とある剣と魔法の幻想世界は、今、異世界からの侵略者―――悪の大魔王の侵攻を受けている。
大魔王軍はあまりにも強大で、その武力で各国の首都が次々と陥落してゆく。
民は怯え、前線で戦う兵士達には絶望の表情が浮かぶばかりであった。
しかし、予言書にはこう記されている。
絶望が異界より来るならば、希望もまた異界から来ると。
世を憂う賢者達は予言に従い、異界の勇者達の助力を得んが為、召喚魔法の儀式の準備にとりかかった。
そして召喚された異世界の戦士達の活躍に、戦局に僅かな希望の光が差し始める。
いよいよ大魔王軍への反撃の時が始まるか……?
【ルールとかお約束】
・よくあるTRPGスレというヤツです。
・基本は3日ルール。それ以上待たせる場合は事前連絡をきちんとしましょう。
・決定リールは無し。
・GMはスレ主◆svDXdcR9Gwがやります。
・世界観説明では異世界からの召喚が前提みたいになってますが、そんなことはありません。
現地の戦士達も、皆必死に魔王と戦っているのです。
・版権キャラも他所のスレのキャラも全く問題はありませんが、元ネタの明記はきちんとしましょう。
知らない人にもちゃんとわかるように説明をするとベターです。
キャラクターの能力は、特に明確かつ具体的に記述するのがベストです。
そうすると幸せになれる気がします。
・パワーバランスはきちんと考えて。
大陸を消し飛ばしたり、星を壊したりとかするような輩がやるようなスケールの戦いはありません。
・雑兵は良いとしても、敵役コテを圧倒しないようにしましょう。死闘を演じるとカッコイイ
・敵(魔王軍)がどんなに強くても、怯まず立ち向かえば必ず勝てるはず!
TRPG・召喚戦士達の戦い避難所
http://etc7.2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1200673003/l50 まとめサイト「千夜万夜」
PC:
http://verger.sakura.ne.jp/ 携帯:
http://verger.sakura.ne.jp/top/top.htm 自己紹介の紙です
【名前】
【性別】
【種族】
【年齢】
【容姿】
【特技】
【持ち物・装備】
【キャラ紹介】
前スレ
>>344 上条の右手が決まり、ランカムは元に戻った。
心配だったフェルの怪我も、駆けつけた黒狐の治癒魔法で何とかなったようだ。
ランカムもフェルも元に戻り、これで何とか全てが丸く治まったかに見えた。
しかし、まだ一つだけ大切な問題が残っている。
食事や休息を終えた後、召喚戦士達は国王との会議に招かれた。
国王とその家臣は、彼らにこちらから攻勢にでるべきではとの話をし、意見を求める。
フェルがまずそれに賛成した。
>「俺は……魔王を倒しにいく!この闇の世界に光りを点すために……俺は牙なき者のための牙になるとここで誓おう!!!」
(へっ、フェルの奴、すっかり一皮剥けちまって)
ポップは内心で笑う。
フェルとランカムは、互いに短所を埋め合わせ、それを逆に長所にするほどの成長ぶりを見せた。
この戦全体を通し、最強の戦力となることだろう。
上条の右手は強力無比だし、先の戦いで見せた黒狐の魔力も凄まじい。
このチームならもはや、紅竜やムーミン大佐にすら引けを取らないだろう。
「あー。ちょっといいか?」
ポップは軽く挙手した。
「戦力が足りなくて守勢が不利っつうのは分かるけどよ、それで攻勢に出たら勝てんのか?
俺が思うに、守勢とか攻勢じゃなくて単純に不利なんじゃねえの?もっとはっきり言ってやろうか?」
両手を広げ、肩を竦めてみせる。
「勝てねえよ、この戦い。負け戦だ。
それにフェル。威勢がいいのは結構だけどよ、カバにすら勝てねえお前が大魔王に勝てるわけねえだろ?」
ポップはフェルにせせら笑いを向け、立ち上がった。
「やめだやめ。俺はこんなところで命まで捨てる義理はねえ。あとはあんたらで勝手にやっててくれ」
そう言うと部屋の外まで歩いていき、扉をバタンと閉めてしまった。
>>(前スレ348)
>「考えておきましょう。」
しばらく紅竜を凝視していたが、赤屍は即答を避けた。
「返事を急いでいるわけではないからな。ゆっくり考えるがいい」
足を早める赤屍の後ろを歩きながら返事を返す。
魔王軍内での昇進など興味の無い男だから、密告のような事はしないだろう。
後は、リーベルを下僕にして石の秘密を聞き出せばよい。
石の力を引き出せれば、下僕を増やすも良し、大魔王に使い方を伝えて信用を増すのも良しなのだ。
リーベルの部屋にはすでにムーミン大佐がいた。
赤屍には予想外でも、紅竜には想定内だ。
>「ところで、紅竜さんは彼女に何の用事があって来たんですか?」
「おおう。もちろん真の天才にしかできない方法で、石の秘密を聞き出しに来たのよ」
わざわざ皆に見えるように下僕アンテナを取り出す。
「このアンテナをつけられた者は、私のコントローラーで自在に操れるようになるのだ。
論より証拠、まずはこの女に試して効果を見せてやろうではないか。
ムーミン大佐や赤屍の苦労もこれで報われるというものよ」
紅竜が下僕アンテナを手にリーベルに近づいた時、急に外が騒がしくなり、
何人かの兵士を連れた将軍たちが部屋に入ってきた。
そして紅竜が偽物の疑いがあるため、大魔王の元に一緒に来るように告げる。
なにを馬鹿なことを言っているのか。と紅竜は思ったが、応じなければ疑いが増すばかりだ。
「おおう。仕方がない。ここは身の潔白を証明しに行くとするか。
聡明な大魔王様ならすぐに疑いを解いてくださるであろう」
言いながら下僕アンテナを机の上に置く。
ムーミン大佐は使用法を知っているはずだから、自分がいなくてもなんとかなるだろうと考えたのだ。
【召喚戦士本スレ】
前スレ>348 >4
グラスを傾けながら紅竜を待つのだが、それほど時間は必要なかった。
数分後には扉が開き、赤屍と紅竜が入ってきたからだ。
>「失礼します。何度もすみません…おや?貴方まで来ているとは、予想外でした。」
「はっはっは、ワーカーホリックという奴かな。
元々彼女の捕縛の任は私の仕事でね。協力を得られまいかと説得していたのさ。」
意外そうな顔をする赤屍にムーミン大佐は肩を竦めながら応える。
それは説得が上手くいっていない事を表していた。
>「ところで、紅竜さんは彼女に何の用事があって来たんですか?」
その問いに、ムーミン大佐も応える。
「すっかり嫌われてしまってね。紅竜さんに手伝ってもらおうとお願いしておいたのだよ。
Dr.ジャッカルが五体満足で連れてきてくれたのだ。
同僚として働いてもらいたいのでねえ。
私や君ではうまくいくまいからね。」
そう、ムーミン大佐は脳から直接知識を取り出すこともできる。
だがそれでは戦力としては使えない。
赤屍にしても同様だろう。
説得や洗脳などに向いているようにはとても思えないのだから。
>「おおう。もちろん真の天才にしかできない方法で、石の秘密を聞き出しに来たのよ」
ムーミン大佐の言葉を補完するように紅竜が自分の目的を明かす。
その手に持たれるのは下僕アンテナ。
>ムーミン大佐や赤屍の苦労もこれで報われるというものよ」
自信満々に言う紅竜の言葉に、ムーミン大佐は赤屍に苦笑を送って見せる。
ともかくお互いの能力を生かしあい目的を遂行していく。
何の問題もないように見えた。
・・・突然衛兵がやって来るまでは。
紅竜に偽者の疑いがある為、大魔王の元へと一緒に来るようにといわれ、紅竜はそれに従う。
その様子を見送り、ムーミン大佐は眉間にしわを寄せていた。
「むぅ・・・Dr.ジャッカル。君は気づいたかね?
確かにアヨガンで変身魔法を使う召喚戦士と遭遇したが・・・。」
衛兵はただ紅竜に偽者疑惑がかかっているといった。
もう一人の紅竜が来て偽者がいると言ったと知らされたのならば巡る考えもあっただろう。
しかし与えられた情報量が少なすぎた。
更にアヨガンでのポップのモシャスがこんなところで効果を表していたのだ。
こうなった今となってはムーミン大佐のできることは無かった。
下僕アンテナを調べ、本物かどうか改める事もできただろう。
そしてリーベルに取り付けることも。
リーベルと二人きりならばできただろうが、赤屍がいる。
下手に動いて疑念をもたれる訳にはいかない。
結局・・・
「やれやれ、紅竜さんが本物と断定されるまでできる事は無いな。」
そういいながら机の上に置かれた下僕アンテナに小さな結界を張る。
もし紅竜が偽者で、この下僕アンテナが脱出のための道具や爆発物だった時のためにだ。
下手に手を触れ何かが起こるより、この場で封じてしまう事を選んだのだ。
「仕方がない、仕事は明日に持ち越しだ。
私は宴会場に戻るが、君はどうするね?」
部屋から出ながら赤屍に声をかけた。
>前スレ343、>前スレ348、>4-5
> 何なら・・・口移しで飲ませてやろうか!?」
「……!」
いくら紳士ぶろうともそれを最後まで貫けないものは紳士じゃないのだ。
凶暴な本性を露わにして力任せに上を向かされたが、表情に変化はなく
真っ向からそのぎらついた瞳を睨み返すと……存外あっさりと矛を収めてしまう。
>「・・・ふっ・・・やめておこう。私とてまだ殺されたくないのでね。」
「殺される……?」
怪訝な雰囲気を隠そうともせずに呟いた。
ムーミン大佐の演技とは言え、一時期気安い関係だったリーベルだが
思い返してみれば大佐は自分の事をあまり話そうとしなかった。
そこを不審に思えればまた結果は違ったかもしれないが……とにかく、
リーベルは大佐が妻帯者でしかも恐妻家だとは知らないのだ。
「まさかとは思うけれど……魔王がそうすると?」
大佐の実力は知っている、その大佐を殺せるほどの力の持ち主など
リーベルが知っている筈もない。ここで赤屍が浮かばないのは、
『今の自分』が赤屍の眼鏡に適ってない事が分かっているからだ。
もっとも、赤屍が目を付けると言う事は力が戻っていると言うことであり――――。
>「失礼します。何度もすみません…おや?貴方まで来ているとは、予想外でした。」
やがてドアがノックされ、赤屍ともう一人が部屋に入ってくる。
「いえ、お気になさらず。他愛のないお喋りをしていただけですので……
どうせ語らうなら、人は多い方が楽しいでしょうし。」
退室してからそれほど経ってないとは言え相変わらずの赤屍だったが
先ほどまでのギスギスしたやり取りの熱が引いてないのか突き放したような
態度をつい取ってしまった。人並みに感情を発露する機会の少なかったリーベルは
その点において経験が少なく……つまり、感情の制御が下手なのだ。
>「ところで、紅竜さんは彼女に何の用事があって来たんですか?」
>「このアンテナをつけられた者は、私のコントローラーで自在に操れるようになるのだ。
> 論より証拠、まずはこの女に試して効果を見せてやろうではないか。
リーベルが誰何するまでもなく、一緒に入ってきた男に向かって赤屍は紅竜と呼びかけた。
そして紅竜と呼ばれた男は、自分がここに来た理由を語る。
「……!」
それを聞いたリーベルの顔からあからさまに血の気が引く。
そして先ほどのムーミン大佐の言葉を思い出した。そう、こう言っていた……
『まあいいさ。すぐに気が変わるだろう。』
初めからこうするつもりでいたのだろう、そうでなければ
あそこまで自信たっぷりに言い放つ事などしない。
最終的には精神操作や洗脳の類だろうとは思っていたが、まさか見た事もない道具で
それを行おうとは……術ならば抵抗する余地もあるが、原理も何も分からない
謎の道具が相手ではどうする事も出来ない……万事休すか。
>「おおう。仕方がない。ここは身の潔白を証明しに行くとするか。
だがそれはすぐには実行されなかった。
どういうわけか知らないが、突如紅竜に偽者疑惑がかかったのだ。
紅竜は疑惑を解消する為『あんてな』とか言う道具を置いて部屋を出て行く。
>「仕方がない、仕事は明日に持ち越しだ。私は宴会場に戻るが、君はどうするね?」
そして大佐も、特に何もせずに宴会場へ戻るようだ。
……ひた隠しにしていた策を弄する最初で最後のチャンスかも知れないと、
赤屍が返事をするよりも早く、口を挟む。
「せっかくお越し頂いたのです。赤屍さん、私にお話を聞かせて頂けませんか?
