★★★自作小説投稿スレ Part 1

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1kyrie ◆.RYdSpBfEI
せっかく小説を書いても、誰かに見てもらわなければ寂しいでしょう。
ここという場所が2ちゃんであるゆえ、時に悪意や嫉妬を含む、厳しい意見が突きつけられるかも知れません。
それでもそのようなアドヴァイスは真摯に受け止め、自らのスキル向上を図りましょう。

-注意-

基本的に、投稿される方はコテを名乗ってください。でないと誰の文章かが分からなくなってしまいます。
2吾輩は名無しである:2007/06/24(日) 22:44:17

板ローカルルールより

> 自作の小説等については【創作文芸】でお願いします。
http://love6.2ch.net/bun/

板違いにつき終了
3 ◆HRyxR8eUkc :2007/06/25(月) 01:05:25
投下します。批評よろしくお願いします。

 辺りは静謐に満たされていた。濁った水の上に船が浮かび、遥か遠くの方に、木々の緑や、所々剥き出しになった山肌が点々と、または一続
きに有って、
ほの白く、微かに青い明け方の朝の色に、緑の影を作っていた。
 水面はどこまでも続き、船の四方に果てしなく延びている。水は仄白く、僅かに濁っていた。櫂がからと音を立てると、巻き上がった砂が水
底から布のように揺らいで模様を作った。
 櫂を操っているのは、巫女装束のような格好をした東洋風の少女で、黒い髪は肩に掛かるほどあり、派手で大きな紅白の髪留めで留められて
いた。
 共布の衣装は髪留めと同じ二枚重ねの布地で、赤い布地にそれより少し長い白の裏地が縫い込まれ、強く縫い縮められた裏地が、赤い表地の
裾からはみ出して、布地の裾を華やかに飾っていた。袖には胴衣と離れた白地が使われ、折り曲げられた袖の両端は、からげる為の朱の紐が
通されていた。その上から、肩から肘迄ある同じ表地が縫い込まれており、それが袖と胴衣とを繋ぎ止めていた。
 そして小さい木船には、もう一人船底に横たわる少女がいた。
「ここは?」
 少女はゆっくりと身を起こすと、微かにそう呟いた。
「起きたの。大丈夫?」
「ええ。でも、ここは何処かしら」
「それはちょっと難しいわね」
 そう言うと巫女姿の少女は、本当に難しそうな顔をした。
「人非人(にんぴにん)の集合体かな」
「え?」
 少女に不思議そうな顔をされて、巫女は慌てて付け加えた。
「ええと、ここは幻想郷。人にあらざる物が住まう場所よ」
「でも私は」
 そう言いかけて、少女は黙り込んでしまった。
「大丈夫、何とか元の場所に帰してあげるから。此処から行った先に知り合いの人形師がいるの。そこで話を聞いてみましょう。
私は霊夢。あなたは?」
「私は……忘れてしまった」
 少女はゆっくりとそう答えた。
「大丈夫、心配しないで。何とかなるわよ」
 そう言うと霊夢は少女に微笑みかけた。霊夢はまた櫂を繰り、少女は白く濁った明け方の空を、何とは無しに見やっていた。
4 ◆HRyxR8eUkc :2007/06/25(月) 01:06:06
「あら、こんにちは」
 霊夢が丸太小屋の扉をノックすると、中から少女が現れた。くすんだ朱と紺のドレスに、寸足らずの白衣のような物を肩から掛けている。
 突然の客に驚くこともなく、少女は二人に中に上がるよう促した。
「とりあえず、どんな用件で来たのかだけ言ってもらえるかしら」
 霊夢はまるで自分の家の中だと言わんばかりに、一直線にテーブルを目指して進み、椅子に腰掛け、少女もそれに続いて座った。
「この女の子が、ここに迷い込んでしまったらしいの」
「私の所に聞きに来てもしょうがないわね」
 言いながら魔法使いの少女も、向かいに腰掛けた。緩いウェーブの掛かったブロンドで、後ろを髪留めで束ねていた。
「事情を聞こうかしら。名前はなんて言うの?」
「覚えてないみたい」
「ふむ。じゃあ此処に来る前のことは覚えてる?」
「……」
 少女は話しかけられて前に向き直ったが、魔法使いの服や金色の髪、そこかしこに落ちている西洋人形に興味津々のようだった。小さな体が
始終向きを変え、その度に白いヴェールのような服がひらひらと揺れた。やがて少女が言った。
「覚えてない」
「じゃあどうしようもないわね」
「役立たずね。何とかしなさい」
 苛々した調子で霊夢が言ったが、言われた相手は構わず続けた。
「可愛い子ね。ほれ、手品でも見せましょうか」
 そう言うと彼女は少し真剣な表情になった。少女が手を僅かに動かすと、床に散らばっていた人形達がふわふわと浮かび、テーブルの上で起
立の姿勢を取った。人形は一列に並んで、テーブルの上で行進を始めた。
「貴方のお友達よ。どう、面白い?」
 言うまでもなく、少女の目は人形達に釘付けになっていた。
「何してんだか……勘っていうか、当てが外れたわね……」
 人形遣いの少女は少女と人形の方を見たまま笑顔で言った。
「私はアリスっていうの。よろしくね。霊夢、この後はどうするの?」
「あんまり期待できないけど、紅魔館に行ってみる」
「箒に乗って?」
「いや、船で戻ってそこから歩く」
「そりゃ大変ね。じゃあ、貴方にこれをあげるわ」
53/6 ◆HRyxR8eUkc :2007/06/25(月) 01:07:55
 そう言うとアリスは、一匹の人形の首に金鎖のペンダントを掛けた。金で出来た枠の細長い菱型に尖った石が嵌め込まれ、青く光っている。
人形は少女の目の前まで歩いていき、ペンダントを少女に差し出した。
「いい?それをずっと持っておくのよ。無くさないように、首からさげておきなさい」
「……はい」
「霊夢、この子は私が運んでいくから、箒で行きなさい」
「家に置いて来ちゃったよ?」
「私のを貸すわよ。紅魔館の皆によろしくね」
「はあ……」



