ここはGS美神の世界の住人で、GSをやっている俺、牧街(まきがい)モリオが、質疑応答しつつ、除霊も行ってくスレでっす
えぇ、GS美神の世界の住人って言っても、俺は本編には出てません、オリジナルキャラです
えぇ、GSって言っても大物…20巻に出てきた霊の集合体クラス相手だと噛ませ犬になったり残酷な殺され方して話し盛り上げる程度の腕しかありません
ふつーに美神さんとか本編の方々とは一切面識も関わりもありません
こっちは向こうの名前は有名なんで知ってますけどね
えぇ
…ぶっちゃけると、質疑応答が目的なんじゃ無くって、GS美神世界が舞台のTRPGがやりたいんですよ
えぇ
という訳で俺以外のGSや登場人物の参加もお待ちしております
えぇ
その際、トリップ忘れないでください
ちなみに依頼(TRPG)は依頼、質疑応答は質疑応答で進めていきますし、依頼は一気に複数進行しても全然問題ありません
えぇ
一度に二つ以上依頼が飛び込んできても、全てに応じていきます
えぇ
ちなみに、その中で撃破されてもその依頼が失敗するだけで、普通に俺は質疑応答も次の依頼もこなし続けます
えぇ、そういう能力者です、俺
…まぁ、アレです、とりあえずよろしくお願いします
2 :
名無しになりきれ:2009/04/17(金) 03:56:01 O
もうええやろ?お母さん悲しんでるで?
なあ、鏡見てみ、キモチワルい顔見えてきたやろ?
トイレ行ってゲロしてきーな
落ち着いた?
ええかげん就職したらどうなん?
自分、ホンマに大丈夫なん?
なつかしなぁ
とりあえず小竜姫様は俺の嫁
横島くーん
GS美神の世界といっても知っている人間少ないんじゃないか?
世界観の説明とキャラテンプレがあるとTRPGに発展しやすいと思う。
>>2 ………えぇ
うん
強く生きてくださいね
>>3 わぁー
早速知ってる人が来て下すって嬉しいですよ
えぇ
で…えぇ
俺はどっちかとゆーと、小竜姫様よりヒャクメ様のほーが好みかなー何てー
…あぁ、GS美神の単行本はこの世界でも売ってるんですよ、えぇ
細かい事色々あるかも知れませんが、それはほら、ZATがウルトラセブンが帰ってきたウルトラマンにブレスレット渡してる映像持ってたり、過去の映像とか言って出てくる映像がどれもカメラアングルがおかしかったりするよーなもんだと…
…えぇ
とにかく、これからもよろしくお願いします
>>4 はーい何でし…(ビシッと石化する)
は…はは、ここに横島さんはおりませんよー、えぇー
……
…ちくしょおおおおおおお
やっぱ、やっぱ原作のキャラしか愛されんのやー!俺のよーな3流のオリジナルは愛されんのやー!
(滝の涙を流しながら壁をどんどん叩いてる)
>>5 あーー
やっぱそーですか(ぽんっと腕を叩いて)
んじゃ簡単に世界観をせつめーしますね
えーっと……
現実社会においては信憑性を疑問視される声も多い占術や呪術や霊能力、神や悪魔や妖精、幽霊や妖怪、それらを鎮めたり除霊したりする霊能者の存在が世界で広く認知されている。
また一部の妖怪等は人間と共存し社会の中で受け容れられている。一方で、社会の基盤はあくまで科学であり、科学を基に幽霊や妖怪等の定義付けを行う事が難しい面もあり、その信憑性を問う声も存在している。
国際機関や各国家は上記の存在を認めており、国家によっては政治に大きな影響を及ぼしている。
また除霊を行う霊能者はゴーストスイーパーと呼ばれ、国家資格制度を設けて管理している。
人間が暮らす人間界のほかに、神族などが住む天界(神界)や魔族などが住む魔界が存在しており、天界と魔界を合わせて冥界と呼んでいる。
神族と魔族の上層部はハルマゲドンを回避するためデタント状態にあり最高神と魔王も親睦が深い様子。 しかし、世界を維持するために魔族は基本的に悪として神族や人間に負け続けなければならい役割を強制されているため
以上、ウィキペギアより抜粋
…で、俺のテンプレはー
【名前】牧街(まきがい)モリオ
【年齢】23
【霊圧】60,39マイト(ちなみに美神さんは97マイト位で、一般人のアイドル歌手は約22マイトで、野球選手は約9マイト、神族のヒャクメ様は100マイト位)
【身長】173cm
【体重】78kg
【主な武器】50万円位の破魔札、神通杖(長さは約150cm)、吸引札
【趣味】寝る事、食べる事
【容姿】ぼさっとした髪、線目で中肉中背
まだいるかな?
単行本読み返してるから待ってて。
>>7 どうもー
いない事は無いですけれどもいる事もないですよぉー
えぇー
>>8 待ってて…
わぁー何か女の人的な口調ですねー
わーい
俺期待しちゃいますよー
えぇー
………
…霊団が出てきた巻が20巻じゃなくって、23巻だって事に気づいても、言っちゃ駄目ですよ
えぇ
ワ…ワイド版の20巻には霊団らしいのちゃんと出てます…
…けど流石にあの程度(非戦闘員のおきぬさんが笛使わずに倒してましたし)のに負けると思われると嫌だし…
うーん……
ちちしりふとももー!!
霊団のは単純な力押しではキリがないって話じゃない?
美神母も数値が絶対でないし、やりようによってはなんとでもなるっていってたし。
ちなみに牧街さんはTRPGの経験あるの?
このままだと何事もなく静かに沈んでいきそうなのね。
だから方針をTRPGに絞って、このスレを避難所にしてはどうだろうか?
そのほうが人が集まる可能性があるっぽい。
ジャンルとしても被っているのなさそうだし。
ジャンル: 現代除霊バトル
コンセプト: 力押しでは無理目な感じ
期間(目安): 2ヶ月くらい?
ストーリー:
この世界ではオカルトが普通に存在しており、認知されています。
人間社会に人外が潜んでいたり、幽霊や悪魔、神も存在します。
そしてそれらに対しうる特殊な人間もいる!
除霊を行う霊能者はゴーストスイーパーと呼ばれ、国家資格制度を設けて管理されています。
怨霊を退け、神と悪魔の戦いに首を突っ込む華麗なるゴーストスイーパーたち!
とは無縁な、三流のゴーストスイーパーたちの物語。
時は二十一世紀!
100年に一度の不況がもうやってきて、世界中が青色吐息。
土地の価格は下がるが、それ以上に経済は冷え込み更に土地の値段を下げようとするものがいる。
モグリのゴーストスイーパーが悪霊を放ち、資産価値を下げ、安く買い叩かれるという事件が横行していた。
また、税金逃れの為に同様の事が行われていた。
事務所を持つ事もできない三流ゴーストスイーパーたち除霊協会事務所に詰め、こうした仕事を紹介してもらうのだった。
勿論一流ゴーストスイーパーたちとは違い、力もないので必然的に協力体制をとることになる。
最低参加人数: 4
導入部、スレ用>1テンプレ
キャラ用テンプレ&テンプレ記入例
【名前】
【年齢】
【体格】
身長体重などより、見た目の体格のほうが描写的に重要かと。それで粗方の身長体重も含まれますしね。
【容姿】
【属性】
神魔混合・聖・魔・水・火などなど
【霊圧】
あまり数値化をするのはどうかと思うけど、一応の基準を出すといいかも
0〜10・一般人
11〜30・才能のある素人
31〜70・訓練された霊能者
71〜90・一流どころの霊能者
91〜99・超一流の霊能者
100・人間の限界
【特殊能力】
オールマイティー型や密教・キリスト教・サイキッカー・ヴァンパイアなどなど
【装備】
【趣味】
【備考】
キャラクターのバックボーンなど。
こういうのをやると必ず複数種族の混血いいとこ取りをする人がいるのであらかじめ注意。
混血は構いませんが、足し算ではなく、平均である事に留意しましょう。
吸血鬼キャラが吸血鬼の能力100とすれば、混血のキャラは吸血鬼の能力50と狼男の能力50のみという事。
【名前】 サンプルA
【年齢】 20
【体格】 中肉中背
【容姿】 僧侶
【属性】 仏
【霊圧】 65
【特殊能力】 密教退魔術
【装備】 袈裟・仏具
【趣味】 写経
【備考】 高野山の退魔士。禁欲により霊力を高めているが、反動で女性を見ると集中力を乱しやすい。
GM:(あり/なし)
決定リール:(あり)
○日ルール:(あり3日)
版権・越境:(なし)
名無し参加:(あり)
敵役参加:(あり)
避難所の有無:(あり/このスレ)
>>10 ちち、しり、ふともも
えぇ
それはとてもすばらしいものです
ですが!
ですがそればかりに目を向けて、女性の大事な部分を忘れてはいけないと、俺は思うんです
えぇ!
そう、腰のくびれの事ですよ
>>11 うーん…
そのやりようによってはー…が、できないんですよ、僕はー
あはは、お恥ずかしい限りで、えぇ
そらー僕はバイオハザード1をプラントを枯らす薬の元がハーブだってわからずに四苦八苦した挙句やめた男ですから、えぇー
え?TRPGの経験ですかー?
2〜3回程ありましたが全部私が進行を勤めたわけじゃありませんでしたねぇ〜
えぇ
1回自分でも進行してみようとしたんですけれど失敗してしまい…
それから色々繁盛してるTRPG系のスレを見て回って、それで、サイドチャレンジしてみる事にしたんですよ
えぇ
それでこのスレを立てる時、今の内容にするか、「戦え!宇宙パトロール隊MAC!獅子奮迅!」にするかで迷ったんですけれど
MACの方で上手いような始め方がわからなかったので、このスレにしたんですよ
えぇ
>>12>>13 わぁー
ジャンルやコンセプト等の細かい説明は俺は思いつかなかったし
その他の細かいルールの欄の説明もわかりやすくてとても素晴らしく凄い!
このスレの歴史が一気に50日は進みましたよー
えぇ
何者ですかあなたは
まさかヒャクメ様!?
日ごろの行いがよろしい俺の所についに来てくだすったのですか?
いけない、俺等は神族と人間、そんな禁断の愛なんて…
……冗談ですよーえぇ、本気にしないでくださいよー
で、このスレ避難所化計画ですけれどー、俺は上記のスレが立った暁には全然問題なく避難所化してOKですよー
えぇー
けれど、「GS美神の世界の裏舞台的な世界」って言う部分は、必要だと思うんですよ
えぇ
これはキャラクターの性質を統一したいからでー
例えば、世界観は決めたものの
バギ風の強者系キャラと、GS美神風の強者系キャラが同じスレの中で話を進めたら、何だか相性が悪くて話が何だかなーになってしまうでしょ?
だから、あらかじめ「GS美神の世界」にして「GS美神の世界に適応可能なキャラ」として書き手が作れば
そう言った書き手やキャラ性質の相性で話しがgdgdになる事は避けられると思うんです
また、GS美神の世界なら結構拡張性がきくので、本編を全く絡めなくても全然話が進行できる
そう思うんですよ
えぇ
その辺の事情があってまず原作の設定を都合のいいように改造する所からはじめなきゃいけないMACが没になったんです、えぇ
「GS美神の世界の裏舞台的な世界」という部分は確かに外せないけど、それだけに頼るわけにはいかないんじゃないかな。
ぶっちゃけ連載が終わって認知度が堂なのかはスレの現状を見れば一目瞭然。
GS美神を知らない人でも直ぐに分かる説明は必要だと思う。
MACがでてるけど、MACを知らない人にとってはポカーン以前に興味もわかないだろうから。
それに力押しでは無理目な感じ、というのはスレタイに三流GSとあったからなのね。
強さの上限を決めている以上、力押しだけで何とかなるというのは無理がないかな?
GS美神はTRPGにしやすい題材だと思うのね。
名無し投下だって低級霊とかの題材は投下しやすい。
シナリオだって世界を巻き込む陰謀とかではなく、単発の除霊とかの方が作りやすい。
不特定多数が入りやすいように協会事務所を設定したけど、六道女学園を共学に改変したりするともっとやりやすいだろうしね。
そこら辺を考えてシステムやシナリオを練る込むと良いかと思う。
無理だろ
もっと経験積んでからスレ立てしな
素材がもったいない
>>15 あぁ、確かにそうですねぇ
えぇ
名探偵コナンやタッチほど知名度ありませんし
MACの知名度の低さ今更言われなくてもしってますやい…(しくしくしく)
力押しでも〜のとこは絶対必要ですよねぇ
えぇ
そこは…別に反対してないのですが
えぇ、俺も元々力押しで除霊していくつもりはありませんでしたし…
やっぱりヒャクメ様(仮)もそう思われますかー
わー
ここまでの会話で浮き彫りになった問題は、GS美神が知名度今一つだから人が集まりにくいーって所でしょうかねぇ
えぇ
そうなるとやっぱりタイトルを三流ゴーストスイーパー獅子奮迅とかにして美神知らないけれどオカルト系の漫画スキーな人でも興味わく感じにして
それで中の説明で、GS美神のGSの設定が元になっていますよーって説明す…る?
そんな感じでしょーかねぇー
えぇ
そうですねえぇ、GS美神の設定が、元になっていますってだけなら、GS美神を知らなくてもある程度スレの内容に興味をもてるかもだし、知ってる人はふつーにいけるし…
……んー難しいです、えぇ
>>16 俺は勿体無いお化けの除霊はできないので、他に行ってくださいすんませんー
えぇ
ヒャクメ様とは恐れ多い。
でもまあ、折角そう呼んでもらえたので、ヒャクメ様の名をあやかってフタメとよんでください。
SSではなく、TRPGである以上、第三者に如何にわかりやすく自分の構想や世界を説明するかがポイントです。
自己完結していては、無理やりスタートしても参加者との認識の誤差が広がって破綻しますからねい。
ここら辺は始まってからの細かなフォローも大切になるところですが。
さ、とりあえず私からの意見は既に出し尽くしちゃいましたしね。
これ以上でしゃばるのもアレですし、後は見守っていこうと思います。
スレ主さん、頑張ってください。応援しています。
新たにスレを建てるなら、どっかにTRPと入れとくとTRPGと検索した時に引っ掛かるよ。
TRPG好きを引っ張ってこれるかもしれない。
ゴーストハンターTRPG…とか。
ハンターでなくスイーパーの方が良いのかな?
【TRPG】三流ゴーストスイーパー獅子奮迅【GS美神】とかか
>>18 自己完結しない……
わかりやすくする…
一見単純でイマイチな話しに見えても、同じ設定で自分が作ったら、やたら局地戦仕様な一部の人間にしかわからない物ができてしまったー
何て事ありますもんね
えぇ
やっぱりTRPGって難しいんだなぁ…いやぁフタメ様がいてくれて…
えぇええええええええええええええええ
応援…見守るって
デタント気にしなくていいですから直接助けてくださいよぉ〜
うぅ…これからどうしよう
>>19 なるほど、それはいいアイデアですね
何かこう、お菓子を買わせたいためにいいオマケをつけるお菓子会社の気持ちがわかってきます
えぇ(おいコラ
えぇ、ハンターではなくスイーパーの方が良いのです
えぇ
と言うかハンターにすると、機動戦士ガンダム第08小隊で、シロー・アマダの乗ってる機体がモビルフォースって呼ばれているみたいな事になってしまうので
是非スイーパーでお願いします
で、新しいスレの件ですが
TRPG専用のスレ立てたはいいけれど人が集まらなくて潰れたーなんて事を避けるために
人が集まるまでは、TRPGではなく普通の質疑応答でも進めていけるこのスレで行こうと思います
それで人が集まってきて、質疑応答とTRPGをわけてもTRPGだけで食っていける…もといやっていけると思ったら、専用スレ立てる事にしますね
えぇ
と言うわけで参加者大募集
質疑応答の方もどしどし
って事で、よろしくお願いします、えぇ
はーい、フタメです。
私如き小物がどう動こうとデタントに影響はないので大丈夫です。
それより気にしているのが、牧街さんの立ち位置ですよ。
私があれこれ決めて宣伝してスレ立てるのは簡単です。
が、それでは牧街さんは、言い出した人になっちゃいます。
それでは困りますからね。
スレ主というのはスレの中心人物。
参加者達の揺るぎのない精神的支柱でなければいけません。
その為には、スレの方針を決め、運営し、参加者をケアする能力が必要になります。
その為にも、牧街さん自身がここから先は切り開く必要があるのですよ。
大変かと思いますが、スレを立てた以上必要な通過儀礼と思ってがんばってください!
>>21 ぅ…ぅぅ、つ、つまり、最初に俺に助言した人がフタメ様である以上
スレが俺の力で軌道に乗るまで、フタメ様自身が参加するわけにはいかないという事ですね(じゃないとフタメ様がスレを動かしていく事になってしまうから俺いらなくなっちゃう)
要らない子になるのは…嫌ですね、えぇ
それじゃ、何とか頑張りますぞー、おー!
………って、イベントが来ない事には頑張りようが無いから何にしてもしばらく待ちになるんですよね
えぇ
うわぁーーーー来なかったらどーーーしよおおおおお
ずーーーーっと誰もこんかったらどーーーーーしよおおおおおおおお
こんなふきょーだもんなー俺のよーな三流に頼るよーな人いないだろーしなああああ
い…いや、大丈夫、その分、俺の除霊料金は安くなっている
えぇーきっと大丈夫
多分…きっと…えぇ…う…うん…
客が来ないときはサクラを使って自作自演
某ファーストフード店でもやっていることだ
質雑と並行してSSもやっていけばいい
>>23 あー流行ってるよーに見せりゃ人が来るってー寸法ですね
えぇ
問題は、俺にストーリーを考えるよーな頭が無いといふ…
……この前の除霊の話をSS形式で話して
大体3流の戦いはこんな風ですよーってのを表現するーってのでもいいのでせうか?
えぇ、それじゃ、前回の一人でやった仕事のレポートを…
「恐怖!虫歯妖怪対ゴーストスイーパー」
…ってちょ!タイトルだけでブラウザの戻るを押そうとしないでくださいよ
確かに変なタイトルですけどこんな感じの内容なのは間違いないんですから…
って戻らないで!待って!違うんです!怪獣ブームの時に適当に作られた特撮番組みたいな内容じゃないんです!
えぇ
えー…あれは某月某日におきた事件なんですけどね
俺は自分で事務所を経営する力が無いので、「恐山流除霊道場」って言う所から派遣除霊師として仕事につかせてもらってるんですけど…
あ、除霊道場って言うのは、その名のとーり、除霊の道を歩んでいくために修行する場所で、俺はその道場を研修先にしてたんです
独立してGSの仕事するためにはまずGS事務所や寺とか教会とかで研修生やって、それから試験を受けて、合格したらまた研修先に戻り、単独で悪霊を除霊できると研修先で認められて、初めて独立になるのですが
俺は独立は許されたのですが経営だとかできないし、金も無いので研修先に残って、研修先に来た仕事を分けてもらってるんですよ
だから、派遣除霊師って俺が勝手に名づけたのですが…ちょっと違うかな?
ま、んなこたぁいいんだ
それでその道場に俺に手ごろな除霊の依頼が来たってので、俺は早速現地に飛んだんですが…
これはそん時の話しです
しとしとと小雨が降る、曇り空の下
車から降りた俺は、これから除霊する建造物を見上げました
「保歯科医院」と書かれたそこは、窓と言う窓が割れ、駐車場には窓から飛んできたのだろう器具が散乱し、中からはバリバリと何かが砕ける音がするというすさまじい有様です
「とんでもなく凶暴な悪霊でしてね…、物という物を噛み砕いて暴れているんですよ」
今回の依頼者、この歯科医院の経営者の保(たもつ)健(たけし)先生が、俺の隣に立って、包帯だらけの体で医局を悔しげに見つめながらいいました
この先生はなんと、襲い来る悪霊と生身で単身戦い、名誉の負傷をなさったそうです
いやぁ…勇敢な人もいたものですねぇ、えぇ
「そして…そして俺の…」
拳を握り締め、わなわなと震える保先生
あぁ、そら悔しいでしょう、頑張って開業した歯科医院をわけのわからんパッとでの怪物にめちゃくちゃにされりゃあ普通の人は
「魂であるドリルをぶち砕きやがったんです!!」
……すみません、どーやらこのお方は普通の人では無く、漢の人だったよーです
えぇ
「牧街さん!奴だけは許せねぇ!一人のドリルを持つ男として頼む!奴を倒してくれ!お願いだ!」
「え…ぇえ、わかりました!お任せください!」
血涙を流しながら叫ぶ先生をなだめてその場に残すと、俺は神通杖を取り出し、建物の中へと足を踏み入れていきました
自動ドアを開き、中に入ってすぐの待合室はめちゃくちゃになっていました
ゾファーやテーブル、壁、受付のカウンター、天井の蛍光灯に至るまで、大きな口でかじられたのでしょう、歯形がついていたり、食いちぎられたりしています
いやぁ…はっはっは
こんな丈夫な口で噛まれたら、即座に手足を食いちぎられてしまいますねぇ
えぇ、死にます
「俺の歯はじょぉおおおおおおおおオブだああああああああああああああああああ」
物思いにふけっていると、奥の先ほどから破砕音が聞こえていた方からすさまじい雄たけびが聞こえてきました
この世への恨みが深すぎる強力な悪霊ほど知能が低いですから、今回の霊は喋る知力があるのでそこまででは無いよーですな
最も、俺はそれにもまともに対抗できるか怪しいのですが…
「じょおおおおおおおおおおおおおおぶなんだあああああああああああああ」
っと、ぼけっとしてる場合じゃありません、さっさと悪霊を殲滅せねば
同じように散々に破壊された廊下を進み、破砕音の響く治療室に近づくにつれ、肌に感じる妖気が強くなってきます
何でしょう、喋るレベルの悪霊にしては何だか妖気が強すぎるような…
…そう、何と言うのでしょうか、こう、研修中に見た拷問や苦痛の末に殺された悪霊のような気配です
いや、勿論そこまで強い妖気は感じませんよ、こんな平和な町のど真ん中にそんな怨念が生み出されるような物はありませんから
ただ、何だか気配が似てるって言うか…こう、属性が同じ?
など…と…思ってる間に…見えて参りました、今回のターゲット
突如平和な歯医者に襲来し、破壊の限りを尽くした正体不明の悪霊!紫色の体で、中肉中背、今はその大きな帆立貝のような頭で、一心不乱に診療用の椅子をかじっています!
……え?帆立貝のよーな頭?
おかしーですね、ゆーれいって悪霊化しても大体人型をとどめているはずなのですが…
そーいやひとだまもありません
…………
…うん、わかりました、こいつは幽霊じゃありません、妖怪の類のようです
どーも依頼者の方は妖怪と幽霊の区別がついてなかったよーですね、えぇ
あはは、まぁ、その辺をろくに確認せずいきなり仕事に取り掛かった俺が一番悪いんですが…
いやぁ…これで全ての説明がつきますね
多分歯医者に来たくない子供とかの念から生まれた新種の妖怪なんですよ、こいつは
えぇ
だーから歯が丈夫だと必死で訴えながら、歯医者を攻撃してるのですよ、恐らく
うん、ほら、点と点が線で繋がりました
さて、妖怪は悪霊よりも多彩な能力とか持ってて手ごわいので、今日の所はひとまず…
…えぇ…き…よーかいさんが何かこっちにお気づきになったよーで…ございますねぇ
え…えぇ…、あ…あはははー…は…口をアーンと開けて…
「肉だって食えるぞおおおおおおおおおおおおおおおお」
「おわぁああああああああああああああああああああああ」
大口を開いて襲い来る妖怪歯医者キラー(仮名)から慌てて逃げる俺
はっきり言ってふつーにホラー物で逃げてる人達と何ら変わりありません
確かにGSとしては大いに問題ある行動ですが、妖怪を相手にできるよーな装備はありませんので、これはまぁやむ終えないという事で…
「俺の歯はけんこおおおおおじゃあああああああああああああああああ」
「どぅおわぁああああああああああああああああああああああああ」
い…言い訳しとる場合じゃないのです、と、とりあえず倒せないまでも戦わない事には何も始まりません
妖怪の攻撃を何とかかわし、その背中目掛けて神通杖を構え、霊力を杖に流します
霊力が篭められたのを確認して、こちらを振り返り、再度攻撃をかけようとしている歯医者キラー目掛け、渾身の突きを放ちました
ドツッっとか言う音がして、多少怯む歯医者キラー
効いてます!これはいけると2発、3発と突きを放ちますが、決定打には全くなりません、えぇ
「そんなに俺の歯を削りたいのかアアアアアアアアアアアアアアああ」
更に逆上した歯医者キラーが神通杖に喰らいついてきました
「こんなもんぐらい食いちぎってくれる」などと言いながら歯軋りまで始めます
こ…この神通杖は一千万はする物だと師匠が言っておりました
ヤバイです、今回の依頼の報酬は400万です、破壊されたら大赤字……
も…もうやむ終えません、破邪札を使います
破邪札とは中に大量の霊力が篭っている札で、少量の霊力でそれを起爆させる事で霊に打撃を与えるもので
値段によって中に篭められている霊力の量が違い、1円や50円などという爆竹程度の威力の物から、1億円以上のとびきり強力な奴もあります
あるんだけど勿論俺は1億だの5千万だのの馬鹿高いお札は装備しとりません
今回使うのは50万円の妖怪に効くかといわれると正直微妙な威力の物ですが、この後使うとどめの武器の値段を考えるとあんまり強力なのは…
…神通杖からガリガリ言う音が聞こえて参りました
よし、奮発して65万の奴を使います!えぇ!
片手で神通杖を引っ張り、もう片手で腰のポーチを探って65万の破邪札を探します
こ、これだ!65万!
でぇい!っとよく確かめもせずに放った破邪札が、爆発する寸前に見えた額は…
200万
「ぐげぇええええええええええええええええええええええええ」
「ぎゃあああああああああああああああああああああああああ」
神通杖から離れて苦しみもがく歯医者キラーと、その姿を指差して涙目で叫ぶ俺
赤字です、赤字決定です
は!そうだ!神通杖!神通杖は無事でしょーか
そう思い、慌てて視線を向けると………歯医者キラーの歯型がくっきりと…
「吸引!!!」
「ぅげぇええええええええええええええええええええええ」
俺の出した吸引札に断末魔を上げながら吸収される歯医者キラー
勝利に沸きあがるはずの俺は、もうただ涙を流すしかありませんでした
霊体を吸引し、無力化する吸引札は300万円、これにさっきの200万をあわすと、500万円の損失になります
えぇ、100万円の赤字です
えぇ
神通杖も霊力を流してるのに篭る気配が無いので、これも修理の必要があるでしょう
あはは…修理するのにも結構な金がかかるんでしょーねぇ…あはははは…は…
「ま…牧街さん、大丈夫ですか!?」
待合室で真っ白になって涙を流している俺に、先ほど携帯で呼んだ保先生が心配して声をかけてくださいました
「あ…はは…は……は…だいじょーぶです、だいじょーぶ」
後で聞いたのですが、私はこの時口からエクトプラズム吐いてたらしいです、えぇ
あははは…は…もう、何か語ってる内に悲しくなってきました、のでそろそろ…はい、すみません
っとまぁ、こんな感じの内容でした
はい、書いててどんどん恥ずかしくなってきましたねぇ、えぇ、自分の文章作成能力の無さに
えぇ、はい
うん………
…………
……(膝を抱えて落ち込みだす)
まあ膝を抱えてないで、コーヒーでも飲んで落ち着きたまえ。 つ【コーヒー・450円】
なにしろ向かいの建物がアレじゃ。ウチの商売にも差し支えるからね…。
元に戻してくれたのはホントにありがたい。私からも礼を言うよ。
コーヒーも赤字覚悟で500円のところを450円にしとくよ。
33 :
名無しになりきれ:2009/04/30(木) 23:23:54 0
折角だから上げとくよ
>>32 うぅ…ありがとうございます
ほんとならああいう妖怪相手には結界を張って4〜50日放置し、エネルギーを消耗させた後に仕留めるんですけど
そう言っていただけるとにひゃ…にひゃくま…
……と…とにかく、高いお札を使ったかいがありますよ、えぇ、はい…
しかし…赤字…また赤字…
今月はもう無駄な出費出せませ…よんひブッ!!(驚いてコーヒー吹きそうになったのを手で押さえる)
こ…これ、有料らったのれすか!?(舌を火傷したらしい)
うぅ…また出費が…
つ450円
>>33 うわぁああああやめて!やめてください!
上げるのはレスが82をこえてからにしてくださいよ!えぇ!
じゃないとこっ恥ずかしいSSが大衆の前にさらけ出されて…
わぁあああああ見んといてー!
俺の恥ずかしい所見んといてー!
82って?
>>35 えーと…32+50が82だからです、えぇ
すなわちこう、ぱっと開いただけじゃすぐに俺の恥ずかしいSSがあらわにならずに済むという…えぇー…あー
(息をきらせてかけこんでくる)
依頼いいですか!?
喫茶店の赤字がひどいんでネカフェを始めることにしたんです。
一大決心をして工事をすすめてパソコンを設置したのはいいんですが……
突然悪霊が現れてパソコンを片っ端から壊すんです。
このままじゃ首を吊るしかない! 助けてください!
隣じゃなくて向かいだった、スマソw
>>37>>38 さ、最初に言っておきますが、俺は依頼文に応じて面白SS書く人じゃありませんからね
ち、ちちちちゃんとその辺を踏まえて、依頼が終わるまでそのえーとアワワワワ…
し、深呼吸だ、深呼吸、ひーふーひーふー
依頼だー依頼だー初の依頼だー悪霊だー悪霊だー
どどどどどどうすれば
そうだ!ゴーストスイーパーに連絡を!!
って俺がGSやんけ!
え、えぇえ、ぇえ!よし!大丈夫
大丈夫ですよ!えぇ!えぇえぇぇ!
よし!
さ、ささささ、さ、早速、現地にむ、むか、む、向かうんですね、えぇ!
い、いや違う、まず商談交渉を…じゃない…そう、悪霊はどんな奴でした?
また妖怪だったなんてオチは無しですよ
ほ、ほほほ、報酬はごごご、ごひゃくまん程お、おねが、おねがいしま
あーぇーごひゃくまんは高いわな、よ、よんひゃくごじゅうまんで、えぇ!
>39
はい、原作知らないけど賑わうまでお手伝いしますよ……って何を言ってるんじゃ私は!
賑わないといけないのはウチの店じゃ!
悪霊はですな、バーコードハゲのくたびれたおっさんという感じで……
「パソコンなんて大っきらいだああああ!」と叫んでるんだよ。
パソコンが使えなくてリストラされたオヤジかねえ。
よんひゃくごじゅうまん!?
ネカフェが繁盛したら出世払いで!
>>40 原作はアレですよ、お化けとか幽霊っつっても学校怪談とかそういうタイプではなく、どっちかとゆーとRPGな雰囲気と言うかなんと言うか
うぅ、しゅ…出世払いですか
で…でも悪霊が親父の霊ごときなら…100万でもいーかなーなんて…
アレですよ、経費込みで450万なんですよ!
だからこっちとしても報酬に応じて強力な装備を…えぇーと…
確実に効果があるだろう吸引札ってアイテムが300万です!
間違いなく下級霊なら殲滅できるだろう破邪札は200万です!
まぁ何はともあれ現場へGOです
今回はあからさまに弱そうなのでぱぱーーっとかっこよくやっつけてGS牧街の名前を世間に知らしめますよ!
オー!
42 :
名無しになりきれ:2009/05/06(水) 22:45:19 0
「ケケケケケケ!ケーブル斬!」
「モニターチュドーン!」
「手書きが最速うううう!!!」
廃墟と見間違わんばかりになったネカフェ(予定地)では悪霊が意味不明なことを叫んでいた。
しかしその言葉に連動してケーブルが断ち切られ、モニターは火を噴く。
どうやら言霊使いの悪霊のようだ!
43 :
横島:2009/05/06(水) 22:51:21 O
何かどっかで呼ばれたきがする…
>>42 (そーっと扉の向こうの悪霊を眺めて、すぐ戻ってくる)
(ネカフェの入り口、何か軍用無線らしきものや長机やらパイプ椅子やらが持ち込まれ、悪霊対策本部などと書かれた看板が立っている)
…ヤバイですねアレ
もう、何ていうんです?その…ほとんど怪人の域に達してるじゃないですか
えぇ
し…しかし、ここで恐れていてはいけません
悪霊なんか皆あんなもんです!
えぇ
と、とりあえずどうしよう
霊体ボウガンでもあれば一撃で勝負が決められるんですけどあれは矢の値段が尋常じゃありませんからねぇ…うーん…
……報酬を600万にして霊体ボウガンで狙撃作戦とか
>>43 わぁあ横島さんだ、横島さん
横島……大樹さんだぁ
ナルニアからお戻りになられたんですか〜?
え?何で知ってるのかって…そりゃ単行本で読んだから…
45 :
横島:2009/05/06(水) 23:26:16 O
誰が大樹じゃああああああああああ!!!!!!!
ただおだ、た だ お !
ねぇちゃんの居ない場所なんぞ興味ねーな、けっ ぺっ
帰る
【GSとして参加希望っ!試用期間ってコトでいかがだろーか?
・TRPG経験:なし
・原作知識:概要のみ(学習中)
・出現頻度:低
・創作能力:残念】
>>42-44 (跳ねまくった黒髪を腰まで伸ばし放題の学生が現場を通りかかる)
(感じた霊波動に足を止めて携帯音楽プレイヤーのイヤホンを外し)
―――うあ。随分と「くたびれた」悪霊だな。
霊圧は並以下ってところか?知能もアレなよーだが。
あれくらいなら、おれでも何とか…
(悪霊の叫びと同時に爆ぜた入り口ガラスの破片を学生鞄で防ぎ)
(反射的に"獲物"の入ったポケットに手を突っ込みかけて思い直す)
…いや、これだけ派手に暴れてりゃプロのGSに依頼が行ってるか。
店主には悪いが、今は後学のために見学を決め込ませてもら――
――おっと、言ってるそばから本職のお出ましってわけだ。
(現場正面の医療施設、その駐車場の塀の上に陣取り小一時間)
(「悪霊対策本部」の設営から偵察終了までを生温かく見守って)
…いま「狙撃作戦」って言ったのか?あのGS。
こいつは、なかなか面白いモノが見れるかもしれない。
獲物?得物?
48 :
名無しになりきれ:2009/05/07(木) 22:23:02 0
無差別に室内を荒らしていた悪霊が牧街に気がついた。
「・・・・うけ!?」
じっと見ている。
じっと見ている。
じっと・・・
じっと
「ギイイイイ!!若い奴!
パソコン手軽に扱いやがってええ!!
俺の仕事を取るなあ!
頭チュドーン!」
言霊使いの悪霊の言葉は現実のものとなる!
牧街の頭が締め付けられるように痛くなった!
だが、頭が爆発する事はなく、それは直ぐに消えてしまった。
それもそのはず。
この悪霊はパソコンへの恨みがメインで、パソコンのできる若い人間への恨みはあくまでサブ。
つまり言霊が最大限に力を発揮する対象はパソコンでしかないのだ。
若い人間に対してはちょっと頭が痛くなる程度が精一杯。
しかし悪霊にはそんな事を理解できる頭は残っていない。
「きいいいい!だから最近の若いモンわあああ!!」
牧街の頭が爆発しない事に腹を立てた悪霊は両手をぐるぐる回しながら殴りかかる!
見た目は派手だが、所詮はくたびれたリストラおっさん。
パソコン以外が相手では言霊も物理的にもたいした力がなかったりするのは秘密だ!
少しの間姿を消していた喫茶店のマスターが怪しげな壺をもって現れた。
「実家でお金を借りられないか相談に行ったらこんな壺を押しつけられてしまった……
1000万円の価値があるとかなんとかいってたけど」
店内で激しいバトルが繰り広げられているのを見てとりあえず応援。
「がんばれーがんばれー! 報酬として一千万円の壺を渡せるぞ!」
>>45 うぅ…ただちょっとレアなキャラに会いたいなぁって思っただけなのに
ゲストキャラやオリキャラにも容赦ないんですね、横島さん…ぐすん
>>46 いいですよぉ
でも俺もベテランじゃ無いので上手いフォローは期待しないでくださいね
それと俺は何事もあえて反応しないタイプの人なので
「えぇ!?確かに普通は反応しないかもしんないけど…俺無視されてんのか?」
とかそういう風に思うかもしれませんが、決してそういうわけじゃないので、えぇ
(喫茶店のマスターと会話する事小一時間、結局牧街が我が身かわいさに狙撃なんぞと言うリスクの少ない戦法を選んでいた事が親父にバレ、頑張って白兵戦を挑む事になりました)
>>47 あー…その辺は俺にもわかりません
ってか字の間違いなどいちいち気にしていては俺の手元にあるGジェネレーションの攻略本は読めません
えぇ
アレはもう…普通にガンダムXの登場人物欄のグリーツがグリーンになって普通にグリーン・ワイアット中将の絵が載っていたり、移動力とコストの表記が逆になっているために移動力が10000近くあってコストが7だのと言う…
>>48 さて店内に戻ったはいいですけれど実際どうしましょうか…
わぁ!しまった見つかった
どないしよう!
ぐぎ!?
ぎゃあああああああ初期山岸君みたいにやられてしまううううううう
嫌じゃぁあああ幾ら次の週で何事も無く生き返るからってしぬんはやっぱり嫌…
ぬぬ!むぎ…ぎ…
アレ?意外と何だか…助かっちゃいました
…まぁ、そこまでできりゃマスターが生きてこの店を出られなかったでしょうしね、えぇ
どーやら破邪札も吸引札も使わなくて済みそうですな、これは(ヒュインっと音がして神通杖に霊力が篭る)
>>49 アタタアターーーーー
エイヤー(バシバシと悪霊目掛け神通杖を振りかざしながら)
ぬぬ!何ですと!一千万!(壺の部分は戦闘の音でかき消されました)
そいつはいいや!
よぉしフルパワーでいきましょう!
霊派最大出力!牧街Dクラーーーーーッシュ(霊波を杖にありったけ篭めて悪霊めがけ叩き込む)
51 :
名無しになりきれ:2009/05/08(金) 23:05:37 0
>50
>霊派最大出力!牧街Dクラーーーーーッシュ(霊波を杖にありったけ篭めて悪霊めがけ叩き込む)
「うぎゃああああああ!!!」
杖に込められた霊波は悪霊を叩きのめし、辺りは霊的な爆発が巻き起こる。
爆炎が散った後、悪霊は・・・そこに立っていた。
「あ・・あ・・・・あ・・・・」
牧街の最大攻撃でも消えなかった悪霊。
しかし様子が少し変っている。
少なくともその場に充満していた敵意や恨みの波動がなくなっていることに気付くだろう。
「うおおおおおーーーーん!
これだ!これを待っていたんだよ!
鉄拳制裁で注意すればいいのに社内メールで顔も見ずにネチネチと・・・
つらかった!
俺の若いときはこうやって根性叩きなおしていったもんだああ!!」
牧街の攻撃は悪霊を消滅させることはできなかったが、その琴線には触れたようだった。
妙にすっきりした顔になった悪霊は涙を流しながら衝天して逝った・・・
>51
「来世では幸せになれよー!」
思わずもらい泣きする喫茶店のマスター。
「ありがとうございます! これでネカフェを始めることができます!
これが報酬の1000万円の壺です」
怪しげな壺を差し出す。
>>51 ゲ!
ゲゲ…
さ、流石俺の必殺技、ゲームの主人公の射程距離と威力があるけど隙が大きい通常攻撃位の威力しかないや
ぅぅ…いかん、調子にのって霊波出しすぎたのとさっきの攻撃で頭がふらふらしてきました
ん?アレあくりょーの戦意が喪失していきますね…えぇ
……そおおおおおおやったのかおっさん!(滝の涙)
あんた、あんた偉いよ!俺の師匠に爪の垢飲ましてやりたいよ!
あの親父なんか事あるごとにバシバシバシバシとよそ様の子を引っぱたいて!
それに比べりゃおっさんあんたは……
さよーならーおたっしゃでぇええええええええええ
ふぅ……命拾いしたぁ〜生きてるって素晴らしい〜♪
>>52 っと、さぁ!一千万円の登場です!えぇ!
いっせんまん!いっせんまん!いつつのすーじでいっせんまん♪ミニろ……と?
何すかこの某鑑定団番組に出したら笑われそうな壺はぁあああ
えぇーーーー
これがほーしゅう?
詐欺だぁ!詐欺!
こんなんじゃ無くてまともなお金をですねぇ…(ふと、壺に視線が止まる牧街)
………(何かびみょーに妖気がしますね、えぇ。もしかして中に何かいるんでしょーか?だとしたらそいつを売れば生きた妖怪とかは高く売れます)
……よしおじさん!こうしましょう!
ここは百万円とその壺と言う事でどーでしょう!
これいじょーはまけられませんよ!
もし駄目だーなんて言ったら……
すぅーーーーー
しょーーてんがいの皆さああああああんここの親父は〜〜〜〜〜
フタメ様(?)に感謝を捧げつつ、
>>13を参考にして自己紹介だっ!
【通称】"タロー"
【年齢】17
【体格】均整の取れたシルエット
【容姿】跳ねまくった長髪
【属性】サイキック
【霊圧】不安定(アベレージ50)
【能力】霊力刻印"ブランド・オブ・アルカナ"
【装備】ブランクタロットカード(消耗品)
【趣味】截拳道
【備考】GS免許不所持の現役不良学生。通り名は"Tarot"から。
プロが見向きもしない三流以下の依頼をアルバイト感覚で請負う。
仕事の関係者には本名を明かさず、知人にも霊能力は隠している。
霊力をマイナーアルカナのスートに対応したカタチで出力するが、
能力のわりには、特にタロットに造詣が深いというわけでもない。
>>45 見るからに貧しくて貧弱で不幸そーなオーラがっ!?
…いや。こっちも他人のことを言えたもんじゃないが。
―――おい、御同輩!
おれの通ってる学園になら可愛いねーちゃんが大勢…
(「可愛いねーちゃん」の一言を聞いた瞬間、跳ね上がる邪な霊圧)
(病的なまでの煩悩に圧されて閉口しかけるも、半目の視線を送り)
…もしやケダモノの類か?お前。
>>47 正直に白状しちまうと、本当は「得物」のつもりだった。
だが…ちくしょー!凡ミスを素直に認めるのも悔しいぞっ!
こーなったら、いっそのこと無理矢理「獲物」にしちまうか?
「獲物」が「得物」になるってのも、面白いかもしれない。
要は、過去の除霊対象=戦利品ってコトになるけど…。
厄介事を起こしていた霊的な武器や呪的な道具?
祓うはずだった悪魔・式神の類との契約・調伏?
あるいは敵から奪った能力・霊力そのものか?
ちなみに、今現在ポケットの中に入ってるのは…こいつさ!
(ピッ!と長方形の白いカードを取り出してカメラ目線)
>>49 …いいのか?おっさん。
一人のGSが今、怪しげな報酬とは気付かずに命を燃やそーとしてるが。
(塀からひょいと降りると、背後から声を掛けながら近づいて)
(腰を屈め、不気味な意匠のレリーフが施された壺を軽く叩く)
実際に一千万になるかどーかまではわからんが…。
―――なるほど。確かにどこか普通じゃない。
多分、差してある栓は抜かない方がいいぜ。
>>50 【「律義に反応しとるやないかっ!!」とかツッコんでおくべきだろーか。
普通は反応するよーな状況で無視ってんじゃなけりゃ大丈夫…だと思う】
屋内であれだけの長物を使うつもりか?いろいろと参考になりそーだな。
"ロッド"を取り回す時のいいアイディアが、何か思い浮かぶかもしれん。
(視線だけは店内に留めつつ手癖で煙草に火を点けて)
(霊体による肉弾戦と神通杖のどつき合いを観戦する)
>>51 ―――あれがプロの戦い、ってコトだよな。
追加報酬に目が眩んで力尽くで勝負を決めに行ったのかと思わせて、
実は悪霊を現世に縛る想念を浄化する合理的戦法だったってわけだっ!
(霊魂が天に昇り行く様子をぼんやりと目で追う)
(完全に消えた後も空をしばらく見上げたままで)
…これも現代情報化社会の生んだ歪み、とゆーやつか。
>>52 (一件落着の様子を苦笑して眺めながら)
(すぐ側の電柱に寄りかかって腕を組む)
しかし、実働がこれで一千万相当のギャラ…。
協会のシガラミが嫌で資格は取ってなかったけど、
正規のGSになっちまうってのもアリな気がしてきたぞっ!?
>>53 お疲れさんっ!なかなかの手際だったぜ。
(除霊に加えて不穏当な交渉でざわつく商店街)
(訝しげな周囲の視線も気にせず一歩進み出て)
(缶コーヒーを一本揺らして見せて、放り投げる)
悪いけど、一部始終を見学させてもらってた。そいつは観戦料だ。
おれはタロー。何でも屋のマネゴトで小遣い稼ぎしてるGSモドキさ。
あんた、プロのGSだろ?良かったら色々と話を聞かせてくれないか。
…ちなみに、このおっさんの肩を持つわけじゃないが
一応、モノが怪しげな壺だって部分は話してたよーだ。
(親指で背後の依頼人を指して肩をすくめる)
>55
>―――なるほど。確かにどこか普通じゃない。
多分、差してある栓は抜かない方がいいぜ。
変なのが入ってるってことかね!?
そんなものが実家に置いてあったとは……ガクブル。早くもらってもらおう。
>53
>すぅーーーーー
しょーーてんがいの皆さああああああんここの親父は〜〜〜〜〜
わー!
(喫茶店から逃げ出す時に靴下の中に隠していた100万円を取り出す)
もちろん壺は是非もらってくださいな。
手伝いどころか応援するしか出来ませんでしたが弟子志願者も来たようですし私はこれで。
皆さんがんばってくださいね!
(喫茶店のマスターはそそくさと去って行った!)
>56>55>53
「はいはいはいはい。お疲れ様。
だが素人目には中々の手際だっただろうが、同業者から言わせてもらえば及第点は挙げられないな。」
マスターがそそくさと去って言った後、入れ替わるようにムキムキボディービルダーのようなごっつい男が現われた。
無遠慮うに牧街とタローの間に割って入ると、呆れるような表情でどこからかレポート容姿を取り出した。
「大場雄太郎。享年44歳。日暮里体育大卒。
体育会系思考の肉体派だったが、腰痛の為事務職に転向。
そこでPCに適応できず、ネチネチといびられ自殺。
このくらいの資料は直ぐに揃うし、そうすれば対処法だって直ぐにわかったはずだが・・・?