他の世界の方々とじっくりと話す機会、これから先どれだけあるか分かりませんし、
私も他にする事がありませんので……」
我ながら苦しい理由で引き止めたものだと内心一人ごちる。
普段なら気にならないのに、腹に一物抱えた状態での発言と言うのが
ここまで心身に良くないとは……
>>4-
>>6>「おおう。もちろん真の天才にしかできない方法で、石の秘密を聞き出しに来たのよ」
紅竜は妙なアンテナを取り出し、皆に見せつける。
紅竜の説明によれば、あのアンテナを付ける事により相手を操る事が出来るらしい。
>「すっかり嫌われてしまってね。(中略)
私や君ではうまくいくまいからね。」
「それが…実は彼女に左腕を飛ばされてしまいましてね。
無理矢理縫合しましたが、今はまだ完全にくっついてないんですよ。」
ムーミン大佐と話している間に紅竜がアンテナを持ってリーベルに迫る。
その様子を黙って見ていた赤屍だったが、突然部屋に入って来た将軍と兵士により部屋が騒がしくなる。
話によると紅竜に偽物の疑いがあるらしい。
紅竜は身の潔白を証明すると部屋を出て行った。
>「むぅ・・・Dr.ジャッカル。君は気づいたかね?
確かにアヨガンで変身魔法を使う召喚戦士と遭遇したが・・・。」
「私はその方とはお会いしてませんね。
彼女を含め4人しか会ってません。」
ムーミン大佐は先ほどのアンテナに結界を張り、宴会場に戻るという。
>「仕方がない、仕事は明日に持ち越しだ。私は宴会場に戻るが、君はどうするね?」
>>6赤屍が返事をするより早く、リーベルが口を挟んだ。
赤屍は壁に寄りかかったまま少し考える。
「……彼女もああ言ってますし、私は残りますよ。
宴会場での用事はもう済みましたし…。」
そう言ってムーミン大佐が部屋を出て行ったのを確認するとゆっくりリーベルに歩み寄った。
「では、私の話の前に、貴女の話を聞きましょうか?」
>7
>「それが…実は彼女に左腕を飛ばされてしまいましてね。
> 無理矢理縫合しましたが、今はまだ完全にくっついてないんですよ。」
口にこそ出さなかったが、既にあれはただの偶然だったと
リーベルは自分の中で片付けている。赤屍が本気の片鱗も見せていない時に
半ば虚を突いた形で奪ったものに過ぎない。本気だったら?
あっさりと受け流されていただろう。魔力変換による限界突破の時の
攻撃の方が速く威力もあったのだから。
>「……彼女もああ言ってますし、私は残りますよ。
> 宴会場での用事はもう済みましたし…。」
そうやり取りをして大佐は部屋を出て赤屍は残った。
賭けに勝った、とこの時のリーベルは思っていた。
赤屍の性格は結局掴み切れていないが、少なくとも他愛のないお喋りに
興じるような人物ではないと思っていたからだ。分の悪すぎる賭けに
出た甲斐はあった、そんな事を考えていられたのはここまで。
>「では、私の話の前に、貴女の話を聞きましょうか?」
予想外の赤屍の一言に驚き、文字通り固まってしまった。
そんな気配は微塵も見せていない筈なのに……やはり赤屍は相手の思考を
限定的だが覗き見る事が出来るのだろう。そうでなければこんな事は
言われない筈なのだ、リーベルの常識では。
……固まる事数分、ショックから立ち直ったリーベルは、
だが固さの抜け切らない少々平坦な調子で口を開いた。
「……まさか、赤屍さんからそんな形で話を振られるとは思いませんでした。
では本題に入ります……赤屍さん、あなたに運び屋としての仕事の依頼をしたい。
私を仲間達の所まで運んで欲しいのです。」
言いながら手の中のドライアードの種の感触を確かめる。
この種の効力は以前見せてもらった事があり既に知っているし、
エルフと言う種族は根本的に風、水、樹の精霊と非常に同調しやすい特性を持っている。
大佐の言葉を鵜呑みにするわけではないが、先ほどの様子から細工もされていないはずだ。
この種を飲めば、肉体はすぐに修復され恐らく魔力も戻るだろう……だがそれは、
赤屍との交渉次第。最終的に拒否された時の事を考え、まだ飲むわけにはいかない。
……そもそも、鎖が重くて自分で飲めないのだ。
>4
紅竜が通されたのは、先ほどまで鳥が熱弁を振るっていた、あの魔王の玉座の間だった。
連行された紅竜を待ち受けていたのは、またしてもあの鳥だった。
カーテン越しのシルエットは無い。大魔王はパーティ会場にでも居るのだろうか。
「大魔王様は今、席を外しておられる」
鳥は紅竜を睨みつけており、その瞳は燃え盛る火炎のように爛々と光っている。
「ふむ、紅竜の偽物とな」
一通りの事情を聞いた鳥は、紅竜を一瞥した。
「案ずる事は無い。今、私の目の前に居るお前は、紛れもない本物だ」
鳥はあまりにも自信満々に断言した。
何もかも知っていると言わんばかりだ。
「自信に満ち溢れ、果てしない野心を秘めたその眼。
偽物騒動を起こして混乱を起こそうという姑息な輩が、大胆不敵なるお前を完全に模倣することなど不可能だ。
我が軍にも敵軍にも、そのような野心家は紅竜、お前以外には居ない」
アヨガン国の者は皆、自分の国を守るので必死だ。
そのような状況に置かれながら、宇宙の全てを手中に収めようなどという、大胆不敵な野望を掲げる者が居るはずはない。
そして何より、大魔王を恐れているのは、他ならぬ大魔王軍に所属する諸々の将兵である。
「さて、先ほどの報酬の話だが……お前にはオロッパスの領地と、ゾディックの後任の地位を与える」
形の上では大きな地位を得たものの、ゾディックの後任というのが気になるところである。
あの黒いハリネズミは、間違いなく捨て駒だった。援軍の一つも来なかったのが何よりの証拠だ。
とはいえ、領地が正式に与えられた事には変わりは無い。
「今後とも精進し、己を磨き、大魔王様まで近付いてみせよ。
さすれば、お前は大魔王様の大いなる計画の真実を知ることになるだろう」
鳥は再び後ろを向いた。その後姿は、言葉の内容と相まって、挑戦的ですらあった。
前>349-350
「よくぞ吼えた。それでこそ戦士だ」
フェルの答えに、国王は大変満足したようだった。
満面の笑みを浮かべている訳ではないが、その歓喜が伝わってくる。
「ならば、われわれはお前達の盾となろう。
その見返りというのも何だが、お前達にはわれわれの剣となって欲しい」
椅子から立ち上がり、高らかに宣言した。
>3
ポップが退出したあとも、アヨガン国の王は冷静さも戦意も失わなかったように見える。
「そうだな。確かにわれわれは不利と言わざるをえない。
だが、どの道、この程度の逆境で絶望する者など、戦場に居ても邪魔なだけだ。
私は召喚戦士に力を求めている。
ただ異世界から来たというだけの迷子の力など、借りようとは思っていない」
だが、彼の言葉の端々には、ポップの態度を非難する棘が多分に含まれていた。
国王はあまり嘘が得意な人物ではないようである。失望と不快感を隠そうともしていない。
と、そこまでは強い調子の発言が続いたのだが、それ以後に続く台詞は、あまり強くは言えないようだった。
「とはいえ、確かにお前達にわれわれを助ける義理は無いだろう―――先ほどの小僧の言うとおりだ。
血の繋がりも無ければ、長らく友として付き合ってきたというわけでもない。
無理に頼もうとは思わぬ。お前達を元の世界に送り届けてやることもできる」
「………いくらソイツが戦闘狂だからといって、物がねぇのに運び屋を雇うのはちと可笑しいんじゃねぇのか」
開いたままのドアから、東條が姿を表し、リーベルに問う。
答えを聞く間も無しに、赤屍に視線を移す。
「…アンタもアンタだ。まさか、同情とかそんなんで依頼受けちまう気か?ジャンルは違えど、私はプロなんだぜ?ちゃんと報酬をだな…」
と叱りながら、馴れ馴れしくリーベルの隣へと座る。
「……だから、この依頼は私が受ける。まぁ…探偵がするような仕事じゃねぇがな。そのかわり…だ。あの石について、洗いざらいしっかりと話して貰う。それで文句ねぇよな」リーベルの鼻の頭をつつきながら、交渉を始める。
前スレ>344
>3>11
一通り上条を沁みる回復薬でいじめた黒狐はアヨガン王の呼び出す会議に招かれた。
喧々諤々、この先人類が取るべき道はどうするのか。
一手間違えれば人類の破滅すら起こりうる重大な会議なのだが・・・・・・
先ほどまではあれだけの勇気を示していた魔道士が去ってしまった。
それに対して王は失望感を見せる。黒狐は手を上げて発言権を求めた。
「異界より参りました、黒狐と申します。召喚された者達に義理はないと仰っておられましたが
異界を数度渡った事のある私から申し上げますとそれは間違いです。
異なる世界へ渡れるということは、それは両者の世界が程近いということ。
故に、もしこの世界が魔王の手に落ちたならば、次は自分達の世界が危機に陥るやもしれませぬ。」
「だからこそ私は我が主の命にてこの世界へ参りました。
召喚された者達にも守るべき者はあるでしょう。それらを守るためにもこの世界を見捨てる訳にはいかないのです。
そして、いずれにしろ我々はもう先手を取る以外に道はないでしょう。
敵の魔王を倒す術が他にあるのならまだしも・・・。」
>>11>>13 退室しても、ポップはその場を去らなかった。
扉に張り付いて聞き耳を立てる。それは魔王城の場所を知るためだった。
(リーベル、待ってろよ…)
囚われたリーベルの生存確率は、時間経過と共に乗算的に落ちていく。
反撃作戦の準備を整えてから、大魔王退治のついでに救出では駄目だ。
リーベルを救出することに全力を注ぐ心構えで、すぐにでも出発しなければ救出は適わない。
それに現場で勝手に動いては作戦を台無しにし、戦力計算を狂わせてしまう。
だから会議が具体的にまとまる前に、自分を反撃作戦の頭数から外しておく必要があったのだ。
反撃作戦を打ち出すからには魔王城の具体的な位置か、そうでなくとも手がかりくらいは掴んでいるのだろう。
それを聞いたらすぐにでも出発だ。
魔法使いはパーティで一番クールでなければならない。
師匠に教えられたその言葉が、頭の中で叱咤のように繰り返される。
冷静に考えればリーベルの生存は絶望的だ。
そのために反撃作戦から自分の戦力を外すなどもってのほかである。
(すまねえ、師匠…。俺はやっぱまだヒヨッコみたいだわ)
扉の向こうで、アヨガン王の失望をあらわにした声が聞こえる。
その一言一句に胸がちくちく痛む。
黒狐の凛とした言葉にも、自分を責められているような錯覚を受けた。
(みんな、すまねえ…。リーベルを助け出したら、そのあとは命を賭けてでもあんたらに報いるからよ)
言葉と同様、物音から皆の動きにも注意する。
誰かが扉に近付いてきたらすぐに通路の陰まで逃げ隠れるつもりだ。
(薬? ……いや、待て。待てください。何か変だ。
だってその表情絶対ちょっとって感じじゃないじゃん!
