1 :
ドラキュラ・ヴラド・ツェペシュ:
2 :
ドラキュラ・ヴラド・ツェペシュ:02/04/20 23:55
自己紹介用テンプレートである。
出典 :
名前 :
年齢 :
性別 :
職業 :
趣味 :
恋人の有無 :
好きな異性のタイプ :
好きな食べ物 :
最近気になること :
一番苦手なもの :
得意な技 :
一番の決めゼリフ :
将来の夢 :
ここの住人として一言 :
ここの仲間たちに一言 :
ここの名無しに一言 :
新スレおめでとうございまーす!!
"虚無”へ捧ぐる供物にと
美酒を少し 海に流しぬ
いとすこしを
<弓塚さつき(死徒27祖Ver)vsキメラヴァンプetc>
>
http://cocoa.2ch.net/test/read.cgi/charaneta/1018527916/467 <スコーピオンヴァンプ>
「流石です、ミス・ユミヅカ……」
黒いスーツに身を包んだ女は目の前に光景に眉一つ、動かさず、そう答えた。
「我々にはどうしても、あなたが必要なのです。ですから、多少の痛い目を見てもらっても、あなたを捕獲します」
女がスーツを脱いで、擬態を解く。
……そこにはサソリを模した異形があった。
「さあて、楽しませてもらおうかねえ……」
スコーピオンヴァンプはそう言うと、さつきの前に一瞬のうちに踊り出た。
スコーピオンヴァンプが首を振ると、その勢いで2つの鋏がまるで別の生き物のように、
さつきに襲い掛かる。
殲鬼と闘鬼〜ガロンvs不破雷也
前スレ
http://cocoa.2ch.net/test/read.cgi/charaneta/1018527916/ >469
青年は彼の蹴りを受け止め、吹き飛んでいく。
だが、それがあまり効果を与えられなかったことを、
彼は足の感触で知っていた。
飛ばされ、雪を赤く染めながら、青年は笑った。
そして、青年は何やら呪文を唱える。
やがて現れる巨大な影。
それが青年を覆う・・・・・・そして現れたのは異形の戦士。
「なるほど・・・・・・どうやら、退屈だけはしなくてすみそうだ・・・・・・」
彼は笑った。自分の身長を遥かに超える敵と対峙してなお、
恐怖を感じることはなかった。むしろ精神は高揚していた。
自分の全てを叩きつけられる敵の存在に。
「さぁ、仕切りなおし、というこうじゃないか、戦士よ・・・・・・」
彼は咆哮する。そして身に闘気を纏わせた彼は、
光の弾丸となって、戦士に向かい突撃していく。
>5
<弓塚さつき(死徒27祖Ver)vsキメラヴァンプetc>
『女性であったもの』は本来髪があるべき位置にそれがない。
かわりについている二丁の鋏を、鞭のように撓らせてわたしを襲う。
完全に虚を突かれた攻撃に、一瞬判断が遅れる。
それは、『殺し合い』において、『死』にずっと近づいたということを意味する。
仕方が無く、迫る鋏を両の腕で難なく受けとめた。
どうやら、今までの相手とは少し違うようだ。
「どうしたの? 調子でも悪いのかな?」
口調とは裏腹に、わたしの心は嬉々としている。
まるで『あの人』と終わらないダンスを踊っているかのように―――――
>8
殲鬼と闘鬼〜ガロンvs不破雷也
「へぇ、気の砲弾か……だけど」
ビーストキャノンを喰らう直前、僅かに半身をずらす。
必要充分な動き。
「直線的すぎる」
呟き、膝で蹴り上げる。
そして、挟み込むように肘を落とす。
>6
ロゼット VS ????
『想い、その胸に』
私は、石碑の後ろに隠れ銃をリロードする。
ともかく・・・・ここにいれば奴もいきなり仕掛けてこれは・・・・・。
―――だが。
≪ぞん!≫
「へ?」
私の真横に、剣が落ちてくる。
見上げれば、私の頭上に何本もの剣、剣、剣!
「そ、そんなのあり?!」
私は慌ててその場から駆け出す!
そんな私の後を追いかけるように剣が降り注ぐ!!、
聞いてないわよ、こんな攻撃!!
狼のくせに生意気よ〜〜〜〜〜ッ!!!
「うひゃやややや?!」
《ぞん、ぞん、ぞん、ぞん!》
私はそれを紙一重でかわし続ける。
だが―――――
《ぞぶゅッ!!》
「かはッ・・・・・・?!」
最後に残った剣の一本が・・・・私の腹を貫いた―――!!
どさりと、私はその場に倒れる。
と同時に、剣が虚空へとかき消える。
・・・・・・広がる血溜まり。
「く・・・・あぁ・・・・・。」
い、痛い・・・・めちゃくちゃ痛い・・・・・!!
そんな私を、覆うように影が被る・・・・・・・。
殲鬼と闘鬼〜ガロンvs不破雷也
>10
闘気の砲弾を前にしながら、戦士は身じろぎもしない。
あたるその直前に、身を捻るのみでその直撃を避ける。
そして起こる腹部の激痛。
身に纏った気を裂いて叩き込まれた膝が原因だった。
そしてすぐさま叩き込まれる、背骨も折れよとばかりの肘。
その双方向からの打撃に、彼は悲鳴をあげる。
そのまま、地面に転がる。
口から溢れた血が、地面を赤く染めていった。
「いいぞ・・・・・いいぞ!!この痛み!この肌さわりこそが戦場よ!!」
彼は立ち上がる。目の前の、この好敵手に報いるために。
そして徐に腰から愛用のヌンチャクを引き抜く。
ニ、三回振り回してその感触を確かめると、
彼はそれを振り回し始める。やがてヌンチャクが光を発し始める。
それを振り回したまま、彼は突撃していく。
「さぁ、ミリオンズフリッカーの洗礼を受けろ!!」
こんな感じでどうだろうか?ミリオンズフリッカーで殴りにいってる。
>11
ロゼットvsルシエド
『欲望への試練』
魔剣の一本が少女を貫く
少女の前に巨大な影が立ちはだかる
『おまえは何を求める…?』
『所詮は力を持たぬ小娘か…?』
『今すぐ楽にしてやろう…』
狼の咆哮が祭壇内に響く
ロングファング VS バイロン 『Branded Men's Cursed Night』
前スレ>458
浅い。引き金を引いた瞬間、それがわかった。
咄嗟に地に伏せ横に転がる。
次の瞬間、先ほどまでバイロンがいた空間を弾丸が通り抜けていく。
地を転がりつつロングファング(だと思っているモノ)にデザートイーグルを向ける。
同時にロングファングもサブマシンガンの銃口をこちらに向けた。
吸血鬼に対し急所以外への銃撃は一切通用しない。
その恐るべき再生能力は心臓と脳さえ無事ならば、全身を10秒足らずで再生させる。
ゆえに狙うのは頭部と心臓。
それぞれに向けて、素早く確実に引き金を。
違和感。ふと奇妙な違和感がバイロンを襲った。
コンマ0秒以下の逡巡。
それがロングファングに先に引き金を引かせることとなった。
一瞬送れてバイロンも引き金を引く。
サブマシンガンの弾丸が右の肩と脇腹を大きく抉った。
頭部を狙ったバイロンの弾丸はロングファングの頬を抉るに止まり。
そして心臓をねらった弾丸はロングファングの防弾ジャケットに阻まれた。
それでも50口径の弾丸の衝撃はロングファングの足を止めるには十分だった。
その隙に素早く跳ね起き、その場を後に全力で走り出す。
その右腕は空だ。撃たれた衝撃で銃は取り落とした。
いくつか角を曲がった時、それは目の前にいた。
ロングファング。
>13
ロゼット VS ????
『想い、その胸に』
はー、はー、はー・・・・・。
痛みに耐えつつ、立ち上がろうと膝を立てる。
ぐしょり。服が生ぬるい湿り気を帯びている。
『おまえは何を求める…?』
『所詮は力を持たぬ小娘か…?』
奴の声が頭に響く。
く・・・・傷が痛くて痛くてしょうがないのにッ!!
私は、きっとやつをにらみつける。
『今すぐ楽にしてやろう…』
狼の咆哮が祭壇に響き渡る。
こ・・・・・の・・・・・!!
「 舐 め な い で 頂 戴 ッ ! ! 」
私は叫びながら立ち上がる!
「まだ・・・・私は死ねないのよッ!!
ヨシュアに・・・・・ヨシュアに会うまで・・・・・!!
その為に・・・・・・その為に今まで走ってきたんだからッ!!」
私は、二丁の拳銃を奴へと向ける!
傷の痛みは消えてはいない、だが・・・・・!
「所詮、力のない小娘よ私は!!
けどね・・・・・この、胸の中にある想いは誰にも負けはしないッ!!」
そして、私は銃を乱射する――――!!
ロングファング VS バイロン 『Branded Men's Cursed Night』
>14
このビルの構造は頭に入っている。縮地を用いるまでも無く、先回りは容易だ。
出会い頭――否、人造吸血鬼の感覚を共有している俺には、タイミングを計るのは造作も無い。
にやりと笑ったのが奴に伝わったかどうか。
腰だめに構えたサブマシンガン。その銃口がバイロンを追って、弾丸を吐き出した。
奴の後方からは人造吸血鬼が追っている。
奴がからくりに気づいたかどうか、気にならんでもない。
どちらにせよ、そろそろ詰めだ。
<弓塚さつき(死徒27祖Ver)vsキメラヴァンプetc>
>9
<スコーピオンヴァンプ>
「キキッ! 本命はこっちさ!!」
スコーピオンヴァンプの頭上の尻尾が凄まじい勢いでさつきに迫る。
さつきは後方に跳んでかわそうとするも、尻尾は予想以上に早く、そして長かった。
尻尾はさつきの右肩に突き刺さる。
……数瞬後、さつきの身体がぐらついた。
尻尾の毒がさつきの身体に廻ったのだ
「一寸刻みに引き裂いてやるわ。――殺さない程度にねえ」
スコーピオンヴァンプの鋏が、鉤爪がさつきを切り裂いていく……
<装甲車>
『スコーピオンヴァンプ、優勢です。これで捕獲……えっ?』
「機関砲を向けろ。万が一の事もある。スコーピオンヴァンプがやられた瞬間に弓塚さつきに向かって撃て」
>12
殲鬼と闘鬼〜ガロンvs不破雷也
光り輝くヌンチャク。
どうやらまたしても、気が込められているらしい。
(これはまともに喰らうのはまずい、よな)
まさに光の速さ、躱すことは不可能。
出来るのはせいぜい、受け流すことだけ。
(ブライオーの装甲を、信じる!)
凄まじい勢いの攻撃が、ブライオーの装甲を削る。
しかし、いつかは止まる。
それを待つのみ。
殲鬼と闘鬼〜ガロンvs不破雷也
>19
戦士は嵐の様なヌンチャクの猛攻の中、必死に防いでいる。
(根競べか・・・・・・貴様の装甲と俺の攻撃、どちらが先に悲鳴をあげるか・・・・・・・)
彼は一層、攻撃の手を強めた。
腹に、肩に、二の腕にヌンチャクは容赦なく食い込む。
だが、さすがの彼もその攻撃を行い続けることは出来なかった。
やがて、ヌンチャクからは光が消え、その速さも落ちつつあった。
ロングファング VS バイロン 『Branded Men's Cursed Night』
>16
(縮地!?)
いや、それにしては服についた血の痕が・・・。
思考をまとめるよりも早く弾丸がバイロンの肉体を抉る。
それでも致命傷を避けたのは、気が遠くなるほどの戦場での経験か、
それとも神の祝福か、はたまた神の呪いなのか。
つまらない疑問を振り払う。
崩れそうになる体を全力で堪える。
右腕を捻った。
右手に全長12cmほどの非常に小さな銃が滑り出す。
通称『Angel maneuver(天使の演習)』
弾頭には特殊火薬を詰めた炸裂弾を使用。22口径ながら45口径並の威力を引き出す。
装弾数は8+1発。既に初弾は装填済み。
そして銃を右手に持ったまま、ロングファングに向けて走り出した。
ロングファング VS バイロン 『Branded Men's Cursed Night』
>21
再度ロングファングの撃った弾丸がバイロンめがけて突き進む。
だが、もはや弾丸を避けるなどということは頭に無い。
どちらが先に相手を仕留めるか。
どちらが先に相手を殺すか。
肝心なのはただそれだけだ。
弾丸に脇腹を抉られ、肩を砕かれ肉を焼かれるれる。
傷口から内蔵がこぼれだし、骨が飛び出し、千切れた血管と神経が宙に舞う。
引き金を引く。
引き金を引く。引き金を引く。
引き金を引く。引き金を引く。引き金を引く。
引き金を引く。引き金を引く。引き金を引く。
弾切れになったAngel maneuverを投げ捨てる。
弾丸がこめかみを抉り、その衝撃で左の眼窩から眼球が飛び出し千切れて落ちる。
無視。
左腕を軽くひねった。
袖口から刃渡り3インチほどのナイフが飛び出す。
地を這うほどに身を沈めつつ更に加速。
ロングファングめがけて襲い掛かる。
>17
<弓塚さつき(死徒27祖Ver)vsキメラヴァンプetc>
なに、これ、身体の反応が鈍い―――――――
目の前がぼやけている。なのに、なんでこんなに身体が痛いのか。
ざくり、と身体が刻まれる。
ずきり、と刻まれたところが痛む。
ざくり、と再び刻まれる。
ずきり、ざくり、ずきり、ざくり、ずきりざくりズキリザクリ、そしてズキリ――――――
働かないくせに、一人前に痛みだけは伝えてくるこの身体。
見えているくせに、はっきりとしないこの瞳。
必要といっておきながら、わたしを壊すこのニンゲンたち。
すぐに殺せるくせに、わたしを殺そうとしないこの怪物――――――――
なにもかもが、あまりにも、アタマニクル
壊レロ、消エロ、滅ンデシマエ―――――――――
見えずとも、ロクに動かずとも、この距離ならば十分だ。
左の腕を無造作に、自然と、いとも簡単に、化け物に向かって伸ばす。
思っていたよりも、ずっと速く。わたしの左手は突き出される。
そしてそれは、目の前にいる怪物へと自然に吸いこまれていった………
>20
殲鬼と闘鬼〜ガロンvs不破雷也
さしもの堅牢なブライオーの装甲も悲鳴を上げる。
しかし、生物である以上、いつまでも同じ勢いで攻撃を続けることは出来ない。
いつしか、光も消え、速さも衰える。
そして、その瞬間こそが………
(勝機!)
ヌンチャクの一撃を少しだけ内側に流す。
それと同時に、その腕を掴み、こちらに引く。
そして体勢が崩れたところへ、蹴り。
だが、これは誘いに過ぎない。
本命は――――
ロングファング VS バイロン 『Branded Men's Cursed Night』
>21
心臓狙いの弾丸を最小の動きでかわしながら弾丸をばらまく。
その雨の中を、やつは血肉を撒き散らしながらまかり通った。
銃撃で足止めを狙う心胆がパーだ。
「ハ! 元気だな戦争狂!」
こうなりゃリクエストに応えるしかない。
俺は身を捌きながら、サブマシンガンの銃床で奴のこめかみをねらった。
(>25のレス指定は>21ではなく>22の誤り。訂正する)
殲鬼と闘鬼〜ガロンvs不破雷也
>24
(根競べは俺の負けか・・・・・・)
ヌンチャクの振りが弱くなったところを掴まれ、体勢を崩す。
そこに間髪を入れず到来するハイキック。
彼は掴んだ腕を振り払うと、迫り来る蹴りに対し、此方も蹴りを放つ。
闘気に包まれた蹴りと重厚な鎧に包まれた蹴りが交差する。
>27
殲鬼と闘鬼〜ガロンvs不破雷也
(なんと、そう来るかよ)
ブライオーの蹴りと人狼の蹴りが交差する。
蹴りの重さだけであれば、ブライオーの方が圧倒的に上。
されど、気に包まれた人狼の蹴りは、ウェイトの差を無とするほどに強烈。
結果、二人はお互いの蹴りの威力に弾け飛んだ。
「へぇ、初見で『斬月』を返すか。やるね……」
起きあがりながら、呟く。
……脚部の反応が鈍い……これは……
(蹴り技は放ちにくいかも、な)
(だが、ブライオーの攻撃は蹴りだけじゃない……)
ロングファング VS バイロン 『Branded Men's Cursed Night』
>25
銃床でこめかみを殴りつけられた。
来るのは解っていたが、血が出すぎていて避け切れなかった。
殴られた衝撃で、直りきっていない傷口から
脳漿がこぼれたような気がするが無視。
殴りつけられた衝撃のままに身を倒す。
地に倒れこんだ瞬間、バイロンの左腕が振るわれた。
銀光がロングファングの足を骨まで切裂く。
そして力を振り絞り、ロングファングの脚にタックルし、
ロングファングを引きずり倒した。
殲鬼と闘鬼〜ガロンvs不破雷也
>28
二人は同質量の蹴りの威力の反発で弾け飛ぶ。
受身を取り、立ち上がるも、足の反応は鈍い・・・・・・・
(く、暫くは・・・・・・俺の疾さも殺されてしまう、か)
(ならば・・・・・こちらは回復するまで手数で圧倒するまで!)
彼は鋭い顎をむき出して飛び掛る。
着地。そしてしゃがみこむと足払い。
当然、今の状態では威力などない。しかし、それは罠。
―――さぁ、俺の真意、見破れるか?
ロングファング VS バイロン 『Branded Men's Cursed Night』
>29
もとより吸血鬼と人間とでは膂力が違う。
接近戦でのバイロンの勝機は、こちらが体勢を崩したその瞬間にのみあった。
体が宙に浮いて制御できないそのコンマ数秒に。
サブマシンガンはとっくにすてている。
とっさに懐に手を突っ込む。手に触れるエンチャントマグナムの銃把。
速いか遅いか、ただそれだけが勝敗を決める単純な世界。
その状況で、覆い被さるようにナイフを振り下ろすバイロンの顔が目に入った。
二目と見られぬ凄惨な顔だ。それに、感慨を覚える暇も無い。
Eマグを抜き出すのと、ナイフが雪崩れ落ちるのは同時。
やつのナイフは俺の心臓の真上に、俺の銃口は奴の眉間に。
瞬間、両者の動きが止まる。
「陳腐な展開だな、バイロン」
俺は左肘で体を支えながら言った。
「だが、お宅の負けだ」
人造吸血鬼の銃撃が、バイロンの体に浴びせられた。
<弓塚さつき(死徒27祖Ver)vsキメラヴァンプetc>
>23
<スコーピオンヴァンプ>
「―――!?」
さつきの左腕がまるで何の抵抗も感じさせずに、スコーピオンヴァンプの左胸へと吸い込まれ……
スコーピオンヴァンプの心臓を握りつぶした。
「キヒャアァァァァッ!!!」
吸血鬼の命の源ともいえる心臓が潰され、スコーピオンヴァンプは断末魔の声をあげ、絶命した。
<装甲車>
「今だ、撃て!」
『は、はいっ!』
諸井霧江の怒声とともに装甲車の重機関銃がさつきに向かって火を噴いた。
普通の人間なら即座にミンチになる威力を秘めた無数の鉄の塊がただ、さつきに向かって、
無慈悲に吐き出される。
ロングファング VS バイロン 『Branded Men's Cursed Night』
>31
全身が抉られ千切れとんだ。内蔵も派手にぶち撒かれていく。
体重も4割近く軽くなっているだろう。これは確実に致命傷だ。
だが。
全身を銃弾の雨に打たれながら、
それでも力を振り絞りロングファングを滅ぼすべく攻撃に移る。
吸血鬼に対し急所以外への攻撃は一切通用しない。
ゆえに狙うのは頭部と心臓、そして脊髄。
ロングファングの喉元に喰らいつく。
そして一気に血管を噛み千切った。
さらに顎に力を込めて噛み合わせる。
脊髄まで食い千切るつもりで。
ロングファング VS バイロン 『Branded Men's Cursed Night』
>33
銃弾に総身を抉られ、それでもバイロンを動かしているもの――
俺にはもはや持てるはずも無いもの、それはバイロンを数千年生きながら得させた、強烈な執念だった。
喉笛を噛み破られる。
バイロンの胴にEマグをあて、引き金を引く。
50口径のミスリルチップ弾が、その心臓部に大穴を穿ち、背後に血肉をばらまく。
それでも奴の首は独立した生き物のように俺の首を噛み破った。
力任せに引き剥がす体勢になるよりはやく、ゴキリと音がして首の骨が折れ、脊髄が分断された。
一部始終を、俺は人造吸血鬼の視覚を通してみていた。
俺の首を文字どおり噛み千切った奴は、それで満足したか、事切れていた。
バイロンの体を蹴転がし、転がった自分の首を、泣き別れの胴体に押し付けてやる。
ようやく起き上がった俺は、自分の目でバイロンの亡骸を見た。
「・・・・」
凄惨だが、見様によっては満足の顔と取れなくも無い。いや、俺の気の迷いか。
「ま、楽しかったよ」
これでまた、退屈に逆戻りだ。
俺は、ビルを崩壊させるための爆薬のリモコンを押した。
廃ビルごとの火葬だか土葬――やつも文句は言うまい。
無責任に考えつつ、俺は縮地でその場を後にした。
>15
ロゼットvsルシエド
『欲望への試練』
少女が渾身の力で立ち上がり
手に持つ二挺の拳銃を乱射してくる
『人間とは面白い者だ…』
『危機的状況に陥ったときこそ力を発揮する…』
『望む物ある力…それが欲望の力だ…』
少女の銃の弾丸が身体を突き抜けていく
『その想いの力を試させてもらおう…』
【ダークディストラクション】
ルシエドの姿が影の中に消える…
床が水面の様に闇に波紋が広がる…
波紋の中心から咆哮と共にルシエドが這い出る…
闇に包まれた空間に無数の眼が現れ
空間が裂け少女を深淵なる闇へと誘う…
フラック vs ・・・?
導入
道化師は、久方ぶりに退屈な時間を過ごしていた。
いや、これから始まる「舞台」を思えば、大した苦労でもないのだが。
何しろ、数が多い。
街一つをすべて死者に変えるには、どうしてもそれなりの数の「傀儡」が必要になった。
それを揃えるために、一匹また一匹と屠殺していく。
とてもとても、面倒な「作業」だった。
泣き叫び逃げ惑う娘の首を刎ね、狂乱し腕を振る男を火だるまに変え、
訳もわからず泣きじゃくる子供を毒の息で殺す。
一人、二人、三人・・・趣向を凝らして殺すのにも飽きた頃、ようやく死骸の山は築かれた。
それが道化師の振る錫杖に合わせ動き出す。
やや少ない気もするが仕方あるまい。
道化師は笑った表情を固めたまま、やや重い息を吐いた。
vsフラック
>36
人間、ついてない時はとことんついてないものだ。
歩いてるたびに死体にぶつかる。
今日も丁度そんな日で―――――――
「なんていってる場合じゃない!?」
バカ同士の抗争でも、ここまで酷い事はなかったぞ!?
私は死体の山に向かって駆け出した。
これ以上被害を広げさせないために―――。
vsフラック
>36>37
「死体が動いています―――これはどう言う事なの?」
ああ、なんと冒涜的な!
聖職者として、葬儀屋としても許せない事態である。
「印されし場に立て(オン・ユア・マーク)―――身を構えて、機動せよ(ゲット・セット マニューバー)!」
ヨミ・クーリエ社、『黒水仙』所属の戦闘尼、キャロライン・ネフェシュは
黒衣の下から十字剣を取り出して構え、死人の群れへと飛び掛った。
「構え! 機動!(ゲッセマネ)」
vsフラック
>36>37>38
「中々凄い事になってるな・・・私はどうすれば良いんだ?」
買い物帰りの少女は、目の前の惨状に困惑している。
とりあえず、ここを抜けないと帰れないのだが・・・
「う〜ん、これならどうだろう?」
引き抜いた二枚の扇子を振り回しながら、死人の群れを掻き分けようとする。
「やっぱり、イデタツのようにはいかないな」
失礼します
僕の名前は秋せつら 魔界都市<新宿>でせんべい屋を営んでいます。
創業153年の名店で「新宿ガイドブック」にも新宿名店30の一つとして紹介されているんですよ。
僕は三代目でけっこう繁盛しています。
新宿を訪れた際にお土産としてどうでしょうか?堅焼きがおすすめです。
ああそれと副業で秋DMセンターも経営しています。早い話が人捜し屋ですね。
新宿一といわれるぐらい評判がいいので困ったときには是非どうぞ。
所在地:西新宿4丁目
僕の武器は目に見えないほど細い糸です これはチタンssを錬金加工したもので千分の一ミクロンしかありませんが
チタン合金も断つことができます。他にもあや取りにつかったり 相手の神経を支配して自由に操ったりできます。
あと僕は二つの人格を持っており <私>の時は神技ともいえる技量を発揮することができるみたいです。
>35
ロゼット VS ????
『想い、その胸に』
弾丸が、奴の体を捕らえ炸裂する!
私は空のカートリッジを抜き、止めの一撃を与えるべく
『福音弾(ゴスペル)』−希少銀に魔呪を転写した魔法弾−をセットする。
腹部と腕の傷の痛みは、いまだに私を苛み続けている。
・・・・・この・・・・・・!!
『望む物ある力…それが欲望の力だ…』
『その想いの力を試させてもらおう…』
その声と共に、奴が影へと消える。
逃げた――――?!
しかし、そうではなかった。
床が、まるで墨を流した水面のように変わると同時に、あたりが闇へと包まれる。
その水面を突き破り、奴が姿を見せる!そして、咆哮。
《ギロ・・・・》
「ひ?!」
私を見つめる数多の目、目、目、目、目、目!!
空間が裂け・・・・・私を闇が包み込む――――!!
====================================
−ようこそ・・・・−
闇の中、私の前に・・・・『私』が現れる
「わ・・・たし?!」
−そう。私は貴女。貴女は私。心の奥底に潜んでいる『貴女の欲望』・・・・・それが私−
−ねぇ・・・気付いてる?貴女が成そうとしている事。それが貴女の欲望に過ぎないこと。−
−ヨシュアを救う・・・・おこがましいとは思わないの?−
−ヨシュアはそんな事望んでないかもしれない・・・・だとしたら、それはどうしようもないおせっかいよね?−
「・・・・・否定はしない・・・・。時間がないのよ・・・・私は・・・・だから・・・・・やらずに後悔なんてしたくない
結果が出てないのなら・・・・今は――――――先に進むだけよッ!!」
−・・・・・そう・・・・よかった。―――――欲望を否定しないで・・・・−
−それは・・・・人を先へと進ませる力でもあるのだから―――――−
闇が――――晴れる!!
vsフラック
>36>37>38>39
「――――邪魔だ」
目の前の動く死体を手に持つ剣で容赦なく切り捨て、セーラー服姿の少女はそう呟いた。
ナミの神器の番人である所の彼女としては、神器と無関係なこの事態は放っておきたい所ではあるが
流石にそうも言ってはいられまい。
「魔物の気配がする―――向こうか」
目の前の死体を冷静に切り刻みつつ、少女は気配の方へと向かっていく。
>37>38>39>42
vs ミア、キャロライン、レフィオ、日下
”これはこれは、意外な闖入者だ”
傀儡の術により、繰られる死体。
それを前に逃げるでもなく恐れるでもなく、立ち向かう人影四つ。
その中でも向かい来る少女に向けて、道化師はその姿を現した。
”我が名はフラック、どうぞお見知り置きを”
居並ぶ死者の群れを背にして、仰々しく道化師は腰を折った。
”いやはや、何とも残念!”
錫杖を鳴らす。
首のない少女の体が、泡を吹いた少年が、皮膚が削げ落ち筋肉を剥き出しにした男が、
生者の如く身を震わせて立ち上がった。
”お相手をしたいところではありますが、今は舞台の準備をしているまで”
体を屈め、膝をたたみ、一様に低く構えを取る。呼吸もタイミングもなく、
死者どもは人に倍する力で地を蹴った。己が身を肉弾と変え、躍りかかる兵法というにも拙い技。
だが数が揃えば、無視出来ない脅威となるはずだ。
それで散れば、そこまでの事。
”このような出迎えしか出来ぬ事、平にご容赦の程を”
嗾けた死人どもを窪んだ瞳で見送ると、フラックは走り出す。
予定外ながらも、楽しくなりそうな気配に、足を伝わる力が震えた。
テンプレです
出典:魔界都市ブルース
名前:秋せつら
年齢:20代
性別:男
職業:せんべい屋+人捜し屋
趣味:あやとりと読書かな?
恋人の有無:いませんね
好きな異性のタイプ:さあ?
好きな食べ物:せんべいとお茶です
最近気になること:不景気により少し売り上げが落ちていること
一番苦手なもの:メフィスト病院の院長
得意な技:糸を使った攻撃
一番のきめ台詞:おまえは<私>に出会った
将来の夢:さあ?
ここの住人として一言:<魔界都市新宿>へようこそ
ここの仲間に一言:せんべい食べますか?
ここの名無しに一言:秋せんべい屋+秋DMセンターをよろしく(おじぎ)
>41
ロゼットvsルシエド
『欲望への試練』
闇の空間が晴れ、普通の祭壇へと戻っている
そこには少女と魔狼が立っている
少女の傷は何事も無かったかのように治っていた
『おまえの求める欲望…しかと受け取った』
『その欲望の力…我にぶつけて見よ…コレが最後の試練だ…』
そう言うと少女に向かい全速力で突進を開始する
牙も爪も突き立てずただの突進を…
ミア&キャロライン&レフィオ&日下美和vsフラック
>43
ああ、もう!
ここじゃ死体の大安売りか!?
「ええい! 来るな触るな近寄るなぁぁぁぁっ!!」
わらわらと群がってくるゾンビもどきを、鉄拳と回し蹴りでふっ飛ばしながら
騒ぎの現況っぽい道化野郎に接近する。
・・・あ、
掴、まれた?
いきなり天地が逆転し、続いて背中に衝撃が走る。
・・・転がされた みたいだ。
たいしたダメージはないけど・・・
「もしかして、ピンチ?」
ぞんびーずが近寄ってきてるし・・・
アハハ・・・ちょっとやばいかも。
>45
ロゼット VS ????
『想い、その胸に』
「え―――?!」
闇が晴れ、再び元の祭壇に戻って来たとき・・・・私の傷は完全に癒えていた。
いや――――最初から怪我などしていなかったように。
血を吸い、生ぬるく湿っていた服には一滴の血も付いてはいない。
「――――そういうこと」
村の長が言っていた『試練』・・・・つまりは、そういうことだったのだ。
『おまえの求める欲望…しかと受け取った』
『その欲望の力…我にぶつけて見よ…コレが最後の試練だ…』
狼が、私に向けて突撃を仕掛けてくる。
思わず、腰の拳銃に手を伸ばそうとして―――止めた。
「ええ――――受け取りなさいッ!!」
私は拳をきつく握る。こうすることが当然であるように・・・・・。
狼の巨体が私に迫る!
「私の想いの重さ――――これが――――答えよッ!!」
握り締めたこぶしが、奴の頭を捕らえる!
ミア&キャロライン&レフィオ&日下美和vsフラック
>46
「エィメン! エィメン! エィメン!」
祈りつつ、尼僧は死者たちを十字剣で弔っていく。
だが、キリがないようだ。
尼僧の表情が変わった。
「ころせ、ころせ、かみもひともししゃすらも。それがわたしのレーゾンデートルだ」
沢山の死者を切り裂いていくうちに、尼僧の人格が十二の人格の内で
剣を振るうのにもっとも適した人格、殺人狂の四番人格へとシフトする。
斬った死人の中に、生者が混ざっていたような気がしたが―――
問題あるまい。
「わたし」はヒトデナシのクローンなのだから。
>47
ロゼットvsルシエド
『欲望への試練』
少女の拳が触れた瞬間
実体化されてい魔狼の姿は散無する
その場に残されたのは少女と
魔狼が居たと思われる場所に
一丁の拳銃が置かれていた
祭壇内に声が響く
『試練を乗り越えたおまえに我が力を与えよう…』
一丁の漆黒の拳銃
【魔銃ルシエド】が淡い黒き光を放つ
『我が名はルシエド…力を求める時我が名を呼べ…』
『されば一時、汝の力とならん…』
そう聞こえると黒き魔銃は狼の形をした首飾りと姿を変え
少女の首へと掛けられる…
そして祭壇の魔狼のレリーフが崩れ上部へ続く石段が姿を現す
ミア&キャロライン&レフィオ&日下美和vsフラック
>48
「よっと、大丈夫か?」
死人の群れをジャンプで飛び越え、倒れてる女性に声を掛ける。
どうやら、無事みたいだ。
「しかし困ったな・・・このままでは夕飯の時間に間に合わないぞ?」
手近な死人の一人の足を払いながら、少女は困惑する。
ああ見えて、少女の『保護者』は結構うるさい。
「なあ、お前はどうしたら良いと思う?」
(朧vsユージン導入)
深夜の街は闇と静寂に包まれている 辺りには人一人犬一匹いない
街の光はただ街灯のみであり それ以外はすべてが闇 その街の中に一人の男が姿を現した。
黒い長髪に中国服 自然に歩む姿は一見隙があるようでまったくない。
彼の名前は 朧 かってアーカムという組織の特殊工作員スプリガンのなかでも最強と言われた人物である。
もともと彼は自分の修行のためにアーカムと言う組織にいたにすぎなかった 彼は世界一の気法師と呼ばれていたが
最終目的は人間を超えた仙人になることであった。
古代中国では仙人とは神と同じ存在であったという長く厳しい修行を経て肉体を持ったまま永遠の存在になる
そのために肉体を<気>により変化させ純粋な意思を永遠に保つこれが仙道の最終目的である。
そのために己を鍛え上げいかなる相手に負けることをも許さない。
そして彼はアーカムの敵対組織であるトライデントに所属して自分の弟子と戦った。
しかしそれに敗れたことで再び山に篭り修行し人間としては頂点の領域に到達していた。
ひさしぶりに下山した彼は何者により監視されていることに気ずいていた。
夜の公園は完全な闇だった。もしここで誰かが襲われたとしてもだれもきずかず
悲鳴を聞くものも誰もいないだろう すべては闇が吸収し何事もなかったかのように
静かになるだけだ。
公園中央まで移動したときに朧は立ち止まり口を開いた
「そろそろ出てきたらどうです 監視していてもそんな気配を持っていたら10キロ離れていてもわかりますよ
それともこちらから赴きましょうか?」
言ってからしばらく様子を見てみる
ミア&キャロライン&レフィオ&日下美和vsフラック
>50
「・・・数が多い」
淡々と死体を切り裂いていた少女がボソッと呟いた。
あまり体力を使うのは得策ではない。
「行け、ウコム」
そう言って少女が取り出したのは一本の鉾。
それを相手に向かって投げつけると、鉾が黒い犬の姿へと変化する。
ウコムと呼ばれた黒犬が加わり、死体を処理するスピードが上がった。
だが、肝心の魔物の所までにはまだ、沢山の死人が待ち受けている・・・
>49
ロゼット VS ????
『想い、その胸に』
霧散した狼がいた所に、一丁の拳銃が転がる。
『試練を乗り越えたおまえに我が力を与えよう…』
頭に直接響く声。
そして、銃が空に浮かび・・・・。
黒い光となって私の首元に迫る!
「??!」
黒い光は、狼を象ったネックレスへと変わる。
『我が名はルシエド…力を求める時我が名を呼べ…』
『されば一時、汝の力とならん…』
つまり――――これが試練に打ち勝ったものへの『報酬』、か。
「そっか・・・・・」
私は、ネックレスを手で弄ぶ。
「・・・・・いらないわ、こんなの。」
―――そして、首からはずして祭壇の中心に置く。
「私は力が欲しかったわけじゃないしね。
・・・・・・私には、安心して背中を任せられるパートナーがいる、優秀な助手だっている。
それ以上、望むものなんてないでしょ?
それに・・・・弱い人間が力なんて持つと、ろくな事にならないでしょ?
だから・・・・いらない。
私より、あんたを持つのに相応しい奴がきっと現れるわよ。『いつか』、ね?」
私は、階段へと足を進める。
そして、最初の一段に足をかけたところで―――振り返った。
「・・・・・お礼、言わせてもらうわ。自分の想い、再確認できた。」
ふっと微笑む私の目に、一瞬あの狼が詰まらなそうに目配せするのが見えたような気がした。
階段を昇る足音が小さくなる。
後に残るは、静寂と狼のネックレス。
いずれ、再びこの遺跡に足を踏み入れ、試練を受ける者が現れるだろう。
彼は、静かにそれを待ち続ける――――――。
>52
vs ミア、キャロライン、レフィオ、日下
一匹、二匹と死人の数が減る。
或いは斬られ、或いは叩き潰され、或いは喰い殺され。
人間だったモノはバラバラとなり、アスファルトとコンクリートの街並みを濁った朱に染める。
その一方で娘たちに向かわなかった傀儡どもは、騒然となった街並みに踊った。
力任せに腕をふるい、踏みつぶし、叩き付ける。また一人また一人と死体は増え、傀儡の列へ加わった。
この街が滅びきるまで、死者の補給は途切れない。
この街を滅ぼしきるまで、フラックの震う錫杖の音は止まらない。
>46>50 ミア&レフィオ
娘たちを取り囲むように、死者は連なる。
その足が止まった事を確認すると、一斉に飛び掛かった。
型もなにもない、ただの飛び掛かり。自らの重みだけを武器にした、最も単純な武器。
アスファルトに叩き付けられ、血の飛沫を散らしながらも死骸は跳ねた。
重みで体が潰れる事さえも、厭わずに。
>48 キャロライン
切り裂かれた死体が蠢く。
千切れた肢体をばたつかせ、這いずらせ、掴み、追い詰める。
挽き潰されるまで、傀儡はその活動を止めない。
飛んだ手が、娘の裾をつかんだ。
そして――――フラックは、一つの建物へと躍り込んでいた。
>44追加
カテゴリーはAです
>32
<弓塚さつき(死徒27祖Ver)vsキメラヴァンプetc>
わたしを目掛け放たれる、死をも齎す鋼の礫。
未だ鈍る身体を運び、前方へ飛び、そして転がる。
その時、身体に――――――――ドンッ!
という大きな衝撃が走った。
身体を起こし、大地を蹴る。
右肘に痛みが走り、視線を走らせてみるとそこには
――――――――肘より先は存在しなかった。
思っていたよりも、ずっと痛い。
だんだんと痛みが増してきている、今よりも更に痛くなるというのか。
「ギ…………くぅ、は…ぁ」
耐えきれずに、痛む腕ををかきむしる。肉を千切り、筋を引きぬく。
赤い、真っ赤な血がしぶき、じくん、じくんと増々痛む右腕が、呆けた頭を覚ましてくれる。
「――――ふふ、あはははは………」
笑い声が、自然と口をつく。
――――――可笑しくて、堪らない
今まで、あって当然のものが無くなるというのは、こんなにも心細く、儚いものか。
だったら、これと同じ気持ちをあなたに贈ろう。
『あって当然のもの』が無くなるこの感覚、一人で味わうには勿体無い。
ざわり、と世界が震える。
この世界とは、異なる世界。そこはわたしの核となる、唯一絶対の心象風景。
その異界に踏み込んだものは、何人たりとも渇きの運命より抜け出す事は出来ない。
すべてを渇かし、枯渇する。
周りを駆けるわたしを狙う、装甲車の側面が渇き、ひび割れていく。
―――――ピシリと大きな亀裂が入り、
次瞬、装甲車が崩れ始める。
徐々に、徐々に砂となり、風になびいて、虚空に散る。
わたしの腕を持っていった、忌々しいあの銃身も最早塵となって消えてしまった。
湧き水のように砂が生まれ、流れ、そして散って行く。
ザバァと、装甲車が最後の崩壊を見せる。
まるで最期、己が巨体を誇りに思い、咆哮するかのように―――――――――――
ザ、ザザ、ザザザ……
わたしは流れてくる砂を掻き分け、足を装甲車であったものへと向けた。
<弓塚さつき(死徒27祖Ver)vsキメラヴァンプetc>
>57
<装甲車>
「――そんな、馬鹿な!?」
機関銃だろうがビクともしない装甲車が砂になって、崩れ落ちていく。
既に、現在進行形で起きているこの現象は諸井霧江の理解の範疇を超えていた。
――そして、装甲車は完全に砂となって崩れ落ちた
・
・
・
<森の外>
「ひっ―――!?」
砂の山の中からどうにか這いずり出てきた諸井霧江はただ、恐怖した。
自分に向かってくる弓塚さつきの姿に……
彼女のIQ250の頭脳もこの状況ではいかなる回答も導き出してはくれなかった。
何しろ、逃げようとしても、足がすくんで動いてくれないのだ。
彼女はただ、理解した。
数秒後には自分が殺されることを――
そして、思い知った。
いかに自分が無謀なことをしようとしていたかを……
彼女は気づいていたはずだった。
紛い物のキメラヴァンプでは、『本物の吸血鬼』には太刀打ちできないことを……
しかし、彼女の研究者としての矜持がそれを認めなかった。
ただ、それが彼女のミスだった。
――致命的な
彼女が今、出来ることは震えて最後の時を待つだけだった。
>58
<弓塚さつき(死徒27祖Ver)vsキメラヴァンプetcエピローグ>
ニンゲン、砂の中から一人のニンゲンが現れた。
今までのどの相手よりも脆弱、にも関わらずそれが最後の相手とは。
―――――馬鹿げてる
『どうしてこんな茶番に付き合わされたのか』とか、そんなことはどうでもいい
目の前に這いつくばっている『愚かな者』の首を掴み、引き摺り上げて、微笑を浮かべる。
「うん、結構楽しかったよ。
なかなか面白い舞台だった、でもね―――――――」
わたしはそのまま手をずらし、『愚かな者』の頭にかぶせ、ポツリと口を動かす。
「最後が、サイアク」
頭を握り潰す。何かがビチャリ、と顔にかかる。
頭部の無くなった身体が、ビクン、と撥ねる。
どさり、とニンゲンの屍体と一緒に倒れこみ、呟く。
「………はぁ、疲れたぁ」
けど――――――待っててね、この怪我が治ったら、すぐに志貴くんを迎えに行くんだから
<弓塚さつき(死徒27祖Ver)vsキメラヴァンプetc エピローグ>
>59
<『弓塚さつき』捕獲作戦失敗に関する報告>
先日、郊外の森で行ったリァノーン代用素体としての吸血鬼『弓塚さつき』の捕獲は失敗に終わった。
装甲車、キメラヴァンプ5体、傭兵40名が全て、わずか1固体に殲滅された。
又、本作戦の指揮を取ったドクター諸井も死亡した。
今回の件で、我が燦月製薬の負った損害は甚大なものといえる。
これからの……
・
・
・
<燦月製薬本社の一室>
「くだらねえ……」
報告書を途中まで読んだ所で、ジグムンド・ウピエルは報告書を破り捨てた。
「しかし、いい玩具だな。コイツは楽しめそうだ……」
ウピエルは愛用のギター『スクリーミングバンシー』を引っさげ、部屋から出て行った。
・
・
・
<路地裏>
弓塚さつきは、いつも通り、路地裏で『食事』を終えた。
丁度、その時、唐突にさつきの背後でギターの演奏が始まった。
さつきが振り返るとそこには、1人のロッカーがいた。
ロッカーは演奏を続けながら、さつきに肉食獣の笑みを浮かべ、話し掛けてきた。
「へえ、いい面だ。こいつは楽しめそうだ。互いに今夜は最高のギグにしたいもんだな」
さつきとウピエルの視線がぶつかりあう。
――そして……
朝霞万里絵VS浅上藤乃 導入
日比城市、今この街は連続猟奇殺人犯の話題で持ちきりだ。
尋常ならざる力で千切られ、ぶちまけられていた死体達。
どう見ても、人間の力でなし得る事ではない。
猛獣の仕業ではないかと噂されるその事件を、しかし別の視点で見ている者達がいた。
矢神遼と朝霞万里絵。
彼らは超古代文明イェマドの遺産によって引き起こされる事件――暴走と言ってもいい――を解決し続けていた。
そんな彼らは、この連続殺人事件の裏に普通は見えない遺産の影を見ていた。
すぐさま二人は独自に調査を開始。
だが、繁華街の裏側で形成されているコミュニティは思いの外閉鎖的で情報収集が遅々として進まない。
数週間を経て、氷澄達の手まで借りてようやく手に入れた情報は、礼園女学園の制服を着た少女の影だけ。
だが、他に手掛かりがない以上、それに縋るしかあるまい。
そこに問題が二つあった。
まず、全寮制であり、滅多なことでは中の生徒が外の世界に出てこないこと。
それだけなら潜入して調査に乗り出せばいいことなのだが、更に大きな問題が一つ。
女学園と言うだけあって、徹底して男が入り込む余地がない。
それはとりもなおさず、万里絵が単独で潜入調査に乗り出さざるを得ない事を示唆していた。
何処から調達したのか、礼園の制服を着て素知らぬ顔で礼園の一員になりすました万里絵。
本来全寮制というのは内部の結束が強く、全員が顔見知りであったりして紛れ込むのは容易ではない。
そこは学期明けから編入するという言い訳と、誰とでもうち解けられる性格で何とかうやむやにしてみせた。
教師に密告なり何なりで知られたら即アウトだろうが……。
数日の間、朝早くに潜入して消灯時刻には脱出するという生活サイクルを繰り返して、情報や内情を探る。
とりあえず、夕方頃には学習室に多くの生徒が集まるらしい。
そこで少し博打をしてみようと万里絵は考えた。
もっとも、夏休み中は帰省している生徒が多いらしいので、空振りに終わる可能性は覚悟していたが。
夕方のおしゃべり。
学園外部からの珍客である万里絵の話す内容は、内部からほとんど出ることのない少女達には強い興味の対象になる。
他愛のない話から都市伝説、噂話までを万里絵はそれがさも面白おかしくなるように脚色して話す。
いつしか、辺りの少女達は万里絵の一挙手一投足から目が離せなくなっていった。
(そろそろ、切り出しても大丈夫よね?)
こういうのは、タイミングだ。
早すぎても白けるし、遅すぎるときっかけを失う。
一瞬の逡巡を誰にも悟らせる事なく、自然に万里絵は次の話題を口にした。
「ところで、ついこないだまで辺りを騒がせてた連続猟奇殺人事件って知ってる?」
表情は先刻までと変えないまま、しかしつぶさに全員の表情を観察する。
いきなり自分に関係のある話を、予想しないところから投げかけれれば誰でも何らかの反応を示すはずだ。
それを見逃すまいと、万里絵は首を巡らせた。
朝霞万里絵VS浅上藤乃
あの事件と私と式さんとの死闘から数週間。
私はもうすっかり普段の生活に戻りつつある。
いつもの学校。いつもの先生。それにいつもの友達。
全てが当たり前にあるもので、それが私には嬉しかった。もう2度と手に入れる
ことが出来ない物だと思っていたから・・・。
そして、昔の浅上藤乃がここにある。それが異常者だった私にはどれだけ嬉しい事か。
そう、私だって普通に戻れるのだ。
事件の事は私の罪として一生心に残るが、それは私が生きることで償おうと思う。
それが私ができる精一杯の償い。自分勝手なのかもしれないけれど・・・
私にはそのくらいしか思い付かないから。
* * *
ある日、面白い子がこの学校へやってきたらしい。
とても話し上手で、世間の事をとても詳しく楽しく話してくれる子らしい。
エレベーター式で進学する他の生徒とは別に、私や鮮花と同じく外からやって来た
子らしいのだ。
そんな子はこの学校では貴重な存在。外界から切り離されたこの空間では
外界の情報を知るとても良い機会なのだ。
友人にそのような話を聞き、その子―――万理絵さんと会う事にした。
>65
噂通りの子だった。
とても面白い子で普通の他愛ない話でもあっという間に楽しい話に変えてしまう。
ただの他人とのコミュニケーションを取る夕方のお話でもこの人がいるだけでも
とても楽しい場になる。
今度、鮮花にも教えてあげよう。きっと彼女も喜ぶはずだ。
そして――話が盛りあがって来た時だった。
その時に彼女がこんな話題を話し始めた。
『ところで、ついこないだまで辺りを騒がせてた連続猟奇殺人事件って知ってる?』
周りの人はまったく知らない様子だった。
だけど・・・私は知っている。知っているというよりも・・・。
――――私が殺したんだ―――
あの忌々しい思い出が脳裏によぎる。
私が陵辱された事を始め、それを切欠に能力を開花させ初めて人を殺した事。
そして、復讐の為に関係の無い人も巻き込んだ事。
式さんとの殺し合い。
私
が
それを
愉しんだ
事。
「ご、ごめんなさい。ちょっと席を外します」
ここで立ち去るのは不自然なのだけれど、ここにいたら嫌なことをもっと思い出してしまう。
元々白い顔を更に蒼白にしながら私はその場を立ち去った。
・・・そして、私のその姿を見逃さなかった人物が一人 いた。
>30
殲鬼と闘鬼〜ガロンvs不破雷也
(足払い……確かに今のブライオーの足なら……でも、向こうも同じはず)
牙を剥き出しにして飛びかかり、足払い。
あまりにもあけすけ。だが、今のブライオーの足では避けることは不可能。
だが、これをそのまま受けるのは、まずい。
(ならば……)
足払いに対し、逆らうことなく、身体の力を抜く。
ふわりと宙に浮く、ブライオーの巨体。
そのまま、後方にとんぼ返りに飛び、着地。
その目の前を、気の砲弾と化した人狼が昇っていく。
「甘い……んだよ!」
人狼に向かって、ブライオーの全体重を載せたタックルを叩き込む。
>65>66 朝霞万里絵VS浅上藤乃
万里絵の切り出した話に大半の人間は知らないと返し、一部の人間が知っていると答えた。
その中に、特におかしな反応をしている人は――いた。
傍目にも分かるほど、顔色を蒼白にさせた少女が一人。
この部屋に来た時に、ざっと確認した時にも色白だなという印象はあったがコレは異常だ。
動揺を隠そうともしない――いや、隠す術を知らないのか。
『ご、ごめんなさい。ちょっと席を外します』
その少女は、そう言ってそそくさと学習室を辞していった。
もちろん、万里絵はその様子を見逃しはしない。
顔はもう覚えた。
後は名前と部屋の場所だが……。
「ねえ、今の子どうしたのかな?」
去っていった少女の方を見ていた子を適当に一人捕まえて、そう尋ねる。
案の定、彼女は少女のことを知っていた。
それとなく名前と、部屋が何処であるかを聞き出す。
「浅上、藤乃さんね」
確認するかのように名前を反芻する万里絵。
もし、彼女が遺産を相続していたら……どうするのだろう?
此処に遼や氷澄達を呼び込む? 不可能ではないと思うが、それは難しい。
何より、事後の問題の方が深刻だろう。
少し調べてみたが、此処の閉鎖性はある意味異常だ。
外界を拒んでいるようにすら見受けられる。
なら、藤乃を外へ連れ出す? それも此処では難しい。
外から受け入れるのと同様に、内から外へ出るのも容易ではない。
事前に学園の構造を調べた上で、なおかつ万里絵だからこそ出入りが可能なのだ。
余分な荷物を抱えて、誰にもばれずに脱出する自信は万里絵にはない。
なら、残る手段は……。
(やっぱり、あたしがやるしかないかな?)
見たところ、藤乃に心得があるようには思えない。
油断せずに不意を付けば、簡単に無力化させることはできるように思える。
だが、だからこそどのような遺産を相続したのかが問題だ。
人間を、ボロ雑巾でも引きちぎるかのように捻る力……。
(考えても仕方ないか。そもそも、まだ彼女が遺産を相続したって確認したワケじゃないしね)
それを確認する為に、夜に藤乃の部屋を訪ねることにした。
>68続き
――消灯時間を経過した寮内、浅上藤乃の部屋の前。
万里絵は藤乃の部屋の前に立ちながら考えた。
遺産を使われた場合の可能性をだ。
常に最悪の事態を想定して行動する、だがそれでも現実はしばしば予想を上回る。
懐にはナイフと特殊警棒、無力化させる為のスタンガンと拘束用のワイヤーを忍ばせている。
一応、今夜は探りを入れるだけのつもりだ。
だが、仮にも猟奇殺人犯の疑いがある相手、衝動的に力を使わないとも限らない。
用心はするに越したことはなかった。
(さあ、行くわよ万里絵)
コンコンと、ゆっくりドアを二回ノックして扉の向こうにいるはずの藤乃へ声を掛けた。
「浅上さん? 話があるんだけど、いいかな?」
殲鬼と闘鬼〜ガロンvs不破雷也
>67
「ほぅ・・・・・・これはやる・・・・・・」
あの連撃を避けてなお、迎撃に転じてくる戦士を目にした彼は、
笑みを浮かべる。気の砲弾は突然、その向きを変えると、
戦士のタックルを迎え撃つように突き進んでいく。
そして両者は激突した。力の反発により、再びはじけ飛ばされる。
起き上がった彼の顔には笑みが浮かんでいた。
そう、まるで子供のような笑みが。
「素晴らしい!貴様は実に素晴らしい!こうでなくては!!
ならば、俺も奥義をいくつか見せよう・・・・・・ここまで楽しませてくれたお礼に、な」
彼の体からすさまじいまでの闘気が立ち上る。
それはやがていくつかの形を取り始める。
そう、彼と同じ、蒼き人狼の形を。
「さぁ、踊ってもらおうか?俺の掌の上で死の舞踏をな!!」
>70
殲鬼と闘鬼〜ガロンvs不破雷也
「空中で軌道を変えるか……全く」
吹き飛ばされながら、ぼやく。
しかし、その顔には笑みが浮かんでいる。
そう、目の前の人狼と同じ、無邪気な笑みが。
「しかも、分身……たまんないね……」
「なら、こっちも手数を増やすか……」
ヴン、と空気が揺れる。
「姫護の技じゃないんだけどね……掃扇捶八連斬って云うんだ」
言葉と同時に、人狼に向かって拳が伸びる。
一本、二本、三本……凄まじい速さの連打が、腕の数をさえ増えたかのように見せる。
拳の弾幕が、人狼を襲う。
殲鬼と闘鬼〜ガロンvs不破雷也
>71
「ほぅ、覇宗拳波斬門の技を使うか・・・・・・」
拳の弾幕を目にした彼は、目を細める。
「伝説のあの拳を使うとは、ますますもって面白い・・・・・・最高だよ、貴様は!」
人狼は咆哮した。歓喜の咆哮を。
そしてその拳の弾幕に突っ込んでいく。
拳には拳を。人狼の群れは一斉に拳を繰り出していく。
人狼と異形の戦士の拳の競演を見る観客は無い。
ただ、白い雪のみが、二人を見守っていた。
対レイオット・スタインバーグ
ただがむしゃらに、迷路のように入り組んだ夜の街を走っていた。
もうどれくらい走っただろうか。しかし、それでもまだ、先程自分に手傷を負わせた
退魔士の気配は離れることなく、背後にひしひしと感じられた。
くそっ、まだ追ってくるのか、少女の姿をした人形め。
そんなに俺を殺したいのか、血に飢えた殺戮機械!
この身から派生させた影は打ち破られ、自分自身も片腕を失い、脇腹を大きく抉られ、
片目を失って、それでもなお、俺は逃げる事を止めなかった。
無残に殺された妻の姿を、娘の姿を、俺は一生忘れない。
妻の為、娘の為、あんな下卑た事しか出来ないゴミどもをこの世から殺し尽くすまでは、
俺は殺されるわけにはいかんのだ。
相も変わらず背にへばりつく退魔士の気配に焦りを覚えつつ、
入り組んだ路地裏の突き当りを右に入った。
そこには、狭い道を塞ぐ様に停車する、大型トレーラー。
かろうじて人一人が通れるぐらいの隙間は、中世の騎士が着るような鎧を着込んだ
人間によって、完全に防がれてしまっていた。
こんな所で手間取っているわけには行かない。
ぐずぐずしていては、すぐにあの小娘が追いついてきてしまう。
いつもならばトレーラーくらい跳躍で越せばすむ事だが、深手を負った今の体では
それも難しいだろう。
ならば、やる事は一つだった。
残った片腕に未だ残る鋭い爪を閃かせて、俺は鎧に駆け寄った。
「邪魔だ! そこをどけェ! 俺はまだ死ぬわけにはいかんのだッ!」
>72
殲鬼と闘鬼〜ガロンvs不破雷也
「おおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」
雄叫びと共に、拳と拳がぶつかり合う。
超硬質の妖獣の拳と気を纏った人狼の拳がぶつかり合う。
まさに神速の、拳と拳の激突。
(打ち負けはしないまでも……お互い何処まで続けられるか)
そう、連撃は無呼吸運動。
つまり、体内の酸素を使い切った時が最後。
(我慢比べと、行きますか!)
ブライオーの瞳が、雷也の闘気に呼応して輝く。
さらに、拳撃の速度は増していく。
前スレ>387
ヨコシマ&ロゼット一行 VS G.G.スレイマン
『ボーイ・ミーツ・ガール?』
も、文珠を撃ち返す!? 出鱈目も何処まで来れば気が済みますかっ!
と言うよりも、俺の文珠が・・・攻撃がさっぱり効きませんかぁ!
「アカンっ! もー、アカンっ! なんだか俺の人生がここで終わる気がとってもするっ!!」
爆の文珠がこっち目掛けてすっ飛んで来た。文珠の弾丸なんて洒落にしても酷い、酷すぎる!
あれの爆発をまともに喰らったら、人間なんてひとたまりもない。
さらに加速が付いてる分もあって、破壊の規模がどうなるか想像もつかん!
――文珠で防ぐか。
――いや、そもそも防げるのか。
――文珠の霊力は同じなんだぞ。なのに、スレイマンの呪力まで加わったら――――!
微かな時。
僅かな袖手。
手遅れになるには十分な時間だった。
手に握り締める二つの文珠に文字を刻む前に、文珠砲の砲弾――――文珠「爆」が迫る。
≪おおおおお!!≫
それを叫びが、男が遮ったのは文珠が弾けるのとほぼ同時だった。
何が起こった? 文珠はどうなった?
どうしてあんなに辛そうなんだ? この男は?
あの娘は? スレイマンはどうしてる?
――――こいつ、悪魔か!?
≪わかった・・・・5分・・・・いや、3分で片をつける!!≫
そこで思考が一時中断させられる。決意に充ちた男の、いや悪魔の声が焦燥の念を俺に伝えてきたから。
・・・って、三分で倒す? おいおい、無茶言うなっ!
今までの展開をからみて、どーしてそうあっさりと断言できますか、あんた!
そもそも――この業界大抵なんでもアリだけど、いきなりが悪魔が涌いてくるって何だよ!
それにそいつがバリアを張って、俺たちを守る理由って一体――――ダメだぁ、さっぱりわからん!
「終わりや、もうお終いやぁ! スレイマンだけならまだしも悪魔まで出てきやがったぁ!」
結局、混乱した思考は錯乱となって噴出した。酷い頭痛がしたように感じて、堪らず頭を抱える。
いや実際、色々ありすぎて俺の耳からは煙が出ていたに違いない。
戦う意志も気力も削がれて、俺は滝のような涙を流しながら這いつくばって後ろに下がり・・・
>75 の続き
『この!! 卑怯者――一・・・・・・!!』
怒声が、足を止めた。
絶え絶えの息に脂汗が浮かぶ顔、それでもシスターは体を引きずるようにして動き回っていた。
『・・・・・・クロノ、民間人の待避、終わったわ・・・巻き込む心配ないわ!!』
――――と、クロノ? どっかで聞いた名前・・・って、あの時のガキ!
あの悪魔が、あのガキだってのか。文珠の爆風も押さえ込むような力があって、なおかついい男で、
そこはかとなくムカツク香りを漂わせてるヤツが――――あのガキ?
クロノと呼ばれた悪魔はシスターの言葉に微かに頷くと、より一層防壁の力を強めた。
文珠の生んだ爆炎を押さえ込むと、そのまま発散させていく。
――――卑怯者? 俺は十分にやったつもりだ! 出来る事なら、とっくに逃げてる!
――――でも、あの娘はあんなになりながらも戦ってる。何とかしようとしてる。
――――なら、俺は?
「―――ええい、チクショウ! やったるわい!」
どうせこのままじゃ死ぬだけだ、なら精一杯足掻いたるわっ!
クロノは無事炎を防ぎきると障壁を消し、それとほぼ同時のタイミングで飛び出した。
加速したスレイマンに並ぶほどの勢いで黒い翼を広げ、空を駆け、強襲する。
あのまま、白兵戦を挑むつもりの様だ。
・・・そうだ! 文珠を投げて無駄なら、直接叩き込めばいい!
あいつに出来るなら、俺にだって出来るはず!
手の中で転がしていた文珠に意識を向けた。
それに二文字、「強化」と刻んで胸に叩き付ける――上手くいってくれよ、文珠。
鈍い霊波の光が体内に飲み込まれると、全身の感覚ががらりと変わった。
――肌を触れる風もザラザラと重く、淡く痺れる腕を逆さに撫でる。
――躍動する筋力は荒ぶるばかりで、別の体のような錯覚を与えた。
――思考までも加速されて、追いつけない視覚が光芒を徐々に失っていく。
拙い。この文珠、思ったよりも強力だ!
狭窄する視界の中で俺は歯軋りした・・・こりゃ、長くは保たねーぞ。
右手の感覚を確かめるように、握っては離す。霊力を走らせると再び「栄光の手」が展開した。
地を蹴ると俺の体は風を切り裂く。
まとわりつくような大気の壁を掻き分けながら、俺も悪魔に続いてスレイマンに向かった。
右手の「ハンズ・オブ・グローリー」にありったけの霊力を乗せて――――!
