来た。
退職した部下も結構な数で、平日だと言うのに仕事を休んで面会に来ていた。
「あー、諸君。こんな形での見送りは予想していなかった。」
威厳たっぷりに話そうとするブコウスキーの目に微かに涙が浮かんでいた。
やって来た彼の部下達は、花束の代わりにブコウスキーの許可入りのDVDを持って帰った。
少なくとも・・・部下に好かれるような仕事をして来たと言う訳だ。


私が悪人だったら良かったと思うかね?
でも、物事が見掛け通りとは限らない。
そして物語は――もう少しだけ続く。

http://www.nicovideo.jp/watch/nm4058248
http://www.youtube.com/watch?v=N5ss4awsKv4
26小川平蔵 ◆K3F.1.DICE :2009/11/14(土) 00:28:41 0

夢。

あの日以来、繰り返し見る。
バースディ・パーティ。誰かに祝ってもらうのは初めてだ。
招かれた客達達――シノザキ。マクナブ。森村彩。ファリントン。桜子。大宮大佐。飯田老人。

皆一様に同じ態度を取っている。俺を無視している。
沢山の人々――ミヒャエル。希望。車椅子の老人。雑賀。布施。名も思い出せない沢山の人々。
俺には理解出来ない。何故無視されるのか理解出来ない。
周囲を見回す/人々は談笑している/鈴木しか知らない/理解する/誰も俺を知らない。

そして俺は、見回すのを止めて正面を見る。
山田あすかが座っていた。

声を掛けようとする――声が出ない。山田あすかが立ち上がる。
手を伸ばそうとする――手が動かない。山田あすかと一瞬だけ目が合う。
立ち上がろうとする――体が動かない。山田あすかは何処かへ行ってしまう。
気を静めようとして深呼吸をする。Judasが居てくれればと考える。

目が覚める。
夢の意味を考える。悲しみは無い。苦悩も無し。
ただ、現実が横たわっている。
そして突如、俺は思い出す。

あの椅子に座っていたのは、俺が初めて殺した女だった。
愛らしい顔を思い出すことが出来ない。
残酷な声を思い出す事が出来ない。
殺した事実以外、思い出す事が出来ない。

今では山田あすかが座っている。
これからも山田あすかが座り続けるだろう。
俺の人生が続く限り。
27小川平蔵 ◆K3F.1.DICE :2009/11/14(土) 00:38:13 0
傘社の倒産から3ヶ月が経っていた。
株式保有数に比例した悪夢と失業者分の悲劇があった。
ブコウスキーは、取材をシャットアウトしていた。
海岸に面した屋敷でブコウスキーは暮している。

ある日電話が掛かってくる。
男はシノザキと名乗り、小川と言う工作員に関して知りたい、と言った。
留学生活の傍ら、ブコウスキーの面倒を見ている女性の声が詰まった。
彼女は迷った末に、オーケイのサインを出した。
全ては彼女に任せられていた。
彼女は傘社重役の娘だった。過去に不幸な実験を受けているけれども。

約束の時間、男が尋ねてくる。
彼女の表情が固まった。
シノザキではない。別人だった。
彼女よりも背が低く、シノザキよりも痩せていて、死人のような顔をしている。
つまり、彼女がビルで出会ったシノザキでは無かった。
「約束通りの筈だ。案内して欲しい。」
男が言った。声は硬い。恐怖も怒りも無い。
感情が欠落しているように見える。
彼女が瞬きをする。死者は消えない。死者が口を開く。
「やぁ、部長。」
彼女が振り返る。
ブコウスキーが立っていた。
「・・・まぁ、そんな気がしていた。
 今は部長じゃない。ブクと読んでくれ。」
砂浜を歩きながら話そう、とブクが言った。
28小川平蔵 ◆K3F.1.DICE :2009/11/14(土) 00:43:44 0
小川とブコウスキーが歩いている。
ワイルドカードとプレイヤーの組み合わせ。間抜けと利口者の組み合わせ。
乱れた歩調。お互いに相手のペースに合わせようとする。試みは失敗する。
失敗し続ける。

寒々しい東海岸の浜辺。
木々と茂みは夏の日差しに焼かれて茶色になって随分と経つ。
それでも生命を内包し、再生の春を待ち侘びている。
「ここのロケーションも悪くないですね。」
小川は顔を上げずに言った。
>「さてさて。年寄りに止めを刺しに来たのかね?」
「今の貴方は脅威じゃない。失礼?」
小川が携帯を取り出す。蒼ざめた顔。確信に満ちた声。死者に見える。
通話ボタンを押すと、崖の上から複数の赤い煙が吹き上がった。
全て絶好の狙撃ポイント。
煙に耐え切れず、狙撃手たちが飛び出してくる。
>「失礼。」
ブコウスキーが襟の裏に貼り付けておいたマイクに向かって撤収しろと呟いた。
>「ま、確かにこれで脅威は無くなった訳だ。
  あれは赤外線も遮断するタイプかね?」
小川が頷く。ブコウスキーが溜め息を吐く。
>「あれだな。M1エイブラムスに搭載されているタイプだな。」
小川が微笑む。
正確には顔の筋肉を動かしただけ、と言うべきか。
「部長、いや、ブク。貴方には借りがあります。
 今は貸し借りゼロですかね?」

あの日を思い出す。
脱出したダクトの出口に用意されていたガンケースの中には、狙撃銃と拳銃が入っていた。
その狙撃用スコープ越しに見える山田あすかと生存者達。
傘社のエージェントと包囲部隊。

夜明け前には、全てが終わる筈だった。
政権は奪還され、包囲網は解除される筈だった。
小川はその直前に生存者達から離脱したが、彼は約束に固執した。
安全が確認されるまで逃げ出す訳には行かなかった。
しかし、予定は遅れ、包囲部隊のAH-1攻撃ヘリが攻撃を始めようとしていた。
即座に狙撃準備に入る。標的は指揮官であるエージェント。
射殺すれば、士気の低い包囲部隊は方針を変えるだろう。
時間稼ぎになる筈だ。

狙いを定め、息を短く吐いた瞬間、予想外の援軍がやって来た。
大宮大佐率いる死者の軍勢だ。
小川が手にする338ラプア・マグナムなら戦闘ヘリを無力化出来る。
そして彼は、ロケットポッドを撃ち抜いた。
誰かが事前に用意していたAW338のお陰で、コブラの攻撃を妨害する事が出来た。
だとすれば、一体誰が用意した?
小川が思いつくのはたった一人。
その男が今、目の前に居る。
29小川平蔵 ◆K3F.1.DICE :2009/11/14(土) 00:54:05 0
>「まぁ、予想は着くからな。」
ブコウスキーが満更でも無さそうに笑う。
過去に多数の陰謀を実行し、成功させてきた男の笑顔。
>「そうそう、感染していたと聞いたが・・・芝居だった訳か。
  それとダミーの死体は、一体どんな手口を使ったんだね?」
感染は芝居だった。
分校の体育館でワクチンを打っていたので、抗体が出来ていた。
その気になれば死者になる事も難しくない。
「運良く死体が見つかったので、顎を吹っ飛ばして拳銃自殺に見せかけましてね。
 データベースが破壊される話は聞いていたから・・・まぁ、運が良かったんですよ。」
部屋を満たす炎と水蒸気に紛れ、天井のダクトを通じて警備室へ向かった。
入り口の監視カメラのデータを破壊する為だ。
それだけではなく村人の脱出を確認し、ゲートのロック解除を行った。
「ま、運が良かったとしか言えませんね。
 全部、貴方の筋書き通りだった訳ですが。」
予想外の出来事も合ったが、最悪を想定すれば事前に解決策を用意する事は出来る。
>「言ったろう、予想は着く、と。
  死体に関しては予測出来なかった。
  君が死んだか、生き延びていたか結論は出せなかった。
  だから、生き延びたのだろうと考えていた。」
銃が空っぽになるまで銃弾を撃ち込んで死体を確認しろ、と言う訳だ。
「ドイツでの一件も、貴方の計画の一部だった?
 少々希望的観測過ぎますが・・・貴方の倒産間際の行動を見るとね。」
>「・・・まぁ、これで貸し借りはゼロだな。
  ただ、君が非合理的な人間だとは思わなかったが。」
30小川平蔵 ◆K3F.1.DICE :2009/11/14(土) 01:05:05 0
ブコウスキーが続ける。
>「彼女とは残念だったな。あの時、君が振り返りさえしなければ、恐らく。」
ブコウスキーが言う。口調は穏やか。極めて観念論的なトーン。
>「迷宮を正当化するのは、最終的に其処に住むミノタウルス・・・即ち化け物だ。
  あの迷宮では、君自身が怪物だった。」
ブコウスキーの笑顔――どこか寂しげ。過去を見ている。過去を振り返っている。
小川が過去を振り返る。理解する。小川が言う。一言一言を区切りながら。
「確かに、俺は、あの時、死者を、見た。」
冥府からの脱出――ギリシャ神話風の味付け。振り返れば最愛の人を失う。永遠に。永久に。
小川は死んでいた。虚無と対峙していた。せめて彼女を見ていれば。
自然と手が胸の傷跡に重なる。
「それで殺意が湧けば、私も幸せなんですが。」
>「ボルヘスの引用だよ、迷宮云々と言うのはね。
  私を殺さないのなら結構。
  単に顔を見せに来たのかね?」
「いや、幾つか聞きたい事がある。」
小川が目を細める。
「ずっと考えていた事があった。一体、誰があの晩、データベースを破壊したのか。
 結局、アライアンスの黒幕は貴方なんじゃないか?」
ブコウスキーが足を止め、小川の顔を見た。
>「その通りだよ。気が付いたのは君が最初で最後だろうに!」
ブクが大笑いをする。無邪気な目をしている。
>「どうして解ったんだね?」
「レッドクィーンにアクセスする権限を持っている事。
 事件で損失を被らない立場に居る事。
 この二つは、一見矛盾する。
 だが、世の中には非合理的な考え方をして、実行してしまう人間が居る。」
>「九武村の一件の様にかね?」
31小川平蔵 ◆K3F.1.DICE :2009/11/14(土) 01:16:59 0
小川の表情が硬くなる。ブコウスキーは笑っている。小川が口を開く。
「・・・不可解な部分が多過ぎたんです。
 貴方が非合理的な行動を取る人間なのか・・・俺には断定出来ません。
 世の中には殺される為に戦う一方で、自らの死を願う人間が居る。
 彼らは死後に名声を汚される事を嫌い、自殺も出来ない。
 その臆病さ故に・・・中途半端に戦う事が出来ない。
 結果として生き延びて、運が悪ければ最期の瞬間まで自問自答する。」
小川は微笑を浮かべる。ブクが無視する。
>「それとも愛かね?あれこそ非合理的思考そのものだ。」
全ては芝居だった。けれども俺は彼女を本当に愛していたのか?
俺があの時に見た幻覚は、俺の欲望そのものだったのではないか。
つまり、俺は・・・自覚が無い訳じゃない。何とか欲望をコントロールしてきた。
して来たつもりだったんだ。
直視するのを避けながら。
だって、認めるのは辛過ぎる。俺が・・・つまり・・・俺は――

>「もう一つは?」
ブコウスキーが思考を遮る。
適切な助け舟――訳が解らなくなったらニッコリ笑って別の方を見ろ。有名なマジシャンの言葉。
「アフリカに関して。
 コンゴの情勢には、貴方が一枚噛んでいる気がする。」
小川は今、中東のヨルダンで生活をしている。
ヨルダンでも有名な一族の一人とは傘へ入社する以前からの友人だった。
彼の助けを借りてヨルダンへ脱出し、今ではアフリカ情勢のアナリストとして生活をしていた。
>「君に怪物と迷宮を用意しよう。」
ブコウスキーが言った。微笑を浮かべている。思いやりに満ちた目をしている。
32小川平蔵 ◆K3F.1.DICE :2009/11/14(土) 01:23:50 0
「私が知りたいのは、情報だ。」
>「その情報をくれてやるのさ。」
ブコウスキーが封筒を取り出す。小川が受け取り、封を開く。
2枚の写真。怪物が写っている。青年が写っている。
超望遠レンズ――驚くほどシャープ。フォトショップ・マジック。ぼやけた輪郭は画像処理済み。
死んだ筈のJudasが居る。死んだ筈のブラッドネバードライが居る。
全ての糸が繋がる。
新たな悪夢/忘れさせてくれ/古い悪夢/忘れさせないでくれ。
写真の意味を理解する。内乱悪化の原因を完璧に把握する。
>「シエラレオネで活動している民兵組織鎮圧を目的に、我々はB.O.W.を派遣した。」
事件の後、ブコウスキー派は日本政府の許可を得て、対バイオハザード部隊を派遣した。
その過程で発見されたのがユダ達だった。
多数の犠牲を出したが捕獲は出来ず、取引をする事になった。
「大方、Judasは狩場を要求したんだろう?」
 それに貴方が所有するサージカル・ストライク・サービスの動きを調査した。
 傘社の倒産に伴い業務停止。だが、取引先には社名変更の通達をしたんだろ?」
小川が笑う。
PMC業界ではよく有る事だ。
悪名名高き南アフリカのエグゼクティブ・アウトカムズ社は批判が集中すると社名を変えた。
治安維持業務を請け負っていたブラックウォーター社もバクダットでの発砲事件後、社名を変更した。
社名を変えてイメージを一新し、批判されれば社名を変える。
それだけで随分と仕事がし易くなる。
>「派遣したB.O.W.が成果を挙げていたのは、最初の数週間だけだった。
  以後、民兵組織が再び盛り返して首都へと迫っている。
  民兵組織は、分隊レベルで狙撃銃の配備。
  君の好みだ。違うかね?」
精密射撃で敵指揮官を射殺。敵部隊が混乱する。優位に立つ。
精密射撃で機関銃手を射殺。敵の火力が落ちる。優位に立つ。
33小川平蔵 ◆K3F.1.DICE :2009/11/14(土) 01:36:29 0
ブラッド・ネバー・ドライ達の目の前で実演した戦術だった。
そして小川が知る限り、あれをアフリカの少年兵に教える連中は居ない。
少年兵は使い捨ての消耗品で、人口爆発が起きている土地では代替品の入手には困らない。
精密射撃を教えるよりも、死を前提に銃弾をばら撒かせた方が効率が良い。

ブコウスキーが小川の目を見る。小川が写真から顔を上げて頷く。
二人が同時に右足を踏み出す。
>「そうだ、一つ聞かせてくれ。」
すっかり忘れていた、とブコウスキーが呟く。
>「ドクター・コンツェビッチの経営する製薬企業に多額の投資があった。
  その金額は我々が君に支払った給与と・・・ほぼ同じ額だった。
  彼女は・・・君がLAで殺害した我が社の研究員に良く似ているが?
  結局、彼女の死体は見つからなかったな。
  君の好みの手口じゃないかね?」
「他人の空似でしょう。」
小川は断言する。即座に、容赦無く無関心に吐き捨てた。
>「解った。で、現地で私の部下であるJudasは、一体どうなってしまったんだ?」
ブコウスキーが問い掛ける。悪戯っぽい笑顔。小川の口から答えを聞きたがっている。
小川が言った。口の端が徐々にせり上がって行く。
「ユダが彼らと合流したんでしょう。」
小川には説明出来ない。感じる事を言葉に変える事が出来ない。
Judasと俺のささやかな王国。
非合理的過ぎる。愚かなロマンティズムにも程がある。
慎重に言葉を選ぼうとする。言葉では不充分過ぎる。
半分も意味を伝えられない。
抑えきれない欲望。小川が口を開く。擦れた声。
「貴方も理解出来るはずだ。で、俺にどうしろと?」
>「簡単な話だ。金を払う。君はするべき事をする。私は信頼を回復する。
  全てが終れば君は自由になれるかもしれない。」
「一体、何から自由になれと仰る?」
小川が可笑しくて仕方が無いと笑った。

――甦った瞬間だった。
34小川平蔵 ◆K3F.1.DICE :2009/11/14(土) 01:37:34 0
俺は約束を果すつもりだ。薄汚い血で大地を汚してくれ。決して乾かぬ血の大河を生み出してくれ。

断る理由は無かった。

全てを焼き尽くすつもりだ。輝くほどの炎で俺を灰にしてくれ。その灰で空を汚してくれ。

答えはイエス。

次は上手くやるつもりだ。俺の魂を理解してくれ。君の目で見つめてくれ。

再会を。

俺は目を逸らさない。向日葵色の瞳で見てくれ。抱きしめてくれ。

死を。


了。
35名無しになりきれ:2009/11/21(土) 23:54:51 0
現在、新スレ・新舞台の参加メンバー募集中。
詳しくは以下のスレで。

【質問】なな板TRP系総合避難所【相談】
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1257510677/
36プロローグ ◇0YhnNL46N6 :2009/11/26(木) 18:59:30 0
代理投稿先スレタイ】 バイオハザードLEVEL20
代理投稿先スレURL】http://changi.2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1257683620/
一言】よろしくお願いします。
代理投稿本文】
雨の名残が、地に張り付いた蛍のように、街を照らす。
水滴を踏みしめる無数の人々のなかに、それは姿を現している。
壊れた音符のような足の動作に、横を通り抜ける男が怪訝な目を向ける。
先程通過した雨をのったりと浴びたまま、それは全身を水で塗らしている。
ぎこちないコンパスのような足取りで、その男は雑踏のなかを揺れる。
街のあらゆる窓は閉められ、営業中の店も物憂げに沈んでいる。そのなかで傘を上空に掲げた一人の背広の男が、
雑踏のなかを王道のように闊歩する。浮浪するそれと相対し、横を通過しようとしたとき、
掲げていた傘が地へと転げ落ちた。それは背広の男にのしかかり、耳に齧りついた。
鳥のような女の悲鳴と、男の怒号が濡れた街のなかに走った。
シャッターを閉めていた店の主人が精一杯の驚愕の面持ちで歩道に飛び出す。
野次馬達はそれの服の襟を掴み、背広の男から離れさせる。花のように、水溜りのなかに血が咲いていく。
人が人を押し合う混沌が、街の片隅で胎動している。

バイオハザード発生

数時間後……
37宰吹キオ ◇0YhnNL46N6 :2009/11/26(木) 19:01:17 0
部屋のなかを湿気のある埃が、我が物顔でゆらゆらと揺れている。
吹キオの自室は午前の教会のように薄暗く、蝋燭が灯っている。
カーテンから僅かな冷たい光が、申し訳程度に差し込んでいる。
細長い部屋のなかには宝箱のような清潔な机と、巨大な本棚が立ち尽くしている。
公民の教科書を閉じ、カーテンの向こうの空間に思いを馳せる。携帯電話のカレンダーを開き、月日を確認する。
その何もない時間に、吹キオは慈愛を感じる。
自分と同じ境遇の人間達を想像し、落ち着いた陶酔に耽る。
冬空が果てなく続く。鴉が全てを監視する義務を背負ったように空のなかを滑っている。
ふとベランダから音がした。金属を柔らかなものが叩く、扁平な音だ。
吹キオはカーテンを開け、それを見た。巨大な退廃的モニュメントのような鴉が何かの血肉を咥えている。
そこには真珠のような目玉が光っている。吹キオはその場で氷のように固まり、動けなくなった。
これは人間の目玉だ。
窓ガラスを蹴り飛ばすと、膨張した音と共に鴉がベランダから離れた。それを開け、下の世界を見下ろす。

一体何が起こっているんだ?

無数の人々が、虫食いの果実を作るように密集している。
周縁にはその光景の異様さを先鋭かさせるように血痕がはびこっている。
窓の外を見た吹キオは、すぐさま視線をたじろがせた。
本棚に目をやり、何かを確認するように窓硝子越しに立ち並ぶ教本に眼差しを送る。
無言の本達は無言の知識を集積したまま、何も教えてくれない。
地面を潰すような勢いで居間へと動き、電話をとる。
父親にかけるが、通話に至らない。継続する呼び出し音が繰り返される度、心臓が膨張するように膨らみ、
あらゆる音が緊迫感を上げながら運んでくるのがわかる。
警察に通報するべきだろうと思い立ったが、この規模の暴動では、誰かがやっているだろうと踏みとどまる。
電話を置き、部屋の鍵が厳重に取り締まられているのを確認し、いつでも身動きがとれるように身支度を整える。
即興の凶器としては包丁と、催涙スプレーしか思いつかなかった。
クローゼットを開け、膨張した布団のような、この家で最も分厚いジャケットを着込む。
たった一人の喧騒のなかで、その行為の計画性のなさ、みすぼらしさに気づき、狼狽する。

居間は狭く、簡素な食器棚と25インチサイズのテレビ。その手前には冷たい大理石で出来たテーブルが置かれている。
電気は点っておらず、吹キオは住民の不在を装おうと蝋燭を吹き消す。TVをつける。
どの番号を押しても、TVは何も吐き出してこない。異世界に迷い込んだことを主張するように、画面は黒く暗示的に塗りつぶされたままだ。
吹キオは気を取り直して電話をとる。

「警察ですか?あの、もしもし……」

性別・男
装備・包丁、催涙スプレー、分厚いジャケット
状況・警察に連絡。木島に繋がってもいい場合はそちらへ。いけない場合は他の警官へ繋がる。
38不良高校生:2009/11/26(木) 20:18:49 0
「………」
ここは俺の彼女、美希が住む家である
高級住宅街にあり、広めの土地に建つ結構な新築の豪邸だ
オヤジは資産家で、この町でも屈指の富豪である
それが今は母親と結婚記念旅行に出掛けており、現在住んでいるのは美希一人である
俺は母親に嫌われているため、出入り禁止の身だが、今はこうして好きに出入りしている
広いリビングの居間にあるふかふかのソファで昼寝するのは実に気持ちがいい

美希「ねえ、トシちゃん…トシちゃんってばあ…」
「…んっだよ」
その至福の昼寝を邪魔する美希の呼び声で目を覚ます
美希は俺の彼女で、普段は無駄に強気な半グレのバカ女である
半年前にコクられたので、とりあえず付き合いだした
イイ女ではあるが、正直了承したのは家が金持ちなのが好都合というだけに過ぎない

美希「外の様子おかしくない?
    なんかさ、不自然に静かじゃない?」
「バカかてめえ…
 この辺は元々閑静だろうが…」
美希「いや、そんなんじゃないんだよ
    なんかこう、不気味というか…」
「はあ?」
俺は仕方が無いので、カーテンを開けて外の様子を伺った
なるほど、確かに何とも言えない不気味な静けさが漂っていた
しかし、その時は鈍感で空気の読めないこの女が「雰囲気」で不安になっていることを嘲った

「気のせいだよ、バーカ
 そんなんだからウザいって言われるんだよ」
美希「トシちゃん、その言い草ヒッドーイ!
    アタシだって不安に感じる時くらいあるよ!」
「うるせえっての
 人が折角気持よく寝て…」
そう言いながら、ソファに戻ろうとした時だった

【ドンドン…ドンドン…】
美希「え?」
「あぁ?
 誰だよ?」
いきなり、カーテンを閉めた窓を激しく叩く音が響く
美希がおそるおそるカーテンを開けた

美希「ひ、氷室のお、おじさま?」
氷室「…アアァ…ウウ…」
「………!」
そこに立っていたのは、美希の隣に住む氷室とかいうおっさんだった
浴衣姿のまま、涎を流しながら掃き出し窓に顔を押し付けている
その様子は狂気以外の何ものでもなかった

「おい美希、なんかコイツやべえぞ!
 絶対中入れるな!」
美希「う、うん…
    アタシ、警察に電話してくる!」
喧嘩に明け暮れる中で磨かれていった危険察知能力が直感的に働いた
美希が警察に電話するためにリビングのファックス親機に向かっていった
俺はカーテンを閉め、電動雨戸のスイッチを入れて閉めた
とてもイヤな予感が頭をよぎる
砂漠で暮していた頃、雨はどんな美酒にも勝る価値を持っていた。
大地を豊かにし、作物を実らせる偉大なる存在だった。
しかし、砂漠から離れて過した日々が雨というものを根本的に変えてしまった。
今では衣服を濡らして体力を消耗させるだけの存在である。
その雨が止んで暫く経つ。

日本にに移り住んでからは、傘を持ち歩く習慣が完璧に身に付いた。
天気予報を見ながら髭を剃るのが日課だ。

春雨は仄かに暖かく、浴びるには良いが家に上がる時に困る。
夏の雷雨は気紛れな自然の雄大さと力強さを見せてくれるが、眺めるなら屋根の下が良い。
秋雨、優しさと寒々しさを併せ持ち、過去を振り返る機会を与えてくれるが詩集が濡れるのは困る。
冬の雨は乾いた大地を潤すが、如何せん風邪の原因となる。
傘は気紛れで雄大な自然から身を守る最小の文明なのだ。

そんな事を考えながらイブンヤードは、大学と駅を結ぶスクールバスに載る。
鏡に映った自分の顔は、アラブ人と言うよりよく日焼けした白人である。
アメリカへの留学を切っ掛けに髭をそり落としてみると案外似合っていた。
それ以来手入れが面倒な事もあり、ずっと髭を剃り続けてきたのだ。

幾度か消防車やパトカーとすれ違う度に、イブンヤードの顔が険しくなる。
空気が変わってきている。
スクールバスのタイヤが悲鳴を上げ、急停車する。
十字路に飛び出してきた中年女性を見て、運転手がブレーキを踏んだのだ。
血塗れで歩く中年女を見てイブンヤードが顔を顰める。
「私が様子を見てくる。救急車とパトカーを呼んで」
イブンヤードがバスを降りると助けを求めるように女性が近寄ってくる。
抱きしめようとする直前、十字路を横切った救急車に女性が轢かれる。
救急車はそのままコントロールを失い、住宅の壁へと突っ込んでいった。
「先生!緊急にも救急にも繋がりません!」
一人の生徒が窓から身を乗り出して叫んだ。

所持品:傘。携帯電話。スーツ。薄手のコート。
外見:日焼けした白人。
40木島士 ◆ykmK51qQlFBG :2009/11/26(木) 21:12:01 0
「―暇だな。」