大丈夫!自然治癒って結構凄いから!?だから――――)
「ぎゃああああ!!! ―――はっ!?夢か!!」
絶叫と共に上条は飛び起きた。
地下王墓での戦いは何とかランカムを正気に戻す事が出来、重症を負ってしまった
フェルもやってきた黒狐の治癒魔術によって一命を取り留めた。
そして、上条自身は黒狐の治癒薬により治療されることになったのだが、
その沁み具合という物が尋常ではなく、もんどりうった拍子に石畳に後頭部をぶつけ、
昏倒してしまっていたのだ。
「俺、あの人になんか怒られる事したか……って、ここ何処だよ?」
トラウマな記憶をを振り返り震えた上条だったが、自分が妙に豪華な部屋にいる事に
気付き、首をかしげる。
『お目覚めですか。王様と他の戦士様達がお待ちです、皆様既にお食事を終え、
会議室へ向かわれている最中ですので、貴方様も急いで向かってください』
困惑していた上条に、ドアのほうに待機していた兵士が近寄ってきて話しかけた。
どうやら伝令役兼案内役らしい。上条を待つようにドアの前に戻り、起立している。
「ああ、城の中なのか」
良く見れば、周りの調度品も一般より高級そうなものが多い。
ベッドから起き上がり、兵士の方へ歩く上条。ダメージは大分回復していたが、
それでも治癒魔術程には効果が良くないらしく、患部が少しだけ
熱を持っているのを感じる。
上条はそのままドアのほうへ向かい、兵士に付いて行く。
「……そういや、俺は食事どうすればいいんだ?」
『王様がお待ちです。我慢してください』
「……不幸だ」
前スレ
>>344,,350
>>3,,11
会議室では、既に召喚された戦士達は揃っていた。上条は端のほうの席に着く。
そして国王と家臣等が集い、魔王との戦いにおける会議が始まった。
>攻めに回らなければ魔王は倒せぬ。事態が解決しない。
>私はそう思うが、お前たちはどう思う?」
そして、皆が次々と意見を述べていく。
フェルと黒狐の言葉に上条は驚くと同時に、頼もしく感じた。
特にフェルだ。力ではない。もっと本質的な部分の変化に、
上条はフェルを頼もしい仲間だと感じた。
次に、ポップが戦争に勝てないと言って出て行く。ポップの意見も最もだ。
最もだが、短い付き合いだが、彼がそんな投げ遣りな台詞だけ残して去る人間には
見えない。何か考えがあるのだろうか。上条はそう考え見送る。
そして王様の提言。学園都市に帰れる事はとても魅力的だったが……
現時点で、上条は何故かどの意見にも賛同できなかった。
何かが引っかかっている。重要な事だ。
それを知らないで戦う事を、上条はしてはいけない気がしていた。
それは……
(……ああ、そうか)
そして、上条は語る。
「……王様、でいいんだよな。俺は、友達の不幸を見捨てて置いて帰る
事は絶対にしたくない。待っててくれるインデックス……居候には悪いけど、
帰るにしても、それは問題を解決してからにしたい。
けど、一つだけ聞かせてくれ。 そもそも魔王って何なんだ?」
一息置き、続ける。
「俺は、この世界に来たばっかだからよくわかんねえけどさ、
あのウサコって奴みたいに、相手側と意思疎通ができるんだから、
話し合いで解決したり出来ないのか?」
真剣な表情で王様を見る。
「甘いっていうのは解る。けどさ、事情も知らずに一方的に相手を滅ぼす
っていうのは、違うと思うんだ。だから、教えてくれ。魔王って何なんだ?」
そう。上条は、突然魔王がやってきて攻撃してくる。それ位の事しか知らないのだ。
確かにリーベルを助ける為や、仲間や人々を守る為、
自分に何かが出来るなら戦いたいと思う。
しかし、何かを滅ぼすためだけに戦いたいとは思わない。
相手の事も解らずそれをしてしまうのは、決してやってはいけない事だと思う。
だから尋ねる。
気絶したパラシエルを背負い地上に上がると、
いつの間にか降りてきた鷲が、こちらを伺っている。
「…心配しているのですか?」
パラシエルの寝顔を伺う。
−−彼の鷲の体内なら、心配する事は無いだろう。
その旨を救護班に告げ、パラシエルの身を預ける。
−−鷲の胃から宝玉が発見されるのは、そのすぐ後の事だった−−
各人が短い休息を終え、全軍を集めた会議の席上に集う。
そこで王が発したのは、こちらが攻勢に転じる提案だった。
確かに戦いが長期化すれば、戦況はこちらに不利。
だが、敵の本拠地の詳細、その戦力も不明である。
確実なのは、これまで以上に熾烈な戦いとなる…という事だけだ。
その重要さに、会議場が静まりかえる。
その中で最初に口を開いたのは、フェルだった。
彼は迷い無く、戦いの道を選んだ。
フェルは既に、一流の戦士としての威厳を持ち始めている。
その言葉に、不安が和らぐのが解った。
次に立ったポップは、意外にも諦めの言葉を口にした。
彼の言葉もまた、頷ける物である。
こちらの主力は、十人にも満たない。
個人の能力など、全面対決となれば誤差に等しい物だ。
王は失望しつつも、その意思を厳格に受け止めていた。
−−だが、ポップ殿は本当に、そんな事を言いたかったのだろうか…?
続く黒狐もまた、交戦の意思を明らかにする。
その凛とした姿は、一見してごく普通の女性の身でありながら、
鎧に身を包んだ歴戦の勇者にも見劣りしない。
人類軍の戦力が劣る以上、取れる作戦は少ない。
恐らくは、各将達との直接対決になる。
負ければ壊滅的な被害を出す、退路の無い電撃戦となるだろう。
−−賭け、ですね。
一見、無謀とも思える王の提言はすなわち、
異世界の者達に、国の命運を賭けるという事でもある。
そこに、召喚戦士に対する信頼を垣間見た気がした。
−−だが。
兵の中には異世界の人間に、疑いの目を向ける者も多い。
意思の疎通は重要な問題となる。負けの許されない戦いなのだ。
「私も前線で、この地の勇士と共に戦いましょう」
ならば、その身で信頼を勝ち取るしかないのだ。
その中で上条は一人、納得のいかない顔をしていた。
上条もまた、強き戦士なのだ。
敵の事を考える事ができる強さを持てる者は、少ない。
彼が投げかけたのは、魔王という存在そのものに関する問いだった。
>>10 大魔王のいた広間に連行された紅竜は、すでに自分が本物であることを証明する方法をいくつか考えていた。
暗殺と謀略を得意とする劉家一門出身として、この程度の疑いを晴らすのは簡単なことだ。
だが紅竜を睨んでいた鳥は行動とは裏腹に、紅竜が本物であると断定した。
>「案ずる事は無い。今、私の目の前に居るお前は、紛れもない本物だ」
「おおう。さすがは大魔王様随一の側近。この紅竜、感服致しましてございます」
口ではそう言ったが、将来を楽観するわけにはいかない。
紅竜が本物と自信を持って断定できるということは、なにかの方法で見張られているということだ。
>「自信に満ち溢れ、果てしない野心を秘めたその眼。
偽物騒動を起こして混乱を起こそうという姑息な輩が、大胆不敵なるお前を完全に模倣することなど不可能だ。
我が軍にも敵軍にも、そのような野心家は紅竜、お前以外には居ない」
>「さて、先ほどの報酬の話だが……お前にはオロッパスの領地と、ゾディックの後任の地位を与える」
「お誉めに預かり恐悦至極。
ゾディック後任の大役を果たし、必ずやご期待に応えて見せましょうぞ」
無論紅竜は、針ネズミの後任などで満足する気は毛頭無い。
だが今は有用性を売り込むべき時だ、との考えから領地を与えられた点は喜んでいる
>「今後とも精進し、己を磨き、大魔王様まで近付いてみせよ。
さすれば、お前は大魔王様の大いなる計画の真実を知ることになるだろう」
「ははーっ!」
紅竜は右手を胸に当て、後ろを向いた鳥に深々と身を屈める。
大魔王は紅竜の考えに気づいているのかもしれないが、裏切りを考えているのは紅竜だけではない。
尻尾さえ捕まれなければ、危険は少ないのだ。
「おおう!今回の騒ぎは敵召喚戦士、または内通者による陽動の可能性が極めて高い!
お前たちは石のような物体の守備に回れ!私は直接捕虜の様子を確認しに行く!」
一礼を終え立ち上がった紅竜は、近くにいる将軍や兵士に指示を出しながら、早足で玉座の間を出て行く。
この指示は下僕アンテナを通して、ムーミン大佐にも伝わっていった。
>>9リーベルの話は赤屍にとって悪い話ではない。
上手くいけばムーミン大佐や将軍ランクと戦うチャンスだから。
>>12しかし赤屍がリーベルに返すよりも早く部屋の扉が開く。
入って来たのはルミナだった。
どうやら赤屍に代わりルミナが依頼を受けたいらしい。
「私は別にどちらでも構いません…ですがルミナさん、この依頼、失敗は許されませんよ?」
こんな依頼、好き好んで受ける人はまず居ない。
よほどの報酬が貰えない限りは…。
失敗=死
というのは運び屋の世界では珍しい事ではないが、この依頼は非常に危険性が高い。
>10
リーベルの捕らわれている部屋を出た後、ムーミン大佐は宴会に参加していた。
将軍達に勺をして回り、談笑していたのだ。
傭兵部隊隊長としては将軍達との繋がり、というのも一つの仕事なのだが・・・
現在は紅竜の忠実な下僕。
顔繋ぎ以外の目的も当然あるわけだった。
そんな中、下僕アンテナを通じて紅竜からの指示が入る。
ムーミン大佐は笑顔で宴を中座。
部屋を出たところでばったりと紅竜と合流した。
「おお、紅竜さん。その様子では早々に疑いは晴れたようですな。
では、先程の続きと参りますか?」
いつもと変らぬ笑顔で声をかけ、そのまま紅竜の後に続く。
アイコンタクトで下僕アンテナはリーベルの部屋に結界を施して置いてある。
そして、恐らくまだ赤屍がいるであろう旨を伝え、リーベルの部屋へと進んでいく。
21 :
名無しになりきれ:2008/03/07(金) 22:33:38 0
ルミナのおっぱい揉みたい
ルミナのおっぱいも見たい
>12、>19
>「………いくらソイツが戦闘狂だからといって、
> 物がねぇのに運び屋を雇うのはちと可笑しいんじゃねぇのか」
いつの間に近くまで来ていたのか……見覚えのない女性が
そんな事を言いながら部屋へと入ってくる。
>「……だから、この依頼は私が受ける。まぁ…探偵がするような仕事じゃねぇがな。そのかわり…だ。
> あの石について、洗いざらいしっかりと話して貰う。それで文句ねぇよな」
隣に座って次に向けられた言葉は……条件付きで依頼を受けると言う旨だった。
リーベルに断る道理はない、魔王軍の中で多少なりとも見知っていて
立場を変える事にあまり頓着しない人物が赤屍だけだったというだけ。
実力はイヤと言うほど知っているし、報酬の話まで持ち込めれば
依頼を受けてくれるという勝算まで立てていたのだが……
「あの石?……とりあえず、その石の話を聞かせて下さい。」
数分かけて東條から聞かされた情報……それは『石のような物体』と
呼ばれる、黄色に淡く発光している二等辺三角形と正方形の面を持った
四角錘2つを貼り合せた様な形状をしていて、底知れぬ力を持った物の事。
話を聞いていく内に、リーベルの眉間に皺が寄る。心当たりがあるのだ。
「……その『石のような物体』が私の知っている物と同一と言う保証はありませんが……
それと全く同じ特徴を持った物は私の世界にもありました。鳳来と言う小さな国で
『神の石』として崇められていた物……『産土神黄輝ノ塊』。
それはただの石ではなく、何がしかの意思と計り知れない力を確かに宿していた……
その意思は、そこに生きる者に何かを望んでいた様に感じたのを覚えています。」
そこまで言って一度言葉を切る。深呼吸をし、続きを語る。
「それもまた異世界の物で、その意思が異世界から力ある者を召喚したのならば……
意思は私達に、何かをさせようとしているのでしょう。それが何であるかまでは
私にも分かりませんが……私が知っている事はこれだけです。
それでも、依頼を受けてくれますか?」
駄目ならば、元の通り赤屍に話を差し戻すだけだ。
>「私は別にどちらでも構いません…ですがルミナさん、この依頼、失敗は許されませんよ?」
はっきりとは分からないが、この物言いからは依頼を受けても構わないと言う
雰囲気を感じ取れる。報酬の話を持ちかけるかどうか……いや、東條の返事を聞いてからの方が
いいだろう。だが問題は一つだけ付けたい条件の事。
それを赤屍に伝えた場合、首を縦に振るだろうか?
