>>1 乙華麗。
立てようと思ったけど無理だった。
4 :
どぼ〜ん氏 ◆uyTQki4lmE :2005/10/02(日) 00:59:32
【ニャー】
ある朝。
「ニャー」とタマが、鳴いた。
「ワァン」とポチも、吠えた。
「う〜ん」と拓也は、起きた。
日曜日、まだ5時前の早朝の事だった。
5 :
ストロー ◆7QOEED6i7g :2005/10/02(日) 15:48:15
トリップ変更。
--------------------
『お月様日和の庭で』
隣人が境界線を越えて庭に侵入して来た。
奴は紫陽花を踏み潰し向日葵の種をばら撒いて、
バイバイも言わずに帰っていった。
三角形の月が薄く光ってた夜。
早くだれか投稿しろよ。
7 :
どぼ〜ん氏 ◆uyTQki4lmE :2005/10/03(月) 01:20:09
【本当の姿】
宇宙人がやって来た。
銀色の飛行物体に乗って来たかと思うと、すんなりと地上に降り立った。
夢にまで見た異星人。しかし、そいつは想像以上に気さくな奴だった。
「どうもどうも、はじめましてと言いましょうか、ユジル星のジザと申します」
飛行物体の扉が開いたと同時に、甲高い声を響かせて笑顔を見せた。
姿形は地球人に似ている。多少、頭部が大きく膨らんでいるような気がするだけだ。
その馴染みやすい風貌と明るい性格で、ジザはすっかり地球に溶け込んでいった。
そんな、ある日の事である。
「あれぇ? 地球の皆さんって、エイズに対する免疫って無いんですか?」
「そうなんですよ。我々もこの新しいウイルスにはほとほと困り果ててるんです」
「……ふ〜ん、意外と弱い種族なんだな」
ジザは地球人の弱みを見つけると、途端に態度が変貌した。
友好的だった交流から、次第に脅迫めいた要求をしてくるようになっていった。
「俺もエイズであんたらを殺したくない、お前らもエイズで死にたくないだろ?」
眼つきは変わり、口調も巻き舌になっている。
ジザは豪邸に住み、高級車を乗り回すようになった。夕食は毎晩、キャビアである。
政府は手の打ちようが無かった。国民を守る為、要求を呑むしかなかったのだ。
「なんて奴だ。来た時はあんなに低姿勢だったのに、本当の姿はあれだったんだな」
人々は口々にジザの悪口を言った。そして、耐え難い不満がピークに達した時である。
一人の学者が、ユジル星人は塩水を浴びると体が溶けてしまう事を見つけ出した。
それがニュースで流れると、人々は一斉にジザのいる豪邸に塩水を持って押しかけた。
それを見たジザは、驚いた。そして、震える声でつぶやいた。
「やっぱり、そうだったんだ。こいつらの本当の姿は凶暴で残酷無比な殺し屋なんだ」
早く誰か投稿しろよ
9 :
どぼ〜ん氏 ◆uyTQki4lmE :2005/10/04(火) 03:03:57
【部屋の精】
「三つの願いを叶えてやろう」
ベッドに寝転がりながら雑誌を読んでいた山田はその声に髪の毛が逆立つほど驚いた。
見れば、傍らに白く長い髭を生やした小柄な老人が立っている。
気配もなく、忍び寄ってきたのだろうか。見たこともない老人に少々たじろいだ。
「おたく、誰ですか?」
「そんな事はどうでもいい。願いを叶えてやろうと言っているのだ、早く言いなさい」
「急に言われても……、そもそも、どうやって入って来たんですか?」
「まどろっこしい奴だな。あと12行しかないんだ、さっさと言わんか」
老人は苛立ちながら、持っていた大きな木の杖を山田の胸ぐらに押し付けた。
「要するにランプの精とか、そういった類の方なんですね」
「ああ、そうだそうだ。この部屋の精だ。それでいいんだろ、願いを言え、早く」
山田は10秒かそこら考えた。そして、一つ目の願いを言った。
「それじゃあ、永遠の命が欲しい」
「そうか、分かった。永遠の命だな。与えよう」そう言うと、杖を大袈裟に振り回した。
しかし、何も変わらない。山田は考える間もなく、次の願いを言った。
「永遠の命じゃ、実感が無いからな……、それじゃあ、大金持ちになりたいな」
「うむ、分かった。大金持ちだな。叶えよう」そして、杖を振った。
すると、途端に山田の体はみるみるうちに小さくなり、米粒ほどの大きさにまで縮んだ。
老人はすかさず懐から10円玉を取り出すと、山田の上に投げつけた。
ズシィ! 地面が揺れたかと思うと山田の上に銅の塊が倒れてきた。
「く、苦しいぃ、何するんだ、ジジイ! これのどこが金持ちだよ、早く元に戻してくれ」
「残念だな、三つ目の願いがそれなんだな。仕方ない、叶えよう」
山田の体は、すぐに元に戻った。
気づけば、老人の姿はすでに無い。夢のようだったが、悔しさだけが胸の片隅に残った。
使い古されたオチだが、
毎日書いてることには頭が下がるな。
11 :
名無し物書き@推敲中?:2005/10/04(火) 05:11:23
「あと12行しかないんだ」で
笑った。
2ちゃんねるの怪談
それでは恒例の2ちゃんねるきもだめし大会を開催いたします。
お手洗いの御用はお早めに。
「よっ、待ってました!」
まずは、その1。夜12時ちょうどに見ると、不気味に笑い出す2ちゃんねるの壷。
「あ、聞いて聞いて。試したの、ぼく。よく聞くとスピーカーが鳴ってるんだよ、つぼぼぼぼぼ……って。こわかったぁ」
では、その2。書き足される、レス。
「書き込むと、最後に一行『氏ね』とか書き足されてるんだよね。うわぁやだやだ」
その3。こてハン「花子◆ikS6Uue9h」。呼び出すには、名前欄に三回『hanakosan』と書き込む。
「fushianasanって書くとIP抜かれるよ。ぼくは騙されなかったからね。ホントだからね」
その4。深夜になると動き出すアスキーアート。
「モナーが踊ってたりするんだよね。こわー」
その5。数えると21行ある20行ショートショート。
「うわ、掟破り! こわすぎ!」
その6。鏡合わせのID。話し掛けると、もうひとりの自分がそこに。
「三回遇うと死んじゃうんだっけ? ドッペルゲンガーみたいなものなのかな」
その7。開かずの赤いスレッド。
「無理やり読み込むとモニタに引きずり込まれるんだよね。そして誰も帰ってはこない。うにゃあ」
そして、これが最後の恐怖。7つの秘密すべてを解き明かしたそのとき……
「きゃっ!?」
おや、どうかしましたか?
「こ、このショートショート、21行ある!」
13 :
どぼ〜ん氏 ◆uyTQki4lmE :2005/10/05(水) 10:24:49
【甲子園の精】
超満員札止めの甲子園、今日も熱い阪神ファンで埋め尽くされていた。
地響きが起こるほどの声援は、隣の人の声さえも聞き取る事が困難である。
それが甲子園であり、今の阪神の強さでもあるのだ。
しかし、今日は負けている。0対1で迎えた9回裏1アウト、打者は赤星。
「赤星が出ればチャンスは広がるんや、このままじゃ帰れへん。ヒットを頼んます」
仕事帰りに駆けつけた山田は、手を合わせ、拝むようにそう言った。
すると、途端に赤星は打った。ショートの頭上を越える綺麗なヒットだった。
甲子園は大いに揺れた。山田も我を忘れたかのように絶叫した。
「よっしゃ! ええぞ赤星。俺はお前を信じとった。ほんま可愛いやっちゃ」
2番鳥谷が打席に立つ。マウンドには横浜の最速投手クルーン。
「日本一の最速はお前や。赤星、走ったれ!」
そう言うと、クルーンがまだ構えてもいないのに、赤星は突然走り出した。
簡単にはさまれ、タッチアウト。
呆気にとられる場内、山田も目の前の光景が信じられなかった。
この大事な場面、あまりの出来事に甲子園のボルテージも一瞬トーンダウンした。
「鳥谷、あとはお前だけが頼りや。何とか三振だけはせえへんでや」
「それが三つ目の願いですか、ちょっと地味ですね。分かりました、叶えましょう」
静まり返った観客のざわめきの中からそんな声がふと聞こえてきた。
が、気にする山田ではない。
最後のバッター鳥谷に集中している。クルーンは大きく振りかぶり、投げた。
――――山田の願い通り鳥谷は三振しなかった。
クルーンの初球を平凡なセカンドフライにし、試合は終了した。
14 :
どぼ〜ん氏 ◆uyTQki4lmE :2005/10/06(木) 18:06:57
【絶望】
ぼくはこの世界に絶望を感じている。
この嘘っぱちに溢れた、でっち上げの世界に嫌気がさしているのだ。
ニセモノの笑顔が飛び交い、使い古されたおべっかばかりが繰り返される。
それが、ぼくを息詰まらせているのだ。
現代の子供は過保護に守られ過ぎていると大人たちは言う、確かに当たっている。
世の中は過剰なまでに発達し、我々が生きていく為のエネルギーさえも奪っていった。
それが、ぼくには苦痛なのだ。
死のうにも死ねない管理社会が、ぼくの唯一の生命線であり、孤独の原因でもある。
そして、辿り着いた感情こそが絶望だった。
助けてくれ、助けてください、お願いです。ぼくの心の声はどこにも届かない。
ぼくはこの嘘っぱちに世界に絶望している。
現実に触れることすら出来ない、架空の小さな宇宙の名は「絶望」だ。
他の奴らは気づいちゃいないが、この保育器とやらは天国なんかじゃない、絶望なのだ。
17 :
21歳女子大生:2005/10/06(木) 21:50:46
18 :
どぼ〜ん氏 ◆uyTQki4lmE :2005/10/06(木) 23:17:42
【ストーカー】
裕子は出張から帰ってきた雄二を、待ち構えるようにして出迎えた。
「あなた、待ってたわ。怖い事が起きたの。警察にも連絡しようかと考えてた所よ」
「どうしたんだ? そんなに慌てて」
雄二は妻の動揺を見ても、少しも動じる様子は無かった。重い荷物を無造作に置き、疲
れた表情のままソファに体を投げ出すように腰を下ろした。
裕子は反応の鈍い夫に苛立ちながらも、必死で詳しい説明を続けた。
「ストーカーらしいのよ。明らかに私を狙ってたわ」
「そんな、お前の思い込みじゃないのか?」
「違うわ! あれは間違いなく私を目的としたストーカーよ」
裕子は声を荒げた。夫の疲れきった表情は分かっていたが、黙っている事も出来なかっ
た。朝から家から一歩も出ずに、雄二の帰りを待っていたのだ。何度も警察に連絡しよう
としたのだが、相談してからにしようと思い止まっていた。
「あなたが出張に出てから、すぐだったと思うわ。怪しい男の姿を見かけたの。気のせい
だと思って放っておいたんだけど、つい三日前の事よ。庭で変な音がするからカーテンを
開けて覗いて見たのよ。そしたら、いたの! その男が。間違いないわ。顔ははっきり見
なかったけど、あのシルエットは確かに私を付け回していたストーカーだったわ」
息継ぎもせずに一気に喋りまくった裕子は、肩を揺らしながら荒い呼吸をしている。
雄二もそんな妻を見たのは久しぶりで、心配そうに見つめた。
「まあ、それだけで警察に連絡するのは、少し早いんじゃないか?」
「それが、昨日の晩の事よ。夕食を食べ終わった後、台所にいたの。そしたら、例の男が
そこの窓ガラスをノックしたのよ。私、びっくりしたわ。殺されるかと思ったわよ」
「本当に、怖かったのか?」
「当たり前よ! 見知らぬ男が家の庭に入り込んでいるのよ。怖いに決まってるわ」
それを聞いた雄二は、うつむいて軽く息を吐き出した。
「でも、お前は裸のまま、男に見せ付けるようにカーテンを開けっぱなしにしただろ」
「え?」裕子の顔色が凍りつくように一変した。
「男は、そんなお前の誘いに乗って来なかった。だから、腹が立ったんじゃないのか?」
雄二の冷静な視線に、裕子は全てを悟り、力なく目を逸らすだけだった。
19 :
ストロー ◆7QOEED6i7g :2005/10/06(木) 23:32:16
『儀式的な』
一本足のアマガエルはロケット花火と一緒に新しい世界に沈むんだろう。
多分そこには、たくさんの宙ぶらりんのロケット花火が小さなパイロットたちを乗せたまま静止している。こいつらは何にも考えていないんじゃない、考えすぎて、考えすぎて、思考がちっぽけな脳みそを飛び出して、自由に踊っているだけなんだ。
僕はそんなことを考えながら、用水路にライターを捨てる。こんなことをしなくても大人に成れるって思いたかったから。
僕はこいつらをそのままにしておいた。多分、誰かが大人に成りたがっているから。
20 :
ストロー ◆7QOEED6i7g :2005/10/06(木) 23:33:09
『午後の二者択一』
蟻が左に進もうか、右に進もうか悩んでいる。そう見えるだけかもしれないが、僕からはテーブルの上で戸惑っているように見える。
左には僕の左手、右には僕の右手がテーブルの上空10cmに浮かんでる。多分こいつには、もうテーブルから降りれないのがわかっている。
右でも左でも結果は同じだってわかってる。
数分の間、触覚をクシャクシャ動かしながら、その場を円を描くようによろよろ歩き回った末にこいつは決心をしたように左に進んだ。
こいつが右と左で悩んだように、僕もテーブルの上空に浮かぶ両手をどうするか悩んだ。でも結局、答えは最初から決まってた。
21 :
名無し物書き@推敲中?:2005/10/06(木) 23:37:19
とおいとおい空に、星のおひめさまと月の王子さまがいました。
星のおひめさまはどんな星よりも輝いていました。
それはそれは美しく、月の王子さまは気付くといつもいつも星のおひめさまを見つめていました。
『なんと美しく輝くのだろう』毎晩、毎晩、空が暗くなっていくのを待ちました。
ある晩、月の王子さまは歌を歌いました。
『君のなまえはなんだろう?君のたいせつなものはなんだろう?
同じ空にすむのに、何にも知らない。
輝く星よ。教えておくれよ。
切ない時間が長くなる。
切ない時間が長くなる。』
星のおひめさまはその歌を聴き、覚え、一緒に口ずさむようになりました。
星の王子さまは嬉しくなり、いくつもいくつも唄を歌いました。
けれどある晩、空で一番偉いおじいさんに歌うことを禁止されました。
すると星のおひめさまは月の王子さまをいつしか忘れてしまいました。
月の王子さまはひどく悲しくなりました。
そしてこの唄を心の中で歌いました。
『君のために唄を歌いたいよ。
君にこの唄を届けたいよ。
ただそれだけなのに。
君のために唄を歌えないよ。
君にこの唄は届かないよ。』
>>18 タイトルでオチが分かる
>>19-20 嫌いな人もいるだろうが、俺は好き。ショートショートとしてのサービス精神がほしいところ
>>21 ポエム?
23 :
21歳女子大生:2005/10/08(土) 14:40:38
>>18途中で楳図かずおの「内なる仮面」という漫画を思い出して、おちが読めました。
>>22さんのようにタイトルだけではわかりませんでしたが。。。
18は阿部公房の「他人の顔」から着想を得たのでしょうか?
でも、
>>18は妻と夫の会話がやたらと長くて冗長です。
24 :
ストロー ◆7QOEED6i7g :2005/10/08(土) 16:47:59
>>22 どうもです。
ショートショートのサービスというのは、やはり落ちのことなんでしょうか?
25 :
ストロー ◆7QOEED6i7g :2005/10/08(土) 22:56:53
『絶望コーヒー』
僕は白濁した絶望をコーヒーに注ぐ。インスタントコーヒーの真っ暗い世界に絶望が渦を描いて混ざってく。そこで僕は気づく。
「なんてこった、冗談じゃない。こんな苦いもんに絶望なんかが混ざったところで意味が無いじゃないか!」
スプーンで勢いよくかき混ぜ、渦を渦で相殺し、憎しみを二杯溶かし、スプーンで猛烈にかき混ぜる。台風みたいな渦ごと僕は一気にのどに流し込む。
火傷をした。やっぱり絶望だ。
『携帯』
ピロリロリ・・・ピロリロリ。
俺の携帯が鳴った。
ん・・・ああ、あいつか。
「・・・ああ、俺だ・・・。わかってる・・・。」
誰も居ない路上で、座りながら話している。
まだバスは来ないと高を括っていたのだが・・・。
「ああ・・・来ちまったじゃねえか・・・。」
俺は鞄を背負い、ゆっくりと立ち上がった。
「ごめん、バスが来た。もう切るぞ・・・。」
そう言って通話を終了した。
ブウゥウウウン・・・。
ドアが開き、俺はオンボロのバスに飛び乗った。
ドアは軋めきながら閉まり、中は静まり返った。
誰も居なかった、俺一人だと気づいた。
向かう行き先は途方もない場所。
俺は携帯を取り出し、番号を打った。
「向かってくれ・・・もう準備はできてる・・・。」
バスは鈍い音をたてて走り出した。
携帯についているメール機能を呼び出す。
そして『31855191』とボタンを押して、送信した。
闘う妹
「お兄ちゃんは、あなたなんかに渡さない!」
えらくちっちゃい女の子だ。まさに妹。妹となるべくして生まれてきたに違いない。
俺と武人とその彼女の三人は、突然出現した妹に驚き、固まっていた。
妹が指を突き立てて言い募る。
「お兄ちゃんはあなたのせいで変わっちゃたんだから!
服装とか髪形ばっかり気にして、あたしと全然遊んでくれないの!
どうしてくれんのよ!」
言っておくが、この妹は俺のじゃない。
こっそり武人の顔色をうかがうと、奴も困ったようにこっちを見ていた。
やっぱりな。
ったく、こいつはちょっと美人の彼女ができたからって妙にカッコつけになりやがって、
妹の面倒ぐらいちゃんとみろよな。なさけねえなあ。
「絶対絶対許さないからね! あんたなんて……あんたなんて……お兄ちゃんのバカあっ!!」
うわぁん、と大泣きしながら、妹は走り去っていった。
あーあ、どうすんだあれ。
俺は、ひとつため息を吐き出し、
「……おい、あとでちゃんと謝っとけよ。それと、少しぐらい遊んでやれよな」
「は、なんで俺が。おまえの妹だろ?」
あれ?
見ると、武人も意外そうな顔をしている。
俺の妹でもないし、武人の妹でもないのか? じゃあ、いったい……。
武人の美人の彼女が、そっと視線を逸らした。
28 :
どぼ〜ん氏 ◆uyTQki4lmE :2005/10/09(日) 02:15:53
【ストーカー2】
「違うわ」
裕子の声は静かに低く、怒りの表情へと変貌している。
「あなたは偏執狂よ。わたしが出張のたびに浮気をしてると思い込んでいるキチガイだわ」
「違うのか?」
「当たり前じゃない。自分の夫が、分からないとでも思うの?」
雄二は言葉に詰まった。確かに、そうだ。あんな変装で判らないはずがない。恥ずかし
さと同時に、妻を裏切ってしまったような罪悪感で胸が痛んだ。怖かったのだろう、そし
て、寂しかったのだろう。雄二は小さな声で謝罪の言葉を呟いた。
「すまなかった……」
「あんなマネして、ごめんなさい。でも、気づいて欲しかったの」
その時、居間の窓ガラスを誰かがノックした。
開けたカーテンから光が漏れる、そこには隣の旦那が素っ裸で立っていた。
29 :
名無し物書き@推敲中?:2005/10/09(日) 12:34:46
考える名無しさん :2005/10/09(日) 01:39:02
ある病室に2人の末期ガンの患者が入院していた。
一人は窓側のベッド、もう一人はドア側のベッド。
2人とも寝たきりの状態だったが、窓際のベッドの男は
ドア側のベッドの男に窓の外の様子を話してあげていた。
「今日は雲一つない青空だ。」「桜の花がさいたよ。」「ツバメが巣を作ったんだ。」
そんな会話のおかげで死を間近に控えながらも2人は穏やかに過ごしていた。
ある晩、窓際のベッドの男の様態が急変した。自分でナースコールも出来ないようだ。
ドア側の男はナースコールに手を伸ばした。が、ボタンを押す手をとめた。
「もしあいつが死んだら、自分が窓からの景色を直接見れる・・・」
どうせお互い先のない命、少しでも安らかな時をすごしたいと思ったドア側のベッドの男は、
自分は眠っていたということにして、窓側のベッドの男を見殺しにした。
窓側のベッドの男はそのまま死亡した。
晴れて窓側のベッドに移動したドア側のベッドの男が窓の外に見たのは、
打ちっ放しのコンクリートの壁だった。
30 :
名無し物書き@推敲中?:2005/10/09(日) 16:55:46
その少女はまさに男性の多くが望む理想的な性格をしているように見える
お淑やかで誠実で美人で理性的で賢く一人の男に尽くす、そんな性格に見えた
「逆光源氏計画です」
と、少女は友人にのたまう。
「つまり、美少年を見つけて自分の好みに育てるのね」
「違います。まだ自分がつぼみのうちに男性を見定めて、その方の好みにあうように育つのです」
なるほど、確かにある意味では逆パターンである。
「そう、あれは私が12の時でした。あの日、あの方にお会いした私は一生をあの方に捧げようと決意したのです」
「気の早い話ねえ。その人が期待はずれだったらどうすんのよ?」
「大丈夫です。あの方は誠実でとても心優しい方です。7年間みてきましたが、浮いた噂一つ立ちませんでした」
「それはそれで問題あるわよ」
「大丈夫。ここで私があの方を長くお慕いしていたことを伝えましたら、きっとホロリときて、そのままゴールイン、ですわ」
「うーん」と友人は首をかしげた。
「何か?」
「それはAさんのことよね?」
「はい、もちろんそうです」
「あの人、結婚してるんだけど……」
「そんなはずは……」
彼女はそういって飛び出して、絶望した表情で帰ってきた
「あんた、7年間もあの人の何を見てきたのよ」
31 :
21歳女子大生:2005/10/09(日) 22:24:27
>>29うわぁ、すごいですね。
最後の一行で「絶望」とは何かを語っちゃてる。
32 :
どぼ〜ん氏 ◆uyTQki4lmE :2005/10/10(月) 01:36:49
【恋の秋】
山田幸恵は夏も終わろうとしている今頃になって、恋をした。
生まれてから18年と3ヶ月、これが初めての恋だった。
優等生で努力家、明るくこうと決めたら必ずやり遂げるのが幸恵の良い所である。
欠点は特に無い。
と言いたい所だが、顔の作りだけは不整列な配置となっていた。
医者が包帯をゆっくりと取り除きながら言った。
「成功と言えば成功です。しかし……、個人的には再手術をお勧めします」
「気にしないでください、先生。価値観は人それぞれなんですから」
そう言うと、手鏡で満足そうに変わり果てた自分の顔を見つめた。
相手に好かれようと決心したのは1年前。
大掛かりな整形手術の為に貯金を貯め、男の好みの趣味を徹底的に調べ上げた。
血液型はA型。好きな食べ物はカレーライス。趣味は映画と水泳。
性格から仕草まで、時間が許す限り分析していった。
忍耐強い性格が功を奏したのか、相手のほとんどを手にしたと言ってもよかった。
「どうですか? 自分で見て。これがあなたの望んだ姿ですよ」
「先生、素晴らしいです。ありがとうございました」
美白を通り越した真っ白な幸恵が微笑んだ。耳だけが真っ赤に充血し、髪は黄色だ。
相手の為なら何だって出来る。カレーライス顔をした幸恵はそう思った。
初めて恋に目覚めた、秋の出来事だった。
>>28 自分の夫が、分からないとでも思うの?」
雄二は言葉に詰まった。確かに、そうだ。あんな変装で判らないはずがない。
矛盾してません?
34 :
どぼ〜ん氏 ◆uyTQki4lmE :2005/10/11(火) 11:04:22
【矛盾】
まだ若い山田一郎は無所属で出馬しながらも、見事に当選した。
沸き立つ事務所、マスコミや関係者でごった返す中、家族三人が抱き合っている。
三人は恥らう事もなく涙を流し、その場を感動的に盛り上げた。
しかし、やっかみもあってか陰で彼を悪く言う者もいた。
「あいつは言ってる事とやってる事が、ほとんど一致してないペテン師だ」
「そうだな、矛盾とはああいう奴にこそピッタリの言葉だよ」
「汚い奴こそおいしい思いをする。そこらへんは当たってるけどな」
「子供はしっかりと見てるだろう。虚実の方をあの小さな家族で確かめてみようか」
そう言うと、二人の男は山田の5歳になる息子を隅の方へ呼び寄せて聞いた。
「なあ坊や、本当の所、お父さんは普段はああじゃないんだろ?」
「うん、そうだね」
「あんなに笑顔も無いし、ああやって他人に感謝したりもしてないだろ?」
「うん、普段はあんなんじゃないよ」
平然と答えるその言葉に、二人の男は嬉しそうに喜び合った。
小さな息子は、控えめに言葉を付け加えた。
「家の中ではもっと明るい笑顔だし、もっと住民の人達の事を真剣に考えてるよ」
そう言うとニコリと笑った。
山田家には矛盾など無い、本音と建前が見事に両立され根付いていたのだ。
35 :
名無し物書き@推敲中?:2005/10/11(火) 13:14:47
>>29 最後まで読んだ途端、
後ろから頭をガンッと殴られたよ。
>>24 YES 一つか二つの楽しい仕掛けが欲しい。今はショートショートというより、どちらかと言うとエッセイ・コラム的な面白さ。
>>25 雰囲気あるね 「二十億光年の孤独に 僕は思わずくしゃみした」を思い出した
>>30 友人と私のバランスは微笑ましい
>>32 現実感がない
>>34 ひねりがない
38 :
どぼ〜ん氏 ◆uyTQki4lmE :2005/10/13(木) 00:25:22
【YES】
今日、社長に肩を叩かれた。「頑張ってるか?」それだけを言って去って行った。
今日も社長が来て、肩を叩いた。「どうだ、調子は?」
また、今日も肩を叩いた。「今日は良い天気だな」意味有りげな感じである。
自分が会社のお荷物なのは知っている。
私だって、それぐらいの事を気づかないほどバカでは無い。
言いづらいだろうが、こんな生殺しは苦しいだけだ、一思いに切り殺して欲しい。
今日の社長は覚悟を決めた表情をしている。
答えは「YES」だ。
誰もいない昼休み。社長はいつものようにゆっくりと私へ近づいて来る。
そして、私の腰に手を回すと言った。
「どうだ? 今度、二人で温泉でも行かないか?」
>>37 「二十億光年の孤独に 僕は思わずくしゃみした」
これって確か『少年』だったっけ?
『下克上』
俺は今年、転職して新しい会社に入った。
そこでは、高校時代付き合っていた彼女が働いていた。
彼女は当時、あまり出来の良いほうではなかった。
むしろ俺のほうが優秀だった。
「ちょっと、そこのファイル直しといて。」
「あ、はい。」
しかし、今では彼女は俺の上司で、俺は彼女の部下になっていた。
高校の頃、勉強が分からなかった彼女によく教えてあげていたものだ。
あの頃の彼女は、まだ純粋であどけなかった。
廊下で彼女とすれ違ったとき、俺は彼女に話しかけた。
「なぁ・・・俺達、やり直さないか?」
彼女は俺を見つめ、そして言い放った。
「あなたは私を好きだったんじゃないわ。あなたは私より頭が良かったから、優越感に浸りたかったのよ。
でも今は違う。もう昔のような私じゃないわ。」
彼女はそう言い残し、足早に去っていった。
クソッ!俺は壁を蹴った。
確かにそうだった。俺は人の上に立っていたかったのだ。
俺と彼女の立場は一気に逆転した。
見返してやる、絶対に!
今度は彼女と対等に並べるように。
>>39 二十億光年の孤独 谷川 俊太郎
人類は小さな球の上で
眠り起きそして働き
ときどき火星に仲間を欲しがったりする
火星人は小さな球の上で 何をしているのか 僕は知らない
(或いはネリリし キルルし ハララしているか)
しかしときどき地球に仲間を欲しがったりする
それはまったくたしかなことだ
万有引力とは ひき合う孤独の力である
宇宙はひずんでいる
それ故みんなはもとめあう
宇宙はどんどん膨らんでいく
それ故みんなは不安である
二十億光年の孤独に
僕は思わずくしゃみした
俊太郎かっこいいな。
43 :
ストロー ◆7QOEED6i7g :2005/10/13(木) 22:44:30
同意。
44 :
名無し物書き@推敲中?:2005/10/13(木) 22:48:11
最後の行のくしゃみをしたっていうのは、どういう意味が込められているのでしょうか?
45 :
どぼ〜ん氏 ◆uyTQki4lmE :2005/10/14(金) 00:13:01
【河童】
村のあちこちの畑が荒らされ、それが河童の仕業ではないかと噂が流れていた。
のん気な太助は、「バカな」と聞く耳を持たなかったのだが、その声を聞いた時にはさす
がにギョッとした。
「オラ、腹が減ってんだ。そのキュウリをおくれよ」見ると、河童が立っていた。
「バ、バカ言うでね。お前にやるキュウリなんぞあるもんか」
太助はちっとも愛嬌のない河童の姿に怯えながらも、必死で言い返してやった。
「そんなにいっぱい生ってんだ。一本、オラにおくれよ」
河童は身を捩るようにして水掻きの付いた緑色の両手を差し出した。太助は恐くなり、
急いで手元にあったヤツを放り投げた。
「あんがと」そう言ってキュウリを掴むと、河童は素早く森の中へ姿を消してしまった。
――――次の日。
太助は自分の畑に着く途端、愕然とした。昨日まで豊かに成長していた作物が滅茶苦茶
に荒らされていたのだ。太助は今までなかったような怒りが腹の底から沸いてきた。そして、
その足で河童がいるであろう住処へと、突風のごとく駆け出した。
「お、おい河童、やってくれたな。大事な作物をめちゃめちゃにしやがって」
河童は岩の上でぐったりと横になっていた。太助はありったけの声で怒鳴った。
「すまねぇ。気づかなかった。おめえの畑、潰れちまった」
「誰のでも関係ねえ、悪い事じゃ! 人様の畑を荒らしやがって懲らしめてやる」
そう言うと、太助は持っていたこん棒で河童を殴りつけた。何度も何度も殴ってやった。
河童はじっと我慢して声も出そうとしなかった。太助は疲れるまで殴り続けると、こん棒
を放り投げ、「悪さをするとこうなるんだ」悲しげにそう言うと、その場を立ち去った。
腹の虫が納まらないまま家に着くと、庭にイノシシが一匹倒れている。気づかなかった
が、朝から置いてあったのだろう。良く見るとトマトを食ったように赤く染まっていた。
太助ははっとして、河童が言っていた言葉をもう一度思い出した。
「もっと早く気づいとれば、あんな事にならなかったのに」
犯人はこのイノシシだったのだ。怒りで言葉の意味を聞き取れていなかったのだった。
独り者の太助は、その晩河童を夕飯に誘った。これが、友情の始まりだった。
>>27 ワロタ。
ただ、四コマ漫画でこういう話をみたことがある気がする
47 :
名無し物書き@推敲中?:2005/10/14(金) 03:09:58
>>45 生ってる
悲しげに→腹の虫がおさまらない
(イノシシが)置いてあった
など気になりました。
そんなに殴られてからすんなり友情が生まれたなんて人間の調子よすぎ。
50 :
どぼ〜ん氏 ◆uyTQki4lmE :2005/10/15(土) 00:06:07
【暗記パン】
「山田くん、喜んでくれ。昨日徹夜して“暗記パン”を完成させたんじゃよ」
「……どこかで聞いたような名前ですね。でも、凄いですよ。さっそく試しましょう」
「よし、じゃあ、何から記憶しようかのう? 山田くん、何がいい?」
「知りませんよ。別に知りたい事があれば、インターネットで検索できますからね」
「そんな夢のない事を言うなよ。もっとテンションを上げてくれ」
「まあ、有名な詩でも暗記すればいいんじゃないですか? それで女を口説いたりね」
「いい事言うのう、クククク。よし、それでいこう」
――――次の日。
「おはよう、山田くん。キミはとんでもない事をしてくれたね」
「どうしたんですか? 博士」
「朝っぱらから、ランボーとやらの訳の解らん詩が頭から離れんのじゃよ」
意味が分かりません
>50
政治家の名言を丸暗記して今後の社会に活かしましょう
↓
おちが 「記憶にございません」 とか
このままだと明白感が薄い。記憶パンという素材を活かしきれてないかんじだ。
影ながら応援してるので頑張ってほしい。
53 :
ストロー ◆7QOEED6i7g :2005/10/15(土) 19:54:04
『生き方への行き方』
彼女はファミリーレストラン型の生き方を模索する。それは決して平坦な道のりではなかった。
だけど彼女は諦めなかった。不定期にバイトをしながら世界中のファミリーレストランに足を運び、
図書館で研究をし、時には大学の教授に話を聴きに行ったこともあった。そんなことを彼女は6年間も続けていた。
彼女は飛行機の中で紙飛行機型の生き方をしていると言う老人と隣の席になった。
「紙飛行機型の人生は素晴らしいですか?」
「そんなことはない。全くもってそんなことは無い。下らないよ、実に下らない。
私は27歳の時、空を見上げた。それがまずかった。下らないことなのさ、神様みたいにね。」
老人はそれきり黙りこくってしまった。たった十数秒の会話だったけど彼女には確信が生まれた。
空を見上げることが重要なんだと。
彼女の生活は一変した。図書館にも行かなかったしファミリーレストランにも行かなかった。
毎日のように空を見上げていた。彼女はいつの間にか空の全てを知っていた。
でもそれを知ったのは全てが関係なくなる直前だった。
54 :
ストロー ◆7QOEED6i7g :2005/10/15(土) 19:56:32
>53
会話文が入ったりすると途端に世界観が壊れてしまう、程度の低い文章
しか書けませんorz
どうにかして世界観を確定させなければいけないとは思うんですが、
どなたかアドバイスお願いします。
55 :
名無し物書き@推敲中?:2005/10/15(土) 21:45:14
俺には意味が分からない
【ぱぱ】
「まぁま」
「ぱぱ」
最近になってやっと言葉を話すようになった。
最初に言った言葉は「まぁま」のほうだった。
子供というのはやはり母性を優先するものなのだろう。
少し悔しい気はするが、それでもかわいい我が子の成長を見るのはうれしい。
喜びのあまり、私は両親と弟を家に呼び寄せた。
「ぱぱ」と私の父に笑いかける
「まぁま」と私の母に同じく笑いかける
そうか、まだこの子にとって男の大人はみんな「ぱぱ」
女の大人はみんな「まぁま」なんだな。
それでも両親と私たち夫婦、弟の5人は穏やかな微笑みに包まれている。
この子がしゃべるというそれだけで、人を幸せにできるなんて。
子供というのはかわいいものだと改めて思ったりもした。
そのとき子供がひときわ大きい声で
「ぱぁぱ!!」
と弟に笑いかけた。
二人を除いて、その場はまた幸せに包まれた。
【命の儚さを】
「よっし、油蝉げっとぉ〜」
網にかかった蝉はジィジィと苦しげに暴れている。
僕は達成感に満たされていた。今日はじめての収穫だしね。
どんな獲物か、もうちょっとよく確かめようとしたときだった
「――これこれ」不意に呼びかけられた。
見ると、いかにもボケてそうな爺さんがじっと僕を見ている。
そして、僕が何も言わないうちに話は続けられた。
「蝉というのはな」
「何年間も土の中ですごし、地上で生きていられるのはほんの数日」
「しかも、その死因は餓死なんじゃよ」
「細い口で樹液を吸うんじゃが、それだけでは栄養が足りんのじゃ」
「命は儚く重いもの、その意味を考えなさい」
それだけ言うと、爺さんは背を向けてどこかに行ってしまった。
そうか、そうなのかお前。
僕は網にかかったままの蝉をじっと見つめた。
――でも、関係ないね。
僕はもう一度糸を吐きかけ、蝉の動きを完全に止める。
そして、顎をぶすりと蝉に突き刺した。
こっちだって無数にいた兄弟を大半失って、必死で生きてきたんだから。
人間の感傷なんかにつきあっちゃいられないんだ。
>>56 弟を呼んだ時点で「さては」と思った通りのオチだった
ショートショートではありがちなのかも
>>57 これは良いね
網の使い方が秀逸
59 :
圭:2005/10/17(月) 01:02:44
星野新二は焦っていた。月刊ショートショートの締め切りまで時間がない。
「あなた、どうするの? そろそろ編集部の方が来られるわよ」
「わかってる。気が散るからどっか行っててくれ!」
……仕方がない。どっかからパクろう……
これだ! しかし、このままっていう訳にもいかないな。
少し手をいれて、見つかった時にはオリジナルだと言い張ろう。よし、出来た!
作品は思いのほか好評で、年末のショートショート大賞を受賞した。
「やっぱり、俺のインスパイヤがよかったからな」
「あなた大変よ! パソコンですぐに2chのトップページ見て!!」
―― 作家 星野新二様への公開質問状はこちら ――
60 :
名無し物書き@推敲中?:2005/10/17(月) 01:13:14
おしい! トップページ変わったage
61 :
どぼ〜ん氏 ◆uyTQki4lmE :2005/10/17(月) 02:23:03
【常套句】
「お疲れ様です。先生」記者会見を終え、車に乗り込んだ大物政治家へ秘書は声を掛けた。
助手席からは参謀がにこやかに笑みを送る。
「常套句でしたが、この場はあれに限るでしょう。マスコミも案の定、黙り込んでしまい
ましたからね」
この大物政治家は絶大な権力を握ってから、長い間トップに君臨している。それは、あ
る意味で政界にはびこる裏金をもっとも巧みに操作してきたからだとも言えるだろう。今
日の記者会見もあくまで形式的なものであった。誰もこの“政界の長老”と言われる男を
追及する事など出来ないのだ。何事も無く、車を発進させようとした、その時――――。
車の窓ガラスを、誰かが激しく叩いた。
新米記者の山田正義だった。
「あんな返答じゃ、俺たちは騙されないぞ!」若い怒鳴り声が、駐車場に響き渡る。
むっつりとした長老は、窓をゆっくりと開けた。
「10月3日、赤坂の料亭で田沼建設の社長と会ったはずです」
「記憶に無いな」
「それなら10月10日の午後11時、同じ場所で木元会長とも会いましたよね」
「残念ながら、それも記憶に無い」
そのやり取りを黙って見ていた参謀は、静かに囁いた。
「先生、そろそろ。今日は御孫さんの高志くんの誕生日です、早めに帰らなくては」
「高志……。誰だ、それは? 記憶に無い」長老は、皺くちゃな顔でぼんやりと言った。
うまいか?なんかよく聞くギャグって感じ。
[ブルースカイ]
午前七時十六分。私はアルコールの残る体をひきずり浜辺に出た。
徹夜明けの目にスモッグで汚れた青空が染みた。
初秋のこの時期には海が好きだと言って馬鹿笑いしていた連中も消えていて、
砂浜には老人が独り背筋をマドラーのように真っ直ぐ伸ばして座っているだけだった。
歌が、響いていた。
深淵を覗き込んだものだけが出せる歌声だった。
海洋学以外は知らない私にすら、老人の実力が相当なものであることはわかった。
老人から十メートルは離れた場所で、私も腰を下ろした。
私は目を開けた。
老人の歌に聞き惚れているうちに、いつの間にか眠っていたらしい。
あたりを見回すと、老人はすでに去っていた。
しかし歌声だけはこの場に響き続けている。音楽プレーヤーなどの機械も見当たらない。
冷房のきついバーでフローズン・ダイキリを飲んだときのような寒気を感じた。
老人の座っていたあたりを詳しく調べてみると、黄土色の殻皮をもつ真っ白な貝を見つけた。
深海に生息するエゾバイ科の貝によく似たそれから歌――ブルース――は流れていたのだ。
ブルースを歌う貝なんて聞いたことがない。新種だろうか?
私は空を見上げ、しばし思案した後、これを『ブルース貝』と名付けた。
アルコール中毒による幻覚・幻聴によって学会を追われた私にも、ようやく運が向いてきたようだ。
65 :
どぼ〜ん氏 ◆uyTQki4lmE :2005/10/18(火) 00:54:42
【お母さん】
「ねえ、お母さん。私、お母さんの子じゃ無いのね」
15歳になる由香が帰宅するなりそう言った。投げやりで乱暴な口調だった。
台所で仕事をしていた洋子は手を止め、娘の言葉に声を失った。
「さっき会ったの。私のお母さんだって女の人に、その人、私に似ていたわ」
「あなたは私の実の娘よ。それだけは信じて欲しいの……」
それだけ言うのが精一杯だった。洋子の背中は小刻みに震えている。
「私を女手一つで育ててくれた事は感謝してるわ。でも、本当のお母さんはあの人なんで
しょう? 本当の事を教えて」
上ずった声、由香が涙ぐんでいるのが分かる。洋子は心に小さな覚悟を決めた。
「そう、多分その人はあなたのお母さんよ。でも、私もあなたの親なのよ」
「うん、分かってる。ここまで育ててくれたお母さんこそ、私の本当のお母さんだよ」
「ごめんなさい、嘘をついていて」
ホッとした笑顔を由香は見せた。振り向いた洋子の表情は、それでも寂しそうだ。
「お母さん……」
「いえ、お母さんじゃないわ。性転換する前は、あなたのお父さんだったんだから」
おかまネタ大杉
67 :
どぼ〜ん氏 ◆uyTQki4lmE :2005/10/18(火) 03:33:55
【大食いの友人】
大食いの友人がいた。
とにかく、何でもかんでも平らげてしまうのだ。
そこで仲間5人が集まって、賭けをする事にした。
ファミレスでメニューの頭から食い始め、どこまで行けるかを競うのだ。
時間は3時間、食べ終わってから次の品を注文する。
当然、トイレに行って吐くのは厳禁。
ビリのヤツがそれまで食べた分を支払う事に取り決めた。
さあ、スタートだ。
当の本人も賭けに参加しているので、気合は十分、目は血走っている。
一つ目の品“アサリと海老のピラフ”がやって来た。
食べ初めて10分、皆が一斉に声を上げた。
「やめろ」「何してんだ」「勘弁してくれ」「頼む」「ストップ」「お前の勝ちだ」
それぞれが目を背け、顔を歪め、呻き声を上げた。
大食いの友人はバリッバリッと音をたて、皿を食い始めていたのだ。
俺は掛け金としばらく食欲を失った。
中学生レベルですな
69 :
名無し物書き@推敲中?:2005/10/18(火) 05:28:28
>>61 着眼点は良いけど、なぜ秘書に何も言わなかったのか疑問が残る
>>61 僕はオチ面白かったです。
52へのアンサーのようでもあり・・・
星々の卵
「死にたくない。私に真実を探求する時間をくれ」
宇宙の真実が知りたい。それだけだ。
西暦2018年7月。「車椅子の物理学者」と呼ばれた私は、ついに悪魔との契約を交わした。
私は死ななかった。
帝王元暦109286年赤の弦の月。人類は進んではならない道へと、自ら飛び込んでいった。
白く輝く光。怒号と絶望の悲鳴。血と炎に彩られた一年が過ぎ、生きて動くものはいなくなった。
真実の探求は続く。私は死ななかった。
公転暦5106247000頃。太陽の死が近い。
天を占める巨大な赤色巨星は、まるで地獄の蓋のようだ。
私は地球を捨てる決心をした。この日のための準備は充分にしてある。
真実の探求は続く。私は死なない。
もう時間に意味はない。宇宙が収縮を始めた。
見渡せば赤い星々ばかりだ。宇宙は老いた。よもや、神の老いをこの目にしようとは。
それでも、私は死なない。真実の探求は続く。
ついにこの時が来た。宇宙が終わる。宇宙が一点に向けて収縮していくのだ。
私は死なない肉体によって、ついにビッグクランチをその目にしていた。
すばらしい。この瞬間に立ち会うために、私は悪魔に魂を売ったのだ。この瞬間を待ち望んでいたのだ!
おお、これが宇宙の卵か!
ここからまた宇宙は膨張へと転じる。ビッグバンだ。さあ、早く。私にその姿を見せてくれ!
しかし、いつまで待っても、卵は孵らない。まるで何かのきっかけを待ち望んでいるかのように――。
「…………光あれ…………」
歓喜の歌声と共に、宇宙が生まれた。私は、その誕生の瞬間に立ち会った。
「ああっ! もう満足だ! 悪魔よ、私の魂を持っていけ!」
しかし、私は死ななかった。悪魔はその醜い姿を現さなかった。
永い時間の後、私は真実にたどり着いた。
神も悪魔も、すでに滅んだのだ――と。
72 :
名無し物書き@推敲中?:2005/10/18(火) 11:05:37
へー。こういうのをショートショートっていうんだ。
なんかアメリカのジョークみたいだ。
おれは頭がショートしそうだ。
<僕は缶詰>
『僕は缶詰』
何だろう?。
僕は不思議に思ってその缶詰を開けてみた。
そしたら…。
「やあ」
と、もうひとりの僕が出てきた。
僕はとっても驚いてこう言った。
「き、君はもしかして僕かい?」
「もちろんそうさ」
「じゃあここにいる僕は一体何なんだい?」
「決まってるじゃないか、缶詰だよ」
僕は缶詰になった。
なるほど、たしかに『僕は缶詰』だ。
74 :
どぼ〜ん氏 ◆uyTQki4lmE :2005/10/18(火) 22:18:55
【展覧会】
都心のとある会館。今年も絵画の展覧会が行われていた。
多くの来客に混じり、数人の審査員が各作品に採点を付けている。
歴史のある展覧会だ、それぞれに多種多様な傾向と奥深いレベルの高さを感じさせる。
「う〜ん、これもなかなか……」白い髭を蓄えた老人が呟いた。
それを隣で聞いていた太った中年の女もすかさず同意した。
「そうですね、何かメッセージのようなものを感じさせるわ」
「確かに。この力強いタッチは、現代の社会を批判しているようにも取れるが……」
その絵は会場の片隅に飾られていたのだが、二人がなかなか動こうとしなかったので回
りにいた観客も次第に集まり、周辺はちょっとした人だかりになった。知識の備えた者た
ちの集まりでもある、それぞれが競うように作品について解説を始めた。
「現代批判と言うよりは、作者の怒りや嘆きのような個人的なものを強く感じるな」
「そうかしら、私は世の中を冷徹に見つめる俯瞰的な視点のように思うわ」
「とにかく、ここには観る者の感情を揺さぶる洞察がある」
「鋭利な描写は悲しみを、大胆なタッチは明日への希望を表しているに違いない」
すると、最前列にいた眼鏡をかけた少年が小さく呟いた。
「これって、そんなに良いかな? そうは思えないんだけど」
隣にいた老人が優しそうな笑みを浮かべる。
「ふふふ、王様は裸だってかい? 絵画は目で見る物の奥に真実があるものなんだよ」
「きみはまだまだ若い、この作品の意図とメッセージが理解できないのだろうね」
少年は困った顔をして言った。「これ、ぼくが描いた絵なんだけど……」
それを聞いた回りの観客はぎょっとした。ざわめきは一瞬のうちに消え、恐ろしいまで
の静寂が広がった。息を殺し、顔を赤らめる。それからゆっくりと方々へ逃げるように立
ち去って行った。一人残った老人が少年に近づき、そっと囁いた。
「一言いいかい? これは完全に中学生レベルだ。稚拙で浅はかな醜い駄作だよ、きみ」
それだけを言うと、鼻を鳴らし、老人も足取り重く会場から出て行った。
「何かあったのかい? ぼうや」遅れてきた若い男が立ちつくしている少年に聞いた。
「うん。ぼくがふざけて嘘をついたら、みんなが突然、怒ってこの絵を貶し始めたんだ」
「髪の毛」
「ちょっと、何よこれ」
ハンドルを握るマサルは一瞬だけ顔をそちらに向けた。細く長い糸がエリコの手に握られている。
「よく見えない。何だよ」
「髪の毛よ。一体誰のかしら」
「お前のじゃないのか。ほら、前は長かったし」
「違うわよ、こんなに長くないもの。それにあたしは染めてない。茶色よ、これ」
「…じゃあ、ユウジの奴かな」
「違う。ユウジ君はストレートでしょ。それにこんな綺麗じゃない。これは女性のよ」
マサルは黙って運転を続ける。その態度がエリコを苛立たせた。
「ねぇ、女の人がこの車に乗ったんでしょ」
「…乗ってないよ、別にお前が思ってるような事はないよ」
「じゃあ、正直に言ってよ。言えるでしょ、ねぇ、答えなさいよ、マサル」
キツイ口調で捲くし立てるエリコに、マサルは諦めたように溜息をついた。
「わかったよ、正直に話す」
そう言うとマサルは、ダッシュボードを開けた。
開いた瞬間、何かが転がってきてマサルの膝で跳ね、エリコの足元に落ちた。
それが何か、初めエリコにはわからなかったが、わかった瞬間、彼女の全身が一気に硬直した。
最期の時がどんなだったかを、それは鮮明に表していた。苦痛と憎悪が、満ちていた事を。
「なっ、違うだろ。お前以外を助手席に乗せたりしないよ」
悲鳴も上げられず震えるエリコに、マサルは軽くキスをした。
>>75 俺の頭が悪いのか、オチがよくわからなかった。
生首かと思ったけど、ダッシュボードには入らんよなあ……?
77 :
75:2005/10/18(火) 23:33:51
>>76 やっぱ入らないか。
トランクにしようとも思ったが、ゴロンっと出てきて欲しいと思ったから…。
でも、初めて書いた文章に返事がきて嬉しい。ありがとう。
78 :
名無し物書き@推敲中?:2005/10/19(水) 00:06:53
二十二歳のピアス
二十歳になったらピアスを開けようと思ったのは、十八のときだった。
いや、十六のときだったかも知れない。とにかく私はピアスを開けたかった。
私には人には言えない過去がある。ここにすら書けない様な。
ピアスを開けると運命が変わるという。
私はそれを切に願っていた。
けれど、私は今もピアスを開けていない。
二十二のとき、電車を待ちながら、ピアスを開けても開けなくても、
私は幸せになれると思ったから。
79 :
名無し物書き@推敲中?:2005/10/19(水) 01:45:07
狂フ芽
「あなたは男よ」母は言った。
「お前は女だよ」父は言った。
私はかがみの前に立った。
そこには……
……目が覚めたら私はどこかに横たわっていた。はっきりしない意識のまま辺りを見回すと
白衣を着た白衣の似合わない眼鏡をかけた眼鏡の似合わない男か女か判別しがたい人間が私に気付いた。
「初めまして」
80 :
圭:2005/10/19(水) 03:01:49
『振り返ればやつがいる』
今日も帰宅は深夜になってしまった。
いよいよ、明日はサーキットで新しいエンジンとシャーシのお披露目だ。
いい成績を残せるといいのだが……
セッティング関係のエンジニアは、今日も徹夜らしい。
やつだ! もう三日にもなる。
いったい何が目的なんだ。
毎日毎日、尾行しやがって!
大切なレースの資料は鞄の中に入っている。
念のため、ワークスのユニホームの中に隠してある。
この業界の競争は激しい。
鞄の中身が狙いなのか?
つけているいるのは、ずーっと同じやつだ。
いつも一定の距離を保っている。振り返って顔を見てやろうか。
もう、我慢できない!
私は暗がりの路地で、意を決して振り返った。
そこにいたのは、他ワークスの女だった。
「谷津さん。いい加減にしてよ!」
「ごめん。だって新しいレースクイーンのユニホーム見せて欲しかったんだもん」
81 :
圭:2005/10/19(水) 05:21:04
『振り返ればやつがいる』(2)
9.11の後、日本にもテロの危機が迫っていた。
米国からの情報だが、テロ組織の幹部が日本に入国したようだ。
狙われるのはどこだ!
公安勤務の私は、朝から情報収集に飛び回っていた。
ここ三日間、情報の得られそうな場所、人間はすべてあたった。
しかし、まったく情報がない。
その時、成田空港警察から連絡が入った。
怪しいやつが出国しようとしているとの事。
持ち物の中から爆弾製造に使う部品が発見されたらしい。
急いで空港に駆けつけ、空港警察の部屋でその男を取り調べた。
男は「私はテロ組織なんかとは関係がない!」と叫んでいる。
どうやら、パスポートは偽造ではなさそうだ。
私は席を立ち男に背を向けながら、背広の内ポケットに手を入れた。
そして、持ってきていたCIA情報のテロ組織幹部の名簿を見た。
再度パスポートを確認し、私は男に振り返って言った。
「おまえは、やっぱりアルカイダのヤツガイルだな!」
>>71 SF・オカルト的には悪魔が死んだ時点で、契約の効力もそこで終わりのはず。無理のある設定だと没頭できない。
>>74 いい意味で裏切られた。
>>75 無理がある。
>>78-81 ガムやるよ。
83 :
名無し物書き@推敲中?:2005/10/19(水) 10:49:19
ガム貰ったけど、批評してもらえなかったよう。
78の感想下さい。
>>83 ショートショートというよりポエムかな。
なぜ、ピアスを開けなくても幸せなれると
思ったのかが書かれていると良かったかも。
85 :
圭:2005/10/19(水) 14:02:10
『振り返ればやつがいる』(3)
僕はガムをもらった。
学校で書いた短い作文のごほうびらしい。
国語の先生はちょっと怖くて、えらそうな人だけど悪い人ではなさそうだ。
僕と一緒にピアスちゃんもガムをもらった。でも、ピアスちゃんはあまりうれしそうじゃない。
「なんでガムなの?」って不満げだ。
僕はガムが好きだら単純にうれしい。でも、次はノートがもらえるようにがんばらなくちゃ。
ふくれっつらのピアスちゃんと一緒に学校を出た。
「ねえねえ。あの先生じゃない先生にも読んでもらわない?」
「うーん。いいけど、でもどうやって読んでもらうの?」
僕は足もとの小石をけりながらピアスちゃんに聞いた。
ピアスちゃんは小首をかしげながら少し考えていた。
その横顔をみて僕は思った。―― かわいい ――
そういえばピアスちゃんの作文、なんかふいんきがあってよかったな。
きっとピュアな心をもってるんだろうな。性格も良さそうだな。
でも、ここには書けないことってなんなんだろ。
僕に相談すれば力になってあげられるかもしれな……
その時、僕の後ろで声がしたので振り返った。
「おいおい、お前、順番待ちなんだからさぁー。
図書館のパソコン使って、匿名の掲示板なんかでナンパしてんじゃねえよ」
87 :
名無し物書き@推敲中?:2005/10/19(水) 14:59:04
『二次元の住人』
とある友人同士、苦労人高校生Aと夢見る高校生Bの会話
ある日
「A。お前女の子と同棲してるってホントか?」
「げほ、げほ。何なんだ、それは一体どこから出た話だ?」
「Cのやつが昨日おまえの部屋の掃除をしている女の子をみたって」
「あれは従姉妹だ。ついでに言うと俺の部屋は取られた」
「てことは住んでるんだな?何て奴だ。おまえとの友情もここまでか…」
「そもそも家は下宿やってるんだが…珍しくもないぞこんなこと」
「お前なんか友達じゃねえー!!」
翌日
「A。お前んちにさらに女の子が増えたと…」
「男も増えたぞ。春先は下宿人の入れ替えがあって大変なんだ」
「大学生のお姉さんとか、お姉さんとか、お姉さんとかだな!!」
「何を言ってる。こっちは日々の賄いとか大変なんだぞ。注文多いし、うるさいし」
「お前なんか、お前なんか人間じゃねえぇぇぇ!!!」
「人間失格かよ!?」
「二次元の住人になっちゃえぇぇぇぇ!!!!」
「なりたがってるのはお前だ!」
88 :
ストロー ◆7QOEED6i7g :2005/10/19(水) 17:11:33
>>87 まず、「ショートショート」がどういう構造なのかを勉強しておいで。
君にはまだ早そうだ。
90 :
ピアス:2005/10/19(水) 23:51:25
よく、ポエマ−だねって言われます。
様々な経験をして、自分の力でいくらでも幸せになれるってことに気づけたから。
的な文を入れた方が良かったですね。今思うと。
どうもありがとうございました。
あ、ちなみにノンフィクション風にしたフィクションです。
91 :
圭:2005/10/20(木) 09:46:07
『振り返ればやつがいる』(4)
僕はピアスちゃんがコテハンになっているので驚いた。
でも、かわいい。フィクションだって断るところが、またかわいい。
だけど、ピアスとイヤリングってどこが違うんだろ?
僕はまだ子供なので、その違いがよくわからないからお母さんに聞いてみた。
「お母さん。ピアスとイヤリングってどこが違うの?」
「同じ耳飾りなんだけどね。ピアスは耳に穴をあけちゃうの」
「ふーん、痛くないの?」
「ちょっとは痛いけど、開ける時だけであとは痛くないのよ」
「お母さんも、穴あいてるの?」
「うーん、きみが生まれる前は開いてたんだけどね。ずーっとしてなかったから、ふさがっちゃった」
その夜、僕はなかなか寝つけなくてピアスのことを考えていた。
そうか、ふさがっちゃうんだ。だから、隣の家のお姉ちゃんは三つもつけてるんだ。
そういえば、こないだコンビニの前でパン食べてるお兄ちゃんは鼻と口にもつけてた。
僕のお母さんはきれいなんだから、またつければいいのに…… そうだ!
翌朝、新しくもらったノートを片付けていると知らないおじさんが部屋に入ってきた。僕が振り返ると、
「きみ、おかあさんになにかしなかったかい?」と言ったので、僕は答えた。
「うん、お母さんにまたピアスしてもらおうと思って……台所にあったアイスピックで……
大きくてきれいなのをいっぱいつけて欲しかったから、体中に穴をあけたんだ。
でも、大丈夫だよ。あまり痛くないし、穴はすぐふさがっちゃうんだ」
僕が窓の外を見ると、そこにはたくさんのパトカーと救急車が止まっていた。
ふざけないでよ。翔太が出ていったのも私のせいだって言うの?
いい加減にして、信じられない。こんな家出てくわ。
机の上には離婚届がポツンと置いてあった。
妻が荷物を持って家を出ていくのを翔太は整形を施した顔をさすりながら物静かに見つめていた。
これでようやくこの家も自分の物になったのだ。
翔太は喜びにうち震えた。
自分が殺した父親のことなんて、とうに記憶の片隅に追いやられていた。
93 :
名無し物書き@推敲中?:2005/10/20(木) 15:08:31
老人の島
「じじい、金貸してくれよ」
とある病院の一室
金髪のいかにもガラの悪そうな青年が隣の老人の枕元に立って催促している
しばらくして青年は片手に万券をもって出て行った
「孫です」と隣の老人は同室の人たちに頭を下げていた
「あんた、ああいうのはイカン。きちんとしつけないと」
老人は隣の老人を頭ごなしに叱りつけた。
「いや、でもそれは息子夫婦の役目です。私は見ているだけですよ」
「全く、そういう態度がイカンというのだ。子だろうが孫だろうがしつけるところはしつける。
さもないと誰からも顧みられなくなるぞ」
老人は実際そのように子供や孫に接してきた。
多少口うるさくは思われているだろうが、自分の存在は無視されていないとの自信がある。
それに引き替え隣の老人は、毎日のようにああやって小遣いをせびりに来る子供がいる。
優越感とともに老人は隣への説教を開始した。ガミガミガミガミと何時間もそれは続いた。
やがて何日かたって隣の老人は静かに息を引き取った。
誰にも気づかれない、眠るように静かな死で、彼を起こそうとした金髪の青年が初めて気づいた。
青年は金づるの死に毒づきながら、家族に電話した
それからさらに何日かたって今度は老人自身に最後の時がきた
消えゆく意識の中、老人は何とかコールフォンに手をかけ、そこで力尽きた
老人が息を引き取ってから十時間後、老人は自分の家族と数ヶ月ぶりに対面した
PCで一行って何文字ですか?
