阪神タイガースバトルロワイアル第八章

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1代打名無し@実況は実況板で
2代打名無し@実況は実況板で:2006/12/13(水) 23:38:03 ID:ADchzjZc0
絶対に許さない
3代打名無し@実況は実況板で:2006/12/13(水) 23:38:25 ID:lRNd4yIE0
4代打名無し@実況は実況板で:2006/12/13(水) 23:39:59 ID:lRNd4yIE0
他バト現行スレ

千葉マリーンズバトルロワイアル第16章
http://ex13.2ch.net/test/read.cgi/base/1162918559/
オリックスバファローズバトルロワイアル第2章
http://ex13.2ch.net/test/read.cgi/base/1162281481/

野球バトルロワイアル総合雑談所2
http://sports2.2ch.net/test/read.cgi/entrance2/1134993945/

5代打名無し@実況は実況板で:2006/12/13(水) 23:42:03 ID:lRNd4yIE0
他球団バトロワ保管庫

読売巨人軍バトルロワイヤル
ttp://www.geocities.co.jp/Athlete-Crete/5499/
横浜ベイスターズバトルロワイアル
ttp://www003.upp.so-net.ne.jp/takonori/ (2002)
ttp://doubleplay.hp.infoseek.co.jp/ybbr05/ (2005)
広島東洋カープバトルロワイアル
ttp://brm64.s12.xrea.com/ (2001)
ttp://www6.atwiki.jp/moriizou/ (2005)
中日ドラゴンズバトルロワイアル
ttp://dra-btr.hoops.jp/ (2001年版保管サイト)
ttp://dragons-br.hoops.ne.jp/ (2001年版・2002年版保管サイト)
ttp://cdbr2.at.infoseek.co.jp/ (中日ドラゴンズバトルロワイアル2 第三保管庫)
ttp://qdr.mydns.jp/drbr2004/ (2004年版)
ヤクルトスワローズバトルロワイアル
ttp://f56.aaa.livedoor.jp/~swbr/
福岡ダイエーホークスバトルロワイアル
ttp://www3.to/fdh-br/
ソフトバンクホークスバトルロワイアル
ttp://sbh.kill.jp/
千葉マリーンズバトルロワイアル
ttp://www.age.cx/~marines/cmbr/
西武ライオンズ バトルロワイアル
ttp://web-box.jp/lions_br/
東北楽天ゴールデンイーグルスバトルロワイアル
ttp://www.geocities.jp/trgebr/


6代打名無し@実況は実況板で:2006/12/13(水) 23:45:17 ID:lRNd4yIE0
作品ガイド 1/6

『13◆2qL78YV/jc氏版』

タイガースバトロワの最初の職人である13氏による作品。
時期は2004年11月。舞台は人工島。
甲子園と人工島は地下通路で連絡している。

運営委員会からの『指令』というものがあり、これに沿わないと爆死するなど、
独自のシステムが特徴。

13氏が体調を崩しているため、しばらく休止の状態。
7代打名無し@実況は実況板で:2006/12/13(水) 23:46:20 ID:lRNd4yIE0
作品ガイド 2/6

『火粒◆0Afu/D6AhM氏版』

二番目の職人?である火種氏の作品。
時期は日本シリーズが行われる頃。
舞台はいずこかの遊園地。ロッカールームから出発。
どことなく詩的な文章が特徴。

短期間の投下ののち、動きが止まってしまっている。再開が待たれる。

8代打名無し@実況は実況板で:2006/12/13(水) 23:47:21 ID:lRNd4yIE0
作品ガイド 3/6

『328◆U/eDuwct8o氏版』

328氏による作品。現在、単独職人遂行型では最大の話数を誇る。
時期は2004年のいつか。オフシーズンであることがうかがえる。
舞台は阪神壬午園(じんごえん)球場。甲子園に酷似し、規模はその何倍もある球場。
武器はバットとボール、それにグラブが渡されるという異形のバトロワ。
少年漫画の如きアツい展開が特徴。

投下も頻繁にされており、人気を集めている。

9代打名無し@実況は実況板で:2006/12/13(水) 23:48:49 ID:lRNd4yIE0
作品ガイド 4/6

『781◆2Ud8ySLCX氏版』

781氏による作品。話数はまだ少ないが、強烈なインパクトを残す。
時期は2005年冬。選手らはキャンプ先のオーストラリアへ向かっているが、
搭乗機が攻撃を受け、不時着したマリアナ諸島のいずこかの無人島が舞台。
異形、といえばこれ以上異形のものはないであろう、
B級アクションのような独特の展開と文章が特徴。

しばらく前にも投下があり、マイペースながらも進行はしている様子である。

10代打名無し@実況は実況板で:2006/12/13(水) 23:50:25 ID:lRNd4yIE0
作品ガイド 5/6

『リレー版』

プロ野球板におけるバトロワの基準方式であるリレーによる作品。
515氏、514氏、615氏、542氏、924氏の参加が確認されている。
時期は不明ながら、2004年オフシーズンと推測する。
舞台も不明ではあるが、元祖バトロワに近い感じの島のようだ。

神職人ぞろいだと個人的には思っている。泣かせの名文が多く含まれる。
読者による地図や参加者&武器の一覧などもあり、タイガースバトロワの看板的存在。

職人さんが複数いるせいか、投下頻度も高い。
11代打名無し@実況は実況板で:2006/12/13(水) 23:50:58 ID:lRNd4yIE0
作品ガイド 6/6

『49◆NRuBx8130A氏版』

最も新参の職人、49氏による作品。
各バトロワの投下が滞っていた時期に開始された新しいバトロワ。
時期は日本シリーズ終了直後。
舞台は何十年も前に廃坑になった鉱山の島。49氏自身から地図が提供されている。
長崎県端島、別名軍艦島と呼ばれる実在の島がモデルになっている(原作2も?)。

開始時期は遅いが、投下が頻繁であったため話数は進んでいる。
12代打名無し@実況は実況板で:2006/12/14(木) 00:08:04 ID:uZ1e1l8J0
すみません、いろいろ脱落がありましたorz

他バト現行スレに追加 >>4

一億円プレーヤーバトルロワイアル第六章
http://ex13.2ch.net/test/read.cgi/base/1164444259/

他球団保管庫に追加 >>5

プロ野球12球団オールスターバトルロワイヤル
ttp://www.geocities.jp/allstar12br/
アテネ五輪野球日本代表バトルロワイアル
ttp://athensbr.fc2web.com/
ビリオネア・バトルロワイヤル
ttp://tokyo.cool.ne.jp/birioneabr/index.html


その他まとめ

マーダー名鑑
ttp://www.geocities.jp/murder_file_3bbr/
2ch野球板 バトルロワイアル参加者名簿
ttp://www4.atwiki.jp/basebr/
バトルロワイアルシリーズまとめ
ttp://sports.geocities.jp/mimamoru_br/


以上でテンプレ貼り終了です。
13代打名無し@実況は実況板で:2006/12/14(木) 00:48:29 ID:XQDctr9a0
>>1
乙です!一応八章と九章もあったので貼っておきます
九章は投下ゼロで落ちたみたいなのでいらない気もするけど・・・

第八章 http://ex13.2ch.net/test/read.cgi/base/1157625315/
第九章 http://ex13.2ch.net/test/read.cgi/base/1161494595/
14924(1/5):2006/12/14(木) 01:01:32 ID:ZW09Aztz0
139.二つの光

『54? えーっと、誰だ?』
腕時計の向こうから応答してきた声は、先ほど新たな指令を出してきた平塚
だった。それくらい覚えておけよとつっこみたいのを我慢して秀太は答えた。
「ウィリアムスですよ」
『あ、そうだったな。で、もう一つの方はどうだ? さっき言っていた、アレは』
かなり急いた調子で平塚が尋ねてくる。秀太はウィリアムスの傍らに転がる
黒いケースを一瞥した。
「それも確保しました。今、ちょうどヘリが落ちた現場にいます」

『そうか、よくやった』
今度は相手がホッと胸をなでおろしているさまが見えるかのような声だった。
よほど重要なものが入っているらしい。
『ところで、現場の様子はどうだ? 火事の心配はないか?』
「大丈夫です。火はもう消えていますから」
『よし。なら、お前はすぐこっちに来い。ヘリの所にいるならここから近いな?』
「ウィリアムスと荷物を運ぶ分時間はかかると思いますけど、まあ15分も
 あれば。――禁止エリアはいつ解除してもらえますか?」

これはしっかりと確認しておかねばならないことだった。主催者側について働く
秀太の首にも他の選手同様に爆弾を仕込んだ例の輪が装着されている。
首脳陣が本拠地とする学校のあるF-5は禁止エリアだが、秀太が立ち入る
必要がある時は特別に解除される約束だ。とはいえ、もし手違いでもあれば
たまったものではない。
『F-5の手前でもう一度連絡をよこせ。そこで一時解除する』
「了解しました。すぐそっちに向かいます」
通信を終え、秀太はふーっと息をはくと、獲物を見下ろした。
「さてと……」
この男とケースを首脳陣に届ければ、当面の任務は終わる。さっさと片付けて
しまいたい。
15代打名無し@実況は実況板で:2006/12/14(木) 01:02:05 ID:JpPu+v/+0
>>1
乙です
16924(2/5):2006/12/14(木) 01:02:17 ID:ZW09Aztz0
ウィリアムスの身体に手をかけようとして、秀太は彼の脇に散らばっている
書類に気づいた。
「なんだ?」
拾い上げてみると、中には半分ほどが焼失したものや焦げ跡の残るものも
ある。暗いのではっきりとは読み取れないが、びっしりと細かな文字で埋め
尽くされた文書に混じり、図を記したものもある。おそらく墜落したヘリが搭載
していた荷物の一部だろう。一緒に持って行った方がいいかもしれない。

一瞬そう思ったが、すぐに考えをひるがえした。受けた指令の中に書類の捜索
までは含まれていない。ただでさえ人ひとりとアタッシュケースにマシンガンを
運ばねばならないところに余計な荷物を増やしたくないのはもちろんだが、
あの首脳陣のために進んで気をきかせてやろうとは思えなかった。
探知機を渡してくれなかったことといい、次々と雑用を言いつけてくることと
いい、まったく腹が立つ。
(……誰が届けてやるかよ)
秀太はもとの地面の上に書類を戻そうとしたが、ふと不安になった。

――おまえ、豊を逃がしたな。
自分の行動のみならず心の中までも見透かすような岡田の台詞が浮かんだ。
間違いなく、本部からはこちらの様子を監視している。今のこの姿も見られて
いる可能性が高い。書類を手にしながら放置したとなれば、なぜ持って
こなかったかと咎められはしまいか。

(いや、待てよ――)
先ほど、平塚に現場の様子について尋ねられたことを思い出す。あの時は
さして気にとめず答えたが、監視しているなら状況はお見通しのはずだ。
特にヘリ墜落という惨事のあったこの辺りには、他の場所にも増して警戒を
強めているだろうに、なぜわざわざ訊いてくる必要があったのか。
(見えてないってことか?)
頭を上げ、ぐるりと周囲を見回した。仮に監視カメラが仕掛けられているなら、
墜落のあおりを食って壊れでもしたのだろうか。
17924(3/5):2006/12/14(木) 01:03:11 ID:ZW09Aztz0
だとすれば、今の自分の行動も見られてはいないはずだ。
(大丈夫だ。たぶん……)
書類を土の上に置き、手を離したところで気づいた。これらの紙束には、
ゲームの鍵を握るような情報が記されている可能性がなきにしもあらずだ。
もしも殺し合いに反対する意思を持った選手が拾ったなら、場合によっては
ゲーム自体が途中でぶち壊されることもあり得るだろう。

そこまで考え、そうなっても一向に構わないと思っている自分がいることを
秀太は悟った。いや、むしろ心のどこかでは望んでさえいるのかもしれない。
ゲームが壊され、首脳陣が痛い目に遭い、この狂った世界から解放される
ことを。しかし、今こうして書類を前にしている自分自身が何らかの有益な
情報を見つけ出し、ゲームを転覆させてやろうという気にはならなかった。
(俺って本当にいやな奴だよな……)
主催者側に抜擢された特権をむざむざ捨てるつもりはない。あくまで彼らの
手先として生き残ることを目指す。一方で、誰かがゲームを潰してくれることを
期待している。これを卑怯と言わずしてなんであろう。

とっくに思い知らされていたはずだ。この醜さゆえに、自分は主催者側に目を
つけられたのだと。姑息で、狡猾で、嘘がうまく、保身に長け、仲間も裏切れる
ような人間だから、選ばれたのだと。同時に、それがため自分が首脳陣から
本当には信用されていないということも、今なら分かる。他の選手と同じように
取り付けられた、この首の戒めがいい証拠だ。

(ああ、どうせ俺は――そんな人間だよ)
だったら、どこまでもずるく立ち回って生き抜いてやるまでだ。うだうだと思い
わずらっている暇などない。いまなすべきことは、獲物の運搬だ。
秀太は自分のデイパックが胸の前に来るように身につけてウィリアムスを
背負い、左右の手にアタッシュケースとマシンガンを持ってなんとか全てを
運ぶ体勢を整え、歩き出した。急がねばならない。
だが、少し進んだところで立ち止まった。
後方から、かすかに人の声が聞こえたのだ。
18924(4/5):2006/12/14(木) 01:03:52 ID:ZW09Aztz0
秀太は顔をしかめ、舌打ちした。相手が危険人物である場合はもちろんだが、
そうでなくても今だれかに出くわすのは避けたい。
(くそ、こんな時に……!)
急いでウィリアムスの身体を下ろし、そばの潅木の下にアタッシュケースと
ともに押し込む。それから、自身は同じ茂みの陰にしゃがみこみ、息を
ひそめて様子をうかがった。
やがて、落葉を踏み分ける足音と共にはっきりと向こうの声が聞こえ始めた。

「なんじゃ、これは……。こいつが、さっきの爆発の正体か?」
「だと思います。ヘリコプターみたいですけど」
「墜落したってことですかね?」
「ひどいな。これじゃ乗ってた人は、たぶん……」
秀太は息をのみ、声のする方向を凝視した。
複数の人影と、忘れようにも忘れられない声。
自分が一度は心を動かされ、彼らゆえに苦しみ、やっとの思いで捨て去った
仲間たちが、そこにいた。


赤星は懐中電灯を金本に渡し、他のメンバーが現場を検証している間、
周囲をゆっくり歩き回りながら探知機に注意を払い、見張り役を務めていた。
自分たちがここへ来たように、他にも爆発にひかれて来る者がいるかも
しれないからだ。
「ん?」
突然、探知機の小さな画面の端に出現した光にぎくりとして立ち止まる。

自分の前方にある茂みに当たる位置で、二つの光点が寄り添うように
並んでかすかな輝きを放っていた。
しばらく探知機を見守っていたが、動く気配はない。
赤星は一番近くにいた金本に歩み寄り、茂みの方向を指差しながら小声で
呼びかけた。
「探知機を見てたんですけど……そっちに、誰かいます」
19924(5/5):2006/12/14(木) 01:06:24 ID:ZW09Aztz0
金本の顔に緊張の色が走る。彼もまた声を低くして赤星に尋ねてきた。
「誰じゃ?」
「そこまでは分かりません。でも、二人です」
さっきの場所から動いたため、光点は画面から外れていた。再び見える所まで
移動し、金本に探知機を示す。
「……あの茂みの辺りか」
金本は黒々とした闇に包まれた森の奥に目をやった。

「どうかしたんですか?」
的場と藤本も近寄ってきた。赤星はしいっと人差し指を口の前で立て、彼らに
向かって探知機を差し出した。状況を理解した二人が表情を硬くする。
果たして、何者なのか? 全員が食い入るように画面を見つめていたが、
どちらの光も不気味なまでにじっと静止したままだった。
「一向に動かんな。……まさか、死んでるのか?」
金本が首をかしげた。
「いえ、生きてる人間にしか反応しないはずです」
「こっちに気づいて様子を見てるのか……それとも、動けない状態なのかも
 しれませんね」
藤本の何気ない言葉に赤星はハッとした。

生きているのに動かない光点二つと、生きているのに帰ってこない仲間
二人。頭の中で、それらがたちどころにイコールで結ばれた。
「もしかして、ユタカさんと秀太じゃ――」
全員が顔を見合わせた。赤星の直感は、半分は正しかった。彼の探知機が
捉えた二人のうち一人は、まぎれもなく彼らが捜し続けていた秀太だった
からだ。だがもう一人とは、むろん彼に眠らされた哀れなウィリアムスである。
「秀太――? 中村さん――!?」
赤星は矢も盾もたまらず駆け出した。
目指す茂みの裏側では、秀太がこわばった顔でウィリアムスのマシンガンを
手にしていた。

【残り36人】
20924:2006/12/14(木) 01:10:10 ID:ZW09Aztz0
>>1
スレ立てありがとうございます。

自分が取得できた限りでは138章が最後だったので
今回の章番号は139にしましたが、もし違っていたらすみません。
21代打名無し@実況は実況板で:2006/12/14(木) 01:52:02 ID:lQbZ5tJu0
>>1です。まさかさっそく新作を読めるとは!
職人様GJです!!
ついにゴレンジャーと秀太が……出会ってしまう、のか…?

>>13 すみません。補完ありがとうございます。
実質第十章ということでよろしくお願いします。

22代打名無し@実況は実況板で:2006/12/14(木) 02:00:27 ID:sY+pSlxB0
スレ立て様、職人様、乙でございます。

うぅぅぅぅ、ものすごく不幸なことになりそうなヨカーン…
23代打名無し@実況は実況板で:2006/12/14(木) 02:47:01 ID:8UVj1gaFO
保守!
24代打名無し@実況は実況板で:2006/12/14(木) 05:12:33 ID:Y5aes/4X0
おおおスレが立ってる!GJ!
職人さんも乙!続きが気になるわぁ
25代打名無し@実況は実況板で:2006/12/14(木) 17:12:24 ID:Igvx30+mO
新作の展開とこの後を考えてしまうと泣きそうになる…。
とにかく職人様と>>1乙!
26代打名無し@実況は実況板で:2006/12/14(木) 23:46:16 ID:zm/Vuq4b0
このスレ初めてくる
リレーが基本?
27代打名無し@実況は実況板で:2006/12/15(金) 02:19:16 ID:FH5apxA80
>>1
乙です。
職人さんよろしくお願いします、待っております。
28代打名無し@実況は実況板で:2006/12/15(金) 02:45:55 ID:cDU0P5rB0
>>26
いらっしゃい、ドロドロの虎バトの世界へようこそ
リレーが基本だよ。
29代打名無し@実況は実況板で:2006/12/15(金) 17:28:10 ID:+tbUvXjU0
秀太さぁぁぁぁん!赤星だよ、赤星なんだよぉぉ!
目を覚ましてくれよぉぉぉ!
30代打名無し@実況は実況板で:2006/12/16(土) 03:55:59 ID:V1mRaFJn0
ほしゅ
31代打名無し@実況は実況板で:2006/12/16(土) 15:51:49 ID:+Is2UFjGO
ほしゅ
>>29の人ときどき見かけるけど、メルアド晒してて大丈夫か?
32615:2006/12/16(土) 15:55:23 ID:eqNizci60
リレー職人さんへ
パソコンが数ヶ月前に突然壊れ、先日やっと復帰したのですが、
なにもかもがなくなったので、また保管庫さんにお世話していただかないと
専用板に顔を出せない状況です
後で暫定板の方にも書き込んでおきますが、気づいてもらえるかなぁ・・・
33代打名無し@実況は実況板で:2006/12/17(日) 09:16:39 ID:ZKlP15clO
保守!
34代打名無し@実況は実況板で:2006/12/17(日) 11:24:52 ID:Z9B+fLfC0
トリたちはどうなってるんだ・・・・。
35代打名無し@実況は実況板で:2006/12/18(月) 12:16:58 ID:QeGXXfv30
ほしゅ
36代打名無し@実況は実況板で:2006/12/19(火) 01:22:40 ID:SnxhVIG8O
ほしゅage
37代打名無し@実況は実況板で:2006/12/19(火) 15:23:39 ID:sgNynm7D0
まこっちゃんのその後は・・・?
38代打名無し@実況は実況板で:2006/12/20(水) 00:03:05 ID:DTU8l8ZJ0
落ちている章を暫定HTBR板の雑談スレにUPさせて頂きました

128.RE-START
129.最後の「攻撃」
130.もう一度
131.違和感
132.橙火
133.洞(うろ)
134.拠り所
135.crash site
136.本当のこと
137.二者択一
138.can't take it with you.
39代打名無し@実況は実況板で:2006/12/20(水) 01:31:29 ID:ETcglCwL0
>>38 おおおおお乙です!!
保管庫様待ちのつもりでいたので、これから一晩wktkで読んできます。
40代打名無し@実況は実況板で:2006/12/20(水) 15:43:09 ID:YxzLZans0
おつおつおつーーーーー
おれも暇ができたら読んでこよう
41代打名無し@実況は実況板で:2006/12/21(木) 06:49:44 ID:KyJdu3ms0
最初から読んでみたけど、文章の構成がすごいと思う・・・。
42代打名無し@実況は実況板で:2006/12/21(木) 10:08:49 ID:rIXNYbdZO
     _
 ▼^   `▼
 イ fノノリ)ハ  保守…
  リ(l|゚ .゚ノlリ
_(__つ/ ̄ ̄ ̄/_
  \/___/
43代打名無し@実況は実況板で:2006/12/22(金) 02:33:43 ID:wpSFSxjJ0
えぐすぎはどうなるのかなぁ保守
44代打名無し@実況は実況板で:2006/12/22(金) 18:43:49 ID:oVrbxa7J0
捕手
45代打名無し@実況は実況板で:2006/12/23(土) 00:23:50 ID:hnJImzCI0
鳥谷と矢野はどうなってるんだろ保守
46代打名無し@実況は実況板で:2006/12/23(土) 00:44:48 ID:phVQGcSvO
鳥谷矢野組は暫定板に最新の話があるよ。
>>38

615さんのカムバックを喜びつつ。
……濱中、来るかな?来るかな?
とかこっそり期待してみる。保守!
47代打名無し@実況は実況板で:2006/12/23(土) 08:38:20 ID:90A/QKUL0
暫定版ってどうやってみるの?
48代打名無し@実況は実況板で:2006/12/23(土) 08:42:51 ID:phVQGcSvO
49代打名無し@実況は実況板で:2006/12/23(土) 13:31:22 ID:pfJA8K000
>14-19
復活キタワァ*:.。..。.:*・゚(n‘∀‘)η゚・*:.。..。.:* ミ ☆
赤星逃げて逃げて
50代打名無し@実況は実況板で:2006/12/23(土) 22:16:33 ID:o+MJzuKXO
ズレータが現れた!


どうしますか?
→たたかう
にげる
じゅもん
どうぐ
51代打名無し@実況は実況板で:2006/12/24(日) 01:57:27 ID:voL8Hta+O
>>50
よく見えないけど金村さん乙です。
保守。
52ダン・セラフィニ:2006/12/24(日) 20:35:30 ID:JY2ltYZ0O
>>50
たたかう!てゆうかころす!!
53代打名無し@実況は実況板で:2006/12/25(月) 01:15:22 ID:AB1sEWlG0
>>50
→こうしょう
54代打名無し@実況は実況板で:2006/12/25(月) 13:27:37 ID:0TdYgPrTO
公傷?
55代打名無し@実況は実況板で:2006/12/25(月) 21:38:02 ID:dwn743xR0
www
56代打名無し@実況は実況板で:2006/12/26(火) 17:30:08 ID:VeH+LpxZ0
最近、だれも死んでないなぁ・・・。
57代打名無し@実況は実況板で:2006/12/26(火) 22:03:16 ID:P1s0OQyuO
58代打名無し@実況は実況板で:2006/12/26(火) 22:18:54 ID:73ZPnOql0
たいへん悪質な出品者です。
違反出品の申告にご協力をお願いします。

http://page11.auctions.yahoo.co.jp/jp/show/reviews?aID=n50272532
http://page7.auctions.yahoo.co.jp/jp/show/reviews?aID=g52101323

お時間があれば、以下「報告フォーム」からも申告をお願いします。
http://auctions.yahoo.co.jp/html/check.html
59代打名無し@実況は実況板で:2006/12/26(火) 22:21:38 ID:P1s0OQyuO
60代打名無し@実況は実況板で:2006/12/26(火) 23:52:59 ID:kalwgFeb0
>>56
死んではいないけど、色々なところにフラグは立ってないか?
61代打名無し@実況は実況板で:2006/12/27(水) 19:45:37 ID:cCPjH+MG0
各所で出会いが続いてるから一気にバタバタ来そうな予感はするね
自分はイガーと御大が気になる
62代打名無し@実況は実況板で:2006/12/28(木) 01:48:56 ID:21Nqy0mqO
俺の峰夫と葛西たんはどうなったんだろう
63代打名無し@実況は実況板で:2006/12/28(木) 07:38:04 ID:oL/26Xh90
【野球】阪神・金本兄貴太っ腹!異例の年俸減額を申し出 総額1億円以上を裏方に還元へ
http://news18.2ch.net/test/read.cgi/mnewsplus/1167257835/l50
64代打名無し@実況は実況板で:2006/12/29(金) 00:57:54 ID:gFZ9ubCLO
今年もあとわずかですよ保守
チャンネル争いに勝って大晦日にサン虎検定を見られるのか。
65代打名無し@実況は実況板で:2006/12/29(金) 22:20:18 ID:jCi4TqxT0
保守だよ保守
66代打名無し@実況は実況板で:2006/12/30(土) 12:24:01 ID:/gBL+fqN0
年末大放出SP
67代打名無し@実況は実況板で:2006/12/31(日) 04:02:56 ID:4oxsQuOy0
ほしゅ
68代打名無し@実況は実況板で:2006/12/31(日) 22:13:57 ID:rQJdVse60
公式に峰夫記事があったお保守
69代打名無し@実況は実況板で:2007/01/01(月) 02:34:26 ID:3F0KQtcUO
ノックバットを握る為に肘の手術までしたのか…ミネヲ大好きだあぁぁ〜!保守
70代打名無し@実況は実況板で:2007/01/02(火) 04:06:02 ID:SYItsIOs0
ほしゅ
71代打名無し@実況は実況板で:2007/01/02(火) 18:26:14 ID:TPTBvd410
ほしゅしゅ
72代打名無し@実況は実況板で:2007/01/02(火) 23:24:33 ID:igTt2vSz0
ほしゅしゅしゅ
73代打名無し@実況は実況板で:2007/01/03(水) 00:53:36 ID:kl+g79qMO
キャッチャー!
74代打名無し@実況は実況板で:2007/01/03(水) 23:13:59 ID:Csupse5WO
☆ゅ
75代打名無し@実況は実況板で:2007/01/05(金) 03:03:34 ID:Uc6RdqYe0
hosyu
76代打名無し@実況は実況板で:2007/01/05(金) 04:47:24 ID:g66m/1SjO
火ヤマダ
77代打名無し@実況は実況板で:2007/01/06(土) 01:08:34 ID:1DREF3r40
えぐえぐ
78代打名無し@実況は実況板で:2007/01/06(土) 03:41:42 ID:NxqdlQne0
 ε ⌒ヘ⌒ヽフ
 (   ( e'ω'a) ?
  しー し─J
79代打名無し@実況は実況板で:2007/01/06(土) 14:40:43 ID:y+5VDI4+0
保守…復活してて嬉しい!!
80代打名無し@実況は実況板で:2007/01/07(日) 19:36:13 ID:4Gr6t3+g0
ほしゅ
81615(1/6):2007/01/08(月) 02:08:19 ID:LLiTHawT0
>>19つづき

140.高みの見物

それほど遠くない距離で起こった轟音と閃光に、腕で顔の前を覆うことくらい
しかできなかった濱中は、固まった身体をギシギシいわせて、ようやく腕を
おろした。
暗い夜の闇と雲を背景に、爆発の残滓を知らせる煙が白く空へのぼっていく。
それを見つめながら濱中は素直な感想を述べた。
「……すごかったっすね」
「ホント……」
すぐ隣で応えた立川隆史(背番号45)の声も驚きを隠さない素直なものだった。
先刻の轟音が嘘のようにあたりは静まりかえっている。
濱中と立川は爆発が起こった場所と、このクソゲームの司令部である体育館を
挟んでほぼ反対側に位置する雑居ビル4階の窓から、今起こったすべてを目撃
していた。
その子細はこうだ。
82615(2/6):2007/01/08(月) 02:09:01 ID:LLiTHawT0
島を覆う雨音がほとんど聞こえなくなった頃、窓から見える暗灰色の空を
見上げて濱中と立川は賭の結果を相談し始めた。
数時間前にした、『雨はいつ止むか』という無害な賭。
「立川さん、雨、止みましたよ」
「いや……わかりにくいけど、ちょっと降ってる」
ふたりは全開にした窓から身を乗り出して慎重な審議を重ねていた。
「どの程度になったら止んだことにするかってのは、ちゃんと決めとかんと
 ダメでしたね。雲切れてきたなぁ、これから晴れるかな」
「俺の中ではまだ降ってるよ、これは」
「そりゃ、ここで止んだ判定なら立川さんが負けるからでしょ」
クスリと笑った濱中は、遠くから近づいてくる音に指をさした。
「あ、ヘリコプター」
「またか」
「前にも通りましたっけ?」
「通るも何も、あそこに見えてる校庭に降りたんだよ」
ヘリコプターの点滅ライトから視線を下げれば、難攻不落の要塞よろしく鎮座
する体育館が見下ろせる。その横に半分ほど見える校庭は煌々とライトに照ら
され、遠目にも眩しい。
「へぇ、それは気づきませんでした」
「いいな〜俺も空飛べたらな〜」
「ホンマですねぇ、支給品がタケコプターならよかったのに」
「オマエそれは危険だぞ、それなら、どこでもドアにしよう」
「開ければそこは有馬温せ」
で、大爆発。
83615(3/6):2007/01/08(月) 02:09:36 ID:LLiTHawT0
煙を凝視する濱中にちらりと視線をやって、立川は声をかけた。
「見に行ってみる?」
「えっ」
濱中は勢いよく立川を振り返り、すぐに心底嫌そうに顔をゆがめた。
「いややなぁ……」
「そうだよなぁ」
「見なかったことにしましょう」
そう言いながら、濱中は滑りの悪い窓をガコガコと音をたてながら閉め始める。
「そんなこと言ったって、島中に響いたよ今のは」
「こっちに都合の悪いことが起きたんじゃなきゃいいんですけどね」
「さぁてなぁ」
ホコリだらけの床に敷いた布団に立川は寝ころんだ。
「それで、やっぱり雨はまだ降ってるよね?」
「ふふっ、外に出て確かめればよくわかると思いますけどね、降ってませんよ」
窓を閉め終わった濱中も隣の布団に横になる。
「おとなしく後輩に譲ったらどうですか」
「禁止エリアの近くをフラフラしてる奴に優しく注意してあげたのは誰かな?」
「この布団をわざわざ隣の家から持って来たんは僕ですよ」
「なんて湿気た布団を持ってきやがったんだ」
「うっわ、サイアク!先輩とは思えへん言葉!」
「冗談冗談、感謝してますよ濱中さん」
84615(4/6):2007/01/08(月) 02:10:06 ID:LLiTHawT0
ヘリコプターが爆発するなんてことが起こる世界で、ひどく平和な会話が続く。
まるでそんなことは日常茶飯事のように。
そして、それはまぎれもないこの島での日常だった。
これまでのことに比べれば、少々大事ではあるが。
「しょうがないな、今回は俺の負けだ」
「最初に決めた通りバツゲームはモノマネですよ。
 僕にもわかる野球選手がええなぁ」
「お前が知ってる奴で?うーん、現役じゃないとダメ?」
「現役で、しかも笑えるの」
立川がタイガースにトレードで来たのは今年の6月。強肩強打の外野手を求め
られてのことだった。いわば怪我で抜けた濱中のポジションを埋める役割。
当然ふたりの接点は新聞上や作戦上のそんなところだけだったが、まさかこう
して布団を並べて話をするなんて、人の縁とは不思議なものだ。


本部での動きがあればすぐわかるようにと、立川は体育館が見える場所を探して
4階建のビルを見つけた。しかし、体育館とはそれほど距離が離れていないため
その周辺が立入禁止になる時には命はないかも、と少しドキドキしていた。
運良くそれは杞憂に終わり、その後ずっとこのボロビルに腰を据えている。
そろそろ日が暮れるかという頃合いに、なんとなく窓の外を眺めていると
下の道路を歩く人物を見つけた。
それが濱中だ。
85615(5/6):2007/01/08(月) 02:11:06 ID:LLiTHawT0
濱中は透明のビニール傘をさして、辺りを見物するように首をめぐらせていた。
どこかで拝借してきたのであろう灰色のジャンパー姿だったが、顔が見えた
ので濱中だとすぐにわかった。
その足取りに迷いはなく、立川のいるビルの前を横切るようにまっすぐと進んで
いった。しばらくすると戻ってきてビルの前を先程とは逆向きに横切っていった。
またしばらくするとビルの前までやって来て、今度は横切らずにビルに対して
垂直に伸びる別の道に入った。
そちらは体育館の方角だ。地面に禁止エリアの線が描かれているわけではない
ので、どこからがアウトでどこまでがセーフかはわからないが、そのまま行けば
いずれは禁止エリアにひっかかるだろう。
迷わず立川は閉まったままの窓に手をかけた。

「おーい!」
一声で濱中は足を止めた。
「おーい!濱中ー!」
後ろを振り向く濱中。おしい。
「こっちこっち!」
きょろきょろと周囲を見回しながら濱中は声の主を探している。もうちょっと。
「上だ、上!」
そうすると、濱中はすぐに立川を見つけた。
「立川さん?」
鳴尾浜でたまにすれ違うくらいだったのに、よくわかってくれたな。うんうんと
立川はうなずいた。
「それ以上はやめとけ!首があぶないぞ!」
「マジですか!」
「マジマジ!おとなしく引き返しなさい!」
「そっち行ってもいいスか!」
予想外の返しにちょっと面食らったが、否定する理由をみつけられなかったので
立川は快諾した。
「来いよ!」
「はい!」
86615(6/6):2007/01/08(月) 02:14:51 ID:LLiTHawT0
その後は部屋の中に濡れたものを吊って、お互いの近況を報告し合い、隣の家
から布団を運び込んだ。暇を持て余したため、くだらない賭をして今に至る。
ただごろごろしているだけで、それぞれの思惑や心情は一切話していない。
必要ないと思ったからだ。