>13
「ううむ、確かに大魔王は異世界からの来訪者。
きっと異世界へと渡る技術があるに違いない。
此処が陥落すれば、次に他の世界へ侵攻するだろう。
他人事ではない、ということか」
国王は義理は無いと言ったが、黒狐には戦う理由が十分にあるようだ。
「そなたの言うとおり、現状ではこの『封魔の宝玉』以外では大魔王を打倒する術は無い。
当面の問題は、これを持ってどのように大魔王のすぐ近くまで辿り着くかにある。
それに、この宝玉は大魔王を消耗させた後、直接投げて当てなければ効果を発揮しないという」
>16
「何、ウサコとの会話に成功したのか?」
国王は、上条の言葉が意外そうな様子だった。
「実は、魔王軍との交渉に成功した事は、これまで一度も無いのだ。
あちらへ向かった使者は1人も帰ってきていない」
沈痛な面持ちで、国王は答えた。
この世界の人間は、無辜の民を虐殺する魔王軍を恐れ、憎んでいるのがわかる。
「われわれは長年大魔王と戦ってきたが、奴の本当の計画は未だに謎めいている。
それどころか、われわれは大魔王がどのような姿をしているのかについても知らない。
他の国では大魔王自身と戦ったという記録があるらしいが、
それらの記録文献はほとんど魔王軍の手によって焼き払われている現状だ」
だが、長年戦ってきた彼等にとっても、大魔王の目的には不明な点が多いのだろう。
文献もほとんど残っていないようである。
「捕虜をとることに成功はしたことは幾度となくあるが、誰もが大魔王の計画も正体も知らぬと言った。
どうやら、奴はよほど近しい人物にしか自分の計画を明かしていないようだ。
私の読みでは、オロッパスが国の宝としていた『石のような物体』が、何か重要な意味があるとは思うのだが……
質問に答えられなくて申し訳ない」
大魔王の計画の鍵を握るのは、この場に居る召喚戦士達も知る『石のような物体』だというのが、国王の推測のようである。
なるほど、ただならぬ力を秘めていたし、あの魔王ウサコがオロッパスを襲撃してきた直接の理由でもある。
>17
「頼もしいな。そなたになら、封魔の宝玉を託せるやも知れぬ」
召喚戦士に対する国王の期待は大きいようだ。
「聞く話によれば、戦術についても嗜みがあるようだな。
これから言う事を、よく聞いてほしい」
「実は、数年前に、ある国で召喚された戦士を魔王軍へと寝返る振りをさせた。
彼が順調に魔王軍で地位を獲得していれば、或いは大魔王について知っているかも知れん」
その発言を聞き、将兵達はどよめいた。
今の今まで発表されていなかった事である。どうやら国王が自らの手で行った策のようだ。
確かに、魔王軍に寝返る召喚戦士は少なくはない。ここに居る召喚戦士達が戦ったことの無い連中も居るはずである。
国王が言うのは、それを利用した埋伏の計のようだった。
敵の密偵が聞いている可能性を考えて、その人物の名前は言っていない。
裏切者の召喚戦士は意外なほど多いが、具体的な名前や特徴を敵に聞かれれば、彼の計画は完全に失敗するからだ。
「……埋伏の計が功を奏し、敵軍が混乱に陥ったときこそが好機だ。
このまま順調に事が運べば、火の手が上がるのも近い」
自分の計画について、召喚戦士と諸侯に説明をしているところに、黒い影が現われた。
黒装束の、いかにもなその格好を見て、誰もがそれを忍者だと理解した。
「どうした」
突然入ってきた忍者は、国王にそっと耳打ちした。
「ふむ、わかった。すぐそちらへ向かう。お前は先に行け」
忍者は影に溶けて、その場を去った。
この世界の忍者はどうにも高性能というか、やはり科学的な常識にとらわれない連中のようである。
「にわかには信じられん話だが、大魔王の側近の1人を捕らえたとのことだ。
今からそいつに尋問をするが……もしかすると、上条とやら、お前の先の問いに答えられるかも知れぬ」
件の大魔王の側近とやらは薄暗い部屋に軟禁されていた。
部屋の中には数人の兵士達が居り、虜囚の身となった魔王の側近は中心のデスクで取調べを受けている。
部屋の外にも多数の精鋭が待機しており、その捕虜がどれだけ危険な存在かということを示していた。
けれど拘束されて拷問でも受けているのかと思いきや、椅子に座らされて、目の前のテーブルの上にカツ丼を出され、強い光を当てられている。
とはいえ、魔法の使用を制限する結界が張られている。
「……何でこんな所で捕まるのだろー」
>>20 >「おお、紅竜さん。その様子では早々に疑いは晴れたようですな。
では、先程の続きと参りますか?」
「おおう。敵召喚戦士の姑息な罠など私には通じぬわ。
これ以上邪魔の入らぬ内に、片を付けてしまうぞ」
ムーミン大佐のアイコンタクトから事情を察知した紅竜は、足早にリーベルの捕らわれている部屋に向かう。
敵が潜り込んでいるにしろ内通者がいるにしろ、ムーミン大佐がいれば楽に処理できるだろう。
ノックもせずに乱暴にリーベルの部屋に入ると、そこに居るはずの無い人物がいた。
「おおう。こんな所でルミナに出会うとは驚いたな。
確か、きさまは飲み過ぎたので部屋で寝ているはずだが‥‥
見たところそれほど酔ってもいないようだが、まさか部屋を間違えたなどと言うまいな?」
赤屍がなぜ部屋に残っていたかも気にはなるが、ルミナがこの場にいるのは不自然すぎた。
紅竜は不信感を隠そうともせずにルミナに質問する。
>>24 会議が進んでいく。
フェル、黒狐に続きランカムも作戦に同意したが、上条だけは一人浮かないリアクションだった。
本当に一方的に滅ぼすべきものなのかと王に問う。
(話し合いで解決か…)
ポップは少し感傷的になる。
元の世界での戦いでも、救えない敵はたくさんいたが、改心して正義の使途となった者も少なからずいた。
果たして、自分がろくに話もせずに倒した中で、改心する可能性もあった者はどれだけいただろう。
しかし、だからといって平和を脅かす敵とは戦わないわけにはいかないのだ。
>>25 そして、王は魔王軍にスパイを送り込んでいることも明らかにした。
内部から混乱を呼び起こす作戦。上手く乗じればリーベル救出はかなり楽になることだろう。
上手くタイミングが合えばの話ではあるが。
しかし、そろそろ聞きたい話が出るか…と思い始めた矢先だった。
突如王の元に黒装束が現れ、何かを耳打ちして闇に消える。
王いわく大魔王の配下を捕らえたとの報告らしく、これから尋問に向かうとのことだ。
(ちくしょー、ついてねえ!)
ポップは慌てて通路の曲がり角に身を隠し、部屋から出てくる一行の後を追うべく様子を窺う。
>>3>>11>>13>>16 国王の言葉にポップは異議を申し立てる。
戦力が足りない故の攻勢…攻撃こそが最大の防御というのが国王の提案だった。
だがポップは国王の言っていることは
不利になりもはや勝機のない戦いでのやけくそだと言っている。
そして俺がムーミン大佐に負けたことを笑う。そんな程度では魔王に勝てるわけがないと。
確かに言うことも最もだ。最高の状態だった最初で敗北を喫しているのだ。
そして次では心で負け…おそらく次も勝てる可能性は低いだろう。
「やめだやめ。俺はこんなところで命まで捨てる義理はねえ。あとはあんたらで勝手にやっててくれ」
そしてそう言い残し部屋を出て行く。王はポップに対し失望を隠そうともしない。
だがポップの言葉が事実なのも当たり前、俺達は巻き込まれた側だ。国王は敵と戦えとも言えない。
そんな複雑な状況からか、国王の言葉は若干曇り、このまま元の世界に帰すという言葉を放つ。
俺は直に思う…他の召喚戦士達には帰ってもらいたいと。
なぜならば、彼らには守るべきものがある。そうだ…帰ればこの絶望的な闘いに挑み倒れることもなく、
敵とはいえ自分の手を血に染めることもない。俺のように、闘うだけしか知らなかった者とは違う。
しかし、俺たちの傷を治してもらった狐人は異世界の繋がりを語る。
すでにこの世界だけの問題ではないのだと…
異世界を渡ったものにしか分からない器の大きい言葉だった。
「この世界だけの問題じゃない…か。そうかもしれんな……」
また、上条は敵と意思疎通できないのかを国王に問う。
あいつらしい、汚れというものを知らない純心さで…
上条もまた自分の信念というもののために闘うという風に俺には感じられた。
しかし、それは果てしなく難しい道。少し前まで俺がこいつ等の話しなど聞く気もなかったように…
そして、俺を救ってくれた男…ランカムが口を開く。
「私も前線で、この地の勇士と共に戦いましょう」
これで、ポップ以外のこの場にいる召喚戦士は全員帰らずに己が闘いをすると口にした。
>>25 国王は召喚戦士全員1人1人の意思を確認し、
とうとうこれからの動き、戦術というものを語り始める。
どうやら国王は秘密裏に召喚された戦士を寝返させる計画を前に試していたらしい。
側近すら内密、魔王を倒すための小さな希望ということか。
国王が話していると、隠密があらわれ国王になにやら告げる。
俺の世界にも隠密集団がいたが。やはりどこの世界でも隠密というのは重要な役割のようだ。
「にわかには信じられん話だが、大魔王の側近の1人を捕らえたとのことだ。
今からそいつに尋問をするが……もしかすると、上条とやら、お前の先の問いに答えられるかも知れぬ」
国王の言葉に場が騒然とする。さっきからの話しでも分かるが
魔王の側近を捉えたというのは今の今まで前例がなかったんだろう。今までにない重要な捕虜に違いない。
「しかし、抵抗する気は向こうはなかったのか?側近というのならば相当な力を持っているはずだが。
もしかしたら脱獄されることも考えられる。」
「……人って生き物は自分の為なら何でもやれるんだよ。よく仲間だとか恋人とか綺麗事を並べる連中がいるが、突き詰めれば結局自分の為
私がこのヤマをやるのも同じ、自分の為さ…確かに危険ではあるが、充分やる価値はある
それに…一番厄介なモン同士が潰し合うから考えてるより簡単かも知れねぇしな」
リーベルの話を聞き終えると、ルミナは口を開き、先程の赤屍の問いに答える。
「それに……石の目的を知らないと動けないしな。このまま此方にいるのもいいが
それが石の意思に反していたら一貫の終わりだ。
今必要なのは情報。敵、味方関係無しにな
もし、此方側が正しければ、土壇場でまた裏切ればいい」
平然とそう言い、タバコを一服する。
>26、>29
>「……人って生き物は自分の為なら何でもやれるんだよ。
> よく仲間だとか恋人とか綺麗事を並べる連中がいるが、突き詰めれば結局自分の為。
> 私がこのヤマをやるのも同じ、自分の為さ…確かに危険ではあるが、充分やる価値はある。
> それに…一番厄介なモン同士が潰し合うから考えてるより簡単かも知れねぇしな」
「つまり、自己満足の為と言う事ですね……。
いいでしょう、私のやろうとしている事も自己満足でしかありません。
あなたの力、お借りします。……赤屍さんは、どうしますか?」
事の成り行きを見守っているのか、口を挟まない赤屍に話を振った。
>「おおう。こんな所でルミナに出会うとは驚いたな。
> 確か、きさまは飲み過ぎたので部屋で寝ているはずだが‥‥
> 見たところそれほど酔ってもいないようだが、まさか部屋を間違えたなどと言うまいな?」
しかし赤屍が返答する前に先ほどの男……紅竜がノックもせず乱暴にドアを開けて
部屋に入ってきた。内容を聞く限り、今までの会話を聞かれていたわけではないようだが……
「紅竜さん、でしたね。女性の部屋に入るのにノックもしないとは
マナーがなっていませんね……ルミナさんも赤屍さんと同じように
異世界の話をして下さっただけです。お陰で退屈の虫も静まりました。
……ルミナさんがいる内に湯浴みをしようと思いますので、退室して下さい。
すみませんが赤屍さん、詳しいお話はまた明日にでも……。
ルミナさん、鎖と手枷のせいで少し重たいと思いますが私を浴室まで
連れていって下さい。今の私は自分で歩けないので……」
これ以上紅竜と大佐を部屋に居着かせてはたまったものじゃないとばかりに落ち着いた様子で、
しかし内心焦りながらまくし立てる。手にドライアードの種を持ちながら。
部屋に戻ってきた紅竜は早速、ルミナに対し不信の眼差しを向け、問いただす。
だが、ルミナはその問いに沈黙で答えた。