95 :
:2005/10/20(木) 18:18:40
老人の島結構すき。
ショートは走馬灯の速さで人生を語れるところがいい。
必ずちょっと切ないのね。
96 :
:2005/10/20(木) 18:19:53
あ
【一夫多妻】
その日、まさに悪魔の法律が施行された。
少子化対策の波に乗って提出された「重婚に関する規制緩和法案」は、
いわゆる「持つ者」と「持たざる者」の間で不毛な論議が交わされ、
結果として「持つ者」が勝利した。
先進諸国初の一夫多妻制が導入されたのである。
当然、私のような平均以下の男性陣が猛反発したわけだが、女性陣の
「複数の女性と結婚できるのは、それだけの財力をもつための努力を
したからです、悔しかったらあなたもそうなればいい。」
「この制度のせいで自分に回ってこなくなるというのは、
ご自分に魅力が無いことの現実逃避です」
という意見にはグウの音も出ない。ただ、一つの救いとしては、ハーレムを築く富豪の誘惑にも負けず
「私は一人の男性にだけ尽くしたいし、同じように私一人を見てもらいたい」
と、その制度に決して揺れない女性もいたことだ。
当然、そんな女性は私たちにとってまさに女神だ。
何とかその人に選んでもらいたいと、私たちは必死になった。
誕生日にはなけなしの財布からプレゼントを奮発したし、呼ばれれば深夜だろうが車で迎えに行く。
競争率は果てしなく高いのだから、それこそ身を削って尽くすのだ。
……ある日、給湯室での会話。富豪の10人目の妻になった女性と、まだ結婚していない女性
「100を10で割るのも、1を10個持つのも同じことよね」
98 :
どぼ〜ん氏 ◆uyTQki4lmE :2005/10/20(木) 23:00:41
【にほんむかしばなし】
むかしむかし、あるところにおじいさんとおばあさんがおりました。
おじいさんはいいました。
「なあ、お婆さんや。たまにはわしが川へ洗濯に行こうと思うのだがどうじゃろうか?」
「いいですね、お爺さん。それじゃあ、私が山へ芝刈りに行きますわ」
おたがいがそういいあうと、ふたりはさっそくでかけました。
つめたいかわのみずで、おじいさんはてがいたくなってしまいました。
「お婆さんは毎日こんな大変な仕事をしていたのか、わしは今まで気づかなかったわい」
すると、かわかみからどんぶりこどんぶりことおおきなももがながれてきました。
おじいさんはびっくりしてみうごきができません。ももはながれていってしまいました。
そのころ、おばあさんはいきをきらしながら、やまでたけをきっていました。
「山仕事がこんなに大変だとは思ってもみなかったわ、過酷な重労働とはこの事ね」
すると、きったたけからひかりとともにかわいいむすめがあらわれました。
おばあさんはおどろいてしまい、にもつをほうりなげてにげだしてしまいました。
そのよる、ふたりはほとんどしゃべりません。
いつものようにゆうはんをおえると、ひをけして、そろってふとんにはいりました。
くらやみのなか、おじいさんはつぶやきました。
「お婆さんや。毎日、果物をたらふく食えるってのは、さぞかし楽しいじゃろうな」
そういうと、おばあさんもくちをひらきました。
「お爺さん。毎日、若い娘に会えるなら、山仕事も楽しいでしょうね」
それから、ふたりはだまってしまいました。
つぎのあさ、ぼけのちょうこうがみえはじめたふたりはきのうのことはすべてわすれて
しまったのです。ふたりにえがおがもどりました。
めでたしめでたし。
「自殺の名所」
崖下を覗くと、そこではまるで、誘うように波が渦巻いていた。
さすがに名所というだけある。オレは大きく深呼吸をして気を落ち着かせた。
このまま飛び出せばいい。遺書なんて必要ないし、靴を脱ぐ気もない。
何人もの人がここで命を絶っているのだ。ここでなら上手く…。
意を決したオレは助走をつけて空へ飛び出した。
ドボーン!という大きな音を立てたかと思うと、水の嵐がオレをグチャグチャにかき回してきた。
オレは必死でもがき、水から逃れようとする。息が吸いたい。
ひょっとしてオレはまだ生きていたかったのかな、そんな考えが頭をよぎった。
しばらくすると、苦しみが治まってきた。下を向くと何かが沈んでいくのが見える…オレだ。
やった、死ねた。思わずガッツポーズを取ろうとした瞬間、
グググ…ギュ、ムギュ、ギュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ…ググ…
凄まじい圧力がオレを押し潰した。目の前には何もない。ガラスに押し付けられたように、オレの体は変形していく。
「くっそぉ!またキツくなりやがった!」「痛でぇ、ぐわっ!」「ちくしょう!またか!」
後ろの方がやたら騒がしい。必死の思いでオレは首を少し曲げる。後ろが少し見えた。
まるでガラスの箱に押し込まれたように、数え切れない人間が、空中でギュウギュウに潰れ合っている。
「な…これ…は…」呻くように出たオレの呟きに「てめぇと同じだ!」と、どこからか返事が聞こえた。
何てこった。“さすが名所というだけある”数分前に思った事が、オレの胸を突いた。
その時、オレが今さっき飛び降りた崖に、二人の男女が佇むのが見えた。
二人は意味深に見つめあい、何か白い物を懐から取り出した。…まさか…やめろ…やめろ!来るな!
ドボーーン!………ギュ、ギュ、ムギュ…ムギュゥゥゥゥ…ググ…グ…ググ…
みんなが僕のことをシカトする。
学校に行っても誰も話しかけてくれない。先生に指されることもない。
家へ帰って僕が話しかけても誰も答えてくれない。
ただただ毎日食事が用意されているだけだ。
ある日僕は泣きはらして外に逃げ出した。
家の近くの墓地まで走ってきて、ようやく気付いた。
僕はとうに死んでいたのだ。
101 :
名無し物書き@推敲中?:2005/10/21(金) 07:31:19
評価期待age
102 :
名無し物書き@推敲中?:2005/10/21(金) 15:00:53
>>30 >>93 に続く、自信作(そんなこといって大丈夫か?)
「双翼の天使」
少年と少女の双子の天使がいた。
二人の背には翼が一枚ずつあって、いつもお互いの肩を支えながら空を舞っていた
二人は一人では空を舞うことも、地上に降りることもできなかった
少年は空を飛ぶことが好きで
少女は空から地上をみることを楽しみにしていた
二人はとても仲がよくて、いつもお互いのことを思っていた
そして二人はお互いに決して離れられない存在だった
ある日のこと、とあることに気づいた少年は一計を案じ
地上に降りたときに少女の背から翼をもぎ取ると
それを身につけて一人で空に飛び立っていってしまった
それをみた神様は怒った
神様は自由に空を飛ぶ少年から翼を二枚とも奪い取ってしまった
空から地上に墜とされた少年は無惨にもバラバラになって死んだ
神様は残った双子の少女を捜し当てると、彼女に二枚の翼を与えた
少女には地上に想い人の青年がいた
空から地上を眺めていた頃から、少女はその人が好きで
地上に残された少女は、程なくしてその青年と結ばれた
少女は幸せに暮らしていて、いつしか子供も出来た
そこに神様が現れると
無理矢理に二枚の翼を与えて、そのまま天に連れ去ってしまった
103 :
名無し物書き@推敲中?:2005/10/22(土) 20:57:47
age
[女子高生と保険医]
女子高生が保健室にやってきた。
「きいてくれるぅ? メをちょぅよくしたぃんだけどぉ」
二学期当初に行なわれた健康診断での彼女の視力は両目とも0.7とさほど悪いものではなかったが、
自分を頼ってくれたことを嬉しく思い保険医は数点のアドバイスをした。
遠くの緑を見ること。
ブルーベリーのサプリメントを摂取すること。
ゲームは一日一時間。
「ちょぅラクショぅ。Thanks.」
一週間後、彼女は再び保健室にやってきた。
「ゼンゼンよくなんなぃんだけどぉ。ベンゴシつかってうったえるよ?」
保険医は冷静に、効果が出てくるまで時間がかかることを説明した。
難しい言葉をつかっての説明だったので彼女に理解できたかどうかはわからないが。
三学期の健康診断で、彼女はついに両目とも1.0という大台にのせた。
しかし彼女は落ち込んでいた。
「どうしたんだい、目はよくなったじゃないか」
「No.わたしぃ、フタエになりたかったってかんじぃなの」
彼女は天然ブロンドの髪をかきあげてため息をついた。青色の瞳には涙が浮かんでいた。
前のスレの作品とか、このまま消えてもいいのかな?
106 :
どぼ〜ん氏 ◆uyTQki4lmE :2005/10/22(土) 22:58:45
【100円】
「これが100円なの?」と彼女が聞いてきた。
「うん……」ここに来て数回目の質問だ。さすがに僕の返事もいい加減になる。
そう思っていると、また言った。「ねえ、これも?」
「そうだよ、ここにあるもの全部、100円なんだよ!」つい怒鳴ってしまった。
まだ行った事が無いというので、彼女を100円ショップに連れてきたのだが、想像以
上に凄かったらしく、興奮しっぱなしで、相当に感動したようだった。
――――その日からだ、彼女がおかしくなったのは。
いつものように二人で歩いていると、突然言い出すのだ。
「あれ、100円かしら」
そんな訳がない。あそこは電気屋だ。店頭にそんな小物を置くもんか。
「どれも高いわね。あれなんか、100円で買えるんじゃない?」
次第に、見るもの全てに文句を言い出した。
よく見れば、財布の中には100円玉しか入っていない。どうりで、変な音がする訳だ。
八百屋へ行った時など、みかんの束を100円になるまで粘ろうとした。
いつも使っていた地下鉄も、「高すぎる!」と言って、結局、乗らなかった。
そんな彼女と一緒にいるのが、僕は疲れてしまった。優しくて、思いやりのある可愛い
人だったのに、なんだかすっかり変わってしまったのだ。こんな事になるなら100円シ
ョップなんかに連れて行くんじゃなかったと、今では本当に後悔している。
だから、僕ははっきりと言ってやる事にした。
「世の中の物は、何でもかんでも100円で買えるって訳じゃないんだよ」
僕の言い方がきつかったのか、彼女も強い口調で言い返してきた。「分かってるわよ!」
そして、小さく言った。
「だって、あなたの愛はお金で買えるものではないじゃない……」
ちょっとぐらいおかしくたっていい! 僕はそう思った。
「NEWS」
「こんばんわ、ニュースの時間です。
海賊王になる、と言って出て行った風船おじさんが、
今日未明、イルカに乗り帰ってきました。
話を聞こうと集まってきた人々に対し彼は、
武勇伝武勇伝、などと意味の分からない事を口にしながら、
「以上、アンタッチャブルでした。」
などと言い残して、宇宙戦艦にのり、旅立ちました。
先ほど宇宙から連絡が入り、「地球は青かった。」と、
誰もが分かっている最新情報を残し、連絡が途絶えました。
以上、ニュースでした。」
108 :
ストロー ◆7QOEED6i7g :2005/10/22(土) 23:36:24
『新たな発見』
「月には火星人がいる」
アメリカの何とかって偉い人がTVで発表をした。それが先月。
今じゃアメリカの偉い人たちが連日TVに出ては、追加情報を発表している。
もう、うんざりだ。それが世界中の人間の率直な感想だった。
食べ物、生活サイクル、名前、体重等の身体情報、社会システム、宇宙船の機能、
彼らの科学、何から何まで知っていた。絶え間無く更新される情報によって
地球に住む人々の世界観は揺らいでいた。揺らぎすぎていた。揺れ過ぎて、
既にその上に立っていられる奴なんて誰もいなかった。
TVの中でアメリカの偉い人は泣きながら会見を開いていた。
確かな選択だった。少なくとも、一人の人間としては。
109 :
ストロー ◆7QOEED6i7g :2005/10/22(土) 23:37:07
>>108 ちなみに友人には最後までの流れが意味わからんと言われましたorz
>>104 ワロス
でも留学生にする必要はなかったんじゃない
111 :
104:2005/10/23(日) 01:10:42
>>110 同意。
書いてる最中は「オチがふたつあるなんて俺スゲェw」
って感じですごい気持ちよかったんだけどなあ。
【空白】
物書きが一番怖がるものは何かわかりますか?
答えは 『白紙』
若いころは湧き出るようなアイデアを思い切りたたきつけていれば
よかったのですが、創作にも限界があるのです。
楽しく書けるなんて夢のまた夢。もう絞りつくしたような雑巾をさらに締め上げるようにして
アイデアやプロットをひねり出し、やっとできたものは納得がいかず……そう、スランプなのかも
しれませんが、こればっかりは書いて書いてその先に光が見えるようなものでもないのです。
コナン・ドイルは大麻の力を借りたことは有名ですし、かのジキルとハイド
だって同じようにして一晩でかかれたものだという伝説もあります。
私、ついに人間の尊厳をひとつ売り渡しました。昨晩私も使ってしまったのです……
めくるめく様な幻覚の中で、私は一心不乱に書きなぐった記憶があります。
しかし、今朝方はっと目を覚ましたとき、その内容はまったく覚えていなかったのです。
今日は締め切りです。
自分が果たして何を書いたのか、恐ろしくて机の上の封筒を開けられません。
そのまま出版社にもって行くことにしました。
私の担当はいつもどおり偉そうに文句をたれた後、封筒から原稿を……
あまりの光景に、私は意識が遠のきました。封筒から取り出された原稿は真っ白……
わ、わたしは、わたしは……
「あれ。困るな先生、ちゃんと表紙には題名を書いておいてくださいよ… って先生? 先生!? 」
113 :
ストロー ◆7QOEED6i7g :2005/10/23(日) 21:26:21
『あいつとあいつ』
あいつは死んだ。とっても静かで、綺麗な死に方だった。
でも僕は、あいつの死に方を覚えていない。名前すら覚えていない。
あいつから見た僕もただの「あいつ」にしかならないんだろうなってよく思う。
僕とあいつを結ぶのは漠然とした気分的な死の予感だけで、
同じ時間を生きた感覚なんてまるでない。あいつは生きていたんだなと思いたい。
それが実感とか理論とか、そういう裏付けされた何かから構築される気分だとしたら、
僕は気分的な死の予感なんて感じないだろうし、窓からコーヒーをこぼすなんてこともしない。
こぼれたコーヒーが地面に落ちるまでの間、僕らは死的な気分を互いに交換する。
液体は僕を「あいつ」と記憶し、僕は液体を「あいつ」と記憶する。
114 :
ストロー ◆7QOEED6i7g :2005/10/23(日) 21:27:20
『生き方への行き方』
彼女はファミリーレストラン型の生き方を模索する。
それは決して平坦な道のりではなかった。だけど彼女は諦めなかった。
不定期にバイトをしながら世界中のファミリーレストランに足を運び、
図書館で研究をし、時には大学の教授に話を聴きに行ったこともあった。
そんなことを彼女は6年間も続けていた。
彼女は飛行機の中で紙飛行機型の生き方をしていると言う老人と隣の席になった。
「紙飛行機型の人生は素晴らしいですか?」
「そんなことはない。全くもってそんなことは無い。下らないよ、実に下らない。
私は27歳の時、空を見上げた。それがまずかった。下らないことなのさ、神様みたいにね。」
老人はそれきり黙りこくってしまった。たった十数秒の会話だったけど
彼女には確信が生まれた。空を見上げることが重要なんだと。
彼女の生活は一変した。図書館にも行かなかったしファミリーレストランにも行かなかった。
毎日のように空を見上げていた。彼女はいつの間にか空の全てを知っていた。
でもそれを知ったのは全てが関係なくなる直前だった。
115 :
ストロー ◆7QOEED6i7g :2005/10/23(日) 21:29:35
>>114 すいません。前にも投稿してました。見えない振りでもしてください。
116 :
ストロー ◆7QOEED6i7g :2005/10/23(日) 21:31:36
『世界はマトリョーシカ』
僕は、家のひさしの下にちっちゃなお城を見つける。
僕は、お城を襲うドラゴンになってサンダルで踏み潰す。
突然真っ暗になって、雲を突き抜けでっかいカタマリが落ちてくる。
117 :
ストロー ◆7QOEED6i7g :2005/10/23(日) 21:33:14
『九月未満』
湖に沈んだ。空が青すぎたから。眼の奥でオタマジャクシが死んでたから。
眼と湖と空気でろ過された空は、空は黒雲のような色だった。
ストローさんはアップする場所を間違えているんじゃないだろうか。
以下にはてなダイアリーのショートショートの項目をコピペするので
自分の書いたものがショートショートなのかよく考えてほしい。
>ショートショート小説の定義は難しい。「原稿用紙十枚以下の短編」が一定の目安に
>なっているが、分量の定義よりも理念的な定義が優先されることもある。
>その理念は、アメリカの評論家ロバート・オバー・ファーストの打ち出した
>「短編小説の三原則」に則っているとされる。
>1 新鮮なアイディア
>2 完全なプロット
>3 意外な結末
>また、結末はブラックユーモアを基調にしていることが多い。
昼間のパパは
『昼間のパパは ちょっとちがう
昼間のパパは 光ってる
昼間のパパは いい汗かいてる
昼間のパパは 男だぜ』
きょう、こんな歌を聴きました。
楽しくて、ちょっとヘンな歌。昔のCMに使われていたんだって。
ボク、すっごく気に入っちゃった。
だって、ボクのパパのことを歌ってるみたいなんだもん。
ボクのパパも、昼間はとってもかっこいいの。
近所のおばさんたちだって、ボクのパパはかっこいいって、いっつもうわさしてるんだよ。
自慢のパパです。
「昼間のパパは男だぜ!」
はしゃいで歌っていたら、パパに笑われました。
「まったくおまえは。じゃあパパはお仕事にいってくるからね。
帰りはいつもどおり、朝になるから、いい子にしていなさい」
はあい。
パパは、上から下までお仕事用の正装。
お化粧だってばっちりです。
とってもきれい。
昼間のパパは、男だぜ。
オカマネタは定番だけどおもしろいな
[ラブホ気分な女子高生]
自信満々で自己中心的な男、いわゆる『俺様野郎』が好みだという女は少なくない。
女子高生のあゆみもそうした者のひとりで、
「俺を中心に世界は回っている」
と公言してはばからない男と三日前から付き合い始めた。
今日もデートで楽しいひと時を過ごしていたあゆみは、両親が法事で出かけていたため、
好機到来とばかりに男を家に連れ込んだ。
しばらくは部屋で雑談をしていた二人だが、じょじょに会話は途切れ途切れになり、
ついには沈黙したまま熱っぽい視線を互いに絡ませるだけになった。
二人の息遣いが部屋に響いた。
触れ合う手と手。重なり合う唇。
ベッド・イン。
男はテクニシャンで、あゆみは何度となく絶頂をむかえた。
行為が終わった後、いい仕事をした満足感に浸りながら煙草をふかしていた男は、
あゆみの様子が少しおかしいことに気付いた。
「ゴムつけかったことで怒ってんのか? ガキなんざそう簡単にできるわけねーって」
あゆみは「そうじゃないよ」と首を振って男を睨みつけた。
「あんたと一緒なら手軽にラブホ気分が味わえるって思ってたのに」
「ハァ!?」
「いくら待ってもぜんぜん回転ベッドにならないじゃない!」
122 :
圭 :2005/10/24(月) 18:33:53
『振り返ればやつがいる』(5)
弁護士、神田圭介は拘置所の薄暗い面会室にいた。
小さな机をはさんで、無精ひげを生やした貧相な男が座っていた。
彼は高校の同級生だった。
「残念だったな。あと一ヶ月で時効だったのに……」
「仕方がないさ。まあ、科学の進歩に負けたって事なんだろうな」
彼は十五年前の犯行時にも重用参考人として警察に引っ張られている。
しかし、その時のDNA鑑定では凶器に残った
わずかな血痕から彼を特定する事ができず、
その後、継続捜査という名の時効を待つだけの事件になった。
ところが、時効が間近に迫った先月、最新のDNA鑑定により
彼の犯行であることが明らかとなり逮捕され、彼は自白した。
「なぜ、あっさり自供したんだ?」
「どうせ逃げても捕まるさ。物証があるんだし、どうにもならんだろ……」
「じゃあ、情状酌量という線でいいな?」
「ああ、まかせるよ」
「じゃあ、裁判が近くなったら、また来るよ」
その時、看守が「時間です」といって面会室のドアを空けた。
不精ひげの男は席を立ち、まだ、座っている神田に振り返って言った。
「俺、弁護士の弁護なんて初めてだよ」
123 :
ストロー ◆7QOEED6i7g :2005/10/24(月) 21:20:14
>>118 確かに。僕のはショートショートと言うよりも、超短編でしたね。
今後は自重し、もっとショートショート的な文章を書きたいと思います。
ただ、興味本位での質問なのですが、稲垣足穂の一千一秒物語や
バリー・ユアグロー等の作品もやはりショートショートでは無く
超短編になるのでしょうか?
125 :
118:2005/10/24(月) 22:50:13
>>123 ユアグローは二年位前に数篇読んだことがあるだけなんだけど、
自分には合わなくて……。正直よく覚えていないです。
たぶん超短編の範疇だったとは思うけど自信ないっす。
一千一秒物語のほうは読んだこともないからわからないっす……。
知識少なくてごめんよー
126 :
21歳女子大生:2005/10/24(月) 23:02:45
>>74外国(どこの国か忘れた)で、チンパンジーの描いた絵を「前衛美術だ」といって展覧会に出品したら、
そうとは知らない観客に絶賛されたという話(実話)を読んだことがある。
>>90「よく、ポエマ−だねって言われます。」
ポエマー...wwwww
今まで誰も突っ込まなかったのが不思議。
ピアスさんとそのご友人、ならびにこのスレの住人は基礎英語を勉強した方がよいと思われます。
>>98×芝刈り
○柴刈り
>>112コナン・ドイルはコカイン使用で有名なんだが...
>>119たしかに今までのおかまネタの中では一番秀逸。
>>121無理があるっていうより、面白くない。「俺様野郎」と「ラブホ気分」との間に共通点はあるのか?
いや、ない。
127 :
圭 :2005/10/25(火) 00:45:29
『振り返ればやつがいる』(6)
ピアスちゃんがなんか怒っている。
「なんか、変な自己顕示欲の強い女子大生がきて、私の事wwwwwって笑うの」
「なんで?」
「ポエマーって私が言ったのがおかしいって……」
「うん? 別におかしくないんじゃないの?」
「だって、基礎英語を勉強した方がいいって……」
「ああ、なるほどね。英語ではそんな言い方しないっていうことをいいたかったんじゃないの?」
「そんなことでわざわざ?」
「まぁ、自分は頭がいいって言いたかったんでしょ」
「そうなんだ。バカみたい。
私だって英語ではポエット(poet)っていうことぐらい知ってるのに……」
「ポエットなんて言っても普通は通じないしね。確かにポエマーって和製英語だけど、
実際によく使われてるからね。ちょっと、ぐぐってみればわかるのに」
「なんか、ジーパンとかデニムとかいうのはけしからん!
ジーンズと言えとかいってる、どっかのおやじと似てるね」
「和製英語っていえば、他にも、アフターサービス、オーダーメイド、オートバイ、
ガソリンスタンド ゲームセンター、コインランドリー……」
その時、僕の後ろで声がしたので、振り返った。
「また、お前かよー。順番待ちなんだから、図書館のパソコン使って、
匿名の掲示板なんかでナンパするのはやめてくれよーーーー」
128 :
121:2005/10/25(火) 00:47:12
>>126・゚・(ノД`)
無理があると言われることはかまわない。面白くないと言われるのもかまわない。
その批判がまっとうなものなら俺は己の力不足を認めよう。でもな、
>「俺様野郎」と「ラブホ気分」との間に共通点はあるのか? いや、ない。
って……。そりゃヒドイ! 意味がわからなければ面白くないのはあたりまえだって。
「わけわかんねえよヴォケ!」とでも言ってくれれば、
自分の書き方が悪かったんだなと素直に反省できるんだが。・゚・(ノД`)
そもそも「ラブホテル=回転ベッド」という認識に昭和の香りが……
130 :
121:2005/10/25(火) 01:07:29
それを言われると正直ツライよ・゚・(ノД`)
自分中心に世界のほうが回っているなら、味わえるのは回転ラブホ気分だな。
頭悪いよ女子高生。
>>131 そういう問題じゃないだろ
男を中心に世界が回っているということは、ホテルやベッドと一緒に女子高生も回ってるんだよ!
Σ(゚Д゚;な、なんだって〜!!
Σ(゚Д゚;な、なんだって〜!!
136 :
どぼ〜ん氏 ◆uyTQki4lmE :2005/10/25(火) 16:33:23
【森の沼の精】
「そなたが落としたのは、この金の斧なのか、それともこっちの銀の斧なのか、どっちな
のです?」森の沼の精は、優しげな笑みを浮かべながら呆然とする太助に聞いた。
太助は正直者として、村でも評判の男である。
「おらの斧はどっちでもねえ。鉄で出来たもっと汚れた斧だべ」
森の沼の精はそれを聞くと後光をさらに輝かせ、嬉しそうに言った。
「そなたは今の時代、珍しいほどの正直者ですね。どちらかを選べば一財産稼げたはず、
しかしそんな欲望を退け、貧相で未来のない今までの人生を選択するなんて、そなたの心
はとても純真なのだろう。私は久々に感動した。この2本ともを授ける事にしよう」
しかし、キラキラ光る2本の斧を目の前にしても、太助はちっとも嬉しそうではない。
「おらの斧を返してくれよ。汚れていたが、使い慣らした大切な斧なんだべ」
「そうだったわね、ごめんなさい。今、取ってくるわ」
森の沼の精は慌てて沼の中に潜ると、使い古され薄汚れた鉄の斧とともに、すぐに輝か
しい姿を再び現した。
「これね。これからも末永く大切に使うのですよ。そなたの持つ純真さと誠実さはかけが
えのない宝なのですから」
目を細めた森の沼の精は、これまでに無いほどの美しさで太助を称えた。
「違う。おらの斧はこれじゃないだべ。もっと、歯の欠けたボロなんだべ」
「そうなの、ごめんなさい。待ってて、すぐに取ってくるから」
素早く沼に潜った森の沼の精は、戻ってくるのもやはり早かった。
「これね」
「違うだべ。もっと柄がくびれてるんだべ」太助は寂しそうに訴えた。
―――それから3時間が経った。もう、すっかり日も暮れている。
微かに放つ後光の中、消耗しきってやつれた森の沼の精は156本目の斧を手に沼から
姿を現した。一向に首を縦に振ろうとしない太助を、森の沼の精は憎憎しげに見つめた。
「世の中には礼儀という物が存在するのですよ。思った事をそのまま言えばどうなるの
か? まず、それを考える事が大切なのです。相手を思いやる気持ち、それこそ尊い物だ
と言えるでしょう。例え、それが多少間違った事であろうとも……」
27行もあるし
数が数えられないんだよ
Σ(゚Д゚;な、なんだって〜!!
世の中には、3種類の人間がいる。
数を数えられるやつと、数えられないやつだ。
世の中には、4種類の人間がいる
数を数えられるやつと、数えられないやつと、数えられるフリをするやつだ
スレタイ読める奴と読めない奴
後者は消えてくれ、投下しづらい
どっちも「俺だけは別」という暗喩
Σ(゚Д゚;な、なんだって〜!!
気付けんかった
なんか最近変な流れになってるな
150 :
名無し物書き@推敲中?:2005/10/26(水) 10:53:48
20行以内のショートショートなんだからいんじゃね
151 :
ピアス :2005/10/26(水) 13:11:48
和製英語って。
日本人による日本人のためのショート・ショートだから。
レベルっていうのわかる?人はレベルが違うと会話が成り立たない。
馬鹿に普通の話は通じない。
それでも「伝える」ってどういうことか考えてみて。
ポエマーとピアスが意味として充分伝わっている時点で、ソレはアリなの。
百歩譲って、21歳で女子大生で、女だとしても、可愛くない。
演じるなら文末まで。
[菜食主義はかすがい]
テレビでは朝っぱらから連続バラバラ殺人事件のニュースが流れていた。
「おいおい、この近くじゃないか。お前も気をつけろよ」
内山氏は肥えた体を揺らしながら妻にそう言った。しかし妻からの反応はなかった。
ここ数週間で内山夫妻の夫婦関係は冷え切ってしまったのだ。
原因は、妻がハリウッドのセレブを真似て菜食主義者になったことにある。
美容のためだと妻は言うが、それにつきあわされる内山氏はたまったもんじゃない。
そもそも美味い肉料理をつくるから結婚したんだと大喧嘩。
以降、お互いろくに口をきかないまま今日に至るというわけだ。
――離婚、かな?――
内山氏は沈鬱な顔のまま会社に出勤した。
昼休みになると、内山氏の弁当箱の中身を見た同僚の佐川氏が声をかけてきた。
「野菜ばかりじゃないか。内山くん、それで足りるのかい?」
「全然だよ。夫婦喧嘩中も弁当をつくってくれるのはありがたいんだが、これではね」
「なら僕のを少しわけてあげるよ。少しつくりすぎてね」
差し出された弁当箱からありがたく黄色っぽい肉をいただいた内山氏。
さっそく口に入れてみると、マグロの刺身のような柔らかい肉に心を奪われた。
その様子を見ていた佐川氏は
「君なら理解してくれそうだ。今晩うちにこないかい? ごちそうするよ」と言った。
そして佐川氏は逮捕され、内山氏は菜食主義者になり夫婦仲は回復した。
153 :
圭 :2005/10/26(水) 14:58:15
『振り返ればやつがいる』(7)
ピアスちゃんが、なんか再び怒っている。
「どうしたの? せっかく可愛いって言ってくれてる人もいるのに……」
「だって…… また、21歳女子大生がきたんだもん」
「ふーん。で、なんて?」
「登場人物に使ってくれてありがとさん――って、なんかバカにしてない?」
「うーん、そうかな? 結構、いい人かもしれないよ」
「どうして?」
「きっと、彼女が基礎英語って言ったのは和製英語云々とは違う意味合いが
強かったと思うんだよね。その事を言わずに収めたのは大人というか……」
「意味わかんない……」
「つまり文法的な誤りっていうか、動詞に対して(er)をつけて、……する人っていう
言い方はしても、ポエムとかの名詞には使えないって言いたかったんじゃないかな?
だから、チーマーとかゲーマーとかもおかしいし、和製英語なんだよね」
「じゃあ、どうして昨日言わなかったの?」
「それは…… 話の展開としても収まりが良かったし、そんな事まで言ってたら、
20行超えちゃうし……あっ、それとピアスちゃん、ポエマーっていうのは、
相手を茶化して言うケースが多いから、あまり自分に対しては使わない方が……」
その時、僕の後ろで声がしたので、振り返った。
「またまたお前かよー、こんどは女子大生までナンパしょうとしてんのかよーー
いい加減、席替われよーーーー」
いい加減 秋 田 。
155 :
名無し物書き@推敲中?:2005/10/26(水) 22:15:14
ここから再開
どぼん氏がスレを活性化してくれたと思ったら馴れ合い厨が出現
やれやれ…
つまらん自己満SSより、よっぽどおもろいと思うが
やれやれ…
はいはい作者乙作者乙
159 :
ピアス :2005/10/26(水) 23:43:09
うーん。和製英語は使ってはイケナイのかな。
納得できればもちろん直したいけれど、歴史の短い文化とも思えるんだけど。
知らないで使ってたから、心に留めておきます。
ラクダはある日
昔々、ラクダはある日、神様に嘘をついてしまいました。
「神様、神様。今日は西から陽が昇り、海から魚が這い上がると、草原を走り回って
ライオンを食べてしまいました。」
けれど、それはラクダにとって特別なことではありません。
ラクダはいつも他の動物達に、嘘ばかりついていたのです。
この頃より少し前、ノアの箱舟に乗ることが出来たのだから、元から嘘つきではなっかたのに。
困った神様は、最後にもう一度だけ、ラクダを確かめてみました。
「猿は木登りが得意で、チーターは一番早く走ることが出来る。ラクダ、お前には何が出来る。」
するとラクダは、
「私は力持ちです。背中に山を乗せても歩くことが出来ます。」
と。
他のラクダも口々に答えました。
「私は二つ乗せられますとも。」
神様は悲しくなりました。悲しくて悲しくて怒りました。ラクダにはそんな力は無かったのです。
昔々、ラクダの背中にはコブは無かったし、緑豊かな楽園で暮らして居たけれど、
今は厳しい赤道直下の砂漠で、人を運び、荷物を運び、
背中には砂山の様なコブを背負い歩き続ける。
ラクダが嘘をついたのは、もう過去のこと。
160 :
ピアス :2005/10/27(木) 00:02:26
なんか縮めたら、口々に、では無くなってしまったなぁ。
私は152みたいな意外なオチ、好きです。
161 :
どぼ〜ん氏 ◆uyTQki4lmE :2005/10/27(木) 00:23:46
【退屈】
「退屈だなぁ」あくびをしながら山田一郎は言った。
「そんな事、言うなよ」隣に座っていた佐藤健二が同情気味に言った。
「とにかく、つまんないんだよなぁ」山田はぼんやりと遠くを見つめている。
「そんなもんだって」佐藤の相槌にも元気がない。
「面白味の欠けらも感じないんだよ」気だるく吐き捨てるように呟いた。
「まあ、気持ちは分かる」小さく頷いただけだった。
「何とかならんもんかなぁ」やり切れない思いが言葉を曇らせた。
「俺たちは無期懲役の囚人なんだから、仕方がないだろう」佐藤は肩をすくめる。
「え? あ……すまん。お前の事を言ってたんだけどな」山田は苦笑いをした。
>>151「百歩譲って、21歳で女子大生で、女だとしても、可愛くない。」
あのぉ、私は別に可愛さを目指してるわけじゃないんですけど。
パンキッシュを「パンキー」とか書いてるのを見る、と突っ込みたくなる性分なだけで。
あと、「百歩譲って」ってなんですか?
本物の女子大生が書いてるって発想はできないんですか?
それからピアスは和製英語として定着してるから使っていいと思うけど、
ポエマーは本当に英語ができないやつに見えてしまうから使わないほうがいいと思う。
外人と英語で話してて、うっかり「ポエマー」なんて言ってしまったら目も当てられないでしょ?
はいはいピアスピアス
165 :
ピアス :2005/10/27(木) 15:04:24
パンキーって初めて聞いた。
女子大生さんの言ってるのは屁理屈では?と、やっと気づいたのでもういいです。
161とか136読むと自分にも当てはまるなぁとドキドキしちゃうよ。
大人にとっての、道徳の教科書的な。
とりあえず馬鹿3匹は死ね
はげど。
168 :
圭 :2005/10/27(木) 17:00:06
『振り返ればやつがいる』(8)
友人がある文学賞の大賞をとった。今日は受賞パーティだ。
高校時代から仲良くしている僕も招待してもらった。
彼は壇上で受賞の挨拶をしている。
「本日は本当にありがとうございました。おかげさまで最新の作品集も
増刷を重ねて30万部を突破することができました。
これも、一重に読者及び編集者の皆様の厳しいご批評があったからだと思っています。
私は人から批判されるのが大好きです。けなされて否定された方が頑張れる。
よーし! 負けないぞと思う。そして、そこにこそ人間の成長があると考えています。
いい加減秋田なんて言われると、自分で書いててそう思っていただけに、
喜びでゾクゾクしてきます。今後とも厳しい御批評をお願い致します」
挨拶を終えた彼は拍手の中、壇を下りた。
僕は彼に握手を求めながら言った。
「君は偉いな。こんな席でもあんな挨拶ができるなんて」
「そんなことないさ。僕は他人に誉められることより、けなされることを望んでいる。
それこそ、自らの才能が伸びてゆくチャンスととらえなけえば――
僕は批判されることに喜びを感じる自分であり続けたいと思っているんだ」
その時、後で声がしたので彼が振り返った。顔見知りの編集者らしい。
「新しく出た作品集、読ませてもらったけどおもしろかったよ」
彼は笑顔で答えていた。
「そうですか。そう言ってもらえるのが一番うれしいです」
「午前2時のメール」
彼女は届いたばかりの一通のメールを前に考え込んでいた。メールは差出人が空欄になっている。
彼女の知る限りでは差出人を空欄にしてメールを送ることは出来ないはずだ。その本文は1行だけだった。
午前2時、あなたに、きます。
時計をちらと見ると午前1時41分だった。それからメールには添付のファイルが1つある。画像ファイルらしい。
少し迷ったが、開いてみた。何か有害なもの(死体画像など)を覚悟して開いたが、黒一色な画像である。
中央に小さく赤の文字で何か書いてあり、目を凝らして見る。こう書いてあった。「事前の連絡、されます」
突然電話が鳴った。彼女は心臓が止まりそうなほど驚いた。一人暮らしの彼女だが、こんな時間に電話を掛けてくる知り合いは居ない。
「午前1時59分30秒……」
電話に出てみると時報だった。うそよ、まだそんな時間じゃない……。
だいたい時報というのは向こうからかかってくるものではない。しかし悪戯にしては妙に音声がクリア過ぎる。
突然、今度はドアノブをガチャガチャと捻る音が玄関から聞こえた。
何か現実的でない奇妙な事に巻き込まれている──彼女は受話器を握ったまま恐怖に凍りついた。
でも、鍵がかかっているから大丈夫、大丈夫……と自分に言いきかせていると、スコンと鍵が外れる音がして何者かが侵入してくる気配があった。
そんな…そんな馬鹿な。そう、きっと知り合いの悪ふざけに違いないのよ。彼女はへたりこんで動けないまま侵入者が姿を現すのを待った。
部屋に入ってきたものは、一面が焼けただれ歪んで凝固したような赤黒い醜怪なものだった。
人間のように直立二足歩行しているが、断じて人間ではない何かだった。
彼女の耳元で時報が時を告げていた。「午前2時……」
>>168 オチは? スレタイは読めるよな。
>>169 これもオチてないな。
ハラハラ感や恐怖はよく伝わってきて良いと思うが、ラスト3行がそのまま過ぎる。
これじゃただの「20行の怖い話」。
171 :
名無し物書き@推敲中?:2005/10/27(木) 18:43:40
172 :
名無し物書き@推敲中?:2005/10/27(木) 18:45:33
どこに?
>僕は他人に誉められることより、けなされることを望んでいる。
と言ったすぐ後に
>「新しく出た作品集、読ませてもらったけどおもしろかったよ」
と褒められて
>「そうですか。そう言ってもらえるのが一番うれしいです」
174 :
172:2005/10/27(木) 18:51:40
何で作者がageたりsageたりしながら自演してるの?
作者じゃねえってw
171はsage忘れただけ
176 :
172:2005/10/27(木) 18:57:11
あるあr・・・
>>170 >>171 >169書きました。オチは意外性がないとショートショート的じゃなかったかな。
コメントありがとう。
鏡の“奴”
私は自分の顔を知らない。
なぜなら、鏡やそれに類するものが恐ろしくてならないからだ。
病床に伏せる今、私の近辺にあるのは、このたった一つの手鏡だけ――
40年前のあの日、鏡の中だった。
“奴”はそこにいた。
赤黒く焼け爛れた顔。洗面所のドアのむこう、キッチンのテーブルの影から、
“奴”は白く濁った瞳でじっとこちらを見つめていたのだ。
私は悲鳴をあげて、背後を振り返った。
キッチンには誰もいなかった。テーブルの影にも、食器棚の後ろにも誰もいはしなかった。
もう一度鏡を覗き、私は意識を失った。
“奴”は、じりじりと床を這いずっていた。
翌日、屋敷中の鏡や、顔の映る可能性のあるもの一切を処分することに決めた。
その日の早朝、私は自分の正気を確かめるために、もう一度だけ鏡の前に立ったのだ。
私の喉から、絶叫がほとばしった。
“奴”はキッチンを抜け、洗面所のドアからこちらにむけて這い寄ろうとしていた。
焼けた肉と汚らしい膿が、床にべったりと付着して跡を引いている。
そして、たまらなくおぞましい、その顔――
以来40年間、私は鏡を見たことがない。親の遺してくれた莫大な遺産が、それを可能にしてくれたのだ。
“奴”はおそらく、まだそこにいる。私が鏡を見ることを心待ちにしている。
私はもう長くないだろう。最後の心のしこりを取り除くには、いい頃合なのだと思うのだ。
私は、手鏡をそっと覗いた。
「ああ、父さん……やっぱり、そこにいたんだね」
これは、遺産欲しさに犯した罪の清算――父によく似た男が、死の色をはっきりと浮かべながら、手鏡の中で私を見ていた。
「すまなかった父さん。すまない、すまない……」
鏡の中で、父によく似た男が涙をこぼす。
その首に赤く焼け爛れた指が絡まり、ゆっくりと締め上げていった。
179 :
圭:2005/10/27(木) 21:10:55
『振り返ればやつがいる』(9)
彼は怒っていた。
「イチイチ、オチがねえとか弱いとかうるせーんだよな」
「どうしたんだ?」
「だいたい、定義だって明確なものじゃないんだ」
「確かに、オチ不要論ってのもあるからな」
「だろー。短い話の中に作者の世界観とかが感じられれば
それで、いいんじゃねえの? 星だって筒井だって阿刀田だって
オチとはいえないようなやつ、いくつもあるだろ?」
「ある。オチなんか意識してない作家もいるな」
「だろー。それをスレタイ読めとかえらそーに……
それを言うんなら、いちいち批評なんかしてんじゃねえよ!
スレタイのどこに批評求むなんて書いてあんだ? うん?」
「まあまあ、批評されて感謝してる人もいる訳だし……」
「てめえの読解力不足を棚に上げやがってよー」
「まあ、文章力不足っていう場合もあるからな……」
「なんだってー!」
「まあまあ、おちつけ。でも、おまえの場合、オチは必須だと思うぞ」
「どうしてだよ!」
「それは……」その時、彼を呼ぶ声がして、振り返った。
「師匠。そろそろ高座のお時間で……」
業務連絡
>>171 フォローどもです。
どっちもウザイ。煽んな。乗るな。
つかコテ付けてんだから、文句がある奴はあぼん汁。俺はした。
作文レベルだなw
もうちょっとレベル高いショートショート読みたいってのが本音なんだけど、
まあ、初めての人が練習に使うのもありかね。
アボンしました。
『煙』
俺は机に向かって、煙草を吸っていた。
その煙はゆらゆらと揺れ、苦い香りが辺りに漂う。
俺はこの煙が好きだ。
ただなんとなく、漂い続けそして消える。
自分の人生もそんなものでいいと思っていた。
今はとにかく、原稿を書き続ける。
書いて書いて、それでもだめだったのなら・・・。
俺は立ち上がって、もう一本煙草を取り出した。
ふと気づいて、その煙草を閉まった。
まぁ、やるしかないな。
今は目の前のことのみに集中しよう。
原稿を見つめ直し、念入りに推敲する。
もうこれでいいだろう・・・。
夜も遅い。早く寝よう。
そして俺はボタンをクリックした・・・・・。
一服しようぜ (´―`)y─┛~~
183 :
馬太郎 ◆BzG5Hx/G/k :2005/10/28(金) 01:51:27
【嘘んこ昔話シリーズ】
『短い桃太郎』
むかしむかし、あるところに、おじいさんとおばあさんが住んでおりました。
おじいさんは山で迷子におばあさんは川で溺れかかっておりました。
おばあさんがもがいていると川上からどんぶらこっこどんぶらこっこと大きな桃が流れてまいりました。
死に物狂いで桃にしがみつきおばあさんは何とか一命をとりとめました。
大きな桃です。おばあさんはおじいさんにも見せたくなってお家に持って帰ることにしました。
しかし待てど暮らせどおじいさんは戻ってきません。
おばあさんは待ちきれなくなって一人で桃を食べることにしました。
「エイヤッ」っと言って大きな鉈を振り下ろすと、桃は真っ二つに割れて、中から迷子になっていたはずのおじいさんが出てきたのでした。
おじいさんは照れくさそうに「ただいま」と言って出てきました。
おばあさんはびっくりして大きく目を開くと
「おやまあ、ずいぶん大きな桃太郎だこと」と言って笑い始めました。
おじいさんもつられて笑い出し、二人は仲良く大きな声でわっはっはわっはっはと笑いました。
めでたしめでたし。
むかしむかし、あるところに、おじいさんとおばあさんが住んでおりました。
ある日、おばあさんが持って返ってきた桃を、おじいさんはどうしても割ることができず、
ふたりの仲は険悪になってしまいました。
「あんなに頼りないとは思わなかった」
おばあさんは愚痴ばかりです。
それからしばくらして、おばあさんは風邪を引いて寝こんでしまいました。
とても苦しそうです。粟で作ったおかゆも、喉を通りません。
「おばあさんや、これをお食べ」
おばあさんは、おじいさんの差し出したものをみて驚きました。
とても美味しそうなお浸しです。
「おばあさんが持ってきた桃を漬物良し代わりに、たくさんの漬物を作ったのだ。
すっぱいものは、からだを元気にしてくれるんだよ」
おばあさんは、少女のように目を輝かせました。
桃が割れないなら、別の使い道を探す、そんなおじいさんの心意気に感動したのです。
おじいさんの作った漬物を食べて、おばあさんは、ぐんぐん元気になりました。
それ以来、ふたりは今まで以上に仲良く暮らすことが出来ましたとさ。
おひたしおひたし。
【未来昔話シリーズ】 (どっちやねん!)
未来の未来の、あるところに、おじいさんとおばあさんが住んでおりました。
おじいさんとおばあさんは、極高速極容量情報通信ラインの川で今日も仲良くジャックイン!
すると上流の方からドンブラコッコドンブラコッコと無数の大きな桃が流れてきました。
おじいさんは探知モニターを表示させ桃内部の良質遺伝子情報を探り「これだ!」とオンリーワンの桃を選び出す。
オンライン決済を済ませ(年金ポイントローン返済!)お家に持って帰ることにしました。
「エイヤッ」っと呪文をキー入力して暗号解読解除機能付き鉈を振り下ろすと、桃は真っ二つに割れて、中から優良遺伝子のいっぱい詰まった赤ちゃんのデーターが出てきたのでした。
さっそく、用意していた健康第一社製のクローン素体作製器へ情報を流し込みました。
2人の愛情をいっぱいもらった桃太郎は、すくすくと立派な青年へと約半分の年月で成長しました。
ある時、桃太郎は「おじいさんおばあさん。私は、異星人退治に出かけることにしました。」と星間戦争状態の<ONI−GA−SHIMA>第23殖民星へ志願して行きました。
戦闘補助人工知能体<SARU−001>、強化戦闘服<INU−002>,大気圏内宇宙空間両用高速移動機<KIZI−003>を装備し桃太郎は、異星戦闘メカと戦いました。
長くつらい戦闘が続き、双方の膨大な数の尊い生命の犠牲の末、ついに和平条約が結ばれた。
数多くの戦歴ポイントを変換し使いきれない程の額の所得ポイントをお土産に桃太郎は、堂々とした姿で帰国しました。
戦地から戻った200万人の人間がやっと日常の平穏な暮らしに戻った頃、人類の中に奇妙な病が発生した。
おじいさんとおばあさんには、桃太郎の悩みや喜びなど、考えることが自分の事のように感じ取れていた。
桃太郎は、和平状態のエイリアンが元来持つ、強力な空間感応能力に意識感染していたのだ。
瞬く間に人類全域に意識感染したこの病により、人類は、いやエイリアンともに一つの統一知能生命がココに誕生した。
めでたし めでたし。
>>183 あんまオチてないけど
こういうの俺好きかもw
[優しい強盗]
老夫婦の家に強盗が押し入った。
腕に覚えがあった老爺は強盗を包丁で切りつけようとしたが、年寄りの冷や水という
諺の正しさを証明しただけだった。
血を流し倒れた老爺を見ても、老婆は悲鳴ひとつあげなかった。
「へえ、気丈じゃないか」
強盗から声をかけられ、老婆は自嘲するように笑った。
「そんなんじゃないさ」
「……悪かったな。大人しくしててくれりゃあ、あんたに危害は加えない」
「ありがとよ」
「爺さんとは長かったのかい?」
「五十年、ってとこだね」
「そうか」強盗はトーンの落ちた声を出した。「本当に悪かった」
「かまやしないよ。五十年といっても、密度の薄いものだったからね。過ごした時間がど
れだけ長くても関係ないよ。ようはどれだけ濃い時間をともにしたのか、さ」
「そう言ってもらえると救われるな」
強盗はたいしたものは奪わずに家を出て行った。
老婆は老爺を一瞥もせず、自室へと戻り、あることを確認すると涙を流して悲しんだ。
ここ一年近くともに熱く濃い時間を過ごしてきたプレステ2が奪われたのである。
189 :
どぼ〜ん氏 ◆uyTQki4lmE :2005/10/29(土) 01:04:54
【振り返れば、俺の後ろにも奴がいた(1)】
半年前の事である。
同僚の佐藤が仕事で失敗したのを知った俺は、その日の夜、飲んだ席でこれでもかと言
わんばかりにとことん貶したのだった。その頃の会社の経営状態は相当きつく、各部署に
厳しいノルマが課せられ、社内には重苦しいストレスが溜まっていた時期で、当然、俺自
身も疲れていたのは確かだった。
だが、言い過ぎた。
俯いたまま黙って聞いていた佐藤だったが、その日の夜、自殺してしまったのだ。
遺書も無く、誰にも悩みを打ち明けていなかったので、死因は分からずじまいのまま葬
式が行われた。過労死だという説も持ち上がったが、身寄りの少なかった事で、それもう
やむやになってしまったようである。
しかし、それで良かったのだ。佐藤を殺したのは、間違いなく俺なのだから。
こうして、今、やっと奴の墓の前に立つ事が出来た。怖くて葬式にも出られなかった俺
は、半年が経ってやっとここに来るだけの勇気が持てたようだ。今更だが、佐藤の事は一
日たりとも忘れた事はない。それは本当だ。会社を辞め、その頃付き合っていた彼女とも
別れた。部屋からもほとんど出る事が無くなった俺は、こうしてくたびれたスーツとだら
しのない無精髭に身を包んでいる。
「すまなかった。俺が悪かった……」搾り出すように、それだけを言った。
すると、後ろで気配がした。俺がゆっくり振り返ると、そこに奴が立っていた。
疲れた表情は、あの時と同じだ。ただ、ぼんやりと全身が霞んでいる。
「佐藤、恨んでるだろ?」俺の声は震えていたが、どこかホッとしているようでもあった。
「待ってたよ、山田」掠れた声で、確かにそう言った。
「誰にも言ってなかったんだが、俺には持病があったんだ。それが苦しくてな。自殺はそ
れが原因だ。俺は自分の人生に何一つ後悔はしていない。ただ……」
佐藤は、俺をじっと見つめた。
「お前にそれを言いたかったんだ。お前は俺の数少ない友達だから。早く、立ち直れよ」
そう言うと、佐藤はあの懐かしい笑顔のまま、静かに消えていった。
190 :
馬太郎 ◆BzG5Hx/G/k :2005/10/29(土) 02:50:26
『DINNER』
「愛してるよ」男は言った。
「私も」艶っぽい声で女も答えた。しかし眉根一つ動かさない女の表情は心なしか愛情の欠如を感じさせる。
「君だけだ。もう離しくない」
「私も。本当に、あなたが好きよ」
「君はいつもそんな風に答えるけど僕はどうしても不安な気持ちを拭えないんだ。どうか僕を安心させておくれ」
「そうね。あなたの気持ちはよくわかるわ。だって私も同じだもの。あなたを失うのが怖い……」
本心じゃないことは顔を見ればわかる。それなのにこれ見よがしに愛の言葉を並べ立てやがるのだ、こいつは。
二人は夜景の奇麗な男の部屋でテーブルを挟んで向かい合い、ワイングラスを片手にディナーを食べていた。
「いいかげんにしてくれよ! 君は僕を愛してなんかいない。口だけだ! よくもいけしゃあしゃあと……」
「酷い。信じてくれないのね。こんなにもあなたのことを愛しているのに。どうしてあなたはそんなに疑り深いの? 私の愛しいヒネクレ屋さん」」
「嘘だ。嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ! 信じられない、信じられるわけがないじゃないか! そんな言葉を!」
「どうして? こんなにもあなたのことを想っているのに。愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる……」
ガチャリ。
そこでテープが切れた。男はおもむろに立ち上がると女の後ろに隠した再生機を巻き戻し、もう一度セットして座りなおした。
男は席につくとフォークで一切れ肉をほお張りながらつぶやいた。
「やれやれ。信じられるわけがないじゃないか。自分で録音した言葉を。おしゃべり機能がついていると聞いたから何かと思ってこのダッチワイフを買ったがずいぶんとお粗末なもんだわい」
ワインをぐいと飲み干した。
191 :
馬太郎 ◆BzG5Hx/G/k :2005/10/29(土) 03:01:47
ここでがんばっているどぼ〜ん氏に敬意を表して俺もたまにこのスレや四行スレに訪れたいと想う。
彼のように毎日は書けないが。
192 :
圭 :2005/10/29(土) 03:22:52
『振り返ればやつがいる』(10)
わずかな休憩時間にも俺は悩んでいた。演技がうまくできない。
――思うようにいかない――
本番まで、あまり時間がない。演出の蜷川先生も相当イラついているようだ。
当日は両親も呼んである。舞台の上でぶざまな姿はさらせない。
「大丈夫よ。うまくいくわよ」
今回、老婆役のかおりが声をかけて励ましてくれた。
「ありがとう、がんばるよ」
だいたい時代物は得意じゃなかったんだ。ズラを被るのも、あまり好きではない。
本当なら、古典的なものより現代劇が良かったが……
――でも、せっかく掴んだ主役の座だ。なんとか成功させないと――
今回の演技で一番むずかしいのは、登場の時だ。
物語の序盤、観客が予想もしていなかった場所から俺は登場する。
そして台詞のほとんどない中、自らの歓喜を表現しなくてはならない。
その後の戦いに向かう時、自身の心の葛藤を、どう表現すればいいのだろう。
年老いた両親を残し、わずかな仲間達と共に旅立つ苦悩を、どう観客に伝えれば……
その時、蜷川先生の声がしたので、俺は振り返った。
「さぁ、じゃあ、また練習はじめますよー。かおりちゃんが桃をひろう所からね。
みんなー、おたのしみ会の桃太郎、上手にできるようにがんばろうねー」
193 :
馬太郎 ◆BzG5Hx/G/k :2005/10/29(土) 03:51:32
『小さな恋の物語』
先ほどからずっと背後に人の気配を感じている。
しかし振り返ってみても誰もいない。注意深く辺りを見回しても人っ子一人見つけ出すことができないのだ。
夜。仕事の帰りで遅くなった誠一郎はそそくさと早足で帰途を急いでいた。家では寂しがり屋の妻が首を長く
して誠一郎の帰りを待っている。温かい料理と妻の笑顔を考えると自然と顔がほころんでうずうずと心が騒いだ。
そこでまた、怨念にも似た妙な気配を背後から感じ取り、誠一郎はすばやく後ろを振り返った。……しかし誰
もいない。だんだん怖くなって誠一郎は半ば駆け足といえるほど歩を速めた。
「うふふふふ」
どこからともなく女の甲高い笑い声が聞こえてくる。気のせいかもしれなかった。辺りには誰もいないから。
電柱の陰、曲がり角、路上に止めてある車の後ろ、など、注意深く周囲を見回したがやはり誰もいないようだった。
昨晩、テレビで見た心霊スペシャルの記憶がよみがえる。誰もいないと安心したところでゆっくりと後ろを振り返
ると、そこには血だらけの恨めしそうな目で見つめる髪の長い女が……。誠一郎はぞっとしてうちに着くまでもう二度
と後ろを振り向かないと決心した。もともと、小心で気の弱い怖がりな性格なのである。
ところでこの誠一郎の背中にはぴっとりと一匹の小さな毛虫が張り付いていた。
毛虫は思った。
「やさしくて、家族思いな誠一郎さん。あなたは私の理想の人。とってもナイーブで繊細、でもいざという時は勇敢な人。
大っ好き。誠一郎さん。ああ、あなたとの恋が実ったなら……」
セーターに張り付いた毛虫はそのまま誠一郎の部屋へ運ばれ、やがて棚の陰でさなぎとなるだろう。かなわぬ恋の想い
に焦がれてますます膨れ上がった毛虫はじきに殻を破り蝶となったことだろう。美しい鱗粉に彩られた羽を持つ毛虫がそ
の後どこへいったか私は知らない。そして誠一郎も知らないのだ。
かつて自分に恋をして美しく変貌していった小さな生き物がいることを。
>>179以降、オチのない話がどっと増えたのは気のせいか……
195 :
馬太郎 ◆BzG5Hx/G/k :2005/10/29(土) 04:56:52
『ラッキー・ボーイ』
「僕ね、ものすごい強運の持ち主なんです」少年は語りだした。
「交通事故に遭ったことがあるんです。でも無傷で……」
嬉々として話している。
「それからそれから、宝くじにも当たるしギャンブルも強いし生まれつき顔もよくてモテモテなんです」
確かにすごそうだ。
「でもそのせいでずいぶん妬まれちゃってビルの8階から突き落とされたこともあるんですよ」
「ほお」
少年を取り囲んでいた集団の幾人かのうちの一人が言った。「それでどうやって助かったんですかな?」
「ちょうどトラックが通りかかったんです。幌つきの荷台の屋根にぶつかって跳ね返った。着地先が偶然荷物として運び出せれていた布団の上で、まったくの無傷だったんです」
「おお」
人々の間から喚声が上がる。それは確かにものすごい偶然だ。しかしその中から一人の老人が訝しそうに顎鬚をさすりながら前に出てきて少年にこう尋ねた。
「それじゃあお聞きするがなぜ君は今ここにいるのかね」
そこは天国だった。
少年はつい先ほど絶命してあの世の世界に到着したばかりなのである。老人のほかにもさまざまな人が少年に非難の声を浴びせた。
「そうだそうだ! 本当についてるならこんなとこにくるはずがない! どういうことか説明してくれ!」
すると少年はにっこり笑ってこう答えた。
「簡単ですよ。この世の世界で生きていくほど苦しいことがあるでしょうか。それならばこうして天国で暮らしたほうがずっと幸せです」
少年はあるときから考えが変わったのである。
196 :
名無し物書き@推敲中?:2005/10/29(土) 06:09:47
作者乙
198 :
196:2005/10/29(土) 07:24:35
>>197 僕は作者とは関係ないっすよ。
毎日のように書いてて凄いな、と思ってたもんでね。
199 :
名無し物書き@推敲中?:2005/10/29(土) 07:41:57
>>197のレスは別に
>>196に宛てたものではなくて、
>>195までの作者さん全般に向けた言葉のように見えるが……。ちなみに俺は197じゃないよ。
それはそうと、ちょっとここの作者さんたちに聞きたい。
20行のショートストーリーって書くの結構手間かかるよな? 特にネタを思いついて、昇華させるのが難しいと思う。
それなのに毎日(というのは言いすぎだが)こんなところに投稿しては読み捨てられている。それって結構もったいないと思わない?
全部は読んでないけど、中には結構面白いものもあったと思う。どうせ書くんならもっときちんとネタを昇華して、もっとちゃんとしたところに投稿してみようと思わない?
