★観光地、マイカー客離れ ガソリン高騰じわり
ガソリン価格の高騰が、東北の観光地にじわりと影響を及ぼし始めた。県外ナンバーの車の減少に加え、
乗用車が減ってバス利用が増えるなどして全体の客足にも響きだしている。マイカーでの遠出を控える
家族連れなどが増えたためとみられ、東北の観光関係者は「このまま高値が続けば客の減少に拍車が
掛かり、売り上げ減少に直結する」と頭を悩ませている。
サクランボ狩りで知られる寒河江市の観光施設、チェリーランド。施設を運営するさがえ西村山農協の
担当者は「乗用車が例年と比べ、3割ほど減っている。特に隣県の宮城ナンバーは、ガソリンが大きく
値上がりした今月に入って、めっきり減った」と嘆く。
主力品種「佐藤錦」のサクランボ狩りが今月10日に始まった。例年、宮城からの客が全体の3―4割を
占めるだけに「ガソリン高騰の影響がどれだけ出るか」と気をもむ。
上山市のある観光施設も、ガソリン販売価格が一気に上がった1日、宮城ナンバーの車が前年の半分に
落ち込んだ。その後は回復したが、秋田ナンバーは前年の3割減に落ち込むなど県外客の影響が深刻。
施設は「県内でも(施設から遠い)庄内ナンバーは少ない。遠距離の客が減っている」とため息をつく。
日本三景の1つ、宮城県の松島も同様だ。松島観光協会(松島町)によると、町内に25ある宿泊施設の
5月の宿泊者数は、県内客は横ばいだが全体で前年比1割減。減少分のほとんどは、岩手や山形など
隣接県の客という。周辺の駐車場も「週末は観光バスが減っていないのに、乗用車が2割ほど減っている」と
話す。
いわき市にある大型観光施設でも、変化が起きている。今月に入ると乗用車が1割減り、バス利用が
1割増えた。「ガソリン高騰の影響だと思う」と同施設。
半面、来場者が増えている観光施設も。国営みちのく杜の湖畔公園(宮城県川崎町)の5月の来場者は
16万7000人で、前年より7000人増えた。担当者は「ガソリンが上がる前は山形市まで出掛けていた
仙台市民らが『途中下車』しているのではないか」とみている。
石油情報センターの調べでは、16日現在の東北のレギュラー1リットル当たりの平均小売価格は
171円60銭。暫定税率の復活前に比べ、42円40銭も上がった。
2008年06月20日金曜日
http://www.kahoku.co.jp/news/2008/06/20080620t72016.htm