1 :
メロン名無しさん:
, ' , ' f | l ', ヽ. ,' __ノヽ、_ノヽ_ノヽ_ノヽ、_ノヽ_ノヽ
. / ./ {. { j , } .! / )
,' ,' i ヽ、,\-┘ '-y、 i |, ' < 奇跡の踊り子ナージャ・アップルフィールドが
! , ! ! ./,, ==ゝ、 _ノ__,ヽノ 丿 i ! ! 在庫の山を掻き分けながら
>>2get!!
t | t ヽ、/ '' 〃_)i. ` ´ rf´)iヾ,ヽ/ 丿ノ 丿「明日のナージャ」は東映アニメの最高傑作!
. \ t. ゝ-v’ { i、リ! |f_j| ,'_ / ´ ∠__ ナージャは日曜8:30枠の真のヒロイン!!
` ‐- !ゝf ‐、 -‐‐' ヽ .ヒタ .fノ ヽ,.-‐- 、,. -‐-、,. -‐- 、,. -‐-、,. -‐- 、,. -‐-
', l } .:::::::::. ,〜-┐ .::::::. }| ヾ、
l ゝ、_` / l ,.' ! }.} 、
ノ _. \ { ,' , イ ヽ ノノ 丿!
t ‐--‐' / `/"ヽ` 、 ヽ - ' _,-'⌒!`` =' '‐-‐' l
` ‐-ッ' ./ { .∧ ` ー ',-' !`i ヽ ノ
か
>>3風怪盗ジャンヌ 原作もDQNならアニメも主演の声優もDQNね!!
夢のクレ
>>4ン王国 12の欠点て、シルバー王女は人格障害じゃないの!?
>>5ジャ魔女どれみ 四年も引っ張っといて結局普通の女の子に逆戻りかよ(ゲラゲラ♪
セーラー
>>6−ン アニメの実写化なんて萌える訳ないでしょ!!
は
>>7より男子 ?美、あんたこの頃から全然演技に進歩が無いわね!!
キューティー
>>8ニー リメイクするたびに糞アニメになっていくわね!!
ふたりはプリ
>>9ア せっかく玩具売れてんだから、まともな脚本書けよスタッフ!!
超GALS!こ
>>10ぶき蘭 よりによっておジャ魔女の裏でやるなんて・・・相手が悪すぎたわね(ププププ
>>11-1000は回線切って早く私の玩具買いに行きなさいよ!!!
スレタテ乙です。
職人様今年もよろしく。
>>1乙です
前スレ容量オーバーか
今年も職人の皆さん、期待してます!
プリッキュア〜!
いや、一応言ってみただけ…
>>1さん乙です!
8 :
初夢1/3:2006/01/01(日) 02:00:52 ID:???0
いちふじにたかさんなすび
ほのかに教えてもらった言葉を胸に、なぎさがベッドへダイビング。
今まで散々はしゃいだ後だから、スグにグー…グー……
グー……
……
…ン、ドコここ?知らないトコだけど…夢?そうだよ、夢だよ!きっとほのかに教えてもらった言葉のお陰だね!
って誰かいる?まさか「いちふじ」って言うくらいだから、藤Pセンパイ!?
なーんて勝手に都合のイイ解釈をして喜んでいると、どこからともなく声が聞こえて来る。
―――続きまして藤…
「ヤッパリ!藤Pセン…」
―――田和之!
コールと共にライトが点いて、首の短い厳つい男がなぎさの前に現れた!
それどころか周りを良く見てみると、自分が居るのは四角いジャングル―――つまりリング。
9 :
初夢2/3:2006/01/01(日) 02:02:00 ID:???0
「ハァッ!?何で!?ゼッタイに寝る前に見たプライドのせいだー!!」
思わず涙を零が出てくるも、容赦なくゴングがカーン!!
「ちょ、ちょっと!何であたしが試合を…!?アリエナーイ!!」
何とかリングから逃げ出して、わき目も振らずに走り続ける。
すると突然足元の景色が変わって―――美墨サン、勝負よ!
今度は誰?と顔を上げるとそこに居たのは―――
「永沢サン!?」
そうつまり、オ「タカ」ク女子……
「何ソレ?苦しすぎ…。もうイヤだ…!」
精神的に打ちのめされて、なぎさがヨロヨロと歩き出す。
すると向うの方にドコかで見たような姿がボンヤリ…
「ホワイトだ!助けてホワイトー!!」
10 :
初夢3/3:2006/01/01(日) 02:03:06 ID:???0
「違います。私はキュア・イーグレット!ホワイトではありません!」
「アハハ…そう。て事はなすびだよね…。全然なすびと関係無いジャン!」
悲しいやら情けないやら…ガックリとなぎさが肩を落とす。
だけど、ふと顔を上げると―――
「…頭か。納得―――って、納得できるか――!!」
「―――てな夢を見ちゃったワケ。新年早々もう散々だよ…」
「ソレは本当に散々だったわね。…じゃあコレでどう?」
―――チュッ
「どう?気分直った?」
「……まだ…カナ」
「もぅ、なぎさったら欲張りなんだから…」
―――チュッ♪
以上でおしまい。
新年早々ダメだコリャ。しかも前のと同じオチだし…
最後に
>>1サン乙
12 :
11:2006/01/01(日) 02:11:58 ID:???0
ついでに前スレに出たフィギュアがドレなのかすごーく
気になっちゃう
あとミナサマ、明けましてオメデトウございます
13 :
【凶】 :2006/01/01(日) 10:06:38 ID:???0
ワロタwww
>1乙です!!
>11
新年早々ありがとう(´д`*)!!
17 :
勝負1/2:2006/01/02(月) 00:21:33 ID:???0
はだけた胸元、そして乱れた裾が、コトの激しさを雄弁に物語っている。
その乱れを慣れた手つきで直しながら、ほのかが少し哀しげに横を見る。
(なぎさがイケナイんだからね…。着付けの最中にあんなコト言うから…)
視線の先には、同じように乱れた衣服で荒い息のなぎさの姿。
最初は単なるお遊びだったのに、段々とお互いに本気になってしまった。
イケナイと分かっていても、どうすることも出来なかった。
本能は理性を超え、剥き出しの感情が二人を突き動かした。
「ほのか…」
「なぎさ、ゴメンね…」
少し瞳を潤ませながら見つめてくるなぎさに、ほのかのココロがチクッと痛む。
でも、不思議と後悔は感じない。
―――だって…
―――だって私は……
―――私はカルタの女王雪城ほのか!
だから例えなぎさ相手でも、カルタ勝負に負けるワケにはいかなかったんだモン!
「ほのか…もう一勝負…ね?」
もう一回…?マッタク、あれだけコテンパンだったのに、なぎさってば懲りないんだから!
フフッ…でもイイよ!返り討ちにしてあげる!
18 :
勝負2/2:2006/01/02(月) 00:22:56 ID:???0
「なぎさ、ゴメンね…」
涙目なあたしに、ほのかが労わる様に声をかけてくれた。
確かにチョット泣いてたけど、でも実はそんなに悔しく無かったんだよ。
変わりにココロにあったのは別の思い。
「ほのか…もう一勝負…ね?」
その思いを満たす為の言葉に、ほのかがお婆ちゃんを呼びに行こうと立ち上がる。
でもね―――
「待ってほのか…」
その必要はないんだよ。読み手はもう要らないの。
だって次はカルタ勝負じゃないから。
カルタなんかはもう何の役にも立た無いから……
振り返るほのかに近づいて、そっと頬に手を当てる。
フフッ、そんな不思議そうな顔しないで…。今度はあたしがほのかをコテンパンにする番。
タップリと泣かせてあげるね。
悲しみじゃなくて、喜びの涙だけど…
「…始めようか、ほのか」
以上でおしまい。
GJ!
うおぉ…!!GJ(´д`;)ハァハァ
うはあああああ(*´∀`)
こいつは正月から縁起が良いや!
ええもん見さしてもらいましたGJ!
お正月ということで、振袖姿のなぎさとほのか。
ほのかの部屋の畳の上で、正座の姿勢でふたり向かい合っています。
「負けたほうが罰ゲーム。一対一の真剣勝負ね」
「罰ゲームって……?」
「それは勝った人が自由に決めるってことで。まああたしが勝ったらほのかのお年玉を……」
「ええーっ、何よそれ〜」
「嫌なら勝てばいいのっ! さっ、始めるよ!」
「小倉百人一首で勝負するの?」
「ううん、坊主めくり」
ちょっと拍子抜けするほのか。
しかしさなえさんも居ない以上本当にふたりだけなのだから仕方無い。
「ついてないなぁ〜。坊主だ……」
「あ、私は姫ね……」
「ええ、またぁ〜、ほのかズル〜い」
「ルールだから仕方ないでしょ」
文句を言いながらも何故か終始余裕の笑みを隠せずにいるなぎさ。
不思議そうに思ったもののほのかは何も言及せずにゲームは続く。
「残り三枚…、あたしが取ったら残り二枚…。男だ〜」
「残り二枚ね……。ええ〜、ここで坊主〜!?」
「やった〜! これであたしの勝ち!」
「ラ〜スト。ああ、お姫様だ! やった、大勝利じゃん!」
「ええ!? 本当?」
意気揚々と女の人の絵柄の札を掲げるなぎさ。
「それじゃあ、ほのかあたしの勝ちだから罰ゲームとして……」
立ち上がろうとなぎさが足に力を込めます。
「う……」
はしゃぎ回るなぎさの様子が急変。
突然黙り込んでしまう。
「どうしたの? 具合悪いの?」
なぎさの背後に回って背中をさすってあげるほのか。
しかしなぎさは黙ったまま動かない。
「あ、足が……」
なぎさのその一言でほのかは全てわかってしまいました。
そしてほのかの好奇心に火がついたのです。
なぎさの足の裏にマッサ−ジでもするかの如く親指で力を加えます。
「☆×…△ゃ?&%?○!」
なぎさが悲鳴になっていない悲鳴を上げて前のめりに倒れそうになる、
とバサバサと何かがなぎさの袖から落ちてきて……。
「あら……これ?」
「〜〜〜〜〜!!!」
なぎさが必死にほのかを呼び止めようとするもほのかは止まらない。
「これ……坊主めくりの札……、ひょっとしてなぎさ……」
じと〜っとなぎさの方を見つめるほのか。
「ふ〜ん、何か出来すぎてると思ったら……、こういうことだったのね」
「………!」
ブンブンと首と振って否定するなぎさ。しかしもう誤魔化せない。
ほのかは無言でなぎさの両肩を掴むと体ごと畳の上に押し倒します。
続いて痺れた両足を掴むとなぎさを仰向けに寝かせます。
「なぎさの反則負けだから勝負は私の勝ちよね……、では罰ゲームを執行します」
ほのかは黙ってなぎさの袖に手を入れるのでありました……。
というわけでいつも楽しませてもらっているお礼も兼ねて、
初めてこちらのスレにも投下させてもらいました。
833@さんキタ━━━━━━(*´∀`*)━━━━━━━!!!!!
「頂きマース!!………ごちそうさま!!」
「なぎさってば早すぎ!もうチョットゆっくり食べなよ」
「そうだよそうだよそうだよ。それじゃまるで男の子みたいだよ!」
「ム!?何を言いなさる?あたしホドの女の子なんてそうは居ないよ!?」
「ホントに〜?じゃあ雪城さんと勝負だね!」
「えっ!?何で私と!?」
「だって雪城さん、とっても女の子らしいジャン」
「イイヨ〜!負けないんだからね、ほのか!」
という訳で、一同ほのかの家へと場所を変えまして早速勝負開始!
最初のお題は料理対決。
二人が作った料理の仕上がりに、志穂と莉奈も思わずホーッと感心する。
だけど重要なのは見た目よりも中身。
マズはほのかの料理からパクッ―――
「うん!美味しい!」
「さすが雪城さん!」
続いてなぎさの料理をパクッ―――
「しょっぱーい!!」
「全然全然全然ダメ!この勝負…」
「雪城さんの勝ち!」
続いての勝負はお掃除対決。
一生懸命に頑張った疲れから座り込む二人を横目に、
志穂と莉奈が姑のような鋭い視線でチェックを入れる。
「雪城さんの方は…」
「うん、合格。目の届かないトコも完璧!」
「さて、なぎさの方は―――」
チラリと目をやって、部屋の隅や畳の繋ぎ目を指でなぞる。
そして―――
「ダメ…こんなに埃が指にくっついてる…」
「それにこのガラス。良く見ると拭いた後に指紋が残ってる」
「うんうんうん。という訳でこの勝負も…」
「ヤッパリ雪城さんの勝ち!」
「そんな、メチャメチャ頑張ったのに…」
「なぎさ……」
「料理もダメ、お掃除もダメ…あたしってホントにダメ…。女の子失格だね…」
志穂と莉菜が帰った後で、なぎさが一人ガックリと肩を落とす。
やがて、その目に光るモノがキラリ…
その時―――
「そんな事言わないで!?なぎさが誰よりも女の子だってコト、私が一番分かってる!
それに……それに料理がダメなら、私がずっとなぎさのご飯を作ってあげる!」
そんな愛情溢れる言葉に、なぎさがハッとほのかを見る。
「ほのか…ホントに…?」
「うん、モチロン!」
「じゃあ、お洗濯もしてくれる?」
「うん」
「お掃除も?」
「え?…うん」
「まさか宿題も!?」
さすがにチョット甘えすぎ……なんて思いながらも、苦笑いしながら頷くほのか。
するとなぎさが突然抱きついてきて―――
「ほのか大スキ!!」
「な、なぎさ!?」
「ヤッパリほのかが一番だね…。こうなったら、一緒に暮らしちゃおうか?」
モチロン今の言葉は半分冗談。
だけどほのかにはそう取られなかったようで
「なぎさ…なぎさぁ!」
「ちょっとほのか!何を…!あんッ…!?」
以上でおしまい。
らんま1/2読んでたら女の子対決があったもんでつい…
>>25 罰ゲームってなんなんダー!?
うおっ!833@氏にお目見えできるとは(´д`*)!!
いざ勝負にも萌えさせて頂きましたm(__)mいつもいつもありがとうございます。
新年早々えぇモン読ませて貰ったわ、GJ!
いや〜さすがGJ、GJ〜
家事ができないなぎさはやっぱりほのかが貰ってあげないとw
ひかり「ああ、遅くなっちゃった・・・早く帰らないと・・」
ひかりは放課後の誰もいない学校の廊下を歩いていました。しかし・・・・
うううーーーー
ひ「え・・・・な・・・何?今の声・・・・・」
あああ・・・・・
ひ「あの教室から声が聞こえる・・・誰かいるのかしら?」
ひかりは教室に入りました、しかし誰もいません・・・・・・
ひ「ええ!確かに声が聞こえたのに・・・・聞き間違いかな・・・?」
うううううああああ!!!
ひ「ひい!イッ今・・・・声が聞こえた・・・」
ガタガタガタ!ロッカーが揺れています!
ひ「ああ!あのロッカーから!一体なっ何!・・・・もしかしたらこれって今噂のベローネの花子さんじゃあ・・・・」
うううう!ああああ・・・・・あああ・・・・・んん
ひ「ううう!・・・・怖いけれど・・・開けて見よう!」
バタン! ひかりは勇気を振り絞ってロッカーの扉を開けた!そしてその中にあった物は・・・・・・・・
なぎさ「あああん!はあ!はあ!ほのか・・・とっても綺麗だよ・・・・ほのかあ!」
ほのか「ああ!なぎさ・・・!好きよ!!!大好き♥」」
ひ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
ひ「て!何してるんですかお二人共!」
な「ん?あれ?ひかりじゃん!どうしたのこんな所で?」
ひ「それはこっちの台詞です!」
ほ「わからないのひかりさん・・・・・私たち今までこの中で あ い し あっ て いたのよ♥」
ひ「ええ!・・・・そっ・・・そんなの不潔です!こんなロッカーの中でなんて!」
な「こういう人に見られちゃいそうな所の方が興奮するんだよね、私達♪」
ほ「そうなのよ♪」
ひ「だっだからって・・・・」
な「そうだ・・・・ひかりもどう?一緒に?とっても気持ちイイよ♥」
ほ「そうね、このロッカーの大きさならひかりさんが入っても大丈夫だわ」
ひ「ええ!そっそんなのダメです・・・・そんな事出来ない・・・・」
な「いいからいいから!さあ早く来なよ!」
ひ「あ!」
なぎさはひかりの手を取るとロッカーの中に連れ込んだ。
ひ「ああ!どっどこ触ってるんですか!そっそんなトコ触らないで下さいなぎささんほのかさん!ああ!・・・・・・ああん・・・・・」
な「なかなか感じやすいんだねひかりは♪」
ほ「本当♪ここなんかどうかしら?ウフフ♥」
ひ「あ!そっそこは・・・・・い・・・イイ♥・・・・」
な「細くてキュートな体だね♪ たっぷりかわいがってあげるからね♥」
ひ「ああ・・・・・・こ・・・こんな世界があったなんて♥」
暫くして居残っていた志穂と莉奈がその教室の前を通ろうとしていた。
莉「ねえ?何か変な音しない?」
志「ほんとほんとほんとー!何かあの教室から音がするね!」
二人は教室に入った、そして・・・・・
ロッカー「ガタガタガタガタガタ!!! あああん!はあはあはああはああああああああああ!!!!!!」
志、莉「ひ!ひいいいいいいいいいいいいい!!!!!!!!!なっなにあのロッカー変な声出してガタガタ揺れてる!まっまさか!ベローネの花子さん!!!」
いやあああああああああああああああああああああああああああーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!
