>202
>「つまり、君達は僕と組みたいと?そういうことだな?うん、いいぞ。だけど…裏切るなよ?
> あとちゃんと二倍にして返すんだぞ?約束だ。」
「自分から組んで欲しいって言ってるのに裏切ったら…凄く、気分悪いしね。」
そうでなくともグレイズは裏切るようなことは出来ないが。
とりあえず話も纏まったし、本題へ。
>「よし、いいか。僕達はこれからリリアーナという奴とメラル・エルディーンのペンダントを
> 奪わなければならない。あの二人をゲームオーバーにすれば森の奥にいる
> いけ好かない奴が溜め込んでいるペンダントをくれる。」
「(ふむふむ、メラルさんとリリアーナさんのペンダントを奪えば……へ?)」
そこで思考はストップする。
リリアーナ。
自分の目の前でカドゥケウスを使い、ロックとの熱愛が噂されている、あのリリアーナしかいない。
「(……まあ、どうせこれは…行事なんだし。別に大丈夫だよね…。)」
マオが校舎に歩き出したので、グレイズは横に並んで歩く。
ふと、マオが思いついたように質問する。
>「あ、そういえば君は名前とかあるのか?というか人格どのくらいいるんだ?
> 12人ぐらいいるとかたまにあるじゃないか。二人っていうのは逆に少ないっていうのも本で読んだぞ。」
どうやら多重人格と間違えられているらしい。
「えーっと、最初に訂正すべきところは…僕は、いや、僕達は多重人格者じゃない。
魂が3つあって、肉体を共有しているんだ。他の二人は近くに幽体…幽霊の体でいるよ。
で、数は3人。名前だってきちんとあるさ。」
少し先に出て、振り返って後ろ歩きをする。
「僕はグレイズ。風の魔法が得意で、人狼の特徴を一番受け継いでるんだ。」
ほら、という風に側頭部の耳を指差す。
「あとは最初に出てきてたグレイブ、出てきてないけど火の魔法が得意なグレイルがいるよ。
じゃあ、次はマオさんも自分の説明をお願いできるかな?」
>195
爪を立て、ほんの僅かキサラに傷をつけた瞬間、キサラは消えていた。
超反応と超スピードを以ってしての移動。
一瞬にして間合いを開けられたのだが、既に事は済んでいたのだ。
実の所、傷をつけた爪先からは麻痺できるほどの毒は抽入できていなかった。
それ程までに素早い反応だったのだ。
だが、本命の毒は別にある。
そう、匂い。
殆ど障壁を強化せず、耐性に頼って腐海を突っ切ってきた事に付け入った。
本来無色透明無味無臭が条件である暗殺毒。
だが、匂いという障害をつけてまで浸透性を強めキサラの耐性を凌駕したのだ。
キサラがどぎまぎしてしまったのは、ベアトリーチェの色香による物だけではなかったという事だ。
アンチトードを唱えようとしてそれもできずうずくまるキサラ。
ろくに動けないのを見て、ベアトリーチェは近づいていく。
薄暗い中、その表情が徐々に変わっていくことに気づくだろうか?
「ふっふっつふっつひひっひ・・・ぎゃっはっはっは!
ぶぁ〜か!この腐れチーズが。何を?じゃねえよ!」
先程までの緩やかな雰囲気などどこにもない。
粗暴で残酷な笑い声と共にうずくまるキサラの顔を蹴飛ばした。
恐らく、ソフィアだったらこのような扱いは受けなかっただろう。
キサカだったら微妙かもしれない。
これはキサラがキサラゆえに受ける理不尽な暴力なのだ。
ベアトリーチェは男には媚びるが女にはやたらと厳しい。
特に敵対していれば尚更である。
そう、キサラがあまりにも女顔で華奢なため、女として認識されているのだ。
同性ゆえの残酷さを味わう事になる。
転がるキサラの胸倉を掴み、軽々と持ち上げる。
いくらキサラが華奢だといっても、片手で持ち上げられる物ではないのだが・・・。
今は違った。
ベアトリーチェの右腕がぱっと見で二倍ほどに膨らんでいるのだ。
「ふへっ。わりいがドーピング済みだっZE〜。
安心しろよ、殺しはしねえよ。言ったろ?友達にほしいってなあ!」
軽々と振り回し、キサラを投げつけた。
投げられる先は漆黒。
夕闇に色をなくした湿原に向かって。
殺さぬ程度にいたぶった後、薬を投与して戦闘人形にするつもりなのだ。
>197
術式を展開し終えたメラルが、ようやくアルナワーズに返事をする。
問いに答える条件を出したのだ。
それを聞き、アルナワーズはクスクスと笑い出す。
「あらあら、望む情報は一つ。でも提供する情報は二つ?
それに主犯とか・・・メラルって推理小説や陰謀論って好きだったのぉ?」
にこやかに切り返し、まるでそこにソファーがあるかのように寛ぐ。
そして更に言葉を続ける。
「ふふふ・・・私を相手に保身を餌にして情報を引き出そうだなんて・・・。
なぁ〜んだか焦ってるみたいで可愛いわぁ〜。」
魔方陣を書き進めていくメラルの背中を見ながら問いかける。
・・・・・・・・・・・数秒の沈黙。
その後、薬という笑みと共にアルナワーズはメラルの問いに答え始めた。
「まず〜。ゴーストって結構暇なのよねぇ。
開始30秒でゴーストになっちゃった身としては〜
面白そうなことしているお友達の処に顔を出すくらいしか楽しみが無いのよぉ。
メラル同様、ベアトリーチェともあつ〜い友情で結ばれているのですもの。
彼女にとって腐海なんてガーデニングみたいな感覚でしょうね。
本当の狙いのついでみたいなものだもの・・・っと、これは余計なことだったわねぇん。」
メラルの質問以上のことまで答えてしまっている事に気づき、途中で話を途切れさせる。
そしてもう一つの問いの答え。
一齧りで気づいたメラルに敬意を表してと前置きをして、答え始める。
「バレンタインの前日、ひょんなことからリリアーナはベアトリーチェのチョコ作りを手伝う事になったの。
リリアーナも振り回されっぱなしで迷惑していたみたいだから、私が追い返したのね。
取るも取らずに帰っていったベアトリーチェ。
残されたのは大量の毒物と化したリリアーナの下拵えしたチョコ。
それで私たちは慌ててチョコを作り直したのね。
その中で、ベアトリーチェが忘れていった彼女の調味料が置き去りにされていても不思議じゃなかった。
私たちが慌てて仕上げのエッセンスを振り掛けるのに、間違った瓶を手にしてしまっても不思議じゃなかった。
誰が主犯だとかいう問題じゃないわ。
不幸な偶然が重なって起こったのが今回の騒動よ。
騒動が起きた後に判った事だけど、どうしようもなく、今回のイベントを使って鎮静化を図った。
これがバレンタインから今までの流れなのよぉん。」
そう、ベアトリーチェはバレンタイン前日、出来上がったチョコと白衣だけを持って逃げるように去っていった。
残された薬品の瓶や調味料の瓶はキッチンに残され、どさくさにまぎれてリリアーナの瓶に紛れ込んでいたのだ。
リリアーナも自分で媚薬をいれたなどという自覚などありもしないだろう。
気づいてすらいないのだから。
ちなみに、ベアトリーチェの本命チョコにも媚薬はかかっている。
だが、こちらはレオを前にすると人格の変わるベアトリーチェの為に結局渡す事すらできないでいたのだが・・・
日は傾いてきて、元来から暗い森はより一層暗くなった。
鳥目がちな私には少々辛い。見た目に美しくない樹にはぶつかりたくはない。
どうするか?
鬼火を使う。
右の掌に小さな鬼火を灯す。蒼い炎は辺りを薄く照らす。
ホントはとても明るくしたいけど、そうするとかなり目立つ。
もちろん、今も目立つには目立ってるけどね。蒼い光はよく通るから。
今より目立って不用な戦いはしたくない。上手く逃げ仰せる自信もない。
飛龍を使おうにも眼が利かなければ墜落するのがオチだ。
あぁ、何で私はここにいるんだろうか?本来の目的を忘れそうになる。
そもそも、そんな大層な目的だったろうか?
…………いけないね。疲れてたり、周りが暗いと悲観がちになってしまう。
さぁ、あの毒女の所へ行こうじゃないか!
と、息ごんでみるも溶かされた時の恐怖心がぶり返してくる。
寒気が走り、腕が震えて、膝は笑う。
それに、結構近くまで来たと思うけど、沼地にまだ居るとは限らない。
居なかったら帰ろう。探して這い擦り回るのは、あまりにも無謀だ。
鳥目だから!さらには意外と臆病風に吹かれやすいから!
何の主張なんだろう……?情けない。
気持ちを落ち着かせるためにも、左手に相変わらず握っている巨大な拳銃を改める。
慣れない物は使わない方が良いんだけど、なぜか捨てられない。
貧乏症かもね。
>>211 身動きがとれないキサラを前に、ベアトリーチェの表情がみるみるうちに変わっていく
アルワナーズさんの言っていた『怖い魔女』の本性が現れた…というところだろうか
>「ふっふっつふっつひひっひ・・・ぎゃっはっはっは!
ぶぁ〜か!この腐れチーズが。何を?じゃねえよ!」
キサラの体が軽く蹴り飛ばされ、宙を舞う
「あ…ぐっ…!」
苦しそうにもがくキサラ
更に相手は距離を詰め、キサラの胸倉をつかみ、高々と持ち上げる
見ると腕は通常の二倍ほどに膨れ上がり、明らかに強化されているのが容易に想像できる
>「ふへっ。わりいがドーピング済みだっZE〜。
安心しろよ、殺しはしねえよ。言ったろ?友達にほしいってなあ!」
粗暴な言葉遣いと共に振り回されたキサラが闇に投げ飛ばされる
「……ッ!」
言葉も出せずに闇に消えていくキサラ―――
だが、ベアトリーチェは気付いただろうか?
キサラがほんの僅かに動く腕で持っていた手榴弾のピンを外し、ベアトリーチェの足もとに転がしたことに
「…非常にまずい…」
更にベアトリーチェにとっては計算違いかもしれない
投げ飛ばされたキサラは着地していた
キサラが高速移動時に足に魔力を集中させるのが影響してか、キサラは足だけ麻痺から逃れることができたのだ
もっとも、膝より下のみ逃れたので、立つこともやっとだが、受け身はとれる
もしかしたら魔力を普段以上に足に集中して供給すれば動くことも可能かもしれないが―――
(それは出来ない…)
そう、そんなことをすれば一気に魔力は枯渇し、障壁も消える
そうなれば一気にこの毒素にやられてしまうだろう
魔力が遮断されたと思われたのは集中力が途切れた所為であって、相手の攻撃の所為ではなかったようだが
(何か…何か手は…!)
この状況でカードで緊急離脱のためにそちらに集中するのもまずい
その隙にやられては元も子もない
「分の悪い賭けなんて…性に合わないけどっ!
…アイシクル!!」
キサラは最大限の集中力をもって魔法を唱える
小さな氷の欠片を勢いよく相手に降らせる下級魔法だ
ただ問題は彼もいうようにこの賭けは分が悪すぎる
術の性質上、横の座標がずれる―――つまり、相手が爆風をものともせずにこっちに向かってきたりしたら
術は完全に外れ、自分が隙だらけになってしまう
だが、もし術がクリーンヒットすれば、その隙に術に集中させた魔力の流れをそのままカードに向けて離脱ができる
手榴弾で相手が少しでもダメージを受けてくれていることに賭け、そこに追撃を加える手に出たわけだが―――
>208
> 「で……これからどうする?
> 特にペンダントの充てがあるわけでもなし、皆警戒し始めるからランダムエンカウントを狙うのも不効率」
エルザはキサカの話を特に気にする風でもなく、ひたすら料理を口に運んでいた。
心なしか、エルザが先ほどまでより丸くなったように見える。(肉体的な意味で)
> 「その内エルザの生みの親も来るだろうし――組んでる必要は無いかもわからんね」
「(…生みの親?)」
エルザの動きが止まった。エルザがキサカの口からその言葉を聞くのはこれで2回目だ。
最初その言葉を聞いた時は何かの聞き間違いだと思った。
キサカが私の出生を知るはずがないとエルザは思っていたからだ。
なぜなら、エルザ自身も自分がどこの何者なのかを知らないのだから。
ところが、どうだろう。キサカは2回も“生みの親”と言った。
しかもそれがこちらに来る?
キサカはなにやらリリアーナに謝っているようだが、
エルザはそれに構わずキサカに問いただした。
「キサカ、“生みの親”って誰のことよ?
あなた一体、私の何を知っているというの?
あんまり適当な事ばかり言ってると本気で怒るわよ!」
>209
> 「……散々人を振り回しておいて、自分等はゆっくりと食事でおじゃるか?」
エルザはぱっと振り向いた。目に入ったのは2人組の少女だ。
エルザはそのどちらとも面識がなかったので、
> 「………ここまで振り回しておいて、『ごめんなさい。何もなかったの☆』なんてゆうてみろ…、いくら麿とてキレざるをえないでおじゃる」
と言われても何とも言いようがなかった。
「キサカ、彼女達と知り合いなの?」
エルザはキサカにそう尋ねた。
なんとなくエルザの中で、“女性を怒らせる=キサカ”という図式が出来ているらしい。
それをいうなら、ロックの方がはるかに女性を怒らせてきているのだが…
>205>「物で釣るのもありだが、それよりも私がレオ先生に化けて本人のフリをするほうが、確実に言うことを聞いてくれると思うが?」
わーお。何だコイツ。随分と度胸あるね。
チャレンジャー吸血鬼め。
「かなりのハイリスクだなぁ…。
やってみても良いが、自己責任で。」
バレても俺は元から知らなかったフリを貫き通すぞ。
巻き添えはごめん被りたい。
さて、俺達は無事に保健室に辿り着く事が出来た。
途中で俺目当て(?)で襲って来た生徒が居たが、華麗にスルー。
悪いな。お前に構っている暇は無いんだ。
お相手はまた今度ゆっくりしてやるから。
誰も居ない事を確認し、保健室の中に入る。
良かった。レオ先生居なくて。
俺は適当に棚を漁る。これじゃまるっきり泥棒じゃねぇか。
「ん?聖水…」
近くでヘボ吸血鬼が聖水に対し吸血鬼らし〜い、リアクションをとる。
ま、俺もあんまり聖水は得意じゃないんだけど。
これはあんまり必要無いな、パス。
「とりあえず念のためレオ先生の白衣…あとは適当に薬を貰って行くか。」
薬に関してほとんど知識の無い俺は次々とアナザーゲートに薬を入れていく。
下手な鉄砲も数撃ちゃ当たるってな。ちょっと違うか?