数ヶ月前から俺はこの西市に転勤してきている。
今日は日曜ということもあって職場も閑散としている。
仕事は警察官だ。っていっても大したことはしちゃいない。
スリや強盗、たまに起きる喧嘩を収めるくらいだ。
前の署に比べたら全然気楽なもんだ。

プルル…

一つの電話の着信が鳴り始めたと思いきや、次々に電話が鳴り響く。
憮然とした表情の俺は椅子に腰掛けたままその1つを取った。
「はぁい、こちら西市けいさ…」

【た、助けてくれぇ!!殺され】

「…!?落ち着いてください。場所は?」

【……】

電話は無言のまま切れる。
お茶汲みに来た婦警の柊みかが訝しげにもう1つの電話を取りながら
呟く。
「木島さぁん…変ですよ。さっきからかかっては切れて、かかっては切れて。
みんな、人に襲われるとかなんとか…どぉなってるんでしょ?」

俺は温くなった茶を飲みながら考えた。
しかし答えは見つかりそうもない。
「おい。取り合えず、応援を呼べ。公休の連中もな。」
みかは首を横に振りながら電話を指差した。

「それが…その。さっきから皆さんに一斉連絡してるんですが、
誰からも…」

マジか?俺は面倒な事は嫌いなんだが。
こんな厄介そうな案件を預かるなんざごめんだ。
俺はそう言おうと電話を見る。
まただ。また、電話が鳴った。

>「警察ですか?あの、もしもし……」

今度の相手は冷静らしい。話は出来そうな感じだ。
「はい、こちら西市警察署。どうかしましたか?」

41宰吹キオ ◇0YhnNL46N6 :2009/11/26(木) 22:29:05 0
>木島

警官が応答したという事実に緊迫が走る。
元々自分がかけた電話とはいえ、警察官と相対して話すという非条理な事態が
無慈悲な槌の一撃のように、新たな展開を突きつけてくる。
その声はもったりとしていて、慇懃の背後に何かを忌避してくるような後ろめたいものが忍んでいる。
そうでいながら吹キオには警官の声と自分との距離感が急速に縮まっているように思われる。
警官の声は遠く離れた何処かにいながら、この個人的部屋まで容赦なく突き刺さってくる。
そのアンバランスさが、ますます光明の遮蔽された暗室に、混乱の倒錯をもたらす。

「外で……暴動が起きてるんです。父とも連絡がつかない。もう誰かが連絡を入れているかも知れませんが、
 通報させていただきます。今は自宅で隠れているのですが、指示をいただけますか」

抑揚のない音調で語りかける。話し終えた所で、緊張が超過した際の爆発的な静けさのようなものが広がる。
浜辺に打ち捨てられたような簡素な黒電話を見やる。
鴉が視界の隅に、人知れず侵食するように空に群れを成している。

「僕の見た限りでは、地面の一点に人が群がっていた気がします。中には這い蹲ってそこに向かう人々も……。
 その点に何があるかは知りませんが」

話しぶりが細切れになっていることから、自分が相手に動揺していると思われないかと感じる。
吹キオは動揺していなかった。自分を統治するだけの五感は失ったが、色彩のある感情を爆発させるまでも至っていない。
しかし自分は動揺しているのかも知れない。もしかしたら。
警官に住所を告げるのを忘れていた事実が、自信を曖昧にさせる。早急にそれを告げ、彼からの反応を待つ。
矛盾なようだが、感情だけが浮遊するように白んで、それを自分が見ているような落ち着きがあるのだ。
何人かの学生がバスから飛び出してくる。
「先生!取り合えず助けましょう。」
「レスキューか警察に連絡するんだ。」
あの速度では女性は即死しているだろうと考え、事故を起こした救急車の運転席側のドアを叩く。
運転手は血塗れで息をしていないように見えた。
エアバッグはきちんと作動していたから、頭部が血塗れになる事は無い。
どこかおかしい。
イブンヤードが運転手の異変に気付く。
子供の遺体があった。
フロントガラスに頭をぶつけた子供が血を流しているのだ。
だが、何故子供が運転席に居るのだ?
急患として運ばれている間に何があったのだ?
「無事ですか?!今助けま・・・ひっ!ひぃぃぃ!」
救急車のハッチドアを開けていた生徒が悲鳴を上げる。
血塗れの隊員が口を開けると、指がポロポロと地面に落ちる。
生徒は血塗れの手を押さえて悶絶している。

そして悲鳴が連鎖する。
スクールバスの中で阿鼻叫喚の地獄絵図が繰り広げられている。
助けを求めて窓を叩くが窓に血の手形が張り付くだけだ。
改めて周囲を見回す。
体の何処かが食い千切られ、欠損した人々が蠢いている。
新しい犠牲者を求めて。

>38
イブンヤードが手から血を流す生徒を支えながら走る。
暫く走っていると大きな屋敷が見え始めた。
立派な支柱に支えられたゲートがあり、暫くは持ち答える事が出来そうだ。
無断で庭に入ると先客が居た。
これ以上の侵入者を増やさないようにゲートを閉める。
「君は先客の様子を見ておいてくれ。近寄ってきたら教えて欲しい。」
真っ青な顔をした生徒に言い聞かせ、インターホンを押す。
「すみません、近所で事故があったんです。
 警察が来るまで暫く休ませて貰えませんか?」
生徒がイブンヤードのコートを引っ張った。
「それと庭に居る方は正気を失っているようです。
 中に入れてもらえませんか?」
流暢な日本語でイブンヤードが囁いた。

所持品:傘。携帯電話。スーツ。薄手のコート。
外見:日焼けした白人。
43不良高校生:2009/11/27(金) 00:29:25 0
>42
美希「ダメみたい…
    電話、全然繋がらない…」
「マジかよ…
 一体どうなんってんだ!?」
美希がさっきから何度もかけているが、警察署に全く繋がらない
おそらくは何者かに電話線を切断でもされたのだろう
携帯電話を弄ってみるが、こちらも完全に圏外である
俺は頭の中がこんがらがってきて、無性に腹が立ってきた
そんな中、インターホンが鳴り響き、美希がそれに応答した

美希「は、はい…」
>「すみません、近所で事故があったんです。(ry
美希「えっと…、ちょっと待って下さい!
    …ねえ、トシちゃん」
「あん?」
美希がインターホンを鳴らした相手の話を聞き、その内容を俺に伝える
直感的に思ったことは、「冗談ではない」である
庭には、明らかにヤバい状態の氷室のおっさんがうろついている
それにただならぬ雰囲気に包まれている
常識的に考えて、安全を第一に考えるならそのまま追い返すのが妥当だ

「冗談じゃねえぞ
 そんな奴ら信用できるかよ
 入れるな!」
美希「そんなの酷いよ…
    ねえ、入れてあげよう?
    私たちだけじゃ、ここに居たって埒明かないよ」
「ダメだっつってんだろ!
 奴らもキチガイになってたらどうする!?」
美希「トシちゃんの分からず屋!
    アタシ入れてあげてくる!」
「ちょ、ちょっと待て!」
変なところでいきなり融通が利かなくなる所が、この女の一番ウザいところだ
ちっぽけな親切心を振りかざして、イイコちゃんのつもりなんだろう
この状況で大した無神経振りだと思わされた

美希「待っててくださあい
    今玄関開けますから!」
「どうなって知らねえからな…」
俺はいつでも裏口から逃げられるよう、ソファから立った
自慢ではないが、俺のイヤな予感はほとんど外れたことがない
喧嘩に明け暮れた中坊時代、幾度も窮地を救ったのはこの直感力である
美希が玄関のカギを開け、来訪者を迎え入れ始めた
44不良高校生:2009/11/27(金) 00:37:20 0
一方その頃、イブンヤードと居た生徒が様子見に入った庭
浴衣姿の中年男性が閉ざされた雨戸に縋り付き、ひたすら両手で叩き続けていた
その姿に生気は感じられず、しかも意味不明な唸り声を上げている

氷室「アァ…アアァ…」
生徒の気配に気付いたのか、浴衣の男が生徒の方に向き直る
生徒はその姿に思わず絶句する
眼は白目を剥き、大量の涎を垂れ流しているのだ
しかも、フラフラと歩きながらこちらに近づいてくる

美希「アタシ、ここの住人で美希って言います
    どうぞ中に入ってください
    状況がよく分からないので、詳しい話は中で…」
「………」
美希が何やら来訪者に話し掛けている
見た感じからすると、外人のようだ
とりあえず、氷室のおっさんにあったような狂気は感じられない
まあ、信用する要素にはならないが
45木島士 ◆ykmK51qQlFBG :2009/11/27(金) 19:17:03 0
>>41
受話器から聞こえてきた声はまだ若い男のものだった。

【外で……暴動が起きてるんです。父とも連絡がつかない。もう誰かが連絡を入れているかも知れませんが、
 通報させていただきます。今は自宅で隠れているのですが、指示をいただけますか】

暴動?俺は顎に手を当てて少しばかり考えた。
どうすりゃいい?いや、まぁ取りあえずは無駄に動かないほうがいいな。

「君は学生さんか何かか?いいか、取りあえず落ち着け。
まず外には無闇に出ない方がいい。暴動に巻き込まれる可能性がある。
…で、その暴動してる奴らだが見た目はどんな感じだ?」

【僕の見た限りでは、地面の一点に人が群がっていた気がします。中には這い蹲ってそこに向かう人々も……。
 その点に何があるかは知りませんが】

人が這う?尋常ではないその報告にしばし無言になる。
人が這ったり群がるまでの暴動がこの街で起こるのか?
普段はほとんど犯罪もないような街で。
俺は受話器を反対側の耳に添え変えてゆっくり話しかけた。

「近くに望遠鏡や、ビデオカメラはあるか?
あるならそいつで暴動をしている連中の様子を細かく観察してみるんだ。
こっちも出来る限り情報を集める。いいね?」



>43
>「アァ…アアァ…」
生徒がコートの裾を引っ張る。
どうやら中年が気が付いたようだった。
何か武器になるものを探そうとするが、手にしている傘しかない。
傘を逆手に持って構えるが、一体何処を攻撃するべきだろう・・・
>「アタシ、ここの住人で美希って言います
  どうぞ中に入ってください
  状況がよく分からないので、詳しい話は中で…」
「ありがとう、助かる。」
イブンヤードが生徒を引っ張りながら玄関に入り込むと鍵を掛け、生徒をその場に座らせる。

「私はアルハサム・イブンヤード。
大学で講師をやりながら、駅前のバクダッド・カフェのオーナーをやっている。
彼は・・・意識を失ったようだな。」
出迎えてくれたカップルを見る。
美希と名乗る女の子と警戒した素振りを見せる男の子だ。
「美希さん、すまないが救急箱とガムテープを貸してもらえないだろうか?」
ガムテープは別の目的に使う予定がある。
予想次第では助けた生徒も外の中年と同じ事になってしまう。

美希が持ってきた救急箱で治療をする前にガムテープで生徒の手足をグルグル巻きにする。
手の治療を始めようとした時、生徒が暴れだした。
起き上がろうとしてバランスを崩すが、生存者を求めている。
「テレビで何かニュースを見たか?」
まずは状況を把握しなければならない。

所持品:傘。携帯電話。スーツ。薄手のコート。 救急セット。ガムテープ。
外見:日焼けした白人。
47宰吹キオ ◇0YhnNL46N6 :2009/11/28(土) 20:02:00 0
吹キオの住んでいるマンションは西市のオフィス街の中心にある。
周りには会社の他にも雑貨屋やパン屋などが経営をしている。
数時間前の暴風雨に対抗する形で、自転車屋は外に展示してあった商品を店の中にひた隠し、
いくつかの建物はシャッターを閉じている。今の閉ざされた街は、まるで暴動のために趣向をこらしたかのように
どこも閑静になったままだ。
カーテンを閉めるのを忘れていた。早急にそれを遮蔽し、僅かに空間が漏れるような隙間から外の様子を見やる。
片手には受話器が握られている。
暴動が発生した場合、第一に聞こえるでろう男達の怒号や叫び声が聞こえないことを、吹キオは不自然に感じた。
防音効果の高い硝子を使っているとはいえ、僅かにその名残程度は、この暗室にも届いていい筈だ。
雪の裂傷のような隙間から、白くぼやけた外の世界が見える。雪の裂傷、と少年は思う。
つい数分前まで絆を共にしていた象徴を、こんなところで見るなんて。
そこからは数人の男女が断続的な歩調で動いている姿が伺える。連中は口から血の混じった涎を垂らし、
人間が分泌する量としてそれは相応しくない。どちらかというと嘔吐物に近い様子だ。
更には何人かの人間は白目を剥いて、何かの呪詛的な祝祭を執り行うように、先ほどの地表へと着々と接近してきている。
その一点に急降下してきた無数の鴉達が群がる。その威圧的なサークルの様子を、吹キオは警官に伝える。

状況・木島に窓の外の様子を報告。
48名無しになりきれ:2009/11/28(土) 22:07:15 0
>ALL
テレビでは緊急放送プログラムが流れ始めた。
文章が繰り返し流れるだけの単純なものだった。
『西市及び近辺で生活されている方は、無闇に外出しないで下さい・・・』
どのチャンネルを変えても同じ文章が映されているだけだった。
49不良高校生:2009/11/29(日) 14:22:45 0
>>46>>48
>「私はアルハサム・イブンヤード。(ry
美希「アタシはさっき紹介した通りです
    あの子はアタシの彼氏で、畑山俊也くん」
「………」
要らぬ紹介お節介…、全くを以て本当にウザい女だ
外人は俺の方を見て、笑顔の後に一礼したが俺はそっぽを向いた
確かにまともなようだが、どことなく胡散臭い感じがした
それに、一緒に連れている生徒は俺が通う学校と同じ制服である

>「美希さん、すまないが救急箱とガムテープを貸してもらえないだろうか?」
美希「え…、あ、はい!」
美希はイブンヤードと名乗る男の指示に従い、あわてて近くの棚に向かう
連れの方は怪我をしており、治療をしようというらしい
そうこうしている内に、モタつきながらも美希がガムテープと救急箱を持って来た
イブンヤードはガムテープで生徒の手足を巻き、身動きできないようにした
こんな場所で実地手術とは、御苦労なことである

>「テレビで何かニュースを見たか?」
美希「あ、そういえば!」
思い出したようにテレビに走り、スイッチを入れる美希
すると、どのチャンネルを回しても…
『西市及び近辺で生活されている方は、無闇に外出しないで下さい・・・』
…という文章が繰り返し流されているだけで、ニュースなどやっていなかった
やっぱり、町全体が異常事態に包まれていると見て間違いない

「ふざけやがって…
 おいおっさん、アンタ逃げて来たんだろ?
 そいつの怪我のことも含めて、ここに来るまでに何があったか話してもらうぜ!」
美希「ちょっとトシちゃん…」
「てめえは黙ってろ!」
我慢できなくなった俺は、イブンヤードに怒鳴りながら問い詰めた
50木島士 ◆ykmK51qQlFBG :2009/11/29(日) 20:03:58 0
>>47
署内に多くの警察官達が戻ってくる。
【おい、木島!どこもかしこも狂犬病みてぇな連中がウジャウジャいやがるぞ。】
その中の1人、定年に近い澤田という壮年の刑事が木島の肩を叩く。
一方でけたたましいサイレンの音と共に複数のパトカーが発進していく。

「狂犬病?まさか…」
しかし電話口では少年が同じような状況を伝えてくる。

>数人の男女が断続的な歩調で動いている姿が伺える。連中は口から血の混じった涎を垂らし、
>人間が分泌する量としてそれは相応しくない。どちらかというと嘔吐物に近い様子だ。

「澤田さん、その連中はどうなってるんですか?病院に?」
少年の話を聞きながら木島は澤田へ質問する。
澤田は右腕の裂傷を見せて溜息を吐いた。
どことなく顔が青白い。
【病院も何も、俺らも病人に噛まれちまってな……う、ウグ…】
澤田が口を押さえ嘔吐を始めた。
周囲の警官達は呆然としたままそれを見つめている。

「…?おい、澤田さん!しっかりしろ!」
婦警が救急車を呼ぶ為電話を取る。しかし応答がない。
【ダメです…つ、繋がりません】

>>48
1人の署員がテレビを付ける。
だが、目ぼしい報道は無く以下のような内容が流されているだけだった。

>『西市及び近辺で生活されている方は、無闇に外出しないで下さい・・・』

木島は澤田を介抱させながら電話口へ戻る。
「少年、名前を聞いてなかったな。俺は木島士だ。
その…地面を這ってたりする奴らだが。
俺の推測だが…何らかの病気にかかっている可能性がある。
連中に気付かれないように、どうにかして警察署まで来れるか?」
>48-49
>「あ、そういえば!」
美希がリビングのテレビを見に行った間、イブンヤードは生徒の様子を見ていた。
暴れている原因は痛みやパニックではなさそうだ。
嫌な予感がする。

ドアに鍵が掛かっている事を確認して土足でリビングへと上がる。
そのままチャンネルを回す少女の肩越しにテレビを除く。
『西市及び近辺で生活されている方は、無闇に外出しないで下さい・・・』
イブンヤードがソファーに腰掛け、腕組みをする。
何か考え事をしているようだった。

>「ふざけやがって…
 おいおっさん、アンタ逃げて来たんだろ?
 そいつの怪我のことも含めて、ここに来るまでに何があったか話してもらうぜ!」
畑山少年が怒鳴り始める。
>「ちょっとトシちゃん…」
>「てめえは黙ってろ!」
(もう少し冷静だと思ったが・・・)
「解る範囲で説明する。」
イブンヤードは立ち上がって畑山少年を見下ろす。
「この近くで事故があった。
救助しようとした生徒が噛まれた。
それからあの調子だ。」
イブンヤードの人差し指は、玄関で暴れまわる生徒を指している。
ガムテープで動きを封じ込めている間は安全だろう。

説明を済ませたイブンヤードはソファーに座って目を瞑り、再び考え始めた。

所持品:傘。携帯電話。スーツ。薄手のコート。 救急セット。ガムテープ。
外見:日焼けした白人。
52宰吹キオ ◇0YhnNL46N6:2009/12/02(水) 00:22:55 0
宰吹キオは名を名乗る。そして腹の底の神経が失敗したストラテジーのように痙攣する。何度も失敗してきたことだと肩を落とす。
初対面の人間と名前を交わすような譲歩の習慣が身についていないためだ。状況上仕方ないとはいえ、学校の日常と同じ感興を今日も味わわなければならないとは。
電話を切った後には、咄嗟の殺人の罪が後日に訪れるように、後悔とそれを修正しようとする目的意識が大人しい葛藤を始めるだろう。
それから警察署の住所を尋ねる。そこはここから電車一駅分程の距離のある場所だ。
思念が空想の地理の上を疾走し、公園の森林をくぐり、廃墟の垣根を飛び越え、到達点に大体の検討をつける。
そこまで考えるとこの事態に段々とうんざりしてきた。カミサマに頭を撫でられて馬鹿にされてる気分だ。天井が威圧的惑星のように静かに降ってくるのを感じる。
窓の外では相変わらず気の毒な群集達が横転した車の火炎の隣を往復し、多くは血溜りの中心の何かに這い蹲っている。
木島の提案にしばし無言になる。
徒歩で向かえばあまりにも無防備だし、パトカーだと目立ち過ぎる。どちらも格好の餌食だ。
暴徒達の脅威度は、吹キオにとってまだ不明瞭だ。 病人だと言われている通り、武装する知性も計画性もなく、這い蹲っているのはたっているエネルギーが無くなっているだけかも知れない。
刃物を振り回せば、少人数ならたじろいでくれるだろうか。あの様子では危険を察する理性も残されていないのだろうか。
しかしもし、大挙して押し寄せてきたら……。
無言だったTVの上にノイズのような文字列が走る。
『西市及び近辺で生活されている方は、無闇に外出しないで下さい』
少なくとも暴動のサイズはこのオフィス街に留まる範囲ではないということだ。吹キオは電話越の警官と、TVに走った白い文字とを交互に見る。
西市全域に拡大した暴動。発端が何であれ、壊滅し尽くされた社会はもう元には戻らない。修復するにはそれなりの期間が必要だ。いわばこれは政治的運動などではなく戦争であり、天災なのだ。
この頼りない箱舟のような家もたちまち飲み込まれ、鍋の中で掻き回される麺のように得体の知れない災厄のなかに運び込まれるだろう。
あるいは暴動は鎮圧されるどころか過激化し、虫歯が拡大していくようにもっと大規模な悪夢となるかも知れない。

「わかりました。これから向かいます。それと恐れ入りますが、携帯の電話番号も教えていただけませんか
 僕の番号は○○○。こっちのほうが早く連絡がとりあえると思いますので」

53宰吹キオ ◇0YhnNL46N6:2009/12/02(水) 00:23:57 0
凍土となった地表と、それに逆らうように泥塗れの暴力性を掲げる群れが、荒涼とした景色を彩っている。
群青色の空では接近しあった鴉達が互いを啄ばみ、脱落者が地表へと落下していく。
建物と建物の間を、鼠のように避難する少年を、数匹の鴉が見下ろしている。
横転した車が爆発し、窓硝子がいつの間にか消え、助けを呼ぶ女の声が何か巨大なものに押しつぶされるようにひっそりと消える。
ありとあらゆる暴徒が力を振るい、どの空間にも僭越な情緒の立ち入る隙間はない。
目的地を目指しながら、吹キオの意識はまったく別の場所を彷徨っていた。
そうでいながら現実を厳密に察知する嗅覚は、鋭敏になっている。あるいはシャンデリアを見上げるように
眺望する観念が、現実の影の部分を際立たせているのかも知れない。

「なんだ、こんなものかよ……」

地下鉄サリン事件の被害者の証言では、地上に出て助けを求めても、反対の通りの歩行者達は見向きもしなかったそうだ。
それはまるで自分と彼らが別世界の人間かのように錯覚させるとも話している。
吹キオは匿名性のある通りを歩きながら、そのことを思い出す。建物越しの通りにもう一人の自分がいるように感じる。
しかしそうでありながら彼はこの自分と同じように悠然としたままだ。乖離した別人格に慈愛を感じながら、鈍感になった肉体をさする。
そのもう一人の自分と同じ道で合流すれば、もっと自分は柔らかい、正直な人間になれるかも知れない。
それが閑散とした日向の通りを抜けるまで、少年の考えていたことだった。

破壊し尽くされた自分の生活を嘆き悲しむものかと思っていたが、自分は現実に何も所有していなかった。
家は両親が買ったものであり、本棚の中に納まった教本も自分を埋めるほどの大切なものではなかった。
それは吹キオを虚無のようなものに誘う。粉末状の白が視界を覆う。
やがて鮮やかな星屑のような葉がたくさん群れている場所に出会う。森林公園の鉄柵を上り、人通りの少ないこの場所を経由して警察署に向かうのだ。

装備・包丁、催涙スプレー、携帯電話、分厚いジャケット
状況・木島に名を名乗り、警察署へと向かう。
54名無しになりきれ:2009/12/02(水) 00:26:53 0
>49>51
雨戸を叩く音が強くなっている・・・だけではない。
その音に引き寄せられるように呻き声の主が集まってきている。

どうやら徐々にゾンビ達が集まり始めたようだ。
55木島士 ◆ykmK51qQlFBG :2009/12/02(水) 14:11:07 0
>>52
>「わかりました。これから向かいます。それと恐れ入りますが、携帯の電話番号も教えていただけませんか  僕の番号は○○○。こっちのほうが早く連絡がとりあえると思いますので」

「こっちの番号は080-…だ。近くまで車で迎えに行く。」
木島はメモを取りながら応答する。

「これ…あの、勝手に動いていいんでしょうか?」
電話の内容を聞いていた婦警の柊が木島にパトカーのキーを渡す。
戸惑いながらも彼女も、自分に今出来る事を探しているようだ。
「お前はここに残れ。澤田さんだってあぁなっちまってる。
俺はとりあえず電話の相手を保護する。以上だ。」
柊の肩を叩き、木島は警察署を出て行く。
出口へ辿り着いた木島が見た外の世界は、何も変わってないように見えた。
しかし、何かが。いや、何もかもがおかしくも感じる。
「なんだ…この感じは。」
前にも、こんな体験をした気がする。気のせいか。それとも。

「俺の…失くした記憶に?まさか…」
鼻で笑いながら木島はパトカーに乗り込む。
キーを押し込み、木島は署を後にした。


56不良高校生:2009/12/02(水) 15:52:19 0
>51
>「この近くで事故があった。(ry
「っんだよそれ…
 ワケ分かんねえよ!」
美希「トシちゃん、少しは落ち着いてよ…」
俺はイブンヤードの余りにもさっぱりとした返答に怒りを露わにした
何があったか簡潔で分かりやすいが、外の状況はますます把握が付かなくなった
美希が俺を必死になだめようとしている
一見冷静そうだが、こいつはこいつで大分取り乱しているようだ

「と、とにかく、超ヤバいってのは分かった」
美希「………」
俺はとりあえず頭を整理し、考え事をしているイブンヤードに話し掛けた
よくもまあ、こんな状況の中でこうも冷静に居られるものだ
しかし、そういつまでも取り乱しても無意味というの

美希「ど、どうしよう…!
    電話は内線通じないし、携帯も圏外だし!」
「ちくしょう…、なんか連絡手段さえあればな…」
電話が使えない以上、この場所で出来ることなどたかが知れている
ましてや特別な知識や技術など何も持ち合わせていない普通の高校生である
頭を抱えてしまうような結果は仕方が無かった

>54
美希「ねえ、さっきから段々騒がしくなってない?」
「雨戸の方だ…
 二階で様子を見てくる
 おまえは武器になりそうなモン集めとけ」
美希「う、うん…」
雨戸を叩く音と唸り声がよりいっそう激しくなっていることに気付く
不審に感じた俺は、二階の美希の部屋から下の様子を確認することにした
同時に美希に「道具」を用意する指示を出すと、二階へと上がっていった
そして、美希の部屋からカーテンをずらして下の様子を確認する