「はあ」
「何とかならない?」
「何とかなるといえばなるし、ならないといえばならない」
 そう答えた少女は、真っ白い肌に同じ色のワンピースを着ていた。ここはいわゆる「紅魔館」にある大図書室。日の余り差さない薄暗いこの
場所の奥にある、何も無い一角。最近になって、この本棚と壁の間のほんの少しの空間で、彼女パチュリーはいつも寝泊まりするようになって
いた。石畳の上に座った彼女は、分厚い表紙の付いた本をその手に抱え、その字面へ目を落としている。隣には分厚い大型の本が堆く積まれ、
周囲にも本が散乱していた。雪花石膏のように白い肌は殆ど服と見分けが付かない程で、高い場所から差す僅かな光が、
その姿をよりはっきりと浮かび上がらせていた。眠たげに俯いてはいたが、何よりも人目を引いたのはヴェールを被った紫の長い髪と、
硝子細工の様な両の眼だった。その双眸は、赤く光っていたのだ。霊夢は彼女と少し離れた所に座り、彼女は呟くように話し始めた。
「ええと、彼女は幻想郷にやって来た。つまりそれに見合うだけの彼女の都合が……何らかの事情があったことになる。と言う事は……
記憶まで失い、自分の何物たるかをも忘れ、姿形まで変えて、ここに逃げ延びる必要があった」
「なるほど」
「彼女は人形のような物。姿こそ人間だけど、心は殆ど無いんじゃないかしら」
「人形とか……あんたが言うなよ」
「とにかく、アリスでもどうにもならなかったものを私に頼みに来てもねえ……」
「おい」
「面白そうだねー」
64/6 ◆HRyxR8eUkc :2007/06/25(月) 01:10:31
 いつの間にか、一人の少女が側に立っていた。パチュリーと同じ赤い眼をしていたが背は低く、彼女とは対照的に鉛のように暗く濁った紅の
眼目で、目蓋は大きく見開かれ、闊達ながら、どこか人を食ったような印象を見る者に与えた。白い肌は燃えるようで、金髪は色が薄かった。
彼女の名はフラン。普段は紅魔感の地下に閉じこめられていて、滅多に外にも出られないのだ。
「はなしはもうきいてるよ。それじゃあわたしの話をぜんぶきいてくれたら、どうすればいいか教えてあげるよ」
「あれ、何で妹様が……」
「ききたくないの?どうなっても知らないよ?」
パチュリーは渋い顔をしたが、少女がそう言うと皆沈黙した。金髪の少女は重い棚を手で軽々と動かして向きを変えると、下から二段目の棚に
腰掛け、楽しそうに続けた。

