騎士よ、今こそ立ち上がれ!〜サタン復活編〜

このエントリーをはてなブックマークに追加
235ラック ◆UcRg1Bh7EI :2006/02/14(火) 15:40:34
ラックは待つ。その時を。

>229
>「まあ、実の所、最初から結果はこんなもんだろうと思ってたんだがな。
>たった二つ三つのイレギュラーで、ここまで被害が拡大するとは酷い話だ。
>敵状視察は如何なものかな? 山と死人を出しただけの価値はあっただろうか、な?
>時にラック、軽騎隊はどうした? 全員死んだか? 一人残らず使い切っちまったのか?」
「全員死亡…です」
相も変わらず妙に低い声。そしてそれ以上喋ろうとはしない。口を噤み続ける。饒舌になったとて何も利はないからだ。
だから当然、軽騎中隊が全員死んだその理由、それについても、触れることなく、無言で。
少なくとも、「準備」が整うまで、我慢。我慢だ。

そしてラックは待つ。その機会を。

>230>231
シズネはともかく、辻斬りは何か感づいているようだ。その態度から、それが分かる。
とはいえ、天を見る素振りも見せなかったことからすると、頭上の雲で何が起きているのかは気づいてはいないだろう。
(空を見たからって分かるもんじゃないけどな)
だからこそ、『イリャパ』は役立つのだ。あれほど威力が高いのに、気付かれにくいという利点。

そしてラックは知る。その時宜が近づいていることを。

>234
>「ラック、お前の方が消耗が激しそうだ。馬を貸すから乗っていけ。」
「あ…あぁ」
反射的に頷いてしまい、その後にとりあえず肯定の返事を返す。乗るつもりなどなかったのだが。
何より、この「死の前兆」により、ラックの体力がかなり大幅に強化されているため、見た目ほど疲れていない。
さっきまで瀕死だったのは超スピードで壁にぶつかったからだが、それはあくまでさっきのこと。今は違う。
そもそもラックは元より腕力や敏捷性に比べ体力に関しては人並み程度だった。それが強化された結果、
壁にぶつかったぐらいのダメージでは全く苦にしないほどになっているのだ。
しかし、馬に乗ることを肯定してしまった。仕方ないので乗ろうとして…、
ラックが触れるとその馬は感電し、その衝撃に驚いたのか何処かへ駆けていってしまった。

そしてラックは気づく。その砌が来たことを。

「そういえば、戦果の報告をまだしてなかったんで」
そう言いながら、エヴァンスに向き直る。向き直りつつ、中隊長達の真ん中辺りへと移動してゆく。
「47人、殺した。全員、軽騎中隊」
言いながら、人差し指を立てて右手を高々と上げる。天の雷雲の様子が、誰の目にもわかるほど、変わっている。
「で、あと、プラス4かな?」
いつもイリャパを繰り出す行動と同じように、右手を握り拳にして、下げる。
「落雷『イリャパ』、α」
天から、雷が――いや、もはやこんなものは雷とすら言えない。こんな雷は、この世に存在しない。
それは、言うなれば光の柱。雷の柱。電気エネルギーの柱。その直径は、そこにいる中隊長全員に被害を及ぼせるほど。
速さは雷そのままに、秒速100mの雷そのままに、ラックに向かって、その柱は、落ち、た。

落ちた直後ラックは飛び上がる。ラックはその体質上電気は全く感じない。だからこそ自分に落としたのだが。
ラックの人生でも一度しか落としたことのないフルパワーの『イリャパ』。その時は、三日間体が動かなかった。
しかし今は違う。すこし軋みは感じたがまだまだ動く。まだ、いくらでも全力は出せる。
だからラックは飛び上がった。確実に、相手を仕留めるために。倒せたとは、思わない。気を緩めては負けだ。
だからラックは飛び上がってハンマーを振り下ろす。さっきのイリャパによる砂塵で誰なのかは分からなかったが、

――影が、見えたから。
>231
辻斬りの啖呵に思わず唖然としちまったよ。
そのなんとも無邪気な理屈に毒気を抜かれちまったって感じかねぇ。
どこまでも自分の土俵でしか測れないその単純明快さ。最後に吐き捨てるように言った
アバズレなんて言葉が妙に浮いちまって。
言ってみたかっただけなのか、ボキャブラリーが貧困なのか。どちらにしても辻斬りは
たまらなく可愛いじゃないか。
「ぷっく・・・くはっはっはっは。辻斬りよぅ、あんたはどこまでも辻斬りだねえ。
これを狙って言っているのならあんたに惚れちまうかもしれないよ?」
自分の煙管にむせながら思わず噴出しちまうよ。
これに応えないのは女が廃るってもんだ。

「辻斬りぃ。いくさばでたかが殺し合いごときにロマンを求めるっていう事がどういうことか
ちったあ考えなよ?
あたしゃ作戦と指示を全うしたまでさ。味方殺し?勝負の妨害?
戦いの愉悦ってのは敵の矢も、味方の砲も、全部踏みつけにして楽しめるだけの力が
あってそういうことを口走れるってもんだ。
それができもしない程弱いのを棚に上げて八つ当たりしないで欲しいね。
そんな泣き言ほざく程度なら戦場に立つのは諦めて闘技場にでもいきな。
さて、あたしゃ間違った事口走っているかねえ?間違っているのなら言っておくれ?」
言い終わった後、クックックとやっぱり笑みがこぼれちまうよ。
ある意味至福の時だぁねえ、このやり取りは。
「あんたは人間止めてから長いから忘れちまっているだろうから教えといてやるよ。
人間は屈辱を食って強くなるんだ。
あんたも強くなりな。全部踏みつけにできる程にね。でないと次は楽しむ間もなく仕留め損
ねた相手に潰されるからねえ。まあ楽しみを育てているのさ、あんたは。」
嬉しそうにこう付け加えてやったよ。
237名無しになりきれ:2006/02/14(火) 20:54:06
>235
「ラック?」
辻斬りとのやり取りで思わぬ楽しみに浸っていると、ぽつりと言うラックの言葉に耳を疑っ
て聞き返したよ。
だけど、あたしが発せられた言葉はそこまでだったね。
尋常ならざる雷雲。ラックの変化。理解するより反射で身体が動いたよ。
懐に入れたばかりの広域結界符を発動。
直後、周囲は光に包まれる。慌てて放り出した煙管と傘が光に包まれ蒸発してしまう。
雷属性の攻撃に特化していないとはいえ、空間を物理的に分断する結界。効果範囲がキ
ロ単位のものを僅か数メートルに凝縮しての展開。
だが、それでも結界は耐え切れなかった。
符が焼ききれ弾け飛ぶ結界空間。雷の残滓と、結界破壊の衝撃が身を襲う。
鮮血と共に弾き飛ばされ、体勢を立て直した瞬間、反射的に頭に手が伸びる。

この瞬間から思考が回転し、時は間延びしていく。
これがラック!?試験の時とは比べ物にならないじゃないかえ。虚ろな目、強大な力・・・
対象のリミッターを外して力を増強させて操る術があったね・・・。それなら全てが納得行く。
リミッター外すから腱や骨が耐え切れずに時待たずに自滅するが・・・オーガス騎士もいい
趣味しているじゃないかえ!

絶望的な気持ちで簪を一本、制流旗を抜き振る。影しか見えながそれで十分だ。殺気の
篭った巨大な塊がベクトルを変えられ逸れていく。
ラックのハンマーがあたしのすぐ脇の大穴をあけて衝撃波を広げるよ。
その衝撃波に弾かれながらも、離れざまにラックのこめかみを狙って蹴りを放つ。
「これで正気にもどんな!」
厚さ20センチの三枚歯下駄だ。あたれば下手なメイスより効くだろう。
これがあたれば、単なる催眠術なら解除される事もあるだろうが、ある程度の術なら正式な
解呪を行なわないと無理だろう。
だが、それをやるほどの魔力はもう残っていない。
傘がないから雨に濡れちまって、符も巻もつかえるかどうか・・・いや、ガス欠同然の今の状
態ではどのみち無理だろうさ。
だったらこっから先は布術師としていかせて貰おうかねえ。
なんて考えつつ吹き飛んでいるんだな。
238辻斬り ◆mN/RwaMSjw :2006/02/15(水) 00:45:48
>236>235
シズネへの文句で帰ってきたのは相手の倍返し以上の反論。
思わず以前と同じく舌を巻いた、流石にここまでされちゃ敵う気がしない。
例えそれが、『正しく』なくても今は引くのだ。
何故ならばラック・・・いやかつて『ラックだったモノ』が動いたからである。

空が唸る、途端に感じた『アレ』が来ると
前回の時は電流を逃がす『出口』が足りなかった・・・もし今回同じ手を使っても、恐らくは『今は』耐え切れない。
それならば、今回は変えれば良い。そう思うや否や、湯気のように体から闘気が滲み出た。

「やはリ落ちても心は素直やなァ、同じ伝手踏む程、ワシャぁ甘クは無いデェ?」
思わず出た含み笑い、そして手に持った愛刀を眼前の地面に突き刺し身構える。
ここまでは前回の試験と同じ。
さらに左手が腰に挿したもう一つの刀、『白塗りの小太刀』に伸び
そしてそれを抜き取ると眼前の愛刀と同じく地面に突き刺した。

刹那襲い掛かってくる電撃。それは突き刺した両刀から地面に逃げていくが。
威力は前回よりも比べ物にならん位にアップしていたのだ。
電撃が体中を駆け巡る、頭を 腕を 足を 指を 体中余すところ無く。

しばし時間がたった、体中からは酷い煙と、何かが焦げたような臭いが漂ってきた。
しかし――――――それでも倒れず、ゆっくりと構えを解き刀を拾った。
「ゲヒャ・・・ガキィ腕上げよッたなァ。『殺意』に取り込まれおッて酷く無様やがノォ!」
楽しそうに笑った、心から嬉しそうに、口から煙が溢れる。
239辻斬り ◆mN/RwaMSjw :2006/02/15(水) 00:47:12
>「これで正気にもどんな!」
砂塵と雨音でシズネが放った蹴りが当たったかどうかまでは確認は不可能だが、
それよりも先に体が、シズネが吹き飛ばされた方に向かい走り出した、
間に合うかな?いや間に合え!回り込みシズネを受け止めた。
―――あれ?なんでだろう。

「無駄やシズネ。奴ハ『自分の意思』でワシらに『刃』ァ向けたンや。
まったク……恐ろしいモンになッて帰って来よル」

丁寧にシズネを降ろしラックに近寄よる、面白そうに問いかけながら。
「正気の沙汰とハ思えんのォ……ガキィ。
オマエに何があったかハ、分かラん。分からンが、これだケは分かる。
オマエ先の戦で『負け』おッタな?そンで『諦め』たな。
結果オマエの心は『人間』であることヲ辞めンや。」

その言葉、嬉しそうに、そして楽しそうであったが、
それはアステラの時とは違う、どこか滑稽なモノを笑っているという嘲笑に近い物。
「カと言ッて、ワシらアンデットとは一つ違う。『オマエ』にャまだ戻れるチャンスがあるンや」

刀片手に持ち直し、立ち止まった。構えは取っていない。
「でもオマエ見たいな我慢できン『ガキ』をこれ以上『コッチ』にいさせるンはアカン。
 それデも、オマエがもし『人外』であり続けるンなら仕方ないのォ
 
 ―――――引導渡したル。四の五言わんト掛かってこンかい。」
体を纏うは『おぞましき殺意』、それは先程から勢いをあげている、
それは例えるならば、煙のように。
「『奴』ガ目覚めン内に始末付けナアカンのォ…」
240冴波(?) ◆QCuhq9l.Ig :2006/02/15(水) 10:31:28
>235-239
>「そういえば、戦果の報告をまだしてなかったんで」
「・・・!ラーーーーーック!!」

そのラックの言葉を聞いた瞬間に体が反応していた。
「<輪廻:全力起動、幻想構築式、対象→リエド。選択可能、状況開始>」

魔法には何が必要なのか?それは呪文であり身振りであり精神の集中である。
魔法を使う者が戦士と相対する時に不利となるのは、そのタイムラグ。
であるならば、もしもその手間を『省略』、いや『不要』とすればどうなるだろうか?
その為に魔術師はその年月を、その力を、『省略』や『効率化』に傾けてきた。
その成果の一部が、『呪符』や『アーティファクト』である。だが、それでもまだ足りない。
だからもしも、『認識の速度と同じ速度』で『魔法を発動出来る』のならば?

