関西国際空港を利用する旅客便が減り、産業界などに影響が出始めている。
機内食メーカーが売り上げ不振に陥り、関空を利用する輸入業者は出張経路の見直しを
迫られている。経営再建中の日本航空のリストラ策で路線の縮小が盛り込まれれば、
関西経済への逆風が一段と強まりそうだ。
関空の機内食で約6割のシェアを握るエイエイエスケータリング(AASC、大阪府泉南市)は
2010年3月期の売上高が前期比2割減の70億円と3期連続で大きく落ち込み、最終損益は
赤字が避けられない見通しだ。ライバルの関西インフライトケイタリング(KIC、同)も
09年12月期は前期比2割程度の減収になりそうだ。
関空の利用状況を示す旅客機の発着回数は08年度は約10万6700回と、01年の米同時テロ前の
00年度を3000回近く下回る。利用者数も右肩下がりだ。日本航空だけでも関空発着の国際便を
テロ前より3割近く削減している。機内食は発注量の減少に加え、経営が苦しい航空会社からの
値下げ要求も強い。
1994年の関空開港時には「機内食4社体制」だったが、残るのは2社。AASCは今春高齢者向け
食品など一般向け商品に参入したほか、KICは勤務体系の見直しによるコスト削減などに
動いたが、製造工場をコスト高の空港島内に抱え、対策に限界もある。関係者からは
「関空が国際線誘致などを急がない限り、今後2社体制も揺らぐ可能性もある」という声も
聞こえ始めた。
海外直行便の減少は企業の国際ネットワーク活用にも見直しを迫っている。関空の目の前の
オフィスビルに入居するアパレル販売のcielB(大阪府泉佐野市)の島田信雄代表は
「従業員は関空を利用せず、成田空港経由で米国に向かう」と打ち明ける。
関空から北米への直行便が急減しているからだ。
国内で入手しにくい米国のカジュアルブランド服を現地で買い付け、日本で販売してきたが、
関空の利便性の低下が足かせになってきた。成田経由では4時間近く移動時間が増える。
関空を利用する貨物便はなお多く、買い付けた商品は関空に到着するが、従業員と商品の
到着先が違うことで効率性が悪化し、移動コストも上がる。
食用油脂メーカー大手の不二製油(泉佐野市)は、欧米やシンガポールなど世界各地に
拠点を展開する。欧米への出張を成田、国内を大阪国際(伊丹)空港経由に変更することなどで、
出張コストが年数百万円増加しているという。海外の取引先の訪問も手間がかかっている。
関西の「海外の空の玄関」をうたう関空の使い勝手の悪さに産業界から不満も多い。
>>2に続く
▽News Source NIKKEI NET 2009年09月26日
http://www.nikkei.co.jp/kansai/news/news002105.html http://www.nikkei.co.jp/kansai/img/img000890.gif http://www.nikkei.co.jp/kansai/img/img004009.jpg 関空は旅客機の発着回数、利用者数とも減少している
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