>73 対悪浩志
「――――あ?」
それは、唐突だった。闇を切り裂くように、こちらへと全力疾走する影がひとつ。
それがなんなのかを認識する前にこちらへと肉薄したそれは、叫びとほぼ同時、
もはや凶器としか言い様のない鋭い爪を、一息にこちらへと繰り出していた。
「ちっ!?」
脳がそれを知覚する前に、危険を感じた肉体が反射的に駆動していた。
地面に身を投げ出すように、その一撃を回避――
殲鬼と闘鬼〜ガロンvs不破雷也
>74
神速の拳がぶつかり合う。
意気があがるまで殴り続ける我慢比べは、唐突に終わった。
戦士の連撃が一瞬鈍る。
その隙を見逃そうはずも無かった。
彼は鋭い顎で肩口に食らいつくと、
絡みつくように押し倒し、雪上を転がる。
無理な体勢から転がる相手には、とてつもない激痛が走ろう。
そして回転の勢いに獣の脚力で戦士を放り投げる。
戦士の体が、宙に舞った。
>77 対悪浩志
(8<i:回避成功)
回避――成功。
地面を転がりながら、レイオットはその奇妙な男から距離を取る。
その勢いを利用して、流れるような挙動で即座に立ち上がった。振り向き様に、一言。
「いきなりご挨拶だな、おっさん! 一体何のつもりだ!?」
だが、肉体はすでに戦闘状態へと突入している。本能的に、あれは”違う”と理解していた。
男が壮絶な表情でこちらに向き直るとほぼ同時。
いつしか手にしていた拳銃――<ハード・フレア>カスタムから、轟音と共に、3発の.45MAG
弾が飛び出していた。
>79 対レイオット・スタインバーグ
鎧を着込んだそれは、爪の一撃を回避すると、腰のホルスターから
騎士の姿に似つかわしくない銃を引き抜き、その照準を俺に向けた。
続いて、さも当然のように引き金が絞られ、昔見たサイレント映画のように
静かな街に、乾いた銃声が三発響き渡ると同時に、その無骨な銃身から
飛び出た弾丸が、俺を捉えようと迫ってきた。
俺は、もはやがたが近い体を酷使して、トレーラーの陰に入るように大きく跳んだ。
>80
(回避失敗:g>m)
しかし、やはり傷を負ったこの体では、至近距離から放たれる銃弾を
かわし切る事は不可能だった。
時代錯誤の鎧を着込んだ男が放った銃弾は、急所に当たる事は無かったものの、
一発は脇腹に、他二発は右の太ももを抉り、新たな痛みをこの身に与えた。
痛い。痛い痛い。何故俺がこんな目に合う。俺は妻と娘の仇を取りたいだけなのに。
無能な裁判官、無能な検察、社会のゴミども、この痛みがふさわしい奴等は、
もっと他にもいるはずだ。
そいつ等が安穏と暮らしていて、被害者である俺がこんな目に合う。
何故、俺だけが。世の中は間違っている。腐りきっている。
だから、俺が痛みを与えてやる。
他の誰もがやらないのなら、俺が奴等を八つ裂きにして殺してやる。
妻の、娘の受けた痛みの倍の苦しみを、あの屑どもに教えてやる!
そのためにも、まずは目の前のこいつを殺す。
それの邪魔をする奴は、誰であろうと殺し尽くす。
「五月蝿い、小僧! 邪魔をするというのなら、お前もあいつ等ゴミと同じだ!
ここで殺す! 殺す! 殺す! 殺す! 殺す! 殺す! 殺す! 殺す!」
俺は体中から残った力をかき集め、残った片腕を大きく振るった。
俺の腕が空を切ると同時に、虚空に赤い光丈が大量に現れ、それらは全て、
鎧の男に向かって一直線に殺到した。
>81 対悪浩志
「――――!?」
憎悪――あるいは慟哭か。
そのどちらをも含んだ絶叫を上げると、男は振るった腕の先から、連続して大量の
光丈を撃ち出してくる。猛烈な速度で迫るいくつもの赤い光。避けられない。
「くそったれ!」
吐き捨てながら、反射的にスタッフの呪文選択装置を操作。5番と書かれた呪文書式板を装填位置へ。
同時に、操桿を引き――無音詠唱。
飛来する赤は、まさにもうこちらへと襲いかからんとしている。スタッフを振り上げながら考えるのは、
たったひとつ――
(間に合うかっ!?)
それは、まさにほんの刹那。
「――イグジストッ!」
>82 対悪浩志
(d>0:回避失敗 1回目○ 二回目○ 三回目×:勝利)
<デフィレイド>発動。1デュラピッド消費。
瞬間、正面の空間に波紋が走り、飛来する無数の赤を受け止める――だが。
「がっ――――!?」
<デフィレイド>の発動の直前、こちら側に入り込んでいたいくつもの赤が、連続してレイオットを襲っていた。
命中と同時に発生する衝撃がレイオットを揺さぶり、一瞬だけその思考を空白にする。
気が付けば――数メートルを吹き飛ばされ、彼は地面に倒れ込んでいた。
「この――!」
意識を喪失していたのは、ほんの一瞬だけだったのだろう。男は赤を撃ち出したその位置から、微塵も動い
てはいない。反射的に、胸元を見下ろした。舌打ち。
「……残り、3か――」
魔族戦闘のほぼ直後に襲われた為、もはや拘束度に余裕など無い。未だこちらに殺意を向けたままの男を
見据えて、彼は決断していた。決めるなら……一撃で仕留めるしかない。
弾けるように起きあがりながら、呪文選択。即座に無音詠唱。そして――口の中で、補助呪文の詠唱を開始。
「――グロークン・グロークン・エイテ・イム・シーンス……<ヴォルテックス>……」
呼吸を止める。狙うのはただ一点。さらにこちらへと襲いかかろうとしている、この化け物じみた男だけ。
虚数界面に構築された力は、真紅の魔法陣となって解放の時を待っている。
その期待に応えるように、彼は叫ぶ。自らの望みを、現実世界へと転化させる為に。
「イグジスト!」
瞬間、魔法が顕現する。突如として空間に発生した巨大な渦動は、男をその圏内に瞬時に絡め取ると、内部
に向かって無限に周桑を開始。
生み出された破壊の螺旋は、男の身体を猛烈な速度で磨り潰し始めていた。
>83 対レイオット・スタインバーグ
鎧の男は、手に持った凶悪な鉄の塊を構えながら、呪文のような物を口にしていた。
呪文。くそっ、コイツも退魔士か何かの類だったか。
今の状況でもし呪の類を喰らおうものなら、まず間違いなく俺の体は滅ぶだろう。
それは嫌だ。それは出来ない。俺は死ねない。死にたくない。
「うおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
ただ咆哮のみを発して鎧の男に走り寄る。
あいつの呪が完成するより早く。この爪を奴に突き立てなければ。
ただそれだけを考えて、走る。走る、走る、走る・・・。
後数メートル、たったそれだけの距離を詰めれば、俺はあいつを殺してやれる。
そう、たった数メートルだけなのに。後ほんの数メートルなのに。
だが、その数メートルは、俺と鎧の男を隔てる、絶望的な厚さの壁だった。
無常にも男の呪が完成し、俺の目にもはっきりわかるほど世界が歪む。
次の瞬間、突如として巻き起こった巨大な渦に、俺の体は巻き込まれていた。
「ぐああああああああああァァァあぁァァァぁぁぁぁぁァッッ!!」
捻れ、曲がり、磨り潰され、俺の体が失われていく。
もはや、この俺の消滅を止める手段は無いことは、自分が一番わかっていた。
この最期の瞬間に、平和ボケした顔で今日も馬鹿みたいな事を繰り返す
あいつ等の顔が思い浮かんだ。
体に残ったカスみたいな力を総動員して、この場にいないそいつ等に、
ありったけの呪詛を撒き散らす。
「くそォ! 何故だ、何故だ何故だ何故だ何故だ何故だッ! 何故俺だけがッ!
あいつ等こそ死ぬべきなんだ! なのに、何故俺が死ななければならない!」
そう叫んでいる間にも、渦は容赦なく俺の体を捻り潰していく。
「結局、悪が勝つのか………」
自分が発した、力の無い呟きを耳で拾って。
それを最期に、俺の意識は、深い暗闇に放り投げられた。
ラルフ・グルトvsロゼット=クリストファ 導入
シスターケイト曰く、彼は可哀相な人らしい。
シスターケイト曰く、彼は生真面目なだけらしい。
シスターケイト曰く、彼はけして悪人では無いらしい。
シスターケイト曰く ――――――――
「あぁ、だからなんだってのよ!!」
少女は叫ぶ。
少女の名はロゼット=クリストファ。
アメリカのプロテスタント系退魔組織<マグダラ修道会>の修道騎士だ。
「大体、なんで背教者を引き留めなきゃいけないのよ。
神様が嫌いな人を無理して好きにさせる必要なんてどこにも無いでしょ」
今回の任務は今まで彼女がこなしてきた<悪魔祓い>とは異なるもの。
母なる神を見限り、闇に身を隠した男を説得し、<ある計画>を止める。
大任だ。
だが、上司であるシスターケイトはその任務をロゼットに託した。
彼女曰く、似ているらしい。ラルフ牧師と境遇が。
『ただ……ロゼットはその怒りを加害者だけに向け、
ラルフ牧師は――――全てに向けた。もちろん、神様にも、です』
だからこそ、ロゼットなら止められるかも知れない。
彼の愚行を。彼が背負おうとしている罪を。
「――――で、私はこんな怪しげな所に一人で派遣されたってわけ」
少女は誰に喋るわけでも無く、呟く。
此処は港。此処はイギリス。此処は――――架空都市<倫敦>。
>85
「此処にラルフって人相の悪い牧師が泊まっているでしょ? ちょっと呼んでくれない?」
ロゼットはホテルに着くと、開口一番フロントにそう言い放つ。
ライカンスロープのフロントはロゼットの急な訪問に困惑することも無く、
「302号室のラルフ様ですね。かしこまりました。お電話でお呼び致します」
と、嫌味なほど堅い口調で言い返した。
「――――失礼ですが、お名前は?」
「私? ……あぁ、<マグダラ修道会>からの愛の使者とでも言っておいて」
フロントも、さすがにこの返答には困惑した様子で一瞬動きが止まったが、
すぐに受話器を耳に当て、口を動かし始めた。
ロゼットはその様子を確認すると、フロントに背を向け、ロビーにある大きなソファーへと足を運んだ。
ソファーにと座り込む前に、腰のホルスターから拳銃を取り出し、スライドを引く。
撃鉄が起きたことを確認してから、改めてホルスターに差し込んだ。
(まさか此処でドンパチなんてやんないだろうけど……念のために……ね)
「ていうか……私にどうしろって言うのよ。……もぉ」
ロゼットはソファーに寝ころびながら、静かに待ち人が来るのを待つのであった……。
vsロゼット・クリストファ
>86
「どなたですか、『愛の使者』さんと言うのは?」
刈り込んだ金髪、よれよれの修道衣、サングラスをかけた、どうみても悪人面の男――――
仲間とともに倫敦に天界を落とそうと行動中のラルフ・グルトは、
階段を降りつつ、踊り場からロビーに向かって声を掛けた。
「ただ今少々立て込んでいるのですが・・・おや?」
視線の先にシスター姿の少女がひとり、手持ち無沙汰そうにソファーに埋もれているのが確認される。
あからさまに不機嫌さが見て取れる、そんな表情をして。
「もしかして、貴女・・・ですかな?」
慎重に間合いを計算しながら、しかし顔には笑みを浮かべてその少女の方へと足を運ぶ男。
こちらも、表面上はともかく内心はかなり気が立っている。
「どうでも良いですが・・・・・・用件は手短かにお願いいたしますな」
>87 vsラルフ・グルト
男がこちらに気付く頃には、ロゼットもソファーから身を起こし、起立の体勢を取っていた。
いくら気が乗らなくても、これは任務。
表面だけでも体裁は取らねばならない。
「あんた……じゃなくて、あなたがラルフ牧師ですか?」
返事など聞かなくても分かる。
神の子羊の中で、恐らく彼ほど子羊に相応しく無い顔の持ち主はいないだろう。
それは渡された男の写真でも、実物でも変わらない。
「わ、私はマグダラ修道会修道騎士のロゼット=クリストファ……です」
馴れない敬語を必死に操り、二頭分ぐらい違う男に言葉を掛ける。
本当は修道騎士「見習い」だが、この程度の見栄は神も許してくれるだろう。
「えぇ、要望通り簡単に用件を言っちゃうと……言いますと」
正直、何を言えば良いのか分からない。
だから、思い付いたことを言うしかないだろう。
「――――あなたのやってることは悪いことだから、やめませんか?」
第三者から、この組み合わせはどう見えるだろうか。
悪人面した長身の男と、まだそれよりも二回りほど小さい少女。
同じ修道衣を身に纏っていなければ、警察に通報されても文句は言えないかもしれない。
――――そんな組み合わせだった。
ミア&キャロライン&レフィオ&日下美和vsフラック
>54
「あ、ありがと」
空から降ってきたゴスロリ姿の女の子に助けられ、私はどうにか身体を起こす。
・・・ゾンビもどきも降ってきたけど。
「・・・・・・だぁぁぁぁっ!!!」
立ち上がりざまに、足を振り上げハイキック! 対空技もばっちりだ。
・・・数がいなけりゃ、の話だけど。
背後では、さっきの女の子が同じようにしてゾンビもどきを迎撃している。
だけど、あっちも雪崩の様に沸いてくるゾンビもどきが相手じゃ、少々分が悪いようだ。
「あ、逃げた!」
親玉っぽい奴が、ビルの中へと駆け込んでく。
ここは・・・元から断つべきだろう。
「追いかけた方が良さそうだぞ? ええと・・・」
「ミア・フォーテー。って、自己紹介してる場合じゃないねっ!」
女の子のもっともな意見に同意して、私は件のビルに向かって駆け出した。
っと、その前に・・・
「一気に行くから掴まって!」
ミア&キャロライン&レフィオ&日下美和vsフラック
>54
「殺しても殺してもまだ減らない。アハハ! まったく何をやってるんだか」
慢性アル中の十番人格が笑い出す。
「人殺しさ! それ以外のなんだというんだ?」
十二番人格が嘲笑う。
返り血が服にかかった。
しかし、彼女が着ている僧衣は黒一色。ついた返り血も目立たない。
死者も、生者も沈黙し――――
諦めの悪い手首が裾を掴んだ。
「Amen! 成仏なさい」
振り払ってしばし黙祷。その間も手は休めない。
「あなた達の罪は私が背負います。だから―――」
ビルに入った死人使いに視線を動かし、
「―――願わくば、死後の世界が貴方にとって優しいものであるように」
また一人、死人を斬った。
ミア&キャロライン&レフィオ&日下美和vsフラック
>54、>89
「レフィオだ、ミア」
助けた女の自己紹介に律儀に答えを返し、少女はビルとこの場の間にいる死者の数を数えてみる。
・・・とてもではないが、全部叩いている暇はなさそうだ。
「どうするんだ? まだまだ増えそうだぞ?」
どう言う理由かは分からないが、さっきよりも死者の数が増えているような気がする。
そのことについて訊ねようとしたら、
強引に身体を引っ張り上げられた。
「・・・あれ?」
ミアと名乗った女が、少女を背負ったまま一気に駆け出した。
左手に拳銃、そして右手に・・・
「変な武器?」
銃の先端に刃がついている、不格好な武器。
女は両手の武器から銃弾を発射しつつ、死者の群れの中を突っ切っていく。
・・・どこかでみた事がある武器だ。確か・・・・・・
「『金剛ブレード』?」
少女の呟きに、女は我が意を得たりといった表情でにやりと笑う。
「だけど、イデタツはあれはまだ流通してないと言ってたような・・・」
まあ、彼女としては楽を出来るならどうでもいいとは思うのだが。
「確実に夕飯には間に合わなくなったな」
巻き込まれた自分の身を振り返り、少女はため息をついた。
ミア&キャロライン&レフィオ&日下美和vsフラック
>54>89>90>91
どうやら自分の他にも、動いてる人間がいるらしい。
さっきよりもバラバラの死体の比率が増えているという事は、つまりそういう事なのだろう。
数が増えた分、余計に面倒になったような気がしないでもないが。
ビルの中に駆け込んで、少女は魔物の気配を探る。
上に一つ、そして――――
微妙な気配の持ち主が、こちらに向かって駆け寄ってきた。
「おまえが、敵か?」
黒い服を着た少女を背負い、銃を乱射しながら駆け寄ってきたソレに剣を突きつけ、彼女は尋問する。
・・・どうやら巻き込まれた一般人らしい。
銃を所持して一般人も何もないような気もするが、別に関係ないことだ。気にしない事にする。
遅れて、黒衣の修道女がやってきた。
「・・・・・・先を急ぐか」
後ろで何かもめているようだが、自分には関係ない。
ましてや、彼女たちはこの一見に無関係らしい事でもある。
構っている暇などない。
「ウコム、いくぞ」
>92 vs ミア&キャロライン&レフィオ&日下美和
窓を破り転がり込む道化師に、そのビルの住人たちはただ困惑した。
恐れるわけでも逃げるわけでもなく、ただただ驚き戸惑う。
その道化師が街を死と恐怖の底に陥れている事も知らずに・・・
立ち尽くす人間など、殺すのは造作もなかった。
少々、濃いめに毒の息でも撒き散らせばよい。大きく嗤い続ける口から、毒の息が零れる。
空調が整っているが故に閉鎖的なビルのフロアは、瞬く間に死で閉ざされた。
そして、錫杖の音が響く。
――――少女たちがビルに押し入ったのは、ちょうどそんな頃だった。
”おや、こんな所までお越しとは。わざわざ、痛みいります”
わざわざ姿を晒し、またも深く深く腰を折るフラック。
手の内で錫杖を鳴らしつつ、その口からは毒の残滓を吐きながら。
”よもや、あれほどの死者を祓うとは。これでは舞台が台無しだ”
声と同時に地を蹴る。音も気配もなく天井まで飛び上がると、コンクリートを掴み、体を捻った。
その勢いを乗せたまま天井を蹴ると、風の飛礫になって走り去る。
道化師の小男は、たちまち姿を消してしまった。
”そろそろクライマックスと行こう。さあ、手遅れにならぬうちに我を滅ぼしなされ”
そんな言葉だけが、フロアに残った。
いや――――フラックの吐いた毒の息と、白目を剥き泡を吹く死者たちも一緒に。
死者たちは手にペンを、椅子を、飛礫を持ち、一斉に投げ掛ける。
少女たちの行く手を阻むように立ち、腐り果ててゆく肉体を揺らしながら。
>84 悪浩志
エピローグ
無限に小さく絞り込まれていく渦。その中心で――男は、持てる力の全てを振り絞るかのように、
虚空に向けて絶叫する。
吐き出される呪詛の中に含まれる憎悪と悲しみは、その身が削り取られつつも、微塵も衰えることはない。
渦の中で、男の肉体は引き千切られ、押し潰され、際限なく破壊され続ける。
最後に――――
「結局、悪が勝つのか………」
その言葉だけを、世界に残して。男の肉体は、絞り込まれていた力場が爆発するように展開すると共に、塵と
なって空気中へと拡散した。
その様を――レイオットはただ、黙したまま見つめている。
「――――――」
彼になにがあったのか。なにを考えていたのか。なにを感じていたのか。それらは一切、レイオットに分かるは
ずもなく……また、興味ないことでもある。ただ――その彼を殺したのは、紛れもなく自分自身だ。
だから、一言だけ。
「――すまんね」
なんの感慨も難じさせない、そんな口調で言葉を絞り出すと、なにもなくなったその空間に、静かに背を向けた。
黒い鎧姿が、口を開けたモールドキャリアのカーゴ部分に吸い込まれていく。
――――十分後。
つい先ほどまでの、小さな戦闘の痕跡など欠片も残らないその場所を。
夜に浮かぶあの月が、いつものように、黙したまま。静かに、その光を投げかけていた。
レイオット・スタインバーグ対悪浩志
>73>77>79>80>81>82>83>84>94
>51 vs朧
(勘付かれたか……)
もとより、さほど隠形に通じているわけでもない。
無論、人ごみの中を誰にも意識されずに通るくらいは容易いが、
一流の相手にそう長く隠しとおせるものでもない。
合成人間であるユージンには、さほど身を隠す必要すらない。
標的の暗殺は、たとえ衆目の前だろうとそれと気づかせず行うことができる。
それが、ユージンの能力だ。
音もなく、さながら影のように、その姿が木陰より出る。
「おまえが誰かは知らない。何をしたのかもしらない」
手首を軽く揺らす。
「――だが、統和機構の敵であるというなら……おまえには死んでもらわなければならない」
ただ――少しだけ興が向く。
どうせいつでも殺せるのなら、少しばかりそれが遅くても同じだろう。
「……なにか、言い残すことはありますか」
>96 ユージン
目の前に音もなくさながら影のように、その姿が木陰より出てきた。
どう見てもまだ学生で街中で友人と共に楽しく会話しているのがふさわしい姿だが、彼の持つ気配そして 身のこなしは普通の学生のものではない。
だが 朧は知っていた、戦いにおいて 外見で判断することはすなわち死を意味すると、
彼自身も10代の頃にはすでに強さ極まっていたのだから、そして 彼に唯一 敗北を刻んだ相手は同じぐらいの年代であるでしであったのだから。
「おまえが誰かは知らない。何をしたのかもしらない」
そう言って青年は手首を軽く揺らした。
「――だが、統和機構の敵であるというなら……おまえには死んでもらわなければならない
統和機構?聞いたことのない組織だ。
過去に朧がいたアーカムと言う組織の資料にもそんな名は見当たらなかった。
裏の世界でも朧の名を知らぬものはモグリと言われていたし 彼を倒して名を上げようとしているもの達と数え切れないほどたたかってきた。
しかし統和機構という名前は今まで一度も出てこなかった、考えられるのは 新しくできた組織なのか それとも隠匿性が強いグループであるかだ。
そして構成メンバーも精鋭なのだろう、一流になればなるほどその傾向は強くなるものだ。
おもしろい やはり下山は正解だった、より強い相手と戦えるのであるならば敵でも味方でも挑むのが己に与えた試練であり
自分自身の修行なのだから、目の前にいる青年が誰であろうと構わない。
私が興味あるのはより強い相手との戦いなのだから。
「……なにか、言い残すことはありますか」
そう聞いてくる。
その質問に一つだけこちらからも聞きたいことがあった。
「あなたは 何のために戦っているのですか?」
その答えを聞くことでこの青年の強さの位を確かめようとした。
>
http://cocoa.2ch.net/test/read.cgi/charaneta/1018527916/386 (殺人卿vs死の教師)
『……立てませんが、殺されるのは困りますね。まだ見せたいものがあるんですよ』
闇の向こうから、そうネイムの声が響く。
まだ、何か芸を披露したいらしい。
どうせだ、最後までつきやってやるのも一興だろう。
「いいだろう、見せてみろ」
魔術の詠唱を開始する。
まあ、灯りを燈すだけの極めてシンプルの詠唱だが……
「I order――」(命ずる)
「light――」(光よ)
虚空に小さな炎の玉が浮かび上がり、周りを照らし出した。
そして、ネイムは血涙を流しつつ、私に対して、銃を構えていた。
「――まさかとは思うが、それが切り札か」
――あまりに幼稚
私を馬鹿にしているとしか思えない。
まあ、血涙を流しつつ、銃を構えるのは、絵にはなるだろうが……
「失望した。そんなモノで私が殺せるか。死の教師とやらの底が見えたな」
私はネイムを嘲笑する。
「銃の引き金を引くだけなら、そこらの子供にでも出来る。いや、全く、私自身が不明が嘆かわしいよ。
こんな輩に、数分の貴重な時を費やしてしまったのだからな」
――本当に下らない。
ネイムが引き金を引いた時がこの茶番の最後だ。
「聖都の守りだと――? お前程度で護れるのか? 私なら番犬を飼うがね。
そちらの方が手間要らずで確実だ」
もう、罵倒も飽きた。
――殺すか。
>98 (殺人卿vs死の教師)
喋らずに発砲しなかった……出来なかった理由。
冷たく、握力の失せかけた指。
引き金を引くだけの動作に、全力を投入する必要があった。
だからこそ、砕けた顎で喋り、時間を稼がなければならなかったのだ。
狙うことなど、震える指では思いもよらない。
(この銃では、5歩以上離れた相手に狙って当てることなど、そもそも出来はしないのだが)
それでも無心で、引き金を引いた。
一発、二発、三発、四発、五発、六発。
弾が切れるまで、ナルバレックは一歩も動かなかった。
全ての弾丸は、虚空を抉っていた。
静寂。
ナルバレックの表情に、侮蔑の色が濃くなる。
だが、壁に寄り掛かったままのネイムは『それ』を既に感じ取っていた。
口の中の血を吐き捨て、ずるずると座り込み、ぼそぼそと呟く。
「……私はね、現実的なのですよ。
貴方には勝てないことも、銃が頼りにならないことも、最初からわかっていました。
だからこそ、わざわざここに誘い込んだのです」
歩みかけたナルバレックの足が止る。
感じ取ったのか?
……もはやどうでもいいことだ。
「ところで、このような崩落の危険性のある場所で大声で笑ったり銃声を響かせることの危険性は
……ご存知でしたか?」
最後の一瞬、目が合った。
微笑んでみせる。
「この場合崩落ではありません。―――鉄砲水って奴ですな」
言葉と同時にナルバレックが飛び掛り、ネイムの胸をナイフで貫いた。
……致命の傷も、すでに役割を終えつつあったネイムには関係がない。
濁流が、二人を押し流した。
>99
意識がはっきりしない。
まだ生きているのは確かだが、何も見えないし、聞こえない。
……感じ取れるのは、間近に迫った死の気配だけ。
(……思ったより、鉄砲水の規模は小さかったようですな。任務を果たし損ねた、か……)
致命傷を負った自分がまだ生きていられる程度の鉄砲水では、ナルバレックも死んではいないだろう。
無念はある。
だがもう動かない体では、今更どうしようもない。
気に食わないが、仲間の死の教師が任務を果たすことを期待しよう……
そう思い、ネイムは全身の力を抜いた。
それでも後一つだけ、永遠の眠りにつく前に彼にはやっておくべき事が残っていた。
唇を震わせ、それでも運命の女神の信徒として幾千も限りなく唱えてきた聖言を、
―――最後の祈りを、捧げる。
我ら、原初の血の聖なるかな
生誕の美しきかな
運命の正しきかな
―――――死の、聖なるかな……
成すべき事を成したネイム・オンリーは、満足して意識を手放した。
【ネイム・オンリー DEAD END】
>100 (殺人卿vs死の教師 エピローグ)
「……最初から、死を代償にしてのトラップか。悪くなかったな」
だが、ネイムの目測は甘かった。
鉄砲水の流れがあまり、弱すぎたのだ。
全身にそれなりの打撲傷やらを負っているがたいした事は無い。
「………?」
闇の向こうからボソボソと声が聞こえる。
私は声の元に向かうことにした。
・
・
・
そこにはネイムの死体があった。
満足げな表情で死んでいた。
「ふん、お前はそれで満足だったか?」
当然、返事はない。
「お前達の神に殉ずることに如何ほどの価値があるか分からんが……」
私には理解する気もする必要も無い。
何より、私自身、何も信じていない。
「……まあ、いい。私は――」
そこで言葉を区切る。
死者への質問など酷く無意味なことに気づいたからだ。
「さてと、任務を遂行するか。――案内人も死んだしな。慎重に行かねばな」
私はそう呟きながら、通路の奥へと進んでいった。
この奥に潜む狂信者の集団……
そして、いるならばその神とやら殺すために……
――『ナルバレック』としての存在はそうでないと確立できないのだから
前スレ>452
壊れ魔女 VS 脳腐れゾンビ …そして不思議執事 『血塗れの遁走曲』
―――ゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラゲラ、どかん。
最後の観客が弾けるのと丁度合わせたかのように、ドアが開いたかと思うと、
一人の少女人形がそこから姿を現した―――ヴァージニア13だ。
「キャハ、キャハハハハッ!! 二人ともおまたせ、おまたせー、待ったぁ?」
やけに明るい口調で、先に到着していたミア、そして銀髪の執事に向かって話しかける。
『アンタッ! これは一体何よッ、何をやったのよっ!!』
ミアがそう叫びつつV13に飛び掛ろうとするが、あいにくと床は血肉に塗れている。
ずるり、とミアが足を滑らしたタイミングを狙って、V13は軽く身をかわす。
「言わなかったっけ? みんなを楽しくしてあげたんだよ?」
そう言いつつ、座席によじ登ると、ひょいひょいと背もたれと背もたれの間を
身軽に渡り、舞台に向かって進んでいく。
さらに、舞台の近くにたつ銀髪の執事に向かってこう告げる。
「流石だね、この瘴気の中で平気な顔してるなんて。これも計算どおりって訳?
いや、そもそもミアを造ったのも貴方なのかな? そんで、アタシはここまで
追い詰められちゃったってことか、キャハハハハッ!!」
そう告げられても、銀髪の執事はにっこりと涼しげな笑みを浮かべたまま、こちらを眺めるのみだ。
沈黙を肯定と受け取ったのか、V13はなにやら納得した表情をする。
やがて、V13は大きく跳躍し、軽い足音とともに舞台に降り立つと、なにやら独り語り始めた。
「ここをこんな風にしたのはね、アタシの飼い主の命令」「――と、いうか拾い主かな? アタシ、ゴミだし」
そういうとV13は自嘲気味にくすくすと笑った。
「まあ、とてもとてもコワイお兄さんでねー。仕事に失敗したってバレたら
きっと死ぬよりヒドイ目に遭わされそうなの」
そして、銀髪執事の方をちらりと見、
「それとも、こうなることも含めて仕事のうちだったのかな? この場合、目的はあなたの排除」
「まあ、それも今更、どーでもいいけどねー、キャハハハハハッ!!」
そして、大きく両手を広げ、軽く空を仰ぐと、最後にこう告げた。
「でね? 二人にお願いがあるの。ちょっと独りじゃさみしいの」
「アタシと一緒に堕ちて、地獄に」
>78
殲鬼と闘鬼〜ガロンvs不破雷也
ブライオー着鎧の弱点。
それは、皮膚呼吸が出来ないこと。
全身を強固な装甲で固めた妖獣の内部で、神経節を接続されているわけだから当然ではある。
ゆえに、無酸素運動において、不利であるのは自明の理。
一瞬、反応が乱れる。
目の前が、揺れる。一種の酸欠状態だ。
その隙を見逃すような甘い相手ではない。
肩口に鋭い牙が食い込む。さしもの装甲も、悲鳴を上げてひび割れる。
そして、引き倒され、宙に舞わされる。
常人であれば、これで終わっていよう。
しかし、不破雷也は常人ではなかった。
宙に舞った瞬間、腕、足そしてブライオーの尻尾まで用いて無理矢理に体勢を立て直す。
しかし、着地のためではない。
攻撃のための体勢。
ブライオーの長い腕が、唸りを上げながら、人狼目掛けて叩き込まれる。
殲鬼と闘鬼〜ガロンvs不破雷也
>104
「ほぅ・・・・・・ワイルドサーキュラーを食らってなお、立ち上がるか・・・・・・」
彼は笑う。そうでなければ面白くない、といったように。
戦士の拳が来るのにも身じろぎ一つせず・・・・・・それをまともに受けた。
人狼の口から鮮血が流れる。
上体がぐらつくのを必死に下肢の力で耐えると・・・・・・戦士に向けて拳を叩き込む。
もはや、そこには一種の友情とも言うべきものが芽生えているかに見えた。
上手く言葉を伝えられない不器用モノ同士が、拳で語り合っているように。
>105
殲鬼と闘鬼〜ガロンvs不破雷也
拳が唸る。
蹴りが炸裂する。
肘が打ち込まれる。
膝が叩き込まれる。
手刀が皮膚を裂き、
足刀が肉を削る。
ただひたすらに打ち合う、二つの異形。
しんしんと降る雪の中のそれは、酷く現実離れした光景。
「くおおっ!」
妖獣が吼え、
「がぁぁぁぁぁっ!」
人狼が猛る。
……白い雪景色はいつしか紅く染まっていた。
ロゼットvsストリクス〜導入
ニューヨーク、午前零時。
ハーレムに程近い繁華街の一角、夜でも人込みの絶えない通りを一人の女が歩いていた。
女、と言うよりは少女、と言ったほうが良いだろう。良く見れば彼女は18歳を超えるようには見えない。
だが、彼女には一見して少女と呼ぶには躊躇する、そんな雰囲気を持っていた。
見た目は東洋人、異様に白い肌、赤い瞳と唇。いっそ巨大とも言える胸とくびれたウエスト。
露出度が高い、赤いボンテージファッションにハイヒール。
ぞっとするような威圧感と異様な妖艶さ。それが彼女を少女と呼ばせるのを躊躇わせる要因だろうか。
彼女の名はストリクス。そう呼ぶ人間はいないが、そう言う名を持っている。
主人であるウピエルに連れてこられたこの街で、彼女は一人さまよう。
彼女は渇いていた。肉体を支配する欲求、肉欲に憑かれ、熱に浮かされたように夜のNYを徘徊する。
ウピエルは翌日まで戻らない。
その間、ただ肉体の火照りを持て余し、彼女は街をうろついていた。
人込みの中で、ふと目に付いた人間がいる。シスターだ。
12歳かその辺りの子供と何やら言い争っている。
何だか知らないが、無性に癇に障る。
イライラする。そして、身体が火照る。
欲しい。あの娘が欲しい。とても良い声で鳴きそう。とても美味しそう。
何故だか癇に障る。虐めたい。いたぶってやりたい。陵辱してバラバラにしてやりたい。
肉体の疼きに、吸血鬼の本能に、突き上げる衝動に誘われ、ストリクスはシスターの後をつけ始めた。
大通りを通過し、人込みを過ぎ、何時しか人通りの無い路地裏へとさしかかった。
シスターの後をつけていたはずのストリクスの姿が消える。
何時の間に移動したのか、ストリクスの姿はシスターの前にいた。
「ハァイ、シスター・・・あなたカワイイわねェ、ちょっと付き合ってくれない?」
呼吸を乱し、妖しく頬を上気させながらストリクスが呼びかけた。
その口を開き、異様に発達した犬歯を覗かせながら。
ヒカトvs閑馬永空
木々の合い間から洩れる残光には、耐え難い異臭が纏わりついていた。
臭いの発生源は、地に転がる幾つもの腐肉である。
頭を割られ、或いは胸を突かれた人間の死体。
その全てを斬り捨てた者は、立ち込める腐臭を気にせぬのか、近くの木の根元に座している。
眼を閉じた俯き加減の顔には、陰影が色濃くわだかまっていた。
それは暮れかけた陽の所為ばかりではない。この男の持つ本性ゆえ。
外道の剣士・閑馬永空が付近の村長に依頼されたのは、ある娘の警護だった。
その娘が死ぬまでの。
長引く日照りによって立ち行かなくなりかけた貧村は、型通りかつ愚かしい手段で生き延びる道を
模索した。
即ち、雨乞いの生贄に娘を捧げる事であった。
大半の村人は納得した。それで村が救われるなら致し方無い事、涙は十分注げば良い。
当然納得出来ない者も少数ながらいる。娘の家族が。
その連中を追い払う為、閑馬は雇われた。
そして斬った。鋤と鍬で立ち向かって来た者たち全てを。
生贄の娘が吊るされた大木の真下で。
呻き声がした。閑馬は眼を開いて空中の娘を見上げる。
吊るされてもう三日は経つ。そろそろ死ぬ頃合だ。
もっとも、閑馬に人の生死に対する興味は無い。
他人のそれも、自分に対しても。
と、別の方を見遣り、閑馬は立ち上がった。脇に置いてあった一刀を掴む。
近付いてくる者がいる。
生死に対して興味は無いが、それを為すのはまた別だ。
「来たか。――死にに」
浮かんだ冷い笑いは、一面ひどく楽しそうであった。
江連vsアイン 導入
そこには数枚の書類が束ねられた一つのファイルがあった。
1枚目は任務の通達書。
2枚目は今回の任務の内容。
3枚目はある女性の履歴書。(殆ど空欄だが)
4枚目は白黒の地図。
今回のターゲットは吾妻江連。
過去の経歴不明。写真なども残されていないため、顔の判別も不可能。
唯一分かることは、彼女は超一流の暗殺術の持ち主で、
まだハイティーンの女の子だということだ。
アメリカの暗黒組織<インフェルノ>のに追われている彼女に、安息の場などは無い。
今回もまた、身を潜めているねぐらを発見し、刺客を送られる。
今回の出張先はロシアのとある街。
二回目の世界大戦の傷がまだ癒えぬその街は、完全な廃墟と化しているらしい。
与えられた任務は江連の抹殺。
手段は問わず。
……そこまで確認するとファイルを閉じ、火を付けた。
>108 ヒカトvs閑馬永空
山神に捧げられた娘を救うため、
オレは山間にある深い森の中―人間たちが俗に言う山神の住む森―へと入り込んでいた。
日照りから村を守る為の生贄、本来ならそんな者には一切関知しなかっただろう。
今の時代、こんな事は良くあることだ。救おうにもきりが無く、果てがない。
だが、その娘は前々から目を付けていた、オレが傷つき、力を失った際に、
仮親となる資格を持った血を持つ、稀有な存在だった。
だから、この事態を黙って見ているわけにはいかなかったのだ。
樹上を飛び、目的の巨木に近づいて行くにつれ、密度を増す死と、血の匂い。
―――――急に視界が赤く染まる。
澱んだ色をした、夕暮の空を更に濃く、凝縮させたような赤。
そして其処には幾つもの命の残骸と、一人の男。
………こいつは何だ?人のようにも見える。
しかし其の身に纏う雰囲気がそれとは少し違う。
………むしろオレの側に限りなく近い存在。
そこでオレはこの男の膨れ上がる殺気と、歓喜を感じ取る。
―――――――男が何者であるかは知らない。
だが、男が此処の見張りを頼まれ、
そしてそこいらに転がっている骸はこいつに殺されたという事、
そのことは簡単に想像がついた。
ならば、戦わない訳には行かないだろう。
とっさに身構えると、オレは其の男に向かって問いかけた。
「………テメエはいったい何者だ?ヒトなのか?」
111 :
ロゼット&クロノ ◆AMENUx66 :02/04/23 00:13
>107
ロゼット VS ストリクス
『哀 ――誰がために君は泣く――』
・・・・・・何者?!
ここ最近、NY近郊で起こっている吸血鬼事件。
私とクロノはそれの捜査に当たっていたのだが・・・・・。
人通りの少ない路地に着いた時。
私達の前に一人の女性が現れた。
顔を上気させ、何故か息が荒い。
年は・・・私とそう変わらない・・・・ただ・・・その身に纏った服装は・・・・・。
「・・・・なんてカッコしてんのよ・・・・!!」
「ロゼット、突っ込みどころが違う。」
・・・・無論、わかっている。
彼女の口の端に、ヒトの物とは思えない犬歯が見えている。
「あんた・・・ね?ここ最近NYを騒がせてる吸血鬼って!!」
私は、クロノから機関銃を受け取った。
「マグダラ修道会、クラス2nd(ノービス)。ロゼット・クリストファ。
神の御名の元・・・・・あんたを祓わせてもらうわ!!」
銃口が火を噴く!!
◆なあじゃvs斗数◆『ショタロリ大殲って言うな!』
「シグのバカッ!ボクだって…!」
一人の少女がろんどんの宿から走って出てゆく。
封神を為す為に作られた宝貝、斗数である。
しかし、殺劫に触れし者、玄気は乱れ、眼も曇る。
ともすれば殺気とも見間違えるほどに。
月の綺麗な夜だった。
ろんどんの時計台びっぐ・べんの上で一人、ぼーっとしていると、
同じようにしている少年を見た。
同じ玄気の質を感じる。
―――偽者?!
中壇元帥の名を捨てた少年、
なあじゃは気配を消したままだったのが災いしたか。
少女に気付いていなかった。
少女は跳躍し、叫ぶ。
「何者だ!この偽者め!!」
拳を振りかぶりつつ。
それは宣戦布告であった。
>109 江連vsアイン 導入2
相変わらず俺は面倒ごとばかり押し付けられる運命にある。
今度の仕事は今まででもっともタチが悪いかも知れん。
何せ、あの『ファントム』を殺せ、だからな。
その名を聞いただけで上の連中なら竦み上がる。
もっとも、今の俺はそれほど恐れてはいないのだが。
どんなに素晴らしい暗殺技術を持っている、と謳われていたとしても
所詮は人間。化物を相棒として闘っている俺にとっては大して凄い者には見えないのだ。
俺と同じ、人間のやることだ。
・・・・・・・・・ちょろいもんだぜ。
余裕があるのは、それだけが理由ではない。
既に裏のコネで、ターゲットがどこに潜んでいるかも確認が取れていた。
今も見張りを仲間に続けさせている。相当な距離を置いているとはいえ、
ファントムはそれに気づかない。その程度の相手だ。なんとでもなる。
既に死に絶えたような廃墟へと辿り着く。
そこにターゲットがいる。
黒塗りの外車の車首を少々くねらせれば、既にそこは建物の入り口だ。
扉を開ける。地をその足で踏みしめる。
いい感じだ。今日はそれでも割とツイてるみたいだな。
この調子なら―――――――やれる。
殲鬼と闘鬼〜ガロンvs不破雷也
>106
お互いの拳がクロスカウンター気味に顔面に直撃する。
もはや二人にそれを耐えるだけの力は残っていなかった。
その衝撃に耐えられず、吹き飛ぶ。
それでも立ち上がるのは、戦士の性か。
「見事だ・・・・・・貴様は素晴らしい・・・・・・ならば、俺も最終奥義で貴様に報いよう・・・・・・」
人狼は血反吐を吐きながら、ゆっくりと立ち上がる。
「深き森の奥駆ける狼の王よ・・・・・・赤き炎となりて・・・・・・我が敵を討て!!ドラゴンキャノン!!」
地が鳴る。森が鳴く。そして、人狼の背後から、轟炎の矢と化した精霊が、
戦士に向けて突き進んでいく。
(トリップ判定)
>112
◆なあじゃvs斗数◆『ショタロリ大殲って言うな!』
今日も、ろんどんの見回り。
ふぃりっぷから託された、この町の平和を守るためだ。
とはいえ、休憩もいるよね?
今日はこんなに月が綺麗なんだし。
びっぐ・べんの上で、月を眺めていると、急に声をかけられた。
・・・偽者? ぼくが?
振り向いた先には一人の女の子。
拳を振りかぶって・・・怒ってるみたい?
ちょっと困ったぼくはとりあえず問いかけてみた。
「えっと・・・どちらさま?」
前スレ >420 玲二
アーカードvsファントム
風が吹いていた。
火事によって熱せられた空気が、周囲の空気を巻き込んで空へと舞い上がる。
その風に逆らうように、彼は、傷付いた体を引きずって、一歩、また一歩と歩いて来る。
肩と太股の傷は、決して浅いものではない。
それでも―――――
帰ってきてくれた。約束通り。
だから――
「お帰りなさい」
私は出来る限りの笑顔で、玲二を迎えた。
>110 ヒカトvs閑馬永空
「人かだと。さあて、な」
突如現れた少年。その高貴な美貌は、正に天童そのものだ。
その美しさにも閑馬は動じる事は無い。
「そうさな。――儂はもう人では無いやもしれん」
戦場で千人に余る敵を斬った過去がよぎる。愉しい過去が。
薄く唇を歪めた。
「人でなしだ」
内心、閑馬は眉をひそめる。
眼前の美青年から感じる気配、それがどうも妙なのである。
上手く云えんが、人間では無いような――。何だ、『これ』は?
「主こそ何奴だ。あの娘の縁者とも思えんが、雇われでもしたか。
此処に来ると云う事が如何なる事か、判っているのであろうな」
かちり、と硬質の音がした。
閑馬の腰で、愛刀・井上真改蟲殺の鯉口が切られた。
>114
殲鬼と闘鬼〜ガロンvs不破雷也
何度目かのクロスカウンター。
既に数え切れぬほどの打撃を受けていた身体が傾ぐ。
限界が近い。
皮膚呼吸も、そしてブライオーも。
ならば。
次の一撃が、最後の一撃。
双方共にそれを感じ取ったのか、距離を取る。
(行くぜ、相棒)
ブライオーの周りの気が、高まる。
気が、波動が収束する。
大気が震え、雪片が舞う。
「波動衝………『龍渦』」
最後の力を込めた蹴り。
波動の乗せたその蹴りが、空を引き裂いて、奔る!
(トリップ判定)
ロゼットvsストリクス
>111
イキナリ発砲?ナニ考えてんのよコイツ!!
吸血鬼を探してた?こいつはハンター?
逃げる?戦う?
一瞬、ストリクスの思考が混乱する。
混乱しながらも発射された弾丸をかわす。
吸血鬼の目からするなら、飛んでくる弾丸を視認するのはさほど難しい事では無い。
弾速が遅い45口径のトンプソン・トミーガンなら見切ってかわすなど訳は無い。
ストリクスもその弾丸を嗤って避けて見せる。
弾丸を避けたときには、もう思考は落ちついていた。
吸血鬼特有の、人間の反射速度を超えた速度でそのままシスターの視界から消える。
「恐いお嬢ちゃんねぇ?そんな危ないモノ振り回して・・・
でも、なかなか素敵なオモチャねェ。硬くて、黒くて、でも太さはイマイチかしら?」
嘲笑するように、艶然とした表情で背後から声をかける。
瞬間、凄まじい速さと怪力でストリクスはシスターを押し倒し、捻じ伏せた。
うねるような動きで全身をシスターに密着させる。
アンバランスな程に大きい胸を押しつけ、首筋に舌を伸ばす。
情欲にギラついた目でシスターを見つめ、信じられない怪力で腕を捻りながら、片手で修道服の胸元を裂いた。
「さぁ、そんな物騒な物は捨てて、イイ事しましょう?大丈夫、とっても気持ちイイ事だから・・・」
そう言って、シスターに見えるように片手を離す。その手には、いつのまにか鋭い鉤爪が有った。
「さぁ、どうして欲しいの?」
そう言って、嗜虐的な笑みを浮かべた。
>115
◆なあじゃvs斗数◆『ショタロリ大殲って言うな!』
『えっと・・・どちらさま?』
その声を聞き、少女の力は緩むどころか、
みなぎるかのようだ。
「声まで同じ?!許さないぞ偽者めッ!」
少女は拳を握ったまま振り下ろす。
己の間違いに気付かないまま。
>119
(TANAKA in NY)
「つくづく棲みにくい街だな、此処は……」
私は目の前に転がるゴロツキどもを見ながら、一人そうごちた。
・
・
・
私、田中がNYに来たのは半月前のこと。
都の井の頭公園浮浪者追い出し政策で棲む所を失い、気づけば亜米利加のこの街に来ていた。
セントラルパークの一角を棲み家として、日々を徒然なるままに送っている。
そして、いつも通りに残飯漁りに裏路地の某店の所に行った所でゴロツキどもに絡まれたのだ。
彼等は日本人の気弱そうなサラリーマンが迷い込んできたと思ったのだろう。
私は一応、吸血鬼だ。
いくらなんでも、そこらの人間にはヒケはとらない。
適当に、ゴロツキをあしらった後、残飯をあさる。
相変わらず、ロクなものがない。
東京が懐かしく思える。
――そこに唐突に女性の悲鳴
私はふと、好奇心に駆られて、悲鳴の元に向かった。
・
・
・
シスター服の女性が赤い露出度の高い服を着た女性に押し倒されていた。
「………」
物陰から、私は無言で見つめた後、肩をすくめ、立ち去る。
――この国では路上での行為も容認されているようだ
――つくづく乱れているな
そう思いながら、明日は何処に残飯を漁りにいくか考えた。
殲鬼と闘鬼〜ガロンvs不破雷也
>114
(j<Rで不破の勝利)
轟炎の矢が幾筋か叩き潰されたように消えた。
それを認識した瞬間。
彼は吹き飛ばされた。腹に強烈な蹴りを受けた衝撃に、それは似ていた。
もはや、それに耐えるだけの力は残っていない。そのまま吹き飛ばされる。
雪上を転がり、大木に叩きつけられてようやく止まる。
「ふ・・・・・・俺の負け・・・・・・だな・・・・・・さぁ、やるがいい・・・・・・俺は逃げはせん」
彼はすでに人の身に戻っていた。そして戦士に笑いかける。
「俺が人でなくなる前に、君のような戦士に会えて・・・・・・光栄だったよ」
>113 本庄
「江連vsアイン」
廃墟の屋上で、ゆっくりと片膝立ちの姿勢になり、狙撃用ライフルH&K-G3-SG/1を構えた。 この町には少々長居し過ぎた。
おかげで今回、襲撃者に準備を整える猶予を与えてしまっている。
しかし、長居による利点が無かったわけではない。
今回の襲撃を察知出来たのも、その恩恵によるものだ。
恩恵の名は”人脈”
三人以上の人間が存在するかぎり、密告者と言う存在が無くなることはないだろう。
情報通り、黒塗りの外車から男が一人現れた。
スコープに移る十字架は、既にその男を捕らえている。
私は、何も考えずに、ただ、ライフルの引金を引いた。
>120
◆なあじゃvs斗数◆『ショタロリ大殲って言うな!』
なんで怒ってるんだろう・・・?
・・・え。
ぼくと同じ・・・声?
呆然としているぼくに、女の子は殴りかかってくる。
「うわっ! あぶないじゃないか!」
慌てて避けるぼく。
でも、ここはびっぐ・べんの上。
そんなに広いスペースがある訳じゃない。
「あの〜、やめた方がいいと思うな? ここ、下手をすると、落ちちゃうよ?」
>119
ロゼット VS ストリクス
『哀 ――誰がために君は泣く――』
銃口が火を噴くと同時に―――奴の突然姿が消える!!
銃弾は空しく後ろの壁に着弾し、十字の閃光を放った。
「外したッ?!」
私が銃口を上げた瞬間―――
『恐いお嬢ちゃんねぇ?そんな危ないモノ振り回して・・・
でも、なかなか素敵なオモチャねェ。硬くて、黒くて、でも太さはイマイチかしら?』
私の背後から、突然聞こえる声。
声に驚き振り返った私を彼女が押し倒す!
「!!」
彼女が、その顔に不釣合いなほど成長した胸を私に押し付けてくる。
私の目に、ひどく興奮した様子の彼女の顔が迫った。
ひ――――
自身の危機−別の意味での−を感じた私は、彼女を振り払おうする!!
《びり!!》
「?!」
布を裂く音・・・・・あろうことか、奴は私の修道服の・・・その・・・胸元を切り裂いた!!
『さぁ、そんな物騒な物は捨てて、イイ事しましょう?大丈夫、とっても気持ちイイ事だから・・・
さぁ、どうして欲しいの?』
「い・・・イヤァァ!!そんな趣味は無いわよ!!私にはぁぁッ!!」
振り払おうとしても、とてもあの細腕にそんな力があるとは思えない。
彼女の、熱い吐息が吹きかかる。
―――――ひぃぃぃぃ!?
「ロゼット!!」
私の目にクロノが背中のパックを下ろし、彼女に向けてタックルを仕掛けるのが見えた!!
>123 江漣
バツン!と服が破砕音を立てた。
何かよくわからないが、力が抜けてゆく。
そのまま崩れ落ちる。俺が倒れこむ地面は赤く染まっていた。
俺の、血。血だ。何故?
・・・・・・・・・・。
・・・・・・・舐めすぎたようだな、ファントムとやらを。
所詮こんなものか、俺という男は。やれやれ・・・・だな・・・・・・・・・
(ナハツェーラー in NY)
「ウピエルめ、手間を焼かせよる……」
イノヴェルチの誇るヴァンパイア三銃士のリーダー、人形使いナハツェーラーはNYへと来ていた。
勝手にイノヴェルチを出奔したジクムンド・ウピエルを連れ戻す為に……
ナハツェーラーにとっては、ウピエルはまだ無くてならない手駒であった。
故に、ナハツェーラー自ら、連れ戻しにやってきたのだ。
「ここか……」
ナハツェーラーは、ウピエルのいるスタジオのドアを開けた。
――瞬間
――重低音のリズムの嵐がナハツェーラーを直撃した
そして、そのリズムは300年になる老体に少々、刺激がすぎた。
平たく言えば……
――ナハツェーラーの無限の心臓は、ショックで止まった
吸血鬼の命である心臓が停止し、ナハツェーラーの身体は灰へと還って行った。
「おいおい、誰だよ、スタジオのドアを開けた馬鹿は――。外に迷惑じゃねえか」
客の1人が何事も無かったようにスタジオのドアを閉めた。
ドアの側の灰に気づくことも無く……
ロゼットvsストリクス
>125
突然、背後から体当たりを食らった。
大した力では無いが、完全に不意を突かれてよろける。
シスターを捻じ伏せた姿勢が崩れ、そのまま無様に転がる。
連れの少年の事を完全に失念していたのだ。
直ぐ様飛び起き、追い打ちに備える。
その顔は一瞬、怒りと憎悪に歪んだが、すぐにまた嘲笑の表情へと戻る。
抱きつくように、と言うよりしがみつくようにタックルをかけた少年を掴み上げて囁く。
「イケナイ子ねぇ・・・一緒にヤりたかったの?もうちょっと成長してからなら考えてもイイけど」
そう言って、少年を放り投げた。
小柄な少年とは言え、人を一人を投げたとは思えないほど軽々と。
そのままシスターの方へと向き直ると、その胸元に目をやり軽く嗤う。
片方の手で自らの胸を誇示するように揉みしだく。
「お嬢ちゃん、ちょっと貧弱かしら?・・・それじゃァ、もっと大きくなるように揉んであげないとねェ!」
上気した頬はよりいっそう赤みを増し、呼吸はより妖しく乱れる。
そのまま、軽く踏み出したかと思うと、凄まじい速度で鉤爪を振った。
軽いステップのような踏み込みは軽量級ボクサーの速度を軽く上回っている。
細腕ながらにヘヴィ級ボクサーを上回る腕力で振われた鉤爪がシスターに襲いかかった。
『うわっ! あぶないじゃないか!』
ひょいと避けられ、上体が泳ぐ。
「っと!」
体勢を立て直し、ファイティングポーズを再び取る。
少女の目付きは尋常では無い。
『あの〜、やめた方がいいと思うな? ここ、下手をすると、落ちちゃうよ?』
広いとは言えない場所、そこで少女は環を出す。
「疾ッ!乾坤環ッ!」
そう叫びつつ少年に環を投げる。
少女の内側に何らかの異変が少しずつ、起こっていた。
>129は
>124へのレス・・・。
ボクとしたことが・・・。
>122
殲鬼と闘鬼〜ガロンvs不破雷也
龍渦が、轟炎の矢を引き裂く。
そして、龍渦の波動が人狼の身体に叩きつけられる。
雪上を転がり、吹き飛ぶ人狼。
しかし、ブライオーとて限界だ。
ばしゃ、という音と共にブライオーが身体を開き、雷也を吐き出す。
皮膚呼吸の限界。
荒い息をつきながら、よろよろと人狼に近付く。
否、力を使い果たしたか、獣身ではなく人の身体に戻っている。
「アンタ、名前は……?」
問いかける。
『……ガロン』
答える男。既に覚悟を決めたか、その顔は晴れやかなものだ。
「ああ、その名前、刻んだ」
拳を振り上げ、叩き下ろす。
しかし、その拳は、ガロンの顔の脇、数センチのところに振り下ろされていた。
「おれは不破雷也だ。次に逢う時まで、この名前、刻んでおいてくれよ」
「アンタみたいなのとは、また闘りたいしね」
笑顔。屈託のない笑顔を浮かべ、踵を返す。
白い雪が、死闘の跡をゆっくりと消していった。
>129
◆なあじゃvs斗数◆『ショタロリ大殲って言うな!』
「な、乾坤環!?」
なんで、この女の子が宝貝を持ってるんだ?
そんなことを思いつつ、後ろに跳びずさるけど、乾坤環は急角度に曲がって、ぼくに向かってくる。
避けきれないッ!
「疾ッ!」
呪術刀を生み出し、それで弾く。
けれど、体勢が崩れた。
というか・・・
あれ、足場がないよ?
「ジャ、疾ッ!」
装束を変化、足についた風火輪を起動させる。
・・・ふぅ。
「きみ、須弥山の人なの!? いきなり乱暴じゃないか!」
>128
ロゼット VS ストリクス
『哀 ――誰がために君は泣く――』
クロノが、彼女を突き飛ばしたおかげで私は自由になる。
「はー、はー・・・・なんて事すんのよ!!」
私は、胸元を片手で抑えながら叫ぶ。
このぉ!!
「うわぁぁぁ?!」
次の瞬間、彼女がクロノに抱きついたかと思うと・・・・片手でクロノを投げ捨てる?!
嘘ッ!!
クロノはそのまま壁へと叩き付けられ、うずくまる!
「クロノ!!」
駆け寄ろうとする私の前に、彼女が立ちふさがった。
彼女は私の胸元をじろじろ見る。
―――何よ?!
彼女は、フンと鼻で笑った。
『お嬢ちゃん、ちょっと貧弱かしら?・・・それじゃァ、もっと大きくなるように揉んであげないとねェ!』
・・・・・。
吸血鬼・・・・というか・・・・変態?
彼女は自らの胸を誇張する。
・・・・・・く・・・・・。
思わず赤面する私。
一瞬の躊躇。
「しまッ!!」
彼女は、一呼吸の間に私の眼前まで迫り、鉤爪を振りかぶる!
――――間に合うか?!
私は、慌てて銃口を彼女に向け、トリガーを引く!!
>126 vs江連
銃声。崩れ落ちる黒服の男。
私は瞬時に、今は廃墟となったデパートの窓から身を乗り出し、スコープで辺りを見回す。
銃声よりも、着弾のほうが速かった。
男の倒れ込む方向はこちら側。
ということは、距離はここからかなりある。
ということは、位置は車を点に対照。
それらの答えを導き出すと同時に、手の中に構えたライフルを装弾する。
装填ハンドルを引いて戻すだけという単純作業だが、
それで銃弾は薬室へ送り込まれ、銃は完全な臨戦態勢となる。
そして標的を――――――――見つけた。
スコープの奧に写る人影の眉間に照準を合わせ、トリガーに指をかける。
同時に、引き金を――――絞る。
銃声が轟音となり、身体を襲う。
発射の衝撃で、姿勢が後ろに流れる。
空になった薬莢が空中を舞う。
この間、4秒。まさに神技。だが、神の恩恵は此処まで。
亡霊に神はけして微笑まない。
「――――わたし?」
スコープの奧にあった顔。それは間違いなく自分だった。
そして、その一瞬の動揺が銃口を揺らした。
僅かな、僅かなズレだが、狙いを外すにはそれで充分。
>117 ヒカトvs閑馬永空
こちらの問いに対して、男はその笑みをさらに大きく歪めて答えを返してくる。
そして、今度は逆に此方が同じ質問をされた。
唇を薄く歪ませる。
「オレか? オレは――――――――――」
爪を伸ばし、その爪で自らの腕を薙ぐ。
しかし、腕から零れ落ちてくる筈の血はことごとく空中に揺らめくように止まり、
それらは収縮し、一つの赤い刀を生み出した。
人が、人でないものを狩る為に自らを化生にまで変えて生み出したこの猛毒の血。
――――――――闇が、同じ闇を焼き尽くすための力。
オレはその血刀を構える。
「化け物さ」
ロゼットvsストリクス
>133
軽く撫でて傷つけていたがる様を見よう。
そう思った。
鉤爪がシスターを切り裂くと思った。
その瞬間、咄嗟に拳銃を抜いたシスターが発砲する。
ロクに狙いも定めない抜き撃ちだが、至近距離だ。本来なら外しようが無い。
鉤爪を振りかぶった姿勢から身体をひねり、弾丸をかわす。
いくら弾速の遅い.45CAP弾とは言え、この距離では流石に余裕が無い。
ストリクスの『親』にあたる吸血鬼なら、神速を持って知られる吸血鬼なら難なく避けたであろうその弾丸を、
彼女は避け切れなかった。
腕に訛りの弾丸がめり込む。
肉を抉り骨を削り、その中で止まる。
女性の細腕なら本来は貫通しただろうが、吸血鬼の頑丈な肉体が禍したのか、弾丸は体内に残ったままだ。
顔を顰めて傷口に指を入れ、弾丸を摘み出す。
痛みが冷静さを奪い、怒りを掻き立てる。
と、同時に痛みがまた肉体を興奮させる。痛みが快楽につながる、被虐的性倒錯。
心の何処かに眠っていた歪んだ欲望は吸血鬼となった今は完全に表層化していた。
快楽と怒りと憎悪に顔を歪めながら喋り出す。
「この牝餓鬼がァ!!よくも・・・こんな・・・赦さない!!犯して、啜って、死にそうになっても死ね無い身体にして・・・
精神が壊れるまで嬲ってやる!!手足を切り落としてダルマにして昼夜休み無く輪姦しつづけて!
・・・そうだ、あのガキにアンタの事犯すのに参加してもらおうか?楽しそうでしょ?ねぇ、そう思わない?」
呟きとも叫びともつかない抑揚の狂った言葉を発し、目を爛々と輝かせながら歩み寄る。
腕の傷はもう塞がっていた。
今度はサイドステップ。シスターの右横に回る。
そして再び、ストリクスは鉤爪を閃かせた。
>136 ヒカトvs閑馬永空
閑馬は目を剥いた。
盛り上がった血が、瞬く間に刀の態を取っていく。
手妻妖術の類か。否、これは人の技に非ず。
何より本人が云っている。
「まさしく、妖魔」
一言で断じ、閑馬は跳躍する。
抜き払われた一刀は横薙ぎの斬撃へと変じた。
>137
ロゼット VS ストリクス
『哀 ――誰がために君は泣く――』
通常弾じゃ効果薄いか―――!!
彼女が、自分の腕を抑えて苦しんでいる。
その隙に、私は銃のカートリッジを聖火弾−炸薬代わりに聖油を詰めた浄化弾−のカートリッジに交換した。
ぞくり―――
突如感じる恐怖感。
背筋が凍るような嫌悪感。
見れば、そこに憎悪の視線を私に向ける彼女の姿!!
『この牝餓鬼がァ!!よくも・・・こんな・・・赦さない!!犯して、啜って、死にそうになっても死ね無い身体にして・・・
精神が壊れるまで嬲ってやる!!手足を切り落としてダルマにして昼夜休み無く輪姦しつづけて!
・・・そうだ、あのガキにアンタの事犯すのに参加してもらおうか?楽しそうでしょ?ねぇ、そう思わない?』
後半は、もう何を言ってるのかよく聞き取れない。
ただ・・・体の奥底から感じる恐怖と嫌悪感―――それだけが私を支配している。
「ひ―――あ―――――」
足が、一歩下がる。
その時、私の目の端に写るそれ―――。
・・・・・!!
――――そうよね・・・・!!
≪怖いのは誰だって一緒だ。大切なのは、『怖い』ということを自覚して一歩踏み出すことさ≫
私は、レミントン牧師の言葉を思い出した。
そう―――怖がってなんていられない。
私は、銃を握りなおす。
傷のいえた彼女が、再び私に迫ってきた!
――チッ!?
《ざすッ!!》
慌てて飛びのくが、彼女の爪が私の肩を捉える!
