こちとら江戸っ子、気が短ぇんだ。
さくっと書いておいらを楽しませてくんねぇ。
お約束
1:前の投稿者が決めた3つの語(句)を全て使って文章を書く。
2:小説・評論・雑文・通告・??系、ジャンルは自由。官能系はしらけるので自粛。
3:文章は5行以上15行以下を目安に。
4:最後の行に次の投稿者のために3つの語(句)を示す。ただし、固有名詞は避けること。
5:お題が複数でた場合は先の投稿を優先。前投稿にお題がないときはお題継続。
前スレ:この三語で書け! 即興文ものスレ 第四幕
http://cheese.2ch.net/test/read.cgi/bun/1009285339/l50
「殺意」「(д)」「純愛を強要」
ピョンヤンまで逃げるには、資金が足りない。だからといって言葉も通じぬ
国でヒッチハイクなどしたくはない。自分が本質的に逃亡に不向きであることは
百も承知だ。俺は攻撃型の人間だ、といえば恰好はいいが、要するに逆境に弱い
のだ。調子よく攻めているときはいいが、守りに入ると人間的な弱さが出た。
ボロボロになった地図を広げ、道順を検討する。都会に逃げれば田舎に隠れる
ことが得策であるかのように思い、田舎に潜めば都会に紛れるほうが賢いような
気がしてくる。残金を頭の中で計算した。冊束を取り出して数えるようなことは
しない。それで一度痛い目を見た。あの、親切面したスリの顔を思い出すと、
今でも殺意を覚える。
結局、向かい合うふたつのバス停から、ひとつを選択する。逆方向を選べば
頼れる女がいる土地だが、こんな曲面で彼女のところへ行くのは気が進まない。
彼女は逃げる俺をかくまう、という自分の役柄に酔って、純愛を強要するだろう。
節分を数日過ぎてなお逃げる必要のある俺に、恋愛ごっこは邪魔だったし、彼女
が大豆の豆鉄砲に耐えられるとも思わなかった。
「自主」「腕」「陶器」
>>3のお題は前スレの ラスト611から
「殺意」「ピョンヤン」「純愛を強要」
半角が消えちゃったようだ。
「殺意」「ピョン(゚д゚)ヤン」「純愛を強要」
「殺してやる、殺してやるよ!」
そう叫んで黒いコートの男の瞳はとてつもない殺意を秘め、如何なる説得も到底無駄に終わる。そんな不気味さがあった。
まともに生きていく事を諦めた俺はその後、幾度も女を抱いていた。が、一昨日に抱いた女は違った。
激しい愛撫の間に急に立ち上がり「ホントの愛を知らないわね、アナタ。」と突き放した態度で言ってきた。
「あんたなんかに抱いて欲しく無いわ。」
女の声が部屋中に響いた!その顔は俺を憎むようにも、そして純愛を強要するかのようにも、見えた。
それからは記憶が曖昧だが・・・、俺は無意識下で右手に「ピョン(゚д゚)ヤン」パッケージのビール瓶を持って血塗れ女を見ていた。
直感的に「あの女の男だな」と思った。俺は逃げる気も、抵抗する気もなかった。
しかし思い残すことは、最後に一度この男を愛してみたかった・・・
次。
塩、湖、金メダル。
5 :
名無し物書き@推敲中?:02/02/11 03:37
塩/湖/金メダル
滞在したのは湖畔に立てられた美しいホテルだったが、ボートも
散歩もそこそこに地下のカジノに潜りこんだ。夜はまだ遠い
にも関わらず、不健康な賑わいとタバコの煙が俺を包む。
両替をすませ、まずはスロットの前に陣取ったが、調子が
悪い。ホテルのロゴが入った金メダルはみるみる減少した。
気を取り直して、カード、ルーレットと手を出すがどれも
うまくない。諦めて部屋に戻り、途中フロントによって
ルームサービスを注文する。サンドイッチと紅茶に塩を忘れない
ように厳命した。青い目のフロントマンは訳がわからないようで
砂糖ではないのか、と聞き返してきたが、「ソルト!」で通す。
何も紅茶にいれようという訳ではない、厄避けだ。
独居/モンスター/ダビング
age
「モンスター、力を貸してくれ」
私は、金物屋脇から入った離れの住人に深々と頭を下げる。
台東区役所の福祉課では独居老人として記録されるが、奴には
当局も踏み込めない闇の顔がある。
「ターゲットの映像は、ここにダビングしてある」
そう言って私がテープを渡そうとマルイの紙袋に手を突っ込むと同時に
彼はM16の銃口を、私のコメカミに突きつけた。
「ミスター、不用意に動作を起こすんじゃない」
年輪を重ねても、東郷老人の動作には微塵の隙も無い。
--------------------------------------------------
次は「待ち合わせ」「1」「新人賞」
8 :
999 ◆D0999.o. :02/02/12 00:50
待ち合わせ/1/新人賞
向かいのビルについた仕掛け時計が派手に動き出した。
1時だ。
新人賞の最終選考の結果が、そろそろ判明するはずだった。
もし受賞していたら、電話が掛かってくるはず。本来なら、
自宅で待機しているべきなのだろうが、そうはいかない。携帯
電話を取り出し、液晶画面の時計を確認する。
やはり、1時。
と、安っぽいメロディが着信を告げる。やったか!?あわてて
電話を耳元に当てる。 ……… や っ た !
12時に待ち合わせの彼女はまだ来ていなかったが、俺は幸せだ。
もてないのも作家の条件だろう。
保険/ゼッケン/陰険
「保険」「ゼッケン」「陰険」
「利益製造工場」
物々しい入り口に、陰険な目をした警備員。
「利益」そのものを作りだす、究極の工場。
奇跡的に潜入した産業スパイは、見てはいけないものを見てしまった。
工場は「完全に密閉された工場内の」4サイクルだった。
1.人工受精卵、人工子宮から人造人間が作り出される。
2.自動教育装置が、人造人間に読み書きを教える。
3.自動生命保険契約機が、人造人間に保険申込をさせる。
4.人造人間を「処置」。保険金が受取人である工場に支払われる。
・・・・・な、なんという事だ!なんたる罪悪。なんたる不道徳。
ゼッケンにナンバーをつけられた人造人間がベルトコンベアで流れてゆく・・・
一体、人間の命をなんだと思っているんだー!
彼は、自分の仕事も忘れ激昂した。
「産業スパイ・ナンバー0075963」
背中のゼッケンが怒りに震えた。もちろん保険も入ってる。
※こんな残酷なのかいてていいんだろーか(^^;
次のお題は2の:「自主」「腕」「陶器」でおねがいします。
気
、価値そのものを社員食堂にも、生命保険のお姉ちゃんはやってくる。
もう、しつこいなんの・・・
「ちょっと聞きますけど・・・」
「はあ?」
「自分が死んだ時、身寄りがない場合は保険料はどうなるの?」
)
のんのて・・・
失礼しました(^^; 没にしたのが後ろに消し残ってついてます。
不憫・・・見飛ばしてやって下さい;
11 :
(゚Д゚)ぅゎぁー:02/02/12 06:51
引きこもりの俺は滅多なことでは自主的に部屋から出ることがなかった。
しかし今日は外に出なくてはならない。薬が切れたからだ。
アレが無いと部屋という居場所すら失ってしまう。
行き先は通称「病院」ハードなジャンキーの家だ。
「病院」までは電車を利用しないといけないので、
世俗との関わりを絶っている、仙人のようなこの俺に
とって辛い事この上ない。腕を隠し駅までの道を急ぐ。
何故、腕を隠してるのかって?自傷行為の後があるからさ。
ヤクが決まってるとき自分が生きてるのか死んでるのか、
解らなくなるからだ。で、血を見て確認をするってわけ。
昨日は陶器の破片でやった。血が止まらなくてびびったよ。
電車の中の資本主義者達が俺を睨み付ける。気が狂いそうだ。
電車内の空中にはごみが浮かんでいるけど一定の所から動くことはない。
多分、慣性の法則とかいうやつだ。石田純一の「不倫=文化」みたいなモノだろう。
そんなこと考えていたら乗り過ごしてしまった。(゚Д゚)ぅゎぁー
12 :
(゚Д゚)ぅゎぁー:02/02/12 07:01
お題失念。「終焉」「踏み切り」「トイレの落書き」
無理に書く必要はないと書かれてたけどいちおー。
「終焉」「踏み切り」「トイレの落書き」
「呉平谷戦線から連絡が入りました。」
俺の部屋に優秀な秘書であり参謀である、吉田が飛び込んできた。この男がノック
もしないとは、よほど慌てているのだろう。
「で、どうだと言っている。」
「地の利の悪さもあって、現在潰走中だそうです。」
吉田は力なく報告した。この戦いも終焉が近づいていることに気づいている
のだろう。
・・・やはり、国は強い。いくら腐っていても、すぐにも倒れそうにぐらついていても、
そう簡単にひっくり返せるものではなかった。
「ちょっと出てくる」
「総統・・・」
俺は吉田を無視して、今ではわずかとなった自治区の中心、焼山ビルを出た。
外に出ると、経済面でも、平民たちの気力の面でも、もうこれ以上やっていけない
ということが良く分かる。吉田も、毎日こういった雰囲気の中で耐えているのだろう。
昔のことを思い出した。中学1年生のときに書いたトイレの落書き。
”こんな国早く滅んじまえ”
思えば、あの言葉から始まった俺の人生だった。そんなことを考えながら歩いて
いると、今は電車が運行中止になっているため、役割を失ってしまった踏み切り
の前に出た。
「俺もこいつと変わらないな。」
そう小さくつぶやいて、俺はもときた道を戻り始めた。まだ最後の仕事が残っている。
うぬう。6行もオーバーしてしまって申し訳ないです。
次は「友人」「星座」「鉛筆削り」
14 :
友人・星座・鉛筆削り:02/02/12 11:46
今夜は眠れそうにない。
ママに怒られてちょっとストレスが溜まっている。
ママの大事なベゴニアの鉢を割ったのは弟なのに・・・、ちくしょう。
だから僕は星を作る事にした。
友人もみかちゃんも知らない、ましてやママも知らない僕の力。
神様から授かった秘密のギフト。
僕は抽斗の鍵を開けて、星屑製造機を取り出す。
鉛筆削り位の大きさの大事なアイテムに、すりこぎ大の星スティックを入れる。
ボタンを押すと、スティックが粉砕されて星屑が生まれる。
今夜の星屑は僕の感情が昂ぶっているから、いつもより赤く燃えていた。
僕はそれを両手にすくって窓から空へ向かってばら撒く。
ほとんどの星屑は地面におっこちて、ちりあくたになっちゃうけれど、
三回に一回くらい空に飛び立ち夜空の星となる。
あ、南の方角に新しい星座ができた。今回は成功した。
あの星達は「ベゴニア座」にしよう、そう思った。
#新スレサンクス。
#次は「箆棒」「五月雨」「ワイヤーアクション」で。
>>14 箆棒ってなんですか?何って読むんですか?
>>15 べらぼう
分からない漢字の読み方を知る方法。
1 とにかく辞書をひく。
2 該当漢字をコピーしてウェブ上の辞書サイトで意味を調べる。
3 コピー→ワードやメモ帳に貼りつけ→該当漢字を再変換
4 人に訊く
私は3の方法で読みの分からない漢字を調べます。
19 :
(゚Д゚)ぅゎぁー :02/02/13 08:35
慌てて
反対方向の電車に乗り換える。
箆棒な禁断症状が襲ってくる。
こーゆうのを檸檬、いや醤油、違う、山田ドリンク、違う。
あ、鬱だ、鬱。誰か殺してくれ、つーかそんな目で見ないでくれ。
多分、aマンタリズムとかいうやつだ。まだ引き篭る前に高校で習った。
電車内の愚民共が香港映画ばりのワイヤーアクションをしながら
俺を見下している。運動神経がいいのは解ったから、もうやめてくれ。
きっと俺のことを殴るつもりだ、そうだ、そうに違いない。
やめてくれ、悪かった許してくれ。お願いだからごめんなさい。
痛いのは嫌いなんだ。ゴメソナサイ、いや、ごめんなさい。
通りすがりの変態が俺を見つめて高速でおのれの分身をしごいている。
やめてくれ、いくら俺が可愛いからってそんな、ょぅじょを見るような
目で見つめないでくれ。ハァハァしないでくれ。
ふ、と、外を見ると五月雨が降りしきっていた。今二月なのに。
おだいは「変質者」「傀儡」「革命」
20 :
リボンさん ◆KILL/WjU :02/02/13 12:57
「変質者」「傀儡」「革命」
近代における、大衆を操る一番の方法は、威力に依って無理矢理服従させるのではなく、
彼らの意思が向かう方向を、僅かな力で少しばかり逸らしてやる
――ちょうど、線路の分岐点を操作するように――ことである。
陰気な引篭もりの女……。
彼女は、そのあまりにも内向的な性格の為に、幼少の時より周りからは蔑まされ、
成人する頃には「変質者」と称されるようになっていた。
そんな彼女に、偶然が幾重にも重なり、大きなチャンスが訪れた。
人々は、たった一人の女の思うが侭に動いた。
彼女の手足のように。
人々は、自らが彼女の傀儡と化しているのではないか?、などとは考えもしなかった。
ただ、自分達自身の意思で決起した、と……そう思い込んでいた。
革命は、大きなうねりとなって、大陸を駆け巡る。
己の手足が大陸を包み込んで行く様は、彼女にこの上ない恍惚感をもたらした。
革命後、彼女は人々から神と謳われた。
「変質者」が激しく難しかった……。次は「爆弾」「青空」「金塊」
教授がアルバイトとして連れてきたその彼女は、今時の若い娘としては珍しく
働き者だった。大の男が何人も音をあげた仕事だったが、楽しそうにそれをこなす。
むろん、女だから周りのサポートが手厚かったこともあるが、それを差し引いても
彼女は良いアルバイトだった。
スコップを踏む姿ひとつとっても腰が入っていて、つい見とれてしまったものだ。
私がそう言うと、彼女は汗を拭き拭き「親父が土方なもんで」と言い、快活に笑った。
容赦なく照りつける日差しの中、笑う彼女に、私は夏を感じた。
「金塊でも埋まってませんかね」真顔でそんなことを言って振り向く彼女。
時折見せるそんな子供っぽさにも、私は好感を抱いていた。
目を閉じると、彼女といた夏が蘇る。
ふたり腰を下ろして缶ジュースを空けたこと。
ラジオから流れる高校野球を背にキャッチボールしたこと。
買い出しの帰りに、迎えの車を待った時には、地面にふたり寝ころんで青空を
見上げた。
…正直に告白しよう。私は彼女が好きだった。
だが、そんな淡い恋も、あの慰労飲み会の晩、はかなく散ってしまった。
教授の爆弾発言。彼女は教授の婚約者だったんだ…
「て、おい?自分から聞いといて寝たのか?」
つい話に夢中になっていたが、横を見れば私のお姫様はすうすう寝息を立てている。
やれやれ…
「でもま、告白はしなくて正解だったぜ。どう見てもあの子ノーマルだったしな…」
目を閉じる。そう、私はレズ…
はじめて書きました。けっこう面白いですね。次は「階段」「豚」「老人」
「階段」「豚」「老人」 で
腰の曲がった老人がこの町には溢れかえっている。
そう、此処は姨捨山の向こう側、そんな町なのだ。
この町の人間は衰弱していくだけ、活気なんてモノはありゃしない。
道端にも死体がまるで並木のように並んでいる。
「一度捨てられた身」、これがこの町の合い言葉になっているみたいだ。
最近は牛なんかも迷い込んでくる。山の向こうにいる若者達が捨てているんだろう。
狂った牛なんか食べれない、豚でも捨ててくれりゃあいいのに。
少子高齢化社会のおかげでこの町の人口は鰻登り、留まるところを知らない。
だけど、この町には繁栄なんて縁のない話。
みんな「死への階段」を駆け上っているだけだから・・・
次のお題は
「伝説」「定説」「仮説」
でお願い!
23 :
名無し物書き@推敲中?:02/02/13 16:55
「伝説」「定説」「仮説」で
「君の仮説はあまりにも馬鹿げている。根拠があまりにもあいまいだ。
私は女のお遊びになど付き合っていられないのだよ。」
私は冷たく、突き放すように彼女に言った。しかし、彼女はめげる
様子もなく、毅然とした口調で、
「確かに、教授のおっしゃることは、今までの定説に基づけば正しい
と言えましょう。しかし、私が思うには・・。」
「もういい。」私は彼女の言葉を遮るように言って、
「君の空想話は聞き飽きた。出ていってくれ。」
しかし、彼女は私に詰め寄ると、
「聞いてください。この地方に散らばる伝説を総合すると、その
定説を揺るがしかねない一つの真実が浮かび上がってくるのです。
確かに、まだ仮説の域をでませんが、私はその正しさを確信しています。
そして教授、あなたの教条主義的な態度はその重要な真実を永遠失わせ
かねません。」
私は思わず怒りがこみ上げてくるのを感じた。
次のお題は「奴隷」「大根」「鉛筆」でお願い
24 :
「奴隷」「大根」「鉛筆」:02/02/13 18:30
僕は銅像。現住所はデデベン王国のプルンプルン通り2丁目なか良し大広場です。
元々は日本に住んでいたんだけど、ある日、次元が歪んでこの王国まで飛ばされてしまいました。
僕の趣味は人々の生態観察です。この国の人々はとっても面白いです。
ある奴隷が大富豪であるご主人様の右頬にビンタしたんです。
そしたらご主人様が怒って、奴隷に反撃しました。肥えた体の割に見事なドロップキックでした。
奴隷君も負けてはおらず、ご主人様の首を噛み千切っていました。
ある瞬間はご主人様が隠し持っていた大根で奴隷君の頭をブッ叩き、
またある瞬間は奴隷君が最終兵器の鉛筆でご主人様の足をブッ刺してました。
最後、奴隷君のフランケンシュタイナーがキまり、勝負がつきました。
勝負が決まったときの奴隷君の、あの赤く高潮させた破顔が今でも忘れられません。
今でも毎日、警察とマフィアが、消防士と放火魔が、医者と患者が、スパイとストーカーが、
与党と野党が、アイドルとマスコミが、霊能者と悪霊が、炭素菌と肉骨粉が、虎と豹が、
信念と憎愛を込めた血生臭い戦いが、この大広場で繰り広げられています。
日本のとはまた違った争いなんですよ。
次のお題は→「マルキスト」「バグ」「狂詩曲」
25 :
(゚Д゚)ぅゎぁー:02/02/14 00:42
「マルキスト」「バグ」「狂詩曲」
休日の御茶ノ水。金属バット。そして、俺。
駅前では赤いヘルメットをかぶった、マルキストの男がアジテーションしている。
出来もしないし、しもしない事を大声で喚く。こいつらは脳味噌が
バグっているとしか思えない。そもそも、戦う前から死んでるような奴らが革命を
成し遂げられる訳が無い。
俺は違う。口だけの革命で馴れ合ってるような、
こんな糞みたいな連中とは一線を画している。
俺はぶっ飛んでる。人間はとっくに超越した。俺は最早、神の領域に到達した。
俺はジーザスクライストレボレーター。俺こそが真実の革命者。
狂詩曲が聞こえる。世界は既に極彩色だ。俺に相応しい舞台。歩き出す。
俺はスピーカーを持ったアジテーターの前に立った。男のアジが止まる。
狂詩曲の音しか聞こえなくなった。男は口を噤んだままだ。俺も何も喋らない。
俺は男を見る。男も俺を見ている。まるで、時間が止まっているみたいだ。
どれ程の時間が経ったのだろう。狂詩曲が鳴り止んだ。
金属バットを振りかぶった。
そして、俺は世界を変えた。
お題「廃墟」「トラウマ」「瞳孔」で。おねげ。
26 :
「廃墟」「トラウマ」「瞳孔」:02/02/15 19:24
ぼくは病院がとてつもなくこわい。
病院ということばをきくだけで戦慄をおぼえる。
どうして、ぼくは病院がこんなにも怖いんだろう。
原因不明のトラウマを抱え、夜な夜なパニックに襲われるぼくは精神科医にかかることになった。そこでの催眠療法によってぼくには失われていた記憶があったことを知る――。
小学生のぼくは友達と廃墟と化した古い病院に潜入して基地をつくった。
基地でかくれんぼをしていたぼくは鬼がなかなか来ないことに退屈して眠ってしまった。
目が覚めるとすっかり日が暮れていた。友達はみんなもう家に帰ってしまったようだ。
暗い廊下を歩いていると、何か柔らかなものに躓いた。
目を凝らして見ると、それは友達のひろしだった。
テレビドラマでよく見る死体さながらひろしの瞳孔が開いていた。
ぼくは自分が犯人だと思われたらどうしよう、と恐ろしくなった。
だから、病院に火をつけたんだ。
だけどひろしは死んでなんかいなかった。
火の海を逃げ惑うひろしをぼくは助けれれなかった。怖くなって逃げたんだ。
あとから知った。ひろしは目を開いて寝る癖があったのだと。
次は「清冽」「豊潤」「鋸歯」で。
give up!
「鋸歯」!!?無理矢理っぽくなってできん。
これ書く人、超注目中!
28 :
999 ◆D0999.o. :02/02/16 03:09
「清冽」「豊潤」「鋸歯」
僕は酒に、三つの条件をつけたい。
ひとつにその味が豊潤であること。通を気取る人間ほど酒は辛目を
好むというが、熟れた果実のような甘さとほどよく舌に残る辛さの調和
こそが僕の求める酒だ。
次に、喉越しが清冽であること。熱燗では日本酒の真のよさは味わ
えない。できれば天然の冷蔵庫、夏なお冷たい河川に浸し、十分に冷
やすのが望ましい。
最後に、良い環境で飲むこと。どんな高級酒も、薄汚れたアパートの
一室で飲むのでは興ざめ。庭は小さくていい、雄大な山河を借景にできる
ほどよい広さの和室、壁には季節の花。春はヤブツバキ、花と葉。葉は
全縁を囲む単鋸歯がはっきりしたもの。夏はムクゲ。短命の花だが、だから
こそ。秋はススキ、冬は草花が少ないが、春が近づけば雪融けを待たない梅。
以上の条件を満たしていれば、高名な酒でなくてもかまわない。むしろ
地方に埋もれた優秀な地酒を開拓する楽しみもあるだろう。もう幾つ寝ると
二十歳の誕生日。あと二千夜ぐらいか。
「不死」「短足」「オルゴール」
30 :
999 ◆D0999.o. :02/02/16 03:14
31 :
(゚Д゚)ぅゎぁー :02/02/16 06:17
上半身ばかりやけに太った短足の醜い初老の男が、私の目の前に立っている。
いつもの通り、こいつは醜悪だ。顔を見てるだけで吐き気がする。
いっそこいつの顔に嘔吐してやろうかと思ったが、尚更自分が気持ち悪く
なるだけなので思いとどまった。
この男は私の養父だ。十年前、この男は孤児だった私を孤児院からもらいうけた。
当時は、義理といえども、父親が出来た事がとても嬉しかった。
しかし、もらわれたその日から地獄が始まった。男は只のペドフィリアだったのだ。
ふ、と昔の事を思い出した。クリスマスに男からオルゴールをもらった時のこと。
箱の形状をしたもので蓋には鏡が付いていた。その鏡を椅子の出っ張りで割り、
破片で手首を切り刻んだ。驚くほどに痛みを感じなかった。気が付くと
病院のベッドの上にいた。病院の無機質で真っ白な天井を見つめながら、
もしかしたら、私は自分が不死者なのではないかと思った時のことを。
でもそうじゃない。私はもらわれたあの日から、死んでるのと一緒だ。
そして、今、私は気づいた。
私が生き返るには、この男を殺さなければいけないという事を。
蓋の無いオルゴールには血がべっとりとついている。
誰もいない部屋に聞き覚えの無いメロディが響いている。
お題「大金」「地下」「命」
「大金」「地下」「命」
A面:地下に捕らえられたハレンジャー。
イロハレンジャーの救出作戦が、今、はじまる。
「ギギギ・・・かかったな、イロハレンジャー。暗黒粘液の餌食じゃ!」
戦え、イロハレンジャー。僕等の青い地球のために!
B面:赤い光が明滅する地下基地。
「総統閣下、捕虜は取り逃がしましたが、4人は無事撃退しました」
「グギギギギ・・・イロハレンジャーめ、しぶとく攻撃をしてきよる」
「我々が大金をかけて開発した研究までも・・・
しかし!我らがいる限り、この火星は絶対渡さん!」
がんばれ僕等のマーズグルゴギ。赤く輝く火星を守れ!
A2面:「ホレンジャー、また失敗しちゃった」
「気にしないで、ハレンジャー。来週もがんばって侵略しよー」
虐殺せよ、イロハレンジャー。
増えすぎた人口で苦しむ、地球人の生命のために!
※久しくこんなの見てないな・・・
次のお題は:「オルゴール」「超音波」「赤外線」でお願いします。
33 :
名無し物書き@推敲中?:02/02/16 09:37
「オルゴール」「超音波」「赤外線」
私の前には、薄汚れた濃緑色のオルゴールがある。
オルゴールと言っても、ただそう呼ばれているだけで、本当
はなんなのか分からない。直方体の形状が、オルゴールに似て
いるからそう呼ばれているだけだ。それは、青銅製であり、そ
れだけなら、何の変哲もない過去の遺物である。
しかし、重さが異常なのだ。オルゴールは、超音波による解析で、内部
は空洞であることが分かった。つまり、箱であり、その底面にはこの
オルゴールと相似形の直方体が張り付いているということも分かった。
だが、その重量は同一体積の青銅の塊を上回るのである。オルゴールの
体積の大部分を空洞がしめるにもかかわらず、だ。
現在、オルゴールは赤外線の網が張り巡らされた部屋の中で、厳重な
管理の元にある。私は、何年かけてでもこの奇妙な箱の秘密を解き明かす
という使命を帯びている。しかし、こうやって実物と対峙すると、いつ生まれ
たかもしれぬ、茫々とした時の流れを経て再び人の目にされされたオルゴール
は私を圧倒し、矮小化させるのである。
次は「熊」「学生」「自転車」で
34 :
名無し物書き@推敲中?:02/02/16 10:42
「熊」「学生」「自転車」
文理あわせて十二学部を擁するH大学のキャンパスは広い。
その上、車での通学は許可が必要だったから、学生の多くは
自転車で通学していた。H大通りと呼ばれる通りから教養課程の
校舎までの道と学内のメインストリートは、毎朝が北京のように
自転車の群れだ。
春ともなれば各サークルの立て看板がキャンパス中を賑わす。
テニスサークル、応援団、樋熊研究会、……。目移りしていると
雪解け水に足をすくわれる。
#「ゴールライン」「すねかじり」「町名」
35 :
「ゴールライン」「すねかじり」「町名」:02/02/16 13:46
白い壁と、床と、壁が僕の上下左右を囲み、規則的に並んだ白熱蛍光灯が上から見下ろしていた。
奥は暗く霞んで全く見えない。地平線の何処までも続き、また元の位置に戻るリングの中をいるようだ。
景色は灯りが水平に動く以外、まったく変わらない。著しく変わる都会の町並みとは大違いだ。
この無限廊下とも言うべき通路で、僕は文字通りゴールラインの見えない長距離マラソンだ。
なんの為に走っているということを思慮する暇など、とうの昔に忘れてしまった。
僕は既に走る事をやめていた。足の筋肉は完璧に膠着し、腕も上がらない。
呼吸気管は限界に達し、樹木のヒゲ根が体中を蝕み、蛭に水分を吸い取られたかのように咽喉が枯渇した。
もうなんなのか分からない。それどころか、親の名前も、恋人も、住んでいる町名も、自分自信すらも忘れた。
その時、何時の間にか僕の視界に、黒いスーツとズボンを綺麗に着こなしている男が立っている事に気付いた。
僕は力を振り絞り、鳥の雛が親鳥に駆け寄るように、男に近づいた。
こいつが、このマラソンの意味を知っていると僕は直感的に捉えた。
そして僕は抗議に近い質問をした。「なんで僕がこんなことしなければいけないんだ!」
すると男は、静かに目下の肉を脹らまし奇妙な微笑をうかべながら、口を開いた。
「これは親のすねかじりでのうのう生きてきた学生君 排除運動だよ。」
男の太く鋭い声が、白い通路と僕の汗だくな体にはね返った。
次のお題は→「鏖殺」「インスパイア」「已己巳己」
「鏖殺」「インスパイア」「已己巳己」
鏖殺=〔「鏖」は、苦戦して多く殺す意〕 皆殺しにすること。
已己巳己=己と已と巳のように、それぞれの字の形が似ているところから、互いに似ている物をたとえていう語。
山中の僧を鏖殺し尽くした武将は何を思っていたのか。
武将は殺す僧一人ひとりの顔を想い、己の業を少しでも悔いていたか。
否、それは確かに人という名のものではあるけれど、しかし已己巳己のような、
ただ人という名が付いているに過ぎない木があったのみであった。
想っていたのは、公然と神仏を否定して憚らない自分か、
仏が救いを与えると言う僧侶か、そのどちらが正しいかと言うことある。
それは言い換えれば、おのれの信念とそれを否定する世の中との闘いなのだ。
武将は自身の存在の確証を得た。
彼がこの国において、霊性よりも理性によって行動をインスパイアされた最初の人であった。
次のお題→「ねこ」「線」「頭」
37 :
名無し物書き@推敲中?:02/02/16 16:29
冷たい風が、彼女の柔らかな細い髪を煽り、透けるような白い頬にかかる。
艶のある薔薇色のくちびるが微かに震えていた。
彼女の華奢な足が車道と歩道を区切る白い線の上を伝う。
「なにしているの?」とぼくは訊いてみた。
「この線の上から落ちないように歩いているの」と彼女は大きな黒い瞳を輝かせる。
「なんで?」
「線の上から落ちたら、サメに食べられちゃう」
ぼくは軽い眩暈をおぼえた。
朝、ふとんの中でもぞもぞと動く彼女に気づき目覚める。
彼女は一心不乱に手の甲で顔を撫ぜている。
「なにしているの?」と一応ぼくは訊いてみる。
「顔を洗っているの」と彼女は屈託なく笑う。
前世は猫だったと言う彼女の言葉を思い出し、ぼくは頭が痛くなった。
次は「誘発」「兆候」「大佐」で。
38 :
名無し物書き@推敲中?:02/02/16 23:07
「誘発」「兆候」「大佐」
転校するというのは、子供にとっては一大事業だ。私も転校して
最初の頃は何を云っても笑われた。イントネーションがおかしかっ
たらしい。おまえらだって標準語からみたら、訛りまくっているじ
ゃろ。と云ってみてもさらに笑いを誘発するだけだった。
今度は「じゃろ」がおかしかったらしい。
ある日スキー合宿の話があって、そのプリントの内容をホームル
ームで読み上げさせられた。「場所:大佐スキー場」と読み上げる
とクラス全体で大笑いされた。先生までも。むっとしたが、爆発の
兆候を読みとった先生がすぐ「おおさすきーじょう、よ」と教えて
くれた。
その時から、私のあだ名は「タイサ」になった。
結構カッコイイので、そう呼ばせていたら、段々と周りから声が
かかるようになった。あだ名が付くことは良い展開の兆候だった。
私がタイサと呼ばれているのは、そう云うわけだ。親が信じられ
ないオタクで息子に「シャア」等というふざけた名前を付けたから
ではない。ホントだぞ。
#お題は「紅葉」「カクテル」「ガラス玉」で。
39 :
紅葉・カクテル・ガラス玉:02/02/17 00:56
「誕生石ならトリカラートルマリンよ」
誕生日を教えてくれと言った僕に、彼女は一つの謎かけを残した。
すぐに本屋へ向かい、誕生日を調べた。
その足で宝石屋に行き、ショーウィンドウを覗くと、
「トリカラートルマリン・ペンダント 98000円」と値がついていた。
貯金は無く、紅葉も散る時期だったので時間的には厳しかったのだが、
彼女への思いを胸にしゃにむに働いた。
当日、僕は電話で彼女を呼び出した。「渡したいものだあるから」と言って。
けれども彼女は、何時間たっても僕の元へは現われなかった。
小雪が舞い散る中、僕はぽつねんと立ちつくした。
通りは山下達郎やワムの歌声とカクテル光線に彩られている。
そんな軽やかな雰囲気とは対照的に、僕の心は重く沈鬱で、
手に持つ赤・緑・銀色のネックレスもガラス玉みたいにチープだった。
イブを祝う恋人達の華やかさも僕には辛く感じられた。
#次は「芽生え」「焼酎」「ビードロ」で宜しく御願いします。
「芽生え」「焼酎」「ビードロ」
増えすぎた人口を厄介払いするための、宇宙都市。
遠く離れたそんな場所にも「日々の生活の潤い」を求める気運が
芽生えつつあった。
そんな時になって、はじめて気がつく。
置き去りにしたものを取り戻すには、意外と手間がかかる事に。
「夏祭り実行委員会」の苦労は並大抵のものではなかった。
「夏」を作るため自転軸をずらす件は、なんとかどうにか解決した。
夜店で振舞われる「焼酎」は、焼きものではないと何度説明したことか。
問題は「ビードロ」である。
宇宙都市の床は鉄で出来ており、泥をまくと錆びてしまう。
しかもB級の泥だから、細菌感染も懸念される。宇宙に細菌は致命傷だ。
「どうすればいいんだ」
委員長は、合成コーラを飲みながら悩む。
空いたガラスのコップに、鉄のスプーンが「からん」という音をたてていた。
※どっかで聞いた様な話だー(^^;L
次のお題は:「風鈴」「金魚すくい」「DVD」でお願いします。
41 :
風鈴・金魚すくい・DVD:02/02/17 12:08
外から流れ込んで来た風に煽られて、風鈴が乾いた音を立てた。
季節からすっぽ抜けたような音に、私は一瞬息を飲む。
もう風は冷たくなっているのに、この部屋からはあの人の気配が消えない。
――それはあの人が置いて逝ったもの、全てここに残っているからね。
私はベッドから起き上がると、枕もとの棚にあった小さな金魚鉢を手に取った。
金魚鉢の中では、あの人がお祭りで取った金魚が狭苦しく泳いでいる。
『金魚すくいで取ったんだ、カワイイだろ?』
あの人の無邪気な言葉は忘れられない。私はゆっくりと金魚鉢を元の位置に戻した。
狭い部屋に置かれた大きなテレビ、大きなオーディオ機器。
きちんと整理されたDVDラックの片隅、所在なげに一枚のDVDソフトが倒れていた。
ショーシャンクの空に――彼はこの映画がとても好きだった。
テレビの電源を入れ、DVDをセットした。ビーズクッションに身体を預ける。
流れる画像に目を奪われながら、私はひっそりと泣いた。
――何故私を置いて逝ってしまったの?
*次はジッポー、ペットボトル、体温計でお願いします。
「ジッポー」「ペットボトル」「体温計」
王女さま、妊娠の御兆候。
慶びにわいたく民衆の中で、なぜか、当の王女一人だけ浮かない顔だった。
朝刊に毎日、自分の体温計の値が4倍角ゴシック文字ででる位ならいい。
第一面に報道される、自分の腹部エコー写真。
TVの右下に常時表示される「予定日まであと○○日」の文字。
せけて記者よけにと、ペットボトルを玄関に置くと怒られた。
今にして思えば、あの時気付くべきだった。
結婚式直後に行われた手術。
腹部に埋め込まれたジッポー程の機器の中身を聞いておくべきだったのだ。
まさか無線制御の高精度Webカメラだったとは!
新婚初夜から今日まで、自分の子宮の中身が新宿アルタ前TVに放映されていたなんて。
あんな時こんな時、「いけー!」などと何千人もがアルタ前で声援(?)していた・・・!?
群がる記者の前で、思わずこう口走りそうになり・・・危うく飲みこんでしまうのだ。
「わたしの子宮よ」(八神純子)と。
※これでも自粛して書いてます。宮内庁とかいろいろ・・・
次のお題は:「磁石」「膝枕」「義父」でお願いします。
43 :
名無し物書き@推敲中?:02/02/18 01:37
「磁石」「膝枕」「義父」
船乗りになるのが夢だった。
七つの海を磁石一つでまたに駆ける。
そんなところに憧れた。
こうやって、望遠鏡で夜空を眺めているとそんなことを思い出す。
時計から方角を割り出す方法も、星座の種類も、それらにまつわる
逸話も夢中で調べた。
そしていつしか初心を忘れ、文学の道に迷い込んだ。それなりに
名を成し、幸せに過ごしてきた。それには自信がある。世の中には
七つの海の他に幾千もの海がある。思えば遠くへ来たものだ。
「お義父さん、そこ開けてたら寒いです。それに風邪引きますよ」
その声で、懐炉の代わりに膝枕をしていた猫が部屋に戻ってしま
った。ニァン。
なにも年寄りの趣味を邪魔センでも良いだろう。無粋な嫁だ。
心の中で愚痴りつつベランダのガラス戸を後ろ手で閉める。
#次は「太陽」「タイヤ」「対応」で。
44 :
(゚Д゚)ぅゎぁー :02/02/18 05:35
車道から50メートルほど離れた工場跡地。其処に中学生前後の少女と二十歳
を幾許か過ぎた男がいた。廃墟化した工場の一角。夏の午後の陽射しが数多ある
隙間から幾筋も射し込んでいる。錆びついた鉄柱にロープで拘束された少女。
無音。少女は無言だった。失語症の如き無言。静寂ほど五月蝿いものは無い。
男は目の前にいる少女への対応に困っていた。営利目的で誘拐したはいいが、
少女を車に乗せ人目につかない様に連れ去る途中車のタイヤがパンクした。
計算外だった。先刻から少女は無言で男を見詰めている。どのような意思が
篭っているのか全く読み取れない少女の瞳に男は戸惑うばかりだ。少女の視線と
無言。そしてこの狂った状況。こんなはずではなかった。いっその事少女が
泣き叫んでくれた方がどんなに楽か、と男は思った。少女は諦めきって醒めて
いる様には見えない。気が狂いそうだった。今朝買ったばかりの煙草はもう
二本しか残っていない。冷静になれない。手袋を外すと手にビッショリと汗を
かいていた。煙草に火を着ける。煙が暫く男の鼻先に纏わりつく。少女に目を
向ける。この暑いのに汗の一滴も見えない涼しげな顔。まるで少女の居る場所だけ
季節が違うかのようだ。綺麗だな、男は不意にそんなことを思った。男の顎を伝い
一適の汗が滴り落ちた。汗は埃っぽい床に音も無く爆ぜた。果てしの無い静寂。
もうすぐ太陽が落ちる。
お題は「落花」「歪曲」「血の色」にゃあ。
あの人がいなくなってもう数日。
私はそれを望んでいた筈なのに、私の心はあれ以来ずっと曇ったままだ。
「ほんとにこれでよかったの・・・?」そう自問する日々。
暴力の対象としてしか扱われなかった日々。
本当に嫌で嫌で仕方なかった筈のあの頃が、今は懐かしく思える。
嫌な記憶が歪曲されてしまっただけなのだと自分に言い聞かせても、
感情がそれを受け入れようとしない。
あの時、血の色に染まった自分の手を見て私は何を感じていただろうか。
目を閉じればその瞬間の光景が私に迫ってくる。
あの日の満開の桜。
・・・あの日だけではない、その前の日もそのまた前の日も、
私の心とは対照的に、恨めしいくらい華やかに咲き乱れていたあの花。
その落花とともに、こんな感情も消えてしまうのだろうか。
そうなってしまうのが怖いのは・・・何故?
#次は「孤島」「コート」「高等」でお願いします。
46 :
(゚Д゚)ぅゎぁー:02/02/18 18:48
ageまっせ。
「孤島」「コート」「高等」
コートでは、誰でもいつも孤独なの。
・・・とはいうものの、一人では、テニスどころではなかった。
たった一人、孤島に流れついて3ケ月。
テニスでは無敵と言われた彼女も、自分の存在理由を疑わざるを得なかった。
「なんて弱気な事を・・・私はテニスに賭けてきた。例え孤島でも前のめりに死にたい」
服を刻んでネットを作る。幸い、ボールとラケットは肌身離さず持っていた。
一人で審判。「サービス・バイ・私」
一人でサーブ。「ハッ!」球は海に転がり落ちる。
一人で笛吹き「ピピー! フィフテーン・ラブ」
「うーん、さすがの高等テクニック。やるわね、私」
一人寂しく半裸で球拾い・・・ああ、こんなの続けてるとアホになる。
その時である! 突如現れたヘリコプターが、彼女を島から救い出したのは。
謎のヘリコプターは、彼女を別の孤島に下ろしてこう言った。
「チェンジコート。 がんばれ!」
※テニスのルールなんて・・・知らない;;;
次のお題は:「蜜柑」「対局」「パイナップル」で御願いします
48 :
名無し物書き@推敲中?:02/02/19 01:37
AチームとBチームが戦争をすることになった。
A:米、日、中、韓 VS B:北朝鮮 である。
Aチームは躍起になって、パイナップルを投げ、
Bチームは蜜柑を未完のまま投げつけた。
AチームとBチームの対局の最中、
真中瞳が「やめなさい!」と止めに入った。
彼女の胸の谷間が見えたため、戦争は中止。
クレヨンしんちゃんのような話だった。
それを見た金熊賞の宮崎監督は、
「くだらない!」と苦い顔で一言。
「緩和」「塚」「敷設」
49 :
名無し物書き@推敲中?:02/02/19 04:06
新聞から目を上げて、桜餅は道明寺のほうが好きだな、などと身勝手なことを呟き
ながら茶菓に手を出した私を、母はきりりと見据えた。
一瞬場の空気が凍り、それでも子供の頃から慣れっこのことだから気にせずに次の
言葉を口に出す。
「塚って、なんだろうね」
親元に戻った時だけ目にする地方紙に、高圧電線が地元の名家の地所を横切って新
たに敷設されたこと、その地所中存在する塚について名家の遠縁に当たる者が所有
権を申し立てて、ちょっとした騒ぎとなっていることが掲載されていたのだ。
「塚は、塚でしょ」
母はまたも独特の目つきで私を見ながら言い捨てる。そう言えば、お前は利口か馬
鹿かわからないね、と子供の時から何度となく言われていたっけ。
地方紙の説明が足りないせいか私の常識が足りないせいかはわからない。墓ならわ
かるが塚はわからない。何が埋まっているのだろう。それを口に出すと馬鹿呼ばわ
りか。
「こういう話って、土地利用の規制緩和とか関係あるの?」
もう母はため息しかつかなかった。あいづちのように継父がひとつ咳をした。
お次は「宝石」「蚊取り線香」「アイロン」でお願いしまふ。
50 :
「宝石」「蚊取り線香」「アイロン」:02/02/19 12:51
盆休み、両親は父方の実家へ墓参りのため帰省し、世田谷のマンションにはルルとぼくのふたりきり。
とはいうものの、ルルは昨夜から行方不明。エサの時間にも帰って来ないので心配していたさなか、ぼくは犯行予告を受け取った。
――今宵、天使の涙をいただく 怪盗ビリーより――
宝石商を営む父が数年前地中海で手に入れた時価二十億のダイヤがうちにある。
高度で繊細なカットを施したその名も「天使の涙」目も眩むほどに美しい。
しかしこの不況下、そんな代物が売れるはずもなく、久しく金庫に眠っている。
なぜ、ビリーが天使の涙のことを知っているのだろう。
訝しく思いながら、ぼくは洗濯物をとり込み、明日の就職活動のため、ワイシャツにアイロンをかける。夕飯に冷蔵庫の残り物でチャーハンを作って食べているとビリーが現れた。
「ハハハハハハ!!!」
バイキンマンのおめんに、牛柄のパジャマといういでたち。
「やあ、ビリー。ずいぶん早い登場だね。もう晩ごはん食べたのかい?」
「今日はうちのママ、仕事がお休みだから、晩飯は6時に済ましちゃったんだい!そんなことより天使の涙を渡せ!」
「天使の涙ね。あれルルが昨日食べちゃったんだ」
ビリーはかなりショックを受けたようだった。言葉を失い、所在なげに辺りを見回している。
「あれ?これ、なあに?」
ビリーは傍らにあった蚊取り線香を手にした。最近の子供は蚊取り線香も知らないのか。
「それは、天使のウ○コさ。時価五十億はする珍しい代物なんだ。あげないよ」
「ハハハハハハ!!代わりにこれをいただいていく!さらば!」
何はともあれ、いたいけな子供を傷つけなかったことに、ぼくは安堵した。
長くてごめん。次は「黒檀」「眩暈」「金輪際」で。
51 :
「黒檀」「眩暈」「金輪際」:02/02/19 18:11
海の見える新都心のビルに呼び出されたのは平日の真っ昼間だった。
仕事が無かった訳ではない。けれど上司には通院だと言って欠勤の旨を告げた。
多分仕事で失敗か大成功でもしなければ自社では拝む事も無いだろう黒檀の大机。
そこにいかにも支配者然として座っているのが社長のようだ。
「もう解っているとは思うが、もううちの子には手を出さないで欲しい。
これだけ出す。だから私がきみに殴りかかりでもしない内にそれを持って
金輪際姿を消してくれ」
メロドラマですら今時無いようなシチュエーション。
そういうこと、俺は社長の愛児に手を出した。その結果が今目の前に積まれている
眩暈のするような金額の札束。
多分俺も、社長も大はまりなんて知っていたらネットゲーのハッキングなんて
しなかったと思うんだがね。
うわわ・・初めてなんですけど何とも拙作で申し訳ない。
次のお題は「オムレツ」「躊躇」「妾」で頼んます。
52 :
(゚Д゚)ぅゎぁー :02/02/19 22:48
暗く静かな部屋で、妾の女が一人、皿の上のオムレツと対峙している。虚ろな眼。
細い指先がオムレツの火傷の表面をなぞっている。湿り気を帯びた滑らかな丘を
不規則なリズムで撫で回す。時にはそれを爪の先で円を描くようにして焦らすような
動きをする。それは、まるで悪い男が無垢な少女を玩ぶかのように淫靡で、しかし
それでいて汚穢さは皆無に等しかった。何故ならば、女の手がとても綺麗だったからだ。
手だけではなくその女は全体的に美しかった。けして正統派とは言えないが、憂いと儚さを
秘めた、日陰者的な美しさ。それは、彼女が妾であるが故に持ちえた美しさであろう。
静寂。
女は躊躇無くその陵辱とも言える行為を続けていた。勢いのついた指先が表皮を
破り半熟の内容物が流れ出る。
静止。
女は粘液が糸を引く指先を見つめた。女の左眼から一滴の涙が零れたが、女はそれに
気付かなかった。右眼から零れたとき涙に気付き、もっと泣きたかったが、涙はそれ以上
出て来なくなった。
53 :
(゚Д゚)ぅゎぁー:02/02/19 22:52
お題忘れたよう。
(´-`).。oO(お題は「夢想家」「阿片」
「箱庭」にしよう。なんでだろう?)
54 :
「夢想家」「阿片」「箱庭」:02/02/20 14:45
「お仕事は何を?」
女は細い指で挟んだたばこの灰をガラスのトレイに落とした。
男は視線を上げぬまま、バーボンを舐めるように僅かに口に含む。
「夢想家さ」
小説家、建築家、政治家などは普段から耳にする職業ではあるが、女は夢想家という職業をはじめて知った。自分の無知を悟られぬよう女は慎重に言葉を選ぶ。
「どこの現場で働いていらっしゃるの?」
「二丁目の鈴木さんが作った箱庭の中だけど」
箱庭というのは、あの小さな箱庭なのか、何かの隠喩なのか女は判断しかねた。
ますます、注意深く言葉を選ぶ。
「箱庭で何をなさっているの?」
「阿片窟の清掃さ」
「お給料はいいの?」
「給料って金のことかい?金なんて数字が印刷されたただの紙切れじゃないか。夢もへったくれもありゃしない」
女は夢想家という職業を悟ったような気がした。もっとも、阿片窟の清掃に夢があるのかどうかということに至っては、理解に苦しむのであったが。
次は「革命」「出家」「武器輸送」で。
55 :
これはすごい。:02/02/20 15:06
56 :
名無し物書き@推敲中?:02/02/21 16:37
age
57 :
名無し物書き@推敲中?:02/02/21 23:55
「革命」「出家」「武器輸送」
短期バイト緊急募集!
割りの良いバイトです。たった二週間でガッポガッポ!
職種:輸送業務
目的地海外のため要パスポート。
期間:9月1日から2週間程度。
条件:英語に堪能な方なら人種・性別他条件を問いません。
某団体出家信者もいる、明るく開放的な職場です。
給与:20万円より。経験、業績、能力等に応じて規定により優遇。
待遇:交通費片道支給。宿舎完備。各種社会保険・生命保険完備。
業務内容:簡単な武器輸送業務です。
世界革命のために体を張れる方。お待ちしております。
連絡先:アルカイダ革命事務所<電話○○○ー△△△ー××××>
※電話の上、当事務所まで面接にお越し下さい。
次のお題は「北米メディア」「圧力」「八百長」
58 :
「北米メディア」「圧力」「八百長」:02/02/22 02:10
僕はプロレスが好きです。
プロレスは八百長ではありません。
プロレスはスポーツです。
オナニーはしません。
僕が太っていることは関係ありません。
中2のあだなは「圧力」でした。
夜中独り外に出て星を見つめていると涙が出ます。
いじめは悪いことです。
子猫を殺してごめんなさい。
北米メディアは知りません。
ごめんなさいありがとうさようなら
次は「6月」「金曜日」「初恋」
59 :
名無し物書き@推敲中?:02/02/22 07:58
僕は次の6月7日金曜日に初恋の人に出会うはずだと思った。
未来は未定だと人は言うが、と〜んでもない。
村上春樹の小説を読めばはっきりするように、
未来は不確かで偶然性が強く、多々予感通りに進行するのである。
果たして6月7日金曜日に初恋の人に出会った。
彼女は感受性の豊かな子で、物事をスケジュール的にてきぱきとこなせる子で、
物事にさっぱりしていて素直なフィーリングを持ち、少しのことに大げさに感激して笑える異能を持ち、
その上、すこぶる美人だった。
彼女は薄く細長い眉をひそめて言った。
「あなたは未来のことにこだわりすぎている。過去のことを大事になさい。
そして、現在を大事にしなさい。だから、そんな駄文ばかりを書いていないで」
「だって、お題がお題だから。
>>58が悪いんだ」
さようなら、彼女は背を向けた。
「カクテル」「薬箱」「基本」
60 :
名無し物書き@推敲中?:02/02/22 09:17
彼女の目の前で、薬箱から目薬を出してカクテルに入れた。
基本だろ? と俺は言った。
バカじゃない? と彼女は答えた。
俺はカクテルを飲み干して、彼女のひざ枕で目を閉じた。
次は「味噌」「超伝導」「家庭訪問」でお願いします。
「味噌」「超伝導」「家庭訪問」で
「ねえ、あなた、明日家庭訪問で家に涼子の先生が来るのよ。」
妻は朝食のテーブルで、突然私に話しかてきけた。
何かを訴えるような目をしていた。私はコーヒーを一口飲むと、
「それで?君が先生に会えばいいじゃないか。」
そう冷然と言い放った。しかし、妻は頑として譲らず、
「私にも用事があるんです。あなたもたまには家庭を顧みてください。」
そう、強く言った。私は、強い調子の妻に少したじろいだ。妻は続けて、
「あなたはまるで狂人ですよ。大学で妙な研究にばかり没頭して。
電動自転車なんて私はどうでもいいんです。」
電動自転車とは何のことだ?私は怪訝に思って、
「お前は超伝導のことを言っているのか?」
「ああ、そういえばそんな名前でしたね」
「全く、女というのは味噌も糞も一緒にして、
高尚な研究を矮小にする・・。」
私がぶつぶつ文句を言おうとすると、
「そんなことはどうでもいいんです!」
妻はすごい剣幕で迫ってきた。
次は「馬」「大根」「牛肉」
おわってるな・・・
ここもと思いながらレスする矢吹・・・
馬?大根?牛肉?
こいつら頭だいじょうぶか?と思いながらかきぴーを食べる・・・
うめちゅうハイを飲みながら
人生の挫折を感じ
自分の無能さにいきどうりを感じる
むかし中国の古いことわざで
にんげんは人生で3回、自転車を盗む
とゆうのをなんとなく思い出した
最近の中国人の犯罪は酷い
ピッキング、あきす、バイクを盗み東南アジアに売る
オレのHONDAのかぶもアジアの大地をいまごろ走ってるんだろう
次は、作家、自殺、PC
63 :
名無し物書き@推敲中?:02/02/22 21:58
「作家」「自殺」「PC」
メールをチェックをして驚いた。
「彼」が自殺したという。「彼」というのは馴染みのHPの管理人だ。作家志
望だったが、生活の重さに耐えかね、服毒自殺をしたらしい。
何故この事をメールで知ったかというと、件のHPが突然閉鎖され、管理人代
理名義でメールで問い合わせするようトップページにあったからだ。
確かに繊細さは文章の端々に見受けられた。しかし日記からは自殺の兆候など
微塵も感じられなかったのに。何かすこしでも訴えてくれれば……苦々しく、や
るせない思いが胸を締め付ける。沈んだ気持ちのまま弔辞のメールを返信する。
するともう一通のメールが届いた。差出人名を見て背中に戦慄が走る。
死んだはずの「彼」からだ。死者からのメール。
動悸の止まらぬ胸を抱えながらそれを開く。
「緊急のお便り失礼します。
お騒がせして申し訳ありませんが、私は死んではおりません。
実は私の出張中にHPの管理をしている私のPCが盗難に遭い、その犯人が私の
HPのページ改竄及び虚偽のメール配信を行っているのです……」
#実は実話。
#次は「サラダ」「変」「残酷」で。
64 :
的 ◆SpLWlLC. :02/02/22 22:25
「サラダ」「変」「残酷」
さぁって、今週ももうお別れの時間ですぅ。最後はいつもの様に、間違い探しのこーぉなぁー!
右の絵と、左の絵を比べてぇ変なところはどぉっこかな?でわでわ用意ぃすたーとぉーー!!
かっちかっち・・・かっち・かっちち・・・かっち・・・ はぁーい。時間でぇーす。
今週はぁ、ちょぉーっと、難しかったかなぁー。でもでもぉーお姉さんが悪いんじゃないの。
悪いのは全部お前らなんだよ、誰のせいでもないんだからな。
周りがどうこう?知ったことかよ。全ての決定はお前らがしたんだ、したことの責任を負うのは、
もちろんお前らだよ。まだそんなに難しい話はしてないんだからな、理解できないんだったら
お前らはもう動物なんだ、残酷な決定だが分かってもらえないんだったらお前らは処分されるよ。
テレビの前のお前ら、分かったか?どこが間違っていた?
言っていることは分かってるんだよな?ハムサラダとポテトサラダが違う、
なんて回答を望んでいるんじゃないんだぞ、それを良く考えた上で答えられる奴、居たら立って言って見ろよ。
言えるもんならな。
#次は「林檎」「音符」「看護婦」でよろしくです。
看護婦姿の椎名林檎が音符を奏でた。
「時計」「パンの耳」「アミノ酸」
66 :
YABUKI:02/02/22 23:36
ちょっとまてよ
>>65 と思いながらレスする矢吹・・・
「あんた中島らものパクリじゃね〜か」と絶叫した!
中島らもはアルコール中毒と躁鬱で苦しんだらしい・・・
ドキュメンタリー番組で彼は、
朝、サラリーマンの通勤風景を見て
「ふっふっふっふ」
と笑っていたらしい
おっと物語を書くのを忘れてた・・・
時計、パンの耳、アミノ酸・・・
pcのまえでめんどくさいなとおもいつつ
寒い冬が終わりそうな深夜のレスであった
麻薬、ざる、サッカーのキーパーの手袋
ふっ・・
・・・麻薬・・・?
ふっふっ・・
・・・ざる・・・?
ふっふっふっ・・
・・・サッカーのキーパーの手袋・・・?
ふっふっふっふ・・
はっはっはっはっはっはっ・・・はあ・・
一日一食も食えない私の夜はこうして更け逝く・・
ぬらりくらり、トレモロ、猫額
68 :
「ぬらりくらり」「トレモロ」「猫額」:02/02/23 11:02
「しっかし狭い庭だよね。なんて言うっけ、えーと、猫額?」
ぬらりくらりして働きもしない同居人が縁側に座ったまま声をかけてきた。
こいつとは腐れ縁のようなもので、かれこれ7年はつきあいがある。
でもまさか実家から追い出されたからといってうちに来るとは思わなかった。
正直言って来てほしくない人間だった。
こいつの怠け癖は親友の私が一番知っているのだから。
けれどこいつを快く受け入れてやったのには理由がある。
こいつはギターがべらぼうに上手いのだ。
切ない気分のときなんかには迂闊に聞く事ができない。泣けるからだ。
今もあいつの手はトレモロの効いたメロディを奏でている。
「でさあ、また一曲出来たんだよね。聞いて?」
私は親指をぐっと立てて肯定をしめした。
これだからこいつとの生活はやめられない。
こいつのギターのためなら幾らでも働いてやるさ・・・
お次は「生ハム」「木こり」「旅路」で。
69 :
「生ハム」「木こり」「旅路」:02/02/23 17:48
お酒を頂くのならつまみには生ハムがよろしいのです。
別にお高い物でなくてよいのですよ?
スーパーなどに売っているヴァンシュタインなどで充分ですわ。
お話の内容は、なんだってよろしいのです。
あなたはご職業が保育士ですもの。 童話について語り合ってみるのも
楽しいかもしれませんわね?
何故童話において、主人公の男性には木こりが多いのか?
何故木こりはあんなに正直者であるのか?
貧しいからか。
木こりという響き故か。
あの木こりが振り上げる斧の禍々しい姿からいけばもっと粗野な木こり
ばかりでもおかしくないものですのにね。
アラ? 泣いていますの? どうなさいました?
いえ、大丈夫ですわ。 ほら、まだ心臓は動いておりますもの。
あなたとお酒を頂ける日を夢見ていますもの。
そんな悲しい顔をしないで下さい。
それとも、あなたが私の心臓止めて下さいます?
どうせなら木こりになって斧で私を殺して下さいましね?
正直者のあなたの為に私、木になる事はいといませんもの。
アラ、なんですの?
ヤメテ下さいな。 ねぇ、本当に。
そのような接吻では私、逝けませんわ。
旅路につけませんもの。
サヨナラ、サヨナラと旅路につけませんもの。
お次は「いびき」「ホチキス」「ダンスホール」で。
「いびき」「ホチキス」「ダンスホール」
ピカピカのダンスホール・・・挨拶を欠かさない、綺麗好きなボーイだった。
今夜のパーティも盛況だとモップで丹念に掃除をしていた、丁度その時!
緑のドレスの某貴婦人が、不意に出口に現れたのである。
「お出かけですか?」と言いかけた彼の表情が、一瞬のうちに凍った。
ホチキス留めの厚い招待客リストが、パタリと落ちる。
「お、お前!」
「そうなの、貴方」
まさか、かつての妻とここで再会しようとは!
「こんな高級ホテルじゃなくても、貴方の掃除は最高だったのに・・・
眠くってイビキが出そうな職場だわ」
「俺は・・・俺は、あんな地味な家を捨てて、一流になりたかったんだぁー!」
「貴方、おねがい。もう一度家に帰って掃除をして! これを持ってきました」
彼女が差し出したのは、モップではなく一本の古ぼけたホウキであった。
ボーイは、ホウキを握りしめる。
昔の記憶が蘇り、かつて何度も語ってきた大事な言葉が流れ出る・・・
「レレレのレ〜!」
※レレレのおばさんが緑衣の貴婦人・・・(^^;
次のお題は」「しるし」「輪舞」「シャケ弁当」でお願いします。
72 :
名無し物書き@推敲中?:02/02/23 22:06
「しるし」「輪舞」「シャケ弁当」
あたしには変な癖がある。食事の時、一つ一つバランスを取りな
がら食べていく。ご飯一口、おかず一口、ご飯一口、おつゆ一口。
だから遅くて仕方がない。小学校ではいつも昼の休みに乗り遅れ、
ぽつんと一人で食べていた。
でも先生は、健康にいいと云ってあたしを褒めた。だから、直そ
うとはしなかった。そんなあたしのノンビリに。我慢ができたのが
今の旦那。
今日のお昼はシャケ弁当。ご飯、シャケ、ご飯、お浸し、ご飯、
シャケ。いつも変わらぬお箸の輪舞。
それはいわば、あたしのしるし。
#次は「天空」「連絡」「沈黙」で。
73 :
天空・連絡・沈黙:02/02/24 01:23
私は不慮の事故の犠牲者。天に召され、事故現場の遥か上空で天使からの連絡を待つ身分だ。
高き天空の雲の切れ間からは、まるで飛行機に乗っている時のような景色を拝む事が出来る。
勿論、飛行機の中よりはるかに眺めが良い。
私は死んでしまった事に実感を抱けないまま、この空の中で非常識な眺めを愉しんでいる。
否、愉しんでいた、と言うべきか。
しかし幾ら待てども、私を迎えに来て、ここで待つように言い放った天の使いが戻って来ない。
何かの間違いでもあったんだろうか。奇妙な静寂に包まれたまま、私は知らず不安げな面持ちを浮かべた。
「……あのう」
――死んだのは朝方、ここで待つように言われたのは昼過ぎ、そして今は真夜中。
ようやく戻って来た天使は、暫く沈黙した後、言い難そうに私に声を掛けて来た。
「申し訳有りませんが、貴方、自殺ですね? 自殺の方は、天国に入れられないんです」
「え……?」
――聞き返す間もなく、私は天空にぽっかりと空いた空虚な闇の中に落とされた。
畜生、神も騙せるような理想的な偽装自殺だと思ったのに。
次は灰皿、修正液、履歴書でお願いします。
「灰皿」「修正液」「履歴書」
都会を離れた住宅地に、こんな店が!
「いらっしゃいませ」
従業員の教育も、ゆき届いている様だ。
「まずはメニューを、それから灰皿も」
「かしこまりました」
ウェイターが持ってきた灰皿には、小さくライスが盛り付けてあった。
丁寧に刻まれたメニューに、じっくり一晩煮込まれたソース。
「ハバナ風灰皿焼きビビンパとメニュー炒めのゴルゴンゾーラソースでございます」
・・・むむむっ、やるな。 食べてやる。
「うーむ、スワロフスキィのガラスの灰皿にライスの焦げ目が映えている。
このインクの乗り具合は凸版印刷だね。価格欄の修正液の甘味がいま一つ」
こうまで言ってしまうと、ひっこみがつかない。
料理評論家たる自分の履歴書に、また一つ、新たなる一行が。
近くのテーブルの子供が「ままー、あれ、わたしもたべるー」
「あ、あ、あの食べ物はねえ・・・大人だけなのよー、ははは」
それはそうと、メニューはどこなのだ?
※どうしても次のお題が前のお題に影響されるなあ;
次のお題は:「領収ショー」「液ショー」「花粉ショー」でお願いします。
75 :
名無し物書き@推敲中?:02/02/24 07:26
領収ショー、液ショー、花粉ショー
「さて、今宵の花粉ショーをお楽しみください!」
司会者が語りおわらぬうちに、舞台の上が黄色くけぶりはじめる。
当然それは客席に流れ出し、今や客たちはくしゃみの嵐。
涙鼻水で、花粉ショーならぬ液ショーだ。
まだ流れ出し続ける鼻水をすすりあげながら、俺は妻に聞いた。
「こんなものを、昔の人間は楽しんでいたのか?」
「そうらしいわ。発掘されたTVニュースでは、ひんぱんに花粉情報を流していたし、花見といって自然の花粉の下に身をさらしたりしていたのよ。それからはい、これ」
俺は妻が差し出した小さな紙きれを手に取った。
「来週の領収ショーの入場割引券ですって」
どんな出し物か知らないが、昔の人間のやることは理解できないことだけは、少しずつわかりはじめていた。
「よし、それも見に行こう」
妻はにっこり微笑んだ。
次回は「全部読む」「最新50」「リロード」でお願いします。
「全部読む」「最新50」「リロード」
俺はようやっと奴と出会った。酸性雨の廃ビルの屋上だった。
しかし、彼の人造人間としての寿命は、その時既に尽きていたのだ。
「お前等には見られない様々なものを、私達人造人間は見てきた。
そんな記憶も、私の命と共に消える。雨の中の・・・」
遺言には耳も傾けず、彼の超高密度メモリースティックを抜き出す。ひどい。
リーダーにかけて全部読む。(カシャ.カシャ.カシャ) あああ、消えかけてる。
上に50件。(カシャ.カシャ.カシャ) 何も見えない。
じゃあ最新50件だけでも・・・今度はパリティエラーか。
リロードして印刷。(クチョ.ジィー--) ああ!画面が凍ってしまった。
女風呂専門の番台として捧げられた、彼の短い人生(ロボ生)。
見る間に曇ってゆく超高精細カメラの目。
こうして、彼が記憶してきた「いけないJpeg5画像」は永遠に失われた。
俺は、その足で警察に辞表をたたきつけ、酸性雨の中をあてどもなく歩いた。
何のために、警察なんかに・・・くそー、やけ食いだ!死ぬほど食べてやる。
雑踏と雨の中、俺はうどん屋の順番を待っている。
※安直なんてこわくない(^^;
次のお題は:「ビタミンC」「病室」「シーツ」でお願いします。
77 :
ビタミンC・病室・シーツ :02/02/24 11:29
純白のシーツの香りが俺の腐敗した精神と肉体を癒してくれる。
が、こんなちっぽけな病室に閉じ込められていると、ますます俺の神経はすりきれてくる。
病魔が俺の存在を侵蝕する。
銀幕の大スターだと囃し立てられ、柄にもなくダンディズムを装った俺は、
毎夜、燃えるほど酒を呷り、呼吸するように紫煙をくゆらせた。
飯は豪快に食らい、忘れちまうほど女に惚れた。
で、終着駅がこの病だ。
果物が嫌いだったからビタミンCが足りなすぎた所為かなんて悔いはしたものの、
遺伝子に巧妙にプログラミングされたものを人間様がとやかくできるもんでもない、と今は達観している。
それでもこの苦しみには耐えられない。
俺はいつも窓外を見ながら死にたい、死にたいと唱える。
現実からの逃避願望が死への憧憬となっているのだ。
色香漂う、うら若い看護婦が入室してきた。
――鈴木さん、時間です。いつもの格好になってください。
座薬ってものは何でこんな哀れな姿勢をとらせるのだろうか。
痔なんて云う下劣なものとは直ぐにでもおさらばしたいものだ。あと、6日か・・・。
#次は「害虫」「囁き」「ピクニック」でいきましょう。
「ビタミンC」「病室」「シーツ」
窓の外では、雨が降っていた。
俺はその雨を見ながら、病室のベッドの中にひとり横たわっている。
昨日自殺を図ったが、未遂に終わり、今も命は俺の中にある。
生きる価値。そんなものが俺にはないというのは、ずっと前から
分かっていた。小さい頃から何をやってもうまくいかず、人に迷惑ばかりを
かけてきた。そう、俺は価値がないどころか、人の害にしかならない男
なのだ。
もうこれで自殺未遂も5回目。生きることどころか、死ぬことさえもうまく
行かないのか。昨日も、今度こそは死のうと思いビタミンCの錠剤をひと瓶
飲み喉につかえさせたが、母に気づかれて吐き出さされてしまった。その前は
クロレラを飲んだし、その前は大豆だった。が、そのいずれも俺の命を奪う
には足りなかった。俺はどうすればいいのだ・・・。
そう絶望している俺の目に、今俺が寝ているベッドのシーツが目に入った。
そうか、何故今まで気づかなかったのだろうか!