見たところヤケクソの偶然がたまたま当たっただけだろう?」
ズバズバと指摘するマッチョマンが大きく溜息をつくと、おもむろに自分の顎に手を書ける。
そして次の瞬間、その顔が外れたのだ!
ボワンとマッチョマンが煙に包まれる。
煙が晴れたとき、そこには一人の女がマッチョマンの仮面を片手に立っていた。
セミロングの黒髪に後頭部に不気味な三面相の仮面。
ロングスカートをはいたその女に牧街は見覚えがあるだろう。
同期のGSの成世 阿弥なのだから。
「久しぶりね、牧街君。
相変わらずみたいで、これじゃあ協会の決定には文句も言えないわね。
それから、あなた、モグリでGSの真似事しているタロー君ね。
丁度いいわ。
正式発表はもう少し先だけど、二人ともこれを見ておいたほうがいいわよ。」
そういいながら成世 阿弥は一枚のパンフレットを差し出した。
そこには・・・
GS免許更新および新GS試験の案内・・・と書かれていた。
これが新たにGSを目指すもの、そして3流どころのGSたちの運命を大きく動かすことになる!
【名前】 成世 阿弥(なるせ あみ)
【年齢】 24
【体格】 中肉中背(可変)
【容姿】 黒髪セミロング 後頭部にヴェネチアンマスク三面相を装着 ロングスカート
【属性】 神魔混合
【霊圧】 35
【特殊能力】 仮面武術
【装備】 各種仮面
【趣味】 エステ
【備考】 牧街と同期のGS。
顔剥ぎと呼ばれる特殊な能力を持つ。
エクトプラズムで人・魔問わず顔を型取りし、ライフマスク・デスマスクを作ることによりその能力を自分のものとできる。
能力だけでなく、容姿・体格なども模写できるので変装の名人。
悪霊の恩師などの仮面を使い、恩師になりきり説得成仏させるなども可能。
ライフマスク・デスマスク以外でも霊力の宿る仮面を使用することもできる。
ただし、あまりに強力な仮面だと逆に仮面に乗っ取られる可能性があるので、無敵な模倣技と言うわけではない。
ロングスカートの内側には各種マスクが貼り付けられているらしい。
参考画像(ヴェネチアンマスク三面相)
http://museoitalia-shop.com/vebetianmasksgazou/IMG_1010_1.JPG
####################################
ジャンル: 現代除霊バトル
コンセプト: 力押しでは無理目な感じ
人死にはなし。黒焦げで気絶とか、吹き飛んで星になる程度な描写で。
期間(目安):
最低参加人数:
導入部、スレ用>1テンプレ
キャラ用テンプレ&テンプレ記入例
【名前】
【年齢】
【体格】
身長体重などより、見た目の体格のほうが描写的に重要かと。それで粗方の身長体重も含まれますしね。
【容姿】
【属性】
神魔混合・聖・魔・水・火などなど
【霊圧】
あまり数値化をするのはどうかと思うけど、一応の基準を出すといいかも
0〜10・一般人
11〜30・才能のある素人
31〜70・訓練された霊能者
71〜90・一流どころの霊能者
91〜99・超一流の霊能者
100・人間の限界
【特殊能力】
オールマイティー型や密教・キリスト教・サイキッカー・ヴァンパイアなどなど
【装備】
【趣味】
【備考】
キャラクターのバックボーンなど。
こういうのをやると必ず複数種族の混血いいとこ取りをする人がいるのであらかじめ注意。
混血は構いませんが、足し算ではなく、平均である事に留意しましょう。
吸血鬼キャラが吸血鬼の能力100とすれば、混血のキャラは吸血鬼の能力50と狼男の能力50のみという事。
【名前】 サンプルA
【年齢】 20
【体格】 中肉中背
【容姿】 僧侶
【属性】 仏
【霊圧】 65
【特殊能力】 密教退魔術
【装備】 袈裟・仏具
【趣味】 写経
【備考】 高野山の退魔士。禁欲により霊力を高めているが、反動で女性を見ると集中力を乱しやすい。
GM:(あり/なし)
決定リール:(あり)
○日ルール:(あり/なし)
版権・越境:(なし)
名無し参加:(あり・悪霊投下など)
敵役参加:(あり)
避難所の有無:(あり/このスレ)
ストーリー:
オカルトが確かに存在する現象であり、認知されている世界。
人間社会には人外が潜んでいたり、幽霊や魔族、神族も存在しています。
そしてそれらに対しうる特殊な人間もいる!
除霊を行う霊能者はゴーストスイーパーと呼ばれ、国家資格制度を設けて管理されています。
怨霊を退け、神と悪魔の戦いに首を突っ込む華麗なるゴーストスイーパーたち!
とは無縁な、三流のゴーストスイーパーたちの物語。
時は二十一世紀!
100年に一度の不況がもうやってきて、世界中が青色吐息。
景気に関わらず悪霊やオカルトでのトラブルは発生し続けるが、それに対応するのは景気に連動してしまう。
空前の不況により腕も報酬も一流のGSは敬遠され、リーズナブルな三流GSが頼られるようになっていた。
しかし、所詮は三流どころ
腕のほうもそれなりなので失敗も多かったりする。
この事態を重く見たのはGS協会だった。
報酬をケチって三流どころを使うのがそもそもの原因だが、世間的にはGSの除霊率が下がっていることになる。
そこでGS協会は大鉈を振るうことにしたのだ。
即ち、三流GSの大量リストラ!
実績も霊力も低い三流どころのGSの免許更新制度を設け、能力の足りないGSの免許を剥奪しようというのだ。
また新たにGSになるという志望者も、今まで以上にハードルの高い試験を設けることにした。
ここに免許更新および新GS試験合同除霊合戦が始まる!
舞台は東京から南へ120キロの孤島。
霊道があるらしく、悪霊が大量発生し、そしてまた悪霊を引き寄せる。
悪霊島となり島は無人。
更にこの島から東京へ悪霊が進出している事が発覚したのだ。
三流どころのGSや新GS希望者をこの島に送り込み、バトルサバイバルにて淘汰を図る!
吸引符、その他各種一般除霊道具は支給されるが、馴染んだものを持ち込むことも可能。
リタイアすれば即失格!免許剥奪!
しかし、24時間生き残り規定以上の除霊ができれば助成金として一人一億円協会から与えられる。
協力・妨害・出し抜きなんでもありのサバイバルが今始まる!
>>55 ほへ?おとと(慌てて投げられたコーヒーをキャッチする)
ど…どちら様でしょう…
>悪いけど、一部始終を見学させてもら〜
ア…アワワ…(絵が椎名高志からゆでたまごに変わり、冷や汗を流して狼狽している)
(ど…どうしましょう、俺を物陰へ連れてって報酬を奪おうとしている新しい敵の登場です
うぅ…GSはお金もっているってイメージが強いから標的にされたのでしょーか…
も、もしついてったりしたら変なとこに連れてかれて大勢の仲間に取り囲まれて…
以下、牧街想像
タロー「よぉ、あんた、大した実力ねえ癖に免許もってるなんて生意気なんだよ」
マン(タロー仲間)「俺達に免許譲ってくんねぇかなぁ?」
俺「えぇ!?だ、駄目ですよ、そんな事したら」
エース(タロー仲間)「あぁ!?」
俺「ひい」
ゾフィー「おいおい、落ち着けよ、まぁ、わからんでもねぇよ、せっかく取った免許だもんなぁ?」
俺「え?じゃあ」
マン「だから俺達がお前を免許にふさわしいようなGSに鍛えてやんよ!」
セブン「こいつぁ特訓のしがいがありそぉだなぁ」
ジャック「俺達の授業料は高いぞぉ」
俺「うわぁ、助けてぇええええ」
セブン「黙れ!俺の財布がすくえるかぁ!」
タロー「ボコれボコれ!そら特訓じゃあ(などと言いながらジープで牧街を追いかけだす)」
だ、駄目だ!こいつとだけは関わっちゃ駄目だ!)
>…ちなみに、このおっさんの肩を持つ〜
!?(グ…グル、依頼主とグルだったのか)
し、しかし契約書には書いてませんでしたよ、え、えぇ…えぇ(がくがくぶるぶる)
>>56 ほへ!?(100万円を受け取る)
(あれ?マスターはグルじゃなかったの?それとも操られてただけだったの?
まぁいいや!お金は手に入ったし、ここはこの凶悪超人からすぐさま退避して安全地帯に…)
>>57 >「はいはいはいはい。お疲れ様。
(声に後ろを振り向く牧街、満面の笑みに)
(電車男で言う所の電車男を助けたサラリーマン、キターーーーーーーー
助かったぁ!やっぱり、天は俺を見捨ててなかったんですね!
ありがとう、いい人ばかりの国、日本!ありがとう、誰とも知らないマッチョマ…)
>だが素人目には中々の手際だっただろうが、同業者から言わせてもらえば及第点は挙げられないな。」
(一瞬で笑顔が凍りつく)
(こいつはこいつで別のマネーハンターだぁアアアアああああああああああああああああ
うわぁ、どうなってんだこの国は、何でこう地獄の亡者のように仕事が成功した俺に対してわらわらとマネーハンターが現れるんだ!?
い、いや、まだだ、まだこいつだって俺に対するデータが揃ってるわけでは無いはず!
こいつに何か情報を知られる前に、この場から逃げる事ができれば…)
>「大場雄太郎。享年44歳。日暮里体育大卒〜
(ア…アワワ(一瞬再び絵柄がゆでたまごに)まずい、こやつは既に俺のデーターを集めてきてるっぽい
となると、こやつ、俺が実は行き当たりばったり、イエーイを楽しんでるという不謹慎な事実も知ってたり知ってなかったり?
ど、どないしよう、アカン、その事を師匠に告げ口何ぞされた日には明日には滝の水を割れだの変な機械と戦えだのと…)
(最早まともな状況判断ができず、ブルブル震えだす牧街、と)
>「久しぶりね、牧街君〜
ゲーーな、成世!(”同期”の登場にうろたえ、顔が今度は横山風になる牧街)
(し…師匠が俺に監視者をつけとったんじゃー、師匠は俺の事前調査を手抜きなんぞとーに感ずいとったんじゃー
い、いかん、落ち着け、ここでこ奴が正体を明かしたと言う事は、何か俺と取引をしようという事なの…)
ほへ?パンフ?
ふんふん…
(ピシっと石化する牧街)
…………成世(しばらくして石化した頭がぎちぎちともちあがって)
ごめんなさい、師匠から来た腹黒監視者じゃないかって疑ってました
すばらしー物を見せてもらってアリガトーございます
で、だ……
そんなに俺がこの紙を見てうろたえる姿が見たかったんか己はー!
わざわざこんなとこまで見せに来腐ってぇ!
上等じゃあ!望みどーり存分にうろたえまくっちょるー!
うぎゃあああああああぐぎゃああああああああほんぎゃあああああああああ
どーーーしよおおおおおおほんまにどーーーーしよおおおおおお
ぜってぇ免許剥奪されるぅううう(商店街のど真ん中で頭抱えてごろごろ転がる牧街)
そういえば俺はフタメ様式のテンプレは書いてませんでしたね
せっかくなのでこの場で…
【名前】 牧街 モリオ
【年齢】 23
【体格】 中肉中背
【容姿】 ぼさっとした髪をした線目
【属性】 霊的格闘術
【霊圧】 60.39
【特殊能力】−
【装備】神通杖(形は六尺棒っぽい) 吸引札 破邪札
【趣味】寝る事、食べる事
【備考】GS試験には一発合格しているが、3回戦まで相手運に恵まれたためであり、実力は…
一応3回戦はいい勝負はしたものの、結果的には負けている
え?3回戦とかって何か、ですか?
GS試験はまず霊圧を計られて云百名まで絞られた後、更にその後受験者同士でトーナメントがあり、そのトーナメントで3回戦まで勝ち残らなければ、GSにはなれないんですよ、えぇ
受験者の組み合わせは絶対イカサマのありえないラプラスのダイズというもので決められ
運も実力の内とみなされるため、強くても1、2回戦で相手運に恵まれなければ、GSにはなれないという何といふとんでもない試験なのであります、えぇ
########################
なりきりはおいておいて、中の人としての話。
ショートシナリオお疲れ様でした。
ここらで提案ですが、本格TRPスレとして稼動しませんか?
>59>60でちょっとシステムやシナリオ出してみましたが、これを練り込んで雑談所に宣伝投下して、といった感じで。
稼動させるのなら参加しようと思いますし、微力ながら協力させていただきます。
>>56 (人目を逃れるよーにそそくさと立ち去る後姿を)
(ポケットに両手を突っ込んだ姿勢で見送って)
内部告発のポーズにあれだけ取り乱したとゆーことは、
何か本当に後ろめたいことでもあったんか、あのおっさん!
…だが、まとまった現金をちゃっかり靴下に隠してたあたり、
このテの厄介ごとには慣れてやがるよーだな…あなどれん依頼人だ。
それにしても「弟子志願者」ってのは、おれのコトか?
他人のフリしたくなってきたなー…いや、もともと他人だけど。
(対照的に、独特の雰囲気で衆目をほしいままにしている男を振り返り)
(自分が掛けるべきだった言葉…あるいは相手を誤った予感に苛まれる)
>>61 …おーい。そろそろ帰って来い。
ゲーセンでカツアゲされかけてる中学生か、あんたはっ!?
別に、インネン付けて報酬を巻き上げようってわけじゃない。
飛んだり光ったりする警備屋の兄弟なんざ居ないから安心して――
――って、待たんかいっ!!
(受け取った金と壺を抱えて、さりげなく立ち去ろうとするGS)
(その肩を背後から、がしっ!と掴んで、その場に引き留める)
…さっきから何か勘違いしてるぜ、あんた。
相方らしき仮面の女教皇を紹介してくれとまでは望まんが、
せめて、そのルール無用の残虐GSを見るよーな目はやめてくれんかっ!?
>>57 (強引に割って入って来た男。本来であれば厄介事にしか思えないが)
(この状況では救世主に見えて―――やがて女神という認識に変わる)
あんた、もしや同業者かっ!?なんだか知らんが助かった…!!
…だが、善意の何でも屋を捉まえてモグリとは結構なお言葉じゃねえか。
こっちとしてはカッコ良く"イリーガル"とでも言って欲しいところだが――
――「タロー君」か。おれをそんな風に呼んだのは、あんたが初めてだ。
(容姿どころか霊格すら擬態する芸当に、内心では驚きながらも)
(表面上はポーカーフェイスを崩さず、品定めする様な視線を送り)
正式発表前の宣伝資料ってことは、あんた協会の広報担当か何かか?
だとしたら、随分と仕事熱心なこったな…"成世さん"?
(GSのコスプレをした某アイドルが神通棍と破魔札を構えている写真と
『来たれ若人達!時代は君達の霊力(ちから)を必要としている!!』
などとゆーキャッチの表紙は眺めもせずに、応募要項に目を走らせて)
条件は至ってシンプル…おまけにハイリスク・ハイリターン。
―――上等じゃねえか。こーいうのを待ってたんだよ、おれはっ!
(パンフレットを指先でビッ!と掲げ、不敵な笑みを浮かべて見せる)
……。(規定数を除霊したら、後はひたすら逃げ回るだけでGS資格と一億っ!!
もしダメそーだったら、支給された除霊道具一式持ち逃げしてトンズラしよう…!)
>>64 【成世さんもお疲れ様っ!早速スレ主の牧街さんの野望が実現する時が…?】
【…で、未だ原作どころかTRPとゆージャンルすらイマイチわかってないおれは】
【現在絶賛学習中なわけで。微力どころか無力で良ければ頭数合わせに是非っ!】
>>64 んじゃそうしますか
どうやら人集まって来ましたし、えぇ
…で、雑談所って言うのはどこでしょう?
と言うか、このスレを避難所にしてもう一スレ立てればいいんですよね?
>>65 >(その肩を背後から、がしっ!と掴んで、その場に引き留める)
「どきっ…」
(などと言って思いっきりびびる牧街)
「うう…そりゃし失礼しました、あ、俺は恐山流GS道場に所属しております牧街ともーします
彼女は俺の同期の成世さんといいまして、別に相方と言うわけではないのですよ、えぇ
で、あなたは無免GSのタローさんで”これ”に参加なさるっと…」
(落ち着いてパンフに視線を向ける牧街)
「…一億ねぇ……あのドケチの協会がそこまで出すってこたぁ…参加人数あんま多くない上に脱落率はかなり高いってわけさなぁ…
もしかすっと全滅、下手すれば全員ミンチ……………嫌じゃアアアアアアアアアアアアアアアア」
(再びもだえだす)
68 :
悪霊:2009/05/11(月) 10:13:32 0
憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い
憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い
憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い
憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い
憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い
肉良い肉食いたい
例文2####################################
@うっそうと生い茂る樹海には負の霊気が集まり、ただそこにいるだけでプレッシャーを感じる。
A目の前にいるのは自殺者の霊だろう。
B自分で死んだだけでは飽き足らず他人まで巻き込もうとは反吐が出る!
C「言いたい事はあるだろうが、死ぬ前に言うべきだったな!」
DAは気を充実させ大きく跳び霊の直上へ。
E「浄化せよ!霊光波!」
FAの全身から光が溢れ、聖なる気が霊に降り注ぐ。
G強い技ではないが、効果範囲が広く低級霊なら充分だ。
H霊にとっては酸の雨のようなもの。溶けるように浄化するだろう。
#######################################
@A状況描写
B心理描写
C台詞
D行動描写
E台詞
F状況描写
GH効果説明
こんな感じで構成されます。
ここで書き手は全ての文を読むことができますが、キャラがわかるのは状況描写・台詞と行動描写部分だけ。
強力なテレパシー能力を持つキャラなら心理描写も判りますが、基本的には判りません。
行動描写や台詞から心理を推理することはできますけどね。
それを踏まえてキャラをどう動かすか。
書き手とキャラの取得可能情報を混同させないように注意しましょう。
それから重要なのが、効果説明。
これが無いと振られたほうが困りますのでね。
もし例文2でG.Hが無いと、霊は光が降り注いだからってどうしろと?とポカーン状態になってしまいます。
溶け出すような技だったのに、「まぶしいと目が眩んだ」となってしまうかもしれません。
G.Hがあることによって、瘴気で光を防いだとか、光を浴びて溶け始めるとか対応できるわけですよ
ついでに台詞は台詞と判るように「」をつけるといいかもしれません。
長々と偉そうに書いてしまいましたが、お付き合い頂きありがとうございました。
こんな長文読んででやる気なくした!とか言わないで!お願いします。
ここまで書いておいてなんですが、習うより慣れろ!倣うのもよし!
そして何より、形式気にしなくていいから楽しめ!
という事で、片隅においておく程度で無理して矯正する事無くやりやすいようにやるのが一番ですよ。
やっていくうちに自分のスタイルが出来上がっていくでしょうしね。
ついでにこちらも紹介
なないたTRPスレまとめサイトの千夜万夜です。
http://verger.sakura.ne.jp/
>タローさん
ハイ、よろしくお願いします。
原作はまあ、ブックオフか漫画喫茶にいって流し読みする程度でよいかと。
全巻読む必要はありませんのでね。
作品の雰囲気や特殊能力など目に付いたとろこを頭の片隅にでも残しておけば。
ではここで、初心者というタローさんへTRP講座!
*これはあくまで私の独断と偏見に基づくものであり、参考程度にしておいてください。
一言で言うと【キャラクター分担型合作SS】と私は認識しています。
それぞれがキャラを持ち寄り、担当キャラの視点で物語を紡いでいく。
即ち自分が主人公であり、同僚は味方であったり敵であったり、重要キャラであったり脇役であったりします。
それと同時に、他の同僚にとって自分は敵であったり味方であったり、重要キャラであったり脇役であったりします。
一つのシーンをそれぞれのキャラの視点で書く群像劇ともいえます。
例文###############################
Aキャラ視点
Aは目の前の悪霊に攻撃を加えるために飛び掛った。
Bキャラ視点
Aが飛び掛るのを見て援護のために牽制弾を放つ!
悪霊視点
Aが飛び掛ってきた!格好のカウンターの的だ!
負のエネルギーを集中させていると、BがAの背後から攻撃をしてきた。
Bの攻撃は必殺の威力はないがAに集中していた為に躱す事ができない。
集中していた負のエネルギーは散ってしまい、そこにAの拳が迫る。
カウンターの機会を逸した今、防ぐことも躱す事もできず直撃を受け、悪霊は消え去った。
####################################
三人の各視点をまとめると、A+B対悪霊のシーンが完成します。
単純な例ですが、こうやってそれぞれがそれぞれのキャラを動かし話を進めていきます。
ですので、TRPスレにおいては必ずしもなりきる必要は無いと思っています。
中の人はあくまで書き手であり、キャラはストーリーを進行させるキャラという事で。
ついでにレス構成について。
基本のいつ・どこで・誰が・何を・どうしたはこの際省きます。
レスは受動パートと能動パートに分かれます。
受動パートは相手からのアクションを受けた時の反応。
例文における悪霊視点の文章がそれに当たります。
能動パートは相手へのアクション。
例文のAキャラ視点やBキャラ視点のように、悪霊に対して何をしたか、という文ですね。
それぞれパートの構成について。
レスは【台詞】【心理描写】【行動描写】【状況描写】【効果説明】に分かれます。
【台詞】は言うまでもなくキャラの吐いた言葉。
【心理描写】はキャラが思ったこと。
【行動描写】はキャラの動作。傍から見て判る動き。
【状況描写】は周辺フィールドの様子など。
【効果説明】は技などによって与えうる効果の説明。
>牧街さん
差し出がましい事してすいませんです。
TRPスレとしての稼働ということで、よろしくお願いします。
まずは>59のスレッドテンプレを埋めましょ。
勝手に私が書いちゃっていますが、変更案があればどんどん変えたり、期間など空白部分をどうする科などです。
同じく>60についても、シナリオ練り込みなどなど。
既にタローさんのレスで問題点も出ていますしね。
>60に追加する必要はないですが、規定数を明かさないようにするか、上位10%とかにして逃げ回り封鎖案等を考えておく。
そのほかに問題点の洗い出し。
さらに本スレのスレタイ。
前に出ていましたが、スレタイに【TRP】をつけておくと色々止めにとまりやすいでしょう。
それに宣伝。
TRPG系雑談所V
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1238944849/l50 こちらですね。
TRPスレの雑談所なので、ジャンルが合致した人たちが見ているので人も集まりやすいかと。
色々決めることが多くて大変かもしれませんが、これもスレ主の醍醐味として楽しんでいきましょ。
それから、牧街がキャラクターとして錯乱しやすいのは問題ありません。
しかしスレ主としての牧街さんが錯乱してはいけません。
例えモニターの向こうで体中の穴から様々な体液を噴出させていても、文章は自信満々であってくださいな。
間違っていても、訂正すれば言いだけですから。
オロオロされるとついていく私たちもオロオロになっちゃいますのでね。
ハッタリでもいいのでぶれない精神的支柱として参加者を引っ張っていってくださいな。
私たちもただ引っ張られるだけでなく、牧街さんが引っ張れるように協力しますのでね。
長々と失礼しました。
もう以降あまり長文説明は控えますのでお許しあれ。
ついでにやっちまったのでもう一つ。
今回のレスは
>70
>69
>71
の順で読んでいただけると幸いです。
スレにはいろんな名無しさんが来る
キャラに対する苦情から、スレのルール変更して欲しいと言う要望までさまざま
スレ主それぞれでいろんな対処の仕方があるんだけど、一番楽なのは、そういった人達を敵認定しないこと
名無しもコテも同じスレ住人として大事にすれば、スレは長く続くよ
(ただし、譲れない部分は絶対譲ったらダメだけど。)
がんばれ
【ありがてえっ!!なにやら、イロイロと気を遣わせちまって申し訳ない。
今夜はSS形式(?)に初挑戦して、学習の成果を発揮しよーとしたんだが、
とんでもねー時間を浪費した上に、他の返事をする余力も残らなかった。
やはり、おれはTRP…とゆーか物書きに向いてないらしい。諦めないけどなっ!!】
>>68 憎い【中略】憎い肉良い肉食いたい
「――――うわはははははっ!!
最高級の食材を好き勝手に料理出来るってのは気持ちイイもんだなー。
こいつはクセになっちまいそうだぜ…!」
都内でも指折りの宿泊施設と名高い『東京プランクトン・ホテル』の一角。
夕食どきを目前に控えたレストランは、普段とは質の違う緊張感に包まれている。
入り口に『本日貸切』の木札が注連縄でぶら下げられたホールを越えてさらに奥…
…コックコートに牛皮のエプロン姿の祓い屋が、厨房を超法規的に占拠していた。
「ご心配なくっ!
一見、素人がひたすら高級食材を無駄にしてるよーに見えるかもしれないが、
こいつの本質は料理じゃない…浄化の霊力を刻印する儀式みたいなモノさ。」
先ほどから遠巻きに不安を訴えて来る従業員を、祓い屋が丸め込んだ。
その間も、肉が焦げつかない様にフライパンを揺する動作は止めていない。
100グラムでCDアルバムが買えそうな値段の肉を、惜しげもなく焼き上げていく。
実際の所―――
アルカナの霊力が刻印された各種調理器具は、食材の霊基構造を激変させていた。
それがステーキのカタチをした爆弾になるのか、昇天の霊薬になるのかは"客"次第。
「どーやら、あんたらの話を聞いた限りじゃ、
肉への執念が強力過ぎて成仏出来なくなった悪霊らしいからな。
正攻法じゃ死闘になっちまうんで、まずは御執心のエサで先制攻撃…
…あわよくば、そのまま満腹を抱えて成仏してもらおうって作戦だ。」
軽口を叩きながら、ちらっ。とキッチンクロックに目を走らせる。
機能的ながらも洒脱なデザインの時計は、来客の時刻を告げていた。
長針が文字盤の『12』に留まると同時にホールに出現数する邪悪な霊波動。
「…リザーブのゲストがご来店だ。スタッフは全員控え室へ!
ドアや壁に貼ってあるタロットは剥がさないように気をつけてくれ!」
ホテルの従業員達が退避し終わるのを横目に見届けてホールへ。
窓際のテーブル近くに出現した悪霊に対し、渾身の一皿を突きつける。
「――――さぁて。お待ちかねのディナータイムだっ!!」
最高級の食材に、大盤振る舞いの霊力刻印、そして何より料理人の手腕――
――無免許霊媒調理師の手によってディッシュアップされた特製ステーキは、
食すのが躊躇われてしまうほどに、見事な産業廃棄物風味に仕上がっていた。
このステークは出来損ないだ
>タローさん
いえいえ、長文にお付き合い頂き感謝です。
それにしても初めてでこの出来ですか。
充分充分、というか、欲張りすぎです。
はじめてSS形式を描いてこれだけのものを書き上げておいて、更に時間短縮や余力を求める!?
目標設定どれだけ高くしているのですか!
と言っちゃうデスヨ。
思考時間や書き上げる時間は反復作業でどうにでもなります。
才能が必要なレベルまで求めてはいけません。
趣味ですしね、楽しく書いてるレベルで充分なのですよ。
だから向き不向き関係なし。
必要なのは継続して経験を積むこと。そして楽しむことデスヨー。
>>73 ………俺はそれで一度しくじってます
だから、経験者は同じミスをしません!
その点は、必ず、抜かりなく!
頑張ります
で
>成世さん
的確な指導、及び説明、丁寧な解説、ありがとうございました
詳しい返答ですが、今ちょっとリアル立て込んでおりますので、済みませんがもう少々お待ちください
>牧街さん
了解しました。
今のうちに立て込んだ事は済ましちゃいましょう。
TRPスレやるのに大切なのはなんといっても時間の確保と健康管理。
健康管理は言うまでもないですね。
元気じゃなければ頭も働かないし、楽しめませんから。
そして大事なのは時間の確保。
日参とまでは言いませんが、軌道に乗るまでは3日に2日。
通常でも2日に1日の出現率は保ちたいもの。
というか、こちらの方が長期的に見ると楽なんですよね。
一週間に一日でいいから3時間纏まった時間を確保する、というのかなり難しい。
でも、一日30分時間を確保するのは何とかなるものですよ。
レスを返すのもまとめて返すのは【まとめる】という作業も入っちゃうのでかなり大変。
心理的な負担にもなりますのでね。
塵を積もらせないように小まめに処理していくのが大事です。
特に、何らかの問題が発生した時。
スレ主の権限で【鶴の一声】というものがあります。
ある種の強権発動ですが、小火程度の時に鶴の一声で消してしまえば大概の問題は流せるものです。
しかし2日3日と間が空いてしまうと小火が炎上になってしまうこともしばしばですよ。
そうするとたとえ火消しをしても影響が残ってしまいますのでねい。
一々手間かもしれないですが、大事になってから右往左往するよりは絶対楽ですので、小まめなチェックをお勧めします。
そこで便利なのは携帯電話。
一日忙しいとは思いますが、隙間なくびっちり埋まっているわけではない。
という事で、その隙間を有効利用しましょう。
空いた時間で携帯電話でスレをチェック。
無理に返信する必要はなく、本当にチェックするだけでいいのです。
そうする事により、確保した【30分】を最初から【対処】に使えるので時間を短縮できます。
PCつけて、レスを読んで、考えて・・・という手間が省けますのでね。
またも長々と失礼しました。
それでは開始の号令までこちらも準備してますねー。
>>75 「出来損ない……だと?
しまった―――隠し味の"桑の実"を使い忘れてるじゃねーかっ!?
マズいぜこいつは…調理器具に刻印し直す霊力なんざ残ってねえ。」
ちらり。と悪霊の方へと視線を移す。
しばし様子を伺うが、やがて緊張が限界に達する。
「ちくしょーっ!!
あの守銭奴が神通フライパンをツケで売ってくれんかったからっ!
ボロい依頼だから、後で二割増しで支払うって言ったのに…!」
サングラスにナマズ髭の霊的用品店の主に毒づきながら、
長髪を押しこめていた和風のバンダナをフロアに叩きつけた。
>>73 【そいつはスレ主をやる人間向けのアドバイス…かな?】
【だけど一参加者の立場から見ても、ためになる内容だ】
【肝に銘じておくぜ。あんたみたいな人材はありがたい】
>成世さん
【いや。読み易い長文と、そうでない長文があると思う】
【成世さんの場合は前者だ。少なくともおれにとっては】
【執筆時間に関しての、当面の目標設定としては――】
【――"毎日の睡眠時間を確保可能なレベル"だろーか】
【最近、物を書くのに慣れる為の修行場が見つかったんで】
【原作チェックが滞っちまってるのは、秘密だったりする】
【出現率は……かなり不安かもしれん。どーしたもんかな】
>牧街さん
「いや。格下のおれに対して、どーしてそこまで卑屈になる…?
そのビビり癖、どーにかならんのか。」
『これ』と示された、正式名称不明の霊的サバイバル・レース。
その問いかけに頷く代わりに、タロットを示して参戦表明をする。
空白のカードに刻印された図柄は[杖のAce]―――"出発点"だ。
「…『タロー君』の次は『タローさん』か。どうも落ち着かないな。
プロのGSってのは、あんたらみたいに気さくな連中ばっかりなのか?」
今度はパンフレットと睨めっこを始めたかと思いきや…
…急に悶絶し始めた牧街にハリセンツッコミをかました。
[杖のAce]が形成した霊波ハリセン。その霊圧、僅か1マイト。
「だから、ビビるなと言ってるだろーがっ!?」
【イロイロと忙しそーだが、無理しない程度に頑張ってくれっ!】
【こっちは、こーやって適当に留守番しながら待たせてもらうさ】
>タローさん
こんばんは。
修行場が見つかったようでなにより。
こういったものは慣れですから、ガンガン書いてどんどん慣れていきましょ。
読みやすい文・読みにくい文は色んな文章を見て自分の文章を見ているうちになんとなく判ってくると思います。
わかりやすい文があれば、どうして見やすいのか分析し、自分の文章に取り入れてみましょ。
原作チェックはそう大した問題でないので気にしなくていいデスヨー。
出現率については、TRPスレのスタンダードは3日ルール。
このスレのルールがどうなるかはまだ未定ですが、3日に一度はレスができるように工面しましょう。
掛け合いで進行していくのがTRPスレの特徴ですのでね。
私がタローさんに攻撃→タローさんの受けレス→それに対する私の受けレス
という順に。
この順番をまわすサイクルが長くなるとだんだんモチベーションも下がってしまいます。
待たされるほうも待たすほうもね。
それに日数があくという事は、それだけ対応しなければいけないレスも増えるという事。
対応容量が大きくなると負担になり、FOしてしまう。
という負のスパイラルに陥らないようにしましょう。
時間の作り方は牧街さんへのレスにも書きましたので、参考にしてみてくださいな。
携帯チェックを入れると、空いた時間に構想もできますので、飛躍的な時間短縮が可能です。
ついでにPCの辞書機能を有効活用しましょう。
私の名前は成世 阿弥ですが、通常打ち込むと成瀬 亜美と私のPCでは出ます。
変換が一々手間ですので、「成世 阿弥」よみがな「なるせあみ」で登録しちゃうのです。
そうすると自動的に成世 阿弥が一発ででます。
あと「躱す」とかもね。登録して無いと交わすや買わすになってしまいます。
小技ですが、固有名詞や当て字が多いTRPの文章を書く上でかなり快適度が増しますですよ。
追伸
>54で獲物が得物になるってでていて、下手したらネタが被ってしまう!とビクビクしていたのは秘密です!
んでは、稼働まで練習がてら【商店街でのやり取り】パートいってみましょうかね。
################################
>79
除霊が完了した後の商店街に集った霊能者三人。
共に三流だったり無免許のGSであり、GS試験や免許更新の魔の手を逃れる事はできない。
>「だから、ビビるなと言ってるだろーがっ!?」
錯乱する牧街をハリセンで叩くタローを見て溜息をつきながら成世 阿弥はスカートのスリットに手を入れる。
そこから出されたのはいかつい坊主の仮面。
「金剛仁王面・・・」
仮面を被った成世 阿弥の身体はそのまま巨躯な金剛仁王となり、霊圧も爆発的に増えるのがわかるだろう。
成世 阿弥は仮面を媒体として能力行使を行う。
自身の霊圧は低いが、あくまで仮面の力を制御するに必要な量なのだ。
パワーは仮面に秘められているので、結果として霊圧は仮面によって変化する。
金剛仁王と化した成世 阿弥は牧街とタローの襟をひょいと掴むと軽々と持ち上げる。
「はいはい、道の真ん中でドツキ漫才しないでね。
プロのGSがどんな人間かは千差万別。でも、これに参加する人間は誰も一筋縄でいかないと思ったほうがいいわよ。
牧街君は別としてだけど。」
二人をぶら下げたまま成世 阿弥はこの離島サバイバルについて見解を述べる。
24時間生き延び規定数を除霊させればクリアーとあるが、肝心の規定数が書かれていない。
更にこの免許更新が行われる背景を考えれば明確な規定数ではなく、上位10%ほどと考えるのが正しいだろう、と。
そして貸与される除霊具はその島限定でしか使えないものだ、と。
免許を剥奪されれば事務所も解散、収入も激減。
この不況で今更潰しも利かないGSたちは必死である。
そうなれば、足の引っ張り合いや出し抜きなど当然のように行われるであろう、と。
「それにしても面白そうな能力ね。あまり元手がかからなそうだし。」
タローのカードからハリセンを出したことに興味を持ったようだ。
除霊に必要な符はピンきりだが、有効な符となるとそれなりの値段がしてしまうのだ。
しかも消耗品なのでいくらお金があっても足りたものではない。
牧街のスタイルはオーソドックスでオールラウンドに使えるが、その文金銭的消耗も激しい。
そういった意味では、タローや成世 阿弥は省エネな能力といえるかもしれない。
総合避難所は使わないの?
>>82 【こっちは何とか右と左がわかってきた所だ】
【そーゆー判断は他の参加者に従おうと思う】
>成世さん
【丁寧な解説に加えて練習相手まで…頭が上がらなくなっちまう】
【なんだか負担になってないか?それともあんた、超人なのか?】
>溜息をつきながら成世 阿弥はスカートのスリットに手を入れる。
思わずツッコミの手を止め、視線が釘付けになりけた祓い屋。
理性のファインプレーで、慌てて両目を固く閉じる事に成功した。
(あの布切れの中には夢の世界が…?いや。しかし……だが、しかし――)
胸中では、野郎のサガと初対面のGSに対する警戒心が鬩ぎ合うが、
詰めの甘い事に、その葛藤の後半は無自覚なまま声に出てしまった。
「――GS稼業に身を置く者として、同業者の客観的観察を……っ!?」
急上昇した女の霊圧に気付くのが遅れた。続いて、謎の浮遊感。
目を開けると、先ほど脳裏を過ぎったのとは趣が異なる夢の世界だ。
自分を持ち上げる強顔の金剛仁王。反射的に祓い屋の霊力が弾ける。
「"セカンド・ダガー"……!!」
袖の内側から滑り出させた空白のカードに[剣の2]を刻印。
タロットは、左手の甲に張り付いて小型の霊波刀を出力する。
躊躇せずに、自分を掴み上げている仁王の腕へと突き立てた――
――いや。正確には、突き立てようとして見事に弾かれた。
「―――硬てえっ!?牧街さんっ!」
助けを求めたプロのGSは自分と同様に、ぶら下げられている。
「成世さん!?」
……こちらは、周囲に姿すら見当たらない。
「あの女、自分だけさっさと逃げやがった…!?」
頭上から知った口調の声を掛けられて、ようやく状況が飲み込めた。
なるほど。確かに一筋縄では行かない連中みたいだ―――苦笑して…
…観念。仏法の守護者の掌中などとゆー、ありがたい席で説法を拝聴。
「なんだ。おれの能力に興味があるのか?だったら丁度いい。
―――こっちも、あんたのスカートの中身には興味がある」
>82
その件についてはすでに意見を出していますのでね、判断はスレ主の牧街さんに預けます。
>タローさん
今回の総合避難所の案件ですが、右と左がわかって無くても意見いっちゃってくださいな。
正しいかどうかは別として、こういったことを考えるのもタローさんの肥やしになりますのでね。
意見を言うのと判断をするのはまた別物。
判断はスレ主の牧街さんにお願いしちゃっていいのですから。
自分なりの考えを言う。
それが採用されるかどうかは気にしなくていいです。
スレ主の判断が下されたら、自分の意見に合っていようと背いていようとそれに従う。
という事でね。
決定権はなくとも、議論をすることは大いに有用だと思います。
でですね、少し誤解をされているようなので・・・
私は負担になるような事をするほどお人よしではありません。
こうやってお相手をするのは私が楽しいからだし、メリットもあるからです。
第一に、タローさんという新たな人材を確保できる。
第二に、練習する事により、スムーズにスレの進行が期待できる。
第三に、何より私が楽しいからです。
これだけメリットがあり楽しいのですから、、頭が上がらなくなっちゃうようなことはしないでくださいな。
頭を下げる代わりに、TRPの楽しみ方を身につけてもらえればこれ以上の歓びはありません。
ちなみに、超人ではなく暇人です。
ではここで、TRP講座その2くらい?###################
今回は決定リールと変換受け(後手キャンセル)について。
TRPスレにおいて操作できるのは基本的に自分のキャラのみです。
与えられた情況の中で自分のキャラがどう動くかはすべて決定できます。
しかし、リレー小説とは違い、他人のキャラは動かす事はできません。
>81>83のレスでもそこが問題になります。
成世 阿弥が牧街とタローを摘み上げる。
タローが金剛仁王の腕に霊波刀を突き立てたが、弾かれた。
この二つは相手の行動まで決定してしまっています。
摘み上げるまでは成世 阿弥の行動ですが、摘み上げられるのは牧街とタローの行動です。
突き立てるまではタローの行動ですが、弾くのは成世 阿弥の行動です。
どちらも、その手を躱した、とか、突き刺さった、とっさに手を離し躱した、という選択肢もありえたわけですよ。
こういった相手の行動まで決定してしまうことを、決定リールといいます。
スレによってルールが違いますが、決定リールなしのスレだとこの二つはNG。
決定リールありのスレだと、この二つはアリとなります。
で、現在のTRPスレでは、決定リール有がスタンダードになっています。
決定リール無だと、摘み上げようと手を伸ばす。で一旦レスが切れ、つまみ上げられるかどうかはタローさんに委ねられます。
しかしこれだと摘み上げるという一つの行動でやたらと時間がかかっちゃいますよね。
大胆な演出とスムーズな進行のため、決定リール有のルールがスタンダードになっているのです。
さて、決定リール有は大胆な演出やスムーズな進行を可能にしていますが、問題点もあります。
つままれそうになったら上着を犠牲にして躱すつもりだったのに・・・
なのに進行では既にぶら下げられている!
という残念な事が重なると、ストレスになります。
こういったことを防ぐ為に、変換受け(後手キャンセル)というものがあります。
成世 阿弥のレスで牧街とタローが摘み上げられ、台詞が続く。
しかし摘み上げられるつもりは毛頭ない!といった時、次のタローのレスで
摘み上げられたがとっさに上着を脱いでぶら下げられるのを回避した。
上半身裸になってしまったが、それどころではなく身構えると、聞いた口調でその金剛仁王が成世 阿弥だと気付いた・・・
と成世 阿弥のレスを変換して受動レスを書くことが可能なのです。
決定リールと変換受けはセットでルールとなっています。
以前は決定リール無が主流でしたが、掴み技や投げ技など、多彩なアクションの為色々考えた先人の知恵に感謝ですね。
ここら辺を詳しく話すとTRPスレの歴史講義になってしまうので、今回はこの辺で。
あ、勿論、今回のように変換受けをせずにそのまま流して続けちゃうのもアリです。
問題なく続けられるのであれば、いう事無ですしね。
また、戦闘時にあまり後手キャンセルばかりして自分のキャラを傷つけないように気を使いすぎるのは問題ですので注意しましょう。
自分のキャラに愛着を持つ事は大切ですが、固執してはいけません。
キャラはあくまでストーリーを織り成す要素。
キャラに愛着を持つように、ストーリーにも愛着を持ちましょう。
以上、長々と失礼しました。
##############################
>84
タローが突き立てた霊波刀を何事もなかったかのように弾き、成世 阿弥の講義は続いた。
一通り話し終わった後、タローが口を開く。
>「なんだ。おれの能力に興味があるのか?だったら丁度いい。
>―――こっちも、あんたのスカートの中身には興味がある」
それを聞いた成世 阿弥は一瞬の沈黙。
きょとんとした表情でタローと牧街を下ろすと、
「人の趣味はそれぞれだからいいけど、そんなことが気になるの?」
そういいながらおもむろに布を捲くり上げ、大きく足を開く。
しかし忘れてはいけない。
今の成世 阿弥は巨躯巨漢の金剛仁王なのだ!
大宇宙の意思によって局部にはモザイクはかかるが、至近距離の二人には第三の足がしっかりとご開帳されてしまった。
直後、金剛仁王は薄い煙に包まれ仮面を外した成世 阿弥が佇んでいた。
勿論こちらは足を広げている事はない。
「うふふふっ、興味は満たされた?」
可笑しそうに笑う成世 阿弥だが、内心はそれ程笑ってはいなかった。
左腕が痺れているからだ。
金剛仁王面は成世 阿弥の持つ仮面の中でもパワーと耐久性の高い仮面である。
それゆえ消費霊力が激しいのだが、その金剛仁王面を使った状態で受けた攻撃のダメージが本体に来ている。
これはタローの力の強さを物語っている。
勿論それを表情に出す事はなく、笑顔のまま言葉を続ける。
「まあ、冗談は置いておいて、私のスカートに気付くとは中々やるわね。」
心の中で霊波刀もね、と付け加えながら腰のボタンを外す。
ロングスカートに見えて実は巻きスカートだったのだ。
スカートの下にはしっかりレギンスをはいているから、公然猥褻になることはないのであしからず。
で、広げられたスカートの内側には掌大の仮面が十数個貼り付けられていた。
「異空間と繋がっている、なんて大技は使えないけどね。
こうやって仮面の縮尺を縮める事くらいはできるのよ。」
そこに金剛仁王面を当てると、見る間に仮面は縮小され張り付いていく。
にっこりとスカートをひらひらと見せる成世 阿弥。
呪術道具を如何に持ち運ぶかというのも、プロの技能の一つなのだ。
夜中に踊るマネキン
>>87 お題SSじゃないんだから単語だけ投下しても意味不明だぞ
せめてTPOをわきまえて文章にしろよ
>>87-88 突如として照明が消えたレディース・フロア。
冷たく硬質な何者かによって、後から羽交い絞めにされる。
――――高級そうな手触りの布が、肌を撫でる感触。
控えめにあしらわれたシックなフリルがフェミニンな柔らかさを演出していた。
「…って、退きやがれ!"セカンド・プレート"!!」
[護符の2]が祓い屋の靴底に刻印される。
襲撃して来たマネキンの足の甲を踏み抜く勢いで、強かに踵を叩きつけ――
「――"セブンス・ボーン"!!」
続いて[杖の7]を脛骨に刻印。回し蹴りでレジカウンターに吹き飛ばす。
「やれやれ……初心者と踊る時は、相手の踵に気をつけるんだな」
【おれにとっては両方の書き込みがありがたい】
【きっと二人とも気を遣ってくれたんだろうし】
【フレーズを拾う訓練にもなるからなっ!】
>成世さん
【"メリットを見込んでの先行投資"ってんなら、素直に納得できる】
【…了解だ。もう少し頭を上げて行く。それなら目線も自然と上向く】
【だけど、こっちの方で勝手に恩義を感じる分には構わないだろ?】
【成世さんの解説のおかげで、急速に理解が進んでる実感がある】
>正しいかどうかは別として、こういったことを考えるのもタローさんの肥やしになりますのでね。
【じゃー…まともな意見は言えないけど、個人的にダダをこねてみる。
『今後も此処を使用するかどうかに関わらず
"本スレ"が現時点で稼動していない以上は、
住人の書き込み先を分散させたくない』
…おれがチェックするのが面倒というのが、その主な理由である。以上っ!】
>>86 『うふふふっ、興味は満たされた?』
――――大宇宙の深淵を見た。
"深淵を覗く時、その者は深淵から覗かれている"そんなフレーズが浮かぶ。
無論、祓い屋はニーチェなど読んでいない。故に正確な意味など知らないが…
…おれは、こーゆーGSにだけは絶対にならんぞっ!――涙目で、そう誓った。
「……ああ。満たされ過ぎて…当分の間は…あんたが夢に出てきそうだ…」
さらっと自らの悪質な冗談を流すGS。この女…やり手だ。
説明を大人しく聞く。心的外傷で自失していたのもあるが――
――今の笑顔は、目がちっとも笑っていない気がしたからだ。
『異空間と繋がっている、なんて大技は使えないけどね。
こうやって仮面の縮尺を縮める事くらいはできるのよ』
遊びに来て行く服でも選ぶ様にスカートを手に取って…微笑。
その表情が今度は―――まるで少女のそれに見えて戸惑う。
この女は、一体いくつの"仮面"を持っているのだろうか?
