スピードとアンバランスの二重螺旋構造

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1中村不思議 ◆6p7DxX9696
欲望、磁場。語れ。
2ちゅね ◆2vDQN//7W2 :02/10/24 20:39
2だぬ
前スレ晴れよ
4中村不思議 ◆6p7DxX9696 :02/10/24 20:42
たった。ちょっと感激。
5ツール・ド・名無しさん:02/10/24 20:46
自転車板雑談スレ一覧

1、おおフランスジャージを作ろう!!69の春
http://sports.2ch.net/test/read.cgi/bicycle/1032625039/
2、【千客】女将の居酒屋スレ・2号店【萬来】
http://sports.2ch.net/test/read.cgi/bicycle/1031318110/
3、☆★☆名無しさんには敵わねぇ!2周目☆★☆
http://sports.2ch.net/test/read.cgi/bicycle/1035087172/
4、俺の自転車生活2
http://sports.2ch.net/test/read.cgi/bicycle/1025972573/
5、メール欄で本音を語るスレ
http://sports.2ch.net/test/read.cgi/bicycle/1020268227/
6、【おまえは、誰だ。】【え?誰って、荒川だよ。】
http://sports.2ch.net/test/read.cgi/bicycle/1031071391/
7、スピードとアンバランスの二重螺旋構造
http://sports.2ch.net/test/read.cgi/bicycle/1035459519/
8、ぶっちゃけた話 異性にもてたい(永遠のPART1-2)
http://sports.2ch.net/test/read.cgi/bicycle/1025882089/
9、ぶっちゃけた話 異性とやりたい パート2
http://sports.2ch.net/test/read.cgi/bicycle/1025878055/
10、【鉄柵】自板のアニオタ【隔離】
http://sports.2ch.net/test/read.cgi/bicycle/1035384995/
11、★荒川サイクリングロード雑談統合スレ(1)★
http://sports.2ch.net/test/read.cgi/bicycle/1027565769/
12、★☆★徹子の部屋@自転車板★☆★
http://sports.2ch.net/test/read.cgi/bicycle/1007005677/
13、◇◇女の人のスレ 2人目◇◇
http://sports.2ch.net/test/read.cgi/bicycle/1034603591/
14、(´ー`)マターリと語れや雑談スレッド Part28
http://sports.2ch.net/test/read.cgi/bicycle/1034510149/
6中村不思議 ◆6p7DxX9696 :02/10/24 20:49
初登場でいきなり7位かよ。
まずまずの成績である。
っておい。
7仮称◇ああフランス ◆TJ9qoWuqvA :02/10/24 20:54
>下呂不思議
さーて、何をすればよかですか?
8中村不思議 ◆6p7DxX9696 :02/10/24 21:00
まず名前を変えろ。話はそれからだ。いやうそだ。
自転車におけるスピードとアンバランスの二重螺旋構造について語ろう。
あるいは、何もしなくてもいい。
アホみたいにスレ立てるのよしてくれないか
10仮称◇ああフランス ◆vz/UBdfJ0. :02/10/24 21:10
>モロ師岡
なんや!そんなことかい。しかし二重螺旋構造にはなってないぞ!
つーか、俺の下痢を治すことを考えてくれ!!
11中村不思議 ◆6p7DxX9696 :02/10/24 21:10
人をアホよばわりするのはやめてくれないか。
それよりも、否定してるだけじゃ何も生まれない。
肯定しながら生きようじゃないか。
細々とローン組んで家買って地道に暮らすよりまず、
今日をどうやって暮らすか考えよう。
自転車に乗りながら。
12中村不思議 ◆6p7DxX9696 :02/10/24 21:12
>仮称
冷たいものはひかえよう。
すまん、オレマジレスしか出来ないんだよ。
13ツール・ド・名無しさん:02/10/24 21:13


      このスレッドは中村が文才を披露するスレに変わりました。
14ツール・ド・名無しさん:02/10/24 21:15

   . :::';;;;: . .     ..,,,;;:
   . . :;;;;;:.:;;,,    ..:.;;;;.:
   :;;'''  .:';;; . .  .:.:;;;;;':. . .        .,,,,;,,...,,
      .:;;;' :   .:;;;;; .: ,,,;;;,,,   ,  .:;;;';;''' ''';;;;,,
     . :.;;;;' . .:   ;;;;;;;;'''' ';;;:.:.. ,;: . .    ''''''"
     ';;:;'     '''';   .:.';;;;,,;;.
                 '''  ,.:.:';;;;,,,,
             ,、―-、    .;.';:;.:.: ;;;;;;:.;.;...
   -、_      (_二ニ=っ,、;;;:.:;.:;...:.:...'''''''''''
     `‐-、_  (  ´∀)f、 `''、:..:.:. .:
         `-,ノ   つ; /
         (〇  〈-`'"
         (_,ゝ  ) `‐-、_
           (__)     `'‐-、,_..
                        `‐-、._

15仮称◇ああフランス ◆vz/UBdfJ0. :02/10/24 21:17
>HHH
そや!太く短く生きるんや!!その日暮らしで公園で暮らせ!
つーか、お前は何も考えずトレに励め!!
16ツール・ド・名無しさん:02/10/24 23:26
>>5
自転車のりの今日の出来事  が抜けてるぞ。
http://sports.2ch.net/test/read.cgi/bicycle/1034590072/
17更新しました@自転車板雑談スレ一覧:02/10/25 00:37
1、おおフランスジャージを作ろう!!69の春
http://sports.2ch.net/test/read.cgi/bicycle/1032625039/
2、【千客】女将の居酒屋スレ・2号店【萬来】
http://sports.2ch.net/test/read.cgi/bicycle/1031318110/
3、☆★☆名無しさんには敵わねぇ!2周目☆★☆
http://sports.2ch.net/test/read.cgi/bicycle/1035087172/
4、俺の自転車生活2
http://sports.2ch.net/test/read.cgi/bicycle/1025972573/
5、メール欄で本音を語るスレ
http://sports.2ch.net/test/read.cgi/bicycle/1020268227/
6、【おまえは、誰だ。】【え?誰って、荒川だよ。】
http://sports.2ch.net/test/read.cgi/bicycle/1031071391/
7、スピードとアンバランスの二重螺旋構造
http://sports.2ch.net/test/read.cgi/bicycle/1035459519/
8、ぶっちゃけた話 異性にもてたい(永遠のPART1-2)
http://sports.2ch.net/test/read.cgi/bicycle/1025882089/
9、ぶっちゃけた話 異性とやりたい パート2
http://sports.2ch.net/test/read.cgi/bicycle/1025878055/
10、【鉄柵】自板のアニオタ【隔離】
http://sports.2ch.net/test/read.cgi/bicycle/1035384995/
11、★荒川サイクリングロード雑談統合スレ(1)★
http://sports.2ch.net/test/read.cgi/bicycle/1027565769/
12、★☆★徹子の部屋@自転車板★☆★
http://sports.2ch.net/test/read.cgi/bicycle/1007005677/
13、◇◇女の人のスレ 2人目◇◇
http://sports.2ch.net/test/read.cgi/bicycle/1034603591/
14、(´ー`)マターリと語れや雑談スレッド Part28
http://sports.2ch.net/test/read.cgi/bicycle/1034510149/
15、★自転車乗りの今日の出来事 10個目★
http://sports.2ch.net/test/read.cgi/bicycle/1034590072/
16、猫語でしゃべろう自転車の話題
http://sports.2ch.net/test/read.cgi/bicycle/1008005140/
>>17
●◎普通の質問に逆ギレするスレin自転車板◎● 3
http://sports.2ch.net/test/read.cgi/bicycle/1034710610/
も抜けてる。
こうしてみると結構あるな。
19ツール・ド・名無しさん:02/10/25 08:48
雑談総合案内所かよ!
御好きな所へ逝きなさいってか?
居酒屋もいいがたまにはバーでしっぽりいきたい人は
【祝】 自転車バー ぃょう 【開店】
http://sports.2ch.net/test/read.cgi/bicycle/1026975008/
憧れのコテハンで語ってみたい・・・
【注意】他人のコテハンで語るすれ【偽名】
http://sports.2ch.net/test/read.cgi/bicycle/1031934061/
正直 中村が立てたスレは伸びない!
そして本人が飽きて 又糞スレたてる
やめろハクチ
22中速重視 ◆ccqXAQxUxI :02/10/25 14:10
二重螺旋構造とか言うから、DNA→タンパク質→プロテイン
つまり、プロテイン飲んで体鍛えて速くなって、とか言う感じの
スレかと思ってみたら、ネタスレだったんかい。
23更新しました@自転車板雑談スレ一覧:02/10/25 14:10
17、●◎普通の質問に逆ギレするスレin自転車板◎● 3
http://sports.2ch.net/test/read.cgi/bicycle/1034710610/
18、【祝】 自転車バー ぃょう 【開店】
http://sports.2ch.net/test/read.cgi/bicycle/1026975008/
19、【注意】他人のコテハンで語るすれ【偽名】
http://sports.2ch.net/test/read.cgi/bicycle/1031934061/

1〜16は>>17
24こすりつけ最高 ◆KOSRiau48c :02/10/25 18:32
タイトルだけ見て全然開いてなかったけど
暇だから見てみると     中村かよ…

まずは ”二重螺旋構造”に振り仮名打てや 読めへんわ!
にじゅうらせんこうぞう
そんな漢字も読めないのか。
朝鮮半島出身の方ですか?
27こすりつけ最高 ◆KOSRiau48c :02/10/25 19:01
。・゚゙⊃д`)゙゚・。 イジメル
28中村不思議 ◆6p7DxX9696 :02/10/25 20:46
キューバに来て2週間になる。今、セントロ・ハバナから車で一時間のところに
あるリゾート地でこれを書いているというのはウソで、村上龍のような書き出しを
してみたかった。
仕事は新しいサイクルに入りめまぐるしいが、それほど忙しくもなく、充実した日々
を送っている。ところが仕事の内容が、調査や研究といった、人とあまり話さない
工程であることと、おもに数字や複雑な計算式を使う分野に没頭していることで、
アタマの中が、作文を作るモードになっていない。こうして、掲示板に投稿したり、
メールの返事を書くことで普段なら、作文モードに入っていくのだが、このごろは、
さっぱり書く気がおこらない。
そういえば「おまえは誰だ」スレの冒頭あたりで書いたこすりつけ物語は途中で
終わってしまっているようになっている。しかしもう、あの物語はあのままにして
おきたい気もするが、最初に思いついた「オチ」を、まだ書いていないから、少し
質感を変えて、ダイジェスト的に書いてみるテスト。などといってみる。
スレの趣旨が全く見えない。

中村のオナニースレじゃないか。
一人でやってろ。
30中村不思議 ◆6p7DxX9696 :02/10/25 23:10
そうまでいうなら1人でやらせてもらう。
興味がなかったら、関与するな、サル。
31ツール・ド・名無しさん:02/10/25 23:12
さすが不思議の煽りはイイね。
32ツール・ド・名無しさん:02/10/25 23:12
はいはいはいはいすべりましたよ?
読ませれ!!!!
削除依頼でてるけど・・・・・読ませれ!!!
35飯尾副主将:02/10/26 00:51
大五郎のウーロン茶割りより、いいちこの方がおいしいと思いませんか?

36中村不思議 ◆6p7DxX9696 :02/10/26 00:51
まてよ、消すなよ、興味のあるやつはウエルカムだし、お客さまは神様だ。
関西オフの続きキボンヌ
38中村不思議 ◆6p7DxX9696 :02/10/26 00:56
関西オフの続きもここで書くから、な。消すなよ。
39おおフランス ◆ET1oDaqwQk :02/10/26 00:57
たった今、アパートの天井に向かって「クソスレ10個!クソスレ10個!」と怒鳴ってみました。
反応がありません。
しょうがないので全裸になり、自分の尻を両手でバンバン叩きながら白目をむき
「クソスレ10個!クソスレ10個!」
とハイトーンで連呼しながらベットを昇り降りしてみました。
これだけやってもまだ反応がありません。
これを10分程続けると妙な脱力感に襲われ、解脱気分に浸れます。
ヤキソバUFOのカップを舐めつつ「クソスレ10個!!クソスレ10個!!!」と絶叫。
クローゼットの扉の開け閉めを繰り返ししながら「クソスレ10個」と
鳩時計のように首を振りながら言い続けた事がよくある。
この行動に特に意味は無いのだが、ただ、今の俺はそれでいいと思うたった今、アパートの天井に向かって「クソスレ10個!キクソスレ10個!」と怒鳴ってみました。
反応がありません。
しょうがないので全裸になり、自分の尻を両手でバンバン叩きながら白目をむき
「クソスレ10個!クソスレ10個!」
とハイトーンで連呼しながらベットを昇り降りしてみました。
これだけやってもまだ反応がありません(ゲラ!!
読ませれ!!読ませれ!!消すな!!読ませれ!!
41中村不思議 ◆6p7DxX9696 :02/10/26 01:02
荒らすな、フランス。アク禁申請するぞ。
42飯尾副主将:02/10/26 01:09
なぜ、自転車乗りはスピードに惹かれるのだろう・・・
43おおフランス ◆ET1oDaqwQk :02/10/26 01:16
ビックリするほどレオナルド熊!!熊っ!!
44中村不思議 ◆6p7DxX9696 :02/10/26 01:39
>42
いい質問だ。
スピードはおそらく、絶対的だからだ。絶対的な快楽なんだ。
たとえば酔うためには、酒はもちろんだが、それ以外にも、
楽しい会話や笑いや、あるいは落ち着いた照明や甘い言葉とか、
複数の要素が必要だけれども、スピードは、それだけで十分な
快楽たり得る。
我々は、そういったことについて、考えていかなければならない。
回りくどい方法だとしても、遺伝子にプログラムされた快楽の
メカニズムを、スピードを追求するシステムを、我々の対話の
中で、見出さなければならない。
そしてこれは、このスレだけではなく、自転車乗りの、永遠の、
テーマなのだ。
45更新しました@自転車板雑談スレ一覧:02/10/26 01:40
1、おおフランスジャージを作ろう!!69の春 http://sports.2ch.net/test/read.cgi/bicycle/1032625039/
2、【千客】女将の居酒屋スレ・2号店【萬来】 http://sports.2ch.net/test/read.cgi/bicycle/1031318110/
3、∧∧∧名無しさんには敵わねぇ!3周目∧∧∧ http://sports.2ch.net/test/read.cgi/bicycle/1035516336/
4、俺の自転車生活2 http://sports.2ch.net/test/read.cgi/bicycle/1025972573/
5、メール欄で本音を語るスレ http://sports.2ch.net/test/read.cgi/bicycle/1020268227/
6、【おまえは、誰だ。】【え?誰って、荒川だよ。】 http://sports.2ch.net/test/read.cgi/bicycle/1031071391/
7、スピードとアンバランスの二重螺旋構造 http://sports.2ch.net/test/read.cgi/bicycle/1035459519/
8、ぶっちゃけた話 異性にもてたい(永遠のPART1-2) http://sports.2ch.net/test/read.cgi/bicycle/1025882089/
9、ぶっちゃけた話 異性とやりたい パート2 http://sports.2ch.net/test/read.cgi/bicycle/1025878055/
10、【鉄柵】自板のアニオタ【隔離】 http://sports.2ch.net/test/read.cgi/bicycle/1035384995/
11、★荒川サイクリングロード雑談統合スレ(1)★ http://sports.2ch.net/test/read.cgi/bicycle/1027565769/
12、★☆★徹子の部屋@自転車板★☆★ http://sports.2ch.net/test/read.cgi/bicycle/1007005677/
13、◇◇女の人のスレ 2人目◇◇ http://sports.2ch.net/test/read.cgi/bicycle/1034603591/
14、(´ー`)マターリと語れや雑談スレッド Part28 http://sports.2ch.net/test/read.cgi/bicycle/1034510149/
15、★自転車乗りの今日の出来事 10個目★ http://sports.2ch.net/test/read.cgi/bicycle/1034590072/
16、猫語でしゃべろう自転車の話題 http://sports.2ch.net/test/read.cgi/bicycle/1008005140/
17、●◎普通の質問に逆ギレするスレin自転車板◎● 3 http://sports.2ch.net/test/read.cgi/bicycle/1034710610/
18、【祝】 自転車バー ぃょう 【開店】 http://sports.2ch.net/test/read.cgi/bicycle/1026975008/
19、【注意】他人のコテハンで語るすれ【偽名】 http://sports.2ch.net/test/read.cgi/bicycle/1031934061/
46中村不思議 ◆6p7DxX9696 :02/10/26 02:55
「たとえば猟師は肉しか獲れないけど、米が欲しい場合は百姓に依存するとかいったような、
お互いが独立した関係でもって、尊敬しながら依存しあうのが理想的だとも思っている。
オレは孤独だし誰かに依存されたいけど、依存されるためには独立してる精神が必要だ。
例えば誰かが恋人といる光景は、はたから見ると、幸せそうに見える。
しかし実は、それほどでもない。
むしろ孤独ですらある。恋人といても誰といても、孤独は一生、つきまとう。そして孤独は苦しい。
その苦しい1人でいる時間は、孤独だけれども、孤独を受け入れられれば、苦しくはなくなる。
だから独立した精神を持って生きよう。」
ってな内容の会話を、副主将としていた。そしてその後の対話により、二重螺旋構造のイメージ
が少し、見えてきた。
47中村不思議 ◆6p7DxX9696 :02/10/26 02:55
初めて自転車を買ったとする。
副主将: うん
すごいうれしい。満足だ。走りなれて、情報も得る。しばらくすると、新しい自転車が欲しくなる。
あるいは自転車乗りなら、自分がもっと速くなりたいと思う。
副主将: うむ
それは、欲望だ。
副主将: よくぼー?
そして、欲望と対峙してる時、人は孤独だ。欲しいものが手元になくて、さみしくて、こがれてる。
これは、孤独だ。
副主将: うん
たとえばこすりつけが速くて、うらやましいけれども、こすりつけは、孤独だ。
副主将: そうかな?
もっと速くなりたいから。でも、思うように速くなれないから。
副主将: ものすご楽しそうだけどな
副主将: うん
彼には彼なりの、もっとつきつめたいポイントがある。
そしてそれは、どんなに速くなっても、きっとつきないんだよ。
副主将:そうなのかな?冬に天王寺であいぼくとこすりつけと飲んだとき、
副主将:その時の印象がすべてだなあ・・
副主将:もう、年くってるから、そんなにまでいけないのは分かってるけど、でも速くなりたい、
副主将:みたいなこと言ってた。
孤独なことは、誰にも知られたくないから、やつはいつも楽しく振舞ってるし、
実際楽しいけれども、絶対孤独を抱えてるはずだ。
それは貪欲だからこそだし、そんなとこまではいけないかもしれないけども、というのは、
これは妥協であって、精神衛生上よくない。人間的にアンバランスだ。
副主将:うん
これを、「スピードとアンバランスの二重螺旋構造」と呼ぶ!
副主将:うわ!
48こすりつけ最高 ◆KOSRiau48c :02/10/26 13:51
まぁそう言わずにしゃぶれ 中村
                  ノ      } ゙l、   」′           .,/′   .,ノ _,,y
    .,v─ーv_         〕      〕 .|  .il゙            《 ._   .,,l(ノ^ノ
   ,i(厂  _,,,从vy      .,i「      .》;ト-v,|l′          _,ノ゙|.ミ,.゙'=,/┴y/
   l  ,zll^゙″  ゙ミ    .ノ       .il|′アll!           .>‐〕 \ _><
   《 il|′     フーv,_ .,i″       ||}ーvrリ、             ¨'‐.`   {
    \《 ヽ     .゙li ._¨''ーv,,_     .》′  ゙゙ミ| ,r′                }
      \ ,゙r_    lア'    .゙⌒>-vzト    .ミノ′                 〕
       .゙'=ミ:┐  .「      ./ .^〃     :、_ リ                   .}
         ゙\ア'   .--  ,,ノ|    、    ゙ミ}                   :ト
           ゙^ー、,,,¨ -   ''¨.─   :!.,   リ                   ノ
              〔^ー-v、,,,_,:     i゙「   }                  .,l゙
              l!     .´゙フ'ーv .,y    ]                  '゙ミ
              |     ,/゙ .ミ;.´.‐    .]                   ミ,
              |     ノ′ ヽ      〔                   ミ
              }    }     ′    }                   {
              .|    .ミ     .<     〔                    〕
              .{     \,_   _》、    .{                    .}
              {      ¨^^¨′¨'ー-v-r《   
49中村不思議 ◆6p7DxX9696 :02/10/27 00:33
しゃぶるかボケ。
50じぇいスレの26:02/10/30 11:24
>>5=>>17=>>23=>>45かな?
折角なので上がる頻度の多いじぇいスレに貼りましょう↓
マスターの同意も取れましたので(w
жжж名無しさんには敵わねぇ!4台目жжж
http://sports.2ch.net/test/read.cgi/bicycle/1035911782/

とりあえず一度向こうに貼って置きます
更新等などは上記スレによろしこ
51中村不思議 ◆6p7DxX9696 :02/11/01 00:36
よろしこ
とか使うな。
52中村不思議 ◆6p7DxX9696 :02/11/02 00:21
てゆうか荒らしくんはここを知らないのだろうか。
だれか教えてあげてくれよ。
こっそり、トリップでびゅーしてみる。
京都オフ