俺は迷いなく、シーツの端を口に突っ込んだ。今度こそは、死なせてくれよ。
次は「定期試験」「黒板消し」「矜持」
79 :
(゚Д゚)ぅゎぁー:02/02/24 13:15
黒板消しから吹き出た白亜の粉が輪舞を繰り返している。
差し込んだ西日が室内の空中に浮かぶ無数の白墨の粉に光を当て輝いている。
それはまるで刹那に消えてしまう風花の面影に似てとても綺麗だった。
生徒達は一様に無機質で似たような顔をして、時折何かに怯えるかの様に
口元に卑屈な笑みを浮かべていた。各々が各々の顔色を窺い、猜疑の視線が
錯綜している。彼奴等の目は教育というファシズムに縛られ人間的な矜持を
失った者の目だった。国内有数の進学実績を誇る超越的進学高校。その実態は
人間牧場とでも言えようか。牛乳の定期的な品質検査の如き定期試験が近づいていた。
80 :
(゚Д゚)ぅゎぁー:02/02/24 13:17
また忘れたよ。「斜陽」「ジャンキー」「寝ゲロ」
81 :
「斜陽」「ジャンキー」「寝ゲロ」 :02/02/24 21:23
昨日の夜は会社の先輩につき合わされ、大して強くもない酒をしこたま飲まされてしまった。
それも居酒屋が閉まる深夜まで。
なんとかアパートまで辿り着いたが、土曜の記憶はそこで途切れた。
そして今日、俺は鼻を突く激しい異臭で目を覚ました。
目を開けると辺りの床一面に、微妙に個体混じりの液体が広がっている。
いわゆる寝ゲロというやつだ。
昨日食べた居酒屋「斜陽」の子持ちシシャモの頭が、吐瀉物のプールの中から恨めしそうに俺を睨んでいた。
小学生の頃ジャッキー・チェンをジャンキー・チェンと間違え、クラス中から馬鹿にされたときのような惨めな気持ちで、床を雑巾でゴシゴシ擦る。
あの時は年度末まであだ名がジャンキーになった。
今の自分はさしずめゲロ助か。
シシャモの呪いか、臭いは翌日までしつこく残った。
#あー、固有名詞に使うのは微妙に反則ですね。修行してきます
#初めてなんだけど感想って書いちゃいけないんですか?
次「面倒」「春一番」「メートル」
82 :
「害虫」「囁き」「ピクニック」:02/02/24 22:07
寒い。あいつは何でこんな寒いところへ好んで来たがるんだ。
白い息を吐きながら、私はただ黙って妻の後を歩いていた。
暦の上ではとっくに春とはいえ、まだ雪の残る山道。
久しぶりに二人でピクニックでも行こうよ。
そう言って彼女は気乗りしない私を半ば無理矢理にここへ連れてきた。
害虫を駆除するとかで殺虫剤を焚いているので家には居られたものではないから、嫌でも外出せざるを得なかったのだが。
しかしよりによって何でこんなところへ・・・
突然、妻が振り返って叫んだ。
「ねえ、これ見て!」
その指差す方には木蓮の木。よく見ると小さな芽があちこちから顔をのぞかせている。
そういえば、私と彼女が初めて逢ったのもこんな春先の寒い日だった・・・
「もう春なんだね」
二人の声が重なり、笑い合った。
寒い寒いとばかり思っていたが、耳を澄ませば春の囁きがあちこちで聞こえる。
本当に寒かったのは気候ではなく、私の心だったのかもしれない。
#お題は
>>81ので。
83 :
「面倒」「春一番」「メートル」:02/02/24 22:13
「・・・」
「何?なんて言ったの」
「よく続くよな、と言ったんだよ」
体育館の片隅に立っていた彼は、大声で語りかける。
「好きでやっていることだもの」
声を返した彼女は、逆立ちをしている。容赦なく扉の隙間から春一番が吹き込んで体をぐらつかせる。
けれども彼女は倒れるどころか、手を器用に動かして歩き出す。
三メートル、五メートル、十メートル。距離が進むにつれ、彼女の顔は赤くなっていく。
しかしとうとう、一周を回ったところで力尽きた。木製とはいえ、床に顔から落下する。
「大丈夫か」
彼があわてて駆け寄ると、うつぶせになったまま「心配ない心配ない」と手を振って答えた。
上げた顔は熱だけではなく真っ赤だった。
「馬鹿!」
慌てて彼はポケットからハンカチとティッシュと、登校時に校門でもらったバイト募集のちらしまで取り出して、彼女の顔を力強く拭いた。
顔を布と紙の固まりに埋もれさせたまま、立ち上がらせて、手を引く。保険医はまだ学校にいるはずだ。
薄暗くなってきた校舎の中を歩きながら、
「ごめんね」
と彼女が小声で言った。彼は首を振ると、
「面倒かけられるのが好きなだけだ」
怒ったように答えた。
次、「余所者」「色鉛筆」「ブックカバー」
84 :
「余所者」「色鉛筆」「ブックカバー」:02/02/24 22:39
鮮やかに並ぶ色鉛筆の中に、地味な色をしたHB鉛筆の私が余所者のように無造作に置かれています。ケースも開けっ放しで、何本かの仲間の色鉛筆は無くなっていました。
私は、つい最近までは文房具の仲間たちの中で一番に大切に使われていたのです。毎日、毎日、『嫌い』だといいながらも必死に勉強机に向かっていたあなたを私は心の底から応援していました。
そして、共に戦った後、あなたは私をナイフで削って、私にその鉛の輝きを取り戻してくれました。
だけど、今はシャープペンというモノにその地位は奪われてしまったのです。けれど私はシャープペンを憎みません。
私も疲れたのです。本当はずっと見守っていたいけれど、
私も、もう削れる体はございません。だからシャープペンを使ってください。私にように大切に。
あの方なら、私のように折れたりしても、すぐに立ち直ってあなたを助けてくれるでしょう。
私と同じように、地味な茶色のブックカバーさんも中学生に上がるあなたにはついていけないと、可愛い子猫の描かれたカバーにと世代を交換したのです。私は一人ではありません。
「同性愛者」「引きこもり」「中学生」
85 :
「同性愛者」「引きこもり」「中学生」 :02/02/25 01:20
その店に行ったのは、先輩に連れられて、というか引きずられてのことでした。
先輩がホストクラブに通ってるなんてもちろん知りませんでした。びっくりしました。
でも、振り払って、よっぱらった先輩を置いてはいけません。
ホストの方、女装しているのかと思ったら、違うんですね。
口にだしたらそれはゲイバーでしょ、先輩に突っ込みを入れられました。
知らないんだから仕方ありません。水商売も同性愛者も私には縁のないことです。
先輩はお気に入りの男の子がいるようで、入店するなり大声で指名を繰り替えしていました。
私はといえば所在なさげにきょろきょろまわりを見渡していました。
そんな私に、ホストの方が飲み物を差し出してくれました。
「どうも……」
思い返して、もう少しましなことを言えないものかと思います。
飲み物を受け取って、相手と向き合っても、何を話したものかと思います。
ぶしつけかと思いましたが、他に思いつかなかったので、ホストをやっているのか聞きました。
その人が語るには、社会的地位の高い家に生まれ育ったけど、中学生の時そういったものが嘘くさくおもえて許せなくて、全て投げ出したとか。
今でいう引きこもりのようなものだね、と言いました。
その後家を飛び出て、あちこちさまよって今はここにいる、先のことは考えていない、体ひとつで生きることに憧れてきたから、のたれ死んでも満足だと思う。
「はぁ、そうですか」
間抜けな相槌というにもほどがあります。でも、そういう人のほうが、ぬけぬけと長生きするような気もしました。
目の前のことに全力であたれるから。全力で生きようとしているから。
私は全力で生きているかな。ふと、わが身に思いました。
うーん、オチてないか?
「歌手」「なぐさめ」「砂」
86 :
名無し物書き@推敲中?:02/02/25 06:59
見かけだけは豪華なものの、料理は砂を噛むごとき不味さである。
いや、やはり見かけのみ豪華な歌謡ショーのせいかもしれない。
宴会場いっぱいに広がり無作為に反響しているその歌は、客たちのざわめきに半ば消されてしまっていて、歌詞すらはっきりとは聞き取れない。
ただ、なぐさめという単語だけが、耳に飛び込んできた。
宴会付き温泉ホテルの出し物なんて、こんなものだ。
歌が終わった。
俺は立ち上がり、精一杯歌手に向かって拍手した。
客たちの注目が俺に集まる。
歌手は、ドウモとでもいうように、はにかみながら俺に向かって頭を下げ、袖に下がっていった。
あいつの姿は、半年前までの俺の姿そのものだった。
次のお題は
「連立」「霙」「三部」
87 :
「連立」「霙」「三部」:02/02/25 17:54
親切な友のヒントは「冬の朝七時」だった。
その一言でどうやって家を見つけろと言うんだ。最寄りだという駅前で俺は途方に暮れていた。
「お兄さん、新聞買わない?後三部で今日の分は売り切れるのよ」
「いいですよ」
ヒントが明かされない限りすることもないし、側の売店のおばちゃんにすすめられるまま、新聞を買った。一面の「連立政権樹立」の文字がすがすがしい。
そこでふと、持っている新聞のタイトルを目にした。
この売店は、この新聞しか売っていないらしい。
そして、冬の朝七時頃にあるものといえば。
俺はおばちゃんに話しかけた。
「あの、すみません。ひょっとして、佐藤さんと仰るのでは」
「どうして知っているの」
やはり。おばちゃんは友のご母堂だったのだ。
一通りの自己紹介と会話を交わした後、丁寧に教えられて着いた家で、佐藤はにやついて迎え入れたばかりか、
「よう、俺の母さん美人だろう」
とほざきやがった。「今の台詞、帰りにお母さんに言ってやるよ」と言ったら、慌てて霙アイスなぞを差し出してきた。
一応、歓待の準備をしてくれたのかと思うと、取り敢えずそれ以上、文句を言うのはやめた。
次、「ひょっとこ」「おまじない」「キャンペーン」
88 :
「ひょっとこ」「おまじない」「キャンペーン」:02/02/25 20:39
「・・・このスットコドッコイ!ボケ!阿呆!ひょっとこ!」
さして広くもない和室に男女が二人。
若く、けれどくたびれた顔の女が軟膏を手に男の怪我の手当をしている。
口をつく言葉は罵倒に満ちていた。けれどそれは同時に愛情にも満ちていた。
「もう無理しないでくださいね」
「できる限りそうする、と言っておこう。」
「あとね、おまじない。痛いの痛いの飛んでけ・・・っと」
貧しい若夫婦だった。
この日本から消えたと思われている貧困を一身に背負ったとしか思えなかった。
力仕事に就いている夫の手当につかう薬ですら、薬局のキャンペーンで
安くなっていないと買えない有様だった。
けれど普通の人が忘れたような些細な幸せにも笑顔する夫婦だった。
幸せはお金のあるところに有るとは限らないと思わされるような。
お次は「青唐辛子」「郷愁」「エンディング」
89 :
「青唐辛子」「郷愁」「エンディング」:02/02/26 02:41
「この七味、どこで買ったの?」「去年、神社で」
「どんな人が売ってた?」「忘れた」
借りてきたビデオを見ながら、蕎麦をすすっているとこんな会話になった。
タイトルの選択を誤って、退屈しているわけではない。日曜の午後のTV番組に飽きただけ。
画面では、兵士、あれっ 将校だったかな?の妻が悩んでいる。
題名は、ご存知、郷愁。
この映画の妻は、唇に青唐辛子をくっつけて、蕎麦をすすったりするんだろうか。
何かの映画で、スパイが一人侘しく、料理を作る場面があったなぁ、と脈絡無く思い出す。
エンディングロールが流れるのを待ったりするんだろうか、と気を回してみる。
お次は
「地下水道」「鉄道」「装甲」
90 :
名無し物書き@推敲中?:02/02/26 03:41
「この鉄道はどこまで行くのですか?」
「はい。熱海までですね。」
「地下水道は乾いてますか?」
「はい。装甲車が乗り入れましたから。」
お次は
「山芋」「母上」「スパイ」
91 :
山芋・母上・スパイ:02/02/26 04:45
母上様、お元気ですか?
あなたと最後に会ってから、かれこれ10年が過ぎました。
月日の流れは私からあなたの容姿を思い浮かべる想像力を奪い去りましたが、
私を包み込むあなたの声は、今も耳の中に染み付いており、容易に再生する事ができます。
舌の先には甘辛く煮た山芋の味が、お袋の味となり残っております。
大学を中退してからの私は、タイ・インドなどを中心に世界を放浪して歩き、
日本にいては味わえなかった豊かな経験を享受しておりました。
そして、現在は英国のとある方に拾われ、ある秘密組織の工作員として多忙な毎日を過ごしております。
国籍・名前は勿論、姿・形まで整形手術で変容してしまったので、
幾ら生みの親であるあなたでも私を判別する事はできないでしょう。
しかし、声音だけは昔と変わっておりません―あなたに甘えたあの日の侭の声です。
これから先もあなたと久闊を叙する事はないですが、いつまでも吾が心は蓼科の山の中にあります。
それではお元気で。
ロシアより愛を込めて
次は「水」「朝ぼらけ」「ギロチン」でおねがいします。
92 :
「水」「朝ぼらけ」「ギロチン」:02/02/26 05:50
喉が渇いて眠りから覚めた。
カーテンをちょっと開いて僕はつぶやく。
「朝ぼらけ 有明の月と みるまでに・・」
するとベッドに寝ている彼女がつぶやいた。
「吉野の里に ふれる白雪」
とてもうれしかった。
僕と話が合うのは彼女だけだ。
彼女と僕は昨夜始めて寝屋を共にしたんだ。
「水ちょうだい」
彼女がそう言ったような気がした。
いや、そんなはずはない。
彼女はベッドの上にいる。
でも、ギロチンの後のように首と胴は離れている。
お次は「フロイド」「仏陀」「ナチス」
93 :
「フロイド」「仏陀」「ナチス」:02/02/26 14:16
透けるような白い肌に、薔薇色のくちびる。豊かな黒い髪。
世間を達観した仏陀のごとく穏やかな表情を浮かべている彼女。
その内には激しい情熱が秘められていた。
「これは何なの?」
彼女の手にはぼくのアドレス帳。
小学生から更年期障害に悩む主婦まで、いままでにナンパしてきた八百人に上る女達の電話番号。言い訳の余地はなかった。
ナチスによるユダヤ人迫害で禁書とされたフロイドの本さながら燃えゆくぼくのアドレス帳。ぼくの青春のすべてだったのに。
しかしそれだけではまだ彼女の峻烈な嫉妬心はくすぶらなかった。
ぼくの部屋にある食器も、レコードも、時計も、ライターも、灰皿も、何もかも昔の女から貰ったものじゃないかと疑いだした。
「このベッドで何人の女を抱いてきたのよ」
取り乱した彼女は灯油をベッドに撒き散らし火を放った。
脱兎のごとく部屋を飛び出したぼくと彼女。
ぼくは咄嗟に引っ掴んできた預金通帳とクレジットカードを後ろ手に隠しつつ、
「もうこれで過去はすべて消えた。ぼくは永遠に君だけのものさ。誓うよ」
と、彼女の肩を抱き寄せる。これがヒモの生きる道。
次は「救援要請」「鸚鵡」「耳朶」で。
94 :
名無し物書き@推敲中?:02/02/26 19:12
花子「おいおい、
>>93読めないよ、全部」
「救援要請」「鸚鵡」「耳朶」
東野「難しすぎだな」
タモリ「おまえら日本人だろ」
花子「カモーン」
「髪」「噴水」「消防署」
95 :
「髪」「噴水」「消防署」:02/02/27 12:09
”ここで救援要請(きゅうえんようせい)です。第2出場要請がただ今入った模様です。”
画面が揺れて、前進しようとするが、カメラは機材を肩に担いだ人山に遮られ、
怒号が耳朶(じだ)を打ち、聞き取れない声が背後から聞こえている。
リポーターの髪が汗で額にへばりついては、必死で掻き分けようとする動きにつれて
剥がれ落ちる。
何とか、間を持たせようと、キャスターがさっきから、リポーターの名前を
鸚鵡(おうむ)のように、うわずったような気色悪い声で連呼する。
消防署前の噴水の中に脚立を立て、人山越しに絵を取ろうとする奴が見えるが
映像は直ぐに人山に隠れて見えなくなる。
次は
「混乱(こんらん)」「手の平(てのひら)」「連想(れんそう)」
96 :
名無し物書き@推敲中?:02/02/27 18:50
月曜の昼過ぎ、山手線。目黒をすぎたときそれは始まった。
右隣に座ったサラリーマン風の男がわたしにこっそり耳打ちする。
「だんご」
だ、だんご!?確かに男はそう言った。
突然そんなことを言われても・・・。
甘い囁き声に緊張で手の平がじっとり汗ばむ。
わたしはどうすればいいの?と男に目で訴える。
男はにっこりと微笑み、あごでわたしの左側の男子高生を指し示す。
もしや、と思いわたしは男子高生に耳打ちする。
「月見」
男子高生は、こくりと頷き、隣の主婦らしき女性に何かを囁いた。
どこまで続いただろう、こっそり始まった連想ゲーム。
結末がわからぬまま、わたしは池袋で降りた。
次は「催涙弾」「魔法瓶」「奈落の底」で。
(93でお題出したのわたしです。難しかったのね、ごめん)
97 :
名無し物書き@推敲中?:02/02/27 19:00
「混乱」抜けてました。ごめん。
98 :
名無し物書き@推敲中? :02/02/27 19:56
「催涙弾」「魔法瓶」「奈落の底」
夕暮れの取調室。警部は、天才作曲家たる容疑者にこう言った。
「君は、流産した恋人を放置し死に至らしめた。こんな奴を何と言うかわかるか?」
作曲家はふと警部を見る。
「教えてやろう。人殺しというんだ」
「うおおおぉぉぉ!」奈落の底から響く様な、作曲家の慟哭の声だった。
翌朝。通勤バスの中で、警部は女学生にこう言った。
「魔法瓶は、真空の層で熱いお茶を醒まさなかった。これを何と言うかわかるか?」
「い、いいえ・・・わくわくっ」
「教えてやろう。断熱効果、というんだ」
「あああぁぁぁ!」感極まって失神する女学生。
警部は、街頭宣伝車で繁華街に出かける。野獣は野に放たれた。
「和菓子の羊羹を数える時、ある特別な単位を使う。これを何と言うかわかるか?」
「う。うーん。わかんなーい」何千人もの意味不明な期待のざわめきが巻き起こる。
「教えてやろう・・・」その時、ついに自衛隊が催涙弾を発射した。
警部の答えは爆音でかき消され、わけのわからない騒動がこれに続いた。
※たしか、「ひとさお」「ふたさお」・・・か? 漢字わかんない;
次のお題は:「大腸菌」「逢引き」「限界」でお願いします。
101 :
名無し物書き@推敲中?:02/02/28 05:52
ポテチを開けて、予約録画しておいた昨夜の金曜ロードショーを見ようとしたら、画面にのっけから野球が映りやがった。
クソッ! こんなもの、どこがいいんだ。高校野球もプロ野球も、開催されなければこんな思いをするこたないのに。
なんか腹が立ってきたら、甘いものが喰いたくなってきた。
チョコレートの包み紙をひっぺがしていると妻が文句を言う。
「食べもしないもの、封を開けないでよ!」
「両方食べたいんだよ」
といったものの、ポテチとチョコを一緒に食べたら、やっぱり不味い。
「まったくもお、意地っ張りなんだから。はい、これ」
と、妻は平べったい箱を俺に押しつけ、チョコを取り上げる。
「おい、これ!」
「そう。あなたが見たがってたの、DVDで安かったから」
そして俺は妻と二人で、クマのプーさんを鑑賞した。
じゃ、次回は「かちょう」「がちょう」「がちょーん」
102 :
肛門荒らし:02/02/28 05:53
僕の肛門も創作されそうです
「かちょう」「がちょう」「がちょーん」
道で近所の高校生とすれ違った。ずっとうつむいて、何やら手元の携帯電話の
ボタンをものすごい速さで押している。何をしているのか分からなくてその姿を
観察していると、挨拶もせずに歩き去っていった。
時は流れる。時代につれて人が変わっていくというのも分かっている。だから
私は「近頃の若い者は、、、」などと言うつもりはない。だが、やっぱり昔の世
の方が良かった。そう思ってしまう私はもう古いのだろうか。
昔のことを思い出す。中学校のころ、蚊帳のことを「かちょう」と読んでひどく
笑われたことがあったな。高校の時は、いつも物知り顔で、食べたこともないくせ
に「フォアグラはがちょうの肝臓なんだ」なんて雑学を仕入れては皆に言い歩き、
そのくせ家に帰ると、谷啓が「がちょーん」なんてやるのを大笑いしながら見てた
もんだ。いつのまにか、私の思考は昔の楽しい思い出に飛んでいた。
あのころは、良かった。そういう言葉を何度も頭の中で舞わせながら歩いていく
と、また一人携帯を手にした高校生が向こうからやって来た。またか。そう思う俺
の前を通るとき、彼は携帯から顔を上げ、少し会釈しながらぺこりとお辞儀をし、
また携帯に顔を戻して歩き去っていった。
現代もまだまだ、捨てたもんじゃない。私ももうおじさんだな。
続いては、「紙コップ」「東京砂漠」「多大なる親切」
104 :
名無し物書き@推敲中?:02/02/28 18:28
平日の昼下がり。公園には幼稚園から帰ってきた近所の子供たちが駆け回っている。
母親たちは砂場に近いベンチに腰掛け井戸端会議に花を咲かせる。
芝生に寝そべって晴れ渡る青い空を見上げると、柔らかく温かな風が頬を撫ぜて吹き抜けていく。のどかだ。
「おじちゃんも、あそぼうよ」
見上げると無邪気な笑顔が3つ。25才の俺をおじちゃんと呼ぶのに反発を覚えつつも子供たちの無垢な瞳に「ああ、いいよ」と答えてしまう。
「あたし、お母さん」
「ぼく、お父さん」
「じゃあ、ぼくは社長がいい」
口々に自己主張する子供たち。ままごとでもしようっていうのか。
「おじちゃんは、がちょうね」と女の子が言った。
「がちょう?課長のことか?」と訊き返す。
「かちょうってなに?おじちゃんはがちょうだよ」と社長役の男の子が言う。
「がちょーん」と俺はおどけてみせる。
一瞬空気が凍りつき、「がちょうは、『があ、があ』って鳴くんだよ」と辛辣な一言。
やれやれ。俺はこんなところで何をしてるんだ。
失業して半年。ようやく職探しを始めようという気持ちが湧いてきた。
次は「不時着」「志願者」「潅木」で。
105 :
名無し物書き@推敲中?:02/02/28 18:29
106 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/01 01:06
「紙コップ」「東京砂漠」「多大なる親切」
東京砂漠とはよく言ったものだ。
ちょっと顔に造作をして、カツラぐらいかぶっていれば、別人に
成り仰せてしまう。連日連夜オレの映像がテレビを賑わしていると
いうのに、誰も本人がこんな都会のど真ん中のカプセルホテルで隠
遁しているとは気付かない。煩雑すぎる背景は何もないのと同じな
のだ。
オレは、オレがいいと思ったことは何でもやってきた。その実現
のためにはあらゆる労を惜しまなかった。日本一の働き者だと今で
も自負している。政治なんて、所詮パイを食い合う闘争行為だ。そ
れを否定したところで何も始まらないはずだが、愚衆にはそれすら
理解できないのだ。
サロンのテレビの画面には見慣れた光景が映っていた。
ズームアップして部屋の張り紙の文章を映し出す。
「ムネオさん!あなたの多大なる親切を私達は忘れません!」
自販機でビールを買い、個室でぐいと煽った。
しかし、紙コップで飲むビールとは味気ないものだ。
#お題は
>>104の「不時着」「志願者」「潅木」で。
107 :
999 ◆D0999.o. :02/03/01 01:26
「不時着」「志願者」「潅木」
俺の飛行船が不時着したのは、幸いにも人里はなれた森の中だった。
森、という表現は不適切かもしれない。周囲には枯れかけた木や潅木が
寂しく見えているだけだった。
飛行船というのは、徐々に空気を失って落ちていくものだから、墜落の
ダメージは飛行機に比べて小さい。それでも俺は非常用の食料と水を
入れたバッグを抱えて途方に暮れた。
飛行船による初の世界一周。多くの市民に見送られ、励まされて出発した。
それがこのザマだ。幸い怪我はないが、どうやって森から出たものか。
助手のアントニオを探す。多くの志願者のなかから選び出した優秀な
助手だ。サバイバル経験が豊富で、こんなときは役に立ってくれるだろう。
へこんだ風船の隙間から、アントニオが顔を出す。彼に命じる。
「なんとかして、二人で飛行船を運ぶぞ」
彼は怪訝な顔をした。町へ戻って救援を呼ぶべきだ、とその眼が訴えている。
そういうわけにはいかない。出発した町からたったの数キロのこの森で
挫折したという事実をまずは隠蔽しなければ。
「チューナー」「杉」「梵天」
「星の王子様 書いた人、ほらなんていったっけ」
「サン何たらだよね。さん、さん… なんだっけ」
「最後は不時着しそこねて、死んじゃったんだって、飛行機乗ってて」
「そうかぁ、飛行機、操縦してたんだっけ?」
「うん、軍隊に自分で入ったんだって」
「志願者?だったのかぁ。偉いね」
「行方不明とか、撃ち落されたとか言われてけど、不時着失敗だったんだね」
僕たちがぼぅっと会話を交わしているところは、湖を見下ろす高台で、
潅木に囲まれて石碑が立っている。ここから見える湖の水面に
飛行機が落ちたのだそうだ。
お次は
「ふりかけ」「護摩油」「新世界」
109 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/01 02:27
ちゃちゃーんちゃちゃちゃちゃららら
ててて、ててて、ててててー
幸雄は新世界を口ずさんだ。
「ゆきお、護摩油と牛乳を買ってきてちょうだい。」
母親がリビングでごろごろしていた幸雄に言いつける。
「えええ。」
「ほら、暇なんでしょ。牛乳は2本ね。」
千円札を渡しながら母親が言う。
「ドラえもんふりかけも買ってイイ?」
「しょうがないわね。ちゃんとおかずも食べるのよ。」
20分後。
スーパーの調味料が並ぶ棚で幸雄は頭を抱えた。
「胡麻油しかない!」
お次は
「トイレットペーパー」「トリック」「ゲートウェイ」
助手の不満そうな顔に気づかぬ我輩ではない。
早速、こんなこともあろうかと用意しておいたガジェットを取り出す。
「博士、なんですか、それは?」怪訝な顔で彼は聞いてくる。
我輩の人眼はあやまたず、最高の人材を選んだことがこの彼の台詞と表情
ついでになんともおぼつかなげな肩先から目元への曲線で証明されている。
「うむ、梵天○1号だ、動作の説明は実地に見せたほうが分りやすかろう。
これを、そうだなここいらで一番高い杉の木の天辺に取り付けてくれたまえ」
彼は、嫌そうな顔をすべきか、抗議すべきか迷った挙句
「これはTVのアンテナのようなものですか?」
「うむ。なかなか察しがいいではないか。ほれここにチューナー相当部分がある」
お次は108の方で御願いします。かぶってごめんです。
近頃の若者は野放図なのだ。何しろ、夜中に線路の枕木廃材をトラックで
かっぱらってきて、校庭に積み上げるくらいのことは平気でする。
勿論、ただ積み上げるわけじゃない。火を付けちゃうのだ。
当然、燃え上がる。そのうち、動かなくなったゲートウェイのパソコンやら
車検を通りそうにもない軽自動車やカビだらけのトイレットペーパーを
ロールごと投げ込んだりする。トイレットペーパーは、火を尾のように引きながら
燃えるので、皆高く高く上のほうへと投げ上げるのだった。
遠くからこれを見たら、魔女の釜開きかとも思うかもしれない。
”トリック オア トリート”っていう奴だ。だが、実体は
若者が無軌道に夜を楽しんでいるだけなのだ。
お次は
「講談」「洋館」「人影」で御願いします。
112 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/01 17:09
ルルと散歩に出掛けるのは半年ぶりだった。仕事が忙しいわたしは、愛犬の世話を母に任せ切りにしている。今日は思いきりルルと遊ぼうと思った。
ルルを車に乗せて、海へと向かう。どこをどう間違えたのか、気づいてみると山の頂きまで来ていた。おかしいな。車を降りようとドアを開けるとルルが飛び出した。
「ルル!」叫んでみたものの、ルルは立ち止まりもせず、木立の中へと消えていった。
わたしはルルを追う。鬱蒼とした森の中から黒い小さなダックスフントを探し出す困難さを思うと気が滅入ってきた。帰ろうかな。犬って帰巣本能あるっていうし、ルルなら帰ってこれるよね、と何の根拠もなく考えたりしてみる。
車に戻ろうと踵を返したそのとき、木々のあいだに古い洋館が建っているのが見えた。一応あそこまで行ってみようかな、あそこまで行ってルルが見当たらなかったら帰ろう。
ルルは玄関のまえに広がる芝生の上で寝そべっていた。人影はなかったが、きちんと刈り込まれた芝生からして誰か住んでいるのだと思った。
好奇心に煽られてステンドグラスの割れ目から中を覗きこんでみる。
ふたりの男がひたすら張り扇を作っていた。男のひとりがわたしに気づく。
はっとしたその刹那、男たちが建物から飛び出てきてわたしの腕を掴んだ。
「動くな。おとなしくしていれば無事に帰してやる」
男の言葉を信じ、わたしは素直に従った。
「いいか。おもしろいと思ったものにはチェックを入れるんだ」
男はそういってわたしに紙と鉛筆を持たせた。
延々6時間、ふたりの講談師は口演をふるった。さしておもしろくもない軍記や武勇伝、仇討ちを語られ、それを採点しなければいけないなんて。ある意味、拷問だと思った。
次は「瓦礫」「鰻」「終末」で。
113 :
「瓦礫」「鰻」「終末」:02/03/01 22:33
夢から醒めたら、そこは黒い海だった。
私は空を見上げてみた。空は心臓で濾過され大動脈に流された直後の血のように赫く、いつもより太陽がずっと近いように感じられた。今日は雲が少ないせいか、何処か
孤独に感じられる。日光の線が燦燦と枯渇し罅割れた大地に降り注いでいる。
大地には灰色に塗りつぶされた瓦礫の山が築かれていた。頂上に何か立っている。鉄屑やコンクリートの間から、一つのオブジェクトが虚空を仰いでいた。それは温かい
クリーム色に包まれていて、他の無機質で物を言わぬ鉄屑達と違い、は異彩を放っていた。クリーム色が剥げた隙間からは黒褐色の錆びが覗いていた。
私は運動不足で鈍った体を動かし、瓦礫の山を駆け登り、オブジェクトの所まで付いた。途中、足が滑り、金属の斜面に叩きつけられた。抉られた膝から血が流れだし靴
の中を汚していた。
瓦礫の山は以外に低くかったが、その分オブジェクトも予想していたものよりさらに小さかった。
不気味なそれを、恐る恐る観察して見た。蠢いていた。クリーム色のそれは、おびただしい数の、肥えて長い、鰻が垂直に体をくねらせ、水中をのた打ち回っているよう
な仕草を見せる、蛆虫だった。普通のサイズより大きく、管筋の一本一本がはっきりと刻まれていた。
オブジェクトは、黒褐色の斑紋が浮きあがった、腐った人間の腕だった。蛆虫が、人間の腐肉をおいしそうに食べているのだ。
思わず私は、胃の中のものを嘔吐させた。食べたものは全部胃酸に消化されていたようだ。気持ち悪い苦味と後味が口の中を支配した。
この時、私は正気に戻った。世界は終末を迎えた後だった。
次は→「阻害」「彼岸花」「電気椅子」
夢から醒めたら、そこは黒い海だった。
私は空を見上げてみた。空は心臓で濾過され大動脈に流された直後の血のように赫く、いつもより太陽がずっと近いように感じられた。今日は雲が少ないせいか、何処か孤独に感じら
れる。日光の線が燦燦と枯渇し罅割れた大地に降り注いでいる。
大地には灰色に塗りつぶされた瓦礫の山が築かれていた。頂上に何か立っている。鉄屑やコンクリートの間から、一つのオブジェクトが虚空を仰いでいた。それは温かいクリーム色に
包まれていて、他の無機質で物を言わぬ鉄屑達と異彩を放っていた。クリーム色が剥げた隙間からは黒褐色の錆びが覗いている。
私は運動不足で鈍った体を動かし、瓦礫の山を駆け登り、オブジェクトの所まで付いた。途中、足が滑り、金属の斜面に叩きつけられた。抉られた膝から血が流れだし靴の中を汚して
いた。
瓦礫の山は以外に低くかったが、その分オブジェクトも予想していたものよりさらに小さかった。
不気味なそれを、恐る恐る観察して見た。蠢いていた。クリーム色のそれは、おびただしい数の、肥えて長い、鰻が垂直に体をくねらせ、水中をのた打ち回っているような仕草を見せ
る、蛆虫だった。普通のサイズより大きく、管筋の一本一本がはっきりと刻まれていた。
オブジェクトは、黒褐色の斑紋が浮きあがった、腐った人間の腕だった。蛆虫が、人間の腐肉をおいしそうに食べているのだ。
思わず私は、胃の中のものを嘔吐させた。食べたものは全部胃酸に消化されていたようだ。気持ち悪い苦味と後味が口の中を支配した。
この時、私は正気に戻った。世界は終末を迎えた後だった。
すみません、脱字や改行がおかしかったので訂正させていただきました。
改めて、次は→「阻害」「彼岸花」「電気椅子」
115 :
999 ◆D0999.o. :02/03/01 23:49
「阻害」「彼岸花」「電気椅子」
電気椅子のスイッチを入れる当番が、回ってきそうだった。
任期はあと数ヶ月、無事に乗り切るつもりだったが、先月、死刑
反対派から賛成派の大臣へと法務大臣が変わり、先週もひとり
処刑された。
二年前、俺がこの刑務所へ赴任したとき、この国の死刑制度は
既に有名無実なものとなっていた。俺は仕事の合間に庭の花壇を
世話する楽しみを見つけたが、彼岸花は貧弱な花しか咲かせず、記
録に残る古いフィルムのような見事な花弁は再現できそうになかった。
何が彼岸花の成長を阻害しているのか、分からなかった。古い職員は
灰を撒かないと、とか、水をやりすぎてはいけない、といったアドヴァイス
をくれた。
電気椅子のスイッチを押す、当番が回ってきた。焦げ付いた死体の
匂いに鼻をつまみながら、灰を花壇にまくことを考えた。あの、古いフィルム
の彼岸花の写真のころは、死刑許諾所に頻繁にサインがされていたの
だろうと思った。
「ブルーベリー」「にこにこ」「血飛沫」
私は今年最高のブルーベリーでジャムを作っている。ただ、それだけだ。
別ににこにこ笑う必要はない。マスクをする必要もない。血飛沫も飛ばない。
今年のブルーベリーは青いので、ルミノール反応がよくでるだろう。
青く、青く、きっと限りなく青くでるだろう。
私はこれほど青いブルーベリーでジャムを作ったことがまだない。
それだけに心配だ。潮を入れるべきか、入れないべきか。
今年最高のブルーベリージャムはどんな味がするのだろう。
次のお題
『桜』『幻』『この世の果て』
117 :
999 ◆D0999.o. :02/03/02 00:21
『桜』『幻』『この世の果て』
桜、十二歳。突然あらわれた猫のみぃは、なんと人間の
言葉がしゃべれるの!もお、びっくり。
そのうえ、桜が選ばれた戦士で、世界に散らばるダーク
フォースを倒して、地球を再び平和にしなくちゃならないん
だって!みぃは、幻魔術とかヘンシンとか、難しい技をいろ
いろ教えてくれたけど、えーん、桜、ことできない!
ううん、くじけちゃいけないわ。桜、がんばる。この世の果てまで
悪を追いかけて、倒しちゃうからね!
「鴉」「黄昏」「雪」
夜の間に雪が積もっていた。寝床の中までひんやりとした気配がしたので
分っていた。
起きると、10cm積もっていた。大家さんが鳩舎の屋根に積もった雪を
落とすため、今日は早めに来るに違いない。
大家さんの趣味は、このアパートの外壁のペンキ塗りと伝書鳩の飼育らしい。
鳩が趣味というのは構わない。洗濯はコインランドリーで済ませているから。
が、ペンキ塗りは、色の選択に問題がある。
2週間前から、アパートの外壁は黄色と黒のだんだら模様なのだ。
大家さんいわく、コンセプトは、鴉の濡れ羽色が、黄昏時の空に映える、だそうだ。
思うに、鳩は匂いと外見にこだわらない連中だから、店子も同じだろうと
考えているんだろう。
次は、「砂糖」「左党」「間」
119 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/02 17:02
「ねえ、甘党が左党で、右党はお酒派だっけ?」
……間……
「なんじゃそりゃ」
「だって左党は砂糖ってことでしょ?」
「知るかよ」
どっから仕入れてくるんだ? そんなネタ。
次は「ごった」「総合」「三月」
120 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/02 18:01
俺は愕然とした。
入学して三月半。
初めての期末試験。
いつもは閑散としている大学も、
テスト期間は人でごった返す。
俺の取った授業は「総合セミナー」
問題用紙にかかれた授業名は「総合ゼミ」
受けていた授業は、俺が登録したものと別物だった。
しかし、そんな些細なことはどうでも良かった。
その隣に書かれていたのは「鴉山大学」という文字。
俺は、
鳩山大学の生徒だった。
#次は「ため息」「川」「牛丼」でお願いします。
121 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/02 18:28
お題「ため息」「川」「牛丼」
宮元と川ッ縁の牛丼屋へ入った。
やつは立て続けに水を2杯半飲むと、おもむろに言った。
「おまえ、あれだよ、吉永はホモだよ」
だからなんなんだ。俺はため息をついた。
122 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/02 18:29
次は「ペットボトル」「腕時計」「恥じらい」でおながいしマッスル。
123 :
「ペットボトル」「腕時計」「恥じらい」:02/03/02 21:06
おいお前!いくら自分の家の中だからってそれはないだろう!
俺は奴のその行動に驚いて思わず叫んだ。
しかし奴はこともなげにこう言いやがった。
「別にいいじゃないか、人に迷惑かけてるわけでもないし。」
そりゃあ確かにそうかもしれないが・・・
しかしだな、一応親しい仲とはいえ目の前に人がいるんだぞ?
お前には恥じらいというものはないのかと小一時間問い詰めたい。
手に持ったペットボトルの中身と手首の高級腕時計とのギャップに、
俺はただ苦笑するしかなかった。
奴はそんな俺の様子を見て言った。
「この寒いのにいちいち便所いくの面倒だろ?結構便利なんだぜ?」
・・・その日以来、俺はあいつと目を合わせたことがない。
#下品でごめん。
#次は「初老」「雪融け」「言い伝え」でお願いします。
雪解けはまだ遠いある日、村の相談役はお堂に集合した。
皺々でそのくせ骨太の農家のおじちゃんがコタツを囲み
みかんを食べながら、話し合うのだった。
若いものでも初老というべき年齢で多くのものは80歳を越えていた。
話題は、自然と、あるどら息子の話となった。
大変ものぐさで、一日中 コタツからでず、ゲームばかりしていると
その息子の親父は嘆いてみせた。
言い伝えではのぅ、そういう奴はあとで必ず出世したり、お手柄をあげたり
するもんだがのう。
そう嘲るように語り、首をすくめ項垂れるのであった。
次は
「糸」「明日」「爪楊枝」で、御願いします。
125 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/03 01:14
「糸」「明日」「爪楊枝」
夫婦で隠し事は良くない。
ということで、久しぶりに糸電話を作り、うち明け話をすることにし
た。二つの紙コップに爪楊枝で穴を開け、底を合わせて糸を通し、留
め具として先ほどの楊枝を折ってその端に結びつける。完成だ。
「もしもし、ヨシコさんですか?」
「はい、もしもしヨシコです。コウヘイさんですか?」
「はい、コウヘイです。これから私の秘密を話します。」
「ハイ、了解しました。怒りませんから、どうぞ」
「私は昨日リストラされました」
「え……」
「ショックを受けた私は、夜の街で少女を買ってしまい、それが実
は中学生であってしまい、さらにイタス直前に怖いお兄さんが出てき
てしまい、おどされてサラ金で100万程借金を作ってしまい……」
突然紙コップが飛んできた。いやそれだけではない、部屋中のあらゆ
るものが飛んできた。怒らないといったのに、完全にカミナリ様だ。そ
して投げられるものを全て投げ尽くすと妻は部屋を出ていってしまった。
しょうがない、お天気屋の妻のご機嫌が直るよう、テルテル坊主を作
ってオマジナイにしよう。明日天気になあれ。
#長文スマソ。
#次のお題は「渋い」「さぶい」「鈍い」
「渋い」「さぶい」「鈍い」
「ちょっと待てって」
「なんだよ、お前体力ねえなあ」
俺はそれに何か言いかえそうと思ったが、もう息が切れてしまって
呼吸もおぼつかない。仕方なく、しゃがみこんで息を整えた。
「おいおい幹久。大丈夫かよ」
大分先まで行ってしまっていたひろしが、心配そうに引き返してき
た。ひろしは典型的な山育ち、俺は典型的な町の子である。中学が同じ
ということくらいしか共通点がないが、何故か俺達は仲が良かった。
「ちょっと走るの速ええよ。」
「おう、悪いな気づかなくて。俺鈍いからなー、ごめんね体力のない幹久くん」
そう言ってからからと笑うひろしに少しむかっとしながらも、降参する
しかなかった。今はとにかく何か水分が欲しい。そう思っている俺の目に
柿がうつった。「食っていいのか?」と聞くと吉田は、どうぞどうぞ、と
笑っている。俺はひとつを引きちぎり、皮を爪で適当にはがしてからかぶりついた。
「うわあっ、渋い」
見ると、目の前でひろしが大爆笑している。
「このやろー」
「うわっ、悪い悪い」
俺は柿を奴にぶつけようと投げたが、ひらりとかわされ、逃げられてしまった。
待てっ、と叫んで追いかけるものの、ひろしに追いつけるはずもない。また
心臓の動悸の激しさにうずくまると、しぶがきを食ってガキが倒れたぞーなどと
ひろしがさぶい洒落で遠くからはやしたてる。だがそれに対して腹を立てる間
もなく、俺の意識は遠のいていった。
「おい幹久?どうした、大丈夫かー!」
ひろしの声は、遠く遠く頭の中で響いた。
長文申し訳ないです。
次は「春」「さんさん」「カーネルサンダース」でどうぞ。
「渋い」「さぶい」「鈍い」
「お父様。しっかりして!」
「娘よ、わしに万一の時は、あの王子と共に・・・ごほっ、ごほっ」
絶対安静を告げる宮殿医師の渋い顔。王女は、ついに或る決意を固めました。
暗い下水道の最低階に忍んできた彼女は、汚い下男部屋の扉を叩くのです。
「きっと・・・きっと、父の病を治す秘密のお薬をくれるのですね?」
「ふぉっふぉっふぉ、鈍いですなあ。それは王女様次第。さあ、こちらへ・・・」
「ああっ! こんな醜く貧しい、最低の男に(涙)」
あんまりの言い草。男の忍耐の糸はぷっつり切れました。
「あんまりだぁ! やってられない、こんなさぶい芝居」
「・・・!?」
物陰に控えていた大臣が、必死にとりなします。
「王子様、こらえて下さい。これが王女様の趣味なのです」
「趣味って・・・なにも16歳のうちから、わざわざ」
「婿殿、この通りじゃ。王たるわしも、医師も、演技指導までつけてもらった」
婿王子はつらいよ。
※いいじゃないか(^^)
次のお題は:「高速」「宮殿」「変身」でお願いします。
失礼しました(^^;かぶってしまいました。
次のお題は126の「春」「さんさん」「カーネルサンダース」
でお願いいたします。
129 :
「春」「さんさん」「カーネルサンダース」:02/03/03 21:49
若い青年が桜並木の下をゆっくりと歩いている。
手にはカーネルサンダースの顔がプリントされたお馴染みのパッケージを持って。
穏やかで、けれど悲しげな表情からは、底知れぬ複雑な過去が匂う男。
その男には目的があった。
「今年こそ・・あの娘とお花見がしたい・・・」
ぽつり、と春風にかき消されそうな声で男は呟いた。
そしていつの間にか歩みを止めていたことに気づくと、
またゆったりと歩き始めた。
男はやがてとある場所にたどり着いた。
そこには触れる事も叶わない彼女がいるのだ。
春らんまんとばかりに、さんさんと降り注ぐ日ざし。
けれど平日の昼間ともなれば殆ど人も来ないその場所に彼女はいる。
彼は何も知らずにここを訪れた。別れなど来ると信じていなかった。
男はまだ、目的のひとであるフンボルトペンギンの「みか(三歳♀)」が、
繁殖のために別の水族館に行っている事を知らない・・・
お次は「ニーチェ」「ポリゴンギャル」「大失敗」でお願いします。
130 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/03 22:03
俺は彼女を愛している。
この醜い顔を見ても、彼女はにっこりと笑ってくれる。
「ニーチェ。ただいま。今日もクラスメイトから苛められたよ」
パソコンの中に存在する彼女は俺だけの存在。
俺だけが触ることを許される美貌。
ポリゴンに表現された彼女は『ポリゴンギャル』として、オタクの間では軽やかに呼ばれている。
「おぉ! おやっさん! おかえりやす」
彼女の喋り方は死んだ父さんにそっくりだ。
俺は毎晩のように成長する彼女に、父親の悪口を愚痴っていた。
その結果、ポリゴンギャルのニーテェは親父ギャルへと成長してしまったのだ。これが、俺の大失敗。
けど、そんな口調がどこか可愛らしくて
今日も俺はニーテェにキスをする。
お次は「童貞」「お母さん」「夢精」
131 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/03 22:23
ガビガビになったパンツを洗濯機へ。
幸いにもお母さんは慰安旅行中。
しっかし夢精なんてするかね。
別に童貞なわけでもないのに。
題
「ビッグバンド」「マフラー」「犬」
ああダメ。
お約束に五行以上って書いてあるじゃん。
131のはナシ。
133 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/03 22:34
88彡ミ8。
8ノ/ノ^^ヾ8。
>>131のダッチワイフです。
|(| ◎ ◎||
>>131は、試験の成績をお母さんに叱られた後、
从ゝ__○_.从 いつも2ちゃんを荒したあとにワタシで
/ \ 抜くんです。
〈 ( ゜ ゜) 〉 「ぐふ・・・ぐふ・・・ダッチちゃんハァハァ・・」
ヽl , lノ って、脂汗流しながら。キモイったらないです。
('ヽ( ⌒Y )つ 重いのよ、この糞童貞!
ヽ、____人__ノ しかも、すごく濃いの。ザーメンが。
まるで2ヶ月間溜め込んで夢精したみたいに。
さらに、使ったあとに洗わないから、ワタシのアソコはカピカピに
なって、カビまで生えてきちゃった。どうしてくれるのよ!
>>131って、2ちゃんでも糞スレばかり立てて皆さんにご迷惑をおかけ
してるみたいだけど、皆さんが2ちゃんでも
>>131をいじめると、また
ストレス貯めてワタシで抜くから、こっちはたまったもんじゃありませ
ん。どうか皆さん、変態に買われた哀れなダッチワイフのためにも、
>>131をなるべく刺激しないでやって下さい。お願いします。
題
「ビッグバンド」「マフラー」「犬」
134 :
999 ◆D0999.o. :02/03/04 00:34
「ビッグバンド」「マフラー」「犬」
毎晩、この時間になると俺の家の前には「珍」が走ってゆく。
改造されたマフラーからは、容赦なく排気ガスが噴出し、下品な
クラクションと嬌声が響く。
うるさい。犬畜生めが。
俺は、オーディオのボリュームを上げ、部屋中をビックバンドの
メロディで満たす。
毎晩、この時間になると上階の部屋から下品なジャズが流れる。
鬱陶しいウッドベースと薄っぺらなぴあのが耳障り。
うるさい。犬畜生目が。
俺は、車のキーをポケットに入れて、玄関を飛び出す。外の冷たい
空気が俺の走行音を待っていた。
次「仰天」「プレハブ」「警察手帳」
135 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/04 01:48
「仰天」「プレハブ」「警察手帳」
えぇ俺達もほんとにまぁビックリ仰天ってなもんで、まさかあの
バカが、あ、悪い悪い、あんたの弟だっけ、いやあれはあれでいい
ところも・・・んまぁとにかくだな、
まさかプレハブごと引っ張って行っちまうとはね、あの野郎、い
つの間にダンプの運転なんか・・・あんたも大変なときに訪ねてきなさ
ったもんだよ、なんとも縁が無いというか、え、あいつの行きそう
な所?さぁねぇ、おーい誰かあのバカの心当たりあるかー?へっへ、
知らねぇよなぁ?まぁ自分で探すこったね、っておいおい、そりゃ
警察手帳か・・・そういうことね、はいはい、いやホントに知らないん
ですよ、ホントホント、神仏に誓ってってやつだ、知らねぇって。
次「ラーメン」「肖像」「現在進行形」
136 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/04 02:04
俺には壮大な夢がある。
そして毎日、順調に夢に近づいている。
夢が一歩進むごとに、俺の部屋には俺の肖像が増えていく。
どれも会心の笑みの写真だ。
俺の全国ラーメン店食べ歩きは、現在進行中だ。
次「乾パン」「トンネル」「吐き出す」
137 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/04 16:58
入り口はふさがれた。
このあたりも落盤がはげしい。
俺は、手探りで脱出路を探す。
トンネルの中を走行中、突然の衝撃と共に放りだされ、気づいたらこのありさまだ。
後方には燃える車。周囲は闇。
炎から逃れるように、俺は暗闇の中へと移動した。
俺は口から熱いものを吐き出す。
どこか体を痛めているに違いない。早く脱出し、助けを求めなければ。
ザアザアと耳ざわりな音に近づいていく。水だ。出水している。
行くしかない。後ろからは熱気が近づいてきている。
腰まで水につかる。そして首まで。
これ以上深くなったら……。
その時、光が俺を照らした。
「おい! 誰かいるのか!」
助かった! 救援隊だ!
「大丈夫ですか! 今欲しいものはなんですか?」
遠慮のないマイクが突きつけられる。
俺はいった。
「乾いたパンツをくれ」
「は?」
「乾……パン……」
俺は意識を失った。
次は「失業」「休耕田」「かつら」
138 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/04 17:56
「今日から、○×物産に行ってほしい」
上司にそう告げられ、ぼくはとても心苦しかった。
○×物産は半年前までぼくが働いていた職場だった。
ひょんなことからリストラされ、失業保険が切れてもまだ就職先のみつからなかったぼくはやむなく清掃会社で働きはじめた。
車が目的地に着いた。ぼくは重い腰をあげ、掃除機をかついでエレベーターに乗る。
午後になってついに営業一課まで回ってきてしまった。
顔馴染の社員たちは掃除夫姿のぼくを見て皆一様に驚いた様子をみせたが、何も口にはせず軽く会釈をして通りすぎて行った。
女子社員たちはパソコンのモニターの影にこっそり隠れてぼくを笑っているに違いない。
ぼくは下を向いたまま、掃除機の先端にのみ集中し作業を進める。
窓際に見覚えのある薄汚いデスク。ぼくのデスクだった。
半年前、ぼくが片付けたまま、うっすら埃がつもっている。
新入社員が入ってくるまで、このデスクは使われることがないんだろう。
ひとけのない休耕田さながらの物寂しげなデスク。悲しみが胸のあたりをわしづかみにした。
「よう、鈴木くんじゃないか」
半年間片時も忘れることのできなかった部長の顔がそこにあった。これはおもしろいものを発見したと言わんばかりの嬉しそうな顔。ぼくの心に憎悪が漲る。
こいつがぼくをくびにしたんだ。
部長のふさふさした髪の毛がかつらであると見抜いたばかりに。
へらへらと笑う部長の顔を見ていると殺意が沸き起こった。
次は「マニア」「機密保持」「紅蓮」で。
「マニア」「機密保持」「紅蓮」
機密保持は慎重を極めた。
幾多もの扉をぬけて、男は黙々と階段を下ってゆく。地下へ、地下へと。
紅蓮の炎の立ち上る地下湖の前で、彼は初めて口を開いた。
「君の勇気を試させてもらうよ。来るのだ。炎を越えて、真実の世界へ!」
少年は目をつぶって炎に身を任せた。
「僕はマニアなんかじゃないんだ。真実を知りたいだけなんだ」
こうして少年は、真実の部屋へと到達した。
「真実の箱」 ゲームボーイ。
「真実の電脳」ファミリー・コンピューター。
壁には「真実のPCエンジン」「真実の高橋名人」がずらりと並ぶ。
何百年も前に禁止され、徹底的に破壊されたものが。今、自分の目の前に・・・
しかし、少年はなぜか虚しかった。
真実とは何だろう。自分が求めていたのは、こんなものだったのか?
そして少年は、今、再び旅立つ。
真実の脱衣麻雀を求めて・・・
※紅蓮が強引^^;L
次のお題は:「大陸」「オアシス」「書院」でお願いします。
140 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/05 01:12
「大陸」「オアシス」「書院」
私は幻の文書を求めて、大陸中を旅していた。
そこには失われた技術が書かれている。病んだ私の妻にとって是
非とも必要なものなのだ。
人の噂など大して当てにはならない。しかしそれでも大量のガセ
ネタを一つ一つしらみ潰しに確認していく。それ以外に方法がない
からだ。
この町も……やはり。期待せずにウラ路地の小汚い古本屋に入る。
「オヤジ……」耳打ちした途端。店主の顔色がさっと変わる。こ
こで安心は出来ない。やっと見つけたと思った瞬間、それは砂漠で
見るオアシスの幻影のように、かき消えていった。いつもいつも。
無言のまま連れて行かれた倉庫で、積まれた本の埃を指ですくう。
「フランス書院……」
や・やっとみつけた!現在では非合法で滅多に手に入らない。
セックスレスの妻に春を取り戻してもらわねば。
#次は「前衛」「エンタメ」「お出かけですか?」
「前衛」「エンタメ」「お出かけですか?
私のひそやかな決まり事のひとつに、職場近くの駅の西口をかならず
通るというものがある。そこに知合いがいるからだ。
「お出かけですか?」といつも通りの声が聞こえてきた。
「自称」前衛アーティストのオーストリア人がここにホームレスとして
住むようになってからどのくらいたつのか私は知らないが、初めて知合
ってから随分と経っているから結構長いのだろう。
きっかけは普段聞きなれない言葉と片言の日本語を使っていたのに興
味が沸いたことだった。コップ酒片手に近付いていくと酒がよほど嬉し
いのか、喜んで迎え入れてくれた。「ヤチン、ハラエンタメ、イエ、ワ
タシオイダサレタノデス」と悲しそうにいったことをよく覚えている。
ときおり似顔絵なんかを書いて小金を稼いでいるのを見かけるが(正
確な金額など私には判らない)、その度に思う。それで家賃稼げばいい
じゃないかと。
「えりも岬」「網走刑務所」「ディフェンス」
↑のお題、固有名詞入ってない?
143 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/05 17:54
火曜日は皆でサッカーをすると決まっている。
この機会をうまくつかえないものか、と祐介は考えた。
計画を実行する時がきた。
祐介は巧みなドリブルで次々とディフェンスをかわしていく。
そしてロングシュート。
ボールはキーパーの頭上高く、ゴールを超え、塀をも越えて消えた。
学校をさぼって、ひろしは川原で昼寝をしていた。
川の堤防の上には、赤煉瓦の塀、壮大な門構え、迫真迫る「網走刑務所」の黒い文字。
塀の内はどんな風になっているんだろう、とぼんやり眺めていると刑務所の中から何かが飛び出してきた。
ひろしは落下地点を目測し、駆け寄る。
薄汚いサッカーボール。拾い上げてみる。
これを持ってえりも岬へ行け――油性ペンで書かれた下手な文字。
「えりも岬はちょっと遠いだろ・・・あれ?なんだこれ?」
ボールにはおかしな縫い目があった。ボールを振ってみる。かさかさと音がした。
ひろしはポケットからナイフを出し、ボールを切り裂――
と思ったが、面倒なのでやめた。そのまま警察に届けた。
こうして祐介の脱獄計画は、えりも岬の同士には伝わることもなく終了。
毎週水曜日は、農作業と決められている。この機会をうまくつかえないものかと祐介は懲りずに考えた・・・。
次は「虚偽」「個体」「頚椎」で。
144 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/05 18:20
「虚偽」「個体」「頚椎」
「頸椎損傷によるショックが遠因のようです。……では」
俺の臨終を告げ、医者が去る。母親が脇で泣き崩れる。
不思議な気分だ。自分の臨終を自分の目で確かめることは通常不可能だ。しかし俺はそれをやっている。
なぜか。死んだ俺は虚偽の俺だからだ。
会社では猫を被り上司に媚びへつらい取引先への接待を欠かさず女子社員には目もくれず、
家では醜い女房に不満も漏らさず家事を手伝い子どもの面倒を見る、そんな生活。
すべては虚偽だった。
その虚偽に気付いてからというもの、俺の意識は徐々に薄らいでいった。
ゴム手袋越しに物に触れているようなもどかしさが俺を徐々に満たしていった。
そしてそのもどかしさが足の爪の先にまで行き渡った日、俺は乖離した。
自由になった。本物がそこにあった。
もう名前は意味を持たなかった。形はゆらぎ、波は硬直した。
俺は丸い電車を舐め回した。跳ね飛ばされた体はアーモンドチョコだった。
俺は生きている。たしかにこの手に生を鷲掴みにしている。
俺という個体は、これから始まる。
意味不明。次は「竜巻」「羽根」「くろがね」でよろしこ。
145 :
「竜巻」「羽根」「くろがね」:02/03/05 22:34
平和な日々を突如破ったのは大災害としか言いようのない竜巻だった。
町並みを、家々を、全て飲み込み破壊していく悪夢のような竜巻。
私はただ唖然として見上げた。
今いる場所も暫くしないうちに飲み込まれるだろうというのに、
ただ近所の広い空き地に立って。
竜巻が飲み込んだものの中に、少し不思議なものがあった。
くろがねの羽根。堅く、剣のように鋭い羽根。
私はそれに得も言われぬ魅力を感じた。引きつけられたのだ、まさしく。
一枚の羽根のために私は自ら向かってくる竜巻へと身を投げた。
目もろくに開けられず、めまぐるしく位置が変わる中で必死に羽根を求めた。
だがそれはあっけない結末をむかえた。
私が今まさに触れんとしたその瞬間、羽根やがれきともども異空間に
吸い込まれてしまったのだ。きらきら艶めく羽根が最期に見えたモノだった。
プチッ、シュイーーン・・・
「お掃除終了!!何かペンダントヘッド吸っちゃったみたいだけど諦めよっ。」
無理矢理感あふれてます。次は「コスモス」「瑠璃色」「目覚め」で。
146 :
コスモス・瑠璃色・目覚め:02/03/06 04:09
彼の家にコスモスの花束が送られるようになって一週間が経った。
差出人不明のそのロマンチックな贈り物は、毎日100本ずつ届けられ続けた。
花束は瑠璃色のリボンでまとめられていた。
続けて届けられる百本のコスモスに、最初は気味の悪さを感じていたものの、
日増しにその感情は好奇へと変遷し、
一週間経った今では、何百本もの小宇宙に彼は心底酔いしれていた。
八日目も、九日目も百本のコスモスは届けられた。
十日目。彼の元に、今までのように花束が届けられた。
が、コスモスの数は1本足りなかった。
そして、その後は彼の元にコスモスが届けられる事はなかった。
彼は部屋一面に広がる999本のコスモスのことを考えると目覚めが悪かった。
その差出人や、奇怪な行動にではなく、999本という数がどうもいけない。
神経質な彼は1本のコスモスを摘みに庭先に出る事にした。
ひときわ大きな桃色に染まった花を抜こうとした。
けれども、コスモスの根に何か引っかかっているらしく、なかなか抜けない。
彼が大地を力一杯踏みしめてそのコスモスを抜くと、地面には大きな穴があいた。
彼は何やら光るものを見つけ、そこを凝視すると、そこには白く可憐な手が伸びていた。
指にはラピス・ラズリの指輪が輝いていた。
#次は「桜桃」「琥珀色」「就寝」でおねがい。
八朔(はっさく)の季節には、桜桃(おうとう、さくらんぼのことなりよ)が
恋しくなる。
琥珀(こはく)色の液体が自由に飲める身分になれたら、焼酎(しょうちゅう)が
恋しくなる。
就寝(しゅうしん)しようとして、何となく頭に浮かんできた考えだった。
何故(なぜ)だろう、まるで小学生が大人(おとな)ってこうだろうと思うような考えじゃないか。
でも、当っても居ないが、外れても居ない。大人って何?という核心を言い当てている
訳ではないが、それなりに考えているような気もする。
先日、海外ミステリ文庫の棚でどれを買おうか迷っている少年を見たせいかも
しれない。子供の頃、文庫本を好きなだけ買えて読めるのは羨ましかったと思う。
今は、翻訳にはけちをつけるし、ろくろく筋を確かめもせず、ただ、読み飛ばすだけ。
地図と時刻表なんか見もしない。
#次は「建物」「声」「碁」で御願いします。(ぺこり
148 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/06 16:41
有香はほとほと疲れ果て、引越しを決意した。
警察も大家も隣人も友人、知人もあてにはできない。
新しい住居となったオートロックのマンションは、24時間警備員が建物内を巡回してくれている。それなのに――。
夜になると有香を呼ぶあいつの声がした。「ゆーかー、ゆーかああぁぁぁー」
どうして、ここがわかったの!?
骨の髄まで染み入るような男の薄気味悪い声に頭をかかえ、ふとんに潜り込む。
「ゆぅーかあぁぁ」
たまらなくなって、ベッドを抜け出す。声は窓の外からする。
まさか・・・だってここ、9階だよ?
思いきって、カーテンを掴んだ手を勢いよく引いてみる。いた!
ベランダに座っている。手にはいつもの碁盤を持ってさえいた。
「いっしょに、あそぼうよー。ゆか・・・」
「あんたね、うざいのよ!なんでこんなとこまで追いかけてくるの?今日という今日は警察に突き出してやる!」
有香は受話器を取ると、迷わずダイヤルする。「はい、110番です」
「あの、いま、部屋に変な男が来て――」ベランダを見ると、男は消えていた。
そんな――。
「もしもし、大丈夫ですか?もしもし――」
あいつ、単なるストーカーじゃないのかもしれない・・・間違いない、あいつは――。
きっとロッククライミングもできるんだわ!
心霊現象というものを全く知らぬ有香であった。
次は「不定冠詞」「卓袱台」「滑舌」で。
149 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/07 18:57
「卓袱台」が読めなかったオレはまずコピペして
googleで検索してみることにした。
その結果がこれ。
>卓袱台「チャブダイ」
>昔、食卓を卓袱台と呼んだ。卓袱とは食事の中国語の表現だが、折り畳みの短い四足の食事用机である。円形の物が多かった。
ちゃぶ台という言葉のルーツが中国にあるということに関心をもったオレは
中国語を学んでみようと思い、図書館へ行くのだった。
中国語では時制はなく相を用いて時間を表す。
そして不定冠詞もない、そもそも冠詞という概念がない。
らしい。
文法はなかなか簡単だったのだがいざ音読しようとすると大変だった。
ピンインの概念はのっぺりとした口調のオレには難しく、
滑舌の悪さも手伝ってとても中国語には聞えないのだった。
「せっけん」「銀河」「駅」
星と星とを50年で結ぶ、貨物宇宙船にもトイレはあった。
トイレあるところ、便所掃除がある。
便所専門の技師が、細心の注意を払ってせっけんで磨く。全乗組員の生死に関わる仕事だ。
が、地球を旅立って3年は経ったある日、便所技師が顔面蒼白で船長室に飛びこむ。
「船長、大変です!便所が詰まっちゃいました」
「な、なにぃー!」
その通りだった、誰がどんなにがんばっても、便所は開通しなかった。
「な、なんということだ・・・」「私のせいじゃないもん」
最短の惑星駅まで45年。その間、ロケットの扉は一切開閉できない・・・
30年後。とうとう汚物は肩まできた。
便所技師は小柄だから、船長に肩車で生活していた。
「こんな死に方は、いやだ」
ギリギリまで量を絞った宇宙食を食べながら、船長は思う。
便所技師の声が、肩の上から聞こえる。
「この宇宙食・・・どこから湧いてくるのかしら?」
※現実にロケットではトイレは重要設備とか!?
次のお題は:「黒髪」「草原」「地下道」でお願いします。
151 :
999 ◆D0999.o. :02/03/07 23:14
「黒髪」「草原」「地下道」
「どういうことだ!?」
俺は、相棒に詰め寄った。地下道を抜け、地上に出ると、そこは
既に包囲されており、サーチライトが俺たちを照らした。相棒の
話では、寂びれた廃屋の前に続いており、そこでは別の仲間が、
逃亡車を用意して俺たちをまっているはずだった。
ばらばらと、ヘリコプターの音までが聞こえる。用意周到なことだ。
低空で飛行するヘリの巻き起こす爆風が、ただっ広い草原を激しく
揺らした。草と一緒に、相棒の長髪もゆれる。茶髪ではない。鬱陶しい、
黒髪だった。
「裏切ったのか」
俺は、相棒の衿に手をかけた。奴は薄笑いを浮かべた。サーチライトの
向こうには人影が見え、その手にかすかに光るのは確かに銃口だった。
相棒は、無言のまま俺の胸ポケットから例のデータの入ったディスクを
抜き取った。俺は、俺の命運を絶つことになるかもしれない光ディスクを
見守った。児童ポルノ法が施行されて10年、たかがエロゲのために
こんなことになるなんて思いもしなかった。
「寺」「広報誌」「桃色」
雨の降る都心の無表情な町並みを駆けていく一人の少女が居た。
後ろで結んだ黒髪を靡かせながら颯爽と走るその姿はまるで
草原を行く馬のようだった。
雨の降る日、彼女は時々ここへ現れる。
いや・・・本当はいつも通っているのだが誰も気付かないのだ。
オフィスビルの建ち並ぶこの通りで、
いちいちすれ違う他人の顔を確かめる者など居ない。
雨の降る日だけ、彼女は道行く人々の注目を集めたのだ。
地下道を通ればいいじゃないか・・・誰もがそう思っていた。
しかしやはり都会とはそういうものなのか、
一人としてそれを口にする者はなかった。
そしてまた今日も彼女は無駄に雨に濡れながら走り続けるのだった。
#かぶった。
#お題は
>>151です。
153 :
「寺」「広報誌」「桃色」:02/03/08 16:33
まあこのご時世にお寺なんていうのは流行らないものだけれど、
この寺は寂れてるだけではない。
ひと味違うのだよ。
解るかい?妙齢の女性がこう会社の広報誌を読みながらぼおっとしてるとだね、
「ほう、最近流行りのIT業界におつとめですか」
とかなんとか言って住職が近づくんだよ。
勿論目的はお互いの仕事の話なんかじゃない。
あの人は僧職にあるまじき破戒僧だからね、することといったら桃色遊戯さ。
あれ、まあもうちょっと聞いてくれてもいいじゃないか。
これぐらいの話はどこだってある。
で、だね、その破戒僧ときたらなんでそんな趣味に走ったかっていうと・・
知りたい?知りたかろう。
実は単純な話なんだよ。最初に「このご時世にお寺は流行らない」って言ったろ?
その住職が思いついた客寄せ方が、「性犯罪で逮捕されまくる」だったんだと。
確かに警察と野次馬は寄るだろうねえ?
・・・謎ですな。お題は「パールカラー」「液晶」「ちょっと贅沢」で。
154 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/09 05:45
「パールカラー」「液晶」「ちょっと贅沢」
失恋のあとは、ちょっとだけ贅沢するの。
いつもと違う階でドレスを買って、
パールカラーの口紅も買った。
ちょっとだけ高めのお店。カウンターに座って注文。
指定席で映画鑑賞。思いっきり泣いておく。
お風呂に入って寝る前に、液晶画面に映るナンバー、
親指ピッで、全ておしまい。
明日、あたしはいい女。
きっと、昨日のあたしより。
#金曜の夜は夜更かしビデオ
#次は「ユリイカ」「わかった」「風呂の中」で。
いかん。
ちょっとだけ贅沢するの→ちょっと贅沢してみるの
基本的なミスだ……
156 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/09 09:12
「ユリイカ? イカの種類か? 俺はスルメイカが好きだな。
俺とイイこと、するめーいか? なんちゃって」
このデブハゲ! オヤジかませてんじゃねーよ!
「がはははは! わかったわかった。
しかし、キミもいい年なんだから、このくらいのギャグ笑い飛ばさんといかんよ」
うるせー! ってんだろ! てめーのはギャグじゃねー!
「まあ、キミもヒマそうだね。
一緒に風呂でも入って、背中の流しっこでも……」
バシン!
