>458
カツカレーを食し続けて、三皿目のカレーを完食した時声をかけられる。マックスだ。
>「おい、あんな騒ぎ起こして……一体何が有ったんだ? それにこの女(ひと)は?」
マックスは何が起きたのか気付いてないらしく、何故かFALCONもマックスが頭から血を流している理由を分かっていない。
正確にはおっさんの件をカレーという食事のことで、頭の中から吹き飛ばされたのだが。
「あんな騒ぎっていうのは俺は覚えてないが、こっちにいるのは俺の妻だ」
「初めまして、蠅の王の娘にしてFALCONの妻のイルと申します」
イルはマックスに軽く一礼する。
彼女は蠅の王の娘だが蠅の姿ではない。
青い艶のある髪、宝石のような紅い瞳を持つ、人間の年齢にして15歳程に見える可愛らしい少女だ。
ここにはFALCONの手伝いのため、非戦闘員として同盟軍に所属している。
「マックス、頭から血が出てるぞ」
四皿目のカレーを食べ終わり、コートからピンク色の真ん中に仔猫の刺繍の入ったハンカチを取り出してマックスに渡した。
「俺は戦いがなくて暇なんだよな、何か面白いことはないのか?」
463 :
名無しになりきれ:2006/01/10(火) 01:18:18
461:グレゴリー◆QL2yDTT6cQ :2006/01/10(火) 01:11:33 [sage]
>448
女騎士が我輩に近寄ってくる・・・何のつもりだろ?警告のつもりで最後の台詞を言ったというのに・・・
「ああ そんなに寝たいのかい?なら5秒と言わずに・・・え?」
我輩が喋っている内に接近されてしまった!ちょ 何・・・抱きついて・・・ん?女騎士が耳元で何かを囁いている様な
「あれ?天井が近付いてくるウボァー」
痛い・・・な 何が起こったというのだ!? 頭の上に有るのは天井では無く床で・・・
「今 目の前に有るのは女騎士の顔・・・ああ 何だろうこの二次元的な展開・・・
まさか三次元でこの様な事が起こるとは・・・まさか投げられるなんて・・・不覚にも萌え・・・ガクッ」
ああ・・・時が見える・・・
>454>459
どうやら我輩はコンマ二秒気絶していた様だ もし敵地なら二回は殺されていた・・・不覚なり!
おや 女騎士は既に我輩を離して今立とうとしている
しかし美しき女騎士と美少女剣士の視線は一体何に・・・な、なんだこの変態コスプレ野郎は!
「フッ 外の世界は広い・・・ネットの中だけでは見られない物が沢山ある様だよ
我輩は早速素晴らしいものを見つけたぞ!」
この身体から溢れる闘気は・・・
聖都アキバハラを歩いていた時に偉大なるなのはタンの人形を見つけた時や
年二回行われる祭典で偉大なるなのはタンの大人向けの魔術書を見つけた時の様な強大な闘気・・・
いつだってそうだった 素晴らしいものを見つけた時 我輩は強くなるんだ
金目当てで因縁付けて来た連中を何人叩き潰した事か・・・(普段は渡しちゃうけど)
「貴様の目当てはこの美少女剣士タンだろう?貴様は我輩の友達(ロリコン)に雰囲気が似ているからな 間違いない
フッ 図星で何も言えまい・・・だが残念だったな!貴様の様なロリコンコスプレキモヲタ野郎には渡さないぜ!
この二人は我輩のものだ!萌える三次元というレアなキャラを渡しはしない!」
萌えている我輩は強いぜ こいつの魔力が恐ろしく強大な事は解るが・・・二人の為にも負けはしない!
「行くぜ!」
後ろで美少女剣士が誰かを制するかの様な声をあげたのと同時に我輩は跳んだ
手にはもう100回は魔術研
464 :
名無しになりきれ:2006/01/10(火) 01:19:48
461:グ卯"リー◆QL2yDTT6cQ :2006/01/10(火) 01:11:33 [sage]
>448
女騎士が我輩に近寄ってくる・・・何のつもりだろ?警告のつもりで最後の台詞を言ったというのに・・・
「ああ そんなに寝たいのかい?なら5秒と言わずに・・・え?」
我輩が喋っている内に接近されてしまった!ちょ 何・・・抱きついて・・・ん?女騎士が耳元で何かを囁いている様な
「あれ?天井が近付いてくるウボァー」
痛い・・・な 何が起こったというのだ!? 頭の上に有るのは天井では無く床で・・・
「今 目の前に有るのは女騎士の顔・・・ああ 何だろうこの二次元的な展開・・・
まさか三次元でこの様な事が起こるとは・・・まさか投げられるなんて・・・不覚にも萌え・・・ガクッ」
ああ・・・時が見える・・・
>454>459
どうやら我輩はコンマ二秒気絶していた様だ もし敵地なら二回は殺されていた・・・不覚なり!
おや 女騎士は既に我輩を離して今立とうとしている
しかし美しき女騎士と美少女剣士の視線は一体何に・・・な、なんだこの変態コスプレ野郎は!
「フッ 外の世界は広い・・・ネットの中だけでは見られない物が沢山ある様だよ
我輩は早速素晴らしいものを見つけたぞ!」
この身体から溢れる闘気は・・・
聖都アキバハラを歩いていた時に偉大なるなのはタンの人形を見つけた時や
年二回行われる祭典で偉大なるなのはタンの大人向けの魔術書を見つけた時の様な強大な闘気・・・
いつだってそうだった 素晴らしいものを見つけた時 我輩は強くなるんだ
金目当てで因縁付けて来た連中を何人叩き潰した事か・・・(普段は渡しちゃうけど)
「貴様の目当てはこの美少女剣士タンだろう?貴様は我輩の友達(ロリコン)に雰囲気が似ているからな 間違いない
フッ 図星で何も言えまい・・・だが残念だったな!貴様の様なロリコンコスプレキモヲタ野郎には渡さないぜ!
この二人は我輩のものだ!萌える三次元というレアなキャラを渡しはしない!」
萌えている我輩は強いぜ こいつの魔力が恐ろしく強大な事は解るが・・・二人の為にも負けはしない!
「行くぜ!」
後ろで美少女剣士が誰かを制するかの様な声をあげたのと同時に我輩は跳んだ
手にはもう100回は魔術研県パッ喧々パッ
465 :
◆J.LuHxV1AI :2006/01/10(火) 01:21:31
紫ね。俺市ね
とことん市ね。スレ埋め立てるくらい氏ね
そうだな。詞ね俺
461:グレゴリー◆QL2yDTT6cQ :2006/01/10(火) 01:11:33 [sage]
>448
女騎士が我輩に近寄ってくる・・・何のつもりだろ?警告のつもりで最後の台詞を言ったというのに・・・
「ああ そんなに寝たいのかい?なら5秒と言わずに・・・え?」
我輩が喋っている内に接近されてしまった!ちょ 何・・・抱きついて・・・ん?女騎士が耳元で何かを囁いている様な
「あれ?天井が近付いてくるウボァー」
痛い・・・な 何が起こったというのだ!? 頭の上に有るのは天井では無く床で・・・
「今 目の前に有るのは女騎士の顔・・・ああ 何だろうこの二次元的な展開・・・
まさか三次元でこの様な事が起こるとは・・・まさか投げられるなんて・・・不覚にも萌え・・・ガクッ」
ああ・・・時が見える・・・
>454>459
どうやら我輩はコンマ二秒気絶していた様だ もし敵地なら二回は殺されていた・・・不覚なり!
おや 女騎士は既に我輩を離して今立とうとしている
しかし美しき女騎士と美少女剣士の視線は一体何に・・・な、なんだこの変態コスプレ野郎は!
「フッ 外の世界は広い・・・ネットの中だけでは見られない物が沢山ある様だよ
我輩は早速素晴らしいものを見つけたぞ!」
この身体から溢れる闘気は・・・
聖都アキバハラを歩いていた時に偉大なるなのはタンの人形を見つけた時や
年二回行われる祭典で偉大なるなのはタンの大人向けの魔術書を見つけた時の様な強大な闘気・・・
いつだってそうだった 素晴らしいものを見つけた時 我輩は強くなるんだ
金目当てで因縁付けて来た連中を何人叩き潰した事か・・・(普段は渡しちゃうけど)
「貴様の目当てはこの美少女剣士タンだろう?貴様は我輩の友達(ロリコン)に雰囲気が似ているからな 間違いない
フッ 図星で何も言えまい・・・だが残念だったな!貴様の様なロリコンコスプレキモヲタ野郎には渡さないぜ!
この二人は我輩のものだ!萌える三次元というレアなキャラを渡しはしない!」
萌えている我輩は強いぜ こいつの魔力が恐ろしく強大な事は解るが・・・二人の為にも負けはしない!
「行くぜ!」
後ろで美少女剣士が誰かを制するかの様な声をあげたのと同時に我輩は跳んだ
手にはもう100回は魔術研
466 :
◆tIF1wg8Qr6 :2006/01/10(火) 01:23:27
アナルは男は前律線があるから感じる
じゃあ女は?
