101 :
名無し物書き@推敲中?:
正論
102 :
名無し物書き@推敲中?:2007/08/16(木) 17:08:49
異論
暴論
104 :
名無し物書き@推敲中?:2007/08/16(木) 18:04:52
総論
105 :
名無し物書き@推敲中?:2007/11/27(火) 14:57:41
>>100 オレは読み続けている。どんな才能に出会えるか、楽しみだからね。
106 :
名無し物書き@推敲中?:2008/01/03(木) 22:56:08
パロディだが投下
「最終兵器スイーツ彼女(笑)」
107 :
106:2008/01/03(木) 23:00:23
「シュウちゃん!」
愛しい恋人の背中を見つけ、坂道の下からチセが叫んだ。息を弾ませながら走るチセ。
「おはよう、シュウちゃん」
「あぁ、おはよう」
チセの動悸がなかなか治まらない。
体力がないから?それともシュウジの前だから…!?
いつもの通学路を二人で歩きながらチセは髪止めを直した。シュウちゃんの前ではセレブな私でいたいと思ったから。
「きゃっ」
髪に気を取られていて、足下の段差につまずいた。
「あぶねっ」
すかさずシュウジがチセの腰を支えた。
「まったく…お前はドジだな」
意地悪に笑うシュウジを見つめ「―っ〜もうッ、シュウちゃんのばかぁ!!」
とチセは顔を赤らめ、上目使いでシュウジを見つめた。そんなチセも可愛い。
そう、チセは可愛い。小柄であいくるしい顔、周りの友達からはよく天然と言われる(そんなことないもんッ byチセ)。
そしてその彼氏のシュウジは長身のメガネ男子。インテリで陸上部のエース、当然モテる。チセの自慢のダーリンだ。周りから見てもベストカップルだろう。
「あ、」チセが足を止めた。
何かを思いついたようにセレブなヴィトンのバッグを漁る。
「どうしたんだよ」
「あ、あのね…」
ケータイを取り出し、恥ずかしそうに言った。
「一緒に…ホームページ作ろう?」
消えそうな声で呟くので、シュウジは断ることが出来なかった。
108 :
106:2008/01/03(木) 23:30:02
そして二人はホームページを作った。タイトルは『ドンストップ恋愛中*:。.:.。:*ミ☆』
プロフィールと日記、アルバムとBBSを設けた簡単なものだった。
チセのプロフィールはもちろん《性別.シュウちゃんにパコられる方(*´∀`*)ワラワラ》《資格.シュウちゃんを愛すること☆ワラ》
そして日記には二人のラブラブっぷりが綴られた。
しかしシュウジの日記は、なかなか更新されなかった、されたとしても部活のことや男友達のこと、チセには心底どうでもいい内容だった。
ある日のチセの日記
[シュウちゃんどうして日記書いてくれないの?uU寂しいよぉ…最近アケミと仲良く話してるし…チセ嫌われちゃったかな(TДT)泣]
部活中、グラウンドの隅の木陰で休憩するシュウジ
「シュ〜ウジッ」
突然頬に冷たい物が当たった。驚いて振り向くとアケミがスポーツドリンク片手にシュウジを見下ろしていた。
「ホームページ見たわよ、相変わらずラブラブなのね」
「うるせぇな」
「何よ、私に感謝しなさい、あんたたちをくっ付けたのわ私なのよ。たまにはスイーツでも奢りなさいよ」
「はいはい」
シュウジは適当な返事を返し、トラックに戻った。
その背中を見送りながらアケミは微笑んでいた。
「…ま、それももうすぐ終りね」
それが何かを企んだ笑みだということをシュウジは気付かなかった…
ほsy
妹が死んだ日
その日は
とても不思議だった
真夏にも拘らず、雪が降ったのだ
111 :
名無し物書き@推敲中?:2008/06/01(日) 00:50:48
age
112 :
名無し物書き@推敲中?:2008/06/20(金) 00:20:16
113 :
名無し物書き@推敲中?:2008/07/08(火) 03:07:13
頭に来る不条理
奴ら笑ってた。
私を見下し、股間を弄りながら私の喘ぎ悶える様を見ながら笑ってた。
あいつらは私の心から憎いこの世に存在させる事すらも許しがたい完全な敵だった。
おいおい体は正直だな、というよりむしろ変態だなとか言いながら爆笑のうず。私は逆らう事も出来ずになにせ相手は集団だった。
しかしあいつらのやり方はレイプとかそういう物と違った。人間性の戦いを挑むように私を仕向け、理路整然とした姿勢で私を負かした。
私は悔しさと快感のごちゃ混ぜで、頭がぐわんぐわんしてでもどんどん気持ちよくなって同時にあまりの悔しさに頭が久しぶりに冴え渡った。
奴らは延々とお前の負けなんだと分かり易く説明し、私に逐一反論する隙を残し反論するとまた分かり易く私を否定した。完全に負けだった。
そもそも私の求めていた物がこういった敗北だった事に愕然としたし、私が変態だという事を深く認識させて
私の本当の心から憎い敵に私は完全にされるがままで私は股間を含む体と心は繫がっているんだと改めて気が付いた。
エロネタに抵触するのであれば書きませんが要望があれば続きかきます。
できちゃったから上げるわ、スレ汚しスマヨ
私はその間に絶頂になんども達したけれども来るたびに増大するその波の絶頂が真近である事を感じた。
これが究極の絶頂だという事がわかる。
脳みそが溶けていくかのような感覚に襲われ、頭の中がもうどろどろになってその溶けたものが脊髄を中心に体全体へ広がって行きその部分が熱くなって全身が気持ちよくなる。
その時私は獣のような絶叫をして涙とよだれと大量の汗をダラダラ流しながらやつら全員のスペルマを浴び爪で全身を撫ぜられていた。
そして諸悪の根源たる悪魔といっても足りないその男の巨大すぎるその男根で貫かれ熱い液が中に迸ると同時に失禁、脱糞をした。
尿は有り得ないぐらいに濃く、粘質を持っているかのようで、凝縮されたような匂いを放ち、糞は中の物が全部排出されたたのを感じ、
その排泄の快感で私は果てた。何もかも中のものが出て行ったように思った。
「おまえは俺達の次元に入る事はできない」
と耳元で囁かれたとき、膣内の液体の全てガが勢い良く迸った。
夢を見た。
死んでいった家族の事。父、母、夫、息子、娘。
生まれてきてから今まで有った出来事。それに対して私がしてやれた事はほんの少しだった。
もっと色々してやれたのに、と思った。悲しかった、現実に翻弄されるばかりの私が。
相手にしてやれた事、私は最後までなにもかもを犠牲にして戦ってきたのに。涙が止まらなかった。
波の音がした。まだ涙は止まらないけど子供の頃みたいにわくわくした。想念と記憶がどこまでも私を連れて行ってくれる気がした。
116 :
名無し物書き@推敲中?:2008/07/14(月) 04:28:47
>>115 生々しい、ダークな世界観は完全に確立されてますね。
「反論する隙を残し〜」らへん巧妙。
リズムもすごい素敵。
気になったのは直接的すぎる表現かな。
普段口に出すのが躊躇われる、むしろ絶対口にしないような表現を冷静にぷっと吐き出せば衝撃的になる、
っていうのは確かにあるけど、それが多すぎるとくどい気がする。
117 :
113:2008/07/14(月) 13:02:52
>>116 感想ありがとうございます。
他にもっと書き方があるんだろうなと思いつつも、それを考えだすと面倒かな
と思い取りあえず形にしようとしたらこうなりました。
118 :
116:2008/07/15(火) 15:20:06
あ、なるほど。
改めて読んでみたけど、やっぱりあいまいな言い回しとか
婉曲表現を練習すれば文体にあうのかな、と思いました。
あくまで一意見だけども。頑張ってください。
>>116 >>115は読み手をおいてきぼりにしているだろ
>波の音がした。
って川幅も湖の広さも書かれていない
これを読み手に想像解釈させるのは無責任と言うより無能力
>>115は夢を見た事無いだろうとしか評価できない
そういえば、昨日、きみに似た人をみた。
後姿だけだったけど、声を掛けようかどうしようか悩んで、結局、やめてしまった。
後姿だけだったけど、伸びた髪に揺れるすき間から覗いたうなじが、昔のきみを思い出した。
細い腕にわずかに走る筋肉がきみの昔の息遣いを思い出した。
きみにとっては辛い思い出だったのかもしれなかったのに、なぜか私の体が硬直してしまった。
なぜだろう?
私は後悔しているのだろうか?
私はきみをふってしまってから失敗したと思っているのだろうか?
あれから随分記憶が薄れてしまうほどに経過したはずなのに、未練を持ってるのは私の方なのだろうか?
随分複雑な時間を経験してしまった。
ほんの数秒の出来事だったのに・・・・・・
我が子の小さい手が握り返してくるまで。
>>119 波は海の波で、目が覚めた時聞こえたものなんだけど
確かに言葉足らずでした。とりあえず負けて目覚めたら海みたいな事が書きたかったのです。
無能ですいません。
122 :
名無し物書き@推敲中?:2008/12/09(火) 18:48:55
保守しとくか
123 :
113:2009/01/03(土) 01:01:28
というかここにいる全ての奴らに小説を書く資格も読む資格もないよ。120は認めるけどお前らもう才能ないから筆を折れそして小説なんか二度と読むな。
まあいいよ。君らがラノベが大好きでラノベだけ愛して生きていってもいいけど。
お前ら結局くだらない空想話並べてるだけだろ?俺は純文やってるんだ。
すむ世界がそもそも違うのさ。ラノベが世界を革命する?ただ消費されて無くなるだけだろ?
