1 :
伊藤さん:
またまた落ちていたので立てました
2 :
伊藤さん:2009/05/07(木) 01:27:50.83 0
3 :
乃絵厨:2009/05/07(木) 01:42:44.39 0
いつのまにか落ちたのか
スレ立て乙
4 :
いんでっくちゅ:2009/05/07(木) 15:45:13.67 0
乙
5 :
りぼんちゃん:2009/05/07(木) 18:17:09.55 O
新スレ立てマジでありがとうございます。
しかも過去スレまで貼ってもらっちゃって…
しかしよく落ちるなぁ。次落ちたらマロンに立てるわ。
次回投下予定は5月下旬を予定しています。
探し屋S
誰か適当なろだとかに過去ログうpしてくれ
読めないorz
7 :
閣下:2009/05/07(木) 19:15:45.84 0
暇つぶし2chでスレ名検索かけて過去ログのリンク辿れば読めるよ
読めた。
あり!
9 :
ぶど子名無しさん:2009/05/07(木) 23:57:05.82 0
10 :
タコス娘:2009/05/08(金) 00:24:51.65 0
11 :
カブトムシ:2009/05/08(金) 08:30:41.00 O
コナンの「あれれ〜?」とネウロの「ですよね、先生☆」から似たような匂いを感じる
案外この二人気が合うのではないか
13 :
前川大先生:2009/05/09(土) 03:34:14.22 0
age
14 :
ソウマ:2009/05/09(土) 11:44:50.02 0
探し屋頑張れ!
15 :
だな:2009/05/09(土) 16:21:59.01 O
コナンパートはコナンの絵、ネウロパートはネウロの絵(原作風)で脳内再生されるけど、そうすると長男だけ浮く。絵的に。
>>15 じゃあ長男はあかねちゃん状態で想像するとよし
(髪の毛だけとか右手だけとかで)
あれまた立ったんだ
18 :
同意:2009/05/10(日) 16:16:39.78 O
保守
なぜこの2人なのか
20 :
サスケェ:2009/05/12(火) 02:48:46.48 0
マロンがいいよ
21 :
涼風はテクノ:2009/05/12(火) 20:20:41.09 0
こーまん
保守
>>11 コナンと助手ネウロを口喧嘩させてみたい
どっちが勝つか
24 :
みみみ:2009/05/14(木) 16:27:40.40 0
hoshu
期待保守
26 :
エーネウス:2009/05/15(金) 02:02:45.08 0
保守ばっか
27 :
常盤緑:2009/05/15(金) 08:27:57.91 0
みみみといえばかまいたちのよる
28 :
エヴァ様の下僕:2009/05/15(金) 09:32:35.98 O
保守ばかりさせてしまって申し訳ない…。
長くなるので【エンカウンター】とりあえず小出しで投下。
絶対絶命のクライシス
華麗に再生、逆転謎解き!
遂に到着氷室邸、平和な光景は嵐の前触れ!?
そして現れる、もう一人の名探偵―――。
たったひとつの真実見抜く、見た目は子供、頭脳は大人!
その名は、
名
魔人探偵脳噛ネウロ
偵
コ
ナ
ン
【エンカウンター】:コナンパート
まさに稲妻のごとき邂逅だった。
彼が視界に入った次の瞬間、周りの世界はすべて融け落ちて色を失い、彼だけがあまりにも鮮烈に浮かび上がったのだ。
だが、コナンの目を引いたのは透けるような金の髪でも
翡翠を思わせる鮮やかな緑の瞳でもなく、その『異質さ』であった。
男は、コナンが今まで出会ったいかなる人間にも似ていなかった。
外見や性格とかいう次元ではなく、そもそもその存在自体が
まったく異なったものであるのだと、コナンはこの時すでに本能で感じ取っていた。
白磁の顔に浮かぶ爽やかな笑み、優雅な立ち姿、いかにも人当たりのよさそうな雰囲気―――そんな人畜無害の要素をわざとらしいまでに
纏っていてもまだ有り余るほどの怪しさを、彼は有している。
この男は危険だ。
踏み込んで、まして触れようとすることなど許されない、まさしくパンドラの箱なのだ―――。
先ほどからコナンの背筋を撫で上げる底知れない不吉さが、耳元で囁く。
それでもコナンが彼から目を離せなかったのは、恐怖や警戒心以上に、胸の内で高鳴る探偵の宿命めいたものを感じたからだ。
彼は自分と同じ存在でありまったくの
対極に位置する存在なのだと、根拠のない、しかし不思議と説得力のある声がする。
「(こいつ……何者なんだ?)」
出会ってからまだ数分も経っていないどころか、自分たちは言葉すらも交わしていないのに。
それなのに何なのだろう、この身体に吹き荒れる強大な感情の嵐は。
得体の知れぬ不安と胸を打つ高揚感を抱き込んだ奇妙なこの感情は―――。
ふと、コナンの視線に気付いたのかついに彼の視線もこちらへと向いた。
美しい緑色の瞳に身体中を探られるような錯覚を一瞬覚え、
コナンは汗ばんだ手をきつく握り締める。
にこり、とややあってから向けられた笑顔はあまりに安穏で柔和だ。
言いようのない胸騒ぎを覚えながら、コナンはせいぜい子供らしく見える無邪気な笑いで応じてみせた。
時間は少し遡る。
一通り自己紹介を終えたあと、武夫はすぐに小五郎たちを食堂へ案内した。
白いクロスも眩しい長テーブルには、すでに使用人たちによって色とりどりの料理が並べられていた。
真っ白な皿も磨きあげられたシルバーも、しっかり人数分揃えてある。
どうやら理緒は当日飛び入り参加の少年探偵団四人のこともきっちり伝えてくれていたようだ。
その理緒の姿も食事の準備をしている使用人たちの中にある。
エプロンドレスに着替えた彼女は相変わらずてきぱきと風間に付いて動き回っていたが、
コナン達を見つけると快活な笑顔を振りまいてくれた。
「さぁ、長旅でお疲れでしょう。氷室家自慢の昼食をどうぞ召し上がれ」
船内で蘭の弁当を平らげたはずが、ずらりと並んだ豪奢な料理たちを目の前にすると
不思議なことに一同みるみる食欲が湧きあがってきた。
中でも武夫に勧められるが早いが座席に飛び付いた元太は、フォークとナイフを手に
いつでも食べる準備は出来ていると言わんばかりだ。
盛り付けられた料理にフォークを伸ばさないのは、とりあえず全員が座るまでは待つという彼なりのマナーらしい。
向かい側では氷室三兄妹がそれぞれの席についている。
コナンは一番端の席、伊織と向かい合わせになる席に座ることにした。
「こりゃうまい!」
鶏肉の香草焼きを一口、小五郎が叫んだ。
コナンもその声につられてぱくりとやってみると、途端に芳醇な香りが口の中いっぱいに広がって弾ける。
柔らかすぎず固すぎずの絶妙な焼き加減を施された肉の味が
香草の薫りと相俟って素晴らしい味を生み出していた。
「そうでしょう、そうでしょう」
上座に座った武夫がご機嫌な笑みで頷く。
「なんといっても氷室家が誇る天才シェフ・篠崎清太郎と
料理の腕なら他のメイドの追随を許さない和辻美鈴が作った渾身の作品ばかりですからね」
「えっ、美鈴さんが?