 私達姉妹は、人間がおかしくなる所もたくさんみたことがあるんだ。
 どういう経緯でおかしくなるかっていうと、いっつもこうなんだよ。……あ、でも今日は人形師さんの話をするね。
 人形師さんは、偉い学者さんだったり、建築家だったり、はたまた詩人だったりするんだ。人形を作るのは大抵男の人で、普段はやさしそう
なおじさんでも、人形を作る時だけは凄く真剣な、けわしそうな顔つきになるんだ。
 それでね、作った人形は大事そうにどこかへそっとしまって置くんだけど、面白いんだよ。布か何かをかぶせたり、鞄の中に仕舞い込んだり
して、外から見えなくしてしまうの。それでね、誰にも見つからないようにって、一人で大騒ぎしてるんだよ。
 人間そっくりの見た目で、よく見ないとそれとわからないような物を作る人もいるの。でもそれだけじゃ満足できなくて、ピアノを弾いたり、
言葉を話すことまで出来るようにしちゃうんだよ。どんどん本物の人間に近付けていくの。そうやって作った人形が、最後どうなると思う?
 うーんとね、私が覚えてる金物師のひとが作ったお人形は、お弟子さんに粉みじんにされちゃったな。悪魔の化身だとか、なんとか言って。
 そうでなくても、作った人が死んじゃえば、おんなじように叩いて無茶苦茶にしちゃうんだけどね、だいたいいつも。
75/? ◆HRyxR8eUkc :2007/06/25(月) 01:13:01
 その時のお弟子さんと、金物師の師匠の人の様子といったら……お師匠さんの方はしばらく落ち込んで、朝晩に食べる黒パンが2枚になっち
ゃった。それまでは3枚だったのにね。それから無口になって、人ともあまり話さなくなっちゃった。なんか面白いよね……あっはっはっは!
バラバラになった人形の破片は、弟子の人が片づけてたよ。
 えーっと、それだけのことがあったのに、お弟子さんはクビにならなかったんだ。お弟子さんはお師匠さんの前では常に驚いたみたいな顔し
て、機嫌をうかがってたけど、しばらくするとそれもなくなって、二人で話すことも減ったみたい。
 その後二人はもっぱら仕事だけしていたけど、何だかだんだん客足が遠のいて、お弟子さんはどっかへ行っちゃった。それでも、お師匠さん
は相変わらず仕事ばかりしていたけど、また思い出したように小さな人形を作り始めた。
 もう殆どお客も来なくなって、一日中人形ばかり作っていたっけ。それこそ悪魔に取り憑かれたみたいに。
 いよいよ食べるものもないほど貧乏になって、お師匠さんは譫言(うわごと)のように、自分で作った人形の名前を呼ぶようになったよ。殆
ど食べてもいないのに、夜もすがら起きて、昼は昼で休まずに何か呟いていたっけ。眠れなかったんだろうね、きっと。
 まあ、じきに死んじゃったけど。おかしいね、別に人形自体は、悪魔の化身でもなんでもなかったのに。だって、悪魔の化身を叩き壊したん
なら、こんな酷い目にも遭わずに済むんじゃない?かといって、罰が当たったんでもなさそうだけど……あはははは!