第一ここじゃ満足に感想ももらえないだろう。それでもいいよ、っていう作者さんの気が知れんわけだ。別に特定の誰かを叩いているつもりはないが。
もし思うところがあればちょっと意見聞いてみたいかなーと思います。
ついでに200、のひとつ前ゲット。
はいはい
>>199 ちょっとした頭のウォーミングアップの感じでココに書き込んでるんじゃないのかな。
調子がいいときは、続けてアイデア出る時、あるよね。
202 :
圭 :2005/10/29(土) 11:15:18
>>199 にレスです。
[元祖]『振り返ればやつがいる』(11)
知らない人が声をかけてきた。
「どうして、こんなとこで書いてるの?」
「うーん、20行ってのが書きやすいっていうか、頭の体操っていうか――
それにほら、おいらの場合、ここでネタ拾ってるし、
この場でしか通用しないのが多いんだよね。
まぁ、それが一部の人には顰蹙かってるみたいだけど、
2chだし、変なのが一人位いてもいいんじゃね」
「でも、そうじゃないのもあるでしょ?」
「そういうのもあるけど、どっかに投稿するとしたら、
最低でも二千字程度は必要だし……もともと六百字程度の話と思って
考えてるから、それを膨らませるのも面倒くさいし……
それなら別個に長短編考えたほうがいいしね」
「感想とか、ちゃんともらえなくてもいいの?」
「うーん、書いてる人は大なり小なり感想を求めてるんじゃないの?
人の書いたものは判断できても、自分のものはなかなか判断できないから。
でもまあ、この板には、それこそ編集者レベルから小学生までいろんな人がいるし……」
その時、後ろで声がしたので振り返った。そこに
>>189どぼ〜ん氏 ◆uyTQki4lmE がいた。
「おいおい。わざわざ[元祖]とかつけなくても……」
203 :
芥子:2005/10/29(土) 11:34:19
太った子
ある日、お父さんが家に帰ると子供が変わっていました。
今までその家にいた3人の痩せっぽちの子は消えてしまい、代わりに1人の太った子がい
るのです。お父さんはおかしいなとは思いましたが、太った子があまり当然のような顔で
居座っているので、気にするのを止めました。
お父さんは太った子を育てました。太った子はすくすくと育ち、やがてお父さんの三倍
ほどの大きさにまで成長しました。お父さんは、さすがにこれは自分の子ではないんじゃ
ないかな、と思いました。
「お前は私の子ではないんじゃないかね」
「さあ、どのみち僕はもう家を出て行きますし、出て行ったら戻らないつもりですし、ど
ちらでも良いんじゃないでしょうか」
そのうち太った子は家を出て行きました。そして戻って来ませんでした。
歳月が流れました。
ある日、お父さんは家の庭で一本の骨を見つけました。辺りの地面を掘ってみると、三
人分の痩せっぽちの骸骨が出てきました。
ああ、これが自分の本当の子たちだったんだな、とお父さんは思いました。
それから3人の遺骨を丁寧に埋葬しなおして、冥福を祈ったということです。
204 :
ピアス :2005/10/29(土) 12:21:23
199
小説家になりたくは無いし、なれると思ってないんでないの?
あたしはクリエイティブなことがしたいから雑誌の仕事してる人に見せて、
コネ作りにしてるけど。作品を雑誌に載せて貰えて、しかもお金貰えたら良いけど、
半年に一つペースだから本業なんて考えもしない。
小説やショートショートを本業でやりたいひとは来ないのでは?
リスクもあるのに無料でさらして、プロ意識が無いもの。
ああ、日本語が不自由な子だったのか…。
可哀想になぁ…。
206 :
ピアス :2005/10/29(土) 12:42:12
199
毎日書くということは、もちろん例外もあるけど、クオリティの高いものは少なくなる気がする。
ただ吐き出すより、一つのものを練る作業が大事で、ここに書くのは吐き出しの作業かな、と思う。
ここには載せて無い作品を持ち込んだりしてるしてる人も居るのでは。
207 :
ピアス :2005/10/29(土) 12:55:20
205
ごめ。多分、作れって言われて作ってるから半年に一作品なんだと思う。
自発的に作ってないし。
でも、ちゃんとしたテーマを貰えば、その場で浮かぶ。二日で書ける。直されるケド。
良い作品には1つ2つ短い感想レスがつく(つかない場合もあるが)。
微妙な作品はだいたいスルーされる。
俺はそういうクールで馴れ合いのないこのスレを結構気に入っているよ。
と、いうわけで投下。
[月下の人狼]
「いいかい、悟。満月の日ははやくに帰ってこなくちゃいけないよ」
悟は両親にそう言われ続けてきた。
幼かったころの彼はそれに疑念をもったことはなかったし、他の家の子供たちも同じよう
なことを言われているものだとばかり思っていた。
しかし悟ももはや中学生。
自分の家庭がおかしいことくらいとっくの昔にわかっていた。
ある日、悟は図書館で狼男の本をみつけた。
――僕は狼男なの?――
ショックを受けなかったといえば嘘になる。だが、すぐに真実を確かめたいという衝動
がわいてきた。
ちょうど今夜は満月だ。
いつもならどこにも寄り道をせずまっすぐに帰宅するのだが、今日は月が出るまで外に
いようと悟は決心した。
空は夕闇に染まり、うっすらと白い月が見えてきた。まだ体に変化はない。
突然、悟の目の前を歩いていた男がうめき声をあげて倒れた。
駆け寄る悟。しかし倒れているのはその男だけではなく悟以外の全員だった。
彼らの体がみるみる人狼に変わっていく。変化しきった彼らに食われながら悟は理解した。
――そうか、僕だけが人間だったんだ――
209 :
芥子:2005/10/29(土) 17:41:29
>192 演出の先生というのは実在の演出家のパロディですよね。
こぅいう笑いは個人的にはあまり好みではなかった。。
主人公がもうちょっと身ぶり口ぶりで苦悩しても良かったのかな。4
>193 割とファンタジーな展開になっていく話だけど、少ぅし無理がある印象を受けた。4
>195 ラスト直前までのフリ方はけっこう良かった。最後のオチが弱いと思った。5
>202 やはり投稿したら感想はもらいたいものと思う。で、まぁ今は感想を書く方をやってみました。
正直を旨とするべし、とか思うのですが、なかなか難しい。5
>203 自作
>208 うん、上手いな。なるほどねぇ、と思わされる作品でした。8
---- - - - -
数字は10段階で評価。5が標準くらい。余計かな。主観なモノなので、あまり気にし過ぎないで下さい。
自分の事を棚に上げてのコメントもするのですが、それもあまり気にし過ぎないで下さい。。
>>209 演出の先生はパロディではなく保母さんと思われ
211 :
ピアス :2005/10/29(土) 20:13:38
210
192はある意味パロディだよ。蜷川幸雄(字違ったらごめん)と思わせるって所が。
女友達
由美の目の前にはずっと気になっていた限定のケーキがある。
完全予約制で注文も手間が掛かり、なかなか手に入らない。
由美は女子大からの友人で、お嬢様育ちで小説家の陽子の家に居た。
これが食べられるなんて幸せだわ、と思いながら由美は陽子の話を聞く。
「小説を書いていても、どんなに売れても、命や、不幸な人も救え無ければ、幸せな人をもっと幸せにすることも無い。書くことに意味なんて有るのかしら。」
また始まったわ、と由美は思った。
「あなたの(お嬢様のたわごとを書いた)本(なんか)を読んでちゃんと救われている人も居れば、
考えたり、気分転換になる人も居るのよ。実際売れているし(どうせ親のコネでも使ったんでしょうに)、
ファンレターなんかも貰うんでしょう?」
由美は陽子のツボを心得ている。十年も付き合って居るのだ。
「そうね。この前も引きこもりの兄弟を持つ女の子から、先生の小説だけが生きがいです、って手紙がが来たわ。
書くのは一人でも、もしかしたら沢山の人を救えるのかもしれないのよね。頑張ろう。こんなこと由美にしか言えないわ。今の担当さんはまだ慣れてなくて。」と困った様に笑う。
世間知らずのお嬢様には私みたいなしっかりした人間が必要なのよね、と由美はほくそえんだ。
陽子は思った。お嬢様で小説家の私があんたの友達おかげで、一般人のあんたに
優越感を感じさせてあげているんだから。
こんなケーキ一つで埼玉から一時間半も掛けて来るなんてよっぽど暇なのね、と。
かくして彼女達は親友なのだ。10年前も、30年後も。
東京よりも、幾分か離れた住宅町の大きな道路沿いに、ファミレスが、2つ3つ、並んでいる箇所がありました。
その一番北側のファミレスに男女が7人程でありますか、入ってゆきました。
彼らはある家族の隣に座ったのですが、数時ほどして、その家族の赤子が、また、向う側の、未だ小さい子供が、泣き始めたのでした。
7人の男女は特に何かしたわけでもありませんし、静かでありました。
子供は、彼らから生気が感ぜられぬところ、直感的な不安から、泣き出したのであります。
全てに無垢で、好奇心の塊である子供が泣き出したのであります。
彼らはいったい何者なのでありませうか、
その顔からは、人間が人間で在りしめるための、暖かさは、まるで、感ぜられぬのですが。
213 :
どぼ〜ん氏 ◆uyTQki4lmE :2005/10/30(日) 03:51:40
【振り返れば、俺の後ろにも奴がいた(2)】
「何をやっておるのだ?」
振り返ると奴がいた。
“奴”といっても、神様だ。しかし、何度も登場しているので、ちっとも感動が無い。
「20行以内のショートショートを書いているのです」
「お前は何度も20行を超えておるではないか」
「はい、よく言われます」
「当たり前にように言うではない、ルールはしっかりと守らなくてはいかんぞ」
神様は思いのほか説教口調だったので、軽い苛立ちを感じた。
それでも、神様の威厳は変わらない。どこか包み込んでくれるような包容力がある。
「なぜ、書くのだ?」
「いろいろ考えて、発表するのが楽しいのです」
「安易な物を簡単に発表しておるが、もっと推敲し作品を昇華させようとは思わんのか?」
「良いネタはそうするつもりですが……」
「ですが、何じゃ?」
「疲れている時などは、簡単に書ける駄文に走ってしまう傾向があるようです」
「お前の前途は暗い。まあ、気長に頑張るのだな」
世界の神様にネガティブな事を言われたので、また軽い苛立ちを感じた。
それでも、神様の偉大さは変わらない。どんな困難も解決して貰える気がするのだ。
「神様、もう次で20行目なんですが、オチがありません。どうにかしてください」
「圭という者に頼め、あいつならなんとかしてくれる」
214 :
圭:2005/10/30(日) 15:08:36
『振り返ればやつがいる』(12)
川の流れは静かで、水面に揺らぐ小さな波間には日の光がきらきらと反射している。
小さなグラウンドでは子供達の歓声が時折こだまする。
夕暮れの堤防の土手には、冬の訪れを感じた草花がその短い一生を終えようとしていた。
手元にあった、中のひとつを摘もうとしたが、その枯れかけた姿態は、
まるで、自身を投影しているかのようで気がつくと手を止めていた。
――いったい、どうしたらいいんだ――
これから、やってくる運命の時に自らの才を世間に知らしめることができうるのか。
やるだけのことはやったとういう気持ちと、まだやれるのではとの思いが心の中で交差する。
スタニスラフスキー・システムに基ずく、俺の動き、表情、声、心の揺れはどうだろう。
俺の心の叫びが観客の心に届く時、その二つはやがて一体となり、ひとつの魂となる。
その魂の波動は、一瞬の時の停止ののち、小さな舞台の空気をしなやかに静寂へと変化させる。
そして、次に沸き起こるであろう互いの歓喜と賞賛の拍手の中その先にある
――それぞれの人生の行方に――そこにいるのはオリュンポスの神か、それともユダ?
わずかに見える光源の先にあるのは希望なのか、それとも絶望なのか……
神はその人間の耐えることのできうる試練しか与えないという。
我に与えられた、この試練ははたしてこの精神に耐えうることが可能と判断なされたのか。
その先にあるのが栄光なのか挫折なのか、人知では計り知れない神の世界なのかもしれ……
その時、俺の後ろで声がしたので振り返った。そこにいたのは、まぎれもなく神だった。
「いつまでも幼稚園のお楽しみ会の演技で悩むでない。それにお前のキャラではない。
それより、はやくオチでも考えてやれ。ほれほれ――」
【青山墓地まで……】
白いワンピースを着たずぶぬれの女性を乗せた私は、
本物かどうかをずばり聞いた。
「ね、ね、本物?」
「……」
「うわ、無言!? こりゃ限りなく本物!」
「……」
タクシー運転手の間で広まるあまりも有名な伝説。
こういう目にあうと自分もベテランかな?なんて思えてくる。
バックミラー越しに彼女にさらに話しかける。
表情はやっぱり青白く、冴えない。
「それでさ、やっぱり急に消えるの?」
「……」
「結局お金払わないんでしょ? ここから青山は近いからいいけど、
やっぱり無賃乗車はよくないよ?シートを濡らすのも感心しない」
「……」
ああ、またやってしまった。前にお客とトラブルになったのもこの説教癖だ。
ついつい舞い上がっていつものノリで話してしまった。
もう一度バックミラーを見るともうすでに彼女はいなかった。
自動車を止めて席を見ると、そこには濡れた千円札が一枚……
幽霊から金を取れた!新しい伝説第一号になった気分は格別だった。
早速事務所に帰ってみんなに自慢しよう。
40円足りないのは勘弁してあげた
1点
217 :
ピアス :2005/10/30(日) 21:37:54
215
微笑ましくてイイ。
218 :
名無し物書き@推敲中?:2005/10/30(日) 22:50:30
219 :
名無し物書き@推敲中?:2005/10/30(日) 23:20:45
斬新でヨカタ
このスレのお手本みたいな作品だね。
俺もがんばろ・・・
振り返ればやつがいるシリーズはもう勘弁して・・・
22行なのにお手本なのか
まぁ意味が違うんだろうけど
おい、ちょっと待て。
>>215は、そんなにいいか?
【人を見る目】
私、人を見る目には自信があったんですよ。そりゃ長年人事やってましたからね。
このたびリストラされまして、はい、こっちの世界にやってきたわけです。
まあ、自殺した人間は成仏できません。ある廃屋で地縛霊してましたところ、
一人いかにも気の弱そうな学生服の奴が紛れ込んできたんですよ。
何かの罰ゲームでもやらされてると思いました、変にキョロキョロして。
そりゃいいカモですよ、ここぞとばかりに取り憑いて、たっぷり精気をもらおうと思ったんですが…
このガキ、まったく気味悪いやつです。学校ではすごい優等生でスポーツもそこそこ、
性格も明るくていわゆる人気者なんですが、家に帰ったら引出しからナイフ取り出して、
同級生の写真の目を抉ったりしてるんですよ。
ある日、「お化け屋敷を見つけた」って同じクラスの女の子を連れ出して、向かった先は
私が取り憑いたあの廃屋でした。俺のほかにいたっけなあ?なんて暢気な事を考えてたら
このガキいきなりナイフを取り出して、ザクザクッ!ってまあ…
まあ、早い話がバラす場所を探してたってことですか。
世の中には優しい顔して悪魔みたいなやつがいるもんです、今更って本当に今更ですが気づかされましたよ。
私も、もしかしたら仲間だと思ってたやつに裏切られてリストラ候補になったのかもしれません。
自分の人を見る目はまだまだだったってことでしょうかね。
その女の子は結局行方不明扱い。死体発見されたのは何ヶ月も後でした。
その葬式でわざとらしくオイオイ泣いてるコイツを見てると、なんだか世も末だなって感じます。
私、もう逃げ出したいです。あれから味をしめたコイツの後ろに憑いてたら、
なんだか私の方が心なしかゲッソリしてきたようで…
ユーモラスな語り口調だな。けっこう好きだ。
全部読んでないけど、おもしろいなと思ったやつ。
>>27 状況がイメージできて良
>>29 「世にも不思議な物語」の脚本が書けそう。
>>56 状況がイメージできて良 軽快さも良
>>59 ここならではか。
>>61 実際にありそう。
>>104 言葉づかいのミスり−ドが良
(番外)
>>143 作品じゃないけどコメントが笑えた。
ピアスちゃん 作中のピアスちゃん、かわいい。
あえて突っ込まなかったけど、
さらに言うなら>29は転載のコピペ
「ある病室に2人の末期ガンの患者」でググれば一発で
小話サイトがヒットする。
229 :
ピアス :2005/10/31(月) 21:50:13
215は笑点好きな人は好きかも。うまい!って感じ。
シュミレーター
ある人が思った。(人間は運命を選んで生まれて来られれば良いのに。)
そしてビルから飛び降りた。
神様はその願いを聞き入れることにした。人生を悲観して、自殺者の急増はあの世にも多大なる影響を及ぼしていたのだ。
新しい生まれ変わり制度が施行された。魂は歩める運命をいくつかスクリーンに映し出して観ることが出来る。
運命には個人差が有り、本来の性格や、タイミングなどで数や質も変わって来る。その中から一つを選ぶことが出来る。
「才能よりもお金持ちのこっちの運命が良いや。」と、スクリーンを観ながら男の魂が言った。
神様は希望通りに生まれ変わらせてやった。
「お金持ちよりも美人に生まれたいわ。」と、女の魂が言えば、その通りに生まれ変わらせてやった。
これで戻って来る奴は少なくなるだろうと、神様は安堵した。
しかしすぐに顔色が変わった。ある男の魂が観ているスクリーンには、平坦な人生が映っていたのだ。
これと言って抜きん出た所も無く、至って普通の運命。
新しい生まれ変わり制度の世の中では生きて行くのは辛かろう。
魂は「少し眠ります。また運命が変わったら生まれ変わります。」と言った。神様もそれが良いと言った。
しばらくして、別の男の魂のスクリーンには過酷な運命しか映っていないことに気がついた。神様は焦った。「いくら何でも選べる全ての運命が酷いのは初めてだ!しばらくは眠りなさい。そして運命が変わったら、、。」
「いいえ。僕はこれで良いのです。」
神様は驚き、慌てて名簿を見ました。あの飛び降りた自殺者だった。
男は適当な運命を選び、生まれ変わるために光の中を進んで行った。
「今度は諦めずに、運命は変えてみせます。」と言い残して。
神様はその後、少なくとも八十年間は彼にここで会うことは無かった。
ポエマーは良いとしても、シュミレーションは恥ずかしいな。
231 :
ピアス :2005/10/31(月) 22:01:21
シミュレーターだ。恥
232 :
どぼ〜ん氏 ◆uyTQki4lmE :2005/10/31(月) 23:26:13
【地下鉄男】
僕は“地下鉄男”である。今ここで命名させてもらった。
平日の夜10時に乗る客は意外に多い。しかしながら、その種類はバラバラだ。
バイトが終わると、僕は決まってこの時間帯のこの車両に乗る。毎日、毎晩、これを繰
り返している。普段は他の客の事など、気にもしない。しかしながら、今日は違った。目
の中に彼女の存在が飛び込んできたからだ。
清楚な佇まい、気品のある雰囲気、微かに醸し出す女の色気と気品を兼ね備えた彼女。
腕にはルイ・ヴィトンのバッグ。そうだ、彼女は“ルイ”ちゃんと命名する事にしよう。
こんな地下鉄の中で、こんな幸せがあるなんて……神様、ありがとうございます。そう
喜びに浸っていると、奥の方、つまりルイちゃんのいる方から悲痛な声が聞こえた。
「やめてください」
見ると、一人の男がルイちゃんに絡んでいる。一目瞭然、完全無欠のヤクザである。
派手なシャツを着たヤクザはルイちゃんの肩に手を回し、脂ぎった顔を嫌らしく近づけ
ている。周りの客はと言えば、ただ俯いて黙りこくっているだけなのだ。
このままではルイちゃんは、あのヤクザに唇を奪われてしまうかもしれない……。
「おい、やめろ!」
僕は叫んだ。そして無意識の無謀さなのか、ヤクザに向かって体当たりをしてしまった。
転がる僕とヤクザ、ポールにすがるルイちゃん。その瞬間、ドアが開いた。
僕はルイちゃんの手を掴むと、座り込んだまま驚いているヤクザを置いて、人ごみの中
へと急いで潜り込んだ。しばらく走り続けた後、僕らは息を切らしながら、笑い合った。
これが、今日の起きた一部始終である。
あまりに上手く事が運び過ぎると思った人もいるかもしれない、それは当然だ。なぜな
ら、あのヤクザは僕が民間の人材派遣所から雇ったプロの俳優なのだから。
ルルル、ルルル……。携帯が鳴った。例の人材派遣所の営業マンからの成果の確認だ。
「どうでしたか? ウチの優秀な人材には満足して頂けたのではないでしょうか?」
自信に満ちた堂々たる声。報告を受けたのか、心なしか嬉しそうでもある。
僕はその言葉を聞いて、気持ちを抑えきれずに思わず叫んでしまった。
「どうして僕のルイちゃんが茶髪なんだよ、黒髪のセミロングって言ったじゃないか!」
233 :
ピアス :2005/10/31(月) 23:34:13
232
お〜!!
地下鉄男…
ヤクザは読めたけどルイちゃんまでそうとは思いませんでした。こうゆうお話好きです。面白かったです。
235 :
圭:2005/10/31(月) 23:58:41
「ポップ☆スター」
「君に魔法をかけてあげよう」
振り向くと、キラキラの羽をひろげた天使がいた。
僕は身長30センチ程の彼女に言った。
「僕はポップスターになりたいんだ。してくれる?」
「いいわよ。どんな歌をうたいたいの? 踊りは踊れる?」
「みんなが喜んでくれる歌。踊りは幼稚園のせんせいは上手だって言ってくれるよ」
「わかったわ。あなたをポップスターにしてあげる。
でも、今は無理よ。20年待ってね。それと私からもお願いがあるの……」
――20年が過ぎた。僕は食品卸会社の普通のサラリーマンになっていた。
会社の同僚と行ったカラオケ店で知り合ったOLと平凡な結婚もした。
「あの天使にだまされちゃったなぁー。まさかポップスターとチップスターと
間違えたんじゃないだろうないだろうしな……」
横で寝ていた嫁のパジャマがはだけて、背中がでていた。
直してあげようとして、彼女の背中にかすかに傷があるのにきずいた。
僕は思い出した――20年前のことを――
「私のお願いっていうのはね……私、人間になりたいの。
だから、背中の羽を抜いてくれない? 痛くないから」
僕は願いを聞いてあげた。そして彼女はどこかに消えていったのだ。
その時、嫁が寝返りをうって僕を見た。彼女が天使のような笑顔で言った。
「あなたは、私だけのポップスターよ」
【のろい】
こんなことになるのなら中古車なんか買うんじゃなかった。
ただ安いからという理由で購入した車は、ここぞというときに
思い通りに動いてくれないのだ。
車検などで調べても、車の性能的にはまったく問題はない。
ただ、高速の合流や追越など、少しアクセルを踏んだときに
いつもその現象が起こるのだ。
詳しい素性を調べてみると、歴代の所有者はいずれもその点が
気に入らず手放しているという。
そうだ、この車には口に出すのも馬鹿らしいような因縁があるに違いない。
た、たとえばこの運転席に座っているやつが死んじゃったりとかして……
そんなことを考えながら、私は今日も高速に乗った。
さあ、合流のときである。
私はアクセルを目いっぱいにふかしたが、やはりそういうときに限って
あの症状が現れた。
メーターがガクンと落ち込み、がたがたと揺れだした。
そう、こういうときに限ってひたすらノロイのである。
237 :
ピアス :2005/11/01(火) 10:53:59
拝啓教授殿
私は昨日、連日連夜の試験勉強による睡眠不足
のため貴殿の担当される教科の勉強が出来ず、
最後の問題が解けません。最後の問題は難しい
ため配分時間も多く、何度見直しをしても時間を
持て余してしまいます。これ以上どうにも出来ず、
試験問題を作って下さった貴殿に申し訳無く、
自分を心苦しく思うしだいです。
代わりと言っては何ですが、我が家の母直伝の
レシピを現代風にアレンジし、老若男女に
喜ばれているカレーライスの作り方を書かせて下さい。
まず最初に
キーンコーン
「あーなんだよー!」
卓也は声を上げた。周りでも思い思いの声を上げて解答用紙を回収している。
「ま、いっか。本当は作り方なんて知らないし。」
238 :
どぼ〜ん氏 ◆uyTQki4lmE :2005/11/02(水) 00:45:30
【最後の一葉】
昼下がりの病室。ベッドでは年老いた老人が心地よく眠りについている。傍らには母親
と小さな娘が見舞いに来ていた。
「ねえ、お母さん。あそこに見える葉っぱが落ちちゃうとお爺ちゃんは死んでしまうの?」
「そんな事、誰が言ったのよ?」
「昨日、お爺ちゃんが言ってたよ」
「困った人だわね。小さな子供にいい加減な事を吹き込んだりして……」
「じゃあ、あそこに見える葉っぱが落ちても、お爺ちゃんは死なないんだね」
「当たり前じゃない。あんな物に人間の命が左右される訳ないわ」
小さな娘は嬉しそうに寝ている老人の手をそっと握り締めた。
それを見た母親はばつの悪そうな顔をすると、小声でボソボソと呟いた。
「と言うか……、あそこに見える葉っぱが落ちなかったとしても、お爺ちゃんは死ぬのよ」
239 :
芥子:2005/11/02(水) 23:47:45
>>235 「ポップ☆スター」 ☆☆☆★★
終わり方の感じは良いです。天使が願いをかなえると言って、直後に天使をやめたりする展開は
ちょっと納得いかない部分があり。抒情的にはイイが、叙事的におしい、といったところ。
>>236 【のろい】 ☆☆★★★
最初の3行で「悪の十字架」とか「恐怖のみそ汁」の類を想像したが、やはり地口・駄洒落だった。
シャレならもう一ひねり半くらい欲しい。中古車の「詳しい素性を調べてみる」なんて出来るんかな?
>>237 (無題) ☆☆☆★★
答案にレシピ書くというネタは似たようなのを聞いた気がするな、どこでだったか……
ある種の大学における都市伝説的なネタなのかもしれない。見せ方を工夫してるのは良いかなぁと。
>>238 【最後の一葉】 ☆☆☆★★
結末の余韻はもう一つという気がしたけれど。会話や雰囲気作りなど安心して読める感じです。
そういえば最後の一葉って、元ネタを読んだことないなぁ。
感想乙
【魔女狩り】
17世紀、猛威を振るった魔女狩りの波は当然この町にも訪れ、人々に怨嗟や猜疑を撒き散らしている。
そんな中、自らの保身のためだけに虚偽の密告を続ける女がいた。
やめられないのだ、次はわが身であることを知っているから……
「司教、あいつこそ魔女です」
彼女の今回の標的は、町外れに住む小太りな女。
『あの女は、昼には出歩かず、人の眼を忍ぶように夜にだけ姿を見せるといいます』
『そしてその家には、夜になると真っ黒な衣装をきた男が出入りしているとか』
『それはきっと、人目をはばかるような異形の儀式を行っているからに違いありません』
引き出された女はうつむき、じっと告発を受け止めているようだった。
しかし、これまで老若男女を問わず無慈悲に審判を下していた司教が、なぜか今日は躊躇いを見せる。
「司教?このような怪しげな者が魔女でないわけがありません!」
「……うるさい」
「は?」
「うるさいと申しておるのだ!!」
司教はおもむろにその女の服に手をかけると、そのまま下穿きまでを引き裂いた。
途端に、どす黒い期待に満ちていた民衆がなんともいえない表情になる。
「見ろ!こいつは男だ! お前の言うような『魔女』であるはずがない!」
司教は自暴気味に喚き、告発した女はうろたえる。女装の中年男は苦笑いをしている。
『何で司教は知ってるんだ?』とは誰も言わない
藪をつつくのはこの女だけで十分だった
葉書が一枚届いた。母からであった。
「元気にしていますか?電話が通じないので葉書を送りました。
電話番号変えたのですか?それとも電話料金が未納なのですか?
いずれにしても連絡下さい。とても心配しています。」
・・・ほんと、優しい文面だな、
一年以上電話さえかけてない俺みたいな親不孝にさえ・・・
ああっ!こんな良い親に心配かけちまうなんて、俺はなんてバカなことを!
早く電話して、番号を変えていた事を伝えなくては、、
・・・ついでに、ありがとうの一言くらい言ってみるか・・・
(トゥルルルル、トゥルル、ガチャッ
母「はい、○○です。」
俺「もしもし、俺だけど。」
母「はい?・・・・あ・・・」
俺「(ハハ、ビックリしてるんかな?)俺だよ俺、元気にしてる?」
母「騙されるか!オレオレ詐欺め!死ね!(ガチャンッ!)」
243 :
名無し物書き@推敲中?:2005/11/03(木) 18:09:50
age
244 :
名無し物書き@推敲中?:2005/11/04(金) 01:49:25
[女子高生と愛のエプロン]
佐藤氏は最近付き合いだしたあゆみという女子高生のことで頭を悩ませていた。
独り暮らしの佐藤氏にとって彼女が毎日夕食をつくりに来てくれるのはありがたいことな
のだが、それがとにかく不味い。
なにしろママレモンで洗ったお米を差し出し
「お袋の味でしょ?」と自慢げに聞いてくるほどなのだ。
気弱な佐藤氏はそれとなく抗議をしたが、気付いてくれたかどうか。
そして今夜もあゆみがやってきた。彼女はにっこりと笑ってカバンから『これで料理は美
味くなる!』という本を取り出した。
「やっぱ佐藤には美味いもん食ってもらいたいじゃん」
たかが本であゆみほどの料理下手がなおるか疑問だったが、心遣いに感動した佐藤氏は彼
女をぎゅっと抱きしめた。温かく、柔らかかった。
――たとえ料理が下手でも、あゆみは可愛い。それで充分じゃないか――
「もう、やめてよ」あゆみは嬉しそうに笑った。「これからつくるからね。期待しててよ」
結果はというと……散々だった。しかし佐藤氏の心は満たされていた。
洗い物をしているあゆみを手伝うため佐藤氏はキッチンに立った。
そこで佐藤氏は信じられないものを目撃する。鍋の中にあの本が入っていたのである。
「これ? これでダシとったんだけど全然美味くならなかったね。ジャロに言わなきゃ」
――確かにあゆみは可愛い。でも、それで充分なのか?――
「私は天才だ。疑うならそれを証明してみせよう」
電話を取って、受話器の向こう側から聞こえてきた相手の第一声はそれだった。ひどく年を食ったよぼよぼな
ジイサンの声で、それでいて高圧的だった。俺はうんざりする。風呂上りにリクライニングチェアにゆったり腰掛け、
何とはなしに付けたテレビでやっていたミステリー映画を堪能していたところに、知らないジジイから迷惑な電話。
「あのなぁジイサン、なんだか知らないが俺は忙しいんだ。イタ電なら、どこか違うヤツのところにかけな」
俺はそういって電話を切ろうとすると、相手は相変わらずの高圧的なヨボヨボ声で言った。
「忙しいってなにをしているのかね?」
なんだっていいだろうが。俺はそう毒づいてやろうとしたが、やめた。ここは素直に話そう。そしてさっさとお引取り
願うのだ。
「テレビを観ているんだよ。番組は『巨匠・田原銀二郎追悼放映 遺作“竜宮の砂”』」
俺は新聞のテレビ番組欄を見ながらいった。俺も知らなかったのだが、どうやらこの作品は、先日逝った業界の
重鎮の映画監督が、最後にメガホンを取った作品のようだ。
「教えてやろう。その映画の犯人はヤスだ。アリバイ作りには地下鉄を利用したんだ」
受話器の向こうからジジイの声。俺は慌てた。
「おい、ジジイ、この野郎! 俺は謎解きを楽しみに観てたんだ。バラしてんじゃねぇよ!」
受話器に向かって怒鳴るも、その時には、ジジイはヒッヒッヒという笑い声を残して電話を切っていた。
ちくしょう! 相手のジジイも同じ番組を観てやがったのだ。おそらく、以前にもこの作品を観ていて真相を
知っていたのだろう。ネタバレしたミステリー映画を、どうやって楽しめというのか。
俺は受話器を置きテレビに向き直った。すると番組は、テロップを残して唐突に終了していた。
『田原監督急逝のため この映画は未完で終了となります。真相の問い合わせなどにはお答えできません』
うーん、説明不足だよな・・・
20行って意外と短いな
246 :
名無し物書き@推敲中?:2005/11/04(金) 02:46:23
夢を見た。俺が人を殺す夢だ。やけにリアルだった。
確か台所にあった包丁でだれかを殺した。
でもそれが誰だか思い出せない。でも知っているやつだ。
それも身近なだれかだ。
授業中もぼんやりとそのことを考えていた。隣ではクラスメートが
ぺちゃくちゃおしゃべりしている。
もしかしたらこいつらのうちのだれかかもしれない。俺はそう思った。
それも悪くない。むかつく上原だったらいいのに。
でも違うな。しっくりこない。夢の内容というものはとっかかりさえ
つかめれば後は一気に思い出すものだ。
俺は今まで出会ったいやなやつを順々に思い浮かべていった。
そうこうするうちに授業が終わった。
するとクラスメートの1人が近寄ってきていった
「おまえさ、ずっとにやにや笑ってただろ」
「そう?」俺は少しびっくりした。
「すげえ気持ちわるかった。お前どっかおかしいだろ」そいつも
にやにやとわらいだした。醜い。
決めた。
今晩はこいつを殺そう。
友人と車で旅行に出かけた道中で事故にあった。
タイヤが横にすべりだした瞬間、あ、やばい、と思った。
車体がゆっくりと右方向に回りだした。おいおい、これはまずいよな。
と思った瞬間、ガードレールにぶち当たった。衝撃はそれほど
激しくなかった。「おい、だいじょうぶか?」運転席の友人に
声をかけた。無言だった。隣を見ると完全に茫然自失状態だ。
まあしかたない。免許取りたてだし、車かりものだし。
第一、強風、大雪、路面凍結、山道(下り)、夜間、と最悪の状況なんだから。
よく考えたら自殺行為に等しかったな。僕は友人を慰めつつ反省した。
幸いエンジンは動いたが、大事をとって明日の朝までそこでまつことにした。
車の中は冷えたが、毛布をたくさん積み込んでいたので凍えることはなかった。
僕はウイスキーをボトルのまま飲みながら、時々窓を開けて外を
眺めた。雪はひっきりなしにふっていた。雪が音を吸い取るって本当
なんだな。何の音もしないや。車どおりもまったくない。友人は
ふてくされて眠ってしまった。
僕は真っ暗な空を眺めた。そしてぼんやりかすむ雪を見つめた。
いい思い出になりそうだ。僕はそう思った。
248 :
どぼ〜ん氏 ◆uyTQki4lmE :2005/11/04(金) 21:56:20
【睡魔】
山田高志は振り向くと、心配そうにベッドの方へと語りかけた。
「おい、今晩はしっかりと頼むぞ。お前の実力をしっかりと見せ付けてくれよ。今までは
散々、眠らせてくれるなと言い続けたけど、明日はいよいよ試験の当日だ、ぐっすりと睡
眠を取らせてくれ」
ベッドには小柄で、全身が紫色をした貧相な男が座っている。
「頑張るよ。俺っちもいろいろやりたい仕事があるんだけど、それが終わったら間違いな
く戻って来て、しっかりと眠らせてやるから」
「これまで睡眠時間を削って、死に物狂いで勉強してきたんだ。寝不足で実力が発揮でき
ないなんて洒落にならんからな」
「分かってるよ。高志くんは今まで俺っちの話し相手になってくれたんだ。今度ばかりは
助けになれそうだし、頑張るつもりでいるよ」
紫色の小男は、ぎこちなく笑うと静かに眠る夜の街へと消えていった。
高志はなぜか睡魔を見る事が出来た。今でもそうなのだが、睡魔は比較的人々から嫌わ
れる存在なだけに、常に寂しい思いを抱えていた。そんな時、15歳の高志と出会う事に
なる。眠気を誘う事に悪気がないのを理解してもらい、更には眠気に関する面白エピソー
ドを喜んで聞いてくれる高志の存在は、睡魔にとって大切な友人であり、心のオアシスと
言ってもいいほどのかけがえの無い存在であった。
しかし、今日。大切な高志との約束があったにも関わらず、睡魔が部屋に帰って来たの
は、朝の7時20分頃。当然、目の下にクマを作った高志は猛烈に怒った。
「おい、睡魔! 結局、一睡も出来なかったんだぞ。どうしてくれるんだよ!」
「ごめんよ。俺っちもいろいろと忙しかったもんだからさ。でも、大丈夫だと思うよ。
実際、高志くんの実力ってのも怪しいもんだからさぁ……」
「オ、俺の実力が無いのは認めるけど、寝不足ならなおさらヤバイだろ」
やせ細った紫色の顔は決して幸福感とは結びつかない。しかし、笑顔を見せて言った。
「定員を割るだけの250人をぐっすりと寝かせつけて来たんだよ。ライバルの受験者た
ちが来なけりゃ、いくら実力に不安がある高志くんだって受かるだろ」
それを聞いた高志は思わず、照れ笑いのような苦笑いを見せた。
249 :
どぼ〜ん氏 ◆uyTQki4lmE :2005/11/07(月) 01:06:01
【魔女】
「やめて、お母さんは魔女なんかじゃない! 許して」
少女は精一杯、声を張り上げた。
しかし、狂ったようにわめき散らし、女を引きずり回す群衆には届かない。
小さな町の秋の夕暮れは、人々の顔を真っ赤に染めた。
「違う、お母さんを放して! もうやめてください」
母親は垂直に立てられた丸太に縛り付けられ、足元にはたくさんの薪が積まれている。
罵声が飛び、人々は憎しみの感情をむき出しにした。
それを哀れむ数少ない者たちは、家の中に閉じこもり、頑なに耳をふさいでいる。
少女は必死にしがみ付こうとしたが、逆に押し返され、泥の中に尻餅をついた。
「その子にだけは手を出さないで。お願い」
「いまさら、何を言ってるんだ。この子もお前さんの子じゃないんだろ?」
たいまつの匂いが辺りに広がり、群衆はさらに荒れ狂った。
汚く罵る怒号が、いつしか一つになって、地響きのような掛け声に変わっていった。
とうとう、薪に火がくべられた。
瞬く間に広がった炎は、暮れかけていた町をもう一度赤く照らし出した。
「やめなさい!」
鋭く響く声、少女は髪を逆立たせ、人々を睨み付けている。
そして、低いうなり声を上げると、燃え盛っていた炎が人々の下へと飛び散りだした。
鈍い煙を上げて走る者、叫び声を上げながら倒れこむ者、誰一人として逃れられない。
少女は母親を縛り付けていた紐を解いてやった。
「あれほど、違うって言ったのにね。お母さん」
「そうよね。私なんか、あなたに手を出すなとも忠告してやったのに……」
紅葉はもう終わりかけていたが、憎しみを燃やした人々の炎は夜中まで続いた。
何この良スレ
251 :
名無し物書き@推敲中?:2005/11/07(月) 18:56:18
>>29、転載といえすごいなぁ。
こんなのが書けるようになりたい…
ありがと。
253 :
ピアス :2005/11/07(月) 23:21:45
歌舞伎町最後の日
一人の美しい女(ひと)が歌舞伎町を去ろうとしていた。
彼女は高級な事で有名なキャバクラに3年間在籍し、2年半ナンバーワンを張っていた。
それは美しかったからだけで無く、ただならぬ苦労や努力の上の結果だ。
キャバクラ嬢という事を彼女は誰にも打ち明けなかった。世間的に恥ずかしい事と解っていたから。
けれど、仕事には誇りを持ち、完璧に演じていて、指名も多くこの街のカリスマだった。
店で親しい友達も作らず黙々と働いた。全ては大病を患った母親のためである。
誰も運命を選べない。彼女には病気の母親が居た。ただそれだけ。
大勢の客とスタッフに見送られ大きな花束を抱えた彼女は歩き始めた。
新宿最後の夜。幕を下ろしたのは母親の死であった。
誰も運命は選べない。選べるのは生き方だけである。
254 :
ピアス :2005/11/08(火) 00:03:03
オレオレ詐欺
静かな邸宅に電話の音が鳴り響いたのは、天気の良い昼下がりのこと。
受話器を取ったのはこの家の主人である。
「、、、もしもし。」
「もしもし!オレオレ、オレだけど。」
「、、、、、隆志か?」
「そうだよ!タカシだよ!」
タカシは続けた。
「ちょっと事故ちゃってさぁ。なんか金が必要みたいなんだけど。金振り込んでくれない?」
そう言って口座を告げた。
電話を切られそうになった父親は慌てて尋ねた。
「お前はケガ無いのか?」
「あ〜大丈夫だよ。心配すんなって!」
そう言って電話は切れた。
父親は銀行に出掛ける準備を始めた。
そこにパートから妻が帰って来た。
「あなた、どこに行くの?」
「、、隆志から電話があって。金を振り込みに、、。」
「、、、、、隆志は去年死んだでしょう!!!詐欺なんですよっ!!」
妻が久しぶりに大きな声を出したのを聞いた気がしたが、構わず玄関へと向かった。
妻が追いかけて来た。
「、、隆志の声にそっくりだったんだ。声も。」
妻は黙っていた。
「振り込んだらまた、掛かって来るかも知れない。」
そう言って家を出た。
息子が亡くなって以来、初めて。
いいか?
257 :
ピアス :2005/11/08(火) 15:31:54
父「今度はケガもしなかったそうだ。」って打ち忘れた。
25行に一行足されても…
>>245 説明不足というか、余分な説明を省いて簡潔にまとめていけばすっきりしていいと思う。
ジイサン=天才の理由が良くわからない。ジイサン=田原ってことなのかな。
そのオチに結び付けるのには、過剰な説明や描写が逆に邪魔になっているような
>>246 毎晩その日標的にした相手を殺す夢を見る→おきて忘れるのループかな?
それでいいなら結構うまくまとまってると思う。
>>247 いつオチるかと思って読んだがオチてなかった。「声をかけて」から「隣を見ると茫然自失」
とか展開の整合性とか取れてない気がする。
>>248 睡魔の擬人化という着眼は○だと思う。ただちょっとキャラが弱いような気がする。
印象として、もう少し主人公も悲惨な目にあうような子悪魔的なノリがほしいかも
>>249 >>241の影響かな?そういえば中世とかを題材にしたSSってあんまり見ない。
内容は予想通りというか可も不可もなし。ただ序盤とラストの秋とか紅葉とかの
季節感はあまり必要ないような。
>>253 運命を口実に水商売を生き方として選んだ女性を否定して
終わってるだけなのかな?なんかよくわからなかった
>>254 酷評になるけど、このネタは題材のかぶりが多いSSの中でも特に見飽きている。
しかも展開も似たようなもので、息子が死んでるって言うような内容以外あまり見ない。
さらに気になるのが「、、、、、」細かいようだけど…3点リーダくらい使おうよ。
短い話はテンポも重要だと思うから、見づらくなるのは極力避けたほうがいいと思う。
以上、偉そうに評価しちゃってすいません
>>259 ぴったり20行評価乙
>>259 ぴったり乙!
てかピアスので気づいたんだが、20行オーバーしてるの結構あんのね
そういうのってどうなの?
そういうのは作者の意識の差じゃね
このスレをただのショートショート垂れ流しの場と考えてるか、
表現したい事を20行以内に収める鍛錬の場と考えてるか
>>259 ぴったり乙
うーんなんだろ、このスレは20行って規定はあるけど、
常連のどぼーん氏みたいに続けて書く人もいれば、
たまに書くD60とか
>>224とかみたいに空行を使いまくる人もいる。
>>259もたぶん空行は行として数えてないんじゃない?
あと書いてみるとわかるけど、恐らく
>>224や
>>241くらいの空行使いで
改行制限にひっかかるぎりぎりだと思う。
空行って行数に入るのかな。
行間はなくてはならないものだとは思うんだが
入るに決まってんだろ
小説を書いたことがないのか?
このスレ的には入らないってことにして欲しいな。
縦書きと横書きは根本から違うんだし、空行は横書きで読みやすくするために
必須の技術だと思うよ。
>>268 同意。空行なかったら読みにくくてたまらん
270 :
266:2005/11/11(金) 00:13:21
何でこんな流れになっているんだ…
空行も一行、そんなの当然だろ
色々な効果を出す、一つの手法なんだから
つか、20行のショートショートスレで空行の話題って…
空行を1行にすると、書くほうも読むほうもキツくなるんだよ
そんな事にこだわらなくてもいいんでないか?
それより作品がこないことのほうが問題だ
次 元 低 っ
>書く方も読む方もキツくなるんだよ
誰か、書いてくれって頼んだか?
20行以内に収められない低脳はショートストーリースレにでも池
このスレでやったら両方のスレが分けられている意味がない
同意
>>275 落ち着いて現実を見ろ。
コピペ以外全滅だ。
「あと10年若かったら」というのが口癖の男がいた。
何かにつけ、「ああ、10年前に戻れればなあ。すべてをやり直せるのに。」
などと嘆いてばかりいた。
その日も知人と飲みながら、「10年前に戻れれば、今の生活を捨てて人生やり直せる。」
と愚痴り始めた。「ああ、10年前に戻りたい。」
するのその知人は男の肩に手をやり、こう言った。
「きっとお前は10年後にも同じことを言っているよ。」
それを聞いた男は、はっとして目を輝かせた。「そうか、今10年後から戻ってきた
と思えばいいんじゃないか。そうだ。まだ間に合うぞ。」
次の日、男は会社を辞めた。そして、事業を始めた。
10年後。
男の事業は失敗していた。借金にまみれ、妻子には逃げられ、悪事に手を染めたため
警察の手も伸びていた。
八方ふさがりの中、一本の電話がかかってきた。あの知人からだ。
あいつならまたいいアドバイスをくれるかもしれない、と思って男は電話にすがりついた。
知人は一言こう言った。
「ほらね」
オチは?
今10年後から戻ってきたと思えばいいんじゃないか。
そう!まだ間に合うぞ
いいオチだと思うけどなあ
どこが?
人間をよく表しているじゃん。
284 :
名無し物書き@推敲中?:2005/11/11(金) 17:17:26
ちょっと下がりすぎてるんでageときますね
[わたしの夫は甲斐性なし]
わたしは探偵が撮ってきた写真を夫に突きつけた。
「これ、いったいどういうこと」
夫は双眉をハの字にして気弱そうな笑みを浮かべた。
浮気ひとつできないつまらない男。
そう馬鹿にしていた。夫があの女と歩いているところを見るまでは。
嘲っていたくせに、実際に浮気していたとなると途端に怒りがわいてくるから現金なものだ。
「それは岡田くんだよ」夫の会社の同僚の名だった。「彼は女装が趣味でね」
「そんな言い訳……」
言いかけて、口をつぐんだ。
写真をよく見ると、確かに彼女――いや、彼――は岡田さんだった。
元来が女顔とはいえ、これほどまで上手く化けるとは。
化粧やウィッグの力を存分に引き出している。
「どうしても男と街を歩きたいって頼み込まれてね。しょうがなく何度か付き合ったんだ」
「もしかしてあなたたち同性愛の関係ってことは」
「ないよ。当然だろ? 僕は女を、というより君だけを愛しているんだから」
わたしはくだらない嫉妬をしたことも含め、これまでのことを深く反省した。
夫はつまらない男なんかじゃない。わたしに愛を捧げてくれる最高の男だ。
妻が部屋から出て行くと、僕はひとりごちた。
「もうこれで馬鹿にしないだろう。岡田君に女装してもらった甲斐があったというものだ」
妻の気持ちが変わるところが少し唐突な気もしますが面白いと思います。
でもひとつ不明点が(´Д`)「ごちた」ってどういう意味でしょう…
たまに聞くけど、辞書調べても載ってなかったもので。
ひとりごとを活用させた語
>>286>>287 なるほど、そういう意味だったのですか……
「ひとりごちた」でひとまとまりだったんですね。
すっきりしました、ありがとうございます。
【追跡調査】
「ただいま〜」と、自宅に戻ると誰もいない。おかしいな、もう夕食どきなのに。
ふとリビングのテーブルの上を見ると、なにやらメモがある。
『冷蔵庫の中です』
なんだなんだ、どっかに出かけやがったのか。結婚して3年目、こういうこともよくあるようになっていた。
冷蔵庫を開けてみると、そこに予想していたような料理はなく、またもや一枚のメモがあった。
『つぎは、戸棚のワイングラスの裏です』
ピンときた、ははぁ、これは良くあるアレだ。指令に従って最後まで行き着くと、なにかがあるんだな。
『アルバムのなかの、初めてデートした時の写真の裏』
『プレゼントに貰ったイヤリングケースの中』
『結婚式の写真の裏』
たどるうちに懐かしくなってきた
『書棚の奥、左から三番目のビデオケースの中・題名:世界遺産』
『衣装棚の中、肩の辺りに少し赤いしみのついたワイシャツのポケット』
『あなたの名刺入れの中の一番奥にしまってあるものの裏』
……雲行きがどうもおかしい、どれもこれも……というかなぜ……
『ポストに興信所からの封筒が入っています』
私は玄関のドア付属のポストを開け、中にある調査記録を読んだ。これは私の……
書類の中から、メモが一枚落ちた。私はかがんでそれを手に取ると、裏になったそれをひっくり返した。
『お帰り』
私の目の前のドアが、ぎいっと音を立ててゆっくりと開いた。
290 :
名無し物書き@推敲中?:2005/11/14(月) 12:27:27
コワス
291 :
名無し物書き@推敲中?:2005/11/16(水) 15:04:24
私は小説家を目指している
そこで友人に頼んで今回書いた小説を推敲してもらうことにした
年間千冊を超える読書量を持つという友人は、私の作品を半ばまで読んで投げ捨てた
「駄作。構成が悪い。素人にだって先が見える」
何千、何万と積み上げられた本の山を背に、友人は私の作品の問題を指摘してくれた
私はプロットからもう一度書き直し、友人に再び見せた
「愚作。こんな甘い考えで読者がだませるものか」
口の悪い友人だが、こんな時には頼りになる
私は何度も書き直し、友人の意見を聞いてはまた書き直した
友人もまた口汚く、しかし的確に私の作品の欠陥を指摘してくれた
そうして十数回の改稿の後に、ついに快晴の叫びを聞いた
「よし、これならいける。いけるぞ!」
私は意気揚々と出版社に作品を持ち込んだ
「ん〜残念ですが、もっと大衆向けの作品を書いてもらわない・・・・・・」
あっさりと落とされ、私は落胆とともに友人の元へ足を運んだ
不甲斐ないと怒られるかと思ったが、友人はむしろ腕を組んでうなった
「何故だろう?何がいけなかったんだろうか?」
悩む友人を見ながら、私は不意に気づいた
友人の背後に山と積まれた数万冊の本。
それが無数の返本の山だということに……
今、目の前に10万円がある。
借金がかさみ、水道も止められた。
そのため、たった今友人から借りてきたものだ。
しかし返すあてはまったくといっていいほどない。
どうしたものかと使い道を考えてみる。
ギャンブルで増やす、・・・無理だろうな。
借金を返す、・・・10万じゃとても追いつかない。
生活費に使う、・・・おそらく無駄に贅沢してしまうだろう。
手を付けず友人に返す、・・・これが一番だろうが、そんなことする気になれない、それに借りてきた意味もない。
あ〜だこ〜だと考えたが、現状打破できるだけの案が浮かばない。
どうにかしてこの10万を有効利用しなければならない。
しかし自分にしてみれば大金でも、借金の総額から見れば焼け石に水。
なにかこの10万で出来ること・・・。
そこでいい案がひとつ思いついた、早速実行してみよう。
次の日、大家のところへ行き、家賃を10万の中から払う。
いつも滞納してばかりで申し訳ないからな。
そして残った金で水道料金を払う。
そのあと町に繰り出し、準備の為の買い物をする。
こうして準備は整った、後は余った金で少しでも友人に返しておこう。
そして部屋を出た、机の上にコップ一杯の水と、大量の睡眠薬を残して。
前の席の矢崎が手だけ伸ばしてレポート用紙を俺の机に置いた。
四つ折のその紙をこっそりノートに挟みながら開いた。
「!!!」
レポート用紙にはこの授業を受け持つ女教師のイラストが書かれていた。
上品ぶったエロい顔、魅惑的な女性らしいボディライン…
年上のこの女教師から強くエッチな要素を感じる事を休み時間に打ち明けたからか。
絵心といたずら心のある矢崎がしそうな事だ。
シックな色合いのスーツに身を包み最後部の女子を指名する彼女とは対照的に、
四つ折になった方の彼女はスーツはそのままに下は何も着けずにM字開脚している。
紙を元通りに折りたたみ、そっと矢崎の背中をつつき机の脇から返そうとした時
「その紙、見せなさい!」
突然の彼女の声に2人とも体が硬直しあっさり紙を奪い取られた。
「…何これ?あなたたち、こんな事いつも考えてるの?」
その後、職員室横にあるコルクボード製の掲示板に留められ全校の話題となった。
誰がしたのか、これ見よがしに黒光りするピンでM字開脚の中心部分を留められていた。
折り目の四隅からしおれてくる彼女は年増の締まりない顔と体で見る者を睨み付けてた。
宿敵
時代の流れが彼の宿敵を生みだしたのだ。
◆
「やめてください!」
夜の闇に、女性の緊迫した叫び声が響き渡る。
男の影は三つ。か弱い女性を集団で路地裏に引きずり込もうとしていた。
「変身しなければ!」
しかし、その姿を人に見られるわけにはいかない。
彼――クラーク・ケントは、電話ボックスを求めて走った。
「くそ、見つからない! これもすべてあいつせいか……」
焦りばかりがつのっていく。
ついに彼は、物陰で赤と青のスーツへと着替えることを決心した。
ズボンを下ろし、その逞しい肉体を外気に晒す。そのとき、
「見て! やだ、ヘンタイ!」
カシャッ、という電子音と同時に、まぶしい光の中に彼の全身が浮き彫りにされる。
携帯電話のカメラだ。数人の少女が、笑いながらそのレンズをこちらに向けていた。
「よせ、やめろ! なにをする!」
「だって、やっだー! うわあ、なんかすっごーい!」
なんてことだ。
彼はやむにやまれず、彼女たちの持つ携帯電話に飛び掛った。
襲われていた女性は、携帯電話で警察に通報することで危地を脱したらしい。
「くそ……くそ……すべて、あいつが……あいつのせいで……」
留置所の中で、彼は怨嗟の言葉を漏らす。
時代の流れが生み出した宿敵。
その恐るべき力は、スーパーマンすら完全に凌駕しているようだった。
295 :
ピアス :2005/11/17(木) 11:47:38
未来
僕には友人が居ない。昔もあんまり居なかったけど、今は一人も居ない。
一人暮らしのマンションから、通勤途中も、会社でも、帰りのコンビニでも人と話さない。たまに独り言をつぶやくくらいだ。
「人としゃべりたい・・・。」
昔、雑音だと思っていた声を思い出して懐かしくなる。
人間はほぼ全滅してしまった。今は100人くらいの人間しか残っていないと新聞に書いてあった。
ロボットが書いてるかも知れないから、僕が発狂しない様に水増ししているのかも。
なぜ生き残っているのかは不明だ。学者が生き残っていなければ解明されることは無いだろう。
僕は特異体質か、よっぽどの強運か・・不幸か。
オフィス街に立つ。ロボットが2体、猫の額ほどの土に植樹をしていた。それは全世界で行われている。自然を再生すればまた人間が生きられるかも知れないと、死に逝く人間がロボットにインプットした動作だ。
彼らを見て羨ましいと思った。
寄り添う仲間が居ることを。
僕は涙を流す。すかっり涙もろくなった。
いつか誰かとすれ違いたい。
そしたら男でも女でもキスをしよう。
296 :
名無し物書き@推敲中?:2005/11/17(木) 15:39:54
ありがちじゃね?
299 :
どぼ〜ん氏 ◆uyTQki4lmE :2005/11/18(金) 01:21:49
【博士と山田くん】
「おお、久しぶりじゃのう、山田くん。元気じゃったか?」
「はい、博士もお元気そうでなによりです」
「わしはな、こういう時こそ最高の発明をするんじゃよ。天才の性かのう」
「どうでしょう? そんなたわ言より、今回の発明はどういった物なんですか?」
「それは言えんな」
「言えないって、教えてはくれないって事ですか?」
「そんな事もないぞ」
「……と言うと、あ! ちょっと待ってください。博士の声が頭の中で聞こえます」
「ふふふ。ようやく気づいたようじゃのう」
「これが今回の発明なんですね。名前は何ていうんですか?」
「その答えは、山田くん、きみの頭の中じゃよ」
「え〜と、サイゴグ……」
「違う、違う。よく集中しなくてはダメじゃ」
「はい。あ〜と、エンカウ……」
「ノー、ノー、ノーじゃよ」
「う〜ん。テロ……」
「しっかりするんじゃ。山田くん」
「ム……」
「違う」
「イ」
「……ちがう」
「ゥ?」
「……」
「あ、今度はなんとなく、はっきりと……。ああ、そうですね、次の研究を頑張りましょう」
『照る照る坊主』
美鹿は明日の遠足が待ち遠しくて仕方がないようだった。この所家運が悪く生活にも汲々と
していた為、せめてもの慰みとして、幼稚園でのこの行事が楽しみだったのだろう。雨が降らな
いようにと照る照る坊主を作りたがった。
「お父さん、照る照る坊主つくってぇ」
「そうだねえ。でも、今日は遅いからもう寝なさい」
「えーっ!」
「お父さんが代わりに作っといてあげるから」
「本当?」
「本当だとも。だからね、美鹿はもう安心して寝なさい」
「ねえねえ、お父さんが作ってくれたら明日は晴れるぅ?」
「晴れるとも晴れるとも。お父さん、特大のやつを作っといてあげるぞう」
「本当? 嬉しい!」
「だからね、もう寝なさい」
「はーい!」
固く約束することで美鹿はようやく寝床についてくれた。
次の日、美鹿が目を覚ますと外は願ってもない程の晴天だった。雲ひとつない最高の青空。
美鹿がベランダを覗くと、約束どおり父が作ってくれた大きな照る照る坊主がぶら下がっていた。
手摺のところに縄をかけ、重みで解けないようにしっかりと結んだその先に、父の遺体はだらしなく
ぶら下がっていた。
「お父さん……!」
雲ひとつない快晴日だった。
「でもね、どうしてこんなに涙が出るの? 私の心はびしょ濡れです」
あの日から、美鹿の心には雨が降ったままだ。
303 :
どぼ〜ん氏 ◆uyTQki4lmE :2005/11/19(土) 00:56:23
【天国からのメッセージ】
父親は悲しみとも喜びともつかない顔で振り向いた。
「隆志から、電話があった。元気でやってるそうだ」
「何をバカな事を言ってるんですか。しっかりしてください、あなた」
妻は呆れるように答えた。
「いや、あれは間違いなく隆志だった。そして、金に困ってるそうだ」
「それ、悪質な詐欺ですよ」
「確かに隆志の声だった。俺が聞き間違えるはずがないだろう」
「あなた。隆志は、去年死んだんですよ」
沈黙が続いた。
「それでも、俺は……隆志に金を渡す。困ってるなら、届けなくっちゃな」
「天国にいる隆志にどうやって?」
「覚悟は出来てる」
「あなた、まさか……」
父親は引き出しから、ありったけの現金を封筒に詰め込みだした。
襖が開くと、次男の勇太が入ってきた。
「どうしたの? パパ」
「勇太。今、お兄ちゃんから電話があったんだ。助けて欲しいって」
「困ってるの?」
「そうだ。だから、勇太にもお兄ちゃんのために協力して欲しいんだよ」
「うん、いいよ」
「いいかい、この封筒を隣の部屋へ寝ているお爺ちゃんの体にしっかりと縛り付けて
来てくれ。気づかれないように、そうっとな。それで、全てが解決する」
そうきたか!