「くっそ…、洒落になってねえぞ…」
俺はその光景に目を覆いたくなった
気の狂った連中がリビング側はきだし窓の閉じられた雨戸に群がっていたのだ
もちろん、その中には浴衣を着た氷室のおっさんも混じっている
全員完全にイッた様子で、しきりに雨戸を叩いたり縋って揺らしたりしている
57不良高校生:2009/12/02(水) 16:13:13 0
美希「………」
考え事をするイブンヤードと暴れ回っている生徒を見ながら、不安げに武器を集める美希
包丁やバット、モップ、箒、金鎚などがリビングに集められていく
どれもこれも武器になりそうでなりにくい微妙なものばかりであった

「おいみんな、やべえぞ!
 庭はキチガイだらけだ!
 どいつもこいつも血まみれで、目が完全にイッちまってる!」
俺は急いでリビングに戻ると、ありのままのことをイブンヤードたちに告げた

美希「き、きっとアタシの家の中なら大丈夫よ!
    いざとなったら警察が来てくれるかも…」
「バカ言え!
 今は自分の身は自分の身で守る時だ!」
俺は金属バットを手に持つと、二階から戻るついでに玄関から取ってきたヘルメットを被る
俺は正直、こんな場所に籠る気は毛頭ない
今は外のキチガイどもは庭だけに居るが、周りを囲まれたら脱出する手立ては無くなる
だからこそ、今の内に準備を整えて脱出するのが先決というものだ
籠城するにしても、もっと大きくて人が避難しそうな施設がいい

「俺はこんな場所に籠る気はねえからな
 美希、駐車場にある親父さんの車、動くか?」
美希「ええ、キーなら持ってるけど…」
「死にたくねえなら着いて来い
 囲まれたら逃げられなくなるぞ」
美希「アタシ、トシちゃんに着いてく!」
美希はそう言うと、リュックサックを持ち出して準備を始める
引っ張る者が居なけりゃ自分では何もできない女だが、それだけに指示に従順で扱い易い
問題はソファで休んでいるおっさんと未だ暴れ倒れたままの生徒だ
>56-57
パニックを起こす二人を無視してイブンヤードは考えていた。
美希が武器になりそうなものを探しに行っている間もずっと考えていた。
>「くっそ…、洒落になってねえぞ…」
雨戸を叩く音はドンドン強くなっている。
住宅街で同じような症状を発症した人間が増えている。
>「き、きっとアタシの家の中なら大丈夫よ!
    いざとなったら警察が来てくれるかも…」
>「バカ言え!
 今は自分の身は自分の身で守る時だ!」
リビングに並べられた武器を眺め、モップと包丁を手に取った。
>「俺はこんな場所に籠る気はねえからな
 美希、駐車場にある親父さんの車、動くか?」
>美希「ええ、キーなら持ってるけど…」
>「死にたくねえなら着いて来い
 囲まれたら逃げられなくなるぞ」
>美希「アタシ、トシちゃんに着いてく!」
「車は止めた方がいい。」
イブンヤードが口を開いた。
「住宅街の道は狭い。
乗り捨てられた車が道を塞いでいると思う。
それに自家用車だったら3,4人にぶつけたら動かなくなる。
戦車を用意できるなら話は別だ。」
電話機の近く似合ったセロハンテープを取り、モップの先端に包丁を固定する。
「人の居ない所を移動した方がいい。」
イブンヤードが立ち上がり、暴れている生徒の脈を取る。
口に貼り付けておいたガムテープを剥がすと生徒が噛み付こうと口を開けた。
「私は二階に出て、屋根伝いに住宅地の外れにある作業用マンホールを目指す。
そこから地下トンネルに潜って警察署に向かう。
私の生徒は手遅れのようだから置いて行く。」
ぶっきらぼうな口調でイブンヤードが言って階段を登り始めた。
家の周りには大量のゾンビが徘徊していた・・・

所持品:手作りの槍。携帯電話。スーツ。薄手のコート。 救急セット。ガムテープ。
外見:日焼けした白人。
状況:屋根伝いに逃げて、地下トンネルに潜ると言う。
59宰吹キオ ◇0YhnNL46N6:2009/12/02(水) 21:42:18 0
吹キオが直面したのは芝生の面積の多い、広大な場所だった。
見渡しが効く分、別の徘徊者に気付かれるかも知れない。
吹キオが周辺を見回す限りでは、人の影はない。
早急に木々の茂った場所へと身を移そうと走る。やけに自分と到達すべき点との距離が遠のいて感じる。
ヒイラギが群生している鬱蒼とした地帯へ逃げ込み、そこで肩を落とす。
運動をあまりしない割には、幸運なことに疲弊は沸きあがってこない。
そこで暫く外界の様子を見ながら、また別の薄暗い安全地帯へと移動する。

そうして暗澹とした安全地帯へ移り渡っていく内に、危機感というものが希薄になってきた。
何を考えているんだ?いや、何も考えられなくなっているのか。
自分を鼓舞するように現実を認識させようとするが、白い息が視界を汚すだけで何も変わらない。
比較的凹凸の多い樹木に攀じ登り、そこから公園の周縁を見渡す。
何人かの人間の姿がうかがえる。いずれも壊れた歩調の、危険な徘徊者達だ。

「あいつら、走れるのかな」

木から降下し、地面に着地する。無味乾燥な鈍い音がして、足の裏が痛みに痺れる。
何がそうさせるのかは知らないが、雪が満開に視界を埋め尽くすように、自分はまっすぐこの中を突っ切ることが出来るという自信が満ちてくる。
吹キオは特に意を決することもなく、芝生の上をまっすぐに駆け出した。

装備・催涙スプレー、包丁、分厚いジャケット、携帯電話
状況・ゾンビを無視して森林公園のなかを突っ切る。
60名無しになりきれ:2009/12/04(金) 01:18:00 0
>55
木島が暫くパトカーを走らせていると赤ん坊を抱えた母親が飛び出してきた。
「助けてください!赤ん坊が噛まれたんです!」
赤ん坊は母親の腕の中でぐったりとしている・・・

親子を乗せますか?

>59
「キシャァァァーン!キシャーン!」
風に乗って聞き覚えの無い生き物の雄叫びが聞こえてきた。
ずんぐりとした緑色の影が感染者を捕まえ、解体しているのが遠目に見える。
どうやら宰吹キオには気が付いていないようだが・・・
61宰吹キオ ◇0YhnNL46N6:2009/12/08(火) 21:14:15 0
何処かから怪物の怒号が木霊した。
いつから隠れていたのか、突如として覆いかぶさる果てしない暗雲のような声。
雄叫びがのっぺりとした淡白な空間を引き裂くようにつんざく。
吹キオは突然目の前が暗転したような気になり、足を止めた。
ただの眩暈かも知れない。自分を照らしていた自信のようなものが、一瞬にして闇にかき消された。
辺りには椀からつまみ出された茶柱のように木が何本か生えているだけで、群生している地帯はない。
芝生の上を濃い霧が横行し、その向こうに巨大な緑色の巨体が見え隠れしている。
それは吹キオに童話に登場する影を想起させた。竈の明かりを背に、夜な夜な八端織をするシルエットの老婆だ。
そのような趣向の人為的あざとさが、霧の向こうの怪獣の影からは感じられた。

まるで糸で操られたようなぎこちなさが緑色の怪獣の輪郭を動かしている。
しかし何故童話のなかの老婆が思いのなかに出てくのか、吹キオには理解できない。
絵本の老婆の背景は淡い黄色、怪獣の影は濃い緑色なのだ。
互いのイメージは相反しながら一致しない。吹キオはそこに立ち尽くしながら、自分が影にからめとられていくような感覚を感じた。

吹キオに恐怖は一切ない。しかし自分がじわじわと溶け込むように、その場の空間に佇んでいる。
あるいは怯えて立ち尽くしているように見えるかも知れない。
佇む怪獣の影は小さなゾンビの影をつまみ上げる。ちょっとクリップをとるとか、
そういった容易さと手際の良さによって、怪獣の動きは円滑に進む。
そしてあらかじめ裂かれていたものを剥がしてわけるように、自然な流れとして小さな影は解体される。
吹キオと怪獣の両者の間には霧が顔を見せており、互いの姿を正確には認識できない。
立ち止まって数秒、吹キオは自分が考え事をしようとしていることに気付いた。
思索になんの意味があるんだ?今は逃げるのが先決じゃないか。
彷徨える小人達を解体する化物を背後に、吹キオは再び芝生の上を出発した。
現実と現実の間に挟まれたしおりのような思索には、ただひとつの結論が明示されていた。
もう、警察ではこの状況を取り締まることはできない。

自分に降り注ぐ怪獣の静かな威圧を振り払うように、手足を前後に打ち振り走る。
次は自分がつまみ上げられるかも知れないという現実は認識できても、恐怖はない。
無感情な平板な土地の上をひた走る。やがて足元の雑草も消え、地面は土砂に埋め尽くされている。
振り返ることはできない。もう一度振り向いたら、怪獣にからめとられてしまうような感覚がしてならないのだ。

装備・包丁、催涙スプレー、分厚いジャケット、携帯電話
状況・緑色の怪獣から逃げるため走り出す。
62名無しになりきれ:2009/12/09(水) 22:38:35 0
>61
緑色の影は死体を放り投げると、宰吹キオを注視し始めた。
距離を取りながら宰吹キオを追いかける緑色の影は、鋭い牙と爪を持っていた・・・
63川屋修二 ◆u.ti7ixODE :2009/12/10(木) 03:03:46 0
 何か大きな叫び声が聞こえてきたような気がして俺は目を覚ました。そして周囲を見
回し、ため息をつく。
 白い壁に囲まれた殺風景な部屋、丸見えのトイレ、・・・・・・頑丈な鉄格子・・・

 確かにこれまでの人生ツイてなかったと思う。運に見放されていると思ったことも何
度もある。それにしても、自分がこんな所で何日も寝泊りしているなんてのは何かの冗
談か悪い夢だとしか思えない。目を覚ました時には自分の部屋の自分の布団の中にいる
はずだ・・・った。
 しかし何度目を覚ましても現実は変わらない。
 ここが警察署の留置所の中、そして・・・
 ・・・自分が殺人事件の容疑者になってしまっているという現実は・・・


名前:川屋 修二
年齢:29歳
性別:男
所持品:特になし
現在地・状況:中央署留置所
64川屋修二 ◆u.ti7ixODE :2009/12/10(木) 15:09:19 0
 あれは数日前のこと、俺は仕事を終えて家に帰る途中、自然記念公園を歩いていた。
夜の公園は照明が少なく、ほとんど真っ暗だ。おまけに不良や浮浪者の吹き溜まりにな
っていて、トラブルや事件は日常茶飯事だという。
 こんなとこ早いとこ通り抜けよう。そう思って足早に歩いていると、真っ暗な茂みの
奥から何か得体の知れないものが唸っているような声が聞こえた。それに続いてクチャ
クチャクチャクチャと動物が生肉を噛み切って食べているような音も・・・
 野良犬でもいるんだろうか?下手に刺激して噛み付かれでもしたらかなわない。
 俺は物音を立てないようにコッソリとその場を離れようとした。その時、乾いた小枝
を踏んでしまい、ピシィッ!と想像以上に大きな音が辺りに響いた。

 「ああああああああああああああああああああああああああああああ〜!!」
 突然暗闇の中から、野良犬か何かだと思っていた『それ』が姿を現した。『それ』は
人間だった!しかし、その口の周りを血で真っ赤に染め、禿げ上がった頭や青白い全身
の皮膚は気味の悪い吹き出物で覆われ、真っ赤に充血したギラギラと光る目でこちらを
睨み付ける姿はとても普通の人には見えず、俺はあまりの恐ろしさにその場から一歩も
動くことができず、突然の出来事にただ立ち尽くしてしているだけだった・・・

名前:川屋 修二
年齢:29歳
性別:男
所持品:特になし
現在地・状況:中央署留置所
自分の状態:回想中
65名無しになりきれ:2009/12/10(木) 22:56:36 0
>64
大きな音を立てて開いた扉が川屋を回想から現実に引き戻す。
留置所に入ってきたのは、連日厳しい取調べを行っていた刑事だった。
いつもの威嚇するような歩き方とは違って、その足取りはふらついている。

川屋が閉じ込められた監房の前に立った刑事がゆっくりと首を回す。
「ああああああああああああああああああああああああああああああ〜!!」
血で口元を汚した刑事の声は、回想の中の浮浪者と全く同じだった。
その手にはもぎ取られたばかりの誰かの手が握られている。

・・・刑事の腰に付けられた拳銃と鍵が見える。
格子の間から手を伸ばせば奪い取る事が出来そうだ。
66宰吹キオ ◇0YhnNL46N6 の代理:2009/12/11(金) 21:12:21 0
霧の向こうで、小さな瞬きが起こる。
行動と行動を繋ぐ準備体操のようなもので、怪獣は瞬間的に目を瞑り、こちらを凝視してくる。
首をもたげて、緑色の影が吹キオのいる方向へ、重たげに体を向ける。
ゾンビを放り投げ、緩慢な歩調で吹キオのいるほうへ舵をとり始めた。
霧は濃密になり、ほんのりとした冷気を帯びた匂いのようなものすら運んできている。
視界は鋼鉄に遮られたように閉ざされていながら、怪獣の広がった歩調は、強い指つきで乱雑にピアノの鍵盤を叩くように
吹キオとの距離を縮めていく音をもたらす。破壊的な足音が膨張していく。
後ろには巨大な怪獣の影がにじり寄ってくる。
吹キオは鼻息を荒くしながら、視界の遮蔽されやすい森林のなかに飛び込み、そこでまた走り始める。
振り返るとそこには霧のなかに浮かび上がった、巨大な墓標のような化物がいる。
歩幅が広い分、緩慢な速度でも容易に距離を縮められてしまう。
吹キオは足を速めながら、星座の位置を目を細めて観察するように、自分の人生の軌跡に思いを馳せた。
感情のない自分も、こんなときには走馬灯を見るのだ。そういった凡庸さを自認しつつ、また腹の底が暗くなるだけで
特別な感情は湧いてこない。死にたいわけではない。
ただ誰しもが危機に瀕したとき、こうするものだという認識が少年のなかにはある。
そのまま森林公園のなかを突っ切る。自分の足が気の毒になるくらい固い土砂の上を走り続け、やがて鉄柵が見えてきた。
その向こうには源のわからない火の手があがり、遠近感のない絵画のように吹キオを出迎える。
背後の怪獣が急ぎ足で地面を蹴ってくるのがわかる。吹キオのなかには逃げ続ける自分と、ここで殺されるのを呆然と待つ自分がいる。
しかしそうでありながら酔っ払いを担ぎ上げるように、強引に鉄柵を昇る。

理性を働かせたあとの世界は、ありとあらゆる混沌だった。
吹キオはその場にうずくまり、頭を抱えた。街には破壊の痕跡だけが残されているばかりだが、
そこは吹キオが体感した初めての現実だった。
霧の中から解き放たれた途端、吹キオはその無言のカオスのなかに立ち尽くしていた。
この世にはもう依存できる社会も、霧も、ないのだ。全てが平等に傾き、偏っている。その矛盾を肌で感じながら、
近くの駐車場に駆け込んだ。業務用のタクシーが陳列されている狭い場所だ。
車の陰に隠れ、怪獣をやり過ごすつもりらしい。

吹キオは意を決して木島の携帯電話に連絡を入れてみた。

「今、どこにいるんですか……?迎えに来ても、返り討ちに会うかも知れない。
 緑色の怪物が……徘徊してるんです。あまりにも大きな、怪物が、人間を食べてる……」

状況・怪物から逃れるため、駐車場に隠れる。そして木島に通話。
67川屋修二 ◆u.ti7ixODE :2009/12/12(土) 02:50:50 0
>65
 刑事の姿を見て俺は腰を抜かしてしまった。
 その姿はあの日俺の前に現れたあの異常者そっくりだった・・・そう、この刑事本人が
取調べの最中に口を滑らすように言った・・・『ゾンビ』そのものだった・・・

 あの異常者・・・『ゾンビ』に襲われそうになっている俺の前に現れたこの刑事に、俺
は逮捕された。なぜか何の事情も聞かず俺の手に手錠を掛けた。ゾンビの方は刑事に続
いて現れた武装した集団があっという間にトラックの中に押し込んでしまった。
そして刑事は懐中電灯で辺りを照らし『何か』を探し始めた、その場にもう一つあるは
ずの『何か』を。・・・・・・懐中電灯が茂みの奥を照らした時、刑事の探していた『何か』
はあっさりと見つかった。
 ・・・無残に食い散らかされ、バラバラになった人間の死体が・・・
 そしてなぜか俺が、その殺人事件の容疑者。ということにされてしまったのだ!

 今、目の前にいる刑事のゾンビの手には、あの日見た被害者の死体のように食い千切
られ、?ぎ取られた人間の手が握られている。何かが起こっている。俺の知らない何か
恐ろしいことが。なんとかしなければ!このままでは俺もまた彼らと同じ運命・・・ゾンビ
の餌になるだけ・・・ということだ。
 そうはいかない。 

名前:川屋 修二
年齢:29歳
性別:男
所持品:特になし
現在地・状況:中央署留置所
自分の状態:刑事のゾンビを前にして生き延びる決意を固める

階段を登りベランダに出る。
手製の槍を片手に屋根へ移動し、助走を着けて素早く隣家へと飛び移る。
時には屋根を降りて庭を突っ切ったが、塀に囲まれた敷地内を移動するのは安全だった。
移動を続けていると、目当ての下水施設を発見する事が出来た。
落ちていた石を拾って窓ガラスを破り、侵入する。
警報が鳴り響くが無視して侵入し、鍵の束と地下トンネルの地図を手に取る。
合わせてヘッドランプと20メートル程のロープを持っていく事にした。
詰め所の外に保管されていた折り畳み自転車を室内に持ち込む。
作業用の坑道は広い。自転車で移動した方が目的地に早く着けるだろう。
イブンヤードは覚悟を決めると市内全域に張り巡らされた地下道へと降りていった。

所持品:手作りの槍。携帯電話。スーツ。薄手のコート。 救急セット。ガムテープ。
      鍵の束。折り畳み自転車。ヘッドライト。地図。
外見:日焼けした白人。
状況:市内地下全域に張り巡らされた地下道へ侵入。警察署へ向かう途中。
69宰吹キオ ◇0YhnNL46N6 :2009/12/15(火) 07:28:33 0
吹キオは意を決して木島の携帯電話に連絡を入れてみた。
しかし呼び出し音が幽霊のように繰り返されるだけで、何の肉声との接触もない。
通話を打ち切るボタンを押し、吹キオは暫く呆然としてしまった。
そのまま薄汚れた皿のように、水平に肩を落として、街の界隈を徘徊し始めた。
緑色の怪獣の気配は、背後の森林公園に尾鰭を残したままだ。
その空間にはまだ怪獣の影がモナ・リザのように獰猛な殺意を噛み殺して待ち受けている筈だ。
吹キオはその威圧感を黙殺し、圧鍋の底のような暗がりに向かって、小道を歩き出した。
歩きなれた登山者のような素朴な足取りで巨大さを吐露する闇へと向かう。
街は至るところから硝煙が昇り、それは天に召された幾千の魂達を想起させた。
死者達が歓迎するように街を見下ろし、祝杯を持ち寄ってわれ先にと語りかけてくるようだ。

やがて夕暮れが、絶対無のなかに開拓を示すような一点として散々だった空を射る。
吹キオは携帯電話を握り締め、自分から沸き立つ磁気のような疲弊にうんざりしながら徒歩で移動していた。
行き先は警察署だが、自分の影に追いつけないように、それはいつまでも一定の距離を置いている気がした。
やがてゾンビ達のうめき声が錯綜し始め、気付けば視点の先に大挙して殺到する彼らがいた。警察署の前だった。
バリケードが古城のように構築され、吹キオも容易にはそこを登ることは出来なさそうだ。

70名無しになりきれ:2009/12/15(火) 18:45:32 0
>67
突如銃声が響き、ゾンビが頭から血を流して倒れこんだ。
扉の外からは足音が遠ざかっていく。
どうやら発砲した人間は逃げ出したようだ。

今なら死体から銃と鍵を奪えそうだ。
奪いますか?
→Yes
  No

>68
イブンヤードの足元を巨大なゴキブリが這いまわっている。
どうやら何かを食い荒らした直後のようで全身が血だらけだ。
襲い掛かってくる様子は無いが、突如ゴキブリが羽ばたいて逃げ出した。

下水道の奥から小牛位の大きさの蜘蛛が飛び出してきた!

>69
封鎖されたバリケードの外側にスプレーで何かが書かれている。
『生存者はライトや発炎筒で合図を送って下さい。
 屋上からロープを垂らして救助します。』
71川屋修二 ◆u.ti7ixODE :2009/12/16(水) 12:34:49 0
 しかしどうやってここから抜け出そうか・・・
 目の前のゾンビの腰にぶら下げられた鍵の束が見える、一瞬あれを奪い取れば、と
いう考えも頭をかすめたが、いやいや自分にはそんな度胸はないない。だいたい鍵を
外すためにカチャカチャやってる間にゾンビに頭をかじられてしまうかも知れないじゃ
ないか。
 そんなリスクを冒すわけにはいかない。生き残るためには!
 といって他に良い考えがあるわけでもなく、途方にくれて外の刑事ゾンビを眺めて
いると
>>70
 「パンッ!」
 突然、爆竹のような音が響いて、刑事の片方のコメカミが破裂した。
 じゅ、銃声だ!!俺は急いで部屋のすみへ逃げ込み、毛布を頭からかぶって敵から
身を隠す。
 ・・・しばらくすると扉の外へ足音が遠ざかっていくのが聞こえてきた。助かった・・・
どうやら襲撃者は立ち去ってくれたようだ。
 扉にもたれて倒れている刑事の死体を見る。ピクリとも動かない。今なら腰の鍵を
簡単に奪い取れそうだ。奪い取ろうか・・・・・・YES!!こんなチャンスさすがに逃す
わけにはいかないだろう。生き延びるためには。
 刑事の腰から鍵を取り外し、鉄格子の扉を開ける。さぁ、これで自由だ!とりあえ
ず家にでも帰るかな。ん?刑事の腰にもう一つ気になるものを見つけた。銃だ。そう
だ、よく考えれば、この刑事のようなゾンビが他にもいるかも知れない、刑事を撃っ
た殺し屋もまだこの辺をうろついているかも知れない。武器は持っておいた方がいい
に決まっている。

 俺は刑事の腰から拳銃を抜き取り、そして、ふと重大なことに気が付いた。これは
・・・どう見ても俺が刑事を殺害して鍵と拳銃を奪った・・・
 
 まさに凶悪脱獄犯にしか見えないではないか!!