噴出す鮮血に、私は胸元を隠すことも忘れ傷口を押さえた。
「痛いじゃないのよ!!」
私は、彼女に銃口を向ける・・・・・無論、『当たるとは思っていない』が!
vsロゼット・クリストファ
>88
「ええ、私です」
どこか、怯えているような表情で、その少女は名を名乗った。
・・・まだ、何もしていないはずだが。
「マグダラ修道会・・・なるほど」
アメリカの方に、確かそう名乗る組織があったはずだ。
プロテスタントの一宗派、悪魔祓いを標榜する退魔組織。
用件は新手の勧誘、だろうか? 確かに似たような事はしているが・・・
・・・違ったようだ。しかし――――
「――――魔物を滅ぼす事が、そんなに『悪い事』なんですかな?」
そう、これから彼が行おうとしている事は、つまりはそういう事だ。
幻想世界の住人達の一掃。一つの都市を巻き込んでの。
「それに――――もう、立ち止まる事は出来ません。既に賽は投げられたんですよ」
>140 vsラルフ
魔物を滅ぼすこと、それがロゼットの仕事。それを『悪いこと』だとは言えない。
でも、ロゼットが狩るのは『悪者』だけだ。人に害を成す悪意の塊だけだ。
「難しいことは分からないけど……此処の魔物達は何か悪いことしたの?
――みんなで寄り添って平和に生きてるのを、邪魔するのは間違っているわよ」
少し俯いてから、ロゼットは顔を上げ、男の目を見据える。
黒眼鏡の奧の瞳は見えないが、彼も自分の瞳を見つめているのは確かだ。
「此処で、何の罪も無い魔物狩るなんて意味無いわ。
それなら、うちで一緒に悪い魔物バッタバッタと薙ぎ倒せば良いじゃん。
アンタ……じゃなくてラルフさんって、凄腕なんでしょ?」
正直、赤の他人相手に此処まで気を掛けるつもりなんて毛頭無かった。
だが、彼……ラルフ・グルトには、なぜか同情してしまう。
それは同じ過去を背負った者同士だからだろう。
だけど、ロゼットは過去を引きずって生きてはいない。その先の幸せを見つけるために生きている。
だが、ラルフは――――
ロゼットの脳裏に、ラルフが言った言葉が響く。
――もう、立ち止まる事は出来ません。既に賽は投げられたんですよ――
(まさか……ね)
少女は、閃いた悪い予感を即座に消した。
>97 vs朧
(なんのために――か)
いつか、どこかで聞いたような問いだった。
あの時は、答えが出ただろうか。覚えていない。
「質問に質問で返すのは、無作法というものですよ」
言って返すと、朧は少しばかり苦渋を顔にのぼらせた。
その面には、変わらず張り付く、滲むような喜悦。
これから始まる殺し合いに、悦びを見出しているとでも?
ありえない、という常識を、目を細めて打ち消した。
あの目、あの笑み。見れば思い出し、確信を抱かざるを得ない。
目の前の男は――あの最強、フォルテッシモの同類なのだ。
戦うために闘う……闘争狂。
つきあいきれないとばかりに、ユージンは苦く笑って答える。
「……これも仕事、ですから」
vsロゼット・クリストファ
>141
「ああ、やはり勧誘でしたか・・・」
少女の言葉に、男は肩をすくめて答える。
「人の世界に、魔物が存在する事事態が悪なのですよ。ここは人の世界なのですから」
淡々と、だがにこやかに。
瞳の奥に絶対の意思を潜ませて。
「できる事はここにあるのです。それに・・・」
サングラスを外し、一瞬視線を虚空に彷徨わせた後
少女に背を向け、もときた階段に足をかける。
「・・・・・・いえ。・・・私は個人的に神というものが大嫌いでしてな」
振り返り、少女に一声かけて、
「すみませんな。他を当たって下さい」
男は部屋へと足を運んだ。
「「質問に質問で返すのは、無作法というものですよ」
青年はそう言った。
たしかにそうだ、いつもの私らしくない、つい苦笑いする。
つい 目の前に これから戦う相手を目にしてそう言ってしまった、それを聞いたところで どうとなるものではないというのに、
彼は彼なりの理由があって戦うのだ、私が自分の理由で戦うのと同じように。
暗闇に支配された公園は沈黙し そこに存在しているのはたった二人、これから始まる戦いもおそらくは静かでそして誰の目にも見えないだろう。
「……これも仕事、ですから」
目の前の青年はそう言って苦く笑った。
「そうですね、愚問でした、あなたが何者でどこの組織の者か私は知りません、しかし、、、」
そういった瞬間 私の体は 彼から やや離れた 側面に移動していた 音もなく、気配も感じさせない、八卦賞独特の虚を突く 実体をつかませない動き。
山に篭り修行した分 以前より数段早くなっている、相手には一瞬にして私が消えたようにしかみえない。
「あなたに私を倒すことができますか?」
彼が私を見た時 静かだった公園内に風が吹き木々を揺らした それが戦いの合図であるかのように。
>142
ユージン戦です 失礼。
血の狂気に囚われた皆様、初めまして。
私はここの雰囲気が気に入りましてここでキャラハンを名乗ろうと思うのだが、
キャラハンは必ず「闘争」に参加しなければならないのだろうか?
私は大学の機体を使っている為に皆様のようにちょくちょく参加することが出来そうもないので。
お答え頂けないだろうか?宜しく頼む。
>146
ここは闘争の場です。
雑談などに参加出来る時間があるのなら、その時間を闘争に充てましょう。
名乗りを挙げて相手を募集すれば、誰かが相手してくれます。
何しろいつも必ず誰か居ますから。
その時間すら無いのなら、名無しで参加するのと大差ありませんよ。
>147
というか、参加できる時と参加できない時の差がありすぎるのです。
参加できる時間なら3時間くらいはぶっ続けでも可なのですが、
出来ないときとなると3日は使えないと言う時も。
一度ゆっくり考えてみます。
>148
私も不定期ですが、何とかやってますぞ?
まぁ、相談があったら板の方へ来てみてはいかがですかな?
相談に乗ってくださる方も、沢山いらっしゃいますし。
アドレスは・・・真も旧もここの>1の御座いますな。
では、『貴方』の参戦を楽しみにしておりますぞ?
>148
ラルフ殿、そうさせて貰いましょう。
時間はたっぷり有ります。キャラハン参加・名無し参加・不参加を決めるには考えた時間が短すぎました。
それでは……
>143vsラルフ
ラルフ牧師が一瞬、見せた虚ろな表情。
酷く寂しそうで……思い詰めた表情。
その表情を見たとき、直感に近い閃きがロゼットの頭を走った。
神が嫌いだって別に良い。
魔物が嫌いだって別に良い。
だけど……だけど……。
「アンタ――――まさか、この街でもう<魔物狩り>を始めちゃってるの!?」
今、まさに立ち去らんとする牧師の背中に声を叩き付ける。 その問いは彼に否定を期待する含みがあることを、
文字だけで構成されたこの世界特有の意思疎通方で相手に伝わった。 沈黙。
ロゼットの怒声から、まるで時が止まったかのようにホテルは静寂に包まれる。
10秒……
15秒……
20秒……
ラルフは答えない。
ロゼットに背を向けたまま、微動だにしない。
「――――っ!! 答えなさいよ!! ラルフ・グルト!!」
業を煮やしたロゼットが、再度怒鳴る。だが、今度はただの怒声では無い。
腰のホルスターから突き出ているグリップを握り、セイフティに指をかけた。
これで銃を抜き出し、セイフティを外すだけでいつでも弾丸を銃口から吐き出すことができる。
俗に<外燃詞>と言われる、己の思考を文字列かされる架空都市独特の現象を、ロゼットはまだ知らない。
だから、ロゼットが今、必死で最悪の事柄が発生していないことを、
神に祈っていることも、ラルフには全部聞こえていた……。
>143vsラルフ
ラルフ牧師が一瞬、見せた虚ろな表情。
酷く寂しそうで……思い詰めた表情。
その表情を見たとき、直感に近い閃きがロゼットの頭を走った。
神が嫌いだって別に良い。
魔物が嫌いだって別に良い。
だけど……だけど……。
「アンタ――――まさか、この街でもう<魔物狩り>を始めちゃってるの!?」
今、まさに立ち去らんとする牧師の背中に声を叩き付ける。
その問いは彼に否定を期待する含みがあることを、
文字だけで構成されたこの世界特有の意思疎通方で相手に伝わった。 沈黙。
ロゼットの怒声から、まるで時が止まったかのようにホテルは静寂に包まれる。
10秒……
15秒……
20秒……
ラルフは答えない。
ロゼットに背を向けたまま、微動だにしない。
「――――っ!! 答えなさいよ!! ラルフ・グルト!!」
業を煮やしたロゼットが、再度怒鳴る。だが、今度はただの怒声では無い。
腰のホルスターから突き出ているグリップを握り、セイフティに指をかけた。
これで銃を抜き出し、セイフティを外すだけでいつでも弾丸を銃口から吐き出すことができる。
俗に<外燃詞>と言われる、己の思考を文字列かされる架空都市独特の現象を、ロゼットはまだ知らない。
だから、ロゼットが今、必死で最悪の事柄が発生していないことを、
神に祈っていることも、ラルフには全部聞こえていた……。
vsロゼット・クリストファ
>152
「Yes・・・ですよ。これで結構ですか?」
少女の言葉―――いや、<詞>を聞いて、男はその場で振り返った。
彼女の問いに対し、彼は答えを言の葉にのせる。
再びサングラスをかけなおしたその表情には、もはや迷いは見て取れない。
「それで、私を撃ちますか?」
ゆっくりと、両手を上へ挙げていく。
その手が男の肩の辺りにまであがった所で―――
右手に散弾銃、左手に短機関銃を<言像化>、必要なかったモノを、必要な場所へと出現させる。
その引き鉄に指をかけ――――
「それとも、私に撃たれますかな?」
静かに、少女を威圧した。
龍脈のピラミッドにて〜御神苗優vs暗黒騎士ガウザー
導入
『遅かったじゃないか、優。随分と待たされたぞ』
電話に出るなり、山本さんは言う。
「仕方ないだろ、授業中だったんだからな。
・・・仕事の話ならパスな。ここんとこ毎週だぜ?体がもたねぇよ!!」
俺の悲鳴に、山本さんは苦笑しながら
『まぁ、そう言うな。奥多摩のとある山が、龍脈収集用のピラミッドであるってことがわかってな。
早速、お前さんに出動してもらいたい。あれのパワーのすごさは、お前も知ってるだろう?』
それを聞いて俺の脳裏に浮かんだのは、富士の樹海で見た炎の蛇の映像だった。
『まぁ、詳しい話は後ほど・・・』
「って、ちょっと待ってよ、山本さん!?」
そういうなり、山本さんは電話を切っちまった。
「畜生!!」
俺は受話器を叩きつけた。そこが職員室内であるのにもかかわらず。
その後、みっちりと油を絞られたのは言うまでも無い。
まぁ、そんなこんなで、俺は奥多摩にあるとある山へと来ていた。
愛機V−MAXを木陰に停めると、背中に背負ったリュックを降ろし、
中身を取り出す。普段から愛用しているアサルトライフル、H&K G-3を組み立てる。
マガジンをセットし、セーフティを解除、予備のマガジンを腰に仕舞う。
お気に入りのハンドガン、SIGSAUER P226を腰のホルスターに居れ、
そして俺の分身とも言えるモノ、超硬質オリハルコンナイフを腰に挿した。
準備は整った。俺はスーツのチャックを閉めると、
ゆっくりと、辺りに注意を払いながら進んでいく。
そして、木陰の中に埋もれるように、小さな洞穴を見つけた。
「まったく・・・こんなところにこんなのがあるとはね・・・」
俺は呟き、そこへ足を向けようとした。
だが、そこで俺の足は止まった。
その洞穴から出てくる、スーツ姿の男を見たのだ。
・・・何者だ・・・トライデント?それとも他国の諜報部?
まぁ、何にせよ、これを知られたからには生かして返すわけにはいかねぇ、か。
「そこに居る洒落たスーツ着た兄さん?あんたが誰かは知らないが・・・
この遺跡には手を出すな。命が惜しければ、な」
俺はアサルトライフルの銃口を奴の心臓に向けながら、声をかけた。
◆なあじゃvs斗数◆『vs元中壇元帥』
>132
少女は宙に浮いた少年を見据え、叫ぶ。
「空を飛ぶ!?」
『須弥山の人!? いきなり乱暴じゃないか!』
少年の叫びを聞きながら警戒する。
「須弥山?何を言ってるんだ!ボクに化けてシグを襲う気だな!」
少女の目が剣呑に輝く。
少年の呪術刀を見て棒を何処からか出す。
その時、
「う…。……あ…」
少女は眉をしかめ、左手で片目を抑える。
殺戮兵器として生み出された本質が出ようとしていた。
>153 vsラルフ
肯定の言葉。
同時に彼の思考から次々と綴られていく文字情報。
この街で起こっている連続殺傷事件。
死者数……常識で考えられる数を越えている。これは<虐殺>だ。
呆然。
彼は<幻崩の衛士>、まさにエリート中のエリート。
同じ道を歩む者としては、尊敬の念すら込められる相手だ。
そんな……そんなヒトが……。
グリップを握る手に力がこもる。
ふつふつ、思い出したかのように身体の奧から怒りが湧き出てきた。
「ヒトと魔物……何がどう違うっていうのよ……」
彼女の脳裏に浮かぶのは、一人の少年。
悲しい、とても悲しい過去を背負う悪魔。
だけど……最高の親友。
だからこそ分かる。この男は間違っている。
そして、その間違いは――――もう直すことはできない!!
「普通に朝起きて、普通に夜寝ることの何処が悪いのよ!!
――そんな幸せな生活を無理矢理奪っていく権利なんて……誰にも無いわ!」
魔物の定義。そんなのは知らない。
ただ、これだけは分かる。
「ラルフ・グルト……魔物っていうのは、アンタみたいな奴のことを指すのよ!!」
同時、横に大きく跳躍。跳びながらホルスターから拳銃を抜き出すと、
セイフティを外し、照準も合わせずに男へ向かってひたすら乱射。
ロゼットは、完全に頭に血を上らせていた。
前スレ
>372 セラス・ヴィクトリアvsパイフウ
その胸の、急所に正確に貫手を突き入れた。
龍気槍の発動には十分に周囲の気を練りこみ、
飽和状態にある気の爆発力を生かす必要がある。
その貫手によって創り上げた”気圏”を破裂させるのだ。
だが、パイフウはそれをしなかった。
――――何かがおかしい。
周囲の気が怯えた様にざわめき始めるのをパイフウは感じた。
目の前の少女は死んだも同然だ。
自分の手に胸を貫かれ。
その赤瞳に映るのは死。
自分が龍気槍を放たない、いや放てない理由。
彼女のその表情に同情したから?NO。
全身を被う疲労ゆえに?NO。
妙な空気のザワメキ。
その手で彼女を貫いたまま、パイフウの動きは止まった。
>155
◆なあじゃvs斗数◆『vs元中壇元帥』
シグ? 化ける?
何を言ってるんだろう、この女の子は?
「あ、あのさ、何を言ってるんだか、さっぱり・・・」
女の子がどこからともなく、棒を取り出す。
それを見て、驚いた。
「火尖鎗・・・?」
仙界の三昧真火を発する火尖鎗は、おいそれと持てるものじゃあない。
ぼくにしたって、中壇元帥の位を受けた時にようやく手に入れたんだ。
それをなんで、あの女の子が?
その時、きぃぃんと、頭が締め付けられるような痛みが走った。
一瞬、呼吸が出来なくなる。
「か、はっ、な、なに、これ・・・」
痛みに、侵食される。
これは・・・この子の・・・
・・・この子、ぼくと同じ・・・
龍脈のピラミッドにて〜御神苗優vs暗黒騎士ガウザー
>154
洞窟から出てきた俺を出迎えたのは、鋭い目付きをした少年だった。
彼の手にある銃は、正確に俺の心臓に向けられている。
・・・この少年から伝わる気迫は伊達じゃない。
まだこの国にも戦士がいたということか。
知らず、笑みがこぼれる。
『そこに居る洒落たスーツ着た兄さん?あんたが誰かは知らないが・・・
この遺跡には手を出すな。命が惜しければ、な』
少年は俺に射るような視線を向けて、そう告げた。
「俺が誰か、知らないのか?新聞やニュースは見ているか?」
からかうような口調で、俺はその少年に近づいていく。
銃を向けられても平然としている俺を見て、少年の顔に逡巡の色が浮かぶ。
俺はこの少年の顔に見覚えがあった。
確か、アーカムとかいう組織の戦闘妖精、「スプリガン」の御神苗優。
この山に眠る、龍脈の力を求める俺にとっての――邪魔者。
「俺は東京都知事・黒岩省吾だ」
その言葉を彼が聞いた時には―――もう遅い。
俺は一瞬で間合いを詰め、銃を持つ腕を捻りあげた。
苦痛に歪むスプリガンの表情を見て、俺は笑みを浮かべる。
「知っているか!?世界ではじめての銃は、1381年に作られたと言う・・・」
薀蓄を語り終えると、俺はスプリガンの鳩尾に蹴りを放った。
蹴りを受け、再び俺と奴の間に距離が出来る。
奴が銃を構えなおす寸前に、俺は眼前に手をかざす。
「ブラックアウト!」
>157 vsパイフウ
意識が――――消えていく。
景色が――――ぼやけていく。
身体が――――冷めてゆく。
寒い。此処はサムイ。
つい、先刻まで燃えるように熱かった身体は、急速にその体温を減らしていった。
あぁ、わたし……死ぬんだ。
シヌのは――――イヤ。
だけど、ヒトを殺すのはもっとイヤ。
だから、これで……良いのかも知れない。
闇が、闇が急速にホールを包んでゆく。
ざわざわという音を立て、白いコンクリートの壁を、床を、天井を闇色に塗り替えていく。
否、それは闇でも何でも無かった。
ただの微少な生物。
蟲だ。
漆黒の数多なる蟻が、壁や床を這っているだけなのだ。
だが、あまりの数故に、それは完全に<闇>を形成している。
――侵入者とわたしを中心に半径1m。
それが<闇>に包まれていない部分。
他は……全て、蟲によって漆黒に塗り替えられていた。
『なるほど……狗め。貴様はまさに狗だ。本当に狗だ。まさに狗だ。
――いや、少なくとも狗は恐怖という感情を知っている』
――――貴様は知っているか? その感情を?
次瞬、蟻が蝙蝠となり、餓狼となり、巨大な蜘蛛となり、
巨大な拳銃を持った腕となり、侵入者に襲いかかった。
(――――マ、マスター……)
>160
あわわわわ、嘘嘘!!
わたしデス!! わたし、わたし!!
◆なあじゃvs斗数◆『vs元中壇元帥』
>158
少女は本来、封神の事業の為、三界の英知を結集されて作られた。
その裏に隠された陰謀を知ったある仙人は、
少女に力を与えず、『心』を与えて逃亡した。
『心』はリミッタ―である。
そのリミッタ―は…殺劫により、狂い始めていた…。
手に持っていた棒が火を吹く。
三昧真火を放つ火尖鎗である。
―――カァァァッ…
声にもならない声を出し、少女は無機質な瞳で少年を見た。
>135 vsアイン
胸に強い衝撃。
一瞬息が詰まり、次の瞬間、酷く固い壁にぶつかる。
その壁が、屋上の床だと気付くのには、僅かに時間が必要だった。
撃たれたのね。でも――
「まだ、生きている」
今日の襲撃を察知し、用心の為防弾チョッキは着込んでおいた事が功を奏した。
しかしそれも、高速ライフル弾に対しては効果が薄い。
呼吸をする度に、胸が焼けるように疼く。
肋骨には確実にヒビが入っていることだろう。下手をすれば折れているかもしれない。
でも、悠長に痛がっている余裕は無い。
狙撃者は、既にこちらを捕らえている。
転がるように屋上の縁ギリギリまで移動し、一挙動で立上る。
この廃ビルの屋上に射線が通っている場所は、そう多くない。
撃たれた時の衝撃から、狙撃方向を割り出し、その方角に存在する狙撃ポイントを思い出す。
同時に、屋上の縁に沿う様にバックステップ。
着地と同時に膝立ちの姿勢を取り、ライフルを構える。
距離はここからかなりある。
ライフルの有効射程は十分だが、現在使っているスコープでは倍率がやや足りない。
しかし、交換している余裕など無い。
痛みと緊張で荒くなりかける呼吸を、精神力で無理矢理落ち着ける。
スコープの先には、影に覆われたビルの屋上。
倍率の低いスコープは、その狭い視界に屋上の全景を映し出す。
狙撃手は、完全にその影の中に沈み込んでいる。
しかし、見つけ出さなければ。待っているのは確実な、死。
スコープの先に、全神経を集中する。
音が消え、夜の湿った空気の匂いが消え、喉の渇きが消え、足の裏の床の感覚も、
ライフルの重みも、肋骨の痛みも消えた。
私は目だけの存在に成り、狙撃手を探す。
捜す、探す、さがす、サガス―――
時間にすればほんの数秒。感覚では永遠の後―――見つけた。
それは、ほんの僅かな影の滲み。
命のやり取りを行う現場に居なければ、決して気付かない微妙な違い。
でも間違い無い。
そこに―――居る!
腕に、ライフルの重みが還って来る。
その瞬間、滲みに向け、素早く引き金を絞った。
>162
◆なあじゃvs斗数◆『vs元中壇元帥』
やっぱり・・・だ。
この子は、ぼくと同じ。
ぼくと同じ仙界の宝貝兵器。
ぼくに金環が、警告を発する。
陰の氣が強まってる・・・その無垢な心を狂わせるほどに。
「やめて! 落ち着いてよ! そのまま陰氣に引きずられちゃ駄目だ!」
でも、その言葉も届かない。
火尖鎗が三昧真火を発する。
少女が声にならない声を発する。
無機質な、まるで機械のような鈍い光を発する目が、ぼくを見た。
ぼくは、火尖鎗を構える。
闘わなくちゃ、いけない。
助けなくちゃ、いけない。
>163
外れた。
それくらいの事は確認せずとも分かる。
一瞬の躊躇が、狙いを僅かに逸れさせたのだ。
だが、ファントムは失敗を悔やみなどはしない。
いや、そもそもこれは『一発目の射撃が失敗』しただけだ。
けして暗殺そのものが失敗したわけでは無い。
恐らく、標的に私の位置がばれただろう。
だけど、捕捉されるよりも速く射殺できる腕が私にはある。
既に銃弾は薬室へ入っている。
あとは引き金を引くだけ。
確実に仕留めるために、今度は眉間を狙う。
私はスコープを再度覗きこむ。
標的を捕捉――――だがその時には既に……。
――――深い、とてもとても深い銃口が、私に向けられていた。
(――――速い?)
咄嗟に引き金を絞ろうと、指の筋肉に指令を出す。
……だが、返事は無かった。
耳に届く銃声。
胸に、穴が開いている。
私はその時、自分の敗北に気付いた。
仰向けに崩れ落ちていく身体。
それを何処か、客観的に見ながら私は思う。
(あれは……私? じゃあ、私は……誰なのかしら……)
そこで、ファントムアインの意識は途絶えた。
>165
また間違えた……。
――――なんて無様。
>160 セラス・ヴィクトリアvsパイフウ
違和感の理由。ザワメキの元凶。
王立国教騎士団ゴミ処理屋アーカード。
最強の吸血鬼にして最狂のフリークス。
その化身たる蟲が周囲を包んでいる。
常人ならその場で吐いてしまうか、
身動きも取れなくなるだろう。
おぞましいその光景にはさすがの
パイフウでも畏怖を隠し通すことは出来ない。
闇は蟲。獣。獣、蟲は闇。
パイフウがかつて見た事あるような
大蜘蛛に、巨狼に姿を変えた化物が迫る。
気を練りこんだ突き。蹴り。それらはことごとく全て霧散する。
叩き潰したはずの蜘蛛の足は<闇>に帰り、再び形を成す。
初めて生まれた恐怖。
何故かパイフウは嗤っていた。
腹の底からこみ上げる衝動に堪えきれない。
攻撃を紙一重でかわす。その間を縫った別の化物の攻撃。
既にパイフウの服は破れ、皮膚の殆どに疵が穿たれている。
それでも彼女は戦うことを止めない。止めれば死ぬ。
静かに笑いながら
◆なあじゃvs斗数◆『vs元中壇元帥』
>164
少女は鎗を構える。
眼前の全ての敵を屠るために。
それが少女の『本来の』あり方なのだから。
―――コノママジャイケナイ。
かすかな声が内側からする。
だが、本能は否定する。
―――これが『正しい』と。
殺せ殺せ殺せころせころせころせコロセコロセコロセ
殺せ殺せ殺せころせころせころせコロセコロセコロセ
殺せ殺せ殺せころせころせころせコロセコロセコロセ
火尖鎗を少年――なあじゃに向かって振るう。
―――コノママジャイケナイ。
かすかな声がもう一度内側からする。
一瞬の遅滞、それが災いとなった。
>138 ヒカトvs閑馬永空
男が放った斬撃を血刀で受け止める。
キィィン
戦っている二人と、木の上に釣られた娘以外
まったく人の気配を感じる事の出来ない静寂の森に甲高い音が響く。
迅い。もし、オレがただの人間だったら、この一撃で切り伏せられていたな。
オレがこっちの世界に来るのを抑えている虫なんかよりもよっぽど強いかもしれねえ。
受け止めた刀を弾き、後ろに距離をとる。
そして、全身のばねを使って跳びかかると同時に刀を二度、縦に振る。
狙いは両腕。この一撃で、奴を無力化させる―――――!
「命をとる気は無えが、邪魔だけはされたくないんでな」
>168
◆なあじゃvs斗数◆『vs元中壇元帥』
鋭い一撃。
だけど、僅かに鈍い一撃。
左手で印を描きつつ、術を行使。
「火を禁ずれば、則ち燃えること能わず! 停!」
あまり禁術は得意じゃない上に、三昧真火を発する火尖鎗だ。
一瞬、炎を消すのが精一杯。
でも、それで十分。
一瞬だけ火の消えた火尖鎗を、左手の甲で外に払う。
そして、右手の呪術刀を素早く振り上げる。
ざく、っとイヤな音がした。
導入
――あれから三十五年が経った。
人類を滅ぼそうかという勢いで始まったあの戦争を、
しかし人類はゴキブリじみた生命力で見事のりきって見せた。
……無論、大幅にその数を減らしたが。
だがそれも少しずつ回復しつつある。
いつか再び万物の霊長を僭称する日が来るのかもしれない。
そして今、人類の生き残りたちの間で大ブームなのが、
かつての規模から見れば街というのも憚られる、小さなコミュニティー同士での小競り合いである。
結局、あの戦争も人間の本質を変えるには至らなかったのだ。
あなたは笑うだろうか、人類の愚かさを。
――ぼくは笑えないな。他ならぬ人間の愚かさから生まれたぼくは。
ルークは廃墟の片隅でそんなことを思う。
この小さな町――依頼人は国と言ってたが――の用心棒を引き受けてから2週間がたった。
これまでは特にこれと言った異変もなく、恙無い日々が続いている。
だがそれも今日でお終い。
隣町との緩衝地帯ギリギリの場所で動く影を発見。
恐らく武装をした人間、或いは人間型のロボット。
こちらが気付かれていないことには絶対の自信があった。
人影の足元にフレシェットランチャーを照準。
最初の一発は警告。
それで進路を変更しないようなら……その時は用心棒の職責を果たさなければならない。
vsバイロン&ソフィア・テオドレス 状況開始
ルーク VS バイロン & ソフィア・テオドレス
>171
風を切って何かが飛んでくる音がした。
一瞬の後、足元にフレシェットが突き刺さる。
フレシェットの飛んできた方向を見る。
巨大な昆虫のようなロボットがそこにはいた。
警告か。
思わず苦笑がこぼれた。
まさかここまで見事に気配を消せるとは。
ヘッドセットのマイクを使いソフィアに話し掛ける
「気付かれた。相手のセンサー、迷彩能力共に予想以上に高い。
状況はCへと移行。それに伴い作戦をδへと変更する」
多機能型視覚補助機により網膜に表示される接続のマーク。
無線(ワイヤレス)。
ヘッドセットのマイクからソフィアの声が流れ出た。
『解ったわ。じゃあ始めましょうか』
ナパーム爆裂弾を込めた愛用のライフル、ウェザービー・マグナム460を構える。
その銃にはリニアバレルはおろか、スコープすらも付いてはいない。
必要ないのだ。彼の技量ならば。たとえ1km以上離れていようとも。
距離500m。
噂に聞こえたその実力。試させて貰おう。
直接照準。
肉眼でルークの頭部を狙い、初弾を発射した。
ロゼットvsストリクス
>139
鉤爪がシスターを捉える。
浅い。大した傷では無いと感触でわかった。
「チィッ!」
舌打ちしつつ、こちらに向けられたシスターの銃口を目で追う。
発射された弾丸を何とかかわし、睨み付けて来るシスターに平手打ちを見舞う。
「アンタみたいなガキってホントムカツクわ・・・!」
そう、睨み付けて来る真っ直ぐな視線。
純粋さと直向さに満ちた、迷いの無い、何かを信じる者の眼。
そうだ、このシスターは、ワタシをイライラさせる―――
「なんで――なんで諦めないのよ!何でそんなに真っ直ぐアタシを見るの!!」
一歩、また一歩と近寄りながら、知らず知らずの内に言葉に出していた。
そして、再び掴みかかろうとシスターに襲い掛かる。
それこそ、弾丸のような勢いで。
>169 ヒカトvs閑馬永空
一撃目は撥ね上げた。
直後、暮れなずむ落陽より朱い飛沫が散る。
瞬時に襲い来る二撃目はかわせなかったのか、肘込めに閑馬の左腕は斬り飛ばされていた。
「甘い」
だがしかし、閑馬が呟き捨てたのは侮蔑の言葉である。
左手がまだ宙にある内に、翻った剣尖は再び美青年へと突き入れられのだ。
青年が攻撃に手心を加えたのを悟り、敢えて己が身を斬らせ、その隙に攻勢へと転じたのである。
肉も骨も斬らせて相手を断つ。それが儂の剣と知らなかったは主の不運よ。
それより何よりも、いくさ場にて相手に情をかける己が甘さ、精々嘆いて死ね。
>165 vsアイン
手応えはあった。
その証拠に、未だに相手からの反応はない。
私は手早く証拠を片付けると、足早に相手の狙撃位置へと急いだ。
死人に口なしと言うが、それは誤りだ。
死人は、実に多くの情報を生者に与えてくれる。
その情報を得るため、狙撃位置と考えられるビルへと急ぐ。
辿り着くと同時に、コルトパイソンを構え屋上へと駆け登る。
果たしてそこに、狙撃手は居た。
胸を血に染め、仰向けに倒れている。
酷く、意外な相手だった。
でも、その顔は、あまりにもよく知っていた。
―――今―――目の前で―――倒れているのは―――
「………… わ、た、し ! ?」
(人形使いナハツェーラー 森の―― 朝霞万里絵VS浅上藤乃<番外変>)
「ふっ……、今宵は此処にするか」
イノヴェルチが誇るヴァンパイア三銃士のリーダー、人形使いナハツェーラーはそう呟いて、
数メートルはあろうかという壁を飛び越して、敷地に侵入した。
彼の獲物として選ばれたのはここ礼園女学院。
広大な敷地、そして森の中に中央に佇む静謐な世界である。
ナハツェーラーは超越者となってから、犯し、殺し、奪ってきた。
それは吸血鬼である超越者だからこそ許された特権だった。
だから、今回もその特権を行使するだけである。
だが、今回ばかりナハツェーラーに誤算があった。
目的地の学び舎にたどり着くまでに、迷ってしまったのだ。
礼園の周りを囲む森は迷いの森と呼ばれ、迷い込んだら2日は出れないと生徒でも評判である。
その妖地にナハツェーラーはまさに迷い込んでしまったのだ。
・
・
・
ブーン、ブーン、ブーン……
ナハツェーラーの周りでやたらと羽音がする。
そう、今の季節は夏。
まさに原初の吸血種『蚊』の跋扈する季節である。
蚊にとってナハツェーラーはまさに格好の獲物であった。
ナハツェーラーが蚊を叩き落しても際限なく蚊がナハツェーラーを『吸血』する。
ナハツェーラーの全身は既に虫さされで一杯だった。
だが、何より不味いのはナハツェーラーが血を糧とする『吸血鬼』であること。
蚊に大量の血液を奪われ、次第にナハツェーラーの足元がおぼつかなくなっていく。
そんなナハツェーラーに容赦なく、蚊が血を求める。
・
・
・
遂にナハツェーラーは糸の切れた人形のように倒れた。
――もっと、生きていたい
――もっと、話していたい
――もっと、モーラたん人形と……
しかし、最早、ナハツェーラーの身体は動かなかった。
ヴァンパイア三銃士の1人、人形使いナハツェーラーはこうして迷いの森と原初の吸血種の前に屈した……
>167 vsパイフウ
『ほぅ、そこで嗤うか? 狗が』
必死の抵抗を試みる侵入者に、王は休むことなく攻撃を送り込む。
その攻撃を確実に捌いていく侵入者。
その凄まじさは、先程の闘争とは段違いだ。
だが、そんなずば抜けた強さも、王の前には無力だった。
周囲の<闇>が集まり、人型を形成していく。
だが、それは『人型』に過ぎない。
闇は闇だ。
腹に牙を生やし、胸に無数の眼を持つ人などいない。
その<闇>が、侵入者の眼前に立ち……ニタタァァァ、と笑った。
それは……まさに地獄の笑み。狂喜の笑み。
常人には、一生理解できないものだ。
『さあ、聞かせてもらうぞ――――貴様の<命>の声を』
瞬間、侵入者の衣服が弾け跳ぶ。
麗しき肢体が露わになるが、そんなことを気にする暇は彼女には無い。
彼女の白い首筋に、今……王の牙が突き立つ――――。
「……マ、マスター!!」
その叫びに、王の動きが一瞬止まった。
vsパイフウ
「マ、マスター……マスター……!!」
自らの血の池に溺れながら、わたしは叫ぶ。
もはや、身体に力は残らっておらず、首を上げることで精一杯だ。
だけど……だけど、わたしは叫ばずにはいられなかった。
「もう……もう止めましょうよ!! 決着はついているじゃないデスかっ!!」
口から、血が溢れ出す。腹からもだ。
喉に血が溜まり、呼吸も満足にできない。
だけどわたしは叫ぶ。
「人間なんですよ……女の子なんですよ!! ゆっ、許してあげましょうよ!!」
わたしの命を賭けた叫び。
それを師に届かせるために、わたしはとにかく叫ぶ。
だが、答えは聞かずとも分かっている。
そんなことは――――充分承知だ。
『――――駄目だ』
一言。
だが、それだけで全てを断絶する一言。
師の牙が、侵入者の首筋突き立つ。
「――――ッ!! ……お願いですから……マスター……マスター……」
>178は>177デス……。
◆なあじゃvs斗数◆『vs元中壇元帥』
>170
ざく、という音がした。
少女が左腕を確認すると肘から先がなくなっていた。
少女は泣き叫ぶどころかニタァと笑う。
―――面白い。
殺戮兵器としての本能が笑う。
「あハはハははハハハハHAHAHAHA!!」
本当に嬉しそうに。
殺劫が加速する。リミッタ―である『心』が泣き叫ぶ。
―――ボクを止めて。 と。
一瞬にも満たない時間、
狂笑を浮かべつつ、火が消えたままの火尖鎗を少年の左腕に突き込もうとする。
「おカエし、だヨ」
>173
ロゼット VS ストリクス
『哀 ――誰がために君は泣く――』
『ぱぁん!』
私の銃撃をよけて、私の前に迫った彼女が私に放ったのは・・・・・・
平手の一発だった。
「・・・・な!!」
私は、自分の頬に触れる。
叩かれた頬が熱を帯びたように熱い。
『なんで――なんで諦めないのよ!何でそんなに真っ直ぐアタシを見るの!!』
「決まってるでしょう!?
私には、死ねない理由がある!!やりとげたい事がある!!
それだけよッ!!」
私は、銃口を彼女に向けながら瞳の端でちらり、と確認する。
く・・・・肩口の痛みが・・・・・。
私は、左腕で胸元を隠しながらその場から飛びのこうと体勢を低くする。
と同時に、彼女が私に飛び掛った!
速いッ?!
私は銃で牽制を仕掛けつつその場から飛びのく!
間に合わないッ!?
彼女の腕が、眼前に迫る―――!!
>174 ヒカトvs閑馬永空
一撃目は弾かれたが、二撃目は相手の左腕を奪う事が出来た。
まあいい、次で決める――――――――。
そう思った刹那、奴の刀はオレの腹部を貫いていた。
たちまちそこより赤いモノが吹き出し始める。
チッ………やられたか。
だけどな、オレの血は闇を狩るためのもの。
―――――――――猛毒の血をたっぷり喰らいな!!
闇を灼く血が閑馬を襲う。
>172 バイロン
vsバイロン&ソフィア・テオドレス
ライフルのものと思われるマズルフラッシュを確認。
人影の属性を所属不明目標から敵性目標に変更。
意識の中でがなりたてる警告シグナルが急激に音量を上げる。
一瞬で弾道を計算しつくし、ナパーム爆裂弾が頭部に着弾するよりも早く34Gで真横に跳躍。
弾丸はルークのすぐ後ろ、荒廃しきったビルの壁面に着弾。
質の悪い冗談のような大穴がビルに開き、
衝撃に耐え切ないビルは盛大に砂煙をあげながら崩壊を始める。
そして、ルークは既にそこにはいない。
人影との間の距離約500mの半分を一秒で詰めている。
残り約250m。
お引取りを願うにせよ、殺すにせよ、まずは接近しないことには始まらない。
右攻撃肢の先端から、単分子フィラメントのアンカーを引き出した。
>69 朝霞万里絵VS浅上藤乃
その日の夜 私は一人、寂しい夜空に浮かぶ月を眺めていた。
もう―――大丈夫だと思っていたのに
誰に語りかけることも無く、一人そう呟いた。
あの日の出来事。
私の罪。
無かった事には出来ない・・・だけど。
私はここにいる。
殺人を愉しんでいた自分。人の腕や足を凶げて、飛び散る血を見つめて
笑っていた自分。そして、それを諭された自分。
私は・・・・・・本当に普通に戻れるのだろうか?
みんなと一緒にここで笑っていてもいいのだろうか?
そんな永遠に抜け出す事が出来ない ――罪に対する自問の螺旋――
コンコン
ドアのノックの音がして我に返った。
『浅上さん? 話があるんだけど、いいかな?』
この声は夕方に会った万理絵さんの声だ。
こんな夜中に?
私はあまり知り合っていない仲と言う事もあり制服に着替え
ドアを開けた。
「あの・・・何かご用でしょうか?」
>180
◆なあじゃvs斗数◆『vs元中壇元帥』
左腕が落ちて。
なのに女の子は嗤っていて。
ぼくの腕が、灼熱の痛みに襲われる。
ぱきぃぃん、と澄んだ音が響く。
ぼくの左腕が、バラバラになって、砕ける。
結晶質の砕片が、月の光を浴びて、きらきらと輝きながら消える。
痛みは、無い。
いや、あるのだけど、感じない。
だって、女の子の心の方が、もっと痛いってわかるから。
ぼくを憎むことしか出来なかった獨健みたいに、痛い痛いって叫んでるから。
痛くなんか、無い。
それが、たとえ『作られた』身体だからとしても。
「停! 縛妖索!」
四房の髪が、生き物のようにうねりながら、少女の四肢に絡みつく。
>175vs江連
目が覚めた。
何分ぐらい眠っていただろうか?
確かめようとしたら、身体が動かなかった。
力が入らない。
ふと、胸元を見ると、そこから血が溢れ出している。
致死傷だ。もう、助からない。
ふと、そこで気配に気付く。
いつの間にか――多分、私が目覚める前から――
軽い驚愕の表情を浮かべた……『私』がいた。
「あなたは……私?」
もっと、驚いても良いかも知れない。
だけど、そんな時間は無い。
もう、私の命の灯火は……消えているようなものなのだから。
「ねぇ……一つだけ教えてくれない?」
一つだけ……目の前にいる自分に質問があった。
答えてくれるかは分からないけど、聞くだけなら自由だろう。
「どうして……私を撃ったの? どうして、私を殺したの?」
うぅん、こんなことは疑問じゃない。
その先にあるものこそが、私の聞きたいこと。
「どうして……あなたは生きているの?」
今回の任務は、マスターからの命令だ。
即ち、目の前にいる私はマスターに命を狙われていると言うことだ。
だが……彼女は抵抗した。マスターに逆らった。
その……理由は?
「あなた――――本当にアイン?」
>178 セラス・ヴィクトリアvsパイフウ
さながら人形のように捻り伏せられる。
何度も何度も化け物の身を貫き、切裂き、
無限に殺し続けるかと思われた彼女の拳も
既に力を失っていた。
頭を鷲掴みにされ持ち上げられる。
無抵抗。負けた者は殺されるのだ。
既に負けている。殺されて当然。
その掟に従うのか。パイフウは動かない。
その白い首筋に、牙があてられた。
苦痛は無い。
殺すための道具として生まれた女は
殺される事によってのみ解放される。
その死に顔にあるのは自嘲だった。
ルーク VS バイロン & ソフィア・テオドレス
>183
初弾はあっさりとかわされた。
ウェザービー・マグナム460の引き金を連続して引く。
弾丸が発射される。更にもう一発。
はじめの弾丸はルークの足元を狙い。
次の弾丸はルークの胴体を狙って撃った。
弾の切れたライフルを投げ捨てる。
同時に右腕の手甲に固定した武器を起動した。
前腕に沿うように固定された直径6cm程の円柱型の本体が前に数十センチほど伸び、
掌の中にグリップが射出される。
グリップセーフティーをしっかりと握りこんで解除し、ボタンを押す。
数十センチほど伸びた本体から、1尺4寸ほどの刃が飛び出す。
源清麿高周波刀拵。
使うもの次第では立方晶窒化珪素すらもバターよろしく切り分ける高周波ブレード。
わざわざ腕を切り落として装着した左手の義手で、腰の拳銃を抜く。
ヴィンドゥーヤ12mm。込めてあるのはスライム・マグナム。
機械相手には有効な武器だ。
バイロンは諸手の武器を構えると。
ルークめがけて走り出した。
ロゼットvsストリクス
>181
死ねない理由。やり遂げたい事。ナンダロウ。
自分にもあるだろうか。あるかもしれない。確かにあった。
でも、諦めなければならなかった。親友であった彼女の為に。
諦めてしまった。捨て去ってしまった。無くしてしまった。
だから、このシスターが赦せない。
簡単に、真っ直ぐな信念を語るこのシスターが赦せない。
「そうやって・・・自分が正しいと思うのは気持ちイイ?正義の味方ヅラして・・・ホントにカワイイよねぇ?」
力で再び捻じ伏せ、押し倒す。修道服の裾を裂き色気の無い下着を悩ましいデザインに変えてやる。
傷ついた肩を掴み力を込めた。人間の限界を嘲うかのような異常なまでの握力に、肉が歪み骨が軋む。
このシスターに絶望という物を教えてやる。
誰かの為に自分の気持ちを偽る辛さを教えるのは無理だろうが、単純な苦痛だけでも発狂するほどに味合わせてやろう。
汚れを知らないような真っ直ぐな精神に陵辱される快楽と恥辱を叩き込んで犯ろう。
そう考えて力を込める。
腕を捻り上げ、胸に手を這わせる。
まだ成長し切ってはいないだろうその膨らみを荒々しく、力を込めて揉む。
「アンタにも、もっと楽しい事を教えてあげる。だから、絶望してよ!大切な物ってヤツを捨ててよ!泣き喚いてよ!!」
何処か哀しげな。血を吐くような叫び声を上げる。
そして、掴んだ腕を握り潰そうと、さらに力を込めた。
>182 ヒカトvs閑馬永空
堪えきれぬ苦鳴を洩らし、閑馬は青年の腹部から刀を抜いた。
跳び下がりつつ、地に落ちた左腕をそれで刺し、拾う。
美青年の血を被った半顔から白煙が立ち上っている。
閑馬の左の顔面は、醜く焼け爛れていた。
それだけではない。疵口を癒さんと、回虫めいた無数の蟲が蠢き這いずっている。
只々惨たり、外道の剣客。
ずるり、と音がした。
閑馬の左眼が、糸を引きつつ溶け落ちていく音であった。
これの血――酸の類か。にしても血仙蟲の再生力を凌ぐとは。
無い左腕を目の端に入れる。血の刀で斬られた疵もまた、煙を噴いて溶けていく。
刀の先にある左手を無理やり押し当てた。
煙を上げながら、左腕は再び繋がる。
左の指先が痙攣じみて動く。刃を抜き、軋る様な声で呟いた。
「唐土を旅した折りに耳にした事がある。主、あちらで云う僵尸の類と見たは僻目か。
魔の血を操り人の血を啜る妖――この国の言葉なら吸血鬼とでも呼ぼうか」
今や一つきりの眼が美青年を射抜く。
「成る程、これはあの娘を喰らおうとての仕儀とな。得心いったわ」
>187 vsパイフウ
「あぁぁぁぁぁぁぁぁ……!!」
突如、侵入者の身体が焔に包まれる。
証拠隠滅。
『彼等』のいつもの手だった。
無論、彼女の首に噛み付いている師にも炎は容赦なく襲いかかる。
だが、師がこの程度のことで死ぬわけが無い。
炎を包まれながらも、一心不乱に血を吸い続ける師。
まさに鬼だ。
そんな地獄のような光景を見つめながら、わたしは静かに泣いた。
恐らく、わたしは助かるだろう。
血が海のように溢れ出し、内蔵が破裂しているが、多分わたしは死なない。
だけど、あの女の子は死んだ。
彼女は『死』に眼をつけられたのだ。
―――多分、明日になれば今日のことなど忘れているだろう。
セラスは、そんな自分を悲しく思い、泣いた。
◆なあじゃvs斗数◆『vs元中壇元帥』
>185
四房の髪が少女の四肢を拘束しようとする。
「疾ィイャァーーッ!」
殺戮兵器の本能が、火尖鎗を反射的に振るう。
が、傷ついた右腕だけが、自由でいられる。
少女は拘束を振り払おうと全身でもがく。
未だ続く出血。
少女の血は禁断の果実。
百人を超える仙人の力が結集された故、
千年の修行にも勝る玄気に満ちている。
そしてそれが少年の身体に、傷に降りかかる。
>184 朝霞万里絵VS浅上藤乃
ノックからさして間が開くこともなく、ドアの向こうから藤乃が顔を出した。
時間が時間だし、顔見知りというワケでもないのでやはり気を許してはないのだろう。
ドアの向こうから伺うような感じで顔を覗かせている。
一応、いきなり閉められても対処できるように気持ち前の方に立つ。
足を挟んで隙間を確保し、そこに体を差し込めば何とかなるだろう。
あまり手荒なことはしたくないのだが。
「はじめまして、あたしは朝霞万里絵、よろしく」
僅かに首を傾げて、微笑を浮かべながら右手を差し出す。
「あたしの話を聞いてくれてたよね? それで、途中で席を外したのが気になって。
顔色が悪かったみたいだけど、大丈夫?」
もう少し婉曲に外堀を埋めていった方がいいのかもしれない。
だが、あまり立ち話を長く続けるのも拙いだろう。
まぁ、チャンスはまだこれだけというワケでもないから焦る必要はないのかもしれないが。
「それでちょっと心配になって様子を見に来たんだけど……迷惑だったかな?」
迷惑でない事はないだろう。
礼園のルールではこんな時間に会話をしているだけでもシスターに大目玉だ。
だが、万里絵は藤乃を迷惑かと問われてそうだと言えない性格だと断じた。
逃げ道を封じるようでいい気分はしないが、贅沢は言ってられない。
相手の目を、気持ち上目使いで見ながら問いかけた。
レス番纏めデスぅ……。
え? 散乱しすぎて見辛い?
じゃーん、そんなときの闘争保管庫ー!!
――――あとで感想スレにあげておきます。
パイフウ戦
第19章>437>458>466>472>474>477>480
第20章>3
第21章>320>327>336>339>343>344>346>372
第22章>157>160>167>177>178>187>191
>186 vsアイン
「あなた――――本当にアイン?」
――――ああ、そうか。
その一言で、私は理解した。
今、目の前に倒れているのは、私じゃない。
例え姿形、さらに、その遺伝子の一つにいたるまで全て同じであったとしても、
彼女は、私じゃない。
私は、ゆっくりと倒れている少女に歩み寄る。
傍らにしゃがみこみ、その震える右手を優しく握る。
人を殺すためだけに存在してきた右手。
でも、今は――――
既に冷たくなりかけているその右手を、自分の頬に添え、私は出来る限り優しく答えた。
「いいえ。私の名前は、エレン。そう、呼んでくれる人が居るの」
>192
◆なあじゃvs斗数◆『vs元中壇元帥』
縛妖索を以てすれば、少女を拘束するぐらい、難しくはない。
でも、それでももがく少女。
血をぼとぼとと流しながら、それでも、もがく。
・・・やっぱり、泣いてる。
身体が痛くて。
でも、それ以上に心が痛くて。
縛妖索からフィードバックされる情報を、金環が処理してくれる。
名前は、斗数って言うのか・・・
ぽたり、と。
左腕の傷口に、少女――斗数の血がかかる。
瞬間、灼けるような、凍えるような痛みが走った。
何、この血は・・・
強すぎる玄気を含んだ血が、傷口から体内に染みこんだらしい。
常ならば、もっと玄気が少なければ、強化にもなるだろう。
が、急激すぎるそれは毒にしかならない。
びっぐ・べんの時計台にもたれかかり、左腕の傷口を押さえる。
痛い。イタイ。いたい。
涙目で、それでもキッと斗数を見やる。
血を浴びせられたのであれば、その玄気を辿ることも出来るはず!
>188 バイロン
vsバイロン&ソフィア・テオドレス
さらに二回の閃光を確認。
高速移動中のルークは軸移動による回避を不可能と判断。
咄嗟にアンカーを引き出していない左攻撃肢を地面に叩きつける。
殺しきれない速度は慣性に変わり、
二百五十キロの身体が宙を舞い、その真下を弾丸が通り過ぎた。
空中で状況を確認。
視界の隅に実に物騒な装備をした人影。
センサーによる走査を信じるならば、この人影は左手以外は完全に生身。
なかなかに信じがたいことだが、再走査はしない。
一瞬でも時間が惜しい、とにかく体勢を整えたい。
攻撃肢を振り回して重心を移動し、慣性制御とあわせて空中にいながら身体を返す。
見れば人影はもう目の前。
引き出しておいた右攻撃肢の単分子フィラメントを人影――バイロン――の右手に照準。
右から左にフィラメントを振りながら、速度と重量を生かした体当たりを敢行する。
>189
ロゼット VS ストリクス
『哀 ――誰がために君は泣く――』
《どさッ!!》
「きゃぁッ!」
彼女が、私を再び押し倒す!!
『そうやって・・・自分が正しいと思うのは気持ちイイ?正義の味方ヅラして・・・ホントにカワイイよねぇ?』
そう叫びながら、彼女の爪が私の服を引き裂いた。
「―――――!!」
蹂躙される恐怖に、私は声にならない悲鳴をあげた。
彼女の腕が、私の肩の傷を握り潰すかのように掴む。
―――痛い――――ッ!?
彼女が空いた片腕を半分露になった私の胸に這わせ、乱暴に揉みしだく。
「い、いた―――!!痛い!!」
私は、肩の傷の痛みにと乱暴なその痛みに思わず悲鳴をあげた。
まずい・・・・早くしないと―――!!
《ぽた・・・・》
「――――?」
その時、私の顔に一滴の暖かい雫がおちる。
『アンタにも、もっと楽しい事を教えてあげる。だから、絶望してよ!大切な物ってヤツを捨ててよ!泣き喚いてよ!!』
彼女の瞳に浮かぶ、雫が一つ、二つ。
こいつ――――?
「あんた・・・・・まさか泣いてるの・・・・?
どうして―――?」
私は、自分が今目の前の彼女に蹂躙されているにもかかわらず、彼女に問い掛けていた。
一瞬、彼女が息を飲んだような気がした次の瞬間!
「ロゼットを・・・・放せぇぇぇッ!!」
クロノが、彼女を突き飛ばしその肩口に『反響体(エコーズ)』−結界発生器−を突き立てた!
>195 vs江連
『私』の頬は……とてもとても暖かかった。
だけど、どうして暖かいのか……私には理解できない。
「そう。エレン……ごめんなさい、人違いだったみたいわね」
眠くなってきた。そっと瞼を閉じる。
もう、開かせることは無いだろう。
「なんか、おかしいわね。あなたが……少しだけ羨ましい」
だけど、一生彼女を理解できる日は来ないだろう。
したいとも思わない。
もう、眠ろう。
マスターの命は失敗してしまったけど、また別の刺客が彼女を襲う。
だから、私の死はそんなに大したことじゃない。
(おやすみ、エレン)
もう、声には出せないけど、私は心で呟く。
そう言えば、私の名前を言ってなかった……。
私の名は――――ファントム。ファントムアイン。
THE END
アインvs江連 レス番纏め
>109>113>123>126>135>163>165>175>186>195>199
ファントムは死なないわ。
世界がファントムを求める限り、ファントムは不滅よ。
――――本庄? 誰それ?
ロゼットvsストリクス
>198
嗤いながら涙を流す。涙が流れる。
傲慢に、凶暴に、狂気に嗤いながら、なおその目からは涙が流れる。
痛みに顔を歪めるシスターを見るととても気分が良い。
同時に、空虚さが心を蝕む。心の何処かで誰かが悲鳴を上げている。叫んでいる。
「泣いてるの――?」
そう聞かれた。そこで始めて気付いた。自分が涙を流している事に。
自分は悲しいのだろうか?何が?こんなに気分がイイのに。こんなに楽しいのに。
そう思った瞬間、突き飛ばされ肩口に鋭い痛みが走った。
また、少年に不意を突かれたのだ。
再び無様によろめく。
前に同じ手段で不意を突かれながら再び同じ手段で不意を突かれる。
他の吸血鬼たち、いや、吸血鬼に限らず場数を踏んだプロや戦い慣れた者達では有り得ない失敗。
見る者が見れば即座に気付いたであろう事実。ストリクスには、戦闘の才能が欠如していた。
呆然として立ちあがる。
痛みに顔を顰め、肩口に突き刺さったものを抜き、投げ捨てた。
また怒りが沸く。呪いと罵倒の言葉を吐き出そうとした口が実際に吐き出したのは別の言葉。
「ねェ・・・痛いよ・・・何で私が何時も諦めなくちゃいけないの?何で?良い子にしてたのに。大人しくしてたのに。
何で私が好きな事をさせてもらえないの?何で人に隠れて好きな事をしなくちゃいけないの?
なんで私が好きな人を諦めなくちゃいけないの?親友だったのに、何で私の欲しい物はあなたが持って行ってしまうの?
そんなのはもうイヤ・・・私は・・・私は・・・ねぇ、ウピエル様・・・ウピエル様がワタシを解放してくれたから・・・
アタシはもう、我慢しなくてもイイんだ!ねぇ、だからもう諦めて!絶望して!泣き叫んで!快楽を受け入れて!」
支離滅裂な呟きとも叫びとも言えない言葉の羅列。
明かに彼女は目の前のシスターと少年に語りかけてはいない。
何処か別の、遠くにいる何かに話しかけている、それは血を吐くような告白。いや、懺悔とも言える。
悲しみに泣く少女の表情、サディスティックに嗤う吸血鬼の表情、捨てられた子犬のような表情、吼え立てる狂犬の表情。
アンバランスな精神は安定する事無く危うい少女の姿をよりいっそう危険なものにする。
そのまま邪魔をした少年の方に微笑みかける。
「2度も邪魔するなんて・・・躾のなってないクソガキにはたっぷりお仕置きしないとねェ!!」
今度は両手に鉤爪を生やした。
再び凶暴な哄笑を浮かべ、今度は少年の方に躍りかかる。
冷静さを、精神の均衡を完全に失ったその動作は、ただ身体能力が優れているだけの、まるでデタラメな動きだった。
私の名は信乃。『鬼師』によって創られた『鬼』。
元は私も紅丸と同じ不完全体です。しかし、現在は『鬼』として生きています。
紅丸、そして『彼ら』と同じ、いやそれを上回るほどの能力を持っています。
具体的にいえば、物質どうかとそれによる強化。支配。
驚異的な身体能力。また、私は手にした刀に魂を封じ込める事も出来ます。
こんなところでしょう。では後ほど会いましょう。戦でね。
テンプレ
出典:EATER
名前:信乃
年齢:500歳以上
性別:男
職業:鬼
趣味:戦
恋人の有無:無し
好きな異性のタイプ:無し
好きな食べ物:人間等の魂
最近気になること:清水青子と紅丸
一番苦手なこと:『導く者』
得意な技:物質同化と支配
龍脈のピラミッドにて〜御神苗優vs暗黒騎士ガウザー
>159
(・・・・・アサルトライフル向けられてるってのに・・・・・・平然と歩いてくる?馬鹿か、こいつは?)
俺は驚いていた。つうか、どっかで見たような顔ではあるんだが・・・・・・
そして奴は言った、俺は都知事の黒岩だ、と。
都知事がなんだってこんなとこに・・・・・・思った瞬間、
奴は俺の目の前に居た。一瞬のことで反応し切れなかった俺に、
笑みを浮かべながら、奴はこう言い放った。
『知っているか!?世界ではじめての銃は、1381年に作られたと言う・・・』
呆気に取られた俺の鳩尾に、ケンカキックが炸裂する。
後方に転がるように吹っ飛んだ俺が体勢を立て直したとき、
すでに奴の体は変わっていた。
そこにいたのは黒岩と知事じゃない。黒の鎧武者。
そいつが、手を眼前にかざしながら立っていた。
「へっ、最近は都でもパワードスーツ開発してるのかよ!!」
俺は憎まれ口を叩きながら、奴に7.62mmの銃弾の雨を降らせる。
狙いは足、そして腹。さて、あの鎧にどこまで効果があるもんか・・・・・・
龍脈のピラミッドにて〜御神苗優vs暗黒騎士ガウザー
>203
暗黒騎士と化した俺の姿を見て、スプリガンが皮肉な言葉を吐く。
その声とともに、奴は俺の体を灼くべく銃弾を放った。
奴の狙いは足と腹、か。
見極めた瞬間、俺は即座に背の刀へと手を伸ばす。
「はぁっ!」
掛け声とともに軽く跳躍し、俺は足への弾丸をやり過ごす。
同時に、鞘から刀が抜き放つ。その音が洞窟の方に反響し、辺りに鋭く響き渡った。
一筋の銀光が横に走り、鉄のつぶてがぱらぱらと地に落ちていく。
「遅いな、現代の武器は・・・」
俺は剣を肩口の辺りで構え、笑みを含んだ口調で言ってみせる。
「それから、1つ教えてやろう。この姿はパワードスーツなんかじゃない」
剣先をスプリガンのほうへ向けつつ、俺は余裕げにそう告げる。
「この姿こそ、俺の真の姿だ!」
その一声をあげると、俺は地を蹴ってスプリガンの喉元に突きを放つ。
俺は一条の矢と化して奴に迫る。
龍脈のピラミッドにて〜御神苗優vs暗黒騎士ガウザー
>204
「秒速900mオーバーのライフル弾を遅いたぁ、言ってくれるじゃねぇか」
俺は奴に嘯く。だが、内心では冷や汗をかいていた。
避けるだけならまだしも、刀で叩き落すだと?
だが、躊躇してる暇は無い。
俺の喉めがけて鋭い錐を思わせる突きが来ていた。
アサルトライフルを棍の代わりに突きを大きく跳ね上げる。
地面を強く蹴った両足で、がら空きになった胸めがけ、蹴りを入れる。
その反動を使って後方に跳ぶと、ライフルを本来の使い方に戻す。
「青年の主張はまだまだ続くぜ、知事さんよ!今晩はとことんつきあってもらうからな!」
そして、俺はできるだけ遺跡から奴を引き離すように、少しずつ位置をずらしながら、
ライフルを撃ち続けた。
龍脈のピラミッドにて〜御神苗優vs暗黒騎士ガウザー
>205
流れるような動作で、奴は俺の突きを捌き、距離を取ってみせた。
蹴りが食い込んだ胸に、痛みが走る。
「やる・・・」
思わず、感嘆の声が漏れる。
人間が俺に攻撃を当てるとは、戦闘妖精の二つ名は飾りではないということか。
『青年の主張はまだまだ続くぜ、知事さんよ!今晩はとことんつきあってもらうからな!』
そう叫びつつ、奴はわずかに、しかし確実に移動を続けながら俺に銃を放つ。
逃げるつもりでもなさそうだが―――。
「何をわめいている!」
俺は剣を一閃させ、裂かれた弾丸の間をくぐって奴の方へ駆け出す。
「今の人間は主張ばかりだ・・・。自分から何かしようという気概がない!」
語りつつ、俺は迫る弾丸を薙ぎ払い、スプリガンとの間合いを詰める。
走った勢いを利用して、そのまま奴の顎に左ストレートを繰り出す。
だが、それはフェイントだ。
避けた所を、右手の剣で叩き切ってやる。
>144 vs朧
――――――風が、吹いた。
意識が澄んでいくのを自ら感じる。
逆に曇りゆく感情。
空防のような分厚い虚が瞳の輝きを消した。
奥歯を強く噛み、唇を引き絞る。
そこに在るのは、純粋な殺人者。
踏み込みは、むしろゆったりとしたものだった。
軽く、浮くように。故に捕らえがたく。
……次の瞬間爆ぜた左手は、対照的に弾丸のごとく。
人体をやすやすと貫く抜き手が朧の喉元を捉える!
>207 vsユージン
人体をやすやすと貫く抜き手が朧の喉元を捉える!
すさまじい速さで抜き手をのど元に打ち込まれた。
普通の人間なら何が起こったのかわからずにあの世いきだろう。
この青年の武器は自らの五体、暗殺のための拳である。
標的は一瞬にして倒され自らは姿を消す。
殺気をほとんど感じさせずまた踏み込みのタイミングも良い。
かなりのレベルに達している。
その攻撃を最小限の見切りで横にかわし、青年の肩を片手でたたくと同時に軽身功により
跳躍 4,5メートル背後に音もなく降り立つ。
この青年がどこまでやれるのか試してみたくなった。
>208 vs朧
軽く5mを跳躍する朧。
尋常ではない。人間には不可能な動きだった。
合成人間か……さもなくばMPLS。でなければこんな動きは出来ない。
――だが、ユージンはそんなことに長く頓着しなかった。
いま思考すべきは、「なぜ」ではなく「どうやって」である。
どうやって――殺すか。
朧が着地。
同時、一足でそこに迫るユージン。
次は切るように手刀を旋回させながら、その実狙うは膝。
鉄板を仕込んだブーツが足を砕く様は、手刀の死角となって見えまい。
龍脈のピラミッドにて〜御神苗優vs暗黒騎士ガウザー
>206
(ち・・・・・これじゃ埒があかねぇ・・・・・・)
俺は歯噛みする。遺跡から引き離すことには成功してる。
しちゃあいるが、それだけのことだ。
俺の打ち込んだ弾は奴への牽制にしかなっていない。
「だから何だって言うんだ!誰でも手前みたいに強いわけじゃねぇ!