>「ようやく見付けましたよ。ペンダントの気配が複数あるから見に来て見れば…。
レイド先生とミルクだけならまだしも、ヴァン君も一緒だとは思いませんでした。」
わお。ビックリした。
誰かと思えばエース先生じゃないか。
俺は保健室の入り口に立っているエース先生に向けて黒い容器に入った薬を投げた。
「遅かったな。だが、ナイスタイミングだ。
森に行くぞ。ちょっとやんちゃな生徒を懲らしめにな。」
>「……数は?」
「下手したら百人超。狙いは一人だけだけどな。」
>「…無謀としか言い様がありませんね。」
「激しく同意するよ。けどやっと勝算が見えてきた。」
エース先生、本当にナイスタイミングで来てくれた。
大分心強いよ。
俺はヘボ吸血鬼、ミルク、エース先生の顔を順番に見る。
「即席のメンバーにしてはなかなか、だな。」
>198
フリージアの壮絶な戦い振りに呆然とする少女達。
「たてロールがドリルになるなんて反則ですわ!」
「そうですわそうですわ、フリージアお姉さまのイメージ台無しd・・・っ?!」
我に返ったとたん抗議の声をあげ始めた少女達がぴたりと口をつぐんだ。首元に押し当てられる剣の感触。
>「チェックメイト。降参してくれる?」
>少女一人につき剣が一つ、大剣はいつの間にか黒と白の長剣に分離していた。
「どんな汚い術を使いましたのっ!?まったく信じられませんわっ!」
やいのやいの言いがかりをつけていたが、シャニィが妙に光る目でこちらを凝視しているのに気づいたとたん黙り込んだ。
「・・・・・・かっ・・・・・・・かくなる上はっ!!」
ポン!
二人の少女達を包み込むように白煙が上がり、ラルヴァの視界が遮られる。
煙が晴れると、少女達の姿は消えていた。
かわりに、ラルヴァの足元をすり抜けて逃げ出そうとする子犬が二匹。
その首には人形のついたペンダントが光っている。
どうやら子犬は、少女達の変化した姿のようだ。
「こ、今回だけは見逃してありますわっ!優しいわたくしたちに感謝することねっ!!」
「だが、光ある限り闇もまたありますわ!再び何者かが闇の中から現われましょう!」
「「それではフリージアお姉さまとおまけその1、ごきげんようー!!」」
・・・・・・果たして少女達は、このまま逃げおおせてしまうのだろうか?
>「あらあら、望む情報は一つ。でも提供する情報は二つ?
それに主犯とか・・・メラルって推理小説や陰謀論って好きだったのぉ?」
「…私の実家ではね。…権力争いとかに関するどす黒い話が…
嫌でも耳に入って来るのよ。巻き込まれる事もある。それに、そのうちの一つは…
あなたにも話したでしょ?きっと、そのあたりが原因よ。」
もちろん、アルに話した事件というのは過去の暴走事件である。
>「ふふふ・・・私を相手に保身を餌にして情報を引き出そうだなんて・・・。
なぁ〜んだか焦ってるみたいで可愛いわぁ〜。」
(人間誰しも安全を求めるもの。何の安全を大事にするかは人それぞれだけど…
安全そのものを嫌う人間なんていない。アルも例外じゃないはず。)
思うところはあったのだが…メラルはそれをけして口に出さなかった。
ここで何か反論をすれば、それ自体が焦っているという事になる。
そう思ったからだ。
>「まず〜。ゴーストって結構暇なのよねぇ。 (中略)
本当の狙いのついでみたいなものだもの・・・っと、これは余計なことだったわねぇん。」
メラルは魔法陣を書き進めながら話を聞き、思考を巡らせていた。
(開始30秒…どう考えても故意ね。そして、森を腐海にしたのはベアトリーチェ…
まぁ、腐海を作り出すなんて真似ができるのは彼女くらいのものよね。
で、アルは最初からそういう事をするって聞いていて、面白そうだからわざと
ゴーストになって見に行った…そんな所ね。どうやら、その先の
意図まで知っているみたいだし。…どうせフリージアかレオ先生に関係があるんでしょうけど。)
どうやら、メラルの情報網にもそれなりにベアトリーチェの情報が引っかかっていたようだ。
>「バレンタインの前日、ひょんなことからリリアーナはベアトリーチェのチョコ作りを手伝う事になったの。 (中略)
これがバレンタインから今までの流れなのよぉん。」
(敬意を表してという言い方も。不幸な偶然の連鎖にしては断定的なアルの言い方も。
どこか不自然ね…。でも、これ以上をわざわざ聞く必要はない。今の話に隠し事が
あるとしてもそれが何かは明白だし…何より、今の話が真実の方が・・・
"私にとっても都合がいい。"…少しサービスしてもいいかもしれないわね。)
アルの話が終わり…数秒して、メラルが魔法陣を書き終えて言った。
「…ありがとう。アル。…次は…私が話す番ね。」
メラルは、一度周囲にアル以外の誰もいない事を確認してから
白く透き通るような髪やら、竜族のものらしき角など…強い魔力の篭った品々を
立体魔法陣にあわせるように配置していきつつ話を始めた。
「質問は…私が何と戦うつもりだったか…だったわね?……リリアーナよ。
…例の杖…カドゥケウスを使った…ね。少し前に…彼女と揉めて…あの杖を向けられた事があってね。
それから…一度戦ってみたいって思うようになったのよ。リリアーナの本気と…ね。
そして…私にとって、その願いをかなえられそうな…おそらく一度しかないチャンス。
それがこの催しなの。だから、私は…周囲の目を気にせず、私が全力で戦える戦場を作り出して…
持てるすべての力を以ってリリアーナと戦う。もちろん…あの杖も、私の"力"も…他の人に
見られないように。そして…リリアーナが私に勝った場合には優勝に一気に近づく位の、
破格のメリットも用意して…ね。…これから行う二回の儀式は…その一環なのよ。」
話が終わり、少しして…どうやら儀式用の様々な品の配置を終えたのか、魔法陣の中央に行き、
動作も交えて呪文の詠唱を始めた。そして…日が半分ほど沈んだ辺りで儀式を終えたようで、
呪文の詠唱を終え・・・メラルが地面に倒れこんだ。しかし…その段階では、ぱっと見…
辺りに大きな変化は見られなかった。空に…小さい雲がひとつ増えた。その程度の変化である。
メラルは、起き上がろうともせずにアルに向けて声をかけた。
「ねぇ、アル。…ゴーストって…寒さや熱さは…感じるの?」
>204-205>216
>「保健室で対策セットを揃えるのは賛成。
しかしペンダントは諦めた方が良いな。リスクが大きすぎる。
ペンダント以外の物を何か探そうぜ。」
>「物で釣るのもありだが、それよりも私がレオ先生に化けて本人のフリをするほうが、確実に言うことを聞いてくれると思うが?」
「うそっ!あんたそんな事もできるの!?
じゃあそれで決まりみたいなものじゃない!」
レイド先生が言うように、ペンダントはリターンが大きいけどハイリスクすぎる。
それに引き替えヴァンエレンの偽物作戦なら、準備も楽で効果も抜群だ。
レイド先生は巻き添えを警戒してるけど、バレたら力押しに切り替えるだけ。
安全にベアトリーチェに近づける可能性はかなり高いから、試す価値は十分にあるはずだ。
保健室に移動する前、あたしは持ってたペンダントを、ゴミ箱に放り込む事にする。
ただし、ゴミ箱行きは三個だけにして、一個は手元に残しておいた。
後で役に立ちそうだもんね。保険保険。
目的地に行くまでの襲撃は、レイド先生に完全おまかせでスルー。
保健室内の様子見もヴァンエレンにおまかせで、あたしは楽に保健室に潜入できました。
これからもこの調子で行きたいけど、ベアトリーチェ戦はそうもいかないよね。
今のうちに楽しておこうっと。
薄暗い保健室の中は、あたしの目じゃどこに何があるのか、さっぱりわからなかった。
…あ、そうだ暗視サングラスがあったっけ。
とり出したサングラスを装備すれば、部屋の中が昼間のように明るく見えるように。
なんて便利なマジックアイテムなんだ!
感動してるあたしに、なにかに驚いたヴァンエレンが、体当たりをしかけてきた。
「いたっ!なにするのよいきなり!……ん?聖水?」
薬品と一緒に並んでいるのは、あたしには馴染み深い聖水だった。
孤児院にいた時には、院長の作った聖水で、よく吸血鬼狩りごっこをして遊んだものだ。
…後で院長に死ぬほど怒られたけど。
「ちょうどいいや。これももらって行こうっと」
聖水は魔物だけじゃなく、不浄なものや自然ならざるものにも使える。
巨人や毒ミミズにも効くかもしれない。
>217
横ではレイド先生が、手当たり次第に別空間に薬をため込んでいた。
「あ、レイド先生、この聖水も一緒に入れておいて。
それから、その薬はちょっとあたしにもわけてね」
アナザーゲートに入れられたら、あたしの欲しい時に薬を取り出せない。
解毒飴と腐食防止スプレーなんかは持っておかないと。
あの女に毒は効果がないから、逆に殺虫剤なんかは置いていかないとね。
…毒が効果がないなら、解毒剤飲んだらどうなるのかな。
ぶっかけてやったら面白い事になりそうだから、ポケットに強力そうなのを入れておこうっと。
>「ようやく見付けましたよ。ペンダントの気配が複数あるから見に来て見れば…。
「!?……なんだ、エース先生かぁ。驚かさないでよ」
薬を選ぶのに夢中になっていたので、エース先生が保健室に来ていたのに全然気づかなかった。
レイド先生はエース先生に事情を説明している。
どうやらエース先生も、魔女狩りに参加してくれるようだ。
>「即席のメンバーにしてはなかなか、だな。」
「冗談言わないでよ先生。
なかなかじゃなくて、ベストメンバーでしょ?」
みんなを見回して言うレイド先生に言い返す。
レイド先生とエース先生の強力コンビに、破壊力には自信のあるあたしと吸血鬼のヴァンエレン。
まさに少数精鋭って感じじゃない。
でも出発前に、もうひとつ保険をかけておこう。
「レイド先生、あたしのペンダントもアナザーゲートに入れてくれないかな。
あたし魔法障壁弱いから、一撃死が怖いし」
レイド先生に自分のペンダントを渡し、他人のペンダントを持っておく。
これでペンダントを狙われても、あたしは大丈夫ってわけだ。
「よーし!それじゃあ魔の森滅菌作戦開始と行きましょうか!
期待してるわよ吸血鬼!」
ばんばんヴァンエレンの背中を叩きながら、自分に気合いを入れるために大声をだした。
吸血鬼は弱点が多い分、人間を軽く越える強力な能力を持っている。
その力をフルに発揮できるのは夜。つまり今からだ。
このメンバーで一番お荷物になるのは、あたしかもしれない。
>206->207
ホワイトボードの注意書きを見て、リリアーナは思わず微笑んだ。リリアーナの考えは杞憂に終わったようだ。
人影は疎らだが、食堂内は通常どおり営業し、生徒達も一応休戦状態を保っているようだ。
まあ、食堂のおばちゃんを怒らせたら恐ろしいことになるから、とも言えるが。
夕飯のほかに大きな包みを受け取っていたリリアーナは、一番最後に席についた。
エルザの前に並べられた皿の多さに絶句する。まさに壮観の一言に尽きた。
リリアーナの話を聞いてからずっとエルザは上機嫌だった。
きっとロックとの間にリリアーナが割り込んでくる心配が無くなったせいだろう。そう、リリアーナは解釈していた。
媚薬の件も怒っていないところから察するに、きっとエルザやロックには効果が薄かったのだろう。
でないと、エルザがもっと怒らなくてはおかしい。「よくも私のロックに!」――――と。
>「で……これからどうする?
特にペンダントの充てがあるわけでもなし、皆警戒し始めるからランダムエンカウントを狙うのも不効率」
キサカの言葉に、リリアーナは居住まいを正した。フォークを皿の上に置く。
>「その内エルザの生みの親も来るだろうし――組んでる必要は無いかもわからんね」
「生みの親」という言葉が聞いたとたん、リリアーナはキサカのスネを思い切り蹴飛ばした。
口元だけは笑っているが、リリアーナの目はまったく笑っていなかった。
エルザの正体は、正体はロックから派生した新人格なのだ。それをキキの人形に定着させたのがエルザだ。
記憶が無いのは魔獣に記憶を食われたという説明で誤魔化してある。
だが今、エルザの器が人間のものではないと本人にばれてしまった。
この上生みの親がどうのこうのと話されては、話がややこしくなってしまう。
リリアーナとしてはエルザの人格を安定させるためにも、これ以上余計な刺激を与えたく無かった。
>215
>「キサカ、“生みの親”って誰のことよ?
> あなた一体、私の何を知っているというの?