すごい、こんな美味しい料理が作れるなんて尊敬しちゃいます!」
蘭の言葉に、ちょうど彼女のグラスにジュースを注いでいた美鈴がぽっと顔を赤らめた。
「あのっ、私そんな……」
「へー、姉ちゃんすげぇなぁ!
こんなうまいもん自分で作れるんじゃ毎日うまいもん食い放題だな!」
「きっといいお嫁さんになれるね!」
「いや、本当に大したもんですよ和辻さん。
……少なくとも私の女房には逆立ちしたって出せない味です」
最後の小五郎の台詞が妙に切実だった。
そんな賛美の嵐にとうとう美鈴は耳まで真っ赤にしてうつむいてしまう。
「あらあら……。
申し訳ありません、この子ったら外部の人に褒められることにまるで慣れてないんです」
苦笑しながら、理緒。
「顔を上げなさい、美鈴。これは胸を張っていいことだわ」
美鈴の隣に立った風間が軽く彼女の背中を叩く。
きつめの顔立ちにわずかに浮かんだ微笑から、あたたかな慈愛が感じられた。
「あ、あの……。
ありがとうございます。
私、お屋敷の外の人と接する機会があまりないものですから……理緒さんの言う通り戸惑ってしまって。
でも皆様に褒めていただけたのは本当に嬉しいです」
木漏れ日のように穏やかな笑顔を零して、美鈴は笑う。
いまだに顔は見事な茹蛸色だが、それを差し引いても魅力的な笑顔には違いない。
事務所で出会った時は暗い表情ばかりしていた彼女から、はじめて少女らしく明るい表情が浮かんだことにコナンは少しほっとした。
何せあの時の彼女は『伊織には恐ろしい地獄の悪魔が取り憑いている』と本気で信じ込んでしまうほどに怯えていたのだ。
「(そうだ、伊織さん)」
ふと気になって彼女のほうに目をやると、彼女は野菜サラダと奮闘の真っ最中だった。
かたわらでは背の高い、恐ろしく痩せた背広姿の男性がじっと伊織の手つきを眺めている。
「お嬢様、プチトマトをスプーンですくってはいけないと申し上げたはずですか」
「だって、つるつる滑ってフォークでは刺しづらいんです……」
「いけません。マナー違反です。
きちんとフォークで召し上がってください。
マナーは守るためにあるのですよ」
「はぁい……」
32 :
たまご:2009/05/15(金) 10:12:39.29 O
支援した方が良い‥?
有無を言わせぬ淡々とした口調に押され、伊織は再び皿の上のトマトと奮闘をはじめる。
「(お嬢様も大変だな)」
隣の男性は見たところ執事のようだ。
伊織の様子を監視しながらも時折、海斗や政隆の手元にも鋭く目を光らせている。
「……ナイフ使えよ、伊織」
一向にトマトを口に運べそうにない妹を見兼ねた海斗が、ぶっきらぼうに告げる。
「えっ?」
可愛らしく小首を傾げた伊織に、海斗は「見てて」と手にしたナイフを自分の皿のプチトマトの右下あたりに添える。
そうしてゆっくりフォークを斜め横から突き刺すと、驚くほど簡単にプチトマトは捉えられた。
「……こんな感じ」
「すごい!ありがとう海斗兄さま!」
「なんだ、伊織はまた野添にマナー違反で叱られたのかい。
氷室家のレディがプチトマトも優雅に食べられないなんて、いけないな」
茶々を入れたのは例によって政隆である。
「政隆兄さま、ひどい!」
「まぁまぁ、野添のお叱りは僕も海斗も等しく受けてきたからね。
けどそれを乗り切ったからこそ、僕はきちんとしたマナーを身につけられたんだよ」
「マナーがよろしいのはたいへん結構ですが」
いつの間にやら政隆の背後に移動していた執事―――野添忠良は白い手袋をはめた人差し指で、皿のある一点を示す。
「先ほどから巧妙にピーマンだけを避けていらっしゃるのは何故です?」
「あ……」
ばつが悪そうに笑ってみせる政隆だが、野添はピクリとも頬を動かさない。
あきれたように海斗が溜め息をついていた。
「えぇーっ!お兄さん、ピーマン嫌いなの?」
声を上げたのは歩美だ。
そうなると必然的に光彦や元太の声が続く。
「好き嫌いはいけませんよ!……僕もピーマンはちょっと苦手ですけど」
「母ちゃんがピーマン残すとピーマンお化けが出るって言ってたぜ!」
「……だそうですよ、政隆様」
「……あ、あはは。参ったなぁ」
いよいよ困り顔の政隆に、
「政隆兄さま。氷室家の紳士がピーマンも優雅に食べられないなんて、いけないと思います」
伊織がとどめの一撃を見舞ったのだった。
「本当に兄妹仲がよろしいんですな」
「私の宝ですよ。
彼らも、こうやって彼らと過ごす時間もね。だからこそ―――」
ふいにそれまで穏やかだった武夫の表情に陰りが差す。
「―――私は完璧な形で、家族の平和を取り戻したい」
寂しげな瞳の先に、兄と笑いあう伊織の姿があった。
投下終了。
断言してもいい、最初のタイトルコール絶対ずれた。
重ね重ね、保守ばかりさせてしまって申し訳ない。
あと支援ありがとう。
35 :
最萌豚:2009/05/15(金) 16:38:11.11 0
おお、神降臨!
ネウロパート楽しみにしてます!!
37 :
カルナ・サクガ:2009/05/17(日) 11:24:22.29 O
投下きてたよあげ
38 :
片桐姫子:2009/05/18(月) 13:58:15.98 0
うおおおお来てた!乙!激しく乙!
39 :
スパゲティ:2009/05/18(月) 21:40:23.78 0
保守
40 :
片桐姫子:2009/05/18(月) 22:57:05.97 0
探し屋さんは文体が綺麗だよな、すごい見やすいから正直見習いたい
41 :
橘玲:2009/05/19(火) 10:07:43.71 0
しかし楽しみになってきた
どんな推理合戦になるのか、ならないのか…
42 :
上原都:2009/05/20(水) 00:32:33.30 0
ぽしゅ
次はいつかな〜(あせらせてる訳ではない、念のため)
43 :
伴:2009/05/22(金) 01:27:08.79 0
>>29の文章、
ネウロの容姿や雰囲気の描写が見事にらしさを出してて素晴らしい
見てて思わずニヤニヤしてしまった
「周りの世界はすべて融け落ちて色を失い、彼だけがあまりにも鮮烈に浮かび上がったのだ。」とかすげえw
44 :
6号さん:2009/05/22(金) 01:38:22.55 0
>>43 その文章が鮮烈だよって話だよな
ホント見習いたい
45 :
まなび:2009/05/22(金) 17:17:46.60 0
保守
46 :
乃絵は天使:2009/05/24(日) 01:11:54.39 0
時間変わってから見逃すんだ
47 :
エーネウス:2009/05/25(月) 00:26:07.38 O
「ねぇ、伊織お姉さん」
食後のシャーベットをちょこちょこと口に運んでいる伊織に、コナンは
あどけない声で呼びかけた。
「はい?」
「伊織お姉さんはこのおうちにずっと住んでるんだよね?」
「うん、そうよ」
「そっか!