それでも必死に生きてるんだ!それをとやかく言う権利はてめえにだってねぇんだよ!」
もはや距離的には充分、だな。俺はそう判断した。
ライフルも奴相手じゃあ役にゃ立ちゃしない。
俺はライフルを投げ捨てると、右から繰り出されるアッパーに対し、
懐にもぐりこむようにして避ける。
奴から戸惑う気配がした。俺はそれには一切かまわず、
スキだらけの左脇に頭をもぐりこませ、右腕で頭を、左で右足を捕らえる。
そして、そのまま担ぎ上げると、ブリッヂの要領で後方へと投げ飛ばした。
「手前の信念と俺の信念、どっちが強いか、勝負だ!!」
龍脈のピラミッドにて〜御神苗優vs暗黒騎士ガウザー
>210
俺のフェイントはあっさり無効化される。そうそう巧くはいかないか。
自分の失策を呪った瞬間、俺の体は宙に舞っていた。
奴が俺を投げ飛ばしたのだ。
頭部から地面へと突き刺さる寸前、辛うじて左腕で頭をかばう。
――――――地面に接触。
腕を中心にして、全身に衝撃が走る。
「ふっ・・・・・・必死に生きている、だと?」
冷笑の声を上げつつ、振り向く代わりに頬骨を目掛け、後ろ回し蹴りを放つ。
「今の日本に、どれだけ必死に生きている奴がいる!?」
奴と向き合いになると、腹を狙い、鋭い爪先蹴りを打ち込む。
「あの遺跡の力は、ダラダラ生きている奴にとって、良い薬になると思うんだがね!」
俺は言いつつ、肩口へと剣を振り下ろした。
刃が風を切り、スプリガンを裂くために落ちていく。
龍脈のピラミッドにて〜御神苗優vs暗黒騎士ガウザー
>211
「へっ、言うじゃねぇか!」
俺は減らず口を叩きながら、すぐさま戦闘態勢を取った。
あの無理な体勢で投げ飛ばされても大丈夫とはね・・・・・・
こいつは・・・・・・・マジですげぇ!!
返答代わりに蹴り上げられた足を身を屈めて避ける。
一瞬、息が詰まる。屈んだところに爪先がモロにめり込んだ。
吐き気を必死にこらえるが、さすがに体へのダメージまでは庇えない。
ガクリと膝をついた俺の肩口に、奴の刀が迫る。
戞っ
と火花が散ったのは、腰から引き抜かれたナイフが、
奴の刀に応じたからだ。
眼前に迫り来る刀をじりじりと押し返しながら、俺は叫んだ。
「だがな、そう言った奴で歴史的偉業を達成した奴はいねぇのも事実だろうが!」
腰から引き抜いたナイフががっちりと
>212は訂正。こっちでよろしく。
龍脈のピラミッドにて〜御神苗優vs暗黒騎士ガウザー
>211
「へっ、言うじゃねぇか!」
俺は減らず口を叩きながら、すぐさま戦闘態勢を取った。
あの無理な体勢で投げ飛ばされても大丈夫とはね・・・・・・
こいつは・・・・・・・マジですげぇ!!
返答代わりに蹴り上げられた足を身を屈めて避ける。
一瞬、息が詰まる。屈んだところに爪先がモロにめり込んだ。
吐き気を必死にこらえるが、さすがに体へのダメージまでは庇えない。
ガクリと膝をついた俺の肩口に、奴の刀が迫る。
戞っ
と火花が散ったのは、腰から引き抜かれたナイフが、
奴の刀に応じたからだ。
眼前に迫り来る刀をじりじりと押し返しながら、俺は叫んだ。
「だがな、そう言った奴で歴史的偉業を達成した奴はいねぇのも事実だろうが!」
>201
ロゼット VS ストリクス
『哀 ――誰がために君は泣く――』
「なんなんだ?!」
僕・・・・クロノは目の前の彼女を見て困惑した。
彼女の不意をつくために、気付かれないよう準備を進めていた僕は、
押し倒されたロゼットを助けるために思わず彼女を突き飛ばしていた。
彼女は、叫んでいるのか、呟いているのか、良くわからない事を口走り続ける。
さっきから――――何なんだ?!
怪訝な表情を浮かべながら、僕は一歩下がる。
だが、ロゼットだけは・・・・違った。
悲しそうな、切なそうな顔で彼女を見つめている。
『2度も邪魔するなんて・・・躾のなってないクソガキにはたっぷりお仕置きしないとねェ!!』
しまった―――!!
僕が、ロゼットに気を取られているうちに、彼女が僕へと襲い掛かる!!
ち!
僕は、腕を一本犠牲にするつもりで彼女に向かって飛び掛った。
その時!
《たぁん!!》
炸裂音。
そして、銃弾が彼女の右腕を捕らえた!
炸裂した聖油が十文字の閃光を放つ――――!
◆なあじゃvs斗数◆『vs元中壇元帥』
>196
もたれかかる少年をみやり、ニィと笑う。
未だもがきながら火尖鎗で拘束から抜けようとする少女。
最初は似ているが故に、今は本能からか、少年を認識する。
―――なんて、楽しい。モット、もっと、壊したい、壊れたい。
少しずつ、少しずつ、少年に近づいてゆく。
「AハハハははHAHAHAッ!!」
ずっ、ずっ、ずっ、ずっ、髪の毛を引き摺り、少しずつ少年の方へ。
後もう少しで四肢を縛るこの縛鎖が外れる。その時こそ…。
そして、少女の髪飾りが揺れた。
ルーク VS バイロン & ソフィア・テオドレス
>197
義手から交信レーザーを照射。
光学接続(レーザー)。
この時ばかりは、ルークの全身に感知焦点を仕込んだ複合装甲が仇になる。
回線がルークと繋がった瞬間、ソフィアが信号を偽装し、
ルークの照準システムにバグを走らせ単分子フィラメントの軌道を乱す。
バイロンは最小の動作で軌道の乱れた単分子フィラメントをかわす。
目の前に、数十Gで迫ってくるルーク。
左手の銃を真横に向け引き金を引く。
その反動を回転に変え、ギリギリでルークの突進軸から身体を外す。
あまりに急な運動に血が体の片側により、視界が一瞬狭窄する。
右腕の刃を一閃。
硬質なもの同士が高速で擦れあう不快な甲高い音。
そんな音を立ててルークとバイロンは交差した。
結果はルークの装甲に傷が一筋入っただけだ。
バイロンの剣技と、最新科学技術の粋を凝らして拵えなおされた名刀の切れ味。
それを以ってしても、ルークの装甲を完全に切裂くことは出来ない。
ならば、装甲の無い部分を狙えばいい。
勢いを強引に殺し、瞬時に反転。
再度、至近距離にいるルークに向けて『刀』を構え一気に接近する。
比良坂初音 VS メ・ガリマ・バ(M)
〜導入〜
小刻みに揺れる地面。
楽しむ暇も無く後ろへと流れ去ってゆく景色。
線路の上を走り、目的地へ辿り着く。
ただそれだけを目的とする。
電車とは本来そういった乗り物だ。
だが、これに逆らう者がいる。
一際異彩を放つ衣装の女だ。
女は人ごみを掻き分け電車の進行方向とは逆に進んでゆく。
腰に提げた香炉から放たれる煙。
それを電車の中にくまなく行き渡らせるかのように。
肩をぶつけられた男が怪訝な目で見るが、そしらぬ顔でやり過ごして進む。
手で押しのけられた子連れの女が非難しようとするが、口を僅かに開いただけに終わる。
(……次の箱で終わりか)
障害を退けながら、最後尾の車両へ移動。
さらに流れに逆らい進む。
そして、一人の女に触れたとき、冷たい鉄に触れたような悪寒が走った。
人の温もり、というものにひどく欠けた――――冷たい感触だった。
反射的に飛び退いて、じっと観察する。
見る限りでは、黒く長い髪の、普通の少女だ。
(……気に入らんな……)
この不快感は何だ。
気に入らないのは、その見下すような視線か。
それとも……
そのまま少し時が経ち、電車は駅に着いた。
人々はすれ違った女の事も忘れ、足早に歩き出す。
女は、何処かへと消えていた。
狩の準備を、整えるために。
>190 ヒカトvs閑馬永空
血は相手の体を確実に蝕んでいったようだ。
いまや男の左顔は焼け爛れ、左目を失うまでになっている。
しかし、その顔には蟲が蠢き、その黒く爛れた顔は治りつつあるようにも見える。
あの蟲が奴の能力か…………。
出来れば殺したくは無い。だが、奴を殺さずにあの娘を助ける事が出来るだろうか……?
そう思考を巡らしていると、一度斬られた左腕を繋げた男はオレにこう言った。
『成る程、これはあの娘を喰らおうとての仕儀とな。得心いったわ』
「違う、オレはあの娘を―――」
そこでオレの言葉は止まる。
オレは娘を只の善意から助けたいというわけでは無い。
血を貰うため、その身を癒すために助けようと思っただけだ。
それではあの男が言ったことと変わりがないのではないのか?
そうだったとしても――――――――――
「……殺すわけじゃない、オレは血を分けてもらいたいだけだ!!」
知らない内に声の音量が上がる。
ダガ、ナンナンダロウカ?
心に霞がかかっているようなこの感覚。
オレはとっさに自らの腕を切り裂き、血を空中に飛ばしていた。
>215
◆なあじゃvs斗数◆『vs元中壇元帥』
本能、狂った闘争本能だけで向かってくる斗数。
縛妖索に拘束されながらも、それを無理矢理引きずってくる。
どうやら、玄気の陰気を祓ってやらなきゃいけないみたいだ。
なら、どうするか・・・
その時、ぼくの目に斗数の髪飾りが映る。
ぼくの金環と同じような、それでいて違う機能を持っているであろうそれ。
どちらにせよ、目標はないといけないんだ。
なら、この分かり易すぎる目標を、狙う。
「疾っ! 風火輪!!」
風火輪をいきなり全開にする。
最大加速で、近付いてくる斗数に向かって体当たり。
さすがに予想外だったらしく、ぐらり、と揺れ、
もつれ合ったまま、びっぐ・べんから落ちる。
その体勢のままで、残っている右拳を振り上げる。
そこには、べったりと斗数の血が付いている。
三界の叡智を集めて作られた斗数の血は、玄気の塊。
それにぼくの玄気も上乗せして、髪飾りに直接叩き込む!
「正気に、戻れぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
自由落下の中、叫んだ。
>217
比良坂初音vsメ・ガリマ・バ(M) 導入
初音は公園のベンチに腰掛けて、考え事をしている
あの女がただの人間ではないことはすぐに分かった・・
そういえばここ最近世間では未確認生命体といわれている、奇妙な連中がいるらしい
雑誌や新聞の中の遠い世界の出来事としか思っていなかったのだが
まさか現実にお目にかかれるとは・・・・・・
皮肉っぽく笑いながら、初音はくんくんと鼻を鳴らす
その身体に染みついた香の匂い・・・・普通の人間にはほとんど感じる事のできないものではあるが
妖である初音には、はっきりと意識できる。
どうやら自分は狩りの標的にされてしまったようだ
このまま八重坂の街に帰るわけにはいかない
決着をつけねば・・・・・
何時の間にか眠ってしまったようだ
もうすっかり日が暮れてしまっている
初音がベンチに腰掛けたまま、軽く背伸びしたとき不意に暗闇から女の姿が浮かび上がる
その女は手にした巨大な鎌を構えながら、ゆっくりと初音へと近づいていった。
>218 ヒカトvs閑馬永空
「同じ事だ」
噴きかけられる魔血を、閑馬は大きく横に跳んで避けた。
少量の飛沫が頬を灼く。己が肉の焦げる臭いを嗅ぎながら思う。
こやつ、未だ本気ではない様だな。つくづく度し難い愚か者。
「魔性たる主に血肉を貪られようが、同胞たる人間に贄とされようが、あの娘の末路は餌よ。
人も魔も他者を喰らって生きる。喰われる弱者は只の餌――虫だ」
云いながら左腕の感覚を確かめた。
指先がまだうまく動かない。完全に再生しきれていない。
「そうであろう。何処が違う」
云いさして閑馬は猛然と大地を蹴った。
真っ向から振り下ろされる剣の怒涛。
「何が違う」
◆なあじゃvs斗数◆『vs元中壇元帥』
>219
少年の体当たりをまともに喰らい、少女はびっぐ・べんから落ちる。
てむず川に転落する途中、少年の叫びを聞く。
『正気に、戻れぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!』
―――何ヲ言ッテイル?コレガ、ワタシダ。
殺戮兵器デアルワタシノ本当の…。
「違う…、違う…ッ!」
相棒のシグモンドの顔が、声が、そして少年の叫びが『心』を勇気付ける。
少年の拳を受け、髪飾り…玄気の塊を制御する環がズレる。
てむず川に二人は落ちた。
少女の体が輝きだす。
玄気を抑えるタガが外れ、元の玄気に分解されようとしている。
比良坂初音 VS メ・ガリマ・バ(M)
>220
ゲゲル(遊戯)は順調だ。
さしたる障害も無く、匂いをつけた標的を仕留めてきた。
今も、一人標的の首を刈り、仕留めた所だ。
空気中に漂う匂いを嗅ぎ、次の獲物を探す……
(―――奴か)
薄暗くなった公園で見つけた次の標的。
それは電車の中で悪寒を感じさせた、あの女だった。
出来れば、あまり出会いたくは無かったが……。
(……いずれは狩らなければいかん相手だ。今ここで仕留めても変わらん)
一瞬とはいえ、自分を恐怖させたリント(人間)。
それを前にして血が沸き立つのを抑えられない。
大きく、強い獲物を仕留める―――それが狩人にとって最大の喜び。
まずは、ゆっくりと歩み寄る。
自然体で静かに近づき、鎌の間合いの少し手前で、踏み込む。
その時すでに、鎌を持った女の姿は人間のそれではない。
昆虫―――まるで、カマキリのようなスマートさを持った異形へと変化している。
すでに、振るわれた鎌の速さは人間を遥かに超越している。
鎌の銀光が走り、女の首を狙う!!
>223
比良坂初音 VS メ・ガリマ・バ(M)
来るっ!!
初音が身構えた瞬間、女の身体がみるみるうちに異形の姿へと変貌してゆく
その姿はカマキリを彷彿とさせた
「いきなり本気を出してくれるの?光栄ね」
初音は鎌の一撃を後ろに跳び退り、回避すると
そのままあらかじめ空中に張り巡らせた糸の足場へと降り立つと
反撃の斬糸を蟷螂へと放つ。
「ふふっ・・・・私の巣へようこそ、蟷螂さん」
>216 バイロンさん
遅くなって、ごめん。
こんな感じでいい?
バイロンの義手から光学接続。
その意味を理解するよりも早く、雷光のようなウィルス攻撃。
狙い済ましたかのような正確さでホンの一瞬だけFCSに介入すると、
こちらを嘲笑うかのごとく何の痕跡も残さずウィルスは消え去る。
当然のように、ルークはバイロンとの通信を封鎖。
――これ以降、当該機よりの有線無線念線による質問接続を全て拒否する。
これでバイロンとのコミュニケイション手段は事実上消滅する。
つまりはどちらかが死ぬか、撤退するまで闘いは終わらない。
そして、ルークは自分から退くつもりはなかった。
照準の狂った単分子フィラメントは恐らく当たらない。
これ程の手練に体当たりが通用するとも思えない。
交差する瞬間、バイロンの右手が閃く。
僅かに着地の姿勢を乱し、高周波刀を装甲で受け止めた。
甲高い音と共に装甲に微かな傷がつく。
物凄い勢いで地面を滑りながら、ルークは後方で方向転換するバイロンをセンサーに捉える。
勢いを殺すことなく、後脚に力を込め跳躍。
速度に物を言わせ、接近しようとするバイロンを再び引き離しにかかるかに見えた。
しかしルークは空中でワイヤーを振り回しながら強引に半回転。
フレシェットランチャーを照準。
弾頭は多弾頭。
躊躇わずにトリガー、今度は警告ではない。
>222
◆なあじゃvs斗数◆『vs元中壇元帥』
――――そのまま、てむず河に着水。
派手な水柱を上げて、水中に没する。
拳が当たった時、髪飾りがずれた。
・・・マズイ、かな?
って、案の定!
斗数の身体が、バラバラとほどけようとしている。
もとは玄気の塊、それを制御していたのがアレか。
機能を復活させれば・・・ってどうやって!?
でも、考えてる時間はない・・・
なら!
「解!瞬刻!!」
水が、その対流を止める。
「時を禁ずれば、則ち過ぐること能わず! 停ッ!」
斗数の周りの空間の時の流れが止まる。
数分間止めるのが関の山だけど、これで充分なはず。
ぼくは、ゆっくりと玄気のリズムを同調させながら、髪飾りを元の位置に戻した。
>224
比良坂初音 VS メ・ガリマ・バ(M)
「……あれを避けるか……」
必殺のタイミングの筈だった。
急激に加速する刃を避けるとは……やはりただのリントでは無いようだ。
満足しつつ、追撃に移ろうとした、その時。
「―――ッ!?」
肩に刃物で切ったような傷が出来る。
傷がそう深くない事を確認。視線を女に戻す。
すると、どういう仕組みかは分からないが女は宙に浮いているように見えた。
『ふふっ・・・・私の巣へようこそ、蟷螂さん』
「貴様の、巣だと……?」
女はそういって高みから見下ろしてくる。
屈辱だ。
獲物が逆に私を狩るだと?
怒りのままに身を縮め、跳躍。
「舐めるな! リントッ!!」
叫び声とともに、両方に刃を持った鎌を振り下ろして切りかかる。
若干、冷静さを欠いた行動ではあるが、力は十分に乗っている。
>214
ロゼットvsストリクス
右腕に着弾の衝撃。
少年を襲おうとして、今度はシスターに不意を突かれたのだ。
ただ、弾頭が肉を裂き腕に減り込む事は無かった。
その代わり、腕を濡らす液体の感触。直後、腕を輝く炎が灼いた。
弾丸に込められた油が着弾の衝撃で発火したのだ。
吸血鬼に、ストリクスが属する『血族』の吸血鬼にとって炎は天敵。
僅かな傷でも火傷には不死性が発揮されないのだ。
腕が炎に灼かれる。弾丸一発に込められている油の量など多寡が知れている。
だが、間違い無くこの攻撃は効いている。
痛みと熱さが頭をくらくらさせる。
いや、痛みと熱さのせいだけでは無い。さっきからマトモな思考が出来ない。
さっきから?いや、違う。もっと前からマトモな思考など出来ていない。
このシスターに出会ってから?吸血鬼化したときから?ひょっとしたら、それ以前から・・・
「この・・・!雌餓鬼ィィ!!」
頭の中でグルグルと回る、取り留めの無い思考を押しやってそう叫ぶと、再び少年の方へと突進した。
今までとはうってかわった速さで少年に掴みかかると、抱え上げて首を締め上げる。
そして、シスターの方へと向き直り、尋ねる。
「ねェ・・・この子のこと、どうして欲しい?このまま首をへし折っちゃおうか?」
ストリクスの顔に邪悪な哄笑が浮かぶ。
しかし、その顔には、今まで泣きじゃくっていた涙の跡がしっかりと残っていた。
>221 ヒカトvs閑馬永空
男の剣閃は、オレの肩口から胸を見事に引き裂いていた。
刹那、大地に叩きつけられ倒れこむ。
―――――――オレは、あの娘をどうしたいんだ?
……ふと、上を見上げる。
其処にはいまだ大木に吊られている娘が見えた。
そこで印象的に映ったのは、娘の怨嗟の――世を、人を憎むまなざし。
オレは、オレは―――――。
身を起こして立ち上がる。
「………確かに娘を助けた所で、ただの餌とかそういう関係のなっちまうかも知れねえ。
でも!!オレはあの娘を助けたい。オレの身勝手かも知れねえけど……
あのまま、世界を、ニンゲンを憎みながら死なせたくはねえんだ!
オレが………癒してみせる。どんなに時間をかけても…………」
血が、沸騰しているようにアツイ。
この体の何処にそれだけの血があるというのだろうか。
体から湧き出た血は見る見るうちに膨れ上がり―――――――
気づいた時には一匹の血塗られた竜が其処に存在していた。
「なあ、どうしてもオレと殺しあわなきゃいけねえのか?」
>227
比良坂初音 VS メ・ガリマ・バ(M)
「舐めるな・・・・リントッ!!」
リント・・・・その言葉に初音は聞き覚えがあった
そういえば、滅んだとされる太古の戦闘民族が人間たちのことをそう呼んでいたと
銀に教えてもらったことがある。
そんな事を考えていると、不意に自分の目の前に蟷螂の姿が現れる、なんという跳躍力
再び振るわれる鎌の一閃を、なんとか避けたものの
その恐るべき膂力によって斬れないはずの鋼糸の足場が断ち斬られる
しかし、もう既に初音は別の足場へと跳躍し
蟷螂の背中へと、再び斬糸を放った。
「力任せでは私は倒せないわ・・・・蟷螂さん」
言葉は余裕だが、その口調には焦りの色があった。
◆なあじゃvs斗数◆『vs元中壇元帥』
>226
停滞した空間で玄気のリズムが整えられる。
結合鎖が元の位置に収まり、玄気の乱れが収まる。
今まで受け止めていた殺劫が流れ、再び陰へと沈む。
少女の『心』が戻る。
少女は起き上がり、
「うえっ、ゲボッゲホッ…!ち…ちょっと!」
未だ現状に気付かない…。
「許せないのはドブ水に叩き落した事だよ!
だいだいボクは、
汚水に耐えられるようになってないんだってば!
…えっと、キミ、誰?」
そこまでまくし立ててようやく、現状に気付く。
全身ずぶ濡れで二人とも全身がズタボロになっている。
ルーク VS バイロン & ソフィア・テオドレス
>225
近距離からフレシェットが発射された。しかも多弾頭。
かわしきれない。
咄嗟に右手の手甲で頭部を、左手の義手で心臓をかばう。
それとほぼ同時に着弾の衝撃がバイロンを襲う。
全身に針が突き刺さる感触。皮膚を貫き、肉が抉れる感触。まるで針山だ。
口の中に血がこみあげてくる。どうやら内蔵が大幅に破壊されたらしい。
まあ、胃や腸はともかく、肺を片方潰されたのは少々痛い。
苦痛を堪えつつ、素早く跳ねおき、銃を連射し牽制。
ルークから目を離さずに、視野の端で高周波刀を見る。
高周波刀の機関部にフレシェットが深々と食い込んでいた。
素早く高周波刀を手甲から切り離す。
名刀もこうなってはなまくらと大差ない。
サバイバルベストからグレネードを取り出す。
スモークグレネードを連続して投擲。
グレネードからXMスモークがあたりに散布される。
これで双方とも赤外線と光学装置は使用不能。
初弾を発射してからここまで僅か2秒強。
>231
◆なあじゃvs斗数◆『vs元中壇元帥』
「やっと、岸に、着いた・・・ふぅ」
斗数をしょったまま、岸壁に何とか辿り着く。
と、とっ。
ありゃ。
足が、ガクガクいってるや。
やっぱり、停滞空間を作るのは無理があったかな?
呪力もすっからかんだ。
と、斗数が目を覚ました。
「えっと、ぼくは・・・」
名乗ろうとしたら、いきなりまくし立てられた。
あのさ、状況、理解してない?
溜息一つ。その後に名乗る。
「ぼくは、なあじゃ。このろんどんの守護、だよ」
さてと、これからどうするかな?
このままここにいちゃ、風邪をひいちゃうよ・・・
「「くしゅん!」」
と、思ったら、二人同時に、くしゃみが出た。
>230
比良坂初音 VS メ・ガリマ・バ(M)
鎌は空振ったはずだが、妙な手応えを感じた。
間を置かずして放たれる攻撃を甘んじて受け、その手応えの正体を確かめる。
斬ったものは―――鋼の糸。
成る程……宙に浮いていた仕掛けはこれか。
考えてみれば、自分よりも下級の奴に同じような事をするのが居た。
確か、奴が変化するのは蜘蛛。
という事は、目の前のコイツは同じ能力を持っているという事か。
否。
それは違う。あんな下級の奴よりもこの女の技量は明らかに上だ。
比べるのも馬鹿馬鹿しい。
だが―――相手の手口が分かったのは大きい。
思考、分析する事で少し冷静に戻る。
鎌が鈍い光を放ち、再び空中で振るわれる。
一撃目の勢いを利用し、そのまま体を捻って二撃目を繰り出す。
例え体に当たらなくとも、足場を消す。
作戦、というには余りに稚拙だが、効果的ではある。
―――もっとも、相手の能力を侮っていなければ、という一文が付くが。
>228
ロゼット VS ストリクス
『哀 ――誰がために君は泣く――』
彼女が、クロノの首をつかみ高く掲げる。
クロノが苦しげな表情を浮かべる・・・・・!
『ねェ・・・この子のこと、どうして欲しい?このまま首をへし折っちゃおうか?』
そう言いながら笑う彼女。
だが・・・・・。
その顔に残るは涙の跡―――――。
「答えて・・・・なんであんた泣いてるのよ?」
私は、露になった肌を隠しながら、一歩足を踏み出す。
「あんた、言ってたわよね。我慢しなきゃ、諦めなきゃいけないってさ。」
また、一歩。
「あんたはそれが嫌だった。そうでしょ?」
さらに一歩。そして、立ち止まる。
「・・・・・辛かったでしょ、きっとね。
私はあんたじゃない。だから、あんたの辛さを理解しろって言われても出来ない。
だから――――何をいってもただの偽善に過ぎないのはわかってる。」
大きく息を吸う。
「けど――――だからって、その結果がこれ?
あんた・・・・間違ってるよ。あんたは、自由になったつもりで、ちっとも自由なんて手に入れてない。
鳥かごから出たのはいいけど、結局部屋の中で満足してるのに過ぎないのよ!!」
きっ、と私は彼女と『目標』をにらみ付ける!!
>229 ヒカトvs閑馬永空
「愚問だ。己が意を貫きたくば、儂を斃して押し通れ」
やや寂しげな思いを胸の内で殺し、閑馬はそそり立つ血の竜を見据えた。
青い小僧だ。――まるで昔日の儂よな。
美青年のいる位置を確認した独眼が、それとは判らぬ程に笑う。
彼奴、上手い位置におる。あれをやるか。
閑馬は刃を横にした刀を両手で支えた。
木々の間から洩れる一日の最後の光が刀身に集約し――
結晶した光は、奔流となって青年の眼に叩きつけられた。
数日を此処で過ごした閑馬は、この時間、何処で木漏れ日が射すかを見極めていたのである。
陽光や風すら武技の一つとして扱う、正にこれは戦場の剣であった。
隙――有り。
閑馬は再度地を駆けた。
◆なあじゃvs斗数◆『エピローグ』
>233
シグモンドはろんどんの街をひた走っていた。
「斗数…。一人で走りやがって…。柄でもないが…」
てむず川のほとりまで来た時、大きな水柱を見る。
「チッ、あそこか?まったく手間のかかる…」
走り、そして少年と少女を見る。
「「くしゅん!」」
「何やってたんだ…?」
シグモンドは知らない、己の殺劫が斗数に流れ込んでいた事に。
「あ、シグ…」
「斗数!」
斗数と呼ばれた少女はビクッとなる。
シグモンドはただ、斗数に着ていたコートをかけ、少年を見た。
そして状況を確認し、
「すまんな…」
そう言って二人を抱え、宿まで走る事になった…。
魔界転生異伝〜鈴鹿御前対天草四郎
正保三年。紀州は和歌山城下、とある重臣の屋敷にて奇妙な行事が行われた
家中の娘から大奥へのご奉公をつかまつる娘を選ぶ、というのであった。
だが、その真の目的は―――南竜公、徳川頼宣が転生する為の忍体選びであった。
そして選ばれたのは四人の乙女。
だが、その陰謀は露見する。その内の三人の娘は魔界衆の追撃を辛くも逃れ、
柳生の荘へと逃げ込んだ。
だが、残り一人の行方は、杳として知れなかった・・・・・・
そして、和歌山城下にて、この物語は始まる・・・・・・
>235
ロゼットvsストリクス
目の前のシスターが何か言っている。
自分は自由になっていない?そんな事はもう知っている。
何処かに押しやった感情が再びこみ上げてくる。
自分では血の衝動に抗えない。ただ、血の渇きの、肉欲の命ずるままに動く哀れな肉の塊。
それが、今の自分。ただ、もう何も背負い込む必要が無いだけ。
「だからと言って、どうしろって言うの?何が出来るっていうのよ!?
自由だからとか自由じゃないからなんて本当はどうでもイイの・・・!!」
涙が再び滲み出す。
自分はもはや全てを捨ててしまった。捨てたものは二度と帰ってこない。
だから、ただ衝動に、本能に突き動かされる様に行動する。
「でも、もう駄目なの。もう何も無いから・・・何も出来ないから・・・」
掴み上げた少年を串刺にすべく、右手を貫手の形に構える。
「だから、もう私にはこれしかないから・・・哀しんで見せて。苦しんで見せて。アタシを楽しませて!!」
この少年が串刺になったら、あのシスターはどんな顔をするだろう。
そう思って、そのまま貫手を繰り出す。
先程の火傷が少し痛んだ。
ほんの一瞬、ただ一瞬だが、動きが鈍る。痛みのせいだろうか。
それとも、シスターの泣き顔を想像してしまったせいだろうか。
どちらにしても、それは吸血鬼でなくても他者の介入する余地のある一瞬であった。
魔界転生異伝〜鈴鹿御前 対 天草四郎
>238
紀州・和歌山の城下街、人気のない裏道。
私は今、そこに身を潜めている。
手には一振りの刀、ただし私の物ではない。
その自分の物でもない刀を持って、こんな場所に隠れなければならなくなった理由。
それが、ふと思い出される。
数日前。
和歌山城下を訪れていた私は、突然身柄を拘束される羽目になった。
私だけではない。後で知ったことだが、城下にいた若い娘は、皆連れてこられたらしい。
何でも、大奥に奉公する娘を献上するためだというのだが、その吟味はあまりにも奇妙だった。
それもその筈、大奥への奉公というのは表向きの理由。
その実は―――南竜公、徳川頼宣が転生するための忍体選びというのが真の理由であったのだ。
最終的に選ばれた、私を含めた4人の娘たちは、奴らの隙をついて逃走した。
そして、敵の追走を辛くも逃れ、柳生の庄へと逃げ込むことに成功した3人と別れ、私は和歌山城下へと戻ってきたのだ。
理由はひとつ―――私が人間でないから。
一緒にいれば、彼女らにも迷惑がかかるかもしれない。
それに、私が和歌山城下に戻ってきたことが知れれば、敵の注意は彼女らから逸れるだろう。
手にした刀を、鞘元から一寸ほど抜いてみながら、私は途方に暮れていた。
見張りから奪った刀は既に血で曇り、刃零れもひどい。
さて、これからどうしたものか…
>234
比良坂初音 VS メ・ガリマ・バ(M)
背中を斬りさくはずの糸は、避けられてしまった
奴は、そのまま力任せに鎌を振るっている
どうやら足場を消して行く作戦のようだ・・・・
闘争以外に興味が無い、ただの戦闘狂と思っていたが少しは知恵もあるらしい
初音は蟷螂の死角へと常に回りこみながら、攻撃の機会をうかがう
と、面白い事を思いついた・・・そんなに糸を斬りたいならそれを逆手にとればいいのだ。
初音は蟷螂の周囲全体を囲むかのように空中に糸を張り巡らせる
その糸は鞭のようにしなる1本の糸でできている
彼女がそれを斬った途端収縮し、逆に彼女の身体を斬りさく仕掛けだ。
(さぁ・・・これに気がつくかしら?)
>232 バイロン
vsバイロン&ソフィア・テオドレス
命中させる自信はあったし、実際にフレシェットは命中した。
しかし、生身のはずのバイロンは未だに健在、銃による牽制までしてくる。
その動きにダメージは見られない。
再走査したい誘惑に駆られるが、それを膨大な意志力で捻り潰す。
渡る風遮る物のない荒野。
巨大な昆虫と針山のようになった人影。
バイロンの背後約250mで砂煙、ビルが倒壊している。
睨みあうのは一瞬。
スモークグレネードが発射されると同時にルークは地面を蹴った。
あっという間に白く染まる視界。
赤外線まで塗りつぶされる……が問題はない。
人間の持つ五感を遥かに越えた、
視聴嗅触線磁波の七感を持つルークにとってそれは大した事態ではない。
今もルークのセンサーは確かに動き回るバイロンを捉えている。
白煙を切り裂きながら、ルークの単分子フィラメントがバイロンに迫った。
>242
比良坂初音 VS メ・ガリマ・バ(M)
徐々に奴を追い詰めている。
奴の足場は減り、向こうの速さにも慣れてきた。
もう少しだ、もう少しで貴様の首を刈れる。
死んだことも気づかぬ内に死ぬがいい・・・・・・!!
渾身の力を込めた、一際鮮やかな軌跡を描いく刃が首を狙う。
ぷつん
―――響いたのは、とても小さい、破滅の音。
カマキリを取り囲んだ蜘蛛の巣は、その音を契機に刃となってカマキリに襲い掛かる。
「オ、オォォォォォォ!!!」
ほぼ全方位から迫りくる糸を、双鎌を振り回して何とか凌ごうとする。
だが、もう遅い。
徐々にその体は切り刻まれてゆく――――。
荒い息とともに、血まみれのカマキリは自分を罠に嵌めた蜘蛛を見据える。
「貴様を……殺さずに…・・・死ぬものか!!」
鎌を握り締め、叫んだ声は憎悪に満ちていた。
魔界転生異伝〜鈴鹿御前 対 天草四郎
>240
柳生の里へ殴りこみをかけかねぬ魔界の転生衆を引き連れ、
和歌山城下へと戻ったのは、夜も更けた頃であった。
朝靄がかった城下には、鬼気すら感じる。
もっとも、今の彼にとっては、むしろ好んですらいたであろう。
その靄の中に潜む気配を彼は感じた。
そう、それは彼と似ていながら非なる鬼気。
凄烈なまでに澄んだ気。
舌なめずりをする。
(他の六人も存外鈍いようじゃ・・・・・・灯台元暗しとは、このこと)
「悪いが、少々用があるでな、一人にさせてもらうぞ」
そして彼は気をたどり、たどり着いのは城下外れに近い辻であった。
「・・・・・・隠れているのはわかっておるぞ・・・・・・気配を隠したつもりであろうが、
余人は騙せようともわしには通じぬぞ?早う、出てまいれ」
>236 ヒカトvs閑馬永空
『愚問だ。己が意を貫きたくば、儂を斃して押し通れ』
………やっぱり闘うしかねえようだな。
竜を奔らせ、男の喉下を狙う。
が、その瞬間、オレの視界は白く染まる。
目くらましだと!?拙い、このままでは相手の思うがままだ。
とっさに竜の形を解く。
そして血は新たな形を形成する。
千本、万本の針を持つ球に。
>239
ロゼット VS ストリクス
『哀 ――誰がために君は泣く――』
一瞬、彼女に隙ができる。
今――――!!
《ぼしゅん!!》
私は、銃のトリガーを引く。
彼女の頭上にあったバルコニーの柵に向かってワイヤー弾を!
《しゅきゃん!》
ワイヤーが固定され、私の体が軽く宙に浮く。
いけるか!?
「でやぁぁぁぁぁ!!」
私は地面を蹴り、振り子の要領で彼女に一瞬のうちに接近する!!
私の行動に気がついた彼女が、クロノを私に向けて投げつける。
「なんとぉッ!?」
私は、クロノを危うくキャッチした。
ぎしり、とワイヤーが軋む。
・・・・えぇい、ままよ!
私はそのまま彼女に向けてキックをかます―――――!!
>247
ロゼットvsストリクス
上方に引っかけたワイヤーを使い、振り子の要領でシスターが突っ込んでくる。
反射的に手にしていたモノを投げつけた。即ち、シスターの仲間の少年。
「しまった!」
少年を盾にするなり、抱えたまま避けるなりすれば良かったのだ。
吸血鬼の力と速さなら充分それが可能なはずだった。
空中で少年を受けとめ、シスターが蹴りを見舞う。
失策に気づいた時にはもう遅い。僅かなパニックが蹴りを避けるタイミングを既に失わせていた。
咄嗟に右手で受ける。あの程度の蹴りは吸血鬼に何の効果も無い。
本来なら。
咄嗟に蹴りを受けた右腕は、火傷を負っていたのだ。
傷の上から蹴りを受け、予想外の痛みによろめく。
よろめきながら、鉤爪を振おうとする。シスターの顔めがけて。
魔界転生異伝〜鈴鹿御前 対 天草四郎
>245
夜明けも近い、その時刻。
路地の向こう側から近づいてくる気配を感じた。
大きい。数は、ひとつ。
どうやら、こちらの存在に気付いたか。
思ったより早かったが、まあいい。
どうせ遅かれ早かれ気付かれるのだ、むしろ早い方が好都合だ。
私の隠れている場所に程近い場所に立ったそいつが、語りかけてきた。
隠れているのは分かっている、か。
ならばお望み通り、出ていくとしよう。
刀を引っ提げ、私は立ち上がって路地に出た。
正面にいる、男を見据える。
派手な衣装を纏ったその姿、外見こそ普通の人間と変わらないが、その目は血と狂気に彩られている。
そして、何よりその気配。
常人には決して纏うことの叶わぬそれは、正に魔人と呼ぶに相応しい。
「その鬼気……お前、人間ではないな?」
そう問いかけると、私は刀の鯉口を切った。
>246 ヒカトvs閑馬永空
殺った。
血飛沫を上げる相手の幻影すら浮かんだ閑馬の眼が、カッと見開かれた。
満腔の自信を込めて放った袈裟斬り、まさかそれが自ずから崩れようとは。
愛刀・井上真改蟲殺を握った左手が突如千切れた。最前、血刀が斬った疵口に沿って。
繋がりきっていなかったのだ。
闇を滅ぼす魔血の溶解力が、血仙蟲の再生力を上回ったのである。
斬撃の形に入っていた体勢は無様に崩れた。
それでも尚、執念めいた力で閑馬は一刀を白光に変える。
>248
ロゼット VS ストリクス
『哀 ――誰がために君は泣く――』
私の蹴りが、先ほど私の撃った弾があたったポイントに炸裂する!
彼女が、体勢を崩したところで私はワイヤーを切り離す。
「クロノ、無事?!」
「けほ・・・まぁね・・・・!」
私は、クロノの無事を確認すると彼女へと向き直った。
その時、彼女が体勢を立て直し私へと鉤爪を振りかぶる!
だが――――遅いッ!!
「捕らえたッ!!」
私は、銃口を彼女の眉間へと突きつける!
「・・・・・・・『終わり(チェック)』、よ。
私は修道女だけど・・・・・懺悔することがあるなら、聞いてあげるわ。」
私は、銃の引き金に力をこめる。
●プロローグ
夜の新宿。
アジア最大の繁華街の喧騒の中を歩きながら、
オレ、藤井八雲は久しぶりの日本を楽しんでいた。
「やっぱ生まれた所って、落ち着くよなあ」
オレは懐から古ぼけた写真を取り出す。
そこには黒い髪の少女が写っていた。
――数年前。
オレはこの町である女の子に出会い、命を助けられた。
その時からオレは人間じゃなくなっちまったけど、彼女との旅の中で
どうにか人間に戻るための鍵を見つけることができた。
しかし忘れもしない香港でのあの夜。
オレは彼女を守ることが出来なかった――
だがオレの命は彼女と共にある。
オレが生きている限り、彼女は必ずどこかで生きているんだ。
必ず探し出す。だから……待っててくれ。
パイ――
この数年の間、幾度となく思ったことを繰り返しながら
行くあてもなく派手なネオンの下を歩き続ける。
いつのまにか人気のない裏通りを歩いていたオレは、
そこで何かの気配に気づいた。
「これは……妖気!?」
その気配は暗い曲がり角の奥からだった。
魔界転生異伝〜鈴鹿御前 対 天草四郎
>249
鯉口を斬った娘に対し、声も無く笑った。
「確かにわしはこの世のものではない。―――」
彼はニンマリとして髪を幾本引き抜く。
「と申しても、亡霊、変化のたぐいでもない。―――いちど死んで、また甦って来たものよ」
それを径三寸ほどの環に結わえる。
「さすがに天に選ばれるだけはある。―――黙ってわしと戻るならばよし―――さもなくば」
そこで一旦、言葉を切ると、舌なめずりをする。
「少々、痛い目にあってもらわねばならぬなぁ」
魔界転生異伝〜鈴鹿御前 対 天草四郎
>253
私の問いに対し、男はその通りだと答えた。
一度死に至りながら甦ってきた存在、それが自分なのだと。
男は自分の髪を引き抜いて輪を作りながら、問いかけてきた。
共に戻る気はないか、さもなくば、痛い目に遭ってもらう、と。
そのような問い、答えるまでもない。
一度死んで、甦ってきた者―――ならばそれは、鬼と同じだ。
鬼ならば―――斬るのみ。
一足で間合いを詰め、胴への抜き撃ち。
これが、返答の代わりだ。
>250 ヒカトvs閑馬永空
………視界はいまだに白に包まれたままだ。
それでも朱い針を持った球を持続させておく。
あの娘を救うために。
……そのときはまだ、オレは気づいていなかった。
――――――相手の男が、再び左手を失っていたことも。
――――――血の針がすでに男を貫き、その身を灼いていたことも。
魔界転生異伝〜鈴鹿御前 対 天草四郎
>254
「それが返答、ということでよいのだな?」
と、四郎はまた声もなく笑った。斬りつけられる刀を避けようと、
後方へ跳ぶ。そして環を投げつける。
手の動きは緩徐なのに比して、
其はまるで烈風に吹かれるような恐るべき速度で舞ってくる。―――
怪しむべし、その環はそれ自身生命あるかのごとく刃先にはまって来る。
「忍法髪切丸!」
四郎が絶叫したとたん、娘の刀身は蝋のごとく切断された。
娘の手元には、もはや五寸足らずとなった刀が残った。
「さぁ、遊びは終わりじゃ。・・・・・・それとも、まだ遊び足りないと申すか?」
魔界転生異伝〜鈴鹿御前 対 天草四郎
>256
私の抜き撃ちを避け、男は後ろへと跳んだ。
同時に、その手から放たれる髪の毛で拵えた環。
独立した生き物のように動いたその環が、刀身に嵌ったと同時に迸る、男の絶叫。
その瞬間、刀身はまるで大根かなにかのように寸断されていた。
既に使い物にならなくなりかけていたとはいえ、鋼をあっさり輪切りにするその切れ味は尋常ではない。
着地した男が言う。
「さぁ、遊びは終わりじゃ。……それとも、まだ遊び足りないと申すか?」
その首から提がっているあれは、確か……クルスとかいったか?
キリシタン達が常に持ち歩く、祈りの道具だったはずだ。
それに、あの男の顔―――絵姿かなにかを見た覚えがある。
あの男の正体が、分かった。
天草四郎時貞―――島原の乱の首魁。当然、今は生きている筈のない人間だ。
面白い、先程の言葉は真実だったか。
ならば、こちらも本気で向かうとしよう。
ほぼ柄のみとなった刀を投げ捨て、叫ぶ。
「いでよ、大通連!」
その言葉と共に私の手中に現れる、一振りの刀。
先程まで用いていた刀とは比べものにならない、刀身の輝き。
同時に、先程に倍する速度で接近し、先程に倍する速度で斬撃を送り込む。
「よかろう、遊びは終わりだ。死人は正しくあの世へ帰るがよい!」
藤井八雲 vs 寄生獣「鈴木」
>252
大繁華街である新宿においても、光の届かぬ場所は至る所に存在する。
その一つ、とある裏通りにて、
グレーのスーツを赤黒く染めながら、警官の制服を纏った肉の塊を貪り食う異形の姿があった。
それは「パラサイト」と呼ばれている怪物。
人間の頭部を乗っ取り、人間を捕食する寄生生物。
その中でも「鈴木」と名乗っている個体である。
本来であればこのような場所で食事をする予定では無かったのだが―――
つい先程、昼の「食事」でスーツの背中に付着していた血痕を、
寄りにも寄って通りすがりの警官に見咎められてしまった。
仕方無く予定を変更する事にしたのだが、
その際、抵抗する警官の放った銃弾を腹部に2発も食らってしまう。
そのアクシデントにより失われた血を、彼の血を流させた張本人より補っている最中であった。
4つに割れた顔の内側にびっしりと生やした牙で骨ごと肉を食いちぎり、
噴き出す血を開いた「口」で受け、肉や骨と共に飲み下す。
その作業を機械的に続け、頭から食べ始めてそろそろ腰辺りまで到達しようとしていた時。
――――背後で微かな物音がした。
それが聞こえた瞬間、すっかり髪の薄くなっている後頭部に一つ大きな目を作り出し、
いつの間にかそこに居た物音の発生源である若い雄の姿を確認。
即座に口封じに殺す事を決め、頭部の一部を鋭利な刃の付いた触手状に変形。
それを人間の動体視力では捉え切れない速度で振り上げ、そして振り下ろした。
藤井八雲 vs 寄生獣「鈴木」
>258
暗い雑居ビルの間の狭い路地。
ぐじゅる、ぐじゅる……と湿っぽい物を齧るような音が響く。
上半身を欠いた血まみれの死体を、何かが一心に食らっている。
薄汚れた壁は犠牲者の血によって塗りたくられ、狭い空間は血の臭いで満たされていた。
その『生き物』と目が合った次の瞬間、胸と腹から大量の血が噴き出した。
肋骨も五、六本やられたらしい。失神しかねない痛みが脳へと届く。
「がっ!?」
――斬られたっ!?
ヤクイ!!このヤロー速すぎる!
何とか接近戦に持ち込まなきゃ話にならねぇ!――
「ハァ…ハァ…メシくらい、ゆっくり食わせろってのかよ…!」
激痛に顔をしかめながらも、右拳を握り締める。
(ジャキッ)
硬質な音と共に、右手の手甲から数十センチのナイフの刃が飛び出す。
右手を低く構え、左腕で顔をかばいながら、オレは奴目掛けて路地を駆けた。
藤井八雲 vs 寄生獣「鈴木」
>259
……狙いが外れた。
彼の動きは何時にも無く鈍く、正確さを欠いている。
若い雄の身体を真っ二つにした筈であるのに、実際に繰り出した刃は獲物を仕留めるに至らず。
あまつさえ仕込みナイフを構え、こちらへ向かって突っ込んで来るだけの力を残していた。
……原因は明らかである。血が足りない。
「食事」が途中で妨害された上、未だに腹部からはドス黒い血が、動く度に滲み出し続けている。
このままでは、そう遠くない内に活動に支障が生じてしまうであろう。
その前に目の前の獲物の息の根を止め、先程の「食い残し」と共に食らい、血を補給せねば……
獲物が真っ直ぐこちらへと向かって来ている以上、「斬る」より「刺す」方が確実性が高い。
刃付きの触手をもう1本作り、先程の1本と共に真っ直ぐ突き出す。
今度も狙っていた心臓を外れ、2本共が腹部に突き刺さったが、これで獲物の動きも止まるはず。
後はもう1本の刃を作り、確実に頭部なり心臓を破壊するのみ。
藤井八雲 vs 寄生獣「鈴木」
>260
喉の奥に何かが込み上げてくる。
苦しい息の中でむせ返ると、口から大量の血が流れ出た。
灼熱の杭に貫かれたような痛みが全身を駆け巡る。
「へ…へへ…待ってたぜ」
刺さったままの触手を左腕で抱えこむと、右手のナイフで触手を斬り飛ばす。
その切断面からはわずかな血が流れるだけだった。
腹に突き刺さった触手を何とか引き出して地面に投げ捨てる。
相手はというと、まだ触手を一本残し、気味の悪い単眼でこちらを見ていた。
――クソッ…走ろうにも腹ン中ぐちゃぐちゃで動けねぇ…
だがヤツも触手切り落とされてダメージを負ってるはず…
何とか――
オレは左手を化け物の頭部らしき場所へ向け、
手甲のスイッチを入れる。
(ボムッ)
軽い爆発音と共に発射されたフックの先端が
化け物の眼に向けて飛んだ。
vsロゼット・クリストファ
>156
「――――これは異な事をおっしゃる」
周囲のざわめきを気にせず、少女の方に近付きながら男は言葉を続ける。
「貴女も、そうやって『普通』に生活している魔物を、人の倫理に合わぬからといって狩って来たのでしょう?」
ぱん!
銃弾が頬をかすめた。ざわめきが悲鳴へと変化する。
「何処が違いますか? 違わんでしょう? 人に害を成すのが魔物の『普通』なのですから」
肩に、脇腹に、腿に。
服一枚、皮一枚の所を銃弾が通過する。
いや、僅かに重心を移動させる事により、男が意図的に通過させている。
「私を魔物と呼ぶのなら、貴女も同じ魔物ですな。『ロゼット・クリストファ』さん?」
両手の銃を改めて構え直し、男はサングラス越しに鋭い視線を投げかける。
そして、
「『クリストファ』―――信仰を背負うもの、汝の背にある『想い』は何ぞ?」
銃を――――
周囲の従業員と宿泊客に向けてぶっ放した。
龍脈のピラミッドにて〜御神苗優vs暗黒騎士ガウザー
>213
鉄の壁を銃弾で撃ったような音が響き、俺の剣が止まる。
俺の剣を止めたのは、白銀色の刀身を持つナイフ。
スプリガンは叫ぶと、俺の刀を少しづつ、しかし確実に押し戻していく。
ギリッ。刃同士の擦れる音と、俺の歯ぎしりの音が頭に響く。
いちいち癪に障る奴だ。
「ならば、俺がその最初となってやる!」
無駄な力比べをやめ、俺は素早く自らの刀を引く。
そのまま刃で弧を描き、スプリガンのわき腹へと鋭く空間を疾らせる。
手首を切り返し、さらに袈裟懸けに剣を撃ちこんでいく。
「俺の野望を阻む者には、死を!」
>262vsラルフ
ラルフの問いかけ。
それへの反論が<詞>に紡ぎ出されるより速く、
悲劇は起こる。
「――――なんて事を……!?」
銃声の嵐。
そして絶句。
彼が放った銃弾は、確実に人……いや、魔物を貫いていった。
貫かれ、絶叫をあげ、死ぬ。
即死のものもいる。
死ねずに、ただ泣き叫ぶものもいる。
これらの惨劇を引き起こしたのは――――彼?
(違う。私だわ……私が銃を抜いたから……!!)
ロゼットが銃の引き金を引いたと同時に、悲劇の引き金も引かれたのだ。
目の前で黙々と行われる惨劇、虐殺。
ロゼットはそれを、ただ呆然と見つめる――――わけにはいかない。
「――――ラルフ・グルト。銃を捨て、両手を頭につけなさい」
惨劇が、自分を冷静にさせた。
男の暴走が、自分の暴走を止めた。
今、ロゼットがするべきことはラルフを救うことでも、怒ることでもない。
この世界に住む魔物を――――守ることだ。
(そのためなら私は……撃てる)
それが、死んだ者へのせめてのもの謝罪。
「もう一度言うわ、ラルフ・グルト。銃を捨てなさい」
黒い銃口は、ラルフの眉間に向いている。
この距離なら必ず当たる。そう自分に言い聞かせた。
龍脈のピラミッドにて〜御神苗優vs暗黒騎士ガウザー
>263
ふいと軽くなる俺の手。突然の力比べの放棄でバランスを崩したところに、
激しい衝撃が左脇を襲う。激痛に歪む俺の目に映ったのは、
上空で切り返され、肩口に迫る斬撃だった。
俺は必死に後ろに跳び退る。それでも避けきれないその切っ先は、
ばっさりとベストを切り裂いた。
・・・・・・なんなんだ、こいつは!!
人を人とも思わず、自分の野望のための駒としか思ってねぇ・・・・・・
こんな奴には絶対、渡しちゃいけねぇんだ!!
「手前のエゴに他人を巻き込むんじゃねぇ!!」
俺のナイフは、大気に月光の亀裂を稲妻のように走らせた。
「分相応以上の力を手にした奴の狂気につき合わされるのは・・・・・・ごめんなんだよ!!」
龍脈のピラミッドにて〜御神苗優vs暗黒騎士ガウザー
>265
月明かりを照り返して煌くナイフが、俺を貫くべく迫る。
切っ先が心臓に触れる寸前、胸元に剣を引き戻し、辛うじて突きを防ぐ。
「ふん、弱い人間どもの事など、なぜ気にかける必要がある?」
防がれながらも、奴はナイフを押し込んでいく。
こいつは、どうしても今の世を守る気か。
「脆弱で、嘘吐きなくだらない連中ばかりだ。」
刃と刃が、再び摩擦音を立てる。
ならば、その意志がどれだけの物か見せてみろ!
「あんたは別だ、強い。それだけに・・・・・・そんな連中の嫌な部分もわかるだろう?」
問いかけを終えると、俺は剣を握る手に力をこめる。
「はぁっ!」
気合を一閃させ、剣を握った手を大きく突きだし、スプリガンの体を押し返した。
奴がよろめいた所を、真っ向から両断にすべく、月を背負って飛び掛る。
>209 vsユージン
着地したと同時に ユージンが間合いを一瞬で詰めた。
切るように手刀を旋回させながらユージンが迫る そして それはフェイント、
鉄板を仕込んだブーツが足を砕く様は、手刀の死角となって見えまい。
もし普通の相手であったならば 何が起こったのかもわからずに足を砕かれていたはずだ。
だがユージンが砕いたのは残像であり同時にきたのは 背中からのすさまじい衝撃だった。
最小限の見切りで相手の攻撃を回避し 同時に位置を変え また 攻撃も行なう。
武術の世界では一拍子と呼ばれる高度な技法である。
ユージンが吹き飛ばされるのを見ても 朧は追撃しなかった。
ーーまだ何か隠していそうですね。
うかつに踏み込むのは危険であることを朧は感じていた。
vsロゼット・クリストファ
>264
「遠慮しますな」
双方の銃弾でボロボロになったドアを突き破り、撃たれる前に外へと逃げる元牧師。
目の前を通り過ぎようとしていた荷馬車に飛び乗り―――
「死にたくなければ大聖堂まで――――お願い出来ますかな?」
右手の散弾銃を突きつけ、御者に『お願い』をする。
顔面蒼白で首を振る御者に散弾銃を突きつけたままの形で切り離した義腕をセットしておき、
左手の短機関銃を<言影化>、かわりに長銃を<言像化>する。
瞬時にして入れ替わる左手の武器。
「さあ、ロゼットさん! 如何なさいますかな!? 」
疾走する馬車の上から足元に一発牽制の一撃を飛ばして、銃師が哄笑する。
街は――――悲鳴で包まれていた。
龍脈のピラミッドにて〜御神苗優vs暗黒騎士ガウザー
>266
奴の一言一言が、俺の内面をえぐる。
確かにそうかもしれない・・・・・・ヒトはみんな強いわけじゃない・・・・・・
今までいくらでも見てきたさ、ヒトの暗黒面は・・・・・・
「そうさ、お前の言うとおりかもしれねぇ!それでも、俺は!!」
奴の振り下ろす刀にナイフで応じる。
「大事な人たちを護りたい!!その気持ちを忘れたら、俺は・・・・・・」
そして左手で奴の腕を斬撃を右へ受け流すように導く。
「それを忘れちまったら、俺は狂戦士になっちまう。
ただの戦闘機械になっちまう自分が怖いんだよ!」
体の平衡を失った相手めがけ、俺は肘を叩き込む。
「ただの感傷と笑いたきゃ笑え!俺は、その為になら命をかけても惜しくはねぇ!!」
>268vsラルフ
「ちょ……待ちなさいよ!!」
素早い身のこなしで、ロゼットの視界から消えるラルフ。
ロゼットも瞬時に反応し、追い掛ける。
だが、ラルフの行動は迅速だった。
躊躇無く馬車に乗り込み、御者を脅し、乗っ取る。
そして疾走する馬。
遠ざかっていく男。
「どうするかって――――逃がさないに決まってるでしょう!!」
銃弾がロゼットの足を掠めた。
どうしても、あの牧師はロゼットに銃を向ける気は無いらしい。
(馬鹿にして……どうして自分に銃を向ける人間が許せて、なにも面識が無い魔物を許せないのよ!!)
黒光りする銃口。
それを疾走する場所へと向ける。
この距離なら……まだ間に合う。
引き金に指をかけ、慎重に狙いをつける。
そして引き金を――――引く。
次瞬、銃弾が銃口から吐き出され――――ずに、その下にある円筒が射出される。
ロゼットはワイヤーガンの方の引き金を引いたのだ。。
馬車へと向かい、ひたすら伸びるワイヤー。
その先端に位置するフックの狙いはラルフ・グルト。
彼を馬車上から引きずり落さんと、ワイヤーは猛スピードで伸び続ける。
>267 vs朧
肺を突貫し空気を根こそぎ吹き飛ばす衝撃。
朧に迫った勢いをさらに加速させられて、ユージンはそのまま地面に叩きつけられる
――と思った刹那で腕を地面に立て、その発条だけで反転。
這うように地面を滑りながら、次第に慣性が消えていく。
(……身体能力はこちらと互角か――いや、それ以上)
冷静に見切る。
単式戦闘型合成人間の速度は常人どころか、どんな達人でも及ばない。
それに勝る人間がいるとは思えないが――実際にいるのだ。
「なぜ」ではない。「どうやって」――どうやって、だ。
一拍の隙。
それが欲しい。
それさえあれば、相手がいかに速かろうが、
あの心臓にこの貫手を叩き込んでみせる。
余裕を見せたか、追撃を止めた朧。
その姿を見据えながら……決して隙を見せないように。
ゆっくりと……移動する。
朧の側面へ……
vsロゼット・クリストファ
>270
「では、精々頑張って追って来るんですな!」
大混乱している街路を暴走しながら、銃師は少女に向かって銃撃を続ける。
少女には当てないように、しかし他の通行人にはまったく気を配らず。
「貴女の努力が実るかどうかは―――――ほう?」
刹那、一直線に飛んでくるフック付きワイヤー。
男は冷静に銃を道路わきの街灯に向け射撃。それを根元から倒してワイヤーの進路を塞ぎ
ついでに少女の頭上にある、ベーカリーの看板を狙撃して叩き落す。
「残念、でしたな。さあ、それで、次は?」
次第に遠ざかりながらも、男は楽しそうに少女を方に視線を向ける。
・・・ヤードの怒声をBGMにしながら。
273 :
以上、自作自演でした。:02/04/25 14:27
自制など利かないっ……!
>272vsラルフ
遠ざかっていく馬車。
その馬車の上で輝くマズルフラッシュは、此処からでも確認できる。
同時に、弾け跳ぶ周囲の壁や地面。
時には人も――――
フックが狙った獲物に食いつけなかったのを確認すると、
ワイヤーを切り離しながらロゼットは呻く。
「――――こうなったら、何でもありよ。絶対に追いついてやるわ」
同時、とある概念を<言像化>。
字として存在するようになった概念が、物体として現れる。
その概念とは……『自動車』。アメリカ製の最新式フォードだ。
<倫敦>にはその車の概念が無い。
故に、言影化させ、隠していたのだが……、
そのようなことを言ってられる場合では無くなった。
車体が映像として浮き出てくるのを確認する――――と、同時に、轟音。
車の屋根が、へしゃげるように潰れ、ガラスが砕け散る。
車の屋根には……どこかの店の看板が激突していた。
「――――ッ!! ……上等ッ!!」
無理矢理車に乗り込むと、躊躇無くアクセルを踏みつける。
最初からエンジンは掛けている。
今はラルフにとにかく追いつく。それが最重要。
前輪が浮くほどの回転する後輪。
同時に、現在倫敦最速と思われる自動車が動き出す。
「修道騎士ロゼット=クリストファ――――前方乗り合い馬車に向けて……突貫よ!!」
弾丸のように、それはその場を駆け去っていった……。
vsロゼット・クリストファ
>270
「おやまあ、これはこれは・・・」
周囲のガラクタを蹴散らし、暴走してくる自動車。
流石に馬車と自動車ではスピードが比較にならない。
「ですが、まだまだ未熟ですな」
男は御者を蹴り落として手綱を握ると、路地裏に向かって馬車の向きをかえた。
片手で器用に手綱を操りながら発砲。
空を舞うゴミバケツを砕いて、少女の操る自動車の上へとぶちまける。
「ちゃんと付いてきていますな――――ふむ、非常に結構」
>275vsラルフ
「こっのぉぉーーーーーーーーーーッッ!!!」
馬車が急に方向転換したことを確認し、ロゼットは反射的にハンドルを切る。
その寸前に前輪のブレーキを踏切り、後輪を滑らせながら急カーブ。
タイヤの表面が一気に溶けるが、そんなことを気にする余裕は絶無。
車輪が通った軌跡を道路に黒く刻印しながら、車は直角90°、見事に曲がった。
だが、視界が一転し、馬車に追いつくためにアクセルを踏み込んだのと同時に……。
「ゴミ!?」
咄嗟に身を屈め、ハンドルの影に隠れる。
車のガラスが全破している現状で、ゴミから身を守る術は無い。
ゴミにまみれながらも疾走する車。
幸い、それを操るロゼットまで届きはしなかったが、屈辱は屈辱だ。
だが、そんなことはどうだって良い。
殺されたもの無念さが、彼女を突き動かす衝動なのだから。
「――――ッ!!」
ロゼットは更にアクセルを踏み込み、スピードを速めた。
ここか……レプリロイドでも、人間でもないモノ達の戦場は?
フフフ……私も参戦させてもらおうか……と言っても傍観者……カテゴリーDだがな。
私はシグマ。かつてはイレギュラーハンターとして戦っていた。
しかし……奴に敗れ、そして……。
戦闘能力についてだが、とりあえず最初はX1での装備であるビームサーベル、そして
内蔵武器のエネルギー弾を使用させてもらおう。
しかしこのボディが破壊されれば新たなボディで蘇る……。
私に敗北は有っても滅びは有り得ないのだ。
という訳だ。遠慮なく闘争や突っ込み(…)でボディを破壊して欲しい。
むしろある程度破壊されないとバージョンアップが出来ないのでね。
出典:「ロックマンX」シリーズ
名前:シグマ(Σ)
年齢:?