> あんまり適当な事ばかり言ってると本気で怒るわよ!」
「ほんとよねー。あっエルザ、フィジルイチゴの発酵クリーム添えは好きかな?」
リリアーナは話を誤魔化すように、自分の分のデザートを押し出した。
そして内心で戦々恐々としながら、キサカの返答を待つ。
>207
「キサカさん、さっきの話だけど・・・・・・喉が治るまでご一緒しない?集団のほうが襲撃されにくいと思うわ。
私もメラルさんから呼び出しが来るまで一緒に居るほうが心強いから」
リリアーナはさりげなく話題を変えようとしたが、自分で振った話題が自分自身の地雷だと言った後で気づいた。
「・・・・・・もう夜よね。・・・・・・あーもう、どうしよう・・・・・・。
こうなったら優勝候補の人に、副賞のおまけを放棄するよう頼みに行くしかないのかなぁ・・・?」
当の『副賞のおまけ』本人は、力無くテーブルの上に突っ伏した。
>「……ごめん、リリアーナ」
ん〜?とリリアーナは顔を上げた。
> え? と表情を変えるリリアーナに、キサカは自分が何を言ったのかやっと気付き、
>「……ごめん」
今度ははっきりと言われ、リリアーナは困惑した。
だが、伏し目がちなキサカが、自分の袖口を見ていることにようやく気づき、さりげなく手を机の下に隠す。
「変なキサカさん、突然何を謝ってるの〜?もうすんだ事よ。だからあとは、私自身の問題」
そう言って笑うと、机の影で血の跡が見えなくなるよう袖を折り返した。
「ここはそういうゲームをする場所なの。順応できない人はゴーストになるしかない。
キサカさんは何も悪くないわ。・・・・・・むしろ、謝るのは私のほうよ。
そうよ。自分の意志でゲームに参加したのに、ゴーストになることも友達に手を上げることも出来ないなんて。
・・・・・・・結局私はどうしようもなく臆病で、卑怯で、意気地のない偽善者なのよ」
最後のほうは独り言に近く、果たして相手に聞こえたかどうかは分からない。
リリアーナはどんよりしながら、かぼちゃジュースを口にした。
>「ねえ、(中略)さっきチョコに“ビヤク”が入ってるって言ったけど、“ビヤク”って何?
> 私もその“ビヤク”入りのチョコ食べてるけど、体に悪いものなの?」
ぶはっ!リリアーナは危うくかぼちゃジュースを噴きそうになった。
盛大にむせながら、どうにか頭の中を整理しようとする。
「簡単に言うと、あの・・・その・・・媚薬って・・・・・ほ、惚れ薬のことなの。
チョコレート配った人が私に結婚してくれって迫るのは、全部惚れ薬のせいなのよ。
でもね、効果はまちまちみたい。
エルザが私に怒ってないところを見ると、ロックはきっと薬の効き目が薄かったのね。
やっぱり、ロックにも本当に好きな人が出来たせいかな?」
リリアーナは精一杯の笑顔を浮かべて見せた。
「エルザも、チョコを食べて急に私が気になりだした、なんて事はなかったわよね?だったら大丈夫・・・」
だったら何の心配も無い、そう続けようとしたリリアーナは、背後からのおどろおどろした空気に言葉を失った。
>208
>「……散々人を振り回しておいて、自分等はゆっくりと食事でおじゃるか?」
恐る恐る振り向いたリリアーナが絶句した。恐怖に引きつる彼女の上に、長い影が二つ伸びていく。
キキが連れている黒い天使が、その力を見せつけるようにりんごを握りつぶしたのを見て飛び上がった。
「忙しいのに呼び出してごめんね、緊急事態だったものだから。
エルザ、こちらはキキさん。東方からの転入生で、優秀な錬金術師なの」
リリアーナはキキに向き直った。
「あのね、呼び出したのは他でもないエルザの事よ。
さっき彼女は怪我をしたんだけど、回復魔法がまったく効かなかったの。
キキさん、推察で構わないわ。何か思い当たることや知ってることがあったら教えてくれない?」
まるでキキがエルザの器の製作者ではなく、第三者のような口ぶりである。
そう、リリアーナは、エルザに「自分が誰かに作られた命だ」と思って欲しくなかったのだ。
だが、エルザと千世は驚くほど顔立ちが似ている。果たしてリリアーナの思惑通りに事が運ぶのだろうか?
「ほらエルザ、何か気になることがあったら今のうちに聞いたほうが良いわよ?
キキさんはこういう方面にとても造詣が深いの」
リリアーナは場をとりなすように、明るく二人に(一人と一体に?)イスを勧めた。
「ねえキキさん、せっかく食堂に来たんだから何か食べていかない?
そっちの黒い羽根の子もお腹すいたでしょ?
何かお腹に入れて、一服してからで構わないわ。
思い当たることがあったり、思いついたことがあったら聞かせてくれないかな?」
リリアーナは、キキ達に東洋風のお茶をすすめた。
>216>217>220
聖水を見て吃驚仰天しているヴァンをよそに各々保健室の道具を泥棒…もとい拝借している。
>「とりあえず念のためレオ先生の白衣…あとは適当に薬を貰って行くか。」
これはヴァン変身用のものだと思われる。
ベアトリーチェがいくらレオ先生ラブとはいえ、まさか匂いまで嗅ぎ取れるわけはないと思うが一応念のためだろう。
レイドは片っ端から薬という薬を四次元ポケットならぬアナザーゲートに放り込んでいく。
と、ここでエースが保健室に合流しまたも意外で強力な援軍にたまらず涙を流していたのはヴァンだけの秘密だ。
>「即席のメンバーにしてはなかなか、だな。」
>「冗談言わないでよ先生。
>なかなかじゃなくて、ベストメンバーでしょ?」
ミルクの言うとおり教師二人に実力未知数のミルク、夜に本領発揮する吸血鬼と他では見られない強そうなチームだ。
問題はこのヴァンエレンがこの高スペック集団にどこまでついていくことができるかだろう。
チームに足手まといが一人いるだけで戦況が大きく変わることもある。
夜になったことで魔力量も身体能力も飛躍したが思考の速さは向上しないので、いよいよヴァンエレンという吸血鬼の本領が試されるときだ。
>「よーし!それじゃあ魔の森滅菌作戦開始と行きましょうか!
>期待してるわよ吸血鬼!」
これから森という戦場へ再び馳せ参じようというのに、いまさら不安にかられてしまったヴァンを後押ししたのはミルクだった。
背中を力強くバシバシ叩かれ、それが励ましになったようで意を決して強く歯を食いしばって気合を入れる。
「よし……行こう!」
保健室から廊下に出ると、窓から見えるのは魔性の月が変わらず見据えていた。
外は苛烈な戦闘が続いた昼間のときと打って変わって静寂が保たれていた。
ここにきてやはり疲れがきたのだろうか、それとも人間特有の夜の闇に対する恐怖がそうさせているのか?
恐ろしいぐらいの静けさはまるで嵐の前の予兆を思わせた。
そしてたった四人の行軍は不気味な森を前にして立ち止まる。
現界と森を繋ぐこの境界より先は月明かりも届かぬ深く暗い闇に閉ざされて、来る者すべてを拒んでいる。
「前に来たときよりもずっとおっかない森になってる…。
これはまるで魔界ではないか…!」
>>210 >「えーっと、最初に訂正すべきところは…僕は、いや、僕達は多重人格者じゃない。
>魂が3つあって、肉体を共有しているんだ。他の二人は近くに幽体…幽霊の体でいるよ。
>で、数は3人。名前だってきちんとあるさ。」
ふーん…魂が三つあって……なに!?どういうことだ!?
肉体が一つで魂三つがそれを共有してる…?
見たことも聞いたこともないぞ…そんなことありえるのか?
>「僕はグレイズ。風の魔法が得意で、人狼の特徴を一番受け継いでるんだ。」
自己紹介をグレイズは始める…さっきのグレイブが氷、それでグレイズが風…
さっき言ってたもう1人は炎ってところか?
>「あとは最初に出てきてたグレイブ、出てきてないけど火の魔法が得意なグレイルがいるよ。
>じゃあ、次はマオさんも自分の説明をお願いできるかな?」
やっぱりか、炎に氷に風…とりあえず三種そろってるってことか。
グレイズが自分達の大まかな説明を終え今度は僕の方に説明を求めてくる。
「僕か?僕はマオ・ミゼット、常に二等過程の上位にいるエリートだ。
雷術に長けている。他の魔法もまあ普通ぐらいだったら難なく使えるぞ。」
他にもさまざまなことを話しながら森を進んでいく。
「リリアーナと面識があるのか?フフ…それはいいな。」
グレイズから中々興味深い話を聞く。どうやらこの三人はリリアーナ達と面識があるみたいだ。
どうやら僕は幸運のようだな。グレイズ達を使ってリリアーナ達に楽に近づいて
騙まし討ちをしてペンダントを奪ってやる!フフフ…やはり天は僕の味方のようだ!
しかし、サンダー一号がない分最初奥に行ったときよりも大分時間がかかってるな…
延々と続く気持ちの悪い森のせいもあって…全然モチベーションが維持できない。
「はぁー…疲れたな…お腹も減ってきた…あの馬がいたら校舎までなんて楽に着くのに。」
グレイズの後ろでぶつぶつボヤキはじめるが仕方が無い、僕は今日何も食べてないし飲んでない。
そろそろこの二個もあるのり弁の出番かもしれない…(三個あったけど一個地面に叩き付けたからな)
さっき木々の下にキノコが生えているのを見つけてお腹の足しにしようとしたがグレイズに止められたしな。
「僕もう疲れた……僕はテクニックで知能派な分体力はないんだよ…」
その場に座り込み溜息をつく。グレイズも困った顔をしてこっちを見ている…
しかしそんな顔されても仕方がないじゃないか。実際疲れてるんだから…
日もどんどん落ちてくる……まだまだ夜にはなってないものの……
このまま休んでいたのでは明日をこの森の中で過ごすなんてことに…
グレイズは薬なんて飲んでないし夜中胞子がついて襲われたりしたら洒落にならない。
「なあグレイズ…僕をせおっていってくれよ。大丈夫、
僕は女の中でも体重少ないから……よし、決まりだ。おぶっていってくれ!」
グレイズの意見を聞く前に背中に移動する。
「よし、夜になる前にここを抜けるぞ!!」
僕はグレイズの背中で拳を掲げる!
>214
キサラを投げ飛ばした直後、ベアトリーチェの足元で*ベシャリ*という嫌な音がした。
ベアトリーチェは夜目が利く訳ではない。
が、ナイトシェードという暗視薬を飲んでいるので昼間と変らぬようにそれが見えた。
泥に半分埋まった手榴弾。
その存在は知らずとも第六感が告げる。【危険だ】と。
慌てて動くが、それが許されたのは一歩半まで。手榴弾は爆発し、爆炎が広がった。
爆発が起き、キサラがアイシクルを唱えた直後。爆炎を突き破るように黒い何かが飛び出してきた。
向かう先は一直線にキサラ。
だが、キサラは動く事ができない。
神経毒が、湿原の泥濘がその機動力を奪ったのだ。
そして何より、湿原より生えたミミズがキサラの両足に絡みつき半股割き状態で固定しているのだから。
突き進む黒い何かはキサラの鼻先で止まり、ゆっくりとその顎を開く。
それは巨大なミミズだった。
ニチャリと粘液を開く音をさせながら牙を剥き、開いていく。
その大きさはキサラを一飲みにできる程になったが、開く動作はまだ終わらない。
まるでバナナに皮を開くかのようにミミズは裂けていき、その中からベアトリーチェが現れた。
爆発の瞬間、許された一歩半で飛びずさって自らをミミズに飲み込ませた。
ミミズの中で爆発と爆炎をやり過ごし、それと共に一気に間合いを詰めたのだ。
現れたベアトリーチェは動けぬキサラの首を鷲掴みにする。
食い込む爪先からは筋弛緩剤を注入し、キサラの自由を完全に奪っていく。
神経毒ではなく、何ゆえ筋弛緩剤なのか?
それは、神経毒では痛覚神経まで麻痺させてしまう。
これから始まる凄惨なリンチを存分に味合わせるためである事は言うまでもない。
「てめぇ、氷属性だったのかよ。あたしはね、氷属性の女が虫唾が走るほど嫌いなんだよ!
前歯三本で許してやろうと思ったが、顔の形変えてやっからよ!」
坊主憎ければ袈裟まで憎い。レオに格闘訓練を受けるフリージアに嫉妬し、逆恨み。
更にそのとばっちりでキサラにとっては迷惑な話である。
が、今となってはどうにもならない。
ドーピングで強化された太い腕に力が込められていく。
拳も握られ、恐るべき一撃が繰り出される・・・直前。
>213
森の奥から差し込む蒼い光がベアトリーチェの視界に入った。
振り向くとソフィアが腐海を抜け湿原に入ってくるところだった。
「あ・・・う・・・えーっと・・・」(ま、まだ向こうは気づいていない!)
慌ててソフィアとキサラ、そして自分の握り締めた拳を見回し・・・
「キ、キサラちゃん。しっかりして。」
*ペシペシ*
首を鷲掴みにしていた左手を首の後ろに回し抱きかかえるような体勢となり、握られた拳は平手に変っていた。
繰り出されるはずの鉄拳は、形だけの気付けビンタになったのだ。
ドスの効いた声もどこへやら、一オクターブ高いおしとやかそうな声に変っている。
勿論ミミズたちも湿原に引っ込み、跡形すらない。
「あ、あなたは・・・」
そこでようやく始めてソフィアに気づいたふりをし、振り返る。
ここでまだソフィアの名前を聞いていないことに気づく。
「ちょっとごめんなさい。お友達が毒に当てられちゃったみたいで。
お友達の手当てもしたいし、もう暗くなっちゃっているから・・・リベンジしたいとは思うけど、戦いは今日のところはお休みしませんか?