じゃあ、えっとね。
ぼくから伊織お姉さんにお願いがあるんだけど、いいかなぁ?」
きらきら輝いた瞳に上目遣いの二重コンボ。
相手の母性本能に直球で訴えかけるこの『お願い』は、子供の姿だからこそ出来る一種の交渉術である。
こういう時に子供の外見とは実に便利だ。
同時にとても複雑な気分になるのだが。
「まぁ、なぁに。私にお願いって」
「えへへ……。ぼくね、このお屋敷を伊織お姉さんと探検に行きたいんだ!」
「私と?」
意外なお誘いだったのだろう、シャーベットを掬うスプーンの
手を止めて伊織はまじまじとコナンを見つめた。
「だってこんなに広いお屋敷、案内してくれる人がいなきゃ絶対迷子になっちゃうもん。
伊織お姉さんならお屋敷のこと、よく知ってるでしょ?」
「ふふ、そうね。よく知ってると思うわ。
じゃあシャーベットを食べたら、お屋敷を案内してあげましょうね」
「わーい!」
むろん、コナンが屋敷の探検に伊織を誘ったのは迷子になるからなどというかわいらしい理由ではない。
氷室伊織という少女が持つ謎に近付くには、まだ情報が少なすぎる。
屋敷を案内してもらいながら、コナンはそれとなく伊織自身について探りを入れる腹積もりであった。
「おい、ずりーぞコナン!ひとりだけ抜け駆けなんてさ!」
「歩美たちも行く!お屋敷探検!」
「そうですっ!
僕ら少年探偵団はいついかなる時も一緒に行動しなくては!」
先ほどまで先週の仮面ヤイバーの話題で盛り上がっていた
はずなのに、どうやら元太たちの耳は楽しそうな話題には特別敏感であるらしい。
口々にわめきたてる三人を、コナンはまぁまぁと制した。
「誰も抜け駆けなんかするつもりねぇよ。
というわけで伊織お姉さん、ぼくたち五人、案内してくれる?」
「うん、もちろんよ。
人はたくさんいたほうが楽しいわ」
伊織の声は明るく弾んでいた。
「……ちょっと、五人って私も含まれるわけ?」
哀が不機嫌そうに睨んでくる。
長旅で疲れているから早く部屋で休みたいという
意思表示なのだろうが、コナンがそれを了承してもあとの三人は納得しないだろう。
48 :
エーネウス:2009/05/25(月) 00:28:54.81 O
「つれないこと言うなよ、灰原。
今まで散々美味いもん食って来たんだし、多少動かないと太るぜ?」
「あなたね―――」
「そうだよ哀ちゃんっ!一緒に行こうよ、絶対楽しいよ!」
反論しかけた哀の腕を歩美がきゅっと掴んだ。
こうなってしまうと哀はもうお手上げである。
本人はあまり認めたがらないが、哀は歩美にめっぽう弱い。
実際は自分よりずっと年下の子供だから、というのももちろんあるけれど、歩美は
哀が人から満足に与えられなかったものをダイレクトにぶつけてくる相手なのだ。
それは例えば、呆れるぐらいに純粋な信頼だとか友情だとか。
歩美からすれば『友達だから』という理由で無条件に与える
ことが出来るものが、哀にはまるで理解し難い困惑の種となってしまう。
赤の他人から当たり前のように好意を寄せられるなんて経験は、これまでの哀の人生にはなかったことだから。
けれどその暖かさに一度触れたなら、きっと。
「仕方ないわね、もう」
「やったぁ!哀ちゃん大好き!」
その困惑すらも、心地よく思えるようになるのだろう。
昔よりずっと柔らかくなってきた哀の表情を見て、コナンはそんなことを考えた。
と、次の瞬間、背後で入口のドアが閉まる派手な音がした。
コナンはもちろん、その場にいた全員がそちらを振り返る。
ドアの前にはひどく焦った様子の理緒がいた。
そういえばシャーベットの給仕の際、彼女は食堂にいなかった。
どこに行っていたのか、それ以前に、まるで彼女らしくないこの焦りようはいったい―――。
「理緒」
風間が柳眉を顰めた。
「お客様がいらっしゃるのよ。
何があったかは知らないけれど、もう少し配慮なさい」
咎めるような風間の口調に、理緒はまず己の失態を素直に詫びた。
「申し訳ございません。皆様どうぞ、お食事を続けてください」
いっそこちらが申し訳なくなるぐらい深々と頭を下げた
彼女は、何事もなかったかのように風間の方へ歩み寄っていく。
そしてさり気なく、何事かを彼女に耳打ちした。
「……本当なの、それは」
「えぇ……。恐らく、間違いないかと」
耳をそばだてたコナンに、そんな声が聞こえてくる。
ややあってから、風間は理緒と連れ立って食堂を出て行った。
「(何があったんだ?