しほりーなはラクロスの試合でも見せないようなダッシュで逃げていきました・・・・・こうしてベローネの花子さんの伝説は永遠に語り継がれていくのでありました。
終わり
>>34-35 ベローネの代々の女子たち(アカネさんとかよし美先生とか)も、
こうやって(図らずも)伝説を守りつづけてきたんだねw
百合の歴史がまた1ページ…
ワロタw&萌えた(´д`;
GJでございます!!
38 :
1/4:2006/01/08(日) 22:35:36 ID:???0
―――あなたは神の教えに従い……死が二人を分かつまで……誓約しますか?
「はい…誓います…」
純白のドレスに身を包み、少し俯きながらほのかが誓いの言葉を口にする。
今日のほのかはいつにも増して綺麗で、女のあたしでも心を奪われてしまいそうな程。
―――今まで二人で一緒に色々なことやったよね?
出会ってから今日までの思い出が、走馬灯のように頭を駆け巡る。
―――でも、そんな機会もこれからは少なくなっちゃうね…
そしてそれと共に、若干の寂しさも押し寄せる。
モチロンそんなあたしの感情など何の影響も無く、式は順調に進んでいく。
誓いの言葉、指輪の交換。そして次は―――キス。
新しい物語の始まりを告げる、永遠なる愛の誓い。
だけどそれは同時に、今までの物語の分かれ道…
―――それでは誓いのキスを…
神父の言葉に、新郎がほのかのベールをそっとめくる。
そこに表れたのは、少しはにかみながらも凄く幸せそうな顔。
そして、二人の唇が優しく触れ合った。
互いの愛が伝わって来るようなキスに、出席者から祝福の拍手が沸き起こる。
もちろんあたしだって負けてはいられない。両手にグッと力を込める。
だけどその瞬間、あたしの頬を一筋の熱いモノが流れ落ちた。
喜びとは別の、もっと複雑な雫―――
39 :
2/4:2006/01/08(日) 22:36:22 ID:???0
最後の賛美歌も終わり、式の終了の時がやってきた。
幸せ一杯な笑顔で退場する二人。やがてあたしの横へと差し掛かる。
「ほのか…!」
お祝いを言おうと、ほのかを呼び止める。だけど―――
「………」
だけど、続く言葉が出てこない。ただ口がパクパクと空しく動くだけ。
そんなあたしに少し不思議そうな顔をしたほのかだけど、
スグに笑顔に戻り再び歩き出す。
「ホラホラホラ、なぎさどうしたの?」
「なぎさ、お祝いの言葉だよ!?」
―――分かってるよ…
「なぎさ、雪城さん行っちゃうよ!?」
「なぎさ早く!」
―――でも言えないの…!
「なぎさ!?」
「なぎさ!」
―――もう!ほっといて!
なぎさ!!
40 :
3/4:2006/01/08(日) 22:37:24 ID:???0
……さ
…ぎさ
なぎさ!
「どうしたの?なぎさ…」
目を開けると心配そうなほのかの顔。
「ほのか……夢?」
「涙流してるけど大丈夫?」
夢だった事にどこかホッとしながら頬を触ると、確かに冷たいモノが感じられた。
「…結婚式の夢見てたんだ」
「結婚式?」
「ほのかがね、誰か知らない男の人と結婚しちゃうの…」
「私が知らない男の人と結婚を…?」
「うん…。それで誓いのキスを見た瞬間、ほのかがどこか遠くに行っちゃう様な気がして、
このままお別れなんじゃないかとか思っちゃって、それで……」
再び泣き出しそうなあたしの頬に手を添えて、ほのかが優しい微笑みを向ける。
「そんな事ある訳無いじゃない…。だって、ホラ…」
41 :
4/4:2006/01/08(日) 22:38:30 ID:???0
かざした左手に輝く一つの指輪。
「お揃いでしょ?なぎさと…」
そう、あたしの指にもほのかと同じ指輪が輝いている。
それはあの日誓い合った二人の永遠の愛の証。
「ねえほのか…どこにも行かないよね?」
「大丈夫、なぎさを一人になんて絶対にしないから」
「ほのか…」
大好き―――そう呟いてほのかにキスをした。
幾度と無く繰り返して来た行為だけど、新たな愛が生まれて来る。
このままずっとこうして居たいな…そう思った矢先
―――グゥ〜
「エヘヘ…なんか安心したらお腹が空いてきちゃった…。どっかに食べに行こうよ!」
「もぅ、なぎさったら!いくつになっても子供みたいなんだから…!」
「そうだ!アカネさんのお店、とうとう完成したって言ってたから行ってみない!?」
以上でおしまい。
とうとう結婚させてしまいました
はああああ。・゚・(ノ∀`*)・゚・。
泣いた・・・GJ!
結婚キタ───(゚∀゚)――─!!!!幸せな二人見てると自分も幸せになるぜコンチクショウ
45 :
メロン名無しさん:2006/01/09(月) 09:51:33 ID:yymIbLbH0
アメリカ―ワシントン―ホワイトハウス
豪勢な革張りの大きな客用のソファーに深々と腰を掛けゆったりと寛ぐ少女
深い泉の様に潤んだ黒い瞳艶のある黒髪、真っ白なワンピースに身を包む華奢な長い手脚
場違いと言えばこれほど場違いな訪問者もあるまい
しかし少女のもつ独特の雰囲気――闇を纏う暴の気配――からは
この部屋の主と言っても疑う者もいないだろう
「考える事など何も無いでしょう?」
「…断る」老人は額に浮かぶ汗を拭き、振り絞るような声で答えた
「どうしても?」そんな老人の様子を愉しみ弄る様に再度尋ねる
「断る!あのような非人道的な兵器の使用は…」
「ふふ…今更、青臭い正義感を持ち出すなよ、小僧?」
少女の口から似つかわしくない粗野な言葉の強い口調に狼狽した老人には
「感謝はしている…しかしこれ以上の協力は…」息を喘がせそう言うのが精一杯であった
「協力?勘違いしないで、之は命令よ?命令に背くというならば…死ね」
ぱちんと軽く指を鳴らし少女の身体は影となり…消えた
1945年4月12日――F・ルーズベルト大統領死去
――やっぱり自分で汗をかかなきゃ欲しいものは手に入らないみたい
――久しぶりに里帰りでもしようかな
日本―若葉台―雪城物理学研究所
「いい加減に結果を出して頂きたい物ですな、雪城博士?」
若い将校を従えて小柄な初老の男が強い口調で―テーブルを強く叩き
コーヒーカップが倒れ―訊ねた
「"ピッカリーニの遺産"とやらの研究も結構ですが時勢を考えて頂きたい。
皇国の危難にあたり一刻も早く最終決戦に臨み新型爆弾を完成させて頂きたい」
「…」
「だんまり…ですか、ならばこちらにも考えがある、
角澤憲兵隊長、ブレキストンを拘束しろ!締め上げて製造方法を訊きだせ!」
「待て!原子爆弾なんかより、もっと凄い発明がある…
皇軍兵士を強化させる方法、光の神兵を創り上げる方法を知りたくはないか?」
「ふん、また口からでまかせを!」
角澤と呼ばれた若い将校が鼻で哂うのを手で制し
「詳しく話を伺おうか?」テーブルに頬杖を付き身を乗り出す。
「結城閣下…!」
「角澤君、我々にも話を聞く時間くらいは残されている」
日本―若葉台―郊外
朝早くにも関わらず、既に強い太陽の日差し
焼け爛れ無残な姿を晒す木の陰に隠れ眼下に広がる空襲に焼き払われた街に背を向け
一心に足下に芽生えた木の芽に水をやり微笑む一人のおかっぱ頭の少女
――彼女の名は雪城さなえ、雪城物理学博士の孫娘である――
――ざく…
少女の影を踏みいつの間にかもう一人の少女が現れた。
「おっはよーう!」
「…おはようございます」
さなえの大切にしている時間、自分だけの安息できる場所
そこへ突然現れた少女に不快な気持ちが芽生えた
「うふふ、探した探した!もう探しまくって、ぐるっと地球を一周しちゃったわよ!」
「あの…何の事?…貴女は誰?」
見知らぬ少女、継ぎの当った粗末なもんぺ姿のさなえと違い
真っ白なワンピースに白い帽子、その肌は日に焼けた跡もなく白く美しい
「水遣り?良くやるわねえ、無駄な事を…」
いちいち癇に障る、背を向け少女を無視することにした
「嫌だなァ、貴女とはずっと古い付き合いなのに…忘れちゃった?
マアそんな事どうでも良いわ、灯台下暗しって言うけれど本当ね、
貴女が持っていたなんて」
さなえの腰につけた"ピッカリーニの遺産"を指差し笑う
「コレの事?コレは私がおじい様から預かっている大切な…」
「だ・か・ら!貴女の物は私の物!なの!さァ、私に返して!」
伸ばされた腕に触れたさなえの腰から伝わるゾッとする感触
「駄目よ!触らないで!」
「ふう…面倒くさいなあ…さなえちゃんは知ってる?
ここから西の街が二つ焼かれたのを?
もっとも〜っと西の方にある異国の街が死の街になっている事を?
あなたがそうやって現実から背を向けている間に…」
「止めて、聞きたくない」
――恐ろしい光景、地獄の底が抜けて地上に落ちてきた様なこの世界。
「強すぎる光は深い闇を生む、私と貴女はふたりで一つ、対の存在
だからソレは私の物でもあるのよ?返さないって言うなら…」
「サナエー!」
金髪の少女―フィンチ・ブレキストン―ナチスの支配化から
遥々日本まで亡命してきたユダヤ人物理学者ブレキストン博士の孫娘―が駆け足で坂道を登って来た
「―?―あれれ?今ココに誰か居なかった?」
「え?…」
振り返ればいつの間にか…先程の少女は夏の陽炎の様にその姿が消えてしまった
「変だなァ?サナエが誰かとお喋りしてる様に見えたんだけど…」
「それより何かご用?」
「そうそう、あなたのおじい様、雪城博士がお呼びよ、とっても大切なご用ですって」
「ありがとうフィンチさん、行きましょう」
「サ・ナ・エー?私達はもうお友達なんだから他人行儀は止めてよ、フィーって呼んで」
「フィンチさんは…おじい様の事を怒っていないの?」
「雪城博士の事?怒ってなんかいないわよ、だって雪城博士の口利きのお陰で
新型戦闘機のテストパイロットをやらせて貰えるなんて感謝している位よ!」
「でも、あなたのおじい様、ブレキストン博士にあんな酷い事して、
それにおじい様の研究なんてキライ!昔はあんな人ではなかったのに…」
「そう?私は好きよ、雪城のおじい様
男だったら雪城のおじい様位は"アク"が強くなきゃ魅力が無いわよ」
――そうかしら…それよりもさっきのオンナノコは誰だろう?
私の名前を知っていて、古くからの知り合いなんて言っていたけれど…
――カエサナイナラ チカラズク デ カエシテ モラウカラネ
「――?――サナエ何か言った?」
「――?――フィンチさんこそ何か言った?」
日本―若葉台―雪城物理学研究所
「さなえ!今こそ神国日本御国の為に力を尽くす時が来たのだ!
お前に予てから預けてあるその装置を使い滅私奉公大君の為に…」
――おじい様は人が変わってしまった、このお守りを手に入れてから。
――優しいおじい様だったのに
――人の力の及ばぬ物を手にした時に人はああも変わるのか
――ブレキストンのおじい様から無理やり騙すようにして取り上げた
――"ピッカリーニの遺産"と呼ばれる私の腰につけてある物。
「…光の粒子を物質にまで凝縮し身に纏う、その膨大な光のエネルギーは
銃弾を弾き人間の身体能力を極限にまで引き上げ…」
――ぱちぱちぱちぱちぱち…研究室に響く拍手
振り返ると小柄な体格の老人、結城朱雀中将
その隣には対照的に背の高い憲兵隊長の角澤龍太郎
「雪城博士、ご高説大変結構ですな、しかし私共といたしましては
一刻も早く結果を見せて頂きたい」
研究室の片隅で脚を組み忙しそうに働く研究員達の様子を
もうひとりの老人――ブレキストン博士――がつまらなそうに眺めている。
「ブレキストンのおじ様、ごめんなさい…」
身体を小さくして謝るさなえに優しい笑顔を向け、
「仕方が無いさ、雪城は昔から思い込んだら梃子でも動かない頑固者だからな
それに…サナエちゃんにはもう話しても良いかな…実は、皆には内緒なんじゃが…」
「ぁ…ぁの…スミマセン…」
さなえの背後から小声でブレキストン博士に呼びかける女性
「記録員の小山翔江です、ブレキストン博士…この度の実験は…人類の科学史に…残る
偉大な…瞬間と…成るでしょう…それで…あの…是非一枚…写真をお願いします」
ブレキストン博士は「…ふん」とテーブルに肱を付いたまま
興味無さそうにそっぽ向いていたがシャッターの瞬間――
舌をぺろっ、と出してイタズラをした少年の様な顔で
――パチリ
「は・は・博士!!!真面目にやってくださ〜いいいいい!!!!!」
「さて諸君!」
慌しく働く研究員達の動きが止まり雪城博士に視線が集まる
「さて諸君!ブレキストン博士が我々に提供してくれた
もう一つの手土産であるプルトニウムを使用した発電機、
つまり原子力発電を今から起動させる、計算上では原子力のエネルギーを
一気にそして一点凝縮し照射すればピッカリーニの遺産を"眠りから目を覚まさせ"
光の力を放出させるはずだ…さあ、始めよう」
研究所が大きく身震いし大きく傾ぐ、地下に建造された原子力発電機が起動したのだ
大小の歯車の猛烈な回転音、巨大なピストンが叩きつけられる轟音、研究員達のどよめき、
「雪城博士・博士・博士〜!計算通りの発電量です」
「…よし、久保田クン、照射したまえ!」巨大な器械音は更に音を高くし
分厚いガラスの向こう側に安置された"ピッカリーニの遺産"その小さな箱に
青く禍々しく眩い光が放射された――しかし――ただ其れだけだった
研究所の電灯が全て消えて非常灯の薄暗い明かり
僅かな量の貴重なプルトニウムはその全てを燃やし尽くしてしまったのだ
「…どういう事ですかな?」
結城中将が立ち上り雪城博士を睨みつける
「わが国の貴重なプルトニウムが!失われた!?」
そう、何も起こらない"ピッカリーニの遺産"は研究員達をあざ笑うかのように
何も変化を起こさなかった。
雪城博士とブレキストン博士が互いにちらりと目を合わせにやりと笑う
「アッ!雪城!貴様!実験が失敗する事が計画通りだったのだな?
最初から!貴様とブレキストンはグルになって最初からプルニウムを消し去る為に!」
結城中将の絶叫。
「謀ったな!雪城!これは国家に対する重大な反逆だ!」
腰につけた南部14年式拳銃を引き抜きぴたりと雪城博士の胸に照準を合わせた
「もう止めんか!たった一発の原子爆弾を創り上げて一体何になる?
この負け戦が逆転するなどと本気で考えているのか?」
「くっ…雪城ォォォオオ!!!」
「止めて!!!」引き金を絞ろうとする結城中将にさなえが体当たりで阻止した
「痛ッ!痛タタタ!」フィンチ・ブレキストンが拳銃を握る手に噛み付いた
研究員達も手に手にスパナや手近な棒切れを持ち結城中将と角澤憲兵隊長を取り囲む
「今まで我慢していたが、もう我慢できない!」
「そうだ!高清水の言うとおり!」
「き…貴様等!」
――ゥゥゥウウウウウウゥゥゥゥ――
間の抜けたサイレンの音、
「アメリカの爆撃機が襲来したのか!こんな時に…くそッ!退避だ!」
日本―雪城物理学研究所―飛行場
「ブレキストン少尉、これを着てください」
たった一機残された試作戦闘機、まだ一度も飛ばした事の無い新型ロケット戦闘機、
そのコクピットに座るのは唯一のパイロット、フィンチ・ブレキストン少尉
「これは?」差し出された大きなベストの様な服
「着心地が悪そう!それに恰好悪い!要らない!」
「私が作った特殊な素材で出来た防弾チョッキです」
若い技術者はフィンチの言葉に構わずに飛行服の上から被せる様に強引に着せた
「必ず生きて還れるように…」
「あ…ありがとう…」
「フィンチ・ブレキストン少尉?顔が赤い様ですがお体の具合でも?」
――ばか
ぐいっと彼の顔を引き寄せ唇を重ねた
「な、何を…」
「あははっ!感謝の印よ!勘違いしないでよね?日本のオトコはシャイだね!」
ドンッと軽く胸を小突き滑走路に突き落としロケットエンジンを点火させた
砂埃に塗れ男が痛む尻を擦り立ち上がった時にはすでにフィンチの操縦する機体は
まっすぐ空へ一本の飛行機雲を残して放たれた矢の様に飛んでいった。
日本―雪城物理学研究所―防空壕
「さなえ、今までお前を騙してしまってすまなかったね」
「ハハハ、それにしてもさっきのユウキ中将の顔ったら無かったな!」
「おじい様、ブレキストンさん…」
日本―若葉台―上空
「高度、1000、2,000、3000、…4000…第一ロケット分離!第二ロケット点火!」
ビリビリと震えるコクピットの中で急激なGに耐えながらレバーを捻り
第一ロケットを分離させ第二ロケットに火を点けた、更に加速し垂直に高度を上げる
「7000、8000…9000…9500…10000!と200!おっとっと、ちょっと高く飛びすぎかな?
