吸血大殲30章 薄暮の月/黎明の十字軍

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56吾妻玲二 ◆phantom2
ウピエルvsファントム
 
>29章454
>http://cocoa.2ch.net/test/read.cgi/charaneta/1024151370/454
 
 それでもエレンの瞳は、深淵の深さを覗かせる。
 彼女の心が諦めず、信じ続けて支えているのは俺への想い……?
 
 ……もはや留まる事を知らない涙が、血の色に染まってゆく。
 
 受け止めた想いすら歪んだ欲望の暴走に拍車をかけ、力任せにエレンの内部をかき回す。
 虐待としか思えないその行為さえ、媚薬で高められたエレンの性感は全てを快感と受け止め、
 無意識に腰を動かし、何度も小さく達してビクビクと締め上げてくる。
 
 無限に続く快楽のループに囚われ、猛りはまたしても限界に達していた。
 腰が砕ける程の快感が背筋を駆け上がり、二度目とは思えない量のそれを解放する。
 
 喜びを知った女の肉は、底に弾ぜる感触に歓喜し、まだ足りないとせがむ様に蠕動して、
 ドロドロと白濁した体液の全てを受け止め、更に奥へ飲み込もうと淫らに蠢く。
 ケダモノがそれに応える様にガクガクと腰を打ち揺すりながら、エレンへと吐き出し続ける。
 
 注がれたものが中心から体中に染み渡り、爪の先まで染められていく感覚に再び絶頂し、
 全身をわななかせながら、縋り付く様に強く身体を抱き締めてくるエレン……
 恍惚感と共に、底無しに堕ちていく事への恐怖が、肌を通して伝わってくる。
 しかし同時にその行為は、エレンの首筋の、新雪の白さを目前に突きつけてきた。
 
 荒い息に合わせて浮かび上がる血管に、耐え難い渇望を感じ、舌を這わせると、
 ……犬歯がメキメキと太く、長く延び、凶悪な牙と変貌する。
 
      ―――――  や  め  ろ  !  !  ―――――
 
 断頭台の執行の様に伝わる……柔らかな皮膚を貫く感触…………。
 刃の切れ味を持つ牙がズブズブと首筋に埋まり、血管を貫いて鮮血が迸る。
 
 エレンの全身に走る震えが断末魔の痙攣と化し、あげる悲鳴はもはや声にもならない。
 引きつる様に延ばされた四肢…… 不自由な手の指が中空を掴もうと彷徨い続け……
 それはやがて……力尽きた蝶の様に、床へと舞い降りた。
 
――――― うあああああぁぁぁああああぁぁぁぁぁ!!!!!! ―――――
 
 人の心が絶望と、悲嘆の絶叫をあげる―――――。
 
 同時に自らの大切な者を壊す快感が、何物にも代え難い快楽となって精神を侵蝕する。
 
 エレンの首筋から迸る鮮血を喉の奥で味わい、愛おしむ様に吸い上げて啜ると、とろりとした、
 塩味を含んだ鉄の味が、とろける様な至上の美味に感じられた。
 
 ぬめりの中に潜む濃密なコクと嗅覚を刺激する芳しい匂い、エレンが分泌した快楽の麻薬が
 スパイスの様にアクセントを加え、未だかつて経験した事の無い恍惚感となって駆け抜け、
 脳の中枢を痺れさせる。
 
 湧き出す様にトクトクと溢れ出る、例え様も無く甘味な美酒に、いつまでも酔いしれながら、
 通常では有り得ない間隔で、エレンの中に三度ドクドクと放っていた。