よろしければ、一緒にお食事でも・・・?」
動けないキサラを抱きかかえながら、ソフィアに微笑みながら問いかけた。
その背後には、漆黒の湿原中央にライトアップされた庭園が幽玄な姿を浮かび上がらせていた。
>219
「リリィと??・・・ぷっ!・・・くっくっくっく・・」
メラルの目的を聞き、アルナワーズは思わず噴出した。
これだけ大規模な用意をし、全力を尽くして戦いたいという相手がリリアーナと聞いて驚きを隠せなかったのだ。
「あっはっはっはっはっは!」
空中を転がるように笑い続けるアルナワーズ。
ひとしきり笑った後、ようやく息をつき、立ち上がる。
「ふ〜。ごめんなさいねぇん。
リリィの事を侮っているわけじゃないのよ。
むしろ逆。
伊達や酔狂【だけ】で手元においているわけじゃないもの。」
配置されていく強力な品々を見回しながら思う。
メラルの望みは叶うのだろうか、と。
アルナワーズはリリアーナの強さを認めている。
その強さはカドゥケウスでも、魔力でもない。
・・・芯の強さ。
破格のメリットといえども、自分のために闘うのだろうか?
仲間の為には躊躇する事無く吸血鬼に首筋を露にするほどなのだ。
ロックを人質にでもすれば話は違ってくるだろうが・・・
だがあえてその事は口には出さない。
メラルがどうやってリリアーナを戦いに引きずり込むかもまた楽しみだからだ。
唯にこやかに見送るだけだった。
メラルは呪文の詠唱を終える。
話から推測するに、広範囲な・・・それこそ島全体を効果範囲に収めるような術を使うのだろう。
これによって一挙に景品のペンダントを集めるはずだ。
しかしそれは諸刃の剣である事を感じていた。
これから行われる事がどういうものかは別として、それを乗り越えた猛者たちもいるだろう。
どこにでもいる並みの使い手は生き残れない。
一級の者達だけが残るはずだ。
大規模な儀式の影響を受け、彼らは黙っているだろうか?
一級の者ならば誰かがここを察知し、乗り込んでくる・・・
その可能性も排除できない。
そしてそれはメラルの計画に重大な支障をきたしかねない・・・。
勿論それを口にし、警告する事はない。
なぜならば、それはそれで楽しそうなのだから。
>「ねぇ、アル。…ゴーストって…寒さや熱さは…感じるの?」
「安心して。このイベント、未熟なものは早々にゴーストとなるのは折込済みよ。
協力できるなんていうのは単なる表向きのお話。
本当は、干渉できない代わりに戦いの影響も受けない。
間近で上級者達の戦いを観戦するためのゴースト化ルールなのだから。
熱さも寒さも影響を受ける事は無いから・・・存分におやりなさいな。」
倒れたままのメラルの背中にアルナワーズは満面の笑みで告げる。
>225
>「僕か?僕はマオ・ミゼット、常に二等過程の上位にいるエリートだ。
> 雷術に長けている。他の魔法もまあ普通ぐらいだったら難なく使えるぞ。」
「へぇー、頼もしいなぁ。」
女子とはいえ二等過程なら戦力として十分過ぎるくらいである。
先程(グレイズが)見た戦いでも、素晴らしい判断力が分かる。
「(これなら優勝も夢じゃない…かな?)」
外へ外へと向かいながら会話をする。
>「リリアーナと面識があるのか?フフ…それはいいな。」
なんだか怪しい笑いを浮かべたが、まあそのあたりはいいとしよう。
ついさっきなんぞキノコを食べようなんて言い出したのだから。
雑食にも程があるだろう、とツッコミそうになったがそこは優しさで抑える。
それにしても好い加減森を出ても良いだろうというのに、一向に出口が見えない。
>「僕もう疲れた……僕はテクニックで知能派な分体力はないんだよ…」
マオがそう言って座り込んでしまう。
「大丈夫?」
グレイズは困った顔をして言う。
まだ日は沈んでいないにしても、もうそろそろ魂の交代をしなければいけないだろう。
グレイズの魔力も障壁に使っているため少なくなってきている。
そう考えていると、突然マオが男子にとってとんでもない事を要求する。
「なあグレイズ…僕をせおっていってくれよ。大丈夫、
僕は女の中でも体重少ないから……よし、決まりだ。おぶっていってくれ!」
そういう問題じゃないだろう。
どうしよう、と後ろに居るグレイブとグレイルに聞こうとする前にマオは背中に移動する。
「え、ちょっとまtt…」
>「よし、夜になる前にここを抜けるぞ!!」
「…あのー、どうしようか?」
【知ったことか……こいつはいけ好かない。】
【もうすぐ日没だしよー、俺が替わってやんよ!】
「うん、よろしく……あ、マオさん。僕は今日もう出ないけど…今、Rに替わるから。」
そう言ってグレイズは目を閉じる。
頭髪が赤になり、馬鹿グレイル参上。
「つー事で俺参上!グレイル様だ!マオマオよろしっくー!」
その場で華麗に3回転し、ポーズを決める。
…勿論マオを振り落として。
反論というか批判を聞いても
「あり?まあいっか、森を出りゃーいいんだろー?」
そう言うとグレイルはマオに近づき、
「ちっとばかし酔うかもしんねーけど我慢しなよな!」
右腕で顔が正面を向く形に担ぎ上げる。
そして…
「いぃぃやっほぉぉぉうい!」
雄叫びを上げて猛スピードで駆ける、駆ける、駆ける!
批判?反論?なんのその。
森をまるでターザンのように進む。なに、悲鳴?知らないな。
>224
結局出口に着いたのは日も沈みきってからだった。
グレイルがそのまんまの意味で人を振り回した挙句、道に迷うという失態を犯したせいだ。
「マオマオー、生きてんのかー?」
さっきよりもぐったりした感じのマオに話しかける。
【R、誰がやったのか分かって言っているの!?】
「え?知らん。」
【ええ!?】
【フン、良い気味だ。】
【…って、あれ見て!】
「んむむ?」
こんなことをやっているうちに誰かが森に入ってきたようである。
「うっし、とりあえずてーさつにいっくぜー!」
偵察と言いながらも堂々と近付くグレイル。アホだ。
やっとこさ何とか、沼地に到着。そこに居たのは二人の人物。
一人は件の毒女。
別の一人は髪の長い人物。遠眼には女性にも見えなくはないけど
安易にそうとは言えないのが、ここという場所。
「キ、キサラちゃん。しっかりして。」
ペシペシ。軽い平手打ちを何度か当てる。
何だろうね?少し芝居くさい気がしてならない。
きっと気のせい。そう、気のせい。彼女がここで芝居をする事に意味はないハズだから。
でも、何でこんなに疑うんだろうか?悪い人なんかじゃないハズなのにな………
「ちょっとごめんなさい。お友達が毒に当てられちゃったみたいで。
お友達の手当てもしたいし、もう暗くなっちゃっているから・・・リベンジしたいとは思うけど、戦いは今日のところはお休みしませんか?」
「ここでは誰も彼もが戦う事しか考えてないとでも?それは失礼ということ。
私は君とお喋りしに来ただけ。君との話は楽しそうだから」
あちらが笑えばこちらも笑い返す。ありふれた笑顔の応酬。
なんだけど、なぜだろう?腹の探り合いみたいな印象を受ける。
そこで彼女は、はたと気付いた様に。
「よろしければ、一緒にお食事でも・・・?」
と言ってきた。
「お構いなく。私はお話が出来ればそれで良いから。
君の美への姿勢に感じるモノがあってね。
この森を美しいと言える確立されたオリジナルの美意識。
美とは己の主観に過ぎないと言う、その逞しいまでのふてぶてしさ。
どれも一流には備わっているモノだ」
と、美術への思いを語っているけどこれはいわゆる、理由付け。本音半分、言い訳半分。
こんな毒大好きな人の出すご飯は食べたくはない。という自分の疑心を隠すための、ただの言い訳。
人を疑ってしまう自分が若干情けない。
「でも、女性に立ち話は体によくないね。座れる所があるなら、移動しようか?」
仕切り直すようにそう言って、左手の拳銃をゲートに放り込む。
武器は無い、敵意は無い。その証明。
>>226 爆風の中から何かが飛び出してくる―――
賭けに失敗したと認識し、少しでもダメージを抑えるために行動を開始
―――だが―――体が動かない
先程までと違い――今度は完全に…動かない
体が痺れて…そして、唯一まともに動く足も纏わりつくミミズが邪魔をして、キサラの身体の自由を完全に奪う
完全に動けないキサラの前に黒い巨体の正体は巨大なミミズだった
ミミズの口が自分をを丸呑みにするかのように開いていく
(呑まれる…!!)
並の人間なら恐怖に目を瞑るところだろう
だがキサラは違った
最後の最後まで逆転の一手を探して―――その目をむしろ見開く
そして―――ミミズの中から飛び出てきたベアトリーチェに向けて足下のミミズを引き千切り―――
その顔面に向けて鋭いハイキックを放つ直前―――
ベアトリーチェの腕がキサラの首を掴んだ
ミミズがなければキサラの足が相手より早く届いただろう
だが―――ミミズの強度が予想以上に強かったこと―――それが敗因となった
「く…ぅ…っ!」
掴まれた首に爪先から筋弛緩剤が注入され、一段と苦しそうな声を上げるキサラ
今度こそ足先まで完全に自由が奪われる―――
>「てめぇ、氷属性だったのかよ。あたしはね、氷属性の女が虫唾が走るほど嫌いなんだよ!
前歯三本で許してやろうと思ったが、顔の形変えてやっからよ!」
「そんなこと…僕には関係ない…!僕がそう認めた以上…貴女は僕の敵でしかない…!
…それに……残念ながら…僕は…男……です…!」
口ではまだ強気ではあるものの、実際勝ち目はもうないに等しい
ベアトリーチェが強く握られた拳を振りかぶる
(今度こそ…終わりか……!)
と思った瞬間
>「あ・・・う・・・えーっと・・・」
「………?」
相手の表情と言動が一瞬にして変わる
最初にベアトリーチェと出会ったとき…とはまた違う気もするのだが
少なくとも先程までに見せていた残虐な表情は消え、女性らしい表情に…戻った、というべきなのだろうか
そして
>「キ、キサラちゃん。しっかりして。」
という言葉と共に、キサラが抱きかかえられた状態になり、握られた拳は平手となり、ぺちぺちと気付けをするような平手打ちになる
「…………は?」
いや、もうこう言わざるを得ない
豹変ぶりには驚いたが、その戻りもまた驚きだ
>「あ、あなたは・・・」
>「ちょっとごめんなさい。お友達が毒に当てられちゃったみたいで。
お友達の手当てもしたいし、もう暗くなっちゃっているから・・・リベンジしたいとは思うけど、戦いは今日のところはお休みしませんか?
よろしければ、一緒にお食事でも・・・?」
抱きかかえられているということも忘れて、一気に拍子抜けだ
自分が未だピンチの状況にあるのは変わりないのだが、流石のキサラもこれはツッコむしかないだろう
「……この学園にまともな人間はいないのか…」
ベアトリーチェにだけ聞こえるような小さな声でキサラは呟く
決して相手を馬鹿にしているわけではないが、正直呆れているのも事実だろう
>220>221>「冗談言わないでよ先生。
なかなかじゃなくて、ベストメンバーでしょ?」
言うねぇ、君。
確かにイケてるメンバーだけどな。
エース先生は勿論、文字通り火力のあるミルク、夜にこそ本領を発揮するヘボ吸血鬼。
ふっ…これなら勝算は十分ある。
薬もいくらか貰って来たしな。
準備は完璧だ。
俺はミルクのペンダントを預かり、アナザーゲートに放り込む。
「そういや腹減ったなぁ…あ!俺にはのり弁があったんだ。忘れてた。」
ゲートからのり弁を取り出し、箸が付いていない事に気付く。
しかし心配ご無用。
「テレレテッテレ〜。は〜し〜。」
俺はゲートから自慢気に箸を取り出す。
が、周りのリアクションは物凄〜く冷めていた。
>「レイド、見事なまでに滑ってますよ。」
「こほん。……それじゃあ、ちょっくら行って来ますか。」
「うむ…美味い。配給されたのが弁当で良かった。
いや、ホントに。」
>「僕の配給されたアイテムは弁当じゃない方が良いなぁ。」
「……嫌味かこの野郎。」
雑談をしながら弁当を食いつつ、森の入り口に立つ。
>「前に来た時よりもずっとおっかない森になってる…。
これはまるで魔界ではないか…!」
「な〜にビビってんだよ。夜はお前の本領を発揮出来る唯一の時なんだろ?」
ま、確かに気味の悪い森だけどな。
いかにも進入禁止って感じ。
「この、入っちゃいけない所に入る感じ…。
うん、悪くないな。」
>229残り半分位になった弁当をかきこんでいると、こちらに向かって来る人物が一人。
ん〜と…あれはグレイブか。
本日2回目の遭遇だね。
1回目はグレイルだったけど。
ん?誰か背負ってんな。
ぐったりしてるけど、とりあえず生きてるみたいだ。
「んぐんぐ……なんだ?逃げて来たのか?だとしたら賢明な判断だ。」
俺は食い終わった弁当をその辺に投げ捨てる。
ゲームの中だから別に良いよな。
教頭とかに見付かったらうるさく言われそうだけど。
「生徒二人で行くなんて無謀にも程が…ん…雨?」
パラパラと小雨が降ってきた。
こりゃ早くしないと風邪ひくぞ。
タイミング悪いなぁ…。
>223
> 「忙しいのに呼び出してごめんね、緊急事態だったものだから。
> エルザ、こちらはキキさん。東方からの転入生で、優秀な錬金術師なの」
「あ、うん。はじめまして、キキ。私の名前はエルザ・フォン・ブラハント。」
エルザはキキに軽く頭を下げた。そして、キキの隣にいる黒い羽の少女を見た。
エルザは彼女を見た後、怪訝そうに眉をひそめた。
> 「あのね、呼び出したのは他でもないエルザの事よ。
> さっき彼女は怪我をしたんだけど、回復魔法がまったく効かなかったの。
> キキさん、推察で構わないわ。何か思い当たることや知ってることがあったら教えてくれない?」
「キキ、実はね…(カックカクシカジカ)」
エルザは先ほどエースとバトルして、お腹を負傷した時のことを話した。
こうやって楽しく食事をしていて、自分が人間離れしている事を忘れかけていた。
しかし、もう何をしたところで、自分から銀色の血が流れた事実は変わらない。
もう自分を、人間のエルザと思う日は永遠に来ないだろう。
でも、せめて自分が本当は何者なのかだけはハッキリさせておきたかった。
> 「ほらエルザ、何か気になることがあったら今のうちに聞いたほうが良いわよ?
