村上春樹風に失恋話をするスレ

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1ペグ ◆3V.L7fJM
彼女の仕事の帰りが遅い日は、僕が夕飯を作った。
きつね色になるまで炒めたニンニクスライスをたっぷり入れたペペロンチーノと、
サーモンサラダが彼女の好物だった。
ペペロンチーノを食べ、よく冷えたビールを飲みながら、僕らは一緒によくテレビの野球中継を観た。
雨の日は赤ワインを飲みながらカウント・ベイシーやデューク・エイセスのLPを聴いた。ほどよく酔いが回ると、お互いの将来について話し合うこともあった。
そしてある日、彼女は僕のもとを去っていった。
もう3ヶ月以上も前の話だ。
もう彼女は帰ってきやしないんだ。僕はひとりぼっちだ──好むにせよ好まざるにせよ──、それが事実なのだ。
やれやれ、ネタスレが育ちにくい失恋板でこんな事をやらかそうなんて、
本当にばかげている。
しかし、この世に本当にばかげていないことなんて果たしてあるのだろうか。
とにかく僕はひどく疲れていた。そしてひどく混乱していた。
2名無しさん:02/08/26 01:19
2
3名無しさん:02/08/26 01:20
やれやれ、3ゲットだ。
4名無しさん:02/08/26 01:29
村春は糞。
5名無しさん:02/08/26 01:38
筒井康隆調だったら読みたいな
恋愛なんてスパゲティを茹でるのと同じだと思っていた。
7名無しさん:02/08/26 01:54
今日、町で偶然彼女と出会った。
「おひさしぶり。相変わらずね」
癖のあるいつもの口調で彼女は言った。
僕もひさしぶり、と答えた。
そして僕らは、つきあっていた時と同じように話をし、食事をし、セックスをした。
まるで、そうすることがあらかじめ決まっていたみたいに。
まるで 最 初 か ら 決 ま っ て い た よ う に だ 。
8名無しさん:02/08/26 03:20
春樹好きだよ。でも自分じゃ書けないから誰か書いてよ。
9名無しさん:02/08/26 05:01
先例がうますぎて書けん
10名無しさん:02/08/26 11:45
たしかに>>1は春樹になりきりすぎだ!
しかし多少似てなくても誰かに書いてホスィ
11名無しさん:02/08/26 12:07
あるいは僕は、そんな9や10の恋愛話を聞きたかったのかもしれない。
嘘でもいい。作り話でもネタでもいい。
とにかく誰のどんな話でもいいから聞きたかったのだ。
心をからっぽにして。
それがいま、僕に唯一できる自己防衛の手段だった。
12名無しさん:02/08/26 16:26
このスレ、ちょっと難易度高すぎて伸びない。に一票。
13名無しさん:02/08/26 16:26
じゃあ
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14ペグ ◆PEG/LR0o :02/08/26 17:00





                    シ ョ ボ ン ヌ
15名無しさん:02/08/26 18:40
春樹、好きです。
このスレ読んだら泣けてきますた。
センパイ、元気にしてますか??
16名無しさん:02/08/26 18:52
>ペグ
ゲンキダシテ。村上春樹限定じゃなくて小説風とかならなんとかなるかも。
17loser ◆fmU1QTpE :02/08/26 19:14
やれやれ
18名無しさん:02/08/26 20:29
はるきイイイイイイイ
19ペグ ◆PEG/LR0o :02/08/26 23:21
>16
つまるところ、小説家であれば誰でもいいというわけではなく、
ほかならぬ春樹本人でなければならなかったのだ。
それが僕の出した最終的な結論だ。
20名無しさん:02/08/26 23:45
彼女と別れて1年が過ぎた
一年と言う歳月は長いのか短いのか僕には解らないが
その一年は欠片が無くなった感じだとは断言できる、
別れてから始めて違う女の子とデートをした、映画を見て
昔彼女とよく行ったシュットバーでグレンフィッリックを飲み、
お決まりの行事のように僕の家で女の子と寝た、
女の子とキスした瞬間に僕は彼女のことを思いだした、
匂い、体温、しぐさ、すべて違う女の子に戸惑った
その後のシャワーを浴びてる時に不意に涙が出た、声にならない涙だった。
21名無しさん:02/08/27 01:41
彼女はとても平板な無機質な目でぼくをじっと見つめていた。
「あなたのことはとても好きよ。でも、好きなだけではどうしようもないの。
あなたといても私はどこにも行けないのよ。ねえ、分かるでしょ?」
分かるよ、とぼくは言った。だって、他になんて言えばいい?
そして彼女は僕の元から去っていった。
やれやれ、一体全体何だってこんな迷路に迷い込んでしまったんだろう?
 
22名無しさん:02/08/27 01:43
「やれやれ」は必須だなw
23名無しさん:02/08/27 02:37
彼と出会ってから、1週間が経っていた。
私にしては、早いほうだったと思う。
ただ、寂しかっただけなのかもしれない。
薄茶色の焦点の定まらない瞳に捉えられた。
まるで、前からの恋人達のように、しごく当たり前のように、
映画をみてショットバーにいき、彼の部屋で寝た。
欲望をむさぼるだけのセックスのあと、私はベッドに一人残された。
無造作に積み上げられた本、空の食器棚、ビールの空き缶、クリーニングの袋のままのシャツ。
この静まり返った部屋に耐えかねて、CDをかけた。
眼を閉じると、ビートルズのイエスタディと涙が同時に流れてきた。
どうやら、私は彼を愛してしまったらしい。


春樹っぽくないので、さげ。




24名無しさん:02/08/27 17:21
話が増えてて(・∀・)ウレシイ!!
25名無しさん:02/08/27 23:52
age
26電波第一号:02/08/28 00:13
村上春樹好きな男ってどう思う?
27名無しさん:02/08/28 00:13
好き
28名無しさん:02/08/28 00:37
「きっと我々はお互いに暇をもてあましている時にしか正直に話し合えない
のさ」と僕は言った。
「どうもそうらしいね」
彼女は微笑んだ。漆黒の闇のようなネット世界で回線越しであっても彼女の
微笑みはわかる。ちょっとしたレスの流れと雰囲気だけで、いろんなことが
わかる。かつて我々は恋人だったのだ。もう思い出したくないほど昔の話だ。

僕はため息をついた。「しかし今回の恋愛に関しては、僕はおそろしく勘が
悪かった。死んでしまいたいぐらいだよ。君があれほど沢山ヒントをくれた
のにね」
「仕方ないさ。君はよくやった方だよ」

以降、羊を追った挙句、時計の仕掛けで主人公爆死。
29名無しさん:02/08/28 00:49
うまいなあー泣いてもたよ。。
30名無しさん:02/08/28 09:51
>>26
ナルシストが多いと思う。
31名無しさん:02/08/28 09:54
>>28

最後の一行 delete!!
32ペグ ◆PEG/LR0o :02/08/28 10:20
>>26 >>30
まあ、ネタスレのつもりで立てたんで、マターリとな
33名無しさん:02/08/28 17:24
振ったのはあの人、振られたのは私。
あの人は、一人で本を読んだり音楽を聴いたりするのが似合う人だった。
私はたぶん、あの人には似合わなかったのだ。

別れたあとの週末はとくにやることもないので
彼の残していったマイルズ・デイビスのレコードを
聴いたりしている。マイルズの音は限りなく優しい。
ふと、彼の寂しげな背中を思い出して
ひょっとして彼を独りにしちゃったのは私の方かも
しれないなんて考える。おかしいけれど…


…春樹風じゃないな。難しい
34名無しさん:02/08/28 19:47
これだけは言える。
彼を失ったのは、本当に辛い。
彼を、と言うか、わたしを愛していると、わたしが感じていた自分のあの気持ちを
失ったのが辛かったのかも知れない。
そして、今気が付いた。
村上春樹は好きでよく読んでいた。
できれば、自分の失恋も、春樹風に語ってみたくもなった。
しかし、心が震えて、何も着色できない自分がいる。

自分は紛れも無く辛いのだ。
辛い、悲しい、この感情、
これだけが疑う事もできないはっきりとした気持ちなのだ。


中途半端でスマソ
35名無しさん:02/08/28 19:50
どんな状況でも、努力をしさえすれば、何かを得る事ができる・・・?
 
  泣きたいよぉ 春樹!
36名無しさん:02/08/28 20:43
私がもう一度、彼に振り向いてもらうために何ができるか?
冷静に考えようとするのだが、酷く頭が混乱しうまくいかない。
こんな時はよく冷えたビールを飲み、眠りに落ちるとしよう。
明日の朝には何かいい案が浮かぶかもしれない。

うーん難しいよ!暇持て余してるし、春樹読み直してみよっかな。
37コピペ:02/08/28 23:07
20よりうまいと思うが…

彼女と別れて5回の終戦記念日を迎え、5回の除夜の鐘を聞き
家の軒先に巣を構えていた燕が5回の長い旅に出てまた帰ってきた。
5年と言う歳月が一般的に長いのか短いのか僕には解らない。
でも少なくとも僕にとって、5年の月日はたとえば
口臭を気にするオフィス・レディーの昼食後の歯磨きのように
非常に重みをもった代物だった。そして同様に非常に空虚だった。

別れの日から丁度1900日が経った日、僕は別れてから初めて違う女の子とデートをした。
映画を見て昔彼女とよく行ったショットバーでアレキサンダーを飲み、
お決まりの行事のように僕の家で女の子と寝た。
口元の綺麗な女の子だった。
女の子とキスした瞬間に僕は彼女のことを思いだした。
匂い、体温、しぐさ、すべて違う女の子に戸惑った。
その後のシャワーを浴びてる時に不意に涙が出た。まるで5年間の空白を埋めるかのような、
とてつもなく激しくそして静かな涙だった。

38名無しさん:02/08/29 01:14
どれも意外と春樹風に見える部分があってイイ!

閑話ですが、俺に村上春樹の小説を薦めてくれたのが元彼女でした。
もう彼女はおらず、小説しか残りませんでしたが。
39名無しさん:02/08/29 02:09
>>37
うまひ!
40名無しさん:02/08/29 03:00
>>37
リミックス?
41名無しさん:02/08/29 03:12
>>37
上手いかどうか解らないけど>>20は長くなるからカットしてるんじゃない?
まあ、長い(細かい)描写は春樹風だけどさ
時々、春樹の細かい描写が「いいからストレートに言って!!」
と思う時がある私は20の方が好き、直接届く。
42名無しさん:02/08/29 03:15
僕は村上春樹どころか角川春樹にすらなれない自分に激しく苛だった
りは、しない。だって嫌いだもん。
43名無しさん:02/08/29 03:19
村上春樹なら高橋源一郎の方がなんぼかマシ。
44名無しさん:02/08/29 04:28
おれはどっちもいやだ
45名無しさん:02/08/29 04:51
まーまー、春樹批判するスレじゃないんだしマターリしようよ。
46名無しさん:02/08/29 16:11
私、付き合っている時に、「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」
を、元彼に貸して、未読のまま、返してもらいました。
別れた後に。

付き合う、ずー--っと前に、好きで呼んでいたなあ。
村上春樹。
読み返してみようかしら。

なんだか、相反する二つの両極端の世界の調和を、絶妙なバランスで描かれている
感じが、好きです。
って、春樹風に春樹を語ってみました・・(笑

47名無しさん:02/08/29 16:15
わたしは、20よりも37の方が、好きです。
(って、20の方、スマソ)
なんでかというと、5年も、一人であった、というところと、
その女の子とのこれからが、続いていきそうだから。
その点で、深い悲しみの後に、希望が見えている気がする。
48名無しさん:02/08/29 21:09
ふむ。
良スレ。
あげよう。僕に出来るのはそれくらいだ。とても悲しいことだけれども。
49名無しさん:02/08/29 21:14
>>48
イイ!!
50久美:02/08/29 21:22
私も>>47と同様に、>>37の方が好き。
>>20は、悲しみから抜け出す希望が見えない。
その>>20を愛する女が>>23か?
春樹風、春樹風でないを別にしてってことだけど。
>>47には、希望が見えてて良いし、これなら>>23も泣かないと思う。
51名無しさん:02/08/29 22:06

52名無しさん:02/08/29 22:47
>>50
リンクしすぎ
そんなにムキになってまで言うことか?
自分がよけりゃいいって思っとけばいい事だろ
押し付けは(・A・)イクナイ
5320:02/08/29 23:00
僕も37の方が好きだ、君の方が上手い
自分のことなのに、不意に誰かに投げ出したくなる
誰かのことを投影して情けない自分から目を避けたくなる
「希望?」そんな漠然とした物に縋れない、
「希望がどうした?僕は彼女と別れたんだぞ」



なんってな〜
54名無しさん:02/08/29 23:01
>>52
単なるスレの感想じゃないの?
ムキになってんのお前だろ?

関係ないのでさげ

5548 ◆SSSSaaas :02/08/29 23:58
またーりいきましょう。
下手ですが、春樹を参考にしつつ作ってみますた。


「あなたはいい人なんだけれど」彼女は冷たい声で言った。
まるで南氷洋に浮かぶ氷の下で白亜紀からずっと凍えていたかのような、
寒々しい冷たい声だった。
「今の私にとってあなたは何の存在意義もないの。<無>なの。
ねぇ世界中でこれだけ空虚な関係ってあるかしら。一緒にいて全く
お互いを高めあう事が出来ないのよ」
確かにその通りだった。僕と彼女は既に、もうとり返しがつかないほど
ねじれ、ひねくり返った関係にあった。
「ねじれの位置」彼女は言った。
「中学の幾何で習ったわ。あなたと私は、つまりねじれの位置にあるのよ」
この言葉は、僕と彼女の3年間の関係に終止符を打った。

女に振られた男が―――たとえ自分で別れを予感していたとしても―――
少なくとも3日間は酒に浸かるというのは、この世界での揺るぎ無い定説だった。
それは、高い山へ登れば気温が下がるとか、地震は地殻の変動によって起こるとか
いうのと同じ、自然の摂理だった。
そして僕はもちろんその自然の摂理に従ったし、あえてその摂理に反しようとも
思わなかった。

56ち、ち、地図:02/08/30 00:42
やれやれ、また失恋か。
僕はひどい悲しみの中にいた。それはウミガメの産卵くらいの悲しみだ。
もう3度目の失恋なのに、だ。
57名無しさん:02/08/30 01:17
カフェは海の見える高台にあり、僕が椅子に座ると、髪の長いウエイトレスが冷たいオレンジジュースと二個のドーナツをだしてくれた。
僕は膝に砂糖をこぼさぬように注意してドーナツを半分食べ、オレンジジュースを飲み干した。
「おいしかった?」
「とてもね」
彼女は下唇を軽く噛んだ。
「今日で終わりにするわ」
僕は煙草に火を点け、煙を3回吐き出す間、黙ってカウンターの羽目板の木目を眺めていた。
「嘘はつきたくないのよ。」
「わかってるよ。」
僕たちは黙り込み、風が窓を揺らす小さな音をずっと聞いていた。


#作風がちがいますかねぇ
58名無しさん:02/08/30 01:23
渡辺淳一風?
59名無しさん:02/08/30 01:26
>>57
(・∀・)イイ!!
60名無しさん:02/08/30 02:36
>>55
イイ!!
61名無しさん:02/08/30 03:57
「あなたは悪くないの」と彼女は言った。「ただ、疲れただけなの」
彼女は僕を秋風に舞う落葉を見るような表情だった。苦悩も悲しみも
感じられず、すこしの解放感だけを感じる、そんな表情だ。
僕は落葉の気持ちにさえなれないでいた。もちろん落葉の気持ちに
なったからといって、彼女が僕と別れたがっている事は変わる事は
無いのだろう。僕はやれやれ、と心の中でつぶやいた。僕だって
疲れていたが、僕は彼女と別れようとは思わなかった。別れなければ
ならない理由がわからなかった。
「わからないよ」と、僕。
「文句を言ってもいいのよ」と、彼女。僕は文句を幾通りも考えてみたが、
そのどれもが言うには遅すぎた事に気付き、何も言えなかった。そう、
すでに全ては終わっていたのだ。僕の知らないうちに。
「やれやれ」と、僕は声に出して言った。
そしてもう一度言った。「わからないよ」
「玄関まで送るわ」と彼女。
そして僕と彼女は別れた。
-----
半年経って、彼女にメールを出した。彼女は一人暮らしであったし、
世間は物騒だったからだ。
彼女からの返事は、新しい男と付き合い、別れ、そして新しい男が
出来たばかりだという内容だった。僕はそのメールを2回読み、
それからコーヒーを飲んだ。コーヒーはちゃんとコーヒーの味が
したし、次の日の食事も普段と変わりなく美味しかった。しかし
煙草は空気のように味を失い、そしてなぜか胃が痛んだ。
-----
僕は、痩せつつある。


62名無しさん:02/08/30 08:05
私も>>47と同様に、>>37の方が好き。
>>20は、悲しみから抜け出す希望が見えない。
その>>20を愛する女が>>23か?
春樹風、春樹風でないを別にしてってことだけど。
>>47には、希望が見えてて良いし、これなら>>23も泣かないと思う。







63名無しさん:02/08/30 08:34
僕のサークルの憧れの先輩が骨折で入院しているので
こっそり一人で病室へ見舞いに行った時のことです。
先輩はノンケだし、僕もノンケのふりをしていたのですが、
それとなく先輩に欲求たまりませんか?と聞いてみたところ、
先輩はたまりまくってるとの事でした。
で、僕が冗談っぽくしごいてあげましょうか?って言ったら
マジで?って喜んでパンツ下ろしてきたのでビックリ。
僕は自分の勃起したチンポを先輩に悟られないように
手でしごいてあげて、先輩のチンポが元気になってきたら
口でくわえてあげました。ちょっと臭いがきつかったけど
大好きな先輩のチンポなんで喜んでしゃぶってあげました。
逝きそうになったら、先輩はものすごい声をあげて
僕の口の中ではててしまいました。先輩のザーメンおいしかった。
それ以来、僕は毎日人気の少ない時間帯に先輩の見舞いに行ってます。
退院しても関係はこのまま続けてほしいと思ってますけど。
でも、今の僕はただ先輩の欲求のはけ口ばだけなんで寂しいです
64名無しさん:02/08/30 09:01
@@@@四か月振りに会った彼は、前と何も変わった様子も無く、私の胸やら足やらを実に楽しそうに触った。彼とビールを二杯程飲んだ後、車は何のためらいも無くホテルへと向かった。やれやれ、と私は思った。彼はSexの事しか頭に無いのだ。歩く生殖器と呼んでもいいだろう
65名無しさん:02/08/30 09:01
@@@@四か月振りに会った彼は、前と何も変わった様子も無く、私の胸やら足やらを実に楽しそうに触った。彼とビールを二杯程飲んだ後、車は何のためらいも無くホテルへと向かった。やれやれ、と私は思った。彼はSexの事しか頭に無いのだ。歩く生殖器と呼んでもいいだろう
66名無しさん:02/08/30 09:20
このスレおもしろい!
みんなすごーい!
がんばれー!
みんなのファンになるよ
67名無しさん:02/08/30 15:57
あdfが
68名無しさん:02/08/30 16:04
rエアエr
69名無しさん:02/08/30 17:09
65です。続き@@何かがおかしい。私と彼は四か月前に終わったはずなのだ。彼は私の服を豪快に脱がし、そして事が終わるとすぐに寝てしまった。寝顔を見ながら、昔の気持ちが蘇るのを感じた しかし彼とは完璧に、非常に、完全に終わってしまっている事実が胸にのしかかった
70名無しさん:02/08/30 17:14
↑春樹じゃないですね。ただの私のズルズル日記でした。今更になって春樹との性別の違いに気付く
71名無しさん:02/08/30 17:21
家には三毛猫がいる
もうずうっと一緒にいるので空気のようにいるのが当たり前の存在だ
毎日決まった場所にいて食事のたびに寄って来ては食べ物をねだる
うるさいと思いつつも食べ物をあげるのだ
この前ワクチン注射をしに獣医の所へ連れていった
その次の日猫は食べ物をねだりに来なかった
心配になって探して見ると普段と少し位置にいてだるそうにしていた
抱いて見るとどうやら熱っぽい
頭をなでてやるとヨワヨワしくニャアと泣いた
72ペグ ◆PEG/LR0o :02/08/30 17:29
>>65
女の一人称でやるときは、登場人物の誰か(レイコさんとか)になりきるのがいいYO!


↓例:
四ヶ月ぶりに彼と会ったの。
彼は前と何も変わった様子もなく、私の胸や足や性器を楽しそうに触ってきたの。
実に楽しそうに。
そのあと、いっしょにビールを飲んだわ。二杯ほどだったかしら。
そして彼の運転する車は、何のためらいもなくホテルへと向かったのよ。
私は思ったわ、彼はきっとSEXのことしか頭にないんだろうって。
この人は歩く生殖器なんじゃないかって、そんなことまで考えたわ。
でもね、そのとき私は、何かがおかしいと気づいたの。
だって、私と彼とは四ヶ月前に終わったはずなんだもの。
四ヶ月も前によ? 信じられる?
彼は私の服を豪快に脱がし、そして事が終わるとすぐに寝てしまったわ。
そんな私の気持ちになどおかまいないようにね。
それでも私は、昔の気持ちがよみがえるのを感じたわ。
彼の寝顔を見ながらね。
でもやっぱり私は思ったの、彼とはもう完璧に終わってしまったんだって。
1 0 0 パ ー セ ン ト 完 璧 に よ 。
73名無しさん:02/08/30 17:40
>72 わ〜嬉しいけど何だかとても恥ずかしい!(w
741:02/08/30 17:50
彼と私には、3ヶ月の時間しかなかった。だけど、これだけは言える。
3ヶ月は、たった、とか、ほんの、とかで飾られる期間ではなかったってことを。
私は、もう3ヶ月を、100回以上も足したと同じ期間を生きてきてるけど、
あの3ヶ月は、どの3ヶ月で経験したよりも、
眩しくて強烈でどきどきした日々だった。
もう会えないなんて。
あんなに毎日会って、あなたの笑い方も、あなたの歩き方も、
あなたの視線を逸らさない強い瞳も、
いつか私のものになるかもしれないと思ったこともあった。
あなたの夢を聞いたとき、感動して泣きたかったけど、
ただ、冷静に頷いただけだった。
あなたの前では冷静がいつも私の邪魔をして、
あなたのいないところでは、想いの強さに苦しめられる。
そんな3ヶ月だった。
今、あなたは私の前から、完全に消え去ってしまった。
今日、考えてる。
あなたは、私にとって、なんだったのかって。
昨日までは、私は、あなたにとって、なんだったのかって、考えてた。
ねえ、あなたのことを考えると、今は、つらい。つらすぎて、苦しい。
でもね、あの3ヶ月は消せない。消したくない。
あなたは、私にとって、なんだったのか、わからない。
あの3ヶ月もなんだったのかも。
でも、あなたのことも、3ヶ月の期間も、消せないし、消したくない。
今は、つらいけど。いつか、思い出はキラキラ光りだす予感がする。
75名無しさん:02/08/30 18:02
>74
え、春樹じゃない。。。
ていうかあなた本当に1なの?
76名無しさん:02/08/30 18:41
仕事を片付けてから、僕は今から行っていいかと彼女に電話をかけた。
彼女はひどく混乱していた。
「なんで今から来ないといけないの?」
「なんでだって?」と僕は言った。
「僕が君の家を訪ねるのに理由なんかいるのか」
僕は激昂した。そしてそれに反比例して彼女はますます冷静になっていった。
「あなた今どこにいるの?」

僕は今どこにいるのだ?
77名無しさん:02/08/30 20:05
彼女と付き合い始めた頃のことを思い出していた。
僕はその頃ひどく怯えていた。まるで拾われた猫のようにだ。
そんな僕の心を知ってか知らずか、
彼女はゆっくりと温かい心で
僕の心を溶かしてくれたのだ。
「ずっとそばにいるよ」と彼女は僕に、何度も何度も言った。
その度に、僕はうれしそうに頷きながら、彼女の目を見つめて微笑んだ。
言葉にはなんの根拠もないことなど、僕はとうの昔に知っていたはずなのに。
それでも、僕らはこんな風にいつまでも一緒に過ごすのだろうと
なんの疑いもなく、そう思っていた。
本当にそう思っていたんだ。
彼女が僕に別れを告げた時、彼女には新しい恋人がいるとわかった。
彼女が僕だけでは満足できないことも、僕では彼女を満たしてあげられないことも
そんなことはわかりきっていたことだ。
彼女が静かに扉を閉めた。
僕は彼女に聞こえないとわかっていても、彼女に向かって呟いた。
「それでも僕は君を愛していたよ」
その時、拾って下さいと書かれたダンボールの中の猫が
にゃーと悲しそうに鳴いていた。
78名無しさん:02/08/30 21:21
1年前に、衝撃の別れを経験した。
それは、とてつもなく大きな悲しみで、確実に、風呂桶1杯分以上の涙を流し、
頭の先から足の指の爪まで、失恋している自分を感じた。
私にとって、天地は、本当にひっくり返ったのであった。

そして、1年かけて、ゆっくりと、天地が元に戻った。
ふと、また、簡単に人を好きになりそうな気がしてきた。
そして次の瞬間、その行方の限りなく不確かな、世間一般で言う、
「気持ち」というものの無常さを恐れた。


って、春樹風に考え事していたら、少し、冷静になれそうだ。
けど、なんか、クールに保たないと、春樹にならないので、無理でした。ゴメン
79名無しさん:02/08/30 21:26
今日、春樹の話を職場でしたけど、このスレのことは、絶対言いませんでした。(ワラ
80ペグ ◆PEG/LR0o :02/08/30 21:31
>>75
ちがーよ。オイラ書き込むときはいつもコテハンだあ。
81名無しさん:02/08/30 23:22
「私が間違ってたと思う?」彼女がそう訊ねた。
僕はビールを一口飲み、ゆっくりと首を振った。
「はっきり言ってみんな間違ってるのさ。」
「何故そう思うの?」
「うーん。」僕はそう唸ってから上唇を舌でなめた。答えなど無かった。
「私は頭が割れるくらい一生懸命に二人のことを考えたのよ。とても苦しくて
死ぬかと思ったわ。それでね、何度も何度もこんな風に考えたわ。
私が間違っててあなたが正しいのかもしれないって。私がこんなに苦しんでいるのに
何故あなたは何もせずに2段ベットの上にじっと座っているんだろうってね。」
 彼女はそう言うと軽く笑って、しばらく憂鬱そうに目の縁を押さえた。
僕はモジモジしながらあてもなくポケットを探った。三年振りに無性に
煙草が吸いたかった。
「僕が死ねばいいと思った?」
「少しね。」
「本当に少し?」
「…忘れたわ。」
 二人はしばらく黙った。僕はまた何かをしゃべらなければならないような気がした。
「ねえ、夏厨は絶対に戻ってくる。」
「誰の言葉?」
「アクトン卿。」
8248=81 ◆SSSSaaas :02/08/30 23:33
「何もかも終わったんだな」と僕は言った。「何もかも終わった」
「終わったわ」と彼女は言った。
「きっと君に感謝しなくちゃいけないんだろうな」
「私ははいろんなものを失ったわ」
「いや」と僕は首を振った。「君はまだ二十歳になったばかりじゃないか」
「そうね」と彼女は言った。
 僕が駅に向かって歩きはじめたとき、彼女はベンチにうつぶせになって
声を殺して泣いていた。彼女は、これからの僕が背負うべき罪について
嘆いていたのだ。しかしそれが正しいことなのかどうか、僕には最後までわからなかった。
83名無しさん:02/08/30 23:35
山田詠美バージョンは?
コックとかサックとかふんだんに使わないとね(w
84:02/08/31 00:07
「ねぇ、キスしてもいい?」
彼女は焼きたてのトーストを目の前にした僕にベットからうつろな瞳を向けた。
いつもの朝の風景。でも彼女の表情はいつものそれと違っていた。
部屋はさっき僕が豆をきっかり60粒入れたコーヒーの香りに包まれ、
彼女は泣きそうな猫のように僕を見つめている。
僕は彼女の傍により、少し硬い彼女の髪を撫で、
熟れた桃のように柔らく少しふっくらしている頬に触れ、優しくキスをした。
「私の二十歳の誕生日に品川の水族館へ連れて行って欲しいの。」
彼女と外でデートしたことは一度もなかった。
彼女は僕の教え子だったし、僕には親公認の恋人が外国にいる。
そう、ただの一度も。僕は彼女と外に出なかった。
「仕事がなかったら。」
僕はそう答えた。
「私の誕生日だけ世界中の仕事がなくなったらいいのに。」
そういって背を向け、静寂をかすかに崩す寝息をたて、彼女は再び眠りについた。
鍵をポストに入れるように書いたメモの上に乗せ、僕はいつもどおり家を出た。

家に帰った僕はつたない字で書いた彼女の手紙を見つけた。
「二ヶ月間もあなたと一緒に過ごせて幸せだったわ。」
なんでもないルーズリーフに書かれた薄い文字は僕を混乱させた。
そう、想像以上にひどく僕を混乱させた。
そして彼女は僕の前からすっかり消えてしまった。
僕はいつも、手に入れたかったものを気づかず無くしてしまう。あぁ、いつもだ。教室の彼女の空席は、僕の心にも空席を与えた。


ん、結構難しいですね。w
しかも長くなりました。スマソ











85:02/08/31 00:11
>>83
山田詠美バージョンいいですねー。
過激になりそうな気も。w
86名無しさん:02/08/31 00:46
87名無しさん:02/08/31 00:46
良スレの予感
88名無しさん:02/08/31 01:15
皆さんどれが好みですか?
僕には才能がないので、これからも頑張ってください!
あげさせていただきます。
89エイミーヴァージョン:02/08/31 03:22
スタンはベッドの上でリングを弄んでいる。
彼のどの指にも嵌らない小さな輪っかをいつまでも弄んでいる。
宙をさまよっていた彼の目は、忌々しそうにリングの内側を向けた。
to my baby Giko
筆記体で刻み込まれたその文字は、彼を悲しくさせる。
陽の目を見ることのない自分の心みたいだ、とスタンは思う。
彼女がドアを開けたとき、大きく開いた女の脚のつけ根に僕の頭があった。
ベイビーは僕を憎んでる。お笑い種だ、あんなところを見られるなんて。

ギコのキスを思い出す。別の生き物のように、ねっとりと絡まる彼女の舌。
彼女の中にいる時は、いつだって幸福だった。彼女のジュースが途切れる事はなかった。
「ベイビー私の名前を呼んで。誰とファックしているのか言って頂戴」
自然と勃ちあがるディックはスタンを困惑させる。
「オーケースタン、女には2種類いるの。浮気を許せる女とそうでない女」
「僕の心は君だけが持ってる」
「もうあんたには、愛をあげない」
僕のチョコレートバーは、もう食べたくないの?
心と体は別のものだと思ってたのに。
スタンは泣いた。
90名無しさん:02/08/31 03:46
やれやれ、私にはこのスレはまだ早すぎるようだ
もっと大人になってから来よう
その時にはまた今より綺麗な失恋をしていたい
91名無しさん:02/08/31 04:29
きっかけが何かということはあまり重要では無かった。
僕達にはーー僕には?ーー運が無かったとしかいいようがない。
92名無しさん:02/08/31 07:33
スバラシイすれです。
アゲます。
93:02/08/31 11:30
失恋を小説風にかくと、何か冷静になりますね。
94町田康:02/08/31 14:15
なんだ、コラ。俺の北海道土産、手元にあるじゃねえか。
わかってるよ。いらねんだろ。ロマンチストの俺が気持ち悪いんだろ。わかってるよ。
俺のこと好きじゃねえのわかったよ。でもなんだお前の好きな奴。俺の中学からの友達じゃねえか。
馬鹿かお前。俺か、馬鹿は。みんな知ってたんだろ。俺か、馬鹿は。
お前と噂になるのが嬉しかったんだよ。何も知らないで。俺だ、馬鹿は。
お前の好きな奴、お前の好きな相手、俺の中学からの友達から聞いたよ。
憤ったよ。馬鹿みたいじゃねえか、お前。馬鹿みたいじゃねえか、俺。
でもお前、大丈夫か。そんなの哀しくねえか。
心配する、俺。そんな俺を愛する、俺。
95名無しさん:02/08/31 15:43
>>53 なんか、いいです。にじみ出てます。
>>20 の時は、相手の女の子の立場を考えてしまって、悲しくなってしまったけど、
 これはいいです。(って、個人的感情でスマソ)
>>48 さんも、なかなか作風に個性が出てきてますね。
   もっともっと、書いてください。
>>61 >>82 イイです。
>>88 あなたも、作ってみては?!
>>91 気に入りました。

 私も、いくつか書き込んで見ましたが、村上春樹風には、男性の方が、やはりなるようです。
でも、
>>23 や、>>36 は、女性でありながら、春樹チックで、いいです。
96名無しさん:02/08/31 22:39
「やっぱり、誰のことも愛せないよ。君のこともね。」
私がフォークだけでぺペロンチーノと悪戦苦闘しているとき、
彼は、ギャルソンにエスプレッソを注文するついでに、つぶやいた。
私は、彼を愛してはいなかった。彼が私のことを愛せないという以上に。
だから、私は何のとまどいもなく、やっとフォークに巻きつけたパスタを誇らしげに口にほおばりばがら、
「じゃ。別れましょ。」と答えた。
ほどなくして、エスプレッソが2つ運ばれてきた。
エスプレッソは、砂糖無しで一気に飲むのが私と彼の飲み方。
にもかかわらず、私は、無償に砂糖を入れてみたい欲望にかられ、
小さなカップに2つも砂糖をいれて、銀製の小さなスプーンで何度も何度もかきまぜた。
ぺペロンチーノが、辛かったからだろうか?不思議なこともあるものだ。
私が砂糖を入れるなんて。
いつものように、二人がエスプレッソを飲み終えると私は先に席を立ち勘定をすませた。
「じゃあね。」と私達キスをし、まるで昨日と変わらない挨拶をして別れた。

部屋に帰った私は、他の女達のように、かつての恋人を想い泣いてみようと思った。
そうすれば、誰かを愛していたという既成事実ができるかもしれない。
何のことはない。たった3ヶ月だ。
出逢った頃に着ていた服は未だに活用しているし、最初に見に行った映画も未だ上映している。
こんな短い期間に、誰かを愛していたことにしようだなんて、
そもそもバカバカしすぎる。おかしくて声を出して笑ってしまった。
笑いこそすれ、涙なんて出ようはずもないのだ。

深夜、体の中のどこかよく解からない奥の方の鈍い痛みに、目がさめた。
鎮痛剤を飲んでも、アルコールを飲んでも、その痛みが消えることはなかった。
どうやら、私は生まれて初めての痛みを経験しているようだ。

う〜ん。やっぱり、女で書くの難しいですねえ。
春樹っぽくないので、さげ。


97名無しさん:02/08/31 22:49
 
98名無しさん:02/08/31 22:57
誰かもっとおもしろいの書いて
99名無しさん:02/08/31 23:17
>>98
お前が書け!!
100名無しさん:02/08/31 23:18
100げt
10148 ◆SSSSaaas :02/08/31 23:19
面白いかどうかはわかりませんが(汗

僕は彼女の向かいの椅子に腰を下ろし、コーヒーを飲みながら
昔の連中の話をした。
彼らの多くは大学を卒業してずいぶん経っていた。
一人は自殺し、一人は行方をくらませていた。そんな話だ。
「一年間何をしてたの?」と彼女は僕に訊ねた。
「いろいろさ」と僕は言った。
「少しは賢くなったの?」
「少しはね」
彼女はあまり興味のなさそうな目で僕を見ると、やがてあくびをしながら
ベットに入ってしまった。
僕は一人で<夏厨と冬厨は止揚としてイコールが成立するか>
という難問に取り組んだが、結局のところ答えは出なかった。
わかったのは、9月に入ると夏厨がいなくなるということだけだ。
僕は少しも賢くなっていなかった。

ベッドの中で彼女の髪を指先でいじりながら、ずっと別れたガール・フレンドの
ことを考えていた。
 僕の思い出す彼女はいつもチェックのワンピースを着ていた。彼女の周りには
冷たい木枯らしが吹き荒れ、僕は分厚いセーターを着込んでいた。
後ろに見える町並みは濃い鉛色で、無数の街灯は街の物悲しさを感じさせた。
しかしなぜか彼女だけは真夏のワンピースを着ているのだ。
<寒くないの?>僕は聞いた。答えはなく、氷のように冷たい木枯らしが
僕の言葉をかき消していった。

「何を考えているの?」横でうつぶせになっていた彼女が訊ねた。
「ネオ麦のこと」と僕は言った。

102名無しさん:02/08/31 23:20
>>101
まあまあいいよ
誰かもっとおもろいの書いて
103名無しさん:02/08/31 23:36
参考は風の歌を聴けです。

彼は頭のよさそうな綺麗な目をしていた。コンサート・ピアニストが
意識を集中するときのように、キーボードに向かいプログラムを
組んでいた。人がすっかり帰ってしまった午前1時のオフィスは、
墓場のように静かだった。私はダウンライトの下の彼の横顔の
輪郭をなぞるように見つけていた。
「セックスフレンドだよ。それ以上でもなく、それ以下でもなく」
「信じられないわ」
「信じるしかないさ」彼はそう言った。そして嫌な顔をして私に
背を向けた。

彼が消えた後も、私の心は行き場を見出せないまま、乱れたコードの
ようにスクリーンをさまよっていた。
10448 ◆SSSSaaas :02/09/01 11:46
みんなうまいですね…
下がっているのであげておきます。
105名無しさん:02/09/01 15:37
age
106にゃん?・・・:02/09/01 15:47
107名無しさん:02/09/02 00:16

108名無しさん:02/09/02 00:54
「泣きたいの。」
彼女はバスルームに蹲って排水溝を眺めながら僕にそう呟いた。
「泣けばいいさ、ここには僕しかいないんだ。」
「あなたがいるから泣けないのよ、」
僕は彼女に一つ秘密を持っていた。
それ以上でもそれ以下でもなく、秘密は一つだったけど。
109名無しさん:02/09/02 01:45
◆SSSSaaasは春樹独特の筆致に、個性が出ててよいね。
みんなもうまい!
もっとかいて!!
110名無しさん:02/09/02 01:52
109に同意。
111名無しさん:02/09/02 02:16
上におなじ。
>>96女でも春樹っぽくっていい!!
112名無しさん:02/09/02 07:10
誰か早く次のネタ書けって
おもろいの頼むね
113名無しさん:02/09/02 07:15
面白いの書く自信無いし、この場はヒソーリ期待あげ
114名無しさん:02/09/02 07:49
age

115名無しさん:02/09/02 10:16
>>112
「おもろいの〜」って書くと、自信無い人が書けなくなるからやめようよ…

ヒソーリ期待sage
116ペグ ◆PEG/LR0o :02/09/02 11:29
目が覚めると昼近い時間だった。
僕は立ち上がって体を伸ばし、深呼吸をした。頭がズキズキし、体の端々が悲鳴をあげた。
なかなかにひどい二日酔いだった。
沈没しかけたタイタニック号の乗客たちに襲いかかった船酔いよりも、
おそらくもっともっとひどい酔いだった。
口の中の苦い匂いを消そうと、僕はグラスに残った水を飲んだ。

不思議なことだ。何年も何年も僕は一人で生きてきた。
結構上手くやってきたつもりだった。
僕は自分自身の生活について、ある種の完璧さをうち立てようとしてきたし、
実際それはうまく行っていたと思う。
いつからだろう、彼女なしには、自分が生きているという実感を
得られなくなってしまったのは。まるで思い出せなかった。
そこだけすっぽり記憶が抜け落ちてしまったみたいに。
確実なのは、僕らの関係が、僕が彼女にもたれかかり、彼女が僕にもたれかかる、
その危ういバランスによって、かろうじて成り立っていたものだったという事実だけだった。
どうやら一般的に、そういう関係のあり方を「依存」と呼ぶらしい。
しかし一般的な言葉の用法など、いまの僕にはどうでもよいことだった。
とにかく彼女は僕の元を去り、僕は生きている実感を失った。
オーケー。真実はいたってシンプルだ。
そして真実は、それがシンプルであればあるほど明晰さに近づく。
やれやれ、僕はいつもこういうことに気づくのにひどく時間がかかる。
そしてようやく気づいた頃には、何かが決定的に失われてしまっている。
「決定的に」僕はそう口に出してつぶやいた。
117名無しさん:02/09/02 13:00
ペグタン、うまいなあ。
118名無しさん:02/09/02 17:38
誰か村上龍でやってくれないかなー
119名無しさん:02/09/02 18:50
このスレ、最高ですね。
失恋のショックが少しだけ吹き飛びました。

120名無しさん:02/09/02 19:37
龍嫌い。
sage
121名無しさん:02/09/02 19:54
春樹嫌い
sageeeeeee
122ペグ ◆PEG/LR0o :02/09/02 20:07
春樹に限らず、作家批評は文学板でやってほすぃです
おながいします。
123名無しさん:02/09/02 22:38
私は、客観性を信じない。
何故なら、全ての推測、判断に主観が混在していないということなんて、ありえないからだ。

「彼を、自分の もの に しようなんて、とても思わない。
 ああ、彼は、決してわたしの もの にはならない。 
 私を愛してくれていても。」
 
愛情たっぷりの、そんな感情を抱いているという自分を自覚していたが、
それも、分からなくなった。

ただ、一つ言える事は、
まるで主観的にも、客観的にも、
楽観的にも、悲観的にも、
所謂、どう考えても、言える事とは、
 
 全て終わったということだけだ。

 思い出は絶望に満ちている。

 だから、未来にしか、希望を持つことができない。
124名無しさん:02/09/02 22:39
↑長すぎ
125123:02/09/02 22:42
>>124
スマソ
126名無しさん:02/09/02 23:01
僕が大学4年に上がったときに彼女と会った。
彼女は誰とでも寝る女の子だった。
誰かに彼女のことを説明するとき、「彼女は誰とでも寝る女の子だったよ」と
説明する。
彼女は本当に、そういう女の子だったのだ。
時々メガネを神経質そうにハンカチで押さえて、風に途切れそうな小さな声で
話をする。彼女と話をしていると、僕は戦時中の砲火の中で必死で耳をすましているような
気になった。

初めて彼女と寝た次の日、落ち葉の舞う中で彼女が言った。
「ねえ。あなたも私のことを誰とでも寝る女の子だと思っているの?」
「そんなことないよ」僕は嘘をついた。
「いいのよ」彼女はハンカチで眼鏡を押さえながら言った。「でもね、時々こわくてたまらなくなるの。
何か白くて小さいものに、自分がどんどん吸い込まれているようなそんな気持ちを
いつもあるの。ひゅうううう、と吸い込まれて、自分がいなくなっちゃうよな。
そこには誰も、誰もいないの。ねえ、あなたはそんな気持ちになることがない?」
「ないよ」僕は短く答えた。
大学はもう人も少なくて、僕らは枯葉を踏みしめながらひたすら歩いた。


むずかC−
127名無しさん:02/09/02 23:05
評価はC−以下ですが何か?
128名無しさん:02/09/02 23:17
携帯に1件だけ残していた彼の伝言を何度か聞いてから、
これまでもらったメールと一緒に、削除した。
私の好きだった彼の低い声や、屈託のない笑顔や、2人で歩いた街の風景や、
そんなものを思い出しながら、新しいワインの栓をあけて、タバコに火をつけた。
彼の告げた当たり障りのない理由に納得できずに、自分で理由をいくつも考えてみたけれど、
どれもが正しくて、どれもが間違ってるような気がした。
わかってるのは、もう2度と彼とは会えないということだけだった。

「幸せになれよ。」
「あなたもね。」
「さよなら」
「さよなら」

次の朝、台風が去った9月の空は、絵の具を塗りたくったようなセルリアンブルーだった。
129名無しさん:02/09/02 23:27
>>126>>127
そんなに悪くないと思うけど、失恋話なのか、ただ村上春樹を模倣した文章を
書きたかっただけなのかがよくわからないです。
>>128
女性なのに春樹風だyo〜見事。
130ペグ ◆PEG/LR0o :02/09/03 01:56
たかだか130ぐらいのキリ番を取ることにどんな意味があるのか、僕にはよく分からなかった。
だからついでに、僕はちょっとしたいたずら心でメール欄に「age」と入れてみる。
ふむ、自分の大好きなスレッドが一番上に来ているのを眺めるのもなかなか悪くない。
131名無しさん:02/09/03 04:54
 ジェイは相変わらずじゃが芋をむいていた。ジェイズ・バーの窓から見える山は
新緑が初夏の陽射しを浴びて輝いていた。しかし僕の気分はこの景色とはかけ離れ
ていた。僕は開店前のカウンターに座ってビールを飲んでいた。ピーナツの殻を割
るとぱりっという気持ちの良い音がした。
「そんな風に気持良く割れるピーナツを仕入れるのも大変なんだよ」とジェイは言
った。
「へぇ」と僕はピーナツをかじりながら言った。
「ところで彼女はどうしたんだい?」
「振られたんだ」
「振られた?」
「話すと長くなる」
 ジェイはじゃが芋を全部むき終えると大きなざるで洗い、水を切った。「それで
これからどうするの?」
「わからないよ。僕を振った彼女にはもう新しい恋人ができている。僕が振られて
すぐの話さ」
「よくある話だけど、どことなくうさん臭そうだね」
「実にそのとおりさ」
「でも話すと長くなるんだろう?」
 僕は笑った。実にそのとおりだった。
132名無しさん:02/09/03 09:17
『得なければ、失うことも無い』
僕は今までそう思ってきたし、実際そうだと思っていた。
でもそれは、あくまで僕がそうあるべきだと考えた結果、半ば自己催眠的にそう思い込んだだけのことだった。
何も得なくても、確実に何かは失われていく。
使いもしないクレジット・カードの会員費のように。

『得なければ、失うことも無い』
手ひどい失恋をしたあと、僕は決まってその言葉を呟いた。
『得なければ、失うことも無い』
でも僕は、車を回すシマリスのように失敗を繰り返した。出会い、愛し、そして別れ・・・すべて同じ失敗を繰り返したように見えたが、それは正確ではない。
ちょうどらせん階段を下りるように、一周して戻ったように見えても、そこははじめの場所とは違う別のどこかなのだ。
そういう意味では、僕はシマリス以下なのかも知れない。

133名無しさん:02/09/03 13:13
シマリス以下、、、
いーですね。皆さんの微妙な表現に感激しますわ。
134名無しさん:02/09/03 16:03
別れ話を昨夜したのが嘘のような、いつもとなんら変わりのない朝だった。
我々はテーブルに向かいあい、いつものように用意した簡単な朝食並べた。
キャベツのサラダ。トロリと柔らかに仕上たオムレツ。
ボイルしたウィンナ―・ソーセージとさっと炒めて塩コショウ
しただけのマッシュルーム。
食パンをトースターで焼き、コーヒーを入れ、いつものようにゆっくりと食べた。
「このオムレツ、とても美味しいね。」
「そう?バターを最後に一欠けら落とすのがコツなのよ。
 けどあなたの 作るオムレツの方がずっと美味しいわ。
 サラダはどう?ピーマンが入ってるけど。」
「うん、悪くないね。」
悪くない。ピーマンは苦手だけれどこれは食べれない事もない。ドレッシングが良いのだ。
彼女は私の返事を聞くと満足げに頷いた。
それから黙々と食事を続け食後のコーヒーを2杯ずつ飲んだ。
途中、何度か彼女はふと目を伏せて鼻をすすったり、台所に行き(何をするわけでもなく)
流しで水を流したりした。
そんな彼女をみて私も少し悲しくなった。時計は9時を回った所だった。
「もう行くよ」と声を掛けて私は靴を履いた。
別れ際、もうおそらく訪れる事のない、ワンルームの部屋をもう一度振り返った。
彼女はひどく疲れた顔で私を見上げた。それは今まで私が見たことのない女の顔だった。
「ねえ、これから先、うまくいくといいいわね。」
「お互いにね。大丈夫、きっとうまくいくよ。」
「お互いにね。」彼女は少し笑いながら、言った。



難しいよーー!!
なんか失敗しました。全然春樹じゃないよーー
135名無しさん:02/09/03 16:05
しかも長いし・・・。スマソ。
逝ってきます。
136ちゃぼ:02/09/03 16:05
文才ないよ!あんたら
137名無しさん:02/09/03 17:25
>135
わるくないよー。
自分は好きだな。
138名無しさん:02/09/03 17:27
>>136
(・∀・)カエレ!
139132:02/09/03 17:39
長らくROMしていたのですが、
今日初めて2ちゃんに書き込みました。

それがここ失恋板(TДT)
140名無しさん:02/09/03 19:27
これをきっかけにはまってくださいな。
てか、123かなりよかった。
141名無しさん:02/09/03 19:44
あ、132ってうったつもりが。。。。あほちん。。。
142名無しさん:02/09/03 21:25
>>139
よしよし。泣きたい時は大いに泣くといいよ。
ここの人たちはみんな味方さ。
143名無しさん:02/09/05 10:02
さがりすぎ
144名無しさん:02/09/06 23:37
あげ
145名無しさん:02/09/09 03:11
「どうしようもないことって世の中にはあると思うの。」
彼はさっきからピザを食べるのに悪戦苦闘中だった。
「僕たちのこと?」
おもむろに上げた彼の手から離れたピザの赤のソースが私の白いシャツを染めた。
もう私は何も言いたくないのに、
彼の瞳は、濁っていない白黒はっきりつける確信の言葉を待っているみたいに思えた。

体だけの関係も、もう終わらせたかった。
彼女になれる見込みがないのなら。
「シリウスとシマリスくらい私たちは違うのよ。」
彼は笑った。
「そのたとえはないと思う。。。」
そしてまだ、私は別れられずにいる。
146ピル:02/09/09 03:13
好きだから
好きといえる
単純な恋が
してみたい
147132:02/09/09 14:02
男女間の友情は成り立つのだろうか?
SF作家のワルター・S・クレイフィッシュは、そんなものは存在しないと切り捨てている。
彼の著書の中でもその傾向は垣間見えるし、彼自身、私生活では女性という存在に対して懐疑的だったという。
僕はそんな彼の影響を受けながらも、それでも友情は存在し得るものだと信じて生きてきた。
だから彼女が友達でいたいと言った時にもその申し出を快諾したし、より良き友でいるべく努力もしてきた。
でも、そんな僕の努力は、彼女の一言によって脆くも崩れることとなる。

「貴方が好き」

僕がキャベツを刻む背中に頬を当てて、彼女はそう言った。
その時僕は失恋したてで、自身の恋愛に関することは考えたくなかったし、そもそもその時彼女の部屋にお邪魔していたのは、彼女とその恋人に関するトラブルの相談に呼ばれたからである。
さらに、その場には彼女の無二の親友も同席しており、僕は瞬時に状況が仕組まれたものであることを察知していた。
148132:02/09/09 14:03
147の続き

「わたしと付き合ってくれる?」
「……悪いけど、僕は君とは付き合えない」
「どうして?」
はっきり言って、僕の置かれた社会的位置からすれば、彼女の申し出を受けるのが一番得策だったのかもしれない。
彼女はとびきりの美人だったし、歌もうまく社交的で……キャベツの千切りが下手だという点を除けば……ほぼパーフェクトに近い評価を得られる女性だった。
一方僕はといえば、冴えない顔をしたごく普通のサラリーマンで、しかも肥満と運動音痴というマイナス面を抱えた男だった。
惚れることはあっても惚れられることはないと自覚している、謙虚さと言う名前の諦念を抱えて生きている男だった。
「わたしのこと嫌い?」
「嫌いじゃないよ」
「じゃあいいじゃない」
「よくないよ」
「何がよくないの?」
僕は、突然放り込まれたこの状況に混乱していた。彼女が僕に交際を迫るなんて、まるでちゃちなドラマのようにも思えた。バブル経済の頃にテレビ局が競って放送していた、あのうすっぺらいドラマたちのように。
「嫌いじゃない、というのは、イコール好きということじゃない」
「よく分からないわ」
「僕は」キャベツを刻む手を休めて僕は続けた。「僕は君を友達だと思ってきた。だから、突然そんなことを言われても困るだけだよ」
「じゃあ、これから女性として見てくれればいい」
「そういうわけにはいかない」
僕は手についたキャベツのくずを見ながらため息をついた。
「今僕は失恋したばかりでそういうことを考えられる状況に無いし、そもそもここに来たのだって、君と君の彼氏との間を取り持つつもりで」
「そのことならもういいの」
彼女は僕を制するように言った。
「もういいの」
「よくない」
僕は口の中が乾いていくのを感じていた。どうしてこうなるんだ……



あとはまたそのうち、落ち着いたら書きます。鬱だ……
149名無しさん:02/09/09 22:25
お疲れ様デス
150名無しさん:02/09/09 22:34
完璧な失恋などと言ったものは存在しない。完璧な絶望が存在しないようにね。
151名無しさん:02/09/09 23:04
救いがない恋愛もあるわ。私とちょうど一回り上だった彼の恋のようにね。
別れてしばらく経つのにまだ忘れられないしし、憎むことすら出来ない。
きっと失恋が肯定した瞬間、
私の場合は彼が住んでたアパートから道化師のように消えた時、
確かにその瞬間は完璧な絶望が襲ってきたわ。どうしようもない、ね。


女性版はむずかし
152名無しさん:02/09/09 23:14
>>151
そうですよね。
私もいくつか書いたんですけど、、
なかなか、春樹風には。
153修行中 ◆/vDwkOqE :02/09/10 23:51
ある女性に失恋した後、僕はすべての感情から自由になりたいと思った。
僕と彼女は毎日のように顔を合わせる環境にいたので、
彼女の姿が目に入るたびに、僕の感情は微妙な振幅を起こした。
彼女という存在に反応する自分を嫌い、自分と感情を切りはなすことを真剣に望んでいた。
スイッチOFF・・・ぱちん。これで完璧だ。
スイッチを切った僕は、暖かい夕陽に照らされる草原のように平和な存在になれるに違いない。

僕はそのために時間があると村上春樹を読みふけった。
そして、作中の登場人物のように行動しようと努めた。
ちょっと嫌なことがあったときは心の中で、
「ふう」「やれやれ」・・そんな感じだ。
強い怒りや哀しみが雪崩のように襲ってきた時は、
防空壕で身を屈める兵士のように自分を抑えつけて、衝動という名の嵐をやりすごした。

そうやっていくばくかの時間を過ごしたのち、
僕は感情の振幅をかなりのところまで制御できる人間になった。
それは自分自身でもちょっとした驚きだった。
人間というのは訓練することでたいていのことはできるようになるものらしい。
そんな僕の姿を見て、「思慮深くなった」「大人っぽくなった」と言う人もいた。
魅力的になった、というような内容のことを口にする人さえいた。
石を投げ込んでもなんの反応もない底知れない井戸を魅力的というならば、
そんな人間にもなんらかの魅力があるのかもしれない。
154名無しさん:02/09/11 00:28
あの時から、私は自分の感情がなくなってしまった。
ピアニストが楽譜を前にピアノを弾けなくなってしまったかのごとく、
かつて、どんな風だったのかすら、思い出すことすら出来ないのだ。
私は、声をあげて泣いていたのだろうか。
仮に、私が感情を剥き出しに泣き叫んでいた夜のビデオテープがあったとしても、
今の私には、それを解読することすらできない。
感情というものが、全くないのだ。



