日本海洋開発建設協会(葉山莞児会長)の海洋工事技術委員会(小野武彦委員長)は4日、羽田空港
(東京国際空港)のストック有効活用の視点から処理容量拡大策の中間報告を公表した。具体的には
(1)B滑走路と交差しているA滑走路を交差しないようにスライドする(2)現行C滑走路の外側を新たに埋め
立ててC滑走路を埋め立て部分に移設する(3)新たに5本目の滑走路を新設する――の3案の可能性と
その効果を示しているのが最大の特徴。今後の需給ひっ迫に対して既存羽田空港を最大限活用する
新たな提案となる。来年度に最終報告書をまとめる予定。
羽田空港の需給ひっ迫はこれまでにもJAPIC(日本プロジェクト産業協議会)が指摘してきた経緯が
あるほか、日本経済の低迷を受け、国際競争力向上や内需拡大の視点から拠点空港への投資促進を
求める声が自民党内部からも上がっている。
現在、工事が進んでいる羽田空港再拡張が完成しても、近い将来、需給のひっ迫は必至であることを
踏まえ、ストックである羽田空港を最大限活用する対応策を提示することが目的。同日、海洋協が開いた
海洋開発技術講演会「海洋立国を支える建設技術」で中間報告をした。
海洋協の海洋工事技術委員会が公表した中間報告は、「羽田空港の利用状況と処理容量拡大策の検討
ストックの有効活用の視点から」と題して、羽田空港の現状や空港処理容量に影響する要因、羽田空港
再拡張後の課題と検討方針、さらには、空港容量に関する調査と整理をした上で、▽A滑走路スライドの
可能性とその効果▽C滑走路外側空間の利用可能性とその効果――について言及している。
具体的には現在、B滑走路と交差しているA滑走路について、交差滑走路では1本当たりの容量が小さい
として、A滑走路をB滑走路に交差しないよう後ろ側に変更する考えを提示、その効果とスライドさせる
条件の整理項目も示した。
またC滑走路の外側空間の利用方法については、現在工事中のD滑走路が供用後に期待される早朝便
増加に伴って、夜間駐機スペースであるナイトステイエプロン不足への対応を視野に、C滑走路の外側を
埋め立てる、いわゆる沖出しによってC滑走路を沖出し部分に移設し、空いたスペースをナイトステイエプロン
として整備する考え方を示した。
さらにC滑走路外側の沖出し活用として、新たに5本目の滑走路を新設することによる効果についても
検証している。
羽田空港に対しては、自民党が成田空港との間をリニア技術を使って高速交通体系を整備することが、
国際競争力の向上につながるとして早期整備を求める声が強まっているほか、JAPICが首都圏空港機能
強化など4分野の事業促進を経済財政諮問会議の民間委員4人に対して提案をしたほか、日本経団連も
重点プロジェクト事例として羽田空港と成田空港の効率的・一体的運用を上げていた。
今回の海洋協提案は、羽田空港4本目の滑走路となるD滑走路が完成したとしても、今後の需要増で需給
ひっ迫問題が発生した場合に羽田空港を最大限活用するケースを想定した先導的なシナリオとも言えそうだ。
▽ソース:建設通信新聞 (2009/03/05)
http://www.kensetsunews.com/news/news.php?date=20090305&newstype=kiji&genre=3 ▽関連スレ
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