吐き捨ててやりたかった悪態も……上手く出てこない。
「ミニスカの下にジャージ仕込んでる女子高生か…あんたは」
夕食の準備時に差し掛かった商店街には、主婦の群れが混じる。
奴ら全員、肉食動物の目をしていた。何事も少ない牌の取り合いだ…
…メシの種である能力を一方的に教えられるのは、フェアじゃない。
「……今度は、こっちがお返しする番ってわけだな。
流石に人目が気になる。どこか休憩できるトコに行こう」
ハンバーガーショップに足を向けかけて、喫茶店に進路変更。
今は、固形物……特に肉類を腹に入れる気分にはなれない。
仮面の女教皇の隣を通り過ぎる様にして、歩き出した。
「恥ずかしながら、こっちは知識も経験も不足しててな。
あんたを満足させてやれるかは分からないが…」
先程は迂闊な物言いのおかげで、からかい倒された。
その苦い経験が生きる。慌てて振り返って、もう一度。
「…あんたの知的探究心を充足可能か未知数だが!」
今度は夕日が逆行になって彼女の表情が読み取れない。
慌てる俺を眺めて、また、あの笑顔を浮かべているのだろうか。
物腰柔らかく――そのくせ頭が切れて――おまけに極度の世話好き。
まったく難儀な同業者に捕まっちまったもんだ。
だが―――不思議と悪い気はしなかった。
91 :
名無しになりきれ:2009/05/16(土) 14:01:35 0
横縞ってのに魔族因子があるとか
タマモって犬っぽいのが惚れてるとか
原作にはない嘘っぱちだ
と同人屋
92 :
名無しになりきれ:2009/05/16(土) 16:48:54 O
魔神戦争とか言う小説は一部ノンフィクションらしいぜ
依頼
学校の怪談「プールで消える生徒」の解決
犯人は巨大人面漁か?それとも西洋妖怪ケルピーか?
ジャンル: 冗談の通じるオカルトバトル
コンセプト: 勇者の影でスライムに苦戦するお城の兵士達の物語的な内容
漫画的描写有
期間(目安): 1ヶ月位
最低参加人数: GS役、NPC敵を操るGMの2人いれば成り立つので最低2人
導入部、スレ用>1テンプレ
キャラ用テンプレ&テンプレ記入例
【名前】
漫画ちっくな名前全然OK 科学最 高(かがくさい こう)とか
【年齢】
最低でも中学生以上である事
【体格】
完璧な肉体を求めすぎない事
【容姿(霊衣)】
戦闘時等にしてる格好を書いてください
ちなみに特攻服だの化学特捜隊の制服だの除霊からかけ離れたものでも全然OK
世の中にはボディコンやセーラー服で除霊を行う人もいます
【属性】
仏教系、キリスト教系、精霊魔術系、魔法、等々
【霊圧】
GS試験の第一試験がこれの測定なので、あんまり低すぎても駄目、高すぎるのは勿論駄目
単純な力のぶつかり合いをした時に発揮されるパワーであり、技量や身体能力には一切関係なし
【特殊能力】
煩悩を霊力に変えられる、時間移動能力、念動発火、などなど
【装備】
GS美神世界の詳しい道具の説明や解説はウィキペギアを読んでくださいまし
【趣味】
ここは何書いてもいいです。ソックスハンター上等
【備考】
キャラクターのバックボーンなど。
こういうのをやると必ず複数種族の混血いいとこ取りをする人がいるのであらかじめ注意。
強くて格好いいキャラではなく、欠点がいい所を消してる位のキャラを書きましょう!
サンプル
【名前】 科学最 高
【年齢】 20
【体格】 中肉中背
【容姿】 腰ミノをした半裸の男
【属性】 精霊魔術
【霊圧】 44
【特殊能力】各種精霊の声を聞く事で、危険を察知したり、周囲の状況を探る事ができる
【装備】
【趣味】海辺を意味も無く走る事
【備考】何を考えているのかさっぱりわからない男、常にやたらさわやかな微笑を浮かべ、自分の世界にどっぷり浸かった言動を行うため、他人に避けられている
各種精霊の力を借りてそこそこ強力な攻撃を繰り出す事ができるが、軽く走っただけですぐに息があがるなど、絶望的な程に体力が無い
GM:(あり/依頼を提出した方がGMをやってください)
決定リール:(あり、後手キャンセルあり)
○日ルール:(あり/3日)
版権・越境:(キャラの直接の登場はなし、台詞の中や、どう見てもそれにしか見えないよーな物が出るのはあり。後者はほどほどに)
(対艦超強力破邪札や見鬼君などのGS美神世界のオリジナル除霊具は直接の登場可。獣の槍や間流結界術等の他世界の版権除霊具や術は全て不可)
名無し参加:(あり・悪霊投下など)
敵役参加:(あり)
避難所の有無:(今の所なし)
お久しぶりでっす
えぇ
とりあえず、>59のテンプレを埋めてみましたが、こんな物でよろしいでせうか?
>牧街さん
はい、お待ちしておりました。
もうリアルの方は片付きましたか?
一ヶ月は安定して時間が確保できる段取りは済みましたか?
ならばはじめましょう。
というわけで練習はこれにて終了。
スレ稼働に向けて頑張りましょうね。
よろしいでせうか?なんて聞かないでくださいな。
文句のあるやつは一歩前に出ろ!位でOKデスヨー。
その代わり、参加希望者のキャラ承認や問題・質問があれば責任を持って対処しなければならないですけどね。
>94については特に問題は無いと思います。
避難所無という事は、このスレを本スレとして使用、かな?
シナリオについては>60を使用という事でしょうか?
他に問題がなければ何時開始かを決めましょう。
それまでに雑談所に宣伝を兼ねてテンプレやシナリオを投下。
そこでツッコミなどがあれば修正などもアリかと。
ただしスレ立て相談ではなくあくまで宣伝告知ですのでね、大幅な修正は必要ないと思います。
参加者が集まるといいですねい。
そして開始、となるかと。
私からはこのくらいで。
そういえば改めてキャラテンプレ投下したほうがよいですか?
>>96 シナリオは今回は>60で
次回からはまたその時に考えましょう
逃げ防止等については、島内での活躍を何らかの方法で監視され、その活躍「霊道封鎖」「強力な悪霊撃破」「悪霊大量撃破」等をしていれば合格と言う形が望ましいと思われます
どうやって監視されてるか等はシナリオを進めるGMの成世さんに任せますけれど、問題ありませぬよね?
えぇ
改めてテンプレ投下は別にしなくていいと思います
で、とりあえず雑談所の方にテンプレ等を投下してみようと思います、えぇ
そこで一度アドバイス等貰った後に、明確な開始日時決めようかなと
わぁいけね、間違った、↑俺です、すみません
で、開始日時未定とありましたが、誰も問題ないようだったら来週の土曜からスタートに
導入部は成世さんでお願いします
スーパーロボット大戦スレか フムフム
牧街さん、成世さん、お疲れ様っ!
ついさっき雑談所に行って挨拶して来たから、報告を。
…今夜は、それだけ。
お疲れ様です。
土曜日までいろいろあるでしょうけど、何事も経験と思って頑張ってくださいな。
では何もなければ土曜日スタートで。
まあ、何かあっても修正入れて土曜日スタートですけどね。
土曜日にスレテンプレ、シナリオ投下。
スタート時の参加者は個別プロローグとして、通知受け取りから出発までを投下してもらう。
導入レス投下して、島へ乗り込むところから開始、という流でいこうと思っています。
今回、上陸以降の話の流れは全く考えていません。
ですので、参加者の皆さんや名無しさんの投下でどんどん話を作っていってくださいな。
よろしくお願いします。
>>100 こんな私を評価していただき申し訳ない
ただ名無しの方が言ったように、頑張っているいないでは無く、問題は悪魔で問題であり、直さねばならない所なので(今回俺はその問題点を名無しの方からの指摘から見出せなかったために第二の問題を起こしたわけで)
また、如何なる結果も出せていない状況で、「頑張ってるんだから許してくれよ」ではむしが良すぎますし、そこで許されて甘んじるようでは、このスレも長くないでしょう
ですから、あの雑談所でこのスレの評価が散々な事になっても、それであなたは感情的になって行動してはいけません
頼り無いと存じますが、スレの全責任は私が持っているものであり、スレの評価が酷い=私の管理体制がなっていないので、それは私の問題であるからです
私の問題は、私自身の手で、解決していきます故に
>>101 では参加希望の方は、テンプレと共に参加までの個別プロローグを土曜までに提出するという事でよろしいですよね?
こちらこそよろしくお願いします
>牧街さん
土曜日スタートと決めたからにはタイムテーブルを守って土曜日までは準備・募集期間にしましょ。
@土曜日にスレテンプレ・シナリオ投下。
A各自個別プロローグ
B導入レス投下
の順を考えています。
>牧街さん
実際の所はどうなるかわからないけど、散々なコトにならないように精々祈るさ。
おれは、自分の居場所をコケにされて冷静で居られるほど人間が出来ちゃいない。
>成世さん
土曜日を迎える前に提出するのは厳禁って解釈で大丈夫だろーか。
それから、質問は雑談所の方で聞いた方がベターだったり…?
…それじゃ、またっ!
>>103 その方法が一番動かしやすいと感じるなら、成世さんはその方法をとるのがベストだと思います
では参加希望者の皆様は、キャラテンプレを土曜日までに作成して提出し
プロローグも各々考えておいてください
大勢の方のご参加、お待ちしております
>>104 それならば、感情的になる分の力を、以後は私に貸してください
ソレを糧にして、私は評価向上を図っていきます故に
>タローさん
先走ってなし崩し的にはじめるのは避けたいところですのでね。
タイムテーブルが出来上がっている以上それに従いましょ。
でないとあらゆる事でグダグダになります。
TRPスレは本スレと避難所の二つのスレで成り立つことが多いです。
本スレはストーリーをそして質問打ち合わせなどは避難所で、と分けられます。
避難所を作るまでもないときは総合避難所スレという共有避難所のスレがあります。
今回避難所は作らないという事ですので、このスレでやりましょ。
雑談所はそういったところとは少々趣が違いますのでね。
それと・・・
自分の居場所をコケにされて冷静でいられないのは結構。
でも、その前によく自分の居場所を見ましょ。
コケにされたのか、単なる事実指摘なのか。
事実指摘されただけなのにコケにされたと感じるのは滑稽なものです。
まずはコケにされて怒れるレベルの居場所を作る事が先決ですよ。
>牧街さん
あのですね、そういったブレ方をされるとついて行くほうとしては不安になります。
私の都合に合わせてという気遣いなのでしょうが、別の視点で見れば発言責任の放棄でしかありませんよ。
スタート時期の決定にしろ、何の決定にしろ、それなりの理由があって決定されたのだと思います。
それを覆すのならば、相応の理由を明示する必要があるかと。
別になんでもいいからやっちゃってよ、なんていう丸投げ感を出してはいけません。
土曜日スタートと決めたのならばちゃんとその方向でいきましょ。
何だか、ちょっと緊張してきちまったな。
深呼吸…深呼吸っと。みんなにもオススメだぜ?深呼吸。
>牧街さん
オーケーっ!もし、何かおれにでも手伝えそうなコトがあったら、
遠慮なく教えてくれよなっ!…役に立てるかはわからないけど、さ。
>成世さん
早速、答えてもらえてありがたい。了解だ。
雑談所に顔を出した時の印象では事実指摘や助言が多かったから、
おれとしては、今後もあんな感じなのかって楽観的に構えてるけど…
…成世さんの言う通り、ぐだぐだにならないように気をつけていきたい。
>>106 え?
俺が決めた土曜まで参加者を募集して、土曜に成世さんが>103の手順でシナリオをスタートさせるって話しですよね?
んで俺は始め方は>103の手順が成世さんが一番得意な始め方なら、その始め方で問題ないですよって言ったわけで…
すみません、自分が何をやらかしたのかわかりません
申し訳無い
>牧街さん
了解です。
まあ、この系統の話は教えてOKというものではありませんのでね。
牧街さん自身で気付かないと意味がないのです。
とはいえ、一朝一夕考えてどうこうなるものでもなし。
今はわからないままで十分です。
これから先「ああ、あの時の事はそういう事か」と雑談所の件も含めて気付く日が来ると思います。
牧街さんがTRPを続けていき、成長した時に、ね。
という事で、今回の問題はこれでひとまずおいときましょ。
納得がいかないかもしれないですけどね。
今は土曜日に向けて準備準備。
そして土曜日からはスレを思いっきり楽しみましょう!
>>109 やっぱ言い回しが悪いとかその辺りなのでしょうか…
今回の件は心にとめておきます
理解が悪く申し訳ありません
では、頭を切り替えて
後二日ー!イエーイ!
皆さん頑張って(と言うか俺が一番頑張らなきゃならないのだけれども)いい試合(何!?)にしましょうぜ!
勝つ事が全てじゃないんです!全力を出せるかどうかが大事なんです!
打倒山王!エイエイオー!
千夜万夜にある他のスレの避難所ログ読んでみれ
開始までの2日間、今のおまいらに必要なのは過去から何かを学ぶこと
キーワードは
ソードワールドなら紅牙
チェイサーズなら鉄甲
黒刃なら阿久津
さすがに紅牙と同列扱いは鉄甲や阿久津が可愛そうだ
牧街は紅牙レベルだけどな
同人と魔神戦争は読んでないけど、避難所ログには目を通した。
原作の方も、何とか土曜日までには全巻チェックしたい。
…ってことで、打倒山王!三流ファイトっ!!
横島ってのが韋駄天八兵衛と合体して八兵衛の仏因子を取り込んだ
という同人を書いている一般人A
新ジャンル仏化横島
さあ、いよいよ明日スタートです。
準備はよろしいですか?
リアル事情は落ち着いていますか?
存分に楽しみましょう。
>114>115
単行本しか読んだことがなかったりして。
スレの世界観に合えばなんでも有。
GSの間口は広いですからねえ、仏との融合でも幽霊でも妖怪でもロボでも収容できます。
参加お待ちしておりますよー。
###############################
それでは 物語を 始めましょう
###############################
ジャンル: 冗談の通じるオカルトバトル
コンセプト: 勇者の影でスライムに苦戦するお城の兵士達の物語的な内容
漫画的描写有
期間(目安): 1ヶ月位
最低参加人数: GS役、NPC敵を操るGMの2人いれば成り立つので最低2人
導入部、スレ用>1テンプレ
キャラ用テンプレ&テンプレ記入例
【名前】
漫画ちっくな名前全然OK 科学最 高(かがくさい こう)とか
【年齢】
最低でも中学生以上である事
【体格】
完璧な肉体を求めすぎない事
【容姿(霊衣)】
戦闘時等にしてる格好を書いてください
ちなみに特攻服だの化学特捜隊の制服だの除霊からかけ離れたものでも全然OK
世の中にはボディコンやセーラー服で除霊を行う人もいます
【属性】
仏教系、キリスト教系、精霊魔術系、魔法、等々
【霊圧】
GS試験の第一試験がこれの測定なので、あんまり低すぎても駄目、高すぎるのは勿論駄目
単純な力のぶつかり合いをした時に発揮されるパワーであり、技量や身体能力には一切関係なし
【特殊能力】
煩悩を霊力に変えられる、時間移動能力、念動発火、などなど
【装備】
GS美神世界の詳しい道具の説明や解説はウィキペギアを読んでくださいまし
【趣味】
ここは何書いてもいいです。ソックスハンター上等
【備考】
キャラクターのバックボーンなど。
こういうのをやると必ず複数種族の混血いいとこ取りをする人がいるのであらかじめ注意。
強くて格好いいキャラではなく、欠点がいい所を消してる位のキャラを書きましょう!
サンプル
【名前】 科学最 高
【年齢】 20
【体格】 中肉中背
【容姿】 腰ミノをした半裸の男
【属性】 精霊魔術
【霊圧】 44
【特殊能力】各種精霊の声を聞く事で、危険を察知したり、周囲の状況を探る事ができる
【装備】
【趣味】海辺を意味も無く走る事
【備考】何を考えているのかさっぱりわからない男、常にやたらさわやかな微笑を浮かべ、自分の世界にどっぷり浸かった言動を行うため、他人に避けられている
各種精霊の力を借りてそこそこ強力な攻撃を繰り出す事ができるが、軽く走っただけですぐに息があがるなど、絶望的な程に体力が無い
GM:(あり/依頼を提出した方がGMをやってください)
決定リール:(あり、後手キャンセルあり)
○日ルール:(あり/3日)
版権・越境:(キャラの直接の登場はなし、台詞の中や、どう見てもそれにしか見えないよーな物が出るのはあり。後者はほどほどに)
(対艦超強力破邪札や見鬼君などのGS美神世界のオリジナル除霊具は直接の登場可。獣の槍や間流結界術等の他世界の版権除霊具や術は全て不可)
名無し参加:(あり・悪霊投下など)
敵役参加:(あり)
避難所の有無:(今の所なし)
オカルトが確かに存在する現象であり、認知されている世界。
人間社会には人外が潜んでいたり、幽霊や魔族、神族も存在しています。
そしてそれらに対しうる特殊な人間もいる!
そう、この世界には神・悪魔・悪霊・妖怪・カラクリ・モンスター・人間が渾然となって暮らしているのです。
除霊を行う霊能者はゴーストスイーパーと呼ばれ、国家資格制度を設けて管理されています。
怨霊を退け、神と悪魔の戦いに首を突っ込む華麗なるゴーストスイーパーたち!
とは無縁な、三流のゴーストスイーパーたちの物語。
時は二十一世紀!
100年に一度の不況がもうやってきて、世界中が青色吐息。
景気に関わらず悪霊やオカルトでのトラブルは発生し続けるが、それに対応するのは景気に連動してしまう。
空前の不況により腕も報酬も一流のGSは敬遠され、リーズナブルな三流GSが頼られるようになっていた。
しかし、所詮は三流どころ
腕のほうもそれなりなので失敗も多かったりする。
この事態を重く見たのはGS協会だった。
報酬をケチって三流どころを使うのがそもそもの原因だが、世間的にはGSの除霊率が下がっていることになる。
そこでGS協会は大鉈を振るうことにしたのだ。
即ち、三流GSの大量リストラ!
実績も霊力も低い三流どころのGSの免許更新制度を設け、能力の足りないGSの免許を剥奪しようというのだ。
また新たにGSになるという志望者も、今まで以上にハードルの高い試験を設けることにした。
ここに免許更新および新GS試験合同除霊合戦が始まる!
舞台は東京から南へ120キロの孤島。
霊道があるらしく、悪霊が大量発生し、そしてまた悪霊を引き寄せる。
悪霊島となり島は無人。
更にこの島から東京へ悪霊が進出している事が発覚したのだ。
三流どころのGSや新GS希望者をこの島に送り込み、バトルサバイバルにて淘汰を図る!
吸引符、その他各種一般除霊道具は支給されるが、馴染んだものを持ち込むことも可能。
リタイアすれば即失格!免許剥奪!
しかし、24時間生き残り規定以上の除霊ができれば助成金として一人一億円協会から与えられる。
協力・妨害・出し抜きなんでもありのサバイバルが今始まる!
朝日が差し込み、部屋に色彩が戻ってくる。
1DKの六畳間の真ん中には小さな机とその上に光を宿すノートパソコンが一つ。
それ以外には何もなく、生活感の欠片すら転がっていなかった。
その部屋の主は机の上の簡易チェアーに座っていた。
朝日と共に音もなく立ち上がり、壁に向かうの一人の女性。
霊能者であり、GSの成世 阿弥。
向かい合う壁一面には大小さまざまな仮面がかけられている。
「・・・金剛仁王面。迦楼羅面。バロン。大蛇・・・」
確認するように呟きながら、壁にかけられた仮面を選んでいく。
手に取った仮面を布に翳すと、仮面は掌大に縮小されて張り付いていく。
この布の内側は空間が歪められており、仮面の縮尺を変えて持ち運びやすくできるという霊衣なのだ。
次々と仮面を貼り付け、ひと段落すると成世 阿弥はおもむろにその布を腰に巻きつけた。
こうしてみるとロングスカートをはいているようにしか見えない。
仮面を媒体にして能力行使をする成世 阿弥はこれで準備は完了なのだ。
もう一度部屋の中央へ戻り、ノートパソコンに目をやる。
画面にはGS免許更新およびGS資格試験の通知が映っている。
「・・・悪霊島・・・霊道・・・全く、協会もいいこと考えてくれるわよねえ。」
小さく微笑みながらノートパソコンを閉じると成世 阿弥は背を向ける。
それから振り返る事無く部屋を出て、戦いの場へと赴くのだ。
否、成世 阿弥の後頭部に付けられた三面相が、去り行く部屋を見ていた。
まずは一旦の集合場所である東京GS協会事務所へ向けて。
部屋に戻ると、ぼふっ!と、シーツの上に倒れ込んだ。
備え付けの安いパイプベッドは、それだけで軋みを上げる。
仰向けになり、天井の蛍光灯に向かって掲げた一枚のカード。
その薄い紙片は、ブランク・タロットなどでは無く―――成績票だ。
「やれやれ…。今回は、こんなトコか。思ってたよりは悪くない」
先程、返却されて来た中間考査の結果は、やや成績の低下が見られた。
情けない話だったが、赤点を取ってしまった教科さえも幾つか存在する。
赤点の中でも特に、英語、数学、物理、古文、世界史は絶望的だった。
「……いや。今月は、除霊のバイトが立て込んでたしなっ!?」
現実から目を逸らそうと、ささっ!と成績票から外した視線の先では、
コーヒーの空き缶やら吸殻満載の灰皿で雑然としたテーブルがお出迎え。
「世の中、どっちを見てもロクなもんじゃねーな……」
この半年で、すっかりカーテンに煙草が染み付いた学園寮207号室。
部屋主は、床に横倒しになっている酒瓶と同様、ごろりとベッドで転がった。
目蓋を下ろすと、放課後に生活指導室へ呼び出された記憶が浮かび上がる。
若い担任教師は問うた。
『……で、どうなの?キミ、きちんと自分の将来のコト考えてるの?』
俺は真摯に答えた。
「…まぁ一応は。先生のよーな美人の嫁さん手に入れて退廃的な生活を――」
『――全然きちんと考えてないじゃないのよっ!?』
…
……
――――ゴーストスイーパー。
高額な報酬と引き換えに、様々な心霊現象に対抗する現代のエクソシスト。
祓い屋として生きて行く将来像を、夢想したことが無かった訳じゃない。
特殊な職能が必要な業界であり、自分には……その才能があった。
「……締め切り、確か明日だったよな」
GS協会から届いていた通知の内容を思い出す。
試験が開催されるという悪霊島にはあるのだろうか…?
…このモヤモヤした気持ちを晴らしてくれる、何かが。
「決めたっ!こーなりゃ、なってやるぜ……プロのGSにっ!」
完全にギター小僧がギタリストを目指すノリで免許取得を決意した。
だが、完全に考え無しの判断でもなかった。祓い屋にとっては少なくとも――
――後日に実施される中間考査の追試よりは、賭けるに値する勝負だった。
「はぁーー………」
本日何度目かの重い重いため息が、牧街モリオの口から吐き出された
ゴミの詰まったコンビニ袋が部屋の隅に並び、漫画雑誌や週刊誌が散らばった四畳半
部屋の中央に年中敷かれている布団の上に座る彼の眼前には、ボストンバックが二つと、神通杖、その横にGS協会から送られてきた通知と、それを入れてきた真っ赤な封筒が置かれている
この通知は本来ならEメールで送られてくるはずなのだが、この21世紀になってパーソナルコンピューターを所持していない牧街の元には、封筒で送られてきていた
内容は言わずともかな、免許更新についての物である
彼はその除霊成功率の低さから、見事、今回の免許更新の対象に選抜され
徴兵令じ…もとい協会からの書類に基づき、本日これから死霊怨霊悪霊云々たむろする絶海の孤島へと向かう事になっているのだ
「はぁー………」
しかし、彼は一向に動き出す様子は無い
再びため息をつくと、何とおもむろにその場にごろりと寝そべった
彼は動く気にはなれなかった
動かなくてはならないと、彼は思っている
だが、動きたくなかった
GS資格は彼にとって人生の全てをかけて勝ち取った勲章の様なものであり、汚点だらけの彼の人生における、雄一の光点ともいれるものだ
しかし、今冗談ではなくそのために命を張らねばならない状態になっている
今回の試験は、いつものように半分冗談で挑めば軽く死亡するレベルの物だと、牧街は認識していた
そーじゃなくっても少なくとも骨がバキーとか、目玉がブシューとかなってもう大変な事になるに違いないと彼は確信している
「………やっぱ行くのやめようかね…」
試験の内容を再考して、冷や汗が垂れてきた牧街は、今更ながら試験前逃亡と言う手段を考え出す
誇りも何も全て命あってのものだねである
そうだ、まだ他にも道があるのだ!
そう言って、彼がさわやかに最初のレスで脱落を決定しようとした時
「ある人物」と実家のみがその番号を知る彼の自宅の電話が鳴り響いた
数分後、恐怖に青ざめた表情で、牧街は東京のGS協会事務所目指して車を飛ばしていた
ある人物、すなわち師、曰く、「逃げたら殺す」「落ちても殺す」
ゴーストスイーパー牧街モリオの退路無き戦いの幕が、今、ゆっくりと開いていく
東京GS協会事務所へ集まった免許更新者、GS資格希望者は5隻の船に分乗して東京湾を出ていた。
そして辿り着いたのは南へ120キロの孤島。
通称悪霊島。
島から100mの沖合いで船は止まっている。
「はい、皆さんお疲れ様でした。
あちらに見えますのが今回のGS資格試験および免許更新試験の会場となります島です。」
船はそれぞれ5箇所、同じように100Mの沖合いに分かれて止まっている。
試験管は事務的に説明しているが、船に載っている受験者達は既に感じているだろう。
これだけ離れていても島から溢れ出る霊気がプレッシャーとして肌で感じる。
悪霊島と呼ばれるのは伊達ではない、と。
「ここから先は各自で上陸してもらいます。
泳いでいっても結構ですし、上陸用のゴムボートもお貸しします。
期間は24時間。
それまで生き残り、なおかつ規定数の除霊をされた方が免許更新およびGS資格取得となります。
規定数がどれだけかは発表しません。
また、霊道の封鎖や大物の除霊された方はそれで合格とします。
規定数が不安な方はそちらを狙っていただいても結構です。
以上。では健闘を祈ります。」
事務員はそれだけ言うと、受験者達に下船を促す。
質問に取り合ってくれる様子もない。
今停泊している場所、即ち沖合い100mは安全地帯なのだろう。
しかし、ここから更に島に近づけばどうなるか判ったものではない。
戸惑う参加者を見てか、最後にこう付け加える。
「出航した時に見たとおり、5隻できています。
他四隻はそれぞれのポイントで同様に説明をし、既に試験を開始しております。
早い者勝ちですので、急いだほうがいいですよ。」
と。
まるで他人事のように言うが、実際急いだほうが言いというのはその通りだろう。
他のポイントからの上陸した受験者が弱い悪霊を狩りつくしたり、霊道封鎖などされては規定数の除礼すら不可能になるかもしれないのだから。
######################################
はい、導入部終了でございます。
この後上陸、島内での活動になります。
ここから先何が起こるのか、島の内部がどうなっているのか、どんな敵や状況が待ち受けているか。
それらは私を含め、参加者の皆さんや名無しさんの投下によって決まります。
微に細にと整合性を考えるより、ノリと勢いを重視していっちゃいましょ。
途中参加の方は同じ船に乗っていた、違う船から上陸していた、島で待ち構えていたなどなど。
どこから入っても構いません。
基本的に難しい話を作っていく必要もなく、キャラクターを活躍させれば良いだけですので、気軽に参加してくださいな。
それでは、存分に楽しみましょう。
ところがどっこい5隻の内1隻はセイレーンに沈められていた
残り参加者256名
>>123 職員の言葉が終わるや否や、我先にと珍妙な格好の輩達が次々と海へと飛び込み、ボートを展開して漕ぎ出していく
「ア…アワワ……」
その慌しい中にあって、牧街は何の行動もとらず、ボサーっと突っ立っている
理由は単純、足がすくんで動けないのだ
恐るべき師匠によって半強制的に送り出され、自身の生命のためにここまで来たものの
いざ悪霊島を目の前にして、堪えていた恐怖があふれ出しためである
そうこうしている内に島のあちこちで爆発音がとどろき始め、海岸でいくつ物閃光がほとばしった
恐らく、先行したGS達が島の悪霊達と交戦を開始したのだろう
海岸からは次々と不気味な悪霊達の雄たけびと、GS達の怒声や悲鳴が聞こえてくる
「は…早く行かなければ」
それらの喧騒を見て、流石に焦ってきたのか、牧街も何とか行動を開始し、ゴムボートを探したが、既に船上にあったものは全て無くなっていた
「あの…他にボートは…」
無駄と知りつつ職員のねーちゃんに尋ねてみたが、「ありませんよー」とかわいらしい声で応えられてしまう
もたもたしてる内に全部他の連中に持っていかれたという事は、言わなくても賢明な読者の皆様はわかってくださるはずだ
最良の上陸手段を失った牧街は、やむなく泳ぐ事を考えるが
海岸までは100m、牧街の水泳の最高遠泳記録は225mだが、装備を持ってのものではなかったし
100mを泳ぎきった後に、疲れた体で浜辺の悪霊の攻撃を受ければ、苦戦は必死である
(…他の連中が浜辺の敵を潰してから行こう)
やむなく浜辺の戦闘が静まってからの上陸と言う道を選んだ牧街は、時間を潰すため先ほどのねーちゃんに開始当初から少し疑問に思っていた事を尋ねて見る事にした
「どうやって、受験者の採点を行っているか、ですか?」
何で今そんな事を聞くのだろうかとキョトンとするねーちゃんに頷いてみせる牧街
ねーちゃんは多少呆れを含んだ様子で、牧街の手につけられた黒い半球がついたバンドを目で指し示す
「事務所の方で申し上げましたとおり、事前に配布されたその眼通(ガンツウ)君にて参加者の行動をチェックし、採点を行っております」
事務的なねーちゃんの言葉に、しかし牧街は関心したようにへーと腕の眼通君を一瞥すると、バっとねーちゃんの顔を正面から見据え、勢いよく語りだした
「ちなみにどーやってこれでチェックしてんすか?」
「企業秘密です」
「NASAの技術?」
「ですから企業秘密です」
「裏技とかどーすんですか?」
「ありません…」
「何かこう、抜け道とか無いんですか?」
「っ……」
「教えてください!ここだけの話しって事で!」
ねーちゃんは額に青筋を浮かべながらびっと浜辺を指差す
「も…もう他の方々は奥へ行っておりますよ、早く行った方がよろしいのでは?」
言われて浜辺を見れば、既に戦闘光らしい光は無くなり、叫び声や雄たけびも遠のいている
「おーっ」
当初の目的を忘れ、ねーちゃんから抜け道を聞き出す事に没頭していた牧街はその事に気づくと、ねーちゃんにぺこりと頭を下げ、海へと飛び込んでいった
後に残ったねーちゃんが、安堵とも呆れともつかないため息をついたのは、別の話し
一方その頃…。祓い屋は海に放り出されていた。【
>>124】
「ち、地中海の妖魔が、どーして日本近海に……?
―――おい、聞こえてるか試験本部!応答しやがれっ!!」
視界に入るのは、周囲の混乱。散乱する小型ボートの残骸。
大型船舶は何とか持ち堪えているが、撃沈は時間の問題だった。
つい先程、支給されたばかりの『眼通君』に向かって怒鳴りつける。
「あ…ありのまま、今、起こった事を話すぜっ!
"おれは試験会場に向かう船に乗っていたと思ったら、いつの間にか沈んでいた"
な…何を言ってるのか、わからんと思うが、
おれも何をされたのかわからなかった…
頭がどうにかなりそうだった…
精神感応だとか韋駄天の超加速だとか、
そんなチャチなもんじゃ断じてねえ。
もっと恐ろしいモノの片鱗を味わったぜ…!」
試験本部からの応答は、無い。現実は非情であった。
こいつは通信機器では無く、単なる観測器具なのだろうか。
もしや、これも予め織り込み済みの試験内容の一環なのか?
革ジャケットを脱いで空気を孕ませ、即席の浮き代わりにする。
しばし脱力して波間を漂う祓い屋……青い空が、今は目にしみた。
"幸運を引き寄せるのも霊能力の一つ"
誰かが以前、そんなコトを言っていたのを思い出す。
今、ここで"運命を切り開く力"が試されているのだとしたら?
ならば―――必ず来るはずだ。
…いや、すでにそれは直ぐ側まで訪れていた。
海魔の魔力に耐え切れずに撃沈する大型船舶。
とどめとばかりに、襲いかかるのは―――高波だ。
「……!!今しかねえっ…!"セカンド・プレート"!!」
[護符の2]のカードが纏った霊力が拡大して、サーフボードを形成した。
身体能力ならば死角は無い。霊力の繊細なコントロールに集中する。
勝負は一瞬。タイミングを合わせ――――"運命の波"を捉えた。
「ヒャッホウ!!―――Cowabunga!!(ゴキゲンだぜ!!)」
――――"ブランド・オブ・アルカナ"タロー……サーフボードにて上陸完了。
>123
説明が終わり、一斉に島に向かってゴムボートを漕ぎ出す有象無象を成世 阿弥は一人甲板で見送っていた。
現在時刻は13時。
日は高く、霊も活発ではないにしろ、このまま船を漕ぎ出すことは危険だと判断していたのだ。
その予感は当たり、海から沸いて出た舟幽霊達にゴムボートが何隻か沈められていた。
24時間という長丁場であって、船の上で霊とやりあう消耗戦を避けられたことに安堵の息を漏らす。
「ふう、でも、このポイントは駄目ね。」
溺れる者、海中で戦う者、舟幽霊の弾幕を突破し上陸する者。
様々だが、成世 阿弥の目的にかなうものは見当たらなかった。
だから、このポイントからの上陸を早々に諦めた。
「迦楼羅面装着!」
スカートから取り出した鳥の仮面を被ると、成世 阿弥の両手は翼に変り、足も鋭い鍵爪を持つ鳥類のそれとなる。
そうしておもむろに翼を広げると身体は宙に浮き、島の外周に沿うように飛び立って行った。
そう、成世 阿弥にはこの試験に当たり、独力で目的を達成できるとは思っていない。
長丁場であり、霊道のため無限とも思える低級霊を一人で相手などしていられないのだ。
協力者を探さなければ。
単純に腕がたてば良いというものではない。
というより、新人を除けばこの試験に呼ばれた時点で力の程は誰も彼も大差はない。
ならば下手に腕が立って裏をかかれそうなものよりも、腕はそこそこでも扱い易い者が適任なのだ。
その条件に合うものが、まもなく怪鳥と化した成世 阿弥の視界に捉えられることになる。
>125
成世 阿弥の乗ってきた船から左隣の船。
こちらのは海上戦は少なかったのか、既に海上に人影はいない。
一人を除いては。
バシャバシャと一人泳いでいる牧街の姿を見て、思わず笑みが零れた。
それは正に猛禽類が水中の得物を掻っ攫うが如く、海面に接するのは一瞬。
急上昇した時には両足でがっしりと牧街の両腕を掴みぶら下げていた。
「はーい、牧街君。相変わらず要領悪いわね。
海を100mも泳いでちゃ体力使い果たしちゃうわよ。感謝しなさい。」
牧街と成世 阿弥は動機のGS。
姿形は違えど、成世 阿弥の能力を知っているし、その声でわかっただろう。
岸に向かい飛びながら共闘するように言葉を付け加えるのであった。
海面をばしゃばしゃと泳いでいく牧街だったが、バタ足は30mしか体力がもたず
仕方なく泳ぎ方を消耗の少ない平泳ぎに変更し、何とかかんとかゆっくりと海岸目指して進んでいた
幸いな事に船幽霊の類による襲撃も無く、順調に浜へと進んでいたのだが
不意に何か大きな鳥の羽音のような物が聞こえたかと思うと
ぶわっと何かに肩を掴まれ、海面から体を持ち上げられて、上空へと運ばれた
それに対し、牧街はかなり動揺し驚いたものの、特に抵抗する事も無く持ち上げる者に身を任せる
もし敵意のある者なら持ち上げるなどと言うまどろっこしい事はせずに頭を狙ってくるはずだし、今自分を持ち上げている爪にも、肉を裂くまいという配慮を感じられた
さてではこの怪鳥さんは何者でしょうと言う所で、上から答えが返ってくる
>>127 >「はーい、牧街君。相変わらず要領悪いわね。
>海を100mも泳いでちゃ体力使い果たしちゃうわよ。感謝しなさい。」
「おー、その声と口調は成世じゃーないか。そっちからやってきておいて金をせびるとはこれ如何に、うん、えぇ」
まさしくこれから食われる獲物のような体勢で成世に輸送されている牧街は、どうやら成世が小遣い稼ぎかかしを作って後で自分を盾にしようとしてるのかのどちらかと思ったらしく
落されたくないので冗談めかしながらもお礼の言葉以外の感謝を行わない事を述べるが、すぐにそれは否定され、彼女から共闘を呼びかけられた
実はどーやって試験に受かろうかなどと特に考えていなかった牧街は、彼女と組んだ時をしばらく脳内でシュミレートすると
おもむろに
「ん、いーよ」
と彼女の提案を呑んだ
多分成世の事なのでいざとなったら即座に自分を生きた盾として活用し、余剰が出ないようなら手柄を独り占めするだろうが
ではメリットが何も無いかというと、少なくともこの女は、自分よりか危機管理能力や状況判断に優れているのだから
先ほど言ったような状況にならないように気を配れば、力になるはずであり
少なくともお馬鹿な自分一人で行くよりは、適切な判断を下せるリーダーと行った方が合格率は高いというはず
と言う結論に至っての解答である
と、そこまで考えて、牧街はある疑問がわいてきて
牧街は顔を上げて成世を下から見つめると、彼女に対してぽつりと質問した
「なぁ…、言うちゃ何だか成世結構腕立つのに、何でこんなとこ来させられたんだ?」
>>126 全世界ヌーディストビーチ化の為に死ねい!
巨大すっぽんが丸裸であらわれた!
口から吐き出された水は高圧力の為、岩をも砕く威力
その上、胃酸も交じっているから溶けちゃうぞ!
「こいつは一体、何だってん……だあぁっ!?」
咄嗟に重心を真後に掛ける。垂直に立てたボードの裏で攻撃を受け凌いだ。
未だ持続時間が残っていた筈の[護符の2]は、その霊力を霧散させていく。
――――それは、上陸直前のことだった。
『全世界ヌーディストビーチ化の為に死ねい!』【
>>129】
「おい、兄弟…。野郎を脱がせたって面白くも何ともねーだろーがっ!
どーせ狙うんだったら、普段ガードの固い女性スイーパーあたりをだな―――」
不意に刺す様な痛みを感じて、身体を確認する……全く凌ぎ切れて居ない。
高圧・強酸性の螺旋は、革ジャケットを貫通して祓い屋の脇腹を抉っていた。
「―――前言撤回だ、クソ野郎……!!」
祓い屋の中で、押してはいけないスイッチがオンになった。
「…シルクの如き繊細な肌!健康的な小麦色の肌!海水を弾く瑞々しい肌!
水着の露出度が上がって、以前の日焼け痕が恥ずかしげに自己主張する肌!!
それが傷モノになるのは、許されざる損失なんだ!それを…貴様は……貴様はっ!!」
心なしか息が荒い気がするのは、精神的興奮が原因などでは無く、
あくまでも、肉体的損傷に起因する諸生理反応の影響であると言えた。
そうでなければ、ひとえに絶海の孤島という特殊な環境の嫡出子である。
「……うおおおおっ!!
"ブランド・オブ・アルカナ×ナイト・オブ・ソード(剣の騎士)"!!
――"フォース・エッジ"!
――"サード・マインゴーシュ"!」
右手の[剣の4]、左手の[剣の3]……総合霊圧49マイト。
現段階における安定出力ギリギリの霊波刀大小拵え二刀流。
「そこを動くなよ…?甲羅ごと切り刻んで、鼈ナベにしてやる……」
……じゅるり。
研ぎ澄まされた除霊師の嗅覚と日本人の味覚は、
目の前の妖怪を、絶好の獲物であると認識していた。
>128
>「なぁ…、言うちゃ何だか成世結構腕立つのに、何でこんなとこ来させられたんだ?」
「いや〜一年位前に除霊で失敗しちゃって。
冥霊山で保護されて養生してたのよ、半年くらい。」
飛びながら牧街の質問に答えていく。
冥霊山とは妙神山と並ぶ異界との接点。
魔界の出張所とでも言われる霊格の高い山である。
除霊に失敗し、冥霊山に保護されていた半年間が、GS協会の査定期間だったのだ。
即ち、成世 阿弥の査定結果は除霊実績−1のみとなる。
能力的にも媒体たる仮面に依存しているので霊圧も高くない。
これが成世 阿弥の実績薄弱に拍車をかけることとなるのだ。
成世 阿弥が仮面を得る方法は二つ。
一つは対象の能力を奪う【顔剥ぎ】といわれるもの。
交渉によっても成り立つ場合もあるが、強力な力を得ようと思えば強力な相手を倒す必要がある。
もう一つは【霊力のある仮面】を手に入れる。
それは文化財であったり、秘宝と呼ばれるものであったりするので手に入れるのに金も時間も要する。
このため、世界各地を飛び回り交渉しているので、必然的に仕事量も減っていくのだ。
であるから、査定期間前の実績も恐ろしく少ないものとなっている。
以上の理由から、それなりに戦闘力を有しているにも拘らず、この更新試験を受ける羽目になったのだ。
「こちらのポイントは危険ね。
仲間ももう少し増やしたいことだし、別のポイントまで飛ぶわよ。」
牧街の質問に答えた後、奥地へ行かずに海岸沿いを飛んでいく。
このポイントに不自然さを感じていたからだ。
海上船の形跡がなく、既に大半のGSたちは島内部へと進行している。
成瀬の上陸ポイントには舟幽霊が大量にいたにも拘らず、だ。
まるで引き入れられているかのように。
この状況と成世 阿弥の霊感が告げていた。
【ここには強力な罠がある】と。
>129>130
そう判断し、島の外周を飛んでいると、やがて次の上陸ポイントに到達した。
海岸ではすっぽんの化け物と対峙する一人の男。
「丁度よさそうね。牧街君、彼を助けてあげてね!
大丈夫、すっぽんの甲羅って柔らかいらしいから!じゃ!」
高速ですっぽんの化け物の背後につけると、そのまま牧街を掴んでいた足を離した。
というより、鍵爪が消えそのまま空中に放置したのだった。
迦楼羅面の継続時間が切れ変身が解けてしまったからだ。
人間の身体に戻った成世 阿弥が着地したのはまだ戦闘域には達していない。
しかし慣性で飛んでゆく牧街は・・・
自分は安全地帯で牧街を戦闘地帯に叩き込んでにこやかに手を振るのであった。
>>131 >「いや〜一年位前に除霊で失敗しちゃって。
>冥霊山で保護されて養生してたのよ、半年くらい。」
……それなりに強敵が現れたんだな、と牧街は思った
能力や怪力に依存していたり、一回対処法を知ってしまえば怖くないような相手に、成世はまず負けたりはしない
成世が負けるとすれば、能力に偏りが無く、真っ向勝負を必要とする敵か、でなければこちらの弱点を探ってくる知的な敵か…
とにかく頭がいいか、場数を踏んでいる奴だ
そう、牧街は思った
成世の場合負けた後が無防備になったり、一回対処方法に間違いが出ると次手を打つのに時間がかかったりし、結果悪霊の猛攻を受けやすいというものがある
比べ、牧街の戦い方は偏りが無く、また汎用性が高いために様々な面に(本人の頭の切り替えはおいといて)融通が利く
最も、牧街の場合は事前の調べも無く特殊な条件を満たさないと倒せない奴に突っ込んでったり、基本戦闘能力も群を抜いて高いかと言われるとそうでもないので
場数を踏んでいけば汎用性の面を解決できる点、将来性で成世に負けている
などと考えてると
成世は早速牧街が見破れなかった罠を見破り、別の上陸ポイントへと移動し始める
…そういえば、奥から聞こえる戦闘音が小さく、少なくなっていた
もしあのまま進んでいたら、どエライ事になっていただろう
成世について行った事を喜んでいた、矢先……
「でかくって飛び道具を持っているのは無理だぁあああああああああああああああああああああああああ」
絶叫と共に、すっぽんの後ろに牧街は叩きつけられた
幸い、足からだったので特にダメージは無かったが、牧街の雄たけびに、すっぽんが気づいていないはずはない
ちなみに、すっぽんとの距離は奴の水が届いて牧街の武器が届かない上、逃げるのには近すぎるし突っ込むにしても一気に行くにはちと遠い、絶妙な配置である
「ア…アワワ…ワ…」
成世何か信じた俺がヴァカだった、いや、自分が他人に利用されやすいって知ってるのに他人を信じたのが…
半分涙目でそう思いながら、仕方無く牧街は装備を置く事ができないためにボストンバックふたつ両手にぶら下げたまま神通杖を構える、が
すぐに勝ち目が無い事を悟ると、びしっと成世のいる安全地帯を指差し、必死に叫び始めた
「ちゃうんだ!俺はちゃうんだぞ!あいつがやれって言ったから来ただけで俺の意思じゃないんや!わかるな!俺ちゃうんやぞ!」
プロのGSがビビッていきなり仲間のせいにする
それはそれは醜く滑稽であほらしい光景だった
>>130 じゅるり?
鍋にする?
こ、このぶよぶよして気持ち悪い俺に欲情してくれるのか?