正確には、俯いたまま静に詠唱をしているだけであるが
少し間を空けると、突如ルミナは高笑いし立ち上がった。
「ハハハハハ…そうかぁ、そうなのか。僕としてしまったことがうっかりしていたよ」
一人称も口調も変え、まるで誰かがルミナに化けているかのように演技し始める。
「何か企んでいそうな君に化ければ、混乱と疑惑を起こせると思ったがそうもいかなかったようだな…
……………んな訳ねぇだろボケナス"フラッシュファントム"」
部屋にいる召喚戦士らの視線がルミナに向けられたのを確認するとルミナは手のひらから閃光を放った。
上手く視線を奪えれば、数分間は幻覚を見せられるはずだ。
>26>29>30
リーベルの部屋に入り、紅竜は不信感を隠そうとせずにルミナに問いただす。
その背後でムーミン大佐は密かにシルクハットの中の部下達に臨戦体制を取らせていた。
紅竜の偽者騒動がルミナの手によるものかも知れない。
またこうなってくるとルミナが本物であるかも疑わしい。
そう、アヨガンで地下王墓で『野暮用がある』と分かれたまま、再会したのは魔王の城なのだから。
ステッキを握り直して紅竜の前に一歩出る。
狭い部屋の中に5人。
不意を突かれ混戦に持ち込まれれば取り逃がす恐れもある。
僅かでも不振な動きがあればその意図は考えない。
室内の混戦は先手必勝が命。
そして、トドメを怠らない事だ。
問答無用に打ち伏せる。
意図は倒した後から考えればいい。
緊張の微粒子が部屋に満ちる中、不意にそれを打ち破るのはリーベルだった。
> ……ルミナさんがいる内に湯浴みをしようと思いますので、退室して下さい。
口早にまくし立てるリーベルに、何か言おうとしたが、湯浴みという言葉でムーミン大佐の口は閉じられる。
「っ・・・!うぬ・・・」
暫くの躊躇。
本来ならいくら客分扱いといえども捕虜の言葉。
現在の状況からすれば二の次三の次だが・・・
その勢いからすればリーベルがこの場で脱ぎだしかねないと想像してしまう。
眉間にしわがより、葛藤の後・・・ムーミン大佐は背を向けた。
「ご婦人の時間ならば我ら男は退出せねばならんですな。
紅竜さん、ここより『石のようなもの』さえ押さえておけば問題ないでしょう。」
紅竜をグイグイと押すように室外へとでようとする。
色々理由付けをしているが、実の所ムーミン大佐の心を占めていたのは、闇から伸びる妻の凶手だった。
33 :
名無しになりきれ:2008/03/12(水) 17:12:16 0
外人要請部隊
>>30 >>32 ルミナを詰問する紅竜の前に、戦闘準備を済ませたムーミン大佐が進み出る。
紅竜は戦闘を得意としている訳ではないので、この支援は心強いものだった。
ルミナが敵側の人間であった場合、何を仕掛けてくるかわからないからだ。
だが、紅竜の質問に答えたのはルミナではなく、リーベルだった。
>「紅竜さん、でしたね。女性の部屋に入るのにノックもしないとは
マナーがなっていませんね……ルミナさんも赤屍さんと同じように
異世界の話をして下さっただけです。お陰で退屈の虫も静まりました。
(中略)ルミナさん、鎖と手枷のせいで少し重たいと思いますが私を浴室まで
連れていって下さい。今の私は自分で歩けないので……」
>「っ・・・!うぬ・・・」
ムーミン大佐が何か言おうとしたが、急に押し黙ってしまう。
>「ご婦人の時間ならば我ら男は退出せねばならんですな。
紅竜さん、ここより『石のようなもの』さえ押さえておけば問題ないでしょう。」
さらにムーミン大佐は、紅竜を押すように室外へ出ようとした。
紅竜はムーミン大佐が何かを恐れているのだと考える。
百戦錬磨の傭兵が、この場で戦うのは得策ではないと考えているのだ。
ここは引き下がるのが賢明な判断だろう。
「おおう。まあそれならばしかたがない。
赤屍よ。この場はルミナにまかせ、我々男は退出しようではないか」
部屋をでる前に赤屍にも一緒に外に出るよう促した。
赤屍の考えは紅竜に理解出来ない部分が多い。
もし赤屍が敵側に寝返ったら、紅竜の野望の大きな障害になるだろう。
それで、ルミナはともかく、赤屍がリーベルとあまり長く接触しているのは避けたかったのだ。
「『石のようなもの』の守りは、無能な将軍どもでもできるだろう。
それより、私の研究室を見学していくのはどうだ?面白いものを見せてやれるぞ」
ムーミン大佐と赤屍に告げて、自室に向かって歩き出す。
2人がどう行動しても、紅竜は一度研究室に戻るつもりだった。
>28
「ああ、その側近とやらは魔術師だったらしく、敵の魔力が底をつくまで消耗戦を挑んだという。
幸い、敵はオロッパスでの戦いで大きく消耗していたから、戦いが長引くことはなく、兵の被害も少なかったらしい。
魔力が尽きたらあっさり降伏した」
捕虜を収容した部屋へと案内する途中、彼は忍者から受けた報告の詳細を説明した。
オロッパスでの戦いで大きく消耗していた人物で、大魔王の側近らしき人物と言えば、かつて交戦したあの魔王に他ならない。
「ここだ」
捕虜の居る部屋の扉には魔法的な仕掛けが施され、非常に頑丈な作りになっているようだ。
その扉を開けると、部屋にはもっと凝った仕掛けがあるのが見てとれた。
部屋の床や壁には魔術師の力を殺す魔法陣が描かれており、いよいよ警戒が厳しいことがわかる。
選りすぐりの兵士の何人かが警戒に当っているほか、その中心、テーブルに添えつけられた椅子に座らされている少女の姿が見えた。
ウサコだ。カツ丼を食べている。
「驚いたな。まさか、あの魔王ウサコを捕らえたとは」
国王は驚いた様子だった。
ウサコは強大な魔力以上に、空間転移の能力を使えるために、倒すことは非常に困難とされていた。
まして、彼女の能力が空間転移である以上、捕まえる事は非常に困難なのは明白だ。
ウサコは暫くカツ丼を食べ終わるまで国王達を意にかけることはなかったが、上条の姿があることを確認すると、開口一番、鋭い指摘をした。
「あっ、お前はあのときの、私の胸を揉みしだいた奴だろー」
それから尋問を始めたが、特に痛めつけたりせずとも、魔王ウサコはいとも簡単に口を割った。
やはり裏界の魔王に義理を求めてはならないのだろう。
「どうせ、大魔王軍に私の居場所は無いだろー。
大魔王様は寛大だから許してくれるだろうが、あの忌々しい鳥が私を許さないだろー」
国王も兵士も、皆一様に意外そうな顔をした。
なにしろ、今までは、大魔王は邪悪で冷酷な性格の魔物というイメージが強かったのだ。
部下の失敗に寛大というだけでも、イメージとは大きく異なっていたようである。
>『鳥』とは何か?
「『鳥』は、大魔王様が最も信頼しているしもべだろー。
私も本名も知らぬ。ただ『鳥』とだけ呼ばれている。
実際に戦っているところは見たこと無いが、聞く話によると、なんか炎を操る鳥みたいだろー」
インコに似た怪鳥が目撃されているという話は、どの国にも伝わっている。
それは大魔王の軍勢が攻めてくる直前に現われる凶兆であり、直接何かをしたという記録は残っていない。
だが、ウサコの証言を信じるならば、それは炎を操る能力を持っているという。
>大魔王の計画は?
「大魔王様の計画は『石のような物体』が鍵を握るだろー。
『石のような物体』は、異世界における地球を守るもの―――いや、地球そのものだろー。
それは人類が何らかの過ちに気付くまで、一定周期で人類を滅ぼすだろー。
その後、一組の男女の髪の毛から最初の男女が生み出され、人類は再生する。
だが再生された人類は、同じ過ちを繰り返し、その度に『石のような物体』に滅ぼされ、再生する。
あれが居た元の世界では、幾度となくそれが繰り返されていただろー」
「だから大魔王様は、実現するまで何世紀にも渡る計画を練って、実行しただろー。
あの『石のような物体』をこの世界に呼び出すために、『異世界から現われた戦士が大魔王を倒す』という伝承を残したのだろー。
この世界の魔術師はその伝承に従い、異世界から戦士を召喚しようと躍起になり、古代の文献を紐解いた。
そして大魔王様の思惑通り、『石のような物体』は呼び出された。
オロッパスの連中は召喚魔法の失敗だと思っているようだが、きちんと成功しているだろー」
『石のような物体』は、オブジェクトではなくキャラクターである。
そう、過去にオロッパスで行われた召喚術は問題なく成功していた。
しかし、それは大魔王の思惑通りなのだ。
「大魔王様は『石のような物体』の力を暴走させて、この世界を滅ぼすだろー」
>何故、そんな面倒な計画を?
「大魔王様の召喚魔法は、自分に同調する者しか呼び出すことはできない。
この世界の召喚魔法みたいにじゃないだろー。
それに、大魔王様はこの世界の魔術を使えない」
確かに、この世界の召喚魔法は無節操だ。呼び出された召喚戦士達には、共通項が殆ど無いと言っていい。
呼び出されるものは、ある一定以上の力を持っているが、ほぼランダムと言って良いだろう。
だから悪人も居るし、それが魔王軍に寝返るような事態もあるのだ。
>「実は、魔王軍との交渉に成功した事は、これまで一度も無いのだ。
>あちらへ向かった使者は1人も帰ってきていない」
王の言葉を聞いた上条は歯噛みする。
だとしたら、大魔王という存在が行っていることは間違っている。
いや、そもそもそれは分かっていた事だ。上条が知りたいのはその理由なのだから。
>「ああ、その側近とやらは魔術師だったらしく、敵の魔力が底をつくまで消耗戦を挑んだという。
>幸い、敵はオロッパスでの戦いで大きく消耗していたから、戦いが長引くことはなく、兵の被害も少なかったらしい。
>魔力が尽きたらあっさり降伏した」
「ん? オロッパスで魔術師……?」
捕虜のいるという場所に向かう王の後を着いて歩いて行く上条の頭に
何かが浮かんだ気がしたが、思い出す前にそれは消えた。
>「ここだ」
王様がそういって立ち止まった先には扉。どうやら目的地に辿り着いたらしい。
その頑丈そうな扉は、王様が指示すると、がちゃり、と。
音を立てて開かれた。
ドアの中――――無数に魔法陣が
描かれた室内には、警戒する兵士のほかに椅子に座った人物がいた。
そこに座っているのは一人の少女だった。ショートカットの髪型で、
特徴的なのは頭に被ったウサミミを模った帽子
「――――って、ウサコ!?」
上条は思わず叫んでいた。
ウサコ。オロッパスを襲撃した魔王で、上条がこの世界に召喚された際、
最初に相対した大魔王側の人物である。その強大な魔力は一人で何十という
兵士を相手にして悠然と立ち回る程だった。
(おいおい、冗談じゃねえぞ!捕まった魔王の側近ってコイツのことかよ!
つーかこの世界ってカツ丼あんのか!?)
あまりの不意打ちと、過去の戦闘の記憶で混乱した上条は次の言葉が出ない。
それに対し、ウサコは落ち着いてカツ丼を食べ終えてから、上条の姿を認識すると、
相も変わらず淡々とした口調で
>「あっ、お前はあのときの、私の胸を揉みしだいた奴だろー」
爆弾発言をかました。
「んな!?……い、いや違うんですよ皆さん?わたくし上条当麻はこのちっこいのと
相対していたらなんか後ろから鳥がぶつかってきてそのまま……じゃねえ!
捕まった大魔王の側近ってお前かよ!」
フリーズ状態から立ち直り、味方からの言い知れぬ冷たい視線にカタコトな弁解を
始めていた上条だったが、何とか平静を取り戻し、ウサコによって語られだした話の内容を吟味する。
その話の内容は多岐に渡り、興味深いものから理解できない物まで多々あった。
炎を使う鳥、石というキャラクターとその仕組み、魔術を使えない魔王。
そして、大魔王の目的は世界を滅ばす事……
聞きたい事は多々あるが、上条はその中でも自分が最も気になっている事を聞くことにした。
「……なあ。そもそも、なんでその大魔王って奴は、世界を滅ぼそうなんて
物騒な事考えてやがるんだ? 俺はこの世界に来てまだ日が浅いから良くわかんねえけどさ、
お前を見てると、大魔王側の奴の全員が全員そんな物騒な事をしたがる奴じゃないんじゃ
ないかって、そう感じる。 話し合えないのか?話し合って、俺達も、大魔王側も、
これ以上、誰も傷つかないで終わらせられないのか?」
一行は捕虜と面会するため、城の廊下を進んでいく。
改めて、先程のポップの様子を考える。
−−ポップ殿は、やはり戻らないのだろうか……?
