●おまえら男ならヒカルたんハァハァだよな?Part33○
漏れもいるぞ!
ヒカルたん…(;´Д`)ハァハァ (;´Д`)ハァハァ (;´Д`)ハァハァ
ヒカルたんの寝顔…、ヒカルたん…(;´Д`)ハァハァ (;´Д`)ハァハァ (;´Д`)ハァハァ
930 :
学生さんは名前がない:02/12/20 07:47 ID:DsA+XBI0
板を移れ。
931 :
団長:02/12/20 09:16 ID:fyPty8MP
団長さん、お疲れです。ありがとう。
保守も兼ねて書き込み。
マスター!出番だよー!(゚∀゚)
団長さん、オツカレー!(゚∀゚)
保守、ホッシュ!
今夜はマスターに逢えるんだろーか…うぉぉ〜柄なもなくドキドキだ(*´Д`)
そして山猫小説の為なら命がけでオルウェイズ保守。
山猫マスター、まぁだかな?
▼〃 ヾ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| ̄ ̄( ゚∀゚) ̄ ̄| < アシタハヤイカラ モウネルゼ!!
|\⌒∪⌒∪⌒⌒\ \
| \ \  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
\ |⌒⌒⌒⌒⌒⌒|
\ |_______|
ヒカルたんハァハァ(;´Д`)先日は芋焼酎臭くてごめんねハァハァ(;´Д`)
今日の忘年会は麦焼酎にして今帰ってきたよ(;´Д`)ハァハァ(;´Д`)ハァハァ
もう、Barヤマネコマスターからならチェイサーだけでも…ハァハァ逝くっ!!!
保守だ!
日記のヒカルたんはどうなる?
イブンたんもイブンロク外伝待ってる
ヒカルたん(;´Д`)ハァハァ (;´Д`)ハァハァ (;´Д`)ハァハァ
. .┏━━━━━━━━━━━━━┓
..┗━┳┳━━┫ヒ┣━━┳┳━┛
┃┃ ┃カ ┃ . . ┃┃
┏┻┻━━┫ル┣━━┻┻┓
┗┳┳━━━━━━━┳┳┛
┃┃ ┃┃
┃┃ マスターがお店を開けてくれますように…
┃┃ ヤマネコ小説が イパーイ来ますように…
┃┃ ┃┃
┃┃ ∧_∧ ┃┃
( ´∀`)
( つ ミ
|\\\\\\I\\\\\
| \\\\\\\\\\\\
| | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
| . |
939 :
学生さんは名前がない:02/12/21 14:32 ID:j7IzW/s8
保守上げ!
っつーか出て行け。
940 :
学生さんは名前がない:02/12/21 14:36 ID:ZAl8arl4
つーか次スレから板移るのが筋だろ?
出て逝けよマジで。
すじ…(;´Д`)ハァハァ
ヒカルたん(;´Д`)ハァハァ
マスター(;´Д`)ハァハァ
保守!
ヒカルたんが無事ヤマネコを開店するまで保守!!
お礼なんていいんだヒカルたん(;´Д`)ハァハァさせてくれれば(;´Д`)ハァハァ
少年漫画板でヒカ碁が叩かれている最大の原因がこのスレか!!!
マスター来ないかな、とプレッシャーかけつつ保守!
∧_∧〃ヾ▼
( )´▽`)
γ ⌒\ ⊂
/ ハ \ \
/ //\ノ ヒカルたん独り占めな俺。
| /
γ /
ゝ`ー-''" <
(_(___つ
>946
抜け駆けは許さんぞ、( ゚Д゚)ゴルァ!
ヒカルたんを囲いたいなら、せめてきちんと結納金を納めてからだなぁ……
>946
残念だったな。そのヒカルたんの背中を見てみろ。
Made in Chinaのタグがあるだろ?
本物のヒカルたんはオレの腕枕ですやすや寝とるわ。
おっと。失礼>948
しかもオレIDもオソイ…のように見えた。寝ぼけてるな、スマソ。
まーちーがーえーたー。
>947にゴメソしたかったんだよ。貴重な残りのレス減らしてスマン。
マスター!保守しとくよ!
店が開店したら、マスターを口説いてもいいかな?(;´Д`)ハァハァ
ヒカルたん、ヒカルたんの中に潜り込みたいよ・・・
ハァキァハァハァハァハァ・・・
マスターも年末進行で忙しいのかなぁ?