「ま、思いつかんかったらいいですよ、モノマネ1回分借しで」
濱中はごろりと寝返りをうつと、得意げな顔で立川に笑いかけた。
「なんか気分悪いなぁ、今日はもう寝る」
「それはおおごとですね、寝ましょう」
フンと鼻をならして立川は目を閉じた。
これから騒がしくなるであろう下界を知らんふりするかのように、地上4階には
静かな夜が訪れる。


【残り36人】
87代打名無し@実況は実況板で:2007/01/08(月) 02:28:43 ID:PxbvEjfk0
新作キテタ━━━━━━(゚(゚∀(゚∀゚(☆∀☆)゚∀゚)∀゚)゚)━━━━━━!!!!!!
職人様おつです!
二人の麻痺加減が切なくて怖い…
88代打名無し@実況は実況板で:2007/01/08(月) 02:58:21 ID:/DzuDpeP0
立川キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!!
89代打名無し@実況は実況板で:2007/01/08(月) 10:18:49 ID:JQeee5rmO
濱中再登場キタ―――!
立川初登場キタキタ―――!!
90代打名無し@実況は実況板で :2007/01/08(月) 22:09:17 ID:TZCAd37T0
新作キタ━━━━━━(゚∀゚∀゚∀゚)━━━━━━!!!!!
職人様乙です!
91代打名無し@実況は実況板で:2007/01/09(火) 17:55:48 ID:sUi8Xs3J0
これで全員登場したのか〜。
鳥谷&葛城組が気になる。
92代打名無し@実況は実況板で:2007/01/10(水) 03:25:51 ID:lis56qhi0
濱ちゃんどうする気だろう…
93代打名無し@実況は実況板で:2007/01/11(木) 01:55:53 ID:emspa8jb0
hosu
94代打名無し@実況は実況板で:2007/01/12(金) 00:21:23 ID:GMcVuVFo0
ほっっしゅ
95代打名無し@実況は実況板で:2007/01/12(金) 23:15:47 ID:kO0Z0QKLO
ヒマなうちに一言…



リアルはあんなことになっちゃって、擁護のしようもないし、しようとも思わないが。
でもここの前川のことは、おすぎよ帽子だけできたら連れて帰ってやってくれよ…ちょっと好きだったんだ、ここの前川。
96代打名無し@実況は実況板で:2007/01/12(金) 23:22:01 ID:j8VTEGwn0
もし本当に2ちゃん閉鎖になったら、続きってどうなるの?
暫定HTBR板の方で職人さん書き続けてくれるのかなぁ…
97代打名無し@実況は実況板で:2007/01/12(金) 23:26:01 ID:RTZsyVig0

 ε ⌒ヘ⌒ヽフ
 (   ( e'ω'a) <ほしゅグサ
  しー し─J
98代打名無し@実況は実況板で:2007/01/13(土) 17:48:24 ID:625qs2KC0
いちおう ほしゅ
99代打名無し@実況は実況板で:2007/01/15(月) 06:48:06 ID:eFYOWZ750
ほっしゅ
100代打名無し@実況は実況板で:2007/01/16(火) 06:15:11 ID:VDHB/S/CO
ほすほす
101代打名無し@実況は実況板で:2007/01/16(火) 19:51:00 ID:uu1Xpyqj0
ほしゅします。
もう2007年なんだねえ・・・
102代打名無し@実況は実況板で:2007/01/17(水) 14:35:39 ID:eKdExYdZ0
ほしゅ
103174(1/6):2007/01/18(木) 00:32:27 ID:kqpHyExZ0
>>86
141.バカと煙はなんとやら

「木登り……ですか」
 そろそろ首が痛くなるほど直角に見上げていた木のてっぺんから視線を外し、
鳥谷敬(背番号1)は幹に手をついたり枝振りを確認したりしている葛城育郎
(背番号33)に目をやった。精一杯の訴えを込めて。
 2人で森の中を突き進み、山道に入ったところで、このまま場所も分からない
まま先に進むのは無謀と葛城が判断し、近くで目立って背の高い木に登り様子を
探ろうと提案したのはほんの数分前のことだったと記憶している。
「夜中に山登りって……」
 先程から盛んに、控えめに気の進まないことをアピールしているのだが、どうやら
張り切っているらしい提案者の耳には届いていないようだった。あるいは、届いて
いても聞き入れられていないか。
 鳥谷は東京都東村山市出身だが、残念ながら木登りとは余り縁のない幼少時代を
過ごした。
 鳥谷くらいの世代になれば、木登り遊びなど小学生の時にやらなければ、その後
一生やる機会には恵まれないだろう。周囲の環境にも寄るだろうが、中学以降も
やっていたらそれはなかなかの自然愛に富んだ溌剌少年である。
 目の前の葛城育郎はもしかしたらそのなかなかの溌剌少年だったのかもしれない。
 世代の問題か、と言ったら多分怒るだろうからそういうことにしておく。
「よっし」
(全然良くないし)
 鳥谷の胸中を余所に、どうやらその木を気に入ったらしい葛城が気合を込めた。
「なんや、おもんない顔してるなー」
「元々こんな顔なんで」
 さて登ろう、という体勢を見せた葛城がこちらを振り返り、景気の悪い顔をして
いる後輩にダメ出しをする。
「文句あるんか?」
「いいえ別に」
 ある、と言ったところで何だかんだと説得をされて強制されるのだろう。
 その作業に無駄を感じ、鳥谷はさらりと先輩の絡みを流した。
104174(2/6):2007/01/18(木) 00:33:32 ID:kqpHyExZ0
 つれない後輩の返しに、何か言いたげな表情を作った葛城だが、結局何も言わず、
器用に幹の窪みに足をかけ、枝を伝って猿のように登っていく。
「まだ幹湿ってるから、足滑らせないように気を付けろよー。こう、スパイクの歯
を食い込ませてだなぁ……」
 心なしか活き活きして見える葛城の後について、そろそろと木を登り出す。
「お、結構高いな。ほら、見てみろよ」
 いち早く一番高いところまで登った葛城が、額に手を翳す仕草をして島を見回す。
「……そりゃあ葛城さんは得意かもしれませんけど、……俺はこういう野蛮なこと
はあんまり……」
「悪かったな、野蛮で」
 苦労してよじ登った鳥谷がかなり遅れて隣に辿り着く。憎まれ口を叩く余裕がある
だけ褒めて欲しいところだ。
 懸命に枝にしがみついて、一番安定する体勢を探る。
 正直、あまり高いところは好きではない。飛行機という事故る確率が百何万分の一
と言われる文明の利器でも「事故ったらどうするんだ」という恐怖が先立つ鳥谷に
とって、今しがみついている枝が折れる確率にふと思考を傾けると、今すぐにでも下
に救命マットを敷いて欲しい心境になる。ここから落ちたからといって、命を落とす
のは相当間抜けな落ち方をした時くらいだろうが。
「何か見えるか?」
 鳥谷が落ち着いたところで、すぐさま葛城は本筋に戻った。真剣な顔で、辺りを
見回す。
「何も」
 答え、鳥谷は慎重に首を回した。
「俺たちのいた家があそこですよね。あの窓からこっちの方角に爆発を見て……」
「思ったより遠いな」
 鳥谷が指をさした方向に、葛城がぽつりと感想を漏らす。
「位置的には――」
「体育館か……」
「何かあったんですかね」
「分からん」
105174(3/6):2007/01/18(木) 00:34:26 ID:kqpHyExZ0
 鳥谷が目にした爆発との距離を考えると、おそらく、爆発は体育館の東か、もしく
は南側で起こったものだ。鳥谷達が過ごしていた民家と体育館の間には、今二人が
いる緩やかな山が横たわっている。
 その合間から爆発が見えたということは、少なくとも、それが上空で起こったもの
であることは間違いない。
(一体何が――)
 花火でもないのに、深夜の上空で瞬いたオレンジ色の光。
(空――飛ぶモノ……飛ばすモノ? 何か爆発物を投げたとか。いや、でも二回だ)
 一度目の爆発より、二度目の爆発の方が大きかった。二度爆発物を投げたか、一度
投げた爆発物に当たって何かが爆発したか。そもそも空中で何に当たる? 誰かが
何かを攻撃したとして、何を攻撃する?
(やっぱり空飛ぶモノ――気球とか、ヘリコプターとか、タコとか飛行機とか)
 少なくとも、参加者対参加者の争いで、あんな爆発は起こらないだろう。彼らは
全員地上にいる。
(ダメだ、幾ら考えても憶測を出ない)
 実際に現場に行ってしまえばいいのだが、いかんせん距離があるし、正確な位置
は把握できていない。
「……今日はここまでやな」
「……そうですね」
 切り出した葛城に、鳥谷は同意した。それに、あまり家を空けて、矢野を一人に
しておくわけにはいかない。
 結局取り立てて収穫もないまま、帰路につくことにした鳥谷は、ようやくこの危険
な場所から解放されることにほっと息をついた。
 だがそこで、新たに一つの危機に直面することに気付く。
「じゃ、降りるぞ」
「えっ、降りるんですか!?」
「ずっといたいならそれでもええけど……」
 こともなげに降りると言った葛城が、するすると下界へと降りていく。その姿に
余計に焦った。
「ちょっ、待てくださいよ! どうやって降りたら……うわっ!?」
 雨を吸い、ぬめった木の表面で足を滑らせかけ、慌てて手近にあった枝にしがみ
つく。成人男性の体重を受け、その枝が嫌なしなりを見せた。
106174(4/6):2007/01/18(木) 00:35:00 ID:kqpHyExZ0
 登るよりも、降りる方が怖い。
(これはちょっと……)
 心底、己の選択を後悔した鳥谷敬だった。


「ほいっと」
 まさに猿のごとき手際の良さで地面に降り立った葛城が、聞こえよがしに軽快な
かけ声を発した。
「ちょっ、葛城さん! 人登らせといて無責任じゃないですか!?」
 上を見上げると、まだ中腹辺りで四苦八苦している後輩の間抜けなポーズにお目
にかかれた。普段取り澄ましている彼でも、やはり苦手なことはあるらしい。
 これは少しおもしろい発見だ。今度関本や浅井あたりに教えてやろう。
「じゃ、頑張りたまえタカシくん」
「葛城さーん!」
 悲鳴とも怒声ともつかないゴールデンルーキーの叫びを背中に聞きながら、葛城
はスタスタと来た道を戻った。
「あー、おもろ」
 意地の悪い笑みを浮かべながら、独りごちる。
 実にからかいがいのある後輩だ。
 もちろん、葛城も鬼ではないし、こんなところに彼を一人で放っていくほど考え
なしでもない。彼が見失わない程度のところで待っておいてやるつもりだ。あるい
は、その辺の茂みの影にでも隠れて脅かしてやろうか、などの子供じみたいたずら
心が過ぎる。
「ちょっとはマシになったかな……」
 適当なところで立ち止まり、木に凭れる。
 雨の中、森で行き倒れていた鳥谷と矢野を発見した時は、それはもう酷いもの
だった。
 いや、自分の状態も、大概良好なものではなかったが――
 木戸と別れた後、定時放送の岡田の言葉で、彼の証言が正しかったことが証明
された。もっとも、穿った見方をすれば、彼らが初めから口裏を合わせてそういう
設定にしている、とも考えられるのだが。
107174(5/6):2007/01/18(木) 00:35:49 ID:kqpHyExZ0
 しかし、実際殺し合いの場で単体でウロウロするのは、それだけでも相当なリスク
を伴う。参加者全員に彼らの途中参加を公表し、『見かけたら遠慮せずに殺せ』と
指示するくらいだから、協力しているとは考えにくい。
 やはり木戸の言葉は真実だったのか。
(ほんまわけ分からんわ……)
 あれだけ真っ直ぐに自分を見てきた濱中が嘘をついており、どこまでも胡散臭かった
木戸が自分たちを助けに来た人間だという。
 外見や先入観では測れない。誰を信じていいのか、疑っていいのか。
 解答の出ない疑問に苛まれ、どうにかなってしまいそうだった。
 降りしきる雨に舌打ちしながら、地図にある民家を目指し森を横断していた葛城
が2人と一つの死体を見付けたのは、ほんの偶然だ。
 光の届かない暗い森の中で、うっすらと灯る明かりを見付けた。それは決して強
い光ではなかったが、夜闇に慣れた目に止まるには十分だった。
 近づこうとした矢先につまづきかけた、銃殺死体。桧山進次郎だった。
 これだけでももうパニックだった。
 近づくと明かりは地面に落ちた懐中電灯であることが分かった。その傍らには、
折り重なったまま動かない二つの人影。
 背筋が寒くなった。相討ちか、大量殺人か。三つの死体に囲まれ、大声で叫んで
その場から逃げ出そうかと考えた矢先――
 もう一人を守るようにして抱えている人物が、よく知る後輩であることに気付いた。
 そこで理性を取り戻すことのできた葛城が、彼らが生きていることを確認し、鳥谷
を起こしたことで今に至るのだが、目を覚ました彼の精神状態が安定したものでない
のは誰の目にも明らかだった。
 憔悴しきった顔。会話こそはしっかり出来ていたが、何を言っても反応が薄い。
 ただ、矢野を担いで帰ると言った彼に、代わりに担いでやると申し出た時の拒否
する頑なさは異様だった。
 とりあえず今は、葛城相手に憎まれ口を叩いたり、叫んだり感情を表に出したり
することは出来るようになったらしい。少しずつ、普段通りの姿を見せるように
なった後輩に安堵する。
(普段――いや、普段よりも、いい感じかもな)
 不謹慎だが、この場にそぐわない感想を抱く。
108174(6/6):2007/01/18(木) 00:37:05 ID:kqpHyExZ0
 彼らの間に何があったのかは、鳥谷の話を聞きかじっただけでは真実は分からない。
 だがあんな風に、弱い感情を表に出せるのは良い傾向だと思う。
 決して順風満帆とは言えないルーキーイヤー。
 のし掛かるプレッシャーや謂われのない中傷に、心身共に疲弊していないわけが
ないのに、決して弱音を吐かないタフなルーキーが葛城は心配だった。
 気晴らしにと強引に飲みに連れて行ったりもしたが、愚痴のようなものはトンと
聞いたことがない。結局、葛城の方が日頃のストレスをぶちまけ、それに聞いて
いるのか聞いていないのか分からない顔で頷くのが常だった。
(それがどうだ? 何があったのか知らんが……)
 「怖い」と彼は言った。
 そんな風に弱音を吐いてくれたのが、意外に嬉しかったりするのだ。
(あいつにとってそれは、多分……いい傾向だ)
 それを『成長』などと言う言葉でまとめるのは、まるで自分が彼の親か何かの
ようでおこがましい話ではあるが――
「葛城さん?」
 唐突に、名前を呼ばれた。
 それは、予想していたのとは別の方向から。
「!?」
 注意力が散漫になっていた自分に気付く。慌ててそちらを振り向くと、いきなり
懐中電灯を向けられた。眩しさに思わず目を瞑る。
「あ、すみません。光量を落とした方がいいですね」
 落ち着いた声と同時に、一気に辺りが薄暗くなる。手で押さえるか、布をかける
かしたらしい。うっすらとこちらを照らす明かりは、相手の顔を確認するには十分
だった。
 一本の木の裏から、のそりと姿を現した人影にギクリとする。
「伊代野……?」
 伊代野貴照(背番号67)の幼さを残した顔が、じっとこちらを見つめていた。 

【残り36人】
109代打名無し@実況は実況板で:2007/01/18(木) 00:46:06 ID:4O0t+4/60
新作キタ━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!
(=゚ω゚)ノぃょぅのキタ━━━(゚∀゚)━━━━━!

職人さん乙です!
続きが…続きが気になるよ葛城ーーー!!!
110代打名無し@実況は実況板で:2007/01/18(木) 00:57:30 ID:HqYNqgjDO
ギャ―!立川に続いて出番ないNo.2だった伊予野もキタ―!!
職人様乙です!葛城、いきなり大ピンチだががんばれ(涙)
111代打名無し@実況は実況板で:2007/01/18(木) 01:23:31 ID:rQFNQ3010
新作乙乙乙
伊代野がどんなだったか読み返さないと思い出せないぜ・・・
112代打名無し@実況は実況板で:2007/01/18(木) 05:30:48 ID:RKcpBe2rO
なぁみんな今日球団事務所に電話して海苔獲得するよぉにお願いしようや!
確かにゴタゴタあって批判的になるかもしれないが…関西の星をこのまま見捨てるには可哀想!
代打の切り札でも使ってくれとお願いしようや!
昔の阪神なら間違いなく獲得する!
今の球団の考えにみんなで意見してみよや!
ファンの声で球団を動かそう!
今すぐ104で甲子園阪神球団事務所の電話番号を調べよう!
113代打名無し@実況は実況板で:2007/01/19(金) 12:27:17 ID:l/Lyiu/bO
☆ゅ
114代打名無し@実況は実況板で :2007/01/19(金) 15:25:14 ID:NTzWEv2P0
捕手
115代打名無し@実況は実況板で:2007/01/20(土) 01:06:26 ID:O56upr4/O
保守age
116代打名無し@実況は実況板で:2007/01/20(土) 22:53:23 ID:B43ZmKps0
いちおうほしゅ
117代打名無し@実況は実況板で:2007/01/21(日) 11:49:47 ID:sjCfFAbS0
ほしゅしときます
118代打名無し@実況は実況板で:2007/01/22(月) 06:50:45 ID:yj8d7MmJ0
保守!
119代打名無し@実況は実況板で:2007/01/22(月) 20:45:11 ID:im/crbRA0
保守保守
120代打名無し@実況は実況板で:2007/01/23(火) 11:13:59 ID:yvNN2KlW0
保守保守保守
121代打名無し@実況は実況板で:2007/01/23(火) 13:31:00 ID:L0muOypBO
矢野
122代打名無し@実況は実況板で:2007/01/24(水) 01:01:32 ID:zmoizmgCO
浅井
123代打名無し@実況は実況板で:2007/01/24(水) 19:12:25 ID:vw0dfYVB0
狩野
124代打名無し@実況は実況板で:2007/01/25(木) 02:49:37 ID:OtLcPauT0
野口
125代打名無し@実況は実況板で:2007/01/25(木) 19:20:46 ID:MBNAqMOs0
小宮山
126代打名無し@実況は実況板で:2007/01/25(木) 22:34:17 ID:mMY3aQkAO
珍カス魂
127924(1/3):2007/01/25(木) 23:19:36 ID:uIE0ridb0
>>108より
142.逡巡

雨はすっかり上がり、雲の切れ目から煌々と輝く月が顔をのぞかせていた。
ヘリコプターの周辺は墜落の影響で木々がなぎ倒されており、ほとんど
さえぎられることなく青白い光が降りそそいでいる。くっきりと照らし出された
四つの人影がうごめくさまを、秀太は息を殺して見つめていた。
どうやら中村豊は彼らのもとに帰っていないらしい。負傷などでアジトに
留まっている可能性もあるものの、他のメンバーがこぞってここに来ている
ところを見ると、戻っていないと考えるのが妥当だろう。ならば、四人は今でも
行方不明となった中村と自分を案じているのだろうか。自分の裏切りも
知らず、なんの疑いもなく待ってくれているというのか。

秀太は自分の胸がきりきりと痛むのを感じた。
(今さら戻れるわけ……ないのに)
中村を殺そうとしただけではない。あれからさらに庄田の命を奪い、関本に
傷を負わせ、今またウィリアムスを捕らえて恐ろしいプロジェクトの犠牲に
供しようとしている。こんなにも罪を重ね、どうして戻れようか。
(バカ! そんなこと、どうでもいいだろ!?)
いつまでも迷いを捨てきれない自分に腹が立つ。今考えねばならないのは、
突然現れた邪魔者たちをやり過ごして一刻も早くウィリアムスを首脳陣に
送り届けること。ただ、それだけだ。

だいたい戻るも何も最初から――ゲーム開始前に岡田に持ちかけられた話を
受けたあの瞬間から、自分は彼らの仲間になどなり得ない立場にあるのだ。
思い出してみるがいい。ゴレンジャーに喜んで加わったのも、元はといえば
彼らを殺すためだった。
(殺す――)
思わず地面についた指の先に、冷たく固いものが触れた。見ると、ウィリアムスのマシンガンだった。
128924(2/3):2007/01/25(木) 23:21:27 ID:uIE0ridb0
(これで……)
秀太は恐るべき威力を持つその武器を拾い上げた。自分の拳銃とは比べ物に
ならない。これなら、たとえ相手が四人でも問題ないだろう。向こうが殺意を
持たない人間なら、なおさらだ。
(いっそ今、殺してしまえば……いいんじゃないか?)
これほどまでに悩むのも、苦しいのも、全ては目の前の四人のせいだ。
この未練を断ち切らない限り、自分は迷い続けてしまう。
「秀太――? 中村さん――!?」
不意に、赤星の声が聞こえた。突然名前を呼ばれた秀太はマシンガンを
握り締めたまま、雷に打たれたように全身を引きつらせた。


「待て、レッド」
金本は思い切り腕を伸ばし、走り出した赤星の襟首をむんずとつかんで
引っ張った。
「慌てるな。まだあいつらとは決まっとらん」
「でも、二人じゃなかったとしても、誰かがそこにいるんですよ? もしかしたら、
ケガでもしていて……」
「わかっとる。まあ、落ち着け」
もがく赤星を制して下がらせると、金本はおもむろに一歩前へ出た。

「――そこの茂みの陰にいる二人、聞こえるか? わしは、金本じゃ。赤星と
 藤本、的場も一緒におる」
金本は大きな声でゆっくりと呼びかけた。
「なんで分かるかって? こっちには選手の居場所が分かる探知機があるけえ
 のう。誰かということまでは分からんが、とにかくそこに二人おるのは
 お見通しなんじゃ。で、四人も一緒にいるから分かると思うが、わしらは
 殺し合いに乗る気はない。そっちも二人でいるということは、多分そうなん
 じゃろう。違うか?」
二人一緒にいるからといって、彼らが必ずしも仲間同士であるとは限らない。
たとえば殺しあった者同士が相討ちとなり、双方動けず倒れているのかも
しれない。だが、とりあえずは仲間だという前提で声をかけてみる。
129924(3/3):2007/01/25(木) 23:23:02 ID:uIE0ridb0
「もしそうなら、そこから出てきて、わしらの仲間になってくれんか?」
一番言いたかった台詞を投げかけ、金本は相手の反応を待った。だが、
前方の茂みは相変わらず不気味な静寂に包まれたままだった。
「ほれ、お前らもなんか言わんか」
金本は振り返り、残りの三人を促した。
「……そうです。金本さんの言ったとおり、僕らは殺しあう気なんかありません。
 というより、何とかしてこんなゲームを止めたいんです」
赤星がまず口を開いた。藤本と的場が負けじと続く。
「そのために、もっと仲間がほしいと思ってるんです」
「頼むから、俺たちと一緒に来てください」


マシンガンを両腕でかかえ、秀太はじっと身を固くしていた。かつての「仲間」
たちの無邪気で真摯な訴えが幾本もの矢のようにわが身を突き刺し、痛め
つける。彼らは変わらない。何も変わっていない。一つまた一つと罪に手を
染め汚れていく今の自分には、その純粋さがねたましく、憎しみすらおぼえる。
(だから! 殺してしまえ――)
だが、なぜか身体は動かなかった。


「なんで出てきてくれん? ひょっとして、ケガでもしていて動けんのか?
 だったら、今からそっちへ行ってもいいか?」
ついに金本は思い切った。もし相手が負傷しているなら、急がねばならない。
「サル、ちょっとの間こいつを持っとけ」
相手に意識がある場合、手ぶらで近付かなければ警戒させてしまうと思い、
手持ちのサブマシンガンと懐中電灯を傍らの藤本に渡そうとした時だった。
「あ――」
その時、探知機に目を落とした赤星が声を上げた。
「後ろから、誰か来ます!」

【残り36人】
130924:2007/01/25(木) 23:30:20 ID:uIE0ridb0
すみません、修正します……
>>127の最終行「見ると、ウィリアムスのマシンガンだった。」
改行し忘れていました。
それから>>129の下から2行目「その時、」は不要でした。
131代打名無し@実況は実況板で:2007/01/25(木) 23:41:57 ID:MBNAqMOs0
フオオォオ!!!新作キタ━━━(゚∀゚)━━━━━!
職人様乙です!!
どうなるんだゴレンジャー・・・!(ノД`)
秀太の葛藤も辛いorz
132代打名無し@実況は実況板で:2007/01/26(金) 00:50:32 ID:6BaZyOe50
お、お、俺のゴレンジャーは助けて・・・殺さないでえええええ。・゚・(ノД`)・゚・。
133代打名無し@実況は実況板で:2007/01/26(金) 01:04:42 ID:M6RoR5k5O
新作キタ━━━(゚∀゚)━━━!!!!
乙です!

今回やっと気がついたけど、秀太って殺人にはまだ庄田1人しか成功してなかったのか…
あとは失敗続きで…
134代打名無し@実況は実況板で:2007/01/26(金) 06:57:10 ID:hS8tt0GZ0
秀太さん、やさしい秀太さんになってよぉぉぉ!
135代打名無し@実況は実況板で:2007/01/26(金) 14:17:59 ID:dPxBjonX0
新作乙です。
って、誰が来たんだぁぁぁぁぁぁ!!!
この「後ろからの誰か」がゴレンジャーが無事ですむかの鍵を握っているのか!?
136代打名無し@実況は実況板で:2007/01/27(土) 19:53:14 ID:sf7Qs0GqO
捕手
137174(1/13):2007/01/27(土) 23:29:30 ID:E5f1KWJy0
>>129
143.Thank you for your everything

「こんな夜中に木登りですか」
 世間話のように切り出してくる伊代野に、葛城は一歩下がって相手の様子を探った。
「さっきの爆発、聞きました?」
「ああ……」
 だが、木の陰から出てきた伊代野は、それ以上近づいてくる気はないようだった。
向こうも警戒しているのかもしれない。
「何が……起こってるんでしょうね?」
 こちらに分かるわけもないことを問いかけてくる声は、落ち着いてはいるが、不安
に揺れてるようにも聞こえた。
 薄暗い中、目を凝らしたらやっと見える、泥にまみれたユニフォーム。雨上がり
の森で木登りをしていた自分も、たぶん向こうから見たら同じように泥まみれに見
えるのだろう。
「葛城さん」
 十分な距離を置いたまま、相手を観察していた葛城に、積極的に声をかけてくる
のは伊代野の方だ。
「ご相談したいことがあるんです」
 もう一歩、下がった。
「警戒しますよね?」
 読めない相手の動向に、明らかに警戒心を増した葛城に気付いたらしい伊代野が
苦笑する。
「俺が危ないと思ったら、いつでも逃げてください」
 そう言って伸ばされた人差し指の先を、伊代野が懐中電灯で照らした。
 一本の倒木が横たわっていた。
 

 伊代野が倒木の端に座った後、葛城は逆の端から恐る恐る近づき、バッド一本半
程距離を空けて座った。
 落ち着かない空気の中、お互いが体勢的には落ち着いたところで、沈黙が背に
のしかかった。
138174(2/13):2007/01/27(土) 23:30:34 ID:E5f1KWJy0
「実は俺、人を殺してしまったんです」
「……っ」
 唐突に切り出された告白に、全身が強ばった。恐怖というよりは、そのことを自分
に告白してきた伊代野に、自身の罪をも見透かされているような衝撃を感じた。
 吐露した彼の横顔をのぞき見る。
 膝の上に組まれた両手に落とされた視線。
 まるで牧師に向かい懺悔するようなその仕草に、肋骨の内側がサボテンを押し込めた
ように痛んだ。
 自分も言ってしまうべきだろうか。
 鳥谷にも言っていない秘密だ。
「……実は……俺も人を殺した」
 絞り出した声は、ギリギリ伊代野に聞こえたはずだ。それでも、彼はさほど驚いた
様子は見せなかった。一度だけこちらを見やり、また視線を手元に落とす。
 その仕草に促されるように、葛城は今まで誤魔化し、隠し続けていた思いを吐き
出した。
「不可抗力だったんだ。――いや、言い訳やな。だけど俺に殺意はなかった。殺す
気なんてこれっぽっちもなかった。ハメられたんや……あいつに」
「その気持ち、よく分かりますよ」
 優しく、頷く伊代野。
 彼も人を殺して『しまった』と言った。
「でも、人殺しは人殺しですよね」
 そのセリフが、ズシンと心臓にのし掛かる。
「俺思ったんです。人殺しの罪に段階はあるのかなって。ほら、裁判とかでは同じ
人殺しでも、罪の重さって違ってくるじゃないですか。あれって正しいと思います?」
 裁判、といきなり現実的な話を持ち出されて、葛城は一瞬回答に詰まった。あまり
真剣に考えたことはなかった。ニュースで流し見るだけのそれは、どこか別世界の話
のように思っていたからだ。
「俺は正しいと思ってたんです。でも、いざ殺してみると、よく分からなくなって……」
 伊代野の視線に呼応するように、組まれた両手で作られた輪が歪んだ。
139174(3/13):2007/01/27(土) 23:32:01 ID:E5f1KWJy0
「だってどんな事情があっても、人を殺したことに変わりはないでしょう? 俺たち
は今殺さなきゃ殺されるような世界にいるけど、それでも人殺しは人殺しだ。正当化
なんてされない」
 一息でそう言った伊代野の顔は、奇妙に歪んでいた。泣き出しそうにも見えるし、
笑い出しそうにも見える。
 やがて大きく息を吐き出し、結論を突きつける。 
「人殺しは罪なんです。罪に段階なんてない」
「……そんなに、自分を責めるな」
 我ながら陳腐な台詞だと思いながらも、慰める。
 うなだれた伊代野の姿は決して格好のいいものではないが、そんな彼に、葛城は
尊敬の念すら抱き始めていた。
 彼は自分が逃げ出していた問題に、真っ向から立ち向かっているのだ。
 その末に苛まれている。
 考えれば考えるほど、自分の罪の重さに、自己嫌悪の沼にはまっていく。
「俺も、お前と同じやからよく分かる。『仕方がない』なんて言葉本当は使っちゃ
いけないんや。その人の命を奪ったという事実そのものがその人に対する罪なんやから」
 佐久本を思い出す。彼には妻も子もいたはずだ。
 彼の人生を奪うと同時に、見知らぬ彼の妻の夫と子供の父親という大切な存在を
奪ってしまった。
 伊代野は理屈っぽい男だった。
 行き当たりばったり、勘と本能で行動する葛城とは違い、己の行動一つ一つに納得
できる意味を持たせるのを好む男だった。
 そしてその習性は、この場合不幸を呼ぶもの以外何ものでもなかったに違いない。
「でもな、自分を正当化したくないからって、自分を責めてばかりいてもしょうが
ないやろ? 頭おかしくなっちまう。……ああもう、俺もこんなこと言ってたら自分
がすっげー自己中な嫌なヤツな気がしてイヤなんだけどよ。割り切るっていうか……」
「割り切る?」
 ピクリと、伊代野の肩が揺れた。
140174(4/13):2007/01/27(土) 23:34:51 ID:E5f1KWJy0
「そう。だってさ、起こっちまったもんは仕方がないんや。……あー、また仕方が
ないって言葉使っちまったな。仕方がなくはないんやが、ただずっと自分の罪を責
めててもさ……なんつーか、前に進まないやろ? あんなことがあったけど、俺は
やっぱり生きていたいと思うし、それはエゴだって分かってるけど、誰かを殺した
からじゃあ俺も償って死にますっていうのもまた違うと思うんや。生きて償うって
のが、どうやって出来るのか自分でもよく分からんけど……」
「割り切る……」
「あ、割り切るってのはちょっと嫌な表現やったな! そんな無責任なもんじゃ
なくて……」
「よく分かりました」
「え?」
 その声の場違いな明瞭さに、思わず聞き返した。
「ありがとうございます、葛城さん」
 こちらを向いた伊代野の瞳には、力強い輝きが戻っていた。
「葛城さんに相談してよかった。やっぱり、自分が間違っていないって自信が持て
ました」
 興奮気味に身を乗り出した彼の口から、止めどなく言葉が溢れた。 
「そうです。割り切るしかないんです。本当はあの時分かってたんです。絶好の
チャンスだったから沖原さんを殺した時、俺に罪悪感はなかった。あの時あんな
にも容易く引き金を引けたおかげで、俺は生き残る為に必要な勇気を手に入れる
ことができた。――1人殺しても、2人殺しても罪の重さは変わらないって」
 この男はこんなにも饒舌だったのかと。
 息を継ぐ間もなく、滑舌良く巻くし立てる伊代野に圧倒されていた。
 だが最後の言葉に、葛城は自分が押すボタンを間違ってしまったことを悟った。
 いつの間にか、伊代野との間合いが詰まっていた。間近で見るユニフォームの
汚れが泥ではなく、赤黒く染みついた血の跡であることに気づいた時――伊代野
が動いた。
 ようやく身体が動き、逃げだそうとした葛城の背中に熱い衝撃が走った。
「ぐっ……」
 激痛に、その場に倒れ込む。何とか身を捻ると、薄暗い中に浮かぶ白々しい
輝きが目に入った。
 無造作に伊代野がぶら下げる、日本刀。鋭利な刃にこびりついた、渇いた血。
141174(5/13):2007/01/27(土) 23:35:31 ID:E5f1KWJy0
(俺は……また騙されたのか?)
 童顔で年以上に幼く見える彼の姿に、同じく童顔の後輩の顔が重なる。虫も殺さ
ないような顔で自分を唆し、罪を背負わせた悪魔。
 伊代野もまた、あの男と同じ種類の人間だったのだろうか。
(違う。こいつは迷ってたんだ)
 時間が経つにつれ、彼が罪とは何か、人殺しとは何かという課題に苛まれていた
のは事実だ。あの告白は決して偽りのものではない。そう信じたい。
 彼が迷った末に相談した相手が葛城であったのは偶然だ。そして葛城が人を殺した
過去を持つ人間であったのも偶然だ。
 そんな偶然が重なり、葛城は逃げずに人殺しの伊代野の相談を受け――そして、
引き金を引いてしまった。
(俺はどう応えれば良かったんだろう)
 人殺しは悪だと責めて立てれば良かったのだろうか。
 一人殺すのと二人殺すのは罪の重さが全然違うから、今ならまだ償える、間に合う
と気休めを嘯けば良かったのだろうか。
「葛城さん!?」
 その時、今一番聞きたくない声が耳に入った。
(ダメだ――!)
 地面に顎を擦り付けながら、無理矢理顔を動かす。
 駆け寄ろうとしていた鳥谷が、状況を把握し、愕然とした様子で足を止めた。
 もう葛城は時間の問題と思ったのか、伊代野の足が鳥谷へと向く。
 日本刀を振り上げ、飛びかかろうとした足にしがみついた。
(頼む、来るな、来ないでくれ!)
 完全に伊代野の殺意は今、鳥谷に向いている。不用意に近づいたら、葛城の二の舞だ。
「くっ……」
 しがみついてきた葛城に、伊代野が動きを止められ、疎ましそうに呻いた。
 力任せに足を振り上げようとしてくる相手に、石にでもなったつもりでかじりつく。
 背中の傷は、もはや痛いという感覚のレベルを逸していた。致命傷だ。今すぐ救急車
が駆けつけてくれて集中治療室に放り込んでくれたら一命を取り留めるかもしれないが、
そんな期待はこの島では出来そうにもない。
(俺は死ぬ)
 だったら……
142174(6/13):2007/01/27(土) 23:36:10 ID:E5f1KWJy0
(可愛い後輩を逃がしてやるくらいしか出来ることはないんじゃないか!?)
「鳥谷! 逃げろ!!」
「でも……!」
「早く行けぇ!」
 地面に石膏で塗り固められたように動かない鳥谷に舌打ちする。自分だって長く
は持たない。押し問答をしている時間はない。
「くそったれ!」
 自分はまだ生きている。やがて死ぬにしても、まだ生きているのだ。だから、彼
は葛城育郎を見捨てることが出来ない。
(俺を見捨てて逃げろと言って逃げるヤツじゃないか……だったら――)
 言い方を変えるしかない。
「お前は、早く矢野さんのトコに行ってやれ!」
 その言葉に、初めて鳥谷の表情に迷いの色が浮かんだ。
「あんだけ離れようとしなかったやろうが! お前が死んだらあの人はどうなるんだ!」
 どうなるかなんて知らない。高熱の病人を放っておくのは心配だが、普通なら
眠っていればそのうち治るし、風邪さえ治れば彼は一人でも生きていけるだろう。
 葛城が知る限り、矢野輝弘という男はとても強い。
 肉体的な強さというわけではない。筋力や喧嘩の強さでは、同じくチームリーダー
で同級生の金本や下柳には劣るだろう。
 だが、内面的な、芯の強さという意味では、彼らにも勝るかもしれない。
 少なくとも、10歳以上年下の鳥谷が守ってやらねばならないほど、彼は弱い人間
ではないはずだ。
 だがそんなことはどうでもいいのだ。口実が必要だった。
 理由はよく分からないが、ここまでの言動を見る限り、鳥谷は矢野に対して何らか
の使命感や責任感を負っている。
 それを利用して、彼をこの場から追い返すことが出来ればそれでいい。
(俺なんかに付き合って、ここでお前は死ぬわけにはいかないんだろうが……!)
 未来のある若者。チームを、もしかしたら球界を背負うことになるかもしれない青年。
 無限に広がる可能性や才能が妬ましくなかったと言えば嘘になる。だが、こんな
ところで未来を閉ざされるのはあまりにも悲しい。そんなことで喜べるほどエゴの
塊ではないつもりだ。
 彼の才能の裏付けには、驕らない努力があることはよく知っているから。
143174(7/13):2007/01/27(土) 23:38:29 ID:E5f1KWJy0
「とっとと行け! 先輩命令や!」
(不甲斐ねぇ先輩だけどな!)
 トレードで流れてきて、一軍とファームをうろうろしている先輩と、鳴り物入り
で入団した期待のゴールデンルーキーの後輩。
 彼が名実共にタイガースの主力になった暁には、世話をしてやった礼にメシでも
おごらせる予定だったが、どうにもそれは敵わないらしい。
「俺は大丈夫やから!!――鳥谷ッ!!」
 葛城の全身全霊の叱咤に、一瞬、鳥谷の顔が泣きそうに歪んだ。
「信じてますからッ!!!」
 一言そう叫び、ようやく鳥谷が踵を返した。そこからは、振り返りもせずに全力
で走り去る。そのことに、葛城は安堵した。
(そうだ、それでいい)
 『信じている』という言葉は、そのまま自分が『大丈夫』といった台詞にかかる
のだろう。残念ながら大嘘だ。自分が彼に嘘をつくのはこれが初めてではないから、
まあ許してくれるだろう、という適当な言い訳を考える。
(ああそれとも――)
『それとも、俺じゃあ信用ないか?』
 先延ばしにされていた、あの質問の答えだろうか。
 それなら、死ぬ前にいい土産が出来た。
 目の前が暗くなっていく。手探りで伊代野の腕を伝い、右手に握られた日本刀を
掴んだ。片刃が指に食い込む激痛も、袈裟切りされた背中の傷に比べれば蚊に刺され
たようなものだ。
「っ……がぁぁぁっ!」
 今まで引き留めていた足を離して、タックルをかます。元々体重をかけていた方向
に急に力を加えられ、よろめいた伊代野に飛びかかった。
(こいつも決して悪いヤツじゃなかったんだ)
 少なくとも、人を殺した罪というものを真剣に考えるだけの良心と倫理を持った
ヤツだった。もしかすると、考えることを放棄した自分より良心的な人間だったかも
しれない。
 彼も自分も、このゲームの犠牲者だ。自分達が殺しているのではなく、このゲーム
が殺させているのだ。
144174(8/13):2007/01/27(土) 23:39:28 ID:E5f1KWJy0
「お前みたいなヤツは、これ以上罪を犯しちゃダメなんだよ!!」
 倒れ込んだ相手に馬乗りになって叫ぶ。
「お前やって分かってンやろ!? これ以上繰り返してどうする!?」
 一人殺すごとに、きっと彼はまた悩み続ける。
 悩んで、苦しんで、そして壊れていく。
 悲し過ぎる罪の連鎖。
「お前ははじめっから人殺しになんか向いてなかったんや! もっと何も考えずに殺
れるような人間じゃなきゃあかんねん! お前は、イイヤツ過ぎんだよ!! ゲホッ
……ガ、…ゴポ……ッ!」
 よくもまだこんなデカイ声が出せるものだと思う。そのツケか、肺の辺りから不快
な感覚が迫り上げ、噎せ返った拍子にごぽごぽと朱い血が吐き出された。嫌な音を立
てて落ちたそれが、組み敷いた伊代野の顔に飛び散る。
 フッ……と、他人の吐血まみれになりながら、伊代野が嗤った。
 その瞬間、この男と何かを共有できた気がして、葛城も笑ってみた。
 多分、笑顔を作れるだけの筋肉は、もう動かなくなっていただろうが。
 刃を握る手に力を込める。そろそろ、数本指が切れ落ちた頃だろうか。
(なぁ神様)
 いるのかいないのか分からない、高みの見物をしている白髪白髭の爺に問いかける。
(やっぱり、人殺しに段階はあるのかい?)
 二人目を殺したら、やっぱりそれは地獄行き決定なんだろうか。
 それが誰かを助ける為でも。
 だったら、相討ちはカウントに入れないようにして欲しい。お互い殺し合ったん
だからプラスマイナスゼロだ。よく分からないがそういうことにしておこう。
(伊代野――)
 あの世にも情状酌量の余地があるなら、是非とも弁護人には伊代野に立ってもらい
たい。佐久本は多分弁護してくれないだろう。訳も分からず殺されたのだから。
(代わりに俺が、足りねぇ頭で精一杯お前を弁護してやるから)
 意識を失う直前。
 最後の力を振り絞り、葛城は伊代野の首に日本刀を振り落とした。
 
