ゾンビと化した人々が増え始めて3時間と少しがたった・・・。
奴らの繁殖力(?)は凄く、生きている正常な人間に噛み付くことによって
仲間を増やしているようだ。
2時間前までは近所に住んでいる友達6人とバットなどの武器を所持しながら
安全な場所を探していたが今では6人いた仲間もオレを含めて3人になって
しまった。しかもその内の2人はもうゾンビに噛まれゾンビに成り果てている。
もう1人とは逃げる途中ではぐれてしまった・・・。
当初は家の中に立て篭もるという話しがあったが家の中にゾンビが多数攻め
込んできたらそれこそ逃げ場が無いという事になるので”ある場所”を
目指して進むことにした。
そして今オレ達3人はある場所。ホームセンターの前に辿り着いた・・・。
【ルール】
創作文芸板住人のリレー小説です
基本的にsage進行で
ストーリーテラーになる場合はトリップを付けて下さい
主人公:隆(たかし)、性格:温厚、以外に冷静。 まなみが気になる。
友達A:拓也(たくや)、性格:落ち着きがない、母親がゾンビ化。
友達B:和也(かずや)、性格:温厚ではあるが表裏のある一面も。両親がゾンビ化。
保護した少女:麻奈美(まなみ) 性格:家族が死んだ事実を受入れられない。
3 :
名無し物書き@推敲中?:02/08/31 16:43
/ \_
/`'ー─-、-─'''二二__ヽ
|´ _ニ-‐´ ̄ __ |
|´ __ニ二..,,,,__ ̄ ̄}
ヽ`'ニ-、_レ' ̄  ̄ヽ{_,.-‐'´/
`l `ヽ'‐ -‐ '''ー / /! /
`l, <.| ‐ー くー // /
`l、 ヽ| ´゚ ,r "_,,>、 ./ | /
`l_| ト‐=‐ァ' /_,.‐'´ ̄`\
_,.-''´ヘ l'、 ` `二´' /´-‐__,..-‐ 丶.
/´  ̄ ̄\L\___ ,...-‐´ ̄ ̄ ヽ
/ / ̄  ̄ ̄ ̄ ̄\
>、 // ,..-‐'
 ̄ ̄ ̄7 \ | ヽ _,..-‐'´
\ \ -─一´ ̄ ̄
ピッコロが現れたようです
4 :
名無し物書き@推敲中?:02/08/31 16:45
バタン !!
_______ミ Λ_Λ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| ̄\ \ (´∀` )< はいはい。板違い逝ってよし♪
| |: ̄ ̄ ̄ ̄:|⊂ ) \_______
| |: .:| | | |
| |: .:|(_(__)
5 :
名無し物書き@推敲中?:02/08/31 16:50
>ゾンビと化した人々が増え始めて3時間と少し
意味が分からん。増え始めて3時間ってどういうことだ?
6 :
名無し物書き@推敲中?:02/08/31 16:52
おい
>>1 夏はもう終わったぞ。
>>5 オカルト板の類似スレのパクリ、テンプレまんま。
>>6 そうなのか。題材はともかく、糞みたいな文章もってきやがって。
こ の 板 な め す ぎ !
8 :
名無し物書き@推敲中?:02/08/31 17:03
とりあえずバイオ好きな俺としてはこのスレを少しでも有効活用したいところだが
>>1と
>>2の設定からして書き換えねば成らんなこれは
さてどうしたものか。
「さてどうしたものか」じゃねぇだろ。
書き換えればいいじゃん。口だけ人間は逝っ(略
ゾンビ母「拓也ご飯よ。」
拓也「母さん目玉ここに落ちてるよ。」
ゾンビ母「アハハハハハ。やだー。拾っておいてー。後でつけとくから」
11 :
オカ板から>>1を頃しに来ました:02/08/31 18:29
1の兄です。
このたびは弟の1が大変なご迷惑を以下略
実は弟は既にゾンビ以下略
>>8 どうもしなくていいです。
放置してください。
>>9 普通に考えて今書いてる最中なんじゃないのか?
おかしいな。創作文芸はもっと平均年齢高いと聞いていたが
こんなのも居るのか。
>>11 意味不明
>「さてどうしたものか」じゃねぇだろ。
>書き換えればいいじゃん。
コレのどこがいけない?
13 :
オカ板から>>1を頃しに来ました :02/08/31 18:34
8がただ単に「どのように書き換えようか」と思案しているだけかもしれないのに
口だけ云々とか言ってるジャン。
>>13 ・・・速レスだな
もしかして粘着?プッ
まあおちつけ
ようは全員このスレに書き込まなきゃいいわけだ
* * *
* * ドォーーーーン
* ∋oノハヽo∈ *
* ( ^▽^) * 新スレおめでとうございまーす♪
* り か *
* *
* * *
(
)
(
)
(
Π
あげてんじゃねえよクソが
隆は麻奈美に襲い掛かった。どうせゾンビになるんだ、今犯らなきゃ何時やるってんだ!
割れ目に手荒く指を突っ込む。少しいじるだけで、ねっとりとぬれてきたマムコに驚いた。
女って、こんな風になっているんだ。
少し突っ込んだ。熱い。これが最初の印象だった。
ここに、ティンポを突っ込むのか…
想像しただけで、隆のティンポはそそり立つ。
19 :
名無し物書き@推敲中?:02/08/31 23:53
あげ
20 :
名無し物書き@推敲中?:02/08/31 23:54
あげ
21 :
名無し物書き@推敲中?:02/09/01 01:02
オレが書いてもいいけど、設定をもう少し詰めろ。
それと主人公は
>>2を破棄して下記のもの推奨。
主人公:真琴♀(まこと)、性格:温厚、やるときにはやる。13歳。
友達A:優子♀(ゆうこ)、性格:すごく温厚、真琴の幼馴染で彼女にラヴ。14歳。
友達B:和美♀(かずみ)、性格:成績優秀、クール。実は真琴が好き。12歳と半年。
友達C:高子♀(たかこ)、性格:温厚、以外に冷静 ノンケ。ペド趣味。まなみが気になる。13歳。
友達D:巧♀(たくみ)、性格:落ち着きがない、真琴に恋愛感情を抱いている。11歳。
友達E:奈々♀(なな)、性格:温厚ではあるが表裏のある一面も。 実は真琴が好き。16歳。
友達F:静香♀(しずか)、性格:苛烈、他人にも自分にも厳しい。実は真琴が好き。18歳。
友達G:マリア♀、性格:敬虔、米人のクリスチャン。実は真琴が好き。11歳。
保護した少女:麻奈美♀(まなみ) 性格:家族が死んだ事実を受入れられない幼児。精神崩壊系。真琴に懐く。4歳。
オカルトの本スレ?からネタパクって来てどうする。
つーかそこまで言うんなら設定も自分で書いてくださいぼけ
23 :
名無し物書き@推敲中?:02/09/01 01:43
>>22 これはオレが考えたヤツですが何か?
黙って見てろよこのヒキコモリ。
24 :
名無し物書き@推敲中?:02/09/01 02:46
サバゲ板でやらんか?
お前ら揃いも揃ってつまんねぇな
26 :
名無し物書き@推敲中?:02/09/01 03:27
>>24 何故サバゲ板?
キミの思考ってどうなってんの?
トテモ興味があるわ。
28 :
名無し物書き@推敲中?:02/09/01 21:54
ハウアアアアアアアアアアッッッッ!!
麻奈美の叫びが大きく響き、虚空に消える。
股間から、血が筋に流れていた。
隆のティンポが突き刺さっているのだ。痛い。麻奈美は逃げようと身体をくねらす。本当に、嫌なのだ。
しかし、隆は逆により激しく腰をスライドさせてくる。麻奈美は身体をくねらせる。それが、隆をあおっていると言うことにも気付かずに。
ヴヴッ!!
くぐもった叫びを隆は上げた。麻奈美は股間から注ぎ込まれる熱いものを感じた。
脳天が痺れる様な。そんな時。
麻奈美の形相が一変した。鬼のように口を吊り上げ、麻奈美は隆の首筋にかぶりつく。
麻奈美はすでにゾンビに噛まれていた。
ショックで、潜伏していたゾンビ菌が表に出てきたのだ。
数ヵ月後、麻奈美は隆の子を孕んでいる事を知った。一時は愛した男の、子。
こんな世の中、麻奈美はそれもいいと思った。
自分を犯した男の子。洒落ている。
しかし、一つ問題があった。自分はゾンビ化しているという事
その子は、先天的にゾンビ菌を保有しているのではないのかという事。
病院で遅延薬を打たれながら、麻奈美は考える。
30 :
名無し物書き@推敲中?:02/09/05 20:00
あげとくか
31 :
名無し物書き@推敲中?:02/09/05 20:26
ネタはおもしろそうなのに
>>1のせいでとんだクソスレになってしまったなage
>>28隆君早すぎw。
(それにこれって矢野健太郎の「ラミア」か、藤子不二夫の書いたやつに似てるね。
あっちは確か吸血鬼ものだったかも知れんけど。)
33 :
名無し物書き@推敲中?:02/09/06 22:29
麻奈美は無事男児を出産した。隆二と名づけられた。特に意味は無い。隆の文字を入れた名前にしたかっただけ。
玉のようなとはよく言ったもの。この殺伐とした世に輝く隆二の愛らしさは、まさに宝玉そのものであった。
隆二に父親は居ない。ゾンビ化した麻奈美に恐れ、去っていってそれきり音沙汰無いのだ。
麻奈美はそれでも仕方ないと思っている。
自分はゾンビ菌を保有した異端者。自分を嫌い逃げていった男。
それでいいと思っている。こんな世の中、優しさは要らない。
強く。ただ強く。
隆二に言い聞かせているようで、自分に言い聞かせている言葉でもある。
ふと、そんな二人の前に、拓也が現れた。
母親がゾンビ化している拓也。彼は、母親を連れ戻すため父親と町から姿を消していたはず…
34 :
名無し物書き@推敲中?:02/09/07 23:23
age
35 :
名無し物書き@推敲中?:02/09/08 02:20
無言で銃口を母親に向ける拓也。
そのまま引き鉄を引く。2発、3発・・・。
血まみれのぼろ布のように壁際にうずくまる母親の死体を見て、拓也は少し満足げな表情を浮かべた。
傍らで泣く赤ん坊の姿が目に入った。
拓也は躊躇する事もなく、当然のように隆二を射殺した。
「終わった?」
拓也の背後から若い女が呼ぶ。
「ああ、いこうか。」
車のエンジン音。
36 :
名無し物書き@推敲中?:02/09/08 18:45
agegege
37 :
名無し物書き@推敲中?:02/09/09 16:40
あげー。
38 :
名無し物書き@推敲中?:02/09/09 21:58
すっ、と助手席の女性は、拓也の太ももに手を掛けた。
「…やめろよ、母さん」拓也の表情は難しく。ため息を付くように。
「…欲しいの」潤んだ瞳。
「…すぐ家につく、よ…」今度は吐息が出た。
拓也は母親を発見していた。驚愕に目を見開いて。たくさんの男が、母親の白い身体に跨っていた。
しかし驚いたのはそんな事ではなかった。
母親は若返っていた。自分より少し上、19か20くらいに見える。
拓也は聞いたことがある。
『サキュバス型』――
もともとゾンビ菌は、宿主を介して増殖する。宿主を喰らい、操り攻撃させ、新たな宿主に寄生する。
そんな中、比較的穏やかなゾンビ菌の症例がある。
宿主を介して外界からエネルギーを取り入れ、宿主と共に長期に発展する…
この症例は女性に多い。生命の根幹エネルギー。つまり精子を取り入れ、自分のエネルギーとする。発病した女性は男性を誘惑し、交尾を求める。変わりに食欲が無くなる。
性向=快楽であり、食事なのだ。
そして、より多くの異性を誘惑するためか、外見にまで影響が及ぶ。その個体の、一番異性を引き付ける形に変化する。
つまり、若返る。
その症例は、淫魔の名で呼ばれる…
39 :
名無し物書き@推敲中?:02/09/09 21:59
ああああああああああ……
切なげな女性の声が、隣の寝室から聞こえたとき、拓也の父、拓男は筆を置いた。
世界が崩壊したときのショックで、拓男はEDになってしまった。
今、愛する妻を責めるのは、愛すべき息子である。
拓男は、妻を息子に託し、己はこの狂った世を記録することにした。
「拓也、もっと…」
「ああ、これで、俺達を知る者は全て排除した――俺達だけで…生きていこう。幸せになろう…命、尽きるまで」
そんな時、
麻奈美はゆっくり身体を起こした。ゾンビ菌が、死を許さなかった。
麻奈美の表情は鬼のように歪んでいた。銃に撃たれた事に、ゾンビ菌が活発に動き出したため。
『バーサーカー型』
一番オーソドックスな症例。
活発に蠢くゾンビ菌が、宿主の身体を崩れるまでむさぼり喰らい、それでも足りないと他人を攻撃する。
「た…く…やぁぁぁ…」
ふらふらと麻奈美は歩き出した。
麻奈美が肉眼で見えなくなった頃、隆二もまた息を吹き返す――
40 :
名無し物書き@推敲中?:02/09/11 22:44
あげ
ポツリ。
フロントガラスに雫が落ちてくる。
見る間にそれは増え始め、視界を遮るほどの豪雨となった。
「交通情報です。国道246号線は第四厚木空港付近で雨の為通行止め。20キロの渋滞・・・」
「最悪・・・。タクヤ、どうしよう?」
「どうしようか?」
うっすらと目をあけてあたりを見回す。部屋には誰もいないようだ。
壁際にはべったりと血まみれの布切れが張り付いている。
突然の稲光とほぼ同時の雷鳴に隆二は驚き、とっさに布切れを抱きしめる。
数秒間、恐怖のあまり目を閉じてがたがた震えていた。
「リュウジ。」
どこからか優しく慰める声が聞こえたような気がしたが、薄暗い部屋には激しい雨音が聞こえているだけだった。
隆二は壁際にうずくまり、布切れを抱きしめながら泣いた。
43 :
名無し物書き@推敲中?:02/09/29 16:17
どのくらいの時間が経過したのかわからないが、隆二は眠っていたようだ。
すでに日が沈んで部屋は相変わらず暗かったが、雨はやんでいた。
空腹感とひどい頭痛。悪寒もする。
「ん〜」
自分の中で何かが蠢いているような変な気分。
とにかくじっとしているわけにはいかない。
隆二は表へ出てみた。
隆二は赤ちゃんじゃないの?
45 :
いいか、どーでも?薙牙煉:02/11/01 21:21
僕は、クローゼットの中で、小さく丸まり震えていた。
相変わらず、外からは、ああ〜〜 だの うう〜〜 だの
表現しにくい、声が、響いている。
「・・・・・もう、こないのかなぁ・・・」
僕は、そう小さく声を漏らした。
そう、あれは、多分・・・数時間前・・・・・・・
急に騒がしくなったのだ、そう、それは、確かに聞こえたのだ、 人の声が
僕は、無我夢中でクローゼットの中から飛び出し、窓の下を見た。
人がいる。・・・・それも、兵隊だった。
彼らは陣形を組み、ゾンビ達を倒していったが・・・・
それも、数十分さえ、もたなかった。
悲鳴が、聞こえた。断裂魔の叫び声だ。
耳を塞いでも、はっきりと聞こえた。 バーン
また、爆発音がした。兵士達の最後の手段である。
唯一わかる事、それは、もう、安全な場所は無いのだ。
この家出さえ・・・・・・・・・・・・
今日の朝、パパがすごい形相で帰ってきた。
右腕の二の腕から、血が出ていた。それも大量に、
そして、ママがそれを見て騒ぎ、手当てをしていたはずだった。
僕がママのいいつけで、パンが焼けたのを知らせに言った時、
パパは、ママの首に、その顔を埋めていた。そして、パパは僕の方を見たのだった。
その目は・・・・・濁りながら、も、なお、餓えた、鋭い目をしていた、
そして、口からは、血と垂れ流していた。
僕は、必死で、二回へと駆け上がった。
そして、いま、クローゼットの前を、パパとママだったものが徘徊している。
カリカリカリ・・・・・・何かを削る音がしている、
その方を見た。そこには、灰色に汚れた、ハツカネズミが僕の方を見ていた。
ハツカネズミが仲間になりたそうにこっちを見ている。
どうしますか?
小さい頃から自分の部屋でハムスターを飼育していたせいか、小動物のつぶらな瞳ってやつにどうも弱くて、僕はハツカネズミの方に手を伸ばして抱きかかえようとした。
「遊んでんじゃねえよ」
不意に怒鳴られ、心底驚いて振り返ると主任がモーニングスターを肩に下げてサングラス越しに僕をにらみつけている。
主任は、刺つきの鉄球でハツカネズミを叩き潰すと、「役たたずめ。死んでしまえ。」といった。
しかーし。
そのハツカネズミは、バイオのリッカーのごとく進化を始めた。
ビデオを逆再生しているようだ。
・・・・・。
不気味だった。
手と足が、異様に長い、例えるなら、蜘蛛だろう。
そして、特徴的なのが、口だった。
ワニを思わせる。
鋭い牙が並んだ、長い口・・・・・・・。
しかし、ネズミは所詮ネズミだった。
主任は、けっ とその生物を一瞥すると、
踏み潰した。
「鉄球をつかうまでもねぇ・・・。さてと」
といって、クローゼットの方を振り返った。
[・・・・・・・つーか、少年は何処いった?]