つまり、冴波が持つ力の利点はその速さと早さにこそある。
脳を蝕む程の負荷と引き替えに得る力・・・。
そして、ソレを司る機関が『未生天』、ならば『輪廻』とは・・・?

「<構築式:除禍天障壁。起動>」
「除禍!天障壁!」
頭に浮かぶメッセージと同時に叫ぶ言葉は・・・既に冴波のモノではない。
巻き上がる砂塵が冴波の姿を覆い、見えない。

豪光が世界を白く染め上げたが、その砂の覆いが壁となり電気はかろうじて届かない。
「・・・そう、確かアレは『ラック』と呼んでいたが相違ないな?」
砂の繭の中から野太い男の声がする。中にいるのは冴波の筈・・・?
「安心しろ、殺しはしない。殺せば後でアレが怒る。」

砂の繭が解かれ・・・その中から現れたのは2m程の巨漢であった。・・・・・・冴波の姿はない。彼女の大剣も。
そこに現れた彼は短く刈りそろえられた金色の髪に、その大柄な体躯を超える金属製の根を携えている。
もっとも、体躯でいえば辻斬りには劣るが・・・。
「私は・・・いや、今は名乗るべき時ではないな。」

根を携えた巨漢はその左手を開きラックに向ける。
「<構築式:夢幻の手檻>」

と、周囲の大地から8本の腕が現れ、ラックの足に掴みかかる。ラック自身を拘束するつもりだ。
「かつての『我ら』と同じことを行ったとて、何も答えは得られないぞ。若き雷神。」
241名無しになりきれ:2006/02/15(水) 13:04:24
雷神!
242エヴァンス ◆SgWfYeW0n6 :2006/02/15(水) 17:43:15
>235
辻斬りとシズネの「夫婦喧嘩」が収まる頃にも、ラックの殺気は衰えを見せない。
やがてラックが喋り始め、おもむろに立ち位置を移動させた瞬間、
エヴァンスの義手、白いセラミック外板の接合部に、微かな紫色の電流が走った。
馬の尻から降りて泥を跳ね、彼の前に立った。

>「で、あと、プラス4かな?」

「――腕白坊主め、連中に何を吹き込まれた」
雲を駆ける稲光が、眼にも眩しく煌めき出す。
凍える雨が途切れた刹那、エヴァンスの口端が歪む。代わって一直線に叩きつけるエネルギーの雨、
軍用コートの迷彩皮膜が虹色のフィルムとなって剥げ落ち、毒々しいライラック色から灰褐色へと装いを変えた。
銃を抱きかかえ、腰を落として低く身構え、
耳をつんざく轟音を合図に、義手はフルパワーで魔力を放出、展開された魔法障壁が雷撃を弾く。

魔方陣は雷に飲まれて破片すら掻き消され、しかし続けざまに次々と、大小の魔方陣が頭上へ出現する。
障壁に阻まれて溢れた光が、魔方陣の縁から滝のように流れ落ちる。
いよいよ雷は止み、砂塵が一帯を舞う。魔法障壁の連続発動を終えた時、義手の外板は焼け落ちていた。
剥き出しの鉄製フレームや配線、小型のリアクターも焦げた臭いを発し、外板を失った腕は一回り細く見える。

>236-240
雷を放ち終えたラックの攻撃はかわされ、衝撃波で吹き飛ばされたシズネの身体は「辻」が受け止めた。
そして冴波――の代理人、金髪の巨漢が拘束術式を走らせる。

「こんな時ばかりは見事なチームプレイだな。ヒワタリ……も器用なこった。召喚か?」
エヴァンスも彼らに続いてコートを翻し、カービン銃を左手で構えてラックを狙った。
ダメージは義手くらいで本体には目新しい傷も無く、頬の傷は既に塞がりかけている。
骨組みだけになった指が引き金をぐっと押さえ、発砲の機会を窺う。
拘束術がラックの足を一瞬でも止めれば、義手の魔力を弾丸に代えて撃つ。エヴァンスの眼に躊躇の色は無い。
「いい加減おいたは止しな、ジャリ餓鬼。今、武器を下ろさなければ殺す」
243ラック ◆UcRg1Bh7EI :2006/02/15(水) 20:16:30
>237>238-239
振り下ろしたハンマーは空振り。大きな音を響かせ地を抉る。ここには確かに影があったが…避けられたのだろうか。
そう考えるが早いか、ハンマーを素早く横に振り回そうとしたところでこめかみに衝撃が走る。
>「これで正気にもどんな!」
この声はシズネだ。声のした方へ向けてハンマーを叩きつけようとするが、どうやら吹き飛ばされたようだ。
「正気に…か。は、俺は元から正気だよ、何も変わっちゃいない。これは狂気でも、気の迷いでもない」
こめかみから血を流しながら相も変わらずの無表情で話す。かなり打たれ強くなっているので、それほどダメージはない。
辻斬りがシズネを受け止めるのを見て、思ったのは追い打ちをかけられないという残念な心。
思ってしまったのは、本当に小さな小さな、安堵。

>「正気の沙汰とハ思えんのォ……ガキィ。
>オマエに何があったかハ、分かラん。分からンが、これだケは分かる。
>オマエ先の戦で『負け』おッタな?そンで『諦め』たな。
>結果オマエの心は『人間』であることヲ辞めンや。」
ラックは何も言わない。こちらに歩いてくる辻斬りを生気のない瞳でじっと見据えるだけ。
ハンマーを握りしめ、射程圏内に入ったらいつでも振り抜けるように、精神を集中しつつ。

>「カと言ッて、ワシらアンデットとは一つ違う。『オマエ』にャまだ戻れるチャンスがあるンや」
その言葉を聞いたとたん、ラックの表情が変わる。無表情から…少しだけ、憤怒の表情が、目元と眉に。
「戻れるチャンス?てめぇに何が分かるってんだよ歩くカルシウムが」
ラックにはもう戻れない。なまじこの破壊行動を取りやめたとしても、この運命からは逃れられない。
ラックはまだ精神的に未熟だった。迫りくる未来にどうすることもできず、一瞬の衝動に身を任せ続けてしまう。ずっと。
そして、心の奥底にまだ残っている人の心は、理性で覆い尽くされていて…。

> ―――――引導渡したル。四の五言わんト掛かってこンかい。」
「あぁ、やってやるよ。言われずともな」
ハンマーを左手に持ち変え、右手で腰の剣の柄に手をかけた。

>240>242
瞬間、後ろから全く異質な気配がして、思わず辻斬りから距離をとり、振り返る。そこにいたのは、見たこともない男。
その場所は確かに冴波がいたはずの場所だ。だが冴波は影も形も見あたらず。大男だけがその存在感を露わにしている。
「召喚…?サモナーでもあったのか?」
そして冴波の姿が見当たらないことに、仕留められないことを悔いる思いと、ここでもやはり、小さな安堵が。

>「<構築式:夢幻の手檻>」
>と、周囲の大地から8本の腕が現れ、ラックの足に掴みかかる。ラック自身を拘束するつもりだ。
「ぐっ」
とりあえず飛び上がり、落ちざまにハンマーで腕に向かって思いっきり叩きつける。
掴まってはやばい。そう感じたラックは、跳ぶように、地に着地してはすぐにジャンプ、を繰り返す。
しかし、また別方向から殺気を感じる。跳びつつチラリと視線をそちらにやる。エヴァンスが、銃を構えている。
「おいおい…たった一人に何人がかりでやる気だよ」

>「いい加減おいたは止しな、ジャリ餓鬼。今、武器を下ろさなければ殺す」
「やだね。断…る!」
銃を構えている以上そのままにしておくのは危険。そう踏んだラックは手に持っていたハンマーをエヴァンスに投げつける。
それにしても、結局『イリャパ』では誰一人として倒すことが出来なかった。
ラックは少しだけ感嘆する。さすがだ、とも思う。そしてその思いを、すぐに封印する。今は敵なのだから。

(このままピョンピョン跳んでたって埒があかない)
しかしこの腕、土で出来ている以上潰したとしてもすぐに再生してしまうことは容易に想像できる。
「こういう時は…術者狙い!」
腰の剣を引き抜き、名も知らぬ大男に向かって飛び上がって斬りかかる。
問題は後ろにいるはずの辻斬りだが、しかし足元に手がたくさんある状態では分が悪くなることを考え。
先に、大男を倒すことに決めた。辻斬りは真後ろから切りつけるなどという「楽しくない」戦いはしないだろうという、
打算の上で。
244名無しになりきれ:2006/02/15(水) 21:26:09
エヴァンス:義手から魔力を放出。連続魔法陣を構成して凌ぐ。→義手の外板が消失
シズネ:広域結界符を凝縮展開して防ぐ。→結界が耐え切れずに負傷。
辻斬り:小太刀と愛刀を二本地面に刺しアースにして凌ぐ。→煙を出して焦げ臭くなる
冴波:砂の眉で雷を防ぐ。→19歳のスレンダー美女がごっついおっさんになる

一番被害がでかいのは冴波だな・・・おっさんになってしまうとは・・・w
>239
衝撃波で吹き飛ばされながら放った蹴りは確かに手ごたえがあった。
だけど代償は大きいね。無理な体勢から蹴ったもんだから受身が取れそうにない。
「辻・・・斬り・・・?」
受け止められた事もだけど、受け止めてくれた相手を見てキョトン、だよ。人間本当に
想定外の事に遭遇すると頭が真っ白になるもんだ。

ふっと我に返ると、辻斬りがラックは自分の意思でやったと言う。
あれなのかね、戦士同士だからこそ通じ合いわかるって奴なのかい?
「ありがとうよう、助かった。」
短く礼を言い、口を閉ざす。
ここで頭に血を上らせて、喚いて戦うのはあたしの役どころじゃない。ああ違うさ。
状況を的確に把握し、最善の一手を打つ。それがあたしの戦いだ。

まずは自分。衝撃波による全身の打ち身、裂傷、アバラが何本かイっている。
だけどそんなことは問題じゃない。問題は雷を食らったって事だ。
火傷もあるが、それより電流による筋肉の収縮。
これは気合や根性でどうこうなるものじゃない。生き物の構造的な問題だからね。
握力6割ってトコか・・。

>239>240>242
周りはダメージはあろうがあの落雷を凌ぎきったかね。流石だねえ。
って、あそこにはサエナミさんが居たはずなのにアレは誰だい?
いや、今はそんなこと問題じゃない。それぞれが警告なり拘束なりでラックを抑えよう
とする事にベクトルが統一している事が肝心だ。
喩え抑える事が殺す事に繋がっていたとしても・・・。