ひかり211号が京都駅に着いたのは12時22分。東京は雨が降っていて肌寒い気温
だったからオレはいつもより厚手のシャツを羽織っていた。東京発の新幹線の窓に
は雨による水滴が横に流れていて、雨は浜松あたりを過ぎるまでずっと降り続いた。
名古屋あたりからやがて雨は止んだ。車内の気温も上昇し、赤ん坊を連れた母親が
オレの隣に座った。赤ん坊は、大きく息を吸いこみ一瞬の溜めをつくると、堰を切った
ように凶暴な泣き声をあげだした。オレは本を読んだりコーヒーを飲んだり目をつぶっ
てみたりして道中過ごしていたが、母親と赤ん坊が座ってからは隣が気になって仕方
なかった。母親は赤ん坊をあやそうとジュースやスナック菓子をひっきりなしに与えて
いたが、それが途切れると赤ん坊はすぐに泣き出した。また母親はスナック菓子だの
リンゴジュースだのを与えて赤ん坊の泣き声を抑えようとしていた。母親はでっぷりと
太っていた。カロリーの高そうな菓子やジュースをひっきりなしに与えられている赤ん
坊が、母親と同じように太ってしまわないか心配だった。少しいらいらした。座席は当然
喫煙席を選んだが、赤ん坊の隣でタバコを吸うわけにもいかず、デッキへ行き洗面台
で髪型を気にしてみたり、備え付けの灰皿があったからタバコを吸ったりしていた。
東京発の新幹線が名古屋を出て10分。携帯で、フランスに電話をした。
断わる理由を探していた。フランスが御輿のオフ第二弾が開催されるという噂は知って
いた。1回目は、初めてフランスと麻生澪が出会うというイベントだった。自転車板と、
スキースノボ板、通称スス板合同のオフは40名近くの客をがまかつがとりまとめた。
フランスはレベルの高いパフォーマンスを見せた。麻生澪はポテンシャルを発揮した。
こすりつけの狂乱はとどまらなかった。女たちは一枚づつ服を脱ぎ始めた。
盛大で狂気に満ちた自板スス板合同オフは、圧倒的なカタルシスを生んで終わった。
1回目の興奮もさめやらぬ今年6月、早くも2回目の開催を希望する声が相次いでいた。
自板スス板合同オフ専用の掲示板には、参加表明の書き込みが続々と寄せられた。
がまかつが、第2回オフの正式な告知をした。9月28日、場所は、京都。
それにともない、申し込み締め切りの日は8月末日に決められた。オレは直前まで、
参加申し込みを、ためらっていた。
オレは南国へ旅行することが決まっていた。京都で開催されるオフの2週間前にオレは
旅行した。楽しかった。それはいいが、どう考えても金を使いすぎている気がする。京都
まで行く金が全く無いわけではないが、2週間の間に2度も旅行することに多少、罪悪感
のようなものがあった。仕事が忙しいわけではなかったし、京都へ行くぐらいの蓄えは
あった。短いスパンで2度旅行へ行くという、ほんの些細なしこり。これがオレの、参加
申し込みをためらっていた理由だった。
こんな理由で、フランスが納得するはずはなかった。
「おまえ、がまかつに参加メール出したか?!!」
申し込み締め切り前日、フランスはチャットでオレにそういった。
「いや、まだだ。」
「早くしろ!!締め切り明日だぞ!!」
「いや、ちょっと考えさせてくれ。」
「考えるな!!お前は強制参加だ!!」
フランスはいつものように強引だった。その後不毛なやり取りを何回か交わしたが、
フランスのオレに対する強硬姿勢が崩れることはなかった。
「これのちょっと前にも旅行するし、財布がだいぶ薄いんだよ。」
「アホか!!仕事があるならまだしも、金が無いのは理由にならん!!
 ただの口実だ!!借金してでもこい!!」
いつもの横暴な口調でフランスはオレをまくしたてたが、かたや悩んでいたオレは、
フランスのその言葉で、なにかふっきれたような気がした。
たかだか無くなる金は、5万か10万か。今まで2度しか会ったことのない、このバカバカ
しい友人と過ごす時間に、わずかな金を惜しんでいるのはオレ。なにか醜いと思った。
本当に大事なのは、金よりも、「お前は強制参加じゃボケ!!」といってくれる友人と過ご
す時間だ。
新幹線が京都駅に近づき速度を緩めたときに見た窓からの風景に雨はなかった。
フランスは前日のチャットで自分は晴男だと豪語していた。フランスが、「な?!!
晴れたやろ!!やっぱり晴男やねん!!」と、得意げに言う姿が浮かんでしまった。
新幹線のホームへ降りると、汗ばむほどの気温差と湿気が襲ってきた。暑かった。
東京を離れて京都。遠くへ来たことを実感した。
京都の出迎えに、フランスとこすりつけを呼んでいた。フランスとの電話のやりとりで、
八条口へ案内されたオレは改札を抜けて外の空気を吸った。以前に仕事で3ヶ月、
京都の大学へ出張していたことがある。八条口から外へ出た風景は、その時の記憶を
よみがえらせた。朝から晩まで働いた。1ヶ月のうちに、休みは1日しかなかった。
京都へ出張と聞いたオレは、観光や京料理を思い浮かべて小躍りしたものだったが、
そんな時間はついに得られないまま仕事が終わった。ホテルと大学の往復だけだった。
1ヶ月に一日貰った休みは、ホテルのベッドで寝るだけだった。京都はそれ以来だった。
フランスか、こすりつけの姿を探した。見つからなかった。新幹線は12時22分京都着
だったが、待ち合わせは12時半に設定していた。新幹線のホームから改札を抜けて
出口へ行くまでの時間を計算に入れての待ち合わせ時間の設定はオレの優しさだったが、
少しぐらい速く来るかもしれない相手方の気の使い方を想定してもいた。
しかしフランスもこすりつけも、12時半に待ち合わせ場所にいなかった。
しばらく経ってオレがフランスに電話するかどうか迷っているとき、派手なジャージと
自転車の二人組を見つけた。
先頭の、ぷりぷりした赤い尻はこすりつけ。フランスジャージを着ている。後ろにいる、
青とピンクのランプレジャージはおそらくPCB。自転車も同じ色。一緒に走ると聞いていた。
こすりつけたち二人の後姿を発見したオレはその後を小走りについていったが追いつけ
なかった。端まで行った派手な自転車の二人組はそのままUターンしてオレと向かいあった。
オレは笑顔をこらえて卑屈そうな表情を作りひょこっと、左手を上げた。こすりつけは、
気付いたか気付かないのか不思議そうな顔で、左手を上げたオレをただ見るだけだった。
こすりつけが自転車に乗ったままかなりオレに近づいて、手を上げた主が中村不思議だと
気付いても、何の言葉もなくただ静かにカチャっと音をたててクリートを緩めただけだった。
ここでオレがこすりつけに期待していたのは、ニヤニヤとした丸い笑顔を浮かべながら、
低い抑揚のないトーンで「おう、よく来たな」などの、長旅の疲れを労うわずかな言葉だった。
しかし彼はいたって素のまま、無言でサドルから腰を浮かせて自転車の速度を緩め、
大切そうに自転車をとめた。そして気にしたのはオレの荷物ではなく自分の荷物だった。
オレは東京から京都まで3時間かけて来てやっと着いた。フランスの姿はまだ見えない。
オレは少し、不安になってきていた。
聞き取れないほどの小さい声でぼそぼそとフランスに連絡をとりはじめたこすりつけは、
「今どこおるん?」といいながら首を小刻みに動かしている間じゅう、オレを無視し続けた。
仕方なく、初対面のPCBに話しかけた。筋肉質なふくらはぎや腕や腹の周りは恐ろしい
ほど黒く焼け焦げた色をしていて、極太の眉毛がくっつきそうな濃い南国系の顔つきから
年齢や出生のルーツを推測するのは困難だった。こすりつけよりひと回り大きな印象の
PCBに、着ている青とピンクのジャージと、揃いの色をした自転車について彼に訊いた。
「色、そろえてるの?」すると彼は口を大きく裂けるほど横に広げて人懐っこい笑顔を
浮かべてオレを安心させながら、「チームカラーやねん」と嬉しそうにいった。
こすりつけは縦だか横だかわからないぐらいに小刻みな顔の振動をさせた後にフランス
との電話を打ち切った。クルマで迎えに来ているフランスは通りの反対側で待っている。
オレは地下歩道を通り、自転車のこすりつけとPCBは車道を横切り、八条通りを渡った。
こすりつけとPCBはオレに背中を向けたまま、フランスの居場所を首の動きだけで示した。
オレはこくんと小さくうなずきフランスを発見した。コミュニケーションにはそれほど言葉は
必要ないのかもしれなかった。オレは左手を挙げてフランスに存在を示した。フランスは
ケータイを持つ方とは逆の右手を軽く挙げてオレの挨拶に応えたがやはり無言で、眉間に
皺をよせたむしろ険しい表情をしていた。
オレの長旅に対する労いの言葉がないのは当然のようにしていた。フランスはオレにちらっ
と視線を送っただけで、その後はこすりつけに、「あ〜、どないしよ?」と、人差し指で眉の
上を掻きながら鼻を鳴らし、今後の行動計画について打ち合わせをしはじめた。こすりつけ
は姿勢を正しく伸ばし、真剣そうな顔を小刻みに震わせていた。やがて話がまとまった。
フランスはコビックと3時半に待ち合わせている。こすりつけとPCBは激坂を登りに行くという。
第1回関西オフでは登るチャンスがなかった伝説の坂。オレにはさしあたり予定がなかった。
フランスはパーキングにクルマを停め、こすりつけとPCBはその中に自転車を入れた。
昼食を摂るために駅ビル地下のレストラン街にある「銀座ライオン」へ入った。
こすりつけが「東京の銀座に、ライオンってあるん?」ときいた。
「ライオンなんかどこにでもあるよ。」オレは答えた。
クルマでも自転車でもないオレは、まっさきに「生ビールひとつ」と注文した。
「おまえは誰だスレ」の、飲酒運転告白事件がアタマをよぎった。
「ええのう、おまえだけ飲むんかい」誰かが言った。
4人は顔を見合わせた。
やがて生ビールが4つ、運ばれてきた。
「あんなんな、普通やったら祭りやで。一晩のうちに三つも四つもスレ立っても不思議や
 あらへん。でも200か300、レスついただけやったろ?あんなもんで済んだのは、
 見てるやつは絶対やましいとこあんねん。絶対そうや」
こすりつけが、生ビールを一口ぐいっとやったあとに、オレのスレの飲酒運転祭りについて
まずそう語った。語り口は非常に静かで抑揚がなかった。表情は真剣だし、ともすれば
怒りの意志を含む口調にさえ感じられるが彼の場合、いつもそうだった。一定のトーンで
淡々と語る。そして会話の途中に突然声を大きくし「シャコシャコシャコ!!」とか「ブリブリブリブリ!!」
といった類の効果音を入れて聞き手を驚かせ、笑わせるのが彼の話し方だから、本当に
真剣なのかあるいはそうじゃないのかは、オレにはよくわからなかった。
「フランスはどうやねん。」 こすりつけは、飲酒運転について語りたがっていた。司会のよう
にフランスに話題をふった。フランスは、「わしは飲酒運転なんかしたことあらへんがははは」
といった。フランスの前にあるジョッキにはまだなみなみとビールが残っていた。PCBは、
ニヤニヤしてうつむき加減だったが、4人の中で一番ビールが減っていた。オレはいまさら
語ることもなかったから、ただ話を聞いているだけだった。
本来、顔をつき合せて真剣にする話でもないと思っていた。飲酒運転はいけない、そんな
結論はわかりきっている。
オレが時々思うのは、飲酒運転は悪だと声高に叫ばれるのが、ネットという環境でしかない
ことの不具と、ネットに対して人が見せる気分の高揚が飲酒運転にも似ていること。そして
そんなような人の弱さが面白いことだ。オレ自身の弱さを反省しようとは思わないし、人を
諭そうとも思わない。ただ、面白いなと思うだけだ。
この場はごくあいまいなまま、事件の話題は打ち切られた。しかしこの後にも幾度にわたり、
あの飲酒運転告白事件の話は持ち上がることになった。例えば宴会が終わった後、夜の
嵐山に繰り出した先の居酒屋では、オレに対し、「あそこで書いているのは本気なのか。」
とか、「正直、中村に怒りをおぼえた」とか言われもしたし、かたや「中村は正しい、ツーキニスト
は間違ってる」という意見もあった。ひとしきり宴会が終わって誰かの部屋で飲み始めたときも、
「この中で飲酒運転したことあるひと手あげて」「じゃあ、ないひと手あげて」という質問イベント
にも、全員が正直に答えていたと思う。オレはただ酔いながらヘラヘラと話を聞いていた。
誰がどっちの味方であっても、誰かなりに思うことがあったということを、正直に言い合える場所
にオレがいることを、ただひたすら、楽しんだだけだった。 
 