このすっぽん、夏の浜辺に散っていったモテないピザの怨念が妖怪化したものだったのだ
誰からも相手されず、それどころかさげずまれてきた
できることといえばもはや犯罪行為に等しい目の保養だけ
その怨念が世界ヌーディストビーチ化などと口走らせていたのだった
そんな奴がある意味欲情の目で見られたのだ
こうなったらもう、相手が男だろうが食欲だろうが関係ない
「は、はじめてなの。やさしくしてね。」
と思わず三つ指ついちゃったときにそれは現われた
>>132 背後から響く絶叫に気付きはした
が、やはりそこは亀。
向き直るより長い首を後ろに向けて後方確認
長い首とは裏腹に手足は短く、突っ込んでくる牧街を防ぐことはできず飛び蹴をまともに食らうことになる
「キサマー、よくも俺たちの逢瀬を!」
ビキビキと血管浮き上がらせるすっぽん
初めてのロマンスを邪魔されたのだから当然だ
怒りのすっぽんには今更何を言っても耳には入らない
しかし目には入る
牧街の指差しジェスチャーに目をやると成世が笑顔で手を振っている
それを見たすっぽんのこめかみの血管がブチキレた
「ほっほー!えーのぉ!えーのぉ!
女連れって自慢したいわけか!
……ぶち殺す!
貴様だけは俺の全妖力使って粉々にして殺す!」
血の涙を流しながらすっぽんの妖力が跳ね上がり、喉が膨らんでいく
言葉どおりの全力の一撃を蓄めているのだ
推定霊圧150マイト!
当たれば即死は確実だ!
すっかり忘れられているタローからは喉に妖力が集中しているのがわかるだろう
逆にいえばその外は完全無防備
とくに牧街の着けた二ヶ所の足形の凹みは防御力がマイナスになっている
すっぽんが全力の一撃を吐き出す五秒前
ごめん、後ろにを後方じゃなくて背面、甲羅にと読み違えてた
牧街さんがドロップキックして反動で微妙な距離に着地したということに脳内変換お願いします
まさに外道 すっぽん
『は、はじめてなの。やさしくしてね。』【>133】
上等だ。日本で暮らし始めてから、もう何年にもなる。
鼈のみならず烏賊、蛸、雲丹なども全く問題無くイけた。
独り暮らしの必須科目、調理技術の修得にも隙は無い――
「……わかったよ。切り刻むのは中止だ。
こっちは、お前みたいのを何度も食ってる。
安心して身を任せて砂粒でも数えてやがれ」
――だが、それ以上に。
祓い屋としての感性は、相対した怨念の本質を直観していた。
他者に理解されぬ孤独。
認識される事も叶わぬ絶望。
それは―――行き場の無い想いだ。
誰かが見つけ出してやらないといけない。
…そして、それが出来るのはGSだけだった。
「…待ってろ。おれが今――――お前を、優しく殺してやる」
方針は単純だ……苦痛を感じる前に、一撃で霊的中枢を打ち貫く。
霊力刻印は、条件次第で人間の限界を超越した霊圧の出力が可能だ。
[剣の4][剣の3]を解除し、切り札の一つである[杖の10]の刻印に入った。
充分な時間を掛けて霊力の収束総量を高めた上で、効果時間は極く一瞬。
「"ブランド・オブ・アルカナ×キング・オブ・ロッド(杖の王)"――」
『でかくって飛び道具を持っているのは無理だぁあああああああああああああああああああああああああ』【>132】
「――なっ?……"エイス・スタッフ"…っ!」
思いがけない第三軍の襲来で、集中が致命的に乱される。
即興でカードのランクを落として[杖の8]の刻印へのダイバート。
威力の上昇が抑えられた分だけ、効果時間には余裕が出来る。
牧街の持つ神通杖より、やや細身で丈尺も短いシンプルな杖は、
アイスピックが氷を砕き割る様にして甲羅を粉砕…妖魔を貫いた。
「…悪いな。予定は狂ったけど、約束どおり痛くなかっただろ?
そろそろ逝っちまっていいぜ。お前――――もう、終わってる」
―――軽い眩暈。
鈍い痺れが残る右腕を押さえながら、その場で一歩、前のめった。
瞬間最大霊圧が高い[8]以上のナンバーは、術者への負担も大きい。
のろのろと妖魔の"核"だった鼈を回収して、見知った顔に声を掛ける。
「牧街さん……ナイスアクションだ。どーやら連れも一緒みたいだな。
あの女、差し詰め自分は山門から喧嘩を見てやがったってトコか…?
…やれやれ。あんたら二人の方は相変わらずってわけだ」
こうして上陸直後の攻防は、一応の終息を見せた。
だが、祓い屋にとっては第二ラウンドの開始だ。なぜなら――
――食材の鮮度を料理に生かすのは、時間との戦いなのだから。
>132>133>136
戦いは一瞬で勝負がついた。
牧街に集中していたすっぽんはあっけなくタローの攻撃で倒されたのだ。
一通りの戦闘終結と周囲の状況を見て成世 阿弥が近づいていく。
「伊達に人間魚雷とは呼ばれていないわねー。
危険な囮役お見事。」
ちなみに人間魚雷などと牧街が呼ばれたことはない。
牧街に一言労いの言葉をかけ、そのまま脇を通り過ぎてタローの元へ。
「タロー君、お見事、といいたいところだけど、駄目よー。
まだまだ長丁場なのにいきなりあんな大技出して。」
呆れるような口調でよろめくタローを支える。
そして、スカートから取り出した仮面をえぐられたその脇腹に貼り付けた。
「はい、泥眼面よ。
人面疽の一種だけど、傷口を塞ぎ地脈からエネルギーを吸い取って治癒してくれるわ。
完全に治れば仮面は取れるけど、半日くらいはかかるでしょうね。
邪魔にはならないと思うからそのまま貼り付けておいてね。」
その説明通り、傷口に張り付いた泥眼面は痛みを和らげ出血を止めるだろう。
治療が終わると、タローにも共闘を持ちかける。
そしてこの試験に合格する為に必要なことを話し始めた。
「三人いればまあ、形になるでしょ。
この試験、いくら雑魚の低級霊を除礼しても合格にはならないわ。
船上で説明聞いたと思うけど、規定数を言わなかったのは規定数なんてないからよ。
協会の目的は低能力GSの一掃。
そうすれば必然的に一流GSに仕事は回り、除霊率もアップ。
ここで免許剥奪されたGSがモグリで続けようとも、失敗率が高いモグリと成功率の高い正規のGSって言う図式ができるだけだからね。
でも生き残りの手段がないわけじゃない。
大物の除霊か、霊道の封鎖。
大物を除霊するのはリスクが大きいけど、霊道は単なる穴よ。
結界さえ張ってしまえばそれで終了。
だったらどちらを狙うかは・・・決まっているわよね。」
そう、霊道は霊が集まる場所ではあるが、それ自体に攻撃能力があるわけではない。
周囲に群がる霊をひきつける役がいれば、封印することはそれ程難しくもないのだ。
状況と方針を説明し、二人の顔を見回した。
>>133 すっぽんに牧街の思い届かず、明確な殺意の篭った攻撃が向けられる
次の一撃は間違いなく敵の切り札
当たれば命は無いだろう
「いやじゃああああああああああああああああ
違う!違うんですよ!えぇ!えぇ!アレは俺の連れなんかじゃなくって悪魔の化身毒の花で地球を覆う黒い雲!闇の中から攻めてくる恐怖の…」
必死に弁解の言葉をまくし立てるが、すっぽんはまるっきり意に介さない
ならば
こちらも切り札
師に禁じてとされている霊的格闘術の技、天竜落地を使うまでである
気合と共に牧街は霊力を頭にこめ、地面に正座し、両手指をきっちり地面につける
そして、竜が天から地上に墜落するように頭を地面に…
「ごーーーめんなすぅぁ…」
ずぶっとか言う音がして、見上げてみると妖魔はタローによって倒されていた
ふぅーとため息ひとつ
何事も無かったように牧街は立ち上がった
>>136 ただ必死に謝ってただけなのに何か消耗した顔で、こちらに向かってくる本当に消耗した青年を出迎える牧街
>「牧街さん……ナイスアクションだ。どーやら連れも一緒みたいだな。
>あの女、差し詰め自分は山門から喧嘩を見てやがったってトコか…?
>…やれやれ。あんたら二人の方は相変わらずってわけだ」
幸いにも、天竜落地は彼には見えていなかったらしい
それでもやっぱし恥ずかしい人として認識されていたらしく、何だか対応は気の毒な人に対するそれだ
対する牧街は、未だにタローを町のおっかない不良少年として認識していたりするため、やはり対応はおっかなびっくりであり
「あはは…」
などと言ってお茶を濁すだけだった
>>137 「俺が人間魚雷なら己は誘拐爆撃魔だな…」
胸の内に確かな殺意と怒りを浮かばす牧街だったが、かるーくスルーされ、人間爆撃魔は青年の手当てなんかし始めた
こやつ…この青年をもたらしこんで壁に使う気びんびんだ…
牧街の長年の勘は成世の胸の内を察知していたが、タローに話しかけるのが怖いので、特に何か言う事は無い
牧街のもつ不良少年のイメージは、ちょっと何か話しかけただけで突如「うぅらぁー」とか言って切れたりするどちらかと言うと不良と言うより危ない人のよーな物だった
勿論、牧街が異常なだけで、ちょっと人より勝気なタローをそんな風に見ているのは彼だけである
で、成世の提案を聞いた牧街は、少し腕組して考えた後、ぽつりと呟いた
「敵は俺達の襲撃を予想していたわけだから、絶対ずぅえったい霊道に罠なり番人なり守らせてるだろーな…」
成世が何か返そうとするが
「お前…」
返答を待たず、更に言葉を続ける
「俺を人間爆弾か囮にして敵の主力をひきつけてる間に霊道封鎖する気満々だろ?え?」
「それにしても、暑くなって来やがった……」
午後の日差し。比熱の低い砂浜からの輻射熱。ぐつぐつ煮える鍋。
それらが渾然一体となって、祓い屋の気だるい佇まいに纏わり付く。
首を傾げて、自身の跳ねまくった長い黒髪をうなじから掻き上げた。
適当に結い上げると、不良妖怪ポニーテールもどきの誕生である。
…そこで、ふと感じる視線。本人曰く「線目」と表現すべきだろうか。
「―――何、見てんだよ……うらぁっ!」
威嚇する姿、気が立っている野良猫の如し。
団扇で鍋を扇いで、立ち上る湯気で攻撃開始。
今現在は、こちらも同様に「線目」にて対抗中だ。
「仲間を集めて霊道封鎖か……悪くないアイディアだな。
"シックスス・シール(護符の6)"で補助くらいは出来るぜ。
一瞬だけなら、200ちょい(正確には216)までは抑えられる。
永続的となると、40マイト弱(正確には36)の封印に落ちるが」
団扇を操っていない方の手は、"吸い掛けの煙草の保持"という、
極めて繊細にして重要な任務に従事しているため放せなかったが、
幸い、舌は暇だった。"仮面爆撃魔"に対して軽口を叩ける程度には。
「露払い役ってんなら打って良し、投げて良し、守って良しだが――
――"強敵と正攻法の力比べ"になった場合、俺は基本的に勝てない。
所詮こっちは三流以下のモグリGSだ。頼り無いだろうが大目に見てくれ」
(その場合でも、黙って負けてやるつもりなんざねえが)
心の中だけで、そう付け加えて―――紫煙を肺の奥に落とし込んだ。
深呼吸が可能になったのは、傷の痛みが和らいだ恩恵に他ならない。
…脇腹の「泥眼面」を摩る。借りは必ず返すのが、祓い屋の流儀だった。
>139>140
>「俺を人間爆弾か囮にして敵の主力をひきつけてる間に霊道封鎖する気満々だろ?え?」
にこやかに二人を見つめていた成世 阿弥が一瞬固まる。
「や・・・やあねえ。人聞きの悪い!
牧街君の逃走本能を見込んで見せ場を譲ってあげるってだけでしょー。」
ほほほほと笑いながら返すが、囮にする気満々です。本当に(ry
「まあ、冗談は置いておいて。封印作業は二人の打ち手の空くほうにお願いするつもりよ。
私は能力的に封印とか向いていないし。
強力な番人がいても、勝つ必要ないんだから何とかなるわよ。」
冗談を一つ挟んで、力強い笑顔でプランを説明した。
誰が霊道を封鎖しようと、協力体制をとっている以上一緒に合格になるはずだ、と。
牧街は突出した能力はないもののオールマイティーに力を発揮できる。
鍋と格闘しているタローもそれなりの能力を持っている事を明かしているのだから。
目的さえ達成できれば勝つ必要はない。
これが三人の最大の強みなのだ。
「それにしても・・・それ、食べるつもり?何かの儀式に使うの?」
鍋の中身を覗き込みながらげっそりとした表情でタローに問いかける。
肩を竦めながら、島の内部を見つめる。
「どっちでも良いけど、なるべく早目にね。
日が暮れてからだと霊の動きも活発になるから霊道に辿り着くのに手間になるわよ。」
見つめる先には霊道がある。
場所は知らなくとも、島で最も強い霊気の溢れ出る場所はこの場からでも肌で感じられた。
こんな感じでいいのかな?
【名前】
神藤 巳粋(しんどう みすい)
【年齢】
17
【体格】
中肉高背
【容姿(霊衣)】
前髪が目に掛かっている以外は、特に特徴は無い。
服装は安物のジャージ(学校指定)。
【属性】
霊的格闘術
【霊圧】
55.00
【特殊能力】
超加速
【装備】
無銘の霊剣
【趣味】
自販機の小銭漁り
【備考】
名門の生まれで、幼い頃は神童と期待されていたが、
育ってみたらそうでもなかったというある意味可哀想な男。
実家から修行という名目で追い出され、都内のいわく付き物件で
貧乏学生生活を送っている。
唯一にして最大の特技の超加速は、一日三十秒までしか使えない上、
使うたびに乗り物酔い的に気持ち悪くなるという微妙な物。
育ちのせいか、喋り方が無駄に偉そう。そして基本的にヘタレ。
>>142 はじめまして、参加してくださってありがとうございます
あの世界なら超加速が使える人間が一人や二人ふつーにいておかしく無いし(生まれ変わる直前の魂に韋駄天が激突したとかどーとかで)
特に問題は無いと思います
お好きな時に導入部を投下して、参加なさってくださいね
>>140 そういえばさっきから何故鍋なんぞこの方はもっておられるのだろうとじーっとタローを見ていた牧街は、タローに脅されて慌てて後ずさり、手を前に出してぶんぶんと振った
「いえいえいえ、別に、深い意味はありませんよ、たまたまそっちに視線を行ってただけですはい」
などと慌てて弁解しつつ、湯気と鍋から距離をとると
…今度はどーみても未成年なのにタバコを吸い始めた
(おにーさん、眼通君で役人さんが見てますよ)
などと思いつつ、また怒られて、今度は殴りかかられたりすると嫌なので、タローから視線を外し、視線を空に漂わせる
>>141 で、爆撃魔人は笑顔で疑問を肯定しだす
「へー、あはははははー」
などと一緒に笑うが、無論、目は笑っていない
冗談に聞こえない冗談にとりあえず笑った後、真面目に話しだした成世の意見に、牧街は打って変わって怪訝な表情になった
「…二人の意見を総合すると、まともな結界を張れるのは俺だけって事になる…わな?」
成世が封印系向いてないと言い、タローが補助程度と言うなら、破邪札で本格的な結界を展開できるのは、自分だけと言う事になる
「確かに、この島の霊道の規模にもよっけど…少なくとも1000万円の破邪札を何枚か使えば300マイト位の永続結界を作れっから間違いなく結界を封鎖できるし、俺もそういう作業は馴れてる…んだけどさ」
そう言って、二人を交互に見つめ、申し訳なさ下に口を開く
「それでもし成世が言う協力体制云々が駄目だったら…」
最後まで言おうとした時、何かに思い至ったのか、牧街の顔がはっとなり、憎憎しげな表情で成世をにらみだす
「……待てよ、結界を展開できたとしても、門番とかは消えないわけだよな。成世達結界できた後さっさと撤退した場合…」
仮に長い洞窟の最深部に霊道の交差する場所があったとしよう
洞窟の中途にて成世等が敵の気を引き、その隙に自分が結界を展開、霊道はふさがれたとして
成世達がさっさと逃げた場合、最深部に残っていた自分は番人なり怪獣なりに帰り道をふさがれる形となる
結果、1対1、もしくは自分1対複数の強敵フルコースのラストバトルが待っている事となるのだ
「お前と組むと確実に俺は名誉の戦死を遂げさせられる事がわかった!もう知らん!」
本日はいやに頭が冴えている牧街は憎憎しげに成世に言った後、ぷんぷんと怒りながらくるりと二人に背を向け、肩を怒らせながら歩み去っていく
【
>>142 神藤巳粋
……同い年のGSかっ!何だかわくわくしてきた。よろしく頼むぜ】
『――名誉の戦死を遂げさせられる事がわかった!もう知らん!』
「……はへほ!」
立ち去ろうとする牧街の肩を、ぐわしっ!と背後から掴む。
「ほひふは、はひはひはんほふんは―――ふっへひひは」
……ここで、日本文化学研究の観点から分析するならば。
――世間一般には"スッポン鍋"と呼び習わされる郷土料理と
近似する諸要素が散見される性質を否定し難い謎の液状物――
きっちり一人前の"ソレ"が注がれた椀を真顔で押し付けた。
『――強力な番人がいても、勝つ必要ないんだから何とかなるわよ』
「まとめると、あんたとおれの能力は封印に向いてない。
この中で、まともな結界が作れそうなのは牧街さんだけ…か。
作業中の牧街さんを、おれたち二人で護衛するカタチになるな」
ポニーテールを潮風に揺らし、二本目の"食後の一服"に点火する祓い屋。
その背後で、空になった土鍋が[杖のAce]-[護符の2]-[聖杯の3]へと戻った。
バラバラと散らばって空白のタロットへ。最後に光の粒子となって霧散する。
『どっちでも良いけど、なるべく早目にね――』
「……聞いてるか?牧街さん、あんたのポジションが一番安全だ。
わかったら、さっさと腹拵え終わらせて、他のGSを出し抜こうぜっ!」
使い終わった箸を行儀悪く砂浜に突き刺した。
箸は[杖の3]に戻って土鍋と同様、光に還る。
暗示するのは―――"ビジネス上の協力"。
【では、よろしくお願いします】
―――――
「くくく……そうか。ついに来たか!」
朝の牛乳配達のアルバイトを終え、住んでいるボロ屋敷に帰ってきた神藤の元に
GS協会からの通知が届いたのは、つい一週間前の事だった。
神藤はアマチュアのGSだ。その生まれは日本でもかなりの名門だったのだが、
どうにも彼には期待されていた程の才能が無かったらしく、実家から
厄介払いのように修行に出され、都会の片隅の幽霊屋敷で暮らしている。
実家から「ダメだこいつ」といった具合に放り出され、完全に放任主義という
何もしてくれない師匠の元で、生活費を稼ぐ為にGSとして働いてきた神藤。
だが、この男が偉そうに「ついに来たか!」などといったのは、
別に実家を見返してやるだとか、そういった格好良い目的では一切無かった。
「……ふぅ。いや、良かった。あの不良爺が師匠故、奴に前科等があってGS候補として 認知して貰えない
展開になったらどうしようかとちょっぴり不安だったのだが、どうやら天は我の見方らしいな!
ククク……ハーッハッハッハッ!!!!」
この時の神藤は知らなかった。彼の様な問題だらけの師匠の持ち主がGS試験の受験を
認められたのは、三流GS対策を目的とし、試験内容が厳しくなったからだと言う事を……。
――――――そして現在。
「ハーッハッハッハッ!!」
島に真っ先に突入した先頭集団のなかでも、更にトップを行った
神藤 巳粋(しんどう みすい)は、アホの様な高笑いをし、
その手に持った霊剣で低級霊を半ばやけくそに切り捨てながら、走っていた。
神藤の背後には、霊剣によって切り捨てた何匹もの低級霊の姿と
『う”お”お”お”お”』
追いかけてくる、切り捨てた数の十数倍はいる低級霊の大群。
「ハーッハッハッハ!!おのれ!ちくしょう!
何故この俺様がアホの様に走り回らねばならんのだああああ!!!!」
思えば、これは当然の結末だった。神藤と同時に真っ先に島に走っていった何人かのGS。
彼らの目的は、主に島の状態の把握や、霊に罠を仕掛ける最適なポジションの確保だった。
しかし、神藤は
『とりあえず俺様は大物を最初に見つけて倒しまくってやるわ!フハハハハ!!』
というアホ極まりない考えで島を突っ走っていったのだ。
その結果、凄い数の霊たちの集団に、島にいるどのGSよりも先に出会ってしまったのであった。
『お”お”お”お”!!!!』
「ええい!くそ貴様ら!俺様を食っても旨くないぞ!!
最近はいいものなど食っていないからな!ハハハハ!!
――――だから、見逃してくれお願いしますっ!!?」
壁の様に追って来る群体の悪霊と神藤との距離は、縮まる気配は無いが、
人と霊のスタミナ差を考えれば、いずれ悪霊の群れに飲み込まれるだろう。
神藤はその事実を、冷や汗と脂汗とただの汗を流しながら感じていた。
しかしながら、人以上の速度を持つ低級霊の群れに対し、試験が始まってから
今までの間ずっと逃げ切る事を可能としている神藤。
普通の人間ならとうの昔に捕まっている筈だが……彼の逃げ足は一体どうなっているのだろうか。
>神藤さん
熱烈歓迎!よろしくね。
####################################
>143>144
牧街がネガティブシュミレーションを繰り広げ、怒って立ち去ろうとする。
妖しげな物体で引きとめようとするタロー。
そのやり取りをみても成世 阿弥はなんの思うところもなかった。
いや、一つだけ
自分にあの妖しげな物体の入った皿を差し出されなかった事に安堵をもらしていただけだった。
「いいのよタロー君。無理して引き止めなくても。
重要なポジションだけど、牧街君が必要不可欠て訳じゃないから。
食事(?)が終わったなら行きましょ。」
牧街を引き止める事無く、さくさくと島内部へと歩き出す。
そう、最低限必要なのは霊道まで辿り着く戦力なのだから。
全く気のないふりをしているが、実際特に気があるわけでもなかった。
牧街がこのまま一人でこの試験を合格できるとは思えない。
とすれば、この島で一人で討ち死に。
逃げ回り生き残って、使用に殺される。
のどちらかだろうから。
牧街の師匠は厳しい・・・どころではないのは有名な話なのだ。
行くも死亡、帰るも死亡。
人間逃げ場が無いとわかれば、藁でも縋ってしまうものだ。
まあ、認めたくない【逃げ場がない】という事を認めるまでが大変なのだが・・・
それを判らせる為にもここで引き止めるつもりはないのだ。
「じゃ、牧街君。縁があったらまたねー。」
流石に何もなく別れては戻るきっかけもないだろうと、一言だけ付け加えていく。
追い詰められた人間はこんな切って捨てる言葉にも言い訳を見出すだろうから。
向かう先は島の内部。
うっそうと生い茂る森が廃屋と化した集落を飲み込んで不気味な雰囲気をかもし出している。
他のGSたちが露払いをしてくれているとはいえ、渦巻く霊の気配が不気味さを一層際だ出せている。
>>144 さしだされたすっぽん鍋らしきものを片手でいやいいですと苦笑いで遠慮しつつ身を引く牧街
やっぱり彼にもゲテモノ食のけは無いようである
>作業中の牧街さんを、おれたち二人で護衛するカタチになるな」
>「……聞いてるか?牧街さん、あんたのポジションが一番安全だ。
(…このお方、な…なーんもわかっておられん)
牧街はタローの言動に、彼が如何に成世と言う人物を理解していないか
それを痛感した
確かに、牧街が「結界を張り終わるまで」は成世も真面目に牧街を守るだろう
だが、結界を張り終わった瞬間、牧街は用無しとみなされ、即効で見捨てられるはずだ
すると、結界張ってそこそこ消耗した所を二人との戦いで怒りのボルテージが上がった怪物にry
ここで「おいおいそんな冷たいわけ無いだろう」と思った方は甘い
それがGSなの世界のだ!
ヤクザや軍隊よりもせこくて冷酷な、ゴーストスイーパーの厳しい現実なのだ!
>>147 >「いいのよタロー君。無理して引き止めなくても。
(そ…それじや俺一人悪者じゃねぇか…)
タローを制し、この子の人生はこの子の好きにさせてあげましょお父さんと言う具合に牧街を行かせる成世に
牧街の口が引きつる
そんな風に言われると、自らの生命を守るために下した決断も、何だか間違った解答のように思えてきてしまう辺り、牧街の心の弱さを感じずにはいられない
>「じゃ、牧街君。縁があったらまたねー。」
そう言ってタローを連れてさっさと去ってしまう二人に、一人残された牧街はしばらく複雑な顔をしていたが
やがてある事に気がつき、はっとなる
「…あいつ、俺の言うた事一切否定しとらんかったな……」
つまり、やっぱり結界を展開するだけの捨て駒として扱うつもりびんびんだったのだ、あの女
(…タローさんが危ない)
教えた方がいいかなーと思ったが、タローが「あんた!人を疑うにも程があるぞ!」とか言うて怒り出して殴られたりすると嫌だし
成世も性根まで腐った人間じゃないから最悪死ぬ事は無いだろうと、思いとどまった
「さてどーしよーかなぁ」
成世らとわかれてこれからの予定を考え始める牧街
(成世らと行くと俺が大損こくのはわかった
んだけれど俺一人で…となると、やっぱきついだろう)
一瞬成世の様に仲間を増やすかとも考えたが、成世程世渡り術に長けていない自分には難しいとすぐに否決する
(やっぱ成世についていけばよかったかなぁ…)
結果いきなり弱気になりつつもしばらくぼーーっと、時に全力で悶えながらこれからの行動を考えていた牧街だったが
やがてボストンバックからなにやら様々な模様のある円が書かれたシートのような物を取り出し、ピンで風に飛ばされないように砂浜にそれを固定した
簡単に張れる、結界である
(…寝よう、現実辛い)
行くも地獄、退くも地獄と察した彼は、現実から逃げるという社会人として最もアレな判断を下すと、結界の中でうつぶせになり、頭にタオルをかけておもむろに眠りはじめた
やがて数分もしない内に、すやすやと寝息を立て始める
>148
砂浜に叱れたシートの上で眠りこける巻貝は気付かない。
周りの砂がへこみ、穴が開く事に。
やがて穴は大きくなり、シートの周囲は堀の様にへこむ。
そして・・・牧街は結界ごと大きな落とし穴に音もなく落ちていった。
『・・・助けて・・・』
『助けて・・・』
遠くから呼びかけるようなか細い声が牧街の頭に響く。
『この島に来たGSは除霊するか、霊道を塞ぐことしか考えていない・・・。』
『でも、あなたは違った。』
『お願い・・・助けて・・・』
『霊道は本当は私たちが昇天する為の通り道なの。』
『塞がないで。』
『霊道を正しく作用させて・・・』
無数の助けを求める声が牧街の頭に鳴り響く。
そして最後に
『気をつけて・・・敵はあなたの近くにいる・・・』
この言葉を残し、頭に響く声は掻き消えてしまった。
直後、牧街を襲う衝撃。
目が覚めると周囲は真っ暗闇だった。
いや、辺りを見回すと、直上と前方に微かな光が漏れている。
直上の光は小さく、空でも飛べない限りそちらから出ることはできないだろう。
しかも直上の光は直ぐに消えると判る。
なぜならば砂が大量に降り注いできているから。
牧街は砂浜から大穴に結界ごと落ち、穴の底にいるのだ。
そして急勾配の行き着く先に小さな光。
かなりの距離ではあるが、風が出口があることを示している。
方角やお約束からして島内部へと通じる抜け道だろうが、どこに出るかはわかっていない。
しかしぐずぐずしていては、降り注ぐ砂に埋もれて圧死は免れないのは火を見るより明らかだった。
牧街さんは手料理……食べてくれなかった。ちょっぴり切ない。
どうやら栄養補給より睡眠時間確保を優先する判断を下したらしい。
「なるほどな、牧街さん……。
霊力を温存して終盤に備える作戦ってわけだ。
―――なら、仕方ねえか。また後でなっ!」
しゅたっ!と手を上げて、駆け足で砂浜を後にする。
成世さんの歩幅は、見た目の印象よりもずっと速かった。
…
……
「それにしても成世さんと二人きりか。今日はアンラッキー・デイか?
牧街さんがやる筈だった封印作業は、おれの分担になるんだよな」
借りを返す為に全霊力を失う心算は無い。現実的な落とし所を模索する。
[護符の6]×トライアングルスプレッドで永続216マイトの結界符を想定。
5セット体制でカバーするとして、素材の15枚だけなら何とでもなるが――
【仮想・刻印発動霊圧=5*{6^3+(6*3)-50}=920might/s】
――当然の如く霊力不足だ。"チャリス"の中身を使い込むしか無い。
少なめに900と見積もっても、"貯蓄"を確実に半分以上崩す羽目になる。
「三か月分の貯金を、たった一日で……?
霊道封鎖後に除霊数も稼ぐコト考えりゃ、もっとか」
割と洒落にならない計算結果になった。どう転んでも出血確定。
大赤字――赤字――微赤――大赤字――赤字――微赤――…。
目の前のヴェネチアン・マスクから伸びる黒髪で阿弥陀籤を始める。
「……なあ。ところで、霊道の場所に当たりはついてるのか?
こっちとしては、さっさと借りを返して自分の除霊数稼ぎに入り――」
森の中。体感温度を下げるのは、木々が作り出す日陰だけでは無い。
それ以外の要素―――渦巻く霊の気配の中に、徐々に混沌が流れ込む。
混沌の正体は直ぐ判明した。うねりながらこちらに移動してくる一団がある。
『ハーッハッハッハ!!おのれ!ちくしょう!
何故この俺様がアホの様に走り回らねばならんのだああああ!!!!』
「――おい成世さん。今日はラッキー・デイだ。
封印作業中の"囮"にうってつけの逸材を見つけたぜ……!!」
>>146 >>150 「ぜぇっ……ぜぇっ……や、やばい。俺様、本気で体力の限界だ……
こ、こん、チクショウ……一対一なら、こんな奴等
俺様の力でケチョンケチョンにして、俺様にひれ伏させてやるというのに……!」
神藤と低級霊達の、神藤のみ命をかけた鬼ごっこは終盤に差し掛かっていた。
持久力と精神力ともども一杯一杯の神藤が霊の群れに捕まるのは時間の問題だった上
「――――っ、ん、なにぃ!!?」
森を走り抜けた神藤の眼前に広がったのは…… 断 崖 絶 壁
「ち、ちょっと待つがいい!? なんなのだこれ!
逃げられない!俺様、本気で逃げられないではないか!!?」
テンパる神藤。目の前にある崖は、多少の傾斜こそあれ、目算でも高さ十数m。
落ちようものなら、転がっていくうちにグロテスクなひき肉になってしまうかもしれない。
『う”お”お”お”お”お”!!!!』
前門の悪霊。後門の崖――――進退ここに窮まれり。
迫り来る二つの死因を前にして、神藤がとった行動は……
「ぐっ……うがー! ええい!霊の餌になるくらいなら、
まだこっちの方がマシだあっ!! ハーッハッハッハ!!!?」
やけくそな高笑いを響かせ、崖から落ちる方を選んだ。
「ふおおおおお!!!!!」
崖に飛び込んだ神藤。だが、驚いた事に転落はしていなかった。
神藤は手持った霊剣を崖に突き刺し、土壁をズルズルと切りながら
速度を落とした落下をしていたのだ。
それは、正に崖上からの奇襲で平家を打ち倒した源氏の如く
「ぬ、ぬおおお!! し、死ぬ!腕が痺れてきたぞ!?
くっ、しかし此処で力を抜いたら本当に死んでしまう!
頑張れ!頑張ってくれ俺様の筋肉ー!!」
……訂正。源氏と言うには勇猛さと格好良さが足りていない。
とにかく、背後に崖を越えて尚追ってくる低級霊の群れを背負いながら、神藤は
死ぬことなくなんとか崖を落下し続ける。
落下した先のすぐ近く、二つの人影が存在する事に気付く余裕など、
今の神藤には当然の事ながら、無かった。
>150
島の内部へと入り込んでいくまでにタローはこれからの算段をぶつぶつと考えている。
そんな様子をただ後頭部に付けられたヴェネチアンマスクが見つめている。
足取りも軽く暫く進み、森に飲み込まれた廃屋でくるりと振り返る。
「心配しなくて大丈夫よー。私って勝算がなければ動かないタイプなの。
牧街君がいれば確かに楽だったけど、いないと勝算が成り立たないわけじゃないし。
安心して。
霊道まで辿り着けば後のことは心配しなくてもいいわ。」
振り返った成世 阿弥の顔は自信に満ち溢れ、表情も明るかった。
>151
そう話していると、タローが前の崖からずり落ちてくる神藤を見つけ、にやりと笑う。
>「――おい成世さん。今日はラッキー・デイだ。
> 封印作業中の"囮"にうってつけの逸材を見つけたぜ……!!」
崖の壁面に剣を突き立て、高笑いと共に土煙を上げながらずり落ちてくる神藤。
直後、崖から低級霊の群れが溢れ出てくる。
「霊道の場所は・・・当然霊気も濃くて低級霊も渦巻いているわよね。
あんなふうに。
否が応でもああやって場所を示してくれるわけよ。」
そういうとおもむろにスカートの中から数枚の蛇の仮面を取り出し、自分の周囲に配置していく。
「彼は霊道近くまで行った口でしょうね。
囮云々は置いておいても、情報源であることは確かよ。
貸しを作る+自分の身を守るってことであの群れを倒すわよ。
大技で一掃するから、彼を助けて少しだけ時間を稼いで。!」
素早くタローに指示を出すと、更に一枚、【渇食面】を取り出し被った。
崖からずり落ちてくる神藤。
そしてその背に迫る低級霊の群れ。
正に阿鼻と叫喚の織り成す修羅場が迫っている中、成世 阿弥は集中し全くの無防備状態となる。
「我が名は渇食。邪霊を喰らいし者也。
我に食われ大蛇面に蓄えられた邪霊どもよ。地脈の力によりて・・・」
仮面を被り歌うように呪詛を唱えると、成世 阿弥の周囲に配置された大蛇面に地脈の力が流れ込み霊圧が上がっていくのがわかるだろう。
霊圧の高まりと共に、呪詛は続いていく。
>>149 体を襲った衝撃に、牧街がいってぇ…などと言いながら身を起こし、余り覚醒していない目で周囲を見渡して、唖然とする
(……あれ?俺なんでこんなとこいんだっけ?えぇーと、確か…うん、免許更新の試験があって……あ、そーだ、現実が嫌になって寝てたんだ。…で、ここどこだ?)
現状が理解できず、少し周囲を探った牧街は、近くに自分の敷いていたシートが落ちていた事から、あの砂浜から直接どこかへ移動したらしい事を悟る
(…地盤が緩んでたんだな。まさか悪霊の仕業とも思えんし)
んな強力な悪霊がいたらGS協会は即効で美神さんや牧街の師匠に出動要請を出すだろう
地盤操れる悪霊なら、牧街が10人いてもあっという間に倒せるはずなので、こんなまどろっこしい事をするはずがない
(そーだ!そのとーりなのだ!
だってそーじゃなかったらなぶり殺しにしてる最中って事ざんしょ?
これからもっとおそろしー事が起こるって事ざんしょ?)
……ぱらぱらと上から大量に砂が降ってきた
かつて、幸運のみを武器として戦う正義のヒーローの漫画で、天才を名乗るキャラが、「この世で一番苦しい死に方」を二つ上げた
一つは笑い死に
そしてもう一つが……
「どぅうおわぁアアアアああああああああああああああああ窒息死するぅううううううううううううううううううううううう」
慌てて、それでも結界シートをバッグに戻す事を忘れずに、すさまじい勢いで牧街は出口らしい光へと向かっていく
そういえば寝てる間に何か言われたよーな気もしたが
今は間違いなく、それどころではなかった
『大技で一掃するから、彼を助けて少しだけ時間を稼いで――』
間抜けとも思える程に躊躇無く無防備を晒す彼女に一瞬、戸惑う。
自分は信用されているのか、試されているのか―――あるいは両方か。
どちらにせよ祓い屋にとっては、出来るコトもやるべき事も一つだった。
「"ブランド・オブ・アルカナ×ナイト・オブ・ソード"(剣の騎士)――
――セブンス・ソード!!」
[剣の7]が霊波刀を形成する。刻印発動霊力は49マイト。
[10]がリスクと引き換えの最強の威力を誇る切り札だとすれば、
「7」番は、出力と安定性を兼ね備えた最優のタロットだと言えた。
「……おい、そこの色男!イカれたパーティをお楽しみ中らしいな。
おれにもダンスパートナーを譲って欲しいところだ―――ぜっ!!」
霊団には人間のカタチを残した個体の割合が多い。やりやすい相手だ。
摩擦抵抗で減速中の神藤の背後に追い縋る悪霊。両者の間に割り込む。
袈裟懸けに斬り裂く。即座に、壁面に叩き込んだ左足を軸にして反転――
――成世の方に向かおうとしていた悪霊の胴を横薙ぎに断ち斬った。
『ぬ、ぬおおお!! し、死ぬ!腕が痺れてきたぞ!?
くっ、しかし此処で力を抜いたら本当に死んでしまう!
頑張れ!頑張ってくれ俺様の筋肉ー!!』
「……きっちり助けてやるから根性見せやがれオレサマ野郎っ!?
そこのコスプレねーちゃんが何もかもぶっ飛ばすまで持たせろっ!!」
一体一体は弱いが、数に圧されると呪術師が危ない。
詠唱域に接近する個体の迎撃に専念した方が良さそうだ。
後方へと飛び退って「大蛇面」の布陣の一歩外に着地する。
「―――仕込みはどうだ、我が僧堂の有髪童子?」
この期に及んで軽口を叩く祓い屋の横顔を、霊波刀の輝きが彩った。
>>152 >>154 『……おい、そこの色男!イカれたパーティをお楽しみ中らしいな。
おれにもダンスパートナーを譲って欲しいところだ―――ぜっ!!』
「……へ!?」
加速を殺した死に物狂いの落下を続けている神藤の耳に、人間の声が届いた。
霊の群れに向けていた意識を僅かに裂き、声の方を向けば、そこには二つの人影。
(んな!? なんでこんな所に人が……って、当たり前だ!
逃走に必死で忘れておったが、そういえば今はGS試験中だったではないか!
つまり、こ奴らはGS……フハハハ!助かったっ!!)
「ハーッハッハッハ!! 譲るどころか、全部まとめてくれてやるわこんな悪霊の群れ!!
どうせダンスを踊るなら、俺様は清楚で美人な女子がいいのでなっ!!
という訳で、よく解らんがこいつ等は貴様に任せる!!」
落下を続けながら、神藤は今自分に起こっている事を大雑把に整理した。
そして向かってきた少年と、一瞬の交差の隙にそんな会話を
交わし――――ようやく落下を終え、最後の方は躓いて転がりながらも
どうにか地に足を付ける事が出来た。
『……きっちり助けてやるから根性見せやがれオレサマ野郎っ!?
そこのコスプレねーちゃんが何もかもぶっ飛ばすまで持たせろっ!!』
立ち上がり、一息付いた神藤の耳に、再び少年の声が聞こえた。
見れば、少年が霊力の刀を出し霊の群れと交戦を始めており、すぐ近くでは
先に見た人影が妙な風体となり、凄まじい力を蓄えている。
どうやら、少年が足止めをしている間に女が大技を放つ作戦らしい。
その事を理解した神藤は、再び考えを巡らせる。
(あの男の剣技はそこそこだが……俺様が分が悪いと考え逃げた程の、
アホのような物量の群れに、タメの時間を稼ぐまで持つのか?
助けて貰った恩はあるが、ここはこ奴らに任せて俺様は逃げるのが最善では……?)
神藤は、一度立ち止まって良く考えた結果
「……い、命あってのモノダネ。俺様はいい言葉だと思うぞ。うん
さあ頑張るのだ貴様ら! 俺様は、応援する!!」
素早く後方の木の陰に隠れ、いつでも逃げられる様、退路を確保した。
>154>155
>「―――仕込みはどうだ、我が僧堂の有髪童子?」
低級霊の群れを薙ぎ払いながら成世 阿弥の近くに着地したタローに応える声はない。
素早く後方の木の陰に隠れる神藤に対しても全くの無反応。
トランス状態で呪詛を唱え続けているのだ。
そうしている間にも低級霊の群れは完全に追いつき、周囲に溢れ荒れ狂う。
この数に囲まれてはもはや引くこともできぬようになった時、ついには呪詛が止んだ。
「・・・今こそ解放せし!万首の大蛇!」
被った渇食面の目が赤く開くと同時に、周囲に配置された大蛇面がカタカタと震えだし、真っ二つに割れた!
そこから飛び出るのは太さ1mににもなる陰のような大蛇!
不気味な音を立てながら鎌首を持ち上げる。
「二人とも!動いちゃ駄目よ!巻き添え食らうから!」
成世 阿弥の警告の言葉が合図だった。
五本の大蛇は成世 阿弥を中心とし、周囲の空間を埋め尽くす鞭のように縦横無尽に荒れ狂う。
大地を抉り、廃屋を叩き潰し、木々をなぎ倒す。
勿論神藤の隠れている木の陰も例外ではない。
三人を取り囲んだ低級霊の群れは、今や逆におびき寄せられたようなものだった。
蛇身に打ちのめされ消滅していく。
大蛇の嵐は3分ほどで消えたが、成世 阿弥の半径50mの空間に蒸れていた低級霊もすべからく打ち倒され消えていた。
「ふー。二人とも無事?時間稼ぎアリガトね。
私は吸引符の代わりにこの渇食面で除霊した霊を食べて、大蛇面に蓄えておくことができるの。
蓄えた霊を圧縮してこういう武器に使えるのだけど、時間がかかるのが難点なのよね。
でも、ま、一層できたからもう安心よ。」
渇食面を取り外し、辺りを見回すと・・・
霊はいなくなったが、あたり一体も完全崩壊していた。
時間がかかる以上の難点があったりするのだが、この場ではあえてそれには触れないでいた。
>156の補足
何か思わせぶりな書き方ですいません。
時間がかかる以上の難点は、周囲の惨状が示すとおりの無差別攻撃だという事で。
>>153 駆け上がる牧街の足を青白い手が掴んだ
すさまじい力で動けない
足首が粉砕骨折しないのが不思議なくらいだ
「おいてけーおいてけー
荷物は置いて行かなくていいから、おまえの命をおいてけー」
置いてけ堀じゃないのにおいてけーが現われた
牧街は地中に引きづり込まれていく
――――詠唱が佳境に入った。
呪詛は専門外の祓い屋でも、霊圧の高まりが頂点に達した事はわかる。
悪霊の群れの猛撃。だが、完成直前のタイミングで近づけさせはしない。
「"ブランド・オブ・アルカナ×クイーン・オブ・ディスク(護符の女王)"――
――ファースト・ディスク!!」
交差して霊力を溜めた左右の手に[護符のAce]の刻印が二枚ずつ。
振りかぶって両手を左右に広げると、霊力の円盤が四方に射出された。
四条の曲線的な高速誘導。光の軌跡を描きながら悪霊を追尾・爆散する。
『――さあ頑張るのだ貴様ら! 俺様は、応援する!!』
「…いや、応援はもーいいっ!とりあえず、そこを動くなっ!?」
『・・・今こそ解放せし!万首の大蛇!』
…
……
ここまで問答無用の力技は初めて見た。
――― 一分経過。
下手に身動きが出来ない為、その場で仕方なく煙草に火を点ける…
…が、点火した側から大蛇の牙先に中頃から先を持って行かれた。
その切り口は、裁断された様に鋭利。半目で二本目に点火する。
――― 二分経過。
長い。あまりにも。これほどまでの高出力で、この継続時間。
正確に計測はしていないが、煙草の減り具合から推測すると、
確実に100カウントは過ぎている。現実感の欠如した光景だ。
――― 三分経過。
『ふー。二人とも無事?時間稼ぎアリガトね――』
「……ったく。無事なもんかよ。
あんたんトコの躾の悪い蛇が盛大に土埃を巻き上げてくれたおかげで、
お気に入りのジーンズが台無しだぜ、こっちは!!」
もろもろの感慨を込めた溜息を、紫煙と共に吐き出した。
>>158 「ぬぅおわなんじゅやぁあっとっとっどっぉうおわぁあぐぁっとぁ」
突如足首をつかまれ、盛大にバランスを崩して倒れかける牧街だったが
済んでのところで地面に手をついて堪え
再び立ち上がろうとするが、右足を掴む青白い手首のせいでまともに立ち上がる事ができず、そのままずるずると地中へと引きずられていく
「うわぁあああああああああああああああああああだぢげでぇええええええええええええええええええええええ」
目からどばどばと大量の涙を流しながら叫んで見るものの助けなど来るはずも無く
頭上から降り注ぐ砂の量は増し、目に砂が入って目を開けてられず、呼吸するのもつらくなってきた
(ヤバイ…本格的にヤバイ……も…もう散財だとか言う取る場合じゃねぇええええ!)
本格的名な生命の危機に、牧街はすばやくボストンバックの中に手を突っ込み、手に触れた破邪札を数枚鷲掴みにすると
ありったけの霊力をその手に篭めて、おいてけー目掛け勢いよく叩きつけた
>>156 >>159 『二人とも!動いちゃ駄目よ!巻き添え食らうから!』
「…いや、応援はもーいいっ!とりあえず、そこを動くなっ!?」
「む? 何を……」
『・・・今こそ解放せし!万首の大蛇!』
呆けた神藤の言葉など当然の如く置き去りにし、その術式は発動した。
現れたのは五本の蛇。もたらしたのは破壊の嵐。
顕現した大蛇達は荒れ狂い、悪霊を含んだ周囲の物体を根こそぎ破砕していく。
「ちょ!? な、な、何なのだこれh」
不条理を叫ぶ時間すら無かった。
まるで、大物の悪霊が引き起こすようなその惨事は見る間に拡大し、
神藤のいる位置をすら飲み込んだからだ。
目の前にあった木がなぎ倒される。
飛ばされた石ころが弾丸となって襲い掛かる。
問答無用の大規模無差別破壊。
なんという――――なんという性質の悪い攻撃か。
(こ、これでは、悪霊共とやりあった方がまだ安全ではないか――――っ!?)