ふと、気配を感じた気がして、振り返る。だがそこには、誰もいない。
アヨガン城の内部は、オロッパスとも違う建築様式に見えた。
異世界から召喚された者達の、技術や文化が混ざり合っているのだろう。
機能的な作りは、前線で幾千の戦いを経てきた戦城の風格がある。
−−召喚された者達と、この世界の者達とを繋ぐ架け橋となろう。
王の信頼の言葉を思い、決意を固め直す。
見張りの兵と礼を交わす。態度からも、兵達の緊張が伝わってくるようだ。
扉が開かれ、薄暗い聴取室の中に捕虜の姿が浮かび上がる。
「あなたは…」
忘れもしない。この世界に来て出会った、最初の襲撃者の一人だ。
ウサコはこちらには目もくれず、猛然とカツ丼と格闘している。
その、妙に滑稽な光景に緊張の糸が切れてしまう。
だが、先程フェルが言った通り、油断はできない。
魔王軍の実力と強かさに、幾度も苦戦させられてきたのだ。
ウサコはこちらの様子に気付くと、捕虜とは思えない平然とした態度で喋り出す。
「胸を…?」
悪いとは思いつつも、微妙な表情を浮かべながら
無意識に上条に生温い視線を送ってしまう。
ウサコは思いの外、あっさりと情報を提供してきた。
この世界の者が、大魔王に対抗する為に行う召喚術こそが、
大魔王が“石”を手にする為の計画の内だという事。
召喚に使われた“石”という存在の特異さも、朧気ながら浮かび上がってくる。
…そして、“鳥”と呼ばれる側近の存在。
逆に言えば、理解できたのはその程度だ。
ただ、ウサコが大魔王よりも“鳥”を恐れる事からも、
“鳥”の実権はかなり大きいようだ。
−−注意すべき相手だな。
そして、上条が核心に迫る問いを投げかける。
何世紀にも渡る計画で、破滅を望む動機。
強大な兵力を持ちながら、“石”の力を重要視し、自ら手を下さない理由。
この世界でなければならない理由。
ランカムも、質問を発する。
「あなたがたの城で、捕虜を幽閉するとすれば、場所は?」
やはりリーベルの事が気になる。
しかし。
−−ウサコはこの後?
交渉材料?
の線は薄い。本人が戻れないと言うのだ。“鳥”は見捨てるだろう。
ではこのまま?
仲間を殺された兵達は納得するだろうか。処刑、という事もありえるのだ。
>32、>34
>「っ・・・!うぬ・・・」
>「ご婦人の時間ならば我ら男は退出せねばならんですな。
>「おおう。まあそれならばしかたがない。
> 赤屍よ。この場はルミナにまかせ、我々男は退出しようではないか」
今までに何度分の悪い賭けを行い、これから何度分の悪い賭けを行わねば
ならないのか……今回も何とか賭けに勝つ事が出来た。日頃の行いの差か
それとも……どちらにせよ、大佐を退かせたのは大きい。
それに倣うように紅竜も一緒に部屋を出て行った……
ドアが閉まり、靴音が遠ざかったのを確認してから溜まった息を吐き出す。
「はー……とりあえず、事態を収束させられました。
半分出任せだったのですが、何でもやってみるものですね。
……とは言え、いい機会ですから本当に湯浴みをしたいのですが、
ルミナさん、よろしいですか?」
>34
「ほう、これは素晴らしい。紅竜さんの世界のもので?」
リーベルの部屋を退出した後、ムーミン大佐は紅竜の部屋に来ていた。
召喚戦士にあてがわれた部屋は豪華で広かったが、この部屋はそれを全く感じさせない。
所狭しと並べられた機材や実験器具。
どれもムーミン大佐の知識には無いものばかりだった。
中でもひときわ目立つものが部屋の中央に置かれていた。
「珍しいものがありますな。これは・・・?」
それは巨大な水槽。
中には一匹の巨大な蜥蜴が眠っている。
これが元はドラゴンだったといわれて誰が信じられるだろうか?
珍しそうに水槽の中を覗き込んでいる。
>37
>話し合いでは解決できないのか?
「お前を見てると、というのが気になるが、まあいいだろー」
ウサコは少し不満そうではあるが、質問に答えるようだ。
「大魔王様は、世界を滅ぼす事は目的の為の通過点に過ぎないと言っていただろー。
そうまでして何が目的なのかは、大魔王様しか知らないだろー。
ただ一つ言えることは、大魔王様と話し合いをしたいなら、
大魔王様の城に直接乗り込んで、あの『鳥』を薙ぎ払い、直に会うしか無いだろー」
「しかし、お前はウィザードとして、どこかズレてるだろー。
普通のウィザードなら、世界を滅ぼそうとしてる魔王が居たら、事情なんか聞かずにフルボッコにするだろー。
だが、お前には、その冷徹さが無いだろー。そのうち、それが仇になるだろー」
ウサコは時間と空間を操る魔王だ。多少なりとも先の事を知っている可能性はある。
故にこの忠告には信憑性がある。
「そもそも、お前は私を甘く見過ぎだろー。
私は裏界の魔王だ。元から人間と分かり合おうとは思っていないし、今でも世界を滅ぼそうと思っている。
ただ、初代星の巫女みたいな便利なアイテムが無いから、ちょっと自粛してるだけだろー」
>38
>捕虜の収容場所
「大魔王様は基本的に捕虜はとらないだろー」
ウサコは薄ら笑いを浮かべて国王の方を見た。
国王は渋い顔をしているが、それがウサコの言葉が真実である事を物語っていた。
「だが、大魔王様はリーベルを高く評価していたから、きっと味方に引き込もうと考えているだろー。
多分無事だろー。大方、貴賓室辺りにでも居るだろー」
>ウサコはこれからどうなるの?
国王はそれから、大魔王自身の能力等に関することを問い詰めた。
だが、大魔王自身がどのような力を持っているかはウサコも知らず、
やがてウサコが自分の知っている事を全て喋ったことを悟ると、国王は声を張り上げた。
「引っ立てい!」
その命令に従った衛兵達は、ウサコをずるずると引き摺ってゆく。
「今回は私の負けだが、私は滅びぬ。何度でも蘇るだろー。
お前達が大魔王様に殺されなかったら、今度こそ私が勝ってみせるだろー」
ウサコは引き摺られてゆくとき、悔し紛れに負け惜しみを言う生意気な子供みたいな表情で、しかしやはり棒読みで言った。
>34>40
紅竜とムーミン大佐が研究室へ向かう途中の道で、変な生き物が廊下を歩いているのを見かけた。
それは大魔王の居城の雰囲気にはおよそ似つかわしくない、縫いぐるみじみたファンシーな姿をしていた。
兎に似ているが、体長はおよそ1メートル程度で、身体は丸々としており、双眸は大きく丸く、また二本の足で歩いている。
どうやら、彼(彼女?)はリーベルが居る貴賓室に向かっているようだった。
また、筋骨隆々とした体格の、いかにも怪しい覆面の大男も一緒に居た。
変な生き物もそうだが、見ない顔だ。
覆面以外にはビキニパンツと長靴、皮手袋、あと武器の斧しか身に着けていない。
よく鍛えられて発達した筋肉を惜しげもなく晒している。
まさしく怪人と呼ぶに相応しい男だったが、不思議なことに、ここまで怪しい格好をしていても、到底悪人には見えない。
まあ変態には見えるが、大魔王軍側の戦士達の多くが身に纏っている、あの悪のオーラが無いのだ。
とはいえ、変態にしか見えないので近寄り難いことには違いない。
それに対し、変な生き物は、やはり変な生き物だった。
生物としておかしい。見ただけでは骨格がわからない。
驚いたことに、この生き物は喋るようで、何か話している。
「作戦指令書はよく読んでおいてね!」
と言っているのが聞こえた。間延びした、アホっぽい声だった。
まだ細かな作戦指令書は渡されていないが、次の作戦の内容は、先に『鳥』が説明していたとおりで間違い無いのだろう。
すなわち、「今回のアヨガン国での戦に関わった召喚戦士を全て抹殺せよ」とのことだ。
変な奴らは、そのままリーベルの部屋へ向かっていった。
>39
トントン、とドアを叩く音がした。
ドアの向こうから二人分の気配を感じる。
「開けてー、開けてー」
そのような、間の抜けた声が聞こえる。紅竜とムーミン大佐ではないようである。
捕虜がいるということでついてきた黒狐であったが・・・
扉を開けた直後のやりとりでいろいろと機先を制されてしまった。
>「あっ、お前はあのときの、私の胸を揉みしだいた奴だろー」
皆が冷たい視線を向ける中で、特に黒狐は絶対零度の視線をざくざくと
言い訳に走る上条の背中に突き刺している。
・・・・・・ともかく、魔王ウサコがあらかたの情報を喋った後
ウサコがひったてられていった後の尋問部屋に妙な沈黙が落ちた。
「若さゆえに女性を押し倒すのは分かりますがさすがに魔王にまでするのはどうかと・・・・・・
あぁ、いえそういうことじゃなく。ともかく、恐らくは現時点で大魔王側と交渉の余地はないように感じますね
あのウサコという魔王も同様、話が通じたとしても交渉の余地を感じない・・・。」
そこで黒狐は上条の方を見る。若干殺意にも似た怒りを瞳に込めてだ。
「貴方が非現実だと断じる事にいくつか触れてきたようですが・・・。
その大半は『人間』による物だったんじゃないでしょうか。
今回の相手は『人間』ではありません。見た目がどれ程似ていようと、精神構造からして違う。」
「それに・・・もし万が一交渉の果てに戦争が終わったとしても
あの魔王によって殺された人の親類や縁者達はどうあっても許せないでしょう・・・。
交渉と平和への道は・・・・・・少なくともそういった人達の意思を踏み潰さなくては達成できない。」
最も、一般人であるはずの貴方にそれを求めるのは酷かもしれませんが。
そういい残して黒狐は退出した。国王に宛がわれた自室へ向かう為に。
>>40 >「ほう、これは素晴らしい。紅竜さんの世界のもので?」
「私の世界とは少し違うな。私は以前にも別世界に召喚された事があってな‥‥
これは、その二つの世界の技術を融合した新たなるものよ」
紅竜は元の世界の科学技術と、以前いた真なる太陽系と呼ばれる場所の魔法科学を合わせた、
独自の理論体系と技術を発展させて、その集大成と呼べる物をこの部屋に集めたのだ。
>「珍しいものがありますな。これは・・・?」
ムーミン大佐は、特にポチを入れてある水槽に興味を引かれたようだ。
「上条の持つ『幻想殺し』を解明できないかと考えてな。
ドラゴンがどのような影響を受けて蜥蜴になってしまったのか、調べているのだが‥‥
対抗理論の研究にはもう少しかかりそうだな」
いかに紅竜が天才とはいえ、まったく未知の現象を調べるのは時間がかかる。
方向性は見えてきつつあると思えても、すぐに仮説を否定する実験結果が出てくるのだ。
「さて大蜥蜴ばかり見ていても楽しくあるまい。
本当はアヨガンの召喚戦士どもに、降伏勧告をしてやろうと考えていたのだが‥‥
せっかく盗聴のないこの部屋に来たのだ。
我々がいない間に、リーベルとルミナがどんな会話をしたのか、聞いてやろうではないか」
紅竜が水晶玉が付いているキーボードを操作すると、スピーカーを通して赤屍の声が部屋に響きわたった。
>「では、私の話の前に、貴女の話を聞きましょうか?」
「私がリーベルの部屋に置いてきた下僕アンテナには、マイクが付いていてな。
そのマイクが録音している記録を再生すれば、奴らがなにを企んでいるかわかるというものよ」
下僕アンテナの性能を自慢している間も、部屋での話は進んでいく。
リーベルが赤屍に運び屋の仕事を依頼したときは、まずいことになったと思った。
だがルミナが部屋に入ってきたことで状況は好転する。
>「……だから、この依頼は私が受ける。まぁ…探偵がするような仕事じゃねぇがな。そのかわり…だ。
> あの石について、洗いざらいしっかりと話して貰う。それで文句ねぇよな」
>「……その『石のような物体』が私の知っている物と同一と言う保証はありませんが……
(中略)それはただの石ではなく、何がしかの意思と計り知れない力を確かに宿していた……
その意思は、そこに生きる者に何かを望んでいた様に感じたのを覚えています。」
「くっくっくっ‥‥ふはははは!!あの石が『意志』を持っているだと!?」
なおもリーベルの話は続いていたが、紅竜はもう聞いてはいなかった。
「おおう、ムーミン大佐よ。
私はやはり支配者となる星の元に生まれてきたようだぞ。
私の下僕装置はたとえ石であっても、『意志あるもの』なら操ることができる。
あの石を下僕にすれば、もはやこの世界も私のものよ!」
45 :
名無しになりきれ:2008/03/19(水) 00:46:28 O
こうが
46 :
佐藤ルミナ:2008/03/19(水) 02:45:20 0
おれの名前つかっとる奴でてこんかいやー
尋問を終えた後に残ったのは、より多くの疑問だった。
大魔王の目的。滅びの“その先”に一体、何があると言うのだろうか。
“鳥”の実力は未知数だが、敵本拠地という事もあり、
これまで以上の激戦は確実と思われる。
全面対決となれば、個人の力量は誤差でしかない。
魔王軍の圧倒的優勢を突き崩すには、どうしても
それを指揮する将との直接対決は、避けられないだろう。
和平交渉にしろ、全面対決にしろ、成功の可能性は高くない。
−−貴賓室、と言っていましたか。
幾度も作戦を練り直すものの、やはりリーベル奪回に戦力を割くのは難しい。
現状でも、最低限の戦力しか無いのだ。
−−こちらの戦力は、魔王軍側にも伝わっている筈。
王は先に、間者の可能性を示唆していた。
−−そこを逆に利用できないだろうか。
大規模な派兵だからこそ、全体の動きに紛れて
末端の動きを悟られにくい可能性がある。
「上条殿、オロッパスの防衛力はどうなっていますか?」
黒狐と戯れる上条に、それとなく探りを入れる。
オロッパスは未だ、復興の途中にある。
そして、この作戦に参加する事は、死地に赴くも同じ事だ。
まず生きては帰れない、決死隊となるだろう。元より期待はしていない。
−−ん? そういえば、あの時も?