63中村不思議 ◆6p7DxX9696 :02/11/09 01:09
昼食に銀座ライオンを選んだのは、ビールが飲みたいからという理由だけではなかった。
フランスが、「魚ないところやったらどこでもええわわし」といったからだった。フランスは魚介類
を全く苦手としていた。浜松のオフでは、名物のうなぎを食うところで、クルマの中で寝ていた。
宴会のお膳には、魚介類の中で唯一食せるエビフライを特別に用意してもらっていた。
今回オレはせっかく京都に来たのだから、京料理を食いたかったがフランスに「そんなもんあら
へん」と一蹴されていた。
ライオンへ入ったフランスは喜びいさんで「目玉焼きハンバーグ定食」を注文した。「あ〜、腹
減った、まずメシ食お。ビールはいつもメシ食ったあとに飲むのが習慣やねん」と、目の前の
なみなみ残ったビールの理由を説明した。
「おまえはおこちゃまか。」とオレが言うとフランスは、「あんな、今日わしお子様ランチやで」
と嬉しそうにいった。何のことかわからずオレが「なにそれ?」と聞き返すと
「わし魚あかんやんか?でな、旅館に無理ゆうてん、お子様ランチでお願いします!て。
 旅館のおばちゃんがな、ホントにお子様用ですけど、ゆうたんてんけどな、わし、
 それでもいいです!いいはってん。引き受けさしたがな、がははははは」
ハンバーグを食いながらフランスは電話をし始めた。「なんや、コビックでえへん」
しばらくしてフランスはハンバーグを食いながらまた電話を取り出した。
コビックからのメールが着信したらしくフランスはそれを声にして読み上げた。
「ボクチム電車の中なので電話に出られません、メールでお願いします。やてがはははは」
コビックは予定より早い2時半に着くという。今1時半。思ったより、時間がないことに気付いた。
風がひとつもなかった。空は白く覆われていた。10月にさしかかろうとする季節とは
思えないほどの湿気が充満していた。ここは京都だった。
京都には、金閣寺があるべきだし、竹やぶや紅葉や日本庭園は、空の青さに映えて
なお美しいはずだ。おしろいを塗って着飾った舞妓や芸者が街を清楚に練り歩き、
料亭の女将はにこやかに、「茶漬けでもどうどす?」とか「おとといおこしやす」とか
やんわりと一見の客を見下す街。それが京都だ。京都は、隙間さえ存在感を持つほど
に、常に完全な街として存在していなければならないはずだ。
しかし目の前にあるのは、大きなパチンコ屋だった。交差点の信号が変わったときに
こちらに向かってくるのは、舞妓ではなく金髪のおねいちゃんだった。おねいちゃんは
なぜか、お湯を注いだカップラーメンを慎重に持って横断歩道を歩いていた。とすれば、
お湯を注ぐために道を渡り、カップラーメンを食べるためにまた道を戻ったことになる。
京都で、お湯を注いだカップラーメンを持った金髪のおねいちゃんが横断歩道を渡る。
全く意味がわからなかった。
こすりつけとPCBは生ビール2杯分を腹に入れ、伝説の激坂へ向かっていった。
フランスジャージとランプレジャージ。派手な二人は、京都の街には全くそぐわなった。
八条口は、京都の裏側だった。池袋でいうところの西口であり、浜松町でいうところの
北口だった。要するに、ペデストリアンデッキがない方に面した、より閑散としている方
の出口だった。
関西には「ヘブン」という風俗雑誌があるという情報をオレはつかんでいた。関西の風俗
へ行くならヘブンを見て探せ。仲間うちでは、合言葉のようにささやかれていた。コンビニ
のデイリーストアには必ずあると噂の風俗雑誌「ヘブン」は、電話帳ほどの厚さで出来て
いるという。オレは東京の仲間に、土産として「ヘブン」と、京都の風俗店の話を持ち帰る
ために、どうしても風俗へ行かなければならなかった。
しかし、コビックが来るまでの時間は残り1時間を切っていた。移動、待ち、プレイ、移動。
どう考えても、足りなかった。
フランスジャージをおねいちゃんに着せて、写真を撮る。
酔った勢いでフランスとこんな約束をしてしまった。フランスジャージが完成して間も
ないころだった。もちろんただの写真ではなく、色気のあるポーズの写真だ。風俗店
へ行って、着てくれと頼むことも考えたが、今日までチャンスはおとずれなかった。
前日にフランスとチャットしていた。オレがまだ、「お色気フラジャー写真」の約束を果
たせずにいることを問いただされた。「賭けに負けたんだから、風俗おごれ!!」とまで
言われた。「これからやるつもりだ。」といっても、「期限は過ぎている!!」と、とりあっ
てくれなかった。
「京都でおねいちゃんに声かけて、頼みこんで着てもらう、ってのはどうだ?」
旅先なら少し大胆な気持ちになれるかもしれないと思いオレは新しい提案をした。
一度フランスはオレの提案に乗るそぶりを見せた。話は盛り上がりそうだったが急に
フランスは、「やっぱあかん!!地元でそんなことする気になれん!!」と萎みこんだ。
そのおかげで、風俗をおごるハメになるのはなんとか免れたのだった。
今日のフランスは、いつになく険しい顔をしていた。オレがこの日気付いたのは、彼は
ちゃんと、人の話を聞いているということだった。一方的にまくしたてて話すイメージが
なぜかオレの中に刷り込まれていて、聞き手としてしばらくいたのだが、フランスが
なにもしゃべっていない時間が意外に多いことに気付いて、オレは少しスタンスを変えた。
フランスが黙っているとき、誰かの話を聞いているのか、自分が次に話すことを考えて
いるのか、あるいはこれからの予定をシミュレーションしているのかどうかは全くわから
なかったがその息遣いから、彼のサーキットラインが、情報をめまぐるしく伝達している
イメージが伝わった。とはいえ、自分が話す段になると、他の誰よりも豪快な声やジェス
チャーで話し、目立つことを忘れなかった。
グレイのジャンパーを脱いだフランスは黒いTシャツを体型にフィットしたジーンズの裾
へ入れたスタイルになった。前回会ったときに茶色く染まっていた髪の毛は黒に変わっ
ていたが、リーゼントのヘアースタイルは変わっていなかった。これでサングラスをはめ
たら、ロックンロールとか、ロカビリーとかの類だった。靴は真新しいスエード地だった。
前回、動きやすいスニーカーを履いてきた彼ははしゃぎすぎて足首を捻挫してしまった。
「今回は、動きにくい靴わざわざ選んだんや。大事な仕事つまっとるからケガでけへん」
フランスは言った。
67中村不思議 ◆6p7DxX9696 :02/11/09 01:10
時間つぶし。
勝ったとしても、得られる金額はたかが知れている。かかるかどうかわからない大当たり
へ向けて、500円単位で消耗されてゆく金は、わずかな時間でどんどんなくなってゆく。
360分の1。気の遠くなるような確率だ。3000円で回せるのは50回前後。とうてい当たると
は思えないが、10回目でくることもあれば、2万つぎ込んでも当たらないこともある。
たいして面白いとも思わない。勝ってもそれほどうれしくない。ただ負けなかったことに、
ほんの少し安心するだけだ。
風俗で消費すべき1万円が宙に浮いてしまった。捨てるための金。いけなくなった今、別
の使い道として、パチンコは実にあつらえむきだと思った。オレをあごでパチンコ屋へ促
したフランスを待ち先頭に立たせ、そのあとからそぞろ歩くように付き従ってみせたのは、
地元のホスト役であるフランスを思いやってのことだった。オレが先頭を切ってパチンコ
屋へ入ったのでは、ホストの面子が立たない。オレは京都では、客でなければならない。
68中村不思議 ◆6p7DxX9696 :02/11/09 01:10
フランスは「CR海物語」のコーナーへ入った。そして液晶パネルを見て周っていた。
左上端にエンゼルフィッシュが止まっている台を探しているのだ。その状態の台は、次の
大当たりがかかり易いというフランスの持論だった。単なる彼のジンクスなのか、世に
知れ渡っている攻略法なのかはよくわからなかった。ただ以前、フランスにその攻略法
を聞いたとき、実践してみたことがあった。50回ほど回すと、大当たりがかかった。しかし、
かからないこともあった。真偽のほどは、よくわからない。
フランスが先に、エンゼルフィッシュが止まっている台を見つけた。するとフランスは、
ホストぶりを発揮し、「あったで、おまえこれ打ったらどうや?」と勧めてくれた。
まず先に客へ椅子を座らせるというホスト側の作法をフランスは、ごく自然に行っていた。
オレはそのことは口に出していわず、彼の誠意を汲み取りながら丁重に断わった。
海物語は飽きていたからだ。それよりも、ドラム式の最新台を打ってみたかった。
オレが最新台へ座り打ち始めるのを見守ったあとにフランスは、「ほならわし、さっきの
台打ってみるわ。」といって、エンゼルフィッシュの台へ向かっていった。500円硬貨を、
一枚ずつ投入しはじめた。
3000円かそれぐらい使ったところで大当たりがかかった。確変ではなかったが、まずは
安心した。これ以降、持ち玉を手にしたオレは、財布の金を使わずに勝負できる。ドル箱
は、換金すると4千円ほどだが、貸し玉に換算すると1万円ほどにもなる。すなわちオレは
1万円分の持ち玉で遊べることになる。しかし、台に書かれた注意書きが気になった。
「初回赤7→無制限」。かかった数字は赤7ではなかった。ということは、1回交換なのか。
考えられない。東京では、ほとんどの店が全台無制限制を採用している。ラッキーナンバー
制などという旧態依然としたルールをやっていては、客があつまらないからだ。無制限で
も、勝つのは難しい。低確率のCR機が主流を占めるようになった昨今、1回交換を強いら
れるとは思ってもみなかった。大当たり後の時短が終了した後、まだ未練がましく台の前に
座っていると、店員がやってきて「あの、終了です。」といった。オレが、信じられないような
顔をして、「終わり?交換?」といって首をかしげて見せたのは、京都のシステムに対する
侮蔑と、東京側に属する誇りを表現するためだった。
2000玉は4000円分のレシートになっただけだった。その後、2度と京都でCR機を打つ気に
なれず、いまどき珍しい羽根モノと呼ばれる昔ながらの台を見つけ、遊ぶことにした。
「なにヒラ台打っとんねん」
低くこもった声の高い音域部分を使った勢いのある言葉が、オレのすぐ後ろで発せられて
いたことに気付いたオレは、ハンドルを握ったまま振り向いた。聞き覚えのある声だった。
黒いTシャツとデニム地の下はフランスと同系色。しかしジーンズは七分丈の短パンだった。
異常なほど大きいサイズのスニーカー。太い骨格。筋肉質な体型。下から上へと視線を
移動させた。見覚えのある顔。思い出せない。誰だ、という言葉が口から出そうになったが、
でかい男の後ろには、フランスが腕組みしてニヤニヤしながら立っていた。時計を見た。
符丁が合った。コビックだ。
コビックは、むくんだ顔をしていた。電車の中で寝ていたのかもしれないと思った。とろんと
した目つきで、オレを見下ろしていた。オレはようやく「よー?!」とだけいって左手を挙げた。
右手はハンドルを握ったままだったが、笑顔をもって再会を喜んだ。コビックに会うのは、
これが2度目だった。
1度目は、去年の12月だった。関西オフをやった。春風のクルマに乗って東京から4人、
大阪のこすりつけの家へ向かった。7人で走った。引きずりまわされた。疲れ果てた夜の、
梅田の宴会。コビックは杖レに噛みつかれ、涙を浮かべていた。マキうんと仲がよかった。
どことなくフランスと似ていた。Araiをどつきたおしていた。再会を誓い、握手して別れた。
10ヶ月経っていた。オレは少し照れながら、ヒラ台の画面へ戻った。コビックも台を選んだ。
フランスもエンゼルフィッシュへ戻った。あの日のことを思い出すには、簡単な挨拶と、
照れたような笑顔だけで、十分だったからだ。
71中村不思議 ◆6p7DxX9696 :02/11/09 01:12
ヒラ台で出した玉は全部呑みこまれた。最後の方は、早く玉がなくなることを祈っているだ
けだった。集合時刻が近づいていた。午後3時。ヒラ台を切り上げて店内をうろうろしている
と、フランスはドル箱を満タンにしていた。コビックにも大当たりがかかって玉が出始めた
ところだった。オレは2人の玉が出終わるまでの時間つぶしに、残った500円硬貨を消費した。
「そろそろ行かんか?」
フランスが出発を促した。残った玉を全て流れさせ、外へでた。フランスとコビック。2人は
体型も背格好も似ていた。オレよりひとまわり大きい。しめし合わせて来たかのように、黒い
Tシャツも、ジーンズの色も同じだった。  
フランスのクルマに乗って嵐山へ向かい出発した。集合は4時。がまかつが待っている。
コビックを助手席に促しオレは後部座席へ乗り込んだ。自転車を出し入れした後のワン
ボックスの室内は広く、オレはふんぞり返るように足を広げて座った。
「コビック久しぶりやのう」 改めてフランスがいった。「あれ以来やで、ほら、関西オフ。あれ
から全然会ってなかったんやなあ」 フランスも、コビックに会うのは2度目だった。
コビックは姫路、フランスが京都なら、会おうと思えばいつでも会える距離だとも思う。
「おまえら住んでるとこ近いんだから、会おうと思えばいつでもあえるじゃんよ。」オレがいった。
「わしフランスに住んどるっちゅうねん」
フランスは、もはや持ちネタと化したギャグを言った。すでに今日2回目だったが、コビックは
そのギャグの面白さ以上の笑い方で応えていた。
再会を、喜んでいた。
古都京都。いにしえの昔より栄えし都の街並みは、他の地方都市のたたずまいとそれほど変わ
らなかった。クルマの中から、京都らしさを少しでも見つけ出そうときょろきょろしていた。フランス
のクルマは嵐山に向かう。あらしやま。埼玉の北に、嵐山と書いてランザンと読ませる地名がある
ことを思い出した。あらしやま。修学旅行で行った。関西オフでは、自転車で走り過ぎた。川と、
橋が印象的だった。低い山々を望む景色。あとは、観光客と、土産物屋。イメージがよぎる。
ふと、古い寺らしき立派な建物が現われた。「あれなに?」と、フランスに聞くと、「あ?何やろ?」
とだけ応えられた。クルマの窓にへばりつくようにして建物の名前を確かめようとした。「本願寺」。
たしかその昔、京の街を取り仕切っていた武装勢力。その強靭な装備や権力は地方の戦国大名
さえ恐れをなすほどだったが、信長により縮小を余儀なくされてしまったという歴史を持つ寺社の
その総本山。京都の町の中央に、ヘクタール級の区画を使って君臨する黒くて古い寺社建築は、
かつての繁栄と栄光を物語っているようだった。
オレがフランスに、「もっと他にこう、京都っぽいやつとか、ないの?」ときいてもフランスは物憂い
口調で、「あ?わからん、見てたらそのうちポッと出てくるやろ」とうべなことをいっただけだった。
京都の中心を走る国道をしばらく走ったところでクルマは右に曲がり、狭い対面交差の道路へ
入った。見覚えのある道だと、ずっと思っていた。
ふと、両側に建ち並ぶ商店が途切れて視界が開けた。川が現われた。オレはとっさに、「あ、ココ
来たことある。」と叫んだ。関西オフでは、京都を自転車で駆けずり回った。引きずられまくった。
景色も観光も、あったもんじゃなかった。杖レに、「この川なに?」と聞いた。桂川。緩やかな曲線
の川沿いの道を走った。冬の空の青さは、オレンジ色に近い色彩でオレの目に届いた。記憶が
よみがえってきた。
橋や、観光客が見えてきた。日本家屋の様相を呈した土産物屋も見えた。スキューバダイビング
かサーフィンをする若者のような、肌も髪よく日焼けした男が目についた。ウェットスーツを着ている
のかと思ったが、違った。人力車を牽く、人足だった。背中には、筆文字で「嵐」と書かれていた。
目的地の「ホテル嵐山」は、これらのほぼ中央に位置していた。
「あ〜、クルマどないすんねやろ?駐車場、どこ?」 フランスが鼻を鳴らしながらいった。駐車場
の場所など、オレにわかるはずもなかった。「どこやろ?」コビックも返答に窮していた。
「聞いてくるよ。」 オレは言った。どうせ「おまえ聞いてこいや」と命令されるはずだった。自分から
気を利かせて行ったほうが気持ちいいに決まっている。それよりもオレは、早く嵐山の空気を吸い
たかった。ワンボックスカーのスライドドアを勢いよく開けた。そして、外へ出た。
懐かしいような、キレイなような、そんな景色が目の前に広がった。
風はなく雲はひとつも流れていないのに、涼しいなと感じたのは、水の流れる音を聞いたからかも
しれなかった。さらさらと流れる桂川の音は、観光客の賑わいやクルマの音にかき消されて、聞こ
えるか聞こえないかわからないままたぶん耳に届いた。オレはおそらく、涼しさの原因が桂川の音
だと気付かずに、ホテル嵐山の前に立った。
白い壁の敷居の中央から両脇より迫りくる嵯峨な竹林を仰ぎ一段二段と階段を降りた。歓迎の
黒い看板には白い筆文字で、「自転車板オフin京都様」。「スス板」の文字は消えていた。
スモークガラスの向こうのロビーの中はほの暗い照明が心細く灯っていたが、不安を振り払って
扉を開けた。フロントへつき進もうとしたところで、声がした。「お?」
がまかつの声。とっさに思った。声のする左の方へ向いた。がまかつ。笑っているのか怒っている
のか、無表情な能面のような顔の中の鋭い目が放つ強い視線を捉えた。がまかつらはロビーの奥
まったところにある茶屋をモチーフにしたようなスペースに陣取っていた。がまかつの表情が、
どんな気持ちを表現しているのか判断がつかず、笑顔になるかクールさを繕うか決めあぐねたまま、
不思議そうに呆けた表情になってしまったオレはなんとなく左手を挙げた。
がまかつの周囲には4、5人の男女が座っていて、知った顔も認識したが、オレの挙げた左手に
応えてくれたのは、がまかつだけだった。
オレはそのままフロントへ行き駐車場の場所を聞いた。話を聞きながら、一瞬捉えた知った顔の
解析も同時に行っていた。確か「茶飲んでる」と「萎え」。浜松でも一緒だった。背中に視線を感じな
がらフロントの話を聞いた。京言葉が耳に新しい。後ろでは、あれだれ?中村だよ。そんな会話が
繰り広げられているのかもしれなかった。
話を切り上げ外へ出るときに、がまかつたちへ向かってオレは口の動きだけで、「クルマ」といい外
を指差した。クルマを移動させる用事があることで、あわただしさを強調したが、ロビーの奥に陣取
ったおそらくこのオフの参加者は、なおも不信そうに無表情でちらっとオレを見ただけだった。
不安が募った。早くこの場から立ち去りたくなった。
75中村不思議 ◆6p7DxX9696 :02/11/09 01:14
こんにちは。うす。はじめまして。どうも。どうよ。誰。
初対面の場合、最初の挨拶を終えた後にどんな会話をすればいいのかわからない。
知った仲なら、いや昨日さ、とか、さっきさ、これこれこうゆうことがあってさ、などとすぐにたわい
のない話を始められもするが、初対面の場合そうはいかなくて、例えばこれから話そうとしてる
内容が、相手にふさわしいものなのかどうかまず考えてしまう。それよりもまず、その初対面の
相手が、オレと話したがってるのかどうかから気にする。面と向かって直截的に、話したくない
とはいわれないだろうが、例えば目の動きや、返答の強弱によって、話したくない気持ちは微妙
に伝わる。オレも、あ、この人はあまりオレと話すのが楽しそうじゃないな、ということに気付くと、
じゃあもう話さなくていいな、と急にやる気を失ってしまう。そして少し落ち込む。決して落ち込み
たくはないから、アタマの中でまず話題の正当性について考え、シミュレーションしてから、視線
や状況や緊張の度合いを加味したのちにやっと、言葉を口に出してみる。初対面の人と話す場
合には、膨大なエネルギーを必要とする。それが、「人見知り」のメカニズムでもあると思う。
オレはよく人見知りをする。
「鍵をわたせば、ホテルの人が移動してくれるってよ。」とフランスに告げた。オレとコビックは、
クルマの中からこすりつけとPCBの荷物を取り出した。「くっさそうやな、あいつらのリュック」
フランスが言った。嗅いでみたところ、本当に臭かった。汗が固まって粉になったあの独特な
足の裏のような酸っぱい臭いが、リュックのあらゆる部分からした。重いこすりつけたちの荷物
を運びながらクルマからロビーへ戻り、がまかつらがいる一角へ、いよいよ向かった。
76中村不思議 ◆6p7DxX9696 :02/11/09 01:14
眠たそうな声で、おっす、とオレ。あれ、一人?とがまかつ。両肩に背負った二つのリュックを
降ろした。いや、フランスとコビック、といって後ろを指した。コビックは、少し離れたところに立っ
て、同じくリュックを降ろした。身軽になったコビックはそのまま、言葉もなくゲームセンターの
方へ向かっていってしまった。フランスは、フロントに鍵を預け、そのままなにか事務的な話でも
しているのか真剣そうだった。2人を確認したがまかつは、A4にプリントアウトされた参加者名簿
にしるしをつけながら、あと、7人か、といった。オレはそのまま、茶のんでると萎えを見た。
茶のんでるとは、浜松以来だった。彼のハンドルネームが、キャノンデールのもじりだと知った時、
そのセンスに感嘆した。太く黒いフレームのメガネをかけていて、その奥には整ったいい形の
ギラギラとした目がある。わざとなのかどうなのかはよくわからないが、そのメガネのせいで少し
弱々しい印象を受ける。細身のジャケツとスリムなパンツを黒でそろえて来た茶のんでるは、
人懐こそうな笑顔をうかべてくねくねと、「中村さん」と言った。オレは安心した。彼の隣に座った。
次に萎えを見た。萎えと目があった。萎えとは浜松で最初に会った後、葛西臨海公園で偶然
再会していた。フランスジャージを着て初めて走りに行った。2ちゃんの仲間も何人かいた。
葛西へ着いたとき、オレが着ていたフランスジャージを発見した男が近づいてきた。
「2ちゃんの人ですか?」その後からぞろぞろとスケートボードを持った男女が来て、その中に
萎えがいた。「中村さん?」といわれ、萎えに気付いたオレは再会を喜んで少し話し、別れた。
萎えにはジーンズとかサブリナパンツとかがよく似合うイメージがあったのだが、今日の萎えは
なんというかその、巻きスカートの類の服を着ていた。足元は、編み上げるタイプのウエスタン
ブーツだった。要するに、萎えの女のコ的なファッションをオレは、初めて見たのだった。しかし
口説いたら、不思議そうな顔をされたあかつきにひとつ、ぷっ、と笑われ蔑まれるような気がする。
そんな危機感を抱いたオレは、萎えと話すためにはもう少し、酒が必要かもしれない。
萎えの隣に、肩の細い、女が座っていた。初対面だったが、誰だかすぐにわかった。カラコだ。
オフに来るやつらとは、オレはほどんど、ネット上で話したことはない。茶のんでるや、萎えに
しても、がまかつにしてもそうだ。彼らがたとえば、じぇいきんぐスレで楽しそうにやってるのは
知っていて、オレもたまに、仲間に入りたいな、とかうらやましく思ったりするのだったが、こう、
ぽん、と面白いことを言って人の心をつかむような、そういう技術をオレは持っていない。オレ
はどちらかというと、ケンカ腰に話題を振って、攻撃されたら対処するといったような、よりスリ
リングな展開が好みだし、得意分野だ。それか、女と見るや否や口説くのと、あとは、誰にも
かまってもらえないときは、酒を飲みながら、独り善がりの長文を書く。だいたいこの3つの
パターンを、サイクリックかランダムに使っている。「きょうもあげるぎゃ?」というのは簡単だが、
それ以降の会話のストックがひとつもないからオレは、じぇいスレをただ、指をくわえて見てる
しかなかった。
カラコとは、ネット上で2度、絡んだことがあることを覚えている。1度目は、オレが荒川スレを
荒らし依頼したときで、じぇいきんぐにつられたような形でカラコはやってきて、二言三言話して
去ってしまった。実はこのカラコはもとより、じぇいきんぐも、オレは荒らしを依頼した経緯を全く
説明していなかったことから彼らは、何のために呼ばれたのかよく把握していなかった。
すぐに彼らは去っていった。
2度目はというと、こすりつけが珍しくオレを、ヤフーのカンファレンスというシステムに誘って
きた。多人数で行う、プライベートなチャットシステムだ。そのときにいたのが、カラコと、
うっとり汁。オレはカラコを女と知るや、グダグダに口説いた。酔いの勢いもあり、説教か口説き
かわからないようなトーンで、滅茶苦茶なチャットを繰り広げていたことを、翌朝起きてから
おぼろげに思い出した。
すなわちカラコには、オレは悪い印象しか残しておらず、案の定目の前のカラコは、不思議そう
な、むしろ警戒するような視線でオレを見ていて、オレは急に喉が、カラカラに乾いてしまった。
78中村不思議 ◆6p7DxX9696 :02/11/09 01:15
「写真よりめちゃくちゃメチャクチャ可愛いじゃん。」
こすりつけに誘われたカンファレンスのときに、カラコと写真を交換していた。上目遣いでメガネで
ショートカットのカラコの小さい写真が送られてきて、オレは条件反射的に、「めちゃくちゃ可愛い」
と褒め称えた。それに対して、オフで会うことが確定していたカラコは、今は最悪になってるから
あまり期待せんといて、というような意味の言葉で牽制した。
確かに写真とはイメージが違っていたが、最悪、と謙遜すべきような造りでは決してなく、むしろ
清廉なたたずまいであったが、オレを見る警戒した視線は厳しく固かったから、その固さを振りほ
どこうとオレは、酒も入っていないのに、口説きの口調でカラコに第一声を送った。
がまかつや茶のんでるは無言かあるいは事務的な会話を始めたし、萎えはというと、ぷ、と音が
聞こえてきそうな顔をしてオレを無視してよそを向いた。
「あらあらそんなことないですよそんなことないです」とつぶやくようにいったのはカラコだった。
黒いジーンズの膝にあてた手を、身体と一緒に揺すりながら、オレから視線を外し、呟くようにして
そういったのだった。若干の沈黙が漂った。すなわちオレは宙に浮いた。
79中村不思議 ◆6p7DxX9696 :02/11/09 01:15
うっとり汁は、黄色いTシャツを着ていた。大杉蓮に似ていた。フランスがクルマの中で、うっとり
汁のエピソードを話していたことを思い出した。
「あいつな、自宅のパソコンにカメラ付けとんねん、でな、「只今ライブカメラ中継中」って書き込み
しとんねん、普通クリックするやん、してみるやん?でな、クリックしたらな、ただのおっさんが
いんねん。なーんにも芸なしやで?ただのおっさんがな、フツウにパソコンうっとるだけやねん、
おっさんやで?そんであんな?うっとりな?家庭板荒らしとんねん、冷蔵庫にティムポって名前で、
荒らしとんねん、そんでな、叩かれてわしのとこに、泣きついてきよってん、しかもおっさんやで?」
コビックがゲームセンターから戻ってきた。「あれ?フランスは?」オレはコビックに向かって
フランスの行方を訊いた。コビックが逐一フランスの行く先を把握しているはずもなく、わからん、
さっきフロントにおったけどな、と返答してくれたが、オレも本当は、フランスの行く先を気にしてる
わけではなかった。
カラコに嫌われているかもしれなくて、受け入れられようとして失敗してしまい宙に浮いたオレの
所在を、確認したかっただけだ。
フランスを探すふりをして中座した。
戻ると、顔に汗を浮かべた知った顔がいた。まろ。
いつからか、スピードに興味を失ってしまった。オレが2ちゃんで知り合った仲間には競技
志向者が多く、最近はあまりなくなったが、オフで一緒に走るとよく引き離され、おいてい
かれる。もともとは、移動手段としての自転車に興味を持った。街を軽快に走れる自転車
をと考えたときに行き着いたのが、スポーツタイプの自転車だった。偶然レースに出る機会
があって、それから少し、速くなりたいと思った時期があった。だが毎日一定の時間を練習
に裂くわけにもいかず、競技志向者との差は歴然だった。スピードメーターも取り払った今、
当初の思惑通り、オレの自転車は移動手段としてのみ存在している。
競走に闘志を燃やし、スピードに狂喜し、勝負にこだわるのも、男のコの哲学だ。しかし日常
では、1人で走るケースが圧倒的に多く、自然と勝負から遠ざかる。クラクションを鳴らされた
クルマに追いついて怒鳴りたいとき、もっと速く走れたらいいなと思うぐらいだ。
たまに、何人かで、走りたくなることがある。別に競走したいわけではなく、レジャーとしての
サイクリングを楽しむためだ。例えば何人かで、スキー場や、キャンプ場へ行くのと同じよう
な感覚。そういったコンセプトのイベントをオレは、自転車板で呼びかけて、何度かやった。
「灼熱プロジェクト」という意味のわからない名前をつけた。今度は「落日プロジェクト」にした。
ありがたいことにいつも4人か、多いときは6人とか集まってくれるがその中に、いつもいるの
が、まろだった。
まろに関しても、他の連中と同様、ネット上ではほとんど話さない。しかし、何かイベントがあ
ると、一番一緒になるのがまろだった。自転車に対面するときのコンセプトが似ているから、
同じようなイベントを選んでしまうのかも知れない。まろのその柔和な顔をみるとオレはいつも
安心する。酒も旨い。
「おいっす〜」
とぼけたような高い声でまろはオレに、「アレ?自転車持ってこなかったの?」といった。
まろは朝早いこだま号のグリーン車で輪行してきて、金閣寺やら二条城やら清水寺まで
行ったかどうかわからないが、観光地巡りをした後にこすりつけらと合流し、伝説の激坂を
登った。自転車で京都観光を堪能したことを、満足そうに語った。
オレも自転車を持ってくることを考えなかったわけではないが、輪行するスキルがまだない
ことと、時間的に余裕のないことを悲観したオレは、京都に自転車を持ってくることを諦めた。
どこへでも自転車を持っていけるフットワークのいいまろを、うらやましく思った。
まろと一緒に、京都の街を観光してきたのが、「きびのみたらしだんご」。岡山から来た土色
の顔をした彼は、難しそうな顔をして、黄色いTシャツを着ていた。背中のメッセンジャーバッグ
は赤と緑と黄色の極彩色に彩られていて、この色はカメルーンだったかジャマイカだったか
どっちだろうなと考えたが、思い出せなかった。みたらしだんごは、「おい、だんご」という愛称
で親しまれたが最後まで、難しそうな顔を振りほどくことはなかった。
やがて、「アイム関西」が話題に上った。オレは当初、その名前の音だけ聞いて「アイム関西」
という表記を連想したが本当は違っていたらしい。正しくは「愛夢関西」。オレは「アイム関西」
と表記すべきだと今でも思っている。この愛夢関西、自転車板では馴染みの薄い名前だが、
同じ2ちゃんねるの、「家庭板」では相当な有名人らしい。家庭板の住人でもあるカラコ繋がり
で、地元が京都に近いこともあり、参加することになったという。その愛夢関西は、女を口説き
まくっているにもかかわらず、風貌はというと、ファミコンのスーパーマリオに似ているという。
萎えやカラコや茶のんでるは、顔を見合わせながら想像を膨らませ、やがてその想像に耐え
切れず、吹き出したりしていた。
ふと、水色のタンクトップが現れた。厚い口ひげをたくわえていた。スーパーマリオに似ていた。
愛夢関西だった。
「じゃあそろそろ部屋入りましょうか」 がまかつが言った。
時間通りに来るべきメンツが全て出揃い、遅れてくる奴は遅れる旨の連絡があったからだった。
参加者全員の所在が確認され、ロビーで待機する必要がなくなり、茶のんでるがフロントから
鍵をまとめて受け取った中からランダムにひとつ、205というルームナンバーが刻印されたキー
を取った。コビックが所在なさそうにしていて、オレはなんとなくコビックと同じ部屋になるような
気がしてコビックに鍵を見せて、おう、とかなんとか言いながらアゴを浮かせて部屋の方向を
指した。コビックがオレの後に続きながら、なんや古臭い旅館やのう、などといいながら落ち着き
なく客室の扉の造りや廊下のカーペットの汚れ具合を気にしていた。この男、でかい図体の割に
意外と几帳面なところがある。
205号室は、廊下のつきあたりの部屋だった。コビックは面白くなさそうな口調で、「なんや、
一番端かい」とぼやいたが、息づかいは荒かった。オレは材質も立てつけも悪い扉の鍵穴に鍵を
ざくっと差し込んだが思いとどまり、鍵を回さずにドアノブを回した。扉が開いた。
すると後ろからコビックがオレを押しのけて、もどかしそうにでかいスニーカーを脱ぎ捨てながら
荷物を置き、そのでかい体格からは想像もつなかいような俊敏さで飛び跳ねながら、まっさきに
冷蔵庫へ向かった。そして冷蔵庫を開け、次に料金表を見てそして彼はオレにこういった。
「中村、ビール637円やて、高いのう」
確か大瓶が637ml。1ml/1円。旅館や行楽地では、おおむねそれぐらいが相場だ。
「良心的なほうだよ。」とオレがいうとコビックは安心したように、「中村、ヤるか?」といった。
少し遅れて、フランスもやってきた。テーブルの周りには座椅子が3つしかなかった。
フランス、コビック、オレの3人。胃が、ちくちくしてきた。もうこすりりつけが入る余地が無いこと
ぐらいしか、プラスな要因を見つけられなかった。まずは、ビールだ。アルコールで、アタマを
麻痺させよう。でかくて俊敏なコビックから注がれたビールを、目をつぶって一気に飲み干した。
宴会まで残り2時間以上あった。
コビックはネコ科の動物のように俊敏なフットワークで座椅子と冷蔵庫を往復し次々とビールを
開けていった。フランスはテーブルの中央に鎮座し主役級の存在感をアピールしていた。オレは
カメラを構えたりビールを注がれたり注いだりしていた。コビックが「中村、おまえも写れ」といって
オレのカメラを奪うとフランスが「おう、注げ」とコップを差し出した。オレがフランスの横へ行き
かしこまったようにビールを注ぐとフランスは横柄にふんぞり返り、オレのほうを見ずに含み笑い
の表情を作った。コビックがその瞬間をカメラに収めた。
フランスが「そろそろ行こうや、な?」といった。
観光とまでいかなくてもオレは、嵐山を散策したいと思っていた。目的の一つは土産物屋だった。
オレは、旅行するたび、何かつまらない、例えばキーホルダーとか置き物といったような土産を
自分用に一つと、それから仕事の仲間などのために買っていくという習慣を持っている。
浜松のときは「うなぎパイ」ストラップを買ったし、ハワイではABCストアの店名入りのキーホルダー
だったし、山形の蔵王温泉では「王将」タイプの耳掻きだった。それほど必要のないものだし、
どちらかといえば土産物としてもらうには、あまりありがたくない品物ばかりだ。それでもオレは、
よりくだらない商品をチョイスして買っていく。
旅行して何年か経ち、ふとそのくだらない土産を見たときに、なんとなく旅行した思い出がよみがえる。
よみがえるまでいかなくても、ああこれはどこそこの温泉で買ったっけなと、旅行した事を思い出す。
たとえばキーホルダーやストラップが欲しいわけではなく、旅行したことを思い出すインデックスが
欲しいのだと思う。それに観光地の土産物を観て回るのは、おもちゃ屋にいるようでなんだか楽しい。
他人への土産として買っていく場合、キーホルダーはインデックスとしての役割を果たさないから、
単に必要のないものとして、ありがたくないものとして、イメージが定着している。東京タワーの
温度計や、ハワイのロゴ入りTシャツなどがそうで、「じゃあ、ハワイTシャツ買ってくるよ、」と冗談を
いうと決まって、「うわ、いらねー」と返される。しかし昨今、そういった土産物を買ってくる人間は、
ほとんどいなくなったように思う。ペナントやのれんやマグカップを土産としていただいた記憶がない。
そこでオレは、逆に新鮮ともいえるべき衝撃を与え嘲笑を誘いう意味で、あえて他人が必要としない
土産物の代名詞的な商品を買って行く。相手の反応や、会話を楽しめるからだ。ちっぽけで安物だと
しても、形として残る物を贈ることで、オレ自信の存在感も植えつけられることも計算に入れている。
もらう側の反応もまちまちで、シャレのわかる奴は、大笑いしてくれることもあれば、「いやがらせか?
捨てられないしこんなの」と親切にジョークを解説してくれるやつもいる。一番困るのは、いぶかしげ
な顔をしながら中途半端に「あ、ありがとう」などと礼を言われることだ。オレのセンスが中学生並だと
思われたままなのは少し癪だが、弁明するのも億劫だし、そんな奴には2度と買わないだけだ。
オレは土産物へ行くことにこだわった。フランスが、「吉本の店あったんとちゃうかな」といった。
コビックがTシャツの上からコルセットをはめた。しかし誰も、Tシャツの中ではなく、上からはめている
ことの不自然さに気付かなかった。外へ行くことになった。ちょうど廊下には、萎えとカラコがいた。
誘った。女2人は、顔を見合わせて逡巡していた。まだ緊張感が解きほぐれていない様子だった。
強引に誘って決断を迫った。やがて、顔を見合わせていた2人は笑顔になり元気に「連れてって!」
といった。ホテルを出るとき、宴会だけ参加の愛夢関西がいた。スーパーマリオに似ていた。
嵐山へ繰り出した。日はかげり始め、川のせせらぐ音はボリュームを上げた。午後4時30分。
コビックを先頭にフランス、オレと続き、筋肉質なボディーにフィットした水色のタンクトップを着て
口ひげを生やしているアイム関西は、スーパーマリオに似ていた。その後に萎えとカラコが肩を
並べ寄り添うようにぽつんと少し遅れて歩いてくる。川を右手に臨み、橋のある十字路へ向かった。
コビックの歩くスピードは一定せず、走ったと思ったら急に立ち止まり振り向いて今度は逆方向へ
進み、覗き込むようなしぐさをした後にまた前を向いてゆっくりと歩きながら視点をさまよわせたり
していた。路肩には人力車と、それを漕ぐ派手に日焼けした若い人足が時間をもてあましていた。
橋のたもとへ着くと、こすりつけが現われた。戻ってきた。伝説の激坂を軽々と制覇した勇敢な
戦士たちが、戻ってきた。PCBが、スポークを折った。坂のその急すぎる勾配に耐え切れずPCB
はスポークを折りながらそれでもペダルを踏みつづけ頂点を目指しついに頂点へ到達した。しかし
傷を負った兵士に余力は残っておらず、遅れてくるとの連絡を残しただけで、音信は途絶えていた。
PCBはいなかった。こすりつけは橋のたもとで自転車に乗ったまま停まり、聞き取れないほどの
小さく低い声で、「PCB?おる。それよりもな、めっちゃ風呂入りたいねん」というような意味の会話
をコビックや萎えと交わしていた。PCBが現われた。現われたがPCBは我々に気付かず逆方向
へ走り過ぎていってしまった。青とピンクのランプレジャージはPCB。黒地に黄色と赤のフランス
ジャージはこすりつけ。戦場から戻った兵士たちの戦闘服は、京都を歩く人々の注目を浴びた。
オレらは先へ進んだ。オレのリクエストにより、土産物屋へ立ち寄った。梅宮辰男と、松方弘樹の
店があった。オレはキーホルダーを選りすぐるべく、店の中へ入った。フランスとコビックは、缶
ビールを買って、開けて飲んでいた。
土産物屋の中に、萎えがいた。少し離れた位置にカラコもいて、ふたりはどちらかというと、
つまらなそうな顔をしていた。つまらないのは当然だろうとも思った。土産物の、軒先付近
にはありきたりな和菓子や洋菓子の折り詰めが積み重なっていて、奥の方にはそれこそ
ペナントやキーホルダーが並んでいて、若い女が見て楽しい店ではなかった。みんなが
行くから仕方なしについてきたという感情を押し殺して、さも興味ありそうに、ステキなキー
ホルダーを探してるような演技が、あたかも演技だとわかってしまうほどに退屈なオーラを、
彼女らは発していた。本当にそのようなオーラを発していたかどうかはわからないけれども、
彼女らの歩調や視線や表情を、オレの経験則によって主観的に分析した結果、退屈そうで
あるという結論をオレはイメージの中で勝ってに下した。
土産物屋に行きたがっていたのは実はオレだけであり、他に目的のないフランスやコビック
を巻き込んでマジョリティーを形成したが、彼らは外の駐車場でビールを飲みながらじゃれ
あい、萎えやカラコは、仕方なし、といった足取りで店の中を散策してみせるのが精一杯の
ようだった。すなわちオレは中に浮いた。
だからオレは、たまたま隣に来た萎えに、真剣な面持ちで聞いた。「どれがいいと思う?」
目の前のラックにぶら下がっているのはどれも同じような形をして金色に塗られた例えば
五重塔や金閣寺のミニチュアだったり、鉄に金閣寺の建物とその文字が浮き彫りになって
いるプレートだったり、新撰組だったり十手だったりした。
萎えは一瞬呼吸を止め、やっと「え?」といってオレを不安にさせた。そして次に「うーん、
どれかなー、ってゆうか、全部、イタいよねー」というような意味のことを言ってくれたから、
オレは安心することができた。
こういった安いキーホルダーなどを買うようなシチュエーションに遭遇した経験はは萎えに
はいままでなかったろうし、これからも、自分で買おうとは思わない限り無縁だろう。
どうでもいい安物を選ぶことの楽しみ、とかそういう感情を少しでも、解ってもらいたいと、
オレは思った。
萎えが、目の前のラックにぶら下がってる同じようなキーホルダーをひとつずつ手にとり、
そしてそのなかのひとつを指差して、「これいんじゃない?」といった。萎えは自分自身が
チョイスした金閣寺のキーホルダーを手のひらにのせ興味深く見つめていた。チェーン
のところを持ち上に掲げ、下を除いた萎えは不思議そうにまた金閣寺のミニチュアを手の
ひらに戻しそして裏側をオレにみせて、「ねえねえ、なんか入ってるよ?」といった。
金閣寺の裏側は空洞になっていて、その中に細かい小さい文字の紙片が何かを包むよう
な質感で入っていて、空洞に通ずる穴は、十字の溶接でふさがれていた。
「お守りかな?」 萎えは言った。
たぶん何かのお守りだろう。しかしオレはそんなことよりも、なんだか恋人同士のような
会話を萎えとしていることに気付き、この感じは、悪くないな、と思ったりしていた。
3種類のキーホルダーを買った。それから、京都トランプも買った。京都トランプは、表紙が
舞妓の後姿で、カード1枚1枚に、京都の名所の写真が描かれているものだった。これは
中学生でも買わないだろうから、おそらく外国人向けだ。外国人の友達が1人いるし、海外
へよく旅行へ行く友達も1人いるから、なんだかわからないけど2つ買うことにしよう。
それから、最近ちょっとムカつく友人には、嫌がらせのために十手を買っていってやろう。
オレが2,3千円クラスの安い買物を済ませて店の外へでると、フランスやコビックや
スーパーマリオがもてあまし気味になっていて、まもなく萎えやカラコも揃ったのだったが、
どこへ行く予定もないから一同、困惑の色を示していた。
京都が地元であるフランスは今回、客を受け入れる立場のホスト的役割を担っていたから
かどうかは知らないが、吉本の店があると聞き喜んだオレに依存して、「おまえ吉本の店
いきたかったんちゃうん?」といってきた。キーホルダーを買った店のおばちゃんに聞いた
ところ、「今はようみいひん」という答えが返ってきたからオレは諦めていたがフランスは
探そうといった。オレはもういいといった。それもフランスは探そうといった。フランスと
コビックとスーパーマリオが歩き出し、オレや萎えやカラコもあとに続いた。途中で煎餅屋
