でもまあ、いいんじゃないか? 掃き溜めにも咲く花はあるさ。
【戦争奇譚】 土方歳三の話。京都時代にある隊士が見回り中に武士の幽霊を見たと報告したら、土方は激怒して「武士とも あろうものが、この世に未練を残して化けて出るとは許せん、俺が斬ってやる」と、幽霊の出る場所に一晩中 幽霊が出るのを待っていたそうだ。 今も酒処として有名な伏見。ここで昭和初期まで蔵元だった家の話。地元じゃ知る人ぞ知る話でもあるそうだ。 鳥羽伏見の戦いの時、この家に懇意にしていた新撰組隊士の一人深手を負って落ち延びてきた。知っての通り、 この戦いは幕府軍のボロ負け、将軍が江戸へ逃げてしまう始末。それで、密かに匿われていた隊士は、家人に 頼んで迷惑にならないようにその家の庭で切腹。家人はその隊士の言うとおり、薩長に庭で新撰組が勝手に 切腹しておりましたと届け出でた。しかし、薩長はその切腹した隊士の遺体を、わざわざ四条河原まで運んで 晒した挙句、首を刎ねた。それ以来、しばしばその蔵元の庭には無念の形相すさまじい隊士の幽霊が出るように なったという。 中島三郎助親子の話。中島三郎助は浦賀与力でペリー来航の時に、一番最初に黒船に乗り込み交渉した気骨 あふれる人物でした。長崎海軍伝習所第一期生として機関術、砲術を学び勝海舟とは同期生です。また、俳人と しても知られ「ほととぎす われも血を吐く 思いかな」の句がある。箱館戦争では箱館奉行並に推され、千代ヶ岡 陣屋を守り、最後まで降伏せずに戦いました。しかし、明治2年5月16日、胸を撃たれ戦死。 その後、長男の中島恒太郎が敵陣に斬り込み、次男の中島英次郎とともに銃で撃たれて親子ともども壮絶な戦死 をとげました。戦死した場所は彼ら親子の名前を取って「中島町」と名付けられました。三男の与曽八は、父の 意思を受け継ぎ、のちに海軍機関中将になりました。
【戦争奇譚】 硫黄島の戦友腹を切り裂き、そこから取り出した内臓を体に巻き付けて死体の様に偽装し、突然攻撃してくる 日本兵。アメリカ兵からすれば想像を越えた存在だったのだろう。また硫黄島では「メディーック!」と叫ぶと しばしば「イエァー!」と叫ぶ、米軍の軍服を着て偽装した日本兵が爆弾抱えて突っ込んできたらしい。 ある歩兵小隊が、敵の盛んな銃撃を受けて、竦んでいた。背後に自軍の砲兵隊の陣地があるが、敵の砲撃に 比べその活動はどうみても活発ではない。さらに自軍の砲兵陣地に敵弾が落ち、沈黙した。砲の援護もなく、 最後かと思った歩兵小隊の背後から、ただ一門の野砲だけが必死の援護射撃を開始した。感動を勇気に、 小隊は突撃し、敵を撃退した。その最後まで、ただ一門きりのその砲は吼え続けていた。 敵の退却を確認した後、小隊長は、礼を言おうと、たった一門の砲兵陣地に向かった。砲の横で、最後の砲兵 が敬礼をしていた。背の低い兵だった。小隊長は、まだ遠かったが、敬礼を返しつつ、砲に向かった。だが、 近づくにつれ、怪訝になった。砲兵の背が低すぎるのだ。そして、最後の硝煙が晴れたとき、小隊長はようやく、 あることに気づいた。よくみると、その砲兵には、下半身が無かった。
【戦争奇譚】 会津若松飯盛山には有名な白虎隊の墓地がある。その墓地から歩いていける範囲に、建築好きなら知っている サザエ堂という、二重螺旋構造の珍しいお堂がある。そこから下へ行ける石段を下ると、猪苗代湖から引かれて いる用水の出口があるが、そこでの話だ。 戊辰戦争当時、この付近では奥州列藩同盟の雄、会津藩と官軍の激戦が行われた。ここは街道の要所で、 戦略的に重要な地点。劣勢ながらも会津藩士たちは必死の防戦を試みた。その激しさはこの地に残る旧滝沢 本陣の弾痕や刀傷の数々からも想像に難くない。 しかし、装備兵力ともに勝る官軍には敵わず、会津藩士達は多くの死傷者を残し会津若松城内に撤退、以後 篭城することになる。当時、官軍の布告により、近くの農民達は賊軍である会津藩士達の遺体に手を出すことは できず、負傷者もそのまま捨て置かれ、そのうめき声は3町先からも聞こえるほどの凄まじいものだったという。 やがてその声も聞こえなくなり、近隣の農民は家の中で密かに成仏を祈念した。 それから数週間を過ぎたころ、夜半密かに数名の農民が様子を見に出かけた。滝沢峠へ続く街道やその周囲には 幾人もの会津藩士の遺体が打ち捨てられ、悲惨きわまる状態だった。彼等が旧正宗寺の用水近くまで来ると、 そこには末期の水を求めたのか、用水に首を入れたり、用水の中に倒れ伏す数多くの会津藩士の遺体があった。 しかし、あったのは遺体だけではない。周囲からはあるはずのない灯火や戦の物音、凄まじいうめき声が…。 必死の思いで逃げ出した農民達は後日、密かに、そして丁重に藩士達を弔ったということだ。
【戦争奇譚】 軍隊狸の話、1。愛媛県周桑郡壬生川町、松谷みよ子氏より。伊予の喜左衛門狸は日露戦争に出征した。小豆に 化けて大陸を渡り、上陸するとすぐ豆をまくようにパラパラと全軍に散り、赤い服を着て戦った。敵将クロパトキンの 手記には「日本軍の中にはときどき赤い服を着た兵隊が現れて、この兵隊はいくら射撃してもいっこう平気で進ん でくる。 この兵隊を撃つと目がくらむという。赤い服には、○に喜の字のしるしがついていた」と書かれている。 軍隊狸の話、2。香川県高松市 室津源太郎氏より。日露戦争の時、高松のじょうがん寺の狸の総指揮の元、 狸たちが出征した。兵隊に化けて山を作り、ロシア兵が登るなり山をひっくり返したりした。凱旋の時には狸までが 提灯行列をしたという。 軍隊狸の話、3。中国上海中支派遣軍八一〇一部隊 松谷みよ子氏より。昭和十五年冬。柳橋という場所で友軍の 一個小隊が敵軍に包囲されて全滅に瀕しているという報告が入り、K氏所属の一個小隊は待機を命じられた。 その後Kさんと戦友三名が偵察の命を受けた。小高い丘で動き回っている敵軍を発見し、報告に引き返そうとした 途端に銃撃を受け、気がついた時には大陸の広野の果てしない暗闇の中に震えていた。その時、一人の戦友が 「あっ提灯」と叫んだ。Kさんが振り向くと、目の前には懐かしい大三島神社の定紋入りの提灯の明かりがあった。 「五六だぬきや、五六さんが氏神さんの提灯持って迎えにきてくれたか」そういって提灯の後をついて走り、無事に 帰りつくことができた。 いずれも『現代民話考(松谷みよ子 立風書房)』より
【戦争奇譚】 ニューギニアのある戦場でのこと。大規模な戦闘をした部隊の前線基地に、その戦闘後、夜な夜な死んだ兵隊 たちが現われるようになった。彼らはいずれも、足がちゃんとあり、懐かしそうに「よおっ!」と言いながら現われる のだ。現れたのはいずれも確かに戦死した連中ばかり。神主の息子の兵士がまじないをやったり、お経をよめる 兵士がお経を詠んだりしても、まったく効き目無し。そのうち、ズカズカと兵舎にまで上がり込んできて、貴重な飯 をバクバク食う始末。しかも、いきなり手がスルスルっと伸びて、木の実を取ったりと、明らかに化け物化している 様子。怖いやら迷惑やらで困っていたのだが、なんとも手の施しようが無い。 見るに見かねた中尉か大尉の隊長さんが、幽霊たちが集まっているところへ、ツカツカと歩いていって、いきなり 大声で、「全員、整列!」と言うと、彼らは全員素直に整列した。そして、隊長は「貴様らは、全員戦死した兵隊で ある。よってこの世にいてはならん。全員あの世へ行って成仏するように。これは命令である!」と叫んだ。隊長 が涙を流しながらこの命令を下すと、幽霊たちはしばらく呆然とした顔で佇んでいたが、そのうち全員が泣き始め、 やがてボロボロと土人形のように崩れていった。 あとにはその土だけが残り、彼らは二度と現われることはなかった。兵隊たちはその土の大部分は現地に埋め、 残りを少しづつ日本に持って帰って、供養した。
【戦争奇譚】 第二次世界大戦が激しさを増してきた時のこと。陸軍が硫黄島に増援部隊を送るために、若き兵士を船に乗せて 出発させた。次の日の夜、彼らが去った後の兵舍に残っていた別の兵士たちが、軍靴の音を聞いて目を覚ます。 こんな遅くに、なんだろうと。窓を開け、外を見ると、昨日出撃した部隊が、自分の兵舍に向かって行進している。 が、その顔は悲しみに満ち溢れ、ほとんどの兵が俯きながら歩いていたという。翌日、現場を見た兵は上官に昨晩 自分が目にした光景のことを話した。すると上官は「ここに帰ってから、靖国にむかったのか」と溜息をついた。 上官の話によると、港を出発した部隊は、すぐに米軍の潜水艦に発見され撃沈。部隊の生存者はいなかった。 その時間は、ちょうど兵が恐るべき現場を目の当りにした時間とほぼ同時だった。 第一次世界大戦フランス戦線での話。イギリス軍の塹壕がドイツ軍の集中砲撃を受けて、そのほとんどが埋まって しまった。その場所はドイツ軍の占領されていたが、数ヵ月後イギリス軍が奪還に成功した。イギリス軍は塹壕を 使うために掘り起こしてみると、退避壕(中が部屋のようになっている)に生きている兵士たちがいたのである。 兵士たちはすでに狂っており、退避壕の中には食い荒らされた死体が多数残っていた。壕を掘り起こしていた部隊 の指揮官は、狂った兵士たちに食事を与え、その後彼らを銃殺した。 ビルマ奥地にはインパールがらみで未だに彷徨ってる兵隊さんがいると。奥地の原住民が夜中に足音や声をよく 聞くらしい。原住民にどんな声聞くのか聞いてみたところ、「ガンバレガンバレ」「モウスコシダ」「グンソウドノ」「ミズ、 ミズ」などと、日本語知らないはずの原住民が答えた、という。
【戦争奇譚】 差し入れてもらったおにぎりを食べられなかった日本人兵士の話。そのうちの一人の兵隊がなぜか憑かれたように 立ち上がり、傍に建てられた粗末な墓に握り飯を添えて、全身をふるわせながら「オレにはこの握り飯は食えない」 と慟哭するのである。「どうしたのですか?」福島報道班員はきいた。傍の兵隊が、それを説明した。「あの墓には、 Bという高砂義勇隊員が眠っているのです。ニューギニアの作戦の当初から、われわれはBとともに戦ってきました。 食料のない日が何日も続きました。ある日、Bはずっと後方の兵站基地にさがって、食料を運ぶことになりました。 ところが、その次にBに出会った時には、Bは死んでいました。五十キロの米をかついだまま、Bはジャングルの中 で飢え死にしていたのです。背中の米には一指もつけずに!」 大戦後、日本海軍連合艦隊で唯一生き残った戦艦である長門は米軍に徴用され、核実験の標的鑑として沈め られるされる運命にあった。昭和21年7月1日、マーシャル諸島ビキニ環礁第一回の空中核実験が行われたが、 長門は殆ど無傷であった。7月25日第二回の水中核実験が長門の至近距離で行われたが、約5度の傾斜を 生じたのみであった。その「長門、沈まず」の報を聞き元艦長の未亡人曰く「幾万もの英霊たちが水底をささえて いるのですよ」その後長門は、29日夜間に誰にも見取られる事なく静か、静かに沈んでいった。日本海軍が最後 の最後で米軍の度肝をぬいた瞬間であった。 核の直撃を受け傾斜したものの未だ浮いている長門に驚嘆した米海軍の被害調査隊の一人は、長門の艦橋に こう書き残したという。"Old Navy Never Die!(海の古強者は死なず!)"
【戦争奇譚】 米軍から奪ったトンプソンで戦った元日本兵の方の手記より。当時フィリピン戦線では銃も弾も不足し、彼らは 米軍の偵察兵を襲撃して奪って使っていた。そのうちに、彼のいた分隊の生き残り全員がトンプソンを持つように なったとか。終戦になり現地の武装勢力に投降した時、銃や装備が米軍の物では処刑されると指摘され、武装 勢力の持っていた日本の小銃や装備と交換して米軍に投降した。 硫黄島の話。施設関係の仕事で、自衛隊の航空機に乗って硫黄島に渡り、1週間ほど滞在したことがある。島内 には自衛隊しか居らず、寝泊りしたのも自衛隊の施設内だったが、その建物の一室がいわゆる開かずの間だった。 他の隊員から聞いた話によると、そこは「出る」らしい。部屋の中にはコップが置かれていて、毎日、新鮮なお水を お供えしているそうだ。その部屋だけでなく、色々なところにコップに入った水が置かれているのだけど、ちゃんと コップの水係りを決めて、毎日新鮮な水をお供えしているのだと。 案内してくれた隊員曰く、日米関係なく先の大戦で亡くなった多くの兵士のための供養だという。それを聞いて、 水不足で苦しんだのは日本の兵隊さんだけだよな、と思いつつ、自衛隊のその心に感動した。ちなみに、コップの 水はエライ勢いで減るという。 なお島内には娯楽施設はなく、非番の隊員さんたちが何をしているのかというと、釣りをしたり、時には遺骨収集を したりもすると言っていた。島内には自然の間欠泉があり、隊員さん達で作った自然のサウナがある。そこに案内 されて一緒に天然サウナを楽しんでいたときに年配の隊員さんから聞いたのだが、その天然サウナ(洞窟)には 兵隊さんの幽霊が出るらしい。その話を聞いて驚いていると、その隊員さんが、「大丈夫!怖がる必要はないよ。 同じ日本人なんだから。出たら頭を下げて、ご苦労様でした!と労ってあげればいいんだよ」と言っていた。 その通りだと思った。
【戦争奇譚】 昔、谷口ジローの単行本に、原作者の関川夏央が函館戦争以後も生き残った土方歳三の話を書いていた。以下 がその要約である。勿論この話はフィクションである。 択捉に日本政府から北方調査のために派遣された軍人の白瀬一行は、択捉で一人の年老いた武士に遭遇する。 彼の顔面の半分にはひどい焼けどの痕があった。どうやらその老人は旧幕臣のようだった。この老人のたっての 願いで白瀬一行は彼を同行させることにした。この老武士は薬に関する知識が豊富であり、壊血病で苦しむ隊員 達に、ビタミンの的確な補給法を教えたりする。 ある日のこと、彼ら一行は同じく択捉の探査にやって来たロシアの軍人達と鉢合わせしてしまい、彼らと小競り合い を起こしてしまう。辺りは見渡す限りの荒野で遮蔽物は何処にも無い。もしここで銃撃戦を起せば、仮に運良く勝て たとしても甚大な被害を出してしまうような状況であった。 その時、この老武士が紛争の解決案を白瀬に提案する。その案とは、お互い一人ずつ選んだ代表者同士で戦って 雌雄を決し、それで事を収めようと。さらにその老武士は、自らその役を買って出た。 彼は白瀬に借りた軍刀を抜いて2、3度素振りをくれて鞘に収め、サーベルを持った熊のように大きなロシア人に つつと歩み寄った。ロシア人はパイプをくわえたままで、この老武士を侮りの目で見下ろしていたが、その刹那、 抜く手も見せずに鞘ばしった軍刀が閃き、ロシア人が口に咥えていたパイプが綺麗に切り落とされた。 一瞬の出来事に唖然とし、驚くロシア兵。結局、この老武士の手練の技に感心したしたロシア人達は、事を丸く 治める事を快く承諾し、解決した。 その後、老武士は白瀬に、「ワシは死ぬまでに1度でいいから、メリケン国をこの目で見てみたい」といい、米国籍 の船に渡りをつけて欲しいとねだる。彼はこの老武士の願いを聞きいれ、乗船の手配をしてやった。この老武士が 米国籍の船に乗り、日本を発った。老武士は、向こうへ到着したら必ず手紙を出すと約束した。だがその後、この 老武士行方は遥として判らなくなってしまった。果たして、この老武士は土方歳三だったのだろうか?
【戦争奇譚 〜米軍を攪乱させた幻の艦隊と幽霊部隊・一兵も残さなかった奇跡のキスカ島撤収作戦〜】 @ 太平洋戦争で最初の玉砕の場所、アリューシャン列島のアッツ、キスカ島玉砕での話。太平洋戦争中の昭和17年 6月、日本軍はミッドウェー海戦と併行して、アリューシャン列島のアッツ、キスカ両島の占領作戦を敢行した。 このうち、ミッドウェー海戦は惨憺たる敗北に終わったが、アッツ、キスカ作戦のほうはうまくいき、殆ど抵抗らしい 抵抗もないまま、両島を占領した。ところがいざ占領してみると、これが大変な島。夏は濃霧に閉じ込められ、冬は 暴風雨が荒れ狂って、とても軍事作戦を展開するどころではない。米軍の方もそれを知ってか、奪回に来るわけ でもなく、日本軍のなすがままにまかせていた。 しかし、1年も居座られると、さすがに面白くない、それないばかりか「ひょっとして日本の狙いはアラスカにあるので はないか?」という憶測がアメリカ国民の間に流れるようになった。地図を見ればわかるとおり、アリューシャン列島 は千島列島からアラスカへ連なる島。南太平洋での戦況が思わしくなくなった日本が、矛先を北に転じてアラスカを 襲わないともかぎらない。つまりアッツ、キスカ島の日本軍は、アメリカにとっては喉もとに突きつけられた短刀に 等しかったのだ。そこで米軍は、昭和18年5月、1万1000人の兵をもってアッツ島を攻撃することにした。これに対し 日本軍の兵力は約2600人。司令官のブラウン少将は、攻撃に先立ち「赤子の手をひねるようなものだ」と豪語した。 ところが、日本軍が水際での戦いをさけ、山岳部にこもって抵抗する戦法をとったため、予想外の苦戦を強いられる ことになった。加えて寒さは聞いていた以上の厳しさ。カリフォルニアの緑野で訓練を受けてきた兵士は、ヒヨコの ようにふるえあがり、凍傷による戦闘不能者が続出した。しかし、それでも戦力の差は歴然としている。日本軍は じりじりと山地に圧迫され、5月30日、29人の捕虜をのぞいて、ついに全員が戦死した。太平洋戦争における最初の 玉砕である。
A アッツ島を制圧した米軍の次の目標は、当然、キスカ島に向けられた。けれどもアッツ島での思わぬ苦戦に懲りた 彼らは、すぐに上陸攻撃をかけることをせず、暫くは近海を艦隊で固めて日本軍の補給路を断ち、様子を見守る ことにした。そして兵力を3万に増強し、さらに耐寒訓練を受けたカナダ兵5000人を加えて上陸にそなえた。 これに対し、日本軍の参謀本部は、意外にもキスカ島の全兵力5639人を撤退させる方針をとった。キスカ島の 死守はむだな消耗戦になると読んだからである。 この命令はただちにキスカ島の守備隊にも打電され、これを聞いた将兵は踊りあがって喜んだ。但し島の周囲に は米艦隊が目を光らせている。その間隙をどうぬって撤退するのか、見通しは決して明るくなかった。 事実、当初こころみた潜水艦による撤退作戦は効率が悪く、一度に運べるのは80人が限度で、とても5000余人を 帰還させるのは無理であった。そこで7月12日、駆逐艦を中心とする14隻の救援艦隊を派遣し、濃霧に隠れて キスカ湾に接岸、一気に撤収をはかる作戦に出た。ところが皮肉にも、その日にかぎって島を覆うはずの霧が すっかり晴れて、作戦は延期となった。 キスカ島の将兵は深い絶望の沈んだ。彼らの脳裏にあるのは、アッツ島で玉砕した戦友たちの姿だった。そこへ 再び朗報が入った。救援艦隊が再度島をめざしているというのだ。 一方、米軍のほうも、着々と上陸の準備を整えていた。補給路を断ってあるから、守備隊の食料はそろそろ底を つくはずである。それを待って一気に攻撃をかけるというのが彼らの算段だった。 7月26日、米艦隊のレーダーは、霧の彼方に日本艦隊らしき船団を捉えた。そこでひとまず島の監視を解き、 全艦をもって敵艦を追跡、いっせいに砲撃を開始した。当時、日本軍にはレーダーがなく、霧に中の戦いとなれば 米軍の有利はいうまでもない。
B ところが、ここに不思議なことが起きた。どんなに撃ちまくっても、レーダーから日本軍の艦影が消えないのだ。 海上を見ても、艦船が炎上している気配はまったくなく、ただ味方の曳光弾だけがむなしく霧の中へ消えていく。 「これはどういうことだ?」「まるで幽霊艦隊じゃないか」砲撃と追跡は29日まで続き、燃料を消耗しつくした米艦隊 は何がなんだかわからないまま、給油のためにいったん戦場を離脱しなければならないはめになった。 この幻ともいうべき艦隊がなんであったのかは、今もって謎とされているが、キスカ島をめざしていた日本の救援 艦隊でなかったことだけは確かだといってよい。というのも、ちょうどそのころ、キスカ湾には日本の救援艦隊が 到着し、撤収作業のまっただなかだったからだ。しかもこのときは、海上全体が霧に包まれれていたにも関わらず、 キスカ湾のみが50メートルの高さでポッカリと霧の穴が開くという好条件に恵まれた。おかげで、撤収はわずか 1時間で一兵の残もなく完了した。 しかし、もちろん米軍はそんなことは知らない。再度艦隊を組んでキスカに戻った彼らは、今度こそ守備隊の息の 根をとめてやろうと、まず航空機をもって40日にわたる空爆を続けた。霧のため、成果は確認しがたがったが、 出撃のたびに搭乗員は、「地上からの対空砲火を受けた」と報告した。これもまた不思議なことで、当時、島は既に 無人、対空砲火など上がるはずもない。
C が、米軍は、それを日本軍健在の証拠だと判断した。業を煮やした米軍は、8月15日、91隻の艦艇の支援の下に、 ついにキスカ上陸を開始した。だが、予想された日本軍の反撃は全くなかった。恐る恐る前進した将兵たちが霧の 中に発見したのは、ゴーストタウンのように放棄された兵舎と3匹の子犬だけであった。 ”奇跡の撤退”として、戦後まで語り草となったこの作戦は、米軍を翻弄した幽霊艦隊と、年に一度あるかなきかの 霧の穴という気象の妙の上に成立したわけだが、おまけとして謎の対空砲火という怪奇まで生んだのである。 あるいはこの対空砲火は、島にとりついた日本軍将兵の魂魄が幽霊となって打ち上げていたのかもしれない。 ちなみに、幽霊艦隊については、ミッドウェー海戦に敗れて沈んだ日本の機動部隊の亡霊ではないかとの噂が 流れたことがある。(学研ムーブックス『奇譚集』より)
【戦争奇譚】 昭和20年6月のこと。運送船「恋瀬丸」が便乗の乗客16名と荷物を積んで航行中、突如現れたP-51戦闘機2機に 機銃掃射を受けた。雨と降り注ぐ機関砲弾に、たちまち船内は阿鼻叫喚図となった。弾丸が薄い鋼板を貫通して 乗客たちを粉砕する。肉片が飛び散る…。大穴の開いた船底からはドッと水が溢れ、瞬く間に船は沈下。そのうち 機関が射抜かれたらしく缶が破裂。船体は真っ二つに折れ、高熱の蒸気が船内に充満する。視界を妨げる大量 の蒸気と大混乱、沈没速度のあまりの早さに脱出も思うように行かず。結局恋瀬丸は沈没し、便乗中の水兵一人 を含む乗員乗客18名が戦死。生き残りも殆どが重傷を負った。同日には常磐線や各地の学校、航空隊 そして 歩行者も攻撃を受け多数の死傷者を出している。(恋瀬は茨城県石岡市の町) その後、毎年6月頃の夜になると、恋瀬丸沈没地点付近で巨大な青白い光球が走り回ったり、湖面上をびしょ濡れ の人々がぞろぞろと歩き回ったり、誰もいないのに夜の湖面からすすり泣く声が聞こえたり、様々な現象が発生 するようになった。今現在でも現れる事があるらしい。 昭和19年11月14日の夜のこと。水戸歩兵第2連隊で突如営門が真一文字に開き、同時に進軍ラッパが遠くから 響いてきた。衛兵が警戒して見ていると、一個連隊ほどの部隊が行進してくる。その先頭で連隊長の中川大佐が 馬に乗り抜刀し、それに兵士が無言でついて来る衛兵司令は直感的に「捧げ銃」を命令。衛兵が不動の姿勢で 出迎えると、営庭の途中で部隊の姿が掻き消すように見えなくなった。 その日は村井少将と中川大佐が自決 生き残りが最後の突撃を敢行、玉砕した日だった。この時点で玉砕は誰も 知らされていなかった。 アッツ島で玉砕した山崎大佐の留守部隊である旭川師団でも似たような事があった(行進ラッパの音が近づいて くるが、部隊営門近くになるとかき消すように聞こえなくなる)。最初は上官も「ウソつくな!」と衛兵司令を叱って いたらしいが、念のため将校を歩哨につけたところ、やっぱり聞こえたため、上官も信じるようになった。
【戦争奇譚】 ガダルカナル島も凄まじい戦いがあった。そこでは日本兵3000人が救援物資が来るのを信じて待っていた。 しかし待てども待てども救援部隊はおろか日本軍の船も見えない。そうこうする内にとうとうアメリカ軍が島に侵攻 してきた。この時置き去りの日本兵3000人に対してアメリカ兵70000人。圧倒的な戦力の差は明らかだったが 日本兵は必死で戦った。この戦いの凄さは、戦闘により精神異常となって本国に帰されたアメリカ兵が30000人 以上いたという。いかに日本兵が凄まじい戦い方をしたかって事が伝わってくる。 以下はガダルカナル島で生き残ったアメリカ兵の証言。「日本兵は正確に弾を撃ってくる」「動きも速いし狙いが 定まらない(戦い方が上手かったとも言っている)」「火炎放射器のバックパックに弾が直撃して爆発炎上。周りの 仲間も燃えた」「浜辺から上陸した戦車が砲塔を日本兵の方に向けたら、全速力で突進してきたかと思うと砲塔の 中に銃を向けて弾を放った。途端に主砲の中の大弾に触れたのか中で爆発を起こして熱気が凄かった。中にいた 搭乗員は皆オレンジ色のスライム状になって中から溢れてきた。それを見た周りの仲間も嘔吐をもよおしたりして 気が狂った人達もいた。もし砲塔に向かって撃つ時に先に我々が撃っていたら日本兵は死ぬ。日本兵は死を覚悟 して尋常ならざる決意で戦っていた事がそこで解かる。」
【戦争奇譚】 ビルマのメイミョウ 昭和19年1月26日のことだった。敵の攻撃が激しくなったので偕行社(将校サロン)を後方の キョウセに移転する事になった。若い女性たちがいたからである。別れの宴が行われた日、女性の一人上野山 さんは南少尉に手のひらを見せ、「私はもう間もなく死にそうだ。遺品と思って受け取ってください」と、母から貰った という木のふちの四角い手鏡と、赤い縁飾りをした手作りの白いハンカチをくれた。 偕行社が移って何日目かの真夜中、南少尉は何気なく手鏡を取り出し、今頃彼女たちはどうしてるだろうと思った。 その時、何か赤い影がすうっと後をよぎる気配がした 振向いたが誰もいない。ドアを開けてみても誰もいない。 不思議に思いながらハンカチを開くと、真っ白なハンカチに赤いしみが広がっていた。少尉は胸をつかれた。一体 何が起こったのだろうか。 その時キョウセにいた偕行社の娘たちは全員爆弾で木っ端微塵に吹き飛ばされていたのである。報せが入り遺体 収容のため南少尉らはキョウセに車を飛ばした。しかし建物も娘たちもすっかり吹き砕かれ、どこに遺体があるの かも分からない。呆然として見回すと、赤い靴を履いた女の片足だけがころがっていた。上野山さんの足であった。
【戦争奇譚】 第二次世界大戦ヨーロッパ戦線での話。電撃作戦によってフランス軍を散々打ち負かして進撃を続けるドイツ軍。 そんな折、あるドイツ軍の歩兵中隊が小村を占領しました。暫くして1人の兵士が、ある農家に立派なワイン貯蔵庫 があるのを発見。上官に報告すると、「そのワインを持って来い」と言うので、彼は地下にあるワイン倉に入っていき ました。でも、いくら経ってもその兵士はワイン倉から戻ってこない。しびれを切らした上官は別の部下2人に様子を 見てくるように命令しました。しかし、今度はその2人も戻って来ない。上官は更に別の部下2人を行かせましたが 結果は同じでした。上官は「ならば俺が見に行く!」と言って残りの部下(何人かは不明)を従え、地下室に降りて いきました。地下室はごく普通のワイン倉で、別に変った所も無い。彼は先に送り込んだ部下5人を探しましたが、 どこにも見当たりません。しかし彼はその地下室に降りた時から、言いようの無い不安と恐怖に襲われていました。 「ここには人間以外の何かが居る」直感的にそう判断した彼は、捜索を打ち切り早々に地下室を後にしました。 彼は戦争を生き延び、何十年後かに再びその小村へ行く機会を得ました。恐る恐る地下室に降りた彼は、違和感を 覚えました。「この地下室、こんなに床が高かったか…?」以前見た時に比べ、確実に数十センチ程床が高くなって いました。しかし彼は敢えてその事には言及せず、その場を去ったのです。「人間以外の何か」とはどういうモノだっ たのでしょうか?
【戦争奇譚】 第一次大戦勃発直後のお話。ドイツ軍の猛攻にさらされ、追い詰められたイギリス軍の部隊が、「聖ゲオルギウスよ、 イギリスを守りたまえ!」と叫びながら突撃し、孤立状態から脱出することに成功した。そのとき、士官の一人は弓矢 を持って敵軍の塹壕へと自軍を導く人々がいるのに気付いた。 戦闘が終わってドイツ人捕虜を尋問していると、捕虜がこう尋ねた。「あの大きな白馬に乗った士官は誰なんだ? 誰もあいつを撃てなかった」どうやら、その白馬に乗った士官が謎の弓兵部隊を指揮していたらしいのだが、イギリス 軍では誰一人として、その士官を見ることは出来なかった。 また、別の戦場では、ドイツ軍の大部隊が突撃してきた直後に黄色がかった霞が立ち上り、それが晴れると金髪で 黄金の甲冑を纏った白馬の騎士が立っていたと言う。白馬の騎士は剣を振りかざしてイギリス軍を駆り立て、結果と してドイツ軍は押され始め撤退したという。
【戦争奇譚】 私が乗務する潜水艦が八丈島南西を行動中だったときのことです。潜水艦というとずっと潜っていると思われがち ですが、実際には原潜でないかぎり水上を航走する場合も多いものです。そのような場合、舷側の低い潜水艦では 行き交う船と互いに識別しあうのが難しく、両目を使っての目視での監視が非常に重要な役割を担います。ある夜、 私は見張りの士長たちともども司令塔の上に立ち、双眼鏡で周囲を警戒しておりました。 士長が左舷前方に船影を発見し、私はそのことを発令所に伝えました。が、ほどなく「見間違えじゃないか?」と聞き 返されました。同時に回していたレーダーには感度が無いというのです。士長の報告した概位からすればごく近いと 思われ、ありえないことです。「そんなバカな。まだ見えてますよ」と士長が言うので、私は夜でも良く見えるという 彼の私物の双眼鏡を借り向けて見ました。 確かに船影はあります。それも思ったより大きく見えます。しかし妙なことに気づきました。その夜は月が明るく、 結構遠くの船影でも細かい部分までくっきり見えていたものです。ところがその船影に限ってのっぺりと真っ黒く、 細部がまるで見えないのです。それでも、シルエットから判断して、こちらと反航しつつあるように見えます。 辛抱強く見つづけていると、ようやくその船が軍艦らしいことに気づきました。あちこちから艦砲と思しき細いものが 伸びているのです。しかし艦砲主体のこのような大型艦は、自衛隊はおろか、米海軍にも、近隣諸国にももう在籍 していないはずです。 私は当然の連想をしてしまい、思わず士長に双眼鏡を返してしまいました。士長によれば、その船影は10分ほどで 視界から消えたそうです。しかし彼はこういいました。「一番近づいたとき、あっちの舷側にずらっと人影が並んで、 こっちに帽振れやってるように見えて仕方なかったですよ」
【戦争奇譚 〜U65、謎の爆発〜】 @ 第一次世界大戦での話。大西洋を作戦にて航行していたアメリカ海軍の潜水艦が、波間に漂うドイツ海軍のUボート を発見しました。時に1918年7月10日。 「良い得物を見つけた。しかし妙だな。無人なのか、あの船は?」アメリカ潜水艦側の艦長は不審に思いつつも、魚雷 装填を部下に命じます。そして正に魚雷をドイツ潜水艦に発射しようとしたその時、当の目標が大爆発を起こして、 あっという間に沈んでしまいました。 呆気に取られてその有様を見ていた米潜水艦の艦長。「どうしたことだ、誰かが俺の得物を横取りしたのか?それに しても爆発の直前、独潜水艦の舳先に誰かが立っていたような?」 この爆発沈没した潜水艦こそ、第一次世界大戦で「呪われたUボート」として知られる、「U-65」最後の姿でした。 実はこのU65、建造当時より「曰くつきの艦」として噂になっていました。まず、建造中に5人もの死者を出しています。 最初の死者は潜水艦の部品の下敷きになり、死亡。続いて機関の点検をした際には有毒ガスが発生、その上の 機関室の扉が何故か開かず、中に居た人間は逃げられずに全員死んでしまいます。 それでも一応完成したU65は、初の潜航試験に臨みます。ところが浮上できずに沈み続け、海底に着底して動かなく なりました。乗組員が必死に復旧作業をしましたがビクともしません。そして誰もが諦めかけた12時間後。今度は突然 浮上を始め、乗員は辛くも一命を取り留めます。 このように問題が多い艦など、平和な時代であれば流石に使われる事も無かったのでしょうが、当時のドイツは戦争 の真っ最中。出撃することになました。 出撃後最初の事故はベルギーで起きました。ベルギーの港へ寄港した際一発の魚雷が爆発、この事故で中尉1人と 下士官5人が死亡します。
A そして整備の為にU65がドッグに入れられた夜の事です。艦の舳先に誰かが、じっと立っているのを2名の乗員が目撃 しました。一体誰だ、あんな所に突っ立ってるのは?そう思って注意しようとした時、見覚えのある顔であることに気付 きます。「そうだ、あいつはこの前の魚雷爆発事故で死んだ中尉じゃないか!」 2人は艦長に対して見たままを報告しました。しかし彼は幽霊など居る筈は無い、馬鹿馬鹿しいと言い放ち、取り合い ません(その後、幽霊を目撃したうちの1人は、艦から逃亡した)。そうこうするうちに艦の整備も終了し、再度出撃する ことになりました。 航海中、U65は何隻かのイギリス船を撃沈して立派に任務を遂行、帰港します。第二の事件はこの時起こりました。 帰港した港がある日、イギリス軍の爆撃を受けて艦長が死亡。U65には後任の艦長がやって来ます。彼は自分の新 しい部下の大多数が、精神的に追い詰められてるのを見て「これは只事では無い」と直感します。新任の艦長は部下 達に「幽霊などは絶対に居ない」と訓示し、一応念の為とでも思ったのか、従軍司祭にU65のお払いをさせました。 しかし、その後の経過を見るとお払いの効果は無かったようです。まず、数日して砲手が発狂して自殺。同日に士官 が足の骨を骨折。更に翌朝、下士官の1人が突然海に飛び込み、そのまま行方不明に。 立て続けに起きる事故に、新艦長も何かを感じたのでしょう。本来なら敵を追いまわす立場である筈のU65は極力敵 との交戦を避けるようになりました。また、恐慌状態にある乗組員を少しずつ楽な部署へと移動させる努力もしました。 そうすることで、少しでも負の力を逸らそうとしたのでしょうか。ですが、事態は悪化の一途を辿りました。 そして運命の1918年7月10日を迎えるのです。恐怖に耐えられなかった乗組員が艦を自爆させたのでしょうか?それと も味方潜水艦に誤射されたのでしょうか?今となっては真相は闇の中です。
【戦争奇譚 〜ジーカート大尉のメッサーシュミット〜】 20世紀中頃。当時のドイツは知っての通り、1939年からヨーロッパ中を相手に戦争を繰り広げていました。特に1941年 から始まった対ソ戦は日に日に泥沼の様相を呈していました。 1942年の或る日の事。旧ソ連領内にあるドイツ軍飛行場からメッサーシュミット(ドイツ軍の戦闘機)の一隊が飛び立ち ました。暫くしてメッサー部隊は作戦行動を終えて基地に帰還したのですが、「ジーカート大尉」の操縦するメッサーシュ ミットだけが帰還しませんでした。エンジン不調によるものか、対空砲火や敵戦闘機に撃墜されたのか?その後も彼の 消息は掴めませんでした。 時は過ぎ去り、1989年。旧ソ連の空港に、管制塔と一切交信しないばかりか、着陸許可も無しにいきなり単発の飛行機 が滑走路に降りてきました。空港職員が急いで駆けつけてみると、その飛行機はなんとメッサーシュミット戦闘機。尾翼 にはナチスドイツの象徴、「鍵十字」のマークが。更に職員が恐る恐る操縦席を覗いてみると、そこには白骨化した搭乗 員が座っていました。 その後の調査で、この白骨化した搭乗員は1942年、東部戦線で消息を断ったジーカート大尉と判明したとの事です。 一体大尉はどうやって半世紀近くもの時間を超えて突然現れたのか。その間は何処に居たのか。何故白骨化してしま ったのか。全ては謎です。 ただ、この話は「メッサーシュミット版」の他に「スツーカ版」(同じくドイツの急降下爆撃機)や「スピットファイア版」「ハリ ケーン版」(共にイギリスの戦闘機)まであります。
【戦争奇譚】 新耳袋・第一夜にこんな話があった。太平洋戦争中のある夜、ふと目が覚めてなぜか仏間へ行かなければならない 気がして仏間に行く。すると他の家族もなぜか目が覚めて仏間に集まっている。家族全員揃ったので、わけは分から ないけどせっかくだから念仏でも唱えようと皆で念仏を唱える。明け方になりそろそろ寝床に戻ろうかと襖を開けて 驚いた。隣りの部屋が消えていたのだ。夜中に空襲に遭い、焼夷弾が落ちたらしく、あたり一面焼けている。不思議な ことにそんな音は全く聞いていないし、仏間の襖は爆風さえ受けていない。おかげで家族は全員無事だったという。 陣地を覗き込む兵士について。第二次世界大戦でのこと、1944年にビルマ(現ミャンマー)にて日英両軍が互いに 陣を構え、睨み合っていました。戦況の方は正直な話、日本軍に対して不利。ですが「最後の一兵まで戦う」と頑張る 日本軍。そんな中、イギリス軍の一部隊が突然降伏を申し入れてきたのです。「有利な筈のイギリス軍が何故?」 日本側の質問に対し、イギリス側は以下の様に答えました。 「夜中になると、日本兵が我が軍の陣地をうろついたり、中を覗き込んだりする。それがどう見ても生きている人間では 無い。しかも、日本軍が突撃してきたので反撃すると煙のように消えてしまったり。もう耐えられない」 それを聞いた日本軍は「ああ、死んだ仲間がしてくれたんだ」と言って、別段驚かなかった、との事。 洞窟の中のオオトカゲについて。第二次大戦中、タイ近辺での話らしいです。その地で日本軍は、昼の間捕虜を土木 工事に従事させ、夜は洞窟で休ませていました。そのうち、妙な事が起きるようになります。朝、捕虜を点呼すると何人 か消えてしまっている。最初は「脱走か?!」と思われたのですが、よくよく事情を聞けば、洞窟の中にオオトカゲが 居て、そいつが夜になると捕虜を襲って食ってしまう、とのこと。 最終的に手榴弾で始末したという。
【戦争奇譚 〜イギリス海軍砲艦アヴァランシュ号〜】 1897年7月。ベトナムのアロン湾を航行していた「イギリス砲艦アヴァランシュ号」が、体長20メートル程の生物2頭が 泳いでいるのを発見。これを攻撃した(命中したかどうかは不明)。 年が変って1898年2月15日。アヴァランシュ号は再びアロン湾にて謎の生物と1時間半に渡り遭遇。攻撃したところ、 今度は見事命中。しかし、取り逃がしてしまう。 更に同年同月25日。アヴァランシュ号はやはりアロン湾で未確認生物と3度目の遭遇をします。この時現れたのは 2頭で、頭部はアザラシに似ていたとの事。 【戦争奇譚 〜ドイツ帝国海軍潜水艦U28〜】 第一次大戦中の1915年7月30日。「ドイツ海軍潜水艦U28」はイギリスの汽船「イベリアン号」号を雷撃、これを撃沈。 沈み行くイベリアン号は25秒後に海中100メートル付近で爆発しました。 その時、「ワニの様な体をし、頭が細長く水かきが付いた」体長20メートル前後の未確認生物」が爆発の衝撃で海面 に吹き上げられたのです。この様子はU28の艦長ともう1人の兵士によって、潜水艦艦橋から目撃されました。 ちなみにU28の艦長はこの出来事をつぶさに航海日誌に記録したそうです。流石は生真面目で知られるドイツ人、と いったところでしょうか。
【戦争奇譚 〜消えたノーフォーク連隊〜】 第一次世界大戦中の話です。1915年8月21日の事。トルコのアンザックの近くにある、サル・ベイ丘に向かって イギリス陸軍ノーフォーク連隊341名が進軍していました。その日、サル・ベイの丘の上には霧がかかっていた のですが、連隊が進軍するにつれてその雲は徐々に下へ下りて来ました。やがてノーフォーク連隊はその雲に 隠れて完全に見えなくなりました。この様子は別の場所からニュージーランド兵22名が眺めていました。 問題はここからです。そのうち風が吹いて丘の雲を一掃したのですが、連隊兵士の姿が何処にも見えない。 ニュージーランド兵の居る場所からは数十キロ四方が見渡せるのですが、何処にも見当たらなかったそうです。 その後、イギリス軍では調査を開始したものの手がかりは無し。戦後の捕虜返還でも、ノーフォーク連隊の兵士 は1人として居ませんでした。と、ここまでは良く知られる話なんですが、以前別の所で聞いた話ですと、何名か の遺体は発見されているとの事。ただ、全員の遺体が見つかったわけではないので、やはり真相は闇の中。 【戦争奇譚】 戦時中ではなく、戦後の話です。ビルマ(現ミャンマー)の現地の方々によれば、夜のジャングルから聞き慣れない 言葉(日本語)が聞こえてくるそうです。そのどれもが、苦しそうな声だとか。きっと、インパール作戦で散った兵士 なのでしょう。現地の人々からすれば言葉も分からないでしょうし不気味かも知れませんが、我々日本人にとって は涙を誘う話です。
【戦争奇譚】 遠い南の島に、日本の歌を歌う老人がいた。「あそこでみんな死んでいったんだ」沖に浮かぶ島を指差しながら老人 はつぶやいた。太平洋戦争のとき、その島には日本軍が進駐し陣地が作られた。老人は村の若者達と共にその 作業に参加した。日本兵とは仲良くなって、日本の歌を一緒に歌ったりしたという。 やがて戦況は日本に不利となり、いつ米軍が上陸してもおかしくない状況になった。仲間達と話し合った彼は代表 数人と共に日本の守備隊長のもとを訪れた。自分達も一緒に戦わせて欲しい、と。 それを聞くなり隊長は激高し叫んだという。「帝国軍人が、貴様ら土人と一緒に戦えるか!」日本人は仲間だと思って いたのに、みせかけだったのか?裏切られた想いで、みな悔し涙を流した。 船に乗って島を去る日 日本兵は誰一人見送りに来ない。村の若者達は、悄然と船に乗り込んだ。しかし船が島を 離れた瞬間、日本兵全員が浜に走り出てきた。一緒に歌った日本の歌を歌いながら、手を振って彼らを見送った。 先頭には笑顔で手を振るあの隊長の姿が。その瞬間、彼は悟ったという。あの言葉は、自分達を救うためのもの だったのだと。 八甲田山・死の雪中行軍は多くの方がご存知かと思います。この悲劇は長く語り継がれ、それと共に心霊話も多く あります。時は現代。ある学生グループが「肝試し」と称して悲劇の舞台となった八甲田山へやって来ました。最初 はただ騒いでいただけの彼等ですが、そのうち悪戯心が出てきたのか、雪中行軍の犠牲者を慰める供養塔などに 対して不敬な行為を働きました。しばらくして学生達は帰途に着いたのですが、その日の晩、彼等が寝ていると、 外から大勢が足並みを揃えて行進する音が聞こえ、それが徐々に近づいてくる。そしてとうとう、彼等の寝室にまで ドカドカと入って来ました。恐怖で動けない学生達を上から眺める多くの兵士達。やがて1人の兵士が「ワシはこの 手が欲しい」と言い出しました。すると別の兵士が「俺はこの目が」「ワシは足だ」。その後半年ぐらいで、この学生 グループは兵士達が言った手や目、足などを事故等で次々と負傷したとの事です。この話が本当か嘘かは別と して、八甲田の兵士達も国の為に自らの命を捧げた人々。敬意を持って接したいものです。
【倫敦奇譚】 19世紀の話です。ロンドン塔内を警備する衛兵隊長が『ホワイト・タワー』内の『チャペル・ロイヤル』より漏れる不審な 灯かりを目撃しました。「おかしいな。あそこは鍵も掛けてあるし、無人の筈なのに」万が一不審者が侵入したとなれば 放置できません。隊長は梯子を持ってこさせて壁に立て掛け、『チャペル・ロイヤル』を覗き込みました。中を見た彼は 一瞬目を疑いました。煌々と照らされた灯かりの下には、騎士や貴婦人の格好をした人々が大勢居ます。彼等は行列 を組んでゆっくりとチャペル内を歩いています。そして列の先頭には、1人の優雅な貴婦人の姿が。 「一体どうしたことだ!彼等は一体?しかし、列の先頭を歩くあの女性どこかで見た記憶が。誰だったかな?」 その行列は『チャペル・ロイヤル』内を何度か行ったり来たりした後、灯かりと共に消えてしまいました。 その後、警備隊長は「列の先頭を歩く貴婦人」を思い出す事になります。彼女こそ「イギリス王の中で最も悪評高い」 ヘンリー8世2番目の妻となり、その後は王の身勝手な考えから1536年、断頭台の露と消えたアン・ブーリンその人で ありました。
【倫敦奇譚】 これもロンドン塔の話です。10月のある日(何年かは不明)。ロンドン塔内の弾薬庫で警備の任務に就いていた歩哨が、 大声を上げて気絶しました。彼の名はA・レイノルズ。暫くして彼は、駆けつけた仲間に助けられました。一体何があっ たんだ、と問い掛ける仲間に対してレイノルズは以下の様な話をしたのです。 「自分はいつものように弾薬庫の警備に就いていました。すると、何やら白い影が現れたんです。影は徐々に私の方 へ近づいてきました。あぁ、思い出すのも恐ろしい。その影は、首のない女性だったんです!私は銃を向けて威嚇した んです、ですがその女性はどんどん近づいてきて・・・信じて下さい、本当なのです」 この話は評判になりました。そして、件の幽霊は、以前ロンドン塔で処刑されたアン・ブーリンだろうと言われました。 A・レイノルズはこの後何度も、「白い影」に遭遇したとの事。幽霊はレイノルズがお気に入りだったようです。 ちなみにアン・ブーリンという女性は先にも少し触れましたが、生涯6度の結婚をしたヘンリー8世が2番目に迎えた后 です。元々は侍女でしたが王の寵愛を受け、結婚するに至りました。ですが、男子を産めなかった為にあらぬ濡れ衣 を着せられ1536年、ロンドン塔で斬首されてしまいます。 処刑の際、アンは濡れ衣の処刑にも関わらず非常に落ち着き払っており、最後まで毅然としていました。その態度に は処刑人も感銘を受けた程です。アンの産んだ女の子は後にエリザベス1世となり、イギリスを繁栄に導きます。
【戦争奇譚 〜幽霊飛行機〜】 1942年7月、イギリスのスコットランドで起きた話です。その日、イギリス空軍士官のJ・デブリンはいつものように 管制任務に就いていました。その日は特に予定らしい予定も無く、のんびりしていたそうです。 が、その時緊急連絡が入りました。「敵味方不明機がモントローズ基地へ接近中!」デブリンは仲間と共に外へ 駆け出すと、空を見上げました。 暫くして南東方向から飛行機の爆音が。やがてその飛行機は基地上空へ現れました。 「なんだ、あれは!時代錯誤もいいところじゃないか」無理もありません。彼等の前に現れたのは、第一次大戦で 使われていたと思われるような、布張りの複葉機だったのです。色はライトブルー、星型エンジン搭載のそれは、 第一次大戦で使用され、かの「レッドバロン」撃墜にも一役買ったと言われる、『ソッピースキャメル』戦闘機と思わ れました。複葉機はコース変更もせず真っ直ぐに飛び続けると、そのまま雲の中へ消えて行きました。そしてこの 謎の複葉機は数日後にも全く同じようにして現れたのです。 このあまりにも不可解な出来事に関心を持ったデブリンは早速調査を開始しました。そしてデブリンは基地周辺に 古くから住む、サンディ老人から次のような話を聞きだします。 数ヶ月前の事。羊飼いのジョンという少年が迷子になった羊を探すうち、大きな岩場へ出た。暫く岩場を彷徨って いると、連れてきていた犬が何かを見つけたらしい。そこは大きな岩の裂け目で、ジョンが中を覗き込むと中には かなり古い複葉機の残骸と人骨が散らばっていた。 デブリンは確信します。自分が見た謎の複葉機はきっとジョンが見つけた複葉機であり、事故の日と同じコースで 数十年経った今でも空を飛び続けているのだ、と。
【戦争奇譚 〜幽霊飛行機2〜】 時は現代のイギリス、年が明けて間もない1月の出来事です。ある夫婦が旅行中、バーノルズウィックという町に 差し掛かりました。その日はイギリス特有の霧が発生していたとの事です。 そろそろ休む場所でも、と考えていた夫婦の目の前に、突然巨大な飛行機が現れたのです。その航空機は周囲 の建物や車にぶつかりそうな位の低空飛行をした後、現れた時と同じように、忽然と消えました。 夫婦の話によれば、その飛行機は第二次大戦中に活躍した『ランカスター爆撃機』で、機体は灰色、プロペラが 回転していたのにも関わらず、全くの無音であったとのこと。 その後、新聞でこの出来事が報道されると様々な人々から数十件の目撃情報が寄せられました。 それによると、色は灰色、特に国籍マーク等は付いておらず、プロペラは回転しているが音は無し。そして誰もが 「あれはランカスター爆撃機だ」と証言しました。 ある老人によれば、昔この付近には飛行場があったとか。現在は戦時中、バーノルズウィックに不時着したランカ スター爆撃機があったかどうかを調査中、との事。戦後数十年経った現在。このランカスターは、今も帰るべき 飛行場を探しているのでしょうか?
【戦争奇譚 〜帰ってきた戦闘機〜】 @ 第二次大戦中、独・伊軍と英・米軍は北アフリカ及び地中海に於いても戦いを繰り広げておりました。そんな中、 アメリカ軍のP-38(戦闘機)の一隊が、ドイツ軍基地の偵察へ向かいます。当然の如く反撃してくるドイツ軍。 地中海上では、激しい空中戦が繰り広げられました。やがて戦闘は終わり、P-38は再び編隊を組み直します。 ですが、一機足りない。空中戦でやられたのか、いや、パラシュートで脱出したのではないか。 仲間は低空飛行で海の上を探し回ります。が、懸命の捜索にも関わらず機体の残骸すら見つかりません。燃料 も乏しくなり、後ろ髪引かれる思いでその場を後にしました。 パイロット達は基地へ帰り着くと、僅かな希望を頼りに周辺基地へ問い合わせます。「誰も奴が撃墜されている ところを見たわけじゃないんだ、きっと戻ってくるに違いない。もしかしたらエンジン不調か何かで、別の基地に 着陸した可能性だってあるじゃないか」 ですが、全ての問い合わせも無駄に終わります。「やはり奴は戦死してしまったのだろうか?」誰もがそう思った 時、けたたましい空襲警報のサイレンが。 「敵味方不明機、接近中!」基地内は騒然となり、各員戦闘配置へ。その間にも正体不明の飛行機は基地へ 近づいてきます。やがて、それは目視できるだけの距離までやってきました。 「あれはP-38だ!味方だ!」空を見れば確かに味方戦闘機P-38が低空飛行でこちらへやってきます。地上から 無線でP-38へ呼びかけます。ですが、反応がありません。やがてそのP-38は無線を無視したまま、着陸態勢へ 入ります。しかし、速度が速すぎる。「危ないぞ、あんな速度で着陸なんて!」誰かが呟くと同時に機体は大きく バランスを崩し、そのまま空中分解。
A その時です。「人だ!脱出したぞ!」空中分解寸前の機体から、搭乗員が脱出するのが見えました。脱出した 彼はパラシュートを開き、そのまま地上へ降りてきます。「やったぞ、助かった!やっぱり奴は生きていたんだ!」 救急車輌と共に仲間のパイロット達も現場へ駆けつけました。それから数分後。唖然として立ち尽くす衛生兵を、 他の人々が遠巻きにしていました。 「こんな事ってあり得るのか?」「どうやってここまで?」「でも、確かに脱出していたが。お前も見ただろ?」取り 囲んだ人々はパラシュート降下してきた人物を見ながら、口々に囁きました。 パラシュートで脱出した人物は死亡していました。ですが、パラシュート降下に失敗して死んだわけではありま せん。頭を撃ち抜かれて、即死の状態でした。後の検分では、P-38の燃料タンクはすっかり空になっていました。 これは別に不思議な事ではありません。帰還する時間を大幅に越えていたわけですし、燃料は無くなって当然 なのです。ですが、空中分解する寸前まで、飛行機のプロペラが勢い良く回転していたのは全員が見ています。 更に、頭を撃ち抜かれ、数時間前には死んでいる筈の人間が脱出し、パラシュートを開いて降下する姿も。 このあまりにも不可解な出来事は、前線指揮官が事件を目撃した全ての将校・下士官に証言を記録させ、認識 番号・官姓名・サイン付きで書類を提出させたとの事です。
【戦争奇譚】 @ これも戦後の話です。1958年の事。サハラ砂漠のカランシオ台地上空を飛行していた飛行機が、砂漠に胴体着陸 したまま放置されている一機の爆撃機を発見しました。見たところアメリカ軍の爆撃機B-24と見られ、発見者は直ぐ に米軍へ報告したのですが、「該当機は無し」との返答。不時着着はそのまま半年放置されます。 その後地上からの捜索が始まり、問題の爆撃機は再発見されました。B24自体に大した損傷が無いばかりか、機体 の中にはチューインガムや煙草、ポットに入ったコーヒーなども残されていたのです。調査員は首を捻りました。 「機体はほぼ完全、中には食料も残されている。乗員は何処へ?」更に機体の中からは飛行日誌も見つかりました。 日誌の最後は「1944年4月4日ナポリ港爆撃」の項で終了していました。 この事件は「空のマリー・セレスト号事件」として長らく語られたのですが、その後真実が徐々に明らかになります。 問題の1944年4月4日、ナポリ港爆撃は深夜に行われた夜間爆撃でした。その後B24は帰投しようとしたのですが、 どこをどう間違えたかサハラ砂漠へ。夜間なので海と砂漠の見分けも付きません。 その後も必死に帰るべき空港を探しますが結局見つからないばかりか、燃料も尽きて全員(9人)パラシュートで脱出。 その時点で1人が行方不明になり、残り8人は地中海を目指して北へ歩き出します。ですが砂漠の過酷な気候に耐え られず5人がダウン。残された3人は更に北へ。結局この3人も途中で力尽きてしまうのですが、これらの事実は見つ けられた遺体に残された日記から明らかになったものです。
A B24は彼等の脱出地点からすぐ南に不時着しており、更に南を目指してればオアシスもあったとの事。搭乗員達が 北ではなく、南を目指していたら、あるいは助かっていたのかも知れません。 こうして事実は明らかになったのですが、それでも疑問は残ります。クルーの記した飛行日誌には、次の一文が書か れていました。「火の玉、赤い火の玉…」。 これは戦時中、日本やドイツ上空に現れた「フー・ファイター」の事ではないでしょうか。この「フーファイター」は敵味方 関係無く、戦場で多くの人間によって目撃されています。「フー・ファイター」に攻撃されたという事実は今のところ無い ようですが、B24のクルー達がこの「火の玉」に惑わされ、砂漠に迷い込んでしまったとしたら?
【戦争奇譚】 村上忠良中尉の話。戦闘中ふと横を見ると、なんと自分の母親が手招きしてるのが見える。幻覚かと不審がったが、 一緒にいた部下も見えるというので、匍匐でそっちに行ってみた。その直後今までいた場所で敵砲弾が炸裂。大穴が 開いた。一方、母親の姿はいつの間にか見えなくなっていた。 戦後帰還してから母親にそのことを話すと、母親は非常に驚いた顔をした。母親はその日、仏壇で武運長久を祈って いる最中倒れ、戦場で苦戦してる息子の夢を見たというのだ。 グラフシュペーは、商船狩りに特化したポケット戦艦(豆戦艦・装甲艦)です。イギリス海軍の巡洋艦三隻と砲戦を交え、 損傷したグラフシュペーは中立国であるウルグアイのモンテビデオ港に停泊。つまり南米。ここでは交戦は行われず、 外交的駆け引きの後に、グラフシュペーはイギリス海軍の待ち受ける海へと出航します。このとき、沿岸には80万人 もの見物人が集まり、固唾を呑んで見ていたと言います。 だが、洋上では英国海軍が待ちうけ、逃げられないと判断したラングスドルフ艦長は、グラフシュペーを自沈させます。 乗員は商船に退避し、艦長は後に自決しました。これが世界的に有名なラ・プラタ沖海戦のあらましで、小説や映画 にもなった有名な海戦(船)です。 停泊中による謎の爆沈で有名なのは、日本の戦艦・陸奥。船員による放火説が有力ではあるが、爆発の前に砲塔の 上で薄気味の悪い女が笑っているという怪談のある船です。
【戦争奇譚】 時は1945年。日本中が巨人爆撃機B29により焦土と化していた頃です。当時、Aさんは中学生でした。ある日の 深夜の事。彼の住む町がB29による爆撃を受けたのです。家族とも散り散りになり、Aさんは必死の思いで近くの 防空壕に駆け込みました。 「助かった…」ほっと一息付いたAさんは変な事に気付きました。いつもなら他の人で息をするのすら大変な程に 混雑する壕内なのに、居るのは自分1人だけなのです。いや、よく目を凝らせば、もう1人壕内に居る。 女性でした。自分より年上の、17,8歳位でしょうか。しかし妙なのです。映画などでご存知の通り、当時一般の女性 は全員モンペ姿です。しかし、彼女はなぜか派手な着物を身に纏っていました。今考えればあれは遊女だったとの 事ですが、当時はまだ純粋な中学生だったAさん。当然そんな事は知りません。 女性はAさんを見ると笑いかけました。それは決して不気味な笑い方とかではなく、見ていて心安らぐような笑い方。 きっと、世間の底辺を這いずってきた人間だからこそできる顔だったのでしょう。 爆撃の恐怖で今だ震えの止まらないAさんを見て、その女性はそっと彼の手を取り、自分の胸にAさんを抱きました。 まるで姉に抱かれているような安心感を得た彼は、そのまま眠ってしまいました。 次にAさんが気づいた時には、すっかり日が昇っていました。爆撃から生き残った嬉しさと共に防空壕を駆け出そう とした彼ですが、ふと足が止まりました。 自分の足下にはボロボロになった着物と女性物の櫛が落ちているのです。見たところ何年も使われていなさそうな 感じでした。汚くなっているとはいえ、この着物の柄は間違いなくあの女性が着ていた物・・・彼女は一体誰? Aさんはその後大人になって某企業を定年まで勤め上げ、日本を「奇跡の復興」に導く一員となりました。戦後数十 年経った現在。彼は未だにその女性の笑顔を忘れられないそうです。
【戦争奇譚】 米軍上陸前の硫黄島の話。硫黄島は太平洋上の小島にすぎないため、川などが存在せず水の確保が非常に難し かった。旧島民が使っていた雨水をためる貯水庫は一部の上層部のために使われ、2万人近い一般兵水は火山の 蒸気を冷やしたものが使われた。火山の蒸気だからたっぷりと硫黄等の重金属が含まれており、兵士の殆が身体を 壊し酷い下痢になった。一日に何十回もトイレに行かねばならず、それ以前にトイレに間に合えば『かなり健康な 状態』だとされた。大部分がトイレに間に合わず垂れ流し状態だった。因みに、この硫黄島の水で米を炊くと、硫黄で ご飯が黄色く染まったらしい。 また、硫黄島での敵が来るまでの任務は、敵が来てもしばらくは耐えれるように、蒸気噴出す熱い大地に穴を掘って 洞窟陣地を構築することだった。だが、活火山だけに洞窟内部の気温は非常に高く、低いところでも40度を越えて いたとか。当然そんなところで長時間作業できるはずもなく、5分〜10分掘ったら身体を冷ますために外に出なくて はならなかった。また、殆どの者が身体を壊していたため倒れる者が続出。病院もあるにはあったが、病人の数の 多さから手のつけようの無い重病者が殆どだった。しかしそれでも尚手が足りなかった。軍医が寝ている病人の間を 歩きながら一瞥するのが通常の診察であり、手当てらしい手当てを受ける者は見られなかった。そこはさながら死の 待合室だったと生還者は語っている。 米軍の上陸前の事前砲爆撃も凄まじく、発射された砲弾の数こそ沖縄よりも少なかったが、発射された砲弾のトン数 は沖縄と同じかそれ以上だった。なぜなら、沖縄はロケット弾や駆逐艦等の12.7cm程度の小口径砲が主体だったが、 硫黄島は戦艦による38cm〜40cmの大口径が主体となっていたからである。 硫黄島に発射された砲弾は推定5000トンに及び、これは一坪当たり700キロの爆弾を使った計算になる。日本の 一般的な爆撃機、一式陸上攻撃機の搭載量が800キロだったことを考えれば、砲撃の激しさが分かるだろう。 この砲撃により島の南端にある擂鉢山という山の形が変わったという人もいる。 こんな状態でも人は生きていられることがかなりの驚きといえよう。
【戦争奇譚】 日本人で特に有名な狙撃手は、明治時代の村田経芳。明治8年の欧米視察で、ドイツ・フランス・イギリス・スイスの 各射撃場及び大会で全部優勝。腕試しでも全て勝ち、射撃協会から「世界一の射撃手」の称号を受ける。 また戊辰戦争と西南戦争でも官軍側にとして参加、当時のスコープ無し軍用銃で狙撃し、薩摩兵を何人も仕留めて いる。薩軍の篠原国幹を狙撃戦死させたのもこの人。 戦闘中いつも寝そべって、足だけを塹壕の外に出している古参兵がいた。「足負傷くらいで死なないし、負傷すれば 誉傷扱いで内地に帰れる」と常々言っていた。ある日、相当な長距離で敵と遭遇し、小競り合い程度の戦闘があった。 双方戦死者・負傷者もなく、戦闘が終結しかけたころ、「もう大丈夫か?」と古参兵が頭を上げた。と、その瞬間に、 たった1発の流れ弾が古参兵の頭を撃ち抜いた。この日の損害はこの古参兵1人だけだったという。 似たような話がベトナム戦争の戦記本で米兵の証言として載っている。その兵士の小隊長は大変用心深く、夜は 常に敵の襲撃に備え、屋根にも土嚢をのせた壕の中にこもり、ヘルメットと防弾ベストまで身に付けて寝ていたの だが、ある日の夜、敵が、基地で就寝している兵士を叩き起こす為(一種の心理戦)に嫌がらせで撃った、たった 一発の砲弾の、それもその破片のひとつが小隊長の壕の小銃射撃用の狭い開口部から入り、寝ていた小隊長の、 防弾ベストに覆われていない首すじに命中し、あえなく戦死してしまったのだとか。
【戦争奇譚 〜レニングラードの悲劇〜】 @ 1941年6月22日、ナチスドイツはソ連に侵攻し、8月にはレニングラードが包囲された。ドイツ軍の空爆や地上より の砲撃に苛まれ、寒さと飢えに苦しめられつつ900日の間市民は侵入者を拒み、ついにソ連軍の巻き返しで包囲は 破られた。しかしこの抵抗には広島原爆の二十倍もの犠牲が払われた。 1941年当時レニングラード市の人口は250万あまり。包囲が解かれた1943末には人口は60万に減っていた。 少なく見積もっても、80万もの市民が餓死したことになる。詩人のルクニツキーの証言では、1942年から1943年 にかけては毎日六千から一万の市民が餓死凍死していったという。死体は袋小路、空き地、地下室を埋め尽くした。 死体回収のトラックはガソリンの欠乏で動かない。そこで人力で引きずって共同墓地に運び、前線から戻った工兵が ダイナマイトで凍った地面を砕き、埋葬用の塹壕に似た穴を掘った。 墓地に向かう道の両側には塀のように凍った死体が積み上げられ、車がすれ違うことも出来ないほどだった。当然、 食糧を求めての窃盗、殺人が横行する。殺して配給証を奪い取る。しかしやがて食糧そのものが無く、配給証は 無用の長物となっていった。 やがて墓掘り人夫がおかしな事に気が付いた。体の一部分が欠けている死体が頻繁に見つかるようになったと言う のだ。特に腿、尻、腕、肩の肉が無い。墓地の前ではバラバラ死体すら発見されている。何者かが死体を切り取り、 肉を喰らっているのは明らかだった。 やがて生きた人間までもが殺されて喰われた。凍った死体は解体の前に解凍する必要がある。生きた人を殺して 即座に解体すれば手間がかからない。特に女と兵士が襲われた。女は脂肪が多く、柔らかいから。兵士は、一般人 よりも栄養状態が多いから。
A 1942年1月19日、物不足に悩むディミトリとタマラは大切に保存しておいたパン600gを携えて「干し草市場」に 向かった。毛皮のブーツを買うためである。そこで二人は大男に出会った。身なりもよく、栄養状態も良いようだ。 彼は女物のブーツを持っていたので商談を持ちかける。値切った結果商談は成立。ブーツがもう一足、数百m先の 男の家にあるという。ディミトリは行くことにしたが、タマラはそこで待っていた。 男についていったディミトリは途中、妙な胸騒ぎがした。食人鬼の近づき方の噂を聞いていたからだ。男は「ちょっと 待ってろ」と言い、ドアに向かって 「生きたのを連れてきた」と囁いた。ドアが開いた。中からなま暖かくきつい臭いが 漏れだした。蝋燭の光が揺らめき、炎に照らされて白い肉塊がいくつか、男の脚や女の血管の浮いた腕が照らし 出された。 ディミトリが必死になって階段を駆け下りる。男が後を追う。運良く軍用トラックが外を通りかかった。「助けてくれ、 人食いだ!」ディミトリはトラックにすがりついた。トラックは停車、兵士が建物に乗り込む。銃声。 十五分後、戻ってきた兵士が「五人分の肉塊を発見した」と発表した。 レニングラードの食人は極悪非道の殺人鬼のみの仕業ではない。「アパートの壁の裏で何が行われていたかは 神のみが知る」と、住民は証言する。この証人は妻を食べた男、我が子を喰った親もいると断言する。同じアパート の住民が妻を殺し、首を鍋で煮たという。この類の証言は際限がない。
【戦争奇譚 〜フーファイター〜】 @ 「フーファイター」について。1944年頃の第二次世界大戦末期に、超スピードで飛びまわる不思議な飛行物体 が目撃されていた。それは、直径1メートル前後の、赤色、黄色やオレンジ色の光り輝く球体である。アメリカ、 イギリス、日本、ドイツ軍など、敵味方や連合国・枢軸国の区別無く、パイロットたちによって、目撃されていた。 アメリカ空軍は、これらの不思議な物体を、フーファイター=炎の戦闘機と呼称した。 その物体は、編隊で飛行し、急降下や急上昇を繰り返したり、光を発しながら機体の翼の下に急接近したりして、 まとわりついてきたものもあった。各地で目撃された中には、アメリカ軍爆撃機の上部ハッチから機内へ入り、 パニックに陥った乗員をまるで無視するかのように、あちらこちらへとゆっくりと動き回った後に機外へ出ていった というものもある。 このフーファイターは、絶対に攻撃をしてくることはなく、ニアミスしても衝突することがなく、何者かによって コントロールされているような動きをしていたのが特徴である。 なお、第二次世界大戦終結後は、何故か姿を 消し、目撃されていない。
A 特にドーバー海峡のバトル・オブ・ブリテンの頃から多数目撃されジェット推進のメッサーが配備されるあたり だったので、新型戦闘機でジェット又はロケット推進の期待ではないかと推測された。それほどの高速での軌道 速度でレシプロ機をたやすく追い抜きからかうように回り込んだりもしたという。 但しフーファーター側から攻撃する事はなく撃墜に転じたパイロットの操縦ミスや偶然の接触などで撃墜された と言う話も在るらしい。向こうから攻撃してこない事からも実験機・試験機などの新型秘密兵器の試験飛行では ないかと思われ双方の諜報員が情報を巡って暗躍、連合軍側には出てきた情報がメッサーのジェットやロケット 推進の新型器だった事から次期新型ジェット推進機ではないかとの思われた節がある。D-day後の戦略爆撃時 も特定地方で多数目撃されることから異常な警戒ぶりで戦略爆撃を行った地方・作戦もある。 一方ドイツ側でも多数目撃されており、メッサーやアラドのジェット機の情報が敵軍に漏れ改良新設計された物 ではないかとの推測もあった。天候の安定しないドイツ地方を飛ぶ第一級の戦闘機・爆撃機のプロに多数目撃、 報告されていることから空電・球電・プラズマ等の自然要因とは異なる何らかの実体を持った人工の飛行物体が 戦闘空域を飛行していた可能性が高い、謎の戦闘機として「フーファイター」「ゴーストファイター」とも呼ばれている。 余談:ロケット推進器説は長く尾を引く噴煙を持ったロケット状の推進物体が戦略爆撃を行っていた爆撃機から 目撃されている。V2とは違う物らしい。
【戦争奇譚 〜栗田艦隊、謎の反転〜】 レイテ上陸するアメリカ軍に対して、日本軍は戦艦大和、武蔵を主力とする栗田艦隊を出撃させた。しかし、途中の 海峡(サン・ベルナルジ)にはハルゼーの大機動部隊(空母16隻、搭載機約1200)がいる。日本軍は囮の小沢艦隊 を出して、ハルゼーを海峡から退かせることに成功した。囮の小沢は全滅直前に「作戦の成功をいのる」と打電。 この電文は日本本土の艦隊司令部には届いたが、何故かより近くにいる栗田艦隊には届かなかった。この電文を 受けて日本の艦隊司令部は「成功に向けて努力せよ」と打電するが、この電文もまた小沢艦隊には届いたが栗田 艦隊にだけは届かなかった。 そして栗田艦隊にだけ届いた謎の電文がある。それは南西艦隊司令部発、宛第二艦隊(栗田艦隊)とするものだ。 「スルワン島北西、500マイル、敵機動部隊見ゆ。」先の二通の電文を受け取れなかった栗田艦隊は囮部隊の 成功を知らずにこの「幻の敵機動部隊」に向けて反転してしまった。この反転によってレイテ突入は永久に失われ、 日本の敗戦は確実に早まった。これがかの有名な、「栗田艦隊、謎の反転」。 まず、先の二通の電文はなぜ栗田艦隊にだけ、届かなかったのか。栗田艦隊には大和以下、戦艦5隻がいた。 有力な敵信傍受班もあり、マストも低い空母が主力の小沢艦隊に届くなら、栗田艦隊にも当然届くはず。 次ぎは謎の電文は何故、栗田艦隊にだけ届いたのか。この電文は、もちろん南西艦隊司令部は作成していない。 アメリカ軍の諜報機関(スパイ)情報部にも関与の形跡がない。発信方向から日本本土方向だったことはわかる。 では、いつ、だれが、どこで作成した電文だったのか。今のところ、誰なのかは全くの謎。 なお、このレイテ上陸は極東版「史上最大の作戦」だった。もし、アメリカ上陸部隊に大和以下の戦艦部隊(この頃 は3隻)が突入して上陸部隊を粉砕してたら、アメリカ極東陸軍の主力は瓦解。兵力バランスは大きくくずれ、沖縄 侵攻ができたかどうか怪しい。戦争終盤のターニング・ポイントであるのは確かだ。
【戦争奇譚】 前漢の西域の司令官で会った張騫が匈奴との戦闘のおり、西域の奥深くで見たことが無い重騎兵装備をした一軍 と交戦をしている。漢では見られない陣形をとって張騫を苦しめましたが、是を破って漢に帰順させ、定住させた。 長い間、この一軍が何者なのか不明だったが、どうもローマ帝国の1隊がパルティアなどの中東にいる敵対勢力 との戦争の折に敗れて逃げてきたところを匈奴に拾われて参加していたものらしい。その結果。図らずも漢とローマ 帝国の兵の戦闘になったという見方がある。 夏の海辺での話。ふと沖を見ると子供たちが溺れてる。これは大変だ、と大人が助けに行くと、子供の足でも立てる 浅瀬だった。波も穏やかだし、溺れるシチュエーションではない。しかし、助け出された子供たちは、恐怖のためか 顔が真っ白。不思議に思った大人たちは、子供たちに「なぜ溺れたのか?」と聞いてみた。 すると「一番始めに、えっちゃんが「わー」と言ってバタバタしたのね。最初はふざけてるのかな、と思った。でも、 みんなも溺れ始まって大変だって思ったら、誰かがボクの足を冷たい手でギュッと握って引っ張ったの。そしたら、 海の中に変な格好の人がいたんだ。頭から座布団を被って着物みたいな服を着てたよ」と、足についた手形の痣 をさすりながら、ポツポツと答えた。 現場は終戦直前に空襲の被災者の死体が流れ着いた場所でもある。焼夷弾の炎から逃れようと大勢の市民が川 に飛び込んだ。が、酸欠のために次から次へ絶命。そんな彼らの死体が海まで流され、ここに放置されてたと言う。 当時を知る漁民の1人は、重い口を開けてこう語る。「当時は生きるんで精一杯だった。土佐衛門が大量に出ても、 別に何も感じんかった。むしろ、エビやシャコやタコが豊漁になって喜んでおったよ。供養が足りんかった…」。 この「事故」がきっかけとなって、現場に戦災者供養塔が建立された。しかし現在でも、空襲の日が近づくと、夜の 海を飛び回る人魂を見かけることもあるという。
【戦争奇譚】 ルーズベルトは就任当時から車椅子の重病人であり、頭に大きな腫瘍を抱えていたという。つまり、いつ死んでも おかしくなかった大統領というわけ。何かのジョークで、「もしあの時代にテレビがあったら、合衆国国民は車椅子 の候補者など選ばなかった」というものがある。 大東亜戦争の天目山であるミッドウェー海戦での噂話。その時宇宙人が、アメリカ艦隊の存在していた方面の捜索 を受け持っていた巡洋艦「利根」のカタパルトを故障させ、そのために日本側はアメリカ艦隊の発見が遅れてしまい、 この海戦で敗北したというものがある。実際、その時に巡洋艦のカタパルトに故障がおき、偵察機である零式水上 偵察機の発進が遅れてしまっている。 またミッドウエイには逆の逸話もある。6月5日の第二次策敵時、エンタープライズの策敵機(SBD)が上空に銀色 の不審な球体を発見。これを距離をおいて追跡。見失ってふと雲の下をみると日本軍の南雲機動部隊の真上。 日本海軍の大航跡を発見したと言う。まともな本ではあまり聞いたことない話だが、当時のアメリカ海軍の兵達の 間でまことしやかに流れていた噂の類いらしい。それだけ当時は米軍がミッドウエイで勝利したことが奇跡的と 考えられていたのだろう。 この時の日本軍の敗因として、策敵競争での遅れも確かだが、大きくは作戦指導の誤り。賛否が分かれるが、 陸用爆弾から雷装への変換の時間のロスがあり、これが「運命の5分」と言われている。もちろん策敵機の遅れも 大きい。これを含めた敗北というのが正しい見方ではないか?