ついに私は、息子の尻をはり飛ばした。
まったく幼稚園児のくせに、どこで覚えてくるのよこんなこと。
お次は「直接」「火に」「かけないでください」でお願いします。
「もう、両天秤にかけないでください」
俺の妄想の中で、眼鏡ッ子(17歳)は、瞳をうるませて叫ぶのだった。
うむぅ、ここで両手を口元にあてて、いやいやするのだな。
なぜに17歳なのかは不明だが、可愛ければ全ては許されるのだ。
さて、この場面からどう話をふくらませるべきだろうか。
いつまでも萌え要素てんこもりなだけで話を押していくのが無理なことぐらい承知している。
こっから、脈絡無しに直接、濡れ場をといっても、乱れた着衣を押さえ
竦ませた肩先が覘く程度でいいんだがに持っていくのも芸がない。
というか、捻りなさすぎである。
ここは、とろ火にて煮込んでいき、切り札は最後まで取っておくのが
正しい選択ではあるまいか。。。
お次は「羽根つき」「奉行」「とりもち」で御願いします。
158 :
「羽根つき」「奉行」「とりもち」:02/03/09 22:14
−−−では映画全体に関するインタビューが終わりましたので、これから
演じてみたい役などを。
しぃ山「そうですね、今回の役がすごい理知的なヒロインって感じだったのですごい
のんびりした感じの子を。時代劇の中で羽根つきかなんかしてたいです」
−−−羽根つきとはまたピンポイントな。ではズサ野さんは?
ズサ野「しぃ山ちゃんと一緒の作品が良い(笑)。お奉行さんか何かだな。それで
しぃ山ちゃんがさらわれたところを助けるの(笑)」
−−−おぉっ、随分大胆な発言をなさいますね。
しぃ山「週刊誌が騒ぐような発言はやめてくださいって(苦笑)!」
ズサ野「いいじゃんよー(拗ねる。)。腕力じゃなくて頭で勝負する人がいいな。
行きそうなところにとりもちを仕掛けておくとかね」
しぃ山「とりもちで引っかかる誘拐犯ですかぁ?その時代でもいないと思う・・」
−−−盛り上がりそうなところ悪いんですが、そろそろお時間が・・
しぃ山・ズサ野「今日はどうもありがとうございます。是非上映している間に
見に来てくださいね!」
お次は「島唄」「生き残り」「叶わぬ恋」でお願いします。
159 :
「島唄」「生き残り」「叶わぬ恋」:02/03/10 01:20
青い海、青い空、白い砂浜。
ああ、なんて素晴らしいところなのだろう。
信二は非の打ち所のないようなその自然に素直に感動していた。
夏休みに学校の修学旅行で沖縄にきていたのだ。
沖縄と言っても今泊まっているのは本土ではなく北東にある〜島というとこにあるホテルだ。
(今度こそ愛ちゃんに告白するぞ!)
信二はホテルの窓から海をみながらそんなことを考えていた。
愛ちゃんとは信二のクラスメイトで、美人で気立てもよくクラスのマドンナ的存在の女の子である。
頭も悪く、スポーツも苦手、顔もあまりよろしくない信二とは天と地ほどにかけ離れた存在だった。
信二自信も叶わぬ恋と思っていた、しかしやはり諦められなくこの修学旅行中になんとか告白したいと考えていたのだ。
(男だろ信二!)
信二が自分で自分に言い聞かせたその時、後ろから気の抜けるようなメロディーが流れてきた島歌である。
せっかく人が気合を入れてたのにと思いつつ信二は島歌のメロディーに聞き入っていた。
これから生き残りをかけた血みどろの戦いが行われるとは
このときの信二には思っても見なかった・・・
お次は「胃液」「美」「独占」でお願いします。
160 :
「胃液」「美」「独占」:02/03/10 04:31
「胃液」「美」「独占」
美は行雄によって見出され、分類され、透過され、統合される。
そして、行雄に独占されるべきものなのだ。
同世代の多くの男たちは、若い女の笑顔や愛車にそれを見出すことが多いようだが、行雄は違った。
尿。その高貴な黄色をした液体は、バカラのグラスによく似合う。茶色味の強い尿はブランデーグラスが、ビタミン摂取後の濃い黄色の尿はワイングラスがふさわしい。
胃液。この貴重な液体を望んで、行雄は徘徊する。夜の街を。
次は、「徘徊」「バカラ」「透過」で
161 :
、「徘徊」「バカラ」「透過」:02/03/10 04:44
「バカラ、ばから、ばからったんらよぉ、私がぁ。あたしがバカらったんら」
彰子は、も、べろんべろん。
ったく、シツレンしたくらいで、なんだよ、そのザマは。
まぁね、こうなったら、つきあってやるけどさ。
はい、次、行こう!
久しぶり。夜の六本木の徘徊は、悪くない。
それに、なんたって彰子のオゴリなんだもんね。
しっかりしなって。階段なんだから、さ。ほら、肩貸してあげるから。
ぐぇぇぇ、重い! こりゃあ、結婚詐欺のカモ体重だぁ。
階段を降りたところのドアには「透過」。
けっこう、イケルバーなんだ、ここ。
次は、「カモ」「体重」「オゴリ」で
162 :
さっきのヒト:02/03/10 04:53
「カモ」「体重」「オゴリ」じゃ、ワンパになりそうなので、
ちがうお題を考えてみました。
「猿」「虹」「手錠」でいかがでしょうか。
どちらでも結構です。
「カモ」「体重」「オゴリ」「猿」「虹」「手錠」
祖父のオゴリで、来週はハワイ旅行。
見栄っ張りの母は、我が子にはそんな嬉しい表情は見せない。
「猿の様にアウトレットを漁る、日本人はカモよねえ」
と、なかなか手厳しい。
でも、私には分かる。40を超えてもハワイは嬉しいのだ。
来週のハワイの海にむけ、懸命に体重をしぼっている。
手錠で家庭に縛られた様な、主婦の生活からの開放。
いまや母の頭の中には、すでに南洋の虹がかかってるに違いない。
いつもの様に夕飯を作る。その後姿にあふれる期待感!
今も意識はハワイなのか、味噌汁をしゃもじからこぼした。
熱い味噌汁が母の中腹にかかり、赤いやけどを作った。
「あちちっ!」
「パレオくらい巻いといた方がいいんじゃないの?母さん」
「ははは・・・」と気恥ずかしそうに、前かがみに食卓を拭く母。
浮き輪がひっかかるから。
※むりやり6題いれさせていただきました;
次のお題は:「日常」「特高」「温泉」でお願いしまふ。
164 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/10 14:48
「日常」「特高」「温泉」
「お客さんも、結構長居でやすな」
「ああ、日常に疲れ切ってね。会社を辞めて小説家にでもなろうかと」
「そうですか、そうですか。じゃ、お背中でも」
「こりゃ、どうも」
「あたしもですな。昔は特高は鬼の権三郎と云われとりまして」
「そうかいそうかい」
「今でもアカが憎くて憎くて、今はこんな温泉場でアカ擦りやっとります」
「…………」
カポーン
#次は「断面図」「立面図」「平面図」で。
「日常」「特高」「温泉」
特高――特別高等警察の略。高等警察の一部。旧制で、思想犯罪に対処するための警察。内務省直轄で、社会運動などの弾圧にあたった。第二次大戦後廃止。
『広辞苑』から眼をあげて、松永は窓の外を見る。
なぜ今さら、辞書など引いてしまったのか。
辞書など引かなくとも、よく知っている、ことだ。
あれこそが正義のための機関だったのだ。
世人が想像するように、松永の人生がその前歴によって人生に暗い影を及ぼすことは、なかった。
それどころか・・・。
温泉が湧く保養地のデスクの前で、松永は満足とともに肯いた。
彼の顔には、笑顔らしきものが浮かんでいる。
今の松永の日常は、ゆったりと流れる。
朝6時に起床。散歩、食事、読書・・・、そして睡眠。
最近、夢を見る。
松永は血みどろになった男を、軍靴で蹴り続ける。
男の顔もまた、松永である。
#165 操作ミスで、タイトルやお題を書く前に、
間違ってアップしてしまいました。
アップしたら、既に「日常」「特高」「温泉」が・・・(--;
というわけで、次のお題は
#164の人の「断面図」「立面図」「平面図」で、お願いします。
「断面図」「立面図」「平面図」
小男が、黒板の前で大きな声でしゃべっている。
「これが立面図、これが平面図だ。わかったか!」
「吉田、おまえ、何を外見てんだっ!」
隣の席の吉田は、授業中、ずっと外を見てる。チビオトコに、一番後ろの席にいる俺たちの姿が見えるのが不思議だ。オレは吉田の足を蹴って合図した。
「・・・はい」
「立面図と平面図と断面図を説明してみろ」
「立面図は、平面図でも断面図でもないもの。平面図は、立面図でも断面図でもないもの」
チビオトコは、教室の後ろまでタタッと走ってきたと思ったら、吉田のガクランの衿をつかんだ。
「なめとるのかっ! 試験の成績がいくらよくても!!」
吉田が立った。チビオトコは吉田の胸のあたりまでしかない。
「先生が見てるのが、オレの立面図の一部。オレがこうやったら、先生の平面図が見える」
教室がどっと湧いた。チビオトコはハゲである。
次のお題は、「ハゲ」「影武者」「町並み」で・・・。
168 :
「ハゲ」「影武者」「町並み」:02/03/11 02:33
「ふう」
ため息をつきながらも重い腰を上げる。
午前5時32分。そろそろ朝日がのぼる時間だ。よし。
私はブラインドを上げ、まだ薄暗く輪郭もはっきりとしない町並みを見下ろす。
「私が歩んできた道は間違っていたのだろうか・・・」
だんだんと白みがかってくる空をみつめながら私は自問自答する。
頭もハゲあがり、毛髪も白い面積が若々しい黒を浸食してきている。
(今からでも遅くはない。あの人の影武者としてでも
生きていけるのではないか?そうだ!今のニュースは私の話題で
持ちきりだ。私のあの「名言」も流行語大賞にノミネートされるやも・・・。
よし!よし!それを足がかりに、芸能界へと進出するのも悪くない)
「全てはここから始まる」
そう。この言葉
「それはいかがなものとかと・・・・」
次のお題は「障子」「福耳」「針葉樹」
現代女性の悩みに答える画期的新製品の紹介です。
過重労働、電磁波、パソコン、掲示板の粘着レス・・・
現代社会にはストレスが多く、様々な病の原因となっています。
ストレスに起因する小ジワ、皮膚炎、ハゲ、にきび等は女性の大敵。
弊社の影武者はそんな貴女の悩みを一気に解消します!!
影武者が貴女の仕事からプライベートまで、貴女に代わって行動し、
すべてのストレスを引き受けますので、貴女には一切ストレスがかかりません。
オプションでハイプロポーション影武者を選択すれば
理想的なボディラインを手に入れることも!
これであなたも小野小町並みの美人に!
ありゃ、かぶったのでお題は
>>168
170 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/11 14:39
――ざわざわ――。
騒いでいる。四隣は針葉樹の森だ。風などないと云うのに。
「それで、どうしなさった?」
行灯の仄かな明かりに老人の皺くれだった面が浮かぶ。
「はい――」
女の声だ。まだ若く聞こえる。だが、容姿は夕闇に紛れてしまっている。
「はいでは判らんな」
老人は湿った声で云う。
「ですから――」
女は口籠もり、僅かに身を捩った。ふと、女の横顔が灯りに触れた。
福耳――か、老人は見蕩れてしまった。それほどに美しかった。
「ですから、夫は私が殺したのでございます」
「それは聞いた」
――ざわざわ――。
「だのに、夫はそこに居るのでございます」
震える指は、老人の後背の障子を指していた。
「DVD」「ジャズ」「オーブ」
171 :
七士権兵衛:02/03/12 06:08
「DVD」「ジャズ」「オーブ」
妻はジャズ狂い。最近は「キス・オブ・ファイア」に、はまってる。
仁志は、またゲームか・・・。
「灯台の塔の中でブルーオーブを取るの、忘れちゃいけない」
二人の様子にむかっとして、妻のヘッドホンをはずし、ゲームのコンセントを抜いた。
「なんだよ、いいとこだったのに」
そんなこと、知るか。
「あの宝くじ、当たったんだ」
「いくら?」「すごい」
きゃつらの目はランランと輝く。
「いくら当たったのよ! 3000万? 1億?」
妻の目の中に$マーク。
「そんなラッキーあるわけないだろ。10万」
「たった、ジュウマ〜ン! ヤスオの欲しかったDVDでも買えばぁ」
そんな小さな幸せが欲しいと思う38歳のボク。手遅れじゃないよなぁ。
#全部、不得意な単語だった。これって、イイワケ、丸見え。スマソ
次のお題は、「節句」「新居」「キリン」で
172 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/12 09:42
やはり、これはまずい、と四畳一間から越してきてはや半年。
新居で迎える初めての桃の節句であった。
妻は家中の箱という箱をかき集めてせっせと積み重ねる。
赤いストールをさらりとかけて、二才になる愛娘の玩具を並べる。
間に合わせの雛飾りか。
しかし、いくらなんでもお内裏様がキリンでいいのだろうか?
卓袱台に目を遣ると湯のみに注がれた乳白色の液体があった。
「おや、これは甘酒か」と、湯のみをとる。
「やあね、それは米のとぎ汁よ。ま、気分だけでもと思って」と、苦笑する妻。
私は胸が苦しくなる。
「この子の物心つくまでには本物のお雛様、買ってあげたいわね」
「大丈夫さ。今年中に必ず新人賞を獲ってデビューするからさ」
妻は大きな溜息をひとつついて、「じゃあ、あたしパート行ってくる」と立ちあがった。
次は「権威」「とりで」「法螺(ほら)」で。
173 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/12 12:45
「権威」「とりで」「法螺(ほら)」
「ねぇ、ノナえもん。お願いがあるんだ(猫なで声)」
「……またかいモリ太くん。で、なんだい(疑り深げな流し目)」
「実は、かくかくしかじかで……」
「読者に不親切な説明だね。そんなのは良くないよ。モリ太くん(権威主義的な口調)」
「そういわずに、頼むよ。大切な友達が大変なんだ。ノナえもんが最後のとりでなんだ(哀願調)」
「しょうがないなぁ。いつものことだけどさ(溜息混じり)」
不自然なファンファーレが鳴り響く中、四次元ポケットから法螺貝そっくりの謎の物体が出現。
「法螺メガホン! −−大事な場面で吹くと絶対ばれない素敵なウソがつけるんだ。ほら」
ぷっぷくぷー
『モリ太くんのコメントはいつも適切。モリ太くんはサッカーに詳しい。
日本代表は韓国にアウェーで勝ったことはない。日本は誰がどう見ても神の国。
これ絶対ホント』
「やったー。じゃあ、これムネオに渡してくるね(走り出し、すぐにこけ、また走り出す)」
ノナえもんは四次元ポケットからハバナ葉巻を取り出し火をつける。
「裏切り者の加藤杉くんを汚職リークで潰しておいたから、何とかなるよ。やれやれ……(遠い目)」
ノナえもん。深い溜息とともに煙を吐き出し、ニヤリ。
#次は「南米文学」「駅前ロータリー」「Mpeg3」
174 :
「南米文学」「駅前ロータリー」「Mpeg3」:02/03/12 20:22
この大学に勤めるようになって早10年経つが、まさかこんなことになるとは
思っても居なかった。
人はやり込められそうになると出来るわけないようなことをやると宣言してしまう
もので----
いまこうやって駅前ロータリーに着いて、空港へ続く特急に乗ろうとしている私の
目的地がどこかと言うと、南米である。
そもそも始まりは何だったかな。ああ、ちょっと差別主義のきらいがある助教授が
「南米に文学と呼べるような伝統ある文芸作品はない」と言ったのに対して、
つい血が上って「ならば私が現地に飛んで、南米文学と呼ぶに値する作品を
見つけて来てやる」と言ったんだっけ・・・
自分でしたことながら記憶が曖昧だ。それだけキレていたということか。
ノートパソコンを起動して、ありったけダウンロードしておいたMpeg3ファイル
の入ったフォルダを開く。これだけあれば現地での暇つぶしになるだろう。
ちなみに中身はというと、年甲斐もなく若い女性歌手のプロモーションビデオだ。
もうすぐ特急が来る。私の安易な一言への罰、その第一歩となる電車が。
お次は「無感情」「片想い」「碧眼」でおねがいします。
175 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/12 22:12
「無感情」「片想い」「碧眼」
憧れで国際結婚をして失敗する女性というのが結構いるらしい。
黒い肌に憧れたり、金髪碧眼に憧れたり、それだけでつきあいを始め、向こう
が優しいからと云って勘違いして、ラブラブ状態のまま結婚してしまうと、後々
文化・コミュニケーションギャップに耐えられずアッサリと離婚してしまう事が
多いそうだ。
この手の人種信仰は日本だけではないし、自分は人種差別をするつもりもない
ので、国際結婚自体は否定しないが、夜な夜なクラブに外国人漁りに行ったりす
るのはどうだろう。女を抱きたい外国人と外国人に抱かれたい日本女性。利害の
一致と云えば聞こえが良いが、彼らから見れば旅は恥はカキすて、片想いより切
ない関係ではないか?
日本の女よ!彼らは無感情ではないがその愛情は見せかけなのだぞ。
彼らの中には犯罪に関わっているものも沢山いるのだぞ。
日本の男よ!大切な女(ひと)を肉欲のままに寝取られているのだぞ。
自分など、東南アジアに10人程妾がいるぞ。
いまの厳しい時代こそ「NOと云える日本人」でありたいではないか。
(58才 都知事 匿名希望)
#次は「聖」「性」「姓」で。
「聖」「性」「姓」
===== あの「3DMark2000」が、遂に映画化! =====
<ストーリー>
百姓娘としての生活に絶望した主人公は、遂に決意を固めた。
彼女は、誰にでも性を転換してくれる「聖なるマシーン」の街を求めて旅立つ。
戦闘ヘリコプターが、「聖マシーン信仰教団」が、その行く手を阻む。
その渦中に飛びこむ彼女。
恋も夢も望みも棄てて、性転換のために命を賭ける。
そして、遂に辿り着いた「聖なるマシーン」は彼女の転換プロセスを起動する。
細胞レベルに分解され、染色体から再構成される彼女。
目覚めた時、彼女は生命のプールというべき、生気に満ちた場所にいた。
或る古屋敷の記憶が、断片的に蘇る。
そうだ!このプールは、かつて自分が生まれた屋敷の浄化槽だ。肥溜だ。
彼女は、その身体一杯に養分を吸いこんだ。
人間という動物から「植物性」に転換された彼女の、それが最初の記憶だった。
※無料招待券があったら見るかも(^^;
次のお題は:「泡」「XML」「白衣」でお願いします。
177 :
ある戦闘機乗りの述懐:02/03/13 00:19
私、ロバート・マクレガーは操縦桿を目いっぱい引き、左足でバーを踏み込んだ。
愛機F4Uコルセアは右に機体をひねり、上昇する。急旋回には定評のある機体だった。
どうだ! ついてこれまい!
重いGを感じながら私は右後ろを振り返った。
ばかな・・・!
敵の戦闘機、日本のずんぐりむっくりしたヤツは、むしろ距離を縮めつつあった。
何てヤツだ! ゼロとは違うのか!
相手がゼロファイターなら、逃げ切れるはずだった。
私は焦った。が、空中戦は焦ったら負けだ。ヤツ、のちに知ったが雷電という名の戦闘機は
見事に私の後ろを取り、20ミリの重たい銃弾を浴びせかけた。
死ぬ。
私は感じた。太平洋上で、泡のように散ってしまうのだと。
機体のきしむ音、異常な熱。キャノピーが吹っ飛んだ。右主翼から炎が吹いた。
垂直尾翼が機体の前へ飛んでいった。
尾翼には整備兵のフィリップが書きこんだXMLのヘタクソな文字が見えた。
あの野郎、何が生還のおまじないだ!
そして、私は機体からはじき出された。
気がつくと私は、ベッドに横たわっていた。
「気がつきましたか。」
白衣を着た女性がいた。彼女はマリーという名だった。私は運良く友軍の哨戒機に発見され、
病院船に乗せられていたんだ・・。
ロバートはそう言うと、懐かしむように目を閉じた。彼の孫たちは満足げに言った。
「いやあ、何時聞いても手に汗にぎるよね、おじいちゃんたちの馴れ初め。」
次、「水陸両用」「シルバー」「紀元前」
178 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/13 02:46
「水陸両用」「シルバー」「紀元前」
私は今、紀元前の地層を掘っている。紀元前というとかなり前の事のように
思えるだろうが、全然そんな事は無い。地球の歴史でいうとほんの昨日みたい
なもんだ。
カツリ。シャベルの先になにか異物を感じる。長年の経験でこれが遺跡だった
事など数えるほどもないが、やはりこの瞬間は心躍るものだ。慎重に、ゆっくり
と土を取り除いてゆく。だんだん見えてきたその骨格は鈍い銀色に輝いている。
思わず叫び声を上げて助手を呼び、そこを丁寧に掘削してゆく。しかし、遺跡
にしてはどうも小さい。およそ30分も掘ったところでその正体はあっさり明らか
となった。
水陸両用自走砲台、シルバークラフト。何千年も前に戦争に使われた兵器だ。
ため息をつきながら空を見上げる。寒いわけだ。ゆっくりと白いものが降って
きていた。
核の冬はまだまだ終わりそうに無い。
#次は、「水」「電子手帳」「マウス」で。
お題:「水」「電子手帳」「マウス」
アイスコーヒーの氷が解けきって、
グラスの中ではっきりと二層になっている。
ロータリーぞいの喫茶店から見下ろす人の流れが好きだ。
まるで汚染された河のように、何の迷いもなく黒い服の人々が流れて行く。
未登録のままの電子手帳のような空虚な生活が、遠慮なく訪れる。
マウスピースさえ付けていれば、歯が飛ぶことはない。
そう信じ込んで戦いを挑むボクサーのような生き方なんか出来やしない。
ただ、平穏に時間だけが抜け落ちてゆく。
幸せと不幸せの境界線上で、限りなくゼロに近づいてゆく、存在価値。
人が流れて行く。雲が流れて行く。時間が流れて行く。幸せが流れて行く。
アイスコーヒーの味を失った液体だけでは、渇きを癒せない。
砂漠に立ち尽くすことしかできない哀れな魂に、
願わくば、恵みの雨を。
水泡に帰す総ての希望へ、
願わくば、北極星の輝きを。
#次は、「高速道路」「だるま」「天気予報」で、よろしくです。
180 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/13 09:39
天気予報は午後から一時雨。
起き抜けの清々しく晴れ渡った空を信じて、家中のふとんを干してきたわたしは、仕事の合間をみて、帰宅する。
こういうとき、営業やっててよかったって思う。
逆を返せば、こういうときしか営業やっててよかった、なんて思えないんだけど。
でも、家に帰るとだめだよね。妙にくつろいじゃって時間があっという間にたっちゃう。
午後の会議まであと20分。やばい、高速道路つかってなんとか間に合うってとこかな?
というわけで、慌しく家を飛び出し、車を出す。
だけど、高速道路は封鎖中だった。なんで?
「だるまが転がっちゃってるからね、いたるところに。危ないでしょ?」
と警備員が言った。
「どうしてだるまが転がっているんですか?しかも高速道路のいたるところに?」
この手の質問に、彼は答え飽きているようだった。うんざりした顔をして、
「とにかく、いまは高速道路つかえないの。ほら行った、行った」と追い払われた。
わたしとしても、これ以上会議に遅れるわけにもいかなかったのでやむなく立ち去った。
どうして、だるまが転がっているんだ?釈然としない気分だったが、高速道路のいたるところにだるまが転がっていることを想像してみるとなんだかとっても楽しくなった。
次は「転身」「青銅器」「散文」で。
181 :
七士権兵衛:02/03/13 22:15
「転身」「青銅器」「散文」
「ミロにはさぁ、たとえば銅鐸持たせて歌わせるとか。マンネリのミロに、今、必要なのは、華麗な転身なんだ! そこんとこ、よろしく」
「本多さん、それ、すごく、おもしろいかも。銅鐸とそれに合う衣装、探しましょうか」
つきあってらんない!といったら、おしまい。どんな奇妙な注文も、ニコニコ聞いて実現する。それがスタイリストの麻子の仕事。
スタイリストはあこがれの職業なんだって? 笑っちゃうわね。こんな空虚な散文的仕事、ほかにないんじゃないの?
1年前のことを麻子は思い出す。
今、麻子は博物館でアルバイトしながら、美大の聴講生をしている。
あの青銅器に魅せられてしまったのだ。
もう無理難題にニコニコ応じる必要はない。
麻子の転身は、華麗ではない。
次は、「18度」「娼婦」「勉強会」でお願いします。
182 :
18度・娼婦・勉強会 :02/03/13 23:09
僕がその部屋の扉を開けると、30代と思われる女性が5人ほどダブルベッドを取り囲むように佇んでいた。
桃色のシーツが敷かれたそのベッドは、
シーツと同色のカップル用の大きな枕が恥ずかしそうに飾られていた。
「こんにちは」
マリさんが僕に声をかけると、名前も知らない他の女性たちも僕に向かって一様に18度ほど首を下げた。
僕も英国紳士宜しく挨拶をしようとしたが、
5人の娼婦のようなみだらな眼差しに萎縮して言葉を発せられなかった。
もっとも娼婦としてやっていけるほどの器量を持つ女性はマリさんだけだったが・・・。
「じゃ、タカシ君さっそく始めようか」
「え、でも・・・。僕は何をすれば・・・」
僕がその場でうろたえていると少し太り目の女性が僕の腕を強引に引っ張り、ベッドへと誘った。
「ひとまず、そこに横になってよ」
太り目の女性にかすれた声で指図しされ、僕はしぶしぶ仰向けに寝そべった。
「それでは、お勉強会を開始しましょう」
マリさんのその合図と同じに、白く小さな誰かの指が僕の下腹部にそっと触れた。
次は「カプセル」「換気扇」「背徳」で。
183 :
代打ちくん:02/03/14 00:16
ネタ以外も読みたい!と軽い気持ちで云ったんだが、影響しちまったかな?スマソ。
でも良作がイッパイ出てきたので、結果オーライだ(W
173 自作。慣れないことはやるもんじゃない。
174 良。よくまとまってる。
Mpegがサッカーの映像だったりしたら良かったかも。
175 自作パス。
176 巧い。「植物性」はよく考えると結構厳しい。が、それを感じさせない。
177 タイタニクオチだな。長文だがダレてはいない。良。
178 カタストロフ後の考古学か……皮肉な職業だな。
うっすらとした寒さがあって良い。「シルバークラフト」創作でないよね?
179 平穏の中で熱死していく、自らに対する不安を、淡々としたリズムで描ききった。
ナイス文章力。お題消化も良い比喩で見事。
180 確かにそれはそこはかとなく愉快な光景だ。良。改行キボンニュ!
181 きちんとまとまっている佳作。が「散文」チョト厳しい。改行もキボンニュ!
182 期待感と嫌悪感が相半ば(W
女性のセリフがもう少し上品だと、よりそれらしくなったと思う。
>>500 ナニゲにゲッター。憎いね。
簡素ありがとさん。またよろしこめかどっく。
>173 法螺メガホン、あまり役立たないね(w
それでも見破れないのさ、モリ太くんには(w
184 :
「18度」「娼婦」「勉強会」:02/03/14 00:17
「18度」「娼婦」「勉強会」
もうすっかり春。明日の気温は、18度なんだって、さっきテレビで言っていた。
「パリのサンドニ通りには、娼婦たちが立っています。彼女らは・・・」
アナウンサーがそう言ったとき、浩美はテレビを消した。
浩美は、高校1年のとき、援助交際をしていた。
需要と供給、オヤジと女子高生、お金と笑顔。そこにセックスが入ったり入らなかったり。
娼婦なんかと自分が重なるところは、どこにもなかったはず。
それなのに、どうしてテレビなんか消してしまうんだろ。
先週の勉強会で、言っていた。
「拒食症には原因があるんですね。その原因を探るきっかけを、ここで探してみましょう」
もし、もしも自分の拒食症に原因があるとするなら、あの頃のこと?
「ママさぁ、デパートで買い物してたら、すっかり遅くなっちゃってぇ」
あいつが帰ってきた。そのとき、浩美にはわかった。
絶対に、コイツみたいに、ぶよぶよ太った雌豚になりたくないんだ、私は。
#すでに182が同じ題でアップされているようですが、せっかく書いたので(--;、アップします。
次は「カプセル」「換気扇」「背徳」で。
187 :
「カプセル」「換気扇」「背徳」:02/03/14 00:33
「カプセル」「換気扇」「背徳」
「どうして台所の換気扇を回しておくのかなぁ。
料理作った後は、換気扇を切っておく」
孝治はたまりかねて、由紀子に言う。
濁ったグラスを丁寧に洗い、浄水器の水を汲んで、
孝治はカプセルに入った薬を飲む。
山内が来たときは、必ず換気扇を回す。
背徳の匂いが、家中にたちこめるような気がするから。
神経質な夫は、まだその匂いには気づいていないようだ。
#次は、「需要」「萎縮」「営業」でお願いします。
188 :
、「需要」「萎縮」「営業」:02/03/14 01:22
「需要」「萎縮」「営業」
「消費者の需要によって、企業は成り立っている。
しかし、その需要は掘り起こさなければならない。わかるね、ン?」
ンなこと、イマドキの小学生でも・・・わからないか。
新人研修はくだらない、サイテーである、クソクラエである、死んでまえである、
ブラックホールに吸い込まれろである。
川田は、絶えず心の内でののしる必要があった。
でないと、眠気のブラックホールに・・・。
つまらないギャグが浮かんで、川田はにやついてしまった。
「そこの君、なかなか余裕がある。
今年の新人は萎縮していなくて、なかなかよろしい。
需要を掘り起こすためには、萎縮していちゃいかんのだ」
ひょっとして、シャチョーのは、萎縮してますか?
シャチョーの需要を掘り起こすために、奥さんはなにか努力してますか?
それとも、街の蝶ネクタイのお兄さんの営業に、任せてますか?
川田の右手が「俺を上に挙げろ」と、川田を焚きつける。
#次は、「ホワイトデー」「銭湯」「サブカルチャー」でお願いします。
189 :
、「ホワイトデー」「銭湯」「サブカルチャー」:02/03/14 04:04
「ホワイトデー」「銭湯」「サブカルチャー」
ホワイトデーに、正志がくれた白い封筒には銭湯の入浴券が入っていた。
今までさんざん遊んできた亜由美にも、初めての経験である。
こんなメモが入っていた。
「僕のアパートの近所にある銭湯の券です。
『サブカルチャーとしての銭湯』はとても魅力的だと思います。
もちろん、男湯と女湯に別れていますから安全ですし、
僕と別の日に券を使うのも、もちろん亜由美さんの自由です」
たら〜ん。
この不思議体験を進めるべきか、亜由美はしばらく迷ってから、きっぱり!
やっぱ、東大生とはつきあうの、よそうっと。
#次は、「体験」「蝶ネクタイ」「聴講生」でお願いします
190 :
、「ホワイトデー」「銭湯」「サブカルチャー」:02/03/14 04:18
#189 の本文、最後の1行に追加してください。
そのうち、ノイローゼになりそ。
191 :
999 ◆D0999.o. :02/03/14 04:29
「体験」「蝶ネクタイ」「聴講生」
夏休みの間にできるかぎりバイトをして、秋学期に備えなければならない
のだから、仕方がない。博士課程後期の試験に失敗し、聴講生をしながら
浪人し、再起を期す身分の哀しさだ。
とはいえ、「自然体験学習」の「おにいさん」役は苦痛以外の何ものでも
なかった。俺は密かに、いかにしていい「おにいさん」として振舞いながら、餓鬼
どもにさりげなく苦痛を与えるか、というゲームを始めた。
泥を嫌がる子供には、元気にあそぼう、と声をかけ、泥遊びを強制し、
虫を嫌う子供には、怖くないよ!蝶ネクタイだ、と捕まえた蝶々を首元に
離した。虫嫌いの子どもとはいえ、美しい蝶々はお気に召したようだった。
羽ばたき逃げようとする蝶を必死で捕まえようとする姿が微笑ましい。
微笑ましいとも。院試に落ちたとはいえ、俺は生物学で修士号を取得した
男だ。蝶々と偽ったのが、実は蛾だということも、多くの日本人の体質に対
してアレルギを引き起こして、翌日にはかぶれるであろうことも、知っていた。
さあ、ご飯を作ろう!ひときわ大きな声で、子どもたちに声を掛け、
飯盒の準備を始める。食事もまた、楽しいものとなるだろう。
「ストロベリー」「グランジ」「お宮参り」
192 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/14 11:39
今日は、日本の教会のようなところに行くんだって。
日本じゃ、赤ちゃんが生まれると、その和風の教会のようなところで、元気に育つようにとお祈りするのがシキタリらしいんだ。
アンナはストロベリーがいっぱいの白いキモノを着ておめかししている。
ひらひらとした帯がとてもきれい。だけど、ちょっと寒そうだな。
ダディは表参道を颯爽と歩いていく。少し遅れてアンナを抱いたマミィがぼくたちに続く。
日本じゃ、女の人は男の人より三歩うしろを歩かなくちゃいけないんだって。
「さあ、ついたぞ」とダディは薄汚い店に入っていった。
店の屋根には〈カフェ・グランジェ〉という看板。
扉を開けてびっくり。内装がとても神秘的だったのだ。
「これは鳥居っていうんだ」ダディが赤い門柱を触りながら言った。
「これは賽銭箱と言ってな」と、ダディはポケットのコインを投げ入れ「こうするんだ」と得意げに笑った。
「メイ アイ ヘルプ ユウ?」と親切そうな店員がマミィに声をかけてきた。
「今日ハ、オ宮参リニキタノデス」とマミィが片言の日本語でこたえると店員のおにいさんはとても優しい笑顔を浮かべて「ごゆっくり」と店の奥へ立ち去った。
ツギハ、「松明」「殺戮」「呪文」デ。
193 :
「松明」「殺戮」「呪文」:02/03/14 12:53
仕事に行き詰まったときに散歩に行く公園で、殺戮に興じる子供たちを見かけた。
「よーし、発射!」
一人がおぼつかない手つきで導火線に点火する。
ロケット花火は威勢良く火を噴いたが、括り付けられた雨蛙の重さで飛び上がれない。
やがて花火がぱちんと弾け、子供たちが一斉に笑った。
「こいつ、燃やしてみようぜ」
今度は大きなトノサマガエルにライターの油を塗り始める。
「人間松明ってやつ?」
繊細な皮膚に揮発性の液体を塗られて苦痛を感じるのか、蛙は激しく暴れた。
「なんまいだーなんまいだー」
誰かが唱え始めると、一人また一人と唱和した。
それは弔いの経と言うより生け贄の呪文のように禍々しく聞こえる。
次は「筆」「新芽」「平衡感覚」でお願い。
松明の炎が、じめじめした、艶のある岩壁を照らしていた。前を進む隊長の
背中と、隣の吉田の顔だけが、闇の中に浮かんでいた。
「ここの洞窟で、ほんとうに虐殺はあったんですか?」
僕は隊長の背中に問いかけた。声が洞窟の奥まで響いていた。
それにしても変な穴だ。人二人が並ぶくらいの幅しかなく、天井も低い。
何よりおもしろいのは、あなの先が際限なく続いている事だ。
地球の裏側にでも通じているのだろうか。
「ここで、中世時代、異端の宗教の者が、むごい拷問にかけられて殺戮されたのだ」
隊長が言った。
「このスペインはなかでもかなり残虐だって話だからね」
我々はしばし進んでいたが、吉田が妙なものを見つけた。
「壁に、岩壁に文字があります」
「んう?」
私は松明を近づけた。炎がぼうっと燃えた。隊長は壁に刻み付けられた文字を必死に眺めた。
「これは呪文だな」
「呪文?」
「そう。この地方に伝わる悪魔崇拝のものだ。彼等の教典によると、世界は光の届かないところにあるという」
195 :
「筆」「新芽」「平衡感覚」:02/03/14 16:51
「筆」「新芽」「平衡感覚」
新芽が萌え出すころ、私は家を出て、緑の世界に行く。
ママは、そんな私に言う。
「萌ちゃん、ほら、またきれいな緑の季節になったわね。萌ちゃんの平衡感覚が狂う季節よ、ほんとに困っちゃうこと」
ママは、そんな言葉とは裏腹におっとりと笑い、薄墨をふくんだ筆で、緑の世界の院長先生に宛てて、私の昨日の言動を書いている。
次は、「呪文」「ジュナイブル」「粉」でお願いします。
196 :
「呪文」「ジュナイブル」「粉」:02/03/14 17:02
「呪文」「ジュナイブル」「粉」
精一杯の幸せが散りばめられている手紙は、痛々しいことがある。胸が苦しくなることがある。
手紙の主は決して幸せでないことを自分の身体の奥底で知っているが、
それを絶対に自分では認められず、「私は幸せ」「人生は楽しい」と呪文のように唱えて暮らしている。
一人で唱えているだけでは不安で、その結果、幸せが散りばめられた手紙をこうして私のところに送ってくる。
最近、頻繁にやってくる手紙を読むたびに、由里子はそんなことを思って、苦笑する。
罪は由里子のほうにもある。
楽しく幸せにあふれたジュナイブルを書き続けた罪だ。
由里子が文学などとは程遠い、お気楽な日常を書き続けたのは、由里子にもまたそうしなければならない理由があったからだが、
いっそのこと、おどろおどろしい物語でも書いて、少女たちの身体の底にある絶望や不幸と共振していればよかったのかもしれない。
いつか・・・そういうものを書こう。そういうものこそ、本当は自分にふさわしい。
でも、今日はダメだ。締め切りが明日に迫っている。
由里子は白い粉を、すくい取った。
世界が、ぱっと明るくなった。
次は、「松明」「境界」「影」で・・・
197 :
「松明」「境界」「影」:02/03/14 17:10
「ここが境界だ。ここから先は教会の力は及ばない」
黒頭巾の中から低い声で男は言った。
かざした松明の明かりが、影をチラチラと揺らす。
「魑魅魍魎がお前を待ち受けている。それでも行くのか?」
私は家に帰りたくてたまらなくなったのをこらえて、わざと大声で叫んだ。
「当然よ!もう後戻りはできない!」
そして暗黒の扉が開いた。
「逃走」「虐待」「苺」で。
198 :
「松明」「境界」「影」:02/03/14 17:16
「松明」「境界」「影」
「おらん! どこにもおらん!」
「さがせ、さがせ。あれに村を出ていかれたら、えらいことになる」
松明をもった男たちの声が聞こえる。
夜の闇と暁の境界で、サヨは男たちを嘲笑する。
「わてが、どこぞの廓から逃げてきた女にでも見えましたのかいなぁ」
男の松明の明かりが、サヨをかすめた。
サヨの影は、細くうねった蛇の姿をしている。
次は、「プリンター」「カーテン」「お茶漬け」でお願いします。
199 :
重なりましたので:02/03/14 17:18
次のお題は、#197 「逃走」「虐待」「苺」で
お願いします。
200 :
「逃走」「虐待」「苺」:02/03/14 17:20
諸君は苺狩りなるものを体験されたことはあるだろうか?
春の房総半島などをドライブするとそこここで看板を目にする、あれじゃ。
一度は体験されるべきであるな。
泣き喚きながら逃げ惑う苺をこう...
握りつぶすと真っ赤な...
逃走と追跡、人間の狩猟本能じゃ。
気の合う仲間と一日満喫して、真っ赤に染まった口で笑いあう。
至福じゃ。
そして籠の中に集めた苺の残りを、一粒・一粒、ゆ・っ・く・り・と虐待するのじゃ。
練乳などかけてな。
、「プリンター」「カーテン」「お茶漬け」で。
202 :
「逃走」「虐待」「苺」:02/03/14 17:38
「逃走」「虐待」「苺」
「ほら、ユウちゃん、苺!」
「キライや、言うてるやろ! 俺、苺は嫌いなんや」
「知ってる。そやから言うてるの。なんで嫌いなん? そのわけ聞きたいしぃ」
雄は、明美をにらむ。明美は、雄をにらみ返す。それから、ニッと笑って言う。
「うちの推理、聞いてくれる? ユウちゃん、なんかしらん、苺のことが原因で、あの孤児院で虐待されたこと、あるんと違う? それで、ユウちゃん、もう耐えられへんようになって、逃走した。チガウ?」
雄は、明美をにらみながら立ち上がった。
「うちは、そういうユウちゃんが好きや、言うてるの。すごい、好きや。ものすごい好きや。苺、嫌いなユウちゃんが好きや」
明美は、そう言って立ち上がり、雄に身体をぶつけて泣いた。
雄は、明美を抱きかかえながら、つぶやいた。
「オマエも、嫌いなもん、ようけあるなぁ」
次は、「プリンター」「カーテン」「お茶漬け」で・・・
203 :
「プリンター」「カーテン」「お茶漬け」:02/03/14 19:15
カーテンはどうやって洗えばいいのだろう。
プリンターから出てくる書類を眺めながら思っていた。
仕事中いつもこんなことを思っている。
生きがいを忘れ、退屈な仕事をしているのはいつからだろう。
こんなことなら家でお茶漬けを食べていた方がましじゃないのか?
心の中でため息をつき、つぶやいた。
「早退でもするか」
次は、「タバコ」「ミイラ」「一万円」
204 :
、「タバコ」「ミイラ」「一万円」 :02/03/14 20:22
「タバコ」「ミイラ」「一万円」
♪禁煙してても吸いたいよぉ 吸いたいよぉ♪
俺は、今、タバコを止めてる。
だから、あのCM見ると、尻がもぞもぞ動く。
だけど、和世と一万円賭けてるから、ぐぁまん、ぐぁまん、
ぐぁまんしてるんだぁぁ。
そのこと、洋司に言ったら・・・。
「オマエ、やっぱアホだな。モクは隠れて吸うのが一番ウマイんだ。
あとは、ミイラ取りをミイラにする手もあるぞ」
俺、「ミイラ取りをミイラにする」っていう意味がわからん。
がんがって考えてみたんだが、わからん。
だれかこの意味、教えてほしい。スマソ。
次は、「青すぎ」「マターリ」「スマソ」で・・・。
205 :
「タバコ」「ミイラ」「一万円」:02/03/14 20:35
奴は、胸ポケットから取り出したタバコに火を灯すと、旨そうに煙を吐く。
「社長、たった一万円ポッキリで偉い坊さんのミイラが手に入るんでっせ」
その言葉は、深く仏様へ帰依する私の気持ちをくすぐる殺し文句だった。
猫の額程の工場にも、仏を祭る為に仏座を設けた。
雇いの外国人にも言い含めて工員と共に毎日お経を上げたし、お供えの砂糖菓子も
欠かすことはなかった。
それが、何で死体遺棄共謀になるんです?
ねー、刑事さん。
次は、「記憶喪失」「目覚まし時計」「幼馴染」で
207 :
「青すぎ」「マターリ」「スマソ」:02/03/14 20:53
「青すぎ」「マターリ」「スマソ」
私は高校の国語教師。今日、随筆の中に「青すぎる」という言葉が出てきた。
生徒たちが、いっせいに笑いだして、止まらない。
確かに「青いリンゴ」「青い性」「青臭い」など、
「青」のついた日本語は揶揄とともに使われることが多いが、それにしても、この興奮はいったいなんなのか。
「いいかげんにしなさい!」
私はたまりかねて、生徒たちを叱った。
「青すぎ立てすぎ〜」
「授業中だけでも、きちんとした日本語を話しなさいっ!」
「スマソ」
「爆ぅ」
「ワラ」
「青すぎ先生、マターリ、キボンヌ」
有名大学大学院を出て、偏差値45の高校に赴任してしまったのが私の不幸である、としか私には思えない。
久しぶりに、あなたと会ったのに、ぼやいてしまってごめんなさい。
#次は、「記憶喪失」「目覚まし時計」「幼馴染」で
208 :
「記憶喪失」「目覚まし時計」「幼馴染」:02/03/14 21:42
じりりりりりり。
けたたましい目覚まし時計で、俺は目を覚ます。
ところが、視界に飛び込んできたのは身の覚えの無い風景だった。
無味無臭な風景、真っ白な天井、そして何より傍らに居る白衣の人物は
いったい……
「ようやく目が覚めたね。ここが何処だか分かるかな?」
そう問われても、まったく分からなかった。
自分が誰かも、何故ここに居るのかも、全く分からない。
「ひろゆき、私よ! 分かる? あれから三年、私は、わたしは……」
傍らに居る女は妙に興奮していた。
それで、分かったんだ。俺は記憶喪失なんだなって。
次は「怪奇」「探索」「レポート」で
209 :
怪奇・探索・レポート:02/03/14 23:54
子供は怖い話が好きです。なぜでしょうか。
怖い話や怪奇な映像を、聞いたり見たり読んだりすると、多くの場合トラウマになります。
しかし、トラウマは克服することにより、精神面の強化を図ることができます。
軽いトラウマをわざと負い、それの回復により、より強い自己を自覚していく。
筋肉トレーニングに酷似しており、これは成長の一プロセスといえます。
このことから児童心理学では、子供のその行動を、本能的なメンタルトレーニングと
捉えるレポートすらあります。
さて、最近の若い人の間で、「自分探し」「自己探索・自己探求」と呼ばれる行動が多く見られます。
一見哲学的な知的欲求と思われがちですが、実態としては自らモラトリアムを望んでいるに過ぎず、
甘えの面が否めません。
これは取りも直さず、幼少期の精神訓練が不充分なことが一因と言えるでしょう。
次は「保養所」「シンクロニシティ」「廃棄処分」
210 :
「保養所」「シンクロニシティ」「廃棄処分」:02/03/15 01:09
「保養所」「シンクロニシティ」「廃棄処分」
私は、ブルーな保養所の医師。
廃棄処分になった薬品を捨てに、週に何度か林の中のこの場所にやってくる。
そして、彼女に会った。女とは、三度目の出会いになる。
最初は五年前、出張のための飛行機の中で。
二度目は、くだらないオペラがはねた後の喫茶店で。
私たちは、いつも静かに話し、そして別れた。次の偶然の出会いを期して。
「シンクロニシティ」
私は、懐かしさをこめて、そう言った。
Kさんが、いた。それにしても、こんなに遠くまで来ていたなんて。
「シンクロニシティ」
「ごめんなさい。私、ユング派じゃないの」
勤務を始めたばかりなので、一人一人の患者についてその背景は聞いていない。
Kさんから「シンクロニシティ」と話し掛けられたときは、こう答えるようにと
先輩の看護士から教わったとおりに、私は答えた。
#次は、「モラトリアム」「ビル」「帯」でお願いします。
211 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/15 10:23
叔父に、食事に行こうと誘われた。
「正装で来いよ」ということは、かなり上等なめしにありつけるってことだよな。
叔父と向かったのは、赤坂のホテル。
おまえに会わせたい人がいる、だなんて怪しいな、と勘ぐっていたら、案の定。
現れたのは振袖姿の女と、その父と思しき中年の男。はめられた。
相手の父親は、ベンチャー起業で成功し、昨年青山に自社ビルを建てたと言う。
いいとこのお嬢さんなわけだ。
「で、あなたはどんな仕事を?」退屈しのぎにおれはお嬢さんに訊いてみた。
「家事手伝いです」と彼女はきっぱり言った。
家事手伝いだと?そういうモラトリアムな生き方してる人間なんてくそくらえだ。
そう思っていると、支給人の男が子羊のシチューを彼女の着物にぶちまけた。ナイス!
「申し訳ありません!」と男は心底焦っている。彼女の顔がみるみる赤く染まった。
さて、お嬢さんがキレるんだな。なんてことしてくれるの?この帯は高級な西陣織で200万もするのよ!と哀れな男を叱咤するのだろうか。
おれの目論見ははずれ、お嬢さんは、小さなバッグの掛金をぱちんとはずして清潔そうなハンカチを取り出すと「大丈夫ですか?」と男に声をかけた。
「まあ、指が真っ赤。熱かったのではなくて?」
そう言って彼女はテーブルの氷水にハンカチを浸し、男の指に当ててやった。
これが、やまとなでしこってやつか――。
おれのハートは、おれのいちばん嫌いな人種だと思っていた女にいとも簡単に盗まれてしまった。
次は「頑固一徹」「電化製品」「スポイル」で。
春が来たねぇ、ついに。しみじみと呟いてる自分。
幸せだなぁという感覚が体に染み渡っていく。
頑固一徹とか言うのがかろうじて読めるのぼりを芝生に敷き
お日様を浴びてこうして蜜柑を食べてると、善人になれる気がする。
世間は、俺をスポイルされた甘ちゃん扱してくれて、普段はキレまくりだが
日を浴びて寝そべっているとそんなことはどうでもよくなる。
さて、大学アパートをもう一回巡って、スクーターにバイク、電化製品を
集めるとするか、ジーンズをはたきながら立ち上がり伸びをうつと
働いてるなぁとシミジミ思うのであった。
次は「…」「高圧送電線」「円錐」で。
213 :
「…」「高圧送電線」「円錐」:02/03/16 01:02
「…」「高圧送電線」「円錐」
この国の風は、心地よく私の肌を刺します。
遠くに、円錐形をしたパオが十あまり見え、
空を見上げた私は、「蒼穹」という言葉を思います。
昨夜の馬頭琴の音色が、私の耳によみがえり、
この蒼穹に高圧送電線を引く役をおおせつかった自分を、
瞬時、憐れみたい気分になります。
技師としてモンゴルに行った日内は、こんな手紙を最後に
私のもとへ帰ってこなかった。
あなたが呼んでさえくれれば、私はあなたとここで暮らしたのに・・・。
「由美子が来たいといい続けた訳がわかったよ。
銀婚旅行に、ここに来てよかった」
夫がそう言ったとき、パオから出てきた一人の男が私の目に入った。
#次は、「松竹梅」「掟」「花火」で。
214 :
、「松竹梅」「掟」「花火」:02/03/16 02:53
「松竹梅」「掟」「花火」
古ぼけた店の軒先に「松竹梅」と書かれた提灯がぶらさがっている。
「この暑苦しいときに、ご丁寧に、めでてぇ名だ」
そんな悪態をつきながら、弥一はやっと探し当てた居酒屋の暖簾をくぐった。
左之助は、すでに来ていた。
「おそかったじゃねぇか」
左之助の前には、徳利が二本ばかり突っ立っている。
「おうよ。両国の花火をちぃと見物してから来た」
「あいかわらずだな」
隣に腰掛けながら、弥一は左之助の耳元にささやく。
「掟破りの八は、かたづけた」
左之助は手酌で徳利から酒をつぎながら、さりげなく聞く。
「いつ」
「花火を見物しながら」
「さっきか。あいかわらずだな」
左之助の声は笑いを含んでいる。
#次は「港」「火山」「犬」でお願いします。
215 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/16 05:14
オレの名前はタローです。ありがちな名前の犬です。
日曜大工で作ってもらったボロい小屋に住み、
10キロ3000円の餌を食べてそれなりに楽しく暮らしてました。
だけどある日、あの山が煙を吐き出し始めたせいで、
オレの生活は一変しました。
あの山は「火山」で「爆発」するのだそうです。
家族はみんな島の外へ避難しました。
父さんと母さんはオレを連れて行こうとしましたが、
ダメと言われたと言っていました。
しょうがないので、今は1人暮らしです。
他人の家の畑とかで野菜を食べたり、畑ねずみを食べたりしています。
島にはいっぱい犬とか猫とか残ってて、結構楽しいです。
でも最近、島に住んでたおじさんとか
畑やってたおばさんとかが、時々船でやって来ます。
でも朝に来て、暗くなる前に帰ってしまいます。
港から出て行く船を見ると、家族を思い出します。
1人も楽しいけど、ごはんの用意が大変なので、
もし帰って来たら、また一緒に暮らしてあげてもいいなと思ってます。
#次は「進化論」「テディベア」「ハゲヅラ」で。
216 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/16 07:27
「おい浩、ティディベアってどこに売ってるんだ?」
担任の山田がガツガツと給食を食べながら浩に言った。
浩はその担任にあまりにも似合わないセリフに思わず笑いながら言った
浩だけではなくクラスの生徒全員が必至に笑いを堪えている。
「なにを笑ってる!」
「だって先生が、、『ティディベア』って・・・ププッ!」
浩はその風景が偉く笑いのツボにはまってしまったらしい、
しばらくの間一人でゲラゲラと笑い転げていた。
まあそれも無理もない、
いつもそのハゲヅラで進化論を語っている男の口から
およそ似つかわしくないティディベアという言葉が出たのだ、
たいていの人間なら笑ってしまうことだろう、お笑い通でもない限り。
他の生徒からもちらほら白い歯が漏れ出した、
それでもまだ多数の生徒が笑いを堪えている。
「娘が欲しいって言ってるんだよ、どこに売ってるんだ?」
その笑いとは反対に山田はいかにも真剣そうに浩に聞いてくる。
いいお父さんなんだな、浩は思った。
娘のことになるといつも真剣な顔つきになる。
「駅前のデパートに売ってると思いますよ」
これだけ真剣に話されたら浩も笑ってるわけにもいかずそう答えた
「ティディべア、、ププッ!」
が笑いを堪えるのは無理だった。
「アハハハハハハハ!!!」
浩のその回りくどい言い方に、
堪えていた他の生徒達もとうとういっせいに爆発し
大きな笑い声が部屋中を包み込んだ。
今までで一番楽しい給食だ、浩はそう思った。
#次は「ヒンズー教」「日本」「狂牛病」で。
訂正!!
「笑いながら言った」→「笑ってしまった」
「漏れ出した」→「こぼれだした」
スマソ。
218 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/16 08:04
アショカは10年前、インドから日本へやってきた。
あの頃はまだ景気が良かったし、
インドでも有名ホテルでマッサージ師をやっていたアショカは
日本で自分の店を持つことに大きな夢を持っていた。
あれから何て長い時間が過ぎたんだろう。
アジアブームにリラクゼーションブームも手伝って、
店鋪を増やすこと7軒。
売り上げもかなりあり、すべてが順調に見えていた。
だが…。
アショカは何も残っていない自分の手のひらを光に翳してみた。
塵一つ残らなかった。
狂牛病が話題になり始めた頃、アショカは自分には関係ないものと
タカをくくって、慌てる日本人達を冷静に眺めていた。
ヒンズー教徒であるアショカは、聖なる生き物である為
牛を口にすることは全くない。
肉骨粉すら入っていない食品だけを選んで食べている。
しかし厄災は思わぬところから降って来た。
マッサージに使っているクリームの一つが、
牛から採れるコラーゲンを含んでいるとクレームがついたのだ。
この時すでに、狂牛病騒ぎが持ち上がってから
かなりの時が経過していた。
きちんとした対応を取らなかったとしてアショカの店はマスコミに取り上げられ、
店を訪れる者はマスコミ記者以外には居なくなった。
アショカはさっき、破産申告が受理されたという報告を受けた。
何もかも失ってしまった。
だが、アショカは奇妙に心が浮き立つのを感じていた。
俺にはまだ、二本の腕がある。
最近は店鋪運営にかまけて、ろくに客前に出る事もなくなっていた。
初心に還ろうと思った。
「気持ちよかった」と客に言ってもらえた時の喜びを思い出すのだ。
全てを失い、全ての枷から自由になったアショカは、
どこに続いているともわからない道に第一歩を踏み出した。
#次は「バチカン市国」「ヨハネ・パウロ2世」「ムネオ」で。
久々だったので忘れてました。固有名詞不可でしたね。
#次は「バチカン市国」「法皇さま」「北方領土」で。
「バチカン市国」「法皇さま」「北方領土」
権力闘争に明け暮れた年月も終わり、退役政治家としての日々がやってきた。
彼は、今になって初めて「漫画」というものを読む。
名画「最後の審判」を担保に資金調達。辛うじてバチカンを守る司教の話。
次期法皇候補の狙撃を阻止する話。
全体ストーリーそっちのけで説明されるヨハネ・パウロ2世と法皇暗殺の歴史。
彼は驚愕した、今になって。
10年前。額を叩いて「バッチカーン!」と笑ったあの法皇さまがニセモノ!
それに、バチカン市国が、浅草六区じゃなく外国にあったなんて。
もしや、「ココノシマヲ、ニッポンニ、アゲルネ」と持ちかけられた北の島も!?
佐渡島は北方領土じゃなかったのか?
夜半のコンビニに嘲笑が響く。
むねを引裂く様な笑いだった。
本当に自分は「国の政治家」だったのか。
あの村役場の隣にある「国会議事堂」。木造平屋建ての「官房邸宅」
バチカンが国で、うちの村が国じゃなかったなんて。
※コンビニで某漫画が安かったから・・・
次のお題は:「開け閉め」「あとさき」「赤青」でお願いしまふ。
221 :
よくあるOLの横領:02/03/16 11:50
好恵の計画は完璧だった。
自分の保身しか考えない上司は、部下の仕事の確認などしなかった。。
好恵は現金出納の担当として、月末に精算を行うのだが、そのたびに数万抜いていた。
もうかれこれ5年になる。好恵の抜いた金額は、300万に達していた。
好恵には「不正」という感覚はなかった。やろうと思えば誰でもできる、そんなシステムを
放置している会社が悪い、という感覚だった。
しかし好恵はそれのせいで金銭感覚がユルくなっており、借金も700万ほど抱えていた。
この年度末、好恵の支店に大きな受注が入った。9000万の商談である。
チャンスだった。
午後8時、好恵は机から赤青伝票を取り出すと、仮出し金900万にて、架空の伝票を切った。
これで明日、アホ課長が判子を押せば、好恵はその足で偽名口座に900万を振込む。
アホ課長は900万がずーっと売掛金のままでも気がつかないだろう。
いずれ見つかるだろうが、好恵はあとさきのことなど考える余裕は無かった。
好恵はこっそりとアホ課長の伝票箱に赤青伝票を入れた。他のとまぎれるように、奥へ。
「お先に失礼します。最後の方はドアの開け閉め確認して退社してください。」
好恵はまだ残っている男性たちに声をかけると、足早に去った。
翌朝。好恵が出社するとアホ課長が困ったような顔でどなっていた。
「なんで900万とか800万の赤青伝票が五つも六つもあるんだよぉ〜・・・・。
担当者同士で打ち合わせして出せよなぁ〜・・・・。」
考えオチ。どんなですか? 次は「金科玉条」「テロップ」「快進撃」
222 :
「金科玉条」「テロップ」「快進撃」:02/03/16 20:07
本を読んでいた宮崎は、『金科玉条』という言葉に出会って文章から目を上げた。
「金科玉条ってどういう意味だ…?」
金や玉が入っている事から、昔の金持ちを表す言葉か、猥褻用語かと思ったが、
そうすると文章の意味が通らない。
宮崎は珍しく辞書を引いてみようと思った。
昔から小さな手間を惜しんだおかげで、「テロップ」をテロリズム用語だと勘違いしたり、
「快進撃」を「改心劇」だと思い込んで恥をかいた事が何度もある。
幼い頃には「プロ野球」を「黒野球」と聞き間違え、
「そうか〜ヘルメットが黒いからだな」と巨人を見て勝手に納得していた事もある。
これではいけない。いい加減きちんとした日本語の使える大人にならなくては。
宮崎は小学校の時買った国語辞書を本棚の奥から取り出し、
おもむろにページを繰り始めた。
「え〜とき…き…きん…きんか…きんかい…ぎんかいしょく…きんがく…え?」
載って無かった。
次指定忘れ。
次:「ファンタジー」「ストーブ」「ぎゃふん」で。
224 :
(゚Д゚)ぅゎぁー :02/03/16 21:01
「金科玉条」「テロップ」「快進撃」
桜の蕾が綻びはじめた春先の土曜の夜。小林は一人で居酒屋梯子の快進撃を続けていた。
日付けが変わる頃に入った四軒目の店で若い女に出会った。女の名前は「ようこ」
だったと思う。女は学生で送別会の二次をすっぽかして飲んでいたらしい。
「暇だから話し相手になってよ」と、絡んできた。長い髪の毛をポニーテール結っていた。
五軒目に入ったバーで小林は冗談半分で女を口説き始めた。やることしか考えてなかった。
女はくすくすと悪戯っぽく微笑み「じゃあ、家来る?」と、言った。
「いいの?」「うん」
女の家に雪崩れ込む、玄関に倒れこみ靴も脱がずにキスをする。
「背中痛いからベッドに行こうよ」「うん」
ベッドの上で酒で火照った女の体から服を剥ぎ取り体中にキスをする。
互いに無言で熱の篭った愛撫を繰り返し、いざ、と云うときに、萎えた。
「お酒入ってんだししょうがないよう」と慰められ、キスをしながら寝た。
目が醒めると女はいなかった。テレビをつける。画面に金科玉条とでかでかとテロップのうたれた
番組がやっている。急に現実に引き戻された感じで不愉快になってきた。
まあ、いいや、帰ろう。と、思った。そして、帰った。
ふ、と、女と会った町へ足を向けてみるけれど、再び女と会うことは無かった。
そんなもんだ。
「カミカゼ」「マルガリータ」「泥酔」
225 :
6語まとめて面倒みちゃる:02/03/17 00:58
出張先での仕事を片付けた俺は、ホテルの傍のバーを訪れた。
深夜11時ともいうのに、客が2組ばかり入っていた。
カウンターに若い男女のペア。ボックスに中年男と20歳くらいの青年。
俺は彼らを一瞥すると、カウンターについた。
「ここのオススメは何だい?」
俺はマスターに訊いた。
「軽食なら、ウニのスパゲッティ。・・・・アルコールは、なんだってオススメですよ。」
マスターは明るい声で答えた。
「マルガリータがいいぜ、兄ちゃん!」
後ろから中年男が叫んだ。俺は振り向かず右手を軽く上げ、応えた。
「じゃあ、ウニスパを。それから、今日は女の名前のカクテルはやめとこう、カミカゼを。」
そういうと、マスターは会釈して、グラスにウオッカを注ぎ始めた。
カウンターにいるカップルは、男のほうが泥酔している様子だった。
「みきちゃあん。。おもしろい話したげる。ぎゃふん、の語源はねえ、源義経がね〜・・」
男がくだらない話を始めた。彼の妄想は、今宵隣の女を抱くというストーリーだろうが、
悲しいかな、本人だけが気付いていない。隣の女はすでに帰宅モードに入っている。
オマエはもう終わっている、ってやつだ。冬の夜のファンタジーのように、儚い計画だ。
カミカゼが出された。ショートドリンクではないが、俺は一気にあおった。
東京に置いてきた女のことが頭をよぎったのだ。
店の前で車の停まる音がした。女がタクシーを呼んでいたらしい。
「帰るわよ、リュウジくん。」
女は男を肩で支えると、戸口までゆっくりと歩き出した。マスターが慌ててドアを開けに行く。
なんだ、脈ありじゃないか。俺は自分のカンが外れたことに少し驚いたが、悪い気はしなかった。
「冷え込んできましたね。」
入り口から戻ったマスターがストーブの火を強めた。
3月の旭川はまだまだ冬だ。しかし俺の心は少し暖められた。今夜の酒はうまくなりそうだ。
次。「光速」「銀幕」「水銀灯」
226 :
「光速」「銀幕」「水銀灯」:02/03/17 07:21
気の遠くなるような永い旅も、もうすぐ終わりを迎える。
そう、もうすぐぼくたちは「かれら」に会う事ができる…
…「かれら」はぼくたちを暖かく迎え入れてくれるだろうか?
少なくとも、銀幕の女王「ナ・ナーシー」が出演していた映画の
主人公のようにだけはなりたくはないな。と思いながら、彼はまた眠りに就いた。
空が赤く染まり、水銀灯に明かりが灯り始めるなか、私は一人ブランコに揺られていた。
私には、両親がいない。幼い頃、交通事故で死んだからだ。
私は、学校へ行っていない。いじめられるからだ。
そして私には、一人も友達がいない。
しかし、いつかきっと、素晴らしい友達だけはできるような予感がするのだ。
その予感だけが、私の生きる糧となっている…
光速に近い速さで、宇宙船が銀河を駆け抜けてゆく。
目指すは、あの蒼い星。大地という意味の名を持つ星。
こんな感じで良いのだろうか…
次は「脳内妹」「モノリス」「電車賃」でおながいします。
227 :
「脳内妹」「モノリス」「電車賃」:02/03/17 13:19
広い額、低い鼻、真っ黒に日焼けした肌色。
彼のあだ名はモノリス。
二度目の春を祝って上野の桜を見ようと
二人で乗った日比谷線。
でも電車賃は一人分。
私の分はいらないの。
だって私は脳内妹。
#次は「重複」「挫折」「植木鉢」でお願いします。
228 :
「重複」「挫折」「植木鉢」:02/03/17 15:28
はるか天空から降ってきたそれ、たわわに咲く紅い花を身に付けた植木鉢は、
示し合わせたかのようにちょうど下を歩いていた彼の頭に直撃した。
彼の頭の中は一瞬真っ白になって、それから真っ赤になって、すぐ真っ黒になった。
次に目を覚ましたのは病院だった。
奇跡的に命は取り留めたものの、全治三ヶ月の入院となった。
彼は高校でラグビーをやっている。大会前の一番大切な時期に思わぬ不幸に見舞われたのだ。
挫折、その重々しい事実が彼の心にのしかかった。
後遺症もあるらしく、ものが重複して見えるようにもなった。
これでは大会どころかラグビーも止めなければなるまい。
妥協してマネージャーのポストにおさまることもできるが、
当然彼はそういうことをする人間ではない。
何よりも、楽しそうにラグビーをする友人達を見学することは
彼にとって拷問に等しいことだった。
彼は学校に復帰したその日にラグビー部をやめた。
次のお題は
「肉そば」「大地」「カリカチュアライズ」
229 :
「肉そば」「大地」「カリカチュアライズ」 :02/03/17 16:19
「ひぃいああああああ!!!!大変だー!勇者・ジャックスどのぉー!!」
肉そばを口に運ぼうとする矢先に、老人Aが悲鳴を上げながら俺に駆け寄ってきた。
「なんだよ!いま昼飯の最中だよ」
食事の邪魔をされて、俺の面が引き攣っていくのを感じた。
「ま、マ、まも、魔物があ、現れて、街の人々を次々とぉあぎょええええ!!」
初老Aの体に植物のツタのようなものが突き刺さったのを認識した刹那、敷き詰められた
レンガを破り地面が盛りあがっていった。
テーブルとイスと初老Aの体を吹き飛ばしたそいつは、危険度Bの魔物"カリカチュアライズ"だ。
「ウギィ゛ィ゛ィ゛ィ゛ィ゛ィ゛ィ゛」
白昼の炎天下を浴びるカリカチュアライズの質感は油を塗りたくったかのように煌いていた。天を
仰ぐように青紫色の体をそらし、分厚い二本足と尾がそれを支えている。両腕はなく、代わりに触手の主根が
踊っている。主根からは無数の根っ子を生えており、不気味に蠢いていた。
「この畜生が!人々を殺しまわるばかりか、俺の食事も邪魔をする気か!ゆるせねえ!」
俺の怒りは全身に"パワー"を漲らせた!
「アァースブゥゥレェエェイクァアァアァアアアアアアアアァァァァァァ!!!!!!!」
説明しよう!奥義・アースブレーカーはパワーを込めた剣を大地に叩きつけ、絶大なマグニチュードを発生
させ、街一つを吹き飛ばす程の威力を誇る!!!これでいかなる魔物も木っ端微塵だアああ!!!!
うりゃうりゃうりゃりゃりゃりゃりゃりゃあアあアあアあアあアあ!!!!!
ドッッッグゥァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンンン!!!!!!!!
あ、次のお題は
「マザーコンプレックス」「レゾンデートル」「ハーケンクロイツ」
でお願いします。
231 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/17 20:37
マザーコンプレックスがレゾンデートルでハーケンクロイツするえわけないよね。
232 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/17 20:57
私のマザー・コンプレックスは私のレーゾンデートルそのものであり
ドイツ民族にとっての桎梏ともいえるハーケン・クロイツにたとえることも出来よう。
・・・って、だめ?
