しょっぱい芥川賞作家大道珠貴を語るスレ

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77工藤伸一 ◆H/j1HkWi6c
>>51の追記です。タイトルの「しょっぱい」の意味するところは、海沿いの田舎町
の潮風の味であることが作中にて描写されています。同時にそれは>>55さんが提示
した2番目の語義の「せちがらい」というニュアンスも込められているのでしょう。
すなわち「せちがらい人生」という読み方も可能ということです。
なお>>52さんや>>54さんが思ってらっしゃるようないわゆる「酸いも甘いも知り尽
くした大人の女性」の物語ではありません。>>51にも書きましたように、年齢の割
りに性経験も少なく、田舎暮らしに慣れ親しんできた垢抜けない女性の物語なんです。
主人公は「セックスなんて言葉を平気で人前で言えてしまう女性に憧れてみたり」、
「喫茶店でカフェオレやサンドイッチを食べるのが苦手」な、本当に質素で引っ込み
思案な女性なんです。ところがそんな彼女にも資産家のおじさんとの交流が始まり、
この人についていけば楽に暮らせるだろうと思いつつ、自分がそんないい思いをして
いいのだろうか、それにそれは幸せな人生といえるのだろうかと悩んでみたりもして、
だけどそのおじさんの余りの人のよさに愛情を感じてみたりもするという揺れる感情
に流されながら、それなりにドラマティックな生き方を見つけていくお話です。そこ
にはとってもピュアな人間性が感じられると思いました。