さよなら自動車――。市場関係者から、そんなささやきが聞こえてくる。株式市場では円安を
好感してトヨタ自動車や日産、ホンダなどの株価は上昇傾向にある。しかし、こんなもんは
上っ面の一時現象なのである。
「12年3月期に赤字転落するマツダが、最大で1700億円の資金調達に踏み切ります。
台所事情は予想以上に苦しいのでしょう。トヨタは15日に国内の格付け会社R&Iから格下げ
され、最上級トリプルA格を失った。自動車メーカーの先行きは暗澹(あんたん)たるものです」
(市場関係者)
経済評論家の杉村富生氏も言う。
「自動車大手7社の最盛期の営業利益は合計で約4兆5000億円ありました。ところが
12年3月期は1兆円程度に低迷です。翌13年3月期は大震災やタイ洪水の影響が消え
約2兆円を確保する見通しですが、トヨタは過去最高の世界販売台数を見込んでいます。
過去最高なのに利益は最盛期の半分。自動車産業は利益の出にくい体質になってしまった。
“さよなら自動車”が現実になりそうです」
日本の経済成長を支えてきた家電業界はソニーやパナソニックが巨額赤字に転落。さよなら
ニッポンの家電と揶揄(やゆ)されている。自動車産業も同じ運命をたどることになりそうだ。
「販売台数の増加はインドや中国など新興国の需要増です。でも売れるのは儲からない小型車
ばかり。利益率の高いクルマは売れません。主戦場の北米では家電と同じく韓国メーカーの
台頭が凄まじい。日本車のシェアを大きく奪っています」(経済ジャーナリストの井上学氏)
成長市場の中国では米GMや独フォルクスワーゲンが売れ筋。日本メーカーは完全に出遅れた。
若干の円安効果で自動車各社の業績は、しばらくは上向くだろうが、ビジネスモデルは崩壊寸前。
家電に続き、自動車もこうだと、“さよならニッポン”である。
>>2に続く
http://news.livedoor.com/article/detail/6312389/?ignore_lite