> キキさんはこういう方面にとても造詣が深いの」
「そうね、でも私はキキとリリアーナの二人に聞きたいわ。
信じられないかも知れないけど、私たまにロックの声が聞こえるの。
それも『なのだ〜!』って言う以前のロックの声が…私の頭がおかしいのかな?」
そう言ってエルザは黒い羽の少女の隣に座り、少女の肩に腕を回した。
「それと教えてキキ、この子は誰?何だか他人のような気がしないわ。」
>>228-
>>229 >「うん、よろしく……あ、マオさん。僕は今日もう出ないけど…今、Rに替わるから。」
もしかして1人でずっと肉体に入り続けることはできないのか?
また新しい奴か…まあ僕を連れて行ってくれるなら何でもいい。
>「つー事で俺参上!グレイル様だ!マオマオよろしっくー!」
そしていきなり三回転してポーズを決める。
「な、なにするんだ!僕を振り落としたら意味ないじゃないか!!」
>「あり?まあいっか、森を出りゃーいいんだろー?」
い、嫌な予感がする。僕はこういうタイプが一番苦手だ…
>「ちっとばかし酔うかもしんねーけど我慢しなよな!」
「ま、待て、あんまり乱暴なのは……ちょっと聞いてるのか!?」
ダメだこいつ、話しを全く聞かない…これならばまだグレイブの方がましじゃないか。
>「いぃぃやっほぉぉぉうい!」
あまりの猛スピードとテンションの高さにどんどん置いてかれる…
というか絶対にこいつ出口がどこにあるのかなんて分かってない…
すでによく分からん道を進んでいる…
「お…降ろせ!もういい僕は元気になったから、おい聞いてるのか!?」
だがその言葉に反比例するようにどんどん動きが早くなってくる。
風が僕の顔の皮膚を引っ張っているのが分かる、
サンダー一号が居れば……こんなことにはならなかったっていうのに…!
「降ろしてよ!ちょっと聞いてるの!?このバカァー!!」
もちろん全く話しなんて聞かずに進み続ける…出られるとき僕は生きていられるのか?
>「マオマオー、生きてんのかー?」
「うぅ…なんか気持ち悪い……酔った……」
さっきまでの食欲が失せるぐらい酷かった…
しかも散々猛スピードで引っ掻き回した本人はこの言葉……
もういやだ、早くグレイズに変わってくれ…なんだったら
あのグレイブだっていい…とりあえずこの莫迦には付き合ってられない。
すると誰かが森に入ってくるのを感じる…こんなコンディションじゃとてもじゃないが
本領を発揮できない…グレイルにここは一回どこかに隠れて様子を見ようといおうとした時
グレイルは畏れる様子もなく入ってきたやつらの方向に進み始める。
>「うっし、とりあえずてーさつにいっくぜー!」
「ば、莫迦!見つかったら偵察じゃないじゃないか!意味わかってから使え!」
しかし僕の言葉など全く聞かずに堂々と歩き始める…もうツッコム気さえおきない。
>>233 どうやら教師のようだ……もし戦いにでもなったら危ないっていうのにグレイルの莫迦め!
>「んぐんぐ……なんだ?逃げて来たのか?だとしたら賢明な判断だ。」
ん?口をもぐもぐと動かしている教師…もしかして!
>俺は食い終わった弁当をその辺に投げ捨てる。
「あーッ!!!それはお弁当!!」
グレイルから降り走って投げ捨てた弁当まで走る。
だが…当然投げ捨てたということは中身は空……そう、何も入ってない寂しい箱を僕は眺めていた…
「………僕のお弁当が……ああ、あの時のり弁を粗末に扱うんじゃなかった…」
僕は膝をつき地面に両手を置く…そしてまるで僕の今の心を表すかのように雨が降ってくる。
しかし、このままうなだれているわけにはいかない…リリアーナ達を倒さなければ優勝出来ないんだ。
「こうしてはいられない…なんとしてでもリリアーナ達を探すんだ!」
幸い教師達は別に敵になろうという考えじゃない、とりあえず放っておいて
僕は立ち上がり校舎の方に行こうとする。そして行こうとしたとき、
なんだか見覚えがある顔が見える。そう…あれはサンダー一号!!
「…サンダー一号!!お前か!!フ…フフフ…なんていうことだ。
リリアーナ達に会う前にお前に会うとはな……僕を捨てた恨み晴らしてやる!」
何か言いたそうだが関係ない!バチバチッと手を帯電させる、ん?待てよ…僕は今濡れて…
「ぎにゃあああぁぁぁぁ!!」
自分の体に流電し僕は倒れる…このエリートともあろうものが…疲れが判断力を鈍らせたのか
>「リリィと??・・・ぷっ!・・・くっくっくっく・・」
>「あっはっはっはっはっは!」
>「ふ〜。ごめんなさいねぇん。 リリィの事を侮っているわけじゃないのよ。
むしろ逆。 伊達や酔狂【だけ】で手元においているわけじゃないもの。」
「でしょうね。…あなたも…私達が友人となった時には既に
リリアーナの"怖さ"は十分理解していたんだから。」
アルワナーズもメラルも、リリアーナのことは高く評価している。
しかし…その方向性はまったく違った。
アルが評価しているのは芯の強さ。つまり…端的に言えば心の強さである。
だが、メラルのリリアーナへの評価の高さは…そういった強さよりも、
リリアーナが時折見せる高い判断力と洞察力などから垣間見える
リリアーナの潜在能力による部分が大きいのだ。
>「安心して。このイベント、未熟なものは早々にゴーストとなるのは折込済みよ。 (中略)
熱さも寒さも影響を受ける事は無いから・・・存分におやりなさいな。」
「…それなら…既に負けた人にはそこまで迷惑はかからないわね。…ありがとう。アル。」
寝そべったままの状態でメラルが言った。
(…エミュー、…念の為確認して。……ありがとう。)
そして…いまや"水"に取り憑く形になっているエミューと軽いやり取りをした後、
指輪から装飾の突いたナイフを取り出して…数秒の躊躇の後、いきなり
ナイフを自らの心臓の位置に突き刺した。もちろん、メラルはその場から消える事になる。、
どうせ指輪の中のペンダントは奪えないなら、今の状況では一度倒れて魔力や体力を回復させたほうがいい。
…そういう判断だった。もちろん、倒れた際に出現する位置の安全が前提であり、
それをエミューに確認させたうえで、であるが。…しかし…その考えには、盲点があった。
…なぜか、指輪の中にしまったはずのペンダントは…メラルのそれも、そしてもちろん
リリアーナのそれもその場に残ったのだ。最も、それを確認したエミューが、
慌てて術で氷の腕を作り出し、儀式の機材の下に隠してはいたが。
そして…メラルが迷彩の術…ミラージュミストをかけた状態で結界内に戻ってきて、
二つのペンダントを回収し、指輪の中に仕舞い込んでからアルにぼやいた。
「この指輪の中に入れていても、やられたらペンダントは残るみたいね。
まぁ、確かに…そうじゃないと、こういった道具さえあればほぼ確実に
敗退は免れる事になるから、仕方ないんでしょうけど…。」
そして…メラルが数種の魔法薬を飲んで、更なる魔力の回復を図り始めた。
しかし、そういったやり取りの間…空には変化が起きていた。
儀式によって作られた雲は少しずつ大きくなっている…が、それだけではなく
それ目掛けて…周囲の雲が…ゆっくりと集まってきているのだ。
そして、それらの雲を取り込んでなお雲は肥大化していき…
日が完全に落ちて少しした頃には…小降りの雨が降り始めた。
その様子を見ながら…メラルが言った。
「…アル。…これだけ大層な準備をしていたのにこの程度で…拍子抜けしているんじゃない?
でも…安心して。これは、あくまで準備なの。…誰だって、いきなり土砂降りの雨が降れば、
すぐに建物に駆け込むけど、この程度の雨なら、多少濡れる程度だから十分戦える…
そう考える人の方が多いはず。…この後に…強烈な吹雪が待っているとも知らずにね。」
>>235の訂正。
風が僕の顔の皮膚を引っ張っているのが分かる、
の後に
しかも…あまりのスピードに僕のとっておいた弁当が
はるか後方へと転がっていってしまった…
の一文が抜けてました。すいません。
>224>232
>「よし……行こう!」あたしの喝入れでヴァンエレンも気合いが入ったみたい。
レオ先生に化ける作戦の要はあんたなんだから、しっかりがんばりなさいよ!
>「そういや腹減ったなぁ…あ!俺にはのり弁があったんだ。忘れてた。」
>「テレレテッテレ〜。は〜し〜。」
「先生…空気読んでとは言わないけど、もうちょっと雰囲気に合わせてよ…」
そりゃあれだけ詰め込んだアナザーゲートから、箸とのり弁をすぐ出せるのは、すごい技術なんだけど…
エース先生のツッコミを聞いてたら、緊張が解けたのかあたしもお腹が空いてきた。
さっき漁った机にカロリーブロックがあったから、あれでも食べようっと。
魔の森に行く途中、しばらくユリと連絡を取っていなかったのを思い出して、遠話の水晶で呼び出す。
しばらく待たせてから帰ってきた返事は、やけに眠そうな声だった。
こいつ、あたしが死ぬほど苦労してるのに、ぬくぬく寝てやがったな!
>「いやー、ごめんごめん。
ちょっと忙しくなりそうでさ、軽く休憩中に仮眠してたんだ」
ユリはあたしと違って体育会系だから、頭が悪い分体力は半端じゃない。
24時間でも報道に走り回れるのに、休憩中に仮眠?
「なによそれ。何か大きな動きでもあるわけ?」
>「今は秘密だけど、もう少ししたら、でっかい花火が打ち上がる予定だよ。
ミルクも優勝目指してがんばってね。じゃ!」
「ちょっと待て!花火ってなんだ花火って!
それじゃ全然わからないでしょうが詳しく教えろーっ!!」
通信は一方的にとぎれ、呼んでも叫んでももうユリは出てこなかった。
結局わかったのは、誰かが状況を大きく動かそうとしてるって事だけ。
…やっぱりベアトリーチェだろうな、常識的に考えて。
「誰かが大規模魔法の準備をしてるみたい。
たぶんベアトリーチェが毒を学園中にまき散らすんだと思うから、今夜の内に片付けちゃおう」
新しい情報をレイド先生たちやヴァンエレンに伝えながら、魔の森への道を急ぐ。
>「前に来たときよりもずっとおっかない森になってる…。
これはまるで魔界ではないか…!」
魔の森に着いてみれば、そこはまるで月明かりでも入れませんって感じのおっかない場所になってました。
ヴァンエレンが驚くのも無理ないよね。
>「な〜にビビってんだよ。夜はお前の本領を発揮出来る唯一の時なんだろ?」
「そうそう、レイド先生の言うとおり。
もちろんレオ先生の白衣を受け取って、ちゃんと着ておいてね。
もし変身がバレていても、白衣惜しさに腐食ガスを使わないかもしれないから」
それにしても本当に魔の森になっちゃったなー。あたしは手近な毒っぽいキノコに、聖水をちょっぴりふりかけてみた。
じゅわっと煙が上がってキノコは跡形もなく消える。
…どんな毒使ったらこんなキノコができるんだ…
>233>236
>「生徒二人で行くなんて無謀にも程が…ん…雨?」
森の中、レイド先生が近づいてくる人影を見つけたみたいだ。
敵か?味方か?
緊張するあたしの前に、レイド先生はポイと弁当箱を捨てた。
教師がゴミのポイ捨てしてどうする!
>「あーッ!!!それはお弁当!!」
あたしがレイド先生に注意しようとした時、急に背負われていた方の男が弁当に走り寄って来た。
>「………僕のお弁当が……ああ、あの時のり弁を粗末に扱うんじゃなかった…」
それはあんたの弁当じゃないだろ。
空箱を前にうなだれる男に追い討ちをかけるように、ポツポツと雨が降ってくる。
あたしの今日の修道服は戦闘用だから、多少の雨なら大丈夫。
でも本格的に雨が降る前に終わらせたいよね。
「はいはい。そんなにお腹が空いてるんなら、学食にでも行ってね。
あたしたちは急いでるんだから、あんたたちに構ってる暇はないの」
なにかブツブツ言ってるけど、戦意は無いみたいだな。
立ち去ろうとする男だけど、ヴァンエレンを見て驚いたようだ。
>「…サンダー一号!!お前か!!フ…フフフ…なんていうことだ。
リリアーナ達に会う前にお前に会うとはな……僕を捨てた恨み晴らしてやる!」
ん?この2人もリリアーナやヴァンエレン絡みの仲間か?
新聞ではあまり見ない顔だけど…
あたしが首をひねっていると、腹ペコ男は雷系の魔法の準備を始めた。
まずっ!今ヴァンエレンがやられたら、誰がレオ先生に変装するのよ!
