司馬遼太郎をあれこれ語る 33巻目

このエントリーをはてなブックマークに追加
952無名草子さん:2012/11/02(金) 22:24:24.74
>>947
良くは書かれていないが、澁澤成一郎のキャラがいちばん出来がよい。
坊主頭に牛鍋の肉を乗せたあたりは個性的だった。
953無名草子さん:2012/11/03(土) 02:50:45.48
上野戦争について最も詳しいのは『花神』だが、彰義隊結成の経緯についてはこの短篇を読むべきだな。
『大坂侍』にも少しだけ彰義隊が登場するが、あれは彰義隊を主題にした小説ではなく史伝的要素が薄い。
954無名草子さん:2012/11/03(土) 03:14:30.62
>>78
3年もワープしたようには読めないな。
955幕末 ◆BHOAawe7mA :2012/11/03(土) 15:54:18.05
第11話 浪華城焼討

[主人公]田中顕助

元治2年1月8日に大坂で起きたぜんざい屋事件と、
同年2月に岡山県美作市土居で起きた四ツ塚様事件を扱っている。
小説では四ツ塚様を先に書いているが、順序が逆なので注意してください。
956無名草子さん:2012/11/03(土) 16:06:45.41
四ツ塚様って、恐喝犯人をぶち殺したら、数年後にその同類が天下を取ったので、
あわてて掌を返した事件だよな。
957無名草子さん:2012/11/03(土) 16:15:52.42
千屋金策が金策をしたなんて洒落かよw
958無名草子さん:2012/11/03(土) 16:24:06.32
四ツ塚様を調べていると、山間部の変哲もない田舎の風景に出会えて嬉しくなるぞ。
ガソリンスタンドもコンビニもないから暮らしにくいとは思うけどな。

金策たちが歩いた江見から土居の間の風景〔姫新線〕
http://rail.hobidas.com/rm-now2010/10_09_26_adachi_hiroyuki.jpg
江見村警固坂と書かれているが警固屋坂の誤り
http://8tagarasu.cocolog-nifty.com/sakamitisannpo/images/2009/07/01/img_4201.jpg
江見の町並み
http://8tagarasu.cocolog-nifty.com/sakamitisannpo/images/2009/07/01/img_4243.jpg
土居の町並み
http://jiromaru.nobody.jp/kaido/izumo/doimati.jpg
そのあたりの田舎道
http://8tagarasu.cocolog-nifty.com/sakamitisannpo/images/2009/07/01/img_4173.jpg
959無名草子さん:2012/11/03(土) 16:30:55.75
山中嘉太郎[岡元太郎]、井原応輔[池田応輔]、島波間[島義親]が自決した門尻の竹田神社
http://websakigake.sakura.ne.jp/sh7/07-101-055503.jpg
http://websakigake.sakura.ne.jp/sh7/07-101.html
四ツ塚様
http://otomu.blog.eonet.jp/default/images/2011/01/18/dsc_3263.jpg
960無名草子さん:2012/11/03(土) 16:39:16.39
>>705
>また、万太郎は新選組に入隊していないように読めるが、三兄弟そろって入隊している。

その答えは、この小説に書かれているな。
なお、この小説では、谷万太郎は“万太郎狐”と呼ばれているが、写真を見ると狐に似て
いるところは目が細いとこだけだ。体形は狸というか豚。
http://morishige.omlog.net/files/2009/07/08-thumb.jpg
961無名草子さん:2012/11/03(土) 16:42:18.98
>>960
谷万太郎の娘の名前が「おさん」なのは、史実かどうかは知らないが、妖怪おさん狐から
とったのかもしれんね。娘が狐だから親も狐。
962無名草子さん:2012/11/03(土) 16:49:40.52
田中顕助らが宿泊した道頓堀の鳥毛屋が実在したかどうかは知らない。
子母澤寛の『新選組始末記』には、そういう旅籠があったとされている。