いい加減自分の人生とか世界とかまともに考えたら?まあもしお前がそれでいいていうなら俺はそれでもいいけどな。
結局敗北するのが目に見えてるけどなw
自作小説書くんだったらそれなりの覚悟決めてまあ始めは私小説でもかよ、とあえてヒント与えてあげるけどな。
お前らは本物を知らない豚みたいなもんだ。それが無理だったらせめて妄想じゃない哀愁をかけよ。
本を読んで悲しくなるなんて馬鹿みたいじゃないか?世の中にはもっと面白い小説があるんだぜ?
まあお前らの乏しい感受性、洞察力、想像力じゃ無理だろうだがなw120にはぜひ続編を書いてもらいたいけどな。
背負ってるものが違うからああいう小説がかけるんだ。机上の空論?
真のスラッガーはな、心の中ですでにアーチを描いているのさ。
まあなんだ、今の文壇は腐りきってる。日常をかけよ。どうでも良い日常をかけよ。
シズム感だかしずる感だかしってるか?日常をいかに楽しそうに書くか。そこが才能なんだよ。お前らのはただの妄想。
リアリティゼロ、抽象性もゼロ。だからいますぐ筆を折れ、それか最後まで戦え。
以上だ。
124 :
名無し物書き@推敲中?:2009/01/15(木) 10:41:28
そして113は脱腸した。
突然の激しい痛みに襲われ、悶絶した。
「誰か!救急車、いや、俺は才能のある小説家だ」
113が手に取ったのは原稿用紙ではなく、履歴書だった。
fin
記 憶
玉 虫
近所にあった聖福寺というお寺の境内で、
覚えたての文字や絵を砂に書いて遊んでいた
時、門の柱の下辺りに黒い虫の死骸が仰向け
に落ちていた。
そばにあった枝の切れ端でおそるおそる突
ついてみた。
すると今までの暗い黒色とはうって変わっ
て、深みのある金色に近い、濃い緑色のつる
つるした羽根が、強い日差しを浴びて煌びや
かに輝いた。
手に持って帰って母に無視の名前を聞いて
みると
「玉虫よ」
と教えてくれた。
「ふぅーん玉虫か」
呟きながらも心の中では反面
『玉のように丸くないけど……』
と考えていた。
それから数日たった日曜日、いつものよう
に遊びにお寺の門をくぐった瞬間、あまりに
も華麗に、優雅に飛びかう玉虫の数々にしば
らく立ちつくしてしまった。
気が落ち着くにつれもっと近くで見ようと
一歩踏み出せば、参道に沿った植木の枝葉の
上々にも、玉虫が止まったり飛んだりしてい
るのがわかった。
目の前の玉虫に触ろうと手を出してみた
が、生きているものへの恐ろしさ、蠢いてい
るものへの醜さ、美しい羽根とは不釣合いに
グロテクスに動く足のために指も触れずその
まま帰ってしまった。
あれほど死んでいるから捨てなさい。と言
われても大事に持っていた玉虫を、何の躊躇
いもなくすぐにゴミ箱に捨ててしまった。
だが捨てながらも心の中では
『飛翔している玉虫は綺麗だったなぁ』
と呟いていた。
朝、フライパンで卵を焼くことを、日課にして長い間、私はそれをささやかな占いの道具にしていた。
卵がうまく巻ける時、それは精神的にも落ち着いている日であり、
そしてそれがうまくいかないとき、巻くのにちょうど良い頃合いが待てぬほどに、
心が焦っているのだ。
そして具の煮上がった鍋に味噌を落とし、火を止め、
炊きあがったジャーのご飯を仏壇用の小さな飯入れによそい、
朝一番のお茶とともに仏壇にあげる。
灯明を点し、手を合わせると、そろそろ命日だと気づくのだ。
そして二階の目覚ましが二度目のアラームを鳴らす。
129 :
未完成マン:2009/01/23(金) 11:27:43
西暦2014年 日本国 東京の某所
男は人生に絶望していた。株式で多額の借金、彼女に捨てられ
、実家の会社も破綻、一部上場企業に努めていたが会社も倒産、
職もなく、どうするか悩み酒に溺れ。自殺を決意し樹海に向かうが、
樹海である男に声をかけられる。
髭の男「人生に絶望したのか、俺のところで働かないか?」
その男はとある田舎で農作業員の募集をしているという。
人生に絶望した人々を集め自分の広大な土地で町を作り人口を増やしているという。
その町には医者や自警団、法律もあり他の町と一切の交流がないという。
その男を信じついていく。止めてあったマイクロバスに乗り込む。
6人の男女が乗っていた。皆どことなく暗い顔をしている。
しばらくして男性より説明があった。
ひとつもう日本の社会には戻れないこと。
ふたつ到着まで会話をしないこと。
みっつこのふたつを破ったら死んでもらうこと。
しばらくしてバスが動き出した。
高速に乗りしばらくしてある事件が起こった一人の女性が、
やはり帰りたいと言い出したのだ。
髭の男はにっこり笑うと「そうか、じゃあ死んでくれ」
もう一人の男が電気ショックで気絶させた。
髭の男「このバスの中はすでに違う国なのだ、この女性は法律を破った。
万死に値する。のちの裁判で正式な判決を言い渡す。」
と甲高く皆に言い放った。全員、すでに青い顔がさらに青くなる。
130 :
未完成マン:2009/01/23(金) 11:32:34
出発から10時間程たっただろうか。
山道を抜けたところにそれはあった。
検問所らしき建物が見えてきた。そこで全員おろされ、
まず金属探知機にかけられる。携帯電話、刃物類はすべて没収された。
次にシャワーを浴び医者に持病やアレルギー聞かれ、
簡単な身体測定をやった。その後に髭が生えた男性より、
法律について説明を受ける。基本的には日本の法律に、
にているが。この国にはリーダーがいて絶対に逆らってはいけないという。
リーダー以外の人と会話をする場合は許可を得るようにしゃべられた。
しばらくして又バスに乗り込み奥へと入っていく。
広大な畑と木造の建物が沢山ある所に到着した。
比較的に建物の出入りは自由で一人一人に部屋と着替えを何着か渡された。
リーダーたる人物が出てきて、
ニコニコしながら「何でも私にきいてくださいね。」
とやさしそうにしゃべってきた。
俺「お腹が減ったのですが」
リーダー「あと一時間後に食事になるから待っててくださいね。」
リーダー「その間、仕事の内容を簡単に説明します。」
男性は基本的に農作業を行い。女性は洗濯や食事を行うという。
まるで江戸時代の生活のようだ。
・・・・優秀な働きをするとリーダーになれるという。
そして僕の第二の人生が始まった。
131 :
未完成マン:2009/01/23(金) 11:35:13
1ヶ月もすると仕事になれたが食事は味気ない。
肉や酒は禁止、毎日野菜ばかりだ。牛はいるが牛乳のみ移動は馬車だ。
賭博、タバコ、TVも禁止されている。休みは雨の日のみ、
風邪をひいたりするものはちゃんと医者の診断を受けられ仕事も休める。
恋愛も禁止、異性の接触もない。
まるで監獄のようだがなぜか喧嘩もおきない。
喧嘩の元になるような争う物もないし会話もないからであろうか。
共同作業はリーダーから許可を得てリーダー監視の元、会話を行う。
作業に必要のない会話を行った場合。リーダーから注意を受ける。
注意を受けても尚会話をした場合は裁判を行うという。
リーダーに逆らった罪は死刑だそうだが。
ここしばらく逆らった人もいなくずっと死刑は行われていないそうだ。
会話はほとんどリーダーのみなので仲がいい人はリーダーだけ、
たまには他の人と会話をしたくなるものだ。・・・・
132 :
未完成マン:2009/01/23(金) 11:37:42
ここにきて半年がたった。
社会と断絶してから欲望がなくなり、幸せさえ感じ始めていた。
とある事件が起こった。一人行方不明になったのだ。
リーダー同士が話し合っていた。担当のリーダーから行方不明者は、
病弱な親の心配をしていて。たぶん逃亡を計ったのだろうと。
担当のリーダーは無線機で自警団へ逃亡の連絡をしていた。
担当のリーダーは青ざめている。しばらくすると。
ジープが一台停車した。逃走をした人物が血まみれで降りてきた。
手には手錠がはめられている。検問所にいた髭の男も降りてきた。
男は大きな声で「ただ今より裁判を行う。リーダーは全員集まれ。」
全員が逃走犯を円で囲み地べたに座った。
133 :
未完成マン:2009/01/23(金) 11:41:04
髭の男「この者は逃走を計った。死刑に値する。異存がある者は起立しろ」
血まみれの男「いえ違うんです。散歩をしていたら道に迷ってしまって」
髭の男「散歩だと・・・・水と食料をもってか・・・信じられないな」
血まみれの男性「ピクニック気分でしたので・・・」
髭の男「真夜中にピクニック気分で散歩だと・・・・」
髭の男の目が血走る。
担当のリーダー「私の管理ミスです。この者は精神が不安定で親の心配をしていたのです。
どうかお慈悲をたわむりたく存知ます。」
髭の男「こ奴はもう日本に戻らないと誓ったのだ。
私が自殺を救ったのだ。裏切り者に慈悲などいらぬ。死刑を宣告する。」
血まみれの男「あああああ助けて、だれか助けて」
大きな斧が担当のリーダーに渡された。手が震えている。
髭の男性「お前の責任だ、殺さなければお前も反逆罪で同罪だ。
簡単には殺さんぞ。・・・」銃を向ける。
担当のリーダー「・・・・・南無阿弥陀仏・・・・・南無阿弥陀仏」
斧を捨て目を閉じる。
134 :
未完成マン:2009/01/23(金) 11:44:00