あたしが横からメギドでヴァンエレンを支援しようとした時。
>「ぎにゃあああぁぁぁぁ!!」
腹ペコ男は倒れた。
えーと。何がどうなったんですか?
いかん、状況が全然わからない。
「ヴァンエレン…。幾つか聞きたいことがあるんだけどいい…?
こいつは誰で、今何をしてたの…?サンダー1号ってどんなリングネームよ…」
>233>240
先ほど保健室より拝借してきたレオ先生の匂いつき白衣をレイドより受け取ると、いつでも変身できるように羽織っておく。
腹が減っては戦はできぬと弁当を頬張るレイドだが、よくそんな余裕があるものだとあきれた眼でものすごい勢いで減っていく弁当を見ている。
>「な〜にビビってんだよ。夜はお前の本領を発揮出来る唯一の時なんだろ?」
>「そうそう、レイド先生の言うとおり。
>もちろんレオ先生の白衣を受け取って、ちゃんと着ておいてね。
>もし変身がバレていても、白衣惜しさに腐食ガスを使わないかもしれないから」
レイドが弁当を食べ終わるころに森から生きて脱出してきたであろう者が二人ほど入り口付近に向かってきていた。
>229>236
天候が変わって雨が降り始める中で森を疾走してきたのはグレイルとマオの二人だった。
そのうちなぜかマオが捨てられた空になっている弁当をみてなにやら嘆いているが理由はわからない。
突如現れた人物がこれからどうしても会いたかった人物だったので、これ幸いと話しかけようとすると…。
>「…サンダー一号!!お前か!!フ…フフフ…なんていうことだ。
> リリアーナ達に会う前にお前に会うとはな……僕を捨てた恨み晴らしてやる!」
放電させて攻撃態勢に入るマオだが、いまの雨にぬれた状態でそれをやるとどうなるかのか?
>「ぎにゃあああぁぁぁぁ!!」
結果、電気を起こさせた術者が逆に流電してしまって戦闘が起こる間もなくマオは倒れた。
ヴァンは攻撃に備えて身構えていたために、なんなんだと唖然とするしかなかった。
>240
>「ヴァンエレン…。幾つか聞きたいことがあるんだけどいい…?
>こいつは誰で、今何をしてたの…?サンダー1号ってどんなリングネームよ…」
「えーと…昼間に彼女と出会いまして、なりゆきで一緒にベアトリーチェを倒しに行った人です。
いまはあのベアトリーチェと取引したみたいで、敵…なのかな?
サンダー1号については…なんでそう呼ばれているか私にもわからん」
とりあえずこのままでは雨に冷やされて風邪を引いてしまうかもしれないということで、使い魔に自分の予備の貴族服を用意させてかけてやる。
「それで人狼よ…。
ベアトリーチェ側のマオと一緒に行動していたということは…君は敵か?」
>230>231
ソフィアが戦う意思がないと伝えると、ベアトリーチェの表情が更に明るくなった。
「まあ、嬉しいわ。そんなこと言ってもらえるなんて・・・」
キサラを抱きかかえたまま喜んでいると、ボソリとその呟きが耳にった。
それを耳にし、よいしょ、とキサラを抱え直すふりをしてソフィアに背を向け・・・
ソフィアの位置からは死角になったところでキサラのコメカミに肘鉄を叩き込み気絶させる。
(だぁって気絶してろ、ボケが!)
くるりと向きかえると一瞬見せた座った目もどこへやら。
ソフィアの前では笑みを絶やす事は無かった。
>「でも、女性に立ち話は体によくないね。座れる所があるなら、移動しようか?」
「うふ、そうね。キサラちゃんも横にしてあげたいし、私の後についてきて。
湿原だけどここだけ足場がしっかりしているの。」
そう伝えて湿原を渡り、庭園へと進んでいく。
勿論嘘だ。
湿原に足場がしっかりしている場所などありはしない。
暗いのをいいことに、密かにミミズで橋を作らせているだけなのだった。
庭園はライトアップされ、動植物や石柱などが幻想的に浮かび上がっている。
その中にある東屋・・・というには少々作りがしっかりしている。
茶室というべき建物に案内をした。
「キサラちゃんを寝かせてくるから。」そういってソフィアを待たせ、何処かへ消えていった。
数分後、茶室に飲み物と錠剤、そして缶詰をトレイに載せたベアトリーチェが現れた。
先程までしていたフェイスベールも外し、素顔での登場。
「まずこちらを飲んで。抗体。これで腐海の毒は平気になるから。
障壁や呪具で防ぐにはここの空気はちょっと辛いでしょうから・・・。」
にこやかにグラスと錠剤、そして缶詰をソフィアの前に並べた。
「本当はちゃんとした物を出ししたいのだけれど、秋といってもまだ暑いでしょう?
食材はすぐいちゃんじゃうから・・・缶詰でごめんなさい。」
料理が下手だからとは口が裂けてもいえないのが乙女心。
ソフィアの前の席に腰掛け、自分のグラスに粉を入れていく。
「安心して。私の専門は毒・薬学だけれど、折角訪ねて来てくれた人に毒なんて盛らないわ。
でも私は・・・毒必要だから・・・。」
グラスのお茶は粉が入ると見る見る変色していき濃い紫へとなっていく。
「最初の出会いは些細な行き違いがあったけど、こうしてお話ができて嬉しいわ。
乾杯しましょ。」
ぽつぽつと雨音がしだした中、満面の笑みでベアトリーチェはグラスを持ち上げる。
一方その頃、庭園の地下。
そこは庭園と同じ広さを持ち、所狭しと実験道具が置かれている。
特に目立つのは大きな二本の円柱状培養槽。
鈍く蛍光色に光るその中には、ベアトリーチェが生えていた。
片方は既にベアトリーチェと一目でわかるまでになっているが、もう片方はようやく人の形になった程度で。
薄暗いが広い室内で、キサラは全裸にされ手枷足枷で貼り付けにされベッドに寝かされていた。
意識の無いキサラのその横ではベアトリーチェが眉間に指を当てて悩んでいた。
「・・・参った・・・ほんとに男だったなんて・・・」
そう、脱がしてみてはじめてわかった衝撃の事実。
男であるキサラにあれだけの事をしてしまって後悔の念に襲われていたのだ。
勿論罪悪感ではなく、自分のイメージ的な問題で悩んでいるだけなのだが・・・
その後悩みを振り切ったように立ち上がり、キサラの身体にチューブを何本も差し込んでいく。
「えーと、まず解毒・・・それから脱魂湯。各種強化剤・・・ピプト改はもう少し後で・・やっぱ記憶・・・消しとくかな・・・」
ベアトリーチェは感じていた。
夜のうちに何かが起きる、と。それを想定するだけの諸々の根拠はある。
だが、一番大きいのは【女の勘】だった。
ここで更なる手駒を得ておかないといけない、と内からの声に従っているのだ。
それから暫くの後・・・
キサラは体力・魔力が全回復した!
キサラの力・素早さが1.3倍になった!
キサラは魔力探知能力が強化された!
キサラは暗視能力と腐海の毒への抗体を得た!
キサラは痛覚とアルナワーズと別れてからの記憶を失った!
キサラは意識を乗っ取られた!
虚ろな表情で立ち上がるキサラの首から背中にかけて人面疽が張り付いている。
脱魂湯の効果でキサラの魂は体外に半ば引き剥がされた状態にある。
そこに入り込んだのがピプト改の人面疽が入り込んで身体を操っているのだ。
通常のピプトとは違い、限界まで能力を行使させるが、リミッターを超える事は無く、自決プログラムは無い。
更に腐海外での活動も可能にしている。
つまりは、使い捨ての駒ではなく、完全たる戦闘人形となったのだ。
その後ベアトリーチェとキサラは秘密の出口を使い、ソフィアに気取られる事無く湿原の畔まで来ていた。
「あら、ちょうどいい具合に雨が降ってきたわ。鎧もつけましょ。」
武器装備だけを持ち、全裸のキサラに何か粉をかけていく。
雨にぬれた肌に粉は付着し、見る見るうちに成長していった。
そして出来上がったのは、全身カビで覆われた菌糸君。
ところで、なぜにキサラは全裸なのか?
戦闘の達人というのは極めて合理的なものである。
無駄な行動に見えてあらゆる事に意味をもたせるのだ。
さて、キサラの纏ったカビ鎧だが、致命傷を一回だけ身代わりになる。
大きな攻撃を受け、倒したはずがそこに現れるのは全裸のキサラ。
全裸である事に何も意味もない。
その意味の無さが達人の思考空白を生じさせるのだ。
今のキサラを倒せるほどの人物だからこそ有用な罠なのだ。
そう、決して趣味や嫌がらせではないのだ。
「ではいきなさい!改造キサラ一号!」
ベアトリーチェはキサラを腐海へと送り出す。
強化された魔力探知能力で腐海に近づく強力な魔力の持ち主に向かって。
驚異的な身体能力を遺憾なく発揮する改造キサラ一号に追従するものが・・・
魔法反射陣を展開させた菌糸巨人が5体。
腐海最強の軍団と化し、駆け抜けていく。
>218
>「・・・・・・かっ・・・・・・・かくなる上はっ!!」
「角丸大福?」
ぼわん、とばかりに子犬がすたこらさっさーと逃げてゆく。
とりあえず見送るラルヴァ・・・。
とりあえず子犬を追撃するつもりはなさそうだ。
「なんか曇ってきたね。しかもなんか変な雲・・・。
どうするフリージア?あの雲の集結地点何かありそうだけどいってみる?」
再び大剣を背中に背負い、聞いてみる。
シャニィからペンダントを受け取って首からさげる。
そこにはなぜか顔のない人形に【ラルヴァ】と名前が縫われていた。
「・・・手抜き?」
ちなみに支給品はとりあえず背嚢につめこむことにした。
>>242-243 >(だぁって気絶してろ、ボケが!)
ベアトリーチェの肘鉄がコメカミに叩き込まれ、意識が遠のいていく
もはや自分の声が出ているのか、そして出ていても彼女に届いているのかは定かではないが、キサラは遠のく意識の中でこう呟いた
「…僕は……もう…負けられない…
負けたまま…終われない……必ず…」
キサラは薄れゆく意識の中で何を思い、何と呟いたのかベアトリーチェに伝わっただろうか?
キサラの意識は闇に堕ちていった
次に目が覚めたときも、キサラの身体はキサラの意思で動かすことはできなかった
ただ意識が消える前と違ったのは、身体は動くこと
自分の意思とは別に―――そう、完全に身体の自由を乗っ取られて
だがキサラはなぜこんな状況になっているのかはわからない
アルワナーズさんと別れた辺りから、記憶が曖昧なのである
思い出そうとする―――頭が痛む
そして―――意識がやっとはっきりしてきた頃―――目の前に人がいる
一人や二人ではない―――複数人
中には見たことのある顔も―――
「レイド先生…!」
そう、森の入口でレイド達と遭遇したのだ
身体は動かせないが、声はどうも出せるらしい
そして身体は意志に反して、両手が腰の銃を抜く
そして、レイド達にその銃口を向け、銃口が薄緑色に光る
キサラの魔力が銃に集められ―――弾丸の威力が数倍に増幅され―――いうなればチャージショットというものだ
直撃すれば目の前の人達を一掃できるだろう
だが、そんなものはキサラは望まない
この学園で強い人達と戦いたいのも事実だ
その中の一人、レイド先生とも戦いという意思はあった
だが―――こんなものは違う
自分の意思で戦えないのは―――違う
そしてキサラの脳裏にリリアーナの言葉が蘇る
『リバース内では殺されても死なないけれど、痛みや死に至る苦しみは本物よ』
以前のキサラなら、そんなもの気にしなかっただろう
しかし、リリアーナ達と変わってキサラは変わった
本人にまったく自覚はない、その上、そんな感情は愚かだと自分に言い聞かせ―――隠してきたのだ
だが、精神を乗っ取られ、極限状態にあるキサラの言葉は―――嘘をつけなかった
「撃ちたくない―――」
最初は呟くように
「…撃ちたくないんだ……っ!!!」
次ははっきりと、叫んだ
誰に言うわけでもなく
その願いは―――届くことはなく
キサラの銃口から、威力が数倍に跳ね上がったチャージショットが、悲痛の叫びと共に、レイド達に向けて放たれた
>233 >235-236
「おっ!レイドセンセーとエースセンセー、あと見知らぬ人たちじゃん!」
>「んぐんぐ……なんだ?逃げて来たのか?だとしたら賢明な判断だ。」
「へっ?俺がなにかr…」
そこまで言ったところでマオが行き成り大声を上げた。
>「あーッ!!!それはお弁当!!」
そう言ってレイドが投げ捨てた弁当に駆け寄る。
そして嘆く。お弁当がどうした。
何が何だかわかったものじゃない、という顔をするグレイル。
気を取り直し、いざ校舎へ向かうというとき、またマオが何か言い出した。
>「…サンダー一号!!お前か!!フ…フフフ…なんていうことだ。
> リリアーナ達に会う前にお前に会うとはな……僕を捨てた恨み晴らしてやる!」
そして手をバチバチと鳴らして…
>「ぎにゃあああぁぁぁぁ!!」
自らが出した電流で感電。
【自滅!?ちょっ、マオさん!?】
【ざまあみろ…くっくっく。】
死んだりはしないものの、当分は体に力を入れられないだろう。
>241
ぶっ倒れたマオについては見るからにヘタレそうな奴の使い魔が服を被せて、風邪を引かないようにする。
そしてヘタレそうなのがこっちを向いて話し出す。
>「それで人狼よ…。
> ベアトリーチェ側のマオと一緒に行動していたということは…君は敵か?」
「俺を人狼だと分かったのか!すげーな!