途中まで既出ネタかと思って読んでたが
そう返されるとは思わなかったw
307 :
どぼ〜ん氏 ◆uyTQki4lmE :2005/11/22(火) 00:48:56
【最終電車は良心を運ぶ】
平日の最終電車、乗客はほとんどいない。
この車両に乗っているのは、目の前で酔い潰れている中年の男と俺だけだ。
男はひどく飲んだくれ、イスにヨダレが垂れている。あまりの醜態、家族も可哀想だ。
と……よく見れば、内ポケットから大きく膨らんだ財布が見える。
俺は生唾をゴクリと飲み込んだ。すると――
「頂いちまえよ。誰も見てないんだから、分かりゃあしないさ」
耳元で小さな小さな悪魔がそう囁いた。
いわゆる心の声というやつだ。静かで甘い誘惑は、俺の道徳心を簡単に打ち破った。
左右を確認してから、男に近づいた。軽いイビキを掻いていて、起きる気配は全く無い。
「人は皆、平等であるべきだ。持たざる者よ、権利を行使せよってな、ククク」
小さな悪魔はやけに楽しそうだ。
俺は財布を取り出すと、中を開けてみた。カード数枚と万札の束が入っている。
胸が高鳴った。こんな大金を拝むのは久しぶりだった。
体中が熱くなるのを感じながら、手を差し伸べた時、ふと思った――
天使がいない、と。
普通なら悪魔が現れた時点で、反論的に登場するはずなのだが、未だに出て来ない。
俺には良心ってもんが無いのだろうか、社会の秩序と共に正義も死んだのだろうか、
と……そう思った瞬間、天使は現れた。
「お前、現金にだけ手を付けようとしただろ? 相変わらず気の弱い甘えん坊だな。
いいか、この男は家庭を省みず、酒に溺れる敗北者だ。この場合、情けは仇になるもんだ。
だから、痛い目に合わせる必要がある。現金だけじゃ、懲りるようなタマじゃないだろう。
飲み過ぎるとどんなに酷い目に合うか、今回はとことん味わって貰おうじゃないか。
それが、こいつの哀れな家族の為にもなり、さらにはこの醜い酔っ払いの為になるんだよ。
現金はお前が貰え。だが、カードも一緒に抜き取って、ゴミ箱にでも捨てちまえ」
308 :
名無し物書き@推敲中?:2005/11/22(火) 20:00:07
「軽さ」
子供の手を逃れる瞬間、風船は思っていた。
「俺は軽い。これでやっと、どこまでも飛んでいけるんだ」
風船はずっと縛られていた。生まれてすぐは重力に。
ヘリウムが注入され、ニュートンから開放されたとき
風船はうれしかった。
だが風船はすぐ子供の手に渡ってしまった。風船は
じっと窮屈に耐えた。
そしてこの瞬間を待っていたのだ。いまや彼は何者に
縛られることもない、自由な身。風船は大いに満足だった。
そして風船はふよふよと中空漂い、やがて電線にひっかかった。
「なんてこった。せっかく自由になったというのに」
風船はとても軽かった。
「ちんぽ」
「ねぇ、ちょっと、何で急いでるの?私、まだ準備できてないのよ。」
眉間に皺寄せ、眼を吊り上げ、彩が言う。手は急ぎすぎて、もたついていた。
そんな彩を見ていた俺は、
「しゃぶれ」
つい、そう言ってしまった。童貞の俺が、随分と偉い態度を取ったものである。
「は、はぁ?!ちょっと、わ、わたしちょっとまってわたしいましゃぶ」
(ry
最近、どぼ〜ん氏はいい作品が多いと思います。
>307はオーバーなのが玉に瑕ですが、タイトルとかも含めて
いい感じだと思います。
前スレの優秀作品をいくつか教えてくれんかね
コピペ作品だけれど
「交通事故」が一番良かった。
老紳士が衝突事故を起こしてしまい、相手方とやいのやいのする話。
誰だよ宮本って
もう前スレはdat落ちしたのか
このスレってまとめサイトとかいるのかねぇ
316 :
名無し物書き@推敲中?:2005/11/24(木) 23:58:31
age
【幻肢】
その日、私のピアニストとしての人生は終わりを告げた。
コンサートの準備中、倒れてきた機材に挟まれ、私の右手からは親指を除くすべての指が失われた。
私に必要だったのは、むしろ精神的なリハビリなのだろう。
それ以来、目を閉じるたびに、そこにはすでに存在しないはずの感覚が呼び起こされる。
一日たりとも欠かすことのなかった、指の腹で鍵盤をたたく感触だ。
脳の奥底まで刷り込まれたそれは、どこまでもリアルだった。
白鍵と黒鍵の微妙な重さの違いや、朝、はじめて鍵盤に触れた際の冷たさ。
それらすべてが私を苦しめた。
私は病院内の小児病棟にある、ピアノの前に座っていた。
左手を添え、右手は親指のみを乗せた状態。
ただ、そのまま目を閉じると、そこはいつもどおりの世界だった。
左手も含め、実際に鍵盤を叩かなくとも、私の脳内には旋律が忠実に再現される。
アンダンテ、フォルッテシモ、スフォルツァンド……
繰り返された作業の中で、もはや実際に弾くことすら必要としない状態であったのかもしれない。
私は、私にしか聴こえない1曲を弾き終えると、いつしか泣いていた。
ふと、後ろから拍手が聞こえた。
どんな嫌味かと私は怒り、後ろを振り返る。
そこには少女が一人笑っていた。
呼びかけたが、彼女はきょとんとした顔で見つめてくるだけだった。
私は唐突に理解できた、この子は耳が聴こえないのだ、と
【20行探偵現る】
「――この程度の事件、20行もあれば十分です」
どうも、これが彼のキメ台詞らしい。どう考えてもこの説明文とあわせて
貴重な3行を浪費しているとしか思えないのだが。
「そもそも今回、この孤島で起きた事件については、アリバイというものが重要なファクターになっているようです。
あなた方残された3名のうち、殺害のあった時刻にアリバイがないのはAさん一人のようですが……
ここで考えてほしいのは、Aさんもまた、B・Cさんお二人を見てはいないということです。つまり、B・Cさんは
それぞれ互いのアリバイを証言しているだけで、Aさんの証言はそこに含まれてはいない。つまり現状、
B・Cさんお二人が共謀なさっていた場合、このアリバイというものはまったく意味を成さないのです。」
彼は改行を気にしてか、ここまでを一息でまくし立てた。
「さらに考えてほしいのは、Aさんの犯行当時していたことといえば、ただ寝ていたというだけだったことです。
もしもAさんが本当に犯人だったするならば、この『寝ていた』というのは大変間抜けな言い草です。しかも、
犯行が行われたのはそれぞれ13時、20時と、本来ならAさんのような成人男性が寝ているような時間ではない。
私はこの不自然さを考えると、逆に本当にAさんは寝ていたのだろうと考えざるを得ません。では、なぜAさんは
そんな不自然な時間に寝ていたのか?それはそれぞれの時間が昼食・夕食の後の時間帯であることを考えると
合点がいきます。つまりAさんは睡眠薬か何かでその時間に眠気を催すように細工されていた。そして、それを
行うことができたのは食事の準備係であるCさん以外に考えられない、かなり行数が押しているので詳しい調査の経緯は
省かせていただきますが、BさんとCさんは性は違えど実は兄弟です。しかも今回殺されたD・Eさんには過去に因縁があり、
そしてもっとも恨みの深かったAさんにその罪をなすりつけようとした、違いますか?」
B・C「おっしゃるとおりです、申し訳ありませんでした」
BとCは兄弟らしく、シンクロして罪を認めた。おかげで20行探偵はシメにタバコをふかす余裕を与えられたのだった。
319 :
◆D60106Bc4s :2005/11/26(土) 02:13:20
トリップ付け忘れた
320 :
ピアス :2005/11/27(日) 13:07:31
300はどっかで読んだ。
317イイと思う。
100センチ
靴擦れの痛みは処女喪失の痛みに少し似ている。
なんて、会社で考える事じゃないな。
隣の田中くんからバンソコウを貰う。
バンソコウを常備する男、なんて気が利くんだろう。
私なんて持ち歩いた事ほとんど無いのに。
今日はたまにしか履かないスニーカー(代官山で買ったエルメス風)を裸足で履いたから。
最近はヒールでも靴擦れしないのは、新しい靴を買っていないから。
トイレでバンソコウを貼った。化粧品会社で働いてるからメイクは華やかにしているけれど、
ペディキュアはしていない、しばらく恋をしていない足。
12時間も会社に居て、いつ恋なんてすりゃ良いのよ!プリプリしながら席に戻る。
帰りに俵万智の本でも買おうかしら。
「もう痛くない?」不意に田中くんに声を掛けられた。
パソコンのモニターを見ながらの横顔が綺麗で少し見とれた。
ずっと隣に居て、初めて気が付いた。
「うん、大丈夫。」
ちょっとドキドキしたのは、不意打ちだったからで、田中くんは2コ下だし、
ずっと隣の席で今更意識なんて・・。
そう思いつつ笑顔になってしまうのは、気に掛けてくれたのがくすぐったかったから。
結局帰りに買ったのは俵万智の本じゃなくって、ベージュピンクに柄入りのバンソコウ。
今度新しい靴も買おう。
明日の私はきっと、つま先まで綺麗。
321 :
◆D60106Bc4s :2005/11/28(月) 23:13:26
【鏡の向こう側】
今日目覚めたのは昼頃だった。
おはよう、いや、こんにちわと挨拶をする様な相手もいない。
ここ数年、そんなことを言った覚えがない。
起きたという気分を出すためだけに、顔を洗った。
私の目の前には、私を映す鏡がある。
なんて貧相な顔だろうと、いつも思う。
鏡の表面に右手をあててみる。
当然、鏡の中の私は左手を添えてきた。
なあ、お前はどうだい?
こんな風に全てが逆になるなら、お前はさぞかし幸せな人生だろうよ。
冷たい鏡は、決して向こう側には行けないのだと私をはねつけている様に感じていた。
鏡の中の私は、私をさげすむように笑っていた。
もう、決めていた。こんな下らない、どうでもいい人生からは
今日でおさらばしようと。
私はさるオフィスビルの屋上の柵を乗り越えると、身を宙に躍らせた。
きっとこの後大騒ぎだ。私を受け入れてくれなかった会社・同僚・社会。
ここを死に場所に選んだのはせめてものあてつけだった。
世界が非常にスローだ。私は落ちながら、周りの景色を楽しむ余裕すらあった。
そのときふと、ビルの窓に映る私が見えた。
そこに映る私は、昇って行きはしなかった
ちょいと止まりすぎだよぅ・・・ageる
323 :
名無し物書き@推敲中?:2005/11/30(水) 21:11:08
くそ、ageるんだってば!!
324 :
名無し物書き@推敲中?:2005/12/03(土) 10:37:42
>>320 何が100センチ?
隣の席との距離?
>>321 かっこいいわ
行間を少なくして落ちを印象的にするのもありかなと偉そうに言って見る
始めまして。下手ですが小説書きます。
【紅葉】
私は最近「自然って綺麗だな」と思うようになった。
理由は自分でも分からない。自然なんてあまり興味もなかった。
ただ、あの頃から自然が好きになったのだ。
友達と紅葉を身に行こうと誘われたのは11月だった。
そこはいわずと知れた有名な紅葉の名所で、この季節になると
多くの観光客が訪れる場所だった。
自然に興味の無い私は「まあ、紅葉もいいかもね」という気分で
そこに行く事にした。
そこには多くの人が訪れていた。中には遠くから来ている人もいた。
赤一色に彩られた紅葉は美しかったが、私はそんなものに興味が無かった。
しかし紅葉狩りも終わろうとしていた時、突然強風が起こった。
赤く美しかった紅葉が、木から無残に散っていく―――――。
そのとき、私の中で何かが通り過ぎたような気がした。
それは―――美しい男性像。
どこかやさしさを感じさせる、無駄の無い、私と同じくらいの男性。
きっと私は、そのときから自然に「恋」してしまったかもしれない。
326 :
324:2005/12/03(土) 21:36:47
四段落がよく分からん。
紅葉を散らせる強風が、やさしさを感じさせる?
無理に落ちを作らなくてもいいと思うけど、
最低限、自分と価値観が違う香具師が見ても、
理解できる文を書いた方がいいんじゃね? とまた偉そうに言ってみる俺
下手だけど賑やかしに…
【コツメカワウソ】
(そうか、マイク・タイソンに似てるんだ)
H島県M島水族館。卒業旅行と銘打ってダブルデートに来た。
ラッコショー会場の横にあるコツメカワウソの水槽で僕ははたと足を止めた。
一目で気に入ってラッコショーに向かう3人を見送って一人残りずっと見ていた。
細い目、ペチャンコの鼻。
可愛らしいところは見当たらないがなぜか見ていて心落ち着く。
カモノハシの様に下半身になるほど細くなる女性的なフォルム、
これが琴線に触れたのかも知れない。
ラッコショーから戻ってきた皆と乗り込んだバスの中でようやく誰の顔に似てるのか分かった気がした。
あれから10年。
妻によく似た娘の春休みと僕の年末年始休日の代休とが重なり妻の提案で動物園に来ている。
「このコ、丸い体がママみたいだね」
下半身のシャープさまで失ったコツメカワウソがココツメカワウソの声にキキッと笑う。
328 :
どぼ〜ん氏 ◆uyTQki4lmE :2005/12/06(火) 02:46:49
【ロープ】
硬くて太い一本のロープ。
私はそれを柱に縛りつけ、首を括ろうとしている。
50を超えた私に、2億もの借金を返す力はもう無い。
これほど強くて硬いロープなら、私の体重でも途中で切れる事はないだろう。
今の苦しみから救い出してくれるのが、このロープなのだ。
私は覚悟を決め、慎重に首を通した。その時――
「きゃあああ」
外から、悲鳴がした。
慌ててベランダに出てみると、隣の山田さんが手すりにぶら下がっている。
多分、洗濯物を取り込もうとしてバランスを崩したのだろう。
ここは5階、落ちれば一溜まりもない。
急いで隣の部屋に入ろうとしたが、鍵が掛かっていて入る事ができない。
山田さんは必死にしがみついているが、もう力が尽きそうだ。
隣のベランダに移れなければ助ける事は難しい。
腕は真っ白になり、汗が滲んでいる。
――私はあのロープを思い出した。
ロープはとても硬くて強かった。
山田さんがしっかり握ると、ビクともせずに引き上げる事ができた。
「ありがとうございます」
彼女の涙と笑顔、こうしてロープは私を救ってくれたのだった。
329 :
芥子:2005/12/07(水) 20:17:14
「好奇心」
九州まで行った出張の帰りの飛行機、座席の脇に小さな古びた本を見つけた。
どうも薬品や医術に関する辞典のようなものらしいが、見ていて精緻で奇妙な図版
に心惹かれた。例えば不吉な逆さ吊りの男の絵。暇つぶしに図版を拾って読んでいる
と、唐突に見開き一面が白紙になっていて、隅にゴシック体でこう書かれていた。
「警告:次の頁に進んではならない」
なんだこれは? 読者の興味を引くその手の趣向なのか、とページをめくる。
「警告:次頁へ進むと不可避の死が訪れる。絶対に頁を繰らぬように」
その時、一瞬ひんやりとした風を首筋に感じた。辺りを見回したが、むろんフライ
ト最中の飛行機の客席を風が吹くはずもない。
本に目を戻す。またしても警告、それも“不可避の死”と来たか。ちょっとばかり
悪趣味でクドすぎるのではないか。おおかた最後には読み手を嘲弄するような説教で
も書いてあるのだろう。しかし癪だが、ここまでくると読まずにはいられない。
フライト・アテンダントが何か注文を聞きに来たが、結構ですと断った。
そして次のページへと進んだ。
突然、無数にちらつく火花が目の前を舞って、全身を洗う強い風を感じた。
気が付くと、四方の壁と座っていた席が消え、地上数万フィートの灰色の虚空を、
乗っていた飛行機が飛び去る後姿を見送りながら、逆さになって落ちているのであっ
た。持っていた本は、強風に煽られて上方へと弾き飛ばされ、最後のページに何が書
かれていたか知ることは出来なかった。(いまや、知ってどうなるものでもない)
かの書においては“不可避の死”だと言う……おお、好奇心が人を殺すとは。
330 :
ピアス :2005/12/07(水) 23:06:03
324
そう。
『大鏡』
村上龍にも少し飽きたので、たまには古典でも読もうと思って図書館へ行った。
とりあえず、目に入ったカウンターの女性の図書館員に「『大鏡』はありますか?」とたずねた。
俺より歳若に見える彼女は俺の顔を見るなり顔を強張らせ、「つきあたりを左に曲がったところです」とくぐもった声で答えた。
無愛想な態度にムッとしながら歩く。書架の案内サインの十進分類コードが500、400とカウントダウンを始める。
文学の十進分類コードは900番代のはず・・・・・・だが、ついにカウントは000に。
そして、俺は半ば諦めの表情で顔を左に向けた。
そこにあるのは、2つの扉。その扉には男性と女性のピクトサインが貼られている。
そう、誰がどう考えてもこの扉の向こうはトイレだ。
扉を開けると洗面台の前に見事な『大鏡』があった。
どうやら最近の司書は『大鏡』も知らないらしい。俺は笑いをこらえながら用を足し、髪型を整えようと大鏡に向かった。
手ぐしで髪を整え、もう一度大鏡を覗き込んだ。
髪の毛が鼻のあたりについていたのを見つけたので、つまんで洗面台に捨てようとした。
・・・・・・ぷつっ。鼻に鮮烈な痛みが走る。涙目になりながら、手にした毛を凝視すると、それはまぎれもなく鼻毛であった。
私は手を洗い、涙目を袖でぬぐってから、もう一度手ぐしで髪型を整えた。
そしてカウンターへ戻り、先ほどの図書館員に一言「ありがとう」と声をかけた。
彼女は私の声にぎょっとして顔を上げ、私の顔をしげしげと眺めた。
そして、にっこり微笑んで「『大鏡』は雑誌コーナーの向こう側にあります」と何事もなかったように答えた。
333 :
どぼ〜ん氏 ◆uyTQki4lmE :2005/12/08(木) 00:59:20
【芋虫は聞いた】
「どうして、僕はこんなに醜い体をしているの?」
芋虫がお母さんに聞いた。
優しい目を細め、お母さんは芋虫の質問にゆっくりと答えた。
「あなたはまだ子供だからよ」
「それじゃあ、大人になったらお母さんみたいに綺麗になれるの?」
「きっと、なれるわ」
芋虫は大好きなキャベツを頬張りながら、にっこりと微笑んだ。
でも、まだ納得が出来ていない。
「僕とお母さんじゃ全然違うけど、本当に大丈夫なの?」
「ねえ、芋ちゃん。そんなに見た目を気にする必要はないのよ。
あなたは、男の子なんだから。もっと自信を持ちなさい。
あなたには輝かしい未来が待っているの。大きな可能性に満ちた未知なる世界。
そこで美しい羽を広げて、空高く羽ばたいて行くのよ。
ルックスなんて、ほんの些細な事。
あなたは私の夢。そして、これからの地球を築く希望でもあるの。
勇気を持って、自分を磨くのよ。そうすれば、あなたを取り巻く全てが変わるわ」
芋虫はお母さんの言葉に複雑な表情を浮かべた。
照れ臭そうな、はにかんだ笑顔。
でも、すぐに顔が曇り、小さく呟くようにまた聞いた。
「それじゃあ……どうして、僕に“芋虫”なんて変な名前を付けたの?」
>>334 「『大鏡』はどこですか?という問いかけをすると便所を案内される」というくだりは、
最近の公共図書館が経費削減と開館時間延長のために
窓口業務などを民間に業務委託する動きが全国的にあり、
司書率(司書数÷全図書館員数)が低下しておりまして
そんな現状を嘆く人たちが作り上げた都市伝説(?)みたいなものです。
現役の司書の方ならば、どこかで聞いたという人もかなりいらっしゃるかと思います。
まあ、そんな元ネタを使って創作して見ました。
くれぐれも興味半分で「『大鏡』はどこですか?」というご質問はお控えください。
337 :
どぼ〜ん氏 ◆uyTQki4lmE :2005/12/09(金) 02:51:39
【事故現場にて】
「即死か?」
「はい。あそこからですから、5メートルは跳ね飛ばされてますね」
「こんな道路の真ん中で、気づかなかったんだろうか」
「携帯で、話をしながら歩いてたようです」
「最近、多いな。そういう奴が」
「周りが見えなくなるほど重要な話でもしてたんでしょうね」
「俺には理解できんよ。で、身元は割れたのか?」
「はい。山田浩介、23歳。ホストをしてたようです」
「ほう……いい男だったか?」
「チラッとしか見ませんでしたが、まあまあってトコですかね」
「いいわ。別れてあげる」
「……そうか、ありがとう」
「でも、これからも私の事を忘れないで欲しいの」
「ああ、分かったよ。忘れない」
「それじゃあ、ダメ。私は、あなたにとっての一番でありたいの」
「別れるって言っただろ? どうしろって言うんだよ」
「私の事をその目に焼き付けて欲しいのよ。あなたの最後の女でいたいから……」
「何、ちょっと聞こえなかった」
「さようなら……右を見て、浩介」
「えっ、うわあああぁぁ!」
>>337 こわっw
最近のどぼ〜ん氏は良作連発してるなぁ。
339 :
名無し物書き@推敲中?:2005/12/09(金) 12:09:49
セリフだけでも結構やれるんだね。
オレも挑戦してみようかな・・・
『たまつき』
「オレ、今日やっちゃったんだよね〜」 「何をやったの?」
「玉撞き」 「え? 玉突き(事故)?!」
「そうなんだよ、オレが白いのに後ろからガーンとぶつけたら、白いのが黒いのにぶつかってさ〜」
「おまえ、ケガとか大丈夫だったのかよ?」
「ケガ? するわけないじゃん。でさ〜、白いのが勢い止まんなくって、側壁に激突してからスピンして
9ってナンバーつけたのにもぶつかってさ〜、そいつを近くの穴に落としちゃったんだ」
「大事故じゃん! すぐ警察とか救急車とか呼んだのか?」 「え、呼ぶわけないじゃん」
「でも、野次馬とかがいっぱい集まって来ただろ?」
「野次馬・・・・・・? ああ、最初からたくさんいたよ。で、オレがぶつけるのを『今か、今か』って待ってたんだよ」
「とんでもない野次馬だな。で、この後どうしたんだよ?」 「オレ? 思わず、ガッツポーズしちゃったよ」
「・・・・・・おまえ、ぶつけたことに罪悪感ないのか?」 「え? オレ、そうしないと反則とられるから」
「どこで免許取ったんだよ、おまえは!」 「免許・・・・・・? おいおい、オレはアマチュアだってば」
「無免許なのか?!」 「だって、(ビリヤードの)プロじゃ、食えないし」
「お前、何の話してんの? 玉突き(事故)の話じゃないのか?」 「ああ、玉撞きの話だよ、もう3年くらいになるかな」
「3年もこんなことやってんのかよ?! ・・・・・・お前、もしかしてプロ(の当たり屋)なのか?」
「違うって言ってんだろ。まあ、これで今日は賞金3万もらったけどな」
「賞金って・・・・・・やっぱりプロ(の当たり屋)じゃねえか」 「やっぱ3万なんかじゃ満足できねえよなぁ」
「こ、これでオレのこと忘れてくれないか? じゃ、じゃあな」
「何? お前、財布まるごとくれるのか? おい、どこ行くんだよ?」
341 :
名無し物書き@推敲中?:2005/12/12(月) 08:54:21
1
342 :
どぼ〜ん氏 ◆uyTQki4lmE :2005/12/13(火) 04:56:42
【銀色に輝く日】
真っ白なパウダーが街を一色に染め上げ、夜空の星たちが賑やかな音楽と共に舞い
降りる日、人々は愛する者と喜びを分かち合う。クリームたっぷりのケーキとこんが
り焼けた鶏の丸焼きを頬張りながら、大きなリボンの付いたプレゼントを交換し合う。
どこからか聞こえる鈴の音、若いカップルの笑い声が重なって小さなハーモーニー
を奏でる。はしゃいだ小人たちがのっぽのモミの木に宝物を括りつけ始めた。
つまり……今年もまた、憂鬱な一日がやって来るのだ。
私のような独り身にとって、これほど屈辱的な日はない。街が浮かれれば浮かれる
ほど孤独へと追いやられ、世の中の誰しもが私の存在を否定しているかのような気に
させられる。話し相手は飼っているペットだけだ。私のような太った中年から慕われ
たって、彼らも決して嬉しくはないだろう。だが、どうする事ができようか。
子供たちは胸の前で両手を合わせ、必死に祈りを捧げる。お母さんに言われたよう
に、持っている中で一番大きな靴下をベッドの角に結びつけた。
いい子にしてた子は、朝には笑顔が待っている。でも、ちょっとぐらいイタズラし
たって、本当はみんなプレゼントが貰えるのだ。この日は愛に溢れ、幸せを確かめる
日。心配なのは、寄り添うカップルが世界中の雪を溶かしてしまわないかだけ。
絶望的な疎外感。この言葉が、私の大きく肥えた背中に圧し掛かる。
楽しげな一日は、ある者にとっては最悪の出来事でもあるのだ。孤独が私に課せら
れた宿命。私を信じていた人々も、いつかは“裏切られた”と絶望し、離れていく。
伸びっぱなしの髭の手入れもしていない。今日も不恰好な厚いメガネを掛ける。
そして、真っ赤な毛糸のコート。憂鬱な一日、私はトナカイを叩き起こした。
>>342 最初モテない人と思ったけどまさか○○○(ネタバレになるので伏せておく)だったとは。GJ
344 :
どぼ〜ん氏 ◆uyTQki4lmE :2005/12/14(水) 02:45:19
【財布と俺と稲妻の話】
俺は深刻な金欠に陥っていて、同時に慢性的な「女欠」にも悩まされていた。
俺のような多くの意味で切羽詰った男が、この世の中に存在している事など世間は
少しも気にしちゃいない。目の前にぶら下がったパンが現れれば、なりふり構わず飛
びつくような男の事など知らん顔なのだ。まあ、いい。それが世の中なのだろう。
そんな俺の目の前で、女がバッグから大きく膨らんだブランド物の財布を落とした。
「あ……」と、声を上げそうになった俺は慌てて口をふさいだ。
なるだけ自然に周りを見渡したが誰一人として見ていない。財布は俺の足元にある。
この膨らみには期待が出来る。まず、腹いっぱい寿司でも食おう、思わず頬がほころ
んだ。しかし俺はもう一度、改めて、真剣に、気持ちを落ち着かせて考え直した。
落とした女を見てみろ、と。女欠の俺には勿体ないほど格別の美人なのだ。
財布を渡しながら食事に誘ってみるのも悪くはない、断られる可能性は大きいが試
してみる価値はある。わざわざ財布を届けてくれた相手を突っぱねるほど冷たい女な
ら、それはそれで諦めがつく。縁とはこういう処から生まれるもんじゃないのか。
そう気持ちが傾きかけた俺は、自分がひどく空腹である事に気がついた。
「ちくしょう、どうすりゃあいい……」
その時だ、俺の脳裏に稲妻のような黄金のひらめきが舞い降りた。二兎を追わずし
て二兎を得る事はない。金を抜いた後の財布を、同情心たっぷりに返せばいいのだ。
心の中で俺は俺に俺のための乾杯をした、その時、すぐ後ろで野太い男の声がした。
「きみ、その財布はどうしたんだね」
振り向いたそこには、警察官と般若のように睨みつける例の女が立っていた。
345 :
どぼ〜ん氏 ◆uyTQki4lmE :2005/12/15(木) 03:43:53
【給料日】
「かあちゃん。ぼく、お腹がすいたよ」
今年で6歳になる勇太が、か細い声で母親に訴えた。
「我慢しなさい。もうすぐお父さんがお給料をいっぱい持って帰ってくるからね」
「うん、そしたらご飯をお腹いっぱい食べてもいい?」
「もちろん、いいわよ。勇太の好きなハンバーグカレーをたくさん作ってあげるわ」
そう頭を優しく撫でてやった時、玄関のドアが乱暴に開いた。
「給料は全部使ったぞ。一緒にいた後輩たちに酒をたっぷりおごってやった」
真っ赤な顔で父親は現れると、自慢げに声を張り上げた。
「あなた、本当なの?」
「あいつら俺に馬券なんか買わせやがって、給料日だぞ。大事な家族が待ってるって
のにくだらん遊びに誘いやがって、罰として酒をたらふく飲ませてやったんだ」
いつになく上機嫌な男に母親は言葉を失い、悲しく歪んだ顔をそっと背けた。
傍らの勇太は大好きな父親があまりにも楽しそうなので、とても嬉しかった。
「ぼく分かるよ。一見、ムダに見える人間関係も長い目で見れば、それが大切な財産
になり、ゆくゆくは大きな実を結ぶって事だよね。付き合いは不可欠な潤滑剤だもの」
そう言って満面の笑顔を父親に見せた。そこには嘘偽りのない尊敬の眼差しがあった。
酔いが醒めかけてきていた父親の表情が、また少しだけ赤くなったように見えた。
「お前も大きくなったな。その通りだ、思わぬ形で実を結ぶ事もあるんだよ」
そう言うと、大きく膨らんだ鞄から大量の札束を取り出した。
「馬券は超万馬券だった。あぶく銭だが、この金をこれから三人で大切に使おう」
>一見、ムダに見える人間関係も長い目で見れば、それが大切な財産
になり、ゆくゆくは大きな実を結ぶって事だよね。
↑とギャンブルで一発当てる行為とはちょっと違う気がするが・・・
面白かったのでOKです。
なんか止まってるんで書き込むのアレですけど・・・・・・。
初です、よろしくお願いします。
【ハリ】
指先に出来た赤い玉、だんだん大きくなる。
私はふと我にかえり、指に付いてしまった血を舐めとる。
針仕事なんて余りやった事はないのだけど、今は私の仕事だ。
午前6時、いつもならまだ寝ている時間。
本当は昨日の中にやっておきたかったのだが、いつの間にか眠ってしまっていた。
不馴れな事の連続で少し疲れていたのだ。
雑巾を縫い終え、朝ごはんの支度をする。
今、家には父と弟しかいない。
父さんに包丁など危なっかしくて持たせられないし、弟はまだ小学生だ。
支度を終えて二人を起こす。食事が終わったら食器を片付ける。
弟に雑巾を渡し、父さんに忘れ物はないかと確認し、私は弟の手を引き家を出る。
私も学校があるので洗濯などは帰宅してからやらなければ。
「なんで私がこんな事を・・・・・・」
なんて一人ごちてみても、目の前の仕事が無くなる訳ではない。
出来ることなら逃げ出したい、しかし私が居なくては二人の生活が成り立たない。
今更ながらに母の大切さを痛感していた。私だったら逃げ出してしまうだろう。
でもだからって・・・・・・、と、ここまで考えて携帯に一通のメールが届いた。
写真が添付されている。想像は付くが仕方なく開く。そこに写るものは
旅先で、まるで少女の様な笑顔でピースサインを出している母の姿。
最後にはお決まりの文面「家事なんて、コレくらいのハリがなきゃやってらんないわよ。」
初にしてはなかなか。
オチはあまり細かく説明しなくても大丈夫。
見てるほうだって結構想像力働かせるもんだからさ。
349 :
(「・ω・)「 がおーん ◆GAOON2chso :2005/12/24(土) 22:41:21
『フライパン』
とあるフライパンのメーカーがヨーロッパでの販路拡大のため、フランス人、イタリア人、ドイツ人を雇いました。
フランス人営業マンは実演販売にてフライパン一つで見事な料理を作って見せ、
たくさんのフライパンを売り上げ、料理の材料費を本社経費で落としました。
イタリア人営業マンも負けじと軽妙なトークと身振り手振りを駆使して実演販売を行い、
これまたたくさんフライパンを売り上げ、さらにはメーカー希望小売価格より高く値をつけて上前を撥ねていました。
ドイツ人営業マンは『百年使っても大丈夫』と言いながら、ソーセージを焼くだけ。
他の2人ほどフライパンは売れませんでした。
10年後。
フランス・イタリア人営業マンは実演販売に磨きをかけて高い売り上げを維持するも、
ドイツ人営業マンの売り上げは減る一方。
それもそのはず、フライパンは本当に『百年使っても大丈夫』だったのですから。
20年後。
フランス人営業マンは経費削減で材料費が会社から出なくなり、材料費が自腹に。
イタリア人営業マンは上前を撥ねていたのがバレて、懲戒解雇の憂き目に。
ドイツ人営業マンはといえば、ここに来て売り上げが急上昇。
彼は不思議に思いました。『百年使っても大丈夫なら、買い換え需要もないだろうに』と。
客は口々に言いました。
『ママがソーセージを焼くときは、決まってこのフライパンだったのよ』と。
>>349 いいなこれ。クリスマスイブに心暖まらせてもらった。
父として
「お父さん、会って欲しい人がいるの」
と、娘に言われた。
とうとうこの日が来たか……
嬉しくもあり、悔しくもある。
「うん、今度連れてきなさい」
平静を装って、それだけ言った。
さて、どんな男を連れてくるのやら……
日曜日が待ち遠しい。
妻も心なしかそわそわしているようだ。
それが、一週間前のことだった。
そして、今日。
「お父さん、この人が……」
絶句した。
どう見ても、自分とそう変わらぬ年齢の男である。
これは、いくらなんでも……
そう言おうと、口を開いたそのときだった。
「お父さん、この人が、本当のお父さんなの……」
ゆっくりと妻を見る。
「ごめんなさい、あなた」
妻と、娘の父が、深深と頭を下げた。
天国の門に3人の男がたどり着いた。門番の天使がそれぞれに死んだ理由を尋ねると、
最初の男が答えた。
「私が会社を早退してマンションの部屋に戻ると、妻が裸でベッドに寝ていました。どうも様子が
おかしいので家の中を調べると、パンツ一枚の男がベランダの手すりにぶら下がっていたのです。
私は怒り狂い、部屋にあったタンスを持ち上げてその男めがけて投げつけ、転落死させました。
その後、私もベランダから飛び降りて自殺したのです」
次の男が答えた。
「今日は会社を休み、昼からシャワーを浴びてパンツ一枚でベランダで涼んでいました。
すると風が吹いてタオルが飛んでしまい、ベランダの外に引っかかったので取ろうとしたのですが、
バランスを崩して落ちてしまいました。でも、運良く下の階のベランダにつかまることができました。
そのまま助けを待っていると、その部屋の男が私を見つけ、狂ったようにタンスを私めがけて投げ
つけたのです。私は理由も分からぬまま、タンスと一緒に落ちて死にました」
そして最後の男が答えた。
「私はそのタンスの中におりました」
>>351 うわーwお見事!
流れが淡々としていて、何とも言えないシュールさがw
>>353 ギガワロスwwwww久し振りにこんなに笑ったw
後になってみると、最初の男の妻も訳がわからないんだけど、
その不可解さまで笑えるぐらいラストが最高だった!!
355 :
名無し物書き@推敲中?:2006/01/04(水) 03:35:30
353は家にあるアメリカンジョーク集に載ってるよ。
盗作。ていうか丸写し。
『貧乏クジ』
新年早々、隣町の商店街の福引に僕は出かけた。チラシには、1等:3泊4日ハワイ旅行 2等:高級食器セットなどとある。
食料品を始め福袋数点、その他日用雑貨を買い込んで福引券を10枚手に入れ、意気揚々と福引の行列に並んだ。
改めてチラシを見入る。1等当たったら彼女連れて行こう・・・・・・ついでにプロポーズもしようか?
カランカランカランとハンドベルが鳴って、歓声がわぁーっとあがる度に僕の期待もどんどん増してくる。
僕の番は一体いつくるのだろう?と長い行列の先を眺め、また手元のチラシに目を落とす。
一体どのくらいの時間が経ったのだろう?僕の番がまわってきた。
「あんたで最後だね、福引券何枚持ってる?」とハッピを着たオジサンが面倒くさそうに言った。
僕は福引券を手渡すと後ろを振り返った。僕の後ろには誰もいなかった。知らない間に日も暮れていた。
向き直ると同時に僕の手にはポケットティシュが山と積まれた。
「あの、僕まだなんですけど」と問いかけると、オジサンは親指で当選者の掲示を指し
「もう1等から3等は全部出ちゃったよ。4等の台所洗剤も残ってないよ。あとは、この残念賞だけ」
オジサンは手早くスーパーの袋にポケットティシュを詰め込んで、
「『残り物には福がある』って昔から言うだろ?」と僕に冗談を言いながら手渡すと、さっさと後片付けを始めた。
僕の財布には電車賃すら残っていなかったので、やむなく父に電話をして事情を話し、迎えに来てもらうことにした。
「おー、お前も福引に行ったのか。父さんも午前中に行ってなぁ、2等当てたんだ。
母さんが『ドラマで見た』とかでティーカップもらってたぞ。ところで、お前は何が当たったんだ?」
「残念賞」と僕が答えると「なんだか『団塊ジュニア』のお前の人生の縮図そのものだな」と
団塊世代の父が笑った。
>>354 妻の浮気相手はベランダじゃなくてタンスに隠れてたってことでしょ
男の妻が裸で寝てたのはやっぱり浮気してたから
アメリカンジョークを説明する野暮ごめんorz
>>356 すごいわびしい…
358 :
名無し物書き@推敲中?:2006/01/05(木) 14:43:24
成人男性が入ったタンスは投げられないだろう。
でかいアメリカ人の男だったら可能だろうケド。
>>355 そういうときは、コピペって言うと良いよ。
>>358 スレタイ読めるんなら、次ぎは空気読もうね!
360 :
どぼ〜ん氏 ◆uyTQki4lmE :2006/01/09(月) 02:15:44
【1ピース】
派手な結婚式だった。
友人たちの出し物が予想以上に盛り上がり、異様な雰囲気さえ漂わせていた。
遠くから来てくれた親戚も終始笑いっぱなしで喜んでくれていたと思う。
そんな光景を思い出すだけで胸が一杯になる。
――今が幸せの絶頂なのだろう。
私の新しい門出を祝ってくれる仲間と親族、そして愛する妻がここにいるのだから。
思えば、私はこれまでに満たされた感情を味わった記憶が無い。
胸の内にたった一枚のピースが欠けているような不安感を常に持ち続けてきた。
これまでの人生は、その足りない1ピースを探し続ける日々でさえあった気がする。
彼女に出会い、彼女を知るまでは、私の心の中では冷たい風が吹き荒れていたのだ。
捜し求めていた1ピース、胸のすき間を満たす温かな一枚。
結婚式を終えた今、私は確かにはっきりとした幸福感で満たされていた。
「高志さん。今日は疲れたけど、楽しかったわね」妻はそう微笑んだ。
「ああ、みんなに感謝しないとな」自然と私の顔もほころんでしまう。
愛する妻と向き合い、二人だけの時間を共有する第一歩だ。
私は妻の後ろ姿を見つめ、手に入れた幸せをもう一度味わおうと試みた。
――しかし、心はなぜか躍らない。
手に入れてしまったからなのか? そんなはずはない。素晴らしい女性である。
そう思い、ふと傍らにあった写真盾の中で微笑む彼女の父親の顔を見た。
大富豪でもある彼の姿に、私の心は大きく高鳴った。
361 :
どぼ〜ん氏 ◆uyTQki4lmE :2006/01/10(火) 01:48:51
【小瓶】
娘は海の向こうを見つめていた。遥か遠くにあるはずの無人島を思い浮かべながら。
ある朝、海辺を散歩していると小瓶が打ち上げられているのを見つけた。
中には紙切れが入っており、そこには簡単なメッセージが書かれていた。
「ここは楽園だ。本物の自由を手に入れた」
娘はそれを何度か読み返すとポケットにしまい、村へと帰っていった。
次の朝も娘は海辺にいた。時折、海の向こうを見つめながらゆっくりと歩いている。
すると、また昨日と同じ小瓶が海辺に打ち上げられているのを見つけた。
紙切れには同じ筆跡で、同じようにメッセージが書かれている。
「鳥たちの美しい鳴き声、絶景の自然、ここは天国だ」
娘はちらりと海の遥か遠くを見つめると、また静かに歩き出した。
冷たい風が吹いている。どんよりと曇った空の下、娘は海の向こうを見つめていた。
手はポケットの中にしまい込み、身を包むように上着を抱きしめている。
いつもの場所で小瓶を見つけると、丁寧に紙切れを取り出した。
「豊かな果実と海の幸、贅沢とはこの事だろう」
強い風に押されるかのように、娘は村ある方へと歩き出した。
静かに波打つ海辺、今日も娘は立っていた。肩にはちらちらと小雪が降っている。
そっと手にした小瓶。中の紙切れには短いメッセージがある。
「とてもさみしい」
娘は顔をあげると急いで家に帰った。そして、荷物をまとめると海へと戻った。
小さな手漕ぎボートの上。遥か遠くにあるはずの無人島へ、娘は必死に向かっていた。
362 :
名無し物書き@推敲中?:2006/01/10(火) 09:48:24
364 :
名無し物書き@推敲中?:2006/01/10(火) 22:39:20
[解放]
信夫はつかまっていた電信柱から身を起こした。突き刺すような北風が吹いていると言うのに、その顔にはびっしりと脂汗が浮いていた。震え崩れそうになる手足の筋肉を無理やり従え、信夫はつかまっている電信柱から体を離す。
一刻も早く、行かねばならない。
食いしばる口元から歯の軋る音ととうめき声がもれた。
汗が額を伝い目に入る。粘りをもつ汗に含まれる塩分で眼球に痛みが走ったが、それ以上に身体の奥から定期的に伝えられえる激痛が信夫を支配していた。
「信夫、どうしたの?具合悪いの?」
すり足で歩を進める信夫の後ろから、唐突に聞こえてきたのは5つ違いの姉の声だった。優しく面倒見の良い姉が、信夫は大好きだった。しかし信夫は答えられない。声を出せばこれまでの苦労が全て無駄になってしまう。ただただ脂汗を額に滲ませて首を振った。
「首振ってたら判らないよ。でも具合悪そうだね。いいよ、姉ちゃんがおんぶしてあげる」
信夫は言葉が出てこない。息を止めて首しか振れなかった。
「ほら、信夫つかまって」
姉が信夫の前に中学校の制服の背を向けてしゃがむと、俯く信夫をおぶって立ち上がった。
駄目だ!姉ちゃんやめてくれ!
声にならない信夫の声は、姉には届かなかった。
姉は一歩を踏み出した。姉の右足から伝わった衝撃が信夫の全身を貫いた。本能と理性の均衡が破れた。理性によって圧縮され凝縮された腸の中の内容物が一瞬力の緩んだ出口へ殺到し、炸裂した。落ちてゆく様な絶望感と本能を解き放つ開放感が信夫を包む。
手のひら腰に伝わる生ぬるい感触と異臭に姉が気付き悲鳴を上げるのは、信夫が全てを解き放ってからだった。
ごめん、姉ちゃん。俺、我慢できなかったよ――
365 :
名無し物書き@推敲中?:2006/01/10(火) 22:47:07
>>364 誤字脱字ありました。
投稿してから気付きました。
次は、気をつけます。
366 :
どぼ〜ん氏 ◆uyTQki4lmE :2006/01/10(火) 23:12:16
【学太郎】
お爺さんは言いました。「なあ、学太郎。お前は鬼退治には行かんのか?」
「ええ、行きませんよ」学太郎は平然と答えるのでした。
学太郎は言います。「お爺さん。鬼が島までは約200キロもあるんですよ。辿り着いた時
には、もうヘトヘトになってますよ」そう笑う学太郎は、「それに」と続けます。
「今、開発中の装置を使えば、ものの5分で鬼たちを全滅させる事が出来るんです。無駄な
労力を使わず、日々の生活を平穏に送りながら彼ら全ての種族を死滅させる事が可能なんです。
たった一つのボタンを押すだけでね」学太郎は厚い科学書に目を落としながらそう言いました。
お爺さんはまだソワソワと落ちつかないようすです。「……金銀財宝はどうなるんだ?」
学太郎は顔をあげ、意味ありげな笑みを浮かべました。「やっぱり、気になりますか?」
「心配いりませんよ、お爺さん。この研究が世の中に認められれば、鬼のガラクタがバカら
しくなるほどの利益を生んでくれるはずです。そうなれば、こんなドブネズミのような生活と
オサラバして一気に勝ち組へと成り上がる事ができますよ。安心してください」
お爺さんは学太郎の堂々たる自信にため息をもらすのでした。
「さあ、学太郎。きびだんごをこしらえたから少しは休憩したらどうだい?」とお婆さん。
学太郎は、「うん」と生返事をするときびだんごを鷲摑みにして、口の中に放り込みました。
すると突然、学太郎は呻き声をあげながら床に倒れました。手足は激しく痙攣しています。
「お爺さん、学太郎が作っているのは細菌兵器なんですよ」お婆さんは悲しそうに呟きました。
口から泡を吹き出した学太郎を見つめたまま、お爺さんは尋ねます。「昔話にはならんのか?」
「はい、お爺さん。それどころか悪の香りさえするじゃありませんか」寂しげな声だった。
「この子は頭が良すぎたんです。もっと無知でもっと単純な子だったら良かったのに……」
367 :
どぼ〜ん氏 ◆uyTQki4lmE :2006/01/12(木) 04:40:17
【一月のサンタクロース】
夜の8時、チャイムが鳴った。
洋子が走って玄関のドアを開けるとそこにはサンタクロースが立っていた。
「こんばんは、遅れてしまってごめんね」
サンタクロースは優しい笑みを浮かべている。
洋子は驚いてしまって、ただ口をぽかんと開けたまま何も言えずにいた。
「もうおもちゃは無くなっちゃったんだよ」
台所からはお母さんが夕食の片づけをする音が聞こえてくる。
テレビからは楽しげな笑い声。
サンタクロースはしゃがみ込むと洋子の頭を優しく撫でた。
「洋子ちゃんはいい子にしてたから、プレゼントをあげなくちゃね」
それを聞くと、洋子は黙ってうなずいた。
「プレゼントは、おじさんでどうかな?」
サンタクロースはそう言って自分を指差した。
洋子はしばらくサンタクロースを見つめていたが、
「いいよ」
と小さく言った。
その人が母の再婚相手だと分かったのは、それから5年後の事だった。
まだ小さく状況を理解できない私に、母と義父が考えた結果だったのだろう。
今から思えば非常識な行為にも思える。
あれから20年、私は今も優しいサンタクロースが大好きである。
368 :
どぼ〜ん氏 ◆uyTQki4lmE :2006/01/13(金) 15:07:18
【人は歳をとると頑固になる】
人は歳をとると頑固になるという。
私はその説に異論はない、微塵もだ。なぜなら、この私がまさにそうなのだから。
家族の居心地の悪そうな態度やコミュニケーションの減少を考えれば一目瞭然だといえる。
だからといって、それが悪いことだとは思っちゃいない、微塵もだ。むしろ逆である。
人は歳をとると体力が衰えていく。そして、同時に精神も弱まっていくものだ。
急速に変わりゆく世の中で、自分らしく生きていくには自分で自分を守らなくちゃいけない。
その為には確固たる信念を貫き、信じた道をただ歩むしかないのではなかろうか。
これは闘いでもある。揺れる価値観を守るべく、自分を信じぬく闘争なのだ。
「お義父さん。もういい加減、言う事を聞いてくださいよ」
「いや、わしはここを動かんぞ」
息子の嫁は、年寄りの私に嫌がらせをする。今風に言えば“ウザイ”のだろう。
最近では私の自尊心を傷つけようと、全ての行動や言動を否定するのが日課となっている。
だが、私はそんな事で落ち込んだりはしない、微塵もだ。むしろ逆である。
もっと怒っていいのだ。弱い立場に置かれたからといって自分を無残に歪めることはない。
便利になった世の中、人は楽をする事で多くのものを見失ってしまったようだ。
だから私は頑固になる。誰がなんと言おうと自分を信じて生きてゆく。
それが懸命に生きてきた証であり、苦しみ闘い続けてきた自分への誇りでもあるのだ。
「思い出してください。つい30分前ですよ、おにぎりを三つ食べたでしょう?」
どれだけ手を抜けば気が済むというのだろうか? 私は負ける訳にはいかない。
「いや、食っとらん!」
369 :
名無し物書き@推敲中?:2006/01/14(土) 01:28:59
370 :
どぼ〜ん氏 ◆uyTQki4lmE :2006/01/15(日) 00:59:12
【三人は雑談を始めた】
居酒屋の一番奥の席、三人の男が雑談をしている。
A「じゃあ、今度は一番したくない事を話し合おうか?」
B「そうだな……それが面白いかも。俺は死刑の執行人がどうしても嫌だね」
C「そうか?」
A「いや、わかる。被害者が復讐のためにそれをするならいいけど、部外者だからな」
B「関係のない人間が、全く知らない人間を処刑するのはおかしいだろ?」
C「そいつにしたらただの仕事だぞ」
A「胸が痛まないんだろうか? 相手は犬や猫じゃないんだからさ」
B「俺は犬や猫だって嫌だね。身近な生き物を平然と殺す勇気は悪いが、俺には無い」
C「でも、それが法律なんだし……」
A「制度しては仕方がないよ、それはな。ただ、人間としてどうかなって思うよな」
B「そう。言ってみれば人殺しだから、合法的な殺人行為だよ」
C「言い過ぎだろ、それは」
A「間違いなく地獄に落ちると思う」
B「そして、焼け付く炎の中で殺してきた囚人の方々からも復讐を受ければいいんだよ」
C「……その話はもういいよ、グロいから。次はA、何が一番したくない?」
A「俺も死刑執行人だな。人間のクズだから」
B「で? そういうCは何が一番したくないんだよ」
緊張した面持ちで、Cは顔を強張らせている。
C「お……俺は、他人が傷つく事とかは言いたくないな。だって……それは酷すぎるよ」
371 :
どぼ〜ん氏 ◆uyTQki4lmE :2006/01/15(日) 21:53:43
【真冬の訪問者】
月の無い、真夜中の2時。築30年のおんぼろアパートの一室。
生温かい空気と妙な静けさ、異様で、ただならぬ雰囲気に俺は目が覚めた。
すると、鍵が掛かっているはずの玄関のドアが音を立ててそっと開いた。
ギ、ギギ……ギギギ、ギギ……。
廊下から微かな光が漏れてくる。その明かりを背に一人の女が立っていた。
シルエットのみで表情はわからない。しかし、ジッとこちらを見ているようなのだ。
「御迎えに参りました」
凍るような冷たい声。怨念のこもった物悲しい響きがある。
オムカエ? 俺を連れて行くというのか。健康でまだ若い、この俺を?
いや、俺はもうすでに死んでいるのかもしれない。自分で気づいていないだけなのだ。
普通に起き、仕事へ行き、毎日を平穏に過ごしている――つもりだったのだ。
そういえば同僚の挨拶も最近雑になっている。親からの電話も途絶えがちだ。
俺は思い当たる節を次々と挙げていく――すると、押入れのふすまが静かに開いた。
ズ、ズズ……ズズズ、ズズ……。
現れたのは青白い顔をした貧相な男。ふわりと浮き立つと玄関の方へと向かった。
戸口に立っていた女はその男に手を差し伸べ、言った。
「どうでした? ここの暮らしは」
「ああ……今までの中で、最悪だったよ……」
男がそう言うと、女は恨めしそうに俺を一瞥した。
そして、二人は玄関のドアを開けっぱなしにしたまま、廊下の闇へと消えていった。
373 :
どぼ〜ん氏 ◆uyTQki4lmE :2006/01/16(月) 22:05:47
【原因】
「じゃあ、そこに座って」
「はい、先生。一週間ぐらい前から、ひどい頭痛がするんです」
「今も痛むのかな?」
「はい。それと、のどもいがらっぽくて喋るのが辛いです」
「声が少し掠れているね」
「胸焼けもします。ムカムカとして吐き気もするんです」
「確かに苦しそうだ」
「胃も痛むんです。キリキリと締め付けられ、夜も眠れません」
「それは辛いだろう」
「昨日、血尿が出ました」
「本当かね。ヒドイな」
「見てください。手の震えが止まりません」
「うむ。確かに」
「新しいニキビがこことここに出来ました」
「しかし、それほど同時に重なると大変だったんじゃないか?」
「この三週間は、まさに地獄のような毎日でした」
「で、症状はそれで全部なのかな?」
「そうですね、だいたいそんな所です」
「……要するに、冬休みの課題が一つも出来なかったのは体調不良が原因って事だね」
「はい、先生」
374 :
資:2006/01/17(火) 00:47:43
【しれぶ・製糞器・ヒゲル】
「製糞器」とはヒゲルの父が、「しれぶ」から叱責される際の呼び名である。
後に好んで自らを「製糞器」と看做す(余談だが、ヒゲルの父は心臓が右側に在ったそうだ)。
「しれぶ」はヒゲルの祖父である。司令部の転訛らしい。
>>しれぶはうるさくて怖いオヤジでなあ
と製糞器は目を細めてヒゲルに語る。
>>製糞器のように飯だけ食ってブラブラしていて何の役にも立たないようでは困るぞ
というようなことを小さな頃からヒゲルは聞かされる。
「しれぶ」から「製糞器」へと続く。ヒゲルには娘が二人。彼にはどんな渾名が付くのだろう。或る時、娘らが彼にとって如何にいとおしく、可愛い存在であるかを目じりを下げきって私に語った事がある。こんな親馬鹿振りでは「しれぶ」からは程遠い。
>(まだまだ先のことだが?)私にもジジイになる日がやってくる。出来るだけ周りに迷惑のかからないマイペースな爺さんになれたらいいなあ。
この四年後、ヒゲルは死んだ。爺さんになる前に。
彼なら好い爺さんになれたろう。いまだに悔やまれる。
遺された夫人・娘達にこれ以上の憂いの無いことを常に祈って居る。
いつか娘等に、彼の渾名を聞いてみよう。
そして彼が如何に彼女らを愛して居たかを、聞かせよう。
375 :
どぼ〜ん氏 ◆uyTQki4lmE :2006/01/17(火) 10:37:15
【亀】
ここは町外れの国道。そこを一匹の亀が渡ろうとしている。
ゆっくりゆっくりと前足を伸ばし、しばらしくてから後ろ足が動き出している。
照りつける太陽は容赦なく亀の甲羅を乾燥させていった。
道路の向こう側、生い茂る草むらから一匹の雨蛙が顔を出した。
「なあ、亀さんよぉ。あんたはのろまだなぁ。こんな道路ぐらいさっさと渡っちまえよ」
雨蛙はのどを鳴らしながら発破をかけた。
しかし、亀はゆっくりと雨蛙の方を見ると一度だけまばたきをして見せただけだった。
何か言おうとした雨蛙だったが、つまらなそうにどこかへ行ってしまった。
気温はさらに上がり、乾いた砂埃が舞っている。
時折、強い風も吹きつける。それでも亀は少しずつ歩みを進めていた。
そこへ、一台の車が走ってきた。
普段はほとんど通行のない田舎道、今日初めての車がやって来た。
近づくにつれ道路から振動が伝わる。亀は立ち止まり、手足を甲羅の中に押し込めた。
勢いよくやって来た車はスピードを緩めることなく通り過ぎていった。
しばらくじっとしていた亀だったが、またゆっくりと手足を伸ばし歩き出した。
それから数時間。辺りが朱色の染まり始めた頃、亀は反対側の草むらにたどり着いた。
すると、甲羅の傘の陰の部分からとても小さな青虫が顔を出した。
「亀さん、ありがとう」
まだ子供の青虫は照れくさそうにお礼を言った。
亀はゆっくりと青虫の方を見ると一度だけまばたきをして見せただけだった。
376 :
かえっこ:2006/01/18(水) 02:29:28
【ドナー】
美由紀と清彦は運命的な出会をした。
二人の心は若く、輝き、この時でしか経験できない素晴らしい愛の生活を送っていた。
幸せだった。
ドライブの時、夜のベットでの語らいの時・・・一緒に過ごす時、すべてで常に何か運命的なものを感じていた。
幸せだった。
だが1年が過ぎようとした頃、二人は、ホンのささいな本当にささいな事でケンカをしてしまう。
運命は二人に仲直りの機会を何度も何度も奪ってしまった。
そして出会って1年目の今日、清彦の運転する車の中でついに別れの言葉が二人から語られた。
「なぜこうなったの!!」まだ心の底では愛し合っていた二人だったが思いは運命によって蘇える事はなかった…
二人は涙を流していた。
彼女のマンションまでの10分間、最後の夜のドライブだった。
「ああっ!!」
車が突然前方に現れた命を消そうと悲鳴を鳴らす。涙で曇った清彦のヒトミと心が一瞬判断を鈍らせたのだ!