「でもお姉ちゃんが言うには、これで良かったんだって。お人形さんは粉々の木と金属の塊になっちゃったし、お客さんは来なくなっちゃった
けど」
「どういう事?」
「ひどいなあもう。ひとがしんせつに、すっごくていねいに説明してるのに」
 そう言うとフランは不機嫌そうな顔をした。霊夢は途端にとってつけたような笑みを浮かべたが、フランは気にも留めずに話し続けた。
86/? ◆HRyxR8eUkc :2007/06/25(月) 01:30:10
「お姉ちゃんは、私達が血を吸うような物だって、そういってたよ。人形が壊された瞬間に、この金物師には生きながらの死が与えられたとか
なんとか……。でも、最後には幸せになれたんだって。この人の人生は……なんだったかな、とにかくこれほど幸せな人間はめずらしいんだっ
て。」
「それに人形が壊されなかったら……なんだっけ。とにかく絶望して、自分を道化に仕立て上げる羽目になってたんだってさ。何だかどうしよ
うもないみたい……あはは、あはははは!それにさ、この人は壊される前から、人形を作ってたんだよ。じゃあ初めから死んでいたってことに
なるんじゃない?おかしいよね、あはは……あっはっは!」
 そう言ってフランは棚に座ったまま、おかしそうに手で棚を叩いたが、その場にいる二人が無言の儘ぴくりとも動かないのを見て不思議そう
な顔をした。
「うーんと、そこのお人形さん。」
 フランは白いヴェールを着た少女に親しげに話しかけた。
「今きみがもとの世界に帰っちゃったら、またきみは心ある人間になるんだよ。それがどんなに恐ろしいことかわかるかしら?」
 少女は焦点の合わない目でフランの方を見ている。フランは続けた。
「きみはここに来て人形になった。ここにいる限りはその姿でいられるの。ただもし元の世界に戻ったら、あなたは自分の姿を見るの。そして、
そのあまりの醜さに絶望して、またすぐ此処に戻って来ることになるだろね、おそらく。それでもいい?」
 少女は頭(かぶり)を振った。
「じゃあ、ここに住む?」
「ちょっと、それはまずいんじゃない」
 霊夢が口を挟んだ。
「どうして?」
「どうしても何も、成り行きで此処にいつまでも留まる訳にはいかないじゃないの。ここに住まわせて、永遠にでも面倒を見る気なの?冗談じ
ゃない」
「そうか、そうだよね。人形なら、なにもここに留まる必要はないか……どこかへ永遠に閉じこめてしまえばいいから。かといって人間なら、
ここにいつまでもいて平気なはずがないんだ……わかってるよ。じゃあこうしよう。あなたは記憶を失って、元の世界へ帰る。そしてあなたは
人形になる。虚ろな、心のない人間に」
「何でそうなるのよ」
「じゃあ、代わりの方法を考えてくれるの?」
9吾輩は名無しである:2007/06/25(月) 01:33:17
うざいから消えて下さい。以上。
106/? ◆HRyxR8eUkc :2007/06/25(月) 01:36:03
 霊夢はとっさにパチュリーの方を見たが、彼女はそのまま表情も顔の向きも変えずに言った。
「特に何も思いつかないわね」
「じゃあ……もう、めんどくさいなあ。それなら、あなたがずっとここにいられるようにしてあげるよ。それならいいでしょ?」
 フランはじっと少女の方を見た。少女はフランの言うことがわかっているのかいないのか、やがてこくこくと頷いた。
「よし、さあこっちにおいで……」
 フランの身長は少女より少し高いぐらいで、殆ど変わらない。彼女はそう言いながら、自分から少女の方へ近付いていった。
「よしよし……いい子だね……いいものを見せてあげるよ……ほら、其処此処に花が咲いてるだろう?」
 フランが少女を抱き、少女はフランの胸に顔をうずめた。フランが少女の頭を撫でていると、少女の体から煙が立ち昇り始めた。
「ほら、もうきみは自由だ……さようなら」
 少女の体はやがて気化してしまい、白い霧になって立ち昇っていった。残った水のようなものは、フランの手の中に集まり、小さな点になっ
た。やがてそれも、彼女の羽にある宝石のような飾りに吸い込まれた。
「……一体どうなったの?」
「なんにもしてないよ、元の世界に返っただけで。ただ彼女を生んだ原因になったのは彼女の人格だから、彼女だけ永遠にここにいられるよう
にしたの。」
「じゃあ元の人間はどうなっちゃったの?」
「別に。何事もなく、じぶんの生活にもどるだけ。彼女の人格が抜け落ちたままでね。」
「つまりこういう事」
 パチュリーが割って入った。
「直接の原因は取り除かれていないし、何があったのかもわからずじまい。でも彼あるいは彼女はもう、何もかもに苦しみを見出すことはな
い」
「そうだよ。『かれ』という人間はそのままになって、人形はそこなわれて幻想になったんだよ」
 フランは殆ど茫然として、壁に目を落として言った。昼の明るい日差しは、僅かな光を部屋にもたらして、柔らかく部屋を照らしていた。
無機質な石の絨毯はその光を受け、薄暗い部屋で仄かに、居合わせた三人を称えるかのように光っていた。
 霊夢は立ち上がった。彼女は静寂の中で、日差しがより強くなったように感じた。