Aリーダーがその斧で血まみれの男の首を一瞬の内に切り落とす。
血が噴出した周りは血の海と化した。
Aリーダー 「担当のリーダーの手に余るようなので代わりに私が処刑しました。
担当のリーダーは、リーダーとしての自覚が無いと思われるので、
処刑よりも降格させ国へ貢献させるべきと思います。」
髭の男性 「ふん、よけいなことを・・・まあいい、そのようにしろ。」
Aリーダー 「寛大なお慈悲に感謝いたします。」
その後、Aリーダーと一緒に遺体を袋に入れ墓地へ埋めた。
Aリーダー 「恨まないでくれよ。ああでもしないとBリーダーも殺されていただろう。」
手を合わせ泣きながら本音をぼっそとこぼした。
俺は、この時から国に疑問を抱くようになっていった。
その後、担当のリーダーの降格により新しいリーダーが選ばれることになった。
しかしあの事件でリーダーの責任の重さを感じ希望者もなく、
Aリーダーの進めもあり俺がリーダーになることとなった。
135 :
未完成マン:2009/01/23(金) 11:45:56
リーダーにも階級があり、少リーダー(平民10人を統括)、
中リーダー(平民100人少リーダー10人を統括)、
大リーダー(全少中リーダーを統括)、
この上に自警団、国王(髭の男)総員約1000名という形になっている。
もちろん俺は少リーダーだが来て半年で異例の出世だそうだ。
Aリーダーも少リーダーとなる。俺の所属する中リーダーは白髪の老人で無口であまりしゃべらず。
Aリーダーに、ほとんどまかせている。昔、自警団にいて国王の右腕として働いていたそうだが、
今はどこにでもいそうなしょぼくれた老人となっている。
136 :
未完成マン:2009/01/23(金) 11:48:38
リーダーになり解ったのだが、
この国は国王居住区と男性居住区と女性居住区は、
別れているのだがその他に子供居住区もあるそうだ。
中リーダー以上になれば結婚も可能で、
女性の結婚希望者より相手を選ぶこともでき。
結婚したら子供居住区で一緒に暮らすことができるが、
女性は選ぶ権利が無いので希望者はめったにでないそうだ。
俺はリーダーとなり人と話す機会が増えいろんな質問や愚痴を聞くようになった。
皆、元自殺志願者だったので精神的に弱いやつが多く気を使う、
あまり強く言うと自殺したり逃げ出さないとも限らない。
処刑はごめんこうむりたい。・・・・
中には放火魔や元大手倒産企業の役員だった奴もいる。
ここにいる者は皆、何かしら影があるようだ。俺もあまり変わらないが。・・・
137 :
未完成マン:2009/01/23(金) 11:51:29
気がつくと2年が過ぎようとしていた。
女性住居で事故が起こった。木造の建物が老朽化で崩れたのだ。
不幸中の幸いか怪我人がでなかった。
国王の支持で復旧するよう支持があり。
俺のグループが禁断の女性居住区で働くこととなった。
部下A 「何年かぶりに女が見れる、へへ楽しみだ〜」
俺 「女性居住区では自警団立会いの元、作業を行う。
淫らな行いをすると処罰の対象となる。肝に命じろ。」
部下A 「わかってますよ〜、ちょとくらいいいじゃないかぶつぶつ・・・・」
Aリーダーが俺に耳打ちした。
Aリーダー 「部下から目を離すなよ、前に女性をレイプして処刑された奴もいる。
レイプされた女性は自殺した。」反吐がでるような話だ。
138 :
未完成マン:2009/01/23(金) 11:55:27
女性居住区の門の前に着くと自警団が5人、
銃を持ち待っていた。
俺 「少リーダーの○○です。復旧作業でまいりました。」
北山 「女性居住区保安主任の北山だ。話は聞いている。着いて来い。」
衝撃を受けたその保安主任は美しい女性であった。
俺より5〜6歳年下であろうか、身長も170センチ位、
しかも丹精な顔立ちでスレンダーなスタイルである。
なぜか軍服と銃がすごくマッチしていた。
よくみると自警団全員が女性である。
自警団の一人が俺を睨めつけ銃を向けている。
北山に見とれていたのがばれたかな?
北山 「おまえの部下をなんとかしろ。怖がっている。」
俺 「え?」
すぐとなりにいた部下Aが顔をニタニタしながら自警団を見ていた。
部下Aの顔を引っ叩いた。
俺 「恥をかかせるな。」
部下A 「すみません。あまりにも可愛くて」
クスクスと自警団から笑い声が聞こえた。
しかし銃を向けた女性は笑わず銃を向けたままだ。
139 :
未完成マン:2009/01/23(金) 12:03:28
北山 「新藤、もう銃を下ろせ」
新藤はにらめつけたまま銃を下ろした。
新藤 「やはりこの者たちは信用できません。」
北山 「もうその話はついただろう。それとも国王の命令に背くというのか!」
北山のその一言で新藤は泣き出した。やはり女性だ。
北山 「新藤と自警団Aは、このまま南口で待機!
自警団Bはこの集団の前方、自警団Cは後方着け。
私は中間地点に着く!」
北山の号令の元、複雑な心境を胸に女性居住区へ向かうのであった。
第一章 完
まだ文章も直してないし、主人公の名前も決まってませんが楽しめましたか?
続きを乗せる予定はまだ未定です。・・・・・よろしかったら感想よろしこ
面白いですww
モバゲー小説投稿サイトに載せればかなり良い評価もらえると思いますよww
141 :
名無し物書き@推敲中?:2009/03/21(土) 14:48:18
本当にどうでも良い話だけど
>>134 >血が噴出した周りは血の海と化した
血を強調する気がはやって変な文だし、そこは色合いを強調することで血生臭さを表現した方が良い
>素っ首叩き落とされた野郎のロースの付け根からトマトケチャップが噴出し、
ディック野郎がビクビクと痙攣しながら倒れ込むとそこにはナポリタンが完成した。
144 :
日本神人:2009/03/29(日) 08:12:07
「おいでよ、一緒にいよ」
高橋は、泣きながら口の中で飴玉を転がす明菜をそっと抱き寄せた。
「おじちゃんは何で私を構ってくれるの?」
「そりゃあ、アキちゃんが好きだからだよ」
「おじちゃんだけだよ、そんなこと言ってくれるの」
明菜は高橋の腕の中で心底安堵し、甘い息を彼の顔に吐きつけた。その匂いは甘さが口臭にまさった。
その漠然としたかったるさは彼の陰茎を不意に持ち上げ、明菜を更にきつく抱くと同時に刹那の快楽が彼の下半身全体を包み込んだ。
「ごめんね。いじわるしたくなるんだ。君の笑顔と肌の感触は僕を狂わせて仕方がないんだよ」
「よくわかんない」
「つまり、こういうことさ」
「やめて!相手は無敵のキングチャンピオン、ジャンプ・マガジンなのよ!」
「どくんだサンデー」
146 :
名無し物書き@推敲中?:2009/05/26(火) 02:39:40
字書き諸君、日本語入力は何を使ってる?
日本人ならATOK。
月額版は常に最新。
うちもatok、キー配列も効率的にカスタマイズしてある
149 :
ふみあ:2009/05/31(日) 00:31:21
昨日買った花乙の体験版をやっていたら、なぜか無性に女装男子がアホな理由で女子高に飛ばされるモノを書きたくなったので書いてみた。
そしたらものすごい長編になってしまった。
長編になってくると今度はどうしても晒したくなったのでうpすることにした。
ただ文章も拙いし、やっつけ気まぐれで書いたものなので(しかもまだ途中)ちゃんとした投稿サイトに投稿したり、HPにうpできるような代物でもないし、
そもそも題名がまだ決まっていない。
とりあえずここにうpするから、感想をいってくれ。
あと誰かいい題名つけてくれね?
このスレに来るのは初めてなので使い方やマナーが間違っていたら教えてくれ。
とりあえず次にレスするときからからに第一章分だけ載せていくんでよろしく!
150 :
ふみあ:2009/05/31(日) 01:19:00
第一章 悲劇の始まり
1-1曾祖母の葬式にて
>>薫
事の始まりは、足を悪くして長年寝たきりだった曾祖母がこの2月にとうとう天に召されたところまでさかのぼる。
僕の曾祖母は先の戦争のころからずっと曾祖父と共にうちの会社を支えてきた上に、3男2女を育て上げ、挙句、様々な慈善事業をし、
この学校の先代の理事長を務めていたこともあったらしい。
とにかく人望に厚かった人なので、葬式のときには親戚以外にも沢山の弔問客が訪れて、
遠くは外国から遥々知らせを聞いて駆けつけたという人もいたくらいだ。
僕自身曾祖父や曾祖母といえる人が彼女しかいなかったこともあり、曾祖母を慕っていた。
そんなおばあさんの葬式が一通り終了し、涙もさすがに枯れて、気分も落ち着き悲しみから立ち直り始めたころ、
親族会議で曾祖母の遺産相続の分配について話すことになった。尤も、すでに曾祖母は正式な遺言書を顧問弁護士を通じて作成したので、
特に話し合うこともなく遺言書のとうりに進められ、家財や土地は後を継いだ祖父に、その他の金品は兄弟で平等に分け、
相続税の手続きの手順も決め、曾祖母の形見なども孫・曾孫に一通りいきわたった後、弁護士の手塚さんが身の毛もよだつような遺言状の一節を読み上げた。
「…え〜、なお、綾小路 智代および浩彬が嫡子、薫は「聖リリカル女学院高等部」へ編入し、卒業す…」
ん?ちょっと待て。手塚さんやいま変なこと言わなかったか?