を見つけて、フランスが買って食った。ビールのつまみにええやろ、な?オレはなんだか、
「DAISUKI」を思い出した。交差点へ戻り、橋とは反対側の方へあるくとコンビニを見つけた
コビックが、帰りここで酒買わなあかん冷蔵庫のビールなくなるわい、といった。フランスは
わし氷結果汁しか飲まへんからな、といって鼻を鳴らして笑った。ふと、交番があった。
フランスはビールですでにテンションが高くなっていたのかどうかわからないが、吉本の店
にこだわっていた。
「交番で聞いてきたらええやん、吉本の店どこにあるか。おい、バカ不思議?お前さっさと
きいてこいや!!がははは!!」
オレはフランスに命令されたら、どんな対応をしたらいいのか未だ判らない。
「なんでいつもオレやねん」 関西風ツッコミのスキルはない。
「おまえがいけ」 逆ギレしても「アホか!お前がいけ」と返されて、そんなやり取りを繰り
返しても、結局はオレが折れなければ治まらない。
フランスに命令されるのは理不尽だが、オレがその命令に従うことが、今の時点での最善
で最短の解決策だから仕方がない。オレは交番へ向かった。
嵐山交番は、フロントが全面ガラス張りになっていた。警察官が2人、座っていた。
警察官は、おまわりさん的な弛緩したたたずまいではなく、どちらかというと、テロや凶悪
犯罪に立ち向かうための訓練を積んだようなオーラを発していた。水色の制服が膨れ上
がっていたが、それは脂肪や筋肉によるものではなく、おそらく中に着ているのは防護服
で、武装によるための膨れだと思った。
公衆便所のようなスペースに建てられたガラス張りのポリボックスにオレが対面した瞬間、
武装警官は腰に手をあてて身構えた気がした。そこでオレは、全てをあきらめた。吉本の
店の所在を、この武装警官には聞けないと思った。オレは、撤退した。
「怖くて聞けない。」
そんな意味の言葉でオレはフランスたちに、あの武装警官のたたずまいを伝えた。
「なんや怖いことあるかいな、おまえホンマ口だけやな、中村スレに書いたったるわ、
『馬鹿不思議は警察怖くて道きけませんでした!!』てな!!がははははは!!」
フランスは大喜びした。スーパーマリオことアイム関西は、オレの言動を確かめるべく
ポリボックスに向かっていってガラス張りのショーウィンドウをのぞいてそして戻ってきた。
オレが、「な?こわかったろ?」というとマリオは「いや?全然?」といって鼻息を荒くした。
怖くないのならそのままポリボックスへ入っていって、吉本のありかを聞いてくればいい
のにとも思ったが、オレはというと、武装警官に関与することも、顔を認識されることも
拒絶していたから、強気にはなれなかったのだった。
「しゃあないな、ほならきいてくるがな」 フランスが風を切って歩き出した。
オレはうつむいてしまい、フランスがポリボックスへ入るシーンを、見逃してしまった。
フランスとスーパーマリオがポリボックスに入っている間オレは、2人がどれほどフラスト
レーションを抱いたか想像がついた。警察官の顔色をうかがいながら、顔色をうかがって
いることをさとられないような表情をつくろっている。警察官は堂々としている。何しに入っ
て来たんだ?というような怪訝な表情だ。フランスたちは道を聞きに来ただけだ。ポリボッ
クスの警察官は尋ねられた道を答えるのも仕事だ。しかし警察官は武装している。怪訝
な表情をしている。おまえらは誰だ。1人は若い警察官だ。もう一人は少し年長だ。2人
とも、武装して座っている。無表情だ。フランスは、道を聞くのをためらおうとしたが、引き
返すわけにはいかなかった。彼の誇りだけが今、自身を支えている。警察官は聞かれた
ことに答えるべきだ。警察官は聞かれたことに答えるべきだ。おれは市民だ。道を聞いて
なにが悪い。負けたくない負けたくない負けたくない負けたくない負けるわけにはいかない。
あの、このへんに吉本の店あったんとちゃいましたっけ?ちゃいましたっけ?へりくだって
いる。2人の警察官は顔を見合わせる。しばらく空間を沈黙が支配する。警察官はやっと
口を開いた。昔はあったけどね、今はみないね。警察官はフレンドリーな口調だ。おれは
敬語を使ったのに警察官はおれを見下したような立場からのものをいっている。ここでの
関係は警察官が上でおれが下なのか。いや、今はそんなことを考えるのはよそう、どうで
もいい。そうだどうでもいい。警察官は話しつづけている。警察官はていねいに観光スポッ
トを説明しているが、朝礼のときに校庭で校長先生が話すときに乗る台の上から命令す
るような気持ちになっていて目が少し潤んでいる。おれは適当に相槌をうっているが、媚
びるような声のトーンだ。体制側にすりよっている。違う、オレはロックンローラーだ。ぶち
壊せ、犯せ、媚びるな、埋め尽くせ、突き上げろ、つきやぶれ。
フランスがフラストレーションを溜め込んでる間オレは萎えやカラコに嵐山警察官に関す
るスリルを伝えたが信じてもらえず萎えとカラコは自分の足でポリボックスへ向かったが
一瞬覗き込んだ2人はすぐに表情をなくし顔色を曇らせた。オレが嬉しそうに、な、怖かっ
たろ?というと2人ともオレの目を見ずにうつむいたまま、うん、なんか睨まれた、といった。
やがてフランスとスーパーマリオがポリボックスから解放されて出てきた。風を切って意気
揚揚と向かって言ったときとは反対に、いささか背中が丸まっていて、その表情は険しかっ
た。オレは同じく、な、怖かったろ?と、インフルエンザの注射を終えて腕を揉みながらす
れ違い去ってゆく出席番号の早い奴に、な、な、痛かったか?ときくのと同じ心境でフラン
スにきいた。痛みや辛さに関する話題を共有することで、心理的なダメージを中和させる
ためだ。オレはフランスに、な、怖かったろ?ときいたがフランスは、怖いことあらへんがな、
とだけいって警察官から聞いたことを事務的にみんなに伝えた。な、怖かったろ、ときいた
オレはフランスに、おう、少しな、とか言ってもらえることを期待していたが言ってもらえな
かった。交番の隣には、美空ひばり記念館があった。 
中央の階段の両脇にあるエスカレーターの下り側に乗った。美空ひばり記念館の入り口は
半地下のところにあり、入り口の前のテラスには、白い椅子や丸いレース模様のテーブルが
置かれていたが、座ってくつろいでる客は1人もいなかった。美空ひばりには少し興味があっ
たが、記念館への入場料が気になった。300円ぐらいなら払ってもいいと思った。600円でも
入ってみようかという気になる。しかし入場料は1900円だった。やめることにした。そのかわり
1階に戻って、美空ひばりグッズが売られているというショップコーナーへ立ち寄ることにした。
オレの興味はやはりキーホルダーで、ステキな美空ひばりのキーホルダーを見つけたら、自
分用にひとつ、買いたいとも思っていた。昭和の歌姫を思い出すだめの、インデックスだ。
キーホルダーやタオルやマグカップの中に、オレの気をひくデザインをしたものはなかった。
タキシードを着た美空ひばりのブロマイドを見た瞬間立ち止まって、買うかどうするか悩んだ
が、写真はたかだか紙であり、きわめて質量が少ないことに気付きやめた。写真はむしろ、
インデックスというより、データそのものに近い。写真にこめられた情報量は時として脳に蓄積
され損なったデータを補完するが、美空ひばりにそれほど思い入れのないオレは、外部的な
記憶媒体を必要としない。真珠付きのイヤリングやネックレスが10万近い金額で売られてい
た。こういった商品を買っていく客の心理は理解できない。それにオレはたとえば、ハワイへ
旅行へ行く女が大量にブランド品を買ってくるという心理も理解できない。免税店などで例えば
定価30万のヴィトンのバッグが25万で売られていたとして、安ーい、とか言ってそれを海外
旅行で買ってしまう女がいる。理解できない。理解できないが、浪費、という遊びを彼女らは、
楽しんでいるのかもしれない。
美空ひばり記念館の清潔なトイレから出てきたオレに、萎えが向かってきた。さっきオレが立ち
止まったブロマイドコーナーを指して萎えがいった。
「ねえねえ、あの2人、見たことあるんだけど」
「おい馬鹿不思議、ちょっと待てや」
ロビーから宴会場へ通ずる短い廊下のようなスペースで、フランスがオレを呼び止めた。
「お前フロント行ってな、白いマジック借りてこい」
オレはまた命令されている。いちいち言い返すのも面倒だったし、今日これまでを通して
命令されることにはだいぶ慣れてきていたから、オレは何も言わずに白いマジックを借り
にフロントへ向かおうとした。そのときフランスはオレに向かって、「看板、これに、
『+萎え、アンド家庭板』って書くんや、な?ええやろ」と白いマジックを持ってこさせる意
味を説明しだした。フランスに命令されたときオレはおそらく、なんでだ?と理由を訊くべき
だった。うるさいはよいけ、といわれてオレが苦笑いするのもコミニュケーションだし、ある
いはフランスの命令口調は、照れ隠しのために、会話に物語性を持たせるイノセンスなの
かもしれなかった。
フランスは看板にこだわっていた。フランスが推敲しがまかつと協議した結果の、練りに
練られたはずの看板タイトルは、「自転車板オフin京都様」と、まるで普通だった。しかし
フランスは得意げな顔をして、「これにいきつくまで大変やったんやで?」と嬉しそうに看
板ながめてから、鼻を鳴らして笑った。
「あんな、しかしな、まだカンペキやないねん、萎えとそれから、カラコおるやん?カラコ
はもともと家庭板やろ?ほんで家庭板からもひとり、おっさん来とったやん?なやたけ?
そやアイム関西や、せやからな、『+萎え』と、そやな、『+家庭板』にしとこか、そしたら
この看板は完成や。おまえなにぐずぐずしとんねん、はよ白いマジック、借りて来いや!」
フランスは看板についてさんざん語った挙句に、黙って話を聞いていたオレを理不尽に
せかしたてたが、オレは少し笑ってしまった。
そこへ女の従業員が通りかかったからオレは素早く呼び止めて、「あの、白いマジック、
ありますかね?」ときいたが、従業員は、「はあ、白いマジックですか、何に使われはるん
ですか?」と返した。「ちょっと看板を修正したいんですけど。」
「そういうやったら、これはマジックではなくて、専門のひとが筆で書いてますんです、あ、
藤田はん?ちょうどよかった、なにやらこの人たち、看板書き換えたいゆうて、、」
藤田はんと呼ばれた女中は、最初に話しかけた若い従業員よりも派手な色の着物を来て
いて、役職的にも立場的にも、ランクが上であることを感じさせる格好をしていた。藤田さん
は落ち着いた物腰で静かに奥へ行き、筆と、白いインクの入った皿をもってまた現われた。
「ほならこれで、おねがいします。」フランスは筆とインクを渡され、藤田さんはそのまま
去った。フランスは看板へ向かった。インクを浸した筆を慎重に皿へなでつけた。看板へ
フランスが文字を書き足そうとしたとき、「萎えって、どう書くんやっけ?」といった。
「知らん」とオレ。
「ちょっと本人に聞いてこいや」「ってゆうかみんな待ってるぜ?」「またしといたらええがな」
萎えに、漢字を聞くため宴会場へ入った。
50畳もありそうな宴会場には、コの字型に会席膳が並べられていて、オレとフランス以外
のメンバーはすでに全員揃っていた。騒然とした中へオレが一歩足を踏み入れた瞬間、
宴会場は静まり返って、オレは注目された。それに臆したオレはすぐさま身を縮こまらせて
黒子のようになったつもりで萎えに近づき、「あのさ、萎えって漢字、どうやって書くっけ?」
ときいた。嘲笑が起こった。漢字きいてるよ中村。早くしろよ。フランスまだかな。囁く声。
自分自身がいたたまれなくなったような気がして耐え切れず、萎えを連れて看板のところへ
行くと、フランスはすでに看板を書き上げていた。
「どや、みてみい」
自転車板オフin京都、の両脇の小さな隙間に、「+なえ」と、「+家庭板」とヘタクソな文字で
書かれていた。萎えを連れてきたオレの努力は徒労に終わった。
「なにしてんねん、はよ写真撮らんかい」 フランスは理不尽にオレをせかしたて、オレは
それに従った。おまえはジャイアンか。だとしたらオレは出来杉くんに違いない。
もうみんな待ちかねている。宴会場へ入った。
席は二つしか残っていない。上座に3つあるうちの向かって左にはコビックが座っている。
フランスはためらうことなく上座中央へ向かった。オレは上座に座ることを嫌い、こすりつ
けに席を替わってもらうよう促したが無理で、照れくさそうにフランスの隣に座ると、猫さん
が「水戸黄門と、スケさんカクさんだ」といった。どちらかというと、風車の弥七が好きだ。
左サイドの一角に、黒地に黄色と赤の、もはや見慣れたデザインの服を着ている3人。
フランスジャージ。がまかつ、茶、Pタン。それを見たコビックが、わしもフラジャー着てこよ、
といって飛び跳ねたところをフランスが制した。乾杯してからにしよか、もうみんなかなり待
たせてることやし。会話は一極に集中している。誰かが口を開くごとに、全員の視線が一斉
に、声のするほうへ集まる。フランスを中央に、付き従うようなオレとコビック。両サイドに居
並ぶ一列の客の好奇。号令はまだか。合図は誰だ。そろそろいいんじゃない?
とりあえず乾杯しようや、な?とフランス。自ら杯を掲げた。少し照れくさそうに、
「なんやたけ、自転車、プラス萎え、プラス家庭板、オフ、イン京都。」タイトルコール、そして
乾杯。掲げたグラスを舐める少しの間。やがてまばらな拍手。無理やりな歓声。すぐに静寂。
「今回はなにも余興考えてないから、とりあえずカラオケや。な?その前に、自己紹介やな」
きびのみたらしだんごを皮切りに、時計回りで自己紹介が始まった。コテハン、年齢、出身
地、ごまかしは効かない。そして最後の質問は、最近立てたスレ。萎え、カラコと進むが、
最後の最近立てたスレのところでつまる。スレを立てるやつは少数派。ほなら、スレ立てた
ことないやつは、最初にレスしたスレ、いってみようや、な?とフランス。じぇいきんぐスレです、
と萎え。カラコはというと、最初に立てたスレは、じぇいきんぐのパート29です。
こすりつけ、PCBと続く。こすりつけは、人を小馬鹿にしたような口調で笑いを誘う。
チャッカマンを持った仲居が、固形燃料に火を入れてゆく。フランスの膳には、エビフライ、
ポーク焼肉、ビーフステーキ。大人用の、お子様ランチ。フランス、ご満悦の様子。
PCBは、中東のテロリスト集団の指導者のようにも見えるし、南の島のいかがわしいツアー
アテンダントのようにも見える。既にフラジャーに着替えている。
コビックは、コビックの気分はパステルブルー。フランスは、エアロビクスを斜め45度に語る
スレ。オレは、荒川を斜め45度に語るスレ。以降まろ、がまかつらへと続くが、さほど盛り上
がることなく自己紹介は収束。されど座は、酒を酌む音、箸の上げ下ろしにて喧騒せり。
「そやコビックが、なんや余興用意しとるゆうとったな」 フランスが、座の舵をとる。
自己紹介途中から落ち着きなくしていたコビックが、跳ねるようにして廊下へ出た。黒いナイ
ロン製の大きめのバッグから道具を取り出し、あわただしく準備をしているような気配がする。
余興のタイトルは、「コビック、宇宙を語る」。
舞台袖より、コビックが現れた。大掛かりな準備の割に手にした小道具は、ぬいぐるみひとつ。
客は全員箸を下ろし、静粛した。そしてコビックに視点を集めた。
「本日はわたくしの講演会、コビック、宇宙を語るということでね、多数お集まりいただき・・」
というような意味の口上で、コビックの余興が始まった。右手には、アヒルだかなにかの
ぬいぐるみが乗っている。裾から手を入れちょうどくちばしのところへ指を収めて上下させると
アヒルが話しているように見えるタイプのぬいぐるみだった。アヒルを片手にコビックは真剣な
表情で、「宇宙といえば、アインシュタインの相対性理論でありますけれども」と語りはじめた。
「E、イコールMC二乗、などと申しまして、」などと言ったかどうかはわからないが、次第に客が
不思議そうな顔をしだしたタイミングで、「宇宙の話はこれぐらいにいたしまして、」と早々に講演
を打ち切ってしまった。すると今度は、左手に鎮座していたアヒルを少し意識しながらコビックは、
「腹話術やります」と言った。
客の呆れる隙もなく、コビックは客に笑う時間を与えることなく、腹話術芸を始めた。
「いまからやりますけどね、まずボクの、相棒を紹介します。こら、○○くん、挨拶しなさい。」
「こんにちは」
「こんにちは、やあらへん、なにがこんにちはじゃボケ」
「こんばんは?」
「よし、その調子や○○くん」
ぬいぐるみが発してる声と、ぬいぐるみを操るコビックの声は全く同じだった。しかもぬいぐるみ
に声を出させているとき、コビックの口はふさがっていない。すなわこれは、腹話術などではな
かった。腹話術に似せたコビックの一人芝居であり、その芝居の内容も実に幼稚だったことか
ら客らは、苦笑いすら浮かべはじめていた。
オレは、○○のところが気になっていた。伏字で表記したのは、○○が、オレの本名だからだ。
むろん「中村」ではない。ここでオレの本名が出てくることに関しては何ら問題はなかったが、
ステージ上で繰り広げられているアヒルの名前が、オレの苗字と一致していることに、奇妙な
むずがゆさを感じていた。
するとコビックは、アヒルの頭を叩きながら、「おい、○○××くん、」と、オレの下の名前まで付
けて呼んだのだった。周りの客は、○○××が中村不思議の本名であることをほとんど知らない。
しかも、○○××がオレの名前だとわかったところで、面白くもなんともない。ただオレだけは、
アヒルにオレの名前がつけられてしまった不条理さと、場の白々しい空気がおかしくて、大笑い
してしまった。
最初宇宙について語ろうとして飽き、腹話術にも飽きたコビックは再度、舞台袖へ引き、今度は
ピアニカを持って現われた。そしてノズルを延ばし、何もいわず吹き口を鼻にあてて、ピアニカの
演奏を始めた。童謡かなにかだろう。しかし鼻息では吹奏楽もままならず、全く音にはならなかった。
コビックは終始、客の反応を省みず、一人芝居を演じきった。笑いはまったく起こらなかった。
笑いが起こる隙はなかった。光を凌駕するほどのスピードは時空を反転させるという。
講演が終わったコビックは拍手と歓声によって称えられた。
コビックは、「宇宙」を、語りきったのだ。
先陣を買って出たのはまたしてもコビックだった。膳をまたぎ、風早に座の中央を駈けた。
畳の目に沿って靴下を擦らせ、勢いよくスライドしながら両手を広げてバランスをとった。
くるっと器用に回転して止まり、マイクをつかんだ。すでに曲のイントロが流れている。
静かで控えめだった宴会場にスピーカーから大音量でカラオケが流れた瞬間、客の顔色
が落ち着きのないトーンに変化したしたように見える。水割りをください、涙の数だけ、
コビックが歌い始めた、メモリーグラス、堀江淳。分厚い歌本が配られてゆく。配っている
のは萎え、がまかつ、こすりつけ、早く歌え、フランスがオレに本を渡そうとした。オレは既
に1冊持っている。水割りをください、涙の数だけ。過半数が歌本を読みながらコビックの
メモリーグラスを聞いている。次は誰?リモコンを持ち、次を促すのは猫さん。
おいおまえら、次に続けや。コビックが座を鼓舞した。すぐさま、トランペットの音が鳴った。
兄弟舟、うっとり汁、兄弟舟、うっとり汁、笑いが起こった、波の谷間に命の花が、二つ並ん
で咲いている、似合いすぎている、うっとりの兄弟舟、兄弟舟は、親父の形見。
次はオレ、ミスチル。一番有名そうなタイトルを選んだ。イントロがなったら、思ったより静か
な曲だった。歌い出し、見事にハズした。後ろで猫さんが、正式なメロディーを口ずさんで
くれた。それにあわせて、なんとか軌道にのせた。いきなり頭頂部を、平手で殴られた。
痛いというよりも、驚いて振り向いた。こすりつけ。真剣な表情で、こっち向いて歌えや。
確かに、カラオケのテレビを見ると、客に尻を向ける格好になってしまっている。微妙に
体をずらして歌った。しかしテレビと、客席を同時に見るのは不可能だった。
するとフランスがやってきて、カラオケ機材の位置をずらしはじめた。カラオケ機材は、
オーディオ部分とモニター部分が一体になっているキャスタータイプだ。オレはかまわず
歌いつづけている。喉があったまってきて、これから調子があがってくる。フランスが1人
で機材の位置をずらそうとしていると、何人かの男手が現れて加勢した。機材が物凄い
勢いで移動した瞬間、全ての音が途切れた。電源プラグが、コンセントから抜けていた。
途中で、止められた。フランスも一瞬固まり、おう、すまんすまん、といいながらまだ機材
の位置を修正していたが、誰かが、わざと?と聞くと、わざとやがな、といっていた。
オレも少し、オイシイかったかなと思った。
曲は、次から次へとエントリーされた。客も既に誰がステージにいるのか把握していない
ような状態になり、酒も、5本10本単位のオーダーが相次いだ。喧騒が、カラオケの音と
同じボリュームになりだしたころ、こすりつけが、マイクを持って立っていた。
カラオケの音はなぜか、止んでいた。
こすりつけが立ってマイクを握っている。白いTシャツに赤い幼稚なプリントのこりつけTシャツ。
前面には「ただ今、加速中」の文字。真新しい紺色のジーンズ。妹のジーンズ。
マイクを握ったこすりつけが立っている。カラオケの音は鳴っていない。これからしゃべりだそう
とするスタンスでもない。ただマイクを持って立っている。何かを始めるようにも見えるし、ただ
思考に耽っているようにも見える。ただ、マイクを持ってこすりつけが立っていたから、客は、
これから何か始まるのだろうかということで、表情を硬くしたり、居住まいを正したりして、舞台へ
注目し始めた。次第に宴会場が静かになっていくにつれて、スピーカーからかすかに音が聞こ
え始めた。マイクの線をたどった先のこすりつけの口は、動いてはいるが、うまく聞き取れない。
しばらくすると、こすりつけは鼻歌を歌っていることがわかり、次第にそのメロディーラインの全
容が明らかになった。「ワンリトルツーリトルスリーリトルインディアン」のあのメロディーだった。
こすりつけはしばらく鼻歌のボリュームで歌っていたが、誰へともなく「うん」とひとつうなずいて
みせ、自分自身に納得したのか、あるいは全てを思い出したのかしたタイミングで、少し音量を
上げたが、やはり鼻歌には変わらなかった。しかし観客が注目したのは、鼻歌のメロディーでは
なく、その歌詞だった。
「AカップBカップCカップDカップ、EカップFカップGカップHカップ、
 8組のバストを選ぶとしたら、君ならドレガスキー?」
10人のインディアンのメロディーを、カタコトの日本語を話す外国人のような妙なアクセントの節
をつけて歌い始めたこすりつけは、「君ならドレガスキー?」の後で、Pタンにマイクを向けた。
こすりつけのショーにあっけにとられ、急にマイクを向けられたPタンは、言葉を失ってしまった。
猫さんに、何カップが好きかだって?と促され、Pタンが考えだすとこすりつけは再度、
「AカップBカップCカップDカップ、EカップFカップGカップHカップ、
 8組のバストを選ぶとしたら、君ならドレガスキー?」
と、ていねいに最初から歌ってから君ならドレガスキー?といってまたPタンにマイクを向けた。
「わしは、Bカップ」とPタンはいった。こすりつけは少し考えてからまた10人のインディアンで、
「Bカップ好きは中途半端、好みとしては中途半端、
 無くても良いけどチョット!はあったほうが、そんなの微妙スギー」 と、歌った。
「チョット!はあったほうが、」のところ、リズムは3連符のシンコペーションで、アクセントはフォルテ。
なにあれ?有名なの?え、知らないの、おっぱい占い。
こすりつけの、「おっぱい占い」が始まった。
105中村不思議 ◆6p7DxX9696 :02/11/09 01:25
「E」。マイクを向けられたみたらしだんごが答えた。おっぱい占いは続いている。こす
りつけは威嚇するときのような口調で、「あ?なんて?E?ほんまにEでえーんやな?」
といっている間に歌詞を考えているらしく、思い出すと急にとぼけた表情をつくり、
「Eカップ好きは少しオリコサン、Fカップ好きより少しオリコサン、
 それでもまだまだ夢みがちだから、大人にナリナサイ〜」
と挑発的な態度で歌うのだった。
何カップ好きだろうが、必ず最後に必ずけなされた。これは、占いと称してはいるものの、
人を小ばかにするための単なる呪いのシーケンスに過ぎない。ところが、誰かがCカップ
といい、「Cカップ好きは正解に近い モットモカギリナク 正解に近い」という初めて前向きな診断
が出た。しかし「正解に近い」と歌ったあと、こすりつけはしばらく沈黙してしまった。
どうしても歌詞を思い出せないらしい。はやくしろ、がんばれ、がんばって、激励に後押し
されてやっと出てきた診断の続きは、祝福ではなく、警告だった。
「でも Cに満たない女性も多いので 油断は禁物デース」
客のリクエストに応じ、全てのカップについての占いを終えたこすりつけは最後に、
「いろんなおっぱいみてきたけれど、最後に私が言いたいことは、
 女の人を胸で判断するのは 良くない事デスヨー」 と、全てを否定して締めくくり、
「良くない事デスヨー」をリピートしながらフェードアウトしていった。
この間、こすりつけは、1度も笑わなかった。にやりともしなかった。席へ戻り、盛大な拍手
が送られた後にやっと、照れくさそうに少しだけ笑った。
会場は熱気とタバコの煙に包まれている。客は半狂乱になっている。フランスはフラ
ジャーの前をはだけて隆々とした腹部をさらけだしている。コビックもいつのまにか
フラジャー姿になっている。オレのフラジャーは萎えに着せた。おねいちゃんに着せる
というフランスとの約束を果たせなかったせめてもの罪滅ぼしだ。見るとカラコもフラ
ジャーを着ている。こすりつけに借りたという。冒頭から着ていたがまかつ、茶、Pタン、
PCB。過半数がフラジャースタイルだ。黒と黄と赤とまが玉の69が宴会場を彩ってい
る。席次はデタラメに入れ替わっている。萎えがカラコに抱きついてキスをしている。
うええるしぇげろべべああん、ツイストアンドシャウトは陶酔のテーゼだ。フランスが集
団的狂乱をコントロールしている。がまかつはデニスホッパーのようにボーン、トゥビー、
ワアアイル、こすりつけはうぃーうぃるうぃーうぃる、ろ きゅう。クラップとクラップとタップ、
会場が揺れた。萎えはダンシングクイーン、むしろ萎えがダンシングクイーン。宴会は
最高潮を向かえてなおとどまる気配はなかった。仲居が時計を気にしている8時半
5分前終了5分前。そろそろ終わりだって?ええて、文句いわれるまで歌おうや、な。
お客様そろそろお時間でございますので。早速いわれたぜ文句、終わりだってよ。
ほな最後にみんなで歌うておわりにしようや、次の曲何や?ラブマシーンて?
そらええわ、萎えとカラコ?最高やん、それで終わりにしよか、な?
そろってフラジャーを着ている萎えとカラコが舞台端のマイクスタンドでうぉうお、うぉうお、
うぉうおふうふう、と歌って踊っている。カラコの右手にはアヒルのぬいぐるみがいる。
オトコどもは半狂乱になりながら立ち上がりつられて踊りだした。
やがて全員立ち上がった。狂ったように、ふうふう、のところで一斉に叫んでいる。
狂乱をコントロールするのはフランスだ。彼を先頭に列車が形成された。
デタラメなジェンカがもっとデタラメになっている。列車の前と後ろが繋がり輪になった。
仲居が時計を気にしながら、そろそろ終わりですので。いつのまにかその仲居も列車に
加わっていてこすりつけに肩を強く抱かれて逃げ出せなかった。
ラブマシーン。
中央でジェンカがぐるぐると回っている間からすでに食い散らかされた会席膳の片付け
は始まっていた。一滴も注がれていないビールビンは栓だけ開けられた状態で何本も
置かれている。狂乱のラブマシーンが終わりジェンカが散会した後にも、少人数で輪に
なったときに嬌声をあげたり元の席に座り込んで残った料理を食い始める者もいたりし
て、その余韻は延々と続くかと思わせた。ところが仲居は声高に、もうそろそろお時間
ですので、あとはお部屋でお楽しみください、と繰り返し、時間通りに客を追い払おうと
した。追い立てられることを嫌ったこのオフの集団は、仲居の言葉に耳を貸そうとせず、
酒を飲み始めたり集合写真を撮ろうとしてみたり、それぞれが思い思いの行動で、高
圧的な仲居への反発を示し、宴会の余韻を楽しもうとした。しかしフランスが、
「ほならそろそろ戻ろか?いったん部屋に戻って、集合はそやな9時にしよ、みんなで
 居酒屋にでも入ったらええやん、宴会は、これからがメインやで。」といった。
すると集団は、フランスの言葉に従うようにして一人ずつ、退場しはじめたのだった。
フランスは、この座における最高意思決定機関だ。
部屋に戻ったオレはTシャツの上に重ねていたシャツを脱いだ。酒と宴会の熱気と暴れ
た余韻で身体が火照っていたからだ。見るとフランスもフラジャーを脱ぎ上半身裸に
なっているところで、カーキだかモスグリーンだか何色だかわからない新しいTシャツに
着替えようとしていた。それを見たコビックが、なんでフラジャー着ていかんねんわしは
最後までフラジャーやでほんまにみんな裏切ってからにマジでむかつくわほんまに
中村おまえはなんでフラジャー着てへんのやほんまムカつくわ?などと、長いセンテンス
の割に中身のない言葉を延々とぼやいていたかと思うと急に思い立ったように、やっぱり
わしも着替えようかなといってコビックTシャツを着、その上から不器用そうにコルセット
をはめた。おまえらわしのこと見てなんとも思わんのかいTシャツの上からコルセット
はめとんのやで普通Tシャツの中やろつっこめやボケ、といったがいわれるまで誰も気
付かなかった。Tシャツの上のコルセットはコビックによく似合っていた。オレは宴会場か
ら栓だけ開けられてなみなみと残っていたビンビールを1本、もったいなくて部屋に持ち
帰ってきたが冷蔵庫はいっぱいで、腹の中もビールでいっぱいだった。  
ロビーには続々とメンバーが集まっていた。萎えとカラコは引き続きフラジャーを着て
来てくれて男どもを喜ばせた。やがて誰一人欠けることなく全員が集まった時点で、
フランスが号令をかけた。「ほないこか?」「どこいくの?」「いや全然わからん」
するとこすりつけが真っ赤な顔をして、というよりいつもの赤ら顔で1段上に立ち、しかし
皆に話す声にしては異常に小さい声で「おれ知ってるから」と、次の店へ導くことを告げ
た。いつもなら、短時間における大量のアルコール摂取により、誰よりも先に精神を破
裂させ、1次会が終わる時点では必ずといっていいほど酔いつぶれる。しかしこのときの
彼の口調や足取りは確かで、ホテルを出て嵐山の暗い道を歩く酔った集団を、確かな
歩調で先導した。こすりつけの頬はときおり小刻みに痙攣したが、それは怒っているの
ではなく、心がはずんで気持ちが高ぶり衝動的に暴れてしまいたくなるのを必死に抑制
しているときの彼の癖だった。
しかしこれは、もっとも危険な兆候で、むしろ怒りの方が安全だった。
怒りという感情は、自分の中の系統的な秩序に対して、受け入れ難い違反や不利益に
直面した場合に作動する自我のいわば安全装置であり、それは理性的認識が発動し
ているから最初からコントロール可能だ。ところが今こすりつけが抑制しているものは
怒りではなく、破壊衝動だ。怒りをコントロールする秩序系統を破壊したい、という表情
なのだ。自身をコントロールできなくなった人間は怖い。例えばナイフを持ったチンピラ
の何が危険かというとそれはナイフではなく、なにをするかわからない凶暴さであるように。
こすりつけは、頬をぴくぴくと痙攣させ閑散とした暗い夜の嵐山を歩く集団の先頭で懸命
に自身の狂気を抑制するために、オレのアタマを平手で何度も叩きながら歩いていた。
「だいぶ歩いたな、店まだかよ。」 「こっちでええんや、あん?ちょっと行き過ぎたな」
道を間違えたことに対して一言もなくこすりつけは集団ごと旋回させて、目抜き通りから
一つ路地へ入っていった。路地の先を見渡しても、酒場らしきネオンは一つもなかった。
直線的に延びる路地の両サイドには民家が並んではいるが、目立つ灯りもなく人が
住む気配がしない。昼はあれほど観光客で賑わっていた嵐山の夜は非常に静かだ。
道を往来するのは我々の集団しかおらず目当ての酒場もなかなか現れてはくれない。
どれほど歩いたのか、誰かがしびれをきらし、ホントにこっちでいいの?とその心細さ
を口に出した直後にようやく、軒先にもれる蛍光灯の灯りをバックに煌々と光る赤い
ちょうちんが見つかった。間口三間ほどの外観から推測できる室内はそれほど広くは
ないだろう。14人の大人数を詰め込めるかどうか交渉するため、Pタンと猫さんが店内
へ入った。案の定、即時入店は不可能で、しばらくしたらカウンター席が空くから、横並
びでもよければなんとか座れるという。一瞬我々は難色を示したが、見渡した先の阪急
電鉄駅周辺にもめぼしい酒場を見つけられなかったことなどから、横並びやむなしとの
結論に達したのだった。やがてカウンター席の準備が整ったところで14人は続々と入店
したが、カウンターチェアは12しかなかった。店の雑多な荷物を置くための椅子を一つ
貸してもらっても合計13。仕方なくボックス席から背の低いタイプの椅子を拝借してよう
やく人数分の椅子がそろった。カウンターの一番奥へ入り込んでいたのがオレだったた
め背の低いタイプの椅子を使うハメになり、首より上だけがちょこんとカウンターテーブル
から出ているという、実にまぬけな、まるで子どものような状態で座ることになった。
ただ、他の誰かがそんなみじめな境遇になっていたなら、オレは憐れんで交代してやっ
ただろうから、背の低い椅子をあてがわれたことへの悲観はなかった。しかし、オレに席
替わろうかなどといった、優しい言葉をかける人間が一人もいないとはどういうことか。
よしんば、よしんば言われたとしても、いやいいよオレはここで、などと返すのが謙遜の
美学であり、善意をアピール出来るからオレはそういったコミニュケーションを期待して
いたのだが誰一人として、期待通りの言葉を投げかけてくれる者はいなかった。
カウンターの一番奥にオレ、隣にフランス、その隣には萎えとカラコという位置で当初
酒を飲み始めた。店の名前は「八犬伝」といった。「水滸伝」かもしれない。「天狗」とか
そういう名前だったかもしれないがよく覚えていない。ホテルからここまでの長い道のり
でほどよく喉が渇いていた我々の中の大多数は生ビールをオーダーし、そして宴会で
あれほど料理を口にしていたにもかかわらず、つまみとして大量の焼き鳥や揚げ物を
選んでいった。90度に折れたカウンターの先のもう片方の奥には、PCBやコビックが
いる。がまかつは既に赤ら顔になっている。周囲の2,3人ほどしか話が届かない。
最初の飲み物が全員に行き渡ると、フランスの号令で乾杯し、カウンター横並び一列
の14人は一斉に飲み始めた。
オレの近くの席では、カラコが、コビックが腹話術に使ったアヒルのぬいぐるみを持って
いたことから、コビックの「宇宙を語る」が話題の中心となった。さぶかった、という世論に
対し、いやさぶおもろかった、という論調が勝り、さぶさぶ芸をやらせたらコビックの右に
出る者はおらへん、という結論に達した。
やがてフランスがコビックやがまかつらがいる席へ移動し、空いた席にスライドするよう
にしてカラコがやってきた。カウンターで女性と隣になる確率は、この集団の男女比から
しても低く、オレはこの非常に恵まれた境遇に対して内心小躍りした。長袖のTシャツの
上にサイズのあわない大きめのフラジャーを重ね、きっちり上まで閉めたファスナーの
襟に首をうずめて口を塞いでる格好のカラコの右手にはアヒルのぬいぐるみがいた。
なんというかその、非常にキュートだった。
萎えががホテルの風呂の時間を気にしだしたのが22時ごろ。宴会だけ参加する予定
だったスーパーマリオことアイム関西が、予定通り終電を気にしだしたのが23時ごろ。
すでに2階の座敷席が空いて、場所の移動が可能であると告げられていたが、一同は
すっかり落ち着いてしまっていて、またわさわさと動き出すのも面倒だったことから、
カウンターのままでよし、との判断が下された。アイム関西や萎えが座を辞したあたりか
ら席次は入り乱れ、萎えのところに茶のんでるが来て、オレはこすりつけと入れ替わる形
でコビックやPCBのいる席へまわされた。コビックがオレを見るなり、「おまえ乳もんでた
やろ」といい、PCBをカラコに見立てて肘で相手にもたれかかりながらぐりぐりするよう
なジェスチャーをしてオレの悪行をアピールしたが、オレはそんなことをした記憶はない。
コビックやPCBのあたりにはがまかつやフランスもいたが、このメンバーで繰り広げら
れたのはバカ話ではなく、非常に真面目な会話だった。概ね自転車板での例の飲酒運転
にまつわる話だったり、リアルで付き合いがあるコテハンで誰が嫌いかとか、散々煽って
るやつは口だけだとか耳の痛い話も出たりしているうちにがまかつが顔を真っ赤にさせ、
「もう限界」といって帰ってしまったのは、話に激怒したからではなく、飲みすぎたから
だった。
またオレがもといた席にもどるとこすりつけとカラコが仲良くしていて少し嫉妬した。なん
だよおまえら仲いいじゃねえか、オレがそういうとこすりつけは、なんだ中村ぁと横暴な
口調でオレに振り向いて、なぜか、じゃんけんしよう、といった。こすりつけついに発狂か、
とオレは危惧し身を翻えそうとしたが、彼の声色は落ち着いていた。オレは意味がわから
ぬままじゃんけんに応じたが、ことごとく買ってしまった。何度も繰り返した挙句、彼がよう
やく1勝を挙げて、この意味不明なイベントが終了するかと思った瞬間、オレのほっぺたが
強烈なチカラでつままれて横に広げられた。オレの頬をつまんでいるこすりつけは平然と
した顔をして、じゃんけんを続けようとした。勝ったら相手の頬をつねるというルールのゲー
ムだったらしい。説明を受けていないオレはその理不尽さを訴えたが受け入れてはもらえ
なかった。こすりつけは片手でオレの頬をつまんだまま2勝目をあげると、今度は両手を
使ってオレのほっぺたを強く引っ張っり延ばしてから離した。ゲームオーバーだった。
理由なき暴力は危険だ。すでにこすりつけは、自身の秩序系統の破壊を進めていた。
オレがカラコへ「愛してる」といいながら近づいていってキスを迫ると、ことごとく拒まれた。
するとこすりつけが、「オレは愛してねえのかよう」とふざけた口調で言ったから、オレが
キスをする口の形をしながら彼に近づくと、彼はオレの口を受け入れたすなわちキスして
しまった。しかしそれだけではおさまらず、こすりつけはオレの下唇を強く噛みオレがあわ
てて離れようとしても離してはくれなかった。彼の肩を叩きギブアップの意思を伝えてよう
やく離れたオレの下唇は大きく腫れあがり、流血していた。
カラコが着ていたフラジャーのフルファスナーを、上から下まで下ろす行為を繰り返して
いた。カラコは、「(中にもう一枚)着てるって」といって脱がせられるままになっていた。
オレが下げ、カラコが上げ、を繰り返すこと3度目のとき、こすりつけが立ち上がった。
カラコの着ていたフラジャーのファスナーを降ろすという行為に特別な意味はなかった。しいて
いえば、擬似的な支配欲求の解消へ帰依する性的メタファー、といったような理由付けは可能
だとしても、つまるところは、酔った挙句のご乱心パフォーマンスであることには変わりがなかっ
た。カラコは中にしっかりとTシャツを着ていたし、これが例えば脱がせたらヤバい状態であった
ならオレはなにもせずおとなしくしていただろうし、いくら酔ってもそれぐらいはわきまえる秩序は
維持している。
3度目にオレがカラコのファスナーを下ろして大喜びしていると、こすりつけは鼻息を荒くして立
ち上がり、オレの襟ぐりをつかんで立たせ、そして壁際に押し付けた。尋常ではなないこすりつけ
の呼吸を感じ取ったオレは、なんだよ、と弱々しく抵抗の言葉を吐いたが、なんや大人しくしとけ、
という脅しとも取れるこすりつけのセリフにかき消された。オレのTシャツの襟ぐりをつかんでいた
こすりつけはそのまま両手を左右に開く方向へ力を入れ、引きちぎろうとした。なるほどオレの、
カラコのファスナーを下ろすというパフォーマンスに対抗して、こすりつけはオレの安物のTシャツ
を引きちぎろうというのだろう。オレはこすりつけの行為を、冷静に眺めていた。スマップの香取
慎吾を思い出した。確か彼も、Tシャツを引きちぎる芸を得意としていたな、とそのとき、襟の部分
がぴり、という音がして破けたかと思うと、そのままの勢いでまるで中央にファスナーがあるかの
ように直線的な加速度でオレのユニクロTシャツが破れていった。
オレのTシャツは無残に引きちぎられてだらしなくたれさがっていて、ビールと脂肪により膨らんだ
腹がさらけ出されていた。そして何食わぬ顔でこすりつけは席へと戻り、勝ち誇ったようにジョッキ
を高々を掲げ、ビールを飲み干していた。
Tシャツを破られたオレはしばし呆然としていた。オレのこの無様な姿は誰にも注目されなかった。
こすりつけは平然とした顔のまま酒を飲んでいた。オレには目もくれずに、隣の誰かと話だした。
オレは冷静になって考えた。こすりつけのパフォーマンスはこれで終了している。オレのTシャツを
引きちぎった瞬間に、こすりつけのストーリーは完結だ。ところがオレの物語は終わっていない。
これをどういう態度で受け止めたらいいのかわからない。わからない。わからないオレはパニック
に陥った。こすりつけは勝利の酒を飲んでいる。楽しそうに話している。オレは誰にも注目されて
いない。これは、怒りを見せる場所じゃないのか。このまま受け流すところではないだろう。オレの
物語は、オレが完結させなければならない。
こすりつけめがけて、蹴りを放った。
背の高いカウンターチェアが後方へ、わずかにのけぞった。こすりつけは、鳩のような顔をした。
カウンターに手を伸ばしてこらえようとしたが、とどかない。椅子とこすりつけは、不安定になって
いる。オレの視界は、白く光っている。ワーグナーが流れている。椅子に乗ったこすりつけが、
スローモーションで倒れてゆく。茶のんでるが、十字架を握った。こすりつけが、スローモーション
で倒れてゆく。パン、という銃声に似た音は、木製の椅子が居酒屋の床に接地した音。
女の叫び声がする。男が立ち上がる気配がする。ボックス席の知らない客が驚いている。店員は
全ての作業をやめて注目した。店中が騒然となった。オレだけに聞こえるワーグナーはボリューム
をあげた。こすりつけに襲いかかった。後ろから、羽交い絞めにされた。店は、騒然となっている。
オレが外にたたき出されるまで、全てがスローモーションで進行した。ワーグナーは、鳴り止んだ。
118中村不思議 ◆6p7DxX9696 :02/11/09 01:35
以上総集編でした。コピペもたいした労働だな。
いやいや壮観だねそれにしてもさ。
だいぶ書いたよまったく。
内容はともかくこの量、すごくね?
もう自分で自分を誉めてあげたいね。
それでは、また来週。
119ツール・ド・名無しさん:02/11/09 03:29
93と94のつながりが不自然なんだが、というような第三者の突っ込みはあり?
あはははは。典型的な酒の席での喧嘩だな。
>119
う、ミスだ。指摘ありがとう。
>93と>94の間。