名前:川屋 修二
年齢:29歳
性別:男
所持品:拳銃(SIG P230) 刑事の鍵の束
現在地・状況:中央署留置所
自分の状態:留置所で刑事から武器を奪う
72川屋修二 ◆u.ti7ixODE :2009/12/16(水) 17:13:36 0
 とにかくすぐにこの場を離れなければ、刑事の死体と一緒のところなんて誰かに見ら
れたらまたあの牢屋に逆戻りだ。
 留置所を出て警察署の廊下へと移動する。どうやらここは一階のようだ、廊下の突き
当たりに窓が見える。しめた、あの窓から逃げられそうだ。俺は小走りに窓に近づき、
外の様子を伺う。
 「な、なんだこりゃ?」
 窓は全面、何か花のような物を付けた植物の蔓で覆われていて、全く開きそうにない。
 これじゃ窓から出るのは無理だな。そう思って引き返そうとした時「キキィィッ!」
という声がして何かが窓にぶつかった。振り返って俺が見た物は・・・窓一面に張り付いた
いくつもの口!蔓に付いていたのは花ではなく、花のように見えるその内側には鋭い牙
が何重にも並んでる、口だったのだ!
 「ひいいいいいいい!」
 さっきのゾンビ以上に恐ろしい、悪夢のような光景に、俺は腰を抜かして尻餅をつき、
そのまま這いずって手近にあった扉を開け、中に飛び込んだ。

 幸い、蔓の力は窓ガラスを割るほどではなく、中にまでは侵入できないようだった。

名前:川屋 修二
年齢:29歳
性別:男
所持品:拳銃(SIG P230) 刑事の鍵の束
現在地・状況:中央署1F
自分の状態:どこかの部屋へ逃げ込む
>70
足元を這い回る巨大なゴキブリを無視して自転車を組み上げる。
踏み潰そうと考えるが血塗れのゴキブリを踏みつけて靴を汚したくなかった。

自転車の組み上げが終った頃、ゴキブリが逃げ出して代わりに巨大な蜘蛛が現れた。
イブンヤードがゆっくりと後ずさる。
武器となるのは手製の槍だけだ。
果たして蜘蛛に武器が通じるのか。

イブンヤードはゆっくりと後退りながら、記憶の中の地図を探る。
回り道になるが蜘蛛を避けて移動する事は出来そうだ。
いきなり方向転換をすると自転車に跨り急発進をした。
蜘蛛の鈍重な体では追い着けまい。

たった一人で地下道を移動しているイブンヤードの背中を汗が伝う。
今までに感じた事の無い恐怖に怯えていた。

所持品:手作りの槍。携帯電話。スーツ。薄手のコート。 救急セット。ガムテープ。
      鍵の束。折り畳み自転車。ヘッドライト。地図。
外見:日焼けした白人。
状況:市内地下全域に張り巡らされた地下道を移動中。警察署へ向かう。
74名無しになりきれ:2009/12/17(木) 19:08:42 0
>72
>「ひいいいいいいい!」
真っ暗な部屋に飛び込んだ川屋の後頭部に冷たい何かが押し付けられる。
どうやら拳銃のようだ。
「・・・あなた、生き残りね?」
背後から女の声が聞こえた。
拳銃と服装からして刑事のようだ。
「そう言えば大木刑事の様子が変だったけど・・・
 貴方が処理したの?」
どうやら敵意は無いらしい。
「私は栄田涼子。
 ここの刑事なんだけどね。
 貴方の名前は?」

>73
蜘蛛は必死に追いかけるが、追いつく事は出来なかった。
イブンヤードが進む通路の途中に厳重にロックされた扉があった。
他の扉と違って仰々しい作りをしている。
鍵があれば開ける事が出来そうだが・・・
75宰吹キオ ◇0YhnNL46N6 :2009/12/17(木) 23:37:26 0
目を凝らして密集のなかを覗き込むと、スプレーで記された通達がある。
『生存者はライトや発炎筒で合図を送って下さい。
 屋上からロープを垂らして救助します。』
吹キオは存在を悟られぬように、正面入り口から遼遠の垣根の影へと離反する。
屋上から常に蛍光灯を見定める役割の人物がいるとしたら、ゾンビ達から離れている自分の挙動の違いに
気がついてくれそうなものだが……と狼狽を強める。
そのまま分厚いダウンジャケットの中を弄り、携帯電話を取り出す。
フラッシュライトが鏡から鏡を移動する日光のように微小に煌く。
思わず大きな声で引き上げてくれと頼みそうになるが、危うく声を飲み込む。

状況・屋上に向けて携帯電話のフラッシュライトをかざす。影の範囲から照らしているので、
   微小な光でも目立つはずだ。

76名無しになりきれ:2009/12/19(土) 00:20:42 0
>75
警察署の屋上から短くライトの点滅があった。
その箇所から縄梯子が垂らされている。
どうやら登って来いという合図のようだ。

・・・屋上で待ち受けていた警官は、体中が啄ばまれて血塗れになっている。
縄梯子を垂らした後、気絶してしまったようだ。
77宰吹キオ ◇0YhnNL46N6:2009/12/19(土) 19:55:09 0
雨天炎天。
引きおろされた梯子の綱には先ほどの雨が滲んでいる。
それと握る手も水分の慈愛によって、擦れる痛みも感じずに済む。
吹キオは自分の大きな尻をかち上げるように、全身を上昇する飛行機雲みたいに
上へ昇るスタンスへ以降させる。
ねじれたパンのような縄梯子を順に掴んで昇っていく。
背後には微小な暴徒達が迫っていた。背中に蟲が這ったような悪寒を抱え、それでも振り向かず
のしのしと縄梯子を昇っていく。
山を昇る熊のように獰猛な姿勢で、かつ白い息を吐きながら。
屋上に到達すると凄惨な死体が地面に付着するように、倒れていた。
先刻の緑色の怪獣に引き千切られていた死体とは、見る距離感が違うことから、そのグロテスクさに思わずたじろぎ、
危うく屋上から落ちるところだった。
死体からは血液と筋肉組織、そして得体の知れない粒状の肉塊が吹き出ていて、
その苺のような無数の惨殺の痕跡を、吹キオは暫く呆然と眺めていた。
なるべくこの状況には無頓着になったほうがいい。暫く呆けていたことから、頭のなかが蜃気楼を抱えたように茫漠とする。
警察署内は安全でないだろうが、少なくとも暴徒が徘徊している街中をうろついているわけにもいかない。
死んだ警官の人生の完走に祝福を与えるように、空には雲の裂傷ができ、中から宗教的光明が差し込んできている。

「いい加減にしてくれよ、おい……」

中央署内に通じる扉を開け、気配をひた隠しながら移動する。
何処へも行き先はないが、惨殺された先ほどの警官の様子を見る限り、暴徒はこの署内にも押し寄せていることだけは確かだ。
死の匂いがする白黒のレトロな廊下を進みながら、吹キオは壁に立掛けられた額縁を見やる。
そこには署員の行為を褒め称える勲章と表彰が記されているが、それを正確に読み取ることができない。
拳銃の射撃大会の功績なのか、補導回数の功績なのか、頭のなかに空白が浮かぶだけで、目の前の言語と合致する思念がない。
壁沿いに進んでいくと、鉄板のような無愛想な扉が待ち受けている。その色調の無さ、喧騒に抗う画用紙のような特徴の無さに好感を覚え、
中から人の気配がないことも手伝ってか扉を開ける。
そこには偶然生えてきたキノコのような奇怪な姿勢のマイクスタンド、音調を操作するための複数の機材が立ち並んでいた。
ここは放送室だった。
吹キオは暴徒達の様子を知っている。とても言語は理解できず、麻薬中毒者のように死に急いでいる。
放送を流しても、健常な人間のみに話しが届く筈だ。

「もしもし、こんにちは。宰吹キオです。ここは……言わずもがな放送室です。生存者の皆さん、というか、えーと
 警察署員の皆さん、僕の携帯電話番号は○○○です。連絡をとりあい、安全な場所を確保しましょう」

装備・包丁、催涙スプレー、分厚いジャケット、携帯電話
容姿・僅かに日焼けしたハンサムの少年。
状況・放送室から署内全体に上記の内容を通達。
>77
回り道が出来たお陰で何とか蜘蛛から逃げ出す事が出来た。
進路を塞がれていたらどうなっていた事だろう・・・
(この街で何が起きているんだ?)
最初は狂犬病の新種かと思ったが、それだけでは無さそうだ。

移動を続けるイブンヤードが見つけたのは、得体の知れない扉だった。
このような場所には相応しくない扉である。
鍵が掛かっているので入る事は出来ない。
だとすれば警察署へと進むべきだろう。

イブンヤードが移動を再開する。
数十分ほど自転車を漕ぐと目的地の真下へと出た。
ロックされていない事を願いながらマンホールをゆっくりと開ける。
「・・・」
周囲を見回すとパトカーが数台止まっている。
どうやら地下の駐車場に出たらしい。
(後は警官を探し、避難するだけだな。)
イブンヤードが生存している警察官と連絡を取るべく、内線電話を手に取る。

>75>77
どのボタンを押すべきか迷っていると銃声(>70)が聞えた。
・・・どうやら警察署も危険なようだ。
>「もしもし、こんにちは。宰吹キオです。ここは……言わずもがな放送室です。生存者の皆さん、というか、えーと
 警察署員の皆さん、僕の携帯電話番号は○○○です。連絡をとりあい、安全な場所を確保しましょう」
イブンヤードが放送室のボタンを押す。
携帯で連絡を取るよりも確実な筈だ。
「もしもし。私はイブンヤードと言って避難してきた人間の一人だ。
貴方は警察官かね?だとしたら保護を求めたいのだが・・・
現在地は地下の駐車場だ。」

現在地:警察署 地下駐車場
所持品:手作りの槍。携帯電話。スーツ。薄手のコート。 救急セット。ガムテープ。
      鍵の束。折り畳み自転車。ヘッドライト。地図。
外見:日焼けした白人。
状況:放送室の宰吹キオに電話する。
79川屋修二 ◆u.ti7ixODE :2009/12/22(火) 12:09:44 0
>74
 「お、俺は囚人・・・あ、いやいや修二、俺の名前は川屋修二、ただの通りすがりの一
般市民ですよ。」
 銃で脅されては逆らうわけにはいかない。俺は正直に自分の名前を名乗った。
 「大木刑事とは誰のことでしょう?私にはなんのことやら・・・」
 とにかく自分が殺人事件の容疑者であることや刑事の銃を持っていることは黙ってお
いた方がよさそうだ。
 幸いにも拳銃はズボンの前の方に挟んで服で隠している、傍目にはただモッコリして
るだけにしか見えないはずだ。
 それにしても、『生き残り?』とは妙な言い方だ、一体この警察署で何が起こってる
んだ?
突然、スピーカーから館内放送が流れる。

>「もしもし、こんにちは。宰吹キオです。ここは……言わずもがな放送室です。生存者の皆さん、というか、えーと
>警察署員の皆さん、僕の携帯電話番号は○○○です。連絡をとりあい、安全な場所を確保しましょう」

 両手を挙げたまま栄田刑事の方を振り向き、提案してみる。
 「実は俺携帯持ってないんスよ。刑事さん持ってたら掛けてあげたらどうですか?」

名前:川屋 修二
年齢:29歳
性別:男
所持品:拳銃(SIG P230) 刑事の鍵の束
現在地・状況:中央署1F
自分の状態:刑事に銃を突きつけられている。
80宰吹キオ ◇0YhnNL46N6 :2009/12/23(水) 01:16:48 0
>78

吹キオは部屋奥の壁に寄り添い、携帯電話の着信を待った。
鍵の施錠はしていない。
突如放送室の内線に直接電波が入り、呼び出し音が鳴り響く。そこで慌てて吹キオは
扉の鍵を閉め、そのけたたましい音声を鎮めるためということもあって、通話ボタンを押す。

>「もしもし。私はイブンヤードと言って避難してきた人間の一人だ。
貴方は警察官かね?だとしたら保護を求めたいのだが・・・
現在地は地下の駐車場だ。」

「いえ、違います。僕は通りすがりの16歳。まだ未就職です。先ほどの放送ですが、あれは我々の情報交換を促すためにしたものです。
 ここは最上階ですが、奴等の姿は見当たらない。比較的安全なようです。屋上には警官の死体もありましたが、暴徒のいる気配はない。
 そっちは……地下駐車場ですね?教えられなくても、こっちからは、そちらの居場所がわかるみたいです」

天女の衣を剥いだらただの暗闇だった、という話がある。
吹キオが今それを感じたとおり、この会話の行く末は未来の互いの救済などもたらさず、闇に足をとられるだけかも知れない。
配電盤のようなコールツールでは、地下駐車場と書かれた箇所がピンク色に点滅している。

「当たり前ですが……外も危険です。無闇に出ないほうがいい。緑色の怪獣がうろついてるんです。たしか……ビルくらいの大きさ」

話し相手は年長者の利発そうな音調で語りかけてくる。
しかしどこか海外人の訛りがあってか、吹キオは自分の軸がほつれるような違和感を覚えずにはいられない。
散々理解できないものを相手にしてきたのに、ただの外国人と電話越しに相対しただけで緊密になってしまうとは。

状況・アルハサム・イブンヤードと通話

81名無しになりきれ:2009/12/24(木) 16:49:12 O
age
82栄田涼子:2009/12/25(金) 02:15:43 0
>79
>「実は俺携帯持ってないんスよ。刑事さん持ってたら掛けてあげたらどうですか?」
振り返った川屋が見たのは、ボブカットでサングラスを掛けた女性である。
年齢は20代後半で何処と無く姉御肌と言った感じだ。
銃を降ろした涼子は懐から携帯電話を取り出して川屋に投げて渡す。
「掛けてみれば?
運が良ければ繋がる筈。
中継局がパンクしているんじゃないかしら?
おねーさん110番が多過ぎて死にそう・・・」
涼子は疲れた表情で椅子に座ると頬杖を突いている。
>80
イブンヤードが一字一句聞き逃すまいと耳を傾ける。
>「いえ、違います。僕は通りすがりの16歳。まだ未就職です。
>(略)こっちからは、そちらの居場所がわかるみたいです」
ヘリコプターが離発着出来る屋上に代わりの人間を送らないとなると、
警察全体が機能していない可能性があった。
「私も警察官には合っていない。合流した方が良いと思う。」
>「当たり前ですが……外も危険です。無闇に出ないほうがいい。
>緑色の怪獣がうろついてるんです。たしか……ビルくらいの大きさ」
まるで空想のような話を聞いてもイブンヤードの声色に変化は無い。
少年の話を冷静に受け入れても冷静なままだった。
「それと地下も危険だ。病人は居ないが巨大な蜘蛛が居た。
今からそちらに向かう。
そこから移動しても構わないが、同じフロアに居てくれ。」
イブンヤードは意を決し、移動を始めた。

現在地:警察署 地下駐車場
所持品:手作りの槍。携帯電話。スーツ。薄手のコート。 救急セット。ガムテープ。
      鍵の束。折り畳み自転車。ヘッドライト。地図。
外見:日焼けした白人。
状況:放送室の宰吹キオと合流する為に移動開始。
84名無しになりきれ:2009/12/30(水) 22:29:36 0
>79>82
二人のやり取りを遮るように何かが部屋をノックする。
ノックと言うよりもドアを壊さんばかりの打撃だった。
木製の扉が歪み、蝶番が悲鳴を上げる。
永遠とも思える時間が打撃音と共に流れる・・・
甲高い悲鳴のような音を立てて、とうとう扉が打撃に屈した。
季節外れの稲光が窓から差し込む。
浮かび上がった影は、まるで被り物をしたハロウィンのお化けのようだ。
その頭部には禍々しい花びらを着けた青い花が咲いている。
まるでアスファルトを押し退けて生える花のように、頭蓋骨を内側から破って花が生えているのだ。
そのゾンビは、花に全ての栄養を吸い取られたかのように痩せこけている。
自らの体を豊かな土壌とすべく、ゾンビが二人目掛けて襲い掛かってきた。

>83
「うぅ〜あ〜・・・」
階段の方から奇妙な呻き声が聞える。
その足取りは緩慢であり、皮膚が大きく削げ落ちて筋繊維が見える。
階段と地下駐車場を隔てる扉の影から現れるシェルエットは、どこかが欠けている。
右腕が無いのだ。
重症としか言いようの無い怪我を負ったそれは、イブンヤードに向かい歩き出す。
およそ三メートルまで接近した男は、口を大きく開いて襲い掛かってきた。
85宰吹キオ ◇0YhnNL46N6 の代理:2009/12/30(水) 23:41:21 0
>83
>「それと地下も危険だ。病人は居ないが巨大な蜘蛛が居た。
今からそちらに向かう。
そこから移動しても構わないが、同じフロアに居てくれ。」

「放送室にいます。鍵はかけてあるので、ノックして下さい」

吹キオは蜘蛛の想像をしてみた。地下深くに暮らし、巣と同居するその姿は
人間の意識の最も深くに這い蹲る罪悪の姿を連想させた。
ふと放送室の周縁を見やる。マイクスタンドには埃がつもり、人が首を近づけて言葉を発するのに適した
形をとっていない。もし音声をスピーカーから拡散させたいなら、大声で叫ぶか、マイクを見上げる形で前につんのめなければならない。
音符のようにひしゃげたスタンドと、古めかしいアンプ装置。
警察で新調する必要はないのだから当たり前の話だ。
語り手が座る錆付いたパイプ椅子の上には簡素な灰皿が置いてあり、吸いかけの煙草がこの空間唯一の生命の象徴のように
煙を昇らせている。
吹キオは携帯電話をポケットにしまい、その箱のような密室のなかで、換気をするように意識の窓を開ける。

昔を思い出しながら、また雪の裂傷が浮かぶ。
にぎやかな声。あでやかな金髪。飴玉のいっぱい入ったギターケース……。
それは理解を超えたカオスとして吹キオの目に映る。記憶が錯綜しているのではなく、
カオスそれそのものが記憶の形なのだ。その強烈な姿はこれから先も改竄されることなく、
意識のなかに留まり続けるだろう。

まるで部屋を透視するみたいに、コンクリートの壁のなかの土煙、塊から離反した欠片が見えてくる。
そのざらつきの意識のなかで、吹キオは自分を守ってくれるものはいないと確信する。
どんなに高い壁で自分の周りを覆っても、どんな確かな闇で目の前を遮蔽しても、
消えてしまわないものなんてなにひとつとしてないんだ。その代わり、壁が無い代わり、自分達には他者を思う気持ちがある。

状況・考え事をしながらアルハサム・イブンヤードを待つ。

>84
>「うぅ〜あ〜・・・」
イブンヤードが槍を構える。
手製とは言え丸腰よりは心強い。
後退して距離を取り、ゾンビ目掛けて突きを放つ。
腹を突かれてもゾンビは怯む様子が無い。
今度は槍を足に絡めてゾンビのバランスを崩しに掛かる。
倒れこんだゾンビに止めを刺そうと考えたが、噛まれる可能性が残っている。
だとしたら早めに合流してしまった方が安全だろう。

ゾンビが起き上がろうとしている隙にイブンヤードは階段へと滑り込む。
そのまま階段を駆け上がると放送室が見えてきた。
イブンヤードは大急ぎでドアをノックした

現在地:警察署 3階 放送室前
所持品:手作りの槍。携帯電話。スーツ。薄手のコート。 救急セット。ガムテープ。
      鍵の束。ヘッドライト。地図。
外見:日焼けした白人。
状況:放送室の宰吹キオと合流すべく放送室前でノックをする。
87宰吹キオ ◇0YhnNL46N6 の代理:2010/01/06(水) 23:43:51 0
扉を開けると、アルハサム・イブンヤードが立っていた。
彼は蒸気を噴出するポンプのように息を高揚の境地に乗り上げながら、手には槍を握り閉めていた。
吹キオは男を中に入れると、鍵を施錠した。
「こ、こんにちは」

男の様子から、外で何かがあったのは明白だった。吹キオは差し出すように
放送室のパイプ椅子を男の前に運ぶ。生存者を招き入れる。
これからは自分以外の人間も、一人一人が重要な存在なのだ。
吹キオは黙ってアルハサム・イブンヤードが語り始めるのを待っている。
名前を聞くこともない、ただ茫漠とした陰気な蜃気楼のようなものが視界にはびこっている。

装備・分厚いジャケット、包丁、催涙スプレー、携帯電話
状況・アルハサム・イブンヤードの元にパイプ椅子を運ぶ。
88川屋修二 ◆u.ti7ixODE :2010/01/08(金) 18:38:58 0
>84
 ドアをぶち破って現れたゾンビが襲い掛かってきた。
 なぜか頭に花を咲かせている、ふざけているのか?
 とにかくこの新しい敵をなんとかしなくては・・・、俺はズボンから拳銃を引き抜いて
目の前のゾンビに向け、引き金を引いた!
 ・・・と思ったがなぜか引き金を引くことが出来ない。
 拳銃の引き金ってこんなに固いのか?いや待てよ、これは・・・映画で見た事があるぞ
・・・そうだ!これだ!
 俺は拳銃の銃身を握り締め、思い切り振り上げる、ヒットした!取っ手の部分、弾倉
の底がゾンビの下顎を捉え、ゾンビは大きくバランスを崩す。
 足に効いているようだ、チャンス!俺は拳銃を上段にかまえてゾンビに飛び掛った。

名前:川屋 修二
年齢:29歳
性別:男
所持品:拳銃(SIG P230) 刑事の鍵の束
現在地・状況:中央署1F
自分の状態:花ゾンビに白兵戦を仕掛ける
>87
ノックに答えるようにドアが開く。
待ち構えていたのは、細身の少年だった。
>「こ、こんにちは」
イブンヤードが頷き、差し出された椅子に座る。
少年が口を開くかと思ったが、何かを喋ろうとする様子も無い。
「幾つか気が付いた事がある。」
イブンヤードが口を開いた。
「どうやら噛まれた人間が感染するようだ。
これが何らかの病気かどうかは不明だが。」
それでも少年が口を開く様子は無い。
「それだけではなく、得体の知れない生物が跋扈している。
何とか外部と連絡を取って脱出するしかない。
幸運な事にヘリポートがあるし、恐らく署内に何らかの通信装置があるだろう。
まずは建物の中の状況を確認してからだな。」
イブンヤードはそれだけ言うと再び黙り込んでしまった。
そして少年が戦力として使い物になるのか。値踏みするような目で見つめるだけだった。

現在地:警察署 3階 放送室前
所持品:手作りの槍。携帯電話。スーツ。薄手のコート。 救急セット。ガムテープ。
      鍵の束。ヘッドライト。地図。
外見:日焼けした白人。
状況:感染への個人的見解を説明。今後の行動指針を示す。
90名無しになりきれ:2010/01/09(土) 16:09:05 0
>88
飛び掛ってくる川屋にゾンビがバランスを崩して倒れこむ。
ゾンビはがっしりと川屋を掴み、噛み付こうとしている。
その顔は、先程射殺された大木刑事のものだった。

良く見れば頭部に空いた穴から茎が生えている・・・
91宰吹キオ ◇0YhnNL46N6 :2010/01/09(土) 17:34:02 0
宰吹キオはイブンヤードの厳格なセンテンスによる、確かな話し方に関心しながら清聴している。
やがて彼は語り終わり、黒光りする目玉でこちらを見つめてくる。

「狂犬病のようなものでしょうか……自宅でTVを見た限りでは感染範囲はこの街限りみたいです。
 拳銃がないのが不安ですが……そうそう、屋上に鴉に啄ばまれた警官の死体がありました。
 武装してない限り、外気に触れに行くことすら危険かも。ひょっとしたら鴉も感染してるかも知れないし。」

そこまで話し終えて、吹キオは自分のプロットが、雪達磨が達磨落としに使われていくように
少しずつ欠落を抱えていき、崩壊していくのを感じる。そこまできて吹キオは自分の頭のなかの牧歌的な錯綜に
すっかり参ってしまった。次の言葉が出てこないのだ。

「少なくとも……」

吹キオはアルハサム・イブンヤードを正面から見据え、言い放った。

「躊躇することには慣れていません」

それは暗い可能性のように浮かび上がる陰鬱な言葉だ。
その情報の伝達にかかる時間のことを思うと、吹キオは顔が赤くなった。
しかしそれは事実だった。吹キオは躊躇しないことに慣れていたし、頭で考えるよりは
肉体で行動して現実を稼いでいくタイプだった。

状況・アルハサム・イブンヤードに自分も戦える、という意味を告げる。
92栄田涼子:2010/01/10(日) 21:04:40 0
>90
川屋を助けようとして、大木ゾンビを引き剥がそうとする栄田刑事。
だが、力が強過ぎて引き剥がす事が出来ない。
「拳銃についている安全装置を外して!
頭をもう一回撃てば殺せる筈よ!」
まるで一度、ゾンビを射殺した事のあるような口調だった。
93木谷 真 ◆dah0fI1m0M :2010/01/11(月) 18:29:43 0
家で目を覚ましてみれば寝坊かと思い至ったが、違った。
外は何やら狂人が蔓延る世界。其処等に死体がバラバラ、と散らばっている。
夢か、と一瞬思った。だが、何時まで経っても覚めない、覚める筈がない。

準備をした。外に出たとて、狂人どもに殺されたらそれで終わりだ。ゲームの世界なんかじゃあない。
――準備、と言っても、大した物は持ち合わせていなかった。武器、といえば、包丁、ナイフ。
後は母、父が心配だ。仕事の為、二人は真より先に家を出る。携帯に電話したが、繋がらない。無機質な電子音が響き続けるだけ、だった。

警察に電話しようか、と思ったが、やめた。それより直接行った方が良いだろう。
家を出る。幸いと、先ほどからここ等をうろついていたゾンビ達は居ない。食い千切られた、血塗れの死体が転がっているだけである。
人通りの多い路は恐らく――真は適当に、普段から閑散としている街路を通っていくことにした。

途中、何人かのゾンビに出くわしたが、足が遅い奴らから逃げきることは簡単だった。
路地に入ったところで、膝に手を当て、一度息をつく。
「どうなってる…」
ボソリと呟く声は薄暗い路地に吸い込まれ、消えた。

警察署の場所は一応覚えていた。一度見に行ったことがある。引っ越してきてまだ間も無い頃だ。
その時の光景が記憶に在ったせいか、迷うこともなく今は歩を進められる。
もし場所を知らなかったら…なんて、考えたくもない事態。

路地を抜ける。見たことのある通りだ。
徘徊するゾンビに注意を払いながら、此処からはもう近いであろう警察署へ駆ける。
慎重に、確実に目的地へ到着することができるように。

現在地:警察署近辺
装備:包丁、ナイフ、黒のコート
状況:警察署へと向かう。
94フレッド・マクゲイ ◆uAzaJUOQks :2010/01/13(水) 11:47:35 0
全くを以て冗談ではない、というところだ。
わざわざアメリカから、日本くんだりまで来たというのにこのザマだ。
私はTウイルスを愛しているが、出来そこないのゾンビになど用はない.。
どこぞの馬鹿が漏らしたバイオハザードが私の人生を終わらせようとしている。

「うぐ…あが…」
腕を噛まれてしまったのだ。
こうなった以上、最早ワクチンでも無い限りゾンビ化は免れない。
本当に冗談ではない、洒落にならない。

「わ、私は…、こんな所で終わるわけには…」
と、月並みなセリフを言ってみたところで状況は好転しない。
しかし、私はふと手の中に握られている注射器に目が向いた。

「………!」
これは、私が「原点回帰計画」の一環で造った試薬だ。
「原点回帰計画」とは、今でこそ失敗作扱いを受けているTウイルスを再利用する計画である。
元々Tウイルスとは、普通の人間から超兵士を造り出すために造られた代物だ。
だが、その実態は食欲のみで行動する出来そこないのゾンビを生み出すだけの失敗作。
しかし、やはりゾンビの常人を凌ぐ怪力と異常な生命力は捨て難いものがある。
そこでもし、Tウイルスの感染者がゾンビ化することなく自我と容姿を保ったままになったら…。
完璧な超兵士の誕生の第一歩に繋がると言えるだろう。
それこそが「原点回帰計画」のキモなのだ。

「夢のゾンビ兵…それを生み出す礎に私は喜んでなろう!」
私は躊躇うことなく試薬の注射器を自らの腕に刺した。
痛みは無く、ただ体に何かが流れ込むような感覚のみがした。
95フレッド・マクゲイ ◆uAzaJUOQks :2010/01/13(水) 11:56:01 0
「…こ、ここは?」
私は目が覚めると、町の警察署と思しき建物の塀に横たわっていた。
一心不乱に逃げて来た先が警察署とは恐れ入る。
普通なら逃げるところだが、今はゾンビどもの方が恐ろしい。

「そ、そういえば!?」
私は慌てて懐から鏡を取り出し、自分の顔を見た。
白かった私の皮膚は浅黒く変色し、神は全て抜け落ちてしまっている。
眼は真っ赤に充血しているが、気分は至って良好だった。