49 :
名無し物書き@推敲中?:02/11/04 01:20
その時微かに、だがはっきりと、衣擦れの音が聞こえた。
主任は身構えた、この中に何かがいる。
50 :
名無し物書き@推敲中?:02/11/04 02:31
************** 友達を殺しやがった ********************
「さあでてこい」
愛情のカケラもない。
主任は僕たちを利用するだけだ。
いつも。いつもいつもいつもいつもいつもいつもいつもうわああああああああああああああああああああ!!
************** ハツカネズミくん。痛かっただろう? ***********************
少年はクロゼットから勢いよく飛び出し主任の顔面に思い切り振りかざしたこぶしをめり込ませるはずだった。が・・・
51 :
名無し物書き@推敲中?:02/11/04 11:12
なんなく主任は拳をかわす。少年の意気込み程、少年は強くなかった。
少年は鉄球でボコボコにされた。意識が闇の中でもがいていた。
主任はおもむろにズボンを脱いだ。そのエレクトした一物を少年の口腔へぶち込んだ。
オウッ!!
生臭い液体が口の中一杯に広がる。少年は吐き出す体力も無い。
満足げに主任は消えた。
呆然とした意識の中、少年は己の非力さを感じている。
ふと、その視線の先。潰れたはずのハツカネズミが再生を始めていた。
しばらくの後、完全に元の姿に戻っていた。ワニのような歯をした、異形のネズミ。
ゾンビ化しているのだ。
少年は観念した。ネズミに言いように齧られると思った。
しかしネズミは少年に擦り寄る。甘えるように。
なぜかネズミは少年になついた。
少年はネズミを、アルジャーノンと名づけて可愛がった。
かわいいアルジャーノン。ゾンビになったんだね。もう主任に殴られてもこわがる事はないね。
だってもう死んでるんだものね。いいなあ。僕もゾンビになりたいよ。そうすればずうっとずうっと一緒にいられるのにね。
アルジャーノン。。。
ハツカネズミのアルジャーノンに寄り添いながら、少年は疲れて静かに眠りに落ちていった。
>>52 さん 語り口調が なんかいい〜〜です。
気付けば バイオハザードから、主任ハザード って落ち?
静寂を破る、悲鳴、そして、壁を壊す轟音、響き渡る、叫び声、
その、巨大な体からは、想像できない速さで、モーニングスータを
振り回す・・・・・銃を乱射しながら、鉄球で肉片へと変わり果ててゆく、兵士達、
モーニングスータから、血が 滴り落ちる・・・・・・・。
・・・・・・・・主任 ハァザァードォ・・・・・・・・・・・・
>>53 の発言は 無視ということで。
ゴメンナサイ。バイオ3やりながら、主任と追跡者を重ね合わせてしまったので。
僕は、疲れて、眠った。
小さい命を温かいと思いながら、
両手に包み込むように抱きしめている、ネズミ・・・・アルジャーノン
そう名付けた。
「キーキーキーギギっー」
「どうしたの?アルジャーノン」
両手の隙間から、鼻と顔を出す。
赤い目が、僕を映している。
不安が僕をよぎった。
耳をすましてみる・・・・・・。
ギシギシッギシ ミシミシッ
木が 音を立てている。
うあぁ〜〜。おおうぉ〜〜。
パパとママだったものが、その音に反応して、再び動き出した。
地震のような、小さな、振動が 数回 響く、
僕は、アルジャーノンをクローゼットの床に下ろすと、
目をクローゼットの隙間に当てた。
僕は見た。
大きな化け物が、何かを振り回している。
ヒュンと風を切る音と共に、グチャ と言う音がした。
それは、真直ぐこっちに向かってきた。何かボールのような物だ。
そう思った瞬間、それは、クローゼットにぶつかって、
爆ぜた。生臭い と言うより 腐敗臭がベットりと、顔に付いた。
僕は 悲鳴を上げて、クローゼットを力の限り、開いた。
開いてからハッとした。
それが、僕を見ていた。
手には、鉄球が鎖に繋がれていた。鉄球から血が滴る。
その、化け物の周りに、肉隗が転がっていた。
僕は、とっさに、クローゼットの方を見た。逃げるためだ。
その瞬間。僕の頭上を風が切った。
クローゼットの木片が飛ぶ。
アルジャーノンは、パパの服のポケットに入っていた。
僕は、転ぶようにして、クローゼットに手をついた。
アルジャーノン入りの服をつかむと、引っ張る
一緒に逃げる為だ。服の上に何かが動いた。
同じ、黒色だったので、気付かなかったが、それは、紛れも無く、
銃だった。恐らく、さっきの一撃で、上に隠していた銃が落ちたのだろう。
片手で、服を引っ張り上げると、
もう一方の手で、銃を取ると、すぐに振り返った。
そこに、それはいる。そして、僕をみて、笑っている。
銃口を向けてはいるが、撃てなかった。
撃って効果が無かったら、どうしょうか・・・・。
そう思うと手に震えがきた。
ゆっくりと腕を上げる。鎖がチャラリ、チャラリとなる。
次の瞬間それを後ろに 振り下ろした。
化け物の足に下半身だけになったママであったものがしがみ付いていたのだ。
が、先ほどの一撃で、頭が無くなり、首だけになっていた。
だが、まだ、手は巻きついていた。
それを鬱陶しそうに、踏みつける、化け物。
僕は、その隙に逃げた。
必死で。必死で 逃げた。
いま、どっかの倉庫にいる。
「アル・・・・・これからどうしょうか?」
「キーキーキー」
「ああ、アルって名前ね、アルジャーノンじゃあ、長いから、僕が新しく考えたんだ
いい名でしょ?」
僕の乾いた、笑い声が。。。。。静まり返った倉庫に、響いた。
57 :
名無し物書き@推敲中?:02/11/13 23:45
笑い声の残響が完全に消えるまで耳をすましていたら、倉庫のトタン屋根を打つにわか雨の音が聞こえてきた。
それはやがて激しい豪雨となり、雷鳴までをも轟かせ始めた。
少年は雷をこわがらなかったが、彼の小さな友達は少年の着ているパーカーのポケットにもぐりこんでぶるぶる震えている。
「だいじょうぶだよ。アル。なんにも心配いらない。ぼくがついてる。」
少年はポケットからちょこんととび出した小動物の頭を優しくなでてあげた。
「キィ・・・」
アルの温かさを両手で感じた。
はぁ・・・・・・と、力無い、
溜め息を付き、クローゼットと同じ、状況だ
と考える。
そして、改めて、考え直しすために、
アルを一度、近くと言っても、手の届く範囲の事だが、
見つけた、箱の中に入れ、
積み上げれた、箱の一部を開けて、ビスケットを取り出して、その中に入れてやる。
どうやら、この倉庫は、製菓子会社が借りているらしかった。
自分でも、その、ビスケットを食べながら、クローゼットに入っていた、
パパの服を脱ぎ、自分の着ていたパーカーも脱いで、床に置いた。
パパの服のポケットには、銃が入っていた。
それを、まず、パーカーの上に置く、
そして、パパの服のポケットに手を突っ込んで、物色する。
少し、煙草臭かった。
案の定、煙草と、ライターがまず、手に触れた。
それも、パーカーの上に置く、続いて、サイドのポケットには、ハンカチとポケットティシュと、
それから、時計、バンソウコウ。胸の内ポケットからは、ペンと手帳があった。
それらを、全部、パーカーの上に並べる。
あとは、チャック付きの小さいポケットだけだ。
それを、開けてみる。
手を入れると、冷たいものが、手に触れた。
何かわからなかったのが、取り出してみる。
外から射す、薄明かりのなかで、手を開ける、
折りたたみ式のナイフだった。
それも、パーカーの上に置く、これで、全部だった。
パパの服をたたんで、床に置こうとしたとき、
カチリ、となった。もう一度、上から触ってみる、硬い物が触れた、
だが、薄い。手を突っ込んでみる、奥の方にあった、
仕事に行くときに、乗ってゆく、自動車のキーだった。
そこには、レーザーライトのキーホルダーが付いていた。
それも、パーカーの上に置く、
ライターを取り、そして、火を点けた。
ボッと言う音と共に、明かりが揺れる。
それを床に置き、改めて、パーカーの上に置いたものを見て、涙が出てきた。
腕時計を入れるのは、パパが腕時計をなくしやすいと言う事で、ポケットの中に入れていた。
そして、パパは、昔ボーイスカウトだった、事をよく口にしていた、
だから、いつも、ナイフとバンソウをポケットに入れていた。
でも、今は、あの二人は、化け物に潰された、場面が脳裏によぎった。
それは、温かい記憶を一瞬にして、凍てつく恐怖へと変えた。
一度首を振ったが、消えなかった。
だから、少年は、ゆっくりと、黒光りのする、銃に手を伸ばした。
パパとママのクローゼットに銃が隠してある事は、知っていたが、
あそこに、逃げ込んだのは偶然だった。そして、偶然にも、その銃は、
少年の手にある。しかし、少年は、
その銃に、弾が入っているか、いないか は知らなかった。
そう言えば、昨日の夜、パパはいつもとは違っていた、ぴりぴりしていた。
帰ってきて、すぐに、二階に上がって・・・・・・。
・・・・もしかしたら、少年は、ボタンを押した、
カチンと言う音と共に、黒く円い薬室が横に出た。六個の穴が埋まっている。
少年は、銃口を上に向けた、すると、薬室から、六発の鈍い金色を放つ、弾が落ちた。
少年は、銃を置き、弾を拾う。手の平で、その重さを感じた。
そして、一発づつ、弾を込めてゆく、全て埋まった所で、薬室を戻す。
弾は入っていた、その事実が、微妙な感情が少年の心に響いた。
回転式のそれは、使い込まれてないことが、誰の目からも明らかだった。
傷も、変形も、なかった、火薬臭さは少し鼻をついた、
そして、それを、パパの服の中に戻す、
手帳とペンはすぐに、元あった、内ポケットに戻した。
「時計は必要、バンソウコウは必要、ナイフは・・・・」
手にとって開いてみる、これも、使われてないのか、開くに力が要った。
ナイフと、プラスとマイナスドライバーそれから、ヤスリと、ルーペ、穴あけ、そして、ハサミが付いた、本格的なものだった。
全部出し終えるとしまい。そして、ポケットに入れる。
キーホルダーのレーザーはまだついた。
赤い光は倉庫の深い深い、先を射している。
それは、少年の恐怖心を煽った、だから、アルをみた。
アルは、器用にビスケットを両手で持ち、食べている。
その姿をみて、少年は、安ど共に、勇気ずけられた。
全てを、元に戻すと、
何も無くなった、パーカーを手に取ると、それを着た。
そして、ハンカチと手帳・ペン以外は、パーカーのポケットの中に、いれた。
銃は、出しやすいほうがいいと言う理由で、
パパのポケットの中に入れた、片方は、アルの部屋になるのだ、
ハンカチをポケットに敷いてある。
パパの服は大きいが、コートの代わりにはなった。
袖が、長くて、上におっても、垂れてくるので、
ナイフに付いていたハサミで、袖を切った。
生地は思ったより硬く、ブカッコになり、糸が袖口から、出ているが、
引っ張っても、引っ張ってもきりが無いので、
あきらめた。
切りクズは、アルの家になるべく、ポケットの中に入れる。
箱の中のアルは、ビスケットをせっせと、隅っこの方に隠していた。
そんなアルを両手で抱き上げる、
アルは、名残惜しそうに、ビスケットを見て、暴れる。
それが、くすぐったくて、笑った。
「わかったよ、ほら、」
箱の中に戻すと、
「僕も、腹ごしらえしようかな」
ダンボールに手を伸ばして、中から、ビスケットが
入っている、菓子箱の封をといた。
甘〜い。においが鼻をついた。
ううう。
改行制限を恨む。
あれだけ書いたのに・・・・・
>>60は >>59を書いて、改行制限で、書き直したものです。
そのため、かなり雑になっております。お許しください。
62 :
名無し物書き@推敲中?:02/11/22 21:20
二つに割ったビスケットをさらに二つに割る。それをさらに二つに割る。さらに二つに・・・
これだけの食料で一体いつまでここに隠れていられるだろう?
ハンカチの上に並べたビスケットのカケラ一つを一食分と考えても一週間と持たない。
・・・いつのまにか眠ってしまっていたらしい。
63 :
名無し物書き@推敲中?:02/11/26 20:46
小鳥の声で目が覚めた。
目覚めると、ママとパパがにこやかに笑っている。
僕は一杯の笑みを浮べて、
「な〜んだ、夢だったんだね」
と、安どの息をつく、が、その一瞬、パパとママは、醜い化け物に姿変え、
ベットの上に倒れ、僕へと這って迫ってくる。
うああああああああああああああああ。
「うあああああああ」
「なんだ、夢か・・・・・・。ビックリした。」
手も、身体も、汗でびっしょり、濡れていた。
ポケットに手を突っ込み、時計を取り出す。
ライト機能を使い、時刻をみる。2時間経っていた。
体がさっきかいた、汗がべとついて気持ちが悪い。
それを乾かす為もあり、探検と言う名目で、歩きまわる事にした。
パパのスーツのポケットに入っている銃を確認し。
次に箱の中に入れた、アルを確認する。が・・・・居ない。
僕は焦って、箱の中を荒々しく、箱の中を探すが、居ない。
ひっくり返して、みるが、布切れと、ビスケットの欠片が床に落ちる。
あたりを見渡しても、アルは見付からなかった。
だから、僕は、キーホルダーのライトを点けて、探すことにした。
40センチ程度の薄い光の楕円が床に映る。
「アルとこだ〜〜い。でておいで〜〜。」
僕は床に穴が開くほど、見つめながら、アルの姿を探した。
と、床の上で何かが光った。そして、それは、影を造った。
白い毛はキラキラ光り、大きく伸びた影の鼻が引く引くと動くのが見える。
「アル!」
僕は駆け寄ると、キーホルダーを口にくわえ、両手でアルを抱き上げると、
ポケットに入れる。
くわえられた、キーホルダーが、何かを映した。
それは、一瞬だけそれを映し出した、だから、少年には見えなかったのだ。
それに、少年は見付かった探し者を見つけた安どと喜びにひたっていた。
しかし、それは、映像だけではなく、音として、その存在感を、少年に伝えたのだ。
タン タン タン
タップを踏むような音がいくつも聞こえる。
僕は、キーホルダーライトを手に持ち替えて、音のする方に向ける。
が何も居ない、だから、少年はライトを下の方に向けた。
音の主が居た。大小様々な、それらは、共に、同じ行為をしていた。
それぞれの、牙をぎらつかせ、低くうなり声を上げている。
8匹は居るだろう。
(犬?・・・・・どっか開いていたんだ。)
僕は後ろに下がった。・・・圧倒的な存在感だった。
と、一匹が一足を蹴り出すと、一斉に向かってきた。
僕はすぐさま、振り返って、走り出す。
「はあ はあ はっ はあ 」
相変わらず、後ろからは、タン タン と言う音が聞こえる。
僕が入ってきた、扉が見えた。
そこから、外に逃げようかと思っていたとき、それは起こった。
バンと言う轟音と共に、扉の鉄板が飛んできた。
そして、僕の頬に風がなでた。
月光りを背に浴びてそれは、鬼の様に見えた。
否、鬼そのものだ。
それは、こちらに、向かって走り出した。
呆気に取られて、失速気味であった。僕と、後ろの犬たちは、
そこで、ハッと気付いたように、犬は僕の方を向き、僕は犬に追われていることを思い出す。
追いかけっこの構図が少し変わった。
僕は犬に追いかけられ、その後ろから、主任が追いかけている。
足の速さからして、主任が犬を追いかけているように見えるが実際には、僕を追いかけているのであろう。
グルグル、と回りながら、走る。
しかし、ここは、倉庫だ、どんなに広かろうと、壁があるのだ。
目の前に、それがあった、そして、運の悪いことに、両サイドには、棚が積まれていて、
通路が無かった。追い込まれたのだ。先に、大きな壁があった。
僕は振り返った。そして、銃をポケットから取り出す、両手で構える。
犬たちも、4,5メートル距離を置き、低く構え、そして、唸る。威嚇だ。
撃ったら、それと同時に、自分に向かって走ってきそうな気がして、
引き金を引けなかった。キャインと言う声が響いた。
主任だ。主任がモーニングスターを振りかぶり、さらに、二、三匹吹っ飛ばす。
残りの犬たちは、一度、低く唸り、そして一目散に逃げ出した。
下半身をやられた犬は、残っている前足だけで、逃げようとする。
が、そんな、ヤツも、主任は手を使って、つかみ殺した。
そして、僕の方を向く。そのとき、轟音がした。
主任が前につんのめる。が、主任が近づく事が恐かった。
もう一発、少しの間と共に、轟音がした。
それで、主任は完全に倒れる。
男が近づいてきた、背中に筒のような銃を背負い。
手には、ライフルを持っていた。
少年が動くと、男は反応し、ライフルを構える。
「ぼ、僕は人間だよ。撃たないで」
ライフルを構えた男がライフルの銃口を下ろす。
「ほんとうかよ?・・・・・よく生きていたもんだな」
男は屈み、「名前は・・・・」
名前は聞かれることは無かった。そう、そいつが立ち上がったのだ。
少年も振り返る。少年の目にも映った。
主任がモーニングスターを落すて、手を振りかざす。主任の爪が伸び出した。
男が呟くように
「まじかよ・・・・グレネードだぞ?化け物が・・・・この状況で進化するのか」
そして、少年の方を向き、「逃げるぞ・・・」
そう言い切るまでもなく、男は少年の腕をつかみ、ぴっぱった。
男が焦っているのが少年には分った。
つかまれた腕が痛かった。
引っ張りながら、ライフルを片手で撃つ、片手で撃っている、ライフルの弾の衝撃は、片手では、
受け止め切れられず、狙いをずらしている、だろうが、それは、
男にとっては関係の無い事だった。
男は、そのライフルでは、何の意味も持たないことを、分っていた。
さっきの、グレネードでもそうだが、仲間からの無線で、きいたのだった。
だから、用意したグレネードだったのだが・・・・・。
結果はこれだ。
当たっても当たらなくても対して変わりはしないか、
ライフルからてを離すと、掛け紐が、肩に重みを伝える。
走りにくいが、気にしている暇はない。
少年の方を見て、
「全力で走れよ」
といい、手を離す。
そして、腰に付いていた、手榴弾を外し、走りながら、爆発までの時間を3秒に設定する。
爆発までは、3秒。丁度曲がり角がある道だ。
「あの角を回ったら、跳べ、あとの事は考えるな。いいな?」
口にピンを咥えて、手を引いた。そして、投げる。
心の中で、カウントを開始する。
(1・・・・・2・・・・・)
男の背中を見ながら、速い・・・息が、もたない・・・・・。
と、男の言った角が見えた。曲がりきれない。
そう思ったとき、いきなり凄い力で、持ち上げられた。
男は、少年の服を持つと、左へと、投げた。
(3・・!)