>243
そして肝心のラックだが・・・。
術に陥っているんじゃなくてもトチ狂っているのは確かだね。
狂っている奴ほど自分は正気だって言うんだ。

さて、この中で今のあたしができる事で最善の一手は・・・。
「程よく水も滴るいい女になった事だしねえ・・・。」
帯を解いて横に振り、伸びきったところで捻りを加えてやる。
ねじれる力は帯に凝縮され吸い込んだ水を弾きながら一本の槍となる。布槍術って奴だ。
そして着物を脱いで左手でかかげる。着物の裏打ちに刺繍されているのは吸精布だ。
戦闘準備を整えたところで移動を開始する。


布槍術・・・鉄の硬度で叩き、布の柔軟さで絡めとる布術。
符術の種類:基本的に長方形の紙。複数枚併用する事により威力や効果を上げる。
        複数枚併用の手間を省いたものが巻物による符術。
        さらに術式を立方的に組み立てることを可能にしたのが布に刺繍する符術。
        それを最も効果的な形として完成したのが旗の符術。
吸精布:シズネの着物の裏に刺繍された布術。>170に出たものの強化版。
     着物自体が局所結界になっており、放出された魔力や包まれた者の魔力を吸収し、
     術者に還元する。勿論吸収速度制限や許容量はあり。
246レナス ◆o2qKdFy2wA :2006/02/15(水) 23:38:13
 「――うにゅ?」
 自分でもびっくりする程のマヌケな声だった。
 おぼろけな目をうっすら開けると、目の前には可愛げな女の子が一人。
 前に遠目には見ていたが、ここまで華奢な娘とは思わなかった。
 治癒術か何かを施されたのだろうか、気がつくと身体の痛みは消えていた。
 (えーと、確か・・・藪を抜けて・・・そこから先の記憶がないなぁ。)
 もう少し先には懐かしい顔ぶれ、カイザーとFALCONもいる。

 とりあえず起き上がって、目の前の少女にお礼を言う。
 「貴女が私に治癒を?ありがと。」
 うーん、我ながらこの姿で言うとどうも違和感が・・・
 そして自己紹介を続ける。
 「えと・・・お久しぶり、あと始めまして。って、分かってないね。
  私はレナス=インフェリアス・・・元・戦乙女です。」

 信じてない?信じてないかも。
 まぁ、それはさておき、説明説明っと。
 「ちょっと海山を越えて旅をしてたら、オーガス公が倒れたって話を聞いてね。
  それでせめて墓参りくらいと思って、はるばる尋ねてきたら、今度はサタンだそうじゃない。
  そして何となくついて来たら襲撃されて、挙句、エヴァンスのボーヤにも襲われるし。」

  「で、これから撤退でしょ?及ばずながら協力するよ〜。」
   ――だからとても戦力になりそうにないって。そうツッコミ。
247辻斬り ◆mN/RwaMSjw :2006/02/16(木) 01:32:11
240>242>243>245
>「戻れるチャンス?てめぇに何が分かるってんだよ歩くカルシウムが」
豪雨が降りしきる中聞えてきたのは、微かに怒りを含んだラックの罵声。
「キヒヒ・・・分かるに決まッとるヤろォ?ワシャぁオマエと同じ『最低』ヲ知ッとるからのォ。
オマエみたいな奴――――何人も見て、何人も『消』しタ、もう『手遅れ』やッたからナ」

小太刀は鞘へ、右手には妖刀、構えは以前取らぬ状態。
相手が斬りかかって来るならば無防備といって言いだろう。
しかし相手は斬りかかっては来ない、
不思議に思うと砂塵が晴れた。
>240>242
疑問が解けた、ラックの向こうにいた存在。
一人は銃口をラックに向けたエヴァンス。しかも殺意が漲っていた。
そしてもう一人、自分ほどではないが、金髪の巨漢。
あれは……冴波なのか?
その巨漢が地に向かい拘束術式の類を走らせている。
どうやらラックもそれに手を焼いているらしい。まあ敵ではない事は確かか……
本能的には今すぐにでも斬捨てたいところだが、今回は違う。異常なほど心が穏やかなのだ。
ゆっくりと話続ける、まるで子供に言い聞かせるように…

「エエ……そレでええ!『怒れ』るンならなァまだ安心ヤ
本当に『落ちた』モンは心も『死』に、『怒る』事も『悲しむ』出来へン。
オマエはただ目の前の『何か』から逃げたくて、無理しトるだケとちャうんか?」
心に思う一言
ワシが―――――――そうやったからなぁ。
それは言の葉には出来なかったが……
「だガ、オマエは間違いなく『生き』トる、
ワシらの方へ落ちルはまだまだ早い
―――――限界まで足掻いて見ィ『人間』ならよォ!」

それが、聞えてるかどうかまではよく分からん、しかしこんなにも戦場で雄弁になったのは初めてである。
ただそれが、自分でも不思議なのだ。
少なくとも『仲間』の事を心配するなど自分にはありえぬのだ。

>245
後ろを見るとシズネが動き始めたらしい。
手に握られているのはどこから出したか、一本の槍。
何をするかは分からんが、ラックとの距離は十分、今ならば安全だろうさ。
「シズネェ!あんま無理スんや無い、オマエは『脆い』からノォ、
いざとなッたら逃げヤ。この場ァ、主にワシらの出番ヤかラなァ。オマエはオマエの『持ち味』活かしヤ」
声を張り上げた。助けた理由は今でも思い出せないが、この際オマケだ塩を送るなら盛大に送ってやろう。

「ヤレヤレ皆『殺ル気』ヤな……、
ガキィ、こンでも『戻れん』なら、『オマエ』は終いヤで……。」
他人事……の筈。それなのに、どこか寂しそうであり、どこか愉快そうな言葉。
248セシリア ◆TI6/2FuWqw :2006/02/16(木) 01:47:12
>233
声をかけられたアステラは、やはり振り向くことなくセシリアに言葉を返した。
>『・・・俺は、こっちでいい・・・。』
>『こいつはもう俺には無用だ・・・返しておくぞ。』
言い終わったところでアステラが振り向き、その動きの流れで何かを放ってよこす。
空中にかすかな銀行の軌跡を残してセシリアの手の平に納まったそれは、念話用の銀板だった。
>『・・・短い間だったが、世話になった。』
セシリアが銀板を受け取ったのをみると踵を返して歩き出す。
振り向く前の彼の目元が、少しだけ赤らんで見えたのはセシリアの気のせいだろうか?

セシリアはアステラの頭上を飛び越えて前に回り、槍を突きつけた。
「正式に入隊の手続きを済ませた以上、軍規には従う義務がある。敵前逃亡は許されんぞ」
軽く槍の先を揺らしながら言葉を続ける。
「……まさか寝返るつもりではあるまいな?」
もしその通りだとすれば、ここでアステラを討たねばならなくなる。
魔王軍に同盟側の情報が渡るのは好ましくない。
(もっとも、入隊して日が浅いアステラではそれほどの情報は持っていないだろうが)
「あるいは、もともと魔王の手の者か?……答えろ」
アステラを睨み付けながら、セシリアは言う。恐らくは違うだろう。
しかし、セシリアも『絶対に』と言い切れるほど相手のことを知っているわけではない。
249アステラ ◆r7kOcOEpyM :2006/02/16(木) 02:27:31
>248
>セシリアはアステラの頭上を飛び越えて前に回り、槍を突きつけた。
『・・・。』
セシリアの言っている事は至極当然、自分でも同じ事を言っただろうし
同じ行動に出ただろう・・・だが、今の自分は騎士ではなくただの復讐者だ。
共感は出来るが、それで引き下がるつもりもない。
その覚悟とも言うべきものを見せるため、一つの行動に出た。

セシリアの槍を掴んで、自分の心臓の上に先端を定めたのだ。
しかも、そのまま徐々に自分で突き立てていく・・・当然、血が流れる。
だが、その血の色は・・・まるで水の中に入れられたタールのような黒が混じっていた。
動脈と静脈で血の色は違うが、その色の違いとも明らかに違う完全な黒・・・。
それが服を、コートを、手を槍を汚していく。
『・・・俺にはやらなきゃいけない事がある・・・その為なら、俺は命など要らない・・・!』
痛みを感じている筈なのに、表情に変化はない。
一切の波紋も立っていない水面の如き冷静さで睨みつけるセシリアの目に視線を合わせた。
250マックス ◆BsGlQvuzhQ :2006/02/16(木) 03:40:08
マックスは気絶していた時に、声が聞こえた事を思い出しながら、歩いていた。
それは、以前にマックスの身体について調べた、宮廷魔術師が言っていた言葉だった。
魔力とは魔法が使えない人間でも、多少は持っている。
それどころか、木や草や火や水……道端の石ころにすら魔力は存在している。
森羅万象全てのものに有る力が無い、となれば、代わりに君にしか無い力が有るかも知れない。
恐らく、その見た目よりも強靱な肉体も、その内の一つだろう、と。
「なら……また別に有るかもって事か。 頭痛を起こす力なんていらねぇよ」
しかし、何故今更こんな言葉が、わざわざ気絶していた時に聞こえたのだろうか?
マックスは、疑問に思いながら、少し足早に歩を進めた。


>218-219>224
「わりぃ、少しドジっちまってよ」
カイザー、FALCON、マリスと合流するなり、申し訳無さそうに口を開いた。
セシリアとアステラが居ない事が、マックスには気になって仕方がないのだが……。
「さあて、これからどうする? 敵さんは退いちまった様だが……何か考えてる?」
251冴波(?) ◆QCuhq9l.Ig :2006/02/16(木) 10:30:46
>242>243>245>245
一斉に、『誰だあんたは?』という視線を浴びたが、一向に彼は気にした様子もない。
が、説明の必要があるのか、4人を見回して語った。
「別に、何かを召喚した訳ではない。『我ら』は常に『我ら』であり、いずれもがその側面に過ぎない。
 ・・・もっとも、4つに分けられた以上、この身の本質はアレである事は間違いないがな。
 元は一つであった『我が身』は4つに分割された。そしてそのいずれもが異なる世界をさまよう亡霊のようになった。
 ただ・・・『答え』を捜し求めて、な。本来ならばこの身もまたどこかにさまよい続けているのだろう。」

難解なのか単純なのか良く要領を得ない説明ではあるが、ニュアンスとしてはこの男の体の本質は冴波であること。
そして、その前提の上でこの男が『入れ替わっている』事だけは伝わっただろう。
・・・・・・やがて、巨漢はラックの方に視線を据えた。

「ラックで合っているかな。私は人の名前をあまり覚えていないものでな。」
棍の半ばより後ろを持ち、やや後ろに引いて体をひねる。そこから開いた左手越しにラックを見る。

>「こういう時は…術者狙い!」
「今なら謝れば許されるぞ、若気の至りというやつだ。それに・・・『例え数十億の命を奪ってみても、何も得られん』。そう言ったはずだ。
 お前は全ての人と獣と虫と樹と花と鳥等の血で赤く染まった海を見た事があるか?それでも、そこには何も見つからないのだ。」
「<構築式拡大:踊る人形・辣腕>」

飛び掛ってくるラックに向かって、巨漢が動いた。その動きは、防ぐでもなく打ち据えるでも無く。
捻った体を元に戻す勢いと右足の踏み込みを右腕に伝え、その右腕も捻って『突く』!
ただ単純な突きではあるが、『二重の捻り』と『強靭な踏み込み』が合わさった鉄棍の突きは下手な剣など容易にへし折る。