 天国へ行く勝訴をもぎ取ったら、2人で一緒に祝杯を挙げよう。
145174(9/13):2007/01/27(土) 23:40:13 ID:E5f1KWJy0
 木の根に躓いて転倒する。
 服の上から擦った膝が痛い。
 泥と血の味を口の中に感じながら、鳥谷は額を土にこすりつけて奥歯を噛み締めた。
 ここまで全力で走ってきて、身体は動くことを拒否していた。それでも、無理やり
に身体を動かそうと藻掻く。脳をドラム式洗濯機に放り込んだような混乱。まるで
無茶苦茶に、極彩色の感情がぐるぐると駆け巡る。
(帰らないと……)
 ほんの少し目を離していた間に、葛城は殺された。
(そうだ、殺された――!)
 その事実にグラリと視界が揺らぐ。
 『信じている』? どの口がそんな無責任な言葉を吐き出すのだろう。
 どう見ても致命傷だ。日本刀で背中を裂かれ、こんなろくな医療設備もない場所
で生き延びられるわけがない。それは本人だって分かっていたはずだ。それなのに
――だからこそ、身を挺して自分を逃がそうとしてくれた。
 立ち眩みを起こしそうな絶望に苛まれる。
 堪え、鳥谷は立ち上がった。
(そうだ、殺された)
 そして、自分は見捨てた。
(早く、帰らないと……)
 ほんの少し目を離している間に、今この瞬間、矢野が目を覚まして、再びあの家
を離れる決意をしているかもしれない。
 誰かが忍び込んでぎらついた刃を向けているかもしれない。
 今まさに、誰かが忍び込んで。足音を潜ませて……
 眠る矢野輝弘。その喉元に突き付けられた――月光に浮かぶ刃の輝き。
「……っ!」
 想像の中の白刃に、数分前にリアルに見たそれが重なり、鳥谷は息を飲んだ。
 少し。
 ほんの少し。
 ほんの数分。
 ほんの数秒。
 ほんの少し前まで、確かに葛城育郎は隣で笑っていたというのに。
146174(10/13):2007/01/27(土) 23:41:29 ID:E5f1KWJy0
「何で……」
 別れはあまりにもあっさりと訪れた。重い言葉を交わす暇すらなかった。
『そりゃあ葛城さんは得意かもしれませんけど、……俺はこういう野蛮なことは
あんまり』
『悪かったな、野蛮で』
『ちょっ、葛城さん、人登らせといて無責任じゃないですか?』
『じゃ、頑張りたまえよ、タカシくん』
 彼と別れる前の最後の会話。あまりにも軽くて、馬鹿らしいそれに後悔する。
 森の中で矢野と行き倒れていた自分を助け、ここまで世話してくれた先輩に、
悪態しかついていない。
『それとも、俺じゃあ信用ないか?』
 あの時、応えなかった自分に彼はどう思ったのだろうか。
 信用の定義なんかを小難しく考えて、結局その答えを先延ばしにしてしまった。
 信じていなかったわけではないのに。
 信頼とか信用とか、そんな無形のものを理屈と言語でこねくり回して、賢くなろう
としていた。
(誰かを信じることは理屈じゃないのに)
 自分の信頼の在処を探したとき、思い浮かんだ顔が葛城育郎だった。
 何故あの時の気持ちをそのまま言葉に出来なかったのだろう。
 自分のことで精一杯で、彼がどんな気持ちで自分に接してくれていたのか、気遣う
余裕などなかった。結局、葛城がどんな体験を経て、あの時あそこにいたのか、それ
すらロクに聞けずじまいだった。
 つつけば溢れて零れ出しそうな脆い均衡に縋って、現状から目を逸らしていた。
 多分、自分はそういう人間なのだ。
 真正面からぶつかることも、自分の気持ちを正直にぶつけることも、避けて取り
繕って、大切なことを伝え損なうのだ。
147174(11/13):2007/01/27(土) 23:42:16 ID:E5f1KWJy0
 助けてくれてありがとうとも。
 一緒に来てくれてありがとうとも。
 信用してくれてありがとうとも。
 心配してくれてありがとうとも。
 言わなきゃいけないことはたくさんあって、言うチャンスはたくさんあったはず
なのに。
「俺は何一つちゃんと伝えてない……ッ!」
 軽口を交わせる居心地の良さに甘えていなかったか。
 目の前を遮る枝をちぎり取る。自身への怒りの捌け口を求め、それすらも原動力
に変えて、鳥谷は限界の来た身体に鞭打って走り続けた。
(いつも同じだ)
 和也も、桧山も、葛城も。
 失う度に後悔ばかりしている。
 自己への嫌悪感に、ココロがどうにかなりそうだ。
(もう、繰り返さない……)
 涙と泥を袖でぬぐい、鳥谷は口を結んだ。
 これ以上失いたくはない。伝え損ないたくない。
 誰のために葛城を見捨てて来たのか、誰のためにここまで走り続けているのか、
それが明確なのだけが今の鳥谷にとっての救いだった。きっと何もなく逃げ出した
のなら、己が生きていることすら許せなくなる。
 鬼のような形相で、刃物を振りかざす伊代野を前にして、咄嗟に足がすくんだ。
(俺は――)
 無力だ。
 誰かを見捨てて逃げるしか出来ない人間が、誰かを護ろうなんて思い上がりもいい
ところかもしれない。それでも。
「俺は――」
 視界が開け、集落が近づいてくる。もう何度も通ったその道を、ほとんど感覚だけ
で走り抜け、鳥谷は一見の民家を目指した。
 質素な門構えの一軒家が近づいてくる。
『矢野さんのこと、頼むぞ』
『お前が死んだらあの人はどうなるんだ!』
 彼は――矢野輝弘は――あそこにいるだろうか。
148174(12/13):2007/01/27(土) 23:42:55 ID:E5f1KWJy0
「俺は――っ!」
 バタン!
 蹴破りそうな勢いでドアを開け、締める。
 土足のまま家に上がり、ある部屋のドアを開く。
「ハァ、ハァ……ッ」
「鳥谷……?」
 息を切らし、飛び込んできた後輩に、矢野が驚いたように呼びかけた。
 布団の中で身を起こし、目を見開いてこちらを見つめてくる先輩に、安堵と共に
疲労が押し寄せ、鳥谷はその場にへたり込んだ。 
「起きてた……んですか……」
「いや、今起きたとこ。どっか行ってた?」
 あっけらかんと言う矢野に影はない。
 彼は葛城育郎がここにいたという事実すら知らないのだ。ならば、自分が眠って
いる間に起こった惨劇に、いたずらに心を波立たせる必要はない。
 彼は多分、何も知らずにいた己の無力さを責め立てるだろうから。
(言わないと……)
 それとは別に、伝えなければいけない言葉があると思った。
「矢野さん……ありがとうございます」
 いざ伝えようと思ったとき、伝える相手がいなくなっている状況はもう嫌だ。
「……ここにちゃんといてくれて」
「……俺、寝てただけやし」
 床に膝をついたまま、そんなことを言ってくる鳥谷に、矢野が困ったように笑った。
「なぁ、何があったん?」
 気がつくと、布団から這い出した矢野が目の前にいた。目線を合わせてしゃがみ
込み、泣き出した子供の相手でもするような声音で聞いてくる。 
149174(13/13):2007/01/27(土) 23:43:27 ID:E5f1KWJy0
「何もないです」
「そんな泣きそうな顔で普通ぶられても、俺には何も分からん」
「…………」
「俺は超能力者じゃないからお前が黙ってても何考えてるんか分からんし」
「…………」
「お前も超能力者じゃないから、誰にも言わずに全部、何でもかんでも解決できる
わけちゃうやろ」
「…………」
 なぜバレたのだろう、と考えるのも無駄なことだ。矢野輝弘がそういう男だという
だけだ。
 こういう力強い言葉を、相手が望んでいる時に自然と口にしてしまうのが、彼が
精神的支柱と言われる所以の一つかもしれない。彼相手に、隠し通そうとした自分
の甘さを痛感する。
 ポーカーフェイスは得意だったはずだが、こんな時に使えないなら何の役にも
立たない。
 喉の奥から込み上げてくる熱を飲み込み、鳥谷は拳を握りしめた。
(強くなりたい)
 もう少しでいいから強くなりたい。
 こんなところで泣き崩れ、先輩に縋るような弱い人間ではいたくない。
「俺は役に立てへん先輩やけど」
 すっと、差し出された右手。 
「泣きそうな後輩の話を聞いてやるくらい出来るから」
 差し伸べられた手に触れた瞬間、鳥谷は声を上げて泣いた。

【残り34人】
150代打名無し@実況は実況板で:2007/01/27(土) 23:51:57 ID:DgoalUnt0
新作キテター
職人さまおつです

。・゚・(ノД`)・゚・。
。・゚・(ノД`)・゚・。
。・゚・(ノД`)・゚・。
151代打名無し@実況は実況板で:2007/01/28(日) 00:02:31 ID:l9wBdY+S0
ぬおおおおおお!泣いたあああああ
152代打名無し@実況は実況板で:2007/01/28(日) 00:10:01 ID:94wgRL5F0
職人さん乙です
イクローの男らしさと矢野の優しさに泣いた。。゜(゚´Д`゚)゜。ウァァァン
153代打名無し@実況は実況板で:2007/01/28(日) 00:15:43 ID:044W9YgT0
。゚(゚´Д`゚)゜。ウァァァン
おいらもマジ泣きしたよ!
ずっと言いそびれて、やっと口に出来た「ありがとう」の一言が、すごく重いよ!
葛城、伊代野、天国行きの勝訴もぎ取れよ!

職人さんGJGJGJ!乙!
154代打名無し@実況は実況板で:2007/01/28(日) 01:12:50 ID:THDlwEXe0
泣く…もう泣く……!!!・゚・(ノД`)・゚・
悲しいんだけど…最後の葛城と矢野に救われた…・゚・(ノД`)・゚・

職人さんありがとう…!!
155代打名無し@実況は実況板で:2007/01/28(日) 01:44:31 ID:mPw2OO6KO
職人さん乙です!

ああ駄目だ、リアル葛城のことあんまよく知らんのに… .゚。(ノД`)゚。
かっこよすぎだろ葛城ー!!
156代打名無し@実況は実況板で:2007/01/28(日) 06:26:29 ID:aFc/f6JZ0
あぁぁぁ・・・。矢野さんがやさしくて、もう!!!
157代打名無し@実況は実況板で:2007/01/28(日) 09:08:14 ID:SMAwsU8DO
すごいのキター!乙です!
葛城の最期も鳥谷と矢野のラストもすごい好きなんだが
あえて葛城と伊代野の会話が深いと言ってみる
鳥谷は、泣ける場所があるってのは実は幸せなことなんじゃないかと思った
とにかくありがとう
158代打名無し@実況は実況板で:2007/01/28(日) 12:42:38 ID:ToqtCzN20
うおお新作キテタ━━━(゚∀゚)━━━!!
なんというかもう……職人さん…乙です…!・゜・(PД`q。)・゜・
全てが切ないけど、最後のくだりがやさしいなぁ。好きだー。。
159代打名無し@実況は実況板で:2007/01/28(日) 13:25:40 ID:ZUwKfiRJ0
虎バトは心理描写、心の機微を書くのが絶妙
鳥谷や金本のような強そうな人の弱い部分や、矢野のような弱そうな人の強い部分に唸らされた
160代打名無し@実況は実況板で:2007/01/28(日) 14:43:23 ID:/mOf4PXW0
>>159
禿しく同意

もう悲しくて泣いたらいいのか
感動で泣いたらいいのかが解らん・・・泣いた・・・
アドゥー以来にめっちゃ泣いた・・・

本当に乙です。
これ誰か本に汁
161代打名無し@実況は実況板で:2007/01/29(月) 00:19:22 ID:rGMP2Yup0
本にしたいなぁ…
買い手も沢山つくだろうしなにより手もとに置いておきたい
162代打名無し@実況は実況板で:2007/01/29(月) 00:55:19 ID:gzK2/1Ma0
本いいよねえ
でも実際問題は同人誌になっちゃうんだろうけど…
誰かこっそりでもしてくれないかなあ
163代打名無し@実況は実況板で:2007/01/29(月) 19:14:51 ID:2w1bN+d20
データはいつか消えるからなぁ。
物にして残しておきたい。

同人誌にしたらどんだけ金とページがかさばるんだ・・・orz
164代打名無し@実況は実況板で:2007/01/30(火) 21:01:20 ID:UPQJJ9Xu0
保守しときます
165代打名無し@実況は実況板で:2007/01/31(水) 12:03:50 ID:bjEcZEEKO
今日初めて読みました。
リアル葛城&鳥谷ファンとしては感動物でした。
リアルでは影が薄いが、ここの葛城はかっこよかった。
職人さん、これからも頑張ってください。

あと、この話が最初から読める場所ってありますか?
166代打名無し@実況は実況板で:2007/01/31(水) 13:02:22 ID:Yh7vCp4U0
>>165
>>2の保管庫に行くといいよ
167代打名無し@実況は実況板で:2007/01/31(水) 13:03:06 ID:Yh7vCp4U0
ごめん、>>3だった
168代打名無し@実況は実況板で:2007/01/31(水) 13:12:15 ID:xDmkQcnx0
正捕手
169代打名無し@実況は実況板で:2007/01/31(水) 13:43:50 ID:bjEcZEEKO
>>166,>>167
ありがとう。早速読んでみるよ
170代打名無し@実況は実況板で:2007/02/01(木) 19:46:10 ID:QJ59iUp90
(* ・x・)<捕手
171代打名無し@実況は実況板で:2007/02/02(金) 00:08:32 ID:6Q9M+alaO
( ミネヲ)<保守〜
172代打名無し@実況は実況板で:2007/02/02(金) 20:58:15 ID:E65YopjZ0
ほしゅ
173代打名無し@実況は実況板で:2007/02/03(土) 16:10:46 ID:A2LAxkLgO
ほすほす
174代打名無し@実況は実況板で:2007/02/04(日) 14:26:44 ID:48d3G17o0
保守〜〜
175代打名無し@実況は実況板で:2007/02/05(月) 00:06:00 ID:jUJkVuXsO
峰夫恋しやホ〜ヤレホ〜守♪
176代打名無し@実況は実況板で:2007/02/05(月) 21:41:02 ID:4T+SpuXP0
あーみん?保守
177924(1/6):2007/02/05(月) 23:09:04 ID:IE3K5sjq0
>>149より
144.処置なし

手前の民家や建物に隠れて見づらいが、数百メートルほど向こうの森の
あたりがうっすらと明るく、煙が立ち昇っている。それを除けば暗い風景の中で
うごめくものは何一つない。だが、自分たち以外に生き残っている34人が
確かにどこかに潜んでいる。皆、何を思い、どのように過ごしているのか――。
そんなことを考え、中谷仁(背番号66)は窓のそばを離れられなかった。
「中谷、どうしたんや? 寝えへんのか?」
藤原通(背番号2)が声をかけてきた。

突然響き渡った謎の轟音。小宮山慎二(背番号60)の提案で二階に上がり、
音がした方向の窓を開けてみると、遠くで火事が起こっていると確認できた。
おそらく、あの音は何かが爆発したせいだろう。気にはなるが、わざわざ
確かめに行くのも危険だ。結局、今夜はこのまま寝ようということになった。

「いや、外見てたら、みんなが今どうしてるんか気になってな。……とか、どこで
 何してるんやろなあ」
さり気なく中谷は「彼」の名を出してみた。藤原が敵とみなす一軍の中でも特に
重要なポジションを占める男だが、同時に気のおけない同級生でもある。
小宮山の告白どおり藤原が果たしてそこまで異常な思考に陥っているのか、
これである程度つかめるはずだ。いかに一軍の選手を信用できない状態でも
「彼」をも敵視するとは考えにくい。

「井川?」
中谷の予想に反して、藤原の声はとがめるような調子を含んでいた。
「お前、井川のことなんか気にしてんのかよ?」
まさかそこまでは、と思いつつも中谷はそ知らぬ風で続けた。
「そら、まあ同い年やし、入団以来の間柄やし」
「やめとけ。心配するだけ損や」
今度はおそろしく冷ややかな声だった。
(こいつは……)
178924(2/6):2007/02/05(月) 23:10:28 ID:IE3K5sjq0
「なんでや?」
中谷は徐々に強くなる動揺を抑え、尋ねた。
「あいつは一軍の人間や。それも主力中の主力、エース様や。俺らのこと
なんか、どうでもいいに決まってるやろ」
藤原は吐き捨てるように言った。中谷は自分の見通しが甘かったと思い
知らされた。予想以上に重症だ。この考えを改めさせることはできないのか?
「お前さあ、寝る前にもそんなこと言ってたけど、なんでも一軍の人間で
 ひとくくりにしてしまうのは、ちょっと乱暴と違うか? 井川かて、あいつの
 性格はお前もよく知ってるやろ? あんないいやつは、そうおらん」
反論を試みると、藤原の顔がふっと曇った。
「普段はいいやつでも……人間こんなことになると人が変わってしまうもんや。
 悲しいけどな」

(俺はお前がこんなになってしもたのが悲しいわ)
中谷は心の中で嘆いたが、気を取り直して言い返した。
「一軍のみんながみんな、そうとは限らんやろ」
「お前は人がよすぎるんや。信用できんやつは、信じたらあかんのや」
「そしたら……お前はこの先もし一軍の誰かに会ったら、どうするんや?」
一番気にかかっていた問いを発してみる。
「そんなん、決まってるやろ。やるしかない」
「やるって?」
「殺す」

間髪をいれず当たり前のように返ってきた短い言葉。きっぱりと言い切る
藤原の「信念」に中谷は思わずたじろいだ。だが、引くわけにはいかない。
「……向こうにそんな気がなかったとしても、か?」
「ないわけないやろ。あいつらは絶対にこっちのことなんか見くだしてる。
 会ったら殺そうとするに決まってる」
「けど、久保田かて具体的にお前らに何かしようとしたわけやないんやろ?」
「何かされてからでは遅いんや。やられる前にやらなあかん」
「それはそうやけど、一軍全員が敵ってのはいくらなんでもメチャクチャや。
 一軍の人かて、お前が言うみたいな人ばっかりやないって」
179924(3/6):2007/02/05(月) 23:12:18 ID:IE3K5sjq0
「中谷……。お前、なんでそんなにあいつらの肩持つんや?」
藤原は恨めしそうな目を向けてきた。中谷は困惑した。
(なに? 今度はそう来るんかよ?)
「いや、あのな。肩持つとか、そういう問題やなくて……」
「お前はあいつらの味方なんか? てことは、ほんまは俺らの敵なんか?」
やれやれ、と中谷はため息をつき、大きく首を振った。
「ちーがーう。俺はただ、殺し合いなんかまっぴらごめんなだけや。お前が誰か
 殺すとこなんか、見たくないんや」

「俺かて、ごめんや。けど、この島にはそんな理屈なんか通用せんような、殺す
 気満々になってるやつがいっぱいいるんや。もう二十何人も死んでるんやぞ?
 やらなあかん時は、こっちかてやるしかない。お前や小宮山には無理かも
 しれんけど、俺にはできる。そやから、俺がやる。この三人の中やと、俺しか
 お前らを守れへんのやから」
一転、何かの使命感に取りつかれたかのように真摯な表情で語る藤原に
対し、中谷は複雑な思いを抱かざるを得なかった。
「うん、その気持ちは俺もホンマありがたいと思ってる」
彼に悪意はなく、むしろ純粋だ。だからこそ――手に負えない。
「ありがたいんやけど、誰かれの見境なしに殺すのだけはやめてほしいんや」

「見境なし?」
藤原は心外そうにじろりと中谷をにらんだ。
「なんか、まるで俺が殺人鬼みたいやんけ。俺がやるのは、敵だけや」
まずい、と思いつつ中谷は急いで次の言葉を探した。
「いや……そやから、その敵っていうのがな? お前の言う敵の定義ってのが
 ほんまに正しいんか、もう一度考えてみた方がいいって言ってるんや」
なるべく藤原を刺激しないよう穏やかに言ったが、相手は聞こうとはしない。
「俺はよーく考えた。考えたからこそ、分かったんや。人間ってのは所詮、
 自分と関係ないやつ自分と違うやつにはとことん薄情なもんや。そしたら、
 俺らにとって誰が敵で誰が味方なんかは自然に答えが出るやろ? お前は
 秀太さんに襲われかけたくせに、なんで分からん?」
180924(4/6):2007/02/05(月) 23:14:23 ID:IE3K5sjq0
「そうや、俺は確かに秀太さんに庄田を殺された。けど、そのことを一軍の人
 全員に当てはめるのは危険やと思てる。結局は、人それぞれや。一軍の中に
 かて信用できる人はいるはずや」
「お前はほんま分かってへん!」
突然、藤原が声を荒げた。
「俺らは今、殺し合いの戦場にいるんやぞ? そうやって信用したらあかん
 相手を信用することが、いちばん危険なんや」

ああ言えばこう言う相手に藤原はいら立っている。それは中谷とて同じだった。
「危険や危険や言うわりにはお前、俺のことはえらい簡単に信じたよな。
 それはええんか?」
「当たり前やろ。お前は俺と同じ仲間やねんから」
一軍の人間、即ち自分と違う立場の人間は信用できないと言い張る藤原の
論理は、裏を返せば同じ立場の人間なら信用できるということだ。
だが、そこには大きな落とし穴がある。
「あのなあ、それこそ危険やぞ? 一軍やから信用できんとは限らんのと
 同じで、二軍の人間やから信用できるってもんでもないしな」

「じゃあ、お前のことを信じるなって言うんか?」
またもや思いがけない問いをぶつけられ、中谷は言葉に詰まった。
「いや、そうやなくて……」
「結局、そういうことやないか」
「違うんや。……あー、なんかもう、わけ分からんようになってきた!」
中谷は大げさに両手で自分の頭を抱えた。なぜ、こうも極端なのか。

「俺かて、わけ分からん……」
少しの沈黙の後、しぼり出すように藤原がつぶやいた。
(――え?)
思わず顔を上げた。藤原の声があまりにも悲痛な響きを伴っていたのだ。
「なんで、お前にこんなこと言われんとあかんのか……分からん」
今にも泣き出しそうな声だった。いや、藤原はすでに――泣いていた。
「俺はお前のこと信じてるのに……お前はそうやないってことか……」
181924(5/6):2007/02/05(月) 23:18:40 ID:IE3K5sjq0
「いや、藤原。俺はな……」
藤原の急変に面食らいつつも何か言おうとした時、横から声が飛んできた。
「あの……どうしたんですか?」
ハッとすると、小宮山が心配そうな顔で部屋の入り口に立っていた。
「こみ……やまあっ……」
藤原はぼろぼろと涙を流しながら彼に駆け寄った。

「藤原さん?」
驚く小宮山に対し、まるで悪さをされた子どもが先生か親に言いつけるように
藤原は訴えた。
「中谷が……俺のこと、信じられんって……。なんで、そうなるんや……」
小宮山はしばらく黙って聞いてやっていたが、やがておずおずと中谷に視線を
向けてきた。彼の表情も戸惑っており、藤原の話を鵜呑みにしている風では
ない。中谷は一つ嘆息し、気持ちを切り替えた。
「違うって。そんなわけないやろ? ……俺はお前のこと、信じてるって」
これは嘘ではない。自分を仲間だと思ってくれる藤原の気持ちは信じている。
だが、中谷は少し後ろめたい気持ちだった。
「……ほんまに?」
「ほんまやって。さっきはいろいろ言ったけどな」
その気持ちは信じている。信じたい。けれど――。
「それやったら……いいんやけど」
藤原はゆっくり何度もうなずくと、涙をぬぐった。

中谷は二人と共に一階の部屋に戻り、もとのように床についた。
だが、小宮山の衝撃的な告白に加えて藤原との言い争いで血が昇った頭は
完全にさえ切っており、これまでにもまして眠れそうになかった。
藤原がこんな風に壊れてしまったことが悲しく、悔しく、腹立たしく、同時に
恐ろしくもあった。いいやつだったのに。せっかく、仲間になれたのに。
(なんで、こうなるんや……)
突き詰めて考えていけば、彼をこうまで狂わせてしまった原因は一にかかって
このゲームにある。その意味では、藤原は哀れな被害者だ。
(それはそうなんやけど……でも――)
182924(6/6):2007/02/05(月) 23:22:17 ID:IE3K5sjq0
真に怒りを向けるべき相手は他にいる。それはよく分かっている。だが、その
点を酌んで藤原を心から思いやってやれるほど自分はできた人間ではない。
元凶がなんであれ、相手が危険な存在であることに変わりはないのだから。
さしあたって考えねばならないのは、彼とこのまま行動を共にして良いかと
いうことだ。常軌を逸した思い込みに支配されてすでに殺人を犯し、この先も
犠牲者を増やしかねない男と――。

もう一つ気になるのは、猫の目のようにくるくると変わる彼の不安定な感情と
態度だった。それも、こちらが思いもよらないような変化を見せる。へたに
刺激すると何をされるか予測すらつかない不気味さと、得体の知れない
そら恐ろしさがある。
(逃げた方が……いいんと違うか?)
藤原から離れるという選択肢が頭をよぎった時、ふと隣で頭まで深々と布団を
かぶって横になっている小宮山のことが気になった。爆発音にさえぎられて
聞きそびれたが、彼は何を思って藤原と行動を共にしているのか。

パートナーを眼の前で殺害した男が自分に対しては好意と信頼を寄せてくる。
一緒に命を奪われないだけましとはいえ、実に気味が悪い話だ。中谷自身も
秀太に庄田を殺されたが、もしあのとき秀太が同じように接してきたとしたら、
受け入れられるわけがない。相手との武器の差や拒絶した時のリスクを
考えてひとまずおとなしく従うとしても、隙があれば絶対に逃げ出すだろう。

小宮山が藤原の異常さを恐れていることは間違いない。ならば、逃げる
チャンスがなかったのか、それとも恐怖で逃げるに逃げられないのか?
(もしそうやったら、小宮山も一緒に連れて逃げた方が……)
その時、奥の藤原が大きく一つくしゃみをした。自分の考えを読み取られて
いるような気がして、中谷はぎくりとした。
藤原は鼻をすすり、ごそごそと身体の向きを変えた。今度は、彼もすぐには
寝付けないようだ。

【残り34人】
183代打名無し@実況は実況板で:2007/02/06(火) 00:32:18 ID:R43pylTdO
乙です!
中谷がどう反応するかと思ったら、直談判とは。勇気あるな中谷……!
でも、その真っ直ぐさが今は心配でたまらない……

ところで一つ気になった箇所を。
>>177
>自分たち以外に生き残っている34人が 確かにどこかに潜んでいる。

とある部分は、中谷たち3人を除いた「31人」になるのではないでしょうか?
184924:2007/02/06(火) 01:01:53 ID:PX8j1V+r0
>>183
ご指摘をありがとうございます。
中谷は喜田・葛城・伊代野の死を知らないため
最新の放送時点での生存者37人から3人引いて34人としましたが、
考えてみればその後に死者が出ているかもしれないのに
「確かに」と言い切るのはやはりおかしいので、
>>177の3行目以下は次のように修正いたします。