性別:男性型の性格がプログラミングされている。
職業:元イレギュラーハンター17部隊隊長
趣味:遺跡巡りだ。ランダ・バンダの元であるあの遺跡は特に気に入っているぞ。
恋人の有無:不要だ。
好きな異性のタイプ:不要だ。
好きな食べ物:レプリロイドは食事など必要としない。
最近気になること:エックスとゼロの動向だ。
一番苦手なもの:ワクチンプログラム……ドップラーめ、厄介なものを創りおったな。
得意な技:ボディのバージョンによって変化する。
一番の決めゼリフ:情けないが「おまえの勝利などほんの一時のものでしかないのだ!」
将来の夢:全人類抹殺の後にレプリロイドの理想境を築くことだ。
ここの住人として一言:少々(かなりかもな)毛色の違うキャラだが宜しく頼む。
ここの仲間たちに一言:当分の間は「闘争」には参加しないだろうが、仲良くしようではないか……。
ここの名無しに一言:苦情・注文・質問・その他のご指摘が有れば受け付けよう。
>255 ヒカトvs閑馬永空
突き立つ数多の血針から己が身を抜き、よろめいた閑馬は後方へ倒れ込んだ。
あお向けに沈んだ身体のあちこちで白煙が噴く。
疵口で湧く蟲ごと、閑馬全体が崩れていくのだ。
「フ……フフ……。これで儂も……主の餌か……」
自嘲の形をとった口から、幽かな声がこぼれる。
もはや人としての態を為すのは、灼かれずに残った半顔だけであった。
「にしても……助けるだの癒すだの……実に愚かだよ、主は。
もっと割り切らねば、クク、辛いだけだぞ。
――死ねぬモノは特に、な」
一日の最後の光を映した独眼が、眩しげに閉じられた。
>244
比良坂初音 VS メ・ガリマ・バ(M)
全身に傷を負いながらも、蟷螂女はなおも鎌を手放さない
その様を見ながら、初音は舌打ちする
深手ではあるが、トドメを刺すには足りなかったらしい、それに空中の足場はほとんど斬り裂かれてしまった
ここから先は地上で戦うしかない。
巣を失った蜘蛛と満身創痍の蟷螂
火の出るようなにらみ合いの末、先に動いたのは蜘蛛
円を描くようにひたすら死角に回りこみ、糸を振るう
先に動く方が不利と分かっていながらも、焦りが初音の身体を動かしてしまっていた。
ルーク VS バイロン & ソフィア・テオドレス
>243
煙の乱れを視界の隅に捕らえる。
それを見た瞬間、思考よりも先に肉体が反応した。
左手の義手の追加装甲に組み込まれたジェネレータを臨界駆動。
安全装置を取り除かれ、更に大幅に改造を受けたそれは、
圧倒的な電流を生じさせる。
義手の表面を青白い光の筋がつたう。
空間に放電。
いく筋もの電弧が空間を駆け巡る。
解き放たれた雷霆は、単分子フィラメントを絡めとり、そのことごとくを焼き尽くす。
雷光を放ちつつルークに接近。
腰の後から拳銃型の注射器を取り出し、装甲の隙間に向けて銃爪を引く。
命中。
シリンダー内に込められたマイクロマシンがルークの体内に侵入する。
マイクロマシンはおそらく免疫系に排除されるだろう。
それまでに何秒かせげるか。十秒はかせぎたい所だが。
バイロンは一番近いビルに向けて全力で走り出した。
>76
VSロゼット一行&ヨコシマ 「ウリが起源ニダ謝罪と賠償(以下略)」
総てを焼き尽くさんと打ち込まれた文殊が、突如貼られた呪力障壁に阻まれる。
「あァ? アレが報告書にあった『悪魔』か!?」
スレイマンのその言葉を裏付けるように、霊視眼は
呪壁を展開したモノが高位の霊的存在で在る事を示してくる
「ク、ハ、通りで判らんわけだ。まさか人間のガキに擬態してるとはな」
≪わかった・・・・5分・・・・いや、3分で片をつける!!≫
黒い悪魔はばさり、と翼を広げると、防壁を解除するのと同じタイミングで
飛び出し、低空を高速で突き進むとスレイマンに踊りかかった。
「上等だ!! 誰に向かって口聞いてるつもりだ、ええ!?
3分で俺を何とかできるモンならやって見ろ、やれるモンならなァ!!」
悪魔がこちらに向かってくるや否や、スレイマンは全身を三重に身体施呪すると
迎撃の為、前方に踏み出す。
悪魔は硬質化させた腕を突き出し、その長く、鋭い爪でスレイマンを刻まんとする。
スレイマンは左手の自在護符の印形を【呪盾】に設定し、悪魔の斬撃を防ぐが
先ほど文殊を押さえ込んだときに、左手には大きなダメージを負っている。
黒い悪魔の一撃が振るわれるごとに、炭化した指先は衝撃でボロボロと崩れ、
過負荷の掛かりすぎた自在護符は白熱し、スレイマンの左手は更なる熱に蝕まれていく。
さらに、多重の身体施呪によって骨肉は軋み、毛細血管は破れ、その青黒い肌は血の汗を流し始めた。
「ハ、調子に乗ってんじゃねェ!!」
スレイマンも防戦一方と言うわけではない、掛け声とともに【呪盾】を最大出力で展開すると、
大きく一歩を詰め寄り、呪盾ごと悪魔に体当たりする。
衝撃によって黒い悪魔がバランスを崩したのを見計らって、自在護符の印形を【悪魔罠】に変更し、
スレイマンは悪魔の動きを拘束せんとする。
『おぉぉぉぉぉっ! 栄光の手よ、伸びろォォォッ!!』
しかし、スレイマンが防御から攻撃に移るまさにその一瞬、
叫び声と共に割り込んできたヨコシマの霊波刀が、スレイマンの左腕に食い込み、
そのまま振りぬかれ、左腕を肘の辺りから切り飛ばした。
だが、スレイマンも只者ではない。
中空にて回転する切り飛ばされた『左腕』を残された右腕で掴むと、
腕一本分長くなったリーチで黒い悪魔に殴りかかり、自在護符の印形もそのままに
【悪魔罠】を最大出力で展開し、悪魔を拘束。同時に損傷の激しかった『左腕』は砕け散った。
ただし自在護符が分解してしまった今、最初に込めた呪力が切れればあっという間に
拘束は解除されてしまうだろう。この悪魔の霊格を考慮すれば持って30秒と言う所か。
その30秒以内に、眼前の男を先に始末してしまわねばならない。
スレイマンの知りうる限り、最強のこの男を。
>281 続き
VSロゼット一行&ヨコシマ「時系列的にはBHのちょっと前ってことでひとつ」
『往生せいや、おどりゃぁぁあっ!』
当然の戦術ながら、ヨコシマは腕の失われたスレイマンの左側面を執拗に攻めたてる。
しかし、数瞬後ヨコシマの両目は驚愕に見開かれることとなる。
『無い』はずの、スレイマンの左手がヨコシマの栄光の手を受け止めたのだ。
その『左腕』は蒼く透きとおり、霊気によって構成され、呪術によって駆動する。
―――そう、<栄光の手>だ。
「ハ、<栄光の手>か。随分と便利なもんだな、なァ、おい!!」
『ズ、ズルイぞ、そんなんっ!! インチキやぁぁぁっ!!』
スレイマンが<栄光の手>を振るうと、ヨコシマは反動で大きく後ずさり、間合いが開く。
体勢の崩れた一瞬を狙ってスレイマンの<栄光の手>が再びヨコシマに鞭のように振るわれるが、
その攻撃はヨコシマの<栄光の手>によって受けられる。
<栄光の手>は、ヒトの神経樹を模した霊的端末であるとも言える
スレイマンは組成の同じ霊的構造物である<栄光の手>を打ち合わせ、共鳴させ、
一撃を合わせるごとにヨコシマにシンクロ。そして、その魂と記憶を走査する。
様々な人種、様々な年齢の女性の胸部、臀部、大腿部。
まずはヨコシマの精神を走査するスレイマンを待ち受けていたのは、それらのヴィジョンだった。
恐ろしい精神防壁だ。
並みのサイコダイバーならたちまちの内に煩悩が逆流し、発狂してしまうことだろう。
あるいはヨコシマの数々の性犯罪的行為はこの防壁を強固にする為か。
だが、スレイマンにも強い信仰がある。それは『自らに対する絶対の自信』だ。
この程度で彼の精神を揺るがすことなどできはしない。
スレイマンは続けて<栄光の手>でヨコシマを打ち据え、一合ごとに、走査範囲を深めていく。
女性のヴィジョンで造られた厚い精神防壁を抜けると、それは戦いの記憶。激闘の連続。
―――あるいは首都全域を覆い尽くす怪異を追い払い
―――あるいは星の海を越え、月の世界を救出し
―――あるいは『魔王』とまで呼ばれた存在までもを滅している
「ク、ハ、アシュタロス、なァ。貴様は世界を救った勇者様って訳だ、クハハハハッ!!」
『なな、なんなんなんで、それ知ってるっ!!』
動揺させることで精神の間隙を広げ、そして、スレイマンは見つけた。ヨコシマの『恐怖』を。
それはヨコシマの精神の最深部に隠され、固く硬く封印された小さな箱の一つ。
スレイマンはまるで友人に語りかけるような口調で、しかし、明確な意思と言霊を込めて
その箱の名前を呪式発声で読み上げた。
「な ぁ オ リ ヒ メ っ て の は ど ん な 化 け モ ン な ん だ ?」
ヨコシマの脳裏に二柱の女神の姿が鮮やかに浮かび上がる。共感効果による強制記憶喚起。
まさに、名が体を顕す。
>279
比良坂初音 VS メ・ガリマ・バ(M)
(……焦っているのか?)
何故か直感する。
相変わらず、死角からえげつのない攻撃が送り込まれてくるが。
わざわざ、奴は地上に降りて来た。
もう足場は無い……そういう事か。
―――行ける。
震える手で握る双鎌を強く握りなおす。
糸を体に受け、傷を刻みつつも前進。
あと、三歩、二歩、一歩―――
だが、そこで限界を訴える体が意思に反して膝を折ろうとする。
(まだだ、まだ!!)
気力でそれを食い止め、立ち上がる。
女の目を睨み付け、同じく、気力のみで無理やり腕を動かす。
鎌が空を裂き、敵に迫る。
とても、傷を負った者が放ったとは思えぬ一撃だった。
藤井八雲 vs 寄生獣「鈴木」
>261
「肉を斬らせて骨を断つ」―――狙いは悪くない。
相手が「パラサイト」でなければ、だが。
触手2本が切り落とされた上、それに気を取られた隙に、続いて放たれたフックに目を潰された。
生命活動に支障が出る程の痛手では無いが、決して無視出来る程に軽くも無い。
新たに流血した事も相まって、活動限界が一層早まるであろう。
……一刻も早く、切り離された部分を回収しなければならない。
獲物は腹部の損傷により動きが止まっているので、止めを刺すのは後回しでも問題無い。
先ずは失った視覚を回復すべく、新たなる目を作る。今回は小さな物を四つ。
続いて切り離された2本の触手を残る1本で速やかに回収。
硬質化していた触手部分が粘土状に変質し、回収した触手を取り込んで行く。
十秒で再融合は完了。再び3本の鋭利な刃を形成する。
―――さて、「食事」を再開するとしよう。
>193 朝霞万里絵VS浅上藤乃
一人で物思いにふけっていた時、訪問者が現れた。
夕方に話をしていた万理絵さんだった。
確かに嫌なことを思い出す切欠になった人である事には代わり無いが
この人に悪気は無いと思う。
それに、途中で席を立つなんて失礼な事をしてしまった・・・。
『はじめまして、あたしは朝霞万里絵、よろしく』
「あ・・・」
私に微笑みかけて差し出して手を反射的に握手した。
この学校での礼儀作法が・・・と言うよりも由緒正しい家に生まれた者の
条件反射と言う物なんだろうか?
握り返したその手はとても暖かい手で・・・
なんだか理由も無く嬉しかった。
『あたしの話を聞いてくれてたよね? それで、途中で席を外したのが気になって。
顔色が悪かったみたいだけど、大丈夫?』
――私のこと・・・心配してくれてたんだ。
なんだか涙が込み上げてきそう。
だって私が勝手に話の途中で抜け出してきたにもかかわらずこの人は私のことを気にかけてくれている。
嬉しい・・・こんな私でもこうして良い人と巡り逢える・・・。
そうだ。さっきまで色々と悪い方に考えていたけど―――大丈夫。
だってこんな良い人達が周りにいてくれるんだもの。私もきっと幸せになれる。
こんな私だって―――きっと。
『それでちょっと心配になって様子を見に来たんだけど……迷惑だったかな?』
「いえっ・・・そんなことないです・・・とても嬉しかったです。」
そして、私は万理絵さんの手を握り締めたままドアを開けようとした。
なんて言うのかな?
お人好しというか・・・世間知らずというか。
――――本当に危険に対しても鈍感だな――私って。
>280 バイロン
vsバイロン&ソフィア・テオドレス
単分子フィラメントがバイロンを切り裂くかに見えたその一瞬。
バイロンの義手に高エネルギー反応。
更に数本のフィラメントを飛ばし牽制。
ルーク自身は回避運動に入る。
正気を疑うような大出力放電。
熱に弱い単分子フィラメントはなす術もなく全て焼ききられる。
そして、ホワイトアウト。
シールドの間に合わなかった視覚センサーが電子の涅槃に旅立ち、
聴覚センサーを大音響に押しつぶされ、嗅覚センサーはオゾンに塗りつぶされた。
生き残った副次的センサーでバイロンの位置を必死に探る。
いた。
とんでもない至近距離、攻撃肢の更に内。
拳銃大の物体から発射された何かが装甲の僅かな隙間から潜り込む。
注入されたマイクロマシンがセンサーの回復を更に遅らせる。
それでも間一髪で間に合った聴覚センサーが遠ざかる足音を聞く。
戦術分析用プロセッサはバイロンの目的地を半ば以上自動的に計算。
計算結果は崩壊寸前のビル。
ルークは体内に残るマイクロマシンの排除とセンサーの回復を最優先。
思惑に乗らねばならないのは癪だが、不完全な状態で仕掛けるには余りにも危険過ぎる相手。
回復にかかる時間は推定で約十秒。
>283
比良坂初音 VS メ・ガリマ・バ(M)
こちらの攻撃は確実に決まっているにも関わらず
初音は内心の焦りをどうしても押さえる事が出来ない
どうした・・・焦る事はない、相手はもう立っているのもやっとではないか
いける・・・はずなのに心が警告を発し続ける。
ふと、蟷螂女と視線が合う
その視線に込められた戦闘のみに生きる凄まじい殺意
愚鈍な人間には気が付くはずはないのだが、幾度の死線を潜り抜けてきた
初音の本能が皮肉にもそれを敏感に感じ取り、初音の挙動を鈍らせてしまった。
そのとき鎌が振るわれる、初音は慌てて身体を翻すが、わずかに遅い
致命の一撃こそ避けたものの、初音の身体は袈裟懸けに斬り裂かれていた。
ルーク VS バイロン & ソフィア・テオドレス
>286
走りながら身体に突き刺さったフレシェットを抜く。
みるみると再生していく傷跡。
迷彩を施した無線でソフィアに話し掛ける。
「敵の索敵能力は恐ろしく高い。迷彩のレベルを出来るだけ上げろ。」
『一端引くべきよ。あれは手持ちの武装でどうにかできる相手?』
「手はある。いいからやれ」
『はいはい。もうやってるわよ。……意地を張らなくてもいいんじゃない?
どうせあなたの代わりなんていくらでもいるわよ』
「矜持の問題だ」
『やれやれ。ツッパリおじんだねえ』
ため息まじりにソフィアが言った。
バイロンの身体を電子迷彩。
辺りの風景と同等の、適切な温度と形状と反射データとトラップデータまで与え、
そのデータをリアルタイムで刻々と変化。
ビルまであと僅かの所まで来た時、冷たいものが顔にかかった。
水滴。雨だ。
ルーク VS バイロン & ソフィア・テオドレス
>288
急激に勢いを増す雨の中、ビルの裏へと回りこむ。
丁度いい物影を探して辺りを見回す。
あった。
物陰に無線通信用の発信ディバイスを設置する。
そして、ルークの行動を予想し、適切と思われる地点に罠を二つ設置した。
ひとつは一見して蟹を模倣した小型のロボット。
そしてもう一つは・・・。
バイロンの身体を迷彩したのと同様に、
バイロンの身体情報をベースにして、適切な温度と形状と反射データとトラップデータまで作成。
そのデータをリアルタイムで刻々と変化させる。
そしてそれをディバイスから発信する。
仕上げに手首の動脈を切り、ダミー熱源のそばに降りかけた。
そしてバイロンは、壊れて雨の降り注ぐビルの中に隠れ、ルークを待ち伏せする。
>287
比良坂初音 VS メ・ガリマ・バ(M)
―――浅い!
すんでの所で避けられたのが分かっていながら、追撃が出来なかった。
呼吸が荒い。
体が思うように動かない。
既に倒れていても、いや、死んでいてもおかしくはない。
それでも立つ。立って、奴を殺す。
見下すような視線。
それは一番この蟷螂が嫌悪する視線。
上へ、上へと這い上がる。
その為に、こんな所で死ぬわけにはいかない。
獣の咆哮にも似た声が、響き渡る。
体に残っていた力を全てかき集め、走る。
殺すべき目標のもとへと。
序章
自動小銃の乱射に伴って生じる閃光が、夜の闇を照らし出す。
男性のくぐもった悲鳴が響き、大量に水気を含んだなにかが
地面に落ちる音がする。
ここ、燦月製薬の研究所は、怒号と悲鳴、銃声と靴音、笑声と歓声に
支配されていた。
極秘のうちに全国に設置された燦月製薬の人工吸血鬼開発施設は、
過去にたびたび武装勢力の襲撃を受けてきた。
吸血鬼の存在を許さぬ狩人、燦月製薬の機密を手に入れようと
する諜報員などだ。
しかし、この襲撃者たちはそのどちらでもなかった。
彼らは、あらゆる生命の存在を許さぬ制裁者であり、殺戮の
狂喜を手に入れようとする執行者だった。
「来るな、来るなぁ!」
研究所の警備にあたっていた傭兵が、恐慌に駆られながらも拳銃を構えた。
銃口を向けられた相手は、痩せ細った長身を黒いジャケットで包んだ人物だ。
しかし、その人物は人間ではなかった。
鋭い鈎爪の生えた大きな手、地面に引きずった長い尻尾、そして馬や牛の頭蓋骨を思わせる頭部。
どれをとっても、人間のものではない。
傭兵が拳銃を発射した。
9ミリ弾が怪物の胸を貫くが、怪物はまったく動じない。
「無ゥゥ駄ですッ!死人をォォ殺すことはッ不可能ですゥゥゥ!」
神経を逆撫でするような甲高い声で、怪物は言った。
怪物は傭兵との距離を一瞬で詰めると、茶色い皮の張り付いた
手で恐怖の表情を浮かべる顔を掴んだ。
「ジャァッジ・モォォォティスの触れしものよッ・・・腐ァりなさァァァい!」
傭兵の全身の皮膚と肉はたちまち腐り落ち、あとには骨だけが残された。
「裁きを下しィィてやァるぜェェェ!ジャァァッジ・ファイアァァァ様がなァァァ!」
そう叫んだのは、全身を炎に包んだ黒い影だった。
手には三又の槍を握り、その頭は人間の頭蓋骨の形をしていた。
「浄化のッ炎だァァァ!燃ォォえちまえェェェ!」
三又の槍の先端から炎の奔流がほとばしり、傭兵たちを包み込んだ。
黒いマントを纏った屈強な体格の人物の足元には、幾つもの死体が転がっていた。
どの死体も、巨大な獣の顎に食いちぎられたられたような有様だった。
「まだ足りぬゥゥゥ!」
その人物は、地の底から響くような重々しい声で呟いた。
コウモリの羽根を模した飾りが左右から突き出した、兜の面頬の奥からその声は響いた。
「わしはァァ、ジャァッジ・フィアァァァはこの程度のッ断罪ではァァ満ィたされぬぞォォォ!」
「永遠のッ生命はァァァ、永遠のッ罪にして悪ゥゥゥ!」
長身の人物が、狂気に満ちた叫びをあげた。
黒く光るヘルメット、黒いジャケット、それぞれ肋骨と翼竜の
形をした左右の肩当て、その全てが血に濡れていた。
「ダァァァク・ジャァッジはッ!ジャァッジ・デェェェスはッ!
悪をォォ滅ぼすゥゥゥ!」
ジャッジ・デスの口、牙だらけの大きな口から叫びがあがった。
「罪のォォォさァァァばきを受けよッ!」
>251
ロゼットvsストリクス
懺悔?
何を懺悔しろと言うのか。
もはや言うことなど何も無い。
懺悔しても、最早自分が救われる事など有り得ない。
ストリクスの魂は最早地獄に落ち、肉体がこの世に残っているに過ぎない。
吸血鬼になるとは、そう言うことなのだ。
「懺悔って言うのは・・・救われる人間のやる事よ・・・私は、吸血鬼はね、例え何があっても・・・救われる事なんて無いのよ!」
もはや言うことが無いなら行動するしかない。
突き付けられた銃口をずらし、咄嗟に身をずらす。
引金が引かれ銃弾がとびだすまでの僅かな時間に致命傷だけは避ける事が出来るだろう。
シスターが引金を引いた瞬間、ストリクスは彼女を蹴り剥がした。
左手を再び貫手の形にして、シスターへと突き込む。
狙いこそは甘いが、速度は充分人間の範疇を超えた一撃が襲い掛かる。
>285 朝霞万里絵VS浅上藤乃
(随分素直な子ね……違うのかな?)
直観や思いこみで判断しては真実を見失うとは分かっていながら、つい万里絵はそんな事を考えた。
何のてらいもなく手を握り返してきた事といい、まったく警戒心なく表に出てきたことといい。
あまりにも殺人を経験した者が持つ雰囲気……とでもいえばいいのだろうか?
それが欠落している。
だが、万里絵は決して疑惑を解いたわけではない。
万里絵にさえ感づかせないほど、雰囲気をごまかすのが上手いのかもしれない。
あるいは、罪の意識がないという可能性もある。
これはさすがにないだろうが――そんな生徒が礼園に入学できるとは思えない――多重人格というケースも考慮すべきだ。
「ところで、どうして突然体調が悪くなったのかな? 持病があるとか?」
あまり長く立ち話というワケにもいくまい。
少し核心に迫ってみることにした。
まだ、事件のことや……力のことには触れない。
それには、もう少し情報が必要だ。
>290
比良坂初音 VS メ・ガリマ・バ(M)
自らの血潮の噴水で初音の視界が緑に染まる
「避けたつもりで・・・この傷・・・・流石ね」
意識が遠くなる・・・・
自らへと突進する蟷螂の姿がもはや朦朧としか見えない
初音はなんとか意識を集中すると右手の爪を伸ばす
糸を放つ余裕は無い、持てる全速力で懐に入りこみ致命の一撃を見舞う
これしか勝機はない。
初音は相手の鎌の軌道をギリギリまで見極める
悔しいが今のこちらの全速力よりも相手の鎌の方が速い・・・・仕損じれば待っているのは死だ。
蟷螂女の刃が初音の目前まで迫ったそのとき、初音の瞳にはっきりと鎌の軌道が映った
いける!!
初音は瞬間的に勝利を確信し、蟷螂の鎌の中へと斬り込んで行った。
(トリップ判定)
It is pure and beautiful thing. It is the chaos. It is truth.
It synthesized in my mind. What do you know it?
何もかもを焼き尽くし、舐め回す焔を前にした男。
その手にM4A1を携えた彼の顔には勝利の笑みが満ちていた。
昏い喜びに満ちていた。
その規模に比べて不思議なほどに作業は簡単すぎた。
彼に言わせればひどく趣味の悪いデザインの化物どもの城。
そこへ火を放つ。彼に抵抗する者どもは一掃射のもとに薙ぐ。
彼には簡単すぎた。数など問題ではない。
その中に一匹でも彼の火力を上回る者がいなければ問題は無い。
暗い廊下を歩く。飛び出してきた者があれば即撃ち殺す。
今夜の彼は特に力が漲っていた。モーラに別行動を取らせる事で、
モーラの目を気にすることなく殺し尽くす事が出来た。
扉を開けた。中には質の良い織物で着飾った女達。
ニィィ、と彼なりの極上の笑みを浮かべると、容赦なく撃ち殺した。
フルオートの全弾射撃。数十人いた女達は一瞬にして血を垂れ流すだけの皮袋へ。
特に美しいと思われる女の死体。・・・・・・・・・使えるな。
もちろん、晒し物にしてやるつもりでその首を刈り取り、白山査子の杭で床に撃ち付ける。
そしてボウガンによる銃撃。
ガシャン、ガシャン。何度も矢を装填し、何度も執拗に矢を撃ち込む。
そのかつて美しかった顔。今では肉が破れ骨が砕け見る影も無い。
その瞳その唇その肌その髪その額。今では全て血に濡れ矢で潰され
形を留めてすらいない。中に詰まった脳漿がだらりと垂れ下がり目玉は
破裂している。その様を見て彼は笑った。笑い続けた。
≪化物め、ザマを見るがいい。テメェらのご自慢のお城はこの様だ。
いくらでも蛆虫のように湧いてくる下僕も殆ど殺した。
テメェにゃもう何も無い。留守にしていたのが悪かったな?≫
そして、彼は今ここに立っている。
燃え盛る焔の下は城を焼きつくさんと揺らめく。
収穫は大きい。多くの金品、そして上質の『豚肉』を大量に入手した。
下僕を持たない化物というものは総じて力を失うものと決まっている。
この荒唐無稽で無慈悲な略奪と破壊行動はそのためにある。
最後にこの惨状を目にし、心身ともに力を失った化け物を殺してやるのだ。
これをやったのはたった二人の人間である。ということも忘れずに言ってやろう。
灰は灰に。塵は塵に。豚は屠殺場へ。化物は一片の塵も残さずに殺し尽くす。それが常世の理だ。
モーラが来ない。遅い。まさか・・・・・・・・・・
俺の前に腹から血を流したモーラが現れる。・・・・・・なんてこった。
モーラが傷つけられるとは思いもよらなかった。
俺の作戦ミスだ。糞、糞、くそッ!
そもそも俺の遊びが過ぎていた事が問題だった。きちんとモーラを守ってやるべきだったってのに!
必ずしも死に至る傷ではないとはいえ、多量の出血により意識が戻らないモーラを車に乗せ、俺はアジトへ帰った。
くそッ――――――――――化物どもめ!
>294
比良坂初音 VS メ・ガリマ・バ(M)
(こちらに向かってくる……か、面白い!)
駆けながら鎌を構える。
今まで幾度と無く標的の首を刈ってきた姿勢。
しかし、今回は少々勝手が違う。
この相手はろくに抵抗もしないような今までの奴とは訳が違うのだ。
だからこそ、危険に満ちて、面白い。
その顔がもし人間の顔であったのなら、寒気すら起こさせる笑みが浮かんでいただろう。
鎌は振るわれる。
無慈悲に、正確に。
あの女の命を刈り取るべく。
アセルス&カミーラVSフリッツ アセルス側導入
>295
「・・・なん、だ、これは・・・っ」
所用を終えて戻ってきた私を出迎えたのは・・・惨状だった。
城のあちこちに火の手の後があり、いたるところでしもべと・・・寵姫たちが息絶え、
・・・その中の一人が、まるで原型を留めずに晒し者にされていた。
『アセルス様・・・お戻りになられたのですか・・・』
怪我をしたしもべの一人が声をかけてくる。
「説明しろ、一体何があった!」
私はそいつを冷たく睨みながら、問い詰めた。
〜 〜 〜
・・・その話は、にわかには信じられなかった。
たった二人のハンターに、ここまでの狼藉を許したという。
『一人は人間の男、もう一人は小さな少女―――いや、おそらくダンピィルというやつでしょう。
吸血鬼と人間との間に生まれたもの、どちらでもない異端の存在・・・あっ』
・・・自分が誰に向かって喋ってるのか、気づくのが遅れたらしい。
そう、この私だって―――
「・・・かまわん、続けろ」
『・・・はっ。
なんとか、その少女には深手を負わせたのですが・・・』
「ふん、深手を負わせたか。
―――ふっ、まあ上出来といってやろう。よくやった。
・・・ゆっくり、休め」
私の言葉を聞いて、そのしもべは・・・恐怖に顔を引きつらせた。
次の瞬間・・・そいつは私の剣に貫かれ、消滅していた。
私の寵姫も守れない役立たずなど必要ない。
だが、そいつの話は有意義ではあった。
ダンピィルの少女・・・クク、おあつらえ向きだ。
・・・そう、今度は私の番。
奴らが私の愛する寵姫を・・・あのような目にあわせてくれたように、今度は私が彼女を奪ってやろう。
―――自分のしたことがいかに愚かなことか、思い知らせてくれる!
藤井八雲 vs 寄生獣「鈴木」
>284
たった今潰したはずの眼が、叩き斬ったはずの触手が、
早回しのビデオ映像のように十数秒で再生していく。
「キ、キッタネー…そんなの、アリかよ……」
――こいつには弱点はないってのか!?
化け物のくせにスーツなんか着やがって……
生きてる人間に食いつきゃ返り血で目立つだけ………血?――
見れば、目の前の化け物は人間部分の腹部から出血し、
白っぽいワイシャツを真っ赤に染めさせている。
その血痕から見て犠牲者の血ではないことは明白だ。
――そうか……!!人間部分を狙えば……――
しかしこちらのダメージは深刻だった。
いくら再生能力があるとはいえ、あと一分は走れそうにない。
そしてそれを気長に待ってくれるとも思えない。
かといってここは狭い路地、逃げ場も身を隠す障害物もない以上、
歩いて近づくことなど不可能だろう。
――どうする……どうすりゃいい…!!?
ヤツを斃すには……!!――
「これに賭けるしか…ねぇっ!」
ナイフを忍ばせてある腰のポケットに左手を差し入れ、
そのままアンダースローで投げつける。
狙いは身体の中心、ヤツの心臓。
>293 朝霞万里絵VS浅上藤乃
『ところで、どうして突然体調が悪くなったのかな? 持病があるとか?』
・・・。
聞かれて当然の事だった。普通に話をしているだけなのに急に体調が悪くなったと
言って逃げ出す人なんてそうはいない。本当に持病持ちの人くらいのものだ。
でも、私は持病なんて持っていない。確かに体は丈夫な方ではないけれど、命に関わる
病気なんて・・・・・・一度だけしかない。
でも、心配してこんな時間に私の為に来てくれた彼女に嘘をつくのも嫌。
それならば――いっそ
「嫌な事を思い出したんです」
知らず知らず、私は口を開いていた。
彼女がやさしい人だと言う事もある。だけど私は、他の人にも私の気持ちを知って欲しかった
確かに鮮花は始めとした沢山の親しく、心を許せる友人はいる。
だけどそんな親しい人達に私のイメージを崩して欲しくなかった。
『私を見捨てて欲しくなかった』
だから、この新しく友人になれそうなこの人に私の気持ちを話してみよう。
それなら、きっと私の気持ちも晴れるし、この人も私と言う人間を知った上で
親しくしてくれる。
もしダメでも・・・それまで。付き合いはそこでおしまい。それだけだ。
「数ヶ月前に、私、襲われたんです。」
そして、私は淡々と語り始めた。
>292
ロゼット VS ストリクス
『哀 ――誰がために君は泣く――』
私は、銃の引き金を引く!
が―――銃口がわずかにそらされ、聖火弾が彼女の肩口に炸裂した!
肉のこげるイヤな臭い・・・・・。
《がすッ!》
と同時に、私の体が地面に蹴り転がされる!
「ッぁ?!」
一瞬、動転する私の目に彼女が腕を振りかぶるのが見えた!
「ロゼット!!」
「このォォォォ――!!」
クロノの声。
私は地面を転がって回避しようとする!
《ずしゅ!》
「あ゛ぅ゛ッ!」
かわし切れなかった一撃が私のわき腹を掠めた。
飛び散る修道服の切れ端と、鮮血―――。
痛い――――ッ!!
私の瞳に、一瞬痛みで涙が浮かぶ。
だが、痛がってもいられない。
私は、ごろごろ転がりながら彼女に銃口を向け、放つ!
《こつ》
その時・・・・・・・私の足にぶつかる『何か』。
「・・・・・・?」
目をやれば、そこに転がる『反響体(エコーズ)』。
先ほど、クロノを投げたときにでも、クロノが取り落としたのだろうか。
・・・・・反響体の先端は、尖った杭を思わせる。
「ロゼット、前ッ!」
「・・・・・・・・。」
私は、無言で反響体を拾い上げる。
目の前に、迫りくる彼女。
「・・・・・・もし、あんたがこうなっちゃう前に出会えてたら。
助けられたかもしれないね・・・・・・・・。」
私は、破れた服の間から胸が露になるのも構わず、両手で反響体を握り締める。
そして、顔をあげ彼女をにらみつける。
「迷える子羊に――――安寧を――――――ッ!!」
そして、その胸元に反響体を突き立てる―――!!
>295, >297
アセルス&カミーラVSフリッツ アセルス側導入 その2
久しぶりに訪れた恋人の居城は、血と煙の匂いに満ちていた。
カミーラは、壁に付いた赤い染みや、床に転がる肉片や臓物を無表情に
眺めていく。こんな惨劇は何度も見たことがある。自らの手で作り出した
こともある。今更、どんな感情も呼び起こされることはない。
いかなる光線のいたずらによるものか、床に転がる寵姫の首が、カミーラに
微笑みかけているかのようにみえた。思わずカミーラは、その血塗れの
首に微笑を返してしまう。
そう、他人の惨劇ならば、知ったことではないのだ。
カミーラは、わずかに自失しているかのようにみえる城の主人に、笑顔で
語りかける。
「それで、敵討ちには、もちろんわたくしも参加させていただけるのですよね」
>289 バイロン
vsバイロン&ソフィア・テオドレス
雨粒が落ちてくる。
聴覚センサーで追っていたバイロンの足跡が唐突に途絶えた。
呼吸音、出血音、共にロスト。
雨のせいでは、ない。
相当高度な電子迷彩。
聴覚を諦め、嗅跡と血痕を頼りにバイロンの後を追う。
追跡途中で引き抜かれたフレシェットを確認。
変化する血痕の大きさから現在のバイロンの状態を予想。
多分、常識外れの速さで『再生』中。
しばしの逡巡の後、SQUIDを起動。
物陰に電子機器が一つ――大きさ、複雑さからすると通信装置か――
更に二つ、一つは戦闘用ロボット?
もう一つは……小さいが非常に複雑な装置、例えば義手のような。
突然、聴覚センサーが呼吸音を捉える。
さらにほぼ同時に嗅覚センサーが強い血臭反応を示した。
電子迷彩が途切れたのか、それとも罠か……。
恐らく、後者。
それも逆転を狙った乾坤一擲、必殺の罠。
戦闘兵器という出自はルークに楽観を許さない。
だが、そうと知っていながら乗らざるをえない。
罠を仕掛ける時間を考えれば、バイロンは確実にこのビルの中にいる。
絶対に逃すわけにはいかない、
今ここで仕留めなければ、次はもっと不利な状況に追い込まれるかもしれないから。
覚悟を決めると、一気にに接近。
血臭反応の源にフレシェットを発射、
同時に戦闘用ロボットと思われる電子機器にフィラメントを振るう。
>299 朝霞万里絵VS浅上藤乃
唐突に、おぞましい陵辱の過去を語り出した藤乃。
不良少年グループに数回に渡って呼び出され……そして慰み者にされていた事を。
いや、彼らにとっては慰み者などという感覚すらなかったに違いない。
普通の人が漫画を読む、テレビを見る、ゲームをする、そんな感覚で彼らは藤乃をオモチャにしたにすぎないのだろう。
当の本人がそんな過去をうち明ける……それはどんな心境なのか。
だが、彼女の思惑と裏腹に、万里絵はこれまでに集めた情報、パズルのピースがあるべき場所に収まるのを感じた。
何より、自分の話でそれを思い出したというのが決定的だ。
――一通り話し終えた藤乃。
万里絵は、一切の横槍を入れずにじっと聞いていた。
そして、言葉が途切れた瞬間を狙って、おもむろに言葉を繋いだ。
「だから、復讐の為に力を振るって、殺したの?」
既に、一番話しにくいことは話している。
なら、もう後のことを認めるのに大した抵抗はないはずだ。。
もっとも、既に確信しているが――彼女が実行者であることを。
>294>296
比良坂初音 VS メ・ガリマ・バ(M)
(トリップ判定:T>Wで初音の勝利)
「な―――」
発することが出来たのはそれだけ。
鎌よりも速く、女の爪がカマキリを捉えた。
(上へは……行けないと言う事なのか…・・・)
上へと、這い上がる事を望んだ。
だが、それは届かなかった。
死という形で持って、奈落の底へと突き落とされる。
首が体から滑り落ちる。
消え行く意識の中でそれだけがはっきりと認識出来た。
奇しくも、それは今まで蟷螂が自分の標的を狩ってきた殺し方であった。
>300
ロゼットvsストリクス
左手の貫手は大した傷を負わせる事が出来なかった。
今度は右腕での貫手。指先に衝撃が走り、肉を裂いてシスターの肩口に突き刺さった。
派手な傷に見えるが、致命傷には程遠い。
同時に、胸元に鈍い衝撃が走り、鋭い痛みが走り、そして何かが肉を裂いて潜り込んだ。
(ああ、何だろう?)
それは、心臓へと到達している。
心臓を破壊されれば滅びる。それが、吸血鬼の不文律。
それは、あまりに呆気無い終わり。
あまりに非道い終幕。
「冗談?ねェ・・・これ、何?・・・これは・・・夢だよね?」
泣き笑いの表情で呟く。
夢じゃないなんて判っている。嘘や冗談ではない事も同様。
夜に生きる怪物に滅びが訪れた。
ただ、それだけ。
「ねェ・・・ゴメンね・・・ウピエル様・・・ゴメンね・・・・・・・・・・・・」
最後の言葉は、誰に向けて謝っていたのだろうか、それは最早自分でもわからない。
何でここまで来て謝っているのだろう。
本当に、自分は、救いようの無い愚か者だと思う。
身体が灰になって行く。
死せる吸血鬼は灰になって消え、後には何も残らない。
誰に知られる事も無く、ただ、この真っ直ぐなシスターに看取られ消える。
血盟の共感で彼女の主、ウピエルはこれを知るだろう。
彼は哀しむだろうか。怒るだろう。「俺の許可も無く勝手に死ぬなんて許せねェ!」と。
「・・・りが・・・う・・・」
ありがとう。自分はそう言うつもりだったのだろうか。誰に?
主人だろうか。それとも、目の前のシスターにだろうか。
それさえも最早考える事が出来なくなり─――――――――――――――――
そこで、全てが途切れた。
ルーク VS バイロン & ソフィア・テオドレス
>302
ルークが罠の効果範囲に進入した。
まず蟹を模倣した小型のロボットを機動。
カシャカシャという音をたててルークに近づいていく。
その背中にM5A1プラスチック爆薬を乗せて。
これはデコイ。
もう一つの罠も発進させた。
それは輪ゴムを動力として転がっていくフイルムケース。
大昔のおもちゃそのもの。
ただし、おもちゃと決定的に違う所が一つあった。
内部に小型の高性能爆薬が搭載されている所だ。
これもデコイ。
蟹型ロボットが単分子フィラメントによって切断された。
爆発。
それに誘爆してフイルムケースも爆発する。
轟音。
爆音が鳴り響く。
爆風が荒れ狂い、衝撃が辺りを揺るがす。
そして、本命は。
ルーク VS バイロン & ソフィア・テオドレス
>306
隠れていたビルから音も無く飛び降りる。
眼下には、爆発の中心部に居ながら、
驚くべきことに、ほぼ無傷のルーク。
どちらが死ぬにしても、この軌道直交で全てが終わる。
義手の追加装甲がはじけとんだ。
肘から手首にかけて筋が入る。
次の瞬間、下膊(肘から手首の間の部分)が割れ手首を支点に180℃展開。
さらにその先端を支点に内蔵された刃が180℃展開した。
刃まで含めればおよそ3倍の長さになった下膊。
その刃が赤く輝く。熱破砕ブレード。
刃に触れた雨は蒸発し、瞬時に白い水蒸気へと変わる。
灼熱の刀身から水蒸気を放ち、バイロンはルークの直上から雨滴と共に落下する。
>297>301 アセルス&カミーラVSフリッツ
「・・・ふ、もちろんだよカミーラ」
やって来たカミーラに、私も微笑み返す。
彼女との付き合いは短くない。
彼女にとってはここで起こった惨状よりも、件の少女のほうがよほど興味があるだろう。
だが、それで構わない。彼女が協力してくれるというならそれで。
「私たち二人で、その子を奪ってやろう。私たちのものに・・・」
抱き合い、唇を重ね、私は耳元でそう呟いた。
そうだ。目的は同じ。
ならば・・・私たちの気持ちも一つだ。
例の二人の居所を探るのは難しくない。
しもべが顔を覚えていたし、お互いに名前も呼びあっていた。それだけで十分。
―――果たして、やつらのアジトは見つかった。
そして今、私とカミーラはそのアジト・・・古びた洋館が見える場所に立っていた。
時刻は真夜中、月は真円の満月。
私たちにとって最高の夜。
「・・・行こうか、カミーラ」
そう言って、私はカミーラに微笑みかけた。
薄く、冷たく。
>305
ロゼット VS ストリクス
『哀 ――誰がために君は泣く――』
〜 エピローグ 〜
「泣いてるの、ロゼット・・・・・・・?」
「――――うん。」
私は、膝をつき、灰と化した彼女を看取りながら泣いていた。
露な胸を隠すでもなく。傷口を押さえるでもなく。
灰の中には埋もれる反響体。
何故泣いているのか。
悲しいから?
いや―――これは『哀しい』からだろう。
彼女は、結局全てに縛られたままこの世を去った。
できるなら、彼女に自由を味あわせてやりたかった。
こんな姿になる前の彼女に出会い、手を引っ張ってでも私の好きな『あの場所』に連れて行ってやりたかった。
だが・・・・もう遅い。
彼女は死に、私は生き残った。
ただ、それだけ。
「ロゼット・・・・・そんなカッコじゃ風邪ひくよ・・・・・・。
それに、人前歩けないだろ・・・・・?」
「――――うん。」
クロノが、傷の手当てをしながら言う。
そして、自分の来ていたコートをかけてくれた。
「これで・・・・・よかったのかな? これしか、なかったのかな?」
「・・・・・・ああ。きっとね・・・・・・。」
灰に、涙の雫が跡を作る。
「・・・・・AMEN。」
―――迷える魂に、幸あらんことを―――――。
>307
vsバイロン&ソフィア・テオドレス
蟹型ロボットをフィラメントが切り裂いた瞬間、ルークの視界を埋め尽くすような爆発。
爆音はほぼ同時に二回。
もう一つあったらしい罠が誘爆したのか。
次の一撃に備えて素早く周囲を索敵。
この程度の爆発で仕留められると思ってくれるほど甘い敵ではない。
それでも直上からの一撃に気付いたのはぎりぎり間に合うかどうかの瀬戸際だった。
小細工は無用、単分子フィラメントの一撃にかける。
バイロンの首筋まで線を引くように、攻撃肢が右から左に振られた
魔界転生異伝〜鈴鹿御前 対 天草四郎
>257
「大通連、とな。―――天女のごとき美しさ。揚柳の細身に十二単、濃い紅の袴姿。
左の腕に琴を携え、腰には黄金造りの『妖剣大通連』下げし鬼姫―――うぬは鈴鹿御前であったわけか」
鈴鹿の激しい斬撃に曝されているにも関わらず、
まるで詩吟をするかのような口調で四郎は妖しく笑った。
「うぬを忍体にすれば、さぞや素晴らしい転生が見れようのぅ。
そうでなくとも、その腕、捨てるは惜しい。人ならぬもの同志、仲良うしようではないか」
風に揺れる柳の枝のように、風車のように撃ちこまれる斬撃を避けていく。
だが、さすがの魔人でも避けきれぬ神速の一撃が頭に放たれる。
なんということであろう。刀は頭まで後三寸ばかりのところで止まっているのである。
いや、そうではなかった。四郎の髷がまるで刀のようにそれを受けていたのであった。
「斬人斬馬、触るれば鋼も断ち切る我が『忍法髪切丸』じゃがな」
驚愕の表情を浮かべる鈴鹿を眺めながら、囁く。
「こういう使い方も出来る。もっとも、こちらは当たる範囲が狭いゆえ、あまり使いはせんのだが」
そして、右手をゆっくりと鈴鹿の顎の下に這わしながら、艶めかしく。
「わしと仲良うするほうがよいかな?褥の上でなあ」
>304
比良坂初音 VS メ・ガリマ・バ(M) エピローグ
蟷螂女は初音の背後でゆっくりと崩れ落ちる
また命を拾えたらしい・・・・・・
初音はふらふらと深手を負った身体を引きずりながら公園を後にする
公園を出て見知らぬ街へとさまよい出ようとした初音の背後から近づく影がある。
振り向いた初音の瞳に映ったのは
闇夜の中でさえ損なう事の無い雄々しき姿をした戦士の姿
戦士は真紅の鎧を身に纏い、ゆっくりと初音へと近づく
そうか、彼こそ奴らを倒すためよみがえった戦士か・・・・
おそらく五体満足であったとしても勝ち目があるとは思えない
だが・・・しかし・・・・・
初音はもはや眼を開く事さえままならぬ身体で必死で構えを取ろうとするが
もはや、限界だった・・・・・
意識を失う寸前に初音が聞いた声は
雄々しい外見にはまるで不釣合いな青年の声だった。
(比良坂初音 生死不明)
>301>308
モーラをベットへ寝かせ、腕に輸血パックの管を通してやる。
これで何とかなるはずだ。ダンピィルの治癒能力は人の比ではない。
軽く髪を撫でる。いつまでもモーラは変わらない。
ただその心だけが成長してゆく。
果たして肉体と言う器はそれに耐えきれる物なのだろうか。
いや、耐えられるかどうか心配なのは肉体ではなくモーラの心だ。
モーラは強い子だ。これまで必死に頑張ってきた事からも窺える。
村の豚連中から、餓鬼どもから何をされても、モーラは一人で耐えてきたのだ。
その事を思い出すたびに怒りが、闘志が込み上げる。
この憤怒がある限り、自分は一生闘い続けられるだろう。
――――殺してやる。敵は殺す。屑は狩る。豚は狩る。
けたたましい警報が鳴る。やはり追っ手の類が来たらしい。
洋館の周囲いたるところに張り巡らされたセンサーが来客の訪問を知らせていた。
豚どもが。
転がしておいたM4A1を手にとる。
ようこそトリックハウスへ。化物ども。
テメェらの肉は殺ぎ落として豚肉屋に売りさばいてやる。さあ、来いよ。
モーラを残し、部屋を後にした俺の目に燃えていたのは、血と憤怒と愉悦の色だった。
魔界転生異伝〜鈴鹿御前 対 天草四郎
>311
謡うように囁きながら、斬撃を避け続ける天草。
それを追いながら、私は答えた。
「私の正体を知っているのか、ならば私の生き方についても聞いたことがあろう。
答えは―――否、だ」
私の剣は、更に速度を増してゆく。
いかな魔人とて、これは避け切れぬ。
必殺の勢いを乗せた横薙ぎの一撃が、奴の頭を捉えた―――筈だった。
刀が、何か硬い物に当たる感覚。
高々と結い上げられた、天草の髷―――それが、大通連の太刀行きを阻んでいるのだ。
驚愕の表情を浮かべた私に伸びてきた、天草の手を振り払いつつ、後ろへと跳び下がる。
と同時に、その影から現れたのは、まさしく一体の鬼。
常に私に付き従い、その身を守る使鬼は、雄叫びをあげながら天草に襲いかかった。
鬼を召還した直後、私は再び疾走している。
その姿は、使鬼の死角になって奴からは見えない筈だ。
ルーク VS バイロン & ソフィア・テオドレス
>310
単分子フィラメントが恐るべき速度でバイロンに迫る。
その時、バイロンの義手が伸びた。ムカデの胴体のように横に溝が入り、
蛇腹のように有機的な動きで10倍以上の長さに延長される。
加熱された刃がまとう白い水蒸気。
装甲の隙間を狙ってもよけられる。
相手が避けない所を狙う必要があった。
ならば狙うべきは、高周波刀によって刻んだ、装甲の傷跡。
ルークの装甲に付けられた傷跡を狙い振るわれた。
一閃。
装甲に食い込み断ち切る重い手ごたえ。
それが途中で止まった。
雨だ。
刀身に降りそそいだ水滴が、刀身から僅かに熱を奪い取ったのだ。
その『僅か』がバイロンにとっては命取りとなった。
それを理解した瞬間。
単分子フィラメントがバイロンの首を切断した。
>217>220>223>224>227>230>234>242>244
>279>283>287>290>294>296>304>312
・・・以上だ。
蜘蛛だからと言って、侮るものではないな・・・。
だが、相手をしてくれたには感謝しよう。
ロゼット VS ストリクス
レス番まとめよ。
付き合ってくれたロゼット、サンキュ!
お礼に、そのうちたっぷり可愛がってあげる!
>107 >111 >119 >125 >128 >133 >137 >139 >173 >181 >189 >198
>201 >214 >228 >235 >239 >247 >248 >251 >292 >300 >305 >309
>308, >313 アセルス&カミーラVSフリッツ
古ぼけた洋館の前にカミーラは立っていた。
今夜の仕事は、アセルスを火器で支援することと考えていた彼女は、
携行していた擲弾発射機を取り出すと、弾帯を身体に巻きつける。
ベージュ色のセーターに巻き付いた鈍い鉄色の弾帯は、どうにも
不釣合いな印象を与えるが、こんな時に贅沢は言っていられない。
HK PDWと予備弾倉、それから長めのナイフを腰に落とし込む、カミーラの
準備は終った。足元を固めている無骨なブーツの紐をもう一度確認する。
作業手順を終え、カミーラは傍らのアセルスに微笑んだ。
胸に手をやると、カミーラは擲弾を取り出し、発射機に込めると無造作に
発砲する。窓ガラスを突き破り、焼夷弾と発煙弾が次々に洋館に着弾する。
むろん、この程度で相手をどうこうできるとは思っていないが、負傷者を
抱えた敵にはかなりの負担を強いることができるだろう。
藤井八雲 vs 寄生獣「鈴木」
>298
―――まだ動けるのか。
獲物の余りのしぶとさに、珍しくも驚愕という名の感情を覚えつつも、
獲物が投じたナイフを事も無げに叩き落とした。
そのお返しとばかりに、獲物が狙っていた箇所を刃で貫く。
今回はしっかりと照準を定めた事もあり、正確に獲物の心臓を捉える事が出来た。
流石の獲物もこれには一溜まりも無く、多量の血を吐き出し、そして倒れ伏した。
念には念を入れ暫く獲物の反応を伺ってみたが、十数秒経っても動く気配は見えない。
どうやら今度こそ終わったらしい。
……これでようやく「食事」に有り付ける。
そうとなれば、早急に失った血を補給せねばならない。
早速仕留めたばかりの獲物を触手で引き寄せ、「口」を開ける為に獲物を手に持ち替える。
そして、「口」を大きく開いた。
魔界転生異伝〜鈴鹿御前 対 天草四郎
>314
「それは残念じゃのぅ。―――ならば、多少痛い目をみてもらうしか、なさそうじゃなあ」
薄い笑いを浮かべながら、四郎は鈴鹿に迫る。
それを阻んだのは、鬼であった。
何時の間にか、鈴鹿の姿は掻き消えたように消えていた。
「時間稼ぎのつもりであろうが、図体ばかりがでかい鬼相手では役に立たぬぞ」
暴風のような腕を避けつつ、天草は笑う。
その顔に浮かぶのは無邪気な笑い。
「しかし、うぬ相手ではつまらぬなあ。―――早う死ね」
繰り出された腕に、四郎の髷が飛ぶ。
次の瞬間、もと腕のあった場所には、赤い斬り口が覗いていた。
痛みに感じる間も無く、鬼の胴も真っ二つに斬られる。
そして四郎の眼前に現れた首を、白刃をひらめかした。
ごとり、と首が落ちる。
その血だまりの中で、四郎は凄惨な笑みを浮かべていた。
驚いたことに、返り血一つ浴びていない。
「他愛もない。・・・・・・鎧袖一触とはこのことか」
>278 ヒカトvs閑馬永空
目を眩ませていた光が突然消える。
そして、其処には既に物言わぬ死体が一つ。
「…………ああ、オレは本当に馬鹿なのかもな。
本来エサの筈の人間に情をかけるなんてさ。本当はお前も殺したくなかった……」
・
・
・
娘を縛っていた縄を切り、下ろしてやる。
顔色は既に蒼白で息も浅い。このままでは助からないだろう。
少しだけオレの血を飲ませてやるとほんのりと顔色が戻ってきた。
………………………娘が目を開ける。
『此処は………もう、あの世に着いたのかしら?』
「お前が今までいた場所だよ、此処は」
『そう……助かってしまったのね……』
娘の目が悲しみと、やるせなさの混じりあった複雑な色をみせる。
『……ところで貴方は?……私なんかを助けても何の得にもならないでしょう?』
「オレは――――――――化け物だよ。血を吸う、な。
………オレはお前の血が欲しい。お前の血はオレと相性がいいんだ。
いつか傷ついた時でいい。その時はオレの仮親になってくれないか?」
一瞬、驚いた顔を見せるも、
すぐに表情は隠れてしまい、その顔色をうかがい知る事が出来なくなる。。
『化け物………それでもいいわ。
どうせ、私には帰る所も、家族も失くしてしまったんだから』
「…………そうか。
これからはオレがお前を守ってやるよ。ニンゲンの命は短い。」
『……………そうね、そうさせてもらうわ。
私の名前は「るい」――――――――「るい」よ』
彼女の苦しみ、憎しみを癒すのには長い、長い時間がかかるだろう。
それでもオレは救ってみせる。オレには時間がある。
それが、化け物であるオレが払える唯一の代償だから――――――――――。
ヒカト殿と儂の太刀合いの記録だ。
ヒカトvs閑馬永空
>108 >110 >117 >136 >138 >169 >174 >182 >190 >218
>221 >229 >236 >246 >250 >255 >278 >321
「モスラ対そてつ」になる筈の戦が、何処で如何なったやら(苦笑)。
ともあれヒカト殿には千の感謝を。
>313>318 アセルス&カミーラVSフリッツ
弾薬が、次々と洋館に命中する。
あちこちから火の手と煙が上がる。
「・・・はは、今夜はまた派手だね、カミーラ」
私は思わず感嘆の声をあげてしまう。もっとも轟音に遮られてしまうのだが。
・・・さて、私はどうするか。
見た目はただの洋館だが、仮にもここはハンターの住処。
センサーやトラップの類が仕掛けられていてもおかしくない。
・・・いつも通りに真正面からというのは、いくらなんでも頭が悪すぎる。
(―――ふむ、真正面か)
ふと思い立ち、私は術を唱える。
「・・・影よ」
>妖術・ミラーシェイド
現れた私の虚像を、カミーラの攻撃に合わせ正面から突っ込ませる。
・・・無論、これはただの影。
わずか一度でも攻撃を受ければ、霞んで消えてしまうだろう。
だがそれでいい。一瞬、注意を引きつけてくれれば。
私はその虚像を行かせ、すぐそばにある窓ガラスに近づく。
タイミングを見計らいここから進入し―――敵を、狩る。
魔界転生異伝〜鈴鹿御前 対 天草四郎
>320
使鬼の剛腕を事も無げに避け、鋭い刃と化した髷を振るう天草。
腕が切られ、胴が断たれる。
首が落ちると、鬼は動くのを止めた。
血だまりの中、天草は返り血の一滴も浴びず哄笑している。
だが、それは計算の内。
奴は私が隠れたものと思い、更に使鬼を斬って油断している。その油断を突く。
あの髷を用いた術で刀を止められてしまうのであれば、術を使う前に斬ればいい。
それこそが、私の狙い。
天草が使鬼と交戦している間に、私は奴の死角に回っていた。
そこから飛び出したのは、使鬼の首が地面に落ちた瞬間。
一陣の風と化した我が身が狙うは、奴の首!
藤井八雲 vs 寄生獣「鈴木」
>319
心臓への一撃。人間ならば即死。
人間ならば。
――この程度じゃ、いや…オレは絶対に死ねないんだよっ!!――
ともすれば失いそうになる意識を必死で繋ぎ止め、チャンスを待つ。
狙い通り、ヤツはオレを弱点である人間の部分に引き寄せた。
さっきの投げナイフはあくまで牽制に過ぎない。
これこそがオレの狙っていたことだった。
ヤツはオレが既に死んだものと思ったらしく、まったく警戒していない。
オレは目を開き、驚いているヤツの手を振り払うと
腰を目一杯回転させて小太りの男の胸へと、心臓の位置へと、右手の刃を突き立てた。
「うおおおぉぉぉ!」
左手で血まみれのスーツの襟を掴み、さらに奥まで突き通す。
化け物の着ているグレーのスーツの背中から、鋭い刃が生えた。
「ヘへッ…生憎と…オレは死ねねぇんだよ……
…人間じゃ…ないんでね…!!」
藤井八雲 vs 寄生獣「鈴木」
>325
……馬鹿な!? 確かに心臓を破壊したはずが!
「パラサイト」固有の信号を発していない以上、同族では無い。
反応速度も普通の人間と大差無し。
ましてや心臓の破壊は、同族ですら致命傷となるにも関わらず、この若い雄はまだ生きていた。
更には本人も人間では無いと言っている。
……が、思考を巡らしていたのはほんの一瞬。
死への恐怖が反射的に彼を突き動かす。
―――バツン
次の瞬間、大きく開いていた「口」が、獲物の頭部を一口で喰い千切っていた。
藤井八雲 vs 寄生獣「鈴木」
>326
獲物の頭部を咀嚼しながら、彼は次の行動に移る。
―――頭部の「移動」。
既に致命傷を負っている己の身体を棄て、首から下を失ったばかりの獲物の身体を乗っ取る。
無論実行するのは初めてであり、成功するかどうかはやってみなければ判らない。
だが、乗っ取る対象も同じ雄体であり、身体の操り方は大差無い筈。
どの途他に生き長らえる手段は無く、
更に成功すれば、心臓を破壊されても死なない身体が手に入る。
逡巡している暇は無い。
己の首の切断―――
新たな結合―――
そして蘇生―――
すべてを瞬時に行う。
藤井八雲 vs 寄生獣「鈴木」
>327
●エピローグ
―――どれ程の時間が経過したのだろうか。
血塗られた裏路地に、「藤井八雲」という名の個体の身体と、
「鈴木ムネヲ」という名の個体の頭部が融合した存在が、未だその場に佇んでいた。
あの後、頭部の「移動」こそつつがなく完了したのだが、
身体の持ち主(当然だが死んでいなかった)の激しい抵抗により、
「鈴木ムネヲ」と「藤井八雲」が鬩ぎ合っていた。
―――が、近付いてくるサイレンの音が「彼」を否応なく覚醒させる。
強張った腕や脚の動作を確認する様に動かしながら、「彼」は周囲を見回した。
「……逃げないとまずいな」
辺りの惨状を見た者、そしてその片棒を担いだ者としては至って真っ当な判断の元、
幾つかの物品を抱え、「彼」は暗闇の奥へと姿を消した。
その直後、消息を絶っていた仲間を捜索に来た警官達が、
噎せ返る血臭に顔を顰めつつ、辿り着いた場所に見出した物は……
―――べったりと血塗られた壁と路面。
―――首を失い、胸や腹に幾つもの穴が空いた死体。
―――そして、下半身のみとなった同僚の姿。
……そこに幾ばくかの吐瀉物が加わった所で、さしたる差も無かった。
【完】
藤井八雲 vs 寄生獣「鈴木」
プロローグ
>252
本編
>258 >259 >260 >261 >284 >298 >319 >325 >326 >327
エピローグ
>328
vsロゼット・クリストファ
>276
「中々、頑張りますなあ!」
細い路地―――それこそ車体の横幅ギリギリの路地―――を器用にすり抜け、
ゴミだらけのままの自動車が走りこんで来た。
洗濯物を引っ掛け、顔を真っ赤にして、鬼気迫る表情でハンドルを握る少女。
「さてと、それでは・・・」
銃師は笑いながら長銃を<言影化>。空になったその手で馬と荷台を切り離すと
手綱を掴んだまま馬に飛び乗り、荷台を残して走り去る。
少女の目の前に残ったのは、傾きながら迫ってくる無人の荷台―――――
龍脈のピラミッドにて〜御神苗優vs暗黒騎士ガウザー
>266
充分に体重の乗った肘が、俺の体を木の葉のように吹き飛ばす。
肺を突かれ、押し出された空気が咳と化して漏れる。
再び左腕で受身を取ってしまい、地に付いた腕に、電流のような痛みが流れる。
護ることが、こいつの支えでもあると言うわけか。
そして、それに命まで賭けるだと?
それだけしても・・・護るに値する相手もいるということか。
「ふっ・・・・・・」
薄く、笑い声を上げる。
それは相手を認めた笑いだったのだが、スプリガンはどう取ったか。
「ならば、せいぜい護ってみせろ!俺を倒してな!」
その声とともに、俺は怒涛のような突きのラッシュを見舞う。
刃が唸る音とともに、奴を貫くべく繰り出されていく。
>331 は >269 宛てだ・・・俺としたことが。
龍脈のピラミッドにて〜御神苗優vs暗黒騎士ガウザー
>331
奴は笑い声を上げながら立ち上がった。
だが、俺を蔑んであげた声ではない・・・・・・むしろ、一人の好敵手と認めたような、
そんな雰囲気があった。
奴は言った。なたば護ってみせろ、と。
その力で俺を倒してみせろ、と。
奴の手から繰り出される流星のような突き。
俺は必死にそれを捌く。
だが、受身に入っちまった俺に反撃の糸口は見出せなかった。
突きを受け損なって、俺は一瞬バランスを崩した。
それを見逃す相手じゃない。
次の瞬間、俺は腹にすさまじい衝撃を感じ、
吹き飛ばされた。地面に当たり、鞠のように跳ねた体は、
木に当たってようやく止まる。
痛みに顔をしかめながらも俺は立ち上がる。
負けられない・・・・・・そう、負けちゃいけないんだ。
口から流れる血を拭うと、俺は一気に間合いを詰めるべく駆けた。
身構える奴に向かって、俺は奴の手前で斜め前方で止まると、
片手をつき奴の喉めがけ鋭いけりを放つ。
だが、それは罠。本命はその状態からの後方回し蹴り!
