読了報告スレッド

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1吾輩は名無しである
ひたすら読了した本を書き込むスレ。
読んだ本の報告はなるべく詳しく(訳者・出版社等)

簡単な感想などあったら尚良し。
2吾輩は名無しである:03/07/23 09:44
3吾輩は名無しである:03/07/23 09:54
>>2
ざっとそのスレ読んだけど内容的に重複してるとは思わない。
向こうは読書感想文がメインなようだ。
こちらは単なる報告。メモ代わり。
4とりあえず読了:03/07/23 10:02
『20世紀アメリカ短篇選』(上・下)
大津栄一郎編訳
岩波文庫
5吾輩は名無しである:03/07/23 10:35
『英会話レッツスピーク7月号』NHK出版
7月28日以降の本文がない。8月号に持ち越しなのか?
6_:03/07/23 10:43
7吾輩は名無しである:03/07/23 10:47
朝日新聞朝刊
8吾輩は名無しである:03/07/23 10:48
てかくだらねーな。邪魔だから削除依頼だそうぜ。
9吾輩は名無しである:03/07/23 13:52




―――――――――――――終了―――――――――――――――



10:03/07/23 20:52
良スレあげ
11吾輩は名無しである:03/07/23 21:35
♪ Catest の おしゃべりスレッド Part4 ♪
http://book.2ch.net/book/kako/1019/10190/1019013523.html
読了。悪しきコテハンの源流の一つなり。
12神保町矢口書店は最低!:03/07/25 21:43
名前:美香 ◆FE5qBZxQnw [] 投稿日:03/07/25 20:49              
神保町。         
演劇、映画の専門古書店「Y書店」でひどいものを目撃する。
ある中年の女性が「これいくらなんですか、値札がついていないけど」。
店主はその本を見て動揺する。                   
「ちょっといまは金額がわからないので、しばらく待ってください。     
在庫の状況なども確認して金額を決めなければならないので……」
わたしは思った、このへたれ店主めと。バカ店主め無知無能め。
無知だからその場で金額を決められない。    
なぜ正直に「少しでも多くもうけたいからネットで平均価格を調べます」と言わない。
その男が店主だということは神保町古本街のムックで知っている。
「Y書店」の本はどの本も他店の5割増は当たり前。
寺山修司の本などへいきで定価の3倍なんだから。
わたしはこの店で古本を買ったことがない、バカぶりを観察するだけ。
    
店主「15分ぐらいしてから、また来てもらえませんかね。   
(そのあいだにネットで価格を調べておくからよっと)」    
横で聞いていて不快極まりなし。書いちゃおう「矢口書店」は最低! 
13吾輩は名無しである:03/07/29 08:09
ixionの読了報告が読みたいな
どのくらいのペースでどんな本を読んでるのか興味ある。
あところにゃんのも知りたいけど、たぶん教えないだろうな。
14美香 ◆FE5qBZxQnw :03/07/29 08:23
>>13
わたしじゃダメ?
毎日、書いてもいいけど。
15吾輩は名無しである:03/07/29 08:26
>>14
ぜひお願いします。
16吾輩は名無しである:03/07/29 09:44
このスレに書き込むのは、
コテか、「捨てハン」付きでないとつまらないな。
どんな本を、どんなペースで、読んでいくのか?
感想なしで、書名とそれに関する情報だけを書いてくれれば、
良スレになるだろう。
もちろん、美香さん、歓迎だよ。
17吾輩は名無しである:03/07/29 10:33
美香さん、簡素なしで書けるかな?
まあ、簡素は別スレに書けばいいのか。
18吾輩は名無しである:03/07/31 18:30
ドストエフスキー『賭博者』
原卓也 訳
新潮文庫

読了しました〜やっぱりドストは面白い!
19吾輩は名無しである:03/07/31 18:50
教えてちゃんですいません
これはなんという作品でしょうか

 「先生へ」

 私は、また、何が何だか分からなくなってしましました。
 人間というものが分かりません。動物のことをあまりよく分かって
いないくせに人間のことを述べることは本末転倒な事かも知れません。
が、私が人間から遠く離れた存在であるような気がする。このような
気持ちにそのような表現を使うことは幾らか理にかなっているかも
しれません。いいえ、私はここで、理にかなっているとかそう
でないとかを言いたいのでは全くありません。先生に、私が正常で
あると、ただ一言おっしゃっていただきたいのです。
 物心のついた頃から私の傍には、常に口うるさい存在がありました。
一応、私にも善悪というものがあったのですが、私の悪に、ことごとく
反対するのです。強姦などは私の最も憎む行為です。そうなのです。
しかし、私は強姦をしてしまいました。
 殺人ですが、私はこれに善悪の判断をしていません。死を理解する
ことができないからです。周りの反応から、なんとなく悪であるのかと
思っているだけです。
2019:03/07/31 18:51
多分、「先生へ」というタイトルではないと思います
21美香 ◆FE5qBZxQnw :03/07/31 23:58
「はじめての劇作 戯曲の書き方レッスン」(デヴィット・カーター/ブロンズ新社)1800円
「オイディプス王」や「ハムレット」を題材に、いかにおもしろい戯曲を書くかの講義。
なんでも日本の戯曲教室の教科書用に訳されたらしい。
ひとは何をおもしろいと感じるのか、そのおもしろさにマニュアルはあるのか。
ギリシア悲劇から山田太一までを一本の線で結びつけたいわたしには参考になった。

「話し言葉の日本語」(井上ひさし・平田オリザ/小学館)1500円
対談本。いま現在の日本の演劇情報を知る上で非常に勉強になった。
井上ひさしは語る。「自分は誰がなんと言おうと希望を芝居にこめたい」。
ふたりの作劇術の紹介もある。日本語を使って劇を作るということの意味。
何をこむつかしいことをとも思う。能書きはいらない、おもしろければいいのだ。
22吾輩は名無しである:03/08/01 00:16
>21
「能書きはいらない」テメエの長ったらしい自己露出レスは
全く面白くないのだ。
誰もスルーするだけだし、スレの無駄使いw
23吾輩は名無しである:03/08/02 22:24
ひょっとしてここにいる奴らは本なんて読んでないんじゃないのか

オレモナー
24美香 ◆FE5qBZxQnw :03/08/03 00:08
「人形の家」(イプセン/原千代海訳/岩波文庫)
「野鴨」(イプセン/原千代海訳/岩波文庫)
「ヘッダ・ガーブレル」(イプセン/原千代海訳/岩波文庫)
25吾輩は名無しである:03/08/03 02:50
「病む月」唯川恵/集英社文庫 「機関車先生」伊集院静/集英社文庫 読了。
26吾輩は名無しである:03/08/04 18:01
『高い城の男』 P・K・ディック/浅倉久志訳/ハヤカワ文庫

★★★★★★★☆☆☆ 星七つ(最高10)
27吾輩は名無しである:03/08/04 18:07
『福翁自伝』
『ヴェニスの商人』
28吾輩は名無しである:03/08/04 18:53
先日教授が「俺の本を好きなだけやるよ」と言って下さって
むさぼりもらってきたらば、古い岩波文庫のうしろに
「岩波 100冊」なんてのがついていて、
選者は丸山真男だのみんな亡くなった人の名前が連なっているとのこと。

それに気づいて面白そうだからその100冊を読んでいる。
今『水滸伝』を読書中。


29吾輩は名無しである:03/08/04 19:22
神々の復活
30_:03/08/04 19:29
31吾輩は名無しである:03/08/04 19:32
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32吾輩は名無しである:03/08/04 21:28
こういうスレを見てると、
嫌々本を読んでる人って多いんだなぁと思う。
33吾輩は名無しである:03/08/04 21:29
お前だけだよ
34吾輩は名無しである:03/08/04 21:37
>>33
読むのが苦痛なら、無理に読まなくていいのに。
35吾輩は名無しである:03/08/05 09:16
>>32
雑談厨死ねよ
36美香 ◆FE5qBZxQnw :03/08/05 22:16
「ガラスの動物園」(テネシー・ウィリアムズ/小田島雄志訳/新潮文庫)
「欲望という名の電車」(テネシー・ウィリアムズ/小田島雄志訳/新潮文庫)
以上、二冊は再読。
わたしは再読(多読)にたえる作品を見つけるために濫読しているのかもしれない。

「三文オペラ」(ベルトルト・ブレヒト/千田是也訳/岩波文庫)
つまらない。しかしこれも「人生の一冊」にめぐり合うための試練。
37吾輩は名無しである:03/08/06 03:36
ドゥルーズ=ガタリ『哲学とは何か』
フェルナンド・ペアソ『不穏の書・断章』

 以上2冊は再読。
 わたしは再読(多読)にたえる作品を何冊も見つけたので濫読しない。

たいそうというか、偉そうというか、よほどご自分がかわいいのか。
文章を綴る技術がないわけではないのに。惜しいな。
38美香 ◆FE5qBZxQnw :03/08/06 08:31
「クミコハウス」(素樹文生/新潮文庫)
新潮文庫の新刊。甘ったれた青年の感傷的な旅日記。
前作「上海の西、デリーの東」を薄めた感じ。
まあ、眠れない夜に90分で読み飛ばすには悪くない。
読みにくい翻訳物を読んでいると、すらすら読める文章に癒される。
あ、インドのクミコさんは目撃したことがあります。

>>37
がんがります。
まだ読まぬ名作があると思うと死に切れないのです。
>>37だけどコテハン・デヴュー。
というのも過去ログまともに読まずにカキコしたんだけど、

>このスレに書き込むのは、
>コテか、「捨てハン」付きでないとつまらないな。
>どんな本を、どんなペースで、読んでいくのか?
>感想なしで、書名とそれに関する情報だけを書いてくれれば、
>良スレになるだろう

ってレス見たら胸に去来するものがあったから。
確かに興味あるもんね、ひとの読む本とそのスピード。
他人に期待するなら、まずは自分からと思った次第で。
前述のように濫読しないし、基本的に再読ばかりになるかもしれないけど、
何か読了したらカキコしますよ。というわけでひとつヨロシク。

●松浦寿輝「siges/signes」
(『21世紀文学の創造9/「ことばのたくらみ-実作集」』池澤夏樹(編)所有、岩波書店)

>>38
比較的知名度の低い作品を手に取られてはいかがだろう?
そのほうがあなたにとっての(ここ重要)
「人生の1冊」に出会う可能性は高いかもしれない。
「まだ読まぬ名作があると思うと」という気持ちもわからないでもないけれど。

と余計なお世話。
40美香 ◆FE5qBZxQnw :03/08/07 04:18
「オイディプス昇天」(山崎正和/福武書店)

これなんか知名度が低いかも。ギリシア悲劇のつながりがら昨日読了。
戯曲集。タイトルの作品はソフォクレスの「コロノスのオイディプス」を翻案したもの。
井上ひさしの「天保十二年のシェイクスピア」がオリジナルのシェイクスピア喜劇
よりも(現代日本の読者・観客には)おもしろくなってしまったのと同様、
この「オイディプス昇天」もなまじっかのギリシア悲劇よりもよほどおもしろい。
おそらく何の文学賞も取っていないし、さほど話題にもなっていないはず。
それなのにこんなに・・・ と思うと39さんの言うところの「私の一冊」的な
意味合いが出てきてなんだか嬉しい。再読リストに追加しておく。

「演劇って何だろう」週間はまだ続く。
41美香 ◆FE5qBZxQnw :03/08/07 04:22
>>39
わたしは別に「人生の一冊」が有名な作品で、
他のひととかぶってもかまわないんですけどね。
「わたしだけが知っている名著」みたいな感覚はわかるけど。
山田太一が福田恒存「幸福論」が文庫になったときに、
「私(だけ)の一冊」だと思っていたので悔しかったとエッセイに書いていた。
わかる、わかる。
42吾輩は名無しである:03/08/07 14:17
>感想なしで、書名とそれに関する情報だけを書いてくれれば、
>良スレになるだろう

今日から毎日一冊ずつ本読みます
http://book.2ch.net/test/read.cgi/book/1057003022/l50

17 :吾輩は名無しである :03/07/29 10:33
美香さん、簡素なしで書けるかな?
まあ、簡素は別スレに書けばいいのか。
43吾輩は名無しである:03/08/07 15:12
いい仕事。
44吾輩は名無しである:03/08/07 22:07
忘れられた日本人  宮本常一 岩波文庫
新耳袋 第三夜  角川文庫
新耳袋 第四夜  角川文庫

一日で読んだのではないですよ。一週間ほどで。
45吾輩は名無しである:03/08/07 22:13
宮本常一は、いいな、肩に力が入ってなくて・・
ああ、これでいいんだ・・・と思わせる
余計なお世話を激しく後悔。

●内田百閨w冥土・旅順入城式』岩波文庫
●ブラッサイ『プルースト/写真』上田睦子訳、岩波書店
47吾輩は名無しである:03/08/08 06:22
ハンプティD 痛いなこいつ…。
48Rock ◆nT8Fm9wg1Y :03/08/08 07:18
 ↑まあまあ……コテからしてLewis Carrollファンでしょうし、そう
思うと、メルヘンな人かも知れない。
49吾輩は名無しである:03/08/08 10:12
>>美香

石原慎太郎 『太陽の季節』
田中康夫  『なんとなく、クリスタル』
田口ランディ 『コンセント』
村上龍    『希望の国のエクソダス』
辻仁成    『ピアニシモ』
柳美里    『命』
平野啓一郎 『日蝕』
花村萬月  『ゲルマニウムの夜』
五木寛之  『大河の一滴』
乙武広匡  『五体不満足』
50美香 ◆FE5qBZxQnw :03/08/08 11:32
>田口ランディ 『コンセント』
>辻仁成    『ピアニシモ』
>柳美里    『命』
この三つしか読んだことない・・・

51美香 ◆FE5qBZxQnw :03/08/08 11:35
ところで感想は書かないほうがいいんですか?
>>1には「簡単な感想などあったら尚良し。」とありますが。
タイトルだけだと殺風景だと思うのです。
52吾輩は名無しである:03/08/08 15:25
「トパーズ」村上龍/角川書店
「対話篇」金城一紀/講談社
「帰れぬ人びと」鷺沢萠/文藝春秋
「ロケット・ボーイズ 上・下」ホーマー・ヒッカム・ジュニア/武者圭子 訳/草思社
53吾輩は名無しである:03/08/08 22:09
「悲しいとき2」いつもここから
54吾輩は名無しである:03/08/09 02:28


51 名前:吾輩は名無しである :03/08/08 19:48
世間の評価にとらわれないでとにかくたくさんの本を読むことです。
自分の中の業を見つけることが肝心ですね。

55美香 ◆FE5qBZxQnw :03/08/09 02:47
「フェードル アンドロマック」(ラシーヌ/渡辺守章訳/岩波文庫)
56吾輩は名無しである:03/08/09 04:21
>>54
いい言葉。
57音子 ◆CxZwxUQy3s :03/08/09 13:48
「激動 血塗られた半生」(安藤昇/双葉文庫)
「朝鮮半島のすべて」(福田恒存監修/高木書房)
58美香 ◆FE5qBZxQnw :03/08/09 17:16
「かもめ」(チェーホフ/小田島雄志訳/白水uブックス)
「ワーニャ伯父さん」(チェーホフ/小田島雄志訳/白水uブックス)

いずれも以前、新潮文庫で読んでいたので再読になる。「かもめ」は三回目。
=チェーホフを今まで読んだことがないわけじゃないわい、バカにすんな!
59帯爪 ◆Bn4mmcRooo :03/08/09 17:33
チェーホフはやはり短編がおすすめですか?
まだワーニャ伯父さんと三人姉妹、桜の園しか読んだことないんです。
60美香 ◆FE5qBZxQnw :03/08/09 17:51
わたしもそれほどチェーホフを読み込んでいるわけではないのでわからない。
かつてちくま文庫でチェーホフ全集が出ており、ファンはみんなそれを愛読しているらしい。
残念ながら絶版入手不可らしいけど。
いちど古書店で見かけたけど、次行ったときにはなくなっていた。
現在、入手可能なのは新潮文庫と講談社文芸文庫の短編集。
どちらもわたしはそれほどの感銘は受けなかった。
でも先日、古書店で福武文庫「チェーホフ短編集」を購入したので読むのが楽しみ。
役に立てなくてすまん。
>>46-47
否定できない部分があるのは認める。

樋口覚『日本人の帽子』講談社
マヌエル・プイグ『赤い唇』野谷文昭訳、集英社文庫

>>59
チェーホフの短編なら「谷間」。
トルストイの長編を凝縮したような感じ。
でも比較的読みやすいのでと思うのでおすすめ。
62吾輩は名無しである:03/08/09 19:52
またハンプティD ◆aDkL1SAMec かよ。おまえのレスはいらないって。
63吾輩は名無しである:03/08/09 19:54
>>62
ハンプティDってミス住なんじゃねーの?
64吾輩は名無しである:03/08/09 19:58
おせっかいで自己顕示欲旺盛なところはまさにミス住だ>63
見てな。そのうち仕切り始めるから。
65吾輩は名無しである:03/08/09 20:02
>>63
ミステリ板住民じゃないと思う。自演じゃないよ。うざいのはその通りだけど。文学板初心者なんだろうな。
66吾輩は名無しである:03/08/09 20:04
ここ一週間の読了報告。
「ガラスの動物園」T・ウィリアムス(美香ちゃんサンキュー)
「ぼくんち(全)」西原理恵子(イクシオンサンキュー)
「青猫」萩原朔太郎(見知らぬ誰かサンキュー)

以下、感想。
「ガラス〜」
母と息子が月を見ながら言葉を交わす場面はあまりにも素敵です。
登場人物が4人しか居ないので海外文学が苦手な人(俺も)にもお勧め。
がっつり鳥肌。
「ぼくんち」
とにかく涙涙。笑いながら泣く。(酒抜きでも)
この漫画が嫌いな人とは友達になれない気がする。
リリシズムは好きですか?
「青猫」
ソウルトゥソウル。(中原中也も谷川俊太郎もひれ伏せ)

以上、読了報告終了。
67吾輩は名無しである:03/08/09 20:07
ハンプティDは美香と同じくらい目障り。
68吾輩は名無しである:03/08/09 20:08
やはり感想があったほうがいい。
ほのぼのする。
おいらも読もうと思った。
69吾輩は名無しである:03/08/09 20:10
ハンプティD=独学者
70吾輩は名無しである:03/08/09 20:13
コテハンにするなら名前を考えようね>ハンプティD
71吾輩は名無しである:03/08/09 20:22
じつは……







ハンプティD=バカおさむ
72吾輩は名無しである:03/08/09 21:03
ハンプティDは童貞のようだ
73吾輩は名無しである:03/08/10 19:48
「人間失格」太宰治/新潮文庫
何回読んでもスケールの大きさに圧倒されます。
74吾輩は名無しである:03/08/10 20:05
よっぽど小さいんだね
75吾輩は名無しである:03/08/10 21:00
ポール オースター「リヴァイアサン」

76吾輩は名無しである:03/08/11 23:30
エミリー・ブロンテ 『嵐が丘』 田中西二郎/訳 新潮文庫

★★★★★★☆☆☆☆(星六つ)
77吾輩は名無しである:03/08/11 23:57
徳田秋声「新所帯」 徳田秋声「黴」
共に青空文庫、新仮名づかい。

以前、山の音(川端康成)を読んだときに清々しい哀しさを感じて、
それが老いにべったりしている家長制度の瓦解やらなにやらによるものなのか、
それともひとえに書き手の割り切った境地によるものなのか、
よく分からず、町などで老人を見かけるたびに思い返していたりしたんだが。
文学板で最近よくあがっているスレの文豪ということもあり、昨日今日と、
モニタの前にじっくり構えて読んでみたら思いがけず「ああ、なるほど」といったところ。

全集の一巻を今日図書館から借りてきた。
78美香 ◆FE5qBZxQnw :03/08/13 16:50
「三人姉妹」(チェーホフ/小田島雄志訳/白水uブックス)
「桜の園」(チェーホフ/小田島雄志訳/白水uブックス)

チェーホフは「かもめ」がやっぱりいちばんだと思います。
荒々しいところが、ハムレットを下敷きにしているところが、人が死ぬところが。
79吾輩は名無しである:03/08/13 16:51
http://endou.kir.jp/marimo/link.html
★最高でした!!(^0^)★最高でした!!
80吾輩は名無しである:03/08/14 03:16
フェルナンド・ペアソ『ポルトガルの海』(池上苓夫編訳/彩流社)
81吾輩は名無しである:03/08/14 16:18
「細雪」谷崎潤一郎/新潮文庫

結論:雪子>>>∞>>>>妙子
もしくは悦子タンハァハァ
82吾輩は名無しである:03/08/15 01:04
シャルル・ボードレール『ボードレール批評4』(阿部良雄訳・ちくま学芸文庫)
83山崎 渉:03/08/15 09:30
    (⌒V⌒)
   │ ^ ^ │<これからも僕を応援して下さいね(^^)。
  ⊂|    |つ
   (_)(_)                      山崎パン
84美香 ◆FE5qBZxQnw :03/08/15 16:08
「二十歳の原点ノート」(高野悦子/新潮文庫)
「二十歳の原点序章」(高野悦子/新潮文庫)
「二十歳の原点」(高野悦子/新潮文庫)<これだけ再読>

うっかり生まれ変わろうなどと思ったりすることもある。
ずーっとむかしに「二十歳の原点」を読んで日記をつけ始めたことがある。
ブックオフで購入した、いまは絶版の前編を読んでみた。シリーズを通して。
感想。年をとったということかわたしも。
頭の悪い、といって男にもてもしない女の子が分裂病を発症して自殺するまでの日記。
痛ましい、けれども心に響くことはもうなかった。なんにも。
85吾輩は名無しである:03/08/15 16:18
>85
美香って男なんでしょ
どっかのスレで読んだことある
86吾輩は名無しである:03/08/15 17:12
>>49
!?


100円コーナー!?
87吾輩は名無しである:03/08/15 19:37
松浦寿輝『もののたはむれ』(新書館)
エリック・マルティ『ルイ・アルチュセール 訴訟なき主体』(椎名亮輔訳/現代思潮新社)
88美香 ◆FE5qBZxQnw :03/08/15 20:23
>>85
どこで見たのか知らないけど、それはころにゃんま偽者。
89吾輩は名無しである:03/08/15 21:17
ここ一週間の読了報告。
「猫に流れる時間」保坂和志
これだけ!(もっと読めよ俺)
なんだか猫づいてる一週間だったっす。

以下感想。
と、感想を書くつもりだったが、文庫本のあとがきに大島弓子が書いた
単行本の帯にある推薦文が再録されていて、それがあまりに素晴らしかったんで、
それを引用したいと。

「なんでもない日常で 猫がホトホト歩いていって ふと立ち止まって
こちらを振り向く時 永遠に縮まらない猫との距離を知ってしまう
撫でても 撫でても さわっても さわっても その距離はあるのだ
猫に流れる時間 を読んでると その厳粛さがずーっと持続しててとてもせつない」

以上、読了報告終了。
90吾輩は名無しである:03/08/15 21:33
上の嘘!
「猫に流れる時間」×
「猫に時間の流れる」○
(酔っ払って書き込んでるんで許してけれ!)
91吾輩は名無しである:03/08/16 10:01
悪貨は良貨を駆逐する。
92( ̄ー ̄) ニヤリッlo:03/08/16 19:07
さよなら
93美香 ◆FE5qBZxQnw :03/08/17 09:24
「ベスト・オブ・ベケット( ゴド−を待ちながら ) 1」(サミュエル・ベケット/安堂信也 高橋康也訳/白水社)
「契約の時代」内田貴 岩波書店
 屁理屈のこき方の勉強になりました。
95吾輩は名無しである:03/08/18 19:33
磯田光一『永井荷風』(講談社学芸文庫)
96美香 ◆FE5qBZxQnw :03/08/18 22:30
「ア−サ−・ミラ−全集1」(菅原卓訳/早川書房)
(内容)
「みんな我が子」
「セールスマンの死」
アーサー・ミラーはギリシア悲劇とイプセンを学んだらしいです。
どちらも完璧なドラマ。
「セールスマンの死」と「欲望という名の電車」はアメリカを代表する戯曲とのこと。
いやいやいやいや。世の中にはおもしろいものが山ほどある。
97吾輩は名無しである:03/08/18 22:33
>96
美香さんは如月小春なきあと美人劇作家を目指しているのですか?
98吾輩は名無しである:03/08/18 22:35
努力と運次第で劇作家にはなれるかも知れんが、美人になるのは無理だな。豚美香は。
99吾輩は名無しである:03/08/18 22:40
柄谷「マルクスその可能性の中心」(講談社学術文庫)

30年前から言ってることが変わってない。
ということは、柄谷行人は一つの「問題」を追いつづけていることになる。
思想家としての確固たる「問題意識」に敬意を表します。
100美香 ◆FE5qBZxQnw :03/08/18 22:45
>>97
如月小春という名を知ったのが初めてだったりします(w
日本の演劇に関してはまったくの無知です。
簡単にでも教えてください。もしくはHPの紹介でも。
役者になりたいわけではないのです。
ただおまいらに合法的原子爆弾を投下できるのは演劇だけかと。
文学も映画もテレビももはや何もできなくなった今・・・
101吾輩は名無しである:03/08/18 22:47
サンデー毎日
Marchクラス大学院文学研究科修士課程
留学生特別選抜試験志望理由書・研究計画書(中国人作成)

学部生が可哀想に思った。こやつのために1人院の定員が減るなん
て…。
103吾輩は名無しである:03/08/18 23:28
>>100
演劇はできると思ってるわけね・・・
104美香 ◆FE5qBZxQnw :03/08/18 23:31
>>103
まさか。
演劇に来る客なんて人生が終わったやつばっか(w
口だけ。わたしは口だけ。
労働判例ソニー事件 民集

ソニーは労使紛争が無くなった後、世界のソニーに飛躍したしました。
組織の成長には、紛争に対して恐れず対峙する心構えが必要であると
実感しました。
この会社の成長の歴史のリアルなルポルタージュを書けばなかなかお
もしろいものになると思います。
106吾輩は名無しである:03/08/19 09:04
雑談スレでどうぞ。とりまきの方々がお相手してくれるでしょうから。
107吾輩は名無しである:03/08/19 21:35
ガブリエル・ガルシア=マルケス『予告された殺人の記録』(野谷文昭/新潮文庫)
ロラン・バルト『ミシュレ』(藤本治訳/みすず書房)
108美香 ◆FE5qBZxQnw :03/08/20 00:53
「ア−サ−・ミラ−全集2」(菅原卓訳/早川書房)
(内容)
「橋からのながめ」
「るつぼ」

「るつぼ」はすごい戯曲だね。世界レベルの傑作という感じがする。
遠藤周作「沈黙」の先行作品。かなり遠藤さんは影響を受けたのでは。
うねるようなドラマのなかに(研究家向けの)思想も(大衆向けの)見せ場も盛り込む。
これほどまでのドラマを作り上げられるひとがこの世にいるなんて。
アーサー・ミラーに影響を受けた日本人文学者は他に誰がいるのだろう。
109吾輩は名無しである:03/08/20 01:10
>>108
豚小屋に帰れ!
110吾輩は名無しである:03/08/20 09:04
同じ感想でも読んでて苦痛なひととそうでないひとがいるから不思議。
111吾輩は名無しである:03/08/20 21:09




(薔薇の名前・・・休む間もなく再読に入ります・・・)



112吾輩は名無しである:03/08/20 21:50
>>111
ワラタ。
113美香 ◆FE5qBZxQnw :03/08/23 10:10
「山頭火 風の中ゆく」(村上護/春陽堂)

山頭火研究の先駆者・村上護さんの書いた戯曲。
全国で公演されたらしいけど、うーん、失笑した。
研究者が勘違いして創作に手を出すと目も当てられないという典型。
ドラマというものをまったくわかっていない。
ただ山頭火の生涯を戯曲形式で紹介しただけ。
戯曲としてやってはいけない「説明的台詞」で満たされている。
役者さんも困っただろうなと同情する。
山頭火はテレビや戯曲にするとなぜかつまらなくなるのはどうしてか。
114吾輩は名無しである:03/08/24 12:01
348 :吾輩は名無しである :03/08/24 10:13
自分自身のバカに対する自己認識を
もっと深めた方がいいと思うな、美香の場合は。

353 :美香 ◆FE5qBZxQnw :03/08/24 10:56
こんな誰も読まない「くそスレ」たくさん書いて悔しいから、
部分、部分を他のスレにコピペしまーす♪

355 :吾輩は名無しである :03/08/24 11:48
美香 ◆FE5qBZxQnwの書きこみってつまんないね。
115吾輩は名無しである:03/08/29 02:29
「階段のあがりはな」小島信夫(残念ながら絶版)
しかし丹念に古書店に足を運べば見つかる小説かも。
興味のある人は是非がんばって探してね。

以下感想。
この短編集は主に「夫婦関係」と「日常の悲しい視線」について書かれている。
特に好きなんは「メイル・ボックス」という短編。
小島信夫独特のユーモアが溢れ出ていてクスクス笑える。
(アメリカで食べたスキヤキの話と、七面鳥に追いかけられる話はたまんないw)
そして最後の三行に行き着くと、胸が締付けられる。

五年後、十年後に自分に家族が出来てから読み返すはずの小説集。
中にはつまらない話もあるが、悪くない。
「何故?」という疑問に答えを出さないのが良い。是非。
以上、読了報告終了。
116あぼーん:あぼーん
あぼーん
117吾輩は名無しである:03/08/29 07:44
>>116
もう、やめとけ。
118吾輩は名無しである:03/08/29 08:02
美香ってまだこんなことやってたのかw
119吾輩は名無しである:03/08/29 14:41
>>118
美香じゃねえだろ、これは
120美香 ◆FE5qBZxQnw :03/08/31 07:13
小島信夫は「抱擁家族」を読んだけどわたしにはダメだった。
日記のように三日坊主になってしまう。
夏休みの終わりに日記をすべて書くのがわたしの流儀かも。
なんちゃって今日は8月31日。

「ア−サ−・ミラ−全集3」(倉橋健訳/早川書房)
(内容)
「転落の後で」
「ヴィシーでの出来事」

「ア−サ−・ミラ−全集4」(倉橋健訳/早川書房)
(内容)
「代価」
「二つの月曜日の思い出」

「ア−サ−・ミラ−全集5」(倉橋健訳/早川書房)
(内容)
「世界の創造とその他の仕事」
「アメリカの時計」

「旧約聖書を知っていますか」(阿刀田高/新潮文庫)
「新約聖書を知っていますか」(阿刀田高/新潮文庫)
121美香 ◆FE5qBZxQnw :03/08/31 07:19
「世界の創造とその他の仕事」が旧約聖書を題材にしていたので、つい寄り道を。
阿刀田高の古典紹介シリーズは工藤伸一が好きそう。知ったかぶりのネタ本。

「代価」はあたかも現代日本の老人介護問題を描いているかのごとし。
アメリカのほうが何事も先をいっているのか。
「二つの月曜日の思い出」は泣いちゃった。
早川書房もアーサー・ミラーを文庫にすればいいのに。
122吾輩は名無しである:03/09/06 00:21
「ヨウ子(変換できねぇ)・妻隠」古井由吉(新潮社/絶版?)
「what?アメリカンプロレス読本」(洋泉社)

以下感想。
「ヨウ子・妻隠」
言わずと知れた由吉さんの初期傑作集。
何で由吉さんはこんなにも女の作り方が上手いのだろう?
惚れる。
そしてこのあと「櫛の火」「仮往生伝試文」「白髪の唄」と傑作に至る
道程を考えるだけで、鳥肌が立つ。畏怖の念で。
是非。(損は無いはず)

「what?アメリカンプロレス読本」
エンタメ最高!WWEよ、永遠に!
以上、読了報告終了。
123吾輩は名無しである:03/09/06 00:55
>>122
充実した夏だったんだ! …アメリカプロレスか…見てぇな
124吾輩は名無しである:03/09/06 08:11
いいなぁ本読めて。
125吾輩は名無しである:03/09/06 17:11
『トニオ・クレーゲル ヴェニスに死す』
トーマス・マン 高橋義孝訳 新潮文庫

★★★☆☆☆☆☆☆☆☆(星三つ)
126吾輩は名無しである:03/09/06 19:55
>122
「杳子」は、「ようとして」と入力すれば、この漢字が出てくる。

「杳として行方が知れない」の「杳」かぁ…と、10数年前に手に
取ったとき、背筋がゾッとした。女性にこんな名をつけるなんて…と。
題だけで知れる作家の底力というものがあると思った。
漱石のつくりだした「藤尾」とともに、日本文学史上忘れられない
女性の名前です。
127吾輩は名無しである:03/09/06 23:41
>>126
たしかに! どこかしら髣髴とさせる…「藤尾」。
改めて両方読み比べてみると…漱石と古井の…たんに手法ではなく深いところが
窺えるかもしれない…
「ボヴァリー夫人は私だ」と言ったフローベールを引くまでもなく…
128美香 ◆FE5qBZxQnw :03/09/07 03:09
「杳子」は大学時代にレポートを書かされた小説です。
ブックオフで集英社文庫「水」を買ったけど、これはおもしろい?

「ア−サ−・ミラ−全集6」(倉橋健訳/早川書房)
(内容)「壊れたガラス」「大司教の天井」

「ア−サ−・ミラ−全集1」(倉橋健訳/早川書房)*再読
(内容)「みんな我が子」「セールスマンの死」

「ア−サ−・ミラ−全集2」(倉橋健訳/早川書房)*再読
(内容)「橋からのながめ」「るつぼ」
再読だけど、どちらも倉橋健さんの訳で読むのは初めて。やはり戯曲は新訳がいい。

「酔っぱらい読本・壱」(吉行淳之介編/講談社)

「週刊100人 No.14 ウイリアム・シェイクスピア」(デアゴスティーニ)

「文芸別冊 総特集 遠藤周作」(河出書房新社)
129 ◆CmqJMn2Cv. :03/09/07 10:03
>128
充実した読書だね〜
ミラー全集良かったの?
130吾輩は名無しである:03/09/07 17:59
金子光晴 『ねむれ巴里』 中公文庫

絶句です。
131吾輩は名無しである:03/09/07 18:07
>124
同感です。
>126
乙―!
>130
金子光晴シブイねえ〜
でも「絶句」って?
いろいろ意味あるけど。
132らふ:03/09/07 18:40
島田雅彦 「彗星の住人」「美しい魂」「エトロフの恋」
 評判よくないみたいだけど、俺的には好き。

133吾輩は名無しである:03/09/07 18:44
>>130
絶句…禿同意。読んだ者にしかわからんが
134:03/09/08 13:24
ドストエフスキー「白痴」上下 木村浩 訳  新潮文庫
安部公房「緑色のストッキング・未必の故意」 新潮文庫

だいたい一週間くらいかな…
135吾輩は名無しである:03/09/08 18:52
大江健三郎「死者の奢り」
吉田修一「日曜日たち」
136吾輩は名無しである:03/09/09 22:00
『夜の樹』
トルーマン・カポーティ 川本三郎 訳 新潮文庫

★★★★★★★☆☆☆(星七つ)
137ixion ◆ySh2j8IPDg :03/09/10 04:29
Diana Wynne Jones, Howl's Moving Castle
面白いじゃん。Calcifer(火のデーモン)かわいいし。

でも、宮崎駿がラピュタみたいな映画に
してしまうんじゃないかと不安なわけだが…。
138:03/09/11 00:15
「小僧の神様 他十編」 志賀直哉 岩波文庫
……好きになれないなぁ志賀。
139吾輩は名無しである:03/09/11 00:23
「激震!アメリカン・プロレス読本〜2001WWF 全米統一!」(洋泉社)
(ちなみに前回報告したのは2002年度版)

以下感想。
父親を敵視する息子、娘。夫の浮気にショックで植物人間と化す妻。
そんな妻の前で浮気相手とディープキスをかます夫。
しかし妻、突然寝覚め夫の金玉を蹴る!許しを請う夫。離婚調停と財産分与を
主張する妻。
数々の裏切りと和解。愛と嫉妬。笑いと(本当の)悲しみ。(9.11)
古典文学のようなストーリーとプロレスの融合。
そこら辺の純文学なんぞ吹き飛ぶスピードと濃厚さ。
素晴らしい。是非。
以上、読了報告終了。

>>126 杳子(できたっ!)
俺は火見子(大江)、ナオミ(谷崎)が好き。譲れねぇ!

>>128
「酔っぱらい読本・壱」(吉行淳之介編/講談社)
かなり気になるw 俺も見つけたら買いたいな。(同じ酔人として)
140美香 ◆FE5qBZxQnw :03/09/13 10:57
「ア−サ−・ミラ−全集4」(倉橋健訳/早川書房)*再読
(内容)「代価」「二つの月曜日の思い出」
→結局、アーサー・ミラー全集でおもしろいのは1、2、4巻です。

「現代演劇 no.15 特集アーサー・ミラー」(現代演劇研究会編/英潮社)
→アーサー・ミラーの総まとめとしてヨンダ。巻末の世界の演劇状況が秀逸。
世界中でいまもシェイクスピアが(それも頻繁に!)上演されていることを知る。

>>139
「酒とつまみ 第3号」(酒とつまみ社)
→酒とつまみに関する濃いぃ話が満載の小冊子。1号から愛読している。
少数の書店でしか売っていない。わたしは神保町の三省堂本店で購入。
http://www.saketsuma.com/

「酔っぱらい読本」(吉行淳之介編/講談社)全巻そろいの相場は3000円。
ネットで検索して驚いたのは初版全そろいで14000円(!)があったこと。
141吾輩は名無しである:03/09/13 23:39
「The Gospel According to Larry」(Janet Tashjian/ヘンリー・ホルト社)
142:03/09/14 08:17
井伏鱒二「山椒魚」 新潮文庫
ユーモアの感覚がイマイチ肌に合わない。
143吾輩は名無しである:03/09/18 17:31
「国境の南、太陽の西」村上はーるき
144吾輩は名無しである:03/09/19 18:01
『狭き門』
ジッド 山内義雄訳 新潮文庫

★★★☆☆☆☆☆☆☆(星三つ)
145あぼーん:あぼーん
あぼーん
146吾輩は名無しである:03/09/19 18:43
また古いコピペだな(プ
147吾輩は名無しである:03/09/19 18:47
>139
ヒミコと言えば、泰淳『貴族の階段』の氷見子もいい女ですよ。
ミシマの雪子のようにエロスいっぱいで、殿方はお気に召すかと…。

読了本はひみつです。

148吾輩は名無しである:03/09/19 19:31
149吾輩は名無しである:03/09/20 08:40
>147
まちがえました。
雪子じゃドン谷崎だ。ミシマは聡子タンです。
150美香 ◆FE5qBZxQnw :03/09/23 08:31
「悲劇の誕生」(ニーチェ/秋山秀夫訳/岩波文庫)
「ニーチェ入門」(竹田青嗣/ちくま新書)
「インド酔夢行」(田村隆一/集英社文庫)
「若きウェルテルの悩み」(ゲーテ/高橋義孝訳/新潮文庫)
151吾輩は名無しである:03/09/23 08:42
なんべん同じこと書いてるの見ても 鼻で藁うしかないw
読んだ、としか書けないバカw 読んでも何にもならない阿呆。
レスを見れば、歴然とする。進歩もゼロ、人間性も皆無、
軽薄さが歩き回っているような糞 <150
そんなヤシに読まれた本の方が、えらい迷惑な話だ・・・
152吾輩は名無しである:03/09/23 09:53
ずいぶん自虐的な自演ですね
153吾輩は名無しである:03/09/23 12:47
吉田修一『日曜日たち』 講談社

連作短編。
まぁ、「小説」というより、「読み物」って感じです。
掲載誌が『小説現代』だからというのもあるんでしょうが。

でも、面白かったす。
154吾輩は名無しである:03/09/23 13:01
>>153
新作・・・ですか。情報thX.(サンクス)
155吾輩は名無しである:03/09/23 22:43
「父の乳」獅子文六(新潮社/残念ながら絶版)

以下感想。
心が暖まる私小説。これを読みながら子供の頃の記憶や懐かしい家族の
思い出がモリモリ溢れ出した。
これと一緒に同氏の「娘と私」も読むと判り易いかも。
秋の夜長に是非。
以上、読了報告終了。

>>147
武田泰淳「貴族の階段」は傑作。氷見子も節子も愛すべき、かわいい(そしてエロい)女の子。
もちろん雪子も聡子も大好き。
156吾輩は名無しである:03/09/24 20:24
『人間の土地』
サン・テグジュペリ 堀口大學訳 新潮文庫

★★★★★★★★☆☆(星八つ)
157吾輩は名無しである:03/10/01 23:36
「短歌という爆弾」穂村弘(小学館)
「回転ドアは、順番に」穂村弘、東直子(ぜんにち)

以下感想。
「短歌という爆弾」
この中の「終章 世界を覆す呪文を求めて」だけでいいので立ち読みしてもらいたい。
10分だけ、俺を信用してくれると嬉しいです。
なぜあなたが言葉を、物語を必要としたのかが思い出させるかも。

「回転ドアは、順番に」
素になるw 照れるけど、すき。
以上、読了報告終了。
158吾輩は名無しである:03/10/02 00:00
『イーゴリ遠征物語』(岩波文庫)

荒れ牛フセーヴォロト萌え。
ボヤーンの流れを汲む、吟遊詩人が作者と予想されてるけど、
俺には教会関係者のように思える。イーゴリの懺悔のとこ読んでそう思った。
159美香 ◆FE5qBZxQnw :03/10/07 13:42
「ファウスト(一)」(ゲーテ/高橋義孝訳/新潮文庫)
「ファウスト(二)」(ゲーテ/高橋義孝訳/新潮文庫)

「演劇とは何か」(鈴木忠志/岩波新書)
「劇的とは」(木下順二/岩波新書)

「女の平和」(アリストパネス/高津春繁訳/筑摩書房・世界古典文学全集)
「女の議会」(アリストパネース/高津春繁訳/岩波文庫)
「雲」(アリストパネース/高津春繁訳/岩波文庫)

「東京のBar」(枝川公一/プレジデント社)
「風呂で読む 啄木」(木股知史/世界思想社)*再読
160吾輩は名無しである:03/10/08 18:30
>>159
相変わらず冊数はよく読んでるなあ。



161吾輩は名無しである:03/10/08 23:26
「腐敗性物質」田村隆一(講談社文芸文庫)

以下感想。

劇物図書に認定。

以上、読了報告終了。
162美香 ◆FE5qBZxQnw :03/10/09 06:43
「早春スケッチブック」(山田太一/新潮文庫)

以下感想。

人生の一冊に認定。
シナリオ本。
「想い出づくり」とならぶ山田太一の最高傑作。
シェイクスピアよりもチェーホフよりも寺山修司よりも山田太一はすごい。
その山田太一の「らしさ」がいちばん出ているのが本作では?
絶版なのでブックオフで見つけたら必ず買うこと!

以上、読了報告終了。

>>159
冊数だけは、です。
誇れるのは、読むスピードよりもむしろ忘れるスピードかも。
レスも終了。
163吾輩は名無しである:03/10/09 22:27
「1984年」(ジョージ・オーウェル/ハヤカワ文庫)
一分の隙もない暗黒哲学が凄すぎ。
なんで自由とか平和とか愛とか平等を有り難がってたのか
分からなくなった。
164吾輩は名無しである:03/10/10 04:15
「信子」獅子文六(残念ながら絶版?)

以下感想。

獅子曰く、これは夏目「坊ちゃん」の逆パロディーだそうです。
とにかく完全無欠のハッピーエンドな物語。
出てくる女の子たちが可愛いくてしょうがないw

以上、読了報告終了。

あとは補足。
>>161の田村隆一「腐敗性物質」に収録されてる中で一番凄いのは
きっと「四千の日と夜」です。(一編とも理解なんかできねぇ・・)
だからこそ素晴らしい。

165美香 ◆FE5qBZxQnw :03/10/10 06:24
「頭痛 肩こり 樋口一葉」(井上ひさし/集英社)

戯曲。ブックオフ100円コーナーで購入したもの。
二ヶ月前に新宿でこの芝居を見たはずなんだけどすっかり忘れている。
井上ひさしをはじめてヨンダのは戯曲「天保十二年のシェイクスピア」で、
そのときはこんな天才が日本にいたのかと思ったけど、うーん、
これはそれほどでもないんだなぁ・・・
ところでみんなさんの読了レポを見ていると戯曲がほんとない。
いいですよ戯曲って。二時間なら二時間と時間を決めて集中して読む。
いいなって思ったセリフは音読したりして。
戯曲の良さは、その「まとまり」にある。小説みたいにだらだらしていない。
というのも戯曲という形式にものすごく制限を受けているから。
戯曲を読むとマラソンや水泳をしたような、あるいは長時間湯船につかったような爽快感があります。
つまり気持ちよく汗をかいたような、ということです。
戯曲はもっとも身体的な文学ジャンルだと思う。肉体と密接した文学。
166小山内劇場:03/10/10 07:49
「八幡屋の娘」「生きている小平次」「美しき白痴の死」その他
(鈴木泉三郎/国民図書)

戯曲。鈴木の創作はこけおどしもあるが、概して朴訥な美しさがある。
167吾輩は名無しである:03/10/10 11:20
『百鬼園随筆』(新潮文庫)
5/5
何だか評判なので購入。
借金生活を戯画化してみせる様子が、何だか面白がってやっているように
見えて仕方がない。それと(これは俺の読書が半端でしかないことの証拠だが)
初めて「名文」を読んだという気持ちになった。個人的には森田草平をからかって
みせる「大人片伝」や、子供の頃の思い出話・幻想的な話がお気に入り。

コルネイユ『嘘つき男・舞台は夢』(岩波文庫)
4/5
ジャケ買いならぬタイトル買い。
「嘘つき男」は、文字どおり女をモノにしようとその場その場でとんでもない
嘘を吐きまくる男の話。フランス古典劇を読むのはこれが初めてだが、意外に
笑えて爽やかだった。「舞台は夢」は、これはネタバレ厳禁作。詳しく言えないのが
残念だが、役者を志してる人は読めばスカッとするのでは(別に目指していない俺でも
最後はすごく力づけられる気がした)。
「嘘つき男」3点、「舞台は夢」5点の平均点で4点。
       巛彡彡ミミミミミ彡彡ジエン嵐犯 糞ころ/美香◆Qnw/幕の内/弟・…
       巛巛巛巛巛巛巛彡彡     自称29歳(頭は厨房)、無職のひきこもり。
   r、r.r 、|:::::           |  2chに貼り付いて一日中ジエン。
  r |_,|_,|_,||::::::     /'  '\ |  自己顕示欲の為に2CHを利用し
  |_,|_,|_,|/⌒      (・ )  (・ )|  マジ板に糞スレ乱立。他者を誘い込み 
  |_,|_,|_人そ(^i    ⌒ ) ・・)'⌒ヽ  釣っては嬲り、下司レスのみ垂れ流し。 
  | )   ヽノ |.          ,| 山ほどのHNと名無しでジエン、良スレを
  |  `".`´  ノ     ノ ̄i  |   煽り、マジレスを茶化して他者を罵倒し、
  人  入_ノ´    ヽニニノ ノ\     自己レスで自分をほめ上げるのが特徴。
/  \_/\\       /|\\       頭のカラッポな阿呆。真性バカ。
      /   \ ト ───イ/   ヽヽ   
     /      ` ─┬─ イ     i i 嫌味と自己露出と煽りのレスで板全体に
    /          |      Y  | | エロと低劣なムードをまきちらし、
★★コピペ自由★★ジエン見たら貼れ  皆の憫笑と嘲笑にも恥を知らない厚顔無恥犯。
169吾輩は名無しである:03/10/10 20:41
>>168
出そうなところって、もう限られてるんだから、
自分から避ければいいのに。
170吾輩は名無しである:03/10/10 21:02
「激しく倒れよ」沢木耕太郎
171小山内劇場:03/10/10 22:21
「仮面」「なのりそ」「生田川」
(森鴎外/国民図書)
戯曲。「仮面」デカダン。文学的生活の勧め。
「なのりそ」鴎外のみたデモクラシー。耿子が石原の判断を仰ぐあたり、
フェミニズム的要素希薄。
172吾輩は名無しである:03/10/11 00:14
『遠い声 遠い部屋』
カポーティ 河野一郎/訳 新潮文庫

★★★★★★★☆☆☆(星七つ)
173吾輩は名無しである:03/10/11 23:40
「櫻の園」チェーホフ

「ああああああ鬱陶しい!!!! 苛々すんだよっ!!!!!」
という登場人物ばっか。今の日本だと結構この手の人たちいるのかも。
174小山内劇場:03/10/12 15:13
「清盛と佛御前」
(島村抱月/国民図書)
松井須磨子の為にかかれたもの。白拍子である佛御前を妖艶に書いている。
祇王や清盛の人物造形は盛衰の命運を感じさせる。
175小山内劇場:03/10/13 00:38
「人生の幸福」
(正宗白鳥/国民図書)
戯曲。血筋のもたらすものに困惑しながらも、心のどこかで
それが幸福であると感じている。兄弟の再会は死という愛をもたらす。
初演は新感覚派の台頭が始まる年。事実上の師である抱月の死後、六年。
176美香 ◆FE5qBZxQnw :03/10/13 07:15
むむむ。戯曲が流行っているなんて、夢を、夢を見ているのでは。

「沿線地図」(山田太一/角川文庫)
→ここのところずっと海外の古典ばかり読んでいたので最初はあまりのぬるさに絶句。
でもおもしろいの、読んでいてあんなに笑うなんて。山田太一が好きなんてひとにいえない。

「岸辺のアルバム」(山田太一/角川文庫)
→小説。テレビで見たひといる? テレビドラマの古典、その原作本。
これもおもしろい、文学じゃないなんていわないで!
ギリシア悲劇やゲーテなんて読んでいたからか、おもしろいものを読むと罪悪感がある。
でも思うんです。ギリシア悲劇と当時の観客との関係は、現代ににおける
テレビドラマと視聴者の関係とそう変わらないのでは? 
ギリシア悲劇にいろいろな制限があったようにテレビドラマにもスポンサーやらの制限がある。

「終わりに見た街」(山田太一/中公文庫)
→宮部みゆき「蒲生邸事件」の山田太一バージョン。
平凡な家族四人が突然タイムスリップして大東亜戦争の真っ只中へ。
はたして歴史を知っている彼らは東京大空襲をとめられるのか?
良いのか悪いのか山田太一の小説は1時間で100ページ読める。

「街への挨拶」(山田太一/中公文庫)
エッセイ。なんでだろ。時折、つぼにはまったように大爆笑をしてしまった。
日常をなめるな、ありきたりを舐めるな、人生はお祭りなんかじゃないと静かに語る。
そのくせ露骨に寺山修司へのあてつけ(悪口)もある。
許せなかったんだろうな、寺山ごときが若者に受けている軽薄な時代が。
今じゃ寺山なんて恥ずかしくて口にできない時代になったけれども。
177美香 ◆FE5qBZxQnw :03/10/13 07:22
>>175
それすごい古本ではボロボロの。
紀伊国屋HPでもそれヒットしない。
国民図書ってなんだろう。
おもしろいの?
読んだことないけど、そういう古い(木下順二以前)日本の戯曲は。
178吾輩は名無しである:03/10/13 07:23
オーケンののほほん人間革命 大槻ケンヂ 角川文庫 飽きた
179小山内劇場:03/10/13 22:01
「地蔵教由来」
(久米正雄/国民図書)
戯曲。新現実主義。大衆性を押した明解さがある。
反面、劇的要素が希薄に感じる。民話に拠っているのかもしれない。

>>177
「現代戯曲全集」国民図書株式会社/初版 大正十五年/非売品(巻末に記載)
探せば古本屋で買えます。箱が頑丈なので状態は良いはずです。
少し調べましたが、非売品である由来はわかりませんでした。
主な作者は、白樺、新思潮同人、自然主義作家です。
一巻 坪内逍遥
二巻 岡本綺堂
三巻 松井松翁・高安月郊・山崎紫紅・伊原青々園・岡鬼太郎
四巻 中村吉蔵
五巻 菊池寛
六巻 谷崎潤一郎
七巻 武者小路実篤
八巻 倉田百三・長與善郎
九巻 吉井勇・里見ク
十巻 長田秀雄
十一巻 小山内薫・久保田万太郎・木下杢太郎
十二巻 久米正雄
十三巻 山本有三
十四巻 秋田雨雀・仲木貞一・藤井真澄
十五巻 正宗白鳥・灰野庄平・近藤経一・小寺融吉・田島淳・島村民蔵
十六巻 池田大伍・額田六福・開口次郎・岡栄一郎・金子洋文
十七巻 真山青果・川村花菱・瀬戸英一・清見陸郎・邦枝完二・岸田國士
十八巻 長谷川時雨、その他
十九巻 郡虎彦・鈴木泉三郎
二十巻 森鴎外・島村抱月・岩野泡鳴・有島武郎  以上 全二十巻
180美香 ◆FE5qBZxQnw :03/10/14 22:13
>>179
わざわざ情報どうも、です。
たしかに古本屋サイトで国民図書を検索するといくつかヒットしました。
大正十五年とはそうとうな年代もの。
ワインじゃないけど、そういうのは飾っておくものだとばかり。
実際に読むひともいるんですね。時代を超えて読まれた本も喜んでいそう(w
夜中、みんな寝静まったころ動き出しそうな本。
どんなひとの手をわたりながら長い年月を経たのか聞いてみたくないですか?

>以上 全二十巻
知っているひともいれば、まったく知らないひとも大勢。
時代の厳しい淘汰に思いをはせました・・・
181美香 ◆FE5qBZxQnw :03/10/15 06:35
「飛ぶ夢をしばらくみない」(山田太一/新潮文庫)
→老婆と思っていたら、あらら。どんどん若返っていくではないか。
好色な主人公はたとえ少女が12、3歳と思われようがすることはする。変態め。

「異人たちとの夏」(山田太一/新潮文庫)
→映画を見たことある。トラウマになっている。この原作本でも涙ぽろぽろ。第一回山本周五郎賞。

「丘の上の向日葵」(山田太一/新潮文庫)*再読
→10年近く前に一度ヨンダことがあるけど、すっかり忘れている。
ある日、突然、美人からあなたの子どもがいるのといわれた既婚の中年男の動揺。
しかも息子は下半身不随だという。わたし、こういう読み物から読書の世界に入ったのですよ。
文学がどうだの、美観がどうだの、ぜーんぜんお構いなし。読んでおもしろいのがいいいじゃんと。

「遠くの声を捜して」(山田太一/新潮文庫)*再読
→これもおよそ10年ぶりの再読。女からの電波を受信しはじめた男の悲喜劇。
精神医学ではこういう患者さんは入院してもらうことになっていますが、あはは。
ベケット「ゴドーを待ちながら」のように最後の最後まで「女」は登場しない。
182美香 ◆FE5qBZxQnw :03/10/15 06:41
美観→美意識かな。三島とか大嫌いだった。
いまは多少なりともすごさがわからなくもないけれど。
183吾輩は名無しである:03/10/20 00:45
「蟲愛づる姫君」
(加藤道夫/全集/新潮社)
戯曲。未定稿。時代的なものと永遠的なものの対立。
好色家とその家来等の設定等、西洋の影響が多く見られる。
184吾輩は名無しである:03/10/22 18:31
「青年の汚名」大江健三郎(なんでか絶版)

以下感想。

初期大江の異色長編。鰊漁しか取柄の無い北海道の離島が舞台。
相変わらず痺れる台詞が満載で参るね。(読みづらさも・・)
「われらの時代」とともに、その後の大江作品の雛形としても読める。
これを読んだ後、スーパーで鰊の開きを見る度にムズムズするw

以上、読了報告終了。
185美香 ◆FE5qBZxQnw :03/10/23 07:01
「路上のボールペン」(山田太一/新潮文庫)*再読
「いつもの雑踏いつもの場所で」(山田太一/新潮文庫)*再読
→どちらもエッセイ集。何回読み返したのだろう。ほとんど内容を覚えていた。

「君を見上げて」(山田太一/新潮文庫)
→のっぽ女とちび男の純情恋愛物語。「障害」がないと恋愛諸説は盛り上がらない。
たとえば戦争あるいは身分差もしくはトラウマ、そして本作は身長差にそれを求めた。

「冬の蜃気楼」(山田太一/新潮文庫)*再読
→呪われたように演技が下手な役者と新米助監督の奇妙な友情物語。
演技と素、虚構と現実、ウソとほんと。現実はそんな簡単に分類はできないと。

「恋の姿勢で」(山田太一/新潮文庫)
→ありきたりな恋愛への挑戦状。会うたびに設定をかえて演技する男女の物語。
今日は僕がやさぐれた探偵、君は弱みを握られた人妻という設定でデートしよう。
こんな感じに、毎回ちがうデートを楽しむ男女。
寺山修司よりも非日常というものを見通しているのは、日常をこれでもかと凝視しているゆえ。
186美香 ◆FE5qBZxQnw :03/10/23 07:03
「見えない暗闇」(山田太一/朝日文芸文庫)
→非常に図式的な小説。読後、思わず絵解きをして悦に入ってしまいそう。
日常と非日常、正常と異常、平静と狂気、貴重品とゴミ、公務員と暴力。
つまりは「きれいは穢(きた)ない、穢ないはきれい」(マクベス)。
山田太一さんの意欲作。なんでこれがなんの文学賞も取っていないのかふしぎ。

「見なれた町に風が吹く」(山田太一/中公文庫)
→平凡で退屈な日常を送るオールドミスがふとしたことから映画製作に加わることになり・・・
現実はとことん厳しいけど、ほんと厳しいんだけど、でもまあがんばろうよ!
という、いかにも山田太一らしい作風の小説です。決してワンパターンとは言わない。

「彌太郎さんの話」(山田太一/新潮社)*再読
→去年の三月に発売されてすぐ読んだはずなんだけどさっぱり覚えていなかった。
文句なしの傑作。上質のエンターテイメント。文庫化されたらまあ読んでみぃ。

以上にて山田太一全小説13作品を読了。
187美香 ◆FE5qBZxQnw :03/10/24 13:35
『親ができる「ほんの少しばかり」のこと』(山田太一/新潮文庫)
→太一パパの子育てエッセイ。なに読んでんだかアハハ。
こんなものを書くだけのことはあって太一娘は民放テレビ局のエリート社員。
遠藤周作の息子もテレビ局のプロデューサー。へへへ、成功者は子どもまで違いますね。
188吾輩は名無しである:03/10/24 14:00
「純粋理性批判」カント(岩波文庫)
以下感想

絶対半分も理解してない悪寒。
もう少し入門書や、研究書で勉強してから再挑戦しようと思った。
189吾輩は名無しである:03/10/24 14:32
http://books.yahoo.co.jp/bin/detail?id=30730702
これが入門書として面白い。
190吾輩は名無しである:03/10/24 15:40
「東京湾景」吉田修一
191小山内劇場:03/10/24 19:08
「古い玩具」
(岸田國士/岩波文庫)
戯曲。大正十三年、パリ遊学中に書かれたもの。原題「黄色い微笑」
旧題からもわかるように、西洋対東洋を主題の一つに挙げている。
この作品において、軍政に傾きつつあった日本の政情をいち早く
批判的に捉えている点は、「コスモポリタン」を終生のテーマとして
作品に継承した、作者の思想を読み解く手がかりになる。
体調不良で帰国した岸田は、自由劇場解散後の近代劇を支えていく。
「……自分を脅かし束縛する社会に、どんな優れたものが潜んでいようと、
その社会は全体として自分を活かしはしません……」(P.65)

192吾輩は名無しである:03/10/25 02:28
>>185−186
何の意味も無いレス書くな、おまえが何読もうと何しようと誰一人何の興味も無いw
おまえが読むべき本の一覧↓ 別スレに親切なヤシが書いてたw

481 名前:吾輩は名無しである :03/10/25 00:53
1. 引きこもりからの旅立ち : 登校・就職拒否から「人間拒否」する子どもたちとの心の記録 / 富田富士也‖著 / ハ-ト出版 , 1992.9
2. 父のひと言が僕を変えた : 登校・就職拒否する子どもたちと父母、スタッフらの心の記録 / 富田富士也‖著 / ハ-ト出版 , 1993.1 ( 引きこもりからの旅立ち ; 続 )
3. 不登校・ひきこもりQ&A / 稲村博‖著 / 誠信書房 , 1993.9
4. よみがえった家族の絆 : 登校・就職拒否する子どもたち / 富田富士也‖著 / ハ-ト出版 , 1994.2 ( 引きこもりからの旅立ち ; パ-ト3 )
5. 子どもたちの暗号 : 登校・就職拒否する子どもたち / 富田富士也‖著 / ハ-ト出版 , 1995.1 ( 引きこもりからの旅立ち ; パ-ト4 )
6. お父さん、わかってよ! : 悩む家族が語った父親への本音。 / 富田富士也‖著 / ハ-ト出版 , 1995.6 ( 引きこもりからの旅立ち ; パ-ト5 )
7. 飛べないトンボの心理療法 : 「引きこもり」「いらだつ」若者たちへ / 町沢静夫‖著 / PHP研究所 , 1996.5
8. 引きこもりと登校・就職拒否、いじめQ&A / 富田富士也‖著 . 新版 / ハ-ト出版 , 1996.7
9. ひきこもり : 「対話する関係」をとり戻すために / 田中千穂子‖著 / サイエンス社 , 1996.7 ( ライブラリ思春期の“こころのSOS" ; 7 )
10. 「困った子」に悩む親たちへ : 親のプラス発想68のヒント / 伊藤友宣‖著 / 海竜社 , 1997.6


193吾輩は名無しである:03/10/25 02:31
482 名前:吾輩は名無しである :03/10/25 00:54
11. お-い、ひきこもりそろそろ外へ出てみようぜ : タメ塾の本 / 工藤定次‖著 / ポット出版 , 1997.8
12. 個室 : 引きこもりの時代 / 島田裕巳‖著 / 日本評論社 , 1997.9
13. 日本を蘇生させる教育革命 : 教育が変われば日本が変わる / 大越俊夫‖編著 / 日新報道 , 1998.4
14. 引きこもりの理解と援助 / 蔵本信比古‖著 / 萌文社 , 1999.11
15. シリーズ・人間と性格 ; 第7巻 ; 性格の不適応 / 詫摩武俊‖[ほか]編集 / ブレーン出版 , 1999.12
16. 青年のひきこもり : 心理社会的背景・病理・治療援助 / 狩野力八郎‖編 / 岩崎学術出版社 , 2000.1
17. 新・引きこもりからの旅立ち : 不登校「その後」・就職拒否に悩む親子との関わりの記録 / 富田富士也‖著 . 増補改訂 / ハート出版 , 2000.4
18. 言ってはいけない親のひと言 : 新・引きこもりからの旅立ち 2 / 富田富士也‖著 / ハート出版 , 2000.6
19. ひきこもり・不登校からの自立 / 荒井裕司‖著 / マガジンハウス , 2000.6
20. 息子を犯罪者にしない11の方法 / 和田秀樹‖ほか著 / 草思社 , 2000.8
194美香 ◆FE5qBZxQnw :03/10/26 11:44
「言語表現法講義」(加藤典洋/岩波書店)

著者が大学で教えていた講義を書籍化したもの。
テーマは「どうすればいい文章を書けるか」。刺激的な良書です。
言葉というものに意識的に向き合う良い機会になった。
本書は著者が学生に課題をだし、提出された課題を添削するという形式で進められる。
けどね、なんだかなと思ったりもする。うまいと著者がほめる学生の文章なんて読むと。
いかにもな小論文の優秀作、模範解答例みたいで、チェッと舌打ちしたくなるのである。
たとえば「私について」書きなさいという課題。
「戦争について」でも「現代の若者について」でもそう。
なんで一言「うるせーバカ!」じゃいけないんだろう。
本書のような文章教室からは文学は生まれない。
「うるせーバカ!」から始まるのが文学なのではありませんか。
かつて中上健次はいった。
「いまの文学者にこれだけは書かなければならないというものをもったやつがどれだけいるか。
べつに書かなくても生きていけるやつらが文学者づらをして賞に一喜一憂しているだけだ」。
おんなじ。課題をだしてまで学生に文章を書かせる必要がどこにありますか。
書きたいことがないひとは、書かなくてもいいじゃない。いわんや「いい文章」をや。
添削というのもどうかなぁ。さっきの中上さんは若い頃にこうもいっている。
自分の小説を一字一句でも添削しようとするやつは殴りつけてやると。さすが。
さてさて、本書の最後で著者は言い訳のようにいっている。
今まで自分が書いてきたいい文章の書き方なんて忘れてください。
みなさんの書きたいという気持がいちばんです、と。
もちろん加藤典洋もわかっていたのである。
書く「技術」よりもはるかに書く「欲望」が大切なんだって。
安心してください。三日も経てばわたしは本書の内容を忘れるでしょうから。
195美香 ◆FE5qBZxQnw :03/10/26 11:45
>>192-193
ありがとう。今後の読書計画の参考にします。
196吾輩は名無しである:03/10/27 02:57
「ジョン・レノン対火星人」高橋源一郎(んー・・絶版)
「さようなら、ギャングたち」高橋源一郎(講談社文芸文庫)

以下感想。

「ジョン・レノン〜」
わけわからん。悲しくなった。(理解できなさ過ぎで)
ただ、序文と「死体」の描写は凄い。けどそれだけ。

「さようなら、〜」
悔しくなって再読。やっぱし良いね。
「ヘンリー4世(ねこ)」が出てくる章は全部最高!
けど、福田の付けた91点はどうかなと思った。(まぁ、元々信用はしてないけど)

以上、読了報告終了。
197美香 ◆FE5qBZxQnw :03/10/30 04:11
「どん底」(ゴーリキイ/神西清訳/角川文庫)絶版
→戯曲。いわゆる名作古典。ロシアの浮浪者さんたちのおはなし。
どの文学作品も「ある時代における・ある国の」事情というものがあってはじめて
書かれるものだろうけれども、その中で古典として後世に残るものにはやはり
時代・地域に還元されない「何か」がある。その何かとは劇的ということではないか。

「イワーノフ」(チェーホフ/米川正夫訳/角川文庫)絶版
→チェーホフ最初の長編戯曲。文庫で旧仮名遣いは読みにくいったらありゃしない。
これも当時のロシアの事情が色濃く反映した戯曲らしい。
まあ、私たち(研究者ではない)フツーの読者はどの古典作品も今を基準にして
読むわけですが。最後に主人公が自殺して、へえ、強制終了かとあいまいに苦笑した。
かといって村上龍の「私は主人公を最後に殺したりはしない」という方針を支持しているわけではない。

「チェーホフの手帖」(チェーホフ/神西清訳/新潮文庫)絶版
→チェーホフは手帳に日々の思いを記入して、それを創作に活用していたらしい。
チェーホフ本人や研究者には重要だったかもしれませんけど日本の一読者が見てもさっぱり。

「チェーホフ短編集」(チェーホフ/原卓也訳/福武文庫)絶版
→宮本輝お薦めの短編「恋について」が入っていたので多少値は張ったけど古本屋で購入。
最近、知ったけどわたしの好きな三浦哲郎もチェーホフを愛読しているらしい。
感想は、ブンガクしてるなぁ。ありのままの人間と、あるべき人間とのあいだにあるブンガクねえ。
大まじめに恋愛について生きる意味について書いていますよ、照れちゃうな……。

「かもめ」(チェーホフ/小田島雄志訳/白水uブックス)*再読
→戯曲。もう何回読んだんだろう。今年に入って三回目か。読めば読むほど味が出る。
チェーホフの最高傑作。これがあるからチェーホフの他の作品も読もうという気になる。
この感動を誰かに伝えたい。なんてすばらしい戯曲なんだろう。
どの人物のどのセリフにも作者の目が行き届いている。劇的になるように! 
どの恋愛も成就することがない、それゆえのさみしさ美しさ青春ということ。
今までは気がつかなかったある脇役(マーシャ)に今回はやたら目がいった。
198吾輩は名無しである:03/10/30 04:13
いつにも増して臭いレスだな。
199美香 ◆FE5qBZxQnw :03/11/03 10:11
「完全版!! 銭道」(青木雄二/小学館)
→なに読んでんだかアハハと照れ笑いしたくなるけど、まあ、ちょっと前に
亡くなったことだし、コンビニ廉価版で安かったし、あほな大衆に受けている
のを見てみるのも悪くないと思ったから、なんてわたしはエラソーなのか(ごめん