うごめくものは何一つない。だが、自分たち以外に生き残っている34人が
確かにどこかに潜んでいる。皆、何を思い、どのように過ごしているのか――。

うごめくものは何一つない。だが、放送後に新たな死者が出ていなければ、
自分たち以外に34人がどこかに潜んでいることになる。
皆、何を思い、どのように過ごしているのか――。
185代打名無し@実況は実況板で:2007/02/06(火) 13:31:59 ID:EQehnGpq0
新作投下乙です!
中谷の歯痒さも解るが藤原の歯痒さも解る・・・
ううう(´Д`;)
186代打名無し@実況は実況板で:2007/02/07(水) 01:06:27 ID:vtEa6NQA0
187代打名無し@実況は実況板で:2007/02/07(水) 01:35:59 ID:McxbarHvO
うわぉ!スリリング藤原キター!
中谷とのやりとりに冷汗出ました。
188代打名無し@実況は実況板で:2007/02/08(木) 00:12:04 ID:wjSOzrqv0
新作乙です!
藤原がいつスイッチ入るかとヒヤヒヤしながら読んだよ・・・
うあーもー藤原こえーー
189代打名無し@実況は実況板で:2007/02/09(金) 00:20:43 ID:SvR/zX7BO
ほしゅ
190代打名無し@実況は実況板で:2007/02/09(金) 18:52:02 ID:+O5tMgISO
ほすほす
191代打名無し@実況は実況板で:2007/02/10(土) 11:06:54 ID:Yp0BelTI0
ほしゅです
192代打名無し@実況は実況板で:2007/02/10(土) 20:21:11 ID:hR1uzHPmO
7番キャッチャー矢野
193代打名無し@実況は実況板で:2007/02/11(日) 00:12:40 ID:5PmK6SAe0
今岡に代わりまして〜代走浅井〜〜。
194代打名無し@実況は実況板で:2007/02/11(日) 18:07:37 ID:sgVQWsPl0
保管サイトで127まで読んで来ました。
桧山矢野鳥谷関連に泣けました。
195代打名無し@実況は実況板で:2007/02/11(日) 19:24:35 ID:QTwXoapDO
下柳も泣けた。
196代打名無し@実況は実況板で:2007/02/11(日) 20:16:41 ID:EgQsRdly0
俺は安藤吉野に泣けた。
そういえば吉野ってどうなってんだろう・・・
197代打名無し@実況は実況板で:2007/02/11(日) 21:32:49 ID:UfO+uh9R0
>>194
128以降は>>3の暫定板で読めるよ

吉野といえば片岡に死体と思われて助かったんだけど
放送でまだ生きていると分かったはずだから
片岡がどうするのかすげー気になる
198代打名無し@実況は実況板で:2007/02/11(日) 22:08:33 ID:CyX6q6P60
藪と井川でも泣ける
ゴレンジャーは、序盤はほのぼのする
199代打名無し@実況は実況板で:2007/02/11(日) 22:47:38 ID:sgVQWsPl0
>>197
194です。ありがとう、読んで来ました。
桧山派なので、なんでしryとか思うんですけど、あまりの美しさに許す、みたいな。
だから桧山関係(矢野鳥谷今岡)を主に読み飛ばしたのですが、今日改めて全部読みました。
おかげで頭が痛いw
関本も良いですよね、「やっぱ速い------!!」で、笑っちゃったんだけど
そこ笑う所じゃないかw
200代打名無し@実況は実況板で:2007/02/11(日) 22:53:05 ID:4FeExMlh0
安藤吉野は泣いた。
普通に売られてる下手に泣かせようとする病気ネタ小説とか比べ物にならんくらい泣いた。

関本は和む(・ω・)ノ
201代打名無し@実況は実況板で:2007/02/11(日) 22:59:45 ID:aTMZvOpY0
「ちくしょー!」って言いながら走って逃げるようなバカ熱いタイプには癒されます
202代打名無し@実況は実況板で:2007/02/11(日) 23:26:18 ID:nUlXxulyO
新作が来たのかと思っちゃったくらいスレ進んでるw

ここを読むようになってから、若手選手を(多少なりとも長い目でw)応援するようになったなあ…
感慨深い。
203代打名無し@実況は実況板で:2007/02/11(日) 23:28:14 ID:sgVQWsPl0
いいよね、セッキー。
やっぱりねえ・・・おはぎ入水の章が効いてると思うんですよ。
どんだけ笑う所が出ても、彼はおはぎの心を抱いて生き延びて二岡に会わにゃぁ・・・
というわけで、頑張ってくれよセッキー
204代打名無し@実況は実況板で:2007/02/11(日) 23:53:34 ID:fYcZEJ390
自分も安藤吉野は泣けた
吉野早く目を覚ませ!と思ってたw
桧山は退場したけどおいしい役だと思った。密かに影響度高いし
関本はワロタ
205代打名無し@実況は実況板で:2007/02/11(日) 23:53:54 ID:l/DXt24p0
桜井vs喜田の殺伐とした会話が大好きだ
206代打名無し@実況は実況板で:2007/02/11(日) 23:56:34 ID:aTMZvOpY0
しおらしい桜井いいよねw
207代打名無し@実況は実況板で:2007/02/12(月) 00:06:29 ID:sgVQWsPl0
もう、あまりにも面白くて
読みやすいように自分で登場人物付きインデックス作ってます。
208代打名無し@実況は実況板で:2007/02/12(月) 15:59:08 ID:tYRk59no0
ゴレンジャーと関本は少年漫画みたいな雰囲気があって燃える
209代打名無し@実況は実況板で:2007/02/13(火) 05:14:25 ID:IOFC5nyZ0
泣きながら保守
210代打名無し@実況は実況板で:2007/02/13(火) 15:29:55 ID:d3Yji3PG0
[`ー」ー]ほしゅ。
211代打名無し@実況は実況板で:2007/02/13(火) 21:12:28 ID:hsa5rCx80
小宮山ほしゅ
212代打名無し@実況は実況板で:2007/02/13(火) 23:28:56 ID:CZhKUCMTO
補習
213代打名無し@実況は実況板で:2007/02/14(水) 00:01:10 ID:xz6DWzDI0
 
214代打名無し@実況は実況板で:2007/02/14(水) 00:26:13 ID:/jpmJEZn0
金本さんの動きは出て来たけど、矢野、今岡はどう動くのかなあとか
215代打名無し@実況は実況板で:2007/02/14(水) 09:43:26 ID:oQE3ca5n0
…で、ポスト井川はどうなった?
216代打名無し@実況は実況板で:2007/02/14(水) 20:24:09 ID:2SN2xp+r0
桧山さんにはなかされっ放しでした。
今後のキーパーソンじゃないでしょうか?
今岡さんにとっても鳥谷さんにとっても。
217代打名無し@実況は実況板で:2007/02/15(木) 16:27:27 ID:kbg+XUhz0
ほしゅ
218代打名無し@実況は実況板で:2007/02/15(木) 20:50:57 ID:fGpAj4Dz0
矢野にとっての桧山はどうだったのかなと
鳥谷を一人にしてる間に二人は何か話したのかな?とか
矢野への関わりは既にやや遅い感もあるのでEXでもいいけど
今岡は宿題があるからきっと(桧山が)出ると信じてる分、早く出してー、と
219代打名無し@実況は実況板で:2007/02/17(土) 00:53:36 ID:WnQgGxaJ0
保守
220代打名無し@実況は実況板で:2007/02/17(土) 15:49:20 ID:Y1R/L42q0
1番・中・赤星
2番・二・今岡
3番・三・シーツ
4番・左・金本
5番・右・濱中
6番・遊・鳥谷
7番・一・林
8番・捕・矢野

控え・桧山、藤本、関本、桜井、赤松、野口

先発・福原、能見、下柳、久保田、安藤
中継・橋本、杉山、江草、ジャン、小嶋
抑え・藤川、ウィリアムス
221代打名無し@実況は実況板で:2007/02/17(土) 16:10:07 ID:Y1R/L42q0
2年後

1番・中・赤星
2番・三・喜田
3番・二・今岡
4番・右・林
5番・左・濱中
6番・遊・鳥谷
7番・一・桜井
8番・捕・浅井

控え・金本、矢野、桧山、藤本、関本、赤松

先発・藤川、能見、ジャン、久保田、ボーグルソン
中継・福原、橋本、下柳、江草、小嶋、安藤、杉山
抑え・ウィリアムス
222代打名無し@実況は実況板で:2007/02/17(土) 19:29:13 ID:AusZ6RN2O
>>221
まだ桧山辞めてないのかよww
223代打名無し@実況は実況板で:2007/02/17(土) 19:37:00 ID:NstWt22f0


88 :代打名無し@実況は実況板で :2007/02/16(金) 23:47:44 ID:Aym1i9KK0
名物名所がない名古屋にノリブランドの誕生だぎゃ〜!


89 :代打名無し@実況は実況板で :2007/02/17(土) 08:12:28 ID:pdLsdGUX0
日本の大都市で「中村区」があるのは名古屋だけ。
のりにはちょうどいいかも。
224代打名無し@実況は実況板で:2007/02/18(日) 10:50:24 ID:ttapO0Xh0
捕手
225代打名無し@実況は実況板で:2007/02/18(日) 20:17:52 ID:UfWjcmgs0
岡田監督が“サバイバル”決行明言
ttp://www.daily.co.jp/tigers/2007/02/18/0000244971.shtml
約束どおり、サバイバルでいくで
226代打名無し@実況は実況板で:2007/02/18(日) 20:27:23 ID:fgV1YbxS0
狩野捕手
227代打名無し@実況は実況板で:2007/02/19(月) 00:35:59 ID:ViDW2YPBO
ジェフはどうなってしまうんだろう…。
228代打名無し@実況は実況板で:2007/02/19(月) 23:30:27 ID:ojr0YnPaO
保管庫がもう半年以上更新されてないな
229代打名無し@実況は実況板で:2007/02/19(月) 23:45:07 ID:74gyIfNS0
>>228
だね
一応全話読めるようにはなってるけど、初めて読む人とかわかりづらくないかな?
230924(1/5):2007/02/20(火) 23:21:27 ID:QLuZ9j4e0
>>182より
145.それぞれの道

「なに!?」
金本が藤本に渡しかけたサブマシンガンをひったくった。
「まっすぐこっちに来ます! 一人です」
赤星は探知機を皆に見せた。スピードは遅いが、光が一つ確実にこちらへ
向かってきている。
「とりあえず、そっちに移動じゃ」
全員、金本がSMGで指し示した木々の陰に急いだ。

ほどなくして、濡れそぼった落ち葉をゆっくりと踏み分ける音が聞こえ始め、
次第に大きくなってきた。金本がSMGを胸元で構える。赤星は様子を
うかがおうとそうっと木の陰から顔を出した。その瞬間、近付きつつあった
人影が不意に崩れた。
「大丈夫か!?」
金本が一目散に飛び出して行った。三人が慌ててあとを追う。

「!? ――しっかりしてください!」
いちはやく相手を認識した金本の言葉づかいが急に変わった。地面に
うつぶせに倒れたその男は、二軍監督の木戸克彦(背番号70)だったのだ。
「木戸さん!?」
金本が抱き起こすと、木戸の右の鎖骨付近は血で真っ赤に染まっていた。
赤星は一瞬、思わず目をそむけた。
「……違う。俺は……敵やない」
木戸はうっすらと目を開けると、弱々しい声でつぶやいた。
「安心してください! 僕らも敵じゃありません」
藤本が声をかけたが、木戸の目はうつろで焦点が定まっていない。
「俺は……お前らを……」
そこで木戸の言葉は途切れた。同時にまぶたが閉じられ、彼はそれきり
動かなくなった。
231924(2/5):2007/02/20(火) 23:22:10 ID:QLuZ9j4e0
「木戸さん!」
「しっかりしてください!!」
金本、藤本、的場が必死で声をかける中、赤星はおそるおそる探知機に目を
やった。画面中央に黄色い光が固まっている。その数は――。
「……大丈夫、です」
皆が一斉に赤星の方を見た。
「木戸さんは気を失っただけです。探知機の光は消えてませんから」

「ほうか……」
金本がホッとした声をもらしたが、藤本は安堵の色を浮かべかけた顔をすぐに
引き締めた。
「でも、このままじゃ……。アジトで手当てした方がよくないですか?」
「帰るのか? ユタカさんと秀太たちのことはどうするんだ?」
赤星が藤本に尋ねると、金本は眉間にしわを寄せてしばらく考えていたが、
やがて決心したように言った。
「……今夜のところは、しゃあない。木戸さんをほっとくわけにはいかんし、
 一緒に連れて捜し回るわけにもいかん」

「でも……」
赤星が言いかけた時、横から的場が聞いてきた。
「あの茂みの二人はどうします?」
皆ハッとした。木戸の出現に気を取られ、誰もがすっかり忘れていたのだ。
赤星は素早く立ち上がった。
「見てきます!」
茂みの少し手前に来たところで探知機を確認したが、二つあるはずの光は
どちらも見当たらなかった。
(まさか――)
いやな予感がした。探知機の光が消える理由は二つしかない。茂みの
向こうにいた二人がその場を離れたか、生命の灯が消えたかだ。彼らが
推測したように重傷を負って動けなかったのだとすれば――。赤星は大急ぎで
茂みの裏側に回りこんだ。
232924(3/5):2007/02/20(火) 23:22:52 ID:QLuZ9j4e0
「どうした!?」
まず金本、少し遅れて的場が駆け寄ってきた。藤本はひとり残って木戸の
そばについていた。
「……誰もいないんです。二人とも、消えてます」
赤星は足元の、二人がいたはずの湿った土の上をぼう然と見つめたまま
告げた。
「なんじゃと? 本当にそこで間違いないのか?」
金本は迂回するのももどかしいといった様子で乱暴に茂みをかき分けた。
「間違いありません。確かに、ここにいたんですけど」
「僕らが木戸さんを介抱してる間に逃げたってことですかね?」
的場が首をかしげる。
「分からないけど……そうとしか考えられない」

金本はしばらく辺りを見回していたが、やがてうつむき、ぽつりと言った。
「なんで、一緒に来てくれんかったんかのう」
赤星が危惧したように二つの遺体が横たわっていなかったことは喜ぶべき
だが、彼らが逃げたという事実は確かにショックだった。
「結局、信用してもらえんかったのか……」
「それは……」
赤星は何かフォローしようとしたが、うまい言葉が見つからなかった。ここに
隠れていた二人が誰であれ、動けるだけの体力があったということは、彼らは
確かにこちらの呼びかけを聞いていた。にもかかわらず応じてくれなかった。
その事実だけはゆるがない。

「逃げたとしたら、あっちですかね」
重い空気を破るように的場が森の奥を指差した。
「捜してみますか? もしかしたら、まだ近くにいるかもしれません」
「……いや、もうええ。向こうにも何か事情があったのかもしれん。それに、
 今は木戸さんの手当ての方が先じゃ」
金本はきびすを返し、小走りに木戸と藤本のもとに戻った。赤星も続いた。
233924(4/5):2007/02/20(火) 23:23:34 ID:QLuZ9j4e0
「木戸さん、これから僕らのアジトに連れて行きますからね?」
藤本が木戸に話しかけるが、まったく反応がない。
「木戸さんはわしが運ぶ。お前らは荷物を頼む」
金本は荷物をおろし、木戸の身体に手をかけた。
「あの、金本さん……」
赤星は遠慮がちに切り出した。金本が手を止める。
「先に……帰っていてもらえませんか」
「なに?」
「僕だけでも秀太たちを捜したいんです。やっぱり、今帰るわけには……」
木戸のことは大事だが、自分たちは中村と秀太を捜しに来たのだ。目的を
果たせないまま帰ることはできなかった。

「それは、許さん」
すぐさま、穏やかだが有無を言わせぬ答えが返ってきた。
「お前が捜しとる間、わしらがどんな気持ちで待つことになるか考えてみろ」
「金本さん……」
赤星はそれ以上なにも言えなかった。夕方、同じようなことを願い出た自分に
頭を下げた金本の涙が思い出されたからだ。
「大丈夫じゃ。あいつらなら、きっと……」
金本は噛み締めるように言った。赤星よりも自分に言い聞かせるかのごとく。

「あれ? 的場は?」
藤本がきょろきょろと顔を動かしながら言った。そういえば、いつの間にか
的場の姿が見当たらなかった。
「おーい、的場?」
赤星が呼ばわると、墜落したヘリの向こうから的場が姿を現した。
「すみません」
「何しとったんじゃ」
「いえ、さっきの二人が気になって、ちょっとその辺を捜してたんです」
「アホが。勝手にうろうろして心配かけるな」
金本は冗談めかして的場の額をこづいたが、その目は笑っていなかった。
234924(5/5):2007/02/20(火) 23:24:20 ID:QLuZ9j4e0
「行くぞ」
木戸を背負った金本が立ち上がり、号令をかけると同時に全員がもと来た道を
引き返し始めた。
(秀太――)
赤星はそっとズボンのポケットに触れた。中には先ほど拾った秀太の地図が
小さく折りたたまれて収まっている。ぐっしょりと雨に濡れたそれが、肌にまで
染みとおってくるほどやけに冷たく感じられた。
(お前は大丈夫だよな?)
赤星は心の中でもう幾度も繰り返した呼びかけを、今どこで何をしているか
分からぬ友に向かって送った。


秀太はウィリアムスとアタッシュケースを携えまっすぐF-3を目指していた。
金本が近付こうとした時にはもはやこれまでと引き金に指をかけたが、
思いがけず事態は急転した。「ゴレンジャー」たちが突如として現れた第三者に
気を取られ、その何者かの方へ走り去って行った時、秀太は取るものも
とりあえず逃げた。彼らを殺すなら十分にチャンスはあったが、やはり今は
与えられた任務の遂行を最優先すべしと考えたのだ。
(それだけ――か?)

ちがう。
一方で、撃たずに済んだことにどこか安堵しているのもまた事実だった。
自分はまだ、彼らを――。
(もう、何も考えるな)
秀太は左右に頭を振った。自分の生きる道は、彼らとともに歩めはしない。
今はただ、学校へと急ぐのみだ。平塚と連絡を取って禁止エリアを一時的に
解除してもらい、ウィリアムスを送り届ければ当面の重苦しい仕事から解放
される。秀太は、足をはやめた。

【残り34人】
235代打名無し@実況は実況板で:2007/02/20(火) 23:36:25 ID:xdQnkEypO
新作乙です!

秀太…っ!もうホント泣ける。

そして何となく離れていた的場が気になる…。
236924:2007/02/21(水) 00:04:48 ID:QLuZ9j4e0
すみません。またもやミスがありました。
>>234二つ目の段落の1行目「F-3」は「F-5」の誤りです。
237代打名無し@実況は実況板で:2007/02/21(水) 00:16:39 ID:mzK7DOVF0
乙です。
秀太セツナス…
238代打名無し@実況は実況板で:2007/02/21(水) 01:23:04 ID:4T5aY93M0
乙です!
木戸さん誰にやられたんだろう・・・
秀太・・・
239代打名無し@実況は実況板で:2007/02/21(水) 13:12:15 ID:xKCg4ySh0
新作乙です。
ゴレンジャーが無事でよかった…
240代打名無し@実況は実況板で:2007/02/21(水) 14:59:30 ID:/Cs9dnW70
秀太さん・・・。
仲間の元へもどってくれないのかな・・・。
241うぷぷくん ◆UPPw7Nnclg :2007/02/21(水) 15:01:14 ID:3XgXQj1/0
( ^ω^)珍ヲタの巣窟ですかお
242代打名無し@実況は実況板で:2007/02/21(水) 18:56:19 ID:pqexQUGD0
捕手
243代打名無し@実況は実況板で:2007/02/21(水) 22:13:59 ID:QD7W2C1l0
職人さん乙です!
秀太さんの葛藤は切なすぎるね・・・泣けるよ
244代打名無し@実況は実況板で:2007/02/22(木) 22:58:51 ID:LnNrtFzyO
ほしゅ
245代打名無し@実況は実況板で:2007/02/23(金) 11:52:39 ID:Z+Um7J/n0
保守
246代打名無し@実況は実況板で:2007/02/23(金) 23:31:37 ID:6Y6VOYtjO
秀太せつないよ… 保守
247代打名無し@実況は実況板で:2007/02/24(土) 17:02:30 ID:r8eTEUrbO
捕手
248代打名無し@実況は実況板で:2007/02/25(日) 11:01:35 ID:cda9aE6+0
ほしゅ
249代打名無し@実況は実況板で:2007/02/25(日) 20:56:13 ID:miM3COIl0
今年
@8 赤星
A4 関本or藤本
B3 シーツ
C7 金本
D5 今岡
E9 浜中
F6 鳥谷
G2 矢野
H1 福原

2年後
@6 鳥谷
A8 赤星
B5 関本
C9 浜中
D7 林
E3 喜田
F2 浅井
G4 坂
H1 小嶋
250代打名無し@実況は実況板で:2007/02/26(月) 18:29:38 ID:lGPEqmnS0
捕手〜
251代打名無し@実況は実況板で:2007/02/27(火) 07:39:18 ID:v9KswXhB0
hosyu
252代打名無し@実況は実況板で:2007/02/27(火) 22:16:39 ID:XsthKKf0O
ほす
253代打名無し@実況は実況板で:2007/03/01(木) 00:31:26 ID:tx7CfoTC0
捕手
254924(1/5):2007/03/01(木) 01:05:33 ID:H6qWW3SF0
>>234より
146.どうでもいい

「アホなこと? そうっスよ。俺の言ってることは、めちゃくちゃです」
開き直った台詞とともに桜井広大(背番号51)がなおも上半身をせり出して
きた。むっとするにおいが鼻をつく。そこで桟原将司(背番号40)は照明を背に
した相手の顔が赤く汚れていることに気づいた。まぎれもない人の血だ。
黒いジャージを着ているのでわかりにくいが、衣服にも大量に付着していること
だろう。

取り乱す桟原をよそに、喜田は覚悟を決めていた。彼はおそらく、落ち着き
はらったまま平然と殺されたに違いない。そして桜井は――。やはり平然と
殺したのだろう。あるいは、あざ笑っていたかもしれない。桟原は思わず
眉間にしわが寄るほど固く目をつむった。二人が淡々と繰り広げたであろう、
身も凍るような命のやりとりが鮮やかな映像となって見えてくる気がしたのだ。

「俺のこと、怖いですか?」
唐突な質問に、桟原はおそるおそるまぶたを開いた。
「あいつが言ってたんです。桟原さんは俺を怖がってるって。ほんまは一緒に
 いたくないんやって。……そうなんスか?」
(喜田さんが……)
数時間前、桜井の目を避けて喜田にこっそり話したことを思い出す。怖いとか
一緒にいたくないとか言った憶えはない。しかし、怖くないと言えば嘘になる。
今さっきも、桜井が自分は既に人殺しだと口にした時には、記憶が戻ったのか
と一瞬ぎくりとしたのだ。
「なんでです? 俺、桟原さんになんかしましたか? するように見えますか?」
桜井は不安そうな目で重ねて問うてきた。喜田に対して示した冷酷な態度とは
裏腹に、今の彼が自分を頼りにしているということはよく分かる。
(けど……こればっかりはどうしようもないやろ?)
255924(2/5):2007/03/01(木) 01:06:33 ID:H6qWW3SF0
記憶を取り戻してくれるなと頼んだところで、本人とてどうにもできない。
むしろ意識させるだけ危険は増す。今でさえ、殺人行為などものともしない
ふてぶてしさをいやというほど見せつけてくれたのだ。あの時に確信した。
記憶を失う前、桜井はゲームに乗り、久保田ではない誰かを殺したと。
この男が怖かった。記憶を回復されるのが怖かった。自分の命が危うく
なるのが怖かった。そのとおりだ。
だが、今は別の意味でもっと恐ろしいことがあった。

「んなわけないでしょ? こんな全然知らん場所でわけの分からんことに
 巻き込まれて、俺一人やったら絶対、頭がおかしなってたと思う。桟原さんが
 おらんかったら、俺はどうしたらいいか分からへんのやから」
桜井は沈黙を肯定と受け取ったらしく、答えを待たずに話を進めてきた。
「やっぱり、さっきのことで怒ってはるんですか? 俺が言うこと聞かんと
 あいつを殺したから。……けど、ほかにどんな方法がありました? 生かし
 といたって、どうせあいつはまた誰か殺そうとするに決まってるんやから」

少しずつ、桜井の声が怒りを帯びてゆくのが分かる。
「だいたい俺は、桟原さんが危なかったから、なんとかせなあかんと思って、
 それで……。そやのに、なんで怒られんとあかんのです? 自分をだまして
 殺そうとしたやつがそんなに大事ですか? それとも、あのまま殺されてた
 方が良かったんスか!?」
不意に伸びてきた二本の腕が、桟原の襟元を乱暴につかんだ。目の前の顔が
今にも泣き出しそうなほどにゆがんでいる。

「……ほんまやな」
桟原がため息まじりの声でつぶやくと、桜井の手の力が緩んだ。
「お前が来てくれんかったら、俺はたぶん殺されてた。そやから、お前に礼を
 言わんとあかんのに……。そもそも、こうなったんも全部俺のせいやのにな。
 喜田さんの本心を見抜けんかったのも、殺されそうになったのも……。けど、
 なんていうか……ショックやったんや。喜田さんが、俺らをだまして殺そうと
したってことが……」
(あの人は――三東さんとは違う)
256924(3/5):2007/03/01(木) 01:09:07 ID:H6qWW3SF0
すでに昨夜、三東が牧野を襲う場面を桟原は目の当たりにしている。
だが、今はその時とは比べ物にならない打撃を受けた。当の自分が殺され
かけたというだけではない。牧野が「魔がさした」と解したように、三東の
凶行は恐怖と疑心暗鬼と衝動につき動かされての結果ということで説明が
つく。桟原もそう思おうとした。しかし、喜田は違う。

「そんでお前が助けてくれた後、平気であの人を殺そうとしたことも、同じように
 ショックやったんや。……なんでみんな、こう簡単に殺そうとできるんや?って」
自分を殺そうとした喜田と、助けてくれた桜井。しかし、彼らはともに躊躇なく
他人を殺害できる人間として冷然と桟原の前に立ちはだかった。
「けど、もっとショックやったんは――俺がほんまは、心ん中のどっかで
 お前らのことを『すごい』と思ってしまってることなんや」
桜井の手が離れると、桟原は頭痛をこらえる時のように片手で額を押さえた。

「なんか、俺もだんだん壊れてきてるんと違うかって……」
自分の内なるまがまがしい変化については、既に一度自覚している。首輪を
いじる桜井を止めたことを後悔しかけた時、おのれの心が恐ろしくなった。
そして今、常識もモラルも軽々と飛び越えて殺人を実行できる喜田と桜井の
人間性を厭う一方で、まったく矛盾する気持ちがじわじわと広がりつつあった。
それは、かの三東が殺人者に寄せる畏敬の念と羨望にどこか似ている。

むろん桟原には三東のように殺人者をあがめたてまつり、そうありたいと願う
つもりは毛頭ない。しかし先ほど喜田と桜井に向かってことさら「殺すな」と
言いつのった根底には、自分にはできないことをなす者たちに対する一種の
コンプレックスが確かに存在し、彼らのみならずそのように感じてしまう
自分自身を否定したいという思いもあったのだ。
「喜田さんに言われたように、俺が殺さへん、ていうか殺せへんのは、ただ
 臆病で嫌な思いしたないだけなんやな。そやから、あの人にとどめを刺せん
 かった俺がお前にどうこう言う資格なんかあらへんのやけど……。なんかもう、
 そういういろんなことが頭ん中でワーッとなって、自分でもかなり混乱して
 しもて……。助けてもらっといて、お前には悪いと思うんやけど……」
257924(4/5):2007/03/01(木) 01:10:10 ID:H6qWW3SF0
自分でも何を言っているのか、よく分からなかった。桜井が聞きたがっている
のはこんな話ではない。当然ながら、桟原が話しやめると彼は尋ねてきた。
「それで……? 俺は、一緒におっていいんですか?」
(それは――)
「……いややって言うたら、どうする?」
桜井は肩をすくめ、キッと全身をこわばらせた。
「そやから……なんでです?」
刺すような目が桟原をとらえる。答えるしかない。

「……正直、俺はお前と会ってからおかしなってる気がする。それはお前の
 せいやのうて、俺が弱いだけなんやけど……。今はお前が怖いというより、
 そういう自分の方が怖いんや。どっちにしろ、こんなんでお前とは一緒に
 行かれへん……」
「どうしても、ですか」
「……どうしてもや」
桜井は両手を膝の上につき、しばらく桟原を凝視していたが、やがてふっと
視線を落とした。
「そんならもう――しゃあないってことっスね」
冷めた声とともに桜井の右手がすっと引かれ、ベルトのあたりに移動した。

あ、と思った時、胸に硬い何かが触れた。下を見ると、コルトガバメントの
銃口がぴたりと押し当てられている。それを握る桜井の手から腕、肩、首、
そして顔へと桟原はゆっくり視線を移動させた。
「俺を……殺すんか?」
「そうやったら、どうします?」
低い声で聞き返してきた桜井は怒っているとも悲しんでいるともつかない
表情でじっとこちらを見つめている。そういえば、最初に遭遇した際にも銃を
向けられた。あの時ひどく狼狽した桟原は今、ちょうど心臓の位置に突きつけ
られた同じ銃をまるで他人事のように眺めていた。引き金が引かれれば、
たちどころにして死ぬだろう。一瞬くらいは痛いとしても、すぐ何も感じなくなる
はずだ。
ならば、それもいいかもしれないと思えた。
258924(5/5):2007/03/01(木) 01:11:49 ID:H6qWW3SF0
――絶対に生きのびろよ。
ふと、耳元で今は亡き人の懐かしい声が聞こえた気がした。こんなに早く
あの世に行けば、あの人は怒るだろうか。
(けど、牧野さんかて……ずるいやないですか)
負傷した身が足手まといになるなどと勝手に決め付け、早々と離脱して
しまった先輩。自分を残して逝った彼の「優しさ」が今は無性に腹立たしい。

(俺は牧野さんがケガしてようとなんやろうと、一緒にいてくれはったら
 それだけで良かったのに。そやのに、一人で置いてかれて……)
残された自分は生きるも地獄、死ぬも地獄の狂ったゲームの中でもがき
続けねばならない。否、この状況では死こそがむしろ天国だ。いつ殺されるか
分からぬ恐怖におびえ、他人の死に打ちのめされ、人間らしさを失いながら
生き続けるくらいなら、いっそ死んで解放された方がどれほど楽だろうか。
(こんなんで三東さんに会えても、多分なんもでけへんし……)
もう、何もかもがどうでもよく思えた。

「べつに、どうもせん。撃てや、桜井」
少し前の自分なら信じられない台詞をごく自然に桟原は口にしていた。
「撃てや。――俺を、殺せ」
「……ええんですか」
抑えた声が、驚くよりも確認するような調子で尋ねてくる。
「ええんや」
「ほんまに、それでええんですか」
「ええんや、もう」
「脅しやないっスよ? 俺がほんまに人を殺せるやつやってのは、桟原さんも
 よう分かったはるでしょ」
拳銃にじりじりと圧力が加わる。ユニフォームを通して肌に食い込んでくる
金属が痛いが、それもあまり気にならなかった。
「分かってる。俺、もう疲れたんや……。楽にしてくれ」
桟原はグリップを握る桜井の手の甲にそっと自分の左手をあてがった。

【残り34人】
259代打名無し@実況は実況板で:2007/03/01(木) 01:36:25 ID:8dK+cmuwO
リアルタイム遭遇ヤホ━━(゚∀゚)━━!!!!
乙です!

サジッキー、思い直せー…
おまいが死んでしまったら、もう桜井も三東も救われんような気がする…(ノд`)゚。.
260代打名無し@実況は実況板で:2007/03/01(木) 02:05:46 ID:w5WdpaAz0
乙です!

サジッキーはほんまに優しい奴やのぅ。

しかし、もちろんずっと年下なんだけど、
あの顔のサジッキーがあの顔の喜田ゴに「喜田"さん"」て言うんだよなー
と思うと笑えるw
261代打名無し@実況は実況板で:2007/03/01(木) 02:11:49 ID:D0zpNOIl0
うああぁああ!!!サジーーー!!!!サジーーーー!!!
おお…もう…!!

職人さんいつもwktkな作品投下乙です!
262代打名無し@実況は実況板で:2007/03/01(木) 12:15:28 ID:DB/wrHbW0
サジーはよ気付けえええ!桜井見たってくれええええ
263代打名無し@実況は実況板で:2007/03/01(木) 14:24:59 ID:tx7CfoTC0
新作投下乙ですうううぁああああ!!!
さじきー!!頼むから桜井と一緒におってくれ・・・!!!
264代打名無し@実況は実況板で:2007/03/01(木) 17:34:45 ID:urcZKtKN0
投下乙です。
ってサジ――――――!!
死んだら牧野がうかばれなくなるだろ――――!!
265代打名無し@実況は実況板で:2007/03/01(木) 19:33:31 ID:G9lJA5Y80
おお職人さん乙です!
さじき……そんなんあかんよ、さじき(´・ω・`) 生きてくれよ……。

ってかみんなテンション高いなあwチョットワロタ
266代打名無し@実況は実況板で:2007/03/01(木) 21:30:49 ID:8dK+cmuwO
桟原の呼び方バラエティーありすぎw
267代打名無し@実況は実況板で:2007/03/02(金) 12:01:07 ID:YzDXKxUx0
515氏の話おもくそパクられてる
ttp://www.geocities.jp/br_of_negima/public/nb/st/1-20/5.html
268代打名無し@実況は実況板で:2007/03/02(金) 15:36:58 ID:vOBZZ3ms0
>>267
これだね
ttp://kobe.cool.ne.jp/htbr/relay/5.html
515氏の第5話

似てるとかそんなレベルじゃないぞ・・・
269代打名無し@実況は実況板で:2007/03/02(金) 20:33:23 ID:9ZgAHtIB0
>>268
見たけど本当にまるかぶりだな
コメントのしようが無い
270代打名無し@実況は実況板で:2007/03/03(土) 03:09:00 ID:J0BzKcT30
2ちゃんに投稿した時点で著作権放棄と見なされるが、
だからってコピペして使っていいという訳じゃない
フォークロアであるAAと、作品である文章とでは、扱いが違うだろう

誰かあちらに指摘しに行った方がいいんジャマイカ?
271代打名無し@実況は実況板で:2007/03/03(土) 03:14:22 ID:J0BzKcT30
連投失礼
問題のこれ、他球団のバトロワからもパクりまくってるらしい

野球バトルロワイアル総合雑談所2
http://sports2.2ch.net/test/read.cgi/entrance2/1134993945/

詳しくはこのスレの836以降を参照
272代打名無し@実況は実況板で:2007/03/04(日) 00:21:42 ID:6zxih/eQ0
突然のことで恐縮ですが、わたくし◆0Z3l12M4xMはネギまロワイアルスレにて
こちらのスレの内容の一部を盗作、掲載したことの指摘によりその行為を認め謝罪をしにきました。
本当に申し訳ありません。二度とこのようなことをしないことを誓い、他のスレの皆様に迷惑を
かけないことをお約束させていただきます。
273代打名無し@実況は実況板で:2007/03/04(日) 04:47:52 ID:lWCgDjuK0
>>272
お前億バトには謝罪に行かないのかよ
億の205氏と571氏からもパクっただろうが
加えて、スレがないからって読売とダイエーとソフロワと公とアテネはスルーする気か
つうかこんな意味不明なテンプレ貼り付けただけで許されると思ってんのか
クラウンかしたらばに来い
今回の件で筆を置く職人さんが出たらお前のせいだからな
274代打名無し@実況は実況板で:2007/03/04(日) 13:39:56 ID:VXkE/xJI0
>>272
「指摘によりその行為を認め」謝罪してるんだね
つまり発覚しなければ、まだ続けてた可能性もあるという訳か?
もう二度と「職人」を名乗るな

虎バト職人さん、頼むから、こんな事で筆を折らないでくれよ
少なくとも俺は、毎回わくわくしながら続きを読んでるし、感動してる
たった一人の不届き者のために、住人たちの楽しみが奪われるなんて辛すぎる
具体的には何も出来ないけど、心から応援してるから

毎回、笑ったり泣いたり(ゲーム主催者に)憤ったりドキドキしたり、目が離せないんだ
完結するまでにはまだまだかかるだろうが、最後まで付き合うから、頼む
275代打名無し@実況は実況板で:2007/03/04(日) 22:04:42 ID:nQjR1fza0
俺も楽しみにしてる一人。
本当にその辺の本屋で大した事無いのに平積み売ってる本より断然泣ける
このスレ見るためだけに毎日wktkしながらにちゃん開いてる奴もいるんです
このまま止まってしまうのは悲しいし歯痒い。
筆を折ることだけはやめてください。
板違いかもしれんが虎バトだけに言える事じゃない、ほんとに頼むよ職人さんorz
276代打名無し@実況は実況板で:2007/03/05(月) 05:20:42 ID:CCN7CLkL0
今北。
サジー、まだ死なないでくれー!