「フハ、フハハハ!
 実験は成功したぞ!
 本当なら私はゾンビになっているはずだ!
 それがどうだ!?
 腹など減ってないぞ!
 ほとんど腐ってないぞ!
 アイムジニアアァァァッス!」
私は我を失って狂喜し、その場で小躍りしている。
警察署周辺にその叫び声が響き渡る。
>91
>「狂犬病のようなものでしょうか……自宅でTVを見た限りでは感染範囲はこの街限りみたいです。
 拳銃がないのが不安ですが……そうそう、屋上に鴉に啄ばまれた警官の死体がありました。
 武装してない限り、外気に触れに行くことすら危険かも。ひょっとしたら鴉も感染してるかも知れないし。」
宰吹キオの説明に耳を傾ける。
大まかな流れは、ビンヤードと一致していた。
>「少なくとも……」
青年の目がイブンヤードに向けられる。
>「躊躇することには慣れていません」
急に顔を真っ赤にした青年に対し、イブンヤードの表情が変わった。
「だとすれば行動する事だ。」
イブンヤードが立ち上がった瞬間、エアコンのダクトから人型をした何かが落ちてきた。
血に塗れたそれは、子供のゾンビだった。
イブンヤードが黙って槍を青年に投げた。
そしてその反応を見極めようとしていた。

現在地:警察署 3階 放送室前
所持品:携帯電話。スーツ。薄手のコート。 救急セット。ガムテープ。
      鍵の束。ヘッドライト。地図。
外見:日焼けした白人。
状況:子供ゾンビを使ってテストをしようとする。

97名無しになりきれ:2010/01/14(木) 19:14:55 0
>93
木谷が辿り着いた警察署にはバリケードが築かれていた。
正面から入る事は出来ないようだ。
突如、>95の叫び声が聞えてきた。
中に人が居るらしい。

その声を聞いたのか、ゾンビの群れが少しずつ集まってきている。

警察署の壁面に張り付いた太い弦を上れば屋上まで辿り着く事が出来そうだ。
よく見れば、二階の一室の窓が開いている。
何とか入り込む事が出来そうだが・・・
98宰吹キオ ◇0YhnNL46N6 :2010/01/14(木) 21:40:26 0
通気孔から子供の大きさのゾンビが雪崩れ込んできた。
イブンヤードは慇懃無礼な教師のように、黙って吹キオに槍を放り投げた。
それをキャッチした吹キオは、おずおずとゾンビに切り掛かろうとする。
最初は威嚇するように薙ぎ払い、ゾンビがそれでも怯まないところを見ると
意を決して突進した。まるで自分自身が槍と一体になったように。
ゾンビは腹から内臓を零し、その場に跪く。吹キオは止めを刺すために大きく振りかぶり、
『彼』の頭を串刺しにした。

血の涎を流しながら、そのままゾンビを横に倒れた。吹キオは槍を引き抜くと、
額に湧き出た汗を拭った。
槍の先端には脳味噌とふにゃふにゃに変形した骨の残骸のようなものがこびりついていた。

「あともう1回くらいしか、使えなさそうですね……」

振り向き、アルハサム・イブンヤードを一瞥する。

「あなた、僕を試したでしょう。僕には読心力なんてないけど、それくらいわかる。
 今はこいつを殺すより、逃げるべきでした」

仕方ない、というように肩を落とし、吹キオは机に置いてあった携帯電話を手に取り、握り締める。
彼にも意地のようなものがあったのだ。

「この際だ。警察署内を探索してみませんか?ヘリを呼ぶ方法も探さなければならないし」

(これより書き込みのペースが遅くなります。
 新しく参加したフレッドさん、木谷さん、大宮さん、ありがとうございます。
 宜しくお願いします)
99木谷 真 ◆dah0fI1m0M :2010/01/15(金) 22:40:59 0
>97

入口はバリケードが築かれている。
近づいて調べてみたが、入れるような隙間も存在しなく、正面からは不可能だ。

と、内より叫び声が聞こえてきた。喜びに溢れた、狂気すら感じる声――
誰かは知らない。ただ、まともな思考とは思えない声色だった。
その声を聞いたおかげか、ゾンビどもが徐々に集まってきた。身の毛がよだつような
うめき声を上げながら。
木谷は舌打ちをし、何処か入れる場所は無いのか、辺りを見渡してみる。

幸い、それ程時間も掛けることなく、二階の一室の窓が開いているのを発見した。
そこから入ろうか、と歩き出し、窓のすぐ下へ辿り着く。
その間にも、ゾンビは段々と集まってきている。急がねば…と焦りが生じる。

壁に張り付いた弦を使い、なんとか窓から入り込むことが出来た。部屋は如何やらオフィスのようで、
署員の物であろう書類、私物等が散乱している。
有難いことにこの部屋にはゾンビは居ないようだ。物陰も調べてみたが、
死体は無い。

誰か生き残りが居るかもしれない。木谷は署内の探索を始めようと、傍にあったドアを開けた。

現在地:警察署 2階オフィス
状況:警察署内に進入。署内の探索を始める。
>98
青年の一撃に迷いは無い。
子供を殺す事が出来る人間は決して多くは無い。
テストは合格だ。
>「あともう1回くらいしか、使えなさそうですね……」
青年の言う通り槍はボロボロだ。
>「あなた、僕を試したでしょう。僕には読心力なんてないけど、それくらいわかる。
 今はこいつを殺すより、逃げるべきでした」
「一体、何処へ逃げれば良かったんだ?」
肩を落とす青年に向かってイブンヤードが言った。
「ここに居る・・・病人は一人だけだ。外に出ればより多くの病人と接触するかもしれない。
子供なら何とか出来るが、大人だったらどうなると思う?」
イブンヤードが暫し黙り込む。
>「この際だ。警察署内を探索してみませんか?ヘリを呼ぶ方法も探さなければならないし」
「そうするとしよう。」
その時、二人の耳に>95の叫び声が聞えてきた。
「・・・生存者は居るようだな。」
イブンヤードは青年から槍を取り返し、慎重に扉を開ける。
ダクトを移動するゾンビが居るならば、ここも安全ではない。

現在地:警察署 3階 放送室前
所持品:壊れかけた槍(手製)。携帯電話。スーツ。薄手のコート。 救急セット。ガムテープ。
      鍵の束。ヘッドライト。地図。
外見:日焼けした白人。
状況:警察署内の捜索を開始。
101名無しになりきれ:2010/01/16(土) 17:12:44 0
>95
その叫び声に釣られてゾンビが玄関から出てきた。
フレッドを餌だと思ったのか、ゆっくりと近づいて来る・・・

>99
扉の向こう側は、しゃがみ込んでいる人間が居た。
生存者だろうか・・・何かを貪るような音が聞こえる。
その人影が振り返る。
口の周りは血塗れで、皮膚が腐り落ちている。
ゾンビは木谷の姿を見ると立ち上がり、襲い掛かってきた!

>100
子供ゾンビから奇妙な音が聞こえる。
よく見れば根が全身に張り巡らされているようだ。
今の所、動く気配は無いが・・・
102大宮外也 ◆AiNsIfLBaY :2010/01/16(土) 23:44:42 0
「やれやれだ……」

大宮外也は後悔していた。
本来ならば今頃、バスに乗ってこの街を出て行っている時間だ。
しかし、今自分は警察署の中にいる。
今日、大宮は異動の為3つ離れた街へ向う筈だった。
だが、バスの乗る直前引き返し今に至る。
忘れ物が原因だ。しょうもない物じゃない。
警察手帳。絶対に忘れてはならない物だからこそ取りに来た。

そして、巻き込まれた。警察署は阿鼻叫喚の地獄になっていた。
生きてるのか死んでるのか分からない同僚達から逃げながら
ようやく2階奥にあるロッカールームへと辿り着いた。
懐中電灯を照らす。辺りには誰もいないのだろうか?
周囲を観察しながら大きく溜息を吐いた。


103木谷 真 ◆dah0fI1m0M :2010/01/17(日) 22:54:19 0
>101

ゆっくりと、扉を開いていく。目に入ったのは、しゃがみこんでいる人間。
音がする。此処に来るまでに、何度か聞いた音。何かを貪るような…
しゃがんでいた奴が振り返る。その口元は血で汚れ、皮膚は見事な程に腐り落ちていた。

ゾンビは立ち上がると、のろのろと、ふらつきながら此方へ向かってくる。
木谷は後退する。武器になるものが無い今、どう対応すればよいのか。
動きを速めた。組み付こうと、腕を一杯に伸ばし、木谷に掴み掛かろうとする。
オフィスにある机を引き摺り、相手が引っ掛けるようなバリケードを作った。
ゾンビは其れにぶち当たり、前のめりに倒れる。その間には、木谷は大きく回り込んで扉へと向かっていた。

扉を開け、素早く閉めると、其処等に在った机で入ってこれない程度に塞ぐ。
踵を返すと、先程のゾンビに食い殺された人の死体が目に入った。近づいて、其れを
調べてみることにする。

状況:ゾンビをやり過ごして次の部屋へ。死体の調査を行おうと近づく。
>100>102
殺された筈のゾンビが蠢いている。
皮膚の下を巨大なミミズが蠢くように盛り上がる。
イブンヤードは身の危険を感じて一歩下がり、青年と共に部屋を出ようと考えた。
だが・・・
「君が外を見ていてくれ。」
青年に指示を出し、一歩踏み出すとマイクに向かって身を乗り出した。
「生存者の皆さん。先程、放送室に集まるように連絡しましたが止めて下さい。
 放送室も危険になっています。」
汗だくになりながら放送を終えると足早に部屋を出る。
この警察署全体が既に危険な状況になっている。
「武器だけでなく懐中電灯も必要だ。
 何時までインフラが持つか解からない。」
階段を駆け下りる途中、イブンヤードが窓を見て言った。
明かりを点ける人間が居ない為、警察署は既に暗くなっている。
二人が移動し続けると、廊下の端から光が漏れるのが見えた。
懐中電灯を持った人間だ。
イブンヤードがヘッドランプのスイッチを入れ、槍を構えて扉へと近づく。
ゆっくりとロッカールームの扉を開ける。
「生存者か?」
中に向かってイブンヤードが問い掛けた。

現在地:警察署 2階 ロッカー室前
所持品:壊れかけた槍(手製)。携帯電話。スーツ。薄手のコート。 救急セット。ガムテープ。
      鍵の束。ヘッドライト。地図。
外見:日焼けした白人。
状況:中の大宮に声を掛ける。宰吹キオと行動している。
105大宮外也 ◆AiNsIfLBaY :2010/01/22(金) 20:31:23 0
>>104
物音が聞こえる。
同時に足音が2つ。大宮はホルスターから拳銃を取り出すと
懐中電灯と共に音のする方向へと銃口を向ける。

>ゆっくりとロッカールームの扉を開ける。
「生存者か?」

フゥと溜息を吐き、銃口を下げる。
「…あぁ、こちらはまだ怪物にはなっちゃいない。
生存者は2人か?俺はここの警察官だ……どうしてこうなったかは分からないが。
今は生き延びることが優先だな。」

ロッカールームから緊急時の道具と食料を詰めたバックを引っ張り出し
2人に渡す。
「水に食料、あとは懐中電灯だ。武器があればいいんだが……
拳銃保管庫の鍵を手に入れるしかないな。」

現在地:警察署 2階 ロッカー室内
所持品:拳銃(べレッタ改)、懐中電灯、防弾ベスト(オーリブ色)、広域無線機、
予備弾(1ケース)
外見:金色の短髪、サングラス
状況:生存者と遭遇、食料と道具を渡す
106名無しになりきれ:2010/01/23(土) 17:23:58 0
>103
横たわったゾンビは食い荒らされた警官のようだ。
全身に木の根のような何かが張り巡らされており、
噛み千切られた箇所から根が見えている。

助からないと知って自殺したのか、頭部には拳銃自殺したと思われる弾痕がある。

手にはニューナンブ拳銃(4)と検死と書かれたCD−Rの入ったケースを握っている。
パソコンがあれば中を見る事が出来そうだ。

持って行きますか?
→Yes
  No
>105
>「生存者か?」
「先程、放送室に居た者だ。」
目の前の男は、大よそ警官らしくない格好をしていた。
男が手にしていた銃をホルスターに戻す様が見える。
標準的な警官が持つ拳銃とは大きさが違っていた。
防弾ベストに無線機を取り付けた様から判断するに、
SITかSATに所属しているのだろうか?
それ以上に目を引くのは、金色に輝く髪だ。
>「…あぁ、こちらはまだ怪物にはなっちゃいない。
>生存者は2人か?俺はここの警察官だ……どうしてこうなったかは分からないが。
>今は生き延びることが優先だな。」
「何らかの病原菌が原因かもしれない。」
イブンヤードと青年が目撃した情報、つまり噛まれた人間が短期間でゾンビになった事を伝える。
勿論、放送室で子供を殺した事は黙っていた。

>「水に食料、あとは懐中電灯だ。武器があればいいんだが……
>拳銃保管庫の鍵を手に入れるしかないな。」
イブンヤードと青年が差し出されたバックを受け取る。
中には、レザーマンのマルチツールやレスキュー用のバールが入っていた。
「押収品を何とか使えないだろうか?
確か、1週間ほど前に猟銃を使った殺人事件があった筈だ。」
公園の近くに暮らす会社員が猟銃で妻子を殺し、自分も自殺すると言う事件だった。
あの頃から不可思議な事件が増えた記憶がある。
彼らはこの災害の最初の被害者だったのかもしれない。
「外部と通信を取る事が可能であれば、ヘリを呼ぶのが一番だと思う。
携帯電話は繋がらないが、その無線機で外部と連絡は取れないだろうか?」
大宮が手にした広域無線機を指差し、イブンヤードが尋ねた。

現在地:警察署 2階 ロッカー室前
所持品:壊れかけた槍(手製)。携帯電話。スーツ。薄手のコート。 救急セット。ガムテープ。
      鍵の束。ヘッドライト。地図。 食料。バール
外見:日焼けした白人。
状況:大宮に外部と連絡が取れないか尋ねる。
108大宮外也 ◆AiNsIfLBaY :2010/01/24(日) 21:47:41 0
>>107
>「先程、放送室に居た者だ。」
外人らしきその姿に大宮は水を飲みながら思い出した。
さっきのノイズに混じった声の発信源が彼らかと。
パンを頬張りながら椅子に腰掛ける。

>「何らかの病原菌が原因かもしれない。」

「病原菌か。確かにそうだな…あいつ等は普通じゃない。」
サングラスに手を掛けながら2人を見つめる。
傷は無さそうだ。まだ奴らのようになる兆候も見えない。

>「押収品を何とか使えないだろうか?
>確か、1週間ほど前に猟銃を使った殺人事件があった筈だ。」

「その鍵なら、ここにあるな。丁度運が良いとうか…」
懐から「押収品保管庫の鍵」を取り出す。
あの事件は自分もよく知っている。
関連性があるかどうかは不明だが、今はその事件を調べる余裕など無さそうだ。

>「外部と通信を取る事が可能であれば、ヘリを呼ぶのが一番だと思う。
>携帯電話は繋がらないが、その無線機で外部と連絡は取れないだろうか?」

大宮は首を横に振り、無線機を取り出した。
「さっきから連絡を取ろうとしてるが、この有様だ。
他の通信手段が生きてるかどうか……」
無線機はノイズ音を放つだけで何も応答しないようだ。

「非常時だ。俺も警官だが、今回ばかりはルールを破るしかなさそうだな。」
鍵を手に、ロッカールームを出て行く。
109木谷 真 ◆dah0fI1m0M :2010/01/24(日) 21:49:58 0
>106

どうやら警官の死体らしい。頭部、こめかみの辺りには、焦げ跡が残る弾痕が残されていた。
先程のゾンビによって食い荒らされたであろう跡からは、木の根、のようなものが生えている。
此処に来るまでに見たゾンビどもにも、似たような特徴があった。
必ずしも同じ現象であるとは限らないが、その可能性は非常に高い。

どうやら横たわっているゾンビは起き上がってくる気配がない。
手に握られていたものを、木谷は手に取ってみた。
ニューナンブ拳銃――以前に興味本位で、拳銃を始めとする武器類について調べてみたことがあった。
弾数は確か5発、日本国で生産された、警官用の拳銃だった筈だ。
勿論木谷が使える筈も無いが、ポケットにそれを滑り込ませる。使う機会が来ないように、と願いながら。

「検死」と書かれたCD-Rは、ゾンビに関する情報が何か分かりそうだ、と思い、持っていくことにした。
部屋を出る際にもう一度、倒れた警官へと視線を向ける。
自殺なんて、しなければよかったのだ…と、木谷は思った。
先程の放送を聞く限り、署内には自分以外の生存者がいる。探さなければ、と思い、
部屋を後にした。
放送室は駄目らしいので、先ずは此処から近いロッカー室へ足を運んだ。
役に立つ物がないか、物色するためだった。

所持品:ペンライト 黒コート ニューナンブ拳銃(弾数残り5発) 「検死」CD-R
    携帯電話
状況:死体のある部屋を出て、近場のロッカー室へ。(役立つ物の物色の為)
>108>109
>「病原菌か。確かにそうだな…あいつ等は普通じゃない。」
「他にも気になる事はある。
活動停止後、おかしな植物の苗床になっているようだった・・・」
大宮の外傷を確認するような目を見据えてイブンヤードが言葉を返す。
差し出された水と食料に手を付ける気は無かった。

>「その鍵なら、ここにあるな。丁度運が良いとうか…」
>「さっきから連絡を取ろうとしてるが、この有様だ。
>他の通信手段が生きてるかどうか……」
大宮が懐から取り出した鍵は、天国の門を開ける鍵のように見える。
この地獄では、自力救済の為の戦いこそが唯一の救いとなる。
自分自身との戦いであるジハードよりもハードルは低い。
>「非常時だ。俺も警官だが、今回ばかりはルールを破るしかなさそうだな。」
「非常時はアッラーもお目こぼしをしてくださる。」
考え無しに言った言葉に気付き、失敗した・・・と言う顔をした。
日焼けした白人に見える容姿を生かし、ムスリムである事を隠してきた。
「・・・」
イブンヤードが暗い廊下に目を向け、ヘッドランプのスイッチを入れる。
照らし出される木谷の姿。
「生存者かね?」

現在地:警察署 2階 ロッカー室前
所持品:壊れかけた槍(手製)。携帯電話。スーツ。薄手のコート。 救急セット。ガムテープ。
      鍵の束。ヘッドライト。地図。 食料。バール
外見:日焼けした白人。
状況:木谷を発見。問い掛ける。
111川屋修二 ◆u.ti7ixODE :2010/01/28(木) 16:44:50 0
>92
>「拳銃についている安全装置を外して!
>頭をもう一回撃てば殺せる筈よ!」

 いや全くその通り、俺は拳銃の使い方を誤っていたようだ。
 栄田刑事の指示に従い、拳銃についている安全装置を解除し、獲物に噛み付こうと大
口を開けている花ゾンビに銃口を咥えさす。
 バンバンバンバンバンバン!
 一瞬の躊躇の後、俺は拳銃の引き金を立て続けに引いた、ゾンビの後頭部が火山のよ
うに噴火し、突き抜けた銃弾が天井に突き刺さる。
 これでさすがに死んだだろう。そう思った瞬間、突然花ゾンビは全身から霧のような
ガスを吹き出した!
 「ゴホッゴホッゴホッ・・・」思わず咳き込んでしまうが、こうしてる場合ではない。
今のうちにこの場から脱出しなければ・・・俺は栄田刑事に銃口を向け、ゾンビがぶち破
った扉の方へ後ずさる。栄田刑事は俺の持っている拳銃か、それともゾンビの吹き出し
たガスを警戒してか、その場を微動だにしない。
 俺は廊下に出ると一気に走り出し、なんとか刑事の手から逃れることができた。
 そのまま警察署内を走り回り、どこかの倉庫のような部屋に入って内側から鍵を掛け、
一息つく。やれやれだ・・・

 ・・・それにしてもさっきゾンビに組み付かれたときにぶつけたんだろうか?なんだか頭
が痛い・・・いや、痒いのか・・・
 手で触ってみると、何か頭のてっぺんに大きな瘤が・・・

名前:川屋 修二
年齢:29歳
性別:男
所持品:拳銃(SIG P230) 刑事の鍵の束
現在地・状況:中央署1F
自分の状態:倉庫のような部屋に逃げ込む。グリーンゾンビ化が始まる。
112木谷 真 ◆dah0fI1m0M :2010/01/29(金) 00:20:32 0
>110
廊下は薄暗い。血の臭いが鼻腔を満たし、気分が悪くなる。
片手にペンライトを持ち、足元を僅かばかり照らしながら、木谷は歩を進める。
方角的には合っている筈だ。

此処に来るまで、夥しい量の血痕を見た。
死体はあまり見ていない。大方、ゾンビとなり署内を這い回っているのだろうが――
だが、其れ等に会わなかったことは運が良い、といえようか。
何せ、此方には扱い慣れていない銃しかない。後は腰に差してある、恐らくはあまり
役にも立たないであろうナイフのみ。
これだけでは戦っても、殺される可能性が非常に高い、と思う。

歩いてゆくと、話し声が聞こえてきてふと立ち止まる。
ゾンビは当然のごとく喋ることはない、とすれば…。
慎重に其方へ歩を進めた。ペンライトの灯りを消して、ゆっくりと。

>「生存者かね?」

突然己の足元を照らしだすライト。思わず片手を、防ぐように翳した。
「……はい」
問われる言葉に、ゆっくりと頷き、呟く。段々と慣れてきた瞳に、日焼けした男性の姿が映った。
放送室の人間と合流できたのか?警戒を解かず、じっと相手を見つめる。

状況:イブンヤード達と合流。
113大宮外也 ◆AiNsIfLBaY :2010/01/29(金) 19:31:35 0
>>110
>「他にも気になる事はある。
>活動停止後、おかしな植物の苗床になっているようだった・・・」

「植物?まさか…。人間が木や花にでもなるっていうのか?」
一笑しながらイブンヤード達を見て呟く。
食べ物に手を付けない2人を見て溜息を吐く。
「心配しなくていいさ、別に毒なんか入れちゃいない。」

>「非常時はアッラーもお目こぼしをしてくださる。」

「…その言葉は」
イブンヤードの言葉に驚いた瞬間、違う足音がこちらへと迫ってくるのを確認する。

>>112
木谷を見据えホルスターに手をかける。
ライトで木谷の顔を照らし、姿をじっくりと観察する。

状況:木谷に警戒
114名無しになりきれ:2010/02/03(水) 16:17:52 0
ハザード
115名無しになりきれ:2010/02/03(水) 20:56:24 0
>111
栄田刑事は後を追おうとして盛大に何かを引っくり返した。
暫くしても足音は聞えず、どうやら追跡を断念したようだ。

>110>112-113
向かい合う男達の耳に呻き声と引き摺るような足音が聞える・・・
イブンヤードの背後からゾンビが襲い掛かってきた!
>112-113
イブンヤードが食料に手を着けなかったのは毒を恐れていたせいではない。
あの植物と署内に保存されていた何かが関係している事を恐れていたのだ。

>「……はい」
大宮は木谷を警戒している。
「私はアルハサム・イブンヤードだ。
 大学の教員だ。」
大宮を横目で見ながら続ける。
「駅前のバクダッド・カフェのオーナーでもある。」
これで凡その素性が解かってしまった。
差別が少ない国とは言え・・・警察だけは別物だ。
勿論仕事だから仕方が無いがこの状況で疑われるのは困る。

>115
背後から聞える足音にイブンヤードが振り返る。
突如現れたゾンビに押し倒されてしまった。
反撃する事も出来ず、両手でゾンビを必死に押し返そうとするが上手くいかない。

現在地:警察署 2階 ロッカー室前
所持品:壊れかけた槍(手製)。携帯電話。スーツ。薄手のコート。 救急セット。ガムテープ。
      鍵の束。ヘッドライト。地図。 食料。バール
外見:日焼けした白人。
状況:自己紹介を済ませる。ゾンビが覆い被さっている状態。
117木谷 真 ◆dah0fI1m0M :2010/02/06(土) 00:35:30 0
>113>115-116

ライトが眩しい。目を細め、片手を翳している状態。
怪しまれているのか、取り敢えず敵ではないことを証明せねばならないが。
白人の隣にいる男は此方を警戒しているようだ。
木谷は一度溜息をつき、口を開いた。

「木谷。木谷、真です。取り敢えずと思って、此処に来てみたんですが。…失敗でしたね」
自身の自己紹介を終えると、白人が名を名乗る。
矢張り外人だったか、と思いながらも、最後の言葉に眉を少しばかりひくつかせた。
バグダッド、という言葉。
だが別に深く訊きはしなかった。此処でそのことを問うても意味は無いだろう。
「…其方は?」
隣にいる男、大宮に名を問うた。

呻き声、何かを引き摺るような…。
後ろではない。だとすれば――声を出す前にはもう、イブンヤードがゾンビに押し倒されるところだった。
反射的に走り出す。
銃は使い慣れていないから上手く扱えるわけがない。
木谷は駆け寄ると、イブンヤードの上に覆い被さるゾンビを力一杯蹴り飛ばした。
吹っ飛んだものの、当然の如く死んではいない。ゆっくりと起き上がり、また此方へ向かってくる。
どうする……銃のグリップを握り締め、辺りを見渡しながら、この場に適当な策を…と考えを巡らし始める。

状況:思考中。ゾンビから逃れる策を。
>117
押し倒されたイブンヤードが必死の抵抗をする。
片手でゾンビの顔を押し退け、転がっていたバールを顎から一気に突き刺す。
刺さったバールをグリグリと回してゾンビの脳みそを破壊するとゾンビから力が抜けた。
ゾンビを押し退けて起き上がるイブンヤード。
苛立ちや怒りの表情は無かった。
「さて、こちらは大宮さん。
こちらの刑事さんだそうだ。
我々は押収品の保管庫に向かって武器を手に入れる。」
木谷に向かって言うと大宮に案内を促し、階段を降り始めた。

現在地:警察署 2階 ロッカー室前
所持品:壊れかけた槍(手製)。携帯電話。スーツ。薄手のコート。 救急セット。ガムテープ。
      鍵の束。ヘッドライト。地図。 食料。バール
外見:日焼けした白人。
状況:ゾンビを倒して保管庫へ移動。
119名無しになりきれ:2010/02/18(木) 22:11:04 0
>ALL
突如、窓ガラスが割れて緑色の影が飛び込んできた!
ハンターは手近に居た木谷目掛けて襲い掛かった。
120木谷 真 ◆dah0fI1m0M :2010/02/20(土) 23:10:02 0
>118-119
顎に突き刺したバール、崩れ落ちるゾンビ。
その下から立ち上がったイブンヤードの表情からは何も読み取れない。怒りも何も。
木谷はそのことに少しばかり驚き、しかし何も言わずにおいた。