「ザ・ロイヤル・ハント・オブ・ザ・サン」(ピーター・シェファー/伊丹十三訳/劇書房)
→戯曲。インカ帝国を滅ぼすために探検に出かけた男たちの物語。なんかいまいち。

「レイ・クーニー笑劇集」(小田島雄志・恒志訳/劇書房)
→戯曲。内容は「ラン・フォー・ユア・ライフ」と「パパ・アイ・ラブ・ユー」。
登場人物全員が必死になって動き回るファルス(笑劇)。すべては観客を笑わすために!
シェイクスピアの「間違いの喜劇」を100倍おもしろくした感じといえばいいのか。
こんな演劇も可能だったのかと新たな発見をした気分。シナリオ創作の勉強になる。
2500円と高いけどお薦め。失意落胆しているときに読むと肩がほぐれそう。再読候補。

「くたばれハムレット」(ポール・ラドニック/松岡和子訳/白水社)絶版
→戯曲。お芝居の舞台裏を演劇にしてしまうというのは古く「夏の夜の夢」から。
ハムレットを演じることになった役者の成長物語。
ほら幽霊がでてきて、それは主人公にしか見えなかったりして、幽霊に色々教えてもらって、
最後はお別れという――。ありがちとか言っちゃ悪いね。可もなく不可もなく。

「アマデウス」(ピーター・シェファー/江守徹訳/劇書房)*再読
→戯曲。モーツァルトのお話。初読のときはすんごい大傑作だと思ったけどなんだかな。
うまいんだけど、おもしろいんだけど、それだけで終わっているというのか、うーむ。
役者のひとりが甘いお菓子を舞台でぽりぽり食べるのでわたしもついついお菓子を口に(w
そういうことってありません? 本にでてくる食べ物がどうしても食べたくなってしまう。
200吾輩は名無しである:03/11/03 10:22
絶版
(意味)
私は、皆さんが読んでいない本を読んでいるのですよ!
201吾輩は名無しである:03/11/03 10:25
絶版
(意味)
本屋に注文しても入荷しないでしょうから、古本屋や図書館で探してくださいね、
ってことだろ。
202吾輩は名無しである:03/11/03 10:26
美香って斎藤美奈子みたいなのにあこがれてるの?
203吾輩は名無しである:03/11/03 10:29
>「アマデウス」(ピーター・シェファー/江守徹訳/劇書房)
江守徹訳に、萌え。いっしょに仕事したことあるけど、とってもいい人です。
204吾輩は名無しである:03/11/03 11:41
>199
>あほな大衆に受けているのを見てみるのも悪くないと思ったから、

おい
205小山内劇場:03/11/03 13:12
「氷雨」(葉山嘉樹/葉山嘉樹集/筑摩書房)(青空文庫)
昭和十二年。「もう政治とは絶対に縁を切る」とかかれているように、
プロ文作家としての葉山が、一プロレタリアに回帰する心情が主な内容。
社会的には転向と評されたが、黒島や葉山のこの帰結は、私には自然に写る。
資本主義を糾弾し、それを作品にして糧を得るということが、プロレタリア
としての嘘に思えるからだ。結果としては両者ともに実生活に敗れたのだが、
一人の社会人として実生活に立ち返った姿にはプロ文作家としての真摯さを
かんじる(それが正しいかどうかは私にはわからない)。
「セメント樽の中の手紙」よりわずか13(12?)年後に
この作品が発表されている。
206小山内劇場:03/11/03 13:23
「……生命とは「馬鹿げたものだ」という途方もない結論に到達することを
 私は怖れた。まして生命とは苦痛だ、というふうな結論に私は絶対に
 入りたくなかった。(中略)……要するに生命というものは、
 動物的なものなのだ。この動物的な生命を、生き甲斐のあるようにするのには
 動物的な生活態度が必要なのだ。」(三章十五行目〜)
207吾輩は名無しである:03/11/03 19:41
ビーナスの乳首やろ。。
なんかどこかの百貨店で売ってるって聞いたよ。
江守徹って、あのタレントの江守徹なの?
208美香 ◆FE5qBZxQnw :03/11/04 21:02
「ナイチンゲールではなく」(テネシー・ウィリアムズ/村田元史訳/「テアトロ」11月号)
→戯曲。テネシー・ウィリアムズが27歳のときに書いた習作。当時、上演されることはなかったらしい。
刑務所でのおはなし。搾取にリンチとやりたい放題の所長。それに対するは刑務所のドン。
さて、所長のスパイかと思われていたジムが所長秘書との愛に目覚め、刑務所のドンと結託して――。
アメリカにありがちな三流映画のような……といったら失礼かな。読みとおせるぐらいの
おもしろさはあるけど、そこどまり。この著者がのちに「ガラスの動物園」「欲望という名の電車」を
書くとはとても信じられない。その飛躍には何があったのか。それを知りたい。

「週刊朝日百科 世界の文学42 テネシー・ウィリアムズ、アーサー・ミラーほか」
→アメリカの演劇史が盛りだくさんの写真とともにコンパクトに紹介されている。
読もうか迷っていた劇作家の情報があって、思っていたより役に立った。
喜志哲雄さんによると「ニール・サイモンの戯曲にはT.ウィリアムズやA.ミラー
ほどの文学性はない」。「エドワード・オールビーはアメリカ版の不条理劇」。
どちらも全集を買おうか迷っていたけど、とりあえずはやめることにする。

「カッコーの巣の上を」(デール・ワッサーマン/小田島雄志・若子訳/劇書房)
→戯曲。いいよ、これ。とってもいい。読んでいて不覚にも落涙。とってもいっぱい泣いた。
そうとうスレているはずなんだけどなわたし。えーと、おはなしの舞台は精神病院。
ドラマというものは何者かが現れ日常の均衡が壊れることからスタートするものですが、
ここに登場するのがなんとも愉快なマクマーフィさん。「人生はお祭り」を地で生きるナイスガイ。
管理としめつけが大好きなオールドミスの婦長さんはとーぜん彼が気に入らない。
さてさて、どんな葛藤が繰り広げられるかはぜひご一読を。1700円と高いけど決して後悔させません。
続けてこれが原作の映画「カッコーの巣の上で」を見たけど、こちらにはがっくし。
映像、苦手です。イメージを押しつけられる感じが窮屈で。せっかくの脳内上演をぶち壊された思い。
ひとからイメージを与えられるより、自分でイメージを作るほうが楽しくないですか?
209美香 ◆FE5qBZxQnw :03/11/04 21:12
>>201
ザッツ・ライト! 
というよりただ単にひとつ上の>>196が絶版情報を書いていたから真似しただけ。
書いても書かなくてもいいけど。
>>202
だれにもあこがれていない。だれかのようになりたいというのはない。
むしろだれもしたことのないことをしたい。なんてわたしは思春期の少女か(w
>>203
そうですか。いま江守徹さんは文学座で「リチャード三世」をやっているようです。
>>204
何か?
>>207
そう、それとマコロン。
>江守徹って、あのタレントの江守徹なの?
そうです。どこまでひとりで訳したのかと薄笑いを浮かべたくなるけど。
友人の小田島雄志さんにかなり手伝ってもらったのかも。
でも彼はテレビではあーですが、かなり硬派な演劇活動をしています。
210吾輩は名無しである:03/11/04 21:33
「食味歳時記」獅子文六(悲しき絶版・・)

以下感想。

獅子が70才を越えた頃の食べ物に関する随筆。
明治生まれのじいさんの食に対するこだわりと昔の思い出が満載。
安飯と安酒の俺にはリアルじゃないが、なかなか読める。
(あぁぁ〜、鮎食いてぇ。)

以上、読了報告終了。

>>208
>この著者がのちに「ガラスの動物園」「欲望という名の電車」を
書くとはとても信じられない。

そうなんか。了解。けど「呪い」は年内中には読むつもり。
211狂読家:03/11/04 22:13
ドストエフスキー
罪と罰 ★★★★
白痴 ★★★★★
カラマーゾフの兄弟 ★★★★★
貧しき人々 ★★★
永遠の夫  ★★★
賭博者   ★★★
地下室の手記 ★★
悪霊    ★★★★★
虐げられた人々 ★★★★★
二重人格  ★★★


212狂読家:03/11/04 22:17
トルストイ
青年時代 ★★★
少年時代 ★★★
幼年時代 ★★★
アンナカレーニナ ★★★★
クロイツェル・ソナタ 悪魔 ★★★
戦争と平和 ★★★★★
光あるうち光の中を歩め ★★★★★
復活   ★★★★
213狂読家:03/11/04 22:20
モーム
人間の絆 ★★★★★
女ごころ ★★★
月と六ペンス ★★★
お菓子と麦酒 ★★★
雨・赤毛 ★★★
太平洋  ★★★
魔術師  ★★★
アシェンデン ★★★
214美香 ◆FE5qBZxQnw :03/11/04 22:20
>>211(わたしは)
ドストエフスキー
罪と罰 ★★★★★
白痴 ★★★
カラマーゾフの兄弟 ★★★★
貧しき人々 ★
永遠の夫  ★★★
賭博者   ★★★★★
地下室の手記 ★★
悪霊    ★★★
虐げられた人々 ★★★★★
二重人格  ★
白夜★★★★

>>210
テネシー・ウィリアムズってこてこての同性愛者だったらしいです。
「呪い」には気持が悪くなるほどの男色が描かれていますよ。
くれぐれも変なものに目覚めないでください(w
215狂読家:03/11/04 22:24
ヘッセ
春の嵐 ★★★
車輪の下 ★★★★
知と愛 ★★★★
デミアン ★★★
青春は美わし ★★★
クヌルプ ★
郷愁  ★★★
シッダ−ルタ ★★★
荒野のおおかみ ★★★
216狂読家:03/11/04 22:27
ヘンリー・ジェイムズ
ある婦人の肖像 ★★★
ねじの回転  ★★★
アスパンの恋文 ★★★★
デイジーミラー ★★★
国際エピソード ★★★

ゴーゴリ
外套・鼻  ★★

ハーディ
テス    ★★★★
217狂読家:03/11/04 22:30
トーマス・マン
魔の山 ★★★★
ヴェニスに死す・トニオ・クレーゲル ★★
短編集 ★★

ゲーテ
若きウエルテルの悩み ★★★★
ファウスト  ★
親和力   ★★★★
ヘルマンとドロテーア ★★★
218狂読家:03/11/04 22:33
フローベール
ボヴァリー夫人 ★★★★

ゾラ
制作  ★★★★
居酒屋 ★★★★
ナナ  ★★★★

バルザック
谷間のゆり ★
ゴリオ爺さん ★★★

カフカ
城   ★★

カミュ
異邦人 ★★★★
ペスト ★★★
219狂読家:03/11/04 22:36
ジィド
狭き門 ★★★
田園交響楽 ★★★
背徳者 ★★
未完の告白 ★★

グレアム・グリーン
ヒューマンファクター ★★★★
情事の終わり  ★★★
内なる私   ★★★
権力と栄光  ★★★★
220吾輩は名無しである:03/11/04 22:41
うざくなってきたな。てかカフカは城だけかい!w
221小山内劇場:03/11/04 23:16
「カンディード」
(ヴォルテール/吉村正一郎 訳/岩波文庫)
風刺小説。訳者によれば風刺文学の典型。
楽天主義論を教え込まれた主人公が、世の艱難を味わう内容。
楽天主義論とは、本文中において「この最善の世界においては、
全ては最善に仕組まれている」と要約されるように、
あらゆる事象は最善の体現であると理解する思想である。
終盤、主人公はこの楽天主義を見限るのだが、対極に据えられていた
嫌世主義を採る事もしない。訳者によると、彼が採ったのは
「ニュートンの科学」である。
「人間は宇宙の残酷を消す事はできない。しかし、慎重にやれば、
 そのある一部分をしばらく守る事はできる」
こうして主人公は、貧しくも地に足をつけた余生をおくる。
222小山内劇場:03/11/04 23:20
(補)1759年発表:十八世紀パリの「ベストセラー」となる。
223吾輩は名無しである:03/11/05 15:41
『浮沈・来訪者』読了 エロイ
224美香 ◆FE5qBZxQnw :03/11/09 10:07
「わが町」(ソーントン・ワイルダー/額田やえ子訳/劇書房)
→戯曲。ちょっと待ってよ、そりゃないって! もういいかげんにして!
戯曲を読むのは終わりにして早く「次」に行きたいというのに。
だって戯曲は半端じゃなく高いから……。なのに、なのに、なんでこんなにおもしろいの?
ええ、泣きましたよ。セリフの一言ひとことがなんて重いんだろう。
これを読んだら胸がいっぱいになって、その日は他の本を読む気にならなかった。
アメリカの古典劇。調べてみたらとっても有名らしいけどみなさん知っていました?
わたしは知らなかったけど。世界各地でプロアマ問わずに上演されているらしい。
カントリーの平凡な生活を、なんでここまで感動的に描けるのだろう。
ひとの人生を変えうるチカラを持った書物に久々に出会いました。1800円、高くない!

「ピアノ・レッスン」(オーガスト・ウィルソン/桑原文子訳/而立書房)
→戯曲。黒人もの。中上健次の「路地」じゃないけど、なんかキュークツ息苦しい。
先祖伝来の想い出がしまいこまれたふるいピアノがあります。
弟は売ろうといいます。姉は反対しますが、ピアノ(黒人の歴史)に触れることはありません。
最後に姉が今までさわることのなかったピアノをひきます。
自分の娘にピアノを教えるのです。だからピアノ・レッスン。だからなに? So what?
わたしがネタバレをするのはよほど入手困難な本か、よほどつまらないかのどちらかです。
225美香 ◆FE5qBZxQnw :03/11/09 10:07
「検察官」(ゴーゴリ/舟木裕訳/群像社)
→ご存知、名作戯曲の新訳! 国語便覧には必ず載っています。
名物にうまいもんなし、とは旅行好きの決り文句でありますが、はたして名作は?
へえ、これが名物なんだ、あの有名な、ふーん。一度食べたからもういいや。
名物を名作へ、食べるを読むへ変えれば、この「検察官」の感想になります。

「結婚」(ゴーゴリ/堀江新二訳/群像社)
→なにこれ、おもしろいじゃん。ぜったいつまらないと思っていたのに。
「検察官」の横に夫婦みたいに仲良く並んでいたから引き離すのがかわいそう。
それが買った理由。なのに、こりゃあ笑えるぜってえお客さん!
何より訳がいいんでせえ。登場人物がみーんなかわいらしい。チューしたいぐらい。
お見合いのおはなし。といっても女はひとりで男は五人。さあ、誰を選ぶのか。
あはは。「検察官」の次に読んだからこんなにおもしろく感じたのかもしれません。
また食べ物のはなしで恐縮ですが、まあ、「検察官」と食べ合わせが良かったということ。
226美香 ◆FE5qBZxQnw :03/11/09 10:20
いま上のほうにあるスレはみんな「反転」されているけど、
ここはしないでください。お願いします。
なぜって真っ白になって読めなくなるから。

>>167
>コルネイユ『嘘つき男・舞台は夢』(岩波文庫)
きのう買いました。
227美香 ◆FE5qBZxQnw :03/11/09 19:45
「マーヴィンの部屋」(スコット・マクファーソン/松本永実子訳/而立書房)
→戯曲。しんみりと、じんわりと、来ます。ことばにできない感動が。
読み終わってスーパーに買い物に行きましたが、そこで来たのです。
その場で泣き出したくなるような、さみしさといとおしさがないまぜになったような。
そんな感動にすっかりやられてしまったわたしは涙を隠すのに骨をおりました。肉売場の前で。
寝たきりの父と障害者のおばの介護にあけくれるオールドミスの女性が主人公。
不運は重なるもの。白血病を宣告され、骨髄移植のために何年も会っていない妹と連絡を取る――。
読み終わってからずっと考えつづけた。なんなんだろうこのふしぎな感動は。
わかったのは、肝心なことを著者は語らせていないということ。
登場人物の誰もが言いたいことを言えないでいる。そのため逆説的に「間」が語っているのです。
何を? どうしたってことばにできないものを。それはおそらく愛なんだろうなチェッ。
登場人物が自分の思いをぶちまけることで葛藤を生みだすのが従来の演劇だとすれば、
本作は彼女らが思っていることを言えないでできてしまう「間」を見せようとする。
この「マーヴィンの部屋」は著者の第三作にして最終作品。33歳、エイズで死亡――。
228吾輩は名無しである:03/11/09 22:26
倫理21 柄谷行人
魔の山 トーマスマン
ハイデガー 木田 元

229吾輩は名無しである:03/11/09 22:36
美香の書き込みを「あぼーん」にするのは
どうすればいいのですか?
230吾輩は名無しである:03/11/09 23:19
>>229
2chブラウザで「◆FE5qBZxQnw」をNGワード登録すると良いでしょう。
ここにも来てるみたいですね。私には見えません。
231純文学団長 ◆xyX.vGXBSY :03/11/12 19:32
いとをかし。
232純文学団長 ◆xyX.vGXBSY :03/11/12 23:16
〜〜今日の読了〜〜
(短剣を持ちたる女/シユニツツレル/森鴎外訳)
鴎外の翻訳戯曲
安眠枕です。(中日新聞の今日の夕刊の漫画をご覧あれ!)眠くなった。
でも、序盤は面白かった。「レオンハルト」と「パウリウネ」の対話は
面白かったが、「パオラ」と「リオナルドオ」が出てきた所で、俺は安
眠した。(w
★★★★☆☆☆☆☆☆
(己の葬/エヱルス/森鴎外訳)
鴎外の「諸国物語」より
激しく笑った。本当に鴎外の(翻訳だとしても)か疑った。
一体なんだ、この面白さは! 悲しい物語でもないし、単調
で詰まらないということも絶対無いはずだ。エンターテイメ
ント性が結構ある。そういう意味では文学板には推奨できな
いかもしれない。なにはともあれ、読んでみたら?
★★★☆☆☆☆☆☆☆
233( ´_ゝ`) ◆gcgoZO4ZOU :03/11/12 23:26
>225
ゴーゴリ『外套』は読んだかい?
>232
シュニッツラーは結構好きだな俺は。
戯曲好きの225には『輪舞』を薦めとくかな。
(個人的には『夢小説』あたりが好きだが)
奇遇にもエーヴェルスについて別スレに今日書いた。
234純文学団長 ◆xyX.vGXBSY :03/11/12 23:30
>>233
シユニツツレルで次は「猛者」「耶蘇降誕祭の買入」「恋愛三味」どれ読もうか迷い中。どれが一番お勧めよ。
『恋愛三昧』は有名だから読んどいたらどうだ。
『輪舞』と並ぶ代表的戯曲だな。じゃあ。
>>235
了解。有難う。
237吾輩は名無しである:03/11/13 21:30
美香の真実を述べる。

@遺伝性の身体障害者
A多重性、または性に対する誇大妄想を随伴した精神障害者
B社会的な廃人。文学板で一番の嫌われ者

コピペ自由。

238吾輩は名無しである:03/11/15 14:07
美香ファン必見!!

美少女作家さゆみとは一体なんなのか?PART2 内に
ブラウスなるペンネームで書き込みあり。見ろ。萌えだぞ!
239吾輩は名無しである:03/11/15 17:30
<美少女作家さゆみとは一体なんなのか?PART 2>

(・´з`・)美香っつー コテハン1個じゃ物足りねんだよバカヤロー!
見破んじゃねえよバカヤロー!
240吾輩は名無しである:03/11/15 17:38
>>235
>『恋愛三昧』は有名
>『輪舞』と並ぶ代表的戯曲

禿同意。読んで損はないです。
241吾輩は名無しである:03/11/15 17:46

養老猛司著『バカの壁』 読了。
242校長が強盗:03/11/15 17:49
この事件は報道されていません。教育委員会も校長を処分しません。
 皆様の力でこの事件を広めてください。
被害者先生のサイト
 http://www.geocities.co.jp/NeverLand/8595/
 事件究明を求める署名サイト
 http://chiba_273.at.infoseek.co.jp/
   ∧_∧
  (  ^^ )< ひろめよう
243吾輩は名無しである:03/11/15 17:54

河合隼雄著「ひきこもりが陥る妄想症候群」。
244馬鹿者:03/11/15 20:10
>>221
ヴォルテール「カンディード」良いね
>>232
鴎外「諸国物語」良いね
245吾輩は名無しである:03/11/15 20:37
『円陣を組む女たち』(中公文庫)
表題作のほか「木曜日に」「先導獣の話」「不眠の祭り」「菫色の空に」を
収録。
2ちゃんでもなかなか評判が良いので、結構期待しながら読み始めた。
古井を読むのはこれが初めてなんだが、処女作の「木曜日に」を
読んだ時は本当にびっくりした。正直言って力技で押し通したような
感じの強い短篇(と俺は感じた)なんだが、「なんで?」とか疑問に思う暇もなく、
文章の力がすっと浸透して一気に作品世界に引き込まれた感じだな。
寝る前に読んだんだが、読んでる間はクラクラして、読み終わって寝ようとしたら
なぜか猛烈に憂鬱になった。罪な短篇だ。
他の作品だと表題作と「不眠の祭り」と「菫色の空に」が良かった。
古井はこの後文庫で9冊ほど控えてるから、先が楽しみだ。
246吾輩は名無しである:03/11/15 20:41
しまった作者書いてなかった。
古井ってのは古井由吉っす。念のため。
247純文学団長 ◆xyX.vGXBSY :03/11/15 23:15
山田太一「夕焼けをあびて」
戯曲。というかシナリオ。台本。
どこか懐かしい雰囲気があった。そういう臭いがした。
この台詞、結構良い。

昭子 ムカムカするの。ごろごろしているお父さん見てると、床下掘ったりして
るお父さん見ていると、たまらなくなるの。この先ずっとこんなふうなの?
 それで私たち死んじゃうの(と泣いてしまう)
248美香 ◆FE5qBZxQnw :03/11/19 02:15
「ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ」(トム・ストッパード/松岡和子訳/劇書房)
→戯曲。「ハムレット」に登場する脇役二人を主役にしてみたらどうなるか?
答え。つまらないからやめたほうがよかった。

「レティスとラベッジ」(ピーター・シェーファー/黒田絵美子訳/論創社)
→戯曲。日本版は黒柳徹子が主演! おもしろいおばさんのおはなし。
日常よりも演劇が、ほんとよりもうそが好きなおばさん。現代に英雄はいない。
ならどうすればいいか。英雄ごっこをしよう! 終わりなき日常に果敢に挑んだ黒柳徹子は!?

「エクウス」(ピーター・シェーファー/倉橋健訳/テアトロ)
→戯曲。どうしても読みたくてネット古書店で買ってしまった作品。
それほどでもないような。活字で読むより舞台で見たほうがいいというのか。
なぜって男女の役者が舞台上で全裸になるから。・・・じゃなくて見せ場の関係上(w
脱ぐというのは本当で、そのため韓国演劇では前衛演劇のさきがけになったらしい。
内容は、馬に異常な関心を持つこころの病んだ少年と精神科医の葛藤。
秘密を小出しにする技法があざといというのか、巧いというのか迷うところ。

「東京の秋」(山田太一/ラインブックス)
→シナリオ本。むかしはこんな文芸ちっくなものがテレビでやっていたのかと隔世の感。

「小説新人賞は、こうお獲り遊ばせ 下読み嬢の告白」(奈河静香/飛鳥新社)
→ブックオフ100円本。2時間で読めて5回笑えた。それがすべて。

「ロボット」(チャペック/千野栄一訳/岩波文庫)
→戯曲。SFの有名な古典らしい。人間そっくりのロボットを作り販売した会社。
みなさまの予想通りロボットたちが人間さまに反抗するわけで、さてどうなるか。
小学校のころの担任が「ロボットになるな!」と熱く語っていたのを思い出した。
著者によるとロボットの定義は自殺しようとしない、恋愛しない、感動しないの三つかな。
これを読んで失笑したあなたが好きだよわたしは。

「夫が多すぎて」(モーム/海保真夫訳/岩波文庫)
→戯曲。岩波文庫らしくない。だっておもしろいから(w 先が読めるけど。
249美香 ◆FE5qBZxQnw :03/11/19 02:22
>>233
ゴーゴリ『外套』はずいぶんまえに読んだけど忘れたや。「狂人日記」は未読。
シュニッツラ−作品集「夢がたり」(ハヤカワ文庫)だけかな入手可能は?
WWEプロレスがはじまったからあとで検索しなおしてみる。
岩波文庫や新潮文庫で戯曲があると安くていい。訳が古いのが難点だけど。
250美香 ◆FE5qBZxQnw :03/11/20 07:10
「わが町」(ソーントン・ワイルダー/額田やえ子訳/劇書房)*再読
→人生を変えうる一冊なんて書いちゃって、再読してみたけれども、えーと。
そこまでではないような気もするのですが、これはいったいどういうことか。
再読して改めて魅力を再発見するタイプの本があればそうでないものもある。
ただたんにストーリーが目新しかっただけということなのかな、うーん。
ストーリーがわかっていても楽しめるというのは戯曲にとって重要なわけです。
「ハムレット」なんてみんな知っているのに観にいくわけだから。
戯曲というものは再読してみてはじめて持っているちからがわかるものなのかもしれない。
251吾輩は名無しである:03/11/20 15:35
『切岸まで』風森さわ/講談社
静けさの中に激しさを秘めた大人の恋愛小説、ってカンジでした☆
252馬鹿者:03/11/21 12:38
>>245
古井良いね。講談社文芸文庫の自薦短編集で読んだ。
>>248
チャペック「ロボット」良いね。
ロボットって言葉はここから生まれたらしい。
253淳一  ◆8kTRz46uUU :03/11/21 18:15
ここ四日の読了。(長、中篇)13、(短編)5。(選評)11。論文その他。
速読はしない主義なので、どうやらこの位が丁度良い。
今回は日本の新人を中心に。以下うちわけとお勧め。

(長〜中篇)
目取真俊『水滴』、平野啓一郎『日蝕』、玄月『蔭の棲みか』、藤野千夜『夏の約束』、
町田康『きれぎれ』、同氏『人生の聖』、青来有一『聖水』、堀江敏幸『熊の敷石』、
玄侑宗久『中陰の花』、吉田修一『熱帯魚』、同氏『グリーンピース』、同氏『突風』、
中村文則『遮光』
(短編)
長島有『瑞枝さんの原付』、舞城王太郎『我が家のトトロ』、堀江敏幸『スタンス・ドット』、
青山光二『吾妹子哀し』、吉永尚子『モモに憑かれて』
(選評)
芥川賞選評(平成九年上半期)、(同下半期)、(平成十年上半期)、(同下半期)、
(平成十一年上半期)、(同下半期)、(平成十二年上半期)、(同下半期)、(平成十三年上半期)、
川端康成文学賞選評(第二十九回)九州芸術祭文学賞選評(三十三回)
(論文等)
2,3冊。あとは文学界と新潮をぱらぱら。

短編、論文にあたりは無し。
長編は、目取真俊『水滴』、青来有一『聖水』あたりは、骨太でやっぱり良い感じでした。

254:03/11/24 00:14
ワイルド『理想の結婚』
 戯曲の好きな人にはオススメ
サルドゥイ『コブラ』
 よくわかんなかったから
 もぅ1作『歌手たちはどこから』を読むつもり
255吾輩は名無しである:03/11/25 04:51
ここにいる美香って人何者?
ホントにこんなに読んでるの?
美香さんの職業を知りたい。学生かな?
256美香 ◆FE5qBZxQnw :03/11/25 06:17
「三大悲劇集 血の婚礼 他二篇」(ガルーシア・ロルカ/牛島信明訳/岩波文庫)
→戯曲。著者はスペインの劇作家。ギリシア悲劇に影響を受けたらしい。
「血の婚礼」(夫も息子も宿敵に殺された母親。最後一人の息子まで殺される受苦を描く)
「イェルマ」(どうしても妊娠できない人妻。なんでどうしてと夫の首をしめて殺害)
「ベルナンダ・アルベの家」(ブス五姉妹。姉の婚約者を妹が奪う。のち首吊り自殺)
女の情念による悲劇を書いた。スペイン人は熱いね、いやあ。三つ目のみ傑作。
257美香 ◆FE5qBZxQnw :03/11/25 06:17
「嘘つき男・舞台は夢」(コルネイユ/岩瀬考・井村順一訳/岩波文庫)
→戯曲。フランス古典喜劇。ラシーヌとほぼ同時代のひと。
喜劇といっても、もちろん笑えやしない、古臭くて。
「舞台は夢」は考えさせられる。演劇ってなんだろう?
実際に起こったこと。あるいは起こらなかったこと。
それを舞台で繰り返すこと。それを演じること。見ること見られること。
ギリシア悲劇からシェイクスピア、時代を隔てて山田太一に野島伸司まで。
ひとは見たがる。何を? 何が楽しくて? 何のために?

「抜目のない未亡人」(ゴルドーニ/平川祐弘訳/岩波文庫)
→戯曲。スペイン、フランスときて今度はイタリアの劇作家でござーい♪
もてもて未亡人のおはなし。彼女にプロポーズするのは四人。
イギリス人、フランス人、スペイン人、同国のイタリア人。
いやはや、それぞれが各自(国)の流儀で口説こうとするわけです。
おフランスではこうなっているざーますよ、なんてさ。あはは。
シェイクスピア喜劇みたい。なぜってその未亡人は変装して男をテストするわけで。
さーて、どの男を選んだかは読んでのお楽しみ。え、楽しいか? ……。

「ヘッダ・ガーブラー」(イプセン/福田恒存訳/中央公論社)絶版
→戯曲。岩波文庫で一度読んだことがある。著者はご存知近代劇の父! 国はノルウェイ。
退屈な人妻のおはなし。ネエなぁにぃか、おもしろいこと、ないかなぁ? 
みのもんたに相談することはないけれども、昼ドラも退屈。
そんな主婦が150年前くらいのノルウェイにいてもふしぎはない。もちろん子どもなし。
自分の将来なんて先の先まで見えてしまう。夫は凡庸、平板な日常。
ヘッダは人生を生きたいのである! 福田恒存による詳細な解説がついている。
氏いわく「ヘッダはマクベス夫人ではない。女ハムレットである」。
258美香 ◆FE5qBZxQnw :03/11/25 06:19
「エロ本」(ノート=ウドム・テーパニット/白石昇訳/白石昇事務所)

→気鋭のタイ文学者であり、また2ちゃんねらーでもある白石昇氏の翻訳作品。
著者はタイの売れっ子芸人。映画も作るわ、本を書いたらバカ売れするわで、
まさに(そんな言葉があれば)タイドリームの体現者といってもよいおかた。
かといって日本によくあるタレント本かと思ったらこれがちょっと違うんだな。
終始一貫して疑問形なのである。日本のゲーノウジンのようにおれイズムを訴えたりはしない。
ちょっとわてはこう思うんだけど、はてどないでっしゃろと読者にツッコミを入れちゃう。
それがなんとも居心地が良い。新鮮である。あー、これがタイの感覚なんだなと思う。
タイといえば訳者の白石氏による詳細な(注)はこれだけでも一冊の本にできるレベル。
タイでいま流行っている俳優、歌手からタイ料理、お菓子、ビタミン剤まで写真つきで紹介。
タイの現在(いま)がこれ一冊でわかると言い切ってもいいくらい。
で、結局、この本は何なんだろう。どう定義したらいいのか。
タイのガイド? タレント本? エッセイ? 人生指南書? トンデモ本?
答えは、そのすべてであり、そのどれでもないのである。
確かなのはノート=ウドム・テーパニットという人間が紙面の裏で生きているということ。
有名人ゆえの苦悩をぼやいたり、シャワーのすばらしさを考えたり、お菓子をぽりぽり食べたり、
時にはまじめに幸福について考えちゃったりもするひとりのタイ人がいるのである。
感動するのも笑うのもすべては彼がいるからなのだ。タイという国に。
勝手に断定して申し訳ないが、著者はタイの寺山修司である。
なんとか読者を笑わせよう、怒らせよう、考えさせよう、とにかくサービス精神が旺盛!
私たち読者ができることは彼の手の上にのり踊ることである。
ふと思った。
手の上ではなく私はタイという精神的に豊かな国の上で踊っていたのではないか。
まあ、そんなことはどうでもいい。楽しく、笑いながら踊れたのだから。
このような傑作が日本で評価されていないのがふしぎで仕方がない。
最後に本書を日本に紹介してくださった白石昇氏に敬意を表したいです。
259吾輩は名無しである:03/11/25 06:20
>>255
無職の引きこもりです。
26歳処女。誰にも相手にされず読書ばかりの毎日。
もっぱらブックオフで安く購入。

嘘を書かずにこれだから恐い。
260美香 ◆FE5qBZxQnw :03/11/25 06:27
>>252
そこまで良くはなかったような>「ロボット」
>>253
淳一は新しいのが好きだね。それはわたしが読みたくないものと同義。
>>254
ワイルドは角川文庫か。めずらしい。「サロメ」が泣くほどつまらなかったからな。
>>255
すべてはベールにつつまれている。いつか姿をあらわす。一冊の本とともに。
ところで最近なんだか本を読むスピードがあがったように思うのです。
261純団 ◆xyX.vGXBSY :03/11/28 20:20
ああ、あまり読んでいないなぁ。糸山秋子の「イッツ・オンリー・トーク」と「第七障害」を再読して、石川淳の短編をパラパラとしか……。
262吾輩は名無しである:03/11/29 18:20
うわあ、美香さんって音楽オタによくいるアレ?
Aが過去のBをリスペクトしていたとして、そのBがリスペクトしていた
さらに過去のCとかを持ち出して、他人の批判を封じるっていう。

俺は新しいもの大好きだけどなあ。普遍性なんてクソくらえ。
263吾輩は名無しである:03/11/29 18:22
古いものって、読んでて安心するものね!
264美香 ◆FE5qBZxQnw :03/11/30 09:48
「本郷」(木下順二/講談社文芸文庫)
→エッセイのような小説のような本郷愛着の記。
しみじみと語る。本郷に育てられた自分を。
著者は文学板で話題になったのを見たことがないけれども戦後日本を代表する劇作家。
翻訳文ではない、日本人が書いた日本語を久しぶりにヨンダ気がします。

「ブラック・コメディー」(ピーター・シェーファー/倉橋健訳/劇書房)版元品切れ
→戯曲。これでピーター・シェーファーの代表作はほぼ読んだことになる。
ファルス(笑劇)。洗練されたどたばた喜劇。ビンボー絵描きの男が主人公。
大事な日、婚約者の父親と会う日、大金持ちが自分の絵を見に来る日、それは起こった!
突然の停電でみんなパニック! 舞台の闇を観客には明として見せる。
取り違えは喜劇のお約束。そのおかしいことといったら。

「地霊・パンドラの箱 ルル二部作」(F.ヴェデキント/岩淵達治訳/岩波文庫)
→戯曲。むしろオペラになったものが有名らしい。先ごろ、日本でも上演されたとのこと。
ドイツの劇作家。ブレヒトが心酔していたとか。ブレヒト嫌いなわたしはこの作品もだめ。
誰とでも寝る絶世の美女のおはなし。いかにもな男の妄想じゃんと突っ込んではいけない。
なぜなら天下の岩波文庫収録作品、よってこれは芸術だからである。
次々に男を変えることで経済的にも恵まれるが、ついには娼婦にまで身を落とし客の狂人に殺される。

「夕暮れて」(山田太一/大和書房)絶版
→テレビドラマのシナリオ本。20年前にNHKで放送されたらしい。
イプセンの「ヘッダ・ガーブラー」とおなじ系統。刺激をほしがる主婦のおはなし。
結局、不倫もしないで元のさやにしっかり収まるのはテレビだからNHKだから。
山田太一ドラマの特徴のひとつはそのセリフ。何気ない言葉でドラマを進めていく。
本音を言わない。欲望をださない。生活人としての仮面をつけた登場人物たち。

「カッコーの巣の上を」(デール・ワッサーマン/小田島雄志・若子訳/劇書房)*再読
→戯曲。再読しても感動したから名作に認定。もう一回、読みたいです。
265吾輩は名無しである:03/11/30 09:57
『矛盾論』毛沢東

なるほど、致命的に矛盾している理論があった。

拝啓 毛沢東殿

支配者も被支配者もない。
それが共産主義だというものではなかったのかね?
あなたが創った王国は、市場経済への途をひた走っています。
266美香 ◆FE5qBZxQnw :03/11/30 10:03
>>262
すいません。話がこんがらがってテイノーなわたしはわからない。
整理してみる。具体例で。
Aを淳一(文学板のへぼコテハン)。Bを宮本輝。Cを山本周五郎。
ちなみにこれは事実に基づいています。

>淳一が過去の宮本輝をリスペクトしていたとして、その宮本輝がリスペクトしていた
>さらに過去の山本周五郎とかを持ち出して、他人の批判を封じるっていう。

まだちょっとよくわかりませんね。「他人の批判」というあたりが。
Aが一般人か文学者か、というのもよくわからない。

>俺は新しいもの大好きだけどなあ。普遍性なんてクソくらえ。
何を新しいというのか不明ですが、最近の売れているものなら大学時代に読んでいるので。
しかしこんなのいやでは? 小説の中でやたら少年犯罪やトラウマや幼児虐待や
ネット犯罪や援助交際や女子高生や違法薬物やひきこもりがでてくるのは(w
おっと意図していなかったのにこれはすべて書くことない作家・村上龍の領域でした。

>>263
むしろいかにぱくれないか、そればかり。
創作と盗作はわたしのなかでは同義。
いまは盗める材料を探しているところかもしれない。
267ロム者:03/11/30 10:13
>>258
この書評が一番力作とはw
ちょっと読みたくなっちまったw
268美香 ◆FE5qBZxQnw :03/11/30 10:18
>>267
ぜひ買ってあげてください。
http://book.2ch.net/test/read.cgi/book/1042716755/851-854
269吾輩は名無しである:03/11/30 10:22
>>美香さん

『二十歳の原点』を再読して、
「けれども心に響くことはもうなかった。なんにも。」
という感想を抱いたあなたは、もう、大人になってしまったんでしょうね。
しかし、それは決してわるいことでもなんでもなくて、
人は、いつまでもこどものままでいられないし、
人は、いつしか大人になってしまうものなのです。
好むと好まざるにかかわらず。
270吾輩は名無しである:03/11/30 11:28
キャッチャー イン ザ ライ挫折。
あまりにも凡庸なため。
271吾輩は名無しである:03/11/30 11:46
凡庸であるからこそ古典たりえるのです。
272吾輩は名無しである:03/11/30 14:46
>270
ほかに凡庸で挫折した本を紹介してください。読破したいと思います。
273吾輩は名無しである:03/12/01 00:36

津島佑子 『 寵児 』読了

短編のほうがいいね、この作家は
274吾輩は名無しである:03/12/02 01:32
「短編の方がいいね」は
どの作家のどの作品にも
適用できる成句なので
要チェック。
275美香さんへ:03/12/03 07:31
はじめまして。いつも楽しく読ませて
いただいています。
私もギリシャ神話、中上健次、フォー
クナー、シェイクスピアなどを最近
好んで読んでいるものです。
ローゼンクランツとギルデンスターン
は死んだ」(トム・ストッパード/松
岡和子訳/劇書房)
は、映画化されてませんでしたっけ。
何の意味もなくあっけなく殺されて
しまうこの二人に焦点を当てた映画?は
結構面白かったと聞きましたが。
ぜひ見てみたいです。
ギリシャ神話で面白いのがあったらまた
教えてくださいね。
ギリシャ悲劇大好きです。
書き込み楽しみにしています。


個人的には「リア王」大好きです。
276美香さんへ:03/12/03 07:33
あ。読了スレッドでした。すみません。
最近読んだのはフォークナーの『八月の
光』です。
277猪木かんじ:03/12/03 12:22
「八月の光」はいいネ。
でもフォークナの作品は総じて難関で・・・
278小山内劇場:03/12/04 00:23
「トワイス・トールド・テールズ」
(ホーソン/角川文庫/柏倉俊三)

初期短編選集。初版1837年。
ポーと比較されて論じられる事の多いホーソンであるが、
妖しさに浸るのが前者で、結局現実に帰るのが後者と言われる。
この作品集においても、その傾向は顕著である。
この本に納められている、「悲願のお客さま」は作者の原点ではないだろうか。
279小山内劇場:03/12/04 00:52
「デザインの自然学」
(ジョージ・ドーチ/青土社/訳 多木浩二)

ディナージー(造語:普遍的なパターン創造過程=通り抜けるエネルギーと解釈
したものをあてている)を連呼しているあたりの入り込み難さはあるが、
自然の造形のうちに、普遍的な秩序を見出そうとする試みが興味深い。
作者の思想を鵜呑みにする事はできないが、冒険的に敷衍する姿勢は見習いたい。
普遍を希求するあたり、誰かを連想させますね。
280吾輩は名無しである:03/12/04 00:58
「うんたろさん」
意外や意外。面白かったです。
281美香 ◆FE5qBZxQnw :03/12/04 07:53
「アルト=ハイデルベルク」(マイヤ=フェルスター/丸山匠訳/岩波文庫)
→戯曲。わたし岩波文庫きらいなんです。だってエラそうだし、いかにもな古典しか
文庫にしないし、翻訳がおかしいのが多いし、(注)がやたらあって読みにくいから。
しかーし、なのだ。この作品は例外。わんわん泣いてしまったじゃないか。
ぽたぽた落ちる涙で本が汚れてしまったじゃないか。どうしてくれる岩波文庫!?
恥ずかしいな。これ読んで泣くなんて。ジイさんバアさんに人気のあるドイツの古典作品。
それまで窮屈な生活を送っていた王子様が留学を機に青春を謳歌、別離、そして再会――。
シェイクスピア「ヘンリー四世」とそっくり。
これを舞台で見ていたらぜったいに泣かない。くさいなぁと鼻でせせら笑う。
わたしゃ、こんなんで泣くようなアホじゃぁないって、涙腺のゆるんだジイさんバアさんよ。
でも家でひとり読んでいるとね、ほんとね、泣けちゃうんですよ。
ありがとう。410円でこんなのが読めて。きらいじゃなくなったよ岩波文庫くん。
282美香 ◆FE5qBZxQnw :03/12/04 08:30
ビンボー根性いくない。
ツタヤ百円レンタルセールで13本も借りてしまったせいでまったく本が読めない。
映像は疲れる。活字大好き。イメージの押し売り反対。想像力ばんざい!

>>269
あれは二十歳までに読んでおかなければならない一冊かもしれません。
成人式のころに新潮文庫が「今月の掘り出し本」で平積みにしていましたが。

>>275
はじめまして。うむむ。読書傾向が似ている。
も、もしかしてあなたはわたしの「運命の人」では?
このところ私生活で打ちのめされているので(もうだめぽ、人生いやいや)、
年齢も性別もわからないあなたにわたしの「運命の人」を投影したくなる。

「ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ」は映画になっています。
レンタルして見ました。20分見て消しました。あまりにも退屈でした。
戯曲バージョンは違うのかと読んだのです。やはり眠くなりました。でも読了はしたと。
ギリシア悲劇にシェイクスピアですか。
このふたつ、いまだにおもしろいのかよくわかりませんが、読んでよかったことは事実です。
理由その一、海外作品はやたらとこのふたつからの影響、引用が多いから。
理由その二、このふたつを読んだ経験があれば、他のどの戯曲もおもしろく読めるから(w

中上健次ですか。あのこってりとした文章がなつかしいです。
フォークナーですか。新潮文庫の短編集を読んだらおなかいっぱいになりました。
ギリシア神話ですか。ホメロス、途中で挫折しました。ごめんなさい。
「リア王」ですか。好きですか。そうですか。暗いですか、性格(w
283276:03/12/04 18:19
>>277
いいですよね。でも難解以前に訳が悪い気がする…
『八月の光』の感想を書くと、「存在してはいけな
いもの(非存在)」が自身もそのロジックの中にはま
り込みつつ、自己の存在に苦しむ。その悲劇。
よかったです。
でもこの話はクリスマスだけの話ではないので、
ちゃんと全部を楽しめたかというとまだ未消化っぽ
く、胃の辺りでごろごろしてます。
284276:03/12/04 18:35
>>282
暗いですか(苦笑)。自分の読んだものの中で楽しい作品って
梶井の『檸檬』とか芥川の『蜜柑』ですかねぇ。
世界がはっと変わる。高校生のときに読みましたが今でも好
きです。(こういう嗜好がやっぱり暗いか)

真の悲劇とは何だろう、と考えると私はギリシャ悲劇とシェ
イクスピアははずせないです。
あと、シェイクスピアはあの言い回しがいいですね。
現実じゃ絶対言わない話し方だけれども、あれがイイ!

中上が「俺は日本のフォークナーになる!」と言ってたと聞
いて、読んだのですが、『八月の光』のクリスマスは龍造の
モデルじゃないかと思いましたよ。
私にとって、中上の良さは1にあの文体、次いで内容って感じ。
(中上好きな人すんません)
中上とフォークナーには別のものを求めて読むべきだ、と思
いました。

長くなってすみません。
285276:03/12/07 06:37
昨日は突然のサービス休日出勤…
一日どっぷり本に浸かる時間をくだらねぇ会議で潰されちゃったい。
今日は本読む。どっぷり。
夕方ごろ読了報告に来ます〜
286ixion ◆ySh2j8IPDg :03/12/07 11:52
>『八月の光』のクリスマスは龍造のモデルじゃないかと思いましたよ。

クリスマスもあるかもしれないけど、明らかにサトペンを意識してはいますよね。

だいたい読了:The Art of Maurice Sendak
結論: やっぱりセンダックは良い。そしてトニー・クシュナーはまじめだ。

ところで、『エンジェルス・イン・アメリカ』って読んだ?>美香
たぶん「つまらん」ってこき下ろされそうだけど、一応トニー賞取ってる
戯曲です。第一部だけなら翻訳あります。

あと、ワイルダーは『危機一髪』ってな前衛もの(俺が観た時には観客巻き
込んだ演出してたけど)もあり、『結婚仲介人』(ミュージカル『ハロー・ドリー!!』
の原作)もあり、なかなか多彩な人です。お暇ならどうぞ読んで(観て)みて
くださいな。


たまにこういうところに書いてみたくなるので書いてみた。では^^;
287276:03/12/07 12:58
ixionさん、どうもです。
ちょっと質問なんですけど、私が『八月の光』(新潮文庫)読みに
くいなー、と感じたのは訳のせいなんでしょうか。単に私の
「入り込み方」が足りなかっただけ?(チューニング未完了)
原書でも読める方のようなので、質問しちゃいました。
スレ違いかもしれませんけど。ゴメンナサイ。
288276:03/12/07 13:02
>>286
『アブサロム×2』も、絶対読みます!
楽しみ〜。
289吾輩は名無しである:03/12/07 13:13
>>284
>梶井の『檸檬』とか芥川の『蜜柑』ですかねぇ。
この二つは俺も好き。短編だから読んだ事ない人がいたら
読んでみて。
>映像は疲れる。活字大好き。イメージの押し売り反対。想像力ばんざい!
妙に感動してしまったよ……この対句に。







の「山桜」をメモ帳で書写してしまった。細部まできちんと写すと、ないようが
  よくわかって(・∀・)イイ
  著作権に引っかからなかったら、どっかにうpしたいくらいだ……。
>>287>>288
日本文学万歳! 海外文学は…(略
>>289
刹那的な幸福を描いたこの二作は私も好きです。
その点、「焼け跡のイエス(石川淳著)」なんていうのも刹那的な幸福を描いたもので、これを純文学団長BSYは非常に自信を持ってお奨めします。
292美香 ◆FE5qBZxQnw :03/12/08 09:41
276さんがシェイクスピアの名前をだしたから、久しぶりに読んでみる気になった。
舞台でいくつも見たけど、映画で何度も見たけど、研究書・関連本は二十冊以上読んだけど、
けど、けど、けど、けど、シェイクスピアさん! あんたほんとにいたの?

「マクベス」(シェイクスピア/木下順二訳/岩波文庫)
→福田恒存訳で三回、松岡和子訳で一回読んだことあり。舞台では二度、映画で一回。
「人生は3Gである」というのがわたしの考え。
つまり人生はゲームであり(リセットボタンまで存在する!)、
人生はギャンブルであり(何かに賭けたいのです!)、人生はギャグである(にゃは!)。
マクベスさんが最後にいう有名なセリフ(5の5)もおんなじでは?
ぜんぶ音読する。木下順二さんの訳は声に出したくなる。
293美香 ◆FE5qBZxQnw :03/12/08 09:42
「リチャード三世」(シェイクスピア/木下順二訳/岩波文庫)
→福田恒存訳、松岡和子訳で読んだことあり。映画はふたつ見た。
みなさんお上品な顔をしてシェイクスピアざまーすなんて言ってるけど、ちゃうねん!
ぜんぜんちゃう、ちゃうちゃう、ちがうって。
せむしでびっこの身体障害者がどーせおれはもてないからみんなぶっ殺したろか?
と最初に宣言して、そのとおりに殺戮をつづけるのがこのリチャード三世。
ぜひ本物の身体障害者にやってほしい、Z武くんなら最高なんだけど。
三度目に読んで気づいたのはマーガレットの存在感。この老女やばすぎ。
他人の不幸をざまーみろとせせら笑う。2ちゃんの阪神大震災コピペを思い出した。
ほら、あの、死者が増えるたびに大笑いをしたという不謹慎なあれ。
あ、これも音読した。マクベスの1.5倍くらいの長さだから疲れたさすがに。

「十二夜」(シェイクスピア/小田島雄志訳/白水uブックス)
→松岡和子訳で読んだことあり。映画、オペラ、ミュージカルで見た。どれも良かった。
「リチャード三世」とおなじ日に読んだけど、とても同一人物が書いたとは……。
ここに登場するシザーリオがシェイクスピア作品のなかでいちばん好きなんです。
男装しているから恋する男性に告白できない、逆に同性からは告白されるシザーリオ。
何かを演じているときにこそ(男装!)魅力がでる人間というのがいます。
シザーリオは演劇の本質を証明しているのでは? あるいは役者の本質を、あるいは人間の。
294美香 ◆FE5qBZxQnw :03/12/08 10:03
>>284
『檸檬』は高校生のときに読んだ。1ページだけ。
後にも先にも最初の1ページで投げ出した本はこれだけです。
いま読んだら違うのかもしれないけど。
>真の悲劇とは何だろう
神様にいじめられる人間(ギリシア悲劇)、自分から不幸になる人間(シェイクスピア悲劇)。
そう仮定してみると、ハムレットはその中間、ぎりぎりを生きたのではないか。
自分の行動は本当に自分のものか、神にやらされているのではないのか?
なんか「悪霊」のキリーロフみたいになってきますね。

>>286
ピーター・シェファーをこんなに読んだのはきみへの対抗意識から。
たしか以前、「アマデウス」以外で薦めてくれたでしょう? なんだっけな。
>『エンジェルス・イン・アメリカ』
いやみですか、もしかして(w どーせ翻訳ものしか読めないよ!
ワイルダーは「わが町」を劇書房で読んでしまったからね。
知っている。倉橋健さんだったかな。ちがう出版社から作品集がでている。
二巻がどこの本屋にも見当たらなくて、たしかそこに『危機一髪』が入っていたはず。
ほかの本でも『危機一髪』はお薦めになっていたので、読んではみたいのです。
前衛と聞くといささかの嫌悪感があるけれども。

>>290
石川淳って講談社文芸文庫からいろいろでているけど、そのなかでお薦めってある?
いつ読むかわからないんだけどさ。
295吾輩は名無しである:03/12/08 14:24
新作。
吉田修一『東京湾景』
他スレである『ブレイクしますた 吉田修一』のスレにもあったが、
あんまり良くない…。

ちと甘ったるい。
296吾輩は名無しである:03/12/08 19:15
「森と湖のまつり」武田泰淳(絶版?)

以下感想。

簡単に言うとアイヌ人と和人(シャモ)の物語。まるで神話。
そして題名にある「まつり」とは文字どうり
祭りであり、政治(まつりごと)であり、セックスであり、死であり、戦いでもある。
言い換えるなら「まつり」とは「熱狂」だ。それがこの物語の主題だと思う。
何が言いたいのかっつうと
もーおもしろくて、おもしろくて。疲れたw
しかし、全ての「まつり」には終わりがある。それは小説も同じだ。
これを読み終えた後に感じる寂しさや虚脱感はなかなか味わったことのないものだった。

以上、読了報告終了。
297吾輩は名無しである:03/12/08 21:04
>>296

途中で投げていたが、読みたくなりました。
サンクス。
298純文学団長 ◆xyX.vGXBSY :03/12/09 00:18
ここで、シェイクスピアの話が出て、海外文学は嫌いなのに、
今日、岩波でシェイクスピアの「ヴェニスの商人」と「マクベス」
を買う。読む予定はないが。
>>294(美香)
石川淳で、おすすめぇ? 全部読め。あ、どれがいいかって? 全部だよ。
あ、その全部の中でどれって? 順位はつけれぬ。全部傑作。あえて、傲慢
にもつけさせていただくならば(けっして二位が一位より劣るということは
ない&講談社文芸文庫の中だけでいうと)
一位 佳人
二位 普賢
三位 紫苑物語
四位 修羅
しかし、石川淳に慣れぬ人は「紫苑物語」「修羅」からの入門を
お奨めする。慣れてきたら、「普賢」「佳人」を読むべし。
はまったら、やめられない。
299吾輩は名無しである:03/12/09 00:28
>>298
ね〜団長さん、イエスから先に読みたいんだけどそれでいい?
三木卓の一押しなんだもん(集英社「日本の名作文学案内」より)。
300吾輩は名無しである:03/12/09 00:30
あと団長さん、篠山紀信の写真集の石川淳って見た事ある?
ステーキが好きだったんだよね。
301吾輩は名無しである:03/12/09 01:34
「風の歌を聴け」終了。比喩の使い方が大江っぽいなと
感じた。文体柔らかいし、人気があるのもわかるなあ。
302純文学団長 ◆xyX.vGXBSY :03/12/09 15:33
>>299
いいと思うよ。
淳短編での傑作3つ
「焼け跡のイエス」「最後の晩餐」「黄金伝説」
これは必読の書なり。
すこし話が外れた。でも、焼け跡のイエスは文庫ではもう絶版で手には入りません。
ブックオフにある100円の日本文学全集の「石川淳集」で読みましょう。
白描や白頭吟、至福千年なんていう長編は絶対読んじゃダメ。とくに、初めの人は。
だって、構成がたるいから淳を初めて読む人がそれを読んじゃ「淳はつまらん」って
レッテルはりそうだから。
>>300
ステーキ好きは素敵ですね。

>>294
ちなみに、わたしが最初で最後で一ページ目で投げ出した小説は実篤「友情」です。
303千鳥 ◆DhHwPI5QyQ :03/12/09 22:17
実篤「友情」投げ出さずに読みましたよ。が、投げ出しときゃあよかった(^^
当時やっと読み終わったか、としか思いませんでした。

ちなみに、私が投げ出したのは片岡義男「アール・グレイから始まる日」です。
文庫版の表紙がかわいいという理由で学生時代購入。以来、近づいていない。

つらつらと書いてしまいました。以下はスレに合うレス書きます。

「遊覧日記」武田百合子/中央公論社
「日々雑記」を読んで面白く感じたので、おかわり。2冊目です。
読んでいて楽しい。他人の日記を盗み読みしているような感覚に陥る。浅草や上野の
話が出て来る。よく行く方は、より楽しめると思う。私はあまり行かないせいなのか
「日々雑記」の方が好きでした。が、多分またおかわりする。
304千鳥 ◆DhHwPI5QyQ :03/12/09 22:18
「向田邦子の青春」 向田和子/文春文庫
妹さんの目から見た、姉邦子の話。「自分の言葉で話すのよ」という題の話が
琴線に触れてきた。読んで良かったと思う。

「ガーリッシュ」 林あまり/集英社
いいパンチをもらったようにゆっくりと
からだのちからが抜けてゆくキス
 この短歌が心に残っていたので、購入。何編か気に入るものあり。
 最近の本は、艶っぽすぎる様ですがこの本は好き鴨。

「ヘミングウェイ短編集」 大久保訳/新潮文庫
ちょびちょび読んでいるので中々読了できず。遅読の価値がある本だと思う。
305吾輩は名無しである:03/12/09 22:38
「要約すると」モーム/新潮文庫
60歳になったモームが人生、哲学、小説についてとめどなく書いたエッセー
モームは通俗小説家を自他ともに認めていたが、彼は科学から哲学まで
非常によく勉強しているのに驚く。
「カジュアリーナ・トリー」モーム/ちくま文庫
モームお得意の南洋小説6編
この中の「手紙」「園遊会まで」は非常に面白く、モームの女性に対する
シニカルな見方がよく出ている。
それにしても、どの小説でも南洋人はただの「土人」扱い
306純文学団長 ◆xyX.vGXBSY :03/12/09 22:54
>>all
sage進行でまたあり行きましょう。
307284:03/12/09 22:56
今日は一日風邪で会社を休みました。
ゆっくり本を読む機会がなかなかないので、ここぞとばかりに読みました。
読んだのは『存在の耐えられない軽さ』(ミラン・クンデラ 千葉栄一訳
集英社文庫)。
「自己の存在の重さ」に気づいて以来、耐え切れなくて、ひぃひぃ言ってた
私にはうってつけでした。
全部取っ払っちゃったらどうなるの?とか。それに対する容認、とか。
色々考えさせられました。
小説の時代背景が「プラハの春」で、あまりこの辺の予備知識がなかったの
が残念。勉強しなおしてもう一回読みます。
関係ないけどサビナって考え方が私と似てる(w
なんて言って自分でageてしまふ悲しさ。
>>303
ageがageっても実篤は敬遠しがちですね。
どこが魅力なのか理解不可能です。
309吾輩は名無しである:03/12/09 23:43
反転が見えなければIEをupdateするか、2ch専用ブラウザを導入しろ。

参考URL:
http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Sunnyvale/7562/
http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Sunnyvale/7562/index_mac.htm
http://www.monazilla.org/
310吾輩は名無しである:03/12/10 23:04
最新テンプレ

反転が見えなければIEをupdateするか、2ch専用ブラウザを導入しろ。

参考URL:
http://www.microsoft.com/japan/ie/ ←IE
http://tmhkym.net/maka/ ←専用ブラウザ
http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Sunnyvale/7562/
http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Sunnyvale/7562/index_mac.htm
http://www.monazilla.org/
311吾輩は名無しである:03/12/11 21:55
age
312千鳥 ◆DhHwPI5QyQ :03/12/11 23:59
>>308
私にとっても実篤の魅力は理解不能です。
有名な作品であるのに感銘を受けないというのは、ひじょーにさみしい
事です。。何かあるのかと、つい添い遂げてしまふ悲しさ。

再度ちなみにの話になりますが、梶井基次郎の『檸檬』の魅力は
理解可能でありました。「それにしても心といふ奴は・・・」の所が好きです。
313吾輩は名無しである:03/12/13 23:43
『ハリー・ポッターと賢者の石』日本語版。 よく訳されている
314美香 ◆FE5qBZxQnw :03/12/15 17:20
「シェイクスピア講演」(福原麟太郎/講談社学術文庫)絶版
→戦後まもないころ、著者が外務省の役人の前で講演をした記録。
海外にでるものはすべからくエゲレスのシェークスピヤくらいは知るべし、との理由で。
「マクベス」と「オイディプス王」の比較に、シェイクスピア劇とギリシア悲劇の違いを見る。
オイディプスは「父を殺し、母と寝る」という神託に決して逆らうことができなかった。
比してマクベスばどうか。最初の魔女の予言、「やがては国王となるおかた」。
オイディプスは呪われた自分を知る、それは全能の神の存在(神託)を認めることでもあった。
一方、マクベスは死に挑むとき、ひとつとして彼のこころに確かなるものはあったか?
オイディプスは英雄である、そしてマクベスこそがあなたでありわたしである。

「シェイクスピアの世界」(木下順二/岩波同時代ライブラリー)絶版
→著者が講義形式でシェイクスピアについて語る。
のちに木下順二の戯曲を読むつもりなので、シェイクスピアと創作がどのように
むすびついているのかを意識して読む。なぜ現代にシェイクスピアは現れないのか。
しかし内容はシェイクスピアの原文における詩形式の説明、
シェイクスピア批評の歴史など。ひとつおもしろいトリビア的なネタを入手。
「ハムレット」の第一フォリオ(シェイクスピア存命時に出版されたもの)は、
後年、ひとりの学生が古本屋のワゴンで投げ売りされていたものから発掘した。
ただ同然でそれを手に入れた学生は別の古本屋に転売。その古本屋が価値のわかるひとで、
高値で引き取ったらしい。しまいにはそれは博物館に収められ、
あとのシェイクスピア研究に欠かせぬものになったとのこと。
さあ、ヘエはいくつ? 
古本屋めぐりが楽しくなる逸話でした。
315美香 ◆FE5qBZxQnw :03/12/15 17:43
「審判」(バリー・コリンズ/青井陽治訳/劇書房)
→戯曲。ひとり芝居。役者の加藤健一さんが好んでやったらしい。
ものすごーく苦労をしてやっと新品を入手した思い入れが深い本なんだけど。
登場人物はひとり。客席にいる観客を判事とみなし訴える。
われわれ7人、敵兵に閉じ込められ放置された、食べ物とてなく水もなし、
期間にして70日、腹がへる、くじをした、あたったひとりを殺し、殺して……、
仲間の首をしめて、その肉体を食べた、人肉で腹を満たし、血でのどを潤した、
次々に、仕方がない、生きるためには、そうして二人が残った、二人だけ発見された、
自分のほか一名はあのとおり発狂している、だからわれより他に事実を述べるものはなし、
判事(観客諸兄諸姉)に問う、あなたたちにわれと彼を裁けますか?
そしてわれら生存者二人は神前の審判でどのように裁かれるのか。
なぜ裁かれなければならないのか、いったい何の罪で。
あなたたちも自分と同じ環境に置かれたら同じことをしたのではないか。
そういう話。実話を元にしているとのこと。実話では生存者二人は発狂、後に銃殺。
ここに宅間守のみならず、あらゆる犯罪者を見るのは是か非か。極論になるのか。
わたしは林マスミを裁けない。わたしが彼女だったらと思うと。
被害者あるいはその家族のみが真に裁きうるのではないか。
いや、真に? はたして……「あとは沈黙」。 
316美香 ◆FE5qBZxQnw :03/12/15 18:21
「快読シェイクスピア」(河合隼雄・松岡和子/新潮文庫)*再読
→ご存じ文化庁長官にしてカウンセラーの教祖・河合隼雄と松岡和子の対談本。
渋谷シアターコクーンで「ハムレット」(蜷川幸雄演出、藤原竜也主演)の
当日券を求める行列をしながらヨンダ。読んだのは三回目です。
これをおもしろいと書いたら文学板某住民に白痴のごとく扱われた、想い出深い一冊。
しかし退屈にして平穏な日常を送っている研究者が書いた本なんかよりよほどこちらの
ほうが刺激的では? ジュリエットに河合隼雄は診療室で対面した少女を見る。
エリザベス朝のシェイクスピアと現代(あなたが生きている!)をむすびつける。
……(こそっと)河合隼雄になんだかなー?と思う気持はわからなくもない。元信者として。
なんだかな。河合さん、権力にすりよって、心理療法士の国家資格化ねえ。

「ハムレット」(シェイクスピア/松岡和子訳/ちくま文庫)
→あらゆる翻訳で読み尽くし、舞台で四回、映画はすべて見たけれども、
原文で読んでいないがゆえに永遠にバカにされるという哀しい日本人・美香QNW。
福田恒存のことばを思い出す。ハムレットにはあらゆる評論がついてまわるけれども、
なぜこれほどまで民衆に愛されるかといえば、自然な流れを持った芝居だからである。
どこにもよどみがない、流暢である、実に自然にわれわれの目に耳に流れ込んでくる。
あらためてそれを実感する。わたしがはじめてハムレットを読んだのは福田恒存訳。
「どうしようもない悲劇」だと2ちゃん文学板に感想を書いたのを覚えている。
どうしようもない、どうにもならない悲劇。これ以外にはどうにも結末のつかない悲劇。
ハムレットもクローディアスもレイアティーズも、そしてポローニアスですらも、
めいめい各人「どうしようもない」事情を抱えている。
そして各人がまったく自由に行動しているように見えながら、
あらかじめ誰かのつくったレールに乗るがごとくの悲劇的な結末、
登場人物のほとんど全員が死を遂げるというあのクライマックスに流れていく。
それ以外には「どうにもならない」のである。
各人が自由に行為するがゆえの必然的な結果。
そこにハムレットの魅力を見出したのは福田恒存である。
317美香 ◆FE5qBZxQnw :03/12/15 18:30
「ハムレット」を松岡和子さんの訳で読んだのは三回目。
よくシェイクスピアを誰の訳で読もうか迷っているひとがいるけれども、
実際かつてのわたしもかなり迷ったのだけれども、ヨンダくんの景品が
ほしくて新潮文庫に決めたのだけれども、そんなわたしですけど、
初めてシェイクスピアを読むのなら、まず松岡和子訳が安心ですよ、純文学団長!
318純文学団長 ◆xyX.vGXBSY :03/12/15 22:49
久しぶり。<美香

さてさて読了したものは……。
シェイクスピア作 木下順二訳
「マクベス」岩波文庫
あ〜〜〜〜、つまらんかった。
たれかさんにつられてシェイクスピア読んだが
面白いか? 面白いか? 面白いか? 面白いか?
詰まらんつまらんつまらんつまらんつまらん。
はぁ、絶対マクベスは読まん。
ゴーゴリ「検察官」岩波文庫
面白かった。単純に。何回か笑った。だれどそれだけ。
三田誠広「いちご同盟」
う〜ん、なんてか文体がたるい。ちょっぴり感動したかな?
でもねぇ。物足りなさを感じる。

これから、ジードかラディゲでも読もうかな?
美香! なんかおすすめない?(海外文学で。できるだけならフランス文学!)
今からでも元の位置に下げてくれぇぇぇ!!!
320淳一  ◆8kTRz46uUU :03/12/15 22:56
>純団くん
『アドルフ』を読みなっさ〜い。
え?オレじゃない?美香?
失礼。
ひ、ひっとら〜〜??
322淳一  ◆8kTRz46uUU :03/12/16 00:14
コンスタン(w
323吾輩は名無しである:03/12/16 00:22
『高慢と偏見』 ジェーン・オースティン 伊吹知勢/訳

★★★★☆☆☆☆☆☆(星四つ)
淳一の言いたいことが分かりかねるが、保留と言うことで。
てえことで、
ジッド「背徳者」を読み中。
325じゅんぶんがくだんちょー ◆xyX.vGXBSY :03/12/17 17:00
>>324
悪い。意味不明の文だ。
326吾輩は名無しである:03/12/17 17:10
ソニックユースを聴いたことのない順談はコンスタンも知らんのか。
327純団 ◆xyX.vGXBSY :03/12/17 17:36
>>326
知らんのよ。海外文学には滅法疎い物で。
328純団 ◆xyX.vGXBSY :03/12/17 20:25
背徳者の役者は勿論石川淳だ!
しかし、淳は大學氏も顔負けの、クセのある翻訳だw
329吾輩は名無しである:03/12/17 21:07
スレ違いの雑談でスレをめちゃくちゃにするのが
美香ファミリーの特徴
330吾輩は名無しである:03/12/17 23:31
文学板に来たのが初めて記念報告

「わが母 悪魔学」白水社 キャシー・アッカー 訳 渡辺佐智江
途中で飽きた。
「異端者シオラン」法政大出版 パトリス・ボロン 訳 金井裕
強調部分にやや疑問か。
「シオラン――あるいは最後の人間」法政大出版 シルヴィー・ジョドー
……微妙。シオラン本人の著作を読み直したくなる気分。だとしたら成功か。
331吾輩は名無しである:03/12/18 19:35
山田太一『異人たちとの夏』(新潮社)読了。
離婚したばかりのシナリオライターが、死んだ両親に
浅草で出会う。
生きている人たちに対する思い。死んだ人たちへの思い。
生きている人たちの思い。死んだ人たちの思い。