たしかに
おさーん顔で「喜田さん」って笑けるよな。
277代打名無し@実況は実況板で:2007/03/05(月) 21:57:30 ID:6Zabw5sE0
喜田剛がHM出来た途端2軍落ちになった件について
278代打名無し@実況は実況板で:2007/03/07(水) 02:06:12 ID:88D7hzgvO
ほっしゅ
279代打名無し@実況は実況板で:2007/03/07(水) 15:53:22 ID:8vd65oJ70
捕手
280代打名無し@実況は実況板で:2007/03/07(水) 22:53:03 ID:XYwIotUQ0
捕手
281代打名無し@実況は実況板で:2007/03/08(木) 01:03:06 ID:/K3COEfAO
あかほしゅ
282代打名無し@実況は実況板で:2007/03/08(木) 14:56:30 ID:axmcQSWiO
(ミネヲ)<出国ついでに保守するよ
283代打名無し@実況は実況板で:2007/03/09(金) 20:20:49 ID:YsI8tGHp0
捕手
284代打名無し@実況は実況板で:2007/03/10(土) 07:24:05 ID:kf3CF6he0
hosyu
285代打名無し@実況は実況板で:2007/03/10(土) 16:28:21 ID:mQwbhvA50
先発ローテ
@杉山
A小嶋
B能見
C安藤
D下柳
E福原

中継ぎ
藤川
ジェフ
ダーウィン
相木
橋本

抑え
ジャン
286代打名無し@実況は実況板で:2007/03/11(日) 11:23:11 ID:h4ZICncb0
ほすほす
287代打名無し@実況は実況板で:2007/03/12(月) 02:02:12 ID:4a4100S1O
小宮山
288代打名無し@実況は実況板で:2007/03/13(火) 01:31:36 ID:sy59IM1MO
慎二
289代打名無し@実況は実況板で:2007/03/14(水) 11:19:40 ID:1vN6+gbJ0
保守
290代打名無し@実況は実況板で:2007/03/14(水) 22:59:55 ID:jc7PJXsRO
あかほしゅ
291代打名無し@実況は実況板で:2007/03/15(木) 05:04:53 ID:SOEZs4q90
新作期待保守
292代打名無し@実況は実況板で:2007/03/16(金) 00:13:41 ID:ThPr3iRi0
2323バトロワに吉野が登場してる!
まだ読んでない人、必読だよ!
293代打名無し@実況は実況板で:2007/03/17(土) 00:20:18 ID:06vPALCD0
安藤わざわざ乙ですw
294代打名無し@実況は実況板で:2007/03/18(日) 01:21:57 ID:0CdoeqzcO
安藤ww
295代打名無し@実況は実況板で:2007/03/19(月) 11:03:00 ID:FrWYwNF20
ほしゅ〜
296代打名無し@実況は実況板で:2007/03/20(火) 11:01:23 ID:nk2WBYb4O
ほす
297代打名無し@実況は実況板で:2007/03/21(水) 17:12:39 ID:kzJ5wfuN0
hosyu
298代打名無し@実況は実況板で:2007/03/21(水) 23:13:47 ID:kzJ5wfuN0
hosyu
299代打名無し@実況は実況板で:2007/03/22(木) 10:18:41 ID:G2SpD+W+0
捕手
300代打名無し@実況は実況板で:2007/03/22(木) 12:53:24 ID:9GK4B0tKO
あかほしゅ
301代打名無し@実況は実況板で:2007/03/23(金) 04:30:34 ID:IYOYnm2M0
ほしゅほしゅ
302代打名無し@実況は実況板で:2007/03/23(金) 14:16:49 ID:2k2s0YZA0
ほしゅ
303代打名無し@実況は実況板で:2007/03/23(金) 16:16:59 ID:NA3wQde50
あか☆ゅ
304代打名無し@実況は実況板で:2007/03/23(金) 16:46:32 ID:tvE2qFvW0
払子
305代打名無し@実況は実況板で:2007/03/24(土) 03:58:03 ID:Px1xEpYu0
ほしゅ
306代打名無し@実況は実況板で:2007/03/25(日) 01:41:51 ID:8FUKGnsLO
307代打名無し@実況は実況板で:2007/03/25(日) 06:56:20 ID:aeklXucc0
やべぇ、保守
308代打名無し@実況は実況板で:2007/03/25(日) 11:08:05 ID:KZ6JHTqsO
309代打名無し@実況は実況板で:2007/03/25(日) 14:35:42 ID:ydoIYspI0
めげずに保守
310代打名無し@実況は実況板で:2007/03/25(日) 23:56:44 ID:OlQE5aoH0
捕手
311代打名無し@実況は実況板で:2007/03/26(月) 15:40:36 ID:/H/UJKeRO
保守
312代打名無し@実況は実況板で:2007/03/27(火) 00:23:26 ID:wabwbOB/O
ずっと気になっていたんだが、島がどのくらいの期間放置されていたのかは統一しないのか?
25話では2日ほど前からになっているが
313代打名無し@実況は実況板で:2007/03/27(火) 05:32:42 ID:eu9gKOD00
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070326-00000040-flix-movi

なぜ千秋が地元でブーイング? 3万人弱のファンに囲まれ大ピンチ!
3月26日12時15分配信 シネマトゥデイ

 24日、千葉ロッテマリーンズの開幕戦が、ホームグラウンドである千葉マリンスタジムで行なわれた。記念セレモニ
ーでは、地域密着型の“ふるさと球団”を目指す千葉ロッテマリーンズらしく、地元の小学生が選手らに応援のメッセ
ージを書いた旗が贈呈された。その旗とマリーンズのスローガンである「All Hands toThe Flag 結束、フラッグのため
に」と書かれたビッグフラッグをグランドに運んできたのは、現在絶賛公開中の『映画ドラえもん のび太の新魔界大
冒険〜7人の魔法使い〜』でドラミの声を担当している千秋だった。
 真っ赤なリボンを頭に乗せた“ドラミちゃんスタイル”で千秋が登場すると、3万人弱の野球ファンで埋め尽くされた会
場からはなぜかブーイングが起こった。通常マリーンズの始球式や開幕セレモニーでは、千葉ロッテマリーンズのフ
ァンである人が登場するのが慣わしだ。しかし、千秋は某球団の熱心なファンであることを公言していたことから、ブ
ーイングが起きてしまった。








珍が開幕の始球式に出てきたら誰でも怒るだろwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
314代打名無し@実況は実況板で:2007/03/28(水) 10:01:54 ID:pkJgOUgH0
ほしゅ
315代打名無し@実況は実況板で:2007/03/28(水) 16:54:32 ID:DKdUAkN/0
やっと現行に読み追いついた・・・
今さらながら叫ばせて下さい

サジ―――!!死ぬな――――!!!
316代打名無し@実況は実況板で:2007/03/28(水) 23:35:44 ID:jWpLx7UyO
>>315
一緒に気長にwktkしようぜww
317代打名無し@実況は実況板で:2007/03/29(木) 21:15:12 ID:fOrNdJ1LO
あかほしゅ
318代打名無し@実況は実況板で:2007/03/30(金) 05:22:28 ID:gXO6ZOaI0
hosyu
319代打名無し@実況は実況板で:2007/03/31(土) 10:54:10 ID:kZbLjRiL0
一日遅れたけど開幕ほしゅ
320代打名無し@実況は実況板で:2007/04/02(月) 01:37:15 ID:/Q6O7IKiO
捕手
321代打名無し@実況は実況板で:2007/04/02(月) 23:04:02 ID:rLWzZPON0
捕手ついでに古今東西
【虎バト好きな名台詞】
322代打名無し@実況は実況板で:2007/04/03(火) 01:43:45 ID:RMqRsNN+O
いっぱい名台詞あるからなぁ
こりゃ悩むわ
323代打名無し@実況は実況板で:2007/04/03(火) 04:08:37 ID:JKnM12q/0
リンの「僕らは生きなければいけないんです」
324代打名無し@実況は実況板で:2007/04/03(火) 09:53:06 ID:+9vXilzx0
ひーやんの「運命に逆らってみろ」ですね。
号泣しましたから(笑)
325代打名無し@実況は実況板で:2007/04/03(火) 13:28:03 ID:aWwu8o5mO
安藤の「親友です。死んだからって、放り出せるわけ……ないでしょ」
泣いた
326代打名無し@実況は実況板で:2007/04/04(水) 16:25:18 ID:Nfr3uZZ80
福原の「俺の荷物と武器、あげる。セキ、生き残ってな。50年後にこっちに来いよ、一
 緒に野球やって釣りしよう。」
この辺↑でやばいやばいやばい福原さん待ってとか思ってたらやっぱ自殺しちゃって、もう、泣いた。セキーしぬなよー
327代打名無し@実況は実況板で:2007/04/07(土) 14:07:48 ID:jsJgEkmwO
落とすなよー
328代打名無し@実況は実況板で:2007/04/08(日) 00:30:27 ID:E82ifSzxO
保守ついでに。
台詞ではないけど秀太の
「俺はもっと早く狂うべきだったのに─」
だったかな。あの一連の所何回読んでも泣けるよ…。
329代打名無し@実況は実況板で:2007/04/08(日) 00:55:12 ID:Fa/TkF3T0
昨日巨人に勝ちオメ保守
330代打名無し@実況は実況板で:2007/04/08(日) 04:36:26 ID:QIzNJBF30
じゃ、俺もオメ保守
331阪神:2007/04/08(日) 06:41:26 ID:fwO+yW51O
早く優勝しろ
332代打名無し@実況は実況板で:2007/04/08(日) 09:53:10 ID:HmM7YfgrO
今日の勝利の前祝い保守
333代打名無し@実況は実況板で:2007/04/08(日) 16:17:26 ID:Yacypzo9O
広沢死ね!広沢死ね!死ね!死ね!
人間失格広沢死ね!
エゴの固まり広沢死ね!
腐った人格エゴイスト広沢死ね!
334代打名無し@実況は実況板で:2007/04/08(日) 19:38:13 ID:pucraPdA0
>>312
遅レスだが、第一話のプロローグで結構長いこと無人の島と岡田が言っている。
だから二日前ってことはない気もするんだが・・・
335代打名無し@実況は実況板で:2007/04/08(日) 22:53:37 ID:xtWu8PER0
うわ駄目だ全部好きすぎて名言揃いで選べない!
そんな俺はO型
336代打名無し@実況は実況板で:2007/04/09(月) 01:07:25 ID:N5p4lozdO
広沢死ね!あいつに喧嘩売られた俺が言うんだから間違いない!
腐った人格広沢死ね!
エゴの固まり広沢死ね!
ひんまがった性格人前ボロボロ!広沢死ね!
外面
337代打名無し@実況は実況板で:2007/04/09(月) 01:09:37 ID:N5p4lozdO
広沢死ね!あいつに喧嘩売られた俺が言うんだから間違いない!
ひんまがった性格人格ボロボロ!広沢死ね!
外面だけ善人面しやがって死ね!広沢死ね!腐った偽善者広沢死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!

338代打名無し@実況は実況板で:2007/04/09(月) 01:15:07 ID:22CLgaN90
浜中君、バット振らなきゃ当たりませんよ。
339代打名無し@実況は実況板で:2007/04/09(月) 17:51:23 ID:6u9GUOb50
「死にたいとは思わないよ。死にたくないとも思わないってだけ」

名台詞がたくさんあって選び辛いが、下さんのこの台詞と
この章の最後の行「――佐藤コーチに謝ろう。」は特に泣ける。

ゲーム進行はもちろんだが、伊藤課長の今後の動きもwktk
340代打名無し@実況は実況板で:2007/04/09(月) 20:37:38 ID:ramAgpg2O
>>334
プロローグでそう書いてあるなら長いこと放置されてたでFA?
職人さん、揚げ足とるようで悪い。新作wktk
341代打名無し@実況は実況板で:2007/04/09(月) 23:21:16 ID:MGsP5fQn0
25話には「ふと、公園を見渡す。小さな砂場、ジャングルジム、ブランコ、
滑り台。つい二日ほど前までは子供たちが遊んでいたのだろう。」
と書いてあるんだよね。
どっち?と思わないこともないけど話の大筋には支障なさそうだし
あまり気にしないようにしてる。
342174(1/5):2007/04/10(火) 23:26:57 ID:QZzdt7eb0
>>258
147.千載一遇

「ふぅ……」
 手にしていた黒いアタッシュケースを地面に置き、背中に担いだウィリアムスを
担ぎ直して、田中秀太は溜息をついた。一人で運ぶには少々キツイ荷物の量だ。
 パスワード式のキーロック機能がついたアタッシュケースは、見た目から推測
出来る重量の倍は重い。中身が重いのかケース自体が重いのか知らないが、それが
余計に秀太の苛立ちを増長させていた。
 地図を片手に、鬱蒼と覆い茂る森の前に佇む。だいたいこの辺りから先が、体育館
を内包する禁止エリアになるはずだ。
 秀太はイヤホンを装着し、腕のトランシーバーに口を寄せた。
「田中秀太です」
『ウィリアムスか』
 秀太への労いの言葉もなく、彼が担いでいる男の名前を口にする。
 応えたのは岡田でも平田でもなく、平塚だった。先程の急な用事の押し付けの時
から、こちらへの対応は全て平塚が行っている。他の人間は手が空いていないの
かもしれない。
「はい」
 やはり見られている。
 先の連絡時とは違い、迷いなくウィリアムスの名を口にした平塚にそう確信する。
 口元を引き締め、秀太は悟られぬようこっそりと周囲を見回した。カメラがどこか
に付いているはずだ。
(あそこか――?)
 斜め右前方の木の枝の一部に、不自然な光沢が見えた。
 怪しまれないように顔の向きを注意しながら目を凝らす。暗くてよく見えないが、
そう意識してみると、そこに人工的な何かが取り付けられていて、雨水に濡れて
月明かりを反射しているようにも見える。
 あれがカメラだとしたら、あんなものがいったい幾つこの島に設置されているの
だろうか。
343174(2/5):2007/04/10(火) 23:27:51 ID:QZzdt7eb0
『よし、一時的に禁止エリアを解除した』
 カメラ捜しに集中していると、少し長めの沈黙の後、平塚の声が耳に流れ込んで
きた。
『入っていいぞ』
「はぁ……」
(入れって言われても……)
 いくら解除されたと言われても、先程まで一歩踏み込めば首が飛ぶエリアに躊躇
なく足を踏み入れるのはメンタル的に非常に困難だ。
 もし何かの間違いで解除されていなかったり、彼の言葉が嘘だったりしたら、自分
は間違いなく死ぬのだ。
『何をもたもたしてるんだ。早くしろ』
 平塚の声には、あからさまに苛立ちが籠もっていた。
 仕方がなく、秀太は大きく息を吸い込んで腹を決めた。おそるおそる足を踏み
入れる。
 何も起こらない。
 もう数歩歩き、完全に禁止エリアに入ったことを確信し、ほっ……と安堵の息を
漏らした。
『入ったな。じゃあ通信を切るぞ。以後、通信には平田コーチが対応する』
 語尾が切れるか切れないかというタイミングで、慌ただしく平塚からの連絡は
途切れた。よほど急ぎの用事があるのだろうか。
 先程のウィリアムスの起こした爆発事件でもかなり慌てていたようだから、
本部が多少混乱しているのは間違いなさそうだ。
 一旦足を止め、秀太はイヤホンを取り外してポケットへと突っ込んだ。
 心持ち、少しだけ足取りが軽くなり、秀太は大股で先へと進んだ。この大荷物
では、すぐに力尽きるのは目に見えていたが。
 それは、ほんの少しの優越感だった。
 禁止エリアを解除し、本部へと入れてもらえる存在。
 自分と、他の参加者との明確な違い。
(俺は選ばれたんだ)
 この状況下での唯一の心の拠り所が、自責の念を駆逐していく。
344174(3/5):2007/04/10(火) 23:29:58 ID:QZzdt7eb0
 金本でも、矢野でも井川でもない。自分が、田中秀太が選ばれたのだ。
 プロに入ってから長年味わうことのなかった「特別」であるという心地良さが、
綿布に染み込む水のように秀太の臓腑を浸していった。
 それは麻薬のような快楽だった。


 秀太が入っていった。
 その事実を愕然と受け入れながら、中村豊(背番号0)は森に消えていった田中秀太
の背中を見送っていた。
 ここから先は禁止エリアである。地図はなくとも、少し高見から確認すれば、島
の中央に鎮座する体育館と、その周囲を覆う森の位置くらいは確認できる。
 爆発を手がかりに事件現場へと近づいたのは、これだけ島中に轟く爆音を聞けば、
ゴレンジャーが動かないわけはないと思ったからだ。
 勿論それ以外の人間も動き、危険人物に遭遇する危険性もあったのだが、中村に
とって、まずは彼らに合流することが最優先事項だった。
 正確な禁止エリアの範囲が分からないので、用心しながら目的地に向かう途中、
田中秀太を目撃してしまった。
 強ばった表情で、険しい視線で、突き進む彼はあろうことかウィリアムスの身体
を引きずっていた。
 思わず後をつけていったところ、田中秀太は禁止エリア目前と思われるところで
立ち止まり、腕時計に向かって何事かを告げた。
 奇妙な間だった。何かを待つように佇んでいた秀太は、しばらくして、数度躊躇う
ような仕草を見せてから禁止エリアの奥へと姿を消した。
(どういうことだ……?)
 禁止エリアに進入すると、首輪が爆発し命を落とす、と確かに首脳陣は言った。
 もしかしたら選手を脅かすための嘘だったのかもしれない、という思いが一瞬過ぎる。
 が、その可能性は低いように思えた。 
 反対した佐藤コーチを平気で殺し、選手を喜んで殺し合わせる彼らが、今更そんな
中途半端なことをするとは思えない。だとすると――
(秀太、お前……)
345174(4/5):2007/04/10(火) 23:30:42 ID:QZzdt7eb0
 自分を撃った秀太。
 ゴレンジャーを裏切った秀太。
 生きているのか死んでいるのかも分からないが、ぐったりと力なく眠るウィリアムス
を引きずる秀太。
 禁止エリア前で立ち止まり、見えない誰かと会話をしてから、何事もなく死の境地
へと足を踏み入れた秀太。
 目の当たりにした現実を繋げ合わせていくと、一つの推測が浮かび上がってきた。
(お前は、首脳陣の手先なのか?)
 あまりと言えばあまりの現実に、中村豊は怒りすらなくただただ唖然とした。
 自分を裏切り、ゴレンジャーを裏切った彼に対し湧き上がっていた憤怒は、氷水を
浴びせられたかのように冷え固まっている。
 奇妙な程冷静に、彼の背中が消えた闇を凝視していた。
 追いかけるべきだろうか。
 追いかけるべきだ。直感的に、そんな衝動が中村豊を掻き立てた。
 衝動に連動して、ふくらはぎの辺りに力を込める。自然に、足の裏の土がスパイク
と擦れ合う音を立てた。 
(待てよ、でも)
 一度思い直す。
 ここから先は禁止エリアだ。
 主催者側の田中秀太が侵入出来たとはいえ、自分も同じように通過できるという
保証はどこにもない。
(もしかしたら、最初から秀太の首輪だけ偽物だっていう可能性だってある)
 しかしそうだとすると、秀太が一旦立ち止まっていたことと、足を踏み入れる直前の、
彼の躊躇いようが不自然な気がした。
(無線で連絡して、禁止エリアを解除してもらった?)
 だとしたら、今なら中村豊も入れるはずだ。田中秀太の首輪だけ、一時的に機能停止
するという器用な真似が出来るならまた状況は変わってくるが、首輪や禁止エリアに、
どこまでの機能が有されているのかこちらから察することは出来ない。
(考えても仕方がない、か)
 どう検証したところでリスクはつきまとう。
 よく考えれば、そんなリスクはこのゲームに参加させられた時点でイヤでも背負わな
ければいけない類のものだ。
346174(5/5):2007/04/10(火) 23:31:52 ID:QZzdt7eb0
 今ここで彼を追いかけることで、あの反吐が出るような主催者共の懐に潜り込める
かもしれない。
(千載一遇のチャンスだ)
 今ここでこのチャンスをみすみす見過ごし、数日の延命を選ぶことで、万に一つ
の希望が潰えるかもしれない。
(どうする……?)
 考えるべくもない。
 ゴレンジャーに仲間として迎え入れられた時、彼らの志についていこうと心に
決めたのだ。
 だとすれば、迷う時間はない。
(ここで逃げたら、みんな死ぬ)
 中村は胸元で拳を握った。
 縦縞のユニフォームに皺が寄り、『0』の文字が奇妙に歪んだ。
 心拍数が上がる。無意識に足が震えた。どれだけ意気のいいことを言っても、
本能的な恐怖心というのはぬぐえない。
 一歩入り込めば、首から上が吹き飛ぶ空間。そのイメージが鮮やかに脳裏を過ぎり、
中村は慌てて振り払った。
 奥歯を噛み締め、中村豊は黒々と口を開く夜の森を睨み付けた。
 秀太も、あの大荷物ではそれほど早く移動はできないだろうが、急がなければ見失って
しまう可能性はある。
(今更ビビんなや!)
「――おっしゃ!」
 握った拳を小さく振り、その勢いで足を前に出す。
 パチン、と軽く両頬を叩き、真っ直ぐと前を向いた。
(金本さん……俺が――道を拓きます!)
 信念を胸に、中村豊は背番号00を追って森の中へと駆け込んだ。

【残り34人】
347代打名無し@実況は実況板で:2007/04/10(火) 23:55:13 ID:wFlVvp8rO
職人さん、乙です!
豊頑張れ!なんとか首脳陣に一泡ふかせてくれ!そして秀太も救ってくれ!
348代打名無し@実況は実況板で:2007/04/10(火) 23:55:24 ID:yGmQnDTB0
しょっ…職人さんキタ━━━━(゚∀゚)━━━━━!!!!
待ってました…降臨してくれたことに泣けるよ…!ありがとう!!

そして秀太あああぁぁあああぁぁ…
いや待てよ豊あああぁぁぁぁああああ!!!!
349代打名無し@実況は実況板で:2007/04/11(水) 01:41:14 ID:Im3dz0jmO
おおおおお!
待ってましたー!

豊、豊、気をつけて…!
350代打名無し@実況は実況板で:2007/04/11(水) 05:08:09 ID:lyymHRLY0
職人さん、乙であります
豊、何するつもりや・・・
351代打名無し@実況は実況板で:2007/04/11(水) 14:33:43 ID:s0sQ/aEE0
> 中村は胸元で拳を握った。
> 縦縞のユニフォームに皺が寄り、『0』の文字が奇妙に歪んだ。
>  心拍数が上がる。(後略)

どんな感嘆符を重ねるよりはっきりと、豊の心情が伝わってくる
何より、豊の「ゴレンジャー大好き大好き!大事大事!」という思いが伝わってくるよ!
豊と秀太、同じく抱える迷いと、正反対のポジションが、互いを引き立てあってる
読む間、つい息するのも忘れちまったぜ!職人さん乙!
352代打名無し@実況は実況板で:2007/04/11(水) 23:43:25 ID:BRrm8n1+O
職人様乙でございます!

元々秀太好きだけど今日の試合で映る度に叫びそうになった…。
353代打名無し@実況は実況板で:2007/04/12(木) 14:08:12 ID:KEV10Qp50
>>352
わお、一瞬にして現実に・・・
354代打名無し@実況は実況板で :2007/04/13(金) 00:11:22 ID:GMBzIrQm0
職人様乙です!
頑張れ豊・・・!そして目を覚ませ秀太ァアアorz
355代打名無し@実況は実況板で:2007/04/13(金) 01:49:51 ID:EKAECaoJ0
阪神本スレの次スレがまだなんだけど。
356代打名無し@実況は実況板で:2007/04/14(土) 01:17:36 ID:XlYJZfD9O
357代打名無し@実況は実況板で:2007/04/15(日) 09:31:58 ID:XYOPO4oZO
358代打名無し@実況は実況板で:2007/04/15(日) 23:10:27 ID:KTbWxnqj0
359代打名無し@実況は実況板で:2007/04/16(月) 07:12:13 ID:BPHLEznOO
360代打名無し@実況は実況板で:2007/04/16(月) 10:12:34 ID:U2Z7sWkJ0
361代打名無し@実況は実況板で:2007/04/16(月) 14:26:21 ID:Fzgs6vvn0
362代打名無し@実況は実況板で:2007/04/16(月) 19:56:25 ID:YuHoXmBb0
死兆星?
363代打名無し@実況は実況板で:2007/04/16(月) 20:25:00 ID:kF0dneJZO
>356-362

吹いたw
364代打名無し@実況は実況板で:2007/04/17(火) 12:05:30 ID:cvM3+lGJ0
hosyu
365代打名無し@実況は実況板で:2007/04/18(水) 15:41:46 ID:9kBlx9x30
ほしゅ
366代打名無し@実況は実況板で:2007/04/19(木) 21:42:27 ID:AsjIFT4E0
 
367代打名無し@実況は実況板で:2007/04/21(土) 13:57:42 ID:Mo4OHrG70
368代打名無し@実況は実況板で:2007/04/21(土) 22:56:47 ID:d0BszQAOO
あかほしゅ
369代打名無し@実況は実況板で:2007/04/22(日) 00:48:39 ID:kEj6xtu40
370代打名無し@実況は実況板で:2007/04/23(月) 01:46:14 ID:bUWIR47fO
371代打名無し@実況は実況板で:2007/04/23(月) 02:24:26 ID:QHwNarrWO
どんでん
372代打名無し@実況は実況板で:2007/04/23(月) 23:51:07 ID:0v1D0G69O
373代打名無し@実況は実況板で :2007/04/24(火) 01:15:48 ID:fMuYQoba0
374代打名無し@実況は実況板で:2007/04/24(火) 01:44:24 ID:ruA5Mofz0
でんねん
375代打名無し@実況は実況板で:2007/04/25(水) 12:14:28 ID:8JCC3WJ3O
376代打名無し@実況は実況板で :2007/04/26(木) 00:01:34 ID:FIh2r4kG0
377代打名無し@実況は実況板で:2007/04/26(木) 11:52:26 ID:LrSILjeB0
378代打名無し@実況は実況板で:2007/04/26(木) 14:31:40 ID:HPQopKzhO
すばる。
379代打名無し@実況は実況板で:2007/04/26(木) 19:47:31 ID:Z/GJ+/550
わーれはーゆくー♪
380代打名無し@実況は実況板で:2007/04/27(金) 12:38:46 ID:ddfrkXE80
安藤スレが落ちたらしいので
気合い入れて保守
381代打名無し@実況は実況板で:2007/04/27(金) 18:00:44 ID:1vBW6mvA0
話それるけど、赤星の車いすがオークションに出品されてたのは腹立つ。
382代打名無し@実況は実況板で:2007/04/27(金) 23:20:59 ID:VeF1tHsvO
本人が一番無念に感じてるだろうな
赤星…(´;ω;`)
383代打名無し@実況は実況板で:2007/04/29(日) 01:57:14 ID:GAvmMb8a0
保守します
384代打名無し@実況は実況板で:2007/04/29(日) 02:09:03 ID:WN9E6Yh+O
林選手って年齢はおいくつですか?
わかる人教えてください。
385代打名無し@実況は実況板で:2007/04/29(日) 02:12:00 ID:oZZv6zuMO
>380
同じ気持ちでほしゅ
386代打名無し@実況は実況板で:2007/04/29(日) 20:11:34 ID:mz9Ji72+O
387代打名無し@実況は実況板で:2007/04/30(月) 14:48:06 ID:xMZQ2Q7xO
388代打名無し@実況は実況板で:2007/05/01(火) 01:50:58 ID:IFv/XLXW0
389代打名無し@実況は実況板で:2007/05/01(火) 19:20:59 ID:M7hB4khYO
>>384
28。学年でいうと濱中や関本と一緒らしい
次からはググってから聞けな
390代打名無し@実況は実況板で:2007/05/02(水) 23:21:00 ID:qr7iFuXaO
億バトが落ちたぜ…
保守
391代打名無し@実況は実況板で:2007/05/03(木) 08:17:47 ID:7zlmrChzO
やのほしゅ
あかほしゅ
392代打名無し@実況は実況板で:2007/05/03(木) 16:35:20 ID:IKUzrpC1O
ほしゅ
393代打名無し@実況は実況板で:2007/05/04(金) 01:11:31 ID:Kkwh04Sq0
ほっす
394代打名無し@実況は実況板で:2007/05/04(金) 01:14:26 ID:xRzCh7+DO
阪神はレッドソックスとオープン戦やって20対0でコテンパにしてくれ




395代打名無し@実況は実況板で:2007/05/04(金) 22:47:13 ID:GZp8q9VS0
ほしゅ
明日も仕事〜
396代打名無し@実況は実況板で:2007/05/05(土) 00:33:59 ID:gAnzz8kE0
保守
397代打名無し@実況は実況板で:2007/05/05(土) 11:30:32 ID:sLQpKO4T0
あかほしゅ

・・・(´;ω;`)グスッ
398代打名無し@実況は実況板で:2007/05/05(土) 21:30:58 ID:PyZKPlRX0
hosyu
399代打名無し@実況は実況板で :2007/05/06(日) 20:19:37 ID:U9aPAg/t0
400代打名無し@実況は実況板で:2007/05/06(日) 21:55:29 ID:hhOBwYYl0
401代打名無し@実況は実況板で:2007/05/06(日) 22:32:24 ID:X8E2oKK0O
402代打名無し@実況は実況板で:2007/05/07(月) 00:44:47 ID:znI/Z58K0
403代打名無し@実況は実況板で:2007/05/07(月) 23:25:24 ID:Oa8reX3dO
404代打名無し@実況は実況板で:2007/05/08(火) 00:16:47 ID:1Ox8p8500
405代打名無し@実況は実況板で:2007/05/08(火) 02:41:18 ID:RlvhV9Vp0
406代打名無し@実況は実況板で:2007/05/08(火) 21:30:25 ID:S3Qr4NND0
407代打名無し@実況は実況板で:2007/05/09(水) 23:29:12 ID:/3cl2Nap0
kl:kdfsfads;fd]l




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408代打名無し@実況は実況板で :2007/05/10(木) 09:30:50 ID:cyTISCiI0
409代打名無し@実況は実況板で:2007/05/11(金) 01:53:57 ID:GOSrPqaV0
410代打名無し@実況は実況板で:2007/05/11(金) 02:03:59 ID:wdkSsQvt0
411代打名無し@実況は実況板で:2007/05/11(金) 03:07:24 ID:Yo3UdhDWO
412代打名無し@実況は実況板で:2007/05/11(金) 09:35:00 ID:3nTcURAv0


413代打名無し@実況は実況板で:2007/05/13(日) 00:51:19 ID:H+O2obGz0
おっお
414代打名無し@実況は実況板で:2007/05/14(月) 03:36:41 ID:gGNk5hzf0
捕手☆保守☆
415代打名無し@実況は実況板で:2007/05/14(月) 10:59:04 ID:LjL6DqnN0
hosyu
416代打名無し@実況は実況板で:2007/05/14(月) 20:54:11 ID:YHGoPTFcO
赤星ガンガレ
417代打名無し@実況は実況板で:2007/05/15(火) 00:13:06 ID:gos7gcMY0
保守
418代打名無し@実況は実況板で:2007/05/15(火) 23:50:16 ID:pp2yCgQLO
赤星ほしゅ
419代打名無し@実況は実況板で:2007/05/17(木) 00:57:41 ID:pXvLMFSi0
ほしゅ
420代打名無し@実況は実況板で:2007/05/17(木) 08:49:36 ID:UfJOcbfZO
落とすものか
421代打名無し@実況は実況板で:2007/05/18(金) 12:32:31 ID:UUm+wobA0
ほしゅ
422代打名無し@実況は実況板で:2007/05/18(金) 13:58:50 ID:UvY7+g0QO
保守
423代打名無し@実況は実況板で:2007/05/18(金) 23:43:02 ID:Uw8MgCTj0
狩野ほしゅ

こんなカキコする自分は群馬出身orz
424代打名無し@実況は実況板で:2007/05/19(土) 06:02:33 ID:+trSIsze0
hosyu
425代打名無し@実況は実況板で:2007/05/20(日) 01:18:21 ID:6gDpWt8r0
あげ
426代打名無し@実況は実況板で:2007/05/20(日) 01:26:38 ID:/COudKXIO
狩野は前工出身
427174(1/7):2007/05/20(日) 18:15:14 ID:Ix2egfVm0
>>346
148.錯綜する疾走