なお、本多大内蔵のぜんざい屋は石蔵屋という。本多大内蔵が石蔵屋政右衛門という偽名を用いていた。
963無名草子さん:2012/11/03(土) 16:53:34.07
田中顕助は稚児<とんと>とあだ名されたかわいらしい青年のように書かれているが、
下の画像を見ると、とてものこと稚児にしたいとは思えない。
http://web1.nazca.co.jp/hp/josetsu/tanaka-m.jpg
964無名草子さん:2012/11/03(土) 16:58:52.99
鳥毛屋のお光が、田中顕助を見て「丸ゆの味噌田楽みたい」と云った。
体が小さいのに刀が不相応に長いところから串刺しの味噌田楽のようだという意味だが、
「丸ゆ」ってなんやね?
965無名草子さん:2012/11/03(土) 17:10:08.25
土佐浪士が鳥毛屋の二階に泊まっていることを谷万太郎に密告した谷川辰吉について
「どういう人物であったかわからない」とされているが、今はかなりわかっている。

谷万太郎は備中松山藩の浪人であると書かれているが、ここは正しい。
しかし、「同藩の」谷川辰吉としているところは誤りである。
同じ備中でも天領の倉敷出身。
その後は新選組の平隊士となる。幕臣取立ての際、本名の和栗吉次郎に戻したため、
その後の経歴が不明だったのかもしれない。偽名の谷川辰吉を名乗っていたのは、
事件を起こして郷里を出奔したためである。
維新後ぜんざい屋事件の容疑者ということで逮捕されたが、実行犯ではなかったので
釈放されたようだ。
966無名草子さん:2012/11/03(土) 17:20:43.39
>>965
釈放の理由には、戊辰戦争では新政府軍として闘ったという事情もあるな。
谷川辰吉は、『新選組血風録』「四斤山砲」の主人公・阿部十郎と同門だ。
すなわち、二人とも谷万太郎道場の門弟だった。
ご存知のように阿部十郎は御陵衛士で新選組を脱盟し薩摩藩の世話になっている。
谷川辰吉はその縁を頼りに、新選組の伏見引き上げ後に脱走し、新政府軍に奔った。
そのとき名前も井汲恭平と改めている。要領のよい人生だな。
967無名草子さん:2012/11/03(土) 17:26:12.31
大利鼎吉のかくし芸・こより細工であるが、画像を見て驚いた。
白井巖さんという方が新聞広告を材料にして創作されたこより細工のいくつかをご紹介する。
http://sky.geocities.jp/fujimorikatsu/shirai/shi.jpg
http://sky.geocities.jp/fujimorikatsu/shirai/shi4.jpg
http://sky.geocities.jp/fujimorikatsu/shirai/shi2.jpg
968無名草子さん:2012/11/03(土) 17:58:33.05
>>960
半分しか答えが書かれていないだろう。
弟の谷三十郎もぜんざい屋襲撃に参加しているのに、こっちの小説には
谷三十郎が出てこない。

>>966
阿部十郎もこの時期大坂にいて、ぜんざい屋襲撃に加わっているな。
969無名草子さん:2012/11/03(土) 18:05:14.40
この小説には、田中顕助と那須盛馬が十津川の折立村へ逃亡したところまでしか
書かれていないが、その後の話は『竜馬がゆく』の第69章「陸援隊」に書かれている。
大橋慎三(この小説では橋本鉄猪の名前で登場)が京から迎えに来る。
970無名草子さん:2012/11/03(土) 19:32:59.30
ぜんざい屋襲撃を指示した大坂城代が松平伊豆守であるのは間違いない。
父は間部詮勝で、嘉永2年に三河吉田藩主松平信璋の婿養子に迎えられた。
坂本竜馬が初めて江戸へ出府するころは既に吉田藩主であり、『竜馬がゆく』
の第3章「江戸へ」では、竜馬は吉田に立ち寄る。信夫左馬之助とすったもんだがあった。
971無名草子さん:2012/11/03(土) 20:29:17.92
>>964
マルコメの味噌田楽ならわかるけどな。
972無名草子さん:2012/11/03(土) 20:34:38.81
いかず後家のブスのくせに、大利鼎吉とも、田中顕助ともいっぱつやった
お光が、この小説の勝ち組であることは疑いがないな。
973無名草子さん:2012/11/03(土) 20:47:56.06
>>958
美作市土居から竹田近辺には、たしかにコンビニがない。
しかしガソリンスタンドは2軒あるぞ。
974無名草子さん:2012/11/03(土) 20:56:16.15
>>972
お光と大利鼎吉が深い仲であったかどうかは、はっきりとは明かされていないよ。
気持ちが惹かれ合っていただけかもしれないね。
975無名草子さん:2012/11/03(土) 21:17:01.65
話が前後して申し訳ないが、千屋金策らが始めに訪れた慈教院のある久米郡吉岡村は、
現在は柵原町になっていると書かれているが、その後さらに合併があって久米郡美咲町久木になっている。

