===『秘伝』データベース===

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56秘伝王子
>>12
高木さんについてはたくさん紹介したいネタがあるんだけど、とりあえず今日はおれが一番感動した一文を。
じっくり読み味わおう。

(96年3月号)
平成8年新春の深更、私は身を清めて正中心の輝かしき世界へと参入した。腰腹の姿勢を正しく造った場合、私は身体の一部をごくわずかに動かしただけで、自らの脳内に生じる電磁気的変化を明瞭に感じ取ることができる。仰臥式純自然体休養姿勢を取り、身体の左右差を微調整していくと、大脳の両半球は完全な均衡状態に置かれ、思考活動は自ずから停止した。身体感覚も忽然として変化し、感じられるのはただ純粋な水晶のごとき透明感のみだ。
最晩年の肥田春充は、この身がパラダイスとなる純自然体休養姿勢と、正中心緊張姿勢とを融合させて、新しい内的境地を拓く方法を発見している。それは両掌で身体を縦に分割する中心面をはさみこんで合掌し、親指先端が鼻下人中の位置に来るようにして、細く長い呼吸を繰り返すのである。
この方式に従って合掌した場合、私の全存在は光(=鋭く覚醒した意識)によって満たされた。そして大いなる恩寵が降り注ぐとともに、無条件の愛が私の中から溢れ出して宇宙の中に溶け込んでいった。愛とは一般に理解されているような、ごくありきたりの現象ではない。それは魂の糧であり、正中心への扉なのだ。
時間と空間の感覚は完全に消失し、ただ正中心のみが輝きに輝く・・・。正中心とは、あらゆる人が生まれながらに携えてきた一粒の種だ。それを芽吹かせ、自らの無限の可能性へと開花させる時、人は宇宙と調和し、実存の究極の秘密を手にすることができる。