・・・・なんか、違う。ごめんなさい。
155名無しさん:02/09/11 01:02
>>153
(・∀・)イイ!!
156名無しさん:02/09/11 08:53
「ねえ、私、やっぱり一人の方が楽みたい。別れましょう。」
彼女は電話でそう僕に言った。
僕は正直言って彼女と別れたくはなかったけれど、
言うべき言葉が見つからなかったので黙っていた。
「それがいやなのよ!分かる?あなたはいつもそう。
そうやって自分の殻に閉じこもって、言いたいことも
私に言わない。そのことで私がどれくらい傷ついているのか
わからないでしょう?あなたと話をしていると私ひどく疲れるの。
何かまずいことを言ったのかしら?とか、この人は今私が話していることを
聞いているのか?とかいちいちそういうことを気にしながら話すのって
すごく気を使うことなのよ。分かる?もう擦り切れそうなのよ、私自身が。」
やれやれ、彼女は言いすぎだ。
これではまるで、僕が2chでよく書かれている
あのヒッキーのAAみたいじゃないか。
「僕にだって言いたいことはたくさんあるよ。
でも、それは言葉に出した瞬間にニセモノになってしまうんだ。
君に対して好きという感情はある。だけど、それは口に出した瞬間に
もう別の言葉なんだ。分からないかな?」
「・・・分からないわ。だって、
それじゃ人は何も会話できないことになるじゃない。
全ての人たちはみんな嘘を付き合っているとあなたは言うの?」
なるほど、確かに彼女の言うことは正論だった。
でも、それはまるで見当違いな言葉だった。
僕が言おうとしているのはそんなことではない。
もっとデリケードで難しい問題なのだ。
でも、それを僕が彼女に説明するのはすごく骨の折れる仕事だったし、
何より僕はその日ある半角板のスレッドで執拗に6時間ほど
神との交信を行っていたので
とてもそれを実行する気力はなかった。

・・上手くまとまらないのでやめますた。
みなさん上手すぎ。駄文すまそ。
157名無しさん:02/09/11 13:03
「完璧な失恋などは存在しない。完璧な絶望が存在しないようにね」

僕が彼女と付き合い始めたころ偶然にも知り合った男は僕に向かってそう言った。
僕がその本当の意味を理解できたのは彼女と別れた後のことだったが、
少くともそれをある種の慰めとしてとることも可能であった。
完璧な失恋なんて存在しない、と。

しかし、それでもやはり学校で彼女と顔を合わせるという段になると、
いつも絶望的な気分に襲われることになった。
ただの級友に戻ってしまうと、
彼女と話すことのできる領域はあまりにも限られたものだったからだ。
例えばテレビドラマについて何かを話せたとしても、
彼女自身の感想については何も触れないかもしれない。
そういうことだ。
158名無しさん:02/09/11 14:31
みなさんレベルあがってきましたねっ。
どの文も、いいです。でも、続きが気になるのが多い、、、
159132:02/09/11 14:55
148からの続き

「僕は君を友達だと思ってきた」
「それはもう聞いたわ」
「最初に、恋愛感情抜きで友達としてやっていこうと提案したのは君だし、僕もそのつもりでやってきた。たぶんお互いにその境遇に満足していたはずなのに、それを突然一方的に覆されて、誰がいい顔をすると思う?」
僕にはなんとなく分かってきた。彼女は今までその容姿の力によって、振られる失恋というものを経験していないのだ。だから自分が今相手にされていないという現状に直面して混乱している。そう、僕も混乱しているが彼女もまた混乱し始めているのだ。
「わたしだって最初はそうするつもりだったわよ。貴方は友達としてはとてもいい存在だったから、いろんな無理もお願いしたし相談だってした」
「友達だからね」
「そうやっていくうちに、だんだんわたしの中で貴方の存在が大きくなってきたの。友達としてでなく、いつしか異性として意識するようになっていた」
僕は心の中で臍をかんだ。どうしてこうなってしまったんだろう。僕らはどこで道を間違えたんだろう……
「僕は今、恋愛なんか糞くらえだと思っている」
僕は静かに言った。
「得なければ失うことは無い、そういう気分になってる」
その時の僕は、久しぶりに本気になった恋に破れ、シマリス・スパイラルの渦中にいた。同じような失敗を繰り返し、再スタート地点は前よりも劣悪な条件になっている……その状態を僕は便宜的に『シマリス・スパイラル』と呼んでいたが、今はそんなことはどうでもいい。
そんな僕が、突然の告白に対して必要以上に否定的になるのは致し方ない事だと思うし、それが例え僕自身にしか分からない自分勝手な感じ方だったとしても、実際ささくれた部分へ触れられたという感覚は、あまりにも快いものではなかった。



なんか状況から特定されるなこれ……
知り合いが2ちゃん見てないことを祈りつつ、続きはまた後日……
160名無しさん:02/09/11 14:55
「自分は本気で好きになりそうなんだけど、友達としか思われてない異性の部屋で
前に付き合ってた人のことを考えたことってある?」
スコールのように突然彼女は僕に問い掛けた。
朝の日差しと眠さは、玉葱を切ったときのように僕の目を閉じさせた。
「ないな。」
僕は後ろから彼女の細いを思いっきり抱きしめ、そういった。
彼女の肩は小さい猫が寒さで震えてるかのように
細かい振動を僕の胸へとダイレクトに送った。
ぱちん。彼女から音が聞こえた。
「私はあるわ。」
彼女は振り返り、大きな目に涙を貯めて僕にむけていいはなった。
「前より今のほうが辛い。」
僕にはなにもいえなかった。

相手側の視点を想像して書くのもいいかも
161名撫しさん:02/09/11 22:12
「結局、私達はどんなに長い時間をかけてもわかりあえないのよ」
彼女は言った。「あなたの事がとても好きだけれど、どんなに努力しても
私はあなたの空白を埋められないの。それが私にとってどんなに辛い事かわかる?」
僕はきっと、即座に否定する言葉を投げかけるべきだったのだろう。でも僕は何も口にしなかった。
あるいは話すことが出来なかったのかもしれない。それらの間にどのような違いがあるというのだろう?
「お別れね」
密林に降り注ぐ小雨の様な沈黙の後、彼女はそういった。その言葉は、もうすでに決定された響きを伴っていた。
まるで重力の法則の様に。僕はジャングルで重力に押しつぶされるニュートンを想像した。
それは奇妙な現実感を持っていた。僕はそのニュートンに同情することが出来なかった。

彼女が去った後も、僕はしばらく自分自身を取り戻すことが出来なかった。僕はここに存在しているが、
それは一種の影のようなものだ。ここにいる僕は僕自身ではない。写真の中の僕なのだ。
「ある種の物事は前向きにしか進まないのよ」。彼女が言っていた言葉の意味を考えてみた。
もう彼女とわかりあえることは出来ないのだ。セメントは、もう固まってしまったのだ。
162名無しさん:02/09/11 23:43
つかこうへい版もいいかも

163修行中 ◆/vDwkOqE :02/09/12 00:37
孤独について陳腐にならないように語ることは難しい。
僕の敬愛する作家の村上春樹は、ある短編の中で
デュラムセモリナをモチーフに孤独を描いている。
洒落ている。加えていうならば粋である。
もちろんこれは、村上春樹という作家の才能がなせる業なのだけれど。


音を立てない携帯電話は、僕に眠っている象を思い出させる。
彼はほんとうに動かない。仮に僕がどれだけ望もうと彼には関係がないのだ。
彼は僕に伝えたいことなどないから眠るのだ。ぐうぐう。

けれども、僕は夢を見る。いつか象が目覚め、
自分が見てきたもの、生きてきた世界について語りだすことを。
そうすればメロディとともに、暗い草原に朝が訪れ、世界は明るさに溢れるだろう。
たとえそれが奇跡的な出来事だとしても、それを信じて、
僕は眠っている象とともに幾多の闇を過ごすだろう。




2002年のデュラムセモリナ、携帯電話。

伝達のために自分が発明した道具の末裔が多くの孤独を生み出していることを知ったら、
グラハムベルはどんな顔をしただろう。
164名無しさん:02/09/12 00:40
みんなうまいにゃ〜。
失恋しても、それもいい経験だったな、ぐらいに思えるから素敵。
すつれんしても、今をおされにいきてけばいいかなって立ち直れます。本気で。
こう、おされしたり元気になれるようにイイものを食べたり、自分で楽しめなく
ちゃ新しいひとできてもだめだよね。
みんなありがとう。
165名無しさん:02/09/12 01:25
>>164

書いてみてくださいっす!
ほのぼのしたこの板が好きだな。
166名無しさん:02/09/12 01:32
>163
チョト泣いた
167:02/09/12 01:59
修行中さんうまいです!
168名無しさん:02/09/12 11:43
ねえ誰かもっとおもしろいの書いてよ
169名無しさん:02/09/12 12:24
 とにかく僕らは黙り込んでいた。
 遥か彼方、200キロも向こうからやってきた彼女は、
東京の、狭苦しい僕のアパートで1つの宇宙を形成していた。

 僕はこの空間に何が出来るだろう。
 文字だけの関係を超えて、携帯電話を通じた声だけの関係を超えて、
やっと辿りついた、待ち望んだ、見知らぬ空間。
 彼女は、外に降り積もった雪のように真っ白な肌をして、
頬を少し赤らめながら、ずっと俯いていた。
 僕も、俯いていた。行き止まりに迷い込んで。
 僕の正直な気持ちは、彼女の婚約者に邪魔をされてしまった。
 もうすぐ結ばれるだろう彼女を側において、僕の感情の矢印はどこを指せばいいのだろう。

 「今日はもう帰ろうか」
 沈黙を破る合図が別れの合図。仕方がないことだ。
 僕は彼女を引き連れて東京駅まで送る。
 新幹線を待つプラットフォームで、もう何の役にも立たない僕の精一杯のお洒落であった、
クロムハーツのネックレスを彼女が後ろから少し引っ張った。
 振り帰ると、小さな体を目一杯伸ばして、瞬きもせず、彼女が僕を覗きこんでいた。
 その時、何かのスイッチが入って僕はぼろぼろ泣いた。
 どうしてその時泣いたのか、僕にはわからない。

 彼女は、僕の涙を水晶の網膜に焼きつけて行ってしまった。
 それから彼女と会うことも無く、何年かして、彼女の結婚を知った。

 200キロ離れた宇宙で、新しい家族と手を繋ぎ、歩いている彼女を見たら、
今の僕はどう思うだろう。
170名無しさん:02/09/12 13:08
>>168
お前が書いてみろよ。
171名無しさん:02/09/12 13:15
「とほほ」じゃなくて、「がっかり」じゃなくて、
ええと何だっけ…?
172名無しさん:02/09/12 13:17
やれやれ>>171
173名無しさん:02/09/12 13:27
誰かおもしろいやつ書いて
174名無しさん:02/09/12 13:36
おもしろいやつは本屋に平積みされてまつよ>>173

そして気付いた。僕はこれまで春樹の本は、全て彼女に借りて読んでいたのだ。
やれやれ、買ってくるとしよう。
175名無しさん:02/09/12 14:30
「相変わらずパスタをゆでるのは上手ね」
そんなことを言いあいながら僕たちは5年ぶりの食事を楽しんだ。

「パスタの味は忘れないわ」
 そんな書置きを残して出て行った昔の彼女に偶然出会ったのは、出張先の札幌でのことだった。僕は全く気がつかなかったけれど、彼女の方が声を掛けてきた。とても自然に
「あら、久しぶりね」

 彼女も出張中だと言っていた。その日は僕の携帯番号を教えてビール一杯で分かれた。

 そして携帯が鳴り、約束をして、今日彼女が僕の家に来ている。もちろん当時の2DKのアパートからは引っ越して、こじんまりとした1LDKのマンション。一人住まいには十分なものだ。

「全然違う部屋なのに、あの部屋に帰ってきた気がするわ」
と彼女は言った。
「素敵なジャズに、美味しいパスタとワイン。家具はシックで、こざっぱり掃除も出来ている。あなたは本当に変わってないわ」
「いや、もちろん僕も変わったさ。ズボンのサイズは29inchになったし、パスタは前より上手に茹でられるようになった。VANのジャケットは着なくなったし、スニーカーはNIKEを履くようになった。」
「そうね、でも私はもっと変わったわ。結婚もしたし子どももいる。彼は優しいし、大きな家に住んでいるわ。でもあのころのようには楽しくないのよ」
「でも君は、相変わらずあのころのようにきれいだ」

 食事の後僕たちは当たり前のようにセックスをした。5年前と全く変わらないセックスだった。

「おいしいパスタだったわ」
 夜中に目を覚ますと、5年前とは言葉は違っても、意味は全く同じ書置きを残して彼女は消えていた。きっともう電話はかかってこないだろう。

 やれやれ、僕は同じ女性に2度も部屋を出て行かれた。そんな風に感じながら飲むコーヒーは、豆もローストも違うのに5年前と同じ味がした。

176名無しさん:02/09/12 14:50
私達は友達を通じて知り合ったの。
彼も私もそろそろ次の恋を始めてもいいかな、と思ってた頃だったから。
要するに人恋しかったってことよね。
でも 結局彼の方はそんなにその気じゃなかったのね。
私が初めて会ったときに感じたようには彼は思わなかったみたい。
何度か会いたいって言われて会ったりもしたけど
彼にとっては別にそれが私じゃなくても良かったのよ。
私は会うたびに彼に惹かれていったけど、彼の方はそうじゃなかったの。
結局適当に断られて、それで私達は会わなくなったわ。
でも私はたった何度か会っただけの人のことが 
今でも忘れられずにいるの。馬鹿みたいよね。
ねえ、何か食べない?急にお腹が空いてきた気がする。
177名無しさん:02/09/12 15:15
もしかしたら僕は(ほとんど)生涯で唯一の彼女と言うものを失ってしまったのかもしれないと思った。
それは先月のことだった。僕の携帯が、その周囲の空気を伴って鳴動した。
時間はすでに午前4時を回っていた。僕は無造作に携帯端末を取り上げ、
フリップを開けるとそこには一通のメールが着信していた。
馬鹿馬鹿しい。こんな時間に何の用だと言うのか。
僕はいささか辟易し、その時そのメールを無視しようとした。―そのときの眠気は猛烈なものだったのだ―
しかしそれは急な用件であるかもしれず、僕の手は―不幸にも―そのメールを読み上げた。
そしてその時僕の頭は恐らく、画龍点睛を欠いたかの如く間の抜けたものになっていただろう。
178177:02/09/12 15:22
>僕の手は―不幸にも―そのメールを読み上げた。
これは明らかにおかしい。文法的にも感覚的にも、だ。
やはり僕は村上春樹のような文章は書けないのかと絶望感で一杯になってしまった。
僕には自分の失恋を語る資格もないと言うのか。
このような事をしてしまう僕には一体何が残されていると言うのだろうか。
やはりあのような事が起こったのは当然のことではなかったのか、
深く考え、そして眠りにつこうと思った。しかし眠れるわけも無く―そもそも今は昼間なのだ―、
パソコンを立ち上げ、ネットを徘徊している。
179名無しさん:02/09/12 15:42
>177,178
ガンガレ!(・∀・)

そんなふうに自虐的になるのはどうかしら?
確かにあなたの文章は、もしかしたら村上春樹調ではないのかもしれない。
きっと少し混乱しているだけよ、回路が入れ違っちゃったのよ、私もね。
少し考え方を整理しましょう。段階的思考。考えて、それから確認するの。
そうゆうことが必要なのよ。
180名無しさん:02/09/12 16:09
なんかレスまでも春樹調。(・∀・)イイッ!
181携帯でチャレンジ!:02/09/12 19:03
「もう限界だわ…。ついていけないし、ついていきたくない」
僕は一瞬考えて、いつものように理屈っぽく反論しようとした。が、彼女の瞳は僕を捉えずに、ゆっくりと部屋の中をさまよっていた。
僕は言い返すタイミングが掴めず、二本目の煙草を口にし、その煙をずっと眺めていた。ふいに彼女の視線に気付き、僕は細心の注意を払い、彼女に言葉を投げ掛けようとした。
でもそれは叶わなかった。彼女はふうと小さく息を吐き、言葉を続ける。「繰り返すだけなのよ。同じ時間を…」
CDは二周目のCome togetherに突入し、ベース音が妙に胸を震わせた。
182名無しさん:02/09/12 22:54
人間は心の奥底にある自分の本当の本音を知る事はできないし、
また知るべきではないというのが彼女の持論だった。

当時大学2年だった僕にはその意味はわからなかった。
彼女の紡ぎだす言葉達を理解しきることなどは到底不可能であったが、
-勿論、彼女ではなくとも理解しきる事など不可能ではあるが−
わからないなりに何らかのニュアンスは自分なりに感じ取っていたつもりではあった。

あれから10数年たった現在、今はもう逢うことも無い彼女の言葉の真意は未だ掴めないが、
然し今の僕に取って、冷たいビールと好きな音楽さえあればそれだけで
満足だという事実は、変える事のできない真実であり本音であることだけは確かである。

一文が長いな・・・しかも失恋をあまりあらわせてない。




183本を読む女1:02/09/12 23:02
俺はいつでも自他共に認める、陽気なイケメンだった。
勉強もスポーツも仕事も遊びも完璧にこなしていた。
恋愛さえも…

その日も俺はスタバでコーヒーを飲みながら
ニューヨークタイムズに目を通し、ノートパソコンで株価をチェックした。
俺の読みは見事に当たっていた。
俺は携帯で社員に仕事の指示を出し、
その後、昨日知り合ったばかりの女にラブコールし
「待ってるぜベイベー」その一言で、今夜のデートの約束を取り付けた。

「ここ、あいてますか?」
ふぃに目の前に、スタバに不似合いな一人の女が立っていた。
ほとんど素顔と見まがうような薄化粧、ストーレートの黒髪、地味な制服姿。
その女は俺の返事も聞かずにさっさと俺の前の席に座ると
熱心に本を読み出した。

「変わった女だな。」俺はぼんやりと女を見つめていた。
女は俺のぶしつけな視線を感じたのかふと顔をあげた。
その拍子に、女の読んでいた本が見えた。
そこには…    何も書かれてなかった。
                    続く
184名無しさん:02/09/12 23:04
>>183
春樹風じゃない・・・・・
185名無しさん:02/09/12 23:09
>>184
しっ!!!
186名無しさん:02/09/12 23:14
>>185
あっっ・・・・ゴメソ!
187名無しさん:02/09/12 23:15
>184
お前、「ノルウェイの森」を想像してるだろ。
これは、「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」風なのだ。
188名無しさん:02/09/12 23:18
>>187
ハードボイルドワンダーランドでもかなり遠いけど。
っていうか一番好きな作品だし。
189本を読む女2:02/09/12 23:35
俺のベイベーは9時きっかりにマンションに訪れた。
「ねぇ、紀伊国屋でチーズとキャビア買ってきたわ。」
彼女は、薔薇の花のように華やかな笑顔で言った。
「いいね、ベイベー」
俺は冷蔵庫から、取って置きの年代物のワインを取り出した。
「記念すべき二人の夜に乾杯!」
われながら、クサイセリフだと思いながら
俺は彼女の喜びそうな言葉を吐きつづけた。
「まぁ、これも一種の前戯ってやつさ。」と心の中でうそぶきながら。

「バスルームどこかしら?」
「つきあたって左」
シャワーの音が聞こえ、俺は彼女の裸身を想像した。

                  続く







190名無しさん:02/09/12 23:36
まあもう少し様子を見ようよ。
191名無しさん:02/09/12 23:38
ストーレートの黒髪の地味な女はどうなったんだ?
192名無しさん:02/09/13 00:02
春樹でもないし、失恋でもにゃい気がする。
193名無しさん:02/09/13 00:08
そのうち出てくるんじゃないですか?<黒髪
194名無しさん:02/09/13 00:11
いや>>189がもう出てこないような気がするんだが・・・
195名無しさん:02/09/13 00:15
なんと!どうせなら完成させて欲しいなぁ。
196名無しさん:02/09/13 08:28
age
197132:02/09/13 09:23
いろいろと書いているうちにだんだんと鬱な気分が増してきたので、僕はしばらく書くのをやめることにした。
何時の間にか、彼女を寝取ったのは僕ということに……あくまで噂としてだが……されていたし、なによりショックだったのは彼女の恋人であった僕の友人が、それを信じて連絡を絶っていたという事実にある。
何年もかけて信頼関係を築いてきた友人が、僕を信用してくれていなかった。それは、僕が絶望するには十分すぎる理由だ。
したがって、159の詳細な続きはこのまま失われることになる。
緩急車の存在しない貨物列車のように、ページを引きちぎられた哀れな英和辞典のように。
それが正しいことなのか間違ったことなのか、僕には分からない。
感情を春樹風文体に乗せて電子の世界に解き放つこと、それは僕の自己満足にすぎないことだけは分かっている。

そして僕は今、こう思っている。
『得なければ失うことも無い』


NYセントラルパークのシマリス諸氏に捧げる。
198名無しさん:02/09/13 09:48
>>197
すごくイイ!!
199名無しさん:02/09/13 12:45
そーかなー?
200名無しさん:02/09/13 12:55
「上手く説明出来ないけれど、私達は一緒に居るべきでは無いと思うの。」
彼女は電話で僕にそう告げた。
僕は朦朧とする意識の中で、だがしっかりと何かが崩れていく音を聞いた。

書くがめんどうになった。
>>200つまらん・・・ とか書かれて絶望するのは嫌し。
201名無しさん:02/09/13 15:46
今日も僕は電車に乗っている。
それは詰まるところ空間を渡る蝶のような滑らかな、素早い行為であるのだが、
しかし今日のそれは悪夢のような時間であるようだ。
それはもしかしたら途中で読もうと思っていた愛する村上春樹の小説を
忘れたからなのかもしれないし、完全な灰であるがごとくの色をした
この陰鬱な空のせいなのかもしれない。
結局それは何故かなど分かりはしないのだ。

しかし、分かることもある。
こんな日は決まって別れた彼女の事を思い出してしまうのだ。

そう、出会った時の彼女はまるで
202名無しさん:02/09/13 16:02
"考えるんじゃない。感じるんだ"

僕は感じた
風にちぎれる飛行機雲を
東京タワーを滑べりおちるカタツムリを
203本を読む女3:02/09/13 18:46
本を読む女1は>>183
本を読む女2は>>189

スタバで何も書かれていない本を熱心に読む女が、俺の前にいた。
「何をしてるんですか?」
「何って読んでるんじゃない。」
「キティか…」
俺は思わずつぶやいて、あせった。
(ヤヴァイ、また2ch語が出ちまった。実は俺はかなりの2ちゃんねらーでしかも
削除人までやっているのだ)
「何も書かかれてないのに、読んでるって?」
「私の読んでいるのはあなたの心です。」
女は本をパタンと閉じるとおもむろに立ちあがった。
「近いうちにまたお会いするでしょう。
私は狙ったターゲットは、決して逃さないの。」

                      続く
204修行中 ◆/vDwkOqE :02/09/13 23:18
私が彼を知ったのは、アルバイト先の会社だった。
大学を出て数年、私はある仕事をしていた。
望んで就いた仕事だったが、様々な理由から私は体調を崩し、
その仕事を辞めることになった。

それからしばらく、私は家の中にいた。
外に出るにはしばらく時間がかかる病気だったのだ。
親がまだ働いていて、娘ひとり食べさせるぐらいは
なんとかなったことは恵まれていたと思う。

病気がずいぶんよくなると、
知人の紹介で簡単な事務のアルバイトをするようになった。
最初は短期間、少しずつ長く。
彼と会ったのはそんないくつめかのアルバイト先でのことだった。
205修行中 ◆/vDwkOqE :02/09/13 23:22
私は彼の隣の机に座ることになった。
挨拶をした私に彼は軽く会釈を返しただけで、また自分の仕事に戻っていった。
とっつきにくそうな人、というのが第一印象だった。

彼は職場の中で、微妙な位置を占めていた。
社員の人から何回か飲み会に誘われ行ったりもしたが、彼はそういう席にはまずいなかった。
普段はそれなりに会話に参加していたが、どこか彼は浮いていた。
ただ仕事は半端じゃなくできたし、頭の回転も速かった。
一度たまたま、仕事の打ち合わせの場に居合わせたことがある。
他の社員がだらだらと話を続けていると、彼がはっきりした口調で意見を述べはじめた。
見る見るうちに場の雰囲気は凍りつき、ある社員がしどろもどろに言い訳をはじめた。
事情をよく知らない私の目にも、その社員の様は見苦しかった。
彼はその言い訳を聞くでもなく、少し遠い目をして周りに座っている人の顔を見渡していた。

彼はいろいろなことをやり過ごすことのできない人間だったのだと思う。
そして、そのことを彼自身もよくわかっていた。
正直、そういった人間は煙たがられる。かつて私自身が経験したように。
自分の無思慮な部分を暴かれて喜ぶ人間はいない。
ただ同時に彼はとても誠実な人間だった。
自分に寄せられた好意についてはすぐにそれを察知し、必ず誠意を持って返していた。
だから、彼を密かに慕っている人間は結構いたし、
彼と距離をおき嫌っている人間でさえも、彼の影響力については認めざるを得なかった。
206修行中 ◆/vDwkOqE :02/09/13 23:41
しばらくすると彼と私はいろんな話をするようになった。
客観的に見ても、私と話しているときの彼は饒舌だったと思う。
彼の心の中にいる門番は、どういうわけか私が門を通ることを許してくれたらしい。

ある日、私たちの周りには誰もいなかった。
他の社員はみんな休暇に客先、職場は夏休みの学校のようにがらんとしていた。
そんな中、彼がゆっくりと話しはじめた。
「かつて理解しあっていた者達が、理解しあえなくなることって、なにげに凄く怖いことだよね。
 理解していた相手を、憎むようになったりしたらなおさらだね。」
私は彼の言葉を黙って聞く。
「でもそういうことは日常茶飯事なんだ。吐いて捨てるほどある。
 昨日まで楽しく会話をしていた相手と、突然連絡がとれなくなる。
 いままでわかっていたと思っていた相手が、一瞬にして理解不可能の存在になる。
 いままで自分を理解してくれてると思っていた人間が、突然攻撃をはじめてくる。
 そんな恐ろしいことがごろごろ転がっているんだ」

    君が他人に対し誠実に生きれば生きるほど、その傷は深くなる。

「でもね、全部が全部そうじゃないことも僕は知っている。
 時にそういうこともある、それだけなんだ。」
そこで彼は言葉を切った。
「だから、どれだけ辛かろうと、結局進んでいくしかないんだ。
 もちろん立ち直るには長い時間がかかるだろうけれど。
 時間はいくらかけたっていい。ずっとそこにいるのでさえなければ。」
207修行中 ◆/vDwkOqE :02/09/13 23:42
やがて私のアルバイト期間は終わった。
最後の日、私は彼に心からお礼をいった。そしてたずねた。
私の病気のこと、わかっていたんですか?
「なんとなくね。そうなのかな、と思ってた」彼はいった。

「Be Happy」
「・・・誰かの言葉ですか?」
「村上春樹の小説。やばい、ナルシストがばれる」と彼は笑った。
「ナルシストなのは知ってます」と私も笑った。

きっと彼もあの時、誰かを憎んでしまいそうな事情を抱えていたのだろう。
いま振り返ってみると、私はそんな気がする。
彼とその後、話をしたことはない。
208本を読む女4:02/09/14 00:11
本を読む女3は>>203

バスルームでは、薔薇の花のような女がシャワーを浴びている。

俺は三回目のデートで、セクースを求めるといったような
まだるっこい事はやらない。
俺と彼女達との間は、いわばビジネスに近い関係なのだ。
つまり、俺のコネクションを欲しているわけだから。
今夜のベイベーは、さるCMのキャンペーンガールをやりたがっていた。
俺は面接者であり、ちょっとした実技のテストを行っているにすぎない
そんな風に俺は考える事にしている。

「OK合格だ、ベイベー。一週間後には電話があると思われ。」
「貴方は、本当に最高の男ね。」
薔薇女は、満面の笑みをたたえ、最大の賛辞を口にし帰った。

しばらくして、インターホンが鳴った。
「忘れ物か?ベイベー。」
ドアを開けた俺の目の前に、昼間、スタバで会った女が立っていた。

                    続く
209名無しさん:02/09/14 00:12
OK合格だ、ベイベーは如何なものかと。。
知っていたんだ、君には言わなかったけれど。僕だって馬鹿じゃない。
結局のところ君は一人の人間では物足りないのだ。
どんなに綺麗な言葉を並べ立てたって、口先だけの愛の言葉を囁いたって無駄さ。
僕を騙すことはできない。
だけれど僕はそんな気まぐれな君を愛しているのだ。嵐のように、強く、激しく。
きっと君はそれを知ったら「なんて頭の悪い人」と、心の中で僕を見下し笑うだろう。
少なくともあの頃の僕はそれで良かったし、
僕の小さなプライドを失うより、君の側に居られなくなることの方がよっぽど恐ろしかった。

でも僕はいつしか自分を大事にしたいと思うようになったのだ。きっかけは忘れてしまったけれど。
そして小雨の降る少し肌寒い日に、ついに僕は切り出した。

「別れよう。僕らの関係をこのまま続けていても、未来なんてみえやしない。」
君は当たり前のように僕を引き止めようとする。
「なぜ?私たちはとてもうまくやっていたじゃ…」
「もういいんだ。」
君の言葉を遮って、君が言葉をはさめない様に捲くし立てて僕は喋る。
君の言い訳は僕の心を酷くかき乱すし、それによって僕の決心が鈍ってしまうのは好ましくない。
もう君に振り回されるのにはうんざりだ。
「もう嘘はやめてくれ。知らないとでも思っていたのかい?君には愛想が尽きたんだ。」
君は黙って俯き、そして「わかった」とだけ言い僕の前から去っていった。

僕の心は空っぽだった。家に帰り自室のベッドに倒れこむ。
ふと気づくと僕は、声をあげ涙を流していた。


えーん書いてみたかったの。吐き出したかったの。
春樹じゃなくてごめんなさい(泣
211本を読む女5:02/09/14 00:30
「山田三郎さんですね。」
言うと同時に、女はするりと玄関に入りこみ、後ろ手にドアを閉めた。
「山田ですが、何か」
「NHK受診料、特別徴収官の青空夏子です。
今年度の受信料及び過去2年分の受信料を払っていただきます。」
「ハァ?んなものシラネーヨ。」
「とぼけてもムダです。貴方は、強制徴収の対象者なのです。」
「聞いてネーノ。」
「徴収法第1条。NHKを受診する者は、すべて受信料を支払う義務がある。
義務を果たした者だけに、権利は発生するのです。おかわり?」

212本を読む女6:02/09/14 00:58
俺は思い出した。
確か数日前の新聞に、強制徴収の事が書かれていたことを。

「払ってもいいけどね。その前に俺とセクースしようよ。」
「今の言葉、もう一度、おっしゃってみてくださいませんか?」
夏子の怒りを含んだ静かな声が聞こえた。
「ネタにマジレス、カコワルイ。」
(あー、何を言ってるのだ俺は。これじゃあ、余計に怒らせちまう)

結局ヘタレの俺は、あっさりと受信料の口座振替依頼書と
滞納分の受信料を即金で夏子に渡した。
「これで結構です、山田さん。
しかし、貴方は特別徴収官に対してセクハラ行為を行ったことにより
罰則規定が適用されます。追ってご連絡いたします。」
夏子は謎の微笑をたたえて、立ち去った。

                続く
213本を読む女7:02/09/14 01:18
一週間が過ぎて、俺は今夜もコスモスのようなベイベーと過ごしていた。

「ねぇ、バスルームどこかしら?」
「つきあたって左」
いつもと同じだった、いや同じハズなのに何かが違う。
俺は、コスモス女の裸身を想像した。
しかし、なんという事だ、俺は全く性欲を感じていなかった。

俺の頭の中で、あの時夏子の言った言葉がよみがえった。
「セクハラ行為により…罰則規定の適用」

俺はどうやら、夏子によって性欲を抜かれてしまったらしい。

                 続く
214本を読む女8:02/09/14 01:37
俺はなんとしても、もう一度、青空夏子に会わなくてはならない。
彼女に会って、抜かれた俺の性欲を取り戻さなくてはならない。

俺は大型テレビを買い込み、社長室に備え付けた。
そして、受信料の滞納を続けた。
時々、NHKの集金人が来たが、俺は拒否し続けた。
「ルセェー、払ってほしけりゃ、特別徴収官、青空夏子をよこせ。」

そして、俺は今日もスタバでコーヒーを飲みながら
青空夏子が再び俺の前に現れるのを待っている。
いや、待ち続けている、雨の日も風の日も…

そんな俺は「性欲の終わりと2ちゃんねる妄想ランド」と呼ばれている。

                  終


*この物語はフィクションであり、実在する2ちゃんねらーとは、
全く関係ありません。         作者
215名無しさん:02/09/14 02:27
有楽町マリオンのからくり時計は僕のために2度目のファンファーレを鳴らし始めた。
「やれやれ。」
僕もはもう1時間以上も彼女を待っているのだ。
216名無しさん:02/09/14 02:54
本を読む女、微妙にオモシロイんですけど・・
というかこういう話が書けるのってすごい。
217名撫しさん:02/09/14 02:59
>>216
お前はこの話のどこが面白いのかと小一時間(略
218名無しさん:02/09/14 04:33

「ちょっと故郷の友達の家に泊まってくるだけよ。何かすごく悩んでいるんだっ
て。すぐ行くって約束しちゃったの。話が済んだらすぐに帰ってくるわ。仕事も
あんまり休めないし」

 天気のいい土曜日の正午だった。青空がまぶしかった。僕らは列車が来るのを
待っていた。ホームの間から見える細長い空には、雲一つ無かった。森の緑が、
青空の青に、ギザギザと食い込んでいるような空だった。

「じゃ、気をつけて」

「大丈夫よ。あなたこそ飲み過ぎちゃだめよ。またお風呂で沈んでても助けてあ
げられないから。こないだみたいに、私が居ない間にバイクで転んでもいやよ」

 彼女はいつものように微笑んだ。

 発車のベルが鳴り、列車が動き出し、手を振る彼女が見えなくなるまで、僕は
その場に立っていた。いや、正確には、そこからもう一歩も動けなかったのだ。

 ぼくはひどく疲れていた。そして実際のところ、そのときすでにすべてを理解
していた。

 僕はきつく目を閉じ、きっかり三十秒数えてから目を開けた。もちろん、世界
は何も変わっていなかった。

 僕は世界を再確認し、彼女に背を向け、力強く歩けるふりをするより無かった。
彼女と別れて6ヶ月が経ち、
僕の中でその思い出はおぼろげになりはじめていた。
それは、まるでグラスの中の氷が液体に溶け出す時の
ゆっくりとした、そして確実な反応だった。
僕は既に彼女の個性的な耳の形や、あるのかないのか
分からないくらい小さかった足の爪を除いて、
彼女という存在を確かめられなくなっていたのだ。
それは非常に悲しいことではあったけれど、
ある種の救いともとれる。
数限りない出会いと別れを人が忘れられないとしたら、
みなギャッツビーの悲劇を味わうことになるだろう。
――グレート・ギャツビーの悲劇―――
いや、だけど彼は幸せだったのかもしれない。
多くの人々にとってそうではないにしても。

喫茶店のバックに流れるクラシックがブラームスの弦楽四重奏から
モーツァルトのハープとフルートの協奏曲に変わった瞬間、
僕の心は突然、パニックに陥った。
それが悲しみであるということに気づいたのは
ウェイトレスが親の仇のように乱暴なしぐさで
コーヒーを僕のテーブルに置いた後だった。
「ガチャン」
その瞬間、同時に僕は気づいた。
『僕は彼女を愛している。』
言葉にすると陳腐だが、
僕はそれをはっきりと体全体でそして心から感じたのだ。
でも、だからと言って今の僕に何ができるのだろう?
もう終わったことなのだ。
振り返ることはできても戻ることはできない。
「グレト・ギャッツビー」
そう僕はつぶやき、そして力なく笑った。
220名無しさん:02/09/14 13:46
 夜明け前に目が覚めたとき僕は、すっかり混乱しきっていた。昨日の夜このスレを読みながらそのまま
寝てしまったようだ。
 そんな混乱の中でもこれだけははっきりと言える、誰でも失恋するんだ、と。「失恋」ベッドサイドに座っ
て声に出して言ってみる、まるで何かを間違えたプレーリードッグが、アラスカの氷原で仲間に呼びかけ
たみたいに誰の返事もなかった。
 当たり前だ、彼女は三日前に出ていってしまった。何も言わずに。

 そして、コーヒーを飲んでいる内にこんな事も考えた。誰もが失恋について語ることが出来る。そのどれ
もが心を打ったり、ジンと来たりする。誰かが言っていた「人間誰でも一冊だけは面白い本が書ける。自分
の人生を赤裸々に書けばどんな人の人生も面白い」と言っていたのを思い出した。

 でもやっぱり村上春樹のように書ける人はなかなかいないのも事実だ。みんなが部分的に村上春樹であ
りながら、誰もが村上春樹ではないのだ。これも決定的な事実なんだろうと思って言葉に出してみようとし
たけど、一言にまとまらなかった。僕はベランダでコーヒーを飲みながら置いてきぼりにされたねじ巻き鳥の
ように途方に暮れてしまった。そう言えばねじ巻き鳥の「ギー」という鳴き声もしばらく聞いていないな。

 でもこのスレの誰もがそれぞれのねじ巻き鳥の声を聞きながら、切ない胸の内を村上春樹に託してこのス
レに書き込んでいる。だから僕もこのスレが好きだし、今でも出ていった彼女のことが大好きだ。

 でも三日前に出ていった彼女を捜そうともしない僕はやはりどこか村上春樹的であるんだろう。書棚にも何
冊か彼の本が並んでいる。そしてこのスレの住人の書棚にも同じように並んでいるんだろう。
 そして今日もその書棚から「ギー」というねじ巻き鳥の鳴き声が聞こえているに違いない。そうだ、きっと彼女
はこの声が気持ち悪くて出ていったに違いない。

 ねじ巻き鳥のせいにしてみたら少し心が軽くなった。でも僕は相変わらず混乱しながらベランダでコーヒー
を飲んでいる。まるで世界の終わりでも待っているかのように。決して帰ってこない彼女の帰りを待っている
かのように。

221名無しさん:02/09/14 15:21
>>219あんましヨクナイ!!
>>220すごくイイ!!
222名無しさん:02/09/14 16:27
219はもう一度書いてみればすごいよくなると思うよ。
感想や批評にさらされるのは、人目にさらしてる以上当然だけど、
イクナイ!と感じたほうは、スルーしておけばいいんじゃないかな。
223名無しさん:02/09/15 00:52
ここを読んでから、「風の歌を聴け」の冒頭読むと、
(漏れの持ってる文庫版だとP8)
なんか、胸にくるわ・・・・
224一人称の逆転:02/09/15 02:21
あらかじめ決まっていたのだと諦めてしまうには、あまりにもったいないことをしてしまった。
この手で壊した事実を受け入れる事がその時の僕には、まだ、出来そうになかった。
−今までつきあってきた人の中で一番好きじゃないかも知れない
ベッドに寝ころんだ彼女は左腕で目を覆いながらゆっくりと、
しかし確かに声に出してそう言った。
僕は彼女のあの、夏祭りの朝の言葉をぼんやりと反芻しながら
じっとりと汗ばんだ背中に張り付くシーツを不快に思った。
アルコールが後頭部のあたりに溜まっているようだった。
もう、充分に時間は過ぎてしまっているというのに、
僕だけが無意識に取り残されていることに気づかされる。
あれから三ヶ月が過ぎようとしている。

彼女は特に美しい方ではなかったが、どこか人の気を惹くような、わらいかたをした
225名無しさん:02/09/15 02:59
>>218
いいでないですか。
226名無しさん:02/09/15 06:30
いや、全部いいよ。失恋ってすごいね。
みんな失恋をこうやって(各々が思う)春樹風に書けるのがすごい。
読みながら、まるで本当に春樹の本を読んでるかのような感覚を覚えるのもいくつかあるよ。
まあ多少は誇張されてるだろうけど(w

皆さんこれからも頑張ってくださいね!
227名無しさん:02/09/15 10:30
このスレは、なにげに感性が合う。
実はポエ板にいたのだが、あまりのウエットさと重さと粘着さにいいかげん
うんざりして逃げ出してしまったのだ。

村上春樹の乾いた感覚が好きだ。
失恋しても、相手を責める事もなく、自分を責める事もなく
昨日と同じ一日が始まり、そして終わる。
実に淡々とした日々− 漏れはそれを凪の光景と呼んでいる。
そしてまたいつか風は吹くのだ。
228名無しさん:02/09/15 10:41
ところでおまいらは本当の失恋話を書いてるのかと小一時間(略

でもみんな春樹っぽくて(・∀・)イイ!!
229名撫しさん:02/09/15 13:08
これは現実か。それとも夢か。まるで意識が土砂崩れを起こしている様だ。
でもどのみち、現実から逃げることは出来ないのだ。
僕は自分を励まし、目を開けて、空を見上げる。
やれやれ、これじゃボヘミアン・ラプソディみたいだ。
でもそれもいいかもしれない。僕には関係なく、どちらにしろ風は吹くのだ。
230本を読む女エピローグ:02/09/15 13:24
今日も、特別徴収官青空夏子は日本のどこかの町で
悪質な滞納者に対して強制徴収を行っている。
彼女は徴収率100%を誇る超優秀な徴収官であるが、滞納者は増えつづけている。

実は彼女の正体は、この国のモラルハザードを憂慮した神が使わした
聖戦士なのであった。

夏子はサファイア色のカバンから、新規悪質滞納者のリストを取り出した。
そして、山田三郎の名前を見つけた。
どうやら山田は領収書の裏に小さく書かれた
罰則規定の適用は6ヶ月以下という文章を読んでいないらしい。

「やれやれ。」
夏子は明日スタバへ行かなくてはならない。
231名無しさん:02/09/15 14:29
「本を読む女」つまんない。
232:02/09/15 15:13
「やれやれ」
このスレでは、煽り、アラーシ、非難その他はこの「やれやれ」というレスでかわそう。
まさに、村春的だ!
233名無しさん:02/09/15 15:19

 僕はジェイズバーで彼女を待っていた。ジェイはいつも通りたっぷりのピーナッツとよく冷えたビール
を出してくれる。ピーナッツを二つか三つ、ビールにちょっと口を付けた頃に彼女はやってきた。

「やあ、レイコ。今夜も綺麗だね」
 ジェイが彼女に、同じだけのピーナッツとビールを持ってきた時に彼女は僕に言った。

「私たち、分かれましょう」

まるでジェイにも聞いて欲しいかのように。

「そうだね」

 しばらくの間の後、僕の口をついてこんな言葉が出た。もちろん僕の本心じゃない。『なぜ?どうして?
僕の何がいけないの?』心の中の僕の思いは、まるで霧のフォンテーヌブローを散歩する人々のよう
に霧散してしまい、何も言うことが出来なかった。

 彼女は呆れたような、悲しいような顔をして、ジェイに向かって

「しばらく会えないわね、残念だわ」

とだけ言って店を出ていってしまった。僕は彼女を追いかけることもできなかった。カウンターにはジェイ
と僕、そして二人分のビールとピーナッツだけが残された。

 僕はビールを飲みながらピーナッツを食べ続けた。彼女の分に手を着け始めた頃にはまるでセントラ
ルパークのシマリスになった気分だった。なんならシマリス諸子に世界中の全てのピーナッツを進呈し
ても良い、そんな気分にさえなった。

234続きっす:02/09/15 15:20
「まあ元気を出しなよ。でも『そうだね』はちょっと酷いな」

「分かってる。でも僕には何もできない。だからこそ彼女も僕と別れた
んだろう。」

「ビールは?」

「いや、今夜はもう止めとくよ。」

 最後のピーナッツをまるで苦行のように胃袋に押し込むと、僕はジェイにお休みを言って店を出た。
知らぬ間に雨が降っていた。もちろん傘なんか持っていない、でも今日の僕にはぴったりだ。濡れ
ながら歩き出した。かなりゆっくりしたペースで、彼女のことを考えながら。

 ふと立ち止まって空を見上げると、雨が僕の顔に降り注ぐ。まるで僕を責めているように。なぜ彼
女を引き留めなかったのかと、彼女を愛してはいなかったのかと。

 もちろん僕は彼女を愛している。世界中の雨に責められたってこれだけは言える。僕は彼女を愛
している。でももう何もかもが遅い。それがたった一つの〜好むと好まざるにかかわらず〜真実だ。
しかも僕の一言が確定させてしまった真実なのだ。

「そうだね」

 僕は雨を降らせる空に向かってそう言うと、またゆっくりとしたペースで歩き出した。歩いていけば
どこかには辿り着くだろう。たとえ孤独だとしても僕は歩いて行かなくてはならない。
235名無しさん:02/09/15 16:44
僕と彼女の恋愛。
たぶんそれは正しいとか正しくないとかいう基準では推しはかる事のできない
恋愛だったのだろう。

世の中には正しい結果をもたらす正しくない恋愛もあるし
正しくない結果をもたらす正しい恋愛もあるということだ。

このような不条理性を回避するには
「我々は実際には恋愛などしていないのだ」という立場をとる必要があるし
大体において僕はそんな風に考えて暮らしている。
だが、恋愛はしてしまったし、失恋もしてしまった。

そしてこの恋愛と失恋が、回りの人々の目に奇妙に映るとすれば
その原因は恋愛を包合する総体的な状況存在の中に求められて
然るべきであろうと僕は考える。

しかし僕がどんな風に考えたところで、それで失恋の事実が変わるというものではない。
そういうのはただの考え方に過ぎないのだ。
236村春風失恋話の作り方:02/09/15 17:37
1.主人公の生き方に対して、恋人が激しく非難。
しかし、主人公はその非難に正面から立ち向かうこともなく
「やれやれ」という曖昧な受け答えでかわそうとする。

2.「何故そうやって逃げるのか」と問い詰める恋人に対し
主人公は「自分はこんな風にしか考えられないのだ」と開き直る。

3.キレて去った行った恋人に未練を感じながら
「これは、あくまでも僕の考え方だから、理解してくれなくてもいいんだ。」
と言い訳しつつ、自らを慰める。

このスリーステップパターンを使うとそれらしくなる。
従って、主人公は限りなく自分勝手なヘタレ男でなければならない。
237名無しさん:02/09/15 19:23
>主人公は限りなく自分勝手なヘタレ男でなければならない
ちょとワロタ
238続きっす:02/09/15 20:44
>>236
村上春樹の本質を全く理解していない。

「僕たちは決して理解し合えない、でも僕は君を愛している。
それだけがこの世界で確実な真実だ」

これを、すべて“現代的叙事”で表せば村上春樹的になる。

やれやれ、僕は一体何を書いているんだ。こんな事をしたっ
て僕たちが分かり合えることは決してないって言うのに。

でも僕は語り続けなくてはならない。たとえそれが世界の真
ん中で羊男の正しさを闇雲に叫ぶようなモノだったとしても。
239名無しさん:02/09/15 20:44
う、名前が残っていた。チョト恥ずかしい。
240名無しさん:02/09/15 21:21
>>238
>村上春樹の本質を全く理解していない。

そんな風に思うのは、君が偏狭な性格であるせいかもしれない。

「気をつけるよ」
「でもくりかえすようだけれど、僕には僕の人生があるし
好きな物もあれば、嫌いな物もある。仕方ないじゃないか」
と村春風レス。

241名無しさん:02/09/15 21:23
父さん、富良野にも僕の恋にも冬が来るわけで
242名無しさん:02/09/15 21:31
「君の生活には干渉しないyo」
「君の人生なんだから好きに生きればいい」
「でも一言だけ忠告したいんだけど、ネカマを装うのはよしたほうがいいよ。
売春婦と間違えられるから。」
243名無しさん:02/09/15 22:09
「いろんな事があの事件を境にゆっくりと変化していっただけさ。」
「そして一度変化してしまったものは、もう元には戻らないのさ。」
「あの時の選択が正しかったかどうかなんて考えても結論はでないさ。」
「まともに考えれば、選択は正しかったはずだった。
みんなそれぞれにいちおうは満足したわけだからね。」
244名無しさん:02/09/15 23:06
「ぼぼっぼ僕は、かっ彼女と付き合いたいんだ」
突撃隊はいった。彼は普段からどもっているが、
特に話が女がらみになるとそれが酷くなる。

「やめておいた方がいいよ、何もいいことはないし」
僕は彼が何故彼女と付き合いたいのか、理解できなかった。
「で、でも素敵じゃないか。あんな美人と、あっあんなことやこんなことができるなんて」
僕は彼の勝手な思いこみとその言いように無性に腹が立ったが、何も言わなかった。
きっと、美人と付き合うことに憧れる彼の方が、男としては普通なのだろう。
245名無しさん:02/09/15 23:08
もちろん僕が偏狭だったのは分かっているつもりだ。

でも、このスレの住人の誰もが自らの失恋を材上春樹
に託して語っている所で、あんな風に薄っペらな、ま
るで暖めた午乳にできる膜のように薄っぺらなレスを
見て、少し悲しくなって、すっかり混乱してしまった
ようだ。

いづれにしても僕はこのスレが好きだし、村上春樹が
好きだ。他の住人のレスにも敬意を払っているつもり
だ。だからもう少し、このスレにいさせて欲しい。

やれやれ、僕はいったい誰に対してレスしているんだ
ろう。
246名無しさん:02/09/16 02:29
 その遊園地が解体されてもう4年になる。
 それは、東京の郊外にある、ただの遊園地にすぎない。
説明のしようがないほど平凡だった。
常に地元のこどもたちの悪戯がそこには溢れかえっていて、
それと同じくらい大人たちの気苦労も溢れかえっていた。
要するに、活気がなかった。オーナーも道楽程度にしか考えていないので、
「エンターテインメント」やら「清々しき夢」やらとはまったく無縁だった。

 僕はそこで案内係の仕事を務めていた。僕は大学を出たばかりだった。
きちんとした大学、きちんとした学部に入り、きちんとした進路も考えていた。
だが、気がつけばここいた。憂鬱な遊園地を案内することが、果たして幸せなことなのかどうか、
僕にはわからないし、そんなことはどうでもいいのだと思っている。
ただ、ここで働かなければ彼女に出会えなかった。その意味では感謝している。

 「地響きサンダーはどこにあるのかしら」
 彼女と僕の第1接点は「地響きサンダー」だった。
これは、数あるアトラクションの中でも最もつまらないと思われるものの1つだった。
申し訳程度に振動する椅子に腰掛け、チープなセロハン眼鏡をかける。
大きくもないスクリーンに映し出される迫力の薄い擬似3D映像を5分間体験する。
それでおしまいだ。同じ5分でもビートルズの演奏の方が何百倍も素晴らしい。
 僕は、「地響きサンダーですね。こちらへどうぞ」と言って彼女を誘導した。
口頭で教えるだけでも良かったが、アトラクションまで付き添うことにした。
とにかく、僕は当たり前のように暇を持て余していたのだ。

続く
247名無しさん:02/09/16 10:33
やれやれー!!
248名無しさん:02/09/16 10:35
「起ったことは、もう起ったことだし、
起っていないことは、まだ起っていないことなの。」
「もし……だったらとか、もし……していればなんて考えなくてもいいの。」
「その行為がもたらすはずの結果とその行為を回避することによって
もたらされるはずの結果とのあいだに差異などないの。」
「だって、我々は実際には何ひとつとして選択してはいないのだから」
彼女は大体において、そんな風に考えて暮らしていた。

「僕達が出会ったことは、本当に必要な事だったんだろうか?」
僕は彼女に尋ねた。
「もちろんよ。」
彼女はにっこりと微笑んだ。

その時、僕の目の前に果てしない青い空と広々とした蒼い海が見えた。
僕は小舟の中で寝そべり、静かに目を閉じた。
こうしていれば、波が僕をしかるべき場所へ運んでいってくれるだろう。
249名無しさん:02/09/16 13:42
その朝は何かが違っていた。
目が覚めると先に起きていた彼女が椅子に座って僕をほほえみながら見下ろしていた。
「おはよう」そういうと彼女は、くわえていた煙草に火をつけ、
再びパソコンの画面に向き直った。
僕は随分長く彼女を眺めていた。
彼女は振り向きもせずキーを打っていたが、それでも僕は声もかけずに眺め続けた。
朝が来たところで何かが解決した訳じゃないし、
彼女は再びこちらを見るわけでもなかったが、
朝が来たことで僕は僕らの全てが解決してしまったような錯覚に落ちていた。
確かにその朝は何かが違っていた。
それがいい方になのか、
悪い方になのかもわからなかったが。
あまりに黙っている僕に対して彼女はどうしたの、ときいた。
なんでもないよ。と僕は答えた。
力無く笑う彼女に何か言えば、そこから何かが溢れて止まらない気がした。
彼女が何かを切り出したがっているのを感じながら
それが僕の思っているものと同じであるかを確認したかったが
そんなことはどうでもいい気がして、それ以上何も言えなかった。
「ふざけないで」と彼女はいつか大きな声を出したことがあった。
「ふざけないで。そんな中途半端な気持ちであなたの傍にいたいわけじゃないのよ。
 あなたは今のあたしを何一つ信じていないかもしれないけど、もう全ては変わってしまったの。
 あたしはあなたに干渉されたいし、あなたが別の人間と会話をすることすら、アタシ許せないのよ」
僕だって同じだ、とその時は言った気がする。
それは嘘ではなかった。
ただ、そのときの僕には説得力のかけらもなかった。
そのうち彼女は、もう、怒りという表現方法を忘れてしまった。
ただ沈黙だけが横たわった。
250249:02/09/16 13:43
「どうしちゃったのかしら。あたし」
僕の横に寝ころんで彼女はいった。
「どうしちゃったのかしら。あなたと居るだけであんなに楽しかったのに。
 あなたが居るだけで厭なことも、全部忘れていられたのに」
僕は何か言わなければと思っていた。しかしそれはつまり何も言うことがないというのと同じだった。
もう、語るべき言葉は全て、どこか別の次元へ置き忘れてきてしまったような気がする。
もう、僕にはその別れを受け入れることしか選択肢が残されていないのだと思った。
何かをいって、彼女を引き留めるにはあまりにも彼女が疲れすぎていた。
結局のところ、彼女もまた他人だったというだけだ。
僕の半身であるという錯覚を与えた彼女は、(当たり前のことなのだけれど)僕ではなかった、それだけのことだ。
僕は「今すべき行動」に従い「その場で浮かべるべき涙」を必死に探していた。
最後まで彼女のシナリオにつきあうことが僕の出来ることの全てだと思ったからだ。
251名無しさん:02/09/16 16:57
↑久々によい作品↑
252名無しさん:02/09/16 18:18
一度人気投票してみたい。

とか言ってみるテスト。
253修行中 ◆/vDwkOqE :02/09/16 22:14
たとえば学校でも会社でもいい。
僕があるコミュニティに属しているところを想像してほしい。
そこで僕は彼と彼女のことを知る。

しばらくすると、僕にもわかるようになる。
彼と彼女は特別なのだ、と。
もしかすると僕は、彼か彼女のどちらかを、
好ましく思っていたかもしれない。あくまでもささやかに。
でも、そんなささやかな思いもすぐに首を引っ込めて、
僕は納得してしまう。なにしろ、ふたりはお似合いなのだ。
僕だけじゃなく周囲の他の人間だって、彼と彼女のことを認めてる。
いつのまにか誰もが、彼と彼女が一緒にいることを当然として物事を処理する。
お似合いのふたり、というのはそういうものなのだ。

でも、僕は突然に耳にすることになる。
それは遠慮のない噂話かもしれないし、
食事の席でふと当人から漏らされるかもしれない。

僕は、一応慎み深い僕はあくまでもさりげなく、
やり直せないの、とたずねるかもしれない。
そこにはやりなおしてほしい、という願いがこもっている。
そんなつまらないことで、ふたりの関係が終わっていいものか、と
僕は思っているのだ。
でも、彼または彼女は力なく首を振り、
「終わったことだから」と答えるだろう。

そのまま、ほんとうに彼と彼女は離れていってしまう。
もちろん、それは当人達が決めたことであり、僕が口出しできることではない。
それでも、と僕は思う。それは、まちがいなくまちがったことなんだ、と。

それはとっても悲しい話なんですよ、と。
ふたりは一緒になったほうがきっと幸せだったんですよ、と。
254名無しさん:02/09/16 22:44
漏れは246はかなり書けてると思うぞ。
きちんと続きを書くことキボーン。

ペグタンとか◆SSSSaaasもまた書いてほしい。
もう失恋版からいなくなっちゃったのかな?ショボーン

255名無しさん:02/09/17 00:04
なんか「北の国から風に失恋話をするスレ」の関連スレになっているんだけど
ワラタ
相互リンク:http://life.2ch.net/test/read.cgi/break/1032154734/
256名無しさん:02/09/17 00:19
1970年8月8日。
    ↑
「風の歌を聴け」に出てくる数字。このスレでは、カナーリ意味深。

でも他スレをロムってると、このスレは「失恋板」の中では異色なんだよね。
で、結局、風を捉えることなどできない。
風は吹いてくるものなのだから、ということなんだけど。
そんな風に考えられる人が果たして何人いるのだろーか。
もっともそういう人は失恋板にカキコしない、てか書く事など何もないのさ。
257名無しさん:02/09/17 00:25
>255
おもいっきりワラタ。
「北の国から風に失恋話をするスレ」ってめちゃめちゃウエットじゃん。
関連スレというより対抗スレだね。
「やれやれ、まったく。」
258名無しさん:02/09/17 01:19
むこうのほうが難易度は高い罠。
259(引用):02/09/17 01:27
ジャングル・ブック/jungle book

「愛なんかで腹がいっぱいになるものかい」とクモザルは言った。 -(m)
260名無しさん:02/09/17 01:42
>>259
そうか、彼女の思考レベルはクモザル並だったってことか。
261246:02/09/17 03:59
246の続き
(247さん、誤解させてゴメン。荒しじゃないです。恐縮です。)
(254さん、感想有難う。とても嬉しいです。)
----------
 彼女をアトラクションまで引き連れていく間、僕たち二人の間をよく知った顔の悪ガキたちが駆け抜けて行く。
大声でーしかしそれはぞっとするほどにひどく乾ききった声だー騒ぎながら。
まだ幼い声帯を震わせながら、彼らはまた今日も同じような悪戯を始めるのだ。
観覧車に爆竹を仕掛けるだろう。ゴーカートをむちゃくちゃに乗りまわすだろう。メリーゴーラウンドに意味不明の落書きを施すだろう。
夕暮れと共にやってくる、疲れきった彼らの両親が、新鮮味の無い怒りで彼らを静寂の余韻に浸し、家に連れ帰るのだろう。
毎日その繰り返しなのだ。それがここのルールで、しがない1案内人の僕にはどうしようもないことなのだ。
僕は迷った羊の案内をするだけだ。その他には何も無い。
262246:02/09/17 04:01
261の続き

----------

 僕と彼女は終始無言だったが、
「ねえ」と彼女が突然言った。
「どうして地響きサンダーなのかしら?」
僕は返事に困った。
「と、言いますと?」と答えるので精一杯だった。
「何か言われでもあるんでしょう?」
「ございませんが」
「だって、おかしいわ」
「どうしてでございましょう?」
「何か、そうね、何かすごく神秘的とか、すごく感動的とか、
 そういう強制的な事情が無ければこんなダサイ名前はつけられないと思うの」
僕は何も言わなかった。いや、言えなかったと言った方が正しい。だって、本当のことなのだ。確かに下らない名前だ。
彼女は続けた。
「わたしはたまたまこの町に来て、たまたまここを見つけて、たまたま安くもない入場料を払って入って、
 たまたま地響きサンダーに惹かれたの。きっと何かあると思ったの」
「御愁傷さまです」「何だか悔しいわ」
「僕にはどうしようもできませんし」
「そうね」
「僕はただの案内員なもので」
「そうね」

 アトラクションの前に着いた。錆の浮いたゲートがぼんやりと入場者を待ち構えている。
「どうぞお楽しみくださいませ」
「無理そうね。でも行ってくるわ」
そう言って彼女は闇の中に消えていった。

続く
263横レス:02/09/17 10:58
彼女は飲み会でつまらなそうにしていた。
皆で「北の国から」の話題で盛り上がっていたのに。

「少しはみんなとしゃべったら?」
僕はまわりの人達に気を使って、小声で彼女に言った。
「テレビって嫌いだから、ニュース以外は見ないの。」
「僕もあんまり見ないよ。でも、話に相槌を打つとか。」
「なぜ、そんな事しなきゃいけないわけ。」
「君がみんなに悪く思われる。」
僕はうんざりした気分でそう言った。
彼女の口調には僕を苛立たせる何かがあった。
もっともそれを別にすれば、彼女は僕を懐かしい気分にさせた。

「もう、行かなくちゃ。」
「どこへ?」
「仕事よ。」
「なんの仕事?」
「あなたに関係ないわ。」
そのとおりだった。

彼女の立ち去ったテーブルの上に紙ナプキンが置かれており
そこには「ウザイ奴」と書かれていた。
恐らく僕のことだろう。
「やれやれ。」

264246:02/09/17 19:59
>>263さん

 空気がよめてませんでしたね・・・
 申しわけないです。暫く自粛します。
 ウザイなんて思ってないですよ。ご指摘どうもでした。
 それでは、またいつか。
265263:02/09/17 20:55
>246=264
あっ、このレスNO、さかさでおもしろー(関係なくてすまそ)
別に遠慮しないでどんどん書いてくらさい。
てかその低姿勢、逆にコワヒんですけど(w

266名無しさん:02/09/17 21:43
私は彼を愛していたわ。本当よ。
明日、世界中が波に飲み込まれて沈むってわかったら、
全財産を投げ打ってでも彼をエベレストの頂上に
避難させようって思ったぐらいよ。

でもその気持は、ある日突然消えてしまったの。
自分でも信じられないくらい見事に。
私に何が起こったのかは分からない。
でも、それでよかったのよ。
どうせ彼は私のことは本気じゃなかったの。
だって、1年も一緒にいて抱くどころか手をつなごうとも
しないなんて、信じられる?
私は毎晩頭の中で、嵐のように私を抱く彼を想像してただけだった。

その後で何度かメールが来たけれども、私は無視しつづけたわ。
それで終わり。それだけのことよ。
彼が今、生きているのかどうかさえ、知らないわ。

・・・・・どうでしょうねぇ。
うーん、難しいなぁ・・・。
267名無しさん:02/09/17 22:53
>>266
>全財産を投げ打ってでも彼をエベレストの頂上に
>避難させようって思ったぐらいよ。

(・∀・)イイ
268名無しさん:02/09/17 23:17
男性で書くと文語体(文章)、
女性で書くと口語体になる傾向がある、
このスレの不思議。
これが村上春樹の特徴?