「言われなくてもそのつもりだよ、俺はな!!」
Broken Doll vs Stupid Zombie ...vs Eccentric Butler『血塗れの遁走曲?』
>103
「あ・・・ああ・・・・・・」
先ほどまでの興奮が、頭に上っていた血液が、音を立てて引いてゆく。
「・・・ああ・・・あああ・・・・・・」
警察官と言う仕事柄、凄惨な死体と言うのは見慣れてきている。
助けられなかったヒトもいっぱいいた。でも・・・・・・
「・・・・・・あああ・・・ああああ・・・・・・あああああ!!!!!!!」
雰囲気に圧倒され、少女が何を言ってるのかも理解できていない。
ただ―――――
「―――――――――許さない」
私は手に持つ『ブレード』を突きつけ、目の前の悪意の代理人に向けて宣言する。
「アンタのした事、してる事、させられてる事。私は全てを否定する」
シリアスな雰囲気に合わない銀髪の何かは速やかに無視。
「地獄には、一人で落ちろ」
のた打ち回り、爆発し続ける被害者たちを避けながら舞台の上へと足を運び――――
龍脈のピラミッドにて〜御神苗優vs暗黒騎士ガウザー
>333
スプリガンの蹴りが、俺の喉元に吸いこまれていく。
俺はタイミングを合わせ、奴の脛に肘打ちを放ち、蹴りを迎え撃つ。
がっ。
骨と骨がぶつかる音が響く。
蹴り足と肘とが、同極の磁石のように弾き合って離れる。
次の瞬間、眼前の景色が消失した。
後頭部に炸裂した奴の蹴りが、ほんの一瞬ではあるが、俺の意識を飛ばしたのだ。
だが、まだだ。
こんなもので倒れてやるわけにはいかない。
俺はふらつく足に力を引き戻す。
大きく一歩踏み出すと、大きく横薙ぎに刃を振るう。
その勢いを殺さず、顔面をぶち抜くような蹴りを突き出す。
龍脈のピラミッドにて〜御神苗優vs暗黒騎士ガウザー
>335
よし、俺の罠にはまってくれたか・・・・・・
俺の回し蹴りが奴の後頭部を捕らえた時、俺はそう思った。
これなら、あと一息で勝てる、と。
甘かった。不二家のケーキ並に甘かった。
着地した無防備な一瞬を見逃す奴じゃない。
腹を薙ぐような一閃。辛うじてナイフで受けたところに跳んでくる前蹴り。
首を捻って何とか避けはしたものの、その風圧で頬が裂ける。
再び、間合いを取るべく俺たちは後方へと跳んだ。
俺はナイフを正眼に構える。その先に見える奴の背中に、俺は修羅を見た。
(・・・・・俺も、きっとそうなんだろうな・・・・・・)
龍脈のピラミッドにて〜御神苗優vs暗黒騎士ガウザー
>336
奴の鋭い視線が、ナイフ越しに、俺を突き刺さんばかりに迫る。
嵐のような強い意思を感じさせる、その視線。
全く―――なんという目だ。
俺は仮面の奥で、深く笑みを浮かべた。
俺はスプリガンの眼差しを受け止めたまま、剣の切っ先を少しづつ下げていく。
お互いが一歩ずつ、じりじりと歩を詰めていく。
わずかに、しかし確実に、俺と奴との距離が縮まっていく。
先に大きく踏み込んだのは、俺だった。
強く地を蹴って一気に間合いに潜り込むと、顎の下へと跳ね上げるような刺突を放つ。
一気に頭部を貫いてくれる!
龍脈のピラミッドにて〜御神苗優vs暗黒騎士ガウザー
>337
ちりちりと肌を刺すような気合をうけながら、俺たちは対峙していた。
今や月は中天にさしかかり、二人を冷ややかに見つめている。
奴は平押しに押してくる。俺を追い詰めようってんだろう・・・・・・
奴が動いた。肉食獣のようにしなやかに黒い影が俺めがけて襲い掛かる。
喉元への突き。俺はそれをナイフで跳ね上げ、奴の懐へと飛び込む。
跳ね上げはしたものの、奴の突きは俺の頬を裂く。
だが、同時に、俺の掌打も奴のわき腹を捉えた。
カウンター気味に決まったそれにはさすがに効いた様だ。
苦痛のうめき声が聞こえる。
俺は突き放すように奴との間合いを取る。
(まだやる気か?頼む、退いてくれ・・・・・・俺は・・・・・・あんたを殺したくない・・・・・・)
俺は、祈るように奴を見つめた。何故かはわからない。
だが、本心から、そう祈った。
339 :
暗黒騎士ガウザー(黒岩) ◆sChIjITA :02/04/26 15:19
龍脈のピラミッドにて〜御神苗優vs暗黒騎士ガウザー
>338
スプリガンの一撃は、的確に急所をとらえていた。
脇腹の鈍い痛みが、全身を重く感じさせる。
もう少し踏み込まれていたら―――死んでいたかも知れん。
再び、スプリガンと目が合う。
先程の嵐のような視線とは違う、ただ祈るような目。
その目は、無言で俺に「退け」と訴えていた。
ギリギリの殺し合いで、敵を心配するだと?
全く、なんて甘い奴。
俺は風を切る音を立て、自分の眼前に手をかざし―――。
そして、「黒岩省吾」としての姿に戻った。
到底、俺には今のスプリガンのような目はできん。
そして、奴は一瞬で再び修羅にもなれる男だ。
戸惑いの表情を浮かべたスプリガンに、俺はこう告げてやる。
「・・・今のお前と戦って勝てる自信はない」
言い終えると、俺はジャケットを翻してスプリガンに背を向ける。
俺はそのまま、山道の奥へと、姿を消した。
目覚めれば、そこは一面の青―――――――
無人島に放り出された私は、浜辺で静かにその時を待つ。
「私は・・・・・・誰の挑戦でも受ける!」
殲争が、始まった。
Fight!
龍脈のピラミッドにて〜御神苗優vs暗黒騎士ガウザー
エピローグ
>339
静かに、時だけが流れた・・・・・・
奴は手をかざす。一瞬身構える俺。
だが、それは策でもなんでもなかった。
奴は騎士からヒトに戻ったのだ。
そして俺に告げる―――今の俺で勝てる自信がない、と。
そのまま踵を返し、目の前から消えた奴の背中を、俺は呆然と見送った。
「・・・・・・冗談、言ってくれるぜ・・・・・・」
俺は緊張が解け、その場にへたり込んだ。
「分が悪かったのはこっちだ・・・・・・かっこつけやがって」
俺は大きく息を吐くと立ち上がった。
そして遺跡へと足を向けた。
俺にはまだ仕事が残ってる。
これが、奴との因縁の、最初の一ページだった。
>340
その男は、さしたる意味も持たず、其処にいた。
細い蛇のような長身に、頭部を覆う異形のプロテクター。
そのプロテクターは、背中に背負った奇妙な道具とチューブで接続されている。
そして何よりも目に付くのは、その長身から生えた、「四本」の腕。
各々に、鈍く輝きを放つ金属製のクローが備え付けられている。
「へへ――女か。いいねぇ、こういう気の強そうな女を切り刻めるんだ、
考えただけでイっちまいそうだぜぇ」
言いながら、男――SS級傭兵、”虐殺者”ライナルトは、
四本の腕を構えた。
この闘いに理由は要らない。唯其処にあるのは、
血塗れの狂気のみ。
「さぁ、いただくぜ」
瞬間、ミアの眼前に、男のシルエットが白昼夢の如く出現した。
>343
「ヘンタイは帰れ!」
突然現れた四本腕のヘンタイに拳銃を乱射。
悪は速やかに断つべし。
「問答無用!」
>340 無人島の戦い
浜辺を全力疾走しながらスタッフを操作。ごきん、と言う音とに無音詠唱。
狙いは、正面にてその時を静かにまつその人影だ。
こちらに気付かれる前に――決める。
「――顕!」
スタッフを突き出しながら撃発音声を唱える。
瞬時顕現した爆炎が、目の前の人影――女だった――に向けて指向された。
>344
真昼の無人島に、銃声が幾度となく鳴り響く。
硝煙が晴れた先には、ライナルトは既にミアの視界から消失している。
聞く者を不快にさせる甲高い声は、彼女の背後から聞こえた。
「手厚い歓迎、ありがとよ」
男が腕の一本を振り上げた。
クローの刃が閃き、鮮血が周囲の青に混じる。
>340 ミア >343 ライナルト
「ったく、いきなりバトロワかよ!!冗談じゃねぇぞ!!」
気が付くと無人島の浜辺で戦闘はじまってるし。
とりあえず、どっかで見たような姉ちゃんと、それに襲い掛かる四本腕の男。
そこで取る俺の答えは一つ、だ。
「とっとと帰れ、この変態野郎!!」
俺は後方から四本腕の野郎に向かって跳びけりを放つ。
>345
「っとぉ」
いきなり横合いから飛んでくる爆炎。
レイオット、アンタもか!?
「ああ、もう知らない! 喰らえ正義の鉄槌!」
爆風に乗って海面へドボン―――する前に、難破船のマストの上に足を引っ掛け
鎧向かってブレードを構え――――
「秘技! いきなりビーム!!」
今日の私は絶好調だ。
>346
「痛いってば!」
いや、痛みはないけど気分的に。
「とりあえず―――ぶった切る!」
私はブレードを背後に向けて一閃。
手応えは―――
>247
「あ・・・」
変態、増えてる・・・みゅぅ
「ま、ヘンタイ同士、仲良くしてなって感じかな?」
ついでに銃弾もプレゼント。
さらば、君達のことは黒歴史として封印してあげよう。
>349 ミア
「ぐぁ!!」
男と向き合おうとした瞬間、背中に思い切り銃弾が当たる。
「ち・・・・・・ちょっと待て・・・・・・てめえ、どうして俺まで撃つんだよ!!」
姉ちゃんに食ってかかる。
>345>347>349>350
「へへへ、色々と来やがったなぁ」
背後から繰り出される反撃を腕の一本で受け止め、
続いて迫る爆炎から身をかわすべく飛びずさる。
更に背後から襲い掛かるスプリガンの鋭い蹴りに、ライナルトは
振り向きもせず半身をずらす事により、対処した。
「こりゃヘイムダル以上に愉しませてくれそうだなぁ、ええ?」
そして、四本の腕による、多角的な攻撃が、
御神苗優の周囲に残光となって煌めいた。
>343>344>346
と。その場に現れたのは、四本の腕を構えた、奇妙な男。
それは銃撃を回避、彼女の背後に回り込むと――その腕の一本を一閃させる。
「はっ――なるほど、そう来なくっちゃな!」
一声叫んで、再び無音詠唱。標的を、その奇妙な男に設定する。
そして――撃発音声。
「イグジスト!」
<アサルト>発動。轟いたその声にのって、衝撃波を封入された不可視の砲弾が襲いかかる。
>348
そしてその直後。こちらに向かい発射されるのは一筋の光条だ。回避は――間に合わない。
「――顕っ!」
声に応じ、レイオットを包み込むようにドーム状の力場が展開。<シェルター>発動。
レイオットを包む込もうとしていたビームは、力場平面に弾かれ後方へと拡散していく。
瞬間、キャンセルという言葉と共に魔法を解除。腰のホルスタから銃を抜き放ち、連続で発砲していた。
>351 ライナルト
「くぅ!!いきなりかよ!!」
姉ちゃんに気を取られて、こいつのこと忘れてた。
4本腕を駆使しての猛攻。
それをなんとか受け流し、捌く。
が、さすがによけきれねぇ。
いい一撃を腹喰らい、
俺は姉ちゃんが立ってるマストに思い切り叩きつけられた。
衝撃に耐えられず、マストはぼきりと嫌な音を立てて倒れる。
「やってくれるじゃねぇか、このアシュラマンもどきが!!」
俺は立ち上がると、再び奴めがけて駆け出した。
>350
「ヘンタイは敵。基本よ?」
何か喚いてる幼精にドロップキック。
>351
ついでに四本腕にも拳銃つき裏拳。
>352
振りぬいた所でレイオット目掛けて拳銃を発砲。
暴発? ちっちゃいちっちゃい。
「っと、わわ!?」
銃弾が髪の毛を吹き飛ばした。
「お前らみんな、女の敵だぁぁぁっ!!」
・・・くすん
>352>353
ライナルトの背後から、レイオットの撃ち出した魔法が迫り来る。
「分かってるんだぜぇ? ちゃぁんと。
殺気がビンビン来やがるんだよ」
言ってライナルトは、あたかも爬虫動物の如く人間離れした動きで、
魔法の射線上から身を外す。
その延長線上には、ライナルトに立ち向かわんとする
御神苗優の姿があった。
「先ずはそっちの兄ちゃんから、仕留めさせて貰うかなぁ?」
魔法から身をかわした勢いのまま、銃弾にも匹敵する速度で、
ライナルトはレイオットの肉体を切り刻むべく肉薄する。
>354 ミア
「おぶぅ!!」
駆けている背中にドロップキックを喰らい、
そのまま顔面から砂浜にダイブ。
「誰が変態か、この腐れ外道娘!!」
と、言い合おうとした時、四本腕の兄さんが走っていくのを見る。
「逃げんじゃねぇ、アシュラマンもどき!!」
その背中にSIGSAUERを打ち込む。
気が付くとオレは島の海岸にいた。
詳しくは分らんが戦っている奴らがいる。
そしてどいつもこいつもバケモノどもだ。
「面白いじゃないか、纏めていただくぜ」
BLAM!BLAM!
まずは横合いから、
甲冑に肉薄しようとしている四本腕の方へ火竜両儀筒で射撃をする。
魔術士オーフェン・無謀編 「誰もお前は呼んでねえ!」番外編、
執事キース・残虐編 「とまぁ、それなりの理由があるものでして」
>334
もはやこの状況において、誰も正気を失っていないという事が奇跡にも思えた。
もしくは三人とも、既に狂っているのか、それとは無縁の境地にいるのか。
真正面から対峙する二人を、執事はただ薄い笑みを浮かべて眺めるのみ。そして。
「水を差すようで申し訳ないのですが―――」
執事がまるで世間話でもするかのように唐突に口を開いた。
「仕事とは、一体何の事ですかな?」
『へ?』
舞台に佇む少女の間の抜けた声が劇場内に響く。
「先程からなにやら私の事について考察なされていたようですが」
人間誰でもものの真相というものには興味を持つ――それとも、
ただ単に声のしたほうに反応しただけなのか。二人の耳は、こちらに向いていた。
「残念ながら、全て間違いです」
『間違い?』
「ブブー」
『音まで』
「私は本日、ジョミー様に頼まれましてここに来ただけのただの舞台装置スタッフ・二十二歳です」
『・・・でもアンタ、飛び降りたりとか怪鳥とか』
問い掛けてきたのは、女性の方。ただし、少女のほうを向いたままで。未だ、警戒は解いていない。
「ああ、あれでしたら」
はっはっはっと乾いた笑いを上げる執事。笑い話でも聞いたかのように額をぺしぺしと叩きながら。
そして人差し指を立て、一瞬にして真摯な面持ちになると、執事は、重い声でこう続けた。
「・・・良いですか。世間ではあのような状況を指してこう言うのです―――」
「―――その場の、ノリと」
『・・・・・・・・・・』
「・・・ふむ、納得して頂けたようですな」
『・・・出来るかぁぁぁっっ!!』
「怒りっぽいとシワが増えますぞ」
『余計なお世話だっ!!』
「まぁともかく、私は舞台装置スタッフとしての使命を果たさねばなりませんから」
言い終えると同時―――まるでそれを待っていたかのように。紐が。天井からするすると降りてきた。
誰が降ろしたのかも良く分からないそれを、執事は何の疑いも無く手に掴む。
「・・・ここ、オオサーカのお笑い、シンキゲーキというものは特に身体を張ったものが好まれるそうでして」
ぐいっ。・・・・と、これは執事が紐を引っ張った音。刹那。
どかん。
客席の一部が爆発した。とはいっても、屍体ではなく、火炎と熱を伴う本物の爆発。
どかん。ばごん。すがぁぁん。めきょぉぉぉぉ。どごぉぉぉぉん。
「爆破装置計三十個。コントの締めとしては、まぁ、妥当な数かと」
『・・・・・あほぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!』
――――――非難の声に包まれながら、劇場は崩壊していった。
>357は>355へだ。
…すまん…。
>354
撃ち出された銃弾がモールドに直撃し――そして、弾いた。
小口径の弾丸では、対人戦闘をも考慮して設計されているモールドを撃ち抜くことは出来ない。
>355
だから、彼は銃撃には特に気を払わずに、こちらに肉蓮してくる4本腕の男に集中する。
「は……はは、はははは――――!」
思わず笑い声を上げながら、反射的に呪文選択。そして――
「イグジスト!」
<アクセラレータ>発動。瞬間的に、全身のあらゆる部分が人間を越える速度を以て駆動を開始した。
肉薄するライナルトを、笑みを浮かべたまま迎えると、その頭部に向かい、強化された拳の一撃を叩き込む。
ひゅるりら〜
誰も、相手をしてくれない・・・
私ってば・・・不幸―――
「・・・帰ろ」
ヘンタイ同士、仲良くしてればいいんだ。
私は海にドボンと落ちると、ゆっくり島の反対側へと泳ぎだす。
「バイバイ、ヘンタイ」
・・・負け惜しみじゃ、ないんだから!
(ミア・フォーテー、退場)
>354>356>357>360
先程のミアとの攻防で、裏拳を腹に貰っていたらしい。
だが、彼に絶えず流れ込む強力な麻薬は、
その痛みを完全に消し去っている。
背中から打ち込まれる銃撃。
その数発は背中に食い込み、数発は狙いを外れる。
が、ライナルトの動きは止まらない。
横合いから迫り来る火竜両儀筒による射撃。
これを食らっては、さしものSS級傭兵とて身が微塵に砕け散る。
そのままライナルトは加速を続け、銃弾の射程外へとその身を運んだ。
そして、正面。
「イグジスト!」
激発音声とともに、レイオットが「アクセラレータ」を発動し、
肉体の加速を行う。
その魔法により、レイオットの能力は一時的に、ライナルトの身体能力をも
凌駕した。
強力な一撃が、ライナルトの顔面を捉え、
鍔内の歯を全て叩き折り、鼻骨を粉砕した。
もし咄嗟にライナルトが身を引いていなければ、頭蓋骨ごと
ライナルトの頭部は破砕されていた事だろう。
「ひひへえ、はひほふはぁああ、ほほはんほふはほぉ」
やけに小奇麗になった口内から、言葉にならない言葉を発しつつ、
ライナルトはこの上もない笑顔を作った。
「いはへへふへほぉ、ほっほ、ほっほいはへほぉ!!」
絶頂の雄叫びを上げながら、ライナルトは
レイオットの死角から、頚動脈を狙った一撃を叩き込む。
>362 ライナルト
銃弾を喰らい、顎を砕かれてもまだ動く奴に対し、
俺は思い切り大地を蹴る。
そして空中で宙返りを打つと、その背中めがけてけりを放つ。
「御神苗流星キック!!」
>354>356>357>360>362>363
四本腕はそのまま加速して火竜両儀筒から逃れる。
―――“速いッ!”
舌打ちをする間もなく、四本腕は甲冑の死角へ回り込む。
そして…斬撃を甲冑へと放とうとした時、飛び蹴りを放つ男を見た。
「まとめて、行かせてもらう!」
ヤツらのほうへ走りながら走り出しながらSIGAUERを斉射する。
火竜両儀筒は威力はでかいが、移動しながらでは拳銃の方が撃ちやすい。
>362
こちらの一撃は、ライナルトの顔面を捉える。だが……浅い。僅かに身を引かれた為に、
頭蓋そのものを粉砕することは敵わなかった。
距離を取り、次なる魔法を叩き込もうとした、その瞬間――――
(>361)
ぼちゃん、と言う音と共に。どこかに泳ぎ去っていく彼女の姿。
それは、時間にすればほんの一瞬のことだったのだが。呆然と、そちらを見つめてしまう。
それが、命取りとなった。こちらに向けて繰り出された一撃。それは、ほんの紙一重の差で――
「ちっ――――!」
回避成功。
だが、「腕」によって一撃を加えられたモールドには、無視出来ないほどの大きな傷が走っている。
これ以上、魔法は使えない。レイオットは、再び男に向けて、渾身の力を込めた一撃を放つ。
相手が怯んだ隙に、レイオットは大きく距離を取り――そして、全力で後退した。
アクセラレータが効いているうちに、出来る限り距離を取らなければならない。
猛烈な速度で描けだした彼は、無人島の奥へと消えていった。
(退場)
>364 シグモンド
「なに!?」
俺の流星キックが当たろうとしたまさにその瞬間。
横合いから銃弾の雨が降った。
それによりバランスを崩した俺はあえなく失速した。
「くぅ・・・・・・仕方ねぇ」
俺はくるりと背を向けた。
「逃げるが勝ち!!」
そう言うと、俺は海へと飛び込んだ。
(退場)
>354>356>357>360>362>363>365>366
甲冑が高速で密林へと離脱し、
飛び蹴りを放った男もまた海へ飛び込んで離脱した。
「ちっ、ここまで来て逃げられるか…」
残るはオレと四本腕だけだ…。
「さて、どう出るか…」
そう言って全身の力を抜き、スピードに備える。
>363>364>365
ライナルトの一撃は、レイオットの頚動脈を分断する事は敵わなかったが、
その身に着込んでいるモールドを大きく抉っていた。
しかし、その一撃でレイオットを仕留められなかった事が、
ライナルトの運命を決定付けていた。
レイオットの腹部を狙った一撃と、背後からの御神苗優の
高角度からの蹴りが、偶然の調和を見せ、
同時にライナルトへと炸裂した。
逆方向のベクトルを持った力が同時に肉体に加えられ、
ライナルトの脊椎がバキバキと砕け散る音が響いた。
だがその感触すらも――いや、既に感じているのか感じていないのかも
分からぬ―――その経験さえ、彼にとっては至上の快感だった。
これまでに無い絶頂感に身体を震わせ、ライナルトは絶叫する。
滅茶苦茶に振り回された都合12本のクローの刃が、御神苗優の全身を
悉く切り刻んだ。
彼の狂気の犠牲になった青年には目もくれず、
ライナルトは絶叫を続けた。
そこへ、止めとなるシグモンドの銃撃が、ライナルトの身体に
大きな穴を穿っていく。
(へへへ・・・サイこウだっタぜ、さイコうダ・・・)
人生の最後の瞬間に、これ以上無い快楽を感じ、
その余韻に溺れながら、ライナルトはいとも簡単にその活動を停止した。
ライナルト 死亡
>315 バイロン
vsバイロン&ソフィア・テオドレス エピローグ
熱破砕刃が僅かに残る痕から装甲を切り裂いていく。
永遠とも思える一瞬の後、刃は装甲半ばで止まる。
そして、酷く易々と単分子フィラメントはバイロンの首を刎ね切った。
また、雨に助けられたな。
強くなる雨脚を尻目にルークは空を見上げてそう思う。
装甲についた返り血を洗い流しながら、雨は乾いた大地に吸い込まれていく。
名も知らぬ傭兵の遺体を埋める。
何か墓標になるようなものを探したが、
そんなものがこの荒野にあるはずもなく、そもそもルークは墓標に何が適しているのかもよくわからない。
しばらくうろうろと歩き回っていたが、結局は諦めて町へと歩いていく。
或いは、結果的にルークの行動は正しかったのかもしれない。
時代を越えて戦い続けたバイロンの墓標に、この荒野ほど相応しいものなどありはしないのだから。
ルーク VS バイロン & ソフィア・テオドレス
まとめ
>171 >172 >183 >188 >197 >216 >225 >232 >243
>280 >286 >288 >289 >302 >306 >307 >310 >315
>369
>271 ユージン
どうやら気付いたようだ。
どんなに早く動いてもその動きは早くなればなるほど単調になる。
それゆえに読みやすくなるのだ。
目だけではなく相手の気配や大気の流れ大地の震動を読むことで捕らえることはできる。
ーー慎重になったのであれば今度はこちらから攻めてみることにしましょう。
朧の姿が不意に消え去る、目の錯覚やフェイントと速さにより相手を幻惑する動き、相手が目で追う限りその姿を捕らえることはできない。
一瞬にしてユージンの背後に現れ、そして 掌低 肘 体当たり の流れるような連続攻撃、決まればダメージは大きい。
VSフラック戦 導入
「――顕ッ!」
閉鎖されたその空間に、鋭く撃発音声が響き渡る。
瞬間――スタッフ正面に浮かび上がっていた真紅の魔法陣から、事象界面に魔法が顕現した。
<ブラスト>を遙かに上回る爆炎は、一瞬にして目の前の化物――魔族を包み込むと、爆音と共に
発生した衝撃波が、その肉体の半分以上を抉り取る。「第二の業火」――<マグナ・ブラスト>だ。
半ば炭化した魔族の肉体は、必死に再生を試みるが――脳の五割以上が粉砕された状態では、
更なる魔法を紡ぐことは出来ない。さしたる時間も掛からずに、魔族は完全に息絶えていた。
「…………ふう」
それを確認して、レイオットは深く、息を付いた。改めて、周囲に散乱するそれらを見回してみる。
「ふむ。こりゃまた――随分と殺られてるな」
転がっているのは大量の死体だ。その数は――バラバラに崩れているものも多い為、正確な所は
わからない。だが、三十体より少ないと言うこともないだろう。
遺族への手当や損壊した施設の修繕。一体、どれだけの費用がかかることになるのか。
「まあ……それは、俺の知った事じゃないか」
独りごちて、彼は静かにスタッフを降ろした。周囲に潜伏している魔族の気配はない。そしてまた、
生存者の姿もない。
仕事は――終わりだ。
軽くため息をついて、生者の居なくなったその場を立ち去ろうとした……その時だった。
背後から、物音が聞こえる。それは、なにかが気まぐれに立てるようなそれではなく。
意志を持った存在が紡ぎ出す音だ。
「――――」
スタッフを構え、前方に飛び退くようにしながら、空中で方向転換。着地と同時に、背後に振り返る。
そこには――――
道化師が一人。
明らかにこの場には見合わないそんな誰かが、どこか気味の悪い笑みをたたえて。
無言のまま、そこにあった。
>372 vs レイオット・スタインバーグ
”いやいや、見事なお手前だ。さすがはレイオット・スタインバーグ!”
道化師の小男は老人と青年の声を重ね合わせてそう言い放つ。
静謐なまでの沈黙は、あっけなく闖入者が自ら破り捨てた。
”我が舞台にこれ以上、相応しき戦術魔法士もおりますまい!”
右手に掲げる錫杖を大きく、大きく振るう。
薄暗い建物の中、銀の軌跡がシャンと言う軽い音と共に弧を描いた。
その、音が連なる。
瓦礫の下、通路の傍ら、床の中央・・・あちらこちらから。
暗がりを伝わるように音は駆け巡り、その、異変を起こした。
”我が劇場は時も場所も選ばない! さあ、どうぞごゆるりとお楽しみあれ!”
死骸が――――――――動く。
或いは腕のない失血死した市民、
或いは頭を潰された警官、
或いはモールドの中でねじ切られた魔法士・・・
総勢数十の亡骸が「生きている死体(リビングデット)」となって、活力を取り戻していた。
首のない警官が、ゆっくりと銃を持ち上げる。
腕の千切れた被害者が、焦点の合わない目を鎧騎士に向ける。
六十対に近い瞳が、一斉にレイオットを見据えた。
”良い舞台になる事を祈りますぞ?”
シャン――――――――
その音と共に、警官たちの構える銃が火線を吐いた。
『無明の住人』
バイロン 対 閑馬永空
この世を影か幻か、はたまた夢のごとくと思いしか。
僧は言う、悟りの光を得られ無限り、人は六道という輪廻を永劫に旅すると。
その言葉が真なら、いかなる世界に生まれ出でようと、
地獄道より、餓鬼、畜生、修羅、人間、天上と、現の先に巡り来るのも、所詮は苦界の名をもつ世界。
ならばこそ、ああならばこそ、戦乱の世に生まれ出でたこの身なれば、
僧と会っては僧を殺し、親と会っては親を斬る。鬼と会っては鬼を斬り、菩薩と会っては菩薩を殺す。
屠りし者の血肉を剣の糧とし、刃金を呼吸し、修羅となりて現世を往く。
今から謡われるものは、そんな二人の愚者の話。
歌は言う。
祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり、と。
だがここに、その節理よりはずれし影がただ二つ。
それは神仏の祝福か、はたまた業の深さゆえか、定命の定めより逃れし二人。
無間地獄の業を背負い、果てることなく修羅を往く。
その二人ががここに会う。
時は江戸。
頃は師走のいと寒き日。
粉の如き雪の模様のせいだろうか、辺りに滞る陰の気は強い。
その陰の気に包まれた橋を往く影が二つ。
片は北から南へと、片は南から北へと、すれ違うように影が二つ。
片は番傘を差した異人。1尺8寸程の小刀を帯びた異人。
片は虚無僧。深編笠をかぶり、刀を帯びた虚無僧なり。
他には生者の気配はなく、戦で死んだ武士の怨嗟のような風音が時折低く聴こえるのみ。
橋の中ほどで二人が相対す。
三間ばかりの距離をおいて二人は立ち止まる。
隠そうとも、隠し切れぬ血の香り。それはもはや刀に染み付き、骨身に染み付き、
そして魂魄にまでも染み付いた修羅の匂い。
「逸刀流の閑馬永空に相違ないな」
異人、口を開く。問うのではなく断定する声。
ロゼット VS ラルヴァ
『譲れない想い、ヒトツ。』
『ぎあぁぁぁぁぅぅぅぅ・・・・・・。』
『福音弾(ゴスペル)』−希少銀に極小の魔呪を封じ込めた魔法弾−の閃光が、
目の前の異形なる者を光の中へと屠りさる。
「・・・・なんなのよ?!今のはッ!!」
「わからない・・・・悪魔とも違うみたいだったし・・・・・。」
私は、発射の衝撃でひりひりする手を撫で摩りながらクロノ−私のパートナーにして悪魔−に愚痴った。
「あぁ、もう!こんなことしてる場合じゃないのに!!」
「『患者(カレ)』・・・・・。まだ近くにいるはずだよ。急げば追いつく!」
「わかってる!急ぐわよ!」
私達が今回探しているのは・・・・『なりかけの吸血鬼』とでもいうべきヒト。
厳密にいえば、吸血鬼のような症状を示す病気とでも言うべきか。
私達は彼を保護し、心霊治療を受けさせるため彼の住まいに向かったのだが・・・・・。
私達の姿を見かけるや否や、いきなり逃げ出してしまったのだ。
彼は暫く我々『マグダラ修道会』に『確保』されることになる。自由も、かなり制限されるだろう。
けれど――――!
「助かる可能性があるんなら、それに賭けるしかないでしょうが!!」
=============================================
『ひぃぃ・・・・・く、くるなよ!!』
「ぜー・・・ぜー・・・やっと見つけたわよ・・・・かれこれ三時間は探したわよ・・・・・。」
彼は、大きな倉庫の隅で縮こまって怯えていた。
私は、ずいと彼に一歩足を踏み出す。
『お、俺を殺すのか?!そうなんだろ?!なあ!!』
「・・・・・・。」
《ぼかっ!》
『痛ェ?!』
「ロゼット?!」
私のコブシが、彼の頭上に落ちる。
クロノが驚きの声をあげるが、私は無視して彼の目の前に指を突きつける。
「あのね、最初言ったでしょうが!私達はあんたを『保護』しに来たの!
マグダラで治療うけさせて、アンタのソレ治したげよーっての、聞いてなかったの?!」
『ほ・・・・ホントか?俺・・・・治るのか?!』
「確約はできないけど。諦めて、このままいるよりずっといいでしょ? ・・・・・だから。私のこと信じてついてきて?」
『・・・・わかったよ・・・信じる。』
彼が、恐る恐る私に手を伸ばす。
私はにっこり笑いながらその手を握り締めた。クロノが、やれやれと言ったように溜息をつく。
その時―――。
『無駄よ。彼はもう助からない。』
冷たい、宣告―――・・・・・・。
ロゼット&クロノ VS ラルヴァ 『譲れない想い、ヒトツ。』
>375
「どんな形であれ、ヴァンパイアに噛まれた者はヴァンパイアになるのよ。
過程は違っても例外は無いわ」
私はことさらゆっくりと、修道服の少女と赤いコートを着た少し雰囲気の変わった少年
そして犠牲者の男に近づく。
わずかな自嘲の響きがこもってしまったが、彼らは気付いただろうか?
「助かる方法は一つ。そうなる前に親のヴァンパイアを殺すしかない…
でも、その男の場合はそれもかなわないわ」
そして右手の大口径リボルバー、スーパーレッドホークを突きつける。
「魂まで変わってしまわないうちに殺すのが情けね。そこをどきなさい」
少女と少年は完全な素人というわけではなさそうだが、
この年齢の子供に殺人を見せつけるのは忍びない。
手を汚すのは…私のようにもう戻れない者の役目だ。
>373 vsフラック
「なんだと――――?」
疑問と驚愕。その二つを言葉に乗せて、レイオットは一歩後ずさり――そしてまた、
一歩前に出る。
正面、背後、左右――いや、あらゆる方向から隙間なく、生きているはずのない彼ら
が、無言のまま蠢いていた。割れた腹から零れる臓物を自ら踏みつぶし、さらには、
下半身すら失われた状態で、こちらに向かってくる。
気のせいか、怨嗟の念すら込められているようにも見える死者の輪の中心で。明らか
に追いつめられているように思える彼の表情に浮かぶのは――絶望ではない。
「ははっ――これは、随分強引なお誘いだな」
言い終わる前に――頭部を無くしたはずの警官達が、そんなことは些細なことだとで
も言うように、正確にこちらを照準する。こちらを包み込むように向けられた銃が咆
吼する――その前に。
殆ど反射運動に近い動作で、彼はスタッフを操作していた。一秒に満たない僅かな時間。
ごきん――と言う金属音が、彼の耳へと静かに響く。
瞬間。警官達が、一斉に発砲した。だが――
「遅い! ――――顕ッ!」
撃発音声。鋭く発せられたそれに応じるように、ドーム状の力場がすっぽりと彼を覆い
つくした。<シェルター>発動。胸元から拘束端子が二つ弾け飛ぶ。
僅かに遅れて着弾した無数の拳銃弾は、半透明の防御力場面に隔てられ全てがはじき飛
ばされる。その間、僅か三十秒――
もうもうとと硝煙が立ちこめるその向こう側にいるのは、無傷のレイオットだ。
仮面の内側で、彼は挑むように獰猛な表情を浮かべると、舞台をの幕を開けた道化師に
向けて一言。
「これで終わりか? 違うのなら、さあ――もっと手品を見せてみろ!」
『無明の住人』
バイロン 対 閑馬永空
>374
「いかにも」
応じる閑馬の声は低く、短い。
「近頃は、我らの名を知りつ、剣もて刃向かう愚か者が居ると聞く。
随分と朋輩を狩ってくれた事だ」
天蓋の奥から覗く双眸、その昏さは夜に勝り、その冷たさは降り積もる雪を凌ぐ。
「しかも珍しや。それが南蛮人とは」
腰間にて発せらるる硬質の音。
鍔を鳴らすは血に狂った主人の魂か、はた血に飢えた刀それ自身か。
「雇い主について色々と訊きたい所だが、儂は峰打ちなぞと云う小器用な真似はせん。
――斬る」
愛刀・井上真改蟲殺の鯉口を切り、修羅の片方は地を駆ける。
凍てつきし薄明の静寂を破り。
>376
ロゼット VS ラルヴァ
『譲れない想い、ヒトツ。』
「そんなこと、やってみなくちゃわかんないでしょうが!!」
彼女が、彼に向けて銃口を突きつける!
『ひぃぃ!?』
ちッ!!
《どか!!》
ドンと、私は彼女に向けて体当たりを仕掛ける。
一瞬、彼からそれる銃口。
「逃げなさい!!」
『え・・・あ・・・・わかった!!』
彼が、倉庫の外へ向けて走り出す。
私はそれを確認してうなずくと、彼女に向き直った。
「ちょっと!あんたいきなり酷いんじゃない?!」
おそらく・・・彼女はフリーのハンターだろう。
賞金や名誉ではなく・・・・・純粋に『狩る』ことを望むタイプの。
さて・・・・・どうするか・・・・・?
「ロゼット・・・・・どうする?」
「どうするもこうするも・・・・・彼が逃げるのサポートするわよ!」
私は腰のホルスターに手を伸ばす・・・・・
『無明の住人』
バイロン 対 閑馬永空
>378
迫る閑馬にこたえるやう、異人、傘を下ろし諸手で構う。
弓手(左手)で柄の下端を持ち、馬手(右手)で傘に近い部分を持つ。
その傘は通常のものよりも遥かに長い。
よく見るとその傘の骨の全てからは、小柄のような小さな刃が生えていた。
柄を捻る。傘は『狂々(くるくる)』と回転す。
刃も共に回転す。
「無骸流」
その言葉と共に足元の雪を、閑馬永空の顔めがけて蹴り上げた。
同時に傘の回転は更に増し、異人、それを巧みに操り閑馬永空が首筋めがけて斬りかかる。
*無骸流とは閑馬永空の所属する逸刀流と敵対する流派也。
しかるにその実態は、流派とは名ばかりのこと。
逸刀流を潰すためにのみ集められた集団にありける。
ロゼット&クロノ VS ラルヴァ 『譲れない想い、ヒトツ。』
>379
完全な素人ではないと言ったが……
この状況から、彼をかばうために躊躇なく動くとは思わなかった。
感心すると共に、わずかに哀れみの念がわく。
この少女は荒事に向いていない。
私がもう少しだけ冷酷ならば、迷わず引き金を引いていただろう。
.454カスール弾ならば、二人分の脳髄をぶちまける事など容易い。
少女はさらに腰のホルスターに手を伸ばした。
…訓練された動きではあるが、洗練された動きではない。
その動きを見て、私は外へ逃げ出した男を追う事にした。
彼女の腕なら、動く目標の急所に当てるのは難しいと判断したのだ。
日中でも、私の動きは普通の人間よりは素早い。
―――吸血殲鬼とはそういうモノなのだ。
>377 vs レイオット・スタインバーグ
この時代のオモチャは案外、使いづらい。
動き出した傀儡どもが手にする銃器は、いずれもことごとく封じられた。
そもそも狙って撃ったところで、死者にどれほど命中が期待できたか。
――――軽い、嘆息にも似た息。
”さすがにこれはありませんでしたな。開始の鐘にしても、少々、音が低すぎる”
弾の切れた銃を投げ捨てると、死体たちは徐々にレイオットの包囲を始めた。
血の痕跡を延ばし、赤黒い尾を引きながら、傀儡の術で操られた死骸は蠢く。
肉を引きずる音、肉を潰す音、骨を砕く音。
どんどんと喧騒の音は高まっていく。
”さあ、仕切り直しと行こう!”
一斉に、五体満足な死体たちが走り出す。
生前のそれと一切変わらない、いやむしろ速度を増したようにさえ見える動き。
それが統制され、順を成し、次々とレイオットに向かい躍りかかる。
拳が、足が、四方八方から伸び――――――さらに。
「・・・ワレ・法を破リ・理ヲ越え・更ナる力を・欲すル者なリ・乾きノ風よ・滅ビの風ヨ――――」
鋼鉄の甲冑の中で、血がタプタプと音を立てて揺れた。
ねじ切れた体を呪力が突き動かし、潰れかけた喉を振るわせ、虚空となった肺を押す。
白く濁った瞳は何も映していなかったが、かかげるスタッフは群れの中のレイオットを捉え結んでいた。
「<ドライ・キル>――――――――――顕!」
響き渡る怒声と共に、甲冑の手が操作桿を引いた。
>381
ロゼット VS ラルヴァ
『譲れない想い、ヒトツ。』
「しま―――!!」
彼女が、私達を無視して彼へと向き直る!
んな――――?!
「早いッ?!」
「・・・・・DAM!!」
彼女は、人間とは思えない速度で彼に迫る――!
どうすれば―――?!
!!
私は、入り口のそばにあるソレに気がついた!
私は、彼がそこを通り過ぎるのを待って銃の引き金を引く!
・・・・・当たって!!
《どぼふぅん!!》
辺りに舞い散る白い粉と爆発!!
私が狙ったのは・・・・・『小麦粉』の袋!!
私の一撃が、粉塵となって彼女を襲った!
ロゼット&クロノ VS ラルヴァ 『譲れない想い、ヒトツ。』
>383
煙幕をたかれたように、視界が真っ白になる。
「くっ…」
走り抜けようかとも思ったが、
このトラップが意図されたものか偶然のものか判別しかね、踏みとどまる。
溜息をつきつつ、大きく横に飛ぶ。
倉庫内には隠れるところはいくつもある。
その一つに身を隠しつつ、私は銃を持ち替えた。
俗に、「ストライクガン」と呼ばれるカスタム化された銃だ。
マズルガード(銃口を保護するカバー)などを取り付け、接近戦に対応できるようになっている
別に接近戦をするつもりではないが……この銃は45口径だ。
.454カスール弾を当ててしまうよりはマシだろう。
身体に付いた小麦粉を音を立てないように慎重に払い落としつつ
私は、彼らの居所を探す為に移動を開始した
『無明の住人』
バイロン 対 閑馬永空
>380
飛び込みし雪片に眼を奪われしが、構わず異人に走り寄る。
一瞬交錯し、再び離れる影二つ。
馳せる閑馬永空の、足の止まるは異人より隔てる事三間。
これは最前より変わらねど、去りし後、舞い散る雪と諸共に、地に転がりし天蓋の残片。
異人の振るいし傘の刃の、断ったは笠のみには非じ。
左の首筋襟の際、たなびく朱色の線が一筋。
背を向けたまま呟く一声。
「聞かん名だ」
一拍置き、閑馬の首筋より噴出せし鮮血、脇の欄干にて積もる白銀を朱に染め変えん。
>384
ロゼット VS ラルヴァ
『譲れない想い、ヒトツ。』
私は、そのまま倉庫の窓から外へと飛び出す。
まずは・・・・彼と合流する!!
私はあたりを見回して・・・・・・・はた、と気がついた。
「しまったぁッ!!何処で落ち合うか話してなかったぁ!!」
「バカァ!信じらんねぇ!?」
クロノが的確な突込みをかましてくれる。
「しょうがないでしょうが!!あんな状況下で話せるかぁ!!」
「・・・仕方ないッ!!彼女より先に見つけ出すんだ!!」
私とクロノは駆け出した。
取りあえず・・・・近くの公園から!!
私たちはだっと駆け出した。
見つけ出さなきゃ・・・・彼女より・・・・早く!!
私のなかを焦燥感が駆け巡る。
>318>323
扉の向こうのあちこちで破裂音がする。
恐らく相当の規模での攻撃がされているに違いない。
銃火器を使いそうな奴はあの城にはいなかったが。
十分あり得る事だ。超越者と抜かしておきながら結局は
人間の道具に頼る。人間に頼る。化物など所詮その程度だ。
寄生虫は駆除されるものだ。その宿主の手によって。
・・・・・・・ったく、始末が悪いぜ。
カメラからの様子では、敵は二匹。
まったく、ゴキブリは一匹見たら三十匹はいるというが・・・・・・・
さあ、来て見ろ化物ども。来れるモンならな。
目の隅で何かが動く。
即座に引き金を引く。
それをかわす黒い影。
斥候か?
本命か?
とにかく――――死ね。
銃弾が影に突き刺さる。その手応えを感じた瞬間、影は消え失せた。
幻術か。くだらん小細工使いやがる。だったら、俺もやってやるぜ?
見てな、グズどもめ。
ロゼット&クロノ VS ラルヴァ 『譲れない想い、ヒトツ。』
>386
少女達は、窓か何かを開けたらしい。
空気の動きが微妙に変化していた。
私も倉庫の外にでる。少女達はが何処に行ったかはどうでもいい。
あの男が今回のターゲットなのだから。
集中して、気配を探る。
慌てて辺りを探しまくるよりも、その残り香のようなわずかな気配を追う方が早い。
なぜなら―――私も同族なのだから―――
たどり着いた所は港だった。人の姿はほとんど無い。
どこか別の国へでも逃げ出すつもりだったのだろうか?
愚かな話だ。
迫り来る自分自身の影からは、誰も逃れる事などできないのだ。
……そう、私自身も。
『無明の住人』
バイロン 対 閑馬永空
>385
異人、ゆるりと身を翻し、閑馬の背を目に捕らう。
斬り合いの最中に背を見せるとは余裕だが、
もとより生かして帰すつもりは無し。
これを好機とふんだのか、
再び傘を構えると、三間の間を一息に詰める。
斬りかからんとする刹那、柄の後端を持った左手を逆方向に一捻りす。
『迦斜(カシャ)』
僅かな音が雪にとけ、銀の光芒が引き出でだされん。
暗く光るその光芒は、手に馴染んだ仕込み刀。
開いた傘で突きかかり、その刀を隠す。
赤き傘の帳より、銀の刃が疾り出でる。
刀の出所を隠し太刀筋を隠す。
その斬撃が閑馬永空の足首めがけて突き進む。
>381
ロゼット VS ラルヴァ
『譲れない想い、ヒトツ。』
いない、いない、いない、いない!
公園中、どこを探しても、彼の姿が見当たらない。
募る焦燥感。
「何処に行ったのよ・・・・・!!」
「ロゼット焦ってもしょうがない・・・・・。」
「わかってるわよ・・・・・!」
口ではそう言っても、焦る気持ちは変わらない。
どこに、どこに・・・・・!!
《ぼ〜〜〜〜!!》
聞こえる、船の汽笛。
・・・・・・船か・・・・・。
!!
「港・・・・・・」
「え?」
ぽつり、と呟く私にクロノが聞き返す。
「港!ひょっとしたら・・・・そこに!!」
「確証は?!」
「ない!!」
「上等!駄目もとだ、行こう!!」
クロノが走り出す。
それを追い、私は走り出す。
間に合え・・・・間に合え・・・・・ッ!!
ロゼット&クロノ VS ラルヴァ 『譲れない想い、ヒトツ。』
>390
男の気配が近くなっていく。
脅えるような…自分自身を恐怖するような…そんな気配。
その気持ちはよくわかる。
私も、同じ思いだったから。
だから―――今、楽にしてあげる。
再びスーパーレッドホークを抜き、足音を殺しながら移動をする。
苦しませないようにするのが、せめてもの情けだ。
木箱の陰に彼の姿を見つけた。
隠れているつもりだろうが、ほんのわずかながら服がはみ出している。
そして、その程度の箱では遮蔽物にはならない。
「……出てきなさい」
静かに、だが、断固とした口調で声を掛ける。
「そんな所に居たら、急所に当たらなくて苦しむ羽目になるわ」
>323, >387 アセルス&カミーラVSフリッツ
アセルスが手近な窓から屋敷内に突入しようとしているのを確認して、
カミーラは後続すべく小走りに走りながらアセルスの後ろにつく。
全弾を撃ちつくした擲弾発射機を投げ棄て、PDWを構えて周囲を見渡す。
監視カメラに赤外線センサといったところか。偽装されていても、吸血鬼の
鋭敏な知覚をもってすれば、発見はそれほど困難ではない。軽く連射を加えて
センサやカメラを沈黙させる。この程度のことで人間相手に不覚を取るとは
思っていないが、用心するに越したことはない。
自分の仕事に満足してうなずくと、カミーラはアセルスを援護できる位置に
ついた。今回は奇襲が目的だから、あらかじめ手榴弾を放り込んで「消毒」
する必要はないだろう。
腰をかがめると、カミーラは突入を待った。
『無明の住人』
バイロン 対 閑馬永空
>389
猛りつ異人襲来せど、閑馬その場を一歩も揺るがず。
外道の剣客屠らんと、風斬り闇裂く剣太刀。
開く大傘煌く刃、血潮飛沫かせ闇にて真紅の華咲かさん。
異人の一刀、見事閑馬の右脚貫く。
されど、ああ是は如何に、是は如何に。
得たりやと云わんばかり、後ろ殴りに突き返し、閑馬の一刀これまた見事傘を貫く。
首と足にて開く、その疵口にて蠢くは、遠き西蔵国(チベット)ラマ教に、伝うる不死の業が一。
即ちその名を血仙蟲。如何なる疵も癒し繋ぐは魔怪の蟲。
鉄火刀槍尽く、斬り突き撃ちて死なざれば、己が身犠牲に敵を討つ、これぞ不死人閑馬の剣。
>382 vsフラック
まるで一個の意志の元に行動しているような――事実、その通りなのだろうが――動きを
見せるそれらは、その肉を以てレイオットを縛める為に、順を成して一斉にこちらへと躍りかかる。
人間以上の挙動を見せるその死体。それを捌ききるのは、まず不可能だと言っていい。胸
元に残る拘束度は―――5だ。
「はっ――はは――――!」
だがそれすらも愉しむように、彼は笑い声を上げる。正面に迫る死体に、自分から駆け寄り
ながら、スタッフ操作……無音詠唱。
「――――イグジストッ!」
撃発音声。唱えられたそれと同時、燃え上がるような感覚と共に、彼の肉体が通常の数倍
の速度で活動を開始する。――――<アクセラレータ>発動。
一時的にとは言え、常人を遙かに超えた身体能力を獲得したレイオットは、こちらに取り付
こうとしていた死体を上回る動きで、その一体一体に一撃を見舞っていた。熊の頸骨をも叩
き折るほどの打撃を受けた死体は、その肉体の一部を陥没させ、同時に、死体の壁へと吹
き飛ばされる。
……と。まさに、その時だった。
モールドを纏った死体が、どこがくぐもった声で、聞き慣れた呪文を詠唱している。
これは――――
「ちっ!」
舌打ち。反射的に跳躍。天井ぎりぎりの高さまで一気に跳躍した。僅かに遅れて、死体の放
つ撃発音声が聞こえる――
それに対抗するように、レイオットも魔法を放っていた。
「イグジスト!」
撃発音声と共に<アサルト>が顕現。衝撃波を封入された不可視の砲弾が、真っ直ぐに死体
となった魔法士に襲いかかる。
>391
ロゼット VS ラルヴァ
『譲れない想い、ヒトツ。』
「お生憎様。治療できないからってあっさり患者を諦める医者。
そ〜いうのをやぶって言うのよ、知ってた?」
私の声に、彼女が振り返った。
私はクロノから一枚の書類を受け取り、彼女に突きつける。
「字ぐらい読めるわよね?
ここに書いてある意味、わかる?」
私はふふんと鼻を鳴らして口の端を上げた。
「『〜〜氏の身柄の保護、および氏の治療をマグダラ修道会に委任する。
また、本件に関して医師連盟は全権限をマグダラ修道会に譲渡するものとする。
同時に、この書類は連邦判事の委任状としての効力も有す。』」
私は、得意げに文面を読み上げた。
そして、きっ、と彼女をにらみつける。
「つまり、あんたは明らかに私達の行動を侵害してる。」
すぅ、と息を吸う。
「よって、マグダラ修道会のロゼット・クリストファ、およびクロノは―――――
あんたを、本件遂行の障害として――――排除させてもらう!!」
>394 vs レイオット・スタインバーグ
――――――カツン。
スタッフの操作桿が乾いた音を立てた。
だが、それだけ。
肝心の<ドライ・キル>は発動しなかった。
所詮、死体。破壊され尽くしたその体にもはや魔術回路を形成する力はなかった。
”いけませんな。魔法士たる者、最後の瞬間まで冷静でいませんと”
白々しい台詞を吐きつつ、フラックもまた飛び上がる。
砕けたモールドの破片を掠めながら、小柄な道化師は矢のような速度で飛び上がり、天井を掴んだ。
眼下に砕けた死体、潰れた死骸、飛び散る亡骸を見下ろしながら。
”さて、これで拘束度は4。あと魔法は何度使えますかな?”
耳にこびり付くような・・・錫杖の音が今まで以上に反響し、脳の奥を逆撫でた。
悪寒と憎悪を引きずり出すような、不快感が走る。それにあわせて、死骸が足を揃えた。
飛び上がったレイオットの動きをただ見つめ、その一瞬を狙う。
こ、と軽い音がして鋼鉄の騎士が再び地に降り立った。
それに重なるように、幾つもの靴が地を蹴る。
一つ、二つ、三つ、四つ、五つ・・・・・・・無数。
”この程度で折れてくださいますな?”
傀儡となって操られる死骸どもがレイオット目掛けて飛び掛かった。
技も、戦術も、何もない。
ただただ、自らを肉弾として飛び掛かるのみ。
足下に転がる頭を踏み抜き、歪む膝を踏み込みで潰し、ぶつかり合うたびに腕を千切りながら。
頭蓋を砕き脳漿を散らし、床に灰と朱の入り交じった塗装を広げながら、死者たちは飛ぶ。
血と肉が織りなす死は、目前まで迫っていた。
ロゼット&クロノ VS ラルヴァ 『譲れない想い、ヒトツ。』
>395
人気の無い港に轟音が響く。
私が、突きつけられた書類を撃ち抜いたのだ。
「紙切れでは彼は救えないわ。どんな政府でも、どんな治療でもね」
言い聞かせるように言葉を続ける。
……そう、自分自身にも言い聞かせるように。
「ロゼットと、クロノ…それが貴方達の名前ね。
私の名はラルヴァ。
貴方達に喧嘩を売る理由は無いけど…」
誇示するようにリボルバーを向ける。
「黙って排除されるわけにもいかないから、抵抗させてもらうわ」
とはいえ……殺さずに彼女たちを退けることができるだろうか?
>387>392 アセルス&カミーラVSフリッツ
私の後ろにいたカミーラが屋敷内に銃を連射する。
どうやら監視装置の類を沈黙させたらしい。さすがに抜かりがない。
虚像も立派にダミーの役割を果たしたようだ。
進入するなら、今。
剣で窓枠を切り裂き、私は屋敷内に踊りこんだ。
カミーラが後ろで援護姿勢でいるのを感じながら、あたりを見回す。
入り口方面にいるのは、どうやら大柄な男。ハンターの片割れ―――確かフリッツと呼ばれていたらしいが。
そいつの、私たちに対する殺気と―――狩りへの悦びを肌で感じる。
・・・ふん、せいぜい勝手に踊っていろ。
今回ばかりは、紳士淑女らしく正々堂々・・・などというつもりはさらさらない。
別の方向に目を向け、走り出す。屋敷の奥―――例のモーラとか言う少女のいるところへ。
焦らずとも、すぐに見つけられるだろう。
・・・血の匂いが教えてくれる。
『無明の住人』
バイロン 対 閑馬永空
>393
閑馬が放ち一刀は、見事に異人の臓腑を抉る。
無情な刃に貫かれ、鮮血の匂いがあたりに充ちる。
紅い雫は白銀(雪)に吸われ、辺りを紅く染め上げる。
決したかに見えたその勝負、
再び動き出したのは、異人の低き笑い声。
異人の放つ気配に、顎(あぎと)持つ獣のごとき剣気が混ざり始める。
異人、自らを貫く刃を握る。
その顔(かんばせ)に浮かぶのは、鬼神のごとき壮絶な笑み。
「幸か不幸か、この程度では死ねん身よ」
低く圧した暗い声。その内に秘められし自嘲を閑馬は感じられたかどうか。
手に仕込み刀を握りこみ、
暗く光る刃を振るえば、肉は抉れ朱がぱっと雪上に散る。
>397
ロゼット VS ラルヴァ
『譲れない想い、ヒトツ。』
「そうね、紙切れでヒトは救えない。あんたの言うとおりね。」
私は、腰のホルスターから銃を抜く。
「ヒトを救うのは・・・・ヒトよ。
そして・・・・・救うのはあんたじゃないッ!!
殺すことでしか救えないあんたとはッ!!」
ちゃき、と彼女に銃口を向ける。
無論、殺すつもりはない。
ようは、彼女の戦闘力を奪えれば・・・いい。
「(クロノ・・・・)」
「(わかってる。打ち合わせどうりに、だろ?)」
彼女に聞こえないようにクロノに話し掛ける。
『黙って排除されるわけにもいかないから、抵抗させてもらうわ』
「上等!!」
私は、だっと彼女の懐めがけ走り出した!
そして聖火弾(セイクリッド)を二発牽制として彼女の足元めがけ撃ち放つ。
十字の閃光が炸裂し辺りを照らす!
『無明の住人』
バイロン 対 閑馬永空
>399
白の地を赤へと塗り直せしは異人の一剣。
一刀に裂かすは背に留め、掴まれし刀身引き抜き雪を蹴る。
朱線引きつつ二間を跳ぶ。地に降る間も無く振り帰り、構える太刀筋付けるは青眼。
付けた刃のその先に、立つは異人の凄まじさ。
否、否、否。
これは異人に非ず、魔人なり。
思え――。
異人の声。
秘めし嗤いは己が身を。死ねぬむごさか絶望か。
異人の眼(まなこ)。
覗きし者の胸の内、冷やすはさっても昏き色彩(いろ)。
死ねぬ身は閑馬だけとは限らじ。眼前にその確たる証拠、仁王立ちせる。
浮かぶ想いは只一つ。
声に出すれば斯くならん。
「お互い――奇妙な身の上よな」
ロゼット&クロノ VS ラルヴァ 『譲れない想い、ヒトツ。』
>400
私の足元に輝きを放つ銃弾が撃ち込まれた。
サングラス越しにも、焼き付くような光。
何らかの呪的なものだろうか?
一瞬だが、目を逸らしてしまった。
だが、その輝きよりも焼き付くように感じたのは少女の言葉。
『ヒトを救うのは・・・・ヒトよ。
そして・・・・・救うのはあんたじゃないッ!!
殺すことでしか救えないあんたとはッ!!』
ロゼットと言ったか…
少女は、その言葉がどんなに的を得た言葉か気付いてないのだろう。
―――私は、人間ではないのだろうか?
―――ヒトの心は消え去ってしまったのだろうか?
わずかな時間だったが、思考を巡らせた隙に少女が迫って来ていた。
不味い。
接近戦でも負ける筈はないが、二人が相手では手加減が出来ないかもしれない。
>392>398 アセルス&カミーラVSフリッツ
奥から漂う血の匂い。それを辿る妖魔の君。
彼女はその意味をまだ知らない。
その血臭から懐かしい匂いを彼女は感じ取っただろうか?
恐らくは何度も肌を重ね合わせたであろう。その相手がこの先にいる。
扉を開けた彼女の目に飛び込んだものは何か。
血の色をした肉の塊がそこにあった。いや、それはびくびくと蠢いている。
生きている。その塊が何者であるか、彼女にはもうわかるだろう。
すなわち―――――――
肘から、膝から下を切り落とされ全身を打たれそのかつてあった肌は
見るも無残な青黒さ腕の切断面からは幾本のチューブを生やす。
その全てには麻薬と自白罪の臭いが漂う。時折思い出したように喘ぐ口。
顔を上げたそこには大量の針金が突き刺さっている何故か?何故まだ生きている?
綺麗に並んだ針金が歪み蒼い血がどろどろと滲み出す。既にもう痛みも苦痛も無い。
目は潰された上に幾重にも塞がれているそれは宛ら呪詛か封印か。
口に押し込まれたひときわ太いチューブからは蒼い流動体が流し込まれている。
彼女には一目で判る。他の妖魔の体液混じりの挽き肉に他ならないそう
その陰惨な仕打ちを受ける肉の塊は彼女のかつての寵姫であった。
ねちゃりと口が開かれる。かつての彼女と深い交わりによる物なのか。
そして彼女がきた事を悟り語りだすのか。
それとも既に発狂しいまだに状況を理解していないでいるだけなのか。
――――――――――――――――その口から言葉が紡ぎ出される。
『ああもう止めないで指を切って手首を切ってもなにされてもいい
私はまだ死にたくない死にたくないから何でも言う事を聞くから
殺さないでああ、アセルス様。アセルス様会いたいああ会いたい。
だきすくめられ口をすわれたソノママ胸へ内股へ立てられる指を
私は感じ感じソノトキあなたはアセルス様会いたいああ会いたい。
だきすくめられ口をすわれたソノママ胸へ内股へ立てられる指を
私は感じ感じソノトキあなたは耳に噛み付かれた私は犬のように
猫のように尾を振り喉を鳴らしながら小さく鳴く恥ずかしいもっと
気持ちよくして気持ちよく空っぽに空っぽに空っぽにしてください
私は何でも仰られたとおり耳に噛み付かれた私は犬のように
猫のように尾を振り喉を鳴らしながら小さく鳴く恥ずかしいもっと
気持ちよくして気持ちよく空っぽに空っぽに空っぽにしてください
私は何でも仰られたとおり・・・・・・・・・・・・・・・・』
それは呪詛なのか。自らを守る事をしなかった主君に対する恨みか。
少なくとも彼女にはこれが何よりも苦々しいぶどう酒の味に感じられたことは確か。
なぜ?
なぜ?
なぜ?
。様スルセアかすでのるれらせわ遭に目なんこは私
私はこんな目に遭わせられるのですかアセルス様。
死にたいもう死にたい否死にたくないだってまだアセルス様にお伝えしてませんもの。
こしん益なが辱方めだをん受死けらるなののなるらけ死受んをだめ方辱がな益んしこ
――――――――キモチ良い
>402
ロゼット VS ラルヴァ
『譲れない想い、ヒトツ。』
「せいやぁッ!!」
私は、一瞬ぼっとしていた彼女に肉薄する!
クロノは・・・・・よし!
私は、彼女の眼前でしゃがみこむ。
ふっと、彼女の視界から私の姿が消えたように映るはず。
そして、低くした体勢のまま、私はだっと地面を蹴り彼の元に向かう!
「怪我は?!」
『あ・・・大丈夫だ・・・・・。』
「よし!」
私は、振り返ってクロノの姿を探す。
まだ・・・・か!
焦る私に彼女が向き直る。
不味い―――!
「ちょっと、無茶するわよ!」
『無茶?』
「・・・・こういうこと!!」
私はそこら辺に転がっていた木箱の蓋を持ち上げる。
蓋には『オレンジ』と書かれている。
「え〜い、食らえ!!」
私は、手当たり次第に彼女に向けてオレンジを投げつける!