お次は「SM」「シムシティ」「ネオジオ」で。
↑だめ・ボツ・却下
234 :
「SM」「シムシティ」「ネオジオ」:02/03/17 23:02
ネオジオのROMを求めて、彼は此処にやって来た。
思えば、此処に辿り着く迄にあらゆることがあった。
ネット初心者の彼がエミュに関する質問を書き込んだ巨大掲示板は、
よりにもよって2ちゃんねるだった。
ブラクラへの直リンを踏んだ。fusianasanでIPを抜かれた。
つまらん糞スレ立てんなボケと煽られたり、荒らされたりもした。
しかし、それももうすぐ良い思い出に変わる。
そう、遂に彼は目的のファイルを探し当てたのだ。
そして、歓喜に震える手で、そのファイルを解凍した。
"シムシティ.SMC"
「(゚Д゚)……」
ネットの海はあまりにも広大で、彼はあまりにも矮小な存在だ。
目的地すらわからない彼の探索の旅は、まだ始まったばかり…
危険球一直線。
次は「にわとり」「三角関係」「はらまき」で。
235 :
「にわとり」「三角関係」「はらまき」:02/03/18 02:17
季節の変わり目だから気をつけなさいよ、とあれだけ言っといたのに、これだ。
彼女は今、こんこんと咳を繰り返しながらベッドの上に横たわっている。
今朝、彼女からかかってきた電話の声がひどかったもんで、ぼくは会社を休んで
看病することにした。彼女が心配が半分、ズル休みが半分というのが本音だが。
僕がおかゆでもこしらえようとキッチンに向かおうとすると、
彼女は顔を向こうに向けたまま食欲なぁい、と手をひらひらさせる。
だが、何も食べないのは身体に悪かろう、薬も飲めないし、とさとして食わせることにした。
……僕が腹が減ってるのだ。
突然、彼女ががばっと身を起こし、枯れた声で言った。
「ドイレいぐ」
うーと唸りながらベッドから這い出て、頭を掻きながらゆっくりと歩き始めた。
「……なんか言った?」
「じじくさい、いや、ババくさい、か……」
「うるさいなぁ。同い年のコでも、けっこう使ってる人いるよ、はらまき」
「……。」
「男の人にはわかんないだろうけどねー、冷え性にいいのよ、はらまき」
「へえ。」
(じゃあ、風邪ひくまえからつけてりゃ良かったろう、引いてから
気をつけるんじゃあ、後の祭ってやつだろう。)
そう思って口を開きかけたが、小言みたいになってしまう気がしてやめておいた。
彼女はどすどすと気だるい足音を立てながら戻ってきて、のそのそとベッドにもぐりこみ
ベッドの中から手を伸ばしてテーブルの上のリモコンを握りテレビをつけた。
しばらくぶちぶちとチャンネルを回したあと、料理の特集番組で回すのを止めた。
『……烏骨鶏、豚骨、鯖節! これらの素材のおいしい三角関係が醸し出す極上のスープ……』
「おいぢぞ〜」
「食欲がなかったんじゃなかったのか?」
「ないけど、おいぢぞ〜」
「……。」
「……うこっけいってなに?」
「にわとりの高級品みたいなのか?」
「へえ〜、よく知ってるね、すごいじゃん」
「……知らんけど」
「適当かい」
「はは……。」
こうしてふたりで仕事を休んで、たわいのない話をして過ごすのも悪くない。
残念なのは、外はいい陽気なのに、ふたりで出かけられないことだ。
#次のお題「テンガロンハット」「ネットゲーム」「落とし蓋」で宜しく
236 :
「にわとり」「三角関係」「はらまき」:02/03/18 02:28
夏の盛りの京都祇園祭。前にも後にも動けないほどの人波を泳いで、
ようやく脇道に入る。すると、そこにはたくさんの夜店が並んでいた。
「小さい頃、よくこういうヒヨコ欲しいな〜とか思ったよね」
色とりどりに着色されたヒヨコの入った箱を覗き込んで、彼女は言う。
俺は正直その蛍光カラーのヒヨコ達には愛しさより憐憫しか感じなかったが、
敢えてそれを口にはしなかった。
…憐れみ。なんて傲慢な言葉だろう。
俺には他に本命の女がちゃんと居る。だが世間一般の三角関係とか二股とかではなく、
2人の女は互いの存在を知っていた。「2番目でも一緒に居られたらそれでいいの」
彼女がこう言った時は可愛い女だと思った。だがいくら俺がそっけなくしても
「好きだからいいの」と言い続ける彼女は、すでに哀れみの対象でしかなくなっていた。
「ヒヨコ…買ってやろうか?すぐにわとりになって困るかもしれないけど」
「本当に?やった♪」
嬉しそうにはしゃぐ女。無邪気な横顔は、それなりに綺麗だった。
「オスとメスどっちがいい?」
「オスを買って、原牧(はらまき)くんって名前にするわ」
おいおい、ヒヨコに人の名前をつけるなよ。そう言いたかったが、別に怒る
ほどの事でもあるまい。ヒヨコ売りの中年男から1羽のヒヨコを受け取ると、
俺は彼女に差し出した。小さなヒヨコをまるで宝物のように胸に抱き締めながら、
彼女はさっそくヒヨコに話し掛けている。
「おまえの名前は原牧刑吾だよ。仲良くしようね」
ふわふわの身体にそっと頬擦りする彼女は、昔の美人絵のように綺麗だった。
「クリスマスまでには大きくなってね」
微かな呟きは、雑踏に紛れて消えた。問い返す勇気は、なかった。
「はらまき」苦しすぎ。
次は「浮世絵」「ホッケー」「練乳」で。
う…遅かったか。
では235のお題生きということで。
238 :
「テンガロンハット」「ネットゲーム」「落とし蓋」:02/03/18 02:41
君は「落とし釜洗浄の検証」という最新のネットゲームをご存知かな?
日本プラントメンテナンス協会が協力して開発・製作された至高のゲームだ
遊び方は簡単、詳しいことは→
http://e-rescue.jipm.or.jp/img303304.html を見てみな。老若男女誰でも簡単に出来る最高にワイルドでナウいゲームだぜ
えっ、あんた誰だって?まあ名乗るほどのもんじゃんねえが・・・・
敢えて言うなら、俺は「テンガロンハットの田吾作」ってもんだ。じゃあな
次は「あん団子」「乞食」「青空」で。
239 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/18 02:44
田代まさし被告を再逮捕
元タレントの田代まさし被告(本名=田代孜)が
16日に都内の女子高生(18歳)に4万円を渡し
ラブホテルで猥褻な行為に及んだ疑いで未明に逮捕された。
240 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/18 04:33
「あん団子」「乞食」「青空」
田植え唄が止んだ。田の畦には、ばやんたちが
握り飯とあん団子を用意して待ってくれている。
春の彼岸は「ぼた餅」、秋の彼岸は「おはぎ」、
そして田植えのご馳走は「あん団子」。
あん団子は、ぼた餅やおはぎより、少し小さく、この地方だけのものと、
いつか、ばやんに聞いた。
「こねぇなもの、田植えのときに食べらるる村は少ないけん、キクは幸せもんと思わにゃ」
あん団子を口に入れたとき、あの乞食の親子を思い出した。
ここ三年ばかり、田植えの季節になると、この村にやってくる。
うちのばやんが、村はずれのお地蔵さんにあん団子を備えはじめたのは、
この親子のために違いないと、キクは思った。
「明日の私の分は、お地蔵さんに供える」
「そぉか。キクは、ほんにやさし子じゃ」
田植え唄のはじまりを合図に、キクは泥田に入る。
田の中で背伸びするようにして青空を眺めてから、
キクはまた一心に苗を植えはじめた。
#次は「五人組」「木枯し」「小川」でお願いします。
241 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/18 04:35
240訂正です。
あん団子を備え → あん団子を供え
駄目だ、できない!
(たいがいは)全く関連性の無い、前者の指定した三つの語句、
それら全てを使って文章を書けだなんて、
>>1は一体全体何を考えてこんなスレッドを立てたんだ?
今すぐにでも群馬県(其処が彼の故郷だ)へ向かいたい、
今の僕はそのような気分だった。
だがそれも無理は無い。最後のお題が指定されてから、八時間。
そのあいだ中ずっと、このお題に沿った文章を考え続けていたのだから。
そう、僕の思考回路は破綻し始めていた。
まあ、そんなことを考えていてもどうしようもない。
もういちど挑戦してみる事にした。
……25分後……
「木枯らし君は五人組へ小川だ」
前衛的な文章が出来上がった。
とりあえず寝よう、と思った。
春房到来。1さん、どうか寛大な心で許してください。
次を指定するのはさすがに気が引けるので、お題継続でお願いします。
243 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/18 14:38
「五人組」「木枯し」「小川」
五人組頭の伊兵衛の目に入ったのは、御高祖頭巾の藤色だった。
武家の奥方が、なぜこの村に?
小川に架けられた丸太橋を渡る足取りは、急いてはいるが
危なっかしくはなかった。
「大きくなったら、俺の嫁さんになってくれるのか」
「うん」
伊兵衛は、自分をみあげたトヨの大きな瞳を思い出した。
トヨの頭を撫でたときの、黒髪の感触が掌によみがえった。
・・・あのトヨか。
木枯しが吹く畑の中で、伊兵衛は遠くの女を見守った。
#次は、「洗濯」「公務員」「前衛的」でお願いします。
244 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/18 14:56
「洗濯」「公務員」「前衛的」
公務員が前衛的でないと、誰が言ったんだろう。
千佳子の夫は、前衛的な劇団のシンパである。
公務員はきれい好きだと、誰が言ったんだろう。
千佳子の夫は、一週間もパンツを洗濯物入れに入れない。
公務員が温厚だと、誰が言ったんだろう。
千佳子の夫は、酔うと千佳子を殴る。
公務員は仕事をしないと、誰が言ったんだろう。
千佳子は、それだけは本当だと思う。
#次は、「モノレール」「大工」「コンビニ」でお願いします。
245 :
「モノレール」「大工」「コンビニ」:02/03/18 19:33
辰男は、モノレールの窓から下界を見るときに、いつもこう考える。
何故これは落ちないんだろう、と。
21世紀になってさらに急速な発展を遂げた東京は土地問題からどうしても
高層化する必要に迫られた。「天空首都計画」である。
名前こそ仰々しいが、その結果はみてのとおり。
大地に根付いた大量の鉄の支柱に、下界の生活環境の悪化、それによる身分差の激化。
いいことなんか何一つなかった。
雲上に悠然と佇む王国・東京。下界へとつながる道は一つ、このモノレールだけだ。
「あ・・・」
大工らしき男達が、コンビニの前にたむろしているのがみえた。
辰男が地上人をみるのは、これがはじめてだった。
収拾がつかなくなりました。
次は「真空」「旧家」「妖怪」でお願いします。
246 :
「真空」「旧家」「妖怪」:02/03/18 23:27
妖怪解説図鑑を読んでいた鉄平は、とある記述に目を見開いた。
このような事が書かれてあった。
「マヨイガ(迷ひ家)」
……人里はなれた山奥を歩いていると、突然道が開け、一軒の民家が現れることがあるが、
それがマヨイガである。旧家のような佇まいで人の住んでいる気配がするのだが、
その家に入っても、決して家人に出会うことはない。なぜなら、この家自体がマヨイガと
呼ばれる妖怪だからだ。この妖怪は人に危害を加えない。マヨイガに迷い込んだら、
その家の中の備品を何か一つ持って帰れば、その人の運が開けるといわれる。・・・・
「だからか。・・・長年の謎が解けたぞ・・!」
我が意を得たといわんばかりの声で、鉄平は言った。
彼の家は奈良県大台ケ原にあった。そこは紀伊半島の人口真空地帯である。
木こりの彼は家を留守にすることが多く・・・・、
・・・・帰ると何かモノが無くなっていることが多々あった・・。
お次は「津波」「劇的な」「アデノシン3燐酸」
247 :
「津波」「劇的な」「アデノシン3燐酸」 :02/03/18 23:42
それは劇的な幕切れだった、誰もが想像だにし得ない結末だった…
高校で生物を教えている教師の谷田は、授業でアデノシン3燐酸について
生徒に説明していた。「つまりだ、でな、アデノシン3燐酸ってのは長ったらしい
から、これからは略してATPと呼べ。いいか、ATPだぞ」
その時だった、凄まじい津波が教室を包み込んだ。
窓ガラスが割れ、谷田は津波に流されて何処かへと流されてしまった。
刹那、眩い閃光と共に先ほどまでの津波が嘘かの様に
教室は何事も無く普通の光景を取り戻していた。
これは後日談だが、この高校のある県には海など無く
しかも教室は3階にあった為に津波など起こるはずはなかったのだ。
更に付け加えていうと、谷田は未だに発見されていない。
お次は「マルハのちくわ」「太平洋戦争」「消費者金融」
248 :
「マルハのちくわ」「太平洋戦争」「消費者金融」:02/03/19 17:54
貧すれば鈍するというやつか。後先考えずに積み重ねた消費者金融からの借金。
今、私たちはその利息を払うのもままならず、極限の生活を続けている。
心労に髪は抜け落ち皺も増え、40にしてシルバーシートを譲られる始末。
食事もぎりぎりまで切りつめた。
めざしに垂らす代用醤油。代用味噌のみそ汁の具はわずかばかりの芋の蔓だ。
椀に盛られた白米がなければあたかも太平洋戦争当時の…おや?
---おい、この「マルハのちくわ」は?いったいどこからこんな金……
---違うわ、あなた。それは「マルハゲのち不和」
---なっ…! それがお前の本心…なのか……!?
妻は静かに頷いた。結婚15年目の破局であった。
#次は「金襴緞子」「ダストシュート」「地平線」で。
ワラタ
250 :
「金襴緞子」「ダストシュート」「地平線」:02/03/19 20:28
金襴緞子の帯締めながら花嫁御寮は泣いている。
ひとつぶぽろり。ふたつぶぽろり。青ざめたほほを涙が伝う。
「今日は晴れの日じゃ。なして泣くか?」
「おばぁ。わたしね。このままここにいたい。」
「ばぁかぁ。」
おばぁの皺めいた顔に嵌め込まれた小さい目も潤んだ。
「しっかりせにゃぁ。どうもなるまいが。」
おばぁの声がきっぱりと言った。
ダストシュートにごみを放り込むみたいにして消し去りたいと思っていた
地平線を見渡せるその土地から彼女は今日嫁ぐ。おばぁは1人残るのだ。
次は「ちょうちょ結び」「決定事項」「カサノヴァ」で。
251 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/19 21:51
難しいことを申したててるわけではなかった。サリンジャーにはこれが容易な
こととわかっていたのだ。ただ、フギルにはそのサリンジャーの願いを聞いて
やれる立場には無く、泣く泣くつき返すしかなかったのだった。
「サリンジャー。これはもう覆らないのだ。決定事項に沿って、我々は行動せ
ねばならないのだよ。わかってっくれ・・・」
「なぁ。覚えてるか。小さい頃、ナケマウの池でよくお前と、鱒を取りに
行ったよな。」サリンジャーはタイのちょうちょ結びを直しながら、フギルの
様子を伺った。
「だが、あの池はもう無い。あの池は、俺たちの思い出の場所だった。
なあ、もう一度、考え直してくれないか。あの池は市民に必要なんだ。」
「・・・・・・・カサノヴァがいる。無理だ。」
「カサノヴァ?誰だ、それは。」
「この町の総領だ。本名は知らんが、皆そう呼んでる。」
カサノヴァ・・・その名前だけ聞けば十分だ、と、サリンジャーはほくそえんだ。
次は「西暦5000年」「ワールドカップ」「てふてふ」
今朝、駅前で西暦5000年からやってきたという凶人がいた。
間延びしたしゃがれ声で時折甲高く笑いながら演説をぶっていた。
駅は通勤途中の学生サラリーマンで混雑していたが、彼の周囲2メートル圏内
には誰も近寄ろうとはしない。
私も目を合わせないように傍らを通り過ぎつつ、それでもつい耳をそばだてていた。
つまるところ「胡蝶の夢」の亜流のような話だった。なんでも、今日の夜見る夢が私たちの
本当の姿で、今こうして通学している私たちは夢の中のそれが見ている夢に過ぎない、そういう話だ。
それから何故今日なのか、という話になりグランドクロスがどうとか米宇宙軍の陰謀と言った単語が
耳に届いたが、私はすでに改札をくぐり抜けて、そしていつもの朝の雑踏へと滑り込んでいった。
電車の中で私は昨日見た夢のことを思い出した。ワールドカップイヤーらしくサッカーの夢だった。
私はボールで、少年漫画の主人公が放つ必殺シュートとなりゴールネットを突き破ったのだった。
しかし…。サッカーボールが本当の姿なのだとしたら嫌だ。嫌すぎる。蹴られ続ける人生なんて。
まだ蝶の方がましだ。今夜は蝶の絵でも枕の下に忍ばせよう。手のひらにてふてふと指でなぞりながら
私はこっそりと、そう決めた。
次は「桜」「演算」「窓ガラス」でおねがい
253 :
(゚Д゚)ぅゎぁー :02/03/20 12:12
「桜」「演算」「窓ガラス」
まだ少し肌寒い春の夜。少し飲みすぎてしまい、終電を逃した俺と綺子は当ても無く
知らない町を彷徨い歩いていた。お互いに酒の量も、電車の時間も演算する事が出来ない性質なのだ。
綺子と初めて知り合ったのは去年の新歓コンパの二次会のカラオケだった。
コンパの輪に溶け込めなかった留年生の俺は、カラオケボックスの男子トイレの
窓ガラスを開け、このまま此処から料金踏み倒して帰ろうかどうか真剣に思案していた。
其処に泥酔した女が乱入してきたのだった。取り敢えず男子トイレから出させようとして
トイレの床に座り込んだ女に「此処は男子トイレだから出よう」と、言うと、
いきなり「抱っこしてぇ」と、言いながら女が抱きついてきた。それが綺子だった。
不埒な感情と帰りたいのとで激しい葛藤を覚えた。
やがて、公園に辿り着き、芝生に横たわる。少し冷たい芝草が酒で火照った体に心地いい。
綺子が抱きついてくる。酒と煙草と香水と綺子そのものの匂い、あと一つ他の匂いが混じっている。
綺子の髪の毛に一片の花びらが付いている。上を見上げる。静かな風が吹いた。春の欠片が落ちてくる。
静かなる散華の輪舞。
「あ、桜・・・」綺子が呟く。暫く俺は無言で上を見上げつづけた。
「パンクス」「鉄パイプ」「死刑」
気がついたらアスファルトに転がっていた。
起き上がろうとすると背中に激痛が走った。傍らに鉄パイプが転がっている。
こんなもんで殴られたのか。そりゃ痛え。
血がにじんだらしく口の中が気持ち悪い。確認するとスーツには汚れ、鉤裂き、目も当てられない。
懐を探ると予想通り財布がない。どうするかな。考えるのも億劫だった。
昔は自分もあの若者達と同類だった。群れていれば何も怖くは無かった。
ナックル代わりのたくさんの指輪、厚い鉄の入ったマーチン。髪を立ててシド・ヴィシャスに憧れて。
今のあいつらがギャングを気取るように、俺達はパンクスを気取って大人を馬鹿にしていた。
げらげらと笑いながら疲れきった大人に死刑宣告。
俺は絶対お前らのようにならない。何の確証も無くそんなことを思っていた。
一人二人と現実に迎合していき、気がついたら俺もスーツを着て毎日満員電車に揉まれている。
昔の俺は言うだろう。「格好悪りい」
でも俺は今の自分が気に入ってるよ。いつかわかるもんなんだ。
普通の大人になるのはそう悪いことじゃない。
さっきの奴らも気づくときが来る。俺みたいにな。
立ち上がるとまた背中が痛んで、俺は一人苦笑した。
「アーケード」「虎」「運動着」
255 :
アーケード・虎・運動着 :02/03/20 17:44
僕はそのとき走っていた。脇にえんじ色の女子用運動着を抱えながら。
右前方を疾走する少年が振り返り、叫んだ。
「おまえ、もっと早く走らんかい!」
僕らは学校の裏口を通りそのままの勢いで商店街のアーケードを抜けた。
耳に残る少女の声が僕を激しく追いたてるような気がして、無我夢中に駆けつづけた。
「ここらで休憩しようや」少年がコンビニ添えてあるベンチに腰を下ろした。
「なんで僕を誘ったの?」
「あ?おまえが更衣室の窓から羨ましげにそれ覗いていたから。その子のこと好きなん?」
僕は運動着に貼りつけてある<田中>と云う名札をさすりながら肯いた。
「ふーん。青春やな。ま、こんな事これでやめときや。
ほな、俺これで帰るわ。あ、これついでにとってきてしもうた。やる」
彼はポケットから虎のキャラクターが付いたキーホールダーをとりだし、僕に手渡した。
「ねえ、君の名前なんていうの?」
僕がそう尋ねると、彼は満面の笑みを浮かべ一言発した。
「ほな!」
次は「シンクロ」「細菌」「無情」でおねがいします。
256 :
「シンクロ」「細菌」「無情」:02/03/20 18:33
ミレノフのダンサーとしての才は、誰の目にも明らかだった。
体の柔らかさ、ばね、運動能力、リズム感といった表層的な面も群を抜いていたが
私の目を惹きつけたのはその感受性だった。
稽古中、ミレノフの頬を涙がつたうことが良くあった。
聞けば、自分ではない何かにシンクロしているのだと云う。
「細胞のひとつひとつが細菌みたいな得体のしれない何かに乗っ取られて、
僕は突き動かされるんだ。ネズミを見つけた猫の体で血がたぎるようなものかな。」
彼独特の言い回しでミレノフはそう語った。
私は天才を賞賛し、そして同時に彼に軽く嫉妬した。
ダンスにも神というのは確かに存在して、微笑みかけられたミレノフと
そっぽを向かれた私とがそこにあった。
私のダンサーとしての青春時代はそんな無常観が常につきまとっていた。
次は「祭祀」「プロ野球」「太古」
257 :
「シンクロ」「細菌」「無情」:02/03/20 18:43
私はサーカスの虎使いだ。見に来る子供達のびっくりした丸い目を見るのを無上の喜びに感じる毎日だ。
きらびやかで安っぽい衣装ににじんだ自分の冷や汗の匂いを人は多分知らない。知られてはならない。
俺と虎の勝負だ。彼らが俺に抱いているのは憎しみと恐怖。それからもしかして愛情。同士感?まさか。
舞台の上で俺と虎の呼吸がシンクロする。その震えるような瞬間が快感だ。
一番の古株のキングが今病に倒れている。団長も医者も薬殺処分を考えている。彼の体を犯したごく微細な細菌は
彼の美しい毛皮も睥睨するような目も「俺は誰にも支配などされない」と言わんばかりの傲慢な足取りも
無情に奪っていった。檻の横で交わされる事務的なやり取りをキングは目やにの閉ざした鈍い目で見ていた。
キングが隔離されている外れたところにぽつんと置かれている檻まで俺はゆっくり歩く。ポケットの中には
重く鈍い光を放つ凶器が入っている。
俺の手で終わらせてやる。俺が手を下してやる。
だから最後にもう一度青い光を宿したような怒りの目で俺を見てくれ。
次は【桜吹雪】【百円玉】【ミキサー】でお願いします。
258 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/20 18:43
ごめん。かぶった。
次は「祭祀」「プロ野球」「太古」で。申し訳ないです。
259 :
「祭祀」「プロ野球」「太古」:02/03/20 22:24
太古の昔より、その国や地方の民族によって、天上天下の支配者である
神様の恩恵にあずかろうと様々な儀式や祭祀が催されてきた。その中でも、
一際盛り上がるのは、「戦い」である。例えば、ご神木を奪い、誰よりも
速くお宮へ収めた者には、福が来る、という類のものである。これは、
神様への強い欲求が、ひいては、人々から尊敬され幸せになりたいと願う
気持ちが、人々をこうした「戦い」の場へ駆り立てるのだといえよう。
ひるがえって、日本で一番人気のあるスポーツ、野球を考えてみても、
それは同じことがいえるのではないだろうか。誰よりも強く、誰よりも速く、
誰よりも秀でる選手・チームが最も尊敬され、そしてその者は幸せになれる
のである。野球もこうした意味では昔ながらの「戦い」と同じである。
ただし、ひとつ違う点を言えば、プロ野球にとっての神様は、それが
「お客様」だということである。
次は、それでは、【桜吹雪】【百円玉】【ミキサー】にしましょうね。
260 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/21 01:42
【桜吹雪】【百円玉】【ミキサー】
加寿子は、春になると、食器棚の奥のミキサーが自分を呼んでいるような気がする。
捨てればいいのだが、捨てられない。
だから、春が怖い。ミキサーが怖い。
あの子を一人で、お使いなんかに行かせなければよかった。
加寿子は、その頃、イライラしていた。
夫の浮気がイライラの原因であることもわかっていた。それを息子にぶつけたことも。
「そんなにバナナジュースが飲みたいなら、自分で買ってきなさい!」
「ママも、いっしょに行って!」
「ママは、だめなのっ! ほら、百円玉2個、落とすんじゃないのよ」
じゃけんに、あの子を送り出した。
警察から電話を受けて家を走り出ると、明るい日差しの中で桜吹雪が舞っていた。
春が、ミキサーが、桜吹雪が、加寿子の中にせきあげる思いを再生する。
#次は、「アマゾン」「時刻表」「抹茶」で。
261 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/21 02:04
私は飛行機の中で抹茶を飲みながら時刻表をながめ、アマゾンの熱帯雨林に
思いをはせていた。
次は「オナニー」「女子中学生」「教師」で
262 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/21 02:06
都会を離れて暮らしたい。
別にアマゾンや、南極にまで行く必要は無い。
電話と時刻表が人を殺さない世界。
ちょっとした林があって、きれいな小川が流れていればいい。
それだけで、僕は。
抹茶アイスクリーム舐めてる小学生、眺めながら、僕は公園で夢想してる。
休暇くれよ。おっさん。
#次は「三味線」「楓」「ラジカセ」でお願いします。
263 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/21 02:59
11月の昼下がり、山下は愛車のカローラを運転していた。
中古でおんぼろだったが山下は密かにこの車を気に入っていた。
窓の外を見ると楓が原宿を赤く染め上げている。
もう秋か、山下は思った。
ラジカセからは演歌の三味線の音が聞こえてくる。
普段は原宿に演歌は似合わないのだが楓のおかげでなかなかどうしてマッチしている。
「はぁ、今日帰ってどうすっかなあー」
信号待ちの間というのは暇なものである。山下はふとそんなことを考え、独り言を言った。
ふと、窓の外に女子中学生の姿が目に映った。なかなかの美人である。
楓の中をあるくセーラー姿の女子中学生・・・素敵だ。
山下はその風景にひとりで興奮していた。
信号が青に変わった。
山下のカローラは突如向きを変え、レンタルビデオ店に入った。
さっきほどの女子中学生の姿がそうとう頭に焼きついたらしい。
山下はそこで「桜満開、女子中学生」「淫乱女教師」「センセ、やさしく教えて」の三本を借りた。
(よーっしこれをおかずに今夜はオナニー三昧だ)
山下はあそこを硬くしてそそくさと車を出した。あそこはもうすでに白い液が漏れ出していた。
次は「夜景」「ラジオ」「美女」
264 :
999 ◆D0999.o. :02/03/21 03:17
「夜景」「ラジオ」「美女」
吹雪いていた。本来ならば、ナイトスキーヤーのために照らされたゲレンデが
美しい夜景を見せるはずだったが、ペンションの窓からの景色は、ただ斜めに
降り続ける雪だけだ。星も、見えない。ベッドサイドに腰掛けた鈴木が、携帯ラジ
オの向きを何度も変えて、電波を拾おうとしていた。
「どう?」
俺はカーテンを閉じて、鈴木に声をかけた。「何か、聞こえる」
「だめだな。雑音ばかりだ。せめて天気予報がわかればな」
「閉じ込められた、か」
「そうらしいな。雪山の山荘、陸の孤島だな」
こんな状況にもかかわらず、鈴木は楽しそうだった。彼が好きな古典ミステリ
にありそうな展開だからだろう。俺は明後日の会議を気にした。
「そう不景気な顔をするな。事件でもおきそうじゃないか」
鈴木は気楽そうだった。
「事件て?」
「混乱に乗じて、昼間食堂で見かけた美女とお近づきになるとかだ」
「そりゃ、事件か?」
「お前さんにとっては、そうだろうよ」
どうせ、俺はもてないさ。
「ハッピネス」「馬」「法律」
俺は夜景を見るのが好きだ。
だから、俺の家は小高い丘の上にある。
三十路を超えた野郎だが、女房子供はいない。独身貴族を今でも通している。
なぜか、といわれると「俺の生きたいように生きたい」と答えるだろう。
この丘から一望できる都会の灯を毎日見ていると、夢というものがいかに
偉大で大きいものかがわかる。こうして、毎夜俺は夢を心に刻む。
俺は木立に座ってコンビニの温かい弁当を夕飯に食う。でも今日ばかりはいつもと違っていた。
美女が俺の予約席に座っていたのだ。青白い肌、きゃしゃな体つき、そして透き通った絹の服。
全て俺の嗜好を満たす女だった。俺と一緒に夜を明かしたときも、彼女の印象はずっとかわらなかった。
ただ、あまりにも不気味だった。まるで「何か」に見られているような……。
朝起きると、俺の隣には誰もいなかった。ベッドや窓から入ってくる風が妙に冷たい。
それに、なぜか人の声やら物音やらで騒がしい。
服を着て、ラジオを付けて洗面所に入った。朝のニュースを耳にしながら。
「昨夜未明、m区のnヶ丘で、若い女性の死体が発見されました。警察が
調べたところ、近くに遺書と女性用の靴が発見され、警察はこの事件を自殺と断定……」
忘れてた。「こたつ」「春」「コーヒー」でお願いします。すんまそん。
267 :
俺@地下牢:02/03/21 04:08
季節は春。
こたつを背負って歩くにはちと恥ずかしい季節だ。
僕は重さに耐えかね、見つけた小さな喫茶店に飛び込んだ。
「いらっしゃい。何にしましょう」
「とりあえず、コーヒー」
こたつを床に下ろし、深々とソファーに体を沈める。
そういえばあいつが死んでから何年たったろう。
確か俺が三つのころだったから、もうざっと40年位かな。
どうでもいいことを思い浮かべ、俺はただコーヒーを待っていた。
あたりが暗くなり始めたころ、
やっとコーヒーが届いた。
銀色のお盆の上には、冷めたアメリカン・コーヒーと、
ビンが傾き、中身のこぼれたクリーム、そしてアリのたかった角砂糖がひとつ置かれていた。
俺は待ってましたとばかりにお盆をひっくり返し、狂ったように8ビートを刻み始めた。
そこにはただ、春という季節の虚無感と、俺の刻む切ないビートがこだまするだけだった。
疲れた・・次は「拷問」「ドライフルーツ」「ゲームボーイカラー」で。
268 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/21 04:28
「三味線」「楓」「ラジカセ」
拾ってきたラジカセに電池を入れ替えて、スイッチをオンにしたら、聞こえた。
奇妙な音楽が聞こえてきた。テープが回っている。
奇妙な音なのに、楓の心の奥が懐かしがっているような感じがした。
ヘンな奴だ、と楓は言われ続けてきた。
どこがどうヘンなのか、自分ではわからない。
だけど、この奇妙な声と音のするテープを聞いていると、楓は自分と同じ心を持った人がここにいるように思えて、ほっとした。
それが楓と三味線音楽、正確に言えば清元との出会いだった。
あれから、もう四十年経ったのか。
楽屋で紋付に着替えながら、清元楓三郎はなつかしく思う。
仙台平の袴を付けながら、悪くない人生だ、と思う。
#次は、「荒野」「土塀」「行灯」でお願いします。
269 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/21 04:30
なんでキミらバラバラで書いてるんだ?
ちゃんと順序に従え!
270 :
俺@地下牢:02/03/21 04:51
>>269 じゃあ今から「荒野」「土塀」「行灯」ね。
昼休み、みんなは外で遊んでいるのにツヨシだけ教室に取り残されていた。
というのも担任の先生が厳しい人で、給食が全部食べ終わるまで席を立ってはならないと言うのだ。
いつもなら早く食べ終わって一目散に校庭に飛び出すツヨシだが
今日の給食だけはどうしても食べきる事が出来ない。
今日のメニューはシチュー、パン、牛乳、空揚げ、そしてドライフルーツである。
ツヨシはこのドライフルーツたるものが大の苦手だった。
何故フルーツを乾かすのか?何故それを無理矢理僕に食べさせようとするのか?
それを食べないと何か不都合なのか?ツヨシは乾いた果物を見ながら強い憤りを覚えていた。
そもそも学校なんてものは一種の拷問である、嫌な髪形&服装に強制し
勉強の出来ない奴を廊下に立たせ、足の遅い奴を無理矢理走らし恥をかかせ、
体系を気にしている奴や水が怖い奴を無理矢理泳がせ、少しでも個性をだすと怒られる。
「あー、はやく帰ってゲームボーイカラーやりてえなあ。」
ツヨシはもうすっかり食べる気がない、もう帰るときのことを考えていた。
皿の上のドライフルーツはますます乾いてきていた。
お次は268の「荒野」「土塀」「行灯」で。
272 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/21 06:57
「荒野」「土塀」「行灯」
荒野っていや、そりゃ、おまえ、荒野の用心棒さ、な。
土塀とくりゃ、なんだ、その、土でこねた塀だ。おさむれぇの屋敷なんか、
な、土塀だ。そうだ、おさむれぇの屋敷だ。
ん? なんだって? も一回言ってみな。
行灯? 行灯か。行灯は、沢山話がありすぎてな。
首が伸びるのがいいか、つくろいものする世話女房がいいか、
なんでもいいから、リクエストしろい。
なにぃ、この三つで噺を作れ?
そんな無理言っちゃいけねぇよ、おめぇ。
でぇてぇ、バランバランじゃねぇか。
うん? さっき、俺が出した問題だって。
ああ、そうか、そうだった。
道理で難しい。うん、悪くない。
ささ、誰かやってみな。
ということで、次も「荒野」「土塀」「行灯」で(x_x)☆\(-_-メ)バキ
「荒野」「土塀」「行灯」
父を慕って荒野を旅し、やっと安らかな生活を得た安寿と厨子王。
そんな二人を、またも引き離そうとするもの・・・それは「世間の目」であった。
どうしても寝る時は厨子王と一緒、という安寿を女官はたしなめた。
「いかに兄とはいえ、年頃の女子が殿方と寝所を共にとは!」というのだ
「安寿は、厨子王と一緒でなければ眠りませんっ!」
「まあまあ。私も安寿が隣にいないと、何か物足らなくて(笑)」
「まあ、厨子王様まで!」
今日も大人に怒られた。夜半の帰り道、厨子王は土塀に妙な張り紙を見つける。
行灯で照らすと、それは「安寿と厨子王の哀しい物語」とあった。
怖ろしい内容だった。
本当は安寿は3歳年上の姉で、しかも再会を待たず寂しく死んだという!
「待てよ、すると、あの僕の安寿は誰なんだ。この世界は何なんだ?」
「・・・お兄様、どうしたの!?」道の向こうで安寿が呼びかける。
「何でもないよー」と厨子王は言った。慌てて張り紙を剥がして捨てる。
物語世界の厨子王は、安寿と再会を果たせぬも立派な国主として生涯を閉じた。
そして、この世界の厨子王は、安寿と共に呑気な国主としてまあまあ評価されて死ぬ。
どちらが素晴らしい人生だったのか? それは彼等だけが知っている。
※なんか昔の話だなあ。
次のお題は、264の「ハッピネス」「馬」「法律」でお願いします。
274 :
キリ☆タンポ:02/03/21 08:23
草原を一匹の馬が駆けて行く。
その背にはだれも乗せておらず、行き先も分からない。
ところで、法律についてだが、私にはよく分からない。
まあそれもひとつのハッピネス、か。
ああ、やっと下らんお題が終わった。
次は「腐食」「王水」「地下帝国」でお願い。
275 :
「荒野」「土塀」「行灯」:02/03/21 08:45
ひたひたひたひた。土塀に沿った黒い影は頬かむりをしている。
きょろきょろと辺りを見回して塀にひらっと上がり見えなくなる。
噂の太夫に会いたさ一心。とうとう道を踏み外した小間物屋吉佐。
本所横堀釣り鐘撞堂辺。「売女御免の場所」と言われているが
からっけつには敷居が高い。江戸の外には鬼が住む。そんな云いも
ありはするがお足がなけりゃ同じこと。三途の川の脱衣婆が文無しの
ケツをけって荒野にたたき出すようにおとといきやがれの一言も聞かれよう。
ぽつんと赤い川べりの夜鳴き蕎麦屋の行灯が揺れる。
どこかで夜烏が鳴く。
っ・・・う・・かぶってるよぉ・・
だけどせっかく書いたから読んでね。申し訳なかです。
次は「腐食」「王水」「地下帝国」でお願いです。
「腐食」「王水」「地下帝国」
どこにでもある、平日の朝。スイスの銀行前に、大きなトラックが乗りつけた。
水道工事の6人は、きびきびと仕事を始める。
下水道から地下を伝い金庫へ流された王水は、金塊を腐食して地底へと流れる。
地底で集められた王水を教授が電気分解。めでたく地底帝国に金が手に入る。
地上では、なぜか金が不足していた。
高値をよぶ金。世間の噂に「地底帝国」の冗談があがる。
「いまに、地底帝国が、地上に攻め込んでくるかもしれないなあ」
とんでもない。
地底帝国は、絶対地上を征服なんかしない。
地底にとって、金なんて何の役にもたたない。
地上世界がないと、金を使う場所がなくなる。
地上人が金を有難がるからこそ、地底帝国は成り立つのだ。
そうなのだ。
地上人があくせく働くのは、地底人の優雅な生活を維持するためなのだ。
※某映画を連想してしまいました。いしいひさいちの某漫画も(^^;
次のお題は:「ペンシル」「味噌汁」「天知る地知る人ぞ知る」でお願いします。
277 :
「ペンシル」「味噌汁」「天知る地知る人ぞ知る」:02/03/21 13:11
韻。
文章の論理性とは無関係のこの手法は、しかしながら、
文学の世界では大変重宝されている。たとえば、
”ペンシル”、”味噌汁”、”天知る地知る人ぞ知る”
という3語は、それぞれまったく無関係の言葉であろう。
しかし、韻を踏んでいるということだけで、この3語は
繋がりを持ってしまうのである。
そして、強引に繋がったこの言葉が論理性を持って
いるかのように、読む人々に錯覚を起こすのである。
まるで「”天知る地知る人ぞ知る”という本を読みながら、
彼は”味噌汁”を”ペンシル”で攪拌した」
などという光景も意味があるかのように・・。
次は、「鵺」「朝令暮改」「フィードバック」
お休みになるとこのスレは人が増えて来て混乱する。
ということで、お約束のコピペをしておくよ(
>>1にある)。
お約束
1:前の投稿者が決めた3つの語(句)を全て使って文章を書く。
2:小説・評論・雑文・通告・??系、ジャンルは自由。官能系はしらけるので自粛。
3:文章は5行以上15行以下を目安に。
4:最後の行に次の投稿者のために3つの語(句)を示す。ただし、固有名詞は避けること。
5:お題が複数でた場合は先の投稿を優先。前投稿にお題がないときはお題継続。
かぶった場合はお題の交通整理をしてくれるとなお良し。
279 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/21 17:03
「ハッピネス」「馬」「法律」
馬を幸せにする法律、通称馬ハッピネス法が可決されたのは3/21の午後のことだった。
コバヤシ総理は沸き寄る記者どもを押し退け、なんとか官邸まで戻ってきた。
控え室には政府発表の手筈を整えた官房長官がすでにいた。
「おめでとうございます、総理」
「ありがとう」
二人は固く握手をした。
秘書が慌ただしく発表の準備をするなか、長身の男が駆けよってきた。
「この度の馬担当相への選出、ありがとうございます」
「がんばってくれ給えよ」
「首相、発表の用意が出来ました」
秘書の声で三人は控え室を出た。
廊下からは"馬刺を喰わせろ"、"競馬は文化"といったプラカードを掲げたデモが見えた。
「馬刺のかわりに牛のタタキでも喰えばいいのにな」
「そうですよね」
三人は理解出来ないというように記者室へと向かった。
次は、「鵺」「朝令暮改」「フィードバック」で。
280 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/21 17:42
「鵺」「朝令暮改」「フィードバック」
「こりゃあ、鵺の仕業だな」
検死をしていたベテランの田沼さんが、ボソリと呟いた。
耳慣れない言葉だ。私は彼にさり気無く近づいて、小声で訊いた。
「ヌエって今仰いましたけど、有名な犯罪者ですか?」
「いやいや、妖怪だよ。妖怪の鵺、なんだ知らんか?」
「ええ。どんな妖怪ですか」思わず合わせてしまってから、すぐに後悔した。
田沼さんは話し始めると長い。こちらが機会を見つけては話を打ち切ろうとしても、
気付いてか気付かずか、なかなか開放してくれない。しかも朝令暮改で、話を面白
くする為なのか、今さっき断言したと思ったことを、平気で覆してくる。一体何を
言いたいのか、ちっとも解かりゃしない。聞き手の苦労が、どこかでフィードバック
されて、何か見返りが在っても良いだろうに。
「おい、聞いてるのか?」
田沼さんの訝しむ声が、私の意識を現実へと戻させる。
「ええ。勿論ですよ。妖怪の仕業のわけがないですよね」
「なんだ、聞いてたのか。そうだ、妖怪じゃない。これは――」
まだまだ、苦難は続きそうだった。
次は「日の出」「お金」「粘土」で。
281 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/21 17:54
「鵺」「朝令暮改」「フィードバック」
トラツグミがいた、と傍らのひとが言ったのに、心臓が飛び跳ねた。
「何を言っているのよ。こんな所に鵺がいる訳ないでしょう」
「一度、見たことあるのにそっくりだったんだ。絶対にトラツグミだよ」
まるで、鵺、と口にされるのを恐れている私を知っているかのように、
彼はその鳥をトラツグミという。
昨夜、奇妙な夢を見た。
寝苦しくて動けなくなった私の体に、鳥が舞い降りた。
その鋭いくちばしで体のそこらを突き刺し始めたその顔は、彼のものだった。
私たちはうまくいっているはずだ。
何でも一人でできる彼がよく、私に頼み事をしてくるのが好きだった。
彼も文句言わずに引き受ける私を、好きなはずだ。
彼は決して我が儘じゃない。なのに心のどこかで、彼の頼み事を朝令暮改と
思っている気持ちがあるのだろうか。
返礼としてはっきりとした態度で私に愛情を示してくれない彼に、
フィードバックができていない、なんて冷徹に思っているところが、
この心のどこかにあるのではないだろうか。
しばらく歩いている内に、思い出したように彼が口にした言葉で
嫌な考えが止んだ。
「ああ、そういえば渡り鳥なんだよ、トラツグミは」
思わず、彼の顔をまじまじと見る。
「そうなの?」
「そう。だから、そっくりなのが又ここへ帰ってきたのを見つけたら、
写真にでも収めて、見せてやるよ」
そのきまじめな表情を見ている内に、わざと意地悪い言葉が口から出た。
「それまで、わざわざカメラを持ち歩くつもり」
「見せたいのが悪いか」
私は笑って、「ううん」と、彼の腕に顔を押しつける。
あの鵺が帰ってくるのならまた、不安も帰ってくるのだろう。
愛情も。
お題は280さんの「日の出」「お金」「粘土」で
282 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/21 21:27
「日の出」「お金」「粘土」
その岬に彼女がいるはずなんだ。
ぼくはいかなければならないんだ。
彼女の友達が「お金はどうするの?」と泣きそうな顔で
聞いていた。ぼくにはどうしようもなかった。
とにかく行って彼女に会いたかった。
そのときほんとうにぼくは彼女のことを
考えていたのか、ぼく自身のエゴために
いくのかわからなかった。ただ、ぼくのこころは、
ひんやりとした粘土のように湿って冷たくなっていた。
いけば何かがわかる、と同時に何かが終わるはずだった。
車に乗って県道を抜けながら、この深い夜が、彼女を
追い続けるこの夜がいつまでも続いて、日の出が
永遠にこないのをいつしか願っていた。
お題は「岬」「電球」「まくら」で
少年は周りのおしゃべりの輪に入らず、黙々と粘土細工に励んだので
できあがったそのやり投げ選手の像は、やたら精巧な出来映えだった。
今、少年と少年の作品の周りには輪ができ、級友達が礼賛の声をかけてくる。
「カツオすごいじゃない!」一際大きな、その声の持ち主は花沢さん。
少年は花沢さんが苦手だった。
花沢さんと少年は通学路が同じなので、時々少年はからまれる。
今朝もうつむいて歩いていた少年に『お金なんて落ちてないわよ、前見て歩け』
駆け抜けざまそういうことを言われ頭をこづかれたのをはっきりと覚えている。
少年は、自分の暗く内向的な性格を突きつけられた気分になり沈鬱だった。
目の前にあるやたら精巧な粘土細工も、少年の内向的な性格の証明書みたいなものだ。
周りの級友達はおしゃべりに興じていたため、彼らの作品はかろうじて人型であることが
判別できる程度だ。それを屈託無く笑い合っている級友達を見て、少年は孤独を感じた。
作品の名前。アポロンをイメージしたやり投げの選手なので「日の出」と少年は名付ける
つもりだったが、「内向的」にしよう…。少年はそう決めた。
あ
次書くの忘れてました
「疾走」「飛沫」「ノイズ」でおねがいします
かぶったー!
282さんのお題でたのみます
286 :
「岬」「電球」「まくら」:02/03/21 22:11
「もうすぐだよ。ほらぁ、岬が見えてきた。奥に入り江があってさ、
船を停めれるようになってるんだってさ。もうちょっとの辛抱だよ。」
李は息子をなだめるように言い聞かせた。すでに船はエンスト寸前で、
コンプレッサーの焼けたようなにおいが船室いっぱいに広がっていた。
「布団もまくらも、もういらないだろう。重くなるものは、
全部海に捨ててくれ!」
李たちは男に言われるとおりに、布団やまくらを海に投げ捨てた。
その時、男が叫んだ!
「まずい!日本船だ!海上保安庁の船だ!」
船室が一体に悲鳴が走った。
「静かにしろ!落ち着け!船室の電球を全部消すんだ!」
李は息子を強く抱きしめ、神に祈った。
次は、「太陽」「抵当権」「ギター」でお願いします。
287 :
俺@高級囚人室:02/03/21 22:18
闇夜の草むらを、男が一人疾走していた。
静かな草むらでは、男の荒い息づかいのほかには何も聞こえない。
しかし、確実にその男は何かを感じ取っていた。
自分の命を脅かす何かがいる、本能的に悟っていた。
「ハァ、ハァ」疲れ果て、立ち止まる男。
その時だった。何か、頭の中をかき回されるような、
すさまじい嫌悪感を抱かせる、生けるものの断末魔にも似たノイズが響いたのは。
それに気づいて、振り向いた時には、男の命は絶たれていた。
鋭く、巨大な、しかし鉈程もある重さを持つ爪が、男の首を胴体から切り離したのだ。
あたり一面に飛び散る赤い飛沫。
男の命を奪ったそれは、月の光に赤々と照らし出されていた。
荒削りでゴメンね。これでも一生懸命やったんだから。許して、ね?
次は「盗掘」「裁き」「皇帝」でお願い。
288 :
俺@高級囚人室:02/03/21 22:20
ゴメン、俺のお題はなし。286の3つでお願い。
かぶってばかり(w
人気あるなぁ、このスレ
290 :
的 ◆SpLWlLC. :02/03/21 22:47
「太陽」「抵当権」「ギター」
おいちゃん今はこんな波止場でギター抱えて流し何ぞしちゃあいるがぁ、
キミがまだおんぎゃおんぎゃ産声あげたころにゃ実は金持ちしてた。
思いで此処で語ってもよいが、少年キミには遠吠えになるからおいちゃん別に語らない。
おいちゃん学は無かったからいつの間にか抵当権がお友達のものになっていたなんて
知らなくて、こんな様まで追い詰められるのにタマゴも割れないくらい。
外の世界を見たはいいが、其処で生きなきゃならないという苦痛。
いつの間にか太陽は敵になって突き刺さる。軟い月の虜。昔聞いた弦楽のように。
おいちゃんキャラバンでも組んで勝負でもかけようか。
でも何処までいっても所詮は殻の中なのさ。
永住は思案の外に。懐疑のように留まることなく。
抵抗なくして邂逅なくとも、契機なければ勝機なし。
#次は「斑」「隙」「くだらない」で宜しく願います。
291 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/21 22:48
「太陽」「抵当権」「ギター」
佐久間に出会ったのは、東中野のなんとかいう店だ。
「鉄板麺」にニンニクをドバドバっとかけながら、借金で首が回らない
とかこぼしていた。なんでも、抵当権のアレで家がケーバイにかけられ、
ナニなのだそうだ。なんでそんなに借金をしたのか。
問い。ギャンブルでスッちまったの。答え。否。女。まさか。じゃ何。
「味ですよ。味。」
何のことかわからなかった僕に、狭い足元から彼はやおらギターケースを
取り出して示した。一体何が入っているのか。
開いたファスナーの隙間から、小さな物体がこぼれ出した。
白く輝く小球状のそれこそが借金の原因であり、ドロップ界の太陽と呼ばれる、
「la pastille du soleil」であることは、もちろん、知る由もなかった。
「トンネル」「南国」「落下」
かぶった、290のおだいでお願いします
293 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/21 22:49
「太陽」「抵当権」「ギター」
(ある日本の旅行者の感想)
どこにでもある小さな港町。だがそこはイタリア。
太陽はどこまでもまぶしく、花は美しく咲き、
テーブルには当然のようにオリーブ油とパスタがのっている。
どこからかギターでニノ・ロータの曲ももれてくる。
向かいには初老の男と女が絵になる着こなしで
何やらむつかしそうに話しこんでいるではないか。
映画のいちシーンのよう。
最高の昼さがりだ・・・。
(初老の男と女の会話/関西弁に翻訳)
「そやから、アレはわしに抵当権があるんやからな
オバハンがなんぼゆうてもあかんがなゴニョゴニョ・・・」
「このごうつくジジィ・・・」
次ぎはロケット、釣り銭、コロッケで
294 :
◆HH0poems :02/03/21 23:03
南国のトンネルで天井の落下事故。
コンクリート劣化で斑紋状の隙間が原因か。
ロケットの爆風が遠因との説も。
コロッケの釣り銭を貰い忘れ。
くだらない一日だ。
ちょっと寄ってみました。お初ということで大目に見てくださいませ。
295 :
◆HH0poems :02/03/21 23:05
お題忘れてた。
「トリップ」「キー」「神秘的」で。
296 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/21 23:11
人気があるのは良いことだ(w
しかし被ってばかりだといい加減混乱を招く恐れがある。
投稿する人は書き込む前にリロードして、先に書き込みがあったらそのお題に沿うようにした方が良いでしょう。
消化されてないお題。
「盗掘」「裁き」「校庭」
出されたお題はなるべく消化する精神で。
297 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/21 23:30
「トリップ」「キー」「神秘的」
彼女と湖までワンデイトリップにいった。
つまり日帰りの旅だ。つくと湖は平日のせいか
とても静まりかえっていて昼間なのにうすい靄がかかっていた。
夕方、そろそろ帰ろうとしたとき、どこからか
「キー」という音がした。何かが擦れたとても
不快な音だった。彼女に聞いたが彼女は聞いてないという。
彼女の方角から聞こえてきたはずなのに・・・。
結婚して十年。いまではあの音がなんだったのか
妻が寝静まった夜中、とくにはっきりしている。
神秘的でも不思議な話しでもない。
妻のつまり彼女の歯ぎしりだったのだ。
298 :
(゚Д゚)ぅゎぁー:02/03/21 23:32
ポケットから僅かな釣り銭の物悲しい啜り泣きが聞こえてくる。
百円玉が三枚、五十円玉が一枚、十円玉六枚、五円玉二枚、一円玉八枚。
しめて四百二十八円也。どん底。
金がないと世界に圧迫される音が聞こえるような気がしてくる。
きりきりと締め付けるような感覚。胃痛。
そういえば昨日から何も口にしていない。
死のうかな、もう・・・。
スーパーに入る。コロッケが「食べて」と甘い誘惑の吐息を首筋に吹きかける。
「ごめんな、今日は忙しいんだ」
まだあどけなさの残る可愛らしい娼婦に別れを告げ。
肉感的な欲望から逃げるようにその町を離れる。
ロケット花火・・・。
この調子ぢゃいずれ飢え死にだ・・・。
どの道死ぬのだ・・・。
その前にむかつくやつに一撃喰らわすか。
しかし、不意に己の器の矮小さに気付き、俺は泣き出した。
「アジテーター」「テロリズム」「死刑宣告」でおにゃがー。
299 :
◆HH0poems :02/03/21 23:32
僕は今絞首台の上にいる。
大昔の皇帝の墓を盗掘した罪でだ。
裁きは一瞬、見つかったら即死刑。
その墓は過去の世界へのトリップ。
神秘的な世界のキーを僕は確かにこの手にした。
純考古学的価値観。過ぎし世の繁栄と栄光の証。
今周りを取り囲む者達には理解し難いかもしれない。
とにかく僕の最期は校庭のまん中。
これで全部消化したかな?
>294とあわせて15個のお題。
まだ詩っぽい書き方から抜け切れてないなぁ。
今度来たときはもうちょっと肉付けして長めで書こうかな。
次は「ミス」「向かって」「ボール」で。
300 :
◆HH0poems :02/03/21 23:35
失礼。全然
>>296の忠告を役立ててない・・・
ちゃんとリロードしたと思ったんだけど。
301 :
(゚Д゚)ぅゎぁー:02/03/21 23:36
いけね。やっちゃった。
302 :
(゚Д゚)ぅゎぁー(゚Д゚)ぅゎぁー :02/03/21 23:37
ごめんなさいぃぃ、、、、
303 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/22 00:31
「ミス」「向かって」「ボール」
親愛なるミス・佳子。
もう一万回以上いっている言葉をもう一度キミに贈る。
ーどんなときにも困難に立ち向かっていきなさいー
ミス・佳子。まず野菜は冷たい水で洗うこと。
レタスは包丁で切ってはいけないということ。
ドレッシングはシンプルなイタリアンでいい。
サラダのボールは黒っぽいのが緑によく合うということ。
>>296 「盗掘」「裁き」「校庭」は、
>>288で、否定されてるようですよ。
だから、
>>290が飛ばされてるので、「斑」「隙」「くだらない」からですよ
。
305 :
◆HH0poems :02/03/22 00:44
>>304 もしよかったら>294と>299も御覧あれ。
「斑」「隙」「くだらない」も「皇帝」も「校庭」も
書いちゃいましたよ。
特に>299のオチは>296氏が「皇帝」を「校庭」と書いたことへの
揶揄、というとちょっと言葉が悪いですが。
たぶん>298のお題が最新かと。
306 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/22 00:50
「斑」「隙」「くだらない」
「だからそれを食べて腹がくだったんですって!
これを食べて腹がくだらない人もいるんでしょうけど
私はくだったんです!それをまずは認めてください!!」
チクショウ。この女さっきから言いたいこといいやがって
こんな緑の斑点ができたパンを食べるなよ。何をいいやがる。
オレがパン屋だからといってオレに文句をいうのは筋違いじゃないか。
だいたい、一瞬棚においたとはいえオレが捨てようとしていたパンじゃないか。
しかもヨソミをした隙に盗んでおいて・・・
307 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/22 00:55
308 :
◆HH0poems :02/03/22 01:10
>>307 まだちょっとわかってないけど
>290のお題も使って書いた>294はどうなっちゃうのでしょう?
ま、いずれにせよ最新は
>>1のお約束どおりに。
>>308 6題消化を明言していないことと、
文章自体にストーリー性が無く
せっかくのお題が二束三文で売り捨てられた感がしている。
あれじゃあ・・・・ね。
310 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/22 01:22
「出されたお題はなるべく消化する精神で」にのっとって
「アジテーター」「テロリズム」「死刑宣告」
オレはプロのアジテーター。仕事がら政治がらみが多いが
オレ自身はイデオロギーにまったく染まってない。
プロということはそういうことだ。あっちいって
騒ぎこっちいって騒ぐだけ。ヤクザな商売だ。
ちょっと意味が違うが、んなもの太鼓持ちで
ええんでないか?と自分では思っている。
仕事はきっちりする。最近は対テロリズムの集会で
しっかり仕事をした。しかしそろそろオレの仕事も
潮時だ。プロとはいえつくづく世の中がいやになった。
若くから社会の裏側を見過ぎたからだろうか?
最後に大きな仕事がしたい。オレはあらゆるテクを使って
一世一代のアジテーションをしたい。おれはそのアジと
一緒に死ぬつもりだ。大きな反響になるだろう。
もちろん煽動するのは人間の死刑宣告だ。
311 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/22 01:34
で、今のお題はなんなんすか?どなたか仕切ってくだされ。
312 :
◆HH0poems :02/03/22 01:36
「そうか」僕は納得した。もっと起承転結を明確にせねばならなかったのだ。
隙だらけの文(決して文章とは言えない)をモニタ越しに改めて眺めた。
古代、斑鳩の里が日本の中心であった頃から変わらぬ普遍の真理なのに。
二束三文のストーリーすら満足にひねり出せない僕。
あれじゃあ・・・ね。
僕はその夜100人をくだらない名無しを自演した。
次は「昔々」「所々」「先々」で。
313 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/22 01:42
>>311 本戦は、あくまでも「斑」「隙」「くだらない」 です
>>306は、本線に則ってますが、次のお題がないので、ルールどおり
お題継続(「斑」「隙」「くだらない」)。
>>310は、消化目的(継続意思なし)。
>>312が、引き継いだので
今のお題は「昔々」「所々」「先々」ネ。
はい、もう終わり終わり
315 :
簡素スレの代打ちくん:02/03/22 01:48
お題整理をしようと思ったのだが、何が何やらもうわからない。
>>313 確かに君の云っていることは正しい。
が
>>306がある以上、不自然だ。
突然出てきて悪いけれど、
>>312の「昔々」「所々」「先々」で妥協してくれないか?
出されたお題はなるべく消化する。
というのは、お題を振るときに、かぶって無効になったお題を
サルベージして振り直すことだよ。
出されたお題のモノを作品でとにかく消化するって事とは違うよ。
>>314 悪い悪い。すれ違いになっちまった。
リロードしたんだが、修正してる間にレスついてた。
現在のお題は「昔々」「所々」「先々」ね。
じゃ、おやすみ。
317 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/22 02:25
「昔々」「所々」「先々」
昔々、山奥に一人の女ありけり。
その女、岩魚を喰らひ、猪を喰らひ、ときに狩人を喰らひて生きぬ。
春宵、小川に映る月を見て、古を思ふ。
所々切々、浮かぶは都の喧騒。
秋暁、藁の臥所より月を見て、先々を思ふ。
何、憂ふることなし。
次は、「カレンダー」「入浴剤」「連山」でお願いします。
318 :
◆HH0poems :02/03/22 02:30
「昔々」「所々」「先々」
昔々というほどにはまだ時が経っていないが、とにかくネット上の
ある所に佇むひとりのお馬鹿な少女。
頭の中が所々抜けてる彼女はみんなにいつも馬鹿にされ。
ナニを思い立ったか3月吉日、身の程知らずもいいことに
あらぬ方へと足を伸ばす。
「変わらなきゃ」少女の馬鹿な思いつき。
やってきたのはお題スレ。
ルールもわからぬ馬鹿者はただ闇雲に書き散らす。
そうそうすぐに変われるものか。
逝く先々でゴニョゴニョ言われ、哀れ少女は馬鹿な少女から
自分のレスにレスつける馬鹿で惨めな少女へとなりかわる。
次は「せつない」「江戸」「宝物」で
>>318 しょうがねぇな。整理ぐらいしていけよ。
次のお題は「カレンダー」「入浴剤」「連山」で。
作品を書いてから、次に振るお題が思いつかない時は
「せつない」「江戸」「宝物」をサルベージしてくんろ。
「カレンダー」「入浴剤」「連山」
いつもと変わらない朝。
用を足し、顔を洗い、歯を磨いて服を着替え、どっかといすに座る。
大きくため息をついて上を向く。
また今日もぎゅうぎゅうづめの電車に乗って、会社へ行かなきゃならんのか・・何か変わったことはないか・・
そんなことを考えているうち、ふとカレンダーが目に留まった。
「そういえばもう12月だったな・・」
12月。外には木枯らしが吹き、町はクリスマスの準備に忙しくなるころだ。
「ふう・・」
私は、カレンダーをめくってかばんを持ち、部屋を出た。
プシューという音とともに、電車のドアが開く。
私は、人であふれたプラットフォームから逃げるように立ち去った。
とぼとぼと歩いていると、晩飯を忘れていたのに気づいた。
金がないわけでもないが、ファミリーレストランの雰囲気が嫌いな私は、迷わずコンビニに入っていった。
コンビニの中は暖かく、おでんのにおいで充満していた。
「今日はこれにするか」
冷蔵庫からビールを2本取り出し、レジに並ぶ。
「おや?」
レジの上には、綺麗な入浴剤があった。
私はそれを手にとってしげしげと眺めた。「美しい連山を思わせる香り、か」
帰り道、私の持つコンビニ袋の中にはあの入浴剤があった。
何気ないものに安らぎを求めることを、詩人は無様だというが、
私はこういう何気ないものに惹かれる瞬間があってもいいと思う。
みなさんには、ちょっとした安らぎを見つけることはできましたか?
NEXT 「せつない」「江戸」「宝物」
せつない思いなどもう忘れてしまった。
つつがなく暮らすことだけを考えていた俺。
なにげない日々は昨日の繰り返し。
いつか生きる意味すら見失っていた。
江戸紫の小さな刺繍カバン。最近ではアジアが流行っているのだと娘に言われ、
戸棚の上に片付けていた埃だらけの箱を取り出した。
宝物はこの鞄。俺の最初で最後のプレゼントを、そう言って抱いていた。
物持ちのいい妻の鞄は、十年の月日が経っても色褪せていない。
すっかり色褪せてしまった俺と違い、
写真の中の彼女はいつまでも美しい。
書き忘れ。これが混乱を助長する元だ。
反省します。
次のお題は「きみ」「ぼく」「あなた」
323 :
「きみ」「ぼく」「あなた」 :02/03/22 07:01
「きみの匂いを嗅ぎたいんだ」
貧弱な光量のたよりない街灯が数本立つだけの暗い夜道で、
貴子は男に背後から唐突に抱きしめられた。
男の右手は貴子の右腕を絡み取りつつ下半身を摩り、
男の左手は貴子の乳房を鷲づかみにしていた。
「……!!」
声が出ない。大声で叫びたい。でも、完全に身が凍ってしまって、
喉を震わせることもかなわなかった。
「ぼくはね、毎日毎日、きみのことを見ていたんだ。
きみが好きだ。きみが好きなんだよ……」
男はまるで全力疾走した競走馬のように鼻息を荒げ、
貴子の首筋に顔を埋めてむしゃぶった。
周りには助けとなりそうな人は誰もいない。そしてこの時間に
この道を通る人は少ないことを、貴子は知っている。
貴子は力の限りの抵抗を試みるが、男の手を振りほどくことは
できなかった。男の固くなった股間が、貴子の腰に当てられている。
(あなた……)
貴子は夫のことを思った。ここで、見ず知らずの男に身体を奪われてしまう
かも知れない。今まで夫一筋で生きてきた貴子にとって、
それは堪えがたい恥辱であった。
#官能じゃなくてサスペンスだ!! と無理矢理主張しつつ……
#次のお題「冷たい」「笑いながら」「大根」でお願いします
324 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/22 07:15
冷たいというよりも、ずっと冷蔵庫に入れっぱなしで冷えてパサパサ
になっている大根おろしが突き出しだった。
それを笑いながら食べることができるのは、もちろんここが大衆居酒
屋で、肩のこらない旧友たちとのひさびさの集まりだからだ。
ところが、(元)学級委員長が、わざわざ大根おろしが冷たいなどと、
真顔で言い出したから困ったものだ。みな笑いながらそんなことは、
どうでもいい、こっちのホッケなどなかなかいけるぞ、などというの
だが、委員長は箸で大根おろしをつっつきながら、主張を続ける。
昔から場が読めないヤツだった。
次のお題はこんなんでよろしく。
「風袋」「おります」「化粧箱」
325 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/22 14:28
風袋、というものを見せて貰えるというので、私はその芸者についていくことにした。
道には昼過から降り出した雪がうっすらと積っていた。今年3度目の雪だった。
「なんなんですか、それは?」
「風神さま、というのがおりますやろ、その神さまの持っている袋どすぇ」
芸者はおっとりと答えた。
芸者のすまいは日本家屋で、部屋の隅に化粧箱があった。芸者は化粧箱から古びた白い袋を取り出した。
「これですか」
私は袋を手に取った。素材は牛皮を薄く延ばしたもののようだった。
「どのように使うんですか?」
「そうどすなぁ、桜はお好きどすか?」
芸者は袋の口を搾るようにしながら開いた。急に暖い突風が私の顔を通り抜けた。
私は目を細めた。風には桜の花の匂いがうっすらと載っていた。
風が止んで、目を開けると畳の上に桜の花びらが一枚乗っていた。
「うちにはこのぐらいしか、使い道が思い付きませんのどす」
芸者は申し訳なさそうな顔をした。
次は「宇宙人」「魔法使い」「ファイヤーボール」で
326 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/22 15:37
「宇宙人」「魔法使い」「ファイヤーボール」
ラーメン屋でいつものようにチャーシューを頼んだ。
となりに宇宙人がいた。疲れたようにため息をついていた。
宇宙人が哀しいのは夏だ。三万光年離れた夏。
やはり今年も誰も来ないのだ。どこにも魔法使いなんていやしない。
ここで餃子でも食べるしかしようがないじゃないか。
時が過ぎ、ぼくたちもきっと大人になる。
ジタバタするなんてぼくのスタイルじゃない。
でも今夜ぐらい夜空に向かって、にんにく臭い
ファイヤーボールを吐き出してもいいじゃないか。
次ぎは、みかけだおし、サナトリウム、課税
327 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/22 18:01
私はSONY製品、トヨタの車、富士通のパソコンは買わない主義である。
なぜならばみかけだおしの感じを受けるからだ。
いや、一番売れているメーカーなのだから性能もいいに違いない。
しかし私にはどうしてもみかけだおしに思えてしまう。
自分で貧乏くじをひいてしまうような性格なのだろう。
こんな私はサナトリウムにでも行ったほうがいいのかも。
累進課税制度はいい制度だなと思う今日この頃。
次は「赤ちゃん」「ドキッ」「髪の毛」
328 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/22 18:11
「赤ちゃん」「ドキッ」「髪の毛」
ドキッとした。
赤ちゃんを抱いているその女を見たとき。
髪の毛は、もう金髪じゃない。
服装もケバくない、どころか・・・。
だけど、あの女だ。
オレのあそこを、いつも丁寧になめた女だ。
公園のベンチでシケモクを吸いながら、
赤ちゃんを抱く女を何気なく観察した。
そろそろこの生活にもおさらばするか。
次は「寒い」「詭弁」「冷蔵庫」でお願いします。
329 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/22 18:33
「寒い」「詭弁」「冷蔵庫」
「奥さん、それは詭弁っていうやつですよ」
オレは香奈に言ってやった。
人違いだと言いはるのだ。
「香奈ちゃんはさぁ、ほら、背中に細かいそばかすがあるよね」
女の表情が変わった。
「寒いの? 冷蔵庫の中よりはあったかいと思うよ」
女をいたぶる楽しさに、オレの口元には笑いが浮かんでいた。
「こっちにいらっしゃる?」
なんだ、この女のくそ丁寧な言い方は。
香奈は、ソファの自分の隣をさした。
隣に腰掛けた女は、オレの耳元で言った。
「私はまた、あなたといたずらしたいけど、・・・に殺されるわよ」
女はものうげに笑っている。
次は「あやかし」「猿」「井戸」で
330 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/22 19:34
「あやかし」「猿」「井戸」
ばばさま!!桜が咲いております。
あやかしの里に桜が・・・ほろほろ。
ばばさまは「おおぜっ、おおぜっ」とわけの
わからない言葉を発しながらこころなしか
涙ぐんでいるようだった。この十年。
この日がくるのをどれだけ待ちのぞんだことか。
深い井戸に入り異界をさまよったことも
昨日のことのようだ。と、そこへ一匹の猿が
とびだしてきて、あろうことかばばさまに向かって
屁をかました。ばばさまぁ!!ばばさまぁ!!