116/? ◆HRyxR8eUkc :2007/06/25(月) 01:36:45
以上です。 物語ですが、変な所があれば忌憚無く指摘して下さい。
全体を通した書き方等についてでも、時代考証のようなことでも(ファンタジーですが)構いません。
12 ◆HRyxR8eUkc :2007/06/25(月) 01:43:57
名前欄が無茶苦茶ですね……
>>9
創文板は腐ってます。信用できません。文学板にこのようなスレがあっても良いのではないのですか?
13kyrie ◆.RYdSpBfEI :2007/06/25(月) 08:44:53
さっそくの投稿ありがとうございます。あとでじっくり読ませていただきます。

じゃあ俺も投稿。「超常の遥か先において」

そっとカーテンを開ける。いつもと変わりない風景。
もしかしたら、変わってるのかもしれない、刻一刻と。
しかし彼女は、それを統覚しているから、また風景の方でも、自分におけるメタモルフォーゼを
覆い隠そうとするから、いつもと変わりない、のだ。

 星々で遊ぼうよ、星の点々を繋いで線を引こう。さあ、何に見える?

彼女はそんな遊び(気が滅入る)と読書とで、過ぎ行く一瞬を振り向きつつ、その都度あった。

ある日彼女が遊びを再開して、十字をかたどったとする。
十字は一部の狂信者を連想させ、その一般形である「ひと」、あるいは「狂信」のどちらかを
主題とせむと考えていた程に、来客の足音が十字を、従って狂信者をも、バラバラに崩してしまった。

来客の足取りの不規則なリズムから、彼女はそれが誰であるのか、分かっていた。
実際、この来客にとって、それが至高の形態だったところの、四本足の準人間は、
彼女の予想が現実に至るまで一歩一歩己を装飾していった。
連続性を持つ予想が限りなく現実に漸近したとき、やっと彼女は溜息と共に腰をあげ、問うた。
14kyrie ◆.RYdSpBfEI :2007/06/25(月) 08:45:34
「ねえ、なぜ貴女は本当の宇宙…いや今このテーブルに孤独である林檎でもいい、いや、と言うよりむしろ、
なぜ貴女は本当の貴女ではないと言いきれるの?」

答えて
「われ思う
 ゆえにわれあり 疑えど
 得るものなべて 自身にあらず」

「彼女たち」は、さっそく心身を分割して心を可能世界に投じた(心身は分割可能である、
ということは、物理学と哲学との熱い交際によって、既になされたものとする)、それはこのようなものである。

まっさらな平面。どこまでも果てなく続き(その証明は遠い過去にある数学者によって証明されていた、とする)、
その普遍性に、彼女らは現象した、すなわち彼女らは、その平面が普遍的であって永遠に続くということを、
直観した。
普遍性において、彼女らは相互に自身を他に預け、心のあるのを許さぬこの平野において、
地に溶け込もうと心を全てのイメージの総体として、次にその線と点とによる表現として、最後に
そこから、それによって線が可能になるところの、有色、を抜いた。
それは危険な遊び、この眩暈、この法悦…自身が−正確には他における自身が、無限に続いているという
反省も直観もない、この平野。長い旅のなか、彼女らが平静でいられたのも、この無限性を獲得したからに他ならぬ。