「あんたも手伝いなさい!!」
『俺も?!』
「きまってるでしょ〜が!」
そんな事を話しながらも、私はオレンジを投げつけ続ける。
『・・・・どうすんだ、このオレンジのお金・・・・。』
「・・・・う゛・・・・なんとかするわ!!」
たらり、と汗が流れる。
・・・・・ともかく!クロノが来るまで時間稼ぎを・・・・・!
魔界転生異伝〜鈴鹿御前 対 天草四郎
>324
鬼を斬った恍惚に酔っていた四郎は、背後より襲い来る殺気に気づいた。
術を使うには、あまりにも刻が無さすぎた。
「ちぃ!」
四郎は後方へ七、八尺跳び退る。
鈴鹿もまた同じだけ跳んだ。
真横に一閃するその切っ先は、四郎の喉の皮一枚を斬るのみであった。
が、その行為は四郎を激怒させた。
生白い顔が憤怒の紅に染まる。
「優しく接すれば付け上がりおって!縊り殺してやりたいところじゃが、
うぬは忍体が候補ゆえ、殺しはせぬ。―――生きながらこの世の地獄を味わわせてくれる!」
髷が蛇のように蠢く。そしてそれは暴風の如く鈴鹿目掛けて襲い掛かる。
それだけではない。四郎は手にした白刃をも振るってきたのである。
「手足無くとも、体無事であれば忍体には使えるのでな!恨むなら、うぬの愚かさを恨め!」
>396 vsフラック
着地と同時。からん――と音を立てて、弾け飛んだ拘束端子が地面にはねた。
ドライ・キルは――発動していない。考えてみれば、破損した脳組織で魔法回路を構築・維持
出来るわけがないのだ。胸元にたったひとつ残った拘束端子を見つめて、ひとり苦笑する。
(……してやられた訳か)
周りには、未だ無数に存在する死者の群れ。そして、こちらの切り札である魔法は、基礎級魔法
一発だけだ。
「さて――どうする?」
呟いた――ちょうど、その時だった。
立ち上がりかけたレイオットに、周囲から――大量の血と肉が、波のように押し寄せている。
「な――――!」
よく見れば、それは死体の固まりだと知れた。腕や脚、胴体はおろか――頭蓋すらも粉砕し、
ひとつの巨大な肉塊と化したそれらは、圧倒的な質量でもって彼を押し潰す。叫びすら上げる
暇もなく、レイオットは腐臭立ち上る死肉に、瞬く間に飲み込まれていた。
(――ぐ……ぅ……)
肺に残った空気を押し出すように、レイオットは呻きを上げた。死肉から溢れる濁った液体が、
モールドの隙間越しに彼の身体を汚していく。全身に掛かる異常なまでの重さに、肉体が悲鳴を
上げていた。
モールドに包まれているはずの骨格が、今にも崩壊するかのようないやな音を立てている。
(……動けるか? まだ……?)
自問。答えは、すぐに出た。
動けるだろう――恐らく。だが、<アクセラレータ>を発動してから、すでに一分は経過している。
時間は……もう無い。
「ふ――――!」
鋭く、息を吐き出す。骨の代わりに、異常強化された筋肉がぎちぎちと音を立てる。大量に
のしかかった肉塊が、僅かに動く。身体の下に空いた空間に膝を差し込み、
そして――――――
「お――おおおおおお……!」
低く、呻くような雄叫びと共に、ゆっくりと死体の山が浮き上がった。全身から、腐汁と鮮血を
したたらせながら、黒いモールドは再びその姿を現していた。
重量に圧され、足下の床に無数の罅が走る。だがそれをさらに踏みにじるように、地面へと脚を
食い込ませる。
「――――おおおおおおおおおおおお!!」
呻きは絶叫へと転じていた。爆発した全身の筋肉は、肉塊を大きく跳ね飛ばし――天井や壁へと
激突し、ばらばらの死骸となって室内へと散乱した。
残ったのは。肩で大きく息を付いている、黒衣の戦術魔法士だけだ。
>403 アセルス&カミーラVSフリッツ
血の匂いが、私を奥へ奥へといざなう。
とても甘い、彼女の血の・・・
―――彼女?
私はモーラの血の匂いなど知らない。
でも確かに、これが「彼女」の血の匂いだとわかる。
何度も味わい、喉を潤してくれた「彼女」の・・・
・・・ある扉の前で、私は立ち止まった。
突き動かされるように、その扉を開ける。
・ ・ ・ そ こ に 、 ソ レ は い た 。
常人なら直視できるはずもない、無惨なスガタ。
死さえ慈悲と化す苦痛にまみれた―――いや、既に発狂してるに違いないそのカオ。
これぐらいのこと、私だってしもべにやらせたことがある。
今さら、凄惨だなどと思うはずもない・・・本来なら。
でもそのスガタは、そのカオは、その甘い血は、その肢体は、
まごうことなき・・・私の愛しい寵姫。
そのクチが、何かを呟いてる。
聞きたくなくとも、私の耳には聞こえてしまう。
その怨嗟に満ちた歓喜の声が。
「・・あ・・・あ、ああ・・・わた、私の・・・私の可愛い・・・私の・・・」
自分でも何を言っているのか分からなくなりながら、彼女に近づく。
「・・・あ、はは・・・すぐに、すぐにたすけてあげるからね・・・
きみはわたしのなんだから・・・かってにしんじゃいけないんだから・・・」
言いながら、彼女に触れようとする。
そこに罠があるかどうかなど、そのときの私には、微塵も、意識するはずが、無かった。
魔界転生異伝〜鈴鹿御前 対 天草四郎
>405
相手の虚を突いた、死角からの一撃。確信する。―――仕留めた!
だが一瞬早く殺気に気付いた天草が跳び下がったことにより、必殺の筈の一撃は頬を僅かに傷つけるだけに留まった。
しまった、仕損じた!
悔やむ間もなく、我が身に迫る妖髪。
己が身に傷を付けられ、激怒した天草が、術を行使したのだ。
蛇の如く伸び来る髷、更に手にした白刃までもが襲い来る。
それらの攻撃を、ひたすら躱し、止め、受け、払う。
だが、渾身の一撃を繰り出し、崩れた体勢では、全ては防ぎきれない。
白刃の一閃が、胸元をかすめた。
裂けた着物の陰からこぼれ落ちるは、赤と白。
露わになった肌身に妖なる視線を送り、奴は言う。
「ほぅ……美しき肌じゃのぅ。その妖美をもって、悪路王をも誑かしたか?
これは、思わず味見をしたくなるなあ」
「………っ!
そのような台詞を吐いたこと、地獄で悔やむがよい!」
私の怒りに反応して現れた使鬼が、不遜なる者の身を引き裂かんと迫る。
同時に、私も天草に向かって突進している。
羞恥と憤怒のため、顔を紅に染めた私は、明らかに冷静さを失っていた。
>403, >407 アセルス&カミーラVSフリッツ
部屋の中央に置かれた、青く彩色されたオブジェを、カミーラは本当に美しいと思った。
一瞬、警戒を忘れて見とれてしまったほどだ。
手足を切り落とされた芋虫のような姿がたまらない。
体中に残る青い殴打の跡は、印象派の点描を見ているようだ。
理性を喪失した呻き声は、神に近付こうと曲を作った幸せな
作曲家達の最上の調べを聞いているように彼女の耳をうつ。
針金が無数につき立つ顔は、神を喪失した現代の難解な美術作品のよう。
あたりに立ちこめる肉と血の腐敗した匂いは、芳しい薔薇の匂いを
思い起こさせる。胸一杯に吸い込んだだけで酔ってしまいそうだ。
いずれ腐れ落ちる生身の身体だからこそ、これほどの素晴らしい作品を
作り上げることができたのだろう。こんな才能をもつ相手を殺さなければ
ならないことをカミーラは残念に思った。できれば、自分のためにも一つ
作って欲しいと思ったほどだ。材料ならいくらでもあるのだから。
だが、極めて残念なことに、ここは戦場で、作者は倒すべき敵だ。カミーラは
オブジェに一連射を叩き込むべくアセルスに声をかける。これみよがしな
展示は罠が仕掛けてあると言っているようなものだし、何より、パートナーが
茫然自失していては、自分の身も危ない。
>406 vs レイオット・スタインバーグ
爆ぜる。
肉が血が臓物が骨が。
辺りという辺りを死肉と血に充たし、魔族の跋扈など比ではない惨劇を生みだしていた。
――――――たった一人の戦術魔法士が。
”やれやれ、これではどちらが化け物かわかりかねますな”
声が、する。
”二十の死骸を持ち上げ、投げる”
床から、天井から、窓から、廊下から。
高低入り交じる不快さばかりを掻き立たせる声が壁という壁に反射して、あちこちから響いた。
”揚げ句叩き付け、砕く。あまりにも酷い埋葬ではありませんか”
反芻するように鳴り続ける声にまみれて、ようやく・・・
”我ならば、多少はましな葬儀を執り行えるかと――――――”
雨の如く降り注ぐ血と肉のヴェールを抜けて、笑う道化師が姿を見せた。
天井を蹴り、散る死体を踏み、立つその頭を土台に、腕を振り、足を鳴らし、
赤と緑の道化服が踊り、錫杖がシャンシャンと音を奏で、手の錫杖を投げ捨て、
更に更に速度を上げ、踏み付け、蹴飛ばし、一筋の光が如く、空間を渡る。
”思うております”
カランと地面に落ちる錫杖。
それを最後の引き金に死者たちは自らを身構えた。
手に手に手を取って、振りかぶり、投げ付ける。
肉体を離れてもまだ空を掴む手は歪な弧を描きながらレイオットに向かった。
――――そして。
”さて、ではその為にもこの舞台に幕を引こうか!”
さんざ、加速した肉体は矢の如き勢いをもって、ただ必殺の一撃を生み出す。
右の伸ばしきった腕、鋭く刃を形作る手先、血と脂にまみれる鋼鉄すら裂く指先。
声が届くより先にフラックの右手は黒き胸を目掛けて繰り出された。
周りは何処までも血と肉と骨が散らばる死地。
咽せるような死臭と血臭が充満した、破滅の園。
だがそれもまた、人が成した事に相違なかった。
>409 アセルス&カミーラVSフリッツ
・・・そのとき、カミーラが声をかけてきた。
そしてその次の瞬間。
・・・カミーラの銃が、「彼女」を蜂の巣にした。
「な・・・カ、カミーラ!?」
思わず、カミーラに詰め寄る。
が、カミーラは意に介さず、こう告げた。
『罠ですわ、アセルスさん』
「・・・え?」
そう言われて初めて、その可能性に気づいた。
・・・いや、可能性どころではない。罠が仕掛けられているに決まっている。
にもかかわらず・・・私はまんまと・・・
「すまない・・・助かった」
『いえ。
とはいっても、これはわたくしたちを倒すための罠ではないようですけれど』
言ってカミーラは、その罠を教えてくれた。
どうやら、私が近づくとプラスチック爆弾が作動するようになってたらしい。
・・・それも、ただ単に無惨な姿をさらしていた「彼女」を粉々にする為だけの爆弾を。
「そう、か・・・ふ、ふふ、ククク・・・」
知らず、私の口から笑いがこぼれる。
「クク―――やってくれるじゃないか、たかだか人間の分際で。
だったら・・・お返ししなくちゃなあ。
・・・奴にも、同じ思いを味わわせてやる! 行こうカミーラ」
そう言って、私は部屋を出た。
今度こそ―――モーラのいる部屋へ向かう。
>371 vs朧
(――――なにッ……!?)
悲鳴を喉の奥で噛み殺す。
振り向く間も惜しい。背後の殺気に合わせて跳躍するが――腹部に掌底が決まる。
堅牢な骨と脂肪の防護幕を貫いて体内を食い荒らす衝撃。
あまりの威力に吐瀉しそうになるのを、苦い思いで飲み下す。
続いて肘。食らえば体がくる。
――だが、そうそうそんな連撃はくらってやれない。
くずかごに手を伸ばし、朧に向けて投げる。
先程移動したのはこれを掴むためだ。
ばら撒かれる空き缶の飛礫。
目潰しと足場の悪化が狙い――無論、そんなものに引っかかるとも思っていない。
体当たりの威力を受け止め、そっくり吸収して後ろに吹っ飛ぶと、
空中で朧の動き――いや、その周りをまだ飛ぶ缶の動きを見る。
――視界が遮られた一瞬、足を伸ばして地を蹴り、噴水の陰に飛び込んだ。
荒く、息を切らせながらも――折に血の味が混じる――、休む間などない。
次手のために、指先に神経を集中させる。
ぬるっとした質感とともに皮膚に浮かんでくる紫の液体は“リキッド”――
高熱を放つ液体だ。
さて、仕掛けにたいして時間はかからないが……
(それまでに追撃をかけてこないとも限らないな……)
「――あなたは、何故戦うんですか」
時間稼ぎの問いだが……口に出してみれば、それは本意の問いにも思えた。
(ロゼット・クリストファvs浅上藤乃 導入)
外部から遮断された静謐な幻想の地と言える礼園女学院。
規則は厳しく、外部との接触はほぼ遮断されている。
何しろ、3回無断外出がばれたら、退学になるくらいだ。
だが、此処にも生徒たちが大手を振って、出て行くイベントがある。
――『修学旅行』である
<ニューヨーク>
今回、礼園女学院の修学旅行は遠く太平洋を隔てた地、アメリカ、魔都・ニューヨーク。
浅上藤乃も今、この地にと足を踏み入れた。
自由の女神、ブロードウェイ、エンパイアステートビル……
全てが無菌室で育った生徒には新鮮だった。
皆、一様にこの旅行を満喫していた。
そして、自由行動の日。
とはいえ、何も知らない生徒たちだけで行動する訳でなく、無論、5〜6人の集団で専属のガイドがつくのだが。
浅上藤乃もとある1グループの一員として、ニューヨーク市内を自由に見物することになった。
浅上藤乃たちの目的地はハーレム。
ここの教会の聖歌隊のゴスペルを聴きに行くことのが目的だった。
・
・
・
ハーレムの地下鉄で下車。
そして、ハーレムの通りに出る。
そこまでは順調だった。
だが、浅上藤乃は人の波に押されて、グループの人と離れてしまった。
辺りを見回す。
しかし、まるで検討がつかない。
浅上藤乃は溜め息をついて、地図を取り出し、目的地の教会へと向かっていった。
・
・
・
どこで道を間違えたのだろうか?
気づけば壊れた建物の並ぶ裏通りへと浅上藤乃は迷い込んでしまった。
そこに3人の不良少年たちが通りかかる。
少年達は下卑た笑みを浮かべ、浅上藤乃に近づいていく。
・
・
・
少年たちは物陰に浅上藤乃を引きずり込もうとする。。
金品を巻き上げ、あわよくば楽しもうという魂胆だ。
だが、浅上藤乃も黙って引きずり込まれる訳ではなかった。
大声をあげて少年たちの腕を振り払って、逃げようとする。
業を煮やした少年の1人が藤乃の背中を蹴り飛ばした。
藤乃の身体はそのまましたたかに壁に叩き付けられた。
――ドクン
壁に叩き付けられた瞬間、藤乃は『痛み』を感じた。
それと同時に藤乃の中で眠っていた殺人衝動が鎌首をもたげる。
……少年達が壁に吹き飛んだ藤乃を物陰に引きずり込もうと近づいてくる。
その時、藤乃の口から一言の呪詛が漏れた。
――――凶がれ
その言葉と同時に1人の少年の胴体がギチギチと悲鳴をあげ、拗け飛んだ。
コンクリートの地面に壮絶に血のソースが撒き散らされる。
残った2人の少年の顔色が恐怖に染まる。
そのまま、彼等はおぼつかない足取りで逃げ出そうとした。
――だが、もう手遅れだった
――凶がれ、凶がれ、凶がれ
藤乃の口からその呪詛が漏れる度に2人目の少年の手足が捻じ切れる。
ものの数秒で、残り2人目の少年も肉塊と化した。
藤乃の凶眼が3人目の少年を見据える。
すると、3人目の少年の右足が捻じ切れた。
――絶叫
その時、藤乃の後ろでパタパタと駆け寄ってくる足音。
藤乃が振りむくと、丁度、曲がり角から1人のシスター服の少女が姿を現した。
>413>414 ロゼット・クリストファvs浅上藤乃
私が後ろを振り向くと一人のシスター服の少女がいた。
少女は恐らく私を助けに来たらしいけど、今の現状をみてその考えも消え失せたらしい。
だって目の前にあるのは私が『襲われている』のではなく『襲っているの』だから
襲うって言うのも語弊がある。何せこれは正当防衛なのだから。
『な…あ……あんた!!何を?!』
「何を と言われましても・・・」
そういって一人、体よく逃げようとしている片足の男性に目を向ける。
私には不思議な力がある。何の人に役にも立たない。
ただ物を曲げる事だけの力。
この力で様々な人を手にかけた。
そして―――私は再びその過ちを繰り返そうとしている。
見つめる先には歪む男性の体。その胴体は明らかに不自然に凶がり
不恰好な欠陥品の人形を思わせる。
さらに凶げようと深く意識を集中させるとその人形はギシギシと音を漏らし。
―――壊れてしまった――
・・・。
壊れているのは私だ。こんな事をして何が楽しいのだろう?
人を殺し、その苦痛に歪む顔をみて・・・。
「見て分かりませんか?人を殺しているんです。」
私は涙を流し、笑顔で少女にそう答えた。
>415
ロゼット&クロノ&アズマリア vs 浅上藤乃
『背徳螺旋』
〜 数刻前―――― 〜
「むが〜!!これじゃ間に合わないじゃない!!」
「だからもっと早く出ようって言ったんだよ!!」
「シャラップ!」
「あの・・・・ふたりとも喧嘩しないで〜・・・・・」
私達は、聖歌隊に入ったアズマリアを、ミサが開かれる教会まで車で連れて行くことになったのだが。
ニューヨーク名物、大渋滞に巻き込まれてにっちもさっちも行かなくなっていた。
このままじゃミサに間に合わない―――!
「あぁ!もう! 二人とも、降りて!!」
「えぇ?!」
「裏道通ってけば、走れば間に合う!!」
そう言って、私は車を道路脇にとめる。
・・・・・ちょっとスラムを通らなきゃいけないけど、しゃ〜ない!
=============================================
そして、そこで私達は『彼女』と出会う。
あっさりと、ひどくあっさりと。
人の体がひしゃげて果てる。
『見て分かりませんか?人を殺しているんです。』
彼女は、涙をたたえて笑いながらそう私に答えた。
なんで――なんで?
「あんた・・・・笑ってるの、泣いてるの?
どっちなのよ!!」
私は、アズマリアを背後に隠しながら叫ぶ。
こんな事ができるのは・・・・普通の人間じゃない。
普通の人間じゃないなら・・・・・まさか、悪魔?!
「悪魔・・・・じゃなさそうだよ。」
「・・・・んじゃ、なんだってのよ・・・・・!!」
クロノの呟きに、苛立ちながら私は叫ぶ。
その時彼女が、一歩足を踏み出した。
「アズマリア!さがって!」
私は、腰のホルスターに手を伸ばし、クロノが、アズマリアをかばうように立ちふさがる――!
姫城玲vsディオ・ブランドー
「・・・・・・ここか」
イギリス・ウィンドナイツロット―――ロンドンの南にある田舎町の、
さらに片隅にあるその屋敷の前で、東洋人らしき青年がポツリと呟いた。
青年の名は姫城玲。現代の科学体系から外れた科学―――狂科学の産物を封印・破壊する
狂科学ハンターである。
「石仮面、か。東洋科学はどっちかって言うと桜さんたちの分野なんだけどね・・・」
異様に長いマフラーを揺らしながら、青年は屋敷の中へと入っていく。
玄関の扉を叩き――――
「ああ、お出迎えご苦労様」
扉の向こうにいたその男に声をかけた。
Fight!
>416
ロゼット&クロノ&アズマリア vs 浅上藤乃
『背徳螺旋』
少女は腰のホルスターに手を伸ばす。
不本意なのだけれど私は能力を使うことにした。
この人は殺さない。だってまだ私に危害を加えていない。
罪の無い人を殺すのはもう嫌だ。
――――せめて私の害にならない人だけは――殺したくない。
勝手な私の考え。
散々、人を殺した「私に殺したくない」なんて気持ちはあるのかどうかも分からない。
だけど、少なくとも私、浅上藤乃の気持ちは殺す事を愉しむものとは別に
罪の意識と殺す事を拒絶する私がいる。もう一人の私の気持ちがある。
だから、もうこれ以上人を殺さない。これで最後にしたい。
それじゃなきゃ―――本当に元に戻れなくなる。
そして、ホルスターへと伸びる手をひねる程度に軽く凶げた。
「お願いです・・・私のことはもう構わないで下さい・・・」
心からの頼み。
「だから・・・ここから消えて」
>418
ロゼット&クロノ&アズマリア vs 浅上藤乃
『背徳螺旋』
「くぁ!?」
「ロゼット?!」
きゅっと私の腕が捻りあげられる!
走る激痛。
ぐ・・・・・一体何が?!まさか、不可視の攻撃?!
私は、痛みが走った手首に触れてみる。
少し腫れているが折れては・・・・いないようだ。
だが、捻挫になっているようで動かすと手首に痛みが走る。
『お願いです・・・私のことはもう構わないで下さい・・・
だから・・・ここから消えて』
彼女が、そんな事を俯きながら搾り出すように言う。
「あんた・・・ね!
目の前で人が殺されるの見て、あまつさえその犯人発見しておいてそんな事出来るわけないでしょ?!
そもそも!あんた一体何者よ!?何でこんな事したの?!」
私は、クロノに目配せする。
「アズ!こっちへ!」
「え、えぇ?!」
そしてこくり、と頷いてアズマリアの手を引きクロノが走り出す!
このままじゃアズマリアが巻き込まれかねない。
それに、私一人でどうこう出来る相手でもなさそうだ。
なら―――ここで時間を稼いで増援を!
私は無事なほうの腕で銃を握り、銃口を向ける。
姫城玲vsディオ・ブランドー
>417
「ようこそ、ハンター君・・・」
玲の前に現れた金髪の男は、余裕に満ちた口調でそう言った。
彼の周りには、圧倒的な悪の大気が充満している。
彼こそ『石仮面』によって脳から未知なる力を引き出された、悪の暴君。
ディオ・ブランドー。
「来い、狩人!貴様をこの肉体の実験台としてくれようッ!!」
叫びとともに、ディオは牙を剥き出しにして笑みを浮かべる。
その瞬間、辺りの空気が凍りつく。
豹のような素早さで間合いを詰めると、玲の腹部を空間ごと薙ぐように右手を振るった。
姫城玲vsディオ・ブランドー
>420
「慌てる乞食は何とやらって、ね」
館の主人による大振りの一撃を空中でかわして、青年はにやりと笑いかける。
―――天井のシャンデリアに極細のワイヤーを巻きつけて、モーターで巻き取ったのだ。
「それじゃあ今度はこっちの番だ・・・行くよ?」
その言葉とともに、所為の念の指先から冷気が噴き出す。
体内の生体転換炉が起動。手にした金属球が唸りを上げ―――
「魔玉操、冷扇衝!」
放たれた金属球が屋敷の壁の一角に激突した。
冷気を帯びた金属球が振動して地磁気を呼び込む。
超伝導効果により大電流が発生して―――
屋敷に衝撃が走った。
『無明の住人』
バイロン 対 閑馬永空
>401
その身を貫きし刀身引き抜かれれば、
夢幻のごとく傷跡は消ゆ。
二間ほどの間を開けて相対す。
川の流れはただ冷たく、そこから冷気が吹き上げる。
「全くだ。……貴様も生半には死ねぬ身の上とはな。
まあいい。尋常な闘いにも飽きてきたところよ。
双方不死身なら、それ相応の引導のわたし方もある」
異人、仕込み刀を八双に構ゆ。
剣先から柄に向けて、溶けた雪の雫がたれ落ちて、冷たい刃を濡らしてゆく。
紅い血糊を洗い流してゆく。
「参る」
異人、その声と共に太刀を構え走りいでたり。
>419
ロゼット&クロノ&アズマリア vs 浅上藤乃
『背徳螺旋』
私の警告が効いたのかどうかは分からない。だけど後ろにいた2人の人は
この場を離れる様だ。しかし――――
「あなたは・・・どうして?」
まだ戦闘意欲を失わず、私に銃を向けてくる少女が一人。
私には警告を促したにもかかわらず彼女がどうしてまだ恐れずに向かって来るのか
理解できない。
私のこの能力はあまりの殺傷力の高さに使っている私でさえ恐れる物・・・。
この子は死ぬのが怖くないの?
それよりもどうして私の邪魔をするの?
私が彼女を殺したくない気持ちが彼女には伝わらないのだろうか?
―それなら
―――殺されても文句は言えない
そして、彼女の首元に回転軸を合わせ、右曲りに回転を加える。
せめて苦しまない様に――楽に死なせてあげます
思い通りに行かない私の気持ち。
無痛病に始まり、昔の家から離れる事。
そして―――あの事件。
もう沢山!もうこんな嫌な思いはしたくない!
大きく息を吸いこみ、肺に空気を溜めこむ。
そして一秒。
何年も叫んだ記憶が無い私が久しぶりに叫んだ言葉。
それは・・・・。
「凶れえええぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
『無明の住人』
バイロン 対 閑馬永空
>422
黒白の中に血色の朱、人無き街に在りしは三つの色のみ。
周囲に真紅の跡を留めど、在りし互いの疵はその姿を消さん。
斬らずんば、己が行く末太刀行かず。
「応」
云い捨て、馳せ寄る異人に妖剣・井上真改蟲殺をたばしらす。
凄絶なる刃風巻き上げ、虚空に十文字閃かん。
縦の一字は左の匕首、懐中よりすくい抜きつつ異人の太刀防がんとす。
横の一字は右の一剣、水平に薙ぎつけし斬撃決まらば、異人これ一刀両断とならんや。
『無明の住人』
バイロン 対 閑馬永空
>424
迫り来る閑馬が斬撃。
それを目にとめ、異人、左手を一振りす。
さすれば、袖口より肉厚の刃を持ちたる鉈鎌あらわれ、氷のやうなるをぬきいだいて、
閑馬永空が太刀を受け止めん。
互いに劣らぬ大力なりければ、がっちり剣は組み合って、
押し合いへし合い動かざりけり。
異人、膠着するは望むにあらず。
しかれば、閑馬が腹に蹴りを放ち、体を崩そうとはかりける。
『無明の住人』
バイロン 対 閑馬永空
>425
膠着望まぬは閑馬も同じ、さすれば我から後方に跳びて蹴りの勢いを殺し、尚且つ相手の威勢をば
利用して更なる飛翔に変えんとす。
夜鴉の如く欄干の上にはっしと降り立つ。その姿。
両手に構えし得物が二つ、羽ばたく鳥のやうなる妖しき広がり見せん。
屍(かばね)をあらわす妄執は去ってまた残る。
若年の昔より剣もて舞う事の面白さに、殺生を重ねる儚さよ。
更なる跳躍、目指すは対面せし欄干にて、なれど二つなる刃振るいつ宙を翔けん。
妖女狩り異聞・序章
トーキョー市立南風高校にやって来た季節はずれの転校生、鈴木美夕。
片側だけをお団子にまとめた癖のある髪型に、日本人形のようなきれいな顔立ち。
勉強もスポーツも得意で、かといって自慢気でもなく控えめで物静かな物腰の彼女は、すぐにクラス
に溶け込んでいった。
そんなある日のこと。
彼女は、同じクラスの一人の少年に恥じらいながら話しかけた。
「あの・・・京也くん」
彼の名は十六夜京也。かつて、あの<新宿>で、魔道士レヴィ・ラーを倒し、世界を救った勇者。
魔を退ける十六夜念法の使い手。しかし、普段の彼は人好きのするごく普通の少年だった。
「ん?何だい、鈴木さん」
「美夕でいいよ、名字で呼ばれるの、好きじゃないんだ。で・・・」
彼女が差し出したのは一枚の当選ハガキ。TV局の歌番組の公開録画の招待状だ。
ゲストは『蘭麻みほ、他』となっている。蘭麻みほ―。ここ最近、人気急上昇中の女性タレントだ。
「あの、ハガキ出したら当たっちゃったんだけど・・・男女ペアなの、これ」
頬を赤らめながら、上目遣いで京也の目をじっと見る。
「で、よかったら・・・わたしと、行ってくれない?」
いわゆるデートのお誘いだ。しかも、相手は男子の間でも密かに競争率の高かった美夕。
「ああ、いいぜ。それ乗った」
次の瞬間、京也の頭に筆箱が飛んで来た。ひやかすような口笛とどよめき。
困った顔で頭を掻く京也に、顔を赤らめてそっぽを向く美夕。平穏な学校の一コマだった。
>427より続く
「あの・・・京也くんって十六夜念法の達人なんでしょ?」
「達人ってほどじゃねぇけど、まあ、な。美夕・・・さんもやっぱ知ってたんだ」
「うん。最近は区外って言ってもけっこう危険だし、何かあったら守ってくれる?」
女の子にこう言われて断れる京也じゃない。手元には愛用の木刀「阿修羅」があった。
「おっと、さすがにTV局までは持ち込めないだろ」
「あっ、ちょっと聞いてくる」
そう言って、美夕は入り口の守衛のところに駆けて行く。
「だいじょうぶ・・・持って行っていいってさ。くす、さすがね。『十六夜京也』だって言ったら
すぐにOKしてくれたよ」
微笑む美夕の眼が、鈍い金色の光を帯びていたことに京也は気づいてはいなかった。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
TV局の廊下を二人は歩いていた。傍目には微笑ましい高校生カップルにしか見えない。
「ね、収録まではまだ時間あるし、探検しよっか」
ちょこんと首をかたむけて、いたずらっぽい笑顔を浮かべる美夕。
「お、いいね」
TV局の中を歩き回っていた二人は、いつしか楽屋の並ぶところに来ていた。見慣れたタレントの
名前の張り紙がどの扉にも付いている。
「へぇー、ここが楽屋なんだ」
「うまくすればタレントさんに会えるかもね」
そう言い交わす二人の視界に、遠目にもスターの華やかなオーラを感じさせる女性が映った。
『無明の住人』
バイロン 対 閑馬永空
>426
雪降りしきる橋の上。
化鳥のごときその一撃を、地に転がりて身をかわす。
異人が身を起こすのと、閑馬が欄干に舞い降りたるはほぼ同時。
再度、閑馬は宙を飛ぶ。
異人それを向かい討たんとて、
鷹羽のごとく諸手を広げ、
右の手には仕込み刀、左の手には鉈鎌を構え、
縦横無尽に斬りかかりけり。
天より落つる雪雫。
雪は止まぬ。斬撃も止まず。
妖女狩り異聞・序章 〜十六夜京也〜
>427>428
今日は人生でもベスト3に入る良い日になるに違いない。
そう思いつつ美夕と並んで廊下を歩く京也であったが、さらなる幸運がおとずれたようだった。
「蘭麻みほ」の名は、言い古された言い方ではあるが子供から大人まで知っている。
その女優を画面を通してではなく、生で見られる機会など滅多にない。
美夕の手前、鼻の下を伸ばすのははばかられるが、見つめるくらいはいいだろう。
京也は視線を目の前の女優に移した。
だが、その途端―――
「どうしたの、京也くん?」
「あ、いや。なんでもねえよ」
取り繕う様に言葉を濁す京也。…その目は先程までのものとは違う。
「美夕さんは色紙とか持ってたっけ? おれは忘れてきちまったな」
そう言いつつも、京也は立ち位置をさりげなく移動していた。
あわよくば美夕の手を握ろうと思い、美夕の左側に立っていたのだが…
自分が右側に来るように移動する。
―――愛刀「阿修羅」をいつでも振るえるように、右手を空けておくためだ。
ロゼット&クロノ VS ラルヴァ 『譲れない想い、ヒトツ。』
>404
東洋の伝承によれば、桃には魔を退ける力があるという。
しかし、オレンジでは意味がない。
いくつかが私の身体に当たるが、構えた銃口を揺らす事すらできない。
邪魔よ、どきなさい―――
「そんなにその男を守りたいなら―――」
貴女を巻き添えにする事など、なんでもないわ。
「銃を抜きなさい。それは飾りではないのでしょう?」
二人とも撃ち殺してあげる。
「貴女が正しいと思う道を、自分自身で示しなさい」
轟音と共に地面に穴が空く。
何故だ?
何故、私はさっさと弾を撃ち込まない?
確かに彼女は人間だが、邪魔をするのならば敵だ。
だがそれでも…私は彼女を撃ちたくはなかった。
一気に走って間合いを詰める。
私の目的はただ一つ。吸血鬼だけなのだから。
蘭麻みほにとってはなんの事はない、いつものテレビの収録のはずだった。
その日そのカップルを目にするまでは。
楽屋にファンがやってくるのは珍しいことではない。
握手を求めるもの、サインを求めるもの、それらをうまくさばくのも
仕事のうちだ。
みほの目が細められた。
少年は木刀を手にしている。
狂信的なファンがタレントに危害を加えるのは…まれにだがある。
しかしこの二人がそんな手合いではないと言うことは、
その顔を見ただけでわかった。
少年の名は十六夜京也。
かつて世界を震撼させた魔術師<レヴィ・ラー>を倒してのけたその実力は
闇に住まうものとして聞き及んでいる。
その念法は魔のことごとくを討つ絶対の技だ。
少女の名は美夕。姓は持たない。
夜の世界と人の世界の境界を監視する者とだけ聞いている。
あとは全てが闇の中だ。
どんな技を使うかも、どんな力を持つのかも。
その意味で念法使い以上に厄介な相手といえる。
この組み合わせが意味するものはただ一つ。
境界を守るものが動き出したということ。
それならばそれでかまわない。
どのような相手であれ、立ち塞がるならば滅ぼすだけのこと。
みほは二人に真正面から向き直ると、花のような笑みを浮かべた。
魔界転生異伝〜鈴鹿御前 対 天草四郎
>408
怒りと辱めで真っ赤に染まった鈴鹿を、
四郎はねっとりとした目つきで見やる。
まるで、その視線で鈴鹿を犯してでも居るように。
鈴鹿のみならず、使鬼の攻撃を受けながらも、
四郎の笑顔が曇ることはなかった。
むしろ、その笑顔は血をたっぷりと吸った向日葵の如き面相になっている。
先ほど抜き放っていた白刃を鞘に収め、のらりくらりと避けているのである。
鈴鹿にとって、これ以上無い屈辱であった。
「ほおれ、鬼さんこちら、手の鳴る方へ」
童歌を口ずさみながら、手を鳴らして四郎は舞う。
それがさながら、命をかけた、鬼ごっこのようであった。
「どうした、剣が鈍っておるぞ?それとも、わしが欲しくて股が濡れたか?」
魔界転生異伝〜鈴鹿御前 対 天草四郎
>433
「貴様───この私を愚弄するか!」
怒りに任せ、闇雲に刀を振るう。当たらない、当たらない、当たらない。
そればかりか、奴は白刃を収め、あろう事か童謡を歌いながら手を打ち鳴らしているではないか。
それら全てが、私の怒りを更に加速していく。
これほどの屈辱を受けたのは、生まれて初めてだ。
「その表情、その視線、その言葉、その態度───下衆の極み、ど許せぬ!」
型も何もない、ただ振り回しているだけの斬撃。
使鬼との連携もまるで取れて折らず、そればかりかその攻撃の妨げにすらなる始末。
素人相手ならばともかく、これほどの強敵にそんなものが通用する筈もない。
今の私には、そんな簡単なことに気づく余裕すら残ってはいなかった。
>431
ロゼット&クロノ vs ラルヴァ
『譲れない想い、ヒトツ。』
《どぉん!》
私達の目の前の床が大きく弾ける。
・・・・―――洒落のわかんないやつね!!
『銃を抜け』?冗談じゃない!!
「ええ!示してあげるわ!
けど・・・拳を振り上げなくても、剣を突きつけなくても示すことはできるのよ!!」
クロノ!早く!!
彼女が一気に私との間を詰める。
く――!
『う、うわぁぁぁ!!』
悲鳴をあげる彼。
まずい!!
刹那、私は銃口と彼の間の軸線に思わず入り込む―――!
「ロゼット!!」
クロノが木箱の上を飛び走りながら駈けて来るのが見えた。
そして――!
魔界転生異伝〜鈴鹿御前 対 天草四郎
>434
「こうなっては、鬼もヒトとかわらぬなあ」
声もなく笑った。目には冷ややかな侮蔑も混じっている。
「しかし、このままでは興ざめというもの。―――そうじゃ、いいことを思いついた」
童のような無邪気な、それだけに凄惨な笑みを浮かべると、
力任せに刀を振り回す鈴鹿の懐に潜り込むと、妖しく囁く。
「普通の女子は一度で狂うてしまったが、鬼姫はどこまで耐えてくれるかなあ」
そして、髷が閃いた。上がる血飛沫。
間合いを外した四郎の手には、斬りおとされた鈴鹿の腕があった。
「渡辺綱の鬼退治と同じじゃ。早うに腕を取り返しに参れ。さぁ、早う早う」
朗らかに笑うと、その切り口から滴る血を舐めた。
妖女狩り異聞
>430 >432
十六夜京也のまとう気配が変わる。臨戦態勢だ。
『さすがに間近で見ると、気づいちゃったか。・・・十六夜念法は伊達じゃないわね』
人と夜の世界の境目を守る者、監視者・美夕の目的は、最初から蘭麻みほだった。
冥府から人間界を侵食にやって来た生ける死人。彼女が何かをする前に、狩る。
十六夜京也を連れて来たのも、すべては彼女の手の内だった。自分とラヴァだけなら勝算は五割。
しかし狩人に危険の伴う賭けは許されない。だから、確実に彼女を屠るための駒、として。
「色紙はないけど、手帳なら持って来てるよ」
平静を装う京也に合わせるように、普通の女子高生を演じる。ちらりと見る蘭麻みほも、何やら勘
づいた気配を漂わせつつも、「人気TVタレント」としてファンに見せる笑顔を向ける。
「あの、蘭麻みほ・・・さんですよね」
おずおずと手帳を差し出す美夕。
「なぁに?」
「・・・さようなら」
そう低くつぶやいた美夕の眼が金色に光る。次の瞬間、美夕の指先から『炎』が迸り、その影から
現れた黒衣の男の手刀がみほの胸を貫かんと迫る。
――三者の仮面がはがれ落ちた瞬間、だった。
『無明の住人』
バイロン 対 閑馬永空
>429
譲らぬ剣戟を斬り回せし中、散り咲き又散る火花の灯りよ。
雪は止まねど斬撃止む。一旦なれど。
剣鬼二人、再度掛け違って離れけり。
互いの身体に新たな疵、刻み刻まれしも、何れも大事には至らざるべし。
其れすら既に癒やしつつありし両名の異能、驚嘆すべきや畏怖すべきや。
閑馬、胸中にて嗟嘆す。
げに恐ろしや異人の剣力。斯程の使い手、逸刀流にても在らざるものなり。
統主・天津影久にも比すべき、いやさ天津をも上回らんか。
降る雪に音を吸われ、幽冥の境が如き寂幕の中、死人の怨みが如きかそけき風吹く。
風、問いて曰く。
何故斬る、何故死ぬ、何故争うと。
その風に押されるやうに口の端に上す。
「主――何ゆえ戦う」
尋ねしも、其の問いに応うる言の葉、唯一なりし事承知の上なり。
ロゼット&クロノ VS ラルヴァ 『譲れない想い、ヒトツ。』
>435
『ええ!示してあげるわ!
けど・・・拳を振り上げなくても、剣を突きつけなくても示すことはできるのよ!!』
甘い、と言わざるを得ない。
彼女は知らないのだ。
自らの子供の血を吸い尽した母親の事を。
半身ともいえる兄弟の腸の味について語った、青年の話を。
そんな奴らに必要なものは、訓戒でも懺悔室でもない。
ただ、弾丸と白木の杭のみが彼らを救うのだ。
「貴女は考え違いをしているわ。
ここで貴女が死んだら、どうやってその男を守るの?」
まただ―――私は何を口走っているのだろう。
「勇気と無謀は違うわ。もっと考えて行動することね。
次に会えたら、どれぐらい成長しているか見極めてあげる」
少女に向けて、手加減した蹴りを放つ。
……これぐらいは授業料として勘弁してもらおう。
だが。
改めて男に狙いを付けようとした私の耳に、駆け寄ってくる足音が聞こえた。
さっきの少年か?
しかし、もう遅い―――
私はトリガーに掛かった指に力を込めた。
『無明の住人』
バイロン 対 閑馬永空
>438
辺りにこもる血の香り、怨嗟のごとき風の音。
冷たき河の橋の上、深々と降る雪の中。
異人は言葉をつむぎ出す。
「愚問也。戦いこそが我が喜びよ。否、戦いこそが我が人生よ。
己のいる場所は戦場以外には非ず。
降りそそぐ矢が頬をかすめる感覚。目の前に迫ってくる敵の大群。
見方の兵の放つ鬨の声。そして、我が刃に次々倒れていく敵兵の姿。
これ以上の喜びはなく。これ以上の楽しみもない。
おぬしはどうだ?おぬしも同じに違いあるまい。
違うとは言わせんぞ。匂いで解る。
おぬしは己と同様、性根から人を殺すのが好きな人間だよ」
>409 >411 アセルス&カミーラVSフリッツ
二人相手には少々手に余る。
特に狭い建物内での銃撃戦というのは辛い。
それに、気に喰わないのは。
明らかに奴らは俺を殺すことを目的とはしていないところだ。
大体想像はつく。
連中が狙っているのはモーラに違いない。
下らない。同じ仕打ちをしてやろう、ってか。
自然と笑みがこぼれてくる―ーーいいぜ。俺も一緒だ。
テメェらクズどもにはいい加減うんざりだ。
ああ、狩る。狩ってやるさ。
例えばその血溜まり膨れた腹。
例えばその罪に塗れた腕。
例えばその欲と罪の源である首。
その足を骨ごと叩き潰し。
追い立て、駆り立て。恐怖に歪むその顔を。
跡形もなく剥ぎ取ってやる。
何故奴らは殺すのか。何故血が疼くのか。
何故止められないのか。血の潮流。
ならば狩ってやろう。息の根を止めてやろう。
そのために俺はいる。
宿命。運命。そんな言葉で括れるか。
これは戦争だ。俺とオマエ等。人と豚。獣と獣。俺達の。
これは俺達が望んだ闘争だ。
裂け。潰せ。抉れ。剥げ。千切れ。刎ねよ。
全てはその一刀の殺気の下。
引き金。刀柄。銃口。刀身。
それらを手にとり振り下ろそう。
それらを死に浴びせ掛けよう。
全てを粛清修正せんとその胸に拳を遣りて我が血の盟約ここに。
狩り狩られる獣の掟。一時の悦楽。一瞬の殺意。
引き金を引かんとすべく我ここに在り。死を浴びせるは我に在り。
いい加減面倒だ。考えるだけで嫌になる。
そこに在るな
いけ
消えろ
ツラを見せるなよ。
――――――やれやれだ。
背を向け奥へ向かいその欲望を曝け出す醜い獣。
美しかった。気が狂いそうなほどに美しい二つの花。
見ているだけで勃起/吐き気がする。
化物だ。化物は狩る。狩り尽くせ、フリッツ。
そのうちの一匹を引きとめたのは俺の放った銃弾だった。
ゆっくりと振り返る奴の貌。
―――――――――――美しい。壊したいほどに。
妖女狩り異聞
>437
放たれた炎と手刀をかわすため後ろに大きく跳ぶ。
まさかこんな所で始めるとは、と言うのが蘭麻みほの心境だった。
相手が監視者と知らなかったらこの一撃で滅びていただろう。
その驚愕があだとなったか、炎に隠れるようにして
突き出された黒衣の男の手刀をみほはよけ損ねた。
傷の位置は左腕、だが血は一滴も流れない。
みほが人ならざるものの証である。
なるほど,この男がうわさに聞く西洋神魔きっての武人、ラヴァか。
このコンビ、加えて念法の使い手まで相手にする事になるとは…
「人気者はつらいわね」
うそぶきながらみほは腰のベルトを抜いた。
うろこのように金属片があしらわれたベルトは
みほが振るえば樹皮すら軽くこそげ落とす。
まるで結界を張るかのようにベルトを振りつつ
みほは次の手を待ちうける。
一転して廊下は妖戦の舞台となった。
魔界転生異伝〜鈴鹿御前 対 天草四郎
>436
滅法やたらに振り回される私の刃を交い潜り、天草が懐に飛び込んでくる。
間近に迫ったその顔に張り付いた、凄惨さすら感じられる無邪気な笑み。
心が冷える。―――しまった!
ぶつん、という音がした。
飛び退いた天草の手に握られているのは、私の左腕。
その切り口から流れる私の血を舐め取る天草の姿が、不意に揺らいだ。
見れば、私の左半身が、そればかりか足元までもが、既に朱に染まっている。
先程まで憤怒で紅く染まっていた頬も、今は蝋のように白い。
崩れそうになる身体を、刀を地面に突いて支える。
だが、これで頭が冷えた。もう二度と、先程のような失態は犯さない。
「そう急かすな、今取りに参るゆえ」
今のわたしは片腕、しかもこの失血では、そう長くは闘えない。
ならば―――この一閃で決める!
手元に戻した使鬼を、間髪入れずに天草へと突進させる。
同時に、その後ろから私も奴に迫る。
使鬼が上から爪を振り下ろした瞬間、その足元から飛び出した私が、下から心臓めがけて突きを放つ!
『無明の住人』
バイロン 対 閑馬永空
>440
忍び笑ひが雪に混じりて降り落ちる。
「いかさま。その通りだ」
八法破りて七徳忘れ、六趣巡りて五戒を捨つる。
四大に唾して三界背にし、挙句相撃つ修羅二人。
無際の命と無情の心、携え無道の道を行く。
其は誰々と問われしが、応えて曰く『無明の住人』。
「ならば尚の事、只々殺し合おう」
血刀振るいて血糊を飛ばし、ゆらと構ふる二刀流。
「並みの人間には到達できぬ程の苦痛、殺されても死ねぬ我らなら、クク、その先すら味わえる。
それを期待しているのだよ、儂は」
妖女狩り異聞
>437>442
正直に言おう。
京也は美夕が人でない事には薄々気付いていた。
しかし、敵意が全くなかったためにごく普通のクラスメイトとして接していたのだ。
「可愛い女の子をその程度で差別するような奴は男じゃない」と、なんとも京也らしい理屈をつけて。
だが・・・それもここまでのようだ。
美夕の指先から放たれた炎。影から現われた黒衣の男。
もしもあのコンビと闘う事になったなら、並々ならぬ苦戦を強いられる事になるだろう。
そして、蘭麻みほ。
傷から血が出ない事を見るまでもなく、明らかに気配は人外のものだ。
それも、かなり強い。
実際、まだまだ「底」が見えない。
左手に持っていた阿修羅を構える。自然体のゆったりとした構え。
さて、どっちに味方したものか・・・と考えていると、みほはベルトを抜いた。
高校生には少々刺激的だな、とかつまらない考えを振り払ってベルトを見据える。
そのベルトは、人の首くらいは跳ね飛ばしそうな、物騒な輝きを発していた。
一応クラスメイトでもあるし、フォローぐらいはしてやるか。
話はその後だ。
妖しく蠢くベルトを叩き斬ろうと、京也はみほへと迫った。
『無明の住人』
バイロン 対 閑馬永空
>444
「是非もない」
笑いと共に言葉を放ち、それと共に剣も放つ。
しばし斬撃と鮮血、そして濃厚な血の香りが辺りを支配す。
これは剣術に非ず。
そして、もはや殺し合いにすら非じ。
お互い何十も致命傷を与え合う。
肉を切裂き、骨を砕き、腹を抉り、動脈を切裂き、臓物を貫く。
人でありながら人をこえたモノの、
人でありながら人で無いモノ同士の戦いにありける。
いかほどの時が流れただろうか、
閑馬永空が斬撃を受け止めし刀身が嫌な音を立てひび割れる。
鍛え上げられた鋼とはいえ所詮は仕込み刀。
幾たびも切り結ぶには荷が勝ちすぎる。
すでにその刀身は、刃毀れし、ささくれた竹のようになりもはや切り結ぶことなどできようもない。
あと一振りで折れそうな頼りなさ。
閑馬永空の水月に蹴りをいれ、わずかばかりの間合いを取り、
そのささくれだった刀を捨てる。
共に鉈鎌も投げ捨てる。
『伽藍(ガラン)』
錆びた鈴の音を立て、剣は地へと落ち跳ねる。
異人、腰を沈め、左手で脇に差した小刀の鯉口をきり、小刀の柄に右手をかけけり。
まごうこと無き居合の構えにありける。
魔界転生異伝〜鈴鹿御前 対 天草四郎
>443
何時の間にやら、顔が蝋の様に白くなっていることに気づいた。
あの激痛で、我に返ったか。
「だが、そうでなくば面白うない。いざ、来よ!!」
目の前に迫り来る鬼の前に立つと、髷を一閃させる。
「雑魚が幾ら来たところで変わりはせんぞ!」
逆袈裟に斬られる鬼の足元から忽然と現れる鈴鹿。
一瞬、驚愕の表情を浮かべるも、すぐさま腰から白刃を引き抜く。
だが、一瞬の間が開いたのが災いした。
その切っ先は、四郎の肩をぶっすりと刺し貫く。
「す・・・・・・鈴鹿ぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」
無理やり刀を肩から引き抜くと、四郎は後方に跳ぶ。
「もはや我慢ならん、貴様のその手足全て断ち切って、転生衆の慰み者にしてくれるわ」
四郎は髪を引き抜くと輪を幾つか拵える。
そして、それを手に鈴鹿に駆け寄った。残りし四肢を引き千切らんと。
>411, >441 アセルス&カミーラVSフリッツ
背後からの銃撃は突然だった。
こちらが丹精をこめた美術品を破壊するという快楽に酔っている僅かな
隙をとらえて攻撃を加えてくるとは、なかなか狡猾な敵だ。考えながら
カミーラの体は自動的に反応を行う。
銃を連射から三点射に切り換え、姿勢を低くし、敵の様子を窺う。とらえた
相手の姿に銃撃を加える。頭、肩、左胸、腹部、両足の順に。機械のような
手順で銃撃をすませると、遮蔽物を求め、部屋の隅におかれたソファの陰に
飛び込む。
ようやく自信に加えられた銃撃の評価をすることが可能になった。左肩に
貫通銃創一つ、あとは擦過傷程度だ。戦闘力はほとんど低下していない。
傷の痛みは感じない。体内で戦闘態勢が整えられつつあった。それと同時に
頭の芯が冷え冷えとしていく。感情にとらわれたものは戦場で生き残ること
ができない。カミーラは感覚を総動員して、敵の様子を探った。
>439
ロゼット&クロノ vs ラルヴァ
『譲れない想い、ヒトツ。』
『勇気と無謀は違うわ。もっと考えて行動することね。
次に会えたら、どれぐらい成長しているか見極めてあげる』
彼女の言葉とともに、繰り出された蹴りが私を弾き飛ばす。
ぐ――――ッ!!
『あんたーーー!!』
「・・・・逃げ・・・・・!!」
間に合わない!!
彼女の指がトリガーにかかる――――!
「はぁぁぁぁぁッ!!」
クロノの叫び声。
そして・・・・飛びくる鉄パイプ!
彼女が、後ろに飛び退る。
そこ――!
私は、彼女の足元めがけ聖火弾を打ち込む!
炸裂する十字の閃光!
「あんた、大丈夫?!」
『あ、あぁ・・・・・・。』
「ロゼット、準備できたよ!」
そう言いながら、クロノが私に数個のビンを手渡す。
そして、ハンカチをとりだし、口に詰める。
「おっしゃぁ!行くわよ!」
そして、銃のトリガーを引き聖火弾を炸裂させる!
閃光とともに生み出された火がハンカチに燃え移る。
火のついたビンをかまえ、私は彼女に向き直る。
「これでも・・・・・食らえッ!!」
ビンを彼女めがけて投げつける!!
彼女の足元で割れたビンの中身がぶちまけられ・・・・・・炎が巻き上がる!
「即席で悪いけど!!」
>442 >445
ベルトを手に身構えるみほ、そして「阿修羅」を構える京也。
そして、黒衣の男を従えててのひらに炎を燃やす美夕。三者が睨み合うのはTV局の廊下―。
「生ける死人、それがあなたの正体・・・そうでしょ?『蘭麻みほ』」
嘲るような笑顔で問い掛ける美夕。
「あなたたち『監視者』に邪魔はさせないわ」
憎々しげに美夕を睨みつけるみほ。
「これ以上、人の世界と闇の世界の均衡を崩させるわけにはいかないの・・・!」
美夕は鋭く言い放つと、炎を鞭のように躍らせる。タイミングを合わせるようにラヴァが斬り込む。
完璧にコンビネーションの取れた二人の連係が襲い掛かる――
>449はミス・・・・。
こっちね。
>439
ロゼット&クロノ vs ラルヴァ
『譲れない想い、ヒトツ。』
『勇気と無謀は違うわ。もっと考えて行動することね。
次に会えたら、どれぐらい成長しているか見極めてあげる』
彼女の言葉とともに、繰り出された蹴りが私を弾き飛ばす。
ぐ――――ッ!!
『あんたーーー!!』
「・・・・逃げ・・・・・!!」
間に合わない!!
彼女の指がトリガーにかかる――――!
「はぁぁぁぁぁッ!!」
クロノの叫び声。
そして・・・・飛びくる鉄パイプ!
彼女が、後ろに飛び退る。
そこ――!
私は、彼女の足元めがけ聖火弾を打ち込む!
炸裂する十字の閃光!
「あんた、大丈夫?!」
『あ、あぁ・・・・・・。』
「ロゼット、準備できたよ!」
そう言いながら、クロノが私に数個のビンを手渡す。
そして、ハンカチをとりだし、口に詰める。
「おっしゃぁ!行くわよ!」
そして、銃のトリガーを引き聖火弾を炸裂させる!
閃光とともに生み出された火がハンカチに燃え移る。
火のついたビンをかまえ、私は彼女に向き直る。
「これでも・・・・・食らえッ!!」
ビンを彼女めがけて投げつける!!
割れたビンの中身がぶちまけられ・・・・・炎が巻き上がる!
ビンに書かれていた文字は―――――『スピリタス』!
「お酒ってのは・・・・・こ〜いう使い方もあんのよ!!」
『無明の住人』
バイロン 対 閑馬永空
>446
あれなる小さ刀にて居合の構え、何を企むやら知れたものでは無き曲者。
されど我が存念にても迷い無し。
低き激しき声ならぬ吼え声吐き捨てて、不死の剣客雪上を馳駆せり。
血流れ肉裂け満身創痍、されど動くは外道に堕ちし身ゆえか。
走りながら弓手より迸りし銀光の流星。
異人へ匕首投ぜつつ、閑馬の勢い、止めて止まらじ。
ロゼット&クロノ VS ラルヴァ 『譲れない想い、ヒトツ。』
>451
飛んできた鉄パイプは、かわす事ができた。
少年が気配を消す術に長けていなかったのが幸いしたらしい。
それでも、少女が再び撃ってきた輝く弾丸のせいで、また距離を放す事になった。
そして、少年が持ってきた瓶が投げつけられる。
先程のオレンジとは訳が違う。
即席とはいえ火炎瓶の炎が足元を舐める。
あんな物をどこから取ってきたのやら、と内心苦笑した。
殲鬼化しているのならともかく、足を火傷してしまえば走る事はできない。
仕方なく、大きく回り込む事にする。
私は獣ではないのだ。炎を必要以上におそれる事はしない。
逃す心配はないだろう。
少女と男の放つ、強い柑橘系の匂いを追えばいいのだから。
だが、最大の問題は……
赤く血のような色を放つ夕日を背に、私は焦りを感じていた。
―――夜は吸血鬼の時間なのだ。
魔界転生異伝〜鈴鹿御前 対 天草四郎
>447
使鬼が天草の髷に両断される。
だが、その隙に私は奴への接近に成功していた。
私の突きは天草が素早く抜き放った白刃に軌道を逸らされ、大通連の切っ先はその肩に突き刺さる。
失血のため、速度に乗り切れなかったか。だが───手応えはあった。
刀を引き抜き、後ろへ跳んだ天草は、怒り狂って叫びながら再び向かってくる。
その手から放たれたは、妖術によって刃と化した髪の環。
しかし、それらは私の剣によって容易に両断される。
怒りに我を失い、術の集中が乱れたか。
そのまま、天草の懐に跳び込んだ。
振り下ろされた髷を、正に紙一重で躱す。
「地獄の鬼には、私からよろしく言っておく。この世で犯した罪を償ってくるがよい!」
一閃。
天草四郎の首は、私を罵ったその表情のまま、宙へ舞った。
『無明の住人』
バイロン 対 閑馬永空
>452
閑馬が投ぜじ匕首は、風きり異人に迫り来る。
異人それを避ける気色もなし。
しかれば匕首深々と刺さり、異人の臓腑を抉りたり。
だがしかし、その一撃は、異人を葬り去ることはかなわじ。
閑馬が一撃を迎えうつは、
左手で鯉口切り鞘に添え、柄に右手を軽く添え、
やや腰を落とした姿勢からの必殺の居合。
否。さにあらず。
異人、柄から右手を離すと左足を大きく前に踏み込み、
同時に鞘を握った左手を大きく前に突き出したり。
柄当て。
閑馬永空が眼球めがけ、柄頭が突き進みける。
妖女狩り異聞
>445>450
「均衡ね……」
ふ、とみほはさびしげな笑みを浮かべる。
「たかがそれだけの理由であなたは私達を滅ぼすの?」
舞うように動き炎をかわし、ベルトでラヴァとの間合いを取りつつみほは言う。
だがその言葉は美夕に向けられていない。
本当に聞かせるべき相手は、京也だ。
いかにみほといえど三対一ではさすがに分が悪い。
ならば事情を知らない京也を牽制してこの状況を覆す。
この世界では死人は己を偽らざるを得ないのだ。
それを思うときのみほの胸中は、いつも苦い。
だからこの笑みにこめられたつらさだけは、真実だった。
>441>448 アセルス&カミーラVSフリッツ
奥へと進む私たちを、突如銃弾が襲った。
いや、正確にはカミーラを。
銃撃を受けたカミーラは即座に反撃。
私も一瞬、剣の柄に手をかけたが―――そこは既に、私の介入できる“場”ではなかった。
私は無言のまま、その場から離れる。
下手に声をかけるべきでないのは明白であったし・・・それに、
私とカミーラの中に、無用な言葉など必要ない。
私たちは愛し合う者同士であると同時に、戦友なのだから。
私はその場をカミーラに任せ、先を進み・・・そして、その扉の前についた。
濃厚な血の香りが、例の少女が扉の向こうにいると告げている。
私はためらうことなく、扉を開けた。
・・・彼女は、モーラは確かにそこにいた。
眠り姫の如く横たわった姿で、輸血用血液を腕から注入されて
綺麗な顔を見せ、そこにいた。
・・・そう、全く綺麗だった。
しもべから受けた傷はかなり癒されているらしい。
ダンピィルの少女・・・か。
・・・クク、これなら相当に楽しめそうだ。
私は少女に近づき、その小さな可愛らしい唇に軽く口付け―――輸血用チューブを乱暴に引き抜いた。
そしてそのまま、いまだ目を覚まさぬ―――さすがに王子様のキスで目覚めはしなかった―――彼女を抱き上げる。
さあ、カミーラの元へ戻ろう。
これが戦利品、今夜のオモチャだ。
きっと彼女も気に入るはず・・・そして、あの男はどういう反応を見せるのか、楽しみだ。
魔界転生異伝〜鈴鹿御前 対 天草四郎
>454
―――天草四郎の顔に驚愕の波がひろがった。
斬人斬馬、触るれば鋼さえも斬る。忍法髪切丸が。
なぜ髪切丸の忍法が通じなかったのか。鈴鹿の力のせいではない。
―――己のせいだ。
「ちいっ」
髷をもって鈴鹿を叩き切ろうと振り下ろす。
それが鈴鹿の体に届くよりも早く、その刀が四郎の首を刎ねた。
首が中を舞い、地面の転がる。
だが、四郎は笑っていた。その笑いは―――実にこの世のものとは思えない、
邪魔、呪詛、悪念の腫瘍がはじけたかのような凄まじいものであったのだ。
「くくく・・・・・・さすがよの・・・・・・だが覚えておけ。わしが死んでも、まだまだ転生衆は六人おる。
そして・・・・・・悪路王も間も無く復活する。うぬに斬れるか?一度は愛した男を?」
ペチャペチャと、避けた声で、一語そういって、天草四郎は醜怪な笑顔のまま、絶命した。
>453
ロゼット&クロノ vs ラルヴァ
『譲れない想い、ヒトツ。』
「しつっこい!!」
私は、彼と逃げ出しながらもう一個のビンを投げつける。
再び広がる炎の海!
再び、一瞬躊躇する彼女。
その隙に、私たちは距離を離す。
いつのまにか太陽が沈み始め、夕日があたりを赤く染める。
「・・・・・それにしても、あんたなんか元気になってきた?」
『あ、ああ。なんだか夜になると気分が楽になるんだよ。俺。』
「ホント、吸血鬼みたいね〜・・・・。」
『し、しかたないだろ?!』
「はは・・・ゴメン!」
「この公園突っ切って住宅街にはいれば・・・・・車がある!
急ごう!」
そんな事を話しながら、私達は公園の中を突っ切る。
公園の中ごろまできたころだろうか・・・・・。
不意に、彼の足が止まる。
息が、荒い。
走りつかれたというよりは・・・・まるで、何か病気か何かのように。
「ちょ、ちょっと!大丈夫?」
『う・・・・は・・・・・。』
肩で息をする彼。
彼の顔は蒼白で、まるで死人か何かのような印象を持たせる。
「ね、大丈夫?!ホントに?!
はしれる?!」
『く・・・・・は・・・・・。』
彼が、がしり、と私の肩をつかんだ。その手に力が篭る。
「ちょ・・・・っと・・・・・痛いわよ?!」
『う・・・・・あぁぁぁぁ!!』
その時、私は見た。彼の口の端に、やたら長い犬歯が見えているのを。
妖女狩り異聞
>450>456
「たかがそれだけの理由であなたは私達を滅ぼすの?」
京也の動きがふと止まる。
みほの口調には真摯な響きがあったのだ。
闘いの場にもかかわらず、手持ちぶさたに頭を掻く。
「死んだ方がいいなんて、絶対思わねえけどさ」
口調は素っ気ないが、こもった感情に偽りはない。
「もし、死んじまったんなら・・・変に生き返らない方がいいと思うぜ?