ばばさまは「おおぜっ、おおぜっ」とわけのわからない
言葉を発しながらこころなしか涙ぐんでいるようだった。
次ぎは、なぎなた、釘、故意
331 :
なぎなた、釘、故意:02/03/22 20:23
うちの婆さんの戦争中の話。
村でなぎなたの大会があるというので、試合に出たらしい。
婆さん、結構なぎなたが上手くて、どんどん駒を進めて行ったんです。
そして、とうとう準決勝まで来たんです。
相手は、なんと当時、好きな男を奪い合ってた、恋敵だったのです。
しかも、当日、その男が試合を見に来ていたらしい。それではと、
婆さん、すごい張り切っちゃって、好きな男の前でいいとこ見せようと、
懸命に戦ったんです。
ところが、相手の恋敵が急に足を痛がってしまい、試合放棄してしまったん
です。なんと、地面に落ちていた釘が足に刺さってしまったらしい。だいぶ
血を流して相当痛がっていたみたいなんです。
それで、その後になって、わかったんですが、その恋敵の女の人、地面に
釘が落ちていたのを知ってて、故意に踏んづけたみたいなんです。大怪我
して、男に同情してもらうためだったようです。実際、男は恋敵に奪われ
て、婆さんは「男勝り」の称号をいただいたらしい。
次は、「サーフボード」「海岸通り」「バケツ」で、よろしく。
332 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/22 20:40
サーフボードを担いで海岸通りを歩いていると、釣り竿とバケツを持った少年とすれちがった。
少年は、妙な顔をしてこっちを見ている。
「ねえ、このあたりって湖しかないけど、サーフボードでなにすんのさ」
るせー! ひたってんだよ!
お次は「柔軟剤」「トラウマ」「あかちゃんひよこ」でプリーズ
333 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/22 21:48
「柔軟剤」「トラウマ」「あかちゃんひよこ」
ワタシハ あかちゃんひよこ ガ トテモ スキデシタ。
ペットショップデ ママニ カッテモラッタンデス。
あかちゃんひよこ ノハネガ ダンダン キタナクナッテ キテ、
ママハ あかちゃんひよこ ニ キスシチャ イケナイッテ イイマシタ。
ワタシハ ママノ コトバヲ オモイダシマシタ。
「コレハ 柔軟剤 トイウノ。
オセンタクモノガ フワフワシテ イイニオイガ スルノハ
コレヲ ツカッテイルカラナノヨ」
ワタシハ あかちゃんひよこ ノ カラダニ
柔軟剤 ヲ ヌッテアゲマシタ。
あかちゃんひよこ ハ シバラクシタラ ウゴカナクナリマシタ。
彼女は、こんなトラウマを抱えていたようだ。
これで、彼女が赤ん坊を風呂にいれられない原因がわかった。
催眠療法を行う石脇は、満足の笑みを浮かべる。
前世まで遡らずに原因がわかることは稀なのだ。
次は「塾」「ごみ箱」「ソレイユ」で。
334 :
「塾」「ごみ箱」「ソレイユ」:02/03/22 22:29
娘「太陽はなんて言うの?」
父「ソレイユ」
娘「じゃ、日曜日は?」
父「ディマンシュ」
娘「英語と全然違うね。サンとサンデーだもん。昨日、塾で習ったよ。」
父「もう、英語なんか習ってるの?早いなァ。」
娘「そうだよ。でも、美奈、フランス語の方がいい。そしてさ、
美奈も早くお父さんと一緒にフランスへ行く。」
父「まだ、ダメだよ。美奈がもうちょっとお姉さんになったらね。
じゃあ、いい子にしてるんだよ。いいね。」
和弘はそういい残して、家族と永遠の別れを告げた。これからは、
1人で諜報活動を続けなければならない。意を決した和弘は、
家族の写真をすべて、空港のゴミ箱へ捨て、一路パリへ飛んだ。
335 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/22 22:31
334です
書き忘れました。
次のお題は、
「革命」「万歳」「空売り」で、あります。
336 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/23 01:08
「革命」「万歳」「空売り」
「万歳」「万歳」
響き渡る声は、辛亥革命を喜ぶ民衆の声。
そのとき、私はまだわずか四歳だったが、
怒涛のようにうねる声は、こうして死の床でも聞こえる。
文化大革命の直前、私は祖国を後にした。
華僑の相場師となった私は
空売り、空買いの天才と言われた。
部下にも妻にも子供にも、妾にさえ恵まれた。
ひ孫のお前に、こんな話をしていると、
私がお前であるかのような錯覚に陥る。
春秋に富む若者であるかのような気がする。
明日も来ておくれ。
明日は・・・、明日もまた今日見た夢を語ろう。
私の人生は、おまえの未来のために千変万化するのだよ。
次は、「空港」「突風」「ブーゲンビリア」でお願いします
337 :
999 ◆D0999.o. :02/03/23 01:25
「空港」「突風」「ブーゲンビリア」
掲示板には、欠航の文字が赤々と目立った。俺は空港のロビーで
疲れきった観光客にまぎれ、そいつをじっと見つめていた。
小さな島の小さな空港だった。俺はいつもこの空港から島に帰り、
そして疲れて、島を出て行く。俺を逃がしてくれる小さな空港は、しかし、
台風のせいでその機能を失っていた。
滑走路ではレインコートをきた職員が横殴りの雨に耐えて必死で
作業を進めていた。ひときわ強い突風が滑走路沿いのブーゲンビリア
の赤紫を揺らした。
よくも悪くも、ここが俺の島だ、と思うのは悪天候のときだった。決して
旅行会社のパンフレットに載らない、そんな風景を見たときだった。
天候が回復して、燦燦とした太陽が照らせば、俺はここから逃げたくなり、
空港は機能を始める。良く出来ている。
「悪行」「ベータ」「どんぐりまなこ」
338 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/23 02:00
「空港」「突風」「ブーゲンビリア」
バリの空港は乾いた風の中で、この国の貧しさを漂わせる。
リゾート地の空港らしくない。
隆之との初めての海外旅行に、バリを選んだことを
奈美は少し後悔していた。
空港から一歩外に出ると、まぶしい日差しにめまいを感じる。
「あれは、ブーゲンビリアでしょうか」
隆之が、赤い花をさした。
「たぶん・・・」
奈美は、笑って答える。本当は、よく知っている。
義父の温室にもあった。ハワイでもカリフォルニアでも見た。
送迎バスに向かって、歩き始めたとき、突風が吹いた。
奈美は、めまいを感じて、足を止めた。
「どうしたんですか」
言葉とともに、隆之の手が奈美の体を支えた。
「大丈夫ですか」
ええ、あなたがいるから・・・。
奈美は、そう言ってみたかった。
ブーゲンビリアの花が、さっきより、赤く見えた。
次は「受話器」「夜桜」「雨」でお願いします。
339 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/23 02:02
かぶりました。
お題は、#337の「悪行」「ベータ」「どんぐりまなこ」でお願いします。
340 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/23 02:37
西ミドリは悪行の数々を記録されたベータカムを見せつけられると顔面蒼白になった。
そこには人気女優の飯川サヤカに対するセクハラが退屈するほど続いていた。
記者は陰気に西を眈みつけていた。
「記者さん、ちょっと……」
マネージャに記者が連れていかれたとき、ミドリはほっとしてタバコを吸った。
マネージャならなんとかカタを付けてくれるだろう。事務所のイメージもあるし。
そんなことを考えながらも、ミドリは震えが止まらなかった。
震えながらも、サヤカの透き通った肢体を考えていた。
あの子だって、喜んでたし。ミドリはサヤカの狂態を思い出していた。
それは恐怖とないまぜになって、さらにミドリの心を燃え上がらせていた。
フラッシュバックのように繰り返される喘ぎ声。男の子のような小さな胸。
あの子だって、喜んでたし。それはミドリの中で確信に変わっていった。
もう芸能界も疲れちゃった。ミドリは貯金の残高を思い起こしていた。
そのとき、どんぐりまなこに満面の笑みを浮かべたマネージャが飛び戻ってきた。
「大丈夫だよ、ミドリちゃん。お金でね、なんとか。でももうこれっきりにしてよぉ」
すいません。
お代は
>>338の「受話器」「夜桜」「雨」でお願いします。
342 :
「受話器」「夜桜」「雨」:02/03/23 05:51
雨の降る夜、雪江は警察からの電話にうちひしがれていた。
息子の行彦が殺されたという。しかも幻影城で。悲劇とはこれを指すのか。
受話器から聞こえてくる袴田刑事の声は、途中で聞こえなくなった。全てから逃げたくなったからだ。
親子続けて、幻影城で・・・・。
あの人は、夜桜の木の下で首無し死体。行彦は、鬼桜の木の下で刺殺死体。
眩暈が襲う。後ろに、雪江を殺そうとしている袴田刑事がいるとも気付かず・・・・。
次のお題は『高校』『1億』『うなり』で。
343 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/23 06:11
トイレでうなりながら、新聞を読む。
不景気でも、あるところにはあるもんだ。
俺の母校の裏口入学にからむ詐欺事件。
いくら進学校とはいえ、バカ息子(あるいは娘)の高校入学のために大金を出すんだから親バカにもほどがある。
とはいえ、俺の親なんざ俺と、まだ学生だった妹に、借金残して首をつりやがったから、それよりは百倍マシな親だな。
俺は押し入れの中の一億円のことを考える。
妹よ。お前の進学費用は確保したからな。
344 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/23 06:13
ああ、お題を忘れちゃいけないな。
「花飾り」「機密文書」「水鏡」で。
345 :
(゚Д゚)ぅゎぁー :02/03/23 09:30
「花飾り」「機密文書」「水鏡」
地下室には十代半ばの少女と、四十代に差し掛かるか掛からないかの男がいた。
部屋の名前は「水鏡」という名で呼ばれていた。
どんな者も水鏡の前に映るときは真実の姿を曝け出す、審問の間。
艶の無い黒色の硬く弾力のある革製の椅子に腰掛け少女は小刻みに震えていた。
これから何をされるかを想像すれば、大抵の奴は事が始まる前に壊れる。
善悪の区別すら曖昧な年齢で、組織に女給という触れ込みで取り入り、
機密文書を奪った所で捕らえられた少女。男はこの少女を哀れに思った。
少女の細い手足に食い込んだ、黒い革と金属の痛々しい枷を外してやりたかった。
しかし、それは出来ない。
男は夢想を断ち切ると、少女の顎のラインを人差し指で優しくなぞった。
口を開かせゴルフボール程のサイズ球体の付いた猿轡を噛ませる。
そして、この少女の為に用意した、荊棘(おどろ)に鋭利な鋲の咲き乱れる花飾りの
カチューシャを少女の頭部に飾りつけた。
永い夜が始まろうとしていた。
「暴力」「愛」「金」
346 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/23 17:12
「暴力」「愛」「金」
「そりゃ、俺は暴力団の下っ端だけど、
ケイちゃんにいっぱい愛はあるぜ。
そのうち、金も入るしさ」
「危ないことは止めてよぉ。
お金なんてなくたって、なんとかなるんだから」
「俺、ケイちゃんのそういうとこに惚れてんだ」
「ありがと。じゃあ、週一回は来てね」
「ったく、これだからな。クソババァは」
「うれしいわ。私のこと、やっぱり女として
惚れてくれてるのね」
「やめた、やめた。ッタク、オカマは
扱いづらいよな」
若い刑事は、私のバーでこんな下手な芝居をする。
かわいいな、惚れてみようかな。
オカマのオケイは、ふと思う。
次は、「春分」「褌」「墓」で。
347 :
春分・褌・墓:02/03/23 21:30
ふとカレンダーに目を移すと本日は春分だった。
墓の下でふてぶてしく永遠の惰眠を貪っている爺さんの所へでも足を運んでみるのも、
偶にはいいかななんて云う殊勝な考えを起こしてみた。
彼岸なんていう口実を利用しなければ、墓参りなんて云うこっぱずかしいこと出来やしない。
生きている爺さんはとにかく恐ろしかった。
暴力団や狂犬、国家権力や中華包丁よりも俺に恐怖感を植え付た。
畏怖の念を抱かざるをえなかった。
大工の棟梁だった爺さんは昔かたぎの人間で、
げんのう片手に両肩の刺青を靡かせ、褌一丁で街を闊歩していた。
あの鋭い目で俺を射すくめる事数千回。
俺の中では神や仏よりも高い位置にデンと腰を下ろす化け物だった。
爺さんの墓は周囲に居並ぶどの墓石よりも巨大で、生前の爺さんそのままの存在感だった。
俺はお供え物を添え、語り掛けた。
「爺さん元気か?」
すると俺の耳におぞましい怒声が響いた。
―馬鹿やろう!春分は牡丹餅だろ!御萩なんて持って来るな!一昨日来やがれ!
#次は「乾坤一擲」「シチュー」「明治」でおねがいします。
348 :
どないですか:02/03/23 23:02
「乾坤一擲」「シチュー」「明治」
「とまあ、日本海海戦は当時の大日本帝国海軍にとって乾坤一擲の大勝負だったわけだ」
先生が得意げに話した。僕は先生の歴史の話が大好きだ。僕だけじゃない、クラスのみんな、
先生の話す歴史、特に日本の歴史が大好きだ。
「先生、その戦いは明治天皇が指揮したのですか?」
学級委員長が質問した。さすが委員長、良い質問だ。僕はそんな質問、思いもつかない。
「いや、天皇は戦争を指揮しないんだ。この海戦は東郷平八郎という提督が指揮した。
独特の航法により、全火力を目標艦に集中、確実にロシア艦を沈めていったんだ。
この提督は日本海軍の強化に非常に熱心でね。ヨーロッパのシチューを参考に『肉じゃが』という
船員用食を考案したって伝説もある。ん、俗説と言ったほうが正しいかな?」
「へえぇ〜〜」
教室のみんなも僕も感心したふうな声を出した。そんなスゴイ日本人がいたんだ。
「じゃあ、我々も当時の日本人を見習って、大国を撃破する術を学ぼうじゃないか、
今日は80ページ、『爆発物攻撃の長所』だな。みんなで朗読しよう」
寒風吹きすさぶ中央アジア山岳地帯の名も無き洞窟に、子供たちの朗々とした声が響いていた。
次は「人工透析」「東南東」「チョコレートパフェ」
糖尿で人工透析を受けている身とあっては、もちろんチョコレートパフェなど食べる事はかなわない。
しかし中国の漢方薬だけで作った、チョコパフェそっくりのデザートがあると聞いた。
どうしても食べたいのだが、その地は中国の奥地の秘境とも呼ばれる場所。
三日開けず透析を受けなければならない身で、どうしてそこまで出向けよう?
いや、しかし、チョコパフェのない人生など、終わったも同じだ!
そしてビン・ラディンは東南東に向けて脱出を試みた。
次は「緑の牛乳箱」「水色の財布」「金襴緞子(きんらんどんす)のお守り袋」
350 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/23 23:24
「乾坤一擲」「シチュー」「明治」
うちの宰相は、いつも色紙にこう書く。
「乾坤一擲」
うまいとおだてられたら、そればかり。
それなのに、シチューは必ず一滴こぼす。
困ったことに、寝屋でも使う。
大事なときに、こんなこと、言われたら、
すっかり気分がだいなし。
「殿さま、それはもう、おやめください」
と、言っても一向に聞き入れない。
どころか、妾(わたし)がそう言ってから、
小半月ほど、意地になってそればかり。
でもさ、明治の男は、こうでなきゃ。
勇ましくって、かわいくって。
次は、「空騒ぎ」「笑顔」「香合」で
351 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/23 23:26
#350 大変失礼しました。
次は、#349の方の
「緑の牛乳箱」「水色の財布」「金襴緞子(きんらんどんす)のお守り袋」
で、お願いします。
352 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/24 00:59
「緑の牛乳箱」「水色の財布」「金襴緞子のお守り袋」
猫を踏んで横死した名キャメラマン、ジャバ.Lは、その死の二年前、昭和36年に来日している。
ジャバは、日本の少女に興味をそそられた様子だった。
――この国の少女はクルスではなく、ゴールデン・レッドの複雑な模様の袋を首に提げていた。――
と、その著『かなりピンボケ』に記されている。
緑の牛乳箱・・・それは印画紙に焼き付けられるとモノクロームになったが・・・を
左奥に配し、金襴緞子のお守り袋にピントをあわせて斜俯瞰で撮影された少女の写真は、
ジャバの楽天的なサディズムをよく表わしている。
なぜなら、その少女はお守り袋を身につけただけの姿であり、せっかんとして戸外にだされていることが、容易に見てとれるからだ。
この写真がジャバの死後プリントされて、ジャバの名声をさらに高めたのは、周知の事実である。
「ジャバ.L――もうひとつの素顔」より
#次は、「空騒ぎ」「笑顔」「香合」で
353 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/24 01:04
#352 ですが、キーワードのひとつ、「水色の財布」を忘れました。超スマソです。
それで、最後の一行を以下のように変えてください。
「水色の財布――ジャバ.Lの素顔」より
354 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/24 04:17
>>353 いくらなんでも、それは限定しぼりすぎだろ
355 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/24 05:18
354の人からクレームがついたのを幸い(x_x)☆\(-_-メ)バキ
書き直してあったのを再アップさせていただきましたm(_ _)m
=====================
「緑の牛乳箱」「水色の財布」「金襴緞子のお守り袋」
猫を踏んで頓死した名キャメラマン、ジャバは、その死の2年前、昭和30年に日本に撮影旅行を行った。
ジャバは、日本の少女に著しく興味を抱いた。
「この国の少女は、ほとんど例外なくおかっぱ頭で、胸にはクルスではなくゴールデン・レッドの複雑な模様の袋を提げていた」と、その著『かなりピンボケ』に記している。
旅行中のもっとも代表的な作品は、緑の牛乳箱――それは印画紙の上ではモノクロームにすぎないが、見る者に緑以外の色を思わせない個性をもっている――を左後ろに配し、金襴緞子のお守り袋を提げたおかっぱ頭の少女が、斜俯瞰で写されている一枚である。
民家の玄関のそばに掛けられた牛乳箱は、戦後復興を終えた当時の日本をよく捉え、おかっぱ頭の少女はジャバの陽気なサディズムを表わしている。
なぜなら、その少女は下着とお守り袋を身につけているだけで、幼児虐待によって家庭から締め出されていることが、誰にも容易に見てとれるからだ。
「猫と水色の財布だけで、ジャバはアメリカを写した」と言われるが、「緑の牛乳箱とおかっぱ頭だけでジャバは日本を表現し、さらに彼自身の陽気なサディズムを映した」のである。
ジャン キャノン著 谷口美智彦訳 『水色の財布――ロバート ジャバの素顔』より
ジャン キャノン 1964年ニューヨーク州生まれ。
マンハッタン大学卒業後、新聞記者となるが、その後、作家に転身。
‘89年から3年間日本に滞在し、親日家として日本を紹介するエッセイも多い。著書多数。
356 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/24 11:24
つまり姉が私と遊んでくれたのは、憐憫からだったのだ。私は養子にされる。
両親にそう告げられた時、真っ先に私の頭に浮かんだのは姉の顔だった。
お互い稽古事が忙しいせいもあったが、姉と私はほとんど話らしい話もしたことがなかった。
仮面姉妹だった。だから養子話の前日、姉に遊ぼうか、と声をかけられた時は驚いた。
と同時に、初めて見た姉の笑顔に私は胸の重しが外れたような気がしたものだ。
それは私が心のどこかで待ち望んでいたものだった。ふたりできゃあきゃあ言いつつ
下手くそなキャッチボールをした。姉妹になれた気がした。眠るまで心がはしゃいでいた。
なのに…
私は両親の前を後にして、とぼとぼと母屋の裏手にある竹林に続く道を歩いた。
私だけが空騒ぎしていたのだ。姉は養子に行くふびんな出来の悪い妹に情けをかけてくれただけ。
茶庵の側を通りかかると、ほのかな麝香が漂っていた。姉と先生がお茶を点てているのだろう。
姉とお揃いの香合も、私の代わりにここに来る子の物になるんだろう…
足早に庵を立ち去る私は、いつのまにか泣いていた。
5月の風が笹の葉を鳴らし、背を照らす夕日がやけに暖かかった。
香合なんてことば初めて知りました…無理矢理ごまかした感じですがご勘弁を
次は「摩天楼」「水面」「スコット隊」でお願いします
「摩天楼」「水面」「スコット隊」
「はーくしょーん!寒いなあ・・・」
大魔王がでてきそうなクシャミ。
風邪気味の上に、南極の寒さとなるともう肺炎寸前である。
防寒具はあっても、クシャミ・鼻水・鼻つまりはどうしようもなかった。
こう見えても、摩天楼にオフィスを持つ企業経営者だった。
でもこの時期なら、どっちみち花粉症でクシャミ・鼻水・・・
それにしても、空しい仕事だ。
広告代理店なんて、所詮水面に浮かぶボウフラの様な・・・
吹雪が納まった。
歩を進めなければならない。スポンサーがうるさいのだ。
この企画だって「スポンサーの広告」というれっきとした「仕事」なのだ
急げ、南極へ!
ティッシュ5箱組を24個積んでスコット隊は進んだ。
「クリネックス隊」「エリエール隊」に負けるな!
※南極では「水面」が「氷面」になってしまうのがキツイ・・・
次のお題は:「朝焼け」「水着」「昆布茶」でお願いします
358 :
「朝焼け」「水着」「昆布茶」:02/03/24 14:29
南極には朝焼けなんてものはない。
だらだらと昼が続いていくだけだ。
春分の日(こっちじゃ秋分の日だが)の朝、つまりは夜の始まりに、
毎朝9時の定時観測を終えたおれは憂鬱に昆布茶をすすった。
この春嬉しかったのは遠くの方にハグれたコウテイペンギンを見たぐらいだ。
その光景はおれの中で水着ギャルへと姿を変え、今朝の夢に現れた。
氷の砂漠の水着ギャル。シュールだ。あの顔は誰だ?昔振られた女だったっけ?でも覚えがない。
ふと窓の外を見ると、人間ぐらいの大きさのひょこひょこ動く黒いものが見えた。
コウテイペンギンだった。いや違う。ありゃあ本物の。
「ま、黒い水着ってのもいいもんだ」
おれはとりあえず声に出してみた。
「な、に、か、い、ったぁ?」
女は震えながら昆布茶をすすった。
女は宇宙人で、なぜか知らんがここまで来たらしい。観光だと言っていた。
「うわぁ、すごい!」
窓の外は紅いオーロラが全天に広がっていた。まるで全天が朝焼けになったようだった。
「そうか?」おれには見慣れたものだった。
「こんなに見事な粒子の広がりを見たのは初めてよ。この星も太陽も、多分とても力が強いのね」
女はうらやましそうに話した。新鮮な対応だ。昔おれもそうだった。
やっぱり、おれは気が狂ってんのかね?
おれは子供のように目を輝かせて小さな窓から空を見ている女をみつめた。
おれは女を手元に引き寄せた。女はことん、とおれの胸に体を預けた。
まあいいか。どっちでも。
そう思うと、おれはちょっとだけ気が安まった。
すんません。すげー延びた。
次は「ローラー作戦」「テレビ」「お寺」で
俺が寝転びながらテレビを見ているときに、そいつが来た。
「大変だー!ジャックスぅぅー!!メリアさんが、メリアさんがーぁ!!!」
こいつは親友であり、相棒でもある男、クレイルだ。メリアとは、お寺で巫女のアルバイトで
糊口を繋ぐ少女で、俺の無二の恋人だ。クレイルは彼女を実の姉のように慕っている。
「魔物に連れ去られそうだぁぁぁ!!!やつは"アスモデウス"だ!!魔物を統べる魔将軍だぁぁ
ぁ!!うおおお!!!!早く来てくれエエ!!!!」
「危険度Sのアスモデウスが!なぜそいつがメリアを!?」
そう口にした瞬間、無数の魔物が壁を破り、俺の隠れ家に押し寄せてきた。チュパカブラス。
危険度Dと単体なら怖くはないが、こう大群で来られると厄介な相手だ。よし、ここは……。
「クレイル!!ローラー作戦だ!!!いくぞオオオオオオオオオ!!!!!」
グチャ!!ギョリ、ゴリゴリゴリゴリグチャリ!!ブシュア!ドバシュゥ!!!
俺は"パワー"を具現化させ、巨大な手押しローラーを練り上げ、それで雑魚共を圧し潰してい
った。チュパカブラスはローラーによって底の狭いグラスのように倒され、足の先から頂上の角
までの骨を細かく粉砕していった!ローラーを押すたびに不気味な音が響き、床に汚い血漿をぶ
ちまけ、肉は伸ばされ赫い花を咲かせ、筋肉は緩み盛りあがり破裂し、内臓は物凄い勢いで噴出
し、当たり一面に飛び散り新しい絵を描き、それも轢き、口からは血と贓物を吐き出し、目が裏
がえリ、心臓まで潰すと血が暴発して俺の顔に色を浴びせる。頭まで潰すと、飛び出た眼球が俺
を睨みつけ、骨と歯と唇と下と鼻と耳と鼓膜と皮と感覚気管と血管と脳漿と脳とそれらを構成す
る細胞が潰れ、綺麗な一枚の押し絵となった。そのような模様を幾つも幾つも返り血を浴びなが
ら作り、俺とクレイルの顔は恍惚の表情に歪み、時間を忘れてしまうほどスプラッタホラーを堪
能した。
次のお題「龜」「スーサイドアタック」「絶縁関係」
360 :
(゚Д゚)ぅゎぁー:02/03/24 18:44
「龜」「スーサイドアタック」「絶縁関係」
その夜唐突に彼女から電話によるスーサイドアタックを受けた。
晴天の霹靂とは、このことだ。電話の向こう側の彼女の破顔が目に浮かぶ。
彼女とは二ヶ月前に別れ、音信不通の絶縁関係にあった。俺からすればもう過去の話だ。
「私産むわよ」鬼の首をとったかのような調子で彼女が言う。
ざけんなよ。そうまでして俺を私物化したいのか。そもそも本当に俺の子なのだろうか。
考えてみれば別れた原因はこの女の浮気だ。その所為で周囲の男友達との関係も壊れた。
こんな激安な女に、もう、これ以上俺の人生をぶち壊されてたまるか。
「いいかバーゲン女、一度しか言わねーからよく聞けよ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・死ね」
そして俺は電話を切り、水槽の中の緑龜のグッドスピードちゃんに餌をあげた。
俺の人生はまだ始まったばかりだ。
「歪み」「飛蝗」「三億円」
362 :
「歪み」「飛蝗」「三億円」 :02/03/24 19:40
駅前の上野公園で不良に絡まれた、囲んで袋叩きにされて彼は病院送りになった。
眠い、朝の日光が窓の前に立っていた。彼は人形のように白いベッドに寝ていた。
顔に触れる彼の指は、その傷による歪みを痛々しく伝える。失明、それが彼の上にござをくんで座っている。
「飛蝗、おるか」
彼はそう言った。返事は無かった。病室に、低いエアコンの音が響いていた。
彼の唯一の親友は帰ったようだった。宝くじなど、とんだ迷惑だと、彼は一人ごちる。
三億円なんて持って、公園をふらつくんじゃなかった。
まずそうな飯がぺちゃぺちゃ音をたてながら看護婦に運ばれてきた。看護婦の顔のおできが彼の嫌悪感を煽った。
次は「形而上学」「たこ焼き」「社長」で。
363 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/24 21:18
「形而上学」「たこ焼き」「社長」
世の中には、いろんな人がいて、普通あたりまえのように
受け入れていることに、納得がいかない人々がいる。
ぼくからすれば、たいていどうでもいいようなことが多い。
たとえば、四角いたこ焼きは丸いたこ焼きよりうまいはずがない、と
力説する人に会った。ああ、またこの手の変な人に会ったと思った。
その人が言うには、一般的に(そんなことに一般的にもクソももない
と思うのだが)四角くとも丸くとも食材は同じなのだから、味は
同じだと思う。だがしかし、四角いたこ焼きはやはりあり得ず、
角も硬くなるはずで、よって丸いたこ焼きよりうまいはずがない、という。
ぼくたちは丸いたこ焼きを食べている。四角いたこ焼きなど一度も見たことがない。
なにゆえわざわざ四角いたこ焼きをひっぱりだしてくるのか。
でもその人は、四角いたこ焼きの存在が、あの憎たらしいかたちが
たとえ頭の中だけの存在だとしても許せないらしい。
その人はたこ焼きチェーンの社長。学生時代に形而上学を
ちょこっとだけ齧ったそうだ。本当にどうでもイイはなしだ。
364 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/24 21:25
次ぎは、無用の用、土、雷
無用の用、土、雷
ぽーんと放り投げたジンの空き瓶がゴミ箱がわりのダンボールをかすめて―入らなかった。
ええい、面倒臭い。拾いに行く気にもなれない。それどころでは無いのだ。昨日まで重宝した、今や
無用の用具箱をなんとか片付ける算段をしなければならない。
スコップはあるんだ、土にでも埋めてしまえばいい。結局最初からそのつもりだったではないか。
惨劇を絵に描いたような夜だった。突然の別れ話。雷鳴轟く夜ほど嫌いなものはない。が今日は別だ。
上機嫌というにはあまりに惨めな気分で彼女を入れた用具箱を埋めに出かけた。
つぎは「視線」「バイク」「意味」
366 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/25 01:37
「視線」「バイク」「意味」
――四戦連勝のツジモト、危ない、危ないです。
いかがですか、今日のゲームは?
――どうも、視線が今ひとつ定まっていませんね。
ひょっとすると、ひょっとするかもしれませんね、これは。
――ところで、ツジモトはバイクが好きとか。
――ええ、意味もなくバイクが好きだ、と言ってましたね。
――おっと、ゴングが鳴りました。
危ない、危ない、足元がふらついています。
――相手は、ムネオ・ジミンですからねぇ、
これは難しい戦いです。
次は、「漆」「クーラー」「壁掛け」で
「漆」「クーラー」「壁掛け」
漆細工というのは、非常に手間のかかる作業です。まず漆を塗る素材
を下磨きし、その上に下塗りをし、数日乾かした後またそれを磨き、
下塗りをし…。それを繰り返すほど、表面はなめらかに美しく輝き、
艶も出て来るのです。もちろん乾かすのに扇風機やクーラーを使って
はいけません。また壁掛けにしたり立て掛けたりしては、せっかくの
漆が流れ、斑が出てしまいます。一つ一つを丁寧に並べ、夏は2日、
冬なら3日かけて乾かします。下塗りを何度も繰り返した後、最後に
仕上げの上塗りをしますが、この時にもし埃や髪の毛などを落として
しまうと、また乾かして磨く所まで戻らなければなりません。大変な
仕事です。習得も簡単ではありません。しかしそれだけに、できあが
った時の感動はひとしおです。「自分の生き方が見つからない」そん
な若者のみなさん、ここで人生を見つけてみませんか?
給与●月給15万円以上(研修期間3ヶ月は時給710円)
時間●8:15〜17:45(休憩60分)
資格●年齢・学歴共に不問
応募●まずはお気軽にお問い合わせ下さい。
03ー****ー**** 漆器工房村上(社長)まで
あ!次「まごのて」「ステレオ」「小説家」でお願いします。
ごめんなさい…。
369 :
999 ◆D0999.o. :02/03/25 03:37
「まごのて」「ステレオ」「小説家」
「先生、ここですけどね」
去年大学を出たばかりの担当編集者が私の原稿を指差す。
「『まごの手でも借りたい』ってありますね。ここは猫の手でも借りたい、
で宜しいですか?」
締め切りに追われて大急ぎで書いたがために、ミスをしてしまったらしい。
訂正するにやぶさかでないのだが、編集の口調が気に入らなかった。
小説家としてデビューして数十年、数々の賞の候補に上がってきた私に
向かってするのなら、ミスを訂正するにももっとやり方があるだろうに。若造が。
「君ね、考え方が型に嵌りすぎというかね、ステレオタイプなんだよ。若い
人はもっと柔軟に考えなければいけない」
「はあ…」
「既存の慣用句を乱用するだけが能じゃないんだ」
言ってから、しまった、と思った。が、遅い。しかし、数々の賞の候補に上が
った小説家の私が、若造の指摘を受け入れるのは癪だった。私は舌を回転
させいい加減な主張を続け、ついに相手を折れさせた。帰り道、また候補どまり
だろうな、と思うと虚しくなったが。
「族長」「タイムカプセル」「般若」
370 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/25 03:43
ステレオのスピーカーから泉のように溢れ出すメロディーに耳を傾けながら、
成美は、まごのてで足の裏に刺激を与えながらぼんやりと考えていた。
芸術家は無から創造するなんてよく言われるけど、実はそんなことないはずなのよね。
音楽家だって一見無からメロディーを生み出してるようにも思うけれど、「音」自体は自然に存在するものだし、
小説家だって、元々存在する言葉を操って文章を創りあげる訳だから...。
そうよ、音楽家が音を操る芸術家なら、小説家は言葉を操る芸術家、画家は色彩を操る芸術家なのよ。
自然界に存在するものを、それを見たり聴いたり読んだりする人が感動するような形に変換するのが、
芸術家といわれる人たちの仕事なんじゃないのかな。
まごのてで足の裏をさするのを止め、寝転がったままそのまごのてでステレオの電源を切ってみると、
窓からは、無数の虫たちが繰り広げるハーモニーが流れ込んできて、
成美の思考の世界をそのきらびやかな音で塗りつぶしていった。
それが成美を心地よい睡眠の世界へと導いていった。
次は「ジッポ」「ボールペン」「五円玉」でよろしく!
371 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/25 03:47
あら、ダブってしまいましたね。
それじゃ、お先に投稿された999さんの「族長」「タイムカプセル」「般若」でどうぞ!
372 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/25 07:00
最終レースが終った川崎競馬場は気だるい空気だけが支配して
いた。力の抜けたような足取りで出口へと向う客の群。風に煽ら
れた馬券追いかける清掃員。からっぽのコース。競馬場はいつも
のように覇気のない空間へとなりはててしまった。そんな中、客席
には三人の男達が居残って、ひそひそ話をしていた。
「だから見たんだって、京急のガード下の資材置場で変てこ
なマシンをよ」
この男はいつも背に般若の刺繍を縫い込んだシャツを着込んでい
る。彼は「族長」と呼ばれていた。
もう一人の男が冷めたたこ焼を食らいながら答えた。
「なんだよ、その変てこなマシンて。」
「だからそれがわかんねえんだって。」
さらにもう一人の男があくびをしながら茶化した。
「まあ、あれだな。タイムマシンかなんかじゃねーの。」
族長は二人のなげやりな反応にむかっ腹を立てた。
お次は「ストーブ」「花」「カレンダー」でどうぞ。
373 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/25 07:31
世間が桜桜とうるさくなり始めた、三月下旬の休日の昼下がり。
「次の冬の足音が聞こえるまで、こいつともしばらくおさらばってわけか。
季節が変わるってのも、寂しいもんだな」
暖かくなって、すっかり用済みとなったストーブを庭に運んで綺麗に手入れしながら、
賃貸の庭付き一軒家の住人夫婦の旦那は、ふとそんな独り言を漏らした。
「なに言ってんのよ。ついこの間まで、あ〜、早くあったかくなってくんねぇかなぁなんてぼやいてたくせに。」
縁側で洗濯物をたたみながら旦那の独り言を聞いていた嫁は、そういって立ち上がって台所まで歩き、
「季節が変わる」という旦那の言葉に誘われてか、何気なしにカレンダーを一枚めくってみた。
4月2日のところに、赤い花丸がかかれているのを見て思い出した。
あれからもう15年が経つのよね。
あの人がはじめて私のことを好きって言ってくれたあの日から。
あの時の空にあふれんばかりの桜の花のように、あの人の心には私への愛が咲いているのかしら。
お次、「ベランダ」「電線」「自転車」でどうぞ。
374 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/25 07:35
ここは某病院、このA病棟に入院している男がいる。
男は平凡に会社に就職し、平凡な家庭を持ち、ごく平凡な人生を送っていくつもりだった。
だが1年前に体調を崩し、それ以来ここにずっと入院していた。
男は実は全身に転移した末期ガン患者であったのだが、親族は
その事を男にはまだ言っていなかった。そして男自身、もうすぐ
退院できるだろうと考えていた。
さっきまで見舞いに来ていた妻は「そう言えば、家のストーブ付けっぱなしだったかも」と言って
急いで帰ってしまった。男は思った「まだローンが残っているのに・・・」
午後になりふと、窓の外を見る。
いつの間にか季節は移ろい、美しい花が咲いていた。思えばかれこれ1年もここに入院している。
「そう言えば窓の外をゆっくり眺める事なんて無かったかもな。」その景色を眺めながら
男はある決意していた。
「俺は必ず退院する。そう、また来年もあの花が咲いた時に退院するのだ。」
カレンダーの日付は●月▲日月曜日、その3日後に
男は死んだ
お次は「三毛猫」「探偵事務所」「腕時計」で
375 :
名無しさん@Emacs:02/03/25 09:29
「三毛猫」「探偵事務所」「腕時計」
足もだいぶ疲れてきた。私は泣きたくなるような思いで空を見上げた。昼下が
りのビル街の空は雲が立ちこめ、道行く者も見あたらない。けだるい空気の固
まりが街にのしかかってくるようだ。約束の時間が来たことを腕時計が告げて
いる。しかし、私はあの男と待ちあわせている探偵事務所にどうしてもたどり
着けないでいるのだ。
ーーーあの男にかつがれたのだろうか。
考えたくもない。今日は絶対にあの男に会って、節子の行方を聞きださなくて
はならないのだ。私はタバコをくわえながら、周囲を見回した。一匹の三毛猫
が道路を横切っていった。行く先を目で追いかけいくと、猫は古ぼけたビルに
はりついている階段を登っていった。そのビルに件の探偵事務所の看板が掲げ
てあった。
376 :
名無しさん@Emacs:02/03/25 09:30
すいません、次は「銀行」「新幹線」「川」です。
377 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/25 09:38
彼は一人の友人の家にある夕方、赴いた。傘さして歩く商店街が、彼にはどこか陰気に感じられた。
靴の先を少し濡らす小雨がある。雨は風に煽られる、むせかえる。
大きな古いアパートを見つけた。薬局が1階にあった。雲裏に逃げた太陽は、アパートを見上げる彼の目に
いつもの瘴気を感じさせなかった。夏の雨があった。こつこつ鳴る階段を彼は上がっていった。
お互いの挨拶を終えて彼は友人の家へ上がった。五時を指す腕時計を見た、もう五時か。
「てっちゃん、頼むよ。預かってくれよ」
友人は彼に言った。疑問に思う彼を尻目に、友人は奥の部屋へ消えた。室内も薄暗いのは、切れかけた蛍光灯のためだった。
「ほら、これ」
友人は小さな三毛猫を抱いてばたばた走ってきた。彼はソファに腰掛けた、ぷっとほこりが舞った。
「この猫、預かって欲しいんだ」
「どこで拾ったんだ?」
「それは、後でいいんだ」
彼はトランクに入った猫を受け取った。古く黒いトランクには「探偵事務所」という幼稚なステッカーが貼られていた。
貼りなおしたのか、その周りに白い粘着物がついていた。トランクは何も鳴かなかった。
「じゃあ、帰るわ」
彼はドアを開けた。まだ降っている雨の指先が彼の顔に吹きつけた。
うれしかった。夏の暑さが彼は嫌いだ。夏の瘴気から逃げられた。助かった。
通りを歩いて彼は帰っていった。駄菓子屋の老婆が店の奥でじっとしていた。道路はじめじめ光っていた。
すいません。376さんのでお願いします
379 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/25 09:54
「三毛猫」「探偵事務所」「腕時計」
「何? あの猫」
暇そうに外を眺めていた由美は、ベランダにやってきた猫を目で追いながら訊いた。
「ああ、三毛猫ホームレスさ」
「は? 何それ」由美はきょとんとして聞き返した。
「いいんだ。忘れてくれ」
和樹は苦笑しながら、腕時計を見る。クライアントとの待ち合わせまで、まだ少し時間
があった。和樹はデスクに置かれた資料を手にとって、もう一度目を通し始めた。
酷い内容だ。日本という国の未来は、どうなってしまうのだろうか? 和樹の視線は
資料から離れ、窓の外、眼下に広がる無機的な都市の上をさまよった。
程なくして、扉がノックの音が部屋に響いた。
「どうぞおくつろぎになって下さい」和樹は扉を開けて、歳若い女性を中に招き入れる
と、奥のソファに勧めた。
「由美君。こちら、クライアントの斉藤今日子さん。お茶をお願いします」
「さて」和樹は間を置いてから切り出した。「決心はつきましたか、斎藤さん。お父君
の設立された会社を畳むことには、抵抗が御ありになるでしょうが……」
「いいえ、大丈夫です。決心しました」
「そうですか」和樹は安堵して何度も頷き、時代の流れなんでしょうね、と言葉を足した。
長く続いた斉藤探偵事務所は、こうしてその役目を終えたのだった。
----------------
トホホの同じお題3人目です。
次は
>>375さんの「銀行」「新幹線」「川」で。
×程なくして、扉がノックの音が部屋に響いた。
○程なくして、扉のノックされる音が部屋に響いた。
381 :
「銀行」「新幹線」「川」:02/03/25 10:33
次元と五右衛門を雇うことに成功した私は、その日から地図とにらめっこして
銀行強盗の計画を入念に練った。私の会社への融資を止めたあの銀行に鉄槌を下すのだ。
最初は、そう考えていた。ところが、私怨で始めた計画が考えているうちに楽しくなってきた。
なにしろ次元も五右衛門も常人離れした力量の持ち主だ。
頑丈な金庫をまっぷたつにすることもできるし、飛んでいるヘリを撃ち落とすことだって
銀行受付嬢の制服を斬鉄剣一閃セミヌードにすることだってできる。最高だ。素晴らしい。
私に協力してくれる彼らに敬意を表して、できるだけ派手な計画を練った結果、
逃走経路には隅田川を選んだ。金に糸目をつけず、ホバリング機能を搭載した
屋形船で逃げよう。もちろん逃走中は宴会だ。芸者も呼ぶ。
東京駅近辺でわざと警察に追いつかれて、新幹線に逃げ込むのだ。そう!
史上初の新幹線ジャックだ!鉄道オタクの私の胸が高鳴った。
日本中を震撼させてやろう、地図を見つめながら私はにやけた。
「天気予報」「高校生」「祈り」でおねがいします
382 :
「天気予報」「高校生」「祈り」:02/03/25 10:51
センバツ高校野球が明日、開幕する。
天気予報によると、明日は雨が降るらしい。
ある高校生は夜を徹して祈り続けたそうだ
「明日、晴れますように・・・・」と。
次は「2ch」「衝撃」「田代」でおながい
383 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/25 11:29
〜2chの長い一日〜
前書き
2002年12月9日深夜。
タレントの田代まさし(本名・田代政)容疑者(45)が、東京都大田区内にある民家の浴室をのぞいたとして、
軽犯罪法違反の現行犯で警視庁田園調布署に逮捕された。
翌10日未明、警察関係者または芸能リポーターのたれ込みにより、2chに速報スレ立つ。2chに、日本に衝撃がはしった。
なぜまた?(゚Д゚)ハァ?(゚Д゚)what?( ´_ゝ`)フーンガ―(゚Д゚;)―ン!!(・∀・)イイ!!
狼狽しつつも2chは動き始めた。エアチェック部隊。芸能プロ、警察当局への電話取材。AA職人。煽り屋。
誰もが、自分にできることを探し、その職務を遂行した。いったい何故、田代は芸能界追放必至なことを
しでかしたのか。詳細な事件検討が2chの総力を挙げて行われた。だが、本人のコメントをもってしても
真相は闇の中だった。昼過ぎ。皆、気づき始めた。これは、田代の、マーシーのタレント生命をかけた
渾身のギャグだったのだと。14時21分。田代を神と称えるスレが立つ。ありがとう、田代。勇気を、
笑いを、ありがとう…2ちゃんねら〜以外にも各地掲示板から続々と田代信者が2ch本スレに集結しつつあった。
彼らは後にTIME誌the man of the year1位に田代まさしを掲げるという偉業を達成する。
惜しくも、TIME誌側の政治的判断により、ビンラディンにその座を明け渡したが、その栄光は
未来永劫語り継がれるであろう。これは、田代教黎明期の闘いを描いたルポルタージュである…
次は「天使」「ステンドグラス」「帆船」で
×芸能リポーターのたれこみ
○芸能関係者と思われる人物のたれこみ
読み返すと変だったので修正
385 :
(゚Д゚)ぅゎぁー:02/03/25 12:16
「2ch」「衝撃」「田代」
「明日は我が身・・・かな・・」
2chニュース速報板を見ながら呟く。
スプーンの上の粉雪がミネラルウォーターにゆっくりとほどけていく。
美しく、そして、儚い一瞬だ。ライターをあて、それをさらに溶かす。
机の抽斗から冷たい感触の注射器を取り出す。
スプーンに針先を宛て、雪融けの水をピストンで一気に引き上げる。
腕に鋭い先端を宛がい、禁断の果実のエキスを静脈にぶち込む。
血管の中を棘の生えた生き物が動き回っている。
「っ・・・・・・・・・・・ぁ・・・・・」
棘の生えた生き物は、やがて猫みたいな女になり、俺の血管の壁を、
その尖った爪でなぞる。気だるく甘ったるく、しかし激しい衝撃。
今に見てろ。今に、俺が田代以上の祭りをプレゼントしてやる。
どうせ明日は無い。死刑になるぐらい、2ちゃんを震撼させるぐらい、
俺のアスキーアートが作られるくらい、俺の板が作られるくらい、
寝たきりの老人みてーなこの国をたたき起こすくらい・・・・。
そうして俺は声を殺し笑った。
「奴隷」「色情狂」「鎖」
色情狂という単語は知られているが、その意味を正確に把握している者は
多くはない。スケベと同じ意味で使われることが多いが、実際には誤った
遺伝子情報によるホルモン分泌過多により常に発情期の状態に置かれる者
を指す。人は四つの塩基が作り出す二重螺旋の連鎖から、抜け出すことは
できぬDNAの奴隷にすぎないのだ。
ってことで次は「月」「太陽」「星」で願います。
387 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/25 14:49
この板には珍しい良質スレあげ
388 :
◆ragETdiE :02/03/25 14:50
月の光芒が目に映える。
目の前の男は先程まで暴行を働いていた数人の
男達から一瞬で間合いを取った。
銀の双眸。公園のライトから漏れ出る擬似太陽
の灯りは男の顔を映しだしていた。
男がかけている眼鏡は奇跡的に何らの異常はな
い。だらしなく伸ばした髪はオールバックに逆立
ち、瞳は虚だ。容姿は泥で汚れて薄汚いが、先程
全く感じることが出来なかった男の鋭気が突如と
して現れ、鋭気は鬼気と変わり果てていた。表情
は頬を歪め口先は吊り上がり、心なしか犬歯が発
達している。だが、特筆すべきは虚ろな男の双眸
――月の色の光彩に、星の銀。
疾風が黒服の男の横を駆け抜ける。
伸ばした掌は爪が発達しており、鋭い。刃物も
くやという如きの鋭い肌色は、軽く男の黒いスー
ツを切り裂き、一気に腹を横に薙いだ。
男達は横を通った殺気に気付く。横に腹を押さ
えながら倒れていく男を見て血色を変えた。胸の
スーツの中に手を入れたものと、ポケットからバ
タフライナイフを取り出す、焦り、戦慄を受けた
凶悪な顔。
男は低く奇妙な声で笑った。眼鏡は、太陽の灯
りと、上に青白く光る月と星の淡い青で煌めく。
男は笑っている。吊り上がっている口は角度を
増し、次第に憎悪、殺気を織り交ぜた確実な殺気
と変わる。
そして、また疾風となった。
389 :
◆ragETdiE :02/03/25 14:52
あう、忘れてしまった。
じゃあ次は「剣」「銃」「爪」でお願いします。
390 :
剣・銃・爪 :02/03/25 17:48
「武器が欲しいのだ!」息子は父親に懇願した。
「かっこよくて強いやつ。剣とか銃が欲しいのだ!
軍人さんやお侍さんは武器を持って戦ったっていうじゃないか」
「うん、確かに彼らは武器を使った。しかしな、息子よ」
父はその毛深い腕で息子の右手首を掴んだ
「君にはこの手があるじゃないか。男なら武器など持たずに、
両親から授かったこの拳で勝負して来い」
「でも相手は武器を持ているのだ」
「それでも素手で勝負しろ。そこで勝利を収めてこそ男というものだ」
息子は父親の瞳を暫く見つめ、そして一つ深深と肯いた。
「父ちゃん!勝ったのだ!」息子は空に向かい吼えるように父親に叫んだ。
「ほら見て。これが証拠」
息子が手を差し出すと、その爪先には紅に燃える鮮血と生臭い肉片が附着していた。
「おお、これはまさしく人間の臭い。よくやったぞ、息子よ」
「うん。相手は鉄砲を持っていたけど、一撃で伸びたのだ」
「でかしたぞ。これでおまえも立派に熊として生きていけるぞ」
父はその巨体で、おもわず吾が子をベアハックした。
息子は刹那に昇天した。
「白ヤギ」「苦笑」「明星」で。
391 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/25 17:56
草木も眠る丑三つ時。
山間の古びた洋館に、男がひとり。玄関の扉をそっと開ける。
手にしていた懐中電灯で館内を照らす。
きらめく刃物の冷たい光。
はっとして見ると、階段の踊り場に、西洋風の剣がふたつ、十字に飾られてある。
男はひとけがないのを確認し、奥の間へと向かった。
書斎に入ると、アールデコ調のデスクがひとつ。男はデスクのうしろにまわりこむ。
机下には案の定、金庫があった。男は嬉々としてしゃがみこむ。
「そこまでだ」
声とともに、男は後頭部に金属物を感じた。
背筋から爪の先まで電流が駆けぬけた。
「両手を上げ、ゆっくりとこちらを向け」
男は言われた通りにした。
目の前にいたのは、男の身長の半分にも満たない小僧だった。
小柄な体と釣り合わない大きな銃を持っている。
無抵抗な男に対し、少年は無惨にも引き金を引いた。
まさか、こんなことって――。これだからガキは相手にしたくない。
バイオレンスなテレビドラマや、アニメ、ゲームの中に自分の世界を築いてる最近のくそガキどもには、ひとの命の尊さなんぞわかりゃしないんだ。
次は「硬化」「議論」「カウンセリング」で。
392 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/25 17:57
俺は"裏切られる男"だ。
自分から決して裏切ったりはしない。裏切られる側なのだ。
それは、両親から、親友だと思っていた男から、信じていた恋人から、教師から、公共
から、政界から、宗教から、憧れの偉人から、マスコミから、愛慕していた猫から、希望
から、そして道徳から、すべての人物と本質から裏切られ続けた。
だが、俺の中の神だけは絶対に裏切ることはない。教会の牧師が脱税と不純交際しよう
と、神だけが今まで一度も裏切らなかった。もう信じられるのは神だけだ。神の"正義"は
ステンドグラスよりも落ちつき、輝いているのだ……!
そして今夜も、神は一体の天使を俺に勅使した。
天使は俺に神の伝言を告げた。「頭の悪い廃人どもを殺せ!」神は人類を篩にかける計
画を打ち出したのだ。
両の手に拳銃を持ち、腰に換えのマガジンとサバイバルナイフを、上半身に十数本のダ
イナマイトを、頭に「"真"正義万歳」と書いた鉢巻を包み、身を刺すような冷風が吹き渦
巻く夜の街へと出撃した。今宵も欲望と快楽がデジタルの街を支配している。
気分は上々、青空と凪いだ海に浮かぶ帆船ほどの余裕はある。
今まで俺を裏切ってきた社会に鉄拳制裁だ!馬鹿な寄生虫どもをぶち殺す!!
「ハハハ、ハハハハ」
で、お題は
>>390。
395 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/25 20:40
「硬化」「議論」「カウンセリング」
それは議論といえるものではない。
はじめは何気ない文字上の会話から、それは始まる。
やがて、一方の文言に硬質なものが現れる。
硬質なものは、やがて双方の文章全体を覆い、
二人の態度が硬化したことが誰の目にも明らかになる。
手遅れになってからも、それは延々と続く。
どちらかが精神の均衡を崩しはじめる。
プツン、とそれが終わる。
カウンセリングに通いはじめたらしい。
22世紀の神経科医にとっても、
あいかわらずネットストレスは飯の種である。
次は、「さんま」「渡し」「節句」でお願いします。
396 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/25 21:04
「さんま」「渡し」「節句」
渡し場のそばに、白い野菊が咲いていた。
風呂敷包みを大事に抱えながら、
ゆきは野菊を数本手折って、長屋に帰る。
源一郎は、たすきがけをして、さんまを焼いていた。
「わたくしが、いたしますのに」
「いや、これも気分転換にいいんです。
あの仕立物は気に入ってもらえましたか」
「ええ、次は友禅の小袖を仕立ててくださいって」
「それは、よかった」
源一郎は、ゆきの手元の野菊に手を留める。
「野菊、ですか。明日は重陽の節句でしたね」
「ええ・・・。早いものですね」
「もう七年になりますか」
源一郎は、笑いながらそういって、また、
さんまをパタパタと煽ぎはじめた。
次は、「瓢箪」「晒」「匂い袋」で
397 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/25 21:41
「瓢箪」「晒」「匂い袋」
梅雨の晴れ間に夏が覗く。
お積は豊かな胸に晒をぎゅっと巻く。
藍の瓢箪の綿絽の上に、淡い生成り色のぼかしの紗。
柔らかものの下に木綿。
重ねの勝手な組み合わせが、気に入った。
紗の小袖の下から、藍の瓢箪が浮かんで見える。
手早く二枚の着物を羽織り、腰紐を締めて
匂い袋は、筑前博多の帯の間に。
裾をからげて、塗り下駄をつっかけると、
女中のおまさが、切り火。
ええ、あたしが辰巳芸者の駒奴でござんす。
何か、御用かえ。
次は、「蛙」「きりぎりす」「リロード」でお願いします。
「蛙」「きりぎりす」「リロード」
「リロード! リロード! ・・・」耳元で端末が無表情にささやく。
俺は銃のマガジンに蛙をきっちり5匹詰め込む。
残るは扉の先にいるはずのラスボスのみだ。
乱暴に扉を蹴りあげ、銃を構えて最後のボスと対峙する。
俺:「出たなキリギリス!虫ケラのクセに。蛙に食われちまえ!」
キリギリス:「なにゆーてんねん、お前だってアリやんけ!」
「ケーキ」「無意味」「エシュロン」
399 :
名無しさん@Emacs:02/03/25 23:11
「ケーキ」「無意味」「エシュロン」
私の妻はデブである。
「エシュロンてさ、恐いよね。ウチにも仕掛けられてたらどうしよう。」
ケーキをほおばりながら、くだらんことをぬかしている。
「ウチなんかに仕掛けたって無意味じゃん。聞こえてくるものと言えば、夫婦
喧嘩に夜のアノ声くらいなもんだろ。」
「きゃあ、はずかしい。」
ほほに手を当てて首を振る姿は新種の両生類のようだ。急に妻は私に寄ってき
て耳許でささやいた。
「ねえ、アメ公にアノ声聞かせてやろうよ。」
「エシュロンはねえ、電話や無線を盗聴するの。家のコンセントなんかに盗聴
機仕掛けたりなんかしないの。」
「じゃあ、電話で聞かせてあげようよ。あんたのケータイで、この電話にかけ
てよ。」
「バカ。」
「バカって言う奴がバカー」
妻はどうしようもないバカなのである。
お次は「バカ」「両生類」「アメ公」でどうぞ
400 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/26 00:02
「バカ」「両生類」「アメ公」
「アメ公がさ、うるさいンだよ、隣の部屋でさ。」
菓子のおまけに付いてきた安っぽいビニルの蛙を弄びながら、彼が言った。
「女連れ込んでるらしくてよ。このぼろアパートで、良くやるよ」
そう言って笑う口元は、歯が一本抜けていて、赤い舌の色がちろりと見える。
「あんただって、女連れ込んでるじゃない。あたしだって女だわ」
「お前? よせよ。お前なんか、女だと思ってねえって」
品のない笑い声は、歯の欠けた口から漏れてくる。欠けてしまった彼の歯があった時も、なくなった時も、私はずっと側にいた。
女になりたかった私は、女になり損ねたまま、今もこうして、彼の側にいる。
隣の部屋から、睦み合う男女の艶めかしい声がして、私は耳を塞いだ。
「なんだよ。気になンの? お前でも」
子供のように無邪気に、そして無神経に笑いながら、彼は手で弄んでいた玩具の蛙を投げて寄越した。
「よしてよ。嫌いなんだから、爬虫類。あたしだって、女らしいところはあンのよ」
「バカ。蛙は両生類だろ」
手のひらに、緑色の、蛙。そのビニルは、弄んでいた男の体温を移して、生暖かかった。
お次は「辞書」「カレーパン」「風船」でお願いします。
401 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/26 01:07
気になったのでお題整理させて下さい。
390の「白ヤギ」「苦笑」「明星」が抜けていますので、
400の「辞書」「カレーパン」「風船」の後
くらいに入れませんか?
なるべく消化するってことなのでご協力を。
402 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/26 01:12
「辞書」「カレーパン」「風船」
カレーパン5つ買ったら、オマケが風船!
レトロだなぁ、とミョーな感心してる場合じゃない。
オレもオレだ。売り子のお姉さんが、そこそこキレーだったから、
「どうぞ」と言われたら、つい手をさしだしてしまった。
ンなわけで、今、オレの頭の上には、ふわふわ風船が浮いている。
左手に辞書とノート、右手に赤い風船。
誰がどう見たって、オマヌケな浪人だよ、なぁ。
「さっきは、有り難うございました」
後ろから、声が聞こえた。振り返って、目を疑った。
カレーパンのお姉さんじゃないか!
カレーパン5つで、風船とお姉さんがついてくる!?!
ンなわけ、ねぇじゃねぇかよ!
浪人生の雅人は、だっせぇCMをののしりながら、
無性にカレーパンが食べたくなった。
次は「紅梅」「購買」「勾配」でお願いします。
403 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/26 01:15
402です。
次は、401の方がおっしゃるように「白ヤギ」「苦笑」「明星」で、
その次に、よろしければ「紅梅」「購買」「勾配」をやっていただけると
うれしいです。
よろしくお願いします。
404 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/26 01:45
す、すまん、すでに403の題で書いてしまっていた。
この後に「白ヤギ」「苦笑」「明星」で良いだろうか? まずかったら俺のはなかったことにして、飛ばしてくれ。
元気な足音を小気味よくたてながら、二人の少女はじゃれ合うように、香川の前を過ぎて行った。
坂道を行く少女たちの声は楽しそうで、香川の耳に優しく響いた。懐かしい歌だ。幼なじみの少女が、やはり同じように歌っていた気がする。
春を待つ季節の空は、まだ暮れるのも早い。購買で買ったパンを囓りながら、香川は坂道を走る少女たちの足取りを眺めていた。
赤い靴が、心地よいリズムで踊る。背に負ったランドセルも、同じように赤かった。
あの日、自分に手紙をくれた彼女も、同じように赤い靴、赤いランドセルで。
手渡された封筒は、薄い桃色。
「うちの両親、離婚するねん。せやから、もう一緒に暮らせへんて」
笑っていた口元が、けれどどこか寂しくて。
「さよならな、圭ちゃん。その手紙に、新しい家の住所、書いてるから。きっとお手紙、頂戴な」
ひらひらと、小さな手を振って去っていく赤い靴。少女のいなくなった家の庭には、春を待つ紅梅が、夕暮れに染まる花弁を落として泣いていた。
今もまた、赤い花がひらひらと。あの日の少女の手のひらに似て。
緩やかな勾配の坂道を、香川は赤い思い出の後を追って下りていった。
次は>390の「白ヤギ」「苦笑」「明星」で。ごめん、混乱させるようなことして。
405 :
357エモン:02/03/26 02:15
「白ヤギ」「苦笑」「明星」
念願叶い、巨人軍にひときわ大きく輝く明星となった若者。
久々に訪れた父の長屋で、積年の疑問が今、解かれる。
「とうちゃん。俺、ずっと聞きたかった事があるんだ」
「・・・む!?」と、悪い予感を隠せない父。
「とうちゃんがいつも指差してた「巨人の星」ってどれなんだい?
どの星座表にも巨人星なんてない・・・とうちゃん。俺、丸一月調べたんだぜ」
父は苦笑する。こうなったら正直に言うしかない。
「我が子よ、嘘も方便じゃ。あの星はたまたま見かけた「やぎ座」の星での」
がーん!
息子は驚愕した。幼い頃から父と姉と三人で目指したあの星が・・・やぎ!?
ショックは脳内に広がり、彼のアイデンティティーをも揺るがし始めた。
「そうか、やぎか・・・ははは、母、あっはっはっは!
よーし、お望み通り黒やぎになってやる。お手紙を食べてやるぅぅぅ」
四つんばいになって、紙をほおばる息子。涙声で姉は言った
「うん、うん、ならお姉さんは白やぎになってあげる。お手紙書くわね」
どさくさ紛れに牧場の少女が、乳桶持参でやってきた・・・
教訓:例え星でも、固有名詞は吟味してから使おう。
※405番げっとー
次のお題は「紅梅」「購買」「勾配」でお願いします。
あ、既にお題使われちゃてる^^;
失礼しましたー
>>404さん
であであ、次のお題は:「一夏」「双子」「三顧」でお願いします(_ _)
407 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/26 02:25
「白ヤギ」「苦笑」「明星」
「あれは、私の恋の命ともいうべき雑誌でした」
ほの暗い部屋の中で、晶子は口を開いた。
「最初の『明星』ですね」
好子は、わかりきった念を押す。晶子は苦笑しつつ、うなずく。
このチャンスに、なんとしても聞きたいことがある。
「先生は、ご主人の鉄幹氏のことを・・・」
好子の言葉に押しかぶせるように、晶子は言う。
「あの男は、実は白ヤギのように頼りなく、
めぇめぇと泣くだけだったと、私に言わせたいのですか?」
やや受け口の晶子の顔は笑うより、こうして怒っているほうが
似合う・・・。
叱られながら、好子は存外冷静にそんなことを思った。
次は「キューブ」「出汁」「カノン」でお願いします。
408 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/26 02:28
407です。
超恐縮ですm(_ _)m
次のお題は「一夏」「双子」「三顧」でお願いします。
409 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/26 02:31
「白ヤギ」「苦笑」「明星」
「うむ・・・・。どうしたことか・・・」
明星が出た頃、薄暗い空間を猟師たちは彷徨っていた。濃霧で道に迷ったのだ。
しばらくしたら霧も晴れるだろうと思ったのが間違いだった。
「腹が減ったな・・・肉でも歩いてこないものか」
猟師の一人がそうぼやいた途端、目の前に白い物体があった。
「ん?これは・・・・・・。」「ヤギだ!白ヤギだ!」
猟師たちはサッと銃を構え白ヤギを撃とうとした。すると、
「まてよ。俺を食おうってのかい?そりゃ辞めといた方がいい」
苦笑しながら顔をゆがめて白ヤギはそう言った。
「お前ら誰かがこの森から抜け出せるのか?あ?俺ならこの森を知り尽くしてるぞ?」
いかにも嫌味に満ちた声でいった。「さあどうする」
悩んだあげく、白ヤギを撃ち殺した。
明星が無気味に光っていた
410 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/26 02:32
超恐縮ですm(_ _)m
次のお題は「一夏」「双子」「三顧」でお願いします。
411 :
999 ◆D0999.o. :02/03/26 03:05
「一夏」「双子」「三顧」
僕は一卵性の双子の兄として生を受けた。僕と弟が、中学生だった夏。
僕たちは、同じ女性に恋をした。彼女は、弟のクラスメイトで僕も男子部に
所属する女子の陸上部員でもあった。
僕と弟がひとりの女の子を争ったことは問題ではなかった。僕と弟が、
ひとりの女の子を好きだと思うとき、弟は制服姿でペンを持つ横顔を見て
おり、僕は短パン姿で駆け回るのを目で追っていた、ということが問題
だった。
僕は三顧の礼の気概をもって彼女と弟の教室を日参し合同練習を
取り付けたとき、弟は彼女と友人たちとで勉強会を開く約束をしていた。
結局ふたりとも告白できず、彼女は女子高に進み、僕たちの恋は終った。
友人は、揃って同じ女の子に惚れて、揃って振られたといった。そうじゃない。
あの一夏(ひとなつ)。あれは、僕たちの価値観がはじめて違った夏だ。
彼女が今どうしているか、僕は知らない。僕と弟は別々の初恋の想い出を
持ち、別々に結婚をして、たまに想い出を語る。たまに考えることがある。
僕の想い出の彼女と、弟のと、どちらが素敵だろう、と。
「四面楚歌」「五里霧中」「六法全書」
412 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/26 04:22
「四面楚歌」「五里霧中」「六法全書」
薫のノートから、ほんの一例を紹介しよう。
1. 次の四字熟語を使って、短文を作りなさい。
【四面楚歌】
今日、音楽の授業で、四面楚歌を歌いました。
【五里霧中】
箱根は霧が深くて、まったく五里霧中だ。
【五十歩百歩】
父の万歩計は、五十歩百歩も正確にわかります。
【七転八倒】
六法全書で七転八倒した。
夜更けにこっそり子供部屋に行って、私は
息子のノートを読むのを楽しみにしている。
親馬鹿かもしれないが、薫はきっと将来、大物になる。
次は「カナブン」「変体仮名」「金物屋」で
413 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/26 05:18
「カナブン」「変体仮名」「金物屋」
変体仮名といふものは、女人が媚態をもつて、
身體をくねらせるごとき風情を持つてゐます。
変体仮名といふものは、けしてカナブンのやうに
一直線の軌跡を描かず、てふてふが舞ふやうな
曲線を描くものであります。
亦、金物屋で賣つてゐるやはらかい針金を、
子供が遊び散らしたやうな曲線をしてゐます。
遵つて、変体仮名を眞に理解されたい諸氏は、
女人に親しむことのみならず、
てふてふを愛で、針金で遊ぶ童心が必要でありませう。
(つぶやき)全部を旧字体にできなかったのが、とてもぐやじい・・・。
次は、「襲」「梨園」「離縁」で
414 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/26 06:53
「襲」「梨園」「離縁」
「かさね、ってなんだ?」
「あらやだ、あなたったら、一般常識の範囲じゃないの」
「ヘイアンジダイのキモノのハナシでス。襲ヲ知りませんカ?」
けっ、アメリカ人のお前に言われたかないわいと心の中でつっこみを入れる。
「だめだめ。この人は車ばっかりで日本文化にぜんぜん興味が無いの」
「日本人美しイモノたくさん知ってる、心ユタかにナリマス」
金髪で青い目の若造と思いがけずご趣味のお話が出来て浮かれる妻。「超」不愉快である。
「源氏物語に興味がおありなら、来月の歌舞伎の演目が源氏なの。
丁度チケットも二枚あるし一緒に観に行きましょうよ」
「それはゼヒ見たいデス。でもドナタかと行くツモリでチケットを」
「いいのよ。この人との予定だったけど、どうせ寝てるんだから勿体無いわ」
「幕の内を食って血が全部腹にいってるのに、うにゃうにゃわからん台詞を言われたら
眠くなって当たり前だ。暇なら君が行ってくれドナルド」
「ハイ。アリガトウございマス。歌舞伎の人のセカイ、梨園言いますネ。知ってまス」
りえん?離縁?なんで歌舞伎が離縁なんだ?