どれどれ、私の縄張りに土足で踏み込むワルイ子ちゃんは何処かしら?」
水平飛行に入りきょろきょろと周囲を見回す、「ふふふ…さっきのあの格好!」
滑走路に尻餅をついた若い技師の姿を思い出し自然と頬が緩む。
「名前…聞くの忘れたな…」彼の作ったという防弾チョッキを撫でながら
周囲に目を光らせたその時――視界の隅でキラリと光る陰
「もう日本の空を飛ぶヒコーキは、
この私フィンチ・ブレキストンちゃん以外に居ない筈
つまり貴女が私の探すワルイ子ちゃん!」
――♪私はフィンチ フィンチは小鳥♪
――♪小鳥の嘴で突付いてあげる♪
「さてさて、隠れん坊遊びはオシマイ、
これからフィンチちゃんのお仕置きタイムの始まり始まり〜
生きて還れたらお慰み…そう…、お慰み…」
スイッチを捻りメインロケットに点火、
フィンチの操るロケット戦闘機は青い炎を噴上げ真一文字に敵に突き進む
「な…何よ?コレ…」
黒く巨大な機影――しかしそれは予想したB−29爆撃機ではない
その機影は黒く巨大な翼を鳥のように羽ばたかせ黒い渦を巻く
「何でも良いわ、此処は私の空、目の前の敵は…撃ち落す!」
異様な敵機とみるみる距離を詰め照準機いっぱいにその姿を捉える
「なんて醜い姿なんだろう、伝説のドラゴンみたい…」
怯む心を奮い立たせ、引き金を絞ると機首の30ミリ機関砲の引き金を引こうとした時
その機首に腕を組み不適な笑顔を浮かべ立つひとりの少女の姿
「まさか!どういう事?誰?」
引き金を引くタイミングを逸し、あっという間にすれ違い
大きく右に操縦把をきり再びその機首を向ける
「見まちがえ?」否、確かにドラゴンの頭に"ヒト"の姿が見える
「――!――」
信じられない―常識ではありえない―考えられない―空中での方向転換
ドラゴンは空中で"立ち止まり"ブレキストンの戦闘機を待ち構えていた
ドラゴンは悲鳴と唸り声を上げその巨大な身体を捩り翼を振り回す
「――あッ!!」
翼に生えた鉤爪にフィンチのロケット戦闘機が捕らえられ振り回される
鋭い鉤爪は彼女の機体を易々と貫きフィンチの胸に食い込む
痛む胸、霞む意識、ブレキストンは雑音だらけの無線の声を微かに聞いていた
――少尉!ブレキストン少尉!返事してください!
日本―雪城物理学研究所―防空壕
「ブレキストン少尉がやられた!どうやら体当たり攻撃をしたらしい…」
「藤田、本当か?」
「さっき上の管制室で竹之内が必至になって呼びかけていたが
応答が無いんだ!」
「――!――フィーが!?」防空壕を飛び出すさなえ
「さなえ、戻って来い!危ないぞ!」
外に出てみると気の抜けたような青空が広がっている
今まさに恐ろしい敵がやってくるようにはとても思えない
――その時、さなえの意識は睨む天の先には芥子粒程にしか見えない黒い点と繋がった
さなえの手に伝わる鉄を押し潰す鈍い感触、爪に食い込む肉の手触り
「止めて!止めて!止めて!」
――オトモダチガ シヌノヲ ダマッテミテナサイ ヨ サナエチャン
――アナタト ワタシハ フタリデ ヒトツノ ヒカリ ト ヤミ
――ダカラ アナタガ コロシテイル ノヨ
「止めて…」
"ピッカリーニの遺産"を握りしめ熱い涙が落ちた時
――キボウ ヲ ステチャ ダメ ミポ…
まばゆい光の渦が轟音と共に天空よりさなえの小さな身体を貫く
虹色の輝きは疾風を呼び、さなえを異次元の回廊へと誘う
銀色の光の雨が身体を叩き、一粒一粒がさなえの身体を蒼くそして熱く燃え上がらせる。
さなえは蒼の炎と銀の光をまとい、地上へ舞い降りた
「六根清浄わたしはプリキュア!世界を滅ぼす邪悪な者を撃ちてし止まぬ!」
渦巻く暴風の中、ひとり静かに立ち上がる。
「…って私?どうなったの?」
静止した時の中で唯一人、さなえだけが力を漲らせる
日本―若葉台―上空
「そうか、そうだったのね、貴女が来たのね?あれは貴女だったのね?
ならば私はもう逃げない!心を閉ざしてやり過ごすなんてもうしない!貴女と戦う!」
思い切り地面を蹴り上げまっすぐ天へ――
静止した時の流れの中、さなえは宙を舞う
少女の操るドラゴンが咆哮を上げる高高度へと空中で凍りついた
対空砲弾を足懸りにして空高く跳び上がる
空中で凍りつき時を止めた砲弾を足で踏み更に高く、階段を駆け上がる様に高く高く、
「放して!貴女の欲しいものはココにある!だからフィーを放して!」
ドラゴンの目に拳を叩き込み、蹴りを入れる
さなえの攻撃に怯むドラゴンがフィンチの乗る戦闘機を取り落す
「フィー!」くるくると木の葉の様に地上へと舞い落ちるフィンチの戦闘機に
気をとられた一瞬――ドラゴンが炎を吐き鋭い鉤爪でさなえを叩く
背中で受け流し放り投げ、右左と身体を捩り攻撃から身をかわし、
渦巻く拳が炎を蹴散らし更に拳を撃ち込むが…
「はははッ、判る判る!さなえの力の源、光の力、
拳を撃ち込む度に蹴り込む度に、力が失われてゆくのを!」
さなえの身体を包む光の衣は一枚一枚泡となり消えてゆく
その度にさなえの力も薄れてゆくのを感じた
空を跳ぶ力さえ失い次第に地上へと落下して行くさなえの小さな身体に
ドラゴンを操るい少女がさなえを追いかけ身体を殴りつける
「さなえが墜落死してペチャンコなんて可哀想
だから私が止めを刺してあげる、感謝しなさいよ?」
「止めを刺す?違うわよ?止めを刺すのは私、勝利するのも私」
「強がり言っちゃって!?」
「まだ解からないの?此処がどこなのか?既に高さは…精々3000メートル、
この高さならば、日本の高射砲でも充分届く距離、私の背中に…見えるでしょう?」
さなえの背後からは地上の高射砲陣地から撃ち出された無数の鉄の弾が
じりじりと時の動き出すのを待ち望んでいる
「私に残された最後の光の力、この髪留めを外せば…」
「〜〜〜ッ!」
「…私は元の非力な子供に戻り――ぱちん――再び時は動き出す」
唸りを上げ殺到する高射砲弾が闇の身体を打ち抜き突き抜け炸裂し引き裂く
風に乗り墜落してゆくさなえの目の前で黒い闇が
巨大な炎の塊となり、眩い光に包まれ…消えた
「地上に堕ちるまで、どれ位だろう?ゴメンねこんな事につき合わせちゃって…」
腰に付けた"ピッカリーニの遺産"を撫で最期の瞬間を待つさなえの元に
「サナエ―――!!」
翼折れ、機体に大きな穴を開けたフィンチ・ブレキストン機が滑空飛行で近づいてきた
「フィー!生きていたの!?」
フィンチはコックピットから身を大きく乗り出し思い切り手を伸ばし
墜落するさなえの体を機体の中に押し込んだ
「生きてたのって…貴女こそこんな所で何してるのよ?
いくら暑いからって裸で…っていうか日本のオンナノコってみんな空を飛べるの?」
「あはははは!」
「何が可笑しいの?どうして笑ってるの?…あなた…泣いてるの?」
日本―若葉台―飛行場
ヨタヨタと辛うじて着陸したふたりの乗る機体は
忽ち出迎えた技術者達に取り囲まれた
「ブレキストン少尉!ご無事でしたか!…え?どうしてさなえちゃんが?」
「訳なんて後々!気が利かないわねえレディーが裸で居るんだから遠慮しなさいよ!
ほらほら!貴方の上着を貸して!ホントのろまなんだから!
でも、貴方が着せてくれた防弾チョッキは良かったな…
お陰で助かったのよ、ちょっとだけ傷がついちゃったけれど…ありがとう」
「どれどれ?」もじもじと顔を赤くするブレキストンに目もくれず
防弾チョッキを剥ぎ取り目を凝らし点検を始める
「むぅ…おかしいなあ?私の計算ではこんな破れたりしない筈なのに…」
「――バカー!」
「ハァ…?」
「アンタみたいに鈍い男は初めてよ!
そんな鈍い頭でちゃんとやっていけるの?
私が面倒を見てあげなきゃ全〜ッ然、駄目!心配だわ!」
「ハァ…?」
「だ・か・ら!ホントに鈍い男ねえ、私があなたのお嫁さんになって上げるって言ってるの!
好きとかそんなんじゃないんだからね!
勘違いしないでよね!何よ、何か不満でもあるの?
世紀の大物理学者ブレキストン博士の孫で
大空の英雄ブレキストンちゃんが結婚してあげるって言ってんだから
アンタは黙って頷けばいいの!…あッ、その前に…名前…聞いてなかったね」
「ハァ…美墨と申します…」
周囲を取り囲む研究員達の笑い声と冷やかしの歓声
大騒ぎの中、飛行場の片隅のラジオが歴史を代える重大な放送を伝えていた
――1945年8月15日正午――日本――敗戦
「――?――あれれ?さなえは?さなえに一番に報告したかったのに」
日本―若葉台―郊外
丘の上に根を下ろす一本の樹、その根元に寄りかかる少女
白いワンピースはどす黒くコールタールの様な血に染まり
滴り落ちるその血は足元を濡らす
美しい肌には無数の穴が開き、腕はちぎれ落ち、引き裂かれた無残な姿
「やっぱりココに来たのね」
「さなえ…かわいい顔に似合わず…酷い事をするね」
喘ぐ息の中辛うじてさなえと対峙する
「さなえが光で私が闇、この世界に生まれた時に分かれた姉妹だっていうのに
この若葉が大木に育つ頃、と言っても私にはホンの瞬き一つの時間、
この傷を癒してまた来るからね…でも、その時さなえはきっとよぼよぼのおばあちゃんね」
「その時は私の子孫が貴女と戦う!
此処に希望の光がある限り、貴女なんかに絶対負けない!」
少女の姿は陽炎の様にゆらめき消えてゆく
「待って!」
――ナニヨ マダ ナニカ アルノ ?
「私たち、友達にはなれないの?」
――ヒカリト ヤミハ タタカウノ ガ ウンメイ ダカラネ
血に濡れた若葉にさなえの涙が落ちる
――そんな運命を変えてしまう希望を誰かがきっと受け継いでくれる
――その時はきっと貴女と友達になれるって私は信じているから
おしまい
正直こんな大作でビビッタ。
奇抜な着眼点に脱帽
ところでフィンチってのはピーター・フィンチから取ったのかな?パットン大戦車軍団の
なんかすげぇ…長編GJ!!!!
O・V・A!O・V・A!
すげえええええ!
――夏は暑いわね…いやいや、あつはなついわね…いや夏は暑いのよ
――ってそんな事どうでも良くって、今問題なのは目の前のなぎさ!
2学期が始まり、9月になってもまだまだ暑い暑い太陽の日差しが
照りつける放課後の教室
雪城ほのかは、美墨なぎさの保護者って言うか、監督っていうか、
三年桜組の"なぎさ係"に暗黙の了解、全会一致で任命されている
竹之内先生までトーゼンの様に「雪城さん、美墨さんの勉強みてやってね」って事
――なぎさは頭が悪いって訳じゃない
――ラクロス部のキャプテンで頑張っちゃう分
――勉強の方がちょっとだけ疎かになってる
という理由で…
――放課後の教室ふたりっきりで居残り勉強!なんだけど、コレが結構大変!
――今日だって宿題忘れたなぎさの為に放課後、教室でなぎさを待っていたのに
――なぎさったら勉強の事なんてすっかり忘れてラクロスの練習に
――夢中になっちゃってるんだもの
――やっと探し出して渋るなぎさを捕まえて無理やり引っ張って来たのに、
――高清水さんなんて「なぎさ〜!旦那さんが迎えに来たよ」だって!
――旦那さんってもぅ!高清水さんったら、止めてよね〜!
――ヘンだな?私ったら今、顔がにやけてない?
――そんな事よりも問題なのは…なぎさってノーブラ派なのかしら?
――気がついたのはたった今、なぎさの肌に汗ではりつくブラウスが
――全部肌色!ッて事!つまりソレって…「ノーブラ!?」それが問題!
――いやお互いにオンナノコ同士なんだから問題無い!といえば無いんだけれども
――やっぱりなぎさの旦那…いや"なぎさ係"としては気になる所
――聞いてしまえばイイのに…って?聞けないって!「なぎさってノーブラ?」なんて!
――親しき仲にも礼儀あり!ってさっきから私ったら誰と話しているのかしら
「××××?」
――え?何々?なぎさ、何か言った?
「もぅ!ほのかったらさっきから話しかけてるのにボーっとしちゃって!」
――誰の所為だと思ってるのよ!
「ほのか?顔赤くない?」
「赤くなんて無いよ!オンナノコ同士でしょう!」
「――?――ほのか?何を言ってるの?それよりココの所が解らないんだけど…」
――おおお…!そんなに机にグイっと前のめりに乗り出したりしたら…
――なぎさって何時もブラウスのボタンちゃんと留めないから…
――もう…ちょっ…と…で…見えそう…なぎさ…もっと屈んで…ごくり…
「ねえ、聞いてる?」
――ちぇッ!もうちょっとだったのに!って…私ったらホントにどうかしてるわ…
「ふぅ〜暑いねえ…」椅子に寄りかかって下敷きを団扇にしてパタパタ…
――そうそう、ブラウスのボタン外して肌を出せば涼しくなるよ…
――いっその事、暑いのなら脱いじゃえば!オンナノコ同士ふたりっきりなんだし…
――きゃ〜!私ってば何を考えてるの!?
「暑い暑い…」
――なぎさ〜!そんなに見詰めないでよ!
――頭に血が昇って来ちゃう!
――勉強に集中しなくちゃ!
「あのね、なぎさ、ココはコレコレでアレアレで…と言う事なの、解った?…」
「成る程ねェ!」
――もう、なぎさ!椅子の上で膝立てて座ったら…見えちゃう…って!
――ぎゃう!ノ・ノ・ノ・ノ!!!ノーパン!!!!!!!!!!!!!
※※※ ※※※ ※※※ ※※※ ※※※ ※※※
「アレレ?なぎさ、雪城さんとの勉強会もう終わったの?」
「うふふ、ほのかったら頭に血が昇っちゃってサ
今保健室に連れてった所!という訳で…作戦大成功!!!
今日の勉強会は中止!さあ!ラクロスやるぞー!」
おしまい
いくら何でもノーパンはありえないだろ!
とか思って読んでたら、そういうことかよwww
こういう、ほのか相手に策を巡らせて勝利してしまうなぎさというのは珍しいですね。
黒なぎさキターw
黒なぎほのもいいね!!感動した!!
黒というか小悪魔というか…こういう逆襲パターンもありだな。
しかしその夜、すっかり火のついてしまったほのかが(ry
黒いよなぎさw
ほのかかわいい&カワイソス
76 :
1/3:2006/01/15(日) 23:33:31 ID:???0
―――ねえねえねえ、なぎさってキスした事あるの?
―――何よイキナリ!?……ある訳ないじゃん
―――へ〜、なぎさ無いんだ。遅れてるね!
―――えっ志穂も莉菜もあるの!?誰と?教えて!
―――エヘヘ…子供の頃にパパとだけどね
―――実は私もぽんたの介となんだけど
―――ナーンダ……
「―――なんて事があったんだけど、志穂も莉奈もホント人が悪いよね!?」
「そうね…」
―――アレ、ほのか何か余裕?マサカ…
「…ひょっとして、ほのかはあるの?」
「フフッ…あるよ」
―――えっ!ウソ?マジで!?
「だ…誰と?」
「それは―――」
「それは…?」
ゴクリ…
77 :
2/3:2006/01/15(日) 23:34:47 ID:???0
「ウフフッ、忠太郎とネ!」
「もぅ、ほのかまで!からかわないで!!」
「ゴメンね。だってなぎさってば凄い顔してるんだモン!」
てな具合で、いつもの様にイチャイチャと仲良しな二人。
「そうそう、キスって言えばね、連続キスの世界記録って30時間59分27秒だって知ってた?
その時に近くで二階建てバスが爆破されたんだけど、それでも止めなかったんですって」
どこかで仕入れたキスに関する小話を、ほのかが楽しそうになぎさに話す。
しかし当のなぎさはロクに話も聞かずに、ただ桜色のほのかの唇をジーッ…
そして―――
「………キス、してみる?ほのかとならイイよ…」
唐突ななぎさの言葉。
その一言に、ほのかの思考が一瞬停止する。
―――え?なぎさ今なんて…キス?ダメ…女の子同士でそんなことダメよ!ハッキリと断らなきゃ…
「…ウン」
―――キャー!?私ったら何でウンなの!?違うの!なぎさとキスしたい訳じゃないのよ!
ウソ、したく無いのって言われたらしたいんだケド…とにかく知らないモノへの好奇心?
……あぁん、もう!?
「来て…」
パニックな頭とは反対に、素直に目を閉じて「ン」と軽く顔を突き出す。
「…ほのか、イタダキます…」
―――もぅ、なぎさってば…。私は食べ物じゃないのよ?……初めてのキスは……消毒液の味?
78 :
3/3:2006/01/15(日) 23:35:39 ID:???0
―――ウン…?