男も、左へと跳んだ。その後、轟音がした。
68 :
名無し物書き@推敲中?:02/12/08 20:49
「あれ、今のって何の音?」
「え〜ワカンナイ〜。音なんて聞こえなかったヨ。」
「うっそ。なんか爆発みたいな。」
「も〜う。。。どうでもいいじゃん。それよりさあ・・・」
「わかってるよ(笑)。でも気になるじゃん。ちょっと見てこようかな。」
「え〜。寒いからよしなよ〜。風邪引くし〜。」
「このままのカッコでいってみようか。」
「アハハハ。バッカじゃないの〜。おまわりさんに捕まるよ〜?」
「新聞にのるかな?」
「しらねーよ。いいかげんにしろよ。とっととヤって寝ようぜ。明日もあるんじゃん?」
耳をつんざくような轟音に半ば気を失い、再び意識をはっきりと持った少年の目に最初に飛び込んできたのは恩人の惨めな死に様だった。
少年をかばったために一瞬、逃げ遅れた男は爆発のショックで天井から落ちてきた鉄骨によって串刺しになり、即死していた。
******** アルジャーノンに続いて、また殺しやがったのか。 **************
*************** 一体何人ダメにすりゃ気が済むんだよ。 ************
********** どうなんだよ。おっさん。 *****************
************* 何とか言ってみやがれゴルアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア ************
覚醒する少年の中のもう一人の自分。
殺す。主任を殺す。力の差など関係ない。何にも考えない。殺すだけだ殺すだけ。
憎くて憎くてしょうがねえから殺すだけなんだ。
もうもうと煙る煙幕の中へ突進する少年の動きを予測していたかのようにジャストのタイミングで主任が腐りつきの鉄球を振りかざしてくる。
「アルジャーノン・・・」
全力ではなった拳が刺つきの鉄球を粉々に打ち砕く。
主任の狼狽は即座に絶望へと変わった。
「あし〜たがある。あし〜たがあ〜るぅさぁ〜っとくらぁ」
「ほら、さわってよ。」
「オウケイオウケイ。俺は包茎。てか?」
「センスない。うん。ほんとセンスない。・・・・ウン・・・・最悪だよ・・・・。」
「そう、ごめんな。これでも精一杯努力してるんだ。ほんとにごめんな。」
******** 何もかも知ってたさ。おれはもの心つく前に射殺されたんだ。
自分がどこか自分じゃないような不思議な感覚がずっと付きまとっていたよ。
気を抜くと自分がばらばらになってしまいそうで、いつも怯えていたんだ。
他人とは違う事がとても嫌いで、必死で演じ続けたんだ。
ヒトを演じ続けたんだよ。俺のこの感情はなんだろうな?
とっくの昔に殺されて冒されて、それでもヒトでいたいんだ。お前にこの気持ちがわかるか? *********
武器を失い、あとずさる主任。
****** 別に憎くはないさ。もうどうでもいい。ていうか、どうでもよかったんだけどな。始めっから。
小動物を可愛がる必要も、お前に対して怒りを覚える必要も、逃げる必要もビスケットを食べる必要も本当はないんだよ。
ヒトに憧れて真似してみたかっただけさ。
付き合ってくれてむしろ礼を言うぜ。殴りたきゃ殴れよ。 *******
主任はへたへたと座り込み、ガクガクブルブルと震えている。完全に戦意どころか、自我をも喪失したようだ。
****** さて、これからどうしようか・・・・ *******
思案にくれていると、雷光が工場内を照らした。
さっき少年をかばって絶命した男の死体がべっとりと壁際に張り付いているのが映し出された。
「あっ・・・いい・・・イクよ・・・タクヤァ・・・」
「うっ」
と、その時、ホテルの壁がはじけた。
二人はイッタまま天国へ行った・・・・・・・そこが地獄である事を知らずに。
75 :
名無し物書き@推敲中?:02/12/23 16:08
そう、二人は地獄の住人として帰ってきた。
腕はもげ、顔は焼けただれ、腹から内臓をこぼしてなお生き長らえる物質。
いや、生きるという表現はおかしい。ゾンビ菌が身体を動かしているだけなのだから。
だが、この単なる最近の食料体。不思議な事に生前の身体の持ち主の記憶を保持している。
そこが、ゾンビと言われる所以なのだ。
76 :
名無し物書き@推敲中?:02/12/23 16:17
拓也と女は街に消えた。
拓也と女はゾンビとなってなお、互いの身体を求め続けた。
ゾンビ菌に感染したものは、己の欲望が増幅される。
拓也と女はもうサルのようだった。
だが、二人の身体は死体。
まず、拓也のティンポが腐ってもげた。
数日して、女のマムコが腐って、指を突っ込まれる度、びらびらが腐れ落ちた。
ティンポなしと巨大穴女。
二人は嘆き、一つの行動に移る。
性器狩り――
77 :
名無し物書き@推敲中?:02/12/23 16:27
二人の隠れ家は凄惨だった。
冷蔵庫には短く切断された女性の足が放り込まれ、キッチンの収納を開けば瓶詰めの目玉。
壁には切り取られた男性器が無造作に釘で打ち付けられ、絵画よろしく女性器が額縁に収められている。
もちろん、これが全てではない。
部屋の隅々に散らばる男性器、女性器。
拓也は嬌声を上げマムコを顔に貼り付け、女はおもむろにティンポに齧りつく。
そしていかれたサバトの幕開けだ。
その隠れ家は腐敗臭に満ち、不信に思った住人により、警察にtelされる。
一人の若い警察官がその屋敷に忍び込んだ。
彼は、博史といった。
78 :
名無し物書き@推敲中?:02/12/23 17:03
同期の人間に比べ、この手の任務に回される場合が多い事を博史は内心不満に思っていた時期もあった。
救いは転勤のないことぐらいのものだろうか。
明日になれば幼なじみの恋人との楽しいひとときが待っている。
危険な任務を遂行した後にみる彼女の笑顔がどれほどの安らぎを与えてくれるかなんて、常人には想像もつくまい。
博史は迷いなく屋敷の玄関の扉を開いた。
79 :
名無し物書き@推敲中? :02/12/24 20:54
あげ
80 :
名無し物書き@推敲中?:02/12/24 20:57
第七聖典装備のアンデルセンとか出せば10レスほどで終了する気がするな
博史は扉を開けた刹那、嘔吐しそうになる。
凄まじい腐臭。
胃は痙攣し目には涙が滲む。
心を強く思い、歩き出す。
83 :
名無し物書き@推敲中?:02/12/24 23:40
ろうそくの光とその向こうに見える彼女の幸せそうな笑顔。
涙が溢れて言葉が出ない。生きていてよかった・・・そう思う瞬間だ。
だが、それは去年の12月24日記憶が走馬灯のように博史の脳髄を駆け巡っているに過ぎなかった。
現実の博史は首を刎ねられ、無残な死体が洋館の応接間に横たわっているのみであった。
血流の止まった博史の脳から幸福な記憶のリピートは徐々にフェイドアウトしてゆき、永遠の闇がその枕もとにそっと置かれたのを知るや、深過ぎる眠りが博史を飲み込んでいった。
。
84 :
薙牙煉 たねあかし:02/12/25 01:13
少年の父親は、研究員、で、その研究員の主任が主任だった、
そして、主任は、サディストだった。
しかし、逆上した、研究材料が暴れ、薬が、主任に打ち込まれてしまった。
そして、恐怖に駆られた主任は、自暴自棄になり、実験用マウスと薬をばら撒いた。
これが、そう、この事件の裏側。そして、自分の好きな人を殺すと言う事が出来るようになって、良かったりした。
そして、このウイルスを止められるのが、T=LdI抗体だった、
投与されたのは、実験体、マウスだった、これが、アル だったりする
というような、小説を書こうと思ったんだけどな。
混沌としたリレーですね。二つのストーリーがあるみたい。
漏れ的には、少年=赤ん坊の頃に射殺された隆二
つまり、>43まではプロローグで、クロゼットの中の隆二はすでにゾンビ化してるんだけど、人間として生まれて人間としての幸せとか、そういう物に飢えてるから人間を演じる事に執着してたの。
あと、セリフのみのエロ小説風なのも漏れが書いたんだけど、それは、男=拓也、女=誰だろう?拓也の母親って事になってるのかな?
真奈美は殺されて・・・
少年を主任からかばった男はやっぱり伏線なのかな?
主任は?漏れが登場させたんだけど何も考えてなかった。
ぼんやりと少年=隆二のバイト先の上司だったけど。
少年には人間の両親がいたっぽいから、たぶん育ての親だろうな。
87 :
薙牙煉 たねあかし。:02/12/26 04:11
>>86
あんた、天才?
クローゼットの中、アルが少年を見ていた、というシーンで、
少年は、アルに噛みつかれ、ゾンビ化ってのをはんじめ 考えて異端よ?
すごー。
まっ、最後がハッピーエンドで飾ろう何て、思ってなかったから。
どう終わっても良かったんだけどね。
主任の中に入った、ウイルスをアルから、抽出したワクチンで、倒しても、
人間主任は、前の、化け物的主任の良さに酔ってしまっているので、
新たなる、ウイルスを求め、新しい研究所へ、少年の父が、閉鎖した区画へと向かう。
少年は、最後の手段として、自らに、ウイルスを投入して、主任との対決、かろうじてカツも、
そのあと、死ねない人生を送り、 アンぶれら の会社に捕獲される。
そして、実験体となり、脱走するも、体はもはや、弱りきっており、兵士に殺される。
で、エンド。さ〜〜〜。でも、リレー小説だしねぇ。・・・・。
88 :
名無し物書き@推敲中?:02/12/26 21:10
>71で、雷光に照らされて恩人の死体が浮かび上がるのをみて、>42の隆二の母親が拓也らに殺された記憶が蘇えるのよ。
生きる?目的も無い、底なしの孤独が心を埋め尽くす隆二くんがとるべき行動は一つしかないよね?
でも、ほんとに、予想もつかない方向に進んでいく方が刺激的でおもしろいかもです。
光の静まった倉庫内に怒号のような雷鳴が鳴り響く。
少年の鼓動の無い心臓はびりびりと震え、脳には怒りと悲しみの記憶がはっきりと蘇えった。
ほほを伝う涙が顔の皮膚を焼き、生臭い煙が立ち昇る。
「ママ・・・」
女は若い警察官の首なし死体と部屋の隅に転がる端正な(文字通りのw)マスクを交互に眺め、舌なめずりをした。
四つん這いになって制服を乱暴に剥ぎ取り、性器を剥き出しにする。
亀頭をくるむ包皮を長い爪の先でゆっくりとむいてゆく。まるで子供がクリスマスプレゼントの梱包をほどくような気持ちで。
だがサンタさんの贈りものは期待に反して参考書と漢字ドリル、ではなく、しぼんだ風船のように彼女のの期待をも萎ませた。
そこへシャンパンを持った拓也が現れた。拓也は薄笑いを浮かべながらシャンパンのビンを猛烈な勢いで振り始め、栓を抜くと同時に素早く警察官の肛門へとねじ込んだ。
「プシュー!」という音とともに男性器が膨張してゆく。女は歓声を上げ、すぐにその上にまたがって愉しみ始めた。
よほどいいのだろう。女は涙を流し、よだれさえたらしている。
嫉妬の感情と下半身の疼きを覚えた拓也は女を強引に脇へどかすと、陰茎を引きちぎり、切り口の方を自らの口にくわえた。
そしてあお向けに寝かせた女の口の中へ己の性器を、女の膣内へ口にくわえた警察官の性器を深々と沈めた。まさに地獄の69。
未知なる刺激に女は興奮のあまり放尿してしまう。
二人の聖夜はまだまだまだまだ終わりそうに無い。
(^^)
(^^)
93 :
名無し物書き@推敲中?:03/02/05 02:22
94 :
名無し物書き@推敲中?:03/02/18 13:24
そのとき、井手の力が発情した。
95 :
名無し物書き@推敲中?:03/03/16 19:09
半ば朽ちかけた木製の扉を蹴破り、何者かが室内に飛び込んできた。
腐った表板から外れた真鍮の取っ手が勢いよく転がる。
睦みあっていた男女はともに驚いて跳ね起き、壁際へあとずさった。
「お楽しみのところ悪いね。おふたりさん。」
感情のないその声には押し潰されそうなほどの威圧感があった。
「俺という犠牲の上に成り立つ幸せですか、幸せですか、あなた、今。」
声は、少し笑っていた。
なんだ・・・知り合いか・・・。よせやい、おどかすなよ。
と、ホッとして顔を見合わせた瞬間、鎖つきの鉄球が男の頭上に振り下ろされる。
96 :
名無し物書き@推敲中?:03/03/16 19:16
眼窩にねじ込まれた指が乱暴に中をかき混ぜている。
落ち着け・・・落ち着くんだ。冷静になれば答えは見つかるはずだ。なあ。そうだろ?
まず、これは悪夢なんだ。現に、頭にあれだけの衝撃を受けながらも俺はこうして意識を保っていられるじゃないか。
ははは・・・びっくりしたよ。そして今俺の目ん玉を指でほじくり出そうとしてるやつは一体どこのどいつなんだ?
暗くて見えないや。ははは・・・。ていうか、両目をとられちゃったのかな?おいおい勘弁してくれ。
それに・・・痛いよ。いた。痛い痛い。すっげーいてーよ。やめろよおい。おいったら。
97 :
名無し物書き@推敲中?:03/03/16 19:27
「騒がなくていい。静かにしてくれ。」
声の主は男の上にまたがりながらこぶしを顔面めがけて振り下ろした。
眉間に命中し、男の悲鳴が上がる。
女は横で涙を流しながら震えているだけだ。声の正体を知ろうとする意志さえおこらない。
声は同じ場所を集中的に何度も何度も殴りつけた。メキメキという音がして眉間の骨が砕けたようだ。目と目の間が繋がったのを確認すると声の主は満足そうに笑った。暗闇に白い歯が浮かび上がる。
「モノアイでもいれてやろうか」
98 :
名無し物書き@推敲中?:03/03/16 19:42
声の主はおのれのこぶしについた血液をふき取り、いまや真一文字につながり果てた眼窩にそって左右に動かしながら、
「そーら。モノアイだ。みえるか。世界が。世界はどうだ?」
いくら尋ねてもうめくばかりでおもしろい返事が聞けないのを知ると声の主は不満の表情を浮かべた。
今度は広げた手のひらを頭蓋骨の内部に沈めて行き、脳を撫で始めた。
脳はやわらかく、ちょっと力を入れるとぶちゅぶちゅと崩れてしまう。
指の間から潰れた脳がはみ出す感覚が声の主につかの間、安らかな気分にさせた。
99 :
名無し物書き@推敲中?:03/03/16 19:59
数年前にも似たような話を書く奴が居たっけ
なんだか懐かしいなw
100 :
名無し物書き@推敲中?:03/03/16 20:23
一瞬のすきをついた女が調度品で暴漢の後頭部を打ち据えた。
暴漢は何事もなかったように女に向き直った。女はこのとき初めて敵の顔をはっきりと見た。
先ほどまでの蛮行が嘘であるかのような、驚くほど端正な顔立ちに女は場違いに頬を赤らめた。
「女は傷つけたくない。女は好きだから。」
意外すぎる言葉に女は別の意味で殺された。
さらに敵は女の頬を両手で優しくなでると、目で合図した。
二人の唇が後1センチのところまで近づいたとき、雷光が部屋を照らした。
今度は今まで逆光でよく見えなかった女の顔を、訪問者は間近でみた。
化粧が崩れて黒ずんだまぶた。
もはや焦土のように施しようもないほど荒れた肌。
色も、形もおよそ美とはかけ離れた様態の唇に挟まった黒い縮れ毛。
訪問者は激昂し、女の顔面にカウンターでこぶしをめり込ませた。
「よるなブサイク。ブサイクは敵だ。」
(^^)
∧_∧
( ^^ )< ぬるぽ(^^)
103 :
名無し物書き@推敲中?:03/05/06 20:36
結構面白い。エグイの
逃げる。ひた走る。止まれば後ろから追いかけてくる糞犬どもの餌食だ。
まだ26だ。製薬会社の営業の俺が、退屈ながらも移ろう季節を楽しめるこの街が何故地獄に叩き込まれたのか?
よくは分からないがうちの社のクソったれ供の仕業だろう。
「畜生!まだ死ねねぇんだよ!!」
あざとく死角から足首を噛もうとしたクソ犬に蹴りを見舞う。脳みそまで腐っていたおかげか、蹴った犬に巻き込まれクソ犬共は仲良く転んだようだ。
とにかく逃げねば、最悪生き残りそうな奴にこのディスクやら渡さねば。
にしてもこれ死にパターンじゃネェかよ!!