ということでカフカの次回作は、
女性を主人公にしてもらいたいとこですね。
269246:02/09/17 23:35
>>263さん
 >てかその低姿勢、逆にコワヒんですけど(w
 いや、元々気が弱いもんで。悪意は無いですよ。気にしないで下さいー
 どちらにしても、ちょっとスレを離れることにします。
 失恋板をのぞいたのも、昨日が初めてだったし、
 (知り合いから、「文章好きに良いスレあるよ」とココを教わったんです)
 新参のくせに空気をよまずにダラダラかきなぐった俺も十分に反省すべきです。
 レスどうもでした。
270名無しさん:02/09/17 23:47
続く、は勘弁して欲しい
一派ネタで、出来れば完成度の高い物を希望
続く…この言葉を聞くと虫酸が走る。恐らく僕の偏狭な性格のせいだろう。
やれやれ。世の中の人は好むとも好まざるとも明日という今日の続きを経験しなければ行けない。
こんな匿名の見捨てられた土地にさえ、平等に続きが来るというのだ。
本当に世界が平等ならば、優れた日々の続きだけを経験したい物だが、
これもやはり僕の偏狭な性格が生み出した下らない妄想でしかないのだろう。
でも僕は受け入れる。僕は偏狭な性格かもしれないが、基本的に懐は広いのだ。
272名無しさん:02/09/18 00:11
素で聞くけど一派ネタってなに?
273名無しさん:02/09/18 00:18
イイねえ♪♪
1さんっ頑張って!
274270:02/09/18 01:17
まただ。またやってしまった。自分の中のバランスが崩れている。僕はまるで車輪が1つだけ欠けた電車みたいだ。
やれやれ、一発ネタを一派ネタなどと書いてしまうとは。僕はため息をついた。それでどうなるわけではないけれど。
275名無しさん:02/09/18 12:52
短いのね

彼女はそう言った。
「短いのね」と、僕も復唱した。
ビーチボーイズとビールだけで1週間過ごした僕と彼女の終わりは近づいていた。
そう、それは確実に音もなくやってくるものなのだ。
アスファルトの溝に染み込む雨水のように。
彼女は翌朝いなくなっていた。
初めからそこにいなかったように。←ルビふる
僕はシャワーを浴び体の隅々を清潔にした。性器もよく洗った。
僕はしばらく濡れた性器を観察した。それは鉢に植えられた食虫植物のように
決まりが悪そうにしなだれていた。
短いのね
彼女は確かにそう言った。そして僕の前から消えてしまった。
猫とともに。
276名無しさん:02/09/18 15:02
>>275
オサレな笑い話だね
277出会い 春樹風難しい:02/09/18 19:23
 大学から少し歩いた所に、ちょっとセンスのいいジャズをかける、他にはこれといって取りえのない喫茶店があった。
 もちろん僕は授業もそこそこにその喫茶店に入り浸っていたし、サークル(ポーズだけのテニスサークルだ)の友人達もランチやお茶にしばしば来ていた。なんということはない、いわゆる“溜まり場”というヤツだ。

 ある日授業の終わる頃、いつもの様に友入達が店にやってきた。そしていつもの様に僕のいるテーブルに座った。そして僕はいつもの様に本を読んでいたし、いつも通り一通り挨拶を済ませたら読書に戻るはずだった。
 でもその日はいつもと少しだけ違っていた。もちろん僕の方はいつも通りだった。ギンガムチェックのボタンダウンに洗いざらしのチノパン、少し前に買ったちょっとシックなナイキのスニーカー。
 読んでいた本は村上春樹の文庫本だったし、かかっていたジャズはマスターお気に入りのコルトレーンだった。これ以上ない、というぐらいいつも通りだった。

 違っていたのは友人達の方だ。もちろん彼らだっていつも同じ顔ぶれという訳じゃない。でも皆僕の見知った顔ぶれだ。なんといっても僕の友人達なのだから。
 でもその日は、まったく知らない顔の女性がいた。しかも僕の正面の席に座り、ちょっと不思議な、好奇心と探求心が入り混じった様な眼差しを僕に向けていた。

 「やあ」

 とんだマヌケなセリフだが僕は彼女に声をかけた。もちろん少さな声でだ。なんといっても店にはマスターお気に入りのコルトレーンがかかっている。

「こんにちわ」

 彼女も少さな声で微笑みながら答えた。彼女は絶世の美人、というタイプではなかったが、どこか人を惹きつける魅力を持っていた。
 今思えば、僕はこの時もう彼女を好きになり始めていたんだろう。いや、すでに彼女の虜になっていたのかも知れない。

 彼女は相変らずその眼差しを僕に向けていた。
278名無しさん:02/09/18 22:32
このスレ最初からロムってみて、初めのほうで無理とか言われてたけど
いまだにレスが伸びているのがスゴイ。

2ちゃんねらーだと、せいぜい「ノルウェイの森」あたりかなと思ってたけど
「世界の終わりとハードーボイルドワンダーランド」も読んでいるヤツがいて
ちゃんとわかっているというのにビクーリ。
某板でこの話をした時には、でしゃばりコテハンにクソレス付けられたのだが…

というわけで
これが僕だったのだし、結局のところどこまでいってもこれが僕なのだ。
279名無しさん:02/09/19 00:21
>278
やれやれ。彼は国境とかスプートニクとか読んでいるのだろうか。
280修行中 ◆/vDwkOqE :02/09/19 00:33
「例えば失恋さ。ある日突然自分という存在が破壊される。
 誰が慰めてくれたって、心の痛みはそう消えやしない。
 そうするとね、自分を振った相手に対して腹が立ちはじめる。
 そしてその次に幸せそうなカップルに対して
 無性に腹が立ちはじめるんだ。わかるかい?」

「少しはね。」僕は言った。
「でもね、考えてみろよ。条件はみんな同じなんだ。
 もちろんルックスがいいのもいりゃ、そうでないのもいる。
 会話がうまいのもいれば、口下手なのもいる。
 金持ちもいりゃ、貧乏人もいる。
 だけどね、どんな異性からも必ず愛されるやつなんて誰もいないんだ。
 みんな同じさ。
 相手がいるやつはいつかいなくなるんじゃないか、とびくついてるし、
 相手がいないやつは永遠に誰とも付きあえないんじゃないかと心配している。

 みんな同じさ。

 いくら人として強くなったとて、いくらいい人間になったとしても
 それが君が次に好きになる人から愛されるためのパスポートにはならないんだ。
 そうだろ?誰からも愛される人間なんてどこにも居やしない。
 誰からも愛されているように見える人間が居るだけさ。」


「あんたは本当にそう信じてる?」
「ああ。」
鼠はしばらく黙り込んで、手の中のコーラのペットボトルをじっと眺めていた。
「嘘だと言ってくれないか?」
鼠は真剣にそう言った。
281名無しさん:02/09/19 00:51
いつものように少し古いパソコンを開き、メッセを立ち上げる。
23時30分、別に決めてるわけじゃないが、この時間だ。
薄暗い僕の部屋は、赤い間接照明だけで、視界が広がっている。

「こんばんわ」彼女に向かってキーボードを打つ。
お互いの携帯電話代のことを考えて、メッセで会話しているのだが、
なんだか味気ない。シャレたBGMなどかけず、無音のなか
ただ僕のキーボードを叩く音だけが響く。
外は雨のようだった。窓の外から、湿り気を帯びた雨の匂いが流れ込む。
いつものように会話は進むはずだった。他愛もない会話。
今日の授業や、バイトの話。友達の話などを何の脈絡もなく書くだけ。

でも彼女の「距離を置きたい」の一行が目に入った瞬間、
二人の会話の雰囲気が一変した。表現が陳腐だが、天国から地獄だった。

その一行のあと彼女はオフラインになった。
続けられない会話画面を眺めながら、僕は思った。

「彼女の、僕への想いもオフラインか・・・」
282始まり やっぱり難しい:02/09/19 12:56
>277の続き

 次の日も僕はいつも通り、いつもの喫茶店のいつもの席で、ジャズを聞きながら本を読んでいた。僕
の方は相変わらずいつも通りだった。もちろんいつも通りコーヒーはマンデリンだった。
 しかし、いつもと違うのは正面の席にあずみが座っていて、アールグレイを飲みながら僕を眺めてい
るということだ。
 もっとも、いつもと違うと言うだけで、いやな感じはしなかった。いや逆に、そこはもともとあずみがいる
べき場所であったかの様に、彼女は僕の日常にしっくりと馴染んでいた。まだ出会って二日目だと言う
のにだ。

~~~~~

「この子あずみっていうの。私の友達なんだけど、たまたま貴方のことを話したら、おもしろそうって付い
てきちゃった」
「おもしろそうって… 一体どんな話をしたんだよ?」
「ありのままよ。一日中ジャズを聴きながら喫茶店で村上春樹を読んでいて、そのくせこざっぱりとした
男がいる、って。」
「そのくせ、ねぇ…」

 僕は別に気分を害してはいなかった。確かにありのままだ。別に必ず村上春樹を読んでいるわけでは
ないけれど、村上春樹を読んでいれば「いつも通り」と言える程度には読んでいる。
 そして、その男に興味を持ったというあずみという女性に僕も興味を持った。

283始まり やっぱり難しい:02/09/19 12:56
続き

「はじめまして。あずみって呼んでくれていいわ、みんなそう呼ぶから。第一苗字なんか忘れちゃったわ。」

 彼女は笑いながらそう言った。

「明日から貴方を観察しに来てもいいかしら? いい暇つぶしになりそうだわ。」
「別にかまわないよ。僕の読書の邪魔さえしなければ。」

~~~~~~

 しばらく本を読んでいると、彼女が話しかけてきた。

「どうして村上春樹が好きなの?」

 普段なら読書中に話しかけられるのはとても嫌うのだが、その時は全く気にならなかった。後で気が
付いたのだが、彼女は必ず僕の読書が一段落付いたときに声を掛けてくるのだ。他の人には分からな
い、僕の呼吸が分かるらしい。

「う〜ん、主人公が何も信じていないくせに、誰かを愛しているところかな?」
「ふ〜ん。」

 彼女は納得したんだかしてないんだか分からないような返事をして紅茶を飲んでいた。そして僕はま
た読書に帰る。こんな風に僕たちは1ヶ月近く不思議な時間を共有していた。
284名無しさん:02/09/19 15:26
真っ黒な泥のたまりから這い出るような目覚めだった。
ゆっくりと頭を左に向けて今日もきみの枕を確認する。
この確認作業はもうほとんど僕の日課だ。
枕は少しもくぼんでいないし、きみのきれいにたたまれた
サーモンピンクのパジャマもそこにはない。
昨日と同じだ。何も変わらない。
キッチンへ行ってやかんに水を入れ火にかける。
湯が沸くと丁寧にコーヒーを入れ、パンをトースターに放り込む。
出来上がったコーヒーをマグにつぎテーブルに置いた時、
突如にきみのほっそりした指が僕のパンにマーガリンを
ぬってくれている光景が目に浮かぶ。
洗面所に行けば日向にひっそり咲いているかわいい花のような
すてきなきみのコロンのにおいを感じるし
クローゼットを開ければきみのクールなジャージ生地の
ワンピースが思い浮かぶ。
オーケー、どれもこれも毎日のことだ。
何も変わらない。
そしてここには何もない。
僕はそっと首をふった。
ねぇ、一体あれからどのくらいの時間がたったんだろう?
きみはもう顔も声も無くしたのにいつまで僕の中に住みつづけるんだい?
285名無しさん:02/09/19 17:16
>>277>>282-283
(・∀・)イイッ!どっかでみたような文章だが。
286名無しさん:02/09/19 17:30
面白い
287村上春樹論:02/09/19 21:44
村上春樹のデビュー作「風の歌を聴け」
何度読んでも、小説としては稚拙だが、心を捉えて離さない。

彼がこの小説を書いたのは29歳の時。
学生時代にシナリオを書こうと試みたが(早稲田の映画演劇科出身)
うまく書けなくて、自分にはそういう才能は備わってないのだと思い
卒業後はそれなりにすんなりと人生を送り、結婚して、仕事も忙しくしていた。
しかし、ふと自分のために何か書いてみたいと思い、毎日夜遅くまで働いた後
夜中にビールを飲みながら、台所のテーブルで少しずつ区切って書いた。
書き上げて、群像の「新人賞」に応募。受賞したのがこの作品。

だから「風の歌を聴け」はやはり村上春樹の原点なのだ。
この作品には気負いというものがない。
自分の気持をただ正直に、文章に置き換えただけである。
どこか他人とは違う、だれも語らなかった言葉、そして不思議なシンプルさ。
そういうところがとても好きだ。

何かが変わると思ってた70年安保で、何も変わらないとわかった
70年代の乾いたキャンパス。
失うことが怖かったから、何も得られない事が怖かったから
執着せずにシンプルにクールに生きていこうと思ってたあの時代。

「あらゆるものは通りすぎる。誰にもそれを捉えることはできない。
僕達はそんなふうにして生きている。」
70年代には、この言葉が似合う。

ゆえに、自分としては「風の歌を聴け」の必然性は
「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」につながると思っている。
僕は「風の歌を聴け」で、人の洪水と時の流れの中に跡も残さずに消え去った彼女と
「世界の終わり」で再びめぐり逢い、暮らさなければいけないのである。
288名無しさん:02/09/20 00:43
全部読破してる人が多いのでしょうか?

289名無しさん:02/09/20 01:06
昨日は僕が今まで想像できないくらいの悲しみに襲われた一日だった。
コバルトブルーのペンキをバラまいたような憂いに満ちた空の下
特に長くも短くも感じない十九を迎えそして今夜が来た。
やれやれ、十二時を過ぎていたため好きなピザも頼めない。
僕は、自分の命はせいぜい持って十八だと思ってたから、
三百六十五日とちょうど五十八分も長生きしてしまったのだ。
半年前に僕の半分は壊れてしまった。
だから僕はもう、夢の島にいる使い捨てられたボロのぬいぐるみのように
ただ焼かれるのを待つばかりのような生き方をしている。
去年、正確な日時は忘れてしまったが僕の半身は、すっぽり消えてしまった。
ふと、唐突な風のように。
失恋の傷など癒えることはない気がする。
もう二度と恋なんてしたくないとも思う。
それは僕が若すぎるからかもしれないし、
経験が余りにも少ないからかもしれない。

スマソ
春樹っぽくないのでsage
290名無しさん:02/09/20 04:05
「あなたのこと嫌いになったわけじゃないの。」
彼女は僕の部屋の床の上に座って、コーヒーカップの
縁についたしずくをいじりながら言った。
「ただ、私たちこのままいてもだめだとおもう」
僕は彼女の指先の動きにみとれていたので、
肝心なところを聞き逃すところだった。
念のため僕はききかえした。
「わるいけど、もう一度言ってくれないかな。」
彼女はため息をついて、カップを流しに持っていくと
後ろ向きのままいった。
「つき合っている人がいるの。わかるでしょ。」

「わからない。」僕は答えた。本当に解らなかったのだ。
291名無しさん:02/09/20 04:14
つづく
292名無しさん:02/09/20 07:19
>>283は続かないのかよっ!
>>283の続き。>>285さん>>292さんありがとう。思わず仕事サボっ
て書いてしまいました。

 その時僕はちょっとした問題を抱えていた。もちろん古い友人に
羊が取り付いた訳でも、小説家に子供を預けられた訳でもない。実
家で小さな会社を営んでいた父と兄が事故で急な亡くなったのだ。
 ただ、その葬儀を済ませ、ついでに一仕事片付けようと寄った札
幌で泊まったホテルが「イルカホテル」だったのが少しだけ僕を苛
立たせていた。なにかいやなことが起きそうだ。

 あずみと出会ってから5年が経っていた。最初の1ヶ月で僕たちは
お互い空気の様な存在になっていた。一緒にいてもお互い好きなこ
とをしているだけなのに、一人ではなんとなくもの足りない。
 2ヶ月目にはキスを繰り返し、3ヶ月目にはセックスもするように
なった。大学を卒業してからは一緒に暮らす様になった。僕は小さ
な出版社で編集の仕事を、あずみはアパレル関連の会社でバイヤー
として、独り立ちし始めていた。

 当然僕たちは忙しくなり、学生時代のようには同じ時間を共有で
きなくなっていた。
 そこに突然の父と兄の死。葬儀の後母は当たり前のように、僕に
実家に戻り、会社を引き継ぐことを求めた。その中にははっきりと
は言わなかったものの、あずみと結婚して二人で帰ってきてほしい、
という思いがにじみ出ていた。

 僕は仕事を終えて、帰ってきた「イルカホテル」の部屋で冷たい
ビールを飲みながら一人悩んでいた。
 唐突に僕の携帯が鳴った、もちろん電話というものはいつも唐突
に鳴るものだが、その時の唐突ぶりは際だっていた。電話はあずみ
からだった。

「あ、わたし。そっちはどう?」
「あぁ、葬儀はなんとかね、仕事の方もとりあえず片付けた。今ホテルで一息ついているところ。」
「大変だったわね。で、こんな時で悪いんだけど、急な出張になっちゃったの。明日の朝にはロン
ドンに発つわ、迎えにいけなくなっちゃった、ゴメンナサイ。」
「あぁ、かまわないよ。ただ、いろいろ話があるから、出張から帰ったら少し時間を取って欲しい。」
「分かったわ。チョッと難しいかも知れないけど、なんとかする。それじゃぁ。」

 最近はこんな会話が多くなってしまった。もちろん僕は彼女を愛
しているし、彼女は僕を愛してくれていると信じている。でもやは
り何かが違ってきている。僕たちはいつまでもあの頃の、喫茶店で
一日中ジャズを聴きながら本を読んだり、他愛のないおしゃべりを
していた頃のようにはいられない。

 「イルカホテル」でこんなことを考えていると本当に寝られなく
なってしまいそうだ。僕も明日は東京に向けて早くここを出なけれ
ばいけない。僕には僕のやることが、そう僕の人生があるのだ、彼
女には彼女の人生があるように。そう、それは僕のものであって、
彼女のものでもなければ、母のものでもない。僕が決めて、僕が生
きていかなくてはならない人生なのだ。

 そんなことを考えながら、チョッとうんざりした気分で僕はベッ
ドに入った。やはり「イルカホテル」に泊まったのは間違いだった
のかもしれない。この日から僕たちの歯車は狂い始めた。
295294:02/09/20 10:49
やれやれ、本当に村上春樹からどんどん離れてきてしまった。

僕はこれからどうすればいいのか考えて、ベッドに座りながら
途方にくれてしまった。やはり村上春樹風にするには「セントラ
ルパークのシマリス」とか、『「失恋」とつぶやいてみた』りする
ことが必要なのだろうか?

しかし、これが僕なのだ。僕なりの村上春樹なのだ。もし許され
るならちゃんと最後まで書きたいと思いながら、僕は彼女の帰り
を待っている。もちろんもうここには帰ってこないというのがたっ
た一つの真実なのだけれど。好むと好まざるに関わらず、今の
僕に残されたたった一つの真実なのだけれど。
296132:02/09/20 15:17
>>295
僕は単なる小道具としてシマリスを使ったわけじゃなくて、今まで自分の繰り返してきたことを表現しようとした時に、比喩として最初に浮かんだものがシマリスの回す車輪だったというだけのことだ。
そして考えていくうちに、僕の状況が単なるエンドレスではなく、実はどんどん悪化して行っていることに気づいた。
だから、同じく回りつづけ、しかも位置が変わるものの象徴として螺旋階段を見つけた。
その時点で、シマリスの単純なエンドレス運動は僕の過ちとは別格の、言わば見上げるべき存在として君臨することになった。
従って僕は自分の書いた駄文を、ニューヨーク・セントラルパークのシマリスに捧げたのだ。
別にそれが伊豆大島のシマリスだって構わなかった。ただ、僕の好むアーティストの曲に「ニューヨークのリス」というものがあって、そのためにセントラルパークを選んだだけなのだ。
つまり、シマリスは僕が越えられない「部分」の象徴としての意味合いで使われていて、このやりかたは「僕が思う」春樹文体にある特徴のような気がしたわけである。


結局、心象風景をどう表現するか、そしてそれをどう受け止めるかによって評価は変わってくるだろうし、自らの傷をこうやって告白する場において、他人の文章との出来を比べても不毛なだけのような気がすると僕は思う。
もし僕の書いたこの文章を嫌味に感じたなら、それは僕の力不足なのだけれど……このスレッドのみんなに僕はとても励まされたし、シンパシーに似た感情さえも感じている。
時々覗いては増えている文章に胸を弾ませ、そこに自分の痛みを忘れる瞬間があるからこそ、みんなは書き込んでいるのだと思う。

だからぜひ続きを書いて欲しい。誰もが同じ春樹ならこんなスレは必要ないし、誰もが幸せならやっぱりこんなスレは必要ないからだ。
……いつかこの螺旋階段を逆に登って行ける日のために、この失恋板から羽ばたく日のために、みんなには書きつづけて欲しいと僕は思った。
297名無しさん:02/09/20 23:33
>>288
>全部読破してる人が多いのでしょうか?
私はかなり読んでますけど(主要作品)さすがに全部は読んでませんね。
最近のはほとんど読んでないです。
暇がないって言うのは言い訳に過ぎないから、時間作って読もうかなと。
近からず遠からず、日常生活の一部から開放されるでしょうし
そうなった時に自分の原点というものを見つめておかないといけないから。

自分の文章に影響を与えた作家としては
川端康成、三島由紀夫、谷崎潤一郎あたり。かなり正統派です。
彼らの文、というか日本語は本当に美しい。

村上春樹風であるけれども単なる言葉のパクリではいけない。
マインドが伝わらないと。
自分としては、彼の作品をどういう風に捉えているか。
まぁ、失恋板なので「失う」ということをどんな風に考えているか。
みんなに書いて欲しいです。



298修行中 ◆/vDwkOqE :02/09/21 03:00

彼女に振られた日から、僕の頭の中に小人が住みはじめた。
たとえば通勤電車から窓の外を見つめている時、休憩の一服をしている時、
朝いつもと同じようにトイレで腰を掛けた時。
どんどん、とやつは僕の後頭部を蹴飛ばす。
「もう終わったんだよ」
そんなこと言われなくてもわかってる。
そう、もう終わったんだ。終わったことなんだ。
なのにお前は終わったはずのことをどうしてまだ考えている?

だから、僕は考えることをやめようと思う。
僕にはこなさなければいけない仕事も、怠惰な日常もある。
でも、やつは僕がそれを忘れることを許してくれない。
ふっと気を抜いたとき、やつは必ず僕の頭を蹴飛ばしに来る。
どんどん。
299修行中 ◆/vDwkOqE :02/09/21 03:01
僕と彼女は毎日のように顔をあわせる。
彼女の姿が視界に入るたび、僕の感情はかすかな波を立てる。
いまの自分の心に地震計をつけたら、おもしろいと思う。
針が描く線は群発地震があったかのように、絶え間ない揺れを刻むだろう。
そう、そんなことを考えるのは非常に自虐的だ。わかっているのだけれども。

僕は感情を抑えつける。でも抑えこんだ感情はそのまま消えてはくれない。
僕の体の中を逆流し、やがて行き場を失って小さな溜まりを作る。
感情を殺すたび、その溜まりは少しずつ、でも確実に大きくなっていく。
頼むから、と僕は思う。誰もいまの僕に針を刺したりしないでくれ、と。
どんなに小さくても、溜まりに開けられた穴からは、猛烈な勢いで僕の血が吹き出すから。
その血が針を刺した相手に降り注いでしまうことを僕自身も止めることができないから。
300名無しさん:02/09/21 03:02
300
301修行中 ◆/vDwkOqE :02/09/21 03:02
「それで、もうふっきれたの?」と彼女は聞いた。
僕の失恋の愚痴を聞く、という名目で、僕と彼女は一緒に夕飯を食べていた。
「気の効いたことがいえなくて本当に申し訳ないんだけど、元気だしなね。」
「そんなことはない。こうやってご飯に付きあってくれて、ほんとうに感謝してる。」
僕は落ち着いて整理しながら、自分の失恋について少しずつ話した。
「申し訳ないね。もっとおもしろく話せればいいんだけど」
彼女はパスタの皿から顔を上げていった。
「おもしろく話す必要なんてないのよ。ただ、あったとおり話せばいいのよ。
 愚痴ってそういうものでしょう?」
彼女のほうが100パーセント正しかった。


僕の話が終わると、少し沈黙の間があった。
「確かにあなたは大事な人を失った。とても大事なものを失った。
 でもね。」
彼女はいったん言葉を切って続けた。
「あなたはすべてを失ったわけではないのよ。
 あなたがまだ失っていないものがたくさんあるのよ。
 それを忘れないでね。」
その瞬間、僕の目からゆっくりと涙が滲みだす。それは静かに頬の皮膚を伝って落ちる。
そう、僕は大事なものを失った。
もしかしたら人生で二度と手に入れることのできないものを僕は失った。
けれども、僕は彼女の顔を見つめて気づく。僕はすべてを失ったわけじゃない。
こんな僕でも、心配してくれる人がいる。こんな僕のために心配してくれる人がいる。
彼女だけじゃない、いまここにいない仲間の中にも。
もしかしたら、僕の顔と名前さえ知らない仲間の中にも。
僕の心はそんな人たちの存在をありありと感じとっていた。
涙に潤む意識の中で僕ははっきりと知る。
これは断じて喪失の涙ではない。人は再生するときにも涙を流すのだ、と。
それは僕が失ったものと、まだ失っていないもののために流される。
302修行中 ◆/vDwkOqE :02/09/21 03:03
「いまは好きなだけ泣きなさい。」
彼女はゆっくりと語りかける。
「でもね、ずっとそこにいちゃだめなのよ。
 きっとそこから帰ってきたあなたを待ってる人がいるからね。
 いまはその存在を信じられないと思うけど、
 絶対にあなたを待ってる人がどこかにいるからね。
 世の中はそんな風にできているのよ。」


僕は心の中の一番やわらかい部分について考える。
そこは他と隔離されるかのように、ひっそりと存在する。
森の奥、ぽっかりと開けた丸い広場。そこではいつまでも雨が降りつづける。
幾重に降る雨にすべての物音は消されていく。
僕は彼女と食事をしながら、同時にその広場にも立っている。
そこで僕はいろんな人の声を聞く。僕にいままで投げかけられたたくさんの言葉を聞く。
その言葉の多くをいまの僕はもう聞くことができない。
その言葉にこめられた真意を、僕はもう確かめることができない。
僕は既に多くのものを失ってしまっている。そして、またいま、僕は大事なものを失う。

けれども、それでも、僕にはまだ失っていないものがあるのだ。
303修行中 ◆/vDwkOqE :02/09/21 03:04
僕はしばらく泣いていた。
彼女はその間ずっと僕を見守っていた。
やがて、いつか僕の涙は止まる。定められた時が来たかのように。
「だいじょうぶ?」彼女が僕の顔を覗き込む。
こたえる声は僕自身のものに一瞬聞こえない。でも驚くほどしっかりした声だ。
「大丈夫だよ、もう大丈夫。」
自分の中で何かが生まれる。もう小人の声も、溜まりもない。


「ありがとう」
304修行中 ◆/vDwkOqE :02/09/21 03:05
「僕がこのスレにはじめて書きこんだのは二週間ほど前のことだった。
 僕は仕事が終わると家に帰り、この板を眺めるようになった。
 ディスプレイを見ていると、そこには無数の思いが書きこまれていて、
 それは僕の目には実にたくさんの灯りのように僕には見えた。
 もちろん書いた本人にしてみれば、灯りだ、なんて飛んでもないというかもしれない。
 僕だってその気持ちはわかる。理由なくこの板にきたわけじゃないからね。
 でも、実にいろんな人がある部分では僕と同じように、
 そしてやっぱり僕とは違う部分を持って、それぞれに生きてるんだ、と僕は思った。
 そう思うとね、ちょっと心が楽になった。
 別に自分やここにいる人をあわれんだわけじゃないんだ。
 僕のいいたいのはこういうことなんだ。


  み ん な ・ が ん が ろ う ね


 僕はもしかしたら、このスレのことをずっと覚えているかもしれない。
 僕の存在はうざかったかもしれないけど、このスレにはとても助けられたから。


 この書き込みが終わったら、また以前みたいな「名無しさん」に戻る。

 ありがとう。」
305名無しさん:02/09/21 03:20
このスレのフラッシュ作りました。プロジェクトX風です。
http://www.geocities.co.jp/Playtown-Bingo/8220/nihon.swf
306間違い :02/09/21 15:02
>>294の続き

 僕たちは東京から2時間ほど離れた落ち着いた温泉に行くことに決めた。
 あずみは忙しくて思うように休みが取れず、結局週末プラス1日の時間しか取れなかった。僕が「時間をとって欲しい」と彼女に言ってからざっと1ヶ月が過ぎていた。

「二人で旅行なんて、久しぶりね。楽しみだわ」

 あずみはそんな風に言いながらも、あの夜の僕との電話の雰囲気から、僕が多少深刻な話をしようとしている事には感づいている様だった。
 あずみは相変わらず、僕の考えていることや読書の合間の一呼吸といったことが手にとるように分かるのだ。僕もこの心地よい呼吸が大好きだった。

 1日目、僕たちは着くなりゆっくりと温泉に浸かり、美味しい夕食をいただき、他愛もないおしゃべりをして、そしてセックスをした。僕達のセックスは、相変らずお互いをそれぞれの半身だと充分に感じさせるものだった。そしてそのまま重なり合って、その日は眠った。
 2日目、僕たちは気持ち良く目を覚まし、朝食を済ませた。気持ちの良い朝だ。そこで僕は話を切り出した。

「あずみ、この旅行には2つ目的があるんだ、1つはもちろん君とのんびり旅行を楽しむこと。もう1つは僕が抱えている問題を君に伝えること。」
「えぇ、分かってる。1つ目には満足してるから、問題は2つ目ね。」

 あざみは微笑みながらそう言うと、少し恥ずかしい様な表情で浴衣の襟元を整えて座り直した。この時僕は、この一連の仕草の意味に気がつかなかった。 
 もしこの時、僕があずみの仕草の意味に気がついていれば、その後の2人は今とはまったく違っていたかも知れないとも思う。いやしかし、僕が僕である限り、僕らしぃ僕でいようとする限り、全く同じだったかもしれない。

 とにかく僕は、「イルカホテル」で感じた不安の通りに「よくない事」に向かって足を踏み出してしまった。そしてそれは恐らく、自らの意志で踏み出した1足なのだ。
307名無しさん:02/09/21 20:16
>305
これ、面白い、きゃははははー
じゃなくて、合いの手は「やれやれ」だった(w
すまそ。
308名無しさん:02/09/21 21:12
やれやれのほかに何かないかなぁ
309名無しさん:02/09/21 21:26
ふむ
310310?:02/09/21 21:44
「ねぇ?」
「ん?」
「今一緒に暮らしてる女の子とは幸せ?」
「いい子だよ。上手いコーヒーを淹れるし、趣味のよい音楽を聴いてる」
そう言うと、彼女は口元だけで小さく微笑みした。あの頃と同じように。
「何かおかしなこと言ったかな?」
「ううん、ちがうの。あなたの話し方、相変わらずだなって」
「現状維持で精一杯だからね」
「でも、そうやって」と彼女は言葉を区切り、冷めたコーヒーの苦味に
眉を寄せてから「はぐらかしてばかりいると、大事なものがなくなっても
気が付きさえもしなくなるわよ」と言った。
「確かにね。それで、なくして、ずっと気が付かないでいて、ある日、
不意にもう一度目にしたとき、初めてなくしたことに気付く」
「好きよ、あなたのそういう器用じゃないところ」
煙草に火をつけようかと思ったとき、
「雨、上がったわね」と彼女が言った。
「出ようか?」
「うん」
311310?:02/09/21 21:53
>>310の続き

二人並んで改札の脇で切符を買うとき、
「あなたとのデートの日、いつも雨が降ってた」と彼女が言った。
「そうだったね。不思議とね」
「責めてるんじゃないの。気を悪くしたらごめんなさい」
「いいさ、事実だし・・・それにあの頃も、少しは悪いと思ってた」
「うん・・・・」

上がっていた雨が、電車がカーブを曲がって視界に入ると、また降り出した。
ぞんざいに行き先を告げるアナウンスが流れ、発車の合図が鳴り、制服の
女の子達が慌てて掛け込み、ドアが閉じる寸前、電車に乗り込み、
もう一度振り返ると、閉じたドア越しのホームに21歳の彼女が立っていた。
10年前、彼女の21の誕生日、僕が贈った傘だ。
閉じたドアに駆け寄ると、電車が動き出した。一瞬、ガラスの向こうで彼女が
かすかに傘を傾げ、うなずいたように見えた。

あの再会からもう3年が経つ。今も彼女とあの傘のことを思い出す。
時は、あまりにも早く流れる。
312名無しさん:02/09/22 06:06
>>288
この気持ちを巧く表現するのは難しいところね。
失うも失わないも、私の大好きな彼が私のものだったことなんて、一度もないんだもの。
私のものになる前から失っちゃうだなんて、まったく、ついてないにも程があるわ。
あんまり考えていると、偶然だったり、運命だったり、鳴らない携帯や空っぽのポスト、
その他テレビだのカップだの、果てはカーテンの柄まで、
とにかく目に付くものすべてを恨みたくなっちゃうから、この意見は却下しておいた方が賢明ね。
恋を失うって線で考えてみても、今の私には適当とは思えないわ。
だって、私は私の恋を失っていないし、まだ彼に恋をし続けている。多分、これからも。
確かに、彼を所有し、同時に彼に所有される機会を、私は永遠に失ったわけだけれど。
313名無しさん:02/09/22 06:10
私は>>312
うっかりして、レス番号を間違っちゃったわ。
本当は>>288でなはく>>297に宛てるべきだったんだけど。
まったく、注意力散漫の極みだわ。
314名無しさん:02/09/23 12:04
修行中さんは、ここにカキコして気持がすっきりして
また「名無し」に戻って2chのどこかでカキコしてるのでしょうか?

それでいいのだよ。
ずっとコテハンやトリプ使ってるとシンドクなるんだよ。
もっと気軽に、もっと気楽に、それが匿名掲示板の良さなのだ。

ID導入された上、トリプ付きコテハンのウヨウヨしてる板なんて
もう、限りなく疑心暗鬼の世界。
だから、そういう板からあたしは逃げ出しちゃったのだ。
315名無しさん:02/09/23 13:02
>>297
失恋の定義って難しい。
人を失うって事はその人に必要とされなくなる事と私は感じます。
皆さんの話も、聞いてみたいです。
少し、スレからずれるかしら。

316風の歌を聴け−プロローグ:02/09/23 14:41
今、僕は語ろうと思う。

もちろん問題は何ひとつ解決してはいないし、語り終えた時点でも
あるいは事態は全く同じということになるかもしれない。
結局のところ、文章を書くことは自己療養の手段ではなく
自己療養へのささやかな試みにしか過ぎないからだ。

しかし、正直に語ることはひどくむずかしい。
僕が正直になろうとすればするほど、正確な言葉は闇の奥深くへと沈みこんでいく。

弁解するつもりはない。
少なくともここに語られていることは現在の僕におけるベストだ。
つけ加えることは何もない。

それでも僕はこんな風にも考えている。
うまくいけばずっと先に、何年か何十年か先に
救済された自分を発見することができるかもしれない、と。
そしてその時、象は平原に還り僕はより美しい言葉で世界を語り始めるだろう。
317ミドリ:02/09/23 15:19
あなたは新しい恋人としっぽりやってなさい。
私は一所懸命こりこりと公務員試験の勉強しとくから。

318297:02/09/23 18:08
>>315
失恋して、人を失ったとか、その人に必要とされていなかったとか
思ったことは私にはありません。

「あー、この人もまた、私を通り過ぎて行った人なのか。」と思うだけです。
それで、一緒にいた風景だけが心の中に残っているんです。
その人の顔や声や言葉をすっかり忘れてしまっても
風景だけがずーっと心に残っているんです。

ある人(すでに亡くなりましたが…自殺したんです)の場合は、「モナリザ」の絵です。
新緑の季節に二人で上野の美術館で見た本物の「モナリザ」の絵は
教科書の写真で見て想像していたより、ずっと小さくて明るかったんです。

新緑の季節になると、ふっとその時の「モナリザ」の絵を思い出したりします。
319名無しさん:02/09/23 18:21
 限界だった。その事実は僕のキャパシティーを遥かに凌駕していた。
「もうこれ以上我慢できない。」
 僕は彼女に宣言した。
320名無しさん:02/09/23 18:50
僕は万物に反対だし、万人と相容れない。
そんな僕が君と付き合えたのは奇跡だった。
絶対的にありえないと思っていた存在、ありえないと思っていた素敵な日々。
他の人生を考える隙がないくらい君を深く愛していた。
その一方でどこか現実感のない白昼夢のような違和感を感じていた。
幸せなのに現実を受け止めることができなかった。
幸せすぎて実感できなかったのかもしれない。
それでも君を愛していた。これだけは事実だ。
別れを告げられた今も現実を受け止められないでいる。
結局、僕という人間は、万物に反対で万人と相容れないということだ。
321名無しさん:02/09/23 23:37
>316
このスレのバイブルとなる部分ダーネ。
322名無しさん:02/09/23 23:56
>>315
なるほど。未熟でスマソ。

人を失うって事は自分の心の中から
その人についての何かの感情が消えてしまったって事だって思ったの。
または、何かによって心が削り取られているような感じ。
それはゆっくりだったり突然だったりするけど。
見えない何かに確実に削られていく。
必要性を削られていると感じたのはきっと失恋に対する私の主観ね。

323名無しさん:02/09/24 00:02
>>318
ネタじゃなくて?マジ?

多少フィクション加えてボカシてもよいから、書いてみるがヨロシ。


324318:02/09/24 09:10
>323
ネタじゃないです。でもここには書きません。
過ぎたことは何も考えないというのが、私の主義です。

亡くなった彼のお父さんとは、しばらく文通してました。
今でも年賀状のやり取りはしています。
彼は、お母さんは自分が3歳の時に亡くなったと嘘をついていました。
彼の死後、実は家族を捨てて家を出たのだという事を
お父さんから聞かされました。
325名無しさん:02/09/24 10:36
もし仮にーと僕は仮定したー彼女が僕のもとに戻ることに同意したとする。
考えられないことだが、とにかくそう仮定してみる。
それからどうなる?
僕はサンドイッチのわきについたピクルスをかじり、ウイスキーをひとくち飲んだ。
無意味だ、と僕は思った。無意味で不可能だ。
彼女は既に僕を通過してしまっていたのだ。
326288、315:02/09/24 10:37
>>324
過ぎた事は何も考えないなんて悲しすぎる気がするの。
私が子供だからかしら。
憧れの先輩が受験と恋を苦に自殺してしまった事があるわ。
私は美術部で象の絵を書いたのが最後。
亡くなる前前その人と二人で美術室に残り、私は夜の樹を書き
先輩は茶色いインドの象を黙々と書いていた。

318さん、過ぎ去る風景が失恋なら恋ってなんだろう。
327318:02/09/24 16:49
失恋したのは、君のせいではなく、彼や彼女のせいでもない。
好むと好まざるとにかかわらず、それが現実であり、受け入れるしかないのだ。
恋とは、「定着するべき場所を求めて放浪している」に過ぎない。

恋を失った時、二人で一緒にいた風景は
もはや「使い道のない風景」なのだ。
数年後、数十年後、君はその風景を思い出しながら考えるかもしれない。
「あそこには、その時の自分の生活があり、自分の人生の確実な一部が
あったのだ」と。

そして誰かに、「幸せか?」と尋ねられれば
「たぶん」と答えるしかないだろう。

僕達は、こんな風に生きていくのだ。
328名無しさん:02/09/24 21:36
神宮球場のライトスタンドで, 彼女と僕は傘を振り回した.
燦々と照る太陽が, 突然降り始めた天気雨を,
ルーシーの万華鏡のように輝かせている.
「傘持ってるのにずぶ濡れなんておかしいね」
彼女は屈託なく笑った.
正直に告白すると, 僕はレフトスタンドで屈伸運動をすることのほうが好きなんだ
と彼女に告げると,
「そう」と呟き, 彼女は僕の隣を去って行った.
--
あれから 2 年, 僕はベイスターズファンの女の子と結婚し,
幸せながらも退屈な結婚生活を送っていた.

今日仕事から帰ると, 郵便受けに彼女からの手紙が入っていた.
マンション前のバス停のベンチに座り, 封を開けた.
--
部屋に入ると, ベッドでは妻が寝ていた.
彼女はねぼけ眼で,
「遅かったのね」と呟き, また寝入った.
生返事をして, 彼女の寝顔を眺める.
微かに she said が流れているのが聞こえる.
She said, I know what it's like to be dead.

僕は確かに, 死んでいるという状態を知っている.
彼女は知っていたんだろうか?

僕は鞄の中からリボルバーを取りだした.
撃鉄を起こし, ベッドサイドに腰掛けた.
彼女は, 霧雨に濡れる苔のように, 何の不安もなく幸せそうに寝息を立てている.