そして、それだけではない。その巨漢の背後から先ほどの数十倍はある、大人さえもその掌の内に納まる程の腕がラックへと向かう。
その数は一本。土くれで出来た腕であってもその重量、叩かれれば無事では済まない。
無論、その手は開かれており、ラックを拘束するつもりではあるが。
252ラック ◆UcRg1Bh7EI :2006/02/16(木) 15:18:03
>245>247>251
「…!?しまっ」
鈍い音がした。
繰り出される突き。飛び上がっていたので、避けることはどう足掻いても無理なこと。空中では横になど動けはしない。
だから剣で受けようとした。しかし剣は頭上に振りかぶっていたので、振り下ろして止めるには、時間がいる。
それが、間に合わなかった。腹部に、強い衝撃が。そして落下。

地に落ちたとはいえど、すぐに体勢を整え男を見据える。しかし無意識に左手は腹の辺りをさすっている。
「…今のは…結構効いたなぁ…」
あれほどの攻撃が見事にクリーンヒットしたのだ、今までの体だったら死に至らしめられていたかもしれない。
しかし、まだ、終われない。再び剣を構える。この男はラックを説得しようとしていたようだが。
「知ってるさ、こんなことやったってどうしようもないことは。解ってるさ、何にも残りはしないことは。
 でも、もう…止まれない。俺には終わりが近い。もう、戻れないんだ…」
初めて本心が出たその言葉は、後ろにいる辻斬りにも、伝えているのかもしれない。
まだ、今なら、もしや元の鞘に収まることはできるかもしれない。それも解っている。だが、それでも、何かが…。

小さく振り返る。シズネは槍みたいなものを握りしめてはいるが、肉弾戦ならばシズネには負ける気はしない。
怖いのは術だが、要はそれを使わせる暇もなく叩けばいい。少し希望的な考えではあるが、出来るという自信もある。
だから出来るだけシズネを最初に倒しておきたかったが、少し遠すぎる。あそこまで移動するには隙がでかすぎる。
辻斬りは…どうだ、いつでも臨戦態勢といったような風体だが、とりあえずまだ、こっちに斬りかかろうとはしていない。
ラックはさっき辻斬りに投げかけられた言葉を思い出す。そしてすぐにまた記憶の底に封印して…。

大男を見据える。そして、その背後から伸びてくる巨大な腕を、同様に見据える。こちらに向かってきている。
ラックは剣を振り上げる。そして待つ。体中の力をその手と腕に込めながら、ずっと、タイミングを待つ。
少しずつ剣が光を帯びてくる。パチパチ、との音も聞こえてくる。ラックが、雷の力を、剣に伝えている。
そして、伸びてくる土の腕がラックの制空圏に入ったとき。
「っだらぁ!」
一刀の元に、斬りつけた。
そして、その際に剣から放出された三日月状の電撃が、大男に向かって飛んでゆく。
253ラック ◆UcRg1Bh7EI :2006/02/16(木) 15:20:01
>252訂正
斬りつけた→斬りつける
254エヴァンス ◆SgWfYeW0n6 :2006/02/16(木) 17:28:20
>243
ラックは土中から伸びる腕を跳躍で回避し、ハンマーを投げてエヴァンスを牽制した。
相当の重量を持つであろうハンマーは、風に唸りを上げて猛進する。
「裁判官の木槌が下ったな。判決の時間だ」
弾丸代わりに義手の魔力を銃へ込め、引き金を引いた。
銃身を紫の電光が走り、次いで銃口から放たれる光弾はエヴァンスの目前で炸裂、ラックのハンマーを撃ち落す。
「仲間殺しは絞首刑、自分の首は自分で縛れよ。ラック」
ハンマーが、鈍い音を立てて泥の地面にめり込む。

>245>247>251>252
ラックの狙いは別に移った。エヴァンスも歩きながら、片手でどうにかライフルのクリップを交換する。
金髪の巨漢へ襲い掛かるラックを追う内、空中にたなびくシズネの着物が視界の端に飛び込んで来た。
目線が反射的に本人から逸らされたため、彼女の新しい得物までは気が回らない。
はたまた、刀こそ抜いたものの一向に仕掛ける様子が無い「辻」。
ラックの背後へ回り込む隙で彼の横を通る時、銃を片手で支えながら、
レバーは口に咥えて起こして引き、薬室へ弾丸を装填した。
「ヤツの脇にどうにかして突っ込むから、それで止まらなければ私ごと斬れ」

右肩を突き出し低姿勢のまま、相手へ直進せず、大きく迂回路を取って走る。
巨漢の攻撃がラックを落とし、ラックもまた起き上がってからの反撃。こちらに気付いてはいないか。
相手の陰へ飛び込み、片手持ちの「Burning Chrome」で一息に上段の突きを繰り出した。
255誓音 ◆aGZ9OPSgQQ :2006/02/16(木) 17:44:13
のんびりと嵐の中で昼飯食べてたら谷出口付近から凄い悪鬼の気配と共に凄いエネルギーの固まりが落ちていくのを見る。
何かと思って悲鳴の超音波で見てみると相当な悪者強者生物発見。悲鳴に大量に含んだマイナスエネルギーがそこだけに凄く強く反応してる。
これはこれは…全く不愉快で恐ろしいもんだから同盟軍の基地行く前にぶっ殺しちゃおうと決意し、馬を渓谷出口に向かって走らせたつもりだったが…。

「迷いましたね。」

防衛砦裏付近であっさり迷った。馬が思わず地図を見て突っ立ってる誓音の後頭部を前足で殴る。
「いててて…だって超音波つかいぱなしは悲鳴の消費が激しいものですから。」
馬に話しかける誓音。あきらかに他人からして見れば、この姿は異様きわまりない。
が、誓音はそんな事お構いなしに馬に話しを続ける。
「…それにしてもそんな事言ってられる状況じゃありませんしね。」
そうぽつりと言うと誓音は首もとの横の包帯を掴み間を広げる。白い首筋に幅五ミリほどの楕円型の大きな黒い罅がでてくる。

―「見」の「壱」の波響歌

          『壱百の響鳴』

黒い罅から先ほど出した超音波より少し高性能の超音波が出てくる。これでもっと正確なルートが解る。
「…ん?」
しかし、正確なルートを探る前に超音波が自分の近くに他の強者人間達がいることを伝える。しかもその周りは随分悪意の籠もった発動前の罠だらけ。
急遽ルートを変更する事にする。変なのがあるとすぐつっつきたくなるのは悪い癖だ。
256名無しになりきれ:2006/02/16(木) 17:46:09
ちゃうちゃう
257誓音 ◆aGZ9OPSgQQ :2006/02/16(木) 17:57:09
罠のある所をよけたり壊したりしながら馬を暫く走らせると案の定人間に出くわした。
見た感じでは相当強い兵隊達だ。自分の肌にちょっぴし鳥肌が立つ。問題は魔王軍かどうかだが…。
刀に手を掛けつつ包帯の下で微笑みながら訪ねる。
「…えっと…魔王軍のお方がたでしょうか?」
超ストレートに聞く。自分でも改めて口べただな〜…と思う。
258FALCON ◆uKCFwmtCP6 :2006/02/16(木) 20:13:22
>246>250>257
マックスが戻ってきた。
見たところ怪我もなく、体調も良さそうだ。

>「さあて、これからどうする? 敵さんは退いちまった様だが……何か考えてる?」
「退却をすることを考えている。
罠があって退却が困難になっているが、俺に考えがある。期待しないでくれ」
ホントに期待しないで欲しい。
失敗して変なところに行って帰れないということはないが、
父親という悪魔に遭遇する可能性がある。
そうなると危険だ、自分一人だけだが。


気絶していた少女が目覚めた。
「うにゅ?」と、可愛らしい声。この殺気渦巻く戦場では実に癒される。
イルに会って、食事をしたくなってきた。
そう考えると猛烈に腹が減ってきた。

>「えと・・・お久しぶり、あと始めまして。って、分かってないね。
>私はレナス=インフェリアス・・・元・戦乙女です。」
「あぁ……初めまして。俺は……?」
今、この少女は確かレナスと言った。
確かレナスはもっと年上の美人さんだったはず。こんなに小さかったはずはない。
気を探ってみると、確かに三年前のレナスと同質の気を感じる。
「……FALCONだけど……君はホントにレナスなのか?」
とりあえず、確認の為に聞いてみる。


>「で、これから撤退でしょ?及ばずながら協力するよ〜。」
「それは頼もしい。
俺一人じゃ魔界に空間漂流をした後に、パワー切れで帰ってこれない可能性があるからな」
つい、口が滑って計画の一端のぶっそうなことを漏らしてしまう。

>「…えっと…魔王軍のお方がたでしょうか?」
突然に掛けられる、聞きなれない声。
赤い派手な鎧の下に包帯を巻いている人。
「俺達は同盟軍だが……君は誰だ?同盟軍の援軍か?」
単刀直入に聞いてみることにした。
布の槍と裏返し符と化した着物を持って移動するんだけれど、傷つき魔力も品切れ寸前
でしんどいよ。
そんな身体で三枚歯下駄履いて移動ってんだから、ガリガリ引き摺って地面を傷つけな
がらになっちまう。
だがこれでいい、距離をとりながら待つんだ。。

>247
耳を疑ったねえ。あの辻斬りがラックを説得しようとしているじゃないかえ。
しかもあたしにアドバイスまでしてくれちまって。
ラックの狂気に当てられて狂っちまったのかい?元々狂っていたから裏返ってまともに
なっちまったって感じだよ。
安心しなよ、辻斬り。あたしゃあんたと違って戦いが好きなわけじゃない。勝つのが好きな
んだ。より楽に、より効率的にネ。
分は弁えているし、勝算のないような事はしないさ。
口には出さないが流し目で辻斬りに応えるよ。

>251>252
サエナミさんだった男の説明は良くわからないが、ある童話を思い出したよ。
呪をかけられ、真実の愛を求めて永遠を彷徨うダッチマン・・・。
まあ身元がどうであれ、なんでもいいさ。
腕は確かだ。ラックにいい一撃を食らわしてくれる。が、ラックもどうしちまったんだか。アレ
を喰らってもすぐに体勢を立て直している。
恐ろしくタフになったもんだ。
アレじゃぁあたしが多少殴ったってダメージは与えられないだろうねえ。
にしても・・・どういうこった?やっぱり呪縛?ラックの言葉が引っかかるよ。