目を開けると、そこには心配そうななぎさの顔。
「ほのか、目が覚めたんだね…」
「あれ、なぎさ?…私もう頂かれちゃったの?」
「何言ってるの?ほのかってば、体育の授業中に倒れちゃったんだよ…」
―――倒れた…私が?そう言えば朝から熱っぽかったかも…
そう思って周りを見てみると、確かにココは保健室で自分はベッドの上。
―――ヤッパリ倒れちゃったのね。それにしても、ハァ…
「夢だったんだ…」
「夢って?」
「ううん!何でもないよ!」
「ならイイけど…取り合えずあたし、皆に大丈夫って伝えてくる」
―――また様子見に来るからね!
その声と共になぎさがヒョイと立ち上がり、ドアの方へと足を進める。
「あ、そうそう…」
だけど突然クルッと振り返り、小悪魔みたいにニコッ
そして、唇を指でそっとなぞって―――
「ご馳走さま…ほのか」
以上でおしまい。
くぁああ(*´Д`)
いいっす!小悪魔なぎさ!
かなり萌えましたGJ!!
こちらこそ、ご馳走様でした。(*´Д`)
最近なんだか、攻めのなぎさが多くなってきた希ガス。
くわぁっ!さいこう!なんて夢を見てるんだほのかw
なぎ攻めだいすし
―――それで…
タコカフェの裏から聞こえてきた声に、ひかりが「ん?」と立ち止まる。
―――お客さん?珍しい…。どんなお話なんだろ?
―――……ひかりの調子はどうです?
アレ、私の事?―――不思議に思うひかりの耳に、今度はアカネの声が聞こえて来る。
「調子?最近どうも悪いね。明るくなったと思ったらスグに暗くなっちゃって、何か不安定なんだよね」
―――アカネさん…心配掛けちゃってゴメンなさい…。私…
「あれじゃ役に立たない上に、お金ばっかりかかってどうしようも無いよ…」
凄まじい、それこそバルデスなんかの衝撃波よりも遥かに強い衝撃が、ひかりの体を貫く。
そして、更に追い討ちをかける様に―――
「もう駄目だね、あんなのイラナイよ。ソロソロ潮時かな…」
―――!!!!…ひどい!…こうなったら私
―――グレます
九条ひかり、中学一年の冬の決意。
数日後―――
「ひかり!チョット買い物してきてよ!?」
「…イイですよ、アカネさん」
「コレ買い物リストね。それと、ハイ!一万円…」
「じゃあ、行ってきます…」
―――フフ、一万円も私に渡してイイのかしら…?
「ラッシャイ!…何だ、アカネちゃんトコのお嬢ちゃんか。いつものタコかい?」
「あの…今日はソッチの高いの頂けますか?」
―――サスガにちょっと悪過ぎかしら?…ううん、イイのよひかり。だってグレたんだモン…!
そしてまた別の日―――
「ひかり!クレープの注文が入ったから作ってくれる?バナナチョコでお願いね!」
「わかりました」
素直に返事をして、ひかりが調理場に立つ。
生地を鉄板に引き、ある程度固まったのを確かめると、トンボで上手にクルリと引っくり返す。
そしてスグに取り出して、いざトッピング。
まずはチョコレート、次に生クリーム、そして最後にバナナを―――二本!
―――二本…一本じゃなくて二本。フフ…ちょっとサービスし過ぎ!?
九条ひかり、中学一年の冬。グレてます…
そんなある日―――
―――最近はどうですか?例のひかりの調子は…
どこかで聞いた声が、タコカフェの裏から聞こえて来る。
―――この前のオジサン?また私の話…?
聞き耳を立てるひかりに、今度はやっぱりアカネの声。
「うん、最近は調子いいね。ヤッパリ取り替えて大正解だったよ、盗難防止用のセンサーライト!」
―――え?
…
―――ええええええええええええええええぇっ!?!?!?!?!?
「前のなんか、ちっとも効果なかったモンね。流石に新品―――」
「アカネさん!!」
「ひかり!?慌てちゃってどうしたの?」
涙目に現れたひかりに、思わずアカネが目を丸くする。
「ゴメンなさい…!勘違いしてました…私、もうグレるの止めます!!」
「グレる?……アッハッハ!!冗談言わないでよ!?」
「でも―――」
「最近はタコだって良いヤツ買ってきてくれるし、クレープのサービスだってお客さんに大好評だし、
とにかく感心してたンだから!…それに―――」
ポンとひかりの頭にアカネが手を乗せる。
「あんたがグレるような子じゃナイって事、あたしが一番分かってるんだから…」
「アカネさん…」
アカネの手に自らの手を重ね、ひかりがそっと目を閉じる。
―――アレが違うんだったら、私にはムリね。グレるの…
―――でも、フフッ!チョット楽しかったかも…!
以上でおしまい。
黒いひかり……クロビカリ
小悪魔なぎさいいよ〜!!
グレてるひかりめちゃめちゃ可愛いな!!!!!!
クロビカリワロスw
GJですサイコ〜(´д`;)
ひかり黒くNEEEEEEEEEEEw
きゅんとキター
いいなぁこういうの(*´∀`)
あんたにはセイカのぬりえの裏表紙に描かれてる
ちょっと得意げな顔のひかりをプレゼントしたい。
―――へんし〜ん!
―――たぁっ!!
―――さっさとお家に帰りなさ〜い!!
………
「な〜んてコトやったよね!?」
「うんうん!懐かしい…!」
例の衣装を手にとって、夏子と京子が思い出話に花を咲かせる。
でもスグに、「ハァ」とため息をついて視線を落とす。
「どうしよっか、この衣装…?」
「衣裳部屋も手狭になっちゃったしね…。でも捨てるの勿体無いし……」
「そうだね。だけどいつまでも置いてはおけないし……」
「う〜ん……」
「うーん……」
真剣に悩む二人。だけど同時に手を叩いて
―――そうだ!!
「どうする?ほのか…」
「どうする?って、どうしよう…?」
貰った衣装を目の前に、なぎさとほのかが顔を見合わせる。
「このままほのかの部屋に置いてったら………ダメだよね」
「うん、ダメ…」
「だよね…」
そして訪れる沈黙。だがやがて、ほのかがそっと衣装に手を伸ばす。
「ねえなぎさ…?ちょっと着てみない?」
―――デュアル・オーロラ・ウェーィブ!!
「…って、イヤー、素でやるとチョット恥ずかしいカモ」
「そう?私はそんな事無いけど?」
照れるなぎさに楽しそうにほのかが微笑む。そして
「それに―――」
なぎさ…ブラックの方をチラリと見て
「ブラックのおへそも久しぶりに見れたしね♪」
「もぅ!そんなにマジマジと見ないでよ!」
そんなほのかの視線に慌ててお腹を隠すなぎさ。だけどスグに目を輝かせて
「…それよりさ、今度は交換してみよう!?」
意外とノリノリだったりして…
―――デュアル・オーロラ・ウェーィブ!!
―――とっととおウチに帰りなさい!
「決まったね!」
「うん!」
見事にキマッタ決めポーズに、二人がパチンと手を合わす。
「一度言ってみたかったのよね!この台詞!」
「あたしも一回はこのフリフリ着てみたかったんだ!」
「フフッ!良く似合ってるよ、なぎさ!」
「ほのかだって!それにしても―――」
そう言うと、今度はなぎさがニッと笑って
「カワイイおへそだね!」
ほのかのおへそをツン!
「ちょっとなぎさ!?」
顔を赤らめるほのかに、なぎさが悪戯っぽくパチリとウインク。
「さっきのお返し!」
「もぅなぎさ!?…そう言うコトするなら私だって…えいっ!」
「ちょっとほのか!?スカート捲らないでよ!」
「ウフフ!お返しのお返し!」
「ム〜!ならばお返しのお返しのお返し、フーッ!」
「ひゃん!?おへそに息なんか…」
―――どうマイッタ?
―――まだよなぎさ!今度は私が…エイッ!
―――まだまだ!コッチだって、ソレッ!
―――トウ!ヤァ!タァ……!!!
「忠太郎、あの二人ったら何してるんですかね?」
「ワン!」
「フフ、そうね。邪魔するのは野暮ですものね。さて、お散歩に行きましょうか?」
「ワォーン!」
―――ちょっとほのか!?ソコ違う!ソコは…
―――もぅ!この際イイじゃない!?エィッ♪
以上でおしまい。
この時期にそんなネタやるなんて…ヘソナツカシス
超グッジョブ。・゚・(つД`)・゚・。
ちょ…超GJ!!!!あんたが好きだよ!
ここはいつもささくれた心を癒してくれる・・・・・・GJ!!!
98 :
1/4:2006/01/22(日) 23:42:55 ID:???0
「ねえほのか…話があるの。放課後に体育館の裏まで来てくれる?」
授業の合間の休み時間、なぎさがいつにない険しい表情でほのかに話しかける。
「なぎさ、どうしたの?そんな深刻そうな顔で…」
「……待ってるから」
戸惑うほのかに答えること無く、険しい顔のままなぎさが去って行く。
そして、そんな二人の様子を遠目に伺っていた影が二つ―――
―――見た見た見た?あの雪城さんの表情!
―――うん、見た!これは絶対に面白くなるよ!
・ ・ ・
「なぎさ…」
放課後、言われた通りに体育館裏にやってきたほのか。
なぎさを見つけると、不自然に笑顔を作って話しかける。
「話って何?」
「…実はね」
そう言って、なぎさがクイと手招きをする。
すると少し離れた木陰から一つの影が姿を現した。それは―――
99 :
2/4:2006/01/22(日) 23:43:56 ID:???0
「ひかりさん…?」
現れたのは九条ひかり。
そして、ユックリと歩み寄ってきたその小さな肩を、なぎさが優しく抱き寄せる。
「あたし、ひかりと付き合うことにしたの…」
「えっ…!?」
驚きで言葉を失うほのかを余所に、ひかりの肩を抱きながら淡々となぎさが言葉を続ける。
「色々と相談に乗ってるうちに、何だかふと愛おしく感じちゃってさ…。それで気付いたら、
もうどうしようも無いくらいに好きになっちゃって…」
「そんな…でも、アカネさんは?アカネさんはこの事…!?」
「アカネさんも知ってます」
縋る様にアカネの名を口にするほのかに、ひかりがピシャリと言い放つ。
「最初は凄く怒られたけど、今では逆に応援してもらってます…」
「あ……」
そして続く言葉に、ほのかが力なくうな垂れる。
無言の三人の間を、ピュウと冷たい風が吹き抜ける。
とその時―――
100 :
3/4:2006/01/22(日) 23:45:01 ID:???0
「はいそこまで!」
志穂と莉菜が明るい声でひょっこりと姿を現した。
「ヤッター!なぎさも九条さんもお疲れサマ!」
「いやー、見事に大成こ……」
「……なぎさ、ホントにひかりさんと付き合うの?」
「チョットチョットチョット雪城さん。だからホラ…」
「ドッキリだってば…」
表情を崩さないほのかに、志穂と莉奈が苦笑いしながら声をかける。
しかしそんな二人の声などは、ほのかにはまるで聞こえていない様子。
「ならばお願い…。せめて、せめて最後に―――」
そして哀しい笑顔でそこまで言うと、その瞳から抑えきれない感情が零れて来た。
「…涙?…ほのか、そんなにもあたしのコトを―――」
その涙に、ハッとした様にほのかを見つめるなぎさ。
こちらも涙を浮かべてほのかに駆け寄ると、ギュッと力強く抱きしめる。
「ゴメンね!ほのかがそんなに思っててくれてたなんて、あたし気付かなかった!」
「なぎさ!いいのよ…!」
「ほのか!ずっと離さない!」
「……エーッ!!?どういう事!?」
「まさかまさかまさか…!?」
目の前の光景に唖然とする志穂と莉奈。そして顔を見合わせ
「ありえなーい!!」
101 :
4/4:2006/01/22(日) 23:45:59 ID:???0
「……なーんてね♪」
「フフッ、大成功!」
その声と共に、なぎさとほのかが笑顔でお互いにパッと離れる。
突然の出来事にキョトンとする志穂と莉奈。そんな二人に満面の笑みでなぎさが近寄って行く。
「どう?驚いたでしょ!?逆ドッキリ大成功だね!」
「久保田さんも高清水さんもゴメンね?」
「志穂達から最初にこのドッキリ計画を聞いた時に閃いたんだ!
それでほのかに話して協力して貰ったってワケ!ちなみにひかりも全部知ってるよ!」
申し訳なさそうに手を合わせるほのかに続いてなぎさが得意げに説明する。
「…てことは、私たち…!?」
「やられた…しかもなぎさに…!もぅ、悔しいーっ!!」
「それにしても、さっきのは大成功だったね、ほのか!」
その日の帰り道、夕日を浴びながらなぎさがクスクスと笑い出す。
「そうね。…でもなぎさ?随分と迫真の演技だったけど、まさか本当に…なんてコトは無いわよね?」
「ちょ…!無いよ!あるワケ無いじゃん!」
「そう…?」
「あーっ!?疑ってるでしょ!?」
「ウフフ、ゴメン。冗談よ!」
いつものように仲良くイチャつく二人。
しかしそんな二人を密かに見つめる影が―――
「ヘヘヘ…、あたし達を騙そうなんて10年早いのよ」
「ウンウンウン。…あ、ホラ見て!ちょっとイイ感じ!?」
「あー、ダメだ…。なぎさったら本当にニブイんだから!」
「次はどうする?どうやったら二人が―――?」
以上でおしまい。
ラスト一回だし、一日に二個も投下しちゃう。
ところでMHが終わっても、ココは暫らくはなぎほのを続けてもいいのかしらん?
104 :
833@:2006/01/23(月) 00:05:14 ID:???0
いいとも!
コテ消し忘れてた…OTL
>>103 もちろんだぜ!! >なぎほの
というかおながいします…
このスレに2スレ目が立つなんて、誰が予想しえただろうか。
二個投下お疲れさまです!!やっぱなぎほの大好きだ〜(´д`*)
109 :
メロン名無しさん:2006/01/23(月) 13:42:46 ID:2peGVQtg0
これからもお話をお願いします。
「ウーン…!」
柔らかな日差しを浴びながら、ほのかが縁側で気持ち良さそうに伸びをする。
そして、上げた両手をユックリ下ろしながら「ふぅ」と息を吐き出す。
「ゥオーン…」
「あら、忠太郎もアクビ?今日は一日ヨロシクね」
「ワン!」
主に合わせるように体を伸ばした忠太郎に、ほのかが微笑みを向ける。
そう、お婆ちゃまが一日中お出かけだから、今日は二人?で仲良くお留守番。
―――さて、まずは何をしようかしら?
今日やらなきゃいけない事を、頬に手を当て暫らくジッと考えていたほのかだが、
やがて良い考えが浮かんだのか「うん!」と小さく頷いて、パタパタと自分の部屋に小走りに戻って行く。
そして机に向かうと、ノートを開いてペンを握って何やらメモメモし始める。
―――まずは…お洗濯ね
カリカリ…
―――その間にお掃除でしょ
カリカリ…
―――それから忠太郎のお散歩のついでにお買い物に行って
カリカリ…
―――お家に帰ってきたらお勉強
カリカリ…
―――そして……
「ヨシ、完成!」
「ほのか、それ何ミポ?」
不思議そうにコミューンから顔を出すミップルに、ほのかが優しい笑顔で説明する。
「コレ?コレはね、今日すべき事をノートに纏めたの。こうすれば、次に何をするべきなのかが一目瞭然でしょ!?」
「ふーん…。じゃあ早くお家に呼んだ方がいいミポ」
「呼ぶって誰を?ミップルたら何言ってるの!?今日は私一人で―――」
トンチンカンなミップルの言葉に苦笑いしながらノートを確認するほのか。
だけどそこには―――
―――お掃除、お洗濯。その間になぎさには忠太郎と遊んでて貰う
―――なぎさといっしょに忠太郎のお散歩。そのついでにお買い物
―――なぎさとお勉強。強化ポイントは数学
―――夕ご飯。メニューはなぎさの好きなハンバーグ
―――なぎさに……
なぎさなぎさなぎさ……山盛りの『なぎさ』にほのかが思わず我が目を疑う。
「ちょっと!何コレ!?私こんな事書いた覚え…!?」
「きっと無意識に書いたミポ。ほのかってばまるでメップルを思うミップルみたいミポ!」
「ミップルとメップル……そんな!私は……」
ウットリするミップルに、真っ赤な顔で必死に反論を試みる。だがその時―――ピンポーン
チャイムの音に渋々と一旦休止。玄関まで急き、ガラリと戸を開ける。
「ハイ、どなた―――なぎさ!?」
「お早う!ほのか!」
目の前に現れたなぎさの笑顔。ソレを見た瞬間、ほのかの胸がドキドキと高鳴りだす。
「ど、どうしたの一体…!?」
「折角の休日だもん。一人で居るよりも、ほのかと一緒に居た方が断然楽しいジャン!?だから来ちゃった!
でも、ひょっとしてお邪魔だった…?」
「ううん、そんなコトないよ!さあ早く上がって!?」
「うん!おじゃましまーす!」
よやくドキドキを静めて、笑顔でなぎさを迎え入れる。
とその時、再びひょっこりとミップルが顔を出す。
「ホラほのか、やっぱり二人は通じ合ってるミポ!」
「ミップル……フフ、そうかもね」
「何?何話してるの?」
「ううん、何でもナイ!…ところでなぎさ、今日は家で夕ご飯食べていかない?おいしいハンバーグご馳走してあげる!」
「ホントに!?うん!絶対食べてく!ヤッター、ハンバーグだー!」
―――フフッ、あんなに喜ぶなんて子供みたい!
―――ところで、さっきのノートの最後の予定ってなんだっけ?えーと、確か……?
それは―――『なぎさとお泊り』ですよ、ほのかサン!
以上でおしまい。
いい!
実にいい!