そして僕は, 銃を構え, まっすぐに自分のこめかみを撃ち抜いた.
329名無しさん:02/09/24 21:47
>>327
すごく胸に響いた。
330名無しさん:02/09/24 21:56
>328
かなり書ける人だね。
また書いてほしい。
331命の洗濯:02/09/24 22:12
それまでの僕にとって、恋愛とはひとつの居場所に過ぎなかった。
家に帰れば部屋があるように、人にはそれぞれの安らぎの場があり、
それを個人ではなく、ごく個人的でありながらも他人と共有することが、恋愛であったのだ。
自分が必要とされている事を実感する為のファクターのひとつに過ぎなかった
といっても過言ではないだろう。ある種のエゴイズムともいえる。

そんな僕に転機が訪れたのは22の時で、
その時僕は−あえて陳腐な言い方をするなら−
全身全霊をかけて一人の人間を心の底から愛した。
今までの20年と少しがまるで塗り替えられてしまったのかのように、
僕の世界は変化を遂げ、その人生の一つの要素に過ぎなかった
恋愛という事象が、自分の中でどんどん大きくなってゆくのを感じた。

いや、もしかしたら占める割合なんて本当は変わっていなかったのかもしれない。
ただ、車にとってワイパーは必要だがなくても走るのに支障は無いが、
ガソリンがなければ車は走らないように、
それは僕にとって、たとえどんなに小さくとも、生きる活力を養う
ために必要な、いわば給油口のような位置付けの部分に取って変わっていたのである。


332名無しさん:02/09/24 22:13
厭きるな。このスレ。。
安部公房バージョンなんかいいかもよ(w
333名無しさん:02/09/24 22:16
>>332
くどそうだ。なんとなく。
334名無しさん:02/09/24 22:19
>>332
まあまあ。
書くほうも読むほうも入れ替わっていくからね。
後からきた人が最初から読むと辛いだろうけど(w

というか安部公房バージョンって難易度激高じゃないの?
なんかネタがもたなそう・・・
335名無しさん:02/09/24 22:22
>>332
レッツチャレンジ!
336名無しさん:02/09/24 22:58
>332-333
好むと好まざるとにかぎらず、これは「村春風スレ」なのだ。

いずれにせよ、「安部公房バージョンスレ」が欲しい奴は
自分でスレ立てするしかないのだろう。

話がループする。
それが2chであり、結局のところどこまでいってもそれが2chなのだ。
337名無しさん:02/09/24 23:12
>>324
そうか。それは残念。
個人的には読んでみたかったんだが、書かないのもまた自由だしね。
338名無しさん:02/09/24 23:21
似非インテリイタイ(w
339名無しさん:02/09/25 00:24
「わたし、彼氏ができるかもしれないんだ」
テーブルに運ばれてきたばかりのアボガドのオープンサンドをつかみながら彼女は言った。
僕は何もいわずに2本めの煙草に火をつける。
「コウとは正反対の人」
秋の入り口の季節にあったBGMが途切れた瞬間、彼女の顔をみた。彼女はエビアンに口を付ける。ため息をひとつついて僕の顔をみた。
「背が低くて、太ってて、お腹が出てるの。おまけに髪が少ないの。デートの時はいつもジャージ姿よ。ねえ、信じられる?私は信じられないの。だって絶対に選ばなかったタイプだもの。知ってるでしょ?」

断るべきだったかな。早朝の電話が寝起きの悪い僕の判断を狂わせた。
「お天気いいよ。秋の特別拝観に行かない?」
何も変わらないような彼女の声に誘われるまま、ひと月ぶりに彼女の部屋へバイクを走らせた。
見なれたヘルメットを被った彼女がまるで当たり前のように僕の後ろにまたがる。
見たことのない真新しいブルゾンとパンツが空白の時間を感じさせた。
彼女は僕の体に腕をまわす。ぎこちない力加減が二人の距離を示している。
懐かしくなりかけていた彼女の柔らかさを背中に感じながら、いつもより少し多くアクセルをひねった。
340名無しさん:02/09/25 00:28
>>339
あんた、上手いが、片岡義男さんですか?
341名無しさん:02/09/25 00:28
彼女は二切れめのサンドイッチに手をのばす。僕は3本めに火をつけた。
僕たちのテーブルは午後の柔らかい光につつまれていた。
「なんか懐かしいね」
突然彼女がいった。言葉の意味はすぐにわかった。出会った頃の僕たちはこんな午後のまどろみの中で多くの時間を過ごした。二人の夢を語り合った。
「お互い忙しくなったもんね」
いったいいつからこんな大切な時間を忘れてしまったのだろう。

秋とは名ばかりの強い陽射しの照りつける中、いつもの古寺へとバイクを走らせた。
何度も通った山道の一番大きなカーブを抜けるとき、秋の空気を感じた。
季節は変わっていた。春に出会った僕たちに5度めの秋がやってきた。

出会った頃、週末はいつも抱き合って過ごした。一人の時間をなによりも大切にする僕が何をするときも彼女を誘った。彼女は何も断らなかった。
2度めの春がやってきて彼女は卒業し、離ればなれになった。
月に一度の二人の時間はより成熟したものになり、時間を極限まで有効利用する緊張感を二人で楽しんだ。

3度めの夏の終わりにやっと手に入れた二人の生活。思えばそれが別れの始まりだった。誤解、遠慮、小さな嘘といった石ころのようなひとつひとつが二人の間に溝をつくりだした。
彼女が部屋を出てからちょうどひと月後の火曜日、ふたりの一番のお気に入り
だったこの古ぼけた寺にまたやってきた。ヘルメットを脱いだ彼女の髪がずい
ぶん短くなってることにやっと気がついた。
何度も二人で訪れたこの場所がどこか違ってみえる。境内を並んで歩くうちに、
少しずつ話のリズムがずれだした。ずっと空気のように感じていた彼女がいま
は存在感を主張している。別々の道を選んだ二人が一本の参道を無言のまま歩いた。
居心地の悪さに耐えかねて、次は僕の方が誘った。
「いいカフェを見つけたんだ。」
342名無しさん:02/09/25 00:33
ねえ、わたし新しい彼とうまくやれるかなあ」
カップに残っていたコーヒーを飲み干した。
すっかり冷めて酸っぱい。一人の秋ははじまったばかりだった。
343名無しさん:02/09/25 01:03
いいね、今晩はどれも。豊作だ。
344名無しさん:02/09/25 16:35
ほんと、いいですね。
345288、315:02/09/25 16:51
あはー。なるほどですね。さすがです。

でもね、雨続きみたいに寂しい気がするわ。
使い道のない風景、なんてないと思いたい。
私に毎日失恋する気分を味わせてくれるような人は
昨日たった一枚の写真の過去にとらわれているふうに見えたの。
たった一枚のね。
一緒にいる時間がいくら長くても思いは届く事はないのかもしれない。
最近ふと思うわ。ノルウェイの森の緑は幸せになったのかしら。
346名無しさん:02/09/25 17:56
すいません。339、341、342をアップしたのですがコピーするときに段落
が狂いました。今、気が付きました。
347名無しさん:02/09/25 19:20
>346
カットバックかと思って、
アジなことやるなあ、って感心してたら違ったのね・・
348名無しさん:02/09/25 19:46
雨の日は二人して昼過ぎまで寝た。
遅い朝食は、食パンで軽く済ませた。パンにはたっぷりとバターを塗った。
少し苦めのコーヒーに、僕は砂糖を多めに入れ、彼女はブラックで飲んだ。

テレビの競馬中継は退屈だったが、僕らのそんな空間は、
相も変わらず小さな幸せに満ちていた。
何本目かの煙草が灰になったときだった。薄いカーテンの向こう側から、
西日が射し込んだ。僕がそれに気づくか気づかないかのうちに、
彼女は、少しだけ開けた窓から、ベランダに顔を出して空を見上げ、
「見て、ほら!雨、止んだみたいだよ!」
と言ってひどくうれしそうに振り返り、そして僕の顔を見た…

「あなたは、いつだって自分本位ね」
そう言い残して、ある日、彼女は僕のもとを去っていった。
いつになく冷静なその口ぶりが、彼女の決意の堅さを雄弁に語っていた。
だから、僕の必死の抵抗が、無駄なものだと判るのに、さほど時間は必要じゃなかった。

今朝、僕はいつもより早く目覚めた。窓を開けると、外の空気は、
もうすっかり秋のそれだった。季節はゆっくりと、しかし確実に移っていた。
僕は前に進んでいけるんだろうか?食後のコーヒーをカップに注ぐと、
不意にそんなことが頭をよぎった。
そして、砂糖をすくった手を止めると、そのまま一口含んでみた。
「悪くない」僕はそう言うと、もう一度、カップを口にはこんだ。
349名無しさん:02/09/25 20:03
ぼくの隣でなにかつぶやく彼女は、まるでぼくがいないかのようにどこかを見ている。
そういえばいつもたたずんでいるネコも、今日はなにかを伝えたげなまなざしだった。
JIM HALLのDREAM GYPSYのリフが終わる頃、僕は明日彼女がいなくなることを予感していた。
350名無しさん:02/09/25 21:22
2年間を過ごしたこの部屋を引き払うために片付けていた。9月も終わりだというのに
残暑と呼ぶには強すぎる午後の日射しが部屋の温度を不快に押し上げていた。全く予想
もしてなかった場所から突然、3個のインスタントカメラが出てきた。35mmのフィ
ルムのものが2本とAPSフィルムのものが1本。メーカーもバラバラでそのうちの一本
はパッケージさえもなくなっていた。いつの頃からか僕は旅先でインスタントカメラを
買うのが好きだった。売店でカメラを買うことが旅の始まりのささやかなセレモニーの
ようなものだった。何でもない商店の看板や駅、道ばたの地蔵など実に気まぐれにカメ
ラにおさめた。文才も画才もない僕にとっては唯一、旅のスケッチといえるものだった。

翌日の朝、カメラを現像に出し、仕事帰りに受け取った僕は1本目のフィルムの一枚め
の写真を事務的に確認すると、鞄の奥にしまいこんだ。部屋に向かい歩いていると夜の
空気はすっかり秋の冷たさで虫の声が静かな住宅街に心地よく響いてた。僕は穏やかな
心をとりもどしつつあると感じ嬉しく思った。よく頑張った自分を褒めたいとも思った。
突然彼女が出て行ったあの真夏の夜の出来事は僕にとってそれほどの大事件だった。
351名無しさん:02/09/25 21:23
部屋に帰った僕は、夜の退屈なニュース番組をみた。音声はいつもと同じで出さない。
感情を押し殺すことにやっとなれてきた僕にとっては画面に映し出される文字や映像は
ただの記号に過ぎない。記号は意味をもつと言うならば模様と言い換えた方がいいかも
しれない。こうやって一人で過ごす夜が何回過ぎたのだろう。
眠りの途中で目覚める回数も減ってきた。

そうだ写真だ。鞄から現像済みのフィルムと、同時に頼んだサービス版のプリントが入
った袋を取り出した。一本目のフィルムは近くの川べりを散歩しながら写したものだった。
季節は初夏のようだ。今年ではない。去年か?おととしか?たいした写真ではない。
僕は2本目の袋をあけた。写真の景色は覚えがなかった。古くなり過ぎて半分以上は何も
写ってなかった。
三本目の袋をあけて、中のプリントの一枚目をみた僕の手が止まった。
写真の中で彼女が微笑んでいた。
352名無しさん:02/09/25 21:24
彼女との溝に少なからず危機感をつのらせていた僕は、久しぶりに彼女を旅行に誘った。
混み合う連休を避けた4月の中頃、かなり強引に休みをあわせて旅に出た。2シーターの
国産ロードスターをレンタカーで手配した僕は退屈を感じはじめていた二人の生活に刺激
を加えようとしたのかもしれない。
旅の行き先は決めてなかった。出会った頃の二人の旅行はいつもそうだったから。

日本海を目指して北上した。走りながら夕食を糸魚川でとることを彼女に提案した。
彼女は嬉しそうに同意して、そのとおり、糸魚川の旨い寿司を楽しんだ。
二日目には白馬へ南下した。完全にシーズンオフの白馬は人陰もまばらで新緑もまだなく、
北アルプスの残雪だけが美しかった。そのまま南下を続け、僕らは松本を目指した。
午後の早い時間に松本に着いた僕たちは夜までに3軒の蕎麦屋をまわった。
馬鹿げてるよといいながらも彼女は楽しそうだった。三日目は朝からビーナスラインを
走り、美ヶ原の山頂を目指した。ロードスターを選んで良かった、そう思わせる爽やかな
風はやがて真冬の冷たさに変わっていた。春の軽装ででかけた二人に海抜2000メートル
を超える山頂は歓迎してくれなかった。
楽しみにしていた屋外の彫刻の数々を寒くて見ることができなかった。
午後になり白樺湖に辿り着いた。
数日後には観光客であふれかえるはずのこの人工湖のまわりも鄙びた場末の雰囲気を
漂わせていた
353名無しさん:02/09/25 21:25
テディベア美術館。見つけたのは彼女だった。彼女は是非見ておきたいと僕を誘った。
彼女のクマのぬいぐるみ好きは今に始まったことじゃない。4年前、初めて彼女が僕に
おねだりしたものも小さなクマのぬいぐるみだった。僕はその浮き世離れした建物の
外観と法外にも思えるその入館料に抵抗を感じつつもそんな彼女にしたがった。
内部は十分大人が楽しめるように工夫をこらせてあった。僕は売店でインスタント
カメラを買い、二人が気にいったディスプレイを次々とカメラに収めた。この旅行の
中で彼女は一番楽しそうにみえた。
無邪気にふるまう彼女をみて僕はこの旅の成功と同時に明るい彼女の笑顔が戻ってきた
ことを素直によろこんだ。館内で彼女の写真を一枚撮った。大きなクマのぬいぐるみを
かかえて、子供のように笑っていた。
帰りに旅の記念にクマのぬいぐるみを買った。
一時間程かけて選んでいた彼女はやっぱり嬉しそうだった。

あれから約4か月後。彼女は部屋を出た。すべての荷物を僕の部屋からもちだした。
すべての写真も彼女が持って行った。僕は1か月かけて、部屋から彼女の気配を消そう
とした。それがまったく無理だと理解したとき引っ越しを決意した。これで僕は以前の
僕に戻れるはずだった。感情に左右されずにいつも冷静でいた僕に。

たった一枚の写真が僕の感情を再び乱しはじめた。写真の彼女は肩までのびた髪をクルクル
巻いていた。あの髪型に変えたとき僕に何度も「かわいい?似あってるかな?」と聞いてきた。
僕はショートが好きだよって意地悪に答えた。二人の歯車は狂いはじめていた。
夢のようなテディベアの世界はほんの少しの延命治療だったかもしれない。
最後のプレゼントもクマのぬいぐるみだった。
僕の心は逆戻りを始めている
354名無しさん:02/09/25 21:45
このスレを訪れる君達は、二人一緒にいた風景を書き込み
それがもはや「使い道のない風景」だと知った時、スレを通り過ぎていく。
なぜなら、君達は旅の途中なのだから。
いつの時代も、男は女を求めてさまよい、女は男を求めてさまよっている。

「使い道のない風景」それは見果てぬ古い夢となり、スレに溜まっていく。
ここは見果てぬ古い夢の図書館だ。
女は古い夢の番をしながら、夢読みの男を待っている。

彼らは、夢の奥にあるものを解析し、引き受けていかなくてはならない。
好むと好まざるとにかぎらず、それが彼らの仕事であり
そんな風に彼らは生きていくしかないのだった。
355名無しさん:02/09/26 00:09
ここに書き込まれた作品の著作権はどうなるんでしょうか?
以前、掲示板の書き込みにも著作権を認める判決が出ましたよね。
でも、匿名の場合はどうなんでしょう?
すばらしい作品が多いので、ちょっと気になります。
皆さん、自分のサイトで作品を発表したりしないんでしょうか?
356名無しさん:02/09/26 16:24
海老名SAには、僕のほうが遅れて着いた。いつものことだ。
缶コーヒーを片手に、ラークをうまそうに吸う彼にひと言謝ると、僕も同じ銘柄のコーヒーを買った。
9月とはいえ、まだ夏の余韻の残る生暖かい夜だというのに、ホットにしたのは、僕が寒がりだからだ。

「テントを買ったんだ」
彼からそんなメールを受け取ったのは、僕が彼女を失った直後、
記録的な猛暑が続いた8月も、終わりにさしかかった頃だった。
オートバイに荷物を積んで、キャンプツーリングに行こうと言うのだ。
そのときの僕は──たかだかひと月前の話であるにせよ──日常の、
ありとあらゆる事物に対して、動機付けを見出せないでいた。
僕を取り囲むすべてのものが、ひどく色褪せて見えた。大好きなオートバイさえも、例外ではなかった。

多摩川を渡る頃には、空は白みはじめていた。
「今日も暑くなる」シールドを下ろしたヘルメットの中で、はしなくも、僕はつぶやいた。
首都高速は、早朝だというのに、もう通勤ラッシュが始まろうとしていた。
それらをよそに、次から次へと現れる憎たらしいほど複雑な案内板を、
注意深く確認しながら、僕らは東北道を目指してオートバイを走らせた。
357名無しさん:02/09/26 16:25
旅をしよう。前だけを見よう。オートバイの前に拡がる、素敵な世界を感じるんだ。
そう思えるようになったのは、出発の2日前だ。理由はない。理由はないけど、そう決めた。
準備は素早かった。ツーリングの荷造りなど、僕には手馴れたものだった。

会津の盆地に注ぐ日射しは、容赦なく僕らを攻撃した。
彼はライダースを脱ぎ、Tシャツ一枚で走った。
僕はといえば、同じようにライダースは脱いだものの、薄手のジャージーに袖を通した。
日焼けした後のことが、容易に想像できたからだ。
阿賀野川は、ちっとも変わっていなかった。その流れは広く、静かだったし、緑色の深さもそのままだった。
僕らがテントを張ったのは、日本海に面した、ちっぽけな公園だ。
名前なんか覚えてやしない。
ただ、そんなところに、僕らのほかに、もう一人ライダーがいたのは記憶している。

青海川は、日本で一番海に近い駅だ。
無人のホームから見下ろす日本海は、嫌になるくらい澄んでいた。
「いつか、日本海が見たいな」
彼女のそんな小さな願いを、僕は叶えてやることができなかった。
潮風にのって運ばれてくるのは、彼女と過ごした5年間の、笑顔に満ちた楽しい思い出ばかりだ。
358名無しさん:02/09/26 16:26
長野に出た。姨捨といえば、棚田の向こうに開ける善光寺平の眺めだ。
「あいつにも、見せてやりたかった」
目にするものが、ことごとく彼女と結びついた。
やれやれ、こんなはずじゃなかった。
前だけを見ようと、出発した旅だった。なのに、この有り様だ。
事実はときに、アイロニカルだ。

中央道。防音壁の外側は、すっかり闇の中だ。
今夜もまた、大型トラックとのランデブーだ。速度制限の標識を鼻で笑って、
轟音を引き連れた冷凍車が、僕の右側を、我がもの顔で走り去った。
僕は右に合図を出すと、ギアを一つだけ落とし、少し乱暴にアクセルを開けた。
彼女を失った悲しみに、追いつかれないように。
359356=7=8:02/09/26 16:32
次の文を、>>356の最初にいれて下さい。
コピーし忘れたますた…鬱だし脳


未明の東名高速は、大型トラックの激流だった。
フロントガラスの上の、3つ並んだグリーンのランプが、どこか誇らしげだ。
360名無しさん:02/09/27 08:00
>>356
心からつまらない文章だと思ったが、もちろん口に出して言うわけにはいかなかった。
その上、彼は言った。「コピーし忘れてました。次の文を最初に入れてください」
一体僕は何と返事すればいいんだろう。
361名無しさん:02/09/27 11:36
>>360
そして僕は僕の心の暗闇をあてもなく彷徨い始めた.
何かが,僕を救ってくれるのを期待して.

でもやはり何もあらわれてはくれなかった.あんなにいらんことをしゃべってた>>356でさえ.
やれやれ.オレは一体こんなところで何をやってるんだろう.もの言わぬモニタを前にして僕はため息をついた.
おい >>1,キミが去ってから僕はこんな風だ.いつだって何かに期待して,やっぱり裏切られて.そんなことを繰り返してる.あの日からずっとだ.

突然窓を覆ってたカーテンが風に舞った.
「何も終わってはいないのよ」そう言ってる彼女の声が聞こえる.
そして何も始まってはいない.僕はそう小声で付け加えた.
そう,何もまだ始まってはいないのだ.
362名無しさん:02/09/27 11:54
>>361
僕が君に言いたいことはたった一つだ。句読点は。と、にしてくれないだろうか?
,と.だとなんだかとてもいやな違和感がある。まるで僕のシャツの中に行った
こともないとも無いジャングルの湿った草の中にいる見たことも無い虫が入り込
んでしまったような違和感が。
363名無しさん:02/09/27 12:50
>>362
もっと落ち着け。みだれてるぞ。
364名無しさん:02/09/27 18:52
やれやれ
365名無しさん:02/09/27 19:58
>>355
遅レス、すまそ。
私は自分のサイトも持ってないし、毎日ロムはしてるけど
気が向けばカキコしてるだけ。
だいいち、自分の文章が著作権を主張するほどの物とも思っていませんし。

まぁ私としては、スレの1が、好むと好まざるとにかかわらず
ワタシ的「馴れ合いスレ」だと思っています(w
366名無しさん:02/09/27 22:51
村上春樹読むようになってから「やれやれ」が口癖になったのは俺だけ?
367名無しさん:02/09/27 23:17
「ごめんなさい。」と彼女は僕に言った。
「誰か見えてたとは知らなかったんです。奥の部屋で、古い夢の整理を
していたんです。」
僕は長いあいだ言葉もなく、彼女の顔を見つめていた。
「どこかで、以前君に会ったことはなかったかな?」
彼女はじっと僕の顔を見た。
「もしかしたら、どこかでお目にかかってるかもしれません。
でも、思い出せないんです。
だってここは2ちゃんねる。入り口で、名前も年も職業も、日常生活のすべての
記憶を預けないと入れないでしょう。」
そのとおりだった。

「僕はここに夢を読みにきたんだ。」と僕は言った。
「わかっています。私の仕事は、古い夢の番をすることと夢読みのお手伝いを
することです。今から私があなたに古い夢の読み方を説明するわ。」
彼女は言った。

「あなたは、疲れを心の中に入れちゃだめよ。心はいつも開放しとかなきゃ。
それから、古い夢は見えないの。夢はただそこにあるものだから
その動きを感じればいいの。そうやって、あなたは古い夢を読むの。」
僕は頭の中で彼女の言った言葉の意味を考えていた。

大事な物は、目には見えない。感じることができるだけだ。
そうやって、僕は読まなければいけないのだった。
368名無しさん:02/09/28 10:02
>>366
「やれやれ。」
「好むと好まざるとにかかわらず、……なのだ。」
「僕は、こんな風に考えて暮らしている。」

私は、この3つのひとりごとが多い(w
これを続けていると、泣きたいと思うときにはきまって涙が出てこない。
意識は乾いて、軽くなっている。そして、心は空っぽだ。

彼女の愛したもの、ニーチェと村上春樹そして… 僕。
369名無しさん:02/09/28 10:22
>367
「それから、古い夢を見るには2ちゃんねるビューアを入れなきゃだめね。」
「やれやれ。」
370名無しさん:02/09/28 13:58
実のところ、夢読みと夢番は、宮内庁御用達のパン屋に勤める
パン職人と売り子なのであった。

「貴方の作るパンって美味しくない、というより不味いの。
これじゃあ、売れるわけないわ。」
彼女は言った。
「仕方ないよ。国から配給される小麦粉の質が悪いのさ。
好むと好まざるとにかかわらず、僕はあの小麦粉を使わなければいけないんだし。」
「すぐそうやって、言い訳するのね。貴方、パン職人でしょ。
材料が多少悪くたって、自分の腕でなんとかしようという気はないの?」
僕は、うんざりした気分だった。彼女の口調はいつも僕を苛立たせる。
「腕が悪くてごめんね。でも、なんとかがんばって売ってくれないか。
売上が少ないと僕らの冬のボーナスだって出ないんだし。」
僕はなだめるように言った。
「大体、オーナーがヴァカなんだわ。今時、宮内庁御用達の看板だけでパンが
売れると思ってるんだから。」
彼女は声をはりあげた。
「大きい声だすなよ。オーナーに聞こえるじゃないか。」僕は言った。
「大丈夫よ。オーナーは今日、教育委員会に行ってるわ。
学校給食に入れて貰えないか交渉してるの。」

僕達は、こんな風に暮らしている。やれやれ。
371名無しさん:02/09/28 15:00
>>370
失恋?
おもろいけど
372名無しさん:02/09/28 18:01
>>371
確かに、失恋じゃないや。
スレ住人の舞台裏を村春風パロディでカキコしたネタです(w
373名無しさん:02/09/29 14:47
ほお。個人的にはありですなぁ。
374名無しさん:02/09/29 23:19
10月のある日曜日、街外れの森の入り口で彼と待ち合わせて、東の塔に昇った。
石の階段は塔を取り巻くようにらせん状に続き、
街が雲に隠れて見えなくなっても、まだ昇り続けた。
すれ違う人々は、昔、どこかの街角で見かけた恋人たちかもしれない。
私たちは一言もしゃべらなかった。
彼の手をそっと握って、温かさを確かめた。
日が暮れて塔の周りが闇に包まれる頃、やっと頂上にたどり着いた。

もう誰もいない展望台の椅子に、2人は向かい合って座った。
降り出したやわらかい雨が私たちの肩を濡らしていた。
「君があんまり苦しそうだから、会いにきたんだ。」
やっと聞けた、私の好きだった彼の声は、昔のままだった。
「ずっと、待っていたのよ。」
彼は、両手でそっと私の頬を包み込んだ。
すると、彼の手の平から細い光の筋がこぼれ出て、
私の意識の中を、光の渦で満たし始めた。
私は目を閉じて、光の中に体を任せた。

そこにあったのは、私が探し続けていた答えだった。
それはただの単純な真実で、何の飾りもなく、そしてどんな言葉よりも冷たかった。
私はやっと、すべてが理解できた。
「とても長かったわ。」
「よくわかってるよ。」
光は去り、頬から彼の手の感触が消え、気配も次第に遠ざかっていった。
私は目を閉じたまま、しばらく雨に打たれていた。

目を開けると、私は一人で森の中にたたずんでいた。
やわらかい初秋の雨が、森を包み込んでいた。
私は、一歩一歩確かめるように、森を出て街に向かって歩き始めた。
375:02/09/30 12:53
僕はマリアナ海峡のように深い絶望の淵に立たされていた。
彼女になんてことを言ってしまったのだろう。
勇気を振り絞ってかけた真夜中のコール。
でも受話器からは機械的な音声の留守録が聞こえるだけだった。
もういまさら取り返しはつかないのかもしれない。
今僕に出来るのは電話が鳴るのをただ降りしきる雨が止むのを期待するように待つだけだ。


376:02/09/30 20:24
彼女から電話が来た。電話番号を消していたせいで、
僕は初め誰からの電話かまったく解っていなかった。
「誰?」僕は言った。
小雨の中傘をささないで、電車を待っている時だった。
行き先を決めない旅にしばらく出るつもりだった。
ありったけの薬を持って。
僕は必死で平静を装っていつも通りの調子で話を聞いた。
長くなるので要約しよう。彼女の話の趣旨はこうだった。
「私の自転車の鍵の暗証番号わかるかしら?」
明らかに元気がない声だった。それが僕のせいだと思うとチクリと心が痛んだ。
「えっと、確か1019だったと思う。」
「あ、開いた。ありがとう。」
ただそれ以上でもそれ以下でもなくそれだけの内容だった。
僕は彼女に言った酷い事の責任を取らないといけない気がする。
今、雨は止んだ。
僕はとりあえず家に帰ったし薬を使う事もなかった。
でも僕はまだ抜け出せない悩みの渦中に在る。
377:02/09/30 22:45
よっし!引きずらないで俺は勉強するぞ!
三ヶ月で合格してやろうではないですかw

個人的でスマソ
378名無しさん:02/09/30 23:04
みんなの息をのむ声が聞こえた気がした。
彼は冗談ではなく言っている。「三ヶ月で合格」と。
それは絶対的不可能を表していた。まるで宇宙空間に放り出されたイカロスみたいだ。
希望を胸に延々と旅を続けるが、その結果報われることは絶対にないのだ。
しかし、一体誰がそれを指摘できるだろうか。
僕に出来ることはただ一つ、煽りの文章もまるで村上春樹かのように記すことだけだ。
379名無しさん:02/09/30 23:15
>>375
「マリアナ海溝のように」いまいち。「深海魚の住む海のような」とかの方がよくない?
「降りしきる雨がやむのを期待するように」も「日照りの田んぼのカエルみたいに」とか
って酔っぱらってるからどうでもいい突っ込みを入れてるな俺
380名無しさん:02/09/30 23:52
なんか書き手の数が少なくなったな。
書いてる人は頑張ってるけど。
381名無しさん:02/09/30 23:54
うざいすれ(w
ばかまるだし
猿真似上手だね?

382名無しさん:02/10/01 01:17
「例えば>>381みたいな奴だね」
「想像力が欠けてるって事?」
「その通り」大村さんは言った。「自分の殻に入って、ぬるま湯の中からしか
外を見ないような人間だ。関わるだけ時間の無駄なんだよ」

僕にはそれが良くわかる。僕は小さな頃から、世の中が平等でないと肌で感じていた。
新しい人と逢うと、自然と三角形のヒエラルキーを想像し、この人はどこに位置して、
どんな視点で、どんな考え方をするんだろうと考える。そうすれば自然と自分の立場も確立される

でも、中には全く理解できない人間も残念ながらいるのだ。三角形の外にいる事を
本能的に感じ取り、三角形の中にいる人間となんとか関わろうともがいている。
しかし結局、彼自身の持っている考えがあまりにも浅はかである事によって、
自分を自虐する結果にしかならない。そこには致命的に想像力が存在しないのだ。

大村さんは続けた。「結局ゲルネルトみたいなものだよ。僕の近くにそんな人間は来て欲しくないね」
やれやれ、全くだ、と僕は思った。彼らがどれだけ情けないか確認したところで、
結局明日も彼らは存在し続けるのだ。それならば今後出会わないことを祈るだけだ。
383、=288、315:02/10/01 08:32
>>378
いや、確かにそうですよね、、。はぁ。
>>379
考察ありがとうございます。
前者のほう、その表現のほうが村春的だと思います。

384名無しさん:02/10/01 22:02
「なにか、違和感を感じるわ。」
彼女はオレンジジュースを一口飲んで言った。
「違和感?」
僕は彼女の顔をみつめて尋ねた。
「ねぇ、あなた本当に何も気づかないの。それとも…」
彼女は急に声ひそめた。
「ほら、あそこにいるオヂサン、新聞読むふりしてるけど読んでなんかいないわ。
だって30分以上もページをめくっていないもの。」
「じゃあ、一体何をしてるっていうんだ。」
僕はうんざりした気分だった。
彼女の意味深で自信ありげな口調はいつも僕を苛立たせる。

「決まってるじゃない。私たちの会話を盗み聞きしてるのよ。
もしかして、あなたの知ってる人?」
「新聞で顔が隠れてるから、よくわからないよ。
それに僕達、人に聞かれて困るような話なんてしてないし、別に構わないだろう。」
僕はそう言った。そして、ちょっと嫌な気持になった。
「あなたって、本当にデリカシーのない人。最低よ。」
彼女はそういい終わると、台風の中、帰って行った。

やれやれ。また僕は取り残されてしまった。
彼女の機嫌が悪くなる前に、なにか気の聞いたことをいえばいいのだが、
そういうときに限って言葉が出てこない。
僕はふと、新聞を読んでるオヂサンの肩が微妙に震えているに気づいた。
おそらく笑いをこらえているのだろう。
まったく、なんてこった。


 
385名無しさん:02/10/01 22:14
つまらないオチ+失恋と全然関係ない内容+つたない文章力=>>384
386名無しさん:02/10/02 10:11
やれやら、>>385は失恋はおろか、恋愛だってまともにしたことは無い
のだろう。いくばくかの経験と想像力さえあれば、近いうちに>>384がこ
の女性にふられるであろうことは容易に想像がつくと言うのに。

ここはシベリアではなく、とても深い井戸の底なのだ。恋を失った人々
の重いがだんだん積もってその水かさを追い越してしまった井戸。その
結果この井戸の底には水ではなく、やわらかい砂のような「何か」で埋
められている。

その底はしっとりと湿っていて、なぜか僕を安心すらさせる。ここでは想
像力が唯一の何かと接触するための手段なのだ。なのに彼はその想像
力すら外の世界においてきてしまった。彼はここでは何一つ知ることは
出来ないだろう。そしてこの井戸の価値を知ることも無く彼にとってのこ
の井戸を埋めてしまうに違いない。そして彼はこの井戸でしか知ること
が出来なかったものを永遠に失ってしまうのだ。

僕はそんな井戸の底で、様々な人たちの日常を想像している。そこには
あまり喜びは無くて、悲しみばかりのような気がする。しかし、井戸には
底からは月のように見える出口があり、日常に生きる彼らもこの井戸の
底からなにかの出口を見つけて外の世界へ出て行くのだろう。

僕はもう少しこの井戸の底にいようと思う。書きかけの話もまだあるし、
まだまだ知らなくてはならないことが沢山あるのだ。
387名無しさん:02/10/02 11:05
やれやら?
388名無しさん:02/10/02 18:48
>>386
僕は思わず縦に読んでみた。でも、もちろんそんなことをしたって何も変わりはしない。
結局、この文章は全く意味を持っていない。僕にはそう結論づける以外に方法が無かった。
やれやれ、結局また無意味な文章を読んで時間を無駄に使ってしまったようだ。
一体世界のどのような人間が、最初の3行以外全く意味がなく、
全体的に面白くもない文章を書いているのか、今の僕には知るすべもなかった。
389名無しさん:02/10/02 20:08
批判多いですな。
マターリいきましょ。
390名無しさん:02/10/02 20:11
こう言うスレなら許せるよ
楽しくもあるが
人間として腐った奴は死ぬべき
391名無しさん:02/10/02 21:33
「やれやれ」

僕は慎重に間違えていないことを確認しながら今書き込んでみた。確かに
あのセリフを書き間違えてしまうなんてなんてマヌケだったんだろう。まあ
それはそれでしょうがないことだ、あの時点での僕の真実の姿だったんだ
と思うことにした。

それにしても彼はきっと「シベリア」の意味も「井戸」の意味も全く理解する
ことが出来ないに違いない。

「全く理解できない」

僕は声に出して言ってみる。オーケー、それはそれでしょうがない。「シベリ
ア」や「井戸」の意味を理解できる人間と理解できない人間がいる、それだけ
のことだ。それに彼にはそれを理解できないでいる権利だってきっとあるに
違いない。それは僕とは全く関わりのない彼の世界の真実なのだ。

彼が一つだけ間違っているとすれば、彼が時間を無駄にしてしまったと考え
ていることだ。彼には「無駄にした」、と言えるほど貴重な時間なんて全くな
いんだ。もちろん彼自身はそのことには気づいていないだろう。しかしそれも
また確実な真実だ、彼が好むと好まざるに関わらず。

もちろんそのことは僕には何の関係もないことだ。でもそのことは僕の気分
を少しだけ嫌なモノにした。まあいい、家に帰って冷たいビールでも飲めば
スッキリするだろう。結局彼は僕にとっても誰にとってもそれだけの人間でし
かないということだ。事実僕は家に帰ってビールを飲んだら彼のことは綺麗
さっぱり忘れていた。そして穏やかに眠りについた。
392名無しさん:02/10/02 21:41
おもろいなこのすれ。ちょっとなけた。
393名無しさん:02/10/03 13:25
今このスレをROMっていて気が付いた。

村上春樹の小説には電話が登場するシーンが多い。その電話を取るか取らないか、
というのが大きな意味を持っている場合が多い。

でもこのスレで登場する電話は殆どが携帯電話だ。当然出る前にだれからかかって
きたかも分かるし、自分から出るか出ないかを決めることができる。でもそこにストー
リーは無いような気がする。

僕たちは便利さを手に入れた代わりに、村上春樹的なものを一つ失ってしまったのか
もしれない。それはいつもとても小さくくだらない物のような振りをして、実はとても大
事な物であったりする。
394名無しさん:02/10/03 17:21
それはまるで履きつぶれたコンバースのスニーカーに足をとおすように、すんなりと私の記憶を呼び覚ました。
あるいはただそれが9月だからということからかもしれない。

「9月は妙に切なくなるんだ」というのは私の口癖だった。
「君を助けてあげたいけど、もう僕にはそんな力は残ってないみたいだ」と彼は言った。
遠くでかすかにビートルズの「ミッシェル」が聞こえていた。
世の中はなぜこんなにも混沌としているのかと思った。

私はいつものように小さなアパートでいつものようにタバコを吸っている。
そのうちに彼は大好きなガーリクチーズを手土産にやってくる。
彼は「手土産」という行為が好きなようだ。
そしていつものようにお酒を飲んで、(もちろん彼が買ってきたガーリックチーズも切り分けてだ)そしていつものようにセックスする。
毛布に包まってうとうとしてる彼に、私はひどくささやかな声で言う。
「9月は妙に切なくなるんだ」

395名無しさん:02/10/03 18:55
>>394
禿同です。
396駄文@やれやれだ:02/10/03 19:28
あなたはどうしてそんなにも私の濡れた髪に執着したのだろう。
いつまでも髪を撫で続けていた。髪は、いつだって案外早く乾いてしまった。
「変わらない愛だ、なんて僕は言わないよ」
何て嫌なことを言うんだろう――押し殺す涙で心臓が縮む位――でも、髪の上を滑る手の動きが
止まってしまう事が何よりも怖くて、私は煙草に火をつける。ばかみたいに。素早く。
「変わらないものなんて、何もないわ。永遠なんて・・・ないわ」
雨が窓を叩く音が妙に耳について、よくわからないけど酷く惨めな気持ちになった。
397名無しさん:02/10/03 19:46
>>391、あなたはこれ以上書かない方がいいわ。」彼女は言った。
それは僕にでもはっきりとわかる、力強く明白な事実だった。まるでモルダウ川の様に。
398名無しさん:02/10/03 22:29
やれやれ、自分の文章をけなされるのが嫌ならば、それをみんなに見せなければいいのだ。
人々はこのような簡単な事すら、ラッシュアワーのような匿名掲示板の中では見失ってしまうのだろう。
399名無しさん:02/10/04 02:08
・・・
400名無しさん:02/10/04 02:08
400。
401春ダヨ:02/10/04 07:22
書けないよ もぅ書けないよ〜
402江国:02/10/04 09:39
由帆は朝が好きだ。だんだんと町が起きだしてくる明け方、
またパソコンの前で夜中眠らずに過ごしてしまった事を少し後悔しながらも、
冬の気配を感じさせる少し冷えたフローリングに素足を滑らせると、
やっぱり由帆は思い出してしまう。
「由帆は冬が似合うから。」
春樹は出会った頃、そんな事をよく言った。
思えばよく外へ出掛けた。秋からの紅葉のドライブ。
冬の海、夜景。クリスマスの支度、街のイルミネーション...
もう帰ってはこないあの時間。

子供みたいにワガママな人だったのに、冬は

あれから行ってない


403江国:02/10/04 10:09
熱めのミルクでココアをつくり、飲みながらテレビのスイッチをつける。ブラインドから陽射しが入る。
朝のニュースが淡々と流れはじめ由帆は考えていた。
一体いつまで立ち止まっているのだろうか?
由帆はあの日、泣けなかった。
春樹が好きだった。困らせたくなかった。
だけど泣くのを我慢してただ頷くことしか出来なかったあの夜から、
由帆の中で何かが止まってしまったまま、困り、固まっている。
春樹の「見おろすような」安心感の中でいつだってはしゃいでいた。
今でもふっとそんな遠い日が、訪れるような気がして、
由帆はとまどってしまう...

朝のニュースが天気予報を伝え始めた。
404江国:02/10/04 10:30
そういえば... ラッシュアワーのような って言う表現いいなと思っていた。
昨日眠れずに開いたパソコンの中に398(それ)はあった。
由帆はざわついた人込みやとうり過ぎる横顔達から、何かを見つけるかの様に、
更新される画面をスクロールする。

あなただけはあの時のままでいてね。
 なくした鍵は見つからないけど・・・

 そしてまた、忘れたくない なくした鍵が愛だから 
405394:02/10/04 12:52
彼はいつものように煙草をもみ消して、私はその灰皿に目をやった。
おそらく習慣のようなもので、同じ短さの吸殻が4本、規則的にまるで何かを訴えるようにそこにじっととどまっていた。

彼の言葉にはいつも複数の意味が込められているような気がした。
最初私は彼のひとことひとことにひどく不安をいだいた。
そのうちに何をしていても彼と同じ時間を重ねるほどその不安が募った。
それはまるで抑圧することのできない白昼夢のように辛辣に私の心に潜んできた。

あるとき私たちは彼のアパートの一室で野菜のたくさん入ったミネストローネをたらふく食べた後、
ビデオ屋で借りていたゴダールの「気狂いピエロ」を観た。
そしてごく当たり前のように私は羅列する奇妙な不安に襲われ、
ふいに彼のもみ消した煙草の吸殻を見つめた。
別れることに理由などない、すべては恐ろしく無意味なのだ。
私は煙草に火をつけて、深く吸い込んだ。
406名無しさん:02/10/04 17:56
>>385-398
春樹な煽りあい(・∀・)イイ!!
407名無しさん:02/10/04 22:02
ふむ
408名無しさん:02/10/05 07:21
age!
409名無しさん:02/10/05 21:36
ふむも春樹っぽくないかな笑
410FINALDISTANCE:02/10/05 22:05
さて、、と。
私はおもむろに2chを開きはじめた・・・
411名無しさん:02/10/05 22:15
>>410 1文ずつ繋げて連作にチャレンジするテスト。1文は「。」までね

僕は、ここが洪水の被災地の様に不毛であることはとっくに解っている。
412FINALDISTANCE:02/10/05 22:25
そう、それも途轍もない濁流の流れのように、おろそかな渦のように。
413FINALDISTANCE:02/10/05 22:27
皆も入ってきてくらはい
414名無しさん:02/10/05 22:30
>>413これって本当か?

↓ ↓ ↓
http://www.dream-express-web.com/space-trust.htm


415FINALDISTANCE:02/10/05 22:36
414
これは春ちゃんじゃあ〜ねぃ。
416名無しさん:02/10/05 23:25
>>410-413
ふむ、確かに面白い試みかも知れない。少なくとも北極の白熊がポロロッカを
見ようとするよりは実現の可能性も高いかも知れない。

でも忘れてはならないことがある。ここはあくまで「失恋板」に立てられた
「村上春樹風に失恋話をするスレ」だってことだ。好むと好まざるに関わらず、
これはこの場所のたった一つの真実なのだ。
417名無しさん:02/10/05 23:36
>>416
確かに、僕はラウンジや文芸板にでも行くべきだった。
今になればはっきりわかるが、誰がその時の僕を責められるのだろうか
418名無しさん:02/10/05 23:43
「村上春樹風に今日の愚痴を語るスレ 」

http://life2.2ch.net/test/read.cgi/kankon/1016708218
419FINALDISTANCE:02/10/06 00:25
>>417
春樹風、なぜそれだけのルールでひとつの脈うつような感情の羅列が繰り返されるのか。

そう、こ こ は 失 恋 板 だ っ た の だ 。

そして、ひっそりと、しかし大胆に、江国香織風な失恋シュミレーションが書いてある事も、
僕らは朝必ず何種類かのビタミン剤とたっぷりのサラダを摂る事のように、忘れるべきではないのだ。
420名無しさん:02/10/08 20:30
保守
421修行中 ◆AH/vDwkOqE :02/10/08 22:14
彼女と別れて、休日が暇になった。


僕は暇な休日が来ると電車に乗り、新宿へ行った。
少しぶらぶらした後、三丁目の紀伊国屋で隅から隅まで本をあさった。

気に入った本があると買って、
紀伊国屋の裏手にあるロッテリアに行き、
その二階で煙草を吸いながら、気がゆくまで本を読んだ。

本を読むのに飽きると店を出て、適当な映画館に入り映画を見た。
新宿は昔も今も映画館の多い街だ。
くまなくチェックしていけば、必ずひとつは興味をひかれる映画が見つかった。

そんなことを新宿の街で繰り返していると、
僕はどんどん自分が透明になっていく気がした。
街では数え切れないほど多くの人とすれ違う。
でも、ここでは誰も僕の名前を知らないのだ。
行き交う人々が発する無数の言葉はすべて僕を通り抜けていった。
僕はそこでこれ以上ないほどに、ひとりだった。
422名無しさん:02/10/09 21:44
「私は彼をとても好きだったのね。
彼の顔も声も体も。嫌いなところなんて どこにもなかったわ。
少し出始めていたお腹の贅肉さえも、いとおしかった。

彼に妻子がいることは分かっていたけれど
その頃私は結婚というものにあまり興味がないせいか、
そのことは気にならなかった。仕事に夢中だったしね。
ただ私と過ごしてくれる時間を、確実に与えてくれればいい、
家族ともうまくやってくれればいい、そんな風に考えていたのよ。
不倫は良くないとか、そんな考えはどうでもよかったし。
第一彼と自分のことを不倫と言われてもぴんと来なかったわ。
ただの恋愛だと思ってたのよ。

そうして、彼とずっと付き合ってたわ。ずっと、よ。
その日々がいつまでも続くと思ってたわ。
でもある日、それは終わったの。パチン、とね。」

と、彼女は指を鳴らしてみせた。僕はなんと言ったら
よいものか分からず
「きっかけはなんだったのですか」と聞いた。
423394:02/10/10 11:20
>>422
不倫という言葉をもうちょっと違う言葉にすると良いかと思います。
ある種のメタファーということで・・・
物語はこの先も続くのでしょうか?
424394:02/10/10 16:45
私たちは言うならば少しだけ他の人たちとは違った恋人だった。
ストレートに言ってしまえばお互いが激しく求め合い、そして憎みあっていた。
おそらく簡単には解決できないであろう感情の問題にお互いが混乱していた。

私は彼の好きなジョンの伝記をひそかに購入してた。
そして私は待ち合わせの時間に中目黒の感じのいいカフェで感じのいいカップソーサーにそそがれたコーヒーをすすりながらそれを熱心に読んでいた。
彼はいつもより10分おくれて到着し、いつもより感じのいい笑顔をみせた。
その日の夜に忽然となんの前触れもなく、私の前から彼は失踪した。
その後私の前にあらわれたのは1ヶ月と5日が過ぎた月曜日の朝だった。
そして何事もなかったかのように私の部屋にあがりこんで、ハムトーストを食べた。
もちろん私も何事もなかったかのように熱い紅茶をいれてやった。
あるいはそういうことが幾度となく繰り返された。

ある激しい雨の夜、私は部屋に帰るとアパートの前に身をかがめる彼がいた。
聞くと傘を忘れたと言う。
どうしたんだと聞いても彼はただ傘を忘れたのだと繰り返した。
私は部屋には迎え入れなかった。
それで終わりだった。
あるいはそいういことはもう2度と繰り返されなかった。

私たちは若すぎた

too young
425名無しさん:02/10/10 17:14
今日も彼女の夢を見た。
そう、意味なんか無いし、覚えてもいない。
ただ、夢の中に彼女が存在した。それだけのことだ。
なのに何故、こんなにも心が乱れるのだろう。
おかげで、チーズオムレツの出来損ないに笑われてしまった。
あの夢に意味が無いように、多分この心の乱れにも意味は無いのだろう。
そう強く思い、また強く願い、僕は会社へと向かった。
426修行中 ◆AH/vDwkOqE :02/10/11 23:30
「地の果てにある井戸というのを見たことある?」
彼女は唐突にそんなことを言い出した。
「地の果ての井戸?まるで村上春樹みたいだね」
「そうね」と彼女はうなづいた。「でも、それはあるのよ」
「僕も見ることができるのかな?その井戸は」
「もちろん。ここからそう遠くないところにあるわよ」

「そんなのがあるなら」と僕はいった。「ぜひ行ってみたいね」
「行きましょう」と彼女はあっさり言った。「でも今日はだめ」
「なんで?」
「今日は休日だから。休日ではだめなのよ」
僕は半分納得し、半分はよくわからないままうなづいた。
そんなふうにして、僕らが次にあう日は、
たまたま互いの仕事と休みの都合がついた秋のある平日になった。
427名無しさん:02/10/13 04:28
age
428恋したつもりはないんだけど:02/10/13 06:18
「彼はペニスを挿入する前に私に言わせるのよ、何を入れてほしいんですかって」
ホイップクリームのような泡をたたえた麦酒は小さ目のジョッキになみなみと注がれ、
女友達二人は少しうるんだような目をしていた。騒がしい居酒屋の一角で私は携帯電話で彼に電話をかけた。
「ねえ、あなたのペニスは大きいんですって?」友達の一人が私から電話を取り上げて言った。
ウィンブルドンのコートの上のようにジョークの応酬が行われていることを彼が聞き取るのは簡単だった。
「やれやれ」一呼吸置いて彼は言った。「ええ。僕のペニスは大きいですよ。」
友達から電話を取り返すと、私は出来る限り冷たく聴こえないように努力しながら言った。
「エリーとはどうしているの?もうセックスはしたのかしら?」
沸騰した湯に氷を突っ込んだような声を発することができて、私は満足だった。
「その名前は出さないでください」私の口元から、紫煙が舞い上がる。「そう、じゃあまたね。」
朝一番の電車が駅に着くまで、私と女友達は、そんな調子でジョークを言いつづけた。
東京から飛行機で12時間先にあるウィンブルドンのコートに誰も行ったことがなくても、私たちは
驚くべきパーフェクトゲームを行うことができた。

まだ薄暗いホームの中を、ボウリングの球がフロアをすべるように電車は動き出す。
座席の上で昏みながら、私は”がたごと”という規則的な音に耳をすませた。”がたごと、がたごと”。
それは遠い国のテントの中で歌われる昔から伝わる歌のように優しかった。

彼にまつわる全てをジョークにして他人にぶちまけてしまうことで、
私は彼と過ごした時間、彼との品のない関係全てを品のないジョークにしようとしていた。
安ホテルの隅のソファーで彼が震えているのを、私は一糸纏わぬ姿でベッドの上で見つめていた。
有線がゆっくりと私の知らないジャズの調べを奏で、彼はその曲に纏わる昔の年上の恋人の思い出を話した。
彼は年上の私にいつも敬語を使っていたが、それは、私よりも少し上の婚約者の居る女性だった。
「海岸で聴いたんです」いつもするどい目で自分の好きな感覚の話を私と話し合う時の彼とちがって、彼の昔の恋人の話は
驚く程陳腐だった。その時私は自分以外の誰のことも愛していなかった。そして、陳腐な話は嫌いだった。
「ねえ、それよりも、ベッドに来て、私の背中を舐めて」

2日前、彼は私に電話してきて「好きな人とうまくいきそうなんですよ。」と少し上気した声で言った。
「良かったじゃない。」私は飼い慣らされたネコが喉を鳴らすように簡単にそう言った。
思い出せる限り、私は、彼に「私はあなたを愛していない」というメッセージを送りつづけていた。
急に家に呼びつけてセックスしたし、安ホテルに泊まるときは自動販売機にコインを入れるように部屋代を支払い、
セックスが終わると彼の好きな女の名前をたずね、ハウスのリズムについて話し、好きなCDをかけ、
ドラッグの感覚について話し、品のないジョークを言った。
レモン・イエローのテニスボールのようなジョーク。

ともかく、ゲームはパーフェクトに終わり、全てはジョークになり、そのことは昨夜の電話で間違いなく
彼に伝わってしまったことだろう。もう二度とリダイヤルに彼の名前が入ることはない。
着信履歴にも入ることはないかもしれない。
でもなぜ私は彼にそんなメッセージを送りつづけねばならなかったのか。
”がたごと、がたごと”
ふと気付けば、全ての乗客は消え、私の上に彼は覆い被さり、温かい射精が行われるまで揺れつづける。
それは、とても思いやりに満ちたものだ。
私は初めて正面から、彼の頬に穏やかなキスをした。

春樹じゃない感じですね、スマソ

年下のセフレと別れようと思ってるんですけど
なんだかちょっと寂しい感じがして書いてしまったです
この板の皆さんにしたら最悪の女だと思うけど、
彼が好きな子とつきあってうまくいく&私とのことがいつかはいい思い出に
なってくれたらなと願うばかりです
432名無しさん:02/10/13 13:22
うまいなー
433名無しさん:02/10/13 21:26
>>431の彼バージョン

結局、好むと好まざるとに関わらず、僕は傷つけてしまったのだ。
彼女のいつも発していた「あなたを愛していない」というメッセージは、
闇夜に煌めく雷みたいにはっきりと「あなたを愛している」と伝えていた。
もちろん僕は気付いていた。
今まで他人に傷つけられた沢山の経験が、僕にいろんな言葉の裏側をはっきりと推測させる。

そして僕はまた、彼女が言葉の裏側を読めないことを知っていた。
それでも僕はわざわざ言ってしまったのだ。「好きな人とうまくいきそうなんですよ」と。
多分彼女は疑うことなく信じるだろう。
そしてその言葉が僕と彼女の関係を断つ。カンダタの言葉で蜘蛛の糸が切れてしまうように。

結局、そういうことなのだ。彼女は純真で、僕は汚れていた。でもお互い逆を演じていたのだ。
僕は11月の雨を見ながら時々、もし二人とも最初から素直だったら、と考える。
でももちろんそんなことに何の意味もない。その言葉は発せられた。その瞬間、言葉は永遠になる。

結局この歳になっても何もわかっていなかったんだ。これからも僕は人を損ない続けるだろう。
それでも敢えて、届かぬメッセージであることを知りながら、僕は記憶の中の彼女に伝え続ける。

「あなたも幸せに」
434江国:02/10/14 04:58

永遠という 扉を開けるのがこわい あと少しでも夢みていたいよ
一度は同じ道 歩いたよね 今は遠い
全部洗い流して この風景を
切り離して 私から 走り出したい
あなたは 今でも あの場所に いてね
一番 近い場所  
私はその丘から いつまでもあなたをさがし続けるよ
乾いた泉に水があふれ 光る草原に陽が差してゆく
抱きしめたら何かがうまれるよ 優しさが私にも ほしい
435名無しさん:02/10/14 12:36
>>434
とりあえず僕は縦読みしてみた。他にどうしろというのだ。
しかしやはり、何の意味も無い。
普通に読んでも意味はないし(酷く恐ろしく不細工な文だ)、
縦に読んでも意味はない。
結局、434が何を考えてこんな駄文を書き込んだのか、僕に知るすべはない。
やれやれ、夢見る頭の狂った高校生をまさかこの目で見ることになろうとは、
さっきまで快晴の下散歩をしていた僕に予想できるはずが無いじゃないか。
436名無しさん:02/10/14 19:16
>>433
いいですねぇ。
こんなすれ違いの恋ってよくあることじゃないでしょうか。
>「あなたも幸せに」
泣けてきます。
>>433 彼バージョンっていうの自体が春樹っぽいですね。素敵だなー。
実際はそんないい話じゃないのだけれど。

毛布の上で携帯電話が飛び跳ねるように震えた。 液晶画面が彼の名前を表示する。
「このあいだはごめんなさい」
「このあいだ?ああ…。そんなの、前の恋人で慣れっこですよ。もっとひどかったです」
「もっとひどかったの?」「ええ。ひどかったですね。」
彼は軽いものを持ち上げるように言った。


「あんった、あいかわらず可愛げがないわねー」とか言ってたのですが
…その後でこのスレ見てたら、不覚にも号泣してしまいました。
なんでそんなに聞き分けがいいんだよ。・゚・(ノД`)・゚・。 ウワァァン
スレ違い・スレ汚し失礼。もう退散します。お褒めの言葉、優しいストーリー、ありがとう…
438修行中 ◆AH/vDwkOqE :02/10/15 23:30
その日、僕らは山手線のある駅で待ち合わせた。
僕らはそのまま駅を出て、すぐ近くにある大きな神社へ入った。
「初詣するにはまだ早いと思うけど」
「それ、おもしろくもなんともないわよ」
僕らは長い参道を並んで歩いていった。
平日の神社は人が少なく、その半分以上が外国人だった。
彼女は参道の途中にある御苑入口というところで立ち止まり、
僕に「ここよ」という風に目で示した。
僕は黙って二人分の拝観料を払い、中に入った。

平日の人がいない御苑の中は、おそろしいほど隔離された世界だった。
街のざわめきは耳に聞こえる。外界の気配はわかるけれども、
それでもここは僕が数分前までいた場所とは別の世界だった。
圧倒的な緑に覆い尽くされた景色の中で、
昼間なのに、僕はかすかな恐怖さえ感じていた。

そんな僕の心を透かし見たように彼女は、怖いでしょ、と言った。
僕は同意してうなづく。
「でもね、それは人がいないから。人が多ければここはただの美しいお庭。
 でも、こんなふうに誰もいないときには」と彼女は言葉を切った。
「この場所が訴えてくる力を感じとれるのよ、心が」
439名無しさん:02/10/16 00:45
まず始めに断っておく。>>438はコテハンを付けるほど面白くはない。
逆に、この程度の作品で自己主張をするのを煙たがる人間も多いと思う。
偏狭な僕はいい気がしなかった。しかし、作品を読んでみると、不思議と悪くない。
コテハンを付けていること以外、これといった否定すべき事項はないのだ。
いや・・・・、僕は考える。もしかするとあのコテハンが目に付くから、
文章の粗が見えないだけなのかもしれない。
しかしどちらにしろ、この作品は悪くない、という印象を僕は最終的に持った。
440132:02/10/16 11:18
久しぶりに訪れたこのスレッドは、190という地平まで下がっていた。
みんな元気にしているだろうかという懐かしさと、まだこの板から離れられない自分への自嘲が入り混じった気分は、確かに190という数字に相応しいものなのかもしれなかった。

僕はいったいいつまでこの重苦しい心を抱えたまま歩きつづけるのだろう?