何とかして生き残ってやる!!
しまった・・・・!!
行き止まりじゃねえか。俺のバカバカバカ!!
絵に書いたような死にパターン・・・転じて救世主現われるか?
例えばホラ、そこのドアが開いて俺をかくまって・・・
裏路地の壁に取り付けられたドアが開いて、老婆が現われた。
老婆は満タンのゴミ袋をぽいと路地に投げ出すとそのまま室内に消え、ガチャリと鍵をかけた。
「あ・・・」
こん畜生!俺も生ゴミにされちまうじゃねえか!
あの婆ちゃん、今度見つけたら犬の餌にしてやる…あれ?
ふと目を向けた壁に、鎖が下がってやがる。
鎖の先は…非常階段かよ!引っ張れば、降りてくるってやつだな。
婆さんのアパートと反対方向だが、まあいいさ。
手は届かないが、あのゴミ袋を踏み台にすれば… やった、届いた!
「なに人んちのゴミ持ち出してるのさ!公衆道徳ってもんを…」
破れたゴミ袋を拾おうと現れた老婆を、犬どもが食い荒らしていく…
ほんの少し老婆と犬どもに感謝しながら、俺は窓を開けた。
「ようこそ」
真っ暗で何も見えやしねえ。まあ、いいけど。
とりあえず俺をたすけてくれたみてえだな。ありがとうよ。
「礼にはおよばないよ。」
暗闇の中に白い歯だけが浮かび上がった。
ポケットに何か無ぇかな…あれ?ホワイトボードのペンだ。
とっさに持ち出した割にはヘンな物持ち出したんだな、俺って。
まあいいや、こいつにライターで火をつければ、簡易式キャンドルの出来上がりって訳だ。
青白い、ほんのり緑がかった炎…いいな、こいつがクリスマスなら、なおいいのに。
凄惨極まる部屋の中が照らし出された。
一瞬、マネキンか特殊小道具置き場かと思ったが… こいつは、死体じゃねえか!
警官の死体まで転がってやがる…首を斬りとばすなんて、どうかしてるぜ!
椅子に座った野郎は、顔に大穴が空いたままだ…
脳みそとも何ともつかないものが、顔だったものからこぼれ、シャツの襟を汚している。
足元で首をへし折られている女… 女なのか?ひでえ顔だ。
「…知らなかったのかい?今まで何をして遊んでいたのか…」
唯一生きている男…全裸に茶ばんだ返り血で染まった白衣を突っかけた男が、
端正な顔を歪めて笑った。
「拓也と女の隠れ家だったそうだ、ここは… 今は、俺の遊び場なんだよ…」
冗談はやめやがれ、社のイカレ野郎がここにもいやがった!
片手に下げた鉄球(こいつはクレーンの部品だ、社の備品じゃねえか)を振りかざし、
男は俺ににじりよった。
やめろ、変態露出狂野郎!!
「喰らえ、ガ×ダムハンマ〜!」
鉄球が飛び、俺の後ろの額縁をたたき割った。
ひどい破壊音!ガラスが砕けて、中に入っていたらしい肉塊がつぶれる。
腐臭が強くなり、俺の胃を刺激する。
とっさに放り出したペン・キャンドルが紙くずに落ち、燃え上がる。
炎の中で観る奴の顔は、悪鬼そのものだ。
「あいつはモノアイにしてやった…貴様はズゴックにしてやらァ」
俺が掴んだ電気スタンドを、鉄球は軽々と破壊した。
だが、こいつがチャンスだ!
俺は割れた電気スタンドの金具を、奴の鳩尾に突き刺した。
そのまま、タッチライトのパネルを叩く。まばゆい放電が奴を覆った。
「ギィィィィヤァァァァァ―――――――――ッッ」
すさまじい悲鳴と痙攣、血でゴワゴワした髪が逆立ち、
開ききった両目から眼球が飛び出しそうにふくれあがった。
投げかけた鉄球が落ち、倒れていた女の死体を潰す。
股間の物体を大きくふくらましたまま、変態が卒倒する。
その背中に合金製の本棚が倒れかかり、百科事典が降りかかる。
床に染み込んでいたらしい油に引火したのか、犯罪陳列室は炎に包まれた。
このままじゃ、俺さえステーキになっちまう。俺は、唯一の扉に歩み寄ったが…
あれ、空かねえよ… 外から鍵がかかってやがる!
「シィィィィット!!」
叫んで悪態をつくと彼は周りを見渡し扉を破壊できるものを探し始めた。
そしてある一点を見つめると少し黙考する。
二三秒で決意をしたのか悲壮な表情でそれを持ちあげた。
ヌチョリ
恐らく不快で嫌悪感を感じる音を立てて鉄球は女の死体から剥がれる。
嫌そうな挙動で男は踏ん張り、鉄の玉を持ち上げる。
(わかるわかる。私だってナイフで止めを刺すのは嫌だもん)
男はブルッと身震いをするが怖気ずに木製のドアへと叩きつける。
一回、二回。壊れない……。三回、四回。それでも壊れない。
このドアの製作者は偏執狂的に強度にこだわりを見せている。
男は回ってきた火に当てられながらも徐々に顔面を青くしていた。
その時、火に照らされて男の顔がはっきりとスコープ越しに視界へ飛び込んでくる。
(へぇ……結構いい男じゃない、冴えないけど。黙っていれば映えるタイプね)
こちらが品定めをしている間にあのヒトは蝶番を破壊して鉄球とともに部屋を出て行った。
後ろから這いずって白衣の男だったモノがあのヒトを追う。それを見てようやく私は任務を思い出す。
「じゃあねミスターブルシット」
パスっ。
対BOWスナイパーライフルは紙粘土のように白衣のゾンビの頭を吹き飛ばした。
一挙動で確認と報告をする。
「B9よりA1、目標破壊。一次状況を終了」
イヤホンからはノイズ交じりの声が聞こえる
「A1了解。直ちに二次へと以降し民間人を保護せよ。A8とB7は容疑が確定、次いで破壊しろ」
愛想の無い硬い声でナイスガイは告げる。死神さん。いくらあなたのジンクスでもここで終わり。
だって私は夜魔なんだからね……ハンク。
頭の中にこの街の地図を描きながら、あのヒトを追ってみるのも面白いと女は考えていた
鉄球はなかなか具合のいい武器のようだ。さすが我が社の製品ですね。
疲れなければな!!
俺は階段に蠢く人間辞めたクソ共に鉄球を投げつける。
以下にコンバットエクササイズで実戦向きの筋肉をつけたおとこでもこの鉄球を操れない。
いくら小型クレーン用でも元は機械が使うモノだ。人間が扱える品じゃない。
「えぎぃぃぃぃげぇぇ!」
火事場の馬鹿力で鉄球を使えてもやはり筋肉は痛むのか。それを紛らわすために奇声を上げる。
階下で仲良くミンチになった奴らみたいだな。少し笑うと上への階段を俺は探した。
新世紀型都市計画。馬鹿が漫画でも見て考えた計画によってこの街のビル群はどこかで繋がっている。
地下だったり高架だったりで放射状に屋内での通路を確保しており、
地域の繋がりを得ることで古き良き時代の繋がりを得ましょうなんて魂胆だ。
そのおかげで街中みんな不幸になれました。私たちは一心同体の境地に踏み入れたのです。
汚職大好きのくそったれ市長はそんな演説でもあの世で打っている頃だろう。
俺は少しでも郊外に逃げるため通路を探している。案内板によればこのビルの通路は地上にあるようだ。
何も郊外じゃなくてもいいではないか。途中のビルからヘリでもパクッて逃げれればいいのだ。
結論にたどり着くと俺はテレビ局に行き先を変える。たしか地方局の癖にいっちょ前に報道ヘリを常備していたはずだ。
希望が胸に満ちるのを実感しつつ高架を俺は捜し求める。
その俺を祝福するかのように爆発の赤い光が顔を照らした。窓を見るとヘリが飛んでいる。
重武装の戦闘ヘリが。そして意外と近かったテレビ局の屋上を爆撃している。
ご丁寧にライトアップをしてくれて醜態をさらす報道ヘリを見せてくれる。
野郎……。俺達を皆殺しにするつもりだ。いや違う。噂だった、あのラクーンシティとか言う街と同じように実験をするつもりなんだ。
逃げ場を無くして情報を得る腹だな。おもしれぇ……。逃げる事ができないなら戦うまでよ。
脱出プランを根底から書き換え、俺はとりあえず武器を得るために警察署へと行き先を変えた。
とにかく死にパターンじゃないよな……
未来志向の情報都市というフレーズは、伊達じゃなかったみたいだな。
窓の外をうかがいながら、俺は思った。
景観を重視するあまり、ビルとビルをつなぐ通路はガラスを多用している。
向こう側に広がる山々、目の覚めるような青空、公園と緑地が広がる地上世界…
高所恐怖症の連中に言わせると、床だけは勘弁してほしかったそうだ。
このシースルー通路のせいで、各ビルの惨状がイヤでも眼に飛び込んでくる。
窓から漏れる銃撃の閃光、火災で煙を噴き上げるエリア、
バルコニーの遙か下には、紅蓮の水溜まりが出来上がっている。
飛び降りたのか、突き落としたのか…一人や二人じゃ到底出来ない、血の池が広がっている。
あのウィルスの存在を知ってる奴は少ないから、避難場所で発症する者が多いらしい。
集会場や移動の拠点から汚染されてしまっている。…これじゃ、警察もどこまでやれるか…
ふと、通路の向こう側に看板が見えた。『カスケード興産』とある…
マスコミで散々叩かれていた小悪党だ、犯罪組織と結託して、武器の横流しで荒稼ぎとか。
確か事務所は閉鎖、弁護士の活躍で強制捜査は回避とか… 案外、何かあるかもな。
しかも、あの階には管制室がある。
ビルの防犯カメラ、防火装置が集中している。衛星通信設備も在ったはずだ。
俺は第5ビル、通称『エンジェル・タワー』に走った。
問題は警察の動きと、社の隠蔽工作だ。あの様子じゃ、もう工作班が降りているはずだ。
連中に捕まったら、俺なんかに勝ち目も無いだろうし…ここだ!
重厚な事務所の扉に鉄球を叩きつけ、へこんだドアノブを何度も蹴飛ばす。
やった、さっきの扉よりヤワなもんだ… が、甘かった。
「動かないで!」
背後でショットガンのポンプアクションが響き、少しハスキーな声が響いた。
「武器を棄てて、両手を壁につきなさい!」
震える声が廊下に響く、どうやら一人のようだ。それでも職務を忘れてないって訳か…
とりあえず重い鉄球を降ろすと、俺は両手を上げて後ろを向いた。
天井、壁はおろか床までもが全面ガラス張りの渡り廊下には若い男女のくぐもった吐息と体臭が充満している。
傍らに武器と衣服を投げ捨て、壁にもたれた男に覆い被さる格好で女は男の唇をむさぼり、女の背中に回した腕にはもはや力は入らず、ただただぬめやかな肌の上をゆっくりとさまようのみであった。
いささか物足りない愛撫ではあったが、男の心からいわゆる男のメンツやらプライドだのが消えうせ、
生まれたばかりの赤ん坊のように自分を欲してくれるさまは女にとってほかでは得がたい快感をもたらした。
━―━―━―━―━―━―━―━―━[JR山崎駅(^^)]━―━―━―━―━―━―━―━―━―
…一瞬ながら、そんな妄想をしちまった。
思えば、社の開発部の歓迎会は、あんな酒池肉林だったらしい。
経費が多い部署はいいよなあ…俺達営業部なんか、ビールとチキンとポテトチップ、
女っけの無い場末の軽食屋で、フットボール中継観ながら…あーあ、やだやだ!
知らぬ間にうんざりした表情になっちまったらしいな、前に居た婦警が怪訝な顔をした。
「…こんな所で略奪行為?フロア全体にまで響いたわよ」
ひっつめたセミロングの赤毛、そばかすの浮いた頬、猫を思わせる眼には、鳶色の瞳…
なんだか婦警らしくないな、高校のチアリーダーにいそうなタイプだ。
「何が起こってるか解ってるだろう?丸腰で歩ける街じゃねえんだ」
「で、でもね!誰もいない事務所に泥棒に入るのは…いけない事なのよ!」
上着をひっくり返してポケットを探る…身分証明書を取り出した。
「社の営業部係長補佐…ガンライセンスはあるけど…」
やや近視かもしれない、視線を証明書に落とした…今だ!
一歩踏みだし、ショットガンを掴んで向こうずねを蹴る。
驚いた表情のままで婦警は座り込んだ…こいつ、本当に婦警なのか?
「両手は頭に…そう、それでいい」
おびえた表情で俺を見つめる、まるで俺が変態の犯罪者みたいじゃないか。
…待て待て、俺はイカレ野郎じゃないし、第一時間がない。
ズボンを降ろした尻をゾンビに噛まれるなんて、願い下げだ。
「いいか?ここの武器庫を開けて、使えそうな火器を持ち出す。
署の連中だって武器が足りないんだろ?俺が逃げたら好きに持ち出せ。いいな?」
小さくこっくりとうなづいた。真面目な割に、素直そうな娘だ。
「まずは調達だ、一緒に来い!」
ドアを蹴り破ると、俺たちは事務所の中に入った…
「フリィィィィズ!!」
真っ赤な部屋で目を真っ赤にした男が叫んで俺達に銃口を向ける。
「撃つな!!人間だ!」
俺は相手に知的で理性の塊である事を示す。ま、相手に理性が残ってたら通用するんだが……。
「何だよ……人間かよ」
サブマシンガンを持ったその中年は糸が切れたようにうなだれる。
部屋はこれまた凄まじい状況だ。一時期はやったB級ホラーのように死体がばら撒かれている。
もっともその非日常の中で異質を放ていたのは緑色のゴリラと蛙を合わせた奴だ。
見たことがある。確か裏の書類にはハンターとかいうマッチョな蛙が載っていた。
その亜種だろう。(書類は開発の人間を馬鹿にした時、自尊心に答えるためかその馬鹿開発者がチラッと見せ付けてきた)
こんな物が大手を振って歩いていると言うことは研究所が事故ったか。
もしくはとても考えたくないことだが二つ
社の実戦テスト。支社ごとの闘争。
どちらか二つだ。アンブレラアメリカがウチのシェアを表向きに食おうとしていたことがある。
その時は上司が内々に処理すると言って俺達下っ端からプロジェクトを取り上げた。
そして大手新聞にアメリカの営業員がテロの犠牲になったと報じられた。
だとしたら報ふ……
「私たちに武器を分けてくれませんか?」
あっ!この女!俺を無視して話してやがる。
「……あっても使い切れないだろうしな、いいだろう。3分の2持っていけよ」
「おっさん。こいつは?」
分かりきった事を俺は聞く。二重のカマだ。
「このクソはいきなり入って来やがった。しかもノックをしてな。
俺達みたいに殺しに慣れているのはすぐ反応できたが事務屋の
連中はこのとうり。バラされたよ。もっとも慣れている俺達でも
一人しか残らなかったがな。」
おっさんは自嘲気味ににやけると煙草をふかし始めた。
「まったくおかしな人生だったねぇ。最後は漫画みたいになっちまうなんて」
目つきがヤバイ。煙草じゃないな、大麻かなんかだろう。
「もういいや。全部持ってけよ。お前らも俺もみんなやつらの餌だからな」
おっさんは武器庫の扉を開けると、とっとと最初の部屋へと帰っていった
その後、銃声が響く。あのおっさんが自殺したんだろう。
「おつかれさん……」俺はネェちゃんより先に武器庫に入る。
この女は普通じゃない。まず最初にあの部屋に入ったときにハンターにビビらなかった。
大の男でもあのグロい外見には慣れない。まだゾンビのほうがチューしたいくらいかわいい。
そしておっさんに身分を明かさなかった。普通なら警察だって言うはず
そんな事を考えながら俺は武器を漁る。ゴロツキ会社の割には戦争装備まで置いてやがった。
マシンガンなんてものだけじゃなくグレネードが置いてる。
躊躇せず俺はそれを引っつかみ邪魔にならないだけ弾を持つ。
「荷物はいらないわよ」頭に何かが当たる。
「あーあ。やっぱな」投げやりに俺はぼやく。
「さて、ディスクを渡してもらいましょうか?」
「言っても無駄だと思うけど何のこと」だってこいつ身分証明書を捨て見しなかったもん。
「ちょっと前、あなたの部長の机を漁ろうとしたの。でもヤバイモノだけが無かったのよ」
「薬中なんでね。だから拝借したんだよ。ほら我が社の頭痛薬の半分は慈愛ですっていうだろ?」
パスっ!股間に衝撃が走る!当たってはいない。ギリギリ掠らせたんだ。
銃弾の衝撃波はかなりのものだ。頭ならそれだけで失神する。
煉獄の苦痛に脂汗をたらしながら俺は耐えた。偉いよ俺。
「当てるわよ」にやけてやがる。でもなドアが開けっ放しなんだよ。
「……背広……内ポケット」体は……死の恐怖の前か。痛みをもう抑えている。
「いただくわね」女が近寄る。俺は先ほどとは違いはっきりと喋ってやった。
「の前に後ろの奴がビンビンでお前を見てるぜ」
女は後ろを見ずに俺を踏んで飛び越えようとした。頭突きを女の股間にかましてやる。さっきのお返しだ。
無力化したと考えていたのだろう。女は大事なところを叩かれて尻餅をついた。
一瞬、女の顔が恐怖に染まる。だが後ろには開きっぱなしのドアがあるだけだ。
「騙したわね」「オマエモナー」それより後ろがヤバイ
向こうのドアからゴリラ2匹とそれに追われる戦闘服の女
勘弁してくれよ
118 :
名無し物書き@推敲中?:03/05/22 11:31
懐かしの 大言ストーカー 名場面集
68 :名無し物書き@推敲中? :03/02/15 09:27
またフカシ入れてるのか、やれやれ。
真面目にやってる奴(ストーカーをか?)