それゆえ彼女の部屋は、−彼女を含め−一切なにものも作用することがない。
なぜなら、彼女はア・ポステリオリな、欠陥を持っていた。でなければ、こんな遊びに参画することは不可能であると思われるのだが。
その欠陥とは、彼女はなにものも指示できない、というものであった。
断っておくが、この欠陥は彼女みずから望んだものである。
彼女は曖昧模糊としたものが好きだった。
15kyrie ◆.RYdSpBfEI :2007/06/25(月) 08:47:00
>>2

自作の小説を、「純文学」を愛するものにとってどう写るか、それを知りたいのです。
16kyrie ◆.RYdSpBfEI :2007/06/25(月) 08:49:01
まだまだ続きます
17 ◆HRyxR8eUkc :2007/06/25(月) 09:31:39
>>3-11
おやおや。折角投稿したのに、感想がついてませんねー。
面白いと思ったのになあ。

どうしてなんでしょうか。西洋の風俗にはちっとも詳しくないので、そのせいで呆れられてしまっているのかもしれませんがw
曖昧な所の殆どない、意味のはっきりした文章だと思うんですがね……。
18吾輩は名無しである:2007/06/25(月) 09:50:25
>>17
おやおや。折角投稿し(てやっ)たのに、感想がついてませんねー。
に見えるんだが・・・
せめて1日ぐらい黙って待てないか?
19 ◆HRyxR8eUkc :2007/06/25(月) 09:58:14
>>18

すいません、ほんとは持って行く所が無くて困ってたんです。偶々このスレを見つけたもので、助かったとばかり投稿しちゃいました。ごめんなさい。
おかしい所とかもう一度見返してみます。
20kyrie ◆.RYdSpBfEI :2007/06/25(月) 23:39:48
>◆HRyxR8eUkcさん

早速読ませていただきました。文章表現、語彙の多彩さは素晴らしいです。
それに全体のストーリーも、面白かった。
実は人形だった、パラレルワールド、などの設定は、ベタと言えばベタだけれども、
それを微塵も感じさせない工夫が感じられました。
難点を言えば、会話のテンポが、めちゃくちゃだということです。
その他の記述は、リズムも整ってるのに、会話文だけとても稚拙に感じました。

率直な感想です。気を悪くしないでください。

皆さんも、投稿や感想は積極的に述べましょー
21 ◆HRyxR8eUkc :2007/06/26(火) 12:28:51
>>13
「彼女」の所へ誰かがやってくることが、
何かを暗示しているのかもしれませんが、具体的な所まではわかりませんでした。
読者に意図を理解させるような文章を加えてみてはいかがですか。
22 ◆HRyxR8eUkc :2007/06/26(火) 12:47:33
ageちゃった……

>>13
自分の見解を恐れずに言えば、全体がある人(作者?)の精神を象徴しているのではないかと思いました。
「彼女」はとある人の思考で、「彼女」の所へやってくる人はそれに対する反論でしょうか。
しかしそれ以上はちょっと解りかねます。ごめんなさい。
作中に入れるのはダメですが、このような作品の場合、批評の際には作品と別に全体が何を示しているかの説明が必要をお願いしたいです。
哲学には詳しくないので、他の人にお願いしたいと思います。

自分の作品についてですが、仰る通り台詞のテンポが時々悪いですね。読んでて引っ掛かります。
ここだけの話キャラを作ったつもりだったんですが、良くなかったかもしれません。ありがとうございました。
23天使の家を巡る十言:2007/06/26(火) 12:48:55
一日目、森ができた。
二日目、人が住んだ。
三日目、争いが起きた。
四日目、仲直りをした。
五日目、家を建てた。
六日目、妻をめとった。
七日目、子供ができた。
八日目、教祖になった。
九日目、名前を付けた。
十日目、天使の家と呼んだ。
24 ◆HRyxR8eUkc :2007/06/26(火) 21:18:03
>>3-11
ええと、人形を壊してしまうのはイスラム教の偶像崇拝の禁止とは関係ありません。念のため。
フランは数百年も生きた吸血鬼姉妹の妹です。
25 ◆HRyxR8eUkc :2007/06/26(火) 22:08:12
この話は中世の科学が未発達だった時代の話を元にしています。何だか解らない物は片っ端から否定する人間の本質を描きたかったんです。
言いたかった事は他にもありますが。