彼女との思い出を、涙なしで思い出せるようになったことは進歩と言えるだろう。
でも、そこから先に踏み出す勇気は、まだ今の僕にはとても持ち得るものではなかった。
今の僕にできることは、「sage」の文字をメール欄から削除して書き込み、スレッドを上げることくらいなのだ。

やれやれ。
441あびて:02/10/18 03:24
「ひどく不味い」僕はそう呟いてみた。目の前には一口だけ囓られたハンバーガー。
うんざりした気分で僕は挟まってるピクルスだけを囓り、残りを全部ゴミ箱に捨てた。
ジャンクフード。
こんな物を有り難がってわざわざ食べに来る人の気がしれなかった、やれやれ。

何故僕がこのばかげた趣味と装飾の建物へ、ジャンクフードなんかを食べにくるのか?それには理由があった。
それは僕が食べ物に対してほとんど興味が無くなった、という簡単な理由からで、
食事に掛かるそんな無意味な時間を長く過ごすのが無駄だと感じたからなのだ。

無味乾燥のファーストフード。
僕は、”何とかチョイス”だとか”バリュー何とか”というメニューを見て酷く混乱する。
「えーとじゃぁ**マフィン…」言い終わる前にすかさず店員が、
「申し訳ありませんそのメニューは只今の時間は取り扱っておりません。」僕の目を見つめながら言う。
僕は流れ出る冷や汗と狼狽を悟られないようにしながらも、
少し震える声で目に入った適当な物を注文する。

オーダーが無事終了し、安堵のため息をつきながら、やれやれ俺はいったい何をしているんだ…?と自問する。実際すごく疲れる。
しかしそんなリスクを差し引いてもファーストフードで得られる手軽さというのは、今の自分にはすごく必要で大切な存在だった。
442あびて:02/10/18 03:25
そんな日々を繰り返している僕にもかつては精力的に美味い店を探し、食欲を満たす為に自発的に選択し行動する。という時期があった。
イタリアンレストランのアルデンテに茹で上げられたプリプリとした食感のパスタ、
インド料理店のカレーに乗っかったベイリーフの葉っぱ、チャイナタウンの熱々の溢れそうな容器に盛られた海老。
今でも思い出す…美味しい料理を食べた時の優花の華やいだ表情を。

そんな頃にはあのファーストフード店のパサパサしたハンバーガーも、新聞紙の印字をドリップしたような不味いコーヒーも、
とても美味しく新鮮な感じがしたものだった。

「こういうおいしい料理って初めて食べるの」ナプキンで唇を拭いながら優花は伏し目がちにそう言い、僕を見てにっこり笑った。
僕はいつも、その無防備な微笑みを目にする度に、ひどくやるせない気分になった。
「外食ってあんまりしたことがないから…」そう言いながら真っ直ぐに僕を見つめる。
その透き通るような現実感のない透明な瞳を見てると、僕は今自分が何処に居るのかよくわからなくなる事が度々あった。

実際、優花はとても人目を引く美人だった。
自分ではその魅力に全然気づいていなかった。
おそらく若すぎる年齢と、少し謙虚すぎる性格が、彼女をスポイルされる現実から引き離していたのだろう。
優花の不器用にパスタを巻くフォークの動きが、僕にはとても微笑ましく感じられた。
443あびて:02/10/18 03:26
毎日優花が立っているハンバーガーショップのレジカウンターは、彼女の魅力と存在感で輝いていた。
そこで販売されている各種のロクでもない飲食物や、下らないsetメニューのシステムも、
彼女が薦めるととてもゴージャスで素晴らしい物に見えたし、実際に彼女に手渡された食べ物はとても美味しく感じられた。
多くのお客が彼女の笑顔と手渡されるハンバーガーに対して、心から感謝して料金を払った。
「君はマクドナルドの精だね、」時々僕が感心して誉めると、すぐに彼女は赤くなった。

少しばかり涼しくなってきた快適な夏の終わりの動物園に、僕は彼女と出かけた。
僕は何処行くともなく歩き回る優花の背中と真っ直ぐな黒い髪を、1メートル程の距離で追いかけながら歩いた。
彼女が横を向くと小さな白い耳が見えた、勿論僕はその距離を詰めようと思えば詰める事も出来たのだが、
何となく気後れがしてそれが出来なかった。時々優花は後ろを振り向いて僕に話しかけた。
上手く答えられる事もあれば、どう答えればいいのか見当もつかない事もあった。何を言ってるのか聞き取れないという事もあった。
しかし、僕に聞こえても聞こえなくても、そんな事は彼女にはどちらでもいいみたいだった。
優花は自分の言いたい事だけを言ってしまうと、また前を見て歩き続けた。
まぁいいや、散歩には良い日和だものな、と僕は思ってあきらめた。

僕等は周りの目を盗んでそっと小さなチンパンジーと握手をした。
そのしっとりとした暖かな感触はいつまでも僕等の手の中に残っていた。
444名無しさん:02/10/18 03:56
444
445修行中 ◆AH/vDwkOqE :02/10/20 00:36
僕らは誰もいない庭をゆっくりと散策した。
「井戸はこの庭の一番奥にあるわ。ほんとうの一番奥」
僕らは庭の奥へ伸びる道を歩いた。
外界はすぐそこにあるのに、そことはとてつもない距離があるように感じられた。
確かに地の果てに続いてる道と思えるような、雰囲気がその道にはあった。
そして僕は突然に井戸を見つけた。
地表に開けられた穴の中に木桶が埋められている。かすかに、でも確かに水が湧き出していた。

僕は井戸の近くまで降り、ゆっくりと木桶の中に自分の手を差し入れた。
赤味を帯びていた僕の手は水の冷たさにやがて白く色を失っていった。
そんな僕を彼女は後ろの道からずっと見ていた。
湧き出た水の行き先を捜すと、木々を割って差し込む陽射しの中、
木桶から溢れた水が小さな流れを作って、庭のほうへ伸びていくのが見えた。

僕はずっと何度も手を入れたり出したりしながら周りの景色を眺めていた。
彼女は何も言わずにじっと僕を待っていた。
僕は手を振って水滴を払い落として立ち上がった。
「彼女のこと考えた?」ハンカチを差し出しながら彼女が言った。
「少しだけ」
それ以上は彼女も何も言わなかった。
「お参りして帰ろうか」
僕の言葉に彼女はそうね、とうなづいた。
446名無しさん:02/10/20 10:24
>>445
つまらんし、失恋とは関係ないし、消えろ
447名無しさん:02/10/20 17:46
「粘着は全てのスレにいるのさ」
ねずみはそう言うと、ビーフィーターのストレート
を一気に飲みほした。
「君は本当にそんな事を信じているのかい?」
「もちろんだ。プロの荒しがいる、なんていうヨタ
話とちがって、これは真実なんだ」

 ジェイがねずみに次のビーフィーターを持って来
る間、僕は様々な事を考えた。2chの数え切れない程
のスレの全てに粘着が貼り付いている様子や、例のAA、
そういったものの全てを考えた。
 そして、やっとねずみの言ったことを信じ始めた
ころにヤツは言った。

「なあ、嘘だと言って来れないか?」
448名無しさん:02/10/22 20:39
保守
449名無しさん:02/10/24 07:20
一枚の膝掛け毛布からこの物語は始まる。

いや、実のところこれから話そうとしているのは、終わりを告げた「僕」に
関する事柄なのだから、「始まる」とするのにいささか抵抗を覚えないでも
ない。しかし、すべての「終わり」には「始まり」が纏わりつき、「始まり」は
「終わり」を引きずり回す。そうでなければ、一体サンタクロースは何を
基準にしてクリスマスプレゼントを配り終えられるのだろう?
そういえば、この話もそんな時期の事だった。キリストの誕生日に街に
あふれ出す恋人を祝福するために神(か、別の誰か)が用意したはずの
白雪を、また別の誰かが二日早く――しかも、夜の間に――降らせてし
まった年。雪の積もった朝の道を歩く片割れの恋人たちの顔がとても残念
そうに見えた日。
僕を除いては。

ところで。
夜を徹してビールを飲みながら顔も見たことのない他人に対して言葉を
綴ることでしか急流であっという間に遠く流されていく子犬のような過去を
追憶することのできない僕と同じように、それぞれがひどく不器用な方法で
傷の癒えるのを待っている――あなたのような――人々に敬意を示して、
僕はあえてこう、書き出すことにしよう。

一枚の膝掛け毛布で、この物語は終わる。
450名無しさん:02/10/24 13:36
僕は目を閉じた。
冬の雨がしとしとと降る中、薄暗いあの部屋で
泥棒カササギを聞きながらイスに座って本を読む
彼女の姿が浮かんでくる。彼女がよくいれてくれた
紅茶の銘柄はなんだったんだろう?

 もう彼女の生活と僕という存在は完全なまでに
切り離されているのだ。彼女の人生は、南極大陸と
ペンギンのように、今は彼女自身のものであって
もう僕のものではないし、たとえ取り戻そうと
しても一切のもぐりこむ隙間は用意されてないのだ。
彼女はあの背が高く、ベージュのツイードのスーツの
似合う男と多分幸せにしているのだろう。何より彼女にそう選ばせてしまったのは、僕なのだ。
 
 やれやれ、
 ぼくはため息をついて、生ぬるくなったビールを飲み干した。
451名無しさん:02/10/26 20:48
彼に連絡に連絡をしていないの。
いえ、正確に言うとできないでいるのね。
連続する失恋って言う物をあなたは想像できるかしら。
私はそんな気分を味わっていたのよ。
髪を黒くして短くして、あなたの好みからは変わったわ。
いつかあなたへの気持ちが<恋>から変わったときに
いつも会う月の下ではなくて太陽の下で食事したいって今は思うの。
452名無しさん:02/10/26 21:10
スレの趣旨とは少し外れるが、僕らが旅に出る理由っていう
曲がちょっと春樹ぽいなあと昔思ってました。
453名無しさん:02/10/27 19:08
age
454名無しさん:02/10/29 14:39
タバコの先の火は確か千度以上あったような気がする。
僕はヘビースモーカーではないが、いつもタバコを持ち歩いている。
中学の三年生の時くらいからだ。
めったに吸わないタバコを吸うのはたいてい髪をわしゃわしゃって
するようにむしゃくしゃしたくなる時か涙が出ないほど悲しい時だ。
455名無しさん:02/10/29 14:47
僕は彼女の部屋にいて彼女の模様替えを手伝っていた。
PHOTOと書かれたファイルが本棚の隅っこにひっそり置いてあった。
僕は何気に手にとり「みていいかい?」と彼女に尋ねた。
「別にかまわないわよ。」
今思うと僕はこのときそんな事を聞いてはいけなかったし
無視するべきだったんじゃないだろうか。
一枚一枚と僕の眼に写る彼女にとっては化石ような過去の思い出。
彼女は僕にほとんどの写真の解説を饒舌に語った。
456名無しさん:02/10/29 15:11
その解説を聞いているたび僕の心は痛んだのだろう。
第一にある理由で僕の過去は、すっかり流されてしまったからだ。
いまのぼくに思い出せる事はわずかだった。
彼女は昔の男の写真について何の気なしに語る。
そして第二には「今この人と会ったらすぐ結婚してもいいな。」という言葉。
僕の感情は波のようになっていたが、それを顔に出したつもりはなかった。
「さっきから様子が変よ。」
少し経って彼女は言った。僕の心臓がドクリと耳元で鳴った。
「そんなことないよ。」
僕は軽い笑顔を作りそう言った。
僕は彼女の昔の男に、そして彼女の綺麗な過去に嫉妬していた。
僕より年上の彼女にその事を悟られなくなかった。
そして、彼女は僕を好きなのではなく寂しさを紛らわす為に
傍に置いているという事実を明確にした。
「ほんとうは見られたくなかったのよ。」
彼女はポツリと言った。
僕はタバコを吸いに行くと外に出た。
「そういう態度をとられるのが一番困るわ。」
彼女は珍しくぼくに「いかないで」といったけど
僕は言う事を聞かなかった。
思いっきり叫びたかった、けど都内の閑静な住宅街でそんな事をするわけにも行かない。
僕は全力疾走で走った。
そして、どこかの橋に着いたとき、タバコに火をつけた。
彼女は好きな異性が沢山いる。でも僕はその中には入らない。
無意識的に僕は手の甲にタバコの火を押し付けた。
真夜中の電灯の下、灰で焼かれた皮膚は遺骨のような白にみえた。
457名無しさん:02/10/29 15:14
スマソ、文章が変なトコがある、申し訳ない。
458名無しさん:02/11/02 11:15
age
459名無しさん:02/11/02 11:56
1ヶ月ぶりに、このスレに来ました。

かつてこのスレの住人だった彼と彼女は今どうしているのでしょうか?
「馴れ合いスレ」とか言って、誤魔化してたけど
実は凄絶な「痴話ゲンカスレ」だったのかも(w
こんな電波な痴話ゲンカは、もう二度と見れないと思いますね。
彼らがここに書き込んでないところ見ると、たぶん仲良くやっているんでしょう。

ところで村上春樹のデビュー作は「風の歌を聴け」でしたね。
ということで、風の歌よろしこ。それと勝負写真も(w
460名無しさん:02/11/02 13:17
こてはんだと叩く人がいるのでコテハンで続けて書く人減りましたねw
461名無しさん:02/11/03 15:25
>>460
まぁ素人は所詮素人、ろくな作品が書けるはずもない。
それがコテハンだったらそりゃ叩く絶好の(略
462名無しさん:02/11/04 18:38
そっか。でもなんとなくなくなるのいやなんだよな。w
463名無しさん:02/11/04 19:41
>>462
コテハンじゃなければ、よっぽど酷くない限り読み流しているけれど、
コテハンで(恐らくいい気になって)書き殴っているのを見ると、
その悲惨さは煽らずにはおら(略
464名無しさん:02/11/04 21:23
煽ってたのはきみだったのかw
でも、村上風に失恋のことを話すスレってことは
前に少しやってたけど、失恋ってどんなことか話すスレでもいいはずだよね?
465名無しさん:02/11/04 21:27
>>463
キモい
てか何様?
ばか?
466名無しさん:02/11/04 21:30
>>463
あんたがいい気になってんじゃん オヤジ
467名無しさん:02/11/05 08:43
>>465
>>466
粘着ですか?
468名無しさん:02/11/05 13:43
あらしはむしって方向はわかるけど、
ここは失恋板でもあるし結構痛んでるときにはあらすって厳しいんじゃない?
469名無しさん:02/11/06 13:05
やれやれ
470ペグ ◆zC3V.L7fJM :02/11/08 01:05
信じられなかった。まだこのスレが生き残っていたなんて。
471名無しさん:02/11/08 01:09
「あげ」と言いながら翠はブラジャーをたくしあげた。
472名無しさん:02/11/08 21:36
『元気でね。』と彼女が言った。
『ありがとう。』と僕は言った。
僕は自分の世界に戻る為の新幹線に乗った。
電車の素晴らしく無情なところは予定通りに動き出すことだ。
ゆっくりと動き出した世界の外で彼女が寂しげな表情を見せたのは
或いは僕の、そうであって欲しいという願望だっのかも知れない。
彼女を失ったことの喪失感は不思議と感じられなかった。
彼女はもう僕を愛していない。
僕は彼女の気持ちを巻き返すことは出来ない。
ただそれだけだ。それ以上でも、それ以下でもない。
新幹線の中で『矢井田瞳』の『Candlize』をヘッドフォンで聴いていた。
多くの人が僕の中を通り過ぎていった。
多くの人は僕に対して親切であり、僕のことを本当に心配してくれていた。
彼女もその一人だったが、彼女は僕の部屋を出口から出て行ってしまった。
僕がたまらなく嫌になるのは彼女が彼女自身の何かをすり減らして出て行ったことだ。
これから先も僕は僕の中を通り過ぎる人を損ない続けるのだろうか。
ヘッドフォンはは『Over The Distance』を流していた。
僕は泣きたくはなかったが、それは押し留めることなど出来るはずもなかった。
ささやかな抵抗など、押し寄せる感情の波には勝てるはずもなく、
僕は泣いた。

473名無しさん:02/11/09 01:07
>>472
またえらく品のない選曲だな
474名無しさん:02/11/11 00:07
あ、ぺぐさんだ!
475名無しさん:02/11/13 15:43
204-206が素敵だわ、と彼女は言った。
476名無しさん:02/11/13 16:17
>>472
ヤイダは春樹でないだろ・・・
普通でもないだろ・・・
477名無しさん:02/11/13 20:18
ヤイダわらたw
478名無しさん:02/11/14 01:29
「矢井田?やれやれ、とんだ選曲だな。」と思った。
だが、よくよく考えてみればそんな時に僕が選んだ選曲はtrfであった。
その時イヤーフォンに響くその音は懐古的に僕の中に入り込んできた。
なるほど、やはりこういったものは人によるのであって、それは予定調和では無いのだ。
それを>>473>>476、そして少し前の僕のように言う事は、
あくまでも個人的な感想であって>>472がその言動に動かされる必要は無いのだと思う。
479名無しさん:02/11/20 21:52
やれやれ、>>478は実世界でも鬱陶しいのだろう
480名無しさん:02/11/21 22:09
「伝わらない、もう…伝わらない。」彼女は言った。
一緒にいても、心が伝わらなくなった時、初めて彼女が泣いた。
「まだまだ平気だよ。」といつも笑っていたのに。
本当に悲しいとき、人は声を立てずに泣くのだというのをその時知った。

僕は、一体どこにいるのだ。

481GEORGIA:02/11/24 00:22
此処は時間のない虚空間だ。
こうしていてもまるで現実感がない。
僕には、目の前光景が美しく映らない。
どうしても、だ。
鏡を見ても目に輝きが灯らない。
482珈緋:02/11/24 00:40
輝きのあるものにうちのめかされる。

昼休み。パンを一欠片だけかじって、トマトジュースを飲み干した。
(缶を開けるまえに、ほんの少し 力を込めたら ぐしゃりと握り潰れたので
 吹きこぼれた汁は 古ぼけた木材のベンチの上で、薄赤い染みをつくった。)

ペットボトル入りの清涼飲料。これは半分だけ取っておいた。
鬱陶しいくらい、麗らかな秋晴れのもと、
人知れず涙を流した事を知るものはない。

―俺は・・・どうして泣くんだろう?。―

俯いたまま、黒いジーンズに鼻汁が染みこむ。 
我ながら情けなくなってくる。

イーゼルを直そうと軽く蹴っとぱすと、
描きかけのカンパスが覆い被さってきた。
髪にに絵の具がひっついてなかなかとれない。
まるでゴミ箱ひっくり返した猫みたい。

頑張ってる人の前で弱音なんて吐けない。
自分を惨めだと思ったら負けだ。
483名無しさん:02/11/24 00:41
誰かが言う。「いい加減、認めろよ。」と。
何を?現状を。或いは、あるがままの自分を?

僕は昼飯に食べられなかったパンを貪るように喰い、
肉サラダとサラダとミネストローネを注文した。
カチカチとフォークが皿に擦れる音の不快感。
味覚だけが異様に冴え渡り、口の中で電流が流れるみたいに、
鉛のような味がした。

ほったらかしの虫歯はもはや痛みを忘れている。
484名無しさん:02/11/24 00:53
 聞いてみた。
「さっき髪に絵の具がついちゃって。これ、目立ちますか?」
 愛想の良い店主は言う。
「茶色くて全然気にならないわ。メッシュみたい」

それでも、気になって、
後でトイレに駆け込んで鏡で調べてみたところ、
よりにもよって、真っ黄色!!

これはどう転んだって目立つだろうに。
その店主も人が悪い。

水をつけて、拭ったり、舐めたりして
ようやく汚れは落ちた。
485名無しさん:02/11/24 12:23
あるいは彼はいかにして僕を振ったか
ねぇ、僕がデートに誘ったのにお金がないから
会えないなんて、そんなものは何の理由にもっていないと
思わない?

・・・・・・・やれやれだ。
486名無しさん:02/11/27 02:12
 先日、思い切って友人に打ち明けた。
自分は病気のせいでこれが恋愛感情かどうかも判別がつかない。
人間らしい理性を保つので精一杯なのだ、と。

「そうか、君が最近悩んでたのはそのせいだったのか」

友人はあまり人に 干渉 しない主義だった。そのくせ、心配性。
そして自分の主義は曲げない。それは僕にも同じような事が言えた。
そんな僕等であったから、衝突やいざこざも絶えなかった。
その度に、君等ってホント仲が良いよねって言われるのが
多少、不本意ではあったけれど…
487名無しさん:02/11/27 02:14
「僕は、一体どうすればいいだろうか?」

「さてね、どうすればいいか何て、君の決める事。だろ?」

「…うん。まぁ、ね。」

今思えば、とんだ愚問だった。
それは禁句。どうしたいか、何て僕自信が決めるべき事だからだ。
某人の価値観や考え方には感化されてきた僕であったが、
どうやら依存しすぎていたようだ。
ひょっとしたら負担になっていたのではあるまいか?
僕は、今更ながら深く後悔した。

「答え見つけられ」

その夜、僕はひどくあまったるい、
─例えば、ハイビスカス花のような薫りのする─
グァバ・ジュースを一瓶開けて、飲み下すと
酒に酔っ払ったみたいな、妙な心持ちがした。
488名無しさん:02/11/27 02:17
この痛みは…人と分かち合うもんやないと思っとる
簡単に人の苦労が分かるなんて言うたら失礼やろが

世の中には我よりもっと苦労しとる人が五万とおる

最も僕は偉そうな口がきける立場ではないけれど…
489名無しさん:02/11/27 02:26
某人の価値観や考え方には感化されてきた僕ではあったが、
490名無しさん:02/11/27 02:27
というか、失恋話・・・
491名無しさん:02/11/27 02:43
彼の肩まで伸ばされた髪やがっしりとした肩、
彼が好きだった音楽、ギターのフレットの上を飛ぶように踊っていた指、
そんなものの全てが未だふとした瞬間わたしの記憶を嵐のように支配する。
その度わたしは彼の哲学や生き方を全て受け入れ愛し続ける事が出来なかった
自分の若さを口惜しく思うのだった。
492名無しさん:02/11/27 05:05
この痛みは…人と分かち合うもんやないと思っとる
簡単に人の苦労が分かるなんて言うたら失礼やろが

世の中には儂よりもっと苦労しとる人が五万とおる

最も僕は偉そうな口がきける立場ではないけれど…
493名無しさん:02/12/02 13:55
そして俺が元気をとりもどしつつある頃、俺の元彼女が、急病で倒れた。
原因はストレス性のものだった。
仕事で上手くいかなかった事と人間関係で悩んでいたらしい。

彼女の部屋を訪ねた時、枕もとから声を押し殺して泣いている彼女に気がついて
俺は慌ててかけよった。「どうした?!何があったッ?!」
「煩い、関係ないわ」と。わめき散らすばかりで、まともに話せる状態じゃなかった。
それでも僕は根気よく、彼女をなだめて、彼女の悩みを聞き出した。
「きかせて?僕でよければ相談に乗るけど。」
「でもあなた、深刻に考えちゃうんじゃない?」
「いいよ。軽く聞き流せるぐらいの心構えでいるから。」
「それに、一度言ったことは、後になってもずっと覚えてるくせに。」
「でも、それを根にもったりはしない。」
「そぉ?でも…言うと重くならない?」
「いいから、聞かせて!喋れば少しは楽になるから…」
494名無しさん:02/12/02 13:55
思えば、彼女が、華道にもいかずに、俺に、つきっきりで看病してくれたこと。
また、職場に電話をかけた時、今にも泣き出しそうな声で、ひどく狼狽している様子だったこと。
その声を聞いた時に、どうして俺はもっと上手く配慮してやれなかったのだろう。
俺は激しく後悔した。
その時は僕は僕の事で手がいっぱいで、生きることに精一杯で
とてもじゃないけど彼女の事にまでは気が回らなかった。
自分の都合ばかりを押しつけて、傲慢だった、あの頃の自分。
そして、今でも、たいして変わっていないのかもしれない。

「だって、貴方のことが、心配だったから、無理をかけたくなくて…」
…何てことだろう。こんな時でさえ俺に気をつかってくれてるというのか?

「・・・もう、辛くて、職場にも顔を出したくない…」
「何だって?!」
「このまま仕事を続ける自信も無くて、辞めようかとも思う」
この科白を、彼女の口から聞いた時に、俺はシマッタ!と思った。
495名無しさん:02/12/02 14:07
あの時。
俺は、そんな状態の彼女に、残酷な事をしてしまったかもしれない。
ほんの些細な事がどうしても気になって、彼女に対して否定的になっていた。
自信を喪失している彼女に向かって、仕事のミスを指摘し、叱責してしまった。

「いつも貴方は同じ事ばっかり、繰り返し言うのね。私に向かって」
「だって仕方ないじゃない!!!」
「じゃあ、どうしろっていうのよ?」
そのころの彼女の、強がりな科白が頭をよぎる。

彼女は、けして強いほうではない。どうやら俺は彼女の事を過信しすぎていたようだ。
彼女にとっては自分の存在自体を否定されたように聞こえたのかもしれない。
自分に厳しいのは悪い事じゃないが、人にまでそれを強いてしまうのが俺の悪い癖だ。

俺は泣きじゃくる彼女の肩を抱いて「大丈夫、大丈夫だから…」と根気よく宥め続けた。
愚痴を聞いているうちに、彼女は平静を取り戻しつつあるのがわかって俺はほっとした。
「大丈夫かしら?」
「あぁ、君は十分、立派だよ。自分の仕事に誇りを持って」
「本当に?でも、私…」
「もっと自分に自信を持って!それから少し、肩の力ぬきなよ。」
「いちご牛乳、要る?」
「要らないわ。それ、貴方が買ったんでしょ?」
「オレンジジュースのキャップとってくれないかな?」
「はい、どうぞ。」

「午後からの会議、頑張って。」
「うん。ありがと。」
496名無しさん:02/12/02 14:22
ありがと、か。
俺に泣きついてくる相談相手はみんな、そう言って返っていく。
俺もどこまでお人好しでいられるのかねぇ…なんて思いながら、
腰に手を当てて、いちご牛乳をぐびりと一気に飲み干す。

大の男がいちご牛乳を飲んでいる光景!
少し気恥ずかしい気もするが、そんなことは誰も気にしちゃいない。
他人なんてまるでお構いなしって顔して、忙しそうに歩いてる。
せわしないこの街の中で、俺は格好悪く孤独を気取ってる。

タクシーを拾って、駅前の表通りに出ると
彼女から傘を借りたのだが、どうやらそれも必要無いらしい。
雨はすでにやんでいた。灰色の空を眺めて吐いた息はもう白い。

今年はいつの間に秋がすぎたんだろう?
気がつけば、もうすっかり冬じゃないか。

彼女は、どうせ彼奴の元にいっちまうんだろう?

いいじゃないか、彼女の事なんて、もうどうでも…
ただ彼女が元気で 笑って居てくれれば、
幸せになってくれれば、俺はそれでかまわない。
497名無しさん:02/12/02 14:23
どうしてだ?
随分前にふっきれていた筈の、
古い感情が、風邪のようにぶりかえす。
498名無しさん:02/12/02 15:42
その時は俺は自分の事で手がいっぱいで、生きることに精一杯で
とてもじゃないけど彼女の事にまでは気が回らなかった。
自分の都合ばかりを押しつけて、傲慢だった、あの頃の自分。
そして、それは今でも、たいして変わっていないのかもしれない。

「だって、貴方のことが、心配だったから、無理をかけたくなくて…」
…何てことだろう。こんな時でさえ俺に気をつかってくれてるというのか?

花瓶の中には すでに枯れてしまった花が そのままいけて ある。
499名無しさん:02/12/02 15:43
>>497
春樹度35点
500名無しさん:02/12/02 15:45
んにゃ、おいら、春樹の世界観はよぅわからんけども。なんとなくなー。
501名無しさん:02/12/02 17:11
ぶっちゃけ、今朝の出来事なんだけどね。

いくつも問題を平行してる。(現在進行形
どうにかしたい。が、迂闊に手も出せない。

当たらぬ神に祟り無し。
502名無しさん:02/12/02 17:14
いろいろと諸事情がありまして。
転換ヒステリーいやあああ!!!
503名無しさん:02/12/02 17:22
心配と苛々事は人に移るよね。身内の方、すんません。
504名無しさん:02/12/02 17:33
すぐキレる女の人って基本的に苦手;;
病気のせいやいうてわかっとっても態度変らえれんよ。
黙って見守ることぐらいしかできないよ。

>>495
マジ駄目だしがでました。。
本気で参ってる人に「頑張れよ!」は禁句なんだった。
抑圧がかかるからね。俺ぁ、もうある程度は慣れた。
505名無しさん:02/12/02 18:14
まぁ、女の愚痴は本質的なものっすから;;すぐ収まるよ。
それでストレス発散するのはいいけど聞く方も大変そう。
506名無しさん:02/12/02 23:32

       ,-‐8‐-、
      d <ヽ-ノフ b
     d o ̄o ̄o b
     d o  o  o b         / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
    d_______b       < l'amour perdu 
    / / ==   == i ヽ        \_______
    /_/|   ● ι ● |_,.ゝ  ___
   /⌒`\  ⊂つ /⌒/ ̄ つ_)
  /   ヽ7ー‐‐'/7〈  ヾ/ ̄
   |⌒liー'´ i ̄ ̄~i `ヽー"
  /__ノ|  i    i   |     
   ヾ_∪_i__(ニニ}ニニニ)
    /  /    ヽ ヽ
   /  /      ヽ  \
   `iー―‐――――‐‐:i´
    !     人     !
    ヽ___/ ヽ___ノ
    / 介 ヽ  / 介 ヽ
    /    |  |    .|
    |__  j  L __|
   [__ >'"  ゙`< __]
507名無しさん:02/12/06 17:52
学校帰りによく聞く会話1

「あら、こうちゃん来てくれたの?!」
だってさ。オレの事なんて全然眼中ねぇよ・・・

・・ははっ、そりゃ切ないなァ!!

やっぱ脈無しかなぁ?
そろそろ諦めたほうがいいのかも…

お前、頑張ってるよ!
オレは認めてるけどね。

んなこと言われても
あの子が振り向いてくれないと意味ねぇじゃん。

そりゃそうだ。(笑)
508名無しさん:02/12/07 04:52
電車の中で絡まれた。…どうしよう。
目茶苦茶しつこいYO!
「ひょっとして誘ってるんじゃねぇの?」
「待ってるんじゃないの?」
なんか無理矢理キスされそうになった。
その上洗面台だ!(逃げ場が無い)
そんで、あっぱーするフリしたりしてくるんスよ。
怖かったぁ。((((><))))<ちょっぷるる〜い!!
というか激しくムカツイたので…
顔面に蹴り喰らわせてやろうかと。
ピーコココココ…(ちっ戦闘力たったの5か。くずめ!※スカウター)
でもそういう場合、手を出したほうが
フリになるのは分かり切ったことだからぁ!
何とか我慢したョ。オレ偉いッ。<ぱちぱちぱち☆
犯罪沙汰にならなくてヨカッタなぁ、良かったぁ!

んで、結局どうしたかっていうと、
目に思いっきり力を込めてギロリ睨みつけてやりました。
「そしたら…おぃ、行こうぜ」
…って退いてくれました。助かったぁ!
とりあえず、ほっと胸を撫で下ろした。
(どんな形相だったのかは自分でもわかんないけど。)
「名前覚えといてよ!俺の名前、○○○○!!」
…つってたけど誰が覚えてられっかいドアホゥ!!
そのくせ人前じゃ「キレイに並べられて」たから余計むかついた。
協調性?!あ″?個性が無いだけでやんの。低脳!!<あはは言ってやったり☆

もちろんキチンとしてる人はキチンとしてるからいいんです。

自由ってことは自分の意志でどうこう決める責任がともなう。
自己主張も大事やけどそれが我が侭であってはいかんのです。
509名無しさん:02/12/15 05:17
「死は生の対極としてあるのではなくその一部として存在する」

                  by 村上春樹


失 恋 は 愛 の 対 極 と し て あ る の で は な く
そ の 一 部 と し て 確 か に 存 在 す る。
510名無しさん:02/12/16 00:24
「僕はプレスリーが世に出た年に1877本の煙草を吸い、
 語る言葉を模索しながら彼女のために陽気なアメリカンジョークを
 飛ばした。彼女は熊が転がり落ちたときのように良く笑い、時には
 僕の髪をなで、僕のそばでギターを弾いた」

499さん、春樹度は何点ですか?
 
511604:02/12/18 14:34
やれやれ。また恋か、、、
512名無しさん:02/12/19 08:55
>>510
おまえ、それ本気で「春樹っぽい」とか思ってるのか?w
513名無しさん:02/12/21 15:40
>>512
悪魔か貴様(ワラタ
514名無しさん:02/12/22 20:12
\モウ/    \ね/  \ アボカド /  \ 馬 /  \ 鹿 /  \ カト /
                                    ∩   ∩
                                    | つ  ⊂|
    ∩;;;∩                      ∧ノ~       ! ,'っ _c,!
  (Y;;;;;;;;;;ヽノ)               ヽ      ミ| ・  \    ⊂/  ・  \
   i;;;;;;;;;;゚;;;゚ヽ           γ⌒^ヽ    ミ|   ... '_)   | __,,▼    ∫
/;;;;;;\;;;;'⌒)          /::::::::::::::ヽ   ミ| (,,゚Д゚)    |・ (,,゚Д゚)   (,,゚Д゚)
 )|;;;;;;;;(,,゚Д゚)    (⌒)(⌒)  /.:::::::::(,,゚Д゚)    | (ノ  |)     | (ノ  |)  ⊂三つ: つ ババンバ
ι|;;;;;;;つ ;;;/つ   ( ・Å・)  i::::::(ノDole|)   |  馬 |      |・・ .鹿 |      ||||||||   バン
  ヽ..;;;;;;;;/  γ⌒ ( ゚Д゚))  ゙、:::::::::::::ノ    人.._,,,,ノ     ι・,,__,ノ     |  |     バン
    U"U  乂_) UU      U"U       U"U       U"U      U"U
515名無しさん:02/12/22 20:31
春樹って角川?
516名無しさん:02/12/22 20:52
彼が突然いなくなった。手の届かないところへ行ってしまった。
突然、というより本当は、兆候はそのずっと前からあって、
でも私は馬鹿みたいに無邪気に、気づかない振りをしていたのかもしれないけど。
妙に感受性が強いところ、笑えるツボ、好きなCD…あまりにも似すぎていて、
どこか自分の片割れのようにさえ思えていたから、離れる日がくるなんて考えたこともなかった。
彼が離れていってしまってから…私はまるで水槽の中にいるような気分で毎日を過ごす。
綺麗な音楽を聞いても、鮮やかな景色を見ても、何か壁を隔てているように、まるで実感がわかない。
そして、息苦しい。伝えたいことが伝えられない。どうしても。
モウイチド、アイタイ。ハナシガシタイ。
私の思考はこの言葉に支配され、でも思いが叶うこともなく、日々は過ぎていってしまう。

春樹でもなんでもない、戯言でした…。
517名無しさん:02/12/22 22:10
あの夜を封印したい。

二度と僕をまどわせないように・・

ぼんやりと考えながら、
僕は仲間の笑う声のする部屋へ入って行った。 


この話に続きは、ない。
518名無しさん:02/12/23 13:43
>>517
浸るタイプは勘弁…
仲間と一緒にミスチルのOVERでも合唱していてくれ
519名無しさん:03/01/01 19:16
泣き上戸勘弁だな〜。(w
520名無しさん:03/01/02 23:40
「彼女が出来たんだ」と、彼は簡単な、本当に簡単なメールをくれた。
それは本心なのだろうか、つい先日二人で会って一緒にいたのに、と
訝しい気持ちになった。
しかし、これはまぎれもない事実だ。
胸の締め付けられる思いで必死になって返事を送った。
「じゃあもう私たち終わりだね」と。これが精一杯だった。
メールを送ったあと、泣いた。何に対してあんなに泣けたのだろう。
もう、二度と戻らない日々に対してか、
それとも彼を永遠に失ってしまった自分が惨めでなのか。

521520:03/01/02 23:42
自分ではがんばったのに、全然春樹風じゃない。
難しいな。
522名無しさん:03/01/07 02:50
あげ
523名無しさん:03/01/08 02:19
age
524名無しさん:03/01/08 03:09
「大盛りねぎだくギョク、有名よね」
208が言った。
525名無しさん:03/01/08 07:55
僕は何かに追われいた。
彼は隣で笑いかけてくれているのに、
彼のことがとてもいとおしいのに、
何かが、どんどん自分を窮地へと追いやった。
彼と一緒にいたいのに、いるのが辛かった。
何日目かの夜、彼はやさしく、手をとり、それから
”友達にもどろう”と提案した。
僕は現実と、夢との境がわからなくなった。
握っている彼の手は暖かい。
部屋の中は、いつもと変わらず薄暗い明かりと、
ステレオからは僕らがよく一緒に聞いた曲が流れている。
何もいつもと変わらないのに、彼の目の奥は、
静けさを打ち放っていた。
きっと、僕は疲れているのだろう。
きっとこれは夢なんだ。
そして朝が来た。浅い眠りのまま、それが、夢ではなく
現実ということがやっと分かった。
それから、彼に”こんなに早く終わりがくるとは思っても見なかった”
と言った。そして、彼は僕にこう言葉を返した。
”終わりじゃなく、友達としての始まりだよ”と。
あれから、月日は流れ、僕らは彼が言ったとおり、
友達として、顔を合わせば話しをする。
でも実際に僕はまだ彼のことを愛している。
それから、僕を追っていた”何”かはいつのまにか消えていた。
僕は今になって分かったことが二つある。
友達としての始まりではなく、過去の延長に自分がいること。
それから、僕を追っていた”何か”は、
それに追われていた僕の時間を、彼といた時間を早めた、ということだ。


526名無しさん:03/01/08 07:58
525確かに難しい上に切れた。
527スレ・板違い:03/01/10 05:12
僕が「別れてくれ」と言った時、彼女は何故、と聞いた。
「君の意見は聞かない、何と言おうが別れるんだ。」僕はそう言った。
そして彼女が何か言いかける度に「聞かない。話す余地はない。」と遮り続けた。
事あるごとにぶつかり、いさかいが絶えなかった二人の関係を考えると
彼女の言葉を聞くわけにはいかなかった。

「・・・そう。わかったわ。」そう彼女が小さくつぶやいたのは
そんなやりとりをしばらく繰り返した後で、その頃には
僕の心は圧縮されたタオルの様にすっかり硬く詰まっていた。
彼女の言葉に揺さぶられないためにはそうするほかないと思ったからだ。

僕は彼女に「愛してる」と言うことができなかった。
彼女を愛しているかどうかも、僕にはわからなかった。
愛しているといえば愛しているし、愛していないと言う事もできた。
確かなことは、僕はただ一生懸命であるということだけだった。
そう彼女に言ったことはないが、僕の思いを感じとっていたのだろう、
彼女はよく僕の気持ちがわからないと訴えていた。
いい合いが激しくなるとあなたは愛情を持ってないのよ、とも言っていた。
だが、あの時彼女は反対のことを言った。
528スレ・板違い:03/01/10 05:14
>>527

「あなたはとても私を愛してくれていたわ。あなたがくれる愛を
 私が感じ取れなかっただけ。あなたのせいじゃない。」

去り際に彼女が言ったあの言葉をふとした瞬間に思い出す。
彼女は結局最後まで僕を信じたのだろうかと考える。
そしていつも「僕が彼女をペテンにかけたのだ」という結論に達する。

そしていつも自分で自分が許せなくなる。

村上春樹は「大好き」にはなれないし、なるべく身近におきたくない。
パスタを上手にゆでたり、コーヒーカップ片手にテレビのスイッチをつけたり、
「やれやれ」と言ったりしたくない。シャワーなんてもってのほかだ。
そうすることで自分を甘やかしているように思えるからだ。
朝食は納豆を混ぜなけばならないし、コーヒーは必ず「コーヒー牛乳」で
かつ両手で持たなければならない。冬には風呂にバスクリンを入れ、
中に入るときに「あーっ」とか「ふーっ」とか言うべきなのだ。
本当はそんなことに何の意味もないが、そうしていると時々やりきれなくなる。
だからここに書き込んでるんだろうな。
529山崎渉:03/01/10 09:25
(^^)
530集えメーラー!:03/01/11 14:16
531山崎渉:03/01/17 12:12
(^^;
532名無しさん:03/01/18 02:50
なんか>>134がグッときた。そういうの好き。
533名無しさん:03/01/19 22:29


カフカを…







フカフカのベッドで読みたい




( ´,_ゝ`) プッ

534名無しさん:03/01/20 16:31
 僕はこの1年ほど殆ど人と接することなくすごしてきた。突然の女房の死から立ち直るために僕にはそ
れだけの期間が必要だったということだ。キッチンに積み上げられた48ケースの缶ビールがその長さを
物語っていた。

 今日久しぶりに夢を見た。ネットの掲示板に、彼女との死別を自分の自分の失恋話として村上春樹風に
書き込んでいる自分の夢を。もちろんそれは夢であって現実ではない。しかし、一体誰に僕の現実と僕の
夢の境を明確にすることが出来るというのだろうか?それはおそらく不可能に違いない。

 そんなことを考えながら、僕はほぼ1年ぶりにやってきたかつての行きつけのバーでビールを飲んでいた。
みせは相変わらず込んでいて騒がしい。しかしこうしていても、未だに耳の中には彼女の声が残っている
し手のひらには彼女の感触が残っている。もちろんそれらも夢みたいなものだ。もう1年も彼女の声も聞い
ていないし肌にも触れていない。しかしこの耳や手に残る感触は、僕にとっては今耳に入ってくる、或いは
手に触れるあらゆる現実よりもリアルで生き生きとした現実だった。

 やれやれ、僕は1年たっても彼女のことは忘れられないらしい。しかし、この思いを心の中に秘めながらも
現実を生きていくことはそろそろ出来るようになりそうだ。実際にこうしてバーに来てビールを飲んでいるし、
つまみだって注文している。その味だって、随分とちゃんと分かるようになってきた。

 僕が支払いを済ませて街に出ると、また雪が降っていた。今年の東京の冬は例年になく雪が降る。その
雪の中を僕は傘も差さずに歩いた。

「恭子、今年の冬はとても寒いよ」

そう口に出していってみる。冷たく冷える耳には彼女の声を、ポケットに突っ込んだ右手には彼女の左手を
リアルに感じながら。
535名無しさん:03/01/20 16:35
あなたが嫌いになったもうつかれたなぜかというとそこに愛がなかったから
いいえずっともう昔から気づいていたでもやめれなかったさびしさは女
をだめにするねあなたもさびしい背中簡単に女の人にみせちゃだめよさよ
うならお元気で
536名無しさん:03/01/20 16:35
LOVE涙色〜
537名無しさん:03/01/20 18:23
「やれやれ」
本当にそうしか言えない私だ。
538名無しさん:03/01/21 17:37
「あなたには今までたくさんの事を注意したのに全然理解してくれてない。」
何度も言われた言葉だ。
僕は僕なりにその言葉を鈍重な牛の様に何回も反芻して消化してみようと試みて来たのだが
全くの無意味であったようだ。
彼女は子供をおいて出て行こうとしている。「もう私の事は忘れて」
僕は牛ではなく二十日鼠だったようだ。
どこに行き着ける訳でもないのに一生懸命回し車の中で走っているだけだったのだ。

なんでこんな事になったのだろう?
一ガロンほどのため息をついてみた。ついても何も変わらないのだけど。




ってこれ実話というか現在進行形の話です。
あんまり春樹っぽく無いけど。
539名無しさん:03/01/23 02:03
age
540名無しさん:03/01/27 02:00
age
541名無しさん:03/01/28 06:34
やれやれ
どうしたもんだか。。
542( ゚Д゚) ニャーゴ ◆nyaar5.lbA :03/01/29 00:39
( ゚Д゚)ニャんともはや
と、カラスと呼ばれる少年はいう

なんだか( ´Д`)ニャ〜
と、猫と呼ばれる少年は返す
543名無しさん:03/01/30 03:31
age
544名無しさん:03/02/02 11:35
age
545名無しさん:03/02/03 23:00
「やれやれ、マルチの中の人も大変だな」と僕は言った。
すると誰かが次にこういうだろう。
「マジレスカコワルイ」と・・・
僕は頷いた。理由は分からなかったが、
それは僕にはごく当たり前のことのように感じられた。
546名無しさん:03/02/09 02:25
あげ
547名無しさん:03/02/14 22:31
今日はバレンタインデイか・・・やれやれ。。
548( ゚Д゚) ニャーゴ ◆nyaar5.lbA :03/02/26 03:40
カフカはフカフカのベッドの上に寝転んだ

それは1時間のようにも感じられ1日のようにも感じられた
549名無しさん:03/02/27 02:14
キモイスレ
550名無しさん:03/03/01 01:21
彼の写真は冷蔵庫のドアにセロファン・テープで貼り付いていた。
彼は実体ではなく記号としてそこに存在していた。
私は毎朝冷蔵庫のドアを開けて卵を取り出し、オムレツを作った。
彼を失っても生活は続いていくのだ。好むにせよ好まざるにせよ。
551名無しさん:03/03/01 01:47
僕は電話を掛けてみた。
が、むなしくコールが鳴り響いているのがわかった。
彼女は掛けなおす事もしなかった。

OK認めよう、君にとって僕は何てこともない存在だったってことを。
552名無しさん:03/03/01 17:04
失恋の思い出はよく冷えたビールに似ている。
ほろ苦くほんのり甘く、そしてやさしい。
それに浸りすぎると翌朝ひどく憂鬱になるところまでそっくりだ。
553名無しさん:03/03/07 17:17

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554名無しさん:03/03/08 23:19
失恋だけが春樹ではない訳で。
でもここは失恋板。

今の僕に何が書けるというのだろう?
もう過ぎてしまった事じゃないか。
僕は忘れなければならない。鳴らない電話に、無意識に
視線を送ってしまう癖をそろそろ直さなければ、と思う。
無意識、と言うものほど厄介なものはない。
僕は今、いったい何を求めていると言うのだろうか。
555名無しさん:03/03/17 01:20
なんということだ。
僕の好むこのスレがこんなにさがってしまっているではないか。
やれやれ、あげておくか。
556名無しさん:03/03/19 04:12
「あなたは私の事が好きなの。ただそれに気付いてないだけなの。」
いつだか彼女はうつむきながら言った。
苦渋に満ちた表情だった。
僕は何と答えるべきなのか、とうとう見つけられなかった。
別れが訪れるほんの少し前の、最高の愛情表現だった。
557名無しさん:03/03/23 16:42
彼の頭の中には私ではなくあしか達しかいないのだとわかっている。
日曜日の昼間、彼の大嫌いだったキースジャレットを聞こうとMDをコンポにいれると
ディスクエラーで吐き出された。やれやれ。ひどく疲れる。
558名無しさん:03/03/27 23:15
もう終わったんだ、と誰かがいう。
もう終わったことなんだよ。君がそれを認めていないだけなんだ。

OK、まったくもってそのとおりだ。100パーセント正しい。
559名無しさん:03/03/29 13:54
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560名無しさん:03/04/11 00:31
僕らはいろいろなものを失いながら生きている。
561名無しさん:03/04/13 01:48
それまで何も聞こえてこなかった世界にFMの帰国子女のような女の声が響いた
「日本への来日が予定されています、オアシスのワンダーウォールでした。」
思えば私は彼の好きだといっていたオアシスのその歌を一度も聴いたことが無いと気づいた。
これからもその歌を聴くことは無いのだろう。
また、聞こえてきてもそれだと気づくことは無いのだろう。
私は私の好む物を食べる事しかないだろう。
そう思い目玉焼きにソースをかける


...春樹、大好きですが書けないものですな...久々に読もう
562山崎渉:03/04/17 15:29
(^^)
563名無しさん:03/04/24 23:02
保全。
564名無しさん:03/04/29 22:47
僕は全てにおいて経験不足だった。彼女は全てにおいて僕よりも優れていた――あくまで僕よりもだが――。
僕は彼女に自分の本性を話すことはなかった。彼女のほうもあまり話さなかったが、僕よりはいくらか話していた。
過去の経験、現在の気持ち、将来の夢、ありふれたものだったが、それでも僕よりは立派だった。そういうところで僕は彼女を尊敬していたが、
僕は認めなかった。ダンボール製のプライドが邪魔をした。そしてそれを認めることで僕はますます行き場をなくすから。

やれやれ、文章を書くことは彼女より優れていると思っていたが――あくまで彼女よりはだが――、僕はもう限界みたいだった。
565名無しさん:03/04/29 23:36
あははははは。おまえら大好き。
566名無しさん:03/05/02 01:24
君はなにも間違っていない。
ただ、僕は僕自身の事で酷く混乱しているんだ。

彼はそう告げると黙ってLPのB面に針を落とした。
私達は静かにレコードに下りる針の動きを眺めていた。


音楽の記憶というものは不思議なものだと思う。
今、目の前の男が悲しみ、この手から離れようとしているのに
思い出すのは彼に初めて抱かれた夜の事や、幸せな顔だけだなんて。

そして残された部屋で独りで暮しても
多分又同じ記憶に抱かれて同じ事を思うだろう。



あー、難しいーーー。
でも今まさにこの状況でひとりLPを聴いていたのであった。




567名無しさん:03/05/02 22:49
村上春樹のキャッチャーインザライが発売されたので、
あげ。
568名無しさん:03/05/02 22:50
マジでやれる!!サイコーだよ☆
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569名無しさん:03/05/02 22:57
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570名無しさん:03/05/02 23:02
マジですぐやれる子と出会えるよ☆
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571名無しさん:03/05/02 23:55
互いを教えあうこと、頑なに拒んでいた。
いずれ来る結末を二人とも知っていたからだ。
卑怯なルールはいつの間に破られたのだろう。
煙草の匂い、好みの色、癖のない笑い声・・・
大して特徴もないはずなのに他人の顔をした彼が確かに存在した。
あれから1年。彼はそこにいる。
「まだ答えは出せない」と言い放ったまま。


あぁー・・・忘れたい。
572名無しさん:03/05/03 01:58
村上春樹ばんざい、
あなたのライ麦畑はすばらしい!

 あげあげ
573名無しさん:03/05/04 02:45
age
574名無しさん:03/05/04 02:53
錠剤を飲むだけの人工中絶薬「RU486」・・・10,000円
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575名無しさん:03/05/08 23:21
なにかに導かれる様にしてここに来た。そして一気に読み込んだ。それは余りにも自然だった。
砂漠に水が染み込むように。なにもかもだ。

でもこれは違うんじゃない?と自分の中で自問自答した。
あくまでも春樹じゃないものが書いているのだ。だまされてはいけない。
あえてこれは、楽しむ、ことだけににとどめておかなければならないのだ。

思い巡らせた結果が春樹を読むことだった。
ある1冊の本を手に取り、適当なページをめくる
そしてある事実に気づき、僕は驚愕する。

2ちゃんに書かれている文章と変わらないではないか!

OK、そんなこともなにごともなかったかのようにやりすごさなければならない。
こうして僕は大人になってしまった。

余りにも稚拙だ。それでも敢えて晒してしまおう…
576_:03/05/08 23:23
577名無しさん:03/05/13 14:57
 村上春樹風に失恋話をするスレ?