151 :
ふみあ:2009/05/31(日) 01:20:09
続き
そう思って「ちょっと待ってください!」手塚さんを静止すると。
手塚「何か?」
僕「何かって。何かやないでしょう。僕男ですよ。
なんで女子校に通わんといけないんですか?」
手塚「何故って、故人の遺志ですし。」
どうも手塚さんは仕事を済ませて早く帰りたかったらしい。訝しい目で、いかにも面倒
くさそうにこう答えたが、こっちはそうも言っていられない。書面一つで人生狂わされて
たまるか。だけどこちらの事情を知ってか知らずか非情にも手塚さんは話を進めていく。
「故人の遺志を尊重して、そこは薫さんも従ってもらいませんと…」
「そりゃ、曾祖母の遺志は尊重したいし、できれば従いたいですよ。そやけど…」
無理だろ、ぶっちゃけ。
152 :
ふみあ:2009/05/31(日) 01:21:03
さらに続き
不毛だ、話が平行線をたどっている。手塚さんによれば遺言書は法的に有効なものであ
り、すでに手続きを済ませているとのこと。要は今更変更など効かないというのだ。
悲嘆にくれている僕に更に祖父が追い打ちをかけた。
「あのなあ薫。」
「何?おじいちゃん。」
「ずっと黙っていたんだが…、曾おばあちゃん、実はずっとお前のことを女の子やと思い
込んでいたんじゃ。」
「…はい?」
「だからお前のことをずっと女の子やと勘違いしていたんじゃ。」
「いやいや、おじいちゃん。小さい頃ならいざ知らず、この遺言書を曾おばあさんが書い
たの、確かこの間のはずやで?あり得へんでしょう?」
しかし、祖父は沈黙した。無言の同意だった。
「まさか、今の今まで曾おばあちゃん僕のこと女の子やと思い込んでいたんか?!」
そう僕が叫んだ瞬間、僕以外のその場にいた全員が頷いた。
とりあえず1-1終わり
1-2に続くよ
153 :
ふみあ:2009/05/31(日) 14:00:45
1-2曾祖母
>>薫
僕は小さい頃からチビで、臆病で、女々しい印象の為に、よく女の子に間違われてきた。
中学の時、中高一貫の男子校に通っていたが、女装企画で無理やり女装させられた時も、何人かに、
女に生まれたらよかったのにとか冗談で付き合ってくれとは言われたけど、まさか14年間、いやほぼ15年も
曾祖母がそんな思い違いをしているとは思わなかった。
いや、待てよ。よく考えたら、思い当たることがないわけではないぞ。僕は少し昔のことを思い出していた。
松江の祖父母の家に家族で帰省して、ついでに曾祖母へ挨拶に出向くたびに、曾祖母は僕にこう言っていた。
「全く薫や、いつ見てもおまえは男っぽいねえ。」
「え、本当? 曾おばあちゃん。」
普段、女々しいとか、女っぽいとか、男らしくしなさいとか言われている身の上としては、この意見は中々貴重で嬉しかった。しかし曾祖母は…
「何喜んでるんやこの子は、もっとしとやかにせんといけへんよ。」
「?」
何故男がしとやかにしなければいけないのか、当時から疑問には思っていたが、男はあま
りやんちゃするより、落ち着いている方がいいのかと勝手に自己完結していた。
その後も曾祖母は嫁がなんたらとか何か言っていたが、なにぶん年のせいもあってよく聞こえなかったし、
特に重要だとも思えなかった。今ならわかる、あれは嫁の来手がないと言ったのではなく、
嫁の行き先がないと言ったのだと。
続くよ
154 :
ふみあ:2009/05/31(日) 14:01:31
そんなことを思い出しながら、僕はその場にいた全員に問いかけていた。
「みんな…、知ってたん?」
その瞬間全員がまた、「うん!」と答えた。元気よく答えるな!!
「誰も訂正する気あらへんかったの?」と訊くと、その場にいた全員が口々に、
「だって、ばあさん頑固やったからなあ。」「自分の間違いは絶対に認めん人やったしねえ。」
「それに放っておいた方がおもろかったからなあ。」「あ、それ言えてる。www」
こ…こいつら。思わず叫んでしまう。
「笑いごとやあらへんよ。どないすんねん遺言状。マジで女子校に通えっていうの?」
「まあ、それも一興とちゃうか?」「薫ちゃんの女装かわいいもん。」
僕「いつみたねん! んなもん。↑」
「去年薫ちゃんの学校でやってた文化祭。」
「来てたのかよ!」
「それに薫ちゃん、あんた女装趣味があるやろ?」「え! マジで?」
僕「いや、それは…」
「なら問題ないんちゃう? ばれなきゃいいんだし。」
「そういう問題じゃないでしょ!」「お婆ちゃんの思い、反故にする気?!」
「そんな…」
気のせいか皆の期待に満ちた眼差しが僕に注がれる。どう考えても断れそうな雰囲気ではない。僕はとうとう断念した。
「わかった。行きますよ。行きゃいいんでしょ。」
「よう言うた。それでこそ漢や。」「がんばってね。薫ちゃん。」
この時、実行はしなかったものの、親戚を一人一発ずつ殴ってやろうかと本気で思った。
かくして僕の東京行きは決定した。
155 :
ふみあ:2009/05/31(日) 14:02:41
1-2終わり1-3に続くよ
156 :
ふみあ:2009/06/01(月) 19:31:26
1-3 Let’s go!女子校ライフ
>>薫
その後は散々な目にあった。
学校の友人や教師に相談すれば、こちらも当然のように爆笑され、ともすれば、
「ええやん、うらやましいわ。俺も連れて行けや。」
「ええ人生経験にはなるんちゃうか? 向こうの学校はうちほど進学とかにうるさなさそう
やし、君には合うんちゃうかなあ。」
何よりショックだったのは、いくら僕が優等生ではないとはいえ数少ない友人を除けば、
誰も引き留めてくれなかったことだった。
走り屋仲間の先輩や知り合いに相談したら、別れを惜しまれたが、なぜか餞別にと車を
もらった。たぶん処分するのが面倒だったんだろうな。もらう僕もどうかと思うが。
行きつけのショップに、何台か向こうに陸送する手続きを取ってから、ついでに家具や
家電のようなかさばる物も宅配の営業所で輸送してもらう手続きをした。
3月の末日、母親と共に入学式に出席するため、新幹線の駅へ向かった。駅までは父親が
車で送ってくれた。が、道中ずっと、僕の気分は晴れなかった。
助手席側から左側のサイドミラーをのぞき込む。そこには、丸い童顔のロングヘアーで、
ややゴスロリ調の黒い丈長のワンピースに白いガーディガン、黒いパンストを履いたかわ
いらしい女の子が助手席に座っているのが見える。ただ変わっているのは、その娘が男物
の黒いスニーカーと銀色の腕時計、そして四角いシルバーフレームの眼鏡を付けているこ
とだ。尤もこれは彼女、もとい僕のささやかな抵抗であるのだが。
続くよ
157 :
ふみあ:2009/06/01(月) 19:33:47
「なぜ、家を出る時から女装なんだよ。」
と、納得できないので後ろにいる母に尋ねると、
「そりゃ、向こうに着いたらそのまま寮に入る手続きをするためよ。」
「そうかい。」
ふて腐れていると隣でハンドルを握る父が、
「だけどおまえ結構かわいいぞ。もっと自信を持て。」
「いらへんよ、そんな自信。」
「まあな、だけど葵ちゃんが同じ学校の先輩でよかったよ。」
と、後ろにいる母方の従姉である葵お姉ちゃんに話しかける。
「そんな、私こそ、クーちゃんと一緒に通えるなんて夢みたいです。」
面長で腰まであるロングヘアー、いつもどうりのブラウスにスカートを着て、ニーソを
履いている葵姉ちゃんは一言で表せば、清楚な美人、文武両道で何事も卒なくこなし、か
といってそれを鼻にかけることなく、なお且つ胸もそれなりに大きくグラマラスでスタイ
ルがいい、いわば、マドンナという感じの女性である。
そんな葵姉ちゃんに今度は僕の母が、話しかける。
「葵ちゃん、薫のこと頼むわね。何かあったらビシバシしごいてもかまわないから。」
「わかりました。任してください。智代おばさま。」
なんだかんだと言っているうちに、駅につき、親父と別れ、一路東京へ向かい、入寮の
手続き、引越しの整理、入学式の準備をし、初めて寮の部屋で一人で床に就くことになっ
た。
1-3終わり、1-4に続くよ
158 :
ふみあ:2009/06/03(水) 02:10:59
1-4なんというか…カオス
>>葵
朝6時15分頃、私は風紀委員として全学生に起床時間を知らせるために、食堂に向かっ
ていた。
途中、同じ風紀委員でクラスメイトの雪乃さんと合流した後、集合場所の寮の食堂に向
かうと、すでに他の風紀委員は全員集合して、私たちの到着を待っていた。
「遅れてすみません。」と、風紀委員長に詫びると、
「なに、まだ集合時間にまだ時間があるわ。気にしないで。」と答えられた。
続きます
159 :
ふみあ:2009/06/03(水) 02:12:19
「では、これより本年度初の朝の点呼を行います。今朝の割り振りなのですが…」
と委員長がいつもどうりに活動内容を確認しようとしたとき、
「あのう…」
「どうかしましたか? 葵さん。」
「今日の私の担当、1年生棟に変更していただけないでしょうか。」
「かまいませんが、どうして?」
「いえ、従妹が今年度の新入生として入学したものですから。」
「あら、それはおめでとう。」
「ありがとうございます。」
「もうこちらにお越しになられてるのかしら。」
「ええ、昨日到着して、今日の入学式に出席するんです。」
「じゃあ、こちらで朝を迎えるのは初めてなのね。」
「はい。」
「よろしければ、私も一緒に行っていいかしら。あなたの妹さんに会ってみたいわ。」
「ぜひ。だけど妹じゃなくて従妹ですよ。」
「みたいなものでしょう?」
いたずらっぽく笑う委員長を見ていつも思う。まったくこの人にはかなわない。
まだ続くよ
160 :
ふみあ:2009/06/03(水) 02:14:12
>>薫
朝だ、日が昇り始めて辺りが明るくなり始めたのを確認して、僕はため息をついた。
とりあえずぐるっと周りを見回してみる。