以下はおかしい所の内、自分で気付いた所です。

全体を通して、セリフの日本語がおかしいのは仕様です。ごめんなさい。

>>7
黒パンがどうのってのが怪しいです。「朝晩にそれぞれ1枚だろ常識的に考えて」と言われそうです。
そもそも何食べてたんでしょうか。トーストをスライスして食べたんでしょうか。無茶苦茶書いてます。

>>10
二人の身長が殆ど変わらないのに「胸に顔を〜」って変ですよね。すいません。
26 ◆HRyxR8eUkc :2007/06/26(火) 23:04:46
 まあ、物言わぬ人形に恐れをなす人が多かったらしいという話を本で読んで、書いたんですが。
そこから当時の人の価値観みたいなのを勝手に想像して書いたので、本当かどうかはわかりません。壊した人形のことについてはあまり言及していないので、関係ないといえばそうですが。
 そういった、宗教や哲学が生活の中心だった時代の人々の暮らしまで何となく想像して読んで頂ければ幸いです。
 
 また僕の思うに、その頃から人間自体はそれほど変化していないのではないでしょうか。
 人間に似せて作られた物を恐れるというのも、それが神に仇為す行為であり、また科学により人間が神を超越する事でもある為、それを人間自らが恐れるのだろうと僕は考えます。

 しかし僕が書きたかったのは、人間の魅力であり、それもやはり分別のある人間の、限りない慈悲のような物なのです。
27 ◆HRyxR8eUkc :2007/06/26(火) 23:39:41
                 ┌─┐
                 |も.|
                 |う |
                 │来│
                 │ね│
                 │え .|
                 │よ .|
      バカ    ゴルァ  │ !!.│
                 └─┤    プンプン
    ヽ(`Д´)ノ ヽ(`Д´)ノ  (`Д´)ノ    ( `Д)
    | ̄ ̄ ̄|─| ̄ ̄ ̄|─| ̄ ̄ ̄|─□( ヽ┐U
〜 〜  ̄◎ ̄  . ̄◎ ̄   ̄◎ ̄   ◎−>┘◎
28うんこ
 ぼくも書きました

 ゴリラとチンパンジーは一般的に仲が悪いと思われているが、実際はそうではない。ゴリラはうんこを遠くに投げ、チンパンジーはバナナにむしゃぶりつく。
そういう間がらなのだ。賢明な人は「では、ニホンザルはどうなんだ?」と問うかもしれない。だが、ここでニホンザルの話はするな。むしずが走る。
 俺は、ここまで書くと、鉛筆を置き、コーヒーを啜った。
 高校4年の春、ゴリラとチンパンジーの声をラジオで聞いたその日から、来る日も来る日も同じ文章を書き続けている。飽きずにだ。もうノート3冊目になる。
先生が出すどんな難しい宿題(ビブンとかセキブン)にもこのノートを出すことにしている。先生は何も言わないが、後で親が何か言ってくる。あいつらは何もわかっちゃあいない。
まあ、おれの方がもっとなにもわかっちゃいない。それは人生経験積んでわかることだ 。今はわかってるふりをしておこう。
二階にあるおれの部屋には、様々なものがおかれている。机、椅子、そして、時計。時計に目をやると、朝の2時になっていた。隆俊がもうすぐ家にやってくる。
やつは、おれが猿全般を嫌ってるのを唯一知っている。すごい猿顔で、やつ自身は気づいてないが、本当に猿だ。だから家にも来ないでほしい。
今日こそやつがピンポンダッシュした所をとっつかまえて、保健所につきだしてやる。
俺は、15段ある階段を240段あるかのようにダッシュで駆け下り、玄関で待ち伏せする。
おれは息を潜め猿を待っていた。すると、台所の方から「朝御飯できてるわよ」と母親の声がする。あの母親はランダムな時間に朝飯を作る。だが、おれにとっては好都合だ。