 あれほど覚悟を決めて飛び込んだ死神の口は、拍子抜けするほどあっさりと
中村豊(背番号0)を受け入れた。
 どうやら一つ目の賭は成功したらしい。
 だが、ここで気を抜くことは出来ない。
 闇の向こう、この先待ち受ける幾つの賭に勝てば光が見えるのか、中村豊には
想像も出来なかった。
(それでも、可能性はゼロじゃない)
 ゼロからの出発点。トレード先で与えられた背番号に、自分なりにそんな意味を
与えた。
 ゼロから出発するということは、その先にゼロは有り得ないのだ。
 可能性というのは、道を切り開こうと努力すればするほど上がっていく。
 それが中村豊の持論だった。
 今自分がこうやって前に進み続けていることで、可能性は確実に、ほんの少し
ずつだが上がってきている。
(何の可能性かって? ……このゲームをぶっ潰して、みんなで生きて帰る
可能性だ!)
 何でもいい。何か手がかりを、道を、切り札を、手に入れることが出来れば、
頼もしい仲間が待っていてくれる。
(――おっと)
 自分を鼓舞することに夢中になってしまい、中村は一瞬、前を歩く秀太が立ち
止まったことに気付かなかった。
 合わせて立ち止まり、木の陰に身を隠して様子を伺う。
(また休憩か……)
 一度荷を降ろし、秀太は肩や首を回してからその場に座り込んだ。
 少し進んではすぐに休憩を取り、遅々として進まない。
 確かに、相当な重労働なのは違いないが、どうにも緊張感に欠ける気がした。
 どんな状況下においても、手を抜けるところは抜こうという姿勢はある意味――
(あいつらしいっちゃあいつらしいか)
428174(2/7):2007/05/20(日) 18:17:02 ID:Ix2egfVm0
 不器用で、我ながら要領が悪いと思う程、何事に対しても全力で取り組む中村と、
要領よく、抜くところは抜いて上手く立ち回る秀太。
 本来ならば不愉快に思ってもおかしくないタイプの人間なのに、何故か彼に
対して嫌な気をしたことはなかった。
 「まあ秀太だから」と周囲から笑って許容されてしまうような、不思議な愛嬌が
彼にはあった。
 彼の周囲で笑いの絶えなかった日々を思い出し、ふとほころびかけた頬を、
中村は慌てて引き締めた。
(今あいつがしてることは、笑って許されるようなレベルじゃない)
 人として腐りきった首脳陣共に手を貸す彼もまた、同じ種類の人間だ。
 しかし、こうも遅々として進まないと、追跡してる身としてもイライラしてくる。
(ちょっと待てよ)
 足踏みをしそうになりながら秀太の背中を睨み付けていると、中村はあることを
思いついた。
 この禁止エリアが、今回秀太が入るために解除されたのだとしたら、秀太が出た
後は再び禁止エリアに設定される可能性が高い。
 目的地は分かっているのだから、彼の後をついて行くよりも、彼より前に着いた
方が自由に使える時間は多い。
(先回りする必要があるな)
 なぜもっと早く気付かなかったのだろう。鈍い自分に歯噛みしながら、ロスした
時間を考えそうになり、中村はすぐに思考を切り替えた。
 気付かれないよう秀太の側を離れながら、進行方向を意識する。
 月と星の位置を確認して、中村豊は駆け出した。
 背に担いだライフルが背骨にぶつかり、見えざる手に急き立てられている気がした。


 グラウンドに出ると、空が明るくなったように感じた。
 広い土色の地面に、月明かりが吸い込まれる。
 小さな世界の中心から見上げる星空は、広大で、美しかった。
 全てを放り出し、グラウンドの真ん中に寝そべって満天の星明かりに吸い込まれて
しまいたくなるような――魔性の魅力。
429174(3/7):2007/05/20(日) 18:18:18 ID:Ix2egfVm0
 それでも心を奪われたのはほんの一瞬だったように思う。
 足を止めることはなかった。視線を地上に戻したとき、目に入った二つの建物に
中村は瞼を瞬いた。
 忘れていたわけではないが、意識していなかった。いや、やはり忘れていたのだろう。
(ヤバイ)
 体育館――校舎。
(どっちだ!?)
 どちらが主催者の拠点になっているのか。間違ってしまったら時間の無駄だ。限られた
時間を無駄にしてしまったら、全てが水の泡だ。
 眼前に聳える二つの建築物に近づきながら、中村はゲーム開始直後の記憶を呼び
戻した。
 自爆装置に、禁止エリアや全島放送――
 今までの話を聞く限り、これらは一括して首脳陣がコントロールしているのは
ほぼ間違いない。
 その為には、それなりの施設が必要になる。
 体育館には、自分が記憶する限りそんな怪しげな機械類は置かれていなかった。
 また、そういった大がかりなものを収納できるようなスペースもなかったように思う。
 対して、校舎には山ほど教室がある。
(じゃあ校舎だ!)
 ほとんど勘で、中村は進行方向を決めて進んだ。
 正面の玄関口から校舎に入り込む。室内独特の、ひんやりとした空気が頬に張り
付いた。
 靴箱が並ぶ空間は、どこか懐かしい。
 スパイクが立てる音を気にして、中村は靴を脱ぎ適当な靴箱に押し込めた。
(見つかったら殺される……かな、やっぱり)
 今更ではあるが、敵の膝元まで来て改めてそんなことを思う。背中を流れる汗が、
ここまで走ってきた時とは違う冷たさを伴っていた。
(とにかく、手当たり次第当たっていくしかない!)
 がむしゃらに校舎内を駆け回り、中村は目に付く教室から一つずつ中の様子を探って
いった。
430174(4/7):2007/05/20(日) 18:19:22 ID:Ix2egfVm0
 小さな孤島の廃校といっても、部屋数はそれなりにある。
(違う、……違う、ここじゃない)
 息を殺しながらの探索は過度の緊張を中村に与えた。空振りが続く。
 あれからどれくらい経ったのか――時間の感覚がなくなっている。
 秀太はもう着いただろうか。
『秀太が禁止エリアを離れれば、ここは禁止エリアに設定される』
 自身の推測ではあるが、それは限りなく正しいように思えた。 
 彼らの使徒である田中秀太が出ていけば、このエリアを無防備な状態のまま放って
おく必要はない。
(どこだ? どこにいる!?)
 募り続ける焦燥感に、少しずつ不安が染み込んでいく。
(もしかしたら、やっぱり体育館の方に――)
 ――光が見えた。
「っ……!?」
 思わず声が出そうになったのを慌てて押し殺す。
 暗く沈んだ廊下に、細い光の筋が差し込んでいた。
 慌てて床に這い蹲り、匍匐前進で近づいていく。
 完全に窓を分厚いカーテンで遮断した一室。
 立て付けが悪いのか、角に砂かゴミでも溜まっているのか、木造の引き戸からほんの
僅かに室内の明かりが漏れ出ている。
 跳ね上がる鼓動の音すら聞こえてしまいそうな空間で、中村豊は一人、そっと隙間
を覗き込んだ。
(何や……これ……っ!?)
 まず目に入ったのは、壁一面を埋め尽くすモニターだった。
 小さなモニターの一つ一つは、全て違う映像を映し出している。
 中には灰色の砂嵐が流れているだけのものもあるが、そこにある多くは間違いなく、
この島のどこかを映していた。
 目を凝らしてみると、画面内で動いている人間が確認できる。あれは今岡だろうか――
 森の中を武器を抱えて一人彷徨く者。どこかの部屋の片隅で蹲る者。
 ――まるで戦場のようだ。
 室内で、布団で寝込んでいる者と、その枕元で見守る者もいた。
431174(5/7):2007/05/20(日) 18:21:07 ID:Ix2egfVm0
 こういう、複数人で助け合って生き延びようとしている人間もいるのだ。
 彼らの為にも、自分達のためにも、こんな狂った計画は潰さないといけない。
 思わず画面の方に目を奪われてしまったが、部屋の中央に鎮座する男に気付き、
ギクリとする。
 何と言うことのないパイプ椅子に座り、腕を組みながら画面の方を向いている
中年の男。
(平田――)
 平田ヘッドコーチだった。
 衝撃の事実だ。まさかこんな形で島中に隠しカメラを設置し、自分達の様子を
監視していたとは――
(でもそれなら、俺が入ってくるのも気付かれてたんじゃ――)
 その可能性に思い至る。ここまで何の妨害もなく来れたが、それ自体が罠だった
のではないか?
 ぶわっと全身から汗が噴き出た。
 後ろを振り返るのが怖い。
 背筋に冷たいものを感じながら中村が平田の背中を凝視していると――
 カクンッ、と平田の身体が前のめりに傾いだ。
「……ぐがっ」
 それに合わせて、そんな短いイビキが聞こえてくる。 
 動きはそれだけだった。反動で再び元の体勢に戻ったかと思うと、項垂れたまま
動かなくなる。
「………………」
(……寝てる?)
 信じられない思いで、その事実を飲み込む。
 よくよく耳を澄ませると、定期的に小さなイビキが聞こえた。
 呆気に取られながらも、中村は視線を平田から外して再度周囲を確認した。 
 シンと静まりかえった廊下は薄暗かったが、誰かが近づいてくる気配もない。
 平田以外の人間はどこに行ったのか気になるが、とりあえずこの部屋には平田しか
いないようだった。
432174(6/7):2007/05/20(日) 18:22:13 ID:Ix2egfVm0
 まさか監視役が居眠りをしているというラッキーに鉢合わせるとは想像もして
いなかったが、これは天が味方したと思っていいだろう。
 逸る気持ちを抑え、中村はそっと戸を押し開いた。少しだけ音がして身体を強ばらす
が、平田のイビキが止むことはない。
 胸を撫で下ろし、足音を潜ませて侵入する。
 そこは、ゲームの中枢機関だった。
 壁一面のモニターと、部屋を埋める大型のコンピュータ類。ボタンや画面のついた
それらは休みなく働いていることを主張するように、小さな機械音や点滅を絶え間なく
続けている。
(どうする――?)
 どこをどう手を付けていいものか分からない。
 死を覚悟で全てを破壊してもいいが、自爆装置などの管理もここで行っているの
だろうから、下手にいじるのは危険だ。
 途方に暮れて部屋の中を見回すと、唯一親しみのある機器を見付けて中村は近づいた。
 それは、ごく一般的なFAX機だった。
 どこからか送信されてきたらしい、放置された書類を手にとってみる。
(なんだ、コレ……?)
 それは一見、この悪趣味なゲームと何ら関係のない内容のように思えた。
 いや、それよりも――
(何でこの人の名前がここに……)
 文字の羅列を目で追いながら、数枚の紙をめくる。
(まさか、これって……!)
 限られた情報量からあることを推測する。
 もし、自分の推理が正しかったとしたら――
(あれ?)
 視界の片隅で点滅を始めたライトに気付き、中村豊は書類から目を離した。
 忙しなく明滅を繰り返しているのは、得体の知れない機械に張り付いたボタンの
一つだった。
 よくよく観察してみると、周囲にマイクとヘッドフォンがついていることから、
それが通信用の機器であることが分かる。
 どこからか通信が入っているのだろうか。
433174(7/7):2007/05/20(日) 18:24:18 ID:Ix2egfVm0
 中村はヘッドフォンを装着し、震える指先でチカチカと呼び続けるスイッチを押した。
 その瞬間、耳に直接流れてきた声に。
 知らされる事実に。
「――――」
 脳髄を直接殴られたような衝撃が走った。
(そんな……こんなことって……)
 有り得ない。あってはいけない。そんな言葉がぐるぐると頭を巡る。思考が、これ
以上考えることを拒否しようとしていた。
 それでも、無慈悲にも耳に流れ込んでくる情報は、確実に、残酷に中村に真実を
突き付けていた。
(そうか、だからあの人は――)
 失ったピースを見付けたパズルがするすると解けていく。
 その時は気付かなかった違和感が、今になって違和感であったことに気付く。そして、
その正体に気付く。
 呼びかけは執拗だった。しかし、一向に応えない中村豊――正しくは主催者――に
対して諦めたのか、先方は最後にひと言を残して通信は途切れた。
 無音になったヘッドフォンをはずし、中村豊は呆然と立ちつくした。時間にすると、
ほんの数秒間。感覚にすると、限りなく長い間。それはある種の絶望だった。
 このゲームに放り込まれた時と、秀太に裏切られた時と、同等か、もしくはそれ以上の。
(早く、伝えないと……!)
 一刻も早く彼らに会わなければいけない。
(ゴレンジャーに!)
 真実を知りにここに来たのだ。突き付けられた真実の惨さに、打ちひしがれている
暇はなかった。
 ここで得た情報を、伝えなければならない。――立ち向かえる者に。
 書類を手にしたまま、中村豊は開けたドアの隙間をすり抜け、出口へと疾走した。 
「…………」

 薄暗い廊下を走り去っていく彼を見送る視線に、中村豊は気付かなかった。

【残り34人】
434代打名無し@実況は実況板で:2007/05/20(日) 19:25:31 ID:Pxe2Amkj0
き、きてた・・・・。
うわ、ばれてたってこと?
豊さん、気をつけて!
435代打名無し@実況は実況板で:2007/05/20(日) 19:46:38 ID:1rrvc/ij0
おお、新たな展開が・・・
職人さん乙です!
436代打名無し@実況は実況板で:2007/05/20(日) 20:07:24 ID:gjhgXUpJO
うぉぉ
衝撃の事実って……
437代打名無し@実況は実況板で:2007/05/20(日) 20:31:15 ID:q5p7kkpf0
久々に新作キタ!
真実って一体何なんだ!
これからの展開が楽しみだ!
438代打名無し@実況は実況板で:2007/05/20(日) 22:24:36 ID:nUKYZgVW0
うあぁ新作きたー
豊ガンガレ!超ガンガレ!
439代打名無し@実況は実況板で :2007/05/21(月) 01:20:17 ID:zR5JthTh0
久々の新作投下乙です!!
おわぁああん気になる・・・ガンガレ豊さん・・・!
440代打名無し@実況は実況板で:2007/05/21(月) 02:34:15 ID:Y5O0l7ja0
新作乙です!!

豊よ、何を見たんだ?!
441代打名無し@実況は実況板で:2007/05/21(月) 21:54:54 ID:oCdE9eV00
ほしゅ
442代打名無し@実況は実況板で:2007/05/22(火) 18:57:30 ID:y5CLwtTFO
保守
443代打名無し@実況は実況板で:2007/05/23(水) 01:29:51 ID:kl8ddzwC0
スタメン桜井とか藤原とか
喜田移籍とか見るたび
ガクブルするのは
このスレの住人だけでいい…

とか 思いながらほしゅ
444代打名無し@実況は実況板で:2007/05/23(水) 03:36:58 ID:qc+e9EyW0
445代打名無し@実況は実況板で:2007/05/23(水) 03:41:23 ID:rjNx6vNJ0
なにがあったああああああ
豊さああああああああん
ゴレンジャーと豊は助けて・・・
446代打名無し@実況は実況板で:2007/05/23(水) 08:08:51 ID:/57yn5NP0
狩野ってここではまだ生きてたっけ…と思ってしまう他ファンの自分
447代打名無し@実況は実況板で:2007/05/23(水) 13:10:23 ID:9WSJcBYJ0
>>446
生きてるよ
エグ杉と一緒にいたとオモ
448代打名無し@実況は実況板で:2007/05/23(水) 14:44:57 ID:nrtRFXd30
吉野が気になってしょうがない
先に逝ってしまった安藤ファンの俺
449代打名無し@実況は実況板で:2007/05/23(水) 23:02:30 ID:U6VYPPth0
ここの狩野は病気でかなりまいってたけど頑張ってるなあ
でも一緒にいる杉山がなんかヤバそうで心配
450代打名無し@実況は実況板で:2007/05/24(木) 21:59:29 ID:zc39xEgO0
ほしゅ
451代打名無し@実況は実況板で:2007/05/25(金) 16:57:25 ID:OVhPsGjMO
職人さん降臨まで保守
452代打名無し@実況は実況板で:2007/05/26(土) 05:26:53 ID:j38im1X+0
がー! すげー!!
職人さん、めちゃ乙!!!

豊、生きてゴレンジャーのところまで戻ってくれ!
453保守:2007/05/26(土) 14:43:57 ID:yYFQJox50
保守
454代打名無し@実況は実況板で:2007/05/26(土) 21:08:39 ID:03/24R960
豊、試合でも姿を見たいよ・・・保守
455代打名無し@実況は実況板で:2007/05/27(日) 10:59:09 ID:OAhvoNhY0
豊ってケガしてたよね、確か。治ったのかな・・・
保守
456代打名無し@実況は実況板で:2007/05/27(日) 22:08:49 ID:XNr7ax9G0
めげずに保守
457代打名無し@実況は実況板で:2007/05/28(月) 02:01:49 ID:7hKQaai60
保守
458代打名無し@実況は実況板で:2007/05/28(月) 15:23:31 ID:PB2A7aGY0
459代打名無し@実況は実況板で:2007/05/29(火) 18:34:18 ID:r07KIjFh0
ほしゅ
460代打名無し@実況は実況板で:2007/05/30(水) 01:15:19 ID:ZUVwVQ+GO
矢野復活祈願保守
461代打名無し@実況は実況板で:2007/05/30(水) 23:10:20 ID:N7sE3d9i0
保守
462代打名無し@実況は実況板で:2007/05/31(木) 00:10:58 ID:w4rb1uiw0
 
463924(1/4):2007/05/31(木) 01:26:24 ID:Hb/u/dub0
>>433より
149.立場の逆転

「ほんまに……ほんまに、それでええんですね?」
桜井がなおも念を押してくる。
「ええって言うてるやろ。さっさと撃ってくれや。ほら」
桟原は相手の右手に当てた左手に軽く力を込め、目を閉じた。
「そこまで言わはるんやったら――」
少し間をおいて、桜井の一段と低い声が聞こえてきた。
(そうや。撃て)
これでいい。引き金が引かれ、すべてが終わる。自分は楽になれる。
「――ああああああッ!!」
桜井が腹の底から溜めに溜めていた声を絞り出すように叫んだ。

予想だにしなかった激痛に桟原は思わず小さくうめいた。胸に撃ち込まれ、
即座に息の根を止めてくれるはずだった銃弾は飛んでこず、その代わり、
右の頬に拳をしたたか見舞われたのだ。
衝撃で傾いた身体を立て直しながら目を開けた時、桜井が拳銃を床に投げ
捨てるのが見えた。自由になった右手が固く握り締められ、うなりを立てん
ばかりの勢いで飛んでくる。それはよける間もなく桟原の左頬をとらえた。
利き手だけに左手で打ち込まれた一発目よりもさらに強烈だった。
こらえきれず、桟原は倒れこんだ。

「冗談やない! アホなこと言わんといてください!! こんなとこで死んで
 ええんですか!?」
桜井の怒鳴り声が降ってくる。転がったまま桟原は熱を帯びたようにじんじんと
痛む頬を押さえた。
「帰りたいんやないんですか!? 帰って野球やりたいんと違うんですか!」
口の中で血の味がする。殴られた拍子にどこか切れたらしい。
「……さっきはな。けど、今は……」
右手の甲で口元の血をぬぐいながら、桟原はのろのろと起き上がった。
464924(2/4):2007/05/31(木) 01:27:56 ID:Hb/u/dub0
いつもの自分なら、後輩に殴り倒されたりすれば絶対に黙ってなどいない。
しかし、今はやり返す気力も失せていた。
「今? 今は気が変わったって言わはるんですか? そしたら、逆に今の
 死にたい思う気持ちかて、すぐまた変わるかもしれへんやないですか。さっき
 いろんなことがあって頭の中がワーッとなってるって言うたはったけど、そんな
 状態で早まって死んでしもて、後からあの世でやっぱり死なん方が良かった
 とか後悔しても、遅いっスよ? 死んだら、ほんまに何もかも全部がそれで
 終わりっスよ? 」
テンポよく桜井が畳みかけてくる言葉を、桟原は座り込んだ姿勢でただただ
ぼんやり聞いていた。

「だいたい俺が桟原さんを殺したりしたら、完全にあいつの思う壺や。
 それこそ、冗談やない。そんなん、俺は絶対いやや」
拾い上げた拳銃を乱暴にポケットに突っ込みながら桜井はいまいましそうに
吐き捨てたが、ふと思い出したように神妙な面持ちになった。
「それに……俺は桟原さんがおらんかったら、どうしたらええか分からへんし」
目を伏せた彼の表情がみるみるうちに不安に塗りつぶされて行くのが分かる。
「なに言うてんねん。お前は俺なんかよりよっぽど強いやろ?」
桟原が言い終わらないうちから桜井はぶんぶんと首を左右に振った。
「さっきも言うたけど、こんなわけ分からんことになって、桟原さんに会えへん
 かったらマジで気が変になってたかもしれへんし……」

桜井の目は、まるで捨てられかけている子犬か子猫を思わせる。この男でも
こんな顔をするのかと、不思議な気分になる。普段の桜井から想像が
つかないのは無論のこと、平然と人を殺せると分かった今となっては尚更だ。
そんな彼が今やぼろぼろの自分を頼ってくる様はなんとも奇妙だ。
「俺はそんな頼りになるような人間と違うんや。そうやったら、お前に殺してくれ
 なんて頼んだりせえへん。ていうか、自分でもあきれてるんや。俺はもっと強い
 人間やと思ってたのに、こんな弱かったんか?て」
桜井がまた大きく首を振る。
「弱かろうがなんやろうが、いてくれはったら、それでええんです」
465924(3/4):2007/05/31(木) 01:29:28 ID:Hb/u/dub0
(いてくれはったら……?)
その言葉に、心の片隅がちくりと痛んだ気がした。
『牧野さんがいてくれはるだけで俺、どんなに心強いか』
脳裏に浮かぶのは、海辺の薄暗い洞窟。中には男が二人いる。一人は右腕に
傷を負い、壁際に座っている。もう一人が懸命に何事かを語りかけている。
訴えているのは、まぎれもない自分自身だ。
「そやから……死にたいとか言わんといて下さい」
こちらを見つめる桜井の顔は、今にも泣き出さんばかりに痛々しい。
『頼みますから、そんなこと言わんといて下さい!』
自分もきっと、同じ表情をしていたに違いない。耐えられなくなって目をそらし、
桟原は下を向いた。

「お前と一緒におっても、俺は……」
ずいぶん昔のことのような気がするが、まだ半日もたっていない。あの時の
牧野はまさに今の自分で、あの時の自分が今の桜井だ。牧野に死なないで
くれと訴えた自分が死を思い、逆に止められる立場になろうとは。
「……今のこんな状態の俺は、邪魔になるだけや」
『俺は利き腕がこれでは足手まといになるだけだからな』
そして自分もまた、突き放そうとしている。

「俺にとって邪魔かどうかは、桟原さんやなくて俺が決めることでしょ?」
桜井の口調の変化に気づき、桟原は顔を上げた。
「桟原さんが自分をどう思てはるかは関係ないっス。俺はとにかく、桟原さんが
 おらんようになったら困るんです」
いつの間にか弱々しさの消えた鋭い目が二つ、こちらを見据えている。
(こいつは――)
「そやから、絶対にこんなとこで死なせたりせえへん。そんなこと、俺は
 許さへん」
静かな声でゆっくりと、しかし有無を言わせぬ迫力で桜井は言い切った。
466924(4/4):2007/05/31(木) 01:30:52 ID:Hb/u/dub0
(こいつは――俺とは違う)
思い知らされずにはいられなかった。迫り来る禁止エリアの恐怖があったとは
いえ、ただうろたえるばかりだった自分とは明らかに違う。
――絶対に、死なせない。
こう言えたなら、牧野の考えをひるがえさせられただろうか。牧野があの場を
離れない限り自分も絶対に行かない。それくらいの意志をぶつければ、彼を
動かせたかもしれない。自分には、そこまでの強い気持ちが欠けていた。

(俺は……)
そしてさらに思い知らされる。今の自分もあの時の牧野と同じではない、と。
牧野は数時間前から覚悟を決めていた。密かに遺言を書き上げ、ぎりぎりまで
黙っていた。自分はどうだ? ショッキングな出来事の連続で捨て鉢になり、
衝動的に死にたがっているだけだ。それも自らの手ではなく、他人に命を
絶たせようとしている。

「それに、死ぬつもりやったら逆にもう怖いものなんかあらへんはずでしょ?」
駄目を押すように桜井が聞いてくる。桟原はふと可笑しくなり、肩をすくめて
小さく笑った。いつか危害を加えられるのではと恐れていた男に自分の方から
殺してくれと頼み、逆に死ぬなと説得されていては、世話はない。
「桜井……俺な」
急に笑い出した自分を、桜井が不思議そうにのぞきこんでいる。
「捜してる人が、いるんや。この島のどこにいるか分からんけど」

笑うのをやめ、桟原は顔を上げた。
「その人に会えた時は、頼むから手ぇ出すなよ?」
「え? そしたら……」
言わんとすることを理解した桜井の顔がぱっと明るくなる。自分のような人間に
ここまで左右される彼に、今度は苦笑いを浮かべずにはいられなかった。
(今はこれで、ええよな?)
桟原は自分自身に問いかけ、心の中でうなずいた。

【残り34人】
467代打名無し@実況は実況板で:2007/05/31(木) 03:13:37 ID:yHT1XAiX0
>>463-466
ktkr!職人さん乙です。桜井男前だ
深夜まで起きててよかった!
468代打名無し@実況は実況板で:2007/05/31(木) 05:50:19 ID:aytkl59TO
新作投下キタ(・∀・)!!
職人さん忙しい中お疲れ様です!!!

中継でサジッキーと広大を見るたび表情が変わってしまいそうだ…w
469代打名無し@実況は実況板で:2007/05/31(木) 06:17:02 ID:4dSdWpLsO
職人さん乙です!
広大は記憶が戻ったらさじきーをどうするんだろう…orz
470代打名無し@実況は実況板で:2007/05/31(木) 10:19:05 ID:7kwhrUbX0
そんなもん、オマエ・・・
471代打名無し@実況は実況板で:2007/05/31(木) 21:13:34 ID:8WEFZ+aA0
乙です!!
がんばれ、桜井もさじっきーも…
472代打名無し@実況は実況板で:2007/05/31(木) 22:16:48 ID:pGFU3qKV0
職人様ありがとう!!!
よかったああああひとつ解決うう

・・・ん?あとフラグ立ってたのって・・・。
いかん、読み直してきまww
473代打名無し@実況は実況板で:2007/06/01(金) 07:05:49 ID:0F1F99E00
職人さん、すげー! 待ってたよー!!

>桜井の目は、まるで捨てられかけている子犬か子猫を思わせる。
中継で映るたびに、このフレーズを思い出してしまうかもしらんwww
474代打名無し@実況は実況板で :2007/06/01(金) 11:11:37 ID:v7bGoodm0
職人様投下乙ですぁああ!
できれば記憶は戻って欲しくない俺が来ましたよorz
475代打名無し@実況は実況板で:2007/06/01(金) 21:11:28 ID:Y8+lPSoR0
サジッキーよかったサジッキー・・・(つД`)
泣きそうになったよううぅぅ
476代打名無し@実況は実況板で:2007/06/02(土) 18:58:36 ID:3PHmU/ue0
ほしゅ
477代打名無し@実況は実況板で :2007/06/03(日) 10:19:26 ID:XbjMLtK60
捕手
478代打名無し@実況は実況板で:2007/06/03(日) 16:18:05 ID:/clUowUS0
479代打名無し@実況は実況板で:2007/06/03(日) 18:18:25 ID:RyvnRJ5pO
阪神ファン=犯罪者は極めて正しい
認めたくない犯罪者もとい阪神ファンはいますか??
いるなら反論してみてください
480代打名無し@実況は実況板で:2007/06/03(日) 18:19:20 ID:RyvnRJ5pO
鈴木宗男ファン=犯罪者は極めて正しい
認めたくない犯罪者もとい鈴木宗男ファンはいますか??
いるなら反論してみてください
481代打名無し@実況は実況板で:2007/06/03(日) 18:22:38 ID:RyvnRJ5pO
松浪健四郎ファン=犯罪者は極めて正しい
認めたくない犯罪者もとい松浪健四郎ファンはいますか??
いるなら反論してみてください
482代打名無し@実況は実況板で:2007/06/03(日) 20:47:36 ID:watscqSK0
ほしゅ
483代打名無し@実況は実況板で:2007/06/04(月) 01:28:42 ID:2CQoJ7Ir0
ほしゅ
484代打名無し@実況は実況板で:2007/06/04(月) 22:05:27 ID:fsOKrDBj0
hoshu
485代打名無し@実況は実況板で :2007/06/05(火) 21:56:47 ID:2C4M48ww0
保守
486代打名無し@実況は実況板で:2007/06/05(火) 23:07:34 ID:r+IDimMn0
こまめに矢野っとく
487代打名無し@実況は実況板で:2007/06/06(水) 04:33:53 ID:EhAWcojp0
ほしゅ
488代打名無し@実況は実況板で:2007/06/06(水) 22:12:07 ID:5mZKoE9S0
保守
489代打名無し@実況は実況板で:2007/06/07(木) 23:06:57 ID:OETYSebCO
保守
490代打名無し@実況は実況板で:2007/06/08(金) 06:06:35 ID:XOw8YSPe0
hoshu

491代打名無し@実況は実況板で:2007/06/08(金) 08:16:13 ID:nNWsoeQYO
矢野復活祈願保守
492代打名無し@実況は実況板で:2007/06/08(金) 22:40:20 ID:Sl22leAu0
また出た!
☆32段 前通路 阪神vs広島 8月29日甲子園ライト外野 18連番 ☆彡
http://page4.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/d75198027
493代打名無し@実況は実況板で:2007/06/08(金) 22:44:39 ID:XOw8YSPe0
矢野 狩野
494代打名無し@実況は実況板で:2007/06/09(土) 10:14:15 ID:ELVO1132O
浅井
495代打名無し@実況は実況板で:2007/06/09(土) 16:11:21 ID:Uxw9jAQn0
清水
496代打名無し@実況は実況板で:2007/06/10(日) 12:47:18 ID:IK363RLq0
嶋田(兄)
497代打名無し@実況は実況板で:2007/06/10(日) 17:41:54 ID:uHSWm43L0
定詰
498代打名無し@実況は実況板で:2007/06/11(月) 20:04:24 ID:1OvqWraIO
保守
499代打名無し@実況は実況板で:2007/06/12(火) 02:11:05 ID:OPGY7Cu00
hoshu
500代打名無し@実況は実況板で:2007/06/12(火) 03:07:35 ID:X8924gIO0
ほっしゅん。
501代打名無し@実況は実況板で:2007/06/12(火) 13:10:55 ID:o9Bte0/U0
他球団ファンだが、虎バト読むようになってから
リアルで桜井が気になってしかたがない。
502代打名無し@実況は実況板で:2007/06/13(水) 19:14:09 ID:yw/fUpRY0
ほしゅ
503代打名無し@実況は実況板で:2007/06/14(木) 03:38:50 ID:iDK4ekXI0
保守
504代打名無し@実況は実況板で:2007/06/15(金) 00:09:46 ID:TyAgBflAO
矢野完全復活祈願捕手
505代打名無し@実況は実況板で:2007/06/15(金) 00:14:17 ID:ZeA5Dged0
読まないように。










細村香奈という中学2年生の女の子が夜道を歩いていると男3人にレイプされました。
彼女は必死で抵抗しましたが男3人の力に勝てるわけでもなく、まだ14歳という年齢で知らない男達に犯され、口封じとして殺されました。
男達は別に罪の意識など少しも、欠片もありません。
彼女は成仏出来ないまま、自分を犯した男達を探し続けています。

この話を全部読んでしまった人は必ず、他のスレ5個に同じ内容のレスを貼り付けて下さい。さっきも言いましたが、ここまで読んでしまったなら張り付けるほか方法はないです。殺されてもいい人は関係ない話ですが…。
・有村奈津実
・清中みずき
・鈴鹿陽一
・村上梓
・畠山龍夜
・野口太一

上の人たちはこのチェーンレスを貼り付けなかった為に殺されました。
細村香奈に…。
506代打名無し@実況は実況板で :2007/06/15(金) 12:51:07 ID:X+xgS5gk0
保守
507代打名無し@実況は実況板で:2007/06/15(金) 12:52:41 ID:TyAgBflAO
捕手保守ほしゅ(☆o☆)
508代打名無し@実況は実況板で:2007/06/15(金) 13:30:56 ID:p+dY3qNa0
新しいととこを軽く読み直してみた
なにこの泣けるの(゚д゚)
よ〜し、パパ、今晩がんばって読むぞ〜(最初から)
509代打名無し@実況は実況板で:2007/06/15(金) 22:32:05 ID:pAtX5l8U0
>>508
がんばれw
俺なら読むの遅いから一晩じゃ読み終わらなさそうだ(´・ω・`)
510代打名無し@実況は実況板で:2007/06/16(土) 16:29:30 ID:M8jPd7xe0
ほしゅ
511代打名無し@実況は実況板で:2007/06/17(日) 18:03:48 ID:Sy/wxM3D0
とりあえず狩野
512174(1/5):2007/06/17(日) 22:05:44 ID:0VNpoGLL0
>>466
150.回想・桧山と矢野