理緒さんがあんなに焦るなんて)」
さまざまなケースが頭の中に浮かぶが、どれも今一つぴんと来ない。
49 :
エーネウス:2009/05/25(月) 00:32:30.24 O
しかしコナンの疑問はその数分後、あっけなく解決されることとなった。
全員がシャーベットを食べ終えたころになって、風間と理緒が戻ってきたのだ。
「よろしいですか、武夫様」
「うん?どうした風間、何かあったかい」
のんびりとコーヒーを啜っていた武夫に、風間は武夫がコーヒーを飲み下すのを待ってから、あくまで冷静に切り出した。
「……修治様が、お戻りになりました」
「なっ!?」
風間の判断は適切だった。
恐らくコーヒーを啜っている最中ならば間違いなくむせ返った
であろう、それほどまでに武夫の狼狽ぶりは凄まじかったのだ。
政隆や海斗や伊織、使用人たちもこれにはさすがにうろたえている。
氷室修治―――十四年前に家を出たきり一度も帰っていないという氷室家の長兄。
武夫が何度帰ってくるよう説得してもまるで聞き入れなかった
という彼が、何の連絡もなしにいきなり戻ってきたという。
武夫たちが混乱するのも至極当然のことと言えた。
「間違いないのか、風間」
「はい。この目で確かに確認して参りました。
あれは修治様に間違いございません」
「じゃあ、本当に修治兄さまが帰ってらしたのね!」
きっぱりとした風間の言葉に応えたのは、武夫ではなく伊織だった。
花の綻ぶような笑顔が、それを見ている者にまで彼女の嬉しさを伝播させる。
「私、修治兄さまのことはお写真でしか見たことがないんです。
海斗兄さまもあまり修治兄さまのことは覚えていらっしゃらないし」
「俺が一歳になるかならないかで出ていったからな」
「どんなお方なのかしら。楽しみね、海斗兄さま!」
「……うん。俺も会ってみたい。修治兄さんに」
まだ見ぬ兄への期待を胸いっぱいに膨らませている二人の横で、政隆だけが
表情を強張らせていた。
可愛い弟と妹が喜んでいるさまを見てもいない。
いや、意図的に目を逸らしている。
もっとよく観察してみると、コーヒーカップを握るその指先が微かに震えていることにコナンは気付いた。
「(十四年ぶりに兄が帰ってきて感動してるようには、見えねーな)」
50 :
エーネウス:2009/05/25(月) 00:38:55.43 O
しかしそんな政隆には誰も気付かない。
風間も野添も常に引き締めている顔が緩んでいるのを
隠しきれていないし、修治と面識のない理緒や美鈴も主たちの喜びようを見て嬉しくなっているらしい。
二人顔を見合わせて、微笑みあっている。
完全なる部外者である小五郎たちまで、突然の展開に驚いていたのが、すっかり場の雰囲気に押されて「よかったねお父さん」「うんうん」などと和んでしまっている。
「あの放蕩息子め、何しに帰って来たのやら」
言葉とは裏腹に武夫の顔は穏やかだった。
息子の身を案じ、その帰りを待ち続けていた一人の父親がそこにいた。
「いかがいたしますか、武夫様」
「もちろん、すぐ中に―――」
「悪い親父、勝手に上がり込んでるよ」
武夫の声を遮ったのは、まったく知らない声だった。
再び食堂の入口を振り返ると、声と同様まったく知らない男性が立っている。
Tシャツにジーンズという場違いなほどラフな格好、顎の下にうっすらと無精髭まで生やしているのに、その
雰囲気は豪奢な屋敷の背景に驚くほどすんなりと馴染んでいた。
あるいは当然かもしれない。
こちらに向かって笑っている彼は懐っこい大型犬のようで、それはまさしく父親の―――氷室武夫の面影を
色濃く映している笑顔だった。
だからどんな格好をしていようが、この屋敷が彼を拒むはずもない。
氷室家の長男にして、その正当なる後継者。
氷室修治を、受け入れぬはずがない。
「久しぶり、親父。
ただいまのがいいのかな。あぁ、でもはじめましてが何人か」
みなの驚きを気にもせず、マイペースに修治は食堂に足を踏み入れる。
その後ろに、奇妙な三人組を引き連れて。
51 :
エーネウス:2009/05/25(月) 00:40:55.02 O
小出し投下終了。
ようやくスレタイの二人の名探偵が相まみえることとなりました。
書いてて興奮する。マジで。
あと氷室四兄妹も今回で出揃いました。
最初はもっとはっきりした個性があったのに、なんだか似てるような似てないような微妙な長男次男三男が出来上がってしまった。予想外。
あとひとつ訂正。
昔の話で恐縮なんだけど、一スレめで修治が家を出た時期について「妹が生まれてすぐ」と言ってますが「妹が生まれる前に」と訂正お願いします。
頭では後者を打ったつもりが、読み返したら前者になってて凄まじい矛盾になってます。ごめん。
52 :
ゆのっち:2009/05/25(月) 05:27:19.93 0
乙!!!!!!
53 :
小清水亜美:2009/05/25(月) 09:29:59.85 O
乙です!
やっとあいまみえるんですね!
54 :
ゆのっち:2009/05/25(月) 23:28:34.18 0
保守
55 :
南条操:2009/05/27(水) 00:35:49.68 0
次はいつ投下になるかな。
56 :
変態紳士:2009/05/27(水) 19:14:02.31 0
応援保守
57 :
へけけ:2009/05/27(水) 20:51:49.67 O
保守ばかりもあれだ
何か雑談しないか
58 :
変態紳士:2009/05/27(水) 21:01:11.84 0
だから誰かまとめサイト作ってけろ
59 :
カブトムシ:2009/05/28(木) 01:24:29.78 0
60 :
たまご:2009/05/28(木) 09:42:18.35 O
うまいなwww乙。
なんだかヒグチの弟に見える。
青山ネウロっていうか基本青山絵は真似するのが難しそうだ。
61 :
まなび:2009/05/28(木) 15:59:42.46 O
>>59 確かにヒグチの弟に見えるw
ところで今更だけど、設定9割アニメってことは、サイは弥子の兄妹(姉妹)?
62 :
同意:2009/05/29(金) 13:58:48.75 0
>>61 そういやアニメ版はそんな設定だったっけ… >サイの身元
その辺りは書き手さんの判断かもなぁ
63 :
二階堂光:2009/05/29(金) 14:23:45.20 0
>>59うめぇwつぎはぜひ青山風ネウロを
まとめサイト作りたいんだけどwiki編集とかぜんっぜんわからないんだよな…
詳しい人がいてくれるとありがたいんだけど
気になったんだけど、探し屋氏はトリップつけないん?
64 :
二階堂光:2009/05/29(金) 14:26:01.10 0
すまん、うまく描けないって言ってたな
>>59 黒の組織のやつらみたいな目つき悪い感じでも合いそうな気がしないでもない
でも活躍するのは助手顔の方だろうからなあ
65 :
木崎です!:2009/05/29(金) 19:46:45.07 O
「修治……!修治!」
十四年ぶりに見る息子の姿に感極まった武夫は、弾かれたように椅子から立ち上がり、修治のもとへ一直線に駆けていく。
自分よりもずっと背の高い修治を、それでもまるごと包みこむようにひしと抱き締めた。
「修治―――あぁ、夢じゃないだろうな!
よく戻ってきてくれた……!」
「大袈裟だよ、親父。
蒸発してたわけじゃないんだから」
「同じようなものだろう!