【戦争奇譚】 戦後、進駐してきたGHQが平将門の祟りにあったという話。モータープールを作ろうとして首塚を怖そうとしたら、 ブルドーザーが横転したり、関係者に事故、病気がついて回ったりと、怪異が続いた。 同様の話は、羽田の鳥居にもあった。滑走路を拡張しようとして鳥居を壊そうとしたら、やっぱり怪異が続発。 アメリカ軍の戦闘機が、金色に光るキツネに追跡されたとか。 第二次世界大戦でヨーロッパで戦死した人たちを集団埋葬して、その後、死体調査の為にもう一回掘り起こしたら 棺桶の内側に引っ掻いたり、かじったような跡があったらしい。それらは生きたまま埋葬されてしまった模様。 また日本には、人間魚雷「回天」は特攻用の小型潜水艦というのがあった。だがこれは作動不良も多く、出撃しても 沈んでしまうとも少なくなかったという。その場合は、海底で酸欠で死ぬのを待つだけになる。 それとイ33号潜水艦の話も有名である。この潜水艦は、戦時中に訓練中の事故で沈没してしまった。戦後になり 引き揚げた時、何と一区画だけ浸水を免れてたことが分かった。だから、沈んでから絶命するまでのシチュエー ションが、そっくりそのまま潜水艦内に残っていた。 その区画では、乗員がベッドで眠るように死んでいた。酸素の消費を抑えるために、恐怖心と静かに戦った末に、 そのまま絶命したらしい。1人だけ首吊り自殺。1人だけ残って耐えられなくなったのかもしれない。 死体の状況は、死後も爪と髪の毛が伸びた痕跡があった。髪は5pほど、爪は1pも伸びていた。皮膚は真っ白で 口の中は真っ赤だった。酸欠状態だから菌の活動もあまりなかった。だから、こんな法医学の常識に反するような ことになったのだろう。
【遷都と怨霊】 民俗学者の小松和彦氏「鬼の造った国日本」より。791年の平安遷都が何故行われたか、その前の長岡京が建設 途中で何故、廃棄されたかは諸説あるが、早良親王(さわらしんのう)の怨霊を恐れた、という点では諸説とも一致 している。つまり、怨霊を恐れて遷都した、というのだ。 当時の日本では、無念の思いを残して死んだ人は怨霊になるというに考えが存在していた。その怨霊への恐れが 遷都を行わせ、平安京を造らせた(だから都の名を『平安』としたという説もある)ということになる。ちなみにこうした 怨霊への恐れから、平安時代は保元の頃まで(武士が台頭するまで)死刑は行われなかったそうだ。 しかし平安京を造った桓武天皇は、このように早良親王の怨霊におびえながらも蝦夷(東北)征伐も行っている。 その際、降伏すれば助命は約束すると騙して蝦夷の首長「アテルイ」を捕虜にし、だまし討ち同然に死刑にした。 ここで疑問が一つ出る。「アテルイ」は怨霊にならないのか、という疑問だ。 桓武天皇は、早良親王の怨霊を恐れて平安京をつくった程に怨霊を恐れていたのだ。それなのに桓武は自分が 死刑にしたアテルイが怨霊になるとは考えていなかったのだろうか。 結論から言えば、桓武はアテルイが怨霊となるとは考えていなかった模様だ。当時、蝦夷(東北)は日本とは考え られておらず、すなわち外国だった。当然アテルイは桓武たちから見れば外国人となる。また当時の考えでは、 外国人は怨霊にならない、もしくはあるいはなりにくいと考えられていたのだ。これはちょうど、キリスト教徒には 『奇跡』は起こるが、異教徒には『奇跡』は起こらないというのと似た発想である。 ある民俗学者は、日本の文化や思想のことを、怨霊を恐れる「怨霊教」である、と言う。キリスト教徒だけが悪魔を 恐れるように、日本の文化や思想では怨霊をおそれるのではないか、と。日本は長い歴史の中で、様々な宗教を 自国に取り入れてきたが、これら仏教や道教、キリスト教など渡来の宗教は、結局のところ怨霊を防ぐための 「技術」として導入したのではないか、と見られている。
【戦争奇譚】 自衛隊にも精鋭部隊がある。常設部隊ではないのだが、それはレンジャー部隊で、訓練は実にハードで有名だ。 その中でも一番に過酷な訓練は、富士の樹海の突破だ。最低限の食料と休憩であの樹海を歩いて突破するのだ。 ところでこの訓練だが、「出る」ので有名だという。 訓練の途中、いきなり雰囲気が張りつめたものになり、隊長が最後尾の新任隊員に「絶対に後ろを振り向くんじゃ ないぞ」と釘を刺した。だが、そう言われると、どうしても後ろが気になってしまう。結局、誘惑に負けて後ろを見ると、 疲れた表情の背広姿の男がついて来ていたというのだ。 現場は、その手の装備と類い希なる体力があって初めて歩くことのできる過酷な環境だ。背広姿の、それも疲れ きった男がついてこれるはずがない。なのに、いつまでもピッタリとついてくる。だが隊員が森を出る頃には、その 背広の男もいつの間にか消えていたそうだ。 またレンジャー部隊の訓練では、途中で自殺者の死体に会うことも珍しくないという。富士の樹海とはそういう場所 なのだろう。 「新耳袋 第四夜」の146ページに載ってる話。大学生4人が八甲田山をドライブしていた。すると、調子のよかった エンジンが、突然にエンストを起こしてしまう。何だ、と首を傾げてると、「ザッ、ザッ、ザッ、ザッ」と大勢の男たちが、 闇の中から現れた。全身黒ずくめで帽子を被ってるようで、顔だけしか見えない。大学生4人は、アクセルを何度も 踏み込んで、やっと脱出できた。 ようやく下宿にたどり着いて4人で震えてると、またしても足音が聞こえてきた。足音は下宿の扉の前で止まった かと思うと、ぬぅっと男の顔が通り抜けて現れた。男は6人。黒い明治時代の軍服を着ている。彼らは4人を取り囲み 「わしは、この男の右腕が欲しい」「俺は足が欲しい」「わしは左手」と話し始めた。4人は、あまりの恐怖にその場で 気を失ってしまった。 そして次の朝。起きると、泥靴の跡が、彼らを取り巻くように残っていた。
【戦争奇譚】 ある小さな村で、ひとりの青年に召集令状がきた。青年は年老いた母と二人きりで暮らしていた。老婆は足が不自由 で、ほとんど青年の働きだけで食べているような状態だった。老いた母を置いてはいけないと青年は泣いたが、逆らう わけにもいかず、南方に向かう輸送船に乗り込み、土を踏むこともなく船ごと撃沈された。 数年が過ぎ、戦争が終わった。村人たちのあいだで、あの老婆はどうなったのだろうという話がでた。いまさら様子を 見に行くのは怖いのだが、放っておくわけにもいかないだろうということで、代表してある村人が、村はずれにある老婆 の家に訪ねていった。なんと老婆は生きていた。痩せこけて、目とあばら骨が飛び出たような姿で生きていた。一歩も 家の外にでる事もできず、床を剥いで、赤土をけずりとってそれを食べていきていたという。 太平洋戦争の南方戦線での話。部隊からはぐれ、道に迷った兵士がジャングルを彷徨ってると、懐かしい声が聞こえ てきた。耳をすませると、亡くなった祖父母や親族の声ではないか。喜んで声の方向を目指すと、はたして彼らの姿が 見えてきた。なぜかジャングルの中なのに、一角だけ日本家屋の部屋のようになっている。そこで車座になって、懐か しい面々が団らんしてるのだ。 「オレも仲間に入れてくれ」と兵士は喜んで言った。すると、彼らは話をピタリと止めて、こちらに怪訝な表情を向けた。 そして「お前がここに来るのは、まだ早い。日本に戻れ」と言う。兵士が「嫌だ。オレもそこに行く」と我を張ると、祖父が 「駄目だ。帰れ!」と一喝。そして、彼らの姿は、ジャングルの闇の中に消えてしまった。 その元兵士は。「あのとき、団欒に加わってたら、今頃、どうなってたんでしょうね」と言っていた。
【戦争奇譚】 日露戦争時の美談を一つ。旅順陥落の20日程前のこと、二龍山保塁から第九師団の工兵隊陣地前にハンカチで 包まれた石が落ちてきた。「敵の罠かもしれないが、そんな卑怯な真似もせんだろう。」ということで拾って見ると、 5ルーブル金貨二枚とロシア語で書かれた手紙があったので司令部で翻訳すると、「包囲軍将校に懇願する。次の 電報をたった一人の母に発信していただきたい。本文:私は元気です。どうか安心してくださいませ。ピョートル。 費用は同封の金貨でお願いします。」これを見た大島師団長は「母親を安心させてやろう。」と指示をする。費用は 足りなかったものの上海経由で発信し、その旨を石にしばって保塁に投げ入れさせると、また返信が届いた。「わが 母とともに厚く感謝する。」 阿川弘幸の「暗い波涛」という小説より。船には「船霊(ふなだま)」っていうのが住んでいるという。そして住んでいる 船が沈む直前になると、船霊は船から抜け出す。トラック諸島で日本海軍が壊滅的打撃を受けた後、「そういえば、 ゆうべ白い着物を着た女が船から出て行くのを見た」と証言する乗組員が、あちこちの船で続出した。 なお、このことは同氏の「軍艦長門の生涯」でも、この船霊信仰は紹介されている。船霊信仰では、木をくりぬいて 作った舟型の中に、船霊をかたどった紙の人形と五穣をはじめ供物を詰めて密封し、船室に祀る。これは現在でも 一般的な慣習である。
【戦争奇譚 〜フーファイター2〜】 「基地を出てから一ヶ月余り、昭和18年11月14日の夜半の事です。ちょうどキスカとアッツの間で、アッツ島寄り を哨戒していたところ、その夜は珍しく海上は平穏で、さざ波一つないんです。空には月さえ出ていました。こういう 夜の襲撃は理想的なんだがな、と思ったりしたもんです。アッツ島が墨絵のように浮き出ていました。しかし、相当 な寒さで防寒外套を着ていても、寒さが骨身にしみましたね。 その時です。突然アッツ島のほぼ中央と思われる所から、青白い炎のような塊が上空に舞い上がったんです。 何だろうと目を見張っているうちに、炎の塊は次第に膨らんでくる。それが橙色に変わりながら、相当なスピードで こちらに飛んで来るんですよ。その不気味さは言いようがありませんね。冷水を浴びたように、ゾッとしました。 何やらわからんが、とにかく、「両舷停止、潜航急げ」を下令して、大急ぎで潜航したんですがね。 潜入後しばらくして、航海長と信号兵が、「艦長、あれはアッツ島の英霊です。それに間違いありません」と、異口 同音に言っとったですがね。あの火の玉が砲弾とか信号弾でなかった事は確かです。爆発音はしませんでした しね。オーロラとかも考えたのですが、火の玉となって飛んできますかねえ、オーロラが。何であったかは今なお わからない。とにかく不思議なものでしたなあ。」 (「伊二潜」艦長(当時) 板倉光馬少佐の証言 佐藤和正著 「艦長たちの太平洋戦争」より)
【戦争奇譚】 カリフォルニア州アラメダでの話。第2次世界大戦やベトナム戦争で活躍し、現在は米カリフォルニア州アラメダで 博物館として係留されている空母「USSホーネット」に亡霊がすみついているといううわさが後を断たない。 「ドアが目の前でバタンと閉まった」、「冷たい一陣の風がどこからともなく吹いてきた」、「奇妙な音や、第2次世界 大戦中のユニホームを着た歩哨を見た」など、6年前に「退役」したUSSホーネット内で働く職員やボランティアら による「亡霊目撃」通報は、これまでに約数百件を数えるという。この幽霊話を全く信じていなかった博物館の運営 を監督するボブ・フォーラーさん自身も、船中で働くようになってから、カーキーの軍服を着た兵士を数回見かけた と話している。関係者によると、戦中にUSSホーネットで死亡した兵士の数は約300人という。 日航機が墜落したときに、現場に死体回収のために派遣された自衛官たちの話。現場捜索に出動した自衛官が そこでキャンプを張ることになったのだが、山の中であり斜面だから寝る場所がない。仕方ないので、近場の木に 体を縛り付けて寝たという。すると、彼らは不思議な夢を見た。飛行機が墜落した場所から大勢の人が山を降りて こちらに向かってくる、というものだ。次の日の朝、仲間に「昨夜、不思議な夢を見たんだけど」と話したら、「実は 俺も見た」という奴が続出したという。みんな、そろって同じ夢を見てたいたそうだ。結局、乗客のみんなが、山を 降りて自分の家に帰って行ったんだろう、と妙に納得してしまったのだという。
【戦争奇譚 〜防空頭巾の集団亡霊〜】 @ 三重県津市の海岸には、海の守りの女神の像が立っている。ここは、昭和三〇年七月二十八日に市立橋北中学 一年生の女子三六人が水死した所だが、当時の生き残りの一人だった梅川弘子さん(二一)は、週刊誌「女性自 身」(昭和三八年)に、その時の恐ろしかった手記をサイン、写真入りで寄せている。 いっしょに泳いでいた同級生が、「弘子ちゃん、あれ見てー」と、しがみついてきたので、二,三〇メートル沖を見ると、 その辺で泳いでいた同級生が、つぎつぎと波間に姿を消していくところだった。すると、そこで弘子さんは「水面を ひたひたとゆすりながら、黒いかたまりが、こちらに向かって泳いでくる」のを見た。それは何十人もの女の姿で、 ぐっしょり水を吸い込んだ防空頭巾をかぶり、もんぺをはいていた。逃げようとする弘子さんの足をつかんだ力は 物凄く、水中に引きこまれていったが、薄れゆく意識の中でも足にまとわりついて離れない防空頭巾をかぶった 無表情な白い顔を、はっきり見続けていたという。 弘子さんは助けあげられはしたが肺炎を併発し二十日間も入院したが「亡霊が来る、亡霊が来る」と、よくうわごと を言ったという。 「防空頭巾にもんぺ姿の集団亡霊」というのには因縁話があって、津市郊外の高宮の郵便局長・山本剛良氏に よると、この海岸には、集団溺死事件の起こったちょうど十年前の月日も同じ七月二八日に米軍大編隊の焼打ち で市民二五〇余人が殺されており、火葬しきれない死骸は、この海岸に穴を掘って埋めたという。 山本氏からこの話を聞かされた弘子さんは、手記の中で「ああ、やっぱり私の見たのは幻影でも夢でもなかった。 あれは空襲で死んだ人たちの悲しい姿だったんだわ」と納得している。
A なお山本氏が聞いて回ったところによると、この亡霊は、弘子さんを含めて助かった九人のうち五人までが見て いるばかりが、その時浜辺にいた生徒たちの内にも、何人かが見たと語っているそうだと、弘子さんは伝えている。 また、その後、こうした体験をした弘子さんは、卒業してガソリンスタンドの事務員に就職したが、自分でも積極的 に調べてみると、次つぎに怪異な事件が起こっていいることを知ったと次のような報告を併記している。 1.溺死事件の前日、大きな火の玉が浜辺の某家の屋根に落ちたのを釣りをしていた何人もが見たが、その家の 娘も弘子さんといっしょに遭難水死した。 2.腰まで海水に浸って釣っていた人が、突然何かに憑かれたように沖へ沖へと歩いていってそのまま海中に姿を 消し、死体も揚がらぬ事件が四年間も続いている。 3.渡辺小三郎という人は、幸い救われたが、病院で「亡霊を見た」とうなされ続け、意識不明のまま二〇日後に 死去している。 ※editor注:この海辺は現在は遊泳禁止。 なお、この元の文は教養文庫の今野圓輔「日本怪談集(幽霊篇)」に載ってます。
【戦時奇譚】 戦時中は覚醒剤入りのキャラメルを配布していたというが、覚醒剤の錠剤その物を配ってたこともある。本土の 臨時軍需工場になった町工場や学校は女子工員達が仮眠数時間で飛行機の部品作っており、そこにバケツ 一杯の白い錠剤が在って「眠気が出てきたらり疲れが出てきた場合はこの錠剤を服用するように」と言われて 作業をさせいてた。だが、女子工員たちは、この覚醒剤が全然効かないってぼやいてた。 グリコが戦時下覚醒剤入りキャラメル製造したなんて大騒ぎするほど珍しい事ではなく、アメリカではコカコーラ 工場がその物ズバリ、「コーク(麻薬の方)」の製造工場になっていたし、ディズニーはプロパガンダ映画・アニメ を堂々と製作し、徴兵逃れやっていたのは有名だ。 1945年4月20日のこと。敗色濃いナチス・ドイツの重戦車が妙なかたちでアメリカ戦車隊に襲いかかった。その日の 朝は濃い霧だった。あるフランスの小村にさしかかったアメリカM4戦車隊のまえの家の物陰にティーガー2が隠れて いるのを発見した。すぐさま航空支援を無線でたのみ、M4たちは扇状態に展開し、テーィガー2の側面を攻撃しよう とした。だが68トンの重戦車のまえにM4はつぎつぎと撃破されていった。濃い霧のため航空支援もままならず、 戦闘爆撃機がきたころにはM4は全滅していた。かろうじて脱出したM4の乗員は、その重戦車のコマンダーズ・ キューポラに子供が一瞬、顔をだしたのを目撃した。14、5くらいだったという。弾薬輸送車のsdk251には老人が いたという。ティーガー2は貴重な戦車であり、この戦略的に、なんの価値もない村になど配備したことはない。 ただ、この村がアメリカ軍の空襲で壊滅したことは事実だった。この交戦記録はアメリカ軍の記録にはあり、ドイツ 側には、もちろん無い。「幻の虎(ティーガー)」と呼ばれた。空襲で死んだ人々の霊ではないかといわれている。 新谷かおる「戦場ロマンシリーズ」に、これと似たような話が掲載されている。
【戦争奇譚】 カンボジアでポルポト政権時代に不穏分子が大量に虐殺、遺棄された農場は、今現在は欧米の果実企業のプラン テーションとなっており、とても美味なマンゴーやドリアンが採れるとか。また、ベトナム戦争で多数の戦死者を出した メコン下流の田園地帯は、今は日本の商社によるエビ養殖池で埋め尽くされていて、美味なエビが育つらしい。 スターリングラードでは、包囲されたドイツ兵の一部が人食い(グールー)化した。それを退治するために貴重な弾薬 を割かなければならなかった。またフィリピンでの話。人喰ってる連中は、見れば分かったらしい。みんな敵に追わ れて食うや食わずで、幽霊みたいな顔してるのに、人食いの連中だけはつやつやだったという。しかも何とも言えない 目付きをしているらしい。「ありゃ獲物を狙う目付きだった」とのこと。戦艦武蔵の生き残りの人(海軍の人)が、相当数 やられたらしい。海軍の船乗り連中は歩き慣れてないから、狩やすかった。なお、戦史から離れるが、遭難者が人を 食い合う事例に付いては、「復讐する海−捕鯨船エセックス号の悲劇」と言うのが参考になる。 南方の戦線で、どの戦場でも後先考えずに突撃を繰り返す小隊があった。その小隊は、少し狂った小隊長の命令が 指揮する部隊で、部下たちはそれに従っていたに過ぎなかった。結局その小隊は、とうとう小隊長と二等兵の青年の 二人きりになってしまった。それでも小隊長は突撃の命令を出すものだから、二等兵の青年は遂に頭に来て、小隊長 を後ろから銃で撃ち殺してしまう。その後二等兵は、小隊長の死体を解体し、乾し肉を拵えていたところを発見される。 この二等兵は銃殺刑になった。
【戦争奇譚】 F-16戦闘機の空気取入口は、前輪の上にあり、いかにも人を吸込み易い構造になっている。そのため案の定、その手 の事故で何人か死亡している。F100・F110ターボ・ファン・エンジンに粉砕・圧縮・過熱…文字通りのミンチ状態に。 そうした事故に遭った人間のうち、空気取入口の中にあるケタに掴まって助かったのもいるというのだが、そこは、氷結 防止に100度以上の加熱空気が出る場所でもある。さぞかし熱かったことだろう。 第二次世界大戦中の凄惨な事件。1945年2月、ベンガル湾のラムリー島のマングローブが生い茂る沼地に、イギリス 軍が1,000人を超える日本軍をおびき寄せていた。すると19日の夜から20日の未明にかけて恐ろしい叫び声が続いた。 負傷者の血の匂いに刺激された無数のイリエワニがこの沼地に集まり、動きのとれなくなっていた日本兵に襲いかか ったのだった。沼地の外側にいたイギリス軍は一晩中すさまじい悲鳴を聞かされた。そして夜が明けてから、彼らが 発見した生存者はわずか20名だった。 最前線で戦う全ての兵士達は60日以内になんらかの精神異常が発生する。だが、その中でも3%ほどの兵士は全く 影響が出ない。またその兵士達は、どんなに戦闘が長引いても精神異常は発生しない。これはこの兵士達が生まれ ついての殺し屋だからである。この生まれついての殺し屋が倒す敵兵は軍全体の倒す敵兵の約50%を占めるという。 ちなみに彼らは、人を殺す事によって性的興奮を覚える快楽殺人者とはまったく違う。生まれついての殺し屋かどうか は戦場に行くまで分からない。
【戦争奇譚】 北アフリカ戦線にて。イギリス軍の輸送トラックが砂嵐で進路を見失った。視界が利かないため、ドライバーは停車して 砂嵐をやり過ごすことにしたが、砂嵐はなかなか止まず、それが去ったのは日が暮れたあとだった。結局ドライバーは そこで車を停め、車中で一泊することにした。 すると深夜、「乗せてくれ」と兵士がひとり、不意に闇の中から現れた。話し相手がいないこともあり、ドライバーは快く その兵士を乗せた。妙な訛りの英語を話すやつだと思ったが、連邦国のどれかの兵士だろうと思い、気にしなかった。 しばらく会話を楽しんだ後、もう行かなくては、とその兵士はトラックから降りた。こんなに遅く何処へ行くのだろうと思い、 ウィンドウ越しに姿を探したが、その兵士の姿はもう見当たらなかった。 夜が明けて、目が覚めると、砂嵐で気付かなかったが、近くにドイツ軍の戦車が擱座していた。それを味方の兵士たち が調査していた。近づいてみると、壊れた戦車から、戦車兵の死体を引っ張り出しているところだった。その顔は、昨夜 トラックに乗せた兵士と同じものだった。 日本兵の幽霊は他に比べて多かったようだ。兵舎での噂話で、既に死んだ兵隊さんの手首が夜な夜な現われて、 「おいで、おいで」と手招きするらしい。日本軍の大陸の戦場(日露?)での怪談話。 戦局が暗転し、南方からの「転進」中にジャングルに迷い込んでしまった部隊が、「巨大な遺跡を発見した。見たことの ない生物がいる。人間に似ている」という通信を最後に消息を絶った。 ジャングルで撃ち合いをしていると、フイにシーンと静まり返る瞬間があるらしい。弾薬の補給や負傷者の救護などを するタイミングがちょうどお互い合って、まるで休憩時間のようにその間は銃声がしないのだが、その時間が長いと、 必ず発狂するものがあらわれたという。
【戦争奇譚】 第二次世界大戦中、南太平洋のとある島での出来事。孤立した日本軍が駐留しているとみられる島に、米軍が夜間 上陸しようとした。すると突然、島の高台に金色に輝く人の様なものが現れた。その途端、米軍の上陸用舟艇に錆に よる穴が空き、次々と浸水した。結局米軍は、その島には上陸をあきらめた。後に上陸前に撮影されたその島の航空 写真を見ると、島にはどれも錆びきった高射砲や輸送機などが写っていた。その島では全ての鉄という鉄が錆びて しまっていたという。米軍の非公式記録より。 硫黄島について。海上自衛隊では、禁忌となっていることがある。硫黄島での演習で上陸し、そこでの記念として石を 持ち帰った所、亡霊が艦内を彷徨い、叫び声や電気系統に異常をきしたという。海上自衛隊の航海日誌に載るくらい の事実である。 日露戦争での話。開戦前、明治天皇はこの戦争に消極的で、大国ロシアを打ち負かす事など絶望的と思われていた。 ところが、あるとき公務を終えられた後に明治天皇が、「この戦には神が兵を貸してくださる。必ず勝てる。」と言われ、 結局開戦することとなった。結果、日本軍は勝利を収め、世界史を塗り替えることとなる。 戦後、捕虜となったロシア兵は口々にある証言を残す。「黒い服を着た日本兵は弾が当れば死んだが、白い服を着た 日本兵にはあらゆる武器が通じなかった。」とのこと。 なお、明治の皇軍兵の軍服は上下黒の詰襟に白いゲートルであり、「白い軍服」の兵士は存在しない。 第一次大戦中のヨーロッパでも似たような話があった。イギリス軍が撤退した陣地から十字の剣を持った謎の騎兵隊 が現れ、銃撃しても倒れる気配を見せなかった。恐れおののいたドイツ軍が敗走。2、3キロ離れた所にいたイギリス軍 は、誰もいない無人の陣地にドイツ軍が必死に銃撃をしている異様な光景を目の当たりにした。
【戦争奇譚】 第二次世界大戦の北アフリカ戦線で、孤立したドイツ兵達が1人の老人と出会って古い地図を譲って貰った。そこには 水や食料の貯蔵庫が記されていた。それでどうにか助かったドイツ兵達は、どこでこの地図を手に入れたのかを老人に 聞いた。すると老人は、「ナポレオン公から援軍が到着するまで死守するようにと命令を受けました」と言って姿を消したという。 先の大戦中の戦車兵の話。真夜中いつものように数十台で隊列を組んで行進していると、付近の森から、蒼白い鬼火 が続々と現れた。狼狽していると、クラッペ(覗き穴)から外を見ていた兵士の頭が吹き飛んだ。夜が明けて、別の部隊 がそこを通った。そこには、切り裂かれたような戦車の残骸と、車内にいたにも関わらず、射殺された兵士の死体が いくつも転がっていた。その中に混じり、奇妙なランタンを持った、敵の兵隊の死骸がおびただしい量転がっていた。 空母「瑞鶴」に乗艦していた見習い尉官の話。戦闘の際、日ごろからお世話のなっていた中尉が敵機の爆弾により 倒れた。左足を付根からもぎ取られていたが意識があり、「もし呉に帰ったら家族に苦しまずに死んだ、と、そう伝えて くれ」と言い、息を引き取った。見習い尉官は遺言どうり中尉の家族に手紙を書き送った。 それから二十五年後に行われた瑞鶴戦没者慰霊供養の際に中尉の未亡人と会い、実際の中尉の最期を伝えた。 すると未亡人は「これまで何回となく夢で帰って来てくれましたが、不思議な事にそのたびに左足がないんです。今、 やっと、その訳が解り、ほっとしました」
【戦争奇譚】 明治35年1月、厳冬期の八甲田山中にて、青森五連隊の雪中行軍隊210名が遭難し、199名が死亡すると言う事件が あった。それから1〜2ヶ月後の寒い夜、青森五連隊連隊長の所へ、営門の兵士が血相を変えて報告に来た。連隊長 が営門に駆けつけると、遠くの闇の中から、大勢が行進する音、軍歌、ラッパの音が近づいて来る。だんだん近づいて 来て、もう少しで闇の中から姿を現すと言う時、連隊長はおもむろに軍刀を抜き、闇に向かって叫んだ。 「雪中行軍隊の諸君よーく聞け!貴様等は勇戦奮闘し見事な最後を遂げた!今や無情雪山の鬼と化すも、迷っては ならん!お前達の死は無駄ではなかった!厳冬期の軍装及び戦術については一大改革がなされる事となったぞ! 来たるべき戦役に於いて、未然に軍の損失を防いだその功績は大きい!貴様等行軍隊員は、みな靖國神社に合祀 される事になった!迷うな、心安く眠れ!ここはお前達の帰って来る所ではない!帝国軍人として見苦しい振る舞いは この連隊長が許さん!青森五連隊雪中行軍隊、回れ右!前へ進め!」 すると足音はピタリと止まり、八甲田山に向けて進んで行き、二度と戻らなかった。 第二次世界大戦が日本の決定的敗北によって終結した後、昭和20年9月から東南アジアの戦場で戦っていた兵士が 日本に戻って来た。当時の横須賀線(東京←→横須賀)にも、任務を解かれた帰還兵が大勢乗り合わせる姿がよく 見られた。復員兵の帰還が一段落した昭和25年あたりから、逗子や横須賀でそうした復員兵にまつわる奇怪な話が 噂されるようになった。逗子と鎌倉の中間に当たる名越トンネルで、軍服姿の復員兵がぎっしりと乗った真っ黒な古びた 省線電車が明かりもつけずに通過するのを大勢の人々が目撃したというのだ。車両内には青白くぼやっとした復員兵 がたくさん乗っており、みな視点の定まらない目つきで、やせこけた体、ボロボロの軍服、疲れ切った表情の軍人たち がぎゅう詰めで揺られていたという。
【戦争奇譚】 硫黄島について海上自衛隊ではかなり多くの噂がある。硫黄島の周辺海域を航行すると、不思議な出来事に遭遇し 易いという。本土に帰りたい御霊が、帰還の為の船を捜して彷徨っているらしい。潜水艦にさえも乗り込んで来るという。 潜水艦は浮上の時は前後の重量を一定にする必要があり、そうなるように隊員のいる場所もあらかた決められている のだが、あるとき後方側だけ不自然に重かった。調査しても乗組員の位置は決められたとおりで、特に異常はない。 浮上してその海域を離れると、後方の不自然な重さはなくなった、という話。他にも軍艦の沈んだ場所付近の海上で、 変な光を見たりとか、サイパン帰りの観光客の背後に、軍人とおぼしき霊が見えたという話もある。 岩手県雫石での民航機とF86の空中接触事故があった。その後、事故現場周辺の国道には、夜な夜なその事故の 被害者がわらわらと出て、通る車を取り囲み、手でバンバン叩いて止めたという。生者の時の姿では無く、事故当時 そのままの欠損した体のままだったり、鬼火に取り囲まれた格好で出たりと、ひと目見てこの世のものではない、と 分かるほどだったという。 時にはこうした霊が昼間でも出た。中には、そのショックで気がおかしくなったタクシーの 運転手もいたとか。 その後、御祓いや慰霊祭で年々出なくなったが、国道を別のルートにしたころから、話は聞かなくなった。なお供養塔 が建っている場所は、現在「慰霊の森」と呼ばれている。岩手のオカルト好き、心霊スポット巡りが好きな人間の間でも、 あそこだけは洒落にならないと言う事で、現在でも完全にタブー扱いになっている。
【戦争奇譚 〜偵察機〜】 偵察機で米艦隊の偵察を行った海軍航空隊の少尉の話。偵察機というのは逆に敵艦に発見されると撃墜される確率 が非常に高いという。少尉はこのとき、敵船団を発見したが、自分も見つかってしまい、敵艦艇から集中砲火を浴びた。 激しい砲火の中で、これは駄目だと思った時、突然友軍機が一機傍らから現れ、敵艦に向かって機銃掃射をしながら 突っ込んでいったという。その友軍機はどこのものかは、そのときの少尉には分からなかったが、とにかく少尉はその 友軍機のおかげで集中砲火を上手く免れることができ、帰還することができたという。 さて、少尉が無事帰還すると、艦には少尉が搭乗した偵察機の他に別に偵察機が一機あったのだが、その偵察機が 命令なく発艦したらしく騒ぎになっていた。後に乗員点呼を行っても誰も欠員がいないという。結局その偵察機に誰が 搭乗したのかはわからずじまいとなった。 ともかく少尉はそのおかげで命拾いしたが、少尉本人も含め、後々までみんな不思議がっていたという。結局もう一機 の偵察機は、その後も帰ってこなかった。 なお、偵察機は敵に見つかると徹底的に狙われるという。当然といえば当然だが、相手に自分の艦隊の位置を知られ るのを防ぐためだ。万が一艦砲射撃から逃げられても、その直後に発進した敵機の猛追跡を受けて狙われるという。 また敵に発見されて逃げるときも、下手に自分の搭乗艦の方に真っ直ぐ逃げてしまうと、逆に敵に友軍の位置情報を 教えてしまうことになる。そのため偵察機は敵機に発見されると、元々速度を優先で殆ど弾薬を積んでないこともあり、 とにかく燃料ぎりぎりまで、追跡を避けるのにコースを変えながら逃げるように帰艦することになる。 そのため偵察任務はストレスによる体力消耗が激しく、一度の出撃で体重が3Kgも減ることがあるらしい。
【戦争奇譚】 撃墜王として知られる坂井氏の著書で若い爆撃機パイロットの話があった。このパイロットは、日頃から「俺は宙返りが したい」って言ってたんだけど、皆から「爆撃機で宙返り出来る筈ない」と言われてた。だが、ある日の作戦で、この若い パイロットの乗る爆撃機が攻撃を受けて火だるまになってしまった。後は墜落か爆発するのみ。「もう駄目だ、助から ない」と、皆がそう思ったその時だった。火だるまの爆撃機は突然機首を上げるや、やや斜めながらも見事な宙返りを 成し遂げた。宙返りした爆撃機は、直後に爆発四散。若いパイロットは愛機と共に空へ散った…。 ある日本軍機が攻撃を受けて海に不時着した。偶然、それを味方の偵察機が発見。不時着機の上空を旋回した。不時 着機のパイロットは最初、元気に手を振ってたのだが、そのうち必死に海面を軍刀で突き始めた。「なんだなんだ?」と 偵察機のパイロットは不思議に思って海面を見ると、海には沢山のサメが泳いでいたという。その後改めてパイロットを 助けに行ったものの、海には油が浮いてるだけだった。 硫黄島で力戦した第26連隊の「バロン西」ことロス五輪の馬術障害の金メダリスト西竹一と愛馬ウラヌスの話。硫黄島 に着任するとき、年老いた愛馬ウラヌスの尻尾の毛を切り取り、ずっと胸に入れていた。その後、硫黄島は玉砕し、西 竹一は戦死。その死から3日後、ウラヌスも後を追うように死んだ。
【戦争奇譚】 ある日、敵との戦闘のために空母から戦闘機が何十機も発進していき、その殆どが撃墜されてしまったことがあった。 それから数日後の夜のこと、突然空母の格納庫に何人ものパイロットがやって来た。整備兵たちは「御苦労さま」と 思って声をかけようとすると、そのパイロット達はどうしたことか、みんなズブ濡れだった。「あ、これはイカン!」と思い、 整備兵たちは毛布や手拭を持っていこうとしたところ、整備兵の班長が「おまえら待て、なにもするな!」と叫んだ。 そのまま班長は直立不動の姿勢をとり、そのパイロットたちに向かって最敬礼をする。整備兵たちは訳もわからず 班長をみると、班長は敬礼したままボロボロと大粒の涙をこぼしていた。 「どうしたんですか?班長」と、ある兵隊が聞くと、「お前たちわからんか?あの方達はXX少尉とその小隊の方達だ!」 と言う。「!」それを聞いて整備兵たちも、すぐさま全員整列をして敬礼をし、そのまま動かなかった。 そう、そのパイロット達は先日出撃して、みな撃墜された小隊の人達だったのだ。整備兵たちが全員並んで敬礼して いるのに気づいたパイロット達は、只だまって深々と頭をさげ、格納庫からゆっくりと消えていったという。 「班長、今のはいったい?」と、兵隊がきくと、班長はあふれる涙をぬぐいもせず、「無念だったのだろう、敵艦隊に攻撃 する前にみな撃ち落とされ、死んでも死にきれんのだろう。大事な機を壊し、一生懸命整備をした俺達に謝りに来たの だろう。」と言った。パイロット達はみな18から25才くらいの若者だった。
【戦争奇譚?】 前線の粗末な基地にたどりつくと、すでに連隊の姿はなく、残された日記には以下の内容のことが書かれていた。 「今日とうとう軍医が発症した。軍医を射殺後、我々はここを放棄する。今や我々は日本軍からでなく悪魔の仲間から 身を守らなければならなくなった。運よく味方に巡り合えばいいが、たとえ日本兵でも、人間からの攻撃で死ねるのなら 幸せかもしれない。ジョニーとロニーの家族に遺品を渡したいが、彼らの最後の姿をどう話せばいいのか?とにかくここ を出よう。海沿いの道を行けば友軍に会えるかもしれない。」 ベッドには軍医らしき遺体が残されていたが、奇妙なことに頭を撃ちぬかれた後、体をベッドに括り付けられていたので ある。死者が蘇るとでも言うのであろうか?あたりには銃弾の散らばった跡と、何かに火をつけた跡が残されていた。 その後、他に3体ほどの死体を確認。名称は不明であったが、体じゅうに銃弾を撃ち込まれた後に焼却されていた。 もはや味方同士で殺し合いを行ったことは明らかである。さらに不思議なのは、なぜ彼らはわざわざ死体を焼却した のだろうか、ということだ。このような最前線では、ガソリンは大変な貴重品であるにも関わらず、それを用いてまで焼却 する理由が分からない。もし死体が出たのなら、遺品を預かった後に土に埋めるのが自然なやり方である。日本兵と 戦っているうちに、彼らの火葬の風習に感化されたというのであろうか?
【戦争奇譚】 ニューギニアから生還した陸軍兵の話。ニューギニアに駐留中、食料とすべく魚を捕る時に手榴弾を海に投げ込んで 爆発させ、捕らえていたという。その時、手足がヒレで、体がスベスベした大きいワニがたまに捕れ、焼いて食べたら、 大変美味しかったそうだ。 ニューギニア方面に派遣された兵士の体験談の中には、怪物、怪獣の目撃談が他戦線と比較して多く含まれている。 戦後、部隊史などをまとめるために行われた聞き取り調査や、新聞社などが発行したドキュメントなど、ある程度公式 な性格を持つ資料の中にも、似たような体験が多く記録されている。 その中でも特に多いのは、爪と長いくちばしを持つ大コウモリ、足が鰭化している巨大ワニだ。当時、古代の爬虫類の 外観がどのくらい普遍的な知識だったのかは不明だが、申し合わせたように、この二種の目撃談は頻出する。中には、 実際に被害が出て任務として退治しに行ったなんて話もあるから、それが未知の動物かどうかはともかく、そこには 何かがいたのかもしれない。 ちなみにこの手の話は現地の人たちも良く語るのだが、彼らは渡来した人々が持ち込んだ話や戦争の風景も、神話や 実体験として扱ってしまうので、参考にはならない。 沖縄地上戦での話。ある母子が連合軍の艦砲射撃から必死で逃げていた。そのときどかからか砲弾の破片が飛んで きて、一瞬で母親の首から上を吹き飛ばした。だがその母親は、赤子をおぶったままで、首のない状態で1分ほどその 場に立っていたそうだ。実話。
【戦争奇譚】 戦時中、陸軍歩兵だったAさんの話。Aさんが南方の島に居た時、部隊からはぐれてしまったことがある。周囲は密林 で方向なんてまるで分からない。焦って仲間を探すも、人の気配は皆無。それどころか、歩けば歩く程、密林の奥へと 進んで行っている錯覚に陥ってゆく。 やがてAさんは歩き疲れて大木の根本に腰掛けた。「このまま俺は死んでしまうのか」と、そんな事を考えてると、大木 の反対側で、何やら人の気配がする。おそるおそる暗闇に目を凝らしてみると、そこには味方の兵士がいた。 聞けば、その兵士も道に迷ったらしい。とにかくAさんは味方の兵士が居る事にホッとし、同時に心強く感じたそうだ。 Aさんは、その兵士と身の上話などをしたのだが、その兵士はしきりに「俺は帰れそうにないから、俺の家族に宜しく 伝えて下さい」と言う。Aさんは「何を馬鹿な、一緒に帰ろう」と返すが、相手は「伝えて下さい、お願いします、お願いしま す…」と繰り返すだけ。とうとうAさんも折れ、「じゃあ、帰ったらお互いの家を訪ねよう」という条件で住所を交換した。 さて、それから暫くして彼は、運良く通りかかった味方の一団と合流出来た。助かった、と思ったAさんが、ずっと話し 相手をしてくれていたその兵士に声を掛けようとしたが、大木の後ろには誰も居なかった。 結局終戦になって引き揚げてきたAさんは、何年か経ってから約束を守るべく相手の言ってた住所へ出向いた。その 住所には、確かに密林で話した味方兵士の家族が居た。けれど家族によれば、Aさんと話した人物はAさんと話すより かなり前に、戦死した事になっていた。結局、何故彼が縁もゆかりも無いAさんに「宜しく伝えて欲しい」と言ってきたの かは不明だった。
【戦争奇譚】 英戦艦P.O.Wとレパルス攻撃に参加したある爆撃機操縦手は、危機一髪のところで死線を乗り越えてきたエピソードが いくつもあった。ある任務で飛行中に突然エンジントラブルに見舞われるも、すぐに正常な状態に戻った。しかし速度が 落ちてしまったので味方の一式陸攻が追い越すかたちとなったが、その直後、前方に出た味方機は米戦闘機に撃墜 されてしまった。エンジン不調がなければ、自分が撃墜される側になっていたとのこと。また台湾に向けて夜間飛行中、 不時着をすることになってしまい、砂浜らしき場所に勘をたよりに接地すると同時に機体は反回転して停止した。一瞬、 意識を失ったが気がついて地面に降りて周囲を見ると、そこは「コ」の形に断崖絶壁のような場所で、乗っていた飛行機 がギリギリ入れるくらいの砂浜だったのでしばらく呆然となった話など。 零戦パイロットでは岩本徹三氏が敵弾を操縦席に受けた話があり、中国戦線では真正面の照準器に命中し、数ミリの 差で即死をまぬがれた話がある。また台湾沖航空戦で背部からの射弾が座席をつきぬけたが、落下傘の金具で留まっ ていたおかげで負傷をまぬがれたエピソードがある。(加藤隼戦闘隊のパイロットにも落下傘の金具で助かってる人が いた)
【戦争奇譚】 昭和19年11月14日の夜のこと。水戸歩兵第2連隊で突如営門が真一文字に開き、同時に進軍ラッパが遠くから響いて きた。衛兵が警戒して見ていると、一個連隊ほどの部隊が行進してくる。その先頭で連隊長の中川大佐が馬に乗り 抜刀し、それに兵士が無言でついて来る衛兵司令は直感的に「捧げ銃」を命令。衛兵が不動の姿勢で出迎えると、 営庭の途中で部隊の姿が掻き消すように見えなくなった。 その日はペリリュー島の戦いで村井少将と中川大佐が自決。生き残りが最後の突撃を敢行、玉砕した日だった。この 時点で玉砕は誰も知らされていなかった。なお水戸の連隊は士気が高かったという。 硫黄島は「幽霊話」が多いというけれど、平成の世になり、天皇皇后両陛下が平成6年2月、硫黄島に行幸してから 幽霊出没激減したという。それもそのはず、天皇皇后両陛下の短歌は栗林中将、市丸少将への返歌となっている。 ・天皇陛下 御製 精根を 込め戦ひし 人未だ 地下に眠りて 島は悲しき →・栗林忠道 陸軍中将 国の為 重き勤めを果たし得で 矢弾尽き果て 散るぞ悲しき ・皇后陛下 御歌 慰霊地は 今安らかに 水をたたふ 如何ばかり 君ら水を欲りけむ →・市丸利之助 海軍少将の硫黄島での短歌 スコールは 命の水ぞ 雲を待つ 島の心を 余人は知らじ
【戦争奇譚】 日本軍の潜水艦を引き上げたら、乗員は取り乱さず眠るように亡くなっていたという話。雑誌『丸』より。そこには艦長の 遺書が遺されていて、そこには以下のような文章が書かれていたという。 「大事な御国の艦を沈没させて申し訳ない。しかし、部下たちを責めないでいただきたい。総員全てが沈着冷静に行動 し、一切乱れることなく任務を全うした。沈没における全ての責任は艦長である私にある。部下たちの遺族には、どうか 手厚い保護をしていただけますよう」 潜水艦乗りの鑑としか言いようのない最期に、日本国内の軍人たちが敬意を表したのはもちろん、世界中の軍人たち からも讃えられている、とありました。(おそらく佐久間大尉のこと) 戦艦榛名か霧島の艦長。艦が沈んでも生き残った艦長というのはこの人一人だけらしく、日本に帰っても監禁状態 だった。また武蔵の生き残った乗員もフィリピンの山奥に監禁され、最後は上陸してきた米軍戦車相手に爆弾背負って 特攻させられたという。武蔵乗員の生き残りが殆どいないというのはこのせい。
【戦争奇譚】 回天とは、あまり知られていないが人間魚雷だ。中に人が乗り込んで操縦し、敵艦に体当たりして自爆するための 特攻兵器である。ある夜中、潜水艦のドックにて人の気配がした。年輩の整備兵が「誰だ?」と誰何すると、そこには 回天で特攻したはずの少年兵がいた。驚く警備兵に対し、「今度は見事敵艦に体当たりしてみせます」と告げる彼に、 整備兵が「もういいんだ。二度も死ぬ必用はない」と答えると、姿を消してしまった。 なお、回天はその構造と米軍のレーダー技術の発展などで目立った戦果を上げることができず、120本程が実践投入 されたが、戦果はわずか撃沈4隻撃破5隻と非常に少なかったという。 南方の原住民調査のためにN氏は、かつての激戦地ニューギニアの山中に入った。そこで原住民と仲良くなり、一緒 に生活しているうちに、日没後は彼らが山の中に決して入ろうとしないことに、N氏は気づいた。 「なぜ、夜は山に入らない?危険な野獣とかいるのか?」とのN氏の問いに、原住民は「野獣はともかく、とにかく気味 が悪い。姿は見えないけど、あちこちから意味不明の人の言葉が聞こえる。でも人の姿はやっぱり見えない。白骨は いっぱいあるから、あれはその白骨の精霊だと思う。夜の山は生きた人が入る場所ではない」と答えた。 「意味不明の言葉ってどんな?」とN氏が問うたところ、原住民は「『ガヌバレ』『シカリシロ』と聞こえる。私たちの言葉 ではない」と答えた。N氏は「さもありなん」と感じ入ったそうな。
【戦争奇譚】 太平洋戦争中、日本海軍の海防艦2隻が台湾海峡付近を航行していた。ある晩、片方の海防艦の乗組員が僚艦の 甲板の上を松明を持った巫女が走り回っているのを目撃した。しばらくすると、その巫女は海の中に飛び込むように して姿を消した。目撃した乗組員は「何かの見間違いだろう」ということで僚艦へは連絡をしなかった。 夜が明けると、昨晩巫女さんが走り回っていた海防艦の姿が見えなくなっていた。無線で呼びかけても応答がなく、 夜のうちに何らかの原因で沈没したのだろうと言うことになった。 古来から、船には女性を乗せてはいけないという話はある。船は女であるため、船に女性を乗せると嫉妬するという 説明や、船魂が女性だからという説明のされ方をされている。現実には男性だらけの船の中で、船員たちの風紀が 乱れるから、と言われている。 1943年にニューギニア戦線で、米軍を上陸時に迎撃するため作戦行動中の日本軍一個大隊(1000人以上)が忽然 と消えてしまった。未だに遺品の一つも出て来ない。 広島に原爆を落としたB−29を観察していた謎の物体の話。8月6日、前1時27分、Mk-1核爆弾リトルボーイを搭載 したエノラ・ゲイがタキシングを開始し、1時45分にA滑走路の端から離陸した。午前6時30分、四国上空において エノラ・ゲイのレーダー迎撃士官ジェイコブ・ビーザー陸軍中尉がレーダースコープに正体不明の輝点を発見。 通信士リチャード・ネルソン陸軍上等兵はこのブリップが敵味方識別装置に応答しないと報告した。エノラ・ゲイは 回避行動をとり、高度2,000m前後の低空飛行から急上昇し、午前7時30分に8,700mまで高度を上げた。
【戦争奇譚 〜日本を戦争に導いた松岡洋祐〜】 @ 毎年終戦記念日の時期になりますと、天皇家と靖国神社の問題が再燃します。何故、昭和天皇は靖国神社参拝を 辞めたか、この理由を知ると、今後も今上天皇陛下の靖国参拝は有り得ません。 まず、観えて来た光景は、終戦直後の昭和天皇とマッカーサー元帥との会見の模様でした。おそらく、2回目か3回目の 会談だと感じます。その時、マッカーサーから昭和天皇に明かされた情報がありました。日本の大臣と大使の計2名と 軍属の1名が、武器商社から超大金をスイス銀行に貰う見返りに日本を戦争へ導くように誘導した事を教えられました。 ある一人の大臣が外国からの命を受けて、金銭により懐柔した他の2名を使用し、日本を戦争の舞台へ導いたのです。 これを聞かされた昭和天皇は深い衝撃を受けられました。でもその時の昭和天皇にはまだ、その重臣達を信じたい 気持ちが半分ありました。その話を聞かされた後、マッカーサーとの記念写真を撮られたと感じます。その時の陛下の 目はショックの余り虚ろでした。しかし、後年、色々な外国の経済界の重鎮や、戦争とは表面的には無縁な外国の貴族 達から得た情報がマッカーサーが伝えた内容を裏打ちする事が重なるに連れ、陛下は段々と確信を深められました。 また、戦前戦中に交わした、その重臣達との会話、その時の彼らの表情を思いだされては、裏切られた悲しみと、任命 した御自身の責任を感じ、国民と国土への深い慙愧の念に苦しまれたのでした。この3名が合祀された靖国神社に、 今上天皇が参拝する事は今後も無いでしょう。昭和天皇の思いを聞かされているからです。
A
そもそもの始まりは、この大臣が若い頃にアメリカの大学へ留学した時に始っています。その時ユダヤ系財閥の子息
と知り合っています。その後、彼はユダヤ財閥から学費の支援に始まり、官僚時代の出世の為の工作資金、政治活動
資金の全面的支援を受けて順調に出世したのでした。時は流れ、ジュネーブ特別総会において日本の代表者として
交渉を一任され、日本に有利に譲歩されたオフレコ案件を黙って一存で握りつぶして、逆に啖呵を切って国際連盟から
日本を脱退させました。これが後の太平洋戦争への布石と成っています。
戦後の昭和天皇の思いは、国民への謝罪だけでした。敗戦後、直ぐにでも自害して責任を取ろうとされましたが、その
度に明治天皇が現れて思い留まった様です。「そんな楽な道を選んでは駄目だ」と。そして天照太御神の日輪を拝した
時、自らの命と引き換えにして、日本を再興させてから死ぬ決意をされました。それから日本全国を励ます旅に出られ
たのです。
日本が順調に復興を始めて、最後の願いが沖縄の返還でした。戦争当時の沖縄国民の事を思うと、申し訳なさで昭和
天皇の胸が裂ける様な痛みを感じられたとの事です。沖縄返還の為なら、皇室の全財産を無くしても良いと考えられた
様です。この沖縄への思いは、今上陛下にも何度も伝えたとのことです。
また昭和天皇が取られた行動は、イギリスとオランダ訪問でした。この時に昭和天皇は、世界には伏せられている、
影の支配者に面会して、沖縄返還を願われたのです。この時、皇室の保有する隠された金融財産の大半が無くなった
と感じます。その翌年、アメリカから沖縄が返還されました。その数年後にアメリカへは、御礼の旅に行かれました。
この時、ロックフェラー私邸に御夫婦で宿泊されたと感じます。現在、影の支配者は、ドイツと近隣小国へ窓口を移動
させているようです。
http://blog.goo.ne.jp/isehakusandou/e/14f8cfe7ac5ee7ad3e3ea7d96fffd355
【戦争奇譚】 沖縄特攻の連合軍側作戦機の損失は13機(空母帰還後破棄も含む)だった。沖縄特攻で大和は、斉射三回で計27発 の三式弾を発射していた。航空機相手だと、照準が合わせられなくなるほど接近されると主砲の撃ちようがないから、 打ちまくるということは基本的に不可能だった。また、自艦の防空能力に干渉するので好ましくない。例を挙げると、シブ ヤン海では武蔵が退避警報を出さずに主砲を発射したもんだから機銃員が大変悲惨なことになった。(菊水作戦の時 の大和では一応対策はされていた) 主砲の爆風で機銃員がふっ飛ばされたという話。大岡昇平氏の「レイテ戦記」から引用してみる。 「対空戦闘のため、主砲も三式弾という対空焼夷弾を発射する。合図のブザーが鳴ると共に甲板上に増設された高角 機関銃の射手たちは、適当な遮蔽物を見付けて避難しなければならないのだが、戦闘中でブザーの音が聞こえなかっ たり、実際鳴らなかったりするから、多くの者が海上に吹き飛ばされた。」「空から降って来る人間の四肢、壁に張りつい た肉片、階段から滝のように流れ落ちる血、艦底における出口のない死、などなど、地上戦闘では見られない悲惨な 情景が生れる。」
【戦争奇譚】 当時ヨーロッパのとある場所にいた一人の修道僧には予知能力があったという。第二次世界大戦の勃発や国内のイン フレなどことごとく的中させていたが、戦争終結以前に病没してしまった。しかし、彼は最後に、第二次世界大戦後、 すぐに第三次世界大戦がヨーロッパで始まり、それまでの戦争とは比べ物にならないような災禍が訪れる、という予言 を残していた。 それを生前に聞いていた者が、終戦後になっても戦々恐々と暮していたが、ついには戦争は起こらな かった。もし修道僧の予言が本物ならば、どこかで歴史が変わったことになる。 そう仮定してみると、それは太平洋戦域の推移によるのではないだろうか?例えハワイ作戦において真珠湾の燃料タン クを破壊し、ミッドウェーでの惨状もなく、レイテで栗田艦隊が反転せずにマッカーサーもろとも輸送船団を壊滅させて いたとしても、日本が最終的に連合国に勝利することはなかっただろう。それどころか北と南から侵攻され、米ソによる 分割統治が行われていた可能性もある。 だが広島と長崎に原爆が投下されたことで日本は無条件降伏を受諾した。それは言い方を変えれば、玉砕戦術と神風 をはじめとする特別攻撃による遅滞作戦で本土決戦の準備を整える構えが、米国に原爆投下の口実と決断を与えた ことになる。現にソ連の先制核攻撃による欧州進攻は実際に計画案まであったのだ。 つまり、日本国民の徹底抗戦の決意と多大な犠牲によって世界の歴史の流れは変わり、結果人類は全面核戦争から 救われた、と言ったら言い過ぎであろうか?