池上文左衛門の造り酒屋のあった字・百々も、現在は久米郡美咲町百々になっているな。
なお、百々には、池上内科と池上モータースはあるが、造り酒屋はないようだ。
976無名草子さん:2012/11/04(日) 08:42:42.10
>>974
お光と大利鼎吉の間に肉体関係はないだろうね。
司馬作品って長命した権力者を嫌い、
志半ばで非業の死を遂げた人物は聖人君子にしてしまう。
この作品では、前者の例が田中光顕で、後者の例が大利鼎吉。
977無名草子さん:2012/11/04(日) 08:49:28.38
>>976
全作品で一貫しているっス。
長生きした徳川家康や山縣有朋はきらいっス。
暗殺・戦死で短命だと8割以上聖人君子扱いっス。
978無名草子さん:2012/11/04(日) 09:02:09.04
長命者はカネ・女・権力が大好きという悪代官キャラにされちまうな。
おそらく太平洋戦争で死なずに戦後飽食している自分たちの、戦死した人々に対する後ろめたさの表現なんだと思う。
979無名草子さん:2012/11/04(日) 09:16:32.97
むかしのドラマは、清い恋愛=セックス抜き、とするよな。
あれで、モテない自分は心が清いと勘違いした人々が大量発生した。
980無名草子さん:2012/11/04(日) 09:20:51.29
お光と大利鼎吉はセックスなしの清い恋愛であったという結論で異議なしです。
981幕末 ◆BHOAawe7mA :2012/11/04(日) 19:41:55.50
第12話 最後の攘夷志士

[主人公]三枝蓊

慶応4年(1868)2月30日におきた三枝蓊と朱雀操によるパークス襲撃事件を、
田中顕助の狂言廻しで語る『幕末』最終の一篇。
尊攘志士は旧幕時代も迷惑な人たちだったが、新政府にとっても迷惑な人たちだった。
982無名草子さん:2012/11/04(日) 20:56:17.12
なんかwikみると「宮本武蔵」って小説があるんだけど。
これは短編の「真説宮本武蔵」とは別物なの?長編?

983無名草子さん:2012/11/05(月) 09:24:47.27
>>982
別物。複数の作家による連作『日本剣客伝』の中の一編。長編小説です。
984無名草子さん:2012/11/05(月) 10:48:20.47
>>981
御親兵は『新選組血風録』の「四斤山砲」にも出てきたが、厄介者の脱藩浪士を
一箇所に集めて暴発させないようにしただけの部隊だな。
985無名草子さん:2012/11/05(月) 10:53:07.57
この小説では、高野義軍とか高野義挙と呼ばれているが、ふつう高野山義挙と呼ばれる。
実態は御親兵と同じで、厄介者の脱藩浪士を京から追っ払いたかった。

総督の鷲尾隆聚は、『翔ぶが如く』の第74章「警視隊」で会津出身の佐川官兵衛を
紹介するところで名前が出てきた。会津県知事の鷲尾某という人物。
986無名草子さん:2012/11/05(月) 10:57:09.60
高野山を訪ねてきた紀州藩の重臣・伊達五郎は、海援隊の陸奥陽之助の義兄。
陽之助の実父・伊達藤二郎は、陽之助が幼かったため養子を取った。
それが伊達五郎。
987無名草子さん:2012/11/05(月) 11:05:24.02
主人公・三枝蓊の生家である大和添下郡椎木村の浄蓮寺は現存しております。
http://pub.ne.jp/shisekihoumon/image/user/1294485838.jpg

三枝蓊の画像です。ナインティナインの岡村隆史に似ていたので顔を見ただけで嫌いになりました。
http://web.kyoto-inet.or.jp/people/tiakio/yaziuma/kyniska/saegusa.jpg

朱雀操の画像です。粟田口刑場で梟首にされた写真なのでグロいです。注意。
http://web.kyoto-inet.or.jp/people/tiakio/yaziuma/kyniska/hayashida.jpg
988無名草子さん:2012/11/05(月) 11:11:09.48
パークス襲撃の当日、行列の先頭で道案内をしていた宇都宮靭負と土肥真一郎は、
暴漢に遭遇するやいなや、真っ先に逃げてしまいます。
その中の土肥真一郎という人物、実は、本連作の「花屋町の襲撃」の主人公・土居通夫
の別名です。本連作では後家鞘彦六という別名で優れた剣客のように書かれていましたが、
なんか怪しくなってきましたね。