467 :
名無しになりきれ:2006/01/10(火) 01:29:33
>456>458
おにぎりを食べつつ眺めていると、FALCONが必殺技の体制に入った。
傍目から見てるだけでも威力の高い技だと分かり、人々は逃げ惑っていた。
(FALCONの奴、かなりマジになってるな。
おっさん、もう少し相手を見て喧嘩を売るべきだったな。…まあ、イルが何か行動してるみたいだし、死ぬ事は無いだろ。)
おにぎりを味わいながら食堂の光景眺めていると、先ほど殴られていたマックスがカイザーに向けて叫んだ。
>「おい! アンタも早く逃げろよ! だぁああ! ……畜生っ、何とかして止めなきゃ!」
「ん、俺の事はお気遣い無く。」
カイザーは左手を軽く上げて、やる気の無い対処をしていた。
騒動はイルの活躍で幕を閉じ、おっさんの服以外には被害を出さずに事態は収拾した。
そして、その一連の流れでカイザーは、おにぎりを食い尽くしただけであった。
>462
>「あんな騒ぎっていうのは俺は覚えてないが、こっちにいるのは俺の妻だ」
>「初めまして、蠅の王の娘にしてFALCONの妻のイルと申します」
(あの二人、結婚までしてるのか…時が流れるのは早いものだ。)
端から3人の会話を聞いて腕を組み、3年の月日の早さをしみじみとした表情で思い出していた。
そして、先程のFALCONの暴走ぶりを見てからずっとレジの下に隠れていた店員に話しかける。
「追加注文、オレンジジュースを頼む。」
カイザーは口直しをする為に更に注文をしていた。
>「俺は戦いがなくて暇なんだよな、何か面白いことはないのか?」
「…面白い事なら図書室で起きてるっぽいぜ。」
FALCONの隣のテーブルに地図を広げ、ジュースの入ったカップを片手に図書室の場所を指差す。
「さっき、この部屋の方角から強い魔力を感じた。…普通なら、本を読む為の場所で魔力なんて必要ないよな?」
と、同意を求めるかの様に周りを伺い、続けて言葉を発する。
「それはともかく…久しぶりだな、FALCON、イル。二人とも仲睦ましく生活してるみたいだな。」
二人を交互に見渡し、一瞬だけ、口元を少し動かすだけの笑みを浮かべた。
「そして、お前とは始めましてだな。」
カイザーはマックスの方を見る。
「俺は天聖騎士のカイザーだ、3年前はオーガスの国に所属していたんだ。
今日から俺も同盟軍に入ったから、これからは宜しく頼むぜ、マックス…だったかな?」
マックスに向けて右手を差し出す、握手のつもりだろう。
>462
何時の間にかカレーを三杯も食べ終えたFALCONは、騒ぎの事を覚えていないと言った。
「騒ぎの事を覚えてないって? だって、さっき俺や一般人ですら解るようなヤバいオーラを……」
マックスがそう言いかけた時、FALCONから先程の女性がイルといい、
FALCONの妻にあたる事を紹介された。
「傭兵のマックスウェルだ、よろしくな(そうか、だから普通にあの場に居られたのか。
ん? まてよ、蠅の王って事は魔族の王様の一人、っつう事はお姫様か!?)まさかFALCONも……」
お偉いさんの息子か?と聞こうとした所で頭から血が出ている事を指摘された。
マックスは手渡されたハンカチを良く解らないまま受け取りつつ、反対の手で頭を触る。
「げっ、何時の間に?」
マックスは先程の痛みはこれか、と勝手に一人納得しつつ急いで頭の血をハンカチで拭った。
FALCONは本当に騒ぎの事を忘れている様で、何か楽しい事は無いのか等と言っている。
>468
ジュースを片手に裏から現れたのは先程の若い騎士だった。
「あんたはさっきの……(この騎士、俺とは歳は離れてなさそうだが相当強いな。多分俺より……)」
マックスはそう呟きながら、地図を広げながら説明する若い騎士の言葉を聞いていた。
若い騎士の言葉に無言で頷きつつマックスは、若い騎士とFALCONが再会を懐かしんでいるのを横目で見ていた。
「(FALCONの知り合いか。この騎士も魔力とかが有るのか……俺って有る意味貴重な存在なのか?)」
珍しく心の中で自虐するマックスに、若い騎士が自己紹介をする。
そして、若い騎士カイザーは右手をマックスの方に差し出した。
「ああ、そうだ。フレゼリア傭兵のマックスウェルだ。宜しくな!カイザー!!」
マックスはカイザーの手をゆっくりと握ると、人懐っこい笑顔で手を上下に軽く揺らした。
「で、皆は行くのか?」
>448 >454 >459 >461
「あ…」
少女がいる場所から少し先で男が投げ飛ばされる様がまるで、スローモーションの如く展開され
刹那、男の頭が床に叩きつけられ女の人は男から離れる
「…痛そうですわ…」
のんきに感想を述べ、話の経緯が分からぬ少女は男を少し気の毒に思い、介抱しようと近づこうとするが
突如光と共に目の前に高級そうな服を着た人間が現われる
「!?」
何故突然目の前に出てきたのか…?と、のんびり考えようとした刹那
>「来るな!死にたいのか!」
男女判別不可の人間に怒鳴られる
人に怒鳴られた事などない箱入り娘は一瞬驚く…と同時に目の前に現われた者の魔力の強大さ、自分の何倍もあるような強さに気付く
幸いこの男は自分の方を向いていない。と言う事は目的はあの3人の内の誰かと言うことになる
「…」
だが、もし戦いを挑まれでもしたら勝ち目は無い。
踵を返し、その場から逃げ出そうと書庫の出口を目指し走り出す…
>468>469
>「…面白い事なら図書室で起きてるっぽいぜ。」
横から声をかけてきた男は、隣のテーブルに地図を広げ、図書室を指す。
>「さっき、この部屋の方角から強い魔力を感じた。…普通なら、本を読む為の場所で魔力なんて必要ないよな?」
「確かに普通なら魔力を放つ必要はありませんからね」
「ということは…魔導書なんかを読んで実験したら失敗して大事になったって感じか?」
>「それはともかく…久しぶりだな、FALCON、イル。二人とも仲睦ましく生活してるみたいだな。」
「お久しぶりです、カイザーさん」
「三年ぶりだったか?まぁ、何にせよこっちの方は色々あったが、元気にやってるぞ」
久しぶりに会った同じ騎士団に所属していた旧友に、思わず二人共笑みが溢れる。
カイザーはマックスに自己紹介をし、握手を交している中。
「店員さ〜ん!!カレーをもう一皿頼むぞ!!」
六皿目のカレーを注文するFALCON。
イルが呆れ果てて見ているが、FALCONは気にしない。
>「で、皆は行くのか?」
「そうだな…暇だしな。俺は行くぞ」
六皿目を軽々と完食し、席から立ち上がる。
「じゃあ、お代はここに置いておくからな、店員さん。
それじゃ、みんな行こうぜ!!」
テーブルの上に食べた分だけの銀貨を置き、イルと共に図書室に向かって行った。
>454>459>461>470
セシリアの爪先と男の脳天を支点とした美しいブリッジが描き出された瞬間、周囲が光に包まれた。
投げた反動を利用してそのまま一回転、立ち上がる。振り向いた先には赤いマントをまといモノクルをつけた紳士。
温和そうな顔立ちの裏にやや焦燥の色が見える。その少し横にいた女の子にセシリアの目が向いた瞬間、
少年がこちらへ来るなと怒鳴る。正しい判断だろう。少女は振り向いて駆け出した。セシリアはそれを呼び止める。
「そこな娘、ちと待ってくれ」
(全く、何でこう面倒なことが次々に……)
言いながら本棚を蹴りつけた。倒れた本棚に満載されていた本が一気に零れ落ちる。
「見てのとおり粗相をしてしまってな。悪いが人を呼んできてはもらえぬかな?」
次いでモノクルの男に振り返る。身だしなみの悪い男が何やら話しかけているが、それにかぶせる様にセシリアも話しかけた。
「さて、何処の何方かは寡聞にして存じ上げませぬが、
ごらんのとおり取り込み中にございますれば、ひとまずはお引取り願えまいか?」
言葉を発しながら二歩ほど近づいて鯉口を切った。右足を半歩踏み出す。剣の柄にこそ手を添えてはいないが、
抜打ちの体勢であることは見ればわかるはずだ。実際に抜くつもりがあることも。
つまるところ「とっとと帰らんと人も来るし最悪斬り倒されるぞ」と言うことを言葉以外の方法で伝えているわけだ。
もっとも、相手の実力がこちらの態度ほど低いとは限らないのだが、戦の基本はまず相手を呑むこと、その上で驕らないことだ。
それ以前にもしかしたら味方と言う可能性も無いではないが、座標の指定を間違ったにしては、
さして広いともいえない本棚の間に見事に跳んできているのだから、狙ってここにきた可能性が高い。
わざわざこんなところに転移してくるのは、何かしら裏があると見て差し支えないだろう。
所定の時刻には早かったが、数人の入隊希望者たちが既に兵舎前へ集まり始めていた。
「大佐」こそ姿を見せていないものの、五人のブレンゲンは演説台の下に揃い踏み、気の早い入隊希望者たちを監視する。
ブレンゲン以外にも制式装備の騎兵隊員が立つのは、集まるのは皆血の気の多い者ばかりだろうから、との本部からの配慮だ。
「奴等の自由時間を、無意味な返上させるなよ。第三大隊と貴様等を除けばお仕着せの軍隊だからな。
好き好んでウチの新設部隊に志願するような類のは押さえ切れないだろうに、人数からして」
「本部命令ですから」
机に立て掛けられた鏡台へ向かい、歯の欠けた櫛で髪を梳かしつつ少年は、残った一人のブレンゲンにぼやく。
しかしながら、元より真っ直ぐ下ろした癖の無い髪質で櫛など当てる必要の無い頭であったから、彼の行為は殆ど暇潰しに近い。
「普段はロクに顔も合わせん連中だから良いが今日は珍しく説教せにゃならん。俺が悪役になる」
「大佐は普段から悪役でありますが、これ以上何か問題が?」
部屋は大量のガラクタに埋め尽くされて、文字通り立つ瀬の無い佐官はドア前の僅かな空間で上官の支度を待っていた。
壁際にうず高く積まれた工具箱と魔道具の資料によって、折角の南向きの窓も全くと言って良い程機能していない。
尤も日暮れ近くの低い日差しは兵舎中庭まで届かず、窓の有無に関わらず四、五時くらいには灯りを点けなければ手元も見えない部屋でもある。
黴臭く埃臭い、上等な絨毯は役立たず、万年床のベッドだけが満足に身動きの取れるスペースを確保している。
「最低限の士気だけは確保しておきたい。督戦隊の真似事は、俺は好かんよ」
黒髪にしばらく櫛を当てていた少年だが、途中で飽きたらしく櫛を両手でへし折って床へ捨ててしまった。
椅子を引いて立ち上がり、歯を剥いて鏡で確かめると
「『クローム』を取ってくれ、そろそろ出よう。コートも洗っておけば良かったかな?」
大股でドア前へ踏み出す少年へ、ブレンゲンが黒塗りのライフル銃を取って手渡す。
全金属製のボルトアクション式カービン(騎兵銃)で、折り畳みのミスリル銃剣が備え付けられている。
艶の無い真黒な銃だが、「Burning Chrome」の刻印と銃床のルーン文字だけが銀色に輝く。
「演説は好きだが、いいトシして文才が無い。歌でも歌うか――『安息無き魂よ、若さを享受せよ』ってな」
「新部隊結成の手筈を円滑に済ませたいのであれば、下手な演説よりは短い演説が効果的でしょうね」
「短い演説、手荒い歓迎。『歓迎』の方は任せた」
ブレンゲンの肩を叩き、ライフル片手に自室を出た。
元はオーガス皇国軍の騎士団兵舎として使われていた建物だけあって贅を凝らした内装で、長い長い赤絨毯をひとしきり歩き終えると階段へ。
第○騎兵師団は魔族の内、比較的体格の小さい亜人種で構成されているため兵舎の改装は概観を損なわないまでの軽度だ。
「オーガス皇国の印章や、国旗を撤去していない箇所もあります。例え金目当ての傭兵であっても、この国の人間であれば複雑な心境でしょう」
「知った事か」
>450>452>457>460
兵舎中庭に集う入隊希望者の数は定刻近くで約五、六百人程へと膨れ上がり、いよいよ壇上へ紫の軍用コートが姿を見せた。
女術師と特攻隊長も呼びに遣って、この場へ来ている筈だ。中庭を囲う松明の灯りは淡く、燈台に添って長槍の歩兵が群集をねめつけて回る。
喋り声や野次の止むのを待ち、少年はおもむろに喋り出す。
「第○騎兵師団団長のジャック・エヴァンスだ。本日は――
――ああ……晴天なり……違う……何だっけ……ん……えー誠に、誠に……ああ分からん、止めた!
本題に入る。今回の兵員募集は、新規編成される事となった第○騎兵師団付・特殊作戦科独立大隊隊員、
軽・中・重騎馬、砲、歩、魔法兵を任命・配属を目的とする。
特殊作戦科独立大隊の主な任務は、陸軍通常兵科では撃滅困難と判断される強固な敵一部勢力を限定対象とした
哨戒、策敵、強行偵察、奇襲、強襲、及び構成員の暗殺。
又、基本として攻性の部隊だが必要最低限の汎用性を保持し、緊急時においては第○騎兵師団と共に通常任務への配備も考慮されている。
事前公募では部隊規模を「約360〜400」としたがこれは変更だ。
特戦科大隊は騎・歩・砲・魔、特殊兵科計560人として、五個中隊より構成する。
小隊以下の細分は正式な部隊発足を待て。あー後、何か喋る事あるか? 説教は欲しくない? じゃ終わりだ」
約二分で仕事を済ませ、満足気に壇上から去るジャック・エヴァンス大佐。代わって一人のブレンゲンが立ち、
「希望者は、身体検査をパスした者から登録。手近な佐官の指示に従い、整列して所定の兵舎へ入れ。
登録を終えた後、各中隊の指揮官を選出する。立候補は登録後、壇の前に並ぶ事。
ああ、シズネ・ラ・ファウスティナ、『辻斬り』の両名は、直ちに壇の前へ出なさい」
入隊希望者たちはブレンゲンに連れられて、列を成してぞろぞろと歩き出した。
エヴァンスと佐官一人は壇の傍に立って、シズネ、「辻斬り」を待つ。
【通常の入隊希望者は身体検査及び登録を行う事。
中隊長選出への参加希望者は、登録後演説台に集合】
>474
ゾロゾロいる入隊希望者を(ちょっと鬱陶しいな)なんて思いながら、集団から少し離れた場所で話を聞いていた。
周りの人間を感電させないような配慮、と言うと聞こえはいいが、実際は単に厄介事をおこしたくなかっただけ。
エヴァンスの話、ラックはあまり聞いてはいなかった。離れすぎていて聞き取りづらかったこともあるが。
(要は言われたことをこなしてりゃいいんだろ?)