【戦争奇譚】
戦争末期のビルマでは、ある二等兵が将校の制服盗み、それを着込んで軍需物資をだまし取って横流しし、大儲け
したという話あった。一方捕虜収容所では、チェンジマスターと呼ばれる者が存在し、職人経験ある兵に彫刻させたり、
監視兵から嗜好品などを得て、捕虜の支給品との物々交換を仲介して儲けた人もいた。
後方の補給所では普通に物資を横流しして私腹を肥やした連中が多く、こういう輩は上級者に対しても態度が大きく、
制服どころか派手な格好にサングラスだったらしい。前線で戦った人の手記には、これらの物資が正常に部隊に補給
されていれば、戦局も大きく変化したであろうと記されていた。
かつて特攻隊関係の本では、特攻攻撃の成功率は約16%だったと記されていた。その本によると、初期の頃には20%
以上成功していたのだが、終戦間近には8%程度まで落ちていたという。だがそれはGHQ側による情報操作であったと
いうのが、最近の見方である。特攻攻撃の実際の成功率は56%という高いものであったということが、最近公開された
アメリカ公文書館の資料で明らかになった。
http://www.heiwaboke.net/html/2006/11/15-02.dat.html 終戦まもなくのニュース映画から。最初は戦死通知を受け取っておいおいと泣く遺族。するとそこに二通目の戦死通知
が届いた。さらに遺族の元には三通目の戦死通知が届き、遺族も流石に困惑。いい加減にしろよ思っていたところに、
今度は戦死したはずの当の本人が帰ってきた。ニュース映像の最後は、その本人が笑顔で自分の墓に立てられた
卒塔婆を引き抜くものだった。
【戦争奇譚 〜突然、敵と出会うと…〜】 夜、日本軍の偵察隊がパトロールしていると道に迷って見慣れない場所に出てしまった。位置を確認しようと隊員が 集まって地図を見ていたら、前方から数人の兵士が歩いて来た。暗くて良く分からないがシルエットから米軍兵士だと わかった。偵察隊は物資不足でこちらの武器は錆びた軍刀と小銃だけである。相手はトンプソンやガーランドライフル など高性能の武器でとても太刀打ちできるわけがない。そのため偵察隊は何も出来ずじっとしていると、何故か米軍 兵士も何もせず近付いてきた。お互い敵同士だと分かっており顔は強張って偵察隊を睨んでいる。しかし結局何ごとも なくお互いに顔を見合わせたまま通りすぎていった。しゃがんでいた隊長の尻に米軍兵士の足が当たった時、相手は 「ソーリー、サー」とまで言ったという。似たような話が西部戦線でもあり、後方に空挺降下した米軍部隊がドイツ軍と 出くわした時、お互いに全く戦う事なく道を譲り合ってしまったという話や、戦闘中逃げ込んだ穴に敵兵士が入っていて 無言のまま何時間も過ごした話などがある。 大きな戦争で徴兵された人間というは、当然普段から戦闘に慣れておらず、特に初めて戦場に立つ時など過度の緊張 状態に置かれいるために、こういう事が起きるらしい。斥候なら班長が攻撃をさせない場合もあるが、夜間だと気づくの が遅れ、見つけた瞬間ギョッとなって思考が停止したまま足は歩くのをやめない状態だったのか、「自分が動けば相手 も動く=殺される(良くて相打ち)」という心理が働いたのか。 マレー戦での出来事。前線を偵察していた日本軍の斥候5名が、その帰り道に英軍兵士3名とバッタ リ鉢合わせして しまった。しかも相手は全員ステンMkUやブレン軽機を構え引鉄に指を掛けた状態だったのに対し、こちら日本軍の方 は持っていたのは全員小銃のみ。しかも肩に担いでいた為すぐには応戦できる状態ではなかった。 そんな状態にで暫く睨み合った後、日本側の隊長が「ゴルァ!」っと一括した途端、有利な状態だったにもかかわらず 英軍兵は全員持っていた武器を捨て手を上げて降伏したんだとか。
【戦争奇譚 〜フーファイターの正体〜】 これについては米軍の公式報告書が残っている。フーファイターの目撃者の証言を集めて目撃日時・座標等の統計を 取ったという。するとフーファイターは一定範囲の時刻に出現し、同じ方位に存在するという明確な傾向を示した。これ は早い話が金星だったのだ。 もちろん例外ケースも存在する。誤認要因は他にも沢山あるからだ。雲に反射したサーチライトの光は円形に見える。 サーチライトの反射光ならば当然、重力も慣性も関係無く自在に超高速移動し、突然直角に曲がりも反転もする。 太平洋戦域と違って欧州上空は夜間戦闘機の跋扈する修羅場だった。排気炎暗闇で明るく光り、目にはサーチライト の残像が焼き付くことも多かった。飛行機がバンクを取ったり位置関係が変われば、パイロットからサーチライトは突然 見えなくなったり、突然現れたりする。そうしたことも影響している可能性が高い。 また第二次世界大戦中、ドイツ軍は多種多様なロケット兵器を開発し、一部は実戦運用や実用試験を行った。こうした ロケット兵器の発したジェットエンジンの噴射炎の残像も、要因としてありうる。これについてはベトナム戦争での米軍 パイロットの貴重な証言がある。撃墜されながら生還した彼は、激しい衝撃を感じて操縦不能に陥る一瞬前、自機に 向かって猛スピードで接近してくる「オレンジ色に光るドーナツ型の物体」を目撃した。このときの「オレンジ色の光」は ロケットモーターの噴射炎、「ドーナツの穴」はミサイル本体のシルエット。つまり今まさに自機に命中しようとする地対 空ミサイルを正面から見て生還した極めて珍しいケースだったのだ。 フーファイターのいくつかもこうした類似の例かも知れない。いつものごとくUFOビリーバーはこれら全てを「米軍上層部 による隠蔽工作」と否定するだろうが。
【戦争奇譚】 P47サンダーボルトに乗って撃墜王だった米陸軍航空隊のカブレスキー大尉が、撃墜されて捕虜になり、監視兵付き で普通列車に乗って収容所まで移送されるときに米軍戦闘機に襲われた。そのとき向かいの席に座っていたドイツ人 少女の頭に12.7ミリ機銃弾が命中して、その少女の脳味噌が座っていたカブレスキーの膝に砕け散った。そのときに カブレスキーがどう思ったのかは自伝には書かれていない。 ベトナム戦争中捕虜にされたアメリカ軍兵士達の多くは、ベトナムが市場開放するまで抑留され、その後処刑された。 ラオスもベトナム戦争終了後に米軍捕虜を処刑した。また、北ベトナム軍の捕虜になった者の中(主に特殊部隊隊員) には、ソ連や北朝鮮に連行された者もいた。北ベトナム軍は捕らえた韓国軍兵士に対し、北朝鮮への亡命を積極的に 奨めたりもしたようだ。ベトナム戦争終戦から一ヶ月後に、カンボジアのコータン島で起きた、カンボジア軍守備隊と アメリカ海兵隊との戦闘では、米軍がヘリで島から撤収する際に、脱出する味方を援護する為にヘリの発着場の森の 両側に二名の海兵隊が陣取って戦った。そして、この二名の兵士を迎えに来るヘリは無かった。カンボジア軍守備隊 はこの二名の兵士を捕らえて、悪名高いトゥールスレン刑務所に送って処刑した。
【戦争奇譚】 下士官が新兵数名を伴って夜間行動中に敵を発見したので、班長は着剣を命じて間合いに入ると突撃を開始した。 最後方にいた新兵は、命令のまま暗闇の中を銃剣を突き刺した。と同時に、激しい衝撃を受けて気絶したらしく、気が ついたときには夜が明けていた。 あたりを見回すと敵兵数人が味方と刺し違えて死んでいる。そして自分の銃剣は同期兵の後ろから肩のあたりに深々 と刺さって戦友は息絶えていた。すこし離れた場所では命令した班長がピストルで自決しており、ただ一人生き残った 新兵だけが部隊に戻って来た。 しかし、その新兵が暗い場所などに行くたびに自分が刺殺した戦友の霊が現れたという。苦悩した挙句その人は戦後、 出家の道を選んだそうだ。 1940年のバトルオブブリテンで撃墜されたドイツ軍パイロットの話。落下傘で田園地帯に降りたところを現地人に通報 され、パイロットは警官に逮捕された。その連れて行かれた先の警察署で朝食を食わせて貰う。 しかし敵兵なので軍のほうがいいだろうと、すぐに地元の陸軍基地に移送される。パイロットがそこに連れて行かれると、 腹が減ってるだろう、と二度目の朝飯を食わせてもらう。 そのうちに、こいつは空軍兵なので空軍に引き渡そうという事になり、すぐに英空軍基地に移送される。 パイロットがそこに着くと応対に出てきた将校がパイロットに向かって、こう言った。「まったく陸軍は野蛮で困ります。 貴官は何か乱暴されませんでしたか?お腹が空いているでしょう、すぐに朝食を持ってきます」
【戦争奇譚】
「第二次世界大戦中に日本人が捕虜収容所の看守に朝鮮人を使ったのはなぜだと思う?朝鮮人は世界一
残忍だからだ。日本人はそれをよく知っていたんだ。」イアン・フレミング
大和級戦艦は五番艦まで建造計画があった。一番艦は言うまでも無く大和であり、二番艦が武蔵であり、
三番艦は建造途中で急遽空母に改造されて信濃となり、進水して半月で撃沈された。新造艦は大和の
46センチ砲を上回る50センチ砲を六門搭載するという素晴らしい計画であった。
衝撃リポート!!世界の怪奇現象・大追跡スペシャルIIIで放送された兵士の霊
http://jp.youtube.com/watch?v=PVIif58v3dw 1951年8月4日の朝4時頃、フランスのドーバー海峡に面した町ディエップに住むドロシー・ノートン夫人は
騒がしい物音で目を覚ました。その音は機関銃や大砲を撃ったり、爆弾が爆発したり、飛行機が急降下する
音だった。それを聞いた夫人は恐ろしくなってパリに住む伯父に電話を掛けた。伯父も電話を通してその怪音を
聞いたが、やがて三時間程するとその音は消え、夫人が外に出てみると、町は普段と全く変わりがなかった。
このディエップという町は第二次大戦中の1942年8月に、カナダ軍が戦車やコマンド部隊で無謀な上陸作戦を
行い、ドイツ軍相手に激戦となった町だった。
【戦争奇譚】 クルスク戦の時の話。シュタウデッカーSS軍曹のティーガーは中隊に合流すべく夜中に単独行軍していた。その時、 彼の真正面で小さな火花がちらついていたので、彼は即座に操縦手に停止を命じた。そこには戦車がいる、と輪郭で わかった。相手の排気管から出た火の粉でどうにか衝突を免れたのだ。シュタウデッカーか砲塔から飛び降り、その 戦車に向かって、どうして真夜中にこんな所で、のんびり構えて道を塞いでいるのかを怒鳴りつけようと詰め寄った。 相手の戦車長は砲塔に立ってタバコをふかしていた。シュタウデッカーの姿を見るなり、相手は物凄い驚く。どうやら その戦車長は、自分の車両のエンジン音でティーガーの接近に気づかなかったらしい。驚いたままその戦車長は、 シュタウデッカーに向かって、気は確かか?と聞いた。何とその言葉はロシア語だった。今度は逆にシュタウデッカー が驚き焦った。自分は今、敵戦車の目の前でただ一人立っているのだ。 しかし彼は焦らず、恐怖心を抑えて、ベルトに付けていた手榴弾を取り出した。それをソ連戦車の開いたハッチに投げ 込み、自分は遮蔽物を求めて身を翻した。そうしながらも彼は数メートル先に別のソビエト軍の戦車がいる事を確認 した。その直後、爆発音がして、最初の戦車の巨体が揺れた。シュタウデッカーは自分のティーガーに警告しようと 思ったが、指示する間もなく二つ目の戦車に飛び乗り、同時にその戦車のハッチが開いた瞬間、また手榴弾を投げ 込んだ。この戦車もまた戦闘不能になった。 その後行軍を続け、見事中隊を合流した。こうして計2輌を撃破した功績を称えられてシュタウデッカーSS軍曹は 第一級鉄十字章を受賞した。
【戦争奇譚】 クルスク戦で「ドイッチュラント連隊」の危機を救うために、シュタウデッカー軍曹はティーガー、1両でT−34を60両 相手にするという無謀な事をした。だがシュタウデッカーのティーガーは、戦線突破してきたT−34を瞬く間に撃破、 2時間の砲撃戦のすえ17両撃破し、ティーガーには損害なし。敵は突破の術なしとして後退したが、軍曹はこれを 追跡し、逃走したT−34を撃破し続けた。徹甲弾を使い尽くした後は榴弾で射撃を続けた。最終戦果は22両(「ドイッ チュラント連隊」が斥候班出して確認をとらせた)。そして彼は「ライプシュタンダルテ」師団の最初の騎士十字章授章 の第一号となる。 『戦場における「人殺し」の心理学』より。戦争において英雄とされるような人物の典型的プロファイルでは、彼らは犯罪 者とは似て非なる者だが、義務の為なら平気で割り切って自らを脱感作できるような「異常者」。兵士というのは意外と 敵に向かって撃たない・撃てないもので、古来からそうであった。(仮に撃っている場合でも、故意に頭上を撃って外す ケースも多い)その場合こうした兵士は、銃を撃つ代わりに発砲以外の不可欠な役目(弾薬運搬や負傷者救護・輸送 など)にふける傾向がある。敵に対する発砲率が飛躍的な上昇をみせるのは、脱感作やプログラミングの手法が訓練 に定着したベトナム戦争のころから。
【戦争奇譚】 地上から約100km以上の上空を宇宙空間って呼ぶ。人類が最初にロケットを宇宙空間に飛ばして宇宙から地球を撮影 したのが、昭和21年つまり終戦の翌年だった。これをやったのは、その頃すでにアメリカに移住していたブラウン博士 のチームで、そのロケットはV2号を改造した物だった。つまりドイツの科学力は終戦の翌年には宇宙ロケットを飛ばせ る位の凄いレベルだった。こうした旧ドイツの科学者が第二次世界大戦後に米ソに流れて、冷戦時代の核開発や宇宙 開発の研究を行っていた。 戦艦武蔵の最期を書いた渡辺さんの回想で一つ。渡辺さんが旧制中学の時に、村で戦死者がでた。母一人、子一人 の貧しい家庭の一人息子が戦死してしまったのだ。村人達が恒例通りさっそくその家に行き、おめでとうございますと 祝辞を述べる。始めは挨拶に答えていた母親だが、終いに耐え切れなくなり、「何がオメデトウございますだ!可愛そう だと虫さえ殺せぬ五郎を無理矢理ツツ持たせて、戦地さ連れてって、挙句殺しおって、何がオメデトウじゃー!」と絶叫。 これに色をなした在郷軍人会のオッサンが空気読まず反論。「恐れ多くも陛下の赤子であるからには戦場で死ぬ事こそ 誉であり…」しかし母親には通じない。「何が赤子じゃ!五郎はわしの子じゃ!今度の戦争で天皇息子が一人でも死ん だか!」これにはオッサン反論できず、赤面したまま黙ってしまった。現場は微妙な空気になり村人は解散。この母親 は、以後狂人のようになってしまい、数年後に亡くなったとか。 義勇兵で、天駆けるドン・キホーテこと、カール・グスタフ・フォン・ローゼン伯という人物がいた。ソ連のフィンランド侵略 に憤り、自費で戦闘機とDC-2改造爆撃機を買い込み、戦線に馳せ参じた空の騎士。戦後は戦後で、救援機パイロット をやっていたビアフラ内戦で、ナイジェリアの飢餓戦略に再び憤り、これまた自費で買い込んだ地面スレスレに飛ぶ プロペラ練習機にロケットポッドを装着し、Mig-21を地上撃破してのけた。
【戦争奇譚 〜カール・グスタフ・フォン・ローゼン伯爵 Carl Gustaf von Rosen(1909〜1977)〜】 @ 青いスワスチカ。スワスチカとは早い話鈎十字、→「卍」のことである。およそ60年ほど前に、挫折した画家志望のチョビ 髭オーストリア人がいろいろと余計なコトをしてくれたお陰で、今やろくでもないイメージのマークになり果てていること は、皆さんご存知の通り。お陰で今や「卍」マークがついているだけで規制の対象。ドイツ空軍機のプラモですら、現在 では尾翼に描かれているマークが目立たないように構図に注意が払われている有様だ。最近では、「ナルト」の日向 ネジの額のマークが、本来無関係であるのにアニメではただのクロスに差し替えられてしまったことが記憶に新しい。 しかしこの青いスワスチカは実はフィンランド空軍の識別マークであり、かの国においては国の独立を維持したシンボル として、格別の意味を持っている。だが、昨今の規制のせいで目にする機会も少なく、このマークの背景にある物語も、 日本では殆ど知られていない。なんとも残念なことだ。 そもそもなんでフィンランドはこの「卍」マークを識別マークにしていたのか?これにはあるスウェーデン貴族が大きく 関わってくる。予め断っておくが、実在の人物である。 時に1916年。ロシア革命をによりロマノフ王朝は倒れ、レーニン率いるボルシェビキが取って代わったものの、国内戦 やら諸外国の干渉戦におおわれまくっていた時期のこと。旧帝政ロシア領であったフィンランドは悲願であった独立を 果たすべく、名将グスタフ・マンネルハイム将軍率いる白衛軍が共産軍と熾烈な独立戦争を戦っていた。 しかし、戦いはフィンランド側の劣勢。スウェーデンをはじめとする北欧各国は隣国の窮状を座視するに忍びず、武器 弾薬や義勇兵を送り込むなど援助を惜しまなかった。 その一方、もはや辛抱溜まらず、個人の資格・私費でフィンランド軍の戦列に加わった人々もいた。その中に血気盛ん なスウェーデンの貴族がいた。彼の名は、エリック・フォン・ローゼン伯爵。十字軍騎士の流れを汲み、スウェーデン王 室との繋がりも深い彼は、「騎士は自ら馬を駆って、窮地にある人々を救うものだ!」と、当時まだ実用化からさほど 時間の経っていなかった飛行機・ツーリンDを私費で購入、自ら操縦して戦場に現れたのだ。
A その時に彼が翼に識別マークとして描いたのが、この「青いスワスチカ」だったのだ。エリック曰く「これはローゼン伯爵 家に伝わる、幸運のシンボルなのだ」ということだった。なにしろ当時のフィンランドのこと。他に飛行機などあるわけも なく、エリックは偵察やら銃撃やらまさに獅子奮迅の働きぶりで前線にあり続けたらしい。そして地上のフィンランド軍 兵士達は、翼に鮮やかに描かれた青いスワスチカを見上げるたびに大いに勇気づけられたという。「おう、見ろ!また 伯爵が飛んでるぜ!!」 そうして長い戦いの末に1918年5月内戦は終了。ソ連邦は1920年12月14日、やむなくフィンランドの独立を認めて平和 条約を締結ることとなる。エリック・フォン・ローゼン伯爵は祖国に帰っていったが、フィンランドは常に前線で戦い続けた 彼の功績を忘れず、感謝と敬意をこめて彼の幸運のシンボル・「青いスワスチカ」を全軍の識別マーキングとして制定し たのであった。とまあそうしたわけで、ナチス党がかのマークを採用する以前からフィンランド軍はこのマークを使って いたわけだ。しかし、ローゼン伯爵家のフィンランドとの関わりはまだ終わらない。 1939年、ソ連邦はフィンランド独立によって失った領土を取り戻すべく、国境付近に共産主義者による傀儡政権を作り フィンランドに戦争を仕掛けてきた。一般に「冬戦争」として知られる戦いの始まりだ。あきらかなソ連の侵略に対し国際 世論は沸き立ったものの英米などの大国の姿勢は煮え切らず、国際連盟がソ連に対し警告を発するもののスターリン が耳を貸す筈もない。フィンランド軍総兵力を遙かに上回る兵員に機械化部隊に強大な空軍まで動員したソビエトに 対し、フィンランド軍は明らかに劣勢であった。 そんな状況にまたもや血を沸き立たせたスウェーデンの貴族がいた。エリック・フォン・ローゼン伯爵のあとを継いだ 息子、カルル・グスタフ・ローゼン伯爵である。フィンランド独立のために自ら飛行機を駆って戦った父の勇気に倣い、 彼もまたフィンランドの窮地に駆けつけようと考えた。
B しかし、父がフィンランドに出撃してからはや20年。さすがにただ飛行機で行けば良いというものでもない。飛行機の 性能もあがっているし、前回のツーリンDなんて複葉水上機ではただの足手まといだろう。かといって最新鋭の戦闘機 なぞ、いかに伯爵の威光をもってしても手に入るものではない。そこでローゼン伯爵はどうしたのか? 「民間機に武装させて飛んでいこう」伯爵はアメリカのダグラス社の旅客機DC-2を購入、天井をぶち抜いて旋回機銃座 をつけ、座席を全部撤去。主翼と胴体に爆弾架をとりつけてしまった。これでロシア人達にちょっとした爆弾の雨を一発 お見舞いしてやろう、と言うわけ。 更に伯爵は怪しげな手管を駆使し戦闘機を二機購入。これで戦爆連合一丁あがり。ロスケの戦闘機が出てきても怖く ない。ただその戦闘機というのが、オランダ空軍で不採用になり長らく倉庫に埋もれていた複座複葉戦闘機・オランダの コールホーフェンFK-52という、聞いたことのない戦闘機。ハッキリ言って性能はゴニョゴニュであり、そもそもこの世に存在 する機体はこの2機ポッキリという、絶滅危惧種みたいなシロモノなのであった。ホントに大丈夫なのか伯爵? そうして編成したものの、伯爵のDC-2は改造に手間取り、2機のKF-52が先に前線に送り込まれる形となり、早くも伯爵 の戦爆連合計画はほころびを見せ始める。 いよいよと伯爵がDC-2と共にフィンランドに到着したときにはすでにFK-52はどこぞの前線へ張り付けられていて護衛 戦闘機ナシ。鈍足の旅客機のみで白昼攻撃をかけるなど単なる自殺行為であろう。それでも勇気と血液の温度に不足 が無い伯爵、いささかも戦意を萎えさせない。「戦闘機がいないなら、払暁攻撃をかけちゃる」まるであきらめないので あった(ナンだか宮崎駿の『雑想ノート』に出てくる安松丸のもの狂いオヤジみたいだ)。
C 1940年2月夜、伯爵のDC-2は単機で出撃離陸する。 素人にしてはうまい具合にソ連基地上空に到達、低空から爆弾 投下。改造もムリヤリな上に(爆撃用の照準装置が無い)、操縦しているのも素人。何を爆撃したのやらさっぱりわから ない。しかし、タイミングが良かったのかまったくの奇襲となり、ソ連軍の迎撃機は1機もあがってこず、しかも追撃機に 捕捉されることもなく、伯爵のDC-2は無事に帰還。成果は、まぁアレだったが、無事爆撃行を終えたのである。この時も 伯爵のDC-2の翼には「青いスワスチカ」が描かれていた。 結局、フィンランド対ソ連の冬戦争自体は第二次世界大戦の終結に伴い両国の間で講和条約が結ばれることとなる しかし、ローゼン伯爵の戦いは終わらなかった。戦後彼はエチオピア皇帝ハイレ・セラシエの招きで空軍の近代化の 任務についたあと、スウェーデンの民間航空会社「トランスエア」で長く旅客機のパイロットとして勤務していた。もう、 DC-2で爆撃行などは若き日の思い出となり果てようとしていた(と思う)1967年、またもやローゼン伯爵の血を滾らせる 事件が起こる。ナイジェリア内戦、俗に言う「ビアフラ独立戦争」の勃発である。 この内戦の勃発に至る経緯はあまりにも長くなるので詳述は省かせていただくが、北部部族を中心とするナイジェリア 連邦軍のビアフラに対する封鎖と飢餓戦術は凄まじく、ビアフラ側に多数の餓死者が発生していた。 そんな光景を見て黙っている伯爵ではなかった。彼はスカンディナビア教会派の組織した救援団に上級パイロットとして 参加。飢餓に苦しむビアフラへの食料と医薬品の空輸作戦の責任者となる。この時既に60歳だった(この時孫もいた) のだが、伯爵の血はなお熱い。 自ら操縦桿を握り地面すれすれの低高度でDC-7を飛ばしてナイジェリア軍のレーダー 網をすり抜けてビアフラへの食糧輸送に尽力する。そんな無茶な飛行をしていたのは彼くらいのものだったが、そうでも しなければビアフラに食糧を届けることが出来なかったのだ。
D しかし、そんな食糧空輸を続けても連日餓死者が増え続けるビアフラの惨状。一度に運べる量も人口に比べて圧倒的 に足りない。ごく一部、陸路で国際赤十字が送り込んでくる支援食糧が入って来ることがあるが、途中ナイジェリア連邦 軍の手が加わるために、ビアフラ側は警戒して口にする者はいなかった(ナイジェリア連邦軍側は支援用の小児用粉 ミルクにまで毒を混ぜていたと言う証言がある)。 遂に伯爵は決断した。「もはやこの惨状から人々を救うためには、ナイジェリア側の空軍戦力を片づけるしかない!」 考える人はいくらもいるとは思う。だが、ローゼン伯爵はそれを素晴らしいバイタリティで本当に実行に移してしまう。 無論スウェーデン王室と関係の深い由緒正しい貴族と言っても、さすがに最新鋭の戦闘機なぞ手に入れられるはずも ない。しかし伯爵にはかつて民間機を改造して実戦参加させた実績があり、その経験は今回も活かされることとなった。 今回はサーブ社のプロペラスポーツ機、MF1-9Bに目をつけた。これはスポーツ機といっても小国での軍事利用を想定 した機体で、翼下に300キロ用のパイロンやロケットランチャーも装備可能なのだ。本来、国際的に承認されていない ビアフラに飛行機を売ってくれる国は無いのだが、ローゼン伯爵はまたもや怪しげな手管を発揮。ストックホルムにあっ たタンザニア大使館を窓口に「タンザニアにパイロット養成学校を設立するために、MF1-9B5機を購入したい」と、輸出 交渉を開始。本来軍用機ではないのでスンナリ輸出許可が下りると、今度はその機体をフランス空軍基地に空輸して 武装を搭載する小改造を施した上でタンザニアへ…向かうはずだったが、途中でローゼン伯爵は「実はタンザニアの 養成学校は一時的にガボンに移転するので機体はそちらに運んでくれ」と輸送業者に連絡。そこで降ろされた機体を 「テスト飛行」と称してローゼン伯爵とその同志達が操縦してそのままビアフラへ持ち去ってしまったのだという。 なんちゅーか、マッコイじいさんを彷彿とさせる手際の良さだ。前回のコールホーフェン戦闘機の時と言い、貴族を廃業 しても多分ブローカーとして喰っていけそうな気がするなぁ。
E
伯爵らは1969年5月22日に最初の襲撃を敢行。レーダーに写らない地面すれすれを飛んでナイジェリア空軍基地に
到達、ミグやらイリューシンやらを ロケット弾で破壊して気勢をあげる。更に同じ日にもう一度襲撃を行うという熱の入れ
っぷりであった。…もしかしたら、かつての「冬戦争」での経験が活かされていたのかもしれない。
しかし、5回ほど襲撃しただけで伯爵は参加をとりやめることになってしまう…本国にバレたのだ。やむなく伯爵は帰国。
その後もMF1-9B編隊は僅かな戦力で善戦敢闘を続けるものの、秘密基地が発見されてしまい、ビアフラ空軍は再び
泡と消えたのであった。
かくの如く、フィンランドでビアフラで、民間機をムリヤリ改造しては個人の資格で勝手に戦闘に加入し「義を見てせざる
は勇なきなり!騎士にも非ず!」を実践して世界を巡り続けたカルル・グスタフ・フォン・ローゼン伯爵。彼はその後も
信念を変えることなく縦横無尽に世界を駆けめぐったらしい。
そんな彼の戦いが終わりを告げたのは1977年11月13日のことであった。彼は当時酸鼻を極めていたエチオピア内戦に
おいて、軽飛行機による飢餓民への食料投下「エチオピアの爆撃」に従事していた。そのために飛来したゴーデの街で、
たまたまその町を襲撃したソマリア人ゲリラに襲われて死亡したという。享年67歳。
いざ彼の一生をかなり大雑把であるが振り返ってみると、なんだか出来の悪い娯楽小説の正義の味方のようだ。しかも
彼はどんな戦いでも無給のボランティアであったということも付け加えておく。私は、彼のような人物はもっと多くの人々
に記憶されるべき人物であると思う。彼の翼を守った「幸運の青いスワスチカ」と共に。
http://anchoku.hp.infoseek.co.jp/vonlusen.html
【戦争奇譚】 逆の意味で英雄といえば、よりによってD-Day当日の朝にパリの愛人宅にしけこんでいた第21装甲師団長のエドガー・ フォイヒティンガー少将がいる。彼は後に中将に昇進して騎士十字章までもらっているが、その後にD-Dayだけではなく バルジの戦いの時も作戦中に勝手に自宅に帰っていたのが発覚。逮捕されて兵卒に降格の上死刑宣告を受け、その 後減刑されて砲兵として前線勤務を命じられる。が、移送途中に脱走し、終戦まで隠れるのに成功している。 短期間の捕虜生活を送った後、戦後は軍需品メーカーのセールスマンになるが、扱っていた物資を東ドイツに横流し していた。最後にはその打ち合わせで東ドイツの情報機関員と会食中に心臓発作で死んだ。 軍人としては実戦経験がほとんどなく、党に取り入って出世したが、部下にオッペルン=ブロニコウスキーのような本当 の勇者がいたために、なんとかボロを出さずにいられたのだろう。師団参謀にさえ回想録で、「あの人は人生を楽しむ事 には熱意を燃やすタイプだった。軍人としてはダメだったけど」っていう評価されてるくらいだ。 エド・マクギヴァン。1934年にコルトのダブルアクションリボルバーで5発を0.4秒で速射、しかも4.5m先のトランプに全弾 命中や、357マグナムリボルバーで550m先のマンターゲットに全弾命中させている。膨大な量の実弾射撃は勿論、神経 学、心理学、生理学を研究し、異常なまでの自己管理を徹底していたという。FBIや警察に拳銃射撃教本を書いたりも して、「銃弾は銃口が定めた所に飛ぶのであり、射手が決めたい所に飛ぶのではない」と言う名言も残している。
【戦争奇譚 〜カール・グスタフ・フォン・ローゼン〜】 @ カール・グスタフ・エリクソン・フォン・ローゼン伯爵(1909-1977)は、スウェーデンの初期の航空士である。フィンランド 独立戦争の際に自前の航空機で独立軍を支援したエリック・フォン・ローゼン伯爵(1879-1948)の息子であり、ヘルマン ・ゲーリングの妻であるカリン・ゲーリングの従兄弟でもある。義勇航空兵としての活躍で知られる人物であるが、特筆 すべきは、彼が参戦した戦いの大方において、戦闘用の航空機材を自前の資金で用意した上で義勇兵として参戦して いる事である。 フォン・ローゼンは幼い頃から機械に興味を示し、ヘルマン・ゲーリングの影響もいくばくか受けて、飛行機械に執り付か れたようになった。ゲーリングは第一次世界大戦のエースであり、戦後の短い期間、スウェーデンのスヴェンスカ・ルフ トトラフィク社でタクシー・パイロットとして勤務した後、ナチス党の指導者としてドイツ空軍総司令官に至るまでのの経歴 を積み始めている。 フォン・ローゼン自身の航空機にまつわる経歴は整備士として始まり、次いで旅回りの航空サーカスの操縦士となった が、ここで身につけた曲技飛行の技量は、彼の後の人生で大いに助けになった。 ムッソリーニの下、イタリアが独立帝国であるエチオピアを侵略し始めると、フォン・ローゼンは救援飛行に加わり、食料 や赤十字のための補給物資を搭載して飛行した。この間、過酷な地面状況に加え、イタリア空軍のたびたびの攻撃 から生き延びている。 エチオピアの戦争から帰還した彼は、世界最初の商業航空路であるKLMに入社し、世界初の定期便操縦士たちの一人 となった。オランダ人の妻を娶ったが、彼らの幸福は第二次世界大戦の勃発により破られた。
A ソヴィエトが冬戦争の際にフィンランドに侵攻すると、フォン・ローゼンはKLMを辞職して父の顰に従いフィンランドへ馳 せ参じ、自前で用意したDC-2改造爆撃機ハンシン・ユッカ号でソヴィエト軍に対し爆撃を行っている。 一年後、ドイツがオランダを侵略すると、フォン・ローゼンは英国に渡航して英空軍に志願したが、ヘルマン・ゲーリング との家族関係が考慮に入れられた結果却下された。 フォン・ローゼンのオランダ人の妻は抵抗運動に加わって、戦争の間に殺害され、その間フォン・ローゼンはKLMでの 勤務を継続し、危険なロンドン―リスボン空路を飛んでいた。 戦後、フォン・ローゼンはエチオピア帝国空軍において訓練教官を数年務め、第二代国連事務総長ダグ・ハマーショル ド(1905-1961)の就任に伴い、その操縦士を務めるためにエチオピアを離れた。 運命の皮肉というべきか、コンゴ危機の調停に赴いていたハマーショルドが専用機の事故で死亡したとき(おそらく撃墜 されたものと思われる)フォン・ローゼンは病を得て地面に釘付けだった。 フォン・ローゼンのアフリカとの関わり合いはコンゴ危機では終わらなかった。七年後、ナイジェリアからの分離独立を 図っていたビアフラ共和国への救援飛行の最中、彼は国際的な名声を獲得することになる。 ナイジェリア政府のビアフラ人に対するあまりの横暴振りと、ナイジェリア空軍による救援飛行へのたびたびの妨害に 心底激怒した彼は、フランス秘密情報機関と協力して報復の一手を編み出した。 彼は、サーブ社が開発した小さな単発のMFI-9B民需用練習機を五機密輸した。この機体は元々、実は戦時には対地 攻撃任務に使えるよう設計されているのを知っていたからだ。
B 航空機に迷彩塗装を施し、無誘導ロケット弾を取り付けて、「ビアフラのベイビ−たち」と称される飛行隊の隊員たちが 飛行資格を取ると、ナイジェリア連邦空軍がビアフラの民間人に対して攻撃を繰り返している空軍基地を叩く準備が 整った。 1969年5月22日にはじまる数日間、フォン・ローゼンが率いる5機の航空隊は、ポート・ハーコートとエヌグの主要基地と 他のいくつかの小規模な空港を襲った。 レーダーに映らない超低空飛行で接近し、ロケット弾を一斉射撃して逃走する航空ゲリラ戦術にナイジェリア軍は不意 を撃たれて、数機のMig-17と、6機しかないイリューシンIl-28のうち実に3機を含む、多数の高価なジェット機を破壊され てしまった。 フォン・ローゼン伯爵最後の活躍は、1977年のまたもやアフリカで、エチオピアとソマリアが争ったオグデン紛争の折 だった。再び難民救援飛行を行っていたのだが、1977年7月13日、ゴーデの近くでソマリ族のゲリラに突然の銃撃を 受け、墜落死した。
98 :
名無し物書き@推敲中? :2008/11/14(金) 11:20:44
ヘイドレクとはこれまた懐かしいなぁ いつの間にやら復活してるとは。 しかしこれは・・・荒らされてるのか?何故??
これは荒しじゃなく、こういうネタを集めるのが趣旨のスレなんですよ。 それとヘイドレクは創作発表板でついこの間まで頑張ってましたよ。 遂に力尽きて終わってしまいましたが、また近々スタートする見込みです。 だからここは書き込まないで放っておいてね。
【戦争奇譚 〜ドイツ第27SS戦争猟兵大隊第3中隊所属レミ・シュライネンSS一等兵〜】
6月26日、ソ連軍の戦車部隊が跨乗兵を乗車させて前線を突破し、戦闘団の第27SS戦車猟兵大隊第3中隊の陣地へ
殺到した。ここでレミ・シュライネンSS一等兵は対戦車砲によりT34を6両を撃破して、敵を食い止めることができた。
4日後に再び敵の攻勢が発起された時、すでにシュライネンを除いて彼の分隊は全員死傷しており、彼は撤退命令が
出ているにもかかわらず、その場に踏みとどまってたった一人で照準・装填を行って砲撃を続けた。しばらくしてソ連軍
の歩兵部隊の大軍が押し寄せて来て絶体絶命となったが、海軍出身の無線手が死ぬ直前に味方砲兵へ自軍陣地へ
の砲撃を依頼していたため、敵歩兵部隊は壊滅状態に陥った。しかしながら、その後方から敵は新型JS戦車を含む
戦車30両が続いており、ここにシュライネンとの劇的な一騎打ちが行われた。
ここでもシュライネンの神業的砲撃が勝り、JS戦車4両とT34 4両が撃破されたが、最後のJS戦車は彼の対戦車砲の
僅か30m手前で討ち取られたものであった。彼は敵の砲撃で負傷して倒れたものの、その後の味方の反撃により擲弾
兵の手で救い出された。
6月26日にT34を5両、30日にスターリン戦車とT−34を各4両撃破。
http://yakouhai.seesaa.net/article/27319001.html
【戦争奇譚】 朝鮮戦争時、朝鮮で戦死した米兵は、福岡空港に併設されている板付飛行場を経由して本国へ無言の帰還をしたが、 その板付飛行場では、なぜか戦死したはずの米兵が廊下を彷徨っていたと言う。と言うわけで、板付飛行場勤務は、 みんな嫌がった。 昭和30年代の「天声人語」を調べていたら、フィリピン政府から、「大戦中の日本軍の高射砲の残骸に、未だに日本兵 の幽霊が取り付いて、夜な夜な『ウテ!ウテ!』と叫んでいる。その村の住民がおびえて仕方がないので、なんとか 日本に引き取ってはもらえまいか?」そんな要請があった、と記されている。 大戦末期のこと。鹿島神宮に深夜突然海軍将校(の格好をした男)が現れ、夜分申し訳ないがどうしても今参拝したい と言うので、宮司さんが先に立って案内した。拝殿の扉を開けたその瞬間、ぼたり、と大きな音が背後でして、びっくり して振り向くと、先ほどの海軍さんの姿がなく、代わりに彼の立っていたところに、大きな血の塊が幾つか落ちていた。 そんな事件があったそうな。どこかの戦場に応援に出かけた神様の眷属が、深手を負ってやっとの思いで帰ってきた に違いない、そして、おそらくこのいくさは負け戦であろう、と。その話を聞いた関係者らはそう思ったそうな。
【戦争奇譚 〜ある怪談〜】 @ 時は数年前の今頃、亜米利加人教授と博物館に行きました。丁度太平洋戦争記念らしく、当時の米軍の将軍や飛行機 の写真が所狭しと展示されていました。教授はルメイ氏の写真等で満足している様でしたが私は内心気違い空襲野郎 等と思い不機嫌に。教授がB29等の飛行機の写真を見ている時には、もう明後日の方向を見ておりました。 ふとその時、奥の方小さな部屋を発見。中を覗いて見ると、日本側の写真が。殆んどが民間人の写真で、兵器の写真 はありませんでしたが中々興味深く、今まで見た事の無い写真も在ります。 之は儲け物と十分ほど一人で堪能していた所、奇妙な視線を感じます。教授は亜米利加の飛行機の方で忙しく、この 部屋には私以外人っ子一人居ないはずなのに、其の視線は無くなりません。 妙だなあと思い、気配を感じる方を見れば一枚の写真が見えます。出兵前の家族の集合写真らしく、正装した人達が 軍服を着た青年が中央に整列して居り、説明文には、この青年は中国東北部に行くとか何とか書かれて居ります。 他の写真と比べても特におかしい所は内容に見えましたが凝視してみると、一瞬写真の中の人が瞬きをしました。一瞬 の事でしたので見間違えかと思い、其のまま見続けると一斉に写真の中の人が笑いはじめました。 之はヤバイと思い、慌てて眼を背け部屋から出ようとすると足首を何者かに掴まれました。見てみると、写真に写って いた青年の母らしき人が必死な形相で、私の足首を掴んでいました。私は其のまま倒れこんでしまい、助けを呼ぼうと しましたが声が出ません。
A 「返してくれ。」男の物かも女の物かも分からない声が私の頭の中に響きました。幸い体は動きましたので、相手の額 辺りに思いっきり蹴りを入れたのですが、相手には全然効かない様なので、其のまま這居ながら部屋の外に向かい ますが、今度はもう片方の足にも何者かが。 「返してくれ。」後ろを見ると発狂しそうなので、完璧に無視して其のまま這って出口に向かいますが、相手は一人や 二人ではないらしく次々と体中にしがみ付いてきます。 「返してくれ。」の声がはんば合唱に為った時に何とか部屋を出ることが出来ました。 部屋を出た途端体が軽くなったので、ああ助っかたんだなと思い部屋の中に目を移すと、先ほどの写真の中の人物達 が部屋の中央で全員正座をして、恨めしそうに私を見ていました。 急いで教授の元に向かい、事のあらましを伝えたのですが聞き入れてもらえず。貴様はそれでも武士の国の子孫かと 叱られました。どうせなら、亜米利加人に化けて出ろよと思った、そんな夏の一日。
【戦争奇譚 〜戦艦陸奥の最後〜】 乗っていた戦艦が瀬戸内海に停泊していた時のこと。真夜中、夜衛の当番が見まわり時間を待っていたら、自分の前 に見まわりに出ていった新兵がガタガタと駆け込んでくる。すわ、なにごとかと思い聞いてみると、新兵は震えながら 「班長、出ました出ました!」と繰り返すばかり。やっとのこと聞き出してみれば、三番砲塔に女が立っているという。 何を馬鹿なことを言っているのかと思い、小銃を持って三番砲塔へ向かうが、特に異状なし。何かの間違いだったの だろうと戻ろうとしたその時、背後からけたたましい笑い声が降りかかってきた。 驚いて降りかえると、三番砲塔の上に女が立っている。真っ白な浴衣のような着物、真っ赤な洗い髪を振り乱し、大きな 口を開けて笑っている。角度から考えて、身長は3mはあろうかという怪物。 誰何する気も起きず、わっと叫ぶとまっしぐらに逃げた。翌朝からひどい熱を出し、艦内医の手にも負えず呉の病院へ 搬送された。その日の正午過ぎに乗っていた戦艦は不審火で爆発、沈没してしまったとのこと。 「爆沈の当日に艦を降りてるから憲兵に目をつけられて、そっちの方が怖かった」と当人は語る。
【戦争奇譚 〜ナポレオンの手紙〜】 @ 1915年、第一次世界大戦中のシナイ砂漠。イギリスのある部隊は敵のアラブ兵に完全に包囲されていた。水も食料も 底を尽きかけ、このまま餓死するか全滅覚悟の突入しかない状況に追い込まれていた。 指揮をとっていたケイザル大尉が考えあぐねていた時、一人の老人が部下に連れられて大尉の前に現れた。「大尉、 この老人がどうしても大尉に手紙を渡したいと言ってるんですが。」 「私に手紙を・・? 誰からのものだ?そして君は一体誰なんだね?」大尉は老人に尋ねた。 「私はずっと以前、ある方からあなた宛の手紙を預かっている、この村のものです。あなたは確かにケイザル大尉様で いらっしゃいますね?」 「確かに私はケイザルだが・・。それでその手紙というのは何なのだ?」 「はい、これでございます。」老人は手紙を差し出した。 「差出人はナポレオンだって?! あの、大ナポレオンからの手紙?君、ナポレオンのエジプト遠征といえば100年以上 前…116年前のことじゃないか!からかうのもいい加減にしろ!私は忙しいんだ!さっさと帰ってくれ!」 「でも私は確かに、あの大ナポレオン様から手紙を預かったのです!あなた様以外には決して見せてはならないと言わ れて…それ以来、私はこの手紙をずーっと大切に保管してまいりました。これは本当なのです!」 老人があんまり真剣に訴えるので、ケイザル大尉も一応見るだけみてやるか、といった感じでくしゃくしゃになった手紙 の封をあけてみた。 手紙にはこう書かれていた。「親愛なるケイザル。私は現地人の、この子供に手紙をあずける。この陣地の下には弾薬 と食料が埋めてある。すぐにそれを掘り出し、エジプトとの国境に向かうのだ。国境へ向かうには3つのルートがあるが、 その中の砂漠を通る中央のルートを使え。同封の地図に飲み水が得られる水穴の場所を示しておく。無事脱出する ことを祈っている。ナポレオン・ボナパルト」
A それは確かにナポレオンからケイザル大尉に宛てた手紙に間違いはなかった。だがなぜ、116年前にナポレオンは この手紙を書いたのだろう? その時、ケイザル大尉はハッと気づいた。そういえば、自分のひいじいさんも自分と同じケイザルという名前だった。 幼いころに聞いたことがある、ひいじいさんはナポレオンと一緒にエジプト遠征に行ったと。ひいおじいちゃんはその時 に戦死してしまったが、ひょっとしてこの手紙は、ナポレオンからひいおじいちゃんに宛てた手紙だったのでは…? 全て理解出来たケイザル大尉は、ワラにもすがる気持ちで手紙に記されていた場所を部下に掘らせてみた。部下たち も、もうこの手紙にすがるしかなかった。 掘ってみると本当に弾薬と食料が出てきた。だが不思議なことに100年以上前に埋められたもののはずなのに弾薬も 食料も全く傷んでいないのだ。まるで昨日、埋められたかのような状態である。 「こんな不思議なことがあるんだろうか?」 部下も半信半疑である。食料と弾薬を補給し、元気になった一隊は翌日敵兵に攻撃をしかけ、一瞬のスキをついて 包囲網を突破し、地図に沿って砂漠を横断した。100年以上前の地図であったが、水穴の場所はそのままだった。 途中で飲み水を補給しながら一隊は無事援軍と合流できたのである。 あの手紙を持ってきた老人であるが、詳しく話を聞くと、手紙を受け取ったのは老人が15歳の時だったという。すぐに 当時のケイザルのところへ持っていったが、すでに隊は出発してしまった後で、結局手紙を渡すことは出来なかった。 それ以来、ずっと心の中に引っかかっていたというのだ。そしてそれから116年が経ち、ケイザルという名を聞いて今度 こそと思い、面会に来たらしい。この手紙を渡すまでは死ねないと思っていたのだろうか。老人は130歳になっていた。
【戦争奇譚 〜兄〜】 @ 当時、私は小学校六年で、学童疎開も二十年三月で終わり、甲府から東京・高円寺に帰って間もない時でした。幸い、 兄はほど近い調布の飛行隊に所属しており、私が帰って来てからも月に二、三回、家に戦友の方々を連れてきました。 その日は雲ひとつない青空でした。いつもの空襲とは違ってB29は戦闘機援護のもとに、高度は今までの一万メートル の成層圏ではなく、ぐっと低く侵入してきました。 私は下の兄たちといっしょにおそるおそる防空壕からはい出して空を見あげると、何かキラキラ光る物体が上下してい る様子が目に入りました。その時はまだ上空で空中戦が行われているとはまったく思いませんでした。 その直後、B29の一機が白い煙を尾から引き始めたと思うと、いまキラキラ光っていた小さな物体からも煙が出て、 それこそまっさかさまに落下し、見る見るうちにそれが小さな戦闘機だとわかるほど、私たちの肉眼にせまってきたので とっさに身を隠しました。 空はまだゴウゴウとうなりをあげるようにして後続敵機が通過していましたが、どうやら市内での空襲ではなさそうだと、 再び壕から飛び出して空を見ると、米粒のような戦闘機同士が空中戦を交え、上下するごとに太陽の光にキラキラと 反射していました。 初めて見た空中戦に、その時は”兄もおそらく出撃していたのではないだろうか?””いや戦闘に出ていても兄は決して 死ぬことはない”といわば願望に近い気持で打消していました。私がこの日、この目で見た空中戦はB29が二機、煙を 吐いたのと、戦闘機が三機、煙を吐いたり、落ちていったのです。
A 翌八日夜の八時頃、玄関の床をコツコツと軍刀でたたく音がしました。下の兄二人といっしょに玄関をのぞきますと、 暗い中にボヤーッと兄の軍服姿がうつりました。 「あっ、お帰りなさい」声をかけるなり、昨日の戦闘でも無事だったんだという安心感も手伝い、玄関の電気をつけました。 ところが、今いたはずの兄の姿はそこになく、不思議に思って家の外を一周してもどこにも兄は見当たりませんでした。 それから一時間後、こんどは「ドンドン」という玄関のドアを強くたたく音に、二番目の兄が玄関に行き、しばらくして何か 紙キレを持ってきたのです。 「何だったの、だれが来たの?」兄はしばらく無言でした。暗い灯火管制下の電灯で、三番目の兄と顔を合わせ、読むと 「セウイ カウノタカシ 四ツキ七ヒ テイトフキンニオケルヨウゲキセントウニオイテソウレツナルセンシヲトグ。トウブ一 〇八ブタイテウ」 私を妹というより、自分の娘のように可愛がってくれた、あのやさしい兄が死んだなんて━━この世には神も仏もいない のかしら…きっとだれかと間違えたに違いない。でも、もしあの電報が本当だとしたら、昨日見た、あの空中戦で落ちた 戦闘機の一機が兄だったのでは。 それから一週間ぐらいして隊から使いの将校が見え、兄は敵のP51戦闘機と調布上空で空中戦を交えながらB29に 近づき、攻撃をしつつ、最後に体当たりをして、埼玉県の川口上空で戦死、B29も焔を吐きながら林の中に墜落したそう です。それにしても七日に見た空中戦の一機はたしか兄に間違いなく、死んで幸運というのも妙な表現ですが、他に 戦死された方々から見れば、本人も家族も戦時下では考えられない最後の出会いでした。三十四年たった今もあの時 の光景は脳裏にやきついています。
【戦争奇譚】 何波にも渡る米艦載機の猛攻撃を受けながら一発も被弾せず、至近弾の破片で6名が死傷したものの、無事に生還 した日本の駆逐艦の話。駆逐艦谷風は、「飛龍(空母)がまだ浮いており、生存者がいる」という情報に基づき、既に 撤退中の南雲艦隊から1隻だけ派遣された。 米軍もまだ浮いている日本空母(飛龍)を目標に、エンタープライズから32機、ホーネットから26機のドーントレス艦爆 が、ミッドウェイ島から12機のB17が出撃した。 谷風が到着したとき、既に飛龍は沈没していた。そのためこれらの爆撃機は谷風を発見して次々と襲いかかり、爆弾の 雨を降らせることとなったが、谷風は必死の操艦でこれを回避。至近弾により6名の戦死者を出したものの逃げ切った。 この時投下された爆弾は合計137発と言われる。詳しくは秋田書店の『壮烈!水雷戦隊』。 近寄った中野は、兵曹長の数メートル先に立っている一人の兵士を見つけた。 飛行服をつけ、飛行帽をつけた搭乗員である。腕の階級章は兵長であった。 彼は零戦の前にじっと立っていたが、石川や中野の気配に気づくとゆっくりこちらを向いた。 「おい、お前は明日の直掩機に乗るのか?」石川がそう尋ねると、 兵長は「いえ、私は爆装で攻撃にゆきます」と答えた。細い声であった。 「おい元気を出せ。明日はもう爆装の零戦はない。直掩用の零戦が八機残っているだけじゃ、しっかりせんかい」 兵曹長は、搭乗員の兵長が何か勘違いをしていると考え、肩でも叩いて激励してやろうと一歩前進した。 すると兵長はすーっと後退し、「いえ、私は今日の爆撃に行って来たのです」と答えた。 「なに? 今日の爆撃?今日出撃した機は一機も本艦には帰って来ていない筈だぞ」兵曹長と中野は口々に言った。 すると兵長は微笑した。少年らしい笑顔であったが、頬のあたりが蒼ざめていた。 兵士は低い声で呟くように言った。「私は今日爆撃に行きましたが、爆弾を落とす前に撃墜されてしまいました。 それでもう一度出撃させて貰おうと思い、本艦に戻ってきたのです」(空母瑞鶴の生涯/豊田穣)
【戦争奇譚 〜機械化時代に騎兵突撃したイタリア騎兵連隊〜】 @ 1942年夏、東部戦線での伊軍騎兵。サヴォイア竜騎兵連隊の600騎が、ソ連軍背側よりサーベル突撃を敢行。手始め に1個大隊を潰走させ、続けて反撃を受けつつもさらに1個大隊を撃破。火砲十数門・機銃50を鹵獲、捕虜600を得た。 損害も大きかったようだが。以下そのあらまし。 東部戦線に2回目の夏がきた。ドイツ軍の進撃は留まる所を知らず、ヒトラーは最終的な勝利に向けた次の強烈な一手 を計画していた。しかしそれは終わりの始まりとなった。スターリングラードだ。この任務を成功させる為には、利用可能 なあらゆる精鋭部隊が必要となった。全戦線から多くの師団が引き抜かれ、新兵とは言わないまでも平均的な部隊、 つまりルーマニア、イタリア、その他の弱小枢軸国軍が入れ替わりに配備された。 しかしソ連軍はこの動きに素早く反応し、このドイツ軍の弱点に対して積極的な攻勢を開始した。7月から8月にかけて、 ソ連歩兵部隊はドン河西方の橋頭堡を拡大しようと何度も攻撃を重ねていた。イタリア軍部隊の一部は、この試みを 打ち砕くために交戦に巻き込まれた。 このソ連軍を撃退することを目的とした反攻の間この地域にいた2つのイタリア軍騎兵部隊の一つ「サヴォイア連隊」は ドン河畔に向けて北方に移動するよう命じられた。連隊はIsbuscenskij市付近の"213.5高地"として知られる地域に到達 し、夜の間そこに野営した。 翌早朝、キャンプと陣地をたたむ前に、騎兵斥候はいつも通り連隊の進路のパトロールに向かった。その過程で斥候隊 は広大なヒマワリ畑を調べるために入っていた。向日葵畑の偵察が終わり掛けた時だった。「あれはなんだ?赤い星の ついたヘルメットが地面を這ってるぞ?」斥候隊は不意をつかれたが、そのソ連兵に銃撃を浴びせて適切に対処した。 しかし数秒後、斥候隊は地獄の真っ只中に取り残されていた。彼らをとりまくヒマワリ畑のあらゆる地点から数百のソ連 兵が一斉に叫びながら発砲を開始したのだ。
A 夜間、82mm迫撃砲の支援を受けたソ連軍歩兵2個大隊がこっそりと河を渡り、イタリア軍野営地から数百メートルの 地点に塹壕を掘り、待ち伏せ準備を整えていたのだ。野営地に据え付けられた機関銃の機敏な反応と連隊付属の馬載 砲兵の速射砲撃は、押し寄せるソ連兵の波を一時的に食い止めはしたものの、時間が経つにつれて敵の圧力は激しく なっていった。 イタリア軍指揮官は今こそ訓練の成果を発揮すべき時だと判断した。「騎兵突撃だ!」 第2騎兵中隊は敵正面からではなく側面から突入する為、大きく迂回して敵左翼に突撃するよう命じられた。この迂回 機動は完璧に成功しソ連軍は完全な不意打ちを食らった。ソ連軍は再照準する暇もなく騎兵に蹂躙された。ソ連兵の 多くが強烈な剣の一撃によって頭を真っ二つに割られ、その他大勢は即座に降伏するか逃げ去った。 騎兵中隊は前進を続けると、抵抗は次第に強力になり損害が大きくなっていった。その為、第4騎兵中隊が下馬して敵 正面に向かう事になった。これにより第2騎兵中隊への圧力はやや弱まり、彼らは再結集して反転し、敵の右翼から 左翼にかけて再び突撃する事が出来た。 その直後、中央への攻撃を援護するため第3騎兵中隊が同じ命令を受けた。「突撃せよ!」 第3騎兵中隊の指揮官が最初の突撃と同じ接近方法を採らず敵中に真直ぐ突っ込んだのは疑問の残る決定で、この 所為で必要以上の犠牲が生じる事になった。にも関わらずこの二回目の突撃で敵は完全に崩壊し、ソ連軍は第二線 陣地も捨てて退却した。ソ連軍の損害は死傷450名で、500名が捕虜になった。 戦いが終わると、こんな展開になるとは思っていなかったイタリア騎兵たちは一様に同じ言葉を口にした。 「サヴォイアが突撃したんだ、サヴォイアが突撃したんだ!」完全に機械化された戦争においては夢でしかなかった事 が実現したのだ。
B なお、騎兵を語る上で外せないのは史上最後の騎兵たち。1945年大陸戦線での帝国陸軍騎兵騎兵第二十六連隊に よる予鄂・老河口作戦。敵陸上部隊は勿論、機銃掃射してくる敵機相手に挺身斬込、目標の飛行場を見事占領。 「世界騎兵戦史ニ恥ヂヌ有終ノ美ナリ」
【戦争奇譚】 太平洋戦争、初頭のマレー戦にて発生したとある戦車戦。敵戦車隊と日本戦車隊が遭遇。戦闘になるも、日本側は 正攻法では敵わず、一台の軽戦車を背後から奇襲させる戦法をとった。結果的に勝利し、本隊は集結地点で軽戦車の 帰投を待った。やがてジャングルの中からキャタピラの音が近づいてきた。しかし、特有のディーゼルエンジン音は 聞こえず。見ると軽戦車が戻ってきたが、正面装甲板には大穴が開き、中は血の海、生存者なし。太平洋戦争当時に 語られた怪談です。 ぺリリュー島で米軍陣地に突撃した95式軽戦車17両。当然の如くバズーカ 戦車砲 各種火砲に滅多打ちにされた ものの、3両が辛うじて陣地に帰還できた。掲げられた日の丸には弾丸で蜂の巣のようになり、車体と砲塔には大小 無数の貫通孔。機銃は基部から跡形もなく吹っ飛ばされ、戦車砲も至近弾によりひん曲がってしまっていた。 何より凄惨なのは、首を飛ばされた車長が日本刀と拳銃を握り締めたまま、だらりとハッチから身を乗り出した格好 のまま戦士していた。陣地の兵たちはその光景を見て感動の余り皆号泣したという。 昭和20年2月16日の関東地区艦載機大迎撃戦の際、当然ながら厚木の302空も迎撃に当たった302空零夜戦隊の 荒木俊士大尉は直ちに出動、一度帰還したがまたすぐ二度目の出撃になったが、過熱のためエンジンの筒温が 上がり、離陸は難しい 予備機は部下が乗ってしまってもう無い。仕方なく無理矢理筒温を下げるためカウリングを 外して強行離陸した。その不調機を駆って神奈川県丹沢上空でF6Fを見事1機撃墜 2機目を捕捉したところで敵弾を 受けた。荒木機は藤沢基地までたどり着いたものの、姿勢を崩して格納庫に接触 墜落した。大尉を救い出そうと 駆け寄った基地隊員たちは驚愕した。荒木大尉の頭部に貫通銃創があったのだ。12.7ミリ機関砲弾に頭を射抜かれて、 どのようにして藤沢まで飛行できたのだろうか。
【戦争奇譚】 第一次大戦の時、ドイツのUボートが英国の輸送船を雷撃した。魚雷は命中、潜水艦は浮上し、輸送管が沈んでゆく のを司令塔から艦長以下、水雷長と副長が見ていた。輸送管が海面下に沈んだとき、輸送船は大爆発を起こし。水柱 が上がった。その時、Uボート艦長たちの目に映ったのは…水柱と一緒に中高く吹き上げられた、見慣れぬ怪物の姿 であった。その怪物は――百科事典などで見る恐竜、海竜のそれに余りにも酷似していたという。 輸送船沈没後、その海竜の姿も消え失せたが――流石、ドイツ人。艦長たちは、自分たちが見たものをそのまま、報告 書に書き記したという。 昭和30年中頃だったか、豊後水道の真ん中で漁師が海中からケーブルを引いてるブイを発見したそうだ。それには 「帝国海軍伊xx号潜水艦、コノ真下ニ沈座シアリ。大至急、最寄ノ官公社、鎮守府宛ニ連絡乞フ。報奨金アリ。」との 文面があった。これは潜水艦が海底で浮上不能になった際に浮かべる防水電話付きの非常連絡ブイだそうだ。 その漁師はブイの指示通りに電話機を使ったがむろん返事は無い。沈没から10年以上経っており、腐蝕して洩れ始め た海水が澱む暗黒の艦内、そこここに白骨化して横たわる乗組員の死体の上で、最後の瞬間まで彼等が待ち焦がれ て鳴らなかった電話のベルが空しく鳴っている。その光景を想像するともう、恐いやら悲しいやら。ちなみに深すぎて 引揚げもできず、艦は今もそこに横たわっているそうだ。
【戦争奇譚】 沖縄の米軍基地での怪談。本土復帰前、軍属の従業員の人が日も暮れて帰り支度をしていると、向こうの方から米兵 2人が歩いてきて英語でタバコくれないかと言ったそうだ。従業員の人が何か違和感を感じつつもタバコをやると、うま そうに一服し何処かへと歩いていったそうだ。そしてしばらくすると従業員は感じていた違和感の原因が分かった。 彼ら2人の姿が現在の米兵の軍装ではなく第二次世界大戦当時の姿だったのだ。 ちなみに、近隣住民の多くが米兵の幽霊を目撃しており、調査を行ったら実際に米兵の死体(2体)が洞窟の中から 発見されたそうだ。聞き込みの結果、レイプなど、粗暴な米兵2人組だったらしく、沖縄住民に闇討ちされ洞窟に打ち 捨てられていたという。 戦時中のある日、家の裏口の所で家事をしていると、突然人魂が出てきたそうだ。 腰をぬかしたが、その人魂は悪さを するわけでもなく、そのうちいなくなってしまった。暫く立った後、家に戦死公報が届いた。前線に行っていた兄が戦死 したとの事。驚いたのは、兄が戦死した日が、ちょうど人魂の出た日だったという事だ。きっと家が懐かしくて帰ってきた んだろうねぇ、とのこと。 ある朝、兵舎の脇の水道で顔を洗っていたら、誰かが隣の蛇口を使い始めた。「おはよう」と言おうとして顔を上げて 驚いた。そこには昨日の戦闘で顔に銃弾を受けて戦死したはずの仲間が血まみれの顔を洗っていたからだ。驚いて 声も出せない中、戦友はタオルで顔を拭きながら兵舎へと入っていった。その後、当然の事ながら兵舎のどこを探して も彼の姿は見つからなかったそうだ。
【戦争奇譚】 大空のサムライ、日本海軍のエース、坂井三郎氏。昭和17年8月、ガタルカナル上空で、SBDドーントレス艦上爆撃機 を戦闘機と誤認、旋回機銃の集中砲火を浴び、被弾し、右頭部と右目に重傷負いつつも、意識を失いかけながら、ラバ ウルまで見事に生還した。あまりにも、有名なエピソードなのでご存じの方が多いだろうが、これには後日談がある。 数ヶ月後、氏が治療のため内地に帰還し、実家に戻り、留守を預かる母親と再会を果たした。しばらく会わなかった母と の再会を喜びつつも、母の様子が、何やらおかしいことに気付いた。怪訝に思った氏が尋ねてみると、右目の具合が 悪いという。いつ頃からおかしいかと、更に尋ねると、昭和17年8月頃からだという。氏は愕然としたそうだ。昭和17年8月 頃といえば、自分が空戦で負傷した時期とピタリと合うからだ。しかも、自身が負傷したのと同じ右目。単なる偶然とは とても思えず、氏は母親が身代わりになってくれたものと、確信したそうだ。 宮野(善次郎)大尉が戦死した昭和十八年六月十六日、実家の神棚にあった護符が風もないのにパタリと落ち、母が、 「善次郎の飛行機が落ちた」と言ったという。そのため、のちに戦死の公報が入った時には、すでに心の準備ができて いた。人は死ぬ時、その魂は愛する人のもとへ帰るのだろうか。「零戦最後の証言U」(光人社)あとがきより抜粋。
【戦争奇譚】 ベトナム戦争中の頃の話。あるベトナム軍の基地で、歩哨に立っていた兵士が基地の中の広場を見ると、誰もいない はずなのにいくつもの人影が。こんな時間に誰かいるなんておかしいな?それともあいつら何か極秘の任務でも受けて いるのかな?と思いつつ、その兵士に近付いて見ると、その兵士達には首が無く、しかも自分たちベトナム軍の制服 とは明らかに違う軍服を身に付けていました。 その歩哨は驚きのあまり腰を抜かしかけて兵舎に戻り、当直の下士官達に事の次第を報告しました。 その下士官が言うには「ああ、あそこには昔のフランスと戦争をしていた頃に処刑した捕虜の幽霊が出ると言われて んだよ。ほら、我が国では首を切られ、そのまま胴と頭を別々に葬られた死人は成仏できないって言うだろ。あの捕虜 達はそうやって処刑されたのさ。だから、あいつらはフランスとの戦争が終わってずいぶん経つのに、未だに成仏も 出来ずに死体の埋められたあの辺をさまよっているらしいぜ。」と言ったとか。 1893年6月22日15時34分、英国海軍旗艦ビクトリアがトリポリ沖で衝突事故後、沈没した。その衝突事故があったのと ちょうど同じ頃、ロンドンにある艦長のサー・ジョージ・トライオン提督の自宅では、トライオン夫人が友人たちを招いて ティーパーティを開いていた。 午後三時をまわったころ、一人の客が提督が居間を通りぬけていくのを目撃した。「おや、ご主人がおいででしたか。 これは結構ですこと」と話しかけてきたというその客。それに対して夫人は訝しげに「そんなことはございません。夫は 軍艦に乗って演習中ですのよ」と答えた。 しかし、他の客も「いえ、確かにいらっしゃいましたわ。私が立ちあがって 会釈をしようとしましたら、ご主人は手で「そのまま、そのまま」というようにして、あちらへいらっしゃいましたもの」と 証言したのである。 だが、提督は二度とその家に戻ることはなかった。
【航海奇譚】 昭和三十六年のこと。漁船第六箕郷丸(三十二トン)が漁を行っていた。海は穏やかで空は晴れ、薄暮が迫る海面は 不気味なほど静かだった。いつものように箕郷丸が航走していると、前方から単独航行してくる船が見える。 かなりの大型だ最初は別段気にも留めなかったが、双眼鏡で確認すると何かおかしい。異様である。明らかに船形が おかしいのだ。薄暗い海上だがそのおかしさは歴然としている。高く幾本も横木の張り出した三本マストは明治の軍艦 を思わせる。ラムのある帆船様の船体、そしてやたら装備の多い雑然とした甲板、二本煙突、近年見かけないほど、 非常に古めかしい外観である。煙も吐かず帆も張っていない。なのに結構な快速。それにこの薄暗いのに、舷灯どころ か警戒灯ひとつ点いていない。 さらにその船が近付き、そして乗員たちは新たな事実に気付き、戦慄した船首に波が立っていないのだ。波一つ、音一 つたてずスルスルと接近する大型船。乗員たちは慌てて握り飯を作って海に投げ込んだり、念仏を唱えたり 船長は 必死に方角を変え、全力で逃れようとした。 この行動が功を奏したのか、その大型船は箕郷丸の横をやはり音も波もなくスルスルと通り過ぎ、夕闇の中へと消えて いった すれ違い時に甲板上を見た船員もいたが、人っ子一人も見えなかったという。 ところが、箕郷丸は無事には 済まなかった。その夜半、俄かに海が荒れだしたかと思うと、突然の暴風雨に遭遇。その嵐の中を必死に航行した もののついに座礁。船体は大破。真っ二つに折れ、乗員二名が波に飲まれ行方不明となった。
【航海奇譚】 昭和20年6月のこと。運送船「恋瀬丸」が便乗の乗客16名と荷物を積んで航行中、突如現れたP-51戦闘機2機に機銃 掃射を受けた。雨と降り注ぐ機関砲弾に、たちまち船内は阿鼻叫喚図となった。弾丸が薄い鋼板を貫通して乗客たちを 粉砕する。肉片が飛び散る。大穴の開いた船底からはドッと水が溢れ、瞬く間に船は沈下。 そのうち機関が射抜かれたらしく缶が破裂 船体は真っ二つに折れ、高熱の蒸気が船内に充満する。視界を妨げる 大量の蒸気と大混乱、沈没速度のあまりの早さに脱出も思うように行かず。結局恋瀬丸は沈没し、便乗中の水兵一人 を含む乗員乗客18名が戦死。生き残りも殆どが重傷を負った。 同日には常磐線や各地の学校、航空隊、歩行者も攻撃を受け多数の死傷者を出している。 その後、毎年6月頃の夜になると、恋瀬丸沈没地点付近で巨大な青白い光球が走り回ったり、湖面上をびしょ濡れの 人々がぞろぞろと歩き回ったり、誰もいないのに夜の湖面からすすり泣く声が聞こえたり、様々な現象が発生するよう になった。今現在でも現れる事があるらしい。 長い航海から帰ってきた水兵がレストランで“ウミガメのスープ”を注文しました。料理を運んできたウェイターに対し、 彼は海での思い出話を語ります。彼の乗った船は嵐に遭って遭難し、長い間海の上をさまよっていました。飢えと渇き で仲間たちが次々に死んでいく中、彼も絶望に打ちひしがれてただ死を待つばかりだったという。 そんなある日、船のコックが“ウミガメのスープ”を作り、生き残っていた水兵たちに食べさせました。その時のスープの おいしかった事。その後他の船に発見され無事に生還した彼らだったのですが、この水兵は自分の命を救ったスープ の味が忘れられず、レストランに入ると“ウミガメのスープ”を注文したのでした。 ところが次の日、この水兵は誰に知られるともなく自殺してしまいました。さて、なぜ自殺してしまったのでしょうか?
【海洋奇譚 〜ミイラ船「良栄丸」〜】 @ 発見されたミイラ船。1927年10月31日、 カナダ西海岸バンクーバー島。ワシントンのシアトル港への帰路について いたアメリカの貨物船「マーガレット・ダラー」号は、行方不明になっていた小型漁船「良栄丸」を発見した。ボロボロに 朽ち果てた船体、ミイラの転がる甲板、激しい死臭、白骨体、足の無い死体。船室には、頭蓋骨を砕かれた白骨体と ミイラがあった。船室奥の部屋には、おびただしい血痕が染み付いていた。船尾の司厨室では、海鳥の白い羽が至る ところに散らばっており、コンロの上にあった石油缶の中には、人の腕が入っていた。船内には食物も飲料水も無く、 エンジン機関部は全て破損していた。ところが、船長室から見つかった3冊のノートには、信じられない惨状が書かれて いたのだった。そのノートによると、良栄丸の情報は以下の通りだ。 重量は19tで1本マスト/船主は和歌山県の藤井三四郎/船長は三鬼時蔵/機関長は細井伝次郎/乗組員は12名 神奈川県の三崎港を出港したのは1926年12月5日。この船は約1年間漂流していたのだ。ここで疑問が浮かぶ。 発見された死体は9体、記録には12名とある。3名はどうなったのだろうか。 1926年12月5日、神奈川県の三崎港を出港した良栄丸は、千葉県銚子沖にマグロを求めて進んでいた。天候も思わ しくなく、エンジンが調子の悪い排気音を立てていたため、翌12月6日に銚子港に寄港した。しかし、エンジンに故障は なく、銚子の沖合いで大量のマグロを水揚げした。が、暴風に見舞われて航行不能に陥ってしまった。
A そして12月15日、銚子の東方沖合い1000マイルほど流された時、紀州船によく似た船が現れたので、信号を送った り船員が叫んだりしたのに、応答も無く通り過ぎてしまったという。三鬼船長は漂流を決意、記録には「4ヶ月間は食べ られる」と書いてあった。12月16日にも「東洋汽船」と書かれた船が近くを通ったが、応答はなかったという。なんとか 日本へ戻ろうと努力したが、どうやっても逆に流されていった。記録にはこう書かれている。「どう工夫しても西北へ船は 走らず絶望。ただ汽船を待つばかり。反対にアメリカへ漂着することに決定。帆に風を七三にうけて北東に進む。しかし 漁船で米国にたどりつこうとするは、コロンブスのアメリカ大陸発見より困難なりと心得るべし」 ここからは説明は要らないだろう。記録文のみで充分に迫力が伝わってくる。 「12月27日。カツオ10本つる」「1月27日。外国船を発見。応答なし。雨が降るとオケに雨水をため、これを飲料水と した」「2月17日。いよいよ食料少なし」「3月6日。魚一匹もとれず。食料はひとつのこらず底をついた。恐ろしい飢えと 死神がじょじょにやってきた」「3月7日。最初の犠牲者がでた。機関長・細井伝次郎は、「ひとめ見たい。日本の土を 一足ふみたい」とうめきながら死んでいった。全員で水葬にする」「3月9日。サメの大きなやつが一本つれたが、直江 常次は食べる気力もなく、やせおとろえて死亡。水葬に処す」「3月15日。それまで航海日誌をつけていた井沢捨次が 病死。かわって松本源之助が筆をとる。井沢の遺体を水葬にするのに、やっとのありさま。全員、顔は青白くヤマアラシ のごとくヒゲがのび、ふらふらと亡霊そっくりの歩きざまは悲し」「3月27日。寺田初造と横田良之助のふたりは、突然 うわごとを発し、「おーい富士山だ。アメリカにつきやがった。ああ、にじが見える。」などと狂気を発して、左舷の板に がりがりと歯をくいこませて悶死する。いよいよ地獄の底も近い」
B 「3月29日。メバチ一匹を吉田藤吉がつりあげたるを見て三谷寅吉は突然として逆上し、オノを振りあげるや、吉田藤吉 の頭をめった打ちにする。その恐ろしき光景にも、みな立ち上がる気力もなくしばしぼう然。のこる者は野菜の不足から、 壊血病となりて歯という歯から血液したたるは、みな妖怪変化のすさまじき様相となる。ああ、仏様よ」「4月4日。三鬼 船長は甲板上を低く飛びかすめる大鳥を、ヘビのごとき速さで手づかみにとらえる。全員、人食いアリのごとくむらがり、 羽をむしりとって、生きたままの大鳥をむさぼる。血がしたたる生肉をくらうはこれほどの美味なるものはなしと心得たい。 これもみな、餓鬼畜生となせる業か」「4月6日。辻門良治、血へどを吐きて死亡」「4月14日。沢山勘十郎、船室にて 不意に狂暴と化して発狂し死骸を切り刻む姿は地獄か。人肉食べる気力あれば、まだ救いあり」「4月19日。富山和男、 沢村勘十郎の二名、料理室にて人肉を争う。地獄の鬼と化すも、ただ、ただ生きて日本に帰りたき一心のみなり。同夜、 二名とも血だるまにて、ころげまわり死亡」「5月6日。三鬼船長、ついに一歩も動けず。乗組員十二名のうち残るは船長 と日記記録係の私のみ。ふたりとも重いカッケ病で小便、大便にも動けず、そのままたれ流すはしかたなし」「5月11日。 曇り。北西の風やや強し。南に西に、船はただ風のままに流れる。山影も見えず、陸地も見えず。船影はなし。あまい サトウ粒ひとつなめて死にたし。友の死骸は肉がどろどろに腐り、溶けて流れた血肉の死臭のみがあり。白骨のぞきて、 この世の終わりとするや」 日記はここで切れている。だが三鬼船長は、杉板に鉛筆で、以下のような家族宛ての遺書を残していた。 「とうさんのいうことをヨクヨク聞きなされ。もし大きくなっても、ケッシテリョウシニナッテハナラヌ。私はシアワセノワルイ コトデス。ふたりの子どもたのみます。カナラズカナラズ、リョウシニダケハサセヌヨウニ、タノミマス。いつまで書いても おなじこと。でも私の好きなのは、ソウメンとモチガシでしたが、帰レナクナッテ、モウシワケナイ。ユルシテクダサイ」
C
しかし、記録を調べるうちに、奇怪な事実が浮かびあがった。数十回に渡って他の船にであっていながら、救助に応答
する船は一隻としてなかったことだ。そして、吉栄丸は太平洋横断の途中、たった一つの島さえも発見できなかったの
である。しかし、アメリカの貨物船「ウエスト・アイソン」号のリチャード・ヒーリィ船長は、次のように述べている。
「1926年12月23日、シアトルから約1000キロの太平洋上で波間に漂う木造船を発見したが、救助信号を送っても
返事が無いので近づきました。しかし、吉栄丸の船窓や甲板に立ってこっちを見ていた10人ほどの船員は、誰一人と
して応えず、馬鹿らしくなって引き上げたのです」
だが吉栄丸の記録にこのことは書かれていない。一体、彼らにはなにが起こっていたというのだろうか。
http://www.kdn.gr.jp/~takion/no2.htm
【戦争奇譚 〜児童文学家が書いた戦争の物語 ロバート・ウェストール〜】 ロバート・ウェストール 1929年〜1993年没 イギリス生まれ。第二次世界大戦を舞台にした少年の成長物語を多く 書いてる小説家。戦争という暗く陰鬱とし時代ではあった。が、厳しい現実をものともせず、クスリとしてしまう笑いを盛り 込みながら兵士やその家族、戦火に逃げ惑う人々、そして子供と動物たちが生きて行く姿を書いた小説を多く残した。 現代イギリス児童文学を代表する作家。「ブラッカムの爆撃機」「かかし」「海辺の王国」「猫の帰還」など。この内「ブラッ カム〜」「かかし」が戦争にまつわる怪談の本。 「ブラッカム〜」は爆撃機と無線とそれに紛れ込む「死んだはずの兵士たち」の声の話。「かかし」は戦争での英雄とされ ている父(死亡)を親愛する少年と、母親の再婚、母親の再婚相手への反発とその増悪に引き寄せられるように日増し に家に迫り来る「怪」の話。少年は家族を守るために父の形見の銃を持ってそれを撃退しようと試みるが…。 この人の本は日本にはそれほど翻訳されて無い。おそらく戦争小説が多いからであろう。だが、あさのあつこ(小説家) 宮崎駿などファンの方はいる。「海辺の王国」はイギリスの戦時中の日常風景を子供の視点で書いている名作。
【戦争奇譚】
幽霊軍艦”志自岐丸”。大正八年八月、志自岐丸という軍艦が種子島沖で沈んだことがあったが、その船幽霊が何度も
出て、みな青くなって帰ってきた。向井町の漁師たちは、ひとりかふたり、小船にガス灯をつけて夜釣りに行くと、何百と
いう電気をともした軍艦が、かねて浅瀬であるところを通っていく。そんなときは、二人で乗っていても口ではいえない
ので、手で「こんにょう(今夜)、大変な晩じゃからもどろう」と合図して帰るのである。(日本怪談集 幽霊篇 教養文庫)
ttp://www.asahi-net.or.jp/~UN3K-MN/nan-siziki.htm コヒマ攻防戦の最中に投降してきたインド兵が、「毎夜深夜になると、血だらけの日本兵が物凄い形相で、銃眼を次々
に覗きこんでは消える」と言っていたそうな(幽霊が恐ろしくなって投降してきたとの事)。別に捕らえられたグルカ兵も、
「三叉路高地には、日本軍撤退後に毎晩、日本軍の幽霊が出た。夜中になると、どこからともなく喊声がわいて、鉄兜
をしっかりと締めた日本軍が、阿修羅のように突撃してきた。われわれが夢中になって撃つと、スーッと影のように陣前
に消えていくのだ」語っていた。(「インパール」上村喜代治著)
【日本史奇譚 〜義経=ジンギスカン伝説を追う〜】 @ 義経は衣川で奥州藤原氏の襲撃を受けて自害したことが史実になっていますが、実は生きのびて東北・北海道から 中国大陸に渡ってジンギスカンになったという伝説があることは衆知のことかと思います。 しかし、この「義経=ジンギスカン伝説」が比較的近年にうまれたものであることを知る人は意外に少ないのではない でしょうか。最初に唱えたのは江戸後期に来日したあのシ−ボルトで、大正の終わり頃に一般的なものとなりました。 義経=ジンギスカン伝説が受け入れられた背景には実は中国大陸の利権を狙う当時の日本の社会的な風潮があった とされています。つまり、大陸に渡って開拓を進める日本人を鼓舞するために、かつてユ−ラシアを支配した偉大な 先祖(つまりジンギスカンとなった義経のことです)がいたことにしようとしたのです。 この小展示では室町から江戸時代までに義経伝説がどのように形成され、さらにジンギスカンとなるまでを当館の 所蔵する古典籍を中心に跡づけていきたいと考えています。
A I. 北海道に逃れた義経 『吾妻鑑』によれば、文治5年閏4月30日に源義経は奥州衣川において藤原泰衡の軍に囲まれて家族とともに自害し、 同年の6月13日に義経の首実検が行われたことになっています。 けれども、この首実検は義経の死後40日もたって行われています。このことが義経伝説の生まれる素地となりました。 つまり、夏でもあり首が腐っていないはずはなく、義経かどうかは確認できない、というのです。また、衣川から鎌倉 まで40日もかかるはずはなく、これは義経を逃すための時間かせぎ、カムフラ−ジュだったというのです。 室町時代に創られたお伽草紙では義経が北方の各地を冒険するお話がつくられていますが、この時点ではまだ義経 が奥州を逃れたということにはなっていません。 しかし、江戸時代の1644年に徳川家光が編纂を命じた『本朝通鑑』続編に文献上始めて義経が死んでいなかったと いう記述(「俗伝又曰。衣河之役義経不死逃到蝦夷島存其遺種」)があらわれます。これ以降は義経が北海道に逃れ、 彼の地で神として祭られているという記述が多くなります。 ◎御曹子しま渡 (甲和 1052) ◎続本朝通鑑 林羅山/鵞峯著 1670年 (321−248) ◎本朝武家評林 遠藤元閑著 1700年 (323−162) ◎義経勲功記 馬場信意著 1712年 (石崎324.1−2) ◎大日本史 水戸彰考館編 1720年〜 (321−192)
B II. 中国大陸に行った義経 義経が北海道に渡ったとする伝説が生まれた背景には北東アジアを南下するロシア帝国の脅威がありました。北海道 に住むアイヌの人たちの神(オキクルミ)と義経が同一であることを彼らに強制させることで、北海道が日本の「領土」 であることを主張する理由づけができたのです。(菊地勇夫「義経『蝦夷征伐』物語の生誕と機能」『史苑』42巻1〜2号) さて、『鎌倉実記』(1717年)の中で、「金史別本」という本があってそこには義経が中国大陸に渡った、と書かれている と紹介されています。このことは当時かなり衝撃的だったようで、新井白石も義経の中国大陸行きに大きな関心を示し ています。1783年の『国学忘貝』に、「図書集成」には「朕姓源義経之裔其先出清和故号国清トアリ清ト号スルハ清和 帝ノ清ナリ」と書かれていることを紹介しています。つまり、中国の清王朝の先祖は源義経で、清という国号は清和源氏 からとったというのです。後になって「金史別本」も「図書集成」も偽書であることがわかるのですが、江戸時代の中頃に なって、義経は北海道を抜けて中国大陸に足跡を残した、という伝説が生まれてきます。けれども、まだ義経はジン ギスカンになっていません。 ◎鎌倉実記 加藤謙斎著 1717年 (324.1−12) ◎読史余論 新井白石著 1724年 (320.4−6) ◎新安書簡 新井白石/安積覚 1721年 (041−8) ◎国学忘貝 森長見著 1783年 (041−90) ◎桂林漫録 桂川中長著 1803年 (041−156)
C
III. ジンギスカンになった義経
シ−ボルトは『日本』に彼の友人であった吉雄忠次郎が義経はジンギスカンになったことを確固として信じていると
記しています。そしてこの「世界的事件」に歴史家が注目するようにとも書いています。こうして、義経がジンギスカン
になったということが世間に広まりました。
最終的にこの伝説を決定づけたのが小谷部全一郎の『成吉思汗ハ源義経也』でした。松山巖氏はこの本が出版され
た後の読者の声をまとめて、大陸に向かう日本人を鼓舞するのに大いに役立ったと指摘しています(「英雄生存伝説
と日本起源論異説」『ユリイカ』1989年9月号)。
◎日本 シ−ボルト著 1832年〜 (210.08−61N)
◎成吉思汗ハ源義経也 小谷部全一郎著 1924年 (320.4−263)
◎中央史壇 第10巻第2号 1925年 (320.4−265)
参考文献
金田一京助全集 第12巻 金田一京助著 1993年 (081.6−20N)
歴史への招待 第9巻 1980年 (320.7−255)
http://www.library.pref.osaka.jp/nakato/shotenji/19_yoshi.html
【戦争奇譚】 秀吉の朝鮮出兵の時、元々、反秀吉派であった紀州の斎賀党は戦いの最中に、当時朝鮮にも中国にも普及して いなかった鉄砲を朝鮮側に伝え朝鮮兵と一緒に秀吉軍と戦った。朝鮮の古文書は彼らをサヤカと読んでいる。 戦いの後、斎賀党は日本に帰国せず朝鮮に残った。彼らの伝えた文化は韓国に伝わった。戦中、朝鮮の斎賀党の 村出身の朝鮮人は非国民扱いを日本政府から受けた。今でも斎賀党の一族は韓国に現存している。 帝国陸軍は本土決戦で破れたら満州で亡命政権をつくり、ソ連と組んで英米に対抗するという計画を持っていました。 そのため三種の神器を奉天にもっていくつもりでいた。ソ連の裏切りでこの計画が崩壊したので終戦になった。 それでも「満州の残滓」は、朝鮮半島の北部に別の国家を作り、戦後もチャンネルは生きていた。 彼らはまだ「あの戦争」を継続している。属州と成り果てた「日本」ではなく、本来「あるべき日本」を妄想しながら。 そもそも北朝鮮は、奉天特務機関とか中野学校、上海同文書院系の「スリーパー残置諜者」が建国に大きな役割を 果たしたといわれています。 鎌倉幕府二代執権の北条義時は、ある日、日頃の多忙な職務の疲れが一気に出てうつらうつらと眠ってしまった。 すると… 夢の中に十二神将が現れて義時にこう告げる。「来年の鶴岡八幡宮の儀式に出ると大変なことがあるので 出ちゃダメ」義時は神仏のお告げということでありがたく思い、その年の暮に御堂を建てる(後の覚園寺)。 翌年の八幡宮の儀式にて義時は、さすがに執権が欠席するわけにはいかんと思い出席していたが、お告げを思い出し て、体調不良ということで他の人に役目をパスして退席する。その直後、公暁が源実朝と義時に役目をパスされた人を 暗殺という事件が発生。義時はあやうく難を逃れた。以降、覚園寺は歴代北条家によって保護されていく。
・貴種流離譚 『高貴の血脈に生まれ、本来ならば王子や王弟などの高い身分にあるべき者が、「忌子として捨てられた双子の弟」 「王位継承を望まれない(あるいはできない)王子」などといった不幸の境遇に置かれ、しかし、その恵まれない境遇 の中で旅や冒険をしたり巷間で正義を発揮する』という話型を持つ文芸作品についてもこの概念に含めるという考え 方も存在するなど、決して狭小な範囲に限定された概念ではない。しかし、「生まれの良い人間が結局すぐれている」 といった価値観が根底にあるのは否定できず、子供の教育上、問題視される場合もある。 ・異類婚姻譚 人間と違った種類の存在と人間とが結婚する説話の総称。世界的に分布し、日本においても多く見られる説話類型 である。なお、神婚と異類(神以外)婚姻とに分離できるとする見方や、逆に異常誕生譚をも広く同類型としてとらえる 考え方もある。よく知られている例としては、ギリシア神話ではキューピッドとプシケーの物語やゼウスが乙女の元に 白鳥や水滴と化して訪れる話、グリム童話では『かえるの王さま (KHM001)』、日本でいうと鶴女房などが挙げられる。 これらは古代の族外結婚による信仰、生活様式の違いに起源を求める説がある。
132 :
名無し物書き@推敲中? :2008/11/24(月) 00:34:30
ヘイドレクは本を閉じた。 「なにが戦争だ、クソつまらん!」床に叩きつけた。 じつをいうと最初の二行ほどしか読んでいないのだが、ヘイドレクは自分の方が絶対に おもしろい小説を書けると思った。 「よし、やるぞ!」机上の原稿用紙に向き合った。
【戦争奇譚】 香港攻略戦で、市街戦の最中、ある建物の中に突入した部隊がゾロゾロ外へ出てきた。 不思議に思った後詰の兵隊たちが聞いたら「中に入ったら急に寒くなったので気味が悪くなった」 彼らはクーラーを知らなかった。 首尾良く占領後、現地のホテルを兵舎として接収。部隊ごとに部屋を割り当てて分宿したものの 1、オートロックを知らず、部屋から締め出されて廊下をうろうろする兵隊が 続出。 2、スコッチの味を覚えた兵が、凝ったデザインの瓶に入った琥珀色の液体を飲んで下痢続出。 「シャネルの5番」なんかを一気飲みすればそうなる(それとも「夜間飛行」?「プワゾン」だったりして)。 3、「西洋の石鹸は質が悪い。泡が立たん」と文句を言いながらチーズで体を洗うヤツ続出。ちなみに浴槽は当然 日本式じゃない。そこへ一杯にお湯をはって4人5人と一斉に入ったものだからあふれてカーペットは全滅、 更に下の階までダダ漏れ。 1968年のチェコ『プラハの春』弾圧で首都制圧に乗り込んできたロシア兵の田舎者ぶりとどっちがヒドイ?
