吸血大殲 其の弐拾壱 『鬼哭骸』

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<弓塚さつき(死徒27祖Ver)vsキメラヴァンプetc>


 あれから少し時も経ち、身体の傷も塞がった。
 やっとの思いで森を抜け出す、が。

「はあ………やっぱり、ね」

 予想通り、ニンゲンたちが待ち構えている。
―――でもね、こっちだって、なにも考えてなかったわけじゃないし

 わたしを目掛けて一斉に放たれる銃弾。
 たんっ、と後方の木の陰へと跳ね、一旦森の中へと姿を隠す。


 それから数分、私は森の外へと姿を現す。
 傭兵たちは森からでる私という人影を見るとすぐに、集中砲火を浴びせ掛ける。
 右足が崩れ、側頭部が消し飛び脳漿が噴き出す。
 私の身体は、見るも無残に―――――――――

 

 

 

 

 

「とか、思ったんだろうね、まともな人なら」

 わたしに背を向けている傭兵の一人の腹部を引き裂きながら、そう呟く。

 種明かしは簡単、先刻の『死人』を囮に使ってわたしは後ろに回りこむだけ。
 一瞬でも他に注意が向いてくれれば、その程度のことはやってみせる。

 数分待たせた事も、一役買っていることだろう。

 後はひたすら遊ぶだけ、中には錯乱して銃を撃ってくるものもいたけど、流石は歴戦の強兵たち。
 どんな状況になっても冷静な思考で動いてくれる。

―――――――やはり、気分の悪さは変わらない

 骨を砕き、肉を潰す。皮を切り裂いて、四肢を引き千切る。
 なかでもお腹を突き刺すときは最悪で、それでいて最高の気分。

 そして最後の傭兵の頭を握りつぶし、遊び相手がいなくなったことに気付く。

「ねえ、まさかまだこんなもので――――――――終わりじゃないよね?」
 
 わたしは全身を鮮血に染めながら、口元に笑みを浮かべて、化け物の気配に語りかけた。