マスター…(*´Д`)ホワーン
無理はしなくていいぜ。気長に待つよ。
BGM:私待つわ〜♪
| ヾ▼
|▽゚) ドーシヨッカナー…
⊂ノ
|
|
~~~~~~~~~~~~~~
マスターァァァア!!!!!
待ってたんだよ。ハァハァハァハァハァ!!!
もうオレはマスターの姿を探し求めてアッチをフラフラ、こっちをフラフラ・・・。
マスターァ!!この気持ちをわかってくれぇぇぇぇぇええ!!
…ゥウウッ…ゴホゴホッ…
マスター!!健気な漏れを演じてみた次の瞬間、そんな焦らしプレイで翻弄するなんて…(;´Д`)ハァハァ
(;´Д`)ハァハァ(;´Д`)ハァハァ 罪な人だ。
小悪魔!!!!!
(;´Д`)ハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァ
小悪魔ヒカルたんに(;´Д`)ハァハァしつつ保守
山猫たんもこないなあ。
ところで冬コミに行く人いないのか?
ヒカルタン未亡人小説を持って来たぜ。
と言っても、異聞録異聞は一旦終わってる話だから、続きとしてではなく、
あくまでも「おまけ」として楽しんでくれると嬉しい。
(ホントはマスターが来てから上げたかったんだが、マスターも年末は忙しいようなんでな。
締め切られたバー山猫の前で、寒風の中、段ボールハウスで古雑誌を売ってる気分だぜ)
>part34・171
門脇が脇で出張る話は心の中になるんだがな。一本ぐらいやつが、目一杯出てきてヒカルと
絡む話をオレも見てみたいよ。考えてみるかな、でも期待しないでくれ(w
「なんだよ、それ…」
出雲から帰ったヒカルに伝えられたのは、藤原佐為の訃報だった。
都に帰って、その足で出向いた検非違使庁で、ヒカルは思わず声を荒げた。
「どういうことだよ!説明しろよ!!」
「取り乱すんじゃねぇ!!」
加賀につめよったヒカルを、三谷がいさめる。
「すまない、近衛。君のいない間、佐為殿をよろしくと頼まれていたのに……」
そう言って顔をふせた筒井に、ヒカルは現実を受け止めざる得なかった。
佐為の遺体は見つからなかった。
ただ、紅葉の落ち葉で真っ赤に染まった沼の岸に、佐為のものと思われる扇と
靴がそろえて置いてあったのだ。その扇には、死の決意を思わせる句が、流麗な
字で書かれていたという。
佐為らしい、と思った。
内裏では、つい先日まで佐為の君佐為の君と騒いでいた女房達が、今は、その話を
忌避し、ヒカルをさける。佐為は、帝の前での不正行為の汚名を着せられた上、
自ら命を絶つことで、仏道にも反した。その名を口にするだけで、汚れるかの
ように扱われてもしかたのない事だった。
ヒカルは、もはや教える人もおらず、人の気配のしない佐為の碁会所に来ていた。
内裏の空気にも、ヒカルを腫れ物をさわるように扱う検非違使仲間にもいたたまれ
なかった。
人の気配はなくとも、佐為の碁会所は秋の日が差し込み、しらじらと明るい。
部屋の隅に寄せてある碁盤をとろうとして、ヒカルはそこにわずかに溜まる
ホコリに気づいた。
几帳面な佐為が、生前は絶対にそのようなことを許さなかったのを思い出し、
ヒカルは一人で掃除をはじめた。
たまったホコリを掃き出し、窓べりをから拭きし、碁盤もひとつひとつ丁寧に
汚れをふき取る。
ひととおりの物を、佐為がいた時と同じように綺麗にし、やっと一息つくと、
ヒカルは碁盤のひとつを部屋の真ん中に出し、その前にすわった。
(佐為……)
そこに座っただけで、碁石を打つ佐為の綺麗な指が、鮮やかに目に浮かぶ。
(おまえ、馬鹿だよ。どうせ、菅原の奴がまた汚い真似したんだろ。おまえが、
碁に関してそんなことする奴じゃないってのは、オレが一番よく知ってるよ)
(もう、いいじゃんか。貴族の奴が、自分のことしか考えてない汚い奴等ばっかり
だなんてのは、お前もオレもよく知ってたことじゃんか。今更だろ)
(なんで、待っててくれなかったんだよ。貴族の奴らなんてもういいだろ?