【戦争奇譚】 カミカゼ特攻で被害を受けた米艦のなかには、パイロットの遺体のあまりの小ささに(遺体が損傷が酷いってのもある んでしょうが)「カミカゼパイロットは女だった。」と本気で報告したとか。 横須賀の老人ホーム建設現場から出た円柱形の鉄クズ7個をスクラップ業者が解体したところ大爆発。 100トンプレスが全壊、鉄塊が数百メートルの範囲に飛び散るも死者なし。旧海軍の廃棄した機雷を掘り出したため。 ペリリュー島やグアム島では日本軍に女性狙撃手がいたらしい。秦郁彦「日本人の捕虜観」上下に記述有り。 玉砕の島への転身が決まった中隊長となじみなっていた元慰安婦だった、という説があります。 太平洋戦争の時、米駆逐艦の真横に日本潜水艦が浮上。あまりに至近過ぎて火器の俯角が取れず、あわてて手近 にあったトマトを投げつけたところ手榴弾と勘違いしたのかあわてて潜航。 ただハッチを閉め忘れていたらしく、二度と 浮上しなかったことがあったそうな。 糞尿博士世界の旅 中村浩著「クロレラの創始者」より。日本軍のさる南洋の宿舎へ突撃をかけるため、アメリカ軍が 夜中に偵察隊を送った。何人くらいがそこに泊まっているかを調べるために、偵察隊はトイレの汲み取り場(?)へ向い、 そこに溜まっている糞尿の量を調べたところ、大量の糞尿がそこにあった。「これは相当の兵隊を動員しなければ」と 考えたアメリカ軍は、実際100人程度しかいなかったその日本軍の宿舎へおよそ三倍の兵隊で持って攻め込み、 あはれ日本軍は全滅になった。ちなみに草食は肉食の3倍は出るそうで、当時の日本兵は草木まで食べてたし。 それとは逆パターンの話。戦国時代、太い竹筒にウ○コを充填して超極太の○ンコを造り、敵が偵察に来そうな所に 設置した。それを見た敵側は「こんなデカいウン○をするのだから大変な巨人がいる」と思い、引き下がったそうな。 同じ方法を、倭寇が大陸沿岸の住民をびびらせるのに使っていた。
【戦争奇譚】 会津藩主の子孫の福島県知事、明治百年を機に恩讐を忘れて仲良くしようという鹿児島県の提案を蹴る。 曰く、「100年も前の事というが、アラブとイスラエルは4000年前の恨みで対立している」 極東の某国の兵隊はいんきんや水虫を治すためにわざとマラリアにかかった。梅毒治療にわざとマラリアに 感染して高熱を発する、というのがあるのだそうだ。 ソロモン方面の戦闘で、敵機の攻撃を燃料タンクに受けて、燃料が漏れ出した。幸い、火はつかなかったものの、 このままでは燃料が流出して基地まで帰れない。窮した搭乗員は、なんと被弾した穴を手で塞いで、燃料漏れを 防いで帰還したそうだ。 秋水部隊として知られる332空は別名「神様部隊」と言われていた。司令の柴田大佐や有名な犬塚大尉が某新興宗教 を信じており、巫女さんが「ひかーりーひかーりー」と踊りながらお告げを聞いて指揮を取る。部下は教団本部に連れて こられホーリーネームを付けられていた。「修龍」「健龍」「根龍」「使龍」・・・。追浜での初飛行もお告げで行われた。 戦争中、小笠原列島の父島で日本軍守備隊が撃墜した米軍パイロットを食べていた。島の食糧事情は悪くなかった のに、異常な指揮官と副官たちが先頭にたって食人をおこなっていた。戦後、守備隊の指揮官ほか、首謀者は戦犯と して死刑になった。なお現大統領の父ジョージ・ブッシュは戦争中、海軍のパイロットで、父島付近で撃墜され、パラ シュートで脱出し海上で味方の潜水艦に救助された。(記録フィルムに潜水艦に救助されるブッシュ氏の映像がある) もし、風の関係で父島に降りていれば、ブッシュ氏は… (参考 秦郁彦著 「昭和史の謎を追う 下巻」”人肉事件の父島から生還したブッシュ”より)
【戦争奇譚 〜大日本帝国〜】 某・極東にある無資源国は、東南アジアの石油資源を確保すべく開戦に踏み切ったのだが、その国の海軍は船舶護衛 兵力を事実上保有していなかった。ので、手遅れになってから慌てて護衛艦を量産した。 また、開戦前の戦争終結の見通しについて「ドイツ軍がイギリスを屈服させる」「アメリカは民主主義国家なので厭戦 世論が起きて負ける」と、本気で結論づけた国があった。もっとも「アメリカは民主主義国家なので厭戦世論が起きて 負ける」というのは約三十年後、ヴェトナム戦争でその正しさが証明されることになった。 日米の国力比較を開戦前につくって提出したら、「これでは戦争が出来ないから書きなおせ」と上から言われた。その 時に提出したレポートでの日米の総合力比較の結論が1対1,000。確かに戦争なんぞ出来る数値ではない。現在、世に 流布している日米の国力比較の1対10というのは修正後の最も良い数字。日本がアメリカに負けた原因は軍部官僚の 現状認識の甘さと無責任にあったのはこれで明白といえる。ちなみに資料は国会図書館と防衛庁に保存されている ため、異論のある方は御覧になられてはいかがか?。1対1,000じゃ仮想戦記も書けないけれど本当です。 本土決戦での話。天皇が千葉県の海岸線の守りは大丈夫か、と質問したら、鉄壁の砦が出来ている、と陸軍の参謀に 答えた。その当時の軍事力を信用していなかったのか、天皇は、直属の部隊に調査をさせたら、砦等何も出来ていな い事が判明、という事があったそうだ。戦争末期の陸軍上層部は作る予定が何時の間にやら頭の中では出来ていると いう観念の世界の人になっていたみたい。 岡本太郎は撃墜されて落ちてくる日本機を見て、日本の飛行機がやられた、と言ったが、周りの兵隊は全員、あれは アメリカの飛行機だった!岡本を怒鳴りつけ、あやうくリンチされそうになったそうな。 日本軍の捕虜収容所で食料が少なかったので、連合軍の捕虜に収容所長が工夫してごぼうを食事に出して食べさせ ていたら、戦後「木の根っこを食べさせた、捕虜虐待だ」として戦犯で裁かれた。なお、懲役30年の実刑。 また腰痛に悩むアメリカ人捕虜にお灸治療して直してやったら、火あぶりにかけて虐待した、として、死刑になった。
【戦争奇譚】 明治期の性道徳教育には、徴兵検査の際に性病感染率が高いことが原因だった。(明治42年で1000人中23.48人) ちなみに検査時に引っかかる感染者は減ったものの、検査後入営までに感染する香具師の数はかえって増加した。 これは徴兵検査=大人へのイニシエーションといった受け止め方が有ったため。ただ、昭和2年の段階で徴兵検査時 までに童貞破った者の割合は34.1%。これでも明治期と比べれば減少したらしい。(「日本の軍隊」岩波新書より) 戦争末期、米軍機が日本に爆弾を落とした帰り道、プロパガンダ用の日本語のビラを蒔いていた。そのビラには、漫画 のフクちゃんが掲載されていた。戦後(最近だけど)、アメリカ大使館からフクちゃんの原作者に著作権料を支払った。 金額はたしか350円程度。 「終戦直前の1945年春、とある憲兵伍長は千葉県の九十九里の部隊に上等兵としてもぐり込んだ。本土決戦に備え、 陣地の構築の様子や地雷の敷設工事状況など、正確な情報を報告するのが任務だった。軍隊というのは都合の悪い ところは書きずらい。そこで『慰安婦を利用しろ』と憲兵隊上層部から指令が出た。一帯には慰安所が3ケ所あり、合わ せて約60人いた。殆どが日本人で、朝鮮人も少しいた。その中から8人を選び、客を装って接触した。料金が2〜3円 だった当時、50円近く握らせ、軍事情報を聞き出してもらうように頼んだ。約70人の確度の高い情報を得ることができ た。慰安婦は結果的に国家機関の手足となった。」 この元憲兵の証言によれば、6月8日の御前会議の直前に、侍従武官が九十九里の陣地構築状況の現状視察に来る ので、それまでに戦闘能力や各部隊の陣地構築状況をつかむのがその任務であったという。 6月8日の御前会議では、「今採るべき戦争指導の大綱」で本土決戦方針が再確認された。支配者層の戦争継続の 意志を一挙に打砕いたのは、8月9日のソ連参戦であった。 その日の深夜より始まった御前会議において、昭和天皇は、九十九里浜の築城が未だ出来上がっていないことを理由 に、本土決戦を主張する軍を切り捨てていった。
【戦争奇譚 〜まるでアルキメデス?〜】 昭和18年、元軍人(予備役少佐)で考古学者の大山柏氏は再び赤紙で招集され、室蘭市に設けられた警備隊の隊長 に着任した。戦局の悪化に伴い、「1トン爆弾に耐えられる防空壕を作れ」という命令が警備隊にもまわってきた。 大山氏は歩兵出身でこの手の任務は苦手のはずだったが、考古学者でもあったのでどの工兵隊よりも迅速に完成 させてしまった。 そうすると「海岸に陣地を構築せよ」と工兵隊がするような任務がまわってきた。鉄がなかなか入手できないので、 大手牛乳会社の牧場に赴き重機関銃を牛の群れに向け有刺鉄線を提供してくれるよう依頼し提供を受けた。 大量の鉄を手に入れた大山氏は釘を製造する工場を造りその釘を使って陣地を完成させた。 次に問題になったのは米軍戦車への対抗手段。司令部からの情報では敵戦車を行動不能にするには20キロの爆薬 が必要とのこと。これを人力で投擲するのは不可能。そこで大山氏は図書館から西洋古代史の書物を借り、挿し絵に 描かれた古代ローマの「カタプルカ」という投石機を3面図に書き起こし、車の板バネを使って構想3日、制作7日で 完成させた。これで20キロの砂を詰めた木箱を投げると50メートルほど飛んだという。米軍の北海道上陸作戦の 可能性があったからきた任務だったが、幸い米軍は艦砲射撃だけで去っていった。
【戦争奇譚】
第二次世界大戦中、日本では刑務所の受刑囚が1番栄養状態が良かった。終戦時まで規定量の食料をちゃんと
与えていた。これには理由があり、刑務所の職員も次々と戦地へ出征し、人手不足が深刻な問題だった。そこで、
脱獄を防ぐため食事だけは決して質を落とさなかったという。TVで網走監獄の紹介をやってて、そこで元職員の
証言として言ってました。受刑者が良い物食べてたと言うのは↓で紹介されてます。
網走監獄博物館
http://www.ryuhyo.com/kangoku/siryo/data8.html このことは吉村昭の本でも、紹介されていたよ。内務省に泣きついて米を分けてもらったとか、囚人ごときが美味い
飯を喰ってると暴動が起きかねないので世間には秘密にしてたとか、そんなことが書かれていた。屈強の体格の
看守は、みな出兵。残った看守は、ひ弱なお年寄りばかり。仕方なく模範囚を看守として現地採用したはいいが、
逆に看守が囚人に見張られるような事態になった。
【戦争奇譚】 昭和20年の春。瀬戸内海のある島のでのこと。漁業と造船。ミカン栽培などが産業の島では戦時中にもかわわらず のどかな毎日が続いていた。しかし、そんな島にも戦争の影は忍び寄っていた。島が直接攻撃されることはなかった が、毎日のように呉を攻撃する米軍機が島の上空を飛行して行った。 そんなある日、急激に高度を落とし、島の上空を旋回する一つの機影があった。飛行機が珍しかった島民達の見上げ る目に銀色に光る機体に描かれた星のマークが見えた。「アメリカ軍だ!」呆然と見上げる島民達。国籍マークが見え るほどの低空のまま米軍機は島の小学校上空を通過。その時米軍機のキャノピーが開けられ何かがほうり投げられ た。そして、米軍機は高度を上げ四国の方へと消えていった。 小学校の校庭に落下した物を確かめるべく島民達は恐る恐る校庭に集まった。そこにはヒモで縛られた小さなボール 箱があった。(爆弾ではないか?)一人しかいない島の警察官と軍属、そして代々島の庄屋で村長も勤めているY氏 立ち会いの元、Y家で下働きをする男達がその箱を開いた。中に入っていたのは1枚のハンカチーフとウンコだった。 明治時代、西南戦争後の論功行賞に不満を持った近衛兵の反乱、「竹橋事件」の際、その決起打ち合わせの場所は 厠だった。下痢に悩んでいた下級官吏が、たまたまその話を立ち聞きして上司に御注進に及んだが一笑に付され、 結果、事件が勃発してしまったのである。
【戦争奇譚】 大正から昭和に掛けて、日本の航空界は多数のお雇い外国人技師を招聘したが、この時、三菱の外国人技師が気に 入ったのは、日本のハンコであった。一○式を設計したスミスは「酢味噌」、ハイランドは「高国」、ジョウダンは「冗談」 と言うハンコを作り書類に押していたそうな。 アメリカ軍が最も嫌ったのが日本軍であった。生意気にも彼等は直接真珠湾に卑怯な奇襲攻撃を仕掛けてきたので ある。ハルゼー提督は「凶暴な猿」とあだ名を付け、「太平洋の全域で我が軍は奴等を沈め、焼き尽くしている。沈める のもさることながら、焼き尽くすのは無上の喜びである」と言っている。 ガダルカナルに上陸したある海兵隊員は日本兵が動物にしか見えなかった。「奴らは山猫のように木立に隠れます。 時々攻撃を仕掛けてくるときの声は、屠殺場の怯えた牛のようです」と語り、別の海兵隊員は「戦う相手がドイツ軍なら よかったのに。ドイツ軍はわれわれと同じ人間だ。しかし、日本兵は動物みたいな物で、まるでジャングルで生まれた みたいに自由に歩き回るし、それに、お目にかかるのは死体になった奴ばかり、というのも動物と同じだ」と言っている。 黄色い猿は人間扱いされないのだ。 従ってモンキーハンティングとなり、狩りのトロフィーとして頭骨などを磨き上げてお土産として本国に送られることに なる。特に人気なのが金歯で、まだ生きて呻きをあげる口に銃剣をさし込み無理矢理引き抜いたりしていた。 彼等はバターン死の行進は知っていたが、それと同じ民族がプリンス・オブ・ウェールズを撃沈した後に花輪を投じた 事は知らなかったのである。 日本降服の時にハルゼー提督はこう言った。「正義と品位が勝利を収めたのである」。「猿のバーベキューを楽しんで くるぜ」という素敵な発言で知られる提督の、粋なコメント。
【戦争奇譚 〜戦争における保険〜】 1942年、我が国には一般火災保険の目的である建物とその付属物と内外に設置された工作物(起重機、ガスタンク、 溶鉱炉など)、一定場所にある動産、運送品、車輌、航空機、船舶を保険する戦争保険臨時措置法というものが施行 された。これは、担保すべき保険事故は戦闘行為に基づく火災や、損壊に限定されたが、その契約は被保険者が 保険金を添えて申し込んだ時に成立するものであった。 保険料、運送品は1000円に付1円、倉庫保管の不特定物は1ヶ月で1000円につき0.8円、それ以外は6ヶ月で4円。 保険料受け取りは、一部(3000〜5000円)が現金、それ以上は特殊預金か特殊金銭信託となった。 更に、1944年には火災保険を掛けると漏れなく戦争保険が付いてくるようになった。ちなみに、これには地震保険も 付帯してくるものである。また、これとは別に戦争死亡傷害保険と言うのもあったりする。 戦争保険の保険料収入は、6.4億万円、支払額は当然の事ながら、462.8億円の巨額に上り、地震保険は収入1.1億円、 支払は2.4億円、戦争死亡傷害保険も、収入1.6億円、支払7.7億に達した。
【戦争奇譚】 戦時中にアメリカはブルドーザーで飛行場をすぐ整地していたが、日本の場合はこれを人力で行っていた。 あるとき南方戦線(おそらくはウェーキ島かグアム島)で日本軍はアメリカ軍のブルドーザーを鹵獲して、ある大学の 研究室に送られてきた。研究者たちは「凄いものだな」と感心していた。だが実は日本には既にブルドーザーは存在 していたのだ。戦前から京都大学にブルドーザーは輸入されたが、予算の関係で放置されていたままになっていた。 と言うのも、戦前の土木工事は、世界恐慌の余波を受けた日本での失業対策と意味合いが大きかったために、ブル ドーザーなどという労働者の仕事を奪うものを政府が推進して開発は出来なかったとの事。 一方、イタリヤやドイツでは分業化が進むから農民が地主にブルドーザーやトラクターの導入を求めた。ドイツ軍の 戦車の多くは元々は農耕用に開発された物を転用したもの。 またドイツではヒトラー政権下で軍需産業や土木産業に人手を取られてしまい、農業人口が不足してしまった。 そのため安価な化学肥料の開発による収穫増と治水、開墾による耕地面積の拡大にも後押しされて農業の大規模化、 機械化がある程度まで進む。この機械化のブルドーザーやトラクターの導入要求もそれの一環だ。 なおドイツの場合は第一次世界大戦の影響でその当時の若年層、つまりヒトラー政権時の熟練労働者層が薄いという 問題もあり、農業人口だけでなく軍需産業も土木産業も、投下された資本やその成果に比べて就業人口は多くない。 再軍備で軍が増員された影響もあったかもしれない。
【戦争奇譚】 明治37年の12月。児玉満州軍参謀総長は、在大連の遼東守備軍司令官の某大将を訪問した。某司令官は、部屋の 隅にある箱の中から煙草を取りだして児玉参謀総長に勧めたが、児玉参謀総長はそれをのまず、歓談を続けた。 帰り道、児玉参謀総長は従者田中少佐に言った。「田中、A(司令官名)という奴は何も分からぬが、あの箱は西洋夫人 の便器の台だぞ!西洋人が来た時あんなことをAがして見せると困る、貴様Aに言っておけ」 第2次大戦中、ベルリンの日本大使館が東京の外務省と連絡をとるときに、暗号機が壊れていたため電話で連絡をとら なければいけない事態となった。そこでベルリンの大使館には、たまたま鹿児島県出身の書記官がいたため、外務省 の同じく鹿児島県出身の事務官との間で鹿児島弁で会話したという。傍受した米軍もなかなか解読できなかった。 日本占領軍として送り込まれた米軍の第1陣将兵には、日本を”未開の地”とみなして、瘴癘(しょうれい)地手当、 熱帯の発展途上国に行くときと同じ、一種の危険手当が支給されていた。なお現在でも東京駐在の外資系企業の本社 社員には「熱帯手当」がつく。 東京のとあるビアホールでの話。ビールの泡が多すぎる、と客が文句を言い出し、「ビールの泡はビールか否か」という 馬鹿馬鹿しい裁判があった。結局「泡にはビール以上の濃度のアルコールがある」と、ある博士が熱弁をふるったこと もあって「泡はビール」と結審。問題は、この裁判の判決が出たのが1944年の10月ということである。 もう、戦況絶望的で特攻機出撃していた時期。北九州にはB-29が何度も空襲していたころ。
【戦争奇譚 〜英彦山の大爆発〜】 昭和20数年、戦後まもない頃の事故。西日本のとある村に進駐軍が武装解除のため訪れた。村のはずれに山があり、 山の中腹に掘られたトンネルの中から本土決戦に備えた大量の武器弾薬が備蓄されているのを発見した。武器輸送 をためらった司令官はトンネルに火をつけて破壊する事を命じた。結果、大量の弾薬が大爆発を起こし、山を吹き飛ば して村は壊滅した。佐木隆三が小説にしている。 もう少し正確に書くと以下。敗戦直後の昭和20年11月12日午後5時15分、英彦山駅から500mの二又トンネル内で 火薬が爆発した。この火薬は、米軍の空襲を避けて陸軍がトンネル内に隠していたもので、敗戦になって火薬の処理 に来た米軍将校の軽率な行為で引火した。長さ100mのトンネルを埋め尽くした火薬の量は532トン。死者147名、 負傷者149名、倒壊家屋131戸、田畑の被害範囲は2キロに及び、爆発音は遠く福岡や別府まで聞こえた。 532トンもの火薬の爆発となると、さすがに被害が凄いことになる。殆ど戦術核並の破壊力だから。 米軍包囲下のウォッゼ島では輸送が途絶え、その上爆撃で滅茶苦茶になっていたので極度の飢餓状態にあった。 あろうことか食料分配をめぐって日本兵同士で銃撃戦をして、戦死者を出す有様だったそうだ。一方日清戦争の頃、 荷物の輸送が1日遅れた責任を感じて、指揮官の将校が切腹する事件がおきている。 真珠湾攻撃成功で太平洋戦争が始まった時、NHK鹿児島支局はラジオニュースで景気の良いBGMと供に放送した。 そのBGMの曲名は「星条旗を永遠に」だった。当然ながら、物凄く怒られた。
【戦争奇譚】 1940年末、食堂車は贅沢だから止めろと政府、軍部から強硬に鉄道省の旅客課に圧力を掛けてきた。当時の旅客 課長は列車内で食糧を得る術がないから、残置すべしと主張したが、結局は廃止した。しかし、廃止した直後から、 軍・財界・高級官吏の一群から復活要求が殺到した。今度は旅客課長、逆に強硬にその復活要求を跳ね付けたが、 復活の議が閣議に持ち出される様になり、結局復活したと言う。 東京ドームになる前の後楽園球場は戦時中、東部軍の対空陣地だった。スタンド二階には、機関砲の他、電探、 観測器なども備えられた。その電探の感度を維持するため、震動による故障を避けるために都電は速度を落として 通過し、ネットの網は電波を吸収するというので、大きな布を貼られたりした。 丸の内には本来、鉄筋などを用いた不燃性のビルの建設が望ましかったが、戦時中の物不足でそれが望めず、 木造事務所を建設せざるを得なかった。最初の木造事務所に入居したのは、皮肉なことに鉄鋼連盟と日本製鐵 だった。 太平洋戦争末期、もう化粧品など作れなくなった時代、資生堂にいきなり政府から大量の化粧品原料が、容器に 至るまで送られた。政府の命令によって、資生堂は大量の化粧品、香水、ローションを製造することになった。 当然、社内では様々な説が流れたが、一番有力だったのは、ソ連に講和を斡旋してもらうため、ソ連高官婦人に 贈呈するお土産品だというもの。しかし、実際は、大陸でタングステン、銅などの戦略物資を買い付けるために、 小さくて軽く、そして高価である見返り物資を、と言うことで、高級香水など化粧品類をその物資に充てたもので あった。
正義も悪も、行使する力は同じ暴力でしかない。 それを行使する選択肢もあるし、しない選択肢もある。 それを選択するのは、結局は自分自身だ。 状況の最前線では暴力のみが機能する。(船戸与一) 秩序は力によって作り出される。道徳や宗教によってではない。(マキャベリ) 戦いに打ち勝つには二つの方法があることを知らなくてはならない。 その一つは法律によるものであり、 他は力によるものである。 前者は人間本来のものであり、後者は本来野獣のものである。
【戦争奇譚 〜第二次世界大戦時の戦費、日本はイタリアよりも少なかった〜】 アメリカ 3410億ドル ドイツ 2720億ドル ソ連 1920億ドル イギリス 1200億ドル イタリア 940億ドル 日本 560億ドル 欧米から見れば第二次世界大戦における太平洋の戦いなんて付録みたいなものか。
【戦争奇譚 〜台湾における植民地経営〜】 1884年に結ばれたユエ条約によりベトナムを保護国としたフランスは以後この地に積極的に資本を投下し、約20年で 本国からの補助金に依存しない独立した植民地経営を達成するに至った。この成果に対しては、当時植民地拡大 競争で敵対関係にあったイギリスのタイムズ紙ですらフランスの植民地経営能力を天才的と評価するほどであった。 一方1895年(明治28年)の日清戦争の結果台湾を領有した日本は、不可避となった日露戦に備えるため、という外的 要因があったとはいえ、わずか9年後の1904年に国庫の支援から独立した。 白人のみが統治能力を持っている、などという人種観が普通に存在していた時代、独立してから半世紀も経過して いない極東の黄色いサルどもの国が猿真似で植民地を持った、と思っていたらたった10年で経営を軌道に乗せて しまったという事実は、当時の列強諸国にとっては脅威どころか恐怖に近いものがあったのではなかろうか。 もっとも、これを成し遂げた台湾総督の後藤新平は、帝国政府からは大変評判が悪かったという。「キチガイを僻地 に放り出したつもりが、無茶なゴリ押しで莫大な国費を湯水の如く台湾なんぞへ注ぎ込んだ」から。
【戦争奇譚】 広島部隊に所属していた松本喜太郎は、大正3年に脱走を決行し、昭和20年の終戦で軍隊が解体されるまでの 実に31年のあいだ、当局必死の捜索にもかかわらず逃亡生活を続けた。 戦争が終わってきっと大手を振って歩いたのだろうと考えたいところだが、用心深い彼は、さらにプラス15年間も 身を隠していたのだという。 第二次大戦末期も末期、本土決戦か、ポツダム宣言受諾かで、揉めていた時のこと。 「本土決戦をするにしても、武器も無いではないか」と言う内務省の人に対し、「武器ならある」と陸軍軍人は言う。 他の省の人も、あるというのなら見せてくれ、と言うことになった。翌日、陸軍から、武器を見に来てくれ。と連絡が 有ったので、彼らは陸軍省へと向かった。 何か資料か、どこぞにある武器庫でも見せてくれるのかな?と思っていると、彼らはとある一室に通された。 その上には、槍、弓、猟銃、竹竿の先に包丁をくくりつけた物、などが置いてある。 軍人は、その中から弓を手に取り「至近距離から、音も無く、敵兵を倒せる、必殺の武器である。」 槍を取り「山がちな、わが国の地形では、この手の接近戦用武器が有効であり、また繰り返し使える云々」 これらは民家などの土蔵に有るものを徴発。なき家は竹さおの先に包丁をつけ代用とする、と説明したと言う。 この軍人はおそらく迫水久常。その場に居合わせた鈴木貫太郎は、こりゃ駄目だって腹をくくった。
【戦争奇譚】 日本の大本営発表は、世界に向けて外電経由で発信されていた。台湾沖航空戦の大戦果や、ブーゲンビル島沖 航空戦の大戦果も海外に打電された。この大戦果に各国は驚愕し、早速その報道を検証してみたところ、余りにも 実態とかけ離れていたことに失笑し、以後、「日本の大本営発表は信用出来ない」ということで世界に大恥をさらして しまったという。このとき台湾沖航空戦の大本営発表を聞いたニミッツが、『我が機動部隊主力は海底に沈降した後、 日本方面へ向かって逃走中』という冗談丸出しの電文を司令部に打電した。 日本でマリファナが非合法とされている根拠の「大麻取締法」が制定されたのは1948年。進駐軍が、アメリカ自国の 「麻薬コード」をそのまま日本に持ち込んだものであり、それ以前は全く非合法の存在ではなかった。 なおヒロポンが戦後しばらく合法だったのは、軍部が兵士用に作りすぎた分の「在庫一掃セール」の為であった。 しばらくして在庫が捌けたら、今度は「中毒者が増えた」という理由で非合法化した。 酒や煙草に高額の税金がかけられたのはそもそも戦費の調達のため。一部で知られている台湾などでの薬物の 許可販売でも、監督官庁は相当潤った。ただ台湾総督府がアヘンに課税する際、一斉に使用を禁止すると現地人 が暴動を起こす可能性が有りと判断し、段階的使用制限として課税し金額を年々引き上げた。こうして昭和初期 には台湾でのアヘン常飲者は0になった。 また関東軍の傀儡、冀東防共自治政府では、大々的に麻薬の製造と密売を行い、大きな活動資金を得ていた。 この活動のおかげで、中国東北部では日の丸はアヘンの会社の商標だと思われてしまったという。
【戦争奇譚 〜徴兵回避のために行われた様々な努力の数々〜】 都会に住んでいるもの場合、本籍を地方に移す。頑強な田舎の成年に混じって華奢な都会人がいれば、自動的に 甲種をすべり乙種になれる。 明治時代に、夏目漱石が徴兵逃れのために北海道に籍を移していた。当時北海道は、開拓地ということで徴兵の 対象でなかったため。ちなみに籍を移した町にはその事を記した碑がある。 役場に行き、徴兵検査のときの担当医を調べ上げる。事前にその医者のところに行き、胸が苦しい、体がだるい、 食欲が無いと訴えておく。うまくこの伏線に、引っかかると、病気認定され、丙種として落とされる。 生醤油を毎日コップ一杯飲む。これで結核、心臓病になるという噂があった。 徴兵検査1週間前から飲まず食わずで、虫下しを大量に飲む。ひまし油など、下剤効果のあるものを大量に飲み、 食事を取らない。水とワカメ、水と寒天、水とコンニャクだけで一ヶ月過ごす。タバコを1日に何箱も吸い、食事を 極端に減らす。これらは体重が減るだけに留まらず、貧血・栄養失調に陥り、脈が規則正しく打たなくなる。 昔、ある神社があった。その神社は"徴兵逃れ"の霊験がある神社として有名だった。神社の近くの沼を渡った男 たちが、その後の徴兵検査で「病気のため不適格」となる者が少なくなかったからだ。その神社には徴兵を逃れる ために多くの人が訪れ、沼を渡った。戦争が終り、米軍がその神社を訪れた。彼らは「日本住吸血虫」がその沼に 発生しているのを確認し、その沼を"即刻"立ち入り禁止にした。
【戦争奇譚】 関東軍や満州在住の日本人は、日本本土の臣民の苦楽を共にするため、週に一度、豆ゴハンや麦飯を喰うことが 義務つけられていた。だが、これが酷く不評で、中の豆をつまみ出して喰ったり麦がほんの少ししか入れなかったり したそうだ。また、森繁久彌が日本に引き上げてきたとき、あまりにもメシがマズくて「なんて祖国は貧しいんだろう」 とコボし、東北出身の由利徹にタコ殴りにされたという。 鉄道車両はブレーキをかけると、レールと車輪が擦れて、鉄粉が飛び散る。その鉄粉はレール周りの石にこびり 付き、赤くなる。この鉄粉自体は、東京だけで4,000t/年に上るという。 太平洋戦争中、中央線沿線に住む植木職人は考えた。「鉄がない、鉄がないと言いながら、線路脇に一杯鉄鉱石が 転がってるじゃねぇか」彼はそれを国鉄幹部に進言し、その進言はまともに取り上げられ、これを集めて再資源化 する研究が行われたのだが…。砂利、土などの不純物が多くて、鉄分そのものは少なく、貧鉱で採算ベースに合わ ないことがわかり、結局、研究は打ち切られた。 戦争中、兵役拒否のために利き手の人差し指を切断する若者が続発したが、指は三本残っていれば徴兵された。 戦時中のラバウル島において、自給自足率向上の為の絶え間ない努力の結果、食料自給率は右肩上がりで上昇し、 45年8月には全兵員の85%の食料の自給が可能となった。
【戦争奇譚】 旧日本軍で運転免許を取るには、運転操典を丸暗記しないと車にも触らせてもらえなかった。 そのため陸軍でトラックを運転できる兵は非常に少なかった。 大東亜戦争末期、台湾と日本の海上交通路が米潜水艦により危機的状況になると、日本内地では払底していた 砂糖が、台湾では船積みできないために余ってしまった。内地に帰投する艦艇乗員に、タダどころか持ち帰るよう 命令が下った。無事に持ち帰れれば、の話ではあったが。 敗戦後、日本は連合国に占領された。1945年11月1日、連合国軍最高司令部は日本帝国政府に対して、「連合軍 将兵に対する警察官の敬礼」と言う覚え書きを発した。それは、「日本帝国政府は警察官全員に対し、合衆国進駐 軍凡ての将校に対し敬礼を行なうべき事、特に、星章を附したる陸海軍将官の凡ての乗用車に対し、敬礼を行なう べき事を指令せよ」というものであった。 と言う訳で、街で進駐軍将校に出逢った場合、日本の警官は必ず敬礼をすることが義務づけられた。銀座を警邏 していた場合、そこは進駐軍将兵の溜まり場のような有様だったから、敬礼の為に腕を上げ続けなければ成らず、 凄く苦痛だったと言う。 そんな時代、銀座のとある交差点で交通整理をしていた警官が居た。そして、彼はMacArthur元帥命令で、一階級 上がった。その昇進の理由は、「彼の敬礼する態度がよい」。
【戦争奇譚 〜沖縄戦の沈没艦船は…〜】 沖縄は、あれだけの激戦地であるにも関わらず、海中に沈む艦船、航空機が非常に少ない。多くの艦船が海底に 沈んでいる他の太平洋の島々とは対照的である。 現在あるうち有名なのは伊江島沖に眠るエモンズ、その他少々。 これは朝鮮戦争当時にクズ鉄材が高騰したので、海人(うみんちゅ、漁師)が引き上げてしまったから。 そのやり方も凄い。水中溶断でバラし、大物は発破でドッカン。弾薬満載の軍艦を爆破するのだから危険極まりなく 慶良間沖で大爆発があり約40名が死亡している。この時は大波が那覇まで押し寄せている。この手の事故の総 犠牲者数は6〜800名とも。なお水中解体から引き上げ作業は全て素潜りで行われている。信じられないほどの 技術である。(「沖縄ウミンチュ」仲村善栄著 河出書房新書刊)
【戦争奇譚】 進駐軍が戦後持ち込んだものの中に、日本の鉄道の荒廃を見越して準備した野戦用のディーゼル機関車があった。 その機関車は、戦車、トラクター、ジープなどの部品が多用され、構造は極力簡易化されており、電動工具などで簡単 に修理ができる代物だった。その後、この機関車は、当時の国鉄、名鉄、八幡製鉄所に引き渡され、日本で本格的に 使用された初めての機関車となり、形態的にもその後開発された国鉄のディーゼル機関車に多大な影響を与えたと 言う。ちなみに、この機関車、最初に国鉄に引き渡された時、8500形を名乗っていたが、これは進駐軍で使われていた 機関車の番号が8500番台だったからである。 ちなみにこれはのちの国鉄DD12型。エンジンはキャタピラー製190PS×2。扱いやすい機関車両であったが、やや非力 であることと、発電式のディーゼル・エレクトリックだがモーター搭載位置が低いため、雨の日にはよくモーター故障した らしい。米軍における各種パーツ互換性の高さは皆様ご承知の通り。当時の国鉄はこのディーゼル機関車が故障する と米軍当局に電話してジープを呼んだ。するとGIがジープ2台でやってくる。で、1台置いていく。そのジープから外した パーツで修理ができたそうだ。部品取りになったジープは、次の故障の時に帰りのジープで牽引して米軍基地に持ち 帰ったという。GI(彼らも技術屋だった)がとてもフレンドリーで、国鉄の機関士たちに「ジープを貸してやる、好きに乗り 回せ」と言ってくれたそうだ。だが、あいにく当時の日本では免許普及率が非常に低い。「我々は運転できない」と答え ると、米兵は「なぜだ?おまえたちはエンジニアだろう」と不思議がったそうだ。
【戦争奇譚】 戦中、戦時粗製の機関車のボイラーが爆発事故を起こしたことがある。戦時型蒸気機関車、D52型での話。この型は 戦後、改良されたボイラーに乗せかえられている。 戦時型で言えば、EF13型電気機関車は、家電製品でいうサーキット・ブレーカー、「高速遮断機」を、製造に手間が かかる上に、なくても走る部品として省略したため、さすがに国鉄の現場から反対意見が巻き起こり、説得に出向いた 設計者が機関区(機関車の車庫)に軟禁される騒ぎに発展。この設計者、戦時量産のため安全基準を下げたEF13の モーターの整備中に感電、九死に一生を得ている。 しかしこの設計者、戦後、英国国鉄では機関車に高速遮断機を設けず、変電所の遮断機で「事故があれば、ひと区間 の電車、機関車を全部止めてしまう」かなり強引なシステムになっているのに「意を強くした」そうだが、戦時中の日本 国鉄と比べてでさえ、ダイヤ密度がスカスカだった英国国鉄と、同列に比較するには無理があると思う。 戦時中、ディーゼル機関の燃料に事欠いて、鯨油まで使ったことがある。高速ディーゼル機関の燃料としてはかなり 無理矢理。予燃焼室式の統制ディーゼルだからできた荒技。 大戦中、ボールベアリングを供給していた日本のベアリングメーカー各社。不二越のベアリングの「NACHI」ブランド (今も存続)の名前が、軍艦の「那智」から来ているのも軍需メインだったため。しかし戦後軍需がポシャり、各社、賠償 として生産設備を接収されそうになる。 この危機を救ったのは国鉄だった。昭和21年以降生産の機関車・電車・客車の台車軸受けを、従来のプレーンメタル から一気にボールベアリングに切り替えた。私鉄電車も西武鉄道を皮切りに続々追随。鉄道による内需増加でベアリン グ業界は接収・壊滅を免れたのだった。
【戦争奇譚 〜パイナップルの缶詰〜】 「ゲゲゲの鬼太郎」などで知られる漫画家の水木しげるは、兵隊時代にパイナップルの缶詰を缶切りを使わずに指で 空けた事がある。水木氏が戦時中にラバウルなどにいた事は知られてるが、これは水木氏が初年兵だった頃の話。 どこの国でも新兵や初年兵は古兵や下士官などから死ぬほどしごかれるが、ある日3人の新兵が理不尽なしごきに 耐えかねて脱走した。この不祥事に驚いた訓練部隊の司令官は、これ以上脱走兵が出ないように新兵達に対して 懐柔策に出た。それは「新兵全員にパイナップルの缶詰を支給する」事。 そして初年兵の水木氏も貴重なパイナップルの缶詰を受け取って大喜びしたが、缶詰をそのまま兵営や寝床に持ち 帰っても、意地の悪い古兵達に巻き上げられるのは目に見えている。その為、この場で缶詰を空けて食べる事にした。 だが、肝心の缶切りがない。そこで焦った水木氏は、パイナップル食いたさに必死で道具も使わずに指で缶詰を空けて 中身をその場で平らげてしまった。 その後、あの時はよくあんな事ができたもんだなぁ、と思い出し、パイナップルの缶詰を試しに指で空けようとしたが、 どうしても空けられなかったとか。
【戦争奇譚】 第二次大戦直前、欧州の三井物産支店に赴任した人がいた。しかし、大戦が勃発し、独ソ戦が始まって欧州から日本 に向けての物資輸出が絶たれると、在独日本大使館に徴用された。ところが、O大使と反りが合わず、海軍嘱託として Lisbonの海軍武官室で諜報業務に就いている。 当時、Lisbonには外貨自由市場、早い話が闇市場があった。太平洋戦争後、Singaporeで没収した1000ドル紙幣は、 回り回ってこの地で売捌かれたりしている。尤も、この時は、米国の連邦準備銀行が紙幣の番号を控えていたお陰で、 出所が分かり、散々英米の新聞に書き立てられたらしいが。 名将の誉れ高い真崎甚三郎中将は満州中国の特務機関の勤務から帰ってくるとき、鉄道貨車丸ごと一杯ぶんの家財 道具を持って帰国して世田谷の自宅に戻ったらしい。その際かなりの量の馬蹄銀も持ち帰って、戦後の事業経営の 資金にした、という。普通に陸軍の配置転換で満州の任地に勤務していたはずだが、特務機関というのは中国人満州 人の要人と交流しているうちに 何か役得があったのだろうか?
【戦争奇譚】 横浜市中心部には未だに空襲の被災建造物が現存する。京浜急行戸部駅と日ノ出町駅の間に位置する旧平沼駅で ある。戦時中に経費節減のため廃駅になり、その後被災し崩壊した。同鉄道によると撤去しない理由はプラットホーム と高架が一体構造であり、解体すると高架の強度が低下するかもしれないからだそうだ。 それにしては、つい最近まで焼け焦げた屋根の支柱を放置してたのだから、単に解体費用がもったいなかったからで はないか。少なくとも表面だけ綺麗にすることはできるはずだし。 幕末に幕府が輸入した工作機械が、第二次大戦後米軍に接収され在日・米海軍の施設船舶修理廠で使われていた。 それは蒸気ハンマーであったが、稼働止めたのは21世紀になってから。 乗用車が作られなくなった太平洋戦争中、天皇陛下、各宮家、将校、政府高官が乗る為の高級乗用車を 商工省と 陸海軍協同で企画し、許可会社(日産とヂーゼル自動車)に試作させることになった。と言うのも、やんごとなき人々が 乗る車が、敵国の作った車では具合が悪い、ということから。許可会社には東南アジアで接収した欧米の高級乗用車 が貸与され、これを参考に日産とヂーゼル自動車は高級乗用車を試作することとなった。当時の日本は物資が不足 しており、その試作車はエンジンとシャシーをトラックから流用、ボディは帝国車輌が製作することになった。 さて1943年、日産とヂーゼル自動車の御料車の試作車が出来上がり、富士山麓で試乗会が行なわれた。試乗して みると、エンジン音はやたらと五月蠅く、乗り心地もまるで良くなく、内装もとても褒められたものではなかったという。 この試乗会では同時に、南方で接収したChryslerを走らせていたが、前二社の国産車からこれに乗り換えたところ、 あまりの乗り心地の良さに商工省、陸海軍の担当者全員が、国産車を陛下に勧めるのは無理だ、と判断したと言う。 その乗り心地は、木賃アパートと高級マンションほども違いだったそうだ。以降、御料車の試作は沙汰止みとなった。 ちなみに当時、天皇家が用いていたのは主にRolls-Royce。昭和天皇は戦時中もリンカーンに乗り続けた。
【戦争奇譚】 大東亜共栄圏建設を謳って南方に進軍した皇軍の宣撫工作担当者は、その土地の言葉で大東亜共栄圏を何と表現 すればいいかがわからず途方にくれた。 1910年の大逆事件は爆弾テロなどハナから計画されていなかったという。彼らは「天皇の血は赤いか否か」という話を していただけだったそうだ。 1927年、昭和天皇がお召し艦に乗って、奄美大島に来島し、名瀬と大島海峡の古仁屋要塞をご訪問された。そこで、 陛下にお見せする映画撮影のため、県職員がトカラ列島の十島村を訪れたが、彼らはその行幸を全く知らす、県職員 から初めて聞かされて驚いた。当然、鹿児島県議会で問題となり、十島村営汽船建造の契機となった。 さてその後、1946年2月のこと、日本と米軍軍政府との行政分離線が、北緯30度に引かれてしまった。 このため、十島村に属する竹島、硫黄島、黒島の上三島と、口之島、中之島、臥蛇島、平島、諏訪瀬島、悪石島、宝島 の下七島とに分割され、更に日本本土とこれらの島を結ぶ航路は運行が停止、下七島は連絡は遮断されてしまった。 この時、十島村の実力者だった人が、上三島の自分名義で借りていた民家を役場に改造し、鹿児島県知事と掛け合い 十島村臨時代理となり、1948年三島村として正式に分離してしまった。 日本にもベルリンの壁とか朝鮮半島の分断線があった訳だ。ちなみに、この北緯30度線は、1951年12月、やっと北緯 29度線に改められ、トカラ列島の島々は日本に復帰出来、分断の悲劇も回避された。
【戦争奇譚 〜自称、元”特攻隊員”〜】 ノンフィクション作家、日高恒太郎氏によると「自称特攻隊」は100%ニセモノ。自称特攻隊員の特徴は、 ・陸軍にいたのか海軍にいたのか曖昧。 ・実在しない航空隊や航空学校などに所属している。 ・軍歴を曖昧にする。陸軍なら少年飛行学校第何期とか海軍の予科練なら甲乙丙の何期で、さらに部隊名などを 明らかにしない。 ・本物は戦争体験を勇ましく語らない。 ・有名人でも「特攻隊員」詐称する人がいる。元連合会長山本章氏も詐称していた。 ちなみに最も「怪しい」のは予科練十四期である。(週刊新潮8/26号より) 極真会館は大山倍達が元特攻隊員だったと自称していた。それを捏造するため山梨に戦時中実在しない航空学校 を作りあげ、さらにありもしない出撃記録までデッチ上げていた。
【戦争奇譚 〜玉音放送〜】 玉音放送は昭和20年8月15日正午以前に一度再生されていた。一部軍人の玉音盤強奪未遂などがあり、やっとの ことで放送局に到着した玉音盤を職員がセット。普段なら本放送の前にテスト再生をするが、はたして恐れ多くも玉音 のテストをしていいものかと考えた。しかしテスト再生をしなかったために本放送で事故が起きては大変と言うことで 正午前に再生をした。ガラス越しの調整室にいた局長や警備の軍人は、スピーカーから突然流れてきた玉音を聞いて、 全員その場で凍りついたという。 昭和20年8月15日、この日の正午のラジオ放送を「陛下はきっと国民を激励してくれるんだろう。」と勘違いした人が いたのは有名だが、中には「陛下はきっと『朕と一緒に死んでくれ』と言うんだろう」と勘違いした人もいた。 運命の日、役所の前(ラジオが一軒一軒になかったので)に集まった人をみて、村長と村ただ一人の警官は仰天した。 包丁や、ロープ、中には青酸カリを持ってるものがいる。「終戦に反対して暴動をおこすつもりか!」と戦々恐々として いると、ラジオが終わったあとも何事もなくみな帰宅する。村長が一人の村人に聞くと、「陛下が死んでくれといったら 一緒にお供するつもりだった」。ある村でのお話し。
【戦争奇譚】 じつは戦後、靖国神社から強制的に撤去された銅像はひとつもない。敗戦後、靖国神社から撤去された銅像は日露 戦争関連のものがわずか8点。しかも経営難から自主的にスクラップ屋に売った物だった。 また万世橋駅前の広瀬中佐像も、日本政府が設置した銅像撤去審査委員会の連中が聯合軍から要請があったわけ でもないのに「自主的」に撤去を決めた。聯合軍としては広瀬中佐像は上官と部下のあるべき姿を現したものでもあり 軍国主義とは関係がないので残すつもりだった。 明治40年に日本製鋼所が設立された時、アームストロングと、ヴィッカースが大株主だった。 電気炊飯器を最初に作ったのは陸軍。戦争遂行上大きな意味があった。炊いた米は保存期間が短いので前線付近 での調理が必要となる。また炊飯の際、前線で大量の真水が必要となる。同時に非常に目立つ煙を出してしまう。 当時、炊飯が必要な米食文化圏の軍隊は近代戦争は出来ないという説が根強くあったので、浄水器で水を洗浄し、 電気で炊飯する野戦炊飯車を作って、日本軍も近代戦争が遂行可能と証明して見せた。このときの技術が現在の 電気炊飯器の技術に生かされている。
【戦争奇譚 〜貨幣・硬貨〜】 終戦後すぐ作られた50銭黄銅貨は旧軍の銃砲弾の薬莢等から作られているため、品位が一定でない。(銅600〜700、 亜鉛400〜300とかなりアバウトな配合比率)そのため良く割れた。 昭和8年から昭和12年にかけて発行された10銭と5銭硬貨は、以前の白銅に代わりニッケルを主原料として製作 された。耐腐食性、対摩耗性に優れたニッケルは白銅と比べ偽造がしにくく、これらの点が評価され採用されたが 他にももう一つ目的があった。兵器類に必要な特殊鋼の材料として不可欠であり国内でほぼ産出しないニッケルを 白銅よりも高い純度で流通貨幣という形で備蓄しようというものであった。昭和12年に日中戦争が勃発し昭和13年 に臨時通貨法が制定されると、代行貨幣が作られこれらのニッケル貨幣は実際に回収されている。
【戦争奇譚 〜貨幣・硬貨〜】 昭和13年以降1・5・10銭は錫を代用でアルミを用いたアルミニウム青銅に切り替えられた。しかしすぐさま銅も重要 物資になり結局軽く加工も容易なアルミニウム100%の1・5・10銭が登場することになった。 そして太平洋戦争開戦、既に主力は全金属の航空機時代に突入していた。アルミニウムはいくらあっても足りない、 そこではたと気がついた。「なんでアルミが足りないのに硬貨でアルミニウムを消費してるんだろ?」ただでさえ減る 金属割り当てに対し、インフレで小額貨幣の需要は増加しているため、貨幣切り替えの転機になった昭和13年制定 の臨時通貨法(議会の議決や承認なしに、勅令により貨幣の素材・純度を変更できる)により、これらの貨幣はダイ エットを開始した。 昭和15年から昭和18年の間に10銭は直径22.00mm・1.50gから直径22.00mm・1.00gに、5銭は直径19.00mm・1.20g から直径19.00mm・0.80gに、1銭は直径17.50mm・0.90gからデザイン変更を挟んで直径16.00mm・0.55gになり、薄く 小さくなっていった。だがそのアルミもそのうちに払底する。 占領地の東南アジアから産出する錫と亜鉛の合金貨幣の生産が昭和19年から開始されたが、南方からの輸送が 途絶えがちになるとこれらもすぐさま製造中止、5・10銭は小額日銀券へと切り替えられた。 しかしこの時期になると紙もインクも重要物資となっており、耐久性も紙幣よりも硬貨タイプの方が勝るため、なんと 陶器(磁器)で貨幣を作ろうとした。陶貨は国外では前例があり別段日本が初めてではないが、製造ノウハウは手探 りで、有田、瀬戸、京都などに製造が打診されプレス機もないのでボタンを作る要領で10銭・5銭・1銭の各陶貨が 作られたが本格的に出回る前に戦争が終結、陶貨は日の目を見ることなく死蔵あるいは廃棄された。
【戦争奇譚 〜貨幣・硬貨〜】 終戦後すぐ作られた50銭黄銅貨は、旧軍の銃砲弾の薬莢等から作られているため、品位が一定でない。(銅600〜 700、亜鉛400〜300と配合比率がアバウト)そのため良く割れた。 昭和8年から昭和12年にかけて発行された10銭と5銭硬貨は以前の白銅に代わり、ニッケルを主原料として製作され た。耐腐食性、対摩耗性に優れたニッケルは白銅と比べ偽造がしにくく、これらの点が評価され採用されたが、実は さらにもう一つ目的があった。兵器類に必要な特殊鋼の材料として不可欠であり国内でほぼ産出しないニッケルを白銅 よりも高い純度で流通貨幣という形で備蓄しようというものであった。昭和12年に日中戦争が勃発し昭和13年に臨時 通貨法が制定されると、代行貨幣が作られこれらのニッケル貨幣は実際に回収されている。
【戦争奇譚】 時は明治2年 政府の鉄道建設計画が根本から揺らぎかける事件がおきた。なんと慶応3年、江戸幕府がアメリカに 鉄道建設免状を出していた事が発覚。アメリカ公使館がその免状を楯に、鉄道建設をさせるよう求めてきた。 「そんなことを許可したら植民地同様になってしまう」と大隈重信が突っぱねた所、翌日公使が抗議状を持って政府に 乗り込んできた。そこで仔細に免状を調査したところ、署名が将軍慶喜ではなく老中小笠原壱岐守であり、大政奉還 直後の12月23日発行だった つまり無資格の老中が勝手に発行したものだった。 それを理由に再度突っぱねたが、公使は納得せず、一時は戦争も辞さない構えだったという。 第二次大戦中の日本軍では、ほぼ全ての物資が不足して居た中で、なぜかコンドームだけは豊富に存在した。従軍 カメラマンが湿気からフィルムを守るのに重宝したと伝えられる。当時の日本で、ずば抜けて機械化が進んでいたのが コンドーム生産であったため。戦略物資は学生が汗だくで作ってたのに、コンドーム生産に関しては、ほぼ完全に自動 化されてたという。全軍に配備された「突撃一番」は、前線の兵士達を感染病から救った。
【戦争奇譚 〜ソビエト軍の兵士たち〜】 大戦中のソ連軍の、とある部隊の空挺話。「積雪してるから大丈夫だろう」と、パラシュート無しで降下したことがある。 当たり前だが全滅した。英軍の爆撃機の尾部銃座から放り出されたものの、雪の積もった針葉樹林のおかげで無傷 で助かった人がいるのだが。またソ連では、コンテナに藁を詰めれば衝撃吸収材の代わりになると考え、その中に 乗員を乗せて輸送機から投下する実験をしたことがあるという。はたして乗員は無事だったのだろうか。 またソ連はパラシュート無しでの補給品投下も多くやっている。包囲された部隊に対してそれをやって、後でドイツ軍が 捕獲したら、ほとんど着地の衝撃で壊れて使い物にならなかったそうだ。他にも冬戦争の時ヘルシンキに爆弾をばら 撒いて、「資本家階級に搾取されているフィンランドの労働者に対して援助のパンを投下した」と全世界宛に発信した ことがある。投下と爆撃の区別がつかなかったらしい。 第2次大戦ブックス「拳銃・小銃・機関銃」ではソ連の戦車搭乗歩兵の平均寿命(実戦に出て生存していられる時間) は4週間程度だったそうだ。戦術的後退の許されない軍隊ならでは。 満州でソ連の捕虜になった日本兵達の話。ソ連兵が日本人捕虜を整列させて人数を数えていたが、整列した捕虜を いちいち指でさしで数えているので、恐ろしく数えるのが遅い。業を煮やした日本兵が、掛け算を教えてやった。すると そのソ連兵は一瞬で数値が出たことに対して驚愕。日本兵はこんなことも知らない連中に負けたことを知って驚愕。 ベルリンに攻めてきたソ連兵は民家から水道の蛇口と電球を略奪しまくったらしい、なぜか?彼らは蛇口さえあれば 「どこでも水が出て」、電球さえあれば「どこでも灯りが点く」と思っていたらしい。さらに略奪品の腕時計も両腕に鈴なり につけていたという。ねじの巻き方が判らなくて、止まった端から捨てていたため。またベルリン占領後には、水洗トイレ がなんなのか理解できず、そこでジャガイモを洗っていた。それと大戦前にリトアニアに進駐したソ連将校の奥さん方 は、鹵獲したネグリジェをナイトドレスと勘違い。それを着てパーティーに出席していた。
【戦争奇譚】 第二次大戦において、ソ連戦車の損害はドイツの4倍だった。 旧ソ連はクルスク戦線において戦車を地中に埋めて即席トーチカ陣を作った。確か300台〜400台ほどの戦車を 地面に埋めて。機動あってこそ戦車なのになぜそんな事をしたのか? シベリア鉄道工事のとき、バイカル湖を迂回する険しい山を掘り進むのに時間がかかりすぎたため、なんと湖の氷の 上にレールを敷いた時期があった。おかげで氷が割れて貨物列車が沈没する事故が相次いで起こった。 少し時代は遡るが、ナポレオン戦争三帝会戦(アウステルリッツの戦い)での話。当時ロシア軍はまだ旧いユリウス暦 を使用していたため、グレゴリウス暦に更新したヨーロッパ諸国より日付が12日遅く、待ち合わせていたオーストリア 軍と合流できず各個撃破された。 第二次世界大戦中、アメリカはレンド・リース法によりソ連に武器を供与していた。ナチス・ドイツが消滅して幾年月が 過ぎ、ソ連を訪問したアメリカ大統領、ニクソンは、レンド・リース法で供与した武器の代金、8億ドルを払ってくれるよう に時の書記長ブレジネフに言った。それを聞いたブレジネフは、「あなたたちがくれた飛行機や戦車は酷いものばかり であまり使い物にならなかった。だから支払いは3億ドルにしてもらえないか」と値切った。当然アメリカはそんな都合 の良い話に応じるワケもなく、結局、武器の代金は払われず終いだった。またソ連は、ロシア帝国時代に発行していた 軍事債を踏み倒し、世界各国から総スカンを食らったことがある。
【戦争奇譚】 第二次世界大戦開始時にもっとも潜水艦を保有していたのはソ連だった。実に200隻以上の潜水艦を持ち、新鋭艦も 多かった。にも関わらずほとんど活動をしなかった。結局1945年になって十数隻の商船を沈めたに過ぎない。 そのわりに100隻以上の潜水艦が沈んでいる。魚雷発射一回に一発しか発射できなかった。 第二次大戦中のソ連潜水艦が間抜けなように見えるが、日本に対しては憎むべき行為をしている。 北海道近海で1945年8月15日以降、数隻の日本商船を撃沈している。南樺太や千島の侵攻に連動して北海道近海 に展開していたが、北海道上陸のための海上封鎖も兼ねていた。撃沈された日本船には南樺太や千島からの引揚者 が多数乗船していて、その多くが犠牲になった。 『戦争と平和』(セルゲイ・ボンダルチュク監督)の一シーン。ナポレオン軍とロシア軍が正面衝突する「ボロジノの戦い」 では、地平線の遥かかなたまで人馬が入り乱れる光景が展開し、唖然とさせられる。もちろんCGなどではない。この シーンの最後で、地上を俯瞰するカメラ目線がどんどん垂直上昇していき、ついには雲を突き破るシーンがある。どう やって撮影したのか長らく謎だったのだが、だいぶたってから、ある本に秘密が書いてあった。このカットを撮影する ためにどうやらロケットを打ち上げたらしいのだ。 乱獲に乱獲を重ねられていたチョウザメから取り出されたキャビアは、スターリン時代の末期には、軍で靴クリームの 代用に使われていた。今は禁猟のはずの黒海のキャビアだが、実はマフィアが乱獲しまくっているため、お店に行くと 普通に買えるという。また、ポーランド産のキャビアも結構美味しいし、これは安い。ロシアの黒海のキャビアは缶詰 なので、匂いがきついのだ。ちなみに、ロシアで普通に売っているキャビアを買うと、鮭の卵。レッドキャビアという。
【戦争奇譚】 第一次大戦勃発時、同盟国であるフランスから東部戦線形成を急かされたロシア政府は,戦時動員を遅滞させる原因 の一つであるウォッカを禁じた(戦争が終わるまでは禁酒という命令を発した)。しかしウォッカはロシア政府の専売で あったため、売り上げはゼロになり政府の収入は激減し、官僚をして「戦争に際して国庫の増収を図るのが当然なのに 自ら収入の道を閉ざすのは前代未聞である」と嘆かせた。当たり前の事だがこの禁酒令は守られず、ウォッカは闇で 流通した。ひょっとしてロシア革命の原因はウォッカ禁令だったのかもしれない。 実は、ソビエトの共産党を作るために資金などを援助したのは、日本だったりする。明石元二郎大佐。
【戦争奇譚】 「赤の広場」に、「共産主義の広場」というような意味がついたのは革命後のことだった。元々ロシア語において「赤」は 正義、「白」は悪というような意味があったため、「正義の広場」→「赤の広場」という程度の意味でしかなかったのだ。 その後、革命軍が「正義の軍」という意味で「赤軍」と称したため、「赤」が共産主義そのものを意味するようになった。 寒い露西亜では、氷や雪を連想させる「白」が悪、暖かい炎を連想させる「赤」が正義を表す。ちなみに、白系ロシア人 というのは、革命時に「赤」でなかった人たちに対する蔑称でもあった。 日露戦争前、ロシアは日本侵攻のプランを作っていた。それは舞鶴や名古屋、和歌山など等複数の場所に何派にも 分かれて上陸し、大体、舞鶴〜京都〜大阪間を制圧後、日本軍を東西に分断、各個撃破するという、なかなか手の 込んだものだった。ただし基本的にそれほど輸送船が無い国だったから計画どうり実行する可能性は無かった。 もしも日本に侵攻するとしたなら現実的に考えると、船舶数からして舞鶴だけだろう、と予想した明治政府は、舞鶴に のみ要塞を作った。 終戦後の満州や朝鮮におけるソ連兵の婦女暴行の阿鼻叫喚図は悲惨極まりなかったが、急いでソ連軍憲兵隊に通報 すれば取り締まってもらえたという。ソ連憲兵隊の軍紀風紀の取り締まりは日本軍のそれより凄まじく、通報で急行した 憲兵隊は暴行を行ったソ連兵の集団を自動小銃で掃射、死体をトラックに積み込んでどこかに持って行ったとか。 ソ連軍でも中央アジアの民族の兵隊であれば、政治将校の使うロシア語は通じないため、軍規違反を問いただしても 理解できない。そうである以上、問答無用で射殺してケリをつける、という理由もあったらしい。
【戦争奇譚】 米国の衛星がソビエトの艦隊基地を撮影していた。するとその写真には、かなりの規模の艦隊が港に停泊している。 しばらくして嵐が突然発生し、そのソビエトの艦隊基地を直撃。米国の衛星がその直後を撮影したところ、沈み傾く 船の数々が写っていました。それらは全てハリボテだった。 ソ連崩壊の直前の樺太での話。南端の北海道が見える海岸が近づくにつれて、道の脇とか林の中に戦車、大砲が ずらりと並んでいた。ところがこれがみんなダミー、戦車は、コンクリートで作って電信柱を主砲にしてあった。大砲 は電信柱とか、廃材を組み合わせそれらしく作ってある。案内の通訳(KBGの監視役)「日本軍が攻めてこないように 脅かしのダミーです」と答えた。もうソ連が崩壊間じかで規律も緩んでいたころ、通常ならば外国人が立ち入り禁止 のような場所にKGB自ら案内して、このように本音をもらしているのも異常だが。それよりもソ連は日本が攻めて来る と本気で思い込んでいたのは不思議だ。逆に日本ではソ連が攻めてくると思われていたにも関わらず。 なおロシア人は、モンゴルやナポレオン、ヒトラーによる進攻がトラウマになっていて、侵略に対して異常な警戒感、 恐怖心を抱いているという。歴史的に有名な「タタールのくびき」と言うものがあり、ロシア正史をひもとけば9世紀 あたりから外敵の侵入と略奪を受けつづけてきたことが記されている。1000年もの間、侵攻と略奪を食らえば行動 原理が外敵から侵略される「恐怖」になるのも分かる。 大韓航空ボーイング707がソ連領空を侵犯、最終的には、強制着陸させられた時の話。防空識別圏からみるみる うちに領空に入る。本土上空に差し掛かる707を、レーダーで追尾していたムルマンスク防空司令部が、迎撃戦闘 機がいつまでたってもレーダーに映らないのにやきもきし、基地に無線で問い合わせた。すると、「操縦士酩酊の ため、いまだ発進できず」。
【戦争奇譚】 ソ連時代の話、ある分隊で喫煙しながら車両に給油していると、お約束通り引火して、車両を失った。正直に報告 したくないので、ゲリラと戦闘した結果と虚偽の報告。当然ながら上官にはバレバレだが、その上官も昔似たような 事件を起こして車両を損失していた。ついでに自分の分も併せて報告しておくとばかり、戦果と損害が誇張して 上に報告。ところが、報告を受けた中隊長も若い頃に事故で車両を失っていた。この際だからと大隊に報告すれば、 さらに大隊長は別の中隊の不始末を併せて報告する有様。 こうして帳尻を合わせる報告書は、異例と呼べる早さで決済され、雪ダルマ式に戦果と損害が誇張され続け、より 上層部に報告された。最終的に最初の分隊は、自転車から戦車は勿論の事、戦闘ヘリや爆撃機は言うに及ばず、 何故か貨物列車まで駆使して、師団規模のゲリラを掃討したことになってしまった。当然、人的損害は全く無し。 書類上は人類最強と言っても過言では無い赫々たる戦果により、彼らがめでたく勲章を授かったまでは良かったが、 そう良い事は続かない。その分隊は全員が異動され、最後は行方不明になったそうだ。 「1台のTV以外に基地に娯楽はなかった。兵も下士官も、ラジオ、レコード、読書、寝棚に横になって昼寝、すべて 禁止されていた。もちろんアルコールも。しかしアルコールだけは皆、無制限にじつは飲んだ。燃料補給しないで 最大70分滞空するのに、ミグ25は14トンのジェット燃料と制動機と電子機器用に1.5トンのアルコールが必要。 だからミグ25の基地には、どこでも大量のアルコールが保存されていた。ミグ25は<空とぶレストラン>と称され ていた」(ペレンコ談話)。もちろん工業用アルコールやトラックの不凍液をのめば、死んだり盲目になったりという 記録が山ほど残されている。
【戦争奇譚】 第二次世界大戦で、レーダーの開発が遅れた日本軍が苦戦を強いられたのは周知の通り。ある意味、第二次世界 大戦は科学力の戦争だったといえる。しかし世の中とは広いもので、戦争が終わってしまってから初めて、この世に 「レーダー」というものがあると知った国がある。戦勝国のソビエト連邦である。 T-34戦車の話。とあるロシアのトラクター工場が終に閉鎖することとなったが、ソ連邦時代から数十年間オブジェと して入り口に飾られていたT-34をどうやって移動させるか問題になった。戦車一台を吊り上げれるクレーンを借りて くる金などどこにもないし、わざわざ分解していたら工場跡地の引渡し期限に間に合わない。さてどうしたものか… で、だめもとでガソリンとオイルを入れ、新しいバッテリーを繋げてエンジンを始動したら、エンジンがかかった。 結局、何の問題も無くスクラップ屋まで自走した。 IL-2シュトルモビックはコクピットを始め要所に装甲が施されており、空飛ぶトーチカと呼ばれたが、当初生産された 単座型は特に後上方からの攻撃に弱く、その為12.7mm機銃を備えた後部座席を設けた。この後部座席はなぜか 装甲されておらず、ソ連空軍懲罰隊隊員の唯一の行き先だった。また後部機銃員には女性搭乗員が配置される ことも多かった。
【戦争奇譚 〜イニジエフ〜】 @ 「我、死す。されど、屈せず。さらば、祖国よ。」 1941年6月22日、独ソ開戦から1ヶ月で、ワルシャワとモスクワの中間都市ミンスクは、ヒトラーの電撃作戦で陥落。 イジニエフ・アリスコビッチは、前述した遺書をしたためこのときの戦闘に参加した。だが皮肉なことに遺書をしたためた 彼だけが生き残る。1945年ドイツ降伏まで、捕虜として過酷な収容所生活を送り、やっと彼は祖国に帰国した。 しかし「ソビエトも負けたところがある」ことを認めたくなかったスターリンは、イジニエフに「対ドイツ協力罪」をでっち上げ 「裏切り者」としてシベリア送りにしてしまった。 やがて時は流れ、スターリンは失脚。後に立ったフルチショフによるスターリン批判により「ナチス・ドイツに対して勇敢 に戦った者達」として、ミンスクとブレスト要塞が「英雄都市」として、祭り上げられる。と、同時にイジニエフは「ソビエト 最大の裏切り者」から、一日にして「ソビエト最大の英雄」に成る。手の平を返したようにソビエトはイジニエフを賞賛し、 数多くの勲章を送る。そんなイジニエフだったが、英雄に成ったからといって驕るでもなく、シベリア送りに成っていた からといって、いじけるでもなく、「私は単なる共産主義者。単なる労働者に過ぎない」と言って、数多くの「英雄」として の名誉職をすべて断り、一人の労働者として、鉄道整備をしながら人生を過ごした。
A そして晩年を迎えようとする彼の人生に一つの事件が起きる。チェルノブイリ原子力発電所の事故である。 「私がいなかったら、誰が列車を動かすんだ?」ただ、それだけを言うと、次々と逃げ出した同僚を尻目に避難者で満員 の列車を一人で動かしつづけた。汚染地域の上を何往復も。 やがて、すべてが終わった時、イジニエフは血を吐いた。放射能症である。医者すらも、「イジニエフを治療すると自分 が危ない」として、治療を断ってしまった。チェルノブイリ原子力発電所の事故は、崩壊しつつあったソビエトという国家 そのものを象徴していたとも言える。「一人の労働者」として稼いだイジニエフの持つ「ルーブル」は、インフレのせいで、 一夜にして「紙くず」と変り、貰った数多くの勲章は、何の価値も無い「がらくた」なっていた。 そして、イジニエフは死にかけていた。そんなイジニエフが、同じく死にかけていたソビエトに対して、遺した言葉がある。 「我、死す。されど、屈せず。さらば、祖国よ。」 こうして、イジニエフは死んだ。