それでも、どうにかして言われた通りその場を動くまいとする神藤。
だが、速攻で逃げるという選択肢を選んだ事の因果応報なのか……如何せん立ち居地が悪過ぎた。
神藤が隠れていたのは木の傍。蛇は当然の如くその木もなぎ倒し――――
「……へ? ぬ、ぬあああああああっ!!?」
最後の10秒といった所で、木が神藤のいる方へ倒れてきた。
動けば大蛇に巻き込まれ、動かなければ木に押しつぶされる。
デッドオアデッドの二択問題に再びめぐり合う事になってしまった神藤。
「え……ええい! こんな所で死んでたまるか!
俺様はGSになって豪華な生活を送るのだああああっ!!」
死に挟まれた彼は、生き汚いというか何というか、
とにかく、ここに来てようやく、生きる為に最良と思う行動に出た。
霊剣を中段に構えて呟いたのは、二言の詠唱。
それだけで、今まで間抜けな雰囲気を醸し出していた神藤の気配が微妙に変質する。
注意しても気づくかどうかという、そんな極小の変化。
そして、神藤が手に持つ名も無き霊剣――――そこに神藤の霊力が注がれ、淡く光を放った。
霊剣とは、所有者が霊力を流し込むことでその力を発揮するGSの霊装の一つ。
神藤の持つ霊剣は、一定量の霊力を流し込まれる事で物理、霊的な物に対する切断能力を
獲得する……もっとも、有名な霊剣「ジャスティス」程の性能も汎用性も無いのだが。
とにかく、霊剣を中断に構えた神藤は倒れてくる木に向け
振り下ろした。
中段の構えから放ったのは、居合い……その応用系。高錬度の剣閃は、
吹き飛んできた木を『縦に』切断した。二つに別れた木は、中央に立っていた神藤を素通りしていく。
それは、一つ目の死を回避した事を意味していた。だが
(ふ、フハハハ! よーし!ナイスだ俺様! 流石だぞ俺さm……!?)
だが、目の前には二つ目の「死」が迫っていた。その正体は破壊を振りまいていた巨大な蛇。
動きに反応したのか、その一匹が神藤に向かってきていた。
(な、ちょ……俺様、死ぬ!? うぐっ……え、ええい!仕方ない、アレを使――――ん?)
しかし、今回は幸運が神藤に味方したらしい。突如、目の前の蛇の姿が掻き消える。
いや、よく見れば荒れ狂っていた蛇たちは、悪霊の群れとともに、全てその姿を消していた。
ラスト10秒。つまり神藤はそれを乗り切ったのだ。
『ふー。二人とも無事?時間稼ぎアリガトね――』
「ふは、は……し、死ぬかと思ったではないかあああっ!!?」
その場にへたり込みながら、涙目で全力の抗議をする神藤。
そんな神藤に対してまるでオチを付けるかのように、
中空を舞い、落下してきたから少し大きめの木の枝が……脳天を直撃した。
>159>162
黒き大蛇の嵐が過ぎ去り、成世 阿弥は息をつきながら辺りを確認。
低級霊の群れは一掃され、辺りは静寂さを取り戻していたが、辺りへの被害も大きい。
地面は抉れ、廃墟は倒壊し、木々はなぎ倒されている。
そしてその静寂さを切り裂くような抗議の叫びが二つ。
>「……ったく。無事なもんかよ。
> あんたんトコの躾の悪い蛇が盛大に土埃を巻き上げてくれたおかげで、
> お気に入りのジーンズが台無しだぜ、こっちは!!」
>「ふは、は……し、死ぬかと思ったではないかあああっ!!?」
「あははは。まあまあよかったわ。
今まで除霊した霊の圧縮体の解放で動くものに優先的に襲っていくんだけど、確実に当てない自信なかったから。
使いどころが難しい技だったけど役に立ってよかったわー・・・あ・・・。」
二人の抗議など全く気にもしないないようにさらりと流すが、最後の最後に大きめな枝が神藤の脳天に直撃するのを見て笑いが途切れてしまった。
流石に少しは責任を感じているようだった。
タローの時と同じく、泥眼面を神藤の頭に貼り付ける。
「大きなタンコブだこと。
ハイ、これで痛み止めと治療になるわ。暫く貼ったままにしておいてね。」
一応の効果を説明しながら、続けて霊道封鎖の目的を告げ、共闘を持ちかける。
戦力は多い方がいい。
「私は成世 阿弥。正規のGSで仮面を媒体に力を使うわ。こっちはタロー君ね。
方向的にあなたが逃げたほうに霊道があるわけだけど、助けたお礼にこの先に何があったか教えて頂戴。
それから、共闘するつもりがあるならあなたの能力もね。
それによって体制も違ってくるから。」
テキパキと話を進めていく。
>160
地面に引きずり込もうとする白い手に、破邪札を数枚叩きつける牧街。
数枚の同時攻撃に生命の危機を感じた霊力は普段以上の攻撃力を発揮する。
巻き起こる爆発に足首を掴んでいた手は吹き飛ぶ。
だが、場所が悪かった。
地上への傾斜がついた洞穴。
背後は崩落しつつあり既に埋まっている。
そして普段以上の爆発。
この状態は見方を変えれば、砲身の中で足元に爆発を起こしたようなものだ。
結果はあって然るべきというものだろう。
牧街は人間大砲よろしく洞穴から射出され、大空を飛ぶ砲弾と化した。
風を切り空を舞い、地面に突き刺さり大爆発を起こす牧街!
見事その命を悪霊島に大地に散らす・・・・筈だったのだが、意外と着地は無事に行われた。
まるで分厚い救命マットの上に落ちたかのように衝撃は拡散され、2.3度のバウンドと共に大地に転がる。
緩やかな風と草の香りにそこが草原だという事に気付くだろう。
だがただの草原でないことは、目に映る青白い人影たちの姿で否が応でも認識させられる。
『・・・助けて』
『こんなに早く辿り着くなんて・・・』
『無事でよかった』
それは霊体独特の声。
着地した牧街は無数の幽霊の囲まれていたのだ。
しかし敵意は全く感じられない。
牧街が無事着地できたのも、この幽霊達がクッションになってくれたからなのだ。
幽霊の声が先ほど夢の中で聞いた声と同じだと思い出すだろう。
そして幽霊達は衝撃の事実を告げる。
『私たちの声に応えてきてくれてありがとう。
ここが霊道です。』
目を凝らすと、直ぐ側に閉じかけた霊道が見えるだろう。
>>163 「これを貼ってるだけで傷が治るのか。むぅ、なんというか、変わった術だな。
しかし、傷が治るのはいいが、頭に人面祖張った姿というのはどうなのだ……?」
腕を組み、頭に張られた泥眼面を微妙な表情で突いたりしながら神藤は話に耳を傾ける。
神藤の目の前のGS と自己紹介した女性の話によれば二人は霊道を封鎖することで
この試験の合格を果たそうとしているらしい。とりあえず適当に霊を倒しまくろうと
突っ走っていた神藤とはエライ違いである。
『私は成世 阿弥。正規のGSで仮面を媒体に力を使うわ。こっちはタロー君ね。
方向的にあなたが逃げたほうに霊道があるわけだけど、助けたお礼にこの先に何があったか教えて頂戴。
それから、共闘するつもりがあるならあなたの能力もね。
それによって体制も違ってくるから。』
「……待て。助けたお礼と言うが、下手したら俺様、死んでいた気がするのだが?
いや……まあいい。本当は良くないが、俺様は心が広いからな。助けられたのも事実だし、
それくらいなら話してやろうではないか!ハーッハッハッハ!!」
一々無駄に高笑いをしないと気がすまないのだろうか?
とにかく神藤は、そういって自身の辿って来た道順を回想する。
「さて、霊道――俺様が霊の群れと出会った場所か。むぅ……といっても、あの周辺には
特に何も無かった気がするのだが。せいぜい草原と……む、そうだ!
確か、そこにはやたら大きな石があったな。それに近づこうと草原に踏みこもうとした瞬間、
あのアホの様な量の霊の群れに襲われたのだった。おのれ、思い出すだけでも腹が立つぞ……!」
ワナワナと拳を握る神藤。
だが、(早く話続けろよ……)的な視線を感じ取ち、咳払いをして話を続ける。
「ゴホン! 後は、共闘をしないかという話だったな? ……くくく。貴様らは実に運がいい。
この俺様に共闘を申し込む権利を得たのだからな! その申し込み――――答えは『Yes』だ!」
何か地味に腹の立つ態度で神藤は続ける。
「改めて自己紹介をしてやろう。俺様は神藤巳粋、GS志望の霊能力者だ。能力は超……」
そこまで言って、何かを思い出したように口を噤む神藤。彼もアマチュアではあるが一応GSだ。
己の切り札を出会ったばかりの人間に話す事の愚かさに思い至ったらしい。
「あー……能力は、この霊剣を使った霊との格闘戦だ。恐らくだが、剣技だけで勝負すれば
貴様らは俺様に勝てないだろうな。フハハハハ!!」
「ちなみに言っておくが、俺様は札とか精霊石とかそういった物は(金銭的な問題で)一切
持っていないぞ。だから、そういう役割を期待されても困る」
>>164 (僕、飛んでるよ〜)
目を輝かせ、満面の笑みを浮かべながら、大空を舞う牧街
そういえば師匠が、破邪札は一度に一枚づつ使え!と口をすっぱくしていっていたなぁ…
そんな風にぼんやりと考えながら、ぼんやりと下を見て見ると、結構背が高い木が自分の下に見えた
(大体ビルの4階位の高さでしょーかねぇ、えぇ……)
だんだん、頭が冷静になってくる
(ビルの4階って事は、絶対実家の屋根の上よりは高いわけだよな)
牧街の実家は木造1階立てで、トイレは和式だ
彼は昨年、実家の屋根に上って雨漏りを直した時、足を滑らせてそこから落っこちた事がある
(あん時は確か骨が折れたんだっけ?ヤバイなぁ…今度は4階だろ?あ、今3階くらいになったなぁ…どんどん落ちてるわけかぁー…)
地面が近くなっていくにつれ、現実逃避していた思考がどんどん現実へと引き戻されていき
それに伴い、さわやかな笑顔がどんどん恐怖に引きつっていく
(あ…あ…あ…あ…あ…)
脳裏に様々な人の顔が浮びだし、景色が宇宙っぽいものに変わっていき、目から涙が溢れ出す
「嫌じゃアアアアアアアアアアアアああああああああああああああああああああ死にたくぬぅべ!!」
叫んだところで、彼は霊のクッションに助けられた
周囲を取り囲んでいた霊達に気づき、すばやく天流落地(土下座命乞い)の構えを取った牧街だったが
彼等の敵意の無い態度と、夢の内容を思い出した事で、とりあえず構えをといて、胡坐をかいた
「なーるほど、ねぇ…霊道が正しく作用していないから何とかして欲しい、と…」
そう言って、しげしげと霊道を眺めてみる牧街
確かに閉じかけており、これでは霊がつっかえて、溢れてしまうのも頷ける
アレに霊力を加えて開いてやれば、霊がつっかえる事は無くなるだろう
そうすれば、万事解決、自分の免許更新成功、めでたしめでたしとなるはずだ
…この霊達の話を鵜呑みにすれば、だが……
「よし!そいじゃあ開いてしんぜよう」
しかし、牧街は特に疑う事もせず、ボストンバックから一枚五千万円のめちゃくちゃべらぼうに強力な破邪札を取り出し、霊道へと貼り付けると
そこに神通杖をかざし、エネルギーを注ぎ始めた
バリバリと光と稲妻のような物をほとばしらせながら、霊道が徐々に開いていく
『え……ええい! こんな所で死んでたまるか!
俺様はGSになって豪華な生活を送るのだああああっ!!』
「……!!あのジャージ野郎、面白いモノ持ってやがるな」
木を真っ二つにした霊剣の方では無い。
奴が大蛇と相対した時に一瞬だけ見せた気配。
あれは、デカい切り札を隠し持った人間特有の眼光だ。
祓い屋は、二本目の煙草を浅く吸い込みながら目を細める。
煙草が、ひどく不味い―――無茶な立ち回りで傷口が開いたせいだ。
「("ブランド・オブ・アルカナ×プリンセス・オブ・チャリス(聖杯の王女)"――
――シックスス・ポーション)……!」
ジャケットの裏側に隠す様にして[護符の6]を貼り付けた。
投影された魔法薬の小瓶から、柔らかな光輝が溢れる。
燐光は、泥眼面越しに脇腹の刺傷へと浸透して行くが、
治癒能力同士で、かなり強い霊力の干渉が起こった。
心霊治療にオーバードーズがあるとは思いたくない。
それが、相乗効果になってくれる事を祈りたかった。
こうして、最も長い最後の十秒間は終わった。
――――台風一過。
『ふは、は……し、死ぬかと思ったではないかあああっ!!?』
束の間の安息が訪れた周囲80平方メートル弱の空間の中心で――
――地面にへたり込みながら、涙目の上目遣い……完璧だ。
思わずフラフラと歩み寄って、よしよし。と頭を撫でた。
すでに、こちらも泥眼面の餌食になっているらしい。
「なかなかやるじゃねえか、オレサマ野郎。
丁度、萌えキャラ要員が不足してたトコなんだ。
お前となら、楽しくやって行けそうな気がするぜ」
右手を差し出す……新しい仲間を助け起こす為に。
効果時間を終えた[護符の6]が密かに瞬いた。
暗示するのは―――"楽しみ"。
…
……
「―――とりあえず行こうぜ。神藤、お前がナビゲーターだ。
大岩だか環状列石だか知らないが実物を見てみない事には、な」
大まかな自己紹介と状況整理が終わった頃を見計らって、口を開く。
周囲に――突如出現した霊的空白地帯に――雑霊が集まり始めていた。
>167
>「よし!そいじゃあ開いてしんぜよう」
幽霊の話を聞き、早速強力な破邪札を取り出す牧街を見て幽霊達が慌てだす。
しかしそれより先に牧街の霊力が注がれてしまった。
バリバリと光と稲妻が迸り、空間に亀裂が広がっていった瞬間、一斉に幽霊達が牧街に飛び掛る。
『だ、ダメです!』
『危ない!』
エネルギー抽入の最中で全く身動きの取れない牧街は幽霊達の体当たりを喰らい溜まらず転がる。
だが、次の瞬間、亀裂は大きく広がり・・・
『グギャアアアア!!!』
空間の亀裂から数本の触手が飛び出して、先ほどまで牧街がいたところを薙ぎ払う!
ドドメ色をした触手は粘液を迸らせながらのたうつように周囲をうねる。
『危なかった・・・』
『狭くなった霊道に次々に邪霊が引っかかり、それが融合して怨霊になってしまっているのです。』
牧街を突き飛ばし身代わりになった幽霊が、身体を半分ほど消滅させながら説明をした。
排水溝はそのまま穴として開いていれば、多少のゴミも流れていってしまう。
しかし、排水溝に網を被せていれば、ゴミは引っかかり溜まっていく。
それと同じことが狭くなった霊道に起こっているのだ。
ただし溜まっているのはゴミではなく邪霊であり、それが融合して怨霊になってしまっているところが全く持って違ってしまっているのだが・・・
牧街が霊道を少し広げたことにより、引っかかっていた怨霊が外に溢れ出てきたのだ。
もはや何の例かもわからぬ【ソレ】は、空間の穴から何本も触手を出して辺りを威嚇する!
その範囲内にあるもの全てをなぎ倒さんとするために!
>165>168
神藤の俺様口調に苦笑しながら話をじっくりと聞く。
途中能力の件で口ごもったところに違和感を感じたが、術の発動中はトランス状態であった。
ので、タローのように何かを感づくことはなかった。
「巨石・・・ねえ・・・」
ふむ・・・と考え込んでいると、タローの脇柄の泥眼面にひびが入っていることに気がついた。
最後の十秒の間に行った回復術法の影響である。
それに気付くと同時に、霊的空白地帯となったこの場所に雑霊が集まり始めて思考が停止される。
「ぐずぐずして雑魚で霊力消耗していちゃたまらないわ。
一気に行くわよ!」
そういうと走り出し、一気に崖を駆け上る。
巧みにへこみや突起に足をかけ、崖を上りきったところで目に入ったのは、広がる草原。
そして神藤が言っていたであろう巨石。
それぞれの巨石の間隔が広い為近くで見れば気付かないだろうが、この崖を上ったところからは巨石がいくつも並んでいることが判る。
「これは・・・環状列石?・・・それよりも!」
巨石が一つではなくいくつもあることに驚いたが、それ以上に草原の中心にいる人物に驚いた。
そこには周囲に幽霊を従える(成世 阿弥視点)牧街の姿があったのだから。
「牧街君・・・どうやって?泣き付いて来るか不貞寝でもしてリタイアだと思っていたのに、出し抜かれるなんてね!
二人とも、聞いて!あそこにいるのは正規のGSよ。
幽霊に取り憑かれているのか正気なのかは知らないけど、共闘を断ったからには私たちの敵よ!
先に霊道を閉じられたら私たちの合格は泡と消えるわ。
タロー君と神藤君はあそこの彼を倒して。二人掛りなら勝てるはず。
霊道から出ているグチャヌルは私が何とかするから!」
成世 阿弥は走りながら後ろの二人に指示を出し、霊道から這い出る触手へと向かっていく。
『――タロー君と神藤君はあそこの彼を倒して。二人掛りなら勝てるはず。
霊道から出ているグチャヌルは私が何とかするから!』
「"ナイト・オブ・ソード×シックスス・シャープ"!!
―――どうする?牧街さん。あの女の意見は聞いての通りらしいが。
おれとしては、あんたとも協力して霊道の"処理"をしたいと思ってる」
手の中の[剣の6]が突剣型の霊波刀を出力した。
草原を吹き抜ける微風が、祓い屋の言葉を乗せて流れる。
「無論、以下のどちらかだった場合には、微塵も容赦しない。
ひとつ。あんたが、こちらの話にまともに取り合おうとしない場合。
ひとつ。あんたが、おれたちを本気で出し抜こうと思っていた場合」
祓い屋は、結った長髪を風に靡かせながら草原の中心へと向かう。
片手をジーンズのポケットに突っ込んだ姿勢で、真正面から対峙した。
「こっちの目的は単純、成世さんに借りを返すコトとGS資格の取得だからな。
教えてくれ牧街さん―――あんたとの協力は、そのどちらかと矛盾するのか?」
[剣の6]の切っ先を下げたままで返答を待つ。
暗示するのは―――"仲介者/仕事の遂行"。
>>170 >>171 崖を登った先にあったのは、気持ちの悪い触手とその傍にいる一人の男の姿。
成世阿弥の話で、その男が正規のGSであり、牧街という名前であるという事が判る。
更にその話で、牧街が自分たちを出し抜き合格しようとしている、
もしくは霊に取り憑かれているGSであると理解した神藤は、
『――タロー君と神藤君はあそこの彼を倒して。二人掛りなら勝てるはず。
霊道から出ているグチャヌルは私が何とかするから!』
と成世が言うまでもなく、撃退の為の体制を固めていた。
タローと間逆。挟み込むような位置に素早く移動した神藤が構える
名無しの霊剣に霊力が込められ、淡く美しい光りを放ち始める。
それは、霊剣が『武器』として効果を獲得したという合図。
構えた霊剣の切っ先を牧街のいる方角に向けた神藤は、
「ハーッハッハッハッハ!! 運がなかったなこの憑かれGSめが!
貴様にも目的があるのだろうが、もはやそれは失敗したも同義!
俺様とその他二人が到着したからには、もはや貴様に合格などくれてやらんのだからな!
大人しくそこに膝ま付き、免許を剥奪されるのを待つがいい!!」
そう、自信たっぷりに宣告した。
自分が有利だと思われる状況では、いつもより更に強気になる。
そんなやや情けない習性を、神藤は持っていた。
>>169 >『だ、ダメです!』
>『危ない!』
「ほへ?どべらぎゃ」
霊の渾身のタックルを喰らい、吹っ飛ぶ牧街
「あだっ」
しかしながら一応格闘家なので、何とか受身を取って着地し、後ろを振り返り
「とーとつに何だぶ…ぇ…?」
エロゲに出てきそうな触手の登場に、真っ青になって口元を引きつらせた
「何アレ!何アレ!何ですかアレ…は!?」
慌てて幽霊達に抗議の声をあげた牧街だったが、次の瞬間、自分を突き飛ばした霊の体が半分消滅している事に気づき、これまでで一番の、真剣な驚愕の表情をする
>『狭くなった霊道に次々に邪霊が引っかかり、それが融合して怨霊になってしまっているのです。』
霊達の説明に
しかし牧街はそれが聞こえていないかのように、しばらく呆然と立ちすくんでいたが
「いや!んなこたぁどうでもいい!!喋っちゃ駄目だ!すぐ回復させないと…」
すぐに、自分が危ない目にあった事などどこかに吹っ飛んだように、霊の元に駆け寄り、霊波を注ぎ込もうとした、その時
>>170〜172
成世の声が響き、タローと、神藤が自分に対し、応戦の構えを取り、各々が何か言ってくる
「 成 世 !!」
が、牧街は怯まず、二人を無視し、成世に向かって力強い口調で叫ぶと
同時におもむろに自らの手についた眼通君を外し、渾身の力を篭めて、それを成世目掛け蹴り飛ばした
眼通君はある程度の衝撃に耐える頑強な素材でできているにも関わらず、また、牧街はおいてけーに掴まれた足で蹴ったにも関わらず
眼通君は牧街の蹴りを受けて飛ばされた後、空中で砕け、破片のいくつかが成世の前にぼとりと落下した
資格試験の始めに、試験管は如何なる理由があろうと、眼通君を外した者は、即座に失格とすると言っており、牧街は薄手の服を着ているため、他に眼通君をつけていないのは明白である
続いて牧街はボストンバックからGS資格試験習得免許を取り出すと、それを入れているカバーからだし、渾身の力を篭めて引き裂き、ボストンバックから出したチャッカマンで火をつけ、燃やしてしまった
それらの行為を行っている最中、線目だった牧街の目はカッと見開かれ
その瞳には微塵の迷いも感じられない
「成世!俺は手出ししない!何があっても、だ!」
牧街は燃える免許を地面に落とし、踏み消しながら、もう一度、成世に向かって叫ぶと、すぐに後ろを振り返り、何か言おうとしていた霊達に、断固とした口調で語りかける
「例え一度結界を作って霊道を封鎖しても、俺がそれを破壊して、今度は確実に霊道を開けてみせる。だから、君達は安全なところへ避難していてくれ」
霊の瞳をまっすぐに、覚悟と、熱意と、魂の篭った視線で見据えながらそう言った後、牧街はすぐに表情を崩し、彼らに屈託の無い笑顔を向けてみせた
「俺は、君達の本気の思いに動かされた。俺も、君達の思いに全力で応えるよ」
>171>172>173
霊道から這い出る触手と対峙しながら、背後を見るとタローと神藤が牧街を挟んでいた。
思惑通りの展開に成世 阿弥の口元が歪むが、それは直ぐに引きつってしまうことになる。
繰り出される触手を躱しながら間合いを計っていたのだが、ここに来て予想外の行動に出られたのだから。
牧街が眼通君を取り外し、蹴り飛ばし粉砕したのだ。
これは試験の失格を意味する。
それだけではない。
牧街の命とも言うべきGS免許を燃やしてしまったのだ。
戸惑いながらも消えていく幽霊達。
「な・・・牧・・・」
足元に落ちてきた眼通君に思わず絶句する。
そして暫くの後、我に返った成世 阿弥は言い放つ。
「どうやらすっかり幽霊達に取り憑かれちゃったようね!
二人とも、何があっても手出ししないって言うのだから遠慮なくやっちゃって!
今の言動はもはや犯罪行為よ!
ふん縛って試験官に引き渡せば賞金も出るから!」
牧街の覚悟も成世 阿弥にはライバルが得物に変った瞬間でしかなかった。
高笑いをしながらビシッと指差し二人に指示を送る。
だが、それは致命的な隙ともなった。
牧街の言動に驚いている成世 阿弥の背後に触手が迫る。
「しま・・・!!」
這い出た触手が成世 阿弥の足に絡みつき、一気に引きずり込もうとしたのだ。
一度捉えられては後は早かった。
草原を引きずられグチャヌルの肉塊に取り込まれてしまった。
『――何があっても手出ししないって言うのだから遠慮なくやっちゃって!
今の言動はもはや犯罪行為よ!――』
「おれの目的は借りを返すコトとGS資格取得だ。犯罪者の逮捕じゃない。
第一……自分から無抵抗を宣言した相手をどつきまわす趣味はねえよ」
目の前のGSの―――元・GSの決断を、感情を殺した瞳で見届ける。
燃えたのは受験票か免許証か。どちらにしろ安い紙切れだ。
[剣の6]を解除して牧街に背を向けた。
「おれたちを出し抜こうってわけじゃ無さそうだな……だが、残念だ牧街さん。
こちらの話にまともに取り合おうとしない場合は微塵も容赦しないと言った。
微塵も容赦せずに放置させてもらうぜ―――邪魔立てしないってんなら、な」
『しま・・・!!』
「ちっ……手を貸しやがれ、神藤っ!
あんな性悪女でも、今はチームメイトだ」
どうやら、向こうではドジを踏んでいたらしい。
成世の下へと全速力で駆け出す―――間に合わない。
「触手が通るのが精一杯の狭さのままじゃ、助けられねえ。
これから霊道のフチを切開して、ヤツの本体を引きずり出す……」
疾駆した勢いをそのままに霊道の直上へ跳躍。
両腕を振りかぶる体勢で"剣の騎士"を刻印する。
「……"ナイト・オブ・ソード×エイス・ブレイド"!!
派手に行こうぜ――――タコ・モンスターの帝王切開だっ!!」
融合怨霊の檻枷たる霊道の枠を、高出力の霊波刀が斬り裂いた。
[剣の8]が暗示するのは―――"拘束された力/バッドニュース"
>>173 >>174 >>175 目の前でGS免許を破り捨てた牧街に、
(な、なんという勿体無い事をするのだ……!)
と一瞬驚愕の眼を向けた神藤だったが、
『ふん縛って試験官に引き渡せば賞金も出るから!』
という成世の言葉を聞き、タローとは逆に喜色満面で再び霊剣を構えた。
「フハハハハ! GS資格の上に賞金まで貰えるなら、俺様に断る理由等無いわ!
峯打ちにしてやるから、俺様の未来の為に大人しく刀の錆になるがいいっ!!」
そうして、ヘタレ丸出しな台詞と共に無抵抗な牧街に一撃を入れようとしたその瞬間
『しま・・・!!』
「――――んなにっ!?」
聞こえた声に思わず手を止め、向けた視線の先。
そこには、気持ち悪い触手に引きずり込まれる成世の姿があった。
「ちょ、な、なにをやらかしてくれるのだあの女は――っ!?」
『ちっ……手を貸しやがれ、神藤っ!
あんな性悪女でも、今はチームメイトだ』
「……ええい!言われなくともそうするわ!
あの女が捕らわれた状態では、霊道の封印など出来ないではないかっ!!」
直後、牧街の方を一瞬だけ名残惜しそうに見て、それからタローをも上回る全速で
成世のいる位置への疾走を始めた神藤。けれど、その速度を以てしても
僅か数歩、成世へは及ばなかった。伸ばした腕が虚しく空を切り
「へぷらばっ!!?」
神藤は勢いのまま地面へと転がる。
そして、そんな神藤の上に一つの影。
それは――――跳躍し、霊道を切り開くべく霊波刀を構えたタローの姿。
『触手が通るのが精一杯の狭さのままじゃ、助けられねえ。
これから霊道のフチを切開して、ヤツの本体を引きずり出す……』
何とか立ち上がるべく顔を上げ、霊道に霊波刀を食い込ませる
タローのその姿を見た瞬間、神藤の胸には、何か嫌な予感が走っていた。
>>174 GS免許を破き、自身の覚悟を示し、霊達の避難を見届けた牧街は
「いっつぅぇ〜…」
今頃蹴った足を抱え、ごろごろともがき始めた
(…よく考えてみれば外して投げるだけでよかったし、しかも蹴るにしても反対の足にすりゃよかったな…
……ってかこれ、犯罪になるのか?
ならない…よな?うん、だって俺手出ししないから好きにしていいよ〜って言っただけだもんな……
…いや待てよ……眼通君壊したのは器物破損になるんだよな…
ヤバイなこりゃ…弁償する事になるとして、幾らくらいするんだ?
やっぱ一千万位はすんだろーなぁ…うわぁ…)
更にもがいてる内に、頭の中に次々とマイナス思考が浮かんでくる
元々勢いでやらんでいい事までやってしもうたのだ
少し落ち着けば後悔していくのも頷ける
(また師匠に借金かよ…
ん?待てよ、俺、GS資格失ったんだよな…
って事は、師匠に金返せなくなるわけだよ…な……
しかも…師匠、俺が免許更新ミスったら……殺す言うてたぁ…よな……
………この上返せない借金までさせてくださいなんて言ったら…………)
牧街の中で、後悔が致命的な物へと変わり
目は白目になり、口からはエクトプラズムがこぼれ、死んでもいないのに人魂が出現し、精神はあっちの世界へと出発する
「あはは…は…こーろさーれるー…今度こーそしーしょうにこーろさーれるー…ジープでひーかれーて」
『しま・・・!!』
「!!」
謎の歌を口ずさみ始めた所で、成世が触手に捕らわれ、肉塊に取り込まれてしまう
更に
>「……"ナイト・オブ・ソード×エイス・ブレイド"!!
> 派手に行こうぜ――――タコ・モンスターの帝王切開だっ!!」
「あぁ!!」
今度はタローが怪物目掛け突っ込み、怪物が触手をたぎらせる近くで霊道へ攻撃を行う
タローの霊圧が如何ほどかは知らないが、少なくともすっぽんと戦ってた時は、自分よりも下に感じられた
っつー事はあの霊波刀では霊道を塞いでいる物を切り裂くなど、不可能と言う結論に至る
何故なら、あの霊道自体は大した強度ではないが、あの霊道を塞いでいる「何か」は、タローよりも霊圧が高い自分が、5千万円の破邪札で50マイトプラスした力を用いても
じわじわと融解させていく事しかできなかったのだ
それを、霊波刀で切る、と言うのは、レーザーでゆっくりしか切れない物をガスバーナーですばやく切断しようとしているようなものである
勿論タローはアレの強度など知るよしもないし、自分も破邪札を使って実際に塞いでいる物を消そうとして、始めて知ったのだから、仕方の無い事だ
ちなみに、霊道の側壁の方を切っても触手怪物はあの塞いでいるものにくっついているため、そちらの方向へ流れ出ず、更に別の雑霊がそこから漏れ出て、かえって状況を悪くするだろう
まぁ、そこは切れませんでしたで済むので、特に問題は無い
問題は、彼は霊道の直上へ高くジャンプしてしまっているため、着地の際隙ができちまう事と、その隙が怪物の触手の射程距離内でできてしまう事だ
しかしタロー程の運動神経なら、着地してすぐに横に飛びのく事位できるだろう
が
>『へぷらばっ!!?』
「ずぅおい!」
そのタローの下に、神藤が滑り込んでいった!
恐らく人間の上に着地する事を得意とする人間など大道芸人しかいないだろうから、タローは多分着地のバランスを崩し…いや、でも、大丈夫そうではあるが
とりあえずバランスを崩す危険性があり
神藤は…このままでは触手の餌食になる事間違いなし!
「手ぇが滑ったぁあああああああああ」
二人の(主に神藤の)ピンチを救うべく、牧街は触手目掛け50万円の破邪札3枚を一気に投げつけた
「霊道を実際に塞いでいる物」の存在を知るのは牧街だけだ。
情報弱者のタローが斬り裂いたのは「霊道の側壁の方」だった為、
「別の雑霊がそこから漏れ出て、かえって状況を悪く」してしまった。
>175>176>178
神藤の腕は虚しく中を掴み地面に転がる。
タローは跳躍し、霊道を切り裂くべく霊波刀を振り下ろす。
開きかけた霊道に刃は食い込みそのまま振り下ろされるかに見えたが、途中硬いモノに当たり弾かれた。
切り裂かれ広がった霊道から溢れる雑霊、そして・・・
ソレをなんと形容するだろうか?
巨大なソレが霊道から転がり落ちる。
中央には牧街が入れた亀裂。
そこから溢れ出る数本の触手が雑霊と共にバランスを崩したタローと地面を転がる神藤に襲い掛かる。
>177
必殺の間合い、必殺のタイミングで繰り出された触手が二人を切り裂く瞬間、突如として爆発が起こる。
それは牧街が投げつけた破邪札の起こしたものだった。
破邪札の爆発は溢れ出る雑霊を吹き飛ばし、触手はその衝撃に収縮し鎌首をもたげるように後ろに引いた。
だが、これは戦いの始まりの合図でしかなかった。
「ソレ」をなんと形容するだろうか?
卵?繭?
霊道から転がり落ちた球体の「ソレ」は不気味に脈動をはじめる。
その動きは徐々に大きくなり、中央の亀裂が広がっていく。
触手が引っ込み、代わりに球体に入った亀裂から雑霊があふれ出す。
そしてついには球体は割れ、中から異形のモノが現われた。
身の丈3mを越すソレは人の形になりきっていない肉塊。
シュー・シューと瘴気を吐き出しながら周囲の草を枯れさせている。
長さ太さの揃っていない手足は動きを緩慢なものにさせていたが、それを補う数本の触手が辺りに蠢いている。
体のパーツにランダムにつけたあるような5つの眼がぎょろりと三人を捕らえた。
「ぐぎゃあああああああああああ!!!」
大気を震わす咆哮が恐るべき化け物の誕生を島中に知らせていた。
本来ならば三人が束になってかかっても絶対勝てないであろう化け物【だったのだろう】と三人の霊感が告げる。
そう、本来ならば。
しかしこの化け物の異変は直ぐにわかるだろう。
巨体がまるで内側から叩かれているようにボコボコと収縮を繰り返しているのだ。
内側から化け物の邪気とは異質な霊力を感じることができる。
「ぐぅ・・・うがあああ・・・・!」
身もだえする化け物は確実に苦しんでいるのだ。
弱り、本来の力ではないのだ。
涎を垂らしながら苦しむが、それが何故なのか化け物には理解できていない。
となれば、苦痛に怒る矛先は身近の三人に向かう。
「おおおおおおおお!!!ぎいいいい!」
元々理性などないのか苦痛に理性が吹き飛んでいるのか、獣のような雄叫びと共に三人に襲い掛かる。
先端が硬質化した触手が薙ぎ払うようにタローと神藤にそれぞれ振るわれる。
更には口から吐き出された霊弾が牧街に飛ぶ。
それぞれまともに喰らえば肉は引き裂かれ、霊弾は爆発を巻き起こすだろう。
【モンスターデータ】
異形の化け物
サイズ:3m超
体型:人型だが人型になりきっていない。
知能:皆無
特徴:頭・右肩・左上腕・胸・右足に眼球が取り付けられている。
吐き出す瘴気で植物が枯れる。
触手を5本持ち、先端を硬質化させ襲いかかる。攻撃範囲は10mほど。
口から霊弾(爆発系・威力中)を吐き出す。
防御力は低めで通常攻撃でもダメージが与えられます。
耐久力は高め。
ダメージを与えると傷口から雑霊が溢れる。(返り血に注意程度でOKです)
(神藤さん、戻られましたらいつでも復活してくださいね)
>>179 タローの切った霊道側壁から転がり落ちてきた怪物
その怪物が放った霊弾が驚いて飛びのいた牧街の横に着弾し、爆発する
一撃喰らったら即効であの世へレッツらゴーのその威力に、牧街の頬が思わず引きつり、腰が抜けた
(じ…じょーだんじゃねぇぞ……)
「こ…」
目を充血させる位かっと見開き、すばやく立ち上がる牧街
彼がとる行動は、一つである
成世の救出?
否、成世だってGSだ、死ぬだ生きるだは自己責任だ
霊道を開く?
いやそれは今ちょっと無理だ
では何か
「こんなのとまともにとぅあたかぇるくぅアアアアアアアアあああああああああああああああああああ」
滝の涙を流しながら、牧街は近くの森へと全力疾走で逃走し始める
そこにはさっきまでの少しは格好いい面影は最早微塵も無く、恥も外聞も無く、自らの命を必死に守ろうとする、生命の輝きがあるのだった
『手ぇが滑ったぁあああああああああ』
「……牧街さん!!やっぱり口では何だかんだ言っても――…」
『こんなのとまともにとぅあたかぇるくぅアアアアアアアアあああああああああああああああああああ』
「――…って、結局そーなるのか、あんたはっ!?」
それでも、この三枚の破邪札が盤面を動かしたのは事実だ。
仮称"タコ・モンスター"は、こうして実際に多大な隙を晒している。
体勢を立て直して勝負の布石を打つには、充分過ぎる時間だった。
「ちょっとした脱出マジックを思いついたぜ―――フォース・ロッド!!」
[杖の4]を片手に探したのは、足下に弾け飛んで来ていた堅牢な"繭"の破片だ。
その中から大き目のモノを選んで拾い上げ、モンスターの胸板に叩き付ける。
硬質のソレは、未だ不定形に脈動する粘着質な胴体に張り付いて固着した。
無論、嫌がらせにもならない上に、その部分には攻撃が通り難くなる―――
―――だが、"それがいい"
地面と平行に突き出したロッドの先端は、即席のハード・ポイントを捉えた。
「伸びろ……キング・オブ・ロッドッ!!」
六尺棒程の全長だったロッドは瞬時に七〜八倍の長さに伸張。
その両端に固定されている祓い屋とモンスターとの距離を広げた。
射程外に逃れると同時に解除―――新たなブランク・カードをドロー。
「―――クイーン・オブ・ディスク!!七枚……いや、八枚だっ!!」
本来は円盤状の[護符のAce]は、霊力不足で中央部分が構築出来ていない。
円月輪とでも呼ぶべき形状になった光輪刃を、周囲八方位へ放射状に展開。
左右の手を正面に突き出して遠隔制御を維持する。五本の"触手"への分散。
八対五―――力押しは無理でも、数による撹乱に徹すれば持ち堪えられる。
「神藤――――!!
"触手"の方は、こっちで何とかトントンまで持って行く……
お前は、おれがくたばる前に奴の"本体"を何とか沈めやがれっ!!」
…
……
一見、こちら側の手札は絶望的なモノに思える。
最も戦闘能力が高いと思われる成世は、生死不明。
次いで実戦経験の多い牧街は、戦闘エリア外に逃亡。
残されたのは、無資格のGS候補生二人という最弱のペア。
……しかし、この状況の中でも祓い屋は勝利を確信していた。
なぜなら――――
「――――あいつ、腐ってやがる……早すぎたんだっ!!」
>>179 >>181 >>182 「な……な、な、な……なあああああああああっ!!!!?」
必殺の一撃を前にして硬直していた神藤が我を取り戻したのは、
目の前で破邪札が爆発し、気味の悪い人モドキが現れてからだった。
「ぬおおおっ!?」
放たれた凶器の威力を持つ二発目の触手を、とっさに
上半身を仰け反らせることで回避した神藤は、
「な、なんなのだ!なんなのだ、この気持ち悪いのはっ!?」
と、混乱の声を上げつつも、GSとしての訓練の成果か、或いは生物としての
生存本能か、バックステップで触手の射程距離から逃れようと試みる。
そうして何とか自力で触手を回避出来る距離まで離れてから、
改めて怪物の容姿を見てみれば、その姿はあまりに異形。
全身から瘴気を放ち、霊弾と触手を撃ちまくるその存在は、
神藤のやや緩い頭でさえ自分より格上の化物であると感じ取る事が出来る。
(ま、不味い。どうにかして逃げねば、俺様が死んでしまう……!
とにかく、他の者共が隙を作った隙にどうにかして……)
そう思い、チラリと後ろに視線を向ければ
『こんなのとまともにとぅあたかぇるくぅアアアアアアアアあああああああああああああああああああ』
泣きながら走り去る牧街。
「ちょ!?待て、待つのだきさまあああああ!!俺様より先ににげるでないわああああっっっ!!!!?」
『ギャー』と叫び、涙目で呼び止める神藤だが、そんな呼び止めが通用しない
であろう事は同類(ヘタレ)である神藤自身が一番良く判っている。
そして、牧街のその行動により、神藤にとって状況はより悪化した。
遠距離の敵がいなくなったことで、肉な化物は完全にこちらへと標的を移したのである。
速度と精密さの増した化物の触手が、神藤達の方へ狙いを定める。
逃げ道は、無い。
「ぐ……ええいっ!!どうせ何もしなければ死んでしまうのだ!!
こうなれば、破れかぶれ!! この俺様の全力で貴様を倒し、
中の変な女を助け出し、GSになってくれるわ!ハーッハッハッハッ!!!!!!」
そうして、背水の陣に配置されたヤケクソな神藤と触手の打ち合いが始まった。
霊剣によって、化物の放つ触手を受け流し、或いは弾き、回避する。
だが、そんなもの長く持つ筈も無い。神藤はそれなりに高い剣技を持つとはいえ、
敵の触手は五本。単純に、物量が違うのだから。恐らくは一分も持たずに
やられてしまうだろう。 だが、その時
『―――クイーン・オブ・ディスク!!七枚……いや、八枚だっ!!』
声が聞こえた。そして声の主は、この場において神藤以外に存在する唯一のGS
その彼が、抜群のタイミングでタローが生成した何かが、触手の動きを妨げる。
『神藤――――!!
"触手"の方は、こっちで何とかトントンまで持って行く……
お前は、おれがくたばる前に奴の"本体"を何とか沈めやがれっ!!』
抜群のタイミングで登場したのだから、抜群のタイミングで退治してくれてもいいだろうに!
そう思いつつも、神藤は己の中の霊力を練り上げる。
己の持つ中では、唯一目の前の化物を倒せる可能性のある切り札を行使する為に。
それを迷わず使おうとしているのは、神藤とて知っているからだ。
命がけの最中に迷うのは、即死に繋がる行為だと。そして、神藤は死にたくなどないのである。
「……化物!俺様が『コレ』を使わねばならなくなった責任、取ってもらうからな!!」
そうして、神藤は練りになった霊力を解放し――――――次の瞬間、世界が静止した。
そこは、通常の時間帯から切り離された、加速した時間帯。
その外れた時間の中を、ただ一人動く存在がある。
どう、神藤巳粋。ヘタレで無駄に偉そうなGSもどきが、その中を駆けていた。
『超加速』。韋駄天や一部の神、魔族にしか用いれない筈の超技巧。
そして――――神藤巳粋の切り札。
神藤はどういう訳か、幼い頃より人の身にしてソレを用いる事が出来た。
その為、周囲から神童と期待されたり落胆されたりいろいろあったのだが……まあそれはいい。
神藤は、殆ど動かない触手を悠々と掻い潜り、
化物本体の前まで辿り付く。 5秒
そうして、その化物身体に向けて、霊剣をふり降ろした。
いかな強度を持つ触手であろうと、その根元は先の殻よりは柔らかい。
一本につき二秒かければ十分に切断出来る。 15秒
「フハハハハ!! 無抵抗にやられるがいいわ悪霊めが!!」
更に、必死で身体を切りつける。この時間の中では、雑霊すら噴出さない。
中にいるかもしれない人物の事を考えれば、霊剣を突き刺したりは出来ないので。
柔らかそうな箇所を狙い、眼球を切る肉を伐る存在を斬る。 24秒
そうして、考えうる限りの斬撃を与えた後―――――神藤は、化物の背後数mまで移動した。 29秒
時間がまともな軸に戻る。
この場にいる人間で、神藤がどういう行動を取ったか見えた者はいないだろう。
彼らから見れば、神藤が突如十数m移動した程度にしか見えない筈だ。
だが、その結果は顕著。化物は相応のダメージを与えられ……神藤は、しゃがみこみ、
オロオロと吐いていた。
人の身で超加速を用いた反動であり、神藤が超加速を中々使いたがらなかった理由である。
暫くの間神藤は、戦う事など到底出来ないだろう。
『――『コレ』を使わねばならなくなった責任、取ってもらうからな!!』
嘔吐するジャージ。
跳ねるタコ刺し。
「なん…だと?」
コマ落としの様な眼前の光景が、瞬時には理解出来ない。
不味い―――霊力の過剰出力で意識が飛んじまってたのか?