>「さて、こちらは大宮さん。
こちらの刑事さんだそうだ。
我々は押収品の保管庫に向かって武器を手に入れる。」
隣の男の名と目的を告げられた。頷き、大宮に案内を促す相手の後ろについていこうと、ゆっくり歩き出した。

と、突然窓ガラスが割れる。緑色の影が、此方に向かって襲いかかってきた。
何だろう、と考える間もない。殆ど反射的に後方へ下がった。
元居た場所に、鋭い爪が突き刺さる。背筋に冷たいものが流れるのを感じる。
どうするか…木谷は手に持った銃に視線を移し、次いでハンターを睨みつけた。

状況:ハンターをどうすればいいか思考中。
121名無しになりきれ:2010/02/23(火) 02:29:04 P
保守
122名無しになりきれ:2010/02/23(火) 11:55:28 0
緊急保守
123名無しになりきれ:2010/02/23(火) 14:44:14 P
他人を信用する事は無意味だ。
拷問によって簡単に自白するし、脅されれば仲間を売る。
私はこの目でそれを見てきた。

>119-120
窓ガラスが割れる音に気付いて背後を見る。
得体の知れない化け物がそこに居た。
木谷は辛うじて回避したようだが、発砲を躊躇っている。
「走れ!」
イブンヤードが叫ぶ。
得体の知れない怪物相手に戦う必要は無い。
思わず叫んでから階下を見て、そこにゾンビが居ないか確認した。
今の叫び声がゾンビを呼ばなければよいのだが・・・

現在地:警察署 2階 階段
所持品:壊れかけた槍(手製)。携帯電話。スーツ。薄手のコート。 救急セット。ガムテープ。
      鍵の束。ヘッドライト。地図。 食料。バール
外見:日焼けした白人。
状況:木谷に向かって逃げるように叫ぶ。
125ハンター:2010/02/27(土) 18:05:31 0
>120>124
木谷に睨みつけられるも、ハンターは怯む様子は無い。
しかし、床に深々と刺さった爪が抜けずに四苦八苦している。
126ブラッド ◆BaIp17LTls :2010/02/27(土) 19:45:16 0
ハンターが破壊した窓ガラスから1人の男が飛び込んで来る。
黒のコートと黒い肌。そしてサングラスを掛けた顔は無表情を貫いている。
1匹のゾンビの首を廊下に投げ落とすと唾を吐いた。

「警察署か。武器庫くらいはありそうだな。
まぁ、奴らに完全に通用するような武器は…無いだろうが。」

>>124
>「走れ!」

「まだまともな連中がいたとはな…驚いたな。」
男の声に戸惑う様子も見せず歩いていく。
誰かに声を掛けたという事は単独ではないのだろう。
その証拠にもう1人の男が視線上に現われ、そいつの隣には緑色の化物がいた。

「その緑の化け物はあんた等の仲間か?少しばかり気が短そうだが…」

>>125
>しかし、床に深々と刺さった爪が抜けずに四苦八苦している。

「どうした?手伝ってやろうか…?」
ハンターにハンドガンを向け、ニッコリと笑った。

127ブラッド ◆BaIp17LTls :2010/02/27(土) 19:48:22 0

名前:B(ブラッド)
性別: 男
年齢:30代
身長・体重:185cm・80kg
血液型:O型
容姿:角刈りの短髪。黒いコートとサングラス
国籍・出身地:アメリカ
職業:回収業者(自称)
好きな食べ物: サプリメント
性格:冷静
解説:西市のバイオハザード発生数時間前に到着していた謎の男。
目的も素性も不明。
128木谷 真 ◆dah0fI1m0M :2010/02/28(日) 16:58:18 0
>124-126

>「走れ!」
化け物を視野から外し、背を向けて階段口まで走る。
爪が床に刺さっていたようだ、追いかけてはこないだろう。
が、追跡されれば厄介だ。
銃が効くかどうか、すらも怪しい。その上扱い方も慣れていない為、下手をすれば
逸れてイブンヤードらに当たってしまうかもしれない。

>「まだまともな連中がいたとはな…驚いたな。」
突然窓から飛び込んできた男の姿に、無意識か、銃を固く握りしめる。
ゾンビではない。だが油断は禁物、まともかどうかは分からない。
男は爪が刺さり四苦八苦するハンターを見やると、ハンドガンを其れに向けた。
>「どうした?手伝ってやろうか…?」
木谷はその場から動かない、動けない。行く末を見守るしかないのだろうか、と考えながら立ち尽くしていた。

状況:窓から飛び込んできた男の行動を見守る。
所持品:ペンライト 黒コート ニューナンブ拳銃(弾数残り5発) 「検死」CD-R
    携帯電話
129ハンター:2010/03/01(月) 01:16:35 0
>126-127
爪が刺さって抜けないのは演技で油断した所を襲うつもりだった。
>「どうした?手伝ってやろうか…?」
ハンドガンを向けられた直後、ハンターは素早くジャンプして壁に張り付く。
壁から天井へ、床へ、再び壁へと目まぐるしく動きながらボラッドとの距離を詰める。
十分に距離が詰まった所で再び窓から飛び出す。
どうやら考えを変えて窓から不意打ちを仕掛けるつもりらしい。
その標的は・・・イブンヤードだ!
踊り場のガラスを割ってイブンヤードへと襲い掛かる!
>126-129
木谷は迷っている。
撃たないなら何処かへ逃げるべきだ。
どうせこの場で倒せないのであれば、何処か頑丈なドアのある部屋に逃げ込めばいい。
このままでは埒が明かないと考え、木谷を置いて逃げ出そうとした。

>「まだまともな連中がいたとはな…驚いたな。」
突如、窓ガラスから現れたのは黒尽くめの黒人だった。
手にはゾンビの生首を持ち、悪趣味この上ない。
>「その緑の化け物はあんた等の仲間か?少しばかり気が短そうだが…」
現れたのは窓ではなく、ハリウッド映画のスクリーンか。

銃を向けられたハンターが目にも留まらぬスピードで襲い掛かる。
しかし、身構えたのも束の間、ハンターは窓から逃げ出した。
と思いきや踊り場から逃げようとしていたイブンヤードに襲い掛かってくる。
イブンヤードは手製の槍を突き立てるようにしたまま、しゃがみ込む。
槍にハンターが刺されば、自身の重みで串刺しになるはずだ。

現在地:警察署 2階 階段
所持品:壊れかけた槍(手製)。携帯電話。スーツ。薄手のコート。 救急セット。ガムテープ。
      鍵の束。ヘッドライト。地図。 食料。バール
外見:日焼けした白人。
状況:壊れかけた槍をハンターに向けてしゃがむ。
    ハンターがそのままなら串刺しに。
131ハンター:2010/03/04(木) 20:55:52 0
>130
流石のハンターでも空中で軌道を帰ることは不可能だった。
自重と落下の勢いでハンターが串刺しになる。
自らの死を悟ったハンターが断末魔の叫び声を上げた。
それは警察署の外にまで響き、仲間を呼び寄せるものだった・・・
>131
何とかハンターを殺す事が出来たが、ガタガタになっていた槍は壊れてしまった。
危惧していたゾンビの姿こそ無いものの、悲鳴が仲間を呼びよせれば大変な事になる。
武器になりそうなものは、手にしていたバールだけだった。

>木谷・ブラッド
「移動しながら自己紹介でもした方が良さそうだ。」
ブラッドに向かってイブンヤードが自己紹介(>>46)をする。
「それに武器庫は鍵が無いので開けられない。
 押収品倉庫に向かって使えそうなものを探すのが精一杯だな。」

現在地:警察署 2階 階段
所持品:携帯電話。スーツ。薄手のコート。 救急セット。ガムテープ。
      鍵の束。ヘッドライト。地図。 食料。バール
外見:日焼けした白人。
状況:ブラッドに自己紹介をする。今後の行動の説明をする。
133木谷 真 ◆dah0fI1m0M :2010/03/09(火) 22:50:42 0
>129-132
素早く壁に張り付いたハンターを見るに、先程のものは演技だったと思われる。
ぐるぐる、飛び回って撹乱させるつもりなのだろうか、と一瞬考えたが、ハンターはそのまま
窓から外へと飛び出した。逃げたのでなければ……奇襲か。
次の瞬間、ハンターは踊り場の窓を突き破り、傍にいたイブンヤードに襲い掛かった。
木谷はその様子を見つめていた。銃を構え、引き金に指をかけたが…その必要は無かった。
イブンヤードは槍を、ハンターに突き立てた。凄まじい悲鳴、警察署の外まで、響いていく。
「来るかもな……」
構えていた銃を下ろし、思わず呟いた一言。仲間が、という意味。

>「移動しながら自己紹介でもした方が良さそうだ。」
イブンヤードの言葉に頷くと、己も簡単な自己紹介(>>117)を済ませた。
「高校生で歳は17、後は別に言っておくべき事は無いですね…」
>「それに武器庫は鍵が無いので開けられない。
 押収品倉庫に向かって使えそうなものを探すのが精一杯だな。」
武器庫が開けられない、というのは痛いものだが、仕方がない。
押収品倉庫は、目的地としては妥当な所だろう。少しでも武器があれば…それを願う。

状況:自己紹介を済ます。イブンヤード達と共に移動する。
134大宮外也 ◆AiNsIfLBaY :2010/03/11(木) 20:55:25 0
(PC故障で長期の不在、申し訳ありませんでした。)

各々が自己紹介する中、後から出てきた大宮もその中へ入っていく。
見かけない黒人の姿に、少しばかり戸惑いながらも拳銃をホルスターにしまい込みながら
声を掛ける。

「なんなんだ?この化物は……普通じゃない。
すまない、遅れたな。俺の名前は大宮だ。ここの警察署の所属だが、
生憎ここは化物の巣窟ってわけでな。出来る限りの協力をするつもりだ。」

一瞬、イブンヤードの「アッラー」などいう以前の言動が脳裏を過ぎるが
現状を考えるとそんな事を考えている余裕はない。
木谷に予備弾丸を渡すと倉庫へ向け歩き出す。

「弾は持っていた方がいい。無駄撃ちは厳禁だが…。
こっちが倉庫だ。」

状況:遅れて合流。倉庫へ向かう
>133-134
木谷と大宮の手にしている拳銃を見ると、日本で一番使われている犯罪の道具だというのに、
手にしているバールが心許なく見えてくる。
それ以上にトラブルを呼び起こしそうなのは、イスラム絡みの発言である。
イブンヤードが中東料理店のオーナーだという事よりもイスラム教徒への恐怖の方が大きいらしい。

>「来るかもな……」
木谷が呟く。
来ない方がおかしい状況だ。
大宮はそんな木谷に答えるように拳銃の弾を渡す。
どんな言葉よりも銃弾と行動こそが現状に相応しい。
>「弾は持っていた方がいい。無駄撃ちは厳禁だが…。
こっちが倉庫だ。」
「その前に交戦の手順を決めておこう。
何かあったら大宮さんと木谷君が前に出る。」
イブンヤードが手にしたバールをこれ見よがしに構えてみせる。
「そうすれば同士討ちを避ける事が出来る。」
木谷が逃げ出さない保証は無いし、それは大宮も一緒だ。
だが、武器が手に入るまでは辛抱しなければならない。
今の自分は丸腰同然なのだから。

現在地:警察署 2階 ロッカー室前
所持品:携帯電話。スーツ。薄手のコート。 救急セット。ガムテープ。
      鍵の束。ヘッドライト。地図。 食料。バール
外見:日焼けした白人。
状況:今後の交戦手順を提案し、大宮の指示に従って移動開始
136名無しになりきれ:2010/03/20(土) 15:45:27 0
>>1
137木谷 真 ◆dah0fI1m0M :2010/03/22(月) 01:23:08 0
>134-135
遅れて大宮が自己紹介を始めた。
>「なんなんだ?この化物は……普通じゃない。
すまない、遅れたな。俺の名前は大宮だ。ここの警察署の所属だが、
生憎ここは化物の巣窟ってわけでな。出来る限りの協力をするつもりだ。」
>「弾は持っていた方がいい。無駄撃ちは厳禁だが…。
こっちが倉庫だ。」
木谷も最低限のことを告げるだけにしておく。ふと弾丸を渡され、差し出した手のひらに視線を落とした。
「有り難うございます」
礼を言い、それを一際強く握りしめた。現状では、頼りになるものはこれだけだ。
>「その前に交戦の手順を決めておこう。
何かあったら大宮さんと木谷君が前に出る。」
>「そうすれば同士討ちを避ける事が出来る。」
イブンヤードの言葉に、木谷は握りしめた拳銃、そして白人が持つバールを交互に見やった。
それから決したように目を上げ、イブンヤードの方に近づいていく。
拳銃を、差し出した。
「…僕は拳銃の扱いに慣れていません。撃つのなら、大人であったほうが良いだろうと思います。
そのバールをくだされば……僕が後ろに行くつもりです」
もしかしたら、と。イブンヤードは拳銃を扱えるのではないか、という期待を抱きながら。

状況:倉庫へ向かう。イブンヤードに拳銃を差し出し、かわりにバールを要求。
138名無しになりきれ:2010/03/24(水) 19:14:30 0
>134-137
倉庫へと向かう最中、呻き声が近付いてくる。
暗闇から突然ゾンビが現れ、先頭を歩いていた大宮に抱きついてきた!
139大宮外也 ◆AiNsIfLBaY :2010/03/24(水) 21:50:28 0
>>135
>「その前に交戦の手順を決めておこう。
何かあったら大宮さんと木谷君が前に出る。」

「了解した。出来る限りの事はするが、もし何かあれば
手助けを頼む。」

イブンヤードの言葉に同調し、前方へ出て行く。
その間に、木谷は拳銃をバールと交換する提案をしているようだ。
「そうだな…もし経験があるのなら、それに越した事は無い。
どうです?イブンヤードさん…!?」

声をかけようと後ろを振り向いた瞬間、呻き声と共にゾンビが抱きついてくる。
前方を見ていなかった大宮はそのまま倒れ込みそうになりながらも
払い腰の要領でゾンビを投げ飛ばした。
地面を這いずるゾンビに拳銃を向けながら冷静に言う。
「イブンヤードさん…頭を狙えますか?」

【イブンヤードの実力を観察する為、攻撃を要請】
>137-139
>「了解した。出来る限りの事はするが、もし何かあれば
手助けを頼む。」
イブンヤードが表情を崩さぬまま頷くと、小谷がおずおずと切り出す。
>「…僕は拳銃の扱いに慣れていません。撃つのなら、大人であったほうが良いだろうと思います。
  そのバールをくだされば……僕が後ろに行くつもりです」
問題は大宮のリアクションだ。
果たして信頼されているのか?
>「そうだな…もし経験があるのなら、それに越した事は無い。
  どうです?イブンヤードさん…!?」
突如現れたゾンビを目にも止まらぬ速さで地面へと叩きつける大宮。
しかし、イブンヤードの表情が微かに曇る。
>「イブンヤードさん…頭を狙えますか?」
その問い掛けに溜め息を吐きながら、木谷の拳銃とバールを交換する。
慣れた手付きで銃弾が収められたシリンダーを開き、残弾を確認する。
銃の照準を這いずるゾンビの頭部に合わせたまま、イブンヤードが大股に歩く。
足を掴もうとするゾンビの手から素早く逃れ、拳銃を頭部に密着させて撃つ。
「これでいいかね?」
顔色一つ変わらないイブンヤードは、過去に人を殺したような雰囲気があった。

現在地:警察署 2階 ロッカー室前
所持品:携帯電話。スーツ。薄手のコート。 救急セット。ガムテープ。
      鍵の束。ヘッドライト。地図。 食料。拳銃(3)
外見:日焼けした白人。
状況:木谷の拳銃とバールを交換。ゾンビを押さえつけて頭部に拳銃を密着させて発砲。
141掲示板の張り紙:2010/03/24(水) 23:28:09 0
>ALL
掲示板に緊急連絡先の案内が貼り付けられている。

署内での緊急連絡は、以下の場所で行う事。
ttp://changi.2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1240221186/
142霧宮 優 ◆KtsLGCz5t. :2010/03/28(日) 23:06:23 0
「もう……一体なんなのよ、冗談じゃないわよう……」
誰に言うでもなく呻きながら、泥と涙、そして血液で汚れた顔をグシグシと拭う。
そうだ、冗談じゃない。なんでこんな事になってしまった?
確かに、確かに私は働いていない、バイトもしてない。世に言うニートと言う奴だ。
でもだからって、その罰がこれだというのなら……それは、あまりにも酷すぎませんか、神様?
手に握りしめた包丁は刃が見えないほど赤に染まり、その所々に肉片が付着していた。
「ううぅぅ……本当に冗談じゃないわよう」
その包丁を見ると、嫌でもほんの数分前の出来事がフラッシュバックする。
お父さんを喰らう、お母さんと弟の姿。
私を喰らおうと襲い掛かる、お母さんと弟の姿。
そして、私に滅多刺しにされ、死んでしまったお母さんと弟の姿
私は包丁一本を手に取り、外に駆け出していた。
その後のことは、覚えていない。ただ、無我夢中で駆けて駆けて、そして今、私は道端で蹲り呻いている。
家族が全員死んだというのに、家族を殺したというのに、その家族の為に涙が出ないのは私の心が壊れているからだろうか?
それもある。私の心はもう壊れかけている、でも、それだけじゃない。
家族が死んだ絶望より、家族を殺した絶望よりも、さらに深い深い絶望感に晒されているからだ。
「……なによ、ここはどこなのよ。まるで地獄じゃないのよ」
見慣れた町の風景は血の色で赤に染まり、聞きなれた町の音は悲鳴と絶叫と断末魔、そして死者達の呻き声によって溢れている。
日常から地獄へ叩き落された絶望感に私の瞳はボロボロと涙を流す。
「……本当に……本当に本当に……冗談じゃないわよう」
呻きながら零れる涙を拭う事無く、私は立ち上がった。
行かなきゃ、少しでも……ほんの少しでも安全な所に……逃げなきゃ……。
私はたった一つの武器である包丁を握りしめ、ゆっくりと警察署に向けて歩き出した。

現在地:???
所持品:血塗れの包丁
外見:身体中血塗れ
状況:警察署に向かって移動。
143木谷 真 ◆dah0fI1m0M :2010/03/29(月) 23:27:51 0
>138-140
>「そうだな…もし経験があるのなら、それに越した事は無い。
どうです?イブンヤードさん…!?」
呻き声。大宮が此方を振り返った瞬間、ゾンビが暗がりから現れ彼に抱きついた。
大宮は一瞬倒れこみそうになるが、払い腰で投げ飛ばし、拳銃を構える。
その体勢のまま、彼は言う。
>「イブンヤードさん…頭を狙えますか?」

イブンヤードの表情が曇った。拳銃の残弾を確認し、そのまま大股にゾンビのもとまで。
足を掴もうとする手、逃れるとその頭部に其れを密着させ、発砲した。
血飛沫あげて、ゾンビは地に伏せる。動く気配は、無い。
>「これでいいかね?」
その雰囲気は、今まで木谷が体験したことのないものだった。所謂「人殺し」
彼に銃を持たせたのは正しい判断だったのだろう。
バールを握りしめる。先程大宮から貰った銃弾を、イブンヤードに差し出した。
「どうぞ。今の僕が持っていても意味のないものです」
以降、己は後方を歩くことになるだろう。

所持品:ペンライト、黒コート、「検死」CD-R、 バール
状況:イブンヤードと武器を交換。銃弾を彼に差し出す。
144名無しになりきれ:2010/03/30(火) 02:23:25 O

145名無しになりきれ:2010/03/30(火) 19:08:56 0
>140
銃弾を頭部に受けたゾンビは動きを止めた。
しかし、銃弾で破壊された頭蓋骨の中から蔦が伸びてくる・・・
そのままイブンヤードの手に巻き付き始めた!

>142
警察署内から銃声が聞える・・・どうやらまだ生存者が居るようだ。
入り口は解放されており、中に入る事が出来そうだ。
>143>145
開いた玄関から差し込む逆光のせいで、大宮と木谷の表情が読み取れない。
しかしイブンヤードの力量は伝わった筈である。
>「どうぞ。今の僕が持っていても意味のないものです」
イブンヤードが頷き、死体となったゾンビから銃を離そうとする。
しかし、銃弾を受け取り損ねてしまう。
頭蓋骨から伸びた蔦が腕に絡み付いていて手を動かす事が出来ない。
己の慢心への罰なのだろうか?
大急ぎで蔦を引き千切りろうとするが中々上手くいかない。
「刃物を有るか?あれば蔦を切って欲しい。」
イブンヤードの表情に微かな焦りが浮かんでいた。

現在地:警察署 2階 ロッカー室前
所持品:携帯電話。スーツ。薄手のコート。 救急セット。ガムテープ。
      鍵の束。ヘッドライト。地図。 食料。拳銃(3)
外見:日焼けした白人。
状況:ゾンビの頭蓋骨から生えた蔦に手を絡み取られる。
147木谷 真 ◆dah0fI1m0M :2010/04/11(日) 00:05:43 0
>145-146
銃弾を渡そうとするが、イブンヤードが手を差し出してくれない。
前を見遣ると、彼の腕に蔦が巻きついているのが見えた。え、と思わず声を漏らしてしまう。
蔦は、如何やらゾンビの頭蓋骨より伸びているようだ。
>「刃物を有るか?あれば蔦を切って欲しい。」
言われて木谷は、自分の身体を弄った。と、家より持参してきた包丁が有った事に気付く。
取り出すと、刃先が鈍く光る。小走りに蔦の元まで駆け寄り、其れに刃をあてる。
ぐっ、と下に振り下ろすと、何の抵抗もなく蔦はブツリ、と切れた。
垂れ下がった蔦を手に持ち、暫し眺める。視線は自然と頭蓋骨へ向かう。
倒れたその顔を、木谷はじっ、と見つめている。

状況:イブンヤードに巻きついていた蔦を切断する。
148名無しになりきれ:2010/04/14(水) 22:45:23 0
>146-147
手に巻きついた蔦は切られた後も動いた。
暫くすると力を失って床へと落ちた。

蔦の巻きついた跡はミミズ腫れになっており、微かに出血している・・・
>147-148
木谷が包丁を取り出し、素早く蔦を切断する。
手から蔦は取れたが微かに出血している。
イブンヤードの脳裏に感染の文字が浮かぶ。
「ありがとう、木谷君。」
微笑を浮かべて礼を言うイブンヤードの顔に恐怖の影は無い。
木谷は蔦が生えてきた頭蓋骨をじっと見ている。
周囲に散らばった弾丸を拾い集めてポケットに押し込む。
「大宮さん、先を急ごう。」
大宮に頷きかけ、証拠品保管室へ向かうように促す。
もしも無事に武器を手に入れる事が出来れば、拳銃は木谷に渡すつもりだった。
そうすれば・・・少なくとも木谷は身を守れるはずだ。

現在地:警察署 2階 ロッカー室前
所持品:携帯電話。スーツ。薄手のコート。 救急セット。ガムテープ。
      鍵の束。ヘッドライト。地図。 食料。拳銃(5)。銃弾(38)
外見:日焼けした白人。
状況:地下の保管室へと移動再開。
健康状態:手から微かに出血。感染?
150木谷 真 ◆dah0fI1m0M :2010/04/20(火) 22:55:08 0
>148-149
蔦は暫く蠢いていたが、やがて床へと落ちていった。
イブンヤードの手は出血しており、ミミズ腫れとなっている。
>「ありがとう、木谷君。」
「いや…それより、怪我は大丈夫なんですか」
軽く一礼すると、相手の傷に視線を投げかけた。もしかしたら…感染の恐れもある。
弾丸をポケットに押し込み、大宮を促すイブンヤードを見ながら、己もその二人の
後に続いていく。
証拠品保管室へ、在る筈の武器を頼りにしながら。
無かった場合等――想像もしたくない。

状況:保管室へ移動再開。
>「いや…それよりも傷は大丈夫なんですか?」 
イブンヤードが意を決して言う。 
「感染の可能性があるだろうな」 
心なしか顔が青ざめている。 
>「取り敢えず安全な場所が確保出来たら消毒しよう。」 
大宮が足を止めて言った。 
イブンヤードは大宮を追い越しながら頷く。 
大宮に遠回しにゾンビになったら撃てと主張しているのだ。 
>「もうすぐ倉庫だ。」 
大宮がポケットから鍵を取り出す。 
鍵穴に鍵を突っ込んで回そうとして首を傾げる。 
>「くそ、鍵が空いてる。」 
ドアが開く。 

状況…押収品倉庫の中に。 
152名無しになりきれ:2010/05/10(月) 21:13:06 0
>150-151
保管庫の中は荒らされた形跡もなく安全そのものに見える。
しかし乾いた血がこびり付いた包丁や同じく血がこびり付いたバットなどが置かれている。
絞殺に使ったのかロープまであった。
その奥の鍵の掛かったロッカーが鎮座している。
大宮が鍵を開けると中から散弾銃が出てきた・・・
先日の一家殺害事件で使われたものらしい。
隣りには散弾銃の弾が12発置いてある。

それに押収品を管理する為のパソコンがあった。
このパソコンなら>>106で手に入れたCD-Rが再生できそうだ。
再生しますか?
153名無しになりきれ:2010/05/12(水) 00:56:42 0
乱立荒らし対策保守
>152
イブンヤードがロッカーに収められた猟銃を手に取る。
慣れた手付きで銃身をテイクダウンして一緒に保管されていた弾を装填した。
武器を手に入れたところで感染の恐怖からは逃れられない。
今は警察署から脱出するべきだろう。
「これは君に返そう」
木谷から渡された拳銃と弾薬を渡し、今後の行動について考え始めた。

現在地:警察署 2階 ロッカー室前
所持品:携帯電話。スーツ。薄手のコート。 救急セット。ガムテープ。
      鍵の束。ヘッドライト。地図。 食料。猟銃(2)。銃弾(12)
外見:日焼けした白人。
状況:保管庫で猟銃を手に入れる。木谷に拳銃と銃弾38発を返却。
健康状態:手から微かに出血。感染?
155木谷 真 ◆dah0fI1m0M :2010/05/16(日) 18:09:03 0
>151-152>154

>「感染の可能性があるだろうな」
そのイブンヤードの言葉に俯き、唇を噛み締める。
折角こうして生き残れているのに――何か手は無いものか。
大宮の言葉で、二人は移動を再開する。もうすぐ倉庫、バールを握る手に自然と力がこもった。
扉の前、鍵を突っ込み、回そうとする、が。
>「くそ、鍵が空いてる。」
その言葉に木谷は目を瞠った。ゆっくり、扉が開いてゆく。

倉庫内は荒らされた形跡もない。が、随分と物騒なものが散らばっていた。
血のついた包丁、ロープ。
「こ、れは」
大宮がロッカーを開けると、散弾銃が収められていた。
>「これは君に返そう」
イブンヤードから拳銃、弾薬を渡されると、その重さを改めて実感する。
彼は猟銃を取り、弾薬を装填していた。
ふと、奥にあるコンピュータに目が行く。そういえば……。
「――そのパソコンで、此れ、見られませんか?」
先程拾った「検死」CD-Rを取り出し、二人に見えるように翳した。

所持品:ペンライト 黒コート ニューナンブ拳銃 「検死」CD-R 携帯電話
状況:イブンヤードらにCD-Rの内容分析を提案。
>155
殺人を示す数々の品を飾る博物館の中は沈黙に包まれている。
沈黙を生み出した男・・・イブンヤードが無造作に弾丸を装填する音だけが聞えている。
大宮も宰吹も黙り切っていた。
何時かゾンビに仲間入りしてしまうが健康な分だけ辛いのだ。
遠くない将来、自分の持つ道具が殺人博物館に展示されるのだ。
>「――そのパソコンで、此れ、見られませんか?」
イブンヤードが目を上げる。
木谷が手にしているCD-Rとデスクトップを交互に見やる。
自分の将来を知るのも悪くないかもしれない。
「見てみるとしよう」
PCを起動するとIDとパスの入力画面になる。
大宮がイブンヤードの肩越しに手を伸ばし、キーボードを叩く。
これでCD−Rが見られるはずだ。
一体、中にはどんな情報が収められているのだろうか?