【戦争奇譚 〜西側最強の兵器?西ドイツのセスナ機パイロット、マチアス・ルスト〜】 「赤の広場が禁煙になったんだと」「どうしてだ?」「この前、空港になったからさ」 1987年、ドイツ人青年が小型機で赤の広場に着陸するという事件が起こった。そのことを皮肉ったアネクドート。単なる 好奇心でやったドイツ人青年も大したものだが、着陸を許したソ連空軍にとっては大失態だった。彼こと西ドイツ青年、 マチアス・ルストは密かに西側最強の兵器と呼ばれた。彼の「赤の広場」への着地を許してしまった結果、たちどころに 国防相以下、防空軍の相当数の将官のクビが飛んだからだ。 彼こと西側最強の兵器、マチアス・ルストはその後ソビエトで逮捕されて懲役を喰らったが、そのソ連でお勤めを終え、 西ドイツに帰国した事は結構知られている。しかし、帰国直後に婦女暴行をやらかして再び刑務所行きになった事は あまり伝わっていない。なお、以下が彼の経歴だ。 Rust,Mathias 1987(昭和62)年5月28日 ランス・セスナ172P機でヘルシンキを離陸。モスクワ「赤の広場」に強行着陸。 当時、19歳。9月4日 自由剥奪4年の実刑判決を受ける。 1988(昭和63)年8月3日 釈放 国外退去処分。 1992(平成4)年 看護師(女性)を刺し、殺人未遂罪で逮捕。懲役2年6ヶ月。 刑期を終えた彼は出所し、世界放浪の旅に出る。インドに赴いた際、そこで出合った裕福な紅茶商人の娘と結婚した。 その際、ヒンズー教に改宗した、と伝えられる。
【戦争奇譚】 ある国際軍縮フォーラムでの話。アメリカ側の軍事評論家がこう質問した。「ここに、ロシアのxx工場から出荷した 核弾頭の出荷伝票の写しがあります。そしてここに、それを受け取った極東軍管区oo基地の、納品確認伝票の 写しがあります。出荷された核弾頭の数は36、納品伝票の数は32、これだけで実に4個の核弾頭が、跡形もなく 消えております!」 それを聞いたロシア側の研究者は、落ち着き払った声で答えた。「ご心配には及びません。アメリカや日本の方 にはわかりにくいかも知れませんが、社会主義計画経済の現実を知る者にとっては、ごく当り前のことなんです。 ノルマを達成できないと、減給、左遷ですが、超過達成すると、ボーナス、昇給といいことづくめ。ソ連が崩壊して からも、その慣性はまだ続いております。だから、当然の成り行きとして、冷蔵庫もクルマもテレビも生産工場は どこも出荷数量を水増しするんですよ。核弾頭だって、同じことです」 ロシア大使館(旧ソ連大使館)が現在の場所に建設されたのは、都内でヤキトリの屋台が最も密集している場所 だったから。仕事が終わるとソ連大使官員たちはヤキトリをつまみながら焼酎を飲んだ。
【戦争奇譚】 2002年に衛星の観測によってシベリアに隕石が落ちたようだとロシアに報告が行った。ロシアは調査を開始し、9ヵ月後 に山手線の内側ぐらいが禿山になっているのを発見した。ただ、その地域には誰もいなかったので被害はゼロ。さすが ロシア。9ヶ月も調査しないと隕石落下地点も分からないというのもまた凄い。 冷戦時代、ペンタゴンが年1回発行していた「ソビエト・ミリタリー・パワー」に、ある年、”ソ連のニッアニー・タジル戦車 工場はこんなに大きいぞ!”と、ワシントン市街の地図と重ね合わせ、「キャピタル・ビルからリンカーン・メモリアルまで がすっぽりと入る」、巨大な軍需工場であることを強調した。 すると翌年、ソ連政府が「ソビエト・ミリタリー・パワー」に対抗して発刊していた、「平和への脅威はどこから来るか」なる 年次報告書では、その地図を完全に複写した上で、デトロイト工業団地の地図を重ね合わせ、”アメリカの戦車工場 だってこんなに大きいぞ!”と、反論。 冷戦時代はお互いに「お前の方が強い、俺らは弱い」と言い合って互いに恐怖を煽り敵意を募らせていた米ソ。「恐怖 のバランス」を皮肉って「弱さのバランス」と揶揄した政治学者もいたそうだ。 アメリカ軍が漫画を教範に取り入れた「PSマガジン」を発行、M16を始めとした兵器の扱いをわかりやすく教育した時 に、「アメリカ兵は漫画に頼らないと兵器ひとつ扱えない」と、冷笑したのはソ連だった。だが、若い共産党員があまりに 歴史を理解していないことが問題になった際、ソ連共産党の取った対策は「ロシア革命史」をコミック化することだった。 この「ロシア革命史」、英訳版も出版されたが、漫画というよりは絵入り物語で、漫画としてはPSマガジンより読みにくい シロモノ。
【戦争奇譚】 Tu-22Mバックファイア爆撃機は、超音速爆撃機でありながら尾部に銃座を持つという珍しい機体だが、全速飛行中 (マッハ2弱)に発射された弾丸は、ほとんど後ろに飛ばないで真下に落ちるというウソのような本当の話。 搭載された23mm機関砲の初速が約700m/s、一方全速で飛ぶ機体は650m/s程度を発揮しているので、合計すると 後ろに向かった弾丸は50m/sという玩具の鉄砲のような鈍足である。 ただしバックファイアを同じくマッハ2で追尾する戦闘機から見た場合、弾丸の相対速度は発射速度に等しい700m/s であり、また空気抵抗をほとんど受けずに弾速が落ちる事も無いので無意味な武装では無い。 もしマッハ3級の爆撃機に尾部銃座を設置し、これを真後ろからに向かって撃った場合には、追尾する戦闘機のパイ ロットからは弾丸は発射後徐々に速度を上げて向かって来るように見える。 ただし地上から見上げた場合、発射直後の弾丸は後ろではなく前に進んでいる。
【戦争奇譚】 ソ連のバイコヌール宇宙基地はバイコヌールにはない。チュラタムという街が一番近いので、本来ならばチュラタム 宇宙基地と称するべきなのだが、秘匿のために500kmも離れたバイコヌールの名をつけたのだった。だがアメリカ はそのことを先刻ご承知で、はじめからその基地を「チュラタム発射場」と呼んでた。 第二次世界大戦終戦直後、ソ連の軍事関係者の間では原爆はたいしたことのない兵器である、という認識で一致 していた。その根拠は、都市部で使用しているにもかかわらず、二都市で「20万人しか」死んでいないから、という ものであった。戦争中2000万人失ってる国だからある意味当然の感覚なのだろう。土木工事に核爆弾を使用する などの無茶ぶりは、おそらくその辺りのセンスの延長上にあるのだろう。状況が違えどレニングラードやスターリン グラード考えたらソ連の感覚ではドレスデン爆撃や東京大空襲もソ連から見れば「些細な損害」でしかない。 バルチック艦隊の原子力艦に親善訪問した米軍の将軍がいたのだが、その後の調査で実はただならぬ放射線に 被爆していた事が分かった。「バルチック艦隊の乗務員は暗闇でも見えるんだぜ」というシャレにならないジョーク もあったソ連の艦艇。 旧ソ連空軍での話。当初、パイロットには生存装備の一環として、拳銃と実弾が支給され、管理は各自に任されて いた。だがある時、パイロットが勤務を終えて帰宅したところ、妻と間男の「最中」を発見、まとめて射殺するという 事件が発生してしまい、拳銃はまとめて基地で保管、フライトの時にだけ貸し出すようになった。
【戦争奇譚】 ロシア語には「酔っぱらう」という意味の動詞が70個もある。(中央公論「世界の歴史 17 ヨーロッパ近世の開花」より) 安価な蒸留酒が伝わると半世紀〜一世紀ばかりその国がアル中になり、冷え込むと酔いの回りが悪くなる。おっつけ 強い酒が出回るようになる悪循環に陥る。その結果、寒い所の人はよく呑む。 たとえばモンゴルでの冬場の気温はマイナス40℃以下となるため、酔って路上で寝ると凍死する。そのため首都の ウランバートルでは警察が定期的にパトロールしている。だが、毎年かなりの人が飲み過ぎてそのまま路上で寝て しまい、凍死している。 吉村昭「私の引き出し」に、文化四年にロシア軍艦が千島や利尻礼文等に来たときのエピソードがあった。略奪物資 の中に日本酒があったので、水兵たちが樽からすくってがぶがぶ飲んだ。だが甘くて薄いからか、彼らはがぶ飲み した挙げ句、皆ひっくり返ってしまったとか。「翌日は一人残らず二日酔いで青ざめた顔をし、『日本の酒は恐ろしい』 と口々に言っていたという」(拉致された島人の記録による) T-62に搭載された消火装置に使われた臭化エチレンガスは毒性が強く、消火装置作動後に乗員は直ちに脱出しな ければならない。つまり、火炎瓶などを火災センサーに認識させれば、実質戦車を撃破することが可能になる。
【戦争奇譚】 ドイツの武装親衛隊は最激戦地へ配備されることが多いが、ある中隊を再編成のために引き上げさせたとき、わずか 2名しか残っていなかった。(1942初頭 東部戦線) 第三帝国時代、ドイツ軍では軍用犬・軍馬にアドルフ、と名付けるのが禁止された。 どうやら第二次世界大戦で、西部戦線にいたドイツ軍の死亡者数は、終戦前戦死した者の数より終戦後捕虜収容所 で死んだ数の方がずっと多かった。特に米軍の収容所が非道くて、泥沼のようになった牧場に露天のまま放り出して 置いたそうな。物資が欠乏し、かつての占領軍に敵意を持たないでもなかったフランスが次にひどく、意外なことに イギリスが一番ましだったとか。 フランスでは、早めの帰国を餌に捕虜たちに地雷処理をさせていた。西部戦線の主戦場だったフランスにはドイツが 敷設した1000万個の地雷が残されていた。これを処理するため連合軍は、ドイツ兵捕虜を用い地雷探査に当らせた のだ。だが工兵だったのならまだしも、他兵科の素人に地雷処理をさせて結構爆死させてるという。証言によると、 その地雷処理に携わった捕虜たちは「元工兵なんて10人にひとりも居なかった」という。 そのやり方だが、捕虜をはいずらせ木のくいを地面に突き刺す方法で地雷を探させる。運悪く信管に当たれば爆発。 処理済の地域でも爆発が相次いだため、確認のため捕虜に横隊を組ませ行進させる。当然、運の悪い者は爆死。 それを1年ほどやり、ドイツ兵捕虜の死者数は実に50,000名にも及んだという。
【戦争奇譚 〜ドイツ的な真面目さ〜】 ドイツで戦争中、パンが配給制になったときのこと。「パンの小麦の量が少ないのではないか?」と疑った統計学者は 毎日配給されるパンの重さを量り、グラフを作ってパン屋に問うた。「パンの重さは規定では180gになっているはず なのに、あなたのパンはそれよりも軽い。これはどういうことなのか?」パン屋は「いや、そんなことを言っても、パン なんて重いのもあれば軽いのもありますよ」と言い逃れをしたが、統計学者はグラフを示してさらに問い詰めた。 「このグラフを見たまえ。あなたが平均して180gのパンを作ろうとしているのならば、このグラフの分布曲線の山は180g に来るはずだ。ところが実際のグラフでは160gが分布の山になっている。あなたの店は軽いパンを作ってごまかしを している。以後、善処したまえ」 次の日から、統計学者のところに届けられるパンの重さは重くなった。しかし統計学者が引き続き重さを計りつづけた ところ、パンの重さは「全て」180g以上であることがわかった。分布曲線は以前のものの180g以上の部分と一致する。 このことから、パン屋が統計学者のところにだけ、180g以上の重さのパンを届けていることがわかった。 かくしてパン屋は物資隠匿の罪で逮捕されたそうな。めでたしめでたし。 ――このエピソードからわかること。 ・統計学はすごい。 ・ドイツ人は細かい。 ・数学者はあまり性格が良くない。
【戦争奇譚 〜録音音楽〜】 ドイツの録音技術というのは昔から非常に優れていた。第二次世界大戦の末期のこと、ドイツのラジオ放送局が録音 のオーケストラ演奏を流していたが、連合軍側の兵士たちには、それが録音のものとは到底思えなかったという。 「全土を焼け野原にされるほどの空襲に晒されても、平然と生でオーケストラ演奏をやっている余裕がある」と、連合軍 側兵士たちは誤解し、ドイツに脅威を覚えていたそうだ。 実用に耐えるテープレコーダーを開発したのが1930年代のドイツ。交流バイアス方式によるプラスチック磁気テープ 録音は1941年までに実用化していた。フルトヴェングラー指揮のベルリン・フィルの演奏をテープ録音し、対敵放送に 有効活用したのは有名。何とステレオ録音までやっていた。余談ながら、戦後このベルリン・フィルの録音テープを ソ連が接収し、これを音源とした海賊版レコードを売りまくってあこぎに稼いだのも有名な話。
【戦争奇譚】 有名なヒンデンブルグ号の爆発は水素ガスが燃えたのではなくて、外部の塗料が燃えた。映像でも、当時の証言から も、炎上しながら船体が上昇しているのが分かるが、もし仮に水素が燃えたのであれば機体は急激に浮力を失って 落下しないとおかしいのだ。(分からなければレッド・ツェッペリンのファーストアルバムのジャケット写真を参照) ドイツの記録書によると船体(気球部分)の塗料が火薬と同じ成分を大量に含んでいたことがわかった。さらに驚くべき は、事故当時ドイツではそのことがわかっていたのに公表していなかった。 ちなみにこの気球部分の塗料の成分は、酸化鉄とアルミ粉。雨風を防ぐために塗られたこの塗料の成分は、そのまま テルミット弾の成分と同じ。さぞかしよく燃えたことだろう。一方で、爆発そのものの原因は、雷か静電気であろうという 見方が一般論だが、現在も結論は出ていない。 オリンピックの聖火リレーは、ナチスがベルリン・オリンピックで最初に行った。また平和の象徴の鳩を飛ばすことも、 このベルリン・オリンピックから始まった。さらに世界初のテレビ放送をおこなったのもベルリン・オリンピックでのこと。 国威高揚のためのオリンピックという概念を最初に見出したのもドイツ。ちなみにそのヒントはその2年前に行われた サッカー・イタリアワールドカップである。だが現在のドイツの歴史の教科書では、オリンピックで聖火リレーが始まった のは1960年のローマオリンピックから、と記されている。 なおドイツは、「オリンピックの聖火リレーが通るから」という理由でアルデンヌの森の正確な地図を作成した。
【戦争奇譚】 フリーメーソン第一回世界大会で出席者のひとりが冗談で「セルビア皇太子を死刑にする」(※注:セルビアではフリー メーソンが禁止されていた)を宣告し、全会一致で(冗談で)可決された。後にゲシュタポはこの件でメーンソリーを弾圧 した。結果、フリーメーソンではその後、冗談でも政治の話をするのは禁止された。 第二次大戦中、ドイツは開戦によってアメリカからコーラの原液の輸入ができなくなり、ファンタを健康飲料として開発 した。これは無果汁、ビタミンC、カフェイン入りで、ドイツ軍に粉末ジュースとして納入された。 ナチスドイツ政権時、エビの調理法についての法令が制定された。その要旨は「エビを水の状態から茹でるのは、エビ の苦痛が長く続く、残酷な調理法であり違法である。まず水を沸騰させてからエビを茹でる事で苦痛を与える時間を一 瞬で済ますのが人道上良い」とのこと。なお現代の話だが、オーストラリアでは、日本料理店が摘発されたことがある。 活けの海老を焼いたためだ。 第二次大戦中ドイツ兵に配布された本のなかでもっとも人気を博したのはレクルム文庫版の「シャーロック・ホームズ の冒険」である。ただしホームズはドイツ人で舞台はベルリンに差し替えられていた。 第三帝国時代、ノーベル賞受賞者の3人に2人はドイツ人だった。
【戦争奇譚】 ヒトラーは1938年5月末、三軍に対して軍備の拡張を指示し、更に10月を目処にチェコスロヴァキアへの武力行使の 準備と西部に於ける防壁の建設を指令した。これに基づき、ゲーリングは、陸軍の幹部との会合で、1万の地下壕と 対空監視塔を建設し、モーゼルとラインの間の防衛を強化する総統命令を出す。 しかし、これらの措置は予算措置を伴わないものであり、ゲーリングはウーデットに対し、ライヒに存在する労働力の 優先使用、工作機械、ベアリングの輸出の制限、38年度予算以上の債務負担、39年度の債務負担の先取り、原料 確保の為の輸出と民需の制限を指示し、6月14日に行なった陸軍の幹部との会合で次のように言った。 「現在の状況では、金のことは大して問題ではない。困難なことが起こったら、各軍は元帥(ゲーリングのこと)まで 申し出られたい。元帥が助ける、大蔵省には責任を取らせない。必要な措置は直ちに講じられるだろう。経済の運命 は国防軍には関係ない。これについては元帥が責任を取る。経済の幾つかの部門が崩壊しようとも全く問題では ない。そうなれば方法はある。ライヒ政府が介入してこれを助けるだろう」 こうして、1938年秋、ドイツの金・外貨準備は枯渇し、ライヒスバンクは占領下に置いた国の国庫から、金・外貨・外国 証券を売却し、外貨をかき集めたが、輸入審査機関が発行した外貨証明書は、輸入については、その支払いの時点 で外貨が存在する保証が無い状態だったりする。
【戦争奇譚 〜戦艦大和〜】 大和型戦艦は戦艦としてみれば世界でも最高峰だった。46p主砲、対46p防御、それだけの巨大な艦載砲にも 関わらずコンパクトな船体、28ノットの高速性、追従性は低いが意外なコンパクトの旋回半径。だが残念ながら 時代は大和型戦艦を見捨てた。大和級戦艦はその建造する過程で、日本の近代大型造船の基礎となる様々な 技術蓄積が行われた。また大和級戦艦は戦艦じゃなくて、 今で言うアメリカ海軍第七艦隊旗艦「ブルーリッジ」 のような戦域管制艦だった。また大和級戦艦=超大型防弾装甲つき移動参謀本部(洋上リムジン)とも呼ばれて いた。その呼称は戦歴を見ればわかる。1942年2月12日、連合艦隊旗艦となる/同5月29日、ミッドウェー作戦に より柱島泊地を出航したが、主隊として後方にいたため海戦の戦闘には参加しなかった/同6月14日柱島に帰投。 以後も、トラック島での長期間の停泊を含めて実戦に不参加だった状況を指して「ヤマトホテル」と揶揄されもした。 旧大蔵省が断じた昭和の三馬鹿事業って知っているかな?そのうちの一つが大和型戦艦の建造だ。莫大な金を 費やしながら、何の戦果もあげることなく沈んだ。大蔵省も、大和型戦艦の建造は馬鹿だったと認めている。 いま平成の三馬鹿事業に数得られると囁かれている事業は、しまなみ街道と関西国際空港とそしてMD構想だ。 莫大な税金を費やしながら、何の意味もなく終わるのではないかとね。まったくどうにもならない。
【戦争奇譚】 昔の狙撃者は、夜、タバコを吸って休憩する敵の兵士がいると、一人目のタバコの火で敵に気づき、二人目で 狙いを定め、三人目で射殺してたとか。だから、戦時中夜の喫煙は禁止されてたし、欧米では「同じタバコの 火を3人でまわすと3人目の奴は近いうち死ぬ」って迷信がある。 集団で戦闘するのが兵隊。それゆえ個々の技量を戦力として数える狙撃兵は異質だ。だが狙撃兵は嫌われる。 敵だけじゃなく味方にも厄介者あつかいされる。ある程度の単独行動も許されてるから、他の兵士からすると 「好き勝手でよくわからない奴」になる。ある戦闘で、支援のために狙撃兵がポジションに着いてたら、「出てけ よ!」って味方の歩兵に蹴飛ばされる話があって、その理由が@自分達は身を晒してるのに狙撃兵は隠れて 撃つ卑怯者。A敵が相手側に狙撃兵が居るのを察知すると怒り狂って激しく攻撃してくる。その矛先は狙撃兵 ではなくて身を晒してる自分達歩兵。だからだという。
【戦争奇譚 〜それでも戦地でサウナを楽しむ赤裸々なお話〜】 ある本に、戦地でのサウナの様子が、赤裸々に書かれているので、ご紹介しましょう。とある部隊が東部カレリア地方 にいたとき、兵士たちはサウナの中で、自分たちが戦地にいることさえ忘れてしまいました。敵は近くにはいないと考え、 兵士たちはサウナのロウリュ(陰イオンを含んだ熱気)を心ゆくまで楽しんだのです。 その間に前線の位置は移動し、見張り役の兵士たちは退却してしまいました。その結果、サウナの中に取り残された 兵士だけが、突如として敵の領域に入ってしまいました。兵士たちが涼を求めてサウナから外に出ると、前線は既に 破られ兵士たちはロシヤ(旧ソビエト)軍の後方にいたのです。兵士たちは総勢40人位で、兵器はおろか服もない 全くの裸で、残されてしまったのです。付近では、敵の戦車のキャタピラの音が聞こえ、とても緊張した場面であった そうです。 状況を把握した兵士たちは再びサウナに戻り、ロウりュ(熱気)浴び、小さな集団としての士気を高め、そして、静かな 森の中に隠れたのです。その後、夜のうちに前線を突破し、2日の間ピートの沼地と藪の中を潜り抜け、全員無事で 味方の陣地まで戻ってきたそうです。裸で、身体中傷だらけになった兵士たちが、味方の陣地でまず最初にサウナに 入ったことは言うまでもありません。そしてそれは「最高の入浴であった」そうです。 ※冬戦争(1939年〜1940年 フィンランドとソ連の戦争)での出来事
195 :
名無し物書き@推敲中? :2009/04/13(月) 19:25:45
ヘイドレクと権田は深夜のコンビニ前でウンコ座りをしていた。 煙草をくゆらし、時々は駐車場のコンクリート面に置いた缶ジュースをちびりと飲む。 金はないがヒマを腐るほど持て余した二人である。煙草と缶ジュースだけでいつまでも 楽しむ術を身につけている。 ヘイドレクは言った。「なんでこんなふうになっちゃったんでしょうね」 「知らん。知ろうとも思わん」権田は顔の筋肉を弛緩させまくったアンニュイな表情で答 えた。「知ったところで作中人物たる俺たちにはどうすることもできない。なすがまま。 なされるがままだ。なんの余地もない」 「まぁ、たしかにそうなのでしょうがこれじゃあ我々があまりにも悲惨に過ぎないでしょ うか」ジュース缶を握り潰し、ヘイドレクは電信柱めがけ投げ付けた。 投げ付けられた空き缶は電信柱をそれて横のブロック壁に跳ね返りヘイドレクの額を直 撃した。 「悲惨過ぎますよ」号泣した。 「泣くな、ヘイドレク!」その涙が過去を思い出してのものなのか、はたまたジュース缶 が直撃したことによる直接的な痛みのものなのかの判断に迷いながら権田はヘイドレクの 肩を抱き寄せた。「泣いたってなにも始まらん。変わらん」
196 :
名無し物書き@推敲中? :2009/04/13(月) 19:31:23
「だって、これじゃあ、あまりにも」もはや額からの出血は半端なく、駐車場の小さなく ぼみに真っ赤な溜まりを作っている。 「ほら、ヘイドレク。今日も星があんなに綺麗じゃないか」わずか数行のやりとりではや くも面倒くさくなった権田は夜空を指差す。「明日にはきっといいことがある」 なんの根拠もなくそう断言した自分がおかしく、また、額から出血して号泣するヘイド レクを見てもおかしく、何もかもがおかしくなった(つまりはツボにはまって笑いの発作 が押さえ切れなくなった)権田は肩を震わせながら笑う。声には出さなかった。つまりは 笑みを浮かべたのである 本当は爆笑したかったのだが、その時コンビニからヤンキー兄ちゃんたちが連立って現 れたから自粛したのだ。ヤンキー兄ちゃんたちを馬鹿にして笑ったと勘違いされたら、た まらない。 権田はヘイドレクの腕を自らの肩にまわし、立ち上がらせた。 「さあ、行こう」耳元 に囁きかけた。「我々の未来は輝かしいことを信じて。善意ある誰かの創造に委ねて!」 二人の姿は夜のネオン街へと、消えていった。
【戦争奇譚 〜第二次世界大戦の本当に理由〜】 ドイツに赴任した帝国陸軍の若手は、殆ど全員が金髪美女との偶然にして運命的な出会いを体験し、その後猛烈な ドイツびいきになって帰国する。逆に米英に行っ士官は、最低の人種差別と国力の違いを思い知らされて帰ってくる。 日本が、三国同盟に参加し、「鬼畜米英」と叫んで第二次世界大戦を戦った、本当の理由だ。
198 :
名無し物書き@推敲中? :2009/04/21(火) 21:04:37
そしてヘイドレクはK-1のリングに立っていた。 無理ヤリ立たされたのである。権田に。 対戦相手はアニメの女性キャラの格好だ。 「なんだ。おカマか」ヘイドレクはほっと胸を撫でおろした。 試合開始のゴングと共に、ヘイドレクの地獄が始まる。
尾崎豊は悪の宇宙人ホモホモマッチョ星人との戦いで命を落としたのだ。 以下がそのあらましである。地球を救うために戦った尾崎豊を、我々はもっと称えるべきだ。 地球侵略と地球文明の破滅を狙うホモホモマッチョ星人の悪の陰謀に気づいた尾崎豊は、 地球を救うためにホモホモマッチョ星人の基地のある足立区の千住河原に向かったんだよ。 もちろん見城と須藤は猛烈に反対した。 それは尾崎豊という格好の金蔓を失うかもしれなかたからだ。 それと見城は自分以上にホモホモでマッチョなホモホモマッチョ星人たちの魅力をなぜか知っていたんだ。 だから真性マゾマゾにしてアナル有頂天な尾崎が、 ホモホモマッチョ星人たちに取り込まれてしまうのではないかと恐れたんだ。 だけど尾崎は、そんな見城や精神的ホモホモな須藤の制止を振り切った。 そしてうろたえる見城と須藤に向かって、勃起チンチンをビンビンさせながらこう言い放ったんだ。 「見城さん、須藤さん!僕は地球の可愛いボウヤたちのためにも、ホモホモマッチョ星人の悪の陰謀を潰します。 彼らの穢れない肛門を守るためなら、この命を投げ出すことも惜しくはありません!」 さて、恐怖を紛らわすために浴びるほど酒を飲んだ尾崎は、遂に足立区の千住河原の大地に降り立った。 春風が路地を吹き抜け、尾崎の美しい面貌を月明かりが照らした。 目の前には、後に「尾崎ハウス」と呼ばれることになる、悪いホモホモマッチョ星人たちのアジトだ。 尾崎は戦いに臨むため、バトルコスチュームである全裸状態になって、そのアジトに向かって駆け出したのだ。 「うおおおおーっ!」 そう叫ぶ尾崎の目は、まだ見ぬ快楽と法悦への期待で血走っていた。
たった一つの頼れる武器、それは尾崎豊の股間で揺らぐ灼熱の肉棒。 見城には「このけしからんチンチン」といわれて何度もフェラでヌかれたピンク色に輝くおチンチンだ。 奥様には「元気でたまらないわ、ウフッ!」とディープスロートバキュームフェラで精を搾り取られたあのチンコだ。 尾崎はそのチンチンを握り締め、勇躍と夜の帳を駆け抜けて行った。 しかしそれは罠だったのだ。 そう叫んだ尾崎豊の美しい裸体を眺めながら、見城と須藤は何も言えなかった。 ただ見城と須藤はホモホモマッチョ星人と尾崎豊の凄まじいまでのバトルを想像しながら、 泣きながら自らのチンチンをシコシコするだけだったという。 尾崎の性癖を完全に見ぬいていたホモホモマッチョ星人は、南無妙法蓮華経を唱えながら待ち構えていたのだ。 無数のマッチョたちに取り囲まれてしまった尾崎は、そのまま亀甲縛りにされて吊るされ、激しい拷問を受ける。 「うぎゃあっ!」「ぐわあっ!」 次々と振り下ろされる薔薇鞭が、尾崎の美しい素肌を引き裂く。 傷口から流れる紅の血を、ビギニパンツ一丁のホモホモマッチョたちは美味しそうに舌で拭う。 しかし何故だろう、尾崎のペニスは尚も勢いを失わず、激しく勃起したまま痙攣を繰り返した。 先端からはカウパー氏腺液を滴らせ、今にも射精してしまいそうなほどに怒張してゆく。
「尾崎くん、そろそろだな」 そう呟いたホモホモマッチョ星人の総帥、キングマッチョメンが尾崎の前に立ちはだかった。 見城などとは比べ物にならないほどに発達した筋肉、そしてビギニパンツに収まらないほどに巨大なペニス。 その凄まじいまでのホモホモな威圧感に、尾崎は思わず生唾を飲み込んだ。 「これが俺の中に……俺のアナルの中で暴れるのかっ!」 来たる未知の快楽の凄まじさを想像し、尾崎は思わず唸った。 そんな尾崎豊を見下ろしたキンングマッチョメンは、配下のホモホモマッチョたちに言った。 「南無妙法蓮華経南無妙法蓮華経……おい、アレを用意するニダ!」 すると配下の一人が、皿に盛られた白い粉薬を取り出した。 それと同時に別の部下たちが、尾崎豊の肛門を思い切り押し広げる。 「な、なにをするんですか?」 思わぬ展開に尾崎豊は怯んだ。 もちろん何をされるのかなど、尾崎にはわかっていた。 しかしこうやってあえて抵抗してみせることで、相手の興奮が高まり、 なおかつ激しい愛撫を受けられることも本能的に悟ってもいた。 真性マゾのゲイボーイ、尾崎豊の面目躍如である。
そのまま事態は尾崎豊の予想通りにすすんだ。 キングマッチョメンはその図太い指で尾崎豊の肛門をなぞると、そのまま大量の覚醒剤を塗りこんだのだ。 その瞬間だった。 「ひ、ひぎいっ!」 アナルから脳天まで刺し貫くような凄まじい快感が尾崎豊を襲った。 亀甲縛りで吊るされたまま、尾崎豊は虚空でのた打ち回る。 溢れ出る快感、もはや止め処もなく流れる涙、尿、糞便……。 あまりの法悦に尾崎は何度も射精を繰り返し、萎れることなく再び勃起する。 こんな快感がこの世の存在したのか、そう尾崎は感激し、泣いた。 泣きながら尾崎は、キングマッチョメンの股間に起立する男根に視線を注いだ。 全長40センチちかく、尾崎豊の前腕ほどの太さのある巨大ペニス。 それが今から、尾崎のアナルの中で暴虐な振る舞いを繰り広げるのだ! ……それから2時間ほどの間に、尾崎はキングマッチョメンによってアナルを掘られた。 配下のホモホモマッチョ星人たちも、それぞれ己のデチ棒を握り締め、 尾崎の口の中や鼻の穴、顔面や背中や胸に次々とフィニッシュを決めてゆく。 穢れ、堕ちてゆく尾崎豊……だが、その快感の坩堝の中で尾崎は、遂に神を見出したのだ。 そう、神の寵愛、それは母の無限の愛だった。 「か、かあさん?」 キングマッチョメンが尾崎のアナルの中に500mlもの大量の精液を放った瞬間、尾崎は遂に有頂天に達した。
夢の中で漂う尾崎豊の魂……その尾崎に母は語りかける。 「もういいの?豊」 そう微笑んで母は尾崎豊に抱きついた。そのままゆっくりと股間のペニスをしゃぶり出す。 「だ、駄目だよ母さん!そんなことしちゃ駄目だ!」 尾崎は思わず暴れた。 近親相姦という禁忌が、母との無限の愛を穢してしまうと思った。 だが舌使い巧みなフェラに思わず反応し、僅か十秒ほどで射精してしまう尾崎。 「ほら、こんなに溜まっていたじゃない豊……無理しちゃって!」 違う、これは母じゃない!尾崎は直感で理解した。 母さんはこんなことはしない、というよりも僕はロリでゲイボーイのはず…… そう、こんな中年女では射精するわけがないのだ。 「お、お前は誰だ!」 尾崎は母さんの姿をしたそれを突き飛ばし、叫んだ。 「な、何をするの豊!私は貴方の母さんじゃないの!」 突き飛ばされ、地面に倒れ伏したそれは、涙ぐんだ目で尾崎を見上げる。 しかしもはやその瞳には騙されなかった。 ゲイボーイとして目覚めた尾崎豊に、もうそのような嘘は通用しない。 「母さんの姿をして僕を騙そうなんて、貴様、許せん!」 そう叫びながら尾崎は、母に向かって殴りかかった。
その瞬間だった。 「ふははははっ!よくぞ見破った尾崎くん!そうだ、そいつはお前の母さんじゃない!」 野太く図太い声が尾崎豊の背後から響いた。 思わず振り替える尾崎豊……その視線の先に居たのは、 正義の味方、スペルマンだった。 そう、あの伝説の宇宙刑事スペルマンだ。 かつて銀河パトロール隊の敏腕刑事として、ホモホモマッチョ星人たちと熱くバトルを繰り広げたあの超人だ。 だが今から数千年前、キングマッチョメンの罠にはまり、 その銀河一の美しいアナルを引き裂かれて斃れた、と伝えられていたのだが… 「それは事実だよ、尾崎くん」 正義の味方スペルマンは、優しく尾崎豊に語りかけた。 「確かに私はかつて、キングマッチョメンに嵌められて、キングマッチョメンにハメられた。 だがあの時、俺は死にかけたが、決して死んだわけじゃなかったんだよ、尾崎くん」 そういいながら、スペルマンは尾崎ににじりよる。 その股間には、キングマッチョメンに負けないほどに巨大なチンコが揺らいでいた。
「そう、俺は瀕死の重傷であったが、死ななかったのだ。 そしてこの地球に降り立ち、俺は生まれ代わるために禁断の魔法を用いたのだ。 キングマッチョメンを斃すために。」 スペルマンは尾崎の目の前にたち、尾崎の目を見つめる。 勃起したスペルマンのチンコと、勃起したままの尾崎豊のチンチンが、軽く触れ合った。 「だがその魔法は危険なシロモノだったんだよ尾崎くん……そのおかげで俺は記憶を封じられてしまったんだ。」 そう言ってスペルマンは、尾崎豊を抱きしめた。 逞しい腕に抱かれた尾崎は、その筋肉の脈動を感じ、思わず欲情を感じる。 だが何故だろう、同時に喩えようもない懐かしさをも感じていた。 まさか……まさか? 「そう、そのまさかだよ、尾崎くん。君は、俺こと宇宙超人スペルマンの生まれ変わりなんだ。」 その瞬間だった。地面に倒れ伏した母の姿をした魔物が、尾崎豊とスペルマンに襲い掛かってきた。 「キシャーッ!私の可愛いボウヤ、豊を貴様に渡さぬぞ!」 母の姿をした魔物は、南無妙法蓮華経を唱えながら、みるみると変身してゆく。 もはやあの優しい母の姿の面影は微塵もなく、毒虫と軟体動物の合わさったような吐き気を催す姿に変身した。
「……あれが俺の記憶を封じていた魔物だよ尾崎くん。」 スペルマンは尾崎の肩を抱き寄せながら言った。 「じゃあ、じゃあ僕の母さんは?」 「安心したまえ尾崎くん。君の母さんの魂は今は天国で安らかに眠っているよ……少なくともあの魔物ではないぞ」 尾崎は安心した。だがそんなヒマも与えぬ凄まじい攻撃が、尾崎とスペルマンを襲う。 毒液を迸らせながらチンコの形をした毒針が、尾崎とスペルマンのアナルを付けねらう。 「尾崎くん、このままでは駄目なんだ。このままだと僕ら二人とも、この”記憶の魔物”に食い殺されてしまう!」 スペルマンは攻撃をかわしながら、尾崎に向かって叫んだ。 「じゃ、じゃあ、どうすればいいんですスペルマン!僕は愛するもの全てのためにここで死ぬわけには行かないんです!」 尾崎もまた攻撃を必死にかわしながら答える。 あの魔物の毒針にアナルを犯されたら、男でもあの魔物の仔を妊娠してしまうのだ。 「尾崎くん、僕と合体するんだ!そうすればこの封印は解かれる!」 スペルマンは無数の触手を跳ね除け、尾崎豊に向かってダッシュした。 「さあ来るんだ尾崎くん、モタモタしているヒマはないんだぞ!」 その言葉を合図に、尾崎は反射的、本能的にスペルマンに向かって跳んだ。
そして二人は、空中でシックスナインの姿勢で互いのペニスをしゃぶり、 ほんの0.001秒で互いのオーラルの中に射精したのだ。 その精液を美味しそうに飲み下す尾崎豊とスペルマン。 その瞬間だった。 凄まじい輝きを放った二人は、そのまま融合していった。 灼熱の炎に包まれ、そこから生まれ出てきたのは… そう、宇宙超人スペルマンこと尾崎豊だった。 恐れおののいた”記憶の魔物”は、そのスペルマン=尾崎豊に向かって我武者羅に突進する。 しかし尾崎スペルマン豊の放った紅蓮の炎によって、一瞬にして魔物は消し炭と化した……。
「とーうっ!」 庭に斃れ伏した尾崎豊は、突如立ち上がった。 そして己のアナルを犯し放題犯し続けていたホモホモマッチョ星人たちを蹴散らす。 「な、何っ!」 すぐ傍で別の美少年の尻を開発していたキングマッチョメンは叫んだ。 まさかあれだけの快感攻撃を受けて、再び尾崎が立ち上がるとは…… するとどうであろう。立ち上がった尾崎豊は、次々とホモホモマッチョ星人たちを抱きしめ始めた。 そのままマッチョたちの股間にぶら下がるペニスを口に咥えると、まとめてバキュームフェラ! 「ぐううう!」「うああっ!」 瞬間、凄まじい快感に襲われたホモホモマッチョ星人たちは、尾崎豊の口の中に射精した。 だが、尾崎豊はそれだけでは許さなかった。 再びバキュームフェラを開始すると、舌をたくみに用いて彼らの亀頭を刺激する。 見城に仕込まれた抜群のフェラテクが、スペルマンの宇宙超能力で倍化し、その攻撃力は半端じゃなかった。 さらに逃れていたホモホモマッチョ星人をも捕まえ、彼らのペニスを掴んで己の肛門にねじ込む。 パワーアップした肛門括約筋で彼らのペニスを絞り上げ、次々と精液を吸い取ってゆく。 「ぎゃーーーっ!」 ホモホモマッチョ星人たちは精を抜かれ、次々と干乾びて死んでいった。
「う、うぬうっ!」 キングマッチョメンは思わず椅子から立ち上がり、尚も快楽を求めて纏わりつく地球人の美少年を足蹴にした。 尾崎豊にこれほどの能力があるとは、未だに信じられなかった。 糞便と精液に塗れた尾崎豊は、キングマッチョメンの前に立ちはだかった。 「久しぶりだな、キングマッチョメン」 尾崎豊は精液塗れの顔のまま、ニヤリと笑った。 「わからないのか、キングマッチョメン。俺だよ、宇宙超人スペルマンだよ……」 尾崎のこの思わぬ言葉に、キングマッチョメンはたじろいだ。 まさか、このゲイボーイ尾崎豊が宇宙超人スペルマンだって? あやつは数千年前に罠にはめ、散々アナルを穿り返して殺したはずでは? 「ああ、俺は死ななかったんだよ。そしてこの地球上で生まれ変わったんだ。尾崎豊として!」 「な、なにっ!」 だが、キングマッチョメンはなぜか納得した。 なぜこれほどまでに自分が尾崎豊を危険視していたのかを……。
尾崎豊を初めて見たとき、こいつはタダのオウム信者たちの現人神ではない、と察したのを思い出した。 それ以上の何か……そう、運命のような、そんな危険な香りだった。 尾崎ファンが犯罪を引き起こしたり、オウム信者達をテロに導くレベルならまだ納得できる。 それ以上の何かが、尾崎の中に眠っていることを、本能的に感じ取っていたのだ。 それがまさか、あの宇宙超人スペルマンだったなんて……。 キングマッチョメンは思わず震えた。 恐怖ではない、驚愕ではない。 それは喜びであった。 かつてのライバルとの邂逅で打ち震える、己の魂のふるえだった。 同時に40センチほどもあるチンコも激しく痙攣し、天に向かって大きく反り返った。 そのチンコのでかいことでかいこと。
その頃ヘイドレクは魔界村をやっていた
意外と巧かった
213 :
名無し物書き@推敲中? :2009/09/20(日) 20:58:48
214 :
名無し物書き@推敲中? :2009/09/20(日) 21:21:15
かつての栄光を求めて荒野を彷徨う孤独な戦士、勇者ヘイドレク。 夏の苛烈な日差しに焼けたその面貌は、褐色に磨かれ、額に深く刻まれた皺は、彼の長年の苦難を表しているようだ。 剣はへし折れ、その気高き志も砕かれ、勇者ヘイドレクは今もなお、この過酷な世界を彷徨い続けている。 「ふうっ…」 遂にヘイドレクはその場に座り込んだ。疲弊した己の肉体は、もはや歩みを続けることを拒絶している。 既にその意思すらも失われ、ヘイドレクは大きな溜め息をつきながら虚ろな瞳を眼前に広がる喧騒に向けた。 過酷な世界…そう、ここは西川口駅の駅前ロータリー。 新自由主義という巨大なリヴァイアサンがこの世界を暴れ、彼が生きながらえてきたこの世界を完膚なきまでに破壊しつくしたのだ。 そんな破壊の傷跡も痛々しく、今日もまた西川口の駅前ロータリーは夢を失った人々が無秩序に蠢く魔界と化していた。 「俺、この先どうすればいいんだろう…」 道端に落ちていたシケモクを拾い上げ、殆んどガスの切れかけた100円ライターで火をつけると、ヘイドレクは煙を吸い込んだ。 チリチリと焼けるような刺激が喉を刺し、ヘイドレクは軽くむせながら紫煙を吐き出す。 右手には解雇通告書。左手には生活保護申請の却下通告。ポケットの財布には僅か数百円の小銭のみ。 見果てぬ夢を追い続け、挙句に全ての希望の断たれた深遠の淵に立ち竦むヘイドレクの魂。 目の前を行き交う女子高生の、露わな太ももを目線で追いながら、甘く勃起しかけたペニスを弄る。 希望が無くとも性欲の灯火は未だ燻り続けていた。そんなことに軽く驚きながらヘイドレクは指先で包皮に包まれた亀頭を軽く刺激する。
215 :
名無し物書き@推敲中? :2009/09/20(日) 21:32:06
ビルの谷間に沈む夕陽が、垢で汚れたヘイドレクの額を照らし出す。 前髪が後退し、疎らになった髪が、秋の気配を帯びた風に少したなびく。 今夜、吉野家で牛丼を食べたら、正真正銘の素寒貧になってしまう。そのことがヘイドレクの心を苛めた。 道行く人たちの軽やかな足取りを、嫉妬と羨望に満ちた目で見つめるヘイドレクの姿は、敗残者のそれだった。 まだ夏の名残なのか、肌の露出の多い衣類を着込んだ若い女性の姿に、ヘイドレクは喩えようもない欲情を覚える。 だが、その欲情もまた、虚しく空転するだけ。 そう、ヘイドレクはもはや死にかけていたのだ。 夕暮れを向かえ、駅前には地元の暴走族と娼婦が集まり出した。 事実上パンツを見せていると言っても過言で無いほどに短いタイトスカートから、肉感的な腿をさらけ出す娼婦たち。 そんな娼婦の露わな肌を、冷やかすように見つめる在日貴族たち。 目の前には用心棒を連れた地回りのヤクザが、薬中のサラリーマンや主婦相手に覚醒剤を売買している。 時折、酔客が通りがかりの女性に難癖をつけ、警察官に集団リンチを喰らっていた。 何と言う幸せな日常だろう。 空腹に耐えかねたヘイドレクは、塾帰りの小学生が捨てたマクドナルドのハンバーガーを拾う。 喰いかけのハンバーガーから滴るケチャップを一口舐め、その絶妙な酸味に思わず唸った。 その様子を見ているバス待ちの客たちの、蔑む視線も気付かずに、ヘイドレクは一気にそれを頬張る。 ほんの僅かな幸せが、ヘイドレクの腹を満たした。
216 :
名無し物書き@推敲中? :2009/09/20(日) 21:39:31
「よう、何やってんだよ、おっさん!」 ハンバーガーの包み紙に付いたケチャップを一心不乱に舐めとるヘイドレクに、誰かが声をかけた。 包み紙から顔を上げ、その声の主の方にヘイドレクは向き直った。 いつの間にか集まった複数の十代の若者たちが、攻撃的な視線でヘイドレクを見下ろしている。 「何やってるってんだよ、おっさんよお!」 リーダー格と思しき体の大きな少年が、ヘイドレクの膝を爪先で小突きながら怒鳴りつけた。 威圧されて思わず竦むヘイドレクの姿に、周りの少年たちが爆笑する。 ロータリーを抜ける帰宅途中のサラリーマンたちは、ヘイドレクらの周辺を避けるようにして早足で駆け抜ける。 少し遠いところにいるヤクの売人や娼婦たちが、何か期待を込めた視線でこちらを眺めているのが見える。 ヘイドレクは危険を感じた。思わず警察官の方へと目を向ける。 すると警察官たちは、大あくびをしながら呆れたような一瞥を向け、そのままスコッチのボトルを回し飲みし始めた。 無視を決め込む気だ。
217 :
名無し物書き@推敲中? :2009/09/21(月) 05:43:33
あ、ヘイドレクさんが復活してる!
218 :
名無し物書き@推敲中? :2009/09/21(月) 18:40:54
そう野次馬のひとりが声をあげると、たちまちヘイドレクは少年たちによってたかって暴行を受けて死亡した。
219 :
名無し物書き@推敲中? :2009/09/21(月) 20:00:42
ヘイドレクは勃起しかけたペニスを気にしながら、僅かに後ずさりした。 不良少年グループの中に混じる見事な脚線美の女子高生の色香に、思わず反応してしまったのだ。 包皮から少し頭を覗かせた亀頭がブリーフパンツにこすれて痛い。 (こ、これは敵?) 勇者ヘイドレクは震えた。武者震いではない、恐怖から来る怯えだ。 悪そうな目付きでヘイドレクを見下す少年達。 やだ、きもいこのおっさん、と可愛らしい顔を顰める女子高生たちの態度に、ヘイドレクの心は痛んだ。 「で、おっさん、こんなところでずっと何やってんだよ…ここ、俺たちのシマだぜ?」 ボスらしき少年…身長はおそらく2メートルを優に超え、はち切れんばかりの筋肉がなめしたような皮膚の下で蠢く。 人を傷つけることなど屁とも思わない、そんな凶悪な笑顔だ。 「あ、あの…特になにかやってるわけじゃないです」 ヘイドレクは震える声で答えた。自分でも恐怖で震えているのがわかる。 ダセエ、こいつびびってるぜ!ちょうダセエ!と愚連隊の仲間達が笑い出す。 既にヘイドレクの目は涙目。膝に力が入らず、立っているのが辛い。 「もしお邪魔なら、もう立ち去ります。すいませんでした。」 ヘイドレクはそう言い、軽く頭を下げると、その場を立ち去ろうとした。 だが、彼らは道を空けてくれない。ニヤニヤ笑いながらヘイドレクの前に立ちはだかって壁を作った。
220 :
名無し物書き@推敲中? :2009/09/21(月) 20:14:33
ふと周りをみると、西川口の駅前の群集が集まり出しているのがわかった。 既に方々に出店が立ち並び、ウォッカのボトルをラッパ飲みして飲んだくれていた警官たちが、その整理を始める。 地べたに座り込む者、植え込みに座る者、集まった群集たちはまるで雲霞の如く押し寄せ、 西川口駅前ロータリーの端の方では立ち見が出て立錐の余地が無いほどになっている。 その群集たちはざわめき、興奮し、ヤクザ風の男たちに掛け金を支払ったり、酔った連中が喧嘩まで始めている。 騒ぎを起こした群集や、若い娘に抱きついて犯そうとした労務者たちを、ゴリラのような巨体の警官が棍棒で打ち据える。 タイル張りのロータリーに血飛沫や脳漿が飛び散り、その光景を見て周りの人間たちがやんややんやの大喝采。 方々に出店と屋台は出張り、いつの間にか駅ビルにはイルミネーションが焚かれ、 辺り一帯にはおどろおどろしい打楽器の音が響き渡り始めた。 (な、何が起こるの?) 数々の戦いをくぐり抜けてきた(ということになっている)ヘイドレクも、周囲の変貌に驚き、少量の尿を漏らした。 10日は洗っていない臭いブリーフに、黄褐色の尿が染み渡る。 「おっさん、俺たちのシマを荒らしてタダで済むと思ってる?」 目の前の愚連隊の連中は、いつの間に武器を手にしていた。 棘のいっぱい生えた鋳鉄製の棍棒や、手元のスイッチを押すたびに青白い電気が飛び散る棒、 人間を痛めつけるためだけに作られた悪魔の魔導器だ。
221 :
名無し物書き@推敲中? :2009/09/21(月) 20:19:10
「べ、別にシマなんて荒らしていません…僕はここで商売してたわけじゃないし。むしろ今は仕事が欲しいくらいなんです。」 目の前に突き出された、何でもスパスパと切り裂けそうな青光りする剃刀を見つめながら、ヘイドレクは必死に抗弁した。 額には玉の様な汗がぶわっと浮かび、その雫が汚らしいヘイドレクの頬を伝う。 自称、ダークファンタジーヒーローであるいじめられっ子ヘイドレクの本能は、明確に危険信号をキャッチしていた。 このままでは(いつも通り)痛めつけられる、ヘイドレクのいじめられっ子センサーはビンビンに反応していた。 しかしビンビンの反応していたのは、ヘイドレクのいじめられっ子センサーだけではなかった。 ヘイドレクの股間もまた、ビンビンに反応し、濡れたブリーフパンツの中で隆々と勃起していたのだ。
222 :
名無し物書き@推敲中? :2009/09/21(月) 21:43:20
そのとき、歴史が動いた
223 :
名無し物書き@推敲中? :2009/09/22(火) 02:10:39
動いた歴史は運動不足が解消された。 みごとなダイエットである。 1ヵ月で8キロも痩せた。
224 :
名無し物書き@推敲中? :2009/09/22(火) 18:05:48
〜 終 了 〜
225 :
名無し物書き@推敲中? :2009/09/23(水) 00:25:58
と、ヘイドレクは言った
〜終了〜
227 :
名無し物書き@推敲中? :2009/10/21(水) 14:59:12
その言葉を聞いていちばん喜んだのはヘイドレクである。 もう無意味にケツを掘られたりぶん殴られたりしなくてすむのだ! ファンタジーヒーローとは名ばかりで、実際はチャンネラーたちの玩具にされてきた凄惨なる人生……。 何度自殺を考えたことか分からない。(どうせ死んでも虐待目的で無理ヤリに生き返らされるのだが) ヘイドレクは新たなるスタートを切るべく職安、ではなく、剣を片手に昼なお暗い森の中へと足を踏み入れた。 邪悪なるものたちの棲む森の中へと!
228 :
名無し物書き@推敲中? :2009/12/16(水) 00:50:13
森の中へ入ったとたんヘイドレクはたまらなく不安になった。 「お母さん……」と、声に出してみる。 しかし、ヘイドレクに母はいない。正確には母を知らない。 ヘイドレクは捨て子であった。3つの時まで乳児園で育ち、4つから中学卒業までを育児園で過ごした。 彼はあまりの醜さゆえ里親もつかなかった。 そして園の規定により義務教育を終えたあとは社会へと放り出されたのだ。 ファンタジーヒーローを目指したのは、その直後である。頭もおかしかったといわざるを得ない。 「お母さん」彼はもう一度声に出してみた。 見たこともない母の顔が頭に浮ぶ。さすがは妄想たくましいヘイドレクだ。 母は美しい人であった。これは妄想なのだからヘイドレクの勝手である。 「お母さん、お母さん、僕がんばるよおおお!」 得体の知れない巨木の枝が遮る空にヘイドレクの雄叫びが響き渡った。
229 :
名無し物書き@推敲中? :2010/01/22(金) 19:38:38
ヘイドレクの雄叫びは暗い森の中で掻き消え、別に何も起こらなかった。 もしヘイドレクが本当に神話的英雄ならば、ここで女神とかが登場し、ヘイドレクに伝説の剣でも授けるだろう。 だが、雄叫びを続けるヘイドレクの目の前の現れたのは一匹の虻だった。 虻はヘイドレクの迫り出した腹に止まると、そこで両手両脚をスリスリさせ、ヘイドレクの皮膚に卵を産みつけた。
230 :
名無し物書き@推敲中? :2010/01/22(金) 20:24:44
と、いう夢を見ていたヘイドレクだった。
親友が突然自殺したお。そいつの彼女(直子)が残ったので、ノリでオマンコしておいたお。でも直子はメンヘルで施設に入ったお。 よく分からないけど、直子は大事な女性だお。とりあえず大学に入ったので、ナンパしてオマンコしまくったお。 好きでもない女とオマンコするのってむなしいお。大学で、ミドリって言うへんな女と知り合ったお。 俺には直子がいるし、ミドリにも彼氏がいるのでオマンコはしないお。 時々、直子の施設に行って手コキとかフェラしてもらってるから満足お。 そしたら、突然に直子が自殺したお。悲しいから旅に出るお。 帰ってきたら、直子の世話係の既知外ババアが俺んちに来たお。とりあえず、オマンコしたお。 そーしたら、何もかもふっきれたお。もう、必死にミドリとオマンコしにいくお。 ミドリ「落ち着け猿」
232 :
名無し物書き@推敲中? :2010/01/24(日) 00:52:11
「ふうむ…前スレが奇跡のDAT落ちして以来、ヘイドレクは永遠の闇に封印されたはずだがなあ」 ブランデーグラスを手のひらで揺らしながら、権田は呟いた。 ゆったりとしたローブに包まれ、柔らかな革張りのソファーに身を沈めたまま、権田はブランデーを少し口に含む。 豊潤な香りが口の中に満ち、熟成された苦味が舌の上で転がる。 権田はその旨味を充分に味わいながら、琥珀の液体をゆっくり嚥下した。 ヘイドレク…そう、あのヘイドレクである。 ダークファンタジーの世界で鬼神の如き勇猛さを誇った希代の英雄、ヘイドレク。 数多くの魔物たちとの決闘や、幾多の苦難を乗り越え、遂には神の領域に達した現代のヘラクレス。 既に、既に封印したはずなのに…。 ふうっ、と権田は吐息を漏らした。 あれから数十年の時が流れた。ヘイドレクとその英雄神話が闇に封印された、あの日から。 権田はその後、二つの世界大戦を生き延び、戦後の裏社会を仕切ってのし上がり、巨万の富を得た。 今や闇将軍と呼ばれ、政財界や裏社会の名士たちの尊敬と畏怖を集める巨魁となったのだ。 それが定められた運命であるかのように、そうなるのが当たり前であるかのように。 権田は働いた。ヘイドレクに負けず劣らず凄まじい闘争を生き抜き、数多くの危機を乗り越えてきた。 その末に、現在のこの地位を手に入れてたのだ。
233 :
名無し物書き@推敲中? :2010/01/24(日) 00:52:57
本日も甘粕財閥の当主との宴席を終え、帰宅後はホットラインを通じて大統領補佐官からの相談にも乗った。 権田なしでは、もはやこの国は動かない、それほどの巨大な権力を彼は手にしていた。 全てを手にし、全てを支配し、全てを思うがままに動かせる、それが現在の権田だ。 だのに、何故だろう、この胸に去来する、喩えようもない虚しさは? 権田は葉巻を手にした。シガーカッターで火口と吸い口をカットし、それを咥える。 夜が更け、サイドテーブルの上で煌々と輝くランプの明かりだけが、部屋を灯す。 豪奢絢爛に彩られた権田のプライベートなダイニング。 古今東西の名品名画に彩られ、美に入り細に入り巧みの手により装飾を施された部屋。 権田の手にした成功を形にしたかのような、この場所で… なぜ、権田は虚しさを感じてしまうのだろうか? 権田はふと、窓のそとに目を向けた。 凄愴たる月の光が、窓から部屋に差込み、見事なアラベスク絨毯の上に光の筋を描いている。 その先は闇だ。漆黒の闇が無限に続くかのような、深遠たる虚無が広がっている。 まるで死そのものが、その中に潜むような、そんな限りない黒の世界。
234 :
名無し物書き@推敲中? :2010/01/24(日) 00:53:44
一瞬、権田の目の前に、あのヘイドレクの姿が浮かんだ。 暗闇の中、あのヘイドレクの姿が。 泣き叫び、悲鳴を上げ、糞と小便を漏らしながら逃げ惑う、あのヘイドレクの勇姿が。 「ま、幻か?」 権田は思わずうろたえた。この豪胆な男にしては珍しく。 いや、そんなはずは無い。もうあの男は未来永劫、閉ざされた世界に封印されているはずなのだ。 だが、ヘイドレクの姿は生き生きとそこに躍動する。 魔法使いに便器にされ、キモ男の脱糞したての糞を食べさせられたヘイドレク。 幼稚園児に緊縛されて吊るされて、散々ムチで叩かれながらも泣きながら喜ぶヘイドレク。 かつてのヘイドレクの冒険が、そこに繰り広げられていた。 養豚場の豚に肛門を犯されるヘイドレク。 全身に謎の昆虫の卵を産み付けられたヘイドレク。 過酷な運命の数々が、権田の目の前で繰り広げられている。 そう、それは権田自身もそこに関わったあの過去だ。
235 :
名無し物書き@推敲中? :2010/01/24(日) 00:54:34
あまりの過酷な運命についにヘイドレクが壊れてしまったこともあった(元々壊れていたという説もある)。 そんなヘイドレクを心配し、権田ら一行はヘイドレクを必死に探したこともあった。 あのときは堀の内の街角で女装して立っていたヘイドレクを探すのに、実に一ヶ月も掛かったのだ。 思わず、権田は微笑んだ。 懐かしい、実に懐かしい日々だった。 ヘイドレクを監獄に閉じ込めたまま忘れ去り、数百年放置してしまったこともあった(時空が歪んでいたんだよ)。 ずいぶん経ってからヘイドレクを救出したが、そのときには彼は完全に野生化幼児化してたのもいい思い出だ。 そう、あのころからだ。 ヘイドレクの冒険が、徐々に黄昏を迎えつつあったのは。 あの後から、ゆるやかにヘイドレクサーガは崩壊していったのだ。 緩やかに、だが確実に、ヘイドレクとその仲間たちが活躍したダークファンタジーの世界は壊れていったのだ。 権田の出世や成功と相反するかのように。 あの、ヘイドレク伝説が永遠に閉ざされた、あの日に向かって。
236 :
名無し物書き@推敲中? :2010/01/24(日) 00:55:21
「な、何だこれは?」 権田は思わず驚いて声を上げた。剛毅なこの男にしては実に珍しい。 権田は手を思わず頬に当てた。その頬に伝うのは…涙? 「涙? まさか。俺が泣いているとでも?」 そんなはずは無い、と権田は思った。 遠き昔に捨て去った過去だ。もはやあんな過去(汚らわしいといっても過言でない過去)など。 そんなものは、クズに等しい。 だが、だがなぜだろうか? この権田の胸をふるわせる、喩えようもない悲しみは? 権田の目頭を熱くさせる、堪えきれない思いは? 「ヘイドレク…お前!」 権田は思わず、ソファから身を起こした。 窓辺に向かってそう呟き、暗闇の中のヘイドレクに呼びかけた。 その瞬間、ヘイドレクの姿は消え去っていた。 青白い輝きを放つ月明かりだけが、窓を照らす。 その先は虚空、永遠の沈黙が支配する、漆黒の帳だった。 権田は泣いた。堪えきれずに泣いた。この男が泣いたのは何十年ぶりだろうか。 時に冷酷非情に敵を抹殺し、権力闘争に図太く勝ち抜いたこの男が、何故いま、ここで泣いているのか? 己を自制し、常に敵を射止め、決して敗北を許さなかったこの男が、何故涙を流しているのか? 月だけが、権田の涙を見ていた。
237 :
名無し物書き@推敲中? :2010/01/25(月) 21:46:26
忘れられた海の彼方にある、忘れられた島…。 幾多の冒険者たちが彼の地を目指し、決して生きて帰ることの無かった遥かなる地。 七つの海洋を越え、七つの大陸を越え、七つの瀑布を乗り越えたその先…。 荒れ狂う波が、島の岩壁に打ち砕ける。 波濤から舞い上がった飛沫は、暗雲と立ち込める空高く舞い上がり、霧となって再び降り注ぐ。 だが、その波飛沫も、決してその岩壁を乗り越えることはない。 高く聳え立った崖に囲まれたこの島は、まるで人の立ち入りを峻拒するかのようだ。
238 :
名無し物書き@推敲中? :2010/01/25(月) 21:48:04
かつてこの地を訪れ、その魔道書に記録を書き残した大魔術師・ガスパールは、自著で以下の事を述べている。 「富士見町のフィリピンバー”ミンダナオ”で二時間3000円ポッキリ! いやはやメルシーちゃんとルッシアちゃんの笑顔には癒されますなあ〜。 それよりも最近、西川口にある知り合いの金融屋が国税局にガサ入れ食らったんですよ。 西村さんは西川口一帯で顔が利く人でね、地元の民主党県議とも親しくさせてもらってるんです。 だけど今度のガサ入れのきな臭さはちょっと今までなかったですね。 資金洗浄用に用意したパチンコ店”パーラー・テグ”やキャバクラ”おねだり萌えっ子倶楽部”なんかにも、 いきなり国税の査察官が立ち入ってあっという間に帳簿その他全て押収です。 今回ばかりは薬が効かなかったって西村さんも呆れてましてね。 とりあえず外部の人に頼んで調査させていただくことにしたんです。 先ずは長年カストリ雑誌で暴露記事書きなぐってたした沖本さんって方。 県警本部に情報源持ってるみたいで、詐欺脅迫で在日韓国人が挙げられた事件で、 県警の対応が強圧的だという記事を書いて、人権派の左翼弁護士オールスター軍団結成したのあったでしょ? あれで名前上げたのがこの沖本さんなんだ。 徹底して在日差別一辺倒で押して、結構パチンコ業界から金もらったらしいですよ。 それと、西村さんのケツ持ちしてる金原さんって方。この人はやり手だよ。 実は金原さん、色々噂があってね。 ピストルで相手撃ったあとに、まだ意識がある状態の相手にガソリンぶっかけて火付けたらしいよ。 あと拷問かけたとき、グラインダーで相手の手や足の指を削ったとかそんな凄いの。 まあ、まず沖本さんが今回のこと仕込んだ連中の情報とって、 その後は金原さんが、いろいろ”引き出して”くれるんだと思うよ。最終的な”処理”も含めてね。 」 このように語られる”忘れられた島”に、現在ヘイドレクは幽閉されていた。
239 :
名無し物書き@推敲中? :2010/01/26(火) 05:03:31
誰だよヘイドレクって? 有名な人?
240 :
名無し物書き@推敲中? :2010/01/26(火) 19:05:06
この板の作家みたいに、見果てぬ夢を追い続けてる駄目人間の総称みたいなもんだよ
241 :
名無し物書き@推敲中? :2010/01/30(土) 05:02:00
やばいなヘイドレク 最高だぜ
242 :
名無し物書き@推敲中? :2010/02/20(土) 13:43:46
どれ、裏の納屋さ行って、漬物石ふたつ運んでくるべぇか。
裸にひんむいて縛り上げた
>>199-210 の小さな包茎チンチンの下に大きなほうの石をあてがい、
小さなほうを大きく振りかぶって・・・
べちーん!
オオゥ!
肉片と皮と恥垢がミンチになって飛びちるぅ!
断末魔の絶叫がこだまするぅ!
243 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/09(火) 18:13:40
と、
>>242 は引き千切れた己のペニスを眺めて笑っていた。
漬物石にすり潰されたのは
>>242 のペニスだったのだ。
可哀相に、
>>242 は既にヘイドレクになっていたのだ。
永遠に彷徨う脳内ファンタジーヒーローヘイドレクこと
>>242 に心の平安はいつ訪れるのだろうか?
244 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/10(水) 00:42:37
平安を得るには、まずは平安時代にタイムスリップすべきであろう。
245 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/11(木) 20:07:06
「それはナイスアイデアッ!」 ヘイドレクは歓喜した。 この現世から抜け出し、遥か平安朝の時代に向かえば、辛い現実とも立ち向かう必要がないではないか! ヘイドレクは興奮を押さえることが出来なかった。 とりあえずオナニー、それがヘイドレクの掟だ。 河原で拾ったエロ本でひとしきりオナニーを終えたヘイドレクは、名古屋県警の刑事からもらったピコピコハンマーを取り出した。 そう、これは魔法のピコピコハンマー、ヘイドレクの下劣な夢を中途半端に叶え、でも決してヘイドレクに幸せを齎さない魔法の道具だ。 木枯らし吹き荒ぶ河川敷で、ヘイドレクは下半身を晒したままピコピコハンマーを取り出した。 夕日の中で安っぽく輝く、安物のプラスティックのハンマー…これを打ち出の小槌のように振れば、ヘイドレクは平安朝に…行くはずだ。 犬を散歩している近所の中年のおっさんが、下半身丸出しのヘイドレクの姿を見咎め、携帯電話を取り出した。 変態が河川敷にいる、と警察に通報するためだ。 また土手の上では帰宅途中の女子高生の集団が悲鳴を上げていた。 下半身丸出しの醜悪な男が、河川敷で踊り狂っているからだ。
246 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/11(木) 20:08:08
ランニングの途中であった、近隣の大学のラグビー部員たちが、ヘイドレクを発見した。 そう、彼らは一様にガチホモ。新入生はみな春先の合宿で先輩にアナルを開発され、男同士の快楽を調教される、あのホモホモラグビー部員の面々だ。 彼らのターゲットは、丸出しになったヘイドレクの下半身の、毛むくじゃらのアナル。 彼らのターゲットは、丸出しになったヘイドレクの下半身の、萎びた包茎おちんちん。 ラグビーで鍛えぬいた肉体を持つガチホモマッチョ戦士たちの、欲情に満ちたその視線は、ヘイドレクに向けてロックオン。 遠くから、パトカーのサイレンの音が響いてくる。 女子高生たちの悲鳴を聞きつけた近くの通行人たちが、河原に集ってくる。 ラグビー部員たちは、獲物を狙う狼の群れの如く、ヘイドレクを包囲し、その距離をジリジリと縮めてゆく。 そんな中、ヘイドレクはハンマーを持って躍り出した。 右手にピコピコハンマー、左手には先ほどまでオナニーのおかずにしていたロリ系美少女のセミヌード満載のエロ雑誌。 踊りながらも、ヘイドレクの股間の小さめのペニスは徐々に充血を始めてゆく。 「平安朝の素敵な女官達と、平安朝セックスをするんだ! もう現代の無理解な女なんか要らないや!」 ヘイドレクの脳内では十二単衣を纏った平安美女たちとセックスする妄想が満ち溢れていた。 その厚手の着衣を一枚一枚剥ぎ取り、平安美女たちの磨きぬかれた肌に鼻先を埋め、それから、それから! もちろんそんな未来…いや正確には過去など、作家たちは書くつもりはない。 ヘイドレクはただひたすら、適当に思いついたような受難の中であえぎ、美女とセックスすることなどないのだ。 決して女にモテることのない希代のファンタジックヒーロー、ヘイドレクの冒険は果たして!