「死んだ」ということに、私たちは独特の隔たりを感じ
ているような気がするけれども、死は生の延長であり、
死という瞬間にすっと線が引かれるだけのことである。

そんなことを考えますた。
332美香 ◆FE5qBZxQnw :03/12/18 20:13
>>329
それはちがう。
雑談をしようとしている団長をいさめるつもりで放置しているではないか!
いま岩波文庫の木下順二自選戯曲集を読んでいる。
今日、二巻目を読了。ここに書くのは全四巻を読んでからにします。
わたしがここにレスしているのは本の紹介というより自分のため。
一区切りをつけて、今までの自分を捨て去る場所としてこのスレを使っています。
あえてわたしはそこを強調したい。でないとジュンイチになってしまう。

>>318
わたしも福田恒存訳で「マクベス」をはじめて読んだとき、なんてつまらないのかと思った。
それを変えさせたのは忘れもしない、去年の10月9日、渋谷シアターコクーン。
蜷川幸雄のマクベス。唐沢寿明のマクベス。大竹しのぶのマクベス夫人。
鳥肌が立った。あんなのは生まれて初めてだった。帰りの電車で涙をこらえるのが一苦労だった。
戯曲というものは良くも悪くもそういうものかもしれない。
それだけでは完全なものになりえない、それが設計図たる戯曲の魅力では?
芝居を10本、戯曲を100本。そのぐらいからようやくわかりはじめたのが戯曲の魅力。
お薦め本? おフランスもの? レ・ミゼラブルでも読みなさい。
なぜならわたしもまだ読んでいないから。
フランスでなくてもいいのなら新潮文庫、福田恒存訳の「オイディプス王」。
この本のせいでギリシア悲劇をぜんぶ読もうなどおろかなことを。

>>331
レスを必要としていないのだろうけど。
死者に会いたいというのはわれわれの最大の願い。
きみのレスを読んで思い出したのは例の「ノルウェイの森」の太字部分。
死は生に含まれているだの何だの。そこらへんにあれが売れる理由があったのかも。
333吾輩は名無しである:03/12/18 21:07
>>332
死は生に含まれている、ということが本当に言いたかったわけではない。
存在していたのに、死者となったことでさまざまなイメージが纏わりつき、
今その時に存在すればその瞬間にそのものが忌み嫌われる。
しかしながら死者をその様なものにしているのは我々自身の付加する死の
イメージである。

ライターの中では存在していた彼ら死者。
その存在を否定されることの怒り、悲しみ。

そんなとこが自分の中ではガツーン!!ときたのです。

334純文学団長 ◆xyX.vGXBSY :03/12/18 22:57
>all
雑談すまそ。悪かったな、てことで年内に書評というか読了スレに100冊分は読了報告を
書きます。
>美香
なるほど、言葉数こそ少なけれ「分かった」
今から読もうとする本一覧。
新「もし一粒の麦しなずば」ジイド
新「背徳者」ジイド(半分読んだ)
新「はつ恋」
再「ラディゲの死短編集」三島
再「蛇の歌」石川
じゃ、上記の本の読了報告まで!
335吾輩は名無しである:03/12/18 23:38
>>純団
海外文学に何を求めるか、によると思います。
文体の美しさ、を求めるのは難しいと思います(訳者のウデに
かかっていますので)
それを踏まえたうえで、海外文学に何を求めるか?というのが
海外文学を読む時のキーだと。

同じく原文で読めないワタクシなどは思ったりして。


スレ違いスマソ。
徳田秋声『足跡』読みますた。
336純文学団長 ◆xyX.vGXBSY :03/12/18 23:42
雑談すまそ。
>>335
海外文学に私はレシを求めます。本格的なレシを。
文体の美しさは、、ある程度は求める(笑)。
訳者では「堀内大學」が好きだ。
独特の言葉のセンスがなんともいえない。
うう、原文で読みたいな。でも、自分にはむりぽ。

てことで、三島由紀夫「海と夕焼け」読了。
こいつ凄い。泣ける!泣いた!
337吾輩は名無しである:03/12/18 23:51
レシ?
338スナフキン:03/12/18 23:55
>>333
あるいは、「イメージ」そのものが「死」ではないかと
Aという存在(あるいは対象)のイメージは
今ここにAがいないという「不在」をはらんでいるから
339吾輩は名無しである:03/12/19 02:03
『暢気眼鏡』尾崎一雄
芳べえ萌え。
可愛い嫁さん。それが芳べえ。
『北愁』幸田文
年の離れたいとこの男女の長年の交流の描いた叙情あふるる傑作。
年の差、両者の器量、性格、遠い住居などから恋愛ものにはならず、男女の
友情が成立させた。
それぞれの人の事情、人の心の綾をしっかりと書き込んでいる。
ラストは静かな感動を覚えた。
340吾輩は名無しである:03/12/21 09:01
>>318
以前シェイクスピアはいいぞ〜、と書いたものです。
「自分は釣りじゃないぞゴルァ!」
と思い、『マクベス』(新潮文庫 福田恒在訳)再読。

あの魔女三人の予言に従って、マクベス・マクベス夫人が突き動かされて
惨事を引き起こしていくのだけれど、実はひっかけ(と言うかマクべスの
読みが甘かった)。マクベスにとっては意外な展開でありながら、やはり
運命通りにストーリーは動いていく…
ちなみにこの魔女さんたち大好きです(笑)

「罪を犯したものはすでに脳の中で罰せられている」なんてことを漱石が
書いていましたが、バンフォーの亡霊がマクベスの席に座っていたり、
夫人が夢遊病になって何度も手を洗っている姿(取れることのない善良な血)
罪と引き換えに彼らは心に消して取れることのない思い枷を背負った。安らぎを永遠に
失わなければならなかった…これは悲劇でしょ。

でも私はやっぱり『リア王』が好きです(笑)
341吾輩は名無しである:03/12/22 06:47
読了報告

東野圭吾「白夜行」
微妙!最後の盛り上がりがいまいちだった!
342美香 ◆FE5qBZxQnw :03/12/22 10:04
「風浪・蛙昇天 木下順二戯曲選1」(岩波文庫)
→木下順二を知っていますか? 1914年生まれ。劇作家、思想家。
わたしから言わせるとつかみどころのない秀才、がり勉くん、勉強家。
自意識のくさみが感じられない、それは育ちが良いから、でもおもしろみがない。
いーっぱいお勉強をしてそこから戯曲を書くひと。
どこにも欠点がない、だから評価も受ける、日本を代表する劇作家だと。
風浪、蛙昇天どちらもおもしろくはない、かといって読み通せないほどつまらないわけでもない。
風浪は明治初期の不平士族のおはなし。蛙昇天は蛙の世界の共産主義思想について(w

「夕鶴・彦市ばなし 他二篇 木下順二戯曲選2」(岩波文庫)
→日本人の劇を書こうとしたひとです。たとえば夕鶴のような民話劇。
農村に古くから伝わる民話を劇にしたわけです。夕鶴はいわゆる鶴の恩返し。
日本にドラマは存在しうるのか。人間と人間の対決は神の下でしか生じないのではないか。
木下順二の戯曲が欧米の戯曲に比べて魅力がない、その原因は作者にあるのか。
それとも原因は作者が生きているこの国、日本にあるのか。
日本はドラマ(傑作戯曲)を生まない不毛な土壌なのか。
343美香 ◆FE5qBZxQnw :03/12/22 10:57
「オットーと呼ばれる日本人 他一篇 木下順二戯曲選3」(岩波文庫)
→表題作は退屈。大東亜戦争まえにロシアのスパイをしていた日本人のおはなし。
共産主義思想にとらわれながらも日本を良くしようと努力した男のドラマ。
共産主義? プッと鼻で笑われてしまう現代ですから、なんとも言いがたい。
こういう戯曲が意味を持っていた時代があったんですかねえ。わたしが生まれる前に(w
併載されていた「神と人とのあいだ」は木下順二戯曲のなかで一番のおもしろさ。
第一部と第二部に分かれている。第一部は複数の戦犯が東京裁判で裁かれる様をリアルに、
第二部は外地で戦犯として裁かれるある個人に視点をすえて、その対比の妙。
第一部はつまらないけど、この木下順二というひとは……。
この戯曲を書くためだけに東京裁判の記録を二年だか三年だか読みつづけたらしい。
(それでつまらないんだから、なんともすごいです。何をして食べているのだか)
第二部があって第一部が光るような仕組みになっている。

「子午線の祀り・沖縄 他一篇 木下順二戯曲選4」(岩波文庫)
→「子午線の祀り」は木下順二の最高傑作との世間的な評価があるらしい。
先ほど日本にドラマはあるのか!なんて大仰に嘆いてみたけど、
それに対する木下先生の答えがこれ。「平家物語」があるではないかと。
シェイクスピアは英国史劇を書いた。木下順二は平家物語を題材に取った。
ええ、「子午線の祀り」おもしろいですよ、劇的ですよ、それで、うーん……
……日本とは、なんて語るガラじゃわたしないけど、なんだろうね日本って。
「沖縄」は最低。寺山修司の戯曲以下。これほどのさげすみはないんです。

「夕鶴・彦市ばなし」(木下順二/新潮文庫)
→表題作のふたつは岩波文庫にも入っている。こちらは民話劇だけを集めたもの。
三年寝太郎にわらしべ長者、みなさんおなじみの彼らと会うことができます。
さて、こうして木下順二さんの戯曲をまとめて17本読んだわけだけど、うーん。
わたしは彼から何を盗み得たのか。なにもないような気がするな。
木下順二。無害なひとである。さあ、次は三島由紀夫。覚悟しておれ!
344吾輩は名無しである:03/12/23 05:27
美香すげ〜
345吾輩は名無しである:03/12/23 14:43
『ライ麦畑でつかまえて』(サリンジャー 野崎孝訳 白水社)読了。
アメリカ文学で最も有名と言われるこの作品、今更ながら読みました。
小説を貫いているのは、意味を伴わない「スタイル」への嫌悪。
ホールデンに共感。
でも「スタイル」をとることのほうが「実際」より大事にされてることって
ありませんか?「実際」を大事にして「スタイル」をないがしろにする奴は、
逆の奴よりよっぽど非常識だと思われる現実。これが現実なんだからなぁ。
それを「笑うしかない」と思い、心の中で軽蔑の言葉を吐くことしかできない
人間はどうやってその現実の中で生きていくのだろうか。
適応の苦痛が蹉跌みたいにどんどん足にくっついてきて、足を引きずりながら
遂にはその重さに耐え切れずに膝を折るのだろうか。ウツ。
それともそれが自分にとってもジョーシキになっちゃうのかな。それもウツ。
346345:03/12/23 14:55
改行変ですみません。

この作品、最近村上春樹が訳して話題になりましたよね。
村上春樹は素でメタファーの中で生きてる人だと思ったけれど、サリ
ンジャーも同じ部類の人間だと思いました。
でも、サリンジャーは共感しながら面白く読めたけれど、なんか春樹
は小賢しいのとあの現実とも非現実ともつかぬ気持ち悪さがダメ。
加工の仕方が悪いのかな? 
347吾輩は名無しである:03/12/23 23:59
美香すげ〜

すげ〜キモイw
348純文学団長 ◆xyX.vGXBSY :03/12/25 10:23
いかん、本が読めぬ。けれど、少しは読んだ。
純文学団長作【牛蒡の人】
路傍の人のパロ。ギャグ文学の巨峰。読んで価値無し。
三島由紀夫【ラディゲの死】
うんうん、いつ読んでもいい。
三島由紀夫【金閣寺】
初めて読んだときは詰まらぬと思ったが、二度、三度読むと味が出てくる。
三島由紀夫【美しい星】
へ〜〜、って気分。
三島由紀夫【音楽】
エンタメ性があって二時間ほどで読了。手軽な小説。
三島由紀夫【豊饒の海一巻 春の海】
残念ながら中途で挫折。あんまり面白くなかった。
三島由紀夫【豊饒の海二巻 奔馬】
一巻読まずに二巻を読むのもおかしな話だが、読んでみた。
一巻とは対照的で面白い。大好きだ。こういう小説を読みたい。
最後の一文が好きだ。
三島由紀夫【豊饒の海三巻 暁の寺】
う〜ん、やはり一巻のような文体で読みづらく挫折。
三島由紀夫【豊饒の海四巻 天人五衰】
過剰な風景描写に驚いた。これはすらすら読めた。
最後の二章くらいは体に粟が生じた。

と、三島由記夫文学ばかりを読んでみた一週間でした。
改めてレビュー見ると酷いもんだな。
美香が三島由紀夫? ああ、戯曲か。そういえば、三島由紀夫の戯曲何げに読んだことないな。
349吾輩は名無しである:03/12/25 17:17
>>348
君の感性って乏しいねw
350吾輩は名無しである:03/12/25 17:49
>>348
http://book.2ch.net/test/read.cgi/book/1063793636/
断腸さん、あなたの子なのよ!
最後まで責任もって頂戴!!!!!

351美香 ◆FE5qBZxQnw :03/12/29 09:18
「近代能楽集」(三島由紀夫/新潮文庫)
→戯曲。いまさら、それもわたくしごときが、三島由紀夫の「み」も語れるとは
思っておりませんが、それでも世界の名作戯曲を読み漁っている、その道半ばで、
三島戯曲がどのようにわたくしの目に映ったかぐらいは書いてもいいと思うのです。
三島由紀夫というブランドの呪縛からできうるかぎり逃れ、彼の戯曲だけを作品群から
引っこ抜く。そして置く。並べてみる。どこへ? たとえば「わが町」の右隣へ。
「欲望という名の電車」のそばに。「るつぼ」「アマデウス」「かもめ」と比較してみる。
この三島戯曲の代表作「近代能楽集」を。それがただ同じ戯曲という理由だけで。
するとミシマは恥ずかしかった。島国ニッポンそのものだった。つまり小さいのだ。
そのくせボティービルで自らを大きく見せようとするのだからさらに恥ずかしい。
言葉でわざとらしく飾り立てる。
上にあげた名作戯曲は読んだ翌日にも再読したくなった。
この「近代能楽集」を再読することはないでしょう。
352美香 ◆FE5qBZxQnw :03/12/29 09:21
「鹿鳴館」(三島由紀夫/新潮文庫)
→戯曲。かつて(今も?)三島賞の選考委員をしていた宮本輝が三島由紀夫を
こう評していた。三島の作品はガラス細工。人間がまともに生活をして50歳を
過ぎたらば、あんなものはとても読めやしない。それを公の場で発表するのではなく、
テルニストHPという自分のファンクラブHPに書き込んでしまう、その卑怯さは
いかにも作家らしいとここでは置いておいて、注目したいのはその内容なのです。
ガラス細工。よくも見事に言い切ったと思う。この「鹿鳴館」という戯曲集を
読了したのは三日前。しかしいまそれについて何がしかの感想を書こうと思っても
何も思い出すことができない。そうガラス細工のようにきらびやかであったこと以外は。

「熱帯樹」(三島由紀夫/新潮文庫)
→戯曲。あひゃ。これおもしろい! 三島さんってコンプレックス過剰で、
しかもホモで変態のキチガイだと思っていたけど、やはり世界のミシマといわれる
だけのことはあったのかもしれない。なんて今頃遅い?w こむつかしい顔をして、
三島由紀夫にはひとかどの才能があった。なんて言っちゃダメかな? えらそう?
期待していなかったからかな。この戯曲集に入っている三つとも「いける」。
ギリシア悲劇を思わせる「熱帯樹」。精神年齢8歳の白痴青年がとってもかわいい「バラと海賊」。
劇が起こらないことを劇にした「シロアリの巣」。どれもいい。再読したいです。

上のレスの訂正)→ボディービル
あとお断り。三島ファンのキチガイどもと触れ合いたいので三島スレにコピペします。
353美香 ◆FE5qBZxQnw :03/12/29 09:27
>>348
>美香が三島由紀夫? ああ、戯曲か。
>そういえば、三島由紀夫の戯曲何げに読んだことないな。
三島の小説も代表的なものくらいは常識として読んでいるぞ、えっへん。
「ヒットラー」や「サド夫人」が入っていないのは以前に読んだことがあるから。
……つまらなかったけど。
戯曲を読むならおすすめは「熱帯樹」ということで。
でも読んだことないくせに知ったかぶるのは良くないな(w
http://book.2ch.net/test/read.cgi/book/1066770068/101-103
宮本輝「蛍川・泥の川」読了
久しぶりに小説を読んだ。スカートと胸から蛍が飛び出す姿は美しい。
が、もし、蛍ではなく、イナゴが飛び出すとエグイだろうな。ヒッチ
コックの映画みたいだ。
スカートのすそをあげて何故純白のパンツでは無く美しい白い足なの
か不思議に思った。作者のある種のストイシズムかと思っていたが、
ようはパンツが見えるほどはスカートのすそはまくっていなかった訳
だ。私達がいかに言葉に対して偏見を抱くのかが自覚できた。

日本経済新聞編「経済学をつくった巨人たち」
万人に開かれたテクスト・マルクスっていったいなんなんだ?岩井克
人のアスペルガーぶりには驚かされる。この世代人は永遠にマルクス
に可能性を見続けるんだろうな。
日本経済新聞編「現代経済学の巨人たち」
新古典派対ケインジアンの仁義無き戦い。おもしろく読めた。
竹中平蔵のシュンペーターは企業こそがイノベーションの担い手であ
るという前期シュンペーター理論のみ論じて、寡占独占企業こそがイ
ノベーションの担い手であるという後期シュンペーター理論に全くふ
れていない。こういった片手落ちの評伝はよくない。
今から
岩波新書「不況の経済学」を読む。
企業は起業の誤り
356吾輩は名無しである:03/12/31 16:12
「但馬太郎治伝」獅子文六(講談社文芸文庫)
「二つの月曜の思い出」アーサー・ミラー(早川書房「アーサー・ミラー全集W」)

以下感想。

「但馬太郎治伝」
実際に存在した傑物日本人を題材にした小説。獅子のひねくれた嫉妬と羨望とアイロニーが満載。
相変わらず心地よく読める。肌が合う。
しかし獅子作品としてはベストではないと思う。(もっと復刻しろよっ!)
これだけしか読まないで獅子作品を投げ出している人は案外多いのでは?

「二つの月曜の思い出」
ソウル・トゥ・ソウル。
この物語を今年最後に読めて良かった。(サンキュー美香ちゃん)

以上、読了報告終了。

来年も良き本に出会えますように。
357331:04/01/01 22:28
『水いらず』(サルトル 新潮社)読了。
実存主義者サルトルの短編集。
「壁」と「部屋」が気に入りました。

「壁」はスペイン内戦時のお話。
主人公は活動家の仲間が隠れている場所を軍に言わなかったがために、死刑されることになる。
同じく死刑を言い渡された男二人と密室でその瞬間を待つ。
主人公は(自然ではない)死を目前にして何を考え、感じ、選択したか?
過去の生の軌跡さえかすませてしまう、絶対的な「死」を目前にして。

生きることに執着している者は、まだ生の内にいて、死も生も見てはいない。
主人公は死の存在を受け入れることによって死を見つめ、生を見つめる。
その境地に至った彼の選択こそ「生きる」ということではないかと。
最後のどんでん返しも(先が見えてしまったけれども)良かったです。
358331:04/01/01 22:47
続きです。

「部屋」は精神を病んだ青年と暮らす娘と、その両親のお話。
社会を憎み、彼のように純粋になりたい、同じ世界に住みたいと思うが徒労に終わる。
社会にはもう戻れない(心が属せない)。
しかし彼女は彼と同じ世界には行けない。
彼はやがて彼女を置いて全く見えぬ所に行ってしまうだろう。

彼女の孤独に胸を突かれました。
生きながら孤独。


他の短編は共感出来なかったり納得出来なかったりして楽しめませんでした。
良きにせよ悪きにせよ、哲学者としてのサルトルの主張がなされている小説です。
359創作ノオト ◆tXJlWVkLzY :04/01/01 23:17
三島由紀夫「青の時代」飛ばし読みで読了。
なんか2ちゃん全般に見られる自意識過剰の奴の垂れ流し創作なり評論
みたいだ。
駄作と言ってしまえば駄作なわけだが、それは現代の眼から見ているの
であって、当時は三島由紀夫の作品は純文学でありながら一般大衆もよ
める開かれた作品だったのだろう。そういった面ではブロットがしっか
りした三島由紀夫の作品は後の大衆文化の発展に寄与した評価すべきも
のと言えるだろう。
ところで、最近実はブロットはしっかりしてできているのだが、あえて
それを崩して無理矢理小難しくした作品を書いている純文学作家が多い
ような気がする。
36012345梨789:04/01/01 23:20
捜索脳徒、ブロットじゃねーぞプロットな。
36112345梨789:04/01/01 23:23
>>357-358
年末年始にサルトルか、悪くないね。
362美香 ◆FE5qBZxQnw :04/01/02 08:37
「幽霊はここにいる・どれい狩り」(安部公房/新潮文庫)絶版
→戯曲。収録作品は三つ。最初の「征服」は安部公房のいわば習作。
次の「どれい狩り」にはびっくり。日本人にもこんなおもしろい戯曲が書けたのか。
レイ・クーニーの笑劇よりも笑える。戯曲を読んでこんなに笑ったのは初めて。
わたしが今まで読んだ中でいちばん笑えた戯曲。こんな天才が日本にいたとは。
舞台はある成金の家。妻に先立たれ、息子も交通事故死で傷心の主人。
しかし保険金がたくさん入って大金持ちになっている。
それを詐欺師たちが見逃すはずもない。主人にすすめるのは高額の動物療法。
まずはライオン。ライオンの目をじっと見詰めれば精気が伝わり元気になると。
それでも効かないということで、次に出してきたのは新生物「ウエー」。
どこから見ても人間だが、詐欺師たちは太平洋の孤島で発見された新生物だと言い張る。
そこに「ご主人、だまされちゃいけませんよ」と登場する娘、女子大学生。
亡くなった息子の家庭教師をするつもりで来たが詐欺師たちを見てあきれかえる。
さあ、詐欺師と彼女が繰り広げる笑いの世界をとくとごらんあれ! 大傑作です。
三つ目の戯曲「幽霊はここにいる」は、なぜか幽霊と会話ができる男が巻き起こす
騒動を描く。「どれい狩り」ほどおもしろくはない。一回も笑わなかったです。
363美香 ◆FE5qBZxQnw :04/01/02 08:38
「友達・棒になった男」(安部公房/新潮文庫)
→戯曲。収録作品は三つ。期待していたらどれも肩透かし。とほほ。
「友達」は大都会に住むふつーの独身男性のおはなし。
まあまあの会社に務め、ほどほどの婚約者がいる。
そこに登場するのは九人の大家族。九人そろって彼の部屋に乗り込む。
あなた孤独じゃないですか、かわいそうですね、大丈夫、私たちが一緒に住んであげるから。
友達、友達、安心ねと言いながら台所を食い散らかし、彼の給料は横取りする。
おもしろそうでしょ? 実際、おもしろく読み進めたら最後のほうでストーリーが破綻する。
安部公房ファンにはいかにも彼らしいとなるのだろうけど、わたしには「はあ?」。
ひとこと「残念」。
「棒になった男」はいわゆる前衛作品。だからもちろんつまらない。
前衛がおもしろかったらまずいのです。
つまらないのを読者(観客)があれこれ意味付けしながら鑑賞するのが前衛作品。
三つ目の戯曲「榎本武楊」も失敗作。自らの歴史観を伝えるために戯曲を
書くのはおやめなさい。戯曲は観客を楽しませるために書くものです。
なんて偉そう(w ごめんなさいです。

ちなみに安部公房の小説は「砂の女」「箱男」しか読んでいません。
364美香 ◆FE5qBZxQnw :04/01/02 09:10
「小林一茶」(井上ひさし/中公文庫)絶版
→戯曲。第十四回紀伊国屋演劇賞個人賞受賞作品にして、
第三十一回読売文学賞(戯曲部門)受賞作品だそうですよ、これ。
ワンパターン。まえに読んだ「頭痛肩こり樋口一葉」となんだか似ている。
まあ、戯曲の「型(かた)」なんてどれもつきつめれば同じかもしれないけど。
確実に(ご老人の)観客を楽しませるよう書かれているお芝居です、良くも悪くも。
以前、一回だけ井上ひさしのお芝居を観にいったことがある。観客は老人ばかり(w
それにしても、なんだかな。
お芝居なんてこんなものですと言われたら確かにそうだけど。
所詮は一夜の夢です、お客さんに笑ってもらえればいいんです、か。
井上ひさしの戯曲をはじめて読んだのは「天保十二年のシェイクスピア」。
それがあまりにもおもしろかったからこうして読んでいるわけですが……。

>>354(捜索脳徒)
宮本輝は言っています。「蛍川」について。
今までのいわゆる純文学ならあそこで蛍はださない。
蛍なんて出ないのが現実だから。
蛍をださなかったらこれは現実を描いている、純文学だと言われる。
でもそれが自分はいやだった。現実には蛍がでなくても自分の小説ではだそうと思った。
あそこであえて蛍をだすことから自分(宮本輝)の文学はスタートしているのだと。
あと川にこだわる理由。
川というのは最初はすんでいます。きれいです。
そのうちにいくつか別の川とまじわる。細い川が太くなる。
そしてだんだんとにごってくる。最後は海、大きな海に流れ込みます。
そこに宮本輝は人生を見ているとのこと。
365美香 ◆FE5qBZxQnw :04/01/02 10:19
>>356
すら〜っと読み飛ばしていたや。
「二つの月曜の思い出」ヨンダんですか。
アーサー・ミラー。懐かしい。覚えていてくれたとは。
そうそう、仕事はもうやめたのでしょうか。
アル中がなおった老人に、新たにアル中になる亡命詩人。
そんな現実を見て、新世界に飛び出す少年。
とってもハートフルなおはなしです。
もの哀しい青春を描いた、きらりと光る名作。
もうひとつの「代価」もつまらなくはないのでお時間があればぜひ。
家族とは、幸福とは?を読者に問います。エンターテイメントとして。
366331:04/01/02 13:15
『サロメ』〈ワイルド 福田恒存訳 岩波文庫〉読了。
有名ですね。王女サロメは王の命に応えることと引き替えに、予言者ヨカナーンの首を
所望する。

一枚の絵を見るようなお話。
描写の毒々しさがたまらないです。
でも、あらすじだけ聞くととても劇的な話なのに、ドラマ性に欠ける。
見るものを魅了するサロメの美しさも、描写ではわかるが状況から「醸し出す」のが
あまり上手くない…。

一枚の絵として良いものではなくて、読んでいる間読む者の世界を支配するのが
私の求める小説。
『サロメ』の毒々しい美しさは認めるけれども…
36735歳 主婦 ◆baeGuFHffI :04/01/02 16:30
D・Hロレンス「息子と恋人」読了 新潮文庫(絶版)
全3巻。

普通に読める小説。
最初タイトルや裏の紹介文を読んだ感じでは母親と息子が
近親相姦的な関係になる作品かと思ったけど違くて
ただ単に母親は子離れ出来ない親で息子はマザコンなだけだった。
とにかくこの息子が優柔不断ですぐ気が変わる性格で
仲良かった女性にいきなり別れ話をしたりする。
まあ、本当に可もなく不可もないような小説。
368吾輩は名無しである:04/01/02 16:43
トルストイ「光あるうち光の中を歩め」読了 新潮文庫

パンフィリウスと老医師が交互に登場してきて、ユリウスを
キリスト教徒になるように、あるいはそれを思いとどまるよ
うに説得していくいうストーリーです。結局はユリウスはキ
リスト教徒になってしまうのですが……
古代キリスト教=原始共産主義なのかなぁ?

キリストの思想とポルポトの思想は似ているなと思いました。
369吾輩は名無しである:04/01/02 18:54
美香キモイ・・・

なにが嬉しくて、ここにひたすら読了報告してるんだろう・・・・
370吾輩は名無しである:04/01/02 22:50
ここはメモ帳代わり
371美香 ◆FE5qBZxQnw :04/01/07 13:23
「野獣降臨(のけものきたりて)」(野田秀樹/新潮文庫)絶版
→戯曲。文学板のみなさんは野田秀樹という名前を聞いたことがありますか?
東大法学部在学中から劇団をはじめて、なんでも八十年代バブル期のカリスマだったとか。
当時のファンもいまこの戯曲を読み返したら、きっと赤面するはず。
全編、言葉遊びのみのお芝居。言葉のバブル。ストーリーらしいものはない。
へえ、へえ、こんな戯曲が受けた時代もあったんですね、こっぱずかしいですね(w
不景気の今、野外上演してほしいです。大阪の汚い公園で。ホームレスの前で。
解説の井上ひさしによると、野田秀樹はめったに現れない天才だそうです。

「瓶詰のナポレオン」(野田秀樹/新潮文庫)絶版
→戯曲。200ページ。一時間半でヨンダ。はにゃと思った。なんだこの感じは。
これも言葉遊びに終始する戯曲なのですが、ふしぎな魅力がある。
こういう雰囲気が一時代を作ったというのもわからなくもない気がしてくる。
テンポが良く、当時はかなりナウかったのではないか?
たとえば野田秀樹のお芝居を観ることが何かしら文化的なステータスであるかのような。
野田秀樹を全否定する気は失せる。ただやっぱりちょっと恥ずかしい。
372美香 ◆FE5qBZxQnw :04/01/07 14:05
「日本の現代演劇」(扇田昭彦/岩波新書)絶版
「舞台は語る」(扇田昭彦/集英社新書)

→この二冊でやっと日本の戦後の演劇の流れがわかった。知りたかったのです。
このスレを読んでいるひとはトクしましたね。これからわたしが簡単に戦後演劇の
流れをまとめます。「1分でわかる日本現代演劇講座」♪
まず敗戦。こっぱみじんに日本という国はなぶりものにされたわけです。
これじゃいかん。欧米のすぐれた文化を一刻も早く日本に取り入れんと。
そんなかんなで盛り上がったのが「新劇」。これは戦前からあったもの。
欧米のありがたい戯曲を遅れた日本国民に見せて啓蒙してやろうという感じです。
シェイクスピアとかイプセンとか。だから新劇を観にいくというのは、
どこかお勉強をしにいくという雰囲気だったらしい。上から下にベクトルが向いている。
日本の創作劇もそんな感じ。三島由紀夫、安部公房、木下順二、福田恒存。おかたいでしょ(w
総じて新劇は「セリフ」を重視した。西欧風の言葉の劇を目指した。
373美香 ◆FE5qBZxQnw :04/01/07 14:05
それに対抗して「肉体」の重要性を主張する一派がでてくる。役者の肉体。
時は日米安保のころ。反権力とか、とにかく若者が政治闘争していたあのうざったい時代です。
唐十郎、清水邦夫、鈴木忠志、別役実、寺山修司。のちには商業演劇にいく世界の蜷川もそう。
この一派は「アングラ演劇」と呼ばれました。
学者とか文化人が加わっている新劇を否定するわけです。
けれどもいつまでも「なんと反対」とか若者が怒っているはずもない。
ぷ、そんなのだっせえのという時代がきます。それが「つかこうへい」。
当時は若者のあいだで爆発的なブームになったそうです。
毒のある笑いがつかこうへいの演劇の魅力だとか。
で、次に来るのはバブルの時代で、これが上に書いた野田秀樹の時代なわけです。
野田秀樹のお芝居をわたしなりに要約すると「無意味言語の過剰氾濫による祝祭」。
バブルも消えうせ、さあ来ましたぜ平成不況。底なしの不景気、デフレ地獄。
いまは「静かな演劇」の時代だそうです。平田オリザ、岩松了。
登場人物が声高に葛藤するのではなく、あえて日常的な行為や会話を舞台で見せる。
そこから「見えないもの・聞こえないもの」を暗示するという。
私見ですが、高いお金を払ってまで「静かな演劇」など観にいきたくはありませんが。
はい、お疲れさま(わたしとあなたへ)。こんな感じです、現代の演劇。
374美香 ◆FE5qBZxQnw :04/01/07 14:31
「稲妻」(ストリンドベルイ/山室静訳/筑摩書房「近代劇集」)
→戯曲。古本屋に「ストリンドベリ名作集」があったので買おうか迷う。
そこでこの「近代劇集」にひとつ入っていたのを思い出し、それを読んでから決めようと。
ストリンドベリはスウェーデンの劇作家・小説家。イプセンと比較されることが多い。
近代劇を築いたひととして有名らしい。この作品は晩年のもの。
孤独な老後を送る老人のまえに、5年前に離婚した元妻が現れる――。
かっちりと仕組まれた劇らしい劇。だけどこちらを揺り動かすまでの迫力はなし。
決めた。「ストリンドベリ名作集」は買わない。

「ふぞろいの林檎たちへ」(山田太一/岩波ブックレット)
→山田太一さんが(当時のバブル期のw)若者へ向けたメッセージ。
古本屋のまえのワゴンに50円と落書きされて落ちていたのを拾ったまで。
54ページ。自分をしっかり持ちましょうね、なんて校長先生の朝礼演説みたいだ(w
若者ねえ。おこる若者。わらう若者。自傷する若者。

>>369
332に書いた。
>わたしがここにレスしているのは本の紹介というより自分のため。
>一区切りをつけて、今までの自分を捨て去る場所としてこのスレを使っています。
「考える」とは「書く」こと。書いてはじめてわかるということが多い。
自分の考えすらも。あー、わたしはこんなことを考えていたのかと。
ここまではわかっているけど、ここからがわからないのかだとか。
それに誰が読んでいるかわからないという緊張感も悪くない。
375吾輩は名無しである:04/01/07 20:03
長文は控え目に、ね
みんながみんな、あなたの熱ーい感想に興味があるわけじゃないんですよ?
376吾輩は名無しである:04/01/07 21:39
東野圭吾「秘密」読了。

切ないです。切なすぎます・・・。終盤はもうボロボロ泣きながら読んでました。
久しぶりにこんなに泣いた。

あぁ、直子さん。あなたはなんて強いんだ。それになんて誠実な方なんだ。
私はあなたのことを一生忘れません。

お幸せに。
377浪子:04/01/07 22:02
>>366
あれはすくなくとも文章と挿絵だけ追ってても味気ないもんだよね。
役者の演技で幾通りもの解釈が可能なように、各キャラが平板に記述されてるわけだし。

サロメを描いた絵画でもいくつか見た方がいいかもw
古事記(読み下し)岩波文庫

疲れたけど、面白かった。古事記は初めて読むのであるが、スナノオ、ヤマタノオロチなぞ凄い迫力!
というのは嘘。詰まらないに決まっている。十ページと少し読んだ所で気絶したのである。それで、

新釈古事記(ちくま文庫)石川淳
を読む。いや、あのつまらない古事記が見事に読みやすく且つ面白いよ。なんていうんだろう。まず、最初の冒頭からやられるね。
「油のようにどろどろ」という表現! 石川節炸裂! 
 最近、古事記とかでは三浦って人の「口語訳 古事記」と言うのが流行っているそうじゃないか。読んでみた。というより見た。
よく分からない。
結論
 新釈古事記(石川淳)の方が格別に善いです。これから古事記を研究するとかいう学生諸君、または古事記でも読もうと思っている諸君、まずは新釈古事記を!
379吾輩は名無しである:04/01/08 12:25
ピランデルロ「作者をさがす...」
380オチョア:04/01/10 09:53
白夜 ドストエフスキー・小沼文彦訳 (角川文庫)読了

ペテルブルクに住む26歳のうぶな青年とナースチェンカの儚い恋物語です。
ペテルブルクの河岸通りで出会った青年とナースチェンカは、毎夜ランデブ
ーを重ねるごとに、親密な関係になっていくのですが、四日目の夜、ナース
チェンカと将来を誓いあった男性が現れて、その恋はもろくも崩れ去ってし
まいます。それでも心やさしい青年は翌日届いたナースチェンカからの手紙
に涙を流しつつ、彼女の幸せを願うのです。

話の筋とは関係ありませんが、青年が自分の名を名乗らないことが不思議
でした。

38135歳 主婦 ◆baeGuFHffI :04/01/10 19:15
イプセン「人形の家」

1時間半くらいで読めた。
名作と言われてるらしいけどイマイチだったな。
382小山内劇場:04/01/11 22:49
「第一人者」(真山青果/現代戯曲全集第十七巻/国民図書出版社)
引退した極地探検家の老人とその娘姉妹、家政婦の婆やを中心とした家族劇である。
壮年の時に家族・知人から資金を集めて北極探検に出発した探検家は、遭難の末、
一人助かり日本に帰っている。しかし、確かに北極を見たという探検家の言葉を
皆は信じない。心魂をこめて執筆した探検記も、「夢を書いているようだ」と
誰にも相手にされない。既に老年となった彼は、事実は事実として形にしようと
家を売って自費出版しようとする。亡き母の思い出の家を売ることに抵抗する
姉妹と婆やは、頑なな父に困惑しつつ、そんな姿に生前の母の苦労をおもう。
やがて、唯一の生き証人(?)であった犬橇犬(鎖が切れて逃げ出している)を
探して疲れきった老人は、その瞬間に射した夕日に自らの悪を悟る。

P.67 博士(探検家の台詞)
 そこだゝ。私の今日までは総て反対ぢや。五十幾年の間、苦心して努力して来た
後を振り返って見ても、功績は何も残らん。空だ、空の空だ。たゞ残るものは
悔恨のみぢ、少年、青春、壮年、総て悔恨だけぢや。智識と云ふ空虚を逐うて、
今日まで幽霊のように活きて来たゞけだ。(原文は総て旧漢字)
383小山内劇場:04/01/11 22:51
初演、大正三年。自然主義作家として出発した真山の、転機となった戯曲第一作。
自然主義文学の告白調文体こそないものの、人間の探求や父性の模索は確実に受け継がれている。
また、浪漫を見限り家族に回帰する探検家の姿は、長女・婆やが体現する
「意見する女性」と対比されており、大正時代の幕開けをはっきりと感じさせる作風である。
いわゆる、古い女性と位置付けられるであろう次女と亡母は、儚さを見せることによって
喪失の感覚を意識させ、このことは歴史を否定しない作者の態度を示しているのではないだろうか。

史実としては1909年にアメリカの探検隊が北極点に到達している。
「青鞜」の創刊が1911年である。
大正三年(1914年)に日本は第一次世界大戦に参戦している。
同年に発表された他の作品に
 夏目漱石の「こころ」(反自然主義)
 田村俊子の「あきらめ」(フェミニズム文学のさきがけ)がある。
真山青果賞が演劇賞(歌舞伎)として実施されている。
384吾輩は名無しである:04/01/13 11:44
このスレも荒らされちゃうのかな・・・
385吾輩は名無しである:04/01/13 11:53
美香は創価学会員
386美香 ◆FE5qBZxQnw :04/01/17 09:06
「演技入門」(千田是也/岩波新書)絶版
→やたらむずかしい。いますよね、演劇人や映画人で何を勘違いしたのか、
わざと表現を難解にするお方。岩波新書なんだから、もっとわかりやすく書けと。
わたしが平明な表現になおします。こう言うております彼は。従来の演劇は良くない。
なぜなら余計なカタルシスを与えてしまい、革命(社会変革)に用いるべき
エネルギーを浪費させてしまうから。ならどういう演劇がいいのか。
観客を陶酔させてはならない、(劇場の外の)現実社会を批評させるように
仕向ける演劇が良いのである。無知蒙昧な大衆を演劇で教育しなければならない。
初版は1966年。そういう時代があったということです。
ちなみに著者が好んで演出したのはブレヒトや安部公房の戯曲です。

「演出のしかた」(倉橋健/晩成書房)
→良書。誰にでもわかる言葉で、いかに紙に書かれた戯曲を生き生きと舞台の
うえで再現すればいいかを教えてくれます。もっと早くこの本を読んでいたら、
今まで見た演劇が何倍もおもしろくなっていたのにとかなり悔しいです。
これまで読んだ演劇書のなかでいちばんためになったといっても言い過ぎにはならない。
さて、どのような演技が良いのか。役になりきる演技か、それとも役者自身の意識は
いつも平静で計画的に観客に提示する演技が良いのか。
役者はハムレットになるべきか、ハムレットをあやつるべきか。
答えはないと著者は言います。
387美香 ◆FE5qBZxQnw :04/01/17 09:07
「舞台と映像の音声訓練」(冨田浩太郎/未来社)
→もちろんこの年になって女優を目指すつもりなんてありませんです、はい。
ただブックオフに百円で落ちていたので、役者さんの舞台裏でも斜め読みしようかと。
しかし彼はやばい方法論を提唱しています(w
なんでも今まで誰にも話したことのないような心の傷をあえて人前で表現することで、
感情の緊張がほぐれて良い演技ができるようになるんだとか。東由多加かいな。
へたをすると精神病発症のきっかけにもなりかねないデンジャラスな訓練です。

「俳優タレント養成ガイド2003」(テアトロ)
→だからいまさら役者を目指すわけではないんです。
ブックオフにお年玉キャンペーンってありましたよね、千円分買うとブックカバーがもらえる。
あと百円だったんです。それで購入したのがこれというわけ。
役者(志望も)って楽しいんでしょうね。写真を見るとみんな生き生きしている。
しかしその大半が養成機関卒業とともに厳しい現実と向き合わなければならない。
映画学校とかと同じです。あちらは過去に映画を数本撮っただけの自称映画監督の
食い扶持になっているわけですが。若者に夢を売る商売には目を背けたくなる矛盾があります。
シナリオ学校しかり、小説教室しかり、漫画学校しかり……。
388美香 ◆FE5qBZxQnw :04/01/17 09:45
「快速船」(安部公房戯曲全集/新潮社)
→戯曲。新薬が発明されました! この薬を飲んでごらんなさい。
かならずあなたの夢がかないます、ええ芥川賞でも別荘でも王子様でも。
国民全員が飲んだらどうなるって? それは、それは、バランスというものがありまして、
各人の欲望の度合いによって調整されますけど、でもまあこの薬を飲まなければ
何も始まりません。「信念の魔術」系の自己啓発へのパロディーとも読めます。
創価学会のパロディーといったら、いささか語弊があるかも(w

「可愛い女」(安部公房戯曲全集/新潮社)
→戯曲。チェーホフに同名の小説があるけど、ちょっとだけ設定が似ている。
泥棒も警察も金貸しも裏ではグルになっているかもしれませんよ、観客のみなさん!
この演劇を観て家に帰ったらちゃんと社会批評するんですよ、いいですか。
当時、この戯曲を演出したのは>>386の千田是也さんです。そういうお芝居。

「巨人伝説」(安部公房戯曲全集/新潮社)
→戯曲。安部公房らしくない。戦争を忘れちゃいけないよという作品。
読みにくいわけでもないけど、そうおもしろいものでもないです。

「城塞」(安部公房戯曲全集/新潮社)
→戯曲。ある精神病患者がいる。何度も過去のあるシーンを再現しなければ
気がすまないというのが症状。過去の一点で時間をとめてしまった。
とりかえしのつかない一瞬、劇的なあの一瞬、悔やんでも悔やみきれないあのひと時。
その時間を再び動かすのはストリッパーである。刺激的な快作です。

「おまえにも罪がある」(安部公房戯曲全集/新潮社)
→戯曲。どこにでもいる平凡な男。あえて平凡につとめているきらいもある。
ところがどーだい、ある日、散歩から安アパートに戻ったら見知らぬひとの死体が転がっている。
さあ、どうしたものか。何しろ今日は恋人がはじめて部屋に来る日である。
笑劇(ファルス)の典型。「ブラック・コメディ」(>>264)を思わせる傑作です。

「どれい狩り」(安部公房戯曲全集/新潮社)*再読
→戯曲。再読してもおもしろいから名作に認定。再演したらいいのに。内容は>>362
389美香 ◆FE5qBZxQnw :04/01/17 10:06
「現代文学の無視できない10人」(つかこうへい/集英社文庫)絶版
→インタビュー集。お相手は荻原健一、阿佐田哲也、小池一夫、島尾敏雄、
長嶋茂雄、高橋忠之、大竹しのぶ、井上ひさし、中上健次のみなさん。
つかこうへいが島尾敏雄の「死の棘」をげらげら笑いながら読んだと言っていたけど、
激しく同意いたします。あれを読んで深刻ぶるのはどこかうそ臭いです。
DV(家庭内暴力)常習者の井上ひさし先生のことばも重い。
いつものように中上健次は威勢のいいことを言っている。
サム・シェパード(アメリカの劇作家)は自分からぱくったのだの(w

>>386
訂正。「演劇入門」(千田是也/岩波新書)です。
だれもこんな本をいまどき読まないと思うけど、入手困難だし。でも念のため。

>>381
「35歳主婦」がよりによって「人形の家」を読むというわざとらしさが笑える。
ノラのように家出したくなりましたか? イプセンのおもしろさはわたしにもわからない。
よくできた戯曲だなあと感心するくらいで。
390吾輩は名無しである:04/01/17 11:23
非常に申し訳ないのですが、私も美香QNWの考え方に一度たりとも共感
したこともすばらしいと思ったこともありません。
391吾輩は名無しである:04/01/17 11:28
プ










オバサン今日も張り付いてる
392吾輩は名無しである:04/01/17 22:03
美香はこのスレだけは大事にしている。そっとしておいてやれ。
>中年ファン
393吾輩は名無しである:04/01/18 23:22
伝説の美香語録
「オイディプスの両目潰しはいつか真似してみたい」
「私は宮本輝の生まれ変わりだ」
「私に文学を感じない奴は二度と文学の本質に触れられない」
「小説は全部ノンフィクションですよ。私はそういうウソとかつけないんです。
 作り事の小説を書いても人の心を揺さぶらないでしょう」
「工藤はカスの作家。工藤に負けるやつは人生終わりだ」
「本当の文学は平野啓一郎でもなく村上春樹でもなく美香にある」
「2ちゃんの書き込みだけじゃなく、全てにおいてノンフィクション」
「300人で図書館借り切って読書会したことあります」
394あぼーん:あぼーん
あぼーん
395吾輩は名無しである:04/01/18 23:25
「オイディプスの両目潰しはいつか真似してみたい」

創作ノオト以上の変態

無職のオバサン(怖
396吾輩は名無しである:04/01/19 01:15
1/18
にちようびのきょうもオバサンは2ちゃんねるにはりついていた。
・・・きのうもだけど。
わかさがなくしごともなくともだちもなく、2ちゃんにきても
そうさくのおとにものうなしよばわりされ・・・

おきのどくでつ。がっしょう。
397あぼーん:あぼーん
あぼーん
398あぼーん:あぼーん
あぼーん
39935歳 主婦 ◆baeGuFHffI :04/01/19 21:33
美香って人は全部買って読んでるの??


400吾輩は名無しである:04/01/19 23:36
ハロワって何?
401美香 ◆FE5qBZxQnw :04/01/20 14:10
「仄かな言葉」(白石昇/白石昇HP)
→短編小説。九州芸術祭文学賞次席作品。
著者、白石昇は「エロ本」の翻訳でその才能にうすうす気づいていたが、
この小説を読んでそれは確信へと変わった。
冒頭、白石は主人公の少女に「めくら」で「つんぼ」という障害を与える。
絶妙である。ここにきわどい「笑い」を感じないものは小説など読まないほうがいい。
少女がひとりいる。なんの物語も生まれはしない。
そこで身体障害を神のごとくプレゼントして強引に小説をおしすすめる。
そこを安易と受け取ってしまうものには、この小説がわからない。
つまりは現代がわかっていないということである。
テレビ局が大々的に「愛は地球を救う」などと偽善をばらまくこの日本を、
白石は嫌悪している、嘲笑している、うっかり感動してしまう自分をも。
その骨太な現代批評が、この小説の屋台骨となっているのである。
そして主人公の少女が世界を認知していく様のなんとみずみずしいことか。
世界はあらかじめ存在するのではない。欠損によって初めて世界が存在するようになる。
この描写を読んでわたしは白石昇の過去を恐ろしくて聞けなくなった。
どれほどの体験をしたら、世界がこのように見えるのだろうか。
本作は地方文学賞の選考委員ごときにはとうてい見通せない奥深さがある。
無料で読めることだし、ぜひご一読をおすすめする。
あなたも同感してくれることと思う。白石昇は天才であると。
――三日に一人、生まれるかどうかの。

(参考)白石昇HP
http://www.geocities.co.jp/Hollywood/2444/
402美香 ◆FE5qBZxQnw :04/01/20 14:23
>>399
もちろん。新刊書店、ブックオフ、専門古書店、
まんべんなく利用させていただいておりますです。
主婦さんも子供がいなかったらヒマでしょう。
読了日記をぜひここでつけてみてください。
403月面:04/01/20 17:45
スローターハウス5
読んでみたが、なかなか難しいと思った。
難しいというのは奥が深いというのも含まれている。
人間は、最初から最後がわかってしまうことでどれだけ楽観的になれるのだろう・・
平和というのはそういうことではないのか。
戦争というのは、悲観的を常に生んでしまうのだ。
日常的で楽観的な人生はどれだけ豊かで重いのだろうか。。
40435歳 主婦 ◆baeGuFHffI :04/01/20 21:01
>>402
全部買ってるってすごいね〜。
安部公房の全集って一冊5千円以上するし。
私はブックオフ、新刊文庫 たまに全集かな。
ちなみに今日は安部公房の「壁」を買いました。
安部公房の新潮文庫のやつは数年前に全部読んでるんですけど
内容忘れてるのが多いので再読。
40535歳 主婦 ◆baeGuFHffI :04/01/20 21:06
ディケンズ「ニ都物語」読了・・・出来ない。

つまんない!!ひたすらにつまんない!!
下巻から面白くなるのを期待して頑張って読んでたけど
下巻の中盤になっても一向に面白くならずに頭にきて読むの止めた。
駅のゴミ箱に投げ捨てましたww
これのなにが名作なのか全然わかんなかった。
これを面白いって人がいたら是非とも意見を聞かして欲しい。
「ディビット〜」も100ページくらい読んでつまんなくて止めたし、
私の中ではディケンズは完璧に無能作家。
406吾輩は名無しである:04/01/20 21:39
>>400
職業安定所、ハローワーク
407吾輩は名無しである:04/01/20 21:46
美香QNW語録

「オイディプスの両目潰しはいつか真似してみたい」







( ゚д゚)・∵.
408吾輩は名無しである:04/01/20 21:47
age
409あぼーん:あぼーん
あぼーん
410吾輩は名無しである:04/01/20 22:08
狂人は現れたり。横行するは無残な無職の豚の享楽。
美香は八方に蹂躙するレスを書きまくる。不憫なのは標的たる人「生贄」。
やがて彼女は…… 思想の実行に取り付かれる。凄惨( ゚д゚)・∵.

「オイディプスの両目潰しはいつか真似してみたい」
411吾輩は名無しである:04/01/20 22:19
あの人もやるならこういう時にやらないとね・・・
412吾輩は名無しである:04/01/20 22:54
伝説の美香語録

「300人で図書館借り切って読書会したことあります」
413吾輩は名無しである:04/01/21 00:38
「オイディプスの両目潰しはいつか真似してみたい」
414あぼーん:あぼーん
あぼーん
415おさむ ◆UvGJoaFDw6 :04/01/21 01:22
白石の仄かな言葉読んだ。
わざわざ縦書きにしてプリントアウトして。
その僕の手間に彼の作品は答えてくれなかった。
三十路のおっさんである白石が処女のめくらつんぼを書ききることは想像力との戦いだ。
「仄かな言葉」では白石の想像力は完敗している。


アーメン
416吾輩は名無しである:04/01/21 02:55
「蹴りたい背中」綿矢りさ 河出書房新社 2003
読了。
疎外された文系女子高生のうだうだした気持ちを、えんえん読まされて、きれそうなって、耐えられなくなって三回中断した。
中盤以降は話に動きがあって内面描写だけじゃなくなるし、慣れたのか、比較的らくに読めた。
これが芥川賞か・・・。てか、ブルーもはりがねむしもおもんなかったし。
日食も京極を文学ぽくしただけやったし。
芥川賞は、当初の興行としての役目に戻ったね。
「水没ピアノ」を女に貸したときの「ごめん、文体がだめすぎて読めなかった」て気持ちにおれはこれでなりましたよ。
中学のときクラスで同様に疎外されてた文系男子、現二十三歳大卒フリーターという比較的共感できそうな俺でこの評価って・・・。
417吾輩は名無しである:04/01/21 13:32
絡新婦の理/京極夏彦/講談社ノベルス

御存知の通り最新回直木賞受賞作家。

「目潰し魔」が登場する。今作は女学校に女性ばかりを狙う目潰し魔、
それに女系家族と、これでもかとばかりに女性が登場。多数出て来ては(ry)。
これまでのシリーズキャラクター達も、それぞれに持ち味を生かした活躍を
見せる。緊張感の持続に大満足。

このスレにも目潰し魔がいる様子w
418Mr.K:04/01/21 13:47
『檸檬』梶井基次郎:新潮文庫 終了
419吾輩は名無しである:04/01/21 14:36
「正しい目潰しの仕方」
大抵は人差し指と中指だけを伸ばした状態、所謂チョキの形を作って
相手の目に突き入れて行きますよね?。
でも、あれって効率悪いと思いませんか?。
420吾輩は名無しである:04/01/21 14:37
いえね、実際の所その二本の指を上手い事相手の両目に突き入れるなんて事は
余程の達人でも難しいんです。ちょっと実験してみれば分かります。
421吾輩は名無しである:04/01/21 14:38
天井からつるしたスーパーボールを揺らし、指一本で突いてみてください。
まず上手く当たりません。人間の場合左右だけでなく、斜めにも前後にも
動くのですから、難易度は格段に跳ね上がります。
422吾輩は名無しである:04/01/21 14:38
それに目潰しは、完全に命中しなくてもある程度の効果は望めるんです。
目の周りと言うのは鍛える事が出来ませんから、かすった程度でも
結構簡単に傷付きます。目の上やふちの所を切って出血をすれば、
目はしばらく使えません。
423吾輩は名無しである:04/01/21 14:39
要は二本の指がきれいにヒットせずとも、片方の目の周辺部にでも命中すれば
、十分な効果があると言う事です。
424吾輩は名無しである:04/01/21 15:18
そこで提案、「目潰しをする時は5本の指でやりましょう。」
単純に考えても、これで命中率は二本の時の2.5倍になります。
とっても効果的!ぜひ一度お試しあれ!!

425あぼーん:あぼーん
あぼーん
426吾輩は名無しである:04/01/21 17:45
美香が来なければこういう事にはならないのにね・・・
427吾輩は名無しである:04/01/21 22:16
「可否道(コーヒーと恋愛)」獅子文六(絶版?)

以下感想。

小説を読みながら声を出して笑うなんて一体何年ぶりだ?
その位くだらない、いや面白い小説。
特に茶道に対抗してコーヒー道なるものを創りだそうと躍起になる菅さんが最高に笑える。
(少しほろ苦い)オチもきれいに決まった良い物語だと。
最強コーヒー小説に認定。

以上、読了報告終了。
42835歳 主婦 ◆baeGuFHffI :04/01/23 21:44
安部公房 「壁」読了。

荒唐無稽な話だけど面白い。
深い意味があるんだろうけどよくわからない。
「魔法チョーク」が一番面白かったな。
429吾輩は名無しである:04/01/24 06:30
ちくま文庫で『失われた時を求めて』ついに読了。
いささか冗長な部分も見られるが、
長い作品を書くということがこの作品の第一義であったかもしれないので、
まあ許そうと思う。
430白石昇 ◆Kjrx9yfSYM :04/01/24 11:17
01月22日 幼年時代         トルストイ 原久一郎訳 新潮文庫
431美香 ◆FE5qBZxQnw :04/01/25 10:07
「黄昏」(アーネスト・トンプソン/青井陽治訳/劇書房)
→戯曲。アメリカ産。覚えているかい、あの夏の日を。
毎年のように避暑地にきた老夫婦。だんなは79歳、おくさんは69歳。
このおじいさんが辛口で辛らつ。でもたっぷりあふれるユーモア。
長いこと不和が続いていた一人娘が遊びに来る。結婚するという。
相手には連れ子がいる。ませたガキ。でもおじいさんの魅力にくっぷく。
一ヶ月のあいだ、この子をあずかってくれと老夫婦は頼まれる。
夏。太陽。おじいさん教わる釣り。おばあさん手作りのクッキー。別れ。
おじいさんと一人娘の和解――。
漫画「クッキングパパ」の世界ですな。うるうるきちゃいます。

「小さき神の、作りし子ら」(マーク・メドフ/青井陽治訳/劇書房)
→戯曲。アメリカ産。障害者もの。この戯曲で乗り越えられるべきは聴覚障害。
聴覚障害者のための学校。男性教師と女生徒との禁断の恋。
健常者と障害者のありがちな愛。愛は障害を乗り越えられるのか。
こんなんで泣くわけにはいかないね。
ずいぶんわたしもすれっからしになってしまったようです。
著者は聴覚障害をもつ妻との体験からこれを書いたとのこと。
どうりで白石昇の小説よりリアリティーがある。

「ベント BENT」(マーティン・シャーマン/青井陽治訳/劇書房)
→戯曲。アメリカ産。いまパルコ劇場で椎名桔平が再演しています。
知っていましたか? ナチス政権下でおこなわれたことを。
なんでも優生遺伝子保護の考えから精神身体両障害者および同性愛者を
強制収容所送りにしたことを。この戯曲のバックグラウンドはそれ。
第一幕は戦時下でのホモの享楽的な愛について。うってかわって第二幕は、
殺風景な強制収容所で繰り広げられるホモの感動的な愛について。
愛、愛、愛、また愛か。どの戯曲もテーマは愛。小説も詩もあるのは愛ばかり。
……へい、おまえら愛しあってるかい?(自己崩壊)
432美香 ◆FE5qBZxQnw :04/01/25 10:40
「演劇ってなんだろう」(井上ひさし/筑摩書房)
→いろいろなテーマについての多様な演劇関係者の座談会を集めたのがこれ。
劇場について、女優について、演劇プロデューサーについて、などなど。
でもほんとなんだろうね演劇って。わたしが関心をもったきっかけはシェイクスピア。
その翻訳がきっかけで福田恒存。180度正反対の寺山修司、前衛演劇。
福田恒存訳の「オイディプス王・アンティゴネ」に魂を激震させられ、
ギリシア悲劇をぜんぶ読むなどという愚行を。ふとしたことからテネシー・ウィリアムズを
読んだらこれがおもしろい。シェイクスピアやギリシア悲劇がバカらしくなるくらいに。
つづいてアーサー・ミラー。ピーター・シェーファー。
劇書房の存在を知る。劇書房ベストプレイシリーズ。
木下順二、三島由紀夫、安部公房――。
演劇ってなんだろう。「演劇なんて、うんざりだ」(工藤伸二)。

「国文学 演劇 パフォーミング・アーツとして 1998年3月号/学燈社)
→いろんな学者さんが書いています。
論じられるものは手広く、シェイクスピアから現代日本の劇作家まで。
媒体の性質上、無名の学者さんが多いんだけど、みなさん文章がへただねえ。
こんなバカどもが大学では先生なんて呼ばれているんだから大笑い。
プロだったらもっと読者を乗せる文章を書こうよ。
何に乗せるかって? 感情に決まっている。
学者さんの事実報告だけの無味乾燥な文章にはうんざり。
うならせてみろ、笑わせてみろ、怒らせてみろ、わたしを。
433美香 ◆FE5qBZxQnw :04/01/25 11:27
「人と超人」(バーナード・ショー/「ベスト・オブ・ショー」白水社)品切れ
→戯曲。イギリス産。ご存知、「人と超人」。国語便覧には必ず載っている名作。
哲学的喜劇。名作中の名作にしてバーナード・ショーの代表作。
・……(口にしかけてやめる)……(ええい)だっけどね♪つまらないんだよ♪ほんとはね♪
第三幕に登場人物が見る「夢」があるんだけど、ここを読み通すのは地獄。悪夢。
でも腐っても名作。みなさん教養としてストーリーぐらいは知っていたいのでは?
よろしい、教えましょう。まず三角関係ありき。男、男、女、ね。
男1は女に熱愛。男2は女を恐れている。ラスト、女は男2と結婚しましたとさ。
つぎに哲学的なテーマ。人類の目的は「子孫を残すこと」、ただそれのみにある。
よって女はより優秀な遺伝子を求めて、いったんイイオトコを見つけたら
けだもののように獲物を手中におさめる、のだそうです。そうなのかな。どうでもいいや。

「ウォレン夫人の職業」(バーナード・ショー/「近代劇集」筑摩書房)
→戯曲。きっと「人と超人」だけでバーナード・ショーを嫌うひと、多いんだろうな。
これおもしろい。何がおもしろいって、バーナード・ショーの人間描写。
ああ、このひと人間が嫌いなんだなとびんびん伝わってくる。女が嫌い、男も嫌い。
人間なんてバカばっか。そのくせ偉そうで、いっちょまえに怒ったり泣いたり。
わかるよショーさん。わたしも人間なんて大嫌いだから。もちろん自分もふくめて。
さてさて、ウォレン夫人の職業は売春斡旋業。一人娘はその商売で得た金で
大学まで行かせてもらった。この母と娘の葛藤が、この戯曲の中心線であります。
434美香 ◆FE5qBZxQnw :04/01/25 11:58
「ピグマリオン」(バーナード・ショー/「ベスト・オブ・ショー」白水社)
→戯曲。大傑作。こんなおもしろい戯曲があったとは。世界は広い。
バーナード・ショーは天才です。「読んでみて」というぐらいしか、言葉がでてこない。
読んでいて何度笑ったことか。幾度、うまいなぁと舌を巻いたことか。
完全なるエンターテイメントにして、同時に深い内容もあわせもっている。
つまりはおもしろくて、考えさせられる。大衆も学者さんもみんなニコニコ大満足。
「マイ・フェア・レイディ」の原作だからストーリーはご存知だろうけど。
――独身でお金持ちのおじさんが道端で貧しい花売り娘をひろいました。
友人と賭けをしたのです。この小汚い田舎娘を半年で社交界デビューさせられるか。
一人前のレディにすることができるかどうか。
お得意の人間描写がもうたまらない。人間をバカにしきっていて最高。
でてくるひと、ひと、みんながほんと笑えるんです。おかしいんです。
435美香 ◆FE5qBZxQnw :04/01/25 12:23
「令嬢ジュリー」(ストリンドベリ/板橋憲明訳)
→戯曲。スウェーデン産。演劇のパンフレット。
海外劇団の来日公演のときのパンフレットだからか、日本語訳がぜんぶ載っている。
ネタバレOK? いきます。
令嬢ジュリー(25)はおてんばで召使のヤン(30)をからかいます。
というのもヤンはちょっといい男。料理女(35)を内縁の妻にしている。
ジュリーは思うわけです。階層の低い人間ってなんておもしろいの。
本も読まない、芸術も知らない、そのくせ毎日それなりに楽しそうに生きている。
雑用をして、お酒を飲んで、女を抱いて、そればっかりの毎日のどこがいいのか。
そんな下僕のなかでヤンは恐れ多くも自分に気があるらしい。生意気。愛人もいるくせに。
と、からかうわけです。ヤンがちょっとでもその気になったら身分をわきまえよと平手打ち。
お祭りの日、父親がいないのを見計らってふたりは台所でビールを飲んでおります。
キター! 宴会をしていた下僕連中が台所に来る気配がします。
ふたりだけでお酒を飲んでいることを見られたらジュリーの名誉にかかわる問題だ。
とりあえず僕の部屋に、ええ、何もいたしませんからと召使のヤン。
ところがどうだ。でてきたふたりの様子はがらりと変わっている。
力関係が逆転しているのです。ふたりで海外に逃げようと令嬢ジュリー。
ホテルでも開きましょうよ。はあ? 金がないだろバカヤローとは召使ヤン。
責任を取りなさいよとヒステリーを起こす令嬢ジュリー。
うるせー、おれに命令するな、おれのまえであんな格好をしたこの売春婦めがと召使ヤン。
いや、売春婦でもあんなことはしねえぜお嬢さん、と卑しい下僕根性が丸出し。
心中しましょうと令嬢ジュリー。おれは生きていたいんだと召使ヤン。
父親が帰ってきた様子。令嬢ジュリー、パニック。どうしたらいいの、命令して。
ここで召使ヤンの取る態度が感動的です。納屋で死になさいとカミソリを持たせる。
令嬢ジュリーはひとり戸口よりでていきます。
436美香 ◆FE5qBZxQnw :04/01/25 12:32
恋愛を闘争(力関係)と見ているストリンドベリ先生。
でもこういう物語が可能になるのはそこに階級(差別)があるからなんです。
じゃあ、現代日本。周りを見回すと平坦極まりない。
突き出たところも、くぼんだところもない。
問う。現代人は真に愛しうるか。もっと侮蔑を、もっと差別を、差別用語復活を!
すべては芸術のために。

「真の芸術家は、妻を飢えさせ、子供を裸足で歩かせ、
自分の生活のために齢七十の母親を働かせても、自分の芸術のためでないとなれば、
自らは何もせぬものなのだ」(「人と超人」バーナード・ショー)

>>404
バブル世代はほほえましい。
何よりひとの話を聞かない(他人のレスを読まない)とこが(w
http://book.2ch.net/test/read.cgi/book/1063636525/473n
戯曲全集というのが別にあるのです。

>>430
感想ぐらい書きなさい。

あ、いま気づいた。バーナード・ショーの翻訳者を書き忘れている。
「人と超人」(喜志哲雄)。「ピグマリオン」(倉橋健)。
「ウォレン夫人の職業」(小津次郎)。みなさんおなじみの方です。
437吾輩は名無しである:04/01/25 15:18
438331:04/01/25 19:33
『落葉』(ガルシア・マルケス 高見英一訳 新潮社)読了です。
マルケスの短編集。

少し前に『蝶の舌』というスペイン映画を見たときに、あらすじが背景の
役割になってしまうほど雰囲気の素晴らしい映画だったんだけれども、この
本を読んで同じような感覚を覚えました。(もちろんこの背景が無ければこ
の雰囲気は出せないのだけれど。)

物の感じ方の違いが楽しめた本でもありました。
肺呼吸をしている私に皮膚呼吸の仕方を教えてくれたような感じ。
(比喩が下手でごめんなさい)

しかしながら、最近思うのですが皆見たこと聞いたこと感じたことそのま
まを言葉に為そうってしてるのかな。
寧ろ言葉に規制されて見ている。匂いを嗅いでる。音を聞いてる。

それにしても、死体の腐敗臭を嗅ぎながら昼食をとるのを楽しみにしている
町の人々、って…比喩でも凄い。



439331:04/01/25 19:48
>美香さま

>現代日本。周りを見回すと平坦極まりない。
>突き出たところも、くぼんだところもない。

表面上そうですが、それは共同幻想です。
人間他人を貶めたり蔑んだり見下したりすること、または
自分のナルシシズムに酔うことで自分の存在を保つ或いは
確認しているものだと思います。(大部分)

差別用語は身を潜めていますが、日常会話の至る所にしっかり
存在してるじゃありませんか。
慇懃無礼、いやらしくてドロドロしたものが。
差別も同様。

社会的に固定された「差別」じゃないと芸術にならないかな。

スレ違いなのでsageます。
440純文学団長 ◆xyX.vGXBSY :04/01/27 15:57
漱石は敬遠していたが、最近読んでみた。明暗。
441331:04/01/27 18:54
>団長さま
せっかくですから感想を書いてください!
漱石大好きなのですが、『明暗』は未完ということでなんとなく手が出なかったので。
例えストーリーが未完成でも、「漱石らしい(特に後期の)」文章で読み応えがある
のならぜひ読もうと思います。

自分で読んで感想書けよ、なんて言わないでくださいね。
自分で読んだら必ず書きますので。

442純文学団長 ◆xyX.vGXBSY :04/01/27 19:31
●ご希望に答えて駄文を書かせていただきます。お許し下さい。
●まず、明暗は「漱石作品系譜」のどの位置にあるか、私から見た(畢竟偏見も入っている)ところでは、「こころ」の延長線上にあるものと感じました。また、わたしは「こころ」よりも頗る優れている作品]
と思いました(エンターテイメント的にも、文学的にも)。然し、あまり版を重ねていないのは偏に未完成で且つ長いというハンディの所為に他ならぬと思います。(手元にある文庫を見たところ、岩波文庫では十三刷、新潮では二十三刷)
●わたしはこの作品を高く評価しています。漱石文学を読むなら初めにこれを読め、と言いたい位評価しています。(しかし初めにこんな濃厚なものを読んだら、諸作品が詰まらなく感じてしまう怖れもありますが)
●世間はこれを読みにくいと言います。殊に文体の面で。私はその様なことを感じませんでした。それは人によってそれぞれなので一概に言うことは出来ない。然し、文学板に来る人ならば多分すらすらと読んでいけると思います。
●未完成は矢張り「最後までないんだから詰まらぬだろうな」と思い人もいるかも知れませんが、大間違いです。
以上、あまり内容には触れない方がいいと思って故意に書きませんでした。
この文章で明暗が面白いということが伝われば、わたしがこの文章を書いた目的は達成されます。あ、ただ内容にはあまり触れないけれど、この作品で好きな人物を。小林!
443吾輩は名無しである:04/01/27 21:04
>>442

いまさら、そんな超メジャーな大作を「読め」なんて薦めるなよ。
恥ずかしくないか?
何歳?
444吾輩は名無しである:04/01/27 21:10
恥かしいとか言いながら、てめえは名作・大作とか言われてるもの全部読んでるのか?
丁寧にレスをした団長に失礼だろ。
445吾輩は名無しである:04/01/27 21:31

河野多恵子 『 不意の声 』

戦後の女性作家の中で、玄人男性読者の読書に耐えられる
数少ない書き手だ。
446白石昇 ◆Kjrx9yfSYM :04/01/28 15:33
>>436 :美香 ◆FE5qBZxQnw様
 書かなくてもいいスレッドじゃないのここ? スレッド題からして。

 でも、別のところで書くので何卒お許し下さい。
447純文学団長 ◆xyX.vGXBSY :04/01/29 17:57
「君たちはどう生きるか」

 う〜ん。つまらなかったといえば、嘘になる。学生にはおすすめかな?
 