上条が駆けつけた時の事。
逆光でよく見えなかったが、思い出してみると、
彼は同乗した女騎士の体に、必要以上に触れていた気がした。
「……」
−−神よ、上条をお救いください。
そっと、上条に向けて十字を切る。
−−しかし。
ひとつ、ため息をつく。
「ポップ殿がいれば……」
誰にも聞こえないほどの小声で呟き、歯噛みする。
今こそ、彼の頭脳が必要な時なのだ。
窓の外を見れば、今は動かないゾディックの威容が横たわっている。
−−よく勝てたものだ。
周囲の薙ぎ倒された木々と深い足跡の列は、
恐らく魔王城へと続いているのだろう。
「私達も、休息をとりましょう」
自室へ向かう黒狐の背を見送りながら、その瞳は遠くを見つめていた。
翌日、一つの文書が国中に撒かれる。
「リーベルとウサコの身柄交換を要求す」
“鳥”はウサコを見限り、交渉に乗りはしないだろう。
だが、それで良い。リーベルの生存確認が目的だ。
そして僅かだが、ウサコの処遇への同情も含まれている。
更に相手の兵も、捕虜となっても助けて貰えないと知れば士気は下がる。
戦いは静かに始まっていた。
>>41,,43
「っ……」
上条は、皆が去った後もその場に立ち竦み、
ウサコと黒狐の言葉を俯きながら思い返していた。
何も言えなかった。
魔王と呼ばれる物と、人間の考え方は大きく異なる。
ウサコは人間と分かり合う気は無い。
そして、人間はウサコという存在が生き残るという事を許さない。
それは紛れも無い事実だろう。
黒狐の言っている事は正論であり、ウサコの言葉にも嘘はない
だったら、この結末は仕方ない事だったのだ。
……けれど、けれど、本当にそれでいいのだろうか。
憎しみを憎しみで埋めるような事を、
間違っていると思ったものを間違ったまま終わらせてしまう事を
上条当麻は認めるのだろうか。
「……んなわけねぇだろうが!」
立ちすくんでいた上条は、駆け出した。向かう先は、王の部屋。
(馬鹿か俺は!存在の違いだとか、憎いから殺せだとか
そんなもんで判断するなんて間違ってるに決まってる!
分かり合えないなら、分かり合えるまで話せばいい!
罪があるなら、それは生きて償えばいい!!
殺して終わらせるなんて、間違ってるに決まってる!!)
王の部屋に辿り着いた上条は、衛兵に話をして王の部屋の中に通してもらい、
中にいた国王に一つの事を頼み込んだ。
その内容は、魔王ウサコを殺すのではなく、その力を封じ、
自分のいた世界に連れて行く事にして欲しいという事。
そして、その条件として、自分は全力でこの戦争を終える事だった。
>48
上条が国王に掛け合ったところ、すぐに返事は返ってきた。
「ウサコの力を封じ続けるのは無理だ。
それに、ウサコは大魔王が行った召喚魔法で現われた存在だ。
召喚術式の違いゆえに、ヤツを元の世界に送り返すことはできない。
何より、処断しなければ兵士や民も納得しない」
国王の突きつけた現実は冷たかった。だが……
「しかし、お前がそこまで言うのなら、ウサコの命は助けてやる。
だが、その魔王の面倒はお前が見ろ。当然、監視も込みだ。
逃がしたり、ましてや反旗を翻されたりするようなことがあれば―――責任を取ってもらう」
別段、ウサコに情けをかけた様子はなかった。
何より、彼自身がウサコを殺したかったのだろう。
だが、召喚戦士の頼みは断れなかったのか、上条の他の戦士と違う考えに興味を持ったのか。
理由は不明だが、ものの、ウサコの助命嘆願は通った。
更に国王は、一言二言付け加えた。
「魔王ウサコは多くの兵を殺し、多くの人々の恨みを受けている。
兵や将と揉めたくなければ、ウサコが生きている事は隠せ」
「自分の言った事に責任がとれないとは言わせぬ。
必ず最後までやり遂げよ。この戦いに終止符を打ってみせるのだ」
国王は踵を返して寝室へと向かった。
その晩のこと。
ヨガン国に居る召喚戦士達の頭に、神秘的な声が響いた。
『私は、お前たちが正しき道を歩む事を祈っている。
いつの日か互いに理解し、共に歩める日が来ることを信じている』
>44
『石のような物体』は、大魔王の玉座の間の近くの宝物庫に納められている。
将兵達の会話の内容等を記憶から探ってみると、そのような情報がもたらされた。
ムーミン大佐の持ち帰った『石のような物体』は相当な大きさだった。
これが宝物庫から動かされることはまず無いだろう。
>44
紅竜と共にリーベルの部屋でのやり取りを聞いたムーミン大佐。
それは驚くべき内容だった。
リーベルの企み。
ルミナの裏切り。
そして『石のようなもの』の情報。
それを聞き喜ぶ紅竜に応えるようにムーミン大佐は不敵に笑う。
「くくくく、これは面白い事になりましたな。
偽者騒ぎもルミナの仕業と見て間違いないでしょう。」
ゆっくりとパイプタバコをふかし、大きく煙を吐き出す。
そして・・・
「こうなったからにはあの二人はもはや用済み。下僕にする必要もなくなった。
このまま泳がせておくのがよろしいでしょうな。」
情報により『石のようなもの』が意思を持つものであることがわかった。
それは紅竜の下僕アンテナで操れる事にも直結するのだ。
とはいえ、問題はそのタイミング。
ポケットに入れて持ち運べるものでも無し、当然のように警戒もされている。
しかし・・・
近く敵の総攻撃があるだろう。
撃退するのは容易いが、召喚戦士たちをあえて引き入れることにより混乱を生じさせられる。
魔王軍から『裏切り』が出ればなおの事、混乱は助長される。
その混乱こそが、紅竜が『石のようなもの』を手に入れるチャンスとなるのだから。
「となると・・・少々まずい・・・か?」
と、なると、先程すれ違った二人が脳裏に浮かぶ。
彼らは会話をしていた。
>「作戦指令書はよく読んでおいてね!」
と・・・
すなわち、召喚戦士を全て抹殺せよ・・・これを実行しようとしているのだ!
今はまだ殺させるわけには行かない。
さりとて、それを自然に止める名分もあるわけでもないが・・・
下手に止めるわけにも行かず、さりとてこのまま殺させるわけにも行かず。
方針が決まらぬままムーミン大佐は走り出していた。
頭の中で刻々と変る状況と計画を練り合わせながら!
52 :
名無しになりきれ:2008/03/23(日) 15:27:44 O
バンブーブレードのたまちゃんに惚れて
俺、自分の金玉にたまちゃんってあだ名付けた
起きた時に、おはようたまちゃん
寝る時に、おやすみたまちゃん
オナニーする時に、よろしくたまちゃんって言うんだ
これでいつでもたまちゃんといっしょだ
53 :
ツインテール:2008/03/23(日) 16:39:46 O
香ばしいスレ発見♪
54 :
名無しになりきれ:2008/03/23(日) 16:48:52 O
55 :
名無しになりきれ:2008/03/23(日) 16:54:04 O
∧_∧( プー )
(・ω・`)ノノ〜′
(⊃⌒*⌒⊂)
/_ノωヽ_)
56 :
名無しになりきれ:2008/03/23(日) 16:58:07 O
『ゴーダンナー』の燃え、『レモンエンジェル』のB級ティスト、そして舞台は『H2O』のカオスへ
友達、家族、様々な人と人との絆を描く枕の人気ゲームがTVアニメ化決定!!
子作りは、『あは☆』、『こんな可愛い子が女の子の訳がない』などの明言を生み、心を込め常にこだわりをもって女装スタイルを世に送り出す
はまじが担当。村民たちの気持ち・行動・そして暖かいじじいの表情が、涙と笑いの中に丁寧に描かれる。
■
57 :
名無しになりきれ:2008/03/24(月) 00:10:54 O
終了
58 :
名無しになりきれ:2008/03/24(月) 01:23:03 O
埋め
59 :
名無しになりきれ:2008/03/24(月) 02:25:15 O
フユキ死亡確認
カスリードは何をしたかったんだ…
60 :
名無しになりきれ:2008/03/24(月) 02:28:53 O
61 :
名無しになりきれ:2008/03/24(月) 07:14:38 O
62 :
カイザー:2008/03/24(月) 07:33:53 O
あははははははははははははははははははは
このスレは今から俺のもんだ!
63 :
名無しになりきれ:2008/03/24(月) 08:01:16 O
64 :
名無しになりきれ:2008/03/24(月) 08:03:27 O
埋め
65 :
名無しになりきれ:2008/03/24(月) 08:03:59 O
埋める
66 :
ツインテール:2008/03/24(月) 08:22:44 O
TRPGってただのごっこ遊びだろ?
小学校低学年で卒業しろっての
67 :
名無しになりきれ:2008/03/24(月) 08:24:16 O
なりきり板でそれを言うか
69 :
名無しになりきれ:2008/03/24(月) 08:59:32 O
はげしくどおい
という訳でこの板をもう少し有意義な板にするためにはどうすればいいか話し合いたいと思います。
71 :
名無しになりきれ:2008/03/24(月) 09:11:49 O
ツインテールのツリ目のツンデレになればいいと思うよ
72 :
ツインテール:2008/03/24(月) 09:31:16 O
>>71 その程度の煽りしか出来ない連中ばっかだからこのスレ(つーか板全体)が過疎るんだよ
73 :
名無しになりきれ:2008/03/24(月) 11:35:08 O
74 :
名無しになりきれ:2008/03/24(月) 11:51:05 O
クズコテの隔離板として有意義に使われているじゃないか
75 :
運金 ◆EZeOl/58v2 :2008/03/24(月) 17:21:01 0
運金に直訴しておいでよ
ルミナにお姫様抱っこされて浴室まで連れて行ってもらったリーベルだったが、
浴室は見た事のない物がいくつも添え付けられていた。有体に言えば
蛇口にシャワーホースとヘッド、バスタブは全自動式でおおよそファンタジーとは
かけ離れた代物。それを見て戸惑っているリーベルに対しルミナは達者な口笛を吹きながら
蛇口を捻りシャワーを出し始めた。どうなっているのか説明してもらおうとしたが
ルミナは腰から魔銃を取り出して別な事を話し始めた。
「その手枷を外すよ、つってもあたしにそんな本格的な鍵開けスキルないから
繋ぎ目をこいつで吹っ飛ばすんだけどさ。音がでかいからシャワーの音で紛らわさないと
ばれちまうからね。いいかい、動くんじゃないよ……っ!」
シャワーの音に混じって僅かに響く銃声が二つ、目論見通り手枷は外れた。
……丁度いいと、リーベルは握り締めていたドライアードの種を飲み込んだ。
活力が全身に漲るのを感じる、切れた腱もすっかり元に戻った。
魔力の方は……本来のレベルまで回復するのには多少時間がかかるだろうが
今の状態でも簡単な魔法なら使える……それほど長い期間そうしていた訳でもないのに
ひどく懐かしく感じてしまうのは、現金なのだろうか?