247 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/12(金) 03:05:50
ユニフォームの股間をギンギンもっこりにしながら、ヘイドレクに襲いかからんとするホモラグビー部員たち。 しかし彼らは大事なことを忘れていた。 ここは河原だ。あたりは一面の大石小石が散在する。 242の最後のごとく、チンチンを叩き潰してミンチにするのに手ごろな石など探し出すのに造作も無い。 しかし鍛え上げられた肉体を誇る低脳マッチョのラグビー部員はそれを忘れていた。 かれらは本能の赴くまま、精液が漏れかけたチンチンをあらわにしてヘイドレクを襲いにかかったが
248 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/13(土) 18:47:53
その瞬間だった、天空から巨大なマムコが飛来してきたのだ。 それは愛液を驟雨のように滴らせながら、夕日にそまった河原にゆっくりと落下してくる。 「あ、マムコだ、マムコが落ちてきたぞ!」 野次馬たちは、見事なまでのビラビラを濡らす巨大なマムコに見とれていた。 「うわっ! マムコだ! 何て汚らわしい!」 ホモマッチョのラグビー部員たちは、女のにおいをムンムンに放つ巨大なマムコを見上げ、戦慄した。 「に、逃げろ!」 ラグビー部の主将、浅川良明(ポジションはフランカー 新四年生 花園出場歴有)は部員たちに命じる。 だが部員たちは反応しない。恐怖のあまり、チームメイト同士で抱き合い、互いに肛門を掘りあっていた。 警官隊は上空を見上げ、拳銃を取り出すと上空のマムコに向かって発砲した。 だがそんなものが効くわけがない、恐ろしく巨大なマムコは夕焼け雲を掻き分け、陰毛をファサファサさせながら地上に迫ってくる。 充血して肥大したクリトリスは、まるでそれ自体が生きものであるかのように、包皮を掻き分けて膨れ上がっている。
249 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/13(土) 18:48:43
「わああっ! 神だ! 女神さまの降臨じゃあっ!」 野次馬の群集たちは狂乱状態になった。労務者風のおっさんは若奥様のパンティーを引き千切ると、いきり立つ己のペニスをねじ込んだ。 若奥様は股間でちんこをくわえ込みながら、そばに立つ童貞っぽい中学生の学生服ズボンのベルトを外すと、その未熟なペニスをしゃぶり始める。 うら若き女子高生たちは、上空にむかって発砲を繰り返す警官達に集団で襲い掛かり、仰向けに倒れる警官の上にまたがってそのペニスを己のヴァギナにねじ込んだ。 もはや河原全体が背徳的な乱交パーティーの祝宴の場と化した。 方々であえぎ声が響き渡り、マッチョなラグビー部員たちはオロオロしながらホモプレイに興じ、警官たちは未成年者淫行を繰り返す。 この世の終わり、いや、新たなる人類の始まりなのか。 ナンセンスまでに巨大化したマムコの下で、罪深き人々は己の欲望に塗れ、溺れ、そして昇天を繰りかえす。
250 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/13(土) 18:49:31
そんな中、ヘイドレクは何をしていたのだろうか? ヘイドレクは、小川に転がる小石を己の肛門に次々と挿入していたのだ。 ピコピコハンマーを振りかざし、意味も無く半勃起したペニスの先からカウパー氏腺液を滴らせながら。 彼は平安時代へと向かおうとしていたのだ。 そこに悲劇が待ち構えているとも知らずに、今目の前でセックス天国が招来しているのに。 巨大なマムコが、河原の罪深き人々を優しく粘膜で包み込もうとした瞬間だった。 ヘイドレクは踏ん張り、肛門につまった小石を思い切り噴出させた。 「なりよーっ!」 ヘイドレクは大声で叫んだ。 そして今まさにマムコがヘイドレクを包み込もうとしたその瞬間、ヘイドレクの肉体は消滅し、遠き過去、平安時代へと飛ばされたのだ。 巨大なマムコは、河原で狂乱する人々を優しく包みこんだ瞬間、激しく痙攣した。 人々はマムコから溢れ出る愛液に包まれ、無限の喜びを見た。
251 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/13(土) 18:50:58
マムコは人々を包み込むと、もう一度大きく痙攣し、輝きだした。 そしてマムコは形を変え、一本の巨大なペニスになると、地上からロケットのように打ちあがった。 夕日に向かって飛び立ったそれは雲をつきぬけ、成層圏をこえ、大気圏すら突破し、約二ヶ月かけて太陽系を脱出した。 そこから光速の約70パーセントのスピードまで加速し、アンドロメダ大星雲にむけて旅立ったのである。 そう、そこで生まれる新たな惑星に、新たな生命を齎すために。 マムコにつつまれた人々はそこで、新たな人類の歴史を紡ぎ、112億7000万年の後、アンドロメダ大星雲で巨大な帝国を築き上げるのだ。 神聖アンドロメダ大帝国と名づけられたその帝国は、それから数億年もの統治をへて、かに座大星雲を支配するピョットヒョットキ星人たちと全面戦争に至る。 実に3000万年にわたる星雲間戦争に何とか勝利した彼らは、その後に故郷たる惑星銀河の太陽系、第三惑星の地球に向けて旅立つのである。 そのころ、地球はおろか太陽系自体が滅亡してんだけどね。 それはヘイドレクの物語とは別の話であり、我々は平安時代に飛ばされたヘイドレクが平将門と名乗り、朝廷に叛旗を翻した様子を見ていくことになる。 それが権田俊行の壮大な陰謀が絡んでいるということは、あえて言うまでもない。
252 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/13(土) 22:05:15
さてこちらはヘイドレク。 時空を切り裂き奈落の底へと突き落とされ天上界へと駆け上った末に彼が墜落した。 どさり! 都大路の真ん中にしたたか身を打ち付けたヘイドレク。 長年の愚にもつかない悪文執筆の末に萎えた肉体に、その衝撃はキツかった。 都大路の泥にまみれた彼は、ゆっくりと身体を起こす。 「もののけじゃー!」「あなおそろしや!」 天空から突如として落ちてきた物体を恐々と囲んでいた群衆が悲鳴を上げる ズボンは21世紀の夕暮れオナニーですでに脱ぎ捨て、タイムスリップの衝撃で上半身の衣服も吹きとばされた彼は丸裸。 それでいてプラスチックのピコピコハンマーのみは手放さないヘイドレク。
253 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/13(土) 22:08:03
ようやく頭が鮮明に回り始めたヘイドレク。彼の目に移ったのは異形な自身の姿に慄き、喚き、罵る群集だった。 魚売りが干魚を投げ出す。坊主が数珠を揉みしだき経を張り上げる。 小役人が松明を振りかざす。 ヘイドレクが求めた十二単の姫君などどこにもいない。いるのは貧民の群れ。 ヤバイ!逃げよう! 起き上がったヘイドレクの姿に群集は一瞬沈黙して目を大きく見開いた。 衆人環視の輪を突っ切り、ダッと掛ける! とりあえず逃げよう、隠れよう。 どこへ? 目の前に聳える、大きな壊れかけの門へ。 そう、言わずと知れた「羅生門」へ。
__ /´ ⌒ヽ / / )ノ)ノ)ノ / //へ へ | , ── 、 l _| | ^| |^ | l、 /____ \L Y ー ゝー V`ヽ l ⌒ヽ\| ヽ >-、 /⌒ー,┘ ノヽ、ノ |ヘ |─|/^ヽ l / ノ.>`ー二‐< _ _.c 、__ ノ u _ノ / 'ー ´ l l/ \/ ノ 〈,-、`「ヽ__ ノ ヽ_/ | l / / l./ /┬'─ | l |_ / >、 U l ヽ、/ / / / / `ー' ~ヽ7´/ \ ヽ/___///∨ _ __'/ / >、 . / ノ /⌒ノ / ⊂⌒ | / / ! luuノイ / / /_ノ ~~ 〉ー´ ノ | l ヽ /___/ / `┬─´ー─⌒ヽ l _ヽ ノ ヽ-、 l /ヽ、_|__| | | | \_.ノ l |ー‐! l l , ─'、___l、 | | , ─ '、___l、 `ー ′ ヽ、 __.ノ ヽ__ノ ヽ、 __ ノ
255 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/15(月) 16:59:11
それは不思議な光景だった。目の前でのび太がしずかちゃんに襲い掛かり、そのままレイープしている。 「やめて、のび太さんっ! お願いやめてっ!」 国民的パンチラ美少女にして、入浴ロリヌードのカリスマ、しずかちゃんは、発情したのび太の汚らわしい欲情に穢されてゆく。 「しずかちゃん! ぼ、ぼく、しずかちゃんの事がずっと好きだったんだっ!」 のび太はそのまましずかちゃんのスカートをめくり上げると、可愛らしいパンティーに手を掛け、強引に剥ぎ取った。 「いやあっ!」 しずかちゃんの悲痛な叫びが、羅生門に響き渡る。 しかしのび太は止まらなかった。 傍らに横たわるジャイアンやスネ夫、出来杉くんの無残な死体。 破壊されたドラえもんの部品が散らばる、そんな地獄のような光景の中で、のび太はしずかちゃんに圧しかかり、その可愛らしい乳房を嘗め回した。 「しずかちゃん、しずかちゃんの肌の匂いがたまらないよっ!」 のび太は狂ったようにしずかちゃんの肌を舐め、さらにはしずかちゃんの秘所に指先を埋める。 「ああっ! い、いやっ! 駄目よ、のび太さん!」 激しく抵抗するしずかちゃん。 しかし所詮は女の細腕。 逞しく鍛え上げられたのび太の腕の中で、しずかちゃんは己の中から湧き上がる女の性を押さえることができなかった。 「だめーっ! こ、こんなところで、いやっ!」 「でもしずかちゃん、しずかちゃんのここ、濡れてるよ?」 のび太は意地悪くしずかちゃんに語りかけ、しずかちゃんのヴァギナをいじくった。 まだ恥毛の生え揃わない敏感なクレヴァスの中に、のび太の指先が無遠慮に侵入し、その瑞々しい粘膜を刺激する。 のび太の指先が蠢くたびに、しずかちゃんは短く「あんっ!」「だ、だめっ!ああんっ!」とあえぎ声を上げる。
256 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/15(月) 17:00:08
いつしか硬く閉ざされたしずかちゃんのモモは緩み、まるでのび太を迎え入れようとするかのように、ゆっくりと、確実に開いていった。 羅生門の廃墟の中で、その若き肉体は互いに絡み合い、淫靡に蠢く。 死体の散乱する凄まじい地獄の中で、のび太としずかちゃんの情欲の炎は赤く、高らかに燃え上がってゆく。 のび太の逞しい肉体に組み伏せられたしずかちゃんの肉体。 その肉体を荒々しく玩び、ことのほか巨大なペニスがしずかちゃんの膣をえぐり、子宮頚部にたたきつけられる。 「あうっ! あひいっ!」「た、たまらないよしずかちゃん! しずかちゃんの中って、すごく熱くて気持ちいいんだね!」 柔らかなしずかちゃんの肉を叩くのび太の腰、その動きは徐々に早まり、強まってゆく。 のび太の腕の中でしずかちゃんの華奢な肉体は壊れそうだ。 だが何故だろう、しずかちゃんの苦悶の表情の中に、官能と法悦の喜びの色が走る。 「の、のび太さん凄いっっ! わ、私もう駄目っ!」 しずかちゃんはか細い腕でのび太の首に縋りつく。 一瞬、しずかちゃんのあえぎが止まり、その直後、しずかちゃんの肉体が痙攣する。 それと同時に、のび太の極太な肉棒をくわえ込むしずかちゃんの秘所から、熱いものが迸る。 「し、しずかちゃん凄いよっ! ぼ、僕ももうイきそうだよおっ!」 「の、のび太さんっ! ああっ!」 その瞬間、のび太のペニスは動きを止め、しずかちゃんの膣の内部に大量の精液を放った。 何度も痙攣しながら、それでもなお快楽を名残惜しむかのように、白い粘液をしずかちゃんの中に注ぎ続けた。
257 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/15(月) 17:01:06
それから暫くして、崩れかけた羅生門の屋根の下で互いに寄り添いながら佇むのび太としずかちゃんの姿があった。 時は既に夕暮れ。先ほどの情事の心地よい疲れが、二人を包み込む。 ふたりはまだ裸のままだ。その若く美しい肉体が、死と腐敗、荒廃の羅生門の中で一際目立つ。 「ねえ、のび太さん。私たち、これからどうなるのかしら?」 潤んだ瞳で、のび太の横顔を見つめながら、しずかちゃんは語りかけた。 しずかちゃんの細い肩を抱くのび太の手、その感触がしずかちゃんに安息と喜びを齎す。 弱まってゆく西日の中で、のび太から伝わる仄かな温もりが、再びしずかちゃんの子宮を疼かせた。 のび太は傍らに脱ぎ捨てた上着のポケットから、マルボロを一本取り出した。 ズボンのポケットからはジッポライターを取り出す。 このジッポは、由美子先生からもらったもの、そう、のび太の童貞を奪ってみせたあのセクシー女教師からのプレゼントだ。 のび太はそのジッポでマルボロに火をつけた。 「さあ、俺たちどうなるんかな? まだ分からないよ」 のび太は煙草の火をジッと見つめながら、呟くように答えた。 既に邪魔者は居ない。仲間は全部殺したのだ。 ジャイアンも、スネ夫も、そもそもこの計画を立てた出来杉も。 出来杉…こいつこそ真のワルだ。 優等生のツラをして、その良く回る頭脳で常に悪知恵を働かせ続けた男だ。 おそらくは出来杉も、俺たちを裏切り、皆殺しにしてお宝としずかちゃんを独り占めにしようと目論んでいたのだろう。 だが甘かったな、出来杉。世の中にはお前以上のワルだっているんだぜ。
258 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/15(月) 17:01:57
「ねえ、のび太さん。私、のび太さんとずっと一緒に居たいわ」 しずかちゃんはそう呟くと、のび太の胸の中に可愛らしい顔を寄せた。 のび太はしずかちゃんの髪の毛を撫でる。豊かな黒髪の中から、仄かにメスの匂いが立ち昇る。 煙草の煙とともに、その匂いがのび太の鼻腔をくすぐる。 すると、放精して萎えていた己の欲情が、むくむくともたげてくるを感じた。 もう、俺には敵はない。 ドラえもんの道具全てを己の体内に取り入れ、それを武器としてありとあらゆる敵を薙ぎ払うことが出来るのだ。 未来の世界の、いや、もっと遥か未来の世界の、科学と魔術と呪術を極めたその道具を、のび太は己の能力としたのだ。 それと世界一の美女、しずかちゃんだ。この女はもう俺のものだ。 もう怖いものなど、この世に存在しない。ここが平安時代なら、なおさらだ。 俺は酒呑童子であり、しずかは玉藻前だ。 そしてもう源頼光(実はしずかちゃんの遠い先祖だったのだが関係ない)も、玄翁和尚ももうこの世に居ない。 のび太は吸いかけの煙草を遠くに投げ捨てると、うっとりと身を寄せるしずかちゃんの唇に己の唇を重ねた。 少し煙草くさい、それでいて官能の甘い感触に彩られた若き二人の、熱い熱い接吻だ。 末法思想の支配する、このミレニアムの荒廃した世界で、俺たち二人は生きてやる。 そして、この場にのび太を王とし、このしずかを女王とした千年王国を築き上げてやる。 のび太はそう思うと、思わず笑った。 そのまましずかちゃんの肉体を押し倒し、その体を開き、再び激しく犯し始めた。 東の空に、凄愴な輝きを放つ三日月がゆっくりと昇る。
259 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/15(月) 17:02:44
その一部始終を見つめながらヘイドレクはオナニーをしていた。 しずかちゃんのその可憐で美しい肉体が、のび太によって穢されてゆくのを、羨望と嫉妬に満ちた目で凝視しながら。 決してヘイドレクには届くことの無い、若さと美しさに満ちた官能の世界。 その世界をジットリと眺めながら、ヘイドレクは醜い己を卑下し、自己嫌悪に埋もれ、そして射精し続けた。 ヘイドレクは泣いていた。 翌朝、のび太としずかちゃんが東へと旅立つ姿を、ヘイドレクは物陰から見つめていた。 昇る朝日の輝きの中に消えてゆくのび太としずかちゃんの姿は、まるで絵物語の住人達のように美しかった。 その後姿を見つめながらヘイドレクは再び泣きながらオナニーし、疲れ果ててそのまま眠りこけた。 羅生門の、凄まじい荒廃を体現したかのような、崩れかけた廃墟の中で。
260 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/15(月) 20:01:54
ふと見るとしずかちゃんの破れたパンティーが転がっていた のび太がしずかちゃんとセックスしたときに脱がせたやつだ 「あれがしずかちゃんのパンティー」 ヘイドレクはそれを拾い上げて布地の匂いをかいだ おしっこやうんちの匂いやおりものの匂いに混じってしずかちゃんのフェロモンの匂いがした もちろんこれで何発もオナニーしたのは言うまでもない 「これは僕のお守りにするんだ」 ヘイドレクはそれを大切に懐にしまった
261 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/16(火) 01:25:54
ヘイドレクという人は変態さんなんですか?
262 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/16(火) 19:09:43
「ヘイドレクという人は変態さんなんですか?」 デスクの上にコーヒーのカップを置きながら、権田の秘書、キャサリンは尋ねた。 相変わらず色っぽい、それでいてキュートさを失わない、権田の秘書兼愛人。 権田はデスクの上のモニターを注視している。 そこには羅生門でしずかちゃんのパンティーの破片を手で振りかざし、踊り狂うヘイドレクの姿が映し出されていた。 腐乱した死体に囲まれ、殆んど廃墟と化した羅生門は、芥川龍之介が描いた例の小説から数日後の世界だ。 もちろん服を剥ぎ取られた老婆の死体も、ヘイドレクの傍らで腐り果てている。 実はこれは誤算だった。なぜかこの世界の、この場所にたどり着いてしまったヘイドレク。 本来ならばヘイドレクは阿弥陀仏信仰の托鉢僧として全国を行脚する予定だったのだ。 相変わらずこいつは権田の予想を超える存在だ。 だが、この程度の誤算など、想定の範囲内(by 堀江貴文)でしかない。 それ以上に権田に衝撃を与えた事実が、先ほどまでそのモニターに映し出されていたからだ。 野比のび太。 そう、こいつだ。
263 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/16(火) 19:10:31
そう、あののび太である。小学生時代は完全ないじめられっ子。 このままだともしかしたらヘイドレク二世になってしまうのではないかと危惧された少年だった。 だが、未来の世界のネコ型ロボット「ドラえもん」という、宇宙海兵隊特殊部隊(さそり)部隊員養成マシーンを送り込んだのだ。 彼がこのままヘイドレク二世になってしまったら、宇宙のバランスが崩壊しかねないからだ。 ヘイドレクは一人で充分。これいじょう新たな「ヘイドレク」を生み出すわけにはゆかなかった。 これはヘイドレク委員会の満場一致の合意事項でもあり、親衛隊や海軍、陸軍参謀本部などの了承事項でもある。 そのために甘粕伯爵は、嫡孫の一人に「セワシ」を名乗らせてのび太の前に送り込んだのだ。 宇宙海兵隊特殊部隊養成プログラムマシーン「ドラえもん」を、のび太に受けさせるよう説得するために。 だが、ここでヘイドレク委員会全員の予想を裏切る自体が発生したのだ。 それは、のび太は、あのままでも決してヘイドレク二世になることなど、無かった人物だったのだ。 仮に「ドラえもん」を送り込まなくとも、のび太は十代半ばでラグビーの年代別代表になり(予定)、 なおかつ柔道78キロ級でオリンピックの銀メダリストになる(予定)なのだ。
264 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/16(火) 19:11:17
早稲田大学にスポーツ推薦で入学したのび太は、そこで勉学に目覚めて高等文官試験を次席でパス(予定)。 内務省に勤務したのび太はその後、北エプレアシナ共和国の植民地化に成功し、そこで総督府統括大臣に就任(予定)。 金鉱山とウラニウム鉱山の開発や、水資源の確保などで目覚しい活躍を上げる(予定)。 さらにその後、月面開発のための国際公社を設立し、そこの代表に天下り(予定)。 月面基地はそのおかげでムーンベース”野比のび太”と名づけられる(予定)のだ。 その後、47歳の若さでのび太は、腎臓ガンで他界する。 その際、その葬儀は国葬となり、皇帝陛下自らが喪主を務められるという栄誉を担う(予定)のだ。 それが、スーパーコンピューター”アンダルシア”の下したシュミレーション結果だった。 また同様の見解を東京帝国大学数理科学研究所特任教授の真田礼次郎氏も示していた。 そう、のび太はむしろ、権田の後継者とも言うべき、若き野獣の本性の持ち主だったのだ。
265 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/16(火) 19:12:05
だが、武本悠一・元親衛隊・対魔獣戦特殊戦闘専門部隊・連隊長・大佐が中心となり作製した養成プログラム「ドラえもん」を、 のび太の如き鬼神の本性を持つ男に施したらどうなってしまうのか。 それが目の前で具現化してしまったのだ。今さっき、モニターに映し出されたあの光景がそれだ。 対ゲリラ戦部隊たたき上げで、諜報や謀略戦に通暁していたあの出来杉を、見事に出し抜いてしまったのび太。 さらにシレンジア戦争で熱帯雨林でゲリラ戦を挑む共産カルトゲリラとの戦闘を、実に二年にわたって生き抜いた兵士、ジャイアンこと剛田たけし。 この二人を一瞬にして殺害してしまったのび太の戦闘能力は、もはや人類のレベルを遥かに超えていた。 殆んど眷属レベル。しかもマスターヴァンパイアたる武本悠一らに匹敵しかねないレベル。 さらにのび太は、そののび太自身の暴走を抑えるために、「ドラえもん」に組み込まれた各特殊能力を全て吸収し、我が物としている。 これは由々しき自体だった。 そして、のび太が連れている、源しずか。 のび太と共に行動している。これは相当にやばい。
266 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/16(火) 19:12:51
「ねえ、ヘイドレクという人は、変態さんなんですか?」 キャサリンは、おねだりするような口調で再び権田に尋ねた。 だが、権田の耳に、その問いかけは届かなかった。 キャサリンは権田の前に跪き、権田のズボンのジッパーを空け、権田の巨大なペニスを引っ張り出した。 週三日、かならずキャサリンを失神に導く、女殺しの狂気。黒々として節くれ立ったそれに、キャサリンの目線は釘付け。 だが、権田は意にも介さない。フェラしたければ勝手にすればいいさ。 権田は、己のペニスにしゃぶりつくキャサリンの乳房を荒々しく揉みながら、傍らの電話に手を伸ばした。 かける先、それは航空宇宙軍特殊工作隊付属 最先端科学兵器研究所。 そう、そこは人類史上初のタイムワープマシンを完成させた、特殊物理学研究所をあわせ持つ、海軍屈指の理系頭脳集団だ。 そこの所長、斑目信正博士(権田の大学時代の後輩)の番号を、権田は廻した。 早めに手を打たねばなるまい。今はヘイドレクどころではないのだ。 充分に勃起した権田のペニスを、己のヴァギナに沈めたキャサリンがあえぎ声を上げている。 権田はそれに軽く舌打ちしながら、斑目博士が電話口に出るのを待った。
テキトーに投下したAAでこんなバカ文章書くやついるとは素晴らしい んじゃ次これでやってくれ 「あっははははは、あはははははは!!」 :.:.| : : : :|:.: |// ヽ | | l ヽ :.:.:l; : : : :|: :|/ ___|_ _ハ | | i :.:.:.l; : : : |:.:| /゙´ | / `ト、 | | | :.:.:.:.l;. : : :|: | ′厂xデ≡=V、 | │ ! ! ::::::::ヽ : : | | 〃 |/ __ \`ト、 j / ! .:.:::::::\ : :.|:ト、 ´{ 'j|゙::l;cヽ Yム/ ,. ´ | :.\ :::::::\ .::ヾ: \ ';:...┃:r} //` /. | :::::\ :::::::::\:::::\_ ヽ、,`_ノ ´|:./ / {: / :.:.:::::::\ー---三 ̄ _ヘ、___,/..;j/ / |: / ヽ、_:::::::::\三三三 __,.ヘ / /| |: / \三三三三三三三ニ-─ ¬ー,〉 ̄ :^| ヽ{ ::::::\三三イ',.-''´_,r──‐‐、/ ,ハノ| `ヽ ≧==ミ<く/ /::.:.:. / /: : . .'、 ヽ 玉三三三\/:.:.:.:.. ,.′ ,.′: . .: \ ヽ 三三ゞ三三三\:.:.:.:..... .. ../ /\_ト、 \ 丶 `, 三三三三ゞ:三三≧==こ´ /| \ \トヘ、 i .三三三三王三不三三{__// | \ ヽ l 三三三三ノ/ |三三三/〃 \ ヽ } |
268 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/17(水) 19:53:58
「あっははははは、あはははははは!!」 目の前で村娘・レナは、ヘイドレクのヘタレっぷりを嘲笑っていた。 その声にあわせて雛見沢村の村人たちも堰を切ったように爆笑する。 その群集の中で、ヘイドレクは下半身を丸出しにしてシクシクと泣いていた。 ケツはもらしたウンコでベットリ。小さめの包茎ペニスは萎びて垂れ下がったまま。 場所は何とか神社(名称不明 おそらくは大山系の激ヤバな荒御魂信仰のカルト神社)の境内の広場。 突如現れた異人・ヘイドレクのあまりの情けなさ、下らなさに、村人たちは驚き、呆れ、笑いがおさまらなかった。 境内には夕暮れの陽射しが差し込んでいる。あちらこちらのランタンに明かりが灯された。 その仄かな明かりの中、村人たちは涙を流し、腹を抱えながら笑い転げている。 ヘイドレクを指差しながら。これ以上おかしいことなど滅多にないぜ、と言わんばかりに。 このAAがひぐらしのなく頃にといアニメのものだと分かるのに実に15分。 その間に、ヘイドレクの身に一体何が起きたというのだろうか。 では、少し時間をさかのぼってみよう。
269 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/17(水) 19:55:08
羅生門から着の身着のままで(正確にはその辺のボロ着を勝手に拝借し、下半身丸出しのまま)逃げ出したヘイドレク。 なぜなら六波羅探題だったか検非違使だったか、とにかく平安京の治安維持部隊・卍がヘイドレクを殺人犯として手配したからだ。 もちろんこれは冤罪に決まってる。 ヘイドレクレベルのヘタレに、屈強の傭兵上がりのジャイアンや、桁外れの頭脳をもつ凄腕の暗殺者・出来杉殺害なんぞ無理。 のび太のやらかした虐殺の罪を、ヘイドレクが運悪くかぶってしまったのだ(ザマーミロ)。 ヘイドレクは逃げた。懐にしずかちゃんのパンティーの破片を偲ばせながら。 漠然と東に向かって。のび太と、のび太の女になってしまったしずかちゃんという美の化身が向かった方向に。 ヘイドレクのアタマの中で考えていたことはこうだ。 俺ことハードファンタジーヒーローのヘイドレクが、しずかちゃんのパンティーを持っているかぎり、 いつか必ずしずかちゃんとエッチができる。 なんでこいつがこう思ってるかって? 理由なんかしらんよそんなの。そんな根拠のない廃人の思い込みに理屈なんて求める方が無理だ。 ヘイドレクの脳内では、のび太は美しい姫(しずかちゃん)を連れ去った魔王となっており、 それを救い出し、お姫様と結ばれる英雄が自分、という不思議極まりない図式が描かれていた。 ヘイドレクの行方を追っているのは、のび太が放った地獄の魔物たち。 今はレベルが低いから逃げるしかないが、いずれ経験値を詰んでレベルアップした暁には、彼らをもう打ち倒すのだあ。 それで最後には、悪の化身野比のび太をこのピコピコハンマー「エクスカリバー」で打ち倒し、しずかちゃんとエッチでうしししっ! エロい下卑た妄想だけで千里の道をひた走ることが出来るのが、ヘイドレクの唯一のとりえだ。 そしていま、彼は朝日に向かってひた走った。 しずかちゃんとのエッチを妄想して勃起しながら。
270 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/17(水) 19:57:16
だが、日頃からの運動不足が、やはりヘイドレクにはこたえた。 羅生門から僅か500メートルのところで息が上がり、そこに掛かっていた橋げたに寄りかかった瞬間だった。 ミシッ! バリバリッ! という音と共に、腐りかけていた橋の手すりが崩れ出したのだ。 同じく根性も肉体も腐りかけているヘイドレクは、プギイーッ! という豚の断末魔のような悲鳴とともに、鴨川に落下した。 「ぶくぶく! 僕は泳げないんだよおっ!」 とても静かな流れの鴨川の川面を、だらしない中年男たるヘイドレクの緩んだ肉体が穢す。 暴れれば暴れるほどヘイドレクは溺れ、いつしか気を失ったヘイドレクはそのまま流されていった。 当時の日本の地理は、現在の日本の地理とは大幅に異なっていたのだろう。 ヘイドレクはそのまま流され、流された先の雛見沢村にたどり着いたのだ。 ウィキぺディアで調べた限り、この村は毎年祭りの日に生贄を殺し、その内臓を川に流すらしい。 ヘイドレクは死んだ人間の臓物が満ち溢れる死臭たっぷりの川から、村人たちによって引き上げられたのだ。
271 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/17(水) 19:59:12
「気がつきましたか?」 ヘイドレクが目を覚ますと、そこには無数の村娘たちがいた。 彼女たちは思い切り汚らわしいものを仕方なく扱うように、ヘイドレクを手厚く看病していたのだ。 羊ジステンバーの余ったワクチンを一リットルほど注射してみたり、そのへんに落ちていた牛の糞をおかゆに混ぜて口に流し込んだり。 それはそれはもう、村人たちの優しさに満ちた看護で、ヘイドレクは目覚めたのだ。 「ん、ええっ? ここはどこ?」 ヘイドレクは目をあけ、上半身を起こそうとした。 「あ、まだ駄目ですよ。ずいぶん衰弱してましたから、もう少し横になっていたほうが良いです」 村娘の一人、レナさんがヘイドレクに優しく、顔を顰めながら言った。 だが、この一言でヘイドレクは凄まじい勘違いをした。 この娘(後にレナという名だと知る)は、この俺ことヘイドレクに恋心を抱いている! よくよく見れば、粗末な掘っ立て小屋(潰す予定だった豚小屋)の中には、豚の糞の匂いに混じって若い娘の匂いが満ちている。 猟期であるため、使える若い男衆がみな山狩りに出かけており、村には女子供しかいなかったのだ。 その若い娘たちの匂いに、ヘイドレクは溜まらず勃起してしまった。 ああ、たまらない、僕の命を救ってくれたレナちゃん、ありがとう! ヘイドレクは涙とカウパー氏腺液をにじませながら、再び床に伏せた。
272 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/17(水) 20:02:32
「ねえ、レナ。アイツちんこおっ立ててたよ。すげえキモイ」 「なんか懐に女モノのパンティー忍ばせてたし、子供のおもちゃみたいなピコピコハンマーもってるし」 「あぶないやつだよね」「ねー!」 村娘たちがレナに言う。何かやばくね、アイツ、と他の娘たちも次から次へと口をそろえて言う。 正直レナも、ヘイドレクの姿を見て生理的嫌悪感を隠し切れなかった。 でも、村長のグルパドン様の命令である以上、あの汚らわしい水デブ男の快方をしなければならない。 「確かにあの流れ着いた人は気持ち悪いです。でも、彼は来月の祝祭の日に生贄に供せられるんです」 そう、ヘイドレクは来月に行われる祭りの際に生贄として捧げられ、内臓を掻きだされて、肛門に灼熱の鉄棒を突っ込まれて、 目玉をくり抜かれて、鼻と耳を鋭利なナイフでそぎ切られて両手両脚をのこぎりで生きたままゴリゴリと切断される予定なのだ。 ああ、可哀相なヘイドレク! 彼の命運もここで終わってしまうのだろうか? そうとも知らずにヘイドレクは、村娘たちが食事代わりに持ってきてくれた生ゴミを美味しそうに食べていた。 来月までにさらに20キロ太らされる、そのために脂気たっぷりの生ゴミをあたえられているのだ。 だがヘイドレクのちんぽはギンギンだった。 先ほどの村娘、レナの美しさにやられてしまったのだ。 あのレナさんとエッチいなことをしたい、ヘイドレクの中に眠る情欲の炎は燃え上がってゆく。 そして彼は生ゴミをあらかた平らげると、決然とした面持ち(でもぶさいく)で立ち上がり、豚小屋の外に駆け出した。
273 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/17(水) 20:13:59
レナはすぐに見つかった。境内の中を夕涼みがてら散歩をしていたのだ。 ヘイドレクの欲情に満ちた目は、レナの浴衣姿にロックオン。 夕日に映し出される年頃の娘の体のラインが、ヘイドレクの劣情を激しく刺激する。 もう、たまらない。襲い掛かってしまえ。 ヘイドレクはそう思い、物陰からレナに向かってダッシュ! だが、あっさりと小石に躓くヘイドレク。同時にピギーっ!と悲鳴をあげ地べたにズザザザザ。 「あれ、ヘイドレクさんじゃないですか?」 レナは気持ち悪い悲鳴に気づき、ヘイドレクの存在を認めると、生理的嫌悪感を表情に表さないよう気をつけながら言った。 何でこの豚、勝手に境内をうろつきまわってるんだろ、ちょうキモい、と心の奥で呟きながら。 するとヘイドレクは顔を上げた。ブサイクなツラで最大限の笑顔を作っている。 実に気持ちワルい。レナは思わず吐き気を覚えた。だが、営業用スマイルは崩さない。 同時にヘイドレクの目の奥に欲情の炎を目敏くみつけ、 手にしていた携帯電話(平安時代にも何故かあった)で村人全員に神社境内に集結、とメールを打った。 そう、レナは切れ者なのだ。 それと同時に(ヘイドレクは夢にも思わなかっただろうが)村一番の北斗神拳の使い手でもある。 もしあのままヘイドレクはダッシュしてレナに襲い掛かっていたら、小石につまずかなかったら、 ヘイドレクは経絡秘孔の全てを突かれバラバラに砕け散っていたはずだ。 ある意味あの小石がヘイドレクの命を救ったといっても良い。
274 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/17(水) 20:16:47
だがそんなことにも気づかず、ヘイドレクは唐突に告白を始める。 「レナさん、僕ヘイドレクです。レナさんは僕に恋をしてますよね。セックスしましょう!」 そういうとヘイドレクは兵児帯を解き、己のペニスを晒した。 その瞬間だった。気高いレナの怒りゲージの針が一瞬にして振り切れたのは。 冗談じゃない、このキモ男は何を勘違いして、その汚らしいデチ棒を晒してやがんだ、ゴルァ! レナは鬼ヶ淵モードを発動、一瞬にして北斗神拳の無想転生モードに至り、周囲一体の空気を殺気で満たした。 鬼となったレナは、瞬く間に魔物に変身、どす黒い肌と蝙蝠の翼、巨大な角と牙を持つ一匹の魔獣と化したのだ。 そう、レナは、この村を支配する魔物一族の一人だったのだ。 「ひいいっ!」 ヘイドレクは腰を抜かし、その場に崩れ落ちた。 「どうしたレナちゃん! 何があった!」 村人たちが次々と集ってくる。手には鋤や鍬、さらには12.8mmの機関銃を抱えてくる村人も居た。 彼らは事情を瞬時に察し、ヘイドレクを取り囲み、殺気に満ちた目でこの醜い小男を睨む。
275 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/17(水) 20:19:17
完全に動転したヘイドレクはそのまま激しく脱糞をはじめる。ブリブリブリ! その汚らしい姿に村人達が唖然。そのまま虚脱してしまった。 そのままヘイドレクは何を思ったのか、己の漏らした大便を手で掴むと、いきなりムシャムシャと食べ出した。 「ぷっ! 何こいつ!」「うんこ食ってるよ」「うわっ! 超キモっ!」 村人たちは次々と言い、アチラコチラから笑い声が上がった。 狂ったように己のうんこを食べ続けるヘイドレク。 そのどうしようもない姿を見たレナも、この世のこんな下らない男が存在したのか、とあきれ果て、彼を嘲笑った。 そして冒頭のシーンに戻るのだ。 村人たちに嘲笑われながら、ヘイドレクは己の大便を食べた。 もしかしたらその糞便食が受けたと勘違いしたのだろうか、下ネタオッケーの村人たちの態度を曲解したのか。 ヘイドレクは手に持っていたピコピコハンマーの柄を肛門に突っ込み、そのまま中でグリグリさせ始めた。 「おおうっ!気持ちいい! おおうっ!」 快楽に酔いしれるヘイドレクはなぜか勃起し、村人監視の中でオナニーを始め、ものの数十秒で射精してしまった。 夕日の中、村人たちに軽くリンチされ、そのまま縛り上げられたヘイドレク。 再び豚小屋の放り込まれた彼は、そこで種豚に肛門を犯され、泣きながら眠りに付いた。 来月、ヘイドレクはこの村の村祭の生贄として捧げられる。 ああ、ヘイドレクよ、お前に救いはないのか!
276 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/17(水) 21:34:11
無いよ
277 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/18(木) 19:06:07
ないのか? そりゃこまった。 ヘイドレクは不思議な踊りを踊った
278 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/18(木) 21:15:43
♪躍る阿呆に見る阿呆 同じアホなら躍らにゃソンソン 躍るヘイドレクは歌いだした。そのあまりの美声に村人たちは感動し、みんなお漏らしを始めてしまった。 何と言うことだ、何と言う! ここに伝説の歌姫、マリア・カラスが復活したのだ。 ヘイドレクはなおも躍り続ける。既にとっぷりと闇に包まれた氏神神社の境内で。 いつの間にか設えられたステージの上に躍り上がると、ヘイドレクはソプラノボイスでモーツァルトの夜の女王のアリアを歌いだす。 その歌声は神社裏の鎮守の森に響き渡り、満月の空に高らかと響き渡った。 村人たちもそれぞれヴァイオリンやチェロ、オーボエやフルート、クラリネットを奏ではじめ、 いつしか指揮台に立ったフルトヴェングラーが華麗なる指揮棒裁きを見せ始める。 そんな中でヘイドレクはなおも歌い続ける。 マーラーの大地の歌、シューベルトの魔王、ベートーベンの第九の歓喜の歌。 次々に謳いあげられる人類至極の名曲の数々に村中は湧き立った。 草木もまた歌いだし、森に潜む狸や狐、狢たちがそれにあわせて吠え、狼たちも躍り出した。 まるで村全体が一つの楽器のごとく共鳴し、その美しい調べは天高く空に響き渡る。 ああ、何と言う幸せ。何と言う至高の美の世界なのだろう。 生きとし生けるもの全てが互いに生命の崇高さを湛え、神の威光を祝し、大地の恵みに感謝しているのだ。 ヘイドレクはなおも躍り続ける。 真っ赤にそまった地獄の月の下で。
279 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/19(金) 02:17:26
何これ? 何かの冗談?
280 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/19(金) 18:37:02
「何これ? 何かの冗談?」 ベッドの中でエリザベスは思わず呟いた。 モニターに映し出されるその光景の馬鹿馬鹿しさに、唖然としている。 モニターの中では、あのヘイドレクがいた。 なぜかビゼーの歌劇”カルメン”の衣装を身につけ、少し色っぽく体をくねらせながらソプラノボイスで歌っている。 カルメンに求愛するホセの役は、死にかけ種豚。 その豚は最後の精力を振り絞るかのように己の性器を勃起させ、カルメンを演じるヘイドレクに飛び掛ろうと躍起だ。 ヘイドレクはそのタックルを何度も喰らい、何度も肛門にねじ込まれながらも歌い続けた。 既に衣装は豚の精液にべとべと。だが、ヘイドレクの目の輝きは増し、まるで自ら輝きを放つが如きだ。 さらに数匹の豚がステージ上に放たれた。 村人たちは豚の尻を思い切り鞭でしばき、ヘイドレクに襲い掛かるように仕向ける。 豚たちはピギーッ! と悲鳴をあげ、ステージ上を所狭しと駆け回る。 丸々と太った豚たちにタックルされながら、ヘイドレクはなおも歌い続ける。 もはや誰も止められなかった。 ヘイドレクの顔に浮かぶのは躁的狂気。 まるで全てを突き抜けた先の永遠の天国にたどり着いたかのような、そんな不気味な笑顔を湛えている。 村人たちもまた興奮している。 平安時代にも関わらず、なぜか用意されたPA機材からは、ダウンチューニングされたへヴィゲージから放たれるデスメタルの轟音。 髪の毛をピンクや黄色に染め上げた地獄の軍団の如きスラッシュメタルバンドが、悪魔の咆哮の如きシャウトを繰り返す。
281 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/19(金) 18:38:41
「ねえ、何なのこれ? 悪魔崇拝者のサバトか何かなの?」 エリザベスは権田に尋ねた。 権田はエリザベスの乳首を指先で玩びながら、なおもモニターに映し出される馬鹿げた狂騒を眺め続ける。 狂ったように歌い、躍り続けるヘイドレクの、その気持ちの悪い艶姿を、なぜか嬉しそうに。 「ねえ、俊行さん」 エリザベスは権田の頬にキスをする。もう一度、あの激しい情事を迫るかのように。 そのままエリザベスは権田の首筋に唇を這わせ、さらにエリザベスの長い脚が権田の逞しい足に絡みつく。 エリザベスのモモが、権田の巨大な男根に触れる。 先ほどの大量の射精を終え、現在は沈黙を守っているその女殺しの凶器を、エリザベスは己の太ももでこすり、刺激する。 だが権田は無言だった。 権田の目は、画面に映るヘイドレクを凝視し続けていた。 画面の中で、種豚に何度も犯されながらも、決して歌うことを辞めないヘイドレクのその姿を。
282 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/19(金) 18:40:01
狂乱状態に陥った村人の一人がステージ上に上がり、手にした斧で豚の頭蓋骨を砕いて回る。 豚たちはさらに発狂し、血まみれのまま檻を破り、客席にいる村人たちに突進を始める。 客席で乱交パーティーに興じていた村人たちが、一斉に騒ぎ出す。 100頭をこえる豚たちの群れは、その丸々と太った己の肉をもって村人達をなぎ倒し、踏みつける。 村人たちも負けてはいない。日本刀をスラリと抜き払った剛の者たちが、豚の肉体を見事に一刀両断してみせる。 ヘイドレクが激しく恋心を抱き、欲情した美少女、レナは凄まじかった。 彼女は北斗神拳の奥義の数々をもって、肥え太った豚たちに戦いを挑んだのだ。 美少女レナの前で、次々と引き千切られる豚たち。 だが豚たちも止まらない。興奮の度合いを増した豚たちは、先に殺された仲間の豚の肉を喰らい、レナに突進してゆく。 村人たちもまた豚の群れに踏み潰され、まるで挽肉の如く潰され、その肉を食われてゆく。 レナが北斗神拳最終奥義の無想転生を繰り出そうとした刹那、ついに一匹の豚がレナの体を引きずり倒した。 そのままレナのパンティーを引き千切り、爆発寸前までに怒張したそのペニスを強引にねじ込む。 それを合図に、ヨダレを垂れ流す種豚たちが、レナの肉体に殺到した。 その圧倒的な肉と性欲の奔流の中で、レナは次々と豚に犯されてゆく。
283 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/19(金) 18:40:52
確かに、悪魔のサバトだな、そう権田は思った。 興奮したエリザベスが権田のペニスを口に含み、舌技を駆使して発奮している。 その心地よい刺激を楽しみながら、権田はなおもモニターの画面を見続けていた。 画面の中のレナは種豚たち全てに犯され、完全に発狂した。 白目を剥き、ヨダレを垂らしながら、その狂女は踊り狂う。 その辺に落ちていた鋤の柄の先端を、己の膣にねじ込み、そのまま笑い出すレナ。 ああ、美しい、そう権田は思った。 これこそ、ヘイドレクのいるべき世界だと。 そんなヘイドレクはどうしているかというと、今は誰も居なくなってしまったステージの上で一人でオナニーしていた。 困ったときはとりあえずオナニー。それがダークファンタジーのヒーロー、ヘイドレクのルールだ。 血まみれで斃れる村人たちを見つめながら、ヘイドレクはオナニーをしていた。 牛舎から連れてこられた種牛と交尾を始めるレナの姿を眺めながらヘイドレクはオナニーをしていた。 血まみれの惨劇を見つめる、天空の三日月が、希代の醜男ヒーロー、ヘイドレクのオナニーの様子を優しく照らし出す。 ついにヘイドレクが射精し、ケタケタと笑い出したとき、画面を見つめる権田もまた、笑い出した。 何故だろう、何がおかしかったのだろう。とにかく権田はおかしかったのだ。 遂には権田は声を上げて笑った。 フェラを続けるエリザベスが不審な様子で見上げるのも構わず、権田は高笑いした。 そう、これでいいのだ。これこそが、我々が望んだ世界なのだ! 権田はなおも笑い続け、笑いながらエリザベスの極上ボディを押し倒し、激しく犯し始めたのだった。
284 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/19(金) 21:36:06
若い頃は見事に切れ込んだ肉体美を誇っていたであろう権田。 六つに割れていた腹筋は、今でこそ少しばかりの脂肪を着てはいるものの男性美を損なうものではない。 競泳用の黒いモッコリパンツがよく似合うであろう。 その肉体から悪魔のタケノコの如く突き出す、20cmは優にある巨大な男根がエリザベスを串刺しにする。 権田の荒い息がそのまま男根へと移り、エリザベスの穴をえぐりこむ。 数十分の歓喜の叫びの後に、塩辛くて苦くて生臭い男のDNAがメスの畑に注がれた。 さてこちらは平安の昔。 村人の血でぬらつく舞台の上に、ヘイドレクは少量の精液を振り撒いた。 おなごを知らない小さいチンチン。小さくて醜いチンチンは当然ながら皮被りだ。 ムケチンならばドビュッと振り巻かれる精液も、包茎チンチンならば皮の先からドロッと流れ落ちるしかない。 まったくもって粘着気質ではあるまいか。 ヘイドレクの精液が村の衆の血と交わる。赤い舞台がイチゴミルク色に染まる。 ヘイドレクはふと、ペコちゃんのイチゴミルク飴を思い出した。 駄文執筆の末に世間から見捨てられた僕にも、かわいい昔があったんだよ。 ポケットによく飴玉いれて、広場に遊びにいったよ。あのころは楽しかったね。 でも今のボク、平安時代にまでタイムスリップの挙句豚のウンコ食べてこんどは血まみれ。 帰りたいよ。懐かしい昔に帰りたいよ。 ヘイドレクはイチゴミルク色の、血と精液の混合物をすすった。
285 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/19(金) 21:45:13
と、血と自らの精液の混合物を飲まんとする変態ヘイドレクの脇を何物かがかすめた。 ヒャウッ!と音を立てて次の攻撃が迫る! それは矢だった。顔を上げたヘイドレクの目に映ったのは、100人はくだらない検非違使の役人と朝廷の兵士たち! 「そなたは最近都に現れしもののけ、へいどれくではあるまいな!羅生門二階での、鬘売りの老婆並びに異形の若者3名、並びにカラクリ猫惨殺の罪は許しがたし! 挙句は潜伏せるこの村にての里人大虐殺に至っては言語道断! 神妙にいたせ!成敗してくれるわ!」 さぁどうなる?ヘイドレク!
286 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/20(土) 19:06:39
「さて、どうしようか」 困ったことになってしまった。そう呟いた男がいる。 その男は遠くの森の中から、困惑した面持ちで神社の境内の様子をジッと眺めている。 神社の境内で検非違使派遣の兵士たちにぐるりと囲まれ、その中央で失禁し始めるヘイドレクがいる。 ヘイドレクは泣き崩れ、周りの兵士たちに冤罪を訴えて縋りつくも、けり倒されて地面に倒れ伏す。 村人たちや豚の死体が散らばる修羅場の中で、ヘイドレクは兵士たちに散々殴りつけられ、遂には失神。 不思議なことに、なぜかヘイドレクは勃起している。 あれほど痛めつけられたにも関わらず、どうしてヘイドレクはあんなに嬉しそうなのだろうか? ただ一人、発狂してしまった娘・レナが歌い踊る中で、兵士たちは黙々と仕事をしている。 ヘイドレクを荒縄で縛り上げ、とりあえずご神木の高枝に吊るし上げておく。 まあこいつはこれから都に連行され、取り調べという名の結構えぐい拷問くらった後、四条河原に晒されるんだが。 さらに他の兵士たちは、散らばった死体をかき集め、薪を積み上げるとそれに火を放ち、村人や豚の肉を焼き始めた。 味噌の醤、それに甘みを加えるために酒、砂糖、生姜汁を加え、磨り胡麻で風味を加えた特製のタレ。 その香ばしいタレを肉に塗りつけながら、熾き火となった炭にくべ、じっくりと焼き上げる。 肉は下処理として葱と大蒜を下ろしたものを塗りつけ、肉の臭み薄めている。このあたり、百戦錬磨の兵士たちは抜かりがない。 火にくべた肉から肉汁が滴り、熾き火の中に垂れ落ちるたびに、ジュッ! と音を立てる。 その瞬間、なんともいえない旨そうな香りが辺り一面に広がる。
287 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/20(土) 19:07:32
神社の傍らに建てられていた酒蔵の扉は破壊され、中に貯蔵されてあった村秘蔵の酒、ワイン、シャンパンも引き出された。 都に住まう人間全てを1年にわたって酔わせることが出来るほどの大量の酒を、兵士たちは惜しむことなくあおり始める。 その絶妙なコク味と、喉越しの素晴らしさに、兵士たちは舌鼓を打つ。 旨い、実に旨い。これだから検非違使稼業は辞められないぜ。 実は半分以上、俘囚郷や渡来人たちで占められているこの検非違使軍団である。 彼らもまた、戦いの報酬として敵の財宝を奪い、敵の女を犯し、敵の血肉を美味しく召し上がる狼集団だったのだ。 何? お前ら検非違使は都の治安、警察、司法機能を担う正義の軍団じゃなかったのかって? 何を今更。ちょー笑える。お前脳味噌のウジ湧いてるんじゃねーの? 俺たちは検非違使という名の山賊であり、血肉を貪る飢えた狼の群れなんだぜ? つーか俺たち検非違使なんて官職を藤原家を脅し上げてもらったけど、元々は大江山の住人だし。 最近都の中で貴族の御曹司や姫君を拉致して犯して殺して調理して召し上がってるのは、俺たちだし。 今ここには来てないけど、俺たちのボスって酒呑童子って言って、都を大騒ぎさせてるちょー大物だし。 俺たちの拳は敵をぶちのめすためにあり、俺たちの牙は弱肉を喰らうためにあり、 俺たちのちんこはその辺の娘を孕ませるためにあるんだぜ! うはははっ! やっぱ俺たちって最高! これから何、この気持ち悪い異世界人を都に引き立てるって? 何か面倒くせえな、こんな気持ち悪い脂性のイボだらけのデブなんて、ここでブッ殺しちまえばいいんじゃね? 検非違使軍団の者たちが近隣の村からピチピチの若い娘さんたちを調達してきた。 さらに各村から奪った財宝を仲間内できちんと山分け。 この辺りの仲間意識の強さこそ、この検非違使と名乗る悪党集団の強さの秘密だ。 敵に一人殺されたら十人殺せ! その鋼鉄の掟、金剛石の如き結束力こそが、後にこの検非違使軍団改め酒呑童子軍団が天下を騒擾させることとなる。
288 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/20(土) 19:08:44
検非違使の兵士こと大江山の鬼たちは、村娘たちの衣類を剥ぎ取ると、彼女たちを犯し始めた。 酒を呷り、土臭い女たちを犯し、村人の血を喰らいながら、検非違使を名乗る鬼たちの祝宴は延々と続いた。 一方、失神したまま木から吊るされていたヘイドレクは、いつしか目を覚まし、木の下で行われている狂宴を羨ましそうに見ていた。 鬼の本性であるおぞましい姿を露わにした鬼たちが、素朴で健気な娘たちの清らかな肉体を蹂躙している。 う、うらやましい、なんと羨ましいのだ!既に縄の下のちんこは勃起しかかっている。 だが、これ以上勃起してしまうと、ヘイドレクの小さめのちんこでも窮屈だ。 ヘイドレクは何とか勃起を抑えようとアタマの中で女のイメージを払拭し、マッチョな男の姿を想像した。 だが、それがいけなかったのだろう。毛むくじゃらのゴリラ系マッチョ男の全裸をイメージした瞬間だった。 ヘイドレクは電撃が走るかの如く激しく勃起してしまった。 「ぎゃーっ!!!!」 ヘイドレクは木に吊るされたまま、激痛のあまり絶叫した。 痛い、痛すぎる!きつく締められた縄の下で、ヘイドレクの小さめのちんこが折れ曲がってしまったのだ。 だが木の下で酒と女に興ずる検非違使名乗る鬼たちはガン無視。 若い娘の初々しいその肉体を玩び、果てしない快楽の中で喜びに浸っていた。
289 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/20(土) 19:09:30
「さて、どうしたものかな」 再びそう呟いた男。今、ここであやつらを打ち倒すこともまた可能なり。彼はそう判断している。 彼の名は藤原秀郷。藤原北家の血筋の名門であり、現在は下野の国の領主を務めている男だ。 最近、東国に将門を名乗る男が下野し、朝廷に対して叛旗を翻すというご託宣があった。 そのため彼は密かに関白太政大臣藤原忠平の命を受け、東国に下る怪しげな者の調査を行っていた。 秀郷が目をつけたのが、このヘイドレクだった。 突然羅生門に現れた異世界の人間。何人もの正体不明の人間を殺し、東国への逃亡を図った殺人鬼。 それがこのヘイドレクという男。これほどの男なら、東国に下って朝廷に叛旗を翻すくらいのことをやりかねない。 そう秀郷は早合点していたのだ。 確かに秀郷の考え方もあながち間違いとはいえない。 何せヘイドレクの登場によって、平和だった雛見沢村は壊滅してしまったのだから。 これはこれでヘイドレクの持つ負のパワーの具体化と言ってもいい。 (実はこれも権田俊行伯爵【海軍准将、貴族院議員、帝国中央情報局長、ヘイドレク委員会議長】の陰謀でもあるのだが) 秀郷は困り果てていた。 高枝から吊るされたヘイドレクが、痛みのあまり再びションベンをもらしているのを見ながら困っていた。 上からションベンを引っ掛けられた鬼たちが怒り出し、ヘイドレクを火の付いた薪で殴りつけるのを見て、困惑していた。 こんな情けない、下らない、つまらない男が、そこまで大それたことが出来るのだろうか? つーか普通の庶民以下。できそこないと言っても過言ではないくらい、なんか冴えない男じゃないか!
290 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/20(土) 19:10:27
部下たちが、ここでこのヘイドレクをここで殺し、反乱の芽を摘み取ってしまいましょう、と進言する。 さらにこれを機会に横暴を繰り返す検非違使の連中を打ち倒してしまいましょう!と進言する。 だが、秀郷は決断を下せない。 自分は何かを間違っているのではないか、そう思ったのだ。 そう、秀郷は間違っていたのだ。 ヘイドレクという一匹のバカのせいで、秀郷は真の悪を見逃してしまったのだ。 現在、三河を越え、間もなく駿河の辺りに、その男は居た。 その男の名は、野比のび太。 彼は後に平将門を名乗り、下総常陸で独立国を作り上げ、大和朝廷と実に千年にもわたる戦争を繰り広げることになる。 そう、最強の鬼と化したこの男、のび太こそが、希代の勇者ヘイドレク、じゃなくて希代の勇者藤原秀郷の終生のライバルだったのだ。 そしてさらに、野比のび太の連れている一人の美少女が問題だった。 彼女の名はしずかちゃん。実はのび太以上に厄介な存在なのだ。 だがそれは、まだ誰も気づいていない。 このしずかちゃんこそが、今、駿河の町の宿でのび太のデカチンを手でにぎにぎしてしごいてるしずかちゃんこそが、 実は全ての鍵もその手に握っているのだということを。 唯一、権田を除いて。
291 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/21(日) 12:33:39
死肉を喰らい豚肉を喰らい、女も喰らう鬼ども。 極度に発達した筋肉が躍動し、女の股におのれの精を叩き込む。 人間の前腕と同じほどの長さと太さを有する彼らの生殖器は、容赦なく清らかな村娘のワギナを軋ませる。 痛みと屈辱の末、筋肉質のオスに抱かれる喜びに達した彼女は歓喜の叫びを上げ、そしてまた苦痛に悶える。 大木の梢から吊り下げられたヘイドレクは泣いた。 陵辱される村娘たちに、なにもしてやれないおのれの情けなさ。 そして何よりも醜いおのれ自身に。 駄文をこねくりまわした末の出不精はまさにデブ症。 ポテチと菓子パンを、一杯につき砂糖5杯にバターひとかけ溶かし込んだミルクティーで流し込む生活。 脳への栄養として過度に摂取した糖分は何ら脳細胞にいきわたることなく、 かわりに脂肪細胞を肥大化させる。挙句は顔といわず腹といわず全身からブツブツ噴出し・・・ まさに彼は異形なもののけだった。
292 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/21(日) 12:34:49
それに比して、眼下で陵辱の宴をくりひろげる鬼どもはどうだろう。 顔が凶悪なのは鬼だから仕方が無い。しかしその肉体美は陶酔するばかりだ。 寸分の贅肉も無い、逆三角形の広い背中。哀れな女が絶叫を上げる寸前、彼らの強靭な皮膚の下で筋肉がうごめく。 仁王立ちして巨大な男根を村娘にしごかせる鬼。その腹はきれいに段を刻んで割れ、 胸の筋肉は凶暴なまでに盛り上がっている。 うらやましい。にくたらしい。それでもうらやましい。 ブサメンヘナチン野郎のヘイドレクは、鬼を妬んで泣いた。 と、鬼の一匹が素っ頓狂な声を上げた。 彼の手には例のピコピコハンマーが握られている。 「おい、これは何だべか?」 「アン?知るわけねぇべよ。でもまぁ、打ち出の小槌とやらに似てやせんか?」 「打出の小槌?ああ、都の仲間が一寸法師にふんだくられた宝ときたか? でもこれは木で作ったようなものじゃねぇべ。」 しかし本物の小槌ならば、効果があるはずだろう。人体実験でもしてみるべ。 鬼は下卑た笑いをもらしながら、ヘイドレクが縛られて吊り下げられた大木の元へ歩み寄る。 そして件のピコピコハンマーを振りながら、心にもない願い事を唱える。 「ヘイドレクよ、イケメンになれ!マッチョになれ!チンチンおおきくなれ!」
293 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/21(日) 18:41:35
だが、よりイケメンになり、よりマッチョになり、よりチンチンが大きくなったのは、のび太だった。 ヘイドレクには何も変化が訪れなかったどころか、患っていたイボ痔が悪化し、肛門が痛くなった。 「まあ、のび太さん、一体どうしたの?」 ベッドの中で、突如大きくなったのび太のペニスをしゃぶってあげようとパンツを下ろしてあげた刹那、しずかちゃんは驚愕のあまり目を剥いた。 昨日までののび太の、それはそれで常人より遥かに巨大だったペニスが、今や大砲の如き。 黒光りしたそれは、しずかちゃんの目の前で悠然と揺れている。 「俺にも良くわかんないんだよ、しずかちゃん。なんかさっき突然、天から物凄いパワーが降ってきてさ」 のび太はそう言うと、しずかちゃんの可憐な頬に、己の巨大なペニスをこすりつけた。 しずかちゃんはうっとりとした表情で、のび太の巨大なそれにキスをする。 のび太の肉体もまた、凄まじい変貌を遂げていた。 ドラえもんによって元々鍛え抜かれていたその肉体はさらに凄味を増し、強靭かつ柔軟なその筋肉が、しなやかな皮膚の下で蠢く。 まるでヘラクレス。神の力をその美しい肉体に宿したのび太は、英雄伝説の継承者として、心身ともに相応しい存在とあいなったのだ。 「ああ、のび太さんっ! す、素敵!」 しずかちゃんは堪えきれなくなり、のび太のその逞しい胸に飛び込んだ。 既にアソコはぐっしょり。のび太の巧みなテクで女を開発された一人の美少女は、再びのび太に女の悦びを求め我が身を投げ出した。 のび太はその可憐な肩を抱き寄せ、やや強引に唇を奪う。 それと同時に、巨大化した己のデチ棒を、もはや前戯無用とばかりにしずかちゃんの膣内にねじりこむ。 「きゃあっ!」 しずかちゃんの、苦痛とも喜びとも取れるその悲鳴が、富士の裾野に響き渡った。 今宵の月もまた、美しい。
294 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/21(日) 18:42:38
ピコピコハンマーは神様が戯れにヘイドレクに授けた魔法の道具である。 この世にある種のジョークとして生まれ、「平凡以下」と宿命に刻まれた男、ヘイドレク。 そんなヘイドレクの運命に「ちょっと悪戯してやりましょうよ、うふっ!」とヴィーナスにフェラでせがまれたゼウスが、 ヘラヘラ笑いながら適当にヘイドレクに授けたものなのだ。 この魔法の道具、ピコピコハンマーはヘイドレクの下卑下劣な夢を中途半端に叶え、なおかつヘイドレクに幸せを齎さない。 だってそのほうが面白いじゃん。 「何だ、何も起こらないじゃないか!」 ピコピコハンマーを振った大江山の鬼軍団の男は、つまらなそうに舌打ちした。 そう、ここより遥か離れた場所で、野比のび太という希代の悪党に神の力を与えてしまったとも知らずに。 一方、木に吊るされたヘイドレクは、突如痛み出したイボ痔の痛みに悶絶していた。 痛い、痛すぎる。ケツの穴から脳天に向けて凄まじい痛みが貫く。 ぎゃあぎゃあ喚き散らすヘイドレクを見上げた鬼は、顔を顰めた。 「この糞罪人が、人殺しのくせしやがってウゼエんだよこいつ。」 そういうと、手にしていたピコピコハンマーの柄を、ヘイドレクのケツの穴にねじ込み、再び村の娘のところに戻っていった。 「ぎゃあああああっ!」 ヘイドレクの悲鳴が、鎮守の森の奥に虚しく響き渡った。 今宵の月もまた、何と美しいことか。
295 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/21(日) 21:17:08
藤原秀郷は嘆息した。 ご神木から釣り下げられし異形のもののけは尻の穴に奇妙な鎚の柄を差し込まれ、 激痛に悶えている。彼がバタバタ喚くごとに鎚の柄はピコピコと動く。 このブザマなもののけが、羅生門連続殺人並びに雛見沢大虐殺の実行犯であるはずも無い。 ましてや叛乱の目であるはずもない。完全な見込み違いじゃ。 このようなブサメンはすておけ。殺すまでも無い。 何?生かし置いたら女を孕ませ、ブサメン遺伝子を世に伝えてしまう? よう考えてみいや。あのようなむさくるしい男が、おなごをはらませられるはずも無いわ。 藤原秀郷は部下達に、引き上げを命じようとしていた。 さてこちらは駿河の国。 鍛え上げられた肉体で巨根ながら、顔のルックスのみは凡庸でブサメンだったのび太。 しかしピコピコハンマーのご利益で、ギリシャの神も裸足で逃げ出すような美丈夫に変身した。 イケメン顔を密着させて熱いディープキスをかまし、たくましく隆起する筋肉の中から突き出す男根に貫かれ、 しずかは更なる歓喜の声を上げる。
296 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/21(日) 21:32:11
ところで・・・ 日本史に詳しい人間ならば、平将門が新皇を名乗って朝廷に反旗を翻したのが西暦938年だということを知っていよう。 地質学も極めている人間ならば、前年の西暦937年に富士山が大噴火して大量の溶岩を富士吉田方面に流しだした事件を知っていよう。 一説によれば将門の乱は、富士山の噴火で気候が変動し耕地が荒廃し、東国の民の生活が立ち行かなくなったことが原因、という。 それはともかく、平安期の富士は活発に活動する火山だった。 遡ること200年余り前、高橋虫麻呂が長歌に詠んだが如く、雪に覆われた山頂を眺めれば、夜には火が燃え立つのが眺められる。 当時はまだ宝永火口も大沢崩れも無い。絶世な美形の山だった。 その絶世の美形山のふもとで、美男美女がまぐわって歓喜の声を上げる。 富士山の女神、噴火の神、美形な女神であるところのコノハナサクヤビメは欲情した。 活発に活動する火山の女神が欲情したのだ。 破滅の時は近づきつつあった。
297 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/22(月) 19:18:16
さて、欲情したコノハナサクヤビメの無聊を慰めるため、仕方なく権田俊行伯爵その人が赴き、 股ぐら(噴火口)を手で弄繰り回して「ファックミー!ファックミー!」と叫ぶヒメを思う存分満足させてやってる頃。 ヘイドレクは黒川金山の採掘場に送り込まれた。 もち懲役。しかも懲役二万五千年。つーかそれいつまで?昭和も平成もぶち抜いて人類滅亡してね? 一方、都ではヤバイことが行われていた。 比叡山の座主たる浄蔵和上は恐怖をおぼえていた。 遥か荒戎の地で今、地獄の魔神、第六天の魔王が復活しようとしている、そういう予言をマヌの法典から得たのだ。 胃腸の調子次第で3割〜8割の間で当たる予言を得た浄蔵和上はこれをすぐさま醍醐帝に奏上。 精力絶倫の醍醐帝はこの予言にいたく感服し、美しい稚児十人を浄蔵に与えたといわれる。 この予見に素早く反応したのは陰陽庁だった。 黒魔術師やら超能力者やら自分は宇宙人だと名乗る精神病患者たちが集う平安京の精鋭集団たちは、検非違使だかに介入し、未来人たちの遺体を回収。 ランドルフ・カーター博士の協力を得、クトゥルーの秘儀を用いることを幹部会議で決定した。 今、この実験室に立つのは賀茂忠行。若き息子保憲や安倍清明らを従え、禁断の秘儀を今執り行おうとしている。 そう、招魂の秘儀。これは人類以前に地球を支配した宇宙生命体たちの残した、時空を越えて死した魂を再びその肉の灰に呼び戻す、究極の秘儀だ。 中にはこの秘儀を用いることに反対するものたちもいた。だが彼らは密かに暗殺者集団・黒脛の手の者によって闇に葬られる。 今、目の前には完全に腐敗し干乾びたジャイアン、スネ夫、そしてあの悪党、出来杉の死体が横たえられている。 既に幾日も経過し、その死体は野良犬に食いちぎられ、ウジがたかり、酷い状態。 辛うじてジャイアンの死体だけが、その巨体ゆえに判別できるが、スネ夫と悪党の出来杉の二人の区別は殆んど不可能なくらい、死体は崩れていた。
298 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/22(月) 19:19:18
その悪臭に耐えながらも、賀茂忠行はランドルフ・カーター博士と共に秘儀を開始した。 都中から集めたうら若き処女たちの経血が満ちたツボに、これまた童貞の王子たちから採集した (どのように採集したかはトップシークレットとされている)大量の精液を注ぎ込む。 ツボにはゆっくりと熱を加え、だが決して過度に過熱せず、できる限り人肌と同じ温度を保ちながら。 もちろん火を焚くのは、天竺から特別に取り寄せた香木。沙羅双樹の木の枝を独自の手法で薪としたものだ。 さらにカーター博士は、『ネクロノミコン』にのみ調合法が伝えられる霊薬エリクサーを調合する。 まだ大和の国には伝わらない数々の妙薬を、ギヤマンの容器の中で手際よく、かつ慎重に混ぜ合わせてゆく。 保憲は緊張していた。この若き陰陽師は、偉大なる父の助手として、千年に一度あるかないかの秘儀に携わっているのだ。 脇には安倍清明が、あくびしながらエロ本を読んでいる。巨勢金岡の描く色っぽい春画は、地下出版で出されたあと、都の好色家たちの間で話題となった。 完全無修正版のその見事なエロシーン、3Pぶっかけモノやイマラチオを都に流行させたのもこの金岡の春画だと言われている。 後世によく知られることとなる、この安倍清明という下らない男は陰陽師としてはほぼ無能。 だが宮中の女官を口説き落とし、殿上華族や藤原南家などに知己を得、結局はこの賀茂保憲の業績を我が物として後世に語り伝えてしまうのだが。 そんな下らない同僚に、すべて業績を横取りされるとはいざ知らず、保憲は父の助手を熱心に務めている。 ここまで腐敗しきったこの死体を復活させるなど、本当にできるのだろうか?
299 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/22(月) 19:20:10
「では、これからDNAを採集します」 カーター博士はそう語った。かつて銀の鍵を得て、未知なるカダスの地を旅したこの西洋人は、アブドゥル・アルハザールと共に歴史的な魔法使いといわれる。 転生の秘法をどこからか学び取ったこの男は、天竺のあの祇園精舎に集う仏弟子たちの如く、どこか超然とした男だ。 カーターはゆっくりとその死肉を探った。同時に保憲の父、加茂忠行もまた同様の作業を行う。 損傷の少ない部署を丁寧に選出し、ステンレストレーの上にその肉片を置く。 保憲は素早くそれに防腐のための霊薬をかけ、さらに溶液に溶かして遠心分離機にかける。 漿液と腐った血液、さらには砕かれた細胞の破片にその中のDNA、カーター博士によれば、人間の固有情報は全てここに描かれているという。 そのDNAをたくみに採取する。それを先ほど混ぜた経血と精液の中から取り出した、受精卵とやらにそれを注ぎ込む。 無論それ以前にDNA補修という作業を怠らない。父・忠行によれば、彼らを単に甦らせるだけでなく、あの野比のび太と対抗しうるだけの能力を与えるためだという。 その後、やはり都から集めた若き娘達の子宮の中に、その卵を注ぎ込む。ペニスではなくて、注射器で。 一瞬、両脚を押し広げる娘達のその姿に欲情してしまい、保憲は我が身を恥じた。 安倍清明は「あ、この娘とセックスしていいんすか?」と軽い調子で娘に圧し掛かったところを、カーター博士にぶん殴られて研究室からたたき出される。 こやつ、協力なコネでここに来たのでなければ、とっとと追い出してやるのに。 娘達にもまた特別な処置が施されている。 間もなく荒戎の国で、あの野比のび太が反乱を引き起こす。 それに間に合わせるために、成長促進剤を大量に投与しているのだ。 それはダゴンの海に生息する魔物の血清より作製された薬であり、そのため娘達の容貌も、どこか獣じみている。 全ての作業を終え、娘達を集中治療室に送り出したあと。賀茂忠行とカーター博士はさすがに披露し、椅子に倒れ込むように座った。 あれでおそらく、ジャイアン、スネ夫、そしてのび太に対抗しうる唯一の悪党、出来杉は復活するだろう。
300 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/22(月) 19:20:56
そしてこれからが本番である。 そう、あの青い狸、ドラえもんだ。 これの復活にゴーサインはまだでていない。 世界を滅ぼしかねない兵器、それがあのドラえもんというネコ型ロボットなのだ。 それを復活させる、それはあまりにも危険だ。 だが、時が迫っている。 賀茂忠行とカーター博士は煙草をくわえながら、その詔が下るのを待った。 賀茂保憲もまた、待った。父と、師父とともに。 研究室を追い出された安倍清明はその足で円山町にゆき、そこで馴染みの遊女とセックスしていた。 一方ヘイドレクは黒川金山で金鉱堀していた。
301 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/22(月) 20:00:54
黒川金山っつったらおいらん淵だろ?
302 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/22(月) 21:01:47
飛騨の国雛見沢の廃墟から引き立てられたヘイドレク。 彼を引きずりまわす馬には、あのレナも縛り上げられていた。 豚どもの種壷と化した哀れな美女は、村娘に飽きた鬼どもに蹂躙された。 彼女を輪姦するマッチョな鬼は、イク寸前で隆々たる男根を引き抜くと醜いヘイドレク目掛けて発射する。 ヘイドレクの醜い肢体は、今や鬼どもの精液でミルクチョコレート状態だ。 「オゥラ!絞りたてのタンパク質で全身パックしてやる。 ブサイクなてめーもちったぁイケメンになれるだろーからよ。 ありがたく思えや!」 イケメンになれる筈もない。その姿でケツ穴にピコピコハンマーを差し込まれたままの姿で、 ヘイドレクは都へと連行されていった。 道中で鬼はレナを蹂躙し、精液をヘイドレクにぶっかける。精液は初夏の陽気で腐り始め、 名状しがたき悪臭を放っていた。まさにヘイドレクは深きものどもだ。 羅生門を潜って都へと入り、検非違使庁の御白洲で無理無体な冤罪を着せられたヘイドレク。 藤原秀郷はとっくに匙を投げ出している。 そして再度縛り上げられ、レナとともに再度羅生門を潜っていく。 ああ、哀れなるレナ!飛騨の国の山里で花の都に憧れながら、このような姿で上京がかなうとは・・ そしてふるさとはもはや存在しないのだ。
303 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/22(月) 21:13:36
ヘイドレクとレナは東国へと下らされる。 三河の八橋を過ぎ、浜名湖を過ぎ、富士の山を仰ぎ見る。 美しきレナとの東下りだ。しかし彼女はすでに精神を病んでいる。自身が鉱山の慰安婦として、 甲斐の国に売られていくことなど理解できようはずもない。 しかしそれがむしろ幸福というべきだろう。彼女と共に旅をするのはヘイドレクなのだから。 富士川の河畔から仰ぎ見る富士は美しい。権田のテクが功を奏し、噴火の兆候もなく穏やかに佇む 絶世の名山。 しかし奴隷のヘイドレクとキチガイ美女の取り合わせ・・・コノハナサクヤビメは冷笑した。 甲斐の国黒川鉱山は、平安時代にはすでに開発されていた。 戦国時代には信玄の隠し金山として大いに栄え、地の底で落盤の恐怖に怯えつつ金を掘る ウホッな男どもの無聊を慰めるために遊郭が営まれていたことも、 秘密の金の露見を恐れた権力者が、閉山の際に遊女を全員川に沈めて殺したことも、 その怨念が凝りに凝って、下流の淵にが心霊スポットとされていることも有名な話だ。
304 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/22(月) 21:25:13
早速ツルハシやノミ、ハンマーを持たされ地の底へ追い立てられるヘイドレク。 しかしワラジ履きの脚は2、3歩坑道に入れたところで岩に躓き、ベッチャリと床に伏す。 周囲の荒くれ工夫どもが罵声を上げる。 「モタモタすんじゃねぇ!うぜーんだよ!大体、てめー臭いぞ。体からザーメンの匂いが漂ってくるわ! こっち来んじゃねぇ!」 鬼どものザーメンの薫りは、何度身体を洗っても消えなかった。 もともとファンタジー小説脂肪、もとい志望だったヘイドレクにしてみれば、地の底の坑道にコボルトや ゴブリンの姿を見た事だろう。しかし周囲は都で食い詰め悪事を働き、 その末に捕らえられ放り込まれた悪人どもの巣窟だった。羅生門の2階で老婆から着物を剥ぎ獲った下人や、 山科の山林で武士を殺し妻を犯した盗賊・多襄丸もいずれ放り込まれるだろう。 さておき、駄文執筆でやみ衰え、全く使い物にならないヘイドレク。 業を煮やした現場監督は、彼を精錬所に回した。かくて彼は塵肺訴訟を起こすことにはならないようだ。 精錬所・・・ 金の鉱石を高熱で溶かし、純粋な金を取り出す。 目の前で流れる黄金にヘイドレクは陶酔した。まさにファンタジーだ!ぼくの世界だ!