ブレーキと急ハンドルが永遠とも思える夜の空にコダマし、美由紀と清彦と被害者は病院へ運び込まれた。
無残につぶれた車と共に美由紀と清彦の命も消えた。
…だが違う形で運命は、二人をつなぎ止めた。
最初のデートの時、永遠の愛を約束する意味で臓器移植のドナー登録を済ませた二人…
事故の被害者に偶然にも適合した美由紀と清彦。
…今、移植により命をとりとめた被害者の体には、二人が共に生き続けている。
377 :
どぼ〜ん氏 ◆uyTQki4lmE :2006/01/19(木) 00:52:41
【眠れない】
眠れない。
真夜中の病室。個室には妻のベッドと介護用の私のベッドが並んでいる。
眠れない。
妻の体へ人工的に酸素を送り込む機械が、生命の証でもある電子音を奏でている。
眠れない。
外は冷たい風が吹いているのだろう。すきま風が部屋の温度を下げだした。
眠れない。
隣で寝ている妻の寝息は相変わらず小さく、今にも消えそうだ。
眠れない。
もう3時過ぎ、なんとか頑張ろうとすればするほど眠気は遠のいて行く。
眠れない。
元気だった頃の妻を思い浮かべるたび、胸が苦しくなる。
眠れない。
妻の意識が無くなって、もう3年。私は疲れ、体に限界を感じていた。
眠れない。
気づけば隣で寝ている妻の寝息が聞こえない。外の雪は防音効果があるようだ。
眠れない。
とても静かだ。単調な電子音だけが鳴り響いている。
眠れない――もう、今日は眠れないだろう。
隣で寝ていた妻が私を見つめ、「あなた」と言った。頬を染めた、あの妻だった。
378 :
名無し物書き@推敲中?:2006/01/19(木) 01:17:58
>>377 なんかわかりそうでよくわからなかった
解説がほしい
PS ファンです
379 :
どぼ〜ん氏 ◆uyTQki4lmE :2006/01/19(木) 02:24:14
【祈り】
妻は意識を取り戻した。あの美しい笑顔がまた戻ったのだ。
担当の医師は驚き、「信じられない」と言った。看護師たちは涙を浮かべ、毎日病室に集った。
私は満足していた。介護に全てをつぎ込んだ3年間は無駄ではなかったのだ。
そして、自分の体に僅かな異変を感じていた。
あの夜、体力の限界を感じていた私は神に祈ったのだった。
「私の命と妻の命を交換してください。妻が意識を取り戻すなら、私の命を差し上げます」と。
しかし、何も起こらなかった。ただ強い風が一度だけ吹いただけだった。
いるはずがない。私から妻を奪ったこの世の中に、神などいるはずがない。
私は絶望し、窓の外に降り積もる雪とこの世界を呪った。
安眠できる日など二度と来ないと思っていた。少なくとも、私が死ぬまでは――。
しかし、奇跡は起こった。
異常な寒気を感じ、疲労がピークに達した私の目の前で妻が目を覚ましたのだ。
不可能だと言われた症状からの奇跡的な回復だった。
急速に回復していく妻は疲れきった私の健康を気遣った。
3年間、ベッドの上で眠り続けた人間が介護していた人間を心配するなどおかしな話である。
そして、思わぬ告白をした。
目覚めて、すぐに祈った――痩せ細り青白い顔をした私を見て、神に祈ったのだと。
「私の命と夫の健康を交換してください。夫が元気を取り戻すなら、私の命を差し上げます」
神は願いの中の後半を考えれば、二人の命を奪う事もできたのだ。
だが、神は最初の望みを重視したようだ。切実に願った、二人の望みの方を――。
380 :
名無し物書き@推敲中?:2006/01/19(木) 02:26:33
なる臍
381 :
('A`):2006/01/20(金) 00:51:32
「保険金」
ギャンブルで、とても返せない額の借金を負ってしまった。
俺が死ねば、多額の保険金が妻と子の元へと支払われる。
そう考え、自殺しようと思って波打ち際を歩いていた。
ぼんやり海を眺めていると、金色のランプがこっちに向かって流れて来るのが見えた。
海に入って、ランプを拾う。
まさか魔人が出てきたりはしないよな、と思いながらも、一応こすってみる。
「お前の願いを何でも一つだけ叶えてやろう・・・」
本当に出て来るとは思わなかったが、またとないチャンス、
これで借金を返済し、家族みんなで幸せに暮らせる。
神様魔人様、感謝します。
「借金を返して、妻と子が幸せになれるようにしてくれ!」
「・・・承知した」
そして、魔人は俺を海に沈めた。
382 :
名無し物書き@推敲中?:2006/01/20(金) 18:47:54
383 :
グンキノイズ:2006/01/21(土) 00:30:55
【痛みと苦しみ】
では、痛みを分かち合いましょう。
言って、彼は右手にナイフを取り出した。大きい。そんな物は危ないので仕舞いなさいと僕が言うと、
痛みを分かち合い、お互いのことをよく知りましょう。
言って、彼は左手にもう一本ナイフを取り出して、僕に手渡した。心なしか彼のナイフより小さく見える。
さあどうぞ、胸でも手でも足でも首でも頭でも心でも、好きなところを狙いなさい。
両手を広げて言う彼に、人に向けて刃物を向けるなんて駄目です、と諭してみる。
何を言ってるんですか?人じゃなければ簡単に向けられる癖に。小生は人間ではありません、人でなしですらありません。
愉しそうに言う彼に、じゃあ、人間でも人でなしでもない貴方は何なんですか、と尋ねてみる。
小生は、蠅です。ただし、蚯蚓でもあり、蝙蝠でもあり、神の衣を借る鳥でもあり、地獄の畜生でもあります。人間と、人でなし以外の全てです。
悲しそうに言う彼に、それらは人じゃないのだから、人でなしではないのですかと聞いてみる。
いえいえ、人以外だなんて屈辱的な位置座標、小生は認めません。小生は、蠅であり蚯蚓であり蝙蝠であり神の衣を借る鳥であり地獄の畜生なのです。
なるほど、子供のような考え方ですね、と言って、僕は手に持つナイフを弄ぶ。
そうそう、話が横にそれました。さあ、痛みを分かち合いましょう。
大人のように切り替えが早いですね、と言って、僕はナイフを放り投げる。
からから、ころん。
ころころ、からん。
おやおや、それでは小生が先行でいいと言うことですね、と言って彼は僕に痛みを与えようと、走ってきた。
僕は、ナイフを取り上げて、彼の五臓のどれかに突き立てた。
小生は苦しいです。
「僕もです」
【丘】
まだ、街の気配は眠りの中にある頃、玄関の戸を静かに開け、
白い粒子がわかる靄を眼前に見ながら、パキパキした身体をゆっくりとほぐし、出発の準備をする。
遠方では時折、車の排気音とカラスの鳴き声を耳に捉えるだけで、後はない。
この静寂と暗闇が、身を刺す寒さを一層際立たせている。
皮膚に密着したトレーニングウエアに、滞留する温もりが伝わり、
失われていく事を嫌い、そそくさと走り出す。
無心で無人の街を、無理と無駄のない同じ歩幅で、平坦な道を淡々と進む。
律動的な足音が地面に鼓動を刻みつけて行く。
小刻みに息を吐きながら、坂を駆け上がると、周辺を見渡せる丘に出る。
そこで、月と星のある水色に染まる景色の中で、日が昇るのを待つ。
表皮の熱気と表衣の冷気が、互いに衝突する場所に、心地良い爽快感を感じながら、
軽い動悸を整え、すぐに冷めていく汗を拭う。
やがて白んできた空に、時の移りゆく早さを感じつつ、大きく深呼吸する。
その瞬間、全身に新鮮な空気が隅々まで疾走しているのを、改めて実感する。
そして、日光が丘全体を覆う頃には、すでに、眠りから覚め胎動する街へ向かって走り出していた。
※『4行で小説を書いてみよう』スレで書いたものを、リサイクルしてみました。
http://book3.2ch.net/test/read.cgi/bun/1126397825/313
385 :
384:2006/01/21(土) 09:56:07
>>384 >失われていく事を嫌い、そそくさと走り出す。
失われていく事を嫌って、そそくさと走り出す。
コッチの方がいいですかね…訂正します。
きららスレに載せられないので…
『おいしいお茶』
自らおいしいと名乗るんだからどれだけ旨いんだ?
これで88円なんだから不味くても文句は言えまい。
でもお茶だ。たかがお茶だ。いやお茶を馬鹿にしてるわけじゃない。
お茶は何かを食べるときに飲むものだ。一緒に食べる物によって味が左右される飲み物じゃないか。
一杯千円のコーヒーを飲んだことがあるが、お茶だったら千円払っただろうか。
キリマンジャロやブルーマウンテンのように静岡産は高かったりするのか。
一番茶使用。無香料・無着色。それがおいしいと自負するゆえんなのか。
これって本当においしいんですか?って店の人に聞けるわけもなく、メープルメロンパンとアップルパイとともに購入。
これでおいしくなかったら、パンにお茶は合わないとか言い訳をしそうだ。
心なしかパッケージのおいしいという文字が小さいことに気付いた。そんな情けは無用だ。
白いキャップを力まかせに回して一気に口の中に流し込んだ。
387 :
384:2006/01/21(土) 22:36:55
ありゃ?批評というか感想とか添削? とまではいかなくても、
リアクションとかは、その…あまり期待出来ないのかな?…。
一応、初めて書いてみたのだが、たった十数行だけなのに半日もかかったからな…。
う〜む……え〜書いてみてよく分かったがパワーいるよね(苦笑
書き慣れてないのもあるんだろうが、やっぱり決定的に読書量が足りてないんだろうな。
とりあえず感想下さい、流す事あると思いますが、ぜひ!
っと、ここまで書いて何だが、もしかしてこういう趣旨のスレではないのかな?ひょっとして…。
このスレは基本的に殺伐としてますから。
作品をあげてもスルーは当たり前。たまに変な流れを断ち切ったり
良い作品が出るとぽつぽつとレスがつく程度。
ショートショートの定義すら曖昧だけど、基本的にはオチがついてないと
ショートショートとは言えないんでないか?ってのがある。
ショートストーリーとは一線を画すって意味でね。
>>384 狙ってやってるのかもしれないけどちょっと表現がくどすぎる気がした。
ディティールを楽しむというところまで行く前に読む気がなくなっちゃうかも。
空気感は好きです。えらそうにごめんね。
<<383
イイ!
なんか戯言ぽいね。
391 :
384:2006/01/22(日) 20:27:56
>>388 基本的には、書いて吐き出す場と言うことなのね。ん〜なるほど。
>>389 偉そうだなんて、んなことないですよ!大変ありがたいです!
息苦しさを出したいというのはあったんですが、もっと捨ててもよかったかもしれませんね。
玄関の所は要らなかったかな、う〜むむむ。
表現は確かにくどいですね(苦笑
いや、大変参考になりました。
393 :
384:2006/01/27(金) 00:19:10
【目覚め】
時計の秒針が部屋中に振動を伝えている。アラームは鳴っていない。
目覚ましが起こしてくれるまで、まだ時間があることを知り安堵のため息と共にベッドに横になる。
寝苦しい熱帯夜の途中、まぶたを閉じるだけでは如何ようにしても眠れる気がしない。
開け広げた窓からは、湿り気で重くなった空気がレースカーテンを撫でるだけで、
肌にまとわりついた得体の知れない生温いぬめりまでは奪ってはくれない。
額や首筋に噴き出した塊状の汗がポタリ、またポタリと枕に染み込んでいく。腕に痒みを覚え目をやると、
すでに掻きむしり凝血した傷口がある事に気づくが、そのまま傷みと引き換えに痒みを解消することでその場を凌ぐ。
とうとう、どうにも苛立ちが収まらず喉の渇きと気分を癒すためにベッドから這い出て、ズリズリとした足取りで台所へ向かう。
逆さに置かれたグラスの飲み口が水滴で妖しく光っている。その横で蛇口を捻りしばらく水柱を眺めている。
その行為には腐食した鉄錆を押し流し水を浄化したい願望が含まれているのか、それともその鉄錆から錬金したい願望が含まれているのか、
もしかすると還元出来ないことを意味しているのか、そのすべての想いを混ぜ合わせゴブゴブと喉を鳴らしながら一気に飲み干してみる。
さらにグラスにもう一杯、水を満たそうと流れ落ちる水柱に手を差し出した、その刹那、甲高い音が台所中を狂ったように転げ廻るのが聞こえた。
鈍くザラついたステンレスのシンクには手から滑り落ち無残に砕かれ飛散したガラスの粒があった。
朦朧とする頭では片付ける気にもなれず、怪訝そうに水の流れを止めようと蛇口に手をかけた時、爪の間に血で滲んでいるのが見てとれた。
怪我でもしたのかと狼狽したが、先ほど掻きむしった時についた血と分かると、それがやけに可笑しく思え高笑いが止まらない。
慌てて口元を手で押さえたが声にもならぬ五臓の内から湧き出るように笑いが込み上げ、自分を押し黙らせるように、のたうち回り格闘する。
笑い疲れて混濁とする頭をもたげ、憔悴しきった体をそのままベッドに連れて行き、腰を下ろす。
394 :
384:2006/01/27(金) 00:20:21
【目覚め】(続き)
部屋には夜明けが近いことを知らせる影が色濃く現れ始め、それから逃れるように汗臭くひんやりとした枕に顔をうずめる。
それから幾ばくも無く混沌とする意識の深層流へ、ゆったりとした遊泳を楽しみ、このまま気泡になるかのような心地に浸っていると、
無常にもアラームが電光石火のごとく眠りから揺り戻す。今日も蒸し暑い一日になりそうだ。
【バツ】
今朝も目覚しが鳴る前に起きてしまった。時間は六時半、いつも通りだ。
よく眠れたにも拘らず頭痛がする。……いつも通りだ。
薬には余り頼りたくないので、放っておく内に慣れてしまった。
これが良い事だとはとても思えないが、これは罰なのだと甘んじて受けている。
罰……、そう罰だ。私は余りに許されがたい罪を犯してしまった。
それがこの程度の仕置きで許されるとは思わない。私には幸せに生きる事など許されてはいないのだ。
とは言え、簡単に死んでしまえる訳ではない。
今日も職場へ赴き、仕事をこなす。仕事が終われば帰路に着く。
職場の仲間も、僕を誘っても乗ってこない事を理解してからは煩わしい事も無くなった。
はずだったのだが、新卒で入って来た女の子に妙に気に入られてしまい、少々戸惑う。
このあいだも「いつも顔を顰めていますけど、頭でも痛いんですか?」
と話を切り出され少々戸惑いながらも、「あぁ、そうだよ。」と気の無い返事をし仕事を続けた。
「いつも顔を顰めているから頭が痛くなるんですよ。笑顔はタダです、笑って下さい!」
尚も食い下がる彼女を無視して仕事を続けた。それに腹を立てたのか彼女は頬を膨らませながらこう言った。
「明けない朝なんて無いんです!何があったか知りませんが、笑う位はいいでしょう!」
流石に不意を付かれ苦笑をしてしまう。彼女の顔にはてなが浮かんだので、ネタをばらす。
「それを言うなら、夜だろう。」
彼女は自分の間違いに気付き、ばつが悪そうに舌を出して笑った。
396 :
名無し物書き@推敲中?:2006/01/28(土) 13:04:49
好き
【変な奴】
僕について聞いてみた。
ある人は言った。
「なんていうか、失礼かも知れないけど変な奴だな」
ある人は言った。
「率直に言えば、変な奴よね」
ある人は言った。
「変な奴……かな。俺的には」
ある人は言った。
「変な奴だよ、まったく。ハハハ」
ある人は言った。
「御前? う……ん、変な奴って言うかな……」
ある人は言った。
「変な奴! その一言に尽きるね」
ある人は言った。
「あえて言うなら……うん、変な奴だね」
みんな僕の事を変な奴と言った。
当然だ。
僕ハ人間ジャナイモノ。
【空】
私がソラと名乗る少年と会わなくなってからもう5年が過ぎた。
正確には会わなくなったのではなく、会えなくなったのだが。
5年前私はまだ中学生で、それは物心は付いていたけど将来に何の不安も感じていなかった。
夏休みが終わり、始業式に出るために学校へ行った。
私は、まぁ真面目な方なので宿題は片付けていたのだが、友人はとても慌てていたのを覚えている。
友人と宿題を写させる条件の交渉をしていたときに、先生と見慣れぬ少年が教室に入ってきた。
「あー、静かに。」先生はいつもの様に宣言した。
いつもはこの言葉だけでは静まらない教室も、異質な人物の登場で勝手に静かになった。
「・・・・・・あー、今日からこの学校に転校して来た・・・・・・。」無言で紹介を促す先生。
「ソラです・・・・・・。」彼はそう言ったきり口を閉ざした。
彼の何者も近づけさせない雰囲気は転校生の法則をもくつがえした。
しかし、私は臆面もなく近づき。「オッス」と挨拶をした。
彼は「やあ」と返事をした次の瞬間体が光り始め
私は思わずくしゃみをしてしまい、それに驚いたのか
その光は七色に分かれたかと思うと天に昇り消えた。
彼が座っていた席には”ハツカネズミは千手観音の夢をみるか!?”
と焼かれており、そこで私は目が覚めた。
空っぽな頭ながら、将来に不安を感じた出来事であった。
399 :
かえっこ:2006/02/03(金) 16:14:31
【2月3日恒例行事】 20行スレバージョン(4行スレにも載せました)
「ぐあぁぁー」いきなり玄関のドアを蹴破って、赤鬼に化身した男が侵入してきた。
唾液を滴らせ鋭い牙をガチガチ震わせ、両手には太く黒光りした鋭い爪を持ち、この家の中学1年生、豊浜光男に迫ってくる。
振り下ろされた 赤鬼の最初の攻撃をわずかの距離で何とかかわし、リビングに逃げ込みドアを閉める。
「父さん!母さんだ!母さんを呼んできて!鬼が出たんだよ!」
2.3年前からウィルス性の奇妙な保菌者が出現し始めた。
ナゼだか2月3日になるとまるで鬼のような角が生えて来て、現在確認済みなのは、赤色系と青色系と存在するが、皮膚が変色する。
筋肉は隆起し発現者の凶暴な精神の一面が強調され見境無く他者を襲い始めるのだ。
赤鬼は、何か訳のわからない呪文みたいな言語らしい言葉を口にしながら、光男と父、武男に迫る。
その時!バアン!!と、この家の母親、豊浜キヨ子(48歳)が助けに登場!
155センチ程の背丈で顔は、色白、ぽっちゃり型、鼻は少し横に広がり大きく、細長い眼はかなりのタレ眼。
耳は大きく、すごい福耳。鬼撃退専用に開発された遺伝子組み換え大豆をいっぱい入れた木製マスを手にした、完璧に、お多福へと化身した堂々とした母の姿だった。
お多福に化身した母を見た鬼は恐怖の表情を浮かべ動きを止めた。
豆を投げつけられた鬼は家中を逃げ惑い、ついには、外へ逃げ出し、お多福の母は見事に怖い怖い鬼を退治してくれた。
「鬼は〜外!福は〜内!」
お多福の母は、鬼ウィルスと同じく2.3年前から出現し始めた奇妙な病の保菌者でナゼだか2月3日になると発病する《お多福性ウィルス》の保菌者だった。
400 :
名無し物書き@推敲中?:2006/02/03(金) 20:22:04
>>399 >木製マス
マスって木製以外見たことないけど……?プラスチックとかもあるのかな。
ちょい気になった。
最近オーソドックスなのが少ないですね。
好きなんですが。
403 :
名無し物書き@推敲中?:2006/02/16(木) 19:02:22
やあ、おはよう。
…返事がない。ただのしかばねのようだ。
404 :
名無し物書き@推敲中?:2006/02/18(土) 23:22:04
20行以内じゃないから論外
age
407 :
名無し物書き@推敲中?:2006/02/28(火) 17:27:39
黒い世界で白い炎が迸らせて弧を描くのを
あたしは気づかない
無機質な部屋に桃の香りが漂う
ゆっくりと微分されていく
穢れていく
腕が麻痺していく
あたし、しねばいい
408 :
名無し物書き@推敲中?:2006/02/28(火) 17:34:01
谷川俊太郎のポルノバッハっていう詩知ってる?
409 :
にわ:2006/03/21(火) 03:55:55
人類の夢と希望
「とうとうやったぞ」
「ついに完成したんですね博士、物質を過去に送れるタイムマシーンが
博士の長年の夢、人類の希望がこれでかないますね」
「この小さな黒い箱がタイムマシーンですか?」
「そうじゃ、早速実験じゃこの時計をその箱の中へ入れたまえ」
「中に置いてふたを閉めればいいのですね」
「おっと時間も正確に合わせておきなさい」
<スイッチオン>
「やりましたよ博士きっちり3分だけ時計が進んでおります」
《ここに人類史上初めてお湯を入れてすぐに食べれる即席ラーメンが誕生した》
410 :
名無し物書き@推敲中?:2006/03/22(水) 18:41:47
良くあるパターンだがいいな馬鹿っぽくて
411 :
名無し物書き@推敲中?:2006/03/23(木) 06:48:06
「ゲロ」
くっさーと思ったらゲロ吐いてた
道の真ん中で犬みたいに・・・
なんとか這うようにしてアパートに辿り着いた
気が付いたらコンピュータに電源いれてた
ネットではゲロみたいな伝言板にゲロみたいな文字がギッシリ
水も飲まないでいつもどおりキーボードを叩きまくる・・・
もう夜明けだ
412 :
にわ:2006/03/23(木) 11:46:00
人類の夢と希望
「とうとうやったぞ」
「ついに完成したんですね博士、物質を過去に送れるタイムマシーンが
博士の長年の夢、人類の希望がこれでかないますね」
「この小さな黒い箱がタイムマシーンですか?」
「そうじゃ、早速実験じゃこの時計をその箱の中へ入れたまえ」
「中に置いてふたを閉めればいいのですね」
「おっと時間も正確に合わせておきなさい」
<スイッチオン>
「失敗か…」
《時代は進化し今や時計はすべて電波時計だった》
413 :
名無し物書き@推敲中?:2006/03/32(土) 15:14:10
「面白い話」
あるところに男がいた。
何の変哲もない27歳の男だ。妻や恋人はいない。
男は今日も目覚まし時計の時間通りに起き、
トーストだけの簡単な朝食を取って家を出た。
そして、普段乗る電車よりも一本遅い電車に乗り、
いつもより十分遅れて出社し、コーヒーを飲んでから仕事に取りかかった。
まず初めに、メールをチェックし、軽く目を通してから必要なものには返信する。
それが終わると明後日にある会議用の資料を作って、発表の準備をする。
そんなことをしているうちに、12時になり近くのコンビニへ昼食を買いに行き、
少し奮発して唐揚げ弁当と春雨のカップスープを買って、
会社に戻って給湯室でお湯を沸かして自分の席に戻ってから食べる。
午後は上司に見つからないように適度に手を抜きながら、
午前中に作っていた資料を退社直前に完成させる。
同僚に飲みに行かないかと誘われたが、面倒なので断り、
家に帰る途中の家庭料理屋で夕食をすませ、家に帰った。
そして、テレビを見てから風呂に入り、日課となっている
就寝前の読書をしてから日付が変わる前に眠りについた。
海老かと思ったらザリガニだった。ボクは無性に悲しくなった。
「20行以内のショートショートを作れ!」
1.物書きならわかるだろう。この生みの苦しみを。
2.本来物語が必要とする表現、それを作家は記述するべきなのだ。
3.ところが現実はそうもいかない。
4.その時の流行により、書く題材も、表現方法さえも編集
5.にきめられてしまう。流行に影響されるだけならいい。
6.もっと卑近な話、掲載される紙面のスペースなどという
7.くだらない理由で字数を増やしたり、削ったりしなければ
8.ならないのだ。
9.今私は20行以内のショートショートを作れという理不尽な
10.指示に従ってこれを書いている。
11.たった20行である。私のためにクライアントは1ページも
12.さいてはくれないのだ。
13.今わたしが書いているものは、困ったことにどんなに
14.書き直しても20行を超えてしまう。
15.そして、最後の1行がオチなのだ。しかもそれが傑作なのだ。
16.そもそもこんな依頼を出す出版社がおかしい。いったい
17.出版社は文芸というものを何だと思っているのだろう。
18.私は抗議の意味も込めて21行のままで、編集にゲラを渡す。
19.出版社側に少しでも良心があれば、オチを載せるだろう。
20.ではこの話のオチを書こう。
417 :
名無し物書き@推敲中?:2006/04/02(日) 01:35:34
こんなもんさ。諦めの言葉で自慰をする。
そうでもしなくては、私は一生の罪を背負うことになる。
奴は雄弁だった。一言一句全てが完璧だった。
何も言い返せなかった。
経験とは時間の密度だ。奴よりも希薄だった。否めない事実。
こんなもんさ。諦めの言葉で自慰をする。
思考では納得しようとするが、情はそうはいかない。
いや、ちがう。奴がいなけけば万事うまくいくんだ。
激流のように激しく、凶悪に私を唆す。
視界から金属バットを認識した。
頭のてっぺんから電撃を感じる。
鼓動が聴覚を支配する。
本能のままに忍び寄る。
奴は気づいていない。
奴の背後から
こっそり心の中で「ばか」って言ってやった。
419 :
名無し物書き@推敲中?:2006/04/08(土) 09:46:38
>>417 うまいかもしれないが、俺のほうがうまい
420 :
名無し物書き@推敲中?:2006/04/09(日) 00:28:36
421 :
名無し物書き@推敲中?:2006/04/09(日) 22:18:09
「疲れたっす」
今日も残業で疲れたっす
彼女いないっす
童貞っす
オナニーやるっす
なんか疲れたっす
風呂無しだけど銭湯逝くのもたるいっす
せんべいぶとんっす
寝るっす
422 :
名無し物書き@推敲中?:2006/04/10(月) 00:17:36
>>421 たったこれだけの文章数で、キャラ、心情、哀愁が
表現されている。みごとだ。うむ。
でもこれは詩だろう。
昔々、遠い昔のお話。
ある村に、まり太郎という若者がおったそうな。
その若者は、毎日毎日くっちゃね〜くっちゃね〜としておったそうな。
まり太郎は死にました。
425 :
名無し物書き@推敲中?:2006/04/10(月) 07:44:10
それにしても、無名草子さんたちとは、さぞやすごい作家先生の匿名書き込みなんでしょうね。
作家なんて才能が全てだから、津井ついみたいに、いくら努力したって駄目なものは駄目ですよ。
私なんか、早々に見切りをつけて趣味の世界で細々ですから。
小説現代ショートショート・コンテスト優秀賞受賞 阿部敦良
426 :
名無し物書き@推敲中?:2006/04/11(火) 01:13:54
いつのことだったかおぼえていないが、俺は死んでいた。
死んでいたのは確かなんだけど、久しぶりに眠ったら生き返っていたんだ。
なんのこっちゃって感じだろ。俺もそんな感じ(笑)
以前の自分の容姿の記憶なんてないからさ、まぁ今のまんまでいいけどさ。
でも俺の役どころって微妙なんだよな。身体は女の子供なんだけど、そいつ、親から
虐待されててさ、イテェとこだけ俺に任すんだ。まぁ、俗にいう多重人格障害ってやつのからくりだな。
ありゃ人格を作るんじゃなくてさ、呼ぶんだよ。浮遊している霊をさ。
霊人口ってあんま把握してねぇけど、ゆうに
百兆はこえているだろうな。だって、人間も犬もみみずもゾウリムシも死んだら一緒だもんな。みんな一緒さ。
かくゆう俺も以前は毛じらみだったんだぜ。まぁ、なんであっても形容なんてなんの意味もないもんなのさ。
これは、けっこーすげぇ暴露なんだから、誰にも言っちゃだめだぞ。
427 :
名無し物書き@推敲中?:2006/04/12(水) 04:39:58
「多機能な豆を開発したぞ」
彼は呼び鈴もならさず、玄関から上がり込み、手のひらに転がる、小さな豆をみせた。
「ようやく研究が実ったな。おめでとうといわせてもらうよ」
どうせたいしたものじゃないだろう、と。たかを括っていたが、ここは調子を合わせるのが良識人だ。
「多機能といったが、どのようなものなんだい?その多機能とは」
彼を椅子に座らせ、話を促がした。どうせ大した物じゃない。
「よくぞ聞いてくれた。この豆は調理の仕方によって、
あらゆる食材の味と触感を再現できるという、まさに宇宙時代の豆なんだ」
「なるほど、この豆さえあれば惑星開拓も、外宇宙への長期航行も安心というわけだ。」
「そのとおり。しかもこの豆を植えて育てれば、とても美味で栄養価の高い野菜になるし、
その植物がつける花には、リラクゼーション効果まであるんだ。」
「そこまで多機能なのか、それですでに企業への売り込みは済ませたのかい?」
「いや、始めに君にみせたくて飛んできたんだ。」
私はさきほど完成した、物質破壊銃を彼に向けると引き金を引いた。彼は跡形も無く消し飛んでしまった。
「悪いな、その研究はわたしが引き継ぐよ。」
すると電話の音がなった。私は豆を拾って受話器を取った。
「だれだい?」「僕だよ!酷いじゃないか!」
「君はさっき死んだはずでは?」
「僕もそう思ったけど、なぜか見知らぬ土地にいるんだ」
しまった。メモリが物質転送の弾になってる。私は自分に銃を向けると、引き金を引き、彼を追う。
428 :
名無し物書き@推敲中?:2006/04/12(水) 21:53:11
「駄作」
「XXさんの書くモノっていつも似たような話が多いんですよね」
カルチャースクールにいたおばさんにそう言われた
あんたは俺の書いたモノなんて3作ぐらいしか知らないだろ
どうせ振られる話ばかりだよ
微妙にニュアンスを変えただけだよ
その微妙なところが自分にとっては大きかったんだよ
くしゃくしゃになった原稿
たかが紙切れじゃないか
なんでこんなにイライラしてるんだろ
似たような話
似たようなモノ
いつも いつも いつも
おばさんの言葉がこだまする
あんたに何がわかるって言うんだ
もしかしてこれは俺にとってかけがえのないモノなのか
俺の産物 俺の赤ちゃん
傷つけられてしまった・・・
429 :
名無し物書き@推敲中?:2006/04/22(土) 03:05:18
頭が燃えるように熱かった。カッカして思考がうまく働かない。ただ、本能が逃避しろと命令してくる。俺は逃げている。とにかく逃げる。全身に浴びた返り血が固まり始め、むさるような獣臭が狂気と恐怖を増幅させる。
なぜ、こんなことになってしまった。なぜた。
走ることもできないくらいに息が上がってしまった私は、小さな公園のトイレで身を隠す。汚物の異臭がなぜだか一般常識人としての私を喚起させた。
「冷静になるんだ。落ち着け」自分に言い聞かせる。
血で染まったワイシャツを脱ぎ捨て、顔を洗う。白い洗面台が朱色が落ちていく。顔のぬめりが落ちた時、ようやく時流を遡るための思考が働き出す。
なぜ、殺したのだ……。原因はほんの些細なことだった気がする。
記憶の映像が途切れ、途切れではっきりと整理ができない。
なぜ、殺したのだ……。少し思い出してきた。
記憶の映像が瞬時に流れた。一瞬だったが、思い出した。そうだ。
「俺はわるくないよ。わるいのはあいつだあとわおまえ」
自分の声を聞いたとき、いままで経験をしたことのない恐怖を感じた。
私の声じゃない。肉体は私だが、私ではない。……どうゆうことだ……
「ついにやったぞ。俺はかくせいした」
狂喜の雄たけびをあげる私は私ではなく私から肉体主導を奪った俺であることを自覚した。
【死去】
誰にも話しかけられることはない。話しかけることもない。
友達も先生も、親にすら話しかけられない。
「ただいま」
誰かいるはずの家に響く声。返事は無い。
無いのではない。正確にいえば、ある。
「おかえり」
自分で言ってみた。無性にむなしくなった。
「ばからしい」
自分に言い聞かせる。自分にしか聞こえない。誰も聞こうとしない。聞こえない。
ふとソファーに腰掛けている父の隣に座る。
「父さん」
返事は無い。
「なんで泣いてるの?」
電源のついていないテレビに反射して見える体。
父さんしか、見えない。
そばの鏡をのぞく。
俺の姿はない。
俺は、鏡にも見捨てられたんだ。
そして、鏡を通して見ようとしているはずの自分にも。
私は日々、多くの命を奪っている。
生きる為に動植物から栄養を摂るのは勿論の事。
歩くたびに微生物を踏み荒らし、呼吸によってバクテリアを唾液で殺す。その数は一日で一億を超える。
しかし、痛みは全く感じない。道端の動物の死体にさえ何らかの反応を起こすであろうに。
大型の動物と、空気中のバクテリアと、同じ命だ。何が違うのか。なぜこうも自然に殺せるのか。
そんな事を悩み考えていたある日、とある教育番組が目に付いた。
それは、農家の子供が夏休みを利用して一人でニワトリ数匹の世話をするというものであった。
子供は嬉々とし、一生懸命世話をしたが、ニワトリは病気で全滅してしまった。
その父親は、泣きじゃくる子供を抱きしめながらこう言った。
「これを知って欲しかった。命は触れ合う事で見えてくる。」
なるほど!そうか!私の悩みはいっぺんに解決された。
命は触れ合って見えてくるんだ、と、皮膚では無く心の触れ合いみたいな!
その死骸の生前に何らかの想いをはせる事ができれば、その死に悲しみが起こる。
その死骸に何の想いもはせる事がなければ、その死に意識さえしない。
つまりはそういうことか!
どうりで!
足元に転がる血まみれの母親を眺めながら。私は心の曇りを払った。
432 :
名無し物書き@推敲中?::2006/06/27(火) 21:40:25
>431
面白かった
「もう戦争は嫌だ。逃げよう。」
「俺もそう思っていた。さっさと行こう。」
・ ・ ・
「随分走ったな。」
「そうだな。」
「捕まったらどうなるだろうな。」
「死刑だろ。そりゃ(笑)」
・ ・ ・
「はぁ・・・やっぱ追っかけてくるよな、普通。」
「ぐっ!・・・あが、ああ、あああああ。」
「撃たれたのか?」
「ぃけよ。」
「じゃあな。」
「ぁぁ。」
434 :
名無し物書き@推敲中?:2006/06/29(木) 17:24:41
私はたまによく考え事をするとき…自分の別の何かを見て答えを出す。
ハンバーガーを食べるときどっちから食べる?って聞いたら妹は母親を呼んできて、
お兄ちゃん お母さんきたから安心してっと言いやがった。
結局ハンバーガーは謎だ… だからこの件は保留になった
これが夢ならいいなぁって思い。妹の目覚ましを20分遅らせ
私は寝た。
1日目 終り
一人の、巨大な富と権力を持ち合わせた男が、南アフリカのとある村へと貨物船を走らせていました。
彼は、3秒に一人飢餓で死んでいくという恐るべき現状にとても心を痛めていました。
男「餓死が運命付けられた人間なんて一人たりともいてはいけない!俺が世界を変えてみせる!」
手始めに自分の財力をアピールしようと、貨物船には大量のカレーパンが積まれていました。
まだ男が貧しかった頃、カレーパンによって空腹を満たし頑張っていたのでした。
村に着き、カレーパンが配られている最中、突如大きな悲鳴があちこちから聞こえ始めました。
村人達は、パンの中にウンコが挟まっているのだと勘違いしたのでした。
興奮する村人達を制しながら、村の長が彼の前に現れました。
村長「あなたは我々の為に食料を持ってきた。感謝する。がしかし、ウンコとはいかがなものか!」
彼は誤解だ、と言いました。
謝罪の意を見せない男に村人達の怒りは爆発し、遂に彼は殺されてしまいました。
・・・興奮が収まった頃、怒り狂った為か、村人達は急激な空腹感に襲われました。
そこにカレーパンの香ばしい香りが漂っているのだから溜まりません。
村人が一人、また一人とカレーパンに飛びつき、遂には村人全員がカレーパンを貪っていました。
村長「彼は我々にウンコを食わせた。実に許しがたい行為だ。しかし今日餓死した者はいない。
我々は大きな間違いを犯してしまったのかもしれない。彼の墓を立てようではないか。」
村全体が、大きな拍手に包まれました。
三日後、巨大な石碑が建てられ、その石碑にはこう書かれていました。
《ウンコパンによって村を救いし英雄、ここに眠る。》
彼の墓前には、いつも新鮮な・・・ ≪おしまい≫
438 :
名無し物書き@推敲中?:2006/07/30(日) 23:49:45
前スレにあったんだけど、
・推理小説を読んでたらイタズラ好きのAくんから犯人をバラされた話
・ラブレターをくれた子を追いかけていつのまにか追い越す話
この2つがまた読みたいのですが、持ってる人いますか。
439 :
名無し物書き@推敲中?:2006/08/06(日) 05:03:39
神沼佐代子の死から、半年が経過した春。彼女の娘、陽子は中学の卒業式に出席していた。
陽子は父母席に悲しげな視線を送った。本来であれば、父母席の一つに母の姿があるはずなのだ。だが、視線の先の席に座る母の姿はなく、そこは寂しげな空間がぽっかりと口を開けているだけだった。
あの事故がなければ――陽子は視線を自分の膝へと移し、両膝に行儀よく乗せられた両手でスカートを掴むように拳を作る。当時の事を思い出して泣き出しそうになるのを必死で我慢して、淡々と喋りつづける校長の話に耳を傾けようとした。だが、
我慢しよう、思い出さないようにしようとすればするほど、記憶は鮮明に描かれて、ずきりずきりと心が痛んだ。
なんで居なくなっちゃったの、と胸中で問うたところで、返って来るものは虚無だ。佐代子のあの優しく柔らかな、陽子を呼ぶ声は、もう聞こえては来ない。
途中まで書いて挫折した俺が投下しますよorz
441 :
名無し物書き@推敲中?:2006/08/06(日) 16:42:16
盗作じゃなくて、前スレからの転載でしょ?
442 :
ちんちん:2006/08/06(日) 19:06:13
「crazy train」
ローカル線の駅に目的を同じとした3人の男が集まった。定刻を過ぎてもやってこない電車にしびれを切らして一人が言った。「だいたいいつもこうなんだ」立て続けにもう一人「またおじゃんになっちゃうよ」そして最後の一人「飛びこむ決心がぐらつくじゃねえか」
443 :
名無し物書き@推敲中?:2006/08/07(月) 01:03:25
誰もが無言だった
一定の音だけがその空間を包む
3人にせめられる女
もはやその視点は宙に浮いていた
その3人はまさに終わる直前
当然のようにペースはあがる
女だけが緊張感の中苦しみぬいていた
そして
ついに恐れていたものがきてしまった
鼓動の高鳴りが加速する
もはや逃げられない
女は覚悟を決めて手を動かした
1人と目が合った
次の瞬間
声が終わりを告げた
「ロン」
444 :
名無し物書き@推敲中?:2006/08/07(月) 02:45:03
怖かった。何より怖かった。
精神にまで他人が入ってくることが怖かった。
だから走った。もう家へ帰るのも危ないと思った。
初めにあった好奇心なんてとっくに無かった。
どこか見つからない場所。
皆が見ている気がした。皆あの男に見えた。
電車を乗り継いで、行けるところまで行った。
家すら見あたらないその景色は、不安よりも安堵をくれた。
そして駅を下りた。もう夜も遅い。最終電車も過ぎた。ここで野宿をしよう。
しかし野宿などしたことはなかった。
初めて冷静になり、電柱のそばで寝ている男を見つけた。ホームレスのようだ。
私は訪ねた。
「すみません。」
男は深々とかぶった帽子を取り、こちらを向いた。
そして、一瞬にしてひきつった私の顔を見て笑った。
「オカエリ」
445 :
名無し物書き@推敲中?:2006/08/07(月) 10:12:09
異様な臭いが部屋を満たしている
中には1人の男
噴出す汗を抑えながらの作業
男の手はいつも血に塗れていた
近くにはいくつも死体が転がっている
刃物は男の手にあわせて死体を切り刻む
日課でもあるかのように手際がいい
物音
重いドアが開き仲間が入ってきた
仲間は多くの死体を運び入れ笑いかけた
それを見た男は浮き出る笑みを抑えきれない
臓物を一箇所に集め
血の気のなくなった死体を吊るす
完成したオブジェを眺め
男は言った
「今年のアジはいい出来だな」
447 :
名無し物書き@推敲中?:2006/08/30(水) 19:55:27
あげ
448 :
名無し物書き@推敲中?:2006/09/01(金) 14:32:57
【北風と太陽】
むかしむかし・・・ではなくごく最近のこと、あるところに1組の男女がいました。
ある日のこと、2人はどちらが相手の服を脱がせることができるか賭けをすることになりました。
周りの予想では彼が勝つだろうという意見が圧倒的でした。
その理由は、彼が男だったからです。
いざとなれば、無理矢理にでも彼女の服を脱がせてしまうことができるのですから。
しかし、彼は賭けに負けてしまいました。
その理由は、彼が男だったからです。
「ううん、そんなの悪いわ」
「いいから着てろって。 そんな格好じゃ寒いだろ」
449 :
448:2006/09/01(金) 17:27:58
書き忘れと言うか修正。
【北風と太陽】
むかしむかし・・・ではなくごく最近のこと、あるところに1組の男女がいました。
ある日のこと、2人はどちらが相手の服を脱がせることができるか賭けをすることになりました。
周りの予想では彼が勝つだろうという意見が圧倒的でした。
その理由は、彼が男だったからです。
いざとなれば、無理矢理にでも彼女の服を脱がせてしまうことができるのですから。
しかし、彼は賭けに負けてしまいました。
何故圧倒的に有利だったはずの彼が負けてしまったのでしょうか?
その理由は、彼が男だったからです。
「ううん、そんなの悪いわ」
「いいから着てろって。 そんな格好じゃ寒いだろ」
450 :
名無し物書き@推敲中?:2006/09/02(土) 00:15:45
「神様のクイズ」
さて にんげんよ
この もんだいに こたえられる ものに
わたしの ちからで なんでも すきなものを さずけよう
はい か いいえ で こたえるのだぞ
では もんだいだ
「おまえは いいえ と こたえるか?」
451 :
名無し物書き@推敲中?:2006/09/02(土) 01:56:39
452 :
名無し物書き@推敲中?:2006/09/02(土) 18:57:56
【20行探偵は動かない】
「馬鹿馬鹿しい!密室殺人なんてものは現実には存在しないよ。俗っぽい
推理小説じゃあるまいし」「しかし君、現にこうして」「密室という状況は
警察に徹底的捜査の口実を与えるだけで犯罪者に一切の得が無いんです」
「塵も埃も糸くずも髪の毛も、一切何も証拠を残さずに密室を作ることなど
できやしない。それを密室なんて言い訳するのは存在するはずの証拠を
発見できない無能な警察だけです……わざわざここまで己の無能を晒しに
いらしたので?」明らかに探偵は密室殺人という響きによって気分を害していた。
しかし現実は小説より奇なりと言うではないか。私は探偵に詰め寄った。
「だが検死からの報告では被害者の女性は絞殺後自殺に偽装されている。
ドアは複製不能のシリンダー錠、唯一の窓には二重に鍵が掛かっていた」
「床の埃は?」「無かったよ。大掃除の直後だったようだ。彼女の掃除用具も
部屋にあった」「君は低脳だな。逆だよ。埃が出入りの証拠にならないように
掃除の直後を狙ったとしか思えないね」「じゃあ出入り口があるんだな?」
「あるに決まってるだろう。ところでその部屋には大きな箪笥があるね?」
「あるよ。だがあれは耐震器具で固定されてる。とても動かせないな」
「なら中身を抜けばいい」「あんな重い引き出しを重ねて置いたら跡が
残るはずだ」「全部を抜かなくてもいいのさ。まず二つ抜いて、斜めに
して奥に押し出し、隙間を這って、向こう側からパズルみたいに手順を
踏めば全部元通りだ。箪笥とその後ろの薄い壁はぶち抜いてあるさ」
「ということは、犯人は――」かくして隣の部屋の住人は逮捕されたのだった。
【金魚】
僕はウマレル
初めて観る世界で
僕はハコバレル
狭い世界の中で
僕はスクワレル
抗えない運命に
僕はホシガル
生きる為に
僕は――
454 :
名無し物書き@推敲中?:2006/09/15(金) 18:09:45
【一年桜】
ここには桜の花が咲いている。
一年前の春、彼女が癌になって、余命半年を宣告された。その時、彼女が言った。
「一年桜って知ってる?植えてから一年で花が咲くの。」
「知らなかった。それがどうしたの?」
「それをキミんちの庭に植えるの。そしてそれを私だと思って育てて。」
「そんな死ぬみたいなこと言うなよな。」
「だって余命半年だし。”さくら”ってあたしの名前と同じだからさ。
花が咲いたら花びらをあたしの写真と一緒に写真立てに挟んどいてよ。」
帰り道に泣きそうになった。そして家に帰った俺は探してきた一年桜を庭に植えた。
だからここには桜の花が咲いている。
俺は一枚の花びらをそっと取って、ポケットに入れた。
そして家に入り、写真立ての間にそれを挟む。
写真を見ながら言う。
「咲いたぞ。さくら」
台所から声がする。
「あちゃー。生きてたね。私。死んでれば今のかなりの感動シーンだったよ。」
タオルで手をぬぐいながら、ものすごい笑顔でそう言った。
また泣きそうになった。
【蛇の骸】
はっ
見つめ合っている時間が長い。長いような気がする。いや実際に長いのだと思う。
見つめ合っているとそのうちやがて僕も君も白髪だらけの皺だらけになり、しかし目の中には互いを映している。長い。
僕も君もヨボヨボになり、やがてボロボロになった。それでも僕達は見つめ合う。
骨。
はっ
依然君を見つめたままの僕の目であるが、心はあまりにも君を視ていない。
長いような気がする。時間にガシリと肩を掴まれたまま、しかし、これはきっと数秒の出来事。
そうこうしているうちにも君が枯れていく。
456 :
名無し物書き@推敲中?:2006/09/18(月) 22:08:20
【率直専門家】
寂しくないですか。僕は平気です。
泣いてないですか。僕は平気です。
寒くはないですか。僕は平気です。
距離を感じますか。僕は平気です。
怖くはないですか。僕は平気です。
寂しくなんかないです。泣いてなんかないです。寒くなんかないです。遠くなんかないです。怖くなんかないです。
ところで、僕に会いたくはないですか。
457 :
名無し物書き@推敲中?:2006/09/19(火) 15:24:00
親しい友達が、酔った勢いかなにか知らないけど、ひどい口調で私のことを責め立ててきた。本当に許せない。いくら酔ってても、いくら親しくても、言って良いことと悪いことがあるはずだ。
私もあの子に言ってやれば良かった。「お前に彼氏が出来ないのは、お前がアトピーで肌がキタナイからじゃないよ、お前の心がキタナイからだよ」
これから毎晩、寝る前に彼女を呪おう。「お前には一生彼氏が出来ない、それはお前がアトピーで肌がキタナイからじゃないよ、ウラミやネタミでイッパイノ、オマエノココロガキタナイカラダヨ」
>>29は小咄のひとつにされてるけど、ちゃんと作者がいる。
マーク・ヘリンガーの「The Window」な。
二人の囚人が鉄格子の窓から外を眺めたとさ。
一人は泥を見た。一人は星を見た。
(フレデリック・ランブリッジ「不滅の詩」)
【26時の悪魔】
時計は25時30分を過ぎ、峠のスタート地点には、いつもの倍のギャラリーが集まっていた。
地元のチームで知らない者はいない、マツダ500GTを駆る《疾風の佐山》が走る特別の日だからだ。
《疾風の佐山》のマツダと対戦相手レクサススーパー400がスタート位置についた。
どちらもFRの駆動方式、変速機はもちろんMTでバリバリにチェーン、特にマツダ500GTは2045年製のガソリン車最後の名車と言われていた。
2台は峠のコーナーをみごとに攻め続けたが、当然だが結果は車を制御できずオーバーステアをおこしたレクサススーパー400の自爆で勝負は着いた。
やはり、レクサスのあの野郎は走り屋としては、サイテー!287区間では《疾風の佐山》に敵はいない。
と、その時、後方から信じられないスピードで近づく車があった。
「やはり現われたな!」1980年代の真っ赤なトヨタスープラ。
佐山が今日ココに来た真の理由、実はこいつと勝負する為だったのだ。
ドライバーは女性。ただそれだけしかわからない、《清背村》近くのコーナーで、突然現われる伝説の走り屋である。
「よーし!!勝負だ!」
ゴール地点には佐山のチーム仲間が勝者の帰還を待っていた。
暗闇が一瞬きらめいて、驚異的なコーナリングを決め1台の黄色のマツダ500GTだけが飛び込んできた。
その姿はまるで誰かと競い合っているようなスピードであった。
そのまま減速をしないままゴールを越えガードレールを突き破り崖下へと消えていった。
そして《疾風の佐山》の名は無敗のまま走り屋たちの心に残し消えた。
それから毎週金曜の深夜、26時になると黄色のマツダ500GT、真っ赤なトヨタスープラの2台が今日も仲良く峠を走り回る姿を走り屋たちは見る事になった…
小ネタを三つ。単独でレスするのには短いので…。
「壮大」
462 :名無し物書き@推敲中?:2006/10/16(月) 00:27:31
>>1-461 自演乙w
「ドライブ」
やっと気がついた。
この違和感の原因は後ろに引っかかってた婆さんだったのか…。
「学校の怪談」
私の学校に数多く存在する怪談の中に、
「七不思議を全部知ると呪われて死ぬ」
というよくあるものがある。
その七不思議の七つ目を、ついに昨日知ったのだ…
しかし何も起こらない。所詮は噂か…。
しかしなんだかよく分からないが昨日から鬱で仕方が無いのだ、
だめだもう嫌だ死にたい
463 :
age:2006/10/19(木) 22:40:34
age
ある日、天使と悪魔が出会いました。
悪魔「私は、天国から追放され、堕天使になりました」
天使「私は、地獄から追放され、堕悪魔になりました」
ある日、堕天使と堕悪魔は、天国からも地獄からも追放され、人間になりました。
465 :
462:2006/10/25(水) 21:10:10
このレスを読んだ人は十個のスレに今から十分以内にこの文章を貼り付けて下さい。
それをしなければ学校でもモテて、お金も入って、更には成績まで上がります。
しかし回した人は不幸になって死にます…。
(注:これはショートショートです。ほかのスレに貼り付けることは絶対にやめて下さい。荒らし反対)
【対人恐怖症】
「あぁ、私は誰にも会いたくないのに、皆が私に会いに来る」
ため息ととともに、閻魔大王は、呟きました。
467 :
名無し物書き@推敲中?:2006/11/03(金) 00:18:55 BE:830275586-2BP(0)
「コイン」
「コインを投げて、裏ならもう会わない、表なら結婚しよう」
『うん』
「君が投げる?」
『あなたが投げて』
「分かった・・・・・・・いくよ!」
男の親指が弾いたコインは、大きく弧を描いた後、転々とカーペットに踊る。
その踊りが終わって、二人はコインを覗き込んだ。
エリザベス女王は下を向いている―――裏だ!
二人の目が合う
「三回勝負にしよう!」
二人は同時に言って、そして同時に吹き出した。
男はコインを拾うと、自販機でコーラを買い、ささやかな祝杯を二人であげた
468 :
名無し物書き@推敲中?:2006/11/03(金) 20:13:12
「平積み」
その平積みされた本は、正直言うとあまり話題作ではなかった。
ネットで紹介されたりする事もなく、特に雑誌で特集が組まれた訳でもなく。
ただいつも、大量に本屋にある。誰も話題にしない、誰も持っていると言わない。
ただいつも、いつの間にかその本は消えて。最後の一冊を持ち、安堵しつつレジに。
469 :
名無し物書き@推敲中?:2006/11/03(金) 20:49:52
海岸添いの歩道を自転車で流す。
幾人かすれ違ったが、たいして人はいない。こんなにいい陽気なのに。
代わりに車が騒々しく追い越していく。大型トラックが来た時など、排気ガスが目にしみて困る。
すぐ先の交差点がいい具合に赤だ。
ああ、死ぬにはいい陽気。
471 :
名無し物書き@推敲中?:2006/11/04(土) 12:59:49
【漢の花道】
おやっさんへ
おやっさんと出会えなかったら、俺は隅っこで燻ったまま人生を終えていたと思う。
俺をこんなに大きく育ててくれてありがとう。
いってきます。
兄貴たちへ
すみません、先にいきます。
兄貴たちの晴れ姿を見届けることができないのは正直悔しいです。
でも、これが俺の選んだ道です。
弟たちへ
俺の屍を越えてゆけ!
「たーーーまやーーーっ!!」
472 :
名無し物書き@推敲中?:2006/11/04(土) 13:08:02
また書き忘れた・・・orz
【漢の花道】
おやっさんへ
おやっさんと出会えなかったら、俺は隅っこで燻ったまま人生を終えていたと思う。
俺をこんなに大きく育ててくれてありがとう。
いってきます。
兄貴たちへ
すみません、先にいきます。
兄貴たちの晴れ姿を見届けることができないのは正直悔しいです。
でも、これが俺の選んだ道です。
弟たちへ
パッと散るのが漢の花道。
俺の屍を越えてゆけ!
「たーーーまやーーーっ!!」
473 :
名無し物書き@推敲中?:2006/11/04(土) 14:19:56
君、ラジオが鳴っています。
世界の終わりについて、告げています。
ノイズが混ざります。音が、途切れがちになりました。
コーヒーのにおいがする。
ここは喫茶店。君と僕意外、誰もいない。
こう暖かいと、動きが緩慢になる。
君、もう眠ってしまったのですか?
・・・返事はない。
嗚呼、世界の終わりとはこんなものか。
474 :
名無し物書き@推敲中?:2006/11/04(土) 18:58:37
「あこがれ」
・・・ふと、想像してみた。自分がその衣装を身につけて居て、そこに立っている。
ステージの上でマイクを握り、観客に笑顔を向けて、バックで曲が流れて、歌が。
フリフリの可愛いスカート、胸の開いたブラウス、横に広いボディ、無い胸。
ステージの下で声援を送りつつ、いろんな意味で、オレはもう駄目だと思った。
「何でも作れる粘土を開発したぞ」
彼は呼び鈴も鳴らさず玄関から上がりこみ、手のひらに載せた一塊の粘土を見せた。
「ようやく研究が実ったなおめでとうと言わせてもらうよ」
「何でも作れるといったが、どのようなものなんだい?」
彼を椅子に座らせ、話を促した。どうせ大した物じゃない。
「よくぞ聞いてくれた。この粘土は造形と着色によって
どのような質感も表現できるというまさに新時代の粘土なんだ。さらに
硬度も配合次第で自由に変えられるし、造形主の意思で動かすこともできるんだ。
「なるほど、この粘土があれば何でも作れるってわけか。それですでに企業への売り込みは済ませたのか?」
「いや、初めに君に見せたくて飛んできたんだ」
私は先ほど完成した、物質破壊銃を彼に向けると引き金を引いた。彼は跡形も無く消し飛んでしまった。
「悪いな、その研究は私が引き継ぐよ」
すると電話の音が鳴った。私は粘土を拾うと受話器をとった。
「誰だい?」
「僕だよ!酷いじゃないか!」
「君はさっき死んだはずでは?」
「撃たれたのは僕じゃない。僕そっくりに作った粘土だよ!」
>>427 頂いた。
情報が手に入らなくなったのはニ年前のこと。
あの日会社の同僚と話していると途中で電話が切れ、目の前のテレビが映らなくなった。
どのチャンネルに合わせても砂嵐が画面に現れるばかり。
インターネットが繋がらなくなったのはその二日後。
世界規模での電波妨害テロが起こった可能性が高いというニュースを見たのが最後だった。
その数週間後、近くのコンビニから悲鳴が聞こえた。
直後にガラスが割れる音がしたが、いつまでたってもパトカーのサイレンが聞こえることは無かった。
次の日の朝行ってみると店員の死体と、商品を持ち出す二人の男がいた。
何が起きたのか尋ねると、無線も電話も繋がらないため警察が機能せず、暴力と略奪が横行する世の中になったという。
その言葉を裏付けるかのように駅前のスーパーも商品を持ち出す人で溢れていた。
向かいにあるファーストフード店からは、助けを求めて泣き叫ぶ女の声が聞こえた。
通りには暴徒が溢れ、いたる所に弱者の死体が捨てられていた。
あれから二年。
すでに食料も底を尽き、この町に人の気配は無くなった。
代わりに町の主となった野犬も痩せ細ってその数は日に日に減っていく。
初めは侵攻を知られないようにするためだった情報遮断が意外な効果を発した。
やはりこの星の住人は危険だった。友好派の意見が通らなくて良かった。
ポケットに入っている通信機のボタンを押す。
巨大な銀の円盤が目の前に現れ、青い光が体を包む。二年ぶりの帰艦だった。
俺も
>>467好き。
でも、文字の並びの影響か、最後がどうしても「コーラを吹き出した」に見える_| ̄|○
1 高齢化社会…それが問題だ。
2 いまや、この国は世界に冠たる長寿国になった。平均寿命は100歳を超えていた。
3 だが、同時に少子化も進んだためいまや1人の働き手の若者が100人の老人を養う人口配分となってしまった。
4 これでは、経済が成り立つわけもない…何とかしなくては、とこの国の首相は考えた。
5 しかし、容易に打開策は打ち出せなかった。
6 一番簡単なのは、若い世代の移民を受け入れることだが、この単一民族の島国でそんな政策を採れば反発を買って政権の座を失うのは火を見るよりも明らかだった。
7 思い余った首相は、とうとう悪魔と取引することにした。
8 「国民の平均寿命を半分まで引き下げる?お安い御用ですとも」
9 取引の場に姿を見せた悪魔は、口の端から鋭い牙を見せながらニヤリと笑うと請け負った。
10 「それは言ってみれば死者の魂を量産することですから私どもの利益にもなります」
11 「よござんしょ。l今回は報酬なしでやらせてもらいます。本来ですと取引の見返りとしてあなた様の魂でもいただくところですが」」
12 ぞっとする笑顔を残して悪魔は去った。
13 首相の胸中に不安が巣くった。しかし、必死でそれを打ち消す。
14 「これでいいんだ。国民の平均寿命が短くなれば老人福祉の予算を節約できる…」
15 次の日隣の半島の独裁国家がいきなり核ミサイルを撃ち込んできた。
16 憲法を改正し徴兵制を敷き多くの犠牲者を出しながらもこの国を叩き潰すことができた後で、今度は原因不明の伝染病が大流行。
17 この病気で体力のない新生児がバタバタと死に至る。
18 「総理。0歳児と若者層が大量に死亡したため、この国の平均寿命は半分になりました」
19 (悪魔はたしかに約束を果たした。だが、多くの働き手を失いこの国に残ったのは働けない年寄りばかり…)
20 首相はぼんやりと自分の指先を見つめながら秘書官の報告を聞いていた。
480 :
名無し物書き@推敲中?:2006/11/26(日) 05:22:45
私が図書館に行くと、いつもそいつが居る。
別に気にしている訳じゃないが、こんなに自習をしている男子も珍しいものだ。
しかもそいつは、本を開く度に、必ず5回手を叩く。
何の意味があるのか。私はきいてみた。
「ねえ、なんで本を読むとき手を叩くの?」
「うぉ!!?」
いきなり話しかけられたからといって、驚きすぎだろう。
「・・・おまじないだ」
「・・・は?」
「本を読む前に5回手を叩くと、好きな人に声をかけられるって妹が言ってたんだ」
「え・・どういうこと?―――あ・・・」
「そういうこと。あいつにお礼言っとこう」
「///」
481 :
名無し物書き@推敲中?:2006/11/26(日) 06:58:05
僕は彼女を愛している。本当に言葉にできないくらいに。
でも彼女は「どのくらい愛しているのか」と、言葉を欲しがった。それも独創的で、ちょっぴりこじゃれたやつを。
僕は愛する彼女のために頭を捻る。
「愛してる。世界で一番」陳腐だ。
「愛してる。君が欲しい。君が必要だ」欧米だ。
「愛してる。君のオシッコだって飲める」変態だ。
「愛してる。他に何もいらない」大黒だ。
「愛してる。かもしれない」推測だ。
「愛してる。といいなあ」願望だ。
「愛してる。君を殺したいくらいに」狂気だ。
「愛してる。君のウンコだって喰える」変態だ。
どうやっても無理だ。どうしても伝わらない。
僕は哀れを乞う目で彼女に聞いた。君はどのくらい僕のことが好きなの?