口の端に銜えた中南海を確認する……煙草の灰の長さに変化は無い。
だとすれば、奴は時間を跳躍した―――――いや、"駆け抜けた"のか。
…
……
「何てことはねえ……」
霧散した[護符のAce]の霊力粒子が舞い上がるフィールドを抜けて――
――祓い屋は走る。草原に特殊な液状肥料を散布している"戦友"の元へ。
「……俺達は"ジョーカーのワンペア"だったって訳だ」
そのJOKERの片割れは現在、お茶の間に到底放映不可能な有様だ。
カメラとモンスターの視線から、神藤を絶妙に隠す位置に立ち塞がった。
勝負が着いた以上、躊躇は無い。無力化した"戦友"を自身の背に庇って――
――祓い屋は、崩れ行く異形の身体から噴出する瘴気を、その身に受けた。
切り口の断面積に比例した"返り血"の激しさによる苦悶を、軽口で紛らわせる。
「――――コール・タイムは、これにて終了だ。
ここからはショウ・ダウンの時間だぜ?モンスター!!」
逃げ込んだ森の中で、牧街は手早く周囲の安全を確認すると、ボストンバックからあの結界シートを取り出した
ただし、表と裏を逆にして、である
これでは結界の展開できる表面が隠れているので意味が無いように思えるが
自分の身を守るために展開するのではないので、これで問題は無い
牧街は結界シートの四隅のピンを刺す部分にすばやくバックから出した呪縛ロープをそれぞれ一本づつ結びつけ、そしてそれら四本のロープを一本に結い、近くの高い木の枝にそれを通して
枝の反対側から引っ張る事で、結界シートを上に吊り上げたの地、ロープを地面に突き刺した木の棒に縛りつけ、シートを上に固定した
これで木の棒を外した事で上からシートが降ってきて、対象を結界で包み込み、動きを封じる事ができる
次に牧街はシートの落下する位置に数十枚の破邪札と周囲の木の幹に吸う枚の吸引札をそれぞれ設置する
結界シートを被せて相手の身動きを封じ、地面に仕掛けた破邪札の起爆で粉砕、飛び散った破片を一気に吸引する、成功すれば完璧な布陣だ
「成世、タローさん、テツさん(仮)、あなた達の死は、決して無だにゃしませんよ、えぇ!」
もう決着がつきそうにも関わらず、牧街は勝手に星にした戦友達に向かって語りかけると、悪霊をおびき寄せるべく、再び草原へと駆け出した
>181
脱兎の如く逃げ出す牧街をそのまま逃がす化け物ではなかった。
触手を自在にくねらせタローと神藤と戦う傍ら、しっかりとその背中に標準を合わせていたのだ。
大きく口を開き、無防備のその背中に霊弾が吐き出される・・・筈だった。
しかし実際にでたのは弾にもなりきっていない雑霊の塊。
あまりにも弱々しく牧街の背に届く前に霧散してしまう。
そう、タローの考えは正しかった。
化け物は生まれるには早すぎたのだ。
まだ繭である時期に牧街によって穴を開けられ、タローによって引き摺り出された。
それにより、十分に力を発揮できないのだ。
>182-185
それは実際に戦うタローが身をもって知る・・・いや、確認していただろう。
作り出されたクイーン・オブ・ディスク。
八対五といえども、本来ならば触手が力で押し切っていたはずなのだから。
それは神藤にもいえたことだった。
以下に神藤が霊刀の使い手であろうとも、初撃でズタズタにされるはずだったのだ。
にも拘らず躱しきり、タローの援護が間に合ったのだから。
そして時は跳躍する。
通常時間軸から外れ、間延びした時間の中でただ一人、神藤が駆け抜ける。
触手を切り落とし、眼球を切る。
間延びした時間の中でのそれは、抵抗も許さない一方的な攻撃。
そして時間軸は通常に戻ったのだ。
>186
「・・・!?・・・・」
触手が尽く地面に落ち、眼球は切り潰された事に化け物が気付くのに更に数秒かかった。
切り落とされた事にすら気付けないので、フィールドを駆け抜けるタローを打ち倒せるはずもない。
既に胴体にくっついていない触手に攻撃命令を出し続けていたのだから。
「グ・・・ギャアアアアアアア!!!」
ここに来て漸く痛みと切り落とされた自覚を持った化け物が、絶叫と共に傷口から雑霊を噴出す。
お茶の間には見せられない状態になっている神藤に降り注ぐのだが、間一髪駆けつけたタローが身を挺して庇う。
>187
一方その頃、森まで逃げた牧街が罠を仕掛け草原に戻ってきた。
己のみを囮にし、雑霊を一気に封殺する為に。
しかしうまくいかないのが世の常である。
草原に戻った瞬間、背後からゴゴゴゴゴゴ・・・という重いものが引きずられる音がする。
振り返るとそれが見えるだろう。
草原に配置された巨石がズリズリと動いている事を。
環状列石がその配置を変えているのだ。
その効果は・・・
草原内の空がオレンジ色に変わったことで直ぐにわかるだろう。
【結界】である。
しかもこの結果いは侵入を防ぐ為のものではない。
これは化け物が生まれたあと、何者かが草原に足を踏み入れた瞬間に発動する罠。
草原から【餌】を逃がさない為の・・・!
しかし巨石の動きはこれだけでは留まらない。
配置を同じくしたまま、草原中央に向かってその間隔を狭めているのだ。
これにより、否が応でも牧街は草原中央の戦闘域へと追い立てられる事になる。
戦闘機へと戻った牧街が見たものは・・・
お茶の間には見せられない姿でうずくまる神藤。
背中に傷を負ったタロー。
そして傷口から大量の雑霊を流し縮み、2m程になった化け物だった。
傷を負った化け物は切り落とされた己の触手を喰らっていた。
少しでも傷を回復させる為に。
そして再生した眼球が牧街を捉えたのは偶然ではない。
生まれたばかりで傷を負った化け物はより高い霊圧を持つ餌を求めているのだから。
ここに至り、牧街も理解できているだろう。
この罠は化け物に餌を差し出すものである。
結果以内の餌がなくなるか、餌を食う化け物がいなくなるかでないと解除できない事に。
もはや逃げられる状態の牧街に瀕死の化け物が不揃いな腕の長い方を薙ぎ払うように繰り出した!
>189
一番最後の行
×もはや逃げられる状態の牧街に
○もはや逃げられぬ状態の牧街に
>>189 まぁ、無理だったら逃げりゃいいや
…位の気持ちで草原へ戻ってきた牧街は
「ぬぅあんでぇすかくぉれわぁアアアアアアアアあああああああああああああああああああ」
結界にびったりとくっつきながらずるずると化け物の射程内へ引きずられながら
戻ってきた事を死ぬほど後悔する事となった
「何で?どぉしてぇ、俺がたまに文明人的な手段をとろうとするとこぉなるのぉ?無理じゃ嫌じゃおっかなぁああああああああああっひでぶっ」
更に、己の身の不幸を呪っていた所に、化け物の腕が炸裂し、吹き飛ばされる
きりもみしつつ吹き飛びながら、牧街の脳内に過去の光景が甦っていく
そう、人が死ぬ前に見る、アレだ
初めての運動会で女子が騎馬戦の上になってマジでどきどきした事、縦笛を盗んだ犯人にされた事
通信簿が2と3のオンパレードで、親に高校受験を心配されながらすごした日々の事
親父が浮気していたのが発覚し、大喧嘩になり、その時父が見せた天竜落地の素晴らしさに感動した事
口裂きババアに襲われて、オレンジと赤の中間な色の服を着た、杖をついた男に助けられた日の事
GS試験に受かるために、過酷な修行を課せられた日々の事
先輩に青森駅から夜行列車に乗ってその時の誓いがどうとか毎日の様に自慢された事
ジープで何度と無く引かれた日々の……ジープ!?
「そうだ!この程度の一撃、ジープの突撃や鉄球や師匠の杖に比べりゃ何て事無いじゃないか!」
自らの防御力の高さを思い出した牧街は、頭から地面に激突したにも関わらずいててとか言うたのみで立ち上がるとボストンバックからありったけの破邪札を取り出し、片手に神通杖を構え、化け物目掛け突っ込んでいった
すかさず襲い来る触手に
「破邪札、乱れ撃ち!!」
ばさぁっと何枚も破邪札を投げつけて蹴散らし、触手よりも強力な腕の攻撃は神通杖で弾いて、更に破邪札を投げる
投げられた破邪札は爆発せず、牧街の前に階段の様に並び、それを牧街は駆け上がっていく
「超………必殺……」
割と上手く事が進んでるにも関わらずどこか嫌そうに階段を駆け上がりながら言った牧街は、なおも追いすがる攻撃を腕や触手は杖で、霊弾は破邪札で相殺しつつ突き進み、最後の段を蹴って化け物の頭部へ跳躍し
空中で両手に「対戦車超強力」と書かれた破邪札を持ち、霊力が腕以上に集中させやすい頭に全力を篭めて
「天竜・落地さぁああああああああああああああああああああああああああああああい!!」
空中で正座し、両手をすばやく相手の肩につけると、勢いよく頭目掛け土下座を叩き込んだ
すさまじい爆発が起こった後、くるくるときりもみしながら目をうずまきにした牧街が吹っ飛んでくる
「や…やるんひゃ…なはった…」
そう呟いた後、彼は再び頭から地面に落下し、「ボキ」だが、「コキ」だか言う音がしたが
きっとしばらくすればまた元気な姿を見せてくれる事だろう
>191
>「天竜・落地さぁああああああああああああああああああああああああああああああい!!」
全霊力が込められた牧街の頭は化け物の頭にめり込み、絶叫を上げることすら許さずに粉砕した!
一瞬めり込み破裂した化け物の頭は牧街を吹き飛ばし、大量の雑霊が噴出している。
そして溢れる雑霊の後を追うように、聖なる咆哮がポッカリと開いた首から放たれる。
「ぐおおおおおおおおお!!!」
光輝く霊波となった咆哮は吹き出る雑霊を消し飛ばす。
そして残った胴体も更なる咆哮と共に爆発四散し塵となって消えた。
消えた胴体から現われたのは・・・毛むくじゃらの獅子。
聖獣バロンだった。
(参考画像:
http://www.samadbali.com/images/galeri/barong.jpg)
毛を振りみだし宙を駆け、化け物の消滅と共に結界が消えた巨石の一つの上に着地。
そこにはバロンの仮面を外した成世 阿弥が立っていた。
そう、成世 阿弥は化け物に取り込まれた瞬間、バロンの仮面を被り聖獣変化。
体内から攻撃を仕掛けていたのだ。
「ふ〜〜。みんな、よくやったわね。助かったわ。」
額の汗を拭いながら巨石から降り、その岩肌に手を当てながら三人に声をかける。
満身創痍の三人を見回し微笑みその口から出た言葉とは・・・
「霊道に巣食っていた化け物を倒した事だし、あとは牧街君を張り倒して縛り上げればミッションコンプリートね!」
邪悪な笑みを浮かべながら先ほどまで共に戦い、化け物を倒した牧街を倒せと言い放ったのだ。
岩肌に当てた手に霊力を込めると、岩は霊道を中心に30mほど離れ結界を再始動させた。
オレンジ色に染まった空間で成世 阿弥は勝ち誇る。
「魔族がよく使う呪術コードそのままでよかったわ。これでもう逃げられない・・・!
二人ともどうしたの?
今の世の中インターネットで犯罪予告しただけでも逮捕されるのよ。
さっきの発言を忘れたわけじゃないでしょう?」
成世 阿弥の霊圧が挙がり、その瞳には邪悪な炎が宿っていた。
『これでもう逃げられない・・・!二人ともどうしたの?――』
「……別に止めやしねえよ。
おれは霊道処理の実績だけで充分だ。
犯罪者逮捕の手柄は全部あんたに譲っとく」
同期コンビの仁義なき闘争を横目に、残された最後の霊力を振り絞る。
淡く光る[聖杯の5]のタロット越しにジャージの丸まった背中をさすった。
治癒力自体は高くないが、霊能力の反動に対しても効果が期待できる。
「"フィフス・アムリタ"……こいつはサービスにしとくぜ、神藤。
気休め程度の心霊治療だが、怪我も疲れも多少は楽になる」
…
……
徐々に、結界のオレンジ色が夕日に見えてきた―――眠い。
大の字で仰向けに寝っ転がりたい衝動を抑えて草原に横になる。
霊力の出力超過と怪我で感覚が麻痺して、草の感触もわからない。
「やれやれ……借りも倍返しに出来たことだし…御の字だ。
しばらく…ここで休憩したら…おれは行かせてもらう――…」
"…――いや。草原で寝タバコってのは、ちょっと危ねえか?"
そんな事を最後に考えながら、死屍累々の仲間入りを果たした。
>>191 >>192 >>193 「……ぜぇ……ぜぇ……」
胃の中身が空になったのか、神藤はもはや出す物すらないすら無い状態で「orz」の
姿勢を取ったまま、その後の怒涛の展開を見ているしかなかった。
倒しきれていなかった化物。
何やらタローに庇われた気配。
戻ってきて大技を繰り出した牧街。
生きていた成世。
色々突っ込みたい所は満載だが、霊力的にも体力的にも一杯一杯の神藤にそんな余裕は無かった。
『"フィフス・アムリタ"……こいつはサービスにしとくぜ、神藤。
気休め程度の心霊治療だが、怪我も疲れも多少は楽になる』
「ふ、ははは。俺様を治療をするとは、褒めて使わ……お、おえっぷ」
反動の大きさと質から考えれば、気休めかそれ以下の効果しかないタローの
妙な術を受けつつ、いっそこのまま意識を手放したい……等と考えていた神藤。
……だが、それでも。どんなに限界でも、男の子にはやらねばいけない時がある。
直後に耳に入ったその言葉を聞いて、ほんの僅かだけ戻った最後の力を振り絞り、
突っ込みを入れることにした。
『霊道に巣食っていた化け物を倒した事だし、
あとは牧街君を張り倒して縛り上げればミッションコンプリートね!』
「……ふ、はははは……女。貴様は空気を読む技能を、身につけるべきだ……うぷっ!」
そうして、元の姿勢に戻る神藤。
黄昏の光の中「orz」の姿勢をとる神藤のその姿は、化物を倒すために
死力を尽くした人間の一人であるにも関わらず……素直に格好悪かった。
>>192>>193>>194 頭を強く打ち、目をぐるんぐるんと渦巻きさせ、頭の上に数羽のひよこを飛ばしていた牧街だったが
成世の言葉を聞くと、真っ白になって石化する
霊道の霊達の話を聞いた時、牧街は感づいていた
恐らく、目の前の人間は、「会った瞬間から」自分の知っている成世では無かった事に
霊道とは、本来早々詰まったり、異常をきたしたりする事は無い
すなわち、「何者かがあの怪物を送りこんで霊道を詰まらせた」可能性が今回の事件では高いのである
成世は自分達よりも先に、今回のこの免許更新について知っていた
これだけでは成世黒幕説を定着させるには足りない
だが、まるで行動を読まれた様にGS側の船舶が撃沈されたり
後なんかこう、邪悪な雰囲気出してたり
こう、アレだ、えーと……
……考えを改め、成世が黒幕とかありえないと牧街は自分の考えを打ち消すと、今度は状況の打開策を見出そうとし始める
こっちは満身創痍
相手は何故か元気びんびん
…え?何で成世元気びんびんなんだ?
やっぱ奴が黒幕何じゃないか?
待てよ…成世が黒幕何じゃなくって、何か黒幕が成世を動かしてるんじゃないか?
そうだ、奴の仮面の中には時折やばいのも含まれる
それに成世が知らず知らずの内に操られてるって可能性も無きにしもあらずだ
いや…仮面なら成世も十二分に警戒するはず
だったら…やっぱふつーにあいつが強いだけなのか?
そんなのは嫌だ、黒幕いるはずだ
ついでにそいつが仕組んだ物だからこの更新試験も嘘だったりするんだ、きっと
じゃあ何なんだよ、仮面じゃ無くって、成世を操れる物…
女性が普段身につけているものか?
いや服かもしれんし……
えぇいめんどくせぇ!
時に青く、時に赤く、時に落ち込みながら何事か考えていた牧街は、突如復活し
びしっと成世を指差すと大真面目な顔で、気迫を篭め、叫んだ
「 成 世 ! 今 す ぐ こ の 場 で 裸 に な っ て く れ ! !」
>193>194>195
全身全霊の力を使い果たし草原に倒れこむタロー。
軽口を叩きながらも相変わらずお茶の間には見せられない神藤。
勢い良く牧街を倒すよう声を上げた答がこれでは成世 阿弥も脱力を禁じえない。
タローの吐き出す紫煙を吐き散らすように大きく溜息をつく。
「は〜。全く、使えないわねえ。どうせなら全員死ぬまでやって欲しかったけど。
いいわ。霊道に詰まっていた化け物を始末してくれただけでも上出来としましょう・・・!」
呆れたような口調が徐々に、そして最後には邪悪な言霊が宿ったかのような響きへと変っていく。
ジリリと間合いを詰めていると、突如として牧街が復活した。
>「 成 世 ! 今 す ぐ こ の 場 で 裸 に な っ て く れ ! !」
牧街の推理はあながち間違ってはいなかった。
しかし、推理をしすぎて一周回って違うところに着地したその言葉に成世 阿弥が盛大にこけた。
『あ、あほかああああ!!』
ガバッと起き上がり、思わず突っ込みの声を上げるその声は、人間のものではなかった。
人外特有の『』囲みの声。
起き上がった成世 阿弥だったものの顔がズレ、その奥から魔族の顔が覗いていた。
もはや隠そうともしなかった。
成世 阿弥が纏う霊力が邪悪な魔力へと変る事を。
倒れた二人には見向きもせずにギロリと牧街を睨む。
ここに至り既に気付かれているだろうし、気付かれてももはや関係ないのだから。
立ち上がれもしないひよっ子二人と満身創痍のGS。
結界は作動し、逃げられる心配もない。
【ソレ】は成世 阿弥の面を取り、正体を顕わにした。
【ソレ】の正体は成世 阿弥が魔族の仮面を被った姿だったのだ。
そして本体はその【仮面】!
『ぐははは。もう隠す意味もない。冥土の土産に教えてやろう。
一年ほど前に(中略)
ああ!中略された!長台詞だからって酷い!!』
悔しがる魔族の仮面が顔芸の如く顔を捩じらせるが、今はそんなシーンではない。
無念さはわかるが、強制的に次の説明へと移るのた。
『というわけで、逆に俺がこの女の身体を支配してやったのだ!
しかし完全に復活するにはパワーが足りないのでな。
丁度霊道のある孤島でのGS試験。これを利用させてもらったのさ。
雑霊どもをお前達GSに梅雨払いさせて霊道の力を独り占めする為にな!
あんな化け物が巣食っているとは思わなかったが、お前達はよくやってくれたよ!げははははは!』
下卑た声で笑う魔族の仮面。
霊道は単純に霊が昇天する通り道というだけではない。
操作によってはその力を吸収する事もできるのだ。
『さて、冥土の土産を話した悪役はやられるのがセオリーだが、俺はそんなお約束を守るつもりはねえ!もう油断もしねえ。』
そう言いながら指をぱちんと鳴らす。
直後、タローと神藤に貼り付けられた泥眼面の口が大きく開く。
それは今まで塞き止めていた傷口の解放を意味する。
タローの脇腹からは血が噴出し、神藤は頭痛に襲われる。
『ちっ・・・回復術でも使いやがったか?だがまあいい。力を使い果たし奴らになら十分だ。
これでイレギュラーは封じた。
そしてこの女。身体の支配権は奪っているがまだ生きているんだぜえ?
わかりやすい人質だろう?俺を攻撃すればこの女も傷つくというわけだ!
あとは・・・満身創痍のお前を殺せばゆっくりと霊道を操作して復活できる!』
ゴゴゴゴゴゴと邪悪なオーラを放つ魔族の仮面。
そして成世 阿弥の両手に魔力が宿る。
(中略部分)
一年前、成世 阿弥は中級魔族と対峙していた。
力量差は一目瞭然。
あまりの差に魔族は笑いを堪えきれずに言い放つ。
『うはははは!みたところ霊圧は30くらいか?
その程度で俺に戦いを挑むとは、馬鹿馬鹿しくて笑えてくるわ!
いいだろう、10%だ!10%の力でお前を殺してやる!』
中級魔族のプライドであったかもしれない。
三流のGSを相手に全力を出す事など馬鹿馬鹿しすぎてできなかったのだ。
しかし、10%といえども十分に成世 阿弥の霊圧を上回っているのは間違いない。
が、それを聞いた成世 阿弥はにやりと笑う。
「それはありがたいわ!バロン面装着!聖獣変化!」
油断した中級魔族に対し、成世 阿弥はいきなり最大の術を放つ!
突然跳ね上がる成世 阿弥の霊圧に驚く中級魔族。
その隙を逃す事無く聖なる咆哮を浴びせかける。
『グオオオオオオオオン!!』
全力を以ってすればこれすらも凌ぎきれたであろう。
しかし今は10%の力しか出していない。
聖なる咆哮の波動で吹き飛ばされ麻痺状態に陥る。
「10%の力でバロンの聖なる咆哮を浴びても消滅しないなんて気に入ったわ!
間髪入れずに金剛仁王面装着よ!」
『な・・ちょ・・・おま、待て・・・!』
巨躯の仁王と化した成世 阿弥は痺れて動けない中級魔族の上に巨石を叩きつけた。
顔だけ残し巨石の下敷きになった中級魔族に成世 阿弥の影が落ちる。
その表情は得物を弄る猫のような顔だった。
『い、今のなしっ!ノーカン!もう一回やらせろ!
ちょ・・・おま、何するつもりだ!
やめろー!やめるんだ!ショッカーーーー!!』
身動き取れない中級魔族の顔に成世 阿弥のエクトプラズムの型が押し付けられる。
顔剥ぎと呼ばれる相手の能力や姿を奪い取る儀式であった。
こうして中級魔族は滅び、成世 阿弥の術具の仮面と成り果てたのだ。
しかしここからがまた戦いであった。
成世 阿弥と中級魔族の精神の戦い。
お互いの支配権を掛けた。
そして・・・その戦いに成世 阿弥は負けた。
中級魔族の力は仮面になっても尚強すぎたのだった。
【ボスモンスターデータ】
中級魔族の仮面
サイズ:30センチほど
体型:仮面
知能:高い
特徴:成世 阿弥が顔剥ぎに寄って仮面にした中級魔族の成れの果て。
逆に成世 阿弥の身体の支配権を奪っている。
本体は仮面だが、成世 阿弥の身体を使って行動。
魔力を弾にしたり剣にしたりして攻撃。
本来は強力な力を誇るが、仮面になった事により弱体化。
霊道の力を利用して完全復活を目論む。
『――というわけで、逆に俺がこの女の身体を支配してやったのだ!』
要するに、これは合法的な正当防衛に当たる不可抗力の緊急避難的措置として、
あの性悪女を不本意ながら後腐れなく存分にしばき倒せる千載一遇のチャンス……?
大量の失血で薄れゆく意識の中で、公平かつ客観的に状況を分析する祓い屋。
『(――こうやって仮面の縮尺を縮める事くらいはできるのよ。)』
――――その笑顔を、思い出す。
……初めて彼女に出逢った、夕暮れの商店街。
物腰柔らかく、そのくせ頭が切れて、極度の世話好き。
同じオレンジ色の情景の中で抱いた第一印象が、今は遠い夢の様だ。
他人を体裁よく懐柔し、悪知恵が回って……余計なお世話で借りも出来た。
―――本当に、難儀な同業者に関わっちまった。
…
……
『力を使い果たした奴らになら十分だ。これでイレギュラーは封じ――』
「――待てよ。言った筈だぜ?こっちの札は"ジョーカー"だってな……」
世界の修復作用に分断されるほど長時間に及ぶ魔族の口上を遮ったのは――
――霊道の内部に片腕だけを突っ込んだ姿勢で俯いている祓い屋の軽口。
倒れていた地点から霊道までを這いずった血痕が、草原を紅く染めていた。
「『セオリーを守るつもりはねえ』か……。おれも全く同感だ。
こんな便利な舞台装置を、黒幕だけが好きに出来ると思うなよ……!!」
霊道を塞き止めていたモンスターの消滅は、ダムの堰の解放の様なモノだ。
[聖杯の2]のタロットに、魔族が求めて止まなかった大量の霊力が満ちていく。
霊道から流れ込んだ霊力は、その器たる[聖杯の2]の絵柄に変化を促した――
「"セカンド・チャリス×ブランド・オブ・ザ・ハイプリエステス(女教皇の刻印)"!!」
――メジャーアルカナ[U.The High Priestess(女教皇)]の霊力貯蔵/出力能力。
女教皇の聖杯から溢れ出て零れ伝う光輝が、祓い屋に桁外れの霊力を供給する。
「"エイス・ブレイド×ブランド・オブ・ジャスティス(正義の刻印)"!!」
[剣の8]の絵柄が変化―――メジャーアルカナ[[.Justice(裁判の女神)]へ。
裁判の女神の剣から放たれる暴風の如き霊圧が、眩い輝きに変換される。
両手で抜刀した、冗談の様に長大な超高出力霊波斬艦刀が天を衝いた。
「――――これで互角以上だ、魔族野郎!!」
『 成 世 ! 今 す ぐ こ の 場 で 裸 に な っ て く れ ! !』
死に体だった神藤が、牧街の放ったエロチックなワードに
ピクリと反応を示した次の瞬間、その事態は発生した。
即ち、成世阿弥の変貌……正体の暴露だ。
(な、何ぃ!? 何という事だ!俺様とした事が、全く気付かなかったぞ!
……というか、一年も人の中にいたとは、どれだけ暇なのだあの魔族は。
一年あればもっと効率の良い回復方法とか見つかりそうな物だg)
「って、ぬおああああっ!!? な、なんだこれは!あ、頭がすごく痛い!?」
『さて、冥土の土産を話した悪役はやられるのがセオリーだが、俺はそんなお約束を守るつもりはねえ!もう油断もしねえ。』
どうでもいい事に思考を巡らせていた神藤は、突如発生した頭痛に頭を
抑えて悲鳴を上げる。よく見てみれば、成世(に潜伏していた魔族)によって
付けられた妙な面が、先のダメージを復活させていた。
(お、おのれ……だが、この頭痛のお陰で、逆に意識がはっきりしてきたぞ。
……幸い、あの魔族は先に逃げていった男に集中している。つまり……今なら動ける!)
油断しない等といいつつ、神藤を行動不能でイレギュラーではないと断じ、
視線を向けていない魔族の方をチラリと見た神藤は、その全力を用いて――――
痛みで気絶したフリをすることにした。
(ハーッハッハッハッ! 馬鹿め!こんな状態で魔族となど戦えるか畜生!!
俺様を騙したあの魔族には腹が立つし、女も助けてやりたいとは思うが……
ぶっちゃけこの状況で俺様に出来る事などなにもないっ!!)
そうして、どちらかと言えば安全圏なポジションで
逃げる為の体力を戻そうとしていた神藤の耳に入る魔族の声。
『そしてこの女。身体の支配権は奪っているがまだ生きているんだぜえ?
わかりやすい人質だろう?俺を攻撃すればこの女も傷つくというわけだ!
あとは・・・満身創痍のお前を殺せばゆっくりと霊道を操作して復活できる!』
(…………。 いやいや。命あってのモノダネなのだからな。
俺様に出来る事など何も無いし、ここは動くべきではない。残りの二人に任せて、
ゆっくりと逃げる算段を立てるべきなのだ。うん)
(……)
「…観音様の登場は無しか…」
心の底から悔しげにぼそりと呟く牧街
実のところ、相手の正体を見破った所で別に何か打開策があるわけではなく
どーせやられるなら最後にいい物を見てから死のうという変なとこで前向きな姿勢で言っただけであり
次の瞬間魔族の手に魔力が篭められていった事で、牧街は一気にパニック状態になって騒ぎ出した
「畜生、どうせもう駄目だから最後にいい物見せてから逝かしてやろうとかそういう思いやりは無いのか!
やい魔族!てめぇ実はサキュバスで俺の筆を染めてから殺してやろうとかそういうナイスなラストは無いのか?えぇ?
くっそおぉ!成世の馬鹿ぁ!ちゃんと万一の事考えて何か備えとけぇえぇぇえぇえぇえぇええええええええええええええええええええ」
己の願望と成世への呪いの言葉を恥も外聞も無く叫ぶだけ叫び、牧街が必死に逃げようと自らの体を結界にびとーとくっつけた、その時
『――待てよ。言った筈だぜ?こっちの札は"ジョーカー"だってな……』
「ウルトラ≪ピー≫ン・タロー!」
シャイニン≪ピー≫フィン≪ピー≫ソードがごとく巨大な霊波刀を出現させ、逆転ゾ≪ピー≫ただいま参上と(実際あの話で兄さんはあんま逆転と関係していなかったが)登場したタローに
牧街の中で某兄弟の6番目の弟の音楽が鳴り響き、同時に逆転した事でテンションが一気に跳ね上がる
「やっほー!やったー流石タローさん!ひゅーひゅーどんどんちゃんどんちゃんぴーひゃららー!待ってましたしゅじんこー!よ!甲子園番長男の中の男ぉ!」
どこからかメガホンを取り出し、心から嬉しげにタローを応援した牧街だったが
ふと、ある事に気づき、今度は少し残念そうにタローに向かって叫ぶ
「タローさん……その霊波刀で、結界斬って逃げましょう。……それであいつを切ると……成世が死ぬ」
そう、何だかんだ言って、牧街だって成世の人生をこんな所で終わらせて自分達だけ助かりたいなどとは思っていない
できれば魔族だけ倒して成世を助けてあげたいが
残念ながら満身創痍のこの状況では、成世ごと魔族を殲滅する事はできても、魔族だけを倒す事は難しく
下手をすれば、第二第三の犠牲者さえ、出してしまいかねなかった
それに、タローにも一生、成世を殺してしまった事がついて回ってしまう
それならば
「あいこって事で、今回は両者引き下がりませんか?
えぇ…あぁ…ほら、魔族の方もデタントとかいろいろあるし、うかうかしてるともっとGS集まってきてきっとその内の誰かが美神さんとかオカルトGメンとか強力な輩を呼んでくるだろうし
それにアレだ、その…この場で不安定な青少年の逆鱗に触れて成世ごとやられるのもアレだろうし
次シリーズを逃げたあんたが作ったダンジョンに中途半端なあんたの首の報酬額につられて侵入していく3流GS達の話しにすればいいし…」
この場は、魔族を取り逃がす事になっても仕方ないだろう
そう、牧街は判断し、駄目元で魔族に交渉をはかってみる事にした
>198>199>200
遂に正体を現した魔族の仮面。
それに対し、立ち上がる者・死んだふりをする者・逃げようと足掻く者三者三様だった。
>「――――これで互角以上だ、魔族野郎!!」
霊道の力を利用して巨大な霊剣を作り上げたタローに魔族の仮面がピクリト表情を変える。
恐るべき大技を繰り広げたのだが、その表情に焦りの色はない。
一歩足を踏み出そうとした瞬間、牧街が機先を制するように声を上げた。
>「あいこって事で、今回は両者引き下がりませんか?
タローの巨大な霊剣とこれから先の状況を材料に取引を試みているのだ。
先ほどまで冥土の土産に観音様とか、タローの霊剣を見ての騒ぎようとのギャップは凄まじい。
『なるほど、天才現る!それなら次のシナリオ考えるの楽で・・・ってアホかああ!』
そのギャップに思わず乗り突込みをしてしまったが、勿論こんな交渉が成り立つはずはない。
気を取り直して魔族の仮面は見下したように牧街へと口を開く。
『この結界はな、入る事はできても出る事はできない特殊な捕縛結界だ。
お前達の持つ眼通君も霊波も漏れ出る事はない。
つまり、お前達を殺してゆっくり霊道操作していても援軍が駆けつけることはないって事だ!げはははは!
それに、そんなでかい剣で俺を攻撃したらこの女が死んでしまうぞ?いいのか?』
勝ち誇ったように笑うと、タローの脇腹に張り付いた泥眼面の眼が一層見開き激痛を与える。
その一気にタローとの間合いを詰めてその懐に入った。
『互角以上?
それ以前にそんな満身創痍でまともに振れるのか?
霊力が満ちていてもお前の身体はガタガタなんだよ。
でかすぎる剣はこうやって懐に入ると対処もねえだろ。』
間合いを詰めてタローの胸に手を当てると、圧縮された魔力が爆発を起こす。
威力は小さいが、今のタローを吹き飛ばすのには十分だった。
煙の出る手を振りながら牧街へともう一度向きかえる。
『馬鹿な奴だ。人を殺すのに大砲はイラネエ。ナイフで十分なのさ。
ぎひひひ。で・・・何があいこだって?』
今は仮面となってまともに力を発揮できないでいるが、伊達に中級魔族だったわけではない。
牧街の交渉材料を尽く叩き潰し、じっくりと弄るつもりなのだ。
もはや打つ手なし、そう思われた時牧街の耳に声が響く。
『あなたを死なせない・・・!』
その言葉と共に牧街の背中に衝撃が走る。
魔族の仮面の攻撃?
否。
それは牧街が逃がしていた幽霊が戻ってきて、牧街の背中に体当たりをしたのだ。
この結果異は内部から出る事はできなくとも、外から入る分には自由なのだ。
突然の衝撃に人間魚雷よろしく吹き飛んだ牧街の突っ込んだ先は、空間の亀裂。
中途半端に広がった霊道だった。
無理やりこじ開けられ、タローによって流れを引き出された不安定な霊道に霊能力者が突っ込む。
それは崩れかけた壁に大穴を開ける攻城槌となる。
一気に崩壊し広がった霊道は結界内を清浄な霊気で満たしていく。
GS達はその変化と共に傷が癒え力が漲ってくるのが判るだろう。
しかし魔族の仮面は・・・
『な・・・?急に体が重く・・・!?』
結界の為に霊道の広がりは抑制され、それゆえに安定した霊的清浄空間を形成したのだった。
『――結界斬って逃げましょう。……それであいつを切ると……成世が死ぬ』
透過光の眩い刀身に、刻印された"G.SWEEPER"の文字が躍る。
仮称・"愛と!怒りと!悲しみの!シャァァイニングGSソードッ!!"は、
過負荷で祓い屋の霊的中枢を破壊しつつ"勝利を掴め"などと輝き叫んでいた。
「―――その表現は正確じゃないな。まず間違いなく"蒸発"するっ!!
…だが、あんたにはあるだろ?奴の本体部分だけを叩き割る技が。
ターゲットは"宙に浮いてる"仮面とか"手に持ってる"仮面じゃねえ。
あくまでも人間が"頭部に被ってる"仮面だ。そこがイイんじゃねえか。
ってコトで、おれがこれからぶった斬るのは成世さんでも結界でもねえ。
片腕ですら、これだけの霊力が汲み出せる霊道だ。もうちょい広げれば――」
『――霊力が満ちていてもお前の身体はガタガタなんだよ――』
「――って、まずいっ!?このポジションはっ!?」
1.切り札をお披露目して、いい気になる
2.調子に乗って、説明的な長台詞を吐く
―――祓い屋が職人の如く頑なに踏襲した二つの伝統的フラグは、
"直後に不意を突かれて張り倒される者"のソレに他ならなかった。
…
……
結界を構成する巨岩の中の一つに背を預け、まったりと和む祓い屋。
点火した煙草の先端がじりじりと焼かれて行く様子をぼーっと眺める。
「ああ。こいつも、念のために焼いておかないとな。
…ったく。道理で治る速さが変わらなかったわけだ。
―――"セブンス・アミュレット"!!」
[護符の7]――持続時間最低/出力最高の破魔札――を、泥眼面に当てる。
[聖杯の6]との霊力干渉でひび割れていたソレは、いとも容易く蒸発した。
「コトが終わったら、あの霊力をチャリスに汲めるだけ汲んで帰ってやる……」
自分はどうやら、この巨岩まで吹き飛ばされて気絶していたらしかった。
清浄な霊力の波動に揺り起こされてみれば、戦況は形成逆転というわけだ。
後はトドメを向こうに任せて、小さなギャグをコツコツこなすのがこっちの仕事だ。
祓い屋はポニーテールが解けてしまった横髪をキザにかき上げて、鮫の様に笑った。
「―――――計画通り!!」
>>201 『馬鹿な奴だ。人を殺すのに大砲はイラネエ。ナイフで十分なのさ。
ぎひひひ。で・・・何があいこだって?』
(や、やばい。やばいぞ、押されているぞ!?
ぬあああっ!!これはあまりにやばいではないかっ……!!)
意識の無いフリをしている神藤は、タローを迎撃し、牧街の交渉を突っぱねた、
これから魔族無双でも始めかねない様子の中級魔族に対し、最初から凄く
ビビッていたが、それは、霊達の手で霊道が広がり自分達にやや有利な形勢に
なってからも変わらなかった。
神藤の『超加速』は一日において僅か30秒しか使えない。
それには、体力や霊力の問題ではなくもっと別の要因があるのだが……
とにかく、幾ら傷が癒え、霊力が回復しても、今の神藤は
残り1秒しか切り札を使う事が出来ないのだ。
つまりそれは、敵に立ち向かうのに、実質切り札無し。
霊剣一本での命がけの戦いをしなければならないという事であり――――
(そ、そんな事が俺様にできるかああああっ!!……という訳で、
俺様は死んだフリを続ける。全力で頑張るのだ、他2名!!)
余力があったならば、偉そうに出張ったりしたのかもしれない神藤だが
結局は死んだフリを続ける事にした。
全く、どうしようもない根性無し野郎である。
>『なるほど、天才現る!それなら次のシナリオ考えるの楽で・・・
「ですねェ?えぇー」
>ってアホかああ!』
「ってうぇえ…」
自分のアイデーアを褒められて照れてた牧街だったが
やはり事態はそう上手くはいかず
あっという間に再度立場は逆転してしまう
ハイパータローはあっという間に倒され、入ってこれるんなら別に呼ばなくても勝手に集まってくるんじゃねぇかとも思えたがとにかく援軍も来ない事がわかった
まぁ、タローが成世を殺す展開にならなかっただけ御の字とも…
残念ながらこうなると自分らが死ぬ上に成世も助からないため言えそうに無い
だが、そんな状況下においても、牧街は表情を崩さず、魔族に対応する
「…こうなったら、こちらも最後の手段を使わせてもらう」
そう言って、両手を口の脇に当て、空目掛けて声を限りに牧街は叫んだ
「ゴットマぁぁぁ…べしっ!」
霊と…何か不思議な力によって勢いよく吹き飛ばされた牧街は霊道に叩き込まれ、それが何だかいい具合に働いて
状況が再度逆転する
が…
「えーと…もしかして、俺だけで戦うのでしょうか?」
こっちは全快に近い程回復し、向こうは動きにハンデがある
こんな素晴らしい好条件下において、この男まで真正面からボスキャラと対決する事にびびっていた
と言うかどうも「よーし!ラストだ、みんなの力を一つに合わせて、喰らえ、GSブラスター!」ってなダメ押し勝利展開を想像していた様で
他の者の脱落で(約一名ここに至る前に脱落してる者もいたが)少々ペースが狂っているという感じである
「何だかな」
などと少しぼりぼり頭などもかいていた牧街だったが
やがて気を取り直すとボストンバックから数枚の破邪札を取り出し、それを神通杖の先端にぺたぺたと貼り付けた
「成世の体を乗っ取るのは勝手だけれども、ちょいと悪さがすぎたみたいですね、えぇ」
口上と共にバチバチと神通杖の先端に貼られた破邪札が光、そこに霊圧が集束する
…タローはああ言っていたが、天竜落地砕はしゃれにならんほど痛いのでできれば今回はこれで代用するつもりだ
「このゴーストスイーパー牧街モリオが!」
両手にぶら下げたボストンバックを地面に下ろし、体を軽くした状態で魔族目掛け強化神通杖で構えを取る
「極楽へ、行かせてあげませう!!えぇ!!」
神通杖を構え、牧街は魔族へと突進した
>202>203>204
牧街の人間魚雷により結界内は清浄空間と化す。
それはGSたちの回復と魔族のパワーダウンを表していた。
しかしタローは結界装置たる巨石の一つに叩きつけられ動けず。
神藤に至っては未だに起き上がらない。
対峙するのは牧街ただ一人。
>「極楽へ、行かせてあげませう!!えぇ!!」
覚悟を決めた牧街が神通杖に破邪札を貼り付け、稲光を纏わせながら突進する。
『・・・!ぐっ!舐めるなよおおお!!』
強力な攻撃だが躱す事もできたはず。
本来ならば・・・。
しかし、この清浄空間で魔族の反応が一瞬遅れた。
それは回避不能に至る絶望的な一瞬。
即座にそれを理解した魔族は両手に魔力を集め、盾として迎え撃つ。
激突する霊力の塊と魔力の塊。
拮抗したのは一瞬。
白と黒のスパークと共に二人の間で爆発が起きた。
爆炎の中から吹き飛ばされた魔族が倒れている神藤の背中でワンバウンドして結界の端まで転がった。
『ちぃいい・・・これほどの力とは・・・!だが・・・!』
爆発の衝撃でズタズタになり血を流す右手を見ながら驚愕の表情を浮かべた。
しかし、驚愕の表情を浮かべていても追い詰められてはいない。
その事は次の台詞で明らかになる。
『げははは!馬鹿め!忘れたか?俺の本体は仮面。
この体がいくら傷つこうとも痛くも痒くもないわ!
お前の攻撃は人質を傷つけているだけなんだぞ!』
しかしその声を遮る声が結界内に響き渡る。
「牧街君!あんた何遠慮しているのよ!踏み込みが甘いのよ!
こいつの言った通り、こいつの本体は仮面でしかないのよ!
私の体がなければ碌に動けもしない寄生体!
判るでしょ?
タロー君、神藤君!あんた達二人もよ!
仮にもGSになろうとしているのに人質如きで魔族にいいようにやられているんじゃない!
私の身体ごと叩き潰すくらいできなくてどうするの!!」
それ浜剛事なき成世 阿弥本人の声だった。
清浄空間と爆発の衝撃で魔族の仮面がずれ、成世 阿弥の顔が半分ほど露になっていたのだ。
『こ、こいつ!まだ意識があったのか!』
慌てて仮面を顔に被りなおし、成世 阿弥の身体の支配権を再度奪うと、きっと三人を見回す。
『お前たちいい気になるなよ!
形勢逆転なんてしてねえ!
なぶり殺しする余裕がなくなっただけで十分お前らを殺すくらいはできるんだからな!
特に倒れている二人!
【俺達の役目は終わった、後は頼むぜ?】なんてセオリーをやらせると思うなよおぉ!!
霊力が流れ込んでいるから死んでないのはバレバレなんだよ!』
先ほどの反応の遅れや、肩で息をしていてはあまり説得力もないが、それでも勢いだけはある。
魔族の仮面はガナリ立てると、両手に魔力を集中。
それは細く、長く、そして鋭い爪と化す。
大きく両手を振ると爪は伸び、神藤とタローを切り裂かんと空を切りながら迫るのであった。
『仮にもGSになろうとしているのに人質如きで魔族にいいようにやられているんじゃない!』
「―――仮にもプロのGSが、魔族にいいように人質にされてんじゃねえよっ!?」
上体を反らして、迫る鋭爪を紙一重で何とか避わす。
斬られた煙草の先端と髪先が宙に舞って混ざり合った。
「メジャーアルカナを二枚も切った大盤振る舞いだったってのに、あのザマだ。
―――三枚目をブチ込もうにも、おれの実力じゃ奴の回避策を突破できねえ!!」
魔族の長射程の伸縮爪は、鞭の様に撓りながら祓い屋を襲う。
ランクを落とした[剣の騎士]を出力して応戦しようとするものの、
腕は震えるばかりで、物理的にも霊的にも言う事を聞かない。
「…ってことで、後は丸投げするぜ御両人っ!!
あの仮面は物理的に癒着してるわけじゃないんだ。
何とか引っぺがすなりして、仮面だけを――くっ!?」
ぐだぐだの泥仕合は、祓い屋の集中力を確実に奪っていた。
鋭爪の一本が左の肩口を貫通。背後の巨岩に縫い留められる。
>>205 『タロー君、神藤君!あんた達二人もよ!
仮にもGSになろうとしているのに人質如きで魔族にいいようにやられているんじゃない!
私の身体ごと叩き潰すくらいできなくてどうするの!!』
『特に倒れている二人!
【俺達の役目は終わった、後は頼むぜ?】なんてセオリーをやらせると思うなよおぉ!!
霊力が流れ込んでいるから死んでないのはバレバレなんだよ!』
「……ええいっ!! 先頃から勝手な事ばかり抜かすでないわ貴様等!!」
この状況にあって、尚動かぬと思われた神藤。
しかし彼は、とうとう立ち上がった。
見れば、肉を貫くべく伸ばされた鋭利な爪は、幾本かは神藤を掠っていったものの、
致命的な部位へと放たれた物だけは中途から断ち切られている。
手に持った霊剣、回復した霊力を込めたそれで断ち切ったのだ。
いかに鋭い爪といえど、切断を本職とする霊剣を相手に、しかも魔族自身が弱体化した
この状況では、速度と切断力で競り勝つことは出来なかったようだ。
「良く聞くがいい! 実は俺様はもういっぱいいっぱいなのだ!
頭は痛いわ気持ちは悪いわ!切り札は使ってしまうわ……
そんな状況で、魔族相手に戦えとか言われても無理に決まっておるだろうが!!」
疲労でガクガク震えるひざを片手で抑え、霊剣を構えた姿で、
やけくそ気味に情けない台詞を言う言う神藤。
「なのに、まだ戦えだの何だの……! いいか!俺様はGSになって
豊かな生活を送りたいのであって、正義の味方になりたい訳ではないのだ!」
だから……だから、こんな事をしてやるのはコレで最後なのだからなっ!!?」
そして彼は――――次の瞬間駆け出していた。
神藤が狙うのは二つ、
一つめは、攻撃を掻い潜りながらギリギリまで近づいた所で1秒だけ残っている
超加速を使い、仮面を奪うか、成世を羽交い絞めにでもして動きを封じる事。
これは、難易度を考えれば成功率は限りなく低く現実的ではない。
謂わば、打算的な狙いだ。
そしてもう一つの狙い。
それは、魔族が攻撃に出た自分に注意を向けた時を見計らって、
牧街かタローがどうにかしてくれる事。人任せな考えだが、神藤自身がどうにか
しようとするよりは現実的な作戦だ。
なぜなら、神藤に戦闘をする余力が無いというのは本当だからである。
>206>207
巧みに両手を振るいタローと神藤を追い詰めていく魔族の仮面。
伸縮自在の爪は徐々に二人の反応速度を越え、確実に追い込んでいく。
そしてそれは荘時間はかからなかった。
集中力を欠いたタローの肩を貫き背後の巨岩に縫いとめる。
そしてそれは神藤の危機にも直結していた。
霊剣により爪を切り払い凌いでいたが、それは魔族の仮面が集中力を二分していたからだ。
例え断ち切られても、魔力が供給される限り爪はいくらでも伸びる。
タローを縫い止めた事により、攻撃精度は更に増すのだから。
> だから……だから、こんな事をしてやるのはコレで最後なのだからなっ!!?」
台詞と共に駆け出す神藤に魔族の仮面は相打ち狙いの自爆攻撃と判断した。
ギリギリまでひきつけてかわして攻撃。
よしんば躱せなくとも、細い爪ならば貫かれようともそのまま間合いまで入り自爆攻撃。
それができなくとも縫いとめられる事により、魔族の両手を封じる事ができるのだから。
『ケケケケ!いい考えだが少し遅かったようだな!』
神藤の考えを読みきった気でいる魔族は残酷な笑みを浮かべて爪を収納する。
先ほどまでタローにも注意が要っていたときならば神藤の戦略も成り立ったであろう。
しかし、今は違う。
神藤の動きをギリギリまで見極め、五本の爪を束ねた魔力の槍と化して一撃で殺すつもりなのだ。
そして間合いは一刀足にまで狭まる。
お互いの必殺の間合い!
『死ねえええ!!』
必殺のタイミングで繰り出される魔力の槍が伸び、神藤の胸板を捕らえる!
この間合い、このタイミング、このスピードでは逃れ得ようのない攻撃が!