とりあえずラックが欲しかったのは戦いの場。そして活躍の場。それさえあれば、それだけで十分だ。
「それにしても、あの団長さん見た感じ俺より若くね?」
やっぱり魔王軍を選んでよかったかな、とも思う。あの若さで団長など、かなりの実力が備わっているということ。
でも同盟軍ではこうはいかないのではないか。人間には「経験」だの「キャリア」だのに固執するのが多すぎる。
歴とした実力だけで格差がつく、それが、残り短いラックでも上り詰めることができる数少ない階級制度なのだから。
「さて、身体検査か」
適当な、数が少なそうな列についていく。できるだけ距離を空けつつ。
ラックの身体検査は滞りなく終わった──とはとても言い難い。ラック独特の帯電体質は、やはり不便だった。
検査官の悲鳴を何度聞いたことか。救いは検査官が人格者だったことだろう。ちゃんと最後まで検査をしてくれた。
「で…中隊長の立候補者は壇に並べとかだったっけなぁ」
兵舎の窓から中庭を覗いてみると、既に壇の前には人影がちらほら。
「よし、行こう」
即決。少しでも上に行けるチャンスがあるならただただ貪欲に。出世欲の塊だと蔑まれても罵られてもいい。
「やっぱりなるなら歩兵の中隊長かな…」
選出って何をやるんだ?などいろいろと考えたりしながら、壇の前へとゆっくりめの歩調で進んでいく。
「そういやさっき姐さんが壇の前に呼ばれてなかったっけ?まだ居るかな?居るならキセル返そっと」
服の上から煙管の存在を確かめつつ、壇の前に到着した。
>474
異動辞令を受けて師団兵舎前に行ったんだけど、その人の多さに驚いたねえ。
話を聞くと『志願』の人間ばかりって云うじゃないかえ。呼んでおいて志願しろってのも随分と人を舐めた話じゃないのさ。
なんて思いながら煙管をふかして待つこと数分。師団長の本当に短い挨拶が終わって名前を呼ばれたんだけど・・・
頭が痛くなったよ・・・。
理由は二つ。
壇の前に来いって事は中隊長任命って事だろう?
それから・・・あの悪名名高き『辻斬り』と一緒に呼ばれた事だよ!
魔王軍に入って今はじめて前の部隊がマシに思えてきたね、ホントに。あの敵味方も区別できないような奴と一緒とは・・・
「はぁぁ・・・・」
大きなため息が出るのも仕方がないこったよねえ。
だがこれも村の課税免除と魔界令律特化地区指定(村は絶対安全よって言う事)を条件に軍属になったからには文句も言えまいて。
村を守る為。なんていうガラじゃないけど、一宿一飯の義理が重く肩に圧し掛かるよ。
「はいはい、ちょいとゴメンよぅ。通しておくれよ。」
身体検査でごった返す人波を番傘で掻き分けながら進むんだけれど、こういった部隊に志願する連中だから当然のようにごねて因縁
つける馬鹿もいるもんだ。
人間の女風情がって言うような感じでねえ。
「ぐだぐだ言ってんじゃないよ、このトウヘンボクが!こっちゃあ呼ばれてんだから黙って道ぃ開けな!」
くわっと怒鳴りつけて煙管で殴ってやるんだけど、そこは相手も腕っこきの魔族。煙管がこめかみに当たる寸前に指一本で止めやがる。
でもね、世の中には慣性の法則ってのがあるのさね。煙管はピタリと止まったが、勢いの止まならい火球がトウヘンボクのこめかみに
ジュワッという良い音立てながらくっついたから良い気味だってもんだ。
着任の挨拶に煙管を咥えたままでってのも失礼なこったし、丁度よかったよ。
煙管を袖にしまいながら熱さに転げまわるそいつを蹴飛ばして、ようやく壇の前についた。
>475
壇の前につくとラック坊やがいるじゃないかい。中隊長に志願とはやるねぇ。
知らぬ顔でもないし、声の一つでもかけてやりたいところだが仕事中にそういうわけにもいくまいて。
ラック坊やには通りすがりざまに目配せ一つして、師団長の前に立ち恭しく一礼。
「シズネ・ラ・ファウスティナ、辞令拝命してまいりました。よろしくお願いします。」
顔をあげて近くで見る師団長はラック坊やより若く見える。けどとても坊やとは呼べやしないね。その醸し出される雰囲気が、ね。
魔王軍にあってたまにいる、『見た目と実齢が一致しない』って奴だろうねえ。
「それにしても、よくぞまあこれだけはみ出し者の有象無象を集められて・・・。正に百鬼夜行(デビル・ラン)というところですねぇ。
予めお断りしますが、あたしは人を指図して引っ張っていくような器量でもありませんし、補佐官がいいところですよ。中隊長任命なら辞退
申し上げたく存知ます。」
どんな理由で呼ばれたかは知らないが、とりあえず言う事は言っておかないとね。
>474-476
「・・・特殊作戦科独立大隊、ね。」
大仰なところだが・・・まさかこの大佐、『私兵』を目論んでいるんじゃないか?
心の中で勘繰りながらも身体検査の列に並ぶ。
・・・・・・・・・・・・ややあって、自分の身体検査が終了した。
部下の教育がなっているのか、自分のいた所が劣悪なのか、いわゆる『セクハラ』の憂き目には遭わなかった。
遭ったとしたらそいつが氷の彫像になっているだけだが。
「さて・・・中隊長選出か。面倒だけど・・・やるべきなのかな。」
>「やっぱりなるなら歩兵の中隊長かな…」
「ん?歩兵・・・席が埋まるかな。じゃあ・・・。」
傍にいた少年の声を聞いて、なんとなく壇へと進む。
部隊を率いるというのも面倒だけれど、無能な上司に当たるのも面倒だと思ったからだ。
そして、やるなら普通の部隊では面白くない。
「特殊兵科での中隊長を希望することにしよう。」
と、心の中で決めて壇の前に着いた。
>459>461>470
まじまじと少年の全身を見て、直にその闇の力の強さを量ろうとしていると、何やら怒鳴り声のようなものが聞こえた。
>「貴様の目当てはこの(ry
「……」
どうやら、酷い勘違いをされているようだ―――いや、実際のところ、彼等のうちの一人を狙ってはいるので、当たってはいるが。
私はロリコンではないぞ、と反論したかったが、あまりにも熱く語っているので、敢えて水をささないようにした。
鬱陶しいので、エナジードレインで手っ取り早く力を奪ってミイラにしてやろうと思って、思い留まった。
武器を持っていないことと、そもそも肉弾戦向けの体格をしていないことから察するに、こいつは魔術師だろうと推測する。
そして、相手がどのような術を使うかを知らない以上、不用意に戦ってはならぬ。
>「来るな!死にたいのか!」
流石だ。一瞬にして私が敵であることを理解し、また最も実戦経験の乏しそうな少女を真っ先に遠ざけようとするとは、なかなか良い判断だ。
それと同時に、魔導書を持ってさっきの奴が突進してくる。
一瞬身構えたが、
>「これでどうかお引き取り下さい・・・」
「こんな状況だから、無論そのつもりだが……ああ、それは要らないから」
いつもならくれると言うものは遠慮せず貰うのだが、やはり要らないものは要らないので、受け取りを拒否しておいた。
>470
>踵を返し、その場から逃げ出そうと書庫の出口を目指し走り出す…
思うに、少女は仲間を呼びに行ったのかもしれない。
となると、応援が来る前にここを退いた方が良いだろう。
そうでなくとも、ここに残った三人は油断のならない強敵に違いない。私は逃げる準備を始めることにした。
>472
>ごらんのとおり取り込み中にございますれば、ひとまずはお引取り願えまいか?
「今日はそちらの少年にだけ用があったのだが……なるほど、忙しいようだ。
わかった、今日のところは引き上げよう。ああそれと」
長距離を移動するための魔法を使うには、少なくとも私の場合は魔法陣を描く必要がある。
魔法陣を描いている間に斬り殺されてしまうかもしれないので、時間稼ぎの為に召喚魔法を使うことにした。
とは言っても、あまり強い魔物を呼ぼうとすると、どうしても時間がかかってしまうので、すぐに呼べるようなものでなければならない。
パチンと指を鳴らし、短い呪文を呟いて、腕を横に振った。
すると、全身真っ黒の人間もどきが10人ほど出てきた。
『イー!』
『イーイー!』
呼び出されたのは、何てことはない最下級魔族だ。知能も戦闘能力も低いが、これだけの数が居れば時間稼ぎくらいにはなるのではないかと期待する。
「土産くらいは置いていっても良いだろう。遠慮せず受け取ってくれ」
そう言ってから、彼等が魔物と戦っている間に、指先から熱の光線を出して床に焦げ目を入れて魔法陣を描くことにした。
>474
「おウおウ、エラァ団体サンやないカ。」
他の入隊希望者が前でせめぎ会うのを遠目にポツリとこぼす。
自分等『元』特攻隊は兵舎の壁際の一部を陣取り、くつろいでいた。
時節相手の歩兵が見回りに来るが、ワシの姿を確認するや否や踵を返してしまうのだ。
そう言えばと、兵舎から持ってきた2つのサイコロで部下達と賭博をしながら
思い出したように近くにいる部下に問いかけた。
「さッキ、ちらァ〜ッと募集要項見さセテもろウタけどなァ…エリートちゅう名が付くト、
こない阿呆ゥ見たイニ人が集まるモンなのかのォ。」
「ええ、それに給金も中々高いですし…それに、この集団内で高い地位にでも就けば名声も付いてきます。
大部分そういうのがお目当て何でしょう。あとこの気に便乗して【宿無し】(無所属)の奴等も駆けつけてます。」
「ハァーん…そう言ウ事かい。」
くだらない、実にくだらない理由だ。地位も名誉も金も戦場に行って己を守る訳ではないのだ。
それなのに周りのモンはそう言うのにやたら執着する。
まあ少なくとも自分にとっては理解できない問題である…『人生とは楽しんだモン勝ち。』
ずっと昔から自分の中で途絶えぬ信念である。
「ワシャなぁ、ンなケッタイなモンイランわ。ンなモンに目ェ眩むンなら…多分今のワシャおらンな。」
「ハハそう言うと思いましたぜ。辻斬りの親父」
>いよいよ壇上へ紫の軍用コートが姿を見せた。
「……ん?どウやら大将サンのお出まシ見たイやな。」
サイコロを振る手を止めて相手さんを見る。どうやらこちらには気付いていないみたいだ。
「オうオう…話にャ聞いとッタが、エラァ小ッこいのォ。」
だが…どこか底知れぬ力を感じる存在でもある。
まあ元は何であれ、一応これから世話ンなる人や、サイコロを懐にしまい。とりあえず敬意を表した
すると2人の名前が呼ばれる。
ほほぅ自分は特別待遇やなと思っていたが、
『シズネ』?…聞いた事の無い名も呼ばれに少し頭を捻る。
「まア、行ってミリャぁ分かルやろゥ。…ソレジャぁオメェ等また後でな。」
と部下に挨拶をして壇上前を目指した。
途中にいた者達は自分の姿を見ると一斉に退く者、中には殺意を持った視線で睨み付ける者。
有名人はつらいなぁ…なんも苦も無く壇上前への道が出来る。
>475>476>477
壇上前には数名の先客がいたが。ドイツもコイツも何処かで見たような顔
まあ実際は誰も知らん訳だから、適当に記憶を繋ぎ合せているだけだ。
だが気になったのは『人間の女』と『青年』が混じっている事だった。
「ほホォ…ガキも女モおるンか。もう何でモありヤナァ。……エラァベッピンさんやなイカ!ゲヒャッハハ
まア精々『コマ』されンよう注意しとクンじゃノォ。ここァ女男人間魔族の集マリやからのォ…ゲヒャハ」
骨をカチカチと鳴らしながら下品な大笑いを浮かべ前に向き直る、失礼この上ない。
周りの視線が自分に集まって行くのを感じた。
ケッ…御高く止まったヤロウドモが、気に食わンなァ…。その言葉は胸にしまった
さすがに殺傷沙汰まで持って行く程の問題でもなかろう。
「あ〜、デ……お偉いさんワシに何のようで?
軍持ちの件デッか?ワシャ軍引っ張るンが苦手ヤさかい。仏サン大量に出す事になるデ?。」
ああっといい忘れてた、一瞬間を起き再び話始める。
「ソレでも構わンならワシャぁ一向に構わンし、それに…ワシが味方を『殺す』かモ知れんシなぁ。』
>472 >478
踵を返し走り始めた刹那
>「そこな娘、ちと待ってくれ」
急に呼び止められたため反応が遅れるも、自分の体に慣性とは逆の力をかけて急ブレーキをかけ、一瞬遅れて振り返る
「…?」
振り返った先には本棚が倒れており、満載されていた本が零れ落ちていた
>「見てのとおり粗相をしてしまってな。悪いが人を呼んできてはもらえぬかな?」
どうやら先程の女の人が自分に話し掛けている。なかなか良い声だ
いや、そうではなくて先刻まで本棚は倒れていなかったはず…
この人がやったのだろうか?それとも突然出現した紳士風の男が…?そんな疑問も頭に浮かんだが、少女は
「わかりましたわ」
一言そう言うと、他の者には目もくれずに再度踵を返して走りだし出口から書庫を出る
「誰か人は…」
言われた事を実現すべく、出たその場で辺りを見回し人を探す
ここで探すのは効率が悪いかもしれないが、慣れない建物内を歩き回って迷子になったら人も呼べないかもしれない
とりあえず、少女はこう叫ぶ
>468 >469 >471
「申し訳ありません。どなたか書庫に来てください!緊急事態ですわ!」
人を集めるのには十分な言葉だったが…
生来の間の抜けた声故に、緊張感は無かった
>461、>470、>472、>478、>480
>貴様の目当てはこの(中略)試みた!