萎えが指した店の隅には壁一面に美空ひばりの写真が整然と並べられていて、その前
に二人組の男女がその写真を指して話していた。ひとりはスキンヘッド。着物を着ている
がサングラスだ。女のほうは、白いシャツの胸元があまい感じになっている。Pタンと猫さ
んだった。Pタンに最初に出会ったのは去年、東京自転車ショーへ行くオフのイベントの
ときだった。派手に改造したパシフィック18に乗り付けてやってきたPタンは、口ひげを
生やしていてタイツをはいていて、ファッションはまるでプロレスラーだった。身体は鋭く
鍛え抜かれていたが、全体的に細くシャープな印象で、頬は精悍に削げ落ちていた。
声優のような声でいつも自分のことを「わし」と呼びながら話すPタンは、その威圧的な
風貌からは想像もつかないほど温厚な人柄の持ち主でもある。そして恐妻家でもあり、
猫さんは、Pタンの愛妻なのだった。本当のことは良く知らないが、Pタンの着物スタイル
をプロデュースしているのは実は猫さんではないかとオレはにらんでいる。猫さんはほと
んど、というより全く、自転車の集まりには参加しない。自転車には、全く興味がないらし
い。飲み会だけのイベントがあると、猫さんはPタンと一緒にやってくる。前回の、浜松の
オフにも参加した。これから猫さんが自転車に興味を持つかどうかはわからないが、
もはや自転車板の集まりには欠かせない存在になっている。オレは2人がいるブロマイド
コーナーへ向かった。浜松にこの2人が来たということは、萎えも見覚えががあるはず
だった。オレはさしあたり萎えを紹介するべく、Pタンと猫さんの2人に声をかけた。声を
かけるより先に、Pタンのアタマをなでてしまったかもしれない。
やがてカラコやフランスもやってきた。コビックは遠くから、Pタン周辺の賑わいを覗きこ
むようにして気にしている。
これで、全ての参加者が出揃ったことになる。
フランス、コビック、こすりつけ、PCB、がまかつ、萎え、カラコ、うっとり、まろ、だんご、
スーパーマリオ、Pタン、猫さん、中村。総勢14名。
美空ひばり記念館をでた京都の空は暗くなり始めていて、街灯や店の明かりが目立つ
色に変化していた。すでに時刻は午後5時半近くになっていて、橋を渡る前にカラコと
萎えはホテルへ戻った。フランス、コビック、スーパーマリオ、オレ、そしてPタンと猫さん
は、橋を渡り、ホテルがある岸の対岸の船着場へ降りた。川を挟んで見るホテル嵐山は、
オレンジ色の照明に照らされて、きらびやかだった。そして嵐山の風景に、見事にとけこ
んでいる。伝統的な、気品に満ちたたたずまいをしているホテル嵐山を見てオレは、感激
した。そしてフランスにいった。「いいホテル探したよな、嵐山のまさにど真ん中じゃん。」
「ん?な、そやろ、もっと誉めてえな。オレはもっともっと、誉められるべきやと思うで?」
もうすこし謙虚になってくれたら、いくらでも誉めてやる。
とはいえ、橋を渡った先には何もなかった。缶ビールを買った。気の利かないオレは、
自分の分しか買わなかったが、コビックが跳ねるようにして道を横断し、その先の売店
でラガーを2本買ってきて、誰かビールいるひと?というと、フランスが、ほならわし、
といって手を挙げた。この場合の、清算方法はあいまいだ。フランスは金を払わない。
しかしコビックも、ビール代金を徴収するつもりはない。コビックはビールをふるまった。
フランスはそれを受けた。2人の間には、金銭の授受はないし、恩も、負い目もない。
あえていうなら、清算はこれで完結していて、あるいはフランスが、いつかコビックに酒
を振舞うかもしれないし、しないかもしれない。コビックも、見返りを期待しているわけで
はない。そしてお互いにそれはわかっていて、何もいわない。おいおいカッコつけるなよ、
オレはからかってやりたくなったが、なんだか無粋だし、言わないことにした。
橋のたもとにいてフランスがトイレからでてくるのを皆で待っていた。オレは川を眺める
ともなく眺めていた。すると猫さんやPタンの、「おー」という声が聞こえた。振り向くと、
こすりつけがいた。こすりつけは、皆に背中を見せる立ち位置で、皆もこすりつけの背中
を見て歓声をあげていた。オレはちょうど皆とは、こすりつけをはさんで反対側にいたから、
こすりつけの顔がオレに正対する向きになっていて、歓声の原因であるこすりつけの背中
を見ることはできなかった。オレはこすりつけが着ているTシャツの前に書かれた文字を
認識した。「只今、加速中。」 こすりつけらしからぬセンスだと思った。オレが不思議そう
な顔をしていると、それに気付いたこすりつけはニヤニヤしながらオレを見たまま、自分の
背中を人差し指で指した。こすりつけの裏側へ回り込んだ。赤い色の、幼稚なアイロン
技術であてられたTシャツのプリントはひび割れていた。皆はまだニヤニヤしている。
オレはこすりつけのTシャツの裏の赤いプリントをよく見た。
赤い背景に、マンガチックな黄色いおっさんが、うつぶせに寝ていた。おっさんは裸だった。
おっさんのアタマには、毛が4本ぐらいしかなかった。
「なにこれ?」とオレがいうと、こすりつけは急に振り向いてオレのアタマを平手で叩いて、
「こすりつけTシャツやんけボケ、なんでわからんかなあ」といった。
オレは勢いよくこすりつけに叩かれたアタマをかきむしって痛がっていたが、それほど痛く
はなかった。派手なリアクションをしてみせるぐらいのサービス精神は、オレにだってある。
こすりつけは得意げに、背中のイラストを自慢している。おっさんの絵は、こすりつけには
全く似ていなかったが、黄色い裸や4本の毛や、メガネをかけているところとか、イメージは
こすりつけそのものだった。感心しながらこすりつけの背中のプリントをながめていると、
いつのまにかフランスが出てきていった。「これわしが書いたんやで絵心あると思えへん?
な?」といった。こすりつけには全く似ていないが、これはまぎれもなくこすりつけだ。そんな
イラストを書く才能がフランスにあることに、驚いた。
こすりつけTシャツが出来た。コビックもこのごろ、自身のオリジナルTシャツを作っていて、
そしてこのオフを前についに完成した。ホイールメーカーである「Mavic」のロゴをもじって、
「Kovic」。デザインは当然、車輪が回転する様子をイメージした楕円形の中に、Mavicの
MaのところをKoに変えただけの、いわゆるパロディー商品だったが、完成度は高い。
そしてフランスには、おおフランスジャージがある。彼らが、多くの客に愛されているという
現実は信じられないし、受け入れがたい。でも少し、羨ましいとも思う。
6時半の宴会開始の時刻が差し迫っていた。空は暗い青系の色彩につつまれていた。
あたりは影が落ち、ホテル嵐山だけが数本のスポットライトに照らし出されて要塞のように
浮かび上がっている。そろそろ戻ろう。誰ともなく言った。交差点のところで、コビックが酒
を買いにコンビニへ向かった。部屋で飲むビールを補填するためだ。フランスがなにもい
わずそれに続いた。人より少し多くビールを飲むオレも、2人に続こうとしたが、それをこす
りつけが制した。ええからおれが行くわ、そんな人数いてもしゃあないやろ。オレは引き下
がった。誰かに酒を振舞いたいという気持ちのところでオレはたとえば負けたような格好に
なってしまった。彼らは酒代を請求しないだろう。奇しくもコンビニへ向かったのは関西に
住む奴ばかりだった。そしてここは京都すなわち関西だ。彼らは無意識のうちに客をもて
なそうとしている。ならばオレは、彼らの酒を、心から受けるべきだ。今日はオレは昼から
飲みっぱなしだが、もっとサクサクいける気がする。宴会は、これから始まるのだから。
127中村不思議 ◆6p7DxX9696 :02/11/09 11:26
以上>93と>94の間でした。
128sage:02/11/09 21:57
こすりつけはサディストなんですか?単なる既知が居ですか?
129こすりつけ最高 ◆KOSRiau48c :02/11/09 22:02
深く反省しております。
130中村不思議 ◆6p7DxX9696 :02/11/14 20:43
さて昨日、ポールのライブに行ってきた。ポールマッカートニーだ。楽しんだ。
印象的だったのは、ステージの後ろのスクリーンだかモニターだかに、曲にあわせて
映し出されている映像だった。画質が最高に鮮明でクリアだった。
スタンド席だったけど、遠くからでも強烈に焼きつくほどだった。
もちろん、演奏もよかった。ビートルズ時代の曲が半分ぐらいだったし、
ウイングスの時のや、新曲もエキサイティングだった。
で、面白かったのが、客層で、ほとんど40代50代のおっさんおばちゃん。
若者向けのコンサートだと、開演前の東京ドームには、奇抜なファッションの
男女が多いんだけれども今回は、さすが60歳になってるポールのファンと
いうこともあって、だいぶ落ち着いてる客層だった。
入場する前に寄ったハンバーガー屋では、オシャレな50代夫婦と相席になった。
男のほうは、高級そうなジャケットにカシミアのマフラーを巻いて、下はデニム。
女は、顔がちっちゃくてニットの帽子をかぶっていて、オノヨーコ風。
たぶん普段はメルセデスに乗ってる。経営者とか、そんなような臭いがした。
でも彼らはきっとアリーナ席だろう。なにかのつてでチケットを手に入れたに違いない。
131中村不思議 ◆6p7DxX9696 :02/11/14 20:44
オレらはスタンドだった。
ボディーチェックされてから会場へ入った。きゅうくつな椅子に座らされた。
演奏が始まると、連れはまっさきに立ち上がった。しかしこのブロックで、
スタンディングなやつは数えるほどしかいなかった。
死ぬのは奴らだ、とかキャントバイミーラブやアイソーハースタンディングゼアなどの
盛り上がりそうな曲でもおっさんは、立ち上がりたくても立ち上がれないでいた。
ヘイジュードの大合唱のところで、おばちゃんが腰を振って立ち上がりはじめた。
それをみていた2列前の役員クラスがそわそわしだした。そのおっさんは、
イエスタデーが終わったあと、感極まってスタンディングオベーションをした。
それからずっと、2列前のおっさんを観察していた。
おっさんの身長は178センチだった。体重は75キロだった。
前のめりになりつつ、隣のワイフのノリを気にしていた。
会場が、再三のアンコール要求の果てに最後の曲、
サージェントペパーズロンリーハーツクラブバンドに達したときおっさんは、
ワイフの袖をひっぱりついに立ち上がったのだった。
おっさんは腰をふりながら頭上で、リズム感のない手拍子をした。
オレはそのおっさんを、ずっと見ていた。
気持ちよかったからだ。
すげーオナニースレ
自分でHPつくれや
2chでやるなよ脳無しが
133中村不思議 ◆6p7DxX9696 :02/11/15 00:23
いやなら見るなよ。それかガマンしてろ、
じっとガマンしてろ農民。
>>133
はあ?
オマエ、http://www.2ch.net/before.htmlの「おやくそく。」読んだか?