しかし、それはあくまで通常時間軸の話し。
霊道の化け物の中に取り込まれていた魔族の仮面は神藤が超加速が使えるとは知らなかったのだ。
神藤が発動させた超加速は通常の時間軸を置き去りにして、間延びして時間を展開させる。
跳躍した時間から神藤が戻った時、魔族の仮面の思考は真っ白になった。
確実にしとめたタイミングの攻撃は空を切り、神藤が自分の背後にいるのだから。
『・・・な?まさか、超加速、か!?人間が??』
ほんの数瞬でその可能性に辿り着いたが、混乱は数秒続く。
1秒の超加速で攻撃を回避し、背後まで回ることはできても羽交い絞めまではできなかった神藤にとっては数十秒にも値する隙だった。
『う、うおっ!?放せ!このっ!!』
混乱から回復した時にはがっちりと神藤に羽交い絞めされていた。
即座に振り払おうにも身体が成世 阿弥のものでありもともと力はない。
それ以上に清浄空間ではそれだけの力が振るえないのだ。
渾身の力でもがくが、神藤を振り払うには数秒はかかりそうであった。
祓い屋は身体を岩に縫い止める爪を何の工夫も無く"引き千切る"!
戦友の覚悟が今、あの魔族の全てのリソースを絡め取っていた。
「神藤……そっちだってポロボロのクセに!
―――お前がくれた、この"時間"は絶対に無駄にしねえ。
"キング・オブ・ロッド×ブランド・オブ・ジャッジメント(審判の刻印)"!!」
[U.The High Priestess]に大きくヒビが入った。
[]].Judgement]の天使が、直接右手の甲に浮かぶ。
「おれのこの手が光って唸る――」
祓い屋の双眸とタロットの絵柄だけが眩い緑色に輝き、
周囲の大気を放電させるほどの霊圧が黄金色に変わる。
「――霊魔を祓えと、輝き叫ぶっ!」
草原を地面ごと抉りながら翔けた。
疾風が祓い屋の背中を後から追う。
「―――砕け!必殺……アルカナ・フィンガー!!」
審判の右手が、仮面の上部を完全に捉えた。
鷲掴みにしたまま、迸る霊力に任せて握り砕く!!
「―――――ジャッジメント・エンド!!」
[審判]が暗示するのは―――"結果"
「え?いや…アレかなり本気でぶち込んで…」
成世の一言に、「成世が死ななければとりあえず任務達成」と作戦目的を定めていた牧街は改めて己の実力の低さを痛感したが
次の瞬間跳躍し、タロー等に襲い掛かった魔族にさらに己の駄目さ加減を思い知らされる
(しまった、ここからじゃ…)
破邪札は持っていない
駆けつけても間に合わない
魔族がタローらへ攻撃を開始し、二人が何とか持ちこたえる場へ牧街が走り
彼の神通杖の一撃が成世デーモンに炸裂したのは、タローがアルカナ・フィンガーを喰らった直後
完全にダメ押しになる形で、その後頭部に対して牧街Dクラッシュが叩き込まれる
まぁ、破邪札による威力強化も、天竜落地砕の様な一点集中も特に無い、ただありったけエネルギー篭めた一撃なので、タローの渾身の一撃に比べれば威力は数段落ちる上
仮面本体ではなく成世の後頭部に炸裂したのでダメ押しどころか足引っ張った可能性まで無きにしもあらずだが
とりあえず、最後の最後に何の行動も無く終わりと言う最悪の事態だけは回避された事となり
一応成世なぐれば魔族もダメージ受けるらしいので
タローだけで倒せていなかった場合は、確かにダメ押しにはなるだろう
…アルカナ・フィンガーだけでやられてた場合はエライ事、だが
すみません
上記、タローがアルカナフィンガーを喰らったではなく、喰らわしたが正しいです
>209>210
神藤に羽交い絞めされ身動きの取れない魔族の仮面にタローのアルカナ・フィンガーを避ける術はなかった。
霊力を集中させた右手が魔族の仮面を鷲掴みにし、握り砕くのだ。
その衝撃は凄まじく、羽交い絞めにしていた神藤を吹き飛ばす。
『ぐ・・・ぐおおおお!きさまっ!正気か!?
俺より前にこの女が死ぬぞおおお!!』
ピシピシと仮面全体にヒビが入る中、脅しとも警告とも取れる絶叫がこだまする。
その言葉に嘘はない。
アルカナフィンガーの威力の余波で髪は逆立ち、トレードマークの後頭部のヴェネチアンマスクの外れて吹き飛んでいた。
『こ、この俺が・・・!人間ごときにいいい!!』
脅しにも屈せぬタローのアルカナ・フィンガーに対抗すべく、渾身の魔力で身体を支える。
背筋をフル活動させ、仮面を鷲掴みにされたまま押し返していく。
拮抗状態が続くかに見えたが、第三の攻撃によって一気に決着がつくことになる。
タローとの押しあいの中、後頭部に牧街の一撃が炸裂したのだ。
全くの無防備への一撃は、牧街の想像した以上の効果をもたらした。
グシャっという感触が神通杖越しに牧街の手に伝わるだろう。
それは確実に頭蓋を砕いた感触。
そしてその衝撃は拮抗状態を一気に解消させる。
押し合っていたところへの後頭部への衝撃に、魔族の仮面の集中力が途切れる。
限界まで高まり対抗していた力が霧散した瞬間、一気にアルカナフィンガーの力が押し寄せ、魔族の仮面を真っ二つに握り割る。
タローの右手にはバキッと硬いものが割れる感触。
続いて柔らかいものが潰れる感触が伝わるだろう。
『し、信じられねえ!こいつらマジで人質を切り捨てやがった!』
割れて飛び散る魔族の仮面が宙を舞いながら驚愕の声を漏らす。
その下には成世 阿弥だった肉塊が倒れている。
大宇宙の意思により、顔面と後頭部にモザイクがかかっているが、完全に絶命している事は間違いなかった。
『くそお、霊道を目の前にして・・・このまま死んでたまるかああ!』
宙を舞っていた魔族の仮面の片割れは思念を送り、捕縛結界を解除。
割れた仮面の隅からグロテスクな足を何本か生やし、破片を撒き散らしながら草原を駆けて逃げる。
『牧街君!逃がしちゃダメ!』
草原に成世 阿弥の檄が飛ぶ。
しかし成世 阿弥は完全に死亡・・・していたはずだが・・・
先ほどまでモザイクがかかっていた成世 阿弥の肉塊はもはやなかった。
あるのは砕けた成世 阿弥の顔の仮面。
そして頭部がぐしゃぐしゃになっている木偶人形だった。
声の主は・・・先ほど吹き飛ばされたヴェネチアンマスクの三面相からだった。
意外なところからの声を余所に、魔族の仮面は森へと突き進む。
「す、すぷらったっ……!?」
牧街とタローとの連携の一撃で、放送禁止状態に陥った成世。
それが神藤が最後に見た光景であった。
そして、二人の攻撃の余波で吹き飛ばされた神藤は
――――こんどこそ、完全に気を失った。
気力体力霊力その他諸々。
その全てを使い果たした彼は、暫くの間目を覚まさないだろう。
「……はれ?」
常人ならば大きなこぶを作って数週間位安静にしてなきゃいけない位の力で放たれたはずの牧街の一撃は
見事、成世の後頭部を粉砕し、彼女を死に至らしめてしまった
職業柄何度かスプラッタな死体や霊に遭遇してきた牧街だったが
自分で人間を殺めたのは、勿論これが始めてである
最初、何をしたのか理解するのに時間がかかり、少し自分の手の中の血まみれの神通杖と、スプラッタ、自分の体についた返り血を何度か見返していた牧街は
やがて顔面蒼白になると
「ほぉぁアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアああ」
奇声を上げてその場にへたれこみ、泡を吹き始めてしまった
「違うんでしゅ!違いましゅ!これは違うのれしゅ!ぇえ!違う!違う!」
仮面から触手をはやして逃げ出す魔族など最早気にしている余裕無く、まして、ジャージやタローなど存在さえ忘れ
牧街が腰を抜かして分けのわからない言葉を連呼しながら法廷での言い訳を必死に考え始めた、その時
>『牧街君!逃がしちゃダメ!』
「!?」
成世の声がしたかと思うと、死体が木偶人形に変わり、返り血もまるでそんな物は無かったかの様に消滅してしまった
突然の事に牧街はほんのわずか呆然としていたが
(とりあえず、成世大丈夫っぽい!)
と自分の都合がいいように考える脳細胞の組織を全快に発揮させて立ち上がり
「ま…待てぇ!」
慌てて力の抜けた腰で、魔族を追跡し始めた
『く・・・くそう!まさかこの俺が人間ごと気にやられるとはな・・・!
しかし追ってくるのは一人か。
奴さえ何とかすれば、森の中に身を隠し時間をかけてでも復活してやる!』
森の中で追ってくる牧街を待ち受ける魔族の仮面。
真っ二つに割られ、破片を撒き散らし瀕死の状態である。
だが、追ってくるのが腰を抜かしていた牧街一人であることを確認し、邪悪な思惑をめぐらせていた。
しかしまだ魔族の仮面は気がついていない。
森の中と安心しているこの場所が、先ほど牧街が罠を仕掛けたその場所であることを。
魔族の仮面の末路は牧街によって語られるであろう。
################################
『あーあ。作られて500年。
意識を持つのに100年。身体を手に入れ動かせるようになるまで300年。
また一からやり直しねー。』
夜の帳も落ち月明かりの元、霊道付近で成世 阿弥であるヴェネチアンマスク三面相はぼんやりと呟いた。
成世 阿弥は500年前に作られた仮面だったのだ。
意思を持ち、霊木を削りだした身体を操り人間として生きてきた。
日本の伝説的仮面舞踏家である世阿弥にあやかっての名前。
そんな事を語りながら時間の経過を待っていたのだ。
霊道が正常に作用しはじめ、悪霊島の雑霊たちはそのしがらみから脱して今や昇天を待つただの幽霊でしかない。
島に乗り込んできた時の禍々しさはすべて消え去っている。
そして0時。
時は満ちる。
『ありがとうございました。これで私たちは成仏できます・・・。』
無数の幽霊達が牧街、タロー、神藤に礼を言い、霊道に吸い込まれていく。
魂となった幽霊達は霊道から天に昇り、まるで花火のように宙に広がり消えていく。
『これだけ判りやすい合図も無いわよね。
タロー君、神藤君、おめでとう。君達はGS試験に合格するでしょう。
牧街君は・・・まあ、協会の判断ね。』
昇天の花火を眺めながら成世 阿弥である仮面が声をかける。
霊障解除したのであるから、二人の合格は間違いないだろう。
牧街にしても、もったいぶっては言ったが、自分の化けていた魔族の仮面の招待をいち早く察知していた、という事で合格に値するだろうと思っていた。
そして自分は・・・魔族に乗っ取られていたのであるから、当然合格はない。
もとより、身体もない身だ。
GSより身体を得るためにどうにかしなければいけないのだから。
なんにしても無事生き残り、魔族を倒せたのだから良しとしよう。
全てを失いはしたが、成世 阿弥は清々しい気持ちで昇天の花火を見守っていた。
***成世エンディング***
しばらく霊道に突っ込んでいた右肩から先を、引きずり出す。
肉体的/霊的損傷は、動かせなくもない程度には回復している。
霊力の方は、さっきから延々だだ漏れのソレを懐に入れて大黒字。
合格者に出るという助成金の一億を返上しても釣りが来るだけの貯蓄だ。
「"ブランド・オブ・アルカナ――ライン・スプレッド"!
フィフス・テープ×ナインス・エリクサー!
名付けて"アルカナ・バンデージ"……ってトコか」
充分に時間を掛けた[護符の5]×[聖杯の9]の合成刻印。
タロットの絵柄こそ悪趣味だが治癒効果は抜群の包帯を、
己の右腕の指先から肩口まで巻き終えて、ジャージを捕獲。
ジャージ男がミイラ男にクラスアップした。
「―――いかん、調子に乗ってやりすぎたっ!?
この考古学的資料が、うっかり他のGSに目撃されでもしたら、
妖怪と間違われて通報……いや、除霊されても文句は言えんな。
念のため、安全策をとっておくか―――ファースト・グリップ!」
水でも油でも消えない霊性マーカーを[杖の1]に刻印。
きゅきゅっ。とミイラ男の額に"神"の文字を書き込む。
これなら、誰がどう見ても神藤だと判別可能な筈だ。
「……ふう。これで、ベネ(よし)っと。次は―――」
やりとげた男の顔で爽やかに汗を拭いた祓い屋は、
今度こそ安心してミイラを転がし、霊道に向き合った。
このまま不自然な裂け目が入った状態で放置すれば、
またタコ・モンスターのよーな不具合が発生しかねない。
「"ブランド・オブ・アルカナ―――トライアングル・スプレッド"!!
サード・タリスマン×シックスス・シール×ナインス・フィールド!!」
[護符の3]×[護符の6]×[護符の9]を合成刻印する。
混じりっ気なし霊基構造100%の健やか結界符が収穫できた。
霊道が本来の状態を取り戻せる様に破損箇所を、ちくちく縫うのだ。
祓い屋は、銜え煙草から立ち上る煙に顔を顰めながら補修作業に入った。
…
……
作業終了―――でっかい夕日が、えらい目にしみた。
霊道と自身のダメージが完全回復したコトを確認する。
牧街さんの方は、無事に仮面を取り押さえられただろうか?
217 :
名無しになりきれ:2009/07/02(木) 09:08:57 0
omedetou
ばさりと被せられたシートの向こうで、モガモガともがく中級魔族を前に、深呼吸を一つ
…終わります
今、全てが終わります
あの成世は開放され、霊道は元に戻り、黒幕の魔族も倒される
全てめでたしめでたし
牧街は懐から最後に残った一円の破邪札を取り出すと、導火線にしておいた地面の破邪札に投げ、トラップを発動させた
ごく微量の霊力で火がついたシートの中の破邪札と言う爆弾が起爆し、シートごと魔族を完全に爆発四散、粉微塵にし、それを周囲の吸引札が吸い取り、無力化する
4枚貼ってあった吸引札は全て限界に達し、ぺらりとその場に落下した
牧街はそれを拾い上げると、懐からチャッカマンを取り出し、一斉に火をつけ、燃やしてしまう
これで、最早あの魔族が甦る事は無い…多分
終わった
…いや、オワッテシマッタと言うべきか
後牧街を待つものと言えば……
……死、だけである(笑)
>『ありがとうございました。これで私たちは成仏できます・・・。』
「いやーいーんだよー…俺も多分すぐ使う事になるだろうからー…」
白目むいてエクトプラズムはきながら霊達に別れの言葉を述べ、くるりとタローらを振り返り
「タローさんとジャージの方もぜってーごーかくしましたよー、グッジョーブ」
と力の篭ってない言葉で仲間達をねぎらい
「成世ー……うん、そのうちいいことあるさー、いきてればー」
って感じで肉体まで失う必要なかったん成世に精一杯励ましの言葉を送った後
牧街はその場に座り
つらづらと、故郷の両親や知人友人らに向けた遺言状を書き始めるのだった
エピローグ
かの事件から数日が過ぎ…
塵一つ無い道場に、牧街モリオが一人、己の師と対峙し、座っている
『何事も結果を見なければ…わからん』
すなわち
『試験結果の通知が来るまでは、綺麗な体でいさせてやろう』
と言う意味の師の言葉を受け、現在まで牧街に怪我は一切無いが
この数日間、食事が全く喉を通ず、夜も眠れなかったため、既に牧街は見る影も無い程にやせこけ、青ざめている
そんな彼と、先ほどから噴火寸前の火山の様な、暴風雨の前の台風の目の様な、異様な迫力をかもし出しながら座る、彼の師との間には
GS協会からの、牧街への死刑執行命令書が置いてあり…
………もとい、試験結果報告書が置いてあり
今二人はそれを挟んで、対峙しているのである
師の横には、スコップとジープの鍵、そして師が今まで幾多の悪霊をぶったたき、溶かし、そして銃殺してきた特注(銃刀法違反)の師専用神通杖が置かれており
いつでも準備が整っている事を、牧街に告げていた
「……内容を見ろ」
やがて静に、師が言った
逆らうだとか、逃げるだとか
目の前の人間の実力を考えれば一切それらが無駄であり
なおかつ少しでもここで動作が遅れれば、少し長く現世にしがみつく事になりかねない事をよく知っている牧街の体は
本人の意思よりも早く、半ば自動的に封筒を取り、すばやく、中身を取り…
「…あっ」
何かが、封筒からすとんっと下に落ちた
牧街の全身から一気に血の気が引き、体の震えがピークに達し、口から泡が吹き上がる
師が……立ち上がった
そして、一歩、また一歩と牧街に近づいてくる
(お父さん、お母さん…)
牧街が死を感じ取った、その時、師が視界からすっと消え……
「………よくやったな、牧街」
牧街のすっと地面に落ちたGS資格免許を拾い上げ、彼に手渡してくれた
「いよっっっしゃあああああああああああああああああああああああ」
「ばんざああああああああい!ばんざあああああい!」
途端、道場の入り口から各々それぞれ珍妙な武道着を着た牧街の兄弟弟子達があふれかえり、彼を胴上げし始める
「よく生き残った!牧街!」
「頑張った!おめェはよーやった!」
口々に彼を褒め称えながらわっしょいわっしょいと胴上げは続いたが
やがて誰かが「アッ」と声を上げたのと同時に胴上げは中断し、ズドーンと凄い音を立てて牧街が道場の地面に落下した
「…目が覚めたら、床を徹底的に掃除させておけ……今日位休ませてやる」
小便を漏らし、白目を向いて涎をたらしながら気絶している牧街に背を向け、弟子達にそう告げると
牧街の師は不敵な微笑を浮かべながら、道場を後にするのだった
END
――――――――――――
神藤巳粋エピローグ
――――――――――――
「……もご?」
神藤が気が付いたのは、牧街による魔族の後処理が終わってから
暫くの後。GS協会が出した帰りの船の中だった。
「……もがっ!?もがもが!もごもごっ!(ちょ、これはどうなっているのだ!?動けぬ!動けぬぞ!?)」
もっと詳しく言うならば、GS協会が出した船の中にある受験者達の道具預け場の中だった。
包帯でグルグル巻きにされ、額に神と書かれ、頭には成世(を乗っ取った魔族)に
よって貼り付けられた人面祖もどきの仮面を未だに貼り付けたまま地面に転がっていた神藤は
呪具か何かと勘違いされ、タローが目を離した隙に、スタッフに回収されてしまったのだ。
しかし、当然のことながら気絶していた神藤にはその辺りの事情など解る筈も無い。
「もごご……もご!もがもがっ!?も、もががが――――!!
(む……まさかあの後魔族に負けて俺様は捕らえられたのかっ!?
ま、まずい!だ、誰か――! 俺様を助けるのだ―――っ!?)」
そう言って、暗い室内をミノムシの如く転がり回る神藤。
彼が動き回る度に周囲の高価な道具がダメージを受けているのだが、
その辺りの事情もまた、神藤に解るはずが無い。
結局、その愉快な光景は船が港に着き、神藤がナマモノであると
気づかれるまで、延々と継続されてしまったという。
……全く、最後の最後までヒーローのようにビシッと締められない奴である。
・・・
・・
・
こうして、神藤巳粋のGS試験はひとまず幕を閉じた。
後日、スプラッタな光景になった成世について事情を知らないままだった
神藤はいろいろと勘違いをし、一悶着を起こしたり、
GS試験の合格証明書と共に送られてきた、船内での道具破壊に対する請求書によって
助成金が丸々吹き飛んで、嬉し涙と悔し涙を同時に流すという器用な真似をしたり等する事に
なるのだが……それはまたの機会に。
経済大国日本。除霊が超ボロいビジネスとなった社会で、
安全と経済活動を脅かす悪霊や妖怪を退治する現代のエクソシストを
人はGS(ゴーストスイーパー)と呼ぶ。
そんなGSになりたての少年、新米GS神藤巳粋。
彼の物語はまだ始まったばかりである……!
END
To Be Continued……?
部屋に戻ると、ぼふっ!と、シーツの上に倒れ込んだ。
備え付けの安いパイプベッドは、それだけで軋みを上げる。
仰向けになり、天井の蛍光灯に向かって掲げた一枚のカード。
その薄い紙片は、ブランク・タロットなどでは無く―――成績票だ。
「やれやれ…。今回もこの有様か。ある意味、予想通りではあるが」
先程、返却されて来た追試験の結果は、大幅な成績の低下が見られた。
非常に情けない話だったが、再び赤点を取ってしまった教科も存在する。
赤点の中でも特に、英語、数学、物理、古文、世界史は世紀末的だった。
「……いや。週末は、資格試験で立て込んでたしなっ!?」
現実から目を逸らそうと、ささっ!と成績票から外した視線の先では、
コーヒーの空き缶やら吸殻満載の灰皿で雑然としたテーブルがお出迎え。
「相変わらず、どっちを見てもロクなもんじゃねーな……」
この半年で、すっかりカーテンに煙草が染み付いた学園寮207号室。
祓い屋は、床に横倒しになっている酒瓶と同様、ごろりとベッドで転がった。
目蓋を下ろすと、追試後に生活指導室へ呼び出された記憶が浮かび上がる。
若い担任教師は問うた。
『……で、どうだった?いくらキミでも、週末は勉強してたんでしょ?』
俺は真摯に答えた。
「…いや、それが。バイト関係で無人島に行くハメになっちまって――」
『――座りなさい……違う!この場合、座れといったら正座よっ!?』
…
……
――――ゴーストスイーパー。
高額な報酬と引き換えに、様々な心霊現象に対抗する現代のエクソシスト。
夢想していた、祓い屋として生きて行く将来像。今なら、それに手が届く。
特殊な職能が必要な業界であり、自分には……その国家資格があった。
「……何も、変わったりなんかしないよな」
GS協会から届いていた合格通知を引っ張り出す。
その上に積み重なっていた空き瓶がゴロゴロと崩れた。
酒瓶のラベルのみが、きっちりランクアップしてたりする。
…いや。変化は、もう一つだけあった。それは―――仕事用の携帯の着信音。
「―――っと。こんな時間に誰だ?」
≪フハハハハ!! いま霊団に追われてしまっているのだ!!
アホの様な物量ごときに後れをとる俺様ではないのだが、
どうしてもと頭を下げるなら貴様に助けられてやっても――≫
―――――俺にも、"腐れ縁の同期"ができた。
【"ブランド・オブ・アルカナ"タロー ―――シーンエンド】
【シナリオエピローグ】
GS免許試験および更新試験が終了して数日。
参加者達はそれぞれの日常に戻っていった。
試験会場となった悪霊島は既に悪霊もいなくなり、静寂の島となっている。
清浄に作用し始めた霊道付近にて、蠢く影があった。
『くっくっくっく。GSどもめ、俺を見くびったな・・・!』
それは割れた魔族の仮面の片割れ。
タローにより真っ二つに割られ、半身を牧街によって封滅させられた残りだった。
飛び散った破片をより集め、数日駆けて漸くここまで復活したのだ。
『復讐してやるぞ!復讐してやるぞ!どれだけかかろうともなぁ!』
誰もいない島で高笑いを上げる魔族の仮面だったが、その笑いが直ぐに途切れることになる。
突如として霊道の真上に現われた高霊圧体。
赤いローブを纏ったそれは中級魔族のそれをはるかに凌いでいた。
無言で降り立った赤いローブの魔族に魔族の仮面が驚いたように声をかける。
『あ、あんた!何でこんなところに?そ、そうか・・・!
まあいい。丁度良かった。人間どもにやられちまってよ!助けてく・・・!』
魔族の仮面はその赤ローブの魔族を知っていた。
これ幸いにと助けを求めたが、台詞を言い切る前に無常にも踏み潰されてしまう。
『な・・・何故・・・?』
踏み潰された魔族の仮面の問いに応える事無く、足に魔力を集中させて完全消滅させる。
『ふむ・・・霊道に細工をして魔族を生み出す実験だったが・・・
神族どもに気付かれぬよう、殆ど防衛機構を成していなかったのが災いしたか。
GSどもめ・・・!』
そう、この島の霊道に細工し、雑霊を集めて魔族の卵を作り出したのはこの魔族の仕業だったのだ。
この実験が成功すれば、あらゆる霊道は魔族を生産する繭となるはずだったのだ。
赤いローブの魔族はサイコメトリーによって、この場で何が起こったのかを知り、小さく呟く。
そして巨石を回収すると消えていった。
・・・・GSたちの戦いはこれからも続く。
様々な思惑や因縁を孕み、激化しながら・・・。
しゅ〜りょ〜です!
皆さん、お疲れ様でした。
約5週間。レス数にして100ちょいというところで。
いろいろ至らぬところもありましたが、最後までお付き合い頂き感謝です。
GS試験編はこれにて終了ですが、ご意見ご感想、質問などありましたらどうぞ。
話しの解説や、シナリオへの意見、疑問などなど。
お互いに後学の為にもなると思いますのでね。
何はともあれ、シナリオ完走に感謝です!
乙。結局成世ってどうなったの?
【ええっと…。おれはTRPGと銘打たれた場所に参加したのはココが初めてで、
だから完走した後に……つまり今、どう振舞ったらいいのかもわからない。
―――ってコトで、素直な感想だけ言わせてくれ。
一つ目、楽しかった。
二つ目、いい経験になった。
三つ目、牧街さん、成世さん、神藤、名無しのみんな、ありがとなっ!】
いやぁ〜〜〜〜初めてっすよ、無事、シナリオ完走させたの
>>224 成世さん、マジで色々ありがとうございました
あなたがいなければ、絶対、完走はならなかった
うん
とにかくありがとうございました
>>225 1島に放置
2スタッフか知り合いに回収された
3せっかくだから、島にあった謎の遺跡の赤い扉の中に置いていかれた
…どうなったんでせうかね?
俺も気になりやす、肉体を破壊した張本人として…
>>226 いや、俺はほとんど何もしてないし
えぇ
お世話様になりました
皆さんのおかげで、無事GS美神スレを完走させる事ができました
これで心おきなく、宇宙パトロール隊MAC、獅子奮迅を始める事が(まだ野望は潰えていなかった)…
……冗談はさておき(MACやりたいという事実は変わらないけれど)、次のシナリオですが
次の様なのを俺は考えました
牧街が凶悪な親父霊を殲滅し、手に入れた壺
免許更新騒動で忘れ去られていたそれを思い出した牧街は、その壺を鑑定せんとしたが
誤ってその栓を抜いてしまう。
牧街によって栓を抜かれた壺は、宙を舞い、ブラックホールの様な吸引で牧街を壺の中に吸収し
更に外へ出て、霊能力のある人間、それも「強くない奴」ばかりを次々と襲って吸収していく
一方、牧街が吸い込まれた壺の中は、謎の巨大な迷宮となっていた…
はたしてこの壺の正体は!
吸われた人間達の運命は!
ジャンル: 冗談の通じるオカルトサバイバル
コンセプト:現代除霊師達に降り注ぐ突然の脅威!
平和に生きる、霊能力者達に突如襲い掛かる非日常!
成るか!美少女キャラ登場!
出るか!ポロリと読者サービス!
漫画的描写有
期間(目安):1ヶ月
最低参加人数:2(GMとプレーヤーがいれば…)
っと概要はこんな感じで…
皆様、お疲れ様でした!
……ふぅ。なな板TRGPに参加するのは三回目ですが、完走したのは初めてですよ。はい。
素直に嬉しいです。
皆様に感謝を。自信のスペックの低さに猛省を。
楽しい時間をありがとうございましたっ!
……成世どうなったんだろうなぁ。後、島にいた悪くない幽霊達も。
>>217 omedetou
だいぶ遅れちまったけど、ありがとな。
今さら、めでたい実感が沸いて来たトコだ。
>>225 どうなったの?
"その後は本人のみが知る"……か。
引き取り手が全然無さそーだったら、
おれの方で回収したコトにしてもいい。
>>224 成世さん
>しゅ〜りょ〜です!
>皆さん、お疲れ様でした。
同じコトの繰り返しになっちまうけど、
GM役の成世さんは特にお疲れ様、だな。
>>227 牧街さん
>成るか!美少女キャラ登場!
>出るか!ポロリと読者サービス!
読者受けするってんなら、そういうのもアリかもしれないな。
まー今回、モザイク必須のポロリには事欠かなかったわけだが。
>>228 神藤
>なな板TRGPに参加するのは三回目
面白い先輩に囲まれて、おれは幸せ者だったかもしれない。
エンディングに勝手に友情出演させちまってすまなかったっ!
あまりに美味しいキャラだったもんで…つい、うっかり、わざと。
>島にいた悪くない幽霊達
ちくちく裁縫した霊道を通って、成仏してくれた……はずだよな。
これからのことについては、何にも考えてなかった。
シナリオ終盤くらいの出現頻度でも良かったら、
今後も一緒に遊ばせてもらえるとありがたい。
皆さんお疲れ様でした。
祝!完走。
そして改めてありがとうございました。
楽しかったです。
>成世のその後
身体を失った成世 阿弥はどうなったか・・・
読者の皆さんの想像にお任せパターンでいいかな、と。
元々このシナリオだけの為に作ったキャラですのでねい。
シナリオ終了後の事は考えていませんでした。
>タローさん
初めてのTRPという事で責任重大だったですが、楽しんでいただけた様で良かったです。
色んなスレがあり、色んな形式があります。
これから先、このスレを含めTRPを楽しんで行っていただければ幸いです。
>牧街さん
お疲れ様でした。
好き勝手やらしていただき感謝です。
思えば最初にこのスレを覗いた時はどうしようかと思いましたよ。
GS美神の世界観のTRPは昔私もやろうと思いながらお蔵入りになってましてね。
それを実行した牧街さんを羨ましくも妬ましくも思ってたり。
色々キッツイ事も言いましたが、そんな愛憎含んだ感情で、スレを盛り立てたかったのが原点でしたよ。
こうやってシナリオ一本終わらせられて本当に良かったです。
これからも頑張ってください。
今回GMとして苦労した点は、3流という事で基本へタレ属性がついているキャラたちにいかに戦わざる得ない状況に持っていくか、でした。
次のシナリオでそんな私の経験を生かせてもらえると幸いです。
>神藤さん
完走コングラッチレーション!デスヨー。
やっぱり完走は気分いいですしね。
これからもこの快感を貪欲に貪りに行って下さいな。
島の幽霊達は霊道が清浄作動して昇天して行きましたですよ。
>シナリオを振り返って
結構強引に推し進めたところがあったデスね。
ところどころななしさんのネタ振りにも助けられました。感謝!
ギャグ属性が低いので、コンセプトとしての冗談の通じるがあまり出せなかったのは反省点ですねい。
これからの精進ポイントという事で。
それでは、最後にまたですが、皆さんありがとうございました!
さて、この後はどうなるのか
第二章だろ?
スレ主の真価が試されるな
>>228 いえ、そんな
おかげさまで話しが大変盛り上がりました
これからもちょくちょく参戦していただけちゃったり何かすると、嬉しいですね
えぇ
>>229 是非登場しておくれやすです
お疲れさまでした
ラストの神藤に施したミイラパッケージ、笑かしてもらいましたです
これからもよろしくお願いしますね
>>230 いえいえいえいえ
そんなこちらこそすべて押し付けてしまって申しありませんでした
おかげでスレも大変盛り上がりましたし
>>231 ……どうなるんでせうか…ね?
>>232 いや…俺もそう考えてたんすけど…
俺が次GMやるん…だと思うんすけど
よく考えてみると俺は一回もまともなGM経験が無いんすよ、ぶっちゃけ
だから以前書いた壺の話を1週間程度で終わる短編にして、似たようなのを何回かやって練習した後に、大規模なシナリオややりたいんすけど
いいっすかね?
234 :
師匠:2009/07/07(火) 23:11:16 0
>233
いいっすかねじゃないわこのバカチンが!
許可求めとる暇があったらとっとと怪しげな壺の鑑定でもせい!
弱気になっちゃいけねえ!
スレ主なんだから、スレの方針は決めちゃっていい。
それで人が集まるかどうかは別問題だけどw
いいんじゃね?一週間短編でも。
ただ、全員日参ペースなら7ターンでそれなりに動く事もできる。
でも2.3日に1レスだと2.3ターンしかないわけ。(小笠原エミ風)
そういう時は
導入→結果を最初に書いてしまい、回想掛け合いでターンをまわしてエピローグのみ
なんていう超ミニミニ形式もあるデスだよ。
試行錯誤して頑張ってな。
――ショートシナリオ「吸引力の落ちないただ一つの壺騒動(仮称)」開始――
>>234>>235>>236 は…ひゃい!ほれじゃ、は、はじめしゃせていただきましゅでしゅ!えぇ!
で、では、とりあえず俺がノーマルだと思う形式で…
ショートシナリオ「ツボを抑えれば全てよし!」
薄暗い自分のアパートの中
かつてオヤジ幽霊を倒した際、店のオヤジから100万円と共にふんだくった壺と、胡坐をかいて座っている牧街が対峙していた
牧街は試験には合格できた
が
あの島で対戦車超強力破邪札をはじめとする威力のある装備はあらかた使い尽くしてしまい
買いなおそうにも「眼通君を外したのに合格にしてやったんだからありがたいと思え」ってな感じで協会から1億円はでず
そして師にその事を話そうものなら「装備に頼らず悪霊を倒す方法を伝授してやる」などと言われて、どんな大怪我を負わされるかわかったもんではない
しかし、今の装備のままで仕事する事は、自分の見立てを上回る敵に遭遇する事の多かったこれまでを考えると、大変不安である
勿論、普通にGS以外の仕事で金をためる事は可能だが、一枚数百万の破邪札数枚をバイトや何かで金を貯めて買うには途方も無い年月が必要な事は明白だ
装備を買おうにも金が無い
金を得ようにも装備が無いから仕事が請けられない
はい、お仕事続けられない、GS牧街、完!
と、そこであの壺の存在を思い出し、何かのたしになるのではと改めて眺め始めて
今に至る、と言うわけである
が…
「さっぱりわからん…」
オカルトアイテムに関して特別見識高いわけではない牧街に、この壺にどれだけの価値があるかなど、やっぱりわかる分も無く
物の数分もしない内に真剣な空気は消滅
どこか投げやりな表情になった牧街は、とりあえずやっぱり近くのオカルトショップへ行って見るべと
壺をもって、アパートを出て行った
それから、暫くして…
明らかにド不良な学生数名が交番に飛び込んできて
何事かと驚く警官に、必死に「壺が人間を食った!」だとか「怪獣出現の前触れだ!」だとか
意味のわからん事を訴え、警官を困惑させると言う珍事が発生
同時刻、壺を抱えた気の弱そうな線目の男が不良学生に路地裏に連れ込まれて、その後青ざめた不良学生が路地裏から走って逃げ出す姿が目撃され
更に数件の「近くの高校の学生寮の方向へ高速で飛ぶ、逆さで空を飛ぶ壺」が近くの住宅街で目撃された
が
事態を重く見なかった警察はそれらの事件を一笑にふし
そして、世間的にこの事件は大した事件になる事も恐らく無いのだろうが
とにかくこうして、一部の人間にとって恐るべき恐怖の壺事件が幕を開けたのである
無事にネカフェを始める事が出来たマスター。
店の前を飛行する壺が横切って行くのを目撃。
「前に報酬として渡した壺に似てるなあ……きっと気のせいだよハハハ」
>>238 ネカフォのオヤジの目の前を横切った壺は、店の直上で制止
壺の口から無数の赤い舌を伸ばし、ネカフェをそれで包み覆い始めた!
【オープニング】
「―――ちっ。降り出して来たか。
今朝からグズってやがったからな……」
学生鞄を傘代わりにした不良がネットカフェへと駆け込む。
聞き慣れたドアベルの音色。若干強めのクーラーが心地良い。
「マスター、ちょっと雨宿りさせてくれっ!」
この店のマスターは開店以来の顔見知りだ。
いつも通りカウンターで適当なブースを選んでいると、
視界の隅を低速/低空飛行する未確認物体が横切って行く。
「なんだ、壺か―――」
値切り交渉の為に音楽プレイヤーを一時停止したところで気付いた…
…怪奇現象だ、コレ。
「―――壺だとっ?」
ドアガラスの向こう側を振り返る不良学生。
GSの業界用語で言うところの"二度見"である。
『前に報酬として渡した壺に似てるなあ……きっと気のせいだよハハハ』【
>>238】
「……気のせいなものかよ」
気のせいであって欲しかったが、思いっきり見覚えがある。
心当たりもある。おもむろに仕事用の携帯で同業者に連絡開始。
そうこうしている間に目標は視界から消え、外の景色が赤く染まった。
「…ったく。牧街さん、また厄介事を抱え込みやがったな?
"いいから電話よこせ"っと―――」
端的な用件だけを件名欄に打った空メールを送信して、携帯を閉じる。
雨に濡れたブレザーの腕を捲って、不良学生は祓い屋の表情になった。
「―――"ブランド・オブ・アルカナ×フィフス・セイバー"!」
虚空に手を翳すと[剣の5]の絵柄が掌の前方の空間に浮かび上がる。
霊力のカードを握り砕く様に掴むと、タロットは霊波刀を形成した。
【通称】"ブランド・オブ・アルカナ"タロー
【年齢】17
【体格】均整の取れたシルエット
【容姿】跳ねまくった長髪
【属性】サイキック
【霊圧】平均以下〜極限
【能力】霊力刻印
【装備】ブランクタロットカード
【趣味】截拳道
【備考】現役不良学生の三流GS
窓を叩き割り、無数の触手が屋内に侵入してきた!
触手達は武器を構える触手を無視し、なんと店の親父へと一直線に向かっていく
そして、どこからともなく不気味な声が響きだした!
『フハハハハハハ、見つけたぞ七郎太!よくもこの俺を固めてこんな姿にしてくれやがったな!
貴様を食い殺して…「助けてぇー」』
不気味な声が…
『…く…食い殺して、この復活を完全な物に…「ゴッ○マーン!」うるせぇ!』
登場シーンを間の抜けた牧街の声に邪魔された不気味な声の怒りの雄叫びが店内にこだました
『今人が喋ってんだから静にしろや!』
「すんません!でも俺関係無いもん!七郎太って誰!」
『うっせぇ!ガチガチに固められた挙句口に栓をされて霊力が干からびてた俺の、口の栓が抜けた時に近くにいたおめぇがわりぃんだ!
自然界の掟にしたがって大人しく俺の栄養になりやがれ!』
「嫌です!そんな掟はすぐに議会を召集して否決すべきですぅ!えぇ!」
やがて店内でどこか説明臭い不気味な声と、半泣きの牧街の声による口論がおっぱじまり
触手も動きが止まって、店内を何だかぐだぐだな空気が漂い始めた
しかし、今は呆れている場合ではない!
逃げる絶好のチャンスである!
一方
タローの送ったメールは、無事、牧街の師匠の元へと送られていた
21世紀、この情報の時代において牧街モリオの手元には、いまだに、パソコンも携帯も配備されておらず
しかも牧街の家の電話もいまだに黒電話であるから
失礼、途中で送ってしまいました
家の電話もいまだに黒電話であるから、留守電も機能せず
本人不在の際メッセージを受け取るのは、恐山流道場の門下生達が共同で使用しているPC、という事になり
そして運悪く、その時PCは牧街の師が使用していたのである
「………トイレの奴か…俺に挑戦するとはいい度胸だな」
タローから送られてきた文面を読み、名前欄から何かとんでもない誤解をしたらしい師匠は
無言で「話す事は無い、場所は?」と書いたメールを返信すると
席を立ち、後ろにかけられていた掛け軸をずらして、その裏に隠れていたスイッチを押した
道場の壁がウイーンと開き、アサルトライフルやロケットランチャーが並べられた隠し部屋が出現する
「世の子供達を長きにわたって苦しめた罪は重い。容赦はせんぞ…」
そう言って、師匠は慣れた手つきでその場に置いてあったテーブルの上で開かれているギターケースに、壁に並んでいた武器を次々に手入れ、装填しながら格納し始めた
念のため言っておこう
基本的に銃刀法違反
&
格闘家って銃使っていいんだっけ?
>239
「ぎゃあああ! 私のネカフェに何をするぅううう!!」
>241
「七郎太!? 知らんがな!」
ネカフェのマスターはすたこらささっさと逃げ出した。
(さっきの声……この前のGS……そうだ!)
マスターは名案を思いついた。
>242
マスターはそのまま全力疾走して道場にかけこんだ。
ギターケースに武器を格納中の師匠に泣きつく。
「GSの師匠さん! お弟子さんが壺に食われてピンチですよ!
壺は私のネカフェで暴れてます。さあ早く行きましょう!」
弟子のピンチとなればすぐ出動してくれるのではないかという作戦である。
どうやら、触手の目的は一人の人物らしかった。
「なるほどな……それで、おれは放置プレイか」
その人物も、何事か叫んで店を出て行ってしまう。
「―――マスターまで、おれをガチ無視なのか」
ややあって、メールの返信があった。
『――"話す事は無い、場所は?"』
「うあ……このアドレス、牧街さんトコの師匠だったのかよ。
合格者名簿に載ってたのは"保護者"の連絡先だったって訳だ」
"あんたの弟子がドジを踏んだ
責任とって落とし前つけろ
現場の住所は――"
――疲れ切った表情で返信を終え、溜息を吐く。
「……あー。来店中の全員に通達。
こちらは正規のゴーストスイーパーだ。
当該店舗施設外にて、乙三種霊的障害の発生を確認。
一般市民は、指定の経路から可及的速やかに退避してくれ―――」
店内に漂う、ぐだぐだした雰囲気の中で、
祓い屋は、だらだら避難誘導を開始する。
「―――繰り返す。訓練されてない一般客は避難だ。
"押すな/走るな/喋るな……おはしの三原則"を守って―――」
煙草を銜えてダルそうに振った霊波誘導灯が、
点滅する赤い光で店内の非常口を照らし出した。
>>243 突然マスターに泣きつかれた師匠は、営業用の事務的な顔になると、まぁまぁとマスターをなだめ、彼を応接セットへと案内して
「弟子って言うのは、牧街ですね?奴には生命保険をしっかりかけてある、何もご心配いりません」
と何がどう心配無用なのかは不明の第一声を放ち
次に
「除霊の失敗につきましては、牧街は既に私の元から独立しておりますので、責任は持てません」
きっぱりとそう告げた
なお、牧街の師匠が銃器を持っている事だが
以前その件を警視庁に話した依頼者がおり
警察による立ち入り検査が行われたらしいのだが、事件に関わった警察官僚は皆一様に口を閉ざし
更に依頼者が数日消息不明になった後、事件の事を完全に忘れた状態で帰ってくるという事件が起こったため
「彼等が銃器を持っている所を観ても、それはエアーガンだと自分に言い聞かせろ」
が恐山流GS道場を知る者の合言葉になり
このマスターもまたこの事実を知っているため、銃器の件については、最初に壁の中の師を見た時点で、観なかった事にしているはずである
では、最早マスターは無き寝入るしかないのか、と言われると
「しかし、現世にはびこる邪悪な悪霊を野放しにはできません、すぐ、殲滅しましょう。何、お金は要りませんよ」
すっくと立ち上がりながらそう言って
師匠はソファーの下からどう考えてもバズーk…水道管が包まっている様な布包みを出して担ぎ上げ、玄関へと向かった
無き寝入るしかないかというと、実はそうでも無かったりするから、世の中まだ捨てたもんじゃ無いかもしれない
>>244 「…?おっと」
行きがけにメールの受信音が聞こえ、パソコンを開いてタローからのメールを見た師匠は
「…最後まで人に迷惑をかけおって」
とため息混じりに言って、返信せずにPCを閉じると、マスターに出発を促し、筒と、どこからか出したアタッシュケースを持って、道場からほど近い喫茶店へと走っていった
「日本国は民主主義国家です!国会の決定の無い掟は承認されません!えぇ!」
『糞たわけた事を抜かし取るんじゃねぇ!自然界のルールだっつってんだろーが!』
「わぁ!犯罪者!犯罪者がいる!警察呼びますよ!」
『な…、だから!自然界のルールにだな!』
タローの避難誘導が黙々と進む中、牧街と壺の口論はヒートアップしていた
情勢は、牧街有利!
日本国憲法やら人の道やら理屈と道理で、壺を徐々に追い詰めていく!
