小出氏はおそらくCl-38の発表値に振り回されたのだと思います。
Cl-38が見えたという発表の一次情報は
http://www.meti.go.jp/press/20110326001/20110326001-2.pdf ですが、東電の測定が25日、プレス発表が26日だったので、
>>727の車内で
真っ先にこの件が議論になりました。広大のH先生はこのことを非常に
心配しておられたのですが、その時の私の主張はこうでした。↓
「もし熱中性子捕獲によってCl-37からCl-38ができて、それが見えているのであれば、
同様に Na-24も見えなければならないはずである。(中性子捕獲断面積も天然存在比も
Na-23の方がCl-37よりも大きい。)
東電はガンマ線分光で調べているので(ソースは
http://www.tepco.co.jp/nu/f1-np/press_f1/2010/htmldata/bi1386-j.pdf)、
Cs-137(662keV)が見えているのだから、Na-24(1368.6keVと2754.0keV)を
見逃すはずはない。」
これで車内では全員納得したのですが、宿舎に戻ってメールをチェックしてみると
Cl-38の問題に関して20通ぐらいメールが飛び交っていて、中には空気中の38Ar(安定)
が(ν_,e+)で38Clになったのではないか?というような突飛なアイディアも出ていました。
最終的には27日の経産省のプレス発表でCl-38は消えていました。
見間違えたために取り消されたのか、隠蔽されたのかはわかりませんが、
とにかく小出氏の疑いの根拠もこの時点では消えていた、ということです。
それともうひとつ根本的に重要なことは、
「問題は再臨界が起きたかどうかではなく、あくまでも環境中の放射能汚染度だ」
ということです。
汚染度が同じであれば、再臨界が起きていようといまいと、市民への影響は同じです。
あえて再臨界の有無にこだわったとすれば、正解は
「現時点では有ったとも無かったとも断定できない」
です。有り・無しのどちらに対しても決定的な証拠がないからです。
この点については東電も保安院も「無かった」との断言は一度もしていません。
にも関わらず、立証できないことを「事実だ」と決めつけて、それを東電と保安院と
政府が認めないからと言って批判するのは誠実な態度とは言えません。
証拠が無い以上、認めたくても認められるはずがありませんし、むしろそれは
やってはならないことです。(事実を捻じ曲げる行為だから。)
ちなみに
>>835の
> どうしてそんなことが平気でできるか、わかりますか?
ですが、答えは簡単で、それは「
>>810の登場人物は、元東電の社員だったから」です。
私個人の「推測」としては、再臨界は無かったと考えている。
なぜなら、燃料棒は地震の初日のうちに溶けて圧力容器の底に
貯まってしまったはずだからです。そう言える根拠は、同じく冷却水喪失を起こした
スリーマイル島事故の際に、事故発生から数時間でメルトダウンが起きたからです。
スリーマイルよりも旧式の福島第一が、スリーマイルよりも長持ちするはずがありません。
ましてや1日近くも。
で、溶け落ちてしまったら、被覆管やら制御棒やらそのパイプやら水やらと
一緒にぐちゃぐちゃになっているわけで、もともと燃料用のウランはきちんと
設計どおりに燃料棒を配置しないと臨界に達しないくらい低い純度なので、
その配置が崩れたら臨界になれないからです。
あくどいのは東電だけじゃない。電事連(電気事業連合会)は全部そう。
で、その所管の資源エネルギー庁と、その親玉の経産省もあくどい。
4月13日、いわき市保健所でのこと。電事連の連中と共同で作業することになった。
作業が始まってしばらく気がつかなかったのだが、同じく共同で参加していた京大炉の
先生がブツブツ言っている。理由を聞いてみると、車のスクリーニングを頼みに来た人が
いたのだが、電事連がさっさと断ってしまったという。
昼ごろお客さんが途切れた時を見計らって、責任者(いわき市保健所の人間)に
掛け合うと、「1台引き受けたらウチもウチもとあっという間に長い車列ができてしまって
パニックになるから、一切ことわることにしている」という説明。
しかし、その問題は前の日の夜の打ち合わせで、その日 いわき市で活動した
他のグループからも指摘されていて、県庁の説明は「引き受けるなとは言っていない。
余裕があればもちろん引き受けてもらってかまわない、といわき市にも伝えてある。
ただし、いわき市は『中核市』に指定されていて、自前の保健所も持っていて
ポリシーがあるので、それを抑えつけて言うことを聞かせることもなかなかできない」
という話だった。
・・・という話を前の日に聞いていたので、負けてたまるかと思って、
「車列ができてパニックになるとおっしゃいますけどね、駐車場 こんなに
広いじゃないですか。で、スクリーニングのメンバーもこんなにたくさんいて、
ほとんどヒマしてるじゃないですか。できますよ!」
と食い下がったら、その責任者は「とにかくやめてくれ」の一点張り。
で、興奮していたので最初気がつかなかったんだけど、なんか違和感があって、
しばらくしてその理由にようやく気がついた。
そのおっさん、保健所の人間のはずなんだよ。ところが、着てるウィンドブレーカーの
背中にデカデカと「 経 済 産 業 省 」ってロゴが書いてあるわけ。
・・・ お か し い よ な ぁ ?
それに気がついた時点でみんなで相談して、あらためて電事連側のスクリーニングの
やり方を(疑いの目で)じっくり観察すると、さらに不審なことがいくつも見つかってきた。
まず彼らは、異様にスクリーニングが「速い」。横目でそーっと盗み見てると、
彼らはサーベイメータのレンジを最初から 30kcpmにしている。スクリーニングレベルは
13kcpmなので、30kcpmにしておいて針がスッと動かなければOK→おわり、っていうやり方だ。
だけど、もっと感度をあげて測ると 13kcpmまではいかないけど 4kとか5kの人は
ザラにいるわけで、何とも無い人は 0.1とか0.2だから、4kとか5kの人はやっぱり
それなりに汚染を受けているわけだ。そうすると、今は 13kcpmを超えてないけど、
その人の生活空間の中に汚染源があったとしたら、そのまま何日か暮らしていると
13kcpmを超えるかもしれない。・・・ということが想像できるから、4kとか5kでも
その人の日常について少し聞き取りをやって、原因がありそうだったらそれについて
アドバイスを与えるべき。我々はそうやっている。
そりゃちょっとあてて 13kcpm超えてなかったらハイおしまい、でいいならすぐ終わるよな。
どうりで速いわけだよ。w
(まだまだ続きがあるんですが、明日書きます。)