http://www.kensetsunews.com/?p=32402 【全鉄筋、従来の商慣習改善】
全国鉄筋工事業協会(内山聖会長)は、厚生労働省の「建設業務労働者就業機会確保事業」適用を目指す方針を固めた。
鉄筋工事業界で日常的に行われている、繁忙現場に同業他社の職人(技能労働者)が応援に入る実態が、労働者派遣法違反・偽装請負に
当たる可能性が高いと判断。
同業他社同士が繁忙地域・時期・現場に応じて合法的に職人を融通し合うことができるよう取り組む。
28日に開く全鉄筋の総会で内山会長が、新組織で議論を開始する方針を打ちだす見込みだ。
社会保険未加入対策を促進する上で、従来の商慣習が法律違反になりかねないとの認識が背景にある。
建設業務労働者就業機会確保事業は、事業主団体が作成した実施計画を厚労相が認定、認定を受けた事業主団体の構成事業主(会員企業)が
技能労働者を融通しあうもの。
具体的には、構成事業主が自社の雇用する常用建設業務労働者をほかの構成事業主に一時的に送り出す。
送り出し事業主は、事業主団体経由で厚労相の許可を受けなければならないほか、送り出し人数は常用労働者の5割以下、送り出し期間は
所定労働日数の5割以下という要件もある。
鉄筋工事業の場合、大規模現場などを中心に短期間に集中的な鉄筋工事作業が求められるケースが多いほか、作業日程の変更で必要な職人数の
手当が難しい場合も日常的にある。
そのため、職人を抱える鉄筋工事企業は突然の応援要請に応えるため、各社が抱える仕事量に応じて、事前に応援する場合の職人単価を、
所属する各地区協同組合に提示、応援要請する企業が要請先を決める判断材料にしていた。
その場合、応援要請する鉄筋工事企業は、これに応じる側の企業と請負契約を締結、契約上は元・下関係として応援職人を受け入れてきた。
ただ応援職人は、応援要請をした鉄筋工事企業の職長の指示命令系統のもとで作業を行っているのが現実。
そのため「事実上、(建設業には認められていない)労働者派遣と言われても仕方がない」(ある鉄筋工事業トップ)状況だった。
鉄筋工事業界で繁忙期や突然の職人手当のクッションとしてこれまで業界商慣習として行われてきた、従来の職人応援枠組みを、
厚労省の事業制度に合わせる動きが一気に浮上したのは、社会保険未加入対策を専門工事業界の中でリードしてきたことが背景にある。
「法的問題の指摘を受けかねない商慣習を放置していたら社会保険加入活動にも影響を与えかねない」(関係者)ことが理由だ。
全鉄筋が適用を目指す厚労省事業では、沖縄県建設業協会、全国基礎工業協同組合連合会、日本塗装工業会、大阪府建団連、
みやぎ建設総合センター、日本海上起重技術協会の6団体の事業が認定されているものの、労働者の融通が地域限定にとどまっている事業が多い。
*派遣と請負
派遣とは、派遣される人間は派遣先企業の指示命令系統で作業を行う。
一方、請負とは元・下で請負契約を締結した場合、下請は契約範囲内の作業については下請の指示命令系統で行う。
過去、製造業で作業員の賃金を抑制するために実態は派遣ながら派遣契約ではなく請負契約を締結していたことが、偽装請負として問題視された。
関連スレ:【建築】職人不足で左官の養成学科復活 [2014/05/23]
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