まあ、<新宿>での経験上だがな」
京也の目が光る。一転、真剣な表情だ。
「だから、細かい事はともかく・・・
死人だってんなら成仏させてやるぜ、おれの『念法』でな。
どうなんだ、蘭麻さん?」
真っ直ぐに伸ばされた阿修羅からは、凄烈な念が静かに吹き上がっていた。
『ガンチェリー』 vs カミーラ "Strangers in Paradise"
夕食までの暇潰しにとたまたま入った古書店で、カミーラはすっかり読書に
夢中になっていた。最近のこの国の出版状況からして、どうせ大した品揃え
ではあるまいと半ば馬鹿にした気分で入った本屋だったのだが、外見からは
想像もつかないほど広い店内に並んでいるのは、古今東西の珍書・稀覯書だっ
た。プトレマイオスの『星体の影響に関する四書』のギリシア語版、『ソロ
モンの鍵』のラテン語版、フランシス・バレットの『magus』、アルセニオス
の『錬金術の精髄に関する17章』、そして『真実の教書』、『黒い雌鶏』と
いった魔道書。
いずれも、いまではなかなか入手することの叶わない貴重な書物だった。そ
んな本がこんな文化果つる地にあるとは思いもよらず、カミーラは時間を忘
れてページをめくっていた。
店の時計が6時を告げた。
カミーラはふと我に返った。二時間以上も本を読みふけっていたらしい。そ
れほど金の持ち合わせがないのが残念だった。ここにある本の価値を思えば、
棚一つ丸ごと買い取っても惜しくないほどなのだが。
仕方なくカミーラは店を出ると、中央線のガード沿いに歩いて交差点に出た。
足早に駅の北側を抜け、サンロードと書かれたアーケード街に入る。周りの
視線がわずらわしかった。特に、男の好奇心に満ちた視線が。東欧系の顔
だちをした彼女の容姿は、どちらかというとのっぺりとした顔だちの日本人の
中に入るとひどく目立つ。
カミーラは今日の夕食を人ごみの中で物色した。脳裏で警報がなる原因に
なっている自分を監視する視線には、とうの昔に気付いている。黒い髪と瞳の
人間が大部分のこの街では、磨いた銅色の髪と青い瞳はひどく目立つのだ。
なるほど、わたくしと同じ異邦人、この東の果ての楽園で一体何の用かしら
と彼女は思った。
>291
ジャッジ・デス一行vsヴェドゴニアキャラクターズ
燦月製薬本社工場が地獄と化した。
炎に包まれ、死屍累々と警備員や傭兵、職員が横たわる。
襲撃者は四人。
その誰もが死臭を放つ死者、異能の死者だ。
こう言うときが、俺の出番だ。
燦月はこう言う時の為に俺を雇っていたのだから、俺がここで迎撃に行かないのは契約違反だろう。
だが、そんな事は俺にはどうでも良い些事に過ぎない。
俺にとって重要なのは襲撃者が異能の、強力なバケモノであること。
ただそれだけだ。
「コイツは面白そうだ・・・久々に楽しいセッションになりそうだなァ!!」
愛用の得物を手に、俺は悠々と修羅の巷と化した燦月内を、最も近い襲撃者に向かって歩く。
警備員達が、傭兵達がバリケードを築き侵入者に対抗している屋外の一角。
その場に到着した瞬間、バリケードは警備員達ごと炎に包まれた。
「よう、イイ夜だなァ!」
ギターを掻き鳴らし炎の向こうの人影に呼びかける。
「殺し合うには最高の夜だ。なぁ、そう思わないか?」
歌うような口調で、嘲うかのような表情で、血に餓えた紅い目を輝かせながら。
焼け焦げた数多の死体よりも更に濃厚な死臭を放つその男に。
俺はウピエル。ジグムンド・ウピエル。
30年以上昔に失踪したはずの伝説的メタルミュージシャン。
夜の狩人。血と闘争に餓えた吸血鬼だ。
妖女狩り異聞
>456 >460
「そう・・・たかだかそれだけ」
美夕は、みほの想いを冷酷に切り捨てる。
それが監視者の定め。どんなに正当な理由があろうとも、人の世界を侵食する魔を闇に帰す―
その使命の名の元に、幾多の妖魔を焼き尽くしてきた非情の狩人の。
ふと目をやると、京也の念が、目に見えるほどの形で噴き上がっている。
『・・・案外、簡単に決着しそうね』
そう思いながら、ラヴァと二人で京也の切っ先に追い込む形の陣を作る。
>448 >457 アセルス&カミーラVSフリッツ
銃弾をかわすことは出来ない。人間ならば。
奴は相変わらずの化物そのものの反射神経での銃撃を仕掛けてくる。
無論、避ける術は無い。
もっとも、奴が反撃する事は目に見えて分かっていたことだ。
撃ちながらそのまま回避をしたつもりだった。
だが奴はその間に射撃をする事が出来る。
スパン、とボディアーマに銃弾が突き刺さる。
足の肉を別の弾が削ぎ落とす。
熱い。
灼熱が腹の底から沸き上がる。
糞!糞!糞ったれ!!
だが、こんな傷も痛みも何の事は無い。
俺は狩人だ。それ以上でもそれ以下でもない。
モーラが笑ってくれれば良い。そのためなら
百匹だろうと千匹だろうと捻り殺す。決意。
しかし――――――――俺は痛みに頭が支配され、気づかなかった。
もう一匹がいない。それが意味する事は語るまでもない。
・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
時は止まっている。奴も、俺も動かない。
無 言
―――――ふいに扉が開く。
底から現れた、蒼い髪の化け物が抱えているそれは相棒、そして最愛の妹だった。
『ガンチェリー』 vs カミーラ "Strangers in Paradise"
【ガンチェリー側 導入】
「・・・これが日本かよ」
空手と、イチローと。ポケモンとか。後、スシ。侍。禅。
そんなイメージにもなっていないイメージを打ち砕く現実が今、
オレの目の前に迫りつつある。
ここはある街のアーケードの中。
蕩けそうなクリームの甘味を持った空気がお腹を刺激する。
端のほうにはマックがあったりもしたっけ。
禅の精神も、侘び寂びもクソもあったもんじゃねぇ。
・・・もっとも。
オレのイメージを壊した原因は、勿論そんな事じゃない。
こんな所にこんないい時間、一人で立ってる理由は・・・。
-------------------------
今から十数分前。オレはマヤと一緒に稀文堂っていう本屋で
漫画を読んでた。なんでも、この店は世界中のあらゆる本が手に入るん
だって。
オレはつい、日が西に傾くのにも気づかずに、漫画を読んでたよ。
ある筈のない、『SLAMDANK』の第二部とかを。
湘北のルカワが赤い髪の男を詰った時。
オレの体に、ピリッと微弱な電流が走った。
「・・・シルバーバレル?」
銃型キーホルダーはオレのポーチについたままくるくる回ると、
2つ向うの棚で、嫣然とした笑みを滲ませ本に食い入ってる女性
をポイントした。
・・・その女性客が店を出るのを確認して、オレはマヤを
適当に言いくるめ、女の後を追いかける。
尾行段階で女がアーケードに入ったから、オレもそこにいるって訳。
その女は間違いなく、妖怪。・・・しかも、邪悪で相当な大物。
このまま尾行しても何れ撒かれる危険もある。
・・・折角外国に遊びに来れたのに、この有様。ついてねぇ。
オレは覚悟を決めて犠牲者が出る前に、女に話し掛ける事にした。
「Hi!・・・お姉さん。夜遊びにはまだ、早いぜ?」
オレはジーンズに入れたキーホルダー状のシルバーバレルを握りながら
女に接近し、声をかけた。
第何次か忘れたが、報告書。
>55 ロゼット vs ルシエド
>62 弓塚さつき(死徒27祖Ver) vs キメラヴァンプetc
>64 ロングファング VS バイロン
>95 レイオット・スタインバーグ 対 悪浩志
>102 ナルバレック VS ネイム・オンリー(保管庫行き)
>134 殲鬼vs闘鬼〜ガロン vs 不破雷也
>194 セラス・ヴィクトリア VS パイフウ
>200 アイン vs 江連
>241 なあじゃ vs 斗数 ◆『vs元中壇元帥』
>316 比良坂初音 VS メ・ガリマ・バ
>317 ロゼット VS ストリクス
>322 ヒカト vs 閑馬永空
>329 藤井八雲 vs 寄生獣「鈴木」
>342 御神苗優vs暗黒騎士ガウザー 〜龍脈のピラミッドにて
>370 ルーク VS バイロン & ソフィア・テオドレス
抜け、誤りあったら報告よろしく。
>465は>461の続きね。
魔界転生異伝〜鈴鹿御前 対 天草四郎
>449
血に転がった天草の首が、醜怪な笑顔を浮かべたまま言う。
その笑みは正に、この世の負の想念を縒り集めて作ったような、おぞましいものであった。
「くくく……さすがよの……だが覚えておけ。わしが死んでも、まだまだ転生衆は六人おる。
そして……悪路王も間も無く復活する。うぬに斬れるか?一度は愛した男を?」
失血のためにふらつく脚を叱咤し、斬られた左腕を拾い上げる。
今の状態で他の転生衆に遭遇すれば、命はあるまい。
「斬るさ、斬らねばならぬ。私が愛したのは、坂上田村麻呂ただひとり。
彼と誓ったのだから、私は人として生きると」
絶命した天草の首にそう言い捨てて、私はその場を立ち去った。
―――生きて、鬼を斬り続けるために。
>468のレス番指定、>449は>458の間違い。申し訳ない…
ロゼット&クロノ VS ラルヴァ 『譲れない想い、ヒトツ。』
>459
柑橘系の匂いをたどっていくと公園にたどり着いた。
耳を澄ますと……風に乗ってうめき声が聞こえる。
間に合うだろうか?
そちらの方へと急ぐと、案の定男は苦しんでいた。
―――殲鬼となった私と同じ苦しみ。
私にはその耐えきれない渇きが痛いほどわかる。
どんなに好きな人の血でも、
どんなに大切な人の血でも、
目の前にあれば吸わずにはいられないのだ。
だから、せめて苦しまないようにしてやろう。
願わくば、私の最期もそうあって欲しい物だ。
私の願いを込めて、.454カスール弾は放たれた。
……もっとも、吸血鬼に堕ちかかったこの身の願いを聞く神など、
地獄にしかいないのだろうが。
それでも、願いは届いたらしい。
大きくはじけ飛ぶ男の頭が見えた。
溜息をひとつ付く。
少女の目の前で演じるには、酷な見せ物に違いない。
そのまま立ち去ろうかと思ったが、私には恨み言を聞く義務くらいはあるだろう。
銃をしまって、棒立ちになっている二人の方へ向かった。
妖女狩り異聞
>460>463
京也の木刀から吹き上がる念が、美夕の炎が、ラヴァの爪が、みほを追いたてる。
その必殺の布陣に観念したかのように、みほは目を閉じ、木刀の切っ先の前にその身をさらす。
だが、それすらも擬態。
次の瞬間にはみほの口腔から飛び出したひもが、楽屋のドアを突き破る。
それがみほの舌と見ぬいたものがこの場にいたか。
ともかくそれは楽屋の中の人間を絡め取り、その身をみほの腕の中におさめる。
次の瞬間にはみほは不幸な人質――昼の番組に出演する予定だったアイドル――の喉首に
自らの舌の先端を突きつけていた。
「陳腐な台詞だけど、道を開けないとこのこが死ぬことになるわよ」
舌を伸ばしながら何故喋る事が出来るのか?
ともかくみほはそう言った。
その顔には、もはや先ほどの憂いを含んだ笑みはない。
変わりにこの上なく邪悪な笑みが浮かんでいた。
>457, >464 アセルス&カミーラVSフリッツ
カミーラの放った弾丸は、敵の身体に次々と着弾していった。
特別に設計された4.72mmAP弾が、ボディーアーマーを貫き、相手の
肉を削ぎ、血を吹き出させる。
だが、見かけ上、彼は何のダメージを受けていないようにみえた。
彼の身体に追加の弾丸を送り込もうとしたとき、部屋の扉が開いた。
入ってきた者が誰であるかを知り、彼女が何を抱えているのかを知って、
カミーラは自分達が勝利をつかみつつあることを知った。
そちらに完全に気を取られている敵に、カミーラは銃撃を加えた。もう、
殺す必要はない。死よりもよほどひどい苦痛を彼に与えることができる
のだから。誰でも、自分が苦しむより、自分が愛する誰かが苦しめられる
のを見せつけられる方がはるかに苦痛だ。
右肩に着弾した弾丸が、彼から右腕の力を奪う。続いて両足に受けた弾に
よって、彼は立つことができなくなった。取り落とした銃に続いて、彼の
屈強な身体が床に崩れ落ちた。
この男の戦闘力を奪ったことを確認すると、カミーラはアセルスに声をかけた。
「それでは、ショーを始めましょうか」
床に目をやる。
「この方も見物したいと思われているでしょうから」
『無明の住人』
バイロン 対 閑馬永空
>455
肉を潰す音引いて、閑馬の眼球打ち抜かれん。
更に奥底の脳髄砕かんと迫る柄頭の一撃、その必滅なる恐ろしさよ。
異人の一撃、されど其処にて止まれり。
呼吸計って同時に繰り出しし、閑馬の一刀に左胸を貫かれたが為に。
未だ異人の腹に突き立つ匕首を弓手が掴み、
心の臓貫きし愛刀に馬手が力込めん。
一息に諸手を上空へ上ぐ。肉裂き骨断ち刃は抜けん。
戻りつ刃舞う所、腕斬り脚斬り朱を撒いて、胴の割れるは二つ三つ。
最期に斬り落つ首から上と共に、閑馬も地に膝折る。
己と異人の血で真っ赤に染まりつ、吐く荒息の色は白。
何も云わず残さず、異人此処に死せり。
されど最期の胸の内、手に取るやうに閑馬には判りつる。
眼裏(まなうら)に浮かびしは、在りし日の戦の数々なり。
脳裏に想いしは、七生までその日々繰り返さんとての一念なり。
食ふ寝む目合(まぐは)ふよりも尚、求むは太刀愛殺し愛。
末路の時すら斬り愛わんとす、さても虚しき修羅しゅしゅしゅ。
舞い散る雪は生者に死者に、分けも隔てもせずに降る。
万象等しく骸も白に、鬼去来闇夜の幕下りぬ。
『無明の住人』
バイロン 対 閑馬永空
>474
無明世界に影二つ
あいまみえなば剣の音
露と消えた影一つ
暗き昏き橋の上
それより昏き影一つ
地獄めいた景色の底に、雪は音もなく落ちてゆく−−−
ジャッジ・デス一行vsヴェトゴニアキャラクターズ
>462
ジャッジ・ファイアvsウピエル
燃え上がる炎に全身を包んだ黒い影、ジャッジ・ファイアは、自身に向かって話しかけた男性の方角に振り向いた。
眼球のない眼が、男性を見据える。
「殺ォし合うゥゥ?そいつはァ違うぜェェ、これは裁判だァァァ!
てめえら生者のォォ、生存の罪を裁ァァくためのなァァ!」
舌をもたない口から、嘲笑が洩れ出す。
「てめえェェェも死刑だァァァ!このジャァァッジ・ファイアァァァ様の炎でッ、くたばァッちまいなァァァ!」
ジャッジ・ファイアはそう言い放つと、両手で構えた槍の先端から一筋の炎を
浴びせかけた。
バイロン殿との戦のレスを纏む。
『無明の住人』
バイロン 対 閑馬永空
>374 >378 >380 >385 >389 >393 >399 >401 >422 >424
>425 >426 >429 >438 >440 >444 >446 >452 >455 >474
>475
さても珍しき文体の死合いになり候。
妖女狩り異聞
>472
「ふぅん」
何の感慨も見せず、美夕はその手に炎を溜める。
TVでよく見る顔の少女。あの死人の餌食にするには少しもったいないが、それだけだ。
世界の均衡が崩れたら、この何百、何千、いや何万倍も死者が出るのだ。
それに比べたら、目の前の命の一つが失われることに何の意味があろうか。
人質を意に介さない美夕の覚悟に、みほは一瞬動きが固まる。
それを見逃さず、黒衣の従者、ラヴァが地を這うように疾駆する。狙いは死人の首ひとつ。
>461, >465 『ガンチェリー』 vs カミーラ "Strangers in Paradise"
気配が近付いて来ると、背後からくだけた英語で話しかけられた。
このなまりは、ニューヨークの、そう、ブロンクスとかいう地区のなまりだ。
自分はイギリス英語しか知らないが、まあ同じ英語だ、通じるだろう。
「そういうあなたは、どなたかしら?『稀文堂』とかいう名前の本屋から
ずっとわたしのことをつけていたみたいですけど」
言いながら相手を観察する。身長は自分よりも頭一つ低い。先ほどから
目立っていた磨いた銅色の短い髪、生気に富んだ青い瞳。もう5年もすれば、
さぞかし自分好みの美人に育つだろう。はすっぱな雰囲気を漂わせて
いるのはカジュアル過ぎる服装と、それからなまりにあらわれている
育ちのせいかもしれない。
観察しながらもカミーラは警戒を解いていない。彼女は自分の正体に
気付いている。とすれば、見かけどおりの少女ではあるまい。
カミーラは、肩にさげたオストリッチのバッグの中のHK MP9と予備弾倉の
重さをもう一度確認した。この平和な国でも、彼女のような存在には常に
警戒と自衛の手段が欠かせないのだ。
>464>473 アセルス&カミーラVSフリッツ
少女・・・モーラを戻ってきた私を見て、その男・フリッツが一瞬硬直した。
その隙にカミーラはフリッツに銃撃、奴の戦闘能力を奪った。
カミーラが私に語りかけてくる。
『それでは、ショーを始めましょうか。
・・・この方も見物したいと思われているでしょうから』
「ふふ・・・そうだね、始めよう。観客は一人だけど、それで十分。
―――まずは、主役のこの子に目を覚ましてもらわないとね」
私はそう言ってカミーラに微笑み返し・・・再びモーラに口付けた。
ただし今度はさっきとは違う。無理矢理に舌を差し入れ、動かぬモーラの舌と絡ませる。
『・・・・・・ん・・・んん・・・っ!?』
モーラが目を覚まし、呻き声を上げる。
それを確認して、私は唇を離した。
「お目覚めかな? 眠り姫。 私が誰だかわかる?
―――君たちに罪も無いしもべと寵姫を大量虐殺された、憐れな主だよ」
驚く彼女の顔を覗き込みながら、にっこりと微笑む。
私は、まだ彼女を魅了させてない。じっくりと、自分が堕ちる様を味わってもらわなくちゃいけない。
そんな彼女に、私の顔はどんな風に映ってることやら・・・
妖女狩り異聞
>472>478
京也の顔に焦りが浮かぶ。
基本的には正直なのだ。駆け引きには向いていない。
いかにレヴィー・ラーを葬った剣技を持ってしても、
この距離からでは、みほの舌の方が速い。
ここは一旦道を譲って策を考えるか?
そんな京也の考えをあざ笑うがごとく、美夕とその従者は動いていた。
再び、炎が廊下を照らす。
「ま、待て! そんな事したら、あの娘がやばいだろ!」
だが、黒衣の男は耳がないかのように、みほと人質のアイドルに迫った。
あの勢いでは、人質ごとみほを切り裂きかねない。
「待てっつってんだろうが!」
制止の言葉よりも、行動の方が早かったかもしれない。
京也は男を追い越しかねない勢いで飛び出し、振り向きざまに阿修羅で胴を薙ぎ払っていた。
念の量はそこそこだが、お灸をすえるには充分だろう。
妖女狩り異聞
>478>481
京也の一撃がラヴァを打ち据えたのを見てみほは内心ほくそえんだ。
美夕がためらうことなく攻撃を指示してきたときには少々肝が冷えたが
こちらの望む状況になった。
どうやら十六夜京也という男、相当に甘いようだ。
みほにはこの隙を逃すつもりなどない。
訳もわからずに震える人質の少女を抱えたまま早足でその場を離れる。
廊下の行き止まり、エレベーター前まで来ると下へ行くボタンを押した。
向うは地下駐車場。そこに蘭麻みほの愛車があった。
『ガンチェリー』 vs カミーラ "Strangers in Paradise"
>479
夕焼けの大気すらくすむ華美な空気を背負った女には
一分の隙も見当らない。
女の値踏みするような視線は恰も魔力を持つようで・・・。
オレはヤツの作り出す瞳の螺旋に吸い込まれそうになる。
・・・ヤクイぜ。
この人を虜にする能力。
女のオレが感じるんだから、サキュバスじゃない。
いや、本人は意識して力を使っている訳では
ないんだろうけど、妖力に敏感なオレだから感じるこの力は・・・。
「オレはさ・・・こういう者だよ」
腹に必死に力を込め、相手にガンをつけたままそう言って。
オレは皮ジャンの襟口に手を突っ込み、首から下げたシルバーのクルスを
女・・・多分、ヴァンパイアに向かって素早く突きつけた。
妖女狩り異聞
>481 >482
「・・・・っ!!」
『阿修羅』に胴を打ちすえられて、ラヴァは膝をつき動きを止める。
すべての制約から解き放たれた吸血姫である自分と違い、生粋の魔であるラヴァにとって、
たとえわずかでも『念』の一撃は相当に効いただろう。
そして、その隙にみほはまんまと逃げおおせる。空間を転移して追おうにも、ラヴァはしばらくは
戦力になりそうもない。そして京也も、人質を取られていてはこちらの思惑通りには動くまい。
「やられたわね・・・」
美夕は吐き捨てるようにつぶやくと、京也に顔を向ける。その表情は、険に満ちたものだった。
「あなたがいらない仏心を出したせいで逃げられちゃったじゃない・・・!」
いつの間にか、ラヴァは姿を消していた。美夕は京也を食い殺さんばかりに睨み問い詰める。
「・・・彼女を逃がしたせいで、犠牲者は増えるわ。どう責任を取るつもりなのかしら」
「人質がいたじゃねぇか!」
「一人の犠牲でどれだけの死が防げると思ってるの・・・効率が悪過ぎる計算ね」
美夕の口調では、まるで人の生死をただの数勘定としか捉えていないようだ。
その冷徹さが、京也の気持ちを余計にいらだたせる。
妖女狩り異聞
>482>484
「人の命を効率とか計算で計るな!」
あくまで美夕は冷静だ。
理屈で言うならその言葉は正しいのだろう。
しかし、京也の感情はその言葉を真っ向から否定した。
「後で何人死ぬかなんて、わかんねえだろうが。
目の前の命ぐらい救ってやれねえんじゃあ、気分が悪すぎるぜ」
言い争う時間はない。
その「目の前の命」が危険にさらされているのだ。
「とにかく、おれはあの娘を助ける。
その邪魔をするんなら、そのにーちゃんにもう一発叩き込むぜ。
したくないけどあんたにもな、美夕ちゃん」
さっさと話を切り上げる。
当然、焦りは有るのだが、なんとなく理屈ではこの少女には勝てないような気がしていた。
―――だったら、いつも通り行動で示すだけだ。
急いでみほの後を追う。階段では間に合わないだろう。
京也が阿修羅を一振りすると、エレベーターの扉は音もなく両断された。
まあ、人命救助の為だ。代金は勘弁してもらおう。
鋼鉄のロープに手を掛け、一気に滑り降りる。
・・・・・・間に合ってくれと願いつつ。
妖女狩り異聞
>484>485
ぐずぐずしてはいられない。
美夕と京也もいつまでもあそこで仲間割れはしていないだろう。
一刻も早くここから離れなくてはならない。
エレベーターが地下について扉が開く。
それと同時に屋根の上に何かが乗った音がほんのわずかに聞こえた。
それが何なのか言うまでもない。京也か美夕か。あるいはその両方。
駐車場に出てそのままあとずさる。
はたしてエレベーターの上部点検口を破って現れたのは十六夜京也だった。
エレベーターと階段を同時に視界に入れながらみほは後退した。
人質を自分の車に押し込むと運転席に座り発車する。
視界の隅に、これまた駆けつけたらしい美夕の姿を捉える。
だがもう遅い。
二人に嘲笑を浴びせながら、みほの車はその場を去った。
駐車場を抜け、道路に出てもみほの気は晴れなかった。
ともかくも逃れたが問題は解決したわけではないのだ。
あの二人は必ず倒さなければならない。
生きている限り自分の前に立ちふさがるだろう。
ならば、いっそこちらから招待してやれば良い。
そのためのえさはすでにある。
そう考えてみほは視線を助手席に向けた。
そこには今だみほの舌で縛られ、恐怖に震える少女の姿があった。
>487-488 Wow…
>410 vsフラック
しゃらん――――
と音を立てて、主の手を放れた錫杖が床に落ちた。
それを合図に――レイオットの右脚が跳ね上がり、床に転がったままになっていたスタッフを蹴り上げる。
金属同士がぶつかる硬い音が、死者の蠢く空間に突き刺さった。
まるで弾丸のような速度で宙を舞うスタッフを追うように、レイオットもまた駆けだしていた。
伸ばした腕でそのままスタッフを掴み取ると、見得を切るように一振り。
同時に、鈍い音を立てて床に何かが叩き落とされる。――――腕だ。
それに続くように、無数の肉片が砲弾のごとくレイオットに襲いかかる。
迫り来る、腕、腕、腕、腕、腕――その全てを視界に収めながらも、その速度は微塵も衰えない。
ははっ――と笑いを上げ、一息に腕を振り上げた。
飛来するそれらを、次々に弾く、弾く、弾く、弾く、弾く――――
残像すら伴って全力駆動する両腕は毛細血管を破裂させ、新たに流れ出た血液は紅い霧となって彼を
包み込んだ。
「は――はは、ははははははははっ!」
止まらない。哄笑も、そして前進も。
ひたすらに前に進みながら見据えるのは唯一つ――駒とした死者を踏み砕きながら、猛烈な加速で
こちらに迫る道化師の姿。
彼自身が演出したこの舞台の幕を下ろす為、ぬらぬらと血と脂に輝く指先を構え。そして――――
ごっ――――!
重く響くそんな音を立てて、全てが凍り付いた。舞台の中央には二つの影。
道化師と。巨大な金属の固まりを、その道化師の腹に突き立てる様に構えている、黒衣の戦術魔法士の姿。
爪は、あと僅か。ほんの数センチと言った所で動きを止めている。
――ごきん。という金属音が、スタッフから生まれた。
凍り付くように動きを止めた道化師に向かい、レイオットは鋭く、撃発音声を叩き付ける。
「顕ッ!!」
刹那――虚数界面に構築されていた事象誘導機関から、事象界面に向けてその演算結果が顕現した。
『第一の業火』――<ブラスト>。
小型爆弾にも匹敵する破壊力を秘めた爆炎が、道化師の内部から、爆音を伴って炸裂する。
同時に、彼の胸元から弾け飛んだ最後の拘束端子が、からん……と乾いた音を立てて、足下に小さく
転がっていた。
姫城玲vsディオ・ブランドー
>421
「なるほど・・・妙な手品だな・・・」
轟音とともに屋敷が揺らぐ。
しかし、ディオの体はその衝撃でもバランスを崩さなかった。
彼の足は大木のようにしっかと床につけられている。
ディオは天井にぶら下った青年を見てせせら笑う。
「だがこのディオに人間の小細工など通用せんッ!!無駄無駄無駄―――ッ!!」
カツっと音を立て床を蹴りつけると、ディオは天井まで一気に跳躍する。
石仮面の吸血鬼は、飛鳥のように青年の心臓目掛け貫手を繰り出す!
>490 vs レイオット・スタインバーグ
・・・・・・ほんの、ほんの数センチ――――指の差にして第一関節ほど。
たった、それだけの計算違いが腹のスタッフとなり、放たれる業火となった。
鋼鉄の塊は妖魔の腹を撃ち抜き、その先端を潜り込ませる。
その切っ先に生まれた爆炎は、永久にも近い時を生きた妖魔を内側から焼いた。
熱と衝撃は軟らかい肉を切り裂き、組織を焼き、燻る音と肉の焼ける匂いを散らす。
先ず、飛んだのは腕だった。
歪な角度に曲がった皮と骨ばかりの腕が、炎に包まれながら床に落ちる。
今までの時を惜しむかのように、古き妖魔の細胞は炭へと姿を変えた。
次に、千切れたのは足だった。
黒く焼けた切断面は一滴の体液さえも漏らさず、蠕動のような動きを繰り返す。
裂けた道化師の装束からは、人間のそれとは違う異質な皮膚をのぞかせていた。
最後に、弾けたのは頭だった。
爆発的な炎と破壊は細胞を伝わり、ついにはその頭部さえも捕まえる。
決して消えない笑顔に亀裂が入ると、線のような炎が衝撃が溢れ出した。
脳漿も脳髄もなく肉の塊は、凍てつく微笑みと共に爆ぜて散る。
淡く白い煙と鼻につく異臭、喉の奥から漏れる叫びにもならない吐息。
刹那の破滅が過ぎり、血風が塵芥の如く沈み始め、モールドを汚す肉片がずるりと落ち始めた時・・・
残っていたのは、舌。
鮮血のように赤く、蠢き続ける異様に大きい舌――それは、妖魔フラックの真なる姿――が、一つ。
微かに目を疑い、瞬く。だが、再び開いた目がその妖魔の残滓を見る事はなかった。
<フラック:肉体破壊。再生まで――――――あと、三週間>
>492 vsフラック エピローグ
――――誰も、居なくなった。
魔族も。蠢く死者も。そして、どこから現れたかも今だわからぬ道化師も。
死の充満するその空間にあるのは、黙したまま立ち尽くしているレイオットだけだ。
何もわからぬままに始まった闘争は、何もわからぬままにその幕を閉じる。
だが、わかった所でどうだと言うこともない――彼の興味はただ、目の前に現れた敵と死力を尽くして
戦うこと、それだけだ。考えるのは……自分の仕事ではない。振り返り、一歩を踏み出――
――ぐらり。
体勢が崩れる。その身体を支えようにも、脚は全く言うことを利かない。彼の身体は重力に導かれるままに、
汚濁の満ちる床へとなんの抵抗も出来ずに倒れ込んだ。
同時に――全身に広がる猛烈な苦痛。遠のいていく意識。そこで、ようやく悟る。
――<アクセラレータ>の接続時間が切れたのだ。
強化率を最大に設定していた為、その反動として襲ってくる痛みは想像を絶する。
モールドの隙間からしみこんでくる異臭を放つ液体を肌に感じながら、彼は苦笑をこぼした。
薄れる意識の中、何かを呟きかけて。だが、結局それは果たされずに。
レイオットは、そのまま沈み込むように失神していた―――
次に彼が目を覚ますのは、トリスタン市内の病院の一室であったりするのだが。
それはもう、関係のない話である。
>470
ロゼット&クロノ vs ラルヴァ
『譲れない想い、ヒトツ。』
私の目の前で、彼の頭がはじけ飛ぶ・・・・・。
「あ――――。」
何が起こったのかわからなかった。
そして、地面に横たわる彼を見てようやっと我に帰ることができた。
「い、いやぁぁぁ?!」
思わず、悲鳴をあげる。
そして服が血で汚れるのもかまわず、彼を抱き上げた。
冷たい、体。
さっきまで生きていたはずの、彼。
《ざ・・・・・》
私たちの目の前に、一つの影。
顔をあげなくてもわかる。ソレが誰なのか。
クロノが警戒しながら身を硬くする。
・・・・・そして、私は顔をあげた。
ロゼット&クロノ VS ラルヴァ 『譲れない想い、ヒトツ。』
>495
「彼を殺した事を謝る気は無いわ。
でも……服を汚しちゃったわね」
それだけではない。私は彼女の想いを大きく傷つけた事だろう。
もはや敵意が無い事を示す為、銃をホルスターに戻す。
「もう、彼は助からなかったわ。人として死ねたのが幸いね。
吸血鬼になれば、貴女への感謝の心も無くなるから」
私は…どんな表情をしているのだろう?
無表情で居られているのだろうか?
「憶えておいて。ベストを尽してもこんな結果になる事もあるのよ。
吸血鬼相手だと特にね」
そんな風に割り切るようになったのは、いつからだろうか。
―――私が最後に何かを信じたのは―――いつだっただろうか?
アセルス&カミーラVSフリッツ 途中まとめ。
>295>297>301>308>313>318>323
>387>392>398>403>407>409>411
>441>448>457>464>473>480
・・・この夜の続きは次スレの17へ・・・
>496
ロゼット&クロノ vs ラルヴァ
『譲れない想い、ヒトツ。』
「『服が汚れた』・・・・・?
そんな事どうでもいいわよ!!」
私は、彼の体を地面に横たわらせると、彼女に詰め寄る。
「結果がわかってるからって、足掻くのをやめるのが理性的なやり方?
ふざけないで!!
そんなの・・・・・そんなの私は認めないッ!!」
私は、彼女の襟首につかみ掛かる。
「私は・・・・・最後の最後まであきらめたくない!
・・・・それが・・・・・理性的じゃないっていうなら・・・・・・。
わたしは、そんなものいらない!!」
涙が浮かぶ。悔し涙なのか、それとも―――
「あんたがやったことは救いなんかじゃないわ!
ただ・・・・諦めて受け入れただけよ!!」
妖女狩り異聞
>485 >486
ここで京也までも失うわけにもいかず、空間転移でついて来てしまった美夕だが、結果として
苦い敗北の砂を噛まされるだけに終わってしまった。
獲物を逃した無念さに光る金色の瞳は、遠ざかるみほの車を映していた。
「せっかく時間をかけて支度してきたのに、おじゃんになるのは一瞬、ね」
表情こそ平然としているものの、美夕のつぶやきには明らかな毒があった。―京也の甘さへの。
「こうなった以上、急がないと展開は悪くなる一方よ・・・」
「そんなことはわかってるさ!」
自分を利用した美夕、そしてその冷酷さへのいら立ちが京也の語気を荒げさせる。
「・・・だったらあなたはあの子ごとあの死人を討つべきだったのよ」
美夕はそれを受け流すように冷たく言い放つ。唇を噛む京也に視線も合わせずに。
「わたしは追うわ。そして、あいつを元いた場所に帰す。わたしは・・・『監視者』だから」
それだけ言うと、美夕はくるりと体をひるがえす。清楚な白いワンピースが白い着物に変わると、
そのままふっと姿を消した。
ロゼット&クロノ VS ラルヴァ 『譲れない想い、ヒトツ。』
>498
「救いじゃない?」
私は少しだけ腹を立てたのかもしれない。
「貴女は吸血鬼の事を知らないのよ」
こんな事をして、何になる?
最悪、撃ち殺されてしまうだろう。
それでも、私の感情は理性より優先だったらしい。
いつのまにか、愛用のアーミーナイフを握りしめていた。
「見なさい。これが…人から吸血鬼へなろうとしているモノの姿よ」
頸動脈に刃を当て、一気に引き切る。
熱い血の流れとともに、冷たい鼓動が私を支配する。
身体がふくれあがり、拘束着を押し上げる。
「私には、わかるわ。
私はいつか血の渇きに耐えられなくなる…
人に戻れなくなる…
それでも、貴女は死ぬ事が救いじゃないっていうの?」
>500
ロゼット&クロノ vs ラルヴァ
『譲れない想い、ヒトツ。』
「?!」
ぶしゃぁと、彼女の首筋から血が噴出す。
いきなり何を?!
「ロゼット!!」
次の瞬間、彼女の体がヒトのそれから異形のそれへと変わる。
こいつ・・・・人間じゃない・・・・・!!
彼女の赤い瞳が、私を睨む。
「う・・・・・あ・・・・・。」
その瞳に、私は射竦められる。
背筋を駆け抜ける恐怖感。
彼女が・・・・一撃でも見舞えば、私はあっさりと死ねるだろう。
だが、彼女は静かに口を開いた。
『私には、わかるわ。
私はいつか血の渇きに耐えられなくなる…
人に戻れなくなる…
それでも、貴女は死ぬ事が救いじゃないっていうの?』
それは、哀しみを秘めた慟哭。
「あんたのその苦しみは・・・・・私には一生かかっても理解できない・・・・かもしれない。
―――――けど。
あんたが殺すって言うなら!私はなんとしてでも助けて見せる!!
助ける道を探してみせる!!可能性がどんなに低くても・・・・・・・。
足掻いて、足掻いて、足掻いて!
最後まで足掻くのを止めたりしない!!
それが―――私の譲れない想いだから!!」
私は、一人叫んでいた。
妖女狩り異聞
>486>499
美夕に言われるまでもない。京也は自分の失策を悟っていた。
あの人質の娘が怪我をしようが、何をしようが
あの場で「蘭麻みほ」を捕らえねばならなかったのだ。
だが、それでも―――あのアイドルの少女ごと攻撃する事は京也にはできなかった。
「ったく・・・・・・」
その事自体には後悔は無いが、ひどく不味い事態であることもわかる。
美夕が消えた空間を見据え、自分に言い聞かせるように呟いた。
「やったろうじゃねえか。
あの娘も救って、あの蘭麻みほが死人だっていうなら
きっちり引導も渡してやるぜ」
京也は人質となったアイドルの控え室から、ブラシに残っていた髪の毛を拝借してきた。
控え室周りははすでに警官がいたが・・・なんとかこっそりと事を済ませる事ができた。
人気のないビルの裏で、空気が凍り付くほどの精神集中を行う。
そうして、阿修羅をアスファルトに突き立てる。
音もなく、小石一つ動かさずに路面へと吸い込まれた阿修羅を引き抜くと―――
阿修羅の切尖の影だけが、路面に残った。
「十六夜念法”影矢”―――頼むぜ。あの娘の所まで連れて行ってくれよ」
影に髪の毛を触れさせると、その意をくんだ影矢は道路を滑り出し始めた。
京也も後を追う。
追跡するものはふたつでも、意志はひとつ。
あの娘の命は、必ず助ける・・・!
ジャッジ・デス一行vsヴェトゴニアキャラクターズ
ジャッジ・ファイアvsウピエル 〜審判の劫火と殺戮の旋律〜
>476
生存が罪とは、死人らしい腐り切った発想だ。
だが、ヤツには俺を殺す理由がある。それならそれで充分だろう。
ヤツの吐き出した炎は誰もいない空間を薙いだだけに終った。
俺の姿は既に一段高い建物の上にある。
ジャッジ・ファイアが炎を吹いた瞬間に跳躍したのだが、ヤツは果たしてその瞬間を知覚出来ただろうか?
「裁く?死刑?面白ェ、この俺のことを知ってて言ってるのか?出来るモンなら殺って見せろ!!」
そう言って愛用のギターを構える。ただのギターでは無い。
スクリーミング・バンシー・・・ステァーAUG自動小銃とエレキギター、銃剣が一体となった異様極まる武器だ。
小手調べに、大まかな狙いだけつけて掃射する。
これでくたばるようなヤツなら俺が相手をするまでもない。
>303 朝霞万里絵VS浅上藤乃
『だから、復讐の為に力を振るって、殺したの?』
―――!?―――
力?
私の能力の事?
どうしてこの人が?
私は万理絵さんのその一言で思考が停止した。
そして、停止した思考は憤りへと変貌を遂げる。この人は最初から私の事を狙ってここへやって来た。
今までの私への接触はこの瞬間のためのもの。私が能力をもっていて、そしてその能力で
殺害を犯したと確信し、私の元へやって来た。
彼女がどのような人かはわからない。警察の人間なのか。はたまた探偵なのか。
けど、一つ言える事。
彼女は私と友達になるためにこの場所へ来たわけではない事。
自分が今まで淡々と語ってきた告白は何のための物だったのか?
ただ、私は彼女に自分の恥部を晒し。そして、私の秘密を確信させるための鍵を与えてしまった。
どうしようもなく―――ダメな人間だ。私。
そして、私は俯き。
深呼吸。
もう――――準備はできている。
私は
コノ人ヲ殺サナクテハナラナイ
「はい。そうですよ。」
私は笑顔でそう答えた。
―――ソシテ・・・アナタノ目的ハナニ?
ロゼット&クロノ VS ラルヴァ 『譲れない想い、ヒトツ。』
>501
『 あんたが殺すって言うなら!私はなんとしてでも助けて見せる!!
助ける道を探してみせる!!可能性がどんなに低くても・・・・・・・。
足掻いて、足掻いて、足掻いて!
最後まで足掻くのを止めたりしない!!
それが―――私の譲れない想いだから!!』
真っ直ぐな瞳。真っ直ぐな想い。
私には、こういう時代はなかった。
心の底から、彼女がうらやましい。
「そう… 私達、相容れないかもしれないわね。
でも、貴女が間違ってるとは思わないわ。
その気持ちは、大事にしてね」
身を翻す。
話す事がなくなったというのもあるが、不意に自分の身が浅ましく感じられたのだ。
今の私に取って、彼女は眩しすぎた。
「それは、誰もが持ってるものじゃないから」
繰り言にはなる。
神がもし居たとして、私の願いなど聞いてくれよう筈もない。
だが、それでも―――
あの少女の想いに、そして意志に、幸いのあらん事を。
妖女狩り異聞
>427>428>430>432>437>442
>445>450>456>460>463>472
>478>481>482>484>485>486
>499>502
続きは次スレよ。
ジャッジ・デス一行vsヴェトゴニアキャラクターズ
ジャッジ・ファイアvsウピエル
>503
ウピエルの放った銃弾を、ジャッジ・ファイアは避けようともしなかった。
数発がジャッジ・ファイアの脚と腹に命中するが、炎の中の影は
まったく動じない。
「てめえェェェ、他の雑ァァ魚どもとはッちィィがうなァァァ? 何者だァァァ!?」
炎の中から狂気と怒りに満ちた声があがり、次の瞬間には悪鬼のごとき笑いに変わった。
「名前を聞いィィィてやるぜェェ、刑の執ィッ行に抵抗するゥゥ大ォォ馬鹿の名前をよおォォォ!」
>358 血塗れの遁走曲
壊れ魔女VS脳腐れゾンビ・・・そして、不思議執事 『血塗れの遁走曲』
――ああ、ああ、ああああアッ
爆風が晴れ、ヴァージニア・13は見た。
もはや、元が何であったか判らないほどに破壊し尽くされた劇場。
キズ一つ無い様子で悠然とした表情のまま瓦礫の中心で佇む執事。
――そして、蒼い循環液をどくどくと垂れ流す、全損した自分の依代だった。
命を賭けんとする真摯な精神の働きによって、V13は最後の最後に
この執事に由来する、常識を逸脱した空間の支配から逃れることに成功していた。
だが、皮肉にもそのことがV13の運命を決定付けることとなる。
お約束的な空間の恩恵を受けない状態で、数十発の爆薬からなる爆発の中心にいたのだ。
当然無事に済むはずも無い。
V13は惨劇から目をそらす為に視覚を閉じようとしたが、もはや瞼は無かった。
震えるココロを抑えるために自らを抱きすくめようとしたが、両手はついていなかった。
泣き、叫ぼうとしたが、涙腺も声帯も、もはや機能などしていない。
V13は不安定な霊体――それすらも爆発の余波で半壊している――として中空を漂い、
その壊れかけた精神なりに、最後の勤めを果たそうとした。
だが、劇場と言う殻を失った今、怨念は四方に飛び去り、薄れ、
もはや、最低限の贄の供給すら出来ない。
とてもではないが、これでは魔孔を開けることなど不可能だ。
それでもこの執事のような男――先ほどは舞台の演出家だとか何とか
言っていたが――に、一矢報いてやりたいと思った。
もはや、何の意味も無いことはV13自身にも良く判っていたが、彼の言葉を借りるなら
そう、「その場のノリ」と言うヤツだ。このままではゴミとして朽ちることすら出来そうに無い。
V13はわずかに残った怨念をかき集めて自らを補強すると、執事のような男に向かって飛び掛った。
巧く憑依できれば、じきに彼女を迎えに来る悪魔と共に、
この執事のような男の魂を地獄への道連れに出来るかもしれない。
――どうかお迎えを、もうほんの少しだけ待ってくれますように。
V13は祈った。あいかわらず、何に祈ったらいいのかは判らなかったが。
ジャッジ・デス一行vsヴェトゴニアキャラクターズ
序章 >291
ジャッジ・ファイアvsウピエル
>462 >476 >503 >507
正義の執行ゥゥはァァ、始まァッたばかりだァァァ!
>505
ロゼット&クロノ vs ラルヴァ
『譲れない想い、ヒトツ。』
「・・・・・・。
行ったわね・・・・・。」
「あぁ・・・・・。」
彼女の背を見送りながら、私は大きくため息をつく。
私は、彼へと振り返りその体を抱きかかえる。
「ゴメン・・・・約束したのに・・・・・助けるって・・・・・。
ホント・・・・ごめんね・・・・・・。」
「ロゼット・・・・・。」
涙は・・・でなかった。
悲しくなかったわけじゃない。
けれどーーーー
「あんたも、そうだったの?
死んだほうがよかったと思った?」
そう、問いかける。
答えはない、私の声は夜の闇に解け、掻き消えるだけ。
「・・・・・迷える子羊に・・・・・安寧を・・・・・・。」
私は、彼の腕を胸の上で組ませる。
「AMEN・・・・・。」
夜の闇は、ただ、静かで――――――
>504 朝霞万里絵VS浅上藤乃
彼女は認めた、今までと変わらぬ笑顔で。
人は仮面を被って生きているモノだ、しかしこれほどに薄ら寒い仮面は見たことがない。
確かな罪の告白を聞いてさえ、受ける印象が変わらない仮面など……。
(この後、どう出るつもり?)
藤乃は素人だ、それは間違いない。
だが、だからこそその行動パターンは予測できない。
何より、彼女には力がある――多数の男をモノともせずに捻り殺せる、そんな力が。
こちらに、その力の正体が分からないのは不利だ。
なら、機先を制して行動の自由を奪うべきか?
――いや、まだやらないといけない事がある。
(遼だったら、こんな時でも何とか説得しようとするんだろうなあ)
気弱そうな幼馴染みの顔を思い出し、そして踏みとどまった。
「黒いスーツの男から受け取った遺産を渡しなさい、それ以上の事は望まないから。
あなたの罪を裁くことはあたしにはできない事だし、するつもりもないわ」
最後の説得、しかし万里絵は決して油断していない。
いつでも行動に移せるように意識を切り替える。
後ろに隠した右手の中には、伸縮式の特殊警棒が握られている。
力を使う気配を感じたら、一撃で昏倒させる。
それが万里絵の結論。
左手は、いつでも懐のスタンガンを取り出せるようにしてある。
常に最悪の状況を想定し、動く。
それでも現実はしばしば予想を上回るのだが……。
ロゼット&クロノ VS ラルヴァ
『譲れない想い、ヒトツ。』エピローグ
>510
輸血用パックで血液を補充した私は、港への移動に使ったバイクを取りに戻った。
そこは、さっき見た夕焼けの様に真っ赤に染まっていた。
―――どうやら、あの少女達が使った火炎瓶の火が燃え移ったらしい。
私のバイクは既に燃え尽きた倉庫の陰にあったが、
とっくにウェルダンを越えて、炭のようになっていた。
………………
盛大に溜息を付く。
夜風が身に染みた。
やはり、この身は神に嫌われているらしい。
呪いの言葉が口を付いて出た。
「God Damn……」
>511 朝霞万里絵VS浅上藤乃
私は驚き、戸惑った。
なぜなら彼女は私の想像していた事とはとてもかけ離れた事を口走ったから。
『黒いスーツの男から受け取った遺産を渡しなさい、それ以上の事は望まないから。
あなたの罪を裁くことはあたしにはできない事だし、するつもりもないわ』
彼女の言っている黒いスーツ男なんて知りもしない。
それに遺産とは何なのだろうか?彼女の言っている意味が私にはまるで理解できない。
私はてっきり、私のあの能力を知っていて、そして私を裁く者とばかり思っていた。
しかし、それは違った。
彼女が言うには私の罪を裁くつもりも微塵も無いと。
それにただ単に私の罪の事で何かをするつもりならばこんな手の込んだ事をする必要は無い。
彼女は私のことを知らず単独ここへ乗りこんできた。
では、彼女は何者?
敵? 味方?
私はすっかり混乱してしまった。
「・・・え?」
でも・・・彼女の言っている事は私の件とは何も関連性はない。
それなら、今からでも彼女に言って聞かせれば理解してくれる。
私の、復讐のことも笑って冗談だと言えばそれで丸く収まる。さっきまでのあの関係にもどれるんだ。
さっきまでは殺意を剥き出しにして彼女の事を襲おうとしていたけど、もうそんな必要も無い。
私の事件と彼女の言っている事件は別物なのだから。
私はほっと胸を撫で下ろし、彼女の元へと歩き出す。
「あの・・・もしかして」
一歩
一歩
ゆっくりと。
「万理絵さん・・・私の事」
彼女の前まで歩き立ち止まり。彼女の手を取ろうとした。
だけど、それも間違い。
私は幾つもある破滅からへの脱出のチャンスを見逃し自滅する方向へと持っていこうとする。
それは、天からの定めなのか私の意思なのか私には分からない。
だけど、
確実に日常のレールから外れようとしている。
確実に。
>513 朝霞万里絵VS浅上藤乃
黒いスーツ、遺産、その言葉に藤乃が見せた感情はただ戸惑いだった。
何のことだかまったくワカラナイという表情。
まさか、ここまで来て事情を隠そうとする意味はない、はずだ。
(あたしの見込み違いだった? でも、やった事は認めたのに。それとも、裏次郎とは関係ない別の力って事?)
だとしたら、一体何だというのだ?
遺産や守護神でなく、大の男達を無惨に殺す力など万里絵にはまったく心当たりがない。
(超能力? まさか……)
いや、万里絵はそういった能力を持った人間がいることを知っている。
何らかの超常的な能力を、潜在的に持っている能力を肥大させた者達は確かに存在しているのだ。
実際に出会うまでは、むしろ突飛な発想だとして懐疑的ですらあったが。
もし、仮にそうだとしたら……?
(だとしたら、あたし達の出る幕じゃないって事? ううん、そんな事はないはずよね)
それなら、力を使わないように説得する。
力に溺れて暴走しているという点において、藤乃は遺産相続人と何ら変わりはしない。
だから、遼ならきっとそうするだろう。
自分にできるのか……それが万里絵には不安だった。
どうやって説得するか、そんな事を考えている内に。
藤乃が歩き出した。
瞬間、思考がばらけてしまった。
一歩一歩、少しずつ距離を詰めてくる藤乃。
混乱がさめやらぬ内に、目の前で立ち止まって手を取ろうとする。
気が付けば、後ろに隠し持っていた特殊警棒を伸ばし、側頭部目掛けて振るっていた。
殺気は感じないと言う思考と、このままではやられるという直感がせめぎ合い、思考が勝る時間はなかったようだ。
(あ、まずった……)
意識の隅で、何処か冷静に呟く自分を意識する。
仕方ない、後で謝ろうと万里絵はその部分で考えた。
>515 朝霞万里絵VS浅上藤乃
ズシン
頭が重い
体が膝から力が抜けて行く
鈍器で殴られたような痛み
痛たい
とても痛い
―――痛 い ?
何故か分からないが無痛病の私に痛みがある。前の様に腹部が痛いわけでは無い。
これはあきらかに頭部への損傷による痛み。
つまりは怪我による痛み。
気が付くとうつ伏せに倒れこみ数秒だけ気絶したいたようだ。
―――ドクン
首を曲げ上を向くと警棒のような物を持って呆然と立ち尽くしている
万理絵さんがそこにいた。
そうか―――彼女が。
私はとっさに彼女が私のことを殴ったのだと理解した。それ以外に理解し様が無い。
ここには2人しかいないのだから。
―――ドクン
でも何故?
私は彼女の事件には関係無いはずなのに。どうして彼女は私に危害を加えるのだろう?
私は彼女を殺したくないのに。殺す?
彼女を殺すの?
どうして?
だって敵だもの。私を殺そうとしている敵。だから、殺される前ニコロスノ。
ワタシハまだ死タクない。
だから―――――彼女を凶げるの!!
『浅上藤乃』 ――覚醒――
<追加能力> :『螺旋』
・視界に見えるものに回転軸定め、右回転、もしくは左回転に曲げることができる。
>516 朝霞万里絵VS浅上藤乃
「あ、ごめん。大丈夫?」
藤乃の接近に対して、つい反射的に警棒を振るってしまった。
当たり所が悪ければ、大の大人でも昏倒しかねない一撃。
ましてや相手はか弱い少女だ、下手をしたら頸椎に損傷があるかもしれない。
とりあえず、藤乃の意識はあるようだ。
無事であった事に、心の中で安堵しながら手を差し伸べようとして……後ろへ飛んだ。
半ば直感的な行動、自分でも何故そうしたのか――いや、右手を見て理解した。
特殊警棒が、見るも無惨にねじ曲がっている。
普通の力では、いや、普通以上の力を以てしても曲げられない、曲がるはずのないそれが曲がっている。
その折れ曲がり、ひしゃげた警棒の何と禍々しい姿か。
それを見た万里絵は、背筋を這い上がる戦慄と共に理解した。
(後一瞬飛び退くのが遅かったら、あたしの右腕がヘシ折られていた?)
同時に、力の正体も目星がついた。
(テレキネシス……念動力)
過去に、同じような能力を持つ少年がいた――もっとも、それは遺産による副産物ではあったのだが。
霊園でその少年と遼が戦った時は……墓石という墓石が砕け、遼は足がネジ折られた上に生死の境をさまよった。
念動力だけでなく、エネルギーを操り、他人の記憶にまで干渉できるテレパシー。
あまつさえパイロキネシス――念動発火までその少年は使ってみせた。
……もし、彼と同程度の能力を藤乃が持っていたら?
(それはないわね)
万里絵はそう断じた。
今までの被害者は、全て同じ死に方をしている。
それはとりもなおさず、藤乃が単一の能力しか持たない事を示していた。
もっとも、他の力を行使する必要がなかっただけかもしれないが。
とにかく、正面から相対しては拙い。
どんなに早く、どんなに的確に動いても、視界に収めて意識するより早く動けることはあるまい。
なら、相手の視界に収まることなく相手の行動を封じなくては。
>517続き
まずは、緊急避難とばかりに手近な窓へと突っ込んで脱出を試みる。
腕で頭部を守りながら窓ガラスへと跳躍。
次瞬、派手な破砕音とガラス片を引き連れて宙を舞う万里絵。
さきほどまでいた場所が二階であることから、地面までの距離と着地のタイミングを計り、身を屈める。
軟らかい土を踵で抉りながら地面へ着地、そのまま反動に任せて地面を二、三度転がった。
すぐさま体勢を立て直して飛び降りてきた窓の方をみやる。
「さて、これからどうするかな?」
脱出して、遼や氷澄達と合流するのが確実ではある。
守護神機能なら念動力による攻撃もモノともせずに戦うことができるだろう。
実際、見るだけで相手を殺傷できる――見えている必要すらないかもしれない相手など、どう考えても万里絵の手に余る。
――だが、万里絵はこの件を自分で何とかしたいと考えていた。
自分でも何故そんな事を思うのかよく分からなかったが。
「彼女、笑ってたよね」
何故、笑っていたのか。
そして、何故万里絵の手を取ろうとしたのか、それを彼女の口から聞いてみたいと万里絵は思っていた。
「自分でやるとして、どうするかな……」
既に万里絵の思考は、どうやって藤乃を無力化するかという事に移っていた。
本章のインデックス。
>55 ロゼット vs ルシエド
>62 弓塚さつき(死徒27祖Ver) vs キメラヴァンプetc
>64 ロングファング VS バイロン
>95 レイオット・スタインバーグ 対 悪浩志
>102 ナルバレック VS ネイム・オンリー(保管庫行き)
>134 殲鬼vs闘鬼〜ガロン vs 不破雷也
>194 セラス・ヴィクトリア VS パイフウ
>200 アイン vs 江連
>241 なあじゃ vs 斗数 ◆『vs元中壇元帥』
>316 比良坂初音 VS メ・ガリマ・バ
>317 ロゼット VS ストリクス
>322 ヒカト vs 閑馬永空
>329 井八雲 vs 寄生獣「鈴木」
>342 御神苗優vs暗黒騎士ガウザー 〜龍脈のピラミッドにて
>370 ルーク VS バイロン & ソフィア・テオドレス
>471 魔界転生異伝〜鈴鹿御前 対 天草四郎
>477 バイロン 対 閑馬永空 『無明の住人』
>494 フラック VS レイオット・スタインバーグ
>514 ロゼット&クロノ VS ラルヴァ
中間まとめ
>497 アセルス&カミーラVSフリッツ
>506 十六夜京也 & 美夕 VS 蘭麻みほ 妖女狩り異聞
>509 ジャッジ・デス一行 vs ヴェトゴニアキャラクターズ
一応、次スレ誘導
吸血大殲23章 染血の夢
http://cocoa.2ch.net/test/read.cgi/charaneta/1019982784/
姫城玲vsディオ・ブランドー 途中経過だァ―――ッ!!
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闘争途中経過。
ミア&キャロライン&レフィオ&日下美和vsフラック
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vsロゼット・クリストファ
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Broken Doll vs Stupid Zombie ...vs Eccentric Butler『血塗れの遁走曲?』
>103>334>358>508
姫城玲vsディオ・ブランドー
>417>420>421>491
アーカードvsファントム レス番纏め。
>116
何も言うまい……。
ミア・フォーテーVSヴァージニア・サーティーン……そして、キース・ロイヤル
「血塗れの遁走曲」の本スレ分レス番まとめだよ。
続きは次スレでねー。
>334>358>508
>516>517 朝霞万里絵VS浅上藤乃
私は彼女を獲物と判断し、うつ伏せになりながら彼女をどのようにして殺すか考えていた。
彼女は私が今まで殺してきた人達の様に無力ではないはず。
なぜならば、彼女の攻撃は無意識ながらも確実に私の急所を狙ってきている。
それなら・・・。
そして、私は標的とする体の一部を決めた。
『あ、ごめん。大丈夫?』
彼女は私にこんな事をしておきながら、手を差し伸べて来る。
今更、謝られたって私としても困る。
だってもう私の『スウィッチ』は入ってしまっているんだ。もう彼女が何を言おうが私には
ただの言い訳にしか聞こえない。
あなたはもう殺されるしかないんだもの。
私は首をぐるりと回し、
上に向け、彼女の武器の持つ手に回転軸を合わせ、そして
―――凶げる
そして、彼女の武器を持つ手を凶げるはずだったのだが、そう上手くは行かなかった。
彼女は咄嗟に異常に気が付き後ろに飛びのいていた。やはり私の勘は間違っていない。
彼女は―――確実に―――戦い馴れしている。
私は嬉しくて微笑んでしまった。
嬉しい。とても嬉しい。
ただ無抵抗の人間を殺すだけならもうイヤと言うほど殺してきた。
だけど、私の害にならない程度にもがく人間は楽しい。
色々と私を楽しませてくれるんだもの。
窓の割れる音が聞こえた。
恐らく彼女が窓を割って外に出たのだろう。
「いいですよ・・・ゆっくりと・・・ゆっくりと殺してあげますから」
私は2階から階段を降りる。
カツン カツン カツン
夜の寮は私の足音が良く響く。
朝霞万里絵VS浅上藤乃、途中経過よ。
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>281 >282
ヨコシマ&ロゼット一行 VS G.G.スレイマン
『ボーイ・ミーツ・ガール?』
「こおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
喉から漏れた呻きが咆哮となって、加速された意識と共に辺りを駆け抜けた。
大気の層を切り裂いて、霊波刀が翻る。地にスニーカーの痕跡を刻み、体が猛禽の如く疾った。
他人の腕のような違和感に囚われた腕をわちゃくちゃに振るい、右から左から上から下から一心不乱に撫で斬る。
技術の無さ、経験の無さを強化された反射神経と腕力で誤魔化しつつ――――
斬る! 切る!
斬る! 切る!
斬 る !!
右の一撃を「栄光の手」が倍する力で弾く。逸れかけた上体を背筋が霊力を受けて、押さえ込む。
左の一撃を「栄光の手」が受け流す。崩れかけた姿勢を強化された神経が急速に引き戻して、戻る。
地を掬う足を微かに跳んで避けると、宙で体を捻って「栄光の手」を突き出す。
G.G.スレイマンの「栄光の手」と俺の「栄光の手」。
交錯する霊波と霊波は互いに反応し、霊光を発しながら――――――
「な ぁ オ リ ヒ メ っ て の は ど ん な 化 け モ ン な ん だ ?」
コマ落ちする光景の中の、ビルがシスターが悪魔が、光に飲まれて消える。
神経を伝わって光は増幅する意識の中にその姿を克明に引きずり出していた・・・
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>526 続き
ふと、意識の焦点が合う。
気付いたら、目の前に黒髪の美人――らしき、後ろ姿があった。これは・・・声を掛けるしか!
「おねーさーん!」
振り返ったのは・・・しわくちゃのババア。かつては美人、今は枯れ木となった織姫だった。
「みてしまいましたわね ♥ ついでにめくるめく一夜を一緒にい・か・が?」
「ぎゃあああああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
い、いやだ・・・! ババアはイヤだ・・・!
死んだ方がマシだ! でも死ぬのもイヤだ!
わ、若い、ぴちぴちとしたねーちゃんが、ねーちゃんがいい!
よろよろと後ろに下がる。じりじりと織姫は迫る。
あの時と違って、ここには絶壁もない。落ちて逃げることだってかなわない・・・!
どばぁと涙が迸った。お、俺の青春はこんな所で無惨に散ってしまうのか!?
どん。
背中が何かに当たった。
「ふしゅー――――――ふしゅるるるるる――――――――――――」
「え”?」
恐る恐る振り返ると、エラの張った男らしい・・・織姫が居た。
その逞しい上腕二頭筋を膨らませながら、織姫が俺の襟首を掴み上げる。
「こよいそなたはわらわのダーリンじゃ!!」
「それもイヤじゃああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
なんで、何でこんなのばっかり! 美少女いっぱいで楽しい話じゃないのか、これ!?
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ドクドクドクドク・・・数倍の勢いで鼓動は胸を打つ。文珠の強化は止まらない。
肉体はこれでもかと酷使され、荒ぶる命を受けて身体能力を騙し続けている。
迷走する意識なんぞ、そっちのけで。
肝心の体は、カチコチに固まって微動だにもしなかった。
早くなった意識と感覚の中で、俺の精神は言いがたい地獄に叩き落とされていた。
なんで、何でこうなるんだ!? 折角、人がその気になったのに――――――!
ヨコシマ&ロゼット一行 VS G.G.スレイマン
『ボーイ・ミーツ・ガール?』
途中経過だ。
>75 >76 >281 >282 >526 >527
・・・ひょっとしなくても、大ピンチですか?
ユージンvs朧戦の途中経過だ。
>51>96>97>142>144>207>208>209>267>271>371>412
果たして、次スレで生き残る事が出来るのはどちらかな・・・?