305 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/22(月) 21:32:21
一方、レナは鉱山の慰安婦を務めていた。 平安時代のことだから、遊女と言っても花魁ではない。 男装して烏帽子を被った白拍子だろう。 発狂した美女には、白痴的な美が漂う。 白痴の白拍子・・・言葉遊びの妙ゆえではないが、工夫どもの売れっ子になった。 ドタマが狂っていても、美しければ客は引きもきらない。 さてこちらはヘイドレク。 鎔けてドロドロに流れる金に陶酔して手をつっこんだヘイドレクは大火傷をして、一週間寝込んだ。 病気の分の借金が、また刑期に加算される。まさにアリジゴクだ。 しかしかわいいレナちゃんも、このヤマで暮らしているんだ! なんとか金を盗み出して、レナちゃんを買おう! 労働でも引き締まらない肉体をプリプリ震わせながら、ヘイドレクはほくそ笑んだ。
306 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/25(木) 00:07:06
「待ってください! そんな強引に引っこ抜こうとしないでください!」 ヘイドレクは悲痛な声を上げた。 「何だよ! 早く抜かなきゃ傷口が広がっちまうぞ! ヘイドレクよ!」 ピムリコスペシャルでウォーアドミラルに全額掛けて掏ってしまった憤りを抑えかね、転び伴天連・ヴァレンティノ神父は声を荒げる。 一方ケツを突き出したヘイドレクは泣きじゃくっている。ケツの穴にはなぜか草刈り手鎌が突っ込まれており、 肛門から溢れる血が床を濡らし、せっかくのお座敷が台無しだ。 「だって、今これを強引に抜いたら、僕の肛門が裂けちゃいますよお!!」 ヘイドレクは畳に突っ伏して泣いた。 周りでは遊女たちが「ありんす、ありんす」と呟きながら遠巻きに見ている。 何と面白い見世物でっしゃろ! いとをかし! と嘲笑いながら。 特にこの廓で屈指の太夫、竜宮太夫ことレナは、ヘイドレクがのた打ち回るその姿を見て腹を抱えて笑っていた。 「おい、ヘイドレク! 面度クセエからもう強引に引っこ抜くぞ! いいな!」 ヴァレンティノ神父もまた顔を顰めながら、ヘイドレクの汚いケツの前にしゃがみ、肛門にねじ込まれたその鎌の柄に触れた。 ヴァレンティノ神父の指が鎌の柄に触れた瞬間だった。 「ふんぎゃー!!!」 色町中に響き渡るヘイドレクの絶叫が、夜の帳を引き裂いた。 凄まじい激痛。肛門内部に深々と挿入された鎌の刃が、直腸の中でブッ刺さりヘイドレクを苛める。 血がさらにドクドクと流れ出し、血で液状化した糞便が肛門の隙間から吹き出す。 ヴァレンティノ神父は素早く飛び上がってそれをよけ、座敷の隅に佇むとヨハネ黙示録の文句を適当に唱え出す。
307 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/25(木) 00:07:53
もはや修羅場。 泣き叫びのた打ち回るヘイドレクの姿。うろたえるヴァレンティノ神父。 愛くるしい遊女たちは、ヘイドレクの情けない姿を、遠巻きに気持ち悪そうに眺めている。 そしてその中に、あの竜宮太夫として名を馳せることとなったレナが居た。 ヘイドレクの苦しむ姿を見て大爆笑。周囲の奇異な目もよそに、 「ひー! 笑いすぎて腹が、く、苦しい〜!」とこれまたのた打ち回って笑っている。 一体ここで何が起きたというのか? ここでちょっと時間をさかのぼってみよう。 ◆ 雛見沢村で出会ったレナちゃんと是非セックスをして、長らく付き合った童貞とおさらばしたいと思ったヘイドレク。 だが金は無い。というよりそもそも現在の身分は囚人奴隷。 実は近いうちにヘイドレクはガレー船に乗せられてアメリカ大陸に売られ、 大いなる西部の地でマカロニウエスタンな冒険を繰り広げる運命なのだが、今回はとりあえず関係ない。 とてもとても遊女とセックスなんて身分から程遠かった。 つーか今もうレナちゃんは太夫だし、ヘイドレクみたいなクズを相手にするわけねーじゃん。 だが、チャンスが巡ってきた。 同じくこの黒川金山に受刑者としてつれてこられた、転び伴天連・ヴァレンティノ神父との出会いだった。 そう、この男との出会いが、今日、今ここで繰り広げられている血なまぐさい悲劇の発端となってしまったのだ。 そしてヘイドレクという男の悲しい運命もまた、大きく流転することになる。 では、一体ヴァレンティノ神父とは何者なのだろうか? ちょっとそれを見てみよう。
308 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/25(木) 00:09:26
■ キリシタン禁教令が発布されたにも関わらず、ヴァレンティノ神父は長崎の出島を抜けて日本各地で布教を続けていた。 しかし過酷な弾圧の末に彼は神の威光を見失い、徐々に悪魔崇拝者として傾いてゆく。 それとともに押さえつけた己の欲情が爆発してゆく。 素朴な田舎の村に出向き、奇術と魔術を用いて村人を盲信させ、彼らをアンチクライストを尖兵として洗脳してゆく。 もちろん彼らからは物資、食料、さらには若き村の娘や美少年たちを献上させ、それを心ゆくまで堪能するのも忘れない。 さらに、彼らを武装化させ、近隣の村々を襲撃してゆき勢力を拡大してゆく。 ヴァレンティノ神父は北関東一体で既にカリスマと化し、さらには激しく小田原北条氏や関東管領職の上杉一族と闘争。 武蔵野の大地を真っ赤な血で染め、今日も関八州の無粋な夷たち相手に戦いを繰り広げていた。 だが、ここであの野比のび太と出会ってしまったのだ。 ヴァレンティノ神父一行が軍勢を率い、川越街道を北上している最中だった。 完全の狂信者集団と化した村人達は、悪魔崇拝の秘儀と悪魔教団に伝わる秘伝の薬物(覚醒剤ね)によって、 死を恐れず、痛みすら感じない恐るべきイモータル軍団だ。 彼らは近隣の村人の生き血を啜り、生肉を喰らいながら、川越街道を北上してゆく。 本日は八王子城を責めて城西地区の覚醒剤販売ルートを巡る抗争事件にほぼ勝利した。 さらに三多摩地区の暴走族をあらかた蹴散らし、高額査定されるヴィンテージ旧車を十数台手に入れたり。 やりの穂先の暴走族集団”ミルマスカラス”の首領の首級をブッ刺して掲げ、意気揚々と上州に帰る最中のことだった。 川越街道の道のど真ん中に、一人の美少女が立っていた。 少し憂いを帯びた、可憐な表情。短めのスカートから覗く、健康的な白いパンティー。 そう、あのしずかちゃんだった。
309 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/25(木) 00:10:13
ヴァレンティノ神父率いる地獄の軍団”イモータル”を前にしても、その可愛らしい表情を崩さないしずかちゃん。 まるで我が身をその前に捧げ、彼らの供物となるかのように、しずかちゃんはその場にしゃがみこみ、祈りを始めた。 「ん、なんじゃ? この娘、中々かわゆいではないか?」 イモータルの先遣隊の兵が目敏く見つけ、ちんこを軽く勃起させながら近づいてゆく。 兵たちは兵児帯を解き、己の硬直したデチ棒を突き出しながら、しずかちゃんを取り囲む。 だが、しずかちゃんは動かない。その場で跪いたまま俯き、両手を合わせて祈りを続けている。 誰のための祈りなのだろうか? しずかちゃんのその真摯な表情は、神々しいまでに美しかった。 「おい、ヴァレンティノ様の本体が到着する前に、ここでやっちまおうぜ!」 「だな、おれっちもこういう美少女とやりまくりてーと思ってた所だし」 兵たちはしずかちゃんのか細い肩に手をかけ、その衣服を剥がしに掛かる。 その瞬間であった。しずかちゃんの目が見開かれた。 まるでそれ自体が光を放っているかのような、鋭い眼光。その瞳は真っ赤に染まっている。 同時に辺り一体に、凄まじい殺気が満ちる。 「う、こ、こいつは!」「人外の魔性…」 兵たちがそう呟いた瞬間だった。彼らの肉体は四散し、辺りに血飛沫が飛び散った。 本体率いるヴァレンティノがその場に到着した時、先遣部隊の兵士たちの血肉に塗れたしずかちゃんがいた。 美しいその美少女は、可憐な笑顔で彼らに微笑みかける。 だが、その姿はまさしく魔神だった。全身、生き血でそまったその姿は、断罪の女神の如きだ。 ああ、何と言う美しさだろう。 ヴァレンティノがそう思った瞬間であった。 しずかちゃんは瞬時にその本性を表した。 マスターヴァンパイア。
310 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/25(木) 00:11:33
天高く日が登る昼下がりの川越街道に、突如出現した、究極の眷属。 凄まじい魔気が空を曇らせ、空気をふるわせた。 凄まじい笑顔を見せながらしずかちゃんは彼らに歩み寄る。 「兵ども! こ、こやつを退治せよ!」 ヴァレンティノはそう叫ぶ。同時に薬物と狂信で恐れを知らない兵士たちはしずかちゃんに踊りかかった。 弓矢が降り注がれ、刀が振り下ろされ、この時代には一般的ではなかったはずのヤリが突き出される。 だが、もうその場にしずかちゃんは居なかった。 一瞬、その姿を見失ったのが、彼らの命取りであった。 ヴァレンティノの周りの兵士たちが、次々と血を吹き出して斃れてゆく。 ある者は首をねじ切られ、ある者は四肢を切り落とされ、ある者は頭頂部から股間まで真っ二つにされ。 しまった、とヴァレンティノは焦りを覚えた。 アンチクライストの究極の顕現、マスターヴァンパイアがまさかこの地に出現するとは、彼も予想外だったのだ。 悪魔主義者として開花した彼は、誰よりもこの手の魔性の恐ろしさを知り抜いている。 彼自身、このような眷属になることを夢見、日夜幼児や処女の生き血を啜り続けてきたのだ。 だが、ここに現れたこの女は最高だ。いや、最悪だ。 マスターヴァンパイア。 こんな僻地で、これほどの存在にお目にかかれるとは、ヴァレンティノも思っていなかった。
311 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/25(木) 00:23:09
「くそっ! 逃げるぞっ! 引けいっ!」 彼は兵たちにそう命ずると、一目散に上州へ向けて馬を走らせた。 いざとなったら、この兵たち全てを生贄にしてでも居城に逃げ延びよう、ヴァレンティノは必死で馬に鞭を入れる。 背後では狂った己の部下たちの悲鳴が聞こえる。 最強の眷属の前では、狂信者であろうと薬物強化人間だろうと、紙風船と変わらない。 何故、このような場所にあれほどのバケモノが現れたのか? この混沌と殺戮の関東平野に流れる無数の血の匂いに魅かれたのか? 関八州に君臨し、この地にアンチクライストの永久楽土を築く。 背教の神父として神の威光に目を逸らせ、遥か極東の地にまで流れ着いたこの男の夢だ。 しかし、このままでは! 極北の追放の地より齎された魔族の血の顕現が、究極のアンチクライストの存在そのものが、彼の目の前に現れてしまった。 何故今? 何故ここに? 一体何のために? 「待ちな、おっさん!」 ヴァレンティノに呼びかける声がした。自信に満ち溢れた、悠々たる美声だ。 乗馬がその声に反応し、棹立ちになって嘶く。 落馬しそうになるのを必死に堪えながら、ヴァレンティノはその場に馬を止めた。 何者だ、あの娘ではない。 そこには一人の、眼鏡をかけた青年が立っていた。 その眼鏡が、陽射しを浴びて輝いている。 威丈夫、と言ってもよいだろう。逞しく鍛え上げられたその肉体は、まるでオリュンポスに住まう神々を思わせる。 凄まじい威圧感。名工の手によって彫り上げられた至上の彫刻の如く、完璧なまで面立ち。 力強さと、繊細さと、知性。しかしその美しい瞳の奥には喩えようもない凶暴さと原始の野蛮さがチラチラと燃え上がっている。 うつくしい唇は僅かな微笑みを湛え、ヴァレンティノを面白げに見下している。
312 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/25(木) 00:34:31
「あ…ああっ!」 ヴァレンティノは思わず喘いだ。 そこに存在する青年の、超越したその存在感に圧倒されてしまったのだ。 そののび太の背後に、ゆっくりと近づく人影があった。 華奢で、年頃の女性らしい丸みを帯びた、美しい四肢。 しずかちゃんであった。 まるでヴィーナスを思わせるその美しく色香の漂う姿からは想像も出来ない、彼女は正真正銘のカーリー。 全身血まみれ。その衣類はヴァレンティノの配下の兵たちの血や肉片が降りかかっており、まさしく修羅の姿だった。 だが何故だろう、そんな彼女の顔には、まるで恋をする乙女の如き麗しい微笑みが浮かんでいるのは? しずかちゃんは、そのままのび太の傍らに立ち、のび太の逞しい腕にしなだれかかった。 のび太は一瞬嫌そうな顔をする。血にまみれた手で触れられたのを不快がるように。 だが、のび太はそのまましずかちゃんの肩を抱き、彼女の髪に手を触れて撫でた。 まるで可愛いペットをあやすかのごとき、優しい抱擁だった。 しずかちゃんはそのまま、うっとりとしたようにのび太の逞しい胸に顔を寄せる。 その様子をヴァレンティノは呆然として見上げていた。 二十年かけて鍛えぬいたイモータル軍団が、たった今全滅したのを察した。 この娘の、究極の眷属たるマスターヴァンパイアの手にかかっては、ただの狂信者の集団などひとたまりも無い。 そしてこの青年、眼鏡を掛けたこの青年。この青年は一体、何者なのだ? マスターヴァンパイアすら従わせてしまうとは、彼は人類を遥かに超えた超越者…なのか?
313 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/25(木) 00:36:19
「貴様、転び伴天連だそうだな。」 青年はヴァレンティノに語りかける。まるで歴戦の勇者、いやそれ以上の英雄を思わせる。 ヴァレンティノは反射的に、彼に対して頷いた。答える必要などなかったかもしれない。 己の心のうちの全てが、完全に見透かされている、おそらく間違いない。 この青年の視線や表情は、ヴァレンティノの全てを見抜き、一瞬で知り尽くしてしまったことを如実に表していた。 ヴァレンティノはその場に跪いた。枯れ果てたはずの涙が、ヴァレンティノの双眸から流れてゆく。 彼はそれを拭うことなく、地面に己の額をこすりつけ、服従した。 カタロニアの地に生まれ、イオニアの地に学び、ヴァラキアの荒野を放浪した若き日々。 遠き枯野を旅し、たどり着いた天竺にてアガルタの奇跡を目の当たりにした苦悩の日々。 ボンベイより倭寇船に乗り込み、長崎に降り立ったあの月夜。 丸山廓で出会った遊女・お咲との許されぬ恋、そして破滅。 幕府に追われ、遂には背教の道に走り、転び伴天連として悪魔崇拝を広めるに至った今日。 その全ては、この青年と出会うためにあったのだ。ヴァレンティノ神父はそう悟った。 涙を流しながら、彼はのび太としずかちゃんにひれ伏した。
314 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/25(木) 00:44:00
ゆっくりと、遠くから足跡がする。のび太と、しずかちゃんの背後に無数の人影が現れた。 いや、人ではない。もはや彼らは人ではなく、正真正銘のイモータルたちであった。 しずかちゃんによって一度殺され、眷属の資格がある者だけを選別し、 真の眷属としてよみがえらされたヴァレンティノのかつての部下たちだ。 彼らもまた、のび太としずかちゃんの傍まで来ると、その場に跪いた。 かつての田舎者の荒くれ者たちが、ローマのファランクスの如き統制の取れた地獄の軍団に生まれ変わったのだ。 「ヴァレンティノよ、我に従え」 のび太はそう言った。そういうとのび太は、今度は己の手首に黄金のナイフで傷を居れ、それをギヤマンの杯に注ぐ。 その杯をヴァレンティノに差出し、目でこれを飲むように促した。 ヴァレンティノは涙を流しながら、その杯に注がれた神の血を飲み干した。 ■ のび太はヴァレンティノに、あえて京都奉行所に捕縛されることを命じた。 これは重要な使命である、とそう言明した上で。 現在黒川金山に囚人として送り込まれている異世界からやってきたある男を見つけ、これを連れてこい。 それがのび太がヴァレンティノに言い渡した命令であった。 その男とは一体誰なんですか?とヴァレンティノは尋ねる。 だがのび太はおかしそうに笑うだけ。 ただ一言、見れば分かる、そやつはまともじゃないから、と答えるのみ。 ヴァレンティノはのび太の命令どおり、己の身を京都奉行所に差出し、その身柄はそのまま六波羅探題へ。 さらにその身柄は検非違使へと引き渡され、そのまま黒川金山送りとなった。
315 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/25(木) 00:50:54
そこで出会ったのがヘイドレクであった。周りの囚人とは明らかに違う、それはひと目見てわかった。 全国より連れてこられた屈強かつ凶暴な極悪人の中で、無駄にだらしなく、情けない、下らない男。 誰が見たって明らかである。 とはいってもさ、本当にこの男でよいの? とヴァレンティノは何度も疑問に思った。 だが、それ以外に目立つ男など居なかった。のび太の放った密偵との定時連絡でも、のび太からの「その男でよい」との解答。 ヴァレンティノは何度も首を傾げながら、このヘイドレクなるだらしない男を監視し続けた。 そしてついに、冒頭で語ったあの場面に戻ることになるのだ。 ◆ 童貞をレナちゃんに捧げたい、と泣きつくヘイドレクを、仕方なしに遊郭に連れてゆく。 看守に金銭を握らせ、密かに刑務所からヘイドレクを連れ出し、遊郭に向かうヴァレンティノ。 道すがら、ヘイドレクは立小便をしながら勃起ちんちんをいじくりまわしたり、興奮のあまり奇声を発したり。 何でこんな男をのび太さまは最重要視しているのだろうか、ヴァレンティノはマジで困惑。 だが既に太夫として最上位の座敷で上客しか相手にしない身分となったレナ。 ヘイドレクみたいな囚人など相手にするわけがない。 その辺の年増のヨタカでいいじゃん、とヘイドレクに提案するも、ヘイドレクはだだを捏ねる。 いやじゃいやじゃ! ボキの童貞はレナちゃんに捧げるんだ! とその場で拗ねてもう大変。 こいつ、この場で瞬殺してやろうか、と、一瞬ヴァレンティノの脳裏に過ぎる。 だがのび太への忠誠心がブレーキとなり、何とか自分を抑えたヴァレンティノ。 すると意外な提案が! レナ太夫さま曰く、ヘイドレクがケツの穴に草刈りカマを突っ込んだまま ピンクレディーのヒット曲を全曲歌って踊って見せたら無料で一晩付き合っていいわ! うふっ! そしてヘイドレクは肛門に鎌を突っ込んだのである。
316 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/25(木) 01:53:43
「駄目! やだ! 強引に抜かないで! やめて!」 豚のような悲鳴を上げるヘイドレク。 だが、ヴァレンティノは躊躇しない。そんな暇なんぞ無いのだ。 こんな馬鹿げた遊びに付き合わざるを得ないとは、ヴァレンティノは一瞬だが、こんな任務を与えたのび太を恨んだ。 レナはヘイドレクの下らなさにあきれ果て、その場を立ち去った。なにせ今夜は幕府の大老の酒井様のお相手なのだ。 ヘイドレクみたいな虫けらなんぞ、何であたしが相手しなきゃならないわけー?十万両積まれてもお断りだわ! ヴァレンティノは、ヘイドレクの肛門にねじ込んだ鎌の柄を力強く握り締めた。 痛がって暴れ、泣きながら嫌がるヘイドレクを無理矢理押さえつけ、ヴァレンティノは一気にこれを抜き払う。 「うげがぎゃーーーーーー!!!!!!!」 ヘイドレクの絶叫が、色町に響き渡った。 バカは今夜もとってもお元気みたいだ。 ケツから血を垂れ流しながら泣き叫ぶヘイドレクを背負い、ヴァレンティノは色町を後にした。 これからこの下らん男を連れて検非違使と六波羅探題と甲州奉行を火付盗賊改方を相手にしなければならぬとは。 「やれやれ」 ヴァレンティノは、村上春樹風に溜め息をついてみせた。
317 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/25(木) 20:18:40
ところで…話は変わって、ここは京都所司代侍所詰所。 ここは征夷大将軍の直轄機関であり、諜報と作戦行動の際には超法的活動すら許された秘密機関である。 陸海空軍、海兵隊、海上保安隊という五つの軍隊とは別に、独自の軍事力を持つことが認められた特務機関。 それがここ、京都所司代侍所詰所であり、この八百万の神々が住まうオリュンポス… いやもとい神州日本を防衛するために作られた作戦部隊であり、 sの侍所長官は独自の判断で、核行使による先制攻撃すら許される特権が与えられている。 侍所の詰所は、京都二百五十四条通りとカムチャッカ小路の交差する平安京東北地区第23区に存在する。 この辺りは別名霞ヶ関、と謳われる官庁街である。 その中で、ひと目見ただけでは見落としてしまいそうな地味なビル”柏葉ビル”の中に、侍所はあった。 京都所司代侍所詰所はこの”柏葉ビル”の37階に存在する。 陰陽庁も同じビルの中に事務局、研究棟まで備え付けていることから分かるとおり、 要するにこのビルは平安京の裏仕事を担当する部署が集まっているのだ。 この侍所の大会議室、詰め込めば1000人近く入れそうな巨大な会議室に、5人の人影があった。 侍所長官の赤松満成と副官の一色為輔、御所から派遣された顧問、正三位大納言の五条惟道。 さらには陰陽庁の長官たる賀茂忠行、参与としてお雇い外国人である魔術師のランドルフ・カーター。 みな、一様に沈黙している。現在、方々で起きつつある怪異について、彼らは今日まで徹底調査を行っていた。 その結果、近い将来、この国に未曾有の混乱が生じる、と彼らは確信するに至った。 時空の歪みは方々で綻びを見せ、荒夷の国の関八州には動乱が絶えない。 既に無数の血が流れ、さらに羅生門では謎の異世界人による凄惨な殺人事件が起きたばかり。 彼らは窓の外、遥か遠くに見える巨大な邸宅に目を写した。 鞍馬山の山すそから、遥か大江山に至る、広大な山の峰々。温泉地としても古来から有名であった場所だ。 そこは京に住まう殿上華族などの避暑地として数々の別邸が建てられている高級リゾートでもある。
318 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/25(木) 20:19:30
その中で、現在他を圧するかのごとく一際巨大な館が見える。 ここから距離が実に30キロ以上はあるにも関わらず、大江山山麓に煌びやかに聳え立つその建造物は一際目を引く。 ヘリポートや中型機までの離発着が可能な空港まで備えた、まるで宮殿のようなその別宅。 旧風早伯爵邸及び、旧綾倉子爵別宅、旧守護代六角氏別邸の敷地全てを買い取り、作られた豪華な…もはや城。 盆地にあるこの平安京を見下ろすかの如く立つ巨大な建造物は、今、西日を浴びてまるでエルドラドの如く輝きを放っている。 彼らはそれを目にし、顔を顰めた。 ◆ 以前の持ち主の中で先々代が正三位大納言まで行かれた風早家の名をとり、「旧風早邸宅」と呼ばれたそこは、 実に1000エーカー以上もの山林を切り開き、鹿鳴館をモデルにして建設された本館は絢爛豪華を極めている。 アールデコ調の独特の建築様式で彩られるこの建物は、お雇い外国人の設計士を複数召し上げ、 実に十年近い年月をかけて丹念に作られた、と言われ、その費用は天文学的であるそうだ。 中も見事である、雪洞をモチーフにした独特の室内照明は、世界中のインテリアデザインの各評者たちから絶賛されたという。 近日ウィーン郊外に近頃建設されるハプスブルグ家春の宮殿の賓客の間に、 このインテリアデザインや同じ照明設備が取り入れられるというほど、欧州でも評判になったそうだ。。 廊下には、主に狩野派や琳派などの江戸工芸美術が取り入れられている。 これはこの館の主の好みなのであろうか、浮世絵をモチーフにした室内装飾は斬新であり、 なおかつジャポニズムのセンスに満ち溢れたものとして、これまた評判が高い。
319 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/25(木) 20:21:00
だが圧巻は大広間に掲げられた巨大な屏風であろう。 葛飾北斎その人の手になる鳳凰屏風図は実に高さ7メートル、横幅27メートルもある巨大なものだ。 翼を大きく広げた巨大な鳳凰が、その美しい翼で大広間の貴賓客全てを押し包むが如きで、 その色彩のヴィヴィッドさ、構図の斬新さ、そして何と言っても圧倒的な筆力は見るものを圧倒する。 噂によれば、この巨大な屏風絵の製作には、北斎をして二年半もの月日が費やされたと聞く。 また、広大な敷地の中には別邸その他、多くの来客たちをもてなす様々な意趣が整っている。 鞍馬の清水を引いて作られた清明ヶ池の畔には、地上12階地下3階の巨大なホテルが建設されている。 海外で五つ★評価を頂いたこのホテルは、この地へ避暑や宮廷舞踏会に来られる平安京の貴族の方々、 または遠国から平安京に上られた地方領主などの方々が好んで投宿される場である。 ただしここに宿泊するためには基本的には五位様以上、 それ以外の方は三位様以上の方々直々の紹介状が必要となる。 なお、宿泊や食事の費用は完全非公開となっている。 この池の最上階のスイートルームは、皇族様限定の特別室であり、 皇籍をお持ちの華族の方々以外は宿泊が認められていない。 その窓から見下ろすと、清明ヶ池の清水の美しさに目を打たれる。 さらに池のほとりに植えられた桜、松、かえで、楡、糸杉、もみじ、栗、百日紅などは、 それぞれの季節に見事な彩りを見せる。 昨年の夏にはこの地に帝御自ら御行幸為され、七日七晩にわたる舞踏会が開かれたことすらある。 もはや平安京の一大サロンと化した、あの巨大邸宅。
320 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/25(木) 20:22:34
◆ だが、おそらくはそんなのは表の顔に過ぎない。 この屋敷の主は現在、権田俊行なる男だ。 男爵、従四位に任じられている新興の資本家華族であるこの権田俊行なる人物は謎を極めている。 どこで得たのかは謎に包まれる莫大な資産をもって、平安京周辺の土地を買いあさり、のし上がってきた男。 当初はその金にものをいわせるやり方に、雅を極めた旧華族は嫌悪感を露わにしていたのだが。 しかし屈強で頑強なその風貌からは想像も付かないほどに洗練された物腰や、 抜群の知性や教養、人を魅了せずには置けない巧みな話術は、たちまち宮中のご婦人方の評判となった。 色事師としても有名であり、一説には五摂家を含む華族の貴婦人の殆んどを篭絡してみせた、ともいわれる。 だが、その出自は謎に包まれている。 いつ何処で、どのように生まれたのかは、確かなことが殆んどわかっていない。 一説には清和源氏系の下級支族の出身で、東国相模の国の地頭の倅であったという。 その後伊豆の国主、今出川氏の養子となってその地位を受け継ぎ、 平安学習院を経ずすぐさま海外に留学したといわれている。 だが、その事実を確認する資料は存在していない。
321 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/25(木) 20:26:58
さらに謎が多い。 権田俊行男爵は、この世界の住人ではないという、そういう俗説があるのだ。 近時、日本各地で起きた様々な怪異、それと時を同じくして権田は現れ、瞬く間に宮中の話題の人物になってしまった。 秘書官の鯨岡大輔子爵、さらには権田の事業の共同パートナーでもある武本悠一男爵。 いずれも権田とともに突然現れ、この平安京で重要な地位を占めるに至っている。 一体何者なのだろうか? 藤原秀郷と通ずる賀茂忠行曰く、ヘイドレクなる男が、やはり突然現れ、 甲州金山において転びバテレンの一行と共に武装蜂起し、この金山を巡って目下武力衝突の最中だという。 また遥か東国において、自らを平将門と名乗る眼鏡を掛けた人物が現れたという。 彼は野比のび太という名を持ち、最強クラスの眷属集団を従え、方々の領主達を攻め立てている。 そのせいで、関八州はもはや無秩序状態となり、血で血を洗う戦乱の世界となってしまったらしい。 関東公法職の足利稔彦は謎の眷属集団に攻め込まれて惨殺され、その遺体は荒川の河川敷に晒されたとのこと。 さらに、嫌な情報が齎された。 大江山に酒呑童子を名乗る鬼の王がおり、 彼が率いる鬼の集団たちこそが、近頃平安京で起きる数々の惨殺事件に関わっているという噂。 人間ではない、そういわれる鬼たちは全て大江山…そう、あの権田俊行の巨大な屋敷、 いやもはや要塞と言っても過言でないあの場所にかかわりがある、という。 謎の眷属の集団が救う、巨大な館…その実体は一体? 赤松満成、一色為輔、五条惟道は溜め息を付く。 賀茂忠行とランドルフ・カーター博士は彼らに一礼をすると会議室から退出した。 急がねばなるまい、早く出来杉なる男の復活と、そしてあの機械仕掛けの謎の人形の修復を。 彼らの表情に焦りの色が浮かぶ。
322 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/25(木) 20:27:51
一方、ヘイドレクは黒川金山のトイレに居た。 今までウンコをするのを我慢していたのだが、人間の生理現象を止めることなどできやしない。 溜まりに溜まったうんこをひねり出す。 だがそれは現在、大変な問題なのだ。 ヘイドレクの肛門は色々あって現在ずたずた。 そう、レナちゃんとやりたいがためにケツの穴に鎌をねじ込んだせいだ。 だが直腸からゆっくりと宿便が下ってゆく。 その痛みがヘイドレクを苛める。 痛い、痛すぎる! 極太の大便が傷だらけのヘイドレクの肛門を押し広げ… 「うぎゃーーーーー!」 ヘイドレクは月に向かって吠えた。
323 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/25(木) 23:43:25
「月に吠える」 それは萩原朔太郎の詩集の名前であった。 ヘイドレクはそれでも吠えた。 うめき声はたちまちにして流麗なる詩文と化し、小汚い便所を極楽に包む。 しかしヘイドレク自身はその音調に酔いしれるどころではなく肛門の疼痛に泣き、 ようやく直腸に至った大便が肛門の傷に染み渡る感触にさらなる叫びを上げる。 黒川の遊郭は妙なるヘイドレクの調べに包まれた。 花魁が泣く。人足が泣く。鬼の看守も泣き濡れた。
324 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/26(金) 02:06:52
ヘイドレクがズタズタの肛門から見事なまでの一本グソをひねり出しているころだった。 ヴァレンティノ神父は配下の屍食鬼たちを率いて黒川金山を管轄する甲州奉行所を襲撃に向かっていた。 夜陰に紛れ、幕府やら朝廷やらの兵士たちの集う兵舎に進む悪魔主義者の群れ。 凄愴たる月明かりの下で蠢くそれら数百匹の魔性の群れたち。 いずれ劣らぬ血に飢えた屍食鬼は、ダラダラとヨダレを垂らしながら、夜の森をゆっくりと進む。 神の血を飲み、同じく人外の魔物として生まれ変わったヴァレンティノ神父。 のび太そのものの血を受け継いだ彼は、その辺の眷属などとは比べ物になら無いくらいの存在となった。 屍食鬼たちは昼間の行動は制限されるため(直射日光は彼らを激しく衰弱させる)、 夜以外の時間は廃坑の奥深くに眠らせておく必要がある。 だが、ヴァレンティノ神父は違う。神の力を受けたその肉体は屈強で、限りなく不死に近い。 のび太の野望。それはこの関八州の地に千年王国を築き上げること。 ヴァレンティノもまた、こののび太の野望に乗った。いや、これこそがヴァレンティノが捜し求めた天国だったのだ。 長らく放浪を続け、遂に背教の徒に堕落した男は、今は自ら無間地獄へと足を踏み入れる覚悟を持っていた。 この手兵、数百匹の屍食鬼たちによる蜂起は、のび太とヴァレンティノの野望へ向けた戦いの狼煙なのだ。
325 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/26(金) 02:07:46
奉行所は夜も煌々を明かりが灯っていた。最近の関八州動乱に対する備えなのだろうか、 赤備えで武装した幕府屈指の精鋭を誇る甲州藩主・胡桃沢勝元の軍勢がそこに駐屯していた。 ここ関八州は武の国である。この地域の兵士は白兵戦、騎馬戦ともに世界最強と噂されるほどだ。 荒夷と称される彼らは天竺象ほどもある巨大な軍馬を軽々と駆ることが出来る騎馬の名手ぞろいである。 彼らは一様に巨人であり、平均すれば2メートル40センチほどの肉体は全身筋肉の鎧で覆われている。 まるで木立をそのまま引っこ抜いたような長ヤリを自在に振り回し、岩をも砕く分厚い刀を差し、 常人の太ももほどある太さの弓で、やはり二メートルを超える図太い矢を馬上より驟雨のごとく打ち放つこともできる。 かつてジンギスカンの軍勢を打ち破り、遂にはモンゴル帝国を崩壊させた強靭な騎馬兵団。 かつて天下分け目の戦いと言われたクルクス戦車戦の最中、コザック兵団とドイツ陸軍機甲師団双方を敵に廻し、 たった二連隊で実に十個師団もの敵兵を包囲殲滅させ、同盟軍の仏軍総司令官のナポレオン・ボナパルトをして、 「天下無双の兵」と評したあの軍団の流れを汲む胡桃沢家の親衛部隊。 もはや人間のまま眷属レベルの力を持つ関東の荒武者たち。 これは心して掛からねばなるまい。ヴァレンティノは緊張する。 奉行所まで残り4キロほどのところで停止したヴァレンティノは、手兵を四つに分散させた。 一隊あたり約百匹の屍鬼。だがこの戦いに勝ったとしても、その大半は失われてしまうであろう。 それほどの強敵を相手にしてでも、この甲州にある黒川金山を奪取せねばならない。 なぜならそれは、あの野比のび太の命令であるからだ。 すなわちそれは神命なのである。
326 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/26(金) 02:08:34
奉行所の駐屯地に向けた山道を、騎馬数騎が登ってゆくのが見えた。 おそらくは先ほどヴァレンティノが打ち破った黒川金山刑務所の看守兵たちの生き残りだろう。 いまここで奉行所側に気づかれたら面倒なことになるな、とヴァレンティノは判断した。 そのまま後ろを振り返ると、ウォーヴォルフたちに無言で命令を下す。 あの者たちを奉行所にたどり着かせるな。奉行所に気づかれないように始末せよ。 軽く頷いたウォーヴォルフたちは、瞬く間に目の前から飛び去る。 数秒後、山道を走る看守騎兵たちが相次いで斃れる。悲鳴を上げる暇も無いほどに。 ここら辺りが潮だな、と判断したヴァレンティノは、包囲のために散った軍勢にサイコテレパスで命令をくだした。 「皆殺しにせよ!」その一言が命令だった。あとは彼らの本能が全てを解決してくれるだろう。 方々から雄叫びが聞こえてきた。胡桃沢騎兵団と、ヴァレンティノの眷属たちの戦いの叫びだ。 奉行所の館の方々から火の手が上がる。その炎に照らし出される屍鬼と騎兵団隊員たち。 騎兵はここでは不利であろう、ヴァレンティノはそう嘯いた。 平原にさえ出なければ、騎兵独特の機動力は発揮できないのだ。 この決して広くない(とはいえ駐屯地は20haほど、騎兵たちの数もおそらく2000ほど)場所で全てを決する。 騎馬から降りて眷族たちに立ち向かう荒武者たち。 その巨大な腕からまるで大砲の砲弾の如き矢が放たれると、空気が引き裂かれるような音が峰々に響く。 そのたびに数匹の屍鬼の身体が引き千切れ、砕かれるのが見える。 一方で屍鬼たちも負けては居ない。人間離れした素早い動きで距離をつめると、その爪や牙で兵たちを切り裂いてゆく。
327 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/26(金) 02:09:32
血みどろの戦い、激しく燃え上がる館。 それを丘の上から見下ろし、ヴァレンティノは煙草に火をつけた。 先ず負けることはあるまい。しかも相手は胡桃沢藩新鋭部隊。 それを殲滅させたとなれば天下の動揺も計り知れないであろう。 ヴァレンティノは夜空を見上げた。南天には、ぎらつくほどに南十字星が輝く。 東の空には赤い月が、西の空には青い月がそれぞれ鎮座している。 その幻想的な光景を眺めながら、ヴァレンティノはダビドフの紙巻煙草を吸い、少し笑った。 これからが正念場だ。これから全てが始まるのだ。 のび太と、眷属たちの女王しずかと、この俺とで。 それとヘイドレクだった、忘れてた。アイツも関わる予定なんだ確か。 何でのび太はあんな下らない男を欲しがるのか、全く理解できない。 まあいい、俺はのび太に従っていれば、それでいいのだ。 「ふふふっ!」 ヴァレンティノは笑った。久しぶりに、心の底からの笑いだった。 ★ 一方、ヘイドレクは便所で失神していた。 溜まりに溜まった宿便が、極太の一本グソとなってヘイドレクの肛門を襲い、便器に吐き出されたのだ。 その激痛たるや、もはや言語を絶する凄まじいもの。 便所虫や便所こおろぎが蠢く便所の中で、ヘイドレクは失神している。 窓から差し込む赤い月の明かりが、ヘイドレクのぶさいくなツラを無情に照らしていた。
328 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/26(金) 16:26:59
「あなたを主人公にした作品を書くわ…」 女はそう言うと、権田の逞しい腕の中で目を閉じた。 権田もまた、女のか細い身体を抱きしめ、その長く美しい黒髪の中に顔を埋める。 つややかな髪の中より薫り立つ、控えめな女の匂い…その新鮮さに、思わず権田も言葉を失う。 「私が権田さんを独り占めにできないことはわかってる。でもね…」 女は言葉を続ける。権田の腕の中で、目を閉じたまま。甘い囁き声で。 権田もまた無言だった。いや、言うべき言葉を見つけることができなかったのだ。 欲に塗れ、俗に染まり、それでもなお突き進む権田俊行。 だが、彼はここで生まれて初めてと言ってよい、本当の恋を知ってしまったのだ。 「でもね、権田さん。私はあなたの魂を受け止めることが出来るの。その生き様を…」 窓から優しい春風がたなびく。その生暖かい感触が頬を伝うのを感じた。 それは今まで感じたことの無い、本当の雅だった。権田が今日まで一度も感じたことの無い、美しい夢幻の調べ。 「だからね、権田さん。私はあなたのその魂の姿を、紙の中に封じてしまうの。そうやって私はあなたを手に入れる…」 それは真実の愛の告白だった。女の閉じられた目から真珠のような優しい涙がこぼれるのが見える。 決して結ばれてはいけない、別の世界の男と女。しかし、愛はそうした禁忌すら、飛び越えてしまう。 権田の頬にも涙が伝った。美しい月の夜、赤き月と青き月に照らされた、深い紫色の夜。 その幻想的な紫の如く、その女は美しかった。力強い権田の腕の中で崩れてしまいそうな朧。 十二単衣の重さの中で、まるで霞であるかのように、その実体は儚かった。 権田はその女、紫式部の細い顎の先に指を添えた。目を閉じたまま紫式部は権田の方を向く。 閉じられた目元は潤み、涙の流れたその跡が、月明かりを浴びて鈍く輝いている。 整った面立ちはあくまでも涼やか。だが、その表情の奥に、どんな男でも敵わないほどの激しい情熱があった。 狂おしいまでの激情が。それはしとやかで知的なこの女の中に眠る修羅だ。
329 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/26(金) 16:28:04
もし今ここで彼女が目を開け、真っ直ぐに見つめられたら…それを権田は恐れた。 おそらく己の魂は、彼女の持つ業火で焼き尽くされてしまうのではないか? 静寂の支配する春の月の夜。だが、権田の腕の中にいるこの女の凄味に、権田は畏怖した。 ありとあらゆる闘争を勝ち抜き、今日の地位まで上り詰めた権田俊行。 だが、権田がこれほどまで恐怖したことは今までなかった。それほどこの女の愛を、権田は恐れていた。 全ての理性が、権田を今まで支えてきた意思が全て焼き尽くされてしまいそうだった。 紫式部は無言で権田を待つ。目を閉じたまま。その美しき瓜実顔を向けたまま。 権田は彼女の唇に、己の唇を重ねた。愛に応える、それだけではない。 恐ろしかったのだ。愛に恐れをなした自分に耐えられなかったのだ。 紫式部は権田の接吻を抵抗なく受け止めた。そのまま力なく権田に身を委ねた…。 ■ 「権田伯爵。 お時間です。」 権田の秘書官、鯨岡大輔は権田の寝室の扉越しに、そう声を掛けた。 武本悠一大佐は既に中庭に兵士たちを集めている。 越前の地で土民蜂起の報が入り、その処理について権田たちへ勅令が下ったのがつい先頃。 検非違使兵や侍所別当の兵士たちが、甲州鎮圧及び平安京の治安維持のため出払っているためだった。 この作戦には、この時代へと率いてきた武本隊三個連隊のうち、その一つを当てる予定だ。 そう、武本悠一もまたマスター・ヴァンパイアである。しかも彼は最強のオリジン。 彼もまた、眷属の群れを率い戦いを挑む地獄の軍団長である。 おそらく、越前は血の修羅場になるだろう、そう鯨岡は想像した。 既に越前に出張った偵察隊からの情報によれば、幾多の人外魔性が跋扈し、領民たちを喰らっているとの話だ。 関八州での動乱といい、西国での源為朝の反乱といい、地獄の窯の蓋が開いたかの如きだ。
330 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/26(金) 16:28:58
「ああ、今行く」 扉の向こうから、権田の声がした。どこか気だるい。 鯨岡は全て事情を察している。しかし彼はそれを口にすることは決して無い。 権田とともに夜を過ごしたその美しき女のことも、全てを彼は知り、理解している。 だが、それが外に漏れることは無い。漏らそうとする者があれば、それは鯨岡がただちに「処理」する。 それが鯨岡という男の権田に対する忠誠心だ。 山形の貧農の四男として生まれ、間もなく里子に出された鯨岡を見出したのは権田俊行その人だった。 鯨岡の後見人として権田は彼を東京の開明学園高校に入学させ、帝大予備門を経て東京帝国大学法科に進学させた。 その後、鯨岡は外交官として数ヶ国に滞在。無論彼の忠誠は権田ただ一人に捧げられていた。 権田が如何なる人物であるかは、そしてそれが決して表に出せない修羅の道であることは重々承知だ。 しかし鯨岡は、そんなことなど意に介さなかった。全ては権田と、権田の野望と、ヘイドレク委員会のために。 その後、鯨岡は外務省を辞し、権田の個人秘書となった。それが鯨岡という男だった。 権田が部屋から出てきた。 さらに勇壮さと凄味を増したその風貌に、鯨岡の身は引き締まる思いがした。 許されぬ恋に落ちてしまった権田の、悲壮なまでの覚悟が、その剛毅な面貌に浮かんでいる。 鯨岡はかかとを打ち鳴らし、権田に敬礼した。 権田は無表情のままそれに応え、そのまま廊下を歩き出した。 鯨岡もまた、権田の後ろに続いた。長きその廊下を、二人の足音が高く響く。
331 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/26(金) 16:30:38
遠ざかる足音を、紫式部は一人残された部屋で耳にした。 命がけで生きている男の、凄まじいまでの性…昨夜はその男の情を我が身に受けたのだ。 彼女は本能でそれを悟った。昨晩のあの情事で、己が孕んでしまったことを。 愛する男の子を己の身の中に宿してしまったことを。 紫式部は微笑んだ。窓から差し込むのの陽射しが、これから母となる女の、慈愛に満ちたその横顔を照らす。 決して結ばれることの無い二人なのだ。権田は遠くない将来、必ずこの時代から去ってしまうのだ。 彼女はそれを知っていた。そう、権田は物語絵の中にいる、そのような人物であると。 彼女は筆を手にした。墨を練ると、それに穂先を浸す。既に物語は出来上がっていた。 まっさらな紙に、紫式部は迷うことなく筆を落とした。 その後は、ただひたすら、赴くままに筆を進めていった。 「源氏物語」を。
332 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/26(金) 16:31:49
◆ さて、ヘイドレクはどうしているかというと…。 「うぎゃー!!」 ヘイドレクは再び泣き叫んでいた。何と彼は下痢になってしまったのだ。 肛門がズタズタになって排便するたびに激痛で失神するほどなのにだ。 困り果てたヴァレンティノ神父は香港で買った膏薬、タイガーバームをヘイドレクに渡した。 これ塗れば肛門の裂傷も治るんでねえの? 正直責任持てないけどさ! ヘイドレクは信じた。何せヘイドレクの下らない人生のおいて、初めて自分に優しくしてくれる人物にであったのだ。 ヴァレンティノ神父さんはさすが良い人だな! 神父さんってくらいだから、物凄い善人なんだろな! ヘイドレクは呑気だった。 周りあ止めるのを聞かずに、タイガーバーム一瓶まるごと指先に乗せ、 それを肛門のズタズタの傷口に塗りこんだのである。 「ふんぎゃーーー!!」 ヘイドレクの悲鳴は、春の明るい空に高らかに響き渡った。 今日もヘイドレクは元気だ。
333 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/26(金) 19:26:26
「ヘイドレク? 誰ですかそれ?」 青年はそう答えると煙草を吸い、その煙をゆっくりと吐き出した。 賀茂忠行はその様子をジッと見つめる。 薄暗いこの部屋で、初めてこの青年と対峙し、賀茂忠行は困惑した。 やはりこの青年を復活させたのは誤りであったのではなかろうか、と。 毒は毒を持って制す、彼らはそう考え、この青年、出来杉を復活させたのだ。 別室ではジャイアン、スネ夫がそれぞれ取り調べを受けている。 話によればジャイアンはのび太に一度殺されたことに憤り、暴れまわっているという。 スネ夫の方は、ママに会いたい、と机に突っ伏して泣き崩れているという。 彼らは問題外だ。ただのチンピラ。それ以上でもそれ以下でもない。 しかしこの青年、出来杉の落ち着きはどうだ? のび太に敗れ、無残に殺されたにも関わらず、彼はまるで冷静そのものだった。 天井を見上げ、立ち昇る煙草の煙を目で追う。まるで何も考えていないかのように。 知的なその面立ち、端正な鼻筋。穏やかな物腰。 優等生然としたその佇まいは、確かにこの青年が希代の悪党であることを忘れさせる。 こことは別の世界で残虐非道を繰り返し、悪徳の華を咲かせた犯罪者集団のブレーンであったなど、 にわかには信じがたいほどにこの青年は物静かだ。 比叡山の浄蔵和上は、この復活には反対していた。 凄まじい邪気が業となり、出来杉なる青年の魂を焦がしている。 彼が今復活することは、彼の為したカルマもまた具現化する、そのように浄蔵和上は警告を発していた。 だが、果たしてそうだろうか?
334 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/26(金) 19:27:27
出来杉という男の霊魂のプロファイリングからは、確かにそれは読み取れる。 しかし、彼はのび太と対峙し、そして破れ、無残に殺害されているのだ。 のび太。 何者にも勝る真の魔王が現在、関八州の野に放たれている。 まるで世界が切り裂かれ、そこから地獄があふれ出したかのような、血で血を洗う抗争の数々。 賀茂忠行はコップの水を口に含んだ。渇いた喉に、その清水が染み渡るように感じた。 僅かな時間の面会で、これほどの緊張を味わったことはいまだかつてなかった。 それほど、この出来杉という青年のかもし出す違和感は異様だった。 なぜ、生真面目な優等生にしか見えないこの男に、ここまでの凄まじい邪気が潜んでいるのだろうか? そしてこの青年をあっさりと打ち滅ぼしてしまった野比のび太という男は、一体、如何なる存在なのか? 「ヘイドレクという男は、君たち一行を殺めた真犯人と目されていた男だ。今はもう違うがね」 賀茂忠行は言った。まさかヘイドレクなる男がこれほどの悪の傑物を斃せるはずが無い。 藤原秀郷は地団駄を踏んで悔しがっていた。 己の手勢の全てをヘイドレクの監視に仕向けたために、肝心要の野比のび太の東下をみすみす許してしまったのだ。 秀郷は現在、朝廷に奏上し、平将門を名乗り関八州を暴れ狂うのび太追捕の命を求めていた。 だが、秀郷のみでそれは可能であろうか? 既にここまで時空が歪み切っているのだ。
335 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/26(金) 19:28:37
「ヘイドレクという男は、君たち一行を殺めた真犯人と目されていた男だ。今はもう違うがね」 賀茂忠行は言った。まさかヘイドレクなる男がこれほどの悪の傑物を斃せるはずが無い。 藤原秀郷は地団駄を踏んで悔しがっていた。 己の手勢の全てをヘイドレクの監視に仕向けたために、肝心要の野比のび太の東下をみすみす許してしまったのだ。 秀郷は現在、朝廷に奏上し、平将門を名乗り関八州を暴れ狂うのび太追捕の命を求めていた。 だが、秀郷のみでそれは可能であろうか? 既にここまで時空が歪み切っているのだ。 青年は無言のまま、もう一度煙草を吸う。煙を味わうかのようにゆっくりと。 その表情は読めない。その見事なまでの自己抑制ぶりに、賀茂忠行は感嘆した。 賀茂忠行は、格子の填め込まれた窓に目線を移す。そのまま出来杉青年に語りかける。 「生き返った気分はどうだ? 出来杉くん」 窓にはこれから春本番を迎える日差しが満ちていた。 薄暗い、無機質なこの部屋にも、その明るさが溢れてくる。 出来杉はしばし沈思した。彼にとっても、再び甦ることなど想像だにしなかったに違いない。 目線が泳いだ。出来杉ほどの青年にしては珍しいことに。やはり彼は動揺を隠している。 「のび太になぜ殺られたんだ? 出来杉くん」 いきなり本題に切り込む。もはや賭けだった。 時空は歪み、野比のび太が関東で暴れ周り、権田俊行のような男まで現れたのだ。 そしてヘイドレク。この男は一番の謎だった。一体何のために、何が理由で現れたのだ?
336 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/26(金) 19:30:00
賀茂忠行は顔を窓に向けたまま、目線だけを出来杉に移す。 出来杉は硬直したままだった。指先に挟んだ煙草の灰が、徐々に長くなってゆく。 黙秘ではなく、動揺。賀茂忠行はそう確信した。 尚も黙り続ける出来杉に、灰皿をスッと差し出す。出来杉はハッとなり、煙草を灰皿の中で潰した。 「一体、あの日の夜、羅生門で何があったんだ!」 賀茂忠行は思わず声を張り上げた。 現在の混乱はおそらく、あの日の夜、羅生門で起きたことが引き金になっている。 全てはあの場所、芥川龍之介が記した例の事件の数日後の、忌まわしい殺人事件に端を発しているはずだ。 芥川龍之介…大正時代に活躍した文豪。 何かが、おかしい。 賀茂忠行はハッと気づく。何故、自分が20世紀前半に活躍した作家のことを知っているのだ? 今は平安中期のはずだ。いやそれも確信が持てない。 現在太政大臣職にある藤原道長と、平将門は数十年もの隔たりがあるはずではないか! 侍所別当長官の赤松満成も、一色為輔も(両者は完全に架空の人物)、足利室町幕府の四職。 「…そうです。完全に時空が歪んでいるんです」 出来杉はそう言い、机に身を乗り出した。 知的で端正なその面貌、澄んだ真っ直ぐな瞳。 しかしその奥には恐怖があった。その色が瞳の奥で、ゆらゆらと揺れているのが見えた。 彼の心は揺らいでいる。それは招魂の儀の影響ではなく、間違いなく彼の以前の記憶、体験。 四肢を千切られ、内臓を引き裂かれ、のび太の壮絶な拷問に晒され、想像を絶する苦痛の中で命を落としたのだ。 のび太への恐怖。
337 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/26(金) 19:31:23
「我々も、この時代に来るなどとは、当初は考えてもいなかったのです。だけれども…」 出来杉は語った。 世界征服を企む悪の総帥、ダンテ伯爵の野望を砕くため、彼らは少年探偵団を組んだ。 当初、リーダーはジャイアンだった。小学生のグループのいわゆるガキ大将であったからだ。 だが、ダンテ伯爵の野望をくじくのは中々難しかった。いつしか彼らは小学校を卒業し、中学生へ。 中学生ともなれば、もはや身体がデカいだけではリーダーは務まらない。 いつしか参謀役だった山下くんや出来杉が、ジャイアンの代わりに指揮を執るようになる。 ジャイアンもまたそれを受け入れ、自ら突撃隊長に格下げ人事を行った。 少年探偵団の団長は4組の山下くん、副団長は2組のヒロインしずかちゃん。参謀長は出来杉。 突撃隊長はジャイアン。便利屋兼使いパシリスネ夫。 それが新年度(6年生)に向けての、新たな幹部の顔ぶれとなった。 少年探偵団にとっての希望は、何と言ってもドラえもんだった。 未来の世界のネコ型ロボットの持つ数々の道具は、ダンテ伯爵との対決には不可欠だったのだ。 悪の総帥、ダンテ伯爵が送り込む、数々のモンスターたち。 少年探偵団のみんなは、ドラえもんと力を合わせ、このモンスターを打ち倒して今日まで頑張ってきたのだ。 「ドラえもん? ドラえもんとは何だ?」 賀茂忠行は尋ねた。初めて聞く名だった。 「ドラえもんとは、未来の世界から来たネコ型のロボットです。彼の存在は大きい。」 「いや、待ってほしい。そもそも君たち自身が未来から来た、そうだろう?」 賀茂忠行は出来杉の言葉にかぶせるように聞いた。 「それと、君の話だと、君たちは少年探偵団という団体を組織し、世界征服を企む悪の伯爵と戦っていたわけだね?」 「そうです。僕たちは、ダンテ伯爵の悪の陰謀を阻止しようと立ち上がったのです。」 正義の味方…出来杉の話ではそうなる。本当にそうなのか?
338 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/26(金) 19:40:58
「それと、初期の少年探偵団の幹部に、あの野比のび太の名が無い…何故だね?」 その質問が来た途端、出来杉の表情は強張った。 その表情を見て賀茂忠行は悟った。やはり全てを狂わせたのは、野比のび太だったのだろう。 出来杉は続けた。 のび太は当初、目立った存在ではなかった。 ドラえもんをその家に住まわせているだけの、それだけの関係でしかなかった。 少年探偵団へドラえもんを招聘した際に、ついでに引っ付いてきただけ。 初めの頃はみんなもそう見ていたし、正直優秀な団員ではなかった。 少年探偵団が力を合わせ、ダンテ伯爵たちと戦いを繰り広げている中で、 のび太は全く目だった活躍をしたわけではなかった。 それがまさか、あんなことになるとは。 あの日の夜、羅生門で…。 「うわああーっ!」 突然、出来杉は絶叫した。激しく咳き込み、椅子から転げ落ちる。 「おいっ! 大丈夫か!」 賀茂忠行は駆け寄り、彼を抱き起こそうとする。 同時に隣室に控えていた医師団が駆け込み、出来杉を診察し始めた。 目が白目を剥いている。身体が激しく痙攣している。 全身から汗が噴き出し、ヨダレが口元から流れ落ちている。 「駄目です! これ以上は尋問を控えてください!」 医師たちはそう言うと、出来杉を担架に載せて運び出した。 激しいショックに彼の神経が耐えられなかったのだ。 「一体、何が起きたというんだ、あの日の夜、羅生門で…」 賀茂忠行は一人残された取調室で、そう呟いた。 そのまま出来杉は特別処置室に運ばれ、面会謝絶となり強制収監措置がとられることとなった。
339 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/26(金) 19:42:26
★ さてヘイドレクだが、ヴァレンティノ率いる地獄の軍団兵たちと共に、常陸の国に向かっていた。 肛門の傷も治りかけ、少しずつ排便も楽になってきている今日この頃。 脱糞がこんなに心地よいものだと、この歳になって初めて知ったのだ。 「ふふふふ〜ん!」 鼻歌を歌いながら、ヘイドレクは歩いてゆく。 気持ち悪い屍鬼を率いるヴァレンティノ神父とともに。
340 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/26(金) 20:33:06
341 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/26(金) 21:50:53
そうなのだ、ヘイドレクは己の肛門に極太のズッキーニを突っ込んで傷を治したのだ。 関東の空はひたすら高い。遥か上空に春雲雀が歌いながら待っている。 「ああ、なんと素晴らしい日だろう! おいらの文才が思わず疼くなりよ」 ヘイドレクは疼く肛門をむずむずさせながら、思わず溜め息を付いた。 そもそも自分が何でこの世界に来てしまったのか、根本的なところはまるで考えていない。 だって考えるだけのおつむはもうないんです。いろいろあって脳神経細胞の大半は焼け焦げてしまっててね。 実に呑気な、ゆるいデブだ。 春の花咲く野でゆっくりとおむすびを頬張りながら、ヘイドレクは丘の下で繰り広げられている殺戮を眺めた。 常陸の国へ戻るがてらに、武蔵粕壁の宿を襲撃し、結城一族に宣戦布告するつもりなのだ。 町人たちが、とつじょ現れた屍鬼たちに襲われ、無残に食いちぎられている。 若い娘さんの、そのピチピチした肉体を美味しそうに召し上がる地獄の悪鬼たち。 ああ、あんな可愛らしい娘さんを、もったいないなあ、と思ったけど 文句言ったらなんか酷いことされそうなので、軽くちんこを勃起させるだけで黙って見ていることにした。
342 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/26(金) 21:53:06
何せヘイドレクは囚われの身。 それは数回ほど逃亡しようとしたからだ。 だって屍鬼たちと一緒に旅してるんですよ、みなさん。 いつこのハンサムなヘイドレクがこの屍鬼たちに襲われ、 この人類の至宝という芸術的才能を散らしてしまうか分からないじゃないですか。 誰に語るわけでもなく、ヘイドレクはブツブツと独り言。 手足を重い鎖で縛られ、逃げようとすると怖いウォーヴォルフが唸り声を上げて脅してくる。 きゃあー、悲鳴を上げて座りションベンしたのもついさっき。 レナちゃん、ああレナちゃんとセックスしたかったなあ。 ボキはあのレナちゃんにこの美しく清らかな童貞を捧げたいと思っていたのになあ。 でももうレナちゃんは遥か遠く。 赤い靴を履いていたレナちゃんは、横浜から異人さんに連れられて遥か遠くに売られていってしまったの。 そう、買い手はトルコのスルタン。ヘイドレクが逆立ちしても敵わないコーカサスの最高権力者さんだ。 レナちゃん、幸せにね。ボキもこれから別の幸せを見つけるよ。
343 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/26(金) 21:53:52
ヘイドレクが妄想に浸りながらちんこを弄っているその目の前で、粕壁宿の町人達は殺されてゆく。 ようやく御家人率いる警察部隊が到着し、激しい戦闘が始まった。 ヴァレンティノ神父は、ここいらが潮時だと兵に引き上げを命じた。 目的は金品と食料の確保、それだけだからだ。これ以上無駄な殺生は必要ない。 どうせこれから始まる結城合戦で大量の人間が死ぬんだし。 兵が一斉に退却し始めたと同時に、ヴァレンティノはバテレン伝来のマスタードガス弾を宿の中に放り込んだ。 いきなり放出されたガスの霧の中で町人達は苦しそうにもがきはじめた。 その煙の中から屍鬼たちは、食用の牛馬(非戦闘員の人間を喰らうことはのび太に禁止されていた)や、 様々な財宝、金庫、耳かき棒、掛けた茶碗、エンサイクロペディア全巻、壊れたCDラジカセ、ネックの折れたギター、 干してあった越中ふんどし、食いかけの鯵の干物、壊れた蛇口の栓、その辺に落ちてた石ころを抱えて出てきた。 やっぱり屍鬼たちはバカばっかなんだな、とヴァレンティノ神父は顔を顰める。 ヘイドレクとどっちがバカなんだろうか?
344 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/27(土) 01:02:15
広大な武蔵野の平原をゆっくりと進む軍勢があった。 天から降り注ぐ日の光を浴びて、その甲冑や槍の穂先がギラリと輝く。 一糸乱れぬ隊列を組み、その逞しき騎馬の列は荒れた道を掻き分けるように進む。 広漠としたその空間に時折、馬の嘶きが高らかに響き渡る。 その中で、一際巨大な軍馬、黒王号の背中にその男は跨っていた。 春風を頬に受け、豊かなその黒髪をたなびかせるその姿は、まるで英雄譚の中の人物であるかの如きだ。 野比のび太だった。 固く結ばれたその形の良い唇。引き締まった眉尻。その表情にはもはやかつてのひ弱な少年の面影はない。 緋色のマントを羽織り、くろがねの甲冑を纏ったその佇まいは、勇猛果敢な兵たちを率いる将の貫禄に溢れている。 のび太は先ほどまでの戦いを思う。 下野から本庄宿を支配下におさめた雑賀党の一党との激しい戦い。 いずれ劣らぬ坂東武者たちが、利根川河川の大地で真正面からぶつかり合ったのだ。
345 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/27(土) 01:03:02
刀槍が舞い、血肉が飛び散る凄まじい白兵戦。 敵兵は幾度ものび太に突撃を仕掛け、本陣で指揮を取るのび太の元に肉薄した。 のび太の親衛隊たちは己の肉体をなげうちこれに応戦。 のび太自身も己の刷刀を抜き払い、勇敢な敵兵たちを幾度も迎え撃った。 死を恐れぬ荒夷たちの、その獰猛さ、野蛮さ。その全てがのび太の心を打った。 これこそ、この血まみれの戦いこそが、俺本来の居場所なのだ、そう悟った。 戦いが終わり、敵兵たちはのび太の前に降伏する。 だが、それは決して恐れをなしたからではない。臆した者など一人もいなかった。 雑賀党一党を率いていた深谷清佐衛門は、己の命をもって部下達の救命を願い出て、 のび太の前で潔くその腹を捌いてみせた。さらに短刀で己の喉を切り裂き、首まで自ら切り落としてみせたのである。 凄まじいかな、坂東の夷族たちよ。のび太は敵兵たちを快く許し、彼ら全てを解放した。 服従したくば構わぬ、我の軍勢に参加せよ。再び我と刃を交えたくば、北条や上杉の旗の下に行け。彼はそう命じた。 結果、約半数の雑賀党の兵たちが、血盟を持ってのび太の下に服従を誓った。 一部の兵は深谷清佐衛門に殉じてその場で自害して果てた。 なだらかな平原が続くその大地を、のび太とその一行はゆっくりと進む。 この果てしない荒野で、一体誰が覇権を得るのか。それはこの野比のび太すらわからない。 そう、たとい野比のび太であろうとも、この荒野を制することができるとは限らないのだ。 覇権を目指す無数の鬼神たちが、これからもこの血で跳梁跋扈し、夥しい血が流されるのだ。 それは時に、のび太自身の血かもしれない。 それはそれで構わぬ、とのび太は思った。相応しい相手の刃によって斃れるのも、また武人のさだめだ。 だが、我はそう簡単には屈するつもりなどない。我もまた、この地に覇権を目指す武士の一人なのだ。
346 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/27(土) 01:07:52
ふとのび太は、遠き過去の事を思った。いや、正確に言えば、今より遥か未来の話だ。 あの頃の自分からは想像も付かない今の自分のこの姿。 堕落と混迷の暗渠の中でもがき続けた少年の日々を、のび太はふと思い出し、口元を緩めた。 何と幼く、何と未熟で、何と愚かであったのだろう! しかし何と輝かしく、何と純粋であったのだろうか! のび太は思わず目を閉じた。 瞼の裏に、あの日々の光景が浮かんでくる…。
347 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/27(土) 01:14:42
その日、のび太は男子トイレの個室でオナニーをしていた。 手に握りしめ、顔に押し付けてスーハーのしているブツは、しずかちゃんのブルマだ。 体育の授業終わりで汗ばんだしずかちゃんのブルマは、汗の匂いでムンムンしていた。 先ほどまでクラス一の美少女が見につけていた宝物の中に、のび太は鼻先を埋め、思い切り息を吸い込む。 思春期に突入した生娘の放つ、たまらないフェロモンの芳香が、蓄膿ぎみののび太の鼻腔を通して脳髄を刺激する。 (しずかちゃん…ああ、しずかちゃん!) のび太はそう呟きながら、自らのペニスを固く握り締めた。 …つい先ほど、休み時間開始のチャイムとともに席を立ったのび太。 ジャイアンやスネ夫の呼びかける声を無視し、そのまま教室を脱兎の如く飛び出した。 授業時間中もずっと興奮を抑え切れなかった。 もちろん授業など耳に届いていなかった…そんなのいつものことだが。 先生に指名され、黒板に書かれた非線形微分方程式の応用問題を解くように言われたが、 すこしイラついた態度で「わかりません」と答えたのび太、これで放課後は居残りが決定した。 (ふん、まあいい…。) ポケットの中には先ほどしずかちゃんから失敬した、脱ぎたてのブルマ。 夏の日差しの下でたっぷり汗をかき、少しムレたしずかちゃんの股間を覆っていたブルマだ。 のび太の鼓動は高鳴る。 もはや五時限目に提出しなきゃならないサンスクリット語のレポートのことなど頭に無かった…。
348 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/27(土) 01:15:30
…たまらなくなったのび太はついに、しずかちゃんのブルマを口にくわえ込んだ。 裾に溜まったしずかちゃんの汗から、少ししょっぱい味がする。 (むう、た、たまらない!) 既に真っ赤に腫れ上がった己のペニスは、小学五年生にしてはサイズはかなりでかい。 大男の疎チン・ジャイアンや、モロの短小包茎のスネ夫に比べると、そのグロテスクな巨大さは群を抜いている。 その灼熱を帯びた巨大なペニスは、今、のび太の手の中で破裂しそうだ。 「…あ、ああっ、し、しずかちゃん!」 脊椎が震えるような感触が伝わり、肛門括約筋が引き絞られる。 そしてその快感は右手で握り締める男根に伝わり、熱く膨張した男根全体が痺れた。 そろそろ出ちゃう、そう思ったのび太は口にくわえ込んでいたしずかちゃんのブルマを取り出す。 そのブルマで自分のペニスを包むと、一気に手の動きを速めた。 しずかちゃんのヴァギナに接した布地が、今、己の亀頭を激しくこすり上げる。 しずかちゃんから染み出した女の汁が、今、己の亀頭のカリに擦り付けられている! 「しずかちゃん、ああっ!!」 一瞬、大きく体を痙攣させたのび太…その直後、のび太のペニスの先端から、夥しい量の精液が放たれた。 熱を帯びた精液はそのまましずかちゃんのブルマの布地に流し込まれ、繊維の隙間にしみこんでゆく。 ちょうどそのとき、授業開始のチャイムが鳴った。 (どうせレポート書いてないしさ、五時限目の授業なんてサボっちまおう…) のび太はしずかちゃんのブルマで自分のペニスを拭い、精液をふき取ると、便座に座ったまま軽く尿をした。 廊下からは、教室に戻る同級生たちのあわただしい足音や、早く教室に戻れと怒鳴る教師の声が聞こえる。 そんな日常の喧騒を遠くに感じながら、のび太はポケットからタバコを取り出して口に咥えた。
349 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/27(土) 01:31:55
(前に俺の吸ったタバコの吸殻のせいで、ジャイアンの奴が停学処分になったな…。) そう思い出してのび太は微笑んだ。 髑髏のレリーフの刻まれたニッケルシルバーのジッポライター(22世紀製でドラえもんから奪い取ったもの)で、 口に咥えたハイライトに火をつける。 大きく煙を吸い込むと、一瞬軽い目眩が起きた。この瞬間がたまらない。 血液中にニコチンが巡ってゆく快感に浸りながら、のび太は煙を天井に向かって吐き出す。 興奮が収まり、自分の精液で塗れたしずかちゃんを見た。 濃紺の生地に、べったりと自分の精液が染み付いている。 どうすっかな?とのび太は悩んだ。 (このまま持ち帰ってオナニーネタにするって言っても、もう俺のザーメン塗れだしさ。) なら、いっそのこと誰かに変態行為の罪を擦り付けちゃえ、と思いついたのび太の脳裏に、スネ夫の顔が浮かんだ。 廊下に出たのび太は、見回りの教師に見つからないように注意しながら廊下を進む。 目指すは5年3組のロッカールームだ。すでにクラス全員のロッカーの合鍵は取ってある。 ドラえもんの未来の道具(名前はなんつったけなあ…まあいいや!)でアッという間だ。 通りかかった理科実験室では6年生のクラスが理科実験実習をやっていた。 なにやら常温核融合の実験らしく、重水素抽出装置やフォトンレーザー共振器などがウンウン唸っている。 特殊バイザーをつけたアホ面の上級生たちが、理論物理学博士号を持つ理科教師の熱弁を熱心に聞いている。 (馬鹿だな…こんなのドラえもんを脅しつければ、ミノフスキー・イヨネスコ型核融合ジェネレーターくらい出してくれるぜ) 嘲笑いながらのび太はそこを通りすがる。
350 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/27(土) 01:32:44
そのときだった。 「のび太くんっ!」 と、呼びかける声がした。 その声に、射抜かれたように立ち竦むのび太。 額に汗がぶわっと浮かぶ…まずい、見つかった! その声に、射抜かれたように立ち竦むのび太。 額に汗がぶわっと浮かぶ…まずい、見つかった! ツカツカと背後からのび太に近づいて来る足音が響く。 固いヒールがリノリウムの床に当たり、長い西校舎の廊下に響き渡った。 ゴウンゴウンという空調の音と、時折発せられる実験室からの機械音…その中で一際甲高く靴音が響く。 「のび太くん、今、授業中でしょ?」 女の声…のび太は恐る恐る振り返る。 そこには鮮やかな白いブラウスを着た、美人英語教師茉莉子先生がいた。 鼻筋の通った端正な面立ち…薫り立つような濃厚な色香がどことなう漂う。 紅のルージュが引かれた口元は僅かに微笑み、刺すような視線でのび太を見つめる。 「こんなところで何をしているの、ダメでしょう、授業をサボったら」 そう言ってのび太の目の前まで歩み寄る茉莉子先生。 細身の体から我儘に隆起した乳房が、のび太の鼻先で揺れる。 たしかにまずいことになった…こんな状況じゃ誤魔化しようがない。 担任の谷口に報告が行けば、こんどこそ間違いなく停学だ…のび太の頭は必死に打開策を探る。 「せ、先生はこんなところで、何をしてるんですか?」 結局そんなことしか言えなかった…見回りに決まってるじゃんかよ!