ところでお前さ、もしかしてヘッポコ吸血鬼だったりする?」
ヘタr…ゲフンゲフンヴァンエレンの噂は大分行き届いているようである。
グレイルは返答を見ながらも、話を続ける。
「俺らはただ、マオマオが沢山ペンダントを手に入れる方法があるっていうから仲間になったんだぜ!
ベアッチェにはまだ会ってないんだ!」
大いに勘違いをされそうな答えである。
「で、あんたらは何処にどうやって何しに何の為に行くんだー?沢山ペンダントくれるならどーこーしてもいいぜー!」
>245
ふと、グレイズが人狼の感覚のおかげか森のほうからの気配に気付く。
【今度は誰だろう?女の子…いや、男の子…キサラ君?】
そう、キサラである。体は青緑色の服…いや、鎧とでもいうべきなのか。
モケモケしたものに覆われている
【……様子がおかしいな。】
「なんでだろう〜なんでだろう〜…ちょっと待て、銃向けてねー?」
【え?嘘だよね……魔力、集まってる…まずい!】
魔力が銃口に集まっている。
あれは如何考えてもまずいものだ。
グレイルは本能のまま叫ぶ。
「てめーら逃げろぉぉー!!」
>237
「一度死ぬなんて随分と思い切ったわねぇ。
さっきの放送通りなら回復は50%。ま、空っぽ状態から50%回復なら・・・いいのかしら・・・。」
魔法薬を飲み、回復を図るメラルを見もせずに呟く。
復活ができるとわかっていても己で命を絶つというのはそれなりの覚悟がいるものだ。
それを数秒の逡巡で行う事に、メラルの覚悟を感じ取っていた。
アルナワーズは女子寮屋上から、フィジル島を見回していた。
メラルの儀式によって起こった変化は小雨が降り出したのみ。
勿論、これだけで終わるはずはないとは思っている。
その考えを肯定するように、戻ってきたメラルが説明を加えてくれた。
「ふぅん。でも・・・広域範囲魔法の宿命だけれど、細かく対象を選べない物じゃない?
リリィは大丈夫なのかしら?」
この広域魔法でリリアーナまで倒してしまっては意味がない。
勿論復活できるのだが、メラルは全力での対決が望みなのだ。
高度な術となれば細かく対象を選ぶ広域魔法もある。
だが、それをするには、更なる手間と労力がかかるのだ。
たった一人で儀式魔法を執り行うメラルはそこまで余力があるのだろうか・・・
様々な思考を巡らせながら、じっと空の変化を見守っている。
>236>「あーッ!!!それはお弁当!!」
>「………僕のお弁当が……ああ、あの時のり弁を粗末に扱うんじゃなかった…」
お前は何アホな事言ってやがる。
それは俺の弁当だ。
しかも空だ。何があったか知らないがのり弁を粗末にしたお前が悪い。
>「君は…マオ…だね?」
「…マオ?あ〜、あの二等課程で常に上位と噂の娘か。」
噂のエリート君と出会えるとは光栄だね。
そういや職員室でもちょくちょく話題になってるな。
>「こうしてはいられない…なんとしてでもリリアーナ達を探すんだ!」
なんだ、目的はリリアーナか。
でも「達」って言ってるから複数なのかな?
んじゃ俺達とは関係無いねバイバイ。
お気をつけて。
>「…サンダー1号!!お前か!!フ…フフフ…なんていうことだ。
リリアーナ達に会う前にお前に会うとはな……僕を捨てた恨み晴らしてやる!」
え?捨てただって?
「聞きました奥さん?あの吸血鬼、エリートのマオさんを捨てたんですってよ。
最低ですわねぇ。」
>「最低ですねぇ。」
ふざけてエース先生とこんなやり取りをしていると…
>「ぎにゃあああぁぁぁぁ!!」
……エリート…なんだよな?
つーか今頃だけどサンダー1号って何だ。
>241ヘボ吸血鬼改めサンダー1号の話によると、昼間マオと一緒にベアトリーチェを討伐に行ったらしい。
が、結局マオはベアトリーチェと取り引きをし、お前はそんなマオを見捨てて俺達を頼って来た、と。
そして捨てられたマオはグレイ達と手を組んだって訳ね。
>246>「で、あんたらは何処にどうやって何しに何の為に行くんだー?沢山ペンダントくれるならどーこーしてもいいぜー!」
「森に、歩いて、……森の洗浄に行くんだよ。
同行?遠慮しとく。」
お前らにやるペンダントはねぇー!
……それ以前にお前らはベアトリーチェ側の人間だろうが。
俺達にとっちゃ敵みたいなもんだぞ。
「さて、あんまり時間も無い…行こうz…」
>「てめーら逃げろぉぉー!!」
全身に強めの障壁を張り、ポケットからタバコを取り出そうと思った瞬間、グレイルが叫ぶ。
正面を向くと何者かの銃口から強力なショットが放たれた。
「うおぉっと」
俺は貴族服を着て倒れているマオを抱え、右に10m程飛ぶ。
誰の仕業かと思えば……キサラ?と、その仲間達?
アイツもやられたか…。
「動けるか〜、エリート君?
動けるんだったら自力で逃げろ。
動けないんだったらグレイルにおぶってもらって逃げろ。」
>234
>「そうね、でも私はキキとリリアーナの二人に聞きたいわ。
> 信じられないかも知れないけど、私たまにロックの声が聞こえるの。
> それも『なのだ〜!』って言う以前のロックの声が…私の頭がおかしいのかな?」
リリアーナは一瞬答えに詰まった。
だがすぐに気を取り直し、
「少しもおかしくなんて無いわ。私も時々頭の中で教頭先生の怒鳴り声が聞こえる気がするもの」
と答えた。
――――だが本当は迷っていた。
エルザになんと答えれば良いのか分からなかったのだ。
エルザにロックの声が聞こえてもおかしくない。もともとロックとエルザは同一人物なのだから。
だがそんなこと、リリアーナの口から言えるはずもなかった。
二人は交際しているのだ。
複雑な思いを抱いているリリアーナが真実を告げる事は、とてもフェアではない気がした。
それに真実を話した後、エルザがどうなってしまうのかリリアーナには分からない。
(もしかしたらアルは、あの儀式でロックの魂の一部まで彼女に移植したのかしら?)
とすると、魂の一部が欠けた影響で、ロックは短髪のロックに変わってしまった可能性が高い。
――――では、ロックの魂が元に戻った時、はたしてエルザはエルザとして存在できるのだろうか?
リリアーナは窓の外に視線を向けた。
いつの間にか日は暮れ、静かに小雨が降っている。
>「それと教えてキキ、この子は誰?何だか他人のような気がしないわ。」
そう言ってエルザは黒い羽の少女の隣に座り、少女の肩に腕を回した。
リリアーナは瞑目した。もうだめだと思った。
「・・・・・・・・・エルザ、その前に一つ聞いてもいいかな?
もしも・・・もしも私の両手が義手だったとしたら、エルザは私を人間じゃないって思う?」
て苦笑いするが、リリアーナは止める気は無かった。
「では両手両足が義手だったら?
何かの事情で全身が機械仕掛けだったとしたら?その人はもう人間じゃないのかな?」
リリアーナは幻灯機を手に立ち上がった。
「私はね、エルザのことが大好き。もちろんロックのこともね。だから、二人にはいつも笑っていて欲しい。
でも・・・・・・エルザがどうしても真実が知りたいというのなら、私には止められない」
リリアーナは思い切り幻灯機を上下に降り始めた。
皆の生暖かい視線を感じるが、リリアーナの顔は真剣そのものだった。
「ミニアル!どうぜ今頃幻灯機の中で編集してるんでしょ?出てきてくれないかな〜?」
ぽん!という音と共に、30センチほどの3頭身の女の子がテーブルの上に転がり落ちてきた。
褐色の肌に、エキゾチックな顔立ち、黒髪にオリエンタルな民族衣装。
多分にデフォルメされているが、キサカやキキはもちろん、エルザもきっと知っているし『覚えている』だろう。
「ミニアル、久しぶりー。早速だけど話は全部聞いてたわよね?じゃあエルザが何を効きたいかも分かってるわよね?」
リリアーナは満面の笑顔を浮かべながら、ミニアルナワーズをエルザに手渡した。
「・・・・・・私とキサカさんは席を外した方がいいかな?」
>199>218
「お〜ほっほっほ!私の進化は光よりも早くてよ!お〜ほっほっほ!!」
フリージアは勝ち誇ったように笑う
>「たてロールがドリルになるなんて反則ですわ!」
>「そうですわそうですわ、フリージアお姉さまのイメージ台無しd・・・っ?!」
「伊達や酔狂でこんな髪型をしているわけではなくてよ!お〜ほっほっほ!!」
本当はかわいいからこの髪型をしているのは秘密だ!!
>「チェックメイト。降参してくれる?」
「ナイスですわラルヴァさん!お〜っほっほっほ!!観念してペンダントをわたしなさいな!!」
高笑いをするフリージアいつのまにやらタテロールは元に戻っており
新しい腕が生えている
>「どんな汚い術を使いましたのっ!?まったく信じられませんわっ!」
そして子犬に変身して逃げ出す二人
>「こ、今回だけは見逃してありますわっ!優しいわたくしたちに感謝することねっ!!」
>「だが、光ある限り闇もまたありますわ!再び何者かが闇の中から現われましょう!」
>「「それではフリージアお姉さまとおまけその1、ごきげんようー!!」」
「逃がしませんことよ!イヤァァァァァ!!」
フリージアは子犬に変身した二人に回り込もうと大きくジャンプした
トイヤァァァ!でもトォォォォ!でもなくイヤァァァァ!なのは
彼女がレオ先生の弟子故である
ちなみにフリージアが格闘技を習い始めたきっかけは美容と健康のためらしい
格闘遊戯のキャラが大抵、異常にスタイルが良いことから考えてみるとその効果は抜群だと言えよう
一部例外はいるようだが・・・・
「ネビュ・・・もといフリィィィィジング・チェェェェェン!!」
そして逃げようとする子犬を絡め取ろうとフリージアは雪の結晶で作られたチェーンを投げるフリージア
「せっかく私が痛くない方法で戦ってあげてるのに・・・それとも痛いのがお好みなのかしら?」
どっから見てもドSですどうもありがとうございましたな笑顔でスールAにほほえみかけるフリージア
「あ、ラルヴァさん勘違いしないで私、嗜虐趣味なんて持ち合わせてなくてよ」
>242
「うふ、そうね。キサラちゃんも横にしてあげたいし、私の後についてきて。
湿原だけどここだけ足場がしっかりしているの。」
「へぇ、優しいんだ」
すこし安心。悪い人じゃないんだって。私が考え過ぎなんだって。
でも、こういう場所には疎いから何とも言いにくいけど
沼地に足場がしっかりしたとこなんて、在るんだろうか?
まぁ、あるところもあるんだろう。そう、結論。
沼地にある園は、まるで魔力を帯びているかのよう。
美しくそして妖しい。人の心を掴むよう。
その中の建物、茶室だろうか?そこに招かれる。
「キサラちゃんを寝かせてくるから。」
そう言って、友人を担いで退出する彼女を、小さく手を振って送る。
改めて、うん。友人想いのいい人じゃないか。
しかし、ここは私に昔を思い出させる。
茶の湯に漢詩文、雅楽に詩歌。そして立ち居振る舞い。
どれもやたら厳しく幼少期に仕込まれた憶えがある。雅楽はサッパリだったげど。
そんな風にしていると、彼女が素顔で登場。
私はそんな彼女に眼を細めて
「綺麗なんだね」
そう誉める。誉め言葉は単純な方が返って心に響くもの。
感性生きる、私の実体験。
「まずこちらを飲んで。抗体。これで腐海の毒は平気になるから。
障壁や呪具で防ぐにはここの空気はちょっと辛いでしょうから・・・。」
「お気遣い、ありがとうございます」
そう、頭をさげる。傍目に観て、様になってたら嬉しいかな。
朝から晩まで、マナーを叩き込まれたって経験は報われて欲しい。
「本当はちゃんとした物を出ししたいのだけれど、秋といってもまだ暑いでしょう?
食材はすぐいたんじゃうから・・・缶詰でごめんなさい。」
しゅん、となる彼女。さて、何て声をかけようか?
「そうだね。盛りがすぎたとはいえ、まだまだ怖いからね。
それに、こちらから押しかけたんだから。君が悪く思うことはない。
手土産でも持って来ればよかったのにね。ガサツな者で、申し訳ない」
言葉とは別に、頭の中では安心してた。
良かった。まさか缶詰にまでは細工はしないよね。って。
ひよっとしたら、そんな思いが態度か、顔か。どちらかに出たのかも知れない。
「安心して。私の専門は毒・薬学だけれど、折角訪ねて来てくれた人に毒なんて盛らないわ。
でも私は・・・毒必要だから・・・。」
「読心術とか、出来るのかな?君にウソは吐けないね」
思わず苦笑い。女性というのは怖いね。
私には毒云々は無視。誰にだって、触れられたくないことはある。
「最初の出会いは些細な行き違いがあったけど、こうしてお話ができて嬉しいわ。
乾杯しましょ。」
「そうだね。楽しいお喋りの時間が出来て、私も嬉しいです」
そう言って、グラスを傾ける。
茶室にガラス製品。なんかミスマッチな気がしなくもない。
まぁ、気になるほどじゃないけど。
あれ、そういえば……?