黙って聞いていれば、訳の分からない事を言いたい放題・・・!
相変わらず人の事は女扱いするわ、臭いわ、声が気持ち悪いわで不快極まりない。
転移してきた魔導師諸共斬り捨ててやりたい衝動に駆られる。
男の行動、言動は命乞いをしている様にも見えなくはない。
やってしまおうか、そう考えた時だった。
>見てのとおり粗相をしてしまってな(中略)差し支えないだろう
男を投げ飛ばした女騎士が本棚を倒した。
大きな音ともう一人の女騎士への伝言で仲間を呼ぶつもりだと言う事に気づく。
しかし、この狭い書庫で魔導師相手に物量戦を挑むのは不利じゃないのか?
犠牲を考えなければ確実な方法だが、事後処理につき合わされるのはゴメンだ。
などと考えている内に女騎士が前に進み出る。気配から、中々の使い手だと察する。
頭も切れる方の様で、同盟軍で初めてまともな奴を見た気がした。
>男女判別不可の(中略)書庫を出る
一瞬驚いたような顔を見せたが、次には言われたとおりに動いた。
女騎士の意図にも気づいたようで、パッと見の印象よりも鈍くはないと、
内心少しだけ見直した。正直、状況を飲み込めず棒立ちになると思っていた。
そうなると面倒が増える・・・血を見て卒倒しそうでもあったし。
いなくなってくれたお陰でそんな心配をせずに済む・・・心置きなく、斬れる。
>今日はそちらの(中略)遠慮せず受け取ってくれ
間合いを計っていると、転移してきた魔導師が女騎士の恫喝に応えて喋りだす。
どうやら自分に用があったらしい・・・いや、恐らくは自分の中の『悪魔』にだろう。
そして、魔導師は短い呪文を唱えて下級魔族を召喚した。数だけが頼みの、
典型的な雑魚だ。それでも10体を一度に呼び出すと言うのは簡単な事じゃない。
名も無い雑魚が獲物を求めてにじり寄ってくる・・・俺は構えを解いて、雑魚の方に歩き出した。
>476
和装の女術師が人込みから姿を現す。呪術を込めた旗を操る「シズネ・ラ・ファウスティナ」。
慇懃な挨拶の後、不機嫌そうな口振りで苦言を漏らす。
>「それにしても、よくぞまあこれだけはみ出し者の有象無象を集められて・・・。正に百鬼夜行(デビル・ラン)というところですねぇ。
>予めお断りしますが、あたしは人を指図して引っ張っていくような器量でもありませんし、補佐官がいいところですよ。
>中隊長任命なら辞退申し上げたく存知ます。」
「先日、貴様の部隊の戦闘を見学させて貰った。面白い術を使うので興味を持ってな。
私とて、元より百鬼夜行を所望の事だ。力を貸して欲しい。
で、中隊長の件が心配か? 謙遜は美徳だが、最低限は仕事して貰わねば引き抜いた意味が無い。
能力如何で、然るべきポストに就いて貰う。まあ、考えてはおくが」
エヴァンスは相も変わらずのポーカーフェイス、「考えておく」という言葉も何の気無しだ。
>479
黒ずくめの豪壮な鎧武者。体躯のみならず、低く響く声は聞く者に得も知れぬ重圧感を与える。「辻斬り」。
>「あ〜、デ……お偉いさんワシに何のようで?
> 軍持ちの件デッか?ワシャ軍引っ張るンが苦手ヤさかい。仏サン大量に出す事になるデ?。」
>「ソレでも構わンならワシャぁ一向に構わンし、それに…ワシが味方を『殺す』かモ知れんシなぁ。』
「貴様も同じ事だ。そう複雑な注文を与えるつもりは無いが、毎度単騎駆けばかりされては私とて少々困る。
無理はさせん、しかし最低限の要求には従え。今更雑兵をやりたくもあるまい、『狩り』が楽しみなのなら。
……それとだ、『味方』は知らんが『仲間』は殺すな。
無能な味方は敵と同義だ、邪魔なら潰して構わん。だが仲間殺しは私は好かん。
以前のシケた狩場に戻りたくなければ、それだけは肝に銘じておけ。或いは、二度目の死を恐れるならば」
>475>477
話終えた所で入隊手続きを済ませた十数人が壇の周りに集まり、中隊長選出の説明を待つ。
屈強の男から少年、女性まで様々だが、皆一様に不敵な表情を浮かべている。エヴァンスは一人一人の顔を確認しつつ、再び口を開く。
「中隊長選出への立候補はこれで全部か? よし、やれ」
ブレンゲンへ、片手を挙げて合図する。
すると佐官たちが他の入隊希望者を中庭の端に誘導し始め、試験に必要なスペースを確保する。
「貴様等は、なるたけ中の方に行って固まってろ。
勿論、自分の得物は持っているだろうが……生憎と準備はさせん。そら行け。
シズネ、『辻斬り』! 貴様等も同じだ。一応、腕前を確認させておきたいからな。未来の部下への示しもある」
十六人の立候補者たちが広場の中心に向かって歩き、準備を待つ。
中には武器を持たずのままで突然の試験開始にうろたえる者もいたが、容赦無く試験開始が告げられた。
「戦技実演だ。味方同士で斬り合わせる訳にはいかんから、貴様等の相手には機械兵を用意した」
ブレンゲンに連れられて、十体のマシン・ゴーレムが中庭の隅から現れる。
身長180センチほどの華奢な人間タイプで全身完全装甲、内蔵武器の大半を非殺傷に換装済みの訓練用機械兵士だ。
黄色い装甲板にモノアイ、得物無しの丸腰。
エヴァンスがさっと左腕を振りかざすと、中庭の中心から巨大な魔方陣が展開され、即席のリングとなる。
「ルールは簡単。貴様等全員で協力して、機械兵士十台を破壊しろ。生き残った奴が中隊長に任命される。
魔方陣からの離脱は戦闘放棄と見なし、十六人全員が戦闘不能若しくは戦闘を放棄した場合、試験は中断される。
つまり全員不合格だ。又、生き残りが規定の五人を越した場合は各員の戦闘への貢献度によって評価する。
敵は一部の非殺傷武器を除いて丸腰。一体……そこの一体だけ、赤くて角付きのヤツ。
私が直接操作するそのリーダー機以外は自律回路だ。
魔方陣は外部への防壁も兼ねているから、多少派手にやっても構わんぞ。よし……始め!」
エヴァンスが手を叩いたが早いか、他の十五人の誰よりも先に飛び出すオークの戦士が一人。
敵は丸腰とみて気が逸り、曲刀を振りかざして機械兵へ切り掛かった。
が、前衛の機械兵が腕部から撃ち出したゴム弾を顔面に受け、オークはその場に倒れ伏す。
「早いな、一人脱落か」
倒れたオークが起き上がろうとする一瞬に機械兵は間合いを詰め、頑強な拳を相手の背中へ打ち下ろす。
ごきり、と背骨の折れる音がして、オークは途端に一切の動きを止めるとそれきり起き上がろうともしない。
「機械兵の自律回路はデス・マッチ仕様だ、相手が動かなくなるまで攻撃する」
他の機械兵たちも一斉に前進、残り十五人へ向けてゴム弾を射出する。
>451
テンプレートを微訂正します。剣の部分と服装。
【名前】冴波 氷渡(サエナミ ヒワタリ)
【勢力】魔王軍
【年齢】19(自称)
【性別】女性
【職業】不明
【魔法・特技】剣技、水・氷に関する術
【装備・持ち物】直刃と鋸刃の大剣、ロングコート(灰)、安全靴(防音仕様)、中はシャツにデニムのパンツ(抗呪、対刃仕様)。
【身長・体重】173cm 51kg
【容姿の特徴、風貌】やや青っぽい深い黒色の長髪、男物と思われるロングコートを着ている。
顔はやや中性的、瞳は黒瞳。
【性格】淡々としているが、己の知りたい事には執着する。
【趣味】水芸、氷の彫刻
【人生のモットー】我田引水、川が枯れたら滝から引こう。
【自分の恋愛観】傷つくような恋は欝陶しい
【一言・その他】「戯れに問いたい、《人の生きる意味とは何》だ?」
ふらりと現れ、魔王軍への仕官を申し出てきた。やや時代の離れたような服装をしているが、詳細には答えなかった。
女性にしては長身で、さらにそれを上回る約2mの大剣を鞘もつけず、布を巻いて持っている。
水の術を使うというが、その原理も通常の魔法とは違うらしい・・・・・・。
大剣は一方が直刃、もう一方が鋸刃という奇妙な構造をしている。
>483
「状況開始、だな。」
言うが早いか右手を目の前にかざす。
「(氷結晶作成。『盾』展開。)」
冴波の周囲に極低温によって作られた『氷の盾』が現れ、ゴム弾をはじく。
衝撃によって盾は砕かれたが、冴波はもう動き出していた。
「(再利用。『氷弾』)」
砕かれた氷の破片がそのまま弾丸のような速度で正面の機械兵へと突き刺さる。
甲高い金属音と共に、破片が刺さったがそれを気にする素振りも見せずゴム弾を撃ってくる。
「遅い。」
既に解いた布を前面に広げて、機械兵の視界を覆い頭部に蹴りを放つ。
グシャリ、と嫌な音が聞こえたがまだ冴波は止まらない。
そこから飛び上がり、背中側から大剣を振り下ろす。
頭頂部分から剣が機械兵の体を引き裂く・・・・・・が、それが腰の部分で止まってしまう。
「・・・なら。(リミットを解除。)」
一瞬、冴波の腕が膨れ上がったと思う間も無く機械兵を剣が刺さった状態から先ほどのリーダー機へと投げ飛ばす!
もちろん、投げ飛ばす時には剣を抉るようにして引き抜くことも忘れない。
「次は・・・?」
自身の周囲に氷の盾を作り出しながら、今まで表情を見せなかった冴波が初めて、
唇の端を吊り上げて笑った。
>476-477>479
(やっぱり中隊長になりたいって奴は少なくないよなぁ)
壇の前には既に何人かいたし、ラックが着いた後にも何人かやってくる。とりあえず目に付いたのは三人。
(まぁ姐さんは呼び出されていたしね)
やはりひときわ目立つ異装。ラックの方へと視線を投げかけられたのでこちらには気づいているのだろう。
その視線にはとりあえず会釈だけしておいて、さっと懐から煙管を取り出し左手に持つが。
(…こんな雰囲気だしなぁ)
シズネはさっきの団長になにやら話しかけているようで、安易に渡せるような状況下ではない。
(後でいっか)
またしまい込む。
次に目に付くのは、中には武器が入っているのだろう、大きな布の塊。それを持ち歩く、青年。──だと思ったのだが。
(女、か?)
その身長や得物から男だと思ったのだが、顔を見ると。あまりまじまじ見ても失礼にあたるのでチラリと見ただけだが。
(ほっせーなぁ。あんなの振り回せるんかな?)
ついつい布の塊を見上げていて口がポカンと、しまりがなくなっていたことに気づき我に返る。
(ま、興味ないな)
そして、もう一人。異様なまでの存在感を示すのは。決していい意味ではない有名、まさに悪名高き。
(へぇ、あれが辻斬り…)
その名は魔王軍に参加してまだ日が浅いラックですら知っているほど。しかし特別な恐ろしさを抱きはしない。
いきなり吐かれた暴言(ラックは「ガキ」というのが自分のことだと気づくのに時間がかかったが)も特に気にしない。
(別にいいんじゃないの?強けりゃさ)
強いなら関係ない。実力があるなら構わない。当人の本質がどうであれ、強さがあれば、戦場では十分だ。
(だけど配下とかはついていけんのかなぁ?)