去年からいきなり電話は繋がらなくなるし」
「電話……?あぁ、家の電話。
そうだ、いつだったかコーヒー思い切り引っかけて壊したんだった。
携帯に連絡してくれれば出たのに」
「お前の携帯番号なんか教えてもらってないぞ。そもそもお前が携帯を持ったことすら初耳だ」
「そうだっけ……?」
「だから手紙を送ったじゃないか」
「手紙?」
「半年ごとに必ず。白い封筒に、金のシールで封をして」
「あぁ、あれか」
「なのにお前は返事も書かないで」
「知らない間に机の中に未開封の手紙の束が溜まっていくから、片付けの度に何かと思ってたんだ。
受け取ってはいたけど読むのを忘れてたんだよなぁ……。
結構な量になったからコーヒーでも飲みながら中身を読もうとしたら、コーヒー豆がないのに気付いて
買いに行って、買いに行ったら財布を忘れたからそれを取りに帰って、豆を買って帰ってきたら」
「……もういい。そうだね、昔からお前はそういう奴だった」
武夫は観念したように息をついた。
修治は父の言葉の意味が本気でわかっていないらしく、ただ首を傾げている。
「(……まっ、大まかな人柄はわかったな)」
とりあえず悪い人間ではなさそうだ。
修治についての疑問はたくさんあるし、前述の武夫の再婚に反対しなかった理由や、なぜいきなり
帰ってきたかについてはコナンとしてもすっきりさせておきたいことのひとつだ。
66 :
木崎です!:2009/05/29(金) 19:49:20.66 O
しかしそれはひとまず脇に置いておく。
何しろ今のコナンの興味は、“彼女”を視界にとらえた時点で修治からは大きく逸れてしまっていた。
修治の後ろに立つ奇妙な三人組―――その中央に立つ少女。
ショートカットに赤いヘアピン、フェミニンなシフォンのワンピースを纏った身体は
彼女が常軌を逸した大食いであることなどかけらも思わせないほどにほっそりとしていた。
困り顔でテレビのインタビューを受けている姿から、また一段と弱々しくて頼りなくて―――そしてどこまでも普通に見える少女。
彼女こそが、この数日コナンの頭の一部をこっそりと占拠している侵略者に他ならない。
「コナン君、あの人もしかして」
蘭も彼女の存在に気付いたようだ。
小五郎に聞こえないよう声をひそめて話しかけてくる彼女に、コナンはゆっくり頷いてみせた。
連日テレビやら新聞やら雑誌やらで見る顔なのだから、見紛うはずもないのだ。
探偵界に突如として現れた新星にして、二代目(譲ったつもりはないけれど)東の高校生探偵。
「桂木弥子……」
修治より何より、彼女がここにいることのほうがコナンには大きな疑問だった。
なぜ、何の目的で?
コナンは注意深く、彼女の周囲に観察の目を向けた。
まずは彼女の左隣に立っている今にも荷物に押しつぶされそうな男。
背中にはキャンプにでも使うような大きなリュックサック、両手にははちきれんばかりに中身がつまったボストンバックが二つずつ提げられている。
ボストンバックの中身が人生ゲームやらトランプやら
弥子のおやつやら、実にちゃちな物であることをコナンはまだ知らない。
「(何かのトレーニングには見えねぇな)」
それ以上の感想は特に抱かなかった。
彼が下を向いてぜぇぜぇ喘いでいたから、顔がよく見えなかったのもある。
だがそれ以前に、得体の知れない大きな力が、コナンの視線を早く弥子の右隣へと引き寄せようとしていたのだ。
―――野良犬はどうでもいい。
貴様が見るのは、こちらだ。
そんなことを、知らない誰かに急かされた気がした。
何故か逆らえないその声のままに、コナンの視線は緩やかに弥子の右隣へ動いて、
―――そして時は、冒頭へと帰着する。
かくて、二人の名探偵はここ氷室邸に運命的な邂逅を果たしたわけである。
大いなる好奇心と疑念をその胸に抱いて。
67 :
木崎です!:2009/05/29(金) 19:53:42.74 O
「……何しに来た」
コナンを現実に引き戻したのは、後方から聞こえた低い声だった。
「政隆兄さま?」
海斗の手をしっかり握って、修治にどう挨拶しようかと額を
寄せあい相談していた伊織が、不思議そうに次兄のほうを振り返る。
いつもとは明らかに様子の違う彼に、もう一度彼女は兄の名を呼ぼうとする。
「政隆兄さ―――」
「何しに来た、兄貴!」
瞬間、突き刺すような怒声が食堂中に響き渡った。
びくりと身体を震わせた伊織は、反射的に空いた右手で海斗の服の裾にすがりついた。
立ち上がった政隆は真正面から修治をねめつける。
もはや隠しようもない憤怒を全身に張り巡らせた政隆に、先刻
までの穏やかな雰囲気はすっかり消え失せていた。
コナンたちはもちろんのこと、伊織や理緒、美鈴までもが信じられないような顔で政隆を注視した。
「政隆様、どうか落ち着いて」
「落ち着いてなどいられるか!
理緒、きみだって知っているはずだ、この男が氷室を捨てたことを!」
「……久しぶり、政隆。ずいぶん立派になったじゃないか」
「黙れ!馴々しく呼ぶな!」
和やかだった食堂には今や剣呑な雰囲気が立ち込めはじめていた。
理緒や美鈴はおろおろとなるばかりだし、本来ならば真っ先に止めに入る立場であるはずの風間や野添、そして武夫はどこか
沈痛な面持ちで政隆を眺めているのみだ。
仕方がない。まるでそう言いたげな哀れみの目線だった。
しかしそれにも気付かない政隆は、ぼんやりとした微笑を浮かべたきりの
修治に敵意の限りをぶつけにかかる。
「十四年、十四年だ!
この家を捨てたも同然の出て行き方をしたあんたが、今更何しに帰ってきたっていうんだ!?
あんたの場所なんかとっくにここにはない!出て行け!」
修治は笑っていた。
振り下ろされるナイフのような政隆の罵詈雑言を、ただただ笑って聞いている。
68 :
木崎です!:2009/05/29(金) 19:55:15.33 O
「(……違う。あれは、笑ってるんじゃなくて)」
もっと本能的で、悲しい何か。
「(……病んでる)」
悪い人間ではない。
けれど、彼はどこかがどうしようもなく壊れてしまっている。
欠損。欠落。致命傷。
そんな言葉をいくつあてがっても足りないくらいに―――。
コナンの観察眼は、弥子と同様、修治の抱えた闇を見抜きはじめていたのだった。
「……だいたいはお前の言う通りだよ、政隆。
俺の場所がこの家にはとうにないことだってわかってる。
でも、『出て行け』は少しだけ待ってくれないか」
「なんだと……!」
肩をいからせた政隆を横目に、修治は後ろですっかり所在なさげにしていた弥子を手招きした。
ためらいながらもおずおずと一歩前に進み出た弥子に、一同の視線が集中する。
小五郎などはやっと弥子の存在に気付いたのか、かなり派手に驚いている。
「誰だい、彼女は」
武夫が問うた。
「探偵さんだよ。有名なね」
「なに、探偵」
「そうです!