351 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/27(土) 01:33:36
のび太は「全力疾走で逃げる」という選択肢を思い浮かべ、それを実行しようとした。その瞬間、 「私?…うふっ!私もサボりよ」 茉莉子先生は、そう言って妖しげに微笑み、再びのび太の目を見つめる…熱い瞳だ。 「生理痛だって誤魔化して、5年1組の授業をすっぽかしたの。だからあなたと同罪…黙っててよ、のび太くん!」 そう言いながら茉莉子先生は懐からタバコを取り出した…ヴァージニアスリム。 それを一本取り出し、口に咥えた瞬間、「あ、ここじゃヤバいか!」と言って、振り返って歩き出した。 (生理痛…生理痛って、茉莉子先生は今生理なのか?) のび太の中で妄想が膨らむ。そして視線は歩き出した茉莉子先生の後姿を無意識に追っていた。 年頃の男子生徒を挑発でもするつもりなのか、切り詰められた短いスカートから長く健康的な美脚だ。 そのグレーのタイトミニの下で、ことのほか肉感的な尻が、歩くたびに躍動するように蠢く。 (生理って…マジすか、茉莉子先生) 先ほどたっぷりと放精したにも関わらず、のび太の股間が疼いた。 窓から差し込む午後の日差しの下で、見事な美脚…。 そして生理…女性のあの部分から、出血するんだよな、確か。 「のび太くんも、来る?」 突然振り返った茉莉子先生は、のび太に向かってそう声を掛けた。 そして自分に向けられるのび太の視線を素早く察し、悪戯に微笑んだ。 その微笑は、差し込む日差しの中でまるで奇跡のような輝きを放っていた…。
352 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/27(土) 01:34:30
「…茉莉子先生、ボク、もうダメですっ!」 のび太自身を苛める巧みな茉莉子先生の舌技に、のび太は最早限界であった。 机の端に腰掛け、ズボンとパンツを下ろしたのび太。 そののび太の前に跪き、長い黒髪を振り乱しながら茉莉子先生は一心不乱にのび太をくわえ込む。 大きく開かれた胸元から、豊満な乳房が揺れる。先ほどまでのび太の顔がうずまっていたあの場所だ。 たくし上げられたスカートからは、見事なまでに丸みを帯びた臀部が剥き出しになり、のび太の視界の下で蠢く。 その白い地肌が、窓から差し込む西日を浴びて痛々しいほどに白い。 「ああっ!」 人気の無い北校舎…その狭い教材用具倉庫の中に響き渡る喘ぎ声を上げて、のび太は果てた…。 体中が震えるような快感が駆け抜け、その疼くような快感がのび太のペニスに伝う。 前立腺の奥から湧き出した熱き迸りが、長く太いのび太の男根を伝い、茉莉子先生に向かって噴出した。 「…んんっ、むんんぐっ!」 のび太を口に含みながら、茉莉子先生は唸った。 口腔内にことのほか大量の精液が満ち溢れ、その熱を帯びた奔流が茉莉子の喉に流れ込む。 小学五年生としては考えられないほどに巨大なのび太のペニスが、茉莉子の口の中で痙攣して暴れた。 若草をすり潰したような生臭さが、茉莉子の鼻腔を刺激する。 その若き生命力の逞しさに煽られ、茉莉子は自分の体の芯が熱くなっていくのを感じた。
353 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/27(土) 01:35:24
机の端に腰をかけたまま、のび太は快感に余韻に浸り、大きく喘ぐ。 そののび太の腰に手を回し、茉莉子はさらに彼自身を深くくわえこんだ。 「あうっ!ま、茉莉子先生!」 のび太は腰を引かせる。 茉莉子はそれを押さえ込むように抱きしめ、のび太の太いペニスを吸った。 一滴も残さず彼の雫を吸い出す、彼女の本能がそれを求めていた…。 「…うふっ!ダメでしょ、のび太くん」 体育用のマットの上で横たわる二人。 茉莉子先生はヴァージニアスリムを一本取り出すと、それを口に咥えた。 「あ、ライター…」と言いながら、横たわるのび太の上に身を乗り出し、向こう側にあるバッグを探りはじめた。 のび太の目の前に、無造作に晒された丸い乳房が揺れた。 少し汗ばんだ白い肌が、ホコリ臭いこの用具倉庫の中で一際新鮮に輝く。 目の前のこの女の肉体で、自分は初めての経験をしたのだ、と改めて振り返った。 その瞬間、精を放って萎れたのび太のペニスに、僅かだが疼きが走る。 茉莉子先生はライターを取り出すと、のび太の横に座り、タバコに火をつけた。 少し目を閉じ、煙を味わった後、ルージュが滲んだ唇をすぼめて天井に吐き出す。 のび太はそれを横目で見ていた。 快感の余韻が彼の思考力を奪い去る。力なく横たわる体は、まるで自分のものではないようだ。
354 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/27(土) 02:33:01
そんなのび太を、茉莉子先生はしゃがんだ姿勢のまま見下ろした。 そしてあの悪戯ッ気たっぷりの微笑みで、のび太の目を見つめる。 「まったく…こんなことしてるなんて、結構可愛いところあるじゃない」 茉莉子先生はそういいながら、のび太が持っていたしずかちゃんのブルマを手にとって見せた。 のび太は寝そべったまま、恥ずかしさのあまり視線を逸らす。 見られたくなく、知られたくない自分の恥部が、このように晒される。 激しい自己嫌悪と後悔の念が、のび太の中で渦巻く。 「みなもと…しずか、かぁ。ああ、あの娘ね」 茉莉子は指先でつまんでいるブルマを宙で数度振った。 濃紺の生地に、のび太が放った精液がこびり付き、乾いてカピカピになりかけていた。 「のび太くんは、この娘のこと、好きなの?」 顔を背けるのび太の目の前にそれを突き出し、タバコを咥えながら聞いてくる。 その声はどこか楽しんでいるようで、妙に明るい。 「いえ…別に、そういうわけじゃ」 のび太の口は重い。
355 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/27(土) 02:33:53
もちろん大好きだ。 幼馴染であったしずかちゃんが、思春期を向かえ徐々に女の体になってゆく。 そんなしずかちゃんに、抑えられない熱い思いが沸き立つのを、のび太は知っていた。 今まで意識していなかった原始的な衝動が、のび太の中で激しく燃え上がってきている。 その捌け口を求めて日夜苦悶している…その結果が、これだ。 突然、茉莉子先生がのび太にのしかかってきた。 「ひねくれてるのね、のび太くん。…もっと素直にならなくちゃ女の子にモテないわよ」 そう言って微笑むと、茉莉子先生はのび太の唇に己の唇を重ねた。 長い黒髪で視界を奪われた。濃厚すぎる女の薫りが、一気にのび太を包み込む。 茉莉子先生の舌が、のび太の前歯を押し広げた。そのまま中に侵入し、のび太の舌と絡まりあう。 唾液と唾液が交わされる…茉莉子先生の唇から溢れた唾液を、のび太は飲み込んだ。 のび太は思わず先生の首に縋りついた。夢中になって茉莉子先生の唇を求める。 ああ、たまらない。 だが、のび太の抱擁を面倒くさそうに払うと、茉莉子先生は唇を離した。 のび太の肩を押し、上半身を起こす…長い唾液の糸が、二人の唇の間で光った。 もう一度、二人は見詰め合う。 刺すような視線が、のび太に注がれた。美しさを越えて、どこか恐ろしい。 無言のまま、ジッと茉莉子先生はのび太を見つめる。緊張し、唾を飲み込むのび太。
356 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/27(土) 02:34:56
すると突然、茉莉子先生の手が、のび太のペニスを握った。 「ううっ!」 まだ勃起しておらず、下腹部で萎れたままの柔らかなペニス。 そのペニスを茉莉子先生の手が揉む…少し冷たい手の指の感覚が、たまらなく心地よい。 「こんなに大きいの、あなたは持ってるじゃない…凄いわ、これ」 茉莉子先生はゆっくりと顔をペニスへと近づける。 「この凄いので、しずかちゃんのことを貫いちゃいなさいよ…男でしょ?のび太くんは」 そのまま肉茎を口に含んだ。肉茎をこすり上げ、陰嚢を丁寧に揉みながら、亀頭に軽くキスをした。 「まだ、時間はあるわ…今度は私を気持ちよくさせてよ、のび太くん」 四つん這いになった茉莉子先生は、のび太のペニスを掴んだ。そのまま己の秘所に導く。 「で、でも…先生もマズいんじゃないですか?」 自分のペニスがゆっくりと茉莉子先生の中に入ってゆく。 熱く濡れた粘膜が、のび太の硬直した肉茎をくわえ込んでゆく。 「忘れたの?私、今日は生理痛で半休なの…うふっ!」 ついにのび太のペニスが、茉莉子先生のヴァギナに埋まった。 茉莉子先生は顔を顰め、小さく唸る…のび太の肉茎の圧力に、少し驚いているようだ。 のび太は茉莉子先生の膣の熱さを感じ取りながら、茉莉子先生の乳房を掴んだ…。
357 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/27(土) 05:17:21
窓から差し込む夕日が眩しい。 裸のままのび太と茉莉子先生は、用具倉庫の床に横たわっていた。 一体、どれだけのオルガスムスを迎えたのだろうか? これほどまでに激しい童貞喪失を迎えるとは、のび太自身予想だにしていなかった。 散々放精し、力なく萎びた己のペニスが下腹部に張り付く。 小学生にしては巨大なペニス…ついには茉莉子先生を貫き、何度も悦ばせた灼熱の凶器は今、 まるで先ほどまでの激しさなどウソであるかのように、しずかにのび太の上でその身を横たえ、休息している。 茉莉子先生はのび太の右腕を枕にし、のび太にしなだれかかるように横たわっていた。 さすがに先生もきつかったのだろうか、汗ばんだ女の肌の、独特の匂いがのび太の鼻をくすぐる。 「ねえ、のび太くん…」 少し疲れた声で、茉莉子先生はのび太に語りかける。 そのまま茉莉子先生は顔をのび太に近づけると、のび太の頬に軽くキスをした。 甘い吐息が、のび太の官能をくすぐる。 「私、良かったかしら? ねえ?」 先生はそう言うと、クスクスと可愛らしく笑った。
358 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/27(土) 05:18:19
良かったに決まっている。 大人の女の肉の重み、女の肌の脂の匂い、その甘いあえぎ。 その全てがのび太を襲い、その官能の渦の中、のび太は何度、茉莉子先生に向けてはなったことか。 心地よい疲れが、のび太の身体を包み込む。 まだ温もりが残る夕日の陽射しが、のび太の剥き出しの肌を焼く。 のび太の巨大な肉茎が茉莉子先生の敏感な蜜壺を刺し貫いたあの瞬間、女の蜜に包まれたのび太の凶器は爆発した。 その後も幾度も繰り返し、女の花芯の中で欲望の雫を吐き出し続け、そのたびにのび太はわなないた。 それは今まで体験したことのない至福のひと時だった。 それとともにのび太の幼年時代は終わりを告げた。華々しく、激しい快楽の波に打ち砕かれ、流れさってしまったのだ。 のび太の頬に微笑みが浮かんだ…。
359 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/27(土) 05:19:18
…のび太の腕に抱かれた茉莉子先生もまた、淫らに弾けた。 力強いのび太の侵入に引き裂かれそうになりながら、のび太の肩に縋りつき、絶頂感の中ですすり泣いた。 野比のび太…彼がこれほどまでの少年であったとは、茉莉子先生も予想外だった。 逞しく、猛々しく女を組み伏せ、その激しい欲情の嵐の中で女を殺してみせる…のび太は天性の女殺しだ。 素敵。本当に素敵。でも、茉莉子の本当の使命はこれからなのだ。 こののび太という希代の傑物を、己の女の魅力を持って誘い、逞しく打ち鍛えてゆくのだ。 それが、ダンテ伯爵が茉莉子に命じた、決してミスの許されない使命なのだ。 茉莉子は再び身を起こした。 横たわるのび太を見下ろし、意地悪く微笑みかける。 のび太は力なく笑い返した。少年には過酷な快楽の宴だったのだろう、のび太の頬にやつれの色が浮かぶ。 だが茉莉子は躊躇するつもりはなかった。 彼女はもう一度のび太に微笑みかけると、そのまま指をのび太の腹に這わせ、その巨大な肉の凶器に触れた。 触れた瞬間、のび太の腰が敏感の反応する。 その反応を楽しむかのように、茉莉子はのび太の凶器を指でなぞる。 茉莉子の指の間で、徐々にそれが熱を帯びてゆくのが分かる。
360 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/27(土) 05:20:07
「ま、茉莉子先生。ぼ、僕もう無理ですよ…ああっ!」 茉莉子の指が亀頭を探った瞬間、のび太は可愛らしく喘いだ。 その表情…まだ少年のあどけなさを残すその表情を見た瞬間…茉莉子はのび太を愛している自分を発見した。 遥か年下の少年でしかないこの少年を、茉莉子の女の性は狂おしいまでに求めている。 茉莉子の膣が再び潤いを帯び、あの熱い疼きが甦ってゆく。 この少年を、私の手で本物の男にしてみせる。それが、私ののび太くんへの愛。 茉莉子の指先の愛撫に反応しあえぐのび太を、愛おしげに見つめる。 茉莉子の目に涙が浮かんだ。それは喜びの涙だった。 そのままゆっくりと茉莉子は、のび太のその肉茎を口に含んだ。 口から溢れそうなほど巨大なそれは、茉莉子の舌の中で断続的に痙攣し、さらに膨張してゆく。 それから一時間ほどの間、のび太と茉莉子先生は言葉を交わすことなく、抱き合った。 それはただの欲情の遊戯ではなく、愛を交わす純粋なセックスだった。 のび太が遂に果て、大量の精液を茉莉子の膣内に吐き出したその瞬間、茉莉子も何度目かの絶頂を味わった。 そのまま崩れるように茉莉子は倒れ、のび太の胸の中で悦びのあまりすすり泣いた…。
361 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/27(土) 06:32:15
さて、ヘイドレクである。 のび太の回想を聞きながら、ヘイドレクはズボンのポッケに手を入れて、自分のちいさいおちんちんをにぎにぎしていた。 う、羨ましい。なんて羨ましいんだ。僕も茉莉子先生みたいな素敵なお姉さまにチェリーを捧げたかった! だがヘイドレクは小学生時代、クラスメイトからブタまんじゅうという素敵なあだ名で呼ばれ続けた過去しかなかった。 授業中、同級生の女の子をじろじろと見ながら、完全に皮の被ったちんちん(今も被ってますが)を固くさせてニヤニヤ。 女子生徒たちから気持ちワルがられ、男子生徒たちはそのようなヘイドレクを詰り、教師たちは遂に匙を投げる。 そんな過酷な運命をくぐり抜けながら、ヘイドレクはファンタジックヒーローとしてすくすくと今日まで生きてきたのだ。 ああ、何と言う悲しき運命! その悲しきサーガを知れば知るほど、人々は腹を抱えて笑った。 権田の館の一室で不朽の名作”源氏物語”を書き連ねる紫式部。 それに引き換えヘイドレクは、小学一年生の漢字練習帳レベルの文字を書き連ね、ノーベル文学賞に応募する日々。 ある意味度胸があるが、ノーベル文学賞って投稿作品の募集かけてたっけか? まあいい、ノーベル財団にちょっとした威力業務妨害を続けながら、ヘイドレクは今日もまたオナニーで快楽を貪る。 果てしない夢を求めて。いつかたどり着く栄光を待ちながら。 ヘイドレクがパンツの中に射精したのは、それから40秒ほど経ってからのことだった。 その瞬間、ヘイドレクの醜いあばた面に、奇妙な微笑みが浮かんだ。
362 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/27(土) 12:33:44
小学校時代は豚マンジュウだったヘイドレク。 年月が過ぎ、第二次成長を経ている。 しかしその成長は筋肉や性器の発達という男性美を司る方向に働かず、 無駄な体毛を増やし、行き所のない精液を増産するという呪わしい方向にしか作用しなかった。 しかもそのうえ豚顔にはブチュラブチュラと膿ニキビ。 髭をそり落としても、数時間後には肌が青々と光りだす。 人は彼を、「青カビの生えた豚まんじゅう」と呼んだ。 腐った豚マンから湧き出す精液・・・ 深きものどもも裸足で逃げ出すおぞましさ。
363 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/27(土) 19:35:04
>>361 のび太は変わった。あの日の午後を境にして。
学校の東校舎第12棟裏にのび太を呼び出し、軽くリンチするつもりだったジャイアン。
だが、ジャイアンは拳をふるうことができなかった。身体がそれを拒んでいた。
何故だろう、今までと違う。何かが違う。
のび太の、ジャイアンを静かに見つめるその眼光の輝きに、ジャイアンはおののいた。
まるで獣…のび太の奥に野蛮で凶暴な猛獣が潜むのを、ジャイアンの本能は感知したのだろうか。
何も気づかず、のび太を罵る言葉を吐くスネ夫をよそに、ジャイアンは怯えた。
春本番の、この生温い空気が、一気に十度くらい下がったような、そんな寒気を覚える。
「ジャイアン、のび太の奴、今日金持ってきてないみたいだぜ! 殴っちゃおうぜ!」
スネ夫はジャイアンに縋る。こいつはしょせん腰ぎんちゃくでしかない。
自分が虐められたくないがために、強い奴に引っ付いて弱いものいじめをするだけの、下らない男だ。
ジャイアンはスネ夫のその無邪気な笑顔を見下ろし、激しい嫌悪感を感じた。
何だろう、この下らなさは。それに比べてこの目の前で静かに佇む、のび太の異様なまでの落ち着きは?
「…い、いくぞスネ夫!」
ジャイアンは踵を返した。のび太の双眸から注がれるあの輝きに耐えられなかった。
スネ夫は、何でだよ? のび太は金を持ってこなかったんだから、ヤキ入れなきゃだめじゃん!と抗議する。
364 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/27(土) 19:36:41
刹那、ジャイアンは切れた。 文句を言いながら騒ぐスネ夫を、気づいたら殴っていた。反射的に、迷うことなく。 固く握った拳に、スネ夫の歯を砕く嫌な感触がした。それとともにスネ夫のグウッ! という情けない呻き。 気づくとスネ夫は、ジャイアンとのび太の間に倒れこみ、驚いたような顔でジャイアンを見上げている。 その目は涙でにじみ、何でボクが殴られなきゃならないの?と驚いたような顔だ。 鼻血が流れ、口元が裂け、その血が頬を伝い地面に滴り落ちる。前歯も折れているようだ。 ジャイアンもまた驚いた。自分が今してしまったことが信じられなかった。 握ったままの拳は震えている。鼓動が高鳴り、額に汗が滲んでくる。実に嫌な感じだ。 ふと視界の端に、のび太の姿を捉えた。 のび太は、立ったまま震えるジャイアンの姿と、倒れ伏してすすり泣くスネ夫の姿を、冷ややかな目で見つめていた。 その冷徹なまでの眼光に、ジャイアンは恐怖した。 何かが違う、今までとは何かが!
365 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/27(土) 19:37:44
「こらっ! 貴様ら何をやってるんだっ!!」 校内を見回る教務課の教員が、この校舎裏にやって来ていた。 まずい、見つかった! ジャイアンは焦った。 もう一度ここで学校側から処分が下れば、おそらくは退学処分。 つい先日、ロッカーの中から憶えのないハイライトの箱が教師に見つかり、三週間の停学処分になったばかり。 あれは冤罪だったが…おそらくジャイアンの横暴っぷりに反発した卑怯者の陰謀だろう。 だが、今回は言現行犯、もはやい訳ができない。 「貴様ら、こんなところでリンチか! ここは神聖な学び舎だぞ!」 教師達はツカツカと歩み寄ってくる。手にした竹刀をブンブンと振り回しながら。 スネ夫はジャイアンを詰るように睨み、その視線を教師達の方に向けた。 決定的だ。これで退学になるジャイアンに、スネ夫はもう容赦はしないだろう。 ジャイアンに殴られた、その一言を教師に言えば、それでジャイアンはここから永遠に去る。 「おい! 殴られたのはスネ夫か! 一体誰がやったんだっ!」 教師は怒鳴りつける。その声がジャイアンにはどこか遠くから響いてくるように聞こえた。 ジャイアンの学園生活がここで終焉を迎える。この学園を卒業し、エリートコースへ乗る夢も崩れさる。 実家の零細青果店の下働きをさせられ、そこで生活に追われる日々…。 この瞬間、ジャイアンの脳裏に浮かんだのは、その絶望的な未来予想図だった。
366 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/27(土) 19:45:05
だが、ここで予想外のことが起きた。 スネ夫が口を開こうとしたその瞬間、それを遮るようにのび太が一言。 「ボクがやりました。」 そう言って教師たちの前に進み出た。 一瞬、空気が止まった。唖然とするスネ夫の表情がジャイアンの目に映った。 ジャイアンもまた、状況を掴みきれていなかった。今、のび太の言った一言が信じられなかった。 「野比! 貴様が骨川を殴ったというのか! そうなんだなっ!」 教師はそう叫び、のび太に詰め寄る。 だが、のび太は教師達を前にしても、泰然自若とした態度を全く崩していない。 それどころか、口元にうっすらと笑いを浮かべている。 そののび太の視線が一瞬、ジャイアンとかち合った。 それだけで充分だった。ジャイアンはその一瞬で全てを理解した。 のび太はジャイアンをかばったのだ。今までのび太のことをいじめ続けたこの男を。 決して恩を売りつけるような、そんな態度ではなく、ただちょっとした些事を軽やかにこなすかのように。 のび太の態度は冷静そのものだった。 教師たちが激しい口調で叱っているにも関わらず、まるで表情を変えない。 今までののび太からは想像も付かないほどに、のび太は変わってしまっている。 ジャイアンは己の卑小さを悟らされた。これで充分であった。 拳はおろか、言葉すら交わすことなくジャイアンはのび太の前に敗れ去ったのだ。 だが何故だろうか、悔しさはなかった。むしろ本能的な恐怖が、ジャイアンの心を暗鬱に支配していた。
367 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/27(土) 19:46:25
「ちょ、ちょっと待ってくださいよ先生!」 我に返ったスネ夫が叫んだ。涙声で。 自分を殴ったのはジャイアンであって決してのび太ではない、そう主張したかったのだろう。確かに真実はそうだ。 それにのび太ごときに殴られたとなっては、スネ夫は学園中でバカにされる。 そう、今までののび太であったならばそうであろう。だがスネ夫はのび太の変貌に気づいていない。 「先生違いますっ! ボクを殴ったのはっ…」 スネ夫が口を開こうとしたその瞬間であった。 目の前で俄かに信じがたいことが起きた。 のび太の蹴り上げた足が、スネ夫の側頭部に打ち込まれた。 鞭のようにしなるその蹴り足が当たった瞬間、バツンと渇いた鈍い音が校舎裏の空間に響く。 嫌な音だった。無情で容赦ない、真の暴力の音だった。 サッカーボールのように蹴り上げられたスネ夫の頭部は、そのまま激しく地面に叩きつけられた。 スネ夫は失神。それだけではない、スネ夫のズボンがみるみると濡れてゆく。失禁したのだ。 今目の前で起きたことに、教師たちも絶句した。 ジャイアンにも信じられなかった。まるで虫けらを踏み潰すかの如きのび太の暴力。
368 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/27(土) 19:47:15
一方、のび太は何事も無かったかのように、教師の方に向き直った。 「骨川くんを殴ったのは僕です。ちょっとこいつ生意気だったんで、ヤキを入れただけです」 のび太は教師にそういうと、何と微笑んでみせた。 その無邪気な微笑みに、ジャイアンだけでなく教師たちすら慄然とした。 「ただ今は反省しています。だから先生方の下された処分はキチンと受け入れます。申し訳ございませんでした」 のび太だけが話していた。淡々と、冷静に。それ以外の人間は全て時が止まっていた。 騒ぎを聞きつけたのだろうか、無数の生徒たちがこの校舎裏に集まってきた。 無言で立ち竦む教師たちとジャイアン。その目の前で教師にしおらしく謝罪の弁を述べるのび太。 そして地面に倒れ伏しているスネ夫…流血し、泡を吹いて倒れるその姿に、数人の女子生徒たちが悲鳴を上げる。 その悲鳴を聞き、我に返った教師たちは、のび太を生徒指導室に連行してゆく。 その後姿を、ジャイアンは呆然と見つめていた。 間もなく、救急車のサイレンの音が遠くから響いてきた…。
369 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/27(土) 20:51:31
「ねえ、のび太くん。やりすぎよ…」 茉莉子先生はそう言うと、クスリと笑った。 生徒指導室には茉莉子先生とのび太の二人。 ガラス天板のテーブルを挟んで、のび太と茉莉子先生は向かい合って座っている。 のび太は無言だった。 ただソファーに座りながら、茉莉子先生からもらったヴァージニアスリムの煙を、ゆっくりと吐き出している。 他の先生方は、全てを担任の茉莉子先生に任せて授業に戻っていった。 混乱する校内を押さえるためにも、カリキュラムはあくまで平常どおりに進める必要があったのだ。 「救急車で運ばれた骨川くんは、そのまま緊急の開頭手術ですって…おかしいわね!」 茉莉子先生はそのままケタケタと笑う。自分の受け持ちの生徒が重篤になったにも関わらずにだ。 別にあんな下らない坊やなんて、正直どうでもよかった。 まあ、のび太に傷害致死罪が加わらなかった分、よかったかな、という程度。 のび太は尚も無言。ただ煙草の煙が立ち昇るさまを、無感動な目でジッと見つめているだけ。 眼鏡の奥のその瞳は、あくまでも冷徹のままだ。 この件で、かなり重い処分が下るのは間違いないにも関わらず、彼は平然としている。 その冷たさに、茉莉子の中の女が疼いた。 目の前の少年の中に潜む、暴虐なまでの逞しさに、茉莉子は涙が出るほどの感動を覚えた。
370 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/27(土) 20:53:36
おそらくのび太に下る処分は長期停学であろう。だが、正当防衛を主張し、それを軽減する余地はある。 何せ彼は今までジャイアンとスネ夫にいじめられてきたのだ。 ジャイアンはのび太に不利になる証言はしない。 既に先ほど茉莉子がジャイアンに行った事情聴取で分かっている。 初めにスネ夫を殴ったのはジャイアン。ジャイアンはあのままでは退学だったのだ。それをのび太は庇った。 のび太もその事実はとりあえず認めた。面倒くさそうに。そんな些細なことなど、どうだっていい、そんな態度だ。 悍馬の如く荒々しいその性は、本来のび太の中に眠っていた本性そのものだ。 今までその目覚めは抑えられてきたのだ。あの”ドラえもん”なる下らないおもちゃのせいで。 のび太は煙草を灰皿の中で乱暴にもみ消した。茉莉子先生はそれをジッと見つめている。 まだ時間はタップリある。ここでのび太を”事情聴取”し、”反省を促す”ための時間がたっぷり。 親御さんへの連絡は済んでいる。のび太の両親の反応は驚愕と困惑だった。 うちの息子がまさか! ウソでしょ! そんな酷いこと、うちののびちゃんがやるなんて! 電話口でそう叫ぶのび太の母は、取り乱していた。 アンタの息子は本来はこういう男なんだよ。今までアンタたち両親は気づかなかったんかい。 茉莉子は呆れながら母親のたわ言を聞き流し、その電話を切った。 こののび太の親とは思えないほど、実に下らない母親だ。 あんなくだらない母親から、よくまのび太のような傑物が生まれ落ちてきたものだ。 茉莉子は再びのび太を見つめた。 ブラインド越しに差し込むのび太の顔は、どこか危険な薫りがただよう。 眉が引き締まり、幼さを残しつつもその表情は力強さが漲っていた。 眼鏡の下のその瞳…あのジャイアンすら恐怖をおぼえたほどの鋭い眼光は…おそらくこれから多くの女を殺すのだろう。
371 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/27(土) 20:55:08
茉莉子はコーヒーを淹れるために立ち上がった。 ゆっくりと、のび太に己の美脚とヒップをアピールするように、艶めかしく。 短く切り込まれたスカートの奥は、既に熱く潤っていた。 この狭い空間に、のび太と二人きりでいるのだ。 コーヒーを淹れる水音だけが、静かな部屋の中で響く。 背中越しにのび太の存在感を意識し、茉莉子は無意識に緊張する。 それは同時に期待だった。のび太を激しく求める女の本能の昂ぶりだった。 茉莉子はコーヒーカップをテーブルに置き、そのまま今度はのび太の隣に座った。 のび太の腕にしなだれかかるように身体を添え、頬をのび太の肩に預ける。 のび太の息遣いが聞こえる。まるで落ち着き払ったその息遣いに、茉莉子は軽く嫉妬する。 私ほどの美女が寄り添っているのに、何で興奮してくれないのかしら、と。 耐えられなくなった茉莉子は、のび太の頬に軽くキスをした。 その後数度、のび太の頬のキスを繰り返し、のび太の耳朶を唇で噛む。 「ねえ、ここで抱いてくれる? ドアの鍵は掛かっているから…」 茉莉子は囁く。その声はどこか上ずっている。
372 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/27(土) 20:56:05
のび太は無反応なままだった。 茉莉子はゆっくりとのび太の股間に手を這わせ、そのジッパーを引き下ろす。 まだ眠ったままの女殺しの凶器に手を触れた。 怒張していないにも関わらず、茉莉子の手に余るほどの大きさ。 あの日の午後以来、幾度も茉莉子を苛め、茉莉子を快楽の園に導いた逞しい男の鉄槌。 ブリーフの中からそれを引き出し、ゆっくりと指でしごく。 のび太は茉莉子の好きにさせた。まるでセックスしたければ奉仕してみろ、といわんばかりに。 そのクールな態度は、茉莉子をさらに昂ぶらせる。 ブラウスのボタンを自ら外し、ブラのホックを解く。 ブラインド越しに差し込む午後の光の中に、その豊かな乳房が露わになった。 丸くたわんだその乳房と、その先端にある敏感な桃色の乳首が、のび太の胸にこすり付けられた。 のび太は尚も動かない。徐々に茉莉子の息遣いが荒くなる。 茉莉子はのび太の股間に顔を寄せ、のび太の肉茎にキスをした。そのまま唇で亀頭を包み込む。 ゆっくりとのび太の肉茎が熱を帯びてくる。茉莉子はそれを口に含み、舌で刺激を与えてゆく。 のび太の手が、茉莉子の髪を掻き分けた。己の巨根をくわえ込む美しい女の顔を見るために。 茉莉子はその視線を意識し、のび太の方を見上げながらフェラティオを続ける。 唾液をたっぷりと分泌させ、のび太のその凶器を鍛え上げてゆく。
373 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/27(土) 20:56:55
もはや口の中に納まらないほどに巨大となったのび太のペニス。 それを茉莉子は魅入られたようにうっとりと眺めた。 欲しい、この肉の凶器で私のあそこを刺し貫いて欲しい! 堪えきれなくなった茉莉子はスカートをたくしあげ、自らショーツを脱ぎ去るとのび太の上に跨った。 もはや前戯など無用であった。液が滴るほどに濡れた茉莉子のヴァギナは、そのままのび太のペニスをくわえ込んだ。 まるで茉莉子を引き裂くかのように、のび太が侵入してきた。 茉莉子は夢中でのび太の上で弾み、己の膣の奥へとのび太をさらに誘う。 一方のび太はテーブルの上においてあったヴァージニアスリムの箱を取ると、そこから一本取り出して火をつけた。 それを口にくわえながらのび太は茉莉子の淫らな姿を見下ろす。 はだけた上着から覗く乳房は、茉莉子が腰を弾ませるたびに上下する。 その敏感な乳首を、のび太は指先で弄った。既に隆起している乳首の反応を楽しむ。 茉莉子はさらに昂ぶり、ほんの僅かの間に数度、絶頂感を味わった。 そのたびに苦しそうに呻き、大量の愛液を迸らせ、しかし尚も貪欲にのび太を求めた。 のび太は煙草の煙を吐きながら、茉莉子先生を冷徹に見つめる。 素晴らしい女だ。俺に大人の女の快楽とは何かを知らしめてくれた、愛すべき女だ。 それが、何か目論見があってやっていることは既に分かっている。 そのあたり、茉莉子先生は食えない女だ。だからそれだからこそ、今この時、この瞬間の悦びを貪り合おうではないか。 のび太は煙草を灰皿に放り投げると、己のペニスに跨る茉莉子先生を抱え上げた。 その瞬間、茉莉子先生は再び達し、のび太の大隊を伝い落ちるほどの熱い液を吐き出した。
374 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/27(土) 21:10:23
息も絶え絶えに、のび太に縋りつく茉莉子。 その可愛らしいあえぎを耳元で聞き、のび太の中のオスは解き放たれる。 茉莉子の身体を床の上に乱暴に押し倒す。 そのまま己のペニスを、茉莉子の熱い膣の中に叩きつける。 殆んど悲鳴に近い声をあげ痙攣を繰り返す茉莉子を、のび太は押さえつけるように抱いた。 肉と肌と粘膜がぶつかり合うような、激しいセックス。 互いが互いの快楽を求め合い、凄まじい勢いで絶頂へと上り詰めてゆく果てしない高揚感。 ついにのび太のペニスも限界に達した。 茉莉子先生の粘膜の齎す女の柔らかさに、のび太は疼きを抑えられなくなっていた。 数秒後、のび太は射精した。 茉莉子の華奢なその肉体を床に押し付けるように抱きながら。 子宮の奥まで突き入れた巨大なペニスからは、大量の精液が吐き出される。 それは茉莉子の膣からあふれ出し、愛液と入り混じりってリノリウムの床に滴った。 のび太と茉莉子は互いに抱き合ったまま、痙攣を繰り返す。 遂にのび太が全てを吐き出したとき、茉莉子先生はのび太の腕の中で失神していた。 その表情はしかし女神のように美しかった。 のび太もまた、茉莉子先生の乳房の中に顔を埋め、快楽の余韻に酔いしれた。 茉莉子の中で徐々に力を失ってゆく己のペニスの、心地よい痺れを感じ取りながら。
375 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/27(土) 22:29:58
茉莉子はやがて、意味の無い吐き気に悩まされるようになった。 生理も止まった。
376 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/28(日) 03:09:16
茉莉子のそれは、ただの食あたりと生理不順であった。 一方、のび太に下された処分は、停学一ヶ月だった。 なお、あと二週間で夏休みとなり、その間も停学期間は加算されるために、実質二週間の停学でしかない。 一時は危篤状態に陥ったスネ夫の容態を考えれば、この処分は軽すぎると言えた。 スネ夫の実家の骨川家はこの程度の処分を不服とし、野比家と学園サイドを訴えると息巻いていた。 だが、それも立ち消えになってしまった。 長期休養となったスネ夫のロッカーを学園側が整理したところ、 中から煙草やブランデー(これはスネ夫が実家から持ち出したもの)が見つかり、 さらにはしずかちゃんの盗まれたブルマその他数点まで見つかってしまったのだ。 これをもみ消す代わりに学園側ものび太とスネ夫の間で起きた不祥事に”目をつぶる”ことになり、 かくしてのび太の停学期間はこれほどの短いものと決定されたのだ。 だが、のび太にとっては、そんなことなどどうでもよかった。 停学なんてしょせんは長期休暇のようなもので、夏休みが他の連中より二週間ばかり伸びたと思えばいい。 その”特別休暇”を、彼は”有意義”に費やすことにした…。
377 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/28(日) 03:10:26
「…ああっ! す、凄いっ! もう駄目ェ!」 のび太の腕の中で、峰不二子は激しく悶えた。 逞しいのび太の突き上げに、不二子のグラマラスな肉体は翻弄された。 不二子に分け入ったのび太の、並外れて巨大なペニスは、不二子の膣の粘膜の中で横暴に振舞う。 普段、取り澄ましたような不二子が、のび太の獰猛な愛撫にすすり泣きを始める。 のび太は不二子に圧し掛かり、無言で腰を突き出す。 その突き出すリズムに合わせ、マットレスの上のグラマラスな女怪盗は悶え、喘ぐ。 栗色の長い髪の分け目から、不二子の表情がうかがえる。普段は冷静で、ツンと気取ったこの女。 だが、今はのび太の凄まじいセックスの下で理性の箍は吹き飛び、痴態を露わにしている。 「も、もう駄目っ! ああ、もう許し…あうっ!」 のび太は容赦しなかった。不二子のヴァギナを力強くえぐった瞬間、不二子は絶頂に達し、 シーツをぐっしょりと濡らすほどの愛液を垂れ流した。 その生暖かい感触が、のび太の内腿を伝う。 不二子はのび太の視界の中で、顔を顰め、何度か嗚咽のような声を上げる。 同時にのび太の巨大なペニスを締め上げる括約筋が引き締まり、のび太を絶頂へと誘う。 だが、のび太は許さない。彼の年齢や経験数から考えれば信じられないような自己抑制で、 己のペニスにチリチリと走る快楽の痺れを押さえつける。 のび太は不二子の乳房を吸った。大きく丸みを帯びたその乳房を両手で寄せ、その乳首を舌先で激しく転がす。 同時にスラストを再開し、べっちょりと濡れそぼった不二子の股間に己の腰を叩き付けた。 ヴチュ! ヌチュ! という粘液質の音が、不二子の膣から漏れる。
378 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/28(日) 03:12:55
「あぐうっ! あひいっ!」 絶頂からほんの束の間、再び押し寄せた凄まじい快楽の波に、不二子はもはや抗することが出来なかった。 自分の体を押さえつけるのび太の力強さ、自分の子宮を焦がさんばかりののび太のペニスの熱さ。 メスの悦びの全てが不二子に殺到し、彼女の理性は完全に吹き飛んでしまっていた。 もはや吠えるようにあえぐ。ベッドルームにはマットレスのスプリングが軋む音と、不二子の悲鳴だけが響き渡る。 その中で、のび太だけは不二子を冷たく見下ろし、ひたすらペニスをヴァギナに突き入れ続けた。 まるでマシーンの如く。そう、のび太はもはや立派なセックスマシーンであった。 再び不二子が絶頂に達し、快感のあまり意識が一瞬飛んだ。だが、のび太は意に介さずペニスを暴れさせ続けた。 取り留めなくあふれ出す不二子の愛液の熱さを感じながら、額に流れる汗を拭おうともせず。 こんな高飛車な女はとことん狂わせてしまえばいい。 とことんまで痴態を晒させて、本能のレベルまでセックスで洗脳して、メス奴隷にしてやれ。 そう、これは調教であり、拷問であった。 この女は己の魅力で馬鹿なフランス人怪盗を手玉にとっているみたいだが、こののび太にはそれは通用しない。 その事を、このベッドの上で体で分からせてやるのだ。 ついにのび太が絶頂に達したとき、不二子は完全に失神していた。 のび太は己の欲望の雫を不二子のヴァギナにたっぷりと注ぎ込む。 二十秒ちかくもの間、勢いよく吐き出されたのび太の精液はことのほか大量で、不二子のヴァギナを満たし、溢れた。
379 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/28(日) 03:14:19
…のび太はベッドの脇に座ると、ハイライトを取り出し、火をつけた。 ベッドの上で不二子は白目を剥き出し、ヴァギナからはのび太の精液を溢れさせている。 失神し、口元からヨダレを垂れ流す不二子は、レストランでの取り澄ました姿からは想像もつかない変貌ぶりだ。 のび太は不二子をジッと眺めた。 仰向けになっても形を崩さない不二子の乳房に、のび太は少し驚嘆する。 あれは中々見事だ。ルパン三世なるアホが夢中になる理由も分かるというものだ。 今はだらしなく開かれた両足の間には、きちんと切りそろえられた陰毛が見える。 毛先に汗と愛液を光らせ、赤紫色のヴァギナをデコレートしているそれはとても卑猥だった。 そのクレヴァスの間から、今もなおのび太の放った白い粘液が溢れ出ている。 その粘液は、不二子の愛液と入り混じり、臀部を伝ってベッドシーツに新たなシミを作っている。 のび太はベッドルームに密かに据えつけたビデオカメラの一つを抱えた。 煙草を吸いながら、まず不二子の顔をアップで映し出す。 失神して白目を剥き、浅く息している不二子の顔は不様だ。 真珠のように白い歯も、緩んだ唇から剥き出しになり、そこから溢れた唾液が頬まで流れ出ている。 それからのび太は、不二子の乳房を舐めるように撮り、さらに不二子のヴァギナをアップで捕えた。 のび太のペニスで荒々しく開発された膣口は、そののび太のペニスの巨大さゆえか、今は少し広がっている。 そこからは流れ出る精液は、ヴァギナ全体を白く染め、肛門の方にまで溢れていた。 のび太はさらに不二子の両脚を押し広げ、その模様をじっくりと撮影した…。
380 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/28(日) 03:15:27
…のび太が撮影機材を仕舞い、服を着はじめたころ、ようやく峰不二子は目覚めた。 全裸でだらしなく横たわっている姿を恥じらい、慌ててシーツを体の上に被せる。 いつもの自信満々の姿はもはやどこにも無かった。 これほどまでに不二子を狂わせた男は、のび太が初めてであった。 今までならば、不二子の方が様々なテクで男たちを狂わせ、その財産や財宝を奪い去ってきたのだ。 だが、もう今は駄目だ。本能が、女の性が、のび太に逆らうことを拒絶している。 この男に蹂躙され、支配されたいという、今までの不二子からは考えられないような欲望が芽生えていた。 「目が覚めたかい?」 のび太は不二子の方を剥き、眼鏡の奥から微笑んだ。 そののび太の視線…茉莉子先生曰く、女殺しの瞳、に射すくめられた不二子は、思わず頬を赤らめる。 それと同時に、ぎこちなく、恥ずかしげに微笑み返す。 のび太はもう一度微笑むと、そのまま帰り支度を始めた。やることはやった。もうこれ以上長居する必要は無い。 そのあたり、のび太は極めてクールだった。かつてのひ弱なのび太の面影など、もはやどこにも無かった。 「ねえ、泊まっていかないの?」 不二子は言った。とりすましているようで、声には本音が滲んでいた。 それは哀願だった。せめてこのままのび太と一緒に夜を過ごしたい、そういう本音が声色に出ていた。 のび太は無言であった。シャツのボタンを留め、茉莉子からプレゼントされたアルマーニを羽織る。 姿見の前でネクタイを直し、髪を撫で付けた。
381 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/28(日) 03:37:50
背後から、不二子の視線を感じる。のび太を求める女の目線だ。 だがもう今日はこの女に用は無かった。既に彼女のペルソナは剥がれ落ちたのだ。 後は時折メンテナンスをこなし、利用できるときにとことん利用する。邪魔なら殺す。 「ごめん、ボク宿題があるんだ。だから今日は早く帰らなきゃ」 のび太は申し訳なさそうに、そう言った。ここで笑顔。これは忘れてはならない。 この笑顔一つで女は安心し、さらにのび太への愛を深める。 のび太は微笑みながらベッドに腰掛け、不二子の栗色の髪を撫でた。 不二子はまるで少女のように従順に、のび太に身を寄せる。 「近いうちにすぐ会えるさ。そのときは一緒に朝日を眺めよう」 のび太はそう言うと、不二子の唇に己の唇を重ねた。そのまま舌を差し入れ、さらに軽く乳房に手を触れる。 一分ちかいキスの後、さらに求めようとする不二子を優しく押し戻す。 不二子は少し拗ねた。その拗ねた横顔にもう一度キスをして、のび太は素早く立ち上がる。 「多分来週の火曜日には会えるよ。それまでに例の件をお願いね、不二子さん」 のび太はさりげなく念を押し、名残惜しそうな目で見送る不二子を残し、部屋から出た…。
382 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/28(日) 03:38:37
…ホテルのロビーを抜け、ロータリーで車を待った。 夏の日差しが眩しい。空気には潤いと熱気が満ち溢れ、のび太の額にたちまち汗が浮かぶ。 気を利かせたポーターがハイヤーを呼ぼうとするのを丁寧に断り、そのままのび太は玄関の庇の下に立つ。 数分して、アストンマーティンがロータリーに入ってきた。 12気筒エンジンの心地よい響きが、ビル間に響き渡る。 のび太の前に停車するアストンマーティン。 素早く扉を開け、のび太は助手席に座り込むと、再びエンジン音を響かせてスタートした。 「ねえ、どうだった? のび太くん」 運転席には茉莉子先生がいた。サングラスを掛け、真っ赤なルージュを引く姿は相変わらずセクシーだ。 のび太は茉莉子先生の太ももに手を置き、軽くさすった。くすぐったそうに笑う茉莉子先生。 のび太はそれでも太ももを優しく撫でる。スカートの裾に手を入れ、内腿の素肌を優しく。 「そんなことしたら、事故起こしちゃうわよ」 茉莉子先生はモモを閉じようとする。おそらく感じてしまったのだ。 「先生と一緒に事故に遭って死ねるなら、ボクは本望ですよ」 のび太はクールに言った。茉莉子先生がハッとしたのが分かった。 臭いセリフはタイミングよく言えばストライクなのだ。 「大丈夫ですよ茉莉子先生。首尾は上々です」 のび太はそう答え、レカロのシートの中に深々と身を横たえた…。
383 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/28(日) 06:22:17
「…ねえ、のび太くん。どうしたの? 何か最近、変だよ?」 のび太は机に向かって夏休みの宿題をやっている。 科目はラテン語U。のび太が比較的苦手としていた科目である。 民法総則や刑事訴訟法、回路理論や量子力学、非線形微分方程式論は既に全て終えている。 ラテン語を終えた後には担保物件法、破産法などの法学系のレポートや、物性物理学の問題集を終えるつもりだ。 のび太はドラえもんの問いかけを無視した。鉛筆がノートの上を走り、ラテン語の文法問題を次々と解いてゆく。 間もなく夏休みの課題分の問題は全て終える。かなりのハイペースである。 だが、現在ののび太の脳は知識と理解を激しく渇望していた。 渇いた砂に水が染み入るが如く、のび太の知識体系は脳内に着実に築きあがってゆく。 ラテン語の問題集を終え、見直しを終えた後、それらを既決のトレーに放り込む。 これからはキケロの著作をまとめたテキストを読み込めば、おそらく二学期のテストはトップであろう。
384 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/28(日) 06:23:31
ついでのび太は本棚から法律のテキストを取り出した。 瑕疵担保責任の制度趣旨…何故、無過失の債務者に責任を課すのかという、その法的根拠を学ぶ。 具体的な判例を判例集から拾い上げ、それらを吟味し、理解のためにノートの端にメモを採る。 しばらくそれらを読み込んだ後、民法の論文問題の過去問集を紐解く。 それには民法の各制度ごとの問題の索引があり、のび太はそれから三つほどの過去問を解いてみた。 関係者の法的関係を図示し、それらを検討し、論文構成を決定する。 その後、既に記憶した論述パターンを組み替え、今度は実際にそれを記述してみる。 模範解答例のページを開き、そこで自分の論述と比較検討。出来は中々だな、とのび太は思った。 一学期の間、比較的苦手にしていた民法もこれでかなりの高得点を期待できそうだ。 理数系を比較的得意としていたのび太だが、語学科目と法学科目を苦手にしていた。 これらをこのひと夏の間に全てマスターし、新学期からはトップレベルの成績をとる。無論実力で。 茉莉子先生は教師という立場から、のび太の成績スコアの改ざんを提案したが、それはのび太のプライドが許さなかった。 実力で全て取る。己自身を鍛え上げ、どのような困難にも立ち向かう力を自ら培う。のび太の決意は堅固だった。 さらに刑法…共同正犯の正犯処罰の根拠とは、意思の連結が正犯の結果惹起の危険性を高めるから。 刑法総則60条の法制度趣旨をきちんと学び取り、事例問題集を解く。なるほど上々だ。
385 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/28(日) 06:25:51
人権の比較考量的解釈による判例…。 表現の自由とプライバシー権の比較考量判例の判例には三島由紀夫の「宴のあと」が使われていた。 プライバシー権の条文規定は現在のところは存在しない。だがそれは憲法の人権規定の趣旨から導かれるもの。 憲法21条の表現の自由と、人権趣旨から当然の如く導かれるプライバシー権は両者相譲らず重要な人権。 ゆえに事例を具体的に考量し、個別具体的に判断するのが妥当である…。 「ねえ、のび太くんってば! 聞いてるの?」 ドラえもんの声は少し怒っていた。今まで何度ものび太に声をかけていたようだ。 のび太はその声を聞き、苛立ちを覚える。今、俺は目の前の勉強に集中しているっていうのに。 だが、のび太は自らの心を落ち着かせた。不必要に感情的になるな、それがのび太が己に課した掟の一つ。 のび太は椅子を回転させ、ドラえもんの方に向き直ると、柔和な笑顔を作ってみせた。 「なんだいドラえもん。今、ボクは夏休みの宿題に打ち込んでいたところなんだよ?」 どうせ下らない要件だろう、とのび太は思っていたが、それは一切表情に出さない。 ドラえもんは、今はのび太の最高の友達、その関係を崩さないためにはある程度の我慢は必要だ。 ドラえもんは心配そうな顔でのび太を見つめている。 一体何が心配なのだろうか? ドラえもんなんぞに心配されるようなことなど何もないってのに。 「ねえのび太くん。さっきから何度も声をかけてるのに、まるで耳に入ってないみたいだけど?」 お前なんかネズミにかじられて耳そのものが無いじゃん、とのび太は言いかけたがやめた。 人の心の傷をむやみやたらに触れるのは、良い結果を伴わないのだ。 とはいえ、このドラえもんは人ではなく未来の世界からきた青タヌキ型ロボットだが。
386 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/28(日) 06:27:16
「いや、だってほら、ボク、夏休みの宿題に没頭してたから…ゴメンね心配かけて」 のび太はしおらしく謝った。というより、人が熱心に勉強しているのの、どこがおかしいのだろうか? ドラえもんは黙った。心配そうに見つめる瞳…未来の世界の技術は凄いな、とのび太は感心する。 こうした微妙な心理を、目や表情筋の動きでたくみに表現してみせてしまうのだから。 「で、なんだいドラえもん。何か用?」 黙したまま一向に口を開かないドラえもんに、今度はのび太の方から質問した。 ドラえもんは溜め息を付く。さすがにこのロボットも、最近ののび太の変貌くらい気づいているはずだ。 幾ら適当にはぐらかしても、これだけ毎日一緒に居て気づかないという方が変である。 「…あのね、のび太くん。今日の午後、空き地で少年探偵団の会合があるんだけど…」 ドラえもんは語尾を濁した。そのまま目線を逸らし、困惑げな表情を浮かべる。 おそらくはスネ夫の件であろう、とのび太は推測した。 スネ夫を病院送りにして以降、同級生たちはのび太から距離を置くと決めたようで、連絡一つ寄こさなくなった。 まあそうだろう、あれだけ派手に蹴り入れたからな。 「今日の午後かい? …そうだね、別に用も無いから行けるけど、何か問題でもあるのかい、ドラえもん?」 用はある。だがそれは夜やればいいだけの話だ。 それよりも歯に物が詰まったかのようなドラえもんの態度に、のび太は少し苛立つ。
387 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/28(日) 06:28:02
ドラえもんはなおも目を逸らしたまま、どこかまごついている。 下らないことにこだわってるんだな、とのび太は呆れた。 スネ夫みたいなクズがどうなろうと、正直どうだっていいことじゃねーか。 だが、のび太はそんな考えは一切、表に出さない。柔和な表情を作り、ドラえもんの言葉を促す。 ドラえもんは意を決したように、のび太に向き直った。 決然とした目といえば大げさだが、一応大事なことらしい。 「ねえ、のび太くん。今日はスネ夫くんも来るんだ。だから…」 「だからスネ夫に謝って欲しい、そう言いたいんだろ? ドラえもんは」 下らない、実に下らないことにこだわってるんだな。 だがドラえもんの表情はパッと晴れた。のび太の、たった一言で。 気のせいか、目が潤んでいるようにも見えた。 「分かってるよドラえもん。みんなの前で、ちゃんとスネ夫に謝るから心配しないで」 のび太はそういうと、それで用は済んだだろ、と肩をすくめて見せて、机に向き直った。 ドラえもんは携帯電話を取り出し、おそらく団長の山下くんに電話を入れているのだろう。 今日、のび太くんも行くってさ。ちゃんとスネ夫くんに謝るって言ってたから…。 先ほどまでやっていた憲法の事例問題に取り掛かるのび太。 取り掛かってほんの数秒で、先ほどまでのドラえもんとの会話など完全に頭から消え去っていた…。
388 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/28(日) 07:39:06
空き地に集まった少年探偵団のメンバーたちの目が、一斉にのび太に注がれた。 そこには微かな怯えの色が見える。のび太という級友との関係を図りがたい不安感が見て取れる。 真夏の陽射しが差し込む空き地は、目を開けていられないほどに眩しい。 そこに夏休み中の少年少女たちが群がっている。 今日は少年探偵団の定例会議の日だ。 毎週木曜日、少年探偵団は全員の招集をかける決まりになっていた。 少年探偵団規約第二章7条にそう書かれているのだ。 また、必要に応じて幹部資格のあるメンバーの呼びかけにより緊急会議が開催することがある(第二章8条)。 ダンテ伯爵との戦いが始まって以来、この緊急会議の開催の頻度が増していた。 それだけこの悪の伯爵の活動が盛んになってきた証拠である。 だが、今日は通常通りの定例会議であった。 最も、のび太はあのスネ夫への暴行事件以来、呼ばれていなかった。 実は一時、のび太の少年探偵団からの追放も検討されていたのだ。
389 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/28(日) 07:40:09
暴行事件は団内部の風紀の乱れの問題として重要視され、幹部会(第二章12条)でその後何度も討論され続けた。 当初、のび太の行った凄惨な暴行行為に対する風当たりも強かったが、それ以上に問題となったのがスネ夫だった。 ジャイアンの陰に隠れて卑怯なマネばかりするスネ夫に対する、ヒラ団員たちの不平不満が表面化したのだ。 のび太の行為は、幹部や中堅団員たちが行うヒラ団員への嫌がらせに対する抵抗だと、支持する声もあった。 幹部会はそれらの声を受け、のび太に対する処分を無期限謹慎とした。 一時的に少年探偵団の団員資格を停止させ、その後の事態の推移で復帰の可否を検討する、という結論に至った。 同時に団上層部からヒラの団員に至るまで再び風紀粛正が図られ、団内の引き締めを厳しくした。 余談だが、のび太はドラえもん原作では主人公であるにも関わらず、ここでは幹部資格の無いヒラの団員に過ぎない。 その他の主要キャラであるジャイアン(初代団長で現突撃隊長)やスネ夫、 しずかちゃん(現副団長)、出来杉(現副団長)は当然幹部である。 さらに少年探偵団に協力してダンテ伯爵と戦う正義の味方、ドラえもんは幹部であり、団の顧問でもある。 今までのび太はずっと蚊帳の外に置かれていた。それはかつてののび太にとっては辛いことであった。 周囲からは、ドラえもんを団の協力者にする際に引っ付いてきた不良債権、くらいにしか思われていなかったのだ。 だが、今ののび太は違う。少年探偵団の内部処分など正直どうでもよかった。 クビにしたくばすればいい、俺はもうそんなママゴトなんぞやってる暇はねえんだよ、それがのび太の本音だった。
390 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/28(日) 07:41:10
だが唯一、のび太の心に引っ掛かることがあった。それはしずかちゃんの存在だ。 恋…そうかも知れない。だが、既に複数の美女を手玉に取るのび太にとって、 ションベン臭い小娘などもはや眼中にないはずである。 そうではない、別の何かの理由が、このしずかちゃんにあった。 副団長二人制を敷くこの少年探偵団の中で、しずかちゃんは出来杉と並んで副団長である。 もう、ヒラ団員でしかないのび太からは遠い存在である。 学園内でも、この少年探偵団の序列が物を言い、序列の低い者は学園内でも立場が弱いのだ。 だが、のび太はそうした序列の外の人間になってしまった。 のび太自身もそう思っていたし、本日集まった少年探偵団の団員全員の目も、それを無意識に悟っていた。 既に超越してしまったのび太…メンバーたちが困惑するのも無理はない。彼は一匹狼なのだ。 ここに来なくてもよかったのだ。もうこいつらと群れている必要など無いのだ。 にも関わらず、のび太は今日、ここへ来た。おそらくしずかちゃん絡みで。しかもそれがはっきり分からないままに。 ドラえもんとともに空き地に入り、他のメンバー全員からの違和感に満ちた目線を浴びながら。 それでものび太の心は平然としていた。のび太にとって、連中などただの虫けらでしかなかった。 一切、動揺の色を見せないのび太の態度にも、メンバーたちは困惑した。 あれほどの事件…人を一人殺しかけた、を引き起こしたにも関わらず、 のび太のこの落ち着き払った態度は一体なんなのだろうか…そういう疑問が顔に浮かんでいる。 のび太は笑いたくなった。馬鹿じゃねーのこいつら、何こだわってんだよ! もっともそれが表情にでることは無かった。それくらいの自己抑制など、今ののび太には朝飯前だ。
391 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/28(日) 07:42:16
…車椅子に座っているスネ夫の目は、明らかに怯えていた。 未だ包帯の取れない頭は、確かに痛々しい。 のび太はスネ夫を見た。そのまま視線を注ぎ続ける。 その視線に気づいたのか、スネ夫はさらに怯え、車椅子の中で小さくなっていく。 つまらない奴だな、そうのび太は思った。 こんな下らない奴にかまげてる暇なんぞ無いはずだろお前ら。 ダンテ伯爵とやらとの戦いがあるってーのにさ、馬鹿じゃね? ドラえもんに促され、団長の山下くんと、副団長の出来杉、しずかちゃんに挨拶をする。 今まですまなかった、団に迷惑をかけたことは心から謝罪する。そう心にも無いことを平然と並べ立ててみせた。 剛毅な性格の山下くんは、のび太に、明らかに上からの目線で何かを言っている。 何を言ってるのか興味がなかったので、のび太は完全に聞き流した。どうせ下らない訓示かなにかだろ。 それよりも出来杉が自分を見つめる目が気になった。 初めはのび太の行為を詰ってるのかと思いきや、どうやらそうではないらしい。 真っ直ぐにのび太の横顔を見つめる出来杉の目線が、徐々に煩わしさを増してゆく。 「…分かったかな、のび太くん!」 目の前で団長の山下が言った。のび太は適当に、だがはっきりと「はい」と答えた。
392 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/28(日) 07:43:04
一瞬、しずかちゃんと視線がかち合った。しずかちゃんの目にも、やはり怯えの色が浮かんでいる。 その視線に、さすがののび太の心も疼いた。 少年探偵団設立以来、幹部になってしまったしずかちゃんと、 ヒラ団員でしかないのび太は接触の機会が殆んど無くなっていた。 かつては毎日のように遊んでいたのに…人は出会い、そしていつかは分かれてゆく。 こうして今日、しずかちゃんを間近に見るのは久しぶりであった。 少年探偵団のヒロインらしく、その佇まいも楚々として美しい。 この夏の暑さを忘れさせるほどの涼やかなその美少女ぶりはさすがだ。 のび太は無言のまま目線を逸らせた。今は語る時期ではない。 のび太はスネ夫の前に立ち、恐怖を隠せないスネ夫に向かって謝罪の弁を述べ、頭を下げた。 死ねばよかったのに、と心の中で呟きながら。 とにかくこれで禊は済んだ。 ふとドラえもんの方を見た。ドラえもんはのび太の方を見て微笑みながら頷いていた。 押し付けがましい友情を語るドラえもんらしい、良い子ぶった態度だな、と少し呆れる。 その横の、出来杉の目線がやはり気になった。 よそう、今は分からないことは考えないようにするんだ。 のび太は始まった定例会に参加する振りをして適当に聞き流し、 今夜、茉莉子先生のマンションでの熱い夜を思いながら、軽くペニスを勃起させた…。 陽射しが眩しかった。誰かをブッ殺してやりたくなるくらいに…。
393 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/28(日) 18:46:57
「のび太くん…何で少年探偵団なんかに戻ったの?」 茉莉子先生は気だるそうに聞いてくる。耳元で囁くように。 のび太は天井を見上げながら、その質問にどう答えようか考えていた。 確かに、あんなママゴトのごっご遊びに戻る理由はない。 既にのび太はあの烏合の衆から離脱し、独立独歩の道を歩み始めているのだ。 「…まさか、あの源しずかって娘?」 ズバリ、茉莉子先生は言った。 おそらくはそうだろう。のび太もそれは否定しない。 初恋なのか、愛なのか、それとももっと別の理由なのか…分かりかねている。 「嫉妬してるんですか、茉莉子先生」 のび太はからかうように言った。すると茉莉子は少し身を起こし、拗ねたような顔でのび太を睨んだ。 のび太はその目を真っ直ぐに見返した。ジッと目を逸らさずに。 茉莉子先生の瞳の奥に、確かに嫉妬の炎が見える。実に分かりやすい。 かつては憧れの美人教師であった茉莉子先生は、今はもはやのび太の女だ。 彼女の体を翻弄し、彼女の心を玩ぶ。 全てを支配しているのはのび太で、茉莉子はのび太の支配を望んでいる。 そんな女が、のび太に自分の感情を隠すことなど、もはや出来なかった。
394 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/28(日) 18:47:48
「意地悪ね、のび太くんっ!」 そう言うと、茉莉子先生は強引に唇を重ねてきた。 前歯と前歯が軽くぶつかる。茉莉子先生は意に介さず、舌を強引にのび太の口に滑り込ませる。 茉莉子先生の手がのび太のペニスを探り当てた。 先ほどの放精により力を失った巨大なペニスに、茉莉子先生のしなやかな指先が這う。 のび太は茉莉子先生の好きにさせた。 のび太の乳首にキスしながら、その手はのび太の巨根をしごいている。 その心地よい感触を味わいながら、のび太の思考は別の場所に飛んでいた…。 …とりあえずは資金だ。既にあの峰不二子からは、十数億円ほどの上納を受けている。 ルパン三世らのチームから、あの馬鹿なルパンを騙しに騙し、多額の資金を巻き上げている。 その資金の大部分は、今のび太のペニスに刺し貫かれている茉莉子先生も知らない。 ”必要経費”として不二子や茉莉子に廻す分を除いて、全てはのび太の野望のためにストックしてある。 不二子…あの女はもはやのび太の奴隷だ。 週に一〜二度ほど貫いてやるだけで、どんな命令にも従ってくれる。 既にのび太は、ルパン一党が自分の存在に気づいていると読んでいた。 少なくとも、峰不二子に男の影がある、ということに。それに対応しなければなるまい。
395 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/28(日) 18:48:59
「…ああっ! あうんっ!!」 のび太に跨っている茉莉子先生は、長い髪を振り乱しながら喘いでいた。 勝気で衝動的な女である不二子とは違い、この茉莉子はきちんと自己抑制ができている女だ。 あれだけのび太と情事を重ねているのに、この間の学園の夏季講習授業ではそのそぶりを一切見せなかった。 のび太もいる教室の教壇に立ちながら、以前から変わらぬクールさで授業を淡々と進めていた。 大した女だ、とのび太は思った。 あの夏季講習の期間中、のび太の命令で茉莉子先生は、 普段より裾の短いスカートを身に着けさせられ、その下はノーパンであった。 ブラウスも胸元が広く開いたものをあえて身につけさせ、その下には透けるように、黒いブラを装着させる。 さすがにあの時の茉莉子は、こういう格好に抵抗を見せたが、のび太の熱いキス一発でそれを受け入れた。 授業中、思春期どっぷりの男子生徒連中の目線は、茉莉子に釘付け状態。 おそらく多くの連中は、その日の夜、この茉莉子の艶姿を想像しながらマスターべションに励んだに違いない。 もちろんのび太も罰として、その日の夜、茉莉子先生の燃え上がったエロスを鎮めるために励まざるを得なかったが…。
396 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/28(日) 18:51:08
「…ああっ! も、もう駄目っ! あぐっ!」 茉莉子は何度目かの絶頂に達し、体を痙攣させながらのび太の胸元に倒れこんできた。 汗ばんだ茉莉子の乳房が、のび太の胸板との間で押し潰され、形を崩す。 のび太の顔に、女の匂いに満ちた長い黒髪がふぁさっと覆いかぶさる。 茉莉子先生の荒い吐息が、のび太の胸板に吐きつけられる。 その生暖かさが、のび太の官能を呼び覚ました。 のび太は茉莉子先生の体を抱き上げた。そのまま今度はのび太が上になり、茉莉子先生を組み伏せる。 「ああっ! のび太くん駄目! こ、これ以上されたら、私、壊れちゃう!」 茉莉子先生はすすり泣いている。愛する男に翻弄されつくした女の、可憐なその表情。素晴らしい。 「でも先生、しずかちゃんに嫉妬してんだろ? 答えろよ」 のび太は己の巨大な根に、さらに力を込める。熱く濡れた茉莉子先生の膣内で、そのペニスをかき回す。 先ほど絶頂に達したばかりにも関わらず、茉莉子先生はものの数秒で再び昇りつめた。 だがのび太は許さない。完全に勃起しきった己の凶器で、茉莉子先生をとことん苛め抜く。 もはやこれは拷問であった。愛の拷問だ。力強いのび太の愛撫を前に、茉莉子先生は壊れてゆく…。 …のび太が絶頂に達し、巨根から大量の精液を吐き出したのは、それから実に一時間近くあとであった。 勢いよく発射された精液が茉莉子先生の膣の中で愛液とぐちゃぐちゃに混ざり合う。 快感で痺れるペニスで、茉莉子先生の膣内に溜まったその粘液をかき回す。 この女を完全に征服したことを確認するかのように。 それを受け入れる茉莉子先生は、のび太の下で力なく横たわり、もはや息絶え絶えであった…。
397 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/28(日) 18:52:34
…のび太の胸の下で、この美人教師茉莉子は、のび太を本気で愛してしまったことにおののいていた。 のび太はいつか自分の下から立ち去るであろう。そうなれば自分はのび太無しの人生に耐えられないであろう。 そのときは、茉莉子は迷うことなく死を選ぶであろう、そう彼女は悟ってしまった。 必ず破滅で終わるこの禁じられた愛の関係。だが、もう彼女は後戻りできなかった。 死で終わるならば、私はのび太の為に死にたい。のび太の野望の礎となって、のび太の夢に殉じたい。 射精し終わったのび太の巨大なペニスが茉莉子の中から引き抜かれるのを感じながら、茉莉子は涙した。 全てを焼き尽くすこの愛にはまり込んだ自分の運命に、喩えようもない女の悦びを感じながら…。
398 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/28(日) 19:38:20
しかしその当時ののび太は、ルックスはイケメンではなかった。
399 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/28(日) 20:07:13
…のび太が超高級マンションの一室で、茉莉子先生と熱い夜を過ごしているころだった。 少年探偵団の団員全員に緊急招集が掛かった。 携帯電話にメールが行き渡り、メンバーは最優先で少年探偵団の秘密基地に駆けつけた。 ただ一人、のび太を除いて。 「何をやっているんだ! アイツは!」 団員復帰後、いきなりのサボタージュに対して、山下団長は憤っていた。 集った団員達は戦闘装備の準備に追われ、この秘密基地内部は騒々しい。 ダンテ伯爵の送りこんだモンスターが、この富士見町の住宅街で暴れているのだ。 その事件の解決のために、学園民兵組織と化したこの少年探偵団は、 警察の治安部隊とは別の作戦行動に打って出ようとしている。 「ドラえもん、君はのび太と同居しているのだろう! 何でのび太の行方を知らないんだ!」 山下団長はドラえもんに向かって詰問した。
400 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/28(日) 20:08:01
ドラえもんは困惑した。 実はドラえもんは、最近ののび太の行動を把握できなくなっていた。 かつては、困ったときにはドラえもんといわんばかりに、のび太は全面的にドラえもんに依存する生活を送っていた。 ただひたすら、成長や成熟を回避するのび太の生活。 だが、スネ夫への暴行事件の頃から、のび太のそういった生活は一変していしまっていた。 今夜ものび太は「これからバイトがあるから」と一言残し、家を出ている。 ここ最近、ずっとこんな調子なのだ。何か秘密を抱えているのは間違いない、ドラえもんもさすがに気づいている。 だが、のび太を捕まえることはできない。のび太のドラえもんに対する警戒心は、異様だった。 普段接する態度では、そんなそぶりは一切見せないのだが。 未来の世界の便利すぎる道具の数々を用いてのび太の追跡を試みたが、 さすがにのび太もドラえもんの道具を使い尽くしてきただけあり、その全てをかいくぐって行方をくらましてみせた。 何かおかしい、ドラえもんはそう思っているも、のび太は一切、しっぽをつかませてくれない。 「…ゴメン、山下団長。バイトだからと言って出て行ったきり、何処に行ったのか分からないんだよ…」 ドラえもんは申し訳なさそうに言った。事実、ドラえもんの監督の不行き届きを責められても仕方が無い。
401 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/28(日) 20:08:57
だが、山下団長はそれ以上、このことを問題にしなかった。 このあたりが、ジャイアンから団長の地位を襲った団長らしい切り替えの早さだ。 「まあ、所詮のび太はヒラの団員でしかないし、今回のこの召集命令の無視の件についても後日改めて審議すればいいさ」 そう言うと山下団長は、副団長の出来杉やしずかちゃん、特攻隊長のジャイアンに指示を与え始める…。 ドラえもんもまた四次元ポケットから、今回の戦いに臨むための様々な道具を出した。 ヒラリマント、空気砲、タケコプター…おなじみの道具を取り出し、それをチェックし始める。 のび太…ボクはのび太のことを助け、正しい道を歩ませるために未来からここに来たのに。 だけど、最近ののび太は、ボクの手の届かないところに去ってしまった…そんな感じだ。 かつてはなんでも打ち明けることができた友人同士だった。 のび太とドラえもんの関係は人間とロボットの関係を遥かに超えた、真の友情と信頼で結ばれていたはず。 そうだったはずなのに…一体何が、のび太くんを変えてしまったのだろう。
402 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/28(日) 20:09:49
「…ドラちゃん?」 しずかちゃんが、ドラえもんに声を掛ける。どうやら団長との最高幹部会議は終わったみたいだ。 ドラえもんは、なるべく平静を装い、しずかちゃんの方を振り向いた。 しずかちゃんは、悲しそうな目でドラえもんを見ていた。 この少年探偵団きっての美少女であり、この団のヒロインでもある彼女の笑顔は、陰鬱に曇っている。 「ドラちゃん…のび太さん、最近一体どうしちゃったの?」 しずかちゃんは心配そうに尋ねる。 だが、その問いにドラえもんは答えることが出来なかった。 何かがおかしい、それは分かっている。だけどのび太の心は既に閉ざされてしまっていた。 「大丈夫だよしずかちゃん、今日はのび太くん色々忙しいから来れなかったけど、次はちゃんと来るよ」 ドラえもんは笑って見せた。自分でも不自然な笑顔だとわかっていた。 ドラえもんに組み込まれた高度なAIは、プリインストールされたプログラムによる感情表現を超え、 人間のそれと同じくドラえもんの心理そのものを表すようになっている。 そのドラえもんの心理は、のび太やその友達たちとの付き合いにより、人間と変わらないレベルまでに達している。 もはやドラえもんに、メカニカルに作られた表情など無かった。 その表情は人間のそれと同じ、心の窓そのものであった。
403 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/28(日) 20:10:43
「…そう。忙しいのにごめんね、ドラちゃん」 しずかちゃんはそう語ると、その場から立ち去った。 寂しそうに歩くしずかちゃんの後姿を、ドラえもんはいたたまれない目で見る。 やはりしずかちゃんは、のび太のことをずっと気にかけていたのだ。 ヒラの団員のまま打ち捨てられたも同然ののび太と、最高幹部の一人になってしまったしずかちゃん。 日常の付き合いも殆んど皆無になっていたにも関わらず、しずかちゃんはまだのび太を気にかけてくれている。 まだ、希望はあるかもしれない。 ドラえもんは思った…。 まだ、友情を信じることが出来る、しずかちゃんならのび太の心を動かせるかもしれない。 それを優しく見守ってあげよう、そしてのび太を信じてあげよう、それが友情じゃないか。 それが儚い希望でしかなく、この先には破滅しかないということなど、この時のドラえもんは知る由もなかった。
404 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/28(日) 20:23:03
一方その頃、ヘイドレクは・・・
405 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/28(日) 21:07:50
「…くそっ! フォイエルバッハ将軍めっ!」 ダンテ伯爵が送り込んだモンスター、フォイエルバッハ将軍の攻撃の前に少年探偵団のメンバーたちが次々と斃される。 フォイエルバッハ将軍の、阿修羅のように無数に並ぶ腕の先から、毒を含む糸が次々と吐き出されてゆく。 その糸に絡めとられた団員たちは、身動きがとれずもがき苦しみ、悲鳴とともにドス黒い血反吐を吐く。 住宅街の通り道は地獄絵図だった。 近隣の住民たちは将軍の糸に囚われて、電信柱や家屋の軒先に吊るされている。 フォイエルバッハ将軍と共にここに来たポンパドール夫人は、その住民たちの肛門にぎょう虫に卵を植え付けて回る。 何と言う、何と言う非道! 山下団長は歯噛みした。これほどの強敵を送り込むようになるとは、ダンテ伯爵の世界征服計画は予想以上だった。 ドラえもんはショッカーが放ったネズミに仰天し、その場で失神して使い物になら無い。 「団長、ここは一度、生き残った団員たちを全部呼び戻すべきです!」 出来杉は山下団長に訴えた。しずかちゃんも同調する。 「このままでは、分散した班ごとに個別撃破されてしまうわ! お願い早く決断して!」 そうこうしている間も、目の前で団員たちがフォイエルバッハ将軍の手にかかり、打ち倒されている。 各団員たちは自主判断でショッカーの群れを打ち倒すも、ボスたる将軍にはまるで歯が立たない。 だが、ジャイアンが孤軍奮闘して頑張っていた。さすがに彼は頼りになる。 バッドの先端に火を付け松明とし、フォイエルバッハ将軍の放つ毒糸を焼き払いながら将軍に向かって突進している。 崩れそうになる少年探偵団の陣営を、殆んど一人で支えていた。
406 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/28(日) 21:09:07
「みんな! ジャイアンを援護するんだ! 早く!」 山下団長は退却ではなく、ここで乾坤一擲の勝負をかけることにした。 ジャイアンのあの勇気…仲間を救おうとたった一人で最前線に立ちはだかるその姿に、心が震えた。 山下団長もまた陣所から飛び出した。 狙撃銃でジャイアンを狙うショッカーを打ち倒すと、返す刀で乱戦の只中に飛び込む。 残りの団員たちも突撃を開始する。 おのおの武器を振り上げ、将軍を守るために集ったショッカーを次々と斃してゆく。 将軍の目の前にまで迫ったジャイアンが駆ける。 「とどめだ! 覚悟しろフォイエルバッハ将軍っ!」 ジャイアンは叫んだ。大きく振りかぶったバッドはフォイエルバッハ将軍の頭を性格に狙っている。 渾身の力を込めたその一撃が、フォイエルバッハ将軍の頭蓋骨を打ち砕こうと振り下ろされ…。 フォイエルバッハ将軍の顔の口元が歪んだ。彼は笑っていた。 「まずいっ!」 その笑顔を見た出来杉くんは思わず叫んだ。だが、その声がジャイアンには届かない。 次の瞬間、フォイエルバッハ将軍の胸から発射された巨大な繭玉が、一瞬にしてジャイアンを包み込んだ。 それは数十メートルもの距離を飛び、どこかの民家の壁に張り付く。 繭玉の中でジャイアンはもがく声がする。初めは怒号…だがその声は徐々に悲鳴に変わってゆく。
407 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/28(日) 21:10:02
「はっはっはっはっ! 掛かったなジャイアン!」 フォイエルバッハ将軍は高笑い。それと同時にショッカーたちも大笑い。 勝利を確信したかのような、そんな笑い声が住宅街に響き渡った。 「き、貴様! ジャイアンに何をした!」 出来杉が怒鳴る。その声に気づいたフォイエルバッハ将軍は、その獰猛な目を出来杉に向けた。 「目障りだったジャイアンを斃せるんだ! ジャイアンが死ねば、お前らなんぞ烏合の衆だぞ!」 そう叫ぶと、今度は心底嬉しそうに笑ってみせた。 歯噛みする山下団長や出来杉くん、泣きそうな顔のしずかちゃんを睥睨し、嘲笑う。 「さ〜あ、どうするよ、少年探偵団の諸君! もう少しでジャイアンは全身に毒が回って、紫色に変色して死ぬぞ!」 どっ、と沸き立つショッカー軍団。それに対して一気に意気消沈する少年探偵団の面々たち。 繭玉の中のジャイアンの声が苦しそうな呻きに変わる。 ジャイアンが中で暴れて揺れていた繭玉も、今はジャイアンの衰弱とともに徐々に収まってゆく。 「こ、このままじゃ、ジャイアンが死んじゃう!」「な、何とかしてくれ、団長! 出来杉!」 「ドラえもんは一体なにをしているんだ!」 ドラえもんはネズミ攻撃にやられ、機能停止状態に陥っていた。 システムダウンからの復旧は、最低でも24時間は掛かる。 「…もう駄目だ。」 団員たちは絶望し、次々と膝をつく。中には涙を流す団員すらいる。 夜の住宅街に、ショッカー軍団の歌う勝利の歌と、フォイエルバッハ将軍のけたたましい笑い声が響き渡る…。 少年探偵団は、負けてしまうのか!
408 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/28(日) 21:10:57
…その瞬間であった。 ジャイアンを取り込んだ繭玉が、爆発音とともに吹き飛んだ。 突然の爆音に、悪の軍団たちが驚く。少年探偵団の面子も状況が読めず、唖然としている。 爆発した巨大な繭玉は、その破片をメラメラと焼きながら崩れてゆく。 その中には既にジャイアンの姿は無かった。空っぽの繭玉が、燃えながら焼き崩れ、消滅してゆく…。 「う、うぬうっ! 何者だ、貴様!」 フォイエルバッハ将軍は屋根の上の人影に向かって怒鳴りつけた。 その声に少年探偵団たちも反応し、その人影を見上げる。 月明かりに照らされたその人物…気絶しているジャイアンを両腕に抱えて仁王立ちをしている人物。 その姿を見て、少年探偵団たちは思わず唸った。 「のび太さん…」 しずかちゃんは、信じられない、そんな声でそう呟いた。 のび太は悪の軍団と少年探偵団の群がる車道を、その眼鏡をかけた目で冷ややかに見下ろしている。 表情は読めない…月明かりが照らしつける地獄絵図の中で、のび太だけただ一人、別世界の人物のようだ。 歯噛みするフォイエルバッハ将軍。驚きのあまり声を失う少年探偵団たち。 その全ての目線がのび太に向けられている。 その注目の中で、のび太は気絶しているジャイアンをそっと屋根の上に寝かせた。 表情を崩さないまま、のび太はもう一度修羅場を見下ろす。 そののび太の動きに敏感に反応したフォイエルバッハ将軍が身構えた瞬間だった。 のび太の姿が掻き消えた。
409 :
名無し物書き@推敲中? :2010/03/28(日) 21:11:53
「う、ぬうっ! おのれ何処だ!」 のび太を見失うフォイエルバッハ将軍がキョロキョロしている間に、電柱や軒先にぶら下がった繭玉が次々と燃え落ちる。 同時に中に閉じ込められていた住民たちや団員が、そこから転げ出てくる。 「な、何っ!」 驚愕するフォイエルバッハ将軍。 だが次の瞬間、その将軍の目の前にのび太が立っていた。 眼鏡の奥の、のび太の冷たい目が将軍に注がれる。 その冷徹とした視線に、将軍は激しい恐怖に襲われた。 「くそっ!」 そう叫んだ将軍は、胸から巨大な繭玉を発射する。繭玉は瞬く間にのび太を包み込み、その姿を飲み込んだ。 「はっはっはっはっ! 口ほどにも無いわ! 驚かせおって、大したことないではない…」 フォイエルバッハ将軍がそのセリフを言い終わる前に、ケリが付いていた。 繭玉は破られ、そこから伸びたのび太の逞しい腕が、フォイエルバッハの胴体を真っ二つに切り裂いていたのだ。 同時に繭玉は燃え上がり、その中からのび太の姿が現れる。 信じられない、と言った表情でのび太を見つめるフォイエルバッハ将軍。 その将軍に目もくれず、のび太はただ一言言った。 「うぜえんだよ、このクズ!」 それがフォイエルバッハ将軍が生涯最後に耳にした言葉だった。 聞き終わると同時に将軍の魔力は解け、小さな一匹の蜘蛛となり、燃え上がった。 フォイエルバッハ将軍は、地上から永久に消滅した…。
410 :
名無し物書き@推敲中? :
2010/03/28(日) 21:20:21 どこかで続く…。