荒くれが集う特攻隊ならいざ知らず、普通の感覚がある者ならついていけないのではないだろうか。
(俺だってあいつの下は嫌だもんなぁ)
頑張って中隊長になろう、とまた決心しつつ。
>482-483
「いきなりかぁ…」
なんだか見世物になっているようで少しの恥ずかしさもあるが、何より自分の実力を誇示できるのがとても嬉しい。
(実力も、申し分なさそうだ)
ややもすればもう戦えないかもしれないオークの末路を見ながら、ふと口元に笑みが零れる。
(いかんいかん、集中だ集中)
自分の両頬をピシャリと叩いて、口元に真剣味を取り戻す。だが、未だ胸の躍動感は止まらない。
>他の機械兵たちも一斉に前進、残り十五人へ向けてゴム弾を射出する。
「速い…!けど」
さっきオークに射出したのを見ていたのでどこから放たれるか、初速はどんなものか、は見当がついている。
それだけ解っていれば──
「よっ」
避けることは容易い。
「機械ってのは雷に弱いって相場が決まってんだよ!」
右手を腰の近くにまで引き、力を込める。そこに、直径20cmほどの光る球体ができる。電気エネルギーの、塊が。
「スパークしちまいな!雷砲『レシュフ』!」
右手を押し出すとともに、塊は一直線に飛んでゆく。速度はさほどでもないが…前衛の、機械兵士の元へ。
大袈裟な音とともにそれが命中した機械兵は、一瞬行動を停止する。その一瞬で、ラックはハンマーを取り出し、跳躍。
「だらっしゃぁぁ!!」
飛び降りながらハンマーを振り下ろす。レシュフを直撃させた機械兵のもとへ。そして。
「一匹目ぇ!」
へしゃげて潰れ、スクラップと化した機械兵を一瞥し、吼える。
「まだまだ!」
トールハンマーをブンブン振り回しながら、機械兵士の群の中へ突撃してゆく。
>482
お断りをしたんだけど、この師団長さんは聞き入れるつもりはなさそうだねえ。
『未来への部下への示し』なんて試験を受けさせられるって事は既にポストは揺るがないって事じゃないかえ。
まあ、聞き入れられる事の方が珍しい世の中でこちらとしてもどうしても、って事でもないから良いけど。
「ようござんしょ。わざわざ引き抜いていただいたからにはただ他の候補者と同じようにテストを受けるだけ、というのも
芸がありませんしねい。試験のお手伝いも一緒にさせていただきますえ。」
それでもちょいと癪だったんで悪戯してやる事にしたよ。
意味深な笑みを一つ師団長さんに投げかけてから向き直ると、機械兵士が十体。
>485>486
オークが動かなくなったのを見て、師団長さんの「無能な味方は殺して良いが仲間は殺すな」っていう辻斬りへの言葉が
よく判ったよ。
それとこちらの方針も決まったってもんだわいね。
まずはいきなり一斉掃射されたゴム弾の始末、付けさせてもらいましょうか。
簪を一本抜いて、制流旗に戻して候補者達の前に出て一振り。
飛んでくるゴム弾のベクトルは微妙にずれてあたしの身体は避けるように、でも後ろにいる候補者たちの事までは『知ら
ない』ね。
「防御と最初の篩いは完了、っと。」
二、三叫び声がしたようだけど、この程度を避けられないのであればさっさと消してやるのが人情ってもんだ。
候補者は全員後ろにいると思っていたけど、動く奴は動くねえ。ラック坊やもやるじゃないか。それに、あの大剣を持つ女剣士、
氷も扱うなんて今からの戦いに相性が良いかもしれないね。
左手で制流旗を持ったまま、右手で簪をもう一本引き抜く。
お次は誘脈旗だ。話によると前回これを使って敵を逃がした間抜けなところを見られているようだからね。挽回のためにも
もう一度御披露目さ。
誘脈旗を地面に突き刺して念を込める。範囲はリング内全域。
地脈と水脈両方に働きかければ・・・ほら、あっという間に液状化現象さ。
機械兵士は自重でズルズルと沈んでいくし、まともに動くこともできまいて。
師団長さんの動かす機械兵士も動けずに、飛んでくる残骸にぶち当たって壊れるのなら笑っちまうけどね。
「敵の機動を封ずれば勝利の八割は決する!ほら、相手の足は止めたよ。沈んじまう前に片っ端からぶち壊しな!足場は
ちゃんと残してあるから落ちるんじゃないよ。」
とりあえず味方の足元は硬い地面のままさ。他の状態としては深さ10mの沼にランダムに何本か杭が打ってあるような状態だわね。
沼に覆われた足場を見極められないようなメクラも中隊長は務まらないだろうから棒立ちのままにでもなっているこった。
ただ、あの氷使いの女剣士にはこの状況も試験にゃならんだろうねえ。自前で足場作れちまうだろうからさ。それからラック坊や
にも有利にしちまったかな?電気もよく走る事だろうしね。
ま、ともあれ試験管ごっこも十分。後は他の連中の御手並み拝見としゃれ込もうかねえ。
>469>471
>「で、皆は行くのか?」
>「そうだな…暇だしな。俺は行くぞ」
マックスの問い掛けにFALCONがそう答え、食堂から出て行った。
「ま、他にやることも無いしな。退屈しのぎにはなるだろ」
そう呟き、先に進んでいった二人の後を追って歩く。
>480
>「申し訳ありません。どなたか書庫に来てください!緊急事態ですわ!」
廊下を進んでいると、一人の少女が平和そうな声質で叫んでいた。
「俺達が行くから他の奴は近づけさせるな!人数が多いと返って邪魔になる!」
カイザーは少女にそう声を掛け、図書室へ向けて走り出した。
(…火事だったら俺には対処出来ないけどな。)
その可能性も有り得るので、カイザーは少し後悔気味に走り続ける。
>461>472>478>481
図書室のドアを開き、中に入り込んだ。
―――その刹那、闇の塊が牙を剥き、カイザーへ襲い掛かった。
「…くっ!」
その攻撃はカイザーの頬を霞め、頬に出来た赤い一筋の線から血がジワっと滲み出す。
続けて攻撃が加えられるが、カイザーは紙一重で避けつつ、敵の動きを観察する。
「暗い部屋に入り、視界が一瞬だけ暗転した隙を狙われたか。」
敵は明らかに殺意を持って攻撃を加えているが、カイザーはそれを上半身の動きだけで往なしている。
「突然の登場で驚いたが…なるほど、ここら辺の地域では見掛けない魔物だな。
不意さえ突かれなければ強さは大した事は無い、これは何者かに大量召喚されたと見て間違い無さそうだ。…さて」
魔物は攻撃が当たらず、半ばヤケになって突撃してきた。
その頭を踏み、青きマントを翻しながら図書室の中央部へ跳ぶ。
頭を踏まれた魔物はそのまま勢い余って壁に頭をぶつけて気絶したようだ。
そして、カイザーは周りを見回す。
(騎士達の反応を見る限り、同盟軍の誰かが誤って呼び出したのでは無さそうだな。
…という事は、これを呼び出したのはサタンの一味の誰かだろうな)
図書室内には様々な人間が居たが、皆初めて見る人物ばかりである。
(さっき感じた魔力は奴の発した力だろうが…嫌な感じのする魔力だな、アイツなのか?
…奴だとしたら厄介だな、奴の周り囲む様に重点的に魔物がうろついているからな。)
レオナルドが怪しいとは思っているが、同盟軍に入ったばかりでは敵か味方かの区別すらつかない。
(…この出来事の始終を見ていた奴ならば分かる筈だ……というか、俺が知ってる奴は一人しかいないか。)
この部屋の中で唯一知っている人物、それはアステラであった。
数メートル離れている場所にいるアステラに声をかける。
「アステラ!そこの魔物に注意をしたまま返事をしてくれ、この魔物達を呼び出した奴は誰だ!?」
>482
単騎掛けはワシの得意科目なんやけどなぁ…思わず苦笑。
別に屍骸を出したって困るのは其方、自分にゃあ関係は無いのだが、今更つまらん『仕事』に戻るには惜しすぎる。
「フンッ……まア、エエですわ。アンさン側の要求飲ませテ貰ォうワ。
ケッタイな仕事ヲせズニ、人斬れリャ万々歳ヤからノォ!」
さすがにコレだけの軍を纏める者、早々に意見を曲げてはくれないか…
(せやケン…その分の器にャ十分ヤ)
小さい体なのに底知れぬ力を感じる目の前の存在。
ゴタゴタを起こすのも面倒なので、ここは引くとする。
「ケケッ……まア、わザわザ御呼ばレして頂イたンや。このまま帰ェるのも性ニ合わンですわ。
ちト肩慣らシ程度にャァなるやロう。試験ノ方受けさせテ貰いマす、さかい。」
そして後ろを振り返りにやけながら喋る
「でモ『事故』にャあ、ご注意しテおくんなハレ。……他の皆サン。」
>483
目の前にゴム弾が飛んでくるが避けずに手で軽くキャッチする。
手に振動が来たがこんなもん振動の内には入らんよ。
愛刀を片手にスゥッと腰を上げる。
次の瞬間である。巨体とは思えぬスピードで間を詰めた
「単騎掛けァ特攻の華!、遅れァ取らンでェ若ェノ!!」
目の前には2体の機械兵士。しかし次の瞬間、轟音と共に一体の機械兵士が頭から真っ二つに割れる。
手には鞘から抜いていない長刀が握られていた。
「硬ェモンは『斬ル』よか『潰ス』方が簡単なンやでェ?【鞘】デやらせて貰ゥたでェ」
残ったもう一体が慌てたように拳を振り上げる。
「アマアマやァ!!。」
刀を引き抜き禍々しい刀身で右拳と左腕を叩き斬った。
ガシャンガシャンと音を立てて崩れる機械兵士の腕、そして機会兵士の頭を掴むと持ち前の怪力で持ち上げる
「ヘヘッ、『ダルマ』やなァ?…どなイしよか?ソヤ!ええ事思イ付いタでェ。」
>486
【協力?】、エヴァンスは確かそんな事云々を言っていたな…ならば。
「ほれェガキィ!キャッチボールやァ。打ち返してみぃヤァ!」
単身突入していくラック目掛けて機械兵士を投げ飛ばす。
(マぁ…潰れてモ知らンがナァ。)あくまで無責任ではあるが、これも一応連携である。
>487
急に足元が滑り機械兵士が沈んでいく
「な…なンやァ?」
>敵の機動を封ずれば勝利の八割は決する(略)
自分にとってはハッキリ言って邪魔なことこの上ない。これじゃいつもの『狩り』と大差ない。
「ケッタイなマネしよルはあのアマァ……。ワシャ戦いニ気とルンやデェ?」
せっかく暖まった熱が冷め切ってしまった、チャンスといっても狩る気にゃなれん。
「後ァボチボチと『狩り』ニ戻るかのォ。」
愛刀を鞘に戻し【足場】をぐるぐると周りを徘徊。【味方の出方】【敵の行動】を観察し始める。
>485
大剣の女が投げ飛ばした半裂きの機械兵を、リーダー機が受け止める。
そして屑鉄と化した仲間を抱えたまま、液状化した地面の僅かな足場へ飛び移った。
足場に居た人間の戦士が避ける間も無く踏みしだかれ、
リーダー機はスクラップを盾に再度跳躍し、ロングコートの女剣士へ空中から襲い掛かった。
>486>487>489
三機が泥濘に転げて動きを封じ込められるが、別二機は仲間の残骸を踏んで空いた足場に逃げた。
泥沼を脱出し自由な二機の標的はシズネ。又も動けない仲間を飛び石に、シズネへ接近する。
埋まりかけの機械兵は手近な足場を目指して這いずり、「辻斬り」の足元へ近寄ると両腕からゴム弾を連射する。
狙いは「辻斬り」ではなく彼の足元の泥だ。ゴム弾で激しく散る泥に塗れ、三機が列を成してにじり寄っていく。
>489
>「ほれェガキィ!キャッチボールやァ。打ち返してみぃヤァ!」
そんな声とともに、猛スピードでラックに向かってくる豪速球…ならぬ豪速機械兵。それは避けるには大きすぎて。
「だらぁっ!」
手に持っていたトールハンマーで殴りつける。クリーンヒットしたそれは、他候補者を数人巻き込みながら転がる。
「うぜーなちくしょー!それにキャッチさせたいのか打ち返させたいのかはっきりしろよ!」
気勢を削がれた気分になり思わず叫ぶ。巻き込まれて戦闘不能になったろう候補者については気にしないことに。
>487
機械兵が沈んでいくのに思わず目を丸くするが、すぐに振り返って状況を整理。こんなことが出来そうなのは…、
「姐さんか」
その横にさっきはなかったはずの旗が立っている。ほぼ間違いはないだろう。喜ぶべきことなのかもしれないが。