>[他人が見て面白いことを書こう]
>大勢の読者がいることを意識しましょう。


じゃあ>>132のような書き込みもいらないね。
オレモナー
136中村不思議 ◆6p7DxX9696 :02/11/15 00:48
>134
お前みたいな農民には、向けられていないんだよ。悪いけど。
ブルジョアだけ読んでくれたらいんだよ。
「おやくそく」だかなんだか知らないけどそれは、「おやくそく」って
提示されなきゃわからないようなおまえのような幼児向けの絵本だろう。
137中村うおっちゃー:02/11/15 00:59
まあ、文句のあるやつはオフ会に行って問答無用
でTシャツ引き裂いてやりゃいいじゃん。
中村はそういうのが好きなんだよ。ワーグナーが。
138ツール・ド・名無しさん:02/11/15 01:04
スレタイはかっこよさげなんだが、中村さんやる気になれば猟スレ作れるんじゃないの?そろそろオナニーやめておちけつー
人=5
悪魔=6
神=7
まあ中村スレは「おやくそく」無しの無法地帯ということで。当然荒らしOK。
141中村不思議 ◆6p7DxX9696 :02/11/15 01:19
>140
おまえのために、「おやくそく」があるんだよ。
幼稚園児は、書き込み禁止だよまったく。
142140:02/11/15 02:16
>>141
まあ何を言おうと、実際関西ツーリングスレはひでえことになってるからな。
ここも遅かれ早かれああなるだろうな。中村スレはみな荒れる、と。人徳、人徳。
あ、俺はそんなに暇人じゃないから心配すんな、へたれ中村。
>117

店から10メートル離れたところの路肩に座らされていた。もう大丈夫だ、落ち着いたしそう
そう暴れたりしない、アタマの中は極めて冷静だ、まだ飲み足りない、もう少し飲ませてくれ、
こすりつけとも、話すことがあるはずだ。
店の中へ向かっていこうとすると、目の前にまろが立ちふさがった。ああ大丈夫だから、と
いってまろを交わして進もうとしたが腕を強くつかまれて肩を押さえ込まれた。オレは冷静だ、
心配ない。抵抗を放棄するという意思表示のために全身のチカラを抜いてまろに身を委ねた。
まろが安心した瞬間にその隙をついて、また店の中へもぐりこもうとしたが許されなかった。
やがて店の中から、仲間がぞろぞろと出てきた。どうやらオレが暴れたことが、二次会終了
の契機になってしまったようだった。悪いことをしてしまった。午前0時を過ぎてからは時間の
感覚がなくなっている。京都の大宴会はこれで終わるのか。不思議と、深い感慨のようなもの
はこみ上げてはこなかった。感傷的な気持ちでもなかった。道に座ったままオレはただ無機
的に、居酒屋から出てくる仲間の顔を眺めていたが、居酒屋の灯りが逆光になって、誰が誰
かよくわからなかった。
確かにオレは暴れてこすりつけに襲いかかったが、錯乱していたわけではない。むしろアタマ
の中はクリアだった。ただ、身体が自動的に動いた。決まった振り付けのダンスを踊るように、
あるいは、簡単なコード進行で、ブルーススケール演奏するように。筋書きでは、こすりつけの
椅子が倒れた瞬間に幕が下りる予定だった。しかし周囲の悲鳴や殺気に昂ぶり、後押しされた
形で、オレは追い討ちにかかった。襲いかからずにはいられなかったからだ。Tシャツを破られ
たことがそれほど腹立たしかったわけではない。こすりつけが憎かったわけではない。この
シーンでは、それが最良の演出だったからだ。
全ての因子が有機的に絡みあい、オレの身体は、オレの意思とは無関係に、カタルシスへと
向かっていった。そのときのハマり具合がもたらす快楽物質や恍惚感によりオレはまさしく、
宗教的体験をしたといっていい。
店から出てくる集団の最後の方で、うっとりをはじめとする2,3人に抱えられながらこすりつけ
が出てきた。オレがこすりつけに近づこうとすると、まろや猫さんに遮られた。こすりつけは、
うっとりに押えられてはいたものの、表情は冷静だった。もう大丈夫や、といって彼はまもなく
解放された。暴れたオレにはまだ見張りがついている。こすりつけがオレのところに近づいてきた。
オレはまだ座らされていた。「中村、なんやいうことあるやろ」
こすりつけは、落ち着いたトーンの小さいボリュームの声で、しゃがみながらいった。
いうことはなかった。ただ破れたTシャツのままホテルまで帰るのが少し嫌だっただけだった。
「いうことないんやったら、気の済むまで殴れや」
こすりつけが青春ドラマのようなことを言い出したから、オレは苦笑いしてしまった。本当なら
大笑いするところだったが、彼の表情は真剣だったし、オレの精神状態にも余裕がなかった。
それに、殴られたい奴を殴っても、面白くもなんともない。暴力は、怒りや恐怖や欲望が生み出
すからこそスリリングなのだ。調和の中の暴力は、ただの茶番だ。気の済むまで殴る、というの
はどちらかというと、殴られる方の気が済むことを指す。殴られることで、相手の憎しみを解消さ
せ、遺恨は残らないよ、という暗黙の了解が得られるからだ。
オレにはもはや遺恨は残っていなかった。暴れたときに、宗教的なカタルシスを得たからだ。
だからオレはいつも通り、不機嫌そうに立ち上がり、皆のあとについてだらだらと歩きはじめた。
ただ、遺恨を残していないことを、こすりつけにはもっと態度かなにかで示すべきだったかもしれ
なかったと思った。彼が気をつかって、これまた青春ドラマのように、オレと肩を組んで歩き出した
のが少し、痛々しかったからだ。オレは破れたTシャツの2つに別れた裾を結び、少しでも服として
の体裁を繕おうとしていた。それを見たコビックが、おまえは早見優か、といった。なるほど早見優
とはうまいことをいう。こすりつけはどぶ川にかかる橋の欄干に立ち、中村おまえもタッションしろ
といった。茶のんでるも加わった。10数名が見守る中、夜の京都のどぶ川にキラキラと小便が
放たれた。一人だけ、なかなかとまらない小便はこすりつけ。うぁぁとまらへんねん、恍惚とした
表情だ。彼にとってのカタルシスはきっと今に違いない。
こすりつけの小便は、いつまでたってもとまらなかった。
15分程度歩きホテルに着いた。酔いがまわっていたから、行きほど距離は感じなかった。寝静
まったような住宅地の中の道を、やかましく騒ぎながら帰ってきた。さぞ近所迷惑だったろうが、
気にならなかった。玄関の灯りはすでに落ちていた。ロビーをのぞくと、フロントの蛍光灯だけぽつ
んと光っている。人の気配はしない。自動ドアも開かない。フランスとコビックが、すきまに指を差
し込んで無理やりこじ開けようとした。そんなことしてあくわけないでしょ、猫さんがインターホンを
見つけ、鳴らした。
ホテル嵐山の入り口は、正面の通りから一段下がったところにある。わずかな階段を降りた集団
は玄関の自動ドアの前のスペースに集まっていて、従業員が開けに来るのを待っていた。
「中村、ちょっと」
ひとりだけぽつんと階段の上にいたこすりつけが、オレを呼んだ。手招きしている。
フロントの横の扉から、肌着1枚のおっさんが眠たそうな顔でやってきて、なにも言わずに鍵を開
けにかかっている。オレはこすりつけに呼ばれたまま階段を上った。皆が心配そうな顔で階段を
上るオレの横顔を見つめていたかどうかはわからない。自動ドアが手動で開けられると、彼らは
そのまま暗いホテルの中へ消えていってしまった。
道を渡り柵をまたぎ草むらを通り河原へ出た。カーセックス中のクルマがいた。その横を通る時
にちらと覗くと、人の気配を感じてか固まって動かなくなっていた。しかしちゃんと服は着ていた。
こすりつけは気付かず河原を進み、ひと気のないところまで着くと立ち止まり、まあ座れや、と
いってコンクリの敷居に腰掛けた。なんだよ、促されるままオレは座った。破れたTシャツは早見
優のように前で結ばれているが、多すぎる露出部分はどうにもならない。川の音がやかましい。
他の音がなくなっているからだ。
「おれも散々どつきたおしてたしな、お前があそこでキレるのも、無理のないことや。」
こすりつけが、話し始めた。
「それはもういいだろうよ、今こうしてさ、なんともなく話してるだろ、酔っぱらいの、ケンカだよ。」
とオレは制したが、こすりつけは話し続けた。
「まあいいから聞けて、でな、おれは、お前のシャツ破いてしまったけれどもな、そのことで謝ろう
とはな、これっぽっちも思うてへん。あれはおれのやり方やし、いつもそうしてる。いつもシャツ
破ってるわけやないで?お前もよくわかっとると思うけどな、あいさつみたいなもんや、あいさつ
ちゃうな、でもまあ、そういうことや。」
オレは黙ってこすりつけの話を聞いていた。おまえ、寒いのかよ。こすりつけは時々、震える息を
吸い込んでいた。ああめっちゃ寒い、とこすりつけは震えながらいった。オレなんかこれだぜ?と
いって、破れたTシャツと、さらけ出された地肌を見せた。こすりつけは、ああ仕方あらへん、とだ
けいった。おまえがやったんだろ、という無粋なセリフは呑みこんで、こすりつけの言葉を待った。
そういえば、なんだか懐かしい気がする。深夜に外でこうして、話をするのは、いつ以来だろう。
「ただな、あそこでお前がキレたことはおれは、当然のこととして受け止める。だっておれは、
お前にとって、お前がキレるに値することをしたわけやしな。おれが、お前のキレる領域に、足を
つっこんだから、お前はキレたわけやし。ておれはそう思うとる、違うか?違ったらそれはそれで
ええ。ただな、お前に勘違いして欲しくないのは、おれはお前を、試した、というわけやあらへん、
それだけはな、勘違いして欲しくないんや。」
そこまでいうとこすりつけはまた、小刻みに顔を痙攣させながら、振るえた息を吸い込んだ。
オレは不機嫌そうに、ああ、とだけいった。自販機がぽつんと光っていた。そういえば喉が渇いて
いた。なんか飲むか?温かいのがええなあ。まだ9月だぞ、あるわけないだろ。しゃあないな。
さてそろそろ帰るか、みんな寝てるぞ。まあええやん中村、中村ぁ、そういやお前とこうして話すの
初めてやったなあ。
オレは深夜に、男同士でこうして外で話すのは、初めてかもしれなかった。
「まあアレや、これでまたひとつ、お前のことがわかったということや。でも決してそれを確
かめるために、お前を試したというわけやあらへんからな、それだけは覚えといてくれや」
試したわけじゃないというのは本当なのだろう。おそらく彼はいつも、全力で人と向かい合い、
そして全身で相手が発するものを受け止める。彼の全力は時として、その有り余るパワーで
相手に恐怖や痛みに変えてしまう。しかし本人にも強すぎる力を持ったものとしての自覚は
あるのだろう。それでもいつも手加減せずに、誰に対しても体当たりで向かわずにいられない
という悲劇を常に背負いこんでいるがそのかわりに、抑圧や拘束といった、ストレスの要因を
ため込まない構造にもなっていて、だからこそ彼の暴力はいつも陽性なものとして受け止め
られる。そしてストレスに侵蝕されていないレセプターの空きスペースは最大であり、想像を
超える許容量で、あらゆるカルマを吸収するのだろう。これでもう少し、情報処理能力が高け
れば完成形に近いが、人間はそうそう巧い具合には出来ていない。
オレは別に、試されようがそうじゃなかろうが、どっちでもよかった。こすりつけがなぜそれほ
どこだわっているのか、よくわからなかった。たとえ試されていたとしても、オレはシナリオ通
りに踊っただろう。こすりつけがオレを試したとしても、卑怯だとかは思わない。人のこだわり
とは、いろんななところにあるもんだ。とそこまで考えて、ふと思った。オレのこだわりとはな
んだ。Tシャツを破られてキレたオレのこだわりは、Tシャツのように薄っぺらいものなんじゃ
ないのか。
修学旅行だとよく、好きな女の子を発表するというイベントが、決まって夜中に行われるが、
オレとこすりつけは、嫌いなコテハンを一人ずつ挙げるという遊びに興じた。遊びではあるが
真剣だった。あいつらだけは許されへん、とか、あいつとあいつは嫌いだ、とか、大人がする
会話ではなかったが、オレらは真剣に語った。あまりにも真剣だから、それは明かされない。
やがて芯まで冷えてきて、どちらともなく、いいかげん戻ろう、といった。ホテルの自動ドアは
相変わらず閉まっていて、インターホンを鳴らし、眠たそうなステテコを呼んだ。無愛想な
ステテコが開けた手動ドアをくぐり暗いロビーの先の階段を、手すりを持ちながら上った。
みんな寝てるだろうな。そやな。中村ぁ、今日は、楽しかったか?ああ、まあな。オレもや。
にやりと笑い、別々の部屋に分かれようとしたそのとき、廊下のつきあたりから騒がしい声が
もれてきた。オレとフランスとコビックが寝る205号室の扉が開いていて、中から部屋の光と
笑い声が洩れていた。
おい、あいつら、まだやってるみたいだぜ?もう少し、飲むか。そやな。
部屋に入ると、お、きたきた、といわれ注目を浴びた。3つ敷かれた布団を囲んで10数名が
車座になっていた。まだ寝てないのかよ。寝るかいボケ。
眠るどころか皆の目は、異常なほどギラギラしていた。
長いこと外で話していた。震えるほど冷えていた。だから205号室に入ったとたん、急激に
暖かくなって、全身が弛緩してしまった。Tシャツだけは着替えよう、それだけは強烈に念じ
ていたから、部屋に入るなり、オレの白いリュックから新しい着替えと、寝巻き用のジャージ
を取り出して、着替えた。中村ぁ、着替え、あるんか?こすりつけがいった。ある。なんなら、
こすりつけTシャツ、やろか?おまえの臭いのなんかいらないよ。これとはまた別にあるんや。
じゃあくれるんならもらっておくよ。
周囲の目に晒されていても、トランスクスは汚れてないだろうかとか、脛毛はだらしなくちぢこ
まっていないだろうかとか、そんなことはあまり、気にならなかった。福袋で当てたナイキの
ジャージに着替えて、布団の端に座り、壁にもたれるような形になった。なんだか、酔いが
一気に廻ってきたような気がする。女に抱かれて今すぐにでも、眠りたい気もする。しかし、
ビールが差し出されたから飲んだ。窓に面した板の間の椅子には、萎えが座っている。
茶色い髪をもてあそんでいる。ギンガムチェックの赤いパジャマを着ている。赤いパジャマに
目がいった。萎えそれ、パジャマじゃん?あはは、そうパジャマ、てそのままじゃん中村さん。
やっぱりパジャマの腰は、ゴムひもなのだろうか。やっぱりパジャマの裾から手を入れたら、
地肌なのだろうか。
フランスとコビックの声がうるさい。国際色豊かなのはいいが、もう少し静かにしてくれ、少し
アタマが痛い。話をしたいやつが話し、聞きたいやつは聞いている。猫さんの合いの手、慣れ
ている感じだ。沈黙を作らせない。オレも話そうとしたが、うまく口がまわらない。うっとりは、
ふすまにもたれて、ギターを弾きそうになっている。ギターはない。
オレはもう限界に近い。というより、眠い。急に暖まったからだろう。オレより先に萎えが、私
もう限界、といって帰ろうとした。オレは萎えのパジャマの裾をひっぱって引き止めようとした。
萎えのパジャマの生地の肌触りは、オレの脳に直接的にエロティックな信号を送ったが、
オレはそれを処理しきれなかった。萎えは部屋に戻っていってしまった。フランスもコビックも
やかましい。こすりつけも話しはじめてしまった。この中で、飲酒運転したことないのは、
きびのみたらしだんごだけだった。みたらしだんごはにやりともせず、土色の顔で手をあげた。
皆はさまよった目で、みたらしだんごを尊敬した。トイレには茶がいた。オレはおしっこをした
かったから茶を起こしにかかったが、便器につっぷしたまま寝ていて起きなかった。オレは
あきらめて隣の女子の部屋のトイレを借りにいった。忍び込むような気持ちで扉をあけた。
あの、トイレ、借りるよ? 返事はなかった。明かりは既に消えている。中にいるのはおそらく、
パジャマを着た萎え。ふすま一枚、隔たっている。もう寝た?返事はなかった。
いやらしく、いないのかなぁ?といったが、やはり返事がなかったからオレは、小便だけ済ま
せて、女の部屋を出た。
部屋に戻った。しばらく誰かの話を聞いていたが、何をいってるのかよくわからなかった。
おまえはなにをいいたいんだ、とかそういうことをいいたかったオレの言葉も、うまく言葉には
なっていなかった。オレはもうダメだ。この思いを言葉に出来ないオレには、起きてる価値は
ない。オレは打ちひしがれた。精神はちゃんといきている。いいたい言葉のイメージがスライド
式になっている。でもうまく伝えられない。そうだ、1週間だけ寝よう、そしたら元にもどるだろう。
たのむから1週間、寝かせてくれ、そしたら元にもどるから、な、な、
オレは目の前の布団に崩れ落ちた。
一人ずつ、部屋を去る気配がする。車座の中央にオレがどてっと転がったから、白けてしまっ
たのだろうか。中村さん、中村さん、遠くで声がする。中村って、誰だよ。蛍光灯がまぶしいよ。
灯りを消してくれよ、歯磨いてないけど、まあいいよ。おやすみ。
しばらくどたばたと音がしていて、フランスが煙草に火を点けたところで記憶が途切れた。
それからオレは、だいぶ激しい夢をみて、のたうちまわわったかもしれない。
隣で何か、がさがさ音がする。ナイロンの袋を広げたり中にしまったりする音。目は覚めたが、
目を閉じたままだ。騒がしくて、少し目を開けた。コビックがあわただしく起きている。何かの支
度をしている。気にせずまた目を閉じた。もう少し寝たかった。身体が動かないし、節々が痛む。
こめかみも痛い。昨日は何時まで起きていたっけ。あまり寝てない。血の巡りが悪い。寝たい。
目をつぶっているが、昨日の体験が、クリアな映像でアタマに浮かんでくる。映像を振り払い、
睡眠にとりかかろうとするが、なかなか消えない。枕の位置を変えた。布団に抱きついてみた。
でもどうしても眠れない。疲れが抜けるまで、あと2時間ほどの睡眠が必要だ。しかしアタマの
中の映像は、色まで正確で、リアルに昨日を再現している。浮かんできた映像は焼きついてい
て離れない。それでも映像はどんどん進行していて、残像が極彩色になっている。
寝るのを諦めた。
何時?8時前。コビックが答えた。うーだかあーだか言いながら起き上がった。フランスは布団
に抱きついて寝ている。ぴくりともしない。腹が減った。空腹なのか、飲みすぎて気持ち悪いの
かわからなかったがどっちにしろ、なにか食ったら落ち着くはずだ。そろそろ朝食の用意が出来
ているころだ。口の中が気持ち悪い。でも歯を磨くのは、食事の後だ。うがいをして、顔を洗った。
髪の毛はぼさぼさだったが、なでつけたら元に戻った。身なりが整った。
ふらふらとした足取りで階段を下りた。ロビーに萎えとカラコがいた。すでに今日着る服になっ
ている。オレはジャージのままだ。そういえば風呂、入ってないな。朝風呂やってるかな、
といった。あ、どうだろう?やってるんじゃないかな、聞いてみたら?萎えが答えた。
中村さん、大丈夫?カラコが言った。大丈夫とは、飲みすぎたことだろうか、それとも、暴れたこ
とだろうか。なぜかこめかみが痛かった。こめかみを指して、少しここ痛い、といった。カラコは、
オレのこめかみに向かって手をのばし、3センチだけ離れたところから、ヒーリングした。
メシ行こうよメシ、行かないの?といったが、朝食は8時からだという。まだ15分以上もあった。
空腹による絶望感はかなり進行していた。朝食のことしか、考えられなくなっていた。
コビックが降りてきた。同じようにロビー中央のソファーに座り飲み物を飲んでいたが、すぐに
そわそわと落ち着きを失った。そして立ち上がりゲームコーナーの方へ行った。しかしすぐに戻っ
てきて、プリクラ撮ろうぜい?とおどけた口調で言った。いいねプリクラ。撮ろう、撮ろう。
4人は、ビニールシートの中に入った。萎えが、なんか酒臭いんですけど、といった。申し訳なかっ
たが、酒臭い顔をよせて、撮影に備えた。
底抜けにアタマの悪そうなプリクラの音声案内に従い、枠組みを決め、写真を撮った。
しかし3分経って出てきたのは、16分割されたシールではなく、ただの紙っぺらだった。
なんだこれ、ただの紙じゃんよ。取説を読んだコビックが、これはシステム手帳に挟む紙やて、
と説明してくれた。ドット目も粗く、色も青みがかっていた。切って分けることもできなかった。
少し、悲しかった。仲居がやってきて、お食事の用意ができましたのでどうぞ、と告げた。
昨日と同じ宴会場に案内された。昨日と同じ配置で膳が並べられていた。昨日と同じ席に座った。
湯豆腐と、魚と、京料理と、温泉玉子。納豆がない。湯豆腐に火を入れに来た仲居に、納豆ない
んですか?と聞いた。ないんです。いやそこを特別になんとか。探してきますか?おねがいします。
納豆のない旅館の朝食なんて考えられない。それだけは、ゆずれない。
ぽつぽつと人が集まってきている。昨日と同じ席に就き、ご飯と味噌汁が配られるのを待っている。
口数が少ない。納豆は、なかったらしい。がっかりだ。
風呂、入れるんですかね。うちは朝風呂やってないんですよ。
小さい茶碗だったから、3杯食ってやっと腹がくちた。これで少し、眠れるかもしれない。
朝食の席には、二人を残して、全員が揃っている。来てない二人は、フランスと茶。
一番先に席を立ち、部屋に戻った。
フランスはまだ寝ている。オレも1本吸って、少し寝よう。
うとうとしていると、朝食を終えたらしいカラコがやってきた。ラージサイズのプリッツを配っている。
辛子明太子味、博多限定。またうとうとしていると、萎えがやってきた。フランスジャージ。
昨日貸したのを、返しに来た。洗ってないけどフラジャー、ありがとう。洗えるわけがないから、
少しおかしかった。やがてフランスが起きた。コビックも戻ってきた。部屋が騒がしくなりオレは、
寝るのをあきらめた。
オレとカラコとコビックは、暗い部屋で、無言のままコーヒーを飲んだ。チェックアウトの時間が
迫っていた。荷物をまとめて下へ降りた。
会計担当は、がまかつ。宴会の金を徴収し、格安チケットの購入を斡旋していた。
そういえば今日は、どこへ行く予定だったっけ。
子どもがナイフを持つようになった。
家庭や教育の崩壊が原因だとも、テレビゲームの悪影響だとも伝えられている。
ただ単に、子どもが抱えるフラストレーションのはけ口が、なくなっただけだとも思う。
祭りをやればいい。年に1度開かれる祭りは、大きなカタルシスとなる。祭りはたぶん
共同体にとって、うっ積したものの排泄機関としても機能していた。しかし子どもは、
共同体そのものの幻想に気付き、放棄してしまった。そして、共同体に替わる心の
よりどころとして、ナイフを持った。
経済は危機的状況に陥っている。
企業は一切の無駄を切り詰めようとリストラし、客は最低限の消費しかしなくなった。
祭りをやればいい。祭りは、大いなる無駄と浪費の宝庫だ。銀行に金を預けていたっ
て何もいいことはない。じっとしてても、何も起こらない。
祭りをやれる余裕、酒を振舞い歌って踊り話す無駄、そういった祝祭空間こそ、本当
の豊かさの象徴だ。
オレは2ちゃんジャージを手放した。1度も着ていない。
なにか共同体への、帰属意識の象徴なような気がしていたせいかも知れない。
ネットワークの高速化が進んでいる。音や映像を伝える設備は整った。しかし圧倒的
に、伝達手段の中心は文字列だ。ハードだけ最新に買い換えても、その喜びを表現
する手段は文字。スペックを列挙して大喜びしているバカの数は、昔から変わらない。
アタマの中まで、買い換えられなかったらしい。
ネットは未だに、古い体制を継承している。共同体という概念の枠組みに、自ら必死
になってはまり込もうとしている。名前だけワールドワイドだが、掲示板というシステム
は、どんどん閉塞しようとしている。閉塞してるからこそ、祭りが必要なのだ。
フランスのクルマの中で流れている桑田佳祐を聞きながらオレは、そんなことを考え
ていた。昨日の祝祭体験が、強烈な映像として残っている。フランスのクルマに乗って
いる。フランスのクルマは太秦に向かっている。こすりつけとPCBとまろとみたらしは、
自転車でゆっくりと向かっている。追い抜いたり、追い抜かれたりしている。
やがて映画村に着いた。
クルマは細い道路を通り、住宅地の中を進んでいた。民家や商店が密集しているブロックに
忽然と姿を現した倉庫のような建物が、映画村だった。住宅地の真ん中に存在しているのも
不自然だったし、赤く塗られた屋根や、古代建築を真似たデザインの並んだ柱や灰色の壁は、
何の統一感もなく、これが時代劇の何を象徴しているのか、全く判らなかった。
クルマを降りた集団が、映画村の前でしばらく待機していたのは、自転車組の自転車を収納
するためだった。自転車組の準備が終わり一同は一斉に入場した。100坪程の、暗がりの
エントランススペースには、時代劇ゆかりの小道具や、忍者映画に使われた大道具が、博物
館のように展示されている。往年の時代劇俳優の写真や、なぜか昭和30年代の電化製品も
飾られていた。
さも興味ありそうに展示物を眺めながら歩いているが、なにか居心地の悪さを感じた。ふと見
ると、和服のPタンと、あまい胸元の猫さんが、展示物を指しながら仲よさげに歩いている。
この居心地の悪さはなんだろう。例えばこすりつけとかフランスとかに、見て見て、これ昔の
洗濯機なんだってよ、へえーすごいな、とかいう会話をするのも照れくさいというかばかばかし
いし、連れて歩ける女がいるわけでもないから、基本的に一人でいるしかない。集団の中で、
孤独を感じてしまったときに、対外的にどう振舞っていいかわからない。二日酔いだし、誰か
にすりよっていくほどテンションは高くない。そういった中途半端な所在のなさが、居心地の
悪さとして、オレを包囲していた。
ベンチに座ってタバコを吸っていたが、皆とはぐれてしまった。はぐれても、いつかは会える
だろう。集団の中で孤独を感じるより、孤独らしく一人でいるほうがすっきりしている。
何の目的もなく一人でオレは、時代劇の街を歩き出た。
おそらく江戸時代の庶民の家が並び、中をのぞくと、その時代のレプリカ家具が、
シンプルな配置で置かれていた。シックな色合いで統一された室内からは、当時の
統制され抑圧された生活がうかがえたが、なにか実感としてわき上がってはこなかっ
た。建物の外身も中身も埃にまみれていたし、当然のことながらこまごまとした実用品
もなかった。人が生活していないからだ。昔の商家が建ち並ぶメインストリートにも人は
まばらだったし、赤く染められた女郎屋のならびの格子の中にも、風俗嬢はいなかった。
にぎわいとはほど遠い昔の街にただずんでオレは、いっそう孤独感を強めていった。
しかしふと、交差点にさしかかったとき、人のにぎやかな声が聞こえた。見ると1ブロック
先のところに、観光客が集まっていた。観光客らの視線の先には、赤い羽織を着て鉢巻
を巻いた中年の男がいた。大道芸が始まるらしい。近づいてみると、ガマの油売り。
オレは酒屋の軒先に立ち遠まきに、ガマの油売りを見物することにした。
油売りは、なかなか芸を始めなかった。
「おーい、今からガマの油売り、はじまるからこっち、こっちきいな」
往来には30人ほどの人だかりができていたが油売りは、まだ人が足りないといって
しばらくの間、客寄せをしていた。最前列に座った50男の客がしびれを切らし、
「そろそろ始めてもえんちゃう?ようけ人あつまっとるがな」 といっても、
「おっちゃんなめたらあかん、こんな人数で始めたら師匠におこられるわ、」と返し、
客をじらしてばかりだった。
「それよりもおっちゃん、どこから来た?あててみよか?明石やろ」 「当たりや」
いつまでたっても油売りの芸は始まらなかったが、オレはそういった関西弁のやりとり
を聞いているのが心地よくて、立ち去ろうとは思わなかった。
客は5、60人にふくれあがった。ようやく油売りは、口上を始める決意をしたようだった。
客に向き直り、それでもしぶしぶといったなげやりな口調で、「はい、それでは始めます、
ガマの油売り、ね、油売り。口上というのはご存知ですか?この口上を言えるのは、
世界にただ一人しかおりません、このわたくしでございます。一昨年まで、わたくしの
他にもう一人だけ、油売りの口上ができる人がおりましたが、その方はぽっくりとお亡く
なりになられました。 それが、わたくしの師匠でございました。わたくしこれまで、
ナンバーツーでございましたが、めでたく、いやいや、師匠が、お亡くなりあそばした
おかげをもちまして、ナンバーワンになった次第でございます。そのナンバーワンの、
口上は、今日はもったいなくて全部はお聞かせしません。お聞きになりたい方は、
CDが出てます。定価1280円。お買い求めになって、お聞きください。」
観光客はブーイングしながらも、ニヤニヤ笑っていた。最前列の女性客がねだり、
油売りが、「そんなに聞きたい?」といった。油売りは最後までもったぶっていたがふと、
「さあさお立会いご用とおぎでないかたはゆっくりときいておいでとおでやまこえ・・」
と超早口の口上を途中まで述べ、なにをいってるかさっぱりわからなかったが拍手を
受け得意そうな顔になっていた。
1枚が2枚、2枚が4枚、と刀で紙を切るパフォーマンスが有名だが、油売りはやはり、
紙と、艶々した刀を取り出した。オレは、そういえば紙を切って見せるのは、刀の切れ味
をアピールするためだったなと思い出した。油売りは刀で器用に紙を切り始めた。
4枚が8枚、やがて64枚が128枚になったときに紙ふぶきになり観客は喜んだ。
そしていよいよその切れ味鋭い刀でもって自らの腕に傷をつけ血を流して見せた後に
その傷を治してみせるというこの芸のクライマックスが始まった。
「ホントに腕、切ります。ものすごい血がでます。気付けてください、特に、前のひと」
客は静かになった。艶々した刀の光沢と、油売りの腕に注目している。
油売りは怒号を上げながら、最前列の客席めがけて左手を突き出し、そのまま刀を
ひいた。最前列とニ列目の客は血しぶきを恐れ席を離れて跳ぶように後方へ逃げた。
血は、ひとつも流れていなかった。
どうやらこれで大道芸は終了したらしい。客は全員、苦笑いを浮かべながら散って
いった。オレもそろそろ、人恋しくなってきていた。
油売りが終わり、あてもなく歩いていた。
山なりに組まれた構造の橋にさしかかったとき、みたらしやうっとりの黄色い後姿を見つ
けた。猫さんがめざとくオレを見つけ、ポップでキッチュな口調で、中村ちんはっけーん、
といった。Pタンも腕組みしたまま笑顔で迎えてくれ、まろも少しシニカルな笑みを浮かべ
どこいってたの?と話しかけてくれた。こすりつけはオレを一瞥しただけで何もいわなかっ
たが、萎えは、せっかく集合写真撮ったのに、といってくれた。
しばらく一人でいたオレは概ねこころよく迎えられ、仲間がいることの暖かさのようなもの
を、身につまされたような気がした。いなくなることで存在感を示すとかそういった逆説的
なアプローチでは決してなかったが、結果としてオレはこの集団の中に、ささやかな居場
所を発見できた。
とはいえ、二日酔だった。ローなまま再会を喜んだが、喜びがうまく伝わった自信はない。
オレのみならず、他の連中もよく、ぐったりしてベンチに座っていた。昨日の疲れが抜け
切らないのが、オレだけじゃなくて少し安心した。
オレはというと、アタマが痛いわけじゃないし、気持ちが悪いわけでもない、ただ、血の巡り
が悪いな、という体内のイメージはあったし、視界は白くぼんやりとしていた。目薬を指した
ら治るかもしれなかったが、気付くと口を開けていたし、あと致命的だったのは、カラコに
近づくたび、酒臭い、といわれたことだ。
どう考えても睡眠が足りなかったが、寝るわけにもいかないというか、朝は2度寝できな
かったし、今寝ろといわれても多分無理なほど、アタマはまだ興奮状態のままだろう。
とすればとにかく酒で、もう一度アタマを麻痺させ、この止まった血液を一時的に循環させ
よう、それしか方法は思い浮かばない。まずビールを飲もう。
映画村へ一番来たがっていたのはフランスだが、なぜフランスがそんなに映画村へ固執
しているのか、やっとわかった。映画村では、時代劇の主役に、扮装させてくれるサービス
があるという。フランスは、コスプレしたかったから、この映画村を選んだのだ。
サービスの金額は1万円前後、プレイ時間が45分なことや、しっかり延長料金も取られる
ことなど、何かイメクラと酷似しているが、なにしろ堂々と外を歩けるし、写真も取り放題だ。
あとからいくらでもニヤニヤできるし、うまくハマればモテモテだ。たまらなくおいしい。
これはもしかしたら、壮大なコスチュームプレイだ。
しかもフランスこの男、性格に見合わず目鼻立ちはすっ、と通り恰幅もよく、まるで時代劇
役者のような風貌をしている。あるいは、大化けするやもしれぬ。
同じく、壮大なコスプレ参加に名乗りを挙げたのは、フランスと、以下の4名。
がまかつ、茶のんでる、Pタン、猫さん。
いずれの御仁も、くっきりとした目鼻立ちの、いい男ぶり女ぶりである。この時点では、誰が
何に扮装するのか、まだ全くわかっていない。
ただしスタッフの人数により若干の待ち時間があり、メイクや衣装に1時間ほどかかるという
ことだった。我々の空き時間を見計らうようにしてちょうど、暴れん坊将軍が始まった。
ドラマの1シーンの撮影風景を公開するという告知がなされて、我々は集まってみたが、
将軍役は松平健ではなく無名の俳優で、撮影も本物ではなく、時代劇の撮影に似せた
ショーのようだった。監督らしき初老の人物が出てきて演技指導がはじまり、リハーサルが
組まれたあとに殺陣の振り付け、そして本番というような進行だった。時代がせめて30年
くらい前だったらたぶんオレは、大喜びして見ていただろう。
時代劇撮影ショーが終わったところでぼちぼち、我らがコスプレの由と相成り、控え候。
166中村不思議 ◆6p7DxX9696 :02/11/19 19:01
以上コピペ第2弾。
今月中には、ケリつけたいね。
>>166
自分の書いたもの(しかも同板他スレに)をコピペしてる暇があったら
自分の立てたスレへの荒らしを報告したりとか削除要請してきたりとか
やることがあるんじゃねーのか?
168中村不思議 ◆6p7DxX9696 :02/11/19 19:20
これがオレのやりかただ。
>>168
だからさ、おまえの文章読みたい奴は関西オフスレで読むんだから
こっちにわざわざ書き込んでんじゃねえって話だよ。
あげくの果てに言うに事欠いて「オレのやりかた」かよ。呆れたな。
もう少しマシな反論が返ってくると思ったが、期待外れだったな。
170中村不思議 ◆6p7DxX9696 :02/11/19 19:36
いいたいことはそれだけか。
なんだ。釣りかよ。つまんねーの。
172中村不思議 ◆6p7DxX9696 :02/11/19 20:58
心配するな、お前はすでに、死んでいる。