まず南側に大きな開き戸タイプの窓があり、そのそばに机があり、向かい側の東側の壁
沿いに南枕のベッドが置かれ、反対側に本棚が見える。部屋の北側にクローゼットと入口があり、その向こうに玄関とシャワールーム、玄関そばに小さなキッチンらしきものも付いている。だがなぜかトイレが付いていない。これでざっと8畳の1DKといったところだろうか。
未だ寝起きでぼうっとしている頭で、僕は昨晩の出来事を思い返していた。昨日はほとんど眠れなかった。昨晩こちらの方についた時、無事到着したことを伝えようと、実家や向こうの友達に電話した時にいろいろ恐ろしいことを聞かされたからだ。
まだ続く
161 :
ふみあ:2009/06/03(水) 02:15:26
祖父からは、曾祖母が僕が前にいた学校、つまり中学を中高一貫の私立の男子校ではな
く、普通の公立中学校だと勘違いしていたと聞かされた。確かにうちの学校は地名がその
まま学校名になっているからそう思い違えても不思議ではないが、それと今回の転校とど
ういう関係があるのか問い詰めると、
「うーん、どうやら曾お婆ちゃんはおまえをどうにかして女らしくしたかったようじゃ。
ことに聖リリカルはキリスト教とこの手の教養教育に熱心な…」
もういい。と結局お茶を濁してしまった。曾祖母の公立校への不信と、淑女を育成するた
めの教育が僕にとって必要だという誤った認識が今回の遺言書を書かせた原動力らしい。
続く
162 :
ふみあ:2009/06/03(水) 02:18:13
さらに親友だった多田からは、聖リリカル女学院が、高等・中等・初等・幼稚舎からな
り、さらに名前こそ違うが、同系列の経営の大学まであるかなり規模の大きいマンモス校
だが、大学を除くすべての学校が、BFとなっているという事実を教えてもらった。
「ボーダーフリー? どういうこと?」
と、訊くと、
「うーん、ボーダーフリーというよりも、そもそも試験で一般公募しとらんみたいや。」
「試験をせえへんて?」
「寄付が多かった生徒や、スポーツや芸術なんかの推薦を取ったやつ、将来を嘱望、また
は名家出身の生徒を専ら取っているらしい。ま、後は綾小路みたいにコネがある奴やな。」
「いやな言い方するなよ…。」
「事実だろ。」
「まあ、そうだけど。こんなやり方でやっていけるんか?」
「いけるんとちゃうか、現に相当な生徒が毎年はいっとるんやろ?」
「みたいだけど。」
「まあガンバレや、どうせ連休には帰ってくるんやろ?」
「たぶんね。」
「じゃあその時また一緒に遊ぼうや。」
「ああ、楽しみにしてるよ。じゃ、おやすみ。」
「おやすみ。」
終話スイッチを押す。どっとため息が口から出てきた。
続く
163 :
ふみあ:2009/06/03(水) 02:36:55
その後、自分のノートPCをネットに繋いで聖リリカル女学院をググッてみると、一応ホ
ームページがあるが、確かに多田の言ったとうり入学試験は大学以外一切行っていないよ
うだった。その代り寄付金、否学校側の説明によれば慈善支援金、なるものの応募フォー
ムがあり、見てみると、
「うわっ! 一口ン千万を10口以上って。なにそれ?」
普通に億超えてるやないか。いや、最低が5億円なら下手したら10憶超える場合も当然あ
るのだろう。慈善と言うレベルじゃないだろ、これ。
しかもこの支援金の他に正規の授業料や諸経費もしっかりと取っている。額面はだいた
い前の学校と同じくらいのようだ。前の学校 私立高市中学高等学校は基本的に授業料以外
で寄付を取ることはなかった。しかし前年に中学、高校の校舎を新築し、通信環境も一新
したが、僕の知る限り黒字経営だった。
つまり大規模でないとはいえ、普通の学校が健全な経営が行えるくらいの授業料を取り
ながらさらに何百億もぼったくっているのである。こんな学校の理事長をしていた曾祖母
は果たして人格者だったのか? 今まで抱いていた曾祖母のイメージが崩れていく音を聞き
ながら、PCの電源を切って、床に就いたのだった。
164 :
ふみあ:2009/06/03(水) 02:37:38
正直眠いが、寝れる気がしない。そのうち眠たくもなくなったので少し早いかとも思っ
たが起床することにする。
とりあえず洗顔をして、歯磨きをし、髭をそる。電動剃刀の音が気になったが、完全防
音ということなので、よほどのことがない限り外に漏れることもなかろう、ついでに手や
足の無駄毛も剃っておく、電動剃刀なんて何に使うのと訊かれたら「無駄毛処理」と答え
るためにね。ついでに眼鏡も洗っておく。
そのままパジャマを脱ぎ棄て制服に着替える。パット入りのブラとショーツとロングの
ウィッグは昨晩から寝込み対策のためにずっとつけていたので、そのままパンストを履き
制服を着ようとした。
しかしなんだこの制服は、どうやって着るんだ? なんていうかギャルゲーでお嬢様学校っ
て言ったらたいていこんな感じの制服だよね、と思えるような代物なのである。困った、
ただでさえ女ものの服は構造が分かりづらいのにこれじゃあ。
僕は制服を手に取ったまま困惑していた。
第一章 完
第一章はこれにて終了。只今第二章を鋭意制作中。できたらうpしようと思う。
165 :
ふみあ:2009/06/14(日) 06:33:12
皆さんお久しぶりです。何とか第二章が完成したので、これから順番にうpしていきます。
というか、この板本当に人がいないのか? 感想が聞きたいので突っ込みたい人や感想を書きたい人はどんどん書いていったください。
あと、題名の方は引き続き募集中、今はとりあえず、「がんばれ男の娘(仮)」で行きます。
では第二章 2-1を次のレスからうpします。
166 :
ふみあ:2009/06/14(日) 06:34:34
第二章 入学式
2-1たぶんデビュー戦
>>薫
さあどうしたものかと手をこまねいていると、玄関の扉がノックされた。
「クーちゃん起きてる? おはよー。」
「あら、クーちゃんていうの?」
と葵姉ちゃんの声と他にも誰かが話している声が聞こえた。今更ながら自分が下着一枚し
か着ていないことに気づき、とりあえずパジャマを着なおそうとすると、突然鍵が掛かっ
ていたはずの玄関の扉がガチャッと開けられる音が部屋中に響いた。
167 :
ふみあ:2009/06/14(日) 06:35:53
ビクッとして振り向くと、そこには制服を着た葵姉ちゃんが今まさに入ってこようとし
ているところだった。とりあえずシャツだけ羽織ってその場をしのぐことにする。
葵姉ちゃんは他に二人の女生徒を引き連れていた。一人はいかにも最上級生といった感
じの落ち着いた雰囲気の、腰まである髪をゆるやかにカールさせた背の高い、制服の上に
ピンクのエプロンをした女性。もう一人はポニーテールが愛らしい、おそらく葵姉ちゃん
と同学年の女生徒、こちらも制服を着ている。そして3人とも左腕に風紀と大きくかかれ
た橙色の腕章をつけている。
168 :
ふみあ:2009/06/14(日) 06:36:38
どうやら見回りのついでに寄ったという感じを受けたが、混乱しているのでどういう対
応をとればいいか分からない。とりあえずどうにか「お…おはようございます。」とあいさ
つをすると、エプロンをしたほうの女生徒が、
「ごきげんよう。あなたがクーちゃんね。」
と話しかけてきた。僕が返事する間もなく葵姉ちゃんが猛烈な勢いでしゃべり始める。
「ええ、この娘が私の従姉の薫です。」
「薫ちゃんて言うの? 素敵な名前ね。」
「そんでもって薫、この方が紫苑お姉さま。風紀委員長をされているわ。」
「はじめまして薫ちゃん。葛城 紫苑です。よろしくね。」
と言われて初めて、
「こ..こちらこそ初めまして、綾小路 薫と申します。これから宜しくお願いします。」
と答えると、紫苑さんは少し困ったように笑いながら、
「あら、そんなに畏まらなくていいのよ。」
というと葵姉ちゃんが、
「お姉さま、この子内気というか昔からこうなんです。それと…」
といって、傍らにいるポニーテールを示し、
「彼女は春日 雪乃、風紀委員にして、私のクラスメイトにして一番の親友よ。」
というと、
「春日 雪乃だ。君の話は葵から聞いてるよ。よろしくな。」
「は…はい。」
169 :
ふみあ:2009/06/14(日) 06:37:31
とどうにか返事をすると雪乃さんが、
「ところで君はどうしてそんな恰好をしてるのかな?」
今更ながら、自分がやや恥ずかしい恰好をしていることを思い出した。仕方ないので、
「制服の着方がわからないんです。」
「ああ、確かにうちの制服変わってるからねえ。でもお家で一度着なかったのかな?」
首を横にフルフルと振る。
「着てこなかったのか。」
今度は縦に振る。
170 :
ふみあ:2009/06/14(日) 06:53:37
さすがに見かねたのか葵姉ちゃんが
「薫、教えてあげる。手挙げて。」
「えぇ! 今着替えんの。」
「当たり前でしょ、文句あるの?」
「だってぇ。」
人前で服を着せてもらえと? 冗談じゃない。
空気を読んだのか葛城さんと春日さんは、部屋の外に出て行ってしまった。悪いことし
たな。
「じゃあ、手を広げて。」
「教えてくれたら自分でできるよ。」
「まあ、そんなこと言わずに…えい!」
「あぁ!」
その頃、部屋の外ではこんな会話がなされていたらしい。
「雪乃、あの娘、どう思う?」
「さすが葵の従妹というべきか、可愛い娘だと思いますよ。ただ少し固いかな。」
「初対面だから緊張していたのよ。すぐになれると思うわ。」
まさか二人とも、先ほど出会ったメガネっ娘が実は男だなど露ほどにも疑っていない。
2-1終了 2-2に続きます。
今回第二章は2-8まで、分量にして第一章の2.5倍ぐらいあるけど頑張ってうpするからよろしく。ノシ
171 :
ふみあ:2009/06/15(月) 03:07:34
2-2をうp!