名探偵、桂木弥子大先生!ご存じありませんか?」
訝しげな顔の武夫に、場違いなまでに明るい声が返事をした。
修治ではない。
かといって弥子でもない。
声の主はいつの間にか弥子の背後に立った、長身の男であった。
しばらくコナンの目を釘付けにした、あの奇怪な男である。
思い返してみると、時たまテレビで弥子と映っている顔だということに思い至った。
おそらく彼女の助手か何かなのだろうが、奇妙な風貌にふさわしくひどく風変わりな名前だった気がする。
残念ながら今は思い出せなかった。
「桂木弥子……まさか、あの桂木弥子さんですか!」
「はい。食い意地と図々しさにかけては右に出る者のいない、あの桂木弥子大先生ですよ」
「いやそんなことまで言ってないから!」
さらりと辛辣なことを述べる助手の男に、間髪入れずに弥子のツッコミが入る。
「で、その桂木探偵が何のご用です?」
「もちろん調査ですよ。そちらの……氷室修治さんに依頼されまして」
「修治が?お前、いったい何を」
ここ最近は家との繋がりをほぼ断っていた修治が、伊織の暴走のことを知っているはずもない。
修治は笑顔のまま―――本日最大の爆弾を投下した。
「十四年前の事故、いや……事件をもう一度調査してもらうんだよ」
場の空気が、凍り付いた。
69 :
だな:2009/05/29(金) 19:56:14.66 0
>>59で絵を投下した者です。コメントありがとう
ヒグチ弟w言われてみれば見えるかも。ちなみに瞳の描き方は弥子のを参考にしました
という訳で、今度はネウロすっ飛ばして青山先生風弥子を
http://imepita.jp/20090529/715050 クセ毛設定なので髪を気持ちうねらせ気味にしてみました。持ってるのは茶碗(丼?)と箸だと思ってやってください
ネウロもいつか描きたいなあ…
70 :
木崎です!:2009/05/29(金) 19:56:19.59 O
投下終了。
松井風コナンにニヤニヤした。
なんというヒグチ弟www
【サイと弥子の関係について】
とりあえず俺の中ではサイと弥子は兄妹関係じゃないです。
サイとネウロが鉄塔の上で戦った時、サイの回想に一瞬だけシックスらしき人物が出たこと、
またセレンと恋仲であったという建築家が本当に弥子の父であったのかという明確な答えが本編中で出されていない、というのが主な理由です。
それこそシックスが適当に日本人建築家の変装してた可能性もあるわけだし。
【トリップ
>>63に】
探し屋S◆hL8yvMjNJsが正式な名前。
なんか板の改正(?)に伴いトリップ出なくなった。
地味に不便だ。
【このあとの展開】
ネウロメンバーはまだ出揃っていません。
まぁだいたいわかるだろうが、あの人とあの人です。
71 :
だな:2009/05/29(金) 19:59:51.70 0
69ですが
うわ、探し屋さんと被っちまった!すみません
72 :
木崎です!:2009/05/29(金) 20:03:46.24 O
気にするな
ただし青山風弥子はもらっていくぞ
by探し屋S
73 :
ヲコスジ:2009/05/30(土) 12:50:45.66 0
保守
74 :
フェイト・T・ハラオウン:2009/05/30(土) 18:56:42.32 O
age
75 :
評価豚:2009/06/01(月) 02:04:59.39 0
笹塚と石垣?>ネウロ未登場キャラ
じゃあ目暮警部とかは出てこないのかな
76 :
評価豚:2009/06/01(月) 02:05:54.18 0
おっと忘れてた
乙!超町長乙華麗!!
保守
78 :
C.C.のケツ:2009/06/02(火) 21:54:34.49 0
今しがた全部読み終わったが、
とりあえず探し屋氏が美少女大好きなのは分かった
メイド服と伊織の描写に力入れすぎwwww
79 :
伊藤さん:2009/06/03(水) 11:38:59.91 0
続きが気になり過ぎるww
80 :
最後の戦い:2009/06/04(木) 21:29:00.79 O
続き…どうなるのか予想がつくような、つかないような。
81 :
ほっちゃん:2009/06/05(金) 05:31:02.37 0
保守
82 :
京アニ厨:2009/06/06(土) 03:22:51.29 0
もう保守は止めて
どっかに引越しませんか
83 :
ペリ犬:2009/06/06(土) 07:19:29.45 0
探し屋S
さんが
>次落ちたらマロンに立てるわ。
って言ってるんだし、まあいいじゃん。
84 :
ワースレ民:2009/06/06(土) 10:43:44.88 O
思ったんだが、特に不都合なければ漫画板にある2次SSスレに引っ越すのはどうだろう?
85 :
ピザ島精二:2009/06/07(日) 23:29:20.00 0
まあとりあえず保守
コナンのテーマ曲集3を買ってきた。
ジャケットのコナンがちょうど誰かを見てるようなアングルだったから隣にネウロ並べて(脳内)ニヤニヤしていた。
我に帰ったら俺まじきめぇwwww
あー
ホントにWikiでもブログでもいいからまとめサイトつくろうかな。
・・・と思い立つんだが、毎回めんどくさくなっちゃうんだよな結局。
88 :
犬神つるぎ:2009/06/09(火) 16:57:31.42 0
まとめほしいよね
過去スレ漁って前の投下分を読むのは結構面倒だしな
確かにまとめは欲しい
90 :
南条操:2009/06/10(水) 23:46:53.01 0
保守っちゃうんだぜ
91 :
天領イッキ&メタビー:2009/06/12(金) 00:21:07.37 0
保守
ほ
しゆう
93 :
ズーラ:2009/06/15(月) 22:37:45.44 O
ほしゅ
コナンと石垣の組み合わせが見たい。
いいようにコナンに利用される石垣www
95 :
風子☆参上>ヮ<:2009/06/16(火) 23:56:12.10 O
【探偵行進曲】
美鈴の案内で、ネウロ達は静まり返った屋敷の廊下を進んでいた。
「あの、修治様……。
大丈夫ですか?」
先頭を歩く美鈴が心配そうに修治を振り返る。
うん、と頷いた修治は髪から額からぽたぽたと水滴を滴らせていた。
着ていた白いTシャツには真ん中あたりから見事な薄茶色の染みが出来ていて、そこから仄かに
甘酸っぱい、林檎のいい匂いがする。
「ぬるくなってたからね、火傷なんかはしてないよ。
昔みたいに出合い頭に殴りかかられなかっただけまだマシ」
「そんな、政隆様が人を殴るなんて……。
あんな風に声を荒げて怒ったことだってなかったのに」
信じられない、と言うように美鈴は頭を二度三度横に振った。
修治の投げ込んだ爆弾は想像以上の破壊力を発揮した。
液体窒素もかくやのスピードで凍り付いた空気の中、一同の反応は様々だった。
武夫は額に手を当て、小さく呻いたきり顔を上げなくなった。
風間は修治の言葉を聞いた途端に顔から血の気が引いて、もともと良いとは言えない顔色が更に蒼白になってしまった。