って最後のセリフまでちゃんとつきあえよ。
173ツール・ド・名無しさん:02/11/19 21:04
お前モナー
174ツール・ド・名無しさん:02/11/23 10:30
なんじゃこれ
フランスとがまかつと茶とPタンと猫さんが、コスプレの館だか扮装の館だかわりとそのまんま
なネーミングの建物へ入っていった。彼らが、時代劇用のメイクやかつらや衣装に着替え終わ
るまでの時間を利用して、他のメンバーはランチととるべく、入り口横に面した巨大なレストラン
へ向かった。オレも一瞬、時代劇のコスプレをしようかとも考えたが、予想以上に料金が高かっ
たことと、メイクに美容院なみの時間がかかること、それと戦国武将のコスプレがなかったこと
などから、今回はやむなく見送ることにした。
1000人から収容できそうな広大なレストランは2つに区画が分けられていて、片方の区画は
閉鎖されていた。おそらく修学旅行シーズンには開放され、学生服の子どもで賑わうのだろう。
かたやもう一方の区画も、窓際に客がちらほらいるだけで大半の席は空いていた。だから10人
ほどの人数でも難なく座れた。
オレはコビックとPCBとこすりつけと同じ席になったが、いつまでも笑顔を絶やさず睫毛がとて
も印象的なPCBだけは元気だったが、こすりつけとコビックは口数も少なく、終始うつむいて、
なぜか照れくさそうなたたずまいでいた。見ると隣のテーブルも萎えも、腕をだらんとたらし、
なにか放心しきってしまったような姿勢になっていて、うすら笑い顔になっていた。萎えと同じ
テーブルについたカラコはというと、手裏剣かなにかのゲームで景品としてとったハリセンで
もって、いつも誰かの頭や肩のあたりを叩いていたりした。おもにカラコのハリセンの標的に
なっていたのはこすりつけとPCBだったが、当初こそ彼らも、痛いとか驚いたようなリアクション
をとっていたが、次第に叩かれるのにも飽きてきたのか、このレストランへくる頃になると、表情
ひとつも変えずに、無言のままかまわず通常の動作を続けるようになっていた。それでもカラコ
は狂ったように何度も、ハリセンを鳴らしながら何度も、誰かのアタマを叩いていた。
2人の女子を擁したテーブルを隔てた向こう側には、みたらしとうっとりとまろがいた。オレの席
からそっちの方を向くと、ちょうどみたらしが座の中央に位置していて、その両脇からうっとりと
まろが、中央のみたらしを拝むようなそんな3人の配置になっていた。中央のみたらしは、昨日
からそうだったのだが、非常に無表情だ。おそらく彼の笑顔を、まだ誰も見たことはないだろうし、
その日焼けだか内臓の病気だかわからないような土色の顔もあいまって、みたらしのたたずま
いから仏像彫刻を連想したオレは、両サイドのうっとりとまろが僧侶にでも見えてしまいそうな
ほどだった。ここでもオレは、宗教的な光景を目の当たりにした、かどうかはわからない。
なにしろオレは、迎え酒すでにジョッキ2杯目。つまみとしてたのんだ揚げ物の類も、うまく胃の
中におさまってはくれない。コビックはアル中になるからと、わし迎え酒は絶対せん、と豪語して
いた割には耐え切れずビールをオーダーしてしまっていた。PCBは、カラコが食いきれなかっ
たピザの半分ほどをもらい、指でつまんでもちあげ上を向いて一気に口の中へ入れて食った。
オレは萎えに、こんなクイズを出した。このクイズの元ネタはオレではなく、さっきこすりつけに
かけられて、オレが見事に解らなかった問題だった。くやしいから、萎えに出題した。
忍者ハットリくんって知ってる?
「うん、マンガの?知ってる。」
じゃあハットリくんの、ペットの犬の名前知ってる?
「あーなんだっけ、シシマルだっけ?」
ピンポン正解。じゃあハットリくんの、ライバルの名前は?
「うわ微妙、うーん、、、わかったケムマキ!」
おおやるねえ。じゃあ最後の問題。ケムマキが飼ってる、ペットの名前。
「えー、なんかいたよね?ネコじゃなかったっけ?なんだっけ名前。。。」
コビックは、迎え酒と揚げ物がたたったか、額に玉のような汗を浮かべ、顔を青白くさせていた。
レストランを出て扮装の館だかコスプレの館だか、わりとそのまんまのネーミングのところへ
向かったが、フランスたちの支度はまだ始まったばかりだという。じっとだまって待っているの
も退屈だということで、自由行動でもないけれども、集団はバラバラになった。オレは真っ先に
ビールを買いに行った。ビール売り場には、御用ちょうちんをあしらったジョッキの生ビールが
売られていた。ビール込みで500円だったし、オレは喜び勇んで「これください」とその御用
ちょうちん付きのビールを買ったが、安っぽい出来だったし、飲み終わったらだた邪魔なだけ
だった。他の連中は、どこへ行くでもなくただ、疲れたようなたたずまいでベンチに座ったり、
一定の区間だけを行ったり来たりしているだけで、とても心から楽しんでる風ではなかった。
オレも一通り散策したが、目新しいものもなく、ただ他人のコスプレとすれ違ったときに、ああ
あいつらもこんな感じになるのかな、とかなんとなく思ったり思ってなかったりしていた。
カラコとコビックが手裏剣ゲームコーナーにいた。仲が良さそうだったから、声をかけるのも
野暮かと思いためらったが、ちょっと手裏剣の腕には自信があった。カラコにいいところを見せ
られるかもしれない。
オレにもやらせてくれよ、と2人に声をかけた。ちょうどコビックの投てきが始まったところだった。
コビックは散々だった。ヘタクソだな、貸してみろよ。オレは御用ちょうちんのビールを置いて、
2、300円払った。3枚の手裏剣が渡された。1投目、中央からわずかに外れた、2投目、ど真
ん中、3投目、これは真ん中かあるいは、ぎりぎりのところだ。でれでれでれでれ、じゃじゃん、
17点/30点満点。景品は、ハリセン。とりあえずコビックのアタマを、叩いた。
そろそろコスプレが完成したころだろう。オレはコスプレの館だか扮装の館だか、わりとそのまん
まなネーミングの建物の中へ入ってみた。リノリウムの白い床の茶色い長いすに、萎えがぽつん
と座っていて、オレを見るなり悲しそうな顔を、横に振った。まだ出来ていないらしい。しかし萎え
は目とアゴの動きでオレの視点が指す向きを変えよと命じた。するとその先に、知った顔がいた。
茶飲んでるだった。
オレは長椅子の萎えの隣に座りながら、茶飲んでるの姿を認識してはいたが、しばらくはそれが
生き物だとは気付かなかった。それほど茶飲んでるは、憔悴して固まっていた。しかも浴衣姿に
になっていて、おそらく顔には、メイクの下地のファンデーションが塗りこまれている。茶飲んでる
は、オレが、お、茶じゃん?というまで下を向いていて、やがて顔をあげても、うつろな目でオレと
萎えがいる方向を見るともなく見て、無言のまま表情も変えなかったのだ。死んだ魚のようになっ
ていた。確かに茶は、昨日の2次会が終わった深夜、205号室のトイレに立てこもっていたし、
朝食も口にしていない。
「だいぶ疲れてるね、何のコスプレするんだっけ?」
「柳生十兵衛。」
柳生十兵衛といえば、徳川家剣術指南役柳生タジマノカミムネノリの息子にして妖刀村正の使い
手であり、かの三代将軍家光や天草四郎の首を刎ねたとの噂も名高い剣術使い、柳生十兵衛だ。
たのむから夢、壊さないでくれよ。
茶十兵衛はまだメイクにとりかかっていないが。ふと見ると手前から猫さんとフランスがいる。
猫さんはおしろいを塗られている。どうやら芸妓に扮装するらしい。まだ紅もさしておらず、かつら
もない状態だが猫さん、たまらなく艶やかだ。猫さんの目をつむったままの、鏡に映った自身満々
そうな顔の横にもうひとつやはり、満面に自信をたくわえた顔がある。フランスだ。フランスは既に
髷のかつら姿になっている。メイクには、少しきつめのシャドウが入っている。
やべ、フランスなりきっちゃってるよ。「ホント、かっこいいかも」とは萎えが言った。
そういえばメイクブースに、がまかつがいないことに気付いた。がまかつは?
「あ、もうメイク終わって着替えてるみたい。」
猫さんの艶やかなおしろい顔を見て、すんげーキレイだよなー、といったすぐあとで、いかにも
おばちゃん的な、中年女性が、コスプレを終えて帰ってきた。すると萎えは、
「みんながキレイになるわけじゃないみたいだよ、見てあれ」 と、コスプレのおばちゃんの指した。
確かに、無残だった。
萎えがオレの肩を叩いた。オレは萎えの顔を見たが、萎えの視線はオレを通り越してその先を
捉えていた。オレは振り向いた。一瞬わからなかったがよく見ると、がまかつだった。
がまかつが、メイクと着替えを終えて、履物を履きにかかっていた。
「えー、すごーい、」と、萎えがいった。
粋に髷をひょいっと寄せた男が草履を履いている。パステルカラーの着流しの、裾をまくり
中のステテコから、惜しげもなく素裸足をぽぽーんと出して見せている。背中の刺繍は「金」
の文字。草履を履き終えた男は立ち上がり、小さく飛六方をしてみせた。
がまかつが金さんになって登場した。金さんは金さんでも、「遊び人の金さん」のほうである。
遊び人がまかつの金さんが、肩で風を切りながら「おうおうおうおうおう」とにじり寄ってきた。
いささか声のトーンが低い金さんである。「なにばかなこといってやんでい」とかなんとか小粋
なセリフが続くかと思いきやがまかつは、ふっと脱力しやがて、「タバコめぐんで?」と、情けな
くいった。この男、ニコチンが切れている。オレがスッ、とタバコを差し出すと金さんは一つ拝ん
で取り出し、咥えた。粋なちょん髷着流し素裸足にタバコ。その姿、どう考えても不自然である。
一人出来上がったことを聞きつけて、その他の連中が集まってきた。
「金さんタバコ吸ってるよ」 「だって吸いたかったんだもん」
遊び人の金さんは、やはり庶民的である。
がまかつが出来上がって遊び人の金さんを披露している最中に、フランスはちょうど
メイクを終えたところだった。まだ浴衣姿のままで、これから更衣室へ行き着替えを
始めるところだったが、首から上はかつらとどうらんにより、時代劇役者の作りになっ
ていた。扮装の館の中に集まりはじめていた連中はめざとくフランスに気付き、口々
にフランスの顔を見ては色めきたっていた。フランスは我々に気付くと、不敵な笑みを
浮かべ、肩を揺らして笑いながら奥へ消えていった。
フランスは、悪代官に扮装するらしい。
やがて猫さんもメイクを終えた。首の深いところや胸元のあたりまで均一におしろいが
塗られている。白い小袖の長襦袢。猫さんは、赤い紅を差した口元に雅な笑みをたた
えていた。猫さんは、芸妓さんになる。
Pタンがかつらをつけていた。Pタンはまず髪の毛がないから、かつらの下地を巻く必要
がなく、そのため扮装にかかる時間が短縮されていた。かつらが取り付けられているP
タンを見た我々は、戸惑った。Pタンは宮本武蔵に扮装するらしく、頭頂部に紙の毛が
あるタイプのかつらだったが、似合っていないわけではないのだが、見ている我々に、
妙な違和感が芽生えてしまった。
これは、普段スキンヘッドのPタンに、髪の毛があるという不自然さだけでは、説明しき
れない違和感だった。なんだこの不思議な違和感は。その理由をしばらく考えてみた。
そしてあることを思いついた。普段のPタンの方が、強そうなのだ。
普段のPタンとは、和服でスキンヘッド、サングラスといういでたちなのだが、そのままで
時代劇に登場してもいいほどの個性と、強烈な印象を打ち出している。
Pタンが武蔵になるということは、ともすれば鞍馬天狗が大岡越前になってしまうような、
あるいは松平健が高橋英樹になってしまうような、よくわからないけれどもそんなような
ランクダウンの翳りを感じてしまったことが、Pタンに対する違和感の原因かもしれない。
茶飲んでるも、一足遅れてメイクにとりかかった。
ふと、我々の仲間ではない知らない客が、ため息とも感嘆ともつかない唸り声をあげた。
唸り声の視線のその先から、紋付き袴のかみしも姿の、たいそう風格を漂わせた男が
ゆっくりと、芝居がかった歩き方をしながら現れた。大小の代わりに、扇子を脇に差して
いる。仲間の如何を問わずその場にいるだれもが息を呑み沈黙し注目した。
悪代官、フランスである。
フランスの悪代官、なんというか、ぴたりと型にはまっている。我らが仲間はもとより、道行く
見知らぬ客までもが、館の中の賑わいを気にしそして覗き込み、騒ぎの主であるフランスの
悪代官ぶりを見ては、腕組みしながら、ほうだとかへえだとか、言っては去り言っては去り。
ところがこの悪代官、裃の仕立ての良さといい、小袖包みの絹織りといい、大黒屋与兵衛に
しては少々身なりが小奇麗すぎる。
「ずいぶん立派な悪代官だな」というとフランスは、「アホか、誰が好きこのんで悪代官になる
かボケ、金さんや金さん」といった。
遠山の金さん北町奉行所バージョンだった。遊び人のがまかつ金さんと、対になっている。
フランスはがまかつの隣に寄っていった。そして金さん同士、並んでみせた。どや?
どや、といわれても、どう考えても同一人物には見えない。がまかつが、若かりしころの金さ
んなら、フランスは賄賂や汚職にまみれた狡猾な金さん。がまかつが、フランスより年上な
のが信じられない。
遊び人のがまかつは、素裸足を組んでタバコを吸っている。土木工事入札の贈収賄に絡む
北町奉行のフランスは、扇子を広げだらしなくがまかつの隣に座っている。長いメイクに疲れ
た様子だ。もう少し、サムライらしくしていてくれ。
鈴の音、カラン、カランとゆっくりと、高下駄の音。ふっと、花魁太夫の類が向かってくる。黒地
に一閃の赤を翻した挑発的な着物。擦らぬよう、左手でその端を持っている。その手つきがま
た、たまらなく色めかしい。男どもは固唾を飲んだ。萎えとカラコが付き従った。
「猫さん、おいらんっすかそれ。」 「花魁ちゃいますえ?芸妓どす。」といったかどうだったか。
派手に結った日本髪の猫さん、妖しく、艶やか。
刹那、ハチマキ襷に股引姿の、剣豪・宮本武蔵が現われた。巌流島へ向かうときの装束である。
しかしこの武蔵、何かが足りない。威厳とかそういう類のものではなく、もっとこまごまとしたもの、
あるいは歯が1本ほどとか、ピアスとか、眉毛とか、とにかく顔まわりに、なにかが足りないのだ。
足りないのはなんだ。オレの中の武蔵象と、目の前の宮本Pタン武蔵を、見比べた。しばらくした。
といってもその間、2,3秒。
わかった、ヒゲだ。足りないのではなく、多かったのだ。武蔵が、口ひげを生やしている。そのこ
とが、Pタンにまつわる全ての困惑の始まりであり、違和感の原因だったのだ。やっと安心した。
すると茶が出てきた。
黒い眼帯をしている。ちょうど宮本武蔵の、襷がけを外し替りに陣羽織を着せたようになっている。
茶のんでるは、目を見開き、顔を脂ぎらせている。顔の脂は、どうらんの下に隠れている。その
どうらんがまた黒々としている。茶飲んでるは、皮膚呼吸出来ずに苦しんでいる。
「あれそれ、なんのコスプレだっけ?」
「柳生十兵衛。」
茶十兵衛は、呼吸ひとつするのも苦しそうに、しっとりと立ちすくんで固まったまま、動かない。
これで役者が揃った、とはよくいうが、この登場人物で、何の演劇をしようというのだろう。
紹介しよう。遊び人の金さん、北町奉行所の金さん、芸妓さん、宮本さん、柳生さん、以上。
とりあえず剣豪と、妖刀使いを戦わせてみようということになった。武蔵と十兵衛の、対峙、
そして、つばぜり合い。江戸の町中というロケハンに問題はあったものの、我々は周囲を
とりまき、仲間が主役になっていることで優越感を味わい、そしてここぞとばかりに何枚も
写真を撮り、立ち位置を変えさせてはまた、同じような写真を撮っていたりした。すると次第
に観光客が、その周辺に集まり始めた。さながらロケを見守るギャラリーになっている。
「誰と誰の対決やねん」 ギャラリーの一人が、撮影していたオレに向かって言った。
「武蔵と十兵衛。」 まだつばぜり合いでにらみ合ってるPタンと茶飲んでるを指して答えた。
「全然時代考証ちゃうやん」 ギャラリーのおっちゃんは、嘲笑しながら去っていった。
いや時代考証は違わない。
宮本武蔵は天下無双をの志を掲げ、剣の道を極めるべく放浪したが、その生涯において
唯一、対戦を果たせなかった最大のライバルがいる。柳生但馬守宗矩だ。柳生は新陰流、
武蔵は二刀流、今時空を超えて武蔵は、但馬の子十兵衛三厳と、無双をかけて戦っている。
これでいいのだ。
ふと、首にカメラをつるした観光客が、悪代官フランスに声をかけている。
「一緒に写真撮らしてもらって、いいですか?」
50すぎの、冴えないファッションをした小太りの男は、舞妓を3人も連れていた。
こいつ、だいぶいい思いをしてるな、とも思ったがどうやら違っていた。小太りが連れてき
た舞妓の顔を見ると、そのうちの2人は、若い白人の女だった。もう一人も、化粧により
大人びて見えるがおそらく中学生。ホームステイかなにかの留学生と、彼女らを受け入れ
ている家の父親、そしてその娘といった構成のグループだろう。
小太りの父親は、時代劇の主人公に扮したフランスらと、舞妓の姿になった娘らとを一緒
に写真に収めたいらしい。みなさんもごいっしょに、といって、フランスだけではなくコスプレ
軍団全員に向かって声をかけた。
フランスはよそいきの態度と声色でもって「ほなみんな、集まってあげて」と快く小太りの
依頼を引き受けた。3人の舞妓を中央に立たせ、その周りを取り囲むようにして悪代官、
遊び人、武蔵、十兵衛、芸妓がずらりと並んだ。その顔、心なしか自信に満ち溢れている。
芸妓の猫さんにいたっては、舞妓の姐御のようなたたずまいを演出している。小太りは何枚
も写真を撮り、そして何度も礼をいった。
「大人気だなおい」といって冷やかすとフランスは、「これが気持ちええねんて」といった。
悪代官の金さんを先頭に、遊び人の金さんが続き、我々自転車板オフの面々は、映画村
の町を歩き出した。芸妓の猫さんと、ヒゲ武蔵のPタンが並んで歩いている。この取りあわせ
も絶妙に変だ。普段着のままの連中もコスプレの中に混ざり、写真を撮ったり、腕組みしな
がらにやにやと一緒に歩いた。茶十兵衛はまだ具合悪そうに、アタマをゆらゆら揺らしながら
最後方を歩いている。
先頭からしんがりまで約10メートルほどの距離の中に、コスプレ5名を含む14人からなる
大集団がかたまって町じゅうを移動し始めると、往来の人々はたちまち振り返り立ち止まり、
我々の集団に注目した。
グループや家族連れで来ても、その中で変装するのはせいぜい2,3人程度。しかし我々の
仲間は、主役級の役者を5名も擁した大集団を形成しており、その迫力は圧倒的に他の客
の目をひきつけた。まさに、市内をねりあるいていた。
注目を浴びてすっかり気分よく歩いているフランス今度は、「そやオシラス、お白州行こうや、
な。そんで写真撮ってもらおうや、な」といった。
お白州とは、奉行所の法廷だ。白い砂や玉砂利が敷きつめられている所に罪人を並べ、
お奉行さまが裁きを下すあの場所だ。そして、金さんのクライマックスの、あの場所でもある。
さきほどまで暴れん坊将軍のショーが行われていて、入り口は閉鎖されていたが、ちょうど
ショーが終わったところらしく、お白州にはまだ我々の集団しかいない状態だった。
誰かが、「遠山サエモンノジョウさま、ご出座〜、どどん」といい、フランスが肩で風をきって
奉行所の壇の上に登場した。「そうだ遊び人の金さんなら知ってるはずです!」と町娘が懇
願した。「じゃあその金さんとやら連れてきてもらおうじゃねえか」と盗人の親分。
フランスは台の上に足をつきいきなり「やいやいやいやいてめえらおとなしく聞いてりゃいい
気になりやがってぃ」といい、「てめえらの探してる金さんはな、とうの昔っから目の前にいる
んだよ!」といって、がまかつを指した。べん。
フランスの着物はしっかりと着付けされていて、桜吹雪をみせられなかった。急に指名を受け
た遊び人のがまかつ金さん、あわてて壇上に上り、着流しから右肩を出し見栄を切った。べん。
桜吹雪。べべん。肌着に書かれたフェイク桜吹雪のよれ具合を気にしてからがまかつは、
「この桜吹雪が、あ目に、あ入らねえかい」べべん、べんべん。
これにて、一件落着。
遊び人の金さんを罪人に見立てた、金さん奉行所のシーンや、悪党の武蔵と十兵衛一味に
追われる芸妓を、2人の金さんが勧善と助けるシーンなどの撮影が終わるころになると、
コスプレ一座も疲労の色を隠せないようになってきた。ベンチに座り、素になって話し込んだり、
あるいはタバコを吸ったりして、また違う意味で他の客の注目を浴びていた。
やがてサービス終了の時間となり、先に出来ていたがまかつがまず消え、フランスが消えして
行き、我々は現実へと引き戻されていった。
雲がふてぶてしく鈍色に輝き、風は凪いでいた。
がまかつもフランスも猫さんも戻ってきた。素の姿に戻っていた。先ほどと較べ、ひと回り小
さく見えた。Pタンだけは、まだ現実から離れたファッションをしている。憔悴しきっていた茶も、
やや顔の色をとりもどしていた。
これからどうしよう?どないする?がまかつとフランスが今後のことについて相談をし始めた。
コスプレ終了とともに、この京都オフの、クライマックスは終わってしまった。
だれも口にはしなかったが、局面は明らかに終盤を指していた。
最後に摂る食事の段取りや、帰りの時間や、交通機関の混雑状況を気にしだしていた。
「ほな、そろそろここ出て、メシでも食いにいこか」 フランスが、いった。
集合写真を撮った。映画村の赤い屋根と古代建築のような柱もちゃんと枠内に収まっている
ことをデジカメの液晶ディスプレイで確認した。「集合写真」。無機質な言葉だ。出来上がった
集合写真そのものも、躍動感も人の表情もない、無味乾燥的な仕上がりになる。それでもイ
ベントがあると、必ず最後には集合写真がある。そして誰一人拒むことなく、枠内に収まろうと
する。ことのときもそうだった。皆顔には疲れた色を浮かべていた。口数も少ないままそれぞれ
が配置に付き、誰かの顔が隠れないことを気にしながら表情を作っていた。やがてシャッター
が切られた。今はシャッターを切るとはいわないのだろうか。撮影ボタンが押された。味気ない。
最近のデジカメは高性能でレンズも明るく、夕方で日が翳っていても自動ストロボは点灯して
くれない。撮った?撮った?一応もう一枚撮っとく?と何度も確認しないと写真に収まっている
のかどうか果たしてわからない。これは儀式なのだからせめてフラッシュが欲しかった。
撮られたかそうじゃないかわからないままどうやらうまく撮影されたことを伝えられた被写体達
は一瞬脱力してから下に置いた荷物を持ち上げた。そして窮屈なフレーム内から一人一人抜
けていった。
クルマや自転車で京都駅へ向かった。
オレはフランスのクルマの中で桑田佳祐の曲を聴いていた。ちょうどおととい発売されたCDだ。
東京ディズニーワールド、聴かせてくれよ。東京ディズニーワールド?なんやそれ。東京ディズ
ニーワールドだよ。は?それ東京ディズニーワールドちゃう。東京ジプシーローズやて。どんな
耳しとんねん。絶対聞こえるって東京ディズニーワールド。な?東京ディズニーワールド。な?
フランスのクルマにはカーナビが積んである。モクテキチハ、キョウト。ウセツシマス、イエ、バッ
クシマス。やかましい。
やがて京都駅中央口に着いた。
京都駅ターミナルは近代的な建築様式で黒をベースにしたトーンのタイル張りが印象的だった。
ペデストリアンデッキに上り駅構内へ近づくにつれ人が増えていった。暗くなりかけている時間の
人の歩くスピードはスピードは非常に速い。重い荷物と疲れた身体を引きずり足早にすれ違う人
の群れをかわしながらぼんやりと思った。アタマもカラダも遅いオレだけが取り残されているが、
でもその取り残された感じが残酷なほど背徳的で心地よくて、オレは涎を垂らしながらうーとか
あーとかいって猿のようにはしゃいでしまいたくなった。
うっとりのクルマで来たカラコやPタンたちと合流した。
京都駅の地下のレストラン街に下りた。こすりつけら自転車組はまだ着いていない。地下に入っ
たとたん全員がケータイを取り出し電波の本数を気にした。そして全員の胃が荒れていたから、
うどん屋に入ることに決まった。食いきれる自信のないままオーダーした。
やがてこすりつけら自転車組がやってきた。誰かがケータイでうまい具合に誘導した。
オレはビールをたのんだが、いつものようにサクサクとは飲めなかった。
コビックはから揚げを注文していたが、一切れ口にしたところで脂汗をうかべ、もうくわれへん、
といっていた。誰もが口数を少なくしていた。
じゃあここで。ひとりふたりと席を立った。誰かが席を立つたびに、握手が交わされていた。
腹がくちた。話すことはなにもなくなっていた。
ビールを飲んでいたこすりつけもコビックも、口にこそしなかったが終わりが近づいていたこの
局面では、攻撃的な本能は萎えているようだった。Pタンや猫さんや、がまかつや萎えはもう、
帰ってしまった。
店を出た。
地下一階、ターミナルロビーの中央で輪になった。ほな、ここで終了やな。フランスがいった。
誰の返事もなかったが皆、表情でうなずいていた。
オレは自由席のチケットだけ買っていたから、時間を待つ必要がなかった。だからこれ以上、
ここにいる理由がなかった。
「じゃ、オレはここで。」と、帰る旨の意志を伝えた。
一人ずつ、握手をしてまわった。
少しクサいかなと思ったが、気の利いたセリフも浮かんでこないから仕方がない。
最後に、突然「よ〜お」といって、一本締めを促したが、返ってきたのはまばらな拍手だけだった。
「おまえは最後の最後までグダグダやなホンマに」 フランスがいった。
オレは改札へ向かっていった。
オレは一度も振り返らなかった。これはちょっと伝説的なシーンだぞ、とも思った。
やがて自動改札にチケットを入れ、エスカレーターを上り新幹線のホームへ向かった。
東京へ着いた。
帰りの新幹線では、3時間のうち、2時間半は眠っていた。山手線にゆられて、本当に揺れ
ながら池袋に着いた。西口のバスターミナル周辺が、にぎやかな照明で彩られていた。若
い連中が、半被を着てたむろしていた。ちょうど、祭りが終わったところだった。ふくろう祭。
池袋のマスコットが、イケフクロウ。袋とフクロウをかけている。だからふくろう祭。
オレはなんとなく、家とは逆方向へ歩き出した。
疲れきっていた。強い酒も飲みたかった。いつもはいかがわしい繁華街のいたるところに祭
装束の若者が、しゃがんで熱っぽく語って酒を飲んでいた。その中をオレは、もっといかが
わしい区域へ向かって歩いていった。
そして少し周囲を気にしてオレは、風俗店へ入った。
当店のシステムはご存知でいらっしゃいますか?いや、なんとなく。どのコースになさいま
すか?40分で。40分コースでございますね?それではこの番号札をお持ちになってお待
ちください。
待合室には一人もいなかった。
2分もしないうちに、呼ばれた。では1番の番号札をお持ちの方、どうぞ。
当店ではスカウトその他本番行為女の子が嫌がることは一切禁止しておりまぁす。もしこの
規則が守れなかった場合ですねえっと100万円の罰金となりますので、承知おきくださぁい。
階段を登った。
簡単な布を巻いただけの女がいた。こんばんは。
女は、オリエンタルなくっきりとした目鼻立ちだった。少し幼い印象だった。しかし前髪が、
一直線にそろっていた。
こんばんは、どうしたのその前髪?
えー、変ですか?
いや変じゃないけど。
今日の相手としては悪くない。うん、悪くない。
とても疲れていて億劫だったけど、オレは服を脱ぎ始めた。