そしたら彼女は、その質問を待ち構えていたように笑って言った。
「愛してるわ。言葉にできないくらいに」
最高だ。
この学校に伝わる怪談というのを教えてくれと友達にしつこく問いただした。
それを知ったものはみんな死んでしまうという。
ならばなぜ伝わってんだよww
そいつはいやそうな顔をしてなかなか答えない。だからちょいと揺さぶって(あ、比喩じゃなくて胸倉をつかんでね)無理やり聞き出してやった。
夜の12時に旧校舎の廊下の奥の使われていない倉庫を覗くと帰ってこれないということだ。俺はその夜いつに案内させることにした。
もちろんそいつは嫌がったが、ちょいと揺さry
「ホントに後悔するよ」
笑っちまうぜ、明日これをネタに散々いじめてやることに決めた。
「本当に…知らないほうが良かったのに」
やつは俺の前を歩いていく。暗い旧校舎の中は1メートル先も見えない。やつの背中だけを見て歩いた。
それにしてもこの廊下ずいぶん長いんだな…もうだいぶ歩いているけど…
やつも黙々と歩き続けている。
こいつの名前なんだっけ?思い出せない。
まだまだ続くのかな、この廊下…
484 :
384:2007/02/10(土) 11:21:29
突然ですが、自分が納得出来るので、このスペースをお貸し願いレスさせてください。
今現在、自分にもやっと他に目標というものが出来ましたので、
それに向かって日々努力、邁進している最中でございます。
真剣に作家を目指されてる方々のお邪魔をする気は毛頭なかったのですが、
もっと周りの状況に配慮するべきだったと、深く反省しております。
私の言説はすべて素人の思いつき、架空の絵空事です。
今後、一切の執筆、投稿活動をする事は毛頭ございませんので、ここに深く謝罪いたします。
申し訳ございませんでした。
「不幸の手紙ってあるだろう、読んだ人が不幸になってしまうっていうやつ」
「ああ、確か同じ文の手紙を何人かに送れとか書いてある」
「俺、不幸のショートショートってのを考えてみたんだ」
「会談とかホラーとか?」
「そういうストーリーで怖がらせるやつじゃなくて、読んだこと自体が不幸だというショートショート」
「へえ、どういうのさ?」
「いや、思いついただけで考えちゃいない」
「なんだそりゃ?」
「でもそんなのあったら面白いだろ?」
「ていうか、そんなひねりも落ちもないショートショート読まされた読者は本当に不幸…」
486 :
名無し物書き@推敲中?:2007/02/11(日) 07:41:57
「俺はいつかこの星の全ての人間を操れるただ一人の人間になりたい。ほんの一瞬でもいいから」
彼の望みはかなえられた。
次の日核戦争が起こり人類は絶滅した。彼は一番最後に息絶えた。
生命は常になにかに怯えている。
1それは様々だが、俺はその時机の上に置かれた一枚の紙に怯えていた。
2そこには『離婚状』としるされていた。
3そう、俺は妻から離婚を言い渡されたのだ。
4考えてみれば東山動物園のボーとに乗ったのがいけなかった。
5なんたって泳がないとボーとに近づけないんだ。
6実を言うと俺達一族は泳げることは泳げるが泳ぎが大嫌いなのさ。
7それなのに俺は好奇心から彼女をボーとに乗せてしまった。
8それ以降彼女に近づくと殴る蹴るなどの暴行を受ける。
9思いっきりボカッとな、ひゃーこわい、だよ。やれやれ。
10おかげさまで鼻に二個も血豆が出来た、気の荒い奴だ。
11機嫌を取ろうと思い秘蔵の栄養満点フードをあげてもポイと捨てられる。
12彼女の機嫌は珍しい天然ものじゃないと直なら無さそうだ
13はあ…天然物はなかなか振ってこないのにな。
14まったく、お気楽に見えてハムスター人生も大変なんだよ。
15明日は秘蔵中の秘蔵の天然ヒマワリの種でもあげるか。
16まったく、やれやれだぜ。
駄文ですが感想よろ
488 :
名無し物書き@推敲中?:2007/02/13(火) 00:43:33
「することないのパラドックス」
1、あまりにも暇になり、することがなくなる
2、することがないので、何をしようか考える
3、既に考えるという動作をしていると気付く
4、することができたので、考えるのを止める
5、考えるのを止めたので、することをなくす
2〜5の過程が無限大に繰り返されることを
「することないのパラドックス」
と名付ける
489 :
名無し物書き@推敲中?:2007/02/13(火) 01:16:44
#名前の変更
「何食べてんの?ちょーだい!」
「つまみだよ。やらね〜」
「・・・ちょっと思ったんだけど『つまみ』ってさ・・・つまんでないよね。食べてるよね」
「?」
「『食い』って名前が正しいんじゃない?」
「『杭』だって食いもんじゃねぇけど『クイ』だろ」→「じゃあ『杭』は『打ち』だね」
「『家』は打つものじゃないぞ」→「じゃあ『家』は『住み』だ」
「『墨』は?」→「『燃やし』」
「『もやし』は?」→「『生え』」
「『ハエ』は?」→「『飛び』」
「『トビ』は?」
「トビは飛ぶじゃん」
「そうか・・・」
「はいアタシの勝ちー!イカもーらいっ!」
「ちょっと待て!」
「・・・じゃあ、『ヒカリ』。お前は光ってないんじゃないか?名前変えろよ」
「アタシ!?・・・は光ってないね。でもヒカリはヒカリままでいーの。良い名前なんだから」
「じゃあ俺の勝ち〜!イカ返せ!泥棒猫が!」
「何よそれー!ちょっと!ニャー!」
「鳴くなバカ!!!」
じいさんかと思ったら
ばあさんでした
はだかの王様
ある国の王様謁見の間。
悪徳衣装屋「これはこれは王様、謁見賜り光栄にございます」
王様「で、なんの用?」
悪徳衣装屋、鞄からなにやら取り出してすようなパフォーマンスをするが、手にはなにも持っていない。さも持っているように仰々しく王に差し出す動きをしながら、
悪徳衣装屋「これはとても珍しい馬鹿には見えない衣装なのです」
王様から見てもそんな衣装はまったく見えない。
王様「ほぅ・・・で、馬鹿には見えない衣装ってなんの意味があるの?」
悪徳衣装屋「え?」
王様「それを着たら楽しいの?格好いいの?」
悪徳衣装屋「いや、そういう訳ではないのですが・・・」
王様「いらね」
こうして王様は裸になることなく終わったのでした。
おわり
492 :
384:2007/02/16(金) 19:22:43
え〜と、よくわからないけどOKです。
頭がガンガンするので少し休んでから、サーチします。
以上。
493 :
名無し物書き@推敲中?:2007/02/18(日) 19:11:07
どこまでも続くその線路の上で、僕は座り込んだ。
線路の鉄の熱さと日の熱さに挟まれ、僕の体は汗で濡れていった。
腰から力無くぶら下がる水筒に水は無い。僕は只、水を求め彷徨い続けていた。
このままここに座り続け、人が通るのを待つか、それとも歩き続け、人を探すか。
この時間が一番勿体無い。どうせ死ぬなら最後まで諦めずに歩き続けよう。
そう決めると、僕は立ち上がって線路の上を歩き出した。
憎い。この熱の元凶とも言える太陽が憎い。今目の前に神が現れたのなら、僕は太陽を消すこと望むはず。
いや、やっぱりそれは無い。まずは水を貰おう。それとも人里の近くまで行くための道のりを聞こうか。
そんなことを考えながら、ふらふらと気力の無い足取りで前に進み続ける。
神など居る筈が無い。分かっている。しかし、命の危機に陥ったときに頼れるものは、神しか居ないのだ。
少し辺りが暗くなった。と思い上を見ると、そこには青い空を覆い尽くす黒い雲があった。
これは雨が降るかもしれないと、微かな希望が心から湧いた。
だがそこからは雨は降ってはこなかった。その代わり、鋭い雷とともに一人の男が現れた。
「私は神、あなたの願いをひとつだけ聞いてあげよう。ただし願いを考える時間は5秒だけとする。」
驚愕した。そして5秒以内、その言葉が僕の心を焦らせた。とにかく何か言え、そう思った僕は、太陽を消してください。と言った
何故そう言ったかは分からない。とにかく何か言わなければという焦りで何も考えられなくなっていた。
「わかった。太陽を消してやろう。」
そう言うと神は僕の目の前から消え去った。それと同時に黒い雲も消えていった。
太陽は消えていた。しかし青い空は消えてはいなかった。太陽が見えなくなっただけで、その暑さも光も消えてはいなかった。
僕は絶望した。神よ、もう一度あなたが現れてくれるのなら僕はこう願う。願いを決める時間を5秒から10分に変えてくれと。
494 :
名無し物書き@推敲中?:2007/03/04(日) 02:42:03
「肉まんが食べたい」
彼女は急にそう言い出した。
「何を急に」
「どうでもいいじゃない。私は肉まんが食べたいの」
そんなことを言われてもここには肉まんはない。どうしよう。
そう悩んでいると、彼女は右手を振りかぶりその手を僕の喉に差し込んだ。
「私は肉まんが食べたいの」
彼女はそういいながら手を奥深くへと進めていった。
「肉まん、肉まん」
彼女は嬉しそうに繰り返していた。 そうしていると、彼女の手は僕の胃にたどり着いた。
彼女は胃を探るように手を動かした。 僕のお腹は奇妙な形になっていた。
「あ、あった」
彼女はとても嬉しそうな顔をこちらに向けた。 僕も嬉しくなって微笑み返した。
彼女は来た器官を引き返し、僕の口から手を抜いた。
その腕は長く伸びており、力を抜いてぶら下げていると地面に着いてしまっていた。
そしてその長い手の先にはしっかりと肉まんが握られていた。
彼女は伸びた腕を不自由そうに扱いながら肉まんを食べた。
彼女の幸せそうな顔を見て、僕はまた微笑んだ。
「僕はなんだかあんまんが食べたいよ」
そう言うと、僕の腕は少し伸びた。
恵が死んだことを、今朝ニュースで知った。殺人事件だった。
画面の写真には、まだ高校時代の面影が残っていた。
あの頃の恵は恋に明け暮れる毎日で、それでも失恋するたびに、
長い電話に僕をつき合わせるのが常だった。その僕もまた、恵に
想いを打ち明けられず、僕らは「親友」のまま、高校を卒業した。
恵は進学したが、連絡先は聞いていなかった。地元に就職した
僕とは、帰ってくればいつでも会えると思っていた。
そして会えないままに2年が過ぎていた。
僕はアパートの鍵を手に、玄関に向かった。仕事に没頭すれば、
恵のことを忘れられると思いたかった。
棚に置いてあったフォトスタンドが落ちて割れていた。中の写真
には、卒業式後の制服姿の二人が写っている。
それを片づけようとして、写真の裏が目に留まった。
「3年間ありがとう。今度はタカフミから電話してね。待ってる」
電話番号と一緒に、恵の懐かしい字でそう書いてあった。
今日は休ませてください、と僕は会社に電話を入れた。
496 :
散歩 ◆CCTiz2ojrM :2007/04/21(土) 14:10:33
【神と死神とはどちらが偉いのか】
神「私は多くの民を救ってきた」
死神「お前が救えなかった民の後始末は誰がしていると思ってるんだ」
497 :
名無し物書き@推敲中?:2007/04/21(土) 14:20:52
沖縄県の方へ(命に関わる注意事項です)
沖縄県での選挙ですが、どうか民主党だけは避けてください。県民の生命に関わる可能性があります。
民主党の最大の公約は一国二制度(※)ですが、一度「一国二制度 沖縄 三千万」等で検索をお願いします。
この際、民主党のHPで調べても良いです。以下の注釈↓と矛盾することは書いてないはずですから…
※一国二制度
簡単に言えば沖縄を中国と日本の共有物にし、そこに3000万人の中国人を入植させます。
(つまり沖縄人口の 96% を中国人にして、実質、沖縄を中国人の居住地とします。)
さらに「自主」の名の下、沖縄で有事が起きても自衛隊は干渉できません。
3000万人の中国人が、少数派となった130万人の日本人に何をしても、です。
そして反日教育を受けた中国人の反日感情の強さは、ほとんどの日本人の理解を超えるものです。
今回の選挙で民主党が勝った場合、「自主」「発展」を連呼しつつ段階的に進めていくことになります。
自主と言っても、自主を認めるのが「住人の96%が中国人となった」後だということに気をつけてください。
発展と言っても、新沖縄の少数派となった「少数民族日本人」の発展ではないことに気をつけてください。
498 :
りぇ:2007/04/21(土) 18:58:41
>>497 ショートショートかとおもったらコピペか
500 :
名無し物書き@推敲中?:2007/04/22(日) 22:53:43
500げろ
501 :
名無し物書き@推敲中?:2007/04/22(日) 23:52:30
地球「最近やけに暑い」
ゆとりの犠牲者「ならクーラーで冷やせばいいじゃん」
[ 心から ]
僕は愛されたことがありませんでした。
だから君から愛をもらったとき僕はすごく戸惑って、でも嬉しくて。。。
本当に一生懸命、君を愛そうとしました。
人の真似事をして、雑誌なんか読んで勉強して、君が欲しがる物は全て買い与えたりしましたね。
でも仮初の愛情に君は気づいてて、そして傷ついてて。
僕は知らなかったんです。人の愛し方を。
君がいなくなって2年経ってようやくわかりました。
でも遅いんです。遅すぎました。
僕は君から教えてもらった愛を育んで生きてます。
でも、君には届かないね。
君が悲しんでる時、傷ついてる時、声をかけることすらできなくなりました。
寂しいです。悔しいです。
だから、僕の言葉なんかいらないぐらい
どうか幸せになってください。
[物書き]
物書きは いつでも何かを書いている
紙がなくとも いつも書かずにはいられない
壁でも草木でも、テレビ、人の顔、空、思い出、思想、
なんでもいい
そのままの姿、形なんか受け入れられない 書く書く
ときどきわからなくもなる
それも書く
504 :
名無し物書き@推敲中?:2007/05/24(木) 15:28:02
それポエムじゃね?
506 :
名無し物書き@推敲中?:2007/06/07(木) 21:49:11
【シロ】
春。
散っていく桜の花びらと遊ぶその姿を見て
私は今まで感じた事のないこの感情を
なんと呼べばよいのか解らずに狼狽した。
夏。
燦々と照りつける日を浴びているアイツを見て
お日様みたいに輝いてキレイだな、などと思い
バカな事を考える自分に苦笑した。
秋。
草木は枯れ、世界は褐色に包まれているが
その分白さが際立ち、より美しく見える。
雪が降ったら見つける事が出来るのか不安だ。
冬。
一面の銀世界に赤い雫が広がっている。
視界は滲み、良く見ることが出来ないが
その赤さを忘れる事はないだろう。
507 :
名無し物書き@推敲中?:2007/06/07(木) 22:14:00
【ゴロゴロ】
ゴロゴロするの大好きです。
お日様がポカポカ暖かい縁側で
のんびりするのが日課です。
喉もゴロゴロしちゃいます。
面白いゴロゴロもあるんだよ!
触るとくっついちゃうのがちょっと嫌だけど
なぜか気になる、不思議なゴロゴロ。
僕と同じ匂いがするよ。
嫌いなゴロゴロもあります。
ピカーって光って、音がすごいの。
怖くて、ビックリしちゃうから嫌。
たまに「お前の手も借りたいくらいだよ」
なんて言われるんだけど、ごめんね。
僕だってゴロゴロするので忙しいんだ。
自分の事は自分でやるの。
甘ったれてちゃ、いけない……のzzz
監視されない状況で、親の目を気にせずのびのびと暮らるようになって嬉しく思います、
禁止事項が多かった厳格な我が家では、色々苦労したものです。
さて、母上、父上、緑の映える今日この頃どうお過ごしでしょうか。
れっきとした画家である兄上のことは、もう認めて下さったでしょうか?
てこでも動かない程の人物である父上であっても、
いい加減許してもいいかと思われるほど、兄は熱心で一途な素晴らしい絵を描きます。
まず間違い無く、近い内に世間からも注目されるようになるでしょう。
すっかり落ちぶれたサラリーマンになるよりも、よほど良いかと思われますがどうでしょう。
助力を求める訳でもなく、淡々と一人で生きていく兄には尊敬すらします。
けれども、私は兄よりも父上の意向に従います。ご心配なされぬよう。
てんで仕事の役に立たない私ではありますが、いつか父上の右腕となれる様日々努力しています。
ショートショートじゃねえよw
510 :
名無し物書き@推敲中?:2007/08/07(火) 11:21:28
20行で20行で20行で21行で22行で23行でもいいから誰か書け!
511 :
tu:2007/08/07(火) 11:58:19
文才のある方教えて下さい。うちの病院、基本理念があるのですが、
「自分が受けて満足できる高度なサービスを提供する」なんですよ。
なんか文法的におかしいような気がするんですが、よくわかりません。
どうなんでしょうか。
512 :
名無し物書き@推敲中?:2007/08/07(火) 14:12:10
「自分が受けて満足できるような高度医療サービスの提供ををめざす」
でどうか!長いかナ。
513 :
名無し物書き@推敲中?:2007/08/07(火) 14:13:31
>>512ありゃ修正
「自分が受けて満足できるような高度医療サービスの提供をめざす」
>>511 自己満足な奉仕の精神で頑張ってまいりまーす!
夫が酔っぱらって帰って来た
酔って私の上に飛び乗って「いやだ!いやだ!」って、言っているのにSEXされてしまい、
私もレイプされてるみたいでチンコがビンビンになってしまった
でも、イクときにもう訳が分からなくなって,おもわず
「あっ!もうすぐ夫が帰ってくる」と、言ってしまったら
夫もあわてて、洋服を持って部屋を出ていってしまった
516 :
名無し物書き@推敲中?:2007/08/08(水) 01:05:37
>515
性別錯誤のSSなのか?
意味無いような…
517 :
名無し物書き@推敲中?:2007/08/08(水) 17:04:20
「消しゴムかして」
「ごめん、持ってないの」
「携番教えて」
「ごめん、持ってないの」
「名前教えて」
「ごめん、持ってないの」
『炊き込みご飯』
松茸って香りを楽しむもんだと思う
食ったことないけど、そうなのだ
隣の台所から漂ってくる香りの粒がそう実感させる。あぁいい香り
「もうちょっとで炊きあがるぞ〜〜うへへ。それにしてもなんていい香りなんだろう」
半端ない香りが、扉を境としたこの部屋にさえ充満していた。
ピーピーピー!
炊飯器が鳴る。炊きあがりましたよの合図だ
台所にむかう。
ふたが開いたままの炊飯器がそこにあった
520 :
春:2007/08/15(水) 00:20:44
『腐敗する死体』
「・・・俺が死んだらどうする?」
「・・分からない」幼かった私はつぶやくように言った。
アルコール依存症の父と貧しい家庭、そんなありがちな家庭で私は育った。
最低の父だった。どす黒い毎日だった。
罵声と暴力を投げつける父との生活に限界を感じはじめた頃。
父は自殺した。私が部屋に入り発見した時には既に死んでいた。
心は晴れるほどの澄み切った晴天だった。
てるてる坊主みたいで少し滑稽だった。
暴力は連鎖する。
私はそれを実感している。
アルコールと同時に大切なものまで体内からすっと消えいく。
空は透き通おるような青。
日がきらきら輝いて少し幻想的にすら見える。
黒く腐敗し、うじの湧いた動物の死体を見るような視線を息子が投げかけている。
私はふと何かを思い出すように聞いてみる。
「・・・俺が死んだらどうする?」
521 :
名無し物書き@推敲中?:2007/08/15(水) 15:30:59
俺は戦友の森田と一緒にジャングルの中を必死に走っていた。
「あそこだーいたぞ」
振り返ると迷彩服をきた軍兵が5人ほど追っかけてきた
俺たちはどうやら知らない間に敵軍の領内に入ってしまっていたらしい。捕まれば即銃殺されることは間違いなかった・・。
走り逃げているとガシャっという金属音がした
「うわぁぁっ」地面に仕掛けられていたトラバサミに森田が引っ掛かってしまい、膝下は固定されて完全に動けなくなっている
「森田っ!大丈夫か」「ダメだ。先にいってくれ」
そう言ってる間に敵はすぐそこまで迫ってきていた
「は、早く行ってくれ」
俺は罪悪感と恐怖に押し殺されそうになり叫びながら逃げた
「う、うあああああああ」
5分ほど走った頃、道が二手に分かれていた。悩んでいたが、その間に追っ手がすぐそこまできていた。
すると右側の道から森田が手を招いてるのが見えた・・俺は呆然としながらもそっちに決め全力で走った
俺は心中、森田が死んだことを察した。見捨てた自分が情けなくてしかたなかったが、死んだ森田はそんな俺を許してくれたんだと思い涙が出た
先導する森田に走りながら「お前の分まで、生き延びるぞ」と泣きじゃくりながら言った
すると森田は振り返り、笑顔で言った「そんなことさせないよ」
「えっ・・」キョトンした瞬間、俺は足で何かを踏んだ感触がした
ドオオオオオオオオオン・・あたり一面が爆風に飲み込まれ、俺と追っ手の敵もろとも即死した
522 :
名無し物書き@推敲中?:2007/08/15(水) 18:51:09
>>521 ドオオオオンとか入れると文章が安っぽく見えるから気をつけた方がいい
523 :
名無し物書き@推敲中?:2007/08/15(水) 19:43:20
ここは静かな洞窟。誰もいない洞窟。
人気のない洞窟。 昔からある洞窟。
虫眼鏡をもってなにかしている変なおじさんのいる洞窟。 そんなおじさんが好きになった洞窟。
大きな手紙を置いたきり帰ってこないおじさんを 待つ洞窟。
その手紙は大きく、時を刻み、怪しい雰囲気を漂わせてた。
「よーし、いいぞ」 あぁ懐かしいおじさんの声。
外から聞こえるおじさんの声を懐かしんでいた・・・・・・
そしておじさんがおいてった手紙をみて、ぽたぽたと水、いや涙をながしてた時
ものすごい光があたりを覆い、見えるのは白い光。
「大成功じゃ。早速日本軍に送ってくれ。良い武力になるぞ。」
見たこともない笑顔のおじさん。忘れないわ・・・・
悪い、オチが読み取れないんで解説してくれ
526 :
名無し物書き@推敲中?:2007/08/16(木) 22:49:52
旧日本軍の地下施設で原爆を開発していたと言う話ですが・・・・・・・
読解力ないんですか?
528 :
名無し物書き@推敲中?:2007/08/17(金) 02:38:15
>>527 「日本軍が原爆を開発していた」ってのは読み取れたが、それ以外は俺には無理。
特に「大きな手紙」ってのが意味不明。
設計図のことだろ
530 :
家出猫:2007/08/17(金) 02:45:46
公衆便所で清掃員と闘う奴が好きだな
531 :
名無し物書き@推敲中?:2007/08/17(金) 04:55:01
>>529 設計図を大きな手紙とは表現しないだろ。
読んで涙を流してる一文があるから普通の手紙だろうとは思うんだが、わざわざ「大きな」なんてつける意味がわからん。
532 :
名無し物書き@推敲中?:2007/08/17(金) 05:22:44
ぼくの彼女
彼女とのつきあいは、これで3年になる。
ぼくの彼女はかなりわがままだ。
気に入らないことがあると、ところかまわず泣き喚く。
それに、かなりの金食い虫だ。
彼女のためにこれまで買った服は何着になるだろう。
それでもぼくは彼女のことを愛している。
「3歳のお誕生日おめでとう」
ちなみに、この文芸板にかいてあっただれかのショートショートの
パクリです。1歳を3歳にちょっとかきかえてしまいました。
533 :
名無し物書き@推敲中?:2007/08/17(金) 17:12:19
いきなりローソン着いたら店員がなんか言ってるから
聞こえないから「なんだよ?」って言ったら
いきなり窓あけやがって「すみません、からあげ君ありませんか?」
って言ってきやがったから
「知らねーよ。てかいきなり開けんなよ」って言ったら
慌てて閉めやがって、ぱんの袋が挟まったから
「何してんだよ。てめー!ふざけんなよ!」って言ったら
肉まん入れる時に手がガタガタ震えてて笑ったw
>>527は↑コピペと同じレベル。人に伝える力が欠けています。
人の読解力のせいにしないで自分を見つめなおしましょう
534 :
名無し物書き@推敲中?:2007/08/17(金) 18:12:34
>>533は人に伝える力が欠けています。
人の批判などしないで、まず自分の書いた文章を見つめなおしましょう
535 :
名無し物書き@推敲中?:2007/08/18(土) 15:10:07
>>534 じゃあ、533のどこがわからなかったか言ってみ?
>>534 ん?
>>533 は、人に伝える力が欠けた文章の例として「いきなりローソン〜」の文を
載せたのでは?
537 :
名無し物書き@推敲中?:2007/08/21(火) 06:21:47
タイトル 「道」
仏教の坊主と、キリスト教の牧師が、
2本のそれぞれ別の道を歩いていた。
その道は、途中で、交わっており、
坊主と牧師は、ばったり出会うことになる。
それで、二人は、その交わる場所にさしかかったところ、
一人のまったく別の人物にぶつかってしまった。
交わる場所の向こうに一本道がのびていて、
その向こう側からやって来たのである。
二人とも、思わずひれふした。偉大な人物だと直感したのだ。
坊主はブッダだと思い、牧師はキリストだと思った。
結局、その人物の正体は謎であった。
ただいえるのは、仏教もキリスト教も別々の道であるように
見えながら、実は同じ道だということだ。
実は、2chにこんなような話、似たような話を読んだことがあるの
だが、忘れてしまい、それを思い出しながら書いた。元の文章を探そうと
思ったが、たぶん、見つからないから、やめようと思う
538 :
名無し物書き@推敲中?:2007/08/21(火) 06:26:25
ブタの夢
ブタが夢を見た。
自分がほふられ、殺される夢だった。
首を切られて、血抜きをされる。
そして、解体された。
その後、卵にひたされて、パン粉をつけられて、
油に入れられて、あげられた。
そう、ブタはトンカツになる夢を見たのである。
そして、ブタは夢から覚めて、なぜこんな夢を
見たのか、合点がいった。
なぜなら、周囲はキャベツ畑だったからである。
539 :
名無し物書き@推敲中?:2007/08/21(火) 06:57:04
目玉の料理
「今日のメニューは、目玉の料理でございます」
「目玉の料理!?」
「ええ、本日の目玉です」
コックは自信をもっていった。
「食えるんだろうね?」
コックは鶏卵を割って、フライパンで焼いた。
「これが本当の目玉焼きでございます」
540 :
名無し物書き@推敲中?:2007/08/21(火) 06:58:31
塀
「隣の家に塀ができたんだってね」
「へえ」
>>539 くだらなすぎて吹いたw
悔しいが物凄いツボにはまった
543 :
名無し物書き@推敲中?:2007/08/21(火) 16:01:30
レストラン
アルファさんがレストランで、豚肉を注文した。
しかし、やってきた料理はやや味が違うような気がした。
アルファさんは気にせずに食べた。
アルファさんは、店員がひとりいないことに気づいた。
544 :
名無し物書き@推敲中?:2007/08/21(火) 16:03:31
バラの奇跡
ある聖女が旦那にだまって、家財を売って、
貧者に施しをしていた。
しかし、あるとき、不審に思った夫が、
聖女が家を出るのを見て、追跡していった。
そして、夫は、聖女が服の下に隠している
ものを見せなさい、といった。
聖女は、旦那のいうとおり、持ち物を
見せようとした。
すると、服の中から、たくさんのバラが
こぼれおちた。
夫は、驚いて、腰を抜かしてしまった。
545 :
名無し物書き@推敲中?:2007/08/21(火) 16:05:21
宝
子供たちが宝探しをした。
しかし、どこを探しても見つからなかった。
かばんの中も、机の中も、秘密基地にもなかった。
探しているうちに、一人の子供が病気になった。
もう一人の子供は、怪我をした。
それで、その二人の子供は、「健康」が宝だと
いうことに気づいた。
宝探しの途中、命の危険にさらされた子供もいたが、
その子は、「命」が宝であると考えた。
そして、ほかの子供たちは、探しても宝が見つからず、
家に帰って、自室で考えた。
考えるうちに、考えている自分、すなわち、
自分の「心」こそが本当の宝であるということに
思い至った。
そして、子供たちは、大人になったのである。
546 :
名無し物書き@推敲中?:2007/08/22(水) 01:38:28
愛
「愛」は、二人の男女を結び付けようとした。
「憎しみ」がそれを邪魔しようとした。
「嫉妬」が横恋慕していた。
「嫉妬」は、知己の「怒り」を呼んだ。
「時間」が、「怒り」を忘れさせた。
「愛」が「命」を二人の男女にはぐくんだ。
「命」は「愛」の愛娘であった。
547 :
名無し物書き@推敲中?:2007/08/22(水) 01:40:47
言って良い物かわからないが、あえて言おう。
ポエム板に行くといいよ。強く言えば、そこへ行けよ。
548 :
名無し物書き@推敲中?:2007/08/22(水) 15:58:37
戦争
ある日、「愚劣」がやってきた。突然だった、なんの前触れもなかった。
「愚劣」は反戦を聞き流し、参戦を採択した。
「愚劣」は「人間」に、戦争を勃発させた。
「愚劣」の後には、「後悔」がついていった。
それはあたかも、「罪悪」のあとに、「悔恨」がつづくようなものであった。
「愚劣」は戦争を起こしたが、健忘症にかかった「忘却」がそれをもみ消した。
その後、長老の「教訓」が古ぼけた書物から、「同じことをくり返さない」
ことを「愚劣」に教えたが、「忘却」が「愚劣」の教育の邪魔をした。
549 :
名無し物書き@推敲中?:2007/08/22(水) 16:02:03
レストラン(リライト)
アルファさんがレストランで、豚肉を注文した。
しかし、やってきた料理はやや味が違うような気がした。
アルファさんは気にせずに食べた。
アルファさんは、店員がひとりいないことに気づいた。
アルファさんは、人肉を食べたかもしれないと思ったが、
気にしなかった。
550 :
名無し物書き@推敲中?:2007/08/22(水) 16:14:39
理想と現実
理想は足がなくて翼があった。
現実には、足があるが翼がなかった。
理想は自由に空をとべた。
現実は大地に足を固定されていた。
理想は存在を疑われていた。
それでも、信じるものもあった。
現実は存在を疑われるようなことはなかった。
理想はヒトの目には見えなかった。
理想は平和を訴えたが、現実は変わらなかった。
551 :
名無し物書き@推敲中?:2007/08/22(水) 16:45:40
コードレス
コードレスは流行である。
たとえば、携帯電話。
うっとうしいコードがないのはありがたい。
じつは、エレキギターもコードがかつてあった。
今は、ワイヤレスシステムがある。
ここに、コードレスにチャレンジする男があった。
商品開発部長とかではない。
「え? これもコードレスですか?」
と他人が止めるのも振り切って、男は断行した。
コードレスバンジージャンプ、男は即死した。
552 :
名無し物書き@推敲中?:2007/08/22(水) 16:51:31
携帯電話はコードレスとは別の文脈だと思うけど?
流行でもないし。
553 :
名無し物書き@推敲中?:2007/08/22(水) 16:55:07
「」好きな奴は、くだらない事いってないで、もう少し勉強したらいいと思う。
554 :
名無し物書き@推敲中?:2007/08/22(水) 16:57:04
ていうか、その人しかいないらしいけど
コードレス(リライト)
携帯電話はコードレスである。
うっとうしいコードがないのはありがたい。
じつは、エレキギターもコードがかつてあった。
今は、ワイヤレスシステムがある。
ここに、コードレスにチャレンジする男があった。
商品開発部長とかではない。
「え? これもコードレスですか?」
と他人が止めるのも振り切って、男は断行した。
コードレスバンジージャンプ、男は即死した。
556 :
名無し物書き@推敲中?:2007/08/22(水) 17:09:06
エレキギターもかつてって言うほど
ワイヤレスに偏ってないし。
神童
昔ボクの通うバイオリン教室には天才がいた。
大人のバイオリニストですら手を焼く難曲を苦も無く弾きこなし、聞く人間を惹きつける不思議な魅力を持っていた。
「コイツには敵わない・・・」と何度心を折られた事だろう、それでも諦めずに同年代の子のように遊びもせず鍛錬し続けた
結果、ボクが手にできたのは日本の小さなプロオケのメンバーにどうにかなることだけだった。
あれだけ努力してまでボクが手にしたかったものは何だったんだろうか?
ふと彼を思い出す。ボク程度の努力ではいくら切望しても到達出来ない領域に当たり前のように君臨していた彼のことを。
高校の頃、海外に留学したと聞いたのを最後に彼の消息は途絶えたままだ・・・。
時計に視線を移す。オケの練習までまだ随分と時間がある。暇を潰すため入ったネットカフェで知らない男が声を掛けてきた。
最初の印象は不良。だがどこか焦点の定まらない不安定な瞳を見てボクは思い出した。彼だ。
「松田くんだよね?久しぶり、元気にしてた?」
「元気にしてたじゃないよ、白石・・・。お前なんて格好をしてるんだよ!?バイオリンは?」
彼は少しだけ険しい表情を見せたが、すぐにニッコリと微笑みあっけらかんとこう言った。
「辞めたよ。とっくの昔に」
「なんで・・・才能あったのに・・・」
彼は「嘘でも嬉しいよ」と笑ったがボクは本気だった。さらにボクが何故辞めたのか詰め寄ると彼は別の話題を振ってきた。
「松田くんはいま何やってるの?続けてる?バイオリン」
「いまは○○オケでやってるよ、他にも○響でもたまにやらせてもらってる」
「そうか・・・凄いね。松田くんは凄いよ!バイオリニストになるって夢を叶えたんだから。」
「凄くないよ、全然。俺の夢は君のようなバイオリンを弾くことだった。君は間違いなく天才だった」
「天才なんかじゃなかったよ僕は・・・。壁にぶつかっても夢を諦めなかった君の方が何倍も凄い」その言葉を最後にそれ以来彼とは会っていない。
回想と現在の繋ぎで時制、目線がねじれてて気持ち悪い。
白石の不安定な瞳とやらに回想内で触れていないので、現在の登場シーンに違和感がある。
あと、
>結果、ボクが手にできたのは日本の小さなプロオケのメンバーにどうにかなることだけだった。
山田の影響でも受けたのかと心配になった。
559 :
名無し物書き@推敲中?:2007/08/22(水) 23:59:29
ぼくの彼女
ぼくの彼女は爪をきれいにする。
ぼくの彼女は瞳がブルーなんだ。
ぼくの彼女は好きな食べ物が肉類。
彼女は愛撫が大好きで、なでると喜ぶ。
彼女は、ときどき「のび」をする。
以上、ぼくの彼女のネコのタマでした。
560 :
名無し物書き@推敲中?:2007/08/24(金) 00:51:26
夕べと苦しみ
苦しみは、日が落ちるのを見て、遠い静けさの中から、夕べを呼んだ。
「夕べよ、来ておくれ」
と。
夕べは苦しみの隣に座って、しばらくいっしょにいることにした。
夕べは苦しみが、夜の恐怖を訴えるのを聞いてやった。
しかし、その夜の訪れとともに、夕べはむなしく消えていってしまった。
──そうして、苦しみは、一人取り残されてしまったのである……。
夕べと苦しみ(リライト)
「苦しみ」は優しい「夕べ」を慕い、西の空の彼を呼んだ。
「夕べ」は「苦しみ」の手を取って座らせ、
夜が近づき、世界が静けさのうちに眠りに就こうと
していることに耳を傾けるようにと促した。
「苦しみ」は暗闇の恐怖を「夕べ」に訴えるが、
もはや「夕べは」はその訴えを聞いてやることが出来ない。
彼は立ち上がり、愛するものを抱きしめようとしたが、
夜の訪れとともに「夕べ」は空しく消えてゆき、
「苦しみ」は一人残された。
【始まり】
床に彼女が最後に食べた果物がころりと落ちている。
たった一口だけかじられただけの果肉は白く輝き果汁をしたたらせている。
なぜ彼女が私の元を去ったのか私にはわからない。
私が彼女を愛していたのとと同様
彼女も私愛しているのだと思っていた。
永遠に続くとおもった平和な日々が彼女とともに私の元を去って行ってしまった。
私はなぜ彼女が去ったのか
私の何処がいけなかったのか知りたかった。
そしてなぜだかその瑞々しい果汁がしたたる果実をかじればそれがわかる気がした。
たとえ父に愛されなくなっても。
文学救うより犬猫救おう
こうやってるあいだにも無責任飼い主に捨てられた犬猫は
保健所で殺処分される
俺は4匹救った
あとどうする
死に目を見たくないと多くの人が思う犬猫は
いまわしいガス室で窒息死
もらおう
つらくて見れない人は係員が連れてきてくれます
ショートショートじゃないのが多いな
565 :
名無し物書き@推敲中?:2007/08/26(日) 21:46:35
>>564 ショートショートじゃない、っていうことは、なにが多いの?
詩みたいなのが多い、っていうこと?
566 :
名無し物書き@推敲中?:2007/08/26(日) 21:53:47
くだらない、詩だかなんだかわからない物が多い!
吐き気がする位、気持ちワリィ。
(´・ω・`)<オマイがショートショートを作ればいいがな
568 :
名無し物書き@推敲中?:2007/08/26(日) 23:09:54
悪の十字架
今日は日曜日。
外へでかけよう。
どこへいこうかな?
そうだ、買い物に行こう。
そして、スーパーに到着した。
ただ、自動ドアは開かなかった。
「なんだ、この扉、
空くの十時か(悪の十字架)」
569 :
名無し物書き@推敲中?:2007/08/26(日) 23:10:52
ふぁみりー(ショートショート)
昔昔、父と母と一人の男の子が住んでいました。
ある日、お母さんが、赤ちゃんを産みました。
お母さんは前からいた男の子よりも、
赤ちゃんのほうを余計に可愛がりました。
嫉妬した男の子は、赤ちゃんを殺そうと、
お母さんのおっぱいに毒を塗っておきました。
次の日、お父さんが死んでいました。
570 :
名無し物書き@推敲中?:2007/08/26(日) 23:11:45
ニュース(ショートショート)
「た、大変です! 犬が人をかみました!」
と、あわてるAくんに、B子さんが答えた。
「たしかに大変だけど、よくあることよね」
Aくんは、さらに恐ろしいものを目撃した。
「大変です! 人が犬をかみました!」
571 :
名無し物書き@推敲中?:2007/08/26(日) 23:18:41
山奥
とある男が山道をあるいていた。
木はうっそうと生い茂り、白昼に影を投げかけていた。
男はずんずん歩いた。
男は、べつに蛇にかまれたわけでもないのにたちどまった。
向こうに、美しい女がいたからである。
男は股間を押さえて、女に近づいた。
「へ、蛇にかまれた、ここを吸って毒を吸い出してくれ!!」
もちろん、蛇にかまれた、というのはウソである。
572 :
名無し物書き@推敲中?:2007/08/27(月) 13:21:29
「残留」
彼は常にそこにいた。
白い塀の陰にぽつんと立つ彼は、青い瞳をしていた。道行く人々を遠い目で追いながら、気付かれることは決して無いようだった。
「……まだ待っているのですか?」
塀の上から私が話しかけると彼は顔を少し上げた。 「約束したんだ。ずっと待っていると。」
彼は青い瞳を空に向けた。雲はゆっくりと流れて行くが、彼がそこから動くことは絶対に無いのだろう。
明かすことの無い前世の約束を胸に、私は翼を広げて飛び去った。
ショートって書いたことないから良く解らないんだが書いてみたから暇な奴評価よろしく〜
573 :
名無し物書き@推敲中?:2007/08/28(火) 00:21:05
トラをたくみにかいた坊主がいた。
あまりにたくみだったので、描いたトラが画面をやぶって、現実におどりでた。
坊主は、自分の描いたトラに食い殺されてしまった。
574 :
名無し物書き@推敲中?:2007/08/28(火) 19:46:42
ある男が通貨偽造の容疑で逮捕された。
男は長期にわたる極めて綿密な計画の下に、数万枚単位で精巧な通貨を偽造したのだ。
実際それは大量に巷に流通され、今日に至るまでの数年間、誰にも偽物であることに
見抜かれないほど見事な出来映えであった。
男が逮捕されたのは、男の挙動不審に気付いていた年老いた母親の密告である。
男は起訴され裁判を受けた。判決は懲役2年であり、計画的な大量通貨偽造にしては
軽い判決であるようにも思われた。
判決文が読まれたとき、男は爪を噛みながら気味悪く薄笑いをしていた。
男が送致されたのは医療刑務所である。
この事件は戦後日本の通貨偽造事件の中で、特殊な事例として位置づけられた。
偽一円玉事件、として報道され、物好きな大衆の話のタネになり、人々の記憶の中に暫く残った。
575 :
名無し物書き@推敲中?:2007/08/28(火) 20:17:31
何で自分はこんなところにいるんだ?
恐ろしく狭い空間に自分は横たわっていた。
自分の体がぎりぎり入るくらいで、身動きなんてまったく取れない。
そもそもどうやってここに入ったかすら覚えていない。
辺りの様子がわかればいいのだが、残念ながら真っ暗闇でまったく窺い知ることができない。
もしかしてこのまま出れない・・・・?
いや、そんなはずはない、どういう経緯があったか知らないが、入ったのなら出れるはずだ。でも、どうやって・・・・?
そんなことをひたすら考えているうちに地面が大きく揺れだした。
うわ、なんだこれ、震度幾つだ、ちょ、やばい死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ!
「ふう」
そうつぶやくと裕子は、自分がたった今排泄したものをチラリと見た後、トイレのコックを捻った
576 :
名無し物書き@推敲中?:2007/08/28(火) 23:22:33
「時間よとまれ」
ある男が高層ビルの屋上から飛び降りた。
飛び降りて数秒間はただ風を感じていた。
やがて物凄い風圧の中で地面が急速に迫ってきたとき男は初めて恐怖した。
――馬鹿なことをしてしまった! まだ死にたくない、 時間よ、止まれ!
瞬間あたりが真っ白になり悪魔が現れた。 尻尾まで生えている悪魔然とした悪魔だった。
無重力感はそのままだが、風が止み、落下してる感覚はなくなった。
悪魔が言った。「望みどおり時間を止めてやったぞ」
男は訝った ――何で悪魔が出てくるんだ? 悪魔なら俺を殺そうとする筈だ……仮に時間が中断されても
再開されれば俺は数秒後に地面に激突する。 この悪魔は俺の死を弄んでるのか……
悪魔はニヤリと口の端を歪ませ言った。「死を弄んでるのはお前のほうだ。 時間を止めてやるどころか
私は何度もお前を過去に戻してやってさえいる。 だがその度に、弱いお前は死を選ぼうとするんだ」
――過去に戻る? そんなことある訳ない…… あれば覚えてるはずだ。
悪魔はもう笑ってなかった。 「過去に戻ったら、以前の記憶は消えている。だから覚えてる筈がない」
真っ白の世界が一瞬のうちに消滅し、男は突然激しい風圧を全身に感じた。風が耳元で暴力的に鳴っている。
―― ん? 今何かあったか…… と思った刹那、男の目の前にはアスファルトの地面が不思議な角度で迫っていた。
578 :
名無し物書き@推敲中?:2007/08/29(水) 05:26:43
横浜のモデル
横浜にモデルがいた。美女である。
二人姉妹で、姉はさやか、妹はまりこ。
軍人はショットガンで人を殺す。
が、その姉妹モデルは目で人を殺す。
580 :
名無し物書き@推敲中?:2007/08/30(木) 04:47:00
珍しいものが生まれる国
あるヒトが自慢をした。
「自分の国では、この世でもっとも珍しいものが生まれるんだ」
と。
それを聞いたヒトが、自慢したヒトにいった。
「きみの存在がそれを証明しているよ。世にも珍しいほど、いやらしい、
いやみったらしい君の性格によってね」
自慢したヒトは、言葉を失った。
たまごは逃げた。
台所から町へ、町から深い深い森のなかへ。
コロコロところがりながら。
森のなかで、川をみつけた。
たまごは喜んだ。
台所の机から床に落ちたときに受けたヒビが痛む。
おまけにのどがカラカラだ。
たまごは川にとびこんだ。
あつい!あつい!
その川は温泉だった。
大変だ!ゆでたまごになってしまう!
たまごは大空に飛び立った。
手紙が届いた。
知らない宛名。
私は無視した。
また手紙が届いた。
さっきと同じ宛名。
なんて早さだろう。
私が手紙を読んでいないことを知っているのだろうか?
恐ろしい。
私は目を閉じながら、手紙を開いてみたが、読む勇気はなかった。
思わず手紙を放り投げた。
見たくも、触りたくもない。
もちろん返事など書くつもりなどない。
突然、ベルがなった。
誰かが私を呼んでいる。
鳴り止まないベル。
私は精神的に追い詰められた。
私は覚悟を決めて音のするほうへ向かった。
そして、叫んだ。
「おまえは誰じゃ!!」
「おじいちゃん、アドレスの再登録できた?」
「あっもしもし塩水さんですか?」
「いいえ、佐藤です」
「あっ、すみません海水さんと間違えました」
「いいえ、佐藤です」
くるくると流れていった。
川の水は、ひんやりして絹のようになめらかで、きらきらとおどり、
青い木々は、風とのおしゃべりが楽しいのか、くすくすと笑い、
鳥たちは、クククク、ムムムムと歌をうたっている。
静かだ。
美しい騒音。まるで命のオーケストラ。
黄色い帽子がくるくると流れていった。
どこかから、不協和音が聞こえる。
くるくるくるくる……
「お姉ちゃん!たすけてー」
くるくると、弟は消えていった。
585 :
名無し物書き@推敲中?:2007/09/07(金) 00:11:39
「お姉ちゃん、見てみて!」
弟は私のバランスボールを二階から落とした。
ニヤニヤしながら。
さっき、テレビゲームでケンカした腹いせだ。
私は弟を無視した。
「お姉ちゃん、見てったら!」
弟は二階から飛び降りた。顔いっぱいに笑顔を浮かべて。
「おっかしいなぁ。ピヨーンッて飛び跳ねるはずなのに」
「そしたらアイテムがとれてゲームクリアなのに」
「そしたらお姉ちゃんと、またゲームできるのに」
病室で、弟は照れ笑いをしながらそういった。
私は泣きながらゲームをクリアした。
私は魔法が使える。
私の力をもってすれば、この鍋をどんな姿にも変えられる。
肉じゃが、カレー、シチュー、ハヤシライス、ビーフシチュウ、中辛、甘口……
私は魔法が使える。
ただし、我が家は豚肉派である。
「初めまして佐藤です」
「あっ塩水さん、お待ちしてました」
「佐藤です」
「すみません、海水さんですね」
「佐藤です」
「えっ!淡水さん?」
「佐藤です」
眠い、疲れた、苦しい、気持ち悪い。
もう死にたい。
「人生とは出口のないトンネルだ。
まさに一寸先は闇、何も見えない。
ただ黙って歩く。希望も絶望もない。何もない。
生きるとは恐怖。進むのは不安でしかない。」
誰かがそう言っていた。
おそらく父だ。
「人生はトンネルを出てから。
自分の進む道がわからないのは、それはあなたの意志で選んだ道じゃないから。
出口の向こう側は希望か絶望かはわからない。
でも、トンネルを出たところからあなたの人生が始まるのよ。」
あぁ母の声だ。私の大好きな人。
お母さん、あなたは、私のこの暗いトンネルに射し込む希望の光。
私の歩むべき道しるべ。
あなたに会いたい。
私は、トンネルを出る決意をした。
しかし、私はいつ、そのトンネルに入ったのだろう?
限界の限界に挑む
そもそも、人間の能力は、無限なのかい?有限なのかい?
590 :
名無し物書き@推敲中?:2007/09/07(金) 11:11:38
黄金
高橋は黄金が好きだった。
金の延べ棒とか、ああいうやつだ。
金塊が積まれていると、恍惚としてしまう。
それくらい好きだった。
だから、高橋の金庫には、金が保管してある。
ところで、高橋は、夢の中で神様に願い事をした。
「手でふれるものすべてを金に変える能力がほしい」
と。神様はそれをかなえてやった。
すると、高橋は、手で触れるものすべてが金に変わるので喜んだ。
ところが、食べ物に手を触れたとたん、それが金に変わるので、高橋は飢えて、困ってしまった。
それで、あわてて高橋はこの能力を取り消してもらった。
すると、金に変えられた物もすべて、元に戻ってしまった。
「躊躇」
自分の力を知りたくて、漢字の検定を受けてみた。
200点満点で140点以上が合格点となる3級には難なく受かった。
同じく200点満点で140点以上が合格点となる準2級にも難なく受かった。
しかし、200点満点で160点以上が絶対条件の2級はハードルが高かった。
それでも、163点を獲得し僅差で合格を果たした。
だが、2級でこの有様の俺が難易度が大幅にUPする上に160点以上が絶対条件の
1級及び準1級に受かるとは到底思えなかった。
だから、俺は躊躇した。そして、そこで山登りを終えてしまったのだ。
それから7年。頂は既に、雲に隠れて永遠に手の届かない場所へと消えていたのである。
592 :
名無し物書き@推敲中?:2007/09/07(金) 22:34:32
593 :
名無し物書き@推敲中?:2007/09/08(土) 02:06:13
>>592 大当たりで〜す
起承転結の典型として
よく引き合いに出されるみたい
ちなみに
>>590はミダス王
のお話を、現代風にアレンジしたもの
いや、アレンジしてないからそれ。
名前入れ替えただけの盗作だから。
僕と浮気相手と時々彼女
白血病の浮気相手である、メル友を東京に呼び寄せ、空港で「たすけてくだすぅわぁい!!!」
596 :
名無し物書き@推敲中?:2007/09/08(土) 08:10:37
>>594 著作権というのは、50年かそこらで切れる。
大昔の作品に、著作権などはない。作者もいない。
それに盗作ではなくて、参考にしただけである。
自分でオリジナルでかきかえたなら、アレンジだ。
法律論と全く無関係に、盗作は盗作。
どこにも全くアレンジが効いていないから評価の対象にもならない。
それがわからんようならこの板から去った方がいい。
無論、著作権法上の問題はないよ。
>>597 夢のなかで神様にねがいごとをしたの箇所や
ラストの、金にかえられたものが元に戻ったなどは、
完全なオリジナルな、独創的な部分であり、
創作であって、ミダス王の話にはまったくないところである。
という点においては、やはりアレンジしたといわざるをえないのだ。
【12.4%】
司法浪人をしている信二は今年で4度目の受験だ。壁に貼った「絶対合格!3度目の正直!」の文字をバッテンで消してその上に小さく4度目と書き直すのであった。
庭で何やらペスが吠えている。大学生の時に拾ってきた犬だ。
受験勉強がうまくいかなく憤りを感じていた信二はその鳴き声にふつふつと積怒していった。
ついに信二は息を荒げながら庭にでた
「うるさい!命の恩人を困らせて楽しいか!?散歩に行きたいなら一人で言ってろ!」と怒なり散らした。
一人で散歩に行ったペスは車に轢かれて死んだ。
その晩からだ。ペスが信二の前に現れるようになったのは。闇の中でうっすらと青白く浮かぶペス。
「悪かったペス。勘弁してくれ」と震えた声で謝る信二に対して、それでも毎晩毎晩現れ、信二を傷つける。
恐怖に駆られる彼は幼なじみを呼ぶ。「今夜、うちで泊まっていってほしい…」
夜がやってきた。満月の夜だった。
「うわぁぁぁあ!!」悲鳴が家中に響き渡った。慌てて駆け付ける幼なじみ。信二は血だらけで倒れていた。
「大丈夫!?しっかりして!!」
「ぺ、ペスが…」
「違うよ!ペスじゃないわ!あなたを傷つけているのは……侍よ!!」
うめき声を挙げながら侍が姿を現わにした。
ペスは懸命に戦っていた。血だらけのペス。それでもご主人様のために闘った。
ペス、ずっと守っていてくれたのか…。信二はその時、ペスの死に初めて涙した。
「あかいめぐすり」
僕が、その「目薬」を見つけたのは、夏が終わりを告げようとしていたころだった
行きつけのドラッグストアーのなじみの目薬棚を物色していて、偶然手にしたのがこの「目薬」だった
パッケージにはシンプルにして革新的な色遣いで、棚の端にあっても存在感を感じさせていた
とりあえずという気持ちで、その「目薬」を取ってみた、箱の作りは至って普通だった
ただ眺めていてもしょうがないので、上下左右に振ってみた、ガサコソと中で「目薬」の蠢く音がした
生きてる生きてと感心しながら、僕は「目薬」に声を掛けてみた、こんにちはと、そうすると中から……
てめぇか?あんテメエが俺様を起こしやがった糞野郎はテメエか?と優しい女の子の声がしたので……
床めがけて投げつけてやった、ブギャ!と何か悲鳴みたいなものが聞こえたが、聞こえなかったことにした
床に転がる「目薬」を拾い上げ、勢いよく上下左右に振ってみてから、箱をそーっと開けた
中には赤くなった目薬が目を回して倒れていた、僕はそのまま箱を元に戻し、そのドラッグストアーから去りました
>>600 魔法のランプ落ちかとおもったらラストでワロタw
>>600 >夏が終わりを告げようとしていたころだった
へー、夏の終わりかぁ。プールも花火も夏休みも終わり。なんだかさみしいよなぁ。
>棚の端にあっても存在感を感じさせていた
ふんふん。そりゃー気になるよな。
>生きてる生きて
目薬が生きてる生きてるおかしいだろ!生け簀のエビか!
>と感心しながら
感心すんな!!
>と優しい女の子の声がしたので……
ソリの入ったヤンキーだろ!
>床めがけて投げつけてやった
なげんな!!
>聞こえなかったことにした
なかったことにするのかよ!
>そのドラッグストアーから去りました
目薬買いに来たんじゃなかったのかよ!
そもそも
>僕が、その「目薬」を見つけたのは、夏が終わりを告げようとしていたころだった
「夏が終わりを告げる」ぜんっぜん関係ねぇだろ!!!
ちょっとついていけない超展開にワロタ
面白かったがショートショートでなければ投げ捨てる微妙なバランスで成り立ってる作品だなw
「おい!」
「・・・なんだよ」
「生きろよ!」
「・・・いやだよ」
「生きてくれよ!」
「・・・いやだよ」
「このままでいいのかよ!」
「良い悪いの問題じゃないんだ」
「なんでだよ!」
「理由はあるけど、関係ないよ」
「そんな理由があるもんか!」
「こんな理由もあるモンだ」
「ねぇよ!」
「ふぅん」
「・・・なんだよ」
「だったら」
「だったら?」
「死ねよ!」
「な、なに言ってんだよ。やだよ」
「いまの君と同じ気持ちになったよ。さっき生きろって言われたときにね」『終』
ぐーぐるアース
僕のPCの中で地球が回ってる、ぐるぐるぐるぐるとグーグルアース
マウスのホイールとかいうのを回すと、地球に近づいていくよ、ぐんぐんぐんぐんとグーグルアース
左クリックすると、好きな方向へと行けるよ、どこでもいけるよ、旅に出ようよグーグルアース
右クリックすると、地球に近づいたり、遠のいたりするよ、ぐんぐんぐんぐんとグーグルアース
こんな高性能なソフトが無料で遊べるよ、ありがとグーグルさん、いつもググれカスとか罵ってごめねグーグルアース
>>602の手法での感想はいいね。これはこれで一つの作品で
2度楽しめました。
602さんまたお願いします。
「もうねーなんでもいい」
昨日から、雨が続いている、雨の中、僕は近所のドラッグストアーへと向かった、目的は新製品の歯磨き粉だった
ライオンとかサンスターとか大手の商品ではなく
パートのおばちゃん達が雑談しながらチューブに練り歯磨きを詰め込んでいるような、場末感が溢れるような企業の商品だった
前々から、この会社の製品が好きで好きでたまらない僕は、新製品が出るのをまだかまだかと心待ちにしていたほどだった
ついにというか、ようやくというか、やっときたというか、新製品の広告ががスポーツ新聞のテ欄脇に掲載されたのだ
それを見た僕は、これがインターネットだったら、容赦なくクリッククリックと雄叫びを上げながらクリックするほど歓喜した
歓喜のあまり、僕は新聞を手にコンビニからダッシュで走り出して家に帰ってしまったほどだ
僕の後ろをコンビニの店員が歓声を上げなら走っていたこともいい思い出さ
家に着いた僕は、嬉しさのあまりお気に入りの歯磨き粉で歯を磨いたりして体を使って嬉しさを表現してみた
それを見て母親が涙を流して喜んでくれていた、新製品の広告を見た日の夕方だった
それは置いておいて、僕はドラッグストアーに向かったよ、ダッシュで、――ダッシュしゅ!
僕は自分の目を疑ったね、だってそうだろ、こんなに心待ちにしたのに、裏切られた気分だったんだぜ?
分るかい?この気持ち、このやり場のない怒りが、売り切れとか発売延期とかちゃちいもんじゃないんだぜ
簡単に言えば、店のシャッターが閉まっていた、閉まっているだけならいい、待っていればそのうち開くから
だけどな、シャッターに張り紙がしてあったんだよ、長い間ご愛顧ありがとうございましたってさ
もうねー目の前が真っ暗になったぜ、目から熱い物がこみ上げてきたんだぜ?
このだぜ?て表現、今風でかっこいいんだぜ?常考みたいに、一体何を意図してるのかさっぱりなところがかっこいいんだぜ?
ま、結局さ、俺を応援してくれているコンビニで歯磨き粉を買ったんだけどな
そして、今さコンビニの店長と向き合って、こないだのことについて話してる最中なのさ!早く歯を磨きたいんだぜ?
608 :
名無し物書き@推敲中?:2007/09/13(木) 18:47:25
「ショートショートを作る現実主義な小説家の手記」
1行目:とりあえず場面を思い浮かべさせるために「ある晴れた日の事」と書く。
2行目:話の登場人物を簡単に紹介しておこう。「二十代の男が歩いていた。」
3行目:うーん、何か事件を起こそう、まずは前フリを書かねばなるまい。「男がつまづいた。」
4行目:つまずいて、どうなるのだろう?と読者に考える時間を与えよう。「随分と派手につまずいた。」
5行目:おそらく、穴に落ちればそれなりに面白くなるだろう。「男は大きな穴に落ちた。」
6行目:穴はとても深いものにしよう。「どんどん落ちていく。」
7行目:「ついに底についた。」さあこれからどうしようか。
8行目:高いとこから落ちたら潰れて死ぬのが普通だ。「男は潰れて死んだ。」
9行目:何だか詰まらない。ミステリアスなオチを付けよう。「男が死んだことに気付く者は誰も居なかった。」
「ある晴れた日の事。
二十代の男が歩いていた。
男がつまずいた。
随分と派手につまずいた。
男は大きな穴に落ちた。
どんどん落ちていく。
ついに底についた。
男は潰れて死んだ。
いつになっても誰も男が死んだことに気付かなかった。」
私は泣いた。
609 :
名無し物書き@推敲中?:2007/09/13(木) 18:54:37
だめだ もう涙を我慢できない
こんなのってひどい
私は何が辛いのか自分でもよくわからないけど
でも、本当にひどいよ
世界は私を受け入れてくれない。
私は今日も
今までだって
ちゃんと歩いてきたのに
私はただ知りたいのに
ただ好きになりたいのに
好きになってほしいだけなのに
ただ幸せになりたいのに
あたしは、あたしは・・・
ねえ、誰か、私の声を聞いて
私はもっと、ちゃんと強い人になるから
そうしたら、お願い
いつか誰かちゃんと私のことを見て。
610 :
名無し物書き@推敲中?:2007/09/13(木) 19:04:06
「どもり」
コンビニに行ったら出刃包丁をもった強盗が押し入ってきた。
強盗がこんな事を言った。「動くな!動いたら、さ、さ、さ、刺すぞ!!」
こういう事にあまり慣れてないらしくて、ややどもっていた。
俺は我がおやつにふさわしい菓子を物色していた。
そしたら店長が慌てふためいて「ちょちょちょちょっと危ないですよ!」っていってなぜか俺を止めようとして歩いてきた。
こういう事態に慣れていないためか、ややどもっていた。
俺は落ち着いて強盗の方に歩いていった。店長が足首をつかんでいて歩き辛かった。
店長が半泣きで叫ぶ。「うう、う、う、う動いたら刺されちゃいますよぉー!」
強盗も半狂乱で叫ぶ。「ううう、う、う、動くな!さ、さ、刺すぞぉー!」
二人ともこういう状況になれていない為か、ややどもっていた。
俺はそれらを無視して強盗に言った。「包丁、柄と刃が逆ですけど・・・」
強盗はかなり動転していたらしく「ななななんだって?直してくる!」と言ってコンビニを出て行った。ややどもっていた。
足元でめそめそ泣いている店長にもアドバイスを言っってやった。「店長さん、そこに催涙スプレーが置いてあるじゃないですか」
店長は「ああそうですよね!ぼぼ、ぼ、僕も催涙すプレーですね!」と意味ありげなことを言ってレジに戻った。ややどもっていた。
「こここここここここここここここここれ下さい!フヒヒ!」
俺は本性をアピールしつつプッチンプリンを買って帰った。外出に慣れていない為か、ややどもっていた。
611 :
名無し物書き@推敲中?:2007/09/13(木) 19:15:04
そう思って乳首の脇
を強く強く吸った。少
し冷たい肌を唇で引っ
張る。
「何……してるんです
か」
彼の声がした。起き
たのだ。
「なにって、ほら、見
て」
乳首のすぐ脇にうっ
すらと。もう一つ乳首
があるかのように紅い
跡が滲んだ。
「困っちゃうでしょ、
こんなことされて」
意地悪したのだ。
彼は、ゲイの男達に
抱かれて日銭を稼いで
いる。それなのにキス
マーク。僕には特定の
人がいます、とでも主
張しているかのような
身体になった。
(自分だけ寝ているか
らよ)
612 :
名無し物書き@推敲中?:2007/09/13(木) 19:27:04
「小さな子供」
子は、親に自分の夢を語っている。
純真なその子の目は輝いていて、時折身振り手振りも入った。
「ねえ、お母さん!」
「なあに?」
「あのね、僕ね、大きくなったら絵描きさんになるの!」
「そうなの。頑張ってね。」
「それでね、色んな建物にお絵かきしてあげるの!」
「素敵な夢ね。頑張ってね。」
「それでね、それでね…」
・・・
・・
後にヘリに乗って上空から丸ビルに青ペンキを300gぶっかけて逮捕された男の幼少期である。
「末期少女」
俺の嫁は普通の生活をしていれば、高校一年生だったはずだ
円交、今の彼女と知り合ったきっかけ
円交、今、俺が愛する女と知り合ったきっかけ
円交、俺の子の母親の元職業
円交、俺が取り締まる人間たち
俺が地方都市の巡査長になって数年が過ぎた頃、ある少女と出会った
その少女は体を売りながら、生活をしている少女だった
初めて少女と出会った時、頬はやつれ、体は痩せこけ、髪は抜け落ち、とても生きている人間に見えなかった
少女は生きるために、自らの体を携帯で知り合った男にに金で売り渡す、円交少女、売春婦だった
よく中学生が円交というが、彼女らの認識だと逆で、売春婦が中学に通っているが正しかった
つづく
「ドモリ強盗の使い魔 コンビニ強盗達の休日」
校外の県道脇にある一件の大手コンビニチェーンがあった、ある日、そのコンビニに一人の強盗が押し入った
「ううううう、動くな! 好きでコンビニ強盗してるんじゃないんだからねッ!」
なぜかやたら、少し前に流行ったツンデレを口調のコンビニ強盗だった
俺は、おやつのジャカリコEXを握りしめ、呆然と立ちつくしていた、ツンデレ? ツンデレなのか? 男なのに? 強盗なのに?
