吸血大殲28章『仄き鮮血の舞踏』

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ウピエル(&ツァーレンシュヴェスタン)VSファントム
 
>http://cocoa.2ch.net/test/read.cgi/charaneta/1022485313/429
 
生物学的に言えば、ノインは既に死んでいる。亡骸と呼ぶには相応しい。
吸血鬼になった時点で、人の心も死んだ。
そして……先程、魂も死んでしまった。
 
それでも、いまだに活動は止まらない。
完全に動きを止めていた身体が、再びのろのろと立ち上がる。
 
目はどこも見ていない。
散発的に放たれていた銃弾も、全て見当違いの方へ飛んでいく。
 
だが、全ての弾を撃ち尽した後も引き金は引かれ続ける。
虚しい金属音がホールに響くが…
彼女に、他に出来る事は何もないのだ。
 
おぼつかない足元は、何故かゆっくりと交代している。
その先に、アインが乗り捨てたBMWがあるのは偶然ではないのかもしれない。
 
―――バイクに縛り付けられた杭には
フュンフが着ていた白いボロボロのチャイナ服が引っ掛かっていた。
 
そこにノインが向かって行くのは……決して偶然ではないだろう。