「何です? 俺の顔、そんなに男前ですか?」
 年齢より若く見える顔を上げて、桧山進次郎(背番号24)は糞真面目な顔で
見返してきた。
「アホか」
「いやー、矢野さんに見つめられるとなんか照れますねぇ。男前に男前と思われる
俺って超男前? みたいなー」
「アホやな」
 自他ともに認めるナルシスト男のふざけた台詞を、矢野輝弘(背番号39)は
容赦なく切り捨てた。
 部屋にいるのは、矢野と桧山の二人だけだ。
 昼の定時放送の時に仮眠を取っていた鳥谷敬(背番号1)は別室に籠もっている
はずだ。
 放送後、目を覚ました鳥谷に、矢野は放送内容を告げた。
 普段ポーカーフェイスの男が蒼白になって、ふらふらと部屋の隅に座り込んで
しまった痛々しい姿に、今は一人にしておいた方が良いと判断し、二人は静かに
退室した。
 とはいえ二人でいたところで、何か明るい話題があるわけでもない。
 あまりにも多すぎる死者と、そこで呼ばれた名前に、沈黙というには長すぎる
沈黙が続いていた。
 小さなテーブルを挟んで暗い顔を付き合わせ、ようやく口を開いたかと思えば
こんな気の抜けた会話だ。
「ひーやん」
 窘めるように、矢野は男の渾名を呼んだ。
 この家に一つしかない簡素なソファに身を沈め、呼吸のついでに溜息を吐く。
「誤魔化すなや」
 我ながら随分と尖りのある声だと思った。
513174(2/5):2007/06/17(日) 22:06:34 ID:0VNpoGLL0
「何であいつ連れてきた?」
「矢野さん、顔こわーい」
 厳しい調子で突き付ける問いを、桧山がおどけた口調でかわしてくる。
 眉と眉の間に人差し指を突き付け、桧山はわざとらしく皺を作った。
「眉間に皺、寄せてばっかいると老けますよ」
「またそれかい」
「ホラホラみんなが喜ぶ矢野スマイル」
「桧山」
 どこかで聞いた台詞を口にする桧山を、矢野は冷静な口調で遮った。
 笑える心境では到底ない。それは桧山だって同じはずだ。
(こいつに無理やり笑わせている俺の責任か……)
 今更彼におかしな気を回させねばならないほど、自分が落ち込んでいるように見えた
のだろう。
 視線を落とし、小さく溜息をつく。その視界の隅で、桧山が肩をすくめたようだった。
「何が聞きたいんです?」
「さっき言ったやろ」
「いいやないですか、別に鳥谷連れてきても」
 あっさりと言って、テーブルの上に両肘を組む。
「あいつなんか、危なっかしくてー」
「危なっかしいんやない、危ないんや」
「そんなはっきりと……」
「お前やって分かってるんやろ?」
 のらりくらりとかわそうとする桧山に苛立ちながら、矢野は身を乗り出した。
テーブルに拳を置いて、目の前の男を睨み付ける。
 最初は珍しい組み合わせだと思った。ただそれだけの感想だった。
 だが、彼らが共に行動することになった経緯を聞き、鳥谷と同じ時間を過ごすと
共に、一つの疑念が沸いてきた。
「あの目――信用できるか?」
 桧山は応えない。
 代わりに透明な笑みを浮かべ、恐らく眉間に皺を寄せているであろう矢野の顔を
見返している。
 諦め、矢野は大げさに溜息を付いて身を引いた。
514174(3/5):2007/06/17(日) 22:07:34 ID:0VNpoGLL0
「信用も出来ないやつ連れて歩くとはお前はほんまお人好しやな」
 腕を組み、弾力のある背もたれに身を預けると、少し頭がぼんやりした。 
「いつか寝首かかれるで」
「かもしれませんね」
 まるで人ごとのように答え、曖昧に笑う。矢野は何度目かの溜息を飲み込んだ。
 吐く息の数だけ、脳の芯に霞がかっていくようで不快だった。
 桧山進次郎はつかみ所のない男だった。それは昔から変わらない。鳥谷敬を連れて
きた理由も、何か意味があるのではないかと矢野は思っているのだが、考えたところ
で分からない。
 なぜなら桧山は矢野にとって『つかみ所のない男』なのだから、どうやったところ
で結局掴めないのだ。
「俺、矢野さん好きですよ」
「きしょいわ」
「即答ですか」
 ケラケラと笑う。
 一通り笑った後、目の前の後輩は、ふいに真面目なトーンで口を開いた。
「矢野さん、忘れないんで欲しいんですよ」
 この男はつかみ所はないが馬鹿ではない。結局、どれだけ突拍子もないことをやって
も、それには必ず意味があるのだ。
 つまりは先の何の脈略もない告白も、本当に伝えたいことの導入である、ということだ。
(そしてそれが)
「あなたは一人じゃないってこと」
(意外に的を射てたりするねんな)
 それが矢野の知る桧山進次郎という男だった。
「ひーやん」
 告げられた言葉の意味を誰よりも深く理解する。自分が抱えている深い闇も、彼には
とうに見透かされていたらしい。
「今の俺にとってその言葉は……重荷や」
 自分を止めようとするたくさんの顔が脳裏を過ぎる。
 憎悪と復讐。
 今の自分を突き動かしているのは、ただそれだけの感情だ。
 理由も、意義も、リスクも、全てに蓋をして、理性を抑え込んでいる。意図的な激昂。
515174(4/5):2007/06/17(日) 22:09:06 ID:0VNpoGLL0
「……似てるなぁ」
「何?」
「いえ、何でも」
 ポツリと呟いた声を聞き咎めた時、桧山は初めて矢野から目をそらした。
「それより、鳥谷のヤツ大丈夫なんかなぁ。放送のこと聞いて引きこもっちゃって
からもう結構経つけど」
 話題を逸らされた気がした。あるいはそれにすら意味があったのかもしれないが、
その時矢野には分からなかった。
「あいつ、筒井と仲良かったみたいやしなぁ」
「筒井か……」
 直接話す機会はあまりなかったが、期待していた投手の一人だ。
 無意識に、矢野は掌を開き、じっと見つめた。
 この手に、沢山のモノを託されている。そう思っていた。少なくともほんの一日前
までは。
 温め、大切に育てていきたかったタマゴが割られる度に、このチームの未来が音を
立てて打ち崩されていく。
 失っていく。
 育てていきたかった者と――共に夢を追いかけていきたかった者を。
(シモ……お前はどんな気持ちで死んだんかな?)
 分からない。
 最も死を想像できない男の死に混乱させられる。
 本当は会いたかった。
(会って、話がしたかった)
 会って、話をして――
(俺は、お前になんて言って欲しかったんやろう)
 つまらない甘えを断ち切れたのは良かったのかもしれない。
 彼も、福原や球児さえもいないのなら、自分の道を惑わす者はそう多くはない
気がした。
『あなたは一人じゃないってこと』
 警告のように桧山の声が響く。
 そうかもしれない。そうなのだろう。だが、そうは思いたくなかった。誰かの思念
に引きずられるのは嫌だった。自分の進むべき道が分からなくなりそうで怖かった。
516174(5/5):2007/06/17(日) 22:11:33 ID:0VNpoGLL0
 気が付けば掌で額を覆い、瞑目していたらしい。
 はっと顔を上げると、桧山の労るような視線を感じた。
「疲れた顔してますよ」
 そうなのだろう。彼に気を遣うことも出来ないほどに疲れている。それでも、
ここにいるのが彼で良かったと思う。
 彼といると少しだけ、気持ちの糸を緩めることが出来る気がした。
 この男は常に『らしさ』を失わない。それ故に、いつでもそこに当たり前にいる
ような、妙な錯覚を覚える。それが恐らく、安心感に繋がっている。
(こいつが我を失うことなんてあるんやろうか――)
 想像がつかなかった。
「昼飯食ったら、寝た方がいいんじゃないですか」
「寝首かかれたらどうすんねん」
「俺が側にいますよ」
 ひねくれた答えを返す先輩に苦笑して、桧山が立ち上がった。脇に置かれていた
荷物を解き、テーブルの上に昼食を並べる。
 申し出は有り難かった。
 疲労感や倦怠感がじわじわと身体の外側から染み込んでいく。睡眠でも取らない
ことには、持たないことは自分でも解り切っていた。
 食欲もあまりなかったが、これからのことを考えると体調には気を遣うべきだろう。
 桧山が用意してくれた、手を付ける気になれなかったパンに手を伸ばす。
 ――コンコン
 タイミング良く響いた律儀なノックの音に、矢野は思わず手を引っ込めた。
「失礼します、鳥谷です」
 間を置かずドアが開き、鳥谷敬が顔を出す。
「矢野さん、昼飯まだありますか?」
 何で俺に聞くんやろう、とぼんやりとどうでもいいことを疑問に思いながら黙って
いると、代わりに桧山が答えた。
「危なかったなー。めっちゃ腹減ってたから、鳥谷の分まで食べてまうとこやったわ」
 もう一人の、最も死を想像できない男。
 彼が、笑顔で後輩を迎えるのを横目で身ながら、矢野は緩慢にパンを囓った。

【残り34人】
517代打名無し@実況は実況板で:2007/06/17(日) 23:23:33 ID:+oRI3aGr0
>>512-516
乙です
桧山の飄々としたよさが上手く描写されてて感嘆しました
一人だと自分を傷つけてしまう矢野と鳥谷を引き合わせて心の壁を壊してやるのは桧山の存在だったと
泣けました
518代打名無し@実況は実況板で:2007/06/18(月) 02:10:34 ID:tqqEL4/U0
職人様乙です!

ふたりとも大人だなぁ…。
519代打名無し@実況は実況板で:2007/06/18(月) 06:38:56 ID:JKPSxgVG0
新作乙です!!

この後ひーやんは・・・(ノд`)゚。

マジで泣ける。。。
520代打名無し@実況は実況板で:2007/06/18(月) 06:51:50 ID:4XbcCws40
乙です!
「あなたは一人じゃないってこと」
このフレーズマジで泣けます!
521代打名無し@実況は実況板で :2007/06/18(月) 20:22:40 ID:cNXMU3hu0
新作乙です!
やっぱりひーやんは必要だよ・・・(・ω・`)
522代打名無し@実況は実況板で:2007/06/19(火) 02:08:46 ID:EjOQ/Y520
新作乙です


この三人の「この後」をも一回
読み返してきました

そしてまた泣きました
523代打名無し@実況は実況板で:2007/06/19(火) 22:25:42 ID:C0Bbzsc10
ほす
524代打名無し@実況は実況板で:2007/06/20(水) 01:59:55 ID:yuPn83NB0
保管庫さんの更新ないのかなぁ。

とりあえず保守。
525代打名無し@実況は実況板で:2007/06/20(水) 22:45:39 ID:xS0h0uwZ0
保守
526代打名無し@実況は実況板で:2007/06/21(木) 05:08:38 ID:/LJ41JjMO
保守
527代打名無し@実況は実況板で:2007/06/22(金) 02:11:14 ID:EsB4ZuZR0
ほしゅっとな
528代打名無し@実況は実況板で:2007/06/22(金) 03:15:48 ID:EFz5ZFhG0
保守するよ
529代打名無し@実況は実況板で:2007/06/23(土) 00:35:53 ID:uaE+qJBxO
どうか職人様方、どんなに時間かかっても待ちますから、
このトラバト、完成させて下さい!
応援してます!
530代打名無し@実況は実況板で:2007/06/23(土) 20:36:13 ID:B+bNtxfJ0
ほす
531代打名無し@実況は実況板で:2007/06/24(日) 12:38:49 ID:2QFARdSE0
矢野ほしゅ
532代打名無し@実況は実況板で:2007/06/24(日) 23:52:21 ID:F56l46tX0
新作キテター!!




・゚・(ノД`)・゚・マジ泣ける…職人さんありがとう…
533924(4/4):2007/06/25(月) 00:00:44 ID:ACk+8ffA0
>>516
151.紙一重

「久慈さん、まだ寝ないんですか?」
ドアが開いて浅井良(背番号12)が入ってきた。久慈照嘉(背番号32)は
デスクの上で組んだ両手の上に乗せていた顎を上げ、振り返った。
「ちょっと考え事しててね」
「やっぱり、新井のことですか?」
遠慮がちに浅井が尋ねてきた。久慈は座ったまま椅子の向きを浅井の方に
変えた。
「それもあるけど、他にもいろいろとね。さっきの爆発のことも気になるし、
 みんなが今どうしているかとかもね」
これは嘘だ。久慈が今考えているのは、ほとんど新井智(背番号49)のこと
だった。

結局、新井は見つからなかった。久慈は雨の中を必死で捜し回ったが、一人で
待たせている浅井が気がかりだったうえ、付近がもうすぐ禁止エリアになると
あっては短時間で捜索を打ち切らざるを得なかった。後ろ髪を引かれる思いで
浅井とともに出発し、適当な民家に落ち着いた。あまり新井のことを心配
しすぎると浅井に自責の念を負わせてしまうと思い、必要以上に口には
しなかったが、心の中では絶えず気にかかっていた。

「……俺のせいですね。俺があんなこと言ったから、あいつは……」
浅井が申し訳なさそうに視線を落とした。
「それは分からないよ。さっきも言ったけど、もしかしたら、あの間に誰かが
 あそこに来て、何かあったのかもしれない」
言ってはみたが、自分たちが離れていた間に新井がなんらかのアクシデントに
見舞われてあの場を去った可能性はきわめて低いと久慈は考えていた。
それは浅井も同じらしい。でも、と小声でつぶやき、唇をかんだ。
534924(2/4):2007/06/25(月) 00:02:09 ID:ACk+8ffA0
「いや、もし浅井の言うとおりだったとしても、お前のせいじゃないよ。お前が
 新井に撃たれたのは事実なんだし、目を覚ましたところにその相手がいたら
 びっくりするのは当たり前だ。俺がもっと注意してたら良かったんだ」
久慈自身は新井と対話を重ね、彼が本当には人を殺す気持ちなど持って
いないと十分に理解できた。だが、目覚めたばかりの浅井には、気を失う
直前に見た新井――自分に向かって発砲してくる姿がすべてなのだから。
仮に新井があの一言を気にして去ったのだとしても、浅井を責められるはずは
なく、責める気もない。ただ、自分の配慮が足りなかったことが悔やまれる。
「俺がまず一人できちんと事情を説明してから新井を呼ぶとか、そういう風に
 してれば驚かすこともなかった……」

浅井は黙ったままじっと下を見ている。彼も相当気にしているようだ。
「まあ、もし新井が自分の意思でいなくなったんだとしても、ちゃんと自分の
 荷物は持って行ったわけだから、その点は安心してもいいかな」
久慈はつとめて明るい調子で言った。浅井にだけではなく、自分自身に
言い聞かせる意味もあった。何よりも心配なのは、新井が思いつめたあげく
妙な気を起こすこと。有り体に言えば、死を選ぶことだ。はかない希望だが、
死のうと考える人間が荷物を持って行きはしないと思いたい。

「けど、やっぱり俺のせいであんなことになって。最初はね、ふらふら歩いてた
 あいつが気になったから声かけたのに、いきなり銃向けられて撃たれて、
 びっくりしたし怖かったし、腹も立ったんですよ。でも、結果的には大丈夫だった
 わけで、久慈さんの話だとあいつも悩んでたみたいで、そう思うとひどいこと
 言ったなーって……」
浅井は腹の前で両手を組み、今まで以上にうなだれてしまった。
「あのな、浅井」
久慈は声のトーンを落として切り出した。いずれは彼にも話しておかねば
ならない。その機会は今をおいてないと思えた。
「まだ話してなかったことがあるんだ。言うべきかどうか迷ってたんだけど」
「なんですか?」
浅井が顔を上げた。
535924(3/4):2007/06/25(月) 00:04:47 ID:ACk+8ffA0
「新井はお前に会う前に――本当に一人、殺してるんだ」
「えっ……」
細い目を一瞬大きく見開き、浅井はそのまま言葉を失った。
「といっても、殺そうと思って殺したわけじゃない。はずみというか、不幸な事故
 みたいなもんだ。けど、新井にとっては自分自身の手で人を殺したという
 事実は変わらない。だからあいつは苦しんでたんだ」
久慈自身も「その時」の様子を実際に見たわけではない。ただ、新井が
涙ながらに語った過去をそのまま伝えた。浅井はその間一言もなく、息を
のむような表情で久慈の方を見つめていた。

「今の浅井になら話しても大丈夫だと思ったから、思い切って話した」
最後の一言で、浅井のこわばった顔がほんの少しやわらいだ気がした。
「俺、ずっと思ってたことがあるんだ。もう二十人以上死んでるわけだけど、
 いったい人を殺した人間とそうでない人間の違いって何なんだろう?って」
久慈は話しながら天井を仰いだ。死んでいった仲間たち、そして彼らを殺した
者が確実にその中に含まれている、まだ生き残っている仲間たちの顔が
浮かんでは消えていく。
「ニュースや新聞なんかで殺人事件を見ると、ああいうのは異常な人間がやる
 ことだと思ってたけど、今この島で現実に人を殺してるのは、普段からよく
 知ってるチームメートなんだよね。上坂や新井を見てると、ほんのちょっとした
 きっかけで誰でもああなってしまうんだと思ったよ」
今はまだ誰も殺していない自分にも、そうなる可能性はある。

「俺も実際、気を失ったお前を新井に背負ってもらって移動してた時は、もし今
 誰かに襲われでもしたら、相手を殺すのも仕方ないと思ってた。そう考えると
 自分とすでに誰かを殺した人間の違いなんて、紙一重なんじゃないかって」
久慈は顔を動かし、浅井の目を見た。
「だから、ここまで誰も殺さずに来ているお前や俺は、幸せなんだと思う。
 そして、殺してしまった新井も決して特殊な人間なんかじゃないということは
 分かっておいてほしいんだ」
536924(4/4):2007/06/25(月) 00:07:20 ID:ACk+8ffA0
「……はい。今なら、俺にも分かります」
浅井は神妙な面持ちでうなずいた。
「俺も、こいつを持っている以上は新井と同じことになっても不思議じゃない
 わけですから。でも、できれば人殺しなんかしたくないと思ってます。
 できることなら、使わないでも済むようにって」
そう言って浅井は後ろポケットからベレッタを抜き出し、両手に持ってじっと
見つめた。彼が気を失っている間は久慈が拝借していたものだ。

「けど、だからって手放すことはできないんですよね。使いたくないとは
 思ってるんですけど、ないとやっぱり心配っていうか……」
どことなく気まずそうに浅井は手の中で拳銃をこねくり回した。
「それ、返していいかどうか結構迷ったんだよ」
久慈は拳銃を指差した。
「え?」
「もちろん浅井のものだから返すのが当然なんだけどさ。さっき言ったように、
 俺はそれを借りてた時は誰かを撃つのも仕方ないと思ってた。浅井に渡すと
 いうことは、そういう重い役目も押し付けることになる気がしてね」

「久慈さん……」
浅井は再び手の中の武器に目をやり、少し間をおいて久慈を見た。
「大丈夫です。なんか、さっきから話聞いてるとすごく気を遣ってもらってる
 みたいですけど、要するに俺ってぜんぜん信用されてなくないですか?」
微苦笑を浮かべつつ浅井が抗議する。久慈もつられて笑った。
「ごめんごめん。でも今は違うよ。だからこうやっていろいろ話せてる」
「そうですか? だったら、いいんですけどね」
今度は正真正銘の笑顔だ。それを見て久慈は立ち上がった。
「さてと、そろそろ寝るかな。あの爆発も、結局その後は何もないみたいだし」
腕時計を確認すると、午前7時の放送まではまだ数時間ある。
久慈は心の中でつぶやいた。
(新井、死ぬなよ?)

【残り34人】
537924:2007/06/25(月) 00:09:03 ID:Q2OUbrrc0
>>533は4/4とありますが、1/4の間違いです
失礼しました
538代打名無し@実況は実況板で :2007/06/25(月) 01:40:36 ID:I5y488RW0
新作投下乙です!
この二人はまだ和ましいな(・ω・`)
頼むから変な気起こすなよ新井・・・!・゚・(ノД`)・゚・
539代打名無し@実況は実況板で:2007/06/25(月) 23:39:21 ID:LQbtjNlmO
職人さん乙です!!
久慈さん、いいなあ。
540代打名無し@実況は実況板で:2007/06/26(火) 04:34:15 ID:t/JoSKWy0
hoshu
541代打名無し@実況は実況板で:2007/06/26(火) 11:06:18 ID:uj+/Joha0
着底保守
542代打名無し@実況は実況板で:2007/06/27(水) 06:56:20 ID:oTkH2G7BO
保守
543代打名無し@実況は実況板で:2007/06/27(水) 19:11:18 ID:j4Bm96nX0
ほしゅ
544代打名無し@実況は実況板で:2007/06/27(水) 21:01:18 ID:DgjedSlK0
暑気当たりに……




















いや何でもないw
545代打名無し@実況は実況板で:2007/06/27(水) 21:02:27 ID:DgjedSlK0
暑気当たりに……






















いや何でもないw
546代打名無し@実況は実況板で:2007/06/27(水) 21:03:39 ID:DgjedSlK0
暑気当たりに……

























いや何でもないw
547代打名無し@実況は実況板で :2007/06/27(水) 21:29:54 ID:WvFNW53v0
保守
548代打名無し@実況は実況板で:2007/06/27(水) 22:31:14 ID:98VAemPU0
test
549代打名無し@実況は実況板で:2007/06/28(木) 10:43:52 ID:HGDrspmg0
 
550代打名無し@実況は実況板で :2007/06/29(金) 20:24:06 ID:01fKNBc70
捕手
551代打名無し@実況は実況板で:2007/06/30(土) 02:01:56 ID:xJtRjTRjO
矢野捕手
552代打名無し@実況は実況板で:2007/06/30(土) 11:56:07 ID:dNxa7oGv0
狩野捕手
553 【大吉】 :2007/07/01(日) 20:04:40 ID:cmQafpQw0
ひーやんの運勢
554代打名無し@実況は実況板で:2007/07/03(火) 00:20:06 ID:7KbNM0Df0
ほしゅ
555代打名無し@実況は実況板で:2007/07/03(火) 06:45:41 ID:GHRMWrzQ0
保管庫さん、更新されてますね。
556代打名無し@実況は実況板で:2007/07/03(火) 17:08:19 ID:7KbNM0Df0
保管庫管理人さん、乙です!!
これでまとめて読み返せる・・・・・・!!
557代打名無し@実況は実況板で:2007/07/03(火) 22:19:13 ID:XVEj545t0
おお〜、待ってました!
保管庫さん、乙です!
558代打名無し@実況は実況板で:2007/07/04(水) 22:59:26 ID:D92ftOEn0
保守
559代打名無し@実況は実況板で :2007/07/06(金) 09:53:02 ID:HVsYROx50
遅れながら保管庫更新乙です!

捕手
560代打名無し@実況は実況板で:2007/07/06(金) 21:14:50 ID:45pYzftXO
捕手

俺は補習(・ω・`)
561代打名無し@実況は実況板で:2007/07/07(土) 02:44:40 ID:15JTpPtnO
矢野捕手
562代打名無し@実況は実況板で:2007/07/07(土) 20:56:34 ID:utrnk6lpO
保管庫更新ありがとう!
保守
563代打名無し@実況は実況板で:2007/07/08(日) 15:40:31 ID:dtx1aACy0
シャブ首位攻防戦で三連敗wwwwwwwwwww
564代打名無し@実況は実況板で:2007/07/09(月) 18:47:02 ID:5ZXUeANJ0
ほしゅ
565代打名無し@実況は実況板で:2007/07/10(火) 10:52:11 ID:KvzbVvZQ0
保守
566代打名無し@実況は実況板で:2007/07/10(火) 15:49:45 ID:Wufvf5Rp0
本当なのはどっち??


310 :可愛い奥様:2007/07/05(木) 18:03:40 ID:hSyLOi9u0
阪神で一番モノが大きいのは赤星だそうです。

314 :可愛い奥様:2007/07/05(木) 22:43:44 ID:CztcpZWb0
>>310
プロ野球界の日本人選手の中では3本の指に入るほどの巨根は矢野じゃないのかい?
567代打名無し@実況は実況板で :2007/07/10(火) 20:43:10 ID:66JcA/jP0
保守
568代打名無し@実況は実況板で:2007/07/11(水) 22:48:52 ID:EEkW0/yUO
保守
569代打名無し@実況は実況板で:2007/07/12(木) 22:15:50 ID:5GaMyyOg0
保守
570代打名無し@実況は実況板で:2007/07/13(金) 00:14:37 ID:ao54RtG90
これ読んでなんとなくこのスレが浮かんでしまった

818 名前:代打名無し@実況は実況板で[sage] 投稿日:2007/07/12(木) 10:08:10 ID:oOWIxnZKO
スポニチコラムみたいなやつの桜井記事少し笑って少し泣けた。

プロ初昇格する5月17日の夜、初の一軍を前に向かった先はレンタルビデオ店。
手にしたのは戦争映画のDVD。それを自室で一人で観賞して眠った。
「昨日な、戦争映画を借りに行ってん。それはな、あいつらな、戦って死ぬんやで。
そんなこと思えば、一軍なんか楽に思えるやろ。
一軍の怖さはある。でも命までは取られへんやろ。オレな、気持ちが8割で技術2割や」
571代打名無し@実況は実況板で:2007/07/13(金) 11:24:41 ID:zo90BekFO
ほしゅ
572代打名無し@実況は実況板で :2007/07/13(金) 13:07:22 ID:4Q1ttfxn0
>>570
虎バトの前にこういう事言ってたら、と思うと一層感慨深いな
虎バトの年代設定が2004だから有り得ない話だが。
すまん聞き流して欲しい。
573代打名無し@実況は実況板で:2007/07/14(土) 13:30:55 ID:ftoG6N4G0
保守
574代打名無し@実況は実況板で:2007/07/14(土) 23:20:59 ID:01VNQgNFO
捕手
575代打名無し@実況は実況板で:2007/07/15(日) 21:51:43 ID:NS+gduR90
ほしゅ
576代打名無し@実況は実況板で:2007/07/16(月) 14:48:07 ID:TKrJ3zwn0
保守
577代打名無し@実況は実況板で:2007/07/16(月) 20:58:21 ID:k80jU3FD0
保守
578代打名無し@実況は実況板で:2007/07/17(火) 00:49:51 ID:IBANI8aM0
捕手
579代打名無し@実況は実況板で:2007/07/17(火) 23:33:24 ID:a1XY3MsT0
保守
580代打名無し@実況は実況板で:2007/07/18(水) 21:37:53 ID:YeOt1f7d0
捕手
581代打名無し@実況は実況板で:2007/07/18(水) 23:29:12 ID:AGlyv2zSO
こちらの広大もどうなるのか…気になる。
582代打名無し@実況は実況板で:2007/07/19(木) 01:25:41 ID:lC+FX7E80
ほしゅ
583代打名無し@実況は実況板で:2007/07/19(木) 22:44:30 ID:E8jrueTB0
えぐすぎは無事かしら…
584代打名無し@実況は実況板で:2007/07/20(金) 01:05:29 ID:qtupqhJg0
続きが気になる・・・。

1から読み直そう。。。
585代打名無し@実況は実況板で:2007/07/20(金) 17:23:39 ID:0UuEet69O
ほしゅ
586代打名無し@実況は実況板で:2007/07/21(土) 06:08:55 ID:LlYl8lDZO
保守
587代打名無し@実況は実況板で:2007/07/21(土) 06:32:09 ID:/oBgg6ue0
hosyu
588代打名無し@実況は実況板で:2007/07/21(土) 13:17:03 ID:rECxHiYqO
ジェフはどうなるのだろう?
589代打名無し@実況は実況板で:2007/07/21(土) 14:29:12 ID:aNi4SiM20
590代打名無し@実況は実況板で:2007/07/22(日) 05:17:13 ID:QWoqBLGa0
hosyu
591代打名無し@実況は実況板で:2007/07/22(日) 23:47:54 ID:uYN40qJK0
濱中が何考えてるのか、気になりつつ保守
592代打名無し@実況は実況板で:2007/07/23(月) 22:46:55 ID:GILfe1M30
ほす
593代打名無し@実況は実況板で:2007/07/24(火) 11:38:15 ID:ZiwzUAt20
イマオカモナー
594代打名無し@実況は実況板で:2007/07/25(水) 22:59:44 ID:4JEnmWUTO
保守
595代打名無し@実況は実況板で:2007/07/26(木) 22:49:07 ID:LA3olKB80
ほしゅ
596代打名無し@実況は実況板で:2007/07/27(金) 23:58:36 ID:sr7LOyxbO
捕手
597代打名無し@実況は実況板で:2007/07/28(土) 21:19:14 ID:JE9prfRjO
矢野と鳥谷が好きだ
598174(1/5):2007/07/29(日) 13:19:21 ID:3wqs3kpm0
>>536
152.生き残る者

 家族でうどん屋に行った。
 近所のうどん屋だ。近所と言っても、歩いていける程の近場ではない。
 駐車スペースがあり、席数もそこそこ多い。
 常に混んでいるというわけではない。これで経営が成り立つのかと心配してしま
う程閑散としているわけでもない。
 今岡誠はここできつねうどんを食べる。
 特に決めているわけではないが、何となくきつねうどんを頼んでしまう。何度か
別のメニューを試してみたことはあるが、結局、次に来たときはきつねうどんを頼
んでしまう。
 時折、無性にここのきつねうどんが食べたくなる、という程美味いわけでもない。
かといって不味いわけでもない。食べるとそれなりに美味いと感じる。だが食べ終
わって、その美味さの印象が後々まで残るわけでもない。
 家族でうどんを外食することは少ないが、たまに誰かがうどんを食べたいと言っ
たり、なんとなくお腹がすいていなかったり、あっさりしたい物が食べたい時は、
ここに来ることが多い。
 駐車スペースがあり、席数もそこそこ多いからだ。
 うどん屋は、桜で有名な公園の隣にある。だが桜の季節にここに来ることはない。
 桜ならば、もっと家の近くに、もっと見やすい場所がある。
 芦屋は桜の街だ。春は街の半分が薄桃色に染まる、美しい街だ。
 妻はこの街を気に入っている。街の美しさを気に入っているのか、ブランド力を
気に入っているのかは微妙なところだ。恐らく両方だろう。
 今岡は美しさの方を気に入っていた。
「稜ちゃん、きたないからダメよ」
 きつねうどんを食べて表に出ると、すぐ右手に小さな池がある。
 それこそ大きめの室内水槽程度しかない小池が、伸びた雑草に半分覆われるよう
にして顔を覗かせている。
 そこの水に手を付けようとした息子を見咎め、妻が注意をした。
 息子が池に手を突っ込んで服を濡らし、妻が激怒する前に今岡は我が子を抱き上
げた。同時に、しきりに息子が気にしていた水中を覗き込む。
599174(2/5):2007/07/29(日) 13:22:10 ID:3wqs3kpm0
 魚が居た。
 赤い魚が、一匹、泳いでいる。
「鯉?」
「何言ってるの、どうみても金魚でしょ」
 呆れたような妻の声は正しい。
 小池の生息者には錦鯉の雄壮さは欠片もなく、安っぽい赤い衣を纏って水底に沈
んでいた。
 一瞬でもそう思ったのは、その金魚が、今岡の認識している「金魚」よりも、桁
違いに大きかったからだ。
 15センチ。いや、20センチはあるだろう。
「金魚って、こんなに大きくなるもんなんや」
 妻は答えなかった。答えを持ち合わせていなかっただろうし、たいして興味もな
かっただろう。
 池には一匹だけ、金魚が居た。
 よく金魚すくいでみかける3センチほどのものを拡大コピーしたようなそいつは、
水上から見下ろす観察者の影など気にも留めず、ただ静かに池の底で停止している。
 息子を抱きしめたまま、今岡はしばし、池を観察していた。妻はまたかという顔
で後ろに突っ立っていた。
 妻が全く興味を持たないものに、夫の今岡は興味を持つ。その興味を持つ理由を、
妻も最初は理解しようとしてくれていたが、最近はしなくなった。理解しようとし
ても「わからない」ことを悟ったのだろう。
 今岡は、ただ、「何でだろう」と思っただけだ。
 なぜこんな大きい金魚がここにいるのか。なぜ金魚がこんなに大きくなるのか。
なぜ一匹だけここにいるのか。
 わからないことは好きだった。わからないことに考えを巡らせるのは好きだった。
例え答えが間違っていたとしても、たいした問題ではない。
 地図を眺めながらその土地の光景を想像して楽しむ人間がいるように、分からな
いものから想像を巡らせることを、今岡は楽しめる人間だった。
「金魚すくいでとったのかな」
 息子の素朴な感想に、はっとさせられる。
 そうだ、毎年春になれば、この店の隣で桜祭りが開催される。夜店が所狭しと建
ち並び、もちろん金魚すくい屋だって参戦するだろう。
600174(3/5):2007/07/29(日) 13:22:54 ID:3wqs3kpm0
 今岡は想像してみた。
 小さな子が金魚すくいで獲得した金魚たちを得意げに持ち帰る。だが、親は家で
金魚を飼うことを良しとしない。理由は、毎年そうやって捕まえた金魚を水槽で飼
って、すぐに死なせてしまうからだ。
 腹を出して浮かぶ小さな魚。生臭い水槽。後始末は全て親の役目だ。
 そして子供はまた、懲りもせずに次の年もすぐに死ぬのが分かっている魚を獲っ
てくる。
 親に反対され、子供は悩む。お店の人に返して来なさいと言われても、それを拒
む。そして親子は、祭り会場の隣にある小池に目を付ける。
 祭の闇の中、ひっそりと小池に数匹の金魚を放す。子供は元気に暮らせと声をか
ける。親は助かったと胸を撫で下ろす。
 そして、忘れる。
 今岡誠は、20センチの金魚を見た。
 そういえば、餌を大量に与え、水温を高温に保つと、金魚は異常な早さで成長す
る生物だとどこかで聞いたことがある。
 とはいえ、屋外のこの池で水温が年中27度に設定されることはないし、池周りの
雑然さを見ても毎日栄養価の高い餌を与えられているようにも見えない。
 この環境で、体長5センチ未満の脆弱な生き物が、これくらい大きくなるのに、
どれだけの時間を要するのだろう。
「大きいでしょう、その子」
 唐突に、声をかけられた。中年の痩せた女店員だ。最初の頃店に来たとき、サイ
ンを頼まれたことがある。今でもそのサインはレジ側の壁にかけられている。
 天気の良い日だから、玄関口に水を撒きに来たらしい。
「いつからいるんですか」
「3年くらい前かしらね。ほら、隣で桜祭りがあるでしょう。誰かが捕まえた金魚
を放したみたいで。最初は10匹以上おったんですよ」
「3年……」
 3年間。桜祭りが3回やってくる。
「金魚すくいですくった金魚なんて、すぐ死ぬイメージしかなかったけど、こんな
に大きくなるんやねぇ」
 最後に有り体な感想を述べ、店員は道路に水を撒きに行った。
601174(4/5):2007/07/29(日) 13:24:08 ID:3wqs3kpm0
 3年。10匹。
 新しい情報にワクワクする。断片的な事実は、想像をより色鮮やかに見せる。バ
ニラエッセンスのようなものだ。
 つまりはこの池の王者は、当時放流された十数匹の囚われ金魚の、唯一無二の生
き残りであるということだ。
 冬が来て、夏が来て、台風が来て、時には心ない子供や大人のいたずらに襲われ
ながら、また一匹、また一匹と白い腹を出して同胞達が水面に浮かんでいく。
 そんな様子を眺めながら、20センチの金魚は生き残って年を重ねていく。
 桜の季節になるたびに一回り身体が大きくなり、比例して仲間の数は減っていく。
 そして自分以外の最後の一匹までもが水面へと召されていくのを、彼は文字通り
死んだ魚の目で見つめていくのだ。
 狭い縄張りの中で、暗い世界の中で、なぜ自分独りが生き残っているのかも分か
らずに、ただ、そこに留まっている。
「それは、嬉しいのかな」
「もうそろそろいいでしょ」
 いい加減妻の苛立ちが募ってきたので、今岡は息子の手を引いて駐車スペースに
向かった。
 一度だけ、池の中の20センチの彼を振り返った。
 妻が運転をすると言うので、助手席に座ってぼんやりと信号の色が変わるのを眺
めていた。
 信号は、安っぽい赤い色をしていた。
 先程出会った、錦鯉になれない魚も、似たような安っぽい色をしていた。
 幸運にも強靭な肉体を持ち、強運にも理不尽な生活環境に適応し、悪運にも外敵
に生命を脅かされることなく巨大化した一匹の金魚。
 今岡誠は、金魚の気持ちになってみた。
602174(5/5):2007/07/29(日) 13:24:53 ID:3wqs3kpm0