 でも、やはり……私には面白くはなかったです。
448吾輩は名無しである:04/01/29 18:18
綿矢りさ「蹴りたい背中」レビューより。

本を読んだのは四年ぶりです。芥川賞ってこんな感じだったのか。ちょっと
安心しました。日本文学ってかたくるしいイメージだったけど、僕も大人に
なったのかな。すごく切なくどきどきしながら、最後まで読めました。かわ
いい女の子が悩んでる、っていうシチュエーション。名作です。昔よんだこ
とのある「走れ!メロス!」なんて何が書いてあるのかさっぱりわからなく
てつまらなかったんですが、この小説はおすすめです。でも1000円は高
いと思います。だってカラーページがないし、白黒なんだから、300円く
らいでいいんじゃないかな。
449吾輩は名無しである:04/01/29 18:49
同じく綿矢りさ「蹴りたい背中」レビュー

新しい感性、新しい文学, 2004/01/17
まず一言言っておく。この小説をくだらない、つまらない、浅薄だという人はおそらく自分の感性が旧世代のものであり
この小説の含む時代的、世界的意味に気付いていない人だろう。そもそも天才は幼少時からその才覚を発揮するものであり、
ランボー「イリュミナシオン」、ラディゲ「肉体の悪魔」、そして「黒猫のタンゴ」などは決して商売の戦略から生まれたものではない。
この小説を読めば、現代日本の核心がつかめるだろう。またクロード・シモン以来停滞していた世界文学の水準がこの小説によって
飛躍的に高まったことにも気付くだろう。「苦しみ、憂鬱、そして倦怠」? この物語を読み乾いた涙を流したものは、
もう何も語る必要はあるまい。あなたは真の文学の海に向けての船出を成し遂げたのだから。
450美香 ◆FE5qBZxQnw :04/01/30 13:33
「父」(ストリンドベリ/毛利三彌訳/「ストリンドベリ名作集」白水社)絶版
→戯曲。だれストリンドベリって? まずこうくるでしょう。わかります。
完全に現代では埋もれてしまったスウェーデンの作家、ストリンドベリ(1849-1912)。
その名をはじめてわたしが目にしたのは山本周五郎の「青べか物語」。
山本周五郎や葛西善蔵が愛読していたらしい。というのもストリンドベリブーム
というのが、はるかむかし大正時代にあったそうで。どんな作家と聞かれたら、
うーん、現代では柳美里を思い浮かべてくれたら、だいたいあんなイメージ。
「鶏が先か卵か先か」になるけれども、意識的にか無意識的にか男女関係の修羅場
を自分で作ってしまう、その血みどろの体験から創作をするというタイプ。
書くものはおもしろいけど、間違っても一緒に暮らしたくない、そばによるなシッシッという(w
本作「父」は破綻した夫婦の物語。妻によって狂人にしたてあげられてしまう男の悲劇。

「ダマスカスへ 第一部」(ストリンドベリ/岩淵達治訳/「名作集」白水社)絶版
→戯曲。この作品を書くことによって著者は神の存在を信じられるようになったとのこと。
それは良かったですねえストリンドベリさん。でもですね、つまらないんですよ。
深遠なことを書こうとしている(あるいは書いている)のはわかるのだけど。
夢の中をただよっているような劇。男がいます、人妻を誘惑しました、旅に出ました、
生活に困窮しました、別れました、愛に開眼しました、再開しました、女の元亭主と和解しました。
――劇は終了しますた。
451吾輩は名無しである:04/01/30 13:51
452美香 ◆FE5qBZxQnw :04/01/30 14:16
「罪また罪」(ストリンドベリ/石沢秀二訳/「名作集」白水社)絶版
→戯曲。「ダマスカスへ」のような催眠的な作品を書くかと思えば、
この「罪また罪」のような現代日本のテレビドラマの脚本にもなりうるような
(NHKあたり)作品も書くのだから、ストリンドベリというのはふしぎなひとだ。
大衆的で実におもしろい。三浦綾子の小説みたいな劇構造をもっている。
デビュー前の劇作家がいる。今日のお芝居は大成功間違いなしと言われている。
まだ籍は入れていないが内妻と子どもがいる。これで芝居があたれば……。
予想通り、劇は大ヒット。男は一夜にして有名人の大金持ちになる。
運の良い人間というものはいる。
こんな女がいたとは。男ははじめて会った親友(画家)の恋人と相思相愛になる。
親友を裏切るわけである。家族(内妻と子ども)も裏切ることになる。
大金と美女、両手に花の男はひとつのことを願う。子どもが死んでくれたら。
なんとそれまでかなってしまう。子どもは原因不明の死をとげる。
しかし酒場で女にうっかりもらした「子どもが死んでくれたら」という会話を
店員に聞かれていたことから警察から疑いをもたれる。
今度は一夜にしてすべてがパーに。劇の上演は打ち切り、収入はゼロ。
新聞では情婦とともに犯行かと書かれたので、新恋人との関係も気まずいものに。
女はモトカレとよりを戻そうとするしまつ。これで女もふいだ。
男は親友の絵がコンクールで優勝したことを知る。
親友は受賞を辞退するという。男が親友にわけを問うと――。
成功と没落というのはむかしからドラマ構造としてよく使われている。
「オイディプス王」しかり「マクベス」しかり。
いまテレビでやっている「白い巨塔」もそう。
教授へとのぼりつめるザイゼン先生に、患者を大切にするサトミ先生。
そのあいだを動き回る女もいる。
結論。ドラマに新しいものはないけれども、おもしろいものはある。
453美香 ◆Mx6u0AGogQ :04/01/30 14:18
自己崩壊してます。ぷるぷるぷるーん♪ ぽえぽえナゴミン茶♪
454美香 ◆FE5qBZxQnw :04/01/30 14:59
「死の舞踏」(ストリンドベリ/毛利三彌訳/「名作集」白水社)絶版
→戯曲。わたしがこのスレに長文を書くことをおもしろく思わない方がおられる
ようですが、わたしの目的はふたつあります。ひとつ、自分の頭の中を整理すること。
もうひとつは、やはりどこかしらで自分の発見した埋もれた名作を紹介したい、
他者と感動を共有したいという思いがあるのです。なぜそんなことを言うのか。
「死の舞踏」はまさにそういう作品だからです。
おなじ思いをもった編集者がいるようです。
ストリンドベリ作品の中で例外的にこの「死の舞踏」だけは現在、購入可能です。
http://www.honco.net/richiesta/books/010.html

「死の舞踏」というものが中世のダンスにあったそうで、
軽快で複雑なステップに夢中になっているうちに、骸骨の姿をした死神に導かれて、
墓場に連れて行かれてしまう、そういうダンスがこの戯曲のタイトルです。
それに名前負けしない、これはおそろしい戯曲です。
ほんまもんのキチガイはどえらいものを書くんだなぁと寒気すらします。
ドストエフスキー的な登場人物がわめきちらす地獄絵図です。
ストリンドベリは「一脚のテーブルと二、三脚の椅子さえあれば、
そこに人生のもっとも深刻な劇を展開させてみせる」と言ったそうですが……。
内容は延々と続く夫婦喧嘩――。
島尾敏雄「死の棘」の上をいく悪魔的な作品。
9・11自爆テロのあとにブロードウェイで上演されて、
ブロードウェイ復興のきっかけになった作品だと検索で知りました。
十分に現代的なドラマということです。
ただし当時の評論家に、こんなだらだらとつまらない戯曲はない、
と酷評されたことも付記しておきますね。
455:04/01/30 15:33
こんなだらだらとつまらない長文もない、
という酷評も付記しておきますね。
456美香 ◆FE5qBZxQnw :04/01/30 15:39
「幽霊ソナタ」(ストリンドベリ/高橋康也訳/「名作集」白水社)絶版
→戯曲。とことんつまらん。さっぱりわからん。それにしても当たり外れの激しい作家だ。

「小さいエヨルフ」(イプセン/山室静訳/筑摩書房世界文学大系90「近代劇集」)
→戯曲。イプセンとストリンドベリというのは並べられて論じられることが多い。
だけど、いま見るとイプセンは残って、ストリンドベリは見事なまで消えた。
つまりイプセン作品は現在多種入手可能なのにストリンドベリはほとんど入手不可。
なぜか。イプセンのほうが教育的なせいかな。常識的というのか、学校演劇になるというのか。
ストリンドベリはやばすぎる。取り扱い不可、精神病患者措置入院といったおもむきがある。
ストリンドベリは創作をしなかったら間違いなく犯罪者になるタイプだから。
あ、「小さいエヨルフ」の感想か。ネタバレするからね。
あることろに地主の夫婦がいました。この夫婦には男の子がいます。7歳。
びっこのエヨルフくんです。旅行から帰宅した夫に妻はつめよります。
もっと私を愛して、あなたはエヨルフのことばっか、あんな子、いなければいいのに!
そういう論争をしているまさにそのときエヨルフくんは海で溺死します。
夫婦の争いは激しさを増し離婚直前までいきます。
ところが、なんてでしょうかね。ふたりは愛を取り戻します。
これからは二人で領地の貧しい子どもを養育していこう、と。
すばらしい偽善、もといボランティア精神、もとい普遍の愛ってやつですね。
あたしゃ感動して涙うるうるですよ。
子どもがいじめで自殺した夫婦が、いじめ撲滅のために各校を講演してまわるみたいで。
我が子を殺された夫婦が気持ちの悪い手記を書いて大もうけするみたいで。
イプセンよりストリンドベリのほうが好きです。

「令嬢ジュリー」(ストリンドベリ/千田是也訳/「名作集」白水社)*再読
→戯曲。>>435で読んだのを別の訳で再読。内容がここまでまったく違っているのは
めずらしい。ふたつの作品があるみたい。たぶんこっちが正しいんだろうな。
>>435のほうが差別的なきわどい調子がよくでていたけれども。
457美香 ◆FE5qBZxQnw :04/01/30 15:47
>>439
そうですか。差別は偏在していますか。
つまり現代社会はのっぺらぼうではないと。
それは嬉しい限り。希望があります。

>>447
それどこのブックオフも常備している(w
よくそんな題名の本を読む気になるなとちょっと吹き出した(プッ
「明暗」の紹介は良いお仕事、ごくろう。

>>449
ネタネタしすぎ。
ニヤニヤしながら書いているのが透けて見える。
458吾輩は名無しである:04/01/30 16:29
心ある人に尻拭いをさせて、のうのうとカキコし続ける美香が見えました。
459吾輩は名無しである:04/01/30 17:03
329 :ブラウス ◆tDJMJii.sA :04/01/05 02:48 ID:???
おいおい、そんなぐったりチンポじゃ漏れを満足させられんよ。w

美香QNWは、こんなカキコもしていますが何か?
460吾輩は名無しである:04/01/30 21:19
同一人物ではない罠
461吾輩は名無しである:04/01/30 22:29
704 名前:創作ノオト ◆tXJlWVkLzY :04/01/30 22:05
今美香QNWの書評読んだけどつまんないね。
感性が幼稚だし古い。あえて言うならばバブル経済末期又は崩壊直後頃
のスタンダードな心性だね。
まだ26歳なんだからもっと社会なり人間を複合的に捉える眼を養って
欲しい。もっともこういった物は持って生まれたセンスが必要だからど
うしようもない。
美香QNWは勉強はできるんだから文学の学者を目指した方がいいと思
う。創作者としてのセンスはゼロ。
462大納言 ◆xyX.vGXBSY :04/01/31 12:37
ラディゲ「肉体の悪魔」読了。当たっても外れてもないと言う気分。

>美香
「君たちはどう生きるか」は決してつまらなくないぞ。何せ一晩で読んだから。
 あと、戯曲からいっぺん離れてみたら? 哲学でも小説でも一週間くらいそっちへ留学してきては?
 それで、また戯曲に戻ったらあらたな発見があるかもよ。
463吾輩は名無しである:04/01/31 14:12
身かは嫌いなんだが、ストリンドベリは前々から読みたいと思っていた。
ぐっじょぶ>身か
464吾輩は名無しである:04/01/31 14:13
美香ちゃん
なんで戯曲ばかり読むのよ…
465331:04/01/31 14:34
つたない文章にレスありがとう。

457の「偏在」は「遍在」の打ち間違いですよね(そう信じたい)
そしたら自分の書き込みも意味は酌んでもらえたのかな…

「読了報告スレッド」なのに本読んでないのに書き込みすみません。
また書きにきます。
466美香 ◆FE5qBZxQnw :04/01/31 16:24
「酒とつまみ 第4号」(酒とつまみ社[仮])
→お酒の雑誌には有名な「サントリークォータリー」があるけど、
わたしはこっちのほうが好き。サントリーのほうはいかにもお金をかけて、
有名どころの作家にお酒にまつわるエッセイを書かせているから鼻につく。
一方、こちらはおそらく採算ぎりぎり、ほとんど趣味でだしている。
ライターにギャラさえ払っていないのでは?
だからほんとに書きたいことをみなさんハチャメチャに書いている、
お酒が好きで、お酒にまつわる話をすることも好きでたまらないのがよくわかる。
第3号の感想は>>140 (参考)http://www.saketsuma.com/

>>462
「レ・ミゼラブル」でも読もうかな、それとも「未成年」にしようか(w
戯曲というもののおもしろさにすっかりとりつかれてしまって。
小説はもっと戯曲から学ぶべきことがあるように思う。
戯曲というのは何より目の前のお客さんを楽しませなければならない。
その義務感が戯曲にはりつめた緊張をもたらす、小説にはその緊張がない。
もうしばらく戯曲とお付き合いします。帰るべきはところは小説ですが。

>>463
ストリンドベリ読んだら感想を書いて。他のひとの読後感が気になるから。

>>464
日記は戯曲である。神という作者の手なる。
演劇という視点から世界を見るとおもしろい。

>>465
ご指摘のとおり「遍在」の打ち間違いです。
46735歳 主婦 ◆baeGuFHffI :04/01/31 20:54
最近は再読ばかりしてるな・・

安部公房「人間そっくり」「第四間氷期」「密会」
 
 「人間そっくり」は戯曲のプロットみたいな感じ。
 場面が変わらなくて2人のやりとりだけであそこまで書けるのはすごい。
 
46835歳 主婦 ◆baeGuFHffI :04/01/31 21:01
アベ・プレヴォ「マノン・レスコー」

全く狙ってないけどつまんない話、偶然にも今週読んだ本は
安部公房、アベ・プレヴォと「あべ」繋がりなのに今気付いた。

美女のマノンにトチ狂った男の話。
この小説のなにがすごいって男のロクデナシぶり。
金持ちのボンボンなんだけど、まずマノンを追っかけて家出します。
マノンと共謀して詐欺を働き、捕まります。
そしてそこから脱獄します。しかも脱獄する最中に優しくしてくれた
神父を拳銃で脅し、門番を撃ち殺してもいます。
何回も親友を裏切ります。
こんな最低最悪な登場人物って今までで見たことない・・
469吾輩は名無しである:04/02/01 02:16
つうか、つまんなかった本を長文で読了報告する意味あんの?
470吾輩は名無しである:04/02/02 01:52
91 :美香 ◆FE5qBZxQnw :04/01/25 12:32
>>90
マソコってそんな見たいもんすか?
グロイだけっすよ。w
471吾輩は名無しである:04/02/02 01:53
   。 。
  / / ポーン!
( Д )
472吾輩は名無しである:04/02/02 02:03
  
(。 。)
  (/ Д \)
473吾輩は名無しである:04/02/02 22:11
880 :吾輩は名無しである :04/01/30 11:29
>心ある人に尻拭いをさせて、のうのうとカキコし続けるよ美香QNWは。
だろうね。
474美香 ◆FE5qBZxQnw :04/02/06 09:38
聞いてください。ある日のこと、古本屋に行きました。
そこで二冊の本が目にとまったのです。
「ベスト・オブ・ショー」と「バーナード・ショー名作集」。
前者に入っているのは「人と超人」と「ピグマリオン」の二つだけ。美本。1200円。
後者はその二つにプラス四つ。計六作品収録されている。状態はいかにもな古本。1000円。
きれいな本がいいし、どーせショーなんてつまらないだろうからと「ベスト・オブ・ショー」を購入。
ところがどうして「ピグマリオン」が大傑作(>>434)。
ああ、他の作品も読みたい、名作集のほうを買っておけばよかったと後悔。
だぶっても仕方がないかと前記の古本屋を再訪すると、案の定、売り切れ。
こうなるとどうしても読みたくなるのは読書家のみなさんにならわかってもらえるはず。
送料をいれて3000円もの大金を払ってネットで購入。
で、いま読んでない四作品のうち三つ読んだのだけど、あはは……。
つまらないわけです。そんなこんなで読了報告が滞っていたというお話。
レスはいらないけど、だれかに聞いてほしかった。ただそれだけです。
失礼しました。以下に読了報告を再開します。みなさんもよろしく。
475吾輩は名無しである:04/02/06 09:50
2ちゃんに張り付いてる天才のオバサンの存在が哀れに思えるスレ


476美香 ◆FE5qBZxQnw :04/02/06 10:08
「アジアの旅人」(下川裕治/講談社文庫)
→タイトルそのまま、アジアのエッセイ。レシートがはさまっていて、
去年の7月18日に新宿紀伊国屋書店本店で買ったらしい。
あー、そういえばあのとき妙にアジア熱が高まって、それをさますために
いろいろ旅行記を買ったなと思い出す。ときおりすべてをなげうって、
海外に出たくなる。国外逃亡。山頭火じゃないけど。
でも、まあ、そう簡単にはいかないわけで、こういうエッセイで仮想体験してごまかす。
著者にへんちくりんな詩心がないのが良かった。
恋人との別れが旅の理由で、とかなんとか、感傷を垂れ流す旅行エッセイは最低。
タイ行きたい。白石昇におごらせたい。現地妻を観察して報告したい。

「本の運命」(井上ひさし/文春文庫)
→本についてのエッセイ。おもしろすぎて2時間、休憩することもなく一気に読んだ。
このひと、本が好きなんだなとよくわかる。別な本で井上ひさしが言っていた。
「人生が楽しいとか幸せとか感じるときはない。どこまでもつまらないもんです。
ただ戯曲を書くための準備として、ある作家の全集なり資料なりを読み込んでいる
ときに贅沢だなと感じるくらい。その作家の小宇宙にただよっているときだけ」。
うろ覚えだけど。井上ひさしは「小林一茶>>364」や「樋口一葉」などの評伝劇
を好んで書く劇作家。そのときの資料調べのことを贅沢な時間といっているわけです。
当然、一ヶ月の平均書籍代は4〜50万円。狸と狐について戯曲を書こうと思ったときは、
神保町の小宮山書店に電話して神田古本屋街から関係するすべての書物を集めて
もらったとのこと。確定申告のシーズンだけど、こういうのは必要経費でどこまで
落とせるものか。失敗談としては、明治時代の医学書を18万円で買ったらしい。
で、その半年後に復刻版がでてしまった(w その古書店は申し訳ないから、
10万円お返ししますと言ってきたそうです。現金ではなく、そこの古本10万円分。
こころあたたまる話です。
477吾輩は名無しである:04/02/06 11:06
このスレから美香がいなくなる事をひたすら願うばかりだ。
478吾輩は名無しである:04/02/06 11:16

ヽ(´▽`)ノ 美香QNW〜 2ちゃん閉鎖前に
  ( ∩ )  コンパニオンの裸踊りしちくり!しちくり〜! 
 /ω \
479吾輩は名無しである:04/02/06 19:48
大西巨人 『 深淵 』
480吾輩は名無しである:04/02/06 21:22
48135歳 主婦 ◆baeGuFHffI :04/02/06 21:30
安部公房「箱男」 ★★☆☆☆
何も言うまい・・

アゴタ・クリストフ「悪童日記」★★★★☆
傑作!今まで読んだことが無いような小説。
残酷なシーンもサラッと流してるところがすごい。

アラン・シリトー「長距離走者の孤独」★★★☆☆
短編集。予想以上に面白かった。
他の作品が読みたい。
482吾輩は名無しである:04/02/06 22:01
このスレのほとんどがあぼ〜んだ・・・。
483美香 ◆FE5qBZxQnw :04/02/08 10:38
「カンディダ」(バーナード・ショー/鳴海四郎訳/「名作集」白水社)絶版
→べつのスレで以下のような指摘がありました。
>美香の書評読んでも全然おもしろくない
>何も読めてない何も理解してない
>自分は読んだぞということが言いたいだけ
>こんな人に読まれた本はかわいそう
http://book.2ch.net/test/read.cgi/book/1074253053/854n
考えさせられる。何をもって「読む」というのか。読んだことを書くことの意味は?
たとえばこの戯曲。率直にいってつまらないとわたしは思った。
これをおもしろく他者に紹介することはわたしにはできない。
せいぜいこう書くぐらいである。人妻の話であると。ロマンスであると。
牧師をしている堅実なだんなさん。熱烈に求愛する少年詩人。さあ、ご注文はどっち?
結局、人妻はだんなさんを選択する。元通りになってのではない。
少年はこの失恋を経て、オトナの男性に成長したのだから。
まあ、こういう話であると書くぐらいしかわたしにはできない。
無能とそしられたら黙ってうなずくほかない。わたしが悪いのかこの戯曲が悪いのか。

「悪魔の弟子」(バーナード・ショー/中川龍一訳/「名作集」白水社)
→戯曲。テレビドラマを見ていて思うことってありません?
この脚本家はぜったいに視聴者をバカにしている、おまえらこんなものを
見せときゃ満足するんだろうアホどもめ!という悪意があると。
皮肉屋のショーさんがその悪意を隠すことなく創作したのがこの作品。
通俗的な「仕掛け」を矢継ぎ早に出していく、どことなくバカにしながら。
まず遺産相続の場(リア王)。そこに十年ぶりに帰宅する放蕩息子の長男。
遺書が公開されると長男の独り占め(意外な展開)。時代はアメリカ独立戦争。
イギリス軍が攻めてくる。牧師の身代わりにイギリス軍に捕まえられる放蕩息子。
さて神につかえる牧師はどうするか。自分が本物の牧師だと名乗り出て処刑されるか。
と思いきや、自分の命が大事とさっそうと逃げ出してしまう牧師さん(観客笑う)。
さあ緊迫のクライマックス、放蕩息子がまさに処刑されようとしている。
牧師ははたして現れるのか(走れメロス)。あ、あれは牧師ではないか!
当時、この「悪魔の弟子」は大ヒットしたそうです。大衆なんてそんなもの?
484美香 ◆FE5qBZxQnw :04/02/08 11:19
「聖女ジョウン」(バーナード・ショー/中川龍一・小田島雄志訳/「名作集」白水社)
→戯曲。ノーベル文学賞受賞作品。イコール世界がおもしろいと認めた作品、か。
世界 vs わたし。とうてい勝ち目はない闘いである。がしかし、わたしは言いたい。
この戯曲のどこがおもしろいのか! だらだらと長いだけの評伝劇ではないか!
聖女ジャンヌ・ダルクが登場してイギリスを打ち破り最後は不幸にも火あぶりにされる、
その生涯を機械的に六場に分断しただけ、なんの興奮もなんの緊迫もなんのユーモアもない。
ではどんな戯曲がおもしろいのか? この戯曲と正反対のものである。
先を知りたいと目と手が異様なスピードで動く戯曲、
思わずセリフを音読してしまう戯曲、
計算式では割り出せない熱情がほとばしっている戯曲――。
たぶんこの作品がノーベル文学賞を受賞した背景に、日本人にはわからない
カトリックうんぬんの問題があるのだと思う。遠藤周作がノーベル文学賞を
受賞できなかった理由に、選考委員のひとりがぜったいに受賞させないと
いきまいていたという話を聞いたことがある。「沈黙」が気に入らないとかで。
この戯曲のテーマは教会は信仰に必要か否か。
たぶん「カトリックかプロテスタントか」の問題になるのだと思う。
日本人にゃわかりません。ごめんなさいです。
へたな感想文を書いてしまって、ノーベル文学賞の作品を貶めてしまって。
485美香 ◆FE5qBZxQnw :04/02/08 12:20
「デモクラシー万歳」(バーナード・ショー/升本匡彦訳/「名作集」白水社)
→戯曲。だめだよ、高いお金払って「バーナード・ショー名作集」なんて買っちゃ。
わたしの嫌いな矢口書店じゃ9000円なんて値をつけている。
あー、いま検索したらショック。小宮山書店が2000円で新しく出している。
ここなら送料もいらなかったのに……。悔しい。にっくきバーナード・ショーめ!
あ、この戯曲は政治劇。まあ、これほどつまらない戯曲を探すのが「六ケかしい」。

「分からぬもんですよ」(バーナド・ショー/市川又彦訳/岩波文庫)品切れ
→戯曲。人生なんて、分からぬもんですよ。ある日、偶然に、
18年間も会っていなかった父親とばったり出会ってしまうのだから。
不勉強なので、あやふやだけれども、喜劇にはふたつあるらしい。
ひとつは、登場人物そのものの個性がおもしろいもの、奇人変人がでてくるもの。
もうひとつは、状況がおもしろいもの、シチュエーションコメディというらしい。
もちろんこれは後者になる。そのなかでもかなり上質の部類に入ると思う。
ただし難は翻訳にあり。昭和15年の翻訳。思いっきり旧字体。
市川又彦ってだれ? 英文学の創始者? いくらなんでも中学生みたいな直訳をしないでほしい。
日本語として読めないところが多数ある。これを倉橋健さんの訳で読めたら……。
ところで「六ケかしい」。読めましたか? 
わたしはこの戯曲で四回目に出てきたところでようやくわかる。
「むつかしい」ですね(w
48635歳 主婦 ◆baeGuFHffI :04/02/08 19:29
遠藤周作「白い人 黄色い人」★★★☆☆
白い人は面白かった
487ひとりの通りすがり:04/02/08 20:16
アリストパネス「雲」 再読

何度読んでも面白い。この奇想天外な話の中でソクラテスはあろうことかソフィストの
権化のように扱われコテンパにこき下ろされる。(実際はソクラテスはもちろん
反ソフィスト)。私はこの戯曲をソクラテスに対する個人攻撃というよりもむしろ
度が過ぎた戯れとして読んだのだが、そのアリストパネス自身、その報復として(?)
プラトンの饗宴の中で、エロスについてはなはだ奇想天外な説をお披露目する人物と
して登場させられ、最後にはソクラテスの説によって、愚人と化してしまうだろう。
これもまたプラトンのある種の愛情さえこもった戯れに違いないが、こうした彼らの
知の戯れに触れるたびに、驚きと感嘆の溜息が出る。
言うまでもなく(まあ、戯曲にもよるが)、アリストパネスのユーモアは超一流。
488吾輩は名無しである:04/02/10 02:34

 436 :美香 ◆FE5qBZxQnw :04/01/25 12:32

 現代日本。周りを見回すと平坦極まりない。
 突き出たところも、くぼんだところもない。

他人には「今の日本は〜」と言うなと口汚く言って置いて
自分だけは言ってもいいってか?
489吾輩は名無しである:04/02/10 03:35
批判するって言うことはそういうことだろう
490あぼーん:あぼーん
あぼーん
491白石昇 ◆Kjrx9yfSYM :04/02/10 12:22
>>476 美香 ◆FE5qBZxQnw様
 現地妻やしなう甲斐性も、あなたに奢る甲斐性もありません。

 というかオドレは豚足こうてこいビッグシー↓で。ひさしぶりに。
http://travel.2ch.net/test/read.cgi/21oversea/1071029133/
----
>>430訂正。
×01月22日 幼年時代         トルストイ 原久一郎訳 新潮文庫
↓↓↓↓
○01月22日 少年時代         トルストイ 原久一郎訳 新潮文庫

 自分が読んでいる本が何なのかよくわからなくなる私という人間の好例。

 で、

02月03日 ボロ家の春秋       梅崎春生   講談社文芸文庫
492吾輩は名無しである:04/02/11 02:30
明らかに↓の方が勝ってるね。

http://book.2ch.net/book/index.html#8
493美香 ◆FE5qBZxQnw :04/02/11 10:50
>>487
なんだ、きみが読んだのは「雲」か。
お薦めしているのが「蛙」だと勘違いして読んでしまった。
どちらも一文字タイトルだから……(鬱

「蛙」(アリストパネス/高津春繁訳/「世界古典文学全集12」筑摩書房)
→戯曲。いわゆるギリシア喜劇。今まで読んだことのあるアリストパネス作品は
「雲」「女の議会」「女の平和」の三つのみ。どれもわたしにはおもしろさが
わからなかった。で、まあ今回(誤解だったけど)>>487さんに刺激されて、
これを読んでみたわけですが……。本文が31ページなのに、訳注が11ページもある
というのは勘弁してほしい。読了するのが苦痛極まりなかったです。
さて、ギリシア喜劇とはどういうものか。とことんバカバカしいんです。
当時のひと(2000年以上も昔)が487さんのように大笑いしたのも無理はないくらい。
たとえばこの「蛙」。まず神様が登場するわけです。
ディオニュソス神(バッカス)です。地獄に行きたいと言い出します。
今は亡きアイスキュロス(悲劇詩人)に会いたいというのがその理由。
で、いちど地獄に行ったことのあるヘラクレスさんの家を訪問します。
そこで地獄への行き方を教わったディオニュソスは従僕とともに向かう。
地獄のあまりの恐ろしさにうんこをもらしちゃったりもします、神様なのに(w
くだらないですねまったく。で、地獄ではなぜかアイスキュロスと
エウリピデス(これも悲劇詩人)が喧嘩をしている。
勝敗を決めてくれとディオニュソスは頼まれる。
ディオニュソスはそれぞれの悲劇詩人のことばを実際に天秤にかけてみます。
するとアイスキュロスのことばのほうが重い。アイスキュロスの勝ち。
ディオニュソスはアイスキュロスを地獄から地上へテイクアウトすることにしました。
これを大笑いしながら見たアテナイ人は町へ繰り出し、
一晩中、飲めや歌えやの大騒ぎをするわけです。
494331:04/02/11 17:35
『痴人の愛』(谷崎潤一郎 新潮社) 読了。
今更ながら…すみません。

サラリーマンが源氏物語さながらナオミという女の子を引き取って育てるが…

すみません、私は駄目でした。
『鍵』とか『春琴抄』読んだときの「谷崎ってすごい!」って感じがまったく無かった。
谷崎は「計算されつくした美しさ」が好きなのに…
だらだら読みながら主人公の悶々はわかるんだけどなさけねぇ。

誘惑する素振りをしながら「友達でしょ」と言って触れることは許さない。
このじりじりした感じがいいんでしょうか…わからん。
谷崎にしたらそういうのが堪らなくいいんだろうな。

個人的には『細雪』で3姉妹が「Bたらん」と言ってビタミンBの注射を
打つ習慣の方が萌えます。

495331:04/02/11 17:36
6行目、「谷崎は」ではなくて「谷崎の」です。
ゴメンナサイ。
496あぼーん:あぼーん
あぼーん
497吾輩は名無しである:04/02/11 17:55
>>494
同感!
498吾輩は名無しである:04/02/12 01:45
鍵いくない(・A・)
499331:04/02/12 07:16
『鍵』は「構成美」の作品です。
そういう意味で「計算されつくした美しさ」が体現されている小説だと思います。

個人的には春琴抄>>鍵なのですが…

500331:04/02/12 07:18
sageますね(忘れたまま送信してしまいました)
501美香 ◆FE5qBZxQnw :04/02/12 09:55
「蛇にピアス」(金原ひとみ/文藝春秋3月号)
→小説を読むってどういうことだろう。ここのところ戯曲ばかり読んでいたから、
久しぶりの小説だった。戯曲は、設計図や楽譜みたいなもの。それを手がかりに
大勢のひとが動き、大勢の観客を楽しませる、少なくともなんらかの刺激を与える。
一方で、小説はひとり自室で読むものである、基本的には。小説を、読む。
なんのために? それはもちろん感動したい。できたら泣くぐらいの感動を。
小説を、書く。なんのために? なんのためにひとは小説を書くのか?
なんのために彼女は小説を書いたのか? 村上龍や山田詠美になりたかったのか?
この小説にはわかったようなことが書かれている。これを読んだ識者もわかったような
ことを言うのでしょう。今朝、ニュースでこんな話を聞きました。酔っ払い運転で
他人の子どもを殺してしまった男性。服役が終わった後も罪を償いつづけるとのこと。
一生、酒は飲まないし、自分が殺してしまった子どものことを考えつづける。
酔払い運転なんてみんなやっています。その中でなぜ彼が事故を起こしてしまったのか。
わかりません。この「わからない」をわたしは文学で扱いたいと思います。
おなじ文藝春秋3月号に三浦哲郎「忍ぶ川」のグラビアがありました。
三浦哲郎さんも彼の「わからない」からスタートした文学者です。

「蹴りたい背中」(綿矢りさ/文藝春秋3月号)
→幸福な小説です。吉本ばなな「つぐみ」を思わせる上質の青春小説です。
だれもが経験する自意識の芽生えの時期を、彼女だけのスタイルで丁寧に
描き切っている。見事。一つひとつ言葉を選びながら、楽しみながらこの小説を
書き上げたというのがよくわかる。小説を書く喜びに満ちている。
彼女の人生に悲劇はないでしょう。このまま書きつづける、残る作家だと思います。
ひとりくらいそういう作家がいてもいいような気がします。
502美香 ◆FE5qBZxQnw :04/02/12 10:14
>>494
雑談めいてごめんなさいとまずあやまっておいて……。
「痴人の愛」は文学なんてダメーというひとに読ませると、
かならず「え、文学ってこんなにおもしろかったの?
谷崎ってひと、国語の教科書に載っているような(=つまらない)ひとじゃん」
という反応がかえってきます。
わたしもこれほどのエンターテイメントがあんな昔に書かれていたのかと
たいへん感動しました。まあ、ひとによって感想はまちまちということです。
503吾輩は名無しである:04/02/12 11:01
「『私』」津島佑子(新潮社)

以下感想。

これを読んでる最中、中上健次の「化粧」(短編集)を何度も思い出す。(なんでかね)
「古い記憶」と「現在という記憶」の交差。ゆらめく。他人の夢を覗いているみたいだ。
とても悲しい物語を。
一言で言うと酒がすすむ短編集。(いや〜飲んだ、飲んだw)
今まで太宰治の娘という理由で読むのを避けてきた自分が憎らしい。

以上、読了報告終了。
504あぼーん:あぼーん
あぼーん
505吾輩は名無しである:04/02/12 14:30
>みかぁ〜
もれは大江と川端は国語っぽい顔してるから読む気しない
506ガディワッツ:04/02/12 15:22
昨日から今日にかけて三つ。
ハンゴンタン 由真直人
 プロフみて、この板の有名コテハンかと思った。東南アジアを放浪中とか。
どうしても「文学界」のくくりで見てしまう。最後の息子や、くちゅくちゅばー
みたいなのを期待しちゃってるところがあるから、ちょっと楽しめなかったな。

いてきを待ちながら。クッツェー
 4作目にしてこの人の作品って全部同じ構造なんじゃないかと思い始めてる。
これからマイケルK読むが、激しく不安。

黒い黙示録 ジャコビ
 ラブクラフト全集を見かけたので、そのつながりで。
物語のエッセンスがたくさん詰まってる。
ホラーはやっぱりたのしい。ぼくの精神年齢は幼い。けど、たのしいからよむ。
507あぼーん:あぼーん
あぼーん
508ひとりの通りすがり:04/02/14 14:53
「終焉をめぐって」柄谷行人
著者が主に1989年に書いた文芸評論を一冊の本にまとめたもの。
多分柄谷の評論の中ではごく初歩的なものだと思うが、文学も哲学も専攻したことが
ない私はそれでも苦労しながら読んだ。柄谷の著書をまともに読んだのはこれが初めて
だったし、15年たった今、彼の文芸評論がどのような方向を向いているのか分からない
が、その驚くほど緻密でおそらく独創的な分析にはただただ敬服を覚えるばかり。
けれどもし彼の取り上げている作家たちが、本書の中で分析されているようなことを
本当に年頭において書くという行為を行っていたのだとしたら、書くとはなんと恐ろしい
行為なのだろうと今更のように溜息がでる。
ちなみにこの本を読んで私が新たに興味を持った作家は武田泰淳。
私の能力ではとてもまとめられないので、本書から下記の引用だけしておく:
>日本におけるポストモダニズムは、一方で「日本回帰」、他方で「大東亜共栄圏」の
>ごとき「国際主義」としてあらわれている。それは戦後文学を完全に抹消してしまっ
>た。しかし、武田泰淳に代表される戦後文学の核心は、それに対する批判にこそ、
>「歴史は終わった」とうそぶくイデオローグ達に彼らが超越できない「史記の世界」を
>つきつけることにこそあったのだ。
509ひとりの通りすがり:04/02/14 16:22
「蹴りたい背中」綿矢りさ

この本は一ヶ月以上前に読んだ。まず思ったことは、語り手の「私」自身、
綿矢自身が日頃ある種の侮蔑をもって横目でながめているような人物であり、
その「私」に自らのセンスを織り込みながら物語っているということ。
そこには例えば太宰や島田の道化の欠片もない。なぜなら「私」は綿矢に
とって基本的に他者だからだ。この作者と「私」との距離は、卓抜した第三者
の視点とかいったものではなく単なる自己防御に過ぎない。そこから聞こえて
くるものは単なる自意識。プロの批評家が、作者の作中人物たちを突き放した
態度を絶賛していたが、それを読んで私は唖然とした。そういう意味では一作目
の「インストール」のほうがまだチャーミングだったし、あるいは金原の作品の
ほうがまだよかったと思う。もっとも金原の作品はもう二度と読むことはないだ
ろうが。
なぜいまさらこの作品を持ち出したかと言うと、今日読んだ「終焉をめぐって」
の中に、芥川賞はもともと「大衆」を確保する方向に向かう中で主流になった
「純粋小説」に向けられた賞だとの言及を見つけたからだ。「純粋小説」とは
「純文学(私小説)」にして通俗小説」、しかも、スガによると実際はほとんど
たんに「通俗小説」なのだそうだ。
ならば今回の芥川賞も至極まっとうなのではないか?  …もちろん冗談だが。
510吾輩は名無しである:04/02/14 17:11
>>508-509
ワロタ

だってきみの文いっちゃ悪いけど、柄谷風なんだもん
まあ、わかるけど、感染力あるし、にしても影響受けすぎW

こういう例を見るたびに、文章って難しいなって思う
綿矢の『蹴りたい背中』は彼女が手に入れた独自の文体、独自のスタイルを
感じさせて(発展途上かもしれないけど)やっぱり、完成度高いとおもうよ
511吾輩は名無しである:04/02/14 17:43
どっかで読んだけど、「蹴りたい背中」をライトノベルの新人賞とかに出していたらどうなったかなあ?
なんか普通に落選してそう。
512ひとりの通りすがり:04/02/14 17:51
>>510
ごめん、柄谷風っていうのがよくわからない。
それが感染されてるってこと?

513510:04/02/14 18:19
>>512
え?コピペじゃなかったの?
てっきりどっかのWEB文芸批評家のサイトから持ってきた文章かとおもった
柄谷風なんて揶揄したけど、福田でも浅田でも誰でもよかったんだけどね
なんか、いかにも文芸批評のお手本のような書き方でしょ
だからつい、プロなのかなー、文章力あるなーって思って。
まあ、気にしないでよ
514美香 ◆FE5qBZxQnw :04/02/14 18:29
みなさま読了報告のほうもよろしくお願いします♪
515331:04/02/14 18:34
『死の床に横たわりて』(フォークナー 佐伯彰一訳 講談社文芸文庫)読了。

妻の遺言を叶えるために、旦那と5人の子供が妻の遺体を町まで運ぶお話。

遺言を叶えるために6人は旅をしているんだけれども、めいめいが母親の死
とはまったく関係の無い思いを抱えて行動している。
それがとても面白かった。

特に印象深かったのは旦那。
旦那が、親である、子であるという立場に乗っかって三男の愛馬を勝手に
売ろうとしたり、娘の堕胎薬代である10ドル取っちゃったりする。
10ドルは旦那の入れ歯に変わり、町から帰るときに、妻の墓穴を掘るため
の鋤を借りた先の女を後妻として連れ帰ってくる。
こういう風に書くととても極悪非道な男に見えるんだけど、どっちかとい
えばすごい情け無いしょぼくれた親父。
他力本願的、他人がそうしてくれるのが当たり前、責任はするりと彼の脇を
通り抜けていく…。
だからなおさらやるせない。
516331:04/02/14 19:05
続きです。

他にも次男が発狂するのも興味深かった。
自分とは何か、三男との違いは?
自分の知らぬルーツに求める。
けして手の届かぬ謎の答え。


うだうだ書いてしまったけれど、アディ(妻)の独白(回想)が一番のキモかと
思いました。

「言葉は…まっすぐ空に上がって、一方、行為のほうはひたすら大地にしがみつき、
地べたを這ってゆくので、しばらくたつと、この二本の列はひとりの人間では到底
跨ぎ切れぬほど遠く離れてしまうのだ」

家族愛、親、子という空虚な名の元に寄り集まっている「家族」。
しかし名の作り出す幻想だけが彼らを縛っているのではなく、体に流れている
血には「何か」がある。

家族ってなんだろうなー、と月並みな感想でゴメンナサイ。
でも読んでよかったー。濃かった。
517331:04/02/14 19:16
>>502
谷崎が「国語の教科書に乗っているようなコムズカシイ人」ではないと気づいて
はや2年。谷崎を読むときに谷崎に求めるもの、というのが自分の中に出来上がっ
てて「痴人の愛」ではそれが満たされなかったというか…
「こういうのって…いいだろ?」ってそそられたかったのに…萌えなかった(泣)

>>505
川端こそ「国語の教科書…」っぽく無い人。
ネクラロリコン妄想突っ走りです。
『眠れる美女』読んでください。
518吾輩は名無しである:04/02/14 19:43
「蹴りたい背中」綿矢りさ(文藝春秋3月号)
「蛇にピアス」金原ひとみ(文藝春秋3月号)
以下感想。

「蹴りたい背中」
タイトル、書き出しともに良い。なにより細部に行き渡ったユーモアが素晴らしい。
異性に対するやさぐれ方や「愚(おろか)」への優しい視線も好みだ。(もちろん綿矢の顔だって大好きだ!)
いい意味で計算高い小説。この小説が嫌いな人はそこら辺が鼻につくのかな?(三浦哲郎の選評は正直で笑ったw)

「蛇にピアス」
なんかモヤモヤする。

以上、読了報告終了。
519ひとりの通りすがり:04/02/14 20:57
>>513
でもね、書評のまねごとしてみたかったのはほんと(w。
気にせず続けます。
520美香 ◆FE5qBZxQnw :04/02/15 07:24
「テレーズ・デスケルウ」(モーリアック/遠藤周作訳/講談社文芸文庫)*再読
→こんなフランスの心理小説を5年ぶりに再読したのはやはり芥川賞ショックかも。
陰鬱でやりきれない心理小説。テレーズが夫を毒殺するにいたるまでの心理と
(その心理を反映した)風景の描写が詩的な緊張をもってつづく。
毒殺は未遂に終わる。夫が偽証をしてテレーズを救ったのは、ただスキャンダルを
おそれただけ。テレーズとは別居する。つまらない社会道徳にしばられる夫と、
生きることの退屈さを嘆くテレーズの対照は、イプセンの「ヘッダ・ガーブラー」のよう>>257
戯曲とはちがって、小説というのはこんなことができるのかと改めて小説の力を確認する。
521美香 ◆FE5qBZxQnw :04/02/15 07:24
「私の愛した小説」(遠藤周作/新潮文庫)絶版*再読
→カトリック作家の遠藤周作が生涯目標とし、愛しつづけたのが上記の
「テレーズ・デスケルウ」。本著は晩年の遠藤がこの「テレーズ」をあらゆる
角度から論じきったもの。子どもが棒つきのキャンディーを舐めまわすかのごとく。
まずドストエフスキーとの比較。モーリアックはドストエフスキーから「無意識」
の扱い方を学んだ。ドストエフスキーの作中人物の行動は単純な心理学では説明
できない。深層心理学。またモーリアックはフロイトからも影響を受けた。
無意識を罪の母胎と見るフロイト。話は仏教の唯識思想にまで及ぶ。
仏教とユングの類似性。ユングの元型思想。
ユングは人間の無意識には全人類が共有する元型というものがあると考えた。
だからどの国の人も感動する名作(「戦争と平和」など)が生まれるのだと
遠藤は話を進める。物語の元型というものもあるのではないかと主張する。
たとえば「テレーズ」はラシーヌの「フェードル」の影響が強く見られる。
しかし「フェードル」も元を返せばギリシア悲劇「ヒッポリュトス」の
影響下で書かれたものである。そもそも新しい独創的な作品などあるのか?
後世にも残る名作というものはすべて人間の無意識の元型を刺激するものではないか?
このように「テレーズ」を基点として話はどこまでも発展していく。
5年前にこの本を図書館で借りて読んだときは、ものすごいことが書かれている
ということだけはおぼろげながらわかった。そして打ちのめされたのを覚えている。
いま再読してみて、まあ、ここで名前があがったひとの本ぐらいは一応読んでいる
自分に気づいてちょっと嬉しくなったけど、いくら本なんて読んだって不毛なものよ
と独語する、ぐれてしまった(死語?)自分も発見して苦笑いの心境です。
522美香 ◆FE5qBZxQnw :04/02/15 07:33
>>503
>中上健次の「化粧」(短編集)
わたしが中上でいちばん好きなのがこれ。
その津島さんの小説もいつか読みたい。

>>517
一方で「春琴抄」はだめだったなわたし。いかにも文学していて。

>>519
どぞ。これからもよろしく。
523ひとりの通りすがり:04/02/15 13:59
「壁抜け男」(マルセル・エイメ/中村真一郎訳/早川書房)  読了

マルセル・エイメの短編集。表題の「壁抜け男」は舞台化され、日本でも数年前話題
になったが(残念ながら舞台は見ていない)、以前からタイトルに惹かれていたので
本屋で見つけて即購入。クリスマス・カロルのようなファンタジー小説(?)かと思
いきや、表題作を読み始めてすぐに目くらましを食らい、その後はただひたすら目く
らましの連続。例えば「サビーヌたち」では自由に同時存在できる(ドッペルゲンガー
=妹たちを排出できる)サビーヌという女性が主人公だが、『たとえば、朝、化粧を
しながら、彼女は二人か三人に増え、顔や服装を調べる。それが終わると、急いで
彼女達を集める、つまり一人の、同じ人間にもどるのである。また冬の午後か、
あるいは外出する気持ちも起こらない大雨の午後などに、サビーヌは十人か二十人
に増え、騒々しいほどににぎやかな会話をはじめるのだ』 サビーヌは増えつづけ、
やがて六万数千人にまで膨れ上がる…。
どの話も奇想天外で嘘だらけで、でもその嘘の一つ一つに妙なリアリティがあり、
斜面を転がり落ちる雪玉のようにまるめこまれていく。そして行きつく所まで行きつ
いたとき、今度は透明で寂寞とした余韻にしばらく引きずられることになる。
一見するとでたらめな内容だが、実は細部まで注意深く構成されていて、その律儀
で几帳面な文は、「壁抜け男」の中のデュチュールその人を彷彿とさせる。
小説を書いたこともないし、これから書くつもりも全くないが、なぜか、「この作品
は私が書いてるはずだったんだ!」というとんでもない幻想に何度も襲われた。
読み進めているうちに脳を何度もねじられ、正常でなくなってしまっていたからに
違いない。
それにしても、中村真一郎のあまりにもいいかげんな解説ときたら! 
それぞれの短編が書かれた年さえわからないではないか。
訳はなかなかよかったんだけどね。
524ひとりの通りすがり:04/02/15 14:02
>>522
うん、こちらこそよろしく。
525331:04/02/15 17:44
『ダブリン市民』(ジョイス 安藤一郎訳 新潮社)読了。

アイルランドの町ダブリンに住む人たちの短編集。

皆の足首がダブリンという町のぬかるみにはまっている感じ。
気づかずにぬかるみをざぶざぶ歩き回る人。
ぬかるみから抜け出た友人を羨むが「ダブリン」という土地と
「家庭」という檻に閉じ込められていることに気づき悲嘆にく
れる者。
浅瀬までやっと足を運んだもののぬかるみから離れられぬこと
に気づいて深いほうへ戻っていく者。
ぬかるみを褒め称えるもの。
色々いました。

この小説の話の殆どにダブリン臭さが漂っててイイ。
ストーリー、ドラマ性を楽しむ小説ではなく、匂いを
楽しむ小説群だと思いました。
(最後の「死せる人々」だけは毛色が違いますが)

私もぬかるみに浸かってドップリ。幸せです。
泥んこ遊び。
526331:04/02/15 17:46
補足。

もう少しアイルランドやキリスト教の宗派について詳しければ「???」
ってところが無かっただろうと思い、歯痒いです。
527ひとりの通りすがり:04/02/15 23:09
>>525
読みたくなりました。アイルランドは政治的≒宗教的、民族的にも興味がある。
匂いを楽しむっていうのが、アイルランドらしくてイイ。
でもジョイスは「ユリシーズ」も「フィネガンズ」も中途挫折中(w。
昔、「ウェールズの山」って映画を大笑いしながら、そして時々ほろりとしながら
三回たて続けに見たのを思い出した。(主人公がヒュー・グラントっていうのが
ちょっと痛いんだけどね。)アイルランドとウェールズには少し似たものを感じる。
ジョイスの引き合いにだして申し訳ないんだけど(なにせヒュー・グラントだし)、
ちょっと思い出したので。



528吾輩は名無しである:04/02/15 23:24
暗いね 本ばっか読んで
529吾輩は名無しである:04/02/15 23:42
>>528ヽ(´o`; オイオイ
530吾輩は名無しである :04/02/15 23:45
>>528
さらに暗いね。
531吾輩は名無しである:04/02/16 00:04
キノの旅
明日あたり買って読みます。
斉藤美奈子先生がほめていたので。

532吾輩は名無しである:04/02/16 00:33
ダシール・ハメット 『 血の収穫 』
533吾輩は名無しである:04/02/16 00:35
ばかだな〜 店で買ったほうがマジで安いって。
534美香 ◆FE5qBZxQnw :04/02/16 09:33
「不思議な世界」(山田太一編/ちくま文庫)
→毎日、おもしろい? わかっているって、つまらないことばかりわたしも。
ロマンスも冒険も幸福もわくわくもどきどきもすべて本の中、テレビの中だけ。
そんなときにシンクロニシティなんてことばを聞くとちょっとだけ胸が躍る、
ダンス・ダンス・ダンス。シンクロニシティとは意味のある偶然のこと。
ユング先生が提唱した概念。たとえば夢に見た知人と十年ぶりに会ったり。
この世以外の存在(神?)を思わず考えてしまうような、そんな出来事。
終わりなき日常(宮台真司!)を生き抜く庶民のささやかな知恵がシンクロニシティ。
そんな不思議な話を集めて一冊にしたのがこの本です。
535白石昇 ◆Kjrx9yfSYM :04/02/16 12:18
02月14日 インドいき        ウイリアム・サトクリフ/村井智之訳 ソニー・
マガジンズ
536吾輩は名無しである:04/02/16 12:23
↑感想ぐらい書けよ。
537吾輩は名無しである:04/02/16 20:37
若いってほんとイイよな。
綺麗で可愛くて
53835歳主婦 ◆baeGuFHffI :04/02/16 20:54
アゴタ・クリストフ「ふたりの証拠」 ★★★☆☆
         「第三の嘘」   ★★☆☆☆
名作「悪童日記」の続編。
「ふたりの証拠」まではパワーダウンは否めないけど普通に読める。
しかし、「第三の嘘」はもうなんと言うか話がゴチャゴチャになってて
読むのが辛かった。しかも読者の期待を思いっきり裏切るような感じになってる。
例えるなら今までの話は全部夢だったよみたいな感じ。
53935歳主婦 ◆baeGuFHffI :04/02/16 21:01
遠藤周作「スキャンダル」★★★☆☆
キリスト教ベテラン作家がSM倶楽部に出入りしているという評判が
流れる。本人に身に覚えは全く無い。
それを追いかけるルポ・ライター。
作家は自分にそっくりな男を見かける。

スラスラ読めた。もっと軽い感じの小説かと思ったけど
結構重いテーマだった。
54035歳主婦 ◆baeGuFHffI :04/02/16 21:07
「20世紀イギリス短編選(上)」★★★☆☆
モーム、ウルフ、ロレンスなど12人の作家の短編が収録されてる。
印象に残ってるのは
戦争によって顔の半分がグチャグチャに変形した夫の帰りを
恐る恐る待つ妻の話、ロレンス「指ぬき」。
別荘の世話をしてる管理人の息子と別荘の持ち主の妻が
恋仲になる話 ベイツ「単純な生活」
54135歳主婦 ◆baeGuFHffI :04/02/16 21:15
遠藤周作「満潮の時刻」★★★☆☆
結核に冒された40代のサラリーマンが療養生活に入る。
そこでの療養生活によって今まで多忙だった自分の人生を振り返り、
虚無感に陥ったり、子供のときの思い出が甦ったりする。

なんか小説というか実際の体験をそのまま書いたみたいな感じ。
542吾輩は名無しである:04/02/16 21:22
>>538

『悪童日記』はすごいね、奇蹟の傑作、強烈な読書体験だった。
ずっとさがしてるんだけど、『悪童日記』みたいな小説ってないのかな?
海外ものでも日本ものでもエンタメ系でもいいんだけど。


>>534
>→毎日、おもしろい? わかっているって、つまらないことばかりわたしも。
>ロマンスも冒険も幸福もわくわくもどきどきもすべて本の中、テレビの中だけ。

これは…美香の独り言?それとも太一のぼやき?


543ひとりの通りすがり:04/02/16 21:23
「チューリップ熱」(デボラ・モガー/立花光子訳/白水社) →読了

つん読本の山の間で放置されていた本。帯の『…なんという傑作!<ガーデ
ィアン紙>』という宣伝につられて買ったのを覚えている。1999年にイギリ
スで発表されベストセラーになったらしい。舞台は17世紀、高度成長期真っ
只中のオランダ。なかでもチューリップへの投機が盛んで世の中がいわゆる
「チューリップ熱」に沸きかえっている「チューリップ・バブル」の頃
(訳者あとがきを参考)。
主人公はソフィアというなかば諦めににた生活をおくっている人妻で、
夫が雇った画家と恋に落ち、最後は「チューリップ熱」が間接的な原因と
なり破局をむかえる。オランダの「チューリップ熱」の崩壊が恋の崩壊と
重なり合う、一言でいえば、金原が嫌いなwハリウッド映画にありそうな
メロドラマ。実際、スピルバーグが映画化権を獲得したらしい。
(これって実際映画になったのかな?)

とはいっても、いろんな工夫があり、文章のセンスもなかなか。フェルメール
などの挿入画が、物語の背景を引き立たせてもいる。
主人公はソフィア=「私」だが、断章形式になっていて、その度に視点が
ソフィア→女中→夫→ソフィアといった感じで推移していく。どの人物
も半ばチャーミングに描かれていて、イモラルな関係にのめりこみながらも
ソフィアの中を離れることのないモラルとの格闘が、小説が俗悪なものに
成り下がるのを救っている(挿入画の画家たちへの敬意か?)。
訳者の立花光子は、作者はフェルメールの絵の一枚をヒントにこの物語を紡
いだのではないか?と推測しているが、たとえ直接的にはそうであったにし
ても、愛する画家たちの絵を自分の小説に織り交ぜるという構想は作者が
必然的にいきついた一つの夢だったのではないかという気がした。

途中退屈な部分があったが、全体的に楽しく読んだ。日本語訳はいまいち。
いかにも今風な日本女性作家の筆致、というのが気になった。
南木佳士『家族』終了
医学を志すならぜひ読むべし
54535歳主婦 ◆baeGuFHffI :04/02/16 21:28
>>542

「悪童日記」みたいな小説って無いですよね。
私も「悪童日記」は強烈な読書体験でした。

ルナアルの「にんじん」がそれに近いって「悪童日記」の解説の
ところに書いてあったと思ったけど。
「にんじん」は確かに淡々としてて近いと言えば近いかも。
でも私は読んでて退屈だったから30ページくらいで
読むのやめたけど。
546吾輩は名無しである:04/02/16 21:45
>>545

レス早!そうか、ないのか…残念
『にんじん』は餓鬼の頃読んで、かなり感動した記憶がある
でも子ども用の小説なんだよね
『悪童日記』は訳もよかったのか、鬼気迫る感じが忘れられない
もっとああいうの読みたいんだよねー
誰か書いてくれないかなー
547吾輩は名無しである:04/02/16 23:42
>>544
あれ面白いよね。
548ひとりの通りすがり:04/02/17 00:37
「姉アンナ…」「美しい朝」
(『流れる水のように』/マルグリット・ユルスナール/白水社)

何度も読んだ二作品。久しぶりに再読。読むたびに言葉にならない感動が押し
寄せる。言葉を失い、しばらく呆然となる。ユルスナールの作品ほど美しい
作品を私は読んだことがない。
「姉アンナ…」「美しい朝」ともに、これ以外、またこれ以上のラストは
あり得ない。
ただただ、書いてくれて本当に本当にありがとうと言いたい。
549吾輩は名無しである:04/02/17 00:47
舞城王太郎『阿修羅ガール』読了。
前半はおもろかったが、後半激つまんなかったです。
主人公の内面を説明しすぎだと思う。
ただでさえ自分語りの多い一人称なのに、
あれほど主人公の無意識ともいえる夢の世界つーか死後の世界を描き
さらにその夢についての主人公の解釈まで説明されるとウンザリ。
三分の二くらいの分量で良いと思う。削れる所がいっぱいあるよ。
550美香 ◆FE5qBZxQnw :04/02/17 10:29
「毎日グラフ別冊 尾崎放哉」(毎日新聞社)
→本来は福田恆存の「藝術とはなにか」を読む予定だったのですが、
数ページ読んだところで持病の頭痛が久しぶりにうなりをあげる。
福田恆存の難解な文章のせいだと思う。ぱらぱらページをめくると、
これは良書の予感。もっと体調が良いときにじっくり取り組もうと予定を変更。
そこできれいな写真がいっぱいの「毎日グラフ別冊」を手にとる。
尾崎放哉は山頭火と並べて語られることの多い自由律俳人。
「咳をしても一人」「墓のうらに廻る」「入れものが無い両手で受ける」が有名。
東大法学部を卒業。一流会社に入社。しかしお酒が原因で転落人生まっしぐら。
いろいろな寺院をまわるがどこも酒乱で追い出され、最後は小豆島のお寺で孤独死。
久しぶりに彼の俳句を読み返したわけだけど、やっぱりだめだなわたしには。
ひとつとして胸に迫るものはない。むしろ山頭火への恋しさが募るばかり。
放哉から感じるのはちょっと上品な自意識程度。感傷とばっさり切ってしまいたい。
山頭火には悲劇がある。わたしは山頭火にオイディプス王を見る。
父を殺し母と交わったことを知ったオイディプスは両目をつぶして放浪する。
母も弟も自殺した、そんな呪われた血をもつ山頭火も放浪するほかない。
山頭火の目は見えていたのか。
自然を見る、こころを見る、句作をする、「どうしようもない私が歩いてゐる」と。

山頭火の代表句↓
http://book.2ch.net/test/read.cgi/book/1028948537/4n
山頭火の生涯↓
http://book.2ch.net/test/read.cgi/book/1028948537/2n

>>542
みんなが思っていること。
551吾輩は名無しである:04/02/18 18:01
>→毎日、おもしろい? わかっているって、つまらないことばかりわたしも。
>ロマンスも冒険も幸福もわくわくもどきどきもすべて本の中、テレビの中だけ。

プロ無職のオバサンらしいレス(w
552吾輩は名無しである:04/02/18 18:11
2ちゃんに張り付いてる天才のオバサンの存在が哀れに思えるレスは
固く禁じられております。このスレも美香様を怒らせないよう
みんなが心してカキコすること。
553吾輩は名無しである:04/02/19 13:22
704 名前:創作ノオト ◆tXJlWVkLzY :04/01/30 22:05
今美香QNWの書評読んだけどつまんないね。
感性が幼稚だし古い。あえて言うならばバブル経済末期又は崩壊直後頃
のスタンダードな心性だね。
まだ26歳なんだからもっと社会なり人間を複合的に捉える眼を養って
欲しい。もっともこういった物は持って生まれたセンスが必要だからど
うしようもない。
554ひとりの通りすがり:04/02/19 22:40
「恥辱」(J.M.クッツェー/鴻巣友季子訳/早川書房) →読了

1999年のブッカー賞受賞作(史上初、二度目の受賞)。原題は「Disgrace」。
舞台は南アフリカ。

52歳のケープタウン大学教授が教え子と関係を持ち、セクハラで訴えられ、
職を失い、娘のところに転がり込み、様々な意味でDisgraceを味わう話。
正直、このエリート主人公(教授)の絵に描いたようなもろさ、転落ぶり
には全く同情を覚えなかったし、もう一つのコアとなる主人公の娘の行為
や選択には、主人公同様、全く共感することができなかった。
ちなみに娘(白人)は、まるで自らの身をもってアパルトヘイトの歴史に
償い(?)をするかのごとく、土地を去ることを頑なに拒否し、自分の身
に起こったレイプを黙認し、好きでもない隣の男の二番目の妻になる決意
をする。(一夫多妻制)

作者は一体なにを描きたかったのだろう?老いていく男の赤裸々な心情?
悪あがきに似た惨めさ?白人の目から見た南アフリカの実情?
まさかそんなに単純ではないだろう。でもなに? 誰か教えて。
ちなみに背表紙の、「転落し、自分の人生を見つめなおすことになった男
の審判の日々を描く」という説明は大袈裟。主人公は女性徒への行為に対
する反省などしていないし、その行為と結果は彼にとって「恥辱」などで
はないーー「不名誉」= Disgraceではあっても。
もっともその後彼と娘に起こった事件や出来事は「恥辱」=Disgraceに
ちがいないが。
日本語訳はあまりよくない。特に森瑶子風な会話文(それだけで気になる
んだけどw)に点在するまずい直訳が気になって仕方なかった。
55535歳主婦 ◆baeGuFHffI :04/02/20 21:42
「20世紀イギリス短編選(下)」岩波文庫 ★★★☆☆
11人の作家の短編が収録されてます。
上巻よりも良かった。
特にジーン・リース「あいつらのジャズ」
ショーン・オフェイロン「確実な人生」が良かった。
その他の作家はノーラ・ロフツ オリヴィアマニング
スーザン・ヒル等の作品が収録されてるんだけど
11人の作家全員知りませんでした。
調べてみたら翻訳されてるのもごくわずかだった。
55635歳主婦 ◆baeGuFHffI :04/02/20 21:51
遠藤周作「悲しみの歌」新潮文庫 ★★★★☆
米兵捕虜の解剖に関与して戦犯の過去を持つ医師。
戦後世代の若い新聞記者が医師を追い詰める。

読了後なんとも言えない気持ちになった。
自分は絶対に正しいと思い込んでる新聞記者と
過去の生体解剖を苦にしてる医師との
全く違う視点みたいなのが良かった。
とにかくこれは読む価値は有りです。
557白石昇 ◆Kjrx9yfSYM :04/02/21 09:46
>>536 名前:吾輩は名無しである様

 やっぱり書かなくちゃダメ? こういう>>446姿勢じゃダメ?
558美香 ◆FE5qBZxQnw :04/02/21 13:30
「別冊新評 山頭火の世界」(新評社)絶版
「山頭火読本」(牧羊社)絶版
「句集 草木塔」(「山頭火大全」講談社)*再読

→山頭火をテーマにした戯曲、映画シナリオを読んだがどれもつまらない。
完全に山頭火に食われてしまっている。かなわぬ敵には近づくなという教訓。
しかし山頭火研究者にはろくなものがいない。いちど実物に会ったことがある
くらいで批評家面ができる世界なのである。どマイナーな世界。
山頭火を語ることで自分を語りたい、しろうとの自称研究家にはうんざり。
そんな中、対談で水上勉が上田都史(放哉・山頭火研究家)をこてんぱに
していたのは痛快だった。まったく文学者というのは業が深い=意地が悪い(w
いわく「山頭火さんには人間的な苦悩といったものが放哉さんよりふかく
感じられます」。こんな感じで放哉好きの上田都史を論破しつづけ、最後には
何も言えないようにしてしまう。「まったく水上さんの言うとおりです」と。
そして水上勉は「二河白道」を語る。
「二河白道」とは仏教の言葉。旅人が立ち止まっている。
というのも右に水(貪愛)、左には火(憎悪)で先に進めないからである。
その中間にぼんやりと白道が見えるだけ。危険極まりない道である。
かといってじっとしてもいられない。後ろからは赤鬼青鬼(道徳?)が追いかけてくる。
この白道は浄土に通じているという――。
水上勉は言う。山頭火は確かに「二河白道」を歩いたと。
同感。放哉は「個」を描いたに過ぎない。しかし山頭火は「個」を描くことから
「全」にいたっている。山頭火の俳句は全体に通じているのである。
「どうしようもない私が歩いてゐる」は「どうしようもないわたし」が
歩いているのではない。すべてが「どうしようもない」のである。
もう「わたし」は歩くほかない。「なんぼう考えてもおんなじことの落葉ふみあるく」。
山頭火は「個」(自由)を「全」(必然)をじっと見つめる。
「わたしと生れたことが秋ふかうなるわたし」。
「ここにかうしてわたしをおいてゐる冬夜」。
559美香 ◆FE5qBZxQnw :04/02/21 14:01
「古本夜話」(出久根達郎/ちくま文庫)
→古本エッセイ。著者は元・古書店主人。
初めて知ることがいっぱい。「へえ」の連続。へえへえへえへえへえ。
古本屋って値切られるのがいちばんいやなんだとさ。
なんでも古書価格はそこの主人の思想だとか。
思想か、ずいぶんおおきくでたもんだ。それにしてはけっこうな思想家が多いこと。
まだ新刊で買えるものを絶版と銘打って定価以上の値札をつけたり、
ブックオフ百円コーナーの常連をもっともらしく定価で売ったり。
基本的にわたしは古書店主人というものが嫌いである。
価格と結びついた浅薄な人名リストを脳内に溜め込んだだけのおっさんが、
どうしてどこもあんなに偉そうなのか。疑問である。
ブックオフ万歳! ちなみにわたしは以前、古本を毛嫌いしていた。
新刊で読めないならもうあきらめていた。そんなわたしを変えたのは工藤伸一。
彼がブックオフ町田店を薦めてくれたおかげで、わたしの読書人生は変わったのです。