 やれやれ、と僕は思った。ほんとうに僕は、やれやれ、と思ったのだ。


 「なんて、答えればいいの?」と、彼女は言った。
 「そんなこと、僕に答えられるわけがないじゃないか」と、僕は返した。


 やれやれ。
578名無しさん:03/05/13 23:58
「他に好きな人が出来たの」
「どんな人?」
「…かわいげのない奴」
それ以上、僕は何も聞かなかった。聞いたところでそれが
どんな人間なのかは分からないし、分かりたくもなかった。
一つだけ分かっているのは、僕が彼女に振られたというこ
とだ。

電話を切って、僕は「とほほ」とつぶやいてみた。漫画み
たいにありきたりな終わり方には、漫画みたいな台詞が相
応しいのかもしれない。でも、言葉の軽薄さに比例して、
部屋の空気がいっそう薄くなるだけだった。もう一度「と
ほほ」とつぶやいて、僕はそれ以上考えるのをやめた。

振られるのは、僕の持っている「傾向」なんだろう。人は
そんなにすぐには変われないし、変わるのがいいことなの
かも分からない。今、一つだけ言えるのは、僕はこれから
先もこの「傾向」のせいで、自分の中の「何か」を損ない
ながら生きていくだろう、ということだ。
579名無しさん:03/05/15 18:52
期待するから失望が生じるのだ







いいかげんあきらめなさい!自分!
580名無しさん:03/05/16 22:35
「あなたの声なんか聞きたくもないの」
彼女は顔を伏せたまま言った。
僕は、何も言わずに部屋をでた。彼女が追いかけてくる気配はなかった。
分かれた恋人が追いかけてくる。それはフォルクスワーゲンにラジエーターがある世界の話だ。
「やれやれ」とつぶきながら、僕はうつむいて夜の街を歩いた。
「やれやれ」本当にそんな気分だった。
涙が出てこないのが不思議だった。本当に悲しいとき、人間は泣かないのか。それとも僕自身、とっくに彼女のことを好きじゃなくなっていたのか。

「分からないな」僕はまた呟いた。
それは、僕自身に向けた言葉なのか、それとも彼女に向けた言葉なのか。そんなことも分からなかった。
581名無しさん:03/05/17 09:03
>>580
「フォルクスワーゲンにラジエーターがある世界」かぁ、
あなたも、”マニア”ですねェ。

私は、
「馬が切符を売っている世界」にいってしまいたいきぶんです。
「ちくわとこぶまきとキャベツのおベントウ」をたべたいきぶんなのです。。
582580:03/05/17 23:37
>>581
”マニア”じゃないです”フリーク”です(w
その割にはうまく再現できないな…
583名無しさん:03/05/18 00:38
age
584名無しさん:03/05/19 16:26
春樹age
585山崎渉:03/05/22 04:34
━―━―━―━―━―━―━―━―━[JR山崎駅(^^)]━―━―━―━―━―━―━―━―━―
586名無しさん:03/05/24 01:09
ライ麦畑age
587名無しさん:03/05/27 21:28
僕はいつものように仕事に行き、そして帰ってくる毎日だった。
ちょっとした料理を作り、そしてビールを飲みながら野球観戦をし
セックスをして寝るだけたっだ。
「あなたのそんな変化の無い日常に飽きたわ」
それが彼女が僕に言った最後の一言だった。
それはたぶん正しいし(というよりも明日も世界に太陽が昇るくらい正しい)、
僕にはその言葉を否定しうるだけの確固たるものが何もなかった。

その夜、僕は彼女の為に買っておいたシャトー・ムートン・ロートシルトの
1973年物を開けた(それは彼女の生まれた年のワインであり、またこのシャトーが
ボルドーのグランクリュ1級に格上げした年の一種の記念的なワインだ)
「やれやれ」僕は一人暗い部屋で呟いた。まさかこのワインを一人で空ける日が
この世にあるとは、僕は想像だにしなかった。
「全くくだらない」
僕にはもはやこのワインは何の価値も無いものになってしまっていたのだ。
でも、きっとワインから見ると僕が無価値なんだろう。
まるで彼女その澄み切った目で僕を見るように。
その夜の僕は確かに透明人間だった。僕はどこにも存在していなかった。
588山崎渉:03/05/28 12:43
     ∧_∧
ピュ.ー (  ^^ ) <これからも僕を応援して下さいね(^^)。
  =〔~∪ ̄ ̄〕
  = ◎――◎                      山崎渉
589名無しさん:03/06/11 17:41
保守
590毒男より:03/06/19 02:04
「ワタナベ君、あなた何人くらいの女の人と寝たの?」
と直子がふと思いついたように小さな声で聞いた。
「童貞です」と僕は正直に答えた。
レイコさんが練習をやめてギターをはたと膝の上に落とした。
「あなたもう三十歳でしょ?いったいどういう生活してんのよ、それ?」

直子は何も言わずにその澄んだ目でじっと僕を見ていた。
591名無しさん:03/06/20 02:59
 彼女との結婚を考えていた頃、悪意以外の何物でもない、文字通りのアンバランスさで僕たちにはお金が無かった。
当時、僕たちのお決まりのデートと言えば、とにかく歩き回ることだった。散歩とはとても呼べなかった。
ただとにかく、日が暮れるまで歩いたのだ。お金が無くなれば、そうすることしかできないのだ。
 そして僕たちはよく、その「歩き回った」先で出会う親子連れに目を止めたものだった。
ぎこちなく歩く女の子とその母親や、父親の力強い腕に抱かれて眠る男の子を眺めては、
女の子が良いよ、だとか、最初は男が良いんだって、などと囁き交わした。
「どうして男の子が良いの?」
「僕の知り合いは皆、最初に女の子ができてるんだ」
「それで?」
「それで、皆上手く行ってない」
「何よ、それじゃあ、男の子ができて上手く行くってことにはならないじゃない」
「そうかもしれない」
「そうよ」
「でも、男の子か女の子しかないだろう」
「そうよ。でもそれ以外もあるかもしれないわ」
「そうかな」
「そうよ」

 結局、彼女は僕に婚約指輪を返した。それは僕たち二人が暮らすに充分なお金が無かったからではない。
いや、それもあるだろう。でも、そういったことは所謂、二次的な原因、というやつだ。
 僕は結婚もしなかったし、子供もできなかった。それは喪失ではない。
男の子も女の子も産まず、結婚しなかったというだけだ。
今はもう何処で生活しているとも知れないあの彼女風に言えば、
「それ以外の選択をした」だけに過ぎないのだ。
592名無しさん:03/06/21 04:29
ー彼女のこと本当に愛してるの?ー
弘子のことは好きだし愛してると思うよ。ねえ、僕は真剣に彼女のことが好きだし、
いつまでもそばにいたいと思ってるんだ。
ー彼女もそう思ってるのかな?ー
分からない・・・そう、あって欲しいとは思うけど・・・
ーでも、彼女は傷ついてるー
それは・・僕は弘子に何も与えていないのかもしれない・・
ー自分のことが一番好きなんだねー
そうなのかもしれない・・・
ー分からないな、僕の認識じゃ愛って分かち合うものだと思っているんだけどー
・・・・
ー君が傷つくのはかまわないよ。君の性格だもの。だけど彼女まで傷つけることはないだろう?ー
・・どうすればいい?
ー馬鹿なこと聞くなよ、もうわかっているんだろう?君は僕で僕は君なんだから。ー
「早く動きなよ。手遅れにならないうちにね」
頭の後ろでそう声が聞こえたかと思うと、彼はもう消えていて僕はあの仕事場のくたびれた椅子に座っていた。

僕は煙草に火をつけて、淡い煙を胸いっぱいに吸い込み、ため息と共に吐き出した
もう、分かっているか・・
僕は立ち上がり、まるで、なにかをこの手に掴みとるように大きく背伸びをした。
593名無しさん@明日があるさ:03/06/21 05:27
僕の周りにあった孤独は
直子とであったことによって、取り除かれるのだろう・・・。
とおもっていた。そう、直子と出逢った「当初」は。

けれどもしばらくして、「当初」の感情が間違っているのだ。
ということに気づかされた。
何故なら、直子と出会ってしまったことによって、
彼女が部屋から去っていった今、僕の孤独は、
直子を知る以前よりも、一層深まることになってしまったからだ。
鉛のように分厚い重厚な壁で、僕の周りをとりかこんでしまったからだ。




594名無しさん:03/06/21 21:50
朝食は卵焼きにしょうゆをかけて食べた。うまかった。
「半年前はみるだけで涙がでたんだけどな。」
僕は残念そうにつぶやいた。
やれやれ、僕はつくづくゲンキンは人間だ。半年前は早く忘れたい、と毎晩あの娘の事を思っていたというのに、忘れたとたん物足りなくなってしまうのだ。
世界を探せば半年前の僕と同じ心境の人間がたくさんいるだろう。そいつらに会って言ってやりたい。
「今の純粋な気持ちはすぐ消えてしまうよ。やり残すことのないように。」
夕飯はオムライスを食べた。うまかった。
595名無しさん:03/06/21 21:52
村上ショージ風に失恋話をするスレ
596名無しさん:03/06/24 22:24
 全く、狂っていた。
当時の僕はといえば、酒ばかり飲んで暮らしていた。僕は小学校で事務員をしていたけれど、
顔も知らない児童の書類を処理することや、廊下にこびりついた上履きの脂っこい汚れを見ることや、
数え切れない腐臭が漂う古臭いトイレを使うことに嫌気がさしていた。要するに、疲れていたのだ。
 病み付きなんてものは、本当に簡単なものだ。最初は昼食時の休憩用に持参した水筒にビールを入れていった。
勇気を振り絞ってしまえば、本当に簡単だった。僕はその日、午後から酔っ払ってしまった。でも、誰にもばれなかった。
それから、僕は出勤前に酒を飲んで、仕事中も隠れて飲んで、そうしてこうした類の人間によくあるように、やがて仕事を辞めた。
 その頃の恋人は、僕をとても気にかけてくれて、しばしば僕の家に様子を見に来てくれた。
僕らはよく同じような問答を繰り返したものだ。例えば、こんな風に。
「どうしてお酒ばかり飲むのよ」
「どうしてって」
「どうしてよ」
「とにかく、美味しくて。そう、美味しくてさ」
「どうしてお仕事にも行かないのよ」
「わからない。追い詰められてるのかな」
「何によ。ねえ、一体”何に”追い詰められているの」
「仕事かな」
「違うと思うわ」
「じゃあ、何だい」
「それを聞いてるの」

 昔を思い出せば、きっと誰もが、美しいことか恥ずかしいことしかそこに無いことに気付くだろう。実際、中でも、あの頃の僕は抜群に恥ずかしかった。
それは今振り帰っても、やはり恥ずかしいことなのだ。問答。そう、問答だ。抜群に恥ずかしいことだ。問答。
 僕はもう、彼女を追おうとは思わない。それは、僕が追い詰められていたものが何であるか、もう殆ど気付いているからだ。
悲しいけれど、それは事実なのだ。僕は彼女と居てとても楽しかったけれど、幸福では無かった。
それで充分だろう。これでもう、おしまい。文字通り、おしまいだ。
597名無しさん:03/07/08 01:35
保守。
598名無しさん:03/07/11 09:49
「うまい中華がたべたいんだ。とびきりのね」

梅雨の真っ只中、町中の猫や犬が空から落ちてきたような夜に
私たちは、今まで行ったことのない中華料理店に向かった。
 店内には最近では珍しくなくなった、甘ったるいジャズピアノの
BGMが流れていたのが残念だったけど
料理は満足のいく味付けだった。いつもは、アルコールを摂りながら食事するときは
まるでシマリスのような量しか食べない彼が今日は2.3日はなんにも食べていない小象のように
料理をたいらげていたからだ。
 ビールをお互い3杯づつ飲んだ後、彼は紹興酒のロック。わたしは小栗酒をのんで
いつもより3倍の会話を楽しんだ。
 そして、彼の家で冷えたジントニックを飲みながら、NHK−BS2の「60年ビルボードヒット特集」を観ながら
フォートップスやサイモン&ガーファンクル、ヤングラスカルズの
映像にちょっと興奮していた。
 私たちはよくある、ほんとうにどこにでもいるカップルなんだろう。
ただ、私が左手の薬指にプラチナの指輪さえしていなければ。

「この前から、つけてるよね」
「気が付いていたの?」
「あたりまえじゃないか・・・ご主人とは・・うまくいってるんだね」

 指輪についての本当の理由を思い浮かべたが
この部屋の暗闇の中で、おそらく小説家がまるめた紙くずみたいにカサコソ音をたてて、転がるくらい軽い存在になるだろう。
 ビデオを消して、ブルーのスタンドライトの灯りを残し私たちは横になった。彼は、背中を向けて-いつものことなんだけど-
5dbの住人になった。
 
 このスレ、いい!age!
599名無しさん:03/07/12 21:24
このスレって創作は駄目なの?
実際に失恋したときのことだけ?
600600:03/07/12 22:58
キタ━━━( ´∀`)・ω・) ゚Д゚)゚∀゚)・∀・) ̄ー ̄)´_ゝ`)−_)゚∋゚)´Д`)゚ー゚)━━━!!!!
601名無しさん:03/07/12 23:03
創作でもなんでも、失恋の話を書くだけさ
仕方ないじゃないか。それ以外に何をすればいい?
僕が2002年5月31日に失恋をして、その彼女が同年6月3日に晴れて式を挙げたことだけは事実なんだ
避けようが無いしひどく悲しいけれど反対に幸せになって欲しいって言う気持ちもまたあるね。相反するけど
602名無しさん:03/07/13 19:04
そうだ。非常に完全に別れている。
603名無しさん:03/07/13 20:05
いつも君が待っていたあの席。今でも、女性が一人で座っていると、
つい駆け寄ってしまう。ごめん、また待たせたねと君の向かいに座れば、
「ううん、今きたとこ」と君はいつも笑った。いつも、君が先に座って
いたあの席。今度、僕が先に座ってみよう。君が来るのを待ってみよう。
604名無しさん:03/07/13 20:11
オーケー
我々は完全に分かれている。地球周回軌道を外れた人工衛星のように、二度とお互い逢うことは無い
605山崎 渉:03/07/15 09:57

 __∧_∧_
 |(  ^^ )| <寝るぽ(^^)
 |\⌒⌒⌒\
 \ |⌒⌒⌒~|         山崎渉
   ~ ̄ ̄ ̄ ̄
606山崎 渉:03/07/15 14:37

 __∧_∧_
 |(  ^^ )| <寝るぽ(^^)
 |\⌒⌒⌒\
 \ |⌒⌒⌒~|         山崎渉
   ~ ̄ ̄ ̄ ̄
607名無しさん:03/07/19 11:33
保守
608名無しさん:03/07/19 19:16
キモい。春樹なんて今時はやんねーんだよ、ボケ!

存在論や解釈学を取り入れてもっと重くかけ!低能どもが!
609名無しさん:03/07/19 22:48
答えは一つ。キモい
オーケー。僕はホーけーだ。
610名無しさん:03/07/29 04:52
やれやれ どうやら僕はまた同じページをめくってしまったようだ。

オーライ。 あとはもう完結させるだけだ。
611名無しさん:03/07/29 14:20
良すれ
612名無しさん:03/07/29 14:39
>>611はあ〜?
613名無しさん:03/07/29 17:47
村上春樹的失恋
614名無しさん:03/07/29 18:38
世の中の多くの哀しい出来ごとのひとつに、
女性を自動車で見送った帰り道を除外するわけにはいかない。

僕は慎重にギアーを落としながら、
中古のシトロエンを青山通りにゆっくりと停車させた。
窓の外は目にはっきり見えない細かい雨が降りそそぎ、
少しずつアスファルトを黒く染めあげていた。

彼女は相変わらず肘を窓にのせる格好で、ぼんやりと向こう側を見つめていた。
そんな彼女の肘から指先は、木陰で休んでいる子ぎつねを思わせた。

やがてカーステレオからはマルコス・ヴァーリの「僕のヒーロー」が流れてきた。
ピアノの叙情的なイントロは、今日の曇った空とはまるで対照的に奏でられ
僕たちはそれを聴くとでもなく聴いていた。


結局彼女はひとことも話すことなくシトロエンから降りていった。
僕たちはもう二度と会うこともないだろう。僕たちにはそれが分かっているのだ。
青山通りがここに存在しているのと同じように、僕たちの別れもここに存在している。

雨は一晩中降り続いていた。細かい雨はいつしか強くなりはじめていた。
水滴はフロントガラスを濡らしながら、そこが軌道であるかのように流れ落ちていった。
もう七月の後半だというのに梅雨はなかなか明けてはくれない。


僕は口に出すともなく呟いてみた。

「雨は一晩中降り続くのだ。」
615名無しさん:03/07/29 20:04
山田太一風のが読みたいです。
616名無しさん:03/07/30 02:28
 彼に振られるとする・・・

 パチン・・・

 OFFだ。
617名無しさん:03/07/30 15:45
age
618名無しさん:03/07/30 18:20
かっこう
619名無しさん:03/07/30 19:10
失恋した後村上春樹を読むと最悪
620名無しさん:03/08/01 03:22
>619
そうかな?w
621山崎 渉:03/08/02 02:09
(^^)
622名無しさん:03/08/03 18:33

「夏だ。」

声に出してみるとそれは僕に赤道直下の発展途上国で
あくせくと働いているタイヤ業者を思い起こさせた。

そう。すごく、非常に、全くの夏なのだ。
日本中の虎がバターになってしまうほどの暑さだった。
突然夏になんかなってもらっても困る。
僕には何の準備もできていなかったし、
なにより僕の中古のシトロエンはエアコンの利きが悪いのだ。

僕は小町通りを散歩することにした。
玩具屋にはうきわや花火が並べられていて、
和菓子屋は相変わらず観光客で賑わっていた。
ノンスリーブの女性が恋人らしき相手になにやら耳うちし、
その恋人らしき男性は女性の腰にそっと手をまわしていた。
623名無しさん:03/08/03 18:36

そんな光景を見ていると、
僕だけが夏に馴染んでいないような気がした。
ちょうど誰かにむりやり僕だけが切り取られているようだった。
今朝アイロンをかけたばかりのシャツも、
さっき買ってきた「Ed Lincoln」のジャケットも
グリーンのスニーカーさえもが、モノクロに感じられた。

イワタコーヒー店に入り、コーヒーを飲みながら
店内から見える洋風の庭園を眺めていると、
僕は急に寂しい気持ちになった。
何故だかはわからない。でも寂しいのだ。

「馬鹿みたい。」
記憶の断片の彼女が言った。

624名無しさん:03/08/09 18:33
あげ
625名無しさん:03/08/13 16:30
彼と私は従姉妹同士だ。そんな事は大昔から決まっている。
キスをする事も、あるいはセックスをすることも許されるようで許されない事なのだ。

「お前の鼻は低い。昔っからだ。」彼は言う。
「そうだね。」私はいつものトーンで返事をする。彼は私に会う度に私の細かな欠点や短所を指摘するのだ。
彼は私を好きになった。私が彼を好きになったのと同じ具合に。

彼はきっと誰でも好きになれる体質なのだ。

「もう会わない。」彼は電話の向こうで言う。その声は普段と比べてあまりに低い声だ。
「うん、解った。」私はいつものトーンを保つよう、努力したつもりだった。

受話器を置き、私はやれやれといった風に首を2週ほど回す。
『もう会わない?』そんな事はできるはずが無いのだ。彼と私は『従姉妹』であり続けなくてはならないのだから。


626名無しさん:03/08/14 10:36
やれやれ。
627名無しさん:03/08/15 01:05
>>590
遅レスだが,ワロタ.

ノルウェイの森かと思たが,微妙に違う...
628山崎 渉:03/08/15 15:24
    (⌒V⌒)
   │ ^ ^ │<これからも僕を応援して下さいね(^^)。
  ⊂|    |つ
   (_)(_)                      山崎パン
629名無しさん:03/08/17 22:19
やれやれ(´Д`)y━・~~~
630名無しさん :03/08/24 14:39
>>590

つらい
631名無しさん:03/08/24 14:53
>>626
ジョジョ?
632名無しさん:03/08/27 22:16
彼はやって来たときと同じ自然さで私から去っていった。
彼が部屋の中にいることがあたりまえになり、
人並の幸せを夢見はじめていた頃のことだった。

たぶん、おなかを空かせた獏の一家が部屋にやって来て、
私の夢をことごとく食い尽くしてしまったのだ。

朝に作ったふたり分の白和えと三度豆のお浸し、カレイの煮付けを前に、
私は少しだけ泣いた。
633前半:03/09/06 23:40
 子どもの扱いは得意な方なんだ、僕はそう言いながら、友人の息子を抱き上げる。
一歳児の肉体。その重み。とにかく、沈み込んでくるような、ずっしりした命なのだ。
三十を越えた僕の命なんかは、もう既にスカスカに乾き切ってしまいつつあるというのに。
 
 離婚歴のある女性と半同棲生活をすることそれ自体には、それほど抵抗は無かった。だがそれにしても、子ども。これが厄介だった。
そうだ、彼女には五歳になる男の子がいた。少し閉じこもりがちで、無口だった。 だが、口を聞けば聞いたで理屈っぽく、また、笑うととても魅力的になった。
もう3年も前の話だ。 僕は当時、子どもが苦手だった。
いやむしろ、子どもというよりは、僕のよく知っている彼女と、 僕の全く知らない男性との間にできた、中間物のようなこの少年に、一種の気後れと戸惑い、 それから、ひどいコンプレックスを抱えていた。
だが、それにも関わらず、彼は僕とよく話してくれた。
彼は大人だった。何故急に、自分の知らない男性が頻繁に家にやって来、そして泊まりもするのか、その理由を、彼なりに充分に解釈しているようだった。
僕と彼女の関係については、少なくとも僕には何も聞いてこなかった。
彼とは本当によく話をしたのだ。僕はもっぱら、象の話をした。笑ってしまうかもしれないが、象。
象の話題で、僕と彼はどんどん親密になっていったのだ。
「おじさん、ケンカしたら、どうやって仲直りすれば良い?」
彼は結局最後まで、僕を“おじさん”と呼び続けた。
「そうだな。放っておけば良いさ」
「馬鹿だなあ。だって、放っておけばおく程、仲は悪くなるんだよ。当たり前だよ、そんなの」
「縁って知ってるかい?」
「知らない」
「本当に一生仲良くできる人は、強い糸に結ばれているんだ。そして今日も、象が出てくるんだけど」
「また象?」
「そうだ。また、象なんだ。とにかく、その糸は本当に頑丈なんだ。細いけれど、絶対に切れないんだ。象が乗っても切れない」
「絶対?」
「絶対に切れない。君と、そのケンカしたお友達が本当の友達ならばだ」
「それが縁なの?」
「そうだよ。象にも負けない糸だ。すぐに切れるような糸を持ってるお友達とならば、仲良くしてても仕方ないだろう?どうだ、素敵な話だと思わない?」
「ううん、全然。でも、エンって面白いんだね」

 甲高い泣き声が聞こえ始めた。何が子どもは得意だよ、愚痴をこぼしながら、友人が僕から赤ん坊を取り上げる。
あの子もこうして抱えてやれば良かった。僕はそんなことを考えていた。僕と彼女の糸は、いや、それ以上に、 僕とあの少年の糸は、象の重みで簡単に切れてしまったのだ。
だが、僕にどうすることができるだろう。 そもそも、象は重いものなのだ。糸は重みに耐え切れなかった。それだけのことだ。もう3年も前のことだ。
「お願いしても良いかな?」
僕は友人に話しかけた。
「何だ?」
「その子が五歳になったら、もう一度抱かせてくれないか」
「別に構わないけれど。でも、どうして五歳なんだ?」
僕は何も言わなかった。
「何故?」
635名無しさん:03/09/22 03:04
hosyu
636名無しさん:03/09/22 12:43
>>635
やれやれ、hoshuってのはこうやるものだ。
637名無しさん:03/09/22 13:46
>>636
「厨。」僕は声に出してつぶやいてみた。

mail欄に「sage」と入れようが入れまいが保守されるということはどうでも良くなっていた。
638名無しさん:03/09/22 17:33
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639名無しさん:03/09/25 02:33
あげときます
640名無しさん:03/09/25 02:41
こんなスレあったんだ。
ハルキマンセーな自分にとってはイイ。
けどリーマソ板やジャズ板でもこの手のタイトルみたぜ、昔。W
641名無しさん:03/09/29 07:50
「ワタナベ君、あなた何人くらいの女の人と寝たの?」
と直子がふと思いついたように小さな声で聞いた。
「童貞です」と僕は正直に答えた。
レイコさんが練習をやめてギターをはたと膝の上に落とした。
「あなたもう三十歳でしょ?いったいどういう生活してんのよ、それ?」

直子は何も言わずにその澄んだ目でじっと僕を見ていた。

コピペスマソ
642名無しさん:03/09/30 10:54
しばしの沈黙。
静寂ともいえる、とても静かな時間だった。
それは何時間も続いているかのようにさえ感じた。
そして僕はあろうことに勃起していた。

次の人続き書いて
643名無しさん:03/09/30 18:16
「そう私は勃起している」
声に出していって見たが、誰も返事をしなかった
644夢枕獏風失恋:03/09/30 21:38
「好きな人ができたの。じゃ。」
女が去った。
靴音が遠ざかる。
静寂。
ぐらり、と世界が揺れた。
視界が赤く染まり、臓腑の奥、脊椎の奥がぎちぎちと鳴った。
歪む--
撓んでしまう。
胃の中に、途轍もない重量感を持った塊が生じつつあった。
「それ」は肺を抉り、心臓を食らいつくし、人智を超えたスピードで
脳の中を旋回するのだった。
ぐふ
ごあおう
ごあおうう
ぎひいいいいい
いつしか、咆吼していた。
叫んだ。
叫んだ。
なおも叫んだ。
顔中、塩辛い液体で、いちめんが濡れていた。
涙---?
どこかで、人間としての意識が、遠くでいぶかしんでいた。

645名無しさん:03/10/01 00:27
>>643の続き!
そう。好むと好まざるに関わらず僕は童貞なのだ。
我にかえり、この場をどうとりつくろったらいいのか
大急ぎで真剣に考えた。しかし、たとえどんなに真剣に考えたところで
僕が30歳で童貞であるという事実は変わらないのだ。
そう考えると僕のペニスはさらに硬くなったような気がした。
646名無しさん:03/10/01 09:38
「手伝おうか?」とレイコさんの声が聞こえた。
手伝う?何を?
「それ、いくらなんでもそのままじゃセツナイじゃない?」
セツナイ?どう答えていいのか和からない・
僕のペニスはますます固くなったような気がした。
そんな僕の様子を見て直子がくすくす笑った。

「ねえワタナベ君。ここの暮らしでは一切隠し事はないのよ。
私だってレイコさんの目の前でヴァイブ使ってオナヌーだってするし
時々レイコさんのも舐めたりしてるのよ。
それはけっして恥ずかしいことではないのよ。」
647名無しさん:03/10/01 09:49
多分顔が真っ赤になっていたんだと思う。
直子は笑いをこらえ切れないといったふうに
くすくす笑い続けていた。
「じゃ、ズボン脱いで。てっとり早く済ませちゃいましょう」
レイコさんはおもむろにギターを置くと僕の前にひざまづいた。

僕は本当にどうしていいのか分からずにいた。
さっきからこの年になるまで童貞だから性に関する知識なんて
これっぽっちも持ちえていないのだ。
それが恥ずかしいことなのかどうかは分からない。
僕だってずっと童貞でいたかったわけじゃない。

みかねたレイコさんがベルトをはずしにかかり
ズボンと下着を一揆にずり下げた。
僕のペニスはもうビソビソだ。恥ずかしいと思った瞬間
生暖かい感触に包まれた。レイコさんが僕のペニスをくわえてる・・・・!
648訂正:03/10/01 09:52
僕は本当にどうしていいのか分からずにいた。
さっきからレイコさんが言っている言葉の意味も
さっぱり理解できない。

この年になるまで童貞だから性に関する知識なんて
これっぽっちも持ちえていないのだ。
それが恥ずかしいことなのかどうかは分からない。
僕だってずっと童貞でいたかったわけじゃない。

みかねたレイコさんがベルトをはずしにかかり
ズボンと下着を一揆にずり下げた。
僕のペニスはもうビソビソだ。恥ずかしいと思った瞬間
生暖かい感触に包まれた。レイコさんが僕のペニスをくわえてる・・・・!


649ななし:03/10/01 17:43
金木犀の香りが木枯らしと共に街中を優しく包み、
もう秋がそこまでやって来ていることを肌で感じている。
「これで6度目の秋ね・・・」帰宅途中の暗闇の中
ぽつりと自分から零れ落ちる言葉が、秋風に混じり
彼と過ごした優しい秋を思い出させるのと同時に
これはもう幻想なのだと気づき深い溜息に変えた。

彼がニューヨークに旅立ち2ヶ月の月日が過ぎようとしている。

あの日、最後に食事をした32階にあるレストランでは
ミッドセンチュリーのモダンな家具と一緒に上質の夜景と
心地よいジャズが全ての客にプレゼントされていた。
語り合う男女それぞれにスポットライトが当たり、
私達もまた、98年のロバートモンダビを口に含みながら
観客のいない二人きりのドラマを繰り広げていた。




650ななし:03/10/01 17:44
彼は、ゆっくりと、しかし確実に私に届くよう、声を漏らした。

「僕はもう君を信じる事ができないんだよ。ゼロに戻したい。」

曲はボサノバに切り替わり、
せわしなく、だが上品に振舞うウェイター達が目に入る。

ワイングラスには夜景が入りこみ、最後のワインを飲み干してしまえと
催促しているようだった。

私にも言葉の意味くらいは理解できた。
ついに、いや、とうとう、彼は、6年間続けてきた関係に
終止符を打ちたいと、今、私に伝えているのだ。
651名無しさん:03/10/11 00:49
「私が間違っていたと思う?」彼女がそう尋ねた。
 僕はビールを一口飲み、ゆっくりと首を振った。「はっきり言ってね、みんな間違ってるのさ。」
「何故そう思うの?」
「うーん。」僕はそう唸って考えるふりをした。答えなど無かった。
「あの頃、私の周りではいろいろなことがあったわ。仕事も変えたし、一人暮らしも始めた。父のこともあったし・・・」
「わかるよ。」
「怒ってる?」
「いや、僕のことなら気にしなくていい。それでも気になるのならビールを一杯おごってくれればいい。」
 彼女は軽く笑って、しばらく憂鬱そうに目の縁を押さえた。僕はあてもなくポケットを探った。3年ぶりに無性に煙草が吸いたかった。
「あなたって全然変わらないのね。」
「そう?」
「そう。」
652【一】:03/10/14 14:39
山手線の、ある車両に乗り込んだ時の話だ。いや、より正確には、その車両に備え付けてある一つの吊革に手をかけようとした時の話であり、
更に結論を言ってしまえば、何気なく揺れる吊革と、また、その吊革を絶えず握り続けた人々が残した手垢に纏わる僕の一番愛した女性の記憶、その残り滓についての話だ。
 例えれば、残飯について話をするのと似ている。僕が放棄したもの。抱え込めなかったもの。許容量を超えてしまったもの。
同時に、彼女が放棄したもの。抱え込めなかったもの。許容量を、遥か、遥かに、越えてしまったもの。

 真っ白な円盤状の吊革の、その下のほうに微かに残る黒い染みに僕は気付き、握ろうとした手を本能的に引っ込めた。
コンクリート路の艶っぽい脂の中に溶け込んだガムのように、惨めな、真黒い染みがあった。
固体と液体の中間のような、惨めな、真黒い染みだ。泥のような染みだ。
恐らくは、この吊革が一日中吸い込んできた乗客たちの手垢の集合体なのだろう。
 僕は急に泣きそうになった。



「どうしたの?そんなにどろどろになって?ほら、服脱いで。これで体、拭いて」
慌てて持ってきた柔らかな純白のタオルを僕の頭に被せながら、ズボンを脱がせ、シャツを脱がせ、彼女は眉を下げ気味に、心配そうに僕を見つめる。
「何でもないよ」
僕は馬鹿らしくなっていた。見るからに、何でもなくは無かったからだ。当時、10歳の僕は土砂降りの中をひたすらに逃げ帰ってきたところだった。
653【二】:03/10/14 14:41
僕はその頃、本当によく苛められていた。殴られることはそんなに無かった。ただ、曖昧で残酷な、よくありふれた言い回しを使ってしまえば、言葉の暴力とでも言うべきものに悩まされていた。今思い出しても、本当に酷いものだった。
あの日も、いつもと同じように僕は追い詰められそうになっていた。掃除が終わり、学校が授業時間内とは違った異質で、無秩序な空気を身につけ始め、教師は公務に精を出し生徒との交流を簡単に捨て去り、言葉にできない喧騒、
さようなら、を中心に回転を開始する妙な喧騒が校舎中を走り回る時間帯に、僕は追い詰められていた。
他人の目の届かない地味な教室―大体は、理科実験室だったが―に連れて行かれ、あらゆる暴言を浴びせられ、何かしら奪い取られたものだ。
目に見えるものを取られることもあったし、今、成人をとうに越えてでさえ容易に言葉にできないような、何か重要な、目に見えない要素をも取られてしまったような気がする。しかしそれはもう、どうしようもない類の問題だ。
「何でもないよ」
「うそ」
「ほんとだよ」
「うそ」
優しい目。僕より10も年上だった彼女。僕より13歳年上だった兄に嫁ぎ、僕の家にやって来、しかしすぐにまた何処かへ去ってしまった彼女。
「うそじゃないよ」
僕は嘘吐きだった。実験室へ連れて行かれる途中、四方を取り囲んでいた五人の敵を突き飛ばして、背中に恐ろしい呪いの言葉を浴びながら、
水溜りを蹴り、ぬかるみに足を突っ込み、時には派手に転びながら、僕は必死に家まで駆けたのだった。
或いは、僕はあの時、もう既に、我知らず泣いてしまっていたのかもしれない。なぜなら、彼女の目。あの、僕を見る目は。
「うそ」
優しい目。僕はもう、限界だった。
「雨で転んだんだ。本当に、それだけだよ。本当だよ」
彼女は何も言わなくなった。それから、替えのパンツとズボン、シャツを持ってきてくれて、もう一度新しいタオル、今度は黄色い小さなタオルで僕の体を念入りに拭きながら、下に目を俯けて、ただ黙って体を拭いてくれていた。
「はい。綺麗になったよ」
僕は何も言わなかった。
「本当にどろどろになって。今度泥だらけになったら、お姉さん、許さないよ。犯人捕まえて仕返ししてやるの」
 
 本当にどろどろになって。犯人。お姉さん。
 僕は両手をだらりと下げたまま、揺れる吊革の汚れと、その先を高速で駆け巡る風景の群れに目を走らせている。
 僕より10も年上だった彼女。僕より13も年上だった兄。
 今、僕は20歳を越え、同時に、彼女は30歳を越えている。
 今、僕は実家を飛び出して東京で一人、暮らし、同時に、彼女は、いや、僕は彼女の住む場所を知らない。忘れてしまったのだ。
彼女は存在してはいないが、確かに存在している。そのくらいの不思議さが彼女には丁度良いのだと、僕は考えている。そのくらいの不思議さが無ければ、そうだ、そのくらいの不思議さが無ければ。
 吊革にやはり泥を残したまま、山手線は新宿のホームに滑り込もうとしている。車内放送。まもなく、新宿、新宿です。緩まるスピード。風景。
高層ビルが増え始めている。まもなく、新宿です、お乗換えのお客様は・・・
 ほんの少しだけ僕の姉になってくれた優しき人、姉よ、吊革は、世界はやはり今でも泥で塗り固められているけれど、
とても悲しい泥が僕やあなたの周りにはいつも溢れかえっているけれど、僕はそれでも遠く、遠くあなたを愛している。

655名無しさん:03/10/16 00:30
>>652-654
重いけどいい話だと思う。彼女にとっての泥が何かあるのならその辺も書いて欲しい。
続き求む。
656名無しさん:03/10/23 09:16



   /⌒ヽ
  / ´_ゝ`)    /⌒ヽ  ちょっと通りますね、ここ通らないと行けないので・・・
  |    /    / ´_ゝ`)
  | /| |     |    /      /⌒ヽ  チャプッ
  // | |      | /| |      / ´_ゝ`)
 U  .U      // | |      |    /       /⌒ヽ  プクプクッ      プクプクプク・・・・
          U  .U     二| /| |二-_  -_/_´_ゝ`)二-    - /⌒ヽ= _        _   ッ・・・・・
                  ̄- ̄- ̄    ─  ─  ̄-      ̄- ̄  ̄-
657名無しさん:03/10/23 16:35
こんな掲示板があったよ〜♪
結構楽しめたんでよかったらのぞいてみて〜♪
http://jbbs.shitaraba.com/game/6771/kakuhenn.html
658名無しさん:03/10/28 00:43
やれやれ。
今日もまた同じ事の繰り返しだ保守age
659名無しさん:03/10/28 00:46
やれやれ、ageたと思ったらsageていた。
660名無しさん:03/10/30 13:53
確実に彼女の足音が遠くなっていく。
遠くなっていくのに確実とは・・・、ふぅ。
661名無しさん:03/11/13 23:14
age
662名無しさん:03/11/15 01:13
保守
663名無しさん:03/11/17 21:10
「渡部くん、知ってる?
アカシアの雨がやむとき」 
真央は僕の顔を覗き込むように、体をかがめながら
ゆっくりと聞いた。
「古い歌だよね?」
僕はぼそっと答えながら、真央が何を考えているのか
大体の見当はついた。いやな予感がした。
「2番の歌詞に、想い出のペンダント、
白い真珠の、という箇所があって、
だからクリスマスのプレゼントには
真珠が欲しいな」
何だ、珍しくおねだりか、と僕は少し拍子抜けしながら頷いた。
「いいよ。真珠ぐらい。いくら貧乏学生の僕でも買えるよ」

664名無しさん:03/11/17 21:17
彼女は僕を置いて一人で行ってしまった。
僕なりにうまくやっているつもりだったけど、彼女はそうは思わなかったらしい。
まあ完全なものなんてこの世の中のどこを探したってないんだ。
そんなことはアシカだって知っている。
そう、そんなことはアシカですら知っているんだ。
でも確かなことがある、彼女が去ったことによって僕は損なわれたってことだ。
やれやれ。
665名無しさん:03/11/17 21:26
あの日、彼女は駅のホームで僕を見送った。
「もう遅いし、終電ももうすぐだから。
僕、子供じゃないし」
そんな事を言いながら、僕も満更ではない様子だったに違いない。
電車のベルが鳴り始めた瞬間、彼女は僕に抱きついて
軽く口づけを交わしながら言った。
「よいお年を!」
満面の笑みを残して、電車はホームを去った。
666名無しさん:03/11/17 21:27
666
667荒らしA:03/11/17 21:30
>>664
ま、しょせんそんなもんだメス豚なんてよ!
オマエも吸われるだけ吸われて最後はゴミになったのさぁ!
メス豚なんてそんなもんだよ!!
668名無しさん:03/11/17 21:32
,-----------------------------------------------、
|   荒らしは放置で                     |
|                おながいします        |
`ー---y------y-----y------y------y------y-------´
   ,、_,、   ,、_,、   ,、_,、   ,、_,、   ,、_,、   ,、_,、
  (・v・○ (・v・○ (・v・○ (・v・○ (・v・○ (・v・○
   ○ r'   ○ r'  ○ r'  ○ r'  ○ r'  ○ r'
   vー'    vー'   vー'   vー'    vー'    vー'
669名無しさん:03/11/17 21:55
「総武線には下総中山って駅があるんだ。
ここに来る途中、中山って駅があって、何か関係があるのかと
思いましたよ」
「下総中山の話は聞いています。友達が千葉の人で、
その駅が原因でジョー山中を、どうしても
ジョー中山と言ってしまうって」
「?ジョー山中って、あの人間の証明の?」
「ええ、でも元々は、あしたのジョーのファンで
それでジョーって芸名を付けたらしいですよ」
670名無しさん:03/11/17 22:10
その日から彼女とは連絡が取れなくなった。
電話をしてもメールをしても、彼女から返事は来なかった。

僕はひどく混乱していた。



671名無しさん:03/11/17 22:11
や れ や れ
672名無しさん:03/11/17 22:17
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673名無しさん:03/11/17 22:18

Yは部屋お出て行った。
僕はまた一人で過ごす生活に戻ってしまった。


674名無しさん:03/11/17 22:20
Yはてふてふを飼っていた。
そして、そのてふてふに、てふてふという名前を付けて
可愛がっていた。
僕は今日から、そのてふてふの面倒を見なければならない。
675名無しさん:03/11/17 22:33

一人の生活に慣れた筈なのに、僕はその「てふてふ」を見る度に
Yの笑い顔と声を思い出してしまう。
そんな時、鳴る事を忘れてしまったかの様な僕の携帯が鳴った・・・

676名無しさん:03/11/19 12:47

のっぺりとしたあやちゃんにふられた。
677名無しさん:03/11/22 03:55
やべ(笑)ワカル
のっぺり・・・よくわかんないトコで使うよね春樹
678名無しさん:03/11/23 16:23
村上春樹って誰だろう・・・
679名無しさん:03/11/23 17:56
680名無しさん:03/11/23 19:18
(´・∀・`)ヘー
681名無しさん:03/11/27 22:37
ふられてしょぼぼん(*ω*)
682名無しさん:03/12/01 23:50
ねえ、わかる?
私、本当に淋しいのよ。
683名無しさん:03/12/02 23:39
>>682
わかると思う
684名無しさん:03/12/02 23:50
もう蝶々やめて
バッタにしないか?
685名無しさん:03/12/03 15:51
うん
686名無しさん:03/12/03 16:21
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687名無しさん:03/12/03 22:26
ねぇ、あなたは英語の仮定法も人に説明できるくらい頭がいいのに
どうして私の気持ちがわからないの?
簡単なことなのに。
688名無しさん:03/12/07 07:17
振られて六ヶ月たった。
今朝もあの人の夢を見た。このところ毎日だ。
雨が降り終わったあとの沼のような茶色がその人のイメージの色
よれよれのストライプのクールネック、紺の抜けたジーンズ。
洗濯物の色、形まですべて覚えていた。
洗濯物がかかっている物干し台の夢を見て僕は困惑した。
とてつもなく、困惑した。
「洗濯物の色、形まですべて覚えていた。」
人の記憶ほど確証もなく曖昧な物なんてないはずなのに。
689名無しさん:03/12/07 07:30
曖昧も確証もない記憶に僕はいまだ縛られている。
最後に忘れ物という口実で会いに行ったのは二ヶ月前だった。
何かが変わっているかもしれない。そう、思った。
いつまでこんなことが続くのだろう?
僕はもう二十歳だ。
僕は悲しかった。
あきらかにそれが僕の責任だとしても、悲しみは拭えなかった。
彼が僕の側を離れていくのは当然のことだったし、
それは始めからわかっていたのだ。

690名無しさん:03/12/07 07:39
今頃気がつく。
あの人が自分にとって特別な存在だった、と。
僕の番号もメールアドレスさえ知らないあの人からの連絡を
僕はいまだに待っている。
僕が彼の部屋で見た最後のBBSがここだった。

691名無しさん:03/12/13 00:07
結局あなたの小説って良くも悪くもドーナツ的なのよね
692名無しさん:03/12/28 11:27
定期age
693名無しさん:03/12/28 16:16
やれやれ。
694名無しさん:03/12/30 03:33
僕は思うのだけれども、男女の関係は壊れてもいいものである。
これは友情とか、人間関係にもいえることであると思っている。
壊れても、欠片を集めて、接着剤で直せば、可能性は少ないかもしれないけど、
とにかく形として機能するかもしれないからだ。

僕と彼女の関係も、そのようにして何度か壊れ、壊れては何とか二人で
少しづつ、少しづつ、身を切るようにして接着剤を出し、補強し、なんとか維持してきた。
それで、幾度となくお互いに混乱したりもしてきたけれども、何とか上手くいっていた。
少なくとも僕は上手くいっている、問題はないと思っていた。

僕が彼女を損なったのか、彼女が僕を損なったのか、今となってはわからないことだけれども、
ある時、欠片を探そうとしたがどうしても見つからないことがあった。僕はもちろん一生懸命探したし、
彼女も探したが、そこには何もなかった。何もなかったのだ。そのことで、更に僕は損なわれたし、
彼女もある意味、損なってしまったのだろう。僕達は知らぬ間に、僕達の関係をスポイルしてしまった
のだろう。つまり、壊れた欠片を探しているうちに、一つ、また一つ欠片を見落としていたのだろう。
そして最後には何もなくなってしまった。僕は世の中には、修復しようがない関係もあるのだと知って、
途方に暮れた。


・・・・春樹風になってないソマソ



695名無しさん:04/01/02 23:15
    (~ヽ             γ~)
     |ヽJ       .あ     |し'|
     |  (~ヽ     .け   γ~)| .|
   (~ヽー|ヽJ     ま   し' |ー γ~)
   |ヽJ  |  |   お .し   .|  | し''|
   | ∧|__∧ |   め .て   |∧__|∧| 
  リ(´・ω・`)彡  で    ミ(´・ω・`)彡
 ⊂ミソミソ彡ミつ.   と    (/ミソ彡ミソ彡つ
   》======《.   う      》======《
   |_|_|_|_|_|_|_|         |_|_|_|_|_|_|_|
    `u-u´           `u-u´
696名無しさん:04/01/03 06:16
「村上春樹の小説に出てくる主人公みたいに
自分のことだっていうのに終始人ごとみたいにして
飄々と生きられたら
失恋も別れも、一人ぼっちでも
なんにも辛くないのに。
そう思わない?」
フォークでひとしきり遊んで皿の上で散りじりになった
スクランブルエッグを口に入れ
この世で一番マズいものを食べているような顔をして彼女は言った。
ぼくはといえば、そんなことよりも
目の前で溶け始めたアイスティーの氷が
いつ「カラン」という心地の良い音を鳴らしてくれるのか
そればかりを気にしていた。
ぼくは村上春樹とやらの本を1冊も読んだことがないのだ。
697ヒロシ:04/01/03 13:22
やれやれ
698名無しさん:04/01/04 23:51
「やれやれ」
それが彼の口癖だった。
村上春樹の小説を読んだこともない人なのに、
まるでその主人公のような喋り方をする人だった。
そして、やはり、彼は自分以外の誰をも愛することができずにいたし、
人の気持ちというものをまったくと言っていいほど理解しようとしない人だった。
エゴイストでナルシスト。そんな形容が似合う彼だった。
それでも、春の熊のように彼を愛せたら、
そう思いながら2年半付き合ってきた。

時々、まるでパリッと気持ちよく割れるピーナツの殻のような音をたてて、わたしのココロの端っこが欠けることがあった。
それは自分で望んできたものの代償であるのかもしれないし、
そうでないのかもしれない。
でも、欠けたものはもう元には戻らない。

こうして、どんどん欠けていくと、いつかは、そう、まるでそこに初めから何もなかったような錯覚さえ感じられるのだ。
生産性さえありゃしない。
まだビールをしこたま飲んで、酔っぱらった方がましと言うもんだ。
699名無しさん:04/02/07 16:09
目が覚めた

僕はおもむろにコバルトブルーに染められたカーテンを開け外を見た。
やれやれ、また夜か。
彼女が僕の元を去って1ヶ月になる。繰り返される手コキの日々。
僕は煙草をくわえながら、鉄製のやかんに火にかけた。
コルトレーンが寂しげなサックスを吹きはじめ、
僕は五反田君のくれたポルノ雑誌を片手に手コキを始めた。
しごくんだ、いいかい?timpoが腫れるまでしごくんだ。
蒸気で蒸せかえったやかんがコトコト揺れはじめた。
ゐゑぷっっ! 僕のつるつるとしたきれいなペニスから、
骨の様に白い精液が滴り落ちる。
やかんが、夏の終わりの狂ったセミのように鳴きじゃくっても、
僕は指先ひとつ動かすことが出来なかった。
ひどく疲れていた。
700名無しさん:04/02/09 10:46

「いますぐ来て」
電話口の声は公式的彼女だった、と思う。僕は稀に女性の声が皆同じに聞こえる時がある。
「忙しいんだ」
「いつも忙しくない?」
「分かった。でもあと三時間ほどかかるよ」
「なるべく早く、ね」
そこで僕は電話を切った。溜息が出た。どうしてなのか分からない。

「あなたと別れたいの」
介護先の病院から車を走らせて、ドア越しに聞いた言葉がこれだった。
僕は暫く黙り込んで、彼女のプラス面とマイナス面、
僕のプラス面とマイナス面を頭の中で箇条的に表し、一つ一つ数えていった。
「いいよ」
と僕は言った。
「電話もメールもしないで、私も絶対にしないから」
701名無しさん:04/02/09 10:47
 、 、
「絶対に?」
「絶対に」
僕はしばらく黙ってしまった。彼女と別れるのがつらいというよりも、
彼女の頭の中に絶対という言葉があったことに驚いたのだ。
彼女は、少なくとも僕の知っている女は
いついかなる時も絶対などという言葉を口にする人間ではなかったのだ。
「それから――、あの――、こんなこと、言うのは嫌なんだけど」
彼女はどうやら泣いているらしかったが、僕は何も感じなかった。だからずっと黙っていた。
「一日でも早く私のことを忘れてね。私も今からあなたのこと、忘れるから」
「分かった」
それだけ言えばもう帰ってしまってよかったのだ。けれども僕は彼女と最後に一度だけ寝た。
本当は彼女は僕と別れたくなかったし、何らかの形で関係を続けていきたがっていたのかもしれない。
そして僕も彼女と別れたくなかったのかもしれない。
彼女の柔らかい肌に触れている時、
何か言えば関係は修復できたかもしれない。しかし僕はキスすらしなかった。
まるで知らない女を犯しているような気分だった。
にもかかわらず、彼女は最後になって今までで一番上手なセックスをした。

終わった後で、彼女は僕の胸を右拳で力いっぱい殴りつけた。
「どうしてあなたはそうなのよ!」

帰りの高速道路でかかっていたのは新しくチャート・インした日本のポップスだった。
その曲は歌詞だけ追えば愛を謳っているようにも思えたが、メロディを考慮に入れるならば、
どうしても「振られる前に振ってしまえ」と言っているようにしか聞こえなかった。
702名無しさん:04/02/10 23:36
    ∧_∧
  ∧( ´_ゝ`)
 ( ⊂    ⊃  あげ
 ( つ ノ ノ
 |(__)_)
 (__)_)
703名無しさん:04/02/15 15:27
やれやれ。またフラれてしまった。どうやらボクは幸せになれそうもない。

しかし、それでもいい。残された時間をじょうずに踊るんだ。

ダンスダンスダンス
704名無しさん:04/02/22 16:31
嫌いになったわけじゃない。私は心の中でつぶやいた。
そう、嫌いになったわけじゃない。ただ、ちょっと苦しくなってきたの。ひんやりとした井戸の中に一人で静かに座って、
定期的に訪れる、このろくでもない孤独感について考えているみたい。あなたも想像してみて。
見上げると、まるで置き去りにされた夜明けの満月みたいに、ぽっかりと切り取られた空が見える。
遠くでいなくなった子猫を探す声が聞える。やれやれ。猫ですら、探してくれる人がいるというのに。
私はそこで何時間もじっとしている。午前二時の博物館の彫刻のように。
705名無しさん:04/02/22 17:34

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・パチン

スイッチ OFF
706名無しさん:04/02/28 21:13



707名無しさん:04/02/28 22:27
月が照らす夜、僕と彼女は公園のベンチで話をした。話はもちろんあの話だ。
彼女には今好きな人がいる。それは僕の友達。あんな男のどこがいいんだろう、と
心の中で呟きながら、「今度遊びに誘ってみなよ?」と彼女に言った。
「うん。遊びに行きたい!どこがいいかな。今度メールしてみる。」と彼女は
嬉しそうに言った。恋をする女性が可愛くみえるのか彼女自身が可愛いのか
今ではもうわからない。どうか、神様そのメールが相手に届きませんように…。
明日になったら僕のことを好きになっていますように…と悪魔の声が囁いた。
彼女がふいに立って「ねぇ、あのブランコ一緒に乗ろうよ」と僕の腕を引っ張った。
僕はその時、突然彼女を抱きしめたい衝動にかられた。でも、できなかった。
僕にはそんな勇気なんてない。きっと、彼女はもう時期あの男のものになるだろう。
この公園で話すお決まりの会話もなくなる。でも、今この時は彼女は僕だけの
視界に入っている。僕だけのものだ。
708名無しさん:04/03/02 15:27
村上春樹
709名無しさん:04/03/02 16:01
村上春樹じゃなくて、野島伸司みたいに失恋話を書いたら、きっと
死にたくなるほど辛いだろうな。
野島伸司の脚本は好きだけど、愛が重すぎる感じがする。
710名無しさん:04/03/20 21:51

「お終いって何が?」と僕は聞いた。
「ここでお別れってこと」と彼女は言った。
「別れるって?」と僕は馬鹿みたいに聞き返した
「別れる。離れ離れになる。ここで私は先へ進む。あなたは元来た道を戻る。そして私たちはもう二度と会わない」
 僕は彼女の顔をまじまじと見つめた。彼女は軽く微笑んでいた。でも、彼女が本気だと言うことが僕には分かった。
「嫌だ」と僕は言って、彼女を抱き寄せようとした。彼女は素早く蛙のように身をひるがえすと、僕の手から逃れた。
「こうなることは分かっていたんでしょう?もう、随分と前から。あのことがあってから、私たちはもう元通りになれるはずもないって」と言って彼女は子リスのように首をかしげた。
 確かに彼女の言う通りだった。僕があの男と事件を起こしてから、僕と彼女は何事もなかったように振舞おうとした。でもそれは、もうばらばらに破けてしまった紙片を元通りに
テーブルの上に並べて、風で飛ばないように祈っているようなものだった。そう、そして風は常にある。どこにでも。僕達の破れた一片を吹き飛ばしてしまうことなんて簡単なんだ。
711名無しさん:04/03/20 21:55

「でも、それでも嫌だ」と僕はもう一度言った。胃の中がどんよりと重かった。
朝彼女が作ってくれたサンドウィッチが、僕の胸までせり上がってきていた。
彼女はしょうがない人ね、という風に肩をすくめると、
僕の首に手をかけた。首の後ろに彼女の両手がかかる。
彼女は僕の首に体重を預け、体を少し後ろにそらせて言った。
「ねえ、でもこれってもう決まっていることなのよ」
「それでも嫌だ」三度目の正直だ。僕は言葉を続けた。「それでどうするっていうんだい?君は僕と別れて、
しばらくしてまた、違う男と付き合う。そいつとも別れて、また違うやつと付き合う。そして何度かそれを繰り返して、
結婚して子供を産む。白い家に住んで、大きな犬を飼う。僕の方は君と別れて、またしばらくして違う女とつきあう。
その子とも別れてまた違う女とつきあう。何度もそれを繰り返す。僕は適当なところで妥協して、いつしか君のことを忘れて、
誰かと結婚するかもしれない。海沿いの家を買って、子供をつくる。そうだったら、もしそういう未来があるんだったら、
今ここで別れないで僕達二人が一緒にいるのも、そう変わりないじゃないか?」
彼女はしばらくその体勢のまま黙って僕の顔を見つめた後、ぽつりと言った。「犬は飼わないわ」
僕は言いようもなく哀しくなってきた。おそらく彼女はもう何ヶ月も前から決心していたのだろう。彼女の決意は揺るぎそうに無かった。
その決意の前では、僕の言葉なんて砂山に向かうありんこのようなものだった。彼女はゆっくりと僕から離れていった。
僕に背を向け、一歩一歩歩いてゆく。僕は手を伸ばしたかった。僕は叫び声をあげたかった。僕は、僕は、泣きたかった。
でも、僕はそのうちのどれも実行せず、ただ黙って彼女を見送った。そう、僕には選択肢はなかったのだ。
イザナミを奪われるイザナギのように、僕はただ宿命を黙って受け入れるしかなかった。
712名無しさん:04/03/22 23:37
>>710-711
素晴らしい出来です。
これがノンフィクションだと思うとね〜涙。
713710-711:04/03/24 00:11
>>712
ありがと。嬉しい。
714名無しさん:04/03/24 00:17
 僕は彼女からのメールをそっとゴミ箱フォルダの中に移した。
読む勇気がなかった。いや、勇気がないというよりは、
もう同じ戯れ言を聞くのが嫌だったのだ。繰り返される議論。
お互いを傷つけあい、自分を正当化する言葉。
 もうこれで彼女とは二度と連絡をとれないかもしれない。
でも、結局僕達は、過去へ過去へと流される潮流に逆らって、
懸命に前へと進もうとする一艘の小舟に過ぎないんだ。
715712:04/03/24 00:19
>>713
犬は飼わないわ、当たりがイイ!
716名無しさん:04/03/24 06:42
>>715
同感。会話がそこはかとなく春樹っぽいね。
717名無し:04/03/25 21:01
709ワロタ
24歳の春にわたしは6年余りの歳月を重ねた彼から別れを告げられた。
広大な平原をまっすぐ突き進む竜巻のような激しさを伴った突然の別れだった。
それは行く手のかたちあるものを残らずなぎ倒し、片端から空に巻き上げ、理不尽に引きちぎり、
完膚なきまでに叩きつぶした。
そして勢いをひとつまみもゆるめることなく大洋を吹きわたり、アンコールワットを無慈悲に崩し、
インドの森を気の毒な一群の虎ごと熱で焼きつくし、ペルシャの砂漠の砂嵐となってどこかの
エキゾチックな城塞都市をまるごとひとつ砂に埋もれさせてしまった。
みごとに記念碑的な失恋だった。
別れた相手はわたしとは同級生で、友達だった。
さらにつけ加えるなら、厨房時代の元カレだった。
それがわたし達の恋愛が始まった原点であり、(これまでの)恋愛の全てが終わった瞬間だった。

まんまパクってしまった・・・スマソ
719名無しさん:04/04/03 21:46
あげ
720名無しさん:04/04/03 22:54
「自分に同情するな。」
彼を失ってからというもの、いつも心がけてきました。

「とにかく疲れたから、別れたいのよ。」
「でも僕はきっと、ずっと君の事が好きだよ。」
毎日がくしゃくしゃに丸められた新聞紙みたいに
疲れて、うんざりしていた。
疲れから逃げるために別れを選んだ。
自分を取り戻したよ。聞いたよ。新しい彼女できたって。
大切なものはすぐそばに、そう本当にいつもそばにあったんだ。
失ってから分かるなんて一般論だと思っていたんだよ。

「それで僕は何を学んだ?」





721名無しさん:04/04/05 12:43
私は彼を欲しがった。
彼の時間を、彼の全てを独占したかった。
でもね、いくら欲しがっても、いくら彼が与えてくれても、
私の心のどこかが埋められないの。
自分の虚無感に向かい合うことの出来ない私は、彼を責めることしかできなかったわ。
あなたは私を満たしてくれない、って。
彼は私を必死になだめて、この夏は海に行こう、
二人きりの時間を過ごそう、って言ってくれたのに、私は待てなかったのよ。

最後にうつむき気味に私を見つめた彼は、疲れきった顔で
「やれやれ。君はまるでローラーコースターだ。上がったり、下がったり。
僕には乗りこなせないよ。」
と呟いて、私をその場に残し、愛車のカイエンに乗ってしまった。


春樹とは程遠いのでsage
722名無しさん:04/05/09 14:57
やれやれ
723名無しさん:04/05/09 15:26
君は友達の家へ泊まりに行った帰りだと言った。
「君となら誰とでもスケートでペアを組めそうだね」
はにかんで君は「あなた以外とならね」とつれない返事。

君の僕への想いはわかっているつもりだ。
きっとわざとそんな僕から嫌われるようなことを言っているに違いない。
そんな君がいじらしくてたまらない。

「上着のボタンを掛け違えてるよ、ほんとマヌケね」
「あ、本当だ」
屈託のない二人の笑いがあたりに響く。
僕はこの時間が永遠に続けばいいと春の空を眺めた。

ぜんぜんはるきっぽくねーsage
724名無しさん:04/05/30 08:27
つまるところ、その40女でなければならなかったのではなく、、
若いピチピチであれば誰でもいいということなのだ。
それが僕の出した最終的な結論だ。
やれやれ、ネタにマジレスなんて本当にばかげている。
しかし、この世に本当にばかげていないことなんて果たしてあるのだろうか。
とにかく僕はひどく疲れていた。そしてひどく混乱していた。

725名無しさん:04/06/12 15:28
やれやれ
6月になってから一度もレスがつかないなんて
726名無しさん:04/06/12 15:48
彼の記憶が激しく私の心をかき乱し、私はひどく混乱した。
727名無しさん:04/06/23 12:28
修学旅行、ホテルの部屋にある内線が鳴った。
「ちょっと部屋まで来てくれない」
それは聞きなれた女の声だった。
「ちょっと話したくなったんだ、だってこんな窮屈な部屋で4日も過ごすなんて、
ばかげてると思わない?もっと人情味のある宿にするべきよ、女将さんがいて
温泉があって、、それって素敵だと思わない?」
「よくわからないなぁ、だいいちここは中国だよ、君が求めているものは現実性にかけるよ、
先生たちも安全を考えてこうゆうホテルを選んだんじゃないかな」
「あなたってけっこうつまらないのね、まぁいいわ、部屋にきてちょうだいよ、
ここ窮屈で寝れやしない。」
それだけ言うと彼女は一方的に内線を切った。僕はため息をつきながらタバコに火をつけた。
僕は彼女を愛していなかった、好きという言葉さえ僕の中の彼女には現れていなかった。