まあいい。聞けばまた妻が余計な事を言うに違い無い。後で辞書で調べよう。
「七つ道具」「狂詩曲」「鯱」で宜しくお願いします。
415 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/26 13:28
鉋、鋸、投げ縄、縄梯子、軍手、風呂敷――、
おっと、これを忘れちゃいけねえ――MDウォークマン。これがオレ様の七つ道具だ。
今宵、目指すは名古屋城。
天守閣に神々しく輝く金鯱をいただきにゆく。
閉園時間ぎりぎりの16時20分、名古屋城に到着。
入園料をきちんと払い、城内に入る。
最上階の展望室に潜み、日没を待って城壁を登る。
おっと、これを忘れちゃいけねえ――MDウォークマン。
イヤホンを耳にさし、流れてくる幻想的な音楽に陶酔する。
狂詩曲を聴くことによってトランス状態に陥るのだ。
素の精神状態で城壁なんて怖くて登れねえ。
投げ縄を城頭に投げ、暗闇の中するすると縄を登る。
瓦を這い、鯱に辿りつく。鋸を取り出す。
その刹那、目の前がぱっと明るくなった。
「おい、城頭に誰かいるぞ!」
知らなかった・・・。名古屋城が夜になるとライトアップされているなんて・・・。
次は「シンクロニシティ」「桜」「平常」で。
416 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/26 18:05
春先のちょっと寒い中、わたしは公園でお気に入りの人形といっしょに遊んでいた。
ふたつ上のお兄ちゃんみたいな子がわたしに話しかけてきた。
「こんにちは。いい天気だね。桜も咲きそうだし」
「桜は嫌い。すぐに散るもの」
「それはもったいない。ついておいで。いいものを見せてあげるよ」
わたしはその子についていった。そこはビルの屋上だった。
「大丈夫。あと30日はここには人はこないんだ。さあ、見てごらん」
わたしとその子の回りで時間がどんどん進んでいった。駅に向って並木の桜が萌え出でていった。
桜はあっちの家、こっちの公園に萌え移るように広がっていった。
八重桜が、染井吉野が、しだれ桜が、山桜が、薄い色をした桜が、紅色をした桜が、つぎつぎと咲いては散り、散っては咲いていった。
すごい。言葉にならなかった。わたしは笑い出してしまった。涙を流してもいた。とても正常な気分ではいられなかった。
「たぶんさ、偶然の産物なんだ。この街だけ、とても綺麗に咲いていくんだよ。
シンクロニシティっていうのか、みんななにかを感じていたのかもしれないけれど」
わたしはその子の言葉が理解できなかった。でも解ったような気がした。
「じゃあね、ぼくはもう行くよ。さようなら」
次は時間、西日、雨で
天気予報の時間です。
明日は大陸からの低気圧により日本列島は雨雲でおおわれます。
日中は雨、
夕方になって西日本から晴間が広がるでしょう。
次は「味噌」「銀」「こよい」
418 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/26 19:08
天気予報の時間です。
明日は大陸からの低気圧が日本列島をおおいます。
そのため日中は雨ですが、夕方西日本から晴れ間も広がるでしょう。
次は「さとう」「みすす」「ほんかん」
419 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/26 19:09
失敗。418 は無視してください。
420 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/26 19:36
「味噌」「銀」「こよい」
「あたしの耳は銀でできてるのよ。」
なるほど。想像してみた。たしかに彼女の耳が
銀で出来ていてもいいかもしれない。
「信じてないんでしょ」
「いや信じるもなにもぼくは見れないんだからなんともいえないよ」
「つまらないのね」
「常識的なだけさ。でもきみの耳が銀でできていてもきっと素敵だよ」
「ほんとうにそう思ってくれる?」
「ああ、味噌汁をつくっていて手を火傷したときに役立つかもしれないしね。」
こよいももう10時。古い春樹ファンの彼女に合わせて頑張ったみた。
が、やっぱり無理なんだ。へたな落語家のぼくには痛いオチを
つけることぐらいしか能がない。
次ぎは、418の「さとう」「みすす」「ほんかん」で
421 :
名無しさん@Emacs:02/03/26 19:37
時間、西日、雨
道は欝蒼とした森を抜け、峠へさしかかろうとしていた。このあたりは岩山で、
木はほとんど生えておらず、岩の間はすすきで埋めつくされていた。道の土を
えぐるように強く降っていた雨はいまや弱まり、岩に染みる雨滴は西日に照ら
されて、きらきらと輝いている。伊介とさなえの二人はびしょ濡れになってい
たが、それにもかまわず歩きつづけいた。峠の風が二人の濡れた肌を刺すよう
に吹き抜けていった。
「うう、さみいな。峠の茶屋で体をあたためなくちゃ凍えちまうぞ」
伊介は肩をさすりながら前を行くさなえに語りかけた。寒さに耐えかねていた。
しかし、さなえは黙ったまま先を急ぐばかりである。
「おい、聞いてるのか。寒いって言ってるじゃねえか」
さなえが立ち止まった。それが急だったものだから伊介はさなえにぶつかりそ
うになった。さなえの肩が震えているのがわかった。さなえはふり向くと、伊
介をにらみつけた。
「あたしだって寒いよ。でもね、追っ手がきたらどうすんのさ」
「心配ねえ。村の連中もしばらくはばあさんが死んでることに気がつきゃ
しねえさ」
「そんなこと、わからないじゃないか。」
たしかに村人が老婆の死に気付いてもおかしくはない頃だろう。さなえは高ぶ
る気持ちを抑えかねるようにぶるぶると震えていた。老婆が殺してから、だい
ぶ時間が立ってた。伊介はさなえの不安を察し、体を抱き寄せた。
「おまえが心配するのはわかる。でもやっちまったことはしょうがないじゃね
えか。こうやって金も手に入ったんだ。この先ぜいたくして暮らせるんだぜ。
なあ。」
「あたしゃ、恐いんだよう。あのばあさんの死ぬときの声が、いまでも聞こえ
てくるようでさあ」
422 :
名無しさん@Emacs:02/03/26 19:38
すいません、「さとう」「みすす」「ほんかん」でどうぞ。
423 :
遅かった(泪):02/03/26 19:47
「キューブ」「出汁」「カノン」 「味噌」「銀」「こよい」
銀色に輝く鍋に出汁が注がれ、大皿に山盛りの具が運ばれて来た。
きっちり賽の目に切られた豆腐は「キューブ」という映画を思い出させた。
四角い部屋が並んだ迷路の中でストレスに悩まされる人達。
今日この店の座敷に集まったメンバーの心の中は、あの人達に似ているかもしれないと
あたしは思った。
「銀鱈は焼き物のほうが旨い」
具の山を一瞥してじいじはぶつぶつ文句を言う。たぶん焼き物で出されても文句は言う。
「ここの味噌は絶品ですよ。みんな絶対気に入るから」
「あたしは醤油味の出汁が好き」
あたしは孫の中でじいじに性格が一番似ているんだろう。思ったことはつい口に出る。
兄のフォローをする気もないので言いたいことは言うつもりで来ているし。
「じいじもだ。こよいで鼻をくしくしっとされたようなにおいだな」
「こよい?ああ、紙縒りね。じいじは江戸っ子だからなぁ。ははは」
兄の頭に中にはパッヘルベルのカノンが流れているだろう。
リラックスしたい時に、いつも部屋で聞いている曲だ。
「さとう」「みすす」「ほんかん」でどうぞ。
「キャアアアアアアアアアアアアアたすけてぇえええええええええええ!!!」
メリアの叫び声が城内に響き渡った。何かあったのかもしれない。早く助けなければ!
しかし、そこへ現れたのは、悪魔将軍アスモデウスだ!
「グゲゲゲゲゲ!ジャックス!待っていたゾ!さあ!剣を抜け!さとうのように細切れに
してやるぜぇぇぇぇぇえぇゲハハハハハハハ!!」
クッ!今この場でやりあったらメリアごとこの城を吹き飛ばしかねない!ならば……!
「アスモデウス!お前は人を知らないのか!?お前は人ではない!殺戮と破壊を楽しむ、
悪魔だ!だからこそ、人の心を理解しようと普通は思うんじゃないのか!?お前は間違っ
ている!その剣を捨てろ!人間はこうゆうとき、武器を捨て、みんなで手を繋いで、歌を
唄うんだ!北朝鮮を見習え!あの国の人々は、皆笑っている!幸福の笑顔だ!破壊も殺戮
もない理想国家だ!にほんかんこくのように、無意味に争っているべきではない!さあ!
みんなで平和を祈ろう!世界中のみんなが手を取り合って平和を祈れば、人間も悪魔もみ
な幸せになれるだろう!!!!」
「うっせええぃ!お前なんかしおをかけられる蛞蝓だああ!」
アスモデウスは俺の頭を掴みすすぐような溶解液を吐き出した。
「ジャッッッッックスゥウゥウゥウゥゥウゥウウウウゥウゥゥゥゥ!!!」
クレイルの叫びによって揺らめいた蝋燭の炎が、俺が最期に見た映像だった。
次のお題は「螢」「幻想世界」「葬列」
425 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/26 20:20
「さとう」「みすす」「ほんかん」
「師匠!次ぎ『みすす』らしいですわ。」
「ああ『みすす』な。う〜ん。広辞苑にものっとらんな、そりゃ」
「いわゆるバイオモドキちゅうもんなんでしょうかね」
「かもしれんな」
「どないしましょ師匠ぉ」
「これ情けない声だすな。どないしますもこうも、この本館に
お題があがったやからなんとかせなあかん。しょうがないやないか。
う〜ん、そやな、、、『みすす』ちゅうたらな、、妖怪のことや、、、
それでええやないか、憑物の一種や。できもんといっしょやがな。
さとうぬったらなおると言うとけ。」
「さとうぬったらええんでっか」
「しょんべんかけたらあかんで。チンチンはれる」
「そりゃみみずでんがな」
426 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/26 20:23
m(_ _)m、、、次のお題は「螢」「幻想世界」「葬列」
427 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/26 21:08
「螢」「幻想世界」「葬列」
白い喪服に身を包んだ葬列が、墓地に向かっている。
位牌をもつ女の瞳はうつろで、その表情は微笑んでいるように見える。
橋の袂で葬列とすれ違ったとき、大助は女を一瞥して危ないなと思ったが、
そのまま知らん顔をして行きすぎた。
「ほら、蛍、蛍、ほたるがいるわねぇ。アキちゃん、わかる?
そう、お手々で取れたの、よかったわねぇ」
大助の背後から聞こえたその声は、自分の悲劇を歌っているようでもあった。
あの橋の下で、女は蛍狩りをしたことがある。
私もアキラ君もいた。
女の夫が、遠い村の親戚の祝い事に招かれた夜だったか。
アキラ君に、私が本当の父親である、と言ったのも、あの夜だったか。
位牌をもつ女に見える幻は、蛍とアキラ君だけらしい。
そんな幻想世界にいるほうが幸せだということを、あの女の本能が教えたのかもしれぬ。
次は、「スタンプ」「メールアドレス」「モデル」で・・・。
428 :
(゚Д゚)ぅゎぁー:02/03/26 21:24
「いい名前だね」
彼女が静かな微笑を湛えて、ぽつり、と言う。
佐藤十志男。さとうとしお。砂糖と塩。ふざけた名前だ。
両親の出来心でこんな憂鬱な駄洒落のような名前が名付けられた。
故に、俺は自分の名前が余り好きではない。
「所詮、調味料だよ。俺は、お前の名前が好きだな」
彼女の名前は、三村美寿々。みむらみすす。いい名前だと思う。
「あんま気に入ってないないんだけどなあ」
俺はこの子が好きだ。彼女と出会って間もない頃に、
家のベッドの上で唐突に「みすす」と言ってみた事があった。
以来口癖のように一人、彼女の名前を呟くようになった。
「どうして?」
「小学校の時に馬鹿な男子が、みみず、ってあだ名付けたんだもん」
多分、その男子は美寿々の事が好きだったんじゃないかと、
なんの理由もなくそんな事を考えた。
そういえば高校の時にメインビルディングという馬鹿ばかしい程、
回りくどいあだ名のやつがいたことを思い出した。
本館(もとだて)→本館(ほんかん)英訳→a main building→メインビルディング。
「ちょっと人の話聞いてるー!?」
「あー、ごめんごめん」
怒られた・・・。本館の奴・・・。お前が変なあだ名だから。
お前の訳のわからんあだ名の所為で美寿々と過ごす貴重な時間を、
無駄遣いしてしまったじゃないか・・・。もーとーだーてー・・・。
そして、俺はよく分からない怒りの矛先を、あまり親しくなかった本館君にぶつけ、
文句を言う美寿々の唇を強引に奪った。
やばい大失敗・・・。シカトしてください・・・。
430 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/26 21:33
「スタンプ」「メールアドレス」「モデル」
「やあねぇ。アンタ、この時代にまだ紙で手紙書くの? 今時いないでしょう、そんな奴」
粗末な机で便せんに向かい合っていた俺を、後ろから覆い被さるようにして、由美子が覗き込んできた。安物の化粧の匂いが、鼻につく。
「ああ、あれ? 相手がメルアド持ってないとか?」
「いや。そんなことはないよ。メールアドレスもちゃんと知っている」
「じゃあ、なんでよ?」
まるで、それが酷く悪いことだというように、由美子はしつこく尋ねた。その態度は彼女が使っている化粧のように安っぽく粘りけがあるが、俺は由美子のそう言うところが、嫌いではない。
「紙でもらう手紙の方が好きなんだ、俺。ほら」
俺は机の引き出しから、幾つかの手紙の束を取り出して、由美子に見せた。
「切手の所に、スタンプを押してもらえるだろう? あれが、たまらなくスキ」
小さい頃から、切手に押された掠れがちな消印が大好きだった。どこか遠くから来た手紙。赤いポストから旅をしてきたのだと、小さな封筒が胸を張り、誇らしげに勲章を見せるようじゃないか。
「そう? じゃあ、あたしも今度、手紙を書いてあげるよ。どこか、遠くへ行ったらね」
数年後、俺は彼女から手紙をもらった。幸せのモデルのような家族写真を包んできた封筒は、掠れかすれの消印を、誇らしげに飾っていた。
次は、「煙草」「古本屋」「牛乳」で。
431 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/26 21:36
「スタンプ」「メールアドレス」「モデル」
「ねえ、メールアドレス教えて。メールしよ♪」
この一言ですべては始まった。
メールの相手は咲山春。僕の幼なじみだ。
春ちゃんはいつも笑っているイメージを持っていて
笑ったときに出るえくぼは僕を魅了する。
そういえばもう随分とあっていない。
春ちゃんが引越しするときにメールアドレスを聞かれた。
それから10年は経つだろう・・・
メールだけは今も続いている。
「ありがとうユウ君」
懐かしい声が突然後ろから聞こえた。
短髪でモデルみたいにすらっとしていている人だ。
ふと自分の頬に唇型のスタンプが押されたことに気づいた。
「だ、誰だ?なんでこんなとこにいるんだ?」
突然携帯にメールの着信音が聞こえた。
432 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/26 21:40
次は、「煙草」「古本屋」「牛乳」で。
433 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/26 22:01
「煙草」「古本屋」「牛乳」
煙を避けて風上に席を移した女に、吹き掛けたい衝動。
草履をきちんと揃えてあると必ずわざと蹴飛ばして、気がつけば十年余。
古くさいモラルに窒息死するより煙草のヤニで内臓を真っ黒にして野垂死。
本など読まぬが古本屋には春画を探して日暮れまで。
屋形船で待つは馴染みの綺麗どころ。朝ぼらけ、都会は烏ばかり啼き。
牛乳屋の配り置いた瓶を失敬して腰に手を当てて一気飲み。
乳臭い娘の記憶。想い出は色褪せじ。また呑む理由ひとつ。善し。
「オレンジジュース」「サラ金」「口ひげ」でヨロシク。
434 :
◆ragETdiE :02/03/26 22:31
「オレンジジュース」「サラ金」「口ひげ」
支払いが間に合わないときがついたのは、つい先日だ。
銀行からは貸付額一杯の金額を借りている。今はただの浮浪者とな
り果てているが、昔は銀行員だっただけあって、やはり上級に属する
ものにはどこも優しかった。
簡単だった。多額の金を借りる理由としては、本当に簡単だった。
ただ、「金儲けを思い付いた」、その一言で簡単に金を貸してくれた。
しかし、彼女はそれだけでは足りなかったらしい。全額借りた金を
見ても目の色を変えず、ただそれを俺に押しつけた。表情は重かった
と思う。
……ここで、気付くべきだったんだ。
俺は必死になって金を掻き集めた。サラ金、ここでも銀行員の名は
大いに役立った。
だが、終わりは来る。どこでも大金額を借りていることが分かると、
サラ金ですら貸し付けを渋った。
俺はとうとう裏金を手に入れる方法を知った。多々あるものでも一
番簡単な貸し付け、人相によって顧客を管理するものだ。一度に貸し
付けられる人数は多くて五人。一人と知り合うと後は芋蔓式に紹介、
知り合うことが出来た。
それでも、いや、だからこそ話しはすぐにその大きなグループに伝
わり、貸してもらえなくなった。銀行員という証拠は見せていたため、
信用はしていてくれたがそれでも一生涯掛けても返すことが出来ない
金額に到達していたからだ。
そのグループでは貸して貰うことが出来ない、そう理解した俺はそ
の中でたった
一つだけ知り合った他の大グループにも移った。色々やった。サング
ラス、シークレットシューズ、一部を変えるだけで簡単に騙す事が出
来た。ここが管理体制の甘さだろう。口髭や鼻髭をを付けることだけ
でもかなりの金を巻き上げることが出来た。
だが、限界だ。サラ金はさらに借りていることを知り、押し掛けて
くると銀行員で培ってきた経験で判断し、辞表を出した。退職金も、
それなりだった。そう、それなり程度でしかなかった。
彼女のもとへ訪れた俺は、段ボールに乱雑に積んだ金を披露した。
巨大な段ボール箱、軽く五つはあった、と思う。
今となってはどうでも良かったんだ。
その金を見ても彼女は一言しか言わなかった。
「違うの……」
俺は、その金全て彼女の家の玄関に置いていった。サラ金の奴らに
気付かれることはない。
そして今、俺は財布に入っていた小銭で買ったオレンジジュースを一口飲んでいる。
そして今なら、彼女の言った言葉の意味が理解出来る。
だが、遅すぎた。
俺に親はいない。
金を借りた奴らは彼女を知らない。
今となっては、どうでも良い。
どうでもよくないのは、彼女が幸せになるかどうかだ。
「日光」「無線機」「電話」で次はお願いします。
435 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/26 23:38
「日光」「無線機」「電話」
日光が黒い戦闘服をサウナスーツにしていた。緊張と猛暑の合体技のおかげで
あちこち汗が黒服の中にどす黒く染みを作っている。無線機の向こう側で、立て
篭り犯と人質交渉官のやりとりが聞こえた。犯人の使用する電話の性能が悪いの
か、妙に音声がくぐもっている、それが報道番組の録音テープの様に聞こえて、気
分が悪くなるほど『実戦』を感じさせた。
「いいか! カネなんか欲しくはない、俺はのさばってるサルどもが許せないんだ!」
「少し落ち着いてくれ、俺は君を上司より理解している。君のためになりたい、俺
に出来ることならなんだってやってやる。だから、少し落ち着いてくれ」
まだ突入の指示は出ない。やり取りを聞くうち、自分の呼吸音と心拍音が大きく聞
こえ始め、自分が今何をしているのかわからなくなりそうになった。その度に、せわ
しく銃の状態をチェックしたり、手袋がきちんとなっているか確認した。必要な時
発砲できなければ死ぬことになるし、手袋がずれていたらなんらかの支障を生じる
かもしれない。だが、本当に重要なのは確認行為事態だった。さもなくば、自分が
勝手にどこかへ行ってしまい、必要な時に必要な行動を取れなくなってしまうか
らだ。
初めて挑戦してみました。お粗末。
次のお題は「霧雨」「煙草」「野良犬」で
「霧雨」「煙草」「野良犬」
霧雨が黒い戦闘服をヌレネズミにしていた。緊張と苛立ちの合体技のおかげで
あちこち煙草が黒服の中にどす黒く焦げを作っている。無線機の向こう側で、引き
篭り犯と観察保護官のやり取りが聞こえた。犯人の使用する翻訳機の性能が悪いの
か、妙に音声がくぐもっている、それが報道番組の録音テープの様に聞こえて、気
分が悪くなるほど『実践』を感じさせた。
「いいか!カネなんか欲しくはない、俺はのさばってる野良犬どもが許せないんだ!」
「少しオチついてくれ、俺は君をご主人より理解している。君のためになりたい、俺
にできることならなんだってやってやる。だから、少し落ち着いてくれ」
まだ突入の指示は出ない。やり取りを聞くうち、自分の呼吸音と心拍数が大きく聞
こえ始め、自分が今何をしているのかわからなくなりそうになった。その度に、せわ
しく得物の状態をチェックしたり、袋がきちんとなっているか確認した。必要な時
得物が対応できなければ死ぬことになるし、袋がずれていたらなんらかの支障を生じる
かもしれない。だが、本当に重要なのは首輪の確認行為自体だった。さもなくば、この飼い犬が
勝手にどこかへ逝ってしまい、緊急な時にウンを取れなくなってしまうからだ。
ちょっとパロってみる実験。気を悪くしたらゴメン。
つぎは「南向き」「宝船」「雲」
437 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/27 02:37
「南向き」「宝船」「雲」
「そんなら、宝船の話は聞いたか? 美樹ちゃん」
美樹はときどき、南向きのおじいちゃんの部屋で寝る。
寝る前に、おじいちゃんと美樹はいろんな話をする。
今日は、学校に正月のお飾りを作る職人さんがお話に来てくれた。
美樹がそのことを話したら、おじいちゃんがそう言ったのだった。
「うん、ちょっとだけ聞いた。しちふくじん、という七人の神様が乗っている船でしょ」
「そうや、そうや、美樹は賢いなぁ」
おじいちゃんは美樹の頭をなでてくれる。
「七福神の布袋さんの袋には、雲がはいっててな。その袋を開けたら、海の上を浮かんでいた船が、空にすぅっと舞い上がって、雲に乗るんや」
「ふぅぅん」
「そいでなぁ、弁天さんが琵琶ちゅう楽器を鳴らすのや。
弁天さん言うのは、きれいな女の神様でなぁ、楽器もうまい。
美樹ちゃんのピアノみたいにうまい」
美樹はくすくす笑った。
おじいちゃんの話はウソばかりと、ママが言うけど、美樹はおじいちゃんが大好き。
次は、「パロディ」「メロディ」「メルボルン」で
438 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/27 08:54
パロディしか書けない作家がいた。要は盗作野郎だ。
パロディというからには詩作をやっている。パロディにそれ以外の意味はない。英和辞典を索いてみるがいい。
こいつはたとえばこんな調子だ。
冬バエの死にどころなく歩きたり
そもそもハエに冬もなんもあったもんじゃないんだが、本人はハチをハエに換えたところがオリジナルだ素晴らしいと考えていた。
この盗作野郎、そんな詩を一日に1ダースも詩作掲示板に登録なんぞして、周囲の反感をかっていたわけだが、最近ライバルが表われた。
ペンネームはメロディ、IPの出る掲示板から判断すると、オーストラリアはメルボルン在住だ。
メロディの詩はこんな感じだ。
分けいっても、分けいっても、青い川。
山を川に換えやがった。なんてクールなんだ。こいつは天才だ。盗作野郎はメロディの才能に震えた。
しかも詩作の数が尋常じゃない。どこの掲示板を覗いてもこいつの詩がある。数えたところ、一日に千を越えることもあった。
ところがある日突然、ぱったりとメロディの詩はどこにも投稿されなくなった。
盗作野郎はだんだん不安になっていった。まあ、メロディを尊敬していたわけだ。
つーわけで、盗作野郎は親から金をせびり取ると、メロディに会いにメルボルンまで出掛けていくことにした。
メロディは大学のなか、日本語学科にいた。メロディっつーのは、そこのサーバーだった。
まあ始まりはそこの学生が日本の詩のデータベースを混ぜっかえして、適当に詩をでっちあげるソフトを作ったことだ。
それを、グーグル使って調べ上げた日本の詩作掲示板に適当に放り込むようにしたのは日本嫌いのコンピュータ科の学生だった。
勝った。盗作野郎はそのことを知ると、心の中で勝利の雄叫びを上げた。
所詮やつはコンピュータだ。いくらクールな詩を作るからっていったって、おれのこの熱い魂を越えられやしない。やつの詩にはソウルがない。
んなわけでさ、盗作野郎は今でも掲示板を荒らしてるってわけさ。
長くてごめんなさい。どうでもいいけど、このお題難しかったよ!
次はまあ軽く、「水力発電」「人力」「はさみ」
事態→自体
ハズカシイ・・・
440 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/27 11:46
水力発電施設に、痩せ細り、くたびれきった発電人たちが、わらわらと集まってくる。
彼らは無数に並べられたダイナモにすがりつき、
周囲に延びた鉄棒をおぼつかない足取りで回し始める。
二十ニ世紀中葉に全世界を襲った環境汚染、石油やウラニウムの枯渇といった
資源問題による文明崩壊の後、二十五世紀現在では環境に対してクリーンかつ、
燃料の心配がほとんどないこの水力発電が発電の主力になっている。
古代の水力発電では、人力を介さずに水を直接発電に利用していたらしい。
しかし、液体の水が貴重品となったこの二十五世紀では、
そんな非合理的な方法は使われていない。
化学合成した最低限のカロリーを添加した水、
それさえ発電人に与えておけば、恒常的に発電が維持できることから、
今ではこの方法が水力発電と呼ばれている。
発電人となるのは、全国民に対して実施される知力試験の上位五パーセントに食い込めず、
自由人になる資格を逃した者たちである。
本来なら生き残る資格も与えられなかった残り九十五パーセントの人間にも、
この水力発電によって利用価値が与えられているのだ。
このような状況を表す言葉は過去にもあったらしい。
そうそう、「馬鹿とはさみは使いよう」という言葉だ。
初参加です。
次のお題は「缶詰」「ピアス」「トリコロール」で。
441 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/27 17:57
「缶詰」「ピアス」「トリコロール」
さぁ、里見が教室に入ってきたぁああ。
あいかわらずの四角い顔だあ。
あの角にアタルと刺さるのかぁああ。
おおっと、そこにトシ江かあ。
でかい。でかすぎるぞその顔はぁああ。
遠近感をなくす異次元世界。ひとり曼陀羅ぁああ!!!
コンパスでつくってもそれほどきれいなマルはかけないぞぉお。
きたぁああ。トドメは恵子だぁああ!!ピアスをして
すましているぞぉ。すますとさらに強調される。
今日もアゴが、しゃ・く・れ・て・い・るぅうう!!!
危険の缶詰めトリオ。ブサイク三重奏だぁあああ。
それとも、それぞれが「四角、曼陀羅、シャクレ」を表す
地獄のトリコロール状態と呼ぶべきかぁああ。
るせぇーんだよバカ。
メガネ割るぞ。こら。バシっ。
おそまつです。次ぎ「はぐれ雲」「松」「柴犬」
ビニールテープが手で引っ張っても切れなかったので、仕方なくハサミで切った。
アパートの前にある松の木が邪魔だったので自慢の電動ノコギリで伐採した。
家賃を請求してくる大家がうざかったので自慢の電動ノコギリで首を撥ねた。
オーディオを大音量で流す隣の住人が五月蝿かったので自慢の電動ノコギリで頭を縦に割った。
庭で野良の柴犬がわんわんと鳴いて喧しかったので自慢の電動ノコギリで腹を十字に裂いた。
俺に服を掴んで喚いている5,6人の警官がむかついたので自慢の電動ノコギリで全員叩き斬った。
それを見物していた近所の子供が非常に迷惑だったので自慢の電動ノコギリで臓器を切断した。
返り血が付いた自分の衣類がうっとおしかったので自慢のノコギリで自分の体を両断した。
そして辺りは静まり返った。
その様子を高見で観覧していた積雲が腹立たしかったので粉々のはぐれ雲にしてやろうかと思った
が、自分の体が裁断されて身動きできないから、やめた。
次のお題は「ザクロ」「陰鬱」「劇薬」
443 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/27 21:01
ザクロ、陰鬱、劇薬
「嘘だよな、おい・・・」
俺にできる唯一の事、それは立ち尽くすこと。口からこぼれた言葉は意味を
なさない。トラックから小麦粉の袋を降ろすような音が聞こえ、女性陣からの
が確かめて来いと俺に要求したのだ。自分が調査役で良かったと思う、そして
自分でない男がそうならもっと良かったと思う。
陰鬱に耐えかねたのだろうか? その顔には歓びの色が幽かに滲んでいた。
使い古された比喩だが、ザクロのように割れた頭部からはぬるりとしそうな
脳漿がぶちまけられている。最も、本当にそんな感触なのかはわからない。
触るのはゴメンだ。暫く見ていると、劇薬を飲まされたように胃の中が熱く
なり、次の瞬間にはビールとスルメイカがぶちまけられた。嘔吐した直後で痛
頭の中で、あの小麦粉の袋を降ろす音がまた聞こえたような気がした。
胃が空になって、もう一度自分の足元に横たわるモノに目が行った。
湿気を孕んだ風がゆるりと通り抜け、脂汗を冷やした。
身震いを一つして、慌てて駆け出した。どこだっていい、とにかくここから
逃げ出すんだ。走った、走った、走って逃げた。でも、気がついてみると自分
が逃げたのは仲間達がいる方角ではなく、正反対だった。それはさして重要な
事ではなかった。とにかく逃げること、それを重視した。
それがいけなかった。
長過ぎ・・・逝ってきます。次は「傷痕」「ロザリオ」「海」で
「傷痕」「ロザリオ」「海」
プシケが消えた。
少年と何年も暮らしてきた少女プシケが、ある朝忽然と姿を消した。
小さな貝のロザリオだけが、がらんとした漁師小屋に残された。
来る日も、来る日も、少年はアドリアの海に彼女を探し続けた。
少年は心の傷跡を抱えたまま、浜辺に姿を見せなくなった。12才だった。
それから2年たったある日、水着のお姉さんが荒れ放題の漁師小屋を訪ねてきた。
「ただいま、プシケです」
「・・・!?」
「海の掟の2年の眠りをやっと終って、こーんなに成長して帰ってきました」
しかし、少年は睡眠不足の目でこう言った
「お姉さん・・・だれ? プシケだったら、ここだよ」
指差した先には、自作ゲーム「プシケメモリアル3」のプレー画面があった。
「やったあ、入浴シーン画像1枚クリアー!」
「ああ!そんなもの私がいくらでも・・・」
哀しみに狂ったプシケの手が、プレステにのびる。
「この・・・このメモリをクリアーすれば、彼は私の許に帰ってくる!」
メモリがクリアされ、セーブデータが消えた。
すると、少年もプシケもアドリア海までも一緒に、電子世界から消えてしまった。
※元ネタの神話・・・古すぎて忘れた(^^; 名前うろ憶え、誰か教えて。
次のお題は:「イルカ」「留守」「ウイルス」でお願いします。
445 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/28 05:52
「イルカ」「留守」「ウイルス」
「イルカを見に沖縄に行ってくる」
留守番電話に入っていたのはそれだけ。いつもこうだ。
思いつくまま出かけて、ふらりと帰ってくる。
何をしているのか、いつ帰るのか、気を揉むのは何年も前に止めた。
それでも「帰ってくる」と思ってしまう自分も情けない。
勝手にしやがれ、ばかやろー。
あたしが風邪のウイルスに挫けて気弱になってるなんて、
あいつはこれっぽっちも気にかけずイルカと遊んでいるんだろう。
電話が鳴る。のどをやられて声が出ない。
そのまま留守電に切り替わるのをベッドで聞いている。
「ただいま留守にしております。メッセージのある方はピーという音の後に……」
「もしもし?俺だけど。えーっと、またかける」
あたしは空想する。
ガサガサの声で電話に出たら?
大丈夫か?としか言えないやつに「大丈夫じゃ無い、死にそう」と訴えたら?
きっと、うろたえる。でも、それだけ。
楽しくなったあたしは、風邪薬をのんで目を閉じる。
沖縄の青い海とイルカとあいつの夢を見よう。
明日は少し元気になれそうだ。
「雨漏り」「ワルサーP38」「綿菓子」で
申し訳ない。固有名詞でした。
「雨漏り」「拳銃」「綿菓子」に変更です。
447 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/28 09:10
「雨漏り」「拳銃」「綿菓子」
子供達の他愛のないお喋りが聞こえている。年若い者はどんな境遇でも明るくある
事が出来る、それがエネルギーというものだ。
父親はとっくに死に、母親も失踪した。相当にこたえているに違いない、だが子供
達が縁日で買った綿菓子を奪い奪われしている様にそんな事は微塵も感じられない。
自分と同じ匂いがした。安っぽい屋台の面の匂いが。
雨漏りの跡と洗面器を見て、明日辺り修理をしておこうと思った。いっそこのまま
ここに住み着いたっていい。子供達の面倒を見ているオジサンになるのも悪くない。
懐の拳銃が重くのしかかる。
「屋根瓦」「中華鍋」「軽自動車」で
448 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/28 11:59
「屋根瓦」「中華鍋」「軽自動車」
また雨が降り始めた。
今日は朝から降ったり止んだりを繰り返していて、昨日は咲き誇っていた桜も、なにやら
重く垂れ下がって見える。
私は、今年でもう12年目を向かえるホンダの軽自動車で、少し路面の悪い河沿いの道を
ゆっくりと進んだ。
川面に目をやると、流れは雨の所為かいつもよりも少し急で、色も茶色がかっていた。
私がそうして眺めていると、ふと妙に丸い、黒い石が水際に顔を出していることに気が付
いた。私は良く見てみようと、駐車スペースを探し、青い屋根瓦の家の横にようやくそれ
を見つけると、車を停めて歩くことにした。
次第に詳細が見えるようになってきて、私はそれが石ではないと気が付いた。中華鍋がひ
っくり返っていたのだ。暫くあれこれと弄ってみたが、春の小雨と言えど、いつまでも濡れて
いるわけにもいかず、最後に小石を投げ、カーンと小気味良い音を響かせて車へと戻った。
私はまた車をゆっくりと走らせながら、小説のネタを探し始めた。中華鍋ではお話になら
ない。読者はそんなものは求めていないのだ。
私の心はなかなか晴れてくれない――。
次は「虫めがね」「宇宙」「雪」でお願いします。
449 :
「虫めがね」「宇宙」「雪」:02/03/28 16:34
いまだ残雪溶けきらぬ早春のことです。
その日も私はいつものように一人で学校からの帰路を急いでいました。
私の住む地方には比較的険しい山地が連なっており、
山の頂上付近に家を持つ私達家族にとっては、
何処へ行くにも「行きはよいよい帰りは怖い」と言った状態でした。
ですから、その日もるりるりとしびれる足を引き摺りながら家へと続く長い長い坂道を登っていったのです。
息を切らしながら、それでもへこたれるものかと前を向いて歩みを進めました。
暫くして私はあれ、と思いました。もう3時間以上は歩いたはずです。
なのに我が家は一向に見えてこない。明らかに異常でした。
道を間違えたかとも疑いましたが、6年も通いなれた道を誤るとは到底考えられません。
そこで私は開き直ってみました。どうせなら行ける所まで行ってみようと。
そう思い至った瞬間、単調だった日常風景はとても魅力的な未開拓地域に豹変しました。
日常感が壊れ、好奇心の塊となった私はどこまでもどこまでも進んでいきました。
私の気持ちに対応するように、坂道もまたどこまでもどこまでも続いていました。
私はこの道は天国まで続いているんだろうと思いました。
何日も何日も歩いて、やっと雲の上に出ました。しかし、そこに天国はありませんでした。
容赦なく照りつける太陽は、私を虫めがねで焼かれるバッタのような卑屈な気持ちにしました。
今更戻ることもままならず、私は絶望感に打ちひしがれながら再び歩きだしました。
自らの頭上無限に広がる虚空の世界、宇宙へ向かって。
大風呂敷を広げるもんじゃないですね。
次は「犬」「猿」「機動隊」でお願いします。
450 :
「虫めがね」「宇宙」「雪」:02/03/28 18:31
僕が母様にもらった宇宙は、台湾製のD96という15年以上前の旧型の機械だ。
観察機能(通称虫めがね)しかついていないその機械は地味で、
ビックバンや、彗星シューティング、通信対戦も出来るヨシオのスバル857とは比べ物にならなかった。
けれど、虫眼鏡で宇宙を観測するのは、思っていたよりずっと楽しく、
流れゆく彗星の軌道を追ってみたり、恒星の中心まで接近してみたりしているうちに、
そんなことはどうでもよくなった。
青色の惑星を見つけたのは宇宙を貰ってから3ヶ月目だ。地球とよく似た環境に、目の色と肌の色だけが違う人達が暮らしていた。
服や建物の様子から僕は、ペイヨールクと言うファンタジー映画を思い出して、惑星にその名をつけた。
僕は毎日、ペイヨールクの世界を見て廻ることに熱中した。
3日くらい世界を巡っている時に、丘の上に立ち毎日、祈っている女の子を見つけた。
その姿があまりにも必死だったから、僕は女の子が何を願っているのか気になり、翻訳機を使って女の子の言葉を聞いた。
「神様。どうか、この地に雪を降らせて下さい」
巫女である彼女は、悪い王様の無理な願いを叶えるために必死に祈っていた。
虫眼鏡で観察することしか出来ない僕には、女の子の願いを叶えてあげることが出来ない。
僕は、母様にどうにかしてくれるように頼んだ。母様は困惑顔で首を横に振った。
「やっぱり、ヨシオのスバルの方がずっといいや」
「けどね。たぶん、それが出来ないからこそ、孝之はこの宇宙を大切だと思えるのよ」
母様の言っていることは僕にはよく分からなかった。でも、僕は、今日も虫めがねごしに宇宙を見る。
奇跡が起きますように。どうかあの子の住む街に今日こそ雪が降りますように。
…間に合わなかた。
次は「犬」「猿」「機動隊」でお願いします。
「犬」「猿」「機動隊」
犬を連れ去るのは保健所の仕事だ。
猿は時折警察官との追いかけっこをTVで見かける。
では、もしも相手が巨大なサルだったら?
・・・ありったけのヒトと犬を投入して山を捜索していた。
早く奴を見つければならない。連なる山々の中では昼を過ぎるとすぐ暗くなるからだ。
と、その時、山を囲んでいる機動隊の一斑から無線が入った。
「奴です。現れました!」
山の南西斜面に配置した部隊だ。あそこは最も防衛に不向きな地形で街にも近い。
奴め、頭も切れるらしい。
「よし、そこで取り押さえろ。絶対に逃がすんじゃないぞ!」
我々は他班にも緊急招集をかけ、現場へ急行した。
なんとしても奴を街に入れてはならない。あんな奴が暴れたらまさに3分で街は壊滅状態である。
が、駆けつけてみると時すでに遅し。そこには見るも無残になぎ倒された隊員達がいた。
私は怒りに肩を震わせ、ガタイの良い彼等を荒々しく叩き起こしてまわる。
どれもゆうに2mはあろうかという巨漢を一列に並べ、私は怒鳴った。
「貴様ら、揃いも揃ってウルトラマン一匹取り押さえられんのか!この、サル!」
次は「チョコレート」「校則」「ガメラ」で。
つぎは「チョコレート」「校則」「ガラ」で
454 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/28 23:06
ガメラ学園ではチョコレートは校則違反だった。
甘いからだ。
ガメラは硬派でなくてはならないというのは、ガメラ学園校長の初代ガメラの言葉だった。
「火を吐いて回転しながら空を飛ぶ練習だ。やってみろ」
5時間目、二代目ガメラ先生はトウガラシを噛みながら、生徒たちに指示した。
皆苦労する中、一人のガメラが空に浮かび出した。
彼の名前はハリオ。甘いフェイスをした、ガメラ学園始まって以来の逸材だった。
「なんて完璧な回転なんだ。火の勢いもすばらしい」
二代目ガメラ先生は唸り声を上げ、思わずトウガラシと一緒に火球を吐いた。
ハリオは、ガラの悪い連中からチョコレート顔、牙もチンチンも小さいなどと悪口を言われながらも、どんどんとその才能を開化させていった。
そんなとき、大映の社長が菓子折りを持ってガメラ学園を訪れた。
皆がつぎのガメラが誰になるのかとそわそわしていると、校長先生は学生全員を集めた。
「ガメラは前回で完結だそうだ」
こうしてガメラ学園は閉鎖になった。
今ハリオは心斎橋の横丁でトウガラシの効いたヤキトリを焼いているそうだ。
書いちゃった。慌ててちょっと直したけど。
つぎは「ホウキ」「ガス」「水もの」で。
455 :
チョコレート・校則・ガラ :02/03/28 23:42
僕はチョコレートが食べれない。
中学生時代の――かれこれ二十年ほど前になるか――同級生の存在が、
今でも心の奥底で根深く残っているから。
彼女の名前は鈴木サンディー。
名前から分かるとおり、彼女はアメリカと日本の血を半分ずつ共有するハーフだった。
彼女の容姿は純粋な日本人とは似ても似つかず、ぱっと見は黒人の風貌をしていた。
そんなわけで僕ら男子十数名は彼女の事を「チョコレート・サンディー」なんて呼んで揶揄していた。
無邪気な差別心を浴びせていた。
そんな罵倒に彼女は決まってこう返した。
「なんでそないなこというねん」ガラッパチな関西弁だった――方言も虐められる一因をになっていた。
「ばーか。いっちゃいけないって校則で決まってるんですかー」
サンディーの必至な抗議を僕らは大多数の幼稚な圧力で捻りつぶした。
決して暴力をふるったり、悪質なからかいはしなかったのだが、言葉による暴行を3年間繰り返した。
結局サンディーは僕らと心を通わせることなくして高校進学と共にアメリカにわたった。
彼女は永遠の被害者になり僕らは永遠の加害者になってしまった。
僕はチョコレートが食べられない。
つぎは「ホウキ」「ガス」「水もの」で。
「ホウキ」「ガス」「水もの」
大きくなったら何になりたいの?
大人はすぐ子供にそう尋ねる。
12才年上の従姉に聞かれた時、僕は無邪気に即答した。
「宇宙飛行士」
「どうして?」
「宇宙に出てみたいんだ」
小学校六年生が抱くには、やや幼稚な夢かもしれない。
だが僕は本気でそう思っている。
「宇宙飛行士って大変よ。宇宙に出たら重力がないから
普通に水ものめないし、お風呂にも入れないのよ」
「知ってるよ。でもガス巨星とかホウキ星とか、
写真じゃなくてこの目で見てみたいんだ」
僕が力説すると、従姉はくすくすと笑った。
「宇宙飛行士って忙しいのよ。宇宙に出たら実験とか作業とか
いろいろあるから、星なんて呑気に見てる時間ないかもね」
そうやって何気なく人の夢を叩き潰してくるのは、
自分の夢が叶わなかったからなの?
いつも喉元まで出ている言葉を、僕は今日も呑み込んだ。
次は「深海」「指」「兎」でお願いします。
457 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/29 01:30
ある日僕は深海ツアーに誘われた。
深海ツアーとは、そのナの通り深海を見学して回るツアーである。
兎形の潜水艦に乗り込み、自分の席についた。
潜水艦はぶくぶくと沈んでゆく。
前のほうで、ガイドの女性が説明をしている。
ガイドの女性は窓の外のほうに手をやりながら、行った。
「はい、この手の先の方に見えますのが…」
僕はつられて窓の外に目をやった。
「指の爪でございます。」
一同大爆笑
おわり
次は、「ロボット」「海」「さかな」でお願いします
458 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/29 01:53
そっと、指を下に降ろす。
丸い耐圧ガラスの向こうにある、金属で作られた指がサーチライトに照らし出された。
僕の手に操られた深海調査艇の指先が、青黒い砂の上を探る。
場所は、すでに板状のわずかな温度変化で分かっていた。
僕が指を上に上げると、金属の指先が砂に覆われた板をサーチライトの下にあらわした。
表面を少し、削り取るとほぼ線だけで現された、僕の知らない文字が見える。
「やった。これで一週間は遊んで暮らせる」
僕は喜びで呻くと、深海調査艇の前面にあるコンテナに今日の獲物を入れた。
ごぼっ。
ふいに、白い泡の固まりが視界の片隅に入る。血の気が引くのを自分でも感じ取れた。
「兎? いやだ。こんなところで」
そうつぶやいた瞬間、何かが弾けた音と共に無数の水の糸が僕の顔にかかった。
僕たち回収屋の伝説に、潜水艇が潰れる前兆になる泡の言い伝えがある。
それは「兎」と呼ばれていた。僕は兎が笑うのを見た。
兎は犠牲者を残して、海の上で風へと還る。
死にたくない……。
◆◆◆
あうあう。遅かった。
>次は、「ロボット」「海」「さかな」でお願いします
459 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/29 05:18
海上のいけすで養殖された魚は、一定の大きさになると自動的に沿岸の工場に
連なるベルトコンベアに乗せられ、工場の中で洗浄され、産業用ロボットの腕
によって捌かれ、缶詰に加工される。
缶詰は箱詰めされ、倉庫に運ばれ、船に積み込まれて出荷される。
この海洋惑星から、宇宙に向けて。
事業は順調だった。
「鯨の大和煮」
けれどこの商品の中身が鯨肉ではなく魚肉であることがバレ、不当表示で叩か
れ、会社は潰れた。
俺は今、残務整理のために、缶詰でいっぱいの船に乗り込み、一つづつラベル
を張りかえている。次の港に到着する三十年後までには、作業が終わるだろう。
次のお題は、「神」「悪徳」「愛」で。受ける作品の三要素だそうな。
460 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/29 05:35
マイクテスト
461 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/29 06:28
「神」「悪徳」「愛」
その青白くなまめかしい肌に。
私は琥珀で作られたナイフを、入れた。
しわを作らないように、余計な痛みを感じさせないように、
私は彼女のわき腹をさく。すえた部屋の匂いがした。
彼女が寝かされている台に彫られていた溝から血がしたたり落ちて、
「汚れ」と書かれた壺はやがて満たされた。
私は鼻の穴からゆっくりと脳をかき出す。
台の上に置かれていた内蔵と一緒に、
その脳を「悪徳」と書かれた箱の中に入れた。
最後に彼女の首にかけられていた首飾りを外し、私の首に掛ける。
それは「愛」と呼ばれていた。
彼女の目が開いた。体に塗り込まれた血止めの香油のにおいがあたりに広がる。
彼女が立つ。首飾りを付けている私の指示で扉へ向かう。
がらんどうの彼女は、神になったのだ。神の力は、私たちを富ませるだろう。
神がゆっくりと表に出てゆく、その後ろ姿を見て、
最後の時、大切にしていた髪飾りを私にくれた彼女の笑顔を思い出した。
なぜか、涙が出た。
次は、「メモ」「櫛」「桜」でお願いします。
462 :
「神」「悪徳」「愛」:02/03/29 06:51
出遅れましたが懐かしの小咄風に。
神と悪徳と愛が話し合っていた。
神「最近天国に来る人間があまりにも少なく寂しいかぎりだ」
悪徳「愛が仕事をさぼっているのです。私の部下の誘惑も
近ごろ簡単に乗ってくる人間ばかりで、仕事にはりあいがないとこぼしています」
愛「悪徳が良く働いているのは知っています。私も常に全力で励んでおります」
神「ではなぜ天国へ来る人間が減っているのだ?」
悪徳「テーマパークでさえ常に客を呼ぶ工夫をします。我々悪徳一族はいかに人をひきつけるか
努力を惜しみません。創世からこつこつと手を変え品を変え努力し続けてきた我々と、
ワンパターンの愛と、どちらが魅力的であるかは人間どもにも一目一目瞭然です」
愛「悪徳一族の工夫はまったくたいしたものです。感心させられます」
神「なるほど。では仕方があるまい」
神には悪徳の限りを尽くした人間さえも無条件に天国へ迎え入れるよう
システムを変えてみるかと思い付く知恵が無かった。神も愛の存在であった。
次は461さんの、「メモ」「櫛」「桜」でお願いします。
春本番の風は恵子の髪をいつも小動物のように踊らせていた。
恵子はいつも、純粋でうつくしく黒い髪に朱色の櫛でアクセントを置いていた。恵子のその
細く髪と、細くしなやかな体と、後ろにこの枝垂桜を背景にカメラを写せば、どのファッショ
ンモデルよりも自然に、可憐な美女が微笑を称える写真が出来た。
その女性が恋人であることに、私は誇りと幸せを感じ、文字通り鼻を高くしていた。
小雨が降る夜だった。「家に行くと」といいながら、いつまでも来ない彼女を心配して、私
は彼女の家と我家を繋ぐ道を駆け走っていた。よからぬことが起きたのではないか、不安を抱
きながら一心不乱に(それでも虫一匹見落とさず、慎重に辺りを見まわしながら)走り回った。
彼女は枝垂桜を背に、小雨に打たれ着物を濡らして倒れていた。と云うよりも、崩れ落ちて
いた。
すぐに彼女を背負い、ときには声を張って彼女の生死を確かめ(しかし、返事は返って来な
かった)ながら、医者の元に駆けこんだ。
このときの医者の返事はそっけなく、真意を的確に射て、「手遅れです」と私に告げた。
その後、彼女の家からは「あの人は本当にわたくしを愛してくださっているのか、一日千秋
の思いで深けてしまいます。」と書かれたメモ(結果的には遺書になってしまった)が見つか
った。本当に私を彼女を愛していたのか。ただ自分の欲求を満たす存在としか見てなかったの
かもしれない。愛していれば、彼女が必死に隠していた病(なぜ、病を隠すようなことをして
いたのか定かではないが、私に心配事を背負わせるのを嫌っていたのか。そうだとすれば、彼
女は選択肢を誤ることになった。結局、私は酷く苦しい心配事を背負うことになってしまった
のだから)に気付いていたのかもしれない。
恵子の髪に似た枝垂桜を見るたびに、私は自分に憤慨し、悲愴に浸った。
長くなった。スマソ。次は「憔悴」「灰燼」「燦然」
ついでに、意味は
憔悴:やせ衰えること。やつれること。
灰燼:灰と燃えさし。もえかす。
燦然:キラキラとひかるさま。
465 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/29 12:11
あえて教えないのも○かな
466 :
かきにげっ!:02/03/29 14:46
「憔悴」「灰燼」「燦然」
辺りは闇に染まりはじめた。
すでに敵軍に包囲された王城。暗がりの中に松明の炎が十、二十と増えてゆく。
「予想以上に長引いた戦闘で、兵は皆憔悴しきっておる」
老王が力無く呟くと、将軍が進みでて力強く言い放った。
「戦うのみ。たとえ全て灰燼に帰すとも降伏してはなりません、王よ」
決意に満ちた発言に続き、大臣も口を開いた。
「全ての国民は王を深く敬愛申し上げております。どこまでも王とともに有らん事を」
しばしの沈黙の後、老王は決意した。
「こ奴にだけは頼りたく無かった。だが国民を救う為ならば致し方ない。イチかバチか」
臣下の集う広間の中央に進み出た老王が、惨然と輝く宝玉を頂いた錫杖をふりかざし、
呪文を唱えると閃光とともに何かが出現した。
「こ、これは、目樽素雷夢ッ!」
目樽素雷夢は一目散に逃げ出した。
「し、しまったッ! 失敗じゃ!」
「王よ。もしやその錫杖は……!」
「……いかにも。これこそが我が王家に伝わる伝説の『波流分手』の杖だ」
「なんと、あの使えば何が起こるかわからぬという禁断の!」
「この一大事に何という無謀な!!」
将軍は逃げ出した。
大臣は逃げ出した。
国民も逃げていった。
「これでいい……これでイイのだ」
ひとり王城に残された老王は満足そうに呟いた。
そして、高らかに最後の呪文を唱えた。「 !」
次のお題は「嘘」「罠」「運」でお願いします。
468 :
「嘘」「罠」「運」 ◆ragETdiE :02/03/29 16:19
「山賊を退治して欲しい」
小さな村だが、それなりに暮らしてゆける程度の安心出来る村だ。だが、そういう村は山賊の被害は無視出来るものではない。
旅の途中、この村、へっじほっぐに訪れた俺はついて早々こう頼まれた。
路銀はまだあったが、山賊程度倒すぐらいでそれなりの金額が貰えるなら、と俺は引き受けた。
村からそう離れていない山の中腹付近に住着いているという山賊は、たまに降りてきて食料を強奪してゆくらしい。
足早に山に着いた俺は帯刀しているお気に入りの刀を引き抜き右手に持ちつつ山を登っていく。
山賊といっても三人らしい。決して相手出来ないものではない。多少の心得があれば倒せるものだ。
一人目だ。洞窟の見張り番らしい。俺は石を投げ、気を引くと一気に駆け抜け首を撥ねた。一人目。
断末魔は聞こえない。安心して中に入ると、入ってきた入り口が崩れた。出ることは出来ないだろう。原因は、入り口に隠れていた男。相手は短剣を引き抜き応戦してきたが、はじいて動きが止まった瞬間心臓を貫く。二人目。短剣も持っていこう。
多少焦燥しながらも、通路を突き進む。三つ又の三つの穴。どれにする――!
直感でスピードを弱めず直進。落盤の音で気が付いたのか待ち伏せしていた二人を駆け抜けざま一人を銅から斬りとばし、一人は足で吹っ飛ばした、三人目!
直感は当たった。待ち伏せしていたところが真ん中だったことでも多少安心はしていたが、運が良い……。後ろから何かが迫っている。当たってくれ、適当に投擲した短剣は確かに命中したようだ。運がつくづく良い。四人目……。
村に戻ると、先程と同じ老人が近寄ってくる。
「退治してくれましたか!」
俺は何も言わずじじいの首を撥ねた。小さい村だ、山賊の人数を間違えるはずもない。それに、名乗らない奴は信用しない。だが、間違いだったのは、お前も山賊だが俺も山賊だったということだ。
469 :
◆ragETdiE :02/03/29 16:20
あー、行数が増える。まだまだだな。題も忘れたし。
次の題は、「猫」「犬」「猿」でお願いします。
470 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/29 17:30
おおざっぱに言えば、女は猫型の性格で、男は犬型だという。
女の甘えん坊なところや、気まぐれなところが猫なのだろう。
そして男の権力志向や、結局仲間たちで派閥という群れを作るところが犬なのだ。
しかし、その男や女が選んだ政治家というものは、犬でも猫でもなく猿である。
その証拠に、今日も国会は、猿山の騒ぎであり、猿芝居を続けている。
お次は「傷」「友だち」「櫛」でよろしく
471 :
「傷」「友だち」「櫛」:02/03/29 18:05
「櫛で駆使する」
俺は、一人で笑った。俺はいわゆるひきこもりだ。
人が恐い。人の目を見れない。視線が恐いから・・・・。
それは、友達に裏切られたから。親友だと思ってたのに。ちくしょう。それなのに、俺を裏切って・・・・。
俺をハメて、あざ笑って。ちくしょう! ちくしょうちくしょうちくしょうちくしょう!
「たかしくん」
母親の声だ。
「まだ、あの子の事、思ってんの?」
「うっせ! 死ね! ばああ!」
「今さら、死んだゆうきくんの事思っても仕方がないでしょう。あの子は死んだの」
「俺のせいでだろ!」
俺が、ゆうきにあんな裏切り行為をしなければ、死なずに済んだ。
だから、こうししてゆうきの供養のために『内面だけゆうき』になりきっている。
そうすることが、ゆうきへの供養だから。
次は『信長』『cgi』『丸』で。
472 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/29 22:02
↑
傷が入っていないため、無効と見なす。
↑
「そりゃあ傷かなかった」というオチは禁止。
474 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/29 22:26
「信長」「cgi」「丸」
経営者で信長ファンは多い。
単なるファンなら別にかまわないのだが、
困るのは自分を信長だと思っている人の場合である。
決断力のあるリーダーという風に思っている。
だが往々にして実際は違っていて、リーダーシップと
いうより、単なるわがままなことが多い。
ウチの社長も御多分にもれずそのケースである。
会社では、Webシステム関連の仕事をしていて、
CGIのプログラミングも業務としてやっている。
そういう一応はやりの業界にいるという気分が
社長をそんな風に思わせているのだろうか。
今日のミーティングで社長が言うには、
これからはトップダウン型の決定をしていくらしい。
ああ、つくづく迷惑な話だ。
ええ。わかりました。わかりましたよ社長。
でも、ねえ社長。信長やめましょうよ。やっぱり。
バカ丸だしじゃないすか。恥ずかしいですよ。
トップダウンも何も、ウチは社長と私、二人しかいないんすよ。
では、次ぎは「傷」「友だち」「櫛」になんでしょうか?
476 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/29 23:35
それがよろしいかと。
477 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/29 23:39
「傷」「友だち」「櫛」
殺人現場についたのは午後3時だった。
オレはその日朝から気分が優れなかった。
ついた場所は汚いところだった。現場には櫛が落ちていた。
きれいな櫛だ。高価そうだ。ん?ここにちょっと傷がある。
まぁいい。しかし女がこんなところにくるのだろうか。
ガタッ。後ろで音がした。振り向くと若い男がたっていた。
なんだ見たことのないやつだな。何か言ってやがる。
オイ、どうでもいいけど、そこ入るんじゃないよ。
今日オレは気が短いんだから。わかったら近寄るんじゃないよ。
だから入るんじゃないって。じゃまなんだよ。
向こういけよ。ほら。え?何?この櫛はお前の友達のだってぇ?
そうか、おいちょっと来いおまえ。ん?なんだぁ?
口答えするのかぁ?来いったら来いってんだ。
ビシッ!バシっ!あっ?、、、ガツッ、、、。
若い男はこうして、ここの角に頭をぶつけ死んだのです。
殺したのはオレです、、、。ささいなことから
こんなことになっちまって、、、。
次ぎは「知性」「かまど」「とんでもない」
478 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/30 00:18
ㅁㅎㄷ
479 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/30 00:29
知性とは、人間の最大の武器である。それは、当たり前のことだ。
「結局、あなたって自分が優れているって勘違いしているだけなのよねー」
それなのに、このカマは、私をばかにした。おかまどだい解る話ではなかったのだろう。
だから、殺した。
人間、生きる価値のある人と生きる価値のない人がいる。このカマにはそれがなかっただけの事。
ナイフで、一刺しだ。首を、ぶすっと。
それから、私は自分の首を刺した。自殺? とんでもない。私もいきる価値がないからですよ。
だから、殺したまでです。
次は『パンチドランカー』『伝統の1戦』『粘土』で。
480 :
「知性」「かまど」「とんでもない」:02/03/30 01:26
若衆がかまどの隠しで見つけたものは、3年前死んだ婆さまの着物だった。
―体これが、なぜかまどの奥の隠しに入れてあるのか?
爺さまは節くれ立った指で、手触りの良い水色の着物の表面を撫でた。
まだ若かりし頃の婆さまの姿が、頭に浮かぶ。
――気が強く、よく尻を叩かれたものじゃ。
キリリとした眉に、知性を封じ込めたような意志の強そうな目が、印象的だった。
財産を持たない貧乏人の息子の自分に、才媛である彼女が靡いた訳が未だに分からない。
家を捨て駆け落ちし、無我夢中で働き、財を成した。
今、こうして家を手放すことになってしまった事を、爺さまは死んだ婆さまに申し訳なく思った。
その時、着物の袂から、手紙が出てきた。
家を出る時に着てきた着物です。売れば一両にはなるでしょう。
貴方と裸一貫で頑張るために仕舞っておきましたが、もしもの為に、ここに残します。
貴方はがんばりましたね。私は誇りに思っています。
「とんでもないことじゃ。とんでもないことじゃ」
爺さまは、いつまでも泣いていた。
……また間に合わなかた。
次は『パンチドランカー』『伝統の1戦』『粘土』で。
『パンチドランカー』『伝統の1戦』『粘土』
「おまえ、それは完全にパンチドランカーの症状だよ」
伝説の1戦と呼ばれたあの夜から二月後。不敗の王者から
奇跡のカウンターでチャンピオンベルトを奪った俺は、意気揚々と
初の防衛戦に向けて練習に励んでいた。その俺の前に、唐突に
白い紙切れが押し付けられる。医師の診断書だった。
「反射能力、瞬発力が完全に落ちている。滑舌が悪く
なってるのにはおまえも気付いていただろう?」
「そんな…俺はパンチドランカーなんかじゃない」
「認めたくない気持ちはわかる。だがこれ以上続けるとおまえの身体が…」
「冗談じゃないぜ。自分の身体のことは自分が一番よくわかってる。
まだやれるんだ。やらせてくれよ…!」
「ならば、これをやってみなさい」
俺の後ろから入って来た白衣の男が、俺の前に何かを置いた。
土色の塊。
「これが何か…?」
「この粘土で犬を作ってみなさい。パンチドランカーの症状は
指先の器用さを奪う。粘土細工ができれば君はまだ大丈夫だ」
俺は混乱した。いきなり突き付けられた引退勧告。そして粘土。
……あきらめたくない。一度もタイトルを守れないで、チャンピオン
の座を明け渡すわけにはいかないのだ。
執念から、指が粘土に伸びていた。その少し湿った感触は、俺に
久しく忘れていた砂遊びの泥団子を思い出させる。初めはゆっくりと、
だが次第に没頭し、俺は粘土細工に取り組んだ。そして…
「…どう見てもブタだな」
「いや、猫ですな、これは」
「そんな!犬ですよ!どこから見たって犬でしょう?」
小学校の通信簿を思い出した。
俺は図工は「がんばろう」しか取ったことがない。
次は「ひつじさん」「灰」「受話器」で。
482 :
名無しさん@Emacs:02/03/30 09:22
「ひつじさん」「灰」「受話器」
「ひつじさんがわーらった。ひつじさんがけっとんだ。」
娘はもう四才になる。せまいアパートの中で、ひつじのぬいぐるみを相手に一
人遊びをしている我が娘を眺め、たばこをくゆらしていた。
「ひつじさんがおーこった。ひつじさんがなーいた。」
娘は雨どいからこぼれる雨水の落ちる音でリズムをとっているようだ。たばこ
の灰が畳の上に落ちた。私はあわてて灰をはねる。二人だけで過ごすようになっ
てどれだけの月日がたったのだろう。さなえが去ってからどれだけたつのだろ
う。まるで熊の親子の冬眠のようだった。でももうすぐ春がやってきて巣穴か
ら出ることができるだろう。
「ねえ、ひつじさんはこうやってジャンプするんだよ。」
娘は無邪気なままでいてくれた。待っていた電話が鳴りひびいた。
「でんわさん、りーんりーん」
私は受話機を取った。
お次は「ぬいぐるみ」「カレンダー」「お守り」でどうぞ。
「ひつじさん」「灰」「受話器」
「ひつじさんがね。いなくなっちゃったの」
辿々しい言葉で必死に訴える娘を抱き上げて、獅子の男は優しく頭を撫でた。
「大丈夫。父さんが必ず見つけるから、心配しなくていい」
たき火の後の灰はまだあたたかかった。
「ひつじさんはどっちに行った?」
娘は南を指差した。一番近い南の村までは30キロ弱。急いで追いかければ、奴が村にたどりつく前に追いつけるかもしれない。
牡羊の若者が気にくわない野郎でも、財宝を手に入れる為には必要なコマだ。
沙漠の遺跡に入る為に、どうしても12人が揃わなければならない。
「おーいボス! 車の無線に連絡がはいってるぜ! サソリからだ」
武器の手入れをしていた射手が、ライフルを振り回して大声で叫んでいる。娘を水瓶の女に預け、獅子の男はすばやく愛車に乗り込み無線機の受話器を取った。
「こちら獅子、どうした?」
「ボス、聞こえるか。サソリはトンズラしかけた牡羊のボクちゃんを確保。これからそっちに向かうんで、お仕置きの支度をして待っててくれ、以上」
サソリの姐ごに捕まったのは不幸としか言いようがない。
生け贄の小羊となる牡羊の若者を哀れんで、獅子の男は信じてもいない神に向かい、胸で小さく十字を切った。
お次は「ぬいぐるみ」「カレンダー」「お守り」でどうぞ
484 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/30 20:09
「ぬいぐるみ」「カレンダー」「お守り」
在庫データによると倉庫の中のぬいぐるみは全部で4212体あった。
ひとつひとつ中身を調べるのかと思うと、田中刑事は気が重くなった。
管理課課長のデスクの後ろに貼られた日めくりカレンダーに書いてあった
「今日の言葉」は皮肉にも「小さな事からコツコツと」だった。
「くっっっそおぅぉぉぉぉぉっっっっ!!」
一気に怒りが爆発した田中はスーツとワイシャツを脱ぎ捨てると、倉庫に
積まれたぬいぐるみの山に突進した。胸元には祖母が正月に送ってよこした
成田山のお守りが揺れている。
「けっ、刑事さん、止めてください! 落ち着いて!」
ふかふかのクマに掴みかかり引きちぎりバラそうとする田中を、倉庫作業
の社員が三人がかりで必死になって押さえ込んだ。
犯罪の証拠がかくされている可能性があるとはいえ、四千以上もの商品を
めちゃくちゃにされてはたまったものではない。
「……アホか、あいつは」
山本刑事は頭痛がした。
「旅客機」「オムレツ」「甲冑」でお願いします。
>>1の家にとりつく貧乏神じゃ!
今回、1がこんなスレを立ててることに気付き、居ても立ってもいられなくなってしもうた!
これは絶好のチャンスじゃとわれさきにレスを付けさせてもらうぞよ!
先日、この一家を不幸に陥れようとこの家にとりついてしまったのが運の尽きじゃった!
逆に奴の呪縛にかかってしまい、離れようにも離れぬ愚鈍に陥ってしもうた!
ひきこもりの1は毎晩、時計の針が11時を指しれば、物凄い勢いでありとあらゆる板で煽りとコピペ
荒らしを繰り返す!その行為はとどまることを知らず、ついにはこのようなスレを立ててしまうという
悪事のしまつ…!さらには女人の形をなすぬいぐるみで自慰に老け、さらには壁のアイドルポスターで
やはり自慰を始め、いくらカレンダーが捲れ月日が過ぎようとも、その行為をいっこうにやめる気配が
ない!いまでは家中がやつの恥垢の腐臭で充満し息苦しくなりおる!その家にとり付くわしの身になって
みよ!キィー!1は欲望と破壊が取り巻く悪鬼じゃ!今ではわしは、体中に病魔退散のお守りをめぐらし、
いやしくも、一刻もはように奴から逃げ出せればと願う始末じゃ……!
別に煽ってるわけじゃないです。次は「サブルミナル」「分裂症」「くだらない」
あっ遅かった。
じゃあ、「旅客機」「オムレツ」「甲冑」でどうぞ。
487 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/30 22:25
墜落した旅客機に燃料が残っておらず、炎上しなかった。それが事態を悪
い方向に向かわせた。墜落した地区はスラム街で、浮浪者どもがうようよ出
てきてヘタクソなオムレツみたいになった死体を引きずりまわして遊んだり
辛うじて生きている生存者に暴行を加えたりし始めた。
いくら馬鹿どもの仕業とはいえ、国家として蛮行を許すわけにはいかない。
我々は暴徒の鎮圧を命じられ、申し訳程度のメディカルパックを携え、問
題の地区に向かった。威嚇発砲で十分と判断されたため、弾薬の類はあまり
持っていかなかったのだが、我々は悔いる羽目になってしまった。
侮った。
甲冑のような防弾衣に身を包み、刀よろしく自動小銃を構えた我々に暴徒
は恐れをなして逃げると思っていた。それどころか、奴等はずんずん向かっ
てきた。足元に着弾する音が聞こえたので、撃ち返した。すると今度は無反
動砲が飛んで来て、炸裂した。破片がヘルメットを叩き、思わず目を閉じた。
次の弾が来る前に敵を排除しなくてはならない。
「十一時の方向! 乗用車のかげだ、撃て!」
俺は精一杯撃ちまくった。相手が援護射撃もなしに頭を出して撃たれる馬
鹿だったので、少し苦笑した。何人か同じ所にいたらしく、違う奴が顔を出
したので、撃った。そいつは悲鳴をあげて転がりまわった。
「こいつら、馬鹿だな!」
思ったままを口にした。だが、誰も何も言わない。不審に思って振り返る
と、皆いなかった。300m先の角を走って回る愚か者が目に入った。
馬鹿野郎! と思いつつ、ふともう一度前を見た。改造された重機がボロ
家を薙ぎ倒しながらこちらに突進してくる。
俺は腹を決めた。そして、クラウチングスタートで駆け出した。
規定をオーバーしてしまった。ゴメソ。
次は「教会」「鳩」「サブレ」
488 :
◆ragETdiE :02/03/30 22:50
「WOOー!WOO-!WOOー!」
協会に拍手が響く。みんな幸せなんだ――、俺も。
誓いのキスを交わし、皆の祝福の拍手と、屈託のない笑顔を俺たち二人に投げかけてくれる。
笑顔で深紅の絨毯を二人で歩み寄る。体に降りかかる花びら。
ありがとう。
歩いている間絶え間なく響き渡る、祝福の福音。
ありがとう。
投げ掛けられる、惜しみもなく耳に届く聞き慣れた声。
ありがとう
みんな、本当にありがとう。
隣の彼女は、ブーケを手に取る。そして空に放つ。
駅で、偶然会社の皆に土産を買っていこうと思い手に取ったその地の有名品サブレ。
永らく会っていなかった。何年という長い時を経ても、こういう事はある。
初めて、運命を信じたくなったんだ。
舞い落ちるブーケは今を生きる女性達が背伸びをして取りに掛かる。
風の具合によって浮かぶ純白のブーケは、白い鳩のようだった。
ちょっと慣れ。次は、「花」「薔薇」「マシンガン」でお願いします。
489 :
的 ◆SpLWlLC. :02/03/30 23:07
「花」「薔薇」「マシンガン」
僕はいいことを考えました。
戦争で駄目になったこの地球を元に戻せるかもしれません。
今はその辺にいくらでも転がっているマシンガンの弾の代わりに、
花の種を使うのです。
人の命を奪い続けた武器が、生命を作る手伝いをはじめる瞬間です。
僕は先ず最初にお母さんのお墓のまわりに、薔薇の花の種を植えようと思います―
#つぎは「切断」「小説」「連呼」でよろしく願います。
490 :
「切断」「小説」「連呼」:02/03/30 23:30
おれは目の前にある小説を切ってみることにした。
「起起起起起……」
二行目あたりを切られたそいつはジタバタしながら、
叫び声ともつかない言葉を連呼をした。
教室のやつらは、売れない作家をやってる女講師も含めて、
おれのやっていることが理解出来ないという顔をした。
おれは次に切る部分を適当にあたりを付けた。
なかなか切れない。おれは力を込めた。
「落、落、落……」
小説は息絶える寸前だった。
「やめて!やめなさい!どうしてそんなことするの?