「本の中なのに、雨なんて降るんだね。よく出来てる」
風情はあるけど、同時にどこか不自然だ。
>「一度死ぬなんて随分と思い切ったわねぇ。
さっきの放送通りなら回復は50%。ま、空っぽ状態から50%回復なら・・・いいのかしら・・・。」
「…人に勧められるやり方ではないわね。…死ぬほど痛かったし。」
死の痛みだけに死ぬほど痛いのは当たり前なのだが…それはまた別の話。
そして、結界の中…儀式によって雲を集めている間、それに連動するように
立体的な結界が広がり…それにあわせるようにして、
配置した儀式道具も、広がりを見せ始めた。
連動して、迷彩結界もゆっくりと広がっていき…雨が降るころには
結界の真ん中に、少しだけ開けた場所ができていた。
>「ふぅん。でも・・・広域範囲魔法の宿命だけれど、
細かく対象を選べない物じゃない? リリィは大丈夫なのかしら?」
メラルの説明に対し…アルが最もな疑問をぶつけてくる。
「…確かに…リリアーナには安全な場所にいてもらった方がいいわね。」
(まだ、この指輪の双方向性だけは見抜かれないようにしなきゃいけないけれど…。)
それを受け、メラルは指輪から…別の指輪を出現させ、指に嵌め…魔力を込めた。
そして…その場にいないはずのリリアーナに向けて、しゃべりかける。
しかし…恐らく、リリアーナにはメラルの声を聞いたように聞こえるだろう。
それが、指輪の効力の一つなのだ。
実は、同様のプロセスの後にリリアーナが喋れば、その声はメラルにも
聞こえるのだ。最も…メラルはそれを教えるつもりはないようだが。
『リリアーナ、ひとつ忠告してあげる。今のうちに建物内に逃げ込みなさい。
多分、もう少しすると…みんな否応なしに建物内に避難せざるをえなくなるわ。』
メラルはリリアーナの居場所を知らない。だからこその忠告である。
>241>246
>「えーと…昼間に彼女と出会いまして、なりゆきで一緒にベアトリーチェを倒しに行った人です。
いまはあのベアトリーチェと取引したみたいで、敵…なのかな?
サンダー1号については…なんでそう呼ばれているか私にもわからん」
混乱中のあたしだったけど、それはヴァンエレンも同じだったみたい。
唖然としながらも、一応返事は帰ってきたからよかったけど。
彼女ってことは、こいつ男じゃなくて女だったのか。
で、ベアトリーチェに丸め込まれてるんだから、頭はあんまりよろしくないと。
あたしが新情報を脳内整理している内に、ヴァンエレンは腹ペコ女に服をかけてあげていた。
>「それで人狼よ…。
ベアトリーチェ側のマオと一緒に行動していたということは…君は敵か?」
さらにヴァンエレンは赤髪の人狼(?)とも対峙する。
おおっ!夜中だからか、かっこいいぞヴァンエレン!
>「俺を人狼だと分かったのか!すげーな!
ところでお前さ、もしかしてヘッポコ吸血鬼だったりする?」
対する人狼の方は空気を読まずにマイペースな対応。
あーもう!ここは吸血鬼対人狼で、一大怪獣決戦を繰り広げる所でしょうが!
>「俺らはただ、マオマオが沢山ペンダントを手に入れる方法があるっていうから仲間になったんだぜ!
ベアッチェにはまだ会ってないんだ!」
なるほど。ペンダントに釣られて悪の手先になったってわけか。
わかりやすい奴だなー。
>「で、あんたらは何処にどうやって何しに何の為に行くんだー?沢山ペンダントくれるならどーこーしてもいいぜー!」
>「森に、歩いて、……森の洗浄に行くんだよ。
同行?遠慮しとく。」 律儀にレイド先生が返事を返してるけど、あたしも同行はごめんだ。
「キノコなんかの浄化が目的のボランティアだから、ペンダントなんか手に入らないわよ。
あんたたちはさっさとリリアーナと合流して、ベアトリーチェから恵んでもらったら?」
>「さて、あんまり時間も無い…行こうz…」
レイド先生たちと出発しようとした時、近づく魔力反応を感じた。
見れば森の奥から巨人が五体近づいてくる。
さっそくベアトリーチェが出迎え部隊を寄越したってとこか。
巨人からも魔力を感じるけど、一緒に近寄って来た、もこもこしたすばしっこい生き物の辺りに魔力が……
>「てめーら逃げろぉぉー!!」
>245
>「…撃ちたくないんだ……っ!!!」
赤髪人狼が叫んだのと同時に誰かの声が聞こえ、闇夜を切り裂く光がこっちに向かって撃ち出される!
大慌てで逃げ出せば、さっきまであたしたちが立ってた場所に光は直撃。
結構な大きさの穴を開けた。
「破壊力であたしに勝てると思うなよーっ!
のこのこ固まって来やがって、まとめて消し炭にしてやる!メギドラオン!!」
巨人ともこもこ生物を範囲に入れて最大威力の魔法を発動。
あたしの反撃で、大爆発が豪快に森を揺るがした。
「どーだ見たか!って……あれ?わぷっ!」
逆にあたしの周りでも爆発が起こった。
さいわい核熱攻撃らしく、あたしにとってはそよ風みたいなもの。
珍しい攻撃だな、核熱魔法だなんて。
爆発が収まった後に残っていたのは、吹っ飛んだ誰も残らぬ焼け野原…
じゃなくて、吹っ飛ばした森の中をまだ元気にこちらに向かってくる、五体の巨人ともこもこ生物でした!
あ、あたしの魔法が全然きいてないーっ!?
どんな強力な魔法障壁張ってるのよーっ!!
よく見ると、巨人は何かの魔法陣で身を守っている。
さてはさっきの爆発…あたしのメギドラオンを反射したな!
「みんな!あの巨人は魔法を反射するわよ!
魔法攻撃は絶対禁止ー!」
見てればわかると思うけど、警告しながら巨人との間合いを離す。
魔法が使えないんじゃ、あたしは完全に役立たずじゃない!
なにか方法は…と考えていると、キノコに聖水がきいたのを思い出した。
そうだ、聖水!
あれをヴァンエレンに空からまいてもらえば……って吸血鬼だからだめだー!
かといって、あたしが投げて外したら大変だ。
適任がいないか近くを見て…いた!
「そこの赤毛人狼!今だけ特別に協力してあげるわ!
あの巨人には聖水がきくはずだから、このビンの中身をあいつにぶっかけて!」
赤髪の男に向かって二つ、聖水入りのビンを投げ渡す。
「最悪、反射魔法陣を消すだけでもいいわ!
そしたらあたしが魔法で吹き飛ばすから!」
>>241>>245-246 くそうッ、なんで今日の僕はこんななんだ。
こんなのは僕のキャラじゃない…こんなんでいいはずがないんだ!
>「えーと…昼間に彼女と出会いまして、なりゆきで一緒にベアトリーチェを倒しに行った人です。
>サンダー1号については…なんでそう呼ばれているか私にもわからん」
「うるさいうるさい!お前はマオスーパーサンダー一号だろ!!
なんで呼ばれてるかなんて関係ない!僕がそう名付けたんだぞ!」
叫んでいるのを無視して貴族が着るような服を使い魔に用意させて僕にかける。
サンダー一号と全く同じということはおそらくスペアか何かなんだろう。
というか今更こんなことされても騙されるものか。こいつは僕を裏切ったんだ!
…まあ寒いしこのままじゃ風邪ひくから黙って貸されてやるけどな。
>「それで人狼よ…。ベアトリーチェ側のマオと一緒に行動していたということは…君は敵か?」
というかさっきから僕を無視して話しを進めるんじゃない!!
>「で、あんたらは何処にどうやって何しに何の為に行くんだー?沢山ペンダントくれるならどーこーしてもいいぜー!」
「グレイル!どーこーしたらダメ!僕とお前は組んでるんだろ?
ペンダントくれるならどうでもいっていうのはダメなの!!」
あまりにも勝手な発言を繰り返すグレイルに向かって叫ぶ。
その時だった、何か不気味な気配を感じたのでその一点に顔を向ける。
すると何か苔みたいなのが体にびっしり付着してる気持ち悪い奴が現れる。
しかも後ろには昼間に見たあの巨人が数えただけで5体もいる…
>「…撃ちたくないんだ……っ!!!」
そう叫んだと思ったらいきなり銃を構えて魔力を込めはじめる。
明らかに矛盾しているところを見るとあの毒オクタ女になにかされたのか?
あの女め……厄介極まりないものをたまたまとはいえ僕のところに遣すなんて……
>「てめーら逃げろぉぉー!!」
そうグレイルが言うが…間に合わない。最悪の事態だ。
というかさっきから自分の電流でなんか体がビリビリしててるせいもあって
起き上がれる気がしない…万事休すかと思ったとき教師が僕を抱えて弾丸を避ける。
>「動けるか〜、エリート君?
>動けるんだったら自力で逃げろ。
>動けないんだったらグレイルにおぶってもらって逃げろ。」
その言葉にムッとして立ち上がる。大分電流も収まってきた。
そもそも僕は少しは雷に対して耐性がある。さっきはたんなるアクシデントだ!
>>256 「やれやれ、ともかくまずはこの服をちゃんと着るか。」
僕がはおっている貴族服をちゃんと着ようと袖に手を通し立っている襟を直している最中
サンダー一号のパーティの中の知らない女が巨人達全て範囲に収めるほどの爆発を起こす。
その衝撃は凄まじく襟のボタンをしめてなかったためせっかく直したのに爆風で襟がピンと立つ。
「あーもう!…ったく…せっかくこの面倒くさい襟を直せたのに…」
しかも巨人達はまるで何事もなかったかのように立っている…魔法障壁を張っているらしい。
しかしそれにしてもこの服なんか襟をとめるボタンかたくないか?全然とまらないぞ。
「これボタンが硬いぞ……サンダー1号!これボタンが硬い!!」
>「みんな!あの巨人は魔法を反射するわよ!魔法攻撃は絶対禁止ー!」
そんなことはもう分かっている。それよりもボタンがとまらない!
「くそ…制服のシャツのボタンでもこんなにはかたくないぞ…!」
やっとの思いで襟のボタンをとめると、どうやらあの女とグレイルが聖水を使って
巨人の障壁をなくそうという作戦が聞こえてくる。
しかし…観察してみたがあの巨人についている顔から吐き出されている気体…
どう見ても危ない。しかも結構広範囲に散布しているようだ。
あの直情莫迦のグレイルなら馬鹿やって聖水もって急接近してコロリ…
十分にありえる話しだから怖いな……
「グレイル気をつけろよ!そいつ等の顔から吐き出している変な気体。
十中八九毒のはずだ。お得意の突撃はやめて冷静に戦うんだぞー!」
とりあえずアドバイスを叫ぶ、まあ奴が聞くかどうかは正直分からないが…
>246
>「俺を人狼だと分かったのか!すげーな!
>ところでお前さ、もしかしてヘッポコ吸血鬼だったりする?」
グレイルは人狼だということを見破ったことに大げさに驚いて、あちらもヴァンエレンの正体に気がついたようだ。
「へ、ヘッポコいうなー!訂正……訂正を要求する!」
うがーと失礼なことを言うグレイルに対していまにも掴みかからんばかりに迫っている。
そんな取り乱した様子のヴァンをよそにマイペースに話を続けるグレイル。
>「俺らはただ、マオマオが沢山ペンダントを手に入れる方法があるっていうから仲間になったんだぜ!
>ベアッチェにはまだ会ってないんだ!」
やはりこの人狼もペンダント目当てでマオと協力しているらしいが、ベアトリーチェに会わないでそこの話が本当かどうかもわからないのに仲間になるとは…。
>「で、あんたらは何処にどうやって何しに何の為に行くんだー?沢山ペンダントくれるならどーこーしてもいいぜー!」
条件次第で裏切る気満々らしいこの人物はすべてにおいてマイペースのようだ。
>249>245>256>257
>「さて、あんまり時間も無い…行こうz…」
レイドがグレイルにきっぱりと断りを入れているところに何者かがやってきた。
その者はベアトリーチェに精神を操られたキサラと五体の巨人であった。
>「てめーら逃げろぉぉー!!」
いち早く気がついたグレイルの叫びで皆一斉に動きだして、ヴァンの逃げスキルが瞬時に発動した。
すさまじい魔力がキサラの銃へつぎ込まれて、放たれたショットは対象を滅ぼさんと一直線に森を走り皆が元いた場所に直撃した。
グレイルの警告もあって誰もそれに巻き込まれることなく、無事回避できたようでミルクなどはすかさず反撃に移っていた。
>「どーだ見たか!って……あれ?わぷっ!」
大爆発を起こし木々を巻き込み残骸しか残さぬ大きな魔法だったにも関わらず、いまだ五体満足で進撃をやめぬ巨人。
逆にミルクの魔法は反射されてしまって自分に帰ってきたところを見ると、特殊なリフレクターを張っているようだ。
>「みんな!あの巨人は魔法を反射するわよ!
>魔法攻撃は絶対禁止ー!」
魔法は効かずに巨人自身が使う魔法は破壊力が高く、付け入るスキがないのでこれでは対処のしようがない。
>「これボタンが硬いぞ……サンダー1号!これボタンが硬い!!」
>「くそ…制服のシャツのボタンでもこんなにはかたくないぞ…!」
「えぇい、私がやる!」
いつまでもボタンをはめることができないマオを見かねて、親切に襟のボタンをはめてやる。
>「そこの赤毛人狼!今だけ特別に協力してあげるわ!
>あの巨人には聖水がきくはずだから、このビンの中身をあいつにぶっかけて!」
魔法が効かないのでやはり接近戦で戦うしかないのか、とヴァンエレンが巨人に接近しようとしたところでミルクから策が出された。
保健室からもってきた聖水を使ってあの巨人を無力化しようという。
巨人に聖水をぶっかけるという大役に任命されたのは人狼のグレイルだった。
>「グレイル気をつけろよ!そいつ等の顔から吐き出している変な気体。
> 十中八九毒のはずだ。お得意の突撃はやめて冷静に戦うんだぞー!」
「それならば私がなんとかしよう!」
魔法を詠唱して本が輝きだすと、毒を浄化する霧が巨人たちを中心に発生する。
これでグレイルが接近できるようになり、うまく聖水をかけることができればこの勝負ははやくケリがつくはずだ。