ソース:「その頃通夫は世を忍んで土居真一郎、または土肥真一郎と名乗っていた。」
http://www42.tok2.com/home/uwajimanenrin/nenpyou/michioden01.html
989無名草子さん:2012/11/05(月) 11:13:49.33
この襲撃に際して体を張ってパークスを守ったのは、薩摩藩士・中井弘蔵[中井弘]と
土佐藩士・後藤象二郎でした。
『竜馬がゆく』には、パークスが後藤象二郎を絶賛していた旨の叙述がありますが、この
事件があったからです。つまり、後藤象二郎はパークスの命の恩人なんです。
990無名草子さん:2012/11/05(月) 11:21:58.48
話が前後しますが、慶応4年正月11日に岡山藩兵がフランス人水兵を襲った事件は、
神戸事件と呼ばれています。隊の責任者であった滝善三郎は、フランス人の検死役
の面前で切腹しました。「ハラキリ」が世界語になってゆくのは、このような事件処理の
積み重ねによります。

2月15日の妙国寺事件は堺事件とも呼ばれています。「俄 -浪華遊侠伝- 」に詳細が
描かれています。
991無名草子さん:2012/11/05(月) 11:25:03.88
992無名草子さん:2012/11/05(月) 11:26:51.03



. .: : : : : : : : :: :::: :: :: : :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
    . . : : : :: : : :: : ::: :: : :::: :: ::: ::: ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
   . . .... ..: : :: :: ::: :::::: :::::::::::: : :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
        Λ_Λ . . . .: : : ::: : :: ::::::::: ::::::::::::::::::::::::::
       /:彡ミ゛ヽ;)ー、 . ::: : :: ::::::::: :::::::::::::::::::::::::::::    >>988 おい、後家鞘彦六
      / :::/:: ヽ、ヽ、 ::i . .:: :.: ::: . :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
      / :::/;;:   ヽ ヽ ::l . :. :. .:: : :: :: :::::::: : ::::::::::::::::::
 ̄ ̄ ̄(_,ノ  ̄ ̄ ̄ヽ、_ノ ̄ ̄
993無名草子さん:2012/11/05(月) 11:32:08.61
次スレ

司馬遼太郎をあれこれ語る 34巻目
http://toro.2ch.net/test/read.cgi/books/1352082667/l50
994無名草子さん:2012/11/05(月) 11:47:31.74
>>988
土居通夫にはガッカリだ。
995無名草子さん:2012/11/05(月) 11:53:09.25
>>989
維新後は外交官になった中井弘の意外な奮闘に驚いたな。
後藤象二郎も只者ではないな。
996無名草子さん:2012/11/05(月) 11:58:19.29
  ∧_∧
 ( ´∀`)    逃げてんじゃねーぞ
 (   /,⌒l 
 | /`(_)
 (__)( ´;゚;ё;゚;)

  ∧_∧
 ( ´∀`)    後家鞘
 (     )
 | /;l|l,';!i
 (__,';・;※,';;゚;)
~~~~~~~YW~~~~~~~~~~~~~~~~~~
997無名草子さん:2012/11/05(月) 12:01:16.34
>>995
井上馨の妻の武子は、中井弘の元妻。
結婚式の当夜に中井が大隈邸に顔を出したため、関係者が大いにあわてた。
998無名草子さん:2012/11/05(月) 12:55:41.50
『幕末』は意外な人物が意外なところに登場するから、読みごたえがある小説だ。
雄藩に属さない脱藩浪人が世間や雄藩の藩士からどのように見られていたかがよくわかるよ。
小学校で初めて歴史を学んで、攘夷を唱えていた倒幕勢力が、
倒幕に成功したとたんに幕府以上に開国政策に転じた理由が理解できなかった人は、
『幕末』を読むとよくわかるよ。
999無名草子さん:2012/11/05(月) 12:59:12.85
脱藩浪人でありながら大活躍した坂本龍馬や中岡慎太郎は、よくやったほうだよな。
1000無名草子さん:2012/11/05(月) 13:00:40.34
次は何をやるの?
10011001
このスレッドは1000を超えました。
もう書けないので、新しいスレッドを立ててくださいです。。。