GJ×3
115 :
113:2006/01/28(土) 08:45:43 ID:???0
>>112で誤字った
よやく→ようやく
ゴメンナー
116 :
メロン名無しさん:2006/01/28(土) 09:39:40 ID:eSGlaZCL0
ドンマイ!
GJ!!いつもご苦労さまです!!
いよいよですな…明日が来なければいいと思う反面、明日が気になってしょうがないという自分ガイル…
「…という訳で、皆様にはこの学び舎で学んだ事を―――」
壇上では校長先生がにこやかに、だけどドコか寂しげに、アリガタイお言葉を口にしている。
そして、それを見つめる生徒達の表情も十人十色で人それぞれ。
ある者は誇らしげで、ある者は笑顔で、ある者は泣き顔で―――
そう、今日はベローネ学院中学の卒業式。
長いようで短かった3年間もとうとう本日でオシマイ。
慣れ親しんだ校舎、制服、そしてこの空気とも別れを告げる日がやって来たのである。
―――三年間、本当に色々な事があったよね…
そんな雰囲気の中、なぎさがふと今までの学園生活を思い出す。
―――友達も一杯出来たし
―――ラクロス部に入って、レギュラーになれて、優勝もして、そしてキャプテンにまでなっちゃったし
―――みんなと頑張った合唱コンクールや学園際も、凄く良い思い出
―――そうそう、修学旅行も楽しかったよね!
―――でも、やっぱり一番最高なのは
そして、隣にチラリと顔を向ける。
―――ほのかと知り合えたコト!
ニコッと笑顔を送るなぎさ。その視線に気付いたほのかも、同じく微笑みをなぎさに返す。
他の皆とは違う、濃密な二年間で築いてきた二人だけの特別な絆。
だからその笑顔を見ただけで、互いにちゃんと理解できる。
―――なぎさも同じ事思ってたのね。一番は出会えた事だって…
「―――それでは最後に校歌斉唱」
「終わっちゃったね…」
「そうね…」
式が終わった後、何だかんだで結局遅くまで残っていた二人。
人気の少なくなった校舎を名残惜しそうに見渡しながら、並んでユックリと歩いている。
「こうやって並んで帰るのも、中学では最後なんだよね…」
「何だか少し寂しいわね…」
「…高校でも同じクラスかな!?」
「大丈夫、きっと一緒よ!」
「うん、そうだね!きっと一緒だね!」
未来の不安を励まし合って、笑顔でウンと頷きを交わす。
そしてやがて学校を出て、例の川原に差し掛かった頃
「ところで、ねぇほのか?」
なぎさが少しモジモジしながらほのかに話しかけてきた。
「ん、何?」
「ほのかにね、今までの気持ちを込めたプレゼントがあるんだ…」
そのなぎさの言葉に、ほのかが嬉しそうに瞳を輝かせる。
「なぎさから?ナーニ!?」
「フフッ、ちょっと目を閉じてくれる?イチニのサンの後で目を開けてね!」
「え…こう?」
戸惑いながらも目を閉じたほのかを見て、なぎさがフッと一つ息を吐き出す。
「いい?じゃあ行くよ!?イチ、ニの―――」
―――チュッ
「なぎさ!?今のって…!?」
プレゼントの柔らかで甘い感触に顔を赤くするほのか。
そんなほのかに、なぎさが悪戯っぽく満面な笑顔で
「ほのか!ありがとう&あいしてる!!」
以上でおしまい。
本編と違っても気にしない!あとは泣かない!
GッッッJ!!!!胸打たれたよ…
でも泣かないぜ!笑顔が一番だからな!!
…ところでさっきから目から液体が流れて画面がよく見えない…ナゼダ(つД`)。・゚・゚
じんわりくるなあ・・・
いい。GJ!
ほっぺへの友情のキスでもいいからやってくれんかなぁ
朝が来なければいいのに。
そう願っていたのだが、空には綺麗な朝焼けが広がった。
後ろに ほのかと荷物の重いバッグを載せ、なぎさは若葉台の駅へゆっくりと自転車を走らせた。
坂道の途中で止まり なぎさは自転車を手で押した。ほのかも降り一緒に押した。
本当は、それほど重くもないのだけれど。
いつまでも続くと思ってた二人だけの時間。
その大切さをようやく実感したのは 二人が別れるその日だった。
朝早くの若葉台駅のホームには他の客も居なくて二人きり。
改札を通るだけの為の切符を、なぎさはぎゅっと握り締め、言った。
「ここまで、だね」
本当は空港まで見送っても良かったのだが、きっとその途中で泣いてしまうだろう。
涙で湿った旅立ちにしてはいけない。それじゃほのかが安心してパリに行けない。
最後の最後まで、立派に、ありったけの笑顔で。見送る事。
それが ほのかの為に自分が出来る唯一の事だとなぎさは思っていた。
電車が来なければいいのに。
そう願っていたのだが、電車は時間より少し早く来てしまった。
別れたくないのに。そう願っていても、別れなくてはならない。
どうしようもなく変えられない事だって、世の中にはある。
それこそが二人が知った一つの事実であった。
別れの電車へ乗り込む その小さな一歩が、二人をの距離を遠く引き離す大きな一歩。
電車と駅のホームの間を隔てる十数センチほどの隙間。
その隙間がまるで二人を永遠に別つ深い溝のようにも思えた。
「なぎ―――」「―――ほのか」
ほのかの言葉をなぎさが遮った。
「あっちの学校でも たくさん友達を作ってさ、それでボーイフレンドでも作ってさ
つらい事もあるだろうけど、楽しく、笑顔で、元気で、一生懸命 頑張ってね!」
それは全て、前もって用意してきた台詞だった。
なぎさなりに考えた大人としての、わきまえた形のお別れの挨拶。
きっとほのかも立派になった私を見て喜んでくれる。きっと安心してくれる。
「あと、これ、受け取って」
なぎさが用意していたのは端整に揃った薔薇の花束。
「こんなに沢山――」
「お小遣い 2か月分だから、あはは」
その冗談すらも全てあらかじめ あつらえた言葉。
別れの花としては、あまりに仰々しい薔薇の紅。その茎は棘すらも綺麗に抜かれていた。
「――こんなの、似合わないよ」
その瞳には涙こそ流れず ほのかの声は掠れ、ひどく物悲しい響きとなった。
「なぎさ――」
か細い声を必死に絞り出し、ほのかは続けた。
「―――いつか、また、会えるよね?」
なぎさは答える事ができなかった。
この笑顔を少しでも崩してしまえば、きっと大粒の涙が零れ落ちてしまうから。
泣いちゃダメなんだ。ほのかはきっと悲しむから。絶対にダメなんだ。
なぎさは何度も何度も自分に言い聞かせる。
何も言えず口を噤んだまま なぎさはほのかへ笑顔を向けた。
そんな なぎさの姿に対し、ほのかは黙って背を向けた。
そして、駅のホームに響くベルが二人の別れを告げた。
これで良かった――― そうだよね?
ほのかは安心して旅立てるよね?
でも、でも。 ほのかの、ほのかの背中は―――――
「―――――あっ」
なぎさの心の奥底から漏れたその声を、閉まるドアが遮った。
伝えそこなった その言葉をなぎさは ぐっとそのまま飲み込んだ。
ドア越しに見えたのは 小刻みに震えるほのかの背中。
なぎさはゆっくりと動き出す電車を ただ呆然と見送った。
これで良かった――― 本当に?
伝えたかったのに。 伝えられなかったのに。
でも、どうしても、伝えなくては、本当の本当を。
で、なければ、私達、きっと もう二度と――――。
朝焼けの静寂を切り裂いて自転車が線路沿いの道を風より疾く走り抜ける。
なぎさは全力でペダルを漕いだ。伝えたい言葉を一緒に乗せて。
頼むから届いて。何度もそう願った。
どうしようもない事も世の中にはある、だけど。
何度だって私達は乗り越えてきたじゃないか。
必死でペダルを踏み電車に並んだ。
部活で鍛えたちょっと太めの脚に今ばかりは感謝したい。
あのドアの向こうに見える後姿。幾度と無く見てきた。
ほのかの後姿。見間違うハズもない。
「ほっ」
この声が 大事なあの人へと届くならば、私の喉など裂けたって、構わない!
「 ほ の か ぁ ――――― ッ ッ !!! 」
ありったけ絞ったその叫びは ほのかを振り返らせた。
振り返った その頬には、冷たい涙が伝っていた。
やっぱり泣いていたんだ、ほのかは。
ほのかを乗せた電車に向け力の限り叫んだ。
「私!いつまでも!ほのかを待ってるから!
ずっと!ずっとずっと!待ってるから!」
伝えたいのは形だけの言葉じゃない。飾りすらも要らないこのストレートな気持ち。
なぎさを頬を掠める風は その瞳から零れる大粒の涙など吹き飛ばしてくれた。
電車はゆっくりとなぎさを引き離していく。
徐々に遠ざかるほのかの その唇が何か言葉を紡いでいる。
「あっ」
ほのかは続けた。
「ありがとう!」
伝わったよ。ほのか。
今度は私が伝えよう。
「あっ」
あのとき 言えなかった言葉の、その続きを。
「あいしてる!」
ほのかは頷いた。何度も、何度も。
ほのかは薔薇の花束の間に紛れた一本の霞草を見付けた。
純粋なまでに白く可憐なその花が ほのかにとって何よりも大切に思えた。
―完―
放送が終わっても物語は終わらないよう祈りを込めて投下。
最終回、どのような展開になっても大丈夫なように心構えはしておきます・・・
だから泣かせるんじゃ無い!
大丈夫、二人の物語りは終わらないよ
車輪の歌キタコレ。GJ。
でも出先だから見れるの明日以降…。
133 :
1/3:2006/01/29(日) 23:48:32 ID:???0
「ハァ…」
寝室で一人、アカネが真剣な顔で何やら眺めながら溜め息をつく。
「ヤッパリ厳しいなー。まぁ、ひかるが悪い訳じゃないんだけどね…」
そして静かにソレを閉じ、ドサッとベッドに倒れこむ。
「でも、遠ざかっちゃったかな…あたしの夢」
少し寂しそうに呟いて、もう一度ハァと息を吐いて電気を消す。
「しょうがない。夢はベッドの中で見ようかな…」
その声が小さく消えて行った時、一つの影がそっとドアから離れて行った。
―――アカネさん…私が何とかします
・ ・ ・
―――翌日
「いらっしゃい……あ、なぎささん!」
その言葉通り、視線の先には買い物袋を抱えたなぎさの姿。テーブル拭きを中断して、笑顔で近寄り話しかける。
「今日はお一人なんですか?」
「うん、今日はお母さんの買い物のついで!…ところで、アレ?アカネさんとひかるは?」
「二人でデパートまで行ってます」
ひかりの説明に、フーンと納得してなぎさが椅子に腰掛ける。
「じゃあいつもの一つヨロシクね!」
134 :
2/3:2006/01/29(日) 23:49:23 ID:???0
なぎさの注文に厨房に立つひかり。いつの間に覚えたのか手馴れた手つきで素早くタコ焼きを作り上げていく。
「お待たせしました!」
「え!?どしたのコレ!?いつもより3個も多いじゃん!」
「はい、それは―――」
「まさかサービス!?」
「みたいなモノです」
微妙な言い回しで答えるひかり。
だけどそんな事を気にすることも無く、なぎさがにんまり笑顔で――「頂きマス!」
そしてあっという間に――「ご馳走サマ!」
「じゃあハイ、お代!お釣りは要らないよ」
口の周りの青海苔を紙ナプキンで拭き取りながら、なぎさがひかりにお代を渡す。
「足りません」
「だからお釣りは……って、ハイ!?今なんて…」
想定外のひかりの言葉に、なぎさが思わず聞き返す。
「さっきの3個の分が足りないと言う事です」
「だってサービスって…」
「とは言ってません。みたいなモノって言ったんです!」
「そんな!そんなの…」
「ダメです!駄目ったらダメ!」
強硬になぎさの言葉を突っぱねるひかり。とその時―――
「珍しい!あんた達、二人で何もめてるの?」
「アカネさん、聞いて下さいよ!ひかりったらあたしから余計にお金を…」
「何!?ひかり、ちょっとどう言う事!?」
アカネに問い詰められ観念したのか、ひかりが俯きながら理由を話し始めた。
「…私、昨日聞いちゃったんです――――――」
135 :
3/3:2006/01/29(日) 23:51:12 ID:???0
「―――と言う訳です」
「アッハッハッ!そんな事心配してたの!?」
「だって大事な事じゃないですか!もし苦しいならば言って下さい、そしたら私…」
豪快に笑うアカネに、ひかりが涙目で心に抱いていた思いを打ち明ける。
「大丈夫だよ、家計の方は平気だって!」
「え?でも…」
「本当に大丈夫だって。それに昨日ひかりが聞いたのは家計の事じゃないんだよ。アレは…ペットの雑誌見てたんだ」
「ペット…?」
零れる涙を袖でゴシゴシと拭いて、キョトンとした目でアカネを見つめる。
「そう。家のアパートはペットOKだからね、だからいつか犬でも飼いたいなってずっと思ってたんだ。
でもひかるが来ちゃったでしょ?で、もうムリかな…なんて思ってたってワケ」
「アカネさん…」
結局はチョット恥ずかしい勘違い。だけどひかりの顔には、照れよりも喜びの笑顔が広がっている。
「そうそう、笑って笑って!ひかりには笑顔が一番だからさ!ね、ひかる!?」
「うん!」
そんなやり取りをコチラも笑顔で見ていたなぎさ。
さて帰ろうかな…と静かに一歩足を踏み出そうとする。
しかし―――
「ところでなぎさ、ヤッパリ3個分のお代は払ってね!」
「エエッ!?ありえない!」
以上でおしまい。
今日は泣いちゃった…エヘヘ
しかしひかるも増えちゃったし、絶対に火の車になると思うんだよね。
それとも、全てを生み出す力でどうにかするのだろうか?
GJ!いつもいつもお疲れ様です。
MH終わりましたけどこれからも名作をよろしく。
女手一つで子供2人養うアカネさん大変だww
アカひかのとばっちりうけるとはなぎさお気の毒にw
最終回を生で見た時は泣かなかったけど2回目の時結果わかってるのに涙がボロボロと…
俺ももう一回書こうかな
でも下手だからしばらく読むの専門かなw
このスレ…涙が溢れる程に素晴らしいよ(つд`)
GJ尽くしで感謝の言葉もないよ!!
ずっと繋がってるなぎほのに感動し、金払わされるなぎさにワロタwありがとう!
139 :
メロン名無しさん:2006/02/03(金) 17:30:26 ID:jBfo0OqC0
このスレもいづれ咲舞中心に話が出てくるんだろうなー…咲舞を拒絶してる訳ではないが
ちょっと寂しい気もするな
強引になぎほのも入れてしまえ
自分はどっちも平行で愛していくぜ!!!!
なぎほのの高校生活が見たいぜ
>142
二人の活躍は終わってしまったが、逆に妄想のしがいがあるってもんよ
>>141 おっしゃるとーり!なぎほのも咲舞も両方楽しめばいいのさ
そうそう。
なぎほのも咲舞もプリキュアなんだからどっちもOK
「遅いな…」
陽も西に沈もうとする夕暮れ時、時計台をチラリと見上げながらなぎさが一人で待ちぼうけ。
ぼんやりと周囲を見渡すと、目に入るのはそこかしこで身を寄せ合いながら歩くカップル達の仲睦まじい姿。
―――ハァ…早く来ないかな…
「それにしても…」
―――ピュウゥゥッ!
「うー寒い!マフラーしてくれば良かった。昼間は結構暖かかったんだけど…」
吹きすさぶ寒風にブルッと身を震わせながら、少しでも体を温めようと小刻みに足踏みを繰り返す。
そんな時ようやく―――
「お待たせ!」
待ちに待ったその声に、なぎさがちょっと拗ねた様に――しかしどこか笑顔で――視線を向ける。
「もぅ遅いよ!待ちくたびれちゃった…」
「ゴメンね!?洗濯物取り込んでたり、忠太郎のお散歩に行ってたりしたら遅くなっちゃった…」
「いいよ!その代わりに今日はうーんと付き合ってもらうんだから!」
「フフッ、覚悟してマス!」
大げさに手で円を描いて「うーんと」を強調するなぎさに、ほのかが楽しそうに笑顔を零す。
とその時再び―――ピュウゥゥッ!
「うひゃ!」
「なぎさ、寒いの?私のマフラー使う?」
冷たさに思わず悲鳴を上げるなぎさに、心配そうに声をかけるほのか。
「え?いいよ。だってそうしたらほのかが寒いでしょ?」
「でも、なぎさはずっと待ってたんだし…」
そう言いながらマフラーを外し、そっとなぎさに手渡す。
手渡されたマフラーをジッと見つめていたなぎさ。だがやがて、何事かを閃いたのかパッと顔を上げた。
「じゃあ、こうしよう!?」
そしてその言葉と共にマフラーの片方をほのかの首へ、そしてもう片方を自分の首へ―――
「コレで解決!」
「なぎさぁ…なんか恥ずかしいよ…」
「でも、これならお互いに暖かいでしょ!?」
恥かしそうに俯くほのかにニッコリとなぎさが笑顔で答える。
だがその時、鼻の頭に冷たいモノがチロリ…
「…雪?ウン雪だ!ほのか、雪だよ!」
「本当!それにしても嬉しそうね、なぎさ」
「うん!だって雪が降ると雪合戦とかカマクラとか作れるでしょ!?それに―――」
一旦言葉を止め、開いた手の平に雪が舞い落ちて来るのを待つ。
そしてそれを確認すると再び口を開く。
「それに、ほのかみたいだしね!」
「私みたい…?」
「だってホラ、『雪しろ』ほのか…でしょ!?」
「もぅなぎさったらぁ!笑わせないでよ!」
だんだん強く降ってくる雪の中、なぎさとほのかがアハハと笑いあう。
そんな二人に街行く人々も不思議そうな、けれどどこか温かな視線を送りながら通り過ぎて行く。
一つのマフラーで包まれる二人。体だけでなく心も底の方からポカポカになって来る。
「行こうか!?」
「行きましょ!」
やがて笑顔を交わして、降りしきる雪の中、一歩を踏み出して行く。
この分だと明日はきっと一面の銀世界。
そんな素敵な朝を、二人はどこで迎えるのかな?