2-2大いなる誤算
>>薫
胸ポケットに校章が刺繍してある白いブラウスを羽織り、裾に白いラインの入ったシンクのスカートを穿き、黒い革ベルトを締め、チャックのついていない半袖のセーラー服のような、白い襟に紺色のラインが入った赤い上着のようなものを頭からかぶり袖を通す。
「これでいいのかな。」と訊くと、
「ええ、後はネクタイをして、出来上がり。」
「ふつうネクタイしてから上着を着いひん?」
「後からネクタイをシャツの襟に通して、押し込んだ方が皺になりにくいでしょ。」
なるほどねえ。
「これ、お姉ちゃんと色違うんやね。」
「これで学年を区別するのよ。クーちゃんたち一年生は青、私たち二年生は黄緑、
そしてお姉さま方三年生は桜色という風にね。」
「へえ、学年章じゃないんだ。ところでこれ三年間ずっと同じ物を使うの?」
「まさか、来年はクーちゃんも私と同じ黄緑を使うことになるわ。」
「ふーん。じゃあさ、体操服はどうなの?」
「体操服?」
「例えば学年ごとにジャージの色が違うとかさ。」
高市高校は学年ごとにジャージの色が違い、6年間同じ物をずっと使う。だから、毎年新色のジャージがでて、今年の一年生はどんな色のジャージをしているのか、楽しみにしたものだった。だからこっちでもそうなのかと思って聞いてみたのだ。しかし…
「ないわ、みんな同じものを使っているもの。」
「なんだつまんないな。うちの学校がそうやったからこっちでもそうなんかなと思ったのに。」
「うちのって高市?」
「うん、そうだよ。」
「へえ、高市って変わっているのね。」
ここほどじゃないと思うけどな。
172 :
ふみあ:2009/06/15(月) 03:12:10
「でもクーちゃん。うちの学校の体操服、ジャージじゃないわよ。」
「へ?」
「ブルマよ。」
「まさかぁwwww」
「嘘言っても仕方がないでしょう。」
「マジで? 今時ブルマはないでしょう。」
「ここにあるわ。」
「いやいや。」
「でも、男の子ってブルマ好きなんでしょ。」
「どっから仕入れたかは知らんけど訂正しておくよ、葵姉ちゃん。男はブルマが好きなんやない。ブルマを穿いている女の子を見るのが好きなんや。まして自分が穿くなんて…」
「あら、どっちにしてもブルマを穿いている女の子を一杯見れてよかったじゃない。」
「よくないよ。冬どうすんのさ、寒いやん。それにグラウンドで座ったら足が砂で汚れちゃうじゃんか。」
「お風呂でよく洗えばいいでしょう、それくらい。」
「そりゃそうだけど、ブルマやと僕が男やってばれへんかなあ。」
「うーん。」と唸ったと思ったら、葵姉ちゃんはいきなり僕のスカートをめくって、中を確認し始めた。
173 :
ふみあ:2009/06/15(月) 03:13:32
「きゃっ! 何すんだよう。」と思わず叫ぶと、
「きゃって、女の子じゃないんだから。」
「今は女の子なんだい。」
「はいはい、そうだったわね。」
「で、何してたのさ。」
「クーちゃんのあそこ、小さいからそんなに目立たないと思うわよ。」
「さらっと失礼なこといわへんでよ。」
「気にしてるの?」
「そういうわけじゃ。」
「それにそのくらい目立たなきゃたぶん水泳の授業も大丈夫ね。」
「水泳?」
「どうかしたの。」
「水泳の授業ってプール使うの?」
「当たり前でしょ。」
「プール、あるんだ。」
「いや、普通あるでしょ。」
「うちの学校なかったから。」
「高市ってプールないの?!」
まんま信じられないって顔で葵姉ちゃんは驚いた。
174 :
ふみあ:2009/06/15(月) 03:15:01
「だってそもそも土地がないんやで。」
「増やすわけにはいかないの?」
「無理、そもそも正門が大阪外環に面してるし、近くにはR171と外環R170の交差点もある街中にあるもん。近くに歓楽街もあるし。医大と土地を折半してるから。」
「それは、ご愁傷様。」
「ま、その代り娯楽と交通事故には事欠かないけどね。」
「こ…交通事故?」
「しかし困ったなあ。水泳があるとなると着替える時に必然的にマッパになる瞬間があるもんなあ。まあどうにかするか…」
「ちょっとクーちゃん。」
「何?」
「交通事故って?」
「ああ、うちの学校、僕もそうやったけど電車通学が多いんだよ。だけど学校から最寄駅に行くには、阪QでもJRでも外環とR171を越えへんといけへんからさ。交通量が多いから、急いでいて信号無視した時にたまに撥ねられて怪我したり死んだりするやつがいるんや。」
「….(汗)」
「まあ僕も5回くらい10tダンプや路線バスに轢かれそうになったことがあるけどね。」
「….( ゚д゚)」
「あれ、葵姉ちゃんどうしたの?」
さっきから黙りこくっている葵姉ちゃんに話しかける。
「え、ああどうしたの?」
「いや、葛城さんと春日さんを待たせてるんじゃないの?」
「あ、そうだった!」
といって、葵姉ちゃんは急いで部屋を出ていく。
「クーちゃんもそろそろ準備しなさい。朝食の時間だから。寮の食堂の場所はわかるわよね?」
「うん、一応昨日案内はしてもらったから。」
「じゃあ、一人でも大丈夫ね。朝食は7時からだから急ぎなさい。」
「うん、わかった。」
「じゃあ、また後でね!」
そう言って葵姉ちゃんは部屋を出て行った。
さて、腹も減ったし言われたとうり朝食にするか。時計と携帯と部屋の鍵とハンカチ、そして財布をポケットに突っ込み、カバンを持って部屋を出た。
2-2終わり、2-3に続きます。
175 :
ふみあ:2009/06/16(火) 04:32:34
2-3食堂にて
>>薫
学校の寮は学校内の一番北側にあり、東側の1年生棟、西側の2年生棟、南側の3年生棟が真ん中にある大きな十字型の本館を中心に七の字になるように配置され、
正面入り口は本館の南西にエントランスとして設けられており、エントランスの北側、本館一階の本館と1・2年生棟への連絡する廊下の交差するところに大きな食堂がある。
北側の少し飛び出したところまで食堂として機能しているので、学校案内によれば300人が一度に食事をとることが出来るらしい。
ちなみに、一棟あたりが30世帯×10階建てと半端ない大きさのため、それに見合わせて本館もかなり大きく、食堂以外のリクリエーションもいろいろあるらしい。
(よくまあこんな広い建物で、たった10人そこらで全員を起こそうとするよなあ)
と、風紀委員の活動に感心したが、後で聞くと長期休暇明けの前後数日間だけで普段はほとんどやってないらしい。とにかく僕はエレベーターホールから食堂に向かっていた。
176 :
ふみあ:2009/06/16(火) 04:33:15
1階のエレベーターホールや廊下はお嬢様学校の寮のそれに相応しくやたら豪華な造りになっている。だが、一面大理石の床や真紅の絨毯、壁や天井の彫刻やシャンデリアなどは少し高級なホテルや豪邸にはよくある仕様なので特に驚くことはないが、
少し、いやここまでやるかと思うくらいやり過ぎている感がある。しかしながら建築家やデザイナーのセンスや職人の腕が並外れて良かったのか、不思議とそこまで下品には感じない。
廊下の豪華な雰囲気に共鳴するように左側の壁に並んでいるシックで重厚な扉の群れを抜けしばらく行くと廊下は大きくL字型に折れ曲がったところに出る。角を曲がってしばらく行くと、向こうに本館のエントランス、こちらに本館エレベーターホールと階段、
そして右側に例の食堂が見えるエリアに来る。ちなみに先ほど一年生棟のエレベーターホールから歩いてきた廊下の上、つまり2階以上の共用廊下については普通のマンションと同じような感じになっているがドアのデザインは同じである。ついでに食堂入り口から
エントランスを突っ切ってまっすぐ走る廊下をずっと行くと3年生棟の入口にぶちあたる。
177 :
ふみあ:2009/06/16(火) 04:33:56
とりあえず予想はしていたが、寮の食堂も食堂というよりホテルか高級フレンチのレストランのでかいやつだと思った方が正しいらしい。金メッキの格子戸に、分厚いガラスがはまった重厚な観音扉の向こう側には仕切りがあるのか薄暗く、
よくわからないが、奥からかすかに光が洩れているし、向かって右側の扉のドアノブには飾り字で「Open」と書かれたプレートが掛っている。
誰の姿も見えない分不安が募るが、Openというからにはやってはいるのだろう。恐る恐る扉に近づくと、突然人影が現れたと思ったら向かって左の扉が奥の方へ開いた。見ると黒いスラックスに黒の皮靴を履き、白いフォーマルシャツに黒いベストを着た
若いドアマンが「いらっしゃいませ、ようこそ。」と、お辞儀しながら中に通してくれた。
178 :
ふみあ:2009/06/16(火) 04:34:36
ドアマンがいんのか、本格的だなあと感心していると次はカウンターの奥からドアマンと同じような格好をした、しかし上から黒い燕尾服を着た中年の男性、おそらくここのチーフか何かだろう、が現れ、
「いらっしゃいませ、お早う御座います、お嬢様。お一人でいらっしゃいますか?」
とお辞儀しながら恭しく聞いてきた。
179 :
ふみあ:2009/06/16(火) 04:35:18
「今は一人ですが、中にたぶん連れが待っていると思うんですが。」
と答えると、
「さようですか。それでは御席はその方と相席で構いませんね?」
「ええ、ですけどいない時は一人でお願いします。」
「かしこまりました。ところで今朝の朝食はどのようにいたしましょうか。」
「あの、僕、今日初めてここを利用するので、何があるのかわからないんですが。」
「初めて?」
「僕、今日入学する予定の新入生なので。」
「それは失礼しました。御無礼をお許しください。」
「いえ、そこまでは、ところで朝はどのようなものがあるんですか。」
「当レストランでは朝食に、和食、ブリティッシュ、アメリカン、フレンチ、中華の計5種類をご提供させていただいています。」
「具体的には?」
「和食はご飯に味噌汁と納豆と焼き魚が付きます。」
「ブリティッシュは?」
「ブリティシュは定番のトーストとサラダ及び、ベーコン、ハム、ウインナーエッグの3種類のなかから1品、コーヒーか紅茶のうちいずれかをお選びいただけます。トーストにはバターとジャムをお付けいたします。」
180 :
ふみあ:2009/06/16(火) 04:52:17
「フレンチは?」
「ブリティッシュのトーストがフレンチトーストに変わります。」
「アメリカン?」
「ブリティッシュのトーストがホットケーキ、またはリングドーナツに変わります。」
たぶんそう来ると思ったが、わざわざ三つに分ける必要があるのか?