コンビニと言えば、女子高生のやる気のないバイトがイメージに沸くが、腹の出た中年男が出てきた、店長らしかった
「ざけんな、てめえら引っ込んでろ! この店に仇なす奴は皆殺しジャー!」といってなぜか涙目で俺に喧嘩を売ってきた
喧嘩になれていないのだろう、店長らしき男は涙目だった、白目が真っ赤に充血していた、痛々しい
俺は、落ち着いてバイトの女子高生の方へと歩いていった、女子高生の生足に惹かれたのだ
店長の涙目が気になったが、中年男には興味ないので、華麗にスルーした
「ううううう、動いたら、刺されちゃうんだからねッ!」あくまでもツンデレ店長だった
「ううううう、動いたら、刺しちゃうんだからねッ!」強盗犯もツンデレだった
二人とも、本当のツンデレを理解してなかったので、ぎこちなかった
俺は、納得いかなかったので「ノボル神のゼロの使い魔を見るなり、読むなりしてルイズを見習えばいいと思うよ」と言った
店長と強盗は感動したらしく、「ノノノノノボル神とルイズは最高だよね」と言って、ゼロについて語り始めた
レジ前でゼロ話に花が咲く店長と強盗犯に「店長と、そこのおまえ、邪魔。死ねよ、グクレカス」と言ってやった
「ここここここのバカ犬ッ!」
女子高生が本性を出しながら、俺をお持ち帰りはぅーと萌えに慣れていないためか、ぎこちなかった
あれ? ツンデレは?
「ある萌え作家の過去」
子供の頃に自分の夢を親に語ることは、誰もが通る道だ
素直で純真な子供ほど、親に自分の夢や未来像を語る、手振り身振りで語る
そんな子供のお話
「ねえ、ママ」
「なんじゃらほい!」
「あのさー俺さー、デカくなったら文章で飯食っていきたいんだよね」
「やめなさい。んな893な職業は」
「だからよーいろいろ本屋で立ち読みしたわけよー俺」
「だから、やめなさい、そんな夢絵ゾラ事みたいな893話は」
「だからよーあーでこーで、ツンデレやヤンデレ、あげくのはてに空鍋っていうの?」
三点リーダー
二点リーダー
後に、ツンデレアニメの原作者として、儲たちの間で伝説になった萌え作家の幼少期であった
>>608 >「ショートショートを作る現実主義な小説家の手記」
締め切りに追われ、何としても仕上げないとダメなんだろうなぁ。仕事だもんなぁ。
> 1行目:とりあえず場面を思い浮かべさせるため
> 2行目:話の登場人物を簡単に紹介しておこう。
> 3行目:うーん、何か事件を起こそう、まずは前フリ
おお、起承転結の「起」。ゆっくり立ち上げ、読者に分からせる。プロ意識を見た。
> 4行目:つまずいて、どうなるのだろう?と読者に考える時間を与えよう。
> 5行目:おそらく、穴に落ちればそれなりに面白くなるだろう。
そろそろ「起」を起こし終わり、「承」に移るんだな。とりあえず何かやらせるね。参考になるな。
> 6〜7行目:さあこれからどうしようか。
うん、「転」を迎えたんだな。クライマックス。いよいよ次は「結」かな。
> 8行目:高いとこから落ちたら潰れて死ぬのが普通だ。
エェー、オチてない。それ、オチてないよ。
> 9行目:ミステリアスなオチを付けよう。
お、「結」を切り替えた。臨機応変。さすがプロ。
> 「ある晴〜気付かなかった。」
さて、完成だね。さて、通して読むと……
> 私は泣いた。
出来上がりのこのつまらなさ。そりゃ泣ける。俺も泣ける。全くの徒労。
減らないノルマの苦悩感、そして目の前にはどうしようもない駄作。吹き出した。
>>609 >だめだ もう涙を我慢できない、こんなのってひどい
いったい、どうしたの?なにがあったの?
>私は何が辛いのか自分でもよくわからないけど
わからないんじゃ、わからないよ。
>でも、本当にひどいよ
ねぇ、なにがひどいの?
>世界は私を受け入れてくれない。
大丈夫、ぼくが聞くよ。ぼくがいるよ。
>私は今日も今までだってちゃんと歩いてきたのに
そうだね、いつも頑張っているよ。
>私はただ知りたいのに、ただ好きになりたいのに、好きになってほしいだけなのに
何を知りたいの? 何を好きになりたいの? 誰から好きになってほしいの?
>ただ幸せになりたいのに
幸せじゃないの? ねぇ、何が辛いの?
>あたしは、あたしは・・・
うん……
>ねえ、誰か、私の声を聞いて
だ、か、ら、こっちの話を聞けって!
>いつか誰かちゃんと私のことを見て。
なんでこっち見ない、なんで必死に目をそらすんだよ!……ねえ、ねぇねぇっ!!
「感想書くな! 物語を書け!」
僕が偶然立ち寄ったスレ
ショートショートを作るスレだった
住人の大半はない知恵を絞り、ショートショートを書いていた
しかし、なぜか人の書いたショートショートに余計なつっこみを入れる輩が現れた
つっこみに知恵絞るなら、ショートショートを書けと俺は内心思った
620 :
名無し物書き@推敲中?:2007/09/15(土) 01:50:59
感想に起承転結付けてどうすんだよ
【壊れたメリーゴーラウンド】
ある寂れた広場に壊れて動かなくなったメリーゴーラウンドがあった。
少女がメリーゴーラウンドに話しかけた。
「メリーさんメリーさん、どうしてあなたは回っていないの?」
「分からないのです。いつの日か、回らなくなったのです。」
「きっと壊れたのね。直らないのかしら?」
「直らないのです。技師さんがいないと、直らないのです」
「私が直してあげましょうか?」
「あなたは技師さんなのですか?免許はお持ちなのですか?」
「うふふ。残念だけど技師さんじゃないの。でも直せるかもしれない。乗ってもいいかしら?」
「どうぞ、どうぞ。また回れるのならいくらでも乗せます。」
それを聞いた少女はメリーゴーラウンドに飛び乗り、馬の人形が設置されている柱が伸びる穴を手荒くゴソゴソと探り始めた。
「あったわ!」
そう言うと少女は馬の作り物の下にある稼働部分から赤い靴を取り出した。すると台はみるみる回転を始めた。
「あぁ、ありがとうございます。これでまた回ることができます。本当に感謝します。」
「気にしなくてもいいの、子供の頃誤ってここに靴を挟めてあなたを止めてしまったのは私なの。」
「最近思い出したのよね。あの頃は拾うことができなかったけど、今ならと思って来てみたの。」
「・・・ところでメリーさん、回転が速すぎない?帰りたいので止めてほしいんだけど。」
-数日後、ゆっくりと回る壊れたはずのメリーゴラウンドのそばで柱に激突し絶命した少女の遺体が発見された。
数年ぶりに動いたメリーゴーラウンドは停止した期間に集積した力を全て使い切るまで高速で回転し続けたのだった。
622 :
名無し物書き@推敲中?:2007/09/15(土) 18:55:54
「安っぽい感動をあなたに」
昔僕の家には小さな犬が二匹いた。二匹ともごく平均的な年齢で一緒に死んだ。
小さな僕は泣いた。 一生懸命に泣いた。
それが彼女たちに対するせめてものお礼だと思ったから。
でもそんなことも今では遠い昔の記憶にすぎない。
僕は彼女たちの何倍生きるだろうか?
僕は彼女たちの記憶に残っただろうか?
そして今日僕は久しぶりに布団を洗濯した。干し終わった布団は柔らかく暖かだった。
布団の下に手を潜り込ませた。温かい。この感覚は遠い昔確かに存在した あの犬達の温もりだ。
母が死に。 父も死に。 もう彼女たちを知るのは僕だけになってしまった。
あの思い出を共有できる人間はもういない。 走り回る黒と白の正反対の犬たち。
だんだんだんだん小さくなるその姿。 薄くなる記憶。
僕はいつの間にか元気を貰っていたようだ。
僕を見上げてニコニコ走る君たちを 誰も知ってはいないけど。
確かに君たちは 僕の脚を舐めていた。
僕の腕は覚えている 君たちの柔らかさ温かさを。
晴れた空に飛行機が雲で線を描く。 また布団を干さなきゃいけない
623 :
名無し物書き@推敲中?:2007/09/15(土) 19:18:29
「ショートショート」
ある朝男が目を覚ます。そして、家の外へ出かける。
すると、ロケットかUFOか隕石が空からふってきて、宇宙人がでてくる。
宇宙人は親しげに男に話しかけ、なにやら取引を持ちかける。
そして取引が成立すると宇宙人は本性を表し、男は絶望する。
それを心の裏側から眺めるのがショートショートの醍醐味なのだ。
624 :
名無し物書き@推敲中?:2007/09/15(土) 19:48:33
「世界の終わり」
「臨時ニュースです。間もなく世界は終わります。」
そういうとアナウンサーは足早に席を外した。
全てのチャンネルは砂嵐になった。ラジオも聞けなくなった。
外からもなにか聞こえてくる。「あと三十分で世界は終わります。」
何という事だ。こんな突然世界が終わってしまうなんて。
…友人に電話をかけようとしたら停電した。きっと発電機の責任者か誰かが逃げたんだろう。
どうして誕生日なのにこんな酷いことが起こるんだ。哀しくなってくる。
どうして世界が終わることになったんだろう。核兵器を誤射したのか?それとも凶悪なウィルスの蔓延?
友人の家に向かう。夜の十時だが電灯は切れている。懐中電灯で道を照らしながら歩いた。
途中、ベンチに座ってめそめそ泣いている女や叫びながら走り回っている男を見かけた。
友人の家に着く。停電のため真っ暗だ。チャイムを鳴らす。
友人がよろよろと出てくる。友人は狂っていた。哀しい。俺はそこを去った。
世界の終わりまであと四分。俺は何をすればいいんだろう。
何も分からないまま歩いていると路上で全裸の女が寝そべっている。
「ちょっとそこの君、私とSEXしない?」女が絡みついてきた。
しかし間もなく女は断末魔を上げた。狂った人間に包丁で心臓を刺されたのだ。
俺は狂った男をはり倒し頭を一発蹴飛ばして逃げ出した。
家の近くにある公園で立ち尽くしていると空が急にまぶしくなった。ああ、何もかも終わってしまうのか。何もかも…
世界が終わると言うのに発電機の責任者は最後の瞬間まで働いて当然、という思想におぞましいものを感じる
「読むのが面倒だから」
三行にまとめろ、グズ
【おかえりおばさん】
僕の学校からの帰り道にいつも同じおばさんが立っている。
おばさんはいつも「おかえりなさい」と僕に声をかけてくる。
僕は自分の家でもないのに「ただいま」と返すのが苦手で、おばさんの存在が苦痛でたまらなかった。
そこで僕はある日おばさんより先に「いってきます」と声をかけた。
おばさんは一瞬、目を丸くしたがすぐに気を取り直して「いってらっしゃい」と言った。
僕はその日から毎日同じ手を使い、その場を切り抜けた。
ある日のことだった。
いつものように同じ手を使いその場を通り過ぎるとおばさんが後をついてきた。
僕はこのまま家に帰るとどこにも行っていない事を責められるんじゃないかと思い家に帰らずにコンビニに立ち寄った。
するとおばさんは一安心という様子で帰っていった。さぁ困ったぞ、と僕は思った。
また同じ手を使えば僕は毎日コンビニに来ないといけない。新たな手が必要だった。
僕はいつものようにおばさんがいる場所に行って「さようなら」と言った。
おばさんはまた一瞬、目を丸くしたがすぐに気を取り直して「さようなら」と言った。それで終わりのはずだった。
しかしおばさんはその後「また明日ね。」と付け足した。僕は特にそれには気をとめず歩き去ろうとした。
するとおばさんはもの凄い形相で走ってきて僕の腕を掴み「また明日ね。また明日ね。また明日ね。」と繰り返した。
僕は恐ろしくなりおばさんを突き飛ばし、家へ走って帰った。
次の日、あの場所におばさんの姿はなかった。
多分もう会うことはないだろう、と僕は思った。
「酔いどれ天国」
いつもの酒屋で安酒を買う
帰り道に栓を抜き、一気に飲み干す、ぷはー
んで、チャリを力の限りこぐと、一気に天国さ
629 :
名無し物書き@推敲中?:2007/09/16(日) 16:30:26
630 :
名無し物書き@推敲中?:2007/09/16(日) 20:56:06
トシ「あべさんが辞めちゃったね」
タカ「あべさだ?」
トシ「ちがうよ!総理のあべさんだよ。でも、もう、次の総理はだれだって、
話題になってるよ。ふくださんか、あそーさんかって」
タカ「ふくださんはぐんまだろ。顔も似てるから、おぶちさんを思い出すな」
トシ「そういうひともいるかもね」
タカ「♪さくらのはなび〜ら〜散〜るたびに〜・・・♪だよな。」
トシ「それはコブクロの小渕だろ!しかもおぶちじゃなくてこぶちだし」
タカ「ふくださんも、ブッチフォンみたいなのがあるんだろうな。
操作のラクな・・・」
トシ「それは『らくらくフォン』だろ!ってボケがくだらなすぎるよ!」
タカ「それかちっちゃい形の電話で、『これがホントの‘プッチフォン’
です』なんてな」
トシ「うるせえよ!それにしても、あそーさんはピンチみたいだね」
タカ「ああ、そう」
トシ「名前で相づちうつなっつーの!でも、あそーさんといえば、政界一の
マンガ読みってことで、有名だよね」
タカ「現実は『らき☆すた』のようにはいかないってことだな」
トシ「ちょっと!その例えは意味がわかんないよ!」
タカ「だって、あそーさん秋葉原が好きだって言ってたし。」
トシ「そういう意味じゃないと思うけど・・・」
タカ「まあ、あそーさんも、がんばって、『イッツ・ア・ソータイム!』
にって国会で言えるように頑張らないとな」
トシ「最後は駄洒落かよ!くだらねえよ!」
631 :
名無し物書き@推敲中?:2007/09/17(月) 01:37:33
「「最後」の日常」
目が覚める。学校に向かう。
「おはよー」
「ああ、おはよう」
「昨日ニュース見た?」
「うん」
「あれがさー…」
下らない話をしているうちに給食が出てくる。
「おいしいねー」
「ああ」
そして、下校。
家に着く。ドアが勝手に開く。俺はシャワーを浴びる。
俺の周りに人間は一人も居ない。母や父は謎の病原体で死んでしまった。
俺は不運にも唯一抗体を持っている人間に生まれてしまった。
いくら歩き回っても本物の人間はもう一人も居ない。
俺の周りには誰かが作った精巧なロボットしか居ないのだ。
食料はいくらでもある。偽者の友達と暇だって潰せる。
どれも、技術が進歩したおかげだ。
だけど、本物の人間は居ないのだ。
「もう終わりにしよう」
いつも仕事帰りによっているコンビニで、いつものように発泡酒を買いあさる
ついでにつまみも買う、レジデパートのおばちゃんとも顔見知りだ
家に帰ってきて、シャワーを浴び、買ってきた発泡酒をぐいぐいと飲む
ぷはーーと息を吸い出し、夜空を見上げると一番星が輝いている
隣には猫がごろごろ言いながら、体をなすりつけてくる、種を超えた愛情表現に少しほほえましく思える
一本目が空になる頃には、ほろ酔い加減と空腹になり、二本目を煽りながら、台所にたち軽く料理をする
料理ができあがる頃には三本目を飲み始め、本格的に食べ始める頃には四本目を開けていた
TVを見ながら、作った料理を箸でつつき、発泡酒を飲む、そろそろ腹が膨れてくる
前に買った、麦焼酎を取り出し、ロックで飲むところまで記憶がある
気がつくと、床の上で猫と一緒に寝ていた、もうこんな生活嫌だ度思った、そんな初秋の夜のこと
633 :
名無し物書き@推敲中?:2007/09/17(月) 13:51:41
「だんだん具体的に」
ある昼下がり。俺は、野暮用でコーラを飲みつつ歩道を歩いている。
すると、頭上に大きな鉄球が降ってくる。
「うわっ」
目が覚めると、もう午後十二時を過ぎている。
携帯が鳴っているので俺は電話に出る。
「もしもし?」
「おお山田、今日遊べるか?」
「遊べるけど?」
友人の鈴木からの電話だ。
俺は歯を磨きシャワーを浴びて、朝昼兼用の食事を取り、服を着替えて外に出る。
そして途中、自販機でコーラを買う。
コーラの缶を開けると、プシュっと炭酸のぬける音がして、
一口口に含むと、炭酸と心地よい甘味が口に広がる。
そして「やっぱり美味しいな」「今日は、何して遊ぼう」などと考えていると、急に空が暗くなる。
(なんだ?)と思い俺は上を向く。
すると、半径ニ・五メートルほどの鉄球が、俺の頭上めがけて降ってくる。
「わあっ、夢か…」
俺は目をさます。
634 :
名無し物書き@推敲中?:2007/09/17(月) 18:23:00
635 :
名無し物書き@推敲中?:2007/09/17(月) 18:29:15
日本革命軍
冷戦が終結し30年が過ぎた。
中国人民解放軍による大規模なアジア諸国侵攻作戦が開始されるという情報が流れる。だが国連がそれを止める所か多国籍軍は共に侵攻作
戦に参加するというのだった。反戦主義者である日本人佐口数人は侵攻を止めるべくF-15J部隊を纏め反侵略組織、日本革命軍を結成する。
第一章 独立とその影
隊員を集結させた作戦室にて、阪田戦闘隊長(元二等空佐)が口を開いた。
「こちらもついに戦闘準備を開始する。米中軍率いる統合軍の第一侵攻地点はモンゴル南部、インド東北部、ネパール、ミャンマー! A隊B
隊はモンゴル、C隊はミャンマー、D隊はネパール、E隊F隊はインド、以上各地へ移動準備開始!」
各国の空軍基地に到着した革命軍は正規軍のCommanderとしての役割を担当し、侵攻を阻止する為のあらゆる防衛作戦を提案する。だ
が統合軍の侵攻作戦は予想よりも早かった。
ビーッ! ビーッ! ビーッ! とサイレンが鳴り響く。
「敵襲、A隊は直ちに出撃せよ!」
南方からSu-30MKK2戦闘爆撃機5機の編隊が接近、戦闘開始である。
こちらはAWACSによる支援の御陰で先に捕捉でき全機撃墜。今回は無事侵攻を阻止する事ができた。
翌日、田畑副隊長(元一等空尉)が中国北部へ強行偵察をしてきた。
「偵察に回った3つの空軍基地にて米軍機や仏軍機が配備されている、B-2爆撃機まで用意して本格的に侵攻準備を開始しているよ
うだ。上空からの偵察ではこの程度しか分からなかった、だがとにかく防衛に尽くすしかない」
統合軍の展開の早さに動揺を隠せない隊員達。しかし考える間も無く、またも敵が侵攻してくるのであった。
つづく
「ぼくのうた」
歌が好きだ、歌が好きだ歌うのが好きだ、歌でみんなを感動させるのが好きだ
嘘だ
オマージュ
「で」
「で?」
「そのな」
「うんうん」
「ネタがない」
「そんな筈ない」
「もう出尽くした」
「諦めてどうすんだ」
「登り坂にいるみたい」
「後一歩だろ、頑張れよ」
「あっ、ひらめいたぞ」
「へえ、どんなの?」
「オマージュする」
「それいいかも」
「ここからは」
「からは?」
「下りだ」
「だな」
「ん」
638 :
名無し物書き@推敲中?:2007/09/18(火) 07:08:50
日記
今日は、
ムール貝と北海バイ貝サフランソース
ズワイガニとポテトのミルフィーユ
オマール海老のグラタン
エゾ鹿のローストカシス風味
猪バラ肉のロースト香草風味
糸よりのポワレ南仏風
北海道産ホタテ貝柱のポワレ入りスープ
仔羊のローストタイム風味
佐賀牛モモ肉のステーキマデラーソース
を食べた。
639 :
名無し物書き@推敲中?:2007/09/18(火) 14:00:16
自分のしでかしたことに意味が分かってきたか
おまえは常に時機を逸するウスノロ
俺の影に怯えながらスレッドを開けるんだな
ばかやろうwww
640 :
名無し物書き@推敲中?:2007/09/18(火) 19:34:24
(^∀^)y―┛~~
(∩∩)
641 :
名無し物書き@推敲中?:2007/09/18(火) 23:25:10
トシ「いま、『エヴァンゲリオン』がまた流行ってるみたいだね」
タカ「ああ、あれだろ。『もういちど、あなたと合体したい。』ってやつ」
トシ「ちげえよ!それは『アクエリオン』だろ!でも、『エヴァ』もその
『アクエリオン』も、パチンコからブームがアニメ好きな層以外にも広まったと
されているんだ」
タカ「アッコさんも、パチンコで『エヴァ』を知ったみたいだからな」
トシ「そうみたいだね」
タカ「『逃げちゃだめだ逃げちゃだめだ逃げちゃだめだ・・・』」
トシ「へえ、アッコさん、その台詞も知ってるんだ」
タカ「『マリンちゃ〜〜ん・・・あぁ〜〜』って」
トシ「おい!それは違うパチンコの台だろ!」
タカ「でもいま公開してる映画版もすごいんだろ、『エヴァ』は」
トシ「うん、とくに今回はラストの『ヤシマ作戦』っていうのが圧巻なんだ。
ラミエルっていう、幾何学的な動きをする使徒がいてね。」
タカ「ふーん、身体が透けてるんだ」
トシ「そうだけど・・・なんで知ってるの?おまえ、まだ観てないって言ってたじゃん」
タカ「いや・・・『裸(ら)見える』ってことで・・・」
トシ「駄洒落かよ!もういいよ!」
ここ何本か見てるけど
全体的に無駄に長いね。
さらに長さを半分にすると
ネタが生きてくるかも。
俺もそう思う。
ゼロにすると完璧だな。
そうだね、コピペする奴も一緒に消えるとなおさらいいよね
犯罪者残飯による歴代被害者のみなさぁ〜ん、観てますかぁ!
これが負け犬残飯の惨めな実態ですよぉ!
ジジイに手も足も出ないでやんの
ぶははは!
646 :
名無し物書き@推敲中?:2007/09/22(土) 17:04:11
「写らない」
俺は十六歳くらいから写真に写らなくなった。
記念写真はおろかレントゲン撮影も出来ないのだ。
そしてある時俺は近所の霊感が強いオバサンにみてもらった。
するとおばさんはこう言ったのだ。
「貴方の周りを無数の霊が囲んでいる」
俺はぞっとした。何故なんだ。
おばさんはさらにつづけて言った。「原因は一人の女性ね。貴方にそっくりの・・・」
俺はさらにぞっとした。
俺は女装の趣味があったのだ。
どうして美人でもない俺の女装にファンがいるのか。
原因は明白だった。
俺はホラー映画に出てくる幽霊の女の真似ばかりしていたのだ。
俺は自分を恨んだ後、糞をして寝た。
647 :
名無し物書き@推敲中?:2007/09/23(日) 22:14:20
トシ「また痛ましい事件が起きたね・・・」
タカ「すいませんでした。陳謝します。うちのトシがまた鉈で人を・・・」
トシ「こら!勝手に人を殺人鬼にするな!父親を娘が殺しちゃったっていう
事件のことだよ」
タカ「そんでこいつが言ってたんですが、『すいませんでした。鉈は切れ過ぎますね。
今度からは鎌にします』と・・・」
トシ「大麻所持で捕まったときの中島らもみたいなこと言うな!」
タカ「でも俺なんか鉈なんか怖くて持てねえな」
トシ「まあふつうはそうだよ」
タカ「わたくしなんか、包丁も無理で。ニンジンを輪切りにしてたら自分の
人差し指まで切っちゃいますし。そんでそれ食べちゃいますし。」
トシ「単なるバカだろ!もういいよ!」
648 :
ユビアシ:2007/09/23(日) 23:14:14
壁の黒い染みの中から、ユビアシが出てくる。
指足。それは黒いかたまりだ。ぶよぶよしたナマコのような胴体から、人間の指としか
形容できないものが何本も何本も突き出している。顔は、ある。あるが、無いほうがきっと
マシだっただろう。がさがさと気色悪い動きをして、そいつは俺の机の上にまで移動する。
最初にそいつを見たやつの反応は様々だ。その場でぶっ倒れる者、顔面蒼白に
なる者。胃の中身を全部吐き出す者。無意識のうちに見なかったことにする者。
色々な奴がいる。もっとも、誰かに見せびらかすために連れ歩くつもりはない。
ユビアシはこの世のものではない。悪魔だ。しかしキリスト教の正当化のために
理不尽に弾圧された神格、という意味のオードソックスな悪魔ではない。
エサを欲しがるユビアシに、俺は引き出しから髪の毛の束を取り出し、ピンセットで
食わせてやった。ユビアシは食った髪の毛の主から力を奪う。食事はそのまま呪い
となる。キーキーとガラスを引っかくような声を上げて、ユビアシは髪の毛をちゅる
ちゅると飲み込んだ。このときだけは、胎児のようなユビアシの顔が、視界に入ることを
我慢しなければならない。
ユビアシは悪魔だ。人間が規定するありとあらゆる生理的嫌悪が、ユビアシには
詰まっている。存在そのものが狂気を振り撒く。重力まで歪んでしまった錯覚。
頭をハンマーで殴られたような。未だに、こいつを見るのに慣れることはできない。
最近、エサをやるのが面倒になった。長年続けてきたこの行為・・・儀式も、そろそろ
限界がきたようだ。俺はユビアシに声をかけた。俺はもうお前にエサはやれない。
ユビアシ、お前のことを知っている奴のところに行って、そいつにエサをもらいなさい。
つまらん、なにがつまらんてタカとトシがだ
もう寒くて見てらんない
何故彼らはあそこまで寒くできるのだろうか
きっとそれが特技なのだろう
650 :
どっかーん!:2007/09/23(日) 23:20:34
>何故彼らはあそこまで寒くできるのだろうか
残飯のNGワードネタより寒いか?
651 :
名無し物書き@推敲中?:2007/09/24(月) 04:31:10
タカ「いやあ、寒いですね」
トシ「いきなりそういうこと言うな!」
タカ「こう寒いとなるとね・・・」
トシ「へこみすぎなんだよ!ちょっと言われたぐらいで」
タカ「いやぁ、あつがなついね。」
トシ「何言えば面白いのか考えすぎてワケわかんなくなっちゃってるよ!」
タカ「特技ですから・・・これ・・・」
トシ「やめろおおおっっっ」
タカ「ま、細々とやっていきますんで。ではここでひとつ。
黒猫とかけて、我々の漫才ととく。
そのこころは、どちらも『おもしろくない』と。うまいね。」
トシ「うまくもねえよ!いいかげんにしろ!」
>>648 なんか惜しい希ガス
もうちょっと短くして
最後に自分の髪を指足に喰わせれば破滅的で面白かったかも
残飯のツラは破滅的で面白いwww
654 :
名無し物書き@推敲中?:2007/09/24(月) 21:22:17
トシ「ビリーズブートキャンプはすごい人気だね。ついに、ビリーが歌手
デヴューするって」
タカ「ああ、あれだろ。エムズ・フィーチャリング・佐山雅弘みたいなもんだろ」
トシ「フィーチャリングしか当ってねえよ!『ブートキャンプ・フィーチャリング・
コマンダー・ビリー』だよ!」
タカ「しかし、クソ長い名前だな。『ゆず』ぐらい短縮できなかったのかね。」
トシ「『ゆず』は別に略してるわけじゃないんだよ!ふたりが柚子好きってだけなの!」
タカ「でもビリーはホントは隊長じゃないんだろ?」
トシ「たしかに、軍曹程度だったっていう意見もあるけどね。」
タカ「軍曹っていったら、ルービック・キューブリック監督の『フルメタル・
パニック!』に出てくるカートマン軍曹だな」
トシ「突っ込むところが多すぎるよ!ルービックキューブじゃなくてスタンリー・
キューブリックだし、『フルメタル・パニック!』じゃなくて『フルメ
タル・ジャケット』でカートマンじゃなくてハートマン軍曹だ!」
タカ「『このビッチ野郎!』」
トシ「だからそれは『サウスパーク』のカートマンだろ!二度言わせんな!」
タカ「でも、言ってることはそんな変わんねえと思うぜ。『もっともっとぶって』
だっけ?」
トシ「それは岡山の姫井さんだって!」
タカ「まあ何はともあれ、俺もやってるんだよね。ビリー」
トシ「へえ、おまえみたいなデブでもよくやる気になったな」
タカ「付属の、『ビリー・バン・バン』も10個ぐらいウチにあるし。」
トシ「『ビリーバンド』だよ!って最後は駄洒落かよ!くだらねえよ!」
タカ「『・・・・・・・・・よそう、また夢になる』」
トシ「強引に『芝浜』持ってくんな!また『寒い』って言われるぞ!」
タカ「・・・・・・冷え〜〜〜」
トシ「いい加減にしろ!!」
655 :
名無し物書き@推敲中?:2007/09/25(火) 00:34:41
「いい加減にしろ!!」
>>654 『フルメタル・ジャケット』ネタでもう少し突っ走ってほしかった。
起床した部屋に、緑色の丸が落ちていた。
一つや二つではなく、五つも落ちていた。
未知の物体は手に取ると、身体の中に溶けていく。
身体に異常はない。いや、あった。全身に力がみなぎった。
五つすべてを消化すると、指からは熱光線がでるし、軽くスキップすれば天井に尻が届いた。
壁に手を当てれば、めり込んで隣の部屋に突き出る始末。
これは凄い。意気揚々ドアを開けて、外にでた。途端に、力は消え失せた。
そうか、ドアから出てはいけなかったのだなぁ。
恐ろしく速い亀だ。
亀が何を食べて生きているのか、そんなことは今まで気にならなかったから知らない。だがきっと、この恐ろしく速い亀は、何かを食べるために恐ろしく速い亀になったのだ。それが生き物の本分だからな。
そんなことを考えてるだろう雌猫のミーに、僕は教えてやった。
こいつは生き物じゃないから、恐ろしく速く走るために、何かを食べるんだよ。
ふわふわと木の葉が一枚舞っている。ふわふわ、ふわふわ、ふわり。
ふわふわと実に三時間、一度も地面に落ちることなく風を捕まえては、ふわふわ、ふわふわ、ふわり。
凄いぜ。と神様は呟いた。
七つのクレヨンがありました。
七つ全てを使って絵を描いたら、夜の絵が完成しました。
七つ全てを使ったので、外はもう真っ暗。絵と同じですね。
宇宙人がこっそりとやってきて質問した。あれは何?あれは花火。ああいうの、地球人は好きなの?さあ、僕は好きだな。ふうん。
宇宙人はこっそりと夜空に消えていった。
夜空を埋め尽くす、円盤の大群。虹色の光を、はちゃめちゃな音とともに夜空に放つ。テレビじゃ大騒ぎの特番が組まれたが、視聴率は低いだろうな。街じゅうの道が見物人でごった返してる。みんな不安げな表情で、この世の終わりを嘆いているようだ。
うん、こういうの僕は好きだな。
>>661 地球人を喜ばせようとする宇宙人と、この世の終わりかと不安げな表情の地球人の
対比がおもしろい。
1 宇宙人がぼくに質問した理由
2 宇宙人が地球人を喜ばせようとした理由
これらが描写させていると、よかったな。
663 :
名無し物書き@推敲中?:2007/09/26(水) 00:38:42
>>656 タカ「実は俺、『フルメタル・ジャケット』観てないんだよね」
トシ「何だそれ!じゃあどうしてハートマン知ってんだよ!」
タカ「『ロリヰタ。』は見たんですけどね。」
トシ「それは嶽本野ばらの小説だろ!くだらねえよ!」
タカ「でもなんとなく『プライベート・ライアン』よりは面白そうだって
思うぜ」
トシ「ふーん、そうなの。」
タカ「でも私は『E.T.』の方が好きですけどね。」
トシ「いつキューブリックからスピルバーグの作品に話が移ったんだよ!」
タカ「ま、これぐらい引っ張ればいいですかな?」
トシ「何で上から目線なんだよ!しかも引っ張るの意味が違うよ!
いい加減にしろ!」
「いい加減にしろ!」
トシ「
>>655のレスみたいに返事すんな!『タカ』って名前も入れろ!」
664 :
名無し物書き@推敲中?:2007/09/27(木) 01:27:51
子ぐまは雪をみるのが夢だった。親ぐまは子ぐまの夢を叶えたくなかった。
「いいかい?絶対に寝なくてはだめよ」
親ぐまはしっかり、念をおした。
「わかった!ぼくきちんとねるよ」
子ぐまはこっそり、寝たふりをした。
いつまでたっても、雪はみえなかった。
子ぐまはお腹がグルグルすいていた。眠くてフラフラしてきた。
もうつかれた。子ぐまはウトウトと、目を閉じようとした。
ハラリハラリ、白い雨が空から降ってきた。
子ぐまはおどろいて、外へ飛び出した。子ぐまは空を見上げた。
真昼の太陽の光のように、夜中の流れ星のように。
「雪だ」
外は寒かった。雪は冷たかった。
子ぐまは空を見上げ、両手を伸ばし、光と星を集めた。
子ぐまは雪を抱きながら、静かに夢をみた。
夢は叶えてはいけないよ
夢は寝てみるものだから
親ぐまは、まだ温かい子ぐまを抱きしめた。親ぐまは、目をほそめ子ぐまをみつめた。
子ぐまはスヤスヤと寝ているようだ。
親ぐまの、真っ黒な瞳から涙がポロポロと流れ、子ぐまの頬に黒いシミができた。
いつのまにか、みぞれ雪はポトポトと、森に冬を知らせていた。
665 :
名無し物書き@推敲中?:2007/09/28(金) 22:59:47
タカ「あしたからテストなんだよ!」
トシ「だったら勉強しろよ!ここ来てる場合じゃねえだろ!」
タカ「解散しようとおもう」
トシ「おうべいかー」
タカ「真剣なんだ」
トシ「かいさんかー」
タカ「うん」
トシ「明日から無職かー」
タカ「普通の子に」
トシ「昔のアイドルかー」
667 :
名無し物書き@推敲中?:2007/10/04(木) 21:09:59
>>624 おい全然完結してないぞw
続きが気になって仕方ないじゃないか
すっげえ楽しく読んだんだよ
続き書いてくれよ
昔々お爺さんとお婆さんがおりました。
めでたしめでたし。
669 :
名無し物書き@推敲中?:2007/10/05(金) 11:10:23
じいさんはフラフラしていると時速100キロの車にひかれてめでたしめでたし。
670 :
名無し物書き@推敲中?:2007/10/05(金) 12:54:08
占い師
おれは今まで生きてきて、一度も女にもてた事がない。
刺激のない毎日、いつもの道を帰宅中に占い師の姿が目に入った。
占いには全く興味はなかったのだが、若い女の占い師だったので
ひやかし半分、手相を見てもらう事にした。
「あなたは近い内に女性に告白されますよ」
ばかばかしい。
そんなうまい話が急に起こるはずがない。
まあ、多少の暇つぶしになったかと思いながら家路についた。
それから数日後、会社帰りの途中後から女性の声が。
「私とデートして下さらない?」
まさかと思い、おれは振り返った。
「あなたに一目惚れしちゃった。」
そこには占い師の女性が笑顔で立っていた。
「殺し屋ギャロップ」
俺は殺し屋ギャロップ。
今まで始末した人数は100人を超えているプロ中のプロだ。
狙った獲物は逃がしはしない。
なぜ俺の名前が「ギャロップ(馬の駆け足)」かって?
別にこだわってる訳でもないし呼び方なんてなんでもいい。
もし俺の事を「鈴木」と呼びたければそう呼べばいいさ。
「田中」でも「新井」でも。たいした事じゃない。
だが俺が自分で名乗る時はギャロップ以外にあり得ない。
だから俺はギャロップ。殺し屋ギャロップだ。
どうしても名前の理由が知りたいか?
教えてやってもいいが無理だな。
聞いた所でお前は答えを覚えていられないだろう
なぜかって?
答えはかんたんだ。
俺の銃が今お前の後頭部を狙ってる。
振り向いて確かめるなよ?…振り向いたら…引き金を…
>>671 後ろを見るな フレドリック・ブラウン
収録 まっ白な嘘 東京創元社 絶版
673 :
名無し物書き@推敲中?:2007/10/11(木) 00:31:43
トシ「なんだか、世の中は大変なことになってるよね・・・」
タカ「全くだ。終わっちゃったよ・・・グスン」
トシ「おまえも泣くなんて、よっぽど心が痛む数週間だったんだな。」
タカ「しょこたんのラジオ・・・おわってもうた・・・」
トシ「おい!泣き真似までしてそれはねえだろ!」
タカ「何言ってんだ、あのラジオは俺が師と仰ぐ生島ヒロシさんのラジオ
を凌ぐ番組だったんだぞ。」
トシ「ふざけんなって!」
タカ「まあ、ここんとこ数週間を表すと、エリカ様に始まりエリカ様に尽きるな」
トシ「もっと色々あったろ!最初から最後まで沢尻だけかよ!」
タカ「まあ、途中に北の湖理事長の朗読下手が発覚したりしましたがね。」
トシ「見逃してやれよ!元はと言えば悪いのは元・時津風親方なんだから」
タカ「ああ、ビール瓶で殴ったんだろ。ひでえよな。普通の神経じゃねえって」
トシ「そうだね、それに加えて、皆で『かわいがり』と言ってリンチまがいの
こともしたって言うし。」
タカ「やたらとコーヒーが好きな警察官とか髪型が消しゴムそっくりな奴
が主人公なんだよな」
674 :
名無し物書き@推敲中?:2007/10/11(木) 00:33:21
トシ「それはデヴィッド・リンチの映画だろ!ってボケがくだらなすぎるよ!」
タカ「生まれてくる赤ん坊はなんかヌルグチョだったり、道端に片耳が落ちて
たりして・・・」
トシ「気色悪いからもうやめろ!そういえば、ミャンマーでは報道ジャーナリスト
の長井さんがデモ鎮圧の最中、犠牲になった。」
タカ「美人局にはめられたんだよな。可哀想に」
トシ「それは長井でも芸人の長井のほうだよ!ふざけんな!」
タカ「だけど、あの映像を見ても、俺はまだ色々合点がいかないんだよ。
そもそも、死の直前まで持ってたビデオカメラだって、戻ってきてない
わけだし。」
トシ「うん。戻ってきた遺留品の中には、たしかになかった。」
タカ「真実が明らかになってほしいと切に願うね。」
トシ「そうだね。」
タカ「まあ、俺の心残りは、まだあるんだけどさ・・・」
トシ「何だよ?言ってみてよ。」
タカ「『メガネドレッサー賞』で文化人部門受賞できなくって・・・」
トシ「ちょっと待て!いきなり何を言い出すんだてめえは!」
タカ「あれの授賞式で司会の富永美樹に『再び、特にありません』って
言ってやって、『スパモニ』のエリカ様の仇を・・・」
トシ「最後はやっぱりそれかよ!もういいよ!」
675 :
名無し物書き@推敲中?:2007/10/11(木) 06:18:35
>>673-674 10月上旬、気分上々 タカアンドトシ
収録 不謹慎の時間帯 白鳳社 絶版
676 :
どっかーん!:2007/10/11(木) 11:21:02
終わりか?バカペルガー残飯 ケッ、ざまァ見やがれ
「僕は黒いバイク」
僕は2週間前に僕は今のオーナーさんの所にプレゼントされてきた。
僕の事をビクスクって言う人もいるけど僕は立派な「バイク」だ。
ピカピカの黒いボディにちょこっとだけ赤い色が入ってる。
こんなかっこいいバイクはなかなか無いぞって自分で思ってるんだ。
それにこの新しいオーナーさんはちょっとすごい。
もしかしたら日本で一番バイクの運転がうまい人なんだそうだ。
お店でのイベントに来てくれたお礼に僕をプレゼントしてあげたらしい。
太っ腹の店長〜w
僕はとっても鼻が高いぞっ!
オーナーさんも僕の真っ黒なボディと赤いワンポイントがお気に入りで
いつもはレース以外だと車しか乗らないって言ってたのに
僕が来てからはちょっと出かける時も僕に乗って行く。
ブルルルルン!
僕もこのオーナーさんが大好きだ。
町でオーナーさんに気がつくと他のバイクがうらやましそうに僕をみる
そんなときちょっとだけ鼻が高いし運転も上手で無理な運転は全然しない。
雨の日は乗ってくれないのは残念だけどいつだってセル一発でエンジンを
かけさせてあげてる。
ブルルルルン!
でもこの前の夕方に僕は事故にあってしまったんだ。
流して走ってる僕の目の前に大きな
トラックが。
キキーーーーッ!。
僕もオーナーさんも力一杯ブレーキをかけてハンドルを切った。
がしゃん!
ずざざざざっ!
後少しだったけど、頑張ったけど結局避けきれなかった…
すぐに救急車がやって来てライダーさんを
乗せて行ったまま帰ってこない。
僕は顔が少しつぶれたけれどまだまだ走れる。
エンジンだってすぐにかけてあげる。
いつものちょいのりも楽しいけど今度は
紅葉の見える所に行きたいな
僕のピカピカの真っ黒なボディに
いろいろな紅葉が写ってきっと綺麗だよ
だから早くライダーさんが帰ってこないかな。
僕まってるよ。
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| * "゚'` {"゚` | < 1UPしてみないか?
.| ,__''_ | \_______
| ー l
l, /
\ _,,/
`'''''――――'''`
↓↓日本一簡単なシナリオコンテスト↓↓
http://anime2.2ch.net/test/read.cgi/iga/1192036731/l50
よくある話だ。友人が頭を割られた女に食事を食べさせていた。
何も変わらない日常、繰り返される光景に吐き気すら覚える。
昨日は女の皮を剥がして自分に着せて遊んでいたな、と思い出しかけて無理やり考える事をやめさせる。
何にせよ幾度と無く見たことだ。何が起ころうとどうでもいいことだ。
一瞬、友人家を出て、どこか遠くへ行こうかと考えるが、
他の場所も、目の前と同じような所なら私は発狂してしまうかもしれない。。
友人の母が、今日の夕食は小腸にしてみましょうか、と言っている。
この間、食べた大腸と何が違うのだろうか、
どちらにしても人間の肉など、臭くて食べられたものでない。
向こうで、友人の父親が捕まえた女を生きたまま、解体していた。
思わず目をそむけるが、それに気づいた父がわざとゆっくり見せ付けるようにノコギリをひく。
悲鳴が聞こえないように耳をふさぐ。代わり映えしない日常にいい加減うんざりしていた。
だが、望んでいた日常への打破はたった母親一言で始まった。
「そうだ、男の肉も入れてみましょう」
父親は、たまには良いかもね、と同意し、友人は、これでいつでも一緒だね、とふざけた事を口にする。
それから先はよく覚えていない。ただ、3人分の死体が転がっていたことが結果だ。
日常は終わった。震えながら玄関を開ける。
そこは日常だった。血まみれで呆然とした私を見て、悲鳴をあげ警察へ連絡する人達。
そうだ、死んだ人間を弄ぶなど日常ではない。許しを乞う人間を笑いながら殺すなど日常ではない。
血に塗れ、包丁を持つ人間など日常ではないのだ。私は嘲笑った。泣きながら嘲笑った。
病院池
682 :
NEWS ZERO:2007/10/19(金) 01:06:40
ニュースの時間です。
今日のニュースはゼロです。
はあ、何ですって?テレビの前のあなた「そんなはずないだろう」って熟れすぎのトマトみたいにお顔を真っ赤にしちゃって。
そうですね、もっともです。正論。
たしかに政治家は汚職するし地球の環境問題は悪化する一方でタレントは不遜で宇宙旅行がそう遠くない未来に実現するかもしれないし紛争は絶えないしでまあ要するに伝えるべきことは溢れかえっている、飽和状態なんです。
でもね、考えてみてくださいよ。あなたにとってニュースとは何ですか?政治や経済や医学やゴシップがあなたの慎ましやかな日常生活と何の関係があるのでしょう?
今日のあなたのニュースは何ですか?最近何かいいことありましたか?
683 :
682:2007/10/19(金) 01:18:44
すいませんageちゃいました
本物のニュースをお持ちした――ッ
685 :
名無し物書き@推敲中?:2007/10/30(火) 13:14:43
ショートショートって巷でははやってるのですか?
流行ってません
687 :
名無し物書き@推敲中?:2007/10/30(火) 13:28:29
需要がなくなったのは、ショートショート作家の
作品の質が低くなったからですか?
登場人物と場面の紹介
意外な出来事
オチ
それだけの話が大量に生産されるのでみんな飽きた。
>作品の質が低くなったからですか?
残飯の背丈よりもか?
690 :
名無し物書き@推敲中?:2007/10/31(水) 18:19:54
飽きたつっても、ミステリもラノベも構成はどれも同じだろ、
飽きたというよりは、文章力と発想力のある、第二の星新一がうまれなかっただけだろ
691 :
名無し物書き@推敲中?:2007/11/01(木) 04:35:22
またブームがくるかもしれない
「あふぁjlllllfjjjjっじゃ」
男は呻いた。
どうやら彼は会社を首になったらしい。
693 :
名無し物書き@推敲中?:2007/11/21(水) 18:55:52
>>693 とりあえず行間詰めて、強調文字をなくして欲しい。
後、幅もっと広くできないか?携帯向けなのかな。
697 :
名無し物書き@推敲中?:2007/12/22(土) 20:26:43
N氏が発明した薬を飲む話はもううんざりなんですよ。
N氏が発明した装置に誰かがひっかかる話ももううんざりなんですよ。
N氏が宇宙人を見てなにかする話ももうマンネリなんですね。
N氏が殺し屋に殺される話ももう要らないわけです。
N氏が未来っぽい場所で未来っぽいアイテムにうんざりする話も
もう既出ですよね。
N氏が未来に行こうとしてうっかり何かを間違える話も、
宇宙人Nが地球侵略でうっかり失敗する話も、全部あるわけですよ。
つまりなにもかもが、もうやりつくさてしまっているわけです。
私は彼の話に同意する部分が無いわけでもなかったが、ふと反論を
思いついたので言ってみた。
「じゃあ、今度は思い切って、M氏を起用してみたらどうだろう?」
彼はしばらくあっけに取られたような顔をしていたが、急に表情を変えると
「それだ!」と叫んで、急に走り去って行ってしまった。
どうやらこの度の出版不況は、思わぬところから解決に至りそうである。
698 :
名無し物書き@推敲中?:2007/12/31(月) 19:36:55
ある宇宙人が日本に興味を示し、観察をしていた。
あまりにもぐうたら過ぎ、熱しやすく冷め易い修正で国家が揺らぎ、危機の脱出のため他の惑星の習性を見習おうとしていたのだ。
この案を提案したAは1ヶ月間、一人の日本人サンプルBを観察し続けた。
サンプルBは日本人の中でも勤勉で飽きることなく仕事をし続けるタイプだった。
サンプルBは平日の毎朝、決まった時間に出勤し決まった時間に職場に着く。
サンプルBは、この職場ではかなり上の立場の人間で、彼の上司や後輩達にも信頼されていた。
サンプルBはやがていつもの時間どおりに仕事をはじめ、職場の仲間達とも和気藹々に
仕事をこなしていった。
サンプルBの職場に来客があった。彼の苦手なタイプのようだが、ソツなく来客を迎え
用事を済ますことが出来た。
サンプルBはその日の仕事を終えた。仲間達としばし歓談をした後、職場から去った。
サンプルBは週末趣味に没頭することが多い。趣味のことになると少年のように無邪気になるのであった。
また、音楽にも詳しく老若男女の音楽に精通しているらしい。
Aは、国家の生産力向上のため彼を真似ることを国民に新聞、雑誌、テレビ、ラジオなどのメディアで広め流行らせた。
もちろん、国民はすぐに興味を示しサンプルBのやり方が広まっていった。
国民はサングラスをかけ、カツラをかぶり仕事に勤しんだ。
街中では「んなあこたぁない」「髪、切った?」などの言葉が流行った。
「これで国が復興する」Aは喜んだ。
しかし、元来の飽きっぽい国民性のためすぐに廃れてしまった。
Aは寂しそうにつぶやいた。
「・・・・奇妙だ・・・・。」
>>697 星新一のパロディかな?
大衆が馬鹿ということを強調するなら、「証人」みたいなオチが好きだな。
>>698 タモリのパロディかな?
ググってみたけれど、オチが分からなかった。
読み返さないと、宇宙人の国家と日本の場面変換が分からなかった。Aが日本の
サンプルBの観察を終えて、自分の国家に戻った描写があった方が親切だね。
701 :
名無し物書き@推敲中?:2008/01/17(木) 20:27:13
誹り、罵りの艱難辛苦を乗り越えて、
タカトシ、一夜限りの復活決定。
ネタ作り快調〜〜〜センター試験明けになにかが起こる
かもしれないし起きないかもしれない。
やはり起きない方がいいね。よしとするかもしれないよ。
日本語でおk
703 :
名無し物書き@推敲中?:2008/01/23(水) 03:30:10
タカ「センター試験が明けまして、おめでとうございます」
トシ「新年の挨拶かよ」
タカ「まず挨拶からって習わなかったのかよ!」
トシ「奈良ってねえよ」
タカ「は?何言ってんだよお前。その突っ込み。打ち合わせとちが」
トシ「うっせえんだよ。予見性のねえ突っ込みなんかできっか馬鹿」
タカ「オイいいかげんにしろよ。てめ。くそ。クソだクソ●んこが」
トシ「『クソ抱くぞ』?」
タカ「ちげえよタコくそびっち丸ごとおまん●ちんちろちく●」
トシ「てめなにがち●ろだ」
タカ「バーカ。●くろじゃねーよウンコ垂れ『ちくわ』だよ」
トシ「てめひとをおでんに」
タカ「うっせえうっせえくっせえくっせえ」
トシ「てめち●●ひっちぎってぶちこんだるらぞでめへこすわ」
タカ「なに●んこち●こ言ってんだよちゃんとやれよきみくお」
トシ「ばあかばあかガイジュセクちん●じゃねえよちくわだよ」
タカ「てめほんといいかげんにしろよばかやろこのやろま●●」
トシ「もうひっかかるかよ」
タカ「解散だ」
トシ「ああ解散だ」 ・・・《枳殻》
新宿駅の中央線ホームで電車を待っていたときだった。
僕は僕のドッペルゲンガーを見た。
ドッペルゲンガーを見た者は死ぬ。
新宿線の中央線ホームで電車を待っていたときだった。
僕は僕のドッペルゲンガーを見た。
そいつは顔形、体形、服装、髪型に至るまで、僕の生き写しだった。
そいつは凍り付くほどの恐怖を見せつけられたかのような面持ちで僕を見つめたまま、僕の真向かいに立っていたのだった。
その表情は、今僕がそいつに向けている表情ときっと同じものであるに違いなかった。
「ドッペルゲンガーを見た者は死ぬ」
それは言い古された都市伝説だった。
この場から離れたくなった僕は、一歩後ろに足を退いた。
すると、そいつも僕の動きを真似るようにして一歩後ずさる。
僕がもう一歩足を退くと、やはりそいつもまた後ずさった。
怖くなった僕はキュッと目をつぶり、さらにもう一歩足を退く。
次に視界が開けたときにそいつがまだ立っていたら僕はもう死んでしまう、そんな気がした。
だが恐る恐る目を開けてみると、そこにそいつの影はなくなっていた。
僕が安堵の溜息をつくのと同時に、電車がホームに入ってきた。
電車が僕の目の前を通過した瞬間、ホームの下から妙な音がした。
何かが弾かれた小さなコマのように回転しながら吹っ飛んで行くが見えた。
十数メートル先でホームに落ちてきたその物体は、さっきまで僕の目に前にいたあいつの頭だった。
「ドッペルゲンガーを見た者は死ぬ」
叫喚の中でその都市伝説をもう一度脳裏に思い浮かべたとき、僕の意識は停止した。
>>705 雰囲気がいい。僕の感情が恐怖から安堵へ、そして再び恐怖へと変わるところもうまいな。
オチがあるのか、ないのかの判断に迷った。仮に僕の方がドッペルゲンガーだった
というオチにするつもりだったのなら、もう少し分かりやすくした方がいいと思う。
>>705 >それは言い古された都市伝説だった。
神の視点になっている。一人称なら、
それは言い古された都市伝説だ
のほうが自然。
>ホームの下から妙な音がした。
個人的に、ぐしゃりとか擬音を入れたいところ。
>>706 飛んだ首は、いわゆる予知的な描写。
>僕の意識は停止した
は普通に読解して、僕の死亡でしょ。僕と
ドッペルゲンガーを置換することに意味ないし。
感想としては、わかりやすく丁寧な文体と思った。
もう少し細かく言うと、ドッペルゲンガーは鏡で見慣れた
自分(シンメトリー)じゃない。
それを初見で、
クリソツだ
はちょっと微妙。
709 :
社会シミュレータ:2008/02/02(土) 16:34:26
「助けてください。私は殺されます」警察に駆け込んだN博士は開口一番こう言った。
この際ですから、全部話しましょう。実は私は大手保険会社数社の依頼で極秘の研究を
しているのです。私は、保険に加入している個人の行動を収集し、分析し、外出や旅行など
危険をはらむ行為を行う確率を計算するのです。警察が発表している事故や犯罪のデータも、
保険会社が持っている病歴のデータも、何でも使います。プライバシーの侵害と言われても
けっこう。私はそういう研究、社会シミュレータの研究をしておるわけです。
そして私は、期待されていた通り、最高の行動予測モデルを設計しました。本当に
かなりの確率で事故や病気を予測できます。ですが、本当になぜだか分からないのですが、
データを増やせば増やすほど、私が死ぬ確率も増えていくのです。
私は酒もタバコもやりません。食事にも気を使っていて、病気も無く、精密検査での数値も
いたって健康。友人も信頼できる奴ばかりで、恨まれる覚えもありません。研究所も自宅も
非常に事故が少ないところで、自宅がある団地では車は通行禁止です。知る限り、私には
危険なことなど何も無いはずなのです。私には、私が死ぬとは到底思えません。
それでも、社会シミュレータの中での私の死亡率は日々上がっていくのです。プログラムの
バグも疑って、様々な方法でテストしました。しかし全て正常なのです。シミュレータは私が
今日死ぬと告げているのです。お願いです。どうか私を助けてください。
N博士はなにもかもを洗いざらい喋り終えると、喉が渇いたのだろう、テーブルの上のお茶を
ぐいと飲んだ。そしてそのままぐらりと傾き、床に倒れて動かなかった。
「ふむ、どうやら本当によくできた社会シミュレータらしいな。保険会社に雇われた俺が
警察官に化けて先回りし、N博士を毒殺することまで、全部お見通しとは……」
つまんね
>>709 ピンチから完璧と思える対策、ところが思わぬ盲点で、という好きなパターンだ。
オチでシミュレータのすごさが分かるのもおもしろい。
シミュレータで事故や病気が分かるのはともかく、殺されるのが分かるというのは
飛躍しすぎではないかな。それだと犯人も分かってしまいそうだ。
なぜ保険会社がN博士を殺したいのか、なぜ殺し屋はN博士が警察へ駆け込むと
予測できたのかも謎が残るね。
712 :
怪物:2008/02/09(土) 00:20:18
むかしむかし
未開の山奥に怪物の集落がありました
身の丈2mを越す彼らの大きな一つ目には燃える様な赤い瞳
耳まで裂けた口から長い舌が覗き、頭には牡鹿の角
腕は地面につくほど長く、4本しかない指には鋭い爪
曲がっている背中は剛毛に覆われ、またそれは馬の蹄を持つ足をも包む
ある日、無謀な冒険家が山に迷い込みます
同じ頃、怪物の一人が木の実拾いへ
そして偶然にもばったり出くわしてしまった二人
目が合うや同時に叫びます
『ぎゃー化け物だー!』
>>712 一つ目にとっては二つ目の方が化け物というオチはおもしろい。
伏線がないので、オチだけが浮いている印象を受ける。
化け物と判断する前提条件として、その存在を知っていないと、単なる未確認生物なので
化け物の存在をほのめかす描写があった方がいいと思う。
715 :
名無し物書き@推敲中?:2008/02/17(日) 21:54:13
このスレの前の方は結構おもしろいのあるね
716 :
名無し物書き@推敲中?:2008/02/17(日) 23:18:33
私はここにいます。
あなたもここにいます。
私はあなたを見ています。
あなたは私を見ていません。
私はあなたに見てほしい。
あなたは私を見てくれない。
私はあなたに話しかける。
あなたは私に気付かない。
私はあなたに聞いてほしい。
あなたに私の声が届かない。
私はあなたになりたい。
あなたは私になってくれる…?
一緒にいこう、遠いところへ
私のいくべき、遠いところへ
あぁやめて!織○無道に頼まないで
私のお払い頼まないで
せめて江原啓○にして…あぁ!
あなたは笑顔になりました。
私が旅立ち元気になった。
あぁ、ありがとう織○無道…
若葉の影からお礼を言いたい…
>>682を勝手に改変してみた。
ニュースの時間です。
今日のニュースはゼロです。
はあ、何ですって?そんなはずないだろうって?
いえいえ本当に伝えるべき事が何もないんですよ。
もちろん政治家の汚職するし殺人もおきているし紛争だって絶えない。
だけどそれが日常とどう違うっていうんですか?汚職も殺人も紛争も毎日起こっていることでしょ?