>>557
ノボルはノボルらしく生きればいい。変えることはない。
560吾輩は名無しである:04/02/22 00:16
>>559
へぇーへぇーへぇー
561吾輩は名無しである:04/02/23 13:53
まともな感想が書ける奴はいないのかねぇ(苦笑)
562美香 ◆FE5qBZxQnw :04/02/24 09:20
「藝術とはなにか」(福田恆存/「評論集1」新潮社)
→芸術とはなにか? なんて語れる時代があったということです。赤面もせずに。
こんなふうにふざけていると>>561に怒られてしまうから、ちょっとまじめになろう。
芸術の起こりは古代人の呪術にあると福田さんは話をはじめます。
ギリシア悲劇の時代(役者は神を演じるために仮面をかぶった、その意味)、
イエスの誕生(民衆は神のまえで仮面をかぶる=素顔の誕生)、
中世の教会主導のキリスト教世界(教会が舞台・演劇となる、ゆえの不毛な芸術)、
ルネッサンスの人間賛歌、シェイクスピア(人間を主題とする芸術の発生)、
近代の自我意識(神前の仮面はなくなった、しかし素顔ではいられぬ、小説の誕生)、
現代の孤独感(いくら小説を読んでも孤独が増すだけ、いま必要とされる芸術とは?)。
――と、こう芸術の歴史をふりかえって、福田さんは主張します。
芸術とは、自らを自然(全体)の一部と感じせしめるものである。
芸術とは、カタルシスである。日常生活でかなえられぬ夢の残滓を嘔吐せよ。
芸術とは何かを問うことは、生きるとは何かと問うのと同義である。
しかし現代の芸術はどうだ、現代の小説はどうだと福田さんは問題提起する。
映画など芸術ではない。なぜなら受け手の自由がまったくない。
絵画も音楽も文学も、鑑賞者の能動的な努力があってはじめて成り立つものである。
映画はすべてを表現するがわが行なう、鑑賞者は何もしなくてもよい、それは芸術ではない。
それでは人間が孤独になるばかりではないか。
現代の小説も同様。そこに書かれているのはつまらぬ自我ばかり。
小説を書くがわが賞賛され、小説を読むがわは作家にあこがれるだけ、これでは救われない。
ふたたび福田恆存は主張する。芸術はナルシズムではない、カタルシスである。
芸術とは精神の運動である、芸術とは精神のエネルギーの消費である。
芸術がどうして必要か。生きるためである。
人間は負けるとわかっている賭けにもあえて賭ける。
そこに生の快楽があるからである、そこに生の秘密があるのである。
芸術とはそのようなものです。
563吾輩は名無しである:04/02/24 09:53
>>562

で、君はどう思ってるの?福田君と同意見なの?
564白石昇 ◆Kjrx9yfSYM :04/02/24 11:43
>>559 名前:美香 ◆FE5qBZxQnw様

 じゃお言葉に甘えて。

> 02月23日 幼年時代         トルストイ 原久一郎訳 新潮文庫
----
>>561 名前:吾輩は名無しである様

 ごめん。謝る。
565吾輩は名無しである:04/02/24 13:31
>>561
「まともな」って君が何を期待してるのかは知らないが、素人がたった今読んだ本の
感想を1〜2分で率直にカキコするわけだからこのレベルなのは当たり前。

>>563
ここは読了報告スレッドです。
566吾輩は名無しである:04/02/24 20:40
福田 恆存 堅壘奪取 (喜劇一幕)「劇作」昭和二十五年(1950)二月号初出。 
http://www.japanpen.or.jp/e-bungeikan/play/fukudatsuneari.html

感想。つまらなかった。ドストエフスキーの小説の会話部分をパクったかのような
陳腐さを感じた。1950年という時代、敗戦後4〜5年という時代に書かれたものとして
この実存主義的問題意識全開の静的な会話劇が当時どんな評価を受けたのかわからないが
現在の我々がこの劇を舞台で見たとしても少しも戦慄しないだろうし笑うこともでき
ないだろう。ふとこのスレを見ると、>>562にこの劇の作者の評論(思想)が解説されていた。

>芸術とは、自らを自然(全体)の一部と感じせしめるものである。
>芸術とは、カタルシスである。日常生活でかなえられぬ夢の残滓を嘔吐せよ。
>芸術とは何かを問うことは、生きるとは何かと問うのと同義である。

>芸術とは精神の運動である、芸術とは精神のエネルギーの消費である。
>芸術がどうして必要か。生きるためである。
>人間は負けるとわかっている賭けにもあえて賭ける。
>そこに生の快楽があるからである、そこに生の秘密があるのである。

この文章を読み、はっ(ハッ。ではない)とした。そうか、作者は負けるとわかっている賭け
にもあえて賭ける人間を描くために、つまり芸術そのものである人間を描くために
この劇を書いたのか。自ら抱いた思想に荒々しく肉付けをしたというわけか。ふたりの
登場人物が精神のエネルギーを消費する様を描くことで、これこそ芸術の真相なのだと
主張しようとしたのか、なるほど、自分の思想が正しいかそうでないかを確かめるために
あえて劇作を通して実験してみたにちがいない。しかし我々には退屈でつまらない失敗作
だと感じる。これが芸術の真の姿なのか?いや、そうではないだろう。この作品は駄作なのだ。
そして、おそらく、作者福田恆存氏の芸術思想も…
567吾輩は名無しである:04/02/24 22:55
>>566
「実存主義的問題意識」って柄谷行人のパクリでしょ。
 俺には面白かったよ。少なくとも柄谷行人の「探求」よりは。
568566:04/02/24 23:08
この戯曲、多分本当にあった話をモデルにしたんじゃないの。
総理大臣と言うのは福田恆存の家があった大磯に住んでいた吉田茂でしょ。
作家なり評論家には本当に気違いが訪問してくるからね。
569567:04/02/24 23:09
566は567の間違い
570美香 ◆FE5qBZxQnw :04/02/25 10:25
「堅壘奪取」(福田恆存/「全集第八巻」文藝春秋)*再読
>>566
これも何かの「暗合」かと(本文参照!)1年ぶりに再読してみた。
1年前の感想は↓
http://book.2ch.net/test/read.cgi/book/1043298270/93n
きみをそれだけ怒らすなんてどれほどつまらないのかとわくわくしながら(w
30分で読了。劇作家としての福田恆存が評論で大言壮語しているほどの才能は
見せていないのはもちろんだけど、それでもこの作品はなかなか味のある小品では?
小粒だけどぴりっと辛い! それは世界的な芸術作品ではないけれども。
まあ、退屈させないていどのレベルはもった会話劇かと……。
思想とかうんぬんするよりも、会話のテンポがスムーズで無理がない。
現代にも通じる皮肉があると思う。企業研修とかで叫んでそうじゃない?
信ずれば能はざるなり、信じればなんでもできる、己で限界を作るな、とか(w
うーん。これなんかよりよほどつまらない戯曲がたくさんあると思うけど。
戯曲というのはそこから作者の思想を探るよりも、
作者のつくった世界でたしかに息をして動いている人間を楽しむものだと思う。
571吾輩は名無しである:04/02/25 11:06
厚顔無恥でひつこい関西特有の詐欺師の姿が描かれていてとても
おもしろく感じました
572美香 ◆FE5qBZxQnw :04/02/26 12:42
「人間・この劇的なるもの」(福田恆存/中公文庫)*再読

→評論。演劇から人間を見る。読むのはたぶんもう五度目。常に発見がある。
>>563で自らの考えがないのを批判されたけど、わたしには福田さんの評論に
ついて物申すちからはない。理解するのでいっぱいいっぱい、眉間にしわしわ。
そのためこの読了報告はわたしが毎度、感銘するくだりを紹介するていどです。
人間は自由など求めていないと福田さんはいう。人間が真に必要としているのは宿命で、
自らが必然のうちにいるというこの感覚のなかにしか生きがいはない。
自由か宿命か、偶然か必然か。
この二項対立のうちに人間を演劇を見るところ、その鋭さ、
わたしが福田恆存の評論にひかれるゆえんである。
若い成功者は己の成果を自由な行動(努力)の結果と思う。よもや運などとは考えまい。
一方で、老いたみじめな失敗者はすべてが宿命だった、他にどうしようもなかったと思うもの。
遺伝のせい、あるいは社会が悪いから、問題を必然にするのはいともたやすい。
が、どちらも自己欺瞞であると福田さんは冷たく言い放つ。
では、人間は自由か宿命か。ことは偶然に起こるのか、すべては必然なのか。
573美香 ◆FE5qBZxQnw :04/02/26 12:44
舞台を見なさいとここで演劇を持ち出してくる福田さんの慧眼には感服する。
舞台上の役者。かれはセリフをすべて覚えている、芝居の結末を知っている(宿命)、
だけれども役者はひとつのセリフをそれを知らぬものとして言う(自由)、
他にも言えた数限りない候補の中からさもそのセリフをいま選んだかのように言う。
名役者におなりなさいと福田さんはいう、人生で良い演戯をなさいという。
なぜなら生きるというのは何かしらの役を演じることに他ならないのだから。
だれもが主役になれるわけではないし、また主役を望むものばかりではない。
脇役でもいい、自らの役を演じきりなさい、そこに生きがいがある、そこにしかない。
毎日、ものごとはなんの脈絡もなくすべてが偶然にあなたに襲いかかる。
そこで大根役者にならぬにはどうしたらいいのか、きちんと演戯するためには?
劇の終わりを意識しなさいと福田さんはいう、
死によって舞台が完結することに思いをはせなさいという。
さて、思う。わたしに与えられた役は何か。
文学界のジャンヌ・ダルクか、平凡極まりない主婦か。
くだらぬ役ならわたしは舞台から降りるつもりである。
配役に命をもって抗義する。たとえそれがよくある役を演じることになろうとも。
574美香 ◆FE5qBZxQnw :04/02/26 13:39
「龍を撫でた男」(福田恆存/「全集第八巻」文藝春秋)*再読
→読むのは三度目。個人的には劇作家・福田恆存の最高傑作。
安部公房も三島由紀夫も木下順二もこれにはかなわない。読売文学賞も取っている。
余談だけど、学生時代の山田太一がこれを見るためにわざわざ東京にきたらしい。
主人公は、どことなく福田さんを思わせる中年の精神科医。常識人を自認し誇る。
いささか神経衰弱気味の妻と、その弟(無職でアル中)と同居している。
元旦、妻の友達の女優(舞台のように人生を生きるが信条)と、
その兄の劇作家(躁鬱病ぎみ)が精神科医宅を訪れることから物語は始まる――。
常識人は精神科医ひとり、周りはみんな、まあキチガイ。
おもしろくならないはずがない。
精神科医の語ることばはまるで山田ドラマのセリフのよう。

「(浮気するのは)小説や芝居じゃはでな役だけど、実生活ではいつでも
貧乏くじときまっている。家庭をばかにしちゃいけませんよ……、
現実をなめちゃいけませんよ……、それがどんなにくづれかかっているように見えてもね」

「人生は冒険じゃない。人生はくりかえしですよ。
たえず変わったことをしていたんじゃ、しまいには発狂してしまうよりしかたがない」

衝撃のクライマックスなんだけど、ネタバレになるから書かない。
わたしがネタバレをするのはつまらないもの限定ですから。
57535歳主婦 ◆baeGuFHffI :04/02/26 21:11
遠藤周作「イエスの生涯」新潮文庫  ★★★★☆
すごい難解かと思ったけどすごい読み易かった。
勉強になった。

ポー「ポー名作集」中公文庫 ★★☆☆☆
短編集
有名な(?)「黒猫」「モルグ街の殺人」は面白かったけど
他の作品がワケわかんなかった。
576吾輩は名無しである:04/02/27 08:51
保田與重郎「絶対平和論」保田與重郎文庫 新学社
戦争責任を問われ公職追放となった保田與重郎が匿名で書いた平和論。
日本国憲法の第9条の理念を批判し、日本は近代生活を捨て古来アジア
の原始的生活に戻り近代兵器を放棄するという絶対平和論を説く。
書かれた当時(昭和25年頃)は高度経済成長の前であり、この手の論
説も一応説得力はあったかもしれないが、現在の日本に住む私にとって
は、戦前戦争を讃美しながら戦後あっさり転向し引き続き言論界にとど
まっているかつての自身の知己に対する僻みやっかみの心性の方が目に
ついてしまう。
577吾輩は名無しである:04/02/27 09:00
保田與重郎「近代の終焉」保田與重郎文庫 新学社
大東亜戦争直前期の時事評論集。
保田與重郎は大東亜戦争を讃美したわけではない。大東亜戦争で大日
本帝国は滅びるであろうという悲劇に「近代の終焉」という意義を見
出しそれを繰り返し述べその主人公は戦地に赴く青年達であり、彼ら
の知識人に対する優位性を説く。いわゆる滅びの美学。
保田與重郎は戦地に赴く若い青年達にとってはある種の精神安定剤に
なったのかも知れない。
しかし現在の日本に住む私達にとっては、この手の滅びの美学は必要
でないし、そこに共感すること事態が心の中でなんらかの詭弁をおこ
なっていると言わざるを得ない。
578吾輩は名無しである:04/02/27 09:11
保田與重郎「エルテルは何故死んだか」保田與重郎文庫 新学社
近代小説の祖ゲーテの小説には既に反近代の要素が含まれていたと
いうお話。保田與重郎は底から近代の終焉という思想へ持っていく
わけだが、私達はあいもかわらず近代社会に生きている。
近代ー反近代といった分裂状態の継続から、近代の終焉なり近代の
超克といった概念を持ち出してくるのは分裂状態の強引な統合であ
りそれは結局極論を生み出す。
分裂状態をそのままにしながら生きるという思想を我が国の知識人
なり文学者が戦後になるまで生み出しえなかったのは残念なことで
ある。
579吾輩は名無しである:04/02/27 09:30
井上靖「額田女王」新潮文庫
読み物としてはおもしろかったが、「天平の甍」や「敦煌」といった中国物
のタッチと殆ど変わらない。古代日本の世界を浮かび上がらせてくれる、ま
たは古代日本の世界を何故描くのかという必然性は感じられない。
著者は一応純文学者なわけであるから、もう少し歴史小説家とは一線を画す
ものが欲しい。
580吾輩は名無しである:04/02/27 09:36
司馬遼太郎「空海の風景」上・下 中公文庫
歴史小説作家の書く人物像は史実にそって書かれているわけではない
ので、司馬遼太郎の描いた空海が史実における空海というわけではな
い。
完璧で荒が無くそれでいて権威主義者でもない空海という人物に対す
る著者司馬遼太郎の少し穿った見方をしてやろうといった姿が微笑ま
しい。が、最後は空海に対する自然な敬愛心を発露する。
空海については、今後歴史小説家、純文学者、思想家なりがもっと本
格的に論じてしかるべきであろう。司馬遼太郎の空海では奈良仏教・
平安仏教の教義の詳細、何故当時それが日本に必要であったのかがほ
とんど論じられていない。
581吾輩は名無しである:04/02/27 09:56
福田 恆存 堅壘奪取 (喜劇一幕)「劇作」昭和二十五年(1950)二月号初出。 
サルトル的実存主義(暗合)と英文学的近代的自我(二元論)の世界を平易
な言葉で日常空間の中に表せさせ、思想というものを真剣に現実の世界で表
してみればいかに滑稽なものかということを見事に浮き上がらせている。
今はわからないが、当時のインテリ青年にとっては充分喜劇たりえたのでは
ないか?
劇は結局、客が主人からお金を貰って退散するというあまりにも日常的な詐
欺の成功という形で終わる。正常と狂気の織り成す協奏曲が日常に還元され
るという終末は著者の代表的劇作「龍を撫でた男」の正常と狂気の繰り成す
協奏曲が結局狂気という一極に還元される終末よりも不自然さがなく創作技
法上は秀作に思える。
582吾輩は名無しである:04/02/27 10:06
正月に死の舞踏読んだ。
面白かった。
それからデブとラブホテルで連日セックスしてた実家に帰ってたんで
583吾輩は名無しである:04/02/27 10:41
死の舞踏の主人公は嫌な奴なんだけど
その嫌な奴は精一杯生きているのだった
そして俺は昨日の晩八時から働いていてしかも昨日おきたのは昼の十二時だった
そして俺は今日の朝八時まで働いていたのに今仕事の電話がかかってきたのだ
そして今晩もあるのだ。明日の明け方まで仕事があるのだ
584吾輩は名無しである:04/02/27 10:43
>>583
早く寝たほうがいいよ。
585吾輩は名無しである:04/02/27 12:53
豊田穣「情報将軍 明石元二郎 ロシアを倒したスパイ大将の生涯」光文社NF文庫
日露戦争時にヨーロッパで諜報活動・ロシア革命分子に資金・兵器援助をし日
露戦争勝利多大な貢献をした明石大佐を題材にした娯楽小説。
明石大佐は日露戦争後、大将・台湾総督となり生涯を終える。現在墓地は台湾
にあり、国民党政権下では荒れ放題であったが、陳水平が台北市長になってか
ら整備されている。台湾人には台湾近代化に貢献した人として評価されている。
明石大佐程の人材が未だに歴史小説の題材にすらなっていないのは悲しい限り
だ。歴史小説家志望者は是非帝国陸軍の巨峰明石元二郎という人物にせまって
もらいたいものだ。
586吾輩は名無しである:04/02/27 13:01
井上靖「孔子」新潮文庫
孔子を知る弟子が孔子研究家達の前で孔子について、孔子の思想につ
いて語るという主人公である孔子自体は登場しないユニークな歴史小
説。
ただしユニークなのは創作技法上の話だけであって、別に孔子の思想
の筆者独自の特異な解釈があるわけでもなく、人間・孔子がその創作
技法によって鮮やかに蘇るわけでもない。
創作技法のみが目立つ今一歩の小説。
587吾輩は名無しである:04/02/27 16:58
>>584
違うのだ。今日の昼に仕事があったんで寝れなかったのだ。今終わったのだ。
今日の晩からの仕事がこれからあるのだ。
死の舞踏の主人公に対してよい奴が言う台詞に、僕たちも彼と同じ生き方をしている、
と、あり考えされられたな。
俺も井上靖はかなり好きだったが額田女王と孔子は退屈すぎて読めなかったな
大江健三郎も井上靖の孔子について何か書いてたな。
588吾輩は名無しである:04/02/27 17:01
井上靖といえば緑の仲間だろ普通
これは傑作だよ
と、俺は何べんも繰り返し主張しているのだが
だれも相手にしてくれねえ
589吾輩は名無しである:04/02/27 18:51
福永武彦訳「現代語訳 古事記」河出文庫
日本の神話世界も勉強しようと読んでみた。日本神話の世界では人間の誕生、
動物の誕生の神話は無く国土の誕生しか神話が無い。古事記が科学的にどの
ように解釈されているのかは知らないが、国造とはすわわち生産と生活の変
化と考えよいのかもしれない。日本列島において何故生産と生活の変化が起
ったのかはよくわからない。
朝鮮なり中国から異民族の侵略を受けた結果なのか、或いは日本列島に流れ
ついてきた人の文化が自然に伝播したものなのかはよくわからない。
ただ古代日本が朝鮮半島を攻め、その一部は属国化していたのはほぼ確実で
あろうと思われる。
日本人は文化も思想も無いが戦争だけは古来から強かったのかも知れない。
590吾輩は名無しである:04/02/27 19:02
毛利敏彦「大久保利通」中公新書
大久保利通の業績うんぬんよりも明治維新は気に食わない奴がいたら暗殺す
るというテロの横行で成し得たもの、テロの変形物が自由民権運動であるこ
とがよくわかった。
国の政治体制の変化にはやはりテロは不可欠だ。ただ日本は西欧・中国と違
って無差別テロは無い。テロには必ずターゲットがいる。日本と西欧・中国
の違いはそこか。
今の日本の政治体制の変化は多くの人達が自分自身を殺すというテロによっ
て成し遂げられようとしているのではないか?なにはともあれ自殺はよくな
いことだ。日本人はサダムを見習わなければならない。
591吾輩は名無しである:04/02/27 23:18
井上靖って何を追及してた人なの?どんな位置付けにあるの?
592吾輩は名無しである:04/02/27 23:26
>>576−581 >>585-586 >>589-590
同じ人? HNをつけてくれるとうれしいな。
井上靖は、詩作で出発し通俗小説に転じた後これを絶ち、
記者時代を経て新聞小説で再出発、後に歴史小説を主なものとしました。
また、文化的活動において親中派であったことが知られています。
文壇的位置付けは諸説紛々のようですが、
基本的に「文学の為の作品」を書くことがなかったため、
大衆小説作家と呼べるかもしれません。
佐藤春夫を師と仰ぎ、戦後第一世代との親交が深かったようです。
訂正
佐藤春夫を師と仰ぎ、戦後第一世代との親交が深かったようです。

佐藤春夫を師と仰ぎ、戦後第一の新人世代との親交が深かったようです。
595吾輩は名無しである:04/02/28 00:33
>>593-594
情報ありがとう。
596吾輩は名無しである:04/02/28 08:07
井上靖は第一次前後派には馬鹿にされてましたよ。
597吾輩は名無しである:04/02/29 13:32
井上靖「風涛」新潮文庫
フビライ、洪茶丘、高麗王、高麗王家臣達の人物設定、ストーリーの流れは
いい。ただストーリーの終末が二度目の元寇の失敗の事実の提示のみという
のはあまりにもお粗末。
劇的な物語ではなく大いなる歴史の流れなりを表現したかったのかも知れな
いが、全く大いなる歴史の流れを感じさせてくれない。
高麗側からみた元寇という高麗史の小説でありながら、結局は話しの巻く引
きを日本人の日本史知識に頼っているところが原因だろう。
井上靖の歴史小説の最高傑作はやはり完全フィクションの物語である敦煌。
598吾輩は名無しである:04/02/29 17:44
風涛は俺も読んだ。読むのが苦しかったなあ。
まあ井上靖の歴史物最高傑作はおろしや国酔夢譚だけど
599吾輩は名無しである:04/03/02 20:48
口語訳「日本書記」上・下 講談社学術文庫
日本の神話では性交・脱糞・放尿・痰吐きと人間の様々な排泄作用が神を
生み出すのだが、女性の生理からだけは神が生れない。何故だろうか?

神代と神武天皇からの人代の繋がりが唐突で不自然な感じがした。イワイ
の反乱以降は歴史教科書のようにすらすら読めた。私達が小学校の頃の漫
画日本の歴史は邪馬台国の後は、大伴金村の台頭・イワイの乱による大伴
金村の失脚・物部氏の台頭から大和朝廷の話が始まるが最近の漫画日本史
はどうなっているのだろうか?ミナマ日本府の存在を否定する大韓民国に
遠慮して仏教伝来から話を始めているのであろうか?
600吾輩は名無しである:04/03/03 17:43
福田和也「甘美な人生」ちくま学芸文庫
柄谷行人の徹底的に事象を抽象化する批評からは対立の力の不均等なり
情念なり詩といったものが消滅されており、それは結局思考停止であり
自閉的世界であるということを福田和也氏は指摘しているのだと思われ
る。
ただ福田和也氏には柄谷行人から看過されたものを批評文学として蘇生
させる技量はないと感じた。
601吾輩は名無しである:04/03/03 17:57
柄谷行人「意味という病」講談社文芸文庫
マクベスを論じて悲劇のわなを避け、意味という病というテーゼを
打ち立てたのは戦後文芸批評の大御所の座が吉本・江藤から柄谷に
変わった決定的なターニングポイントであると思われる。
柄谷は意味という病を書いて救われ、それで終わった。読者もそこ
で救われた。
柄谷も読者も救われたので、楽しく安心して見ていれられる思想遊
戯がはじまったのだ。
602吾輩は名無しである:04/03/03 19:07
最近のこのスレ量的に読みやすくてイイ!
603吾輩は名無しである:04/03/03 21:36
このスレって美香以外は書き捨てて去っていくって感じだね。
604吾輩は名無しである:04/03/04 14:41
過去の本ばかり読んでどうするんですか?
もうちょっと最近の本読んで感想を聞かせてくださいよ。
605吾輩は名無しである:04/03/04 16:38
604に注目が集まってます。感想どうぞ。
60635歳主婦 ◆baeGuFHffI :04/03/04 21:00
最近の本でなんかいいのあるの??
どれもこれも読む気がしないのばかり。

それに比べて過去の本は当然つまらない本は淘汰されてて、
いい本が残ってるわけだからハズレが少ないから過去の本のほうがいい。
6071b™ ◆1bBtQE5sBo :04/03/04 21:10
西尾幹二『ニーチェ』ちくま学芸文庫。
学生時代までこと細かく調べてあって、暇な人間もいるものだなぁと。
当時の文献学界でのアリストテレスの「カタルシス」解釈の色々がおもろい。
エウリピデスーソクラテスのラインをもっと書いてるのかと思ったら
余り触れてない。
6081b™ ◆1bBtQE5sBo :04/03/04 21:12
養老何某『馬鹿の壁』なんとか新書を立ち読み。
書いてるやつが馬鹿なんでないかと小一時間、いいたくなったり。
日曜日の朝の番組に石原慎太郎と一緒に出ててようやく意味が分かった。
6091b™ ◆1bBtQE5sBo :04/03/04 21:20
チェーホフ『桜の園』岩波文庫、再読。
最近、没落貴族ものが好きだ。

ドゥルーズ=ガタリ『アンチ・オイディプス』。
折角買ったのに長いこと読んでないので再読。おなか一杯。

谷崎潤一郎『陰翳礼賛』中公文庫。
オッサンの書くエッセイのフォーマットを見た。
610331:04/03/05 09:46
『可笑しい愛』(ミラン・クンデラ 西永良成訳 集英社文庫)読了。
7つの作品が収められた短編集です。
但しアンソロジーではなく、7つセットでひとつの作品にもなっている。

この作品のテーマは「愛」。
クンデラは「愛する」という行為・心の動き、また「愛する」と思っているが
実は違う行為・心の動きをこれでもか、と書いている。
文体が比較的シンプルなのに濃い、心理小説です。

でも、読んだあと「愛」って何だろう、と。
ある方向から離れてみてみれば笑えるハリボテの根拠に拠っていたりする「愛」。
男も女も、目の前に見える彼/彼女+脳内イメージで好きな人を創りだしている。
イメージの根拠は、男女に違いこそあれ、「愛」とは少し離れたところにある
ものであったりする。
「愛」は可笑しい、のかな。
そうではなく、それを突き抜けたところに深遠な愛が存在しているのだろうか。

頭の整理ができてない。
他にも読んだことのある人がいたら、感想聞きたいな。

あ、「ヒッチハイクごっこ」が一番好き。
611美香 ◆FE5qBZxQnw :04/03/05 10:32
「演劇入門」(福田恆存/玉川大学出版部)絶版*再読
→良書を読んだあとのパターンとして二種類ある。ひとつは>>610のように
他人にも読ませたくなる。感動の共有です。フィクションを読了したあと、
私たちはよくこのような行動にでる。さて、もうひとつは、その本のことを
だれにも教えたくない、自分だけのものにしておきたい、そういう意地汚い根性が
読書家というものには常につきまとうように思うのです。それがこの本なのです。
わずか244ページ。しかしそこには凝縮された内容がたっぷりつまっている。
演劇の発生から、戯曲読法、演技論、演出の役割、日本新劇史概略まで――。
わたしのほうも襟を正して、本来なら一日で読める分量ですが、四日かけて
じっくり吟味しながら本書を読了しました。自分しか知らない名著というのは
いいものです。以前、山田太一が「私の幸福論」(福田恆存)を隠れた名著と
愛読していたところ、これが文庫化されてひどく悔しい思いをしたことがあるといいます。
わたしもこの「演劇入門」が復刊されなどしたらそうとう悔しがるかと……。

一年前に読んだときの要約↓ いま読み返すとへたくそな文章だけど。
http://book.2ch.net/test/read.cgi/book/1043298270/37-38
612美香 ◆FE5qBZxQnw :04/03/05 10:56
「ウェストサイドワルツ」(アーネスト・トンプソン/江守徹訳/劇書房)品切れ
→最近、生きるのいやいやモード。こころに隙間風、ひゅーひゅー、吹き抜ける。
さむい。あったかいココアを、暖炉を、ハートウォーミングストーリーを……。
というわけで以前にこの著者の戯曲「黄昏」を読んでいたく癒されたので>>431
今回もお世話になろうかと読んだのですが、うーん。とてつもなくつまらない。
劇書房の戯曲は「はずれ」がないと信じていたけどこれは例外。訳も変だぞ江守徹!

「いい酒、いい友、いい人生」(加藤康一/日本文芸社)絶版
→著者はワイドショーのコメンテーターなどで長年、芸能界の盛衰を見てきたひと。
石原裕次郎、鶴田浩二、三田佳子、美空ひばり、吉永小百合ら戦後芸能界を飾った
スターたちの知られざる素顔! と表紙でうたっております。
まあ、そういう有名人がどういうふうにお酒を飲んでいたかというエッセイです。
むかしの芸能人の無頼というものはすごいものがありますね。見習いたい!
もちろんわたしもお酒を飲みながら拝読いたしました。ブックオフ100円本なり。

「きょうからの無職生活 バイト生活向上委員会」(情報センター出版局)
「ビジュアル編集 税金がわかる」(富田健司/大泉書店)
→どちらもブックオフ100円本。感想? そんなこと聞くなよバカヤロー!
61335歳主婦 ◆baeGuFHffI :04/03/06 20:55
美香って本当になんでも読むんだねえ。

私は小説以外はあんまり手が出ないなあ・・
614吾輩は名無しである:04/03/07 20:05
沖縄文化社「沖縄の歴史」
やさしくまとめた沖縄の歴史。

昨今の現代思想家は我が国の一神神の神話を崩すために琉球を持ち出すが、
琉球の古来の神は太陽神の女神であり、源泉では日本の神と一致するので
はないか?
沖縄を思想的に利用するのはよくない。日琉同祖論は実証研究上において
は通説のようだ。

615吾輩は名無しである:04/03/07 20:25
柄谷行人「日本近代文学の起源」講談社文芸文庫
言文一致から内面の発見(近代的自我)、風景の発見
没落士族がキリスト教を信仰して告白の発見

発表された当時は非常に斬新な論考だったのであろうが、今となれば
乱暴さと荒だけが目立つ。
そして改めて感じたことであるが、柄谷行人は二元論を否定しながら
も発想の根本は二元論であることだ。
そもそも二元論批判をする時点で、その人は二元論の囚われの身にな
っている。
616美香 ◆FE5qBZxQnw :04/03/08 09:57
「別冊宝島53 精神病を知る本」(宝島社)
→テーマというものがある。自分が表現をしていこうと思っているとき、
その源にあるもの。ルーツ? スタート地点? 得意分野?
「山頭火」「シェイクスピア」「宮本輝」「ギリシア悲劇」「宮台真司」などの
固有名詞とともに、「精神病」への関心がつねにわたしのなかにはある。
ばらばらで一見すると、なんの関連性もないようだけど。
本書はアンチ精神病の立場からの発言。すなわち精神病などないのだというのです。
精神病は精神科医がつくりだす幻想、たとえば理解できない凶悪犯罪が起きる、
そこから生じる社会不安、これを抑えるために「精神病」という概念が生まれた、
「かれは精神病だから」と私たちの日常とは別次元の世界へ追いやってしまう、
そのために精神科医は生まれたのだと、未開社会の精神病的症状とその治癒を例示する。
狂気というのは正常というものが定義されてはじめて存在しうる、逆も言える。
そのときたかだかいち精神科医ごときにそんなものを任せてしまってよいのか、
と本書の主要執筆者は問題提起するわけです。
完全な正論、(しかしではなく)ゆえに机上の空論、知的自己満足。
何も生みださない、誰の役にも立たない。
一週間でいいから精神病のひとと一緒に暮らしてみなさい、
いちどでいいから自ら発狂の危機におびえてみなさい、そんなことは言えなくなるから。
精神病は怖いものです、精神科医は必要です、誰かがやらなければならないものです。
うちはだいだい精神病の家系だからしんじつそのことを考えます。
本書の問題提起に誠実に答えていた精神科医(写真を見るとほんとうに善良そう)が
チェーホフの「六号室」という小説を例にあげていた。
これほどまで「精神分裂病」を描ききった小説はないと。いつか再読したい>>197
617美香 ◆FE5qBZxQnw :04/03/08 10:29
「別冊宝島144 シナリオ入門」(宝島社)
→二部構成。一部が「シド・フィールドのシナリオ講座」。
なんでもアメリカの大学、映画学科でテキストとして使われている(当時)とか。
売れるアメリカ映画の秘密がつまっているとのこと。ほんとかいなと読む。
だってお金持ちになりたいもん、貧乏だけど純文学で自己満足なんていやだもん。
不純な動機で読了。あはは、うまい話はないってことよ、どれも聞いたようなことばかり。
ちょっと内容紹介。2時間の映画はシナリオにすると(英語で)120ページ。
(1〜30ページ)=状況設定、(30〜90ページ)=葛藤、(90〜120ページ)=解決。
いちばん書くのが難しいのは「葛藤」。重要なのは「葛藤」の中間(60ページ)に
転機となるミッドポイントを入れること。著者はこのようにシナリオを数式化する。
まさかぁと思うでしょ? このつぎに読んだ大ヒット映画「恋におちたシェイクスピア」
のシナリオ本で確かめたら本当にそうなっている。英語日本語対訳のシナリオ本。
30ページくらいでシェイクスピアとヴァイオラ(ヒロイン)がひかれあうと同時に、
登場人物が出尽くす。ミッドポイントの60ページ付近で、シェイクスピアと
ヴァイオラが結ばれる(肉体的に)んだから、まさしく公式どおり(w
本書の第二部は日本人シナリオライターの無頼自慢がメイン。
だから日本はだめなんだと読んですこしあきれてしまった……。
618美香 ◆FE5qBZxQnw :04/03/08 11:05
「恋をにおちたシェイクスピア」
(マーク・ノーマン&トム・ストッパード/藤田真利子訳/愛育社)
→映画シナリオ本。左ページに英語、右ページに日本語。
よくあれは大衆娯楽作品だからなどとヒット作をバカにする声を聞くけど、
本作品は老若男女、誰をも楽しませるエンターテイメントであるばかりでなく、
作品そのものがひとつのシェイクスピア論になっているところに脅威を覚える。
アメリカってすごいなぁ、天才っているんだなぁと脱帽するよりほかない。
わたしのようなシェイクスピアマニアをにやりとさせる心憎い部分があり、
またシナリオ技術的な面でおおいに見習うべき個所もありで、もう満腹です。
観客をどうやって楽しませるかという職人的秘術がこのシナリオにぎっしりつまっている。
泣かせるツボや笑わせるツボの押し方、キャラクター設定の仕方、
室内シーンと室外シーンの比率、ベッドシーンとアクションシーンの入れ方。
映画(ビデオなんだけどさ)で見たときには気づかなかったことばかり……。
ひとつ難点を。日本語訳は字幕を採録したものだと思うんですけど、
(字数の制限は知っています、が)日本語として意味が通じないところが多い。
映画で見たら画像の迫力で流せるから気にならないのだけど。
で、横の英語を見ると、あー、こういうことねとわかる。英語なんてほんと久しぶり。
そんなわけでちょこちょこ原文を参照しながら読みました。すると気づく。
英語ではぴしっと決まっているセリフが、横の日本語ではまったくだらしのない
ものになっていることがなんと多いことか。訳者の責任じゃない、どうしようもない。
今まで海外作品は翻訳に頼っていたけど、これではだめなんでしょうかね?
そんなことも思いました。
619長くて御免:04/03/08 13:45
平成9年 第4回日本ホラー小説大賞受賞作
『黒い家』(角川書店)貴志祐介(京大経済卒・生保勤務後「ISOLA」で作家デビュー)

傑作と名高い(社会派?)ホラー小説。
荒俣宏、景山民雄、高橋克彦、林真理子の各選考者の選評も載せられていたので
読むと、この作品は当時、文句なしの高い評価を受けていた。

で、読んで感じたことは、面白くないし怖くもないし新鮮さのかけらもない。

ついでなので『蹴りたい背中』や『蛇にピアス』を思い出してみた。
(純)文学とエンタメ小説の違いは結局、文章表現の違いだけなんだなとおもう。
『黒い家』は文章に技巧を用いておらず、おいしくない水道水のようなもの。
対して若い芥川賞受賞者ふたりの文章からは一文一文に強いエネルギーと
パッションを感じる。文章自体に人を酔わせる(感覚に合わない人もいる
だろうけど)アルコールを含んでいるようだ。
ストーリーに関してはいずれも主人公に関わりのある狭い世界の出来事を
書いている。展開の上手さでは『蛇にピアス』(春秋版)が一番良く
『蹴りたい背中』も、教室、回想されたデパートの中、部活場、男の部屋、
クラブでのライブなどメリハリの利いた場面展開が効果をあげていて秀逸だ。
『黒い家』は保険会社勤務のサラリーマンが遭遇する殺人事件を扱っている
にもかかわらず、場面展開がとても遅鈍で全体に推敲不足な印象を受ける。

ネタ扱いされている芥川賞受賞2作だが、『黒い家』は文章もストーリーも
この2作にはるかに劣っていることは明白。やはり小説書きの優劣は学歴や
社会経験よりも重要なもの、つまり《センス》の問題だということを改めて
実感させられた。
620吾輩は名無しである:04/03/09 01:28
この三日で「日蝕」「蛇を踏む」「広場の孤独」と、芥川賞受賞作を
固めて読了(読了の順番もこの通り)。
個人的な評価だと、

1・広場の孤独
2・蛇を踏む
(隔たり)
3・日蝕

という感じだな。
「広場の孤独」は、政治が主題ということから、結構理屈っぽい
作品なのではないかという勝手な先入観を抱いていたんだが、
読んでみたらかなり心情に訴える作品だった。

「蛇を踏む」は単純にあの非現実の世界が楽しかった。後半あたりからは
結構不気味でヒヤッとさせられて、意外と迫力があった。あのラストは
ちょっと物足りないが、作品の内容を考えると、ちゃんとした結末(=結論)
なんかなくて当たり前とも思う。

そして「日蝕」。ホント評判悪い(それで俺もこの三作の中では明らかに
見劣りすると思う)んだが、俺は(あの文体と雰囲気を含めた)全体的な
世界観は嫌いではない。
ただ後半辺りからの展開は、正直言って価値があるとは思えない。前半で結構
「おっ」と思うようなところがあっただけに個人的に残念。
621吾輩は名無しである:04/03/09 04:56
>>619
そうそう。俺もぜんぜん楽しめなかった。
貴志はなかなか人気あってミステリ界では一流作家ってな扱いなんだけど、
自分が楽しめなかっただけに不思議でならない。批評家も絶賛だし。
いわゆる予定調和でずっと進んで行くでしょ。怖さっていうけどないし。
まだアンナカレーニナが死ぬシーンのほうが恐ろしいよ。
622吾輩は名無しである:04/03/09 12:23
「黒い家」で一発、貴志ファンになった私は・・・
623吾輩は名無しである:04/03/09 22:21
バルザック『娼婦の栄光と悲惨』(飯島耕一訳、藤原書店)

トーマス・マンが『カラマーゾフの兄弟』と並んで大絶賛したバルザック晩年の作品。
他にもワイルドやプルーストのお気に入りだったらしい。
『ゴリオ爺さん』『幻滅』の三部作の完結編。

恋愛小説、同性愛小説、スパイ小説、サスペンス、19世紀パリ風俗史など
あらゆる楽しみ方ができる。さすが文豪バルザック。
あえて一言でいうなら「金と名誉と男と女」

それとすごいのはこれでもかってくらい書き尽くしているところ。
有名な『ゴリオ』『幻滅』『谷間の百合』なんか比べ物にならないくらい細かい。
ある人物が出てくると、その人物の性格、住居、家族(親戚)構成なんかの説明があって、
そのあと職業の説明、職場(例えば裁判所や刑務所)の説明が延々と続く。
しかも登場人物が多く、一人一人が物語に絡んでくるから大変。
多分この本の半分はそういった描写で占められていると思う。
最初は「すげー」って感心してたんだけど、ここまでくるとやはり読んでいてしんどくなった。
中でも警察機構の説明は正直1回読んだだけでは理解できない。
自分の頭の悪さを嘆いたものだけど、訳者の解説や巻末の対談(山田登世子と池内紀)で、
「この時代の警察は複雑だったからわからなくても仕方がない」
とのことだったので、ちょっと安心した。
でも、だったらもっと詳しい解説つけてよ、とも思った。

このような感じで物語から脱線しまくりなので、
ただ物語を楽しみたい人、バルザックをはじめて読もうとする人にはおすすめできない本だと思う。
『ゴリオ爺さん』と『幻滅』を読んでこの二作品の主人公がどうなったか、
両作品で暗躍したヴォートランの凄さ、リュシアンへの同性愛
これに興味がない人が読んでもちょっときつい。
逆にこの二つを知っていれば、心から楽しめる小説だと思う。
とりあえず、もう少し時間がたったらまた読んでみようと思います。
今は同じくバルザックの『従妹ベット』を読んでます。
624美香 ◆FE5qBZxQnw :04/03/10 08:24
「ほんとうのハウンド警部」
(トム・ストッパード/喜志哲雄訳/白水社「現代世界演劇7」)絶版
→1968年初演のわりあい新しいイギリスの戯曲。
これを読もうと思ったのは以前に読んだ「はじめての劇作」という本で>>21
お薦め作品になっていたから。「『ほんとうのハウンド警部』は、劇作家が
避けるべきすべてのことをおもしろおかしく(そしてかなり意図的に)描いた
作品として、ぜひ一読することをお勧めしたい」(P130)。
幕が上がると、舞台後方に観客席がある。そこに劇評家がふたり座っている。
そのまえで(もちろん観客のまえでもある)繰り広げられるのが、ふざけたお芝居。
いきなり登場人物が自己紹介をしながら登場したり(w
しかし出演する女優をものにしようと狙っている劇評家はこのお芝居を激賞する。
演技論で口角あわをとばす。さて、舞台のうえの芝居がいったん幕を閉じる。
休憩中に劇評家がそのお目当ての女優と話していると、あらら、お芝居が始まってしまう。
まえの芝居で役者だったものがちゃっかり劇評家の椅子に座っているではないか。
声高に演技論を語っていた劇評家がいざ舞台に立つと大根役者であるというアイロニー。
けっきょく劇評家はなにもできずにみじめに殺されてしまう――。
「不条理劇」と呼ばれる演劇です。
考えさせられる。私たちはテレビで見るニュースに劇評家よろしくいろいろと注文をつける。
代議士の謝罪を見たら芝居がかりすぎだの、浅野養鶏場の会長の自殺を見たら演技が下手だの。
が、果たしてどうか。いざ自分が舞台に立つ羽目に陥ったら……。
舞台に立ちたくても立てない役者志望に、強引に舞台に引っ張りあげられる一般人。
げに恐ろしきは演出者かな、神という名の。
625美香 ◆FE5qBZxQnw :04/03/10 08:54
「楡の木陰の欲望」(オニール/井上宗次訳/岩波文庫)品切れ
→1924年初演のアメリカ演劇の古典的作品。
オニールは「アメリカ演劇の父」とも呼ばれる。これを読んでわかる、
あー、確かにストリンドベリからテネシー・ウィリアムズへの橋渡しをしていると。
傑作。ひさびさに血が沸騰するような戯曲。物語の下敷きにしているのは、
ギリシア悲劇「ヒッポリュトス」。ギリシア悲劇的かつ近親相姦的な暗さがある。
中上健次の小説に非常によく似た雰囲気をもつ。中上はオニールなど読んでいないはずだけど。
じめーっとした女の子宮のなかで終始する残忍な欲望の劇です。
しかし読了後にその子宮から言葉にできない何かが生まれるのは確か。
この現象をカタルシスというのでしょうか。
カタルシスのない不条理劇よりこちらのほうが好きですわたしは。
(「35歳主婦」がこれを買ったらしいのでネタバレ一切なしの読了報告♪)

ところで最近、読みやすい読了報告が多い気がする。よきかな。
626美香 ◆FE5qBZxQnw :04/03/10 09:01
いま気づいた。
ギリシア悲劇の「ヒッポリュトス」に「メディア」を混ぜたのが「楡の木陰の欲望」か。
このスレは私的備忘録的な意味合いもあるので、つけたして書いておきます。

ストリンドベリ「死の舞踏」を超えるかもしれない大傑作です。
比較的入手しやすい&薄い&登場人物が少ない=読みやすいので機会があればぜひどーぞ。
627620:04/03/10 21:05
プールサイド小景・静物(庄野潤三、新潮文庫)
引き続き芥川賞受賞作。一年ほど前に冒頭の『舞踏』を読もうとして、
その内容のあまりの所帯臭さに「これは今俺が読むべきではないな
(当時も今も独身)」と一度挫折したんだが、ここ数日たまたま
(本当にたまたま)芥川賞受賞作を固めて読んでいるということも
あって、この際だから読んでしまおうと読了を決意。結果的に読んで
本当に良かった。

『舞踏』をはじめ、収録作すべて「夫婦」や「家族」や「日常」、そして
そこに潜む「危うさ」が描かれている。この作品を読むと、日常というものが
何とも壊れやすいものなんだと言うことが実感される(月並みな感想だけど)。
それにしても「危うさ」が描かれているはずなのに、その「危うさ」がなぜか
美しい読後感を残すのが不思議。
収録作中『舞踏』『プールサイド小景』『五人の男』『静物』が特に良かった。
『静物』なんかは本当に読む人によって感想が様々だと思うけど、俺は
(あくまで暗示に留まるが)「危うさ」の中で際立つ日常の喜びが何とも
貴重で切ないと感じた。

たぶん結婚して子供ができたらまた違った感じ方をするのだろう。何度でも
読み返すことができる作品だと思う。
628吾輩は名無しである:04/03/10 21:27
網野義彦 森浩一「馬・船・常民」講談社学術文庫
筋のない単なる歴史談義の本。
なんで文庫になったのかわからない。
629吾輩は名無しである:04/03/10 21:32
網野善彦「東と西の語る 日本の歴史」講談社学術文庫
日本を東と西にわけて論じる網野史観は読み物としては面白いが
荒が多い。
網野史観では律令体制下の日本と江戸時代は説明ができない。
この人が歴史学界で干されていたのもわからないでもない。
網野史観が歴史学なのであれば井沢元彦の「逆説の日本史」も歴
史学として認知すべきだろう。
630吾輩は名無しである:04/03/10 21:35
中西輝政「なぜ国家は衰亡するのか」PHP新書
アングロサクソンの普遍的特徴を論じながら、アメリカとイギリスを
別に論じたり、吉田茂を評価しながら戦後日本の政治を批判する。
荒の多い本。こういった荒の多い文明史観が社会に蔓延することがま
さしく「衰亡」を表しているのかもしれない。
631吾輩は名無しである:04/03/10 21:40
「黒い家」は、新聞(朝日か読売か忘れた)の『本屋さんへ行こう』という企画で
綿矢りさが欲しがった本だよ。(インストール受賞直後の記事)
でも品切れだったから、結局、中島らも・町田康・山田詠美の本を買って帰った。
632吾輩は名無しである:04/03/10 21:42
柄谷行人「畏怖する人間」講談社文芸文庫
夏目漱石の小説の分裂の状態に新たな批評の地場を築こうとするパターンは
江藤淳と同じ。
分裂を無理矢理統合させようとする西田幾多郎よりも統合させない夏目漱石
の方が思想的に人間的に誠実であると言える。その面では夏目漱石は常に正
しくだからこそ誰をもが好きなような解釈ができる。
思うに、我々は江藤淳や柄谷行人の夏目漱石論に毒されていないか?案外、
夏目漱石門下が唱えた則天去私の思想の方が最もスタンダードな解釈なのか
も知れない。
633吾輩は名無しである:04/03/10 21:49
堺屋太一「平成三十年」
http://www.geocities.co.jp/WallStreet-Stock/7553/

「油断!」    →オイルショックを予測し、的中
「団塊の世代」 →90年代の中高年のリストラ、財政赤字の急拡大などを予測し、的中

・・・そして堺屋氏は、また新たに長期の未来予測を描いた問題小説を放った・・・

――平成三十年(2018年)に一体何が起こるのか?――   
63435歳主婦 ◆baeGuFHffI :04/03/11 20:34
「フランス短編傑作選」岩波文庫 ★☆☆☆☆
つまらん。
個人的にフランスは世界一文学が面白い国だと思ってたのに
前に読んだ「イギリス短編傑作選」のほうが全然面白かったよ。

ハーディ「帰郷」ハードカバー ★★☆☆☆
パリでの華やかな生活を捨てて田舎に帰ってきた青年が
パリに憧れを持つ女と結婚するんだけど、
その女は前に付き合ってた男と駆け落ちを計画する。

内容は結構過激だと思うけどハーディが書くとすごい牧歌的になるから
あら不思議。
63535歳主婦 ◆baeGuFHffI :04/03/11 20:46
ジョルジュ・バタイユ「マダム・エドワルダ」角川文庫 評価無し
変態エロ小説。
SEXして顔にオシッコかける哲学ですか??

ジョージ・エリオット「サイラス・マーナー」岩波文庫 ★★★★☆
親友に裏切られ婚約者に捨てられたマーナーは世捨て人になり
金だけが生きがいの守銭奴になる。
ある日貯めに貯めたその金も盗まれる。
絶望してるマーナーの所に赤ん坊が迷い込んでくる。
マーナーはその赤ん坊を育てることに生きがいを見つける。

良かった。すごい読み易かった。
善人ばかり出てくる小説も珍しい。
636331:04/03/14 07:50
『嵐が丘』(エミリー・ブロンテ 新潮文庫のやつ)読了。
ブロンテ姉妹次女エミリー作の有名なお話。
「ガ〇スの仮面」でマヤがキャサリンを演じていたために、それがこびり
ついてて、楽しめないのを怖れて今まで放置してあったのですが…
面白い面白い。

地主アーンショー家に引き取られたジプシーの子ヒースクリフと、その家の
娘キャサリンの恋(っていうと不正確な気もするが)のお話。
拾ってきた父親には愛されるが、父が死んだとたん召使同様の身分に落とさ
れたヒースクリフ。
キャサリンは「身分ある人と結婚してヒースクリフを庇護すれば、ずっと一
緒にいられる」と思いつき、結果それがヒースクリフを傷つけ彼は家出する。
ヒースクリフは数年後立派な紳士になって嵐が丘へ帰ってきて、アーンショー
家とキャサリンの嫁ぎ先リントン家に復讐を開始する。

小説の雰囲気もさることながら、ヒースクリフは酷いけれどもキャサリンを
思う(憎しみにせよ愛にせよ)気持ちの激しさに感動。
中盤の、キャサリンを抱きしめる場面が個人的にはこの話のクライマックス、
ではないかなと思っています。
脇役がかなり個性的でよい。(ただし、リントン・ヒースクリフは大嫌い)

もう一度読み返したい作品です。
637純文学団長 ◆xyX.vGXBSY :04/03/15 22:58
読了しました。
●戯曲 「人生の幸福」正宗白鳥作 岩波文庫
●小説 「愛と死」 武者小路実篤作 新潮文庫
●小説 「オリンポスの果実」 田中英光作 新潮文庫
●評論 「古典学入門」 池田亀鑑著 岩波文庫
●随筆 「里見トン随筆集」 里見トン著 岩波文庫
ちょっとばかし疲れているので感想割愛。求まれれば書く積もり。
638吾輩は名無しである:04/03/16 13:34
福田恆存「キティ台風」福田恆存全集
人間は孤独です。いろいろ悩んでもやはり孤独なのです。
だからあははと笑うしかない。
コンセプトはいいが、昭和20年代の時事ネタが多いので今とな
ればやはり古臭い。
しかし、現代版にアレンジし登場人物をもう少し減らせば今でも
上演可能な劇だと感じた。
639吾輩は名無しである:04/03/16 13:40
武田泰淳「ひかりごけ」新潮文庫
きわめて思想的な小説・戯曲。
小説・戯曲から思想を感じ取るのは批評家の仕事であって作家が
作中で述べることはない。思想を述べたいのであれば文芸評論の
方がメディアとしては合っている。
また、武田泰淳が本当の他者に出会ったとも思えない。知識人と
大衆という枠組みがはっきりしていない今となれば、武田泰淳の
作品で訴えかけている事はそれがどうしたという感じがしないで
もない。
640吾輩は名無しである:04/03/16 13:46
井上靖「猟銃・闘牛」新潮文庫
闘牛、比良はコンサバなインテリおじさんが新幹線に乗っている間に
暇つぶしに読める娯楽小説。ただそれはあくあでも短篇小説だからこ
そ。この作風で長編小説だと逆に時間を無駄にしたという徒労感を感
じるだろう。
猟銃は全くおもしろくない。人はだれしも自身の中に蛇を持っている
のですと言いたいがために何十ページを費やすのはいかがなものか。
641吾輩は名無しである:04/03/16 16:59
福田恆存「批評家の手帖」福田恆存全集
福田恆存の独自の言語観。
最近の文芸評論家の言語観は言語学者や現代思想の影響を受けてそれに
乗っかっており、自分自身で考え抜いた形跡は見られない。そういった
物とは一線を画す秀逸な評論。

642吾輩は名無しである:04/03/16 17:11
柄谷行人「戦前の思考」講談社学芸文庫
過度に思想を抽象化した結果、マルクスという文献の価値だけを守り、
物理的社会的弱者を無視し市場経済礼賛主義を追随するところに左翼
知識人柄谷行人の大きな欠陥を露呈させてしまっている、柄谷を知る
上においては好著。
物理的社会的弱者に結果として今なお対峙している左翼は文芸評論家
達が政治と文学というテーゼで徹底的に糾弾した日本共産党という没
落政党であるというのは皮肉な話だ。
643吾輩は名無しである:04/03/16 17:17
>>642
同感。『戦前の思考』ひどすぎ。
あれから市場原理主義が、左翼陣営にはびこり
失われた10年をもたらした
朝日なんかいまだに、市場原理主義やってるけどね
でも柄谷自身は頭いいから、その危うさにすぐ気づいて
そのあと『倫理』では、市場原理主義を批判し始めるけどね



644吾輩は名無しである:04/03/16 17:21
網野義彦「日本論の視座」小学館ライブラリー
骨太の面白い日本中世史の論考。
網野は天皇家を中心とする日本という統一国家を否定するために、武士を
中心とした東の王権という視座を持ち出す訳であるが、東の王権が結局徳
川幕府を成立させ統一国家を形成していく過程において流人を管理しはじ
めた歴史についてはあまり触れていない。
網野は自分の歴史観にもっともマッチしているからこそ専門を日本中世史
に絞り、江戸、近代については独自に触れることがなかったのだろう。い
ろいろ批判も多い人であるが、さも日本の歴史すべてを知っているかのよ
うに振舞わないところは学者としての誠実さを感じさせてくれる。
645吾輩は名無しである:04/03/18 00:46
武田泰淳「司馬遷」講談社文芸文庫
神・仏不在の俗世の人間が絶対者となり歴史が動いていく中国の歴史の法則
をコンパクトに表した名著。
ただ武田泰淳の実感した司馬遷の史記の世界は、書かれた当時(戦時中)に
はすんなりと入りやすい世界だったのかもしれないが、現代を生きる私達に
とっては実感としてではなくあくまでも中国の歴史という評論の博物館の一
展示品としか読むことはできないであろう。
646美香 ◆FE5qBZxQnw :04/03/18 18:47
「奇妙な幕間狂言」(オニール/井上宗次・石田英二訳/岩波文庫)品切れ
→戯曲。旧仮名&旧字体&とにかく長いため、読むのに三日を要した。
まともに上演したら6時間以上かかるらしい。ハムレットで3時間ちょっとだから、
これがどれだけ長いかわかってくださるはずです。長くなったのには理由がある。
本作品はオニールのきわめて実験的な戯曲だからです。さて、問題をだします。
戯曲と小説のちがいは何か? 答え。心理描写があるかないか、です。
そこでオニールさんは考えます。なんで心理を扱った戯曲はないのかと。
おそらくフロイトなんかに影響を受けたのでしょう。
用いた方法は古臭くて「傍白」。シェイクスピア劇の登場人物がやっているあれ。
自分の考えていることを観客に向かってしゃべる、が、相手には聞こえないというお約束。
たとえば相手向かって「愛してる」とまず言う。それから観客のほうを向いて
「ほんとは大嫌い、早く死ね」などと言ったりする。
これを延々と続けていくわけです。はっきり言って心理小説ですよこれは。
内容はそこそこおもしろい。当時、アメリカでヒットしたのもわかる。
要約すると、女の一生かな。娘は女となり、妻となり、母となり、姑となるもの。
でもこの戯曲の主人公ニーナさんはそんなのいやだと主張するわけです。
暖かい家庭の妻でありながら夫以外の男と愛し合う女でありたい、
常に燃えるこころを持つ女でありながら息子から愛される母になりたい。
みんなあたしを愛して! と大声で叫び行動する女性の25年にわたる歴史です。
647美香 ◆FE5qBZxQnw :04/03/18 19:02
「毛猿」(オニール/倉橋健訳/「ノーベル賞文学全集20」主婦の友社)絶版
→戯曲。ブルーカラーの悲哀ってやつですかね(薄ら笑い
主人公は屈強な船人夫。このころの船って石炭をたえずくべながら動かしていたらしい。
で、船人夫のヤンクは生粋の肉体労働者、知能はゼロ、まあ猿と変わらないと
タイトルは示唆しているのでしょうか(w でも本人は幸福なわけです。
バカは幸せですよいつの時代だって。ヤンクはこの船でいちばん偉いのは
自分だと誇っているわけです、自分がいなかったらこの船は動かないのだからと。
そんなヤンクの夢を壊すのが船会社社長のお嬢さん。
私的社会科見学とばかりにヤンクを見にきて卒倒するわけです、獣と叫びながら。
罪なことをしますねまったく。ヤンクは怒りにかられて金持ちを襲撃したり、
共産党系の団体に入ろうとしたりしますが何もかもうまくいかない。ダメなやつはダメ。
ラストシーンは動物園です。毛猿のオリのまえにたたずむヤンク。
どっちが人間でどっちが猿か、オリに入れられているははたしてどっちか。
おお友よと思ったのかはわかりませんがヤンクは毛猿をオリからだしてやります。
毛猿はヤンクを力任せにだきしめて殺してしまう。
あっはっは。楽しいですね、あはははは。笑いましょうよ。
タイトルの下に喜劇と書いてあるから、笑えばいいんですって。あはは、あはは、楽しいな。

「古代ギリシア・ローマ演劇」(ピエール・グリマル/小苅米ケン訳/白水社文庫クセジュ)絶版
→ギリシア悲劇、アリストパネスまではわかっているけど、それよりあと、
中心がローマに移ってからの演劇について知りたかったのでこれを読む。
プラウトゥス、テレンティウスやセネカ。だれもこのへんは読んでいなさそうだから、
いざ衰退スレとかで論争になったらここらあたりの名前をだしてびびらそうと(w
なんて不純な動機の読書でしょう。でもこれ薄いからすぐ読めるんじゃないかと。
結果。よくわかんない。入門書なら猿にもわからせるくらいの意気込みで書けよピエール!
フランス人は嫌いだどいつもこいつも
648吾輩は名無しである:04/03/20 13:07
森鴎外「キタ・セクスアリス」新潮文庫
激しくつまらない。
おそらく文学部の学生が文豪の作品ということでとりあえず買って読むので
絶版にならないのだろう。
649吾輩は名無しである:04/03/20 13:25
国木田独歩「武蔵野」新潮文庫
「忘れえぬ人々」「鹿狩」「河霧」「遺言」「初恋」がいい。
現代でも通用するシンプルで綺麗な小作品。
「初恋」は初恋だけでなく大人の普通の恋愛も大抵こんなものだ。
「遺言」のおちょくりの精神の入ったナショナリズムはむしろ健全なナシ
ョナリズムを表現している。
「河霧」の構成はスタンダードにうまい。
「鹿狩」の最後の一文は絶妙。
「忘れえぬ人々」は有名私立中学校の国語の試験問題に出題されたことが
ある。「忘れえぬ人々」を読ませて「あなたにとって忘れえぬ人について
800字以内で書け」という問題だった。
中学校の入学試験ということを考えると、「修学旅行の自由時間の時に行
ったお土産屋さんに行った。親友とお母さんにあげるプレゼントは何が言
いか喧々諤々議論した。その時のお土産屋さんで働いていた地元のお姉さ
んが僕にとっての忘れえぬ人だ。」で合格答案になるだろう。
650美香 ◆FE5qBZxQnw :04/03/20 15:32
「喪服の似合うエレクトラ」
(オニール/菅泰男訳/「ノーベル賞文学全集20」主婦の友社)絶版
→アメリカ演劇の最高傑作と称される長編戯曲。
昨年、イギリス(かな?)で再演されてリバイバル賞を取ったとか。
打ちのめされた。今までわたしが読んだ戯曲の中でもっとも劇的な迫力をもつ。
上演すると7、8時間はかかるというが、その長さはまったく気にならなかった。
とにかくおもしろくて、先が知りたくて、異常な興奮状態で一気に読みきった。
興奮とわたしは書いた。それは神と対峙するかのような興奮であった。
オニールはいう。「単なる人間対人間の関係を描くことには興味がない。
私を常に刺激するものは、神と人間との関係以外のなにものでもないのだ」。
戯曲を読むのは、小説を読むよりもはるかに楽しいと本作品で確信した。
それが真に優れた戯曲であれば。
というのも小説を読むという行為は、その作者と始終向き合っているようなものである。
作者の主張、作者の視線、作者の分析――。息詰まる。窮屈である。
が、戯曲はどうか。それが真実の傑作であれば、そこに作者の主張などない。
シェイクスピアに主張したいことなどあったかと考えてみればよい。
優れた戯曲では、作者の思惑など気にせず人間が自由に動きまわる。
そうわたしたちが神のまえでそうしている、まさにそれと同じ、
いや、それ以上の躍動感をもって。
優れた戯曲を読み進むうちに、神と対峙しているような興奮を味わえるゆえんである。
この入手しにくい戯曲を読むことになったのはほんの偶然からである。
その偶然に感謝したい。
651美香 ◆FE5qBZxQnw :04/03/20 17:08
「夜への長い旅路」(オニール/沼沢洽治訳/「近代劇集」筑摩書房)
→オニール自身の家族を題材にした長編戯曲。「喪服の似合うエレクトラ」ではなく、
こちらをオニールの(しいてはアメリカ演劇界の)最高傑作と推す人も少なくない。
息子への影響を考えて、生前は公開を許されなかったといういわくつきの家庭劇。
なぜ優れた劇に家庭劇が多いのか。ギリシア悲劇のたいがいが家族をテーマにしたものである。
答えはニュースを見ればすぐにわかる。親殺し、子殺し、配偶者殺害が
報道されない日などめずらしいくらいでは? というのも家族という「場」において、
もっとも多種にわたる(愛憎悲喜)、そして大量の感情が交錯するからである。
葛藤を描くのが劇である。優れた家庭劇が多いのも当然である。
本作品は家庭劇の最高傑作。愛情と憎悪がおなじコインの裏表だということが、
じつにうまく描かれている。そしてなんと痛々しいことか。
自らの傷、手術痕の縫い糸を無理やりこじあけ、内臓から何まですべて
あからさまにしてしまったような――そんな凄惨な劇です。
なんのために? 人間は美しいということを証明するために。
それでも、それだから、人間は美しい。オニールは「血と涙で」これを書いたという。
不幸に固執しつづけたオニールはストリンドベリの以下の人生観に共感を寄せていたという。
「私の幸福は他人を不幸にする。他人の幸福は私を不幸にする」。
(記憶で書いたから正確じゃないかもしれない。どこで読んだんだっけなと
今1時間かけてオニール関係のページを探したけれども見つからず。悔しいです)
652吾輩は名無しである:04/03/20 17:30
寺田寅彦「柿の種」岩波文庫
さらさらと読めるエッセイ集。
中学生の教養養成にはもってこいの本かも知れない。
読んでいると大正から昭和初期のインテリ階級の風俗を体験したような
気になる。その面においては大人でも楽しめる本。
653美香 ◆FE5qBZxQnw :04/03/20 17:37
「ドラマトゥルギイ研究」(内村直也/白水社)絶版
→50年近くもまえに書かれたドラマ論。どうやったらおもしろいドラマを書けるのか。
これがスタート地点。では、おもしろいドラマはどのように書かれてきたのかと話を進める。
研究なんてたいそうなタイトルがついているけど、そんな大それたものではない。
「ドラマトゥルギイ随想」くらいがちょうどいいのではと皮肉りたくもなる。
この時代にしては実にわかりやすい文章なのは感心。だけど、べつに難しいことを
わかりやすく書いているわけではない。簡単なことをそのまま書いているだけ。
一言でいうなら「ぬるい」ってやつですかね。でも、まあ、この本にでてきた
戯曲ぐらいはたいがい読んでいる(少なくとも名前は知っている)自分に感動。そのくらい。

「演劇論講座5 戯曲論」(汐文社)絶版
→読んだのは木下順二の「戯曲論史1ギリシア悲劇シェイクスピアを中心として」だけ。
ほら大学の教授とかって本の一部しか読まないっていうじゃない。
テレビで上野千鶴子がそう言っていたのかな。それを真似してみた。
まあ、300円で買ったし、ほかの著者は聞いたことがない名前ばかりだし。
木下順二さんは難しいことをわかりやすく説明する名人! もしかしたら、
わかったような気にさせる名人なのかも。いざ自分で考えようとしたとたん、
わからなくなるから。まあ、それはおいて、テーマはプチ演劇史。
ギリシア悲劇の誕生からローマ劇の衰退、暗黒の中世から、ルネサンスのフランス古典劇、
エリザベス朝のシェイクスピアまで、すらすらすらーり説明してくれました。
なんかわかったような気になっちゃったもんね。あたまいいのかなあたし。
65435歳主婦 ◆baeGuFHffI :04/03/21 00:37
>>648

同意。私もそれ買ったけどつまらなすぎて30ページくらいで
読むのやめたよ。
655331:04/03/21 19:00
『万延元年のフットボール』(大江健三郎 講談社文芸文庫)読了。
あらすじ書けない。書いてもいいけど全体を構成する線の一本も
書けないような気がするから。逃げます。

個人的に印象に残ったのは、いかに生きるか/いかに死ぬか、ということ。
吐露してしまえば直ちに破滅する重い過去を、或いは腐廃臭のする憂鬱を
胸に抱えた人間は、いかに生きるべきか或いは死ぬべきか。
いかに行き、死んでいくか。
そんな風に読みました。
そういう人間は、それを考えずにはいられないのではないでしょうか。
そしてそれを抱えて生きるには、人は弱すぎる。
悩んだ末選んだ結果を、私は否定しない。
そして私は自らに問う。

濃密な絵画的大江ワールドを堪能するのなら、新潮社の『飼育』が入っている
単行本のほうがお薦めなのですが。
長さに邪魔されそうだけどこの小説は別の「意味」を私にもたらしてくれたと
思います。