あ、あなた自分が何やってるか判ってるの?」
講師はヒステリックに叫び声を挙げた。
「うるせえ」
おれは講師がいつも持ち歩いている太宰に目を付けた。
「やめて、お願い、それだけはやめて!」
「ケケケケケ」
ヒステリックに叫ぶ女講師を足蹴にしながらおれは太宰を切り刻んだ。
つぎは「麒麟」「端麗」「生」で
があ、「切られた」になってるし。
欝。
推敲段階で消したらしい。
493 :
「麒麟」「端麗」「生」:02/03/31 00:03
16年前、魏葦国の各地で麒麟が目撃された。
この瑞獣の出現は、賢明な君主の誕生を意味する。
しかし、この日王族に生まれた者は無かった。
故に彼らは未来の君主に一族が討たれるのを
恐れ、その日に生まれた子を集め、王の養子とした。
この時、王族の危機は去ったと思われた。
だが、1年前に16年前にひそかに生まれたという
山岳民の少年を筆頭に反乱が起き、王族は大半が
殺されるか外国に脱出した。
辛うじて生き残った王の養子たちのうち、最も
容姿端麗な娘、閃華姫が亡命先の翔覇国の
後援を取り付け、故国奪還に乗り出した。
この姫こそ、のちに策のみにて大陸を統一した天子
として崇拝される龍智帝である。
ここは、初投稿。次のお題は「コロッケ」「屍鬼」「乙女」でおながいします。
つーわけで、
「切断」、「小説」、「連呼」でお願いします。
「コロッケ」「屍鬼」「乙女」「切断」「小説」「連呼」
ルイ16世とアントワネットが処刑されて以来、異様な風習が国内を覆った。
公開処刑。
暗黒の恐怖政治の中、昨日の実力者の首がギロチンで切断される。
かつての権力者の名を連呼する大衆。雰囲気で決まる希薄な「正義」。
政治が安定しても、一度掘り起こされた民衆の黒い欲望は、いまだ蠢き続いていた。
時に西暦2002年。
パリ郊外の名も無い街で、秘密の「処刑ショー」が催される。
もちろん、人間を処刑などしない。
「判決! 多くの乙女達の体重をいたずらに増やした罪により・・・」
ギロチンにかけられるのは、巨大なビーフコロッケだった。
処刑執行!一瞬で落ちるコロッケの首。屍鬼の様にそれに群がる娘たち。
どんな小説よりも、エキサイティングで馬鹿らしいショーである。
「次の罪人は誰だ!」
「ショートケーキだ、ショートケーキを呼べ! ショートケーキは重罪だ!」
怒号と罵声。処刑台を囲む乙女達・・・なにしろケーキだから。
※これでも6題(^^;
次のお題は:「干し草」「石油」「LSI」でお願いします。
別れを告げると、豊はほんの少し唇を動かし、目線を逸らせて小さく頷いた。
私は豊に分からないくらい、微妙に口を開き、夜の空気を吸って、そして、吐いた。
――試したの。貴方に対する最後通告。もしも止めてくれるなら。……でも、
「それじゃ」
私は平静を装って軽い調子できびすを返す。豊の気弱な笑顔が浮かぶ。
「待ってくれ!」
振り返るとしっかりとこちらを見てる豊の顔。胸が踊った。
「……小説。君のことを書いたんだ。……受け取ってくれ」
――そう言えば、そんな事を言っていたっけ。
気弱な笑顔で封筒を差し出す豊の顔、もう、目線が逸れてる。
「あんた、ほんと……ば、か」受け取らずにきびすを返した。
「待て、待ってくれ」
豊が私の名を連呼してる。……でも、もう振り返らない。
豊への想いはたった今、切断したの。
――バイバイ。
……書いちゃった。うはうさん。迅速なフォローお見事。
次のお題は:「干し草」「石油」「LSI」でお願いします。
497 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/31 02:39
「干し草」「石油」「LSI」
干し草が十分に乾燥しているか、水分は作物の葉先まで行き渡っているか、
ひとつも見落とさぬようにデビッドのLSIは忙しく働いていた。
農場は全て順調だった。
デビッドと一緒にここにやってきた時はヒヨコだった仲間も
みんな今では立派な雌鶏になって毎日タマゴを生んでいる。
石炭から石油の時代になり原子力が生み出され、人は母なる地球から飛び出し
新しい故郷を開拓する旅を開始して1世紀。
もちろんLSI搭載の前世紀の旧型システムは社会ではとっくに廃棄され、現在
は使用されていない。
デビッドが最後の一台で、この科学歴史博物館の展示用に製造されたのだ。
管理システムがなければ地上では生き延びられない草や樹や動物たち、
展示ドームでしか見られない古き良き時代の農場。
小麦胚芽クッキーの焼ける香りが漂い、白いエプロン姿の女性職員たちが
テラスのテーブルにクロスを広げ、三時のお茶の支度を始めた。
デビッドは空調設備をほんの少し動かして、テラスに微かな風を送った。
そろそろ苺が収穫の時期を迎える。明日はもう少しドームの温度を上げる予定だ。
「パレットナイフ」「トランペット」「トリュフ」でお願いします
498 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/31 02:53
「パレットナイフ」「トランペット」「トリュフ」
お父様、トリュフおいしゅうございました。
お母様、パレットナイフいい切れ味でございます。
お姉さま、トランペットはいい音を奏でております。
あちきは疲れてしまってもう走れません。
499 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/31 02:54
お次は、「ジョージ・ブッシュ」「レバノン」「革命」でお願いします。
「ジョージ・ブッシュ」「レバノン」「革命」
レバノン在住のジョージ・ブッシュ氏は悩んでいた。
なにしろあの戦争ごっこが大好きな某大国の大統領と同じ名前では
いつ命が死んでしまっても「ああ、やっぱりね」としか言ってもらえない。
洒落にならない御近所の国際情勢だ。
「できるだけ安全そうな国に移住するんだ! そうだ、じぱんに行こう!」
家族をせきたてて荷造りを急がせた。だがしかし、細君がブッシュ氏を悩ませた。
細君(最悪な事に彼女の名はバーバラだった。おお、神よ!)は靴のコレクターで、
コレクションを全て持っていきたいと駄々をこねたおげく、引っ越しに反対しはじめたのだ。
「そんな国イヤよ。だってじぱん人は木の板と布のの靴を履いているのよ!
あたしは革靴が好きなの! 革命(かわいのち)なの!」
どっとはらい。
500げと記念。「はむはむ」「ゆんゆん」「へれへれ」でGO!
お題が進んでますが、先のお題にて・・(だって久々なんだぜ?)
「パレットナイフ」「トランペット」「トリュフ」
エールフランスの成田−パリ便の機内食ではトリュフのソイソース和え
ジャポネーゼが出された。
さすがビジネスクラスともなると、機内食も気合が入っている。
それを口に入れようとしたその矢先、隣の席にかけている社長の息子
大西浩司がしゃべりかけてきた。まったく、無粋な輩だ。
「倉田さん。例のもの――ゴッホのパレットナイフ――ですが」
「ああ、あれですね。ちゃん別ルートでパリ支店に来ています」
私は少しムカつきながらも慇懃に応える。ゴッホのパレットナイフ、
アメリカの好事家から密かに買い受けたわが社の目玉。
サザビーズのオークションに出品する商品だ。
これで、サザビーズでの耳目を集めることもできる。
美術商としての、わが社の知名度も上がるというものだ。
私の言葉に大西は深く頷くと、
「ようし。パレットナイフの売却代金で、あのトランペットが手に入るぞ!」
と一人つぶやいた。
トランペット? そんな話は聞いていない。
「大西常務、トランペットって何の話です?」
「きみには言ってなかったが、サザビーズに出品されるトランペットを
落札する予定なんだよ」
「いえ、ですから、どんな由来のトランペットなんですか?」
私の言葉に、大西は、こいつバカか? と言いたげな顔で答えた。
「トランペットといえば決まっているだろう! キカイダー01のトランペットだよ!」
パレットナイフって画材なんですよね。切れ味がいい・・・ってのは・・どうでしょう。
ま、ともあれ、次のお題は
>>500参照にて、失礼。
502 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/31 03:31
どっとはらい≒どっとわらい
すみません。誤字だらけだ・・・鬱だ氏脳
こねたおげく→こねたあげく
布のの靴→布の靴
504 :
ジョージ・ブッシュ」「レバノン」「革命」:02/03/31 03:47
ジョージ・ブッシュでレバノン杉革命が起こったのは、星暦2002年4月1日のことだった。
「レバノン杉マンセー!」「杉の木を守るニダ!」を合言葉に、
環境保護団体は大統領官邸、ブラックハウスを取り囲んだ。
「どうにかならんのか!」
ブッシュ星大統領は花粉症で目をしょぼしょぼさせながら叫んだ。
「無理です。国軍革命に参加している模様です、っはーくしょい!」
国務長官はムズムズする鼻をかみながら答えた。
「くそ、首尾よく行けば今年の春には杉の木なんぞ絶滅しているはずだったのに!」
大統領は鼻にテッシュを詰めて鼻水が出るのを抑えた。
「そもそもなんだってうちはレバノン杉なんだ? 地球の尻拭いをなんでうちが」
「独立の条件だったんですから。しかたないでしょう!」
国務長官は鼻に詰めたテッシュを引き抜いた。
ボタっと言う音と共に鼻水を吸いとったテッシュが地面にへばりついた。
「そもそもお前が環境条約でレバノン杉なんぞ選ばなければなあ!」
「クジだったんですよ!」
大統領と国務長官との醜い言い争いの中、
花粉防護用ゴーグルと不織布マスクで完全防備したデモ隊が部屋の中まで踊りこんできた。
タコ殴りにされている間、
大統領は薄れゆく意識の中、おまえら本気で杉の木を守りたいのかと、
小一時間問い詰めたい気分でいっぱいだった。
次は「松やに」「竹の子」「梅干し」で。
うぞーん。すいません。
次のお題は「はむはむ」「ゆんゆん」「へれへれ」で。
506 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/31 03:49
「はむはむ」「ゆんゆん」「へれへれ」
真実を知らないというのは恐ろしい。
今年の正月。俺の9才になる息子ケイゴには、40枚以上の
年賀状が来ていた。出した枚数もちょうどそのくらいだ。
「友達が多いんだな」単純にそう思っていた。
だがさっき、俺はケイゴがうっかり置きっぱなしにしていたノートを
居間のテーブルの上で見つけた。てっきり勉強用のノートだろうと
思った俺は何も思わずにノートを開いた。それが真実への扉だとも知らずに。
「ぼくはけらいのはむはむをなぐった。こいつの動きがとろいせいで
てきにこうげきされたんだ。ゆんゆんはすばやいけど、こうげき力が
弱すぎる。ぼくは一番強いへれへれが好きだ。ぼくの分とへれへれの
分だけ新しいそうびを買うことにした」
どうやらゲームについての小説のようなものらしい。しかしここで
気になったのはその内容ではない。「はむはむ」「ゆんゆん」
「へれへれ」とはケイゴのクラスの友達の呼び名だったはずだ。
友達とゲームという身近なもので小説を書いているのだろうか。
それとも…。
俺はのそりと立ち上がり、久しぶりに息子の部屋に入った。
そして悪いと思いながらも、引き出しを開けて年賀状の束を探した。
知りたくない。でも知らなければならない。
意を決して、40枚強の年賀状に目を通す。
クラス名簿にある全員の名前、住所。
筆跡は、全て同じだった。
次は
>>504の「松やに」「竹の子」「梅干し」で。
「松やに」「竹の子」「梅干し」
松竹梅も飾った、衣装も着替させた、次は食事だ。とはいえフグやイカ
やの干しものだけでは、あまりにも手抜きと言われそうだ。タラは一般
に子しか知られていない、今日はタラコ以外のタラ料理でいってみやう。
舞台裏には、バイオリンの御披露に備え、松やにで弓を手入れする彼女がいた。
「平常心でがんばってきます、先生っ」
「や、やっぱり演奏するの?」
そりゃあ彼女のバイオリンは大好きだった。
とはいえ、急いで料理を出さないと。せっかく作ったのだから。
緊張で上ずった声で、彼女のスピーチが始まる。
「下手だけど、せめてもの御礼に、私のバイオリンを聞いてください」
そして、彼女の演奏が始まった。まさしく平常心、いつもと変わらぬ大迫力!
超音波と極低周波の、混合ダブルス攻撃・・・
あまりの苦痛に梅干の様になった顔で、一目散に避難してゆく招待客。
これでいいのだ。雨後の筍の様にわいてきた客なんていらない。
彼女のバイオリンに免疫のある私だけが、この祝賀会に出席できるのだ。
祝賀会場はあっという間、照れ笑いの彼女と私だけの貸切状態。
「本当の祝賀会は、これからです」
※たまにはと「たて」でいれてみました。「よこ」はバックアップ(^^;
次のお題は:「ティンパニー」「オルガン」「収容所」でお願いします。
「ここアガルタ収容所では、罪人の反省と償いの情を深めるために、定期的に私設の音楽団の
公演を行なっています。このアガルタ音楽団の演奏は素晴らしいものだと、わたしたちも誇り
を自負しております。今ではわれら収容所の最高の娯楽となりました。その感動的な演奏とは
弦楽器の隊列が奏でる妖しく美しいメロディとリズム、金管楽器隊の壮大な空気の波動、木管
楽器の団員達からは脳の隅まで響く、心やすらぐ音が送られてきます。ティンパニーから発せ
られる金属音、体を擽る木琴・鉄琴、天まで届くパイプオルガンのメロディ、そしてこの重奏
の音に揉まれながらも、サブルミナルな感覚で聴く者の心を引きつけるにハープ、その豪華絢
爛なメンバーから奏でられる、喜怒哀楽を持った至上の音楽。囚人達もその美しさのあまり、
歓喜の表現を通り越し、ついには囚人同士の暴動まで起きてしまうのです。しかも毎回なこと
でして、暴動のたびに死者50人を越す惨事になってしまうのです。それでも、囚人達がまた
聞きたいと声をあげ、公演希望の願書をわたしらに申し出してくるのですよ。ある程度の自由
を認めるアガルタ収容所は、訝しくもそれを受諾してます。あっ、ちなみにわたしら看守や事
務員は直接、公演会場でかれらの演奏を迎えたことはありません。収容所の規律でしてね、演
奏中はわたしらは会場に入っては行けません。おかげで演奏が終わるまで、囚人の暴動を止め
ることは出来きないのですよ。演奏だって、仕方なくホールから漏れる音を拾って聞くだけで
す。生で聴きたいなぁ。残念、残念。あっ、あなたも彼らの公演を観覧してはいかがです?」
次のお題は「E」「磊」「犇」
510 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/31 12:58
よ、よめなひ…
511 :
「E」「磊」「犇」:02/03/31 16:27
「ん〜? これは・・・・先生、なんて読むの?」
ノートにある文字は「E」「磊」「犇」。
「えっと・・・・この水3つある奴はな、意味はようは水がぎょーさんあるっちゅー事やね」
「あんて読むの?」
「みずたくさん」
「じゃあ、この石が三つあるやつは?」
「意味は石が少し多いようですね、って事。読みはいしだらけ」
「じゃあ、この牛が3つあるやつは?」
「牛も3つ集まれば、どれが狂牛病か解らない。読みはモーモーモー」
「逝って良し!」
次は「ちょっとだけよ」「よいとせのこらせ」「アホが見る豚のケツ」
「ちょっとだけよ」「よいとせのこらせ」「アホが見る豚のケツ」
「よいとせのこらせ どっこいせのこらせ。」
どこからともなく掛け声がかかる。今やその意味を失って久しい。
「アホが見る豚のケツをちょっとだけよと見せるもアホ。」
豚は昔、ヒトと同じように地上を歩く動物だったそうだ。
培養層時代、ヒレとロースがかつて同じ生物だったことを知る者は少ない。
無論アホの意味など忘れ去られていたが、どうやら馬鹿に近いらしいと
推測される。が、最近の研究で馬と鹿の混血種は存在しなかった
ことが判明し、解釈の間違いが指摘されている。
「なんでやねん!」
最後の挨拶をもって古来の儀式 "お笑いの義" をつつがなく終えた。
次は「源氏」「塚」「浦」で
513 :
名無し物書き@推敲中?:02/03/31 22:42
「源氏」「塚」「浦」
「こんにちは。大塚さん」
「どうも。浦部さん」
「あなたの先祖は源氏だそうですね。」
「いいえ。平家です。」
お次は「徳川」「マホメット」「パソコン」で
「徳川」「マホメット」「パソコン」
「こんばんは。マホメットさん」
「どうも。徳川さん。」
「あなたの先祖は神サマだそうですね。」
「いいえ。教祖です。」
お次は「ステージ」「ライト」「水際」で
一行抜けた。
(最初の行に)
>今日もパソコン通信に人が来た。
をいれて
516 :
「ステージ」「ライト」「水際」:02/03/31 23:33
○テレ野球中継
「さぁ、代打はステージ・ドビンソンです。1年目途中入団。しかしながら、今季入団してきたバラン選手がかなり調子が良いため、水際状態と言っていいでしょう。
さぁ第1球、投げました! ストライク! ど真ん中! どうしたドビンソン! 自身、水際族の仲間入り寸前なのに!
第2球! ストライクゥ! カーブ! カーブです! 手が出ていない! 見逃し! 見逃し!
さて・・・・第3球・・・・おおっと投げません! 投げません! ピッチャー一呼吸起きました。しかし、解説の江川さん。このドビンソン。監督が2軍落ち水際だと明言しているだけにここでがつんと打っておきたいですよねぇ
さぁ・・・・第3球・・・・投げた! 打ったぁぁー! ライトバック! ライトバック! ライトバック! 入ったぁぁぁぁぁぁ!!!!!
水際男! やりました! 打った!打った!打ったーーーーーーーーーーーー!」
次は『グランシャドー』『ごっつええ』『くぼみ』で
『グランシャドー』『ごっつええ』『くぼみ』
ぼくは きょうこそ じぶんに ぴったりの くぼみを さがそうと、
いつもより はやい そくどで みちを ころがっていた。
さいしょに であったのは へんな ことばを しゃべる
おおきな かけら だった。
「ごっつええで。 おれと いっしょになったら めっちゃ ええかんじやで」 いってる ことが よく わからなかったので
ぼくは にげるように ころがって そのばを さった。
しばらく いくと こんどは おおきな くろい かたまりに であった。
かれは じぶんのことを 「グランシャドー」 と なのった。
「さがしても さがしても みつからない おまえの はんしんは おれだ。
おまえの たりないと おもっている かけらは おまえに みえていないだけ。
おれは おまえの かげなんだ」
ぼくは ひっしで にげた。
けれど おおきな くろい かたまりは どこまでも おってくる。
「おれは おまえだ。 おまえは おれだ」
おおきな かげに さえぎられて もう たいようが みえない。
つぎは「ひまわり」「上下」「無垢」で
518 :
名無し物書き@推敲中?:02/04/01 05:53
「ひまわり」「上下」「無垢」
気がつけば、友達はみんな先に行ってしまって由美子は一人になっていた。
広い畑一杯にひまわりを植えて仕立てた巨大な迷路の中では、
自分の背丈がいつもより低く感じる。
耳をすませば花茎の向こうから小さく話声が聞こえる。
女性の声だが友達かどうかはわからない。
――帽子が欲しい。
強すぎる太陽の光は人体改造用の秘密光線のようで
ずっとここにいると、どんどん溶けて小さく縮んで消えてしまいそうだ。
由美子は出口を探して、幅1メートル程の通路を黙って歩いた。
自然に早足になる。ひまわり花は好きなのに、ここは恐い。息苦しくなる。
四つの通路が交差する地点で足を止め、荒く乱れた息で上下する
白いブラウスの胸元を押さえ、出口を見極めようとした瞬間、
全身が凍り付いた。
左の通路の10メートル程先、視界の左隅にあの少女の姿が見える。
視線は正面から動かせずにいるのだから、正確には「感じる」なのかもしれない。
いるはずのない少女の姿。無垢で邪悪な微笑みのいつものあの子。
熱かった汗が瞬時に冷たい汗に変わった。
「非凡」「ディメンション」「青大将」でおねがいします。
519 :
(゚Д゚)ぅゎぁー:02/04/01 19:45
「非凡」「ディメンション」「青大将」
午前三時の皇居・北の丸公園。千鳥が淵を見下ろす桜の密集した林。
ニ、三日続いた花曇りの雨上がり、月は満月、時折高速で流れていく雲が
青白く憂鬱な、しかし、強い光線を遮り深い闇が人工的な森を包んでいる。
昼間、家族連れが行楽にやって来る大公園とは異なったディメンション。
月光に照らし出され男の左耳に付けられた、大ぶりのボディピアスは
鈍い銀色に輝いていた。男の右腕には青大将の刺青が巻きついている。
毒々しい和彫りの蛇は月の光をうけ、まるで生きて動き出しそうに見える。
男の左手は顔面に激しい凹凸を作り鼻と口から血を流している男の髪の毛を
強い力で掌握して雨に濡れた枯れ葉の堆積した地面を引き摺りまわす。
引き摺られている方の男は言葉になっていないが助けを求めている。
涙、鼻水、血液、汗、雨の水滴、あらゆる液体が入り混じっている。
非凡なる暴力の夜が深まる。
「引力」「恋愛」「虚言」
恋愛とは不思議なもので、男女の間に引力があるかのようにお互い引かれ合い、睦まじい
関係となる。これは別命"運命の赤い糸"とも呼ばれている。
最初に発生した恋愛を"初恋"といい、大抵は片方の人間のみが異性に引かれる"片道恋愛"
であり、その熱は成就されることなく冷やされる。
また、恋愛を成立させるために手段を選ばず、虚言や力ずくの選択に出る者もいる。この
ような方法で成立させた恋愛は、大体は熱に水をかけられて終わってしまうものだ。
なぜ男女はお互いに引かれ合うのか?それは人間の、いや、生命の性だ。
……と思う。
次のお題は「蟷螂」「蚯蚓」「蜉蝣」
521 :
「蟷螂」「蚯蚓」「蜉蝣」:02/04/01 20:56
「某ハンバーガーチェーンのハンバーグは蚯蚓の肉だそうだ」
彼らがよく口にする都市伝説のひとつだ。
彼らにとっては、このような話を広めることで、
大企業すなわち権力に対して、蟷螂の斧を振り降ろしたつもりなのだろう。
愚かなことだ・・・
彼ら、蜉蝣よりも儚い一生をおくるであろう彼ら、にとっては
既に確立されたシステムよりも、そこら辺で勝手に増殖してそうな
蚯蚓を育てることの方が安くつくように写るのであろう。
単純で愚かなことだ・・・
次は、「ブランデー」「工事現場」「幼なじみ」で
522 :
名無し物書き@推敲中?:02/04/01 21:34
「ブランデー」「工事現場」「幼なじみ」
古いビルディングの壊されかけた工事現場に、一人の男が立っているのを見て、私はふと興味を覚えた。
都会では別に、珍しい光景でもない。家を持たぬその日暮らしの男が、彼の人生のように朽ちかけたこの場所に、一晩の宿を求めただけだろう。
「あんた、この土地の人?」
後ろに立つ私に気付いていたのか、男は意外にしっかりとした言葉で声をかけてきた。
「いえ。生国は北です。ここへは、五年前から仕事で」
「そう」
短く答えると、男は手にしていた酒瓶から直接、酒をあおる。瓶のラベルを信用するなら、安いながらもブランデーのようだった。
「あたしゃ、この町の生まれでね。もっとも、中坊の頃までしかいなかったが。そんときゃ、ここもまだ寂しい町で、高い建物なんて一つもありゃしなかったのさ」
黄色い月を見上げて、男は、ほう、と溜息をつく。酒精に浸って、その息は熱いだろう。
「ガキの時分に、初めてこのビルが建った時は、なんだか妙に嬉しかったね。屋上に無断で昇ってね。管理人に怒られた」
男は脂にまみれた黄色い歯を見せて、にやりと笑う。
「こいつは、あたしの幼なじみだったのさ」
黄色い月の下、酒と供に、懐かしい人に見送られ、灰色の老人は朽ちていく。
次は「フライドポテト」「靴下」「体温計」で。
523 :
名無し物書き@推敲中?:02/04/01 22:10
「うっわ〜、きったない部屋。風邪ひいたっていうから心配して来てみたら、
何このありさま。」
久しぶりに訪ねた妹の部屋はそこらに脱ぎ散らかした下着や靴下が散らばり、
食べかけのハンバーガーは異臭を放ち、こたつのまわりにひからびたフライドポテト
が落ちていた。几帳面な私には信じられない光景が広がっていた。
「あんたねぇ、こんなんじゃほんと嫁になんていけないわよ。」
「わざわざ来てそんなこと言わなくってもいいじゃん。それより、お粥かなんか
作ってよ。おなかすいたし。」
「わかったわかった・・・で、熱はまださがってないの?」
「あー、測ってないの。ここに置いてたらどっかいっちゃって〜、体温計」
妹のあまりのいい加減さに私はため息をつくばかりだった。
次は「ホームレス」「宝塚」「いかの塩辛」で
ごめん。固有名詞ってだめなんだっけ・・・
「ホームレス」「鳥」「いか」
で・・・スマソ
525 :
「ホームレス」「宝塚」「いかの塩辛」:02/04/01 23:23
え、何?この私に取材だって?
あなたは何故ホームレスになったか?その理由?
はー、最近は私のようなくだらない人間にまで
聞いてくるようになったのかねえ。女だからって珍しがってんじゃないの?
もしかしてアンタ!私が元宝塚の学校にいたってこと
知ってんじゃないだろうね!
え、知らない?じゃ、いいけど。あ!私が学校にいたってこと
誰にも言っちゃいけないよ。いいね!
え?なんで宝塚を辞めたかって?
いかの塩辛よ!いかの塩辛!
え?なーに?その先まで私に言わせる気?
アンタ変態じゃないの?この変態!!!
もう取材はお断りだよ!さっさと帰んな!
先のお題の方を採用させて頂きました
次は、「飛翔」「誕生石」「初恋」でお願いします
526 :
どないですか:02/04/02 00:20
「飛翔」「誕生石」「初恋」に524の「鳥」も加え4題にて。
3月の誕生石はアクアマリン。
でも、昔はブラッドストーンだった。
いつの間に変わったんだろう。
宝石屋が、美しいほうの石に変えたんだろうね。
3月生まれの千春はそう言う。
千春の初恋は実らなかった。
彼女は18の誕生日を、私と過ごした。
4月、飛翔の季節。
雛鳥が巣から羽ばたくように、千春も羽ばたく。
気合いれてね。あなたもね。
私は彼女を見送る。彼女も私に別れを告げる。
彼女の初恋を奪った私を、とても温かく見つめる彼女は、
菜の花よりも朗らかで、モクレンよりも柔らかで、
舞い散る桜より清々しかった。
千春。あなたは私より、ずっと綺麗になるよ。
春なので、4月っぽいのを。次は「陰謀」「ブドウ糖」「スクリュー」
「陰謀」「ブドウ糖」「スクリュー」
春。陰謀の季節。
スクリューで溶液をかき混ぜる。
皮下注射で直接摂取させることで効果は倍増する。
そろそろ効いてくるはずだ。
ほら、さっきまで死んだような面してた奴が。
目をギラギラさせやつれた顔に濁った血の気が蘇る。
「先生、効いてきたみたいです。ありがとうございました。」
効くんだなぁ〜。ただのブドウ糖なのに。
次は「貢物」「陽射し」「〜」
すまん。「春なので4月っぽいのを。」ってのは自分の投稿に対してだったんだ。
別に次の人への創作条件としてじゃあない・・・。紛らわしくてスマソー!>527
「貢物」「陽射し」「〜」
今日も彼は女達にかしずかれ、領地を一望できる城塞の中心にいた。
照りつける陽射しを受けて、彼の髪は美しい艶を放っている。
まだ身分の低い俺は意中の彼女に近付くことさえできず、貢物を持って
彼の足下に跪いた。
「お待たせして申し訳ございません。りんごをお持ちしました」
俺の手の中から厳かにりんごを取り上げると、彼はその味を噛み締める
ようにゆっくりと歯を立てた。甘酸っぱい芳香が広がる。
「下がれ」
彼は横柄に命じると、まるで俺を払い除けるように手を振った。
屈辱に顔が赤くなるのを感じながら、俺は黙礼をしてその場を去った。
帝王然として君臨していられるのもいまのうちだ。
俺が毎日運ぶ貢物は、今におまえをぶくぶくに太らせるだろう。
その時が、おまえの最期だ。
彼をこの山のボスから追い落とす日を夢見て、俺は飼育員の
ばらまくバナナに齧りついた。
次は「テーブルクロス」「絵画」「右腕」で。
>>529 すいません。推敲して「〜」を削ってしまいました。
最後の行に付け足しさせて下さい。
「バナナうめぇ〜」
531 :
絵画」「テーブルクロス」「「右腕」:02/04/02 03:13
いつからだろうか、俺の右腕は俺のものではない。
俺の意思とは関係なく動いている。ただ単に動くだけならまだましだ。
問題はその動きだ。こいつは絵を描く。画用紙、キャンバスはおろか
テーブルクロスや白壁など少しでもスペースがあるようなところには、
おかまいなしに筆を走らせる。
絵筆や鉛筆をすべて捨てても無駄だ。時には俺の血を絵の具かわりに
して、こいつは絵を描き続けている。
こいつに少しでも絵心でもあれば、現代の絵画としてバスキアのよう
にもてはやされるだろう。
しかし、こいつは決まってひとつの絵しか描かない。なんというか
その、まあいわゆるひとつの女陰マークというやつだ。
こいつには今まで俺のものしか触らせてなかったから、その反動で
このようになってしまったのだろうか。
俺はこのごろ欲求不満だ。
次は、「魔獣」「騎士」「兎」で。
532 :
魔獣 騎士 兎:02/04/02 05:57
俺は騎士に憧れていた。
姫を守るため、魔獣を追い、倒すのだ。
今俺は、女房と子供を食わせるために、兎を追っている。
お次は「ローン」「フロント」「推薦」
「ローン」「フロント」「推薦」
もうそろそろ入学式だよな。
大学受かった奴らは、今頃新生活スタートとか言って、
一人暮らし始めたり、入学式のスーツ買ったり、
楽しくやってるんだろうよ。
俺も11月の推薦入試にさえ受かってたらな…。
推薦で入るつもりだったから、3教科しか勉強してなかったんだよ。
もう通う気十分で、学費ローンの申込書も書いていた。
だけど絶対確実って言われてた俺に、試験当日腹痛が襲い掛かった。
全ての問題を解いた後、恥ずかしさをこらえて試験監督に訴え、
ここが俺のキャンパスになるはずだと思いつつトイレに駆け込んだよ。
だがその便器との付き合いは最初で最後だった。
腹痛で焦った俺は、最後の三問ばかりの解答欄を
間違ってずらして書いてしまったんだ。
それでもケアレスミスさえなければ、十分受かってる成績だった。
後悔してるよ。どうしてトイレに行く前に気付かなかったんだろうって。
フロイトをフロントとさえ書かなければ、今頃俺も大学生だったのに…。
次は「蟻」「ゴミ」「ランドセル」で。
534 :
「蟻」「ゴミ」「ランドセル」:02/04/02 14:57
彼女の夢をみた。
夢の中の彼女はランドセルを背負っていた。
小学生の頃の彼女だ。
俺と彼女とは高校時代からの付き合いだったから、
彼女の小学生時代など俺は知らない。
夢の中の彼女は、下校途中の道草なのだろうか、
人ゴミの中を友達とお喋りをしながら歩いている。
いい笑顔だ。
しかし、現実の彼女はもう笑顔をみせることはない。
彼女はもういないのだ。
彼女は飲酒運転のトラックにはねられてしまった。
蟻ほどの良心すら持ち合わせていないヤツに、その笑顔を
奪われてしまった。
夢の中で彼女は笑っている。
しかし、彼女の人生は笑顔で終わることができなかったのだ。
目が醒めて俺は少し泣いた。
次は、「菜の花」「別れ」「住宅街」で
535 :
名無し物書き@推敲中?:02/04/02 17:22
スーパーの食料品売り場に菜の花漬けが並ぶ季節になるとわたしはひとりの少女を思い出す。
当時、わたしは目黒の住宅街にある英会話スクールで講師をしていて、彼女はわたしの生徒だった。
まだ12才だったあどけない彼女は、まわりのおとなたちに馴染めず、いつもうつむいて視線を落とし、レッスン中も消え入るような小さい声で発言した。
そんな姿が可憐で、清楚でもあった。
ある日、わたしは彼女がなぜ英会話をはじめたのかきいてみた。
「ママとニューヨークに行ったとき、アメリカ人のお友達ができたの」
彼女はいつにない輝きをその無邪気な瞳にたたえ話しはじめた。
「その人にまた会いに行きたいの。ママはだめだって言うけど、あたしひとりでも会いに行くつもり。だから英会話できなくちゃだめなの」
「へえ、素敵ね。帰国後も手紙のやりとりとかしているの?」
「ううん・・・その人住所とかないから・・・」
住所がない? わたしは不審に思った「その人とどこで知り合ったの?」
「あたしの泊まっていたホテルのそば」
「その人、なにしてる人?」
「マニー、マニー、って言って道端に座っていたの。だからあたしお金あげたんだ。それで仲良くなったの」
そりゃ、乞食だよ・・・。喉まで出かかった言葉だったが、彼女の純粋な瞳にみつめられ、何も言えなかった。
「その人のことが心配だから、会いに行くの」
その後、一身上の理由で退職したわたしは彼女とも別れ、それっきり。
いまごろどうしているだろう。
長くなってごめん。
次は「御者」「悪夢」「胆汁」で。
「菜の花」「別れ」「住宅街」
顔を洗って充血した目を冷やした。
朝靄の立つ庭に出て俺は深呼吸をした。
彼女に生きていて欲しかった。
いつまでもあのままの彼女で、明るく笑っていて欲しかった。
彼女の死に落ち込んだ俺をみんなが励ましてくれた。
おまえは彼女のぶんまで生きて幸せになれと。
彼女のいない人生に意味があるとは思えなかった。
あのトラックの運転手は大切な人を奪われてしまう悲しみを
わかるのだろうか。
突然やってくる別れ。
家の中に家族の骸を見つけて泣くことはあるのだろうか。
畳の上の包丁を拾い、流しで刃にこびりついた血を洗い流した。
俺はヤツの家を後にした。
住宅街がとぎれると目の前は一面の菜の花。
美しい。
菜の花畑のまん中まで歩いて、俺は包丁を腹に突き立てた。
やっぱり遅かったか。わはは。
535さんの「御者」「悪夢」「胆汁」で。
537 :
「御者」「悪夢」「胆汁」:02/04/02 18:46
あまりにも現代っぽくない光景だったからか、
あたしには一発でそれが夢だとわかった。
あたしは、気がつくと幌の無い粗末な
馬車に揺られていて、服も地味な黄土色で飾り気の無い
ワンピースを着ていて、まるで村娘のようだった。
周りは森で、その中を走る土剥き出しの街道を通っていた。
日が高いのか狭い森の中の街道にしては明るく、
あたしはほっとしかけた。だが、馬車の前を見たとき
あたしは夢なのも忘れて驚いた。それまで影の薄かった
御者には頭が無く、代わりに首から各種内臓が這い出るように出ていたからだ。
あまりのグロさに胃液はおろか胆汁まで吐き出しそうになったとき、
あたしは目を覚ました。
現実のあたしは、ベッドに吐いていた。怖いのならともかく、
こんな悪夢は嫌だ。
書き始めた時点で18:30過ぎてたが間に合ったらしい。
次は、「妹」「同性愛」「カルパッチョ」で。
538 :
名無し物書き@推敲中?:02/04/02 21:41
「妹」「同性愛」「カルパッチョ」
「カルパッチョもうひと皿たのんでいい?」
ボトルの中身も残りあとグラス一杯程になっていた。僕はワインとカルパッチョと唐辛子と大蒜のきいた蛸のオーブン焼きを追加注文した。
彼女はハイペースでグラスを空けていく。良く喋り良く食べる。
失恋したときのいつもの儀式。
僕は彼女の最初の男だけれど恋人ではない。
僕と付き合ってみて、彼女は自分が同性愛だと気がついたんだという。
僕と別れて、好きな人に告白して、ふられた彼女。
涙と鼻水にまみれたぐちゃぐちゃの玉砕報告を聞いて、なんだか僕ばかりが秘密を知っているようでフェアじゃない気がして、告白した。
「おまえが女と抱き合ってるのを想像して、抜いた」
「……ばかじゃないの?」
泣きながら笑った顔は、お世辞にも可愛いとは言えなかった。
それから腐れ縁は続いている。
まわりには妹みたいな存在だと言っているが、
「妹ならもっと可愛い子がいい。レズでもいいけどな」
正直な気持ちを彼女に言ったときはげんこで殴られた。
僕にまだ恋人はいない。
「朝一番」「のほほん」「死んでやる」お願いします。
539 :
「朝一番」「のほほん」「死んでやる」:02/04/02 22:09
「殺してやる」
包丁を手に迫る女。
「いいよ、殺しても」
新聞を広げて、のほほんと答える男。
「本気に取っていないでしょう。そういう男だものね、あんた」
新聞から目を離しもしない男に、女が舌打ちした。
「もういい。あんた何か殺しても仕方ない。そこの橋から飛び降りて死んでやる」
「ああ、水死は駄目だよ。土左衛門は水を吸って、君が醜くなる」
「醜くなったら、毎晩化けて出るからね」
「嬉しいなあ。死んでも毎日会いに来てくれるなんて」
やっと上げた顔は本当に嬉しそうに笑っている。とうとう、女は肩を落とした。
「はいはい、脳天気なあんたと朝一番にやり合おうなんて考えた私が馬鹿だったのよ」
「そうだよ。たかだか目玉焼きの黄身が固いぐらいで」
その言葉に、台所へ包丁を持ち去ると思われた女が、「たかだかですって」と振り返る。
そして繰り返し。
次は「五十七番目」「斉唱」「戦記」で。
「五十七番目」「斉唱」「戦記」
あれから半世紀、今年の演劇は戦記ものに決まった。
さすがにもうあの伝説はこの学校から忘れ去られた・・・
本当にそうだろうか?
3年前に赴任した校長は、その時の当事者のひとりだったが
無論そんなことはおくびにも出さなかった。
劇は兵士の勇壮な斉唱で締めくくられる。
何事もなく終わるかに思えたその時、突如舞台端から火の手が上がった。
瞬く間に講堂を覆い尽くす炎。人々が逃げ惑う中、校長は
席を立つことなく舞台を凝視した。
炎に包まれた舞台の中央にロングヘアーの少女のシルエットが浮かび上がる。
!!!五十七番目の小夜子!!!
伝説は50年経った今なお健在だった。
次は「毒草」「独創」「独走」
541 :
「毒草」「独創」「独走」:02/04/03 00:46
「どくそう・・・・?」
独走。違う。独創。違う。毒草。ちっがぁぁぁぁぁーう!
『独奏』
これだ。by朝比奈
次は『ビジネスパートナー』『@』『072』
『ビジネスパートナー』『@』『072』
右手の使い方に関するお問い合わせはこちらまで。by朝比奈
ビジネスパートナー@072.com
次は「ナイス」「スマイル」「時は金なり」
543 :
名無し物書き@推敲中?:02/04/03 01:12
時は金なり、でも金利は安いほうがいい。
そんなアナタにスマイルローン。
これで今日もナイスデイ! by朝比奈
次は「とんちんかん」「春だねぇ」「赤外線追尾式空対空ミサイル」
「とんちんかん」「春だねぇ」「赤外線追尾式空対空ミサイル」
朝比奈爺さんの撒いたチャフで
赤外線追尾式空対空ミサイルもとんちんかんな方へ飛んでいく。
春だねぇ。
「次」「前」「終」
「毒草」「独創」「独走」「ビジネスパートナー」「@」「072」
「ナイス」「スマイル」「時は金なり」
ビジネスには独創性が重要だ。そして有能な人材が必要だ。
最初のビジネスパートナーは愛想のいいのがとりえだったが、
女子社員からスマイル0円の法則とあだ名をつけられた木偶の坊。
二人目はスタンドプレーを好み勝手に独走し、負債しか残さなかった。
三人目はなかなか仕事熱心なナイスな奴だったが如何せん、趣味はオ○ニーと
公言して憚らない品の無い男で、メルアドにも072@と入れていた。
女子社員全員にあの男はいるだけでセクハラだと詰め寄られ、残念だったが
クビにせざるをえなかった。
トリカブトや夾竹桃、棘だらけのイバラにブタクサ、今や毒草の花園のごとき
我が社だが「時は金なり」。製造ラインをストップさせるわけにはいかない。
仕事が出来るならブスでも使う。我が社の女性社員は有能なのだ。
さて、今日もまた、儲けさせてくれる新しいパートナーを探しに出かけるか。
せめてギャグは連続3話ぐらいにしてほすぃ・・・
で、次は
「次」「前」「終」
ということで・・・
少なくとも昨日まではビジネスパートナーだった奴だ。そんな無茶なことはしない。
そう思った俺が浅はかだった。触るだけでかぶれる毒草こそ奴の本性だ。
そう、この前までたしかにうまくいってたのだ。二人で独創的でナイスなアイデアを
出し合って商売をしていた。おかげでこの分野では他の追随を許さない独走態勢だった。
ところが、だ。
奴と俺とのそりが急に合わなくなった。いや、そんな生易しいものではないな。
きっかけは些細なことだ。「時は金なり」この一言だ。
煙草に火をつけ「春だねぇ、花見でもすっか?」とびっきりのスマイルを浮かべた俺に、
奴は口端ひとつ歪めることなく言ってのけやがった。
次に奴が取った行動、これが常軌を逸してた。
でかいスーツケース(に見えなくもない )のダイヤルキーを回し、ちなみに@072
は俺の誕生日だったが、中から出てきたのは小型の赤外線追尾式空対空ミサイル、
これが俺たちの扱う商品、それもとびっきりの目玉商品だった。
「これ以上時間を無駄にしたくはないのでね。これで終りだ、死ね!」
俺の煙草の火に照準を合わせスイッチを、、、入れやがった!
たしかに売り文句は「煙草の火でも狙えます。」だったが、飛行機相手の代物だ。
狭い部屋じゃ当たるもなにもその場で爆発、ふたりとも一瞬でお陀仏だった。
え?この話の意味?
爆発力を甘く見たとんちんかんな奴がいた。それだけさ。
そんな奴いる訳ない?往生しまっせ。
(え?関西ローカル・・・?)
次は「4人」「4時」「4回」で
「こんなはずじゃなかった、こんなはずじゃなかった・・・」
今日幾度となくこの言葉をくり返している。そう、私はこれから死ににいくのだ。
いや、違う。もう私には死しかなかったのだ。今の私に選択権が
あるとするなら、右足か左足かどちらの足から死へと向かうか、それだけだ。
ここに来る前に、私はカラオケBOXに行き遺書を書いた。次に電車に乗り
窓をみつめ(私は窓をみていたんだ。決して風景は見ていなかった)
聞いたこともないような駅につくまで揺られていた。
知らない駅につくと、すぐにコインロッカーへと向かい遺書を誰にも気付かせないように
そっとロッカーへと沈ませるように置いた。
私は屋上にいる。建造中のマンションだ。今日は工事は休みでいることは知っていた。
あれから誰とも喋らず接触せずここまできた。きっと私が死に、警察は
何故私がこんな回りくどいことをしたのか調べるのだろう。
それを想像してみた。笑みがこぼれた。
そして終わる。
私は右足で空を踏み込んだ。
す、すいませーん。しかもお題さえ書いてないし・・
「4人」「4時」「4回」でどうぞー
熱烈な阪神ファンである堺さんらは猛虎軍に幸あれとどぶ川に飛びこんだ。
野球にちなんで9人で飛びこんだのだが水面上に浮き上がってきたのは4人だけ、
他の者はみな死んだ。あるものは耳の穴の奥深くにある鼓膜を破り平衡感覚
をなくし水面に辿り着けずで溺れ死に、あるものは仲間に自慢気にバタフライを披露しよう
としたまさにその瞬間足をつって溺れ死に、また他の者は語るべき必要のないレ
ベルの凡庸な死に方、つまり普通に溺死をした。彼らに共通する「死」という概念を
長年研究してきた太宰治も溺死、つまり死の本質は溺死なのでしょうか?
葬式でそう四度も問いかけた堺さんもリンチにあって死んだ。
時計の針は4時をさしていた。
うんこ、ちんこ、まんこでお願いします。
551 :
うんこ、ちんこ、まんこ:02/04/03 03:58
うんこ、ちんこ、まんこは三人兄妹です。
あるとき三人は乳むれ山にピクニックに出掛けました。
山の天辺にはこの木なんの木な気になる木があって、見たこともない木でした。
桃でしたが、見たこともない木でした。
めずらしい木でしたので、三人は相談して、木を持って帰ることにしました。
まずは力自慢のうんこが力に任せて引き抜こうとしました。
「ふん!」
うんこはリキみましたが全然抜けませんでした。
つぎにちんこが回りの土を自慢の頭でほじくり返してみました。
掘っては抜き掘っては抜きしてみましたが、全然駄目でした。
さあとうとうまんこの番です。
まんこはよおく体をほぐすと、桃の実を飲み込み初めました。
こんなに大きなものを飲み込んだことはなかったのですが、ゆっくりゆっくり飲み込みました。
まんこはなんとかかんとか実を飲み込むと、三人は山を降りました。
しばらくたつと、まんこの中から桃が芽を出しました。
まんこは芽の出た桃を大事に大事に世話をするとすくすくと大きくなりました。
桃の実に囲まれて、三人は仲良く暮しましたとさ。
めでたしめでたし、っと、
こんなお題出すなーーー!
次は「昔」「今」「おじいさん」
あー、最後から2行目はこうね。推敲足りず。
×まんこは芽の出た桃を大事に大事に世話をするとすくすくと大きくなりました。
○まんこは芽の出た桃を大事に大事に世話をすると桃はすくすくと大きくなりました。
次は「昔」「今」「おじいさん」
「4人」「4時」「4回」
*連続TV番組「前回を探す4人の登場人物(第4回)」前回までのあらすじ
前回までのあらすじを忘れた主人公は、幼馴染の彼女を訪ねる。
自分の役名が決まらないため、セリフが話せない彼女。
前回が不明確であるため、今回、何をしていいのかわからない。
主人公は、彼女の膝に顔を埋めて途方に暮れる。役得三昧。
しかし、ふと主人公は立ち上がり、副次的な問題に気がつく。
「あ。自分の性別、どっちだったっけ・・・」
彼女の父は、静かにこう言う。
「過去のあらすじなどどうでもいい。問題は、今お前が何をするかだ!」
「そんなこと、役が決まらない役者に言っても、何の救いにもならないよー」
「むむっ、それを言われると身も蓋も・・・」
いまだ「今回」にさえ入れない。
存在しない「前回のあらすじ」を求め、悩みぬく4人。
主人公と彼女、その父とこれ書いてる自分(<ヲイヲイ)
※失礼しました、書き終わったら2つも乗り遅れてた・・・^^;
次のお題は:552さんの「昔」「今」「おじいさん」のままでお願いします。
責任とって「昔」「今」「おじいさん」
昔々、おじいさんと、おばあさんと、タイムマシンがありました。
苦しい生活に耐えかねた二人は、意を決してタイムマシンに乗りこみます。
「いいかね、おばあさん。老人福祉が整った50年後の世界にゆくよ」
「はいはい」
そして50年後。
人々は、突如現れたタイムマシンと、その中に仲良くうずくまる
今から40年は前の2体の骸骨を見て大感動したのでありました。
どっとはらい。
ドットを払うと、とっとはらい。
※「どっとはらい」ですが、昔話の最後によくついてきますよー(^^)
次のお題は:「色紙」「ピアノ線」「優待」でお願いします。
555 :
名無し物書き@推敲中?:02/04/03 13:49
「色紙」「ピアノ線」「優待」
店内の壁一面には来店した芸能人のサイン色紙が貼られていた。
旨いと噂の店だったのだが、途端に食欲が失せた。
偏見に左右されやすい性格なのは自覚している。それがどうした。
何を食ってもアラを探しケチをつけたくなって、旨いと思えず、
しかも会計を済ませると、釣り銭と一緒に安っぽい優待券を渡された。
最悪だ。
酷く損をした気分で店を出た。腹が一杯なのに不愉快なのは不しあわせだ。
昔のテレビ番組で、闇の始末人が金で殺しを請け負う話があった。
さまざまな小道具を使い、ターゲットを一瞬であの世に送る。
ピアノ弾きの俺が仕事をするなら、さしずめ武器はピアノ線か、
ビルの隙間の闇に紛れて、あの店に色紙を飾った悪趣味野郎を瞬殺だな。
眠らない街の空に向かって優待券を細かく破いて放り投げた。
「ゴミ箱」「日曜日」「ふたりの老人」でよろしく。
556 :
ゴミ箱・日曜日・ふたりの老人 :02/04/03 14:44
日曜日の昼下がり、仁美は近所の公園へ散歩に出かけた。
いくら散歩といっても、普段運動をしていない彼女にとっては徒歩での移動すら難渋だった。
仁美は脇にゴミ箱と灰皿が備えてあるプラスティック製のベンチに腰を下ろした。
暫く何処を見るでもなしに景色を眺めていると、遠方にいるふたりの老人の姿が視界に飛びこんできた。
一人は恰幅のいい大男で、もう一人は鼠みたいな小柄な男性だった。
お互いに鋭敏な眼光を放ちあって対峙している。
どちらからでもいつ手が出てもいい、そんな状況だった。
―とめなくちゃ!
正義感の強い仁美は瞬時にそう思い立ったが、両者の決闘の成り行きにも関心があった。
常識で判断するならば大男の方が勝つだろう。
が、テレビや小説ならこちらの予想を裏切り子男に軍配が上がる――それも一瞬に。
なおもふたりの老人は互いをにらみ合い、威嚇している。
その時、大男の右手が小柄な老人の肩にかかった。
「あ!」仁美は思わず声をあげた。
大男が肩に置いた手を自分の体に寄せ、子男をきつく締めつける。
そして、ふたりは唇を重ね合わせた。
次は「頭痛」「片栗粉」「頬」でおねがいします。
やばい・・・。
子男じゃないね、小男だ・・・。
「頭痛」「片栗粉」「頬」
睡眠不足が慢性的になっているせいか、近頃偏頭痛がひどい。
目の奥が重く、脳が腫上がっているかのように頭蓋骨の中で
どくどくと波打ち、頭が破裂するのではないかと思うほどだ。
「もう、いいんだ…」
私は足下で冷たくなっている塊を見下ろして呟いた。
マシュマロのように柔らかな頬には、くっきりと爪が食い込んだ
痕が残っている。涎を引く唇は、すでに息をしなくなってしばらく経つ。
「もう、眠っていいんだわ…」
私はクローゼットの奥からスーツケースを取り出すと、冷たくなった
塊を固いケースの中に押し込み、ガチャリとロックした。縦にして
クローゼットに片付けると、ごとりと音がして中身が傾くのがわかった。
「また、育たなかったわね…」
もうスーツケースが3つになってしまった。今度こそ、
ちゃんと育てようと思っていたのに。
クローゼットの扉を閉めて、私は立ち上がった。
そういえば、今日の夕飯の酢豚の材料が足りないんだった。
「片栗粉、買いに行かなくちゃ…」
美味しい御飯を用意して、久しぶりに綺麗に着飾ろう。
2人でワインを空けて…それであの人、許してくれるかしら?
次のお題→「願望」「唇」「毛布」
「裏切り者を探せ!裏切り者を殺せ!
それが俺の願望だ!
一生の知人だといったくせに!
奴は俺の女の唇を奪い犯しやがった!
サイコに殺せ!コミカルに殺せ!スプラッタに殺せ!
殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!殺せ!裏切り者を殺せ!
街中をきょろきょろ見まわす挙動不審のあいつを探せ!
毛布の中でぶるぶる震えてるあいつを探せ!
赤い帽子を被るあいつを探せ!
首が5糎伸びるほど絞め吊るして殺せ!
腹を捌いてどす黒い臓腑を引きずり出して殺せ!
帽子と頭とが区別つかなくなるほど叩き殺せ!
いたぞー!ここにいる!ここにいるぞー!
殺せー!!」
山梨・落梨・忌梨。次のお題は「讒言」「絵空事」「四面楚歌」
「絵空事の讒言で追い詰められて、四面楚歌になる女の話とかどうよ?」
「やめれ、つまらん」
「四面楚歌に追い詰められて絵空事する讒言は?」
「あほか」
「讒言で四面楚歌を歌う羽目になった絵空事」
「どんどん意味不明になってるぞ」
「わかる。わかるんだかどうすれば・・・・・・」
「ちったぁひねれよ。そんなこったから春厨って言われるんだろが。
できないんなら他のスレにでも逝け!」
電子掲示板に書き込む三題小説のことで議論していると、珍しく妹が入ってきた。
「お兄ちゃん。一人でぶつぶつ言ってないでよ。五月蝿いなあ!」
見ろ! お前のせいで落ちが平凡になったじゃないか。とは、般若と化した
妹には流石に言えなかった。
次は、「洗剤」「騎馬突撃」「ダークマター」で。
「洗剤」「騎馬突撃」「ダークマター」
「奥さん、3ヶ月だけでもいいんですけどねぇ…なんとかなりませんか」
「だから言ってるじゃない、もう家はとってる新聞があるんだから、
新しくとる気なんかこれっぽっちもないんです」
「じゃあ、洗剤を、差し上げます。とってください。
『騎馬突撃』って映画のチケットも、ありますけど…野球とかも」
「しつこいです」
「では、ダークマターを差し上げます」
「いらないです。帰ってください」
「全部差し上げます、一ヶ月でも、とって下さい」
「警察呼びますよ」
(ホンモノなのになぁ…)
と彼は首を傾げ、うなだれて帰路に着いた。
鈍い光沢の、黒い玉を弄びながら。
#次は「兄貴」「ファン」「朝食」で宜しく願います。
562 :
999 ◆D0999.o. :02/04/04 00:37
「兄貴」「ファン」「朝食」
僕は兄貴に朝食を作ってあげたい。兄貴が好きな、チーズオムレツを
つくってあげたい。栄養のバランスを考えて、野菜サラダもつけて
あげたい。
僕は兄貴と朝食を食べたい。ゆっくりと、朝食を食べたい。沢山たくさん
話をしたい。
僕と兄貴は一緒に家を出た場合、きっと乗換駅で分かれる。
通勤で込み合う構内で、いってらっしゃいと言いたい。
だけど、僕はただのファン。兄貴は、いつも微笑むだけ。スクリーンの
向こうで微笑むだけ。
「バーベキュー」「生真面目」「製材」
「兄貴」「ファン」「朝食」
男は朝食抜きでやってきた。期待の一店である。
「この店の自慢のものを、二つ三つ頼むよ」
「かしこまりました」
しばらくして、厨房から上半身裸の「マッチョな兄貴」がやってきた。
「店長でございます」
丁寧に一礼して、腕の筋肉を「むきっ」とさせる。
「本店の一番の自慢。それは店長の筋肉でございます」
男の前で「むきっ」「むきむき」する店長。
「さらに、下半身の肉付きは更にファンを魅了し・・・」
店長は、おもむろにズボンのベルトを緩めはじめた。
男は真っ青。これは大変な店に入ってしまった。
「す、すまない!急用を思い出した!」
「お客様。それでは、本店2つ目の自慢を・・・」
と、ボーイが言いかけた時、既に男の姿はなかった。
肩をすくめる店長とボーイ。ボーイは更衣室のドアの前でこう言った。
「お嬢様、申し訳ありません。お客様は急用で帰ってしまいました」
本店2つ目の自慢。それは「店長の一人娘の目覚しい発育」
更衣室のドアの向こうから、小さくクシャミが聞こえた。
※さんざん削ってこれ^^;
次のお題は:「減量」「白湯」「コミッショナー」でお願いします。
あわわ、5分遅れてる・・・ごめんなさい。
次のお題は:562さんの「バーベキュー」「生真面目」「製材」でお願いします。
565 :
名無し物書き@推敲中?:02/04/04 01:34
「バーベキュー」「生真面目」「製材」
1989年、厚生省保険課の議事録メモ。(極秘)
「本日の議題は、例の血液製剤にエイズが混入した件です。」
「まあ、今後の状況を注視し、臨機応変に対処する、ってことに
なりそうだね。」
「課長ー。3分で結論出しちゃいましたね。」
「さすが課長。決断も早いが手も早い。なんちゃって。」
「それより来週の課内旅行の件はどうなった?」
「バーベキューですね。」
「なんでも山本君が木でテープルを作ってるようですよ。」
「まったく凝り性だよねえ。生真面目というか。」
「木の製材は、血液製剤とはちゃいまんねん。」
「うまい!課長」
566 :
名無し物書き@推敲中?:02/04/04 01:36
お次は「Bカップ」「東証一部」「放置」でお願いします。
567 :
名無し物書き@推敲中?:02/04/04 02:34
「Bカップ」「東証一部」「放置」
東証一部に「2チャンネル」が上場したということで、
某局司会者は青ざめて、ふるえ、汗まみれになれ、
「放置でお願いします。放置でお願いします」と叫んだ。
彼は翌日からテレビの向こうに姿を現すことはなかった。
「2チャンネル」は彼をすら、おとした!
*なお、「Bカップ」は都合により使えませんでした。
「乗りこむ」「ギネスブック」「変態」
568 :
名無し物書き@推敲中?:02/04/04 02:35
れ→り
撃つだ。氏の尾。
「減量」「白湯」「コミッショナー」
コミッショナーが燻るような鈍い光を宿した目で、じっと佐藤を見た。
「開始時間までに、間に合うんでしょうね?」
「…絶対に、間に合わせます。もう少しだけ待って下さい」
佐藤はイライラと時計を睨んだ。
試合まであと2時間。木村はまだ戻って来ない。
減量に失敗して試合を流したとなると、木村の将来はないに等しい。
この3日間白湯しか口にしてないというのに、何故リバウンドなど
してしまったのだろう。どう考えても、理由がわからなかった。
煙草を灰皿に力任せに押し付けながら、佐藤は再び時計に目をやった。
試合開始まで、あと1時間と55分。
その頃木村はサウナで汗を流しながら、こちらも時計と睨みあっていた。
やっぱりコーチに内緒で減量方法を変えたのが良くなかったのか。
木村は「T式食べて痩せる本」を破きたい衝動に駆られた。
※先に出ていた563のお題を使わせていただきました。
では次は「乗りこむ」「ギネスブック」「変態」で。
「乗りこむ」「ギネスブック」「変態」
乗車率120%の通勤列車に乗りこむと、今日も変態さんがやってくる。
今日の人はいきなり尻の割れ目に指を入れて来たわ。
だからその手を掴んで上に挙げてやったの。
「痴漢よ!」
思ったより力強いあたしの手に、変態さんはびっくりしていたわ。
周りのオジサン達は、自分が疑われたくないからか、「俺も見た」
と次々に証言してくれて、次の駅で速攻駅員さんに引き渡せたの。
美人でスタイルがいいと、変態さんにまで好かれて本当大変よ。
痴漢検挙でギネスブックに載りそうなくらい。
毎日のように痴漢に遭うから、あたし絶対に吊革に掴まれない。
仕方なく壁際で外を向いて立つようにしてるの。
触られて勃っちゃったら困るから☆
次は「思いつき」「ありがとう」「充電器」で。
571 :
名無し物書き@推敲中?:02/04/04 09:04
「思いつき」「ありがとう」「充電器」
モエはポッドに横たわると、臍からジャックを伸ばして充電器に差し込みFULLの
キーを押した。電流が部品の一つ一つを洗い流していく。
瞼を閉じて授業を再生してみる。メイド仕様の教育カリキュラム初級。今日は料理に
クリーニング、ソーイング、 マナーに語学、一般教養。
シャツのアイロンがけの課題は上手に出来てAランクの評価をもらった。
ソーイングの先生は「SSSの上級メイドは繕い物の縫い目を不揃いにすることができ
ます」と説明されていたけれど、不揃いな縫い目が良いと言う御主人様がいらっしゃるの
かしらと思う。たしかに不揃いにするのは変数の設定調整が難しい。訓練が必要だ。
マナーの先生はいつも必ず同じコトバを言って授業を終了する。
「みなさん、感謝の心ですよ。『ありがとう』を忘れずに」
感謝の心ってどういうことなのか、良くわからない。
言語マニュアルの用法だけの反応では、Aランクメイド以上にはなれないというから、
学習機能を高めなければ認識不可ということね。私に組み込まれている、あえてランダムな
行動を選択するプログラム「思いつき」システムは能力向上に有効かしら? 授業で試して
みるのもいいかもしれない。
「ごしゅじんさまぁ、モエうれしいですぅ。ありがとですニャ−」
第5水準の言語能力に到達すれば、今は理解不能のこの言葉も、使いこなせるようになると
語学の先生がおっしゃっていた。がんばろう。
明日は大好きな射撃と防衛術の授業がある。
充電完了の信号音が鳴った。モエはスリープモードに切り替えた。
「銭」「金」「宝」でおひとつ。
572 :
名無しさん@Emacs:02/04/04 09:44
「銭」「金」「宝」
廂の下に簀子縁が月明りに照らされていた。紀助はそれにへばりつき、鋸で簀
子の切断にかかった。真夜中なのにひぐらしの声が庭中にに鳴り響いている。
おかげで鋸の音はかき消され、なんなく宝物殿へ入ることができた。しかし中
は真っ暗で何も見えない。すえた匂いが鼻につくばかりである。紀助はすばや
く火をおこし、周囲を見まわした。紀助は息を呑んだ。中は荒らされていたの
である。箪笥はひっくり返され、金の延べ板や銭の束が床に散乱していた。金
や銭に手をつけていないところを見ると、先に押し入ったのは風見一党に間違
いないだろう。ねらいはまさしくあの書状である。紀助は床にへたりこんだ。
先を越されてしまったのである。
次は「山賊」「谷」「傀儡子」です。
「傀儡師」では?
IMEの変換って時々アホだから。
傀儡子でいいんですよ。くぐつ、またはくぐつまわ(は?)しと。
昔の人形つかいですな。
575 :
名無し物書き@推敲中?:02/04/04 15:02
「山賊」「谷」「傀儡子」 いんちき時代劇風に。
峠に続く道は熊笹が生い茂り、今にも山賊が現れそうで、深雪は緊張して
こわばった口をヘの字に結んだまま歩き続けた。
平三郎の逗留先の温泉宿は、まだいくつもの山や谷を越えた先で、女の足では
あと三日というところか。日暮れまでに次の宿場まで辿り着きたかったが、
すでに日は山の向こうに沈みかけている。
無茶をせずに、先ほどの茶店で泊めてもらえばよかったのだろうか。親切にも宿をと
申し出てくれた、傀儡子の人形に似た面相の茶店の主人にどこかしら胡散臭さを感じて、
早々に発ってしまった事が悔やまれた。
こんなところで野宿をするわけにはいかないと、深雪はひたすら前へと歩を進めた。
不審に感じた勘は当っていた。茂った熊笹の陰に身を潜め、深雪を見つめる目は
先の傀儡似の男のそれだった。茶店の店主では無く、平三郎の居所を探る為に義兄の
弥太郎が送ってよこした追手であり、本物の店主は店の裏手の沢に沈められていた。
「開運グッズ」「おとうさん」「連絡船」でお願いします。
「開運グッズ」「おとうさん」「連絡船」
1日1本しかない連絡船に乗る為、おとうさんは日曜の朝には家を出た。
島に単身赴任してから、もう3年になる。
家事なんて何も出来なかったおとうさんが、この前ハンバーグを作ったよ、
なんて言いながら食事の用意を手伝ってくれた。
おとうさんも変わったんだね。
リストラで子会社に移され、給料も下げられて、無医村の島に単身赴任が
決まった時は、「俺には運がない」なんてこぼしてた。けど今のおとうさん
は、毎日仕事に追われてあくせくしてた昔より、毎日が楽しそうに見える。
「亜弥がくれたお守りのおかげだよ」
おとうさんはそう言うけど、本当にあの開運グッズのキーホルダー効いたのかな?
キーホルダーには開運の為の天然石がついている。そしてその中核に、
名前が刻み付けてあるらしい。
念写で。
ギャグのつもりで買ったのに意外に喜ばれて、
今更「ネタだったのよ」とは言い出せない私。
次は「神」「紙」「加味」でお願いします。
ねぇねぇ上郡せんせぇーい、加美のお話きいてぇ〜。
加美の神様はね、紙を使って長官のかみ犬に神歌を聞かせて
上女とカミングアウトしたら、いつのまにか上高地で
仮眠してて、お腹がすいたから醸み成す花蜜で加味したカミュを
カミカミして噛みついていたら神隠しにあった寄居虫に
剃刀で髪を紙駒にされて、怒ってカミングスに雷落としたんだってー。
次のお題「エステル」「流鏑馬」「Fack」
「神」「紙」「加味」
現実を加味した結果、僕は庭先のネーブルの木以外の心残りがないらしく
父親の遺した数々の書物や母親が残した蓄音機が鬱陶しくすら有るのです。
紙で肉を切ったり、金で汗をかいたり、死で光をつくること、
それら全てに怠惰を感じてしまうようでは、どうしようもないようですね。
―神様、ちょっと舌打ち。
#遅れてますね。お題は
>>577さんので。
「エステル」「流鏑馬」「Fack」
時価数億円は下らない名画を巡って、真田組と山形組の熾烈な銃撃戦が繰り広げ
られた。真田組が雇った腕利きの助っ人イワン=ジョージは、確かに凄腕のスナイ
パーだった。
名画を囲んで展開したその激闘のなか、素早く疾駆しながら敵を打ちぬいてゆく。
その業の華麗さはまるで、典雅な武家貴族が行う流鏑馬のようだった。
しかし最後に残った山形組若頭、赤尾権蔵が名画を背後にとった。戸惑うジョージ
に、赤尾権蔵は嘲笑を浴びせる。
「おう、ワシを殺せるもんやったら殺してみい! そやけどな、この絵もオシャカに……」
「Fa..Fack..Facksion!!」
プシュッ。くしゃみをしたジョージの銃口から放たれた弾丸は、赤尾権蔵の眉間を
打ち抜いた後、数億円の名画の価値を数千万分の一に突き落とした。
沈黙が流れた。もう敵は居ない。しかし、戦うその理由さえも無くなってしまったのだ。
エリートスナイパー、イワン=ジョージ。その表情は蒼白だった。
いまだかつてこのような失敗を犯したことは無かったのだろう。それまで一言も口を
きく事のなかった彼が発したカタコトの日本語からも、その動揺ぶりが伺えた。
「コノ、エ……ステルノデスカ……?」
翌日、東京湾に一人の外国人の水死体が上がったことは、いうまでもない。
長かったか。次のお題「脂肪」「値段」「限界」
580 :
名無し物書き@推敲中?:02/04/05 01:24
体力は限界だった。後ろにはヤツが迫っているというのに、今にも地に膝をついてしまいそうだ。
耳元で、荒い呼吸が聞こえる。追いつかれたか、と思ったが、それは自分自身のものであるらしい。
心臓は今にも破裂しそうなほど、激しく胸の内側を打っている。急かされているようで、背後に迫る気配にいっそう過敏になる。
振りかえってはいけないと思えば思うほど、振り返りたい欲求にかられる。
頭の中に、鮮明にヤツの走る姿のイメージが浮かぶ。無駄に脂肪のついた巨体を揺らし、
だらしなく大きな口を開け、荒い呼吸の合間に名札で覚えた俺の名を呟きながら・・・。
「値段、もっとさがりませんか?」
そうだ、ヤツはたしかにそう言った。
「いやぁ、それ以上はちょっとムリですね・・・」
そして俺はそう答えた。
何が悪い?俺はたかがアルバイトだ。それにうちの店は、すでに全商品を定価の25%オフにしている。
これ以上さげろという方がムリだ、消費税もとっていないというのに!