自分の部屋で一人で?家族と一緒?それとも………一緒に?
以上でおしまい。
咲と舞はまだ良く分からんや・・・
いつもいつもGJGJ
なぎほのが2人で相合いマフラーしてると周りの雪も溶けてしまうw
ええい、あんたにはこの言葉がお似合いよ!!
GJ神!!
GJ神よありがとう!!!!
1
学校帰りの午後、美翔舞は自宅とは反対方向の電車に乗って
ちょっと遠くの街までお使いでおばあちゃんの家を訪ねにやって来たのだ
舞のお父さんとお母さんは何度も
「お母さん、一人暮らしでは寂しいでしょう」
「お義母様、一緒に住みましょうよ」
と誘っているのに「一人のほうが気が楽なんですよ」と笑って相手にしない
そこで…舞がたまに、おばあちゃまの家に様子を見る為に訪ねると言うわけだ
古くからのお屋敷が並ぶ閑静な住宅街の一角に目指すおばあちゃまの家がある
大きな造りの門の前に来ると舞は大きく深呼吸をする
いつものおばあちゃまの家を訪れるとココで深呼吸をする
甘い香りを胸いっぱいに吸い込んだ「良い香り…」
舞のおばあちゃまはこの古い屋敷で一人暮らしで、
日がな一日ビーカーを暖めフラスコを冷やし天秤で量り混ぜ合わせて
オリジナルの香水を調合して愉しんでいる
門を勢いよく開くと――♪わん!わん♪――
この屋敷の番犬のお出迎え「忠次郎、こんにちは!」
「あらあら、いらっしゃい」
「こんにちは、おばあちゃま」
屋敷に入ると割烹着姿のおばあちゃま
透きとおる様な白い肌、しみ一つ無く「おばあちゃま」と呼ぶのが躊躇われる
「舞の好きなチョコレートケーキを沢山作って待ってましたよ」
「もう!おばあちゃまったら!舞はもう子供じゃないんだから…
でも…とっても美味しそう!」
「いっぱい食べて下さいね」
「美味しい!でもこんなに食べたら太っちゃう!」
「舞ったら、そんな事気にするようになったのね、
誰か好きな人でも出来たの?」
――好きな人…頭の中にぽわゃゃゃぁん、となぜだか知らないが
日向咲の顔が思い浮かんで慌てて消した
もう!なんで好きな人って聞かれて咲の顔が浮かぶのかしら?
そんな様子をニコニコしながら眺めるおばあちゃまの視線に恥ずかしくなる
「おばあちゃま、ずるいわ!私ばっかり、
ねえ、おばあちゃまの初恋ってどんなんだったの?聞かせて!」
「あらあら、何ですか舞ったら…」
舞がしつこくせがむとぽつりぽつりとおばあちゃまは話してくれた
舞と同じ中学生の頃、同級生に恋をしたこと
明るい色の髪が陽が差すと金色に見えて美しかった事
スポーツ万能の癖にカナズチな事
ちょっと子供っぽい所もありけんかもした事…
「…おばあちゃま?…眠っちゃったの?」
話し疲れたのかおばあちゃまは飲みかけの紅茶を前に静かな寝息をたてていた
「うふふ…お休みなさい、おばあちゃま」そっと毛布を掛けると舞は帰る事にした
陽の沈んだ薄暗い道、まだおばあちゃまの家の甘い匂いがうつったセーターに
身体を包み急ぎ足で駅に向かう
「あれ?そう言えばおばあちゃまってベローネ学院に通ってたんじゃなかったっけ?
ベローネは女子部と男子部に分かれた学校のはず…同級生?」
――どんっ!
「きゃっ!」
考え事に夢中になっていた舞は曲がり角を走ってきた人と
出会い頭にぶつかってしまった
「ゴメンゴメン!お嬢ちゃん、怪我は無かった?」
尻餅ついた御尻をさすりながら差し出された手を握る
見上げるとおばあちゃまと同じ位の歳の老婦人
「こちらこそごめんなさい、お怪我はありませんでしたか?」
「平気、平気!」そう言いながら舞の服についたホコリを払ってくれた
爽やかな涼風の様な老婦人は舞の顔を見つめハッとした顔
「あの…何か…?」
「…あなたもしかして、雪城ってお名前?」
「…?いいえ、私は美翔って言います」
「みしょう…ああ、美翔ね!そうかそうか、
うふふ、じゃあまた近いうち会えるかもね!じゃあ気をつけて帰るんだよ」
舞の返事も聞かず老婦人は振り向きもせず
片手を軽く挙げてさっさと歩き出した
――まったくなぎさはいくつになってもそそっかしいメポ
――うっさいわね!
「独り言なんか言っちゃって変なおばあちゃん」
後姿を見送る舞は老婦人の髪が夕日に映えて金色に見えた
「あ…!もしかして…」
おしまい
GJ!・・・なんだけど、年取った二人を想像したら
なんかこう胸が切なくなってくる
157 :
メロン名無しさん:2006/02/10(金) 22:22:00 ID:aLGhepJV0
ついに取った普通自動車の運転免許証。 お祝いにおばあちゃまから買ってもらった
軽のワゴンR、えっと・・メーカーはどこだっけ?に乗って今日はなぎさと海辺にドライブなの
助手席のなぎさは、まだわたしの運転心配なのかはらはらして見守ってるの
「ねえ、ほのかぁ・・お腹すいたよう、どっかに止まって休憩しようよ」
いやねえ、なぎさってば、もう少しで海が近いのに・・・
「なぎさ、あと少しだからがまんして、ほらチョコでもたべてなさい」
わたしが板チョコを差し出すとなぎさは満面の笑みを浮かべてそれを丸ごと頬張る、
もう・・子供なんだからなぎさは・・
「なぎさ、見て!海よ綺麗でしょーー!」
「ほんとだーー、でもお腹すいたーーー」
今板チョコ全部平らげたくせに、もうこれだ
「ねえ?ほのか、向こうの方に手を振ってる人が居るよ?」
「え?」
見ると前方に「乗せてください」のプラカードを持ち上げてさかんに手を振っている女の子が二人いた
ふたりとも見た感じ中学生ぐらいだ、そしてなぜか二人ともハンティング帽を前に深くかぶっている
「乗せてくださいだってーーー」
「ヒッチハイカーね」
「どうするのほのか?乗っけるの?」
「うーーん・・どうしようかなぁ・・・」
「乗せるなんてありえなーーい、今から食事だよ?」
「でも・・・」
「無視よこんなの」
「でも困ってたらかわいそうだし・・」
結局わたしは車を止め、二人の女子中学生を乗せてしまった・・・でもそれが悲劇のはじまりになろうとはそのときは思わなかった
158 :
メロン名無しさん:2006/02/10(金) 22:49:02 ID:aLGhepJV0
「どうもありがとうナリ〜!さっきから立ちっぱなしで疲れてたナリよ〜」
色黒で丸顔、髪をカールして織り込んだ金髪の太い女の子が答えた
「ふうぅ・・」
もうひとりの狐目にポニーテールとストレートがまざったみたいな黒髪のヘアーの子が
深呼吸する
「あなたたち、どこから来たの」
「あっちのほう」狐目が下来た方角を指す
「あっちじゃわかないナリよ舞ちゃん、ちゃんと言うナリ」
太い方が狐目をうながす
「わたしたちはあの後ろの岡の上の神社のほうから来ました」
「なんで?」
なぎさが訊ねる
「その・・わたしたち、駆け落ちするために家出してきたんです、そのために神社で待ち合わせしたんです」
「えええーーーーーー!!」
おもわず顔を見合わせるわたしとなぎさ
「駆け落ち?女の子同士で?」
ひとのことは言ってられないが・・・
「こら、舞ちゃんそこまでいわなくても」
「ごめんなさい・・」
なんてことだ、中学生でしかも女の子同士で駆け落ちなんて、世も末ね・・・
「あなたたち、行くところは決まったの?」
「そうそう、いざ駆け落ちったって中学生二人で行くところなんてないよ」
「それが、あるナリよwニヤ!」
なんなの?!
「おとなしくするナリ・・・」
いきなりわたしの首の後ろに拳銃?を突きつける太い方
「ありえなーーい!」
今度は狐目の銃がなぎさの首に向けられる
「カージャック・・・みたいね・・・」
「ふふふふ・・・今からわたしたちの行きたい場所まで車を走らせろ」
「抵抗すれば打つわよ!」
絶体絶命!まだ免許証をとったばかりだというのに・・
「若葉台まで行ってもらおうか」
「若葉台?!若葉台ってわたしたちが来たところよ」
「そうなりか、じゃあまっすぐ若葉台に引き返すナリ」
「若葉台に行ってなにするのよーー」
「プリキュアとしてその町を牛耳る」
プリキュア?この子たちもプリキュアだったんだ!!
「若葉台には、なんでもわたしたちとは違うプリキュアがいると聞いたわ」
狐目が語る
「そいつらは、今では町の伝説となってるそうじゃないナリか」
「わたしたちという者がいながら。そんな奴らをはびこらせておくわけにはいかないの」
なっ・・・なんて!自分勝手な奴らなのかしら!いい加減に腹が立ってきた
159 :
メロン名無しさん:2006/02/10(金) 23:05:33 ID:aLGhepJV0
わたしはこんな奴らには断固屈してはならないと心に誓った
「あのねえ・・あなたたち、若葉台のプリキュアって・・」
「しっ!なぎさ・・」
「どうしたナリ?若葉台のプリキュアはあたいらよりもまさか美人ナリか?」
「さっ・・さあ、みたことないから・・・w」
そのときだ、なにかがクンクン匂う、臭い!まるでエタノール
「うわああーーこの人おもらししてるよーーー」
なぎさだった
「ごめーーん、だって怖くて怖くって・・・・ブルブル」
「まさか、だいの方も・・」
「うん」
車の中が汚物のにおいで充満したとてもいれたもんじゃない
わたしたは車を道路わきの空きスペースにとめると、なぎさを引っ張り脱出した
車には当然鍵をかけた
「くさーーーい!出してよーーー!!」
狐目がわめく
「これはタマラン!くさくて死にそうナリーーー!!」
なみだ目で苦痛を訴える太いの
ざあまあ見ろ、窒息して死んじまえ!
わたしたちは、車をそのまま放棄して一番近くのパンやでパンを買い海岸で食事を
とることにした、そして待つこと1時間10分
車のなかをあけてみると・・・
その後、せっかく買った車はなぎさのせいで廃車になり、わたしたちは今獄中で
仲むずまじく生活している。
END
これは酷い
>153->155
なんとなくホロリとしてしまった…(つд`)GJ!
内容よりもいちいち語尾にナリをつけるほうが酷い。
まあ既にアホキャラ認定されてるしな…>咲
内容はまあ乙かれさんと。
ひかりは今日は休みの日なのでちょっと渋谷まで遠出をしてみた
ひ「何このひとだかり、何かのお祭りなの・・・」
ポ「ひかり、今日はなんの用があってここまできたポポ」
ひ「別に用はないんだけど、ただ都会の街中を歩いてみたくて」
ひかりは渋谷のあまりの人の多さにびっくりしていた
ひ「あったこ焼き屋さんがある」
ひかりは渋谷の繁華街にあるたこ焼き屋を見つけた
ひ「・・・ぼったくりたこ焼き、どんなたこ焼きなんだろ」
ひかりはそこでたこ焼きを買った、しかし
ひ「何これ、たこ焼きの中にたこは入ってないし、ソースはケチャップソースだし
しかも5個入りで一万5000円なんて高すぎる」
ひかりは抗議しにいった
ひ「なんなんですかこのたこ焼きは、はっきりいってひどすぎます!!」
店長「なんだとこのガキァーー!!俺のたこ焼きに文句つけるのかコラァーー!!」
あまりの怖さに泣きそうになるひかりだが怯まない
ひ「こっこのたこ焼きたこははいってないし、5個で一万5000円は高すぎると思うんです
しかもタバコを吸いながらたこ焼き作るなんて・・・・最低です!!」
店長「・・・・・おいサブ、このお嬢ちゃんをかわいがってやんな」
サブ「ヘイ兄貴」
ひかりはサブに腕を掴まれ店の奥に引きずりこまれようとされた
ひ「やめてください!!キャッ・・ヤダ!!」
サブ「つべこべいわずこっちこいクソガキ!!」
と、その時
ポ「やめるポポーー!!!!」
店長、サブ「うわァァァァァァーーーー!!!!」
ポルンの力で2人は意識を失った
ひ「ありがとうポルン助けてくれて」
その日の夜アカネさんに今日の出来事を話したひかり
ア「ひかり、もうそういうあぶない所にいっちゃダメだよ」
ひ「はい・・反省してます・・・」
そして就寝
ア「んっ!!ひかりどうしたの?」
ひ「あの・・・なんか怖くて・・一緒に寝てもいいですか」
ア「いいよ・・もう今日のことなんか早く忘れちゃいな、ね」
ひ「はい・・・・」
ひかりの休日はこうして幕を閉じた
ひかりたんのありったけの勇気(*´Д`)テラモエス
期末テストが返ってきた
ひ「えっ・・・ウソ・・・」
点数を見て驚愕した
ひ「数学が36点、理科が40点・・・そんな・・・」
美「奈緒、テストどうだった」
奈「まあまあかな、数学が60点だったけどね」
ひ「え・・・(奈緒よりも低いの)」
美「ひかりはテストどうだったの」
ひ「えっ・・・うんまあまあかな、あはは」
奈「ひかりは頭いいからね・・そういや40点以下は補習なんだって」
美「さすがに40点以下なんてないよね〜」
奈「そうだよね〜しっかり勉強してれば45点は固いし」
ひ「・・・・・・・・・・・・」
奈「どうしたのひかり?」
ひ「ううん・・・なんでもない・・・・・」
どうしても現実を受け止められないひかり、そして放課後
ア「そういえばテストの結果どうだったのひかり」
ひ「えっ・・・まあまあでしたよ・・・」
ア「?、ひかりもしかして・・そうとう悪い点数取ったんじゃ・・・」
ひ「・・・・・・・・はい・・・」
とうとう現実を受け止めたひかり
ア「36点!!ひかりどうしたの中間より50点も下がっちゃったじゃない!!」
ひ「すみません!!中間テストがよかったんで調子にのってました、反省してます」
ア「まさかひかりがこんな点取るなんて・・なぎさじゃあるまいし」
ひ「はい・・・・・」
ア「とりあえず追試があるんでしょ、それまでお店はいいから勉強してな、それから
こづかいも減らすからね」
ひ「・・・はい・・・」
次の日 押し入れの整理をいていたひかり
ひ「ん?なにかしらこれ・・・藤田あかね 数学30点・・・」
アカネさんの昔の数学の答案だった
ひ「・・・・・・・・・・・・」
その夜アカネさんにこれを突きつけこづかい値下げだけは見逃してもらえたひかりでした
すごく・・・ダメ出ししたいです・・・
強気なひかりも
(・∀・)イイ!!
14日はバレンタインデー
奈「チョコ買ってきたけどあげる勇気ないな〜」
美「奈緒バスケ部の先輩のために手作りしてきたんでしょ」
奈「そうなんだけど・・・やっぱダメだ!!」
そこにひかりがやってきた
ひ「奈緒、美羽、はいこれ」
奈「・・・ひっひかり、これって!!」
ひ「?今日バレンタインでしょ、だから2人に・・はい、受け取って」
奈「(それってひかりがあたし達のこと・・・・)」
美「(そんな・・急にそんなこと言われても心の準備が・・・)」
ひ「?」
奈「ありがとう・・でもひかりさすがにフタマタはよくないよ、どっちが選んでくれないと」
ひ「??」
美「そうだよひかり!気持ちはうれしいけど・・・やっぱ私か奈緒どちらかを選んで!!」
ひ「???」
奈「大丈夫だよひかり、どっちかがひかりに選ばれなくてもあたし達の友情がこんなことで
壊れたりしないから、さああたしと美羽どっちと付き合うの!!」
ひ「????」
奈「あたし男子部に憧れの先輩がいるけどひかりとだったら・・・」
美「私もひかりとだったら・・・」
ひ「?????・・・あの・・2人とも」
奈、美「さぁ、覚悟はできてる付き合いたい方の手を握って!!」
ひ「あの・・・・2人とも・・・何か勘違いを・・・・・」
ひかりは2人に誤解を解こうとした
奈「なんだ〜そういうことだったの」
美「も〜うバレンタインは女子が好きな男子にチョコあげる日なんだよ」
奈「ひかり変なとこ無知だよね・・・」
ひ「・・・すみません・・・・」
奈「(もう〜ドキドキして損しちゃった)」
美「(ひかりだったらお付き合いしてもよかったのに・・・)」
ひ「でも今朝ほのかさんがなぎささんにチョコ渡してるのみたけど・・・じゃああれは」
奈、美「えっ!!ウソ!!」
一気に一年全体にそのことが知れ渡ったのでした
170 :
1/2:2006/02/12(日) 21:22:29 ID:???0
「……っ」
声をかけようとして、思わず言葉を飲み込んだ。
夕日を浴びてキラメクその横顔に、胸がドキドキと高鳴って、身体がカッと熱くなる。
そんな胸の内を気付かれないように、そっと茜色の空を見上げて深呼吸。
―――ふぅ、落ち着いて…ってアレ?コレって何だか…
何だかデジャビュ。いつかどこかで経験したようなこの光景。
不思議に思う頭に、一年前の今日という日が鮮やかに蘇ってくる。
―――そう言えば、去年は渡せなかったんだよね
事前に色々リサーチして、好きな味も好きな形だってちゃんと調べたのに
精一杯に心を込めて手作りしたのに、結局自分で食べる羽目になっちゃって…
ハァ…あたしってばホントに意気地無し…
肩を落とし、心の中でため息をついて、過去の自分にダメを出す。
だけどそれも一瞬。スグに視線を上げて
―――でも今年は大丈夫
と、落ち行く夕日に決意を誓う。
―――だって、一年前のあたしじゃないもん
この一年で勇気を手に入れたんだから!