京を追放されたからってなんだってんだ。お前を罠にはめて喜んでる奴らが
のさばってる所なんて、こっちから願い下げだ。オレは、お前と一緒にこの
京の町を出て、どこか遠くに行ったってよかったんだ)
――そう、生きていれば。と思う。
生きてさえいてくれたなら、二人、何処ででも生きてゆけたのだ。
そんなこともわからないなんて佐為は馬鹿だ、と思う。
そして、同時に佐為がそんなことができるような奴ではないことも、
ヒカルはよく知っていた。
ただの汚名ではないのだ。
あいつが命を賭していたと言ってもいい、囲碁の、なのだ。
自分が人生をかけて築き上げてきたものを、土足で踏みにじられる、その
屈辱と絶望感。
自らの魂の一番大事にしてきた部分に、後ろ指をさされることに、佐為は死を
思うほど、傷ついたのだ。
(おまえ、オレの顔とか思い出さなかったのかよ)
死を思い、紅葉揺れる水面を見ながら、あいつは最後に何を考えていたんだろう?
「オレが、ついてれば…」
ポタポタと自分の目から熱いものが頬を滑り、碁盤の上に落ちるのを、ヒカルは
眺めていた。
シミになったらいけないと気付き、慌てて、狩衣の袖でそれを拭う。
拭っても拭っても、水滴は後から後から落ちて来て切りがなかった。
あきらめて、目から落ちる水滴はそのままに、碁盤の上にうつぶせた。
木肌のなめらかさは、もういないあの美しい人の肌を思わせた。
(佐為………)
人のいない碁会所は、自分の嗚咽の声ばかりが大きく響いて嫌いだ、と、ヒカルは
思った。
以来、ヒカルは毎日のように碁会所に寄り、顔を出す人もないその部屋を、丁寧に掃除
している。主がいなくなる前と同じようにしておかなければ気がすまないらしい。
検非違使としての仕事を終えたその帰り道、あるいは夜勤明けのその朝に。
ヒカルの足は自然とその場所に向かう。
その日の早朝も、宿直が終わったヒカルは碁会所を訪れ、掃除をし、それから一人で
棋譜を並べた。
明かり取りの窓から見える空はまだ、夜の色を濃密に残して薄暗く、空気は
やがて来る冬の気配をたたえて冷たい。
気がすんだヒカルが碁会所を出ようとすると、その門の前で待つ人影がひとつ。
賀茂アキラだった。
「送るよ」
言うアキラに、ヒカルは黙って肩を並べ、近衛の家に向かって歩き始めた。
ヒカルにとって賀茂アキラという人間は、どういうわけか夜中が似合うという印象が
強くて、こんなまだ人通りも少ない早朝に一緒にいるのは、不思議な気がした。
ふだんこんな時間に来ないんだけど、ちょっと覗いて見つけてしまったよ…
イブンさんの番外編に期待はしていたけどやはり辛い話だなあ…
賀茂アキラはヒカルの喪失感を埋められるのか??
ただ最初の加賀になんとなく同情してしまった。
あいつは一番自分を責めそうだ…。
番外編キタ━(゚∀゚)━( ゚∀)━( ゚)━( )━(。 )━(∀。 )━(。∀。)━!!!
ヒカルたんの気持ちを思うと泣けてくるな・゚・(ノД`)・゚・
番外編キタ―――――――――――――――――――!
何か悲しい話みたいだなあ・・・ヒカルタンを幸せにしてやってくれよ・・・頼む。
オレは防寒対策は万全にして、マスターの華麗なる登場を待つ。
携帯ゲーム、使い捨てカイロ、毛布、夜食・・・他全部用意して、店の前でがんばっているぜ。
時々、(;´Д`)ハァハァ言いながら悲しそうに店の前を徘徊しているヤシを見かけるけど
・・・目的は同じみたいだな。
異聞録の外伝キテター━━━━(Д゚(○=(゚∀゚)=○)Д゚)━━━━━ !!!!!