>「敵の機動を封ずれば勝利の八割は決する!ほら、相手の足は止めたよ。沈んじまう前に片っ端からぶち壊しな!足場は
>ちゃんと残してあるから落ちるんじゃないよ。」
「…ま、いいさ」
多少のモチベーションの低下は否めないが、仕方ない。この「地の利」をどう活かすか。それも腕の見せ所なのだろう。
正直なところ、活かす気などさらさらないのだが。
>490
残りは六体。リーダー機はあの女が相手しているようだし、地に沈み込んでいる三体はわざわざ相手にすることもない。
「なら、あの二体だな。姐さん狙ってるみたいだけど」
まだ用心棒の契約は切れてないのかな、なんて思いながら、数少ない足場を踏みしめ、飛び上がり。
シズネに接近する機械兵のうち一機に、後ろから抱きつく。ハンマーはまだ手に持ったままだが。
「放電」
ラックの周りに肉眼で見えるほどの稲光が浮かび上がり、機械兵の中からは「バチバチ」という音。そして、破裂音。
倒れ込んだ機械兵に駄目押しにとハンマーの一撃を食らわせると、ふと思い立ったように上を見る。
そこにあった一層の雲に、ラックは再び笑みを零す。
>471>488
FALCONはイルと食堂を出、カイザーもそれを追うように出ていった。
「(魔力は無ぇけど、足手まといにはならねぇ……)うぉっ……」
歩き始めたマックスの足がふらついた。
撤退から一年間という短い期間、彼の特訓は凄まじいものがあった。
小さい頃から負けず嫌いで、自分より強い奴が現れる度に、
意地と根性と気合と馬鹿力で、その差を埋め合わせてきた。
そんな彼が敗北感や罪悪感、劣等感に後押しされた状態で特訓すれば、当然ともいえる結果だろう。
とは言え、今ふらついている理由は、ただ睡眠不足が続いているせいなだけなのだが。
「(折角、間に合わせたんだ……やるぞ!)」
ふらつく足に渇を入れる様に、地面を思い切り踏むと床に細かい亀裂が広がった。
目を瞑り一呼吸してから目を開けると、食堂を勢い良く飛び出し書庫を目指して駆け始めた。
>480
遅れて出たマックスの耳に、何処と無く緊張感の無い声が聞こえてきた。声の主は可愛らしい少女であった。
質の良さげな装備をしている所を見ると同盟軍の騎士の様だが、実戦経験は皆無にも見えた。
「俺から余り離れない様に着いてきな。」
マックスは彼女が、カイザーから人を遠ざける様に言われていた事を知らない。
通路からは敵らしき気配は感じないが、基地にいきなり侵入してくる様な相手の事、
どう出てくるか解らない。万が一を警戒し、近くに居る様に少女に言ったのだった。
マックスはゆっくりと書庫の入口に近付くと、何かが近寄る様な気配を感じる。
次の瞬間に飛び出して来た黒い影の攻撃を、マックスは後ろに小さく飛んで回避した。
「いきなり何しやがるんだ馬鹿野郎……!」
何も持ってない左手を堅く握り、思い切り影の顔を殴り飛ばした。
殴った音に加えて鈍い音がしたが、相手はどう見ても人では無い。これで終わるとは思えない。
「化け物共、入り口からは一歩もださせねえぞ」
小声で呟き、ケレンファを構えて入口を塞ぐ様に立つと、中の様子を確認する。
本棚の位置関係的に、他に気配は有るものの姿は見えない。だが、
「……!」
入ってすぐの所に、仲間らしき男が倒れている。どうやら魔物にやられて気絶している様だ。
急いで外に担ぎ出し、マックスは男の傷を見る。傷は案外に深いが、今治療をすれば助かるだろう。
だが、今行けば入口から正体不明の魔物が通路へ出ていってしまうかもしれない。
「くそっ、どうすりゃいいんだよ……!」
>478>488
>「今日はそちらの少年にだけ用があったのだが……なるほど、忙しいようだ。
> わかった、今日のところは引き上げよう。ああそれと」
セシリアはすぐそばの少年を見た。モノクルの男にとって、この少年にどんな価値があるのか。いや、それよりも……
(やっぱり『少年』なんだよね)
少し胸の支えが取れたような気がした。
男は指を一つ鳴らして腕を振る。口元が小さく動いているのは詠唱だろう。
たったそれだけで10体ほどの使い魔を一度に召喚する。思いのほか長けた術者のようだ。
見た目は黒い全身タイツを着込んだ男性そのもので、戦闘力自体はそれほど高そうではない。
>「土産くらいは置いていっても良いだろう。遠慮せず受け取ってくれ」
「名も知らぬような方から、土産を頂くいわれはありませんな。それにずいぶんな粗品だ」
実際、剣に宿る火の精霊を開放して一振り、それで終わる数だ。ただしここでそれをやると、多分火に巻かれて自分も死ぬ。
それはいやなので、まず向かってきた一体に踏み込みながら逆袈裟に切り上げた。そのまま左の肩で相手の体を押し込み、
後ろにいた別の一体にぶつけ、まとめて刺し貫く。剣を逆手に握り替えて、踏み出した足を軸にソバットを放ち、剣を引き抜いた。
さらにその後ろにいた敵が、倒れ掛かった仲間の体をブラインドにして、魔力塊を放つ。すぐ脇の倒れた本棚の上に飛び乗り、
それをかわした。やはりこの状況はやりづらい。飛び道具を連射されては近づくのが困難だ。
こちらが近づけないでいるうちに、モノクルの男は床におそらく転移用だと思われる魔法陣を描いている。
セシリアは横手からそこに仕掛けようと本棚の間を走る。
>「アステラ!そこの魔物に注意をしたまま返事をしてくれ、この魔物達を呼び出した奴は誰だ!?」
後ろから聞こえた声に、走りながら肩越しに振り向く。本棚の隙間から声の主が見えた。思わず足が止まる。
「カイザー殿!?」
オーガスの民であれば知らぬ者なき英雄、聖騎士カイザーその人であった。
ヴォルフ討伐の大分前にこの大陸を離れていたはずだが、オーガスの急を聞いて戻ってきたのだろうか。
カイザーは少年に向けて声をかけたようだ。となるとアステラと言うのは彼の名前だろう。
セシリアがそちらに気をとられている隙に、使い魔が攻撃を仕掛けてくる。
体勢を低くしてそれをかわし、飛び退いて別の列へ駆け込み、改めてモノクルの男めがけて走った。
>488、>492-493
>この部屋の中で(中略)呼び出した奴は誰だ!?
あの女騎士の呼びかけに応えたのだろう、書庫の外に何人かの気配を
感じた。その内の一つが、急に中央部へと跳躍してきた。聞こえてきた声、
それはさっき会ったばかりの男、カイザーだった。
問いかけに答えようとした矢先、取り囲む魔族が飛び掛ってくる。
正面左右、三匹。その後ろに二匹の合わせて五匹だ。
右の奴の胸部を左手で持った刀の柄で突き、回転して左の奴の顔面に裏拳をぶち込む。
その隙に正面から攻撃を仕掛けてきた奴を振り向きざまの斬り上げで縦に両断した時、
殴った奴らとは別の、後ろに控えていた二匹が左右から来る。頭は悪いようだが、
戦う事に関してはその限りではないようだが・・・新たに右から来た奴の足を鞘で殴る。
足をすくわれ、空中で反転して無防備になった胴を横薙ぎ。
更に背中から襲い掛かる奴の顔面を右手の刀の柄で殴って怯ませ、斬り下ろしで一刀両断し、刀を収める。
吹っ飛ばされた奴らは仲間があっという間にやられたのを見て怯えている様だった。
そんな状態でも交戦するつもりなのだから、その無駄な律儀さには頭が下がる。下げるつもりはないが。
距離を取って魔力で形成した球体を放ってきたが、既に真面目に相手をする気が失せているので、
刀を抜いて体の前で高速回転させる。刀に触れた魔力球は威力を殺されて次々と霧散していく。
今となっては唯一の攻撃手段すら無効化されて完全に戦意を失った様で、何もしてこなくなった。
警戒するそぶりを見せるだけのそいつらを睨みつけるように一瞥すると、魔導師の方へと歩みつつ
顎をしゃくって召喚者をカイザーに教えてやる。見えているかどうかまでは知った事じゃない。
>いきなり何しやがるんだ馬鹿野郎……!
入り口の方から声が聞こえる。魔族の一、二体が外に出ようとしているのだろう。
召喚者の命令が無いとは言え、意図の一つも読めないほど頭が悪いらしい。
頭も能力も並以下の者を召喚して、足止めが出来ると本当に思ったのか?
帰る前に問い質してやろうと、どうでもいい事を考えつつ近づいていくと・・・
>すぐそばの少年を(中略)男めがけて走った
近くの女騎士がこっちを見た。変な顔をしている、無性に腹が立った。
女騎士を一睨みして、歩き出したのだった。
その女騎士は魔導師を討つべく入り組んだ本棚を伝って別ルートで向かっているようだ。
だが、遠回りしているようにしか見えない。その上待ち伏せされていたようで、
些か梃子摺っている様だった。仕方無しに女騎士に無視された魔族に魔力で形成した
剣を放ってやる。当たろうが交わされようが悪い結果にはならないだろう。
>480>488>492
>「申し訳ありません。どなたか書庫に来てください!緊急事態ですわ!」
こんな時に不謹慎ながらFALCONはにやりと笑う。本当に面白そうなことが起きていたからだ。
図書室に先に入ったのはカイザーとマックス。
入った瞬間に何者かに襲われたようで、二人ともその何者かと戦ってるそぶりが見える。
「はぁっ!!!」
FALCONが気合いを入れて身体中に濃密な黒いオーラを纏い、さらにその黒いオーラの周りに黒い小さなスパークを走らせる。
図書室に入ろうとしたが、マックスが入り口を塞いでいる。
「マックス…どいてくれないと俺が入れないぜ…」
そう言ってマックスの後ろに立ち、両手を重ねて歪な四角を作る。
「消し飛べ!!!気こウボァ-!!!」
後ろからの衝撃により技は不発。
後ろを振り向くと、ミスリル銀製の大金槌を持ったイルがにこやかに殺気を放ちながら立っていた。
「FALCON、何をするつもりだったのか教えてくれない?」
「すみませんでした。調子に乗ってました。自分でも何考えていたのかさっぱりです」
やはり、久しぶりの戦いなのでテンションが上がってしまっていたのだろう。
FALCONはとりあえずマックスの後ろでイルに謝り続けていた。
>487,490
投げ飛ばした途端にいきなり足場が泥沼と化した。
見れば、幡のようなものを地面に突き刺して女性が叱咤していた。
>「敵の機動を封ずれば勝利の八割は決する!ほら、相手の足は止めたよ。
>沈んじまう前に片っ端からぶち壊しな!足場はちゃんと残してあるから落ちるんじゃないよ。」
「相性がいい。特に、『泥』なら特にいい。」
ふと、視界が暗転する。
>リーダー機はスクラップを盾に再度跳躍し、ロングコートの女剣士へ空中から襲い掛かった。
が、視界を遮られた瞬間に自分の後方に大きな直径4m程の氷の盾を展開。
同時に前方へ跳躍することでリーダー機を回避する。
「これはこれは、丁重にお相手しよう。(能力展開、『人形』)」
おそらく氷の盾を粉砕して着地しただろうリーダー機。そして、その前方に冴波の姿が・・・『8人』いる。
いずれも容姿は違わず、全てが『水の剣』を二振り手にもっている。大剣は・・・その後方で氷の台に突き刺さり宙に浮いていた。
「「「「「「「「さて、私達の剣舞を存分にご堪能あれ。」」」」」」」」
八人分の声がすると同時に八人全員がリーダー機へと突撃する。
「(『水剣』、回転開始。)」
よく見る者がいればわかるだろう。彼女達の持っている剣の刃がすさまじい速度で剣の刀身を回転している。
柄にたどり着いた刃は柄に潜り、反対側から出現することで各々の剣はすさまじい回転を見せていた。
これならば、如何に『水の剣』であっても鋼鉄をも寸断するだろう。
「「「「「「「「覚悟。」」」」」」」」
その声と共に八人が突撃する。それも僅か0.1秒の誤差を持って順にリーダー機に向かって剣を繰り出す。
突き、袈裟、逆袈裟等の斬撃がリーダー機に襲い掛かる。
>488 >492 >495
「申し訳ありません。どなたか書庫に来てください!緊急事態ですわ!」
もう少し詳しく言ったほうが良かったでしょうか…?