「それは……嫌やな」
 酷く悲しい気持ちになった。酷く辛い気持になった。
 恐ろしかった。怖かった。不幸だと思った。同情した。

 そして、すぐに忘れた。

【残り34人】
603名無しさん@そうだ選挙に行こう:2007/07/29(日) 13:38:29 ID:mrsPeLGm0
>>602
新作キタワァ*・゜゚・*:.。..。.:*・゜(n‘∀‘)η゚・*:.。. .。.:*・゜゚・* !!!!!
職人様おつです

モナかわいいよモナ
604名無しさん@そうだ選挙に行こう:2007/07/29(日) 17:13:44 ID:f/I/J5gb0
ま、まこっさん・・・・。
605名無しさん@そうだ選挙に行こう:2007/07/29(日) 17:19:17 ID:5chwdkHN0
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!職人様乙であります!
>>597
自分も矢野鳥谷組好きだー
鳥谷がイメージ合っててすごく良い
まあリアル鳥谷も好きだってのもあるけどww
606174(1/6):2007/07/29(日) 23:19:50 ID:3wqs3kpm0
>>602
153.笑顔の行方

 憎悪と復讐。
 今の自分を突き動かしているのは、ただそれだけの感情だ。

 思い出すのは冷たい雨の音と――暗い夜の森。
(行かなきゃいけないと思ったんだ)
 彼の死を――確かめに。
 鳥谷が殺したのなら、彼を問いつめるのが一番早道だったはずだ。 
 本当に、鳥谷が殺したのならば。
(でも)
 警告のように「彼」の顔が過ぎる。
(なんか、お前が違うって顔すんねんもん)
 人を食ったような笑み。
 その男だけを残して、場面が変わる。
 青と茶のコントラストが太陽の光に照り映えるグラウンド。
 甲子園。青い芝。
 草の匂いが心地よい。
 いつかの、何と言うこともない会話。
 縦縞のユニフォーム。
『まーた、そんな難しそうな顔しちゃって』
(なんやねん。面白くもないのに笑えへんわ)
『眉間に皺、寄せてばっかいると老けますよ』
(ええもん、俺もうおっさんやし)
『ホラホラみんなが喜ぶ矢野スマイル』
(お前は――)


「お前はいつもへらへら笑っとるな」
 ふいに視界が広がる。目に入ったのは、薄暗い天井と、枕元に座る無表情な
青年の顔。
607174(2/6):2007/07/29(日) 23:20:39 ID:3wqs3kpm0
『…………』
 目が合う。
「そうですか?」
 沈黙の後、真顔で聞き返してくる鳥谷敬。
「ぶっ……」
 矢野は、額の上に載せていた手を口元にずらした。笑い声を抑えようと試みた
が、あまり効果はない。
「くっくっく……」
 顔の半分まで布団に潜り込み、肩を震わせる矢野を、鳥谷は大仏のような顔で
無言のまま見下ろしていた。
 だが少し、何か言いたげに、あるいは間が悪そうに、唇が動いた。その僅かな
表情の動きを、矢野は見落とさなかった。
 一通り笑い終えたあと、矢野は布団から顔を出し、身を起こして室内を一瞥した。
 気が付いたらもと居た民家の布団の中に戻っていて、全てが夢だったのかと思った。
(夢だったら良かったのに……)
 驚くほど穏やかな死に顔が蘇る。
 犯人は現場に戻る、なんて言葉を聞いたことがある。その言葉を信じていたわけ
ではないが、何かを待ち続けた結果、鳥谷敬が現れたときは正直出来すぎていると
思った。
 出来すぎて――何となく、分かってしまった。
 彼が、『犯人』ではないということ。
(お前が呼んだんやろ?)
 彼の死と共に空いた大きな穴を埋める役割を、この青年に託したのだと思った。
「ほんま、お人好しやな……」
 呟いた言葉の意味を、鳥谷は問い質さなかった。
 前も同じ言葉を、同じ人物に対して口にした気がする。
 死んだ後まで人の面倒を見ようとする。開いた口が塞がらない程のお人好しだ。
 そして――
(俺も甘く見られたもんやな)
 こんな、一回り以上年の離れた青年に託されるほど自分が弱く映ったのだとしたら、
それは非常に心外だが――恐らく、正しいのだろう。
608174(3/6):2007/07/29(日) 23:21:35 ID:3wqs3kpm0
(俺は、俺が思っているほど強くない)
 何とか出来ると思った。なんとかしなければならないと思った。
 目的さえあれば自我を保ち続けられると思っていた。
 だが、信じていた自我は、プライドをあっさりと裏切った。
 雨の中、桧山の遺体を発見し、あのまま鳥谷が現れることがなければ、自分が
どうなっていたのか想像もつかない。
(俺は、むちゃくちゃ弱い)
 自分を疑い、裏切った男をどこまでも追いかけてきた、愚かで真っ直ぐな後輩
に泣きすがってしまう程に。
 不思議と悲しくはなかった。悔しさはあったが。
 冷静に自己を評価できる瞬間というのは、悪くない。
 自身の無力さを見下ろしながら、矢野は雨の中、泥と恐怖にまみれてまで追い
かけてきた後輩を見た。
 今はどこまでも涼やかな顔で見返してくる鳥谷の顔に、この2日間で見た様々な
表情を重ねる。
「つま先立ちで歩くのはしんどいやろ?」
「は?」
 突然の言葉に、鳥谷が対応しきれぬ様子で聞き返してきた。
「足吊るし」
 この手法は、どこか桧山くさいなと我ながら思った。
「バランス悪いし」
 鳥谷が無言のまま見つめてくる。その視線を見返し、矢野は口端を上げた。
「お前見てると、そんな感じ」
 入団してきた時から感じていた、どこかルーキーらしからぬ落ち着きと、大人びた
振る舞い。
 初めは取っつきにくいタイプかと思ったが、今なら彼のその全てが背伸びだったこと
が分かる。己の弱さを自覚する前の、自分に少し似ている。
「いつもクールなゴールデンルーキー君」
 拍子抜けたような顔が、一瞬むっと曇った。
(なんや、結構素直やんか)
 以前に比べて、表情が豊かになっているような気がする。
609174(4/6):2007/07/29(日) 23:22:34 ID:3wqs3kpm0
 それは、彼と過ごしている時間の長さの問題なのかもしれない。
 もっと別の、彼自身の心境の変化の現れなのかもしれない。
「もっと笑ったら、もっと人気出るちゃうか?」
 八重歯を見せて笑う。
「……俺は、あなたみたいには笑えませんから」
 ふいと視線を逸らした鳥谷の横顔が、作ったように固い無表情をしていた。
 しかし嫌な感じはしない。
 もしかしたら照れていたのかもしれない。
 後輩らしい反応に満足し、矢野は鳥谷から目を離してもう一度枕に頭を寄せた。
眠るつもりはなかったが、まだ少し身体がだるい。
 一度目を覚ました時、この青年は物凄い形相で飛び込んできて、物凄い勢いで
泣き出した。
 何が起こったのかは分からなかった。
 ただ、自分が知らない間に、彼がまた一つ傷付いて帰ってきたのだということ
だけは悟った。
 泣きそうな顔で座り込む若い鳥谷に思わず手を差し出してしまったのは、同情
とか憐憫ではないし、ましてや慈愛でもない。
 これはもう職業病というか、染みついた性かもしれない。
(それを見越して、お前が俺にコイツを託したのだとしたら――)
 「してやったり」と。 
 薄暗い部屋の中で、その男の満足げな笑い顔が浮かび上がる気がした。
 ――死んだ男が、笑うわけがないのに。
(そう、桧山は死んだ)
 今、己の視界に映るのは、畳と鳥谷の膝だけだ。
 そう思うと、急に、肋骨に冷ややかな風が流れ込んだ。
 感情と理性の反目。感傷を事実が駆逐していく、残酷な瞬間。
 重く重く横たわる『死』が、水中で腐り落ち、解体され、暗い澱となって深海へ
と沈殿していく。
 冷めた怒り、とでもいうのだろうか。すっと、脳の芯が冷えていく感覚に反して、
喉の奥が震えるような緊張に襲われる。
 掌に痛みが走った。知らず、握りしめた指が皮膚を傷付けた。
610174(5/6):2007/07/29(日) 23:23:35 ID:3wqs3kpm0
 また一つ、闇が暗くなった気がした。
(鳥谷でなければ――)
 また一つ、許せない死の数が増えていく。
(ひーやん、お前を殺したのは、誰や?)


「放送まで、もう少し時間があります」
 気が付けば下界を遮断していたらしい。頭の上から降ってきた鳥谷の声に、世界が
戻ってくる。
「眠ったらどうですか?」
「なんか寝てばっかりやな、俺」
「体調悪いんだから、当たり前です。とっとと寝て治して下さい」
 小うるさい小姑のような口調で命令される。随分と強気になったものだ。
 苦笑して、矢野はふいに自分と鳥谷の関係が変化していることに気付いた。
「…………」
「矢野さん?」
 動きの止まった矢野に、疑問符が投げかけられる。それには応えず、矢野は寝返りを
打って天井を見上げた。
 それが無意味な行為だと分かっていながらも、矢野は問いかけずにはいられなかった。
(なぁひーやん、お前は、なんで俺とこいつを置いていったん?)
 彼が、自分と鳥谷に残したもの。
(お前は、俺に何を期待してるんかな?)
 チクリと棘が刺す。
 いくら期待されても、自分は恐らく彼の願いに応えられない。
 鳥谷は誰かの死によって変わったらしい。だが、自分は変わるわけにはいかない。
611174(6/6):2007/07/29(日) 23:24:38 ID:3wqs3kpm0
(お前の目的は、もしかしたらそれやったんかもしれんけど)
 あの時見た夢の、その最後の一瞬を思い出す。
 累々と横たわる屍。
 全てを踏みにじり、ただ一人に銃口を向ける矢野輝弘。
 そして――
(鳥谷……)
 彼は、自分の目的を知らない。
 だからこそ、いつまでも彼と共にいるわけにはいかない。
 それでも、目が覚めたら彼がいたことに、ほっとしている自分がいた。
 自覚しながら、蓋を閉める。
(今はまだ)
 自分への言い訳のように呟き、矢野は目を瞑った。
(もう少しだけ……)

【残り34人】
612代打名無し@実況は実況板で:2007/07/29(日) 23:54:58 ID:ItlhVqgV0
新作超乙です!!!

またヒーヤンのことで泣きそう(Tдと)

モナさんはきっと頭の回転が速いんだろうね。

いろんなことに興味を持って、考えてみる。
でも次のことを考え出すと今まで思ってたことを忘れる。

暖かいようで冷たいね、モナさん。。。
613代打名無し@実況は実況板で:2007/07/29(日) 23:59:57 ID:Z8zBqwjk0
職人さんキタ━━━━(。A。)━(゚∀゚)━(。A。)━(゚∀゚)━(。A。)━━━━!!!!
モナの変りくりんさの描写が上手い
イラッとくるリエリンワロス
614代打名無し@実況は実況板で:2007/07/30(月) 00:02:10 ID:5chwdkHN0
矢野さんの心理キタワァ゜゚・*:.。..。.:*・゜(n゜∀゜)η゚・*:.。. .。.:*・゜゚・* !!!!!
なんだか不思議な取り合わせなんだけどなんだかイイ!
そしてひーやんはカッコ良すぎる!!
615代打名無し@実況は実況板で:2007/07/30(月) 09:04:55 ID:sxdtIPW30
やばいやばい。
ひーやんがかっこよすぎてあかん!!!
616代打名無し@実況は実況板で:2007/07/30(月) 21:22:14 ID:KRsps0cI0
投下乙です!
なんだかモナさんが激しく色んな意味で魅力的。
あとひーやん・・・鳥谷とのギャップがまたなんだか辛い(・ω・`)
617代打名無し@実況は実況板で:2007/07/30(月) 22:39:19 ID:emqSTiSa0
投下ラッシュ乙です!
矢野の脳みその忙しさが非常にそれっぽいね
そろそろ動き出しそうで楽しみだ

鳥谷「大仏のような顔」ってw
618代打名無し@実況は実況板で:2007/07/31(火) 22:43:41 ID:PHrC1Nfq0
ほす
619 【ぴょん吉】 :2007/08/01(水) 00:45:46 ID:RLuIz/3X0
矢野さんたちの運勢
620代打名無し@実況は実況板で:2007/08/02(木) 00:11:26 ID:eobHd9Za0


621代打名無し@実況は実況板で:2007/08/02(木) 09:07:53 ID:efevLjAa0
乙です!
なんだかもう矢野さんがもどかしくて、鳥谷もいじらしくて
ひーやんになったつもりで読んでしまう。
 淘汰されていく生物とその社会。今岡は一匹の金魚に何を思うのか。
そして、すぐに忘れた。という部分が痛々しい。
622代打名無し@実況は実況板で:2007/08/02(木) 22:18:38 ID:ThCgy3gr0
相変わらず面白い

矢野、それはやっぱり慈愛だよ…
623代打名無し@実況は実況板で:2007/08/03(金) 23:52:23 ID:52PJOvDv0
ほしゅ
624代打名無し@実況は実況板で:2007/08/04(土) 00:24:54 ID:Sz8EJBIv0
キダゴ移籍後初の広島戦。
キダゴも広大も6番ライト。
感慨深〜〜〜〜〜い。
625代打名無し@実況は実況板で:2007/08/04(土) 21:55:56 ID:Sz8EJBIv0
626代打名無し@実況は実況板で:2007/08/05(日) 02:15:55 ID:kvEvEtRG0
627代打名無し@実況は実況板で:2007/08/05(日) 23:33:06 ID:UeCEb16x0
のせんいち
628代打名無し@自治スレにて板分割動議中:2007/08/07(火) 00:07:41 ID:G53sENJY0
ほしゅ
629代打名無し@自治スレにて板分割動議中:2007/08/07(火) 14:28:58 ID:wNfjgCom0
矢野さんが今岡さんに出会ったら・・・。
630代打名無し@自治スレにて板分割動議中:2007/08/07(火) 21:52:30 ID:PzV4Rbsy0
モナ
631代打名無し@自治スレにて板分割動議中:2007/08/07(火) 21:56:20 ID:vnr9ai+V0
ほしゅ
632代打名無し@自治スレにて板分割動議中:2007/08/08(水) 22:13:07 ID:KKud6qbD0
ほしゅ
633代打名無し@自治スレにて板分割動議中:2007/08/09(木) 12:47:51 ID:5bstfBtkO
広大のその後が気になる。
634代打名無し@自治スレにて板分割動議中:2007/08/09(木) 21:55:16 ID:h4hfEHR90
hoshu
635代打名無し@自治スレにて板分割動議中:2007/08/10(金) 23:57:00 ID:ejDTQVqK0
保守
636代打名無し@自治スレにて板分割動議中:2007/08/11(土) 19:40:40 ID:bpDi1XTFO
横浜遠征時の宿舎知ってる人いたら教えて下さい
637代打名無し@自治スレにて板分割動議中:2007/08/12(日) 20:17:33 ID:+ZvwPI350
捕手
638代打名無し@自治スレにて板分割動議中:2007/08/13(月) 01:58:01 ID:KHeDIlA70
保守
639代打名無し@自治スレにて板分割動議中:2007/08/13(月) 20:56:18 ID:KHeDIlA70
保守
640代打名無し@実況は実況板で:2007/08/14(火) 07:07:13 ID:Yabexyw00
今日も暑いのかな
641代打名無し@自治スレにて板分割動議中:2007/08/14(火) 09:18:49 ID:IukmK6Jz0
糞暑いな
保守
642代打名無し@実況は実況板で:2007/08/14(火) 14:02:30 ID:wtdMHTYQ0
むしろ生き返って、ひーやん
643代打名無し@実況は実況板で:2007/08/14(火) 15:04:33 ID:PjpE6rcw0
それなんてドラゴンボール
644代打名無し@実況は実況板で:2007/08/15(水) 07:24:02 ID:M8R5hF530
元気玉いる?
645代打名無し@実況は実況板で:2007/08/16(木) 00:11:49 ID:njjfiCwJ0
御大の言葉が気になる・・・
646代打名無し@実況は実況板で:2007/08/16(木) 21:43:57 ID:BMcO3H900
アリゾナにいるらしいな、御大
647代打名無し@実況は実況板で:2007/08/18(土) 09:56:22 ID:xnsXyrKb0
ほしゅ
648代打名無し@実況は実況板で:2007/08/18(土) 14:14:45 ID:B+FY95s50
ほす
649代打名無し@実況は実況板で:2007/08/19(日) 15:37:46 ID:8sDxcJ/Q0
御大生きてる?
「アイゾナで自炊」情報以来、生存情報聞いてないんだけど
650代打名無し@実況は実況板で:2007/08/20(月) 00:03:41 ID:Z3yx0Iq90
ほしゅ
651924(1/5):2007/08/21(火) 01:59:34 ID:L9b+SwYB0
>>611より
154.答えを探して

(夢、か?)
今岡は両手でかかえた膝の上に乗せていた頭をゆっくりと上げた。
月明かりを頼りに時計を見ると、午前2時を少し回ったところだった。
2時間ばかり前に聞こえた謎の爆発音が嘘のように、暗い森はひっそりと
静まり返っている。
(金魚か……)
頭を強く横に数回振ってみたが、今までうたた寝をしていたのか、ただ単に
考え事をしていただけなのかが判然としない。いずれにせよ、ずっと忘れて
いた出来事なのに、どうして急に思い出したのだろう。

小さな池に放たれた十数匹の金魚が、現在の自分たちに重なるからか。
同じように小さな島に閉じ込められ、最後の一人となるまで殺しあわねば
ならない自分たちに。生き残れる者はただ一人。つまり、仲間が次々と死んで
ゆく中、たった一匹残って悠然と巨大化したあの金魚のように。
(それは、嬉しいのかな)
再び当時の疑問が浮かぶ。何者にも脅かされることのない、自分こそが
唯一無二の存在である小さな世界。それは同時に孤独な、ただひたすら
孤独な世界でもある。あの時は、嫌だと思った。自分なら、そんな寂しさには
きっと堪えられない。だが、すぐに忘れた。今日この時まで、ほんの少しも思い
出すことはなかった。恐ろしくはあったが、現実に自分がそのような状況に
置かれるとはまず考えられなかったからだ。

今、自分はまさにそのただ一匹の金魚となることを目指すよう強制されている。
(俺に、できるんか?)
今岡は自分自身に問いかけた。このゲームに投げ込まれた以上、いつかは
答えを出す必要があるのだが、実は一度も深く考えたことはなかった。
自分は、果たしてあの金魚になれるのか。他人に殺されず生き延びられるか
という可能性についてはひとまず措く。問題は、ただ一人生き残る孤独を
受け入れられるかという自分自身の気持ちについてだ。
652924(2/5):2007/08/21(火) 02:00:15 ID:L9b+SwYB0
むろん、ゲームに勝利すれば将来的には一人ではなくなる。妻と息子のもとに
帰り、これまでの日常を取り戻すことができるはずだ。この先も一匹のまま
生き続けねばならないであろうあの金魚とは違う。
だが、今岡ははっきりと答えを出すことができなかった。いずれは家族の所に
戻れるとしても、その時には阪神タイガースというチームの仲間たちを全て
失うことに代わりはないのだから。

ここまで考え、何となく可笑しくなった。まだ一人も手にかけていないまっさらな
状態の人間が迷うなら理解できる。生きて再び帰るためには仲間を殺さねば
ならない。普通では重大な罪とされる行為に手を染めることができるかどうか。
この問題について悩む選手は数多いだろう。
ところが、自分はすでに人殺しだ。この手によって、言葉によって、三人が命を
失った。中村泰広は――ただ人殺しとそうでない者との違いを知りたいと
思い、殺してみた。野口は――ひとが自分自身の手で死ぬところを見てみたい
という動機から言葉巧みにそそのかし、自殺に追い込んだ。桧山は――彼に
促され、こちらもまた相手を殺さねばならないと感じたから、そのとおりに
殺した。

思えば、勝利者になりたいという目的のために命を奪った相手は一人も
いない。桧山に対しては、彼を殺さなければ自分が崩壊してしまうという
危険を察知したわけだから、我が身を守るためであったと言えるかも
しれない。しかし、中村と野口を死に至らしめた理由はどちらも子どもじみた、
いや、子ども以下の幼稚な好奇心だ。

7時の放送時点で自分が関わった以外に19人が命を落としている。殺した
側の人間には、われこそが生き延びるという明確な意志をもって殺害を実行
した者も大勢いるに違いない。それはゲームの方針にもかなった正しい
考えだ。殺された者にすれば理由が何であれたまったものではないだろうが、
自分のように大義名分もなく、なんとなく人を殺してしまうよりはよほどましと
言えるのではないか。
653924(3/5):2007/08/21(火) 02:03:21 ID:L9b+SwYB0
(じゃあ、俺はどうしたいんや?)
重ねて自問する。あの金魚のように、最後の一人となる孤独に自分は
耐えられそうにはない。それでいて、半ばはこのゲームに乗っている。
ためらいもなく人を殺せる人間になっている。
――だけど今岡、後悔するなよ。俺を、誰かを殺したことを、お前が死ぬ
瞬間まで後悔すんな。
ふいに桧山の言葉が頭の中でよみがえった。

――運命に逆らってみろ、今岡。逆らって出来た自分の道を誇ってみせろ。
「だったら……」
膝をかかえたまま、今岡は彼への問いを口にしていた。
「俺は、どうすればいいんですか?」
運命に逆らえ、と桧山は言った。では、自分の運命とはいったいどのような
運命なのか。それが分からなければ、逆らいようもない。
「俺の運命って……なんですか?」
尋ねたところで答えが返ってくるはずはない。浮かぶのは、最後に見た桧山の
顔だけ。かすかに笑ったようで、満足げに見えるあの死に顔だけだ。

「桧山さんは……ずるい」
今岡は膝の上に顔を伏せた。野口もそうだった。みな、解けない謎を残した
まま逝ってしまう。彼らを死なせたのは自分だ。自業自得だ。文句を言う
筋合いなどありはしない。それでも、今岡は答えを与えてくれない彼らに軽い
怒りを感じずにはいられなかった。

――運命に逆らってみろ、今岡。
もう一度、桧山の言葉をかみしめてみる。
「桧山さん……」
つぶやきながら今岡はやけに重く感じられる頭を上げた。逆らうべき運命
とは、あるいは自分の「今」のこの状態なのか。桧山を殺さなければ、自分が
壊れてしまうと感じた。だが、殺したら殺したでこうして苦悩し続けている。
桧山は全てを見越して、あのような言葉を残したのかもしれない。
654924(4/5):2007/08/21(火) 02:05:47 ID:L9b+SwYB0
では、どうすれば自分はこの状態から抜け出せるのだろう。考えれば考える
ほどに迷いは深くなり、出口の見つからない迷路の奥深くに入り込んで行く
気がする。
(俺ひとりでは、答えなんか出せへん……)
ならば、誰かに会いたい。この胸の内を語れる相手に。話を聞き、答えを
返してくれる相手に。
そこで今岡は思い出した。自分がある男について考えていたことを。
そうだ。自分はずっと彼に会いたかったのだ。会わなければならないとさえ
思っていたのだ。
(金本さん――)
他の誰でもないあの人なら、自分を救ってくれるはずだ。

今岡はデイパックを引き寄せつつ、立ち上がった。その瞬間、一つくしゃみが
出た。全身が冷えきっており、なんとなくだるい。
(今は、無理やな)
会いたい気持ちははやるが、真夜中だ。金本もおそらくはどこかでやすんで
いることだろう。今動いても会える可能性は低い。

自分も場所を見つけて寝ようと今岡は考えた。身体を休めるためにも、
堂々巡りの思考を断ち切るためにも、眠ってしまうのが一番いい。雨に濡れた
森の中では十分な睡眠を取れそうにないから、どこか民家にお邪魔させて
もらうのがいいだろう。今岡は地図を取り出して現在位置を確認し、最も近い
集落に向かって歩き出した。

(次に誰かと出会ったら、俺はどうするやろう?)
歩きながら今岡は考えた。もし、金本に会える前に他の選手に遭遇したら、
どうなるか。ゲームが始まって以来、自分が出会った人間は二人だ。
野口と桧山。どちらも、自分が死に追いやった。
再び誰かに出会った時、また殺すのか。それとも――。
今岡はあえてその先を考えようとはしなかった。
655924(5/5):2007/08/21(火) 02:07:50 ID:L9b+SwYB0
森を抜け、いくつかの民家が立ち並ぶ集落にたどりついた。どの家も灯りは
ついておらず、物音一つ聞こえてこない。今岡は適当に選んだ一軒に近付き、
玄関の引き戸に左手をかけた。もしかすると、先客がいるかもしれない。だが、
その時はその時だ。いちおう、右手には支給品の銃が握られている。

鍵はかかっていなかったが、立て付けが悪いのか古くて傾いているのか、戸は
がたがたと大きな音をたてながら動いた。中に誰かいれば、気付かれたかも
しれない。しかし、今岡はさほど躊躇することもなく靴のまま廊下に足を踏み
入れた。歩き出すと、床板がこれまたぎしぎしと鳴る。

まず、いちばん手前の部屋のドアをそっと開けてみる。そこは、客を迎える
ためと思われる洋間だった。人の気配はない。中央のテーブルを挟んで
古びた大きなソファが置かれており、寝台代わりにできなくもなかったが、
できれば布団かベッドで眠りたい。今岡はドアを開け放したまま部屋を出ると、
廊下に戻った。

次の部屋のふすまを開けようとした瞬間、背中に硬いものが押し当てられた。
感触からして、銃口らしい。
「そのまま、動くな!」
ほぼ同時に背後から声が聞こえた。今岡は恐怖を感じる代わりに声の主が
誰か考えた。
少なくとも、会いたいと願う彼ではないことだけは確かだった。

【残り34人】
656代打名無し@実況は実況板で:2007/08/21(火) 12:34:55 ID:tG/TT/WP0
新作キター!!
職人さん乙です!
モナさん・・・ドキドキ。
657代打名無し@実況は実況板で:2007/08/21(火) 22:11:08 ID:zf49FZ2W0
乙です!
誰だー?!

こっちのモナはちゃんと靴のまま上がって偉いなw
658代打名無し@実況は実況板で:2007/08/21(火) 22:50:53 ID:IH7tpbWvO
7点差、ひっくり返しage
659代打名無し@実況は実況板で:2007/08/21(火) 23:08:39 ID:cXcHjagB0
職人さん乙です
誰だー?
金本には会えるのかのぅ

>>657
思ったw
億バトのモナさんは靴脱いで茶しばくからな・・・
660代打名無し@実況は実況板で:2007/08/21(火) 23:52:17 ID:xjlkcbQ80
職人さん暑い中とても乙
夜中にモナがいきなり侵入してきたら普通に怖いな
661代打名無し@実況は実況板で:2007/08/23(木) 15:56:33 ID:Na0YAyBU0
ほしゅしゅ
662代打名無し@実況は実況板で:2007/08/24(金) 10:47:38 ID:hWKdcEk40
ほしゅ
663代打名無し@実況は実況板で:2007/08/24(金) 13:39:02 ID:JYKsTGih0
浅井
664代打名無し@実況は実況板で:2007/08/24(金) 23:25:25 ID:n108r9MJ0
矢野さん
665代打名無し@自治スレにて板分割動議中:2007/08/25(土) 09:01:00 ID:2Ok3BsaP0
岡崎
666代打名無し@実況は実況板で:2007/08/25(土) 16:03:33 ID:/WsOwc1G0
小宮山
667代打名無し@実況は実況板で:2007/08/25(土) 23:46:33 ID:tKu4HkwvO
清水
668代打名無し@実況は実況板で:2007/08/26(日) 04:04:56 ID:BvyKAPD40
野口
669代打名無し@実況は実況板で:2007/08/26(日) 12:54:16 ID:2qrePveC0
木戸
670代打名無し@実況は実況板で:2007/08/26(日) 17:31:58 ID:a5cAs/bX0
田淵
671代打名無し@実況は実況板で:2007/08/27(月) 02:02:45 ID:IiR8BpKgO
大橋
672代打名無し@実況は実況板で:2007/08/27(月) 19:33:38 ID:cdRyYrAl0
狩野
673代打名無し@自治スレにて板分割動議中:2007/08/27(月) 22:51:51 ID:Oi9yHth40
小宮山
674代打名無し@実況は実況板で:2007/08/28(火) 01:53:13 ID:MDo7CjOP0
若菜
675代打名無し@実況は実況板で:2007/08/28(火) 20:47:38 ID:zK+6unET0
矢野
676代打名無し@実況は実況板で:2007/08/28(火) 21:06:17 ID:M4+jEkcsO
門前
677代打名無し@実況は実況板で:2007/08/29(水) 08:28:54 ID:lmHAtLraO
背番号44…
バースの呪い…
678代打名無し@実況は実況板で:2007/08/30(木) 15:44:17 ID:mtQU3RlKO
山田
679代打名無し@実況は実況板で:2007/08/30(木) 23:07:03 ID:k5DlVJzy0
>>678
あいつ今何してんだろ・・・。
680代打名無し@実況は実況板で:2007/08/31(金) 22:55:11 ID:3PcV5R1R0
681代打名無し@実況は実況板で:2007/09/01(土) 09:35:23 ID:3TUd5usO0
>>679
楽天のコーチ
682代打名無し@実況は実況板で:2007/09/02(日) 23:26:17 ID:eANQ1Kpo0
バトでもリアルでも吉野はどうしてるのかなあ・・・
683代打名無し@実況は実況板で:2007/09/03(月) 06:54:52 ID:Is+Ixc600
hoshu
684代打名無し@実況は実況板で:2007/09/03(月) 21:54:52 ID:mI75FKXWO
☆ゅ
685代打名無し@実況は実況板で:2007/09/04(火) 15:44:21 ID:Q3iZhBpE0
保管庫が動いてる事に今更気付いた^^;
よかったよかった♪
686代打名無し@実況は実況板で:2007/09/05(水) 21:01:19 ID:B4ZmhOJw0
ほしゅ
687代打名無し@実況は実況板で:2007/09/06(木) 21:45:42 ID:QkH5bK/f0
見守るスレとカプバトが落ちたらしいので保守
688代打名無し@実況は実況板で:2007/09/07(金) 03:49:04 ID:9OoBi7P90
>>682タン
俺も。あと三東が気になるよ。
689代打名無し@実況は実況板で:2007/09/07(金) 13:10:54 ID:YFab1wJo0
hosyu
690代打名無し@実況は実況板で:2007/09/08(土) 07:04:04 ID:1LUkec8j0
hosyu
691代打名無し@実況は実況板で:2007/09/08(土) 22:03:03 ID:k9Ss7vJ8O
ほしゅ。
安藤…゜・゜(ノД`)゜・゜
692代打名無し@実況は実況板で:2007/09/08(土) 22:39:10 ID:QZkNw9zv0
【腐菌】阪神公式はワラかす160DQN幼稚園【狼小便】
http://ex20.2ch.net/test/read.cgi/kyozin/1186754768/l50x
▼:【阪神】正しいプロ野球を学ぶ 20.5限目【公式】
http://ex23.2ch.net/test/read.cgi/net/1181203115/l50

公式のレスをコピペし、
陰口を叩く姑息な卑怯者がいます。
693代打名無し@実況は実況板で:2007/09/09(日) 19:30:52 ID:d7z6/SP40
保守
694代打名無し@実況は実況板で:2007/09/10(月) 20:24:37 ID:oQdE55Rj0
楽しみ保守
695代打名無し@実況は実況板で:2007/09/11(火) 09:36:06 ID:OsNiopIz0
ほ  しゅ
696代打名無し@実況は実況板で:2007/09/11(火) 20:27:04 ID:GFRIVvG90
保守
697代打名無し@実況は実況板で:2007/09/12(水) 05:48:02 ID:AexRQNIU0
なんだこのスレ
気持ち悪いな
698代打名無し@自治スレにて板分割動議中:2007/09/12(水) 18:47:40 ID:ZgTJJ3V30
捕手
699代打名無し@実況は実況板で:2007/09/13(木) 03:12:03 ID:8237P8yW0
浅井が気になるホシュ
700代打名無し@実況は実況板で:2007/09/13(木) 10:27:52 ID:5svCZNDC0
野口
701代打名無し@実況は実況板で:2007/09/14(金) 08:53:30 ID:iQYDogA9O
藤原達の今後が気になる!
そろそろどこかでまた惨劇の予感。
702代打名無し@実況は実況板で:2007/09/15(土) 01:33:37 ID:kezcv3k/0
バトのジェフとリアルのジェフが
気になる・・・
703代打名無し@実況は実況板で:2007/09/17(月) 00:04:13 ID:NlBWZyID0
じゃあ俺は吉野が気になる保守
704代打名無し@実況は実況板で:2007/09/18(火) 00:27:24 ID:/r0g6HFp0
ほしゅ
705代打名無し@実況は実況板で:2007/09/19(水) 01:34:05 ID:L1XK80k60
ほす
706代打名無し@実況は実況板で:2007/09/19(水) 22:00:23 ID:78gKu5pi0
ほす
707代打名無し@実況は実況板で:2007/09/20(木) 03:04:06 ID:P5aSYGJm0
>>703
アドゥ、気になって成仏できないのか? かわいそうに。。。
708代打名無し@実況は実況板で:2007/09/21(金) 00:24:26 ID:+cN9D8vuO
捕手
709代打名無し@実況は実況板で:2007/09/22(土) 01:39:43 ID:hc+/yOLU0
ほしゅ
710代打名無し@実況は実況板で:2007/09/22(土) 23:23:54 ID:CJM6vE6OO
保守
711代打名無し@実況は実況板で:2007/09/24(月) 03:13:17 ID:99JddZsw0
ほすほす
712代打名無し@実況は実況板で:2007/09/24(月) 20:50:37 ID:8Bt1tThsO
藤川は少し休め。
713代打名無し@実況は実況板で
ほしゅ