もいるんだから、くだらんフカシはやめろ。やるなら直木賞狙ってるくらいにしとけ。それなら誰も本気にせんから。
しょぼい地方新人賞?くらいでフカスから反発買うんだよ。
(地方文学賞獲れず! 最終選考まで残っただけ!)
書いてもいないくせに
人が真面目にやってる(ストーカーをな)
所にはいってくんな。何が3田と勝負だ、ボケ。何が打倒だ、バカ!読んでるこっちが恥ずかしくなる。
北日本くらいで打倒できるわけねえだろ、
(最終選考残っただけなのに「北日本くらい」! この強気はどこから?)
反射的に引き金を引いちまった、…硫酸弾がゴリラ野郎に飛び散るが、あまり効いていない!
姉ちゃんの撃ち出すスラッグ弾の方が効果的らしい、ゴリラの片腕を吹き飛ばした。
このバケモノ相手に女の動きは的確だった、踊るように横に飛び、空を切ったゴリラ野郎の
関節めがけて弾を撃ち込む…無駄な動きが無い、凄腕だな…
おおっと!見とれてる場合じゃない、ゴリラの一匹がこっちに来る。
ハンドガンやナイフで倒せる野郎じゃない、しかも俺のグレネードは硫酸弾、
これが終わったら弾倉交換しなきゃ…
横にあったライフル(なんだこりゃ、ウィンチェスターじゃねえか)のバヨネットで応戦する。
こいつ…素手でバヨネットを掴んだ末、へし折りやがった!
馬鹿でかい口を開けて俺に迫る、顎はサメの移植か?チェーンソーそっくりだ。
だが、こいつが命取りだ。 こいつで歯磨きしやがれ、ケロヨン野郎!!
俺が突き出したグレネード・ランチャーをくわえたハンターは、サメそっくりの回転を加えて
銃身をねじ切ろうとする、回転が半分もいかないうちに、引き金を引いた。
軟骨質の頭蓋骨が瞬時にふくらみ、表皮を埋め尽くす鱗が逆剥けに立ち上がる。
内部の細胞質が再生するために増殖するが、非武装の口腔から進入した硫酸の爆発で
ハンターの頭部がトウモロコシそっくりに膨れあがった。
やばい! 銃身を引っこ抜いた俺に向かって、ハンターの目玉が飛び出した。
プチプチプチ…物凄い勢いでトウモロコシの表面が弾け、ポップコーンみたいに飛び散る。
表皮の強度はここまでだった、頭蓋が裂け、沸騰したスープみたいな脳みそが吹き出た。
裂けた頭蓋を押さえようと頭を抱え、ハンターが絶叫する。
「ああッ!」女が悲痛な声をあげた。
ハンターは絶命したが…女は真っ青になって両手で頬を抑えた。
「どうした?ムンクの『叫び』そっくりだぞ」
「警戒音を聞いたハンターが集合するわ!…ほら!」
武器倉庫の扉の向こうで、重量級の足音が集合していく…
「ど、どうすりゃいいんだ!」
落ち着け落ち着くんだ!焦ると社で死んだ馬鹿どもの二の舞だぞ!俺は懸命に理性を説く。だがもう一人の俺も喚く。
ヤバイよ!まずいよ!ピンチだYO!あぁぁぁ取り溜めたER見ときゃよかった!
ボトルシップも早めに作り上げるんだった!育てたプチトマト食ってねぇよ!
いやあれは馬鹿ガラスが食いやがったんだった。「あんたネェ、漫画みたいに不安を口に出さないでくれる」
いかんいかん。口に出してしまったようだ。
婦警……隠蔽工作班?の女は眉間に皺を寄せて俺を睨んでいる。
一方、ハンターを手軽に倒した戦闘服の女(出るとこ出ているから分かった)は
棚をドアに立てかけようとしている。
「ぐずぐずしてないで手伝いなさい。死にたきゃバンザイアタックでもしてね」
そのとうりだ。今はおたおたしている場合ではない。俺達は三人がかりで扉が開かないようにする。
なんとか間に合った。棚は金属製のメジャーのロッカーに使われる高級品だ。重さからしてしばらくは持つだろう。
作業が終わると戦闘服の女は提案を俺達二人に持ちかけた。
「休戦にしましょう。今ここで遣り合っても無駄よね……B7」
「その前にそのマスクとゴーグルにヘルを取ったら?B9」
やっぱり二人とも隠蔽工作班か……
「で……お前ら……」「嫌ね。生命災害地帯で肌さらす気はないわ」
無視すんなよ……。「で、どうすんだ?三人仲良く箱入りだぞ」
それはB7が答えた。
「ごろつき会社とは言え、戦争装備まであるんだから抜け道の一つぐらいあるでしょ」
「この部屋にか!!ハッ!ナンバーズに当たるくらい有り得ねぇよ……」
忌々しく吐き捨てると俺はB9を見やる。
「それにあんたも俺を殺すんだろう」「変な気起こさなきゃ民間人の保護も任務にあるから大丈夫よ」
そうだったのか……。バツが悪い。俺は場を紛らわすため率先して床に這いつくばった。
「さぁ抜け道を探すぞ!」ポチ、ガガガ。
B7が壁についてたボタンを押して床が開く。
とことんついてない……
∧_∧
ピュ.ー ( ^^ ) <これからも僕を応援して下さいね(^^)。
=〔~∪ ̄ ̄〕
= ◎――◎ 山崎渉
>>120 思い出した、一昨年までここはショッピングセンターだったっけ。
海外の品物をより安く…とかいうやつ、さらに上にあるレストラン街と提携して、
ビル上層で開店するリスクを少なくしたはずだったが… だめだったっけな。
搬入用通路を歩きながら、俺は周囲を見回した。
窓が無いので暗い、しかもコンクリートの打ちっ放しだ。まるで駐車場だな…
…まてよ、レストランと提携してるなら…
「どこかに、エレベーターがあるかもな」
ライフルの先端に着けたライトで部屋の隅をうかがいながら、B9…もとい戦闘服の女は振り返った。「こんな所に?」
「ああ、連中が閉めていない限り、エレベーターがあるはずだ。ここを経由して、地上と屋上をつないでるんだ」
「資材搬入用ね… 避難民が使わない分、安全かも…」
B7…もといニセ婦警がマグライトを持ち直して(どうして掲げ持ちするんだろう?)うなづいてみせた。
「ああ、この会社自体、表向きは南米のスパイスと煙草を扱う会社だし… それより…」
「何よ」B7が怪訝な顔をする。
「もうちょっとマシな呼び方無いのか?Bチームなのは解るが、俺は慣れてないんだよ」
「そう?私は慣れてるけど…ひゃ!」制服のシャツを掴んで身分証明を見る。
「アルーア・E・ミルハウス巡査長…か」
ようやく俺の手を振りほどいて、壁に飛び退く。
「今度やったら射殺するわよ!」
胸パッド入ってるからって、そんな怒るなよ… 言いたかったが、やめた。
「お前の名前は?」B9を見るが、壁を見つめたきり答えてくれない…無愛想だな。
チーン! アルーアの後ろ、B9の見ていた壁が開き、ぼんやりした光が差し込んだ。
なあんだ、飛び退いた時にボタンに当たっちまったんだ…
「47階、展望レストラン『是空』… 第1管制室に近いわね、乗るわよ」
「おいおい、この階の管制室はどうするんだよ」
「汚染されてる」アルーアが短く答えた。
「全滅よ。脱出したところで、あなたに逢ったって訳」
やれやれ、俺たちはエレベーターに乗り込んだ。
レストランには簡単に着いた。ちょうど厨房裏で、うまそうな香りがする。
だが、俺は忘れていた。この店は巨大水槽と、生きた食材を売り物とする店だって事を、
そして、この店の食材達も、汚染の洗礼を受けていたことを…
ちょうど食事会に俺達はかち合った。主賓である魚介類たちは食材と言う最下層の身分からそれを楽しむモノへと化していた。
食材ならたっぷりある。扉にはどこぞの第三世界のくそったれ共たちの集まり、晩餐会だと書いてあったのだ。
あれは鯛だ。貴婦人の頭をサシミで頂いている。彼らなりの上流作法なのだろう。頭蓋骨を食い破り脳をすすっている。
血の赤と脳漿の灰桃色、そして彼の桜色。どこかの気取った三文画家が書いたような色使い。
鰻共は肥えたロマンスグレイの腸に舌鼓を打っている。時折、男の体が動くのは鰻たちの歓喜が溢れているのだろう。
脂の乗った腹はさぞや旨い事だろう。
貝達はビーナスの貞操を守るかのように女体に絡みつき、小魚たちは画像処理をするかのように肌色を赤に染めそしてそれを消す。
狂宴は俺達に気付くことなく進む。吐きそうだ。いい加減にしてくれ。
貴婦人が……いや違う。同僚の女子社員が危険を知らせに戻った俺を見て笑う。
「おいしそう……、引き締まっていてよく肉汁を出してくれそうよ」
営業の相棒でプレイボーイだったランディが課内で2人目の女の子宮を口から垂らし俺に微笑む。
「指をくれ、あのコリコリして美味そうな指を……」
ボスは……他の奴らに俺を知らせる。
「肉だよ、にぐがぎたいよ」
「俺は目だ……」
「俺は頬だ」「私は腿」「肩は僕の」
肉、肉、肉、肉、にくにくにくにくにくにぐにぐにぐにぐ……
俺を挟んで狂宴を眺めていた女たちが発砲するのと同時に……僕は叫んだ。
「がぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
仕方ないだろ、僕は人間だ。食われる立場じゃないんだ。食われたくないんだよ。死にたくなかったんだよ。
撃ち殺して何が悪い。生きるのは他を殺すことだろ。こいつらは化け物だ。
ごぶろ
胃から液体が出る。それにかまわず僕は叫んで打ち捲くる。シャツが汚れるかまやしない。
タフガイだ、俺はタフガイだ。なんもくもなくころせるんだ、おまえらがわるいんだ。
吹き飛ぶ同僚の顔、足、手、指、脳。
撒き散らされる血。社内で死んでいた工作班から奪ったマシンガンは化け物をばら肉に変える。
グレネード弾がない、腹に挟んでいたハンドガンを撃つ。
それも玉切れだった。カチンカチンと鳴り続ける。
僕は下を向きながら……誰かに謝っていた。
「最低ね…」
B9が防毒マスクの内側で、溜息をもらした。
アルーアもショットガンを降ろして、顔を背けている。
青を基調とした絨毯の上は、日本料理の「舟盛り」そっくりだ。
食通を気取っていたボスが、ボーナスが出る毎におごってくれたっけ…
俺もサシミは好きだった、生牡蠣もいいものあったもんな。
ランディが鍋奉行よろしく、盛り合わせを分けていたっけ。
奴が配ると、女子社員ばかり山盛りにするんだよな…
だが… ボスも、ランディも、今朝俺にベーグルを半分くれたあの子も…
舟盛りの食材になっちまった… もう俺、サシミは食べられそうにない…
俺はようやく涙を拭いて、周囲を見回した。
部屋の隅、倒れたテーブルの向こうから、すすり泣きが聞こえている。
期待しちゃいけないんだ、この地獄で期待なんかしちゃ、いけないんだ。
「お願い、撃たないで…」
新人の女子社員だった、俺の机の横で、契約書相手に悪戦苦闘してた子だ。
俺が仕事を教えてやったんだ、この前なんか、自家製のクッキーをもらった。
「ここは安全だって、ランディさんが言ったんです…
もうちょっと待てば、救援が来るって… ここなら外が見えるから…」
俺は歩き出していた。この子は大丈夫だ、傷ついてない、意識だってしっかりしてる。
「青い防護服のひとたちが来て、消毒液だって言って、水槽に何か入れたんです。
ここで待てって言うから、待ってたら… その…」
よろよろと立ち上がってこっちに来る。誰か抱きとめてあげなきゃ…
「止まりなさい!」アルーアが大声で叫んだ、装填の終わったショットガンを向ける。
「たすけてください…私は…私は…まだ…」
瞬間、あの子の脇腹が炸裂した。紅い飛沫が壁を汚す… 何て事を!
「離れなさい!」B9が発砲した、スラッグ弾があの子を肉片に変えていく。
「やめてくれ…やめてくれえ!」 俺は絶叫して座り込んだ。
肉片の中で蠢いているものがいる、ロブスターだ、鋏を振り上げてジャンプする。
俺のハンドガンで払いのける、叩きつけられたところで、ショットガンが始末した。
期待するんじゃ、なかったんだ…
「よくやったわ…貴男は、ちゃんとやったのよ」
座り込んだ俺の背中を、アルーアが起こした。
「ああするしか、なかったの。あのまま怪物に喰い殺されるより、怪物になるより…」
俺の背中を、後ろから抱きしめてきた。
「何してるのB7、情が移った?」
「うるさいわね!私だって…同僚を始末してきたんだから!」
B9のあきれた声に、アルーアが声を震わせて反論した。
「立ち上がって、ここで止まったらおしまいよ。一人でも生き残らなきゃ、みんなのためにも…」
そうだよな…俺はまだ終わっちゃいねえ。俺はのろりと起きあがった。
振り返って見ると、アルーアは半泣きの表情でうなずいた。
「管制室を押さえる、下手すると残存兵力がいるかもね」
水槽の排水スイッチを押しながら、B9が歩いてくる。そうだ、連中に思い知らせてやる。
扉近くに置かれた水槽の一つがひっくり返る、ヌメヌメした物体が放り出された。
な…なんだこれは…
凝視するうち、床にうずくまる黒い物体は手足を折りたたんだ全裸の男であることが判明する。
男はB7と目が合うや否や、やおら立ち上がり俺とB9をしたたかに殴りつけて床にぶったおすと、震えながらこえもでないB7の服の胸元に手をかけると、あっという間にB7をも全裸にしてしまった。
男はかなりの間風呂に入っていないらしく、男がその仮性包茎のおのれ自身の包皮を手でむきおろすにつれ、ギャラリーに猛烈な腐臭が漂い始める。
あんなのを入れられるのね・・・とB9は同情しながらも<<<自分じゃなくてよかった>>>とほっとした表情を浮かべている。女なんてそんなものさ。
恥垢まみれの陰茎がまだ濡れてもいないB7の膣内に強引に挿入されてゆく。彼女の悲痛な叫び声を聞いているうちに勃ってしまう自分が嫌だ。
それでも目が離せないでいる。男なんてそんなものさ。
…一瞬、そんな妄想が頭をかすめた。まさかね、そんなエロエロじゃあるまい…
違った意味でエロチックなものが頭をもたげた。触手状の物体が絨毯を伸びて近づいてくる。
なんだこいつは、クラゲを思わせるブヨブヨの頭部に、海綿質の甲羅を乗せている。
吸盤のついた触手がヌルヌルと伸び、俺たちの方に向かってくる…
頭部に押しつぶされるように隠れた目玉が、でたらめな方向から俺たちを見据えている。
「クラーケン!」B9が驚いた声をあげる。「こんなもの実用化するなんて…」
「物好きというか…悪趣味というか…」アルーアも後ろに下がり始めた。
「どうするんだよ、あのタコスケ」
慌てて後を追う俺に、アルーアが振り返った。
「あいつに銃は通じないわ、別の手を考える」
厨房に向かって、俺たちは走り出した。
別の手……。短絡的に考えると火だろう。こいつにはどんな生物も適やしない。
実質燃えるということは酸化する事であり、酸素は猛毒と物語っている。
まぁ……そんな理屈捏ねなくても燃やされたら終わりだ。
厨房にはきっとガスボンベやバーナーがあるはずだ。
パンパンパン
途中に群がる雑魚(正しくそのとうりだ)どもを片しながら俺達は走る。
そして厨房。こちらも会場よろしく凄まじい有様だが、調理人達の数が参加者より多いはずもなく
向こうに比べれば奇麗なほうだ。予想どうり二人はレンジ周り等の火器周辺を探り始めた。
「無駄だけど牽制しといてね」
異口同音に告げられて俺は大人しく厨房の配膳所からタコスケを迎撃する。
グレネードを平行に置いて硫酸弾の装填。それと同時にハンドガンで一番近い箇所を狙う。
二発三発。それぐらいで相手はひるむが学習するようだ。たいしたことはない。
体全体で語るかのように鉛玉に気を止めずひたすらコチラヘ来る。
「まだか!!」動きは遅い、それでも近寄ってくるのだ。
「もう少し待って放射器をでっち上げているから」B9がすらすらと読み上げるように発音する。
何落ち着いてるんだこの女。辛抱たまらず俺はグレネードに切り替える。
チキンレースは苦手なんだよ俺は!
ダメだ!もう間に合わねえっ!!
男の体がびくんびくんと蠕動し、B9の体からふっと力が抜けたようだ。
妄想は現実に、現実は妄想に。
この全面ガラス張りの空中都市が今や陥落せんとしながらもおのれの意志を持って俺たちに見せたかったものとはこの世の悲劇か?