未亡人のヒカルたんが、ヒカルたんがすげー健気で、哀しいよ。
佐為がいつ戻って来てもいいように毎日掃除をしてる近衛たんと、佐為が
戻って来る願掛けのように碁を打たなかったヒカルたんが重なる(;´Д`)ハァハァ
オレも店の前で凍えながら待つことにするよ。
マスターが来たら皆で迎えようぜ。
当時稀有されていた事柄が、ネタで済まずにどんどん具現化していく
今の展開には………正直やさぐれるしか。ここでまたブチ切れですよ。
970 :
969:02/12/23 21:29 ID:TwXSEMHG
ヒ――――――俺のアホー!(;´Д`)かちゅで誤爆った……
現スレで訂正しようかと思ったんだが、意味不明なレスが紛れ込んで
謎なままじゃ申し訳ないんで…2レスも食ってほんとスマンです。
>969
どのスレに落とすつもりだったのか教えれ(w
日 凸 ▽ ∇ U
≡≡≡≡≡≡≡ 〃ヾ▼ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
U ∩ [] % 曰 (゚▽゚*) < リンジノ ヤトワレマスター ダケド イイ?
_________|つ∽)_ \_______
―――――――――――
━┳━ ━┳━
 ̄ ┻  ̄ ̄ ̄┻ ̄ ̄ ̄ ̄
マスターキタ━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!
いつものマスターもヒカルタン、雇われマスターもヒカルタン
ヒカルタンがイパーイ しあわせだあ
交際タン、ゴメン ( ;゚Д゚)
>>961-963 「夕べは夜警に?」
「ああ」
「仕事はどう?」
「どうって、いつも通りだよ」
うそだ。検非違使庁にいても、変に気を使われて居心地が悪い。これまでどおりに
ヒカルに接してくれるのは、せいぜい加賀ぐらいだ。
二人がジャリジャリと砂土を踏みしめて歩く音が、静かな通りに響いた。
「佐為殿は負け犬だ」
「………っ!」
ヒカルはアキラを見た。睨みつけたといった方がいいかもしれない。少し上目遣いに。
二年前は殆ど同じだった身長も、今はわずかにアキラの方が高い。
「宮中で生活していれば、権力争い、貴族達の足の引っ張りあいは当然ある。
佐為殿だって、それを充分承知の上で、あの世界にいたはずだ。栄える者もいれば、
沈む者もいる。栄達すれば、口さがない噂や身に覚えの無い醜聞の種など、星の数
ほど降りかかる。だが、そんなことをいちいち気にしていたら、あの世界では身が
もたない」
空の明るさが増して、徐々に景色が色付いて行く。
「たかが、碁だぞ。ただの遊びだ。そんなことのために佐為殿は命を落としたのか?」
そう。たかが碁だ。だが、佐為にとってそうでない事は、ヒカルが一番よく知って
いる。
「佐為殿は、碁と君を並べて比べて、君を捨てたんだ」
突然何を言いだすんだと思った。ヒカルを見るアキラの目は真剣で、思い詰めた色
さえあった。
「佐為殿が死に向かうとき、君のことをちらとでも思い出さなかったと思うか?」
「それは……あいつは、碁のことになると、それで頭がいっぱいになっちまうから…」
「ぼくはそうは思わない。佐為殿は君のことはちゃんと考えていたはずだ。その上
で、佐為殿は、君より死を選んだ……君は、その時点で捨てられたんだ。違うか?」
ヒカルは、アキラが、わざと自分を傷つける物言いをしているのがわかった。
傷つける物言いをして、自分に佐為を忘れさせようとしてくれている。
立ち止まったアキラが、こちらを向いた。
「近衛、僕なら、決して、君を捨てたりしない。君より先に死んだりしない」
アキラの唇が、自分のそれに触れる。
水を口に含んだように、味の薄い、だけどさらりと心地のよい唇の感触。
ちょうど近衛の家の門の前だった。
眼前のアキラの顔が自分から離れるのを、ヒカルは茫然と眺める。
しばらくそうやって、お互いの瞳の向こうにある真意を探るように見つめあっていた。
アキラは何も言わず、ただきびすを返した。
綺麗に切りそろえられたその黒い髪が、肩の上で揺れた。
(そういえば、あいつ、俺のこと好きなんだっけ?)
昔の記憶を頭の中の引き出しから引っ張り出しながら、ヒカルは遠ざかるアキラ
の背中を見送る。
今でも、なのだろうか?