>254
エヴァンスさん、殺る気だねえ。指揮官としては当然の判断だ。
ラックが土の手を斬り、大柄の棍を持つ男に電撃を放つのと同時に飛び込んでくる。
自分と巨漢の男までの距離。ラックとの距離。エヴァンスさんの飛び込み。各自の行動予
測と移動可能距離。それらを瞬時に計算し、巨漢の男に目配せを送る。
「こういうのを待っていたのさ。」
三枚歯下駄を引き摺って地面を削りながらもラックの放った電撃と巨漢の男の間に割って
入る。くうぅ・・・飛び込み頑張りすぎてアバラが痛いのなんのって。
闘牛にかかげる赤い布のように吸精布を広げ、電撃の刃を受け止めた。
三日月状の電撃はスパークを放ちながらも吸精布に吸い込まれていく。
「じゃ、後は頼むよ。」
ポソっと巨漢の男に声をかけ、巨漢の男の後ろに下がる。
吸精布から魔力が流れ込んでくるのがわかるよ。
できれば治療に回したいところだが、そうも言ってられない状態だ。
相変わらず三枚歯下駄を引き摺りながら行ったり来たりの移動でジリジリと機会を窺うよ。
牽制代わりにもなるだろうからね。
260マリス ◆MJk/w/YBy6 :2006/02/16(木) 22:33:17
>246
怪我をしていた少女が起き上がり
>「貴女が私に治癒を?ありがと。」
見た目通りの可愛い声でマリスにお礼を言う
「気にしないでくださいですわ〜」
自己紹介をする
「えと・・・お久しぶり、あと始めまして。って、分かってないね。私はレナス=インフェリアス・・・元・戦乙女です。」
…戦乙女?…確か女学院で話題になった事がある。その話の通りだと、とても綺麗で格好良い女の人の事だったような気がする
しかし、目の前にいるのはどう見ても可愛い女の子だ…と言う事は…事実が湾曲して伝えられているのだろう
マリスはこの戦いが終わったら女学院に戻り、戦乙女は可愛い女の子だと伝える事にした

>「ちょっと海山を越えて旅をしてたら(中略)〜で、これから撤退でしょ?及ばずながら協力するよ〜。」
…マリスは長い会話が苦手でレナスが何をしてきたかはすでに分からなかったが、とりあえず撤退はするのだ。それは分かる

>224
>「……ん、俺の左腕がどうかしたのか?」
やはり知らないフリをするカイザー…少しの怪我でも放っておいたら駄目ですわ。と言おうとしたが、カイザーはマリスではなく違う方向を見ていた
ややあってカイザーはマリスの方へ振り向き
>「マリス、今お前が救うべき人間は俺ではない。 他に、もっと救いを求めてる人物がいる筈だぜ?」
そう言うカイザーの視線の先にはマックスがいた
>250
>「わりぃ、少しドジっちまってよ」
近づいてきたマックスは申し訳ないように謝ってきた…体からは【痛いですわオーラ】が出ている
「大丈夫ですか〜?今治療しますわ〜」
マリスはカイザーの怪我の事を忘れ、マックスに治療を施す
「神様(以下略)・・・これで大丈夫ですわ〜。ですが、怪我をしないに越した事はありませんわ…お気を付けくださいですわ〜」
治療が終わったと同時にマックスに怪我に気を付けるようことばをかける…その時、一瞬目まいを感じた気がした。ついでにカイザーの怪我も頭から忘れさっていた
>257
>「…えっと…魔王軍のお方がたでしょうか?」
突然後ろから声がした…振り返ると鎧に包帯の人。マリスは怪我をしているのでしょうか?と思った
>258
>「俺達は同盟軍だが……君は誰だ?同盟軍の援軍か?」
FALCONが包帯の人に話し掛ける…その言葉に続けてマリスは
「お怪我をしたなら治療しますわ〜」
と、いつもの暢気口調で敵とも味方ともわからない者に対して言葉をかけたが…話がややこしくなる可能性があった
261カイザー ◆OrJKdYNK3U :2006/02/17(金) 00:20:16
>250
>「わりぃ、少しドジっちまってよ」
多少の傷は負っていたがマックスは戻った、
その傷もカイザーの合図に気付いたのかマリスによって治療を開始されている。
マックスは行く先の予定について尋ねてきたが、それはFALCONが答えてていた。
(…さて、これでアステラとセシリアが来れば全員集合だな)

>246
>「――うにゅ?」
声が聞こえ、カイザーはそちらへ振り向く。見ると先程の銀髪の少女が目を覚ましたようだ。
少女はマリスに礼を述べた後、自己紹介を始めた。
> 「えと・・・お久しぶり、あと始めまして。って、分かってないね。
>  私はレナス=インフェリアス・・・元・戦乙女です。」
そんな事よりも、何でこんな所にいたのか…と、問い掛けようとした時、カイザーの頭の中に引っ掛かる言葉があった。
(……レナス、だと?)
カイザーの記憶に残っているレナスという人物、
以前、共にオーガス軍として魔獣フェンリルや冥王ガストラと戦い、彼等を封印した人物…
…なのだが、目の前に存在している少女とは見た目の年齢が違いすぎる。
(…まさか、レナスファンの女の子とかじゃないよな)

> 「ちょっと海山を越えて旅をしてたら、オーガス公が倒れたって〜〜挙句、エヴァンスのボーヤにも襲われるし。」
>  「で、これから撤退でしょ?及ばずながら協力するよ〜。」
「ああ、分かったレナス。頼りにさせてもらうぜ」
目の前の少女に話しかけるカイザー、だが未だにその少女がレナス本人なのかは半信半疑だ。
(今は確かめる方法は無いに等しい。
 …だが、これからのあいつの動きを見れば、言っている事が嘘か本当かすぐに分かるだろう
 今やるべき事は協力しようとしている人物を疑う事ではない、先へ進もうとする事だからな。)

>260
(…よし、俺の怪我の事は忘れたようだな。)
カイザーは、マックスの治療を終えたマリスが左腕の事を気にしていないのを確認する。
(安全な場所に出るまでは無駄な消費は抑えたい…もっとも、ここから先に安全な場所は無いかもしれないが)
聖なる魔法は消耗が激しい場合が多い、あまり無茶すると倒れるのは昔からの経験で分かっているのだ。

>257
>「…えっと…魔王軍のお方がたでしょうか?」
何時の間にか、包帯グルグル巻きの女性であろう人物が近くに立っていた。
既にFALCONとマリスが対応に出ていたが、更にそれに続いてカイザーは問いかけた。
「君はサタンの軍勢に何か用事でもあるのか?」

FALCONの言った通りに同盟軍の援軍ならば、戦力は補強されて幾分か有利になるだろう。
だがサタン軍の兵ならば、この場で戦う可能性も否めない。
262セシリア ◆TI6/2FuWqw :2006/02/17(金) 01:04:07
>249
アステラはセシリアの問いには答えず、突き出された槍の穂先を掴む。
それを自分の胸に引き寄せ、ためらうことなく突き立てた。暗い色の血が服に染み出し、槍を伝って落ちていく。
>『・・・俺にはやらなきゃいけない事がある・・・その為なら、俺は命など要らない・・・!』
そう言い放つアステラの表情には気負いや焦燥、怒りや悲しみなどは見えず、いたって平静だ。
だからこそセシリアは余計に腹が立った。

槍を僅かに引きながら手首を捻り、穂先を握っていた手を外す。穂先を脇の下に抱え込むようにしながら石突を跳ね上げ、
そこから真っ直ぐ振り下ろしてアステラの額をぱんとひっぱたいた。
「このバカ!命がなくて何ができるのよ!」
地面に突いた石突をもう一度振り上げ、手首を返して槍を上下正しく持ちかえた。
セシリアにも何とはなしに『やらなきゃいけない事』の見当はつく。
だが、それをやめろと言うつもりは全くなかった。
「……復讐に生きるのは悪くないが、復讐のために死ぬのは馬鹿らしいだろう」
よく『復讐は何も生まない』などと言う台詞を聞くが、
そもそも復讐を誓った人間が何かを生み出したいと願うはずもない。言うだけ無駄なのだ。
だから、『終わった後のことも考えろ』と言うのがセシリアには精一杯だった。

「さて、答えをはぐらかされてしまったからもう一度問おう。魔王軍に下るつもりか?」
セシリアは改めて同じ質問をぶつける。今度は槍は構えなかった。
少なくともアステラが仲間の下を去ることだけは間違いのないことだ。
だが、どうせ別れる事になるなら、その旨はきちんと聞いておきたかった。
263辻斬り ◆mN/RwaMSjw :2006/02/17(金) 01:20:06
>251
現れた巨漢の正体。正直説明だけでは解らんが、少なくともアレが冴波の『一人』だと言う事。
拘束術、高威力の突き、かなりの手垂と見える。
しかしそれに弾き飛ばされてもラックは三日月状の電撃を放ち、立ち向かっていく。
「アマイなァ兄さン、『狂気』覆すハ『それ以上の狂気』。『殺意』越えるハ『それ以上の殺意』
アンタにも解るやろォ、そらァワシのように長い間『狂ッテ』初めて悟るモンなンや。」
体で解らせるな『絶望』を心に与えてやれ――そんなアドバイス。

>259
その時シズネが巨漢の前に躍り出て、赤い布を広げた
思わず体が動きそうになったが、それは杞憂として消える。『電撃』が消えたのだ。
どうやら仕掛けは、シズネの布にあるようだ。ご自慢の術の類か、三日月状の電撃は上手く布に吸収された。
なるほど、どうやらシズネにはアドバイスは不用だった模様。
何せ狂気に満ちたラックの攻撃である、下手にシズネが受けたら『即死』であろうに。
奴は奴なりに自分が出来ることをやってる。『死』を恐れぬ心を持って

>252
その時ラックの口から言葉が聞えてきた。耳を傾ける
>「知ってるさ、(略)でも、もう…止まれない。俺には終わりが近い。もう、戻れないんだ…」

ラックが零した感情を込めた言葉、地獄耳のワシにはとてもよく聞えた。
誰に言ったかは分からん、だが奴の心に『入る穴』が確実に開いたのだ。

「ゲヒャハ……オマエはドコまで阿呆なンや、生きて諦めるンは『愚の骨頂ォ』。
誰ガ、オマエの終わりを決メた!?何を証拠ニほざク?終わりヲ決めルんはオマエの意思ヤ!」
あざけたように笑いながら問いかけた、そして静かに引き出す、何かに覆われた奴の本心を。
264辻斬り ◆mN/RwaMSjw :2006/02/17(金) 01:24:06
>254
そうこうしてる内に、エヴァンスの大将も臨戦態勢に入った模様。
まったく、これではリンチと大して変わらんな。
いつもの軽快なジョークを忘れず、自分の脇を駆け抜け標的に向かっていく。
しかし洒落たこと言うのは構わないが、ミステイクがあるのは頂けない

―――『狂った奴』には『判決』下せない―――
先ず裁判以前に被告の『心』治さなければ……その事は心から外には出さぬ、あえて隙を晒す必要は無い。
「……御意。……手間の掛かる『ガキ』ヤな。」
短い返事、と短く付け加えた呆れたような一言。

ワシも――――動くか。奴の心を壊しに。
「口で言うテも分からん、ガキにャお仕置ガ必要ヤな……」
「アンタらにも耐え切れるか……ワシにも分からん。必要あッた逃げイ」
よし、ならば飛切りの『絶望』を見せよう。腰を落とし力を開放した、
前を見据える、周囲の空気が完全に沈み、刹那に心を支配する感情

――『殺す』『殺せ』『殺す』『殺す!』『ころせ』『ころす』『殺ス!!』
  『殺す』『殺す』『殺す!』――――『楽しい時間の始まりだ』

迸るは紫の闘気。そして他のものにも分かるであろう黒い『狂気』と『殺意』。
そしてエヴァンスが突きを繰り出す同時に走り出す巨体。
地に大きく踏み込み大きく飛び上がる、脚力に耐え切れずひび割れ、砕け弾け飛ぶ岩盤と地面。