崩れ落ちる天井の下敷きになる女をどうすることもできずに見守るふがいない男とこの期におよんでまだ<<<自分じゃなくてよかった>>>としか思えない哀れなまでに貧しい心しか天から授かっていない女。
「もう、どうでもいい・・・」
頬をなめる風は微かに潮の香りがする。僕らは海へ向かっているようだ。
腕を組んでいる女はかつてはB9というコード・ネームで呼んでいた女だ。本当の名前は何だっけ?尋ねても彼女は微笑むだけで何も答えない。
海沿いのバイパスを真っ赤なキャデラックが200`で暴走するのを見て彼女は手をたたいて嬌声を上げている。
生まれも育ちの都内な俺は普通免許を持っていない。見えなくなるまでキャでラックを追う彼女の腕を引いて、防波堤の下のトンネルへと誘った。
トンネルの向こうに、青い海が広がる…潮風が心地良い。
壁にもたれている女の子、ポニーテールが風に揺れてる、手にしたラジオからはオールディーズ。
「ほら、アルーアもいるわよ」
水色のマイクロビキニに日焼けした肌、まいったなこりゃ、二人連れてバカンスかよ。
「ねえ、何か食べに行こうよ」アルーアが笑みを浮かべる。
「そうね、シーフードなんかどう?」B9もうなづく。
「サシミの美味しい店知ってるわ。ビルの上だから見晴らしが良いし、大きな水槽もあるの」
「へえ、面白そう!」アルーアが無邪気に笑う、おや、後ろからも女の子が…
「先輩、私も連れて行って下さいよ。久しぶりにロブスター食べませんか?」
振り返った向こうにはカレン…新人の、あの子… 頭が割れて、ロブスターが…
一瞬の妄想だったのか…
俺は正気を取り戻した、前にはタコスケ、ヨタヨタとこっちに向かってくる。
「B7、そっちのガスは…使えそうね?」
「まずは皮膚組織を乾燥させて呼吸を絶つ、それからこいつで…
かまわず撃って!眼や触覚は再生速度が遅いから…」
俺のグレネードがタコスケにめりこむ、頭に当たってるはずなのに、中が膨れるばかりで…
触手が俺に伸びてくる、慌てて近くのオーブンに手を入れ、肉を掴み出す。
な、なんだこれ…北京ダックが再生してわめいてやがる!
タコスケに北京ダックを叩きつける、触手がダックを巻き込んで、大きな頭がかぶりつく。
こんがり焼けてなおガアガア鳴き続けるアヒルに、そいつをむさぼり食うタコ野郎。
悪夢とメルヘンが混ざった光景…早いところ終わりにしてくれ…頼むから!
ダックめがけて開いた口に、グレネードをたたき込む。顎が炸裂して歯の破片が散らばる。
行儀の悪い野郎には、ディナーはおあずけだよ!
タコ野郎は怒ったらしい、俺に向かって触手が伸びてきた…
俺は触手に足元を掬われてあお向けに床に倒された。触手は起き上がろうともがく俺の服の裾や袖口から侵入し、愛撫を始めたようだ。
吸盤のついた触手がおれの肛門を出たり入ったりするごとに引き裂かれるような痛みと、下等生物に犯される屈辱と、そして・・・初めて知る快感が俺を支配してゆく。
触手は弦楽器奏者の弓さばきのように確実に俺の体中の穴という穴を責め立て、糸を引く分泌液のねちゃねちゃいう音は互いに共鳴しあって狂乱のシンフォニーを奏で続けている。
朦朧とする意識の中で女を捜すと、雨でも降ったかのような水浸しの床の上で同様に侵されながら恍惚の表情で天井を見つめている。
…だったら良いかもしれないが、こいつはそんな気持ち良い事はしてくれそうにない。
強いていうなら重量級のせいで、動きがトロくさいのが取り柄なくらいだ。
何かいいもの無いか?お、バーナーだ。
デザートのカラメルを焼くと美味いんだよな… 一発着火、青白い火がまぶしいぜ。
触手を焼いてみるが…なんだこりゃ!2つに分裂しやがった!
「おいアルーア!こいつ火に強いぞ」
「え… 作戦変更、ケース2いくわよ」
「解った、そこのバルブを短絡させるから、バーナーちょうだい」
俺の放ったバーナーを受け取ると、女達は工作を始めた。
おいおい、俺はどうするんだよ。
>>132みたいな目に遭うのはイヤだ!
手元の引き出しを引っ張って…わっひっくりかえしちまった!コーヒーシュガーじゃないか。
…と、触手がいきなり縮んで、小さくなっていくぞ… こいつはいける!
俺はシュガーをぶっかけた。化け物の周囲でシュガーがはじける。
「へえ…やるじゃない」B9が感心した表情を浮かべる。「シリカゲルなんて、想像しなかったわ」
なんだと…ほんとだ、乾燥剤か…
「ちょうど真下ね、こいつでどう?」
アルーアがバルブをひねると、スプリンクラーから白い何かが吹き出した。
「冷凍庫の液体窒素…水分さえ凍ればおしまいよ」
すっかり凍り付いたタコスケを乗り越えて、俺たちは食堂を抜け出した。
第一管制室はこのビルの最上階、ヘリポートの離着陸のためにある部屋だ。
各ビルの管制室とも連絡が取れるし、スプリンクラーや防災扉、防犯カメラとも連動している。
アンテナさえ活きていれば、衛星通信さえ可能な優れものだ。
ボスやランディ達を殺した連中は、そこを占拠しているらしい。
「誰なんだよ、ここを地獄に変えたのは…」
非常階段で弾倉を交換しながら、俺は女達に話しかけた。
「青の防護服… 聞かない連中ね」
B9は腰のハンドガンを確認して、額の汗を拭った。
そろそろ素顔を見せればいいのに… 妄想のときみたいな美人なら大歓迎だ。
「いずれにせよ、私たちも抹殺するつもりね…潜入用車輛を破壊されたし、
2班を汚染物質の餌に…」
悔しそうな顔をして、アルーアが顔を背けた。
メイクで大人のように見せているが、まだティーンエイジャーかもしれない。
「とにかく、管制室を奪回して、残存部隊を集結させる。
指定時までに敵ヘリを排除しないと、生存確率は格段に落ちるわ」
B9が地図を指さしてみせるが…明かりが弱いので、今ひとつ解らないな…
第一この階段室、配管と電線ばかりで…なんだ?
漆黒の毛むくじゃら、不格好なオラウータンみたいなやつが、配管を逆さに歩いてくる。
「キメラ!?…実用化はあきらめたはずなのに」
B9が驚いた声をあげた。「あんな不安定な兵器、投入するなんて…」
まるで映画のハエ人間だ…4本腕の怪物は、影のようにペタリと着地した…
「搬出急げぇ」ヘリからのコンテナは無事、屋上に静着地した。
すぐさま搬出にかかる。ごたごたにまぎれて行うテストは順調だ。
これで奴らも内部抗争が致命的であったと歯軋りするに違いない。
「奴らの方はどうした?」青い集団の中、同じ服装をしているにも関わらず
異彩を放つ者が計器の前の人間に聞く。
「傭兵は駆除できました。さすがに傘の連中は違いますね。報告には死体が消える者もいると聞きましたので兵器が混じっているようです」
「戦争だな……国家を無視した企業どもの」男は呟く。「はあ……?」計器担当者はあいまいに返事を返した。
バシュッバシュッ
背後からリズミカルに破裂音が響く。見やるとコンテナから何か大型のものが出てきたようだ。
作業をしていた者達は口々に暴走だと騒ぐ。その中で一人冷静に対処しライフルを構える者もいた。
だが勇敢な彼は撃てなかった。引き金を引こうとした途端、計器の方にいたはずの薄気味悪い男に腕を
握りつぶされていたからだ。「誰が撃てといった?」マスク越しに男の目が見える。赤い光。奴らと一緒だ。
「その傷じゃぁここでは助からん。すまないな加減が出来んのだよ」その男はこともなげに勇敢な作業員を持ち上げるとビルから放り投げた。
この高さでは助からないだろう。そしてその後ろから馬鹿でかい狼のようなものが近寄る。
「……」男はその怪物を見据えて眼光で射抜く。大人しく怪物は頭を下げて男を注視した。
懐から彼は二枚の写真を取り出す。右の写真には人間が一人、左には化け物が一体写っていた。
右をひらひらとさせて男は何事か呟き、左はあからさまな敵意で破り捨てる。
そして男は怪物に指示を出した。「行け」何もせず従順に怪物はビル街に向かって飛び降りていった。
しばらく怪物の行った方向を眺め、そして男は全員に指示を下した。
「作業終了!!後始末をして後は回収班に任せるぞ!」
銃声が階段室に反響し、硝煙がたちこめる。
ショットガンが腹を吹き飛ばし、後ろに血しぶきと白い蛆が飛び散った。
それでもハエ人間は倒れなかった。上半身と残り4本の腕で天井によじ登り、俺に向かって何か吐きかけた。
「伏せて!」俺を突き飛ばしたアルーアの背中に反吐が飛び散る。
B9のスラッグ弾が頭を吹き飛ばし、ハエ野郎は天井にぶらさがった状態で動かなくなった。
「B7…平気か?」
慌ててアルーアが制服の前を開く、下に着ていた防弾ジャケットを外し、叩きつける。
ジャケットのケプラーファイバーが浸食されている。何てもの吐くんだこいつ!
革製のガンベルトさえ液化しかけてやがる…エイリアンだってやらねえぞ、こんな事。
制服を潰され、ずいぶんと色っぽい格好にされたアルーアが、背中を向けた。
「…確認して、背中に傷や爛れは無い?」少し背中が紅くなっているが、きれいなもんだ。
手早く医療スプレーを取り出し、背中に吹きかける。
妄想がひどくなりそうだな…立っちまうと走りにくいんだよ。
「こいつ着てろ。本来なら俺の頭が溶けたはずだからな…」
内ポケットのブツをズボンに移すと、俺はジャケットを掛けてやった。
「…どうする?裸で突撃なんて訳にはいかないでしょ?」
「管制室にロッカーくらい在るわよ」
フッ…B9がマスクの奥で微笑した。「Allure…言葉通りの格好ね、なかなかお似合いかもよ」
「ふん!」なかなか粋な呼び名だが、アルーアには心外だったらしい。
制服から取り外した装備をバックパックに収めると、残されたブーツの紐を結び直した。
「行きましょ、こうなったら殲滅させるだけだわ…」
防火扉を開けて、俺たちは最上階に踏み出した。しかし、そこには意外なものが待ちかまえていた…
管制室につながる通路には、沢山のメタルケース。
中から粘液が滴り落ちているものもある。化け物の檻かよ、まったく。
装備品も多数放棄されてやがる。…アサルトライフルにチェーンガン、地雷やスティンガーまである。
「…やられたわね… ここは放棄された後みたいだわ」
B9が周囲を見回してつぶたいた。「トラップさえ残さないなんて、馬鹿にされたものね…」
「…違う… と、思う」ケースを確認したアルーアが言った。
「血が飛び散ってるし、銃撃の跡もある。そこの窓なんか…」
歩み寄って指さす、窓に引っかかったブーツは中身入りだった。
ブーツをつかんで引っ張り上げた青制服野郎は、首から上を食い破られている。
「…日本語表記?」ポケットの手帳を見ると、アルーアは意外そうな顔をした。
「日本企業がアクションとはね…買収と合併だけがお家芸じゃない訳か…」B9が箱の表記を見て言った。
職員休憩室を見つけて、アルーアが入っていく。やっと目当ての物を見つけたようだ。
俺としても助かる。きわどい黒の下着姿で目の前を歩かれちゃ、目のやり場に困るし…。
「…変ね、ヘリが残ったままなんて…」
窓の外からヘリポートを覗いて、B9が言った。「向こうから黒煙さえ…」
「やっちまった…な」俺からすれば当然だった、奴らさえ知らなかったんだ。
「ここの防衛システムが発動したんだよ。各ビルのセンサーで対空装置が発動するんだ。
エンジェル・タワーとは良い名前だろ、ここから天国に旅立てるってな…」
俺の説明は、隣部屋からの悲鳴にかき消された。
慌てて休憩室に飛び込んだ俺は…
どっこい生きてるage
背中でドアを閉めると後ろ手にノブの錠を回してふう、と安堵のため息を漏らした。
サバイバル・ゲームのパートナーだった女の断末魔の悲鳴がドアの向こうから聞こえてくる。
ガリガリと爪でドアの表板を引っかく音と振動が背中越しに伝わってくると、なぜか俺は笑が止まらなくなり、床にあお向けになって地団太を踏みながら腹を抱えてしばらく笑い続けた。
エンジェルタワーの休憩室で仲間を見捨てて笑い転げる俺をも天国へと連れて行ってくれるのかい?神様。
どれくらいの時がたったのだろうか。俺は見知らぬ天井を見つめながら指先で床のタイルの溝を無意味になぞり続けている。
「…落ち着いた?」
なんだか混乱していたみたいだ。目の前にはアルーア、整備員のつなぎを着込んで帽子を被っている。
着こなしがいい奴だな、目の前にひっくり返っている脳みそむき出し野郎はともかく…
「リッカーっていうの、ウィルスの変異種でね…もとから弱ってたから始末できた。
…あ」
歩み寄って俺の頬に手を回す。涙を拭いて、視線を合わせた。
「臆病なのは、欠点じゃないし、恥じるべき事でもないの…
行きましょ、B9…コードネーム‘夜魔’が待っているわ」
扉の向こうは、肉屋の店先みたいになっていた。
血しぶきが廊下をクリムゾン・レッドに染め上げ、黒ずんだ青制服が散らかってやがる。
「みんな再生品だったわ、銃撃なんかする奴は… 向こうね」
バルコニーにワイヤーが結んであり、反対側のタワーにつないである。
「西側ブロック…通称‘ナイト・タワー’対空システムのある場所よね」
静かに言ってみせる。この女たちを甘く見たら大火傷じゃ済まないだろうな…
何か言わなきゃいけないことがあるのに胸がつかえてしまって言葉がうまく出てこない。
思わず彼女の胸で泣き出しそうになったそのとき、警報が鳴り響いた。
駆け込んだ管制室は、ほとんど破壊された後だった。
青服の連中も防衛システムを把握できなかったらしい。あらゆる手段を講じて
メイン・システムにアクセスを試みた形跡がある。だが、失敗らしい。
生き残ったスクリーンの一つが、迷彩の施された武装ヘリを映し出している。
ローターを回転させ、ホバリングを続けるヘリに、戦闘服の男女が駆け込んでいく…
「ああ…捕捉されてるのに…」
コードをむき出しにしたコンソールにB9が向かい合い、凄まじい勢いで修復を試みている。
一方でアルーアが通信機を取り出し、大声で呼びかけた。
「B7よりA3、B7よりA3!捕捉されている!ヘリを脱出して退避行動を取れ!」
しばらくして、くぐもった声が通信機から漏れてきた。
「A3よりB7、これ以上の作戦の続行は不可能となった。Aチームも損傷が激しい、
我々は空路で撤退する。Bチームは回収不能、各自陸路で撤退せよ…」
やりとりの間も、対空システムは計測を続けている。
ナイト・タワーの頂上にある騎士の彫像が動き出し、手にした槍を下に向けた。
「B7よりA3!対空砲の捕捉が確認されて…ああッ!」
ヘリが上昇を始めた瞬間、槍の上から閃光が走った。
『パラケルススの魔剣』米国陸軍製のレールキャノンが火を噴き、ヘリを貫通する。
燃料系統を着実に貫くキャノンの前に、ヘリは一瞬のうちに火球となり、下の公園に墜落した。
激しい爆発、爆風、黒煙、火柱が30階ぐらいまで伸びて、周囲の窓ガラスが白くひび割れる。
手から落ちた通信機が床に落ち、フレームが割れる音が管制室に響く。
「バカ…ばかぁぁ!」
床に座り込んだアルーアが泣き叫んでいる。B9も呆然としたまま、火球を見つめていた。
どうすればいいんだ…
とりあえずここを出たい。もう俺は疲れた。ああ、夕べから何にも食べてなかったっけ。
今朝も遅刻ぎりぎりまで寝ていてダッシュで着替えて駅へいく途中に犬に追っかけられて・・・。
課長に言っても絶対信じてもらえないだろうな。どういうふうに怒られるかな?
逆に怒りを通り越して笑われたりしてな。
飯食いてえなあ・・・。
周囲を見回す、目の前のコーヒーカップが目に入った。
確かに、ランチには遅すぎる時刻なんだよな。
オフィスには、ボスがポケットマネーで買ったエスプレッソマシンが湯気たててたし、
ダイエットを理由にベーグル半分くれる女子社員がいた…だが、どっちも今はいない。
ここのコーヒーメーカーは…空っぽだし、汚染されてたら洒落にもならない。
コーヒー臭いゾンビになったところで、誰も誉めてくれないもんな。
そこにある銀紙は… おっ、軍用食だ。真空パックだし、品質保持期限もOKだ。
「…それは安全よ、食べられるうちに食べておく事ね」
機材を修理しながらB9が言う、気がついてたのか?
「お前も喰うか?」
「いらない、ダイエット中だから…」
うちの女子社員みたいな事を言う、素顔は案外モデルっぽかったりしてな。
生きて帰ったら、戦闘服以外のB9を見られるかな…
銀紙を剥いて、一口かじる。なかなかいい味付けだ、すこし塩味が強いかもしれないが…
…アルーアは? まだ泣いてる。俺以上にセンチメンタルな奴だな、女の子だからしかたないか。
「…喰うか?」
小さくうなづいて、ちぎった半分を両手で持つ。ヤケ喰いっぽく食べてる。
「どうするんだよ、これから?」
「本部に通信を試みる。不可能なら、連中の後を追って陸路から反撃にあたる。
このまま死ぬ気は無いでしょ?」
B9が静かに言ってのける。また乱闘と射撃かよ…
「復旧まで1時間はかかる、私が哨戒にあたるから、B7と休息していろ」
宿直用の毛布を見つけて潜り込む。少し柔らかい感触、なんだか心が和む。
靴を脱いで、寝巻に着替えて、半日眠りたいところだが…許してくれないだろうな。
ふとアルーアを見る、部屋のすみにうずくまったまま、うつむいている。
毛布を半分掛けて、肩に手を回す…怒られるかな?