現在地:警察署 2階 ロッカー室前
所持品:携帯電話。スーツ。薄手のコート。 救急セット。ガムテープ。
      鍵の束。ヘッドライト。地図。 食料。猟銃(2)。銃弾(12)
外見:日焼けした白人。
状況:木谷が持っていたCD−RをPCにセット、読み込み開始。
健康状態:手から微かに出血。感染?
157名無しになりきれ:2010/05/18(火) 22:39:59 0
>155-156
パソコンの中にCD-Rを入れると自動的に動画が再生され始めた・・・
動画の日付は今から一週間前のものである。


人型の染みがついたシーツがモニターに映し出される。
「まだ生きているのでは?」
「死んだよ。殺しちまったんだ。録画しているのか?」
「はい、してます。」
「だったら今の部分をカットしとけよ。」
剥がされたシーツの下には腐った皮膚に覆われた人間が居た。
「酷いもんだな。」
「留置所に入れたのは失敗でしたね。」
「三人噛まれたって?」
「警察病院で厳重に管理されてます。」
「本当に効くのか?確か署内の遺体置き場に空き箱が転がっていただろ。」
「さぁ・・・」
「よし、検死を開始するぞ。」
検視官が手際よく腑分けを始める。
メスで切り裂かれた腹部から内臓が摘出され、頭蓋骨へと取り掛かる。
歯医者のドリルのような音が響き、頭蓋骨に穴が空く。
ゴポgポと気味の悪い音と共に紫色のドロドロとした液体が流れ出し、床とベッドを汚す。
「酷いな・・・脳の殆どが液化しているぞ。」
「死んでないんですかね?」
「まぁ、待て。これから。」
カメラの視界の外からドアを乱暴に開ける音が聞こえる。
「其処までだ。我々が遺体を引き取る。」
三人目の登場人物が命令口調で検視官に声を掛ける。
「よし、運び出せ。」
「待て、許可は取っているのか?」
「署長に取ってある。」
「おい、どういう事だ。」
「署長に聞け。・・・に持っていくぞ。」
記録はそこで途切れている。


所長室に行けば何らかの情報が掴めるかもしれない・・・
158木谷 真 ◇dah0fI1m0M :2010/05/25(火) 00:54:35 0
>156-157
>「見てみるとしよう」
イブンヤードと大宮がコンピュータを立ち上げる。
どのような事が入っているのだろうか、唾を飲み込み、木谷はその画面をじっと見つめた。

日付は一週間前だった。
>「死んだよ。殺しちまったんだ。録画しているのか?」
横たわる死体の前、検死官達が対話している。
>「警察病院で厳重に管理されてます。」
病院に管理されたとて、それが何時まで持つものだろうか。

手際良く腹部を切り裂き、内臓が次々と取り出されていく。
頭蓋骨に穴を開ける光景は、見ていて気持ちの良いものではなかった。
>「酷いな・・・脳の殆どが液化しているぞ。」
>「まぁ、待て。これから。」

其処まで行った所で、突如乱入者が訪れた。
>「其処までだ。我々が遺体を引き取る。」
誰かは分からない。
>「署長に聞け。・・・に持っていくぞ。」
署長、ということは。所長室に何か手掛かりがあるやもしれない。
「…所長室、行ってみましょうか」
木谷は静かに、目の前の二人へ提案した。

状況:所長室に行くかどうか提案。
>157
モニターに映ったのは現代版のトリノの聖骸布だった。
偉大な預言者の姿には見えないが・・・
>「警察病院で厳重に管理されてます。」
自然と猟銃を握る手に力が篭る。
この猟銃を使った殺人も一週間前に起きた。
奇妙な一致である。
もしかしたら彼らは最初期の感染者だったのではないか。
乱入者が現れるまで腑分けは続き、そしてようやく知りたい事が見えてきた。
>「署長に取ってある。」
>「おい、どういう事だ。」
>「署長に聞け。・・・に持っていくぞ。」
一体、何処へ持って行くのだろう。
肝心な部分が聞えない。
しかし、これが人的な災害であり・・・過去に同様の事件が起きた事を乱入者達の声が物語っている。
>「…所長室、行ってみましょうか」
木谷の呟きにイブンヤードが顔を上げる。
大宮達を付き合わせる事になってしまうが・・・
「いいのかね?だとしたら是非お願いしたい。」
イブンヤードが答えると大宮が黙って部屋の外へと出て手招きをした。

状況:木谷の提案に乗り、署長室へと向かう。
160名無しになりきれ:2010/06/01(火) 20:17:17 0
>158-159
押収品保管庫の扉を叩く音が聞こえる。
何かに憑かれたようなノックは明らかに生存者ではない。
それも一体だけではないようだ。
地下室目掛けて何匹ものゾンビが押し寄せている・・・

扉が開いて沢山のゾンビがなだれ込んできた!
161名無しになりきれ:2010/06/03(木) 22:09:06 O
浮上
162名無しになりきれ:2010/06/03(木) 22:43:43 0
age
163名無しになりきれ:2010/06/06(日) 14:40:01 0
>ALL
押収品保管庫の扉は一箇所で逃げ道は多数のゾンビに塞がれている・・・
よく見ると天井に通気ダクトがある。
そこを使えば逃げ出す事が出来そうだ。
164木谷 真 ◆dah0fI1m0M :2010/06/07(月) 00:00:30 0
>159-160>163
>「いいのかね?だとしたら是非お願いしたい。」
イブンヤードの言葉に、大宮は黙って扉の方へと歩き出した。
が、そう簡単に行かせてくれる筈も無かった。

誰かが扉を叩いている。それも複数、その力も半端ではない。
「……ッ、嘘、だろ」
呟いた次の瞬間、扉が轟音を立てて開き、多くのゾンビが押し寄せてきた。
後退り、他に出口が無いか探すものの、それらしき物は見当たらない。
万事休す、そう思えた。
木谷は天井を見上げる。最後の足掻きのつもりだったが。
其処に在った物を見て、その目は大きく見開かれた。
「イ…イブンヤードさん!あの、ダクトで逃げれませんか?」
言って、指差すのは通気ダクト。
あれが最後の望み、なのだろう。

状況:保管庫にゾンビ侵入、イブンヤードらにダクトからの脱出を提案。
165名無しになりきれ:2010/06/07(月) 00:37:18 0
このスレきんもーっ☆
>160>163-164
この極限状態に至って木谷と大宮は勇気と優しさを示してくれた。
地下室で芽生えた暖かな空気が暴風雨のように扉を叩く音に吹き飛ばされる。
生存者ではなく、飢餓感に苛まれた意識だけが本能となったゾンビの群れだろう。
その凶暴さに扉が根負けし、ゾンビがなだれ込んでくる。
>「……ッ、嘘、だろ」
「・・・厄介な事になったな。」
手にしていた散弾銃を発砲すると数匹のゾンビが仰け反った。
大宮はスチールラックを倒してバリケードを構築すし始める。
しかし焼け石に水である。
根本的な解決手段が何処かに・・・
>「イ…イブンヤードさん!あの、ダクトで逃げれませんか?」
大宮の作ったバリケードのお陰でゾンビたちは身動きが出来ない。
ダクトに狙いを定め発砲する。
ダクトを塞いでいた金網が外れて移動できるようになった。
「先に行くんだ。」

状況:ダクトの金網を外す。木谷に先に行くように指示する。
167名無しになりきれ:2010/06/09(水) 12:37:02 O
桜子タン復活まだー?
168名無しになりきれ:2010/06/12(土) 13:15:33 0
>64>166
数匹のゾンビがイブンヤードの銃弾で吹き飛ぶ。
しかし、数は一向に減ることが無い。

簡易バリケードを乗り越えてゾンビが徐々に迫ってくる。
中には足を取られて倒れ込むゾンビもいた。

・・・ダクトの中は暗く誇りが積もっている。
曲りくねったダクトの奥から光が見える。
どうやら留置所と繋がっているようだ。
入り口に於かれた机の上には、メモが置いてある。
「書類は2階の署長室に提出する事。」

・・・どうやら署長室は二階にあるようだ。
169名無しになりきれ:2010/06/13(日) 00:54:21 0
ttp://jbbs.livedoor.jp/game/49071/
「バイオハザードごっこ」
170木谷 真 ◆dah0fI1m0M :2010/06/15(火) 22:31:34 0
>166>168
>「・・・厄介な事になったな。」
散弾銃の発砲も意に介することはない、ゾンビ達は侵攻を続ける。
大宮のバリケードは僅かでも、その侵攻を食い止められそうだが。
木谷が叫ぶと、イブンヤードはそのダクトに向けて発砲した。金網が外れ、出入りが可能になる。
>「先に行くんだ。」
「…有り難う、ございます」
そっと礼を言うと、その場の誰かが逃げ遅れないように、と。急いでダクトに登る。
自分が遅れることで、誰かが犠牲になるかもしれない。そんな心理の上で、だ。

埃が積もるダクト内を進む。この際文句は言ってられない、先に見える光に向けてひたすら歩を進める。
漸く辿り着いた出口は、留置所に続いていた。
「…留置所、ですね」
後から来たイブンヤードらに言うと、其処にあった机の上のメモを手に取った。
>「書類は2階の署長室に提出する事。」
「2階ですね。――行きましょうか?」

状況:ダクト先の留置所に到達。机上のメモ確認。
>168>178
>「…有り難う、ございます」
木谷に続いて宰吹がダクトに潜り込む。
散弾銃と拳銃の銃声が地価に木霊する。
時間稼ぎは小谷の為でなく残った二人の為だ。
大宮とイブンヤードのどちらかが脱出をすれば火力が一気に減少する。
残った一人が対処出来るだけの距離を稼がなければ安全に脱出は出来ない。
結局、大宮が先に脱出し、イブンヤードが後に続いた。
予想以上に弾薬を消費したが仕方がない。
イブンヤードが三人の後を追ってダクトに潜り込む。
行き着いた先は拘置所だった。
>「…留置所、ですね」
「そのようだな。」
木谷が机の上にあったメモを取る。
>「2階ですね。――行きましょうか?」
「いや、ちょっと待ってくれ。」
廊下にはつい先程撒き散らされたばかりの血痕が残っている。
それに気が付いた大宮が牢屋を見る。
>「そういや捕まっていた人間の姿が見えないな。」
「凶悪犯かね?」
>「話を聞く限りではバラバラ殺人事件の犯人みたいだな。」
「そうか・・・兎に角二階に行ってみよう。」

現在地:拘置所。
状況:木谷と合流。>70の血痕に気が付く。
172名無しになりきれ:2010/06/23(水) 20:14:05 0
>170-171
・・・今までと違って窓全体を蔦が覆っている。
それだけではなく・・・蔦が4人に反応して窓ガラスを叩いている!
蔦の先には鋭い爪が生えており、まるでモーニングスターのようだ。

それはいきなりガラスを割ると木谷を掴んで外へと引きずり出した!
暴れる木谷に業を煮やしたのか警察署の屋上に投げ捨てる。
夕闇の中、給水タンクを中心に巨大な異形の植物が生えていた。
どうやらこれが警察署の異変の原因のようだ。

給水タンクの近くには斧と無線機を持った瀕死の警察官が居る。
どうやら大宮の無線機に通じそうだが・・・
173よしひこ ◆lwY6.Kaj6V4v :2010/06/23(水) 20:56:45 O
私も酸化する私は誰になりきればいいのだレオンかタイラントか貸すゾンビか答えろ
174牧野 鈴鹿 ◆jmXldyYWy6 :2010/06/26(土) 21:52:25 0
鼻の奥にへばり付く血の臭いを誤魔化すように、冷たいコーヒーで喉を潤す。
ドサクサに紛れてバイト先から拝借したものだ。大して罪悪感は沸かなかった、が。
「流石にこれは盗りすぎたかな〜?」
袋一杯に詰まった缶コーヒー(20本は軽くあるだろう)をちらりと見て、私は呟く。
歩く度に缶同士が擦れ合い、ガチャガチャと音を立てる。重さも相当なものだ。
「でもな〜、今後のことを考えると、これぐらいはな〜……いや、これでもな〜……」
自称重度のコーヒー中毒者の私は日に7〜8本は缶コーヒーを飲む。
それを踏まえて考えればこの量は少ない。我ながら良く自制したものだ。
身軽に動くことを踏まえれば、こんな物は捨てた方がいい。咄嗟に動けないのはこの状況じゃ命取りだ。
でも捨てられない止められない。嗚呼、中毒者の悲しき性!と、悲劇の中毒者を気取ってる場合ではない。問題はこの状況だ。
不気味な呻き声、悲鳴、絶叫。歩き回り、人の肉を喰らうゾンビ。叫び、逃げ惑う人々。
よく見ていたゾンビ映画の異常な光景が、今、現実に起こっている。
最初は驚いたものだが、人間、意外と状況に馴れるものだ。私が異常なだけかもしれないが。
「ん〜、こういう時、病院と警察署は鬼門なんだけど……ま、なんとかなるでしょ。……いざとなったらこれもあるし」
またもドサクサに紛れてバイト先の精肉部から拝借してきた肉切り包丁を見る。
一般的なの包丁とは違い、鉈や中華包丁に似たゴツいフォルム。
女が片手に持つには少々どころかとても不釣合いな代物だ。
手入れが良くされていた証だろう、研がれた刃は骨ごと肉を両断する切れ味を誇る。
人で試した事は無いが、豚の肉でやれたのだから人の肉でもいけるだろう……多分。
ま〜、使わないに越したことは無い。言う勇気はあるけど、実際にやる勇気が無いのが私だ。
「……は〜、警察署まで、あと少し……ようし、もうひと頑張りよ、私!」
残ったコーヒーを音を立てて飲み干し、空き缶を放り投げる。
それは地面に当たりワンバウンドして転がった。その行為を咎めるものはいない。
「しっあわせは〜、あっるいてこ〜ない〜、だ〜からあっるいて、いくんっだね〜♪」
場違いな明るい歌声があたりに響く。不必要に明るく、不必要に間延びした声。
恐怖を鎮める為の常人の行為か、はたまた、恐怖でおかしくなった狂人の行為か。
それはわからない、それは誰にもわからない。歌っている私自身にも分からないのだから。


現在地:?????
所持品:缶コーヒー(25本)、肉切り包丁
外見:普通
状況:警察署に向かって移動中。

175名無しになりきれ:2010/06/30(水) 23:26:01 0
>174
>「しっあわせは〜、あっるいてこ〜ない〜、だ〜からあっるいて、いくんっだね〜♪」
牧野が投げ捨てた空き缶が潰れる音が辺りに響く。
背後から聞えたのは、明るい歌声を非難するような音。

歌声に釣られて一匹のゾンビがのろのろと現れた。
歩く度に足に嵌った空き缶が音を立てる。
どうやら牧野に襲い掛かるつもりらしい。
(新参加です)
「早くここから出なければ……」
辺りを警戒しながら、アルミ合金でできたアタッシュケースを左手に、
生ける屍が行きかう廊下を、ただ窺う。右手には威力の低いハンドガン。
以前は銃などという物騒な代物は持つべきでないとさえ思っていた。
しかし皮肉にも、今の状況はそんなことは通用しない。生きるためにはソレが
必要であった。今、目の前にある現実を想像もできなかったであろう彼は、
威力の低いなどという頼りないものに自分の生命を託している。
 ―とにかく、このサンプルを守りきらなければ―
今の彼の任務はそれ。莫大な利益へとつながるその重大なものを
絶対守らなければならない。そして誰にも知られてはならないのだ。
表向きはラクーン市病院の医者ではだが、下手をすれば正体がばれないとは
限らない。まさに生存者に対しても警戒が必要な状態である。
白衣についている「ラクーン市立病院」と英字で書かれたネームタグを
少し見て、再びもとの方向へ目をやる。あれからどれくらい時間が経っているのか、
彼自身では長く感じているが、実際は数十分しかいまだ経っていない。
「行くか………」
ゾンビといわれる感染者がその場にいなくなるのを確認すると
気を引き締めて彼は、早足で病院の廊下を進んだ。
視界には異様な光景が次々に入ってくる。


現在地:ラクーン市立病院
所持品:ハンドガン、ケースに入ったサンプル、ポケットの中に抗生剤
外見:ライトな茶髪で、青い目。服の上から病院の白衣を羽織っている

状況:サンプルを守りながら、病院からの脱出を試みている
177 ◆K3F.1.DICE :2010/07/02(金) 00:28:10 0
>175
職員向けの掲示板に連絡事項が記してある。
どうやら関係者向けのBBSのURLのようだ。

『我々の新しい仲間を歓迎します。
 打ち合わせに関しては以下のBBSをご使用下さい。』
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1240221186/
178瀕死の警官:2010/07/03(土) 23:29:24 0
>木谷さん
屋上に突如として放り出された木谷に拳銃が向けられる。
「・・・お前も生存者か?」
血塗れになった警官は拳銃を降ろし、床へと座り込んだ。
その声には聞き覚えがある。
「本当だったら屋上にヘリが来る筈なんだが全滅したと・・・」
警官はぼんやりとした目で給水タンクに張り付く巨大な花を見た。
「違うな・・・助けに来るのが怖くなったんだ。
俺はとんでもない事に加担しちまった・・・俺は・・・」
・・・男の声はDVDに収められた検死報告書の三人目の登場人物だ。
この男は何か知っているらしい。
腰のポーチには無線機が入っている。
これで大宮と連絡が取れそうだ。
179牧野 鈴鹿 ◆jmXldyYWy6 :2010/07/03(土) 23:35:52 0
>175
「いっちにちいっぽ!み〜っかでさんp〜ッ!」
私の明るく間延びした歌は、『何か』を破壊する音によって遮られる。
その突然の音に私の身体はビクリと大きく震えた。
その音は、今しがた私が放り投げた空き缶を踏み潰した時に奏でられる破壊音そのものだ。
私はその音のした方へ顔を向け、反射的に袋の中から包丁を取り出そうとして固まった。
数m先には一体のゾンビ。足に嵌った缶を取ろうともせずにゆっくりと私に近づいてくる。
……包丁を取り出して……その先はどうする?
固まった私の頭に浮かんだ1つの疑問。
……私に、殺せるの?どうやって?首を落とす?一発で?無理無理無理無理!絶対に出来やしない!
……じゃあ!包丁を頭に振り落とす?頭を割ったら絶対にコイツは死ぬ?いや、そんな保障は何処にも無いじゃん!
……じゃあじゃあ!心臓をって…正確な心臓の場所なんてわかんないよ!首よりも難易度高いって!
…………じゃあじゃあじゃあ、って!
「うひゃあ!」
数m先にいたはずのゾンビは私の目の前にいた。
濁った瞳、剥き出しになった歯茎、その口から涎と腐臭を吐き散らしながら私に掴みかかってくる!
「わー!わー!わー!」
半狂乱になりながら振り回したコーヒー缶入りの袋がゾンビの顔面にクリーンヒットする。
衝撃によりゾンビは僅かな呻き声を上げ、後ろへ下がった。
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい調子乗ってました!映画みたいになんとかなるって調子乗ってました!ごめんなさいー!」
私は叫びながらその場から走り去る。後ろからは空き缶を引き摺るような音。
ついて来てるついて来てるなんかついて来てる!どうしよおおおおおおおおお!
最初は空き缶を引き摺る足音だけだったのに、徐々に複数の足音がそれに混じる。
増えてるううう!なんか増えてるうううう!増殖しちゃってるううううう!らめええ!
格好つけてごめんなさい!なんか余裕持ってれば助かると思ってたんです!ごめんなさいいいいいいい!
目の前には入り口の解放された警察署。後ろにはその数、20を軽く超えるであろうゾンビたち。
「ごめんなさい!中に人がいたらホンっとにごめんなさい!ゾンビが大量に来ちゃいましたー!私が連れてきちゃいましたー!」
私は叫びながら警察署の中に駆け込んだ……。背後にゾンビの大群を引き連れて。


現在地:警察署内
所持品:缶コーヒー(25本)、肉切り包丁
外見:普通
状況:警察署内へ駆け込む
>179
散弾銃を持つイブンヤードを先頭に一行が2階を目指して移動する。
正面間の受付の両サイドに広がる階段を上りきった時、叫び声が聞えた。
>「ごめんなさい!中に人がいたらホンっとにごめんなさい!ゾンビが大量に来ちゃいましたー!私が連れてきちゃいましたー!」
救急車のドップラー効果さながらに声のトーンが変わっていくのは命がけの猛ダッシュの為か。
呆気に取られたイブンヤードが言葉の意味を理解するのに時間が掛かった。
ゾンビが大量に来た・・・
私が連れてきた・・・?

イブンヤードの顔が蒼ざめ、大宮と顔を合わせる。
大宮が拳銃を構えるが、イブンヤードがそれを制する。
「弾の無駄遣いは避けたい。」
「見捨てるのか?」
イブンヤードが壁の一角を指差す。
大宮が訝しげに振り返った先には屋内消火栓があった。
「こっちだ!階段を昇るんだ!」
イブンヤードが少女に向かって叫び、大宮が赤い扉を開けてホースを構える。
時間稼ぎにしかならないが、もしかしたら外まで押し返せるかもしれない。


現在地:警察署 2階 受付を見下ろす廊下。
所持品:携帯電話。スーツ。薄手のコート。 救急セット。ガムテープ。
      鍵の束。ヘッドライト。地図。 食料。猟銃(2)。銃弾(12)
状況:牧野が昇りきるのに合わせて放水予定。
健康状態:手から微かに出血。感染?
181ゾンビの群れ:2010/07/06(火) 23:14:59 0
>179-180
>「ごめんなさい!中に人がいたらホンっとにごめんなさい!ゾンビが大量に来ちゃいましたー!私が連れてきちゃいましたー!」
その叫び声に反応するかのようにゾンビの群れが集まってくる。
先頭を歩く一体のゾンビは相変わらず空き缶が足に嵌っているようにカッポカッポと音を立てている。

・・・受付の近くにゲートの開閉装置があるようだ。
押せば侵入するゾンビの数を減らせるかもしれない。
(すでにバイオハザードによって汚染された中央病院内をひたすら進んでいく。
無菌室は無事なのかもしれないが、それは定かではない。とっくにそこも汚染され
生ける屍によって占領されている状態だろう。この広い日本の都会からどうやって無事に
逃げることができるだろうか?きっとウイルスを流出させないため日本の玄関口は
すでに閉鎖され、絶望的な状態。帰国さえも危ぶまれている。
しかし、そんなことは今はどうでもいい。とにかくココから出てまともな武器を探す。
生きるすべはそれしかない。武器があるとすればやはり警察署しかないだろう。)
これを倒しておこう。奴らをここでしばらくとめることができる。
(彼は廊下においてある台車を、道の真ん中に横向きに置いた。そして再び出口へと向かう。
しかし、広い待合室に大勢のゾンビが我が物顔で歩いていた。)
せっかくココまで来たというのに!!
(悔しさとさらなる焦りが彼を襲ったが、あきらめずに何とか玄関まで無事に行ける
方法を見つけ出そうとした)
奴らは意外と動きが遅い…それをついて行動するべきか…?
(柱の影に隠れながら色々と考えてみる。その間、ゾンビたちが人間の死体を食しているのが見えた。
それは悲惨な情景で、あたり一面には血液が飛び散っている。そのほとんどが一般市民、患者たちだった。
病気やけがを治すためにココに来たというのに、なんとも無残な結果だろうか?)