ともすればその場で卒倒しそうな風間を支えていた野添も、
あからさまな動揺を孕んだ目で修治を見ていた。
事情を知らない小五郎たちや海斗、それに伊織は異様な雰囲気にただただ混乱し、理緒と美鈴は
すっかり途方に暮れた様子ではらはらと成り行きを見守っているのみだ。
そしてやはり、もっとも感情を顕著に表したのは政隆だった。
「ふざけるな、この疫病神……!」
手元にあったティーカップを引っ掴んで、ずかずかと戸口に―――正確には修治に向かって行く。
彼が何をするつもりか一拍遅れて気付いた武夫が「よせ、政隆!」と叫んだが、遅かった。
ためらいも躊躇もなく、政隆はカップの中のアップルティーを思い切り修治にぶちまけた。
修治は避けなかった。避けようともしなかった。
けほ、と小さく咳き込んだ彼は怒りも悲しみもしなかった。
ずぶ濡れのまま、なおも笑うだけ。
その残酷なまでの無気力さが、更に政隆を煽る。
「―――っ、このっ!」
ついに拳を振り上げた政隆を、武夫と野添が慌てて制する。
二人の制止を振り切ろうと必死にもがく政隆と、その場から動かず空虚に笑う修治。
さながら、人形とそれを相手に癇癪を起こして暴れる子供のようだった。
どこまでも無意味で、そして同じくらい救いようがない。
「(船で弟さんの話は聞いてたけど、あそこまで恨んでるなんて……)」
美鈴に客室への案内を言いつけることで風間が弥子たちを
体よく逃がしてくれたが、刺すような政隆の視線が終始背中をちりちりと灼いていた。
とにもかくにも十四年前の事件について、氷室家の面々に浅からぬ事情があることには間違いないらしい。
「では、桂木様のお部屋はこちらになります」
どさどさっ。
美鈴の言葉に被さって、重い物が落ちる音がした。
吾代が左手に提げていた、弥子のおやつがたんまり詰まったボストンバッグ二つである。
「あーっと……。ご、吾代さん!ありがとね!荷物運んでもらっちゃって」
事務所で好き勝手にお菓子を詰めたのは弥子だが、運搬は全て吾代に任せてしまっていた。
だからその重量を弥子が知る由はなかったのだが、今の落下音からするに相当重かったらしい。
「……覚えてろ、テメェ」
恨み辛みをたっぷり染み込ませ呟く吾代に、弥子は引きつった笑みで応じるしかないのであった。
「助手の方のお部屋はお二階にございますので、ご案内しますね」
「あぁ、ちょっといいかな。俺の部屋は……」
「まぁ、修治様には修治様のお部屋がちゃんとあるじゃないですか。
お忘れになってしまいましたか?」
「えっ?ひょっとして、俺の部屋はそのままになってるの」
美鈴は微笑んでうなずく。
「武夫様はいつ修治様がお帰りになってもいいようにと、修治様のお部屋も
他のお部屋と同じようにきれいに掃除しておくように私たちに言いつけておりましたから。
昔のまま、快適にお過ごしいただけると思います」
「……そっか。ありがとう、じゃあ久しぶりに自分の部屋でゆっくりさせてもらうよ。
ええと……」
「和辻美鈴です。どうぞ美鈴、とお呼びくださ―――」
美鈴の言葉が途中で途切れた。
やわらかな笑顔がたちどころに凍り付く。
「おい……姉ちゃんよぉ……」
美鈴の細腕をがっちり掴み、小柄な彼女を射すくめるように凝視する百九十センチ強の男。
「二階まで行くってんなら……このクソ重てぇボストンバッグ、一つぐらい持っちゃくれねぇかァ……?」
97 :
最萌豚:2009/06/17(水) 00:00:25.17 O
夜な夜な皿を数える女幽霊さながらの形相で美鈴に詰め寄る
吾代という図式は端から見ればかなり危ない光景である。
もとより気の弱い美鈴は、屋敷にはいないタイプの『怖い男性』にすっかりすくみ上がってしまった。
「あ、あ、あの……私……」
「あァ!?持つのか持たねーのか、どっちだ!」
「きゃっ―――」
「ちょっ、吾代さん!」
慌てて弥子が両者の間に割って入る。
結局修治から自分がひとつ持つとの申し出
があるまで、吾代は猛り、美鈴は怯え、弥子は慌てふためき、ネウロはにこにこ笑って高見の見物を決め込んでいたのだった。
98 :
最萌豚:2009/06/17(水) 00:02:26.35 O
「すっげーよな!まさか本物の桂木弥子が来るなんて!」
「あとでサインもらいに行きましょうよ!」
「写真も!」
伊織を案内役に据えた屋敷探検の最中、元太や光彦や歩美はもっぱら弥子の話題で盛り上がっていた。
「そんなに有名な方なのね?
その桂木さんって」
「うん!伊織お姉さんは知らないの?」
「私、お屋敷の外のことはよくわからなくて……」
「じゃあ仮面ヤイバーも知らねぇの、姉ちゃん」
「魔女っ娘ニノたんは?あっ、魔王リリーナ覇道編とかならどうですか?」
「仮面やいばー…?
にのたん……?」
聞き慣れない単語の数々に伊織は目を白黒させた。
「ねぇねぇ、伊織お姉さん!
それより僕、伊織お姉さんのお気に入りの場所に行ってみたいなぁ」
答えに困っている伊織を見かねて、コナンが助け船を出す。
このままだと元太たちは伊織の知っている言葉にヒットするまで延々と続けるだろう。
「お気に入りの場所?いいわよ、とっておきの場所に案内するわ」
弾んだ声で返す伊織の表情は、それでも少しだけ物憂げだ。
理由はもちろんわかっている。
「……だいじょうぶ?伊織お姉さん、なんだか悲しそうだよ?」
けれどあえて、コナンは無邪気な子供のふりをして問うてみた。
彼女の口から彼女の言葉で、彼女の気持ちを聞きたい。
それが氷室伊織を知る第一歩だ。
「……さっきの政隆兄さま。
あんな兄さま、はじめて見たの。
いつも優しい兄さまが……私の知らないひとになってしまったみたいで……」
政隆が修治に向けていた、燃えるような敵意と憎悪のまなざし。
それを間近で見ていた伊織は、ひどく怯えきった様子でずっと海斗に縋りついていた。
「修治兄さまが帰ってきてくれたのは嬉しいの。
でも、政隆兄さまがあんな風になってしまったら……私……」
混じり気のない愛情と善意の中で過ごし、世の汚いものから一切
隔離されて生きてきた彼女に、心優しい兄が怒り狂う姿は恐怖以外の何者でもなかっただろう。
あるいは兄が、何か得体の知れない怪物に心ごと取って
代わられてしまったのではないかと考えたかもしれない。
けれど。
皮肉なことにその“得体の知れない怪物”が、他でもない伊織自身の中にも眠っていることを彼女は知らないのだ。
99 :
最萌豚:2009/06/17(水) 00:05:14.10 O
伊織のとっておきの場所―――そこは広い中庭の一角にあるバラ園だった。
真夏の太陽を受けて青々と茂った緑の垣根には、赤やピンクのバラが悠然と咲き誇っていた。
特に赤いバラは色の濃淡や形に至るまでさまざまな種類が取り揃えられており、歩美などは目を輝かせて見入っている。
純白のアーチをくぐってかぐわしい香りの中を進むと、いよいよ気分はおとぎ話の登場人物だった。
バラ園の手入れは屋敷の中同様すみずみまで行き届いている
ようだが、これだけのバラの面倒を見るには相当な労力が必要だろう。