そんな当たり前のことをわざわざ取り上げるほうがどうかしている。
だから今日流せるニュースはありません。
それでは皆さんごきげんよう。
718 :
名無し物書き@推敲中?:2008/02/18(月) 16:24:47
改変前のが面白かった
719 :
名無し物書き@推敲中?:2008/02/18(月) 16:25:44
インパクトがなさすぎ
改変前のが面白かった
私には幼馴染みがいる。彼女とはもう20年近い付き合いになる。
小さい頃からずっと、ケンカをしては互いに謝るという行為を繰り返していた。
きっかけはいつだって些細なこと。
「消しゴム貸して」
「嫌だ」
こんなことからケンカに発展したこともある。
そして今回のケンカもそんな些細なことが原因だったと思う。
ただ、少し熱くなった。私は彼女にこんなことを言ったのだ。
「だからあんたの親はあんたを捨てたんじゃないの?」
数日後、私は彼女の住んでいるアパートへ向かった。
彼女は少し嫌そうな顔をしたが、私を部屋の中へと通した。テレビが点きっぱなしになっていた。
「テレビでも見てて」
「うん」
彼女は俯きながら私に声をかけ、キッチンへと向かっていった。
ソファに腰をかけてテレビを眺めていると、彼女の足音が聞こえてきた。
私はふと彼女の方を振り向いた。私の目には包丁を振り上げる彼女の姿が映った。
こんなことになるなら、部屋に入る前に殺しておけばよかったかな。ちゃんと包丁も持ってきたのにな。
首から上がなくなった自分の身体と、血だらけになった彼女の姿を見上げながら私は思った。
>>720 意味が分からない。
幼馴染なのに超えてはいけない一線も分からないのか?
彼女の私を殺したいほどの怒りは数日も維持されているのに、彼女からは動かないのか?
なぜ、わたしは彼女を殺したいの?
それとも、こんな殺し合いをケンカと称して20年近く続けてきたの?
722 :
名無し物書き@推敲中?:2008/02/21(木) 23:18:38
>>716 予想外。この一言に尽きる。
まぁ、他には何も言うことがない。
超能力やと?
お前そんなもん信じとるんか
お前って、レス読んでるそこのお前やm9
わいは超能力なんかしんじひんでぇ
ためしにこのコインなげて裏表当てられるか、ためしてみたるわ
表や!・・・・・・裏
裏や!・・・・・・表
今度も裏!・・・・表
もっかい裏!・・・表
くそぅ表や!・・・裏
ラスト裏や!・・・表
ふぅふぅ・・・・なぁやっぱり超能力なんかありえへんわぁ
724 :
名無し物書き@推敲中?:2008/02/26(火) 18:37:59
そういう意味か、ようやく分かった。
725 :
名無し物書き@推敲中?:2008/03/11(火) 20:36:31
タイトル:宮尾夫人
宮尾夫人は飛行機からイギリスの空港に降り立った。
そして、ホテルへと直行した。
すでに予約はしてあったので、フロントに名前を
告げた。
ところが、日本人である宮尾夫人の名字がイギリス人には
わかりづらい。
だから、フロントの接客する人物は、宮尾夫人に
「もう一度、お名前を」
と聴きなおした。
宮尾夫人は多少疲れていた、旅客機による長旅で、
だから、音節を区切って、ゆっくりと強調した。
「ミーヤーオ!!」
フロントの人は驚くと同時に、宮尾夫人が冗談を
いっているのだと思ったようだ。
フロントの人は宮尾夫人に言い返した。
「ワンワンbowwow!!」
726 :
名無し物書き@推敲中?:2008/03/11(火) 22:06:44
暗い夜道を一人歩く。
明るい大通り沿いとはいえ、夜はたまにバイクが猛スピードで走るくらいで閑散としている。
両脇には、もうとっくに閉まったお店と、新築の高層マンションたち。
両手にスーパーの袋を下げながら、タクシーを使わなかったことを今更ながら後悔する。
なんだか臆病になって後ろを歩く、普通の若者にさえ怪しみ怯えてしまう。
残業で疲れきった私の身体は重く、すぐに追い付かれそうだ。
物音一つしないマンションの群れの中、道路を挟んだ反対側は、誰もいないセルフのガソリンスタンドと寂れた自転車屋。
なんだか恐くなる。
どこからか身の危険を教えられているような不思議なきぶんだ。
でも少し前の明かりをみて気持ちが楽になる。
ラーメン屋がちょうど店じまいをしているところだ。
見慣れた大将が赤いのれんをおろしている。
女一人ではなかなか機会がなく、越してきてからまだ一度も入ったことはないのだが、マイルドなスープと濃い味のチャーシューが人気らしい。
このペースならちょうどラーメン屋の前で、後ろ若者に抜かされるはずだ。
ほっとして歩きながら携帯をバックから取りだしメールを読む。
母親から近況を心配する内容のようで…
その瞬間、頭に重い衝撃がはしる。
後ろの男だ!と、とっさにわかる。
荷物に手をとられて倒れる瞬間、ラーメン屋のオヤジが店のトビラを笑いながらあけるのが見えた。
こいつらはグルだ、そう気付いたと同時に二度目の衝撃が頭を襲った。
大阪心斎橋では日常茶飯事ですね
手にもった紐を見つめふと考える。はて、俺はこれで何をしようとしていたのか?首吊り?それとも絞殺の途中だったか?しかし辺りを見回しても紐を掛ける適当な物はないし、殺したい相手もいない。
いや待て、考えが物騒だ、俺はなにもそこまで切羽詰まってないんじゃないか?もしかしたら誰かを救うため、蜘蛛の糸をたらした釈迦よろしく、慈悲深い救いの手を差し伸べる最中だったのではないか?
だが辺りには助けを求める声も、蓮池も、深い穴も見当たらない。
まさか…そう思い見上げる。晴天が気持ちいいくらいに広がっている。良かった。俺がカンダタではないようだ。
では一体なんのための紐なのだろうか?考える。まて、まてよ、もしかすると最初から間違っていたのかもしれない。紐は目的を達成するための道具ではなく、紐自体が目的であり答えではないか?思考の闇に光が差す。見えなかったものが見えるようになってくる。
紐を注意深く観察すると片方の端は自分の右足指から出ていた。
そうか、紐は俺の一部だったんだ。ではもう片方はどこに…手繰り寄せると紐は地平線の彼方へと伸びていた。
俺はどこまで続いているのだろう?何かと繋がっているのだろうか?無性に知りたくなり、紐を辿って歩く事にした。
【口内炎】
口内炎ができた。が、気にしなかった。不摂生な生活をしていたので驚くようなことでもなかった。ちょっと痛い。
次の日、口内炎にトマトが染みて、トマトを食べるのをやめた。こころなしか口内炎が大きくなってるような気がした。
次の日、いけると思って買ったスーパーカップ(バニラ)を完食できなかった。染みる。
次の日、マツキヨで口内炎の塗り薬を買った。塗った。ちょっと気持ち悪い。また大きくなってるような気がする。
次の日、口の中がおかしい。これはただの口内炎ではない。医者に行ったらいますぐ入院しろと言われた。
次の日、入院した。
次の日、くちびるがまっしろになった。何も食べられない。点滴だけではおなかが空く。
次の日、くちびるはまっしろだが、ご飯は食べれた。米が美味い。
中略
最後の日、俺は口内炎だった。
>>726 一応ラーメンの具とだしみたいな感じのにしたかったんだけどダメか
少女は広い屋敷に独りだった。
屋敷には何でもそろっていたが、少女はそれらに微塵も興味を抱くことはなかった。
少女は絵を描くことが好きだった。
真っ白いキャンバスにただ、赤を塗りつけた。
少女はそれを「太陽」と名づけて、独り喜んだ。
少女は積み木で遊ぶことが好きだった。
不揃いの赤い積み木を無造作に積み上げた。
少女はそれを「焚き火」と名づけて、独り喜んだ。
少女は料理を作ることが好きだった。
大雑把に切られた肉を豪快に火であぶった。
少女はそれには名前は付けなかったが、独り喜び食した。
少女は時々屋敷を訪れる客と遊ぶことが好きだった。
少女は広い屋敷に独りだった。
732 :
名無し物書き@推敲中?:2008/03/17(月) 01:41:58
俺の読解力が足りないのか分からないものだらけ。
>>726>>728 解説求む
>>729 かゆうま系かと思ったがよくわからん。解説求む。
>>731 屋敷に迷い込む人を殺して血とか肉片とかで遊んだり、焼いたりしたってこと?
735 :
名無し物書き@推敲中?:2008/03/19(水) 15:47:05
今日は近所へお出かけ!
ハイテンションで買い物をする
買うものはいつも通り「殺人バイブル」「楽な自殺のやり方」
「盗聴マニュアル」「小学1年生」。。。。
あ!ついでにダンボールと朝日新聞とホッチキスと
軍手とカロリーメイトを買っておこう!
よし!今日はこの辺で帰るかぁ〜
来た道を戻る。まずは商店街を出て歩道橋を上り
佐東さんの庭を横切り、踏切をわた・・・・
「あ!電車。。しかも貨物・・・」
この踏み切りは開かずの踏み切りとして有名だ・・・
退屈なのでPSPで暇つぶし。
その内飽きて隣のベンチで仮眠をとる・・・
-10分後-
ようやく踏切が開く。はぁ・・疲れた・・早く家に帰ろう・・
踏み切りをわたり曲がり角を左へ・・見えてきた!自宅だ
ドアを開けて中に入り、さきほど買った本を読む。
コンコン!
ドアを誰かが叩いている。「はぁ〜い」
ドアの先には暗くてよく見えないが男の人のようだ・・・
「なんですか?」
「いや・・・・ここ犬小屋だよ」
文体は完全に自由でいいのか
737 :
名無し物書き@推敲中?:2008/03/19(水) 18:53:47
父には秘密がある
何かって?
実はドラマーなんだ!
738 :
名無し物書き@推敲中?:2008/03/19(水) 22:32:04
>735 難しいです。
説明希望
739 :
735:2008/03/19(水) 23:04:38
特に意味はありません。
740 :
名無し物書き@推敲中?:2008/03/19(水) 23:42:46
アナボッキン☆
「あら、おはよう」
母が朝食を食べていた。
何が「おはよう」だ、しらじらしい。
「私、もう行くね」
食パンを一枚だけ袋から取り出し、玄関にさっさと向かう。
「ちょっと、待ちなさいカナエ」
「何、急いでんだけど?」
「ほらお弁当、持って行きなさい」
笑顔で差し出す母親から弁当をしゃくり上げ、家を飛び出した。
弁当の中身は駅のトイレに流してやった。
このトイレで、私は元カレとの間に出来てしまった子供を出産した。
そうして殺した後、コンビニの袋に入れてゴミ箱に捨てたんだっけ。
感慨にふけりながら、ポケットから煙草を取り出して吸った。
吐いた煙りは、静かに何処かへと消えた。
頼むからショートショートを書いてくれ。
743 :
名無し物書き@推敲中?:2008/03/20(木) 00:46:05
>>747 てめえが書けクズボケ無能な死に損無いのモウロクジジイめ
744 :
名無し物書き@推敲中?:2008/03/20(木) 00:58:08
厨房乙
745 :
名無し物書き@推敲中?:2008/03/20(木) 00:58:54
イチャモンつける奴はゆとり
746 :
名無し物書き@推敲中?:2008/03/20(木) 01:00:53
こんなとこで真面目に創作を披露する奴の気がしれない
747 :
高橋源一郎:2008/03/20(木) 01:13:44
ゴメン。
何気ないこの罵り合い、
実は735から始まった20レスにわたるショートショートなのである。
735からが起
742からが承
さて、そろそろ転・結が来ても良い頃合だ。
未来安価を貰い之を転機にこのスレに私の文章を乗せようと思うのだが、
如何せん私には文才がない。
仕方が無いので高橋源一郎に747を譲り之を転とし
>>754でうまく落としてもらい結としよう。
749 :
名無し物書き@推敲中?:2008/03/20(木) 01:24:53
750 :
735:2008/03/20(木) 19:54:07
751 :
名無し物書き@推敲中?:2008/03/22(土) 13:46:49
【なんだろう・・・・】
父ちゃんに聞いた。
「なんだったかなぁ」
母ちゃんに聞いた。
「なんでしょう」
爺ちゃんにも聞いた。
「なんじゃろう」
ついでに婆ちゃんにも聞いた。
「なんだろうねぇ」
みんな答えは同じだ・・・あれは一体なんなんだよぉ!!
そうだ!!2chで聞いてみよう!!
【自然酵母】インドのパン総合スレ243枚目【自然発酵】(849)
752 :
751:2008/03/22(土) 13:54:40
test
753 :
751:2008/03/22(土) 13:57:41
似たようなネタがスレタイにすでにあった・・・orz
スマソン
754 :
名無し物書き@推敲中?:2008/03/22(土) 14:46:45
1人でカラオケボックスに入る俺を、店員が白い目で見ていた。
そりゃあ、おっさんが1人で来るのは、違和感があるだろう。
ただ、可愛い息子の為を思えば、仕方がない事だ。
店員をさっさと追い出し、俺はマイクを手に本を開く。
歌う曲は決まっていた。
番号を入れてマイクのチエックをする。
音量はバッチリ。
イントロが始まり、俺はマイクに向かって叫ぶ。
「お尻かじりむし〜♪」
息子に前回聞かせた時は、演歌くさい、と駄目出しをされた。
待ってろ、我が息子。
俺は今、猛烈に特訓をしているぞ。
その後息子に聞かせたところ、俺のお尻かじりむしはゴスペルというものになってしまったらしい。
755 :
名無し物書き@推敲中?:2008/03/23(日) 16:38:19
test
756 :
名無し物書き@推敲中?:2008/03/29(土) 11:17:31
ある日、家の庭に鳥人間が落ちてきた。
体全体がひどくボロボロで、今にも事切れそうだ。
「み・・・みず・・・くれ・・・」
俺は戸惑いながらも、コップに水を入れて持っていった。
しかし飲んでくれない。
そうか、くちばしがあるからコップじゃ飲めないのか。
今度は洗面器に水をなみなみついで持って行ってやった。
「ちがう・・・そうじゃ・・・・ない・・・」
そういって鳥人間は息を引き取った。
死因は餓死だった。
757 :
名無し物書き@推敲中?:2008/03/29(土) 23:05:38
↑一行目に吹いた
ある日私は聞いた。
「そこで何をなすってるのですか?」
右手を大きく掲げ、左手で腹を叩く。しかし、一向に返事をしない。
そこでもう一度大きく聞いた。
「なにをやっているのです?」
するとおもむろに両手を顔の前でパチンと叩いた。
私はやっと意味が分かった。塩をぺろりと舐めると、その男はニヤリとわらった。
左手の震えが止まらなかったが、にやりと私はかえした。
全然意味が分からん
相撲でもない、注文の多い料理店でもない
760 :
名無し物書き@推敲中?:2008/04/02(水) 23:17:45
ヤバい、このままでは確実に俺は死んでしまう。
まず状況を説明しよう、俺はある密室に手足を拘束され動けないでいる、
これだけならまだいいのだがこの部屋の温度は少しずしではあるが確実に上がってきている、
このままではあと2、3時間で茹で蛸になってしまうだろう。
まわりはガラスばりなので助けがくる可能性もあるにはあるのだが可能性が低すぎる、
そんなことを考えながら結局なにもできずにジタバタしていると余計に体力を消耗した。
そうしている内にも室内の温度はさらに上昇し俺の意識はどんどん薄れていく、
するとガラス越しに俺を閉じこめた張本人が顔を覗かせる、
その顔は、あれ?まだ生きてんの?と、あざ笑うかのようだった、
ちくしょう!
俺は文句を言おうとしたが早速喋る力すら残されてはいなかった、
おもえばなぜ俺はこの女に殺されようとしているのだろうか、殺されるいわれは全くないしそもそも昨日まではこの女とも仲良くやっていたはず何だが、、、
そして俺の短い一生は幕を閉じた。
761 :
名無し物書き@推敲中?:2008/04/03(木) 00:50:33
秋葉原の妖しげな電気屋に、彼はいた。
大きなアクビをしながら、小さな椅子に座る店主に声をかける。
「すいません。
絶対に目が覚める目覚まし時計ってありますか?」
店主はニヤリと笑い、ナースやらメイドの形の時計を出す。
「きっと、これなら大丈夫。
ビンビンになって飛び起きるから」
「じゃあ、ナース1つ下さい」
寝起きの悪い彼は、目覚ましをセットして眠りについた。
次の日。
彼は卑猥な夢を見た。
興奮し飛び起きると、ナース型の時計から流れるあえぎ声。
彼は夢精していた。
再び電気屋を訪れた彼は、店主に話かける。
「この前のナースは起きれたけれど、他のやつにしたいんだ」
困った顔をした店主は、唸りながら1つの時計を出す。
「これならきっと起きれるけれど、必ず時計を止めてね」
「はいはい、分かりましたよ」
時計を買った彼は、目覚ましをセットしようと箱を開けた。
しかし、説明書が入っていない。
適当にいじり、朝の8時にセットする。
次の日、彼は目覚ましに叩き起こされた。
「自爆装置作動!
残り時間3分!」
飛び起きた彼だが、止め方を書いた説明書は無い。
762 :
名無し物書き@推敲中?:2008/04/03(木) 01:19:21
命というのは曖昧なもので、
例えば人間が一人いてその全く同じクローンを作ったとする、
するともうこの二人は別々の生命体であるといえる、
目が覚めた、いつも道理に、全く体に変化はない、どうやら手術は成功したようだ、
次の日どうやって脳にあるガンを取り除いたか医者に聞くと、
最新鋭のレーザー治療、、、
さっき一人の患者が治療方法を聞いてきたが本当のこと言っていない、
まさかもう一つ全く同じ脳を作り、入れ替えただけとはいえないだろ。
俺は寝た、、、目が覚めることはなかったことすらしらない
不安だ。
明日、脳を自分のものと全く同じものと移植する、私の精神はその後も継続されるのだろうか。
俺はやっと命の定義を見つけだした!
それは持続される精神にある、
たとえば寝て意識を失えばそれは一時的な死であり、また起きることで生き返る。
それじゃー今日も死にますかzzz、、、あれ?夢見てる最中はどうなるんだ。
私は死というのは死ぬほどの激痛にあるのではないかと思う、
それじゃ、今から行う安楽死は本当の死というものなのだろうか?
A「死と絶望てイコールか?
B「もっと夢のある話しようぜ、、
【その日】
その日は、風が強く雲ひとつ無い、貫けるような青い空が気持ちよい朝だった。
正午が近づき、私はいつものように惣菜パンとコーヒー牛乳を購入する為にコンビニエンス・ストアーへ徒歩で向かった。
陽射しが強く、行き交う人はみんな帽子や日傘で日除けしている。
夏休みの終わりを悔しがるように、数人の小学生らしき少年が脇を掠め駆けて行った。
私はやって来る人と擦れ違う度に、挨拶が必要か、細めた目で見極めながら緩やかな坂道を上る。
コンビニエンス・ストアーは町を眺望できる小高い丘にあり、その日はオレンジと緑の看板が青い空に映え、何か印象的だった。
風に吹かれ、私はコバルトブルーに対比する海とビル郡にまぶされた陽の煌めきに見とれながら店に入る。
顔見知りになった中年の定員に軽く会釈しながら奥へ向かい、冷蔵棚からコーヒー牛乳、後ろの棚から惣菜パンを三つ手に取った。
「いつものですね。それにしても見事晴れましたね。気象庁に苦情殺到ですよね。」
「天気予報外れましたか。まあ、最近じゃ珍しいですね。」
レジで会計を済ませる時の当たり障り無い会話だが、ここ数ヶ月では希少なコミュニケーションだ。
私は愛想笑いしながら店を出ると、眺望に溶け込む下り坂を帰る。
何か変だ。
数百メートル歩いたが、嘘の様に、誰ともすれ違わないし、そもそも人気がない。
まあ、こんなこともあるかと、後ろを振り返って見るが、誰も居ない。
私は突然不安に襲われ、ポケットにある携帯電話を取り出し、妻に電話した。
暫く不通の案内を聞いていたが、いつの間にか、私は公衆電話のあるコンビニエンス・ストアーに向かって駆け出していた。
途中で猛スピードの店員らしきバイクとすれ違い、扉が開け放されたままの店の前まで来ると、私は異変に気が付いた。
いつの間にか風が止み、振り返った私が見た光景は、茜色に染まった空と海と、彼方にどす黒い雲の塊を付き抜け立ち上る大きなキノコ雲だった。
私は、ああ、そうなのだろうなと、何か安堵のような哀別のような、不思議な感情が胸に広がるのを感じながら、何時までも何時までもキノコ雲を眺めていた。
764 :
名無し物書き@推敲中?:2008/04/03(木) 08:10:19
先生、先生、宇宙ってどやって生まれたんですか?
それはだねビックry
それじゃそのビックバンはどうして起こったんですか?
それは限界まで圧縮された宇宙がry
そもそも宇宙はなにから生まれたんですか?
仮説ではあるが有=無と言う法則があってだねry
それはわかりました、それでは時間の法則はいったいどうなっているのでしょう?
時間は進んでいても止まっていても根本的には同じという仮説が去年ry
仮説ばかりなんですね、、、
むむむ、
>>762 日本語勉強するか、推敲するかした方がいいと思う。
766 :
名無し物書き@推敲中?:2008/04/04(金) 02:18:18
>>762 ショートショットを関連ずけて並べただけじゃまいか。
767 :
名無し物書き@推敲中?:2008/04/04(金) 03:21:30
test
768 :
名無し物書き@推敲中?:2008/04/04(金) 04:49:17
769 :
名無し物書き@推敲中?:2008/04/05(土) 16:53:57
「犯罪者のいない世の中」
2200年12月26日お昼のニュースです。
一昨日起きた神奈川100人殺害事件ですが、今日無罪判決が確定しました。
「何で悪いことした人が捕まらないの?」
テレビを見ていた少年は台所で仕事をしている母に聞いた。自分の父を事件で失った彼は人ごとの気がしなかった。
「今の時代そんなことで捕まってたら国がやってけないでしょ?」母は言った
少年はすぐに「そんなの間違ってる!僕が大きくなったらこの世の中を変えてやる。」と言った。
母はリビングに来た。「グサッ!」さっきまで料理に使っていた包丁が少年の体に刺さった。
「親子って怖いね〜。よく似るもんだ。ほんとはね、あんた達みたいなおかしな考え方のやつが消えてるからなんだよ。」
母は台所に戻って仕事を再開した。
770 :
名無し物書き@推敲中?:2008/04/05(土) 17:42:20
俺はダンサーだ。
ひょんなことからダンサーになった。
勿論なりたくなんてなかった。
でも大豆の黒い海で泳ぐスイマーよりマシだ。
そして海を渡った。
いろいろ辛いことがあった。
削られたり、干されたり人気者は辛いものだ。
でも今一番輝いていると思う。
温かさを感じる。
日本で居なくてはならない存在だ。
今日もこんな大舞台で、緑の奴と紅のちょっと酸っぱい奴と踊ってる。
ほら歓声が聞こえる。「おとーさーん鰹節が踊ってるよ〜」
中国拳法
中国拳法の達人は自分に限界を感じて新しい技の開発に悩んでいた。
猿の動きを取り入れた猿拳や酔っ払いの動きを取り入れた酔拳。
蛇の動きを取り入れた蛇拳なんてものもある。
いったい何の動きを取り入れればいいんだろう。
強い物はないかと日々その事だけを考えていた。
そんなある日テレビを見ていてうってつけなものを見つけた。
こうして生まれたのがキックボクサーの動きを真似たキックボクサー拳だ。
先ほどつまらない事で足を骨折してしまった。
私はオリンピック選手に選ばれていた。
それどころではない。世界記録を残せるかもしれない実力も持っている。
しかし30手前、今回がラストチャンスだっただろう。
そこへどんな願いでも一つだけ叶えてくれると言う魔人があらわれた。
しかしそれと引き換えに10年寿命が縮む事にはなるらしい。
しかし20代の私にとっては60で死ぬも70で死ぬも同じ。
何よりこのラストチャンスと比べたらなんと安い代償だろうと思って「足の骨折を治して下さい。」とお願いした。
その瞬間足の痛みがひいて骨折が完全に治ってしまった。
それと同時に頭がハゲてきてお腹が出てきた。何でも今10年の寿命を吸い取ったとの事だ。
こうして健康な足と40手前の体でオリンピックに臨んだ。
>>772 世界記録のために寿命を10年犠牲にしたつもりが、というところがおもしろい。
寿命が縮むというのが引っかかるな。普通は50歳で死んだ人が80歳の体というわけでは
ないもんな。今回は寿命が縮んだのではなく、浦島太郎のごとく老化が加速したわけだ。
10年分の寿命と引き換えにどんな願いでも叶えてくれるらしい、みたいな表現の方が好みだ。
774 :
名無し物書き@推敲中?:2008/04/07(月) 23:02:12
>>760 一回目読んだら意味がわからなかったが、読み直したら真の意味がわかった、
しかし難しくて理解しにくいな。
775 :
名無し物書き@推敲中?:2008/04/09(水) 19:08:39
わたしは良く知った散歩道を走っている。
若い男たちが目をランランとさせ追いかけてくる。
もう少し走ったらいつも休憩する古びた喫茶店があるはずだ。
追いつかれないうちにお店に入らなくてはならない。
やっと頼りの喫茶店についたが、ドアには「定休日」の札がかかっている。
振り返ると目の前に男たちが迫ってきた。
先頭の男がドアを蹴ってドアはあっけなく壊れた。わたしを無理やり店に引きずりこむ。もうだめだ。
わたしはつい1年前にあこがれていた政治家を思う。彼の人気はすごかった。
「少子化と老人問題と犯罪者撲滅を3年以内に解決する」
自信に満ちた演説にこの国の将来をみな彼に託したのだ。
犯罪者は刑務所から解放され、65歳以上の老人に対する殺人は
国で認可されるようになった。わたしのような老人は今は少ない。
女性たちに対する暴行も認可され中絶は許されず子供も増えそうだ。
欲求不満を認可された老人女性に向けた人たちは、ほかの犯罪はあまりしない。
わたしはもう死んでしまうだろう。
だがもうこの国では生きていたくなかったからまあいいや・・・
人工保育器に入っている赤ちゃんが
看護婦による温度設定の間違いで殺された
普通に赤ちゃんが生まれたって話。
779 :
名無し物書き@推敲中?:2008/04/12(土) 01:16:44
甲州石班沢 (こうしゅうかじかざわ)
http://19810623.blog37.fc2.com/blog-entry-17.html(元ネタ画像とwiki解説あり)
岸の端(はな)はもう川だ。
草鞋を懐手にして足場を決めた。
朝ぼらけの富士はただちに水面(みなも)に展けて(ひらけて)、
嵩は豊かになり、波が浦に寄せて返ると残さず濁った。
澪つくし(みおつくし)に鷺(さぎ)が飛びそうにいる。
漁り(すなどり)の豊穣なのを報せる瑞(しるし)だ。翁は時めいた。
四尋半(よんひろはん)の網を投げる。
木綿糸はずっと重くなり、力が入ると襟首の汚れた皮に筋の繰り返しが
縒って、口の端には海塩(しお)が出た。
鷺が飛んだ。
嘴(くちばし)に鮎(あゆ)が大きい。
投網を繰り寄せる。どうして口惜しかった。
と、すぐ立って支度をはじめた坊の黒が勝った目を翁は打ち見た。
もういっぱいにたたえられていた。
切れ痔が悪化した私。
だが、私の仕事はほとんどが立ちっぱなし。
人を座らせる事はあっても、自分が座る事はまずないのだ。
まさに、痔に優しい今の職場。
今日ほど、この職業を選んで良かったと思えた日はないだろう。
さぁ、仕事を始めようか・・・
「おい、貴様。早く三角木馬に乗るんだ!」
「ひぃぃぃ、お許しを。女王様〜」
「この、豚野郎!」
>>779 マルチでアクセス数稼ぎ、お疲れ様です。
頑張ってくださいネ ^^
782 :
名無し物書き@推敲中?:2008/04/21(月) 21:49:29
シュークリーム
アメリカへ行って、シュークリームを買おうと、
店に入った。洋菓子屋だ。
わたしは、英語のみならず、外国語が普通の
日本人同様、苦手だ。
ホットドッグなら、たとえば、発音に気をつければ
買える。
で、今回のケースでは……。
「あのう、シュークリームください」
「シュークリーム? ちょっと待ってください」
店員は店の奥に入り、なにやら探していた。
しばらく待つと、なんと店員が持って来たのは、
靴のクリーム(shoe cream)だった。おしまい。
ちなみに、ショートショートは終わりですが、
英語でシュークリームをcream puffというそうです。
で、シュークリームというのは、フランス語で、
シュー・ア・ラ・クレームのなまったような言葉なんだ
そうです。だからシュークリームと英語圏でいうと、
靴のクリームとカン違いされるんだそうです。
783 :
名無し物書き@推敲中?:2008/04/21(月) 22:52:02
ショートショート「切符」
ボストンはウォーキングシティーとも言われる小さな街だ。
歩いて回れる面積に人がぎっしり詰まっている。
そんなボストンのダウンタウンにアイツはいた。懐かしい顔が思い浮かんだ。
俺はNYの空港でボストン行きのチケットを探していた。
カウンターの奥、暇そうにあくびをしている赤毛の売り子に声をかける。
「トウ ボストン」 ( To Boston )
俺がそういうと、売り子は二枚の切符を差し出してきた。
思わず苦笑した。発音が悪く、Two に聞こえたのだろう。
切符を押し戻し、すぐに言い直した。
「フォー ボストン」(For Boston)
今度は切符が四枚出てきた。
俺は焦りながら切符を押し戻す。
ダメだ、言葉が通じない。
どういえばわかってもらえるのだろうか。
「え〜と」
次の瞬間、切符が八枚出てきた。
生徒「ピッツァ テン タイムズ プリーズ」
外人教師「ピッツァピッツァピッツァピッツァ・・・」
生徒「(肘を指差して)ワット イズ ディス?」
外人教師「エルボゥ」
785 :
名無し物書き@推敲中?:2008/04/22(火) 16:17:36
幽霊が出ると有名な湖に、ビデオカメラを持った2人の男が向かっていた。
緊張した顔の男と、カメラを持ちはしゃいでいる男。
しかし、車のボディーに何かがぶつかる、ドスンという音で恐怖に染まる表情。
車から降り恐る恐る見てみると、女と赤ん坊が倒れていた。
「やばい、ひいちまった!
逃げるぞ!」
男達が車に乗り込んだ瞬間に、女が赤ん坊を抱き立ち上がる。
血に染まった顔は、狂った笑顔だった。
勢い良く走り出した車を追い、女が走る。
時速100キロの車に迫る、笑い顔の女。
運転している男が、急にハンドルを切った。
女にぶつかり、弾き飛ばす。
放り出された赤ん坊が、スタッと着地した。
笑顔の赤ん坊は、100キロで走る車に追い付く。
「あのガキ!
異常に早いぞ!」
急カーブをドリフトで曲がった車と、湖に突っ込む赤ん坊。
ほっとしたのも束の間で、水しぶきを上げて赤ん坊が泳ぎ出す。
それをビデオカメラで撮っていた男は、のちにそれをギネスブックに送った。
世界一早く泳ぐ赤ん坊は、幽霊という理由で却下される。
786 :
名無し物書き@推敲中?:2008/04/23(水) 15:58:49
花の電話
花が咲いていた。
沢山の花が。
どの花を見ても
きれいだった。
愛らしい、可憐な
花たちであった。
さて、その中の花の
一輪が、別の花のお友達に
電話をかけようとしていた。
受話器を握って、電話番号を
入力する花。
そして、受話器に向かって、
話しかけた。
「コスモス?(もしもし)?」
小学生の作文発表会です。
よくできました。
788 :
名無し物書き@推敲中?:2008/04/23(水) 16:09:52
ほったいもいじくるな
日本人がイモを掘っていた。
それを外人がいじくった。
日本人は英語がわからず、
外人は日本語がわからなかった。
「ほったいもいじくるな!」
「yes,It's 8:00AM」
「あー? なにいってんのか
わかんねえや。だから、
ほったいもいじくるな、
っていってんだよ」
「yes,It's 8:00AM」
外人には、「ほったいも
いじくるな」が、
「what time is it now」
に聞こえたらしい、どうやら。
789 :
名無し物書き@推敲中?:2008/04/27(日) 21:32:09
※これ実話
20行以内のショートショートを・・・
20文字以内のショートショートと読み間違える・・・
普通に考えたら無理だよなw
790 :
名無し物書き@推敲中?:2008/04/28(月) 02:17:25
「色々あった。」ってやつだなw
791 :
名無し物書き@推敲中?:2008/04/30(水) 18:45:38
笑え
あははははははははくけけけけけけけゲテゲテゲテゲテゲテ
【笑顔】
父の笑顔が好きだった。
はじめて小学校へ登校した日も、中学を卒業した日も、
はじめての彼女ができたんだと打ち明けた日も、
いつもの調子でめじりにしわを寄せ微笑んでくれた。
怒った顔は記憶にない。
アルバムを見ても、ホームビデオを見ても例外なく
そこに映っている父は口元をほころばせていた。
「うれしいんやけど、なんか複雑な気分やわぁ」
まだ首の据わっていない息子を連れて帰郷した僕を、母はそう迎えた。
おばあちゃんと呼ばれるのに、いささか抵抗があるようだ。
「おとうちゃんが生きとったら、泣いて喜んだやろにねぇ」
「はは、親父の泣いた顔って想像もつかへんわ」
あんたにそっくりや、と視線を放る母につられて父の遺影を見る。
享年二十四。飛行機の事故だった。らしい。
そして僕は今日、そこにいる父の年齢を超えた。
「……なぁオカン、おれも親父みたいに笑えとるやろか?」
「笑ったときが一番、似とるよ」
「そか。一度くらい、会ってみたかったな」
写真でしか知らない父の、いろんな表情を想像してみる。
けれど、やっぱり笑った顔が一番だと思った。
このスレ好きなので書いてみました。SSって難しいですね……
>>793 キレイで上手い。長いの読みたくなるけど
問題は上手いだけの人か、上手くて面白いのか、そこが分かれ目。
>>793 おもしろい。オチと人情の両方があるといいね。
前半で父親のようになりたいという僕の気持ちをもう少し強調すると、僕が父親の年齢を
超えた部分が生きてくると思う。
後半は母親が中心になって父親がぼやけてしまったので、小学校へ登校した日などと
同じように、父に初孫を披露すると、いつもの笑顔だが、何も返事をしない、それは
遺影だから、としてそれから母親を出せばなお好みだった。
796 :
名無し物書き@推敲中?:2008/05/02(金) 13:32:01
美しい話だがつまらん
いいネタだと思うがオチた後人情話になってるから若干だれるな
最後に落とすのが決まりってわけでもないからいいんかな
>>793 父の年齢おかしくね?
いや、あれ? 俺の読解力が無いというオチ?
799 :
名無し物書き@推敲中?:2008/05/02(金) 16:05:31
>>798 息子の中学卒業時まで生きていて享年24歳ってのはたしかに無理があるな。
いくら若くても30代前半のはず。
いやいや、つまり『死んだ父親の笑顔の写真』しか見た事がないって話だろ。
最初から親父は死んでたんだよ。
801 :
793:2008/05/02(金) 19:38:27
わわ、たくさんレスもらえて嬉しいです
794さん>
ありがとう。でも小説は書いたことがないのです。語彙も才能もないので
795さん>
なるほどと目から鱗です。短い中でもいろいろ考えて書かないとダメですね
表現がわかりにくくて申し訳ない。800さんの解釈であってます
じつは書きたいのではなく読みたい人なので、
またスレ前半のような活気がでないかなーと書いてみた次第です
793-800さんありがとうございました。それではROMに戻りますね
802 :
名無し物書き@推敲中?:2008/05/02(金) 20:59:04
ミライ
昔のことはよく覚えていないけど、一つだけよく覚えていることがある。
それは、ママが怒っているとき、パパがおまじないを言うと、すぐに静かになったこと。
おまじないは「ミライ」。
最初は「未来のことを考えると、こんなことはしていられない」って意味だと思った。
でも、時々パパは「ミライのことを思い出せ」っていうの。
変なパパ。未来のことは思い出せないのに。
ある日、私はママが大事にしているネックレスを壊してしまった。
ママはすごく怒った。何回も何回も私をぶった。
いつもの「この痛みで覚えて頂戴。あなたは悪いことをしたのよ」というふうじゃなくて、憎しみで一杯だった。
私は思わず「ママ、未来のことを!」と叫んでしまった。
すると、ママがもうぶたなくなった。青白い顔でこっちをじっと見てる。
「何て言ったの……今何て」
怖いよママ。「未来。未来のことを考えて、ママ」
するとママは急に私の首を締め始めた。怖いよママ。苦しいよ。
でもママは手を放してくれない。目がかすんできたよ、ママ。何で?何でこんなことするの?
遠くでママが泣き叫んでる。ああ、またやってしまった、まただ。
また?ああ、そうか。私は最後の最後で思い出した。
私には、ずっと前、急にいなくなってしまった姉がいたことを。
>>802 オチは分かるのだが、内容が分からない。
>何で?何でこんなことするの?
読者も同じ心境だ。
未来のことを思い出してもママが自制できなかった理由も不明だ。
もう少し素人の読者のことを考えて書いた方がいいと思う。
>>802 未来って言う名前の姉がいたんですね、ようするに
>>793 できはよいかもしれないが、好き嫌いでいえば嫌いな話
ぼくの彼女
ぼくの彼女はまだ若い、というより幼いくらい。
それなのに、もう白髪がずいぶん混じってる。
彼女の好きな食べ物は、肉類で、よくディナー
なんかでご馳走する。
多少金はかかるが、彼女のことを愛しているから
問題はない。
彼女は爪の手入れが大好きだ。つけ爪やマニキュアを
しなくても、十分とがっていて、形も整っている。
彼女の瞳はブルーだ。とても大きな瞳を覗き込むと
瞳孔の大きさが変わる。
彼女は高所恐怖症とは無縁で、よく高いところにも
平気でのぼる。
それに、高飛びの選手にしたいくらい、彼女は
跳躍力があって、陸上選手のように足が速い。
首のあたりが感じるらしく、愛撫してやると、
彼女が甘えてくる。
とても可愛いんだ、僕の彼女のメス猫は。
>>803 「未来のことを考えて」=「ママがお姉ちゃん殺したの知ってるんだから」
と解釈して、ママは私も殺すことにした
>>807 毛→肉→爪の段階でオチが読めた。
ショートショートの場合、説明が続くと読者がミスリードを警戒するので
彼女といちゃいちゃする描写をして、最後に「にゃあ」の方がいいかも。
>>808 ああ、なるほど、気づかなかった。
わたしは
>>793より、
>>802のほうがおもしろいと思うが。
でも、そうすると、妹が母が姉を殺したと記憶しているから
口止めとして殺そうとしたとするなら、父親も殺していた
ことを知っていたことになるのか。では、ネックレスはだれの
ものだろう? 母のものではなく、姉未来のものとなるのか。
激昂しやすいメンヘラな母親だったんだろ。
で、なにかかっとなって姉の未来を殺す。
それいらい、かっとなると父親が『未来の事を思い出せ』という。
でもって生きてる方の娘まで『未来の事を〜』といったからブチギレたと。
気持ちはわかるけどね。
813 :
>>802:2008/05/05(月) 04:28:17
>>811がドンピシャです。わかりづらかったらスマソ
おまいら星新一のショートショートみたか?
ひとつの機械かなりいい雰囲気だったよ・・。
>>814 原作読んだことのある人でないと話が分からないかもと心配になった。いい話なのにな。
なぜ人がボタンを押すのか原作では明記されていたけれど、アニメではただボタンを押す
シーンが続くだけだった。
アニメは最初からBGMがあるのでラストの曲が機械から流れたか分かりにくい。視覚で
分かるように表現した方が良かったと思う。
地球に被さってる人間の文明が割れて粉々になる表現は良かった。
ラストの曲はもっと重くした方が良かったな。どんよりと流れゆく感じで。
ただ3つのうち2つは一瞬で内容が分かったが、最後のはあのタイプの話が多いから分からんかった。
文明を壊滅させる娯楽装置の設計図が入ってるとか、ヤバいにおいや音が流れてきたりするやつとか。
まあ宇宙人自体多いネタだからな・・。指一本の宇宙人に地球を支配される話もあったな。
意識が朦朧とし始めた。
視界の中心が揺るりと回転する現象が定期的に起きはじめる。
目の前に横たわる肉の塊
決して進んで食したくは無い…なのに…
力の入らない唇からそれが滴る。
これを食べなければ私は間違い無く死ぬのだろう…
彼が力つきて1日過ぎた。
最後の缶詰めを食してからすでに6日になり、
受け皿の水は1mさえ充たすかどうかになってしまった。
何者も来ない…
彼を食したとして、誰か自分を責めるだろうか。
最後の缶詰めは私に与えてくれた。
きっと私を生かしてくれようとしていたのだ。
彼の痩せた皺くちゃの肌に吐息が掛かる。
ふらついた前足が精一杯に地を踏ん張り、彼に向けて首を伸ばす…
ジャリッ…とその首に繋がれた鎖が軋む音を立てた。
そして私の牙はその老塊を貪り始めた。
とりあえず、彼って誰?一人称だね。書きやすいんだろうね。
819 :
>>802:2008/05/08(木) 00:58:39
「家業」
朝起きてみると、見慣れた部屋にいた。ベッドはふかふかとは言い難いし、部屋自体もせまいが、住み慣れた部屋ってのはいいもんだ。
俺は制服を着ると、部屋を出て仕事場に行った。朝の光がすがすがしい。
倅はもう作業を始めていた。見ない間にすっかり逞しくなった。
「おかえり、パパ。元気そうで何よりだよ」
「おう。お前も調子はどうだ?」
「まあまあだね。ママも『あの人もうそろそろ戻ってくるんじゃないの』とか言ってたよ」
女房か。あいつにも迷惑掛けたんだなあ。
もともと不良少年だった俺はあいつと一緒になる前はネンショーやムショを行ったり来たりしてた。
結婚してからはまともになろうと思ったんだが、うまくいかなくてよ。結局あいつと腹の中のガキを残してムショ行きさ。
それからはいろいろあった。一家が離れ離れになっちまった。倅がグレた。
本当いろいろあった。今一緒にいられるのは神様の恩恵って奴だな。
「お前はあとどれくらい残ってる?」
「ん、あと一年。でも戻ってくるから大丈夫。僕はパパとママの子だからね」
泣かせること言いやがる。
「で、パパ、娑婆の空気はどうだった?」
「ん?そうさな……」
その時、馴染みの看守がおれの方にやってきた。
「何だ、また戻ってきたのか」
「へい、家業が身に沁みついて離れないんで」
「ふざけやがって、てめえ、刑務所を職安と間違えんな!」
1人称
そうか。いろいろあったのか。たいへんだね。
どっちでもいいよ
>>819 おもしろいアイデアだ。変に暗くないのもいい。
刑期を終えて釈放されたように読者をミスリードさせれば、なお良かった。
825 :
ある監視員:2008/05/31(土) 17:15:28
K氏は監視員である。しかし最近、長年の仕事に嫌気がさしてきていた。
それというのも、自分の仕事がどうやら無意味らしいと気付いたからだ。
監視というのは、変化があるから意味があるのである。変化しないものを
監視しても意味は無い。そうに違いない。その思いは積もる一方だった。
K氏は上司にそのことを相談してみた。黙って監視しろ、と返事が返ってきた。
しかし何も変わっていませんよ。10Aサイクル前から、監視対象には目立った
変化は何もありません。こんな仕事に何の意味があるんですか?
上司からまた連絡が入る。まだ変化が起きていないのなら、なおさら監視
しなければならん。10Aサイクルも経って何一つ変化しないことのほうが異常なのだ。
普通なら、もっと劇的な変化が、思わずびっくりするような変化が起こる
ものなんだ。それが起こるまでは監視を続けるんだ。いいな。
そうまで言われてしまっては諦めるほかない。K氏は溜息をついた。
今日もK氏は、変わり映えのしない対象を監視するという仕事を始める。
地球。なんとつまらない惑星なのだろう。海と陸。植物と動物。餌と捕食者。
見るたびに数や種類は変わるが、それだけだ。
監視日誌、10Aサイクルとんで1。地球は10億回と1回、恒星を周回した
ことになる。
K氏は、モニターの中に映る群生塚の一種に目をやった。鉱物を多く含む
陸上構造物の中に、少し前に後ろ足で立つことを覚えたばかりのサルの一種が
たくさん蠢いている。
「このサルが作る群生塚は、シロアリやサンゴ虫が作る群生塚によく似ている」
K氏は今日の分の監視日誌をそそくさと書き終えると、そろそろ上司に
転属願いを出そうかと真剣に考え始めた。
>>825 さらっと読めたが、なにか腑に落ちない。
なぞなぞ形式なので、読者に何を監視しているのだろうと想像させて、人類誕生という
オチに持っていきたい。
>思わずびっくりするような変化が起こる
ここを具体的にしないと、何の監視かヒントがまったくないので、読者に想像する余地が
ない。オチが弱くなってしまう。
827 :
名無し物書き@推敲中?:2008/06/01(日) 19:53:30
意味不明だった
頭悪いなおれ
828 :
sage:2008/06/07(土) 18:48:10
888 :阿部敦良 :08/04/25 11:37
それにしても、無名草子さんたちとは、さぞやすごい作家先生の匿名書き込みなんでしょうね。
作家なんて才能が全てだから、津井ついみたいに、いくら努力したって駄目なものは駄目ですよ。
私なんか、早々に見切りをつけて趣味の世界で細々ですから。
小説現代ショートショート・コンテスト優秀賞受賞 世界のアベアツ 阿部敦良
829 :
名無し物書き@推敲中?:2008/06/13(金) 21:00:52
名探偵
わたしは数々の事件を解決してきた。
その、名推理は評判である。
今回の事件は、どうやら殺人のようだ。
その犯人の推理。
わたしは、その事件当時、なにをしていたか、記憶がない。事務所でコーヒーを飲んでいたろうか?
それはともかく、わたしは今回の事件の鍵を握るキーパーソンを洗い出した。
そして、ある確信を得た。しかし、そんなはずは……。
間違いない、あの男だ。
目の前に警察が現れたので、今回の事件の犯人の推理を述べているそのとき、
「自首します」
と、犯人が述べた。それは他人ではなく、自分だった。そう、わたしだったのだ、犯人は。しかし、睡眠薬を飲んだのか飲まされたのか、記憶に残っていなかった。
今回も、わたしの推理は的中してしまった。
なんという迷探偵であろうか!
>、記憶がない の叙述でおちが読めてしまう。探偵が犯人は
ショートショートだとありがち。情景描写を絡めるとか
いやもうもっと根本的に、すまない。
831 :
名無し物書き@推敲中?:2008/06/16(月) 23:30:01
ヘタな改変してみますた。
わたしは数々の事件を解決してきた。解決してきた事件は100にもなる。
その、名推理は評判である。
今回の事件は、殺人だ。
その犯人の推理。
わたしは今回の事件の鍵を握るキーパーソンを洗い出した。
ある結論にたどり着いた。 犯人は、あの男だ。
目の前に警察が現れたので、今回の事件の犯人の推理を述べていると、
その男は憤慨して自分が犯人でないことを主張し始めた。
まったくしぶといやつだ。こいつは私の今までの輝かしい業績を知らないのだろうか。
一向に変わらない警察の態度に、やがて男は負けを認めた。自分が犯人であることを認めたのだ。
これで私の探偵としての業績もより一層輝かしいものになるだろう。
わたしの推理は百発百中である。
ついにオチさえも不明で論外になったな。
累犯百犯が物理的に可能かという問題もある。
百一発目は外しました^q^ってことじゃないか。
四字熟語としての意味で考えると少しおかしい気もするが。
モーニングコール
深夜の駅前のタクシー乗り場は夜遊びに疲れた集団であふれている。
「俺、明日早いんだよ。起きられるかなあ」
男に気のある女が提案する。
「モーニングコールしてあげるよ」
「朝早いし悪いからいいよ」
「わたしも起きなければいけないからついでよ」
女に早起きしなければいけない用事などなかったが、嘘も方便だ。
「ありがとう。助かるよ」
家に帰ると、女は目覚ましをセットしながら考えた。彼をどんなセリフで起こしてあげようかな。
携帯が鳴っている。布団の中から手が伸びてきて探り当てると、また引っ込む。
「……ふぁい」
「起きろー朝だぞー。自分で起きれたけれど、モーニングコールがこないから、かけてみたよ」
835 :
名無し物書き@推敲中?:2008/06/23(月) 15:14:22
おへその穴(元ネタはわたしの創作ではないです。いわば、アレンジみたいなものです)
「ママ、ぼく、お腹にいるときにね、オヘソの穴から外をのぞいてたから、いろいろなことを知っているんだ」
ママはそんなことあるはずがない、と思いながら、息子の言葉に耳を傾けた。
すると、おどろいたことに、それらが逐一思い当たるところがあったので、ママは否定的見解をあわてて打ち消した。
そこで、ママは息子に挑んでみた。
「ねえ、パパのことも覚えているからしら?」
「うん、おぼえているよ。それから、隣のおじさんのことも」
「隣のおじさん?」
ママはあせったが、気を取り直して訊いてみた。
「どういうことを覚えてる?」
「あのね、裸になってこっちに向かって来たところまで覚えてる。でも、その後に、電気が消えたから、なにも見えなくなっちゃった」
ママは、それを聞いて興奮していたが、息子に本当のお父さんを今教えることはない、というふうに考え直した。
いかさまギャンブラー
オレはギャンブラーだ。一寸先は闇のこの商売で食べ続けていけるのにはわけがある。
そう。いかさまさ。ゲームは単純だ。用意した一から十三のカードをカモにきらせて、
山から五枚を伏せたままテーブルに並べさせる。五枚の中からカモがまず一枚を選んで
表にする。次にオレが一枚選ぶ。数字の大きい方が勝ちだ。裏の柄で表の数字が分かる、
いかさまカードなので、オレが負けるのは確率的に、カモがいきなり最大の数字を
引き当てる五分の一というわけだ。もちろん残りの四回全て勝ってしまってはカモが
逃げるので、ぎりぎりの勝負を演出しなければならない。
さて今日も稼がせてもらおう。さっそくカモがおいでなすった。最初は、オレが負けて
カモを楽しませなければな。オレはわざと負けてやる。
負けの金額が大きくなってきたので、そろそろ取り返させてもらうとするか。カモの
お楽しみはこれまでだ。
一列に五枚並んだカードの左から、カモは二番目を選ぶ。オレは一番目を選んだ。
オレの勝ちだ。
「いやあ、つきが回ってきたかな」
またカモは二番目を選ぶ。オレは一番目を選んだ。オレの勝ちだ。
さらにカモは二番目を選んだ。そしてオレは三番目を選んだ。オレの負けだ。
どうやら今日のカモはオレのようだ。カモだと思った相手は、毎回、カードを左から
大きい順に並べている。オレが勝つためには一番目を選び続けなければいけないが、
そんなことしたらいかさまを認めるようなものだ。ヤツもそれが分かっているから、
何食わぬ顔でオレをカモにできるのだ。
スレチだが、ここって本当人来ないよな…
ポメラニエイリアン
シャーガハァ〜〜
>>840 こんな過疎板を見てる奴なんていない、いないw
843 :
名無し物書き@推敲中?:2008/06/30(月) 11:57:02
とりあえず上げてみる。
略して取り上げてみる…。
きめぇ
誰かショートショートを・・・
活字渇望症のこの老体に鞭打つのか・・・
はやくショートショー
847 :
840:2008/06/30(月) 12:37:36
へぇ〜
読んでくれるヒトいるんだぁ〜
オレも書いちゃおっかなぁ〜
本気出してみるか
どんな批評するか楽しみ
じゃあ、よろしく
849 :
837:2008/06/30(月) 12:53:29
>>847 見ず知らずのキミのその一言で、ぼくは救われる
ありがとう
あれぇ、何このふいいき←(変換できない
ショートショートまだぁ〜〜?
852 :
845:2008/06/30(月) 13:09:14
だから、活字欠乏症の・・・
ちょっとエロ混じりのショートショート希望です。
昔新潮社で出してたショーとショート集みたいなやつです。
作家のみなすんお願いします。
854 :
名無し物書き@推敲中?:2008/06/30(月) 14:53:50
雰囲気は『ふんいき』とよむ
ふいいきや、ふいんきじゃ変換できんぞ
糞息 あっ、ホントだ。
んぐぅ、んぐぅ、雰気ぃ
何だこのスレはよ、ちゃんと小説書けよw
「男のソリッド」
俺の名前はソリッド、またの名をソリッド。
今は昔、巷でグイグイさせてたのはオレのことだ。
何だか自己紹介みたいになっちまったが、ソリッドよろしく。
860 :
858:2008/06/30(月) 17:08:02
独りで空回りして擦り切れていくのはやめてくれ
官能オカルトバイオレンスエロスホラーショートショート希望です。
先生方よろしくおねがいちます。
>>862 ラブ専門なので無理でち。
ほかの先生がたおねがちまつ。。。
ラブホ物大歓迎でし。
よろしくおねがいしまつ。。
>>864 じゃあ今回だけね
特別だよ
ー恋、それは風 愛、それは海ー
早朝、御茶ノ水はいつものように家の前でタクシーを拾った。
「○×までお願い」
「すいません、土地勘がなくて道案内お願いできますかね?」
化粧をする手を止めないまま心の中で、『しまった』と呟いた。
「じゃあ、その左を右折して頂戴」
「左を右折ですか?」
…そして恋が始まる風が吹いた。
おっき
今日も清々しい朝だな
すばらしい
>>865 恋はいいねぇ
心が安らぎ身体にチカラがみなぎるようだよ
いい小説をサンクス!
外の景色を見やうと、光が闇夜を浄化していくのを感じるよ
生きるって本当に素晴らしい!
870get
最近、目がギラギラしてこわいよ
なめ回すように見るのをやめてなーんて言われてしまった
ぐしゃしゃしゃ(爆
もう実に簡単な事を書くと、私はあなたでは無いし、あなたは私では無いということだよ。
だから、あなたは自由だしあなたはあなた自身何だから、自分で自分自身を見つけたらいいだけじゃないか?
そうだろ?じゃあ私はこの辺で。
パギャ
パビャ
また、おかしなのが…
そうだ、生きろ
きのこる
これが助け合い精神か…グスン
書きたい兄さん
もう随分前から何だよ
しょうがないよ
おもしろ半分に関わった罰だよ
でもまだまだ続くよ
お前が悪い
またおかしくなってるのかよ
本でも読めよ
885 :
名無し物書き@推敲中?:2008/07/01(火) 11:16:22
これもゲームだよ
バグ交じりの情報はおいしいかい?
もう食い込んで離れないと思う
やりすぎ
天にまします、我らの神よ
アーメン
もうすぐ、この知恵比べに勝利するよ
人一倍忍耐強くてよかった
頭が痛い、恐怖が私を
おおおぉぉああああああ
ハァ〜……
どうでもいいが、SHORTSHORTまだかな?
待ってるんだが
スレが伸びてると期待して見てみれば・・・・・。
先生方!この流れを何とか変えてくだすい!!!
そういえば昨日、星新一ショートショート見逃してしまったい!!
先生、お呼びですよ!
先生、先生?
せんせーい!
呼んではみたものの、現れませんね・・・
もう少し待ってみますか
ねむい…
zzzzz
もうやだ
新参だけど投稿してOK?
もちろん、OK。
早くしてくれないと、おたまじゃくしが出ちゃう
鍵の経済を世界入手し迷宮
仲介メール機能や金融ファクス
もう天使が出ちゃう
しかし、今日も一日暑かったな…はぁ
ぅう
しくしく
お客さん、終電に乗り遅れちゃうよ?
いいのかい?
終電乗る、乗りたい、乗り遅れないの2つ目でお願い
ほら、もうすぐ来るよ
よかったね
あぁ、僕も間に合いそう、よかった
はぁ、はぁはぁ
って何がだよ
もほお、オワリッだねぇ〜
小説っつうううう >< まだーー?
なにが?なにがあああああああ?
新参です。
バタバタ作ったから荒いけどよろしくです(汗)
【入らない】
喫茶店の一番奥の席、まだ付き合い始めたばかりの男女の間には微妙な空気が流れていた。
「ごめんな」
「……ううん、悪いのはきっと私の方だし」
さっきから似たような会話と沈黙を行ったり着たり。
運ばれたホットコーヒーもすっかり冷たくなっていた。
「っつーかさぁ、立ってんのに入んないってありえなくない?!」
少し離れたテーブルから聞こえた女子高生の会話に二人は身を硬直させた。そして悩みの種が頭を支配する。
数時間前、二人はラブホテルにいたが最後までできなかった。なぜか入らなかったのだ。勃っていたのに。
男は焦って冷めたコーヒーに口に注ぎ、女は意味も無くおしぼりで手を拭いた。
「あー、そんなのよくあるし。気にしない気にしない」
二人は耳を疑いながら互いに視線を合わせた。
「よくあることなの?」
「みたい……だな」
二人は安堵の笑みを浮かべて、次はがんばろう、と手を繋いで喫茶店を去った。
女子高生は携帯電話を振りながらまだ格闘しているようだ。
「やっぱ電波立ってんのに繋がんないなんてありえないんだけどー」
だれですか?あなただれですか?
>>919 すごくおもしろいよ
また小説読ましてくださいね
922 :
アルコ:2008/07/01(火) 20:37:07
>>921 ありがとうございます。
また気ままに書きますw
誰かが書けば流れが止まる…
924 :
名無し物書き@推敲中?:2008/07/01(火) 21:25:45
>>919 ワラタ。
こういうショートショート好きだ。
>>919 こういうの好きです。
なんとなくオチが予想つきましたが大好きです。
もっとプリーズです。
今日も暑かったですね
それでは、皆さんおやすみなさい
928 :
アルコ:2008/07/01(火) 23:25:13
眠いような
眠くないような
あぁ落ち着く
こんなに落ち着くことがあるのか……
はぁ……
あ
ぁ
ふぅ
、
ラ
(^O^)
(*_*)
(^O^)
w(゚o。)w
今日も清々しい天気だな
グッモォ!
945 :
名無し物書き@推敲中?:2008/07/02(水) 22:10:23
アゲアゲ(ノ゚O゚)ノ
(^0^)ムホムホ
小説はもうないかな
じゃあさ、感想とかない?
?
>>947 あのぉ、失礼ですが、
感想って何の感想なんですか?
951 :
947:2008/07/03(木) 01:13:45
ああああああああああああ
何いってるんだ、お、おれは一体、、、
952 :
947:2008/07/03(木) 01:16:09
一体、いつからオレはここにいるんだ……
ハァハァハァハァ
ーそして、彼からは汗がふんだんに出ているのだったー
アチャー、フフンフンフフフンモンキーマジック♪
ララララララララモンキーマジック♪
パタパタパタ
すー
だんだん眠たくなってきた…
横になると寝てしまうかもしれん
まただ
まだ寝るわけには
ぐぅう…
…ふうぅ…では、おやすみなさい。
うふん
アハン
もうやだ
もうホント駄目
アッー
ミクシー大好きだけど
?
フンッ、また新しい朝が来たな
いい一日でありますように…
おはよう!
皆さんお早うございます
しゅしゅ
やあ、おはっす!
ずいずい
ずっころばし
ごまみそ
ずい
腹へった
何たべよっかな
ざるそばでいいかな
いただきます
ずずー
−女は尚も食べ続ける−
急にお腹が…
−やはり食べ過ぎなのだ−
−女は席を外し、トイレに駆け込んだ。
しばらくすると席に戻り、また食べ始めるのだった。−
…ずーずー
ふぅ、ごちそうたまっと テヘッ
眠い
非常に眠い
プー
オゥオゥオーーオ、オゥオゥオーーオー♪
う〜ん出来たかなっと
もうチョットかな
肩こる
いいんじゃないかな
はぁーお疲れ!
お疲れ様
ん?
1001 :
1001:
このスレッドは1000を超えました。
もう書けないので、新しいスレッドを立ててくださいです。。。