叫んでから思ったその時
>「俺達が行くから他の奴は近づけさせるな!人数が多いと返って邪魔になる!」
一人の男が少女にそう声を掛け、図書室へ向けて走っていった
頭の回転が早い人らしい。自分の言葉少なな呼び掛けで何が起きているのかを察知したのだろう
そんな勘違いをしつつ、はいと返事をしようとしたその時、後から来たもう一人の男が
>「俺から余り離れない様に着いてきな。」
先程の男とは違う事を言っている
一瞬混乱しそうになったものの、ここにいても仕方ないように感じたので小さく頷き
少し後ろからついていく事にしたのだが、後ろから二人の男女が走ってきたのでその後ろから遅れて男の後を追う
男がゆっくりと書庫の入口に近付いていくのを遠目に見ながら走っていたが次の瞬間、突然黒い影が入り口から飛び出してきて男に攻撃。
男は後ろに小さく飛んで回避し、左拳で思い切り影の顔を殴り飛ばす。
…黒い者は動かなくなった
「…」
一部始終を見ていた少女は黒い者を気の毒と思いながらも歩を進める
続いて男が槍を構えて入口を塞ぐ様に立った…その後ろに先程自分の前を行った二人がいたのだが、男の方が何やら構え叫ぶ
「消し飛べ!!!気こウボァ-!!!」
その叫びの最中、女の人が男の人を大金槌で打っ叩く
「FALCON、何をするつもりだったのか教えてくれない?」
「すみませんでした。調子に乗ってました。自分でも何考えていたのかさっぱりです」
…仲間割れなのかな…?
よく分からない少女は声もかけれないでいたが
そうこうしてる間に入り口の男は何かを見つけたらしく書庫内に入ると、中から一人の男を運んできた
「…!」
魔物にやられたようで傷を負っているようだった
男は今運んできた男の傷を見ながら
「くそっ、どうすりゃいいんだよ……!」
その言葉の意図はわからないが、この男の傷は治せない傷でもない
一歩進み出て跪き
「私にお任せください」
そう言うと目を閉じる
「神よ…御意志に逆らう事をお許しください。」
言いながら両手を傷男に向けてかざす。すると両手と傷男が光に包まれ、傷が塞がっていく…
「…これで大丈夫ですわ」
仕事を終えた少女は、柔らかく微笑みながら立ち上がる
>493
アステラの返事を聞く前に、他の方向から声が発せられた。
>「カイザー殿!?」
カイザーはその声に反応し振り向く、声の主は女騎士のようだ。
(彼女は俺を知っている様だな。…という事は、オーガス軍に所属していた者か?)
その女騎士は隙を突いて攻撃してきた魔物を避け、魔方陣を描いている男に向かって走った。
>494
女騎士が走り出した直後、アステラの方を振り向く。
彼は魔物を容赦無く仕留めた後、顎で相手を示した。
(…アステラの奴、態度が悪いな。)
そんな事を密かに思いつつも示された方向に振り向き、顎の延長線上を辿ると魔方陣を描いている男が該当された。
やはり貴様か、と言った表情でカイザーは男を睨み付けた。
>492>495>497
カイザーの位置からでは見えないが、入り口付近からも幾つかの声が聞こえる。
(魔物が外へ出たのか?…だが今は、あの程度の敵に構っている暇は無い。)
魔物を召喚した本人に向けて、歩き出す。
と、外から声が飛び込んできた。
>「FALCON、何をするつもりだったのか教えてくれない?」
>「すみませんでした。調子に乗ってました。自分でも何考えていたのかさっぱりです」
(…あいつら、あんな関係だったか?)
やっぱり3年って長いな…と思いつつも、魔方陣を描いている男からは目を離さない。
魔方陣を描いている男に向けて、声を掛ける。
「何の魔方陣を描いてるのか知らんが、折角図書室に入ったんだ。本を読まないと来た意味が無いぜ。」
足元に散らばっている本の中から、百科事典ほどの厚さのある本を拾う。
「…魔方陣を描いてて忙しそうだから、俺が渡してやるよ。」
カイザーがそう言うと、手に持たれた本は電気が発しているかの様な激しい光に包まれる。
そして、光は暴走を起こす寸前を象徴する多数の放電が発生し、図書室全体を照らす。
「全力で投げるから、ちゃんと取れよ。取れなきゃ本は壁を突き抜けてしまうからな。」
狙いを定め、振り被る。
「行くぞ……喰らえ!!」
踏み込みと共に右手から投げられた本は弾丸の様な速さで一直線に孤を描いて進み、
その光の軌跡を残しながら、魔方陣を描いている男の胴体に向けての突撃を開始する。
訂正
踏み込みと共に右手から投げられた本は弾丸の様な速さで一直線に孤を描いて進み、
↓
踏み込みと共に右手から投げられた本は弾丸の様な速さで一直線に進み、
>500は無効です。
新スレはこのスレを使いきってから移動してください。
>489
やれやれ、悪名高きと言えども誰もが知るその『武』故に存在が許されている辻斬りともあろう者が、こんな木偶相手に随分と
大人気ない事だねい。
足元が沼になって動きを止めてくれたよ。
あの調子で暴れられたんじゃぁ機械兵の十体くらい、あれ一人で片付けちまうんだったんだろからさ。
よっぽど欲求不満だったのかは知らないが、他の奴らにも平等にチャンスをあげないとね。
天地自然の法則を捻じ曲げて液状化現象を起こすのは誘脈旗の力だが、できちまった沼は自然のものだ。もはや旗は不要。
と言う事で二本とも簪に戻して代わりに番傘を広げたよ。
辻斬りが止まったのを見て自分の力をアピールしようと動き出した間抜けがそこかしこで沼に落ちて飛沫を上げやがるからねえ。
この身が泥にまみれるのはかまやしないが、符方録が濡れるのは困る。発動するまでは所詮は紙。書いた呪式や呪文が滲んじ
まったら目も当てられないってもんだ。
雷の塊みたいなラック坊やと同じ空間で足元を沼にしちまったんだし、免雷符を四枚書いて結界完了。あたしの囲うように四枚の
符が淡く光りながら浮いている。
他の奴らにもくれてやらないでもないが、協力と言ってもておんぶに抱っこってのも試験になるまいて。自力でどうにかしてもらう
とするよ。
>490>491
のんびり見物を決め込むつもりだったがそうもいかないようだね。二体も迫ってきちゃって。
ふぅ・・・、これだけいて、まともに動けている奴は数人・・・中隊長に立候補する奴がこの程度じゃ練兵には時間がかかりそうだねえ。
一体はラック坊やが放電で片付けてくれたがもう一体・・・
「・・・結界張っておいてよかったよ。あたしまで丸焦げになるところじゃないかえ。
さてさて、こっちもラック坊やに任せても良いが、このままじゃ未来の部下に旗を振るだけの女と舐められそうだね。一つパフォーマンス
でもしておこうか。」
殴りかかってくる機械兵の拳を後方に飛んで避ける。ふわりと宙を舞う羽のように。
宙を舞いながら番傘を手放し六枚の符を符方録から取り出す。
「因果律を狂わして焼き尽くす黒炎符だよ!」
波紋を一つだけ作って柔らかく着地したと同時に五枚の符は黒い炎で形作られた五匹の龍に成り変わり一直線に機械兵を貫いた。
熱で燃やすのではなく因果律を狂わせて存在自体を消す黒い炎は貫通力は抜群だが、抜群すぎて穴を開けるだけの代物なん
だよねえ。
まあ、直径30センチの穴が五つも開けば大概の奴は死ぬんだけどね。ただ、パフォーマンスとしては派手さが足るまいて。
「という訳でおまけの起爆符だよ。はじけな。」
黒炎符の一瞬後に発動した起爆符が穴だらけで動けなくなった機械兵の額に張り付いた途端に爆発。綺麗さっぱり木っ端微塵
って寸法さ。
>496
「よっと。試験も大詰め・・・にしても機械兵にやられるより味方の余波で潰れる奴の方の多い事・・・情けない・・・
残りそうなのはラック坊やに辻斬り、あの大剣の女剣士に私で四人・・・あと一人は一番最初にのびたオークかねえ、貢献度で
いえば、さ。」
辻斬りに三体向かっているがあの辻斬り相手に機械兵ごときに何ができるってなもんだよねえ。
ゆっくり舞い降りてくる番傘をキャッチしてそれぞれの動向を見守る事にしたよ。
符方録:符を束ねて収納しておくもの。既に書かれた符を収納するものと白紙の符を収納するものの二冊ある。
結界:この場合は対象を中心に雷属性の攻撃のみに特化した結界を張った。対象を中心としているので対象と共に結界も移動可能。
>491
投げつけた機械兵は予想通り青年のハンマーにより粉々になる。
>「うぜーなちくしょー!それにキャッチさせたいのか打ち返させたいのかはっきりしろよ!」
「ヒッハッハァ!言葉のアヤッちュー奴じャ!悪ゥ思わンとイてヤ。」
投げつけた相手の抗議を軽く聞き流し、至極愉快そうに笑いながら話しかける。
巻き込まれた参加者は…自分がやった訳じゃ無いし別にいいか。
味方を監視していたが、特別に目を引いたのは3人。しかもどれもいけ好かない人間共である。
まずは先程、機械兵を打ち返した雷の力を使う青年。
猫背で、とてもじゃないが体格はそこまで大きくは無い。簡潔に言えば普通の人間であった。
しかし目を引いたのは体格ではなく、その武器である。巨大なトールハンマー、
(こないに華奢な体のどこに、そんな力があるンじャ?)