この業、とある高尚な騎士が得意としていた業。
名は―――――――忘れた。

刀を振り上げ、力を溜める。
腰が限界まで反り返り、腰の骨にヒビが入ったが。それでも辞めず、最高点に到達を目指す。
限界の状態で振り下ろすと何が起こるかは想像できない。
『限界まで溜めた力』『妖刀』『落下速度』『怨念』『怪力』。
そして、それらを超越した『殺意』。…相手が戻れば、止まれば良いのだが
265誓音 ◆aGZ9OPSgQQ :2006/02/17(金) 02:00:58
>258
>「俺達は同盟軍だが……君は誰だ?同盟軍の援軍か?」
「…私は誓音と申します。同盟軍基地へ名簿登録しようと向かってたんですがね。
超音波で探索してたらあなた方を見つけたもので、面白そうなので来てみました。」
そう言うにっこりと笑顔で言う。
(…へぇ…同盟軍にいる魔族なんているのか…てっきり魔王軍かと思った。)
なんてなんだか寂しいようなほっとしたような気持ちになりながら手を刀から離す。
「見たところ撤退しようとしているらしいですが…同盟軍にまだ入ってない私でよければ手伝いましょうか?この辺は罠も多いですし。」

>260
>「お怪我をしたなら治療しますわ〜」
(…。)
さっきまで笑っていた表情が一瞬暗くなった。
「…大丈夫ですよ。この包帯は鎧みたいな物ですから…。」
半分嘘で半分本当の発言をする。まだ会って間もない人間に自分のあの姿を晒すのは嫌だ。
「お気遣いわざわざありがとうございます。」
そう言うとさっきまで暗かった表情を無理矢理変えて再度笑顔を作る。

>261
>「君はサタンの軍勢に何か用事でもあるのか?」
「用事なんてありません。サタン軍だったらただ手首でもちょん切って殺すだけです。」
そう平然と笑顔のままで言うが、その笑顔はまるで冷たい雰囲気を出す。
266魔王サタン ◆DEADLYZjrA :2006/02/17(金) 02:14:30
場面は変わり、とある城の中。玉座に深々と座り、
傍らの水晶から第三魔法陣の戦いの様子を眺めている一体の魔族。
眉間に皺を寄せ、全身から溢れる怒りのオーラを隠そうともしない。

魔族の名はサタン。七つの大罪が一つ『憤怒』を司るもの。
かつてオーガスに依り代を砕かれ、レナスによって封印された存在。
そのサタンは、かつてオーガスが鎮座していた
(と言っても行動派のオーガスはあまり使っていなかったらしいが)
オーガス城の玉座にいる。

エヴァンスにはある程度の権限を与えていた為、今回の作戦行動や
それに付随する徴兵、訓練などには一切干渉しなかった、と言うかする気がなかった。
しかし、エヴァンスが結成した精鋭部隊『百鬼夜行』が敵部隊にさしたる被害を
与える事もできず半壊状態になったのを見て、煮えたぎるマグマの如き怒りがこみ上げてくる。
だがそれはエヴァンスや『百鬼夜行』に対してのものではない……敵部隊に、である。
「……オーガス……!国を滅ぼされてなおも我が道を妨げるか……!」

セシリアのマントに刺繍されたオーガス国の紋章が神経を逆撫でしたのだ。
オーガス騎士であるセシリア、ベルゼバブを一方的に打ち倒しその後娘婿となったFALCON、
オーガスの傍で戦い続けたカイザー、いずれも忌々しい存在である。その他にも、魔力を中和する
特殊な剣を持つ男(ヒチシのせいで一時水晶の力も遮断されて見れなくなった)、魔族にとって
忌むべき聖なる力の加護を受けた小娘、魔を宿しながら魔族に敵対する小僧……!
サタンは怒りに震えていた。映し出された者達の首を全て我が前に並べねば、この怒りは収まらない。

憎悪にも似た怒りを辛うじて鎮め、『百鬼夜行』の方を映す。
中隊長の一人である、雷神トールの鎚を持つ男(ラック)が味方である筈の他の面々に攻撃を加えた。
強大な雷の力を操り、戦力的には圧倒的に有利である『百鬼夜行』相手に善戦しているようだ。
サタンは、ラックから放たれる力の源をどこかで感じた事があると思った。
己の感覚が間違っていなければ……果たして、ラックは彼の者の主に足る存在か否か。
「奴め……いまだ懲りずに器を探しているのか。クク、小僧……
 既に最終段階、乗り越えれば貴様の恐れるリミットはなくなるぞ……ククク。」
267冴波≒リエド ◆QCuhq9l.Ig :2006/02/17(金) 10:15:21
>252>254>259>263>264
準備は出来ていた。剣に宿る紫電はまるで『今から攻撃しかけます』と言っているようなものだった。
だというのに、飛び込んできた女・・・そう、『シズネ』だったか?・・・は、その進路に飛び込んで来て後ろに下がった。
「・・・別に殺すつもりなぞない。そして、前に出るなよ『シズネ』。危ない。」

ラックが振り下ろした剣はその人差し指と中指を砕く事に成功した。
まるで、その衝撃が伝わったかのようにその腕はすべて崩壊する。・・・のだが。
「手緩い・・・か?<伏線型構築式:砂の拘束衣、変則起動。>」

砕けた腕は砂塵と化して、ラックを包み込もうと襲い掛かる。
「まさか、4人に喧嘩を売って4対1が卑怯などとは言うまいな?」
その他の砂はラックから巨漢へと続く『道を撫でる』。

「・・・だが、その感情など一時に過ぎないだろう。お前が死んでも私が死んでも、世界は永遠に続く。
 ただ、『納得できない』のではないか?ただ、『我慢がならない』のではないか?その葛藤、全て呑み込んでやるから来るがいい。
 私はリエド、穢れた世界を支え、崩す柱。大地を司る4本の剣が一振り。雷神よ、その叫びは我が身へと届くかな?」
棍を携えたまま左手を突き出して、手招く。ラックへの明らかな挑発。
これで突っ込んでくるならもう詰み。だが、突っ込まなければ彼は両断されるかもしれない。

「(・・・許せ、水の剣。お前の体はよもや朽ち果てるやもしれぬ。)」
その挑発の裏で起こりつつある綻び。誰にも気づかれずに侵される苦しみ。
・・・・・・時は限られている。
268ラック ◆UcRg1Bh7EI :2006/02/17(金) 12:28:34
>254>259>263-264>267
せっかく放った電撃をシズネに邪魔されるというイレギュラーはあったものの、斬撃そのものは土の腕に食らわせた。が。
「…罠か」
その腕は砂と化し、ラックを包もうとしてくるのだ。留まっていては、拘束されるのか窒息死されるのか…。
「ちっ」
挑発を受けるように、もう一度剣を振り上げ、男に向かい突進しようとした。しかし、ラックは動かなかった。
動けなかったのだ。腹部から何かが生えていて。それが刃の切っ先だと気づくときには、力なく剣が手から抜け落ちた。

後ろにいたのは、エヴァンス。その手に持つは、銃剣。そして、それがラックの体をいとも容易く貫通して。
いくら体力が強化されたとて、これはどうにもならない。口からも血が流れ出る。刺され所は決して良くはない。
「こ…れは…キツいな…」
当然、腹からも血は大量に流れ出ている。放っておけばまず間違いなく出血多量で死に至ると思えるほどに。
トクトクトクトクトクトクと、
ドクドクドクドクドクドクと――。

そして終焉は不意に訪れる。ラックは「終わり」を感じた。凶々しい雰囲気を携えこちらへ走ってくる、辻斬りを見て。
辻斬りは高々と飛び上がった。そのままラックに向かって飛び降りつつ斬りつける、ということは容易に想像できる。
いや、斬りつけるという生易しいものではないのかもしれない。ぶった斬る。一刀両断にする。そんな言葉の方がいい。
今もなお、腹部には焼けるような痛み。こんな状態であの辻斬りの攻撃を避けられるとは、受けられるとは思えない。
だから「終わり」を感じる。あの攻撃を受け、生き残れるはずがないという思いから。

死を目の前にして、ラックは何を思うのか。
しかし、結局最後に思うのは、これも、安堵。

あぁ、やっと楽になれる――。

ラックは、無意識に瞳を閉じる。
死刑台の上で、裁きを待つ。
269エヴァンス ◆SgWfYeW0n6 :2006/02/17(金) 17:20:19
>264>267>268
銃剣が少年の脇腹を貫いた。鈍い感触の後、血が刃から義手へと伝う。
コートの袖に新しく染みを作る、ラックの鮮やかな紅色の血。銃剣を引き抜いて、吹き出す血。
彼の足下に、瞬く間に広がっていく血溜まりを、エヴァンスのブーツの爪先が引き摺って赤いラインを描く。
辻斬りの追撃を避けるためその場から後退り、

「残念だったと言うべきかな、ラック? あの世へ着いたら神様に宜しく」

コートの裾から零れる一枚のペンタグラムを銃剣で突き刺して、砂を被って乾いた地面に留める。
ペンタグラムにラックの血が滲み、緩やかに転送術式の魔力を蓄え始めた。
風に砂が巻き、ラックの傍を「辻」の影がさっと走る。

――今更助ける気は無い。自殺志願者を囲う余裕などありはしないからだ。
「辻」が止めを刺した後、死体くらいは片付けてやるつもりでペンタグラムを用意しただけ。
転送術式の出口は方面軍本部基地、騎兵師団兵舎、「ブレンゲン」に預ける。
バラしてしまえば只の肉、それでも使い勝手は「死にたがり」の今よりかは増すだろう。
同情こそすれ足を引っ張られては敵わない。自分には、まだやらなければならない事が残っている。
270名無しになりきれ:2006/02/17(金) 21:25:54
>264>267>268>269
巨漢の男の言葉も、距離を置いたここに居ても当てられそうな辻斬りの殺気も、ラック
を止められなかった。
重なり合うラックとエヴァンスさんを見て、小さく舌打ちをしちまうよ。
止めたのは刃だ。そして幕を下ろすのも辻斬りの刃だろうね。
「ま、これも血塗られた道かねぇ。難儀な事だ。」

もう足を引き摺る必要はない。辻斬りが何を繰り出すかはわからないが、もう少し距離
をとっておいたほうがよさげだからねえ。
ふわりと羽の様に音もなく浮き上がり、後方に下がる。
「せっかく途中までやったのだから一応は・・・」
もう必要ないだろうけど、ね。ゆっくりとした滞空時間のうちに布の槍を投げつける。
いや、今更ラックに投げつけるわけじゃないさ。布の槍は見当違いのところに突き刺さっ
ている。
そうして距離を置いたところに着地する。
簪に戻していた制流旗を取り出し、吸精布と共に構えを取ってこれから起こることに備え
るよ。
名前欄入れ忘れました。
>270は私です。
272辻斬り ◆mN/RwaMSjw :2006/02/18(土) 00:49:25
>267>268>269>270
そして最高点に到達した。
チラリと下を見る、自分の行動に気が付きエヴァンスが後を譲り、シズネもそれに続く。
しかしラックを相手にしていた巨漢は動かずに、今だ説得を続けているではないか。
(避けヘンなら……死ぬナよ?)
二人に対しての最後の、思い。
――――――【ゴゾロの丁:大蛇落し】―――――――

始まる落下、落下速度、天候それらを全て味方につけ
手負いの標的の上に来ると、ラック目掛け袈裟斬りを繰り出した。

久方振りの手応え――――剣激は相手の右肩を捕らえ、肉に深く深く食い込む。
ザクリと肉を切り裂く音。刀の闘気が相手の傷口を愛しそうに撫でた
これぞ体が待ち望んだ感触。
―――どんな女を抱くよりも強力すぎる『快感』。この世の全ての美味を楽しむような『快楽』。
飛び散り体を打ち付けるは懐かしい『暖かい液体』。
そして、刀は左腹辺りを抜け地面に叩き付けられた。同時に肩膝で着地する