「中華は?」
「基本的に飲茶のコースとなっております。ただこちらは日によって内容が変わります。」
なぜ中華だけ別扱いなんだ?
「一番人気なのは何ですか?」
「すべてご好評を頂いています。」
いや、答えになってないだろう。
181 :
ふみあ:2009/06/16(火) 04:53:22
「ただ強いて言えば、フレンチや和食の注文が他より若干は多いようです。」
「そうですか。」
うーんどうしようか、昨日の朝食は思いっきり和食だったから今朝は洋食にするか。
そう考えた僕はチーフに、
「では今朝はフレンチにしようと思います。」
「エッグはベーコン、ハム、ウインナーのうちどれになさいますか。」
「ベーコンで、あとコーヒーをお願いします。」
「左様ですか。では、案内の者を呼びますので暫しお待ちください。」
そう言ってチーフが奥に引っ込んだと思ったら、今度はメイド姿のウエイトレスがやって来た。
182 :
ふみあ:2009/06/16(火) 04:54:12
「いらっしゃいませお嬢様。御席へご案内いたします。」
そう言って中に入りかけたが、
「ところで、お連れの方はおられますか?」
「そうでうね。えーっと、どこだろう。」
食堂の中はとても広く、きれいにクロスが掛けられた4〜6人数用のテーブルが何十台も並んでいる。無論椅子など何脚あるか分からない。
一度に300人はマジで入るかもしれない。もしも、ラッシュ時なら不可能だったろうが、今日は入学式、本日付で入る新入生がほとんどだし、
在校生も今はまだ春休みでほとんどが帰省中である。はっきり言ってガラガラだったから葵姉ちゃんたちはすぐに見つかった。恐らく向こうも同じだったのだろう。
葵姉ちゃんたちが軽く手を振っているのがわかった。とりあえず先ほどのウエイトレスにこう言った。
「いました。つれです。」
「では、あの方たちと相席で構いませんね。」
「はい。」
「では、御案内いたします。」
まずは席に着こう。
2-3終わり、2-4に続く
183 :
ふみあ:2009/06/17(水) 04:30:12
2-4食堂にて その2
>>薫
「ではこちらの席にどうぞ。」
「ありがとう。」
とりあえず、4人掛けのうちあいている入口に一番近い席に座る。
「すみません。遅くなりました。」
「こちらこそ、悪いね。先に頂いているよ。」
遅くなった詫びをすると、真正面の春日さんが返事をしてくれた。僕の右側に葛城さん、左隣に葵姉ちゃんが座っている。
見ると三人とも和食を食べているらしい。
「あれ、皆さん和食なんですね。」
「そうだよ〜。」
「日本人なら、朝は御飯と味噌汁だろう。」
「あら、薫さんは和食ではないのですか?」
「僕はフレンチにしました。」
「ああ、そうなんですか。」
「クーちゃんも和食ならみんなそろったのに。」
「僕、昨日の朝食がおもいっきり和食やったから、たまには別のものがいいかなと思って。」
「ふうん。まあいいわ。でも和食も食べてみてね。」
「考えとくよ。」
184 :
ふみあ:2009/06/17(水) 04:30:53
そこに突然春日さんが会話に割り込んできた。
「ところで薫君。」
「何でしょうか?」
「君は自分のことを呼称するとき『僕』っていう一人称を使うんだな。」
「それがどうかしましたか。」
「僕っていう一人称は普通男の子が使うものだと思うんだが。」
おそらく彼女はこの時婉曲に僕のことを、女の子、いや淑女らしくないと注意したかったのだろう。だが僕から見れば、一人称こそ『わたし』であるものの、彼女の言葉遣いも相当ボーイッシュに感じる。
それに『僕』という呼称は今の僕に出来る数少ない現況における抵抗手段の一つ、ないしアイデンティティの一つである。簡単に譲るわけにはいかない。
185 :
ふみあ:2009/06/17(水) 04:31:33
「でも、最近は僕みたいに自分のことを『僕』っていう女の子結構いますよ。」
主に二次元にな。ちなみにこういうのを萌えの世界では「僕っ娘」というらしい。
「そうなのかい?」
「そうですよ。」
ていうかあんたのその宝○の男役のような話し方はどうなのさ。
「ふーん、まあいいや。だけど自分のことを「僕」と呼ぶことはここではあまり感心されないだろうね。」
「ここではというと?」
「君も知っているようにここはお嬢様学校として世間に知られ、一流の淑女を要請するための情操教育をおこなっている。」
「らしいですね。よくは知りませんが。」
「当然その分生徒にはそれ相応に振る舞うことを要求される。」
「でしょうね。」
「ここでいう淑女の振る舞いには主に3つの種類があるんだがわかるかい?」
186 :
ふみあ:2009/06/17(水) 04:32:13
いきなり振るか?
「3つというと、行動、服装、喋り方でしょうか?」
「まあ、大体あっているけど、正確には立ち居振る舞い、話し方、知識教養だったかな。」
かなって…、大丈夫かこの人。
「その『話し方』に引っ掛かるということですか。」
「そういうことになる可能性があるということだよ。」
「はあ。」
「君も『僕』っていう一人称が淑女に相応しいとはよもや思わないだろう。」
「そう言われればそうですが。」
「ん?」
「春日先輩のしゃべり方も男性、いえ男役のようなしゃべり方ですよね?」
「君もそう思うのかい。」
「失礼しました。」
「何故謝るんだい。」
「先輩がそこまでお気になされているとは知らなかったし、後輩として出過ぎたマネをしたと思いましたので。」
「律儀というか、やっぱり君相当変わっているねえ。」
「そうでしょうか。」
「そうだよ。で、私の話し方のどこが男ぽかったのかな?」
「そうですね。全体的な雰囲気というのでしょうか、強いて具体的にいえば、文尾を『だろう』とか『だ』で切ったり、僕のことを薫君と呼んだりするところですね。」
187 :
ふみあ:2009/06/17(水) 05:01:16
まさか僕が男だとわかって君付しているわけではないのだろう。
「なるほど、確かにそうかもしれないね。」
微かに笑いながら春日さんはそういった。
「ただ、『先輩』という言葉も、できれば使わない方が無難だね。」
「こちらでは下級生は上級生のことを何て呼んでるんですか。」
「お姉さま、だ。」
ああ、やっぱり。
そうこう言っているうちにウエイトレスが僕の分の朝食を運んできた。
「フレンチのお嬢様は?」
「あ、僕です。」
「どうぞ。」
「ありがとう。」
188 :
ふみあ:2009/06/17(水) 05:03:01
4席あるうち3席にすでに和食のトレーが置いてあるのだからわざわざ訪ねる必要もなさそうだが、一応聞いておくことがこの店のマニュアルなのだろう。とにかく遅れを取り戻すために急いでかき込むことにする。
「クーちゃん?」
「何? 葵お姉ちゃん。」
「頬っぺた何かついてる。」
といって、持っていたおしぼりを頬に押し付けてくる。よく見ると3人とも食べ終わり、またはもう食べ終わろうとしているところだった。急がねば。
2-4終わり、2-5に続きます。
189 :
ふみあ:2009/06/18(木) 04:35:54
2-5初登校?
