あくどいのは東電だけじゃない。電事連(電気事業連合会)は全部そう。
で、その所管の資源エネルギー庁と、その親玉の経産省もあくどい。
4月13日、いわき市保健所でのこと。電事連の連中と共同で作業することになった。
作業が始まってしばらく気がつかなかったのだが、同じく共同で参加していた京大炉の
先生がブツブツ言っている。理由を聞いてみると、車のスクリーニングを頼みに来た人が
いたのだが、電事連がさっさと断ってしまったという。
昼ごろお客さんが途切れた時を見計らって、責任者(いわき市保健所の人間)に
掛け合うと、「1台引き受けたらウチもウチもとあっという間に長い車列ができてしまって
パニックになるから、一切ことわることにしている」という説明。
しかし、その問題は前の日の夜の打ち合わせで、その日 いわき市で活動した
他のグループからも指摘されていて、県庁の説明は「引き受けるなとは言っていない。
余裕があればもちろん引き受けてもらってかまわない、といわき市にも伝えてある。
ただし、いわき市は『中核市』に指定されていて、自前の保健所も持っていて
ポリシーがあるので、それを抑えつけて言うことを聞かせることもなかなかできない」
という話だった。
・・・という話を前の日に聞いていたので、負けてたまるかと思って、
「車列ができてパニックになるとおっしゃいますけどね、駐車場 こんなに
広いじゃないですか。で、スクリーニングのメンバーもこんなにたくさんいて、
ほとんどヒマしてるじゃないですか。できますよ!」
と食い下がったら、その責任者は「とにかくやめてくれ」の一点張り。
で、興奮していたので最初気がつかなかったんだけど、なんか違和感があって、
しばらくしてその理由にようやく気がついた。
そのおっさん、保健所の人間のはずなんだよ。ところが、着てるウィンドブレーカーの
背中にデカデカと「 経 済 産 業 省 」ってロゴが書いてあるわけ。
・・・ お か し い よ な ぁ ?
それに気がついた時点でみんなで相談して、あらためて電事連側のスクリーニングの
やり方を(疑いの目で)じっくり観察すると、さらに不審なことがいくつも見つかってきた。
まず彼らは、異様にスクリーニングが「速い」。横目でそーっと盗み見てると、
彼らはサーベイメータのレンジを最初から 30kcpmにしている。スクリーニングレベルは
13kcpmなので、30kcpmにしておいて針がスッと動かなければOK→おわり、っていうやり方だ。
だけど、もっと感度をあげて測ると 13kcpmまではいかないけど 4kとか5kの人は
ザラにいるわけで、何とも無い人は 0.1とか0.2だから、4kとか5kの人はやっぱり
それなりに汚染を受けているわけだ。そうすると、今は 13kcpmを超えてないけど、
その人の生活空間の中に汚染源があったとしたら、そのまま何日か暮らしていると
13kcpmを超えるかもしれない。・・・ということが想像できるから、4kとか5kでも
その人の日常について少し聞き取りをやって、原因がありそうだったらそれについて
アドバイスを与えるべき。我々はそうやっている。
そりゃちょっとあてて 13kcpm超えてなかったらハイおしまい、でいいならすぐ終わるよな。
どうりで速いわけだよ。w
(まだまだ続きがあるんですが、明日書きます。)
おかしいな、と感じていたバラバラなピースが、だんだんつながって見えるようになってきた。
どういうことかと言うと、
当時スクリーニング会場は福島県下で10数ヶ所設けられていたのだが、
(1) 電事連が必ず来る会場と、そうでない会場がある
(2) 電事連は朝夕の医療班のミーティングには出席せず、必ず現地集合・現地解散
(3) 車や所持品のサーベイを絶対にやらない会場がある
というあたりが不思議だった。ところが
>>842-843を踏まえて、あとから考えてみると
(1),(2),(3)からひとつの推測が浮かんでくる。
まず(1)。最初、電事連が派遣される会場とそうでない会場には特に規則性があるとは
思っていなかったのだが、よくよく見たら、20km圏内から出て来ようとした時に、
必ず通る道はすべて電事連が押さえている。
次に(2)。医療班は放医研と広大放影研が共同で仕切っている。放医研というと
一見 厚生労働省の管轄のように見えるが、実は文科省管轄。つまり、文科省が
押さえているところには(経産省配下の)電事連は来ない。
そして(3)。なぜ車のサーベイを決してやらないかと言うと、「車列ができてパニック
になるから」というのは大嘘で、その証拠に、いわき市よりも圧倒的に人口の少ない
相双保健福祉事務所でも車を測ってもらえなかった、と言って川俣町に泣きついてきた
住民の方々が大勢いた。つまり、パニックとかいうのは嘘で、実は(1)で指摘したとおり
彼らは 20km圏への出入り口を押さえているので、車を測っちゃうと汚染が見えちゃう
車が続出するのだ。だから、表面上別の理由で「いっさい測らない」ことにして、
あえて「見つけない」ように努めている、のではないか。
とまあ、それもこれも「限りなくクロに近いグレー」でしかなくて、
正真正銘の「クロ」とは言えないのだが、とうとうボロが出た、というか
間違いなく「クロ」の事例をついに発見した。
・・・13kcpmを少し超えた時に、サーベイメータを少し遠ざけて測りなおして、
「異常ありませんね、はいOKです!」と言っている例があったのである。
それらのことを医療班のミーティングで報告して以来、文科省と放医研は
何か問題が起きそうな状況が発生するたびに、我々をそこへ配置するようになった。
(医療班の他の参加者はほとんど全国の自治体や総合病院で放射線を担当している
スタッフの方々である。)
また、特に案件がない場合は、我々は川俣町がデフォルトになった。
ここだけが、20km圏内に出入りする人が通れる経路にあって、電事連に制圧されていない
会場だからである。