…無論、んな口論で勝った所で、状況が変わる分では無いだろう
とにかく牧街が壺を食い止めている間に、タローによるお客の避難は元々客足が淋しかった事もあって成功し
丁度全員が外へ出た所で、牧街の師匠が現場へと到着した
「…ノヅチ、だな、トイレの太郎君め、牧街を人質に取るだけに飽き足らず、あんな物まで…。許さん!!」
現地の状況を惨状を見て開口一番にそう言う師匠
どうやら
【あんたの弟子がドジを踏んだ
責任とって落とし前つけろ】
を
【俺に立ち向かってきた貴様の弟子を倒し、預かった
返して欲しければ俺の言うことを聞け】
と取ったらしいこの師匠は
店から避難してきた男性をとっ捕まえ、中にもう牧街以外いない事を確認すると
「店長、弁償する!」
問答無用で筒をビルに向け、引き金を引いた
腹に響く重低音の後に、ブシューと紋様が書かれた弾頭が舌に包まれたビルに突っ込む
『!?と、突然なんじゃあ!?』
「ゲゲ!し…し…しーーー…」
そして妖怪の牧街の驚きの声が響いたと思った瞬間
爆音と共にクラゲがネカフェごと一気に炎に包まれ
『「ホギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア」』
妖怪と牧街の断末魔がこだました
「流石は最新型のナパー……花火だ、狙った建物だけを炎に包む事ができる」
どうやら新しく手に入れた獲物の試し撃ちをしたかっただけらしい師匠は
隣接する建造物に蚊ほども被害を与えず燃え続ける炎を満足げに見つめながら、うんうんと頷くと
「あ、店長、破壊された物の弁償は、しっかり行いますから、ご心配なさらず結構ですよ」
横に立っている店長に満面の笑みでそう言った
――――寂しげな、灰色の雨空。
この季節にしては冷たい粒が、静かに振り続ける。
制服を濡らすそれは、いつの間にか霧雨に変わっていた。
「……やれやれ。何やってんだか」
一方、地上ではユカイな花火が炸裂していた――――
…
……
近くの自販機に寄り掛かり、その惨状を視認する祓い屋。
「随分と高いオモチャを使ってるみたいだが…
…多分に趣味的だな」
一般市民の避難誘導を終えた祓い屋に出る幕は無い。
弟子を取れる程のベテランGSがここまでやったからには、
当事者同士できっちり事後処理までケリを付けるのが道理だ。
「事情は分からないが、とにかくこれで―――
放課後の貴重な憩いは、当分お預けってわけだ」
隣の自販機にコインを落とし込んで、"あったか〜い"の赤いバーを確認した。
風情の無い音を立てて出て来る、エメラルドマウンテンの某ショート缶。
屈み込んで取り出したそれを、手と一緒にポケットへ突っ込む。
しばらくの間こうして暖を取るのが、祓い屋は好きだった。
雨音を聞くのに飽きた頃に、タブを起こして一口飲む。
「……温いな」
しばらくして、誰かが通報したのか、消防車両が数台駆けつけ、店の消火を開始した
店は完全に炎に包まれ、かなりヤバイ感じである
何がヤバイって…そりゃ牧街の生還が…
>>247 「そこの君、そう、君だ、君」
自販機に寄りかかってのんびりコーヒー飲んでるタローに、他の客から話を伺っていた師匠が話しかけてきた
その後ろでは、店長が顔面蒼白で口を金魚のようにぱくぱくとさせている
「あの中で避難誘導をしてくれたそうじゃないか、おかげで妖怪を早期に殲滅する事ができた。その事には礼を言おう」
そう言って、師匠は軽く頭を下げると、今度は疑いの眼差しを彼に向けた
「しかし、アレだけの状況におかれて、よくそれだけ落ち着いていられたものだな
訓練されたゴーストスイーパーでももう少し動揺していそうなものだが…
…率直に言おう、君は何者だ」
タローが答えるより早く、バリーンと炎に包まれたネカフェの窓が割れ
「ホワアアアアアアアアアアアアアアああ」
と言う叫び声と共に炎に包まれた牧街が中から飛び出して来た
突然の事に、師匠の注意もそちらに行き、今なら隙だらけだ
攻撃を仕掛けますか
>YES
NO
*いや、その選択肢はおかしいだろ、と言う突っ込みは有効です
『そこの君、そう、君だ、君』
銃刀法違反者が、こちらの方を向いて誰かに話し掛けている。
念のために自分の後ろを確認するが、"保歯科医院"の塀しかない。
おれの面構えにティンと来たのだとしたら不味い。付き人稼業は御免だ。
『あの中で避難誘導をしてくれたそうじゃないか、おかげで妖怪を早期に殲滅する事ができた。その事には礼を言おう』
あの牧街さんの師匠だ。出来る事なら、お近づきなるのは避けたい所だ。
政治、宗教、野球あたりの爽やかな世間話で何とか誤魔化せないモノか。
「……ああ。交通整理のバイトをしてた時期があってさ。
その時の経験が生きたぜ。長期の夜間工事の現場でな。
歳を適当にサバ読んでたのが当局にバレた時の話が、傑作で――」
『――しかし、アレだけの状況におかれて、よくそれだけ落ち着いていられたものだな
訓練されたゴーストスイーパーでももう少し動揺していそうなものだが…』
――――誤魔化せなかった。
「……そう、見えたか? 心中は穏やかじゃなかったけどな。
ただ、このテの厄介事には慣れちまってるのかもしれない」
『…率直に言おう、君は何者だ』
「おれはタロー。祓い屋さ―――」
炎を上げる高速飛翔体が接近して来ていた。
だが、降りかかる火の粉を払うコトに躊躇は無い。
『ホワアアアアアアアアアアアアアアああ』
「…フォースロッド。」
投げやりに刻印した[杖の4]で叩き落す。
首根っこ掴んで"保護者"へと引き渡した。
「―――ただし、この殺しても死ななそうな大将と腐れ縁の、な」
…
……
「あんたら師弟のおかげで、優雅な午後が台無しだ。
この後、メシでも奢ってもらわなきゃ割に合わないぜ。
―――牧街さんには、今回の件の経緯も聞きたいしな」
視線で誘って、飲食店街の方に歩き始める。
実際に空腹だったし、屋根の下で落ち着きたかった。
「あんた、金は唸るほど持ってるんだろ?
ジャンクフードに食い飽きてたトコなんだ。
ウェイトレスが接客してくれる店を希望しとく」
>>250 「なるほど、メールを送ったのは君だったのか」
タローの言葉から誤解を解消した師匠は、投げわたされた牧街を片手でキャッチしてみせる
「ごびらっ」
タローに撃墜され、師匠にキャッチされた黒焦げの牧街は流石に白目をむいてぴくりとも動かない
が
「貴様にはまだ話してもらわねばならん事がある!意識を失う事は許さんぞ」
「き…きゅーきゅーしゃー…ってか俺の体の心配が一切会話に出てない事をもう少し…」
「甘ったれた事を言うな!そんな事では雑霊一匹倒せんぞ!」
「ひー…」
師匠は問答無用で重傷の牧街を揺すり起こし、意識を覚醒させた
まぁ…牧街だ、大丈夫だろう
…
……
「ん?飯を奢れ?」
一瞬、地獄の閻魔の様なオーラが師匠から放たれ、手に持っていた牧街がどさりと地面に落とされた
そして地底にたぎる灼熱のマグマの様なプレッシャーを放ちながら、その視線がタローの視線と交わり…
「だそうだ、牧街、奢ってやれ」
「ぇえ!?俺、今月生活費が…」
ひょいっと下で焦げているボロ雑巾に視線を移してそう言うと
マスターに金の詰まったアタッシュケースを渡し、牧街の抗議を右から左へ聞き流しつつさっさと帰って行った
後に残ったボロ雑巾は、しかし何とか復活し、よろよろと起き上がると
「……じゃあ、奢らしていただきます」
律儀に師匠の命令を実行し、タローと共に飲食店へと向かった
しかし、彼の財布の中には今千円札しかない
健康な成人学生の胃袋は、果たしてその程度で抑えられるはずは無い
危うし、牧街モリオ!
>246
>「あ、店長、破壊された物の弁償は、しっかり行いますから、ご心配なさらず結構ですよ」
「ありがとうございます師匠!!」
呼び方が師匠になっている!
>251
牧街に救いの手が!
ネカフェのマスターは靴下の中から一万円を取り出した!
「あの、もとはと言えばうちの変な壺でこうなっちゃったわけで……お詫びです」
一身上の都合で店に辿り着くまでに散々迷った祓い屋だが、
出迎えたフロアに、何事も無かったかのよーに応対していた。
「……喫煙席だ。
とりあえず、ビール。
それと、キレイどころを何人かテーブルに寄越してくれっ!
払いは"恐山流除霊道場"……だっけ? 全部そこにまかせる」
ウェイトレスが即座に殺し屋の目になったので、
不良学生の方は良い客にならざるを得なかった。
「あー……メニューの値段が高い方から順に三品頼む。
それと、このツナタラモサラダサンドってヤツ。
それからデザートは――」
"店長オススメスイーツ"のシールがベタベタ貼ってある中で、
何故か一品だけマークが付いていないメニューが目を引いた。
「――"チーズレモンカスタードシフォンパイ"?
恐ろしく高カロリーそーなコイツを頼むぜ」
…
……
「こら美味い……こら美味いっ!」
がつがつがつっ!
「どーしたんだよ、牧街さん。
さっきから浮かない顔しちまってさ」
ごくん。
「悩み事か? おれで良かったら相談に乗るぜ。
酒が出るんなら師匠の愚痴を聞いてやってもいい。
その後で、事件の顛末も、きっちり説明してもらうが」
>>252 マスターの言葉に、牧街は強いショックを受けたように目を見開き、体を震わせながら数歩後づさる
(な…何てすんばらしい人間性ナンダーー!)
街中でナパーム弾を使用する様な男を見せ付けられれば、その関係者には近づきたくなくなるのが常人と言うものだ
だが
だがこのお方は、それを見せ付けられてもなお動じずに接するばかりか
明らかにその筋のプロである牧街が、責任を持って受け取った物が騒動を起こしたにも関わらず、自分にも責があるとおっしゃってくださったのだ
今の今まで不良か怪人か幽霊にしか縁が無かった牧街は、思わず涙まで出してしまう
しかし、残念な事に……、本当に残念な事に…
もしここでお金を貰ってしまうと、プロとしての面子が立たない事位、牧街にはわかっていた
「いえ…お”ぎも”ぢはあ”りがだいのれすが…う”けどる事はでぎばぜん、あれはお”れのぜぎにんでず」
物凄く未練があるため、目に涙をため、声をいがらせながら、それでも牧街はそう言った
偉いぞ、牧街、よくやった、牧街
そして牧街は涙を流しながらマスターにお辞儀すると、ドナドナを口ずさみながら、タローと共に飲食店街へと向かう
そう、本当の悪夢はここからだ…
>「……喫煙席だ。 〜全部そこにまかせる」
初っ端からのすさまじい連打に、牧街の心は早くも崩壊寸前になってしまう
確か、目の前の人物は高校生だったはずだ
ビールって何だ!ビールって
それよりファミレスで綺麗どころ回してくれって、普段からこうなのかこの男は…
などと席に座る前からもう挫けそうな牧街だったので
座った後などもうそれはそれは悲惨な有様だった
>「あー……メニューの値段が高い方から順に〜
一瞬、牧街は本気で目の前の男を叩き殺してやろうかと思った
遠慮と言う物が一切無い
いくら…いくら何ぼなんでも…ここまで、ここまでされるような悪い事を自分はしたのだろうか
相手はどうやら金持ちの師匠が払ってくれると思っているのだろうが
あの人が払うことは絶対に間違いなくない
立て替えてくれる事すら無いだろう
「自分のしでかしたことの責任は自分で取れ」があの人の口癖だ
恐らく支払いが回された時点で師弟の縁を切られ、仕事が回ってこなくなった牧街はGSを廃業するしかなくなる
>「――"チーズレモンカスタードシフォンパイ"?
更に追い討ちがかけられた
幾らぶっ殺したろうなどと思っても所詮牧街にはそれを表に出すような勇気は無く
最早ただだた乾いた笑みを浮かべるしか無い
>「こら美味い……こら美味いっ!」
目の前で牧街の今月の生活費を全滅に追い込んだ青年が、これから飢餓に苦しむ自分の前でおいしそーーーーに食料を食っていく
牧街の腹がなった
そういえば、今日は朝から何も食していない
…いや…昨日の昼から、か
>「どーしたんだよ、牧街さん。
>「悩み事か? おれで良かったら相談に乗るぜ
「ぅ……」
余りにも…余りにも残酷な現実に、牧街が思わず涙しかけた
まさにその時だった
「あれ〜?モリオじゃん、お前もお昼?」
一人の牧街の姿を見つけ、テーブルへと近づいてきた
歳は牧街と同じ位で、端正な顔立ちをしており、中々の美青年で、特に妙な雰囲気を纏っていたり、おかしな服装をしていたりもしない
どこにでもいる美青年のようだが
何故か、健康そうにも関わらず、口元を大きなマスクで覆っている
青年の姿を認めた牧街の顔が、ぱっと明るくなった
そして
次の瞬間には立ち上がり、青年の手を握って救いの神に遭遇した喜びの表情を浮かべている
「…阿湖野!助けてくれ…」
「……また何かあったのか?」
牧街の突然の要請に、しかし阿湖野青年はもう慣れたと言った感じで呆れると
そこで初めてタローに気づき、ぺこりと会釈した
が、別に自己紹介はせず、再び牧街に向き直る
「で、今度はいくらだ」
「五千円程…」
「……早く仕事見つけて返してくれよ」
そう言って、阿湖野青年は牧街に何も言わずに五千円を渡してくれた
牧街はそれを多少申し訳無さそうに受け取ると、礼を言って、席に戻り
阿湖野青年もまた、「金の使い方にきーつけろよ」と軽い注意を述べて、自分の席へと戻っていく
「小学校からの友人ですよ、いやぁ…助かりました、えぇ」
感慨深げに阿湖野青年の背中を見つめながら、タローに説明した牧街は、あ、そういえばと、事件の顛末を話し始めた
牧街の話では、壺を鑑定してもらおうと手近なオカルトショップへ向かった所
不良グループに絡まれて壺を奪われ、面白半分にそいつらが栓を抜いたため、口を塞がれていたため大気中の霊力を吸収できなかった妖怪が呼吸を取り戻し
今回の騒動に至ったそうである
>一人の牧街の姿× 一人の青年が牧街の姿○
「第二章完結乙!」
ネカフェのマスターは誰に言うでもなくつぶやいた
『あれ〜?モリオじゃん、お前もお昼?』
(……あれも実はマスクが本体だったりしてな)
などという、限りなくどーでもいいコトを思いつつ――
『…阿湖野!助けてくれ…』
『……また何かあったのか?』
――もぐもぐとやりながら、ジョッキを傾けるついでに目礼を返す。
『で、今度はいくらだ』
『五千円程…』
『……早く仕事見つけて返してくれよ』
財布に選んだ男は、経済的な意味で見放されているらしい。
この席に於いてそれは、全てに見放されているに等しかった。
『小学校からの友人ですよ、いやぁ…助かりました、えぇ』
上から三番目に高いソレを皿に取り分ける作業を終える。
品書き上では"三〜四人様用"と表記されているメニューだ。
「このジャンボデミチーズハンバーグオムレツ、半分食ってくれ。
悪いけど頼むよ、さっきから同じ味が続いて飽きちまったからさ」
…
……
「そりゃ、とことん三流な事件だったな―――」
事件の顛末を聞かされた祓い屋は、無感動にコメントした。
その声音には、オブラートもビブラートもかかっていない。
「不良のカツアゲくらい、返り討ちにしちまえばいいじゃねえか。
あんたの神通杖は悪霊も殴れるが、人間も問題なく殴れるだろ?」
手にしたナイフをやや大げさに振りかぶり、ざっくりと切り込む。
無論、相手はデザートのチーズレモンカスタードシフォンパイだ。
「牧街さん、腕っ節ならそこそこあるんだから、
試しに、もっとふてぶてしく構えてみたらどうだ?
あの師匠の乱心っぷりの真似事をしろとまでは言わないが」
その生地は、パイというよりもタルトと表現した方が適切だったが、
祓い屋にとっては小麦粉とバターと砂糖の合成物という点で等価だ。
「年下の後輩のおれに、いつまでも丁寧語ってのもいただけないな」
自分が年上の先輩にタメ口とゆー事実は、心の神棚に供えておいた。
その代わりに、ヨレたソフトケースから食後の一服を引きずり出す。
「ああ――――ココが極楽浄土か」
普段は煙草を燻らせる吸い方も多いが、満腹時に限っては違った。
深く吸った煙が肺の隅々まで浸透する様な感覚が心地良い。
祓い屋が自身の健康に感謝する数少ないひと時だった。
【…どうする牧街さん? こっちは次レスで〆にしちまおうか?
このシナリオでやり残したコトが特にもう無かったら、だけど。
「いや!この後に実は怒涛の展開が……!」などとゆー場合には、
場面転換するなり、何事もなかったかのよーに続けるなりしてくれっ!
このままぐだぐだまったり展開で行きたい場合も、継続でおっけーだ。
せっかくの少人数プレイなんだから、スレ主の欲望のままについてくぜ】
>「このジャンボデミチーズハンバーグオムレツ、半分食ってくれ。
>悪いけど頼むよ、さっきから同じ味が続いて飽きちまったからさ」
「へ?」
思わぬ申し出に、牧街は多少驚いたが
やがてふっと軽い微笑を浮かべると、タローの差し出した料理にいただきますと手をつけた
>「そりゃ〜丁寧語ってのもいただけないな」
「は…はぁ…も…申し訳ありません、えぇ」
叱られていると思ったのか、牧街はしゅんと身を縮めて、タローにぺこりとお辞儀する
…やはり、この男がもう少し堂々とした態度をとれるのは、まだ話しのようだ
恐らく、またこれからもこの男のこういう弱気な態度のせいで、第2第3のトラブルが起こるのだろうが
まぁ、それは、うん、仕方ないという事だ、きっと
こうして、奇妙な壺をめぐった事件は牧街が借金して人に物を奢るという何だか全く関係ない形で幕を下ろすのだった
ちなみに師匠があの後で調べた所によると、あの壺を封印したのはどうやらマスターの祖先か何かだったらしく
目の無い壺妖怪は霊波構造か臭いの様な物が似ていたマスターを標的とみなし、復讐しようとしていたようだ
だが、まさか甦って早々に、近代兵器をぶち込まれるなどとは夢にも思って見なかっただろう
とりあえず、めでたしめでたし?
【あ、はい、おつきあいいただきありがとうございました
とりあえず、終わらせてみましたが……なんて言うのでせうか、自分の技量の低さを思い知りましたね
壺あんま関係無かったし
ちなみに次ですが、こんなの考えてたり無かったり…】
次回予告
廃校の撤去中、作業員が悪霊に殺され、事件の解決に乗り出したGSまでも犠牲になってしまう
そんな大変な事件の解決を押し付けられた牧街だったが、ある革命的な一計を思いつく
次回、ゴーストスイーパー美神世界の…三流GSのスレ
結成!極楽烏合衆!
極楽へ!行ってくれると嬉しいかなー、何て…
第二部お疲れ様でした!
三部から新規参入よろしいですか?
キャラテンプレは只今作成中。原作チェックの途中なのでもう少し時間をかけようかと。
【―――なぜだっ!?
三流どもが格好悪くジタバタしてるだけなのに、
なんとなくイイ話で終われてしまった気がする…
…ってコトで、祝・二本目終了おつかれさんっ!
>>258 そっちもおつかれさんっ! サンキューだ、マスター。
>>261 牧街さん
技量だとか、そーゆー難しい話はイマイチよくわかってないんだが、
おれは開幕から散々好き放題やらせてもらってた側なんで楽しかったっ!
ぶっちゃけた話、GM泣かせのプレイングをしてるって自覚もあったんだが…
かなり初期の段階から開き直って、状況を満喫しちまってたのを白状するぜ。
個人的には、最後に『七郎太』の謎も解けて良かった。
それと、やはり師匠のプロフィールの詳細が気になるな…
…ついでに、次のシナリオじゃ今度こそ美少女参戦なるか?
>>262 大歓迎だ、よろしくなっ! 原作チェック中とのことだが、
実際に遊びながら平行して読み進めてく、でも大丈夫なハズだ。
とゆーのも、参加前に読破するには結構な量なんで大変かと思ってな。
…で、そっちの参考になるかわからんが、
自称"祓い屋"の活動実態をまとめてみる。
一本目:
序盤から三流スタンド使い
中盤あたりで辛うじて三流GS
最終盤には三流MF(モビルファイター)
二本目:
ネカフェで避難誘導員
ファミレスで態度の悪い客
―――この資料を基に、おれが何を言いたいかと言うと、だ。
"あまり原作っぽいコトやらんでも充分楽しめる"ってこった。
気軽に参加してくれよなっ!】
【どうぞよろしくお願いします!
なんとかキャラクターが完成しましたので、本編開始を待って投下します。
廃校関係のシナリオとのことなので、問題なければ噂を聞いて飛んできた卒業生のGSということで接触しようかと。
>タローさん
資料を感謝です。お言葉に甘えて気楽に設定してみました〜】
>>264 楽しんでいただけてよかったっす
うう…良かった
え?GM泣かせ?どの編がっすか?
全然協調性あったじゃないっすか、気にせんでOKっすよ、えぇ
>>265 はい、よろしくお願いします
実は今回新規参戦者が参戦しにくい状況だった事の反省点を改善すべく
次ストーリーの始めに、「実力に自信を持てない、仕事が上手く進まないGS同士パーティーを組みませんか?」的なサイトを牧街が道場のPCで立てるイベントを考えているので
無理に設定曲げて卒業生になさらなくてもOKですよ
んで神藤さーん、成世さーんまだいらっしゃったりしますかー
次回最初にお二人に電話してパーティー参加を促すシーンを作りたいのですがいかがでせうかー
>266
お呼び頂きありがとうございます。
なにはともあれ第二章お疲れ様でした。
完走おめでとうございます。
そして第三章開始!
お誘い頂き感謝です。
スケジュール的に参加はちと難しそうですが、電話受け取るくらいでよろしければ電話かけてやってくださいな。
その頃成世の近況は・・・みたいなかんじなすポットもスポットエピソードという感じになりますけどね。
三流GSスレの発展を応援していますデスヨー。
あいあい。お呼びでせうか。
二部が始まってから始まったのに気付いて、
入るに入れないからROMってた神藤でやんす。
まずは、二部完走おめでとうございます。
自分は、忙しいっちゃあ忙しいですが、
書き込めない程ではないと思うので、そんな奴でもよろしければ
是非参加させてやってください。
>>267 応援ありです
電話受け取るだけで全然Okです
これからもよろしくおねげーしますです
えぇ
>>268 大歓迎っすぁ
んでは三部からよろしくお願いします、えぇ
次はではこんな感じで
ジャンル: 冗談の通じるオカルトバトル
コンセプト:三流GS達が手と手を取り合い足を引っ張りあって初めて挑む共同戦線!
敵は強敵凶悪妖怪!
実は逃げて警察に任せるのもありだったりするから驚きだ!
期間(目安):1ヶ月半
そいでは、はじめさせてもらいますです、はい
満天の星空の下、周囲を森に囲まれた場所に、2階建ての木造校舎がたたずんでいる
数年前、少子高齢化によって廃校になった「桜森小学校」だ
かつては大勢の子供達でにぎわったのだろうその学校は
今は取り壊しのため安全第一と書かれた黄色い柵に囲われ、校庭には工事のための資材や重機が並べられている
その桜森小学校の入口に、一台の白い車が停車し、中からを僧兵姿でミノを背負った大柄の男と、同じく僧兵姿でリュックを背負った男が3人、降りてきた
「ここか、その作業員を6人も無残な姿にしたっつー凶悪な妖怪が出たがっこーは」
「地図見てここまで来るのに迷いはしましたが…この辺に学校は一つしかありませんからね、間違いありませんよ」
大柄な男の問いかけに、運転席から降りた男が多少疲れを含んだ口調で答えた
どうやらこの大柄な男はGSで、その他の3人は助手か見習いらしい
「うぬ、まぁ、それではボチボチ行くとするか」
そう言って、大男が柵の間を通り、学園の敷地内に足を踏み入れた瞬間
突然、校舎の窓という窓が不気味にカタカタと振動を始めた
大男らはそれに気づくと、各々数珠や神通棍、破邪札を取り出し、構えを取る
「どーやら妖怪の邪気に誘われて雑霊共が集まってやがったみてぇだな…野郎共!気合入れ…」
「先生!来ます!」
助手等を鼓舞しようと大男が振り向いた隙に、窓から素早く何匹もの雑霊が飛び出し、大男に体当たりを喰らわせた
が
雑霊は男の前に発生した霊波バリアに弾き飛ばされ、あっけなく散ってしまう
「はん、このミノは特別性よぉ、てめぇらの攻撃は俺には通じんのだ」
自慢げにミノを撫でながら男はそう言うと、たじろいだ悪霊目掛け、数珠を握り締めた鉄拳を武器に襲い掛かっていく
「ふははははははははは」
程なくして
大男の奮闘で、雑霊は一掃され、男達はいよいよ校舎内へと足を踏み入れていた
中は木造の玄関は靴箱が、教室は扉が倒れ、廊下には割れた窓ガラスや蛍光灯の破片が散乱し、まるで震災にでも襲われたような有様で
更に窓から星の光が入ってきているとはいえ視界が十分に確保できないため、校舎内は普通に歩くだけでも十分に危険な状態だ
しかし、恐らく、今回の様な事例は初めてではないのだろう男達は大きなライトで足元を照らしながら、慣れた足取りで校舎内を進んでいく
この大男は、実力的にも、道具的にも、経験的にも、人材的にも充実したGSで
それなりに強力であるけれど、業界で特に名が知れているわけではない
いわば、2流GSと言う所だろう
これまでにも幾多の怨念物の怪を成敗してきたのだ
が
どうやら今回の相手は、その幾多の怨念物の怪魑魅魍魎より、強力な輩だったらしい
2日後、**市警察署遺体安置所
「こちらが、例のゴーストスイーパーのご遺体です」
牧街の師匠と、その横でこれから歯医者に行く子供の表情の牧街の前で、検視官が遺体にかかっていたシートをめくって見せた
「む…惨いっすね…上半身と下半身で真っ二つじゃ無いですか…」
「斧や何かで切られたって言うよりも、大きな物に挟まれたって感じだな、ここだ、この臓器が…」
「ぅぇえ…ぅわぁ…」
冷静に死体を見つめる師匠と、その横でただただうろたえているだけの牧街の前に、検視官は今度は遺体の遺留品をカーゴで押してきた
「こちらがこの方の遺留物です」
カーゴの上にはびりびりに破かれた例のミノや、砕け散った数珠などが乗っており
その有様を見た牧街は、大きく後ろに狼狽してしまい、師匠さえわずかに動揺の様子を見せた
「あ…あれ…確かかなり霊的防御力も耐久力もあるんすよね?め…めちゃくちゃだったじゃないっすか…」
「相当に強力な悪霊だったんだな…」
警察署から出て、帰路へ向かう牧街の車の中、青ざめた牧街と、闘志爛々の師匠が先ほどの死体について会話している
この二人は、悪霊に殺されたあのGSの代わりに恐山流除霊道場に出動要請がかかったため
下調べとして、殺害されたGSの遺体を見に行っていたのだ
「遺体…どうやって回収したんすかねぇ…」
「助手の三人の死体はまだ中にあるそうだ、あの男は助手を盾にして、一人逃げようとしたらしい。昼間様子を見に行った警官が、スクラップになった奴の車と、あの男の死体を校門…っと」
助手席の師匠の携帯がなる
「俺だ………何?大ナマズ?」
「へ!?」
師匠の発した大妖怪の名前に、運転席の牧街が思わず声を上げた
幸い信号待ちの最中だったが、走行中だったなら軽く事故っていたのではないかと言う程の驚きように、うろたえるなと師匠の鉄拳が飛ぶ
「…ああ、すまん、続けてくれ………あぁ………対戦車ライフルなら…」
大きな瘤をさすりながら、多少涙目で、牧街は師匠の話しに耳を澄ます
大ナマズと言えば、日本列島を沈没させる力があるとも言われる、大妖怪だ
そんな物が一体…と言うか対戦車ライフル?
「…うむ、自衛隊の出動は必要ない、あぁ……うむ、それで行く、では」
ややあって、師匠は携帯を切ると、平然とした顔で、牧街の方を向き…
「今回の仕事はお前に任せる、私は参加しない」
…割と絶望的な事を言い、牧街は事故一歩手前の運転をしてしまった
数時間後、恐山流除霊道場
焦りに満ちた表情で、牧街がPCに向かい、必死に文章を打ち込んでいる
「ひ…とりで除霊するのは…く…く〜く…ダメだ!」
やがて彼は頭を抱えると、椅子から降りて苦悩し始めた
「ホームページの作り方どころか…あおり文句すら思いつかん」
牧街が滝涙を流し始めた所で、何が起こったのかを振り返ってみよう
何か別所で相当な一大事が起きたと言う理由で、本来仕事を受けるはずだった師匠は、牧街と言う下請に今回の仕事を任せると
「もし戦いもせずに依頼の期限の10日間が過ぎる様な事があれば、どうなるかわかっているな?」と言う言葉を残し、いずこかへと去ってしまった
あんな強力な防具持ったGSが普通に殺されてんのに俺にどうせぇと!と反論した牧街だったが
無論そんな物は通らず
最早絶望に打ちひしがれていた所で、門下生の誰かが持ってきていたのか、道場のロッカーに置かれていたファ○通の表紙に目が止まった
表紙にはデフォルトされたモン○ターハン○ーのキャラと、ファ○通のマスコットキャラの絵が協力して巨大なモンスターに挑む様が書かれていて
それを見た牧街は、アレのクエスト参加者募集を参考に、インターネットにそういったサイトを開設し共に戦ってくれる人を募集すれば、報酬は山分けになるものの強力な戦力を得られるのではないかと思いついたのである
思いついたのだ…が…あの有様である
「どぅおうすればぁ〜〜〜どぅおうする……そうだ!!こういう関係が得意そうな奴に頼めば…」
必死に苦悩した結果、他人に頼るという安易な結果に行き着いた彼は、藁にもすがる思いで電話をかけ始めた
かける番号は……あの、成世 阿弥の物である
「鳴世は…何か賢そうだったから、多分こういの得意なはずだ……。だから多分…」
ちなみに阿湖野青年を一とする他の牧街の友人にこういう物を得意とする者はおらず
また、恐山流除霊道場の他の門下生や、同期、先輩等は、門下生は実戦で使えそうな輩はおらず、同期先輩等の主力は皆海外または行方不明と今回の仕事には参戦できそうにない
故に、牧街は罠にかけられる事を承知で、鳴世へとかけたのだ!
こうして、前途多難な状況から、今回の物語は幕を開ける
「ハイもしもし、成世です。
あ、牧街君?久しぶり。
うん・・・うん・・・はぁー。それは大変ねえ(棒
ちょっと、泣き声うるさいわよ!
あんた私がGS免許剥奪されてるって知ってんでしょ?
それでなくても身体が仮物なんだから!
ピーピー泣かないでよ!
(ママー、お人形さんが電話してるおー?)
(しっ!指差しちゃいけません!)
(ちょっと、成世君!仕事中に動いちゃダメでしょ!)
あ、すいません。直ぐ済みますので・・・。
あーもう!聞いての通り今私仕事中なの!もう切るから!
情けない声出さないでよ。
ほら、GS試験の時のタロー君と神藤君の番号教えてあげるから。
メモの準備はいい?
・・・・
・・・
・・
あとHPだけど、仕事とかかくと報酬とかシビアな話しになってまともな連中は来ないでしょうね。
だから、納涼肝試しとかかいて腕自慢の自尊心くすぐるように書いてみたら?
じゃね、安心しなさい。
死んだらデスマスクくらい記念に作ってあげるから。」
ガチャ!プープープー
携帯電話を懐にしまいこんだあと、成世 阿弥は遠い目で宙を見つめた。
「ふふふ、困り果てて電話かけてくるだなんて。
長い付き合いだし、死に目は見取ってあげたくもあったけど・・・。」
走馬灯のように浮かび上がる牧街のに笑みが零れる。
面白そうな話しなのでこの誘いは受けたくもあったのだが・・・成世 阿弥をそうさせないしがらみが直ぐ後ろに佇んでいた。
「な〜る〜せ〜君?私用電話するようなら別に辞めてもらってもいいんだよ?
勿論それはうちの備品だから返して貰うけどね!」
「ああ・・主任!すいません!大丈夫です。しっかりやります!やらさせていただきます!」
怒りのオーラを迸らせる男に苦笑と共にぺこぺこと頭を下げ、元の配置に戻るのであった。
成世 阿弥。その正体は昔に作られたベネチアンマスクそのもの。
GS免許更新試験の折に身体を失う。
現在は某百貨店のマネキンに取り付き、万引き防止および保安員として雇われている。
この百貨店のマネキンは全て成世 阿弥の術により操作され、百貨店の安全の為に密かに目を光らせているのだ。
報酬と共に仕事終了後はマネキンを成世 阿弥の体として使っていいという条件の下で。
本来ならば神木を削り身体とするところだが、このマネキンの身体ではろくな力も発揮できない。
しかも私用できるのは夜間のみなので牧街の誘いを受けるわけには行かなかったのだ。
自給800円。歩合給(万引き犯確保)アリ
マネキンを買い取るまでにはまだ暫くかかりそうである。
>>274 「うん、うん……自尊心?えーと具体的に言うとすなわちどーゆう……え!?おい!もしもし?もしもーーし!」
ため息一つ、牧街は電話を置く
どうやら今回も女性キャラ登場は無い様である
…じゃなかった
一番頼りになりそうな協力者は、大方の予想通り、力を貸してくれそうに無いらしい
前回お世話になったガキ大将と、自分と同じ雰囲気のジャージに頼れと言うメッセージと、わずかなアドバイスを残し、職務へと戻ってしまわれた
「…さて…どっちにかければ良いのやら…」
他に宛が無く、少しでも知恵と戦力が必要な現状で
タローが怖いだとか神藤とは実はまともに会話してないだとか、そんな事を言うている場合ではない
すがれる藁は片っ端からすがらねばならないのだ
…情けない事に
「と、とりあえずタローさんだべな…えーと……」
結局、神藤よりも話した事があると言う理由で、牧街は続いてタローへと電話をかけはじめた
後輩に助けを求めると言う駄目な大人の良い見本である
【オープニングシーン"待ち人来たらず"】
「―――ったく。何してんだよ、牧街さんたち」
祓い屋は、校舎の正門前でケータイの時計を確認した。
集合時間丁度だというのに、この場に居るのは独りきりだ。
「自分から誘っといて、今さら怖気づいたんじゃねえだろうな……?」
コンクリート製の門柱に背中を預けると、一服やり始める。
紫煙が『桜森高校』の高い鉄柵に裂かれて、所在無さげに散った。
【通称】"ブランド・オブ・アルカナ"タロー
【年齢】17
【体格】均整の取れたシルエット
【容姿】跳ねまくった長髪
【属性】サイキック
【霊圧】平均以下〜極限
【能力】霊力刻印
【装備】ブランクタロットカード
【趣味】截拳道
【備考】現役不良学生の三流GS
【…ってコトで、こっちだけ一足先に除霊当日まで飛んだ。
本来の合流地点には集合時間になっても一向に現れないんで、
追いついたら頃合を見計らって連絡してくれ。正解の現場に急行する】
「あ、はい、明日の夜中の1時あたり現地を集合場所にしようと思ってるのですが…あ、場所はXX県XX市の桜森村の桜森小学校って所で…えぇ
でも相手が大変強力そうな奴でして、私達だけじゃ……あの…自信満々なのはいいんすけどちょい話を…
あ、ちょっと!オイ!もしもし?もしもーーーーし!」
最初の仲間は見つかった
が、『GSが一人殺された』だとか『そいつがどんな殺され方をしたか』だとか、そういう詳しい説明や
『仲間集めにHPを作りたいんですが力を貸してもらえないでせうか』と言う一番肝心な所を聞かず
いやぁってやるぜと電話を切ってしまった
「…まぁ…参戦しないよかずっと良かったわけだし…」
こんな事で挫けていられない
牧街はもう一度、受話器を取り、成世に教えられた神藤の番号にかけ始めた
しかし、神藤も何だかそういう方面は得意そうでは無さそうだし、下手をすれば面倒くさがって手伝ってくれない事もありえる
さらに、HPがたった所で昨日の今日ではたして参加者など来るだろうか?
かなり困難な状況だが、牧街はそれでも諦めずに電話をかける
そこに、希望がある限り……
……格好良く言ってみたが、要は全力で人に頼っているわけで…
「た、炭水化物……」
賃貸ボロ家の一室。
畳の上に敷かれた布団の上で、神藤巳粋は呟いた。
【名前】神藤 巳粋(しんどう みすい)
【年齢】17
【体格】中肉高背
【容姿(霊衣)】前髪が目に掛かっている。服装は安物のジャージ(学校指定)。
【属性】霊的格闘術
【霊圧】56.01
【特殊能力】超加速
【装備】無銘の霊剣
認定試験からそれなりに時間も経過し、試験を共に突破したGS達がそれぞれの
活動基盤を形成し終える時期。
そんな流れに取り残されるかのように、神藤巳粋は盛大に飢えていた。
「GSはぼろ儲けできる職業」。そう謳われる世の中で、何故正式なGSの免許を
手に入れたこの少年が、貧乏神にでも取り付かれたかのように貧乏臭い状態
にあるかと言うと、それにはそれなりの理由があるわけで。
……しかし、野郎の生活事情などには興味の無い人が多数だろうと思われるので、
簡単に三行で説明すると
協会の支援金が弁償で消えた(前々回参照)
武装が霊剣だけなので群れがちな霊退治の成功率が低く、顧客の評価が下がった。
GSになった勢いでバイトを辞めた為、仕事と収入が無い。
といった訳である。
そんな、もう二、三日で自身が悪霊になりかねない状態に置かれている神藤に
牧街から、危険な仕事の電話がかかって来たのは、幸運か、それとも不運だったのか……
とにかく、朦朧とする意識の中である程度話を聞き流した後、神藤は
「……や、やる。よく判らんが、この際、炭水化物の為なら何でもやってやろうではないか。
だがその前に話し合いをしよう。栄養になる物を持って、俺様の家に来るのだ……
住所は――――」
と、色んな意味で鬼気迫る声で返答を返した。
ちなみに、この神藤という少年、夏の暑い日や冬の寒い日には
学校の図書館に入り浸り、PCを弄り回すというライフワークを送ってきたので、
意外にもパソコンの扱いに慣れており、HPの製作にはそこそこ役立つのだが……
……今の段階では、その事は誰も知らない。
【神藤の会話シーンは、任意で吹っ飛ばして貰っても構いません。
HP作った事にして、集合部分まで一気に飛んでも一向に構いませんです、はい】
突然すみません!
リアで環境の変化がありまして、しばらくまとまった時間がとれなくなってしまいました。
参加は取りやめということでお願いします。ごめんなさい。本当に残念です。
第三部、頑張って下さい。
>>279 神藤が仲間に加わった
しかも道場の米でおにぎりを作り、それを六つ程与えた所、快くHPまで製作してくれたから、牧街は思わず感涙し
「神藤すぅあああああああああああん」
「うわぁ!だ、抱きつくなぁああああ!ほっぺにキスすんなぁああああ!」
なやりとりがあったのだが
とりあえずそれは放って置いて、ついに、HPが完成した
邪悪な悪霊を皆でフルボッコしないか?的な入口から始まり
随所に神藤の趣味が光る文句や説明がうなりを上げ
ちーーーーさな字で「死んでも管理人は一切責任は持ちません」等と書かれ
そして「今回の獲物、勇士募集」などと書かれた欄に今回の仕事である
「廃校の悪霊除霊、報酬2500万、連絡先(桜森村役場の番号)」
が書かれた、何だか怪しいHP
タイトル未定のそれが、ようやっと完成した
余りの完璧なHP出来に牧街は小一時間狂喜乱舞したのだが
肝心の参加者はとうとう現れず…
「はっ!ここはどこ、私は誰」
気がつくと、約束の時間に桜森小の校門前に立っていた
「…恐怖の余り、記憶が飛んでしまっていたな…
ってかタローさん…何やってんだ……神藤さんこんなだし…」
牧街は恐怖にがくがくと震えながら、自分の車の中で気絶する神藤をちらりと見る
彼はここに来る途中、例の大男の死体を参考までに見せた所ばったりと気絶し、そのままずーっとこの有様なのだ
「携帯の使い方わからないからタローさんは呼べないし…弱ったなぁ…やべぇなぁ…………ぁ…」
膝を大笑いさせて車外でタローを待っていた牧街は、校舎の方向に目をやり…
慌てて車内に駆け込み、エンジンキーを回した、が……かからない!
迫り来るそれに対し、牧街は必死にエンジンキーを回して逃亡を図ろうとするが、エンジンはかからない
「ぅ…ぅ…うひぁああああああああああああああ」
「じんどおおおおおざああああああああああんじんどうざんおぎでええええええええええええええええ」
ばんばんばんばんと音がする中、涙で顔をぐっしゃぐしゃにした牧街によって、神藤は覚醒させられた
そして、彼に抗議する前に、神藤の眼前に「それ」が飛び込んでくる
すなわち、車を取り囲み、ガラスをばんばんばんばんと叩く、骸骨の様な顔をした、数名の登山家姿の悪霊達が
>>280 そいつぁ残念です
ほいでは、またいつか、機会があったら、お会いしませう
お仕事、頑張ってください
>>281 「ううん……スプラッタ……んん……?」
牧街に揺すられた事で、目を覚ました神藤。
そんな彼の目の前に飛び込んで来たのは――――
>「じんどおおおおおざああああああああああんじんどうざんおぎでええええええええええええええええ」
「のあああああああああああっ!!?」
反射的に右ストレートを放った神藤。
最初に目に飛び込んで来たのは、涙でぐっちゃぐちゃになった牧街の顔のドアップだった。
「な、な、何をするつもりだったのだ貴様!?
い、言っておくが、俺様はいたってノーマルだからなっ!
そっちの趣味は全くな、いです……か……ぎゃあああああああああっっ!?」
そうして、次に目に入ってきた光景――――ガラスをばんばんばんばんと叩く、
骸骨の様な顔をした、数名の登山家姿の悪霊達を見て、再び悲鳴を上げた。
「なんだのだ、この状況はっ!?死体見たらドアップで、骸骨で、俺様全く訳がわからんぞ!?」
神藤が混乱するのも当然といえば当然かもしれない。
大男のスプラッタ死体を見て気絶し、起きた直後に、いきなり男の泣き顔と
車を取り囲むグロテスクな悪霊の群れを見せられたのだ。
ただでさえヘタレスキルの高い神藤が、再び気絶しなかっただけでも僥倖だろう。
ともかく、これで車の中は混乱する野郎が二人になった。
状況は全く好転していない。車の中で混乱する牧街のポケットから携帯が落ち、
混乱した神藤が尻でその携帯を踏み、偶然にもタローの携帯へのリダイヤルコールが
かかった事以外は……
(相変わらず牧街は携帯を持っていないため、神藤の携帯を使おうと取って見たがイマイチ使い方がわからず
とりあえずポケットの中に入れておいたという事でお願い致します)
【名前】牧街 モリオ (まきがい もりお)
【年齢】23
【体格】中肉高背
【容姿(霊衣)】ぼさっとした髪をした線目、GS協会のマークが入ったジャンパー(中ふつーのTシャツ)に、ジーパン姿
【属性】霊的格闘術
【霊圧】60.39
【特殊能力】−
【装備】神通杖、30万円の破邪札×5、50万円の破邪札×10、500万円の破邪札×1、吸引札×1
【備考】携帯電話は所持しておりません
『ぅ…ぅ…うひぁああああああああああああああ――』
『――じんどおおおおおざああああああああああんじんどうざんおぎでええええええええええええええええ』
『のあああああああああああっ!!?――』
『――……か……ぎゃあああああああああっっ!?』
――――祓い屋は、養鶏所の鶏を見るような目でケータイを閉じた。
「状況は最悪、か……。まー、いつものこった」
大まかな状況を把握して再びケータイを開く。
旧桜森小学校の所在地を地図で確認する為だ。
…
……
「"ブランド・オブ・アルカナ×キング・オブ・ロッド(杖の王)―――!!"」
牧街/神藤両名は、フロントガラス越しに目撃する。
ボンネットの上を横切って吹き飛ぶ登山家の悪霊の姿だ。
その際、背負ったザックがワイパーを引っ掛けて圧し折って行く。
続いて、何かに突き上げられる様に二体が一気に宙へと舞い上がった。
車外では、[杖の7]で骨格を強化した祓い屋がクライマー無双を開始していた。
「はぁ…はぁ…っこの……何だってんだ、このむさ苦しい連中はっ!?
こいつらが今回の相手……なのか? ―――"フォース・ロッド"!!」
こちらに気付いて向かって来た一体の横っ面を[杖の4]で薙ぎ払い、苦しげに息を吐く。
現場に着いて早々、祓い屋が息切れを起こしているのは戦闘の所為ではない。
高校−小学校間をフォローする中距離全力疾走による消耗が激しかった。
…
……
「二人とも…一休みしたら…今回の仕事のおさらい…頼むぜ……」
群がる悪霊達を黙らせて、倒れ込む様にドアガラスに張り付く祓い屋。
その表情は憔悴しきった壮絶なモノで、こちらもある意味ホラーだった。
「おぐろへっぶ!」
第三部が始まり、牧街が最初に受けた攻撃は、味方による渾身のストレートだった
その痛みと、神藤のほーも打つ手が無いと言う事を察した事で、牧街の意識が遠のき始めた、その時!
>「"ブランド・オブ・アルカナ×キング・オブ・ロッド(杖の王)―――!!"」
「ウルトラ○ン!タr……ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア」
正義のヒーローの登場の喜びは
しかし、愛車のワイパーが圧し折られた悲しみにより、あっという間に激減する
「幾ら位すんだっけ…ワイパーって……」
できれば愛車を無傷で助けて欲しかった…悪霊はガラス叩いてただけで車に傷つけて無いもん
フロントガラスにエイリアンの様にびっとりと付着するタローを涙目で見つめながら牧街はそう呟いて、ため息一つ
そして少しの間遠い目をした後に
「じゃ、帰りましょうか」
神藤に向かって、笑顔でヘタレ全快な提案をほざくのだった
>「"ブランド・オブ・アルカナ×キング・オブ・ロッド(杖の王)―――!!"」
混沌とする場に突如現れ、悪霊を薙ぎ払ったのは、
前回のGS試験で神藤が共闘した霊能者の内の一人、タローだった。
「えーと……は、はーっはっはっは!!よくやったタローよ!
そして見たか悪霊共め!コレが俺様の実力だ!!」
タローの登場で窮地を脱した事は理解出来たものの、
混乱に次ぐ混乱で、現在どういう発言をしたらいいのかすら判らなくなっている神藤は、
とりあえず、普段において一番慣れ親しんだ反応を条件反射で行っていた。
そんな「こんな時、どういう顔をすればいいか(略」状態にある神藤に
声を掛けてきたのは、似ている様で違うベクトルで一喜一憂していた牧街。
>「じゃ、帰りましょうか」
そしてその台詞は、混乱していた神藤が捜し求めていた台詞と、量らずも一致していた。
「……う、うむ。そうだな。
実は俺様、今日は少し腹の具合が悪い事だし、こういうのは警察に……あ」
と、一呼吸置いた後、引きつった笑顔でそこまで言いかけた神藤は、そこで口を噤む。
それは、ある事が頭に浮かんだ故。即ち、自分がこの仕事に参加する理由。
『金が無くて飢え死にしてしまいそう』という逼迫した問題を思い出したのだ。
(ま、まずい!ここでこの仕事を果たさねば、俺様の当面の生活費が危ないではないか!
しかし、話を聞いた限りでは、さすがの俺様も一人だけでどうこう出来るレベルじゃあ
なさそうだし……う、うむ、やはりここは、牧街とタローに頑張って貰うしかあるまい。
その為に、まずは牧街をどうにかして説得せねば……)
だが、そうは言っても本当は自身も危険な悪霊が跋扈する
場所などに行きたくない神藤に。良い説得のネタなど思い浮かぶ訳も無い。
とりあえず、どこかで聞いた様な安い台詞を並べる事くらいしかできない。
「えーと……警察に……等とは言ってられまい。こ、こういう悪霊を放って置くのは、
世の為人の為に成らぬからな!そうだろう!?タローよ!!」
思い浮かべる事しか出来なかったので、とりあえず窓を開け、話をタローに振る事にした。