現在地:中央病院ー受付・待合室付近ー
所持品:サンプル、威力が弱い武器
状況:出入り口へ行こうとするものの、その前にある待合室にゾンビが
   大勢いるため、通ることが困難な状況。今は、そこをなんとか通過しようと
   考えている。
外見:病院の白衣を着ている。

183名無しになりきれ:2010/07/12(月) 23:23:43 0
>182
・・・待合室の一角には患者呼び出し用のスピーカーがある。
待合室の中に在るマイクを使えばゾンビ達を誘導できるかもしれない。
>>183
(待合室の様子をしばらく窺っていると、向こうには看護師が使用している
患者呼び出し用のマイクがあった。)
…あれが使えるか?スピーカーから何らかの声をだせばゾンビが誘導できるってことか…?
やってみる価値はあるな。ここで色々と考えて時間を無駄にしているよりは良い。
(そういうと、ものかげからものかげへ移動し、なるべく気づかれぬようマイクのある場所へ
向かった。普通にあるけばそんなに遠くはないはずなのだが、こういうときは不思議なことに
凄く遠く感じてしまう。緊張が高まりながらも、その動作を続ける。額からは汗が出ていた。)
もう少し…
(あと少しのところに呼び出しマイクがある。待合室内の受付に入ればOKだ。
自分を落ち着かせながら、一歩一歩と進み、受け付けないに入る。
そしてガラス越しに自分の姿が見えないよう、赤ん坊のように這いながら進む。
様々な患者のカルテが目に入る。内科、外科、耳鼻咽喉科、眼科、胃腸科、婦人科と、
分野にもいろいろだ。そしてマイクのところまでたどり着くと電源をいれマイクを取る。
その機会には場所を指定して、放送を流せるようになっていたためラッキーだった。
彼は、玄関から離れた廊下に放送を流す)

現在地:中央病院
状況:スピーカー作戦を実行し、ゾンビを誘導させようとしている
185牧野 鈴鹿 ◆jmXldyYWy6 :2010/07/13(火) 00:13:42 0
>180 181 
叫びながら全速力で疾走したせいだろう。心臓が早鐘のように脈打ち、その鼓動が耳に響く。
警察署の扉をくぐった先、受付の近くに何かボタンらしきものがある。
一瞬、ほんの一瞬、そのボタンに気を取られた瞬間、足が縺れ、私は顔面から見事に地面に打ちつけられた。
「ふぎゃん!」
>「こっちだ!階段を昇るんだ!」
私が変な悲鳴を上げるのと、頭上から男の人の声が掛けられるはほぼ同時だった。
後ろからはあの空き缶を引き摺る嫌な音と、無数の足音、呻き声。
その音は決して遠くない、むしろ、もうすぐそこまで近づいてきている音だった。
既にゲートを通り抜けたゾンビもいることだろう。
「……うぅ、まったくまったくもう!なんで私がこんな目にあわなきゃなんないのよー!」
溢れ出る鼻血を乱暴に拭い、涙目になりながら立ち上がる。
立ち上がった瞬間、ズキリと右足が痛んだ。どうやら捻ってしまったみたいだ。
ううううう、まったくまったく本当にもう!鼻血は出るし足は捻るし、全部アンタ達の……。
睨みつけるようにこんな目にあった原因のゾンビたちを睨みつけ、そして即座に視線を逸らす。
やばいやばいやばいやばいやばい!本当にやばい!思ったより足速いじゃない!
予想以上にゲート内に入り込んでいるゾンビたちに顔が青ざめる。
足を引き摺りながら走り、階段に足をかけた瞬間。受付近くにあったボタンの存在を思い出す。
あのボタンって、もしかしてゲートの閉開装置?そういえばゲート云々書いてあった気がする……。
後ろを振り向く、もうずいぶん受付から離れてしまった。
今から戻ってボタンを押す?でも、もうゾンビたちは扉の付近まで近づいているかもしれない。
今の足じゃ逃げ切れる自信なんて無い。でもボタンを押さないと……ゾンビウェルカム状態に……。
うううう、ごめんなさい!上の人本ッ当にごめんなさい!私は自分の命が惜しいです!
「迷惑掛けてごめんなさい!ごめんさい!でもしょうがなかったんです!ごめんさい!」
私は上にいるであろう人に言い訳がましく謝りながら階段を上り始めた。

現在地:警察署1階 階段
所持品:缶コーヒー(25本)、肉切り包丁
外見:顔から出血中(鼻血)
状況:足を引き摺りながら階段を上る。
186木谷真 ◆jHFmQHWwp69D :2010/07/14(水) 23:32:48 0
>171-172
>「いや、ちょっと待ってくれ。」
引き止められたところで、己も廊下に飛び散る血の飛沫に気づいた。
その後の大宮とイブンヤードのやり取りを聞いていたが、凶悪犯とは中々危険なことではないか。
だが、それを知ったからとて己に何が出来るわけでもない。
>「そうか・・・兎に角二階に行ってみよう。」
同意を得て、其の侭二階へ乗り込もうとした矢先である。

窓を叩く「物」があった。
「……これ、蔦?」
小さく呟いたのと、蔦が窓ガラスを破ったのはほぼ同時だ。グイ、と足を掴まれ外に引き摺り出される。
「…う、あぁっ」
兎に角逃れようと必死で暴れる。効果があったかは知らない、が、其の侭屋上へと投げ捨てられた。
打った腕を摩りながら立ち上がる木谷の目に入ったのは、給水タンクのもとに聳え立つ巨大な植物だ。
此れが此処、警察署に蔓延る蔦の親なのだろうか、と考えていると、視界に入ったのは斧を持つ警察官、だった。

>178
銃口が向けられる。慌てて両手を頭上に掲げると、彼は己が生存者と悟ったか、銃をおろしてその場に座り込んだ。
>「・・・お前も生存者か?」
「……は、はい」
>「本当だったら屋上にヘリが来る筈なんだが全滅したと・・・」
瀕死の警官は其の侭ポツリ、ポツリと続ける。
>「違うな・・・助けに来るのが怖くなったんだ。
俺はとんでもない事に加担しちまった・・・俺は・・・」
ぼんやりした目を、給水タンクのほうへ向ける。この声は――検死のCDに入っていた、あの声ではないか。
「すみま……せん。詳しい事を…教えて頂けませんか?」
何かを聞き出しておきたい、そうして大宮達と合流するのだ――彼の腰にある無線機に視線を投げかけながら、そう思った。

現在地:警察署 屋上
状況:蔦に捕まり、屋上へ放られる。瀕死の警官と対面、情報を聞き出そうとしている中途。
(上手く成功するかどうか心配だったが、ゾンビたちは上手いこと
放送の音がするほうへと、よたよたとした足取りで向かっていった。
それは、放送の声の主が生者たる人間だったからである。生ける屍は、その新鮮な
生血を求めて、食欲という本能のまま動き始めた。しかし、脳のない彼らは、自分たちが
だまされていることなど気づくはずもないだろう。
そのチャンスを窺って、アーサーは受付け室からダッシュで走る。
恐怖という感情が、気持ちを高ぶらせ、疲れを感じないという身体的な影響にまで及んだ。
広い待合室を駆け抜けて、もうすぐで出口というところだ。これで安心だと思った。
…しかし、安心したのもつかの間、走っていると手に持っていたアタッシュケースを途中で
落としてしまった。その音に反応し、先ほどの生ける屍たちが振り返った…)
しまった……!!
(一瞬の沈黙があったような気がした。あせりと恐怖が頂点に達したからだろうか?
小さくはあるが鋭い声で呟き、目を大きく見開く。冷たい汗が額から顎のほうへ伝っていく。
すでに腐敗し、内臓やら眼球やらが飛び出しているおぞましい存在は、そうしている間にも
どんどんとこっちへ近づいてくる)
クソ…こんなときに…あれをおいていくわけには行かない!取りに戻るしかないか…

現在地:中央病院(待合室)
状況:サンプルの入ったケースを落としてしまい、取りに戻るところ。
   しかし、向こうからは先ほど誘導したゾンビの群れが迫ってきている。
188名無しになりきれ:2010/07/15(木) 22:34:33 0
>186
>「すみま……せん。詳しい事を…教えて頂けませんか?」
警察官がいきなり怒鳴る。
「この現況を作ったのは俺達なんだよ!」
顔は怒りで真っ赤に染まり、肩で荒く息をしている。
その姿は、怒りに圧倒されて苦痛すら感じていないようだった。
「・・・あんたに言っても仕方が無いか。
聞かせてやるよ、あれは元々・・・とあるウィルスが原因なんだ。
遺伝子を変異させるウィルスがな。」
警官が給水タンクに視線を向ける。
あれがそうだ、と目が語っていた。
「俺は運良くワクチンを手に入れられたが、この体じゃ長くない。」
事態に気が付いた後、警察署を救おうと奮闘したが何一つ成し遂げられなかった。
自暴自棄でこの警察署を支配する巨大植物に挑んだが、ズタズタにされてしまった。
「・・・署長に気を付けるんだな。あの男はまだ居る筈だ。
そしてあの男はワクチンの在りかを知っている。
何でも日本に入ってきたウィルスのサンプルから作られたらしいが。」
警官は自分の手首に手錠をはめ、もう片方を頑丈そうなパイプにはめる。
「武器と無線機はくれてやる。俺はもう直ぐ動く死体に・・・いや、植物に支配された化け物になる。」
警官が咳と一緒に血を吐き出す。
その血は紫色のそれだった。
どうやら警官は意識を失ったようだ。

足元には拳銃(ベレッタ92FS 9発入り)と斧、無線機が転がっている。
無線機を使えば大宮と連絡が取れそうだ・・・
189名無しになりきれ:2010/07/15(木) 22:37:12 0
>187
待合室の一角に院内の地図がある。
二階に上がる形になるが、近くの階段を使って回り込めそうだ。
自分自身が囮になって二階へ誘い込めばゾンビをケースから引き離せるかもしれない。
>>189
「おとり作戦を実行するしかなさそうだな…」
迫りくるゾンビの群れを気にしながら、近くにある階段を眺める。
「あれで、何とか行ければいいが…」
上の階も100%安全とはいえないことは承知していたが、今はそんなことを
考えている余裕などない。すぐそこには生ける屍たちが自分を狙って刻一刻と迫ってきている。
全ては、ケースの中にある価値あるもののためだった。自分が命を賭けて研究してきた
もっとも大切で危険な存在。放置していくなど不可能で、かといって誰かに渡すなどもってのほかだった。
「行くか…」
自分が囮になることを決心したのか、その大切なもののために、
階段を駆け上がる。その後をゾンビたちは、無表情な顔で追ってくる。
見るにもおぞましい光景がそこにはあった。
自分の体力も後どれくらいなのだろうか?それを、体を動かすたびに考えてしまう。
二階へあがると、二階の廊下は、窓ガラスが外側から割られた状態になっていて、何かが外から入ってきたことは
明らかだった。しかも体は小さい。鳥だろうか?しかし、鳥がガラスをわざと突き破るなど
普通ではありえない話だ。ふ つ う ではだ。しかし、この状況は普通とはいえない。
もしかしたら、その鳥はとうに感染していて後ろから追いかけてくる生ける死者たちと
同じような存在になっているのだろう。きっと感染した人間よりも厄介に違いない。
「嫌な予感がするな…」
走りながら彼は、ぼそりとそう呟いた。その予感は当たっていた。
遠くから、鳥の鳴き声がするのである。その声は次第に大きくなっていく。こっちに近づいてきたのだ。
武器といえば護身用の威力の弱い拳銃。そんなもので太刀打ちできるはずもない。
そう思って、手術室へ逃げ込んで、急いでドアに鍵を閉めた。
閉めたとたん、そのドアにカラスの鳴き声とともに、ものすごい力であたってくる音が聞こえる。
鳥の正体は感染したカラスのようだ。
「ここに逃げ込んだのが成功だったな」
ドアにもたれて、いったんため息をつくと、顔を上げて視線を手術室の様々なところにやった。
「とにかく、使えそうな武器を探そう…」
ドアから背中を離して、部屋の奥へと入っていき、医療用メスを何本か拾った。

現在地:中央病院(二階 手術室)
状況:感染したカラス、および感染者たちから逃げ、手術室にいったん隠れる。
   おとり作戦実行中。
所持品追加:医療用メス×4
>185
大宮もイブンヤードも突如現れた娘を非難するつもりは無かった。
階段を上る娘が転んだ時には二人とも心配し、追いつこうとするゾンビの群れに散弾銃を撃つ。
何人かのゾンビは銃弾に倒れ、何人かはダメージを負って移動力が落ちる。
二人は後方に注意しながら前進し、娘を庇おうとした。
娘とすれ違ったところで大宮が消化ホースから放水をする。
大砲のような勢いで流れる水流にゾンビが押し戻された。
>「受付の近くにゲートの開閉装置があるぞ!」
大宮の叫びに答えるようにイブンヤードが階段から飛び降り、受付の近くに着地した。
押し戻されない位置にいたゾンビに向けてショットガンを撃つ。
頭部を粉砕される姿を無視して散弾銃に再装填を行い、ゲートの開閉装置を作動させる。
音を立てて閉まる格子のゲートは頼もしく、外と中を分断させる。
押し戻された一体のゾンビがゲートに挟まれるが、あっという間にゲートによって上半身と下半身が切断された。
周囲の安全を確認すると大宮が自己紹介をする。
「生存者だな。俺は大宮。これでも警官だ。」
大宮の年齢は26歳。髪を短く切り、185センチの長身痩躯の男だった。
普通の警察官が持つリボルバーではなく映画に出てくるSWAT隊員が使うような大型の自動拳銃を持っている。
大宮は実際にSWAT隊員であり、優秀な警官だった。
「で、あっちの男は・・・」
階段をゆっくりと昇ってくる男は日本人ではない。
ゲートを閉めた男は日焼けした白人のように見える。
身長は182センチと大宮より若干低いが痩せた体格は大宮とよく似ている。
銃の扱いに手馴れた雰囲気の中心には、穏やかだが人を寄せ付けないミステリアスな壁があった。
「私はイブンヤード。アルハサム・イブンヤードだ。
西村大学でアメリカ文学の講師をしている。」
そっけない口調だが、眼差しは優しげである。
「君は?それと・・・外がどんな状況なのか教えて欲しい。
救助は見なかったかね?」
イブンヤードが問い掛けた。

状況:自己紹介を済ませて牧野から話を聞こうとする。
カラスが鳴きやみ、回りが静寂になるときを彼はじっと待つ。
相変わらず、彼らは手術室のドアをくちばしやなんやらでつついているが、
何か大きな音を立てれば逃げてくれるかもしれない。
アーサーはそう思って、護身用拳銃をドアのほうに向けた。
そしてゆっくりとその引き金を引く。銃声はパー―ンと大きく音を立ててなり
カラスはそれに驚いたようで、かーかーといいながら、その場から群れでいったん離れた。
どんどんと鳴き声が小さくなっていくことからそのことが分かる。
そしてチャンスだと感じて、医療用メスを右手に持ちながら一気にドアへ
突っ走った。そして乱暴に手術室のドアを開けると、そのままゾンビを無視して
向こう側の階段へと向かう。ゾンビは何とか、二階へ誘導できたのだ。
これで待合室に戻り、サンプルの入ったケースを取り戻せる。
膝まである白衣は外の光を反射させて、一人闇の中で目立っていた。
階段をすばやく駆け下りるが、案の定、あとからゾンビやカラスが追いかけてきた。
まずいと感じ、アーサーは走るスピードを上げて、目的地までたどり着く。
「よし、これでここから逃げられる!」
そう呟き、ケースを拾い上げると、ゾンビやカラスを引き連れながら病院の外へ
脱出した。しかし、ゾンビよりもすばやいカラスはもう追いついていて、
自分を襲おうとしていた。そして向かってくるカラスを医療用メスで切りつけていく。
脱出は成功したものの、死の街とかしたこの都市からは未だ脱出していないのだ。
「車が必要だ…駐車場まで行こう」

状況:中央病院からの脱出成功。現在、カラスに追いかけられながら駐車場へ向かっている
場所:中央病院駐車場付近
193名無しになりきれ:2010/07/18(日) 01:04:20 0
そうか
194名無しになりきれ:2010/07/18(日) 01:11:07 0
>192
駐車場近辺にはゾンビの姿が見える。
しかし、数は限られている。
ひき殺されたゾンビや食い荒らされて死亡したゾンビがいる。
どうやら早い段階でアウトブレイクした病院から餌を求めて街中へと向かったらしい。
街の方角には煙が昇り、平穏無事とは言えないようだ・・・

・・・駐車場に並んでいる一台の車はドアが開き、鍵が刺さったままになっている。
運転席は血に塗れており、どうやら噛まれた人間が車から病院へと向かって放置されたようだ。
>>194
「向こうにドアが開いている車があるな…何とかしてあそこまで突っ走りたいが
上手くいくだろうか?」
心の中でいいながら、襲ってくるカラスたちを切りつけて、駐車場内へ入っていく。
しかし、先ほど見たとおり、ゾンビが何体かいるため注意が必要だ。
カラスに夢中になっていて、彼らのことを忘れるという心配だってありうる。
とにかくここでの油断は禁物だった。そして、もう一度護身用拳銃を取り出し
からすの群れめがけて発砲した。するとあの時と同じようにびっくりしたカラスは
アーサーから距離を置く。
「チャンスは自らが切り開くものっていうことか。厳しいな…。」
そう呟いた後、急いでその車のほうへ走った。走って走って奴らに追いつかれぬよう
必死に駆け抜ける。途中で、ゾンビにつかまりそうになりながらも右手に持った
医療用メスを利用して、自分の身を守ることができた。
そして急いで車内に入り、ドアを思いきし閉めた。ドンという音とともに
ゾンビやカラスが車体を取り囲む。危機一髪の状態だ。少しでも遅かったら
彼らの餌食になっていただろう。
「……………。よし、いくか…」
綺麗だった白衣が座席に付着した血液で赤く汚れたが、今はそんなことどうでもいい。
綺麗好きではあるが、自分の命のほうがやっぱり大事だ。
アーサーは煙が昇る街の景色を瞳に映すと、そのままエンジンをかけ
アクセルを踏み発進した。車に押されたゾンビたちは無残にも車に轢かれていき
ばたばたと倒れていった。その一方で、空中からはいまだにからすが自分を
狙っている。どうにかして武器の入手をしたかった彼は、警察署へと向かった。
そこなら日本とはいえ、拳銃くらいはあるだろうから…。

状況:警察署へ車で向かっている
外見:血で汚れた白衣
196名無しになりきれ:2010/07/21(水) 00:11:44 0
>195
警察署までの道程に障害は無かった。
しかし伏兵は予想外の場所に入る。
つまり、アーサーの背後に。
後部座席に潜んでいたゾンビが起き上がりアーサーに襲い掛かろうとする!

>185>191
ゾンビは大宮の放水攻撃で押し流されたようだ。
しかし、ゾンビがゲートを揺さぶる音は止まなかった・・・
>>196
ミラーにふと映った影に驚く。
しかも見るところ人間ではない。
「くそ、こんな時に!!」
後部座席に潜んでいたゾンビが異臭を漂わせて
自分のほうに襲い掛かってくる。
眼前におぞましい姿が迫ってきて、一瞬頭の中が真っ白になった。
今では、この車の中をもっと調べとけばよかったと思っているが
実際、カラスや他のゾンビから逃げるのに必死で
あの時はそんな余裕などどこにもなかった。
ただ運が悪かっただけなのだ。たぶん他の感染者だって運が悪くて
生ける屍に変貌してしまったに違いない。
そう…ここは地獄だ。天にいる神は地獄など見向きもしてくれないだろう。
すでに、自分たちは何者からかも見放され、自分の判断に従っていくしかない。
しかし、アーサーは今死ぬわけには行かなかった。
死ぬ前にやらなければいけない仕事はたくさんある。
しかもこんな地獄でくたばるなんて、もってのほかだ。
そして襲い来るゾンビを避けようとした拍子に、運転を狂わせてしまい、
柱に車をぶつけてしまう。ぶつかったときに、ハンドルから
エアバックが飛び出して、頭を強打することはなかったが
車はもう使い物にならないだろう。
クッションにうずめた顔をゆっくり起こすと、先ほどのゾンビは
ぶつかったときの反動で車の窓ガラスに頭部を突っ込んだ状態になっていた。
「助かった………」
彼にとって不幸中の幸いだった。車がぶつからなかったら
今頃どうなっていただろうか?
「そういえばサンプルは!?」
助手席のほうに顔を向けると、シートベルトでケースごと固定しといた
おかげで大事には至っていなかったようだ。
「ふぅ…この車はだめか…あとは歩くしかないか…」
安心して胸をなでおろし、しばらくその車の中で目をつぶり休んだ。
ぐっすり眠ることはできないが、しばらくの間目をつぶるくらいなら
できるだろうから。

状況:車をぶつけてしまうが、ゾンビからの攻撃を避けることはできた。
   今は少し車内で休んでいる。
198木谷真 ◆jHFmQHWwp69D :2010/07/22(木) 00:00:08 0
>188
>「この現況を作ったのは俺達なんだよ!」
急に怒鳴り声を上げる警官に気圧され、木谷は後方へやや身じろぐ。
気に障る問い方はしていない筈だ、ならば――。
>「・・・あんたに言っても仕方が無いか。
聞かせてやるよ、あれは元々・・・とあるウィルスが原因なんだ。
遺伝子を変異させるウィルスがな。」
警官は、給水タンクに陣取る植物を見上げた。言葉無くとも、あれだと目が語る。
「遺伝子を変化させる……」
小さく呟く。

>「俺は運良くワクチンを手に入れられたが、この体じゃ長くない。」
「ワクチンがあるんですか!?」
飛びついた。もし存在するならば、イブンヤードを救えるかもしれない。
僅かな希望だ、縋るように木谷は彼を見上げた。
>「・・・署長に気を付けるんだな。あの男はまだ居る筈だ。
そしてあの男はワクチンの在りかを知っている。
何でも日本に入ってきたウィルスのサンプルから作られたらしいが。」
ならば、署長に其の事を訊ければ……。
そう考えている内に警官が動く。手錠を付け、気を失う間際に、武器らは呉れると言ってくれた。
「……すみません」
有難く使わせて頂きます――言外に込め、銃と斧、それに無線機を手に取った。
大宮に連絡が取れれば……その一心で電源を入れる。
「…大宮さん、聞こえますか?木谷です」

現在地:警察署 屋上
所持品:ベレッタ92FS(9発)、斧、無線機、ロングコート
状況:無線機で大宮に連絡を取ろうとする。
>198
>「…大宮さん、聞こえますか?木谷です」
娘の返事を遮るように大宮の無線機から声が聞こえる。
>「無事だったのか?!今、何処だ?」
逸れてしまった木谷を心配しつつも冷静な大宮。
イブンヤードもほっとした表情を浮かべている。
>「こっちは警察署の二階だ。署長室に向かう所なんだがな。
  何とか合流できそうか?」

>197
警察署の外から何かがぶつかるような音が聞こえた。
恐らく自動車事故だろう。
つまり、近くに生存者が居るという事だ。
感染していなければ、の話だが。

現在地:警察署 2階 受付を見下ろす廊下。
所持品:携帯電話。スーツ。薄手のコート。 救急セット。ガムテープ。
      鍵の束。ヘッドライト。地図。 食料。猟銃(2)。銃弾(12)
状況:木谷から大宮への無線に耳を傾けている。
    アーサーの事故の音を聞きつけた。
健康状態:手から微かに出血。感染?
目を覚ますと、壊れた車の中だった。
一瞬驚いたのだが、状況を思い出して胸をなでおろす。
「そうだ…さっき事故にあって……」
額に手を当てながら、ゆっくりと座席にもたれた背を起こす。
しかも、近くに「○○警察署」と漢字で書かれた建物がある。
どうやら、近くまでいけたらしい。あとはこれをもって行くだけだ。
片手を助手席においてあるサンプルケースに手を伸ばしとると、
その後、車のドアを開ける。街は火災が起こっていて
なんだか蒸し暑く、髪の毛の焼けるにおいがした。
多くの人間が命を失い、自我をなくしたままさ迷い歩く。
アーサーは車の外に出ると、まだ眠い頭で警察署の
表玄関まで向かった。なんだか体が重く、かったるい。
あの時体力を使いすぎたのか?なんだか走るきにもなれなかった。
そして、足元に巨大な影が見えると、顔を上げる。
目の前には警察署の大きな建物があった。人のいる気配はない。
そう思って、アーサーは立ち止まった足を、前方へと動かし
建物内に入っていった。

現在地:警察署エントランス
状況:事故にあった車から出て、武器を調達するため
   警察署内に入る。
201名無しになりきれ:2010/07/29(木) 01:05:00 0
>200
・・・エントランスの周りは水浸しでゾンビの群れが蠢いている。
格子のシャッターが降りていて先に進むのは難しいようだ。
どうやら封鎖されているようだ。

ゾンビの呻き声に混じって人の声がする。
中にはまだ生存者がいるようだ。
ふと横を見ると崩れたバリケードに何か書いてある。
『生存者はライトや発炎筒で合図を送って下さい。
 屋上からロープを垂らして救助します。』

合図を送れば屋上に進めるかもしれない。
>>201
「汚いところだ」
建物の中に入ったとたんそう感じた。
水道管が壊れたのか、下水が上がってきたのかわからないが
床は水浸しだった。しかも、先にいける道はシャッターによって
通れなくなっているではないか。まさか先にここに来た生存者が
感染者を中に入れないよう閉めたのだろうか?
それに周りには感染者が歩き、自由に動けるような状態ではない。
何とかしなければ…アーサーは少しあせったが、その焦りを
和らげてくれるものが目に入った。
>『生存者はライトや発炎筒で合図を送って下さい。
 屋上からロープを垂らして救助します。』
この文章で、生存者が上にいることを悟った。
同じ生きた人間に会えることはうれしいが、サンプルの件での
不安もあった。だが、今はそうこういっていられない。
「発炎筒はないが…ライトならある…。これでいけるだろうか?」
オレンジ色の電気を発する懐中電灯をしばらく見つめると、
そのあとすぐに、文章にあったとおり合図を送った。
「どうか誰か気づいてくれ!オーイ!!」
光だけではわからないこともありうるので、ライトと流暢な日本語で
上にいる生存者に一刻も早く気づいてもらえるようにした。

状況:屋上にいる生存者に合図を送っている
外見:血に汚れた病院の白衣を着ている白人