王子製紙は17日、株主価値を損なう敵対的買収者から身を守る企業防衛策の検討に着手した
ことを明らかにした。国境を越えた製紙業界の再編に備える。王子の防衛策は、買収提案者に
買収目的や事業計画などの情報開示を求め、必要に応じて株主に新株予約権を発行する型を軸に
検討する。ただ、経営陣の保身につながらないよう、発動基準は厳格化する方針。早ければ
今年度中に大枠を固め、株主総会で承認を得たい考えだ。
北越製紙に敵対的買収を仕掛けた王子だが、自らは業界トップ企業でもあり、買収防衛策を
導入してこなかった。だが、鉄鋼などの素材産業では、競争力強化に国境を越えた再編が活発化。
加えて国内では来年5月に、外国企業が日本法人を通じて日本企業を買収できる三角合併が解禁
され、日本企業の買収が容易になる。製薬業界をはじめ、時価総額の大きな欧米の巨大企業が
世界に君臨する業界は警戒を強めており、王子も対応が必要と判断した。
王子の防衛策は、「事前警告型ライツプラン」と呼ばれる新株予約権の発行を伴う型を想定。
買収提案者に事前に情報開示を求め、企業価値を損ねると判断すれば他の株主に新株予約権を
発行し、買収提案者の株式保有比率を大きく下げて買収を困難にする。ただ、開示情報が虚偽の
場合の対応など未解決の課題もあり、幅広く検討する。
経営陣から独立した第三者に発動の判断を委ねる独立委員会の設置についても、効果を慎重に
見極めて判断する考え。
王子は先月、競争力強化を掲げて北越製紙に株式公開買い付け(TOB)を提案したが、北越が
急遽(きゅうきょ)買収防衛策を導入し、王子のTOBを牽制(けんせい)した。王子は、株主が冷静に
企業価値を判断しにくい北越の防衛策に疑問を示してきたたため、自らが検討する防衛策では
企業価値を損ねる買収を明確化し、発動基準を厳格にする。
>>2に続く
▽News Source Sankei Web 2006年09月18日13時50分
http://www.sankei.co.jp/news/060918/kei000.htm