まだ消化不良でのた打ち回っています…


656穂川健太 ◆DcpVHWsmbc :04/03/21 23:17
「特別な人」(オニール)
二十歳の乙女が恋人の捕鯨船員との結婚をドタキャンする
第一幕と、月日が流れて、いけず後家になった主人公が
息子ほど年の離れた青年に見苦しく入れあげる三十年後
を描いた二幕物の戯曲。
誰かが中上健次の世界を彷彿させるとレスしていたのを
思い出し図書館で借りてみた。しかし、この作品は残念
ながら中上の粘着質で繊細な荒々しさとは重なる処がな
かった。どちらかと言うと遠藤周作のような分かり易い作風だった。
ちなみにこの作品の翻訳は、今をときめく金原ひとみパパも下訳に
加わっているらしい。
657吾輩は名無しである:04/03/21 23:57
『異戦国志』(仲路さとる)
これを入れて良いかどうかわからぬが、とりあえず。
結論から言えば、純粋な娯楽時代小説と言える。
近年の大河系娯楽時代小説では傑作の部類に入るだろう。
しかし、娯楽に傾きすぎて歴史考証が滅茶苦茶。
八割の武将が槍を担いで最前線で戦うという、史実の戦いもへったくれもない小説であると言える。
また、徳川嫌い真田贔屓が非常に顕著である。
娯楽と考えればまあ楽しく読める小説では無かろうか。但し、文学とするには時代考証が酷い。

『一夢庵風流記』(隆慶一郎)
漫画『花の慶次』の原作である。隆慶一郎の『アウトロー史観』が顕著に現れている小説である。
上記とは違い、マイナー武将(当時では)を扱った物語である為、出来る限り歴史に忠実にし、それでいて創作として成立させている傑作である。
『影武者徳川家康』が中だるみする部分があるのに対し、これは中だるみはそうそうしない。政治に絡んでいないからだろうと思う。
隆慶一郎は、元は『池田一朗』という名の大シナリオライターであり、小林秀雄に師事した人物である。
創作期間こそ僅かだが、司馬遼太郎や池波正太郎といった時代小説の大家と並び称される時代小説の大文豪。
この作品には余計な政治要素が少ない為、純粋に楽しむ事が出来るであろう。
658吾輩は名無しである:04/03/22 01:07
「日や月や」古井由吉(たぶん絶版?)
以下感想。

エッセイ。1988年初版。
1988年といえばバブル直前で日本全体が浮き足立っていたなどと聞く。(覚えてないけど)
しかし古井由吉はそんな時期にもブレがない。地に足が着いている。
だから信用出来る。だから読める。
正直つまらないものも中にはあったが、大切にしたい本のひとつ。
心から信頼できる小説家が生きているということは、なんと幸せなことか。

以上、読了報告終了。
659吾輩は名無しである:04/03/22 14:33
幸田露伴「努力論」岩波文庫
幸田露伴の人生論。
信仰宗教団体の経典のような代物。特筆すべきようなものはない。
内容の割には文章が長すぎる。読破するのに努力した。
660吾輩は名無しである:04/03/22 23:25
幸田露伴「五重塔」岩波文庫
これだけは自分自身しか作れぬ、だからこそ自分が作らねばならないという
職人道を描いている。美の追及、自己研鑽、自己の内面の表現の結果の創造
が芸術であるのに対して、物それ自体を造ることそのものが創造であるのが
職工なのかも知れない。
文語体で書かれているので読みにくいがいい物語だと思う。
661美香 ◆FE5qBZxQnw :04/03/23 09:11
「危機一髪」(ソートン・ワイルダー/水谷八也訳/新樹社)
→アメリカ産の戯曲。1942年初演。アメリカ演劇史ではオニールとウィリアムズ
のあいだで忘れ去られているという感じらしい。ワイルダーはいぜん「わが町」を
読んでいたく感動した記憶があるから>>224>>250楽しみにしていたのですが……。
実験的な作品。初演時のこと、三幕劇なのだが、第一幕が終わったころに大量の観客が帰り、
第二幕終了時にも同様、第三幕がはじまったころにはもうほとんど観客がいなかったらしい。
わたしからすると、この最後まで残っていた客が許せない、その自己欺瞞が。
あたくしはね、ちょっと知的ざーますから、この難解な演劇もわかるんでございますのよ、
おほほほほ。という感じに、この作品をおもしろいと感じることのできる自分はすごい、
と観客に自慰的満足を与える作品。バカな批評家気取りくらいです、こんなものにだまされるのは。
断固、わたしは帰ったほうの観客を支持します。さて、どんな戯曲なのか。
新約旧約聖書、ギリシア神話、時事ネタなど大量のアナロジー(あてこすり!)を用いている。
テーマもでっかく「人類救済」ときたもんだ! 人間を象徴するアントロバスなる男が
ノアの箱舟に乗ったり、なんやかんやします。……わたしにゃよくわからん。
で、この翻訳者の水谷さんはわかるらしい。わかる自分はすごいと言いたいのかどうかは
知らないけど、例によって大量の注釈。これは旧約聖書からの影響で、うんたらかんたら。
しまいにはこんな注釈までつける。「ここはおもしろい表現である」。
なんでたかが翻訳者に「ここで笑いなさい」と指示されなきゃならないの……。
ほんと参っちゃう。
662ixion ◆ySh2j8IPDg :04/03/23 09:51
だから言ったじゃん、美香には合わないだろうって^^;<『危機一髪』
(でも、他人に好みを見透かされるぐらい君は偏っている、ってこと
でもある…それは「文学好き」としてどうなん?)
実際に舞台で見ると、結構ハチャメチャで面白いんだけどね。

あと、
>アメリカ演劇史ではオニールとウィリアムズのあいだで
>忘れ去られているという感じらしい
いいえ。アメリカ演劇やるんなら必ず読みますよ、ワイルダー。
『サン・ルイス・レイ橋』とか『第八の日に』とかの小説もあるしね。

あ、読了報告か。

伊良子清白『孔雀船』(岩波文庫復刊)
 …やっぱり絶品。全集欲しい!!
『カター・サリット・ナーガラ(1〜4)』(同上)
 …「Σ(゚д゚)オイオイ」と突っ込み入れながら読むと楽しい。  など
663美香 ◆FE5qBZxQnw :04/03/23 10:09
>>661名前を間違えた、正しくは「ソーントン・ワイルダー」。

「子供の時間」(リリアン・ヘルマン/小池美佐子訳/新水社)
→アメリカ産の戯曲。1934年初演。著者は女流劇作家、のちに回想録を出版。
ふつうの劇です。リアリズム演劇。ただテーマがちょっと(この時代には)特別。
同性愛、レズです。たぶんそのせいで当時、ヒットしたのだと思う。
現在まで残っている理由もそこらへんにあるのではないかな。まあ、最初に書いた
ひとの特権ですからそれはかまわない。戯曲としてはごくふつう。
ちょっとまとまりがないかなと思う程度。仲の良い女教師がふたりいます。
思春期特有の意地の悪い娘(生徒)に同性愛といううわさを立てられ自殺する。
その過程がそこそこ劇的に描かれています、退屈させない程度に。
実際にアイルランドで起こった事件を元にして書いたらしい。
だから著者がレズだとかいうわけではない。

「真夜中のパーティ」(マート・クローリィ/青井陽治訳/劇書房)
→アメリカ産の戯曲。1968年初演。ゲイ演劇の先駆けとなった記念碑的な作品。
ニューヨークには「性的逸脱を描く作品の上演を禁止する条例」(1927〜1967年)
というのがあったらしい。そのうえ当時はゲイというものは人非人の扱い。
だからこの劇の上演はとてもショッキングだったとのこと。
結果、大当たり。アメリカンドリーム! この劇に出たマイナーな役者さんは
全員メジャーになり、おなじメンバーで映画まで作られたらしい。
同性愛なんて飽食気味の現代の目からこの戯曲を見たらそれほどのものでもない。
ホモ7人が誕生日のパーティをしているところにヘテロがひとりまぎれこむ。
最後にはこのヘテロもホモに目覚めましたとさ(w 勝手にやってちょーだいな。
ホモか。大学時代のクラスコンパだったかな。話したこともない男がいきなり
わたしの横にきて、悪酔いしたのか泣きながら男に犯された過去を告白してくれた
のを思い出した。美少年だった。変なひとをひきつける電波がむかしからあるわたし……。
追記)ブックオフ百円本です。ありがとう、ブックオフ♪
664美香 ◆FE5qBZxQnw :04/03/23 10:28
「多酒彩々 グラスに映った160の人生」(サントリー不易研究所・編/たる出版)
→サントリーが公募した「楽しい酒・心に残る酒」のエッセイ、その優秀作を
160個集めたもの。素人の気取った(!)文章というのはダメね、ほんと。
なんであんな変に気取るんだろう。国語教育の弊害じゃないのかしらん。
しゃべるように書けばいいのに。
なーんて、最初に文句をつけてみたけどなかなか悪くないぞこの本。
そんなことが気になるのはしらふで読もうとするからなのだ。
ほどよく酔っ払ってから読むと、ほろりと来る。泣いちゃったよ恥ずかしいけど。
これもブックオフ百円本。百円で本が読めるんだから日本は文化大国です。

>>662
水谷さんが解説でそう書いていたの。
オニールとウィリアムズあいだで忘れられていると。
「結婚仲介人」は読まないだろうな。水谷さんの訳だから。
またあの自意識が腐臭を発している注釈を読むのは勘弁。
665ixion ◆ySh2j8IPDg :04/03/23 11:58
おいおい、他人の解説を鵜呑みにしない、が美香の信条
じゃなかったのか^^;<そう書いていたの

まーよほどひどい解説だったんだろうな。
あ、ゲイに関する戯曲なら、『ベント』をどうぞ。
これも舞台で見ないとあまり…かもしれんが。

この二時間で読み終えた:

『現代文学のフロンティア』(出帆社)
 …いろいろと考えたが、何が面白いって、
インタビュアーが作品の具体的なことを聞こうとしている
のに、ひたすら「自分語り」をしまくって、さらには
「しかしたくさん読んでますね、あんた」と言い放つ
丸山健二。
666穂川健太 ◆DcpVHWsmbc :04/03/23 17:51
「楡の木陰の欲望」(E・オニール/岩波文庫)
水も漏らさないほどカッチリとした結構を持った戯曲。
確かに中上健次を思わせる雰囲気を持っている。
というより中上も私淑したフォークナーを彷彿させる
南部特有の蒸し暑く、濃厚な世界が強い筆圧で描かれている。
つまり聖書にその世界観の多くをおっている作品だと思う。
667吾輩は名無しである:04/03/24 10:25
福田恆存「大化改新」福田恆存全集
大化の改新の放送劇。
読みやすいが、単なる時代劇のシナリオの域を出ていない。
この劇の最大の欠陥は物語のキーポイントを担う女性がいない事。
たとえフィクションか脚色であっても女性の役をうまくつかわなければ
歴史劇はおもしろくない。
668吾輩は名無しである:04/03/24 10:45
福田恆存「常識に還れ」福田恆存全集
福田恆存の安保闘争批判論文。読売文学賞受賞。
ずっと福田恆存はリアルポリティックスで全学連闘争を批判していた
のかと思っていたが、攻撃の矢は社会党、新聞、丸山真男ら進歩的知
識人であり全学連幹部には案外好意的だった。また政治的スタンスは
新安保条約全面肯定論者ではなく日米同盟の強化の重要性を主張した
わけでもなかった。
この論文を読んであらためて思うのだが、政治と文学というテーゼは
結局共産党&進歩的知識人対反共産党&反進歩的知識人の争いにつき
る。そしてその主要な論点は共産党&進歩的知識人の態度批判であり、
その面において福田恆存も吉本隆明も全学連幹部も一致している。し
かし共産党&進歩的知識人は現実の政治であるわけがない。現実の政
治はあくまでも国内では自民党政権、国外ではアメリカ・ソ連・中国
である。
結局日本の言論界は政治と文学というテーゼを叫びながら実際のとこ
ろは政治を無視していた、或いは全く見えていなかったのであり、戦
後日本は一貫して大衆主導の知識人不在の政治・経済であった。この
流れはこれからも変わる事はないだろう。
669吾輩は名無しである:04/03/24 10:55
二葉亭四迷「平凡 私は懐疑派だ」講談社文芸文庫
「平凡」はまさしく牛の涎のようにだらだらと書かれているわけだがすらすら
読める。現代を生きる私達にとっては、牛の涎のような文章がかえって明治と
いう時代を体感させてくれる。
近代文学幕開けの時期から、作家を世俗世界の価値尺度ではかりくだらない職
業と書いた小説が現れそれが今でも相当の評価を受けていることからして、そ
もそも日本には近代小説なるメディアを受け容れる土壌は無かったのかも知れ
ない。にもかかわらず近代小説なるものを構築しようとした戦前の作家群はそ
の作品の評価は別にしてやはり近代国家建設の礎を担った獅子だったのだろう。
670吾輩は名無しである:04/03/24 11:37
井伏鱒二「黒い雨」新潮文庫
いつも思うがこういう本は戦争を知らない世代が戦争に興味を持つきっ
かけになるのではないのかと疑問に感じるのだがそういうことではなく
つまりこの種の本は戦争を知らない世代の人間にある種の超自我を植え
つけることに成功しているのである。ただし成功例は少なくこの本が成
功しているのかどうかは私が言及すべきことかどうかは疑わしい。
671美香 ◆FE5qBZxQnw :04/03/24 15:02
「劇場への招待」(福田恆存/新潮社)絶版
→初体験をしました。26年生きてきてはじめて、ほんとに落丁の本なんてあるんだ……。
それもいちばん読みたかった「戯曲文学の限界」というところを中心に15ページ。
初体験をして人間は変わるといいますが、わたしもこれから古本を買うとき
落丁に注意するようになるのでしょう。落丁を人生で一度も経験せぬものは幸いである。

で、落丁部分を抜かして読了。といっても、この本の半分以上は「演劇入門」>>611
と同じ内容。それなのになぜ買ったかというと「戯曲文学の限界」というのが
気になったから。その章では、まずモーリヤックの心理小説「テレーズ・デスケルゥ」
の冒頭を引用することからはじまる。つぎに戯曲ではどうしてもできないことを
説明する段になって……落丁なんだから。その先が気になって仕方がない。

この本から福田さんの言葉を引用してもいい?
「わたしはあらゆる論争において、ヒステリー症状など呈したことはない。
いつも論争のときは気軽に『にやにや』しながら書いてをります。
論争は私にとっては気散じでありますから」
吹き出した。「にやにや」だってさ、まるで2ちゃんねらーじゃない。
わたしも「言い争い」になったときはいつも「にやにや」しながら書き込んでいるけど。

ところで落丁本って古本屋のチェックミスだよね? 
着払いで送ったら返金してもらえるはず。
どうしようか迷っている。たった300円で買ったんだけど。
雑談になるとあれだから質問スレで聞いてみます。
672吾輩は名無しである:04/03/24 16:28
福田恆存「シェイクスピア」「サルトル」「チェーホフ」「ガーネット」
福田恆存全集

戦後まもない頃に既にこれほどまでの西欧作家論があったとはという驚き
の感で一杯である。
「サルトル」は自己の社会における座標軸と他者との関係性を失った人間
の孤独が評論というスタイルで物の見事に表現されている。解りやすく言
えば精神分裂病患者の世界を描いている。
「サルトル」を読めば、福田恆存の「人間この劇的なるもの」の世界観が
非常に良くわかる。近代的自我というテーゼをつきつめれば存在(構造)
しか結局のところ存在しない。したがって、吉本隆明なら「関係の絶対性」
「大衆の原像」、柄谷行人なら「交通」、そして福田恆存の場合は「絶対
者」というフィクションを介してこそはじめて思想・文芸理論が成立する
ことになる。
おそらく「関係の絶対性」「大衆の原像」「交通」の方が「絶対者」より
も一般の人にとってはさも自明の如く受け容れられる居心地の良いフィク
ションであることは間違いない。が、われわれが生きる近代国家において
個人主義を成立存続せしめんためには理論的には「絶対者」というフィク
ションこそが尤もふさわしいのではないかと私は思う。
しかし実際のところ福田恆存の読者で「人間この劇的なるもの」的世界観
を読解し理解できても、その世界観を渇望し或いはその世界観に随って生
きている人はほとんどいないだろう。
福田恆存の世界は思想として読むと同時に読者も福田恆存と同じような経
験をしていなければ完全に読み解く事はできない。その分水嶺が福田恆存
の戯曲を苦もなく楽しみながら読むことができるのか?というところにあ
る。いわゆる政治的立場で福田恆存を評価する人達(西部邁、西尾幹二の
読者)はほとんど福田恆存の戯曲を理解できないだろうと思う。
673吾輩は名無しである:04/03/24 20:56
福田恆存「芥川龍之介と太宰治」第三文明社 レグルス文庫
福田恆存の文芸評論のなかで唯一絶版になっていない文庫本。
市場原理の働かない創価学会の啓蒙文庫だからこそ絶版の危機を免れたと
いうのは悲しい話だ。
日本の文芸評論は小林秀雄以来、該当作家・作品を読まずしても読めると
いう特異なメディアである。しかし芥川龍之介と太宰治はメジャーな作家
でありほとんどが文庫化されており、高校生レベルでほぼその全作品を読
む事ができる。したがって、芥川論・太宰論はその評論文学自体の評価と
ともに芥川・太宰を本当にうまく捉え論じきっているのかという評価も同
時にできる事になる。
で、福田恆存の芥川論・太宰論はどうなのかと言えば芥川に関してはあま
りにも美化し過ぎている。たんに芥川を出汁につかって自分の書きたいこ
とを書いたとしか思えない。またこの芥川論は後の「芸術とはなにか」「
人間・この劇的なるもの」を読んだ後でなければ読解不可能だと思う。
太宰論については私は太宰の本はあまり読んだ事がないので評価の仕様が無
いのであるが、太宰フアンによれば福田恆存の太宰治論は秀逸だそうだ。お
そらく太宰を読む感覚でそのまま読めるから秀逸なのだろう。
674吾輩は名無しである:04/03/24 22:40
福田恆存「総統いまだ死せず」福田恆存全集
一応日本文学大賞を受賞した作品。

劇の中で劇をするというのは典型的な前衛劇なわけだが、そんなものは劇で
はない。そもそもこの作品で表現したかった事は演劇というメディアをもち
いる必然性はあるのか?

ヒトラーはヒトラー自身ではない、彼は自分自身を材料にして、自分以上の
ものを刻もうとしていたのだ、自分の能力、自分の生身の存在以上の何物か
の替玉だったという事になる
ヒトラーはナポレオンの、フリードリヒ大王の替玉だったのだ、そしてナポ
レオンやアレクサンダー大王の替玉だったのだ
唯確かなる事実は、歴史が、民衆が満たされない自分の欲望の生贄として次
次にアレクサンダーの替玉を作り上げるという事だ
世界史的個人は自らの目的と使命とを、現に存在する秩序によって是認され
た穏やかな自然の成行から引き出したのではなく、その成行の根底に身を潜
めていて内なる「精神」から引き出したのである、それ故、我々は彼等を英
雄と呼んでいいのだ、そしてその「精神」は、薄っぺらな貝殻にでも突き当
たる様に外面的世界に突き当たり、それを粉々に破壊してしまうであろう

これらのせりふを表現したいのであれば劇作というスタイルではなくヒトラ
ーを論じる文芸評論というメディアの方が向いているような気がする。

劇の中で劇をする劇は必ず最後に思想を持ってこなければ劇の収集がつかな
くなる。たとえクライマックスのせりふの中に思想的言辞が無くとも、やは
りその手の演劇には観客がほぼ推測しうるであろう思想が隠されている。

ただ現代演劇はそもそも観客にカタルシスを与える事ができないことに対す
るパロディーなのであると考えれば「総統いまだ死せず」は戦後の日本の演
劇界では高い水準にあることは間違いない。

675吾輩は名無しである:04/03/25 20:37
宮本輝「道頓堀川」新潮文庫
場末の人間のけなげな生き様を場末の人間の立場にたって書かれた作品。
あわく美しく人間愛的なものを感じる作品だ。
宮本輝の作品のあわい美しさなり人間愛的なものを感じさせる要因は
第一に自分を高みにたたせて書いていないこと
第二に人間の他人に対するやっかみ、蔑み、憎しみといった悪の要因を
オブラートにつつませるなり思想を介して美しく装うといった文章作法
をとらずにそのまますっぱり削除しているからだと思う。ただ人間の悪
の要因を感知することができるからこそそれを作品の中から削除するこ
とができるのであり、実際の宮本輝氏は案外賤しい心性の持ち主なのか
も知れない。もっともそれは作家をやる上で極めて重要なファクターで
あるが‥。
676美香 ◆FE5qBZxQnw :04/03/26 12:12
「観客席から・芸術エッセイ」(遠藤周作/番町書房)絶版
→こんな本があったとは! 遠藤周作の演劇論・映画論。論というほどでもないかな。
驚いたのは、ぜんぶ福田恆存の受け売りだということ。まったく同じことを言っている。
実際、福田恆存の名前が何度もでてくる。へー、このふたりに交際があったなんて。
映画は観客の精神を麻痺させるだの、演劇は観客が作るものだの、福田恆存とおんなじ。
たださすがカトリック作家だなと思ったことは、悲劇と聖書を比較しているところ。
福田恆存は悲劇を「葬儀」のようなものだと言っている、そのときハムレットは
生贄となることで観客はカタルシスを感じる。遠藤周作は聖書のなかのイエスも
おなじ構造のもとにあると指摘する。なるほどなと感心した。
「小説作法と戯曲作法」という章が興味深かった。「黄金の国」という戯曲を
書いたときの苦労を書いたもの(ちなみにこれは福田恆存の劇団「雲」で上演された)。
引用。「もともと私には劇とは何らかの形で、人間と人間を越えた超絶的なものとの
関係から生まれねばならぬという考えが心の底にあった」。ふーん。
さて、その「黄金の国」はどんなものだろうと読んでみる。

「黄金の国」(「遠藤周作集」大光社)絶版
→遠藤周作の代表的な戯曲。第二稿を福田恆存に見てもらったら笑いながら言われたという。
「カンシンですな」と。続けて「カンシンは感心ではなく寒心ですが」。
遠藤周作は悔しがってまた書き直したとのこと。
そんな遠藤さんの苦労の結晶をいざ読んでみると、ぜんぜんだめ。
セリフはどれも説明的過ぎるし、人物の造型もありきたり。
何より良くないのはセリフが観念的・思想的すぎること。
なんで九州の百姓が神学論を述べちゃうのよ……。小説だったらなんとか我慢できるけど。
テーマは遠藤周作の代表作「沈黙」とおなじ。キリスト教迫害時代の長崎。
踏絵のうえに足を乗せることをイエスは許すのかと悩みつづける宣教師の物語。
むかしは「沈黙」なんぞで感動したけど、いまはぜんぜん。
気持ち悪くて身震いするようになってしまったのはどうしてだろう。
資料館にある踏絵を足蹴にしたい、教会につばを吐きかけたい、そんな読後感。
677吾輩は名無しである:04/03/26 20:42
デカルト「方法序説」岩波文庫
「われ思う、ゆえにわれあり」よりも
「われわれは、目覚めていようと眠っていようと、理性の明証性による
以外、けっしてものごとを信じてはならないのである。そして、わたし
がここで、理性の、と言って、けっして、想像力とか、感覚と言ってい
ないことに注意してほしい。たとえば、われわれは実に明晰に太陽を見
るけれど、だからといって太陽が見ているとおりの大きさであると判断
してはならない。またわれわれは、判明にライオンの頭をヤギの胴体に
つなぎ合せたものを想像できるが、だからといってこの世にキマイラと
いう怪物がいると結論してはならない。というのも、理性は、われわれ
がこのように見たり想像したりするものが真であるとは、決して教えな
いからである」
の方が目にとまった。
デカルトは近代合理主義、理性の発見と同時に人間の経験・感覚・想像
・類推から導かれる世界とは別個な普遍世界をも発見したのである。
デカルト発の近代合理主義も理性も現代においては批判の矢にさらされて
いるわけであるが、普遍世界という概念が無ければ構造主義は成立しない。
構造主義は今でも一応存続している。
デカルトはやはり偉大な西洋近代哲学者である。文学でも哲学でも先駆者
は後世に生じた論点について多かれ少なかれ論じているとまでは言わない
までも一応はおさえているのである。
678白石昇 ◆T9hpXq3U/6 :04/03/26 23:20
03月10日 存在のあり得た可能性   プラープダー・ユン/宇戸清治訳 新潮2004年3月号
679美香 ◆FE5qBZxQnw :04/03/27 10:21
「ある戦中派」「わが顔を」「平和屋さん」」(「遠藤周作集」大光社)絶版
→テレビドラマシナリオ。これを読んだひとが日本に何人いるんだろうと思うと、
なーんか優越感なわたくしは間違っているのか? ほんとうはストリンドベリの
小説を読むはずだったんだけど、あまりに濃そうなのでプチ逃亡しました。
で、シナリオ。おもしろかったです。すらすらと読めた、氏の中間小説と同様に。
遠藤周作という作家は言いたいことがあって創作をしているのだなと改めて確認。
テレビドラマでも戯曲でも小説でもエッセイでも。
評論という形でも言えることをわざわざ小説やテレビドラマにしているというのか。
たいがいの作家は「言いたいこと」がはっきりとはわからない、
だからこそ小説を書く、わからないところからどっこいしょと小説を書き始める。
だけど遠藤さんは違う。かなり頭の中でできてしまっている。
頭が良すぎると小説家にはなれないというけど、遠藤さんはぎりぎりのところかな。
実際、遠藤周作は文芸評論から文学活動をスタートしているわけだから。
そのせいかどうか、遠藤さんの小説は非常に図式的。
Aという考えがある。それとは反対のBという考え方(人物)。
このAとBを闘わせて、AでもBでもないCにすることが小説だと考えている。
……おっとテレビドラマシナリオの感想からだいぶ飛躍してしまったようです。

「親和力」」(「遠藤周作集」大光社)絶版
→戯曲。そこそこ楽しめた。これよりよっぽどひどい戯曲をいくつも読んでいるから。
内容? 男女の三角関係。男、妻、愛人。妻と愛人は同窓生。ありがちなんて言わせない!
680吾輩は名無しである:04/03/27 17:31
ゲーテ「若きウエルテルの悩み」新潮文庫
最初はウエルテルという若者の恋心による一方的妄想話だと思って読んで
いたが後になってロッテもまんざらでもなかったことがわかる。
ロッテとだんなとウエルテルの三角関係を解消させるためには、誰かがそ
の場を去るしかない。したがって、ウエルテルがその役目を担ったのは間
違ってはいない。しかし、ウエルテルの場の去り方は自殺というあてこす
りであり、それはウエルテルが愛したロッテに対して生涯汚らわしい破廉
恥な印象を植えつけさせてしまった。
結局はロッテの優柔不断な男性を弄ぶ心がウエルテルを自殺に追いやり、
結果自らも淑女から破廉恥な女にさせてしまったのだ。

と感じたが、保田與重郎のようにこの作品書いた筆者ゲーテの視点を考
えればまた変わってくる。おそらく真実のウエルテルは女性との全くか
見合わない妄想恋愛を貫き野蛮な略奪愛という実行すらできず精神的に
発狂して自殺したのだ。ロッテはウエルテルに対して一社会人として単
に丁寧に接していただけにしか過ぎない。

しかしその真実がそのまま露呈されたらウエルテルはあまりにも惨めで
不憫である。そこで強引にゲーテはロッテもウエルテルの事をそこそこ
好きだったという設定に話を作り替えたのだ。

保田與重郎流に倣えば「エルテルは何故死んだか」ではなく「ロッテも
何故まんざらでもなかったのか」という事の方が近代小説の祖を解読す
るにあたって重要なテーゼのように思われる。
681吾輩は名無しである:04/03/27 21:13
岡本麻子「竹内好の文学精神」論創社
竹内好の評伝でも読むかと思って軽い気持ちでアマゾンで注文した本。
筆写の博士論文らしいが、とても博士論文とは思えないほどの駄本。
一応博士論文なので、「ナショナリティへの固執や、生活者としての
成立の底に流れている竹内の思想のダイナミズムは、自らを外的に規
定する秩序から自由になることを求めて、既存の価値秩序を無化し、
新たな価値の創出の場を獲得しようとするところにこそあるのである。
本書は、そうした竹内の思想的核心が持つダイナミズムを、彼の文章
に徹底して内在する方法によって、掴み出そうとするものである。」
との論文のテーマ設定はあるが、そのテーマに対してなんら具体的な
答えが無い。しかも大学生の論文作成の常套手段(引用文に対する見
解に自己の見解ではなく、引用文の元本の他の部分を使用する。)の
乱発、日記や手記による主著分析(日記や手記が公開されているので
あれば、それを学者がやる意味は全く無い)と論文作成上のよくある
典型的な欠陥を抱えている。

まことにもって文学部の学者というのは駄文を書いて金を稼いでいる
ものだ。そして一部の人にボロカスに言われている福田和也やスガも
やはりプロなんだなあとつくづく思った。もちろん竹内好も。
682吾輩は名無しである:04/03/28 14:24
新渡戸稲造「武士道」岩波文庫
日本は未開国でないことを証明するために西欧人向けに書かれた本。
日本の武士道(あくまでも新渡戸の考える武士道だが)の中から西欧文化
との共通点を探し出し、だから武士道はすごいんだ、日本は未開国じゃな
いんだという本書の発する雄たけびには、近代日本黎明期の獅子の幼稚さ
と恐れを知らぬ厚顔無恥さ双方が垣間見える。
やはり世界的に思想・文学を流布させるためには、真理性・普遍性も大切
だが、誰でも解る幼稚さ、誤謬を指摘される事を恐れぬ厚顔無恥さが必要
だ。
683吾輩は名無しである:04/03/28 17:30
そうだね
684吾輩は名無しである:04/03/28 20:24
川端康成「みずうみ」新潮文庫
変態男の妄想の世界を綴ったもの。
最初トルコ風呂の話から始まるので、最後はまたトルコ風呂に戻って、
今までの話しは過去の話しの回想でしたで終わるとおもいきや、そう
ではない。現実世界と妄想世界の区別をはっきりさせないという小説
技法の上では面白い作品だ。
しかし物語としては如何せん面白くない。川端康成はおそらく性倒錯
者なのだろうが、倒錯者らしくその倒錯っぷりを充分に楽しんでいな
い。どこかで守っているところがある。この守っているのがうまく働
けば雪国のような素人目には美しい世界を描きだしてくれるのだが、
うまく働かなければ作家の特権意識、知的スノッブのみが露呈される
醜い作品になってしまう。この作品がその典型例だ。
685吾輩は名無しである:04/03/28 20:34
志賀直哉「和解」新潮文庫
父との和解にいたるまでの話しを気分の快不快という尺度でのみで
描ききる。当たり前のことであるが、人間関係の回復は気分だけで
なく様々な要因がからむのであろうが、それを徹頭徹尾気分という
尺度でのみで描くところに、ある面で志賀直哉という人のポリシー
を感じさせる。
文芸批評の世界ではこの作品は大抵槍玉にあげられる。確かにその
通りだと思う。その上物語としても面白くない。全くもって救いよ
うのない小説だ。
しかし志賀直哉のポリシーを現代の女流作家がそのまんま真似れば、
なかなか面白い物語ができるのかもしれない。
686吾輩は名無しである:04/03/29 17:47
宮本輝「幻の光」新潮文庫
人間の不条理な死をめぐる生者の回想の短編集。
その死についてのあからさまの悲しみ・情念が奇妙に抑制された回想は
やはり不自然であり、その不自然さがなんともいえない恐怖感を感じさ
せてくれる。
この小説は現実に不幸な人にとってはかけがえの無い一冊になるのかも
知れないが、普通の人でかつ感受性の豊かな人にとってはあまり楽しめ
る代物ではない。
この不自然さがもう少し無くなれば宮本輝は万人に受け容れられる作家
になると思うが、その時点で宮本輝の創作の磁場は空っぽになっている
だろう。
まあ私の感性には合わないし、かつ古今東西の名著に指定されている訳
でもないし、主要な文芸評論家が本格的に論じているわけでもないので、
もうこれ以上他の著作を読む必要もあるまい。
687吾輩は名無しである:04/03/30 15:25
夏目漱石「坑夫」新潮文庫
柄谷行人の文芸評論によく引用されているので、文学のお勉強のつもりで
読んだんだが、案外おもしろかった。文庫化が昭和51年と遅かったのは
やはり炭坑労働者に対する差別問題がネックにあったのかも知れない。
思うに、「坑夫」のような創作技法を用いれば白木屋やセガ等を題材にし
た現代版プロレタリアート小説が作れるかもしれない。
坑夫の主人公の視点は、知識人であり大衆でもある、企業の株価を左右す
る消費者でもあり労働者である二面性をはらんだ存在である現代日本人の
視点と似ているような気がする。
一流大学卒業してしばらくモラトリアムやって「起業家を目指さないか」
なんて言葉に騙されてベンチャー企業に入ったがそこは2ちゃんで有名な
DQN企業でしたなんて経験をした人は坑夫の主人公の気持ちがわかるか
もしれない。
688吾輩は名無しである:04/03/31 14:35
本年度も今日で最後。本年度最後の日にふさわしい本はなにかといろいろ
思案したが、結局温泉につかってゆったりするのが一番ってことで今日は
休読日。
689美香 ◆FE5qBZxQnw :04/04/02 10:18
「痴人の告白」(ストリンドベリ/山室静訳/「世界文学全集24」講談社)絶版

→ひとはなんのために小説を書くのか。
ストリンドベリはこの自伝的長編小説をただただ妻への復讐のために書いたという。
感情をなんの考慮・反省もせずに原稿用紙にたたきつけたような小説。
そのため全四部なのに、第一部だけで小説全体の半分までいってしまうという不均衡さ。
第一部は平民出身のしがない図書館職員の「私」が男爵夫人を横取りするまでを描く。
処女のようで、同時に母のような魅力をもつ男爵夫人への愛の軌跡。
第二部からは横取りした妻と結婚してからの憎しみの12年を思い返す。愛から憎へ!
「私」は妻がたくさんの男と不倫しているのでは、妻はレズでは、などと猜疑心にかられる。
やることといったらすごい。妻の手紙は無断で読むわ、盗み聞きはするわ。
それはすべて妻の不実を示す証拠を集めるためだから仕方がないと弁明する。
読者はこんな妻をもった「私」に同情してくださいと妻への憎悪をつづる。
復讐してやると妻の性器の形状まで暴露する。ストリンドベリの暴走はとまらない。
イプセンの新作戯曲が自分たちのことを書いたのではないかと疑い訴訟を起こそうとする。
690美香 ◆FE5qBZxQnw :04/04/02 10:20
ここまでくるとさすがに読者(わたし)もついていけなくなる。
ちょっと精神医学的な知識があれば、ストリンドベリが典型的な精神病患者だとわかる。
ここに書かれているのは、ストリンドベリの嫉妬妄想にすぎないではという疑いが生じる。
もしかしたら妻はまったくの無実ではと思いながら読み進むのはなんとも痛々しい……。
かわいそうな奥さん。「私」は結婚10年目に妻をはじめて殴る。その晩にエッチ。
既婚の男性諸君、妻はこうするに限るとストリンドベリは高らかに笑う。
こんなことを現代日本で書いたら女から八つ裂きにされるよストリンドベリさん。
この長編小説の最後にストリンドベリはこう言い放ち離婚する。

「これでこの物語は終わりを告げた。我が愛人よ、私は復讐した。
――これで二人はあいこだよ。―― 一八八七年九月〜一八八八年三月」。

驚くべきは、ストリンドベリがこの小説を(少なくとも)生前に発表
するつもりはなかったこと。それなのに半年もかけてこんなものを……絶句。
いやあ、文学ってすごいですねえ怖いですねえキチガイって。
この小説からの引用。「余は彼女を愛すればこそ憎む」。
とすればこれはかつてないほど壮大な愛の記録とも読めるわけである。
ここまで愛されたストリンドベリ元夫人は幸福だったのか不幸だったのか。
ストリンドベリ没後の研究の結果、元夫人は潔癖な人間であったことが証明されている。
691吾輩は名無しである:04/04/03 22:08
シェイクスピア 松岡和子訳「ぺリクリーズ」ちくま文庫
シェイクスピアがこんな戯曲を書いていたなんてはじめて知った。
まあおもしろく読めたが中身が軽いような気がした。
「近親相姦」という訳語はよくない。「近親相姦」という単語が文体の
リズムを狂わせている。もっといい訳語があるのではないか?インセス
トと訳する方がまだまし。
692吾輩は名無しである:04/04/03 22:23
カント「永遠平和のために」岩波文庫
国民国家を前提とした武力放棄の平和論。
日本国憲法9条の一切の武力放棄の条文はカントの当該本の思想が
念頭にあるのは間違いない。
カントの当該本に忠実に従えば、自衛隊の存在、自衛隊の国際貢献
についても詭弁を呈して合憲とし憲法9条は改定すべきではないと
いうことになろう。
それ程たいした内容の本だとは思わないがカントというネームバリ
ューが効いている。これが名も無き哲学者の著作であれば今なお影
響力を残し続けているとは考えられない。
693美香 ◆FE5qBZxQnw :04/04/05 05:51
「ペール・ギュント」(イプセン/毛利三弥訳/「世界文学全集24」講談社)絶版
→読書には二種類ある。
ひとつは名作とされているから、教養として、といった世間的な評価におもねってする読書。
もうひとつは、ただ単に自分が読みたいからというごくふつうの読書。
どちらが良いともいえない。というのも、なかばいやいや読んだ名作が予想外に
おもしろいことがあれば(「オイディプス王」「かもめ」)、世評がなんだと
無名の作品を読んでやっぱりつまらないんだなぁとがっかりすることもあるのだから。
今回、この戯曲を読んだのは前者の理由からです。
「現代演劇101物語」(新書館)という本を参考にして。
この本はギリシア悲劇からシェパードまで、演劇史上の代表作を101個選択して
コンパクトにまとめたものでたいへん役に立っている。
「ペール・ギュント」もこの本で取り上げられていたというのが読んだ理由。
感想。つまらない。わけわからん。解説によると、ノルウェイの民話が下敷きに
あるそうで、他国人には理解しにくいらしい。「人形の家」のような社会劇ではなく、
夢想劇というのでしょうか、夢の中を舞台化したような、そんなぼんやりとした戯曲でした。

「ヴァニティーズ」(ジャック・ハイフナー/青井陽治訳/劇書房)品切れ
→戯曲。アメリカ産。初演は1976年。これを読んだ理由は単純、泣きたかったから。
作者もタイトルも知らなかったけれども、裏表紙の解説を読むといかにもおもしろそう。
登場人物は女三人のみ(読みやすい!)。三場の劇。第一場はハイスクール卒業直前。
第二場はカレッジ卒業直前。第三場はそれから6年後。設定がうまいなと感心した。
青春の光と影みたいで、こりゃ泣けるぞとわくわくしながら読み始める。
……つまらなかった最後まで。なんでだろう。この設定だったらもっとおもしろく
できそうなもんだけどな。三者三様の女の生き方といわれてもね、感動したいんだからわたしは。
アメリカでは当時、大ヒットしたらしい。日本でも何度も上演されているみたいです。
694美香 ◆FE5qBZxQnw :04/04/05 06:42
「ウィングス」(アーサー・L・コピット/額田やえ子訳/劇書房)品切れ
→戯曲。アメリカ産。初演は1978年。わたし、がちがちの古典主義者みたいに
某スレで言われたけど、そんなこともないような気が……。ま、いいけど。
読んだ理由? ブックオフで百円だったから(書き込みあり)。おっと、それは
買った理由か。とすると読んだ理由は、うーん、なんとなく。劇書房つながりかも(w
内容は「障害者もの」。概して障害者ネタはつまらない。というのも、ドラマの
おもしろさは人物と人物の葛藤から生まれるものなのに、障害者ものは人物と
その身体障害の葛藤に焦点を当てようとするから。
ところがこの戯曲は、と言えたらば良かったけど、「ところが」ではなく「やっぱり」。
やっぱりつまらなかったこの戯曲も。えーと、今回の主人公が乗り越えるべき障害は
言語障害。脳卒中とかの後遺症。最後には少し良くなる、そりゃ良かったね!
父親がそうなったという実体験があったらしい。だからといって同情はしない。
そういうものじゃない。

「娼婦がテニスをしにきた日」
(アーサー・コープイット/斉藤皆子訳/「今日の英米演劇4」白水社)絶版
→戯曲。アメリカ産。初演は1964年。読んだ理由は作者つながり(表記は違うけど)。
一幕劇。高級テニスクラブになぜか娼婦が18人もきて無断でプレイをはじめた。
きちんとしたテニスウェアなのはいい。しかし問題なのは下にパンツをはいてないこと!
このことに困惑したテニスクラブ経営陣が困惑する物語。
最後までなぜ娼婦たちがこんなことをしているかの説明はない。だから不条理劇なのかな。
なんかおもしろいの。どことはいえないけど。何回か吹き出してしまった。

「タイピスト」「虎」
(マレー・シスガル/鳴海四郎訳/「今日の英米演劇4」白水社)絶版
→戯曲。アメリカ産。初演は1965年。いやはや、アメリカという国はすごいね。
ぜんぜん期待もせずにただの時間つぶしに読んだのがこんなにおもしろいとは。
どちらも登場人物はふたりだけなので演劇学校の練習などによく使われるらしい。
「今日の英米演劇」はこの巻しか持っていないけどぜんぶほしくなってしまった。
695美香 ◆FE5qBZxQnw :04/04/05 06:48
>「娼婦がテニスをしにきた日」
>このことに困惑したテニスクラブ経営陣が困惑する物語。
あーあ。やっちゃった。
訂正)このことに困惑したしたテニスクラブ経営陣が繰り広げるどたばた喜劇。

どうでもいいけど、この「娼婦がテニスをしにきた日」。
ぐぐったら一件もヒットしなかった。これってめずらしくない?
696美香 ◆FE5qBZxQnw :04/04/07 15:48
「思想の達し得る限り(原名 メトセラ時代に帰れ)」
(バァナァド・ショウ/相良徳三訳/岩波文庫)品切れ

→戯曲。読み終えた自分をほめてやりたいほど退屈でしかも長い。
ゲーテの「ファウスト」に肉迫するつまらなさといったらわかってもらえる?
さらに「六箇敷い」を「むつかしい」とルビなしで読まなければならない鬼の旧仮名・旧字体。
昭和6年の翻訳で思いっきり直訳。中学生が訳したのかと思うほど稚拙な翻訳文。
意地ですよ意地、読み通したのは!
全五部。第一部はアダムとイブがでてくる。徐々に年代が上がっていき、
第五部ではなんと西暦31930年。しっかり数字を数えてくださいよ。
内容もおよそ戯曲らしくない。でてくるひとがみなさんよく話すこと。
生命について、宗教について、科学について、よくもまあペラペラと。
物語のスタートはもし人間が300年生きることができたらという発想。
なんかよくわからないけど第五部では800歳の老人が登場します。
いやはや、これを読んだ後ならどんな本でもおもしろく感じられそうです。
この本、わたしは330円で買ったけど古書店では1500円なんぞつけているところがある。
ほんと本って価格と内容がつりあわないものですね……。
697白石昇 ◆T9hpXq3U/6 :04/04/08 23:52
04月08日 オリエント急行の殺人   アガサ・クリスチィー/長沼弘毅訳 創元推理文庫
698吾輩は名無しである:04/04/09 00:03
アガサ・クリスティーは最後のページから書き始めたらしいし
赤川次郎や内田康夫はトリックも何も考えないまま事件を起こすらしい。
エンタテインメントの人々もすごいと思ふ
699白石昇 ◆T9hpXq3U/6 :04/04/09 00:11
>>698

 うん。何十年も残る物を製作できる人はやっぱり凄いです。
700美香 ◆FE5qBZxQnw :04/04/13 08:42
「踏み越えるキャメラ」(原一男/フィルムアート社)*再読
→原一男は「ゆきゆきて、神軍」「全身小説家」などで知られている映画監督。
副題に「わが方法、アクションドキュメンタリー」とある。原一男はいう。
表現をするとは何か。私たちが生きている日常。この日常というのは監獄のようなもので、
常に私たちを縛りつける、不自由にする。表現とはそこから解放されたい、
自由になりたいという欲望に他ならない。だからキャメラをもったと原一男はいう。
キャメラをまわす。すると日常が変質する。ひとはキャメラのまえで演技をするからである。
かっこよく見られたいという思いはもちろん。お墓のまえでは泣き、不正には怒る。
ふだんはなあなあで済ませていたものに真っ向から向き合うことをキャメラから求められる。
だれにだって「かくありたい」という自分がある。キャメラがその欲望を刺激するわけである。
したがってかれはキャメラがなかったらできないようなことまでやってしまう。
すると劇的なシーンが生まれる、それを原一男は撮りたいのである。
過激なものを、劇的なものを、なまの人間の葛藤を原一男は撮りたいのである。
表現は社会に向ける刃(やいば)と考えればこそである。
そのときキャメラは武器となる――。

この本を読んだのは何回目だろう。赤線や書き込みがたくさんある。
表現におけるわたしのお師匠さん(というのか?)は原一男さんかもしれない。
といってもむかし数日間の映画セミナーのようなものに参加しただけなんだけれども。
アジテーションがうまいんだ、このおっさん。こんなことを言っていたな。
もやもやした思い、あるだろう、それをすっとさせるために表現をするんだ。
自殺したい、ひとを殺したい、そういうネガティブな思いが表現を生み出すんだ。
で、キャメラを持とう町へ出ようとアジる(w
だけどさ、うーん、確かに原一男さんの方法がすごいのは認めるし敬服もするけど、
おんなじことをやってもつまらない、コピーになってしまうと思うわけ。
じゃあ、何をおまえはやっているんだと聞かれたら自己嫌悪を吐露するしかない……。
701美香 ◆FE5qBZxQnw :04/04/13 09:27
「ドキュメント ゆきゆきて、神軍」(原一男/教養文庫)*再読
→同名映画の制作ノートと採録シナリオ。
これを読んだら映画が何倍もおもしろくなると思う。
えーと、「ゆきゆきて、神軍」という映画の主人公は奥崎謙三。
奥崎謙三は戦争中、自らもいたニューギニアでの不法な部下の処刑、人肉食を追求する。
映画のラストには奥崎謙三が元・上官の息子に発砲して重傷を負わせたという新聞記事。
わたしが原一男さんから影響を受けたのは二点。
まず、ひとつの表現をしようと思ったら10年かけるつもりでやるということ。
もうひとつは、表現をするためなら何をやってもいいということ。
この「ゆきゆきて、神軍」は撮影をはじめてから完成するまで5年だってさ。
それと、あともうひとつ。この映画の撮影中に奥崎謙三から元・上官を殺すシーンを
撮ってもらえないかと原一男は頼まれたという。即答はできなかったらしいけど、
それからずっと撮るべきか悩みつづける原一男さん……おいおい!
もっとやばいのはこう述懐する原一男。
「奥崎さんもアホだよな。オレに撮らせたかったら、オレに話なんかしないで、
現場へ行っていきなり殺っちゃえばいいんだよ。そうすりゃあオレは、結果として
無我夢中で撮ってしまうと思うよ」(55ページ)。


「全身小説家」(原一男/キネマ旬報社)*再読
→同名映画の制作ノートと採録シナリオ。
この映画の主人公は文学者・井上光晴。ガンで死ぬまでを描く。
あといかに経歴が虚偽だったかを入念なインタビューで暴いたり。
関係者でこの映画を見て愉快な気分になったものはいないのでは……。
最後の撮影なんて修羅場だったろうと想像できる。
原さんとしては、死をまえにした井上光晴の姿を撮影したい。
でも家族としては、そんな寿命を縮める映画撮影などしてほしくないのは当然。
そんな中にキャメラを持って行くんだから、並みの神経じゃできません。
いや、しかし、表現のためだったら、表現とはそういうもんだろうとつぶやく鬼才・原一男は是か非か。
702美香 ◆FE5qBZxQnw :04/04/13 09:56
「小説の書き方」(井上光晴/新潮選書)*再読
→恥ずかしいな、赤線がたくさん引いてある。
よし、恥をさらそう。どんなところに5年前のわたしは赤線を引いたのか。
「いいたいのは、(僕が)漠然と小説家を志望してそれで作家になったわけじゃない、
ということです。ぎりぎりの状況を逆転して前にすすむために、小説を書くしかなかった。
物語の原点はそこにこそ存在する。その意味をはっきりつかんでほしい」
「物語を書くというのは、自分と世の中との関係を新しく作るということです」
「つまるところ、表現とは生き方なんだな。自分の生き方を離れて、
表現の技術だけが一人立ちして歩くわけじゃない。先にも話した通り、
自らの原体験を持続して離さない。その姿勢と思想が表現になって形成されて行く」
「フィクション(虚構)の本質をひと口でいうと、現実よりも激しい物語を
作ることなんですね。事実より強い嘘を吐けるかどうか」
どれもなるほど至極のオコトバ。
ただ例として引用するご自分の小説がどれも、その、言いにくいのですが……。

「辺境」(井上光晴/集英社文庫)絶版
→短編小説集。原一男の映画でだいぶまえから作者は知っていたけれども、
作品を読むのはこれがはじめて。どれもつまらない。
映画で見た作者はあれほどおもしろかったのに、作品はどうしてこんなに……。
くどい風景描写、いかにもな情緒的表現。
はいはい、たしかに文学ではございますね。ただし古き悪しき時代の。
被差別者の暗い情念。作者の売春婦への過剰な詩的ともいうべき思い込み。うんざり。
「小説の書き方」なんて本をだしているのなら、どれほどすごい小説を書くのかと思ったら。
703吾輩は名無しである:04/04/16 03:23
美香さんってずっと本を読んで生活しているの?
いいなーそういう生活してみたい。
704吾輩は名無しである:04/04/16 03:37
>>702
「物語」の意味から出なおした方がいいよ
705吾輩は名無しである:04/04/16 03:54
美香って高遠の弟が好みなんだよ。趣味わるっ
706緑の松:04/04/16 19:31
スティーヴン・キング&ピーター・ストラウブ
「タリスマン」 新潮文庫

12歳の少年がある大きな宿命を胸に抱えて、
アメリカを横断するファンタジー&ロードノベル。
世界一たくましい12歳にならざるを得なかった
成長の物語でもあります。

707美香 ◆FE5qBZxQnw :04/04/19 09:45
「虚構のクレーン」(井上光晴/新潮文庫)絶版
→この小説を読んで戦争は良くないと思いました。
炭鉱で在日朝鮮人の人が差別されていたことを知り悲しくなりました。
差別はいけません。けれどもこの小説には戦争を扱っているのに明るさがありました。
戦時下でも若い人の青春のエネルギーは抑えきれないのだと楽しくなりました。
最後、「芹沢治子」さんが長崎の原爆で生死不明になるのには泣いてしまいそうになりました。
パパに連れて行ってもらった長崎の原爆資料館のことを思い出しました。
テレビを見ると今もイラクで戦争のようなことが行なわれているようですが、
すぐやめるべきだと思います。なぜ話し合うことができないのでしょう。
日本はもう絶対に戦争をしてはいけないとこの小説を読んで強く思いました。
自衛隊のことなどまだわからないことが多いけど、これから勉強していきたいです。
XX小学校3年1組 美香

「死者の時」(井上光晴/集英社文庫)絶版
→なんかさ、もううんざり。
部落民や鮮人といった被差別者の苦しみを描けばそれが文学になるとでも?
あまりにも安易。舐めきっている。
そりゃ差別は良くないよ、かわいそうだね、不当な差別を受けて。
だけどさ、それを書いて、はい、文学でございー、というのはどうなの?
差別を告発する? 天皇制を問う? ずいぶん楽ちんな小説だこと(w
被差別者の嘆きや怒りを書くなんて、何も書くことがない作家志望者がまずやる手法。
たとえば部落出身の中上健次は一言も差別反対だなんて甘っちょろいことは書いていない。
あ、これがどういう小説かって?
部落民の青年が天皇万歳と特攻隊として出撃していく小説です。読みたい?
708美香 ◆FE5qBZxQnw :04/04/19 10:30
「地の群れ」(井上光晴/河出文庫)絶版
→井上光晴の代表作。舞台は長崎。この小説で目をひいたのは「ピカドン部落」。
原爆被害者がよりそって暮らす集落のこと。てっきり実在したのかと思っていたら、
解説を読むとなんとフィクションとのこと。やられた、「うそつきミッちゃん」に!
ピカドン部落の青年。全身に(原爆後遺症の)ケロイドがあり嫁のきてもない。
たまる性欲。当たり前のように部落民の少女をレイプ。このことを誰かに話したら、
おまえが部落だとばらすぞと脅しながら。さて、このことに気づいた少女の母親が、
犯人の青年をつきとめ深夜その家を訪問する。しかし青年もその家族も知らんぷり。
母親は騒ぎ立てる。集まってくるピカドン部落の住民。
こんな真夜中にインネンをつけてくるとは、やっぱエタは怖かねと家族がいう。
切れた母親は言い返す。せせら笑いながら。
あんたらピカドン部落のもんが周囲からどう思われてるのか知らんとね?
ケロイドだらけで血もとまらん。あたいらエタはまだ人間だけど、
あんたらピカドン部落のものは人間でもない、穢(けが)れきっておると!
これを聞いて怒ったピカドン部落住民の投石により母親は死ぬ。
残ったのはピカドン部落民にレイプされ母親を殺されたエタの少女――。

「明日」(井上光晴/集英社文庫)絶版
→第29回青少年読書感想文全国コンクール・高校の部「課題図書」だそうです。
読書感想文ってむかし大嫌いだった。
だって感想なんて「おもしろい・つまらない」しかないじゃん。
だから感想文には決まって戦争物の小説を選んだ。「太陽の子」とか(w
とにかく戦争反対と書いていれば字数が埋まるから。
戦争反対! よーく考えよ、命は大事だよ♪ なんてさ。
教師集団もこれを「課題図書」にするとは読書感想文というものをよくわかっている。
この小説ほど感想文を書くのが楽なのはそうないのでは?
舞台は長崎、8月8日。原爆が落とされる前日の平凡な生活を描写する――。

井上光晴シーズンはこれにて終了。
忘れられた作家。読んでみたけど思い返す価値はなし。
作品よりも映画「全身小説家」で作者を楽しむべし。
それでは井上光晴さん、ご永眠ください。もう決して起こしませんから。
709白石昇 ◆T9hpXq3U/6 :04/04/20 17:10
04月20日 Sudden Fiction 2 超短編小説・世界編 ロバート・シャパード/ジェームス・トーマス編/柴田元幸訳 文春文庫
710コリン・タッジ:04/04/21 15:51
スティーヴン・キング&ピーター・ストラウブ
「ブラック・ハウス」上巻(新潮文庫)読了。
711美香 ◆FE5qBZxQnw :04/04/22 07:13
「これが答えだ!」(宮台真司/飛鳥新社)*再読
→宮台真司入門書。元・宮台信者なわたくし。
5年ぶりに読んだらなんとも恥ずかしい。
宮台真司は現代を「成熟社会」を定義する。
欠乏や夢を国民全員が共有できた「過渡的な近代」が終わった=
「終わりなき日常」が始まったと読者の不安を煽る。
宮台真司のすべての主張はすべてこの「成熟社会」からスタートする。
いまは有史以来特別な時代である、だから援助交際OK、だから専業主婦を廃止せよ、
だからドラッグを解禁せよ、だから人生に意味ではなく強度を求めろ、うんぬん。
でもさ、あはは、古典的な文学作品をたくさん読んでるうちに、現代もギリシア時代も
さほど変わらないような気もしちゃうわけで、相も変わらず人間は愛して憎んで
喜んで悲しんで自殺して他殺してということに気づくと、まあ、宮台真司が笑える。
宮台真司の決定的な特徴をひとつあげよといわれたら、まったく文学を読んでいないこと!
いままでの論者ってバカにするにせよなんにせよ、いちおう文学というものを
念頭においていた。でも宮台真司は最初から文学作品に価値など見出していない。
ここが宮台真司の長所でも短所でもある。
で、わたくし。信者ではなくなったけど宮台真司が嫌いになったわけではない。
煽り方がうまいなと感心する。あと造語能力は天才レベル。
現代の寺山修司とまで言ったら言い過ぎかもしれないけれども。
かれの愛読者がどんどん自殺しているという。
若者をがけっぷちに追い詰め背中を押す男・宮台真司にはこれからも注目したい。
712美香 ◆FE5qBZxQnw :04/04/22 07:47
「ウォーク・ドント・ラン」(村上龍 vs 村上春樹/講談社)絶版
→村上龍27歳、村上春樹30歳のときの対談本。
復刊ドットコムで復刊希望が出されるも作者が復刊をこばんだという伝説あり。
これを読んだらその理由がわかる、消したいよねこれは過去の汚点だから。
読書量&人生経験を身長にたとえたら、まわりがみんな背が高い(文壇!)なかで
チビのふたりが必死になって背を高く見せようとしている、そんな対談。
気のきいたことを言おう言おうとどちらも汗がでまくりなのがよくわかる。
僕、文芸誌なんて読んだことないです、僕もですその感性わかります……。
ふたりの話はまったくかみあわない。
どっちかが何かを言う、「それわかります」と引き取り、別の話をはじめるというループ。
この本をぜひ「13歳のハローワーク」「海辺のカフカ」を手にしている中学生やOLに読ませたい。
対談のはじめは「田舎者コンプレックス」の告白(龍も春樹も!)。
読みながら「痛いなぁ」と赤面したり吹き出したりもうたいへんなトンデモ本。
内容を一部紹介。龍、僕小説を書けなくなったら貯めた印税があるから
ハワイで気楽にサーファー屋でもやろうかと思っているんです。
いまはアルマーニを着て美食をあさる龍、僕ククレカレー毎日食べています、
女房が食事を作ってくれないから、でもククレカレーおいしいです、僕中産階級だから。
春樹、僕頭を下げるのって大嫌いなんです、だから作家になったのかもしれません。
春樹、誰とでも寝る女の子が大好きなんです、横にいると癒されるから。
これ以外にも笑えるところは数知れず、読むべき、龍や春樹の実像がよくわかるから。
読了して思ったこと。人間ってふしぎな生き物。
こんなありふれた兄(あん)ちゃん二人も、本が売れてまわりから天才扱いされると、
ちゃんとそれに見合った演技をできるようになるんだなぁ……。
ブックオフ百円本。二冊持っているから誰かにプレゼントしたい。
713閑話休題 ◆K9kCbDNrVU :04/04/22 20:18
>>712
よさそうですね。
それ読んでいませんが、さもありなんというか。
そんなに笑わせてくれるなら読んでみたいです。

龍ファンの女の子から勧められて、
『コインロッカー・ベイビーズ』を「買って」読んだときに、
「金返せ!」
もとい、金払って勉強「させていただきました」。
と拳を握りしめたものでしたが。

『ウォーク・ドント・ラン』
これを読めば、その元は取れるでしょうか。



※上げようと思って上方スレ見たら、今はとても無理です。
714閑話休題 ◆K9kCbDNrVU :04/04/22 20:22
タイムリーすぎて。
わたくしではありません。(↓)
http://book2.2ch.net/test/read.cgi/book/1082113700/204
715吾輩は名無しである:04/04/22 22:36
>>712
下品な女だな。

いつか、あんたも自分の過去ログ
読みながら「痛いなぁ」と赤面したり吹き出したりもうたいへん
になれるといい。
716純文学団長 ◆xyX.vGXBSY :04/04/22 23:18
>>716
下品な男だな。
いつか、自分の過去ログ
読みながら「痛いなぁ」と赤面したり吹き出したりもうたいへん
になれるだろうと思う。
717吾輩は名無しである :04/04/23 02:33
基地外?
718なお美 ◆CWSXaXEcqU :04/04/25 12:26
『エロ本』 ノート=ウドム・テーパニット著 白石昇事務所
タイの有名芸能人が書いてベストセラーになった本。
でも著者を知らない私にはタレント本として読んでもおもしろくない。
タイの現代風俗ガイドとしても、タイには何の興味もない私には
(ごめんなさい嘘はつけない)つまらない。
だから私はこの本を幻想文学として読んだ。
架空の人物の書いた架空の本の註釈本として。
ボルヘス・ナボコフ・レムの世界だと。
すると見えてくる。食材を惜しみなく使って作ったソムタムを、
損得を度外視して売る母のごとく、自らの芸を出し惜しみせず大衆に
提供するひとりのお笑い芸人の姿が。有名になっても自分を見失わず
真の幸福とは何かを知るひとりの若者の姿が。

訳者は『抜塞』で日大文芸賞を受賞し、タイでは著者のブレーン
でもある言語藝人・白石昇氏。
タイのサブカル案内人として私たちは最適の人物に恵まれた。
719吾輩は名無しである:04/04/25 15:21
NGワードを美香にすると、ホントにいいスレ(塩味)だね。
720美香 ◆FE5qBZxQnw :04/05/01 08:56
「三省堂百科シリーズ8演劇」(河竹繁俊/三省堂)絶版
→昭和30年出版、定価百円。50年近くまえの本なんだねこれ、百円で買ったけど。
大学生のころなんかはさ、一冊でも本を読むと(新書レベルでも)知らないことばかりで、
自分がたいそう賢くなったような気がしたものだけど、最近はぜんぜん。
さらーっと読んで、ぽいって感じ。だけどこの本、悪くないよ。
実にわかりやすい言葉で日本と西洋の演劇について教えてくれる。
特に日本の演劇について書かれたものがためになった。古臭いのはご愛嬌。
私たちは国家や社会、家族のためになる演劇を愛し、よりよき文化人になりましょう!