アキラに好きだと言われたその時の記憶を探っていたヒカルだったが、途中で
慌ててそれを心の奥にしまい直した。
その情景の中には、佐為の姿があったからだ。
思い出の中に立つ佐為の、その美しさに胸が痛くなる。
ヒカルは近衛家の門の錠を開けた。
隣近所や向かいの家からも、水音や人の声が聞こえ始めていた。皆も起き出したの
だろう。
これから、京の町の一日が始まるのだ。
帰宅したヒカルは、まず厩に寄った。
今、ここには三頭の馬がいる。ヒカルが検非違使になったばかりのころに買った馬と、
今年の五月、笠懸(馬に乗って遠くの的を弓で射る競技)の時にいい成績をおさめて、
その褒美として賜った青馬。そして、それを喜んだ祖父が酔っぱらって盛り上がっ
た拍子に衝動買いして来た、まだ二歳程度の若い馬だ。
世話は、その為だけに朝夕と家に来てくれる手伝いの人間にまかせていたが、それが
きちんと為されているか見るのも、ヒカルの大事な仕事だ。
今では家族同然の馬達の顔を見に、厩に足を向ける。
それらの世話がきちんと終わっているか確認してから、母屋に行くと、祖父と母が
朝餉をとっていた。
「おう、ヒカル、朝はもう食ったのか?」
「うん、検非違使庁で食べてきた」
「そうそう、ヒカル、あかりちゃんが帰って来てるって知ってた?」
「え、そうなの?」
「穢れ払いの物忌みって聞いたけど、あちらのお家じゃ、久しぶりに家の中が華やい
だって大喜びよ。もっとも表向きがそういう理由だから、あんまり大騒ぎはでき
ないけどね。あなたも、顔を出してきてあげたら?」
物忌みの時は、普通はもっとしんみりと家を閉ざし、静かにしているものなのだけど、
いいんだろうか?(それに、あれ? あかりの時期ってこんなもんだっけ?)
ヒカルは首をひねった。内裏の中では血はもっとも忌むべき穢れだから、女性は
月の物がくれば、いったん里へ下がる。ヒカルは内裏であかりと顔を合わせることが
多かった分、彼女が里に下がればわかるから、その気はなくとも、なんとなくあかりの
それの周期を知っていたりするのだ。
まぁ、一眠りしたら顔を見に行って来るか、とヒカルは自室で床につく。
そういえば、あかりもこの間まで佐為佐為って騒いでたけど、今はどうなんだろう?
他の女房達のように手の平を返し、その名を忌み避けるのだろうか?
内裏でヒカルをこづいては笑う、幼なじみの顔が浮かんだ。しかし、そのこづかれて
いるヒカルが時々ドキリとするほどに、あかりは、この一年ほどで綺麗になった。
(あいつ、通ってくる男とかいんのかなぁ)
ヒカルは目を閉じ、ぼんやり思いを巡らせる。
彼女だってもうそろそろ誰かと結婚したっておかしくない年頃だ。
もしかしたら今回の里帰りも物忌みとは表向きで、実はどこかにいい人でもいて、
その婚姻の準備のためなのかも知れないと思い当たった。
あのあかりに恋人がいるなんて、まったく想像もつかないけれど。
恋人か、と考えて、ヒカルの思考はその言葉につまづいた。
自分と佐為とは、結局どういう関係だったのだろう。
恋人というのとは違うのではないかと、ヒカルは常々思っていた。
恋人と言う言葉で思い浮かぶのは、宮中でよくみかける、男が女に御簾越しに
出会って、歌を送り、闇に紛れて逢瀬をかさね、またそれについて歌を交わす…
…そんな関係だ。
だけど、佐為とヒカルがそんなことをしたことは一度もない。
あいつとは、どちらかというと、体の関係のある仲の良い友達。
そう、そんな言い方が似合う気がする。
体をつなげるのもそれは、楽しかったけど、一緒に話したり並んで歩くだけでも
嬉しかった。
たわいない世間話をして、碁を打って。
でも、だとしたら。
あの端正な面影が心をよぎるたび、胸に逆巻くこの感情を何と呼べばいいのだろう。
(そう言えば、俺、佐為にはそんなにいっぱい「好き」って言ってやった事、
なかったな)
淡い後悔が胸を濡らした。
褥の中で、どんな格好をすることも平気だったくせに、その言葉は妙に気恥ずかし
くて、そう何度も口にしたことはない。
(こんなことなら、もっと「大好きだ」っていっぱい言ってやればよかった)
その夜、ヒカルは佐為に抱かれる夢を見た。幸せな夢だった。
幸せすぎて、そのまま目が覚めずに死んでしまえたらいいと思った。