>>薫
「ところでクーちゃん。この後どうするの。」
と、食事を終えて食堂を出てから葵姉ちゃんが訊いてきた。
「どうって、この後ホテルに泊まっているお母さんと合流して9時半からの入学式に出席するけど。」
「と、いうことは今日が初登校となるんだね。」と春日さん。
「ここも一応学校の中ですから、登校というのかはわかりませんけど。」
「確かにここも学校の中だ。登校とは少し違うかも知れないね。」
「すでに学校内にいますからね。強いて言えば建物から建物への移動でしょうか。」
「そういうことになるね。ということは君の初登校は昨日ということになるのかな。」
「そういうことになりますね。」
190 :
ふみあ:2009/06/18(木) 04:36:36
そこに葛城さんが、
「そういえば式は何時に終わるんですか。」
「12時半だそうです。」
「あら結構かかるのね。」と葵姉ちゃん。
「ついでにオリエンテーションも済ませるそうだから。」
「なるほど。」
「じゃあ、終わった後にみんなでどこかに遊びにいきませんか。薫さんに街を案内したいですし。」と葛城さんが言うと。
「お、いいね。」と春日さん。
「そうしましょう。」と葵姉ちゃん。
「お気遣いありがとうございます。」
「どういたしまして。お気になされることはないですよ。」
「ところで、」とずっと気になっていたことを訊く。
191 :
ふみあ:2009/06/18(木) 04:37:16
「講堂ってどこにあるんですか。」
「んーそうだなあ。一言ではいいきれないし。」と春日さん。
「ややこしいところにあるんですか。」
「いや、そういうことではないんだがね。」
「なにせん広いからねえ。」と葵姉ちゃん。
「迷ってしまう可能性もありますからね。」と葛城さん。
「そんなに広いんですか。」
「少なくとも裏の丘の向こうまで一応学校の敷地ですよ。」
「ま…マジで?」
「そういえば去年迷子になってしまった子がいませんでした?」と葵姉ちゃんが言うと、
「ああ、いたねえ。なんて言ったかなあの娘。」と春日さん。
「あの時は大変でしたねえ。」と葛城さんも相槌をうった。
「学校の中で遭難しちゃった人がいらっしゃるんですか?!」と驚くと、
「3日3晩捜索して、見つかった時は相当衰弱されてましたから。」
なんか嫌だな、それ。
「そうなってはいけないから私たちが薫さんを案内して差し上げますね。」
「ありがたいですが、母と一緒に回ることになっているんです。」
「かまいませんよ。薫さんのお母さんにもお会いしたいですし。」
「はあ、じゃあお願いします。」
2-5終わり、2-6に続きます
192 :
ふみあ:2009/06/19(金) 13:19:52
2-6講堂にて
>>薫
そういうことで僕ら4人は寮を出て僕の母親と合流するために学院の南側にある正門に向かった。途中いくつかの施設や学舎を通過するたびに3人からどういう建物か紹介してもらう。
中でも厳かな雰囲気を放つ礼拝堂ときれいな花が咲き乱れる庭園や温室、5階もある大きな図書館が印象的だった。
大通りに面した正門に着いた時には寮の玄関を出てからすでに40分以上経過しようとしていた、いくらゆっくり歩いていたとはいえ、ここまでは基本的に一直線だったので、
改めて学校の敷地の広さを思い知らされた。
193 :
ふみあ:2009/06/19(金) 13:27:19
校門ではすでに母が待っていた。どうやら泊まっていたホテルからこちらに直行してきたらしい。気のせいかいつもよりめかしこんでいるような感じがする。
母に葛城さんと春日さんを紹介しようとしたが、またしても葵姉ちゃんに先を越されてしまった。
「おはようございます。智代伯母さま。」
「おはよう葵ちゃん。えーと、そちらの方は?」
「こちらは私の先輩で3年生の葛城 紫苑さん。こっちが私の同級生の春日 雪乃さん。紫苑お姉さま雪乃さん、こちらの方が、私の母の妹に当たる人で薫ちゃんのお母様でもある、伯母の智代さんです。」
「はじめまして、薫の母です。いつも姪がお世話になっています。」
「はじめまして、葛城 紫苑と申します。こちらこそいつも葵さんには助けていただいています。」
「はじめまして、春日 雪乃です。よろしくお願いします。」
「こちらこそ、今年は姪と共にムス…メともどもよろしくお願いいたします。」
今絶対息子と言いそうになったな。間違いない。
194 :
ふみあ:2009/06/19(金) 13:28:31
「母さん、葵姉ちゃん達が案内がてら会場まで一緒に行こうと言ってくれているんやけど、かまわんよね?」と母だけに聞こえるように言うと、
「かまへんよ、むしろ良かったやないの。あんた会場の場所分かっているの?」
「なんとなくは。」
「なんとなくじゃあかんやないの。絶対に一緒に行ってもらった方がいわよ。」
「じゃ決定ということで。葛城先輩、母もかまわないそうなので、講堂まで連れて行ってもらいませんか。」と母に同意を取ってから改めてお願いする。
結局、校門から講堂まで交差点ごとに案内表示やスタッフの人がいてそれほど迷う危険性は少なそうだったが、目の前に現れた建物は度肝を抜くものだった。
講堂というと普通は体育館のことを表す言葉だと思うのだが、案内されたのは想像していたものとは全く違う、一言でいえば小規模の会議場やコンサートホールのような建物だった。
195 :
ふみあ:2009/06/19(金) 13:29:47
中の方もエントランスを通り階段を上がるとホールがあり、入ると、一番奥にステージのような演壇があり、それを扇形に囲むように階段状に座席が並んでいて、後ろの方にご親切に2階席までついている。まさに文字どうり講堂だった。
思わず「すごい。」といってしまった。
「そんなにすごいかい。」と春日さんが訊ねてきた。
「確かに他よりはしょぼいかも知れませんが、学校、それも高等学校にこんな建物があるなんてすごいです。」
「そんなにすごいかな。」
「すごいですよ。僕なんか講堂と聞いて体育館だと思い込んでいたんですから。それにしょぼいといっても、規模が小さいというだけで機能としてはその辺の会議場やコンサートホールよりも上を行っているんじゃないですか? たぶん。」
「さあね、わたしは詳しくないからよくはわからないが、そこまですごくはないだろう?」
「すごいですよ。というより珍しいです。」
「珍しい? 普通にあるものだと思うが。」
「そんなことないですよ、普通の学校にこういう建物はありませんし。」
「だけど、私は講堂というものはどこの学校にもあるときいたけどな。」
「そりゃ、確かにいますけど、普通の学校で講堂といったら体育館のことを指すんです。」
「そうなのかい。」
「大抵体育館の奥にステージを設置するものですから、大抵の屋内行事や演説は体育館で行われることが多いので、体育館のことを講堂と呼ぶ習慣があるんです。」
「ああ、だからさっき君は会場が体育館だと思い込んでいたと言ったんだね。」
「ええ。」
196 :
ふみあ:2009/06/19(金) 13:31:03
建物の中に入るとすでに入場の案内を始めていた。
「ではみなさん、また後で。」と3人に一時の別れを告げた後、母を促して会場となるホールに入った。
2-6終わり、2-7に続きます。
197 :
ふみあ:2009/06/20(土) 05:49:45
2-7入学式
>>薫
2階席に設けられた保護者席へ向かった母と別れた後、1階席の生徒席に向かうため生徒用の受付に行く。
「すみません。今度高等部に新しくは入ったものなのですが。」
「はいはい、ちょっと待っていてくださいね。」
応対してくれたのは50歳くらいの、眼鏡をかけた太ったおばさんの事務員だった。彼女と僕を隔てる机の上、彼女の前には灰色のノートパソコンが開いておいてある。
「お名前を言ってもらえるかなぁ。」と訊かれたので
「綾小路 薫と申します。」
「えーと、アヤノコウジ、カオルさんね。」
そういいながら彼女はおもむろにPCのキーボードを叩いていく。
「チョーと待っててねぇ。これ少し時間がかかるのよぉ。」
「はあ。」
しばらく待っていると。
「あ、出てきたわ。綾小路 薫さんやね。15-Fの席になるから。」
「わかりました。どうもありがとうございました。」
198 :
ふみあ:2009/06/20(土) 05:50:26
入学式のプログラムと座席番号の書いた紙をもらってF-15、F-15と念じながらホールに入ると、相当数の生徒が既に集まっている様子が見渡せた。
ホール自体の雰囲気はその辺のコンサートホールや会議場とそう大差ない感じである。やや橙のきつい黄色い光を放つ間接照明に音響の良さそうな壁や天井、これでもかとライトアップされたステージには豪華だが厳かなオーラを放つ演壇が真ん中に置かれ、
お約束のようにやや離れたところにグランドピアノが置いてある。ステージの奥の壁には校章旗と日本国旗がならんで掲げられ、その下に『202X年度 第11X回聖リリカル女学院高等部入学式』と達筆に書かれた横断幕が掲げられている。そしてステージからこちらまでずっと緋色の
着地が張られたジャンプ式の折りたたみ椅子の座席が通路の階段に沿って整然と並んでいる。ただ、その通路がど真ん中に一本とホールの壁沿いに2本の計3本しかないことと、扉自体は5つあるのに出口はステージ正面、一階席の一番後ろの列のさらに後ろに設けられたスペース、
今現在僕がいる所だが、の3つと、舞台の袖に設けられた非常口の3か所しかない点だろうか。2階席はよくわからないが真ん中の通路と非常口がなく、扉も2つしかないことを除けば1階と大差ないようである。
199 :
ふみあ:2009/06/20(土) 05:51:06
見たところ学生は真ん中付近、通路をはさんで二手に分かれて座らされているようである。
F-15の席はステージから数えて6列目、出口から向かって右側の真ん中の通路側の席だったのですぐに見つかった。が、なぜかそこにはすでに先客がいた。少し小柄だがセミロングの元気の良さそうな娘である。
「あの、すみません。」
「ごきげんよう。なんですか?」
「そこ僕の席なんですけど。」
「え、ここ私の席ですよ。」
「まさか、何番ですか。」
「私の席?」
「ええ。」
他に何がある。
「E-15よ。」
「ここF-15ですよ。Eならひとつ前の席です。」
「あなた何言ってるの。ここにE-15って書いてあるでしょ。」
といって、彼女は眼の前の座席の背もたれのトップに埋め込まれた『E-15』と書かれたプレートを叩いて、さも自分が正しいかのように「えっへん」と胸を張っている。よく見ればプレートの文字が上下逆に書いてあることに気付けたと思うのだが。
「だから私が間違っているというのは間違いよ。他をあたりなさい。」
「ちょっと待ってください。このホールの座席はステージから数えて一番前がA、そこからアルファベット順にTまであるんですよね?」
「それがどうしたの。」
「ということは、あなたの席がEで始まっているんなら、あなたの席は前から5列目ということになりませんか?」
「そうなるわね。」
200 :
ふみあ:2009/06/20(土) 05:51:47
「でもここ前から6列目ですよ。」
「E-15と書いてあるわよ。」
だからそれは己の目の前の席の番号だっつうの。埒が明かないので後ろの席、G-15に座っている娘に声をかける。
「すみません。ちょっといいですか。」
「なんでしょう?」
「ここF-15番ですよね。」
「そうですよ。座席にそう書いてあるでしょう。」
「ありがとう。ほら、やっぱりここF-15ですよ。E-15じゃないですよ。」
と第三者の言質を取った上で言うと。
「わかったわよ。前に移るわよ。ごめんなさいね。」
と謝っているというよりは、ふてぶてしいというか、いかにも譲ってやったわよとでも言いたげな不遜な調子でこう言って、彼女はどうにかその場をどいてくれた。