「演出のすすめ方」(野田雄司/青雲書房)
→演劇人ってバカだなぁと、これを読んでしみじみ思う。
演劇人の特徴。1、本を読んでいない。2、世界におけるわが演劇など肥大しがちな思考法。
3、演劇が社会のためになると信じている。4、貧乏を自慢する。5、自分が大好きである。
この本は最低。やたら本を読めとすすめるのだけど、そのすすめる本がどれも香ばしい……。
あ、こいつろくな本を読んでいないとわかってしまう。
そのくせ生意気に木下順二先生の悪口をいったり。おまえなんか足元にも及ばないのに。
立腹しつつ90分で読了するは188ページ。ブックオフ百円本だから許してやろう。

「演出のしかた」(倉橋健/晩成書房)*再読>>386
→久しぶりに演劇を観にいくことになってので、予習というのかなんというのか。
この本はいい。タイトルはああだけれども、演劇の楽しみ方の本としても読める。
倉橋健さん、早稲田の教授だったんだよね文学部。いちど講義を聴いてみたかった。
721美香 ◆FE5qBZxQnw :04/05/01 09:46
「ピグマリオン」(バーナード・ショー/倉橋健訳/白水社)絶版*再読>>434
→最初に読んだときの感想を読み返すと大絶賛している。
で、再読してみたんだけど、まあ、かなり笑えるんだけど、うーん。
人生の一冊とかにするには今一歩、力強さがないというのか。
ショーの作品の中でこれがいちばんおもしろいことには変わりはない。
戯曲の楽しさというより、小説的な楽しさがあるような気がする。

「絞首台のユーモア」(リチャードソン/倉橋健訳/「現代世界戯曲集」河出書房)絶版
→これね昭和44年の出版なのにぴかぴか新品同様。伝票?まで入っている。
どこかのお金持ちのおじさまが書斎に飾るために買ったのかな。
読まれないままおじさまが亡くなって、遺族が売り払いそれがわたしのもとへ……。
千円で買った。でも戯曲が11個も入っているからなかなかお得かもしれない。
なんでこれを読んだかというと翻訳者つながり。
ある翻訳者が訳しているのはおもしろいものが多いという法則ってなんとなくない?
だけど、これは失敗。無名の作品はやはりつまらないのかと落胆。

「東西演劇の比較」(毛利三彌・西一祥編著/放送大学教育振興会)絶版
→放送大学教材。これはいい! こんな本が埋もれているなんて放送大学!
考えてみたら、定年後の脳細胞が半分くらい壊死したご老人用に書いているのだから、
わかりやすいのも道理か。あとワイドショーに脳みそをふやふやにされた主婦とか。
まず日本の演劇の歴史。つぎに西洋演劇史。最後に比較。どれも実にわかりやすい。
知りたかったことがどれも解決した。日本の演劇はどこから起こったのか。
ギリシア・ローマ時代のあとシェイクスピアまでなぜ1500年近く演劇は沈黙していたのか。
その間にどのような演劇があったのか。などなど。
こんな良書がごく限られたひとにしか読まれていないのは残念というほかない。
722美香 ◆FE5qBZxQnw :04/05/01 10:58
【おまけ】1分でわかる日本古典演劇史♪

西洋の演劇が「ドラマ」(戯曲=言葉)中心であったのに対して、
日本の演劇は「プレイ」(上演=役者=動き)を重視する傾向が古来ある。
西洋演劇史が前時代の演劇の否定から連綿と形成されているのとは対照的に、
日本の演劇はつねに前時代の演劇の影響のもとに新しい演劇が生まれている。
日本における演劇のはじめは、岩戸に隠れてしまったいじけ虫のアマテラスオオミカミを
おびきだすために行なわれたアメノウズメノミコトのストリップショーである。
さて、日本の四大古典劇といえば舞楽、能楽(能+狂言)、人形浄瑠璃、歌舞伎である。
1)舞楽は大和時代に大陸から伝わった歌と踊りで、貴族からもてはやされた。
2)能は室町時代に武家から保護を受けた。猿楽(物真似芸)から発展したもので、
ここにして戯曲文学が誕生したと言われる。能は「幽玄」な歌舞を目指した。
世阿弥の「花伝書」は役者の心がけを書いたもので有名(役者中心の日本!)。
狂言は能と同時に上演されることが多い。
歌舞中心の能に対し、狂言はせりふと動きの寸劇である。
3)浄瑠璃は江戸時代に成立した。根にあるのは琵琶法師の「平家物語」か。
つまり語りものである。三味線の渡来とともに発達した。
これ(語り+音楽)に人形による動きをつけてみたものが人形浄瑠璃。
町民に人気を博した。語り手として竹本義太夫、作者として近松門左衛門が有名。
ここにしてはじめて劇作家と役者が分離したといえる(能は未分離)。
4)歌舞伎は人形浄瑠璃と同様、江戸時代に町民から支持された。
歌舞伎の始まりは出雲の「お国」という巫女(みこ)が京都でやった念仏踊り。
「歌舞伎」=「かぶく」とは変わっているという意味。変なもの見たさが始まり。
風紀を乱すとの理由で女集団による歌舞伎は政府に禁止された=「女方」の誕生。
鶴屋南北、河竹黙阿弥といった劇作家が有名。
人形浄瑠璃が衰退していった一方で、人形浄瑠璃から長所を盗んだ歌舞伎は
江戸時代を通して人気があった。明治には天覧劇(陛下来場!)も開かれ地位が向上した。
1〜4の演劇はどれも消えることなく、変化はしているものの伝統演劇として残っている。
この続きは>>372-373
723 ◆x1LNUFpAok :04/05/01 14:10
ハスミ読了
724吾輩は名無しである:04/05/01 20:35
>>723
コラ!
何を呼んだ皮下欄でしょ。
725白石昇 ◆T9hpXq3U/6 :04/05/02 03:42
04月28日 槿            古井由吉 福武文庫
72636歳節約ママ ◆baeGuFHffI :04/05/03 12:20
モリエール「守銭奴」岩波文庫 ★★★☆☆
まだ本屋ではチラホラ見かけるけど一応品切れ文庫らしいので
欲しい人は早めに買ってください。
この表紙に書いてる絵がなんとも言えないくらい私は好き。
岩波文庫の表紙に書いてる絵や写真ってどこから持ってくるのか気になるなあ。
この戯曲のタイトル「守銭奴」。もうこのタイトルだけで「買い」ですね。
モリエールのタイトル訳してる人ってセンス良くない??
「病は気から」「人間ぎらい」「嫌々ながら医者にされ」
このタイトル見ただけで財布の紐が緩んじゃうね。
72736歳節約ママ ◆baeGuFHffI :04/05/03 12:29
さて「守銭奴」なんだけどもうタイトル通り守銭奴が主人公です。
金持ちなのに金に汚い親父。その息子、娘には当然金持ちと
結婚させようと計画します。しかし息子も娘も実は心に決めた恋人が
いるんですね。で、マズイことにこの守銭奴の強欲親父も実は
再婚したい相手がいるんだけどその眼をつけた相手ってのが
息子の恋人なんですね〜。当然親父と息子が大喧嘩。

読了後の感想は守銭奴の親父の金の汚さぶりをもっと強調して
欲しかったのと、最後の終わり方もちょっと都合良過ぎない??
まあ、喜劇だから許せるけどね。
72836歳節約ママ ◆baeGuFHffI :04/05/03 12:35
サマセット・モーム「指針」創造書房 ★★★☆☆
久しぶりのモーム。私はモーム信者。モームの良いところは
さすが大衆作家だけあって読み易いところ。
なんでもかんでも小難しい表現使う文学者に対抗してるようにすら
感じるね。
創造書房ってところから出てるんだねこれ。
創造書房・・・聞いたことない。本屋で売ってる??
大きさは文庫よりやや大きいって感じでなかなかいい。
2000円。約200ページ。ちょっと高いよ。

729吾輩は名無しである:04/05/03 12:52
36歳節約ママさんの書き口って、母親世代のメール文章と似てるんですよ。
ほんとに36歳ですか。56歳ではないよね。いいけど。ほんと、いいけど。
べつに何歳でも。
730吾輩は名無しである:04/05/04 19:31
age
731吾輩は名無しである:04/05/04 21:44
渋谷知美「日本の童貞」文春新書
いわゆるサブカルチャーソサエティー物。
雑学書としては面白い。ただいくつか詰めの甘さがある。
例えば、戦前の童貞喪失の相手調査で第二位に女中がランクインしている
こと。これをレイプに近いものと見るか、身分関係を超えて相思相愛だっ
たと見るか、女中自身が童貞喪失の相手としての自覚を持って楽しんでい
たと見るかで随分評価は変わるだろう。
あと、戦後の童貞概念についてシロウト童貞という概念を検証にしている
が、議論を深めるためには、クロウト童貞という概念も検証するべきだろ
う。
私の予感では筆者はどうも男の性の世界に本当に飛び込んだ経験がないよ
うな気がする。この手の話しはどうしても本人の主観を排しようとしても
排しきれないところがある。たとえば筆者は童貞喪失について、挿入をも
って喪失か射精をもって喪失か等を問題にしているが、まあ普通は挿入す
れば射精するであろう。なのに、挿入か射精かを着眼点にもっていったと
いうことはすなわち筆者はかつてインポ君とつきあっていた可能性は否定
できない。

最後に筆者に要望したいことは高齢者処女についても探求してもらいたい。
童貞の問題はエロ雑誌なり2ちゃんねるなり世間一般の猥談で充分に明ら
かにされているが、高齢者処女の問題についてはどうしてもミステリアス
な要素がからんでいる。何故彼が童貞なのかの原因を探すのはさして難し
くないが、何故彼女が処女なのかの原因は、彼女が革命的ブスである場合
を除いて各人様々な要素がからんでいるのは間違いない。
そういった困難な問題をクリアーに探求することこそが真の社会学者と言
えるのではなかろうか?
732吾輩は名無しである:04/05/04 21:59
遠藤周作「白い人黄色い人」新潮文庫
おそらく思想小説のジャンルに入るのであろうがさして重要な思想
問題にも思えない。かつ物語としても面白くない。
遠藤周作は福田恆存と親交があった(かつて福田恆存が創設した劇
団昴の評議員だった)が両者は共にカトリシズムに共鳴していたが、
着眼点が異なる。
遠藤周作は「白い人」で主人公をナチスの協力者として物語を展開
しているが、福田恆存の「ホレイショー日記」の主人公はイギリス
人であり、主人公に「ナチスドイツはいずれ連合軍に敗れるであろ
うと言わしめている。
遠藤周作にとってはナチスは悪を象徴しているのは間違いないが、
福田恆存にとってはナチスは悪かもしれないがいずれ淘汰され滅び
るものと認識されている。
人間にとって善とは何か悪とは何か、人間の原罪とは何かといった
問題に関して言えば、福田恆存の方が遠藤周作よりも更に深く洞察
していると言えよう。
ただし、世の中には遠藤周作的な問題を自らの心のなかにやどらせ
ている人が多いのも事実であり、それに答えようとする遠藤周作の
問題意識を私は否定する気は無い。
733吾輩は名無しである:04/05/04 22:09
美香ちゃんがまじめになってくれて。。。(涙)
734ガディワッツ:04/05/04 22:19
にったじゅん「奪! 童貞」

あのまぼろしとされた名著を、今回やっと入手することができた。
2ちゃんねるで流布されるあの「きゃはははっキモーイ!」「童貞が許されるのは小学生まで
だよねぇ」の元ネタであることは有名だが、実際に原典を手に取った者は少ないのではないか。
なるほど表紙では二人の女に囲まれた少年が嬲られるというおぞましい構図が採用されており、
これでは手に取った者に否応なくある種の畏怖を感じさせてしまうだろう。
わたしもそうだった。なかなか、その本を手に歩き出すことができなかった。
なぜだろう、と、わたしは考える。もちろん、勃起しながらである。
勃起状態によって認識される最も強力な問い――おそらくは最も男性を不安にする帰結とは、
「童貞」と呼ばれるモノの喪失である。一般に人は、童貞こそが(例え失われてしまったとしても)
最も本来的な状態だと考える。にもかかわらず、母親の胎内から吐き出された記憶を持つ人間は、
女性の体内に暮らしたあの状態に回帰したいと願い、そして不幸が起こらない限り大抵は達成する。
だが、そこで思うのだ。「自分の古巣に帰ったというのに、僕は童貞を失ってしまっている」
なんという悲劇だろう。
悲劇的なテーマを扱う一方、エンターテイメント要素も盛りだくさんなのだ。
か弱い少年が、少女二人に射精させられるという詩的なテーマを扱った一節では、
後に少女を少年が犯すことになる。なるほど精巧な伏線ではないか。
読者が少年と少女、そのうちどちら側を主観として捉えたとしても、良質のカタルシスを感じることができる。
犯す者が犯される者へと、犯される者が犯す者へと転換するのだ、素敵に愉快ではないか。
最近、飛ぶ鳥を落とす勢いの作者に、一層の賛美を送りたい。

星三つ。
735吾輩は名無しである:04/05/04 23:08
えーと、ガディワッツって誰だったっけ。
誰と同一。。。
73636歳節約ママ ◆baeGuFHffI :04/05/05 13:49
サマセット・モーム「アー・キン」ちくま文庫 絶版 ★★★★☆

南海もの短編集。短編集といっても一つの話がそれぞれ60ページくらい
あるので中篇って感じかな。
南海ものとあるけど場所がそこだというだけで話の内容には
あんまり関係ないね。
で、6篇収録されてるんだけどそれぞれのテーマは男と女の歪んだ恋愛みたいな
のばかり。つまり不倫、近親相姦ね。
これも読み易くていい。
737文学青年T ◆iBVPK4.Aq2 :04/05/05 17:59
五木寛之「大河の一滴」幻冬舎文庫★★★★☆

初カキコです。よろしく。
大河の一滴の中の「人間は泣きながら生まれる」に圧巻。
まさしくそのとおりだと思った。
他の話はあまり心に残らなかったので一つ減点しました。
738美香 ◆FE5qBZxQnw :04/05/06 13:33
「世界演劇史」(ロベール・ピニャール/岩瀬孝訳/白水社文庫クセジュ)
→著者はフランス人=どこかでフランス演劇がいちばんと思っているふしがある。
今現在、書店でふつうに買えるまともな演劇史の本はこれくらい。
もはや古典といってもいいくらい何度も版を重ねている。
読もう読もうと思いながらも、文字が小さくてぎっしりつまっっているのがいやで
ずっと敬遠していた。いざ読んでみるとなかなかの良書。
よくもまあ、これだけの薄い本にあれだけの内容を詰め込んだなと驚くくらい。
もっとも入門書ではない。あらかじめ名作とされる戯曲を(わたしのようにエッヘン)
読んでいないとまるっきりついていけないはず。そこが放送大学用教材とのちがい。
ハッ。と目を見開かされたのは、エリザベス朝時代の観客はシェイクスピアも
ボクシングもおなじような欲望から見にきていたという記述。
相手をパンチでKOするのにスカッとするのと、役者が名セリフをバシッと決めるのとの相似性。
わたしは格闘技(プロレスふくむ)を好きなように演劇を好きなのだと気づかされる。
739美香 ◆FE5qBZxQnw :04/05/06 14:09
「演劇の歴史」(フィリス・ハートノル/白川宣力・石川敏男訳/朝日出版社)絶版
→著者はイギリス人=どこかでシェイクスピアがいちばんと思っているふしがある。
上に感想を書いた「世界演劇史」がドラマ(戯曲=劇作家=言葉)中心に論じていたのに比して、
こちらはプレイ(上演=役者=動き)の歴史をギリシア悲劇から現代演劇まで教えてくれます。
舞台や役者の写真が盛りだくさん。だけど、ごめんなさい、わたし興味ないんです。
いやね、古今東西の美男美女をこれでもかと見せつけられてもね……。
それに外人さんの名前は覚えにくいから。
この本の長所は内容ではなく「付録」にある。
終戦後からこの本の出版された昭和56年までに国内で刊行された海外戯曲が
翻訳者名とともにリスト化されている。
この本を古本市で買ったのが二ヶ月前。それからこのリストにどれだけお世話になったか。
まあ、わたしにとっちゃ内容のほうが「おまけ」みたいなもんです。
それと白川宣力! 石川敏男もだ! 訳が変だぞ、日本語として読めない!

「回想の文学座」(北見治一/中公新書)絶版
→著者は文学座(日本の劇団)に所属していた俳優さん。
福田恆存の演劇活動を知りたいなぁという理由で読む。
読後、演劇人はどいつもこいつもオオバカヤローだと確信するにいたる。
わたしから言わせりゃ役者なんて肉体労働者。ドカタとなんら変わりはないわけ。
なのにどーしてみなさんいっぱしに芸術家づらをなさるのか。
役者は個性なんていらない人形。
劇作家が書いたとおりにしゃべって、演出家の指示どおりに動けばいいの!
北見治一さんよ。きみごときに福田恆存や三島由紀夫を語れるとお思いか?
こともあろうかきみは両者とも揶揄しておられるが……。
でも内容の70%はつまらぬ自分史。安っぽい感傷に終始する。
著者は35歳まで親に食べさせてもらっていたらしい。
740みか5さい ◆NGaQPY3pmc :04/05/06 20:01
おねえちゃま
あのね
さいばんも
ことばつかって
かくとうぎ

るーつは
けんをもって
けっとう

けんを
ことばに
もちかえた

かんわきゅうだいが
おしえてくれた
741吾輩は名無しである:04/05/06 20:11
みかちゃん、それ常識(w
74236歳節約ママ ◆baeGuFHffI :04/05/06 20:42
ベルトルト・ブレヒト「三文オペラ」岩波文庫 ★★☆☆☆

戯曲。有名な作品だね。名前は知ってたけどようやく読んだ。
1時間半くらいかかったかな?
音楽劇なので文章だと伝わりにくい。
743吾輩は名無しである:04/05/06 22:52
西部邁「学問」立ち読みのため出版社名不明
西欧の思想家、日本の知識人の紹介がコンパクトにまとめられていたので
ちょっと立ち読みした。
福田恆存の紹介には違和感を感じた。西部は福田恆存の保守思想が後世に
ほとんど体系化されて残らなかったと述べているが、そもそも福田恆存は
保守思想家ではなく文芸評論家である。
が、西部が最も勘違いしていることは、福田恆存を高く評価する人物は福
田恆存の後継者になろうとしていると思っていることだ。それは完全な間
違い。
今若手の評論家なり政治学者の中で福田恆存を持ち上げている人が少なか
らずいるが彼らは別に福田恆存の後継者になろうとは思っていない。はっ
きり言えば今言論界の中枢にいる保守派知識人に対する自分の優位性を保
つために利用しているケースが多い。坪内祐三なんてその典型例だろう。

後、西部邁は憲法改正案も出版しているようだが荒が多い。西部邁は保守
主義の観点から憲法草案をつくっていると思われるが、憲法に伝統を大切
にしよう書いてどうしようとするのか?憲法は法規範である以上、伝統と
いう概念をどのように違憲立法審査権に組み込んでいくのかを検証しなけ
れば意味が無い。それを放棄すれば、伝統という概念は単なるプログラム
規定にしか過ぎないし、法規範性を持つようになれば、武士道とか論語と
か人によって解釈の違う概念がまざりこんで、結局伝統という名のもとの
粗暴な論理が法規の中に横行することになる。
伝統という概念を憲法に持ち込みたいのであれば、条文に伝統という言葉
を書く必要はない。それよりもまず伝統という概念が憲法総体に反映され
ることが必要だ。
端的に言えば伝統という言葉を憲法条文に明記するよりも天皇主権を復活
させる方がずっと日本の伝統に配慮した憲法と言えなくも無い。
744美香 ◆FE5qBZxQnw :04/05/07 14:46
【おまけ】3分でわかる西洋演劇史♪

演劇の起源は宗教的な儀式・祭礼にある。
つまり演劇とは、人間の神(=運命・偶然)への働きかけからスタートしたのである。
雨が降らない、獲物がとれないときには神に祈るダンスを、
あるいは春、豊作に恵まれたら神への感謝を歌と踊りで示す。
仲間が死んだときには嘆き、新しい子が誕生したときには寿(ことほ)ぐ。
すべてを支配するもの=神へ人間がささげるものとして演劇は2500年前に始まる。

1)<神 vs 人間>
アテネ国家の成立すると、この宗教的な祭儀を国家が中心になって行なうようになる。
ギリシア悲劇の誕生である。アイスキュロス、ソポクレス、エウリピデスが知られている。
どの作品も神話から題材が取られている。神々に翻弄される人間のすがたを描くものが多い。
ギリシア悲劇が衰退すると、喜劇が盛んになる。アリストパネスが喜劇の祖である。
アリストパネス喜劇は権力あるもの(国家や悲劇詩人)を批評・風刺するところに特徴がある。
中心がギリシアからローマに移ると、ギリシア劇から影響を受けたローマ劇が生まれる。
このローマ劇も衰退すると、それからルネサンスまでの1000年あまり演劇は沈黙する。
中世の暗黒時代である。キリスト教の教会は演劇の上演を禁止した。
この間、プロパガンダ(宣伝)的な聖史劇、奇跡劇、道徳劇が教会の管理下で行なわれた。
745美香 ◆FE5qBZxQnw :04/05/07 14:51
2)<人間 vs 人間(→神)>
15世紀にイタリアでコメディア・デラルテ(即興仮面喜劇)が流行する。
16世紀はご存知、シェイクスピアがさっそうと登場し、これまでの演劇の沈黙を破る。
イギリスのエリザベス朝時代はシェイクスピアのみならず、数多くの傑出した劇作家を生み出した。
シェイクスピアは(現実社会ではなく)歴史書や昔話から生き生きとした劇中人物を創造した。
かれの手によるハムレットやマクベスは絶対的な神の下、悩み葛藤し行動して死んでいく。
同時期、スペインではカルデロンが活躍した。
シェイクスピアから遅れること50年(宗教戦争のため)、フランスでも演劇の熱が高まる。
コルネイユ、モリエール、ラシーヌの時代である。
三人ともギリシア・ローマ劇から影響を受けている。
これら古典劇を研究する学者から「三一致の法則」が主張されたのはこの時代である。
「三一致の法則」とは、良い演劇は常に「筋」はひとつ、「時間」は一昼夜、
「場所」は一箇所でなければならないというもので、
18世紀にゲーテ、シラーなどドイツのロマン主義作家がこれを否定した。
このロマン主義の時代が終わると、演劇はいっとき衰退する。
スター中心の安易な演劇がしきりに行なわれた。
746美香 ◆FE5qBZxQnw :04/05/07 14:57
3)<人間 vs 人間(→社会)>
近代劇は最北のノルウェーからもたらされた。
イプセンは近代社会に生きる人間の問題を劇の中で追及した。
スウェーデンからはストリンドベリ、ロシアからはチェーホフ、
イギリスからはバーナード・ショーといっせいに演劇界のバラが開花する。
これらの劇はルネサンス時代の単純な人間賛歌とは異なり、
近代資本主義の発達にともない複雑化する社会の中で悩む人間をテーマにするものが多い。
これにシンクロしてアントワーヌがパリに「自由劇場」を創設する。
背景には舞台美術、照明、音響の発達がある。
アントワーヌは演出を重視し、演劇の(スター主義ならぬ)アンサンブル化を提唱した。
アンサンブルとは、演出家を中心として舞台にかかわるもの皆で(役者+裏方+劇作家)
ひとつの作品を生み出そうとすること。いわゆる「演出の時代」はここに端を発している。
イプセンやストリンドベリの複雑な戯曲はこのような環境の下で上演された。
アメリカではオニールが登場し、のちにウィリアムズ、ミラーが活躍する足場を作った。
ドイツの共産主義者、ブレヒトは演劇史が生んだ奇形児である。
ブレヒトはこれまでの演劇を全否定し、観客を陶酔させない
=社会を変革するための政治劇を発表するなど、独自の演劇論を展開した。
747美香 ◆FE5qBZxQnw :04/05/07 15:19
4)<人間 vs ????)>
第二次大戦(原子爆弾、アウシュヴィッツ)後、新しい演劇がパリで上演された。
ベケット「ゴドーを待ちながら」である。
無意味な会話のやりとりは人間の底に潜む不条理性を描いていると絶賛された。
ベケット、イヨネスコを創始者とする不条理演劇は世界各地に広まった。
フランスのジュネ、イギリスのピンター、アメリカのオールビーらである。
日本でも別役実が影響を受けている。

さて、ドラマとは人間の葛藤である。
1)まず人間は神(絶対)と折り合いをつけることから演劇活動をはじめた。
2)シェイクスピアは神の下で葛藤する人間を詩的に描き出した。
3)近代劇は神から離れつつある人間の問題を葛藤として提出した。
4)自分がどこにいるのか、何と向き合っているかわからなくなった現代人は
不条理演劇に喝采をあげた。問題はここにある。
ここに演劇史上初めて劇中にドラマ(葛藤)がなくなってしまったのである。
演劇は自然をうつす鏡とハムレットに言わせたのはシェイクスピアである。
不条理演劇に氾濫する意味を失った言葉と目的をもたないこっけいな動作は
どんなわれわれの現実をうつしているというのだろうか?
748吾輩は名無しである:04/05/08 13:24
モリエール「人間ぎらい」「守銭奴」を読了。
749文学青年T ◆iBVPK4.Aq2 :04/05/08 18:19
太宰治「晩年」読了
「思い出」が一番よかった。
75036歳節約ママ ◆baeGuFHffI :04/05/08 19:05
チェーホフ「桜の園」岩波文庫 ★★★☆☆

戯曲。チェーホフ最後の戯曲らしい。チェーホフの作品を読んだのは
意外にこれが初めて。実は私、ツルゲーネフとチェーホフを混合してて
ツルゲーネフの「はつ恋」がつまんなかったのでそのまま忘れてました。

貴族が没落した話ですね。生まれ育った屋敷を手放すしかなくなった
女主人。馴染みの実業家になんとかならないかと相談するけど
どうにもならない。

751吾輩は名無しである:04/05/08 19:27
>>750
なんつーか…

こころに届かなかったのなら、別に読了報告しなくてもいいんですよ、ママさん。
752吾輩は名無しである:04/05/08 19:33
>751
>こころに届かなかったのなら、別に読了報告しなくてもいい

こんなこと誰も言ってませんがなq
ヨシショ報告ばかりキキタイノ?
753VON・トーマス・マン:04/05/08 20:25
>>750
オレも「桜の園」読んだよ。やっぱり1−2時間程度で終った。
結構いい戯曲だった。自分自身が住んでいる環境で問題抱えて
いただけに、物凄い感動を受けたのを覚えている。
754吾輩は名無しである:04/05/08 21:30
おーい、美香姐よ。

あの幻の傑作「ウォーク・ドント・ラン」を所有していると聞いたから頼むのだが、
その本の中でオマイさんが「ここは傑作!(w」と思うところを引用してくれないか?

何しろどこ探しても置いてないんだよその本。
75536歳節約ママ ◆smrffWDWoE :04/05/08 22:12
    ,.-‐"""''''''- 、
   /          \
  /  ノりノレりノレノ\  i
  i  ノcニつ ⊂ニュ ミ |
 ノ  |  <@  ミ @ヽ | |    
 イ   |    (o_o.  | |    >ALL
 ノ   !   ノ u 丶. ! ヽ     くやしかったら、私を超えてごらん
 彡  !    (つ   !  ミ     わたしは夫にも子供にも相手にされないから
 ノ   人   "    人  ヽ    一日中、文学に打ち込んでいるのよ
ー '''"   | '''ニ='〒   "'''ー''  友達もいないし 
                        フッ、さびしくなんてないわよ


756吾輩は名無しである:04/05/08 22:38
>>754
代りに俺がちょっとだけ引用したる。

春樹:ぼくはね、たとえばだれとでも寝る女の子っているわけじゃない、そういう女の子と
   寝るというのはものすごく落ち着くのね。むかしからそうだったんだけど。
龍: あ、ものすごいですな。

以上だ。なんかすげー象徴的な会話だと思うわ(今となるとね)

で、読了報告。
「我が父たち」津島佑子(絶版)
以下感想。

なんてことない。大江好きの書いた習作短編集ってな感じ。
きらりと光る何かがあるが、それだけ。

以上、読了報告終了。
75736歳節約ママ ◆baeGuFHffI :04/05/09 16:12
チェーホフ「かもめ・ワーニャ伯父さん」新潮文庫 ★★★☆☆

戯曲。
「かもめ」 女優志望の娘二ーナと劇作家志望の女優の息子トレープレフ。
      トレープレフは革新的な演劇を書くけど認められず鬱々としてる。
      二ーナは流行作家と共に女優になる為に家出して都会に出る。

「ワーニャ伯父さん」 退職した大学教授と結婚した若妻エレーナ。
           そのエレーナに恋してるのが大学教授の先妻の兄のワーニャと
           大学教授に呼ばれた医師。
           その医師に恋してるのが大学教授の先妻との娘ソーニャ。
           ワーニャは領地経営に捧げたこれまでの人生を後悔してる。
           ソーニャは自分の不器量と実らない恋に絶望してる。
           大学教授は田舎暮らしと病気に生きることに嫌気を差してる。
           医師は恋心と多忙に混乱してる。
           エレーナは揺れる恋心に戸惑ってる。

チェーホフの演劇って「静劇」って呼ばれてるんだね。確かに読んで字の如く
静かに淡々と物語が進行していく。でも「桜の園」はいかにも静劇だけど
この二つの戯曲は衝撃的なシーンがそれぞれある。
チェーホフの戯曲って結末はほとんど一緒のような気がしてきた。

           
           
           

      
75836歳節約ママ ◆baeGuFHffI :04/05/09 16:23
モリエール「ドン・ジュアン」岩波文庫 ★★☆☆☆

戯曲。短いから1時間あれば読めるね。
ドン・ジュアンと言えば女たらしの放蕩者。この戯曲でもまさにそのキャラです。
モリエールが主宰してた劇団が財政ピンチになってたからなんとかして
当たる芝居を書かなきゃいけない状態の時に書いたらしい。
しかも時間もそんなに無かったみたい。
で、上演してみたら見事に大当たり〜。モリエール最大のヒット作になったとさ。

ストーリーは書くまでもないけど女たらしのドン・ジュアンが女を誘惑したり
捨てたり、借金取りを上手く追い払ったり、偽善者になってみたり・・・
759吾輩は名無しである:04/05/09 16:46
ごめん、ちょっと聞いてきたいんだけど
節約ママbaeって美香を意識してんの?
760美香 ◆FE5qBZxQnw :04/05/11 09:11
「水辺のゆりかご」(柳美里/角川書店)*再読
→大学生のときに最初にこれを読んで尋常ならぬ衝撃を受けて以来、
何度わたしはこの本を読み返したのだろう。
文学部だったせいか文学を学問対象(古臭い・難しい)としか思えなかった
当時のわたしにこの「水辺のゆりかご」がはたした役割は大きい。
それからずっと柳美里の小説、エッセイは読みつづけているけどこれが最高傑作だと思う。
なんでこんなにきれいな言葉が書けるのだろうと嫉妬すらしてしまう。
柳美里はいまいちばん気になる作家である。

「魚の祭」(柳美里/角川文庫)*再読
→柳美里の戯曲がふたつ収録されている。「魚の祭」と「静物画」。
戯曲を読みなれたいまだったらこのおもしろさがわかるかもと6年ぶりに再読。
だめだなやっぱ両方とも。なんでこんなものが上演できるのだろう。
だれかつまらないよと教えてあげないのだろうか。役者さんでも演出家でも。
演劇人はわたしとはちがう思考回路をしているのだろうか。
お金を払ってこんなものを見せられたら帰りに作者を殴りつけたくなるなわたし。

「私語辞典」(柳美里/角川文庫)*再読
→柳美里がエッセイに書く不幸な物語というのはおそらく9割は虚構(ウソ)。
よくもこんな現実よりも強い虚構を作り出せるものだと怖くなる。才能に畏怖する。
そして笑える。柳美里のエッセイほど笑えるものはない。またまた柳さんたらーと。
柳美里の物語を読んで同情するのは小説家というものを知らないからである。
笑え柳美里を。柳美里は笑える作家である。

「魚が見た夢」(柳美里/新潮文庫)
→エッセイ集。ふと本屋に寄ったらこんなものが文庫ででていたのね。
ついでだからと購入した。柳美里のエッセイほどおもしろいものはない。
柳美里の小説はだめ。学歴(高校中退)のせいか、文学をとんでもなく壮大な
ものと考えてしまい、文章が大仰で読みにくい。
その点、エッセイは肩肘はらずに書いているので柳美里の味がよくでている。
残酷で美しい柳美里の言葉――。小説なんて書くのをやめてエッセイに専念したらいいのに。
761吾輩は名無しである:04/05/11 09:40
762美香 ◆FE5qBZxQnw :04/05/11 09:45
「ユビュ王」(アルフレッド・ジャリ/窪田般彌訳/白水社「現代世界演劇11」)絶版
→あるスレでジャリくらい読めとたたかれたのでそれからすぐ読みました(w
「ユビュ王」は有名らしい。ここから現代演劇が始まったと言われている。
不条理演劇の祖をベケットではなくこの「ユビュ王」だとする演劇論を読んだこともある。
新しいとされた(現代劇の開祖!)理由は、近代劇を否定したことにある。
たとえばイプセン(近代劇)なんかはまじめで詩的で美しい劇を書いたわけ。
でもこの「ユビュ王」ではきれいな言葉は使われない、うんことかまんことかばっか。
ストーリーもシェイクスピアの「マクベス」をパロディーにしたもの。
ぜんぜんリアルじゃなくて、おまえらまじめにやれと野次りたくなるくらいいいかげん。
こんなものを新しいと絶賛するなんて人間(フランス人)はバカだねー。
いまだに前衛劇のはしりだとか絶賛するひともいるんだから人間は大バカだ。

「椅子」(イヨネスコ/大久保輝臣訳/「現代世界戯曲集」河出書房)絶版
→同様にイヨネスコくらい読めとたたかれたので……。
不条理演劇。登場するのは老夫婦。だんなさんが世界を救う方法を見つけたとのこと。
それを発表するからと住んでいる孤島に客を呼ぶ。
どんどん客が来るけれどもそのすがたは見えない(が、会話はまるでいるかのように進む)。
おもしろろいと思った。へえ、こんなやりかたがあったのかと。
実際に舞台で見たらそこそこ新鮮かもしれない。まあ、その程度。
ラストはネタばれになるから書かない。うん、悪くなかった。
記憶にとどめておくくらいの価値はあるかもしれない。

>>754
そんなきみのために>>712を書いたの。これで我慢して。それと雑談は文壇バーで。

>>756
おつかれ。
763吾輩は名無しである:04/05/11 09:50
おかねもちはいいな
76436歳節約ママ ◆baeGuFHffI :04/05/12 20:13
コルネイユ「嘘つき男・舞台は夢」岩波文庫 ★★☆☆☆

前から読もう読もうと思ってた本。「嘘つき男」ってタイトルがいい。
戯曲のタイトルってストレートなのが多いよね。
で、当然私は期待に胸を膨らませてページをめくった。
読む。・・・ふんふん・・・それから・・・
20ページ読み、40ページ読み・・・・・・
そこで私は気がついた。    面白くない!!
嘘つき男ってさ、私の中ではタモリやさんまみたいな軽薄そうな感じの男が
言葉巧みに嘘を次から次へと吐いていくイメージだったんだけど
この嘘つき男の嘘って本当に小学生レベルのすぐバレる嘘ばかりなんだよね。
しかも嘘がバレるとまた嘘の弁明をするんだけどこれもまた弱い・・・
コルネイユにダメ出ししたい気分だよ。
765吾輩は名無しである:04/05/12 20:14
NHK  テレ朝  TBS  テレビ東京  朝日新聞
など

日本のマスコミは情報操作をすることによって
政治家を騙して  政治や経済  株式市場を  混乱させている

なぜこういうことができるかというと
政治家  経済人  投資家にとって  業務を行う上で
情報が必要なため  マスコミが情報を提供するというと
つい受け取らざる終えなく
しかもマスコミが 情報のソースを明かさないので
鵜呑みにして 嘘情報を信じざる終えない
  それでマスコミが  情報を操作して
伝えて 政治  経済  市場を混乱させることができるからである

このような情報の独占と  情報支配  それによる  情報操作
という  左翼マスコミの陰謀に対抗する必要がある

76636歳節約ママ ◆baeGuFHffI :04/05/12 20:22
モリエール「人間ぎらい」新潮文庫 ★★☆☆☆

戯曲。またストレートなタイトル「人間ぎらい」・・
主人公の男は人間ぎらいというよりもお世辞や愛想が大嫌いな男。
惚れてる女がいるんだけど、その女が出会う男達にお世辞ばかり言う女。
そこで主人公の男は嫉妬に狂うと・・

なーんかこんな男なんて絶対にモテないね。

36歳節約ママへ
まあどうみても時代が違うからどうともいえない。
モリエールの時代の文学は変なの多い。
ガルガンチュアにカンタベリーなんかだって、そういう精神風土
がわかってくる。
768美香 ◆FE5qBZxQnw :04/05/14 11:44
「セイムタイム・ネクストイヤー」(バーナード・スレイド/青井陽治訳/劇書房)
→戯曲。アメリカ産。ウェル・メイド・プレイというやつかな。
日本でも加藤健一事務所が何度も再演している。だから期待はしていたんだけど、
うーん、小粒なんだよね。そこそこも楽しめない、「そこ」くらい、そんな感じ。
なんで現代にはストリンドベリやオニールは現れないのか。
小説で言えば、なんで現代にドストエフスキーやトルストイは現れないのか。
そんなことを漠然と思った。ストーリーは、偶然から一夜をともにした男女。
どちらも結婚しているから不倫関係になる。かれらは一年に一度会おうと約束した。
で、25年間にわたるふたりの関係を描く。暇つぶしに読むくらいならいいのかも。

「毒薬と老嬢」(ジョセフ・ケッセルリング/黒田絵美子訳/新水社)
→戯曲。アメリカ産。職人にあこがれることがある。
どーせ人生なんて退屈なものだし、生活はわずらわしく同じことの繰り返し。
どーせ何も変わらないし、自分は一生自分のままだし、こんなものこんなもの。
だったら一夜限りでいい、おなかいっぱい笑わせてやろうという職人がいる。
人生の意味なんてどうでもいい、社会変革も知ったことか、だけど笑わせてやる今晩だけは。
そういう職人魂をこの戯曲から感じる。そしてそれにあこがれる自分もいる。
これを舞台で見たら爆笑間違いなし。帰宅して、あー楽しかったとよく眠れること請け合い。
主人公は、孤独な老人を安楽死させてやるのが趣味の老姉妹。
次々に事件が起きて「ありえないって」と思っているひまもない(舞台で見たらなおさら)。
こういうのを書くひとって心底の厭世家なのかもしれないとふと思った。
769美香 ◆FE5qBZxQnw :04/05/14 12:31
「エレファント・マン」(バーナード・ポメランス/山崎正和訳/河出書房新社)絶版
→戯曲。アメリカ産。解説で山崎正和さんが大傑作とたたえていたから買ったんだけど。
生まれつき奇形の像(みたいな)人間の生涯。医者との親交や何やかんや。
モデルは実在したとのこと。読み終わってもどこがおもしろいのかさっぱり。
そこで解説を入念に読んだら、うーん、なるほどね。
このみんなから汚いものと見られている像人間を美男の俳優が素でやる、
そこにこの戯曲の眼目があるのか、ふーん。美と醜の逆転ねー。
そういえば数年前に藤原竜也がこれをやったんだってね。

「蜜の味」(シーラ・ディレーニー/小田島雄志訳/晶文社)
→戯曲。イギリス産。こじゃれたセリフのやりとりがちょっと目につく程度の戯曲。
激しい葛藤も、大立ち回りも、なーんにもなし。テーマはしいていえば母と娘の対立かな。
娼婦をしている母の再婚に悩むエリーは黒人兵士と恋愛、妊娠、振られてしまう。
出産直前に母親が離婚してエリーのもとに戻ってくる。
解説を読んでこの戯曲の注目点は作者にあることがわかる。18歳の少女が書いたとのこと。
叶恭子が同名のエッセイを幻冬舎から出しているらしい。そっちを読めばよかったかな(w

「傷心の家」(バーナード・ショー/飯島小平訳/新書館)絶版
→ご存知、バーナード・ショーの戯曲。こんなのが出ていたのね、知らなかった。
チェーホフの「三人姉妹」に影響を受けてこれが書かれたらしい。
ショーの戯曲を読んでいつも思うのは「あとちょっと」というようなもったいなさ。
あとちょっとでおもしろくなるのになんでしないんだろうというやりきれなさ。
皮肉屋で人間の描写がとてもおもしろい、なのになんで思想を語らせてしまう?
このへんちくりんな思想がなければさぞ上質な喜劇になったと思うんだけど……。
「人間をバカにする」から戯曲創作までの手順には見習うべきことが多いのは事実。
770通行人:04/05/14 12:35
ふむふむ。
771吾輩は名無しである:04/05/14 17:30
美香 ってひと、いっぱいよんでるね。
おねえちゃま、ありがと
おれいいうの
わすれてまちた(w
773吾輩は名無しである:04/05/14 23:50
美香よ、おまえは本当に戯曲馬鹿だなぁ。
774吾輩は名無しである:04/05/15 00:14
ヘンリ・ミラーの北回帰線は
内容がパリでの生活であり、
北回帰線とまったく関係ないように思うのですが、
なぜ北回帰線というタイトルなのでしょうか。
教えて、エロい人。
775吾輩は名無しである:04/05/15 00:34
>>774
スレ違い。こちらへどうぞ

何でも質問箱(軽い質問はこちらまで)其の九
http://book3.2ch.net/test/read.cgi/book/1084263235/
776吾輩は名無しである:04/05/16 19:32
このスレで見かけた「ねむれ巴里」読了。
ありがとう、見知らぬどなたか。
777吾輩は名無しである:04/05/16 22:50
福田恆存 坪内祐三編纂「福田恆存文芸論集」講談社文芸文庫
福田恆存のどちらかといえばマイナーな文芸評論をまとめたもの。
読者に語りかける文体は文芸評論というよりか飲み屋の文学思想談義を
そのまま書き写したという方がふさわしい。
一流の文芸評論はそれ自体小説と異なるジャンルの文学であるとよくい
われるが、福田恆存の文芸評論は批評文学であると同時に告白小説の様
相も帯びているとあらためて実感した。その点福田恆存の文芸評論は小
林秀雄や江藤淳、吉本隆明の文芸評論とまた異質なものだ。
こういった文芸評論を書ける人材が現代日本文学界に再び現れてほしい。
778美香 ◆FE5qBZxQnw :04/05/17 10:14
「作者を探す六人の登場人物」(ピランデッロ/岩崎純孝訳/筑摩書房「近代劇集」)
→戯曲。イタリア産。タイトルを見たらわかると思うけど演劇論を内包した戯曲。
ドラマという言葉のギリシア語的起源は「なされたこと」という意味。
だから史劇というのは、本来のドラマの意味に忠実なことになる。
そんな堅苦しいことを言わなくても、テレビドラマでも再現ドラマというのはよくあるでしょ?
夫が交通事故でカタワになった妻の愛情の記録とかw北朝鮮よ娘を返せとかw。
ドラマというのは本来がそういったものである、ここまではいいかな。
んで、この戯曲の新しい(面白いところ)は、「事件」と「芝居」の間隙を突いているところ。
幕が開くと役者が演出家のもと新作の舞台稽古をしている。
そこに登場するのが「作者を探す六人の登場人物」=「ある不幸な家族」。
かれらは自分たちの物語を芝居でやってくれませんかと演出家に頼む。
演出家は承諾する。かれらの物語がおもしろかったからである。
だが、問題が生じる。かれらが再現する事件と、役者が演技する芝居が食い違うのである。
知的な意味で非常に興味深い戯曲。だけど、あはは、あんま知的じゃないからなわたし……。
779美香 ◆FE5qBZxQnw :04/05/17 10:15
「南京虫」(マヤコフスキー/小笠原豊樹訳/筑摩書房「近代劇集」)
→戯曲。ロシア産。喜劇です喜劇、大笑いしましょうぜ、がはははは。
というのもね、いまのロシア人なんて南京虫とおなじなんですから。
ここにロシア人がいます、20世紀のはじめ、もう共産主義がスタートしています。
若い男です、おめでてーことに本日結婚します。
だけどあたしらロシア人というのはどうもまぬけで酔っ払って火災がおきちまいました。
彼以外はみーんなお陀仏、ひとり彼だけは生きたまま氷の下で冷凍保存されました。
50年が経過。ときの共産党政府は発見されたかの冷凍保存男を解凍することに!
めでたく彼は一匹の南京虫とともによみがえりました。
ところがたいへん、この男は酒は飲むは、淫猥に歌はうたうわで。
50年後の進化した共産主義社会ではだれも酒なんか飲まないというのに。
そこで男は南京虫とともにオリに入れられ動物園へ。
まえの立看板にはこう書かれていたそうです。危険、近寄るな!
さあ、笑ってください。上演当時はロシアで大人気だったそうですから。
だめ。もっと大声で。手もたたいて。よし、わたしが見本を。
あー、おもしろい、あははあはは、ぱちぱち拍手、ぱちぱちあはは、ウラーウラー!
780美香 ◆FE5qBZxQnw :04/05/17 10:57
「リリオム」(モルナール/徳永康元訳/岩波文庫)品切
→戯曲。ハンガリー産。ひさびさにおもしろい戯曲に出会った。
わたしバカだから、こういうのが好きなんだよね、難しいのはだめ。
音楽は中島みゆき。主役のリリオムは柴田恭平しかいないっしょ(若い頃のね)。
この配役からもわかるように、驚くくらいこの戯曲は日本の大衆娯楽映画っぽい。
チンピラやくざの柴田恭平。だめと知りつつほれてしまうのは田舎から上京してきた娘さん。
ふたりは結婚する、ああ、美しき純愛よ。
だけど柴田恭平はまじめに働くことなどせず、妻につい手をあげてしまう毎日。
おれはね、かたぎじゃないの、大物だから、いつかでっかいことを……そんな口癖。
妻の妊娠を知った柴田恭平は喜ぶ。ここらで、一発、どかんと。
悪友にすすめられて銀行強盗を企てる柴田恭平だが――(予告編終わり)。

「西国の伊達男」(シング/山本修二訳/岩波文庫)品切
→戯曲。アイルランド産。訳は古いけど、おもしろいんだなぁ。
これも偶然、主役は柴田恭平できまり。伊達男で軽薄そうで笑顔が甘くて(w
田舎町の酒場にふらりと立ち寄った柴田恭平、町の女は大騒ぎ。
聞くと柴田恭平は父親を殺してきたというじゃないか、うーん、影があって最高。
町一番のいい女(若い頃の倍賞美津子)もこの放浪の殺人者にベタぼれ。
だけど、実は柴田恭平は逃げてきた故郷の町ではまったくのダメ男。
女から相手にされたこともない。柴田恭平、うーん、口八丁手八丁の男。
そしてそして、なんと実は死んでいなかった彼の父親が息子を探しにやってくる――(予告編終わり)。
上の「リリオム」もそうだけど、ちょっと設定を変えれば現代でも通用する。
そこが古典の魅力なのだと思う。たとえばこの「西国の伊達男」だったら。
舞台は公立中学校。転校生がやってくる。うわさではまえの学校で傷害事件を起こしたとか。
クラスの女子は大騒ぎ。いじめられっ子だった転校生が一転、新しい学校ではモテモテに。
ところがいとこがまえの学校にいるというクラスメイトが現れ――。なんてね。
781美香 ◆FE5qBZxQnw :04/05/17 11:38
岩波文庫の感想は36歳節約ママのためになるべくネタバレを避けています。

「ケペニックの大尉」(ツックマイヤー/杉山誠訳/筑摩書房「近代劇集」)
→戯曲。ドイツ産。これが入っている筑摩書房世界文学大系90「近代劇集」。
古本屋前のワゴンでよくお見かけするあれです。
これまでもよく登場したけど、すごいんだこれ。活字が三段組み、わかるかなぁ。
ページにずらっと文字ばかり。そのおかげでページを食う戯曲を9つも
一冊の本に入れられたんだろうけど、うーん、とっても読みにくい、目が痛くなる。
これを読了したのは日本でわたしとあと何人くらいいるんだろうか……。
この「近代劇集」に入っている中でいちばん無名なのが「ケペニックの大尉」。
べつに読まなくても良かったんだけど、どうもそういうのって落ち着かないから。
で、読了。国家風刺劇。前科者の乞食が大尉の軍服を着たらみんなへいこらするという。
注目点はひとつだけ。この大尉の軍服が真の主役で、着る人の変遷が筋と重なるところ。

「トロイ戦争は起こらない」(ジロドゥ/鈴木力衛他訳/筑摩書房「近代劇集」)
→戯曲。フランス産。ギリシア悲劇の変奏戯曲。
ラシーヌといい、アヌイといい、サルトルといい、
フランスの劇作家ってギリシア悲劇が好きだよね。
ギリシア神話的な知識がないとつらいかも(エッヘンわたしはあるから大丈夫)。
たとえば太平洋戦争、日米開戦直前、真珠湾攻撃はとめられたのか?
というのが、この戯曲の(いわば)普遍的なテーマになる。
個人、個人がなんとかトロイ戦争をとめようとする、さあ、どうなるか。
「トロイ戦争は起こらない」のか? 読んでのお楽しみです。
ところで映画「トロイ」が公開されるらしいけど、日本人にゃ受けないと思う。
日本でもヒットしてしまったら、日本人はほんとうにバカだという証明になる。
欧米の底に根を張るギリシア神話的世界観が日本にはまったくないんだから。

わたしのつたない感想にご意見、ご指摘、ご質問がありましたら下記↓文壇バーへ。
http://book3.2ch.net/test/read.cgi/book/1082113700/l50
根城にしているので、かならず目を通します。
782吾輩は名無しである:04/05/17 12:26


一応あほ一匹、美香板に誘導しとくか・・・ゴミ捨て場。
http://www.2ch2.net/bbs/mika/index2.html


78336歳節約ママ ◆baeGuFHffI :04/05/17 20:06
チェーホフ「かわいい女・犬を連れた奥さん」新潮文庫 ★★☆☆☆

短編集。
一言で言えば「地味」。
ジョイスの「ダブリン市民」みたいな感じ。
印象薄いから記憶に残らないと思う。
みんな本を読んでてよろしい! 782はスレ違いでよろしくない。
78536歳節約ママ ◆baeGuFHffI :04/05/17 20:14
モリエール「いやいやながら医者にされ」岩波文庫 品切れ ★★☆☆☆

戯曲。
短いから1時間で読める。今まで読んだなかで一番短いかも。83ページ。

樵のオヤジが妻への暴力の仕返しでなぜか治せない病気はないという名医に
仕立て上げられてしまい、口がきけなくなった金持ちの娘を治療する
羽目になってしまう。
786吾輩は名無しである:04/05/17 20:15
ねぇ、ふと思ったんだけどさあ。アマゾンのプレビューに書くのはどう?
どうせ、スレッド落ちたら誰も見ないし。
誤解されると嫌なんだけど、書き込むなとか、そんなこといってるわけじゃないよ。
図書券ももらえるよ。それに、ベストレビュアーになれるかもしれんしね。
参考になった評価システムがあるってのも良い。
>>786
いいあいであでんなぁ。
78836歳節約ママ ◆baeGuFHffI :04/05/17 20:25
あれは確か一番最初に書いた人しか図書券(?)貰える権利なかったような・・

789吾輩は名無しである:04/05/17 20:27
そうなんだ……抽選方式かとおもってたんだけどなぁ。
あと、絶版だとかけない罠
790美香 ◆FE5qBZxQnw :04/05/17 20:35
雑談は基本的にこちら↓で。
http://book3.2ch.net/test/read.cgi/book/1082113700/l50

アマゾンねえ。考えたことがないわけでもない。
だけどさ、なんかこびているようでいやじゃない?
お客様の視線を意識して書いてます、みたいで。
わたしがここに書き込むのは純粋に自分が楽しいから。
自己満足。書いていておもしろい、自分の頭がクリアになるから。
それに無報酬だから新聞の書評みたいに計算が働いているわけでもない。
新作ばかりをとりあげるわけでもない。
ひとりでも読んでくれたら満足だけど、できたらたくさんのひとに読んでほしい。
だからなるべく第三者が読んでおもしろいように書く。

あーあ。お酒を飲んでいてここに書き込むのは初めて。ごめんなさいsage
あれ書こうかな。「一分でわかる美香流戯曲読解法♪」。
このスレどのくらいのひとが読んでいるんだろう……。あ、レスは雑談スレに。
791吾輩は名無しである:04/05/17 21:10
はぁ?
792吾輩は名無しである:04/05/17 21:11
じゃあ日記帳にでもかけ。
793吾輩は名無しである:04/05/18 01:53
曹雪斤「紅楼夢」1〜12岩波文庫版

面白かった。凄かった。
794吾輩は名無しである:04/05/19 00:00
高橋 治 著「風の盆恋歌」読了。

表現の美しさに引き込まれて一気に読みました。
本で涙を流したのは何年ぶりだろう。
795美香 ◆FE5qBZxQnw :04/05/20 10:59
「悪口学校」(シェリダン/菅泰男訳/岩波文庫)
→退屈な戯曲。イギリス産。わたし戯曲は私的上演時間(この本なら二時間半)
を設定して一気に読むようにしているけど、この戯曲は一幕目でストップした。
サロンもの。つまりお金持ちのおじちゃん、おばちゃん、お兄ちゃん、お姉ちゃんが、
愛してるだの恋してるだの嫉妬だの破産だのというふうに繰り広げる喜劇。
屏風シーンが有名とのこと。ある人が屏風の中に隠れて会話を聞いているのに、
そうとは知らないものがうっかりしたことをしゃべってしまうという――。
典型的なお客に受ける(笑わすことができる)シーンというのがいくつかある。
催笑作劇法とでもいうのか。その古典的な一方法を学んだと納得する。

「人の世は夢」(カルデロン/高橋正武訳/岩波文庫)
→退屈な戯曲。スペイン産。人生は夢のようなものだと不遇な王子が悟り、
今まで自分を虐待してきた父親の王様と和解する物語。
学者さんだったら言いそうなことをたまには書いてみよう。
ギリシア悲劇の場合、神の予言(預言)はかならず的中する。
だが17世紀に書かれた本作では王子は暴君になるという予言はあたらない。
ここに人間の自己主張、人間性への信頼を見て取れる。
だからなに? と問われたら「べつに」と答えるしかないけれど学問なんてそんなもの(きっと)。

「サラメアの村長」(カルデロン/高橋正武訳/岩波文庫)
→退屈な戯曲。スペイン産。自分の娘を軍人にレイプされた村長(身分は農民)が
仕返しにその軍人を縛り首にするが、村長は罰せられず反対に国王から誉められる物語。
何気にレイプシーンがえろいね。どきどきした。
――というのが、学者ではないふつうの読者の読み方(w
戯曲:「フィオレンツァ」トーマス・マン。
この人の唯一の戯曲。しかしながら内容はやたらと濃い。
中世のヨーロッパ。舞台はフィレンツェ。
メディチ家と怪僧サボラローナとのやりとりが重厚に
描かれた作品。
79736歳節約ママ ◆baeGuFHffI :04/05/22 19:59
>>796

マンの戯曲なんてあったんだあ。
それは全集でしか読めないやつ??
>>797
そうだよ。あるよ。
トマス・マン全集第8巻「短編・戯曲・詩」にあるよ。
その名は「フィオレンツァ」。90ページだから文庫
だったら150ページ相当かな。ここにもマンの長い
文章力が活かされている。

戯曲といえばドストエフスキーがあまり聞かないね。
79936歳節約ママ ◆baeGuFHffI :04/05/22 21:08
>>798

ああ、やっぱり全集か。
マンの全集って前に神保町のある古書店で全10巻(?)を
10万で売ってたけどとても買えない・・・

マンの小説ってなかなか読めてない。
今まで読んだのは
「魔の山」「ヴェニスに死す」「マン短編集」「トニオ・クレーゲル」
「ワイマルのロッテ」くらいかな。
「ファウスト博士」「ブッデンブローク」なんか読みたいな。
図書館であるけど買って読みたい。
岩波文庫で見つかるまで読まないと誓ってすでに2年が経ってしまった・・・
80036歳節約ママ ◆baeGuFHffI :04/05/22 21:10
ドストエフスキー
トルストイ

この世界文学の2大作家は戯曲書いてないと思うよ。
今まで聞いたことない。
あったら絶対に読みたい。
>>800
トルストイはいくつか手掛けている。「闇の力」なんかは
結構な作品。これあたりはかなりの長編。ほかにもいくつか
読んだことはある。
「闇の力」は普通の図書館の世界文学全集にも載っているから
以外に容易く手に入るから御勧めかもしれない。
80236歳節約ママ ◆baeGuFHffI :04/05/22 21:16
>>801

あ、あるんだ。「闇の力」ってなんか見たことある。
>>799
新潮の全集は全部で14巻。8巻までが小説でそれ以降は評論。
トーマス・マン読破まであともう一息かもしれない。今は勤務先
の近くの図書館に全集があったから借りているけど、なんとか
全部読めそう。
他にはトルストイでは「最初の酒造り」なんかがそうじゃなかったかな?
これは結構な子供向けの短編で、悪魔が何か悪事を仕出かすには人間に
酒を覚えさせるような作品だったことを覚えている。
戯曲もあったし、また短編もあったで両方とも子供にも勧められる教養
作品といってもおかしくないね。
「闇の力」は確か新潮あたりも厚手の世界文学全集に入っていて、そこ
には他にも「クロイツェル・ソナタ」「ハジ・ムラート」「神父セルゲイ」
「悪魔」「地主の朝」「セバストポリ3部作」「幼年時代」「少年時代」
なんかが載っていた記憶があるね。こういう難しい作家には短編からじゃ
ないとちょっと挫折する可能性が高いから。
80536歳節約ママ ◆baeGuFHffI :04/05/22 21:25
>>803

あれを全部ってすごい読書量だね。
しかもマンって読んでて疲れるしね。
特に「ヨゼフとその兄弟」(??)なんてすごい難解そう。
全く入手出きる気がしないから私は一生読まないと思うけど。
>>805
まだ14巻すべては遠いね。今のところだとようやく6巻行けた
ところなんだけども、トーマス・マンはやはり20世紀細大の作家
でしょう。物理学はアインシュタイン、芸術はピカソ、映画は
黒澤、そして文学はマン。

だけどもまだ「ヨセフ」が未完のままになっているから、緩衝材
として他の作家、今考えているのが、シラーにツバイクをいくつ
か読んでそれから読んで行こうと思っている。
80736歳節約ママ ◆baeGuFHffI :04/05/24 19:41
これからは一週間ごとに読了報告しよう。
とりあえず先週読了した本。

カルデロン「人の世は夢・サラメアの村長」岩波文庫 ★★★☆☆
テネシー・ウィリアムズ「ガラスの動物園」新潮文庫 ★★★★☆
モリエール 「タルチェフ」岩波文庫 品切     ★★★☆☆
バーナード・ショー「シーザーとクレオパトラ」岩波文庫 品切 ★★☆☆☆
シェイクスピア 「オセロウ」 岩波文庫 再読   ★★★☆☆
テネシー・ウィリアムズ 「欲望という名の電車」新潮文庫 ★★★★☆

テネシー・ウィリアムズは今までなんとなく読まなかったけど
実際読んでみたらすごい良かった。
天才と言ってもいいと思う。
テネシー・ウィリアムズはピューリッツァー賞を獲得している作家。
「ガラスの動物園」「欲望という名の電車」は代表的。
809美香 ◆FE5qBZxQnw :04/05/25 11:26
>>796-806
雑談はやめてください。何度言ったらわかりますか。
スレタイを読んでください。ここは読了報告をするスレッドです。
雑談は報告ついでのおまけにでも。
あなたたち二人以外はみなさんそうしています。なぜできないのですか。

「緑色のストッキング・未必の故意」(安部公房/新潮文庫)絶版
→戯曲。収録作品は四つ。タイトルになっている二作のほかには、
「愛の眼鏡は色ガラス」「ウエー(新どれい狩り)」。
この文庫本はどうしてもほしくてネットで買ったんだけど高かったな……。
定価520円のを980円で、送料を入れたら1300円近くもかかった悔しい。
さて、それほどの価値はあったのかと考えると、うーん。
安部公房(戯曲)の特徴は「ありえねー」状況に凡人を送り込むところにある。
そこでの凡人のリアクションを喜劇として見せる。
観客は大笑いして帰宅すると、あれっと思う。
永遠に続くように思われていた日常生活が別の相貌を帯びて見えるからである。
というのが安部公房戯曲(小説も?)の根本。
カフカ「変身」の系列上にあることはわたしが指摘するまでもない。
よってその戯曲がおもしろいかどうかは発想の巧拙にのみかかる。
卑近な例をあげると、ドラえもんの作者と作品誕生の経緯が似ている。
子供の発想。あんなこといいな、できたらいいな♪という。
結果、成功しているのは「緑色のストッキング」「ウエー(新どれい狩り)」、残り二つは失敗。
安部公房戯曲の最高傑作「人間狩り」を改作した「ウエー」には期待していたけど、
(まあ笑えるが)なんかな、元のままのほうがおもしろいのにと残念。
810美香 ◆FE5qBZxQnw :04/05/25 11:47
「反劇的人間」(安部公房とドナルド・キーン/中公新書)絶版
→対談本。対談にも良い悪いがあるのをご存知ですか。
Aがあることを言う。このAの発言に刺激されて、
Bは今まで考えてもいなかったことを言ってしまう、いわばAに言わされる。
この繰り返しで、話が思いもよらなかったところに飛ぶ。これが良い対談なわけです。
Aの発言とはまったく無関係に、以前からの主張をBが言う。
こういうふうに二冊の口語体の本を読んでいるだけの対談は悪いものの典型。
芝居と同じということになる。
うまい俳優というものは、相手のセリフをよく聞くといわれています。
さて、この「反劇的人間」は、うーん、良い戯曲にはなっていなかったですね。
そうです、良い対談とは良い戯曲と同義であーる!
811美香 ◆FE5qBZxQnw :04/05/25 12:32
「戯れに恋はすまじ」(ミュッセ/進藤誠一訳/岩波文庫)
→戯曲。フランス産。ミュッセ(1810-57)はシェイクスピアから影響を受けたとのこと。
ミュッセってどんな人かと聞かれたら、そうだなうーん、大恋愛をしたせいで、
恋愛ものばかり書いていた人って感じかな。大作家じゃないよ小物、極小(w
でもまあ、おフランスものだから、好きな作家にミュッセとかあげたらちょっとセレブかも。
テーマは恋愛と嫉妬の関係。ほら、あるじゃん、好きなひとへのあてつけに
わざと好きでもないひととデートして見せつけるとか、そうあれあれ。
だけどストリンドベリの半分の迫力さえない、上品なんだなミュッセは。
内容。王子様は婚約者がつれない態度を取るので、村娘を愛しているようなふりをしました。
ほら見たことか、嫉妬にかられた婚約者と王子様は大恋愛へ。
しかし王子様の愛を本気にしていた村娘はだまされていたと知り自殺する――。
だーかーら、「戯れに恋はすまじ」! チャンチャン♪

「マリアンヌの気紛れ 他一篇」(ミュッセ/加藤道夫訳/岩波文庫)品切れ
→戯曲。フランス産。ほんと恋愛なんてだれが発明したのかね。
すごい大発明だよ。おかげで小説のテーマにゃ困らないし、
歌謡曲のテーマも永遠に補給されるし、何より人間の退屈な人生に潤いをもたらした!
ひとは自然に恋愛をするのではない、恋愛劇や恋愛小説があってこそなのである。
完全な恋愛というのは実生活にはない、小説や戯曲に完成品としてあるだけである。
人間にできるのはそれにあこがれ真似することだけ。
なんでこんなありふれた説をだらだら書いたのかというと、もうミュッセうざすぎ(w
とくに西洋は神への愛と人間の愛がごちゃまぜになっているからしつこいんだ。
コックさん、油を使いすぎだよってな感じ。
おまけ(他一篇)についていた「バルブリーヌ」のほうがまだ読めた。
シェイクスピア「シンベリン」と同じで、
貞節な妻が夫の留守中になびくかどうか、夫と友人が賭けをする――。
812吾輩は名無しである:04/05/25 12:38
↑ あっちゃー
イタいよ・・・ あんたバカ?
813美香 ◇FE5qBZxQnw :04/05/25 13:06

          ,.,.,.-‐ """''''''- 、   
       /""          \ 
   r、r.r 、"   ノりノレりノレノ\ `i     ´
  r |_,|_,|_,| ノ ノ     ノ' 'ヽ ミ、 │
  |_,|_,|_,|/⌒     -="-  (-="││   美香です
  |_,|_,|_人そ(^i   "" ) ・ ・)("" ヽ・・・
  | )   ヽノ |.    ノ u 丶.   i│
  |  `".`´  ノ      ノ二) |  ! ヽ
  人  入_ノノ     )─ィ /ノノ\ミ 
/  \_/\\        / \\ ヽ
      /   \ ト ───イ/   ヽヽ

814じゅん:04/05/25 13:17
ロマンロラン「魅せられたる魂」

異様に長いこの本読んだ。疲れた。全部理解しながら読んでいかないと気が済まない
たちなんで、読了するまで、まるまる4週間かかった。(以前カラマーゾフの兄弟
読んだ時は2週間弱だったから、いかに長いか)。 新潮社の、例の、世界文学全集
とやらで読んだ。2冊分だもんな、凄いよ。特に2冊目に入ったら疲れちゃって、疲れ
ちゃって、それでも1ヶ月以内には読んでおきたかったから頑張って読んだよ。
じゃないと、数年間くらい放っておきそうだからね。
実は、以前ジャンクリストフに手を付けて、半分行かない所で挫折して、投げちゃった。
今回は、同じそのロマンロランの作で、名誉挽回に挑んだってわけ。
あ〜疲れた。 でも作品は面白かったよ。
815美香 ◆FE5qBZxQnw :04/05/25 13:28
「織工」(ハウプトマン/久保栄訳/岩波文庫)品切れ
→戯曲。ドイツ産。ハウプトマン(1862-1946)はドイツの近代劇の創始者。
演劇史的にいうと近代劇といえばイプセン、その影響のもとにストリンドベリやら
バーナード・ショーがでてきた、そのドイツ版がこのハウプトマン。代表作がこれ。
悲惨な労働条件の中、困窮する織工たちは団結して工場主に反旗を翻す――。
だからといって決して革命賛歌の劇ではなく、暴徒となった織工たちを客観的に
(ある意味では冷徹なまでに突き放して)見る作者の視線がある。
作品としておもしろいかと聞かれたら否だけど、演劇史的観点からは興味深い。
王様の葛藤とか貴族の恋愛遊戯ではなく、ついに資本主義社会を描く戯曲が現れたのかと思うと。
薄いし、読んでおいても損はない古典。

「沈鐘」(ハウプトマン/阿部六郎訳/岩波文庫)品切れ
→戯曲。ドイツ産。壮絶につまらない。今年のワースト1はこれに決定。
イプセンの「ペール・ギュント」と同じで、何かの民話が下敷きになっているのでは。
まったくわからん。2時間で読み飛ばせたのは遊びに行く時間が迫っていたから。
イプセンの「ペール」もそうだけど、復刊リクエストがでているんだよね。
教えてあげたい。つまらないからおやめなさいと。

「聖火」(モーム/菅原卓訳/白水社「現代世界戯曲選集」第5巻)絶版
→戯曲。イギリス産。モーム、日本では小説家としてしか知られていないけど、
イギリス演劇史のうえではけっこう重要な役割を果たしていたりする。
だけどモームの戯曲で邦訳があるのは(調査すると)おそらく六作だけ。
そのなかの貴重な一作がこれ。昭和29年刊行。そこそこぼろぼろ。300円で購入。
買ってきた日に読んだんだけど、これがおもしろいんだなぁ〜。
久しぶりの傑作戯曲。優れた戯曲を読むと幸福な気分になる、だれにでも笑いかけたい気分。
下半身付随で寝たきりの長男が原因不明の死亡、さて犯人は母親か妻かそれとも自殺か――。
巧みなストーリー構成、どきどきさせるサスペンス、意外な落ち、豊かな人間描写。
わたしだけが知っている名作ということですな。
816吾輩は名無しである:04/05/25 14:21

なにこれ
解説の感想文?
ひょっとして、あんたバカ?
817吾輩は名無しである:04/05/28 00:26
ぶすの美香は最近見ないなあ。
ウィルスにでも感染したのかな。

最近、美香が36歳豚主婦を攻撃しだしたけど、
その仕返しに、豚ママがウィルスのページを
貼りまくってる。
俺もとんだ被害を受けたぜ。とほほほ
818VON・トーマス・マン:04/05/28 19:38
文学板にウィルス流した奴が確かにいた
81936歳節約ママ ◆baeGuFHffI :04/05/28 20:20
>>817

私じゃないよ。
勝手なこと書くな〜
820吾輩は名無しである:04/05/28 20:40
>>819
お前は存在そのものがウィルス。
821吾輩は名無しである:04/05/28 20:33
>>819
まあ、お前は嫌われてるってことだ。
文学板でお前の味方なんて一人もいないしな。
82236歳節約ママ ◆baeGuFHffI :04/05/28 20:51
>>821

文学板なんて過疎板だからここ見てる人間なんて30人くらいじゃないかと
私は思ってる。
30人ぐらいに嫌われてもいいや。
823吾輩は名無しである:04/05/29 01:02
>>822

貧しいね
82436歳節約ママ ◆baeGuFHffI :04/05/30 19:08
今週の読了本

プーシキン「大尉の娘」岩波文庫 品切れ ★★★☆☆
フランソワーズ・サガン「悲しみよこんにちは」新潮文庫 ★★☆☆☆

サガンはそこそこ面白いけど最後のほうはグダグダだったなあ・・
最初からわかってたけどサガンって中高生が読む本だね。
私の年齢、読書経験でサガンを読んでも「ふ〜ん」程度の感想しかないよ。
825吾輩は名無しである:04/05/30 20:11
>>824
レスを散見する限り、あなたが読書から得た経験は、零に等しい。
存在自体が板違いなので、もう、書き込まないでください。
826吾輩は名無しである:04/05/30 20:15
>>824
つまんないのばっかり読んでるね。
827吾輩は名無しである:04/05/30 20:18
>>824
>最初からわかってたけどサガンって中高生が読む本だね。
>私の年齢、読書経験でサガンを読んでも「ふ〜ん」程度の感想しかないよ。

読書にハマって数年の輩が何を言ってんだか(藁
828吾輩は名無しである:04/05/30 20:19
>>825
ママは文学板で大丈夫だよ。

ちゃんと他のみんなと同じ一学徒としての立場から書き込んでいる。

他の誰かと勘違いしていない?