「…ありがとう…」
不意に、アルーアが抱きついてきた、シャツに涙が染み込むのが解る。
似ているのかも知れないな、俺たち…
・・・ここは?そうだった。家じゃないんだっけ。
管制室の冷たい床の上でも熟睡できたらしい。サラリーマンの悲しい性だな。
照明の消えた室内には西日が差しこんでいて半開きの窓を覆う白いカーテンが琥珀色に染まりながら風にすきま風に翻っている。
すこし、冷えるな。
アルーアを起こさないように窓を閉めようと立ち上がったとき隣室から話し声が聴こえてきた。B9の声だ。
「コ醴蠶奴コ●●◎◎醴蠶奴。氾衒□□■■鑵醴蠶?ベ苛ザベ繍蠶醴訃/〃'もうだめぽ□■□□□□□▲┌─□■■■。」
なんだ・・・?あいつ何語をしゃべってるんだ?聞いたことないぞ?
「醴霾醴髏蠶蠶鸛・・・!わかった。こちらも民間人1名を保護の上、翌4○にはそちらと合流。空路の手配頼む。交信を終了する。」
「起きたのね。行くわよ。」
「あ・・・ああ・・・じゃあアルーアを起こしてくる。」
振り返るとすでにアルーアは身支度を整えて俺の後ろに立っていた。
「行くわよ。」
装備品を少しチェックする、弾薬が補充できたのは拾いものだった。
357マグナムも手に入ったし、多少のバケモノならいけるかな?
「こっちよ」B9が窓ガラスの向こうに現れた。
管制室からヘリポートに出る。少し風が強いな、ビルからあがる黒煙が横になびいている。
ここもレールキャノンが命中したらしい、黒こげのヘリが無惨な姿をさらしていた。
ヘリの一つからケーブルが伸びている、煤けた窓枠に結びつけられたケーブルは虚空に伸び、
向かいのビル…西側ブロックの窓を破って吸い込まれていた。
「私たちも行くわよ、『ナイト・タワー』に…」
おいおい!よりによって向かい側かよ!青制服が沢山いる上に、化け物だらけだろ?
「あのビルの防衛システムを沈黙させる。そうしないと脱出は無理よ」
そりゃそうだけど…俺だけ置いていく訳にも…いかないよな
B9が金属製の滑車を取り出す、そんなもので向かいに行けだと?ふざけんな!
「なに情けない顔してるのよ、地上階まで降りて戦いながら進むつもり?」
命綱も安全ネットも無い。地上45階ビルの屋上から、40階の窓まで滑るだと?
「大丈夫、やれるわよ」アルーアが微笑する。無茶言うなよ…
肩から背中にロープをかけ、滑車を吊す。
「銃は落とさないこと、解ったわね?」
静かに言い放つと、B9が俺の腰に蹴りを入れた。
瞬間的に、俺はビルから投げ出された。すさまじい勢いでケーブルを滑っていく。
言葉にならない絶叫が口から漏れる、失禁しないのが不思議だった。
シュッ!小さな音がして前髪が焦げる、まさか! 俺は射的にされてるのか?
後方で小さく銃声が響く、女二人が応戦しているが… やめてくれえ!
ガクン! 鈍い音がして、俺の身体が前後に揺れた。こ、こんなところで止まるな!
滑車の斜めにロープがずれている、終点にはまだ200メートル以上あるのに…
はるか真下に、小さくハイウェイが広がっている。このまま落ちれば、俺は原型さえ留めないだろう。
絶叫したくても声さえ出ない、顔がくしゃくしゃに歪むのが解る、俺は発狂寸前だった。
突風に煽られて体が大きく揺れるのと同時に俺の手に握った銃に敵の弾丸が命中し、俺は銃を取り落とした。
向かいのビルの窓の人影と目が合う。連中、笑ってやがる。糞め・・・糞糞糞糞どもめ!
腹筋を使って両足で滑車を挟み揺らしたり叩いたりしてみる。糞・・・動けよ。動けったら。動けっつってんのがわかんねえのか・・・あっ動いた。
風でロープが揺れているのが幸して連中の弾丸は俺の体にかすりもしない。まってろよ・・・ぶっ殺してやるぜ。
そりゃあー。向こうの窓に飛び移ると同時に敵兵2体に同時に蹴りを食らわせてやった。
敵が失神している間に滑車から体をはずして連中の武器を奪い取った。完璧だぜ。
「すごいわね!見直したわ」
俺の後を追って滑ってきたアルーアが、嬉しそうに言った。
「…お見事」
B9も着いた、マスクの遮光ゴーグルからようやく見える眼が、笑っているようだ。
「で、どうするこいつら」
生きている青制服は、こいつらが初めてだ。街を地獄にしたのもこいつらなのか?
「マスクを外して、尋問に答えてもらおうかしらね」
アルーアが青制服の一人を縛り上げると、B9がもう一人の腕をねじ上げた。
「名前と所属は?」
答えは沈黙、あざけるような笑い、B9が防毒マスクに手をかけると、一気にはぎ取った。
アジア系ともイスラム系ともつかない顔立ちの男、真っ青だ…
口に含んでいた何かを噛み砕き、B9に吐きかけようとしたが、B9の方が上手だった。
「ふざけるな!」
格闘技で変形した耳を掴んで首をねじ曲げる、そのまま青制服の顔を壁に叩きつけた。
毒霧か?グレート・カブキとかいうプロレスラーを思わせる野郎だな…
「証拠隠滅を計る気だろうが、ただでは死なせない。B7!自白剤を投与しろ」
腰のポーチを開けると、アルーアが注射器を取り出した。もう一人の青制服の首に突き立てる。
縛った青制服が無抵抗なのに、B9の掴んだ奴は大暴れしている。
2回、3回…B9が青制服を壁に叩きつける。顎の骨が折れ、鼻の軟骨が潰れる。
壁に折れた歯と血しぶきを散り、前衛芸術みたいな壁画を彩った。
「…これでいい」
ようやく口から毒物を引きはがした、マウスピースそっくりの物体を床に叩きつける。
…マウスピースから何か出てくる…ヒルとも、芋虫ともつかない不気味な赤い何か…
「おい、こいつは…まさか…」
縛られたまま肩を揺すっている青制服に、アルーアが歩み寄る。
フルフェイスのマスクをおずおずと外した途端に、悲鳴をあげた。
「い…いやあああ!」
マスクの内側に顔は無い、顔だった部分を急速に蔦が絡みつき、根を下ろしていく。
「アイビーか?…何て早さだ…」
頭部どころか、制服の隙間からも蔦が伸び始める、関節が奇妙にねじれ、ワイヤーを外す。
植物怪人の出現だった。
その植物人間を見ていると頭の中が焼け付くように熱くなる。
ゾンビどもとは違う嫌悪感。なんというか縄張りを荒らされたときの怒りに似たものだ。
二人の女が銃を構える。遅い、というか重たい動作だ。まるでコマ送りのビデオだ。
俺はあわてず騒がず銃を構える。奴らの使っていた銃だが、見たところ小細工なんてしていない。
いや持っただけで俺には知覚できる。僕、俺、私。全員がもうすぐそろう。
ひとつの体でバラバラだった全員が。狙って引き金を引く。火薬の爆発音。
反動を感じない強靭な俺の腕、俺たちの腕。臆病で正義感溢れる僕。
ゆっくりと銃口から出ていく弾頭。勇敢だが色情狂な俺。めり込む弾丸、弾ける植物人間の頭。
そして、南極基地の愚か者とは違い、人道を備えようとし、人間としてウイルスに勝てた私。
目の前に起きている現実は妄想か?だが銃を抜いた腕はあまりの速さにより、空気との摩擦熱で
産毛が焼けている。現実か妄想か?どちらにせよ自分をしっかりと持たねばならない。
僕たち俺たち私たち、三人はお互いに認め合い頷き合った。
そして目の前におきた漫画のような状況に驚く二人の女。
「あなた……何者なの?」アルーアは恐怖と驚愕、失望にも似たそれらの表情を浮かべている。
珍しいことにB9も悲しそうな目つき(相変わらず顔が分からない)で俺を見ている。
今の処、自分で分かる部分は……。就職直後に変な研究所に閉じ込められただけだ。
それに、どうでもいいじゃないか。俺が何者でも。今はこの3人でコーヒーを飲みたいだけだ。
「コーヒー」
「えっ?」
「・・・なんでもない。俺は俺なんだよ。ねえ、この戦いが終わって落ち着いたら3人でドライヴに行かないか?湘南のバイパス沿いで海を見ながらコーヒーを飲むんだ。」
アルーアとB9はきょとんとして顔を見合わせている。
「ごめん。ちょっと混乱したんだ。」
「いいわね。そろそろ夏だし。買ってから一回も着てないキャミソールがあるから、それを着ていくわね。」
「車は何乗ってるの?」
「キャデラック」
「まさか!でも本気にしてあげる」アルーアがからかうように笑った。
「本当だよ、鎌倉にガレージを借りているんだ。道は狭いが、いい風が吹くんだぜ」
サーフボードを積み込んで海岸を走るのは最高だ。頬を撫でる潮風、カモメの鳴き声、
助手席にはどっちを乗せるべきか…
「コーヒーでもギムレットでもいいけれど、足元を何とかしない?」
B9がたしなめるように言い放つ。ふと見た床には蔦が伸びてくる。
床だけじゃない、戦闘服から伸びた蔦は壁から天井に這い上がっていく。
「なんだこりゃ、暴走してるのかよ!」
「頭を潰したから…じゃないわね」
床に卒倒した青制服は手遅れだ。蔦が絡まって苗床にされちまってる。
「擬態よ」B9が静かに言った。
「危険な状態になると、成長剤が投与される。あとはフロア全体を封鎖するわけ。
研究施設の宿舎で見た、あの暴走プラントみたいにね」
どこかで見たような景色…俺の心の中で、変に綿密な観察をしている一部があるような、
そんな不快な気分…
「脱出するわよ」アルーアに手を引かれ、俺たちは部屋から出た。
「どうするんだよ、加速度的に伸びてやがったぜ」
ポケットから小さな缶を取り出して、B9は身を乗り出した。
「植物が生長するのに必要なのは?」
「水と、栄養と、日光と…?」
「大気」缶を扉から投げ込んだ。窓から見ると、すさまじい勢いで泡が吹き出している。
「10秒で部屋全域を包み込み、20秒で硬化。枯れるわよ」
ようやく出た廊下だが、粘液質の物体がへばりついてやがる。
「注意なさい、ここも汚染された生物に占領されたみたい」
もとはオフィスだったらしい、書棚や机にまで粘液が張り付き、糸を引いてやがる。
納豆じゃあるまいに… それにしても、ひどい匂いだな…
べとつく床についた青制服の足跡、それを追って歩き出した俺たちを、
粘液の向こうから見つめる何かがいた…
俺たちは13フロアのエレベーター前で途方にくれていた。
まいったね。12階へ下りる階段はわけのわからない液体で汚染されていてとても足を踏み入れられる状況じゃなかったから一縷の望みをかけてここへ来ては見たものの・・・。
まあ、こんな状況で動くとは誰も期待してなかったし案の定停まっちゃってるんだけど、要するに、エレベーターの篭がこの階から下へ降り始めたところで止まっちゃってるせいでその、ワイヤーを伝って降りる事もままならないわけだ。
「せめて中に入れればね。床板をはずすなり、破壊するなりして管内を下ろうと思ったんだけど。」
「停まり方が微妙だよね。こう、床にはいつくばっても篭の中に入れるか入れないか・・・う〜ん。苦しいなあ。」
エレベーターの天井の上には頑丈そうな鋼板ががっちりはまっていてとてもじゃないが破壊できそうにない。
もう1回、今度は頭のほうからこの隙間に入ってみよう。おっ。行けるかな。苦しいけど頭を横にして・・・ちょっと、服のボタンが邪魔だな。全部脱ぐよ。こんな時だ。止むを得ないだろう。
俺は全裸になりべったりと床に腹ばいになってエレベーター内部への侵入を試みた。
一番厄介な腰骨の部分がなんとか隙間を通り抜け、後は頭を打たないように気をつけつつ逆さまに室内に着地するだけだ。
ほう。と一息ついたそのとき、キュィィィン・・・と機械の始動音が響いて、エレベーターがガクンと音を立てて揺れ始めた。
全身から汗が噴出した。
あ、あぶね!こんな時に動き出すんじゃねえ!
突き出されたB9の足をステップにして、飛び込んだ。
ゴキッ! …額から思い切り床にブチ当たる。衝撃で視界がホワイトアウトして、
背中がエレベーターの壁にもたれかかる。
サイテーな着地だな、下半身は無事に抜けたとはいえ、真っ逆さまだ。
狭いエレベーター内でようやく起きあがる。額は…割れちゃいないな、コブになってやがる。
しっかし、丸腰どころか丸裸かよ… まあ、今の俺を見た所で、笑う奴はいねえな。
そんな余裕は無いし、みんなどこかが壊れてやがる。ストリーキング野郎がいたところで…
「生きてる?」B9の声が響いた。
「そいつを操作して、上げてくれる?上手く開けられたら、装備一式返してあげるから」
「どうやってだよ!電源いかれて…」
言いかけたところで、また、動いた… 降りてやがる!
ガクンガクンいいながら、エレベーターは12階に降りていく。
チーン! 12階でございます… 生真面目な電子音が響き渡り、扉がゆっくりと開く。
暗いホールが口を開いた。ここも粘液だらけだが、その訳が解った。
ヌルヌルした身体、緩慢な動作、しかし、奴は俺の体臭をかぎつけた。
体長10メートルはあるだろう、巨大なナメクジがエレベーターに入ってくる!
肌色の物体は粘液を垂らしながら、身じろぎも出来ない俺にのしかかってくる。
途端に銃声が響いた。ナメクジが身をよじらせる。
グレネード・ランチャーとスラッグ弾が外皮を破ると、ナメクジの粘液がエレベーターに流れ込んだ。
「無事?死んでないだろうな…」
すっかり動かなくなったナメクジの死体を踏みつけて、B9が入ってきた。
全身をヌルヌルに覆われ、粘液に浸かり…俺は恥も外聞もなく嗚咽していた。
下半身がいうことをきかない、失禁しているらしい。全裸でよかったかも知れない。
「大丈夫、これは汚染されていないわ」アルーアも小さな機械を片手にやってきた。
「…被災者を押しつぶして食べるタイプね…」ようやく俺を死体から引きずり出す。
「どこから…来たんだよ…」アルーアから受け取ったタオルで顔を拭いて、俺はようやく涙が止まった。
「横のエレベーターシャフトを降りたの。11階で詰まってたけどね」
アルーアに肩を貸してもらって、ようやく俺たちは13階に戻った。
「ひどいものね、想像以上の被害だわ」カーテン越しに、アルーアが声をかけた。
このビルの給水装置が壊れていないのは幸運だった、シャワーは冷たいが、生き返ったような気がする。
散々議論した挙げ句、B9はエレベーターを爆破することにした。向こうで小さな操作音が響く。
「この下だって、何がいてもおかしくない。しかも、武装管制室は地下でしょう?」
「ああ、そうだ…」髪についた粘液を流しながら、俺は答える。
「ビル屋上のレールキャノン、各階のセキュリティ・システム、大深度地下ケーブルを使った通信装置、
核シェルターも兼ねた避難設備だ。もっとも、重役専用だけどさ」
「生存者も、いるかもね。奴らに殲滅されてなければ」
ちょっと気になって、俺は着替えに手を伸ばした。
「何も盗ってないわよ」アルーアがあきれたように言う。
「今さらあなたから奪ったところで、生きて帰れる自信なんかないわよ。
脱出したところで、もとの職場に帰れるかどうか…」
「B9も、そうなのか?」
「‘夜魔’は、違うわ」溜息が聞こえる。「あいつは、いつだって帰ってきた。
部隊の大物‘死神’ハンクと張り合えるかもね。でも…あたしは…」
「しょせん雑魚か?」シャワーを止めると、俺は顔を上げた。
「だったら、逃げちまえばいいだろ。一緒に湘南に行けばいいんだ、キャデラックが待ってるぜ」
「…本気にするわよ」気弱な笑い声が聞こえる。
カーテンを開けて、後ろから抱きしめる。小さく震えたが、抵抗はなかった。
こうなったら、絶対に逃げ切ってやる!