 そして彼女の部屋に行きセックスをした、朝起きたときには彼女はいなかった。
それから修学旅行中一度も話をせず、学校を卒業した。

実話です、別にこの子とは付き合ってないです
すこし村上春樹的なかんじでしゃべってますが。

728名無しさん:04/06/24 21:27
「私たちそろそろ終わりにしない?」君は携帯の向こうで独り言のように呟いた。まるで映画やドラマの台詞を切り取ったかのように冷静な口調だった。
「いきなり何だよ。第一僕が何をしたって言うんだよ?僕は浮気だって暴力だって奮わなかっただろ?理由を教えてくれよ」

「そう、あなたは何もしなかったわ。理由があるとすれば、あなたの愛を感じる事ができないからよセックスの時以外ではね。」

「そんなのってないぜ?君は本当にそう思ってたのか!?‥」
すでに電話は切れていた。彼女は沈黙と絶望を残して消えた…
729名無しさん:04/06/24 21:50
高熱に苦しんでいる彼女をおいて、僕は飲み会に出かけた。
前日に僕らは喧嘩をしたばかりだった。きっかけはほんのささいなことだ。
理由はどうであれ、僕は出かけてしまった。そしてこともあろうに軽い浮気をしてしまったのだ。
「私が傷ついて、それで満足なの?」
彼女は静かな声で言った。僕は何も答えなかった。
「そうだとしたら私はもう十分傷ついてるわ。あなたはそうしたかったんでしょう?」
彼女は泣いていた。後にも先にも、彼女が泣いたところをみたのはこれが初めてだった。
僕は彼女を心から愛していたし、彼女も僕を愛してくれていた。しかし僕はそれを損なってしまったのだ。彼女はもう戻ってこない。
僕の中にあったはずだった沢山の確かなものが、彼女と共に消えた。
730名無しさん:04/06/25 11:41
良スレ(・∀・)ハケーン!!
みんなスゴイなぁ…。
731名無しさん:04/06/25 11:43
春樹読んでるんだよな、、、みんな。
ではおいらもそのうちに。
732名無しさん:04/06/25 13:31
「あなたってまるで何も分かってないのね」
そう言って、彼女はお気に入りのスーツケースとパタンと閉じた。

やれやれ、ageとくか。
733名無しさん:04/06/25 22:05
>>729
かなり自業自得な気が…
「君は物事をもっと自分のしたことを客観的に見るべきなんじゃないかな。
僕が言いたいのは、君の言う彼女は一種のメタファーとしてだ、、
もし君がこの世界で普遍的な存在でありたいならね。」
734名無しさん:04/06/25 22:08
「羊をめぐる冒険」読了。
735733:04/06/25 22:08
スマソ日本語間違ったな…
表現少し間違っただけで叩かれそうだここのスレは・

やれやれ、そういって僕は墨汁のようなコーヒーを飲みながらつぶやいた。
736名無しさん:04/06/25 22:31
なんつーか・・・
辛気臭いスレだな。
737名無しさん:04/06/26 14:52
童貞のみんなガンバレー
738名無しさん:04/06/26 22:50
「あなた、最近どこか弱くなってるんじゃない?」
僕の顔を覗き込むようにして彼女は言った。
「女の子自体つらいんだ。普通に接してるだけならなんともないんだけどね。」
「どういう事?わたしもそう?」
「どうだろう。もしきみが僕の恋人だとしたら、僕がきみを愛さないからって
 僕を責めたりする?」
「するかもしれないけど、それがどうだっていうの?」
「それだけで、自分でも情けないほどダメになってるんだ。
 どうして愛されなきゃいけないんだろうか、どうして
 自分ひとりで生きていけないのだろうか、どうしてわざわざ
 相手に訴えてまで愛されようとするのか、悩んで苦しくなるんだ。」
「苦悩するのね。」
「そうらしいね。」と、僕は今度は苦笑した。
「相手を責めたって仕方ないんだって、きっとわかってるんでしょうね。
 それでも言わずにはいられない。女ってそういうものよ。」
と、彼女はうんざりするほど聞き飽きた「答え」を繰り返した。
そういうものなんだ、と僕はもう一度頭の中でつぶやいてみたが、
そのありきたりな言葉は僕の脳みその暗闇の中へあっさりと消えていった。
739すこし違うが、:04/06/30 18:47
こんなメールを送りました。
未練がましいかな。


野球のオールスター戦で選ばれた嶋選手、ラロッカ選手が言ってる。
ここまでこれたのは妻のおかげ、感謝している。

こういう言葉がとても胸に響く。
家族はいい。心から信頼し支えあえる家庭を持ちたいものだね。
いろんなことが、分かってきた。

そして、今日、ある家族の別れがあった。80歳の患者さんがなくなった。肝臓に、
無数にパチンコ玉のような癌腫瘤が発生してたおじいさん。家族はみな覚悟してい
た。安らかに息を引き取った。
 おばあさん。いつも付き添っていた。回診に行くとすいませんねー、という。片目
は白内障で濁っている。あまり表情の読めない人だ。
 見送りのとき、車に遺体が乗せられた。おばあさんを観察した。表情は読めない。
涙だって流していない。でも、口がもごもごしている。老人によく見られる、口唇ジ
スキネジアだ。しかし、いままでジスキネジアがあったかな??確か、、なかった。今
になって出始めたんだ。老人になると、神経も弱っていて、普段は表に出ない症候
も、ストレスなんかで表に現れることがある。
 おばあさんは、濁った目で表情は読めないけど、確かに、確かに、悲しんでいた。

 いろんなことを、注意深く、注意深く、観察しよう。大事なものを、もう壊してし
まわないように。おばあさんのジスキネジアのように、人には読み取られないサイン
を、僕は気づけるように努力しよう。
 よい知らせは、いつも小声でやってくる。
ねじまき鳥にだって、そう書いてあったじゃないか。
740名無しさん:04/07/28 16:50
age
741名無しさん:04/08/03 22:53
もう彼女と別れてから何日たったのか思い出せない。
もしかしたら僕は思い出せないのではなく思い出そうとしないだけなのかもしれない。
別れてからというもの、人生がとてもつまらないものになってしまったような気がする。
空の色や人の声、足で感じる地面のアスファルトの感触でさえ味気なくなった。
別れてから何日経つのかは思い出せないのに、彼女が別れ際に言った言葉の
一つ一つは今でも僕の心の中に残っていて、それを反芻する度に心の中に
少しづつ何か、おりの様な物がたまって行くのが分かる。そう、たとえて言うなら
海底にすこしづつ降り積もっていくプランクトンの死骸のように。
742741:04/08/03 23:15
その死骸を集めてどこか遠くへ捨てられたらどんなに楽なのだろうと考えるが、
どうやら僕という人間はそういう事が簡単に出来るほど器用には生きていく事が出来ないようだ。
いつまでもそれはたまり続け、いつか僕の心をじわじわと蝕んで、そして壊していくのだろう。
所詮僕は、彼女が前好きだった人の代わりでしかいなかった。
手をつないでも、食事をしていても、セックスをしているときでも、
お互いの想いのベクトルは決して交わることは無かったのだ。
僕の想いは彼女に。彼女の想いは好きだった人に。だからそれは交わらない。Q・E・D。
この事実を知った時、僕はたまらないほど悲しくなった。僕の気持ちは
所詮、彼女にとってはすれ違った人の靴下の色の様にどうでもいい物だったのだ。





以上。駄文失礼しました。もちろん事実ですorz
743名無しさん:04/08/05 23:13
「また、いつか、ね。」
「いつかか。」
僕が笑うと、彼女も少し含んだ笑い方をした。

電話を切ってしまうと、外はもう明るかった。
僕とは関係のないところで、ただ彼女がいい夢を見られたらいいなと思った。
そして、それさえもどこかおかしな願いだと感じた。

何万年に一度、地球に近づく星のように、
あの電話と彼女の声と心は、
もう遠くへ遠くへと流れていくだけだろう。
次に出会う時、地球が存在するのかさえ危うい。

だけど今日限りは、彼女もきっと僕がいい夢を見るようにと
願っていると確信した。
そして、彼女もまた、おかしな願いだと笑っているだろう、と。

互いの夢を知ることは永遠にない。その崇高な夢を求め、僕は眠りについた。
744名無しさん:04/08/06 05:14
村上春樹は「僕」に悲しみを語らせない。
村上春樹は「僕」に憎しみを語らせない。

だから今の僕は感情を何も語らない。
ただ今は単純に時間が必要なのだ。
それらは一過性のものだ。
僕はそう思い込もうとする。
でも違う。
本当はそうじゃない。
感情は大きな洪水となりうねりを上げて僕を飲み込もうとする。
しかしそれと同時に燃え盛る炎となって僕を焼き尽くそうとする。
僕はそこからなんとかして僕自身を助け出さなければならない。
でもどうすればいいのだろう?
どうすればいいというのだ。

ダンス・ダンス・ダンスにこう書いてあった。

「もし摩擦がなかったら」とそこには書いてあった。
「自転の遠心力で地球上の何もかもが宇宙に吹き飛ばされてしまうでしょう」
と。
僕はまさにそんな気分だった。

僕は幸せにはなれないかもしれない。
それもしょうがないことなのかもしれない
でもこのままでは悲しすぎる

僕は始めねばならない
助かる道を模索するために自分で動かなくてはならない
このまま誰も彼も自分自身も傷つけ続けて生きるわけにはいかないのだ。

さて。
745名無しさん:04/08/09 14:27
結局この言葉が一番しっくりくる

「やれやれ」
746名無しさん:04/08/11 10:44
僕達は結局終わってしまった。
最初から分かっていた結末だけど、それを全て受け止めるにはまだ時間が足りない。
足りないどころか、きっといつまでも僕は君を心の中で追い求めるかもしれない。

僕は暗く湿った電話ボックスの中で一人でうつむいている気分だ。
前に君に電話して、喧嘩したあとに一人そうしていたが、あの時と同じ気分だ。
もうすぐ夜が明ける、けれど僕には朝はきっともう来ないだろう。
君は遠くに行ってしまった。遠くに。

やれやれ、承知の上なのに。分かっていたことなのに。
僕はそう思いながら自室のベッドで寝返りを打った。
747名無しさん:04/08/23 04:17
気のあう仲間達と酒を飲んでいると、昔の彼女から電話がかかって来た。
『今から新宿で会えないかしら?話したいことがあるの』
僕は適当な理由でその場をあとにして新宿へむかった。
彼女と寝ることが出来るかも知れないからだ。
流れ星が見えなくなるまでに願い事を三回唱えることが
出来るくらいの可能性だったけれど。
彼女は
『落ち着いて話がしたいの。ホテルは空いてるかしら』
と、すました顔で言った。やれやれ、流れ星は誰の願い事と
間違えているんだ。
もしそれが貧困と治安の悪化に苦しむイラクの少年の願いだったら
さすがに気分が悪いのだけれど、考えても意味がないので
彼女の服を脱がせる順番を考えることにした。
チェスのコンピューターの様に瞬時に何万通りも思いついたけれど、
彼女はシャワー浴びたあと浴衣を一枚はおっただけだった。
『いやらしいこと期待してるのね。わかるわよ』『ちょっと違うね。浴衣のヒモの結び方を数学的見地から考えてたのさ』
『そういう話は嫌い。何か楽しい話をして』
『君が話があるって言うから僕はわざわざ来たんだよ。』
『ただ会いたいってだけなら来なかった?』
『来るさ。浴衣の話をしたいからね』
『ここまで来てまだ私に話させようなんて鈍いわ。つまらない男ね』
『そうなんだ。僕は冷たいビールの味くらいしかわからないんだ』
僕はビールを取り出した。彼女は酒が嫌いだったが、彼女の分も注いであげた。
『浴衣とビールに乾杯』
僕は一気に飲み干して、不服そうにしている彼女に昨日みた妙な
テレビドラマの話をした。大学病院の教授のシャツの襟がやけに
大きくて滑稽だったことや、教授とその愛人がやけに似合って
なかったことなどを話した。

ダメだ、ムリポ。
748名無しさん:04/08/23 17:48
良スレあげ
749名無しさん:04/08/25 10:35
「余裕が無いのよ」
彼女は、そう言い残して僕の部屋をあとにした。

750名無しさん:04/09/04 09:26
やれやれ
751名無しさん:04/09/04 13:32
ふうむ、また失恋したのか
752名無しさん:04/09/06 11:09
「あなたには余裕が無いのよ」
彼女は、そう言い残して僕の部屋をあとにした。
753名無しさん:04/10/02 13:43:24
よくわからないな。
754名無しさん:04/10/02 14:02:08
僕はよく冷えたビールを一気に飲み干した。
アルコールのせいもあったのだろう、彼女と過ごしたこの小さな部屋では、
現実と現実らしく見えるものとの境目がうまく見分けられなかった。
755名無しさん:04/10/02 20:24:01
僕はふと思い出した。今日は彼女の誕生日だ。

過去の出来事が頭を巡ると僕は無性に彼女の声が聞きたくなった。

だけど彼女は今きっと他の誰かと幸せに過ごしてるはず。そう思い僕は携帯を投げた。

それから僕はライターの火を付けて
「誕生日おめでとう。」
そう呟き煙草に火を付けて溜息混じりに吐いた煙りでライターの火を消したんだ。
756ぎゃはは:04/10/03 16:50:17
このスレバカウケ!!
>>1うますぎw
757名無しさん:04/10/06 17:07:04
「私には好きな人が他にいるのよ」
と彼女は今日の天気の話をする様に、電話口で言った。
僕は本当は初めから薄々気づいていたけれど、僕はその事について確認せざる
得なかった。そうしないと物事は前に進まないし、進まないと思ったのだ。やれやれ。
彼女は予想どうり、人間が二足歩行する事があらかじめ決まっていたかの様にそう答えた。

「いつからなんだい?」
僕は絶望と猜疑心から開放された気持ちが入り混じった気持ちで、そう聞く事が初めから
決定されていた事の様に聞いた。

「さあ、私にもわからないわ。気づいたらそうなってたのよ」
彼女もそう答える事が義務だと思わせるような映画の中のセリフの様な答え方をした。

「わかったよ。それを聞いてもちろん悲しいけど安心したよ。」

少しの沈黙の後、彼女は少し考え込んだ様子で答えた。
「ごめんなさいね。でも、私もどうしょうもなかったのよ。」


「いや、良いんだ。それを聞いたのは僕のいたって個人的な問題なんだ。」

「そう、じゃあ、さようなら」

「さようなら」
僕は回線の切れた受話器をいつまでも耳に当てていた。まるでそうすること事態に
何か重要な意味がある様に。

758名無しさん:04/10/06 23:13:28
>>757
> 僕はその事について確認せざる
> 得なかった。

→確認せざるを得なかった

よく
せざるおえない
と表記されるけど、文法構造(二重否定構文)なだけに(単語レベルなら新語も受け入れられるが)違和感が強い。
せざる を 得ない =しない ことは できない、 しないでいることはできない、しないわけにはいかない、が原意。
759名無しさん:04/10/07 11:43:23
>>757
×予想どうり
○予想通り
760名無しさん:04/10/08 01:41:04
やっぱり

やれやれ・・・
761名無しさん:04/10/10 13:36:35
 次の週末、彼女は僕を映画に誘ってきた。
職員名簿で僕の連絡先を調べて電話をしてきたのだ。
僕達は金曜の夜0時から映画を見た。客はぽつりぽつりとしかいなかった。
三組のカップルの運命についての映画だった。
演技は過剰だったし、映像もうまくなかった。中の下というところだ。
 しかし何はともあれ、我々は映画を見たのだ。
彼女はコンビニエンスストアで買ったりんご酒を飲みながら、
熱心に画面を見つめていた。僕は何度かあくびをした。
となりにいる彼女をちらちら見ながら、前の妻のことを思い出した。
しかし、それはもう終わったことだ。一人の女が去り、
別の女が僕の前に現れる。運命は前へ前へと流れているらしい。
僕はそれについていかなくてはならない。脇見をしているヒマはない。
僕にはたった一人の女性で手いっぱいなのだ。
映画が終わると僕達は二十四時間営業のレストランに入って軽い食事をした。僕はビールとアンチョビのピザ、彼女はコーヒーとほうれん草のはさまったクレープをとった。
762名無しさん:04/10/13 00:06:09
>>761
僕にはたった一人の女性で手いっぱいなのだ。
なんかこの文章いいなw
763名無しさん:04/10/13 16:14:58
よく2ちゃんねるの夢を見る。
それは、現実にネットの世界に存在する巨大掲示板でもあり、同時にもっと個人的な概念的なものでもある。
2ちゃんねるの中で、僕は「香具師」にもなるし「DQN」にもなる。
ある雨の日に僕は「ネ申」にすらなった。
非生産的で匿名性の強い2ちゃんねるは、僕にとってどこか、丘の上で眠る羊を連想させた。
そこは、殺伐とした雰囲気であると同時に、なにかしら牧歌的なイメージを僕に与えていた。
僕は2ちゃんねると繋がることで、彼女とさえも繋がることが出来た。
それは精神的なセックスと同じだった。少なくとも、僕にとっては同等の意義を成した。

その日も朝から雨が続いていて、まるでトヨタカローラのエンジン音のような落雷音をいくつも耳にした、そんな午後だった。
僕は僕でその時、ちょうど2ちゃんねるに349回目のアクセスをしているときだった。


彼女は、死んだ。
764名無しさん:04/10/14 04:30:15
彼女と離れてからの僕は過去の僕だった。

ちょうど幾何学模様の様に、仕事をし、日常を過し
知り合った女性と機械的に話し機械的に寝た。

一体、僕は何を失ったのだろう。
失ったものはたくさんあったのだけど
それを考えるには、僕はあまりに幼くそして平凡だった。
765名無しさん:04/10/14 04:37:53
一人称が僕でないと春樹風にはならないよなぁ。
女性には難しい・・・
766名無しさん:04/10/14 19:25:51
やれやれ
767名無しさん:04/10/15 01:59:53
「僕の事が嫌いになったんだね」と僕は訊ねた。
「あなたの事は本当に愛していたのよ」彼女が言った
それはまるで意味のないやり取りだったし、僕も何故そんな事を彼女に聞いたのかわからなかった。
彼女の荷物はまるでキレイに無くなった部屋の台所で、
 ― 本当にキレイに彼女は色々な彼女自身の物を整理していった、ごちゃごちゃした化粧品から
   タンスにいつも整頓して入れていた下着や、洗面所にあったハブラシの予備まで―

僕はゆっくりと煙草を1本吸って、よく冷えたビールを飲んだ
まる自分がそこにいないかのように彼女は黙っていた。

そしてやっぱり彼女は何も言わずに出て行ってしまった。
春の風のようにすっと僕の中に入ってきて、なにも無かったかのように音も立てずに消え去ってしまった。

あれから僕はずっとこの井戸の底で全く意味の無い作業を繰り返している。
その深い穴は温かみのかけらもなかった。切り立った垂直の壁はあらゆる生命の姿を払い落とし
それでも足りずに僕に不吉な息を吹きかけていた
意味があるのは足元に積もっていく煙草の灰だけだった。
その灰でさえ僕の中の大きな空洞を埋める事はでいきないのだけど。
768名無しさん:04/10/15 02:04:59
>>767
素晴らしい。
769名無しさん:04/10/15 02:18:46
そうして8年とゆう月日がったっていた。
「もちろん多少は悩んだりしたさ、でもねこんな暮らしを続けていくわけにはいかないだろう」
独り言のようにつぶやいて僕はゆっくり立ち上がった

まず何をするべきか僕は考えた。ゆっくりと頭を整理しながら便所に立ってビール2本分の小便をした。
それからシャワーを浴びて酔いを醒まそうと思ったが、もちろんそんな事で頭の中がクリアーにはならなかった。
分かりきっていた事だった
結局のところ僕は僕自身であり、何かを忘れる事もできずにただ消費していくだけだ。
想い出はどんどん薄くなっていくし、今では彼女の笑顔さえはっきりと思い出すことはできない。
それでも決して無くなってしまうはずなどあるわけない。


もう無理ぽ 駄レススマソ
770名無しさん:04/10/15 02:20:05
>>769
:*・.。:*・。(*・∀・*)。:*・。:*・。ィィ!
その調子だどんどん書け! 長篇キボン。
771名無しさん:04/10/15 02:24:33
自分で書いて改めてみると結局春樹風には近づけませんな。
772名無しさん:04/10/15 16:37:14
その長い雨は、あらゆる意味を兼ね揃えていたし、同時にまるで無意味な代物でもあった。
それは兆度、僕のあのむさくるしい十代の10年間と同じだった。
せわしなく落ちてくる雨の、その一粒一粒には、なにひとつ意志なんて無いみたいだった。
でも、それは僕にしたところで同じことだった。むしろ、そうやってシステムの一部に組み込まれることで、
僕はその10年間をなんとか生きていたのだろう。

秋の渇いた空気の匂いと、かすかに聞こえる海の声を抱いて、それから僕は長い眠りについた。
とても穏やかな、そしてなにか悲しい午後だった。
773名無しさん:04/10/16 03:40:55
 目が覚めると、隣に彼女がいた。
「おはよう」と僕は言ってみた。
「おはよう」と彼女は僕の眉毛を細いひとさし指で撫でながら言った。
「朝ご飯ができているわよ」
 僕は、むむぅと言って起き上がると、Tシャツを頭からかぶり、
台所へ向かった。

。。。。書いてみたけど、めんどくさくなった。
このスレ、すごいな。ミンナ上手だよ!
774名無しさん:04/10/16 03:51:06
うまいよなぁ。
775名無しさん:04/10/16 04:48:39
その電話のベルは、唐突にけたたましく鳴りはじめた。
いや、じつはベルが鳴ることを予感していたのかもしれないし、
この数時間、ベルが鳴るのをずっと期待しながらパソコンに向かっていたのかもしれない。
ともあれ、とんでもない夜更けに、宇宙からの交信みたいな奇妙な音のする
僕の小さな部屋の電話のベルが鳴ったことはたしかだ。

「もしもし、私。まだ起きてた−−?」
彼女だった。
まだ起きてた?−−その言葉から、僕は彼女が発する何らかのメッセージを
無理矢理読み取ろうとしていた。第一、まだ起きているから電話に出たんじゃないか、やれやれ。

慌ててセブンスターの箱から一本取り出し、火をつける。
ここ数日というもの、毎晩こんな調子だ。

「好きな人ができたの。ごめんなさい」

彼女が歌うように僕に別れを告げ、目の前から姿を消したのは、たしか半年前だったはずだ。
桜吹雪の舞う夜の公園で、僕らは永遠に別れたはずだったろう。僕の記憶が正しければ。
776名無しさん:04/10/16 04:49:24
「仕事、順調? 相変わらず遅くまでやっているのね」
彼女は差し障りのない話題で、僕との深夜のひとときを過ごすのが最近の日課になっているらしい。
らしい、というのは、彼女が何を考えて電話をかけてくるのか、僕にはさっぱり見当がつかないからで、
いや、本当のところを言うと、見当はついているのだけれど、
その真相を突き止めるのが恐くてたじろいでいる、といったほうが正しいかもしれない。
まったく彼女のことになると、僕の思考回路はすっかり正常な判断ができなくなってしまうんだ。

僕は、彼女の発する一言一言に、細心の注意を払いながら耳を傾けている。
じつは、分かってるんだ。
その声を聴いただけで、キミがさっきまで泣いていたんだろうことは。
それについて、僕は何も聞かないし、キミも何も言わない。
何も告げないことがキミの優しさだということも、僕はわかっているつもりだ。

彼女とのこの深夜の電話は、いつか僕の心をじわじわと蝕んで、そしていずれ僕を壊すだろう。
それでも僕という人間は、彼女と僕をつなぐ細い細い命綱のようなこの一本の電話にしがみついて、
そして離れることができないでいる。

気づくと、セブンスターの灰が数センチにも伸びている。
煙草を乱雑に揉み消すと、最後の燃えかすから微かな紫煙が立ちのぼるのが見えた。
まるで今の僕のようだ……ため息をひとつつくと、僕は受話器を持ちかえ、ことさら明るい声で応じた。

「それで? キミは今日の晩飯、なんだったの?」
777772:04/10/16 13:54:06
僕は新聞紙を片っ端から読んだでいた。一面の見出しから、おくやみ欄に至るまで、文字通り読み潰して行った。
まるで、そうすることでしか生きていられないように。
そこには、あらゆる情報が詰まっていた。
こんどの台風の被害状況のこと。ある大手スーパーが倒産しかかっていること、ある県警の裏金疑惑のこと、どこかの国で今日マラソンが行われること、
どこかで一家が殺されたこと……。

それらの情報はしかし、僕にとってまるで何の意味も成さなかった。僕はただ、新聞紙を読み潰していくことで、なんとか自分をこの世界と繋ぎとめていただけのことだ。
僕は新聞を読み終えると、冷蔵庫からビールを持ってきて、ふと彼女のことを考えた。不思議と悲しくはなかった。

「恋愛なんて、どれも一過性のものよ」
彼女はあの日、別れ際にそういった。「あなたが悪いんじゃない、ただ、それは過ぎ去ってしまっただけのことなの」
たしかにそうだった。
まるでそれは、とても速い速度で、僕の上空を過ぎ去って行った台風のようだった。
「私達の出会いって運命だったと思う?」
彼女は言った。
「どうかな、そう思えれば素敵だけど」
「でもそうは思わない?」
「そうだね、なんていうか、君と出会っていなければ、また別の運命があっただろう」
僕はいつだって、こういう理屈っぽい言い方をする。でも、正直なところ、僕は僕で考えていることをうまく言葉にできないタイプの人間だったから、
必要以上に理屈っぽい話になってしまう事は仕方のないことだった。そして、彼女もそれを解かっていた。
「つまりこういうことだよ、この新聞に台風の被害が載っている。でも、もしこの台風が来なかったところで、もしかしたら台風とは別の大雨がきたかもしれない。その大雨で別の誰かが死んだかもしれない。
もちろん晴れたかもしれない。でも、それは誰にも解からないんだよ」
「そうね、なんだかあなたの言ってることが、今までで一番なっとくできる。」
彼女はそれ以上なにも言わなかった。

彼女が最後に言った言葉は、とくに深い意味は無かったのかもしれない。
けれども、それはまるで真夜中にかすかに聞こえてくる救急車のサイレンのように、僕をひどく切ない気分にさせた。
778名無しさん:04/10/16 18:23:21
>>777
Σd(・∀・)イイ!!
みんな凄いなぁーぁ。
779名無しさん:04/10/16 18:27:01
最終的にさ「やれやれ」って使うとさ
春樹っぽさ全面に無理やり出してるだけの様なきがするのは
漏れだけ?
780名無しさん:04/10/16 18:30:30
>>779
私も思う。
やれやれだけ浮いてしまうというか・・・。
781名無しさん:04/10/17 09:58:52
彼女の生理がもう2ヶ月きていない事に気がついた僕は、
突然なにかに怯えるように臆病になりはじめた。

例えば夜に電話があれば、僕は一種の覚悟をして受話器をとるまでになった。
それは今まで経験したことのない祈りと恐怖を僕に教えるかのようだ。
日が経つにつれて僕の疑問が確信に変わろうとしているのがわかった。

やれやれ、一体どうしろって言うんだい?
僕は普通の学生で、普通の髪型をして、普通のシャンプーを使ってるのに。
こんなのってあんまりじゃないか。
僕は普通が好きだ、これからも普通でいたいと思ってる。
それなのに、こんなのってひどすぎる。

僕はひどく疲れていた。そして困惑していた。
家に帰り冷蔵庫からビールを取り出してソファーに座ると
TVの横にある受話器を眺めながら僕はビールを飲んだ。


>>779>>780それでも僕はやれやれに挑戦したくなった。
782名無しさん:04/10/17 18:43:33
>>777
まるで引用かと思うくらい、秀逸だった。
783名無しさん:04/10/17 20:55:09
それは言い過ぎだろw↑
784名無しさん:04/10/19 19:56:27
誰にも言うつもりなんてなかったのよ。だって立派人間は、自分の不幸な話をいい回ったりしないもの。

立派な人間?

そうなりたいとおもってるわ、真剣に。
言ってしまった方がいい。一人で抱えるの体に悪い、なんにせよ。

お世辞にも素敵とは言えない44歳の彼に振られた上、突然中学生の時の彼からメールがきたの。14年ぶりによ!あの頃君を傷つけてすまなかっただって。 信じられる?私は混乱したわ。
私は何に傷つけられたの?
僕は何かいうべきだったのかもしれない。
785名無しさん:04/10/19 20:23:18
「恋っていうのは煙草の煙だと思うんだ」
「煙草の煙?」
「そう。吐き出した煙は空へと昇っているのか、あるいは吸い込まれているのかはわからないけど、
そこには何かしら意味があるはずなんだ。しかし僕らはそれに気付くことができない。
考えようと思う前に跡形も無く消えてしまっているからね。そしてその事を惜しいとも思わない」
「そうね」
「僕もその意味に気付くことはできなかったし、同じように君も気付けなかったと思う」
「うん」
「つまり」
「明日からの私たちは煙が立ち昇っていく意味について考えることが出来る、ということ?」
「そう。そしておそらくは失われていった意味について、多少の後悔とささやかな教訓を得ることができる」
「実に有意義な一服だったわ」
「僕もだ」
「今までありがとう。またどこかで会ったら煙の行方について語りましょう」
「ああ、楽しみにしているよ」
786名無しさん:04/10/19 23:06:22
やれやれ

まるでスペイン人の留学生が残した英語のラブレターを、
英語学部に在籍中の中国人留学生に翻訳させたかのような、酷い文章ばかりだ。

やれやれ。
787名無しさん:04/10/20 00:47:24
ばかみたい
788名無しさん:04/10/20 01:38:44
およそ全員の一人暮らしの学生がそうであるように、1ヶ月前までの私は
週末のほとんどを彼のアパートで過ごしていた。
日曜日の昼過ぎに彼のアパートで目覚め、ほとんど無意識に寝ぼけた頭で
キッチンでお湯を沸かし、コーヒーを入れた。
お湯を沸かしている間に歯を磨いて、さっぱりした気分になったら、
私は私の赤い歯ブラシを、彼の青い歯ブラシが入れてあるショットグラスに戻す。

インスタントコーヒーが嫌いな彼に教えられたとおりにフィルターを用意して、
粉を入れ、二人分のコーヒーを大きなカップ2つにゆっくりとドリップしていく。
寝ぼけた頭にはちょうどよいリズムなのだ。
789つづき:04/10/20 01:39:05

午後の日差しはキッチンまでは届かなかったが、電気をつけなくても十分に明るかった。
換気扇の音と、やかんのしゅう、という音と、
窓の外から聞こえるからすか何かの鳥の鳴き声の他は、まるで世界のすみっこのように静だった。
コーヒーをもってベッドの下に座り込んで、朝の一本目のセーラムに火をつける。
寝ている彼を起こさないようにテレビも電気もつけていないから、部屋は相変わらず
世界のすみっこのように静かで、コーヒーをすする音と煙を吐き出す音、それから
静かな彼の寝息しか聞こえなかった。

コーヒーをすすりながら、私はからっぽだった。
過去も、未来も、昨日も明日も、むしろ1時間後のことさえも、完全に忘れて、
今組み立てたばかりの新品のダンボール箱のようにからっぽだった。
ただ目の前のセーラムとコーヒーを、タイミング良く交換させることだけに集中していた。


今になって思う。

私はまぎれもなく幸福だったのだ。

頭のうしろで彼の寝息を聞きながら、薄暗いけれどあたたかく、明るい世界のすみっこで、
全ての醜さや暗さや、恐ろしさや何かが竜巻のように世界の中心を暴れまわっているのを
脳みその端っこのほうで確認しながらも、ちいさなアパートの中にいれば安全だった。
彼のたよりない寝息が私を救ってくれていた。
ただ、その寝息の音だけで。

790名無しさん:04/10/20 09:26:23
私の彼は村上春樹が大好きだった。彼に薦められて私も殆どの彼の小説をよんだ。それなりに楽しめたと思う。
あれは台風が午後には関東地方に上陸するというニュースがどのチャンネルでもやっている朝、まるで春樹の小説の主人公のように朝食を彼が作ってくれている間、私はまだ覚めない頭をコーヒーで起こしながら彼にたずねた 。
「ねぇ 春木の小説の中で一番好きな女性って誰」
「ゆき」
何の迷いもなかった。どうして12歳なのよ?キキとか緑とかいっぱいいるじゃない?自殺しちゃう尚子や佐伯さんやれいこさんの方が、ずっとましだわ。
「ばかみたい」と言ってみた。
「やれやれ」とキッチンから聞こえてきた。
791名無しさん:04/10/20 10:55:29
「オーケーイ。まだ大丈夫だ。」鼠色に立ちこめる空を見て僕は呟いた。僕はまだこの世界にいる。彼女を失ったものの、いつもと何一つ変わらないこの世界に、僕は存在している。
792名無しさん:04/10/20 11:17:56
<<790 ワロタ
793名無しさん:04/10/21 16:55:37
>>789
私はまぎれもなく幸福だったのだ。
この一文なんか好きだな・・・。
794名無しさん:04/10/21 17:12:55
いま、キャッチャーインザライ読んでる。
面白いとか面白くないとかじゃなくて、気付いたらまた続き読んでる。
795名無しさん:04/10/22 00:49:18
今にも根元から折れそうなくらい左右に揺れる木々と、
無造作にひっくり返る自転車の群れ、全てを吹き飛ばして
しまいそうな風雨のなか、僕らは寄り添うようにして部屋に入った。

「伝えたいことって何?」

彼女はひどく雨に濡れたシャツを気にしながら呟いた。

「別れたくないんだ。」

彼女が最初に別れを切り出したのは1週間前のことだった。1か月ほど前のあの時、
僕に対して初めて結婚を口にした彼女。今の生活がただ好きで続けたかった僕。
彼女の心には確かに隙間が出来ていた。無論、その隙間を僕は感じられなかったのだが。

「今になって気付いたんだ。君が僕にとってどれだけ大切な人か。君がここに
居ることにどれだけの意味があったのか。いや、僕がここに居られたこと、
生きていること全てが君に依っていたんだなっていうことが。」

僕は(我ながら陳腐な言葉だな)と思った。気持ちが離れてしまった彼女に
伝えるべき言葉は、これではないんだろうなと思った。もっとも、最後の
瞬間を前にした僕に、他の言葉を思いつく余裕など無かったのだろうけど。

「なんで、そういうこと今ままで言ってくれなかったの?私が不安だった
こと分かってた?私、ずっと不安だったんだよ。あなたがこういう生活
をしていることが。もうずっと、10年経っても、私が何も言わなかったら
このままなんじゃないかって。だから私結婚したいって言ったの。
正直に自分の気持ちをぶつけたの。けれど、あなたは受け止めてくれなかった・・・。」

彼女は視線を漂わせ、そこには感情の無い透明な空間が感じられた。
796名無しさん:04/10/22 00:51:35
「ずっと一緒に居ること、居たいと思うことが結婚という言葉にすぐには
結びつかなかったんだ。僕は今、君とずっと一緒に居たいと思っている。
あの時だってそう思っていたさ。けれど、それが結婚することとイコール
にはならなかったんだよ。」

僕は前にも口にした、僕らにとっては使い古されたような言葉を努めて冷静に
呟いた。

「あなたのそういう考え方分からない。ずっと一緒に居たいこと、その気持ち
が結婚に向くのは自然なことじゃない?あなたは難しく考えすぎたのよ。
あなたがそういう考え方すること、私知ってたから、なかなか言い出せな
かったの。でも何か変わるかなって、言葉に出したら何か変わるかなって
思ったの。けれど、あなたは変わらなかった。」

(そうなんだろうな)と僕は思った。彼女の言うことはいちいちもっともだった。
何かしら理屈を付けて今の生活を続けようとした僕を彼女は知っていた。あの時の
彼女の言葉が軽くないことを僕は知っていた。そんな僕が、今そこから消えて
しまいそうな彼女を前にして、初めて口にした言葉に、どれだけの説得力があるのだろう。
(あるわけがない)僕は思った。

「理屈じゃないの。多分そういうことは理屈じゃなくて心が感じるものなの。
少なくともあの時に、あなたに結婚したいという感情は無かったの。
あの後考えてくれていたのも知ってるわ。でも、私はあの時じゃなかったら
だめだったの。今じゃもう遅いの。それに…。」

彼女は心の中の重い扉を今開けたような、ある種の覚悟を持った瞳をしていた。

「もうそれは大きな問題じゃないのよ。今、私の中には、ずっと付いていきたいと
思える人がいるの…。私の気持ちの問題なの。あなたに別れたいって言ったときから、
私の気持ちはあなたにはないの。もしかしたら、私が結婚したいって打ち明けて、
あなたが困惑したその瞬間から、私の気持ちは冷めていたんだと思う。」
797名無しさん:04/10/22 00:52:27
>>795

結婚してやれよおおおおおお!!!!
(立場がモロに逆な女の叫びです)

798名無しさん:04/10/22 00:53:17
僕は味気の無い缶コーヒーを冷蔵庫から取り出し、一口だけ口にし、出来る限り
感情を面に出さないようにしていた。

「そんなことってあるの?君はあの後も僕にゆっくり考えてくれればいいって
言ったんだよ。僕は真剣に考えたし、君も一度は僕の答えに納得してくれた。
でもその間中、君は他の人を見ていたっていうのかい?」

もちろん彼女が悪いとは到底思えなかった。ただ一週間前に別れ話をした時から、
随分と気持ちが進んでしまったんだなと、僕はひどく混乱していた。僕は彼女を
責める言葉を選ばないわけにはいかなかった。

「そういうことってあるの。あなたがどれだけ真剣に考えてくれたのかは分かって
いるつもりなの。あなたに答えを求めてる間に他の人を見ていたことに罪悪感も
あるの…。」

彼女は一度口を閉ざし、濡れたシャツの袖にできたしわを直してから言葉を続けた。

「私だってこの一週間悩んだの。あなたが急に結婚に前向きになったこと。生活を
変える決心をしてくれたこと。すごく伝わってきたわ。だから、何度もあなたに
戻ろうと思ったの。でも、これも理屈じゃないの。あなたにはまだ間に合うこと
でも、私にはもう間に合わないことだったの。」
799名無しさん:04/10/22 00:53:34
失恋してさっきまで泣いてたけど、このスレ呼んで大ウケ!
800名無しさん:04/10/22 00:55:52
その後の僕はひどく惨めで醜いものだった。彼女を責め、謝り、そして必死ですがった。
多くの無能な政治家が大した根拠も無く政策を批判し、失言を詫び、民衆に媚びるように、
僕の一連の行動には一貫性も妥当性もその根拠すらも無かった。ただ、無意味な言葉を並べ
不味いコーヒーを何度も口にし、煙草を何本も吸った。

「もう終わったことなの…。」

彼女は首を横に振り、うつむきながら呟いた。そして、ゆっくりと僕の方を向き、顔を上げた
その頬にはひとすじの涙が伝っていた。

僕は何も言わず彼女をそっと抱きしめた。彼女は僕に身体をあずけ、僕は最後の時間が
来たことを理解した。彼女は僕の肩に顔をうずめ泣いていた。その涙がもう愛情による
ものではなく、罪悪感によるものでもなく、今、この瞬間だけ感じられる寂寥感である
ことを知った。濡れたシャツと涙、体温、それが僕が最後に感じられた彼女の全てだった。

最後の時間が過ぎ、僕は彼女を駅まで送った。一層強くなる雨と風は、僕が望む
静寂を与えてはくれなかったが、僕らが共有できる時間をわずかに延ばしてくれた。
地下鉄の駅は、いつにも増して慌しい人波をつくり、僕らだけ世界の端っこにいる
ような感覚を覚えさせた。
801名無しさん:04/10/22 00:57:33
僕は彼女に一緒に居てくれたことへの感謝と、今でも彼女を心から好きでいること
を伝えた。彼女の幸せを祈っていること、彼女が辛いときにはいつでも飛んでいくこと、
いつかまた違った形で会いたいということを冗談っぽく言った。彼女が軽くうなずいた後、
僕らは最初で最後の「さよなら」を言い、彼女は僕にその華奢な背を向け、振り返らずに
改札をくぐった。

「それぐらいはしっかりやれるさ」

帰り道、僕は一人思った。今、彼女の幸せなんて祈れるわけが無い、いつか会える
なんて思えるわけが無い、彼女だって僕の言葉が半ば儀礼的なものだと思っている
だろう。それでも僕はあらゆる綺麗事を紡ぎ、彼女の幸せをいつまでも祈っている
元恋人を演じなければならなかった。そんな自分に無理やりにでも酔うことで、
彼女のいない日常をこなしていかなければならなかった。

深夜のファミレスでは、休憩中の警備員が、残業の合間の夜食を摂るサラリーマンが
無邪気におしゃべりをする学生が、それぞれの日常を過ごしていた。
僕は彼女が好きだったホットココアを注文し、これからの日常を考えていた。
生クリームが飾られた熱いココアを口にした時、今日初めての涙がこぼれた。

長文駄文失礼しました。悲しいよ。
802名無しさん:04/10/22 01:10:12
途中で口挟んでごめんなさい!
話もリアルで春樹度もレベル高いっ。
何より切ない感じが伝わりました。
GJ!&おたがいがんばろう。
803名無しさん:04/10/22 01:34:48
>>802
レスどーもです。セリフ脚色のほぼ実話です。
書きながらかっこ悪い自分に泣いちゃいました。
804駒図5F:04/10/22 12:33:49
やれやれ、僕は激しくわろった。
805名無しさん:04/10/22 15:38:52
>>801
読みながら半泣き。
切ないです。

>>775-776
こちらもとても切ない。。。


みんな上手過ぎ。
挑戦してみたけど思ったよりずっと難しかった。
806名無しさん:04/10/22 17:48:42
彼は、出し抜けに笑った。
「プゲラ」
807名無しさん:04/10/23 11:59:20
「もう会うのをやめたいんだ」
彼は思い出したかのように言った。けれどもそれはふとした気の迷い
で言われた言葉でないのは明らかであった。
彼の声にはそういう場合にはつきものの、少しかすれたような固い響きがあった。
実際に口に出されるまでに、その言葉は彼の舌の上で何度もころがされていたのだ。
「何故?」と私はいつもより大人びた声で言った。
彼はまるで遊園地にいるのであるかのように、コーヒーカップを回しながら口を開いた。
「なんていうかな、僕たちはもう会うべきではない様に思う」
「会うべきではない様に思う?」
「僕は君と一緒にいると楽しいよ。ほんとだ。嘘じゃない。
でも僕は僕のペースを保っていきたいんだ」と彼は言った。
「それって ただ単にあなたのことじゃない」
私がそう言ったあと世界は無音となった。壁にかかった1000ピースの
ジグソーパズルが幸せな思い出を伝えてきた。泣いてしまえば楽なのだろう。
小さな子供が駄々をこねるように泣いてしまえば。けれどそれをやるにはあまりにも
幼すぎた。そして大人になりすぎていた。



808807:04/10/23 12:01:00
あぁ・・・ダメぽぃ。
809名無しさん:04/10/23 13:36:09
まるで僕は、動物園のペンギンみたいに、一日中2ちゃんねるを眺めていた。

それはある意味では、無能な人間のすることだった。
810名無しさん:04/10/23 14:58:10
>>809
( ≧∇≦) ブヒャラ
811名無しさん:04/10/24 14:09:43
age
812名無しさん:04/10/24 19:04:54
しかしまぁ、うまい奴はホントニうまいな。
春樹風っていうよりマンマ春樹って奴いるし。
すごいよ。
村上龍風にやってみようかな。無意味に攻撃的だったりして。
813名無しさん:04/10/25 16:25:59
文才ある人っているねー。
村上龍風も見てみたいっす。
814名無しさん:04/10/26 09:46:38
age
815名無しさん:04/10/29 00:16:20
「もうお別れね」
僕はその瞬間、間違いなく世界で一番まぬけな顔をしていたに違いない。
もし僕の言語が正常で、自分が母親から生れ落ちた日を誕生日と言ってさしつかえないのなら
僕たちはその数秒前まで明日に迫った僕の22回目の誕生日の話をしていたはずだった。
僕は自分の誕生日などに特に関心はなく、実を言うとどこのカップルでもそうであるように彼女の方が張り切っていたくらいで、
ここ数日の間、彼女の話題は僕の誕生日の話題に終始した。
彼女は僕の顔を見ると誕生日に何が欲しいかと聞き、僕は冗談まじりに「愛」などといって笑い、
馬鹿なひとね。と笑う彼女の反応を見て、これまた馬鹿みたいに笑った。
僕は大学に入ってから持て余した時間をアルバイトに注ぎ込むことによって、
多額の現金を得ていたし、自分の生活に必要なものはすでに揃えていた。
第一、僕は彼女と共有した時間の中でもうずいぶんたくさんのものをもらっていたと感じていたから
彼女に何かを要求しようなどとは全く考えていなかったし、考えようとも思っていなかったのだ。
「もう、欲しいものなんてないよ。それよりも、何か食べにいかないか?今日はまだ朝飯しか食べてないんだ」
その日は彼女のいう「一生に一回の出来事」である僕の誕生日の予定を丸一日空けておくために
講義の合間を、雑務に追われて朝トーストを口にしたきり何も食べてなかったのだ。
一日が終わり、やっと彼女の家についてほっとした僕は、空腹を意識せずにはいられなかった。
816名無しさん:04/10/29 00:16:47
「あなたってやっぱりそういう男なのね。私の気持ちなんて全然関係なくて
結局は自分の中でだけでしか生きてないんだわ。私は前からそうなんじゃないかって気がしてた。
でも、違うって言い聞かせて付き合ってきたの。でも結局それは正しかったってことよね。」
彼女は僕をキッと睨んで言い放った。
「おいおい、待ってくれよ。それじゃあ、なにかい?僕は22にもなって自分の誕生日をこりゃめでたいって騒いで、君にあれが欲しい、これが欲しいって
子供みたいに大はしゃぎしなきゃいけないのかい?それこそ男として問題だろう。」
その言葉を耳にして彼女の瞳が一層光を増した。それは僕の嫌う夜の猫のようだった。
「あなたは私が誕生日を祝ってあげたいっていうのを子供みたいに大騒ぎしてると思って馬鹿にしてたのね。
もういいわ。あなたなんて誕生日でも結婚式でもセックスの時でも臨終の時でもずっと食べ物のことを考えてればいいのよ。」
いくらなんでもそこまで言うことはないだろう、言いかけて僕はやめた。
彼女が明日のために何回もケーキを焼いて、僕なんかが名前もよく分からない凝った料理を練習していたのを思い出したのだ。
それに今彼女は混乱しているんだ。女性にはよくそういうことがあるし、僕の彼女も例外ではなかった。
しかし彼女は憑き物が落ちたように冷静に言い放った。
「もうお別れね」
817名無しさん:04/11/01 23:11:11
>>815-816
続きはないのかな?age。
818名無しさん:04/11/01 23:43:44
結果だけを見れば、僕達は終わってしまった。
彼女は静かな口調で言った。「貴方と私じゃ、価値観が違うのよ。私はもう歳だし、楽しさだけでやっていけるようなものじゃないから。」
だから?だから何だって言うんだ。結局のところ、僕には何もできないし、彼女も何も望んでいなかった。
彼女が去った後、僕はいつのまにか世界に取り残されていたのに気づいた。
いつか感じていた、世界との壁。それはもはやどうしようもないところまできていたのだ。
僕はこれから先、何度このような別れを繰り返すのだろうと考えてみた。
不毛な未来。と口に出して言ってみた。不毛な今。不毛な過去。

冷たい部屋の中で、酷くまずいサンドイッチを食べながら、ビールを口に運ぶと気持ちは大分楽になっていた。
やれやれ。意識の後ろでは声を枯らし、音を外しながらマッカートニーが歌っている。塵だ。
さて、と僕は思った。いい加減に何かを始めなければ。
けれど、僕の思いとは裏腹に僕は手紙を書き始めることになる。
きっとそれは一般的にいうならば「遺書」になるんだろう。
819名無しさん:04/11/02 00:12:35
「ばかみたい」 と彼女は言った。
オーケー、僕が馬鹿だった。

これで気は済んだかい? やれやれ、かっこう。
820名無しさん:04/11/02 00:29:42
僕はひどく怯えていた。まるで拾われた猫のようにだ。
そんな僕の心を知ってか知らずか、
彼女はゆっくり温かい心で僕の心を溶かしてくれたのだ
「ずっとそばにいるよ・・・」彼女は僕に、何度も何度も言った
その度に、僕は彼女の目を見つめて微笑んだ
言葉にはなんの根拠もないことなど、僕はとうの昔に知っていたはずなのに・・・
彼女が僕では満足できないこと、僕が彼女を満たしていないこと、
そんなことはわかりきってはずなのにだ・・・

821815-816:04/11/02 18:25:12
彼女の僕に対する愛情は絆創膏のようにぺロリとはげて
一瞬のうちに意味の成さないものになってしまったようだった。
彼女は、まるで用事のないもののように僕をみた。
それは彼女が今度のゴミの日に捨てようと決めていた
彼女の部屋にしては大きすぎるサイドテーブルを見る目と同じだった。
彼女の目は、僕がすでに整頓された部屋の中で一番無意味なものになってしまったことを表していた。
いや、今の彼女はきっと、あれほど邪魔にしていたサイドテーブルよりも、僕を先に捨ててしまうだろう。
僕は急に全くの他人の家に居座っているような居心地の悪さを感じた。
わからないな、僕は言った。
「どうして、僕たちが別れなきゃいけないのさ。
僕たちはうまくいってたし、こんなささいな行き違いで壊れるような関係じゃないだろう?」
「今までうまくいってたとか、そういうことって関係ないのよ。
全然関係ないことになってしまったのよ」
「そんなのあんまりだと思わないか?
君は今、混乱しているんだ。
こんな風に僕らの関係を終わらせてしまうなんて
どう考えてもおかしな話じゃないか。」
「そうね、私は、今混乱しているのかもしれないわね。
貴方が今お腹を空かしているのと同じように、
なにかを食べて忘れてしまうようなものなのかもしれない。
でも、今何かを食べて忘れてしまうものでも、
またお腹が空けば、きっとまた同じことを言い出すに違いないわ。
私にはそれが分かるの。」
やれやれ、僕は思った。
822名無しさん:04/11/02 21:55:04
「あなたの事は、今でも好きよ。」
彼女は最後にそう言って、部屋を出ていった。
いつのまにか僕たちは、恋愛関係ではなくなっていたのだ。
たぶん長く付き合い過ぎたのだろう。
僕たちはもっと早くに結婚するべきだったのかもしれない。
あるいは、これで良かったのかもしれない。
僕は、ダイニングテーブルに腰を下ろし、
ゆっくりと煙草を吸った。
彼女の居なくなった部屋は、ひどく殺風景に感じた。
それはまるで、象の居ない動物園のようだった。。。
823名無しさん:04/11/08 12:07:28
そして僕は、イラク行きのため、ヨルダンへの航空券を手配した。
824名無しさん:04/11/09 12:59:44
よく吉野家にいく。僕はとりたててケチな性格でもなければ、とりたてて牛丼が好きというわけではない。
ただ、僕の部屋から歩いて5分のところにある吉野家は、吉野家の牛丼の中ではいちばん美味い牛丼を出してくれる。
その日も僕は、澄んだ秋の空に誘われて部屋を飛び出し、まるでそうすることでしか生きていけないかのように、吉野家へ入った。
しかし、その日の吉野家はまるで、違った。
あまりに客が多く居た。あまりにも多くの人が居るので、そこが本当に吉野家なのか、当初疑った。
そこには、およそ街じゅうの低所得者層が集結していた。あるいは、低所得者ではないかもしれない。しかし、いずれにせよ彼らの牛丼を食べる姿を見れば、
ぼくはなんともやるせない気持ちになった。
僕は、ここが本当にいつもの吉野家なのかと疑ったので、上を見上げた。オレンジのパネルに「吉野家」と書かれているのか、確かめたかった。
確かに吉野家だった。そして、こう書き足されていた。「牛丼150円引き」。

僕のすぐ後に女の子が入ってきて、言った。
「馬鹿みたい。」
やれやれ。
なんだって、150円引きごときでこれほどまでに低所得者層が終結するのか。
「150円」と、僕は口に出して言ってみた。150円。
そして、自由競争下での値段の推移と需要の関係について考えてみた。しかし、一向に答えは見つからなかった。
気がつくと目の前の椅子では少なくとも中流階級とは思えない家族連れが牛丼を食べていた。
『一家揃って牛丼』と思った。
825名無しさん:04/11/09 13:01:30

僕は生まれてこのかた一家揃って牛丼を食べたことは無かった。しかし、そのことがどれほど切ないふいんき(僕のワープロでは変換できないようだ)を持っているかを知っていたし、それは目の前で牛丼を食べている家族の一員である男の子も分かっていたのだろう。
僕は、彼らに「取引きをしないか?僕は君達に150円わたす。その変わりに君達はその席を空ける。どうだ?」と言った。
当然、そのことに耳を傾けるモノはいなかった。けれども僕は、それを言うことによっていくらか落ち着きを取り戻すことができた。
少なくとも僕の知っている吉野家は、もっと殺伐としているところだった。
まるでポルシェのコクピットに座るかのように、そこはストイックで、いつ死んでもしかたがない、そんな空間だった。
僕が店にはいって15分23秒経過して、ようやくU字テーブルの一番隅の席に案内された。となりには、この店の開店以降訪れた客の中でもっとも体重のある人間が座っており、彼は「つゆだく」を注文した。
僕は、「つゆだく」と、彼に聞こえないように声にだしてみた。そしてまるで、環境破壊についてのドキュメントを見たときのような、苦しい気分にさせられた。
なにしろ、「つゆだく」は、既に流行から一歩退いていたし、割り箸に米粒がくっ付かないという以外にメリットは無い代物だった。
だから、僕は「つゆだく」を頼んでおきながら、得意げな顔をしている彼を見て、とてもやるせない気持ちになった。
この世の中には、彼のように救いようのない悲しみを周囲に振りまくだけの人間がいる。僕はそのことを知っている。
そして彼はほんとうは「つゆだく」なんて食べたいわけじゃないのだ。ただ、「つゆだく」と言いたいだけなのだ。だけど、彼はそう言わずにはいられないし、店員もそのことを知っている。
そして僕はまた、自由競争下での需要と供給の相関関係について、ひとしきり考えた。
それからようやく、僕が注文を聞かれる番がやってきて、僕は「大盛りねぎだくギョク」を頼んだ。
ねぎが多めに入っていて、そのかわり肉は少量となる。それに玉子をつける。
こうすることで、かろうじて僕は吉野家の牛丼を「牛丼」としてたべることが出来た。いずれにしても決して「美味」とは言いがたいことには変わりはないのだけれど。
826名無しさん:04/11/09 13:34:49
「同じことを言うのね」と彼女はため息を吐き出すような小さな声で言った。

