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肥満は健康の敵。日本では「メタボリック症候群」の対策など、企業にも取り組みが
求められています。高カロリーの食生活に傾きがちな欧米各国では、職場にどのような
対策が導入されているのでしょうか。
■スコットランド 汚名返上へ自転車通勤後押し
肥満問題に悩む英国の中でも特に深刻なスコットランド。四人に一人が肥満で欧州最悪
という。その汚名を返上すべく、スコットランド自治政府は、職場での取り組みの
一つとして、自転車通勤を奨励している。
大手会計事務所PWCのエディンバラ支所は昨年二月、自治政府から「自転車にやさしい
企業」に選ばれた。地下駐車場には自転車通勤者のための数十台分の駐輪スペースを整備。
その脇には空気入れを置き、簡単な修理道具も備えている。
同社の自転車通勤が本格化したのは、四年前。シャワー室、駐輪場の拡充などに次々と
取り組んだ結果、百三十人の従業員の10-20%が自転車で通勤するようになった。
取引先などに自転車で出かけると、相当分の交通費を経費として請求できる。地元店との
契約により、自転車や付属品の割引購入制度も導入した。リーダー役のデビッド・
ウォードロップホワイトさん(59)は「金銭的な動機づけが成功の大きな要因」と
分析する。
五十分かけて自転車通勤するジェームズ・キングさん(34)は「新鮮な気分で、
『きょうも一日頑張るぞ』と前向きになれる」と仕事への好影響を力説。
アリー・ソーントンさん(42)にとっては「ジムに行かずに運動ができる」のが
メリットだ。
英政府も、自転車購入に税制面での優遇措置を設けるなどし、企業の健康対策を後押し
している。
■ドイツ スポーツ推進創造性アップ
ビール大国のドイツは同時に「ビール腹」大国。平均的な成人男性は身長一・七八メートル、
体重八二・四キロ。女性は身長一・六五メートル、体重六七・五キロ。
男性では平均値自体が体格指数(BMI)で26を超え肥満領域内。国民の半数は肥満と
される。平均寿命こそ女性八二・八歳、男性七六・六歳だが、死因の43%は心疾患など
循環器系の病気。肥満が体に負担となっていることをうかがわせている。
メタボリック症候群は、日本では男性の場合「腹囲」(へそ付近の胴回り)で八十五センチ
以上がその目安とされるが、ドイツでは、体格の違いから、男性では百二センチ以上を
基準とする場合が多い。
だが、ドイツの企業は従業員に対する健康診断を義務づけられてはいない。ドイツでは
ナチス時代に優生思想に基づいて、「肉体的健全さ」を第一とする健康政策を進めた
反動から、戦後は健康管理は本人の責任に委ねるのが基本。
半面、スポーツを奨励する企業は多い。施設の提供、参加費の補助、休暇制度の整備など
推進策はさまざま。電機大手シーメンスは参加費無料の「循環器系強化トレーニング」を
提供。従業員はウオーキングから始まって専門家による指導まで受けられる。同社は
「病気予防の効果だけでなく、仕事の創造性と効率も増します」と強調している。
続きます。ソースは
http://www.chunichi.co.jp/article/world/newworld/CK2008051402011235.html