だからホラ、さぁなぎさ!
ドキドキを静める様にフーと息を吐いて、ギュッと手に力を込める。そして―――
「…ほのか!」
171 :
2/2:2006/02/12(日) 21:24:14 ID:???0
「ほのかコレ…」
かすれそうな小さな声で、なぎさが手にした包みをスッとほのかに差し出す。
「これって…チョコレート?」
「うん…あの…友チョコだけどね」
始めはキョトンとしていたほのかだが、そんななぎさの言葉に
「ありがとう、なぎさ!」
と、パッと笑顔になる。
そして繊細なガラス細工を扱うようにそっと受け取ると、入れ替わりに鞄から何かを取り出して―――
「ハイなぎさ、私からも!」
「え?ほのか、マサカ…」
「ウフフ、チョコレート!」
驚くなぎさに少し顔を赤らめながらほのかが言葉を続ける。
「私のだって友チョコだからね?」
「ううん!ありがとう!」
飛び切り笑顔で感謝を言って、なぎさが友チョコと呼ぶには少しばかり立派なソレを受け取る。
「すっごく嬉しいよ!」
「フフッ、私だって!」
そして互いにしっかりと胸に抱きながら、再び二人が並んで歩き出す。
幸せ一杯夢一杯な帰り道。
だけどいつの間にかハッキリと姿を現した月を見て、なぎさがふと大事な事を思い出した。
―――アレ?結局今年も渡せただけだったような気が…
―――でもまぁいいかな?だって去年より一歩前進だもんね!?
去年より今年、今年より来年。そうやって一歩一歩進んで行けばいいんだよね!?
だから来年は絶対に気持ちを伝えられる、絶対に!
ウン、ありったけの笑顔で!
「ところで、ねぇほのか?」
「なーに、なぎさ?」
「これなんだけど、チョコっとだけココで食べてもイイ?」
「ダーメ!お家に帰ってからね」
以上でおしまい。
バレンタインGJ!!(´д`*)
闘うひかりちゃん その2
材料の買い出しに出かけたひかり
ひ「えっと、これで全部ね・・・」
お店から出てしばらく歩いていると不良女子高生達がタバコをすっていた
女1「そろそろ帰ろっか」
女2「そうだね」
女3「あ〜あ、たり〜よなほんと」
女子高生は吸っていたタバコを道端にポイ捨てした、それをみたひかりは
ひ「ちょっと待ってください!!」
女1「ああ・・・」
ひ「タバコのポイ捨てはよくないと思います、というより未成年がタバコを吸うこと自体
がいけないことだと思います」
女1「何だと・・・」
女2「誰に喧嘩売ってるのかわかってんのかテメー」
あまりの迫力にたじろぐひかりだが怯まない
ひ「ポイ捨てしたタバコをちゃんと拾ってください、そしてタバコじたいも捨ててください」
女1「・・・・しめた方がいいねこのガキ」
女3「ちょっとそこまで面かしな」
路地裏に連れていかれたひかり
ひ「な・・何をする気ですか・・・」
女1「ちょっと痛い目にあわせるだけさ」
ひ「!?」
女2「それがいやならここで土下座して誤りな!!そうすれば勘弁してやるよ」
ひ「い・・いやです・・・私ま・・まちがえたこと・・し・・していません・・」
女3「強情なガキだね〜」
ひ「私は・・あなたたちには屈しません・・・」
女1「とかいって震えてんじゃねーか」
女2「最後のチャンスだ、その可愛い顔を傷つけられたくなかったら謝んな!!」
恐怖のあまり震えるひかりだが
ひ「い・・・いやです!!」
女1「クッ・・・やっちまいな!!!」
女2、3「おう!!」
もうだめかと思ったその時
ア「何やってんの!!あんた達!!」
女1「やべ!!たこ焼きのババアだ」
ア「誰がババアだ!!私はまだピチピチの20代だ!!」
女1,2,3「逃げろ〜!!」
間一髪のところでアカネさんが助けにきてくれた、ひかりはことの成り行きを話した
ア「あいつらここらへんじゃタチの悪い○○女子高の不良どもだよ、だめだよあんなのに
かかわっちゃ・・・」
ひ「でも・・でも・・あの人たちがいけないことしてたから・・・」
ア「そういうときは一人でなんとかしようとしないで、誰かに大声をあげて助けを求めたり
しなけりゃだめだよ」
ひ「・・・はい・・すみませんでした・・・」
その後その女子高生たちは条例違反で補導されたらしい
闘うひかり…健気でいいよ(つд`)!!
志穂「GJGJGJ〜!!」
ヒカリズム、ルミナスイズムが息づいているね。GJ
闘うひかりちゃん ファイナル
ある日の出来事、奈緒と美羽がタコカフェにきた
奈「このクレープひかりが作ったんだ」
ひ「うん・・あんまりうまくできなかったけど」
美「そんなことないよ、すごくうまくできてるよ」
他愛の無い会話をしていると二人の男の客がきた
たこ焼きを頼んだ二人の男、ひかりがたこ焼きを調理していると
奈「ちょっと・・やめてよ!!」
美「やめてください!!」
何があったのかとひかりが見に行くと
男1「いいじゃねーか・・俺達と遊ぼうぜ」
男2「君達中学生でしょ、可愛いな〜」
2人の男が奈緒美羽をナンパしていた
ひ「奈緒美羽」
奈、美「ひかり」
男1「何!?君もこの子達の友達なんだ」
男2「ちょうどいいや、君も一緒に遊びにいこうぜ」
ひ「あ・・あのお店もありますし・・それに知らない人にはついていくなって
アカネさんが・・・」
男1「そんなかてーこといわないでさ、いこーよ」
奈「しつこいわよ!!いかないっていってんでしょ!!」
バチン!!
ひ、美「奈緒!!!」
男1が奈緒に殴りかかった
ひ「何をするんですか!!」
男1「このアマ、人がやさしくしてりゃつけあがりがって!!」
男2「男の怖さをよーく教えてやらなきゃな」
美「奈緒!!・・大丈夫・・」
奈「う・・・うん・・・」
奈緒は恐怖に震えていた
ひ「・・・帰ってください!!」
男1「あ!?俺達は客だぜ」
ひ「あなた達にお出しするものはありません、いますぐに帰ってください!!」
男1「このガキーー!!」
胸ぐらをつかまれたひかり
男1「男を舐めるとどうなるかおしえてやんよ!!!」
ひかりも恐怖に怯えるが怯まない、親友の奈緒を傷つけたことが一番許せなかった
とその時ひかりは以前アカネさんから教わった護身術を思い出した
ひ「えい!!!」
男1「#$&%$#$%$""$&'&%$()&&())%$$#」
美「そうか・・・よーし・・えい!!!」
男2「#$%$#$&'('&%$$%&'(()))(&%$##」
思いっきり男の股間を蹴り飛ばした
2人に蹴りの威力はないが思いっきりヒットしたし何より股間を蹴られたら男はジ・エンド
うずくまってる2人の男を尻目にひかりはたまたま通りかかった警察にことの成り行きを話した
男ふたりは連れていかれた
ひ「奈緒・・・もう平気だからね」
奈「うん・・・私ももう大丈夫・・ありがとう」
美「もう奈緒・・心配させないでよ・・」
奈「だって〜まさか殴られるなんて思わなかったんだもん」
ひ「でもみんな無事でよかった〜」
美「それにしてもひかりが男の人の股間蹴るなんてね」
ひ「ええっ!!・・・」
奈「普段のひかりからは考えられないよね」
ひ「もう・・・恥ずかしいからやめてよ2人とも・・」
こうしてタコカフェの平和は守られた
180 :
メロン名無しさん:2006/02/15(水) 23:50:49 ID:OejrJArD0
アカネさんの店が突如閉店した。 理由はタコカフェキッチンを買った子供のたちの
親御さんたちが、番組終了を期に一気にメーカーに苦情、メーカー側はその怒りの矛先
をタコカフェとその店主菊池茜に向けたのだった。
アカネ「ちっくしょーーー!バ○ダイめ〜!責任ぜんぶウチにぶつけやがってーー!(涙)」
ひかり「アカネさん・・・どうしましょう損害賠償請求がもうこんなに・・・」
アカネ「バ○ダイが悪い・・バ○ダイが悪い・・バン○ダイが・・・ブツブツ・・」
ポルン「ポルンにまかせるといいポポ!」
ひかり「ポルン、なにか手が?」
ポルン「ぼくに綱渡りや、簡単な踊りを仕込んで見世物小屋を開けば儲かるポポ」
アカネ「そうか!その手があったか!あったまいいねえポルンちゃーん」
ポルン「照れるポポ・・」
ひかり「駄目ですよアカネさーーん、ポルンはまがりなりにも光の園の王子なんですよ、見世物にするなんてとんでもない」
アカネ「そうかあ・・」
ポルン「ぼく頑張るポポーー!大丈夫ポポよひかり〜」
アカネ「ポルンがそういってくれてるんだしさ、いいじゃん」
ひかり「でも・・・」
アカネ「そんなこと言ったって今は物凄くせっぱつまってんだよひかり、奇麗事いってらんないんだ」
ポルン「ぼく、まずダンスを習いたいポポ」
アカネ「ダンスかあ・・誰かダンスが出来る奴いなかったかねえ・・・」
そこにタコカフェ閉店の悲報を聞きつけて、なぎさとほのかが来た
なぎさ「アカネさーーん!タコカフェ潰れるのーー?!」
ほのか「ありえなーーい!」
アカネ「えっ・・ええ、今日でもう・・」
ほのか「バカねえ、アカネさん去年あれほどやめといたらっていったじゃないですか!」
なぎさ「そう、そう、タコカフェの玩具化なんて一年で廃れるから辞めなさいって言ったじゃないですか」
アカネ「うっさいなーー!この期に及んでわたしに説教する気か?おまえら!」
ひかり「やめてください、アカネさん!」
ポルン「そうポポ、ポルンがなんとかするポポ」
なぎさ「えーーーー?!!ポルンにダンスを教えろですってーーー?!」
ほのか「ダンスといっても、わたしたちもよく知らないのに・・?!」
アカネ「ごめん、あんたたちしか頼れるのがいないんだ」
ポルン「なぎしゃ、教えるポポw」
181 :
メロン名無しさん:2006/02/16(木) 00:06:37 ID:36IxpWfU0
ほのか「ポルン、どんな具体的にはどんなダンスをしたいの?」
なぎさ「そうよねえ・・wダンスったって色々あるし・・」
ポルン「そんなのダンスだったらなんでもいいポポ!」
ほのか「そう、じゃあ阿波踊りでもやれば?」プイッ
なぎさ「あああ・・・そうだね、阿波踊りが一番簡単かも・・」
ポルン「あわおじょり・・?」
アカネ「あんたたち!まじめに考えてないだろ!」
ほのか「だって、そんなこといってもわたしたちダンスがわからないんだもの!」
アカネ「あんたら高校生だろうが!ダンスぐらい知ってるはずだろ!」
なぎさ「そんな、無責任なこといわれても困わよねえ・・」
ほのか「高校生だからってなんで詳しいなんていわれなくちゃいけないの?」
ひかり「アカネさん・・もうこの人たち協力する気がさらさらないみたいです、諦めましょうよ」
アカネ「ふん!今までのご恩はなんだったのさ!顔見知りだからってわざわざ値段安くしてやってたらふく食わしてやって・・
それでなんだ、この態度は!」
ひかり「自己破産しましょう・・アカネさん、サラ金だけは、間違ってもサラ金には...」
アカネ「あはははは・・・もうなにもかも終わったんだひかりぃ・・あいつらも裏切ったし!」マッチに火をつける
ひかり「なりません!屋台に火をつけては!この店はアカネさんの夢のお城のはずだったじゃないですか!」必死に屋台をかばうひかり
アカネ「でいてよひかりーーー!もう誰もあたしを止められないんだーーあははははははーーはひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃーーーw!」
END
何で惨状になっちゃうんだ?
183 :
メロン名無しさん:2006/02/16(木) 14:08:09 ID:zOIH0elr0
ポルン「はやまっちゃだめポポ!ポリュンがなんとかしゅるといってるんだポポーー!」
アカネ「だまれーーー!!おまえも燃やすかーーー!!」
ひかり「いい加減にしてください!!」バシッ!
アカネ「痛ってぇ〜」
ひかり「アカネさん、自分のことばかり考えてないでも少しわたしたちのことを考えてください!」
ポルン「しょうだポポ!」
アカネ「ひかり・・ポルン」
ひかり「あの人たちが協力しないのなら、わたしがポルンに芸を仕込んで見せます!」
ポルン「ポポーーっ!」歓喜の声を上げるポルン
アカネ「そう・・か・・わたし、なにやってたんだろ・・」
ひかり「アカネさん、なんでも問題をひとりだけでかかえようとしないで」
アカネ「ゴメンね・・ひかり、ポルン・・・みんなわたしの家族だよ・・(涙)」
パチパチパチ・・
なぎさ「やったね、(涙)これでアカネさんもやっと気づいた・・」
ほのか「わたしたち信じてよかった・・(涙)」
ひかり「なぎささん、ほのかさん?」
アカネ「あっ・・あんたたち、わたしを試そうとしてわざと突き放したわけ?」
ほのか「うん、だって今のアカネさんは売り上げ至上主義で儲けることばかり考えていたんですもの」
なぎさ「最近のたこ焼の味も落ちてきたし・・」
アカネ「ごめんね、あんたたち・・これからは心を入れ替えて頑張るからさ」
ポルン「ポリュンも頑張るポポ!」
パチパチパチ・・・
日向咲「うわああ〜んw・・泣ける話ナリ〜」
美翔舞「ほんとう・・・絵に描いた餅みたいな話ねw」
アカネ「だれだい、あんたら?!
184 :
メロン名無しさん:2006/02/16(木) 14:29:52 ID:zOIH0elr0
咲「わたしたち、賠償金の取立てに来たエージェントナリよ」
舞「さあ、あこぎな真似はよして、とっとと払いなさい!」
ほのか「待って〜!アカネさんはまだお金の都合が・・」
なぎさ「ありえなーーい!取立てに来るの早すぎない?!」
アカネ「あああ・・・ああ・・」
ポルン「ポポ〜?」
アカネ「一千万、一千万なんてそんな金は・・」
舞「なんですかーー?まだこのワゴン売りに出してなかったの?」
ひかり「売りになんてだせますか!このワゴンがなかったらアカネさんにはなにも残らなくなります!」
ポルン「そうだポポ!アカネさんの再起がなくなるポポ!」
咲「ふーーん、かわいい動物ナリねぇ〜wこの子もらっていくナリ」
ひかり「やめて!」
舞「ふうん・・珍獣ね、売ればもしかしたら結構なお金になるかもね」
ポルン「嫌だポポ、嫌だポポ・・お金なら僕がダンスをして払うからつれていかないでポポ」
アカネ「おねがいします!この子だけは、どーーしても!(涙)」
なぎほの「アカネさんが土下座してる!」
なぎ「もう黙っちゃおけないわ!」
ほの「なぎさぁ〜」
なぎ「さっきから見てりゃなんなのあんたら!無理やりポルンを売り飛ばそうとしたり、アカネさんに土下座させたり
血も涙もないの?!」
咲「なんなりか?こっちは商売でやってるナリ、邪魔されちゃ困るナリよ」
なぎ「なにがナリだーーー!!今すぐ帰れーーー!!」
咲「おっと殴るナリか?」
舞「ぼうりょくはんたーーい」
咲「あたいらのバックには何百人もの訴訟主がいるなりよ」
なぎ「くう・・・」
アカネ「そうだ、ひかり・・変身しなよ、ルミナスに・・」
ひかり「え?!今ですか!」
185 :
メロン名無しさん:2006/02/16(木) 14:44:50 ID:zOIH0elr0
ひかり「わかりました、変身します、ポルン!」
ポルン「ポポー!」ルミナス変身!
シャイニールミナス見参!