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\ |⌒⌒⌒~| 山崎渉
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B9は個人用通信機を弄くっていた。外部との連絡は無理だが周囲の通信波ぐらい捉えられるはずだ
あの2人(女は強化されており男は人間であるかも不明)には知らせていない。
警戒しているわけではなく別に知らせる必要はないからだ。
通信機からはさまざまな声が溢れる。
「狗神は予定どうり動いているのか?」「ええ、足切りはもちろん他社製品も破壊してくれてます。いい子ですよ」
「さっきからデカイ狼が歩いているがありゃなんだ!?」「分かりません!!」
「助けてくれ助けてくれ!!デカイ犬がぁぁぁ!!……ズズ……ブ……」
どうやら他社もドサクサ紛れにテストを行っているようだ。日本語にハングル、中国語も混じっている事から
極東圏の会社だろう。もちろん民間の通信も入る。
「福音通りの状況は!?」「化け物ドモのデモ行進ですよ!!」
「第3避難所?聞こえるか!!」
(警察官も頑張っているようね……)ご苦労な事だ。税金で食べている分公人であろうとしているのだろう。
状況判断の情報処理を行っていると彼の声が聞こえてきた。
「A1よりB9。各国の強襲部隊が潜入し始めた。B7のテスト及び『民間人』の保護を急げ」
「B9、了解」息をするように自然な声色で答える。
「なお他社の部隊、製品の投入も察知した。タイラントの投入も戦闘レベルで行われる。配慮せよ」
厄介な事になってきた。この街を舞台に実験から戦闘へと激化してしまったのだ。
来るべき戦闘、核の次の戦争。新人のころに聞かされた社の次世代文化戦略がここで口火を切るのだ。
(もう、裏稼業なんてのん気な事言ってられないのね……)
国の次の支配体系は企業。絵空事ではない脅威を感じた国家は同じ土俵に上がる。
そして既存の戦闘では考えられない状況で戦場は出来る。
もしかしたら大昔のように地域ごとの紛争へと退化しているのかもしれない。
感慨を締め出しB9は装備の点検を済ませて2人の元へ向かった
こんなふうに男に抱きしめられるのはどれくらいぶりのことだろう。
歌が聞こえる。
シャワールームの前で折りたたんだバスタオルを両手で抱きながら、アルーアは有線にあわせて異国のヒットチューンを口ずさんでいる。
シャワーの元栓が締まる音がして男が出てくるとアルーアはにっこりと笑顔を作ってバスタオルで男の全身の水分を拭い始めた。
男が上ずったような声で何か言っているがその言葉はアルーアには理解できないのでただ笑顔で曖昧にごまかすことしか出来なかった。
布団が1枚敷いてあるだけで照明すらない部屋の天井へ煙草の煙が線を描いて立ち上っている。
背中を向けて煙草を吸っている男にアルーアは何度か話し掛けたが、言葉が通じないせいか男はその都度何かひと言つぶやいたきり振り返ろうともしなかった。
以前は、男が若い美男子だったりしたときにはあれこれと話し掛けて関心を引こうとかしたものだが、近頃じゃそれも面倒くさくなっていた。
「霾醴髏蠶?」
カーテン一枚で仕切られた隣室からアルーアに声がかかる。
「□□■■鑵醴。髏蠶了。」
「醴霾。」
「□■。」
自国語でのやり取りが男に不快な印象を与えてはいけないのでアルーアは会話を手短に切り上げ、男のほうを伺ったが、男はもはやアルーアには無関心らしく、相変わらず後ろを向いて煙草をふかしている。
枕もとに置かれた時計をちらっと見る。まだ終了まで20分もある。溜息が出る。
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|( ^^ )| <寝るぽ(^^)
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\ |⌒⌒⌒~| 山崎渉
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(^^)
俺は無関心を装って、煙草の煙を眺めていた。
何かが違うような気がする、どこかが間違っているような気がする。
そして、俺は俺であって、俺じゃない。
この汚染騒ぎが始まってから、俺の中に違和感が生まれ、大きくなっていく。
生命の危機に直面するごとに、違和感は膨れあがり、俺の心の中で増殖する。
まるで俺の脳血管を次々と支配して、際限なく膨れあがるガンの腫瘍のようだ。
あのナメクジに潰されたところで、違和感は俺の力では抑えきれなくなっていた。
アルーアを抱きしめた時、違和感は最高潮になった。
軽い眩暈に襲われ、俺の意識が途切れた。
途切れた俺を見つめる俺…いや、私。
動けない俺を押しのけるように湧き上がる、僕。
もちろん俺の身体だ、記憶だって、感覚だって、快感だって俺のものだ。
だが、何かが違う。俺は俺の記憶や思考を超えた事をしていた。
アルーアの胸に額を押しつけ、すすり泣く。
ただ抱きしめているだけで、幸せな気分だった。
日頃の俺なら到底できない行為だ、こんな女なんか相手に失神寸前なんて…
まだ挿入もしてないんだぞ、一晩で5人も気絶させた俺が…まるで…
何もできない、何も言えない、アルーアを抱きしめながら、俺は射精していた。
一切を出し尽くしてうなだれた僕を見て、私は薄笑いをうかべている。
そう、それでいい…面白い、面白いぞ…
…なぜだ?答えはどこにある?
「そろそろ、準備しない?」
振り返った俺を、アルーアの唇が塞いだ。
これで、よかったのかもしれない… こんなところで初体験なんて、ぞっとしないもんな。
気を取り直して、俺は立ち上がった。
161 :
名無し物書き@推敲中?:03/08/14 23:04
立ち上がりながらタバコの火をもみ消そうとした俺の右手には何も握られていないのを知る。
でももうおびえることはないさ。ドアを開けると突風とともに激しい銃撃戦の音が聞こえてきた。
「何をしてたの。おそかったわね。」
(⌒V⌒)
│ ^ ^ │<これからも僕を応援して下さいね(^^)。
⊂| |つ
(_)(_) 山崎パン
「失敗だな」
暗い空間に年老いた男の声が響く。
辺りは真っ暗だ。そして先ほどの声の残響からかなり広い場所だとしか分からない。
「兵器ではないですね、自由意志を持っています」
今度は女の声だ。先ほどの男の声と同様に年老いている。
暗いこの場所にあるのは、声と、そして唯一の光源であるモニターだけだ。
そのモニターには
魑魅魍魎の蠢く市街地。そこで戦いを繰り広げる各国の特殊部隊、地元警察、武装した民衆。
そしてこの場にいる支配者達に敵対する企業兵。それを相手取る強化兵。
惨憺たる地獄絵図の中で異色を放つ戦いぶりはその企業兵と彼らの部下……末端だけだろう。
壁を次々と蹴り飛びながらの銃撃戦。それを見て双方を敵と判断する生物兵器。
見られていることに気付いた者もいるようだ。
映画よろしく、銃口をこちらに向ける赤い目をした青い制服の男。
「ですが、興味深いです。生物兵器としての自我と処置後の生活のために作り出された自我--」
「そして本来の意味での自我が統合されるわけでもなく反目するわけでもない」
その場に緊張が張り詰める。
「失敗でありながらも確実に」
「我々の求めるものに近づいている。我々の理想に」
しばらく沈黙するが一つの発言で口火が切られる。
「各国への対応をどうします?」「役員どもの暴走はどう対処するか?」
「何よりも我々の意思がちゃんと伝わっているかどうか……」
一際離れた場所から声が響いた。
「騒ぐほどではない。時間はまだまだある。ゆっくりやろう、若いときのようにな」
164 :
名無し物書き@推敲中?:03/08/22 21:32
「あいかわらず、お好きなようね。」
「ふっふっふっ・・・。まだ日も高いというのに汗まみれになってはよくもまあ、飽きずに求め合ったものよのう。」
「でもあなたがまさか本気だったなんて未だに信じられないわ。」
「きみは可憐だったねえ・・・。ぼくのすべてだった。嘘じゃない。今だから自信を持って言えるよ。」
「バカ。よしてよ。」
「嘘じゃないさ。ぼくの愛は永遠なのさ。たとえ肉体が滅びようとも・・・。」
外の喧噪が小さく響いてくる。
銃声や、咆吼、怒号、爆発音…だが、俺たちに近づく者はいなかった。
エレベーターを排除して、俺たちはエレベーター・シャフトを降りていく。
B9の下げた小型通信機(日本語表記だ、きっと青制服のだろう)だけが、
様々な言語をがなりたてている。
「こうなることは、みんな解っているはずなのに…」B9がぽつりと言った。
「どう収拾をつけるのかしらね、以前のケースみたいに爆破かしら?」
アルーアが上を振り仰いだ。この町全域を爆破…本気かよ!
「だからこそ、これから行く所が切り札になるわ…そこの扉開けて」
なんだこりゃ、出口と反対側に扉がある。
錆びかけの扉だったが、今までの扉よりはましだ。簡単に開いた。
ここもバックヤードだろうか。少しほこりっぽい上に、照明が無い。
「ねえ、見覚えは無いの?」
知るもんか、まともな表通りだって把握してないんだぞ。
俺が知っているのは、うまい料理の店と、取引先の連中、あとは美人の受付くらいで…
「キャデラックは覚えているのに… まあいいわ、そこで全てがはっきりするから」
突き当たりには銀色の機械、網膜照合かよ!
「覗いて」B9が短く命令する。
俺の眼に当てられる緑色の光線、機械の中で何かが動いて、重厚な何かが迫ってくる。
次の瞬間、俺の左側から光が差し込んだ。エレベーターが開いている。
「あ…ああ…」
アルーアが両手を口に当てている。どうしてだ、どうして俺がこいつを呼べるんだ?
「…確定ね」マスクの奥で、B9が笑みを浮かべているのが解る。
まるで特上の美酒を口にしたような、最愛の男に抱きしめられたような、至福の笑顔…
一方のアルーアは…驚愕の形相で俺を見ている。何か知っているのか?
混乱する俺に、B9が手招きする。
「行きましょう、この街の中枢へ…」
「そろそろ教えてくれませんか?チーフ」
青制服の人間がチーフを見やる。通信機からはこの辺りの傘の連中を始末したと流れている。
「私らはチーフと違って脆弱なんですから。強化っつってもドーピング主体ですし……」
赤い目をしたチーフがそれを否定した。
「いいや……強さはそんな物で決まるわけではない。傘の奴らの子飼い、
あの死神は普通人だ。そして未確認だが、ただの探偵が一人で奴らの
研究所を叩き潰した例もある」
「でも死に安い事には変わりありませんよ」
溜息をつく部下をチーフは鼓舞する。その目は酷く人間の優しさに溢れていた。
「こんな体になっちまって分かる事だがな。ようは生きる意志だよ。
汗臭い演説になっちまうが、生きる意志さえありゃ大したことは無い。
生物兵器にも道具があれば対処できるしな。その点はこの星のルールさ」
「で、チーフ。今回の獲物は何なのです?」
一転、チーフの目が厳しい物になる。
「ハッキリ言って軍用犬(各国軍特殊部隊のこと)がしゃしゃり出るのは誤算だったからな。
もう言ってしまうが……。覚悟して聞けよ、絶対秘匿だからな」
もう生きては帰れない。皆は瞬時に理解した。
「ようは、南極のお嬢さんのやり方を少し進めた奴が相手だ。あのメスのやり方は人間から別の物に変わる事
らしいがそれとは違う。人間の中に取り込んで人間として、霊長類人科として進化する方法らしい」
「それをかっ攫うんで?」
首を振るチーフ。
「いいや、成功してたら処理しろとの事だ。生物兵器は他が作ってもいい。
だが本当の意味での新種生物はゴメンだとよ」
部下達は腑に落ちないらしく、曖昧に頷く。がチーフだけは冷や汗をかいていた。
確かに生物兵器といっても、作った細胞で病気にしたものばかりだ。
犬で言えば狂犬病にかかったようなものだろう。
だが病気ではなく新種の生物としたらどうなる?
人間の扱う情報が人間並みに理解でき、人間以上の身体能力。
(まさしく悪魔だ。生かしてはおけない)
外道に落ちた男は「人間」として必ずその敵を殺す事を決意した。
このスレ、まだあったの?
とりあえず、支援age
終わったスレあげんなクズボケアホゾンビ
もう潮時?まだまだイク?
潮時かと……
第一、原作自体ストーリーが進んでないからね。
第二に話がでかくなりすぎた(原作とこのスレの一連の営業マン物も)
そして極めつけ
所詮二次創作ですから!!
まぁ続けたい方は続けてください。僕は逃げますが。(風呂敷広げすぎてワケ分からんし飽きたから、申し訳ない)
171 :
名無し物書き@推敲中?:03/09/20 12:19
勝手に主任だの鉄球だの13階のエレベーターだの韓国エステを登場させてごめんな。
もう飽きたから俺も逃げるよ。でもちょっとだけもったいない気もする。
闖入〜惨殺〜モノアイの編は俺がやりました。結構面白いって言われて嬉しかったねえ。
博史を殺したのも俺です。結構お気に入りのシーンです。
伏線を張り巡らした挙句、謎を残しまくったまんまなし崩し的に終局というのが現代的で良いかもしれませんね。
>伏線を張り巡らした挙句、謎を残しまくったまんまなし崩し的に
終局というのが現代的で良いかもしれませんね
金出して読む側にはムカついて仕方が無いです。(作るときはスンゴイ楽だけど
てか酷評されたり弄られたりするのが自己から出した時点で当たり前だから
キニシナイ。12個ほど書き込んでるし(w
めちゃくちゃ個人的な話だけど顔も合わせないし一方通行なネットでようやく、
他人と作り上げる楽しさを味わえました。
オフラインでは好意的な意見で受け入れられた後、魔改造されること多数で鬱山車脳だったからな。
>でもちょっとだけもったいない気もする
うん、僕もそう思います。誰か金貰えるレベルまで頑張ってねぇ〜ん。
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ドコドコ
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ドシャーンヽ 从 `ヾ/゛/' "\' /"オラオラッ!!ドウヨッ! ♪
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ドコドコ
☆ ドムドム
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ドシャーンヽ 从 `ヾ/゛/' "\' /"オラオラッ!!クソー ♪
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♪ 〆 =!|l|》リnl⌒!I__ツ从=≡|l≫,゙
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何してるw
「またまた派手にやっているなぁ!!」
機長はご機嫌な声を上げて下を見下ろす。
「目のいい奴に撃たれますよ機長」
コパイは冗談を匂わせる声音で注意をした。
何もかもが冗談だ、このヘリは極低音ローターと
新型電磁波吸収塗料を使っているので風圧以外は何も問題はない。
「おう!仕事だ!シュワルツェネッガーを送るぞ!!」
「チェック、パパガイNo8OK、興奮剤を投与完了」
すらすらと計器を読み上げる。
「チェック、ポッド、排出装置ともにOK」
「No8投下!思う存分動く奴らのケツ堀まくってオ●コして頭砕いてこいよ!」
圧制者の棺おけは死体の街へと降り立った
「くふっ。はあ・・・いいわ。やっぱり若い男は違うわ。」
「オレもひさしぶりだよ。こんなに興奮するの。ああ。いい。もういくよ。」
「うふん。。。来て…あっ…ああ…。」
かつては警察署だった建物の会議室では若い日本人の青年と中年のアジア系女性が汗まみれになって互いの体を欲していた。
「やっぱり自由が一番ネ。化け物のおかげで私たちもう入管怖くない。化け物様様だわ。」
「いひひひひ。自分らの不祥事を棚に上げてうちらの邪魔ばっかりしてくれた報いだね。ざまあみろ。あははは。」
「んふふふ。窓開けるね。汗かいちゃった。暑い暑い。」
全裸のまま女はカーテンを開け、窓を全開に開け放った。
「ああ。いい風。…あら?あれなんだろう?なんか降って来るよ?」
「雨…」
「ちがうちがう。なんかよくわかんない。雨とか雪とかそんなんじゃないよ。なにかな。」
「え?どれよ?あ…ほんとだ。爆弾か?」
「うそ。こわいねえ。」
「放っておきな。もういいよ。疲れた。もうまっぴらだね。いひひひひ。」
男が寝返りを打って手近な警察官の胸ポケットからタバコとライターを取り出して火をつけようとしたそのとき、
パーン!銃声だ。ほぼ同時に何かが炸裂する音が聞こえて男が振り返ると、女が頭部から血を吹き上げながら窓から落下するところだった。
「…ひっ。ひいいい・・・ひひひっ。あは。ははははは。ゲラゲラゲラゲラゲラ。」
会議用のテーブルの上で男は震えながら地団太を踏んで笑い転げた。その目に涙を浮かべながら。
「弾を無駄遣いすんなよ。」
「えっへへへ。悪かったよ。ちょっとした遊びだよ。あっ。弾なくなっちゃった。わりい。恵んでくれよ。な?」
「アホか?ほれ。」
「さすが兄貴。恩にきるぜえ。」
「ふん。」
荒野の彼方で銃声に目を覚ました者が照準越しに2人のやりとりを視ていた。
ホントですかそうですかマジですかど本命ですかいやん釣られちゃうわとまらないうんこが糞尿にまみれて道頓堀へレッツゴーしながら空を飛び地を這い肥だめに落ちて世界征服そして伝説へ
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これを見た人は確実に【一次落ち】します。これをコピペでどこかに1回貼れば回避できます。
本当です。これをやらないと一生受賞することができなくなります。
185 :
名無し物書き@推敲中?:04/05/29 10:34
↑CM終わり。
186 :
名無し物書き@推敲中?:04/08/11 20:47
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・ショッピングセンター・ホームセンター →理想郷、楽園
・そこへ避難した人 →選ばれし民、選民様
・ゾンビ → 旧約聖書の終末の獣
・弓や槍 → 世界最強の武器、ロンギヌス・エクスかリバー
・武器製作 → 神の与えた聖なる労働
・ゾンビとの交戦 → ジハード、聖戦
つまり『ドーンオブザデット』とは荒し君の中では
ゾンビによる災厄(ハルマゲドン)で他へ避難した人が苦しみながら破滅する中、
安全で物資の豊かなショッピングセンター(理想郷)に避難した彼ら(選ばれし民)が
楽しく暮らす物語なんだ。
そして神の与えた聖なる労働(武器製作)やジハード(ゾンビとの交戦)をこなしながら
勇ましく闘う物語なんだ。
だからこそ
ショッピングセンター以外に安全な所はあってはいけない。
彼らの最強の武器以外でゾンビを駆逐する事が出来てはいけない。
そのために映画以外の方法を必死になってたたくんだ。
でもこんな妄想の中でしか心の安らぎを得られないなんてかわいそうだよね。
190 :
名無し物書き@推敲中?:
やっぱゲームがいい