829吾輩は名無しである:04/05/30 20:20
いいじゃないか。買い物日記なんだから。
830吾輩は名無しである:04/05/30 20:21
36歳バカの自演ウザイ
83136歳節約ママ ◆baeGuFHffI :04/05/30 21:24
>>826

じゃ、面白い本を教えてよ。
さあさあ早く教えて。
そんなこと書くぐらいだからさぞ面白い本を沢山知ってるんでしょうね〜。

教えてくれなかったら一生嘘つきって呼んでやる。
832吾輩は名無しである:04/05/30 21:30
>>831
…やっぱり読書どころか、人生からも何も得ていない人だ。
833吾輩は名無しである:04/05/30 21:31
ダン・シモンズの「ハイペリオン」シリーズ(文庫本全8巻)を読了し
ました。これくらいでは、あまり自慢できないでしょうか?
834826:04/05/30 21:32
>>831
そっくりそのまま、お前の言葉なんだけど(藁
さっき一般書籍板でたまたま見つけたから、貼ってみただけ。
 ↓
http://book3.2ch.net/test/read.cgi/books/1059282494/523


他人に対しては平気で言うくせに、
自分が言われた時は怒るなんて人として間違っとるぞ。

自分が言われて嫌なことなら他人に対しても言うな、バカ。
835吾輩は名無しである:04/05/30 21:35
>>834
GJ!!
83636歳節約ママ ◆baeGuFHffI :04/05/30 21:51
>>834

アハハ・・・これは一本取られたねww
こんなこと書いてたなんて過去の私ってバカね。
837吾輩は名無しである:04/05/30 21:57
日付を見ると一ヶ月も経ってませんが……。
83836歳節約ママ ◆baeGuFHffI :04/05/30 22:00
書いては忘れ、書いては忘れ・・・・

私は究極の垂れ流し2ちゃんねらー。
839吾輩は名無しである:04/05/30 22:13
ラーゲルグヴェスト『バラバ』岩波文庫(絶版か?)★5

キリストが磔にされることの引き換えに自分が磔になる運命を免れた男バラバ、
彼に訪れた信仰というもののてん末を物語として著したもの。ノベール賞受賞作品。
他の著者、作品を挙げてある作品を説明することはあまりよくないことだがあえて
セリーヌの『夜の果てへの旅』やドストエフスキーの文学と同種のものを感じてしまう。

キリスト教に関心の深い人、賭博黙示録カイジが好きな人、
セリーヌから取り返しのつかないダメージを受けた人、ドストエフスキーに共感する人、
転向した人、ニ律合反な人、なんともいえない何かを抱えている人、は読んでほしいです。

読了感は大きなため息ひとつ、というところ。おもしろかったです。
840839:04/05/30 22:18
訂正:あえて→(削除) 合反→相反

ともかく『バラバ』は本当におもしろかった。いつか読んでね。
841VON・トーマス・マン:04/05/30 22:38
今日ようやくPCの調子が直った。二度とウィルスにはやられないようにしよう。
842VON・トーマス・マン:04/05/30 22:41
あのウィルスは36歳ママじゃあないな。他に誰かが奇妙なHPを紹介していた。恐らくはあれこそが
ウィルスの元ではないのだろうか?あれを見てから機械がおかしくなった。
843美香 ◆FE5qBZxQnw :04/05/31 06:04
「深い青い海」(テレンス・ラティガン/小田島雄志訳/白水社「今日の英米演劇1」)絶版
→戯曲。イギリス産。福田恆存がある本でお薦めしていた戯曲。まれに見る傑作。
こんなにおもしろい戯曲が日本人にほとんど知られていないのはさみしいかぎり。
わたしのようにたくさん戯曲を読んでいても、ここまでの良品にはそうは出会えない。
さて、良い戯曲とはなにか(わたしにとって)。
まず、なによりおもしろいこと、先が気になってしかたがないような戯曲。
そしてバランス。朝がきてひとが動き出す、もっとも活動的な昼、疲れて眠りにつく夜。
「起承転結」だの「破序急」だのといわれている、あの生命特有のリズムを持つ戯曲である。
ことが起こり、それが展開して、最後には収束(解決)するひとつの事件=芝居=戯曲。
そんな事件をわたしは目撃したいのである。
何も起こらない毎日を淡々と生きるものとして、始めも終わりもない退屈な日常にいやいやしながら。
本作品はある集合住宅(アパート)で自殺未遂者が発見されることから始まる。
彼女が自殺を試みたのは失恋が原因である。
なんとか彼女を助けようとするアパートの住民たち。はたして彼女はどうなるのか――。
こんな戯曲が読めると思うと生きているのも悪くはない気がする。
844美香 ◆FE5qBZxQnw :04/05/31 06:32
「花粉熱」(ノエル・カワード/鳴海四郎訳/白水社「現代世界戯曲選集5」)絶版
→戯曲。イギリス特有の風俗(風習)喜劇というジャンルに属する作品。
英国人は芝居に哲学など求めていない、ただ一晩の笑いがあればと出かけていく。
そんな姿勢がよくわかる作品。おかしくて、笑えて――。
奇妙な四人家族がいる。女優の母親、小説家の父親、息子に娘。
四人がそれぞれに休日に友人を招待したが、その友人たちはこのおかしな一家に翻弄される。
なんでもかんでもお芝居をはじめてしまうからである。
翌朝にこの四人の訪問者がこれはたまらんと逃げ出していくまでを描く。
見事な戯曲です。拍手ぱちぱち。

「にわとり」(ショーン・オケーシー/菅原卓訳/白水社「今日の英米演劇1」)絶版
→戯曲。アイルランド産。よくわからなかった、何が起こっているのか、どこがおもしろいのか。
悪魔がでてきたりするんだけど、いないっしょそんなもん(w
イギリス人はアイルランド人を差別していた(いる?)というけど、
こんなのを読まされるとアイルランド人はバカかと思ってしまう。
退屈な戯曲を読んだときのやりきれなさはなんとも言いようがない。
845美香 ◆FE5qBZxQnw :04/05/31 07:12
「花咲くチェリー」(ロバート・ボルト/木村光一訳/白水社「今日の英米演劇3」)絶版
→戯曲。イギリス産。ギリシア悲劇は神に近い英雄の受苦を描いた。
シェイクスピア悲劇では王や王子が大立ち回りをして死んでいった。
現代劇――。家族に見放されたセールスマンの父親がみじめにうつぶす。
アーサー・ミラー「セールスマンの死」とそっくりな戯曲。ダメ親父の物語。
いつかリンゴ農園を開くのが夢のこのダメ親父は会社をリストラされ妻からも愛想をつかされる。
じつにうまい作劇術で、観客(読者)をあきさせない。
イギリスのチェーホフと言われているとのこと。
良い戯曲を読んだなぁという、しっかりとした満腹感がある。

「すべての季節の男」(ロバート・ボルト/小田島雄志訳/河出書房「現代世界戯曲集」)絶版
→戯曲。イギリス産。古くはギリシア悲劇「アンティゴネ」から西洋にはひとつのテーマがある。
従うべきは神の法か、人の(=国の)法かという問題である。
日本には基本的にこのテーマはないんだけれども、例のオウム事件を考えるとそうでもないのかな。
麻原(=神)がサリンをまけという、日本国憲法はそれを犯罪だという、その間の葛藤。
この戯曲の舞台は、シェイクスピアが「ヘンリー8世」に書いた時代。
イギリス国王の離婚がローマ法王から認められないのでイギリス国教会を作るという――。
主人公のトマス・モア(国王の側近)は迷う。
ローマ法王(キリスト教=死後の法律)か、イギリス国王(現在の法律)か。
トマス・モアは神の法を選択して国王から処刑される。
こういうのを読むと、西洋文学への溝の深さをいやがおうにも実感させられる。
われわれ日本人は西洋文学なんてわかりっこないんじゃないかという絶望である。
命を捨ててまで従う神のいる国の文化(西洋文学)を神仏ごちゃまぜの日本人がわかるものか。
この作品は「わが命つきるとも」というタイトルで映画にもなったらしい。
846美香 ◆FE5qBZxQnw :04/05/31 08:12
「怒りをこめてふりかえれ」(ジョン・オズボーン/青木範夫訳/筑摩書房「現代劇集」)絶版
→戯曲。1956年、イギリスでこの劇が初演されたとき、すごい衝撃を与えたとのこと。
シェイクスピア登場以来の英国演劇史上の「事件」とまでのちには語られたらしい。
わたしが信頼している学者の小田島雄志さんもこの劇を絶賛している。
なんでもこの劇の主役、ジミー・ポーターは現代のハムレットであるという理由で。
だけど、うーん、わたしだけなのかな、これ決しておもしろくはないと思うんだけど。
普遍的なおもしろさ(古典的といってもよい)はないと思うんだけどな。
労働者階級出身の青年、ジミー・ポーターくんが妻に怒りまくる。
というのも、妻のアリソンさんが中流階級出身だから。
その発言、行動すべてが気に入らないというのである。
我慢できなくなった妻が実家に逃げたら、今度は妻の友人と愛人関係へ。
それでもジミー・ポーターくんの怒りは収まることがない。
最後は戻ってきた妻と仲直りして、動物園ごっこ。
ぼくは熊だぞきみはリスだ食べちゃうぞー♪ なんてラブラブなのはどうして?w
未熟で不快で退屈な戯曲だと思うけどな。
最後に演劇史的知識の確認。
オズボーンはウェスカー、ピンターらとともに「怒れる若者たち」といわれた。

「ルター」(ジョン・オズボーン/小田島雄志訳/白水社「今日の英米演劇3」)絶版
→戯曲。読むまえから絶対つまらないぞとなかば確信していたんだよね。
歴史上の有名人がタイトルになっている(いわゆる)評伝劇でおもしろいものを知らない。
バーナード・ショーの「聖女ジョーン」なんてその典型だけど。なんでだろう。
「神が作った劇=人間の運命→評伝劇」と「人間が作った劇」とのはざまで首をかしげる。
ルター。宗教改革かぁ。
世界史わたし高校時代ほとんど勉強しなかったからよく知らないんだ……。
免罪符の発行ねえ、堕落した教会ねえ。
だけど、ほんとキリスト教ってすごい。
二千年ものあいだ、あれだけ多くのひとをとりこにしたのだから。
あ、戯曲はやっぱりおもしろくなかったけど、読み飛ばしました、オズボーンつながりで。
847吾輩は名無しである:04/05/31 09:17
横山秀夫 第三の時効 集英社 読了

サリンジャー ライ麦畑でつかまえて 白水社 野崎孝訳

文盲の俺には面白かったとしか書けません。
848美香 ◆FE5qBZxQnw :04/06/03 09:14
「図解雑学 聖書」(関田寛雄=監修/ナツメ社)
→ナツメ社の「図解雑学シリーズ」はいいよ!
いぜんギリシア悲劇を読み始めたとき、これはギリシア神話の知識が不可欠だと悟った。
そこでほんといろいろギリシア神話入門書を読み漁ったけど、
その中でいちばんわかりやすかったのが「図解雑学 ギリシア神話」だった。
おそらく執筆者は編集者からサルにわからせるつもりで書いてくださいと頼まれているはず(w
左ページは本文で、右ページはそれを図解したもの+関連写真・絵という構成。
講義にたとえたら左ページは先生の口述、右ページは板書みたいなものかな。
この「図解雑学 聖書」でも、知る喜び、わかるという快楽を十全に味わった。
このシリーズは売れる(売れている?)と思う。

「キリスト教ハンドブック」(遠藤周作・編/三省堂)*再読
→5、6年前に遠藤周作に傾倒していたころ、キリスト教の本をたくさん読んだ。
これはそのときの一冊。あ、聖書本体はもちろん読んでいない(読めませんって)。
キリスト教か……。なんか、こう、体質に合わないんだなぁ、むかしより。
十字架を背負ってゴルゴダの丘に向かって歩く男――その男は愛を説いていた――
そんな男にゃ石を投げつけてやりたいという、なんかね、こう屈折した思いがね……。
あ、この本の感想か。わかりにくい、それだけ。書いているのは遠藤周作じゃないし。

「寺院の殺人」(エリオット/高橋康也訳/白水社「現代世界演劇3」)絶版
→戯曲。イギリス産。いちおうキリスト教つながりということで。
テーマはキリスト教。またあの、国法か神の法か、というテーマ(おそらく)。
読後、良かったと胸をなでおろす。エリオット全集の戯曲の巻を買わなくて良かった〜。
どこかの古本市で1800円くらいであり、だいぶ迷った記憶がある。
訳が福田恒存だったということもあって。うん、エリオットは退屈であります。
849吾輩は名無しである:04/06/03 09:48
>この「図解雑学 聖書」でも、知る喜び、わかるという快楽を十全に味わった。

おまえ、なんにもわかってないじゃん
850VON・トーマス・マン:04/06/03 20:06
ゴットフリート・ケラー「ハウトラウプ」と「マネックの阿呆者」。
スイスのチューリッヒを舞台にした作品集。哲学性は感じられないが、中世の
ヨーロッパを描いた作品としてはそのリアルさに溢れている。
85136歳節約ママ ◆baeGuFHffI :04/06/04 22:02
プーシキン「オネーギン」岩波文庫 ★★☆☆☆

脱線が多すぎ。まあ、脱線がなくても別になんの捻りもない話だけど。
ロシア人には大人気のプーシキンも日本人には受けないだろうと思う。


シェイクスピア「お気に召すまま」新潮文庫 ★☆☆☆☆

たぶん再読。全然記憶に残ってなかった。
いや、これ有名な作品だけど本当にひどいね。
余計なキャラクター多くない??
これだけつまらなかったら逆に記憶に残ってそうなもんだけどな。
852吾輩は名無しである:04/06/04 23:21
おまえ、なんにもわかってないじゃん
853美香 ◆FE5qBZxQnw :04/06/05 08:18
「ソートン・ワイルダー一幕劇集」(時岡茂秀訳/劇書房)絶版
→戯曲。アメリカ産。一幕劇が5つ入っている。
有名なのは「ロング・クリスマス・ディナー」。
わずか一幕(30分!)である一家の90年もの出来事を描いてしまおうという実験作。
舞台下手は誕生の扉で、生まれるとここから出て来る。
舞台上手は死の扉で、死ぬとここから出て行く。そのあいだはクリスマス・ディナー。
下手から出たと思ったら上手に消えていくものもいる(=死産)。
生まれて死ぬ、人間はただそれだけの存在なんだと当たり前のことを改めて想起する。
ワイルダーは従来の自然主義演劇やその物語性をこういった形で否定した。
おもしろいひとである。

「結婚仲介人」(ソーントン・ワイルダー/水谷八也訳/新樹社)
→戯曲。アメリカ産。訳注がなければとほんとに思う。
ほらいるじゃん、独創性を主張したがる学者さんって。
だけど、もちろん創作の才能はない。あったら学者なんかやっていないわけだから。
すると、どうなるか。1ページに5コも6コも訳注をつけて自己アピールとあいなる。
まるで子どもが他人のおもちゃにつばをつけて、これボクのだよというみたい。
そんな幼児性をもっているのがこの戯曲の翻訳者、水谷八也。
せっかくのおもしろい戯曲を訳注でめちゃくちゃにしてしまった男、水谷八也。
都市の名前がでてきたら10行くらい使って、その特徴(外見・歴史)を書かないと気がすまない。
訳注なんて無視して読み進めばよかったんだけど、なんか気になって……。
内容は典型的なファルス(笑劇)。3組のカップルがめでたく結ばれる。
それまでには「立ち聞き」「取り違え」といったファルス固有のシーンがこれでもかとある。
観客のみなさん、ちょっとでもいいから冒険してみましょうというのがテーマ。
いつか訳注を飛ばして再読してみたい。じつにいい戯曲だから。
854美香 ◆FE5qBZxQnw :04/06/05 08:54
「サン・ルイス・レイ橋」(ワイルダー/松村逹雄訳/岩波文庫)品切れ
→小説。ワイルダーの出世作となった。
美香文学(てへっw)のテーマと密接に関係した作品。つまり人生は偶然か必然か。
1714年、ペルーで有名なサン・ルイス・レイ橋が崩壊し5人の死者をだした。
そのときある修道士は考えた。なぜ死んだのはこの5人だったのか。
世に起こることはすべて神のご慈悲である。
ならこの5人も死ななければならない理由があったはずである。
あのとき、あの場所に偶然居合わせたのには意味がなければならないということになる。
修道士は調査し一冊の書物にまとめたが教会はそれを認めず著者とともに焼き払った。
さて日本、2004年。テレビで毎日、交通事故のニュースが送られてくる。
なぜあのひとたちが? なぜわたしやあなたではなく?
ワイルダーがこの小説でどんな答えをだしたのかは読んでのお楽しみ♪
気になる? それにほんとに読んだひとがいたら怒られそう。
というのも、……答えなんて書いてないから。

引用。
「われわれには結局何もわからないのだ、神々の前には、われわれ人間は、
夏の日にいたずら小僧の手で殺されるトンボのようなものに過ぎないのだ、
という者もあれば、また反対に、スズメのようなものがその羽根一枚を
すり取られるのにさえ、そこに必ず神の御手の働いていないことはない、
という者もいる」(11ページ)
ご存知、前者はシェイクスピア「リア王」、後者は「ハムレット」から。

>>851
36歳節約ママさん、せめてこのスレからはご退出願えませんか?
あなたが来ると荒れるし、スレと関係ない雑談をした前科が何度もありますゆえ>>819-838
855VON・トーマス・マン:04/06/05 10:02
フリードリッヒ・シラー「群盗」(Die Rauber)戯曲。
高貴な家柄に生まれながらも親子兄弟の不和から自らが悪事の限りを尽くす
大盗賊の首領になりさがってしまう主人公。もともとが社会の不条理を正す
ことが目的で盗賊の首領を引き受けたが、残虐な殺人・放火・強姦・強盗を
繰り返すことしか能のない悪逆の徒を目の当たりにして、自分の人生の中の
古き良き幼少期を思い出しそこへの回帰を図ろうとする。
自分の地位を徹底して貶めた兄弟への最後の報復を試みるも決して幸福な
最期を迎えることはできなかった。やはり悪逆の限りを尽くした者には、決して
幸福な結末などは訪れないのだろう。
社会の不条理から生まれた行動が逆に社会の不条理そのものになってしまう
結果しかもたらさない短絡的な内容には、現代の多くの人々にも共感する深い
感慨をもたらしてくれる。安易に革命や暴動を口にして逆に社会そものに害悪
しかもたらさない行動にも警鐘を与えてくれる、世代を超えたシラーの不朽の
名作ともいえる。
シラーにはこれと似た作品として「盗賊」という短編もあるが、これは「群盗」
の主人公とは異なり、もっと下層の抑圧された人生を送った人間を取り扱って
いる。「群盗」の主人公よりもかなりの迫害を受けてきた人間の心理が鮮明に
描かれている。「群盗」の手下たちにもこんな輩が多かったが、もっと社会の
貢献に努めるような集団として活躍はできなかったものなのか?
856吾輩は名無しである:04/06/06 01:28
>>854
お前は自分の好きなスレだけ無事であれば、
他所のスレが荒らされようが知ったこっちゃないって考えてるのか?

そんなこと言ってるならば、ママに雑談ふっかけてこのスレ潰すぞ。

厄介者を他所のスレに押し付けようとするのはやめろ。
857吾輩は名無しである:04/06/06 01:48
文学板もこのスレもお前の私有物じゃないんだからさー
王様みたいに振舞いたいなら美香板に閉じこもってればいいじゃん
鏡に向って汚い言葉を吐きかけてるみたいで見てて気分が悪いんだよ
それもあちこちのスレで…喧嘩するならリアルワールドでやれ
858美香 ◆FE5qBZxQnw :04/06/06 10:15
「日本の名随筆 別巻40 青春」(椎名誠―編/作品社)
→近所の古本屋に百円で落ちていたので、お酒を飲みながら二時間で読んだ。
至福のときだね、横にはウイスキー、開くは上質のエッセイ(アンソロジー)。
だけど、買った金額は百円だから肩の力を抜いて読める。
汚しても気にならないし、飛ばし読みをするエッセイがあってももったいなくない。
何も考えずにわたしが文章を楽しめるのはこういった時間だけである。
ほかの読書では常に緊張しているから。
何かに使えないかという盗人(ぬすっと)気分、
どうしておもしろい(つまらない)のかという分析者気質。
読むのが娯楽ではなくなっている、金鉱を見つけようとするあさましい血眼の目。
やだやだ自己嫌悪。

>>856-857
ごめんなさい、反省します、だから荒らさないで下さい。
859Kの商店:04/06/07 11:38
5月30日 メイン・テーマ      宮本輝 文春文庫
860VON・トーマス・マン:04/06/08 19:49
「ボリス・ゴドノフ」プーシキン。岩波文庫。戯曲。
ロシアの国家としての黎明記の王朝を描いた作品。久々に読んだプーシキンの作品。
日本が家康による統一を果たしたころのロシアの混乱を描いたものとしては、非常
に優れた描写があった。今は弱小国のポーランドが最強の栄華を誇った時期、あの
ヤゲロー王朝の全盛期の強さを見ていると心強さをも覚えてしまう。
ただし相次ぐ異民族の移動の歴史を繰り返したロシアには、統一国家という概念の
成立が遅れたという背景もあったせいか、勢い圧制と外国との紛争にもまれた混沌
に漲るサマは感動よりは時代を感じてしまう。
こんな戯曲を読んだ後に感じることは、やはりヨーロッパとはいつでも絶えること
のない戦乱と悲惨の宝庫だとしみじみ思うこと。ここは日本とは違い遊牧民の最後
の終着地。20世紀の戦争とは規模もかなり異なるが、あまり平和ではないこんな
歴史を見ていると日本とは大きな隔たりがあり過ぎるような読後感を覚えた。
861吾輩は名無しである:04/06/08 20:51
日本が家康による統一を果たしたころのロシアの混乱を描いたものとしては、非常
に優れた描写



おまえは現代を読めよ。
862VON・トーマス・マン:04/06/08 21:04
>>861
じゃあおまえは何か読んだのか?
863吾輩は名無しである:04/06/08 22:20
VON=裸の王様
864美香 ◆FE5qBZxQnw :04/06/09 11:20
「インドは今日も雨だった」(蔵前仁一/講談社文庫)
→旅エッセイ。インドには一度行ったことがある。一人旅。
いろんな国の人と話せたりしておもしろかったな。
あー、もう一度行きたい、だけど一歩踏み出せない、だからかわりにエッセイを読む。
うざい自己主張も、旅なれた人特有の腐臭もない、実に手軽なエッセイだった。
ほんのわずかのあいただけインドに行ったような気分になった。
それこそこのエッセイに望んでいたもの。だから満足、満足、余は満足じゃ。

「もの食う人びと」(辺見康/角川文庫)
→ベストセラー。
いろんな国へ行って、いろんなものを食べてみようというエッセイ。
いかにも学校の先生とかが生徒に薦めそうな健康的文部省推奨的優良作品。
じつにくだらん。
たとえばアフリカのウガンダに行く。
22歳の末期エイズ患者、ナサカという女性と出会う。
そこで著者は素朴に子供のようにまっさらな気持ちでナサカに同情する。
著者の最後の一文がしゃれている。ナサカと夜道をふたりで歩く。
一面のバナナ畑と満天の星に感傷的になり、
「ナサカもいつか、土に還り、バナナになり、星を見るのだろうと私は思った」。
おいおい。気持ちの悪い文学趣味で総括ですか(w
やりきれないなこういうおっさんは。わかるかなこの気持ち悪さ……。
「他人の悲劇」を書くもの書きは細心の注意をはらってほしい。
わたしは「他人の悲劇」を娯楽として提供するワイドショーは好きだがこの本は大嫌いである。
865吾輩は名無しである:04/06/09 11:48
>>864

      r;ァ'N;:::::::::::::,ィ/      >::::::::::ヽ
.      〃  ヽル1'´        ∠:::::::::::::::::i
       i′  ___, - ,. = -一   ̄l:::::::::::::::l
.      ! , -==、´r'          l::::::/,ニ.ヽ
      l        _,, -‐''二ゝ  l::::l f゙ヽ |、 ここはお前の日記帳じゃねえんだ
        レー-- 、ヽヾニ-ァ,ニ;=、_   !:::l ) } ト
       ヾ¨'7"ry、`   ー゙='ニ,,,`    }::ヽ(ノ  メモ帳にでも書いてろ
:ーゝヽ、     !´ " ̄ 'l,;;;;,,,.、       ,i:::::::ミ
::::::::::::::::ヽ.-‐ ト、 r'_{   __)`ニゝ、  ,,iリ::::::::ミ    
::::::::::::::::::::Vi/l:::V'´;ッ`ニ´ー-ッ-,、:::::`"::::::::::::::;゙ ,  な!
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866吾輩は名無しである:04/06/09 13:45
ここにずらずら説明された本を読む気失うのは
自分だけだろうか。
867VON・トーマス・マン:04/06/10 21:01
「ユーディット」クリスチャン・フリードリッヒ・ヘッベル(HEBBEL)。
5幕の戯曲。舞台は古代のイスラエル。聖書を舞台とした作品。アッシリアの皇帝
に攻められたイスラエルの都市の救出を描いた作品。1幕ではこの独裁者の非道が
見事に表現されて、読者の憎悪を見事に駆り立ててくれる。2幕は主人公である
女性「ユーディット」の日常生活。
この非道のアッシリア皇帝の残酷な攻撃に一人の女性が立ち向かう。飢餓作戦に、
井戸水占領など悪の味を見せ付けるこの皇帝を見ていると思わず「ユーディット」
を応援してしまう。早くチャンスを見て殺らないかと期待を弾ませてしまう逸品
だった。ヘッベルは面白い。結構嵌りそうな作家だと感心した。
またこの5幕を歯切れの良いテンポで演出できた手腕は決してつまらないと感じさ
せない力量溢れる名作だった。
868吾輩は名無しである:04/06/10 21:09
↑何時代の人? 
869VON・トーマス・マン:04/06/10 21:34
ヘッベルは19世紀前半の作家。以前この人が大好きな人がいたが、自分で
読んでみても面白すぎる。シラーとも一線を画した味のある作品が本当に
気に入った。
870吾輩は名無しである:04/06/10 21:35
142 :美香 ◆FE5qBZxQnw :04/06/10 21:34
>>672-684
key ◆m0yPyqc5MQくんの即興短編小説の感想。
きみに必要なのは大学教育ではなく絶対的な不幸。
が、それは求めて得られるものではない。
……というのが今までの一般的な見解だった。
才能のないやつはどうしたってダメであるという。
それは春樹の短編小説に書かれている。
あれはなんだったか。
春樹の小説はいま本棚の奥にしまいこんだので調べることができない。
だけど、たしかに春樹の短編小説で素人の原稿を読むというのがあった。

おっと、話題はカギであったか。
小説を書きたい→不幸になりたい→美香様だけが頼り(私的妄想)。
不幸になるのは簡単である。近くにマンションはあるかい。
9階以上から飛び降りなさい。

ここまで書いて自分が許せなくなった、ごめんなさいごめんなさい。
ごめんなさいカギさん許してわたしを。
生きて、生きて。死ぬのはわたしだけでいい。あー、壊れていく壊れていくあたしわたくし。
871吾輩は名無しである:04/06/11 19:15
ここにもいた粘着の美香
872吾輩は名無しである:04/06/11 22:14
車輪の下

一度中校生の頃読んだが、大学生の今になって再読
まず驚いたのは情景描写の美しさ。
田舎町の素朴な自然がありのままに伝わってくる。
よくこの作品は詰め込み教育に対する批判だという意見があるけど
それよりもむしろ、強い郷愁心を煽られた。
873吾輩は名無しである:04/06/11 23:00
美香ってまだ生きてんのか
874VON・トーマス・マン:04/06/12 08:41
「ミケランジェロ」クリスチャン・フリードリッヒ・ヘッベル。戯曲。
2幕からなる。舞台はローマ。彫刻と遺跡発掘をめぐる短編の戯曲だった。
得意先である公爵との微妙な商取引のバランスや、遺跡発掘現場での巧妙なトリック
などを扱ったものだが、最後は誰も失意を覚えるような結果ではなく、法王からも
ライバルとの競作を求められるような顛末を迎える。
芸術家という職業の持つ投機性や、商売感覚を描いた側面が強いために人格の描き
方も少し心が狭隘に表現されている部分も否定できない。
ただしやたらと芸術家を美化するよりは、その生活に根付いた隠れた真理の描写も
決して誹謗したものとは捉えられないところが印象に深い。
875難波:04/06/14 00:57
トニオクレイゲル「トーマスマン」

今日、午前中ざっと読んだ。約10年ぶりに。しかしトーマスマンは、描写が細かくて、
読み手に自由に想像する余地をわざと与えてくれないような所あるよな。ここまでいくと
逆に凄くなる。
人生の教訓めいた事が多く書かれてるんだけど、あれが作者が20代の時に書かれたものだと
思うと仰天した、思わず。
詳しい感想などここでつらつら述べても長くなってスペースが無いし、皆、既に周知の作品だろうし
省略する。その後、魔の山読もうとしたけどやめた。時間の無い人間の悲しさよ。
876吾輩は名無しである:04/06/14 01:06
>>875
おい、おっさん。
別に強制はしないけど、出来ることなら作品名の方を「」に入れてくれ。
877難波:04/06/14 01:38
「KとT」田山花袋

田山の作品はどれも読みやすい。TVを見ながらの惰性的集中力でも読める。
それくらい簡単。それどころか、ストーリー展開も似てるのが多い。
ある人から見れば、悪い見本のような作品を書く人かもしれない。鴎外や漱石は
そういう田山の平凡な作品を見ながら、要所で引き締め、学のある所をみせつけて
いった部分もあるのだろう。同時代のライバルからしたら笑ってはいられない。
田山及び自然主義は時代の取捨選択の目に破れ、その後の出版数の絶対数保証まで
減らされた形になった。「KとT」は山荘で友人が語りあう話。鴎外は自然主義派を
生ぬるい恋愛ばかりにつながる、と批判したが、田山の書く小説は逆に平成の今見ると
いろんな意味で笑えてならない。KとTが話している事はつまり、NHK教育でやってる
しゃべり場を彷彿とさせる青臭いものだ。蒸し返すが鴎外は、そういうのを嫌って大人の
リズムで書いてしまった。笑わせてくれるのは「しゃべり場」の方なのだ。だから俺は田山の
作品を偶に読む。 島田雅彦の作品では笑う事が出来ないのだ。 もう寝る。
878吾輩は名無しである:04/06/14 02:11
>>875


あれが作者が20代の時に書かれたものだと
思うと仰天した、思わず。
↑↑↑↑
どこに仰天したのかな? なぜ年齢が関係ある? 30代じゃだめだったか?
高校生だったらよかったか?
879美香 ◆FE5qBZxQnw :04/06/16 13:07
「図解雑学 仏教」(広沢隆之/ナツメ社)
→わたしがはじめて仏教にふれたのは大学一年のときに受講した「東洋思想」。
大学生だぁと張り切っていたわたしだったがあまりのつまらなさに寝入ってしまい、
そのうち授業にも顔をださなくなったけれども、なんとか単位はいただけた。
つぎに仏教へ関心をもったのは大好きだった(過去形?)宮本輝が創価学会員だと
知ったとき。創価学会は日蓮を大聖人とあがめる仏教系の一派だから、
じゃあ、仏教ってそもそもなんだろう、日蓮ってどんなひとだったのかと調べた。
で、今回が三回目。最近、自殺願望が強いので、すがれるものならなんにでもと(w
「図解雑学 聖書」の続きという流れもある>>848
結果。さすがの図解雑学シリーズでも仏教はやはり難しいのねとため息。
独特な仏教用語がたくさんでてくるのが原因のひとつ。
もうひとつは、日本に伝来してからの宗派の多さ。
鎌倉新仏教の開祖と宗派とか、そうそう受験生のとき必死こいて覚えたや……。
仏教の特徴は心の重視にある。たとえばあなたが不幸だとする。
仏教は説く。それはあなたが不幸だと心で思うからだ。
心のありようを変えてみなさい。ほら、環境は同じでも心しだいで不幸は消えるでしょ?
これが基本線。難しく表現するなら三法印、四諦八正道、十二支縁起、六道輪廻――。
ひとつ疑問。そもそも人間の「さとり」を目的としたインド仏教が、
根本分裂、部派仏教、大乗菩薩思想の誕生、中国、朝鮮、日本と流れると、
どうして現世利益と死者供養をメインとした仏教になってしまったんでしょうかねえ?
昨日から今日にかけて3冊。
ウォーク・ドント・ラン  ★
 ハワイのサーフィン屋じゃなくて、サイパンのダイビング屋だった。
7つの夜 ボルヘス ★★
 これはたぶん私の遺書になるだろう、と著者が語った講演集。
黒ミサ異聞 ユイマンス ★★★。



以上。
881美香 ◆FE5qBZxQnw :04/06/16 13:43
「仏教入門」(三枝充悳/岩波新書)*再読
→数年前これを読んだときは感動した。
仏教の考え方というのは実におもしろいものだとしみじみと……。
仏教思想というものが、この一冊でずいぶん深くまで理解できたと満足した。
今回、再読。あはは、まったくわからない。なに書いてんの、おっさん?
まずいぞ。アルコールのせいで脳細胞がかなりやられてしまったのかもしれない。
ほんと、やばい。これはもう仏様にすがるより他ない。南無阿弥陀仏だコノヤロー。
えーい、なんにでも帰依するぞ、法華経にだって。南無妙法蓮華経だモッテケドロボー。

「寂聴の仏教入門」(瀬戸内寂聴・久保田展弘/講談社)絶版
→岩波新書に頭をかかえて、こんなのに手をだすなんて、わたしはバカな主婦か?
しかもブックオフ百円コーナーで買ったりするのだから、もう救いようがない(w
でもね、対談形式の入門書ほどわかりやすいものが他にあると思いますか。
始終、話し言葉だからすらすらと頭に入ってくる。
仏教用語には下に「注」をつけて解説してくれる編集さんの親切もあり。
瀬戸内寂聴の本を読むのは初めて。今までイメージだけで嫌っていた。
瀬戸内寂聴いわく、四諦八正道(などの仏教用語)の説明をするのは大嫌い。
そんなものを知ったからって、いま苦しんでいるひとがどうなるわけでもないんだから。
お釈迦様はたしかに弟子相手にそういう哲学的なことも言ったでしょうけど、
同時に不幸にもだえる庶民の苦しみを救いつづけたことを忘れてはならない。
同感、同意。子どもに先立たれた母親に、それは十二支縁起でうんぬんと説明してどうなる?

キリスト教より仏教のほうがなんか「近い」んだよね。そんなことを思った。
882吾輩は名無しである:04/06/16 14:10
10年越しで、伊藤整「日本文壇史 全18巻」を読了した。

伊藤整が異常な熱意を費やし執筆した大逆事件の章で主に占められる
16〜17巻はヤバイ、面白すぎる。啄木が社会主義に傾倒したのも頷ける。
883白石昇 ◆Kjrx9yfSYM :04/06/16 14:24
06月12日 素晴らしいアメリカ野球  フィリップ・ロス/中野好夫・常盤新平訳 集英
社文庫
884美香 ◆FE5qBZxQnw :04/06/16 14:28
「風呂で読む山頭火」(大星光史/世界思想社)*再読
→風呂で読んだ。
読んで乾かして読んでをもう何回、繰り返したのだろう。
いちおう読書的にはつながっている。
というのも、山頭火は得度した禅僧だから。曹洞宗派→仏教。
仏教の唯識思想から山頭火の俳句を見てみるとおもしろい。
唯識思想というのは、外界のすべてを心の現象に帰す仏教の考え方。
たとえば花を見る。しかしこれは花が実在しているということではない。
ただ目という機関を通して花のイメージが心に写っているに過ぎないのだとする。
「分け入つても分け入つても青い山」。
山頭火の代表句である。
木々豊かな山が続いている景色をうたったものだが、
消しても消しても煩悩がでてくる山頭火の心象と読むこともできる。
景色と心象が絶妙のバランスを取ったとき山頭火の句はきらりと輝く。
禅の思想である。唯識思想である。一瞬は永遠であり、永遠が一瞬となる。

「國文學 1995年1月号 山頭火と放哉 ―― 流転と演戯」(學燈社)絶版
→まえにも指摘したけど、雑誌國文學に書いている研究者って文章がへた。ゆるい。
こんなんで大学教授とかやっているなんて信じられないと毎回のように思う。
ま、それはそれとして、山頭火と放哉である。
上野千鶴子が山頭火とその愛読者をバカにして放哉こそ天才であると主張していた。
この上野千鶴子だけじゃなく、現役の歌人、俳人にもそう思っているひとが多いらしい。
山頭火は大衆的。放哉のよさはクロウトしかわからないというのがその主張。
ふーんとしらけるわたし。
たしかにわたしゃ、西行も芭蕉もよく知らない。ただの山頭火ラブ。
俳句史における山頭火の位置なんてどーでもいい。
ただただ山頭火の句が好きである。わかりやすいから、楽しいから。
放哉の句はへんに疲れる。西行や芭蕉はお勉強という感覚以外では読めない。
べつにいいよ。バカにしたかったらしてください。大衆でけっこうと開き直る。
「日の出前」ゲルハルト・ハウプトマン。1889年。5幕の戯曲。
1幕は友人宅を訪問する場面。2幕はその友人の細君との会話。3幕はその友人の
評価。4幕は浮気の場面。5幕は意外な結末。この作家の27歳の作品であるが、
トルストイの戯曲「闇の力」からの影響が強いという。
退行しきった地方の農村を舞台とした情景こそトルストイからの借用。
処女作よいわれるが、ストーリーの展開といい、情景の移り変わりといい、優れた
テンポで迫ってくる。
他人の妻に駆け落ちまで迫る展開には本当の退廃を感じたが、思わぬ顛末にはその
奥深い見えない事実が隠されていた描写にただ驚きしか覚えることができない。
イプセンと同時期の活躍をした作家だが、斬新な作風には時代の新潮流を確立させ
た厚みがあった。1912年のノーベル文学賞受賞。
886吾輩は名無しである:04/06/17 20:44
VONはすぐ
「本当」なんて言葉を使うけど、
じゃあ、本当ってなんだよ。

もっと、論理的に書いてみろよ。
独りよがりな駄文の垂れ流しだよ、おまえ。
887吾輩は名無しである:04/06/17 21:08
本当は一人でいたいなんて嘘なんだ。
本当は誰かに傍にいてほしい。
本当は僕のおちんちんを暖めてくれるあなたが欲しいんだ。
本当に本当に絶対だよ。
本当なんだよ、嘘じゃないよ。
僕のこの目を見みくれよ。
本当の愛。
本当の真実。
本当の嘘。
888吾輩は名無しである:04/06/17 21:15
駄文の垂れ流しのなにが悪いんだよ。
一体何様のつもり???
全くこれだから文学オタは手に負えないぜ。

ハッキリ言ってお前等に才能の一欠けらもねーよ。
889吾輩は名無しである:04/06/17 21:17
888=von
890吾輩は名無しである:04/06/17 21:19
>>888
>何様のつもり
そっくり返す。


>文学オタ
他人のことを何を根拠に決めつけるわけ。
じゃああなたは何。文学のド素人。
文句は言えないはず。

>お前等
ほら、自分ばかり偉い。
自分以外はみんな自分より下。敵。
上等じゃん。自分以外の全員を敵に回して生きていきな。
891吾輩は名無しである:04/06/17 21:23
>>890

はげ同。 888はごみ
892吾輩は名無しである:04/06/17 22:24
>>890

ばーか!
バカの特徴だね、すぐ極端に走るのは。

自分以外は全員敵って発想はどこから来るわけ???

「お前等」ってのはお前等文学オタに向けて言ってんの。
わかる???
893吾輩は名無しである:04/06/17 22:27
>すぐ極端に走るのは。

888のことじゃん(w
894美香 ◆FE5qBZxQnw :04/06/18 09:04
>>887-893
雑談は他でやって。たまには本でも読めば?
それとVON。きみが来るとかならず荒れるからもう来ないでくれない。
VON自身も率先して雑談しているし。
なんでここに書き込まなければならないのかさっぱりわからない。

「古本屋五十年」(青木正美/ちくま文庫)
→今月の新刊! 新刊をすぐに読むのは久しぶりだなぁ。
最近、よく行くようになった古本屋の舞台裏をのぞきたくて読んだ。
しかーし、例によって例によって、作者の文学趣味的私小説的述懐が多い。
そんなことどーでもいいの。あなたが高校の夜学中退だろうが、貧乏だろうが。
わたしが知りたいのは古本屋の舞台裏なんだから。
しろうとの「なんちゃって文学」的な文章を読むのはつらい。
それとこれもしろうとにありがち。やたら引用が多い。
自分の日記から、同人誌に書いた自分の文章から、文豪の小説から。
どんな本か読まなくてもわからない? 唯一、笑った個所を下に引用する。

「古本屋というのは本に寄生する虫の群れだ。働く虫の群れだ。
彼らは本以外には興味を持たなくなってしまう。青い空、樹々の緑、季節の移り変り、
わが子の成長……。そんなものには関心がない。いい本だ、悪い本だ、
これは高くなる、これは安い、儲かった、損をした、高過ぎる、安過ぎる、
――と言って、中身をじっくり読んで評価するなどということはない。読むだって?
活字を拾い、たまには目次、序文を読んでみるくらいのものでしかないのが古本屋だ」(P110)
895吾輩は名無しである:04/06/18 09:19
このひとなんにんおいだすつもりなんだろう。
なんかむかつかいたのであらしますね。
896美香 ◆FE5qBZxQnw :04/06/18 09:31
なんかVONを締め出したみたいで気分悪いな。
いやさ、そのね、書き込むのは自由なんだけど、雑談はやめてと。
ほんと、毎回じゃん。
VONが書き込んで、荒らしがついてきて、VONがそれに延々とレスするパターン。
もう言っても無駄なのかな。

「酒と酒飲み 知りたかった博学知識」(博学こだわり倶楽部/KAWADE夢文庫)
→タイトルそのまま。お酒にまつわるどーでもいい(かつ眉唾なw)知識を紹介。
お酒を飲みながら「へえ、へえ」などと読み、翌朝になったらきれいさっぱり忘れている。
どーしょもないねわたしもこの本も……。
897あぼーん:あぼーん
あぼーん
898あぼーん:あぼーん
あぼーん
899あぼーん:あぼーん
あぼーん
900吾輩は名無しである:04/06/18 21:10
>>896

板の全員が君に言いたいことだよ、それは。
君はただ淡々と書けば良いじゃないか、読了報告を。
901吾輩は名無しである:04/06/18 21:29
コピペだとあぼーんされるよ。
雑談がいいんじゃないの
902吾輩は名無しである:04/06/18 21:45
引き篭もり醜女のオナニースレはここですか???
903吾輩は名無しである:04/06/18 21:49
イエス、
ひきこもり美香様の書いた
駄文鑑賞スレでございます。
904吾輩は名無しである:04/06/18 22:36
美香、カモン!
今夜もおまえの駄文を
おがませてちょうだいな。

醜い駄文も
慣れれば病み付きってか?
905吾輩は名無しである:04/06/18 23:36
>>900
>板の全員が

そんなことないけど。。。
906吾輩は名無しである:04/06/18 23:50
>>900
1票入れときますね。
907吾輩は名無しである:04/06/19 08:08
粘着美香はじさく自演
908吾輩は名無しである:04/06/19 09:56
美香あらため醜臭
909吾輩は名無しである:04/06/19 10:03
美香こそ邪魔なんだよ
仏教の本なんか読んで信仰宗教でも始めようって考えているのか
910吾輩は名無しである:04/06/19 10:07
美香は古本屋を乞食と呼んでバカにした
こんな人間に高尚な職業を批評する権利はない
911吾輩は名無しである:04/06/19 10:09
ミカに粘着してる馬鹿たちマジうざいよ。
男に粘着して、幸せな奴らだなw
912吾輩は名無しである:04/06/19 10:33
美香が文学板の最大の厄介者なんだよ
913吾輩は名無しである:04/06/19 15:10
>>900
もう一票いれときますね
914吾輩は名無しである:04/06/19 16:39
バカ美香なんて仕事なんかできないんだから、自分の劣等感を身に染みてから這い上がる
努力したらどうなんだ
915吾輩は名無しである:04/06/19 18:59
いくらスレ立てても誰も構ってくれないのよ!
        /⌒>    <⌒\
        / /U     U/ /  / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
       ( (   ∧ ∧  / / <私に構って、お願いだから! 
        \\ ( ゚Д゚ ) / /   \_______
         \      /
            |★ ★|
            |   |
   |⌒\     |   |    /\
   | |\\     |   |   //\\
   | |  \\   |   |  //    \\
   | |    \\_ |   |//       \\
   | |    \  美香  /        \ |
   U      ヽ___人__ノ           U
916吾輩は名無しである:04/06/19 19:04
>>915
おまえの小屋で構ってやるから他スレ荒らすな!

http://bbs.2ch2.net/mika/index2.html
917吾輩は名無しである:04/06/20 14:01
シェイクスピア 福田恆存訳「コリオレイナス」 劇団昴上演台本
大衆政治の衆愚性を物語るフレーズがちりばめられている。
コリオレイナスがローマに向って進撃する時の、民衆のせりふ「俺だって
さうだ、実際の話、大抵の者がさうだった。なのに、ああしたのは、それ
が最上の方法だと思ったからさ、追放に進んで賛成したには違い無いが、
あれは俺達の意思に反した事だった。」
大衆の政治に対する無責任さをよく表している。
しかし如何せんコリオレイナスは大衆と一線を画した貴族では無い。大衆
を蔑視するが、大衆を蔑視するに値する精神的気高さが無い。あるのは個
人的名誉感情だけ。
個人的名誉感情による大衆蔑視は、自らを追放したローマ大衆政治に対し
ての復讐劇を企てても、結局母親に対する思慕という個人的感情に解消さ
れてしまう。母親を介してのローマでの名誉回復、オフィーディアスにコ
リオレイナスを殺害した後に、コリオレイナスを称えるせりふを語らせ武
人としての名誉回復を図らせるのはコリオレイナスが誇り高き勇者ではな
く同情される存在であることを強調させ、如何せん観客にカタルシスを与
えることはできない。

コリオレイナスがリチャード三世のように冷酷無比なマキャベリストであ
れば話しはもっと面白くなるのかもしれないが、もしコリオレイナスがリ
チャード三世だったら大衆をうまく操り独裁政治を展開しただろう。

「コリオレイナス」は如何せん原作自体に欠陥がある。この欠陥を補うた
めには演出の際に大衆の衆愚性をもっと強調し、こっけいで笑いをさそう
ようなものにしなければならない。そしてコリオレイナスの宿敵オーフィー
ディアスをもっと計算高き謀略家であることを強調しなければならない。
そうすれば劇は大衆の衆愚性とそれに嫌悪感を示すコリオレイナスを利用
するオーフィディアスの策略という政治的謀略劇となり面白くなるだろう。

918吾輩は名無しである:04/06/20 22:14
で?
919美香 ◆FE5qBZxQnw :04/06/21 08:51
「青が散る」(宮本輝/文藝春秋)*再読
→まいったなと思った。かなわないなと思った。
もう五度目か六度目の再読だけれども、いっこうに色あせない。
こんな美しい小説を一作でも書いた作家なら、たとえ創価学会信者だろうが、
似合わないヒゲをはやそうが、ゴルフゴルフと遊びまわっていようが、
芥川賞選考でお茶目な選評をだそうが、いまは駄作生産機に成り果てようが、
そんなことはすべて帳消しになると思うのである、ただこの「青が散る」一作で。
こんな美しい小説を書けるひとがいるなんて。
宮本輝は誰がどういおうが天才である。
中上、龍、春樹など宮本輝のまえにでたらなんと軽く見えることか。
文庫には解説がつく。宮本輝の文庫本の解説を見てください。
ひとつとして「まともな」解説がない。どういうことか。
宮本輝の小説は批評できないのである。分析できない、他と比較できない。
ただ美しいと感嘆するほかないのである。
また宮本輝自身もそれ以外は読者に求めていないであろう。
批評ではなく感嘆符を要求する小説、そんな小説を書ける作家は宮本輝のほかにいようか。
920美香 ◆FE5qBZxQnw :04/06/21 09:22
「螢川・泥の河」(宮本輝/新潮文庫)*再読
→山頭火の句を思い出した。「生死の中の雪ふりしきる」。
前書きに「生を明らめ死を明らむるは仏家一大事の因縁なり」という「修証義」
からの引用がある。生とは何か、死とは何か――。
山頭火の歩いたこの道を宮本輝も歩いたのだと思う。
その歩き方、どこへ向かうのか。
今回、宮本輝のデビュー作ふたつを久しぶりに再読してそぼくに感じたのは、
「よくひとが死ぬなぁ」ということ。
短編にもかかわらず二作とも二人の人間が小説内で死ぬ。
「泥の河」にいたっては、いきなり死の描写からはじまるくらいである。
「死」から小説をスタートさせた宮本輝は「性」に行き着く。
「泥の河」では盗み見る性交、「螢川」では螢が踊り狂うなかでの思春期の性。
のちに展開する宮本文学の枠組みがこの「螢川・泥の河」にしっかりと凝縮している。
改めてわたしごときが言うことでもないけれど、そんなことを思ったのです。

>>917
だから「コリオレーナス」はつまらないといった。ほら見たことか。
921美香 ◆FE5qBZxQnw :04/06/21 09:47
「道頓堀川」(宮本輝/新潮文庫)*再読
→これを最初に読んだのはたぶん高校生のとき。
それからもう何度読んだのか。今回で4度目かな。
さて作品は変わることがないが、読み手のわたしのほうは変わりうる。
数年前は宮本輝の小説から生きる希望をもらっていたけど、
いま氏の小説を読むと絶望してしまう、生きていくのがいやになる。
むかしは宮本輝の小説が「ほんとうのようなウソ」に見えた。
よくもこの残酷な現実から美しい造花を作るものよと感嘆、感動した。
でもいまは宮本輝の小説が「真っ赤なウソ」にしか見えない。
少しもほんとうらしく見えない。
もっと言ってしまえば、それは「南無妙法蓮華経」(創価学会)の世界でしょと。
わたしの住むところとは別世界に思えてしまう。
わたしは「南無妙法蓮華経」とはいえない、いえないことに絶望する。
相変わらず宮本輝の小説は読み物として十分おもしろい。
才能に畏怖するのはいまも同じである。
しかし、読後、現実と小説との落差に絶望してしまう。
小説が美しいものであれば、それに反比例して醜くなる「わたしの現実」。
するとひたすら「現世利益」をのぞむ小説内の人物にも距離感を覚えるようになる。
うーん、宮本輝。「南無妙法蓮華経」といえぬわたしはどうしたらいいのか。
922美香 ◆FE5qBZxQnw :04/06/21 10:07
「世界の中心で、愛をさけぶ」(片山恭一/小学館)
→いいないいな片山恭一さん。
漫画化、映画化、テレビ化で、もう一生遊んで暮らせるくらい稼いだんじゃないかなぁ。
たぶん今度はステータスアップをねらって「片山恭一の恋愛入門」とかだしそう。
「リング」で稼いだ鈴木光司さんが「子育てパパ」で論客wにレベルアップしたみたいに。
おっと、話が脱線してしまった。
親愛なる片山恭一さん。あなたはあれだけもうけたのだから、
わたしがこの本を立ち読みで済ませて買わなかったくらいでは怒らないと信じています。
35分で読了したなんていっても。だって金持ち喧嘩しなーい♪
感想? 絵本の感想をいうのはなれていないから今回はパスさせて。
いまの日本はおとなが絵本を読むようになったのねとちょっと驚いた。
でもまあ小学生が殺し合いをする時代だから何が起ころうと、……まあまあ。

>>950くらいで次スレに移行する予定。
次スレは「程よい雑談可」にしようかな(わたしが決めることじゃない? 確かに)。
でも、もったいない。
こんなたくさん書いたのに、dat落ちしたらだれにも読んでもらえなくなるのか。
もちろんわたしは保存しておくけど。なんだかな。
白石昇みたいにHPを作って、そこに読了報告コーナーでも作るかな。
ここで書いたのをコピーして。
でもめんどくさいから、うーん。
923吾輩は名無しである:04/06/21 10:14
>>922
http://bbs.2ch2.net/mika/index2.html
ここに美香のファンがコピーしてくれる・・はず

924白石昇 ◆Kjrx9yfSYM :04/06/21 13:31
06月16日 死者の書         折口信夫 中公文庫

06月18日 刺身チーム        鈴木良太 a book
(題名は直訳、著者名は日本語ペンネームです。)

06月19日 乱菊物語         谷崎潤一郎 角川文庫
925吾輩は名無しである:04/06/21 20:24
くだらいな美香
みか5さいは
読了報告スレhtmlにして
ウェブサイトにupしようか?>美香



927吾輩は名無しである:04/06/21 21:42
>>922
立ち読みですませても、片山は怒らないだろう。
怒るのは手あかにまみれたその本を不幸にも買ってしまった奴だ。
928吾輩は名無しである:04/06/22 18:12
>>926
あからさまな自演でしょう
929美香 ◆FE5qBZxQnw :04/06/23 17:13
>>926
>読了報告スレhtmlにしてウェブサイトにupしようか?
ぜひぜひお願いします。次スレにはってください。ありがとう5さい。

「新潮四月臨時別冊 宮本輝」(新潮社)*絶版
→ずっと探していて、いざ見つけたら安心してしまって長いこと積んでいた本。
アルバム(家族写真まで)や、小説の書評を集めたもの、ご友人のエッセイ、
充実した年譜などなどで、宮本輝の素顔がわかる特集本です。
若い頃の写真を見ると、げっそりとやせ細っていて目がぎらぎらでなんだか怖い。
それはそれとして、やはり宮本輝は批評できない作家なのだと改めて思った。
福田和也をはじめとして多数、宮本輝の小説を論じていたけど、どれも不満。
年譜もふくめ創価学会への言及はなし。
瀬戸内寂聴が「宮本さんは仏教徒で……」と書いていたのが唯一。
こたえたのは「宮本輝の編集するページ」。その中の「オレの嫌いなもの」。
どういう人間が嫌いかということを十四、箇条書きにしている。
たとえば「人の幸運や幸福をねたんで、やっかむ輩」など。
わたしだよわたし……。これだけではなくその十四箇条すべてわたしに当てはまる。
十四箇条に続けて「まだまだあるだろうが、つまるところ、デリカシーがなく、
姑息で勇気がなく、人を許さないくせに自慢や自己弁護ばかりするやつのことである」。
それはわたしのことです、宮本輝さん……。
会ったらいきなり怒鳴りつけられそうだなわたし……。好きなんだけどな輝パパ。
930美香 ◆FE5qBZxQnw :04/06/23 17:36
「大道を歩む 私の人生記録」(池田大作/毎日新聞社)
→わたしが尊敬している現役作家は何をおいても宮本輝です。
いちばん影響を受けているといってもよいくらい。
で、その宮本輝が尊敬しているのが、ご存知、創価学会名誉会長の池田大作さん。
なら一冊くらい読んでみようと昨日あるブックオフに立ち寄った。
その百円コーナーに捨てられていたのがこの本。いや、買うのが恥ずかしかったこと(w
読んでみてわたしの歩むべき道がわかった、となるはずもなく、え、どうして?
なんでどうして宮本輝ともあろうお方がこんな人を尊敬するの?
この本の文体はタレント本の典型的なあれ。あのゆるいやつ。
内容も、なんというのか、外国に行って偉い人と会いましたよという報告と写真。
池田大作は詩人でもあるらしく(初めて知った)、いくつか詩も掲載されていた。
けれどもその詩のどこが良いのかわたしにはさっぱりわからない。
わからない、というより、むしろ気持ちが悪い(ごめんなさい全国数百万の学会員さん)。
なんなんだろう創価学会って。わたしは学会にとりたてて好印象も悪印象もない。
接点がなかった。今まで学会員というものと人生で出会ったことがない。
予備校の夏期講習で日本史の先生が日蓮を説明するときにおびえていた記憶があるだけ(w
わたしなんか不幸だから折伏にきてくれたら一発で落ちるんだけどな。
おそらく仏縁がないのでしょう。

>>927
平積みのいちばん上にある立ち読み用(お試し読み用)のけっこう汚れたやつを
読んだから、そう迷惑はかけていないとは思うんですけどね。
立ち読みしているあいだに二冊売れていた。おじさんが買っていたのには驚いた。
>>929
できましたおっ♪
どうしませうか





932吾輩は名無しである:04/06/23 19:57
>>931



40 名前:この板の主役 ◆OZ/B6fTcn6 [age 重大発表。] 投稿日:04/06/23 00:03
しばらく、この板に来るのを自粛致します。






933美香 ◆FE5qBZxQnw :04/06/23 20:00
>>931
ありがとう。
けど、できたら1000までいったときにしてほしかったんだけど……。
あるいは次スレに移行してから。>>950くらいで。
いや、もう次スレを作ってしまってもいいんだけど、まだ早いよね?
それってかなり面倒な作業なの?
そうじゃなかったらもう少ししてから再度お願いしたいです。
ほんとありがとう。大好き5さい♪

おっと読了報告をせねば(w
漫画でもいいなら。

「火の鳥4鳳凰編」(手塚治虫/朝日ソノマラコミックス)*再読
→今回「仏教つながり」で読んだけど、手塚漫画のなかでこれがいちばん好き。
これほどの恐ろしい物語を作ることのできた手塚治虫の天分を思うと寒気がする。
そして、ここまで到達できた文学作品がどれほどあったろうかとも思う。
何度、読んでも感動する。物語の力に満ち溢れている。

ちょっと脱線。
わたしは物語が好きである。物語のない小説など認めはしない。
けど、物語となったら仏教徒の宮本輝にはかなわない、足元にも及ばない。
おなじくキリスト教徒の遠藤周作にも。
どうやら物語は宗教と密接な関係がある、ここまでわかった。
そこでなぜわたしが戯曲に行ったか。自分でもなぜだかわからなかった。
気づいたら戯曲ばかり読んでいた。
最近、原点の宮本輝に戻って(再読して)気づいたのは、
わたしは「劇的なもの」を求めて戯曲を読んでいたということ。
わたしは「物語」から「劇的」へと歩みを進めたことになる。
じゃあ、「物語」と「劇的」の違いはなんなんだろう。おなじものだろうか。
そんなことを今朝目覚めて二日酔いの頭で考えたという報告、独り言です。
>>933
じゃあまちますおっ♪
れんらくはBARスレにしたいけれどあそこ……w




935吾輩は名無しである:04/06/23 20:46
美香宗教やってたんだ
936吾輩は名無しである:04/06/23 20:50
汚臭は
池田大作全集でも読んでろよ
937吾輩は名無しである:04/06/23 20:59
>>934



40 名前:この板の主役 ◆OZ/B6fTcn6 [age 重大発表。] 投稿日:04/06/23 00:03
しばらく、この板に来るのを自粛致します。




938吾輩は名無しである:04/06/23 22:36
あっ、そ
939吾輩は名無しである:04/06/23 22:42
美香層化に入ったんだ。じゃあ層化板でもこれを晒して上げよう。
940吾輩は名無しである:04/06/23 23:06
あっ、そ
941美香 ◆FE5qBZxQnw :04/06/27 13:20
閑散としたスレになったしまった。
次スレはある程度の雑談は認めたいと思う。
読了報告へのレスはいいが、そこから延々と雑談するのはやめる。
そういうのは作家別スレでやる。
いまわたしが宮本輝スレに同時的コピペをしているように。
簡単なことである。

「優駿(上)(下)」(宮本輝/新潮文庫)*再読
→小説を読むというのはほんとうに楽しいことなのだと改めて実感させられた。
読みやすい文章、時間を忘れさせる物語、魅力的な登場人物――。
この「優駿」は至れり尽せりの感があります。
最初にこの小説を読んだときは圧倒的な感動に押しつぶされたかのようで、
ただ涙にまみれ、「生きよう、生きよう」と随喜の嗚咽をもらすのみだった。
今回の再読では残念ながらそこまでの感動は味わえなかった。
こういう小説を書けるひとは幸せだなぁと観客席のいちばん後ろから舞台の上を見やる気分。
けっして自分が立つことのない舞台を、羨望の思いで、ため息をつきながら。
たしかにすばらしい舞台(小説)ではあったけど、それは舞台の上だけの話だから。
そう出口に近いいちばん後ろの席でわたしは思った。
ひとつ再読して気づいたことがある。これはネタバレになるから注意して。
宮本輝は最後にオラシオンを勝たせていないこと!
初読のときはまったく気づかなかったけど。
オラシオンは実際は負けているのに「運」のおかげて勝利したことになっている。
宮本輝という作家の宿命を見据える視線には恐ろしいものがある。
942吾輩は名無しである:04/06/27 16:18
>>941
競馬したことないでしょ?
審議は結構あることだよ。
943吾輩は名無しである:04/06/30 05:00
>>941
仕切ってんじゃねえよ、お前の感想文より雑談の方がマシ。
944美香 ◆FE5qBZxQnw :04/07/02 09:28
「月光」(井上靖/文春文庫)
→先日のちょっとした小旅行のおり、往復の電車で読んだ本。青春恋愛小説。
といっても「セカチュウ」とは似ても似つかぬ。出版されたのは昭和35年。
「貞淑」だの「家柄」だの、今では聞きなれない言葉がずらりとせいぞろい。
主人公は結婚適齢期の女性。ふたりの男性から求婚されて迷っている。
ひとりは幼馴じみ。「サザエさん」にでてくるノリスケさんみたいな感じ。
もうひとりは会社の同僚。「美味しんぼ」にでてくる山岡士郎タイプ。
三人がそれぞれ自らの誠実を問い、愛に悩み、幸福を指向するその葛藤――。
ほのぼのとした気持ちになった。こんな時代があったのかと。
この小説を自分の恋愛と照らし合わせながらまじめに恋愛をした世代。
今はもうおじさん、おばさんなんだろうな。
電車に揺られながら、窓外に広がるのどかな田園風景にしばし見入った。

>>942
はい、競馬したことないです。だから「優駿」のレースシーンはあんまり……。

>>943
ごめんなさい。反省しています。許してください。
945吾輩は名無しである:04/07/02 09:55
>>944
そのおざなりで適当な謝罪文がムカツク
946吾輩は名無しである:04/07/02 09:56
だから適当にお前の自分語りを邪魔してやるとです


















ヒロシです
947美香 ◆FE5qBZxQnw :04/07/02 10:55
「幻の光」(宮本輝/新潮文庫)*再読
→最愛の夫が原因不明の自殺、そこからどう主人公の女性は立ち直っていくか。
できすぎていると思った。そりゃ、そう書いちゃ、そのとおりだけど、うーん。
ふつうの小説家がスタート地点から小説を書き始めるとすれば、
宮本輝はゴール地点から書いているようなところがある。
宮本輝自身は中上健次との対談では次のような言い方をしているけれども。
「だから人間は、反対のことをやっていると思うのね。心から花が生じるとか、
心から月が生じるとか。僕は、違うと思っている。『花こそ心よ、月こそ心よ』
そういう気持ちですね。おそらく多分、いまの作家たちは、自分の心から
花をつくろうとか、自分の心から月をつくろうとしていると思う。
だから、小説がおもしろくないんです」(「道行く人たちと」)。
948kagi:04/07/02 11:14
>>947

あなた、仕事休みなの。
949美香 ◆FE5qBZxQnw :04/07/02 11:19
「錦繍」(宮本輝/新潮文庫)*再読
→宮本輝の小説でいちばん再読の回数が多いのがこれです。
どれだけ感銘を受けた小説でも5回も6回も読めばおのずと仕掛けが見えてくるもの。
エピソードもストーリー展開もほとんど記憶してしまっている。
実はそうとうにきわどい小説だと思う。信仰告白というのか、なんというのか。
たとえば犯罪被害者というものがいる。
この小説はその人たちに、あなたは自分のせいでそうなったのだと罵倒している
ようにも読めるわけ。それがあなたの業だ、あなたが悪かったからそうなったのだと。
宮本輝はこの小説で「因果」(仏教用語)を展開させている。
悪い「(結)果」(犯罪被害や障害児誕生)が出たということは、
必ず悪い「(原)因」があったに違いない。ふつうはこんなこと言えないでしょ?
不幸な人に向かって、あなたが悪い、自業自得だ、なんて言えますか?
でも宮本輝は言えるんです。なぜなら信仰があるから、創価学会への。
そこが宮本輝を天才たらしめている根本だと思う。
宮本輝は「因」が「果」になるゆえんの「縁」を小説に書くわけです。
そして主張する、現在の重視を。今刻々と流れていると「時」を見よ。
これらも「因」である、だから良い「因」をなせば必ず良い「果」(功徳)が得られる。
わたしが冒頭にこの「錦繍」を「きわどい」と形容した理由がわかっていただけましたか。
おそらく宮本輝の小説の中でこれはもっとも宗教的な小説でしょう。
表層的な「感動」の底をじっと見つめていると恐ろしい「地獄」が見えてくる、
そういう小説です。
亜紀母子が満天の星空を見ていたとき、有馬はネズミを食い殺す猫を見ていた。
この場面に「錦繍」の魅力が象徴されていると言えましょう。

>>948
雑談は文壇バーか、美香板で。
950美香 ◆FE5qBZxQnw :04/07/02 11:47
「創価学会とは何か」(山田直樹/新潮社)
→いやあ創価学会って怖いんですね。おー、こわこわ、ぶるぶる。
学会の力をちょっとでも使えばわたしを特定するのなんかチョロイのか。
悪戯電話とかやめてくださいね、あー、考えただけでも身震いする。
本書はアンチ学会本。政治的な創価学会の力を警戒せよというのがメインの主張。
もう創価学会が日本を動かすようになっている、とのこと。
というのも、自民党だって創価学会の力を借りないと与党を維持できないから。
具体的には、選挙のとき自民党議員も創価学会員の協力がないと当選できない云々。
ふーん、だけどわたし政治はどうでもいいや、関心なし。
選挙だって最初の一回しか行っていない。
でもすごいね創価学会。仏壇の中に次のように書いた紙を入れて勤行するらしい。
「御祈念 打倒仏敵四人組(日顕・山友・竹入・新潮社)」。
ならなんで宮本輝は新潮社から本をだしつづけているのだろう。ふしぎ。
あと、げんなりしたこと。
宮本輝「優駿」の主人公の名前は「博正」というんだけど、
これ池田大作氏の長男の名前なんだね。なんかな、そういうの、やだね。
951吾輩は名無しである:04/07/02 17:21

個人による感想の垂れ流しは日記にでも書いててください。



952吾輩は名無しである:04/07/02 18:37
梅雨はもう終わっちゃったのかな
953吾輩は名無しである:04/07/02 18:44

         ∩___∩
         | ノ    ヽ  
        /  ●  ● |     夏の100冊でも買いに行くクマ
        |   ( _●_) ミ  
       彡、   |∪|  、`    
      /     ヽノ ::::i \   
     /  /      ::::|_/
     \/          ::| _|_ 
        |       ::::|| 中 | 
        i    \ ::::/ .|__| 
        \     |::/
          |\_//
          \_/
954吾輩は名無しである:04/07/03 05:55
>>952
雨、あまり降らないね。
正確には降らないというわけじゃないけど、
極端に集中して降るというか何というか。

このまま一気に夏というのも、なんか寂しいよね。
955吾輩は名無しである:04/07/03 07:08
>>949
> 雑談は文壇バーか、美香板で。

感想の垂れ流しは日記か、自分のHPで。
956吾輩は名無しである:04/07/04 11:44
>美香豚

このスレ使い切ってから新スレ上げろよ
957白石昇 ◆Kjrx9yfSYM :04/07/05 17:27
06月28日 どん底          ゴーリキイ 新潮文庫
「骸骨の舞跳」(秋田雨雀/現代戯曲全集第十四巻/国民図書出版社)
舞台は関東大震災直後、東北地方のM駅に建てられた被災者救護テントである。
夜明け前の時刻、青年(雨雀自身)と家族を震災で無くした老人との会話から
劇は始まる。災害に不安を感じおびえる大衆のなかで、
青年はM駅にくるまでにできる限り調べてきたという、いわば知識に拠った自信から、
朝鮮人の無実を確信している。
劇中における青年の自信は、盲目な大衆に向けられた左翼的自覚を促しているものでもあり、
その姿勢は以降終幕まで続く。ここで対立的立場におかれるのは国粋主義者である。
軍医やブルジョワ階級が入れ替わりで現われる中、
軍国主義に傾いていた当時の空気を反映して、次第に青年は立場を悪くしてしまう。
やがて朝鮮人狩りに現われた自警団員(その姿は甲冑や軍服、陣羽織や学生服をまとい、
それぞれの立場を体現している)に相対し、追い詰められた青年は、大衆を前にして大演説をぶつ。

P.255 青年の台詞
 甲冑や陣羽織は骨董品として価値があるだらう。然し生きた人間に何にならう。
もし諸君の心臓の中に血が流れてゐるならば、諸君は諸君自身の着物が要る筈だ。
その甲冑を脱いで見給え、その陣羽織を脱いで見給え、諸君は命のない繰人形だ!
(原文はすべて旧漢字)


初演、大正十ニ年四月(おそらく十三年の誤り)。
掲載された雑誌「演劇新潮」は直後に発禁処分となり、
十四年に発行された戯曲集では多くを伏字とされる。
上演された土蔵劇場は友人仲間によって興された、文字通り土蔵を利用した舞台であり、
社会派を中心に多くの文人が集まった。しかしながら、十二年の九月に震災で崩壊する。
手元の資料では明らかに整合性にかけているが、おそらく、土蔵の崩壊後もごく短い期間だけ
劇団が存続したのではないか。
「骸骨の舞跳」は表現主義を取り入れた作品としてつとに挙げられる。
心中の嵐を超現実によって表現するこの手法は、以降の新劇に色濃く引き継がれていく。
959美香 ◆FE5qBZxQnw :04/07/08 07:56
ひっそりかんと次スレです↓

「読了報告スレッド♪2冊目」
http://book3.2ch.net/test/read.cgi/book/1088812445/l50

このスレにおきましては皆様にお世話になりました。
白石様、小山内劇場様、たくさんの吾輩は名無しである様、
ぜひ次スレでもよろしくお願いします。
さらりとお勉強の成果を交換しあい、読書の喜びを共有いたしましょう。
960吾輩は名無しである:04/07/08 09:15
>>959
先にこっちを使い切れよ
961━ロ━┥ ◆m0yPyqc5MQ :04/07/08 13:03
「人生を幸せに導く13の習慣」ベンジャミン・フランクリン 著 ハイブロー武蔵 訳・解説
[速読的に5回目くらいの再読]

 言わずと知れたアメリカ建国の父フランクリンの自伝から訳出した「13[個]の徳の教え」をまとめたもの。
自伝全体の、実務的に必要最低限の部分だけを抜き出したようだ。
 素晴らしい一文があった。
「人間の本質からして、悪い行いは、禁じられているから有害なのではなく、
有害だから禁じられているのだ。それゆえ、来世はもとよりこの世でも幸福になりたいと願う人は、
徳を重ねることに関心を持つべきである。」
また個人的には次の一文が素晴らしいと思った。
「この世の中には、仕事を正直にやってくれるような人間を欲しがっている裕福な商人、
国家、貴族または諸侯などが、いつもいるものである。
しかし世の中には、そんな正直な人間というのはめったにいないことから、
貧しい者が成功しお金持ちになるためには、誠実と高潔とが一番役に立つ徳であることを、若い人たちに、
ぜひとも伝えたかったのである。」

結局のところ大成するにはこのような善的人間性が必要なのだと思う。
巷に溢れる成功法則本・自己啓発書の原点の本質だけを抽出したような内容。
ちっぽけな成功に安住するつもりがない大志を抱いた野心家必須本。
 高度情報化社会のまっただ中で賢く力強く正しく生きるには、このような
『鍵』となるアイテムを選び取る力が一番重要なのではないだろうか。
ノルウェイの森 講談社 村上春樹 超良かった。
The Remains of the day KNOPF.INC 石黒和夫 普通。
963吾輩は名無しである:04/07/12 17:24
いつも読了と打ち込もうとして「どくろ湯」って打ち込んじゃうよ。
964白石昇 ◆T9hpXq3U/6
07月04日 聖刻1092@ 旋風の狩猟機 千葉暁 ソノラマ文庫