しかし衝撃は止まらない、地をも深く切り裂き、周囲に及ぼすは、中規模の振動と軽い地割れ。
泥と土の飛沫が天高く舞い上がり相手を包む。―――全てを隠すかのように。

「ゲヒャハ……様無いのォ!我侭なガキ。『人生を悩む』から気が狂うンや阿呆ゥ!
 久々にイイ獲物やッたわ!!気分がエエ、ご機嫌や!ゲヒャハハ!」
血で濡れた顔で豪快に笑い飛ばす。泥の飛沫で相手がどうなったかは見えない。
『真っ二つ』か『胸元抉られた』か……だがどうでも良い問題である。

笑いながら頬を何かが伝ったような気がした、雨ではない『何』か―――。
何故だこんなにも嬉しいはずなのに……どこか悔しい。

「怨ムなら怨め、ワシャぁオマエを……『戻す』事も『止める』事も出来ンかッた哀れナ屍ヤ。
なラばオマエに『安らぎ』ヲやる、それガ『仲間』とシての最後の仕事。
『ラック』―――――オマエも『運』が善けりャまた合えルかも知れへン。
ワシゃァ………そッチにャァ行けンからノォ。……」
零れた言葉、小さい、本当に小さい言葉、今にも消え去りそうな言葉。
273アステラ ◆r7kOcOEpyM :2006/02/18(土) 02:09:09
>262
>「このバカ!命がなくて何ができるのよ!」
痛かった。身を切られるように痛かった。
槍で自分の胸を突いている時も痛かったが、それの比じゃなかった。
大人になると滅多にバカなんて言う単調な雑言は使わなくなる。
だから逆に使われると心に響く。容赦なく、抉ってくる。

『・・・そう言えるのは、復讐に生きていないからだ。』
復讐に生きる者は何も生み出さない、そして果たしてしまったらただの抜け殻に過ぎない。
それほどに、復讐とは人を呪縛する。誓って、初めて知った事だ。
だからこそ・・・巻き込めない。関われば片棒を担がせる事になる。
悲劇の主人公を気取るつもりはないが、苦しむのは一人でいい・・・故に、去る。

『・・・下るつもりはない・・・あんた等は方陣を潰せ。
 全部潰せば少しは隙が出来るだろ・・・そこを、斬る。』
もっともそうした青臭さを感づかれるのはあまりにも恥が過ぎる。
だから、咄嗟に思いついた稚拙な作戦とも言えないそれを返事の代わりにしたのだった。

『あんたに預けておく・・・取りに行くまでは生きているさ。』
首元に手を突っ込んでロケットを外し、セシリアに放る。肌身離さず身に着けていた
形見、家族がいた事を証明する唯一つの品。最近では思い出すのが辛くて手に取る事も
めっきり減ったそれを、初めて外したのだ。
274冴波≒リエド ◆QCuhq9l.Ig :2006/02/18(土) 08:45:55
>268-272
「・・・。かくも愚かな螺旋は続く。」
虚空を飛んだ辻斬りの断罪の一撃が大地を割り、衝撃波となってリエドへと突き進む。

「<伏線式開放:無間地獄:螺旋>」
先ほど砂が地を撫でた地点に到達した衝撃波はリエドの目の前で方向を変えて、円を描く。
その速度も、威力も変わらぬままに円を描く衝撃波は円を描きながら地面の奥底へ、黄泉へと沈む。
後に残るのはそこに到達するまでの軌跡のみ。眼前に血の華が咲く。

・・・・・・そこを『死の臭い』が通り過ぎた。『全ての生命の香り』を内包した風は正に『死の臭い』だろう。
「・・・。何故、踏みとどまろうとしなかったのか。踏みとどまれなかったとでも言うつもりか、雷神よ。」

リエドはラックのいる方へと歩を進める。
「<多重構築式:寿ぐ界円・・・構築不完全、強制終了>」
ラックの傷を癒さんとしたその力はラックへ触れて・・・、そして不完全に消えた。

・・・倒れ行くリエドの体はその金髪も長い黒髪となり冴波の姿へと戻り、崩れた。
倒れた体からは血液が大量に流れ出し、下手を打てば死にかねない。
いつの間にか傍らに寄り添うように倒れた鉄棍も大剣へと姿を変えている。
「<輪廻―幻想情報式:崩壊。未生天―本体付加甚大、生命構造維持を最優先。終了>」

「・・・・・・なぜ、過ちを繰り返す。私達もお前さえも。・・・何故。」
地に伏した冴波の顔を、一滴の涙が伝った。




・・・・・・そして、視界を暗闇が覆った。
275魔王サタン ◆DEADLYZjrA :2006/02/18(土) 11:53:40
【年齢】もはやないに等しい
【性別】精神は雄(時間さえかければ肉体はいくらでも構築し直せる為)
【職業】魔王、憤怒の化身
【魔法・特技】ほぼ全ての攻撃魔法、攻撃技
【装備・持ち物】魔王の錫杖(様々な武器に形状を変えられる)、魔王の鎧(魔力を消費して防盾を張れる)
【身長・体重】時々によって違う為不明
【容姿の特徴、風貌】現在は人型、金髪ロング、血よりも紅い眼、長身痩身、耽美系の服を好む
【性格】残忍にして冷酷
【趣味】戦い
【人生のモットー】この世にある全てを我が前に平伏させてくれる……!
【自分の恋愛観】従順なだけの雌など要らぬわ。
【一言・その他】
七つの大罪の一つ『憤怒』を司る七魔王の一角。
怒りと言う、当事者に絶大な力を与える感情を司るため魔王の中でも常に
1、2を争う存在である。その有り余る力故に怠惰を忌み嫌い、常に血で血を洗う地獄のような
永遠に戦いが止まない世界を欲した。それを果たす為、手始めとして与し易いだろう人間界に
侵攻したが、かつての戦いで不覚を取り一時は封印される。その屈辱が更に
サタンの怒りを増大させ、結果他の魔王ですら手がつけられないほどの力を宿してしまった。
『怠惰』のベルフェゴールの態度に怒りを通り越して憎しみを抱き、己の力と勢力を狙う
『強欲』のマモンと水面下で諍いが絶えない。また、FALCONとの関係上ベルゼバブとも敵対している。
276レナス ◆o2qKdFy2wA :2006/02/18(土) 23:45:28
>258
 >「……FALCONだけど……君はホントにレナスなのか?」
 疑われてる。
 まぁ、無理もない話だけど、こっちはそれを証明する手段がない。
 無いこともないけれど、今は少しの魔力でも惜しい。
 「あい、レナスですとも!
  多少・・・というかかなり魔力の絶対量は減ってしまいましたけど・・・・
  小さくなってるのは、ボーヤとの戦いの時に戦略的に小さくなって、しかも戻るための魔力が足りない・・・と。
  でも、機動力は確実に上がってるから、メリットが無いわけじゃないのよ?」

 >265
 >「見たところ撤退しようとしているらしいですが…同盟軍にまだ入ってない私でよければ手伝いましょうか?この辺は罠も多いですし。」
 「私も正確に言うと同盟軍じゃないから、問題ないと思うけど・・・
  こういう時は部隊のリーダーに指示を仰げばいいのかな・・・と?
  ・・・ところでリーダーって誰なの?」

 ―-レナスは内心焦っていた。
 エヴァンスと戦ってみて自分の無力さが身に染みてわかったからだ。
 先の戦いとて最後は賭けであったし、魔力が少ないという所に油断が生じてくれたんだと思う。
 しかし、もし再戦するようなことになれば・・・とても勝ち目はない。
 やはり過去の力を、全てとは言わずとも、せめて半分程度は取り戻したいところだ。
 でも、彼女の力の源であるオーディンは滅びてしまっている。
 そうなると残された道は、オーディン以外の神からの力の搾取(言葉が悪いかな?)。
 周囲の状況が知りたければ、光の神であるヘイムダルから力を借りられれば良いことになる。
 問題は、レナスの体がどこまで耐えられるかどうかである。
 また、神々が快く力を貸してくれるかどうもかも、また疑問である。
 あとは馬。
 オーディン亡き今、スレイプニルはどうしているだろうか。
277名無しになりきれ:2006/02/19(日) 02:49:38
次スレの季節です
278マックス ◆BsGlQvuzhQ :2006/02/19(日) 03:47:18
>258
マックスの問に返答したのはFALCONだった。退却をする予定で、案も有るらしい。
「しかし、期待するなって……なあ、誰かを危険に晒すようなのは勘弁だぜ?」
マックスは勿体ぶるFALCONに不安を隠せない。食堂の時の様な無茶をされかねないからだ。

>260
気が付くとマリスが近くに立っている。マリスは呪文を唱え、マックスに治療を施す。
「おおっ、すっげぇ! 悪いな、マリス。ありがとな!」
一度は見ている筈の呪文だが、いざ自分が受けてみると、また驚いてしまう。
マックスが礼を言いつつマリスの方を見た時、彼はマリスの様子が変だ、と感じた。
しかし何か声を掛けようと思った時には、マリスは何事も無かった様に誰かに話しかけていた。

「……誰だよ」
誰にも聞こえない位の小声で呟く。回復したおかげか、新たに二人の姿を確認出来た。
先程聞こえた可愛らしい声や、人を魔王軍扱いする無礼な発言は、どうやら幻聴では無かった様だ。
ただ、これほど近くに、これほどの存在感の二人が居たのに気が付かなかったのは、
思ったよりも余程に、先程のダメージが酷かったのだろうか?

>257>265
全身に包帯を巻き、派手な赤い鎧に身を包む少女。名は誓音というらしい。
誓音の話を聞いていると、魔王軍を倒そうという意志が、怖いほど伝わってくる。
性格が多少ヤバそうだが、魔王軍の手先では無い。マックスはそう思った。

>246>279
チラッともう一人の方を見る。子供。目を擦ってもう一度見る。やはり子供。
彼女の話を聞いている限りだと、名前はレナスといい、現在は自ら小さな姿になっている様だ。
レナスのリーダーは誰なのかという問に、マックスは自分の胸を親指で指しながら口を開く。
「あー……っと、信じられないだろうが、リーダーは俺だ。マックスウェルっていう。
まあ短くマックスとでも呼んでくれ。」
ただの傭兵だという事は言わない事にした。相手風変わりではあるが騎士と、少女ではあるが戦乙女だ。
傭兵がリーダーだと知ったら不満も出るかもしれない。

「誓音、レナス、俺達はこれから撤退をする予定だ……詳しい事はそこのFALCONに聞いてくれ。
考えが有るらしいが、まだ俺自身も詳しい事聞いてねぇんだ。」
そう言って、溜息を付いてから一言付け加えた。
「情けないリーダーですまねぇな」
やはり自分はリーダーという器では無い。つくづくそう思うマックスだった。
279ラック ◆UcRg1Bh7EI :2006/02/19(日) 04:31:13
>269>270>272>274
右肩から侵食したその刃は、ラックの肉体を蹂躙し、その体に大きな刻印を残す。舞い上がるは血飛沫。
強化されていたせいか、二つに分かたった訳ではないにせよ、主要な内臓の幾つかに致命的なダメージは与えられて。
その常識外な血の量と共に、正に致命傷と言うべき、その傷。常人ならとっくに失血性ショックで死んでいる。
なまじ強くなっているからこそ、痛みが体中を駆け巡って…しかし、痛みを理解する思考能力すら、今のラックにはない。
支えをなくした人形のように、ゆっくりとうつぶせに倒れたラックを、雨が叩く。血溜まりを、雨が洗い流してゆく。
流されてもその「赤」に消える気配がないのは、それ以上に、血が流れているからなのか。