庭師の苦労と丹精が察せられた。
「すげぇな、こりゃ」
思わずコナンが口にすると、
「あなたにも花に感じ入るぐらいの風流心があったとはね」
すかさず横から、お馴染みの憎まれ口が飛んできた。
「でも気をつけなさい。
その美しさにばかり目を奪われてうかつに手を伸ばそうものなら、鋭い棘で痛い目にあうわよ」
「バーロー、わかってるっての。
おめーで十分学習済みだ」
「あら。それは私がバラ並みに美しいって意味の褒め言葉かしら」
「あぁ、実年齢八十代にしちゃ大変お綺麗ですよってな」
哀はそのジョークが気に入らなかったのか、ぷいと顔を背けて
歩美の隣まで小走りで行ってしまった。
ここ最近の哀からの仕打ちに対してささやかな復讐を
果たしたコナンは、してやったりと心中でガッツポーズを作るのだった。
「(……“美しいものには棘がある”か)」
なら、彼はどうなのだろう。
コナンの頭の片隅にちゃっかりと陣取って、静かだが確かな存在感を放ち続ける彼。
美しいかと問われれば、彼は間違いなく美しいと思う。
金の髪と緑の目、怖いぐらいに整った顔立ち。
彼にもバラと同じく、触れようとした者を刺す棘があるのだろうか。
あるいは、棘よりもっと恐ろしいものを持っているかもしれない。
触れたものを刺すどころか一息のうちにかぶりつかれ、咀嚼され、飲み込まれてしまうような―――。
あの探るようなまなざしは、今思い返せば皿の上の食材をじっくり眺める捕食者のそれにも似ていた気がする。
どうにもあの彼のことは、しばらく頭から離れそうになかった。
100 :
最萌豚:2009/06/17(水) 00:06:56.11 O
バラ園の最奥はぽっかりと開けたスペースになっていた。
白い丸テーブルと椅子が何脚か、近くにはティーポットや食器類が載った銀色のワゴン。
そしてその横に、バスケットを携えて微笑む理緒がいた。
「お疲れ様でした、みなさん」
「理緒!どうして?」
「伊織お嬢様なら必ずみなさんをここへご案内すると思いまして、待っていたんです。
さぁ、お座りになってくださいな。そちらのかわいいお客様がたも」
さすが長年伊織の世話をして来ただけあって、彼女の思考はお見通しらしい。
めいめいが好きな席に腰を下ろすのを見届けてから、理緒は
手近なテーブルにバスケットを置き中身を取り出しはじめた。
まず出て来たのは大きな瓶。
中にはたっぷりとジャムが詰まっているが、普通の苺ジャムよりもかなり昏い赤色をしている。
それから袋に詰まった焼き菓子を取り出し、ワゴンの上の皿に手早く並べていく。
ポットから紅茶を注ぎ砂糖を添えれば、あっという間にお茶会のメニューは出揃った。
「どうぞ召し上がってください、手作りのバラジャムとスコーンです」
「バラのジャム!なんだか高級感漂いますね!」
「おい光彦、ストーンって確か堅いんじゃねぇのか?」
「スコーン」
石を食べるつもりになっている元太に、哀が訂正を入れた。
「イギリスの焼き菓子よ。
ジャムやバターなんかをつけて食べるのが一般的ね」
「なんだ、じゃあ食えるんだな!
なら遠慮なく、いっただきまぁーす!」
がば、と元太がジャムの瓶に飛び付く。
「えへ、なんだかイギリスのお姫様や王子様になったみたいだね、コナン君」
「はは、どっちかっていうと俺はシャーロック・ホームズ気分だよ」
メイドにバラ園にスコーンに紅茶、あとはその辺にバイオリンでもあったら完璧だ。
「ありがとう、理緒!スコーンも紅茶もとってもおいしい」
理緒は眩しいものを見るかのように目を細めて笑う。
「いいえ。喜んでいただけて光栄です」
101 :
最萌豚:2009/06/17(水) 00:08:55.54 O
先代慶一郎が屋敷を建てた当初からあるこのバラ園、伊織によればすべて理緒が手入れをしているそうだ。
「専属の庭師はちゃんといるのですが、このバラ園だけ特別に私が管理させていただいているのです」
なんでも彼女が氷室家のメイドとなってから屋敷を案内された際に、このバラ園を紹介されて一目で惚れ込んでしまったそうなのだ。
もともとガーデニングの知識には明るかった彼女、どうしてもバラ園の手入れをさせてほしいと駄目元で武夫に頼み込んだところ、彼はあっさりと承諾してくれたらしい。
むろんしばらくは専属の庭師に師事するかたちだったが、一年もしないうちに理緒はひとりでバラりでバラ園を任せられるまでになった。
けして狭い場所ではない。
女性ひとりの力で管理するには相当な手間を要することは容易に
想像がつくが、バラ園のことを語る理緒の顔は生き生きしている。
一目惚れの力は手間暇すらも凌駕するようだ。
だからこそ、バラたちもこのように美しく花開くことができるのだろう。
「おー、理緒ちゃん!
こんなところで奇遇だねぇ」
喉にかかっただみ声が聞こえたのは、コナンがスコーンを半分も食べ終えたころだった。
102 :
最萌豚:2009/06/17(水) 00:10:50.07 O
この先ちょっと忙しくなるかもなので中途半端ながらも投下しとく。
コナンはネウロが気になるようです。
さてネウロは…?
あといつも保守ありがとうです。
書き込むのは送れたけどリアルタイムで見ました
いつも乙です
チンピラな容姿の吾代を見てコナン側の皆さん達がどんな反応するかが地味に楽しみw
乙!!!
105 :
安藤和樹:2009/06/19(金) 01:44:26.52 0
ほ
し
107 :
ゆのっち:2009/06/20(土) 18:38:16.02 0
ゆ
よしお前ら
今後の展開予想すんぞ
→誰か死ぬ
109 :
ゆのっち:2009/06/20(土) 19:45:42.88 0
>>108 とりあえず
全身黒タイツの人間が出てきて
豹変して
誰かを殺す。
>>109 豹変して全身白タイツになるんですねわかります
111 :
京アニ厨:2009/06/21(日) 21:09:15.38 O
白タイツwwww
そんな奴に殺されるのはちょっと嫌だなww
112 :
山本:2009/06/23(火) 01:53:46.66 0
ほしゅ
113 :
サスケェ:2009/06/23(火) 23:10:15.02 0
保って守る
みっしょんいんぽっしゅぶる
115 :
百合豚:2009/06/27(土) 02:38:46.14 0
ほ
し
117 :
ゆのっち:2009/06/27(土) 23:21:37.51 O
二次作品のオリキャラっていうのはあまり受け付けない(と言ってもこれはオリジナルのミステリらしいし仕方ないと思ってる)んだけど、みんなはその辺どうなん?
118 :
柏木優奈:2009/06/28(日) 01:04:12.72 0
確かに二次創作でのオリキャラは普通扱いが難しいが、
基本的にコナンもネウロも元々、事件ごとにレギュラー以外のゲストキャラ(一話限定キャラ)が出る話だから、
違和感は全然無いな。書き手さんが上手いという事も大きいけど。
119 :
兄成雑魚:2009/06/29(月) 06:20:40.18 0
死守
☆