魔族である自分達なら兎も角、振り回しているのは普通の人間である。心にどこかそんな疑問を持ったが…
(マぁ、そないケッタイな事ァどうでもエエわ。)
すぐ考えるのをやめる。【そこに実在する】それだけで納得しよう、考えるだけ無駄だ。
続いて目に付いたのは女だが男だが分からん。大剣を担いだ奴
特攻隊の自分を差し置き一番最初に敵陣に突っ込んだ奴でもある。
氷の盾やら分身やら対術と魔術の応用複合術を使う模様。
属性は【氷】か【水】か体捌き、力、どれを見ても中々だが
(『小手先』だけジャァ戦ニゃ勝てンのォ。『小手先』じャ無いンなら別ニええガな。)
最後に自分の気分をここまで失せさせた張本人。
黒い髪に着崩しはだけた着物。ちょっと遠くから見れば中々のベッピンさん。
しかし、使用する術、これは魔術の類ではなく『妖術』に近いものだろう。
彼女の周りを見ると旗が立ってる辺り、恐らく媒体はあの旗か。
「ケッ!……御大将ノお気に入りや無ウたラ。即『晒し首』ニしとる所ジャノォ。」
わざと相手に聞こえるように悪態を付く。
>490
そうこうしてる内に相手が動き出した。目標は2体があの着物女、そして残りの3体が。
>近寄ると両腕からゴム弾を連射する。狙いは「辻斬り」ではなく彼の足元の泥だ
「ほォ!!感心やナァ、サシじャァワシに勝てンと判断しおッたか?」
ゴム弾がめり込む毎にボロボロと崩れる足場。
「せやケン…。そなイなチマチマしタ事ァ、ワシャぁ嫌イなんンじャ。」
最早崩れる寸前の足場で冷い言葉が響く、そしてゆっくりと刀を抜いた。
鞘は錆付き、柄は酷いほつれを起こした長刀。
その刀身だけは薄らと紫色を帯び、何かが取り憑いたように気を醸し出していた。
「カラクリやロウと関係無いワ。久しュうに、ワシの技ァ見セたる…失せロォ!。」
刀を構え機械兵たちに向かい思い切り振り下ろす。
『シロクの丁ォォ!』
振り下ろされた衝撃で目前の沼が天高く大飛沫を立て機械兵を巻き込む。…そして大飛沫が収まった時には、
機械兵達は3体とも元が何なのか分からない位に、バラバラになって浮いていた。
「ゲヒャハハ!ア〜、スッキリしたデェ、サてご機嫌ヤさかい。後の獲物ァ他の奴ニくれたル。」
そう機嫌がよさそうに刀を鞘に戻すとリーダー機と対峙してる剣士を見据えた。
>502
「やるなぁ」
一体残したのは別に手を抜いた訳ではない。シズネの実力が見たい、という純粋な好奇心から。
結果は、想像以上。援護しか出来ないとさえ思いつつもあったが、前衛でも十分活躍出来るのではないか。
「因果律が何とかって言ってたなぁ」
だが村を出てからずっと旅していたラックには学がないため、因果律と言われても何のことやら全くわからない。
解るのは、あの術が、かなり強力なものであること。
「敵じゃなくて、よかったなぁ」
>503
(それは奴にも言えるなぁ)
チラリと辻斬りを見やる。その周りには、バラバラになった機械兵だと思われる…残骸。
(あれ?待てよ…確かリーダー機を除いてもあと三体は残っていたはずだけど…)
その三体は地に埋まっていたから、ラックは無視した。辻斬りに向かっていった気がする。そしてあの残骸。
それ以上は考える迄もない。たとえ沼という状態で有利だったとしても、あの短時間で三体もの機械兵を。
(さすが、だな)
つくづく思う。敵でなくてよかったな、と。
「さて」
もうリーダー機しか残っていない。そのリーダー機はあの女が相手しているし、横取りするような野暮な真似はしない。
シズネも、辻斬りでさえも、物見遊山といった構え。他の候補者も、同じく。皆同じような考えなのだろうか。
(だけど選ばれるのは五人なんだろ?どう考えても四人だよな…残りは物の役にも立ちゃしないよなぁ)
しかし、このままでは何もやってない候補者からも誰か一人が選ばれることとなるはず。それは避けたいところだ。
(その一人に足引っ張られるとか嫌だよなぁ)
脱落させておくべきだ、と思ってからの行動は早かった。
さっき見せた雷の球、『レシュフ』。それによく似た電気の塊を、空に放る。高々と舞い上がり、やがて雲の中へと。
「これでいい」
雲の様子が変わる。中で電気が発達していることが手に取るように解る。準備は整った。人為的なる、神の裁きの。
「──落雷、『イリャパ』」
右手を振り上げ、そして勢いよく振り下ろすとともに、雲の中から一閃の稲光が、垂直に、魔法陣の中央に。
ほぼ泥と化しているその地面に、電気が瞬く間に浸透してゆく。悲鳴が聞こえる。倒れる音も聞こえる。
「さて、何人が立っていられるかな」
この『イリャパ』は、ラックの雷術の中でも威力だけならトップクラスである。
それでも、あの氷使いの女、シズネ、辻斬りは立っているだろう。そんな根拠のない期待、しかし揺るがない未来を。
脳裏に、浮かべながら。
「やべ、普通に戦いの邪魔じゃん」
そういえばリーダー機と女は未だ交戦中だった。
同盟軍訓練所内、この場所で黒騎士デュランの姿を模した者が稽古している。
彼の名は肥・満。
自由自在に姿を変える、同盟軍の破壊神的存在。
彼の手に掛れば大多数の敵をバラバラにしてヤル気を無くさせるだろう。
現についこないだもオスタリアという学園を活動不能状態に陥れた。
彼の手口は姿を変えて、重要な役職につき、最強を欲しいままにし、吸血鬼や人狼などに化け、暴れるだけ暴れて突然消える。
まさに最強の破壊者。
因みに魔王軍にもこの肥・満が潜んでいるという。
そんな彼の最近の趣味は、セシリアのストーキング。あのやさぐれた雰囲気が好みらしい。
彼の夢は彼女をベッドに寝かせ、自分の脂肪で彼女を吸収し、彼女になりすますことだ。
「はぁ・・・セシリアたん。あなたの麗しき肉体をぼくちんの脂肪で埋めたいでごわすよ。ハァハァ」
因みに吸収した肉体は彼の体内に発生されている固有結界により、女性は性奴隷に、男性は体脂肪に変えられる。
正に破壊神。
肥・満は姿を女性、レミオールに姿を変えるとセシリアをひっかけに訓練所を出た。
彼、いや彼女はセシリアのいるところならどこにいても解る。
肥・満は昔、事故を装ってセシリアの髪に己の精液を塗り付けていたのだ。
「ハァハァ・・・ウッ!!」
肥・満は妄想しながら同盟軍の洋式便器な頭から突っ込んで「アングロアングロ、セシリアさーん待っててねぇ〜!!」と叫んだ。
この声は書庫にいるセシリアにも聞こえるはずだ。
俺はヤム飯、人類最強の男というコピーに引かれ
人類最強になるためにはどうすればよいのか考えた
人類最強なのだからどんなこともできる
手始めに全裸で年上の女騎士の部屋にアンゲロ、アンゲロとつぶやきながら飛び込む
タンスをこじ開けブラジャーを腰に巻きパンティーを頭にかぶる
年上の女騎士が呆然としながら見てくるが人類最強なので気にしない
年上の女騎士のベッドに潜りこみ「幸せだから!幸せだから!」と絶叫
年上の女騎士は無言で部屋から立ち去る
だがまだ最強には不十分
次は救護室にムッシュムッシュと叫びながら飛び込む
医者は傷ついた兵士の治療をしている最中だったが人類最強なので無視
半裸で逆立ちをしながら
「俺に充電しろ!!俺に充電しろ!!」と絶叫
兵士は大泣きで退散
確実に人類最強に近づく
開脚後転でトイレに飛び込み便座を外し首に掛ける
ゾンビの真似をしながら肥・満の部屋に突撃
扉を開けると便器発見
肥・満が便器に顔を突っ込んでるの発見
俺は死刑になった
次スレかなスレ汚しすまない
汚すしかできねえカスだな
「おい、知っているか?」
「何のことでしょうか?」
ここは同盟軍の憩いの場、カフェテラス。食堂の外の花畑内に作られている。
話しかけたのは青い髪の槍兵、特徴的な朱い槍を持つ陽気な男だ。
話しかけられるは金髪の美少女騎士、不可視の剣を持つ大食いの少女だ。
彼らは先程のおっさん騒動の時に逃げ出した人達でもある。
「聞いて驚くなよ、なんとあの聖騎士カイザーが同盟軍に参加しにきたらしいぜ!」
「あのカイザーがですかっ?!それではサタンの軍勢との決戦も、近い内にはじまると言っているようなものではないですか!!」
「あぁ、特別部隊が作られてサタンを倒しに行くって噂だぜ。俺もその部隊に参加してえな」
「あなたでは無理です。あの時、先頭に立って食堂から逃げたのはあなただったはずです」
「やっぱ俺じゃ無理なのか」
「私でも無理ですよ」
先程からこの様な噂が同盟軍のいたる所でされているらしい。
>496>504
リーダー機は着地の寸前出現した氷塊にスクラップの機械兵を叩き付け、打ち壊した。
衝撃でとうとう腕一本残すのみの仲間の残骸を棍棒代わりに、透き通る水流の剣を携えた、八人の女剣士と対峙する。
「中々どうして小器用な女だ。出来れば試験官として、ここいらで一矢報いたいという所だが……」
エヴァンスは演説台に胡坐をかき、左の掌を魔方陣内の機械兵へ向けて瞼を閉じる。
>「「「「「「「「さて、私達の剣舞を存分にご堪能あれ。」」」」」」」」
>八人分の声がすると同時に八人全員がリーダー機へと突撃する。
魔法の傀儡、肉眼視においては実物に寸分違わない剣捌きを見せる。
しかし純粋に魔力の流れだけを追って打ち合う事が出来るのならば
幻影を形作るエーテル体の余波から動作予測、実体を伴う武器部分の特定、術者の発見は容易い。
防護壁越しとは言え比較的至近距離からの魔力感応、敵の動きを読み取り矢継ぎ早の操作で、機械の機動限界まで振り切るのみ。
鋭い切り返しで次々に繰り出される水の刃を掻い潜り、極限の見切りに赤い装甲板が削れる事を厭わず反撃に移る。
装甲を失いフレーム剥き出しになった四肢を自在に操って、右へ左へかわすと同時に棍棒を振り立てた。
目一杯伸ばした腕が瞬間的な間接の逆曲がりで攻撃から逃れて、バネのように跳ねて二の太刀を払う。
幻影の一団の攻勢に僅かな隙を抉じ開けたと見て、エヴァンスはすかさず機械兵を氷の台へ走らせた。
本人は激しい殺陣に湧く歓声も何処吹く風か、相変わらず瞼を閉じ、左手を差し出したまま微動だにしない。
首尾良く女剣士の大剣を奪うと跳躍、別の足場へ退避する。
>右手を振り上げ、そして勢いよく振り下ろすとともに、雲の中から一閃の稲光が、垂直に、魔法陣の中央に。
>ほぼ泥と化しているその地面に、電気が瞬く間に浸透してゆく。悲鳴が聞こえる。倒れる音も聞こえる。
着地時泥を伝っての電流を受け、機械兵が足場に転げた。
剥き出しのフレームが災いして電気系統を全壊してしまった、倒れたまま動かない。
「使えんな、ポンコツめが。ガストラが負けた訳だ。魔導人形でないからいよいよ駄目かも分からん」
エヴァンスがおもむろに、左手の白い手袋を外した。
露わになる義手の指、手の平。一年前の義手とは違い、細く尖った指は骨格標本のよう。
白いセラミックの外板に覆われ、板の隙間からは淡い紫の光条が覗く。
機械兵は大剣を持ってよたよたと立ち上がり、女剣士の元へ跳んだ。落下と同時の攻撃は行わず、泥濘を駆けて脇へ回る。
見えない糸に曳かれるような不自然な挙動だが、動作は素早い。幻影から本物を探り当て、剣を振り上げて切りかかった。
「さあ、始末を付けてみろ!」
>502,503,504,509
「剣は奪われたが・・・『問題ない』。手は揃った。」
>さっき見せた雷の球、『レシュフ』。それによく似た電気の塊を、空に放る。高々と舞い上がり、やがて雲の中へと。
「<意思感知。種類:雷撃。自動防御『水鎧』発動。>」
先ほどの液状化の際に引き寄せられた水脈から水を汲み上げ身に纏う。
>右手を振り上げ、そして勢いよく振り下ろすとともに、雲の中から一閃の稲光が、垂直に、魔法陣の中央に。
>ほぼ泥と化しているその地面に、電気が瞬く間に浸透してゆく。悲鳴が聞こえる。倒れる音も聞こえる。
轟音と共に雷撃が襲うが、そこにいるのは何の変化も無い冴波の姿だった。
あえて変化しているといえば『水』の量が少し減ったことぐらいだろう。
「電気を通さない水もある。と、そういうことだ。電気分解はされたが。」
と、視線を感じた。大柄な鎧武者からの視線だ。
その様子からなんとなく嘲弄されているような印象を受けた。
「(いいだろう・・・ただの『小技』だけではないところを見せてやる。)」
右手をリーダー機のいる方向へかざす。
「<アイシクル・ジェイル展開用意。>」
冴波の周囲の地面から大量の水が沼を突き破り、巨大な『水塊』を作り出す。
球形のそれは直径で8m以上に達しているだろう。その『塊』の中にはキラキラと光る破片がある。氷だ。
そして、ソレは傍目に見ても分かる程に『捩れて』いた。中身がすさまじい勢いで回転しているのだ。
>見えない糸に曳かれるような不自然な挙動だが、動作は素早い。幻影から本物を探り当て、剣を振り上げて切りかかった。
対応して、冴波は『水塊』をリーダー機へと差し向ける。一旦、入れば全身を鋭い氷の嵐で切り刻まれるだろう。
そして、さらに横合いに位置する7体の『人形』が変化を見せる。
「『アイシクル・ジェイル』派生、『クリスタル・メイデン(水晶の処女)』」
冴波の声に応えるように『人形』達の像が揺らいだ。
次の瞬間、恐らく『アイシクル・ジェイル』に飲まれたであろうリーダー機へ向けて左右から計7本、冴波の足元から6本もの極太のつららが突き進む!
「13の罪を刻んで堕ちるがいい。」
阿鼻叫喚。地獄絵図。
そんな比喩が似合う戦場に現れしは、天使か悪魔か。
信頼。希望。勝利。生。
不信。絶望。敗北。死。
愛憎入り交じる戦いにおいて、最後まで残るのは。
同盟軍か、魔王軍か。
例えどちらになろうとも、血は流れることは避けられぬ。
それでも。
それでも、行くというのか、戦場へ。
ある者は汚名の返上のために。
ある者は自分の正義のために。
ある者は自身の欲望のために。
ある者は地位や名誉のために。
ある者は守るべき者のために。
それでよい。戦いを、選んだというのなら。
さぁ、行くぞ、皆の衆。
天国と言う名の地獄へと──。
http://etc3.2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1137064700/