しかしその流血は止まる。傷が治った訳ではない。ただ止血された。止血だけだったのは、回復が不完全だったからか。
これほどの傷、止血だけではどうにもならない。既に致死量の血は流れ出ているはず。それでも、ラックは感じる。
――あったかい。
何も考えられないラックが感じた「感覚」。それを最後に、ラックの心臓は、停止し――

その時。天上の雲から一筋の稲光が、まっすぐ、下へと、落ちてきた。その着地点には、ラックの体が。
その反動で、ラックは少しだけ跳ねた。そして光に包まれる。その間コンマ数秒。その雷電はすぐに消え去る。

心臓は停まったはずだ。もう、ラックという生命体は終わりを迎えた。奇跡など、有り得ないのだ。そのはずなのだ。
しかし。
――誰が気づくだろうか、心臓が、小さく、微かに、脈打っているのを。
消え入りそうに、小さく…微かに。
280セシリア ◆TI6/2FuWqw :2006/02/19(日) 05:49:03
>273
アステラは魔王軍に加担するつもりはないと明言した。これを信じるなら、つまるところ一人で敵を狙うということだ。
その敵とは誰か。サタンそのものかあるいは配下の高位魔族といったところだろう。
一人では荷が勝ちすぎる相手に思われる。
(頼ってくれてもいいのに……)
顔を合わせたばかりで共に死地に追いやられ、ここまでろくに話もせず来たが――それでも仲間ではないか。
セシリアはそう考える。とはいえ、あくまでこれはセシリアの価値観であり、
アステラの価値観とは違ったというだけの話だ。

>『あんたに預けておく・・・取りに行くまでは生きているさ。』
アステラが首元からペンダントを引っ張りだし、セシリアに投げ渡した。
手元に収まったところでセシリアはそれがロケットだと気づいた。
開けて中を見るようなことはしない。およそ家族か恋人かの肖像でも入っているのだろう。
セシリアはそれを首にかけ、鎧の中へ押し込んだ。

「確かに預かった。早く行け。どうやら内輪揉めがあるようだ、今なら抜けるのもたやすいだろう」
鬨鈴で聞いた音や、雷雲の状態などからあたりをつけた情報をアステラに伝える。
「これより先、万が一にも貴様が我らの前に立ちはだかることがあれば……その時は如何なる事情であれ槍は止めんぞ」
最後にそれだけ言い残してセシリアは地を蹴る。一度真っ直ぐ飛び上がり、
それから崖の際を掠めるように砦の裏手まで飛んだ。
見知らぬ人間がいるようだが、仲間の様子を見ると敵ではないらしい。
そのまま皆が集まっている側へ下りた。
281FALCON ◆uKCFwmtCP6 :2006/02/19(日) 06:04:14
>265

>「…私は誓音と申します。同盟軍基地へ名簿登録しようと向かってたんですがね。
>超音波で探索してたらあなた方を見つけたもので、面白そうなので来てみました。」
「誓音ちゃんって言うのか……俺の名前はFALCON。武道家だ」
どうやら同盟軍に参加予定の味方らしい。
超音波を使って探索したというので、コウモリの亜人あたりかと思ったが、
翼が生えているようには見えないので、おそらくは違うのだろう。

>「見たところ撤退しようとしているらしいですが…
>同盟軍にまだ入ってない私でよければ手伝いましょうか?この辺は罠も多いですし。」
「そうしてくれると助かるよ。仲間は多いに越したことはないからな…」


これからの戦いについて、FALCONは考えた。
果たして魔族となった自分の力が、この先の敵に通用するのか?
純粋な魔族になってから感じた筋力の衰え、気の絶対量の低下。
代わりに魔力の絶対量は大幅に増えたが、筋力と気の低下は武道家の自分にとって大きな痛手である。
はっきり言うと、三年前の自分の力が非常に恋しい。
あの全てを圧倒するような赤い気の力が……
282マリス ◆MJk/w/YBy6 :2006/02/19(日) 09:50:09
>278
「おおっ、すっげぇ! 悪いな、マリス。ありがとな!」
治療を施してお礼を言われるのは嬉しいものだ
マリスは微笑みで答えていた


>276
「あい、レナスですとも!(中略)ところでリーダーって誰なの?」
可愛い声でレナスがしゃべる…マリスは微笑んで話を聞いていたがリーダーと言う言葉に少し反応する
マックスが自分がリーダーだと言う…マリスは初めて知った。
リーダーさんはマックスウェル様だったのですね〜。と
…最初に来た時に話を聞いていなかったのかもしれない

>265>281
「…私は誓音と申します。(中略)見つけたもので、面白そうなので来てみました。」
包帯の女の人はそう言うとにっこりと笑顔で言う。罠も多いから撤退に力を貸してくれるようだ
FALCONが自己紹介をして話をしているが、誓音はマリスが治療をする旨を言った事に対して表情が暗くなりこう話す
>「…大丈夫ですよ。この包帯は鎧みたいな物ですから…。」
>「お気遣いわざわざありがとうございます。」
その言葉の後に誓音の暗い表情が笑顔になる
…普通ならその表情から何かを察するのだろうが、マリスは普通じゃないので分からない
「気にしないでくださいですわ〜。ですが、お怪我をしたらお言い付けくださいですわ〜」
微笑みながらそう言うだけだった

その後に誓音が冷たい言葉を言うがマリスは聞いていなかった。例え聞いていても何も変わらないけど…


>280
その時セシリアが上空から降りてくる…マリスはちょっとびっくりしたが
「セシリア様お帰りなさいですわ〜」
笑顔でそう言い
「お怪我はありませんか〜?」
とセシリアの体を気遣う

…しかし、その時ふと気付く
「私のレイピアがありませんわ〜」
先程飛ばされた武器を回収していないことに
「…それよりも撤退するのが先決ですわね〜」
でも、すぐに武器の事など忘れる。どうせあってもさして変わらない
と言うより使う事があまりないので空気みたいなものなのだ
それに市販の武器なのでまた買えば良い…お金持ち的な思考があるのはお金持ちだから

「撤退をするのは良いのですが、アステラ様はどこにいるのでしょうか〜?」
…武器よりもこちらの方が重要だ
>272
辻斬りの斬撃はその構えに相応しい威力を放ったよ。
距離をとっているから巻き上がる土や泥ですぐに二人の姿は見えなくなったけれど、致
命傷を与えた事は直感的に理解できたね。理解したと同時に襲ってくる衝撃波。
制流旗で衝撃エネルギーの大半のベクトルをずらし、残りは吸精布で吸い取る。

>274>279
衝撃波が収まった頃、ラックはうつ伏せに倒れていた。もう動く事はないだろう。
それじゃあここからがあたしの仕事かね、なんて思っていたのに巨漢の男がラックに近寄っ
ていくじゃないかえ。どうやら回復術を施そうとして、力尽きて倒れたようだ。
いつの間にかサエナミさんに戻っている、か。
直後、ラックの身体に落雷が落ちる。ほんの一瞬の落雷。
何が起こったのかは判らないが、ラックから死の気配が消えた。
「仕方がないやあね。ついでだ、二人一緒に面倒を見てやるよ。目標追加っと。」
ラックが一命を取り留めて仕事が楽になったからサエナミさんまで手が回るってもんだ。
もう吸精布はいらないだろうからね。着物に戻してはおるとふわりと浮いて倒れているラック
とサエナミさん、それに辻斬りの頭上も通り越して元居た場所に着地するよ。
着地の衝撃で三枚歯下駄は地面にめり込み、これが最後の一文字だ。

あたしが今まで下駄を引き摺っていたのは何もだるくて歩けなかったって訳じゃない。
禹歩って言って、呪的な歩行方なんだ。
引き摺った跡は上空から見ると符にかかれる術式になっている寸法さ。
大地そのものを符として地脈の力を直接取り出して利用する。

念を込めるとあたしの歩いた跡が鈍く黒く光り、字が現れる。
辻斬りにえぐられた部分も既に地脈まで達しているからへこんではいるが、術式構築には影
響はない。
砦付近で地脈の力を使いすぎちまったから不安だったけどね、だいぶ離れていたからどうや
ら大丈夫のようだ。
今回あたしが禹歩で書いたのは回復術の符。地脈の力が二人に流れ込んで傷を癒すだろう。

地面に突き刺さったままの布の槍を帯に戻して、身繕いを整えながら二人の元へいくよ。
二人を寝顔を見てちょいと笑みが浮かんじまうよ。可愛いもんだ。
「あんたに預けた煙管、まだ返してもらってないからね・・・。」
また感電してはたまらないから符を飛ばしてラックの額に貼る。
お次はサエナミさんだ。
「やれやれ、全部一人で背負い込もうとするからぶっ倒れるんだよ。苦労性なこったねい。
よっと、軽いねえ。」
ラックは荷馬車にでも載せるとして、サエナミさんは運んでやる事にしたよ。
むさ苦しい男連中に気絶した女を運ばせるのも忍びないってもんだ。
さて、ここからが大変なこったが、もう一仕事だ。

「エヴァンスさんや。蛹の脱皮にしては大事だったが無事羽化したようでよかったねえ。
ラックとサエナミさんには地脈の精を流し込んだから死ぬこたないだろうよ。
ラックには符を貼ってあるからアレをとらない限りは動けないようにはしてある。
処分の方はお任せするけど、補佐官として意見を具申させてもらっていかえ?
あたしら四人を向こうに回して立ち回ったラックの力、このまま捨てるのは勿体無いとおも
うよ。
何しろ辻斬りのあの攻撃を受けても死んでいなかったんだから、さ。
何があってトチ狂ったかは知らないが、制御できるものなら強大な戦力になるだろうね。
以上で具申は終了。サエナミさんはあたしが連れてかえるよ。」
軍法上は処分は決まっているもんだがね、一応一言。これがエヴァンスさんの判断にどう
影響を与えるかは・・ま、流れに任せるさ。

「はぁ・・疲れちまったねえ。ハイハイ、もうじゃれあいは終わったよ。誰か馬を貸しとくれ。」
禹歩発動に吸収したエネルギーも残っていた魔力も使い終わっちまったからね、もうこれ
以上は何も起こらないで欲しいもんだ。
サエナミさんを肩に担いだまま人を呼ぶよ。
284名無しになりきれ
           別離と出会い
        裏にあるのは信頼か打算か
   いずれにせよ流れる水を止める手立てはなく
     行く手にあるものは薄闇の彼方に霞み
       逆らって上るか 従って下るか
    選択を躊躇うだけの時も与えられはしない

       撒かれた血潮は緑の野を染め
           青き流れを濁し
          茜の空をなお翳らせ
           槍光すらも曇らせる    
               しかし
        足を止める者 一人として無し
          それを業と知るがゆえ

        負うた業の重さに背は曲がる
        なれど我らが意思 いまだ折れず
       鋼より強固に 星々よりも煌々と
         剣を掲げろ 足を踏み鳴らせ
            突き進むのだ
        阻む者全てを討ち滅ぼしてでも

 騎士よ、今こそ立ち上がれ!!〜重なる心と想い編〜
http://etc3.2ch.net/test/read.cgi/charaneta2/1140352917/