>42
>トントン、とドアを叩く音がした。
>ドアの向こうから二人分の気配を感じる。
>「開けてー、開けてー」
>そのような、間の抜けた声が聞こえる。紅竜とムーミン大佐ではないようである。
さて本格的に風呂に浸かろうかと思った矢先、部屋のドアがノックされる音が聞こえた。
続けて耳に届いた声は……聞くものを容赦なく脱力させるようなそんな声だった。
嫌な予感を感じつつも、応じない訳にはいかないので部屋の椅子に座り直し……
手には壊れた手枷と鎖を持って返答する。
「鍵はかかっておりません、どうぞお入り下さい。」
リーベルはウィスプを使って今も自分が手枷を嵌められているように見せかけた。
焦点をずらすと物がぶれて見えるのだが、ウィスプの力で光の屈折を意図的に
発生させて錯覚させる、至極単純で初歩的な魔法である。
それゆえに行使する力が少なく、結果的に精霊の力が働いていると看破され難いのだ。
近くで見ていたルミナでさえ手枷を嵌めている様に見えているらしく怪訝そうな表情だ。
>>79 GJ!
ファイルシークで拝見させて頂きました。
こうやって目に見える形にして貰えるとイメージが膨らみますね。
>>51 >「くくくく、これは面白い事になりましたな。
偽者騒ぎもルミナの仕業と見て間違いないでしょう。」
>「こうなったからにはあの二人はもはや用済み。下僕にする必要もなくなった。
このまま泳がせておくのがよろしいでしょうな。」
「おおう。泳がせておくのか‥‥それも良いな」
紅竜としては石の情報をあまり知られないよう、リーベルだけでも始末しておきたかったのだが、
ムーミン大佐が言うように生かしておく利点も決して少なくはない。
こちらが裏切りに気付いたことを、わざわざ教えてやることもないだろう。
>「となると・・・少々まずい・・・か?」
「あの妙な二人組か。リーベルを始末するような事を言っていたが‥‥」
情報も得られないうちに捕虜を殺すことはないだろうと思っていたが、
側近の鳥は大魔王には隠れた目的があると言っていた。
目的によってはリーベルを殺し、脳から直接石のようなものの情報を吸いだそうとする可能性もある。
リーベルを利用するためにも、石のようなものの情報を活用するにも、それは避けたい事態だ。
「おおう!こうしてはおれん!私も行くぞ!」
走り出したムーミン大佐を追いかけてリーベルの部屋に向かう。
「そこの二人、捕虜を殺すのはまてい!」
そしてリーベルの部屋に到着した紅竜は、扉を蹴り開けて中に踊り込んだ!
>>81 見てからレスしろよ…
何でもブラクラだと決め付けるのは良くない
少なくとも>79が言っているものとは別物なのは確かだな。
つーか>79と>80はj(ターン!
マジレスすると(ターン!は必要ない
ずっと俺n(ターン!
TRPGやるような輩は今頃モンハンやってるn(ターン!
あああ
91 :
名無しになりきれ:2008/04/04(金) 18:10:47 O
完走おめでとう
92 :
名無しになりきれ:2008/04/05(土) 21:23:53 O
乾燥おめでとうございます
93 :
八戸のぶなが ◆Vr3fAUIftk :2008/04/05(土) 21:33:31 O
(,_´ゞ`)私も酸化させてもらおう
侍だ
95 :
八戸のぶなが ◆Vr3fAUIftk :2008/04/05(土) 21:57:17 O
(,_´ゞ`)それは無礼ではないか!
96 :
名無しになりきれ:2008/04/05(土) 22:52:04 O
感想記念あげ
98 :
名無しになりきれ:2008/04/06(日) 00:53:56 O
完走ぉめでとー
拡張子wwwwwwwwwww
ある世界で起こった異変は、徐々に他の世界へと感染し始め、このままでは全て世界は崩壊するだろう。
世界を救えるのは………
その男は、死に続けるという呪われた運命から逃れる為の術を探し、そして、死んでいた。
ある日、その男が目を覚ますと見覚えのある一室にいた。
男はその時、喜びに打ち震えた。
ここに救いがあると信じて…、だが、それは地獄の始まりでしかなかった。
今までの死に方のほうがマシだと思えるほど惨たらしい死に方を彼は気が遠くなる繰り返しせざるおえなかった。
彼の新しい物語は、丁度そこでの死が10000回になってから再び動き始める。
「………また、俺は死んでしまったのか」
瞳を閉じたまま、仰向けになって男は呟く
その声に覇気はなく、怠惰の感情しか残されていない。
ゆっくりと男は上体を起こし、瞼を開ける。
「?」
いつもならこの辺りのタイミングで、あの忌々しい吸血鬼か嫌みな漫画家が「また死んだのか」と皮肉を言ってくるはずが、今回は其がない。
「……ッ!」
それもそのはずだ。居るわけがない。
ここはあの部屋ではなく、別の部屋なのだから
男はまず周辺を確認した。
どこかのマンションの一室であることは辛うじて判明した、何せ今居る部屋には家具が一切なく、その変わりにと黒曜石で作られたような巨大な珠が1つあるだけだ。
窓を開けようとしたが、自身がまるで幽体にでもなったかのように手がノブをすり抜けてしまう。
「……俺は次にどう死ぬんだ」
そう呟く男の表情には絶望が色濃く出ていた。
【名前】ディアボロ
【性別】男
【種族】人間
【年齢】30代
【容姿】ピンクの長髪に緑の斑が入っている、オッサンにしては引き締まった体、網網の上着
【特技】スタンド能力
【持ち物・装備】 ピッツァ、カエル
【キャラ紹介】
ジョジョの奇妙な冒険第五部のボスで、主人公から死に続けるという呪い(正確には違う)をかけられた哀れなオッサン
因みにスレ内の彼はフリゲーム「ディアボロの冒険」後という設定である。
106 :
名無しになりきれ:2008/04/29(火) 20:31:37 O
新章突入アゲ
〜完〜
108 :
名無しになりきれ:2008/05/19(月) 18:35:55 0
新しくTRPGスレッドを建てようと思う。ルールなどおかしなところについて指摘して欲しいです。
西暦20XX年、死刑が廃止され、終身刑に一本化され、により刑務所は過剰収容状態になった。
今のところ、暴動などは起きてはいないが、刑務官によるイジメが多数発生し、問題になっている。
これに頭を悩ませた政府は『凶悪犯即時死刑にかんする法律』を新たに制定した。
凶悪犯即時死刑にかんする法律
第一条 強盗、強姦、殺人などの凶悪な犯罪を犯した者はは刑法などの定めによらず司法官吏が命を絶たねばならない。
第二条 殺すかどうかの決定は裁判官が行う
第三条 手続きについてはベット定めるものとする
第四条 自殺を目的として殺人、強盗、強姦などの凶悪な犯罪を犯した場合、刑法などの定めなくして殺すことは出来ない
第五条 法務大臣の決定を待たず殺した場合、罰金もしくは科科とする
第六条 自殺目的の凶悪犯を殺した場合も第五条と同様とする
第七条 決定に際し圧力をかけた場合、罰金もしくは科科、懲役1年から20年とする
即時死刑の対象者選別に関する通達
1.対象となる凶悪犯の存在を認知
2.書類を検察官に上げる
3.その書類を裁判所に提出し、証拠物件も同時に提出する。2〜3の手続きは遅くとも1ヶ月以内行わなければならない
4.事実認定を裁判所が行い、犯罪を行われたと認識された場合、殺すことが出来る。
認定が成されなかった場合は殺すことは出来ない。
この法律により、凶悪犯罪は激減した。しかし、それと共に警察官を付けねらう組織が生まれた。
警察官によって両親を失った子供、この法律に異議を唱えるもの、冤罪なのに付けねらわれるもの。
こういう人たちが集まり、警察官狩りを始めた。
【ルールとかお約束】
・進行の仕方はTRPGと同じです。
・ロールがなされた場合、次の人は1週間以内に続きを書くようにしてください。仕事などの事情で待たせる場合は事前に連絡をするようにしてほしいです
・決定リール、確定ロールはなし。
・パワーバランスに関する制限はなし。核爆弾や汚い爆弾を使用することも出来ます(その場合、自衛隊が動くことになります)
・ただし、この世界にいるのは人間と動物のみです。魔法使いや悪魔などのキャラクターを出すことは出来ません。
【テンプレート】
名前:
性別:
年齢:
容姿:
特技:
装備:
キャラクター紹介:
109 :
名無しになりきれ:2008/05/19(月) 18:36:31 0
死は常に生者の隣人である。
生まれた瞬間から死に向かって時は進み、誰にでも分け隔てなく、そしてあっけなく訪れる。
あなたは生を受け、様々な経験を経て生き、能力を得て、そして・・・死んだ。
望んで、望まなくて、生き様、死に様、様々な過程は経ただろう。
だが唯一つ共通していえることは【あなたは死んだ】という事だ。
そう、死の瞬間は鮮明に脳裏に焼きついている。
しかし・・・今あなたは不思議な空間にいる。
色彩も障害物も何もないただ広い空間。
戸惑いに応えるかのように突然現われる黒い球体。
黒曜石で作られているかのような妖しい艶を醸す球体は、現われたときと同じように突然変化を見せる。
球体の表面に文字が現われた。
【あなたは死にました。
ここは生と死の狭間です。
死んだあなた達を私が拾ったのです。
これからあなた達には【敵】を倒してもらいます。
敵を倒せたら元の世界に死ななかった事として戻してあげます。
まだ他にも死人は来るので暫くお待ちください。
人数が揃ったら敵を表示し転送します。
敵を倒して生き残った人だけここに戻り、現世に戻るかこのまま戦いを続けるか選ばせてあげます。
それでは暫くお待ちください。】
メッセージを表示したまま意思は沈黙する。
そして・・・
【版権あり】召喚戦士達の戦い外伝【TRPG】
〜 てめぇらの命はなくなりました 〜
GM:なし
決定リール:なし
○日ルール:なし(出来るだけ早めに)
版権 :あり
名無し参加:あり
敵役参加:あり
テンプレ
【名前】
【性別】
【種族】
【年齢】
【容姿】
【特技】
【持ち物・装備】
【キャラ紹介】
[版権キャラの使用の際は判りやすいよう出展作品を明確にすること]
同じ世界であって同じ世界ではないとある分岐点でのお話。
その少年は常に一人だった。生まれ持った能力ゆえに恐れられ、疎まれた。
少年は何の前触れもなくある男と出会い、そしてその男に彼は拾われる。
その少年は男に憧れ、尊敬し目標として目指した。そしてそれから十年後、
男――エミヤ――はある男の策謀により死に、それが彼の波乱の人生の幕開け
であった。
数年後、少年は男の仇を取る。大事な人達と世界に存在できるという資格と引き換えに。
世界を永遠と回り続けるという、忌まわしき呪いを刻まれるものの、元の世界に確固たる意志と
自分待っててくれている人のためにも必ず帰るという約束が彼を成長させたのかもしれない。
少年―――はたくましい青年に変わっていったが変わらないものが1つあった。
己の正義を貫く事。
青年はその正義を貫き通したその度に殺すことに磨きが掛かっていった。
何千回、何万回、数えるのがバカらしくなるほどの世界を回っていたその時、青年は死んだ。
その散り様はひどくあっけなかった。