>>241 一方、メーカー側は「iPodはコピーをばらまくMDとは違う」と反論する。アップルによると、iPodを介して
他人のパソコンやiPodに曲を複製することは技術的に不可能。同社は8月、日本で音楽配信サービス
「iチューンズ・ミュージックストア」を始めた。著作権料込みで曲を販売しており、「iPodに補償金をかけると
消費者は著作権料を二重払いすることになる」と主張する。
4月、「文化審議会著作権分科会法制問題小委員会」で本格論議が始まった。夏頃にはiPod課金への
筋道が整うだろうと文化庁や権利者団体は読んでいたが、甘かった。予想以上に委員の反発が激しかっ
たのだ。
問題はいくつかある。小泉直樹・慶大教授は「二重徴収となる恐れがある。現在はコピー制御が技術的
に可能で、(複製を防げないから必要という)制度導入当時の論拠もない」と指摘。「消費者は補償金制度
を知らずに払っている。対象が増えれば不信感も増す」(漫画家の里中満智子氏)との主張もある。
委員会は7月末の意見集約もままならず、年内の決着は絶望的。反対派委員たちは、既得権にこだわる
ように見える権利者団体に手厳しい。
−ビジネスの壁に−
権利者側も一枚岩ではない。JASRAC評議員で、キャンディーズの「春一番」などのヒット曲を作曲した
穂口雄右氏はこう言い切る。
「権利者団体はCD売上げ減少の原因がiPodであるかのように言うが、むしろ音楽業界の救い主だ。iPod
や『iチューンズ』で音楽を楽しむ人はCDもたくさん買う。年間30億円程度の補償金が減ると業界がダメに
なるというが、情けない。アップルを見習って、もっと大きなビジネスを作って欲しい」