〜おしまい〜



194167:02/11/25 17:41
俺は他スレからのコピペをここに貼ることを認めたわけではないが
削除整理板における中村の行動は評価する。
             /ヽ       /ヽ
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196中村不思議 ◆6p7DxX9696 :02/11/30 02:02
いや読み返してみたんだけれどもさ
京都オフ、結構おもしろいぜ?
197ツール・ド・名無しさん:02/11/30 02:06
で、五日市に集合したやつの続きも頼むよ
198中村不思議 ◆6p7DxX9696 :02/11/30 02:10
すまん、今違う仕事もやってるんだ。
あれに関しては需要もあまりないようだし、
生産中止の方向になってるけど、
まあきっとまた、新しいイベントがあるさ。
ん、了解
200ツール・ド・名無しさん:02/11/30 04:09
200
201ツール・ド・名無しさん:02/12/13 09:30
さらしあげ
キショ
電波ゆんゆん
>>196
(;´Д`) ......
204中村不思議 ◆6p7DxX9696 :02/12/22 01:36
おう、じゃんじゃん曝してくれよ。こっちもよろしく
http://bbs5.cgiboy.com/p/02/00449/
205山崎渉:03/01/13 21:03
(^^)
206山崎渉:03/01/22 13:14
(^^;
207ツール・ド・名無しさん:03/01/23 01:23
続編きぼんぬ
208ツール・ド・名無しさん:03/02/17 00:06
このスレはもう終了?
209山崎渉:03/03/13 16:45
(^^)
210山崎渉:03/03/29 18:40
(^^)    

211ツール・ド・名無しさん:03/04/09 02:44
フランスとがまかつと茶とPタンと猫さんが、コスプレの館だか扮装の館だかわりとそのまんま
なネーミングの建物へ入っていった。彼らが、時代劇用のメイクやかつらや衣装に着替え終わ
るまでの時間を利用して、他のメンバーはランチととるべく、入り口横に面した巨大なレストラン
へ向かった。オレも一瞬、時代劇のコスプレをしようかとも考えたが、予想以上に料金が高かっ
たことと、メイクに美容院なみの時間がかかること、それと戦国武将のコスプレがなかったこと
などから、今回はやむなく見送ることにした。
1000人から収容できそうな広大なレストランは2つに区画が分けられていて、片方の区画は
閉鎖されていた。おそらく修学旅行シーズンには開放され、学生服の子どもで賑わうのだろう。
かたやもう一方の区画も、窓際に客がちらほらいるだけで大半の席は空いていた。だから10人
ほどの人数でも難なく座れた。
オレはコビックとPCBとこすりつけと同じ席になったが、いつまでも笑顔を絶やさず睫毛がとて
も印象的なPCBだけは元気だったが、こすりつけとコビックは口数も少なく、終始うつむいて、
なぜか照れくさそうなたたずまいでいた。見ると隣のテーブルも萎えも、腕をだらんとたらし、
なにか放心しきってしまったような姿勢になっていて、うすら笑い顔になっていた。萎えと同じ
テーブルについたカラコはというと、手裏剣かなにかのゲームで景品としてとったハリセンで
もって、いつも誰かの頭や肩のあたりを叩いていたりした。おもにカラコのハリセンの標的に
なっていたのはこすりつけとPCBだったが、当初こそ彼らも、痛いとか驚いたようなリアクション
をとっていたが、次第に叩かれるのにも飽きてきたのか、このレストランへくる頃になると、表情
ひとつも変えずに、無言のままかまわず通常の動作を続けるようになっていた。それでもカラコ
は狂ったように何度も、ハリセンを鳴らしながら何度も、誰かのアタマを叩いていた。
212ツール・ド・名無しさん:03/04/13 16:53
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213ツール・ド・名無しさん:03/04/13 19:03
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214山崎渉:03/04/17 11:27
(^^)
215山崎渉:03/04/20 05:53
   ∧_∧
  (  ^^ )< ぬるぽ(^^)
216ツール・ド・名無しさん:03/04/20 18:30
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218ツール・ド・名無しさん:03/04/20 20:41
オナニーオナニー気持ちイイ!!!!!オヌニーーー!!!!!
219ツール・ド・名無しさん:03/05/20 23:31
             /ヽ       /ヽ
            / ヽ      / ヽ
  ______ /U ヽ___/  ヽ
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220山崎渉:03/05/22 01:32
━―━―━―━―━―━―━―━―━[JR山崎駅(^^)]━―━―━―━―━―━―━―━―━―
221ツール・ド・名無しさん:03/05/25 16:29
オレは長椅子の萎えの隣に座りながら、茶飲んでるの姿を認識してはいたが、しばらくはそれが
生き物だとは気付かなかった。それほど茶飲んでるは、憔悴して固まっていた。しかも浴衣姿に
になっていて、おそらく顔には、メイクの下地のファンデーションが塗りこまれている。茶飲んでる
は、オレが、お、茶じゃん?というまで下を向いていて、やがて顔をあげても、うつろな目でオレと
萎えがいる方向を見るともなく見て、無言のまま表情も変えなかったのだ。死んだ魚のようになっ
ていた。確かに茶は、昨日の2次会が終わった深夜、205号室のトイレに立てこもっていたし、
朝食も口にしていない。
「だいぶ疲れてるね、何のコスプレするんだっけ?」
「柳生十兵衛。」
柳生十兵衛といえば、徳川家剣術指南役柳生タジマノカミムネノリの息子にして妖刀村正の使い
手であり、かの三代将軍家光や天草四郎の首を刎ねたとの噂も名高い剣術使い、柳生十兵衛だ。
たのむから夢、壊さないでくれよ。
222山崎渉:03/05/28 16:39
     ∧_∧
ピュ.ー (  ^^ ) <これからも僕を応援して下さいね(^^)。
  =〔~∪ ̄ ̄〕
  = ◎――◎                      山崎渉
22326:03/06/13 14:49

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ダダダダダダダダダダ ニ                       ニ  ダダダダダダダダダダ
ダダ  ダダ  ダダ  ニ   ・                 ニ   ダダダダダダダダダダ
ダダ  ダダ  ダダ   ニ  し              ニ ニ    ダダ  ダダ  ダダ
ダダ  ダダ  ダダ    ニ               ニ ニ     ダダ  ダダ  ダダ
ダダ  ダダ  ダダ     ニ   ニニニ涙  ニニニミ  ニ      ダダ  ダダ  ダダ
                      ○
ニニニ二
ニ                                   ダ        
ニ                二ニニニ二       ダダダダダダ  ダ
ニ                            ダ    ダ
二  ● ● ● ● ● ●              ダ  ダ  ダ    ● ●    二    
二                               ダダダ           二
               二二二二二二二二二         ダ            二
                                ダ           ○ 二
                               ダ              二
                                           二二二二
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ダダダダダダダダダダ ニ                       ニ  ダダダダダダダダダダ
ダダ  ダダ  ダダ  ニ   ・                 ニ   ダダダダダダダダダダ
ダダ  ダダ  ダダ   ニ  し              ニ ニ    ダダ  ダダ  ダダ
ダダ  ダダ  ダダ    ニ               ニ ニ     ダダ  ダダ  ダダ
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228毎度すまん:03/06/13 18:58
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229ツール・ド・名無しさん:03/06/26 22:27
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230山崎 渉:03/07/15 12:09

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 |(  ^^ )| <寝るぽ(^^)
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 \ |⌒⌒⌒~|         山崎渉
   ~ ̄ ̄ ̄ ̄
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  | |____ ヽ     .....:::::::::::::::::::::::<
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232ツール・ド・名無しさん:03/08/20 05:53
いや、おもろいじゃん京都オフレポ。
てか中村不思議、文章旨いね。
233ツール・ド・名無しさん:03/09/26 19:11
つづきは?
234ツール・ド・名無しさん:03/10/09 16:12
もう秋だな
235ツール・ド・名無しさん:03/11/15 01:00
age
236ツール・ド・名無しさん
京都にこんなやつきたっけ?