「あなたは知らないかも知れないけれど、そんなことは、今までだって何十回も何百回も、
ううん、回数なんか分からないけれど、たくさんの人が言葉を変えて言っているのを
私はずっと我慢して聞いて来たの。
けれど、ここでまでそんなことを言うのなら、きっと一々気にしてしまうわたしが悪いのね。」

スレには吉牛のコピペが村上春樹風に改変されて貼られていた。
それはとても良く出来ている、と言わざるを得ないものだったけれども
826にとっては耐え難いものだったに違いない。たぶん。

「ごめんなさい。余計なことを言ったわね。」と長い時間がたってから826は静かに言った。
「でもね、ここは失恋板なの。だから、そんな風に牛丼の話はもうやめて欲しいの。」
827824:04/11/10 17:17:23
>>826
スマンカッタ。そしてワロタ
828名無しさん:04/11/12 01:55:40
agare
829名無しさん:04/11/12 17:54:27
age
830名無しさん:04/11/12 19:46:29
※春樹風ではないんですが小説チックに・・

彼女が出て行ってもう1年が過ぎようとしている。
それなのに僕はいつまでも彼女の亡霊にとり憑かれたまま

彼女と初めて会った日がいつまでも僕の中でリプレイする。

そう僕は4年前 僕は彼女に一目ぼれをした
いつも見慣れた町並み 
その日はアルバイトが終わり非常に疲れていた帰り道だった。
早く家に帰りたいと思う気持ちに反するように
僕の足はある店の窓の前で止まった。
僕は思わずその窓を見ずにはいられなかった・・。
僕の視線に気がついたのか
窓越しの彼女は僕を見つめた。
そのエメラルドの宝石瞳は僕を一瞬にして捕らえた。
僕はあわてて目をそらしてみたが所詮無駄な抵抗でしかなかった。
弱弱しくも気品のある彼女に僕はもう夢中だった。
あわててお店に入り僕は店員に言った。


「この猫ください」っと・・

12万もしたのに家出なんて・・・(`Д´)ノ



831名無しさん:04/11/15 02:06:05
宮本輝風に語ってください。誰か!
832名無しさん:04/11/16 01:59:30
age
833名無しさん:04/11/24 02:22:28
このスレは興味深い。
834名無しさん:04/11/24 03:29:36
僕らはたくさんの、本当にたくさんの話をした。

「あなたのことはとても好きよ」
彼女はまるでおもちゃを組み立てるように喋る。
「でもどうしても合わない部分があって、嫌なの」
僕は受話器を左耳から右耳に代えた。少し首が痛かった。
「理解しあうのが苦痛になるときがくるのは、仕方ないよ」
「やめてくれる?そういう言い方は卑怯だわ」
彼女の軽い舌打ちが聞こえ、会話は沈黙を手に入れた。CDプレーヤーは同じ曲をリピートしていた。僕は三回めのリピートに入る少し前に、静かに電話を切った。最後に彼女が何か喋ろうとしたのが聞こえた気がしたが、気のせいだと思うことにして、僕はタバコに火をつけた。
835名無しさん:04/11/24 03:47:31
続きはある?
836名無しさん:04/11/24 07:38:40
ゴメンな、ここまでしかないんだ。
837名無しさん:04/11/24 09:12:02
「結局のところ。
 あなたは私を失ったことが悲しいわけじゃなくて、
 最後に私があなたを傷つけたその痛みに酔っているだけなんだわ。
 だからこそ、あなたはもう私と話す気がないのだろうし
 私もあなたに会うことは、もう二度とないのだと思う。
 あなたは私のことを"自分のように"は好きではない。
 つまりはそういうことだったのよ。」
838名無しさん:04/11/29 20:47:21
「だからね、そういうことじゃないの。
あなたが悪いわけじゃないの。
ただ、もう一緒にはいられなくなってしまったのよ。
うまく言えないんだけど、それはもう決まってしまったことなのよ。」

一体なにがどうなってこんなことになったのだろう。
すこしも楽しくない旅行から帰ってきた僕を迎えたのは
彼女の荷物がそっくりなくなった僕の部屋だった。
それが意味するものをはっきりと理解するには僕は疲れすぎていた。
ぼんやりとした頭のままで、ずいぶんと長い間ベッドの上から動けなかったが
突然、強烈な渇きを感じて、ビールをとりにキッチンにむかった。
部屋を侵食した夜の闇の中で僕はまったくのひとりだった。
そして冷蔵庫のドアを開けて人工的な光を浴びて気づくのだ。
やれやれ、今の僕には彼女もなく、それを癒してくれるような友達もなく、ビールさえない。
839名無しさん:04/11/29 21:31:23
もっと読みたい
840名無しさん:04/12/01 14:00:59
「どうしてなの?
あなたが考えている以上に
 私はあなたが何を考えているのかわかっているのよ。」
「どうして?」彼女のワンピースのチャックを上げながら僕は繰り返した。
「どうしてなんだろう。
僕は君との関係に心から満足しているんだ。
 君に問題はない。問題を抱えているとしたら、それは僕のほうなんだ。」
身支度を整えた彼女は完璧だった。
出会った頃から、彼女の美しさは少しも損なわれてはいなかった。
しかし、僕はその彼女を、今まさに損なおうとしていた。
「ずいぶん身勝手なことをいうのね」
「君がそう感じるのはもっともだよ。僕を責めてもいい。
でも、その前に、僕は君に話さなくちゃいけないことがいっぱいある。」
「もう、たくさんよ。わかる?もうたくさんなの」
僕のただひとつの間違いを、やはり彼女が許すはずがなかった。
「そうはみえないかもしれないけど、
わたしだってあなたとのことで傷ついたのよ、ずいぶん。
だから、またあなたを受け入れられるようになるまでは
ここへは来られないと思うの。」
「どのくらい?」
「たぶん、しばらくの間」
彼女は目をそらし、黒のコートを羽織りながら、
ゆっくりとそう言うと、振り向きもせずドアに向かった。
僕はその後ろ姿を見送ったあとで、
きっと、そのしばらくというのは永遠であるのだろう、
そう理解して目を閉じた。
841名無しさん:04/12/09 01:34:29
「つまり僕は恋愛対象じゃないってこと?」

あの日、友達に戻りたいと呟いた彼女は憂鬱そうに僕を見て、ため息をついた。

「そうじゃないの、そういうことじゃないんだけど」

誰かが言った「無知は罪である」と。
もし彼の言葉が正しいのであれば、僕はすぐさま牢獄に入れられてしまうかもしれない。
今にして思えば、女性について、人を愛することについて、僕はあまりに無知だった。

「人はその積み重ねで成長するんだよ、元気だせって」
親友はこう励ましてくれた。
「彼女以上の女性には生涯会えない気がするんだ」
「何言ってんだよ。女は星の数ほどいるって言うだろ?俺も昔は・・・」

あの時何を言い、どうすべきだったのか今ならわかる。
しかし、時間を巻き戻すことはできない、たとえ僕が神だとしても。

「神よ」
そう呟いて窓の外を見た。赤い葉は全て枯れ落ち、木々は虚無的な揺れに身を任せていた。
冬が近づいている。そして、ここにはもう彼女は来ない。
842名無しさん:04/12/11 01:02:08
前に別れた恋人は村上春樹小説の大ファンだった。
当時、相手の趣味に合わせるべく数冊購入して村上作品を読んだが、
氏の長編小説は、古典文学好きの私にはあまり合わなかった。
独特の言い回しや、不完全燃焼感すら覚える結末が合わなかったのだと思う。
だから勧められていたにも関わらず春樹作品を全部読破することはしなかった。
しかし、こうして今このスレッドを読んでいて改めて気が付いたことがある。
彼の台詞には村上的表現が多分に盛り込まれていた、ということだ。
例えば>838に類似した台詞を別れ際に言われたし、>826のようなやりとりもしたと思う。
「やれやれ」は口癖だった。
付き合ってから別れるまで、相手が時々見せた独特の言い回しの数々は妙に浮世離れしていて、
ロマンティストである私の心を高揚させた。
しかし、そんな台詞も彼のオリジナルではなく村上春樹の模倣に過ぎなかったのだ。
もちろん”模倣”を否定する気は毛頭ないが、気が付いてしまうと寂しい。
もしかしたら、彼は村上春樹作品に魅せられるあまり、
春樹作品の登場人物になってしまったのかもしれないな、と思った。
843名無しさん:04/12/18 00:06:16
age
844名無しさん:04/12/19 02:32:40
「ごめんなさい」と彼女は言った。
「何が?」と僕は訊いた。
「私、あなたを本当に愛しているのかどうか、わからなくなってきちゃったの。
 もちろん一緒にいて楽しいわ。今日も水族館に行けてとても良かったし。
 でも、今私はあなたを愛しく思えていないのよ。理解してもらえないかもしれないけど、
 そうなの。だから、あなたを愛しているのかということが、私にはわからなくなっちゃったの。」
 僕は黙って聞いていた。
「でも、これだけは信じてほしいの。あなたが好きと言ってくれた時、私はとても嬉しかったの。
 それなのにどうして? だって私、本当にあなたを愛してると思ったのよ」
 彼女はそう言うと、僕と目を合わせないようにして下を向いた。
「ひとまず、落ち着いた方がいい」と僕は言った。
 彼女はコーヒーを飲み、何度か両手を組み直したりしていたが、
しばらくするともう一度「ごめんなさい」と言った。
「私、あなたとこれからも続けていくか、もう少し考えさせてほしいの」
 何という理不尽な言葉だろう――と僕は思った。彼女は僕を愛しているようにしか
僕には見せず、僕はずっとそれを信じていたのに。
「わかったよ」僕は肯いた。
 僕は他に何か言うべき言葉を探したが、そんな言葉はどこにも見つからなかった。

 二年前の僕はとても純粋だった。少なくとも今の僕にはそう思えた。
 その思い出はとても美しすぎて、それから二年経った今でも何かと僕の中に戻ってきて、
僕の頭を混乱させるのだった。
 やれやれ、また村上春樹風スレッドか、と僕は思った。
845:04/12/20 03:14:09
なんか違〜う
846名無しさん:04/12/21 09:31:30
これを書いても何一つ変わりはしないさ。

君とと会わなくなったことは確かに急な出来事で有り、今更ながら絶望の日々を歩み始めてる。やれやれ、いつまで続くやら…

それは人生において 君と過ごした日々は 好むにしろ好まざるにしろ確実に存在してしまっていた。

そして、君の部屋は僕にとって居心地の良い空間だったからだ。

しかし、だからといって君にとっては 何故その空間において僕が必要なくなったのだろうか。

いまさら そんなこと考えても必然性の対象にはならないし、事実 問題の解決にもならないね。
847名無しさん:04/12/21 09:32:17
たとえば、
そんなことは何年かしたあとに思い出してみて

「あの時あの空間は確かに人生の隅に存在しそして、その時間は良くても悪くても、人生において 必要の無い事実など有り得ない」

なんて、理論づけてみる。

誰かに「後悔してる?」と聞かれたら、「誰かを好きになることを後悔したら、その人を信じてなかったよ。」

そうやって僕は自分を嫌いにならないように生きて行くしかないのさ。


罪を償いながらね。
848名無しさん:04/12/21 13:20:55
↑これもまた何か違う…
849名無しさん:04/12/21 22:07:29
>>845=848
うぜぇ
850名無しさん:04/12/21 23:38:28
>>848
例えお前さんがそう思ったとしても、その事をわざわざ書き込むべきじゃないだろ。
頑張って書いてくれている人たちに対して、書き込みにくい雰囲気を作るべきじゃないよ。
851名無しさん:04/12/21 23:54:23
頑張って書けば何でもアリなのか
852名無しさん:04/12/22 02:08:30
なんか違うのに思い込みで書かれてもねぇ…
853名無しさん:04/12/22 04:38:34
書いて下さい。
854名無しさん:04/12/22 04:55:33
これだけレスついたのに結局>>1を越える文はなかったな
855名無しさん:04/12/22 09:55:55
あーあ、終末の絵描きスレと同じ展開させちゃっているよ。
良スレだったのに、このスレも終わりだなw
856名無しさん:04/12/22 16:24:06
やれやれ
857名無しさん:04/12/22 17:26:07
「愛というものがなければ、世界は存在しないのと同じよ」
「愛がなければ、そんな世界は窓の外をとおりすぎていく風と同じなのよ」
と村上春樹の小説の一節にあったのを思い出した。

僕は失恋したせいか、寝不足のせいか、本の中の単なる科白に
心が揺れ動かされてしまった。
やれやれ。
858名無しさん:04/12/24 07:35:50
こりゃこりゃ
859名無しさん:04/12/28 09:09:30
上手い人は本当に上手い。
860名無しさん:04/12/29 00:17:30
「今年もあと少しで終わり。
 今年のほとんどをあなたのために費やしてしまって
 自分のために残った日がたったの3日。
 
 でも、その3日間ですら、私は自分のために使うことができないのよ。
 ほんの小さな時間の隙間にまで、あなたの記憶が入り込んで生活の邪魔をするの。
 もうこんなこと、自分でもうんざりなのよ。
 どうしてそうなってしまうかなんて、分からないの。
 分からないけれど、私にとっては厳然とした事実なの。
 あなたが信じようと信じまいとね。」

 
 
 
861名無しさん:05/01/10 23:22:48
保守
862名無しさん:05/01/15 00:57:14
いいなぁ〜このスレw皆さん、村上春樹が好きなんだなぁっていうのがよく分かるw
863名無しさん:05/01/15 05:33:07
「僕には分かるんだ」と僕はベッドの横にいる女の子に言った。
「僕はあの時、別れるべきじゃなかったんだ」
「そうかもね」
女の子な髪の毛の先をいじりながら言った。
それでもその夏は、僕はスパゲッティを茹で続け、25mプール1杯分のビールを飲み、女の子とセックスをした。
結局そういうものだろう。
864名無しさん:05/01/15 05:37:08
僕は彼女を引き止めるべきだったんだろうか?
それがこの文章のテーマだ。
出口があればいいと思う。
865名無しさん:05/01/15 05:39:50
もう浮かばない。
やれやれ。
866名無しさん:05/01/15 05:39:52
そして寝た。
867シナモン:05/01/16 23:04:55
ある日部屋に帰るとまるでいつもと様子が違うことにきがついた。
僕の部屋ではないような気さえしたがそこは確かに僕の部屋だった。
なにが変わっているかしばらく僕には理解できなかった。すぐにわかったのはいつもおいてあるはずの場所に双子のパジャマがないこと。
そう、双子の荷物がすべてなくなっていたのだ。
かわりに置手紙が一枚テーブルの上に決してきれいではないが丁寧な字でこうかかれていた。
「今までありがとう。とてもたのしかったよ。
このまま帰るのもなんなので洗濯物干しときました。
帰ったら取り込んでね!」
僕は言われたとおり(書かれたとおり)に洗濯物を取り込んだ。洗剤は切らしてたはずなのだが、双子がかってきたのかだろう。
もう双子にはこれから二度と会うことはないのだろう。そのときぼくはそう思った。


でも実際、そのあとあったの4度目!!!
868シナモン:05/01/16 23:21:05
駅の改札に双子の一人が立っていた。208だ。
3ヶ月前別れてから4度目話しかけようか迷ったが、おそらく彼女は新しい彼氏と待ち合わせているのだろう。
僕は気づかないふりをして彼女の前を通り過ぎた。208も気づかないふりをしているのだろうか。
今でも僕は彼女たちをとてももとめていた。とてもひつようとしていた。しかし、僕らの関係は主演女優と、ただのエキストラ通行人Aに過ぎないのだ。
869シナモン:05/01/16 23:26:05
スパゲティーをゆでた。彼女と最後に食べたジェノベーゼのスパゲティだ。
それからビールを飲み、つまみにピーナッツを食べた。それだけでぼくの腹は満たされたが、
870シナモン:05/01/16 23:37:39
めんどくさい男ね。
それが彼女の口癖だった。僕が本当に面倒くさい男かどうかは僕にはわからない。
おそろいの指輪は今では僕のネックレスになっている。自分たちでお互いに作ったものでとても思い入れがあった。
もしそれが買ったものなら、すぐに捨てられたかもしれない。世界でひとつしかないのだから。
タバコを何口ですうかは人それぞれということだ。僕はだいたい8回から10回吸う、ひとによっては3回で火を消してしまうこともある。
あるいはフィルターぎりぎりまで吸うひともいるということだ。

871:05/01/19 23:02:38
ずいぶんとのっぺりとした日常を過ごしているな、と思う。
けっして代わり映えのしない毎日というわけではない。
平和―それは僕の中で限りなく「怠惰」と同義だ―を好む僕にしては、
むしろきみと別れてからの一年は、相当に起伏にとんだ日々だといえた。

目覚まし時計より早く起きて、卵とベーコンを炒める音で目を覚まし、
シナモンをトーストに掛けて―きみの好きな食べ方だ―、牛乳とともに胃に流し込む。
曜日ごとに決まったシャツとスーツに身を包み、鏡に向かって髪を整え、髭を剃り、歯を磨く。
そして曜日ごとに決まったネクタイ―月曜日はきみの選んだ薄黄と濃紺の斜めのストライプ―を巻き、
日曜日に念入りに磨いておいたリーガルに、踵が潰れないようにそっと足を入れていく。
そしてムクドリのように電車に揺られ、ムクドリのように与えられた仕事をこなし、
毎週火曜日にはムクドリのようにチャーミングな後輩の女の子とギムレットを飲み、
ムクドリのようなセックスをしてから、家に帰る。
そして曜日ごとに決まったネクタイとスーツとシャツを脱ぎ、
よく冷えたビールで炒ったピスタチオを胃に流し込みながら、ジミー・ウィーザスプーンのミリガンを三回聴いて、
マリアナ海溝のうつぼのように眠りにつく。

それは悪くない生活だった。
きみという刺激と掛け替えに選んだ、忘れかけていた貴重な平穏だった。
それでもふとしたとき―たとえばベーコンの脂身がいつもより少なかったり、
ギムレットのライムが気持ち濃かったりといった些細な違いだ―
左目の奥に、痺れにも似た痛みがよぎることがある。
それは針でつついたような、小さくて一瞬の痛みでしかないのに、
それを意識してしまうと、水を吸う葉脈のように壊れた細胞を少しずつ広げ、
終いにはすっぽりと僕を覆いつくしてしまうのだ。
872シナモン:05/01/22 01:20:44
「20度のフライパンの上に油を注いだような静けさ」
って言葉が出てくる小説ってどれですか?
知ってる日と教えてください。

873:05/01/22 18:02:18
彼女が夢中になって読んだ「海辺のカフカ」。
渡したままになってしまった「世界の終わりとハードボイルド・ワンダランド」。
874シナモン:05/01/24 23:11:23
たばこをくわえてそれに火をつけた。
ぼくはひどく疲れていた。
その日僕は、彼女の残した指輪のルビーを買って帰った。家に着くなり、僕はその指輪にルビーをはめ、接着剤で貼り付けた。今度こそははがれないようにと
なぜいまさらそんなことを今さらしているのか僕にもわからない。
しかし、ぼくはそうすることがはじめからそう決まっていることのようにあたりまえに、そして速やかにそれをした。
今度彼女に会ったらどうするのだろう。おそらくこのゆびわを返すのかあるいは話しかけることすらできないのかもしれない。
それが終わるとよく冷えたビールを胃に流し込んだ。とても寒い日だった。テレビで今年一番といっていた。僕には彼女がいなくなった日から心に大きな隙間風がふくようになり、
いくらその穴をふさごうとしたところで無理なのだと最近になって悟った。
もがけばもがくほど引きずり込まれるあり地獄のように。僕はあり地獄に入ってしまった、アリなのだ。ただ働くためだけに生まれてきたありは死ぬまで働きアリでしかないように、
875名無しさん:05/01/24 23:19:47
>>874
上手いですねぇ・・・。私も書いてみようかなぁ。
876名無しさん:05/01/25 01:07:25
>>875
…自演すか?
877名無しさん:05/01/25 06:42:28
>>876
・・・同意。いうほど、うまくないよね・・・
878シナモン:05/01/25 20:18:01
うまくないですよね。ぜんぜん。。。
879シナモン:05/01/25 20:25:34
うまいとか、うまくないとかそんなことはどうでもいんですけど。ただここはうまいうまくないを書き込むスレではないんじゃないですか?
もちろん、うまいって言われればうれしいし、うまくないといわれれば嫌な気持ちになるのは人間ですから当たり前ですよね。
村上春樹が好きでこのスレを見ているんだと思います。村上春樹の小説を読んでいるんだと思います。
もし本人(村上春樹)がこのスレをみてうまくないとか、違うとか書いてあるのを見たらなんて思うかくらいわかりますよね?
それにどうしたって村上春樹のようには書けないですよね。
僕のいいたいことわかりますか?
880名無しさん:05/01/25 20:32:38
なんか小説読みたくなっちゃった
881名無しさん:05/01/25 20:54:48
うまいうまくないを判断するのは他人だ。オマイの失敗は「村上春樹風」に失恋話を
するスレに書き込んでおいてちっとも「村上春樹風」になってないところだ。
それをうまくないという。
評価がもらえなかったからって逆切れスンナ。
だから女に相手にされないんだ。
882名無しさん:05/01/25 21:04:18
なるほどね。
>>881
883シナモン:05/01/25 21:20:01
あーあ、881に返さなきゃよかった。無視すればよかったんだよな
でも村上春樹ファンにこういうのがいるのが僕はとても残念だったのと同時にすごく腹がたってしまったよ。

もう書きこめないじょん。雰囲気的に
あー失敗失敗、
884シナモン:05/01/25 21:46:10
あと一言いいかい?881みたいな書き込みする人はいったいどういう人なのか
個人的にとても気になるんだよね。こんな性格じゃ世間に出てもあいてにされないどろうから
きっと世間ではふつうの人なんだろうと思う。あるいは俗に言うひきこもりでもないかぎりやっていけないんじゃないかと思う。
こういう書き込みに「だから女に相手にされねんだ」とか平気で書けるというのは僕にはどうしても理解ができない。
やれやれってことですよつまりは、
885:05/01/26 01:31:24
意見はいろいろあってしかるべきだ。
きみのいうことにすべてが肯く世界なんてつまらないだろうし、
きみのいうことすべてを否定するほど、ここは哀しい世界でもない。
つまるところ、きみをこの世界の中心にするか、
きみをこの世界から追い出してしまうかは、きみの選択次第なんだと思う。

僕はシナモンでも881でもないから、二人の気持ちは一生理解できない。
だが、二人の感情の流れを読み取る努力は出来る。
それはしかたのないことなのだろう。
ことこういった世界ではままあることだと割り切るしかないのかもしれない。
ただ僕は、そのふたつのささやかな流れが堰きとめあって、
本来あったはずの大きな流れを止めてしまうかもしれない、
そのことを一番哀しく思う。
886シナモン:05/01/26 21:38:24
なにが言いたいのかよくわからない。
ものごとをもう少しわかりやすく言ってもらえないだろうか
それになにより、881を書いた人と一緒にしてほしくない。
ぼくは村上春樹の書いた小説についてとても関心をもち、
そしてこのサイトを見るようになった。ここを見る人はそんなふうに村上春樹に
何らかの関心をよせてここにいきついたのだろう。
べつに自分の書いたものにどうこう言われたからとかそんなんじゃなく、881のような書き込みをすることはこのスレには必要ないと思っているだけだ。
ほかでどれだけ批評しようが人が嫌な気持ちになることを書こうが僕はかまわない。
多少、ひとそれぞれ村上春樹の小説を読み思ったことや感じたことは違っているだろう。
気に入らない文章があればそれは違うって書いてしまう人もいるだろう。
ただ、それ以上に人をけなすようなことを書く人間に対しての苛立ちを感じるだけだ。
ぼくがわかってほしいのはそれだけです。
881書いた人わかってくれましたか?
わかってくれると思ってます。
887名無しさん:05/01/26 22:07:24
みんな上手いねぇ。
感心します。
888名無しさん:05/01/26 22:23:31
なんだこいつは。
村上春樹好きなら、スレの流れをとめて、空気を読まず、評価されないことへのウラミを
何度も垂れ流していいと思ってるのか。
真性のキチガイ?
書き込みのいちいちが村上春樹に似つかなくても、許されるってか。
薬、ちゃんと飲みなよ。
889シナモン:05/01/26 22:46:12
流れをとめたくないならなおさら888みたいなのはいらないよねって言ってるだけだよ。
なにかまちがったこと言ってるかい?
まともなこと書くきがないのならやめてくれないか。
もう、うんざりだよ。
890名無しさん:05/01/26 22:51:10
シナモンさんうざいです。
891名無しさん:05/01/26 22:56:47
もうほっときなよ
>>890

シナモンさんの言うこともわかるけど
もうやめたら?あらしを本気で相手にしてもしょうがないですよ
892名無しさん:05/01/26 23:37:51
流れぶった切りで申し訳ないんだけど
885の文章、個人的に好き。
893シナモン:05/01/26 23:51:51
いや、やめないよ。
ぼくが888のような言葉遣いで書いてたらだれも相手にしないんだろうけど、こういう口調で話してるから
みんなの気に触るのか?
うざいんだったらまず、相手にするべきではないんじゃないかな。
僕のこんなどうしようもない書き込みに返事を書くことがこのスレの目的かい?
ちがうはずだよ。
そんなことみんなわかってるはずだ。
僕を相手にしなければもうこれ以上こういうことは後にはないんじゃないか。
894名無しさん:05/01/26 23:53:05
電波入ってるな
895名無しさん:05/01/27 00:09:11
>うざいんだったらまず、相手にするべきではないんじゃないかな。

誰に言ってるのこのひと。自問自答?
896名無しさん:05/01/27 00:09:54
村上春樹って、句読点抜いてダラダラ垂れ流せばいいの?
897名無しさん:05/01/27 00:24:10
シナモン←NGワード登録推奨
898名無しさん:05/01/27 00:39:26
確かにこのスレは異質だった。
感情的になりがちな失恋という経験を持った人達が
村上春樹風に自らの痛い経験を話すという矛盾。
矛盾?
だってそうだろう?
失恋なんていう個人的な----そう。感情的にとても入り組んだ
迷路のような痛みの渦中に居る人達が
春樹のような文体で冷静に経緯を語るなんて馬鹿みたいじゃないか。
と、その時の僕は思った。

けれど、それは誤謬だった。
春樹は確かに失恋に効く。
理由なんて分からないし、分かる必要も僕にはない。
僕が必要としている言葉は
それぞれの春樹の、それぞれの『痛みの経緯』だけなんだ。
899:05/01/27 01:10:00
>>892
dクス。

褒められればやはり嬉しい。
逆に気にくわないという人もいると思う。
春樹っぽいと思ってくれる人もいるだろうし、
違うよという人もいると思う。
けなされたら、やっぱりちょっと寂しい。

ただ僕は好きだから書いた。
そこにあるべき流れのひとつになれるように。
届かないと知りながら、ひとつの名をおこがましくも冠して。
僕にとって過ぎた恋と春樹は同じところにあったものだから。

だけど望ましい流れが消えてきた。
戻れと思えばこそ題材を変えてみたけど、
かえって焚きつけちゃった。
シナモンや、気を害したならスマンカッタ。
もうどうか元の空気に戻そうや。
貴方が求めて訪れた頃の、本来の空気に。

そろそろ名無しに戻りますm(_ _)m
900名無しさん:05/01/27 22:09:15
集中してものごとにとりこむことで
彼女のことを僕の思考の中から追い出そうとしている。
何かに集中するということはそれほど難しいことではない。人の話をきくとき、
仕事をするとき、タバコをすうとき。
そうすることで少しでも彼女のことを考えないようにしていた。
家の中でも僕はしんけんにテレビを見るし、
しんけんにスパゲティをゆでる。にんにくを焦がさないように、麺をゆですぎないいように気を使う。
結果、おいしいスパゲティができる。
そんな具合で常にいろんなことを集中するようにこころがけている。
だから仕事ではなかなかの信頼を築くことができた。
ぼくにはそんなことはどうでもいいことだった。仕事で成功しようなんて欲はとくにないし、
今の仕事がとくにすきなわけでもなかった。
ぼくは彼女のことをおもいだすことだけがつらかった。
彼女の笑顔を思い出す。彼女の悲しい顔を僕は思い出す。
笑顔を思い出すたび僕はあのころにもどり、
あのころの空想の中にすいこまれてしまう。
悲しい顔を思い出すたびに僕は現実の世界を知り、
その現実の世界のなかにちっぽけな自分の存在を見ることができた。
6月の空のようにおもたく暗くなったぼくの心は、
それを写し出したかのように、鏡の中の自分をうつしだしていた。
そこにいる自分はおそらく長い冬眠が必要なのだ。
熊のように、あるいは蛙のように長い冬眠が必要だ。
もう眠らなければいけない。
長い冬眠にはいることにしよう。
目が覚めるときには春がきているはずだ。
多くの場合そうであるように
901名無しさん:05/01/27 22:40:27
ん〜

文章はわるくないけど段落とかつけて
もっとみやすくするといんじゃないかな。
あと間あけるとかすればもっとみやすくなるとおもうよ!

がんばれ!!
902シナモン:05/01/27 23:37:44
すごい反響だ。
さまざまな意見があるんだね。
みんな良くも悪くもぼくに関心が集まってるんだ。

「ばかみたい」

とゆきは言った。
903名無しさん:05/01/28 00:04:17
>>900>>901>>902
まぁどうでもいいのですが漢字を使ってくれると読みやすいかな
あと下げたほうが叩かれずに済むかも

904名無しさん:05/01/28 02:01:18
僕たちはその時になってはじめて気づいた。
世界は核兵器や王様の気まぐれなんかで終わるんじゃない。
ひとりのキチガイが現れることなんだって。
905シナモン:05/01/28 08:30:54
ぼくは900書いてません
906キチガイシナモン:05/01/29 23:55:42
バーカバーカ
907名無しさん:05/01/31 04:46:58
「結局あなたは前の彼女が忘れられないのよ」
朝食を作る彼の背中にむかって語りかける。
おかしい、こんなことを言うつもりはなかったのに
「それは違うな。僕は僕なりに不完全な形であるにせよ君が好きだった。
ねえ、こうなってしまって僕も本当に残念だと思うよ」
「それはあなたの本心ではないわ。どうして私にわかって貴方にわからないの?
どうして4ヶ国語がはなせて大学院に在籍していてそんなこともわからないの?
あなたは23年間なにをしてきたの?」
彼の後ろにたって抱きついてみる。それは温かく、確かだった。
私は彼の身体に触るのが大好きだった。胸の筋肉にさわり、平らな腹をなで、
水泳で鍛えたたくましい腕で眠るのが。
でもそんなものがいつまで存在し続けるのだろう?
結局のところ私はもう彼の人生に関わりのない存在になってしまったのだから。
「さようなら、元気でね」
「また会おう。しばらくして落ち着いたら、たぶん」
でも私たちは知っていた。たぶん、はもう永遠にこないのだ。
908名無しさん:05/01/31 22:45:27
たぶん、は永遠に来ないのだ。

切ない・・・・・。
女の子版@春樹 上手ですね。。
909名無しさん:05/02/01 03:51:21
朝眼が覚めると長い間眠っていたはずの携帯電話が点滅している。
それは朝カーテンを開けると外一面が銀世界の様な驚きに似ていた。
僕はそれを−半ば機械的に−持ち上げメールを開いた。
「もう連絡は一切しない」
たった一行そう書かれていた。僕はそれが文字であり言葉であり感情である
ということを認識するまでに暫くの時間を要した。

「もう連絡は一切しない」
僕は声に出してその文字を眺めていた。やがて僕は軽い吐き気を覚え、
洗面所で何度か吐いた。依然僕の頭は混乱しそして拒否している。
嘔吐で疲れきった体を壁にもたれさせ、手を伸ばして洗面所のスイッチを切った。

終わった。
そう、まるでスイッチを切るように。そして僕にまた暗闇が訪れた。

910名無しさん:05/02/01 23:34:37
↑なんか違う
911シナモン:05/02/01 23:50:38
なんか違うとか、違わないとかそんなことはどうでもいんですけど。ただここは違う違わないを書き込むスレではないんじゃないですか?
もちろん、似てるって言われればうれしいし、なんか違うといわれれば嫌な気持ちになるのは人間ですから当たり前ですよね。
村上春樹が好きでこのスレを見ているんだと思います。村上春樹の小説を読んでいるんだと思います。
もし本人(村上春樹)がこのスレをみてうまくないとか、違うとか書いてあるのを見たらなんて思うかくらいわかりますよね?
それにどうしたって村上春樹のようには書けないですよね。
僕のいいたいことわかりますか?

912名無しさん:05/02/03 04:48:31
なんかわからんがシナモンよモチツケ
913名無しさん:05/02/03 22:01:37
にせもんか?
914名無しさん:05/02/04 00:12:44
これからここは「シナモン風に失恋話をするスレ」になりました
915名無しさん:05/02/06 01:45:30
シナモン風とか、シナモン風じゃないとかそんなことはどうでもいいんですけど。結局似せるのも主観ならそれを似てないと感じるのも主観じゃないんですか?
僕は村上春樹が好きでこのスレで村上春樹を好きな人と村上春樹風に文章を書きあったり読んだりできればと思って来てるし、みんなそうなんだと思います。
それをたった一言の批判だけで切り捨てたらこのスレの存在意義なくなっちゃいますよね?違いますか?
下手といわれたら当然傷つくし、そういう傷つけ方をする人が村上春樹を読んでると思うと残念です。そう思わない?
思うはずだよ。
だけどそれが2chですよね?よくもわるくも、そういったものをスルーして、よしのふいんきに留めるのが暗黙の了解じゃないんですか?
シナモンもおかしいと思います。村上春樹風に失恋話をするスレでシナモンは「どうしたって村上春樹のように書けない」って、それおかしいですよね?
結局どうしようもない批判に何の考えもない受け答えをしていただけですよね?
こんな僕を相手にしなければいい、そういうならシナモンの存在価値はこのスレにはないわけですよね?
それでも絡まれればムキになって噛み付いてくる。
スパゲティを茹でながらよく冷えたビールを空け、自分に向けられた発言を鳴らない電話のように待っているだけですよね?
それでやれやれ結局何日も更新されないスレになってしまった責任くらいはとってもらえますよね?
二度と出てこないでください、シナモン。

と、シナモン風に書いてみたが、内容伝わらんのじゃないか、この文体はw
916シナモン:05/02/06 02:37:09
何いってんの?
917シナモン:05/02/06 02:44:03
責任を取れといっている。
二度と出てくるなといっている?
逆にききます。
ぼくをスルーすることは君たちはできないのにぼくにはある程度の批判はスルーしろといっている?


こんなことかいてたら、どうせまたみんな噛み付いてくるんだろうね。

最近、このスレ逆に毎日楽しみです。
918名無しさん:05/02/06 09:33:57
面白そうとおもって来てみましたが、
なんか荒れちゃってるんですね。
残念。

シナモンってひと、コテハンでageてたら、
そりゃ叩かれますよ。
それに誹謗中傷ならスルーすればいいのに、
真面目に反応しちゃうから、叩かれるんじゃ?
叩かれてるのに、僕をスルーしろって、
なんか違うような・・・

あとどうせ反論するなら春樹っぽいと面白いw
春樹好きなんで、春樹っぽいの読みたいです。
上のほう、おもしろいもん。
わたしも落ち着いたら春樹風に失恋話してみたいです。
919名無しさん:05/02/06 23:22:34
>>915
うまいwww
920名無しさん:05/02/07 22:19:13
そうかな?
いいかげん
もとのふんいきにもどさないか?

やれやれ
921名無しさん:05/02/08 00:36:07
>>920
とりあえずsageないか?
922名無しさん:05/02/14 22:41:56
ライ麦
923名無しさん:05/02/16 15:26:25
「他の板でも村上春樹スレが活躍しているようです。
 ここもガンガロ!!age」
と僕は言った。
924名無しさん:05/02/16 17:19:46
やれやれsage進行なのに、どうしてかな
と僕は言った。
925名無しさん:05/02/16 18:33:47
2月の雨――。
この季節、冷たい雨が降ると、彼女のことを思い出す。

公園通りを駆け下りてくる彼女。
白い息を吐き出しながら一心に僕のもとに駆け寄ってくる。
チワワみたいに真っ黒な瞳で僕を見あげる。
赤い包みを僕に渡し、照れくさそうに微笑む…。

――全てはもう、過去の話だ。
926名無しさん:05/02/16 21:55:34
まだ、このスレ生きてたんだ…

ここに書き込んだとき付き合ってた彼女とは別れ、
別な女と付き合い、
また、一人になって、
このスレを読んだ。

ここに思い出があるんだな。

おまいらがいて、胸が熱くなった。
サンキュ

927名無しさん:05/02/17 20:38:09
「おそろいの幸せの黄色い携帯電話」
君はそういいながらこの携帯を買ったよね。
デジタル化された君との想い出が、この黄色い機械の中に詰まってる。
君との時間を想いながら、眉間に皺を寄せ、ボタンの操作をする。
おそろいの狐のストラップが僕にほほえみかける…。

もうデジタル化された想い出を新しく造り出せない、幸せの黄色い携帯電話。
928名無しさん:05/02/18 01:15:51
おそらく、このスレッドには本当に巧くかけている人などいないのだろう。
929名無しさん:05/02/18 17:35:16
>>928
だってみんな村上春樹じゃないもん。
本当に上手く掛けてたら文学賞作家になれるよ。
930名無しさん:05/02/20 01:33:39
>>929
ガンダム風とか、そういうのなら楽しいけど
村上春樹みたいな文豪を下手に真似するのは痛い
931名無しさん:05/02/20 18:25:49
うるさいよ。
ガンプラおたくが!!!
932名無しさん:05/02/20 18:26:42
やれやれ
933名無しさん:05/02/20 20:26:01
「父さんにさえぶたれたことないのに!」
冷えたビールを胃に流し込みながらぼくは思った。
934名無しさん:05/02/20 21:11:59
「君を抱きしめたいと思う。」
私は黙ったまま、カーナビゲーションの薄明かりに照らされた
俯いたままの彼の横顔を見つめた。
「でも、今の僕にはそんな資格はないんだ。」
資格?そうね、あるいはそうなのかもしれない。
私もあなたを抱きしめたいと思う。あなたに抱きしめられたいと思う。
その事実だけで、あなたは十分にその手を伸ばす資格を持ち合わせているのに。
そうできないのは、むしろ、私にその資格がないからだ。
「でも、これからも君と一緒にいたい。それだけははっきりしてるんだ。」
その時初めて、彼は私を真っ直ぐに見つめた。
その目は、いつもの自信に溢れた彼とは違い、少し怯えている様に見えた。
「うん。分かった。じゃあまたね。」
そう呟くと、私はドアを開け、車から降りた。
そして少し微笑んで彼に手を振った。
そう。分かったのだ。彼は、彼女を選んだのだ。
935名無しさん:05/02/20 21:27:58
コックピットに乗り込むと、見たことのない計器がカラスの子供のように並んでいた。
そもそも僕が見たことのある計器なんて、そんなに多くはない。
それでもこの飢えて口を開く子供たちに餌をやらなくてはならないのだ。

やれやれ、なんだって僕はこのモビルスーツに乗り込んでしまったんだ?
とにかくマニュアルとひらめきにしたがって、ひとつひとつ手順を踏んでいく。
男はよく乗り物を女性に例えるが、その意味が何となくわかった気がする。
フラウ・ボウもそうなんだろうか。目の前の敵、計器、フラウ・ボウ。

僕は混乱していた。
頭を振って作業を中断し、両手をポケットに入れ、小銭を数える。
・・・2750円。大丈夫だ。落ち着いている。
僕は改めて操縦桿やモニタ類と対峙した。

「いいか?君は世界で一番タフな15歳にならなくてはいけない」
そうだ。僕は世界で一番タフな15歳にならなくてはいけない。
「ときに目の前を壁が立ちふさぐこともあるだろう。例えば3体のザクだ。
きみはそれを、頭部バルカンで、ライフルで、ビームサーベルで倒さなくてはならない。
スマートすぎてはいけないし、だけどやられるわけにはいかない」
わかってる。やられるわけにはいかない。

僕はゆっくりと機体のロックを外した。
936名無しさん:05/02/23 00:54:24
>>930
このサイトについてこんなふうな書き込みするやつはshine
937名無しさん:05/02/23 01:00:18
age
938名無しさん:05/02/23 01:41:18
>>935
「ワロタ!!」
僕はそう画面に書き込んだ。
それは確かに僕の気持ちの反映であったはずなのに2chという媒体のことばを使った瞬間、
まったく僕という存在から離れてしまった。
でもそれがなんだというのだろう。好むにせよ好まざるにせよ
僕はこの方法をつかってしか世界と対峙する術をもたないのだ。
僕は混乱しているのかもしれない。彼女とわかれたあの日からずっと。
しかし重要なのは日々慎重にこなしていくことなのだ。

僕は「書き込む」をクリックした。
939名無しさん:05/02/27 12:43:02
age
940シナモン:05/03/01 23:58:03
どうしようもない三流映画をみたあと、ぼくは喫茶店へ行きうまくもないコーヒーを飲んだ。

941名無しさん:05/03/03 21:05:59
「ごめんなさい」と彼女はつぶやいた。
伏目がちに、何でもないことであるかのように彼女は言った。
しかしそれは僕がこれ以上口をはさめないように計算された言葉だった。
「謝ることないさ」と僕は答えた。
一瞬後ろを向いて振り返ると、もう彼女の姿はなかった。
  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・        
一体何が彼女を僕の世界から損なわせたのだろう?
僕は彼女に何をしてやれた?
彼女の為になる事を、あるいは為になるように感じられることを。
やれやれ、いつから僕はこんなに涙もろくなったんだろう?
彼女のカシミヤの白いマフラーだけが僕の手元に残った。
942名無しさん:05/03/04 13:16:58
235 :おさかなくわえた名無しさん :05/02/24 18:45:15 ID:VM0N8pEq
僕は今までの半年間をゆっくり思い起こした。

僕は部活を辞めざるを得なかった。
みんなが楽しそうに練習する横を足早に帰った。
塾では昔から通っているメンバーたちの馴れ合いが強く馴染める事はなかった。
帰りはイルミネーション祭りの終わった寒い町を一人で自転車で飛ばした。
僕に温もりを与えてくれたあの人は僕に飽きてしまったらしかった。
今日夕方送ったメールは届くことなく僕の元に戻ってきた。
あたたかい応援の言葉を求めても仕方ないことはわかっていたことだ。
こんなことはなんということはないのだ。

わ か っ て い た は ず だ 。



明日の日のために、僕はずっとがんばってきたのだ。
そうだ。余計なことは考えている余裕はないのだ。実に馬鹿げている。
僕は、余計なことを考えてはいけないのだ。


明日が、公立試験の本番だ。僕は今夜ちゃんとねむれるだろうか?
943名無しさん:05/03/06 21:12:04
公立試験って、公立高校のことだろうか。
中学生で春樹か。それは本当に良いことなんだろうか。
僕にはわからない。
ほんとうに、僕にはわからない・・・。
944名無しさん:05/03/06 21:22:45
日にち的に大学受験じゃないかと。
945名無しさん:05/03/07 22:29:53
そうか。頑張れ。ってもうすぐ発表か・・・。
946名無しさん:05/03/15 21:50:42
おちちゃった
947名無しさん:05/03/15 22:13:03
元カレが村上春樹の『海辺のカフカ』っての読んでるって言ってたな…。
どんな話か知らないけど、このスレ見つけてリバ…。
スレ違いなのでsage..
948名無しさん:2005/03/28(月) 10:12:59
キャッチャー・イン・ザ・
949名無しさん:2005/03/28(月) 13:00:50
>>1 
このスレ面白いですね。最近終わった彼が村上春樹風な文書いてました。傷つけられてばかりだった、2ちゃんねるで、こんなスレみつけて、心がちょっと癒されました。
 でも、村上春樹風を、失恋話に使うというのは、まだ余裕が感じられますね・・・。私も早くそうなりたいです。
950名無しさん:2005/03/30(水) 14:22:04
        まもなくここは 乂1000取り合戦場乂 となります。

      \∧_ヘ     / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 ,,、,、,,, / \〇ノゝ∩ < 1000取り合戦、いくぞゴルァ!!       ,,、,、,,,
    /三√ ゚Д゚) /   \____________  ,,、,、,,,
     /三/| ゚U゚|\      ,,、,、,,,                       ,,、,、,,,
 ,,、,、,,, U (:::::::::::)  ,,、,、,,,         \オーーーーーーーッ!!/
      //三/|三|\     ∧_∧∧_∧ ∧_∧∧_∧∧_∧∧_∧
      ∪  ∪       (    )    (     )   (    )    )
 ,,、,、,,,       ,,、,、,,,  ∧_∧∧_∧∧_∧ ∧_∧∧_∧∧_∧∧_∧
      ,,、,、,,,       (    )    (    )    (    )    (    )
951名無しさん:2005/03/30(水) 20:02:43
やれやれ、1000を取れるかどうかなんて、僕にはたいした問題じゃないんだ。
952名無しさん:2005/03/30(水) 21:13:43
>>1
良かった!!・・・。まだ生きていたんですね。このスレ。嬉しいです。
 これって、パロディー(死語)としても、すごく良く出来たスレだし、シナモンとのやりとりは、芸人さん風で面白い。
>>909他の春樹風も本当に上手い!!久々に感動した。文学好きにはたまらないこのスレ。1000目指して、是非、続けてください!!。
953名無しさん:2005/03/31(木) 11:54:23
テーブルに普通に置かれてはいるが、あれ以来鳴らなくなった、シルバーピンクの携帯は、まるで湖畔に打ちすてられた舟のようにも見えた。
 (ああ・・。やっぱり書くの辛いわ。如何してみんな、書けるの?)

954名無しさん:彼氏彼女いない暦1年,2005/04/03(日) 23:41:24
春樹の小説を引っ張り出して貧るように読んだ俺ガイル
955名無しさん:2005/04/05(火) 20:06:15
「海辺のカフカ]文庫本、上下巻は確かに手に入れたものの、まだ、読みきれない自分がいた。
・・・・・・そう、私は、いまだ、まだ、混乱しているのかも知れなかった。
 そう、いまだにまだ・・・。
956名無しさん:2005/04/06(水) 19:34:12
「海辺のカフカ]の主人公は、四国に家出する。私は、それを読んだ時、失恋傷心旅行は四国もいいと、頭に入れた。
しかし、一つだけ問題があった。詰めていく服のワードロープに、どんなことがあっても決して白色は入れてはならない
、ということだった。私の失恋傷心旅行と、四国の『88箇所お遍路巡りツァー』とは、やはり別なものとして、捉えられたかったのだ。
 しかし、やれやれ、果たしてこんな拘りに、一体どんな意味があるというのだろうか。私にもわからない。
 私は、私を捨てた男の写真を横目に見ながら、唇を歪めて、その夜も普通に缶ビールのプルトップを引いた。
 窓辺に茫洋と広がる、真っ暗な関東平野に一台の車がライトを付けて通り過ぎる。今の私には、電話もメールもする所が何処にもないのだと、よくニューヨークの孤独を語る芸術家と同じように、私は思った。
957名無しさん:2005/04/07(木) 15:15:35
ほしゅ
958ななしさん:2005/04/07(木) 19:14:42
 駄目か。
959名無しさん:2005/04/08(金) 01:07:06
三月の風は彼女に焦りを抱かせた。もちろん、僕にも。
「ずっと一緒にいられればいいね。」
「本当にね。」
その時僕らはまだ若くて、ふわふわとした褐色の毛にくるまったペンギンの雛のように無知だった。
僕らにとっての南極大陸、六年間を過ごした流氷は呆気なくどこかへ流れ、後には蒼く広がる海だけが残された。
あまりにも蒼い空と海に僕らは顔を見合わせた。
もしかしたら流れてきたのは僕らなのかもしれなかった。
「これからどうするの?」
彼女はさらさらと風に躍るストレートの髪を指先で弄りながら僕に問いかけた。
君と同じ道を行こうと思うんだ。そう言うつもりだったのに言葉は出なかった。
彼女のエナメルが、桜色に艶めくそれがやけに場違いに思えたからかもしれない。

結局はそういうことだ。僕は今でもたまにあの日を思い出す。
あるいは彼女の好きだったタルトの匂いを嗅いだときに、あるいは彼女が好んだ形のワンピースを見たときに。
桜の木は海には生きられなかった。
960名無しさん:2005/04/23(土) 17:39:17
村上春樹って誰?
961名無しさん:2005/04/23(土) 17:54:24
>>960
1930年から34年にかけて、東京は浅草の軽演劇の影の立て役者。
知る人ぞ知る伝説の喜劇人だよ。
「ちょっと待ったりんさいなもし〜」というセリフは当時大流行。
おじいさんがいるなら、聞いてみそ。
あと、しっかりぐぐってみれ。マジレススマソ。
962名無しさん:2005/04/23(土) 17:56:13
(人´∀`o):ぁ.*゚::リ.。:が..と*.ぅ゚:..(o´∀`人)
963名無しさん:2005/04/24(日) 14:59:24
('д`;)
964シナモン:2005/05/15(日) 17:55:10
だだだだだ〜
965名無しさん:2005/05/21(土) 23:03:40
保守とともに言いたいことがある。


深刻に考えることが必ずしも真実に近づくわけではない

別れ際にこんな言葉を送られた。
僕に深刻に考える気がなくても、どうしても体がそうさせるのに。
彼女にはそれが理解できなかったのか。
それともあたりさわりのなさそうな言葉を選んだだけなのか…

それに僕には真実に近づこうとするつもりもないのだ。
ただ何も考えずに物思いに耽ると深刻になってしまうだけで。

(いったい彼女は何を意図しているのか)

そんなことを考えているうちに日はすっかり沈んでしまっていた。

(やれやれ)

重い腰を上げてカーテンを閉めに行き、またベッドに横になった。
966田村:2005/05/27(金) 23:17:55
ここって結局未練たらたらでちょっとナルシストな男が
自己満足でスレ書いてるんだネ!

客観的にいろいろ読んでみたらただキモいだけ、は〜
('д`;)
967シナモン:2005/06/12(日) 01:13:54
君のせいでだいぶ長いこと更新されてないね。
>>田村

968名無しさん:2005/06/12(日) 09:44:23
「結局のところ、最初から決まってたことなんだ」
と、僕は逝った。
「なによ、それ。じゃあ、あなたはあたしのこと諦めるのね?」
「違うよ、そうじゃない。ただキミと出会う前から決まってた
ことなんだ。ちょっと説明しづらいけど」
ばかみたい、ホントばかみたい。彼女はそう逝って泣いた。

僕は彼女のもろくなった体に手を伸ばし、抱きしめようとした。
触らないで、と彼女は逝った。
「二度と、あたしに触れないで」 目にたまった涙を拭きながら
彼女はそう逝った。

僕は、まるで井戸の底のような彼女の瞳を、無言で見つめていた。
いつまでも
969名無しさん:2005/06/13(月) 01:12:09
 | ̄|     ピ
/  |        ∧_∧ 
|||  |     ━⊂(・∀・ )  もうええわ
\  |    ========  \
 | ̄|     ||   ||  ノ,_)
   ̄ ̄   ⌒~⌒~⌒~⌒~⌒
970名無しさん:2005/06/14(火) 00:01:42
     ∧ __∧  
    ( `・ω・´)     チャーン…
   .ノ^  y ヽ-,o('A`)   
   ヽ,,ノ===lヽノ | ̄ ̄/
    /   l |   !.o‐o'
"""~"''"'"""''~"'""~"""~"'""''
971名無しさん:2005/06/15(水) 23:15:58
ねえ、このスレどうにかしてよ、とミドリはまゆをひそめながら言った。
ミドリは、確かにイラついてた。やれやれ、とボクは言った。
くそスレが立ったせいで、またひとつ有益なスレが死んだんだ。
無理もない。
ねえ、とボクは言った。そのことについては確かに悲しいけど、ボクにできることはないんだよ。
ボクは彼女の目をまっすぐに見つめてそう言った。
972名無しさん:2005/06/15(水) 23:52:10
俺このスレ大好き
973名無しさん:2005/06/16(木) 00:57:09
「ごめんなさい。あたしが彼女なんです」
彼女は少し伏し目がちに言った。
あの人の顔が目の奥で点滅する。
あの人に恋人と呼ばれる資格をもって、目の前に彼女はいる。
あの人の大きな背中に、いつでも触れる事のできる権利を持って彼女は存在している。
「そう」
ほかにコトバは出てくるハズもない。

自分の存在が、目の前のジュースに溶ける氷のように希薄に感じた。
私には、与えられていない、モノ。
持つものと持たざるもの。
同じ空間と時間を共有しているはずなのに、彼女だけがリアルで、私はなんて不安定な存在なのだろう。
ただ、あの人を好きになってしまっただけなのに。

気付けば朝になっていた。
夏が近いと感じさせる青い空に、なぜか、笑ってしまった。
974名無しさん:2005/06/16(木) 19:05:18
↑スマン、この文体の春樹著作を教えてくれ
975ディティクティブ:2005/06/16(木) 20:59:59
「私は好きだから一緒にいたいよ。」
ひまわりの花が闇に隠れ、静まりかえったアパートの踊り場。私の涙に震えた声が悲しくひびく。
「…俺も一緒にいたかったよ。」
たった一言。
―いたかった―
気付いてしまった。
闇は深さを増し、肌に突き刺さるような冷たい風が、私の心まで侵していく。
私は涙を拭い、深く深呼吸をした。
「…わかったわ。別れてあげる。私だけ頑張ってもどうしようもないものね。」
彼の言えなかった一言。私は、彼の背中をおしてあげた。
彼の腕が伸びてくるのにきずいて、私は笑顔を作った。
「お仕事頑張ってね。」
雲間から顔を出した月の光が涙の浮かぶ瞳に眩しくて、彼の表情はわからなかった。だだ、彼は伸びてきた手を握り締めていた…。

私たちの物語は終焉を迎えたのだ。
明日からは、私だけの物語……
976名無しさん:2005/06/16(木) 21:01:50
↑スマン、この文体の春樹著作を教えてくれ
977ディティクティブ:2005/06/16(木) 21:13:51
>>975 を書いた人間です。
村上春樹の文体とは全く違うと思いますが、意見お願いします。
978名無しさん:2005/06/16(木) 23:02:50
>>977
意見:スレ違い
979名無しさん:2005/06/17(金) 00:53:26
やれやれ。
980名無しさん
 「あるいは」と直子は言った。
 
 「>>975は宛先が間違って届けられた郵便物のようなものかもしれないわね。
 気付かずに封をあける。読んでみる。少し違和感を感じるけれど最後まで読んでみる。
 でもどこにも親しみをみつけられない。封筒をもう一度手にとって宛名を確認してわかるの。
 これは私のために書かれたために書かれた文章ではないって」
 
 「つまり?」

 「激しくスレ違いってことよ」