そこまで考えると、俺の思考は途切れた。と同時に、膝を激しく地面に打ち付けた。痛みすら感じなかった。
ヤツが・・・来る・・・
書き忘れた。
次のお題「インド」「CO2」「みかん」
582 :
「インド」「CO2」「みかん」:02/04/05 02:56
インド製のCO2発生器が止まったのは、午前3時20分のことだった。
仮眠から抜け出すと、私は水耕ファームへ向かった。
水耕ファームには水耕用に改良された伊予270号みかんが
熟成期を調節する赤い光に照らされていた。
ファーム内は栄養を供給するポンプの音が規則的に響いていた。
CO2発生器は特に壊れた様子はなかった。電源も問題はない。
私は直感的に機械がショートを起こしたと考えた。
受粉期に使用するハチが機械内部に入りこみ、ショートさせることはよくあることだった。
CO2発生器の中を開けることは初めてだったが、私は発生器を開けてみることにした。
中には機械の類は入っていなかった。羊水に漬けられた臓器が、間欠的にひくひくと動いていた。
羊水を入れた容器には申し訳程度の小さな字で但し書きがあった。
"これはシュードラのクローンを利用しております"
私は修理を諦め、再び仮眠に付くことにした。
次は「悟り」「機械」「生命」
機械が悟りを開くことを覚えた20XX年、地球上の「生命」は絶滅の危機に陥っていた。
はるか昔にヒットした機械戦争の映画が今まさに、現実になろうとしている。
ドクター・D4は立ちあがった。彼は機械だったが、彼の生みの親である人間を愛していた。
愛した人が愛した人を、そしてそのまた愛した人たちを守りたい――この旧式のバッテリーが切れるまで、
戦いつづけたい。インプットなど、されていなかった。
だが、一つの事実をドクター・D4は記憶していた。
かつて彼を創造した人間の、笑顔。
自分が死という形で活動を終える時、この記憶すらもこの世から消え去るという事が、
それだけが彼の心残りではあったけれど。
行ってきます。
それが、ドクター・D4の最期の言葉だった。
「アリス」「ドラキュラ」「神様」
584 :
(゚Д゚)ぅゎぁー:02/04/05 05:02
「アリス」「ドラキュラ」「神様」
こんな気持ちになったのは初めてだ。恋をした。
アリス。あの子の血を飲みたい。産毛が無く憂鬱なまでに白く、しかし、
芯に総てを焼き尽くす青い炎を隠し持っていそうな肌。
あの子の細い首筋に俺の牙を突き立てることができるのならば他に何も求めまい。
あの子の血を、飲みたい。アリス。飲みたい。アリス。飲みたい。アリス。飲みたい。アリス。飲みたい。
そう俺はドラキュラだ。漆黒の翼、鋭く尖った牙、そして、沢山の蝙蝠を服の代わりに纏う化け物だ。
あの子をドラキュリーナにして奪い合いたい。互いの血を。互いの命を。
今夜俺はアリスを奪いに行く。神様すら嫉妬する人でなしの愛。
創めようか。
「陽炎」「夢路」「惡の華」でおねげーします。
まにあわなかった「脂肪」「値段」「限界」を改作
プラス「アリス」「ドラキュラ」「神様」
昨晩はテレビの深夜映画劇場で「吸血鬼ドラキュラ」をやっていた。
吸血。かっこいい。
それに比べて呪わしい我が身。
俺の一族は人間の血液ではなく、脂肪を吸う種族なのだ。
吸血鬼一族の友達には「ふーん。おまえデブ専なんだ?」とからかわれた。
かっこわるい。コンプレックスだ。
有り難いことに、ダイエットがブームになっているおかげで喰うには困らない。
表向き脂肪吸引法を施術する形○外科は、裏では俺達一族の専門食料品店のようなものだ。
牛肉に一級品があるように、脂肪にもランク付けがされているなんて知らないだろう?
品質のいいものや有名人のものは、すごい値段でオークションにかけられる。
元アイドルの藤木野アリスが過食で太って、こっそりある医院に入院した時は壮絶だったらしい。
どこから嗅ぎ付けてくるのか、アリスマニアの男が群がり、あっという間に百グラムが
六桁七桁に高騰したそうだ。
しかし、食材が血液ならばどこか香り高い、耽美で浪漫溢れる話にもなろうものだが、
脂肪というだけでどうにも顰蹙もののイメージになる。
正直、話している俺も情けない気持ちになってくる。神様は不公平だ。
それでも食生活は如何ともしがたいので、運命を受け入れるしか無い。
ドラキュラが美女の生き血を吸いたいと、押さえがたい衝動にかられるのと同じように、
俺の魂も叫んでいる。
日本に来て相撲取りになった、あのアメリカ人の男みたいな肉体にかぶりついて
もう満腹だ!限界だ!というほどおもいきり生の脂肪を吸引したい!と。
そしてリロードしたら遅かった・・・気持ち悪くなった人、ごめん。
584さんの「陽炎」「夢路」「惡の華」で。
広い野原の 小麦畑の 青々と茂る小麦の 穂の上に 風が吹くのをみている。
今日のお昼はマクドにするか ケンタにするか迷いながら
道の果てにゆらゆらと漂う陽炎を見ていると
大柄な女の子が背の高い青年の手を引いて 小麦畑に入っていくのが見える。
惡の華と称えられそうな白皙の青年が、逞しく骨太で浅黒い彫りの深い少女に
手を引かれて小麦畑へと草原を歩くさまは倒錯的だと思う。
小麦畑の中には納屋がある。2人はそちらへと夢路を辿るが如く
にしては、少女は決然と顔をあげて、青年は項垂れて進んでいく。
これから何が起こるんだろう、ぼぅっと陽にあぶられた頭で考え
西瓜を取りに浅瀬に行く途中だったのを思い出す。
次は「お手手」「てんとうむし」「雷管」で 御願いします(ぺこり
587 :
名無し物書き@推敲中?:02/04/05 12:19
「お手手」「てんとうむし」「雷管」
撃針が雷管を突きライフリングが猛スピードで後方へ流れ去る。
銃弾は迷うことなく壁の前に並んだ人々の身体に撃ち込まれた。
倒れた男はすぐ近くに倒れている子供の手を見つめていた。
小さな手のひらはキャンディーを乗せてもらうのを
待っているかのように、男のほうに差し出されていた。
「さ、お手手をお出し、子供達。ああ、お菓子は沢山あるから、押さないで」
男は思い出していた。
イースターの時、ハロウィンにクリスマス、誕生日。
自分がこんな手をしていた頃には、恒例の行事があるたびに
持ち切れない程のお菓子を乗せてもらっていた。
なぜ遠く故郷を離れ、こんな埃だらけの街で死んでいくのか不思議だった。
埃の中を一匹のてんとうむしが飛んできて、子供の手のひらにとまった。
小さなステージで、虫はくるくるとせわしないダンスを踊っている。
――てんとうむしが運んでくるのは……何だったっけ?
思い出せないまま男は逝った。
「うどん」「正義の味方」「百万人」でお願いします。
「うどん」「正義の味方」「百万人」
彼は人知れず活躍する正義の味方だ。
誰にも素性は明かしていないが、悪人を見れば懲らしめる
のは自分の使命だと確信している。
百人力ならぬ百万人力の正義の味方、それが彼だ。
今彼は、1人の悪人を発見した。
お昼時の立ち食いうどん屋で、束にして掴んだ割り箸を
平然と紙袋に突っ込む中年女。
正義の味方が犯行現場を見ているとも知らず、悠然と
新しく取った箸でうどんを口に運んでいる。
(…俺の出番だぜ)
彼は席を立とうとした。だがよく考えると、今中年女の犯罪を
暴きたてれば、あの女が箸をつけたうどんが無駄になってしまう。
そんな勿体無い事をさせるのは、正義の味方である彼の本意ではない。
1分もすると、中年女は箸を置いてカバンをごそごそやりだした。
(今だ…)
「へい、すうどん一丁」
腰を浮かしかけた彼の前に、どんと置かれる熱々のどんぶり。
今中年女を問いつめていたのでは、彼のうどんが無駄になってしまう。
そんな勿体無い行為を自ら働くのは、正義の味方である彼の本意ではない。
(…今日の所は許しておいてやるぜ)
カウンターに硬貨を置き、店の暖簾をくぐって消えた中年女を見送って
から、彼はおもむろに歯ごたえのあるうどんをすすりあげた。
こうして今日も、正義の味方は彼の心の中でだけ生き続けている。
次は「煙」「観音」「面」で。
「煙」「観音」「面」
=== 挿絵入り ===
Λ_Λ いかつい面相から「鬼」と呼ばれた警部であった。
<・・> 「ここにお前の名がはっきりとあるじゃないか。ごらぁ!」
= 偽造手形事件!水も与えぬ拷問同様の厳しい尋問が続いた。
△; 手形には、はっきりこうあった「以下余白」
川 強制連行された純白のヤリイカは、黙秘を守ったままだった。
その無実が明かになった時、彼はほとんどスルメ同然となっていた。
△▲△ 何の関係もない無実の市民(?)を、死においやった男。
川川川 警視庁内ですらも、彼は煙たがられる存在になっていた。
○ 「俺は・・・俺はイカ以下の男だ。イカイカだー!」
三+三 部下の刑事は、そんな彼を観音様の様に優しく見守る。
l 「いいじゃあないですか」
川 足が20本あって・・・と言いかけて自粛する。 無実を
人生経験が足りない、若刑事なのであった。 いみなし。
※やってみると意外としんどい・・・
次のお題は:「トウモロコシ」「おみこし」「すぎこし」でお願いします。
590 :
名無し物書き@推敲中?:02/04/06 06:43
「トウモロコシ」「おみこし」「すぎこし」
トツゼンノジコデ コンナヘンキョウノチヘ キテシマッタ
ウチュウジンダトバレタラ ワタシハヒミツソシキニ ツカマッテシマウ
モウコノホシデ イッショウシヌマデ コッソリイキテイクシカ ナイノダロウカ
ロケットトカイウ トウモロコシニニタ キカイガアルトワカッタガ
コノキカイデハ ワタシノホシヘハ カエリツケナイ
シンドイ ウチニカエリタイ
おじさんは しゃむしょのすみっこで ひとりでおさけをのんでいました
みみできいたこえじゃなくて ぼくのあたまのなかで おじさんの
こえがしたので ちょっとびっくりしましたが なんだかかわいそうだとおもいました
しばらくして おとうさんがおみこしのしたくができたと いいにきました
すこししたらおみこしがでるから おなかになにかいれておきなさいといわれたので
ぎんのおぼんにおはぎをのせたおばさんに つぶあんのおはぎはないのときいたら
こしあんのおはぎをつくりすぎ こしあんしかのこってないよといわれて
しかたがないので ぼくはこしあんのおはぎをたべました おいしかった
「母の味」「メイクアップ」「狼男」でお願いします。
「母の味」「メイクアップ」「狼男」
月夜には狼男。
今夜もまた、犠牲になりかけの男がいた。
「ぐるるるる、今夜は久々に母の味にありつける」
「か、殺して料理するつもりだなー 貴様の母は・・・狼女か!?」
恐怖に霞んだ男の脳裏に「狼女」の想像図が浮かんだ。
もちろん「狼男」同様なんにも着てない「狼女」の。
いや、やっぱしそれは変かも。
やっぱり毛皮のパンツ等に、特殊メイクアップとか?
「な、何を考えているんだ!」
「狼女ではないな。もしや、お前の母はキャットウーマンか?」
「いくらなんでも「狼」と「猫」では印象が違うだろうが!」
「すると・・・犬女!?」
「まあ失礼!」
背後から「おかみさん」の声がした。
※睡眠不足(^^;
次のお題は:「悠久」「有給」「勇気」でお願いします。
592 :
名無し物書き@推敲中?:02/04/06 13:02
「悠久」「有給」「勇気」
「……言えねえ。俺には言えねえよ。この不況まっさかりのご時世に
ゴールデンウイークと有給を一緒になんて、絶対言えねえ!」
「勇気を出してよ! 今なら海外はまだ格安でいいツアーがあるのよ。
テロも心配なさそうだし、行くなら今よ。ほら、ね、これなんかどう?
『ゆったりのんびり見どころオーストラリア7泊8日』これもいいわ。
『悠久の時の流れ、あなたはもう歴史のヒロインに、北京6日間の旅』」
パンフレットを広げて妻はにっこり笑った。不退転の決意の笑顔だった。
>うはうさん 鬼警部のつぶらなひとみがラブリーデス
「綺羅」「吹雪」「白手袋」でお願いします。
横殴りの吹雪が、この山間の村を覆っている。
他の若い村人はこの山村の生活に堪えきれず、また、都に憧れて、次々と雪の村から
離れていった。わたしも心底この山村の暮らしに参っている。
だが、今離れてしまったら、あの人が帰って来たときに迷惑をかけてしまう。冬の山
狩りに出てから、いっこうに帰ってこないあの人。ちょっと狩りに手間がかかっている
のだ、今日こそ帰ってくる、そんな思いで待ち続け、今年で三度目の冬を迎えた。
京の都で豪華な和服と装飾品で綺羅を飾りたいと夢見ることも多々あった。でもこの
地から離れるわけにはいかない。仕方がなく、絹の手袋で手を包み着飾るふりをする。
それが当初の、手袋をはめ続ける理由だった。今では、冷気によって白手袋と手が一体
化してしまったのか、はてさて、この白手袋を外せば、わたしの素手を襲い醜く朽ち果
てさせ、腐り落ちてしまう。そうして、あの人の温もりの全てを忘れてしまうのだ、そ
れらの狂気が、わたしを白手袋に縛りつけさせた。
もしも、あの人が死んでしまっているのなら、わたしはこの吹雪に埋もれて、死んで
しまいたかった。冬の山狩りを引き止めなかった罪、八寒地獄で氷漬けにされたい。
今日も空は銀色で、氷混じりの吹雪が鳴り響いていた。
次のお題は「鶏口牛後」「誇大妄想」「有為転変」
「鶏口牛後」「誇大妄想」「有為転変」
受験シーズン初期、誇大妄想狂だった俺は、
「ビッグになる。世界を変える男になる」
をスローガンに東大、京大を受験した。
しかし模試で合格圏だったからと言って、
当日の試験でも同じ実力を発揮できるとは限らない。
風邪の為か物の見事に両方滑り、仕方なく
滑り止めに全力投球することにした。
鶏口牛後という訳だ。
「東大に行って真ん中になるより、
ちょっと下の国公立大で首席になってやるさ」
大口を叩いたのも束の間、家に届くのは
古風な「サクラチル」の葉書ばかり。
俺より成績の悪かった奴らが大学生になって
キャンパスライフなるものを謳歌している今も、
俺はせっせと予備校通いの毎日だ。
有為転変ってこういう事なんだな…。
受験の為に詰め込んだ四文字熟語を、
今になってこの身で感じるこの頃である。
次のお題…「葉桜」「海」「孔雀」
「葉桜」「海」「孔雀」
軍が権力を握った時代。
国花たる桜の遺伝子を基に、密かに開発された人造人間「さくら6型」。
設計者を凌駕する頭脳と狙撃能力をもつ彼女は、飛ぶ鳥をも落とす勢いで
あらゆる軍事情報を奪取していった。
実際に彼女は、電線の三匹雀を、その眼差しだけで落とす事が出来た。
銀の針で刺した様な微細な穿孔、雀が逃げる隙さえ与えぬその素早さ。
それから数年、彼女は早くも「お肌の曲がり角」を迎えた。
海軍では「同期の桜」と可愛がられた彼女も、今や同期とは思えない。
桜だけあって散るのも早い。
諜報員としては重大なハンディ。戦局は日本の敗戦へと傾いていった。
そして戦後、彼女はまだ生きていた。
大物の黒幕政治家の黒幕として、隠然たる勢力を保っていた。
葉桜は長持ち。
※孔雀がすごーく強引
次のお題は:「合格」「遊郭」「味覚」でお願いします。
596 :
名無し物書き@推敲中?:02/04/07 16:11
「おまえが合格したら遊郭にでも連れてってやるよ」
そんな言葉を高校生であった私にも、なんのためらいも無く言える父だった。
いい意味での洒落っ気。そんなものを持ち合わせている男であった。
心底、かなわないな、と思ったのは、私が就職しての初月給をもらった夜。
世話になったお礼にと、おいしいものでも食べにいこう、とレストランに誘った時である。
彼は自慢の背広に着替て、うれしそうに待ち合わせ場所へとやってきた。
「どう、父さん、こんな洒落た店はいったことないだろ?」と誇らしげな態度の私。
レストランにはいった時、「お久しぶりです」と、マスターは深々と頭を下げた。
「・・・・父さん!?」
「いやいや・・・ちょっとした知り合いでな」
父がこんな洒落た店に通っていたとは。マスターに聞けば味覚も確かであり、料理の
つくりがいがある、とのこと。
こんな風な男になりたい。と心底思った。
その時の父は、一段と大きく見えたのを昨日のことのように思い出す。
果たして、今、私は息子にとって、どんな男に見えてるのだろうか。
お題は「兄弟」「草原」「方向」で。
597 :
名無し物書き@推敲中?:02/04/07 17:07
見渡す限り一面の草原に囲まれ、オレとそいつは向かいあっていた。
「良くここまで生き残ってきたね」
奴はそう言うと不敵な笑みを浮かべた。
「そっちこそ」
「……一応聞いておく。二人でゴールするという事は考えていないんだね? 」
「これから俺自身が二つに分かれるということも考えられる。
リスクを考えると、お前と兄弟になることなどまっぴらゴメンだ」
「……オーケイ。遠慮は無しだ。行くぞ! 」
奴の言葉を合図に、最終目的地の方向へ一斉にスタートを切った。
俺たちの目的とするのはただひとつ。そこへたどり着けば、新しい世界へと旅立つことが出来る。
思えば道のりは長かった。大勢のライバル達は次々に息を引き取っていった。
「生きたい」願いはただひとつだった。
ゴールが近づく。奴の姿を確認する。どうやらまだ来てはいないようだ。
オレはほっとして、ラストスパートをかける。
俺たち精子の最終目的地である卵子は、その輝かんばかりの出で立ちでオレを迎え入れてくれるだろう。
「サイテー、昨日タカシの奴ミスってさー、ゴム破いてやんのー。
危険日だったからマジブルーなんだけどー」
「バッカじゃねー。あ、でもでも姉ちゃんが言ったてんだけど、
モーニングアフターピルとかいって、72時間以内に飲めば流せるクスリあるらしいよ」
「マジで? 何それ何それ? 産婦人科? オッケー、今日行ってみる。サンキュー、マジ恩に着るよ」
良くあるネタですみません。久しぶりにこのスレ書きこんでみたくて(w
お次は「コインロッカー」「ココナッツ」「コンドーム」でおながいします。
間違い発見。
姉ちゃんが言ったてんだけど→姉ちゃんが言ってたんだけど
しかも長いし。すみません・・・。
599 :
(゚Д゚)ぅゎぁー:02/04/07 22:31
「コインロッカー」「ココナッツ」「コンドーム」
今日は新宿駅に行かなくてはならない。
一昨日、新宿で飲んだ帰り持って帰るのが億劫だったので
コインロッカーの中に赤ちゃんを入れたままなのだ。
中央線を降り西口へ行く。
ロッカーを開ける。何か丸いものが転がり落ちてきた。
それに足をとられ水商売風の女が派手に転んだ。
「あれ・・・」
ロッカーの中には沢山のココナッツが入っていた。
「おかしいなあ」
こんなものを入れた覚えは無い。
取りあえずココナッツを二つ取り出し両手に持って歌舞伎町
へ向かうことにした。今日は何故か皆が俺を見ている。
行きの電車内でも乗客の大半が俺を見ていたな。
「あ、そうか」
そうだズボンとパンツを履き忘れたんだ。
しかもコンドームを付けたままだ。両手で股間を隠し走り出した。
僕は子供に嫌われてたのかもしれない。
「偽善者」「キャバクラ」「確信犯」で。
600 :
名無し物書き@推敲中?:02/04/07 23:04
「偽善者」「キャバクラ」「確信犯」
風俗に通って、やることやった後で風俗嬢に説教をする男。
これを偽善者という。
売春を行い、かつ売春婦の地位向上を目指すフェミニスト。
これを確信犯という。
キャバクラの王様ゲームで王様の命令に関係なく乳をもむ男。
これをキャバ王という。
お次は「東京」「月」「英雄」で。
601 :
偽善者・キャバクラ・確信犯:02/04/07 23:09
――あの人は今日も来るのかしら。
あたしが働く場末のキャバクラには、てんで似合わない渋い中間管理職風の男。
こんな所に来る人には到底思えないのに、毎日と言っていい程彼は顔を出す。
そしていつも、あたしを指名しては呑めない酒を呑んで説教を始める。
『キミはこんな所で働いていていいのか? 両親に申し訳が立たないと思わないのか?』
ごあいにくさま、あたしの母親も水商売よ。大体、”こんな商売”なんて言い方、失礼だと思わないの?
――最悪の偽善者だと思った。だからあたしは、罠に掛けた。
いつもあたしを指名してくれる彼に、ちょっとした罠をね。
「やぁ、リエ。元気だったかい?」
そして今日も彼は来た。あたしが嫌な顔をしないと判り切ってる、嫌味ったらしい確信犯の顔。
あたしはいつものようにコメカミを引き攣らせる事無く、彼ににっこり微笑んだ。
「こんばんは。……ねぇ?
さっきから、貴方の奥さんって人から引っ切り無しに電話が掛かって来るんだけど?」
今夜はあたしが確信犯。
わたしは貴方のスーツに、店のマッチを忍ばせただけよ――
次。
チャット、アイス、マニュアル
わ、被った。ごめんなさい。
「東京」「月」「英雄」
「今月は、牛丼弁当(並)3つ分のお値段で4つ買えまーす」
午前0時、闇に照らされたポスターの前で、老人は決意を固めた。
倒産を前にした某大企業社長の、最後の勝負が今始まる・・・
「へい、いらっしゃーい」
という店員に、老人は静かにこう注文した。
「牛丼弁当をね、4億個。うち二つはつゆだくで」
その夜、細い路地に大型トレーラーが何百台も並んだ。
罪悪感に怯えながらも、椅子に座って数をチェックする社長。
「これでいい、これで東京都民1千万の牛丼は買い占めた。
来月にこの牛丼弁当を定価で売れば、1億個分の利益が我が社に・・・」
さらに、推定十万人の牛丼中毒者には、今月1個千円で闇取引。
会社を救い、牛中を救った私は・・・英雄だぁぁぁ(涙)
後ろめたさを狂気で覆い隠す社長、まさに完璧な再建計画。
そして一ケ月後。
牛丼弁当は、冷めていた。
※おまけに250円になっていた
次のお題は:601さんの「チャット」「アイス」「マニュアル」でお願いします。
604 :
名無し物書き@推敲中?:02/04/08 01:11
「チャット」「アイス」「マニュアル」
通販で夫が買った商品が届いたんで、とりあえず開けてみる。
クール宅急便で送られてきたけど、ナマモノかな?
バリバリと包装紙を開けてゆくと中からは、クリアカラーのノートパソコンが出てきた。
「あら、パソコンじゃない。なんでクール宅急便で……?」
疑問に思って同梱されていたマニュアルをめくる。
表紙をめくったすぐ後に、デカデカと赤い文字で注意書きがあった。
当商品は、世界初・ボディがアイスクリームで出来ているパソコンです。
ブラウジングや、チャット、メールなどの機能にも対応!!
−15以下の場所でのご使用をオススメします。
使用しない場合、冷凍庫などで保管してください。
私は頭を抱えてこう思うのだった。
……最近、夫の趣味がよくわからない。
ごめん、書き忘れました。
次は「割れ物」「エレクトロニクス」「踊り」で。
「割れ物」「エレクトロニクス」「踊り」
夫は律儀なもんで、妻に断ってからHなサイトを見る。
「わざわざ宣言してくれなくても・・・」
ディスプレィには、セーラー服の少女が下手な踊りを御披露している。
妻はそれを見て脱力する。エレクトロニクスの光点の塊にしか見えない。
こんなのに嫉妬して割れ物を増やす様な狭量な女だと思うのか?妻は思う。
それは構わない。趣味は、無価値なものに価値を見出す。
「価値」が発生する感激すべき瞬間・・・決して咎められるものではない。
妻が不思議に思うのは、夫を若い頃から知っているからだ。
過疎の村の小さな高校は、男女別の更衣室なんてなかった。
同じ教室で水着に着替え、身体検査の準備さえする彼女たちに、彼は
何の興味も示さなかった。それを前に早弁と昼寝やってた夫が、なぜ、今さら?
いまだに踊りは続いてる。こっちの娘は脱ぎもしない。
繰り返すが夫は律儀だった。こんなの見るのさえ妻に後ろめたく思ってる。
昔あれだけ怠け者だった彼が、これだけ生真面目になったのはいつだろう。
大学入学で、一旦自分と別れてからではなかったか?
もしや、夫が求めているのは、あの頃の自分自身なのかもしれない。
※なんか前のレスの影響がー(^^;
次のお題は:「伝染」「到達」「昼寝」でお願いします。
607 :
名無し物書き@推敲中?:02/04/08 06:23
「伝染」「到達」「昼寝」
「気温が34度に達したとき、人間は何をもっとも欲するか。
また、医学的見地からどんな現象が起きると予想されるか」
医学部受験専門予備校で、俺は小論文のための知識とテクニックを学んできた。
そのかいはあった。
そのとき人間が欲するものは、先進国においてはイオン系飲料、
発展途上国においては午睡。
そのとき起きる現象は、先進国においては電力消費量の著しい増加、
発展途上国においては伝染病患者の急増。
35度を境に、この2点が変化するのだ。
公開模試の到達度が、いつも★1つだった俺だが、
これで合格はカタイ!
「昭夫、昼寝ばっかりしてたら、また浪人するわよ!」
なんだよ、バカヤロー! 人がいい夢見てるっていうのによぉ。
次は、「勝ち」「価値」「徒歩」で・・・。
608 :
名無し物書き@推敲中?:02/04/08 06:28
ウゼえ消えろ
∧_∧ _ _ .' , .. .∧_∧
( ´_ゝ`) _ .- ― .= ̄  ̄`:, .∴ ' (
>>1 )
/ '' ̄ __ ヽ´=', ・,‘ r⌒> _/ /
/ /\ / ̄\-―  ̄ ̄  ̄"'" . ’ | y'⌒ ⌒\i
_| ̄ ̄ \ / ヽ \_ | / ノ |
\ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ \__) , ー' /´ヾ_ノ
||\ \ / , ノ
||\|| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|| ̄ / / /
|| || ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|| / / ,'
|| || || / /| |
!、_/ / 〉
 ̄ ̄
∧_∧ 死ね
_( ´_ゝ`)
/ ) _ _
/ ,イ 、 ノ/ ∧ ∧―= ̄ `ヽ, _
/ / | ( 〈 ∵. ・( 〈__ > ゛ 、_―
| ! ヽ ー=- ̄ ̄=_、 (/ , ´ノ
| | `iー__=―_ ;, / / / ←
>>1 !、リ -=_二__ ̄_=;, / / ,'
/ / / /| |
/ / !、_/ / 〉
/ _/ |_/
ヽ、_ヽ
トドメだ _,-'' ) 。゚・ 。 。
∧ ∧ , -' (.__,-'' , . , , 。゜
, - ´_ゝ`)_ .,-'~ ,- ' / / /, 。グハッ
/ )ヽ(w i .,-'~ ,-'~ // , ⌒ ∵∵ //,
.,/ / ヽヽヽ ,-/'~ ,ノ / //(。∀。)∵// '/
/ ^)' _ l ゝ _)-'~ ,-'~ //, ' ⌒/ ∨ ̄∨ ⌒ヽ
/ /' ヽ ^ ̄ ,-'~ / /
>>1 ヽ ゚ ・
(iiiiリ∫ ヽ ./ (⌒`〜〜' /i ノ ノ\ ヽ
ヽ─|〜' ノ/ ゙〜〜〜〜 | ./ `- '
|| ||l、_ / ,,, | / ゚ 。
|.| _|.|_,,,| | __-'',,-~ / /
.|.| ニ─、─''''| | =-''' / 、 ヽ
.|.| |.| .| | | l l
|.| |.| .| '、 _ _.| / ノ
.|.| ,,== ==.| l .|.| ,_,,-'',,,-| / | /
|.| ||_ノノ | | i、`''',,-'''' | / .| .|
.|.レ `-- ' | |  ̄ | .ノ | )
,- | | ..... | .| ||
`ヽ );;;::::::::''''' | | | .|
゙ - ''''''' ,- 、| | ,,,,,;;;;;;;;と__)''
\__);;;;;;;''''''
609 :
名無し物書き@推敲中?:02/04/08 06:29
_ _ .' , .. ∧_∧
∧ _ - ― = ̄  ̄`:, .∴ ' ( )
, -'' ̄ __――=', ・,‘ r⌒> _/ /
/ -―  ̄ ̄  ̄"'" . ’ | y'⌒ ⌒i
/ ノ | / ノ |
/ , イ ) , ー' /´ヾ_ノ
/ _, \ / , ノ
| / \ `、 / / /
j / ヽ | / / ,'
/ ノ { | / /| |
/ / | (_ !、_/ / 〉
`、_〉 ー‐‐` |_/
∧_∧ _ _ .' , .. ∧_∧
( ´Д` )_ - ― = ̄  ̄`:, .∴ ' ( )
ヽ-'' ̄ __――=', ・,‘ r⌒> _/ /
/ ,,-―  ̄ ̄  ̄"'" . ’ | y'⌒ ⌒i
/ ノ\\ . | / ノ |
/ / \\ , ー' /´ヾ_ノ
レ ノ ヽ_つ / , ノ
/ / ./ / /
/ /| / / ,'
( ( 、 / /| |
| |、 \ !、_/ / 〉
. | / \ ⌒l |_/
| | ) /
ノ ) し'
(_/ -==≡≡≡===-
610 :
名無し物書き@推敲中?:02/04/08 06:29
_ _ .' , .. ∧_∧
∧ _ - ― = ̄  ̄`:, .∴ ' 《 ゚Д》
, -'' ̄ __――=', ・,‘ r⌒> _/ /
/ -―  ̄ ̄  ̄"'" . ’ | y'⌒ ⌒i
/ ノ | / ノ |
/ , イ ) , ー' /´ヾ_ノ
/ _, \ / , ノ
| / \ `、 / / /
j / ヽ | / / ,'
/ ノ { | / /| |
/ / | (_ !、_/ / 〉
`、_〉 ー‐‐` |_/
ヽ\((人⌒从*)) /
_ー ̄_ ̄)’, ・ ∴.' ,⌒; )lll(・) >
∧ --_- ― = ̄  ̄`:, .∴ ' ( ⌒ ζ>∵))ヽ ←>>
, -'' ̄ = __――=', ・,‘ r⌒>/・(( 从 人・ヽ\
/ _-―  ̄=_ )":" . ’ | y'⌒ ⌒i ∵
/ ノ  ̄ ̄=_ ` )),∴. | / ノ | V
/ , イ )  ̄= , ー' /´ヾ_ノ
/ _, \ / , ノ
| / \ `、 / / /
j / ヽ | / / ,'
/ ノ { | / /| |
/ / | (_ !、_/ / 〉
`、_〉 ー‐‐` |_/
611 :
名無し物書き@推敲中?:02/04/08 06:42
三語スレを荒らしたらダメだろうが。オイ。
末期だな。
613 :
名無し物書き@推敲中?:02/04/08 07:04
「勝ち」「価値」「徒歩」
村上源之丞は、鳥羽伏見の戦いを勝ち戦だと思っていた。
負けるわけがないと思っていた。
明治になって、二本差しの価値がメザシほどになっても
源之丞は御徒歩頭であること(あったこと、ではなく)に
誇りをもっていた。
それは、実にたあいない誇りであった。
たとえば、孫の彦一郎が尋常小学校の修身書を音読しているとき、
「がっこうにはたいていオカチでおかよいになりました」
という一節を聞くだけで、ややもすれば猫背になりがちな姿勢から
誇らしげに胸をそらした姿勢に変わるというたあいなさであった。
「オカチでお通いになった」人が、鳥羽伏見の戦いのにっくき敵方の
奥方であろうがなかろうが、そんなことにはおかまいがなかった。
次は、「末期」「嵐」「馬鹿者」でお願いします。
614 :
名無し物書き@推敲中?:02/04/08 07:10
. , .. ∧_∧
' .∴ ' ( >> 某)
` . ・,‘ r⌒> _/ /
, . ’ | y'⌒ ⌒i
,,- ''フ ' | / ノ |
∧ ∧ ,,/ ,/ , ー' /´ヾ_ノ
(´Д /⌒) ,,/ ,/ / , ノ
(⌒__/ ノ_,/ ,/ / / /
`(__/ ,/ / / ,'
('' )' ,/´つ / /| |
| ノ / !、_// 〉
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( ゚∀゚),ヨ )-、 =  ̄)' . 人/ ∴.\ (((::)´Д`)∵`
/ ム-' , ヽ、_ー ̄_ ̄), ・‘ ;人 人r⌒> ̄_/ / ・,‘
( '´, ト、_ト、 = -_- ― = ̄  ̄` く ./:;; 。,. ⌒i ,.;:;: ∴.'
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} _-―  ̄=_ )く ‥>, ー' /´ヾ_ノ
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| j )_ _ )=人 人 / ,'
/ ` i' = _) く >/| |
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(uuO
615 :
名無し物書き@推敲中?:02/04/08 07:10
/⌒ヽ, _ー ̄_ ̄)’, ・ ∴.' , .. ∧_∧ ∴.'
/ ,ヘ ヽ∧_∧ --_- ― = ̄  ̄`:, .∴)' ((( #)゚Д゚)
i .i \ ( ´Д`)ヽ, _, -'' ̄ = __――=', ・,‘ r⌒> _/ / ・,‘
ヽ勿 ヽ,__ j i~"" _-―  ̄=_ )":" . ’ | y'⌒ ⌒i .' ∴.'
ヽ,, / / __,,, _―  ̄_=_ ` )),∴. ) | / ノ |∴.'∴.'
ヽノ ノ,イ ―= _ ) ̄=_) _), ー' /´ヾ_ノ
/ /,. ヽ, _ _ )= _) ,./ , ノ ∴.' ∴.'
丿 ノ ヽ,__,ノ = _) / / /∴.' ∴.'
j i / / ,'
巛i~ / /| |
!、_/ / )
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/__ノ.....∴::::( ´Д`)・:.
/ / ∴:::*:.*: _> ⌒ヽ*:. ←超厨房
,,,,,__ / /― = ̄:::*...../ へ \
(mn)_ ヽ / //・/ ソ/ ノ / / \\\
∧_∧ )_( /- ― = ̄  ̄ レ ノ ヽ_ヽ_つ
m (´∀` )⌒: //・ソ /彡/ / /
)| | _/ / /- ― = ̄ / /|
( _ ̄ ̄ ̄ _/___ /彡ソ/ /// ( ( 、
 ̄ ̄ ̄ / / | |、 \
/ / | / \ ⌒l
( ( | | ) /
| | ノ ) し'
| / (_/
| |
ノ )
(_/
616 :
名無し物書き@推敲中?:02/04/08 07:11
γ⌒/^^/^-
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617 :
名無し物書き@推敲中?:02/04/08 07:12
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|クックルドゥドゥドゥクックルドゥドゥドゥクックルドゥドゥドゥクックルドゥドゥドゥクックルドゥドゥドゥクックルドゥドゥドゥ
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ノノノノ -___ ノノノノ -___ ノノノノ -___
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618 :
名無し物書き@推敲中?:02/04/08 07:14
<
< ハァァァ???
<
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619 :
名無し物書き@推敲中?:02/04/08 07:21
「末期」「嵐」「馬鹿者」
暴走族がこの病院の敷地内を走っている。
馬鹿は、どこの世界にもいる。
そういう馬鹿者の存在を感じるとき、
正志は嵐のような己れの感情を制御するのは、
もうよそうかと思ってしまう。
正志は自分が末期癌だということを知っている。
己れに残された歳月は、あと半年に満たないことを知っている。
それならば・・・、それならば、
いっそどうしようもない馬鹿者を一人、二人
道連れにしてもよいのではないか。
朝早く目覚めてしまった正志は、
そんな想念に囚われながら、窓の外を見る。
次は、「想念」「パソコントラブル」「朝靄」で
620 :
名無し物書き@推敲中?:02/04/08 07:24
ΛΛ / ̄ ̄  ̄ ̄\ ΛΛ
 ̄( ゚Д゚)< イッテヨシ! イッテヨシ!>(゚Д゚ ) ̄
 ̄U U \__ __/ U U ̄
ΛΛ / ̄ ̄  ̄ ̄\ ΛΛ
 ̄( ゚Д゚)< イッテヨシ! イッテヨシ!>(゚Д゚ ) ̄
 ̄U U \__ __/ U U ̄
ΛΛ / ̄ ̄ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\  ̄ ̄\ ΛΛ
 ̄( ゚Д゚)< イッテヨシ!| オ、オマエモナ〜 | イッテヨシ!>(゚Д゚ ) ̄
 ̄U U \__ \_ _____/ __/ U U ̄
ΛΛ / ̄ ̄ ∨ Λ_Λ_Λ  ̄ ̄\ ΛΛ
 ̄( ゚Д゚)< イッテヨシ! (´∀`;三;´∀`) イッテヨシ!>(゚Д゚ ) ̄
 ̄U U \__ (つ つ __/ U U ̄
ΛΛ / ̄ ̄ ,ヽ、 〈 〈〉 〉  ̄ ̄\ ΛΛ
 ̄( ゚Д゚)< イッテヨシ!| | ( )_) イッテヨシ!>(゚Д゚ ) ̄
 ̄U U \__ | |  ̄ __/ U U ̄
ΛΛ / ̄ ̄ ΛΛ  ̄ ̄\ ΛΛ
 ̄( ゚Д゚)< イッテヨシ!( ゚Д゚) イッテヨシ!>(゚Д゚ ) ̄
 ̄U U \__ U ~Λ __/ U U ̄
ΛΛ / ̄ ̄ / ̄  ̄ ̄\  ̄ ̄\ ΛΛ
 ̄( ゚Д゚)< イッテヨシ!| 無理するな。| イッテヨシ!>(゚Д゚ ) ̄
 ̄U U \__ \____/ __/ U U ̄
ΛΛ / ̄ ̄  ̄ ̄\ ΛΛ
 ̄( ゚Д゚)< イッテヨシ! イッテヨシ!>(゚Д゚ ) ̄
 ̄U U \__ __/ U U ̄
621 :
名無し物書き@推敲中?:02/04/08 07:45
「想念」「パソコントラブル」「朝靄」
ったくもぅぅ、なんてあたしはパソコンチ!
レポートで徹夜だとか、ま、いろいろその他で
夜明けを迎えたっていうのなら許せるけど、
パソコントラブルなんて、我ながら超冴えない。
久美子はベランダに出て、思いっきり背伸びをした。
それから眼をつむった。
春の空気は柔らかい。
イライラした気分が消える。
久美子の想念は、はるか遠くのあの人に届くだろうか。
次は、「ライター」「さよなら」「銀色」で
622 :
名無し物書き@推敲中?:02/04/08 08:02
/ ̄`ヽ、
/ ヽ
¶ i ∧_∧
|| ノ ( |)
|| / ~/ ,」つ|───
|| ( /、,ノ> >
|| ヽ (_,ノ i,_ノ
|| \
|| \,
____________ ● ||_ /\へ
∧((∧|| `・x、 /..:::::.ヽV/ヽ
q∧ ∧ ( ・∀・||, /..::::::::::::::..`’ い
(*゚ー゚) ( ̄]つ@ノ /.:..::::::::::::::::::::::.:.. i
゙「 ||y||フ ノ__/∞!||ゝ /.::..:::::::G::::::::::::.:.: | ←「」
ノ_/'ノゞヽ /___|__||. i :::..::::::::::::::::::::::::::.:.: |
! ::..::::::::::::::::::::::::;;;:.'. ,! `・x、
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ \_;;;:;::::::;;;;;...''''...:._,ノ  ̄ ̄|
__ _____  ̄`TT´ ̄ ̄ | ,へ、
\ l´ ̄---¥:::..-==ニ)`|二ニ==- | / ,!
\ | - -─┼::..-==ニ)`|二ニ==- __/ ,/il
\ l - -─┼:..-==ニ)`|二ニ==- / ヽ./.!|i!
\〜'`ー-〜ー〜| - --┼:..-==ニ)`|二ニ==-/ __,.xイ´.::.:..||l!
\ 〜 〜 ! - -─|-::..-==ニ)`|二ニ=- | ̄.....:::.i;:::::::.:.:川
\ 〜 ! - ─|--::... -=ニ)`|二ニ=- l, :::::..:::::.i,:::::::.:. |"
\ ヽ、 - -|--:::.. -=ニ)`|ニ=- ヾ.::::..::::::.i,:::::.: |
\ 〜 ヽ. ┼:::. / -=)`|=- )|li,、;:,.:::::.i,::. |
\ \┼:,/ /,N| ⌒リ川i、::::.i,;!
/ヽ \ / ⌒ //∧| ~`'゙^ ̄
/ ヽ / ヽ ,///||| 〜〜
l⌒\ / ヽ__/ ヽノ,/ ツ
| ) / \
レー─/ ○ ┌──┐○ ヽ 〜
/ i /  ̄ ヽ | | l 〜〜〜
いー-| | /⌒) l | | |
ヽ ! '、_,ノ / | ,! _
<\ \ヽ / | ノ | |
\\ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
\\ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
\\ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
\\____,ノ⌒i⌒i⌒ヽ_____,ノ⌒i⌒i⌒ヽ__/
 ̄ \. ( / \. ( /
\_____/ \_____/
623 :
名無し物書き@推敲中?:02/04/08 08:03
| | | ________________________________________________
| | |_____ΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦ||ΦΦΦ
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| | | / /|TTTTTT TTTTTTTTTT||TTTTT
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| / / |// / /|
| / / |_|/|/|/|/| 祭りだ祭りだ!
| / / |文|/ // /
|/ /. _.| ̄|/|/|/ Λ_Λ
/|\/ / / |/ / (___)
/| / / /ヽ /〔 祭 〕〕つ
| | ̄| | |ヽ/l `/二二ヽ
| | |/| |__|/ Λ_Λ / /(_)
| |/| |/ ( ´∀`) (_) Λ_Λ
| | |/ // / ^ ̄]゚ (` )
| |/ ゚/ ̄ ̄_ヽ ⊂〔〔 祭 〕
| / /_ノ(_) ┌|___|
|/ (__) (_ノ ヽ ヽ
/ (_)
624 :
名無し物書き@推敲中?:02/04/08 08:04
+ * 祭りだワッショイ!! + +
* \\ お祭りワッショイ!! // * *
+ * \\ おにぎりワッショイ!!/ +
ワショーイ +/■\ /■\
/■\ /■\ /■\ /■\ /■\( ´∀`∩∩´∀` ) ∩ /■\ +
( ´∀`) ( ´∀`∩(´∀`∩) ( ´∀`)(´∀` )(つ 丿ヽ ⊂丿 ヾ(゚Д゚ ) ゴルァ
(( ( つ ~つ )) (つ ノ(つ 丿(つ つ⊂ ⊂丿 ( ( ノ ( ( ノ )) / ⊃ )) +
乂 ((⌒) )) ヽ ( ノ ( ヽノ ) ) ) ( ( ( し'し' し'し' 0_ 〈
* (__) (_)し' し(_) (_)_) (_(_) ヤホーイ ピョーン `J *
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
|. .祭り会場 .|
| .|
625 :
名無し物書き@推敲中?:02/04/08 08:05
落ち込むなワッショイ!!
+ * いじめられてもワッショイ!! +
* \\ お祭りワッショイ!! //
+ * \\ ののたんワッショイ!!/
ワショーイ
∋oノハヽo∈ ∋oノハヽo∈ ∋oノハヽo∈ +
( ´D`) ( ´D`∩) (´D`∩)*
(( ( つ ~つ )) (つ ノ (つ 丿 +
乂 ((⌒) )) ヽ ( ノ ( ヽノ
* (__) (_)し' し(_) * +テヘテヘ☆
626 :
名無し物書き@推敲中?:02/04/08 08:15
∧∧ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ♪
ρ(゚∀゚ )< ボクタチ チュウ〜ボ〜ォウ♪ ダスレダケーニー ツイテ〜イク〜♪
口⊇⊂ | \____♪
/"/|/ 丿┐
///UU'//┐=3 ぶべべべ〜
◎ ̄ ̄ ̄└◎
627 :
名無し物書き@推敲中?:02/04/08 08:51
まったく、どうかしている。
「さよなら」
三文小説のように、紙切れ一枚を残して彼女は消えてしまった。
僕はポケットから取り出したライタでーで、その紙切れに火を付けた。
銀色の灰皿で踊る「さよなら」の文字を見つめながら、僕は彼女の事を少し想った。
炎が消え、僕は自分を笑った。
次は、「雑魚寝」「雷鳴」「理由」でお願いします。
628 :
名無し物書き@推敲中?:02/04/08 09:19
あの夏を思い返す時、私の心にはひりひりする痛みと共に甘い感傷がこみ上げる。
ただただ素晴らしかったという他はない。
夏山の雄大な懐に抱かれ、仲間達と雑魚寝をしながら語り明かした夜。
頭上に轟く雷鳴と、しのつくような雨を逃れて入って喫茶店で聴いたジャズの旋律。
真夏の一日が、ひたすら青く明るいものであるように、
あの頃の私の人生もまた、そうして過ぎていった。
それから十数年。鏡の中に映る私の顔には挫折と疲労、皮肉と自嘲が張り付いている。
――明日、この部屋を出てゆく。ここに書き記さねばならない程の理由はない。
ただ、真夏の光にも似たあの若き日々の記憶をどこかに沈めてしまいたいだけだ。
次は、「林檎」「爪先」「錆びた空き缶」でお願いします。
629 :
名無し物書き@推敲中?:02/04/08 09:21
∧_∧ / ̄ ̄ ̄ ̄
( ゚∀゚) < ボクモナカマニイレテヨ!!
(⊃ \⊃ \____
\ )ρ
く く
630 :
名無し物書き@推敲中?:02/04/08 09:22
∧∧∩ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
(゚∀゚)ノ < オマエラ ゲンチャリノッタコトアルカ ?
(| | \__________
〜| |
∪∪
631 :
名無し物書き@推敲中?:02/04/08 09:23
∧∧ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ♪
ρ(゚∀゚ )< ボクタチ チュウ〜ボ〜ォウ♪ ダスレダケーニー ツイテ〜イク〜♪
口⊇⊂ | \____♪
/"/|/ 丿┐
///UU'//┐=3 ぶべべべ〜
◎ ̄ ̄ ̄└◎
632 :
名無し物書き@推敲中?:02/04/08 09:23
∧∧
イッテヨシ! (゚∀゚ )
⊂ ヽ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
〉 ノノ~ < オナラ、プッ!
∪∪ \_______
633 :
名無し物書き@推敲中?:02/04/08 09:25
∧_∧ / ̄ ̄ ̄ ̄
( ゚∀゚) < 春の厨房祭りダヨ!!
(⊃ \⊃ \____
\ )ρ
く く
634 :
名無し物書き@推敲中?:02/04/08 09:26
______ ______
/ __ ___ \ / __ ___ \
/ /_/ | \ ./ /_/ | \
| _/ \/ | | _/ \/ |
| / ___ /\ | | / ___ /\ |
| _____. | | _____. |
\ / | \ / \ / | \ /
\______/ \______/
\||||||||||||||||/ \||||||||||||||||/
 ̄ | |  ̄お祭りワッショイ!. ̄! !  ̄
\\ │ | お祭りワッショイ! │ | //
\\ │ | お祭りワッショイ! | | //
. + | ∧__∧ ∧__∧ ∧_∧ | +
|( ´∀`∩(´∀`∩)( ´∀`) O
+ (( O ( ノ(つ 丿(つ | | )) +
| ヽ ( ノ ( ヽノ ) ) )│
|__|(_)し' し(_) (_)_)_.|
635 :
名無し物書き@推敲中?:02/04/08 10:27
彡川川川三三三ミ〜
川|川/ \|〜 プゥ〜ン
‖|‖ ◎---◎|〜 / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
川川‖ 3 ヽ〜 < この荒らしって
川川 ∴)д(∴)〜 \損害賠償請求したらいくら取れるのかな?
川川 〜 /〜 カタカタカタ  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
川川‖ 〜 /‖ _____
川川川川___/‖ | | ̄ ̄\ \
/ \__| | | ̄ ̄|
/ \___ | | |__|
| \ |つ |__|__/ /
/  ̄ ̄ | ̄ ̄ ̄ ̄| 〔 ̄ ̄〕
| | ̄
川|川川 川
‖川 | | | ー ー|| / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
川川 | |ー□--□l <俺、法律に詳しいけど
川川| | \ J/|| \ 100万円は余裕で請求出来ると思われ
川川‖ | ロ|/| カタカタカタ  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
川川|‖\|__|l|l _____
/川川川__/川川 | | ̄ ̄\ \
| 川川| |/川l__,| | | ̄ ̄|
| \_|__|_|、__| | |__|
| \____|つ |__|__/ /
| | | | ̄ ̄ ̄ ̄| 〔 ̄ ̄〕
| | ̄ 予備校生
636 :
名無し物書き@推敲中?:02/04/08 10:29
某スレ1は出て行け!某スレ1は出て行け!某スレ1は出て行け!某スレ1は出て行け!
某スレ1は出て行け!某スレ1は出て行け!某スレ1は出て行け!某スレ1は出て行け!
某スレ1は出て行け!某スレ1は出て行け!某スレ1は出て行け!某スレ1は出て行け!
某スレ1は出て行け!某スレ1は出て行け!某スレ1は出て行け!某スレ1は出て行け!
某スレ1は出て行け!某スレ1は出て行け!某スレ1は出て行け!某スレ1は出て行け!
某スレ1は出て行け!某スレ1は出て行け!某スレ1は出て行け!某スレ1は出て行け!
某スレ1は出て行け!某スレ1は出て行け!某スレ1は出て行け!某スレ1は出て行け!
某スレ1は出て行け!某スレ1は出て行け!某スレ1は出て行け!某スレ1は出て行け!
某スレ1は出て行け!某スレ1は出て行け!某スレ1は出て行け!某スレ1は出て行け!
某スレ1は出て行け!某スレ1は出て行け!某スレ1は出て行け!某スレ1は出て行け!
某スレ1は出て行け!某スレ1は出て行け!某スレ1は出て行け!某スレ1は出て行け!
某スレ1は出て行け!某スレ1は出て行け!某スレ1は出て行け!某スレ1は出て行け!
637 :
名無し物書き@推敲中?:02/04/08 10:30
某スレ1は出て行け!某スレ1は出て行け!某スレ1は出て行け!某スレ1は出て行け!
某スレ1は出て行け!某スレ1は出て行け!某スレ1は出て行け!某スレ1は出て行け!
某スレ1は出て行け!某スレ1は出て行け!某スレ1は出て行け!某スレ1は出て行け!
某スレ1は出て行け!某スレ1は出て行け!某スレ1は出て行け!某スレ1は出て行け!
某スレ1は出て行け!某スレ1は出て行け!某スレ1は出て行け!某スレ1は出て行け!
某スレ1は出て行け!某スレ1は出て行け!某スレ1は出て行け!某スレ1は出て行け!
某スレ1は出て行け!某スレ1は出て行け!某スレ1は出て行け!某スレ1は出て行け!
某スレ1は出て行け!某スレ1は出て行け!某スレ1は出て行け!某スレ1は出て行け!
某スレ1は出て行け!某スレ1は出て行け!某スレ1は出て行け!某スレ1は出て行け!
某スレ1は出て行け!某スレ1は出て行け!某スレ1は出て行け!某スレ1は出て行け!
某スレ1は出て行け!某スレ1は出て行け!某スレ1は出て行け!某スレ1は出て行け!
某スレ1は出て行け!某スレ1は出て行け!某スレ1は出て行け!某スレ1は出て行け!
某スレ1は出て行け!某スレ1は出て行け!某スレ1は出て行け!某スレ1は出て行け!
某スレ1は出て行け!某スレ1は出て行け!某スレ1は出て行け!某スレ1は出て行け!
某スレ1は出て行け!某スレ1は出て行け!某スレ1は出て行け!某スレ1は出て行け!
某スレ1は出て行け!某スレ1は出て行け!某スレ1は出て行け!某スレ1は出て行け!
某スレ1は出て行け!某スレ1は出て行け!某スレ1は出て行け!某スレ1は出て行け!
某スレ1は出て行け!某スレ1は出て行け!某スレ1は出て行け!某スレ1は出て行け!
某スレ1は出て行け!某スレ1は出て行け!某スレ1は出て行け!某スレ1は出て行け!
某スレ1は出て行け!某スレ1は出て行け!某スレ1は出て行け!某スレ1は出て行け!
638 :
名無し物書き@推敲中?:02/04/08 10:31
某スレ1が現れたスレとはここですか?
639 :
名無し物書き@推敲中?:02/04/08 11:04
∧_∧ / ̄ ̄ ̄ ̄
( ゚∀゚) < ボクモナカマニイレテヨ!!
(⊃ \⊃ \____
\ )ρ
く く
640 :
名無し物書き@推敲中?:02/04/08 13:48
∧∧∩ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
(゚∀゚)ノ < オマエラ ゲンチャリノッタコトアルカ ?
(| | \__________
〜| |
∪∪
641 :
名無し物書き@推敲中?:02/04/08 13:49
∧∧ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ♪
ρ(゚∀゚ )< ボクタチ チュウ〜ボ〜ォウ♪ ダスレダケーニー ツイテ〜イク〜♪
口⊇⊂ | \____♪
/"/|/ 丿┐
///UU'//┐=3 ぶべべべ〜
◎ ̄ ̄ ̄└◎
642 :
名無し物書き@推敲中?:02/04/08 13:49
∧∧
イッテヨシ! (゚∀゚ )
⊂ ヽ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
〉 ノノ~ < オナラ、プッ!
∪∪ \_______
643 :
名無し物書き@推敲中?:02/04/08 13:49
∧_∧ / ̄ ̄ ̄ ̄
( ゚∀゚) < 春の厨房祭りダヨ!!
(⊃ \⊃ \____
\ )ρ
く く
644 :
名無し物書き@推敲中?:02/04/08 13:50
/⌒ヽ, _ー ̄_ ̄)’, ・ ∴.' , .. ∧_∧ ∴.'
/ ,ヘ ヽ∧_∧ --_- ― = ̄  ̄`:, .∴)' ((( #)゚Д゚)
i .i \ ( ´Д`)ヽ, _, -'' ̄ = __――=', ・,‘ r⌒> _/ / ・,‘
ヽ勿 ヽ,__ j i~"" _-―  ̄=_ )":" . ’ | y'⌒ ⌒i .' ∴.'
ヽ,, / / __,,, _―  ̄_=_ ` )),∴. ) | / ノ |∴.'∴.'
ヽノ ノ,イ ―= _ ) ̄=_) _), ー' /´ヾ_ノ
/ /,. ヽ, _ _ )= _) ,./ , ノ ∴.' ∴.'
丿 ノ ヽ,__,ノ = _) / / /∴.' ∴.'
j i / / ,'
巛i~ / /| |
!、_/ / )
|_/
, -つ:::*:.:∧_∧
/__ノ.....∴::::( ´Д`)・:.
/ / ∴:::*:.*: _> ⌒ヽ*:. ←超厨房
,,,,,__ / /― = ̄:::*...../ へ \
(mn)_ ヽ / //・/ ソ/ ノ / / \\\
∧_∧ )_( /- ― = ̄  ̄ レ ノ ヽ_ヽ_つ
m (´∀` )⌒: //・ソ /彡/ / /
)| | _/ / /- ― = ̄ / /|
( _ ̄ ̄ ̄ _/___ /彡ソ/ /// ( ( 、
 ̄ ̄ ̄ / / | |、 \
/ / | / \ ⌒l
( ( | | ) /
| | ノ ) し'
| / (_/
| |
ノ )
(_/
645 :
名無し物書き@推敲中?:02/04/08 13:50
γ⌒/^^/^-
,ゝ`/~ /~ /~ /⌒
_ 〈(_| | |~ |~ /^ )
(/~ /~ /~ /~ ~ /~ /^\
()/)/~ /~ |~ .|~ |~ |~ /)
へ^〈,|,,、,,|,,、,,,,,|~,,,,、〈~,, 〈~ /⌒|)\
|::::::: ゛ ゛ ,,,,;;::'''''ヽ
|:::::::: ,,,,;;::::::::::::::: __ ヽ
|::: " __ :::: <'●, |
┌―. - '"-ゞ,●> ::::::... |
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ヽ.\{_ ( ○ ,:○) |
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\_ヽ. __,-'ニニニヽ . |
.. ヽ. ヾニ二ン" /
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l `ー-::、_ ,,..'|ヽ.
:人 `ー――''''' / ヽ
_/ `ー-、 ,.-'" \ー-、
,.-'" \: \ .,.-''" |
/. \ ~>、,.-''" |
,,..-‐'''"" ヾ ,.-''"| /――――、/
646 :
番長 ◆Hwwwva1A :02/04/08 22:03
果物屋の前で立ち止まると、甘い匂いがした。
時々実家から送られて来るダンボール箱には、林檎と伊予柑が
綺麗に並んでいたっけ。
そういえば小さい頃は毎年林檎狩りに行ったものだった。
山の斜面に見えてくる赤い実に、ひとにぎりの小さな心を踊ら
せていた。
届かない枝に爪先を立てる私に、取ってくれるのではなく枝を
曲げてくれたその優しさは今でも変わってはいないのだろう。
錆びた空き缶を蹴りながら、まだその手には大きかった丸い実
の感触を思い出していた。
次は、「受け付け」「帽子」「新聞の勧誘」でお願いします。
↑
>>646は「林檎」「爪先」「錆びた空き缶」がお題でした。
書き忘れて申し訳ありませんでした。
648 :
「受け付け」「帽子」「新聞の勧誘」:02/04/09 00:36
山崎くんの帽子の中に受け付けがあるのは、あたしと山崎くんだけの秘密だ。
山崎くんはここんところ、読売の勧誘がひどいらしくって、げっそりしていた。
でも最近、灰色のつば付き帽子を被るようになってから普通に元気になっていた。
それであたしは不審に思って、山崎くんを問い詰めたのだ。
「本当に、誰にも言うたらあかんで」
そう言いながら、山崎くんは帽子を取って中を見せてくれた。
中には小さな女の人が受け付けで暇そうにしてて、ふとあたしと目が会うと、
にこっと微笑んで手を振った。
あたしはびっくりして、あわてて目をそらした。
「あの人何してはるの?」
「さあ」
「もっかい貸して」
あたしは山崎くんの頭から帽子をひったくった。
「こんにちわぁ。何してはりますのん?」
女の人は叫んでいるようだった。でも相変わらず声は聞こえなかった。
「あかんわ。面白いけど、でも、全然意味ないやん。それ」
「いや、あったよ。ええこと」
「何?」
「うーん、まあ強いて言えば、や、新聞の勧誘がこんようになった」
次は「ぼくも仲間に入れてよ」「春」「食材」で、お願いします。
「ぼくも仲間に入れてよ」「春」「食材」
冥界で、またまた転生の順番を待っていた。
前は土のバクテリア、その前はカゼのウイルス、その前はビフィビス菌。
数では、細菌が圧倒多数なのだから仕方が無かった。
鳥だって、人間だって、細菌だって、生命の尊さに変りはない。
シーザーですら、来世はミミズだった。それすら天文学的幸運らしい。
転生先の映像の球が、自分のグローブに投げかけられた。
見ると、それは自分が幼い頃の、春の野原だった!
ぼくも仲間にいれてよ。もう一度。
自分は、春の食材ワラビつみの最中だった。
そうか・・・ワラビでもいいや、この際。それだって奇跡的確率だけど。
不意に記憶が蘇った。
あの時の「事件」。天文学的数字の微生物の存在。
「あら大変、肥溜めに足つっこんじゃったのねえ」
また微生物か。それでも・・・よし!
※あわあわ急ぎながら三題
次のお題は:「淡い」「居合」「道連れ」でお願いします。
「淡い」「居合」「道連れ」
とうきょうとっきょきょかきょく、とうきょうとっきょきょかきょく、とうきょう・・・
延々と続く演劇部の遠い発声練習が、BGMのように校舎に響く。
少年はひとり屋上で、澄んだ空を見上げた。無関心な風が心地良かった。
もう、すべて諦めがついた。漫画家になる夢も、父に教わった釣りも、ひた隠しに隠してきた淡い恋心も。
冷たい金網フェンスに手を掛けた。止める者はない。指差して叫ぶ者もいない。
おあややおやにおあやまり、おあややおやにおあやまり、おあややおやに・・・
フェンスの外側に立ち、少年はその短い人生を振り返るようなことはしなかった。
下を見たときわずかに過った恐怖心も、ほんの一瞬で消え去った。道連れは、無関心な風だけ。
軽くまぶたを閉じ、見えない階段に向かって、ゆっくりと足を踏み出した――
いやいやいあいをぬく、いやいやいあいをぬく、いやいやいあいを・・・
――すんでのところで止めた。
(いやいや・・・嫌々?居合を?嫌々、居合を抜く?どういう状況・・・?ほんとはすげえ腕が立つんだけど、
何かの理由で自ら剣の技を封印しているとか?だけどある時・・・)
数分後、屋上の縁で中空に片足を持ち上げたまま固まった少年は、駆けつけた教師らによって保護された。
※次は「くらげ」「ゴミ箱」「高速道路」でお願いします
ゴミ箱と高速道路はがいしゅつでしたので
「くらげ」「やかん」「巻き戻し」でお願いします。ごめんなさい。
652 :
名無し物書き@推敲中?:02/04/09 19:22
「くらげ」「やかん」「巻き戻し」「ゴミ箱」「高速道路」
「悪いな。突然呼び出して」
突き出しに、乾きかけたくらげの酢の物を出す安居酒屋の片隅、
久しぶりに会った鈴木の顔色は少しやつれ、青ざめて見えた。
「よく事故が起こる高速道路の近くでの取材だったんだよ。最初に
見つけたのは編集作業をしていた助手の佐藤でさ、撮影していたカ
メラマンの山田は全然気がつかなかったそうだ」
「はっきり人がうつってるの?」
「いや、人じゃない。うーん、なんて説明したらいいのかな」
鈴木はグラス三分の一程残っていたビールを一息に飲み干した。
「おまえに確認して欲しくてさ。俺もベータカムをね、ビデオを何
度も巻き戻して見たんだよ。こう、影みたいっていうか・・・」
とにかく現物を見せるのが手っ取り早いと言われ、私達は店を出、
歩いて十五分程の鈴木の仕事場に向かった。
狭いワンルームマンションの一室、雑然とした室内。やかんは床
にころがりゴミ箱はあふれ、所狭しと置かれた機材と山積みのビデ
オテープ。
幽霊よりゴキブリが出そうだった。正直、そっちのほうが苦手だ。
「野菜」「うなじ」「卑劣」でお願いします。
「野菜」「うなじ」「卑劣」
某三法案が通ってしまい、なにかと窮屈になってしまった某時代。
「ううむ、この写真は現像できません。色っぽいうなじが写ってます」
「そんなバカな・・・」博士は呟いた。
うなじも何も、これは自分の浴衣姿のアップではないか。
「これは僕の写真です。他が娘の写真だからって、間違たらやーですよ」
「写真屋の私がそう思うんだからダメ。色っぽい首筋を持った貴方の不運です」
「ううむ」
なんか変態な店主だが・・・こんな理由で引き下がってなるものか。
博士はどっさり野菜を仕入れ、仕事に入った。
白い大根を磨いてミニチュアの和服を着せ、ニセうなじのアップ写真を撮る。
ボンレスハムを絞って、ニセおしり写真を撮る。
もちろん、製作過程も証拠写真としてビデオに撮る。
「卑劣な店主め、これの現像を断ってみろ。目にもの見せてくれる」
娘は、振袖姿のまま研究室の隅にぽつねんと座っていた。
いい年してこんな事一生懸命やってる父を、どこか色っぽいと思っていた。
※残り512-496=16KB・・・まだ、いけるでせうか?
次のお題は:「純白」「空気」「宇宙」でお願いします。
654 :
999 ◆D0999.o. :02/04/10 01:11
「純白」「空気」「宇宙」
コラム「宇宙ケコーン ブームに」
宇宙ステーションが多数建設され、宇宙は人類にとってより身近な
ものになりつつあった。若い女性向けの雑誌「kankan」での意識
調査によると、新婚旅行で行きたい場所のトップはヨーロッパや
アメリカを抑えて宇宙ステーションがダントツである。ここに眼を
つけたある旅行代理店が、宇宙ステーションでの結婚式を提案した。
この日、空気もない静寂の宇宙で純白のウェディングドレスに身を
包むことになったのはA子さん(28)。A子さんは天文ファン、A子さんの
夫も小さいころから宇宙が大好きというカップルだ。本誌の取材に対
してA子さんは「宇宙から見た地球って神秘的で素敵、一生の思い出に
なりました」と語った。A子さんの夫は「幸せです。産まれてくる子供
はニュータイプかも知れません」とやや謎めいたコメントを残した。
なにはともあれ、ふたりが輝きよりそう星たちのように幸せな家庭を
気づくことを願ってやまない。
「株」「ドクター」「ごみの分別」
次スレは↓を再利用、と提案してみるテスト
http://cheese.2ch.net/test/read.cgi/bun/1013408340/
「株」「ドクター」「ごみの分別」
私は想像する。若妻との情事の果てに、腹上死。
「心臓が悪かったのに、あの女が殺したようなものよ!」
葬式の席で怒り狂うのは、別れた妻と娘たちだろう。
死因が異様な為に、検死解剖される可能性もある。
丸裸にされて尻に体温計を突っ込まれ、髪の毛だの、洋服の繊維だの、
爪の間に入り込んだ粘液だのと、くだらないごみの分別が行われて、
いちいち証拠として残されるかもしれない。
ドクター達は死者の尊厳を汚すような軽口も叩くだろう。
「このおっさん、株式会社の社長だかなんだからしいが、
ナニは俺の方がよっぽど立派だぜ」
ああ、嫌だ。そんな死に方は絶対にごめんだ。
「…どうしたの?ダーリン」
高い澄んだ声が、私を現実に引き戻した。
可愛らしく小首を傾げ、大きな瞳で私の顔を覗き込んでいる。
これも策略なのだ。
私はダイヤモンドの輝きを、そっと心の奥にしまいこんだ。
7カラットのダイヤと引き換えに、
くだらんドラマじみた死を買うのでは馬鹿馬鹿しい。
次は「藍染め」「写真」「自転車」
656 :
名無し物書き@推敲中?:
引越しの荷造りをしている最中、ハラリと落ちてきた一枚の写真。
あの夏の君と僕。お祭りにいったときだっけ。藍染めの着物がとても良く似合ってたね。
僕がプレゼントした自転車は、今でも君を乗せ、あの道を走っているんだろうか?
僕は明日、遠い町へ行く。
君の大好きなサイクリングで、ふらっと会いに来るには遠すぎる町へ。
僕は写真を紙飛行機のように折り、夕暮れの街へ滑らせた。
「さよなら、自転車泥棒さん」
飛行機は、素知らぬ顔で滑空していった。
次は、「精神犯罪」「帝国」「約束」で、お願いします。