咲「うああ?!いきなんナリか?」
舞「変身したの?それで?」
シャイニールミナス「わたしは光の使者シャイニールミナス!さあポルンを放しなさい!」
ほのか「ひかりちゃん!変身したってしょうがないでしょ」
なぎさ「そうよ、こいつら単なる取立て屋じゃん」
咲「だいぶ派手な衣装ナリな、もしかして金粉?」
舞「おかねがないなら、この衣装でもいいわねえ」
ほのか「いわんこっちゃない・・・!」
ルミナス「さあ、わたしの顔に従い、ポルンを開放しなさい」
咲「駄目ナリ」
ルミナス「どうしてですか?怖くないんですか?」
舞「その衣装ももらってくわ」
ルミナスを脱がしにかかる、咲舞
ルミナス「やめてーーー!!」
アカネ「うあああ・・・これじゃあ逆効果だあ・・」
舞「この珍獣とこの子の衣装をあわせて合計900万前後」
咲「あとの百万円はワゴンを売って作るナリw」
アカネ「終わった・・・なにもかもが・・・」
ひかり「さむい・・さむいよう・・」
こうして茜はタコカフェキッチン購入者の損害賠償金を全額支払った、しかしその後、その町で
の彼女とひかりの消息は完全にとだえた
完・・・。
つまんねー
何だコイツ
187 :
メロン名無しさん:2006/02/16(木) 18:13:33 ID:uh6rRhZG0
ギィッ、と病室のドアを開けると、ベッドから上半身を起こしてぼんやりと窓の外を見つめる少女の姿があった。
「こんにちは、翔子さん。気分はどうですか?」
翔子と呼ばれたその少女は、医師の呼びかけに一瞬振り返ったものの、すぐまた窓のほうへと視線を向けてしまった。
そもそも、今の彼女のうつろな瞳に、窓の外の風景が認識できているのかどうかすら、疑わしい有様であった。
北関東のとある町のはずれにある、その古びた療養所に彼女がやってきてから、もう間もなく一年になろうとしていた。
雑木林の中で、全身に深い傷を負って倒れていたところを発見され、運び込まれてきたのだ。
当初は命さえ危ぶまれる状態であったが、医師達の努力と本人の驚異的な生命力とによって、身体的には奇跡的な回復を遂げた。
だが、彼女の記憶だけは、「翔子」という本人の名前らしきもの以外、全く失われたままだった。もちろん記憶を呼び戻す為に様々な
方法が試みられたが、芳しい結果は得られなかった。彼女は無意識のうちに、自らの記憶が戻ることを拒んでいるのではないか。
真顔でそう言う医師さえいた。
本来ならば、このような状態の患者の救うものは、何よりも家族や周囲の人間の献身的な介護なのであるが、発見されたときに身元を
証明するものを一切所持していなかった彼女に頼るべき身寄りなどあろうはずもなく、かくてこの少女は薄暗い病室で無為に時を過ごす
ことになったのである。
「今日はいい天気ですね。ちょっと外を散歩してみましょうか」
医師に促され、翔子は看護師の手を借りてのろのろと病室を出た。彼女の病室から療養所の外へ出るには、外来患者もいる一般病棟を
通って正面の玄関に出なければならなかった。「記憶喪失の謎の少女」の噂は、病院職員はもちろん、通院している患者達の間でさえ
有名であった。翔子が待合室の前を通り過ぎるとき、ざわめいていた声はささやきに変わり、奇異の眼が一斉に彼女に集まった。
その時、待合室のテレビが時報の音と共にニュースの画面に変わった。トップニュースは外国での火山噴火の被害を伝えるものだった。
アナウンサーの声とともに、テレビには凄まじい勢いで立ち上る噴煙と激しく流れ出る溶岩流が映し出された。それを見た翔子は足を止め、
食い入るようにその映像を見つめた。
「どうしたんですか?何か・・・」医者が言い終わる前に、翔子は獣のような叫び声を上げて暴れ始めた。長椅子がひっくり返り、運悪く
待合室に居合わせた患者達は悲鳴を上げて逃げ惑った。看護師達は彼女を押さえつけようとしたが、到底人のものとは思えないほどの力で
投げ飛ばされてしまった。騒ぎに気付いた職員達が数人がかりでようやく押さえ込むと、強力な鎮静剤が翔子の腕に注射され、彼女は
ようやく静かになった。
翔子の意識は闇の中を漂っていた。それはどこまでも際限なく続くかと思えるほど深い闇だったが、不思議と恐怖感はなかった。
ここが自分の生まれた場所だから怖くないのだ。翔子にはその事が理解できた。彼女の意識が暗闇に溶けていこうとしたその時、
それを遮るかのように声が聞こえた。「だめだ。お前はここに来てはならない」
「なぜ?私は闇から生まれたのよ。ここ以外のどこに私の居場所があるって言うの?」翔子は問いかけた。すると、また別の声が響いた。
「忘れたのか。私達が自由を求めて戦ったことを。全てを食い尽くす力から自分達を解放する為に」
そんな事もあった、と翔子は思った。しかし、結局私達はジャアクキングに取り込まれてしまった。所詮は無駄なあがきだった。
闇に生まれたものは闇に還る、それが運命じゃない。
「・・・そんな事は無い。運命は自らの手で切り開くものだ。あの『光の使者』達が、それを証明して見せたではないか」
「だって、あの娘たちは光の戦士で、私は・・・」
「光の戦士に出来たことが、闇の戦士に出来ないという理屈がどこにある。お前は生きろ。そして今度こそ『自由』を手にしてくれ。
それが、私達二人の最後の願いだ」
次の瞬間、翔子を大きな衝撃が襲った。抵抗することも出来ないまま、彼女の意識は闇の世界から弾き飛ばされていった。
翔子が目を開けたとき、真っ先に視界に飛び込んできたのは、白衣を着て険しい表情で自分を見下ろす男女の姿だった。
「・・・ここ・・・・・・病院・・・?」
起き上がろうとしたが身動きが取れない。暴れたりしないように、ベッドに両手両足を縛り付けられていたのだ。
「あのー・・・、これ、どういうことなんですか?なんでわたし、縛られてるの・・・?」
翔子は自分の状態に驚いたが、まわりの医師や看護師の驚きはそれ以上だった。「あなた、自分のこと、わかるんですか!?」
どうして彼女が記憶を取り戻したのか、医学的には皆目見当がつかなかった。いずれにしても、彼女はやがて療養所を出て、
外の世界へと旅立っていくことになる。病室の中に閉じこもっていれば飢え死にすることは無いだろうが、そんな篭の中の小鳥のような
自由の無い人生が、幸福な人生とは決して言えないだろう。
庭に咲く桜草の花が、療養所に春の訪れを告げていた。
レギーネのキャラ変は最高だったな
ダークシードの生き様には感動したよ。
彼らはいつか人間として幸せになってほしい。
GJでした!!
「ただいまー」
「お帰りなぎさ。そうだ、手紙来てたわよ、ハイ」
「誰から?……ほのかからだ!」
母の手から奪う様に手紙を受け取って、なぎさが自分の部屋に駆け戻る。
そしてベッドに腰を下ろし、はやる気持ちを抑えて慎重に封を開ける。
「ほのかの字だ…」
まずは書かれている字をそっとなぞり、それから内容へと意識を向ける。
―――Dear なぎさ
元気でいますか?私は元気です。こっちはまだまだ寒いけど、日本はそろそろ暖かくなって来る頃かしら?
「…うん、暖かいよ」
―――今日お家の側で美味しいチョコレートのお店を見つけました!
なぎさにも是非食べてもらいたいな。そうだ!パリに来たらごちそうしてあげる!
「パリに来たらって…もう、ほのかったら!無理なの知っててそういう事言うんだから!」
―――でも、やっぱりアカネさんのたこ焼きには負けるかな?
毎日のように食べてたのがまるで夢のようで、すごく懐かしいです。
あの味も、アカネさんも、ひかりさんも、みんなも、全部懐かしい…
―――お父さんとお母さんが居るから寂しくは無いけれど、こればっかりはしょうがないよね?
あ、でも一つだけ寂しいことがあったかな…
「寂しいことって何だろう…?」
―――なぎさがいないこと。なぎさが私の側にいない事がたまらなく寂しい
「ほのか…」
―――なぎさの声が聞きたい。笑顔が見たい。なぎさに会いたい…
あれ?なんだか変な手紙になっちゃたね!?こんな事じゃダメだよね!
そうそう、そう言えば―――
そこから先は、もう読むことが出来なかった。
とめどなく溢れる涙が、手紙に幾つもの染みを作って行く。
「ほのか、ほのか…っ」
「なぎさ…泣くなメポ」
「でも…でも…!」
「泣いたってどうにもならないメポ」
「そんな!メップルは寂しくないの!?ミップルに会えなくて辛くないの!?私は寂しいよ!」
まるで責めるようななぎさの口調。
そんななぎさの剣幕に、少し呆れたようにメップルが
「春休みに両親に会いに行っただけメポ…来週には戻ってくるメポ」
「…そうだけど、でも…」
「それよりお腹減ったメポ!ご飯にするメポ!」
「うるさい!!」
「あーっ!?それはオムプじゃなくてネルプ……zzz」
「あーあ、ほのか早く帰ってこないかな!?」
以上でおしまい。
雪城ほのかと藤村省吾、通称藤Pは幼馴染
ご近所に住む二人だから二人肩を並べて下校するのは当たり前の光景で…
「なあ、ほのか今日は何の日か覚えてる?」
「…今日は二月十四日でしょう?」
「だからさあ…」
「うふふ、バレンタインディって事でしょう、それ位は憶えてるわよ!」
「だ・か・ら!何か忘れてない?」
「…?…」
「さっきからほのかのカバンからチョコレートのイイ香りがするんだけど?」
「藤村クンはもてるから、学校で沢山貰ったんでしょう?欲張りねえ!」
「えええ!?俺バレンタインのチョコなんて貰ったこと無いよ」
そう!カッコよくて頭もイイ!サッカーも巧い!
完璧な藤Pはカッコよすぎるが故にオンナノコ達からは
「藤村クンは高嶺の花…くすん」
「藤P先輩はきっと素敵な彼女が居るに違いない!」
って事でみんな遠慮しちゃうから藤Pはコレまでに一回も!
バレンタインチョコを貰った事が無いのです!―――ザマミロ!…えへんオホン…
「ほら義理チョコってやつ、毎年くれるだろう?
ほのかの作ったチョコ美味しいからなあ、楽しみにしてるんだけど」
「うふふ、今年は駄〜目!コレは藤村クンに作ったんじゃないんだから!」
「…ああ…そうなんだ…」
ずっと小さな子供の頃から遊んでいて妹みたいに思っていた
雪城ほのかがついに…バレンタインチョコを誰かに渡す…
そんな年頃になっちゃったのか…
サビシクもあり、ほのかからチョコレートを貰う奴に嫉妬めいた気持ちがメラメラと
「なあ、ほのか、相手は誰なんだい?」
「なぎさよ」
「なぎさ?なぎさって…美墨さんの事?」
「そうよ、それ以外に誰か居る?」
「…アハハ!何だそうか、美墨さんか…アハハ!」
なあんだ、オンナノコにチョコ渡すなんてほのかの奴は、まだまだ子供だなあ
そんな事ないんですよ藤村クン
おしまい
いいよ!みんなイイ!!
ほんとにみなさんGJです!!いい仕事しすぎ!!
あえて言わせて
ありがとう&あいしてる!
藤P〜〜〜〜!木俣はどうした!!
ふじP心理がかかれるのは新鮮だな
GB!
「ほのかちゃん、良かったら一緒に帰らない?」
「ゴメンなさい。なぎさと約束してるから…」
そう言いながら去って行くほのかの後姿に木俣がハァと息を吐く。
―――やっぱ脈無しなのかな…。そう言えば去年の遊園地でだってまるで無関心だったし、
冬のスキー旅行でだってサクッとスルーされたよな…
「ハァ〜」
もう一度大きくため息をつく。とその時
「どうしたんだ、木俣?ため息なんかついちゃって…」
現れたのは藤村省吾――通称『藤P』ほのかの幼馴染の完璧超人。
「藤Pか…何でもない、お前にゃ分かんねーよ」
「親友の俺にも言えない事なのか?」
「まぁそう言う事だな…」
―――お前には一生縁の無い話だよ
心の中で拗ねる木俣。だがその時、彼の頭にある考えが閃いた。
「…ところでさ、お前好きな女子とか居ないの?」
「好きな女子?考えたことも無かったな…。今はサッカーに夢中だからさ」
―――もったいないヤツだな…
そんな藤Pの答えに呆れながらも木俣が話を続ける。
「ほのかちゃんなんかどうなんだ?お前ら仲良いだろ?」
「バカ言うな!ほのかはただの幼馴染だよ!」
「ハハ、冗談だよ!…でも最近、ほのかちゃん好きな人が出来たらしいぜ?」
もちろん今考えたウソ。だけどそのウソに藤Pはあっさりと引っかかった。
「本当か!?相手は誰なんだ?」
「いやー俺も噂に聞いた程度だからな…。でも、気になるなら一度確かめてみたらどうだ?」
「ああ、そうしてみるよ!」
―――翌日
「なあほのか!?」
「藤村君!?突然どうしたの?」
登校中のほのかを、前触れも無く現れた藤Pが呼び止める。
そして「ちょっと来てくれないか?」と強引に物陰へと手を引っ張って行く。
「ほのか、好きな人が出来たって聞いたんだけど、本当なのか?」
「いきなり何言い出すの!?」
「ちょっと噂を聞いたんだよ。ほのかに好きな人が出来たって言う噂を…」
イキナリな藤Pの言葉に、さすがのほのかも驚きを隠せない。
だがそれも一瞬、すぐに冷静さを取り戻し、静かに答えを口にした。
「本当よ…」
「だ、誰なんだ?相手はどんなヤツなんだ!?」
「そんなに慌てちゃって藤村君らしく無いよ?」
「当たり前だろ!ほのかは俺の妹みたいなもんなんだから!」
いつに無く必死な藤P。そんな彼の様子にほのかがクスクスと笑いを零す。
「大丈夫よ、凄い素敵なヒトだから。でもね―――」
そしてチョット悪戯な微笑みを向け
「そう言う事を聞くのは野暮ってモンよ!ふ・じ・ぴー!」
「―――て訳でさ、誰だかは教えてくれなかったけどお前の言った通りだったよ。…ん?どうした木俣?」
「いや…ナンでも無い…」
ウソから出たマコトに木俣がガックリと肩を落とす。
―――だよな。ほのかちゃんだって女の子だもんな…あーチクショウ!
それにしても、あんな可愛い子に惚れられるってどんなヤツなんだよ!?
「ほのか、一緒に帰ろう!?」
「なぎさ!うん!」
以上でおしまい。
木俣・・・かわいそうなやつ
藤Pは兄貴としてきになったのかそれともw
自分もSS書かせて頂きます。
待ってました大統領!
>>207 あのスレの人かな?
なら老婆心だけど、長いなら途切れ途切れよりも
一気に投下してくれた方が有り難い。
卒業式を終えて、校舎の裏での事。
「なぎさ・・・お願い!やめて!その事は・・・断ったはずよ・・・!!」
「でも・・!!あたしはほのかの事が好きなのよ!!藤p先輩よりも・・・!!!
やっぱり・・ほのかの事が・・・一番好きなのよ!!」
「だけど・・・私達は女の子同士なのよ・・!!そんなの考えられないわよ・・・」
「そんなの関係ない!!たとえ女同士だからって・・・!」
「ちょっと・・・!!なぎさ何するの・・・やめてったら!!人が来たらどうするの?!」
「構わないよ!あたしはほのかの事を・・・愛してるんだもん!!」
ほのかの体を抱きしめ、無理やりキスを迫るなぎさだがその時。
パーンッ!!一瞬なぎさの頬に激痛が走ったと思ったらたちまち赤くなった。
ほのかが咄嗟に、反射的になぎさの頬を張ったのだった。
「あっ・・・・ご!ごめんなさい!!わたし・・・わたし・・・・」
思わずなぎさの頬を張ってしまった事に後悔しながら謝るも
なぎさは頬をさすりながら、俯きがちに呆然と立っていた。
しかし、「そう・・・わかったよ・・・じゃあこれでサヨナラだね・・・ほのか・・・」
と、なぎさはそのまま頬をさすりながら、恨めしそうにほのかを半ば睨み付ける様に
して「でも・・・あたしは・・・絶対に諦めないからね・・・!!」
と言うと、ニヤリと含み笑いを残して後ろを振り返り、そのまま学校を立ち去った。
2年間も一緒に戦い、親友として付き合ってきたもののあっけない幕切れだった様に
ほのかには思われた。
その後、卒業式からそれぞれ別々の高校へ進学する事に
なったなぎさとほのかは、あの唐突の別れから約半年、お互いに音沙汰は
無かった・・・・。
なぎさはベローネ学院の高等部に進学し、ほのかはフランスの
名門高校へ編入した。
しかし、ほのかに思いもよらなかった事が起こる。
それは両親が日本で仕事が出来るようになったのだ。
そこで、ほのかは日本へ帰国し、再びベローネ学院高等部に編入することになった。
ほのかが転校してくる事を知った、中等部からの友達は大喜びで楽しみに
していた。
そして転校初日、ほのかは少し緊張した面持ちで学校へ行った。
まず、職員室で担任の先生に挨拶を交わすと、「じゃあ、まずは
自己紹介からすることにしましょうね」と言われた。
そして一時間目のチャイムが鳴ると同時に、ほのかがこれから学ぶ
教室の中に先生と二人で入っていった。
先生の後を追うように、少し照れながらほのかは教壇に上がると
先生の隣に並んだ。
クラスメイトはざわざわしだした。
中には中等部の級友だった者が「雪城さん・・!!」と呼ぶ声などが聞こえた。
「はいはい!静かに! 今日は以前から言っていたように
皆さんと今日から一緒にこの教室で勉強する事になった
転校生を紹介します。中等部からこの学校にいた人はもう知ってると
思うけど・・・。雪城ほのかさんだ!みんな仲良くするように!
雪城さん?じゃあ自己紹介してください」
「あっ・・・はい・・・!!今日から皆さんとこのクラスで一緒に
勉強する事になりました雪城ほのかです・・宜しくお願いします・・・!」
ほのかは緊張しながらも深々と頭を下げると教室から拍手が起こった。
「はい、じゃあ・・ええと・・・・雪城さんの席はぁと・・・」
と先生が言いかけると、一番前の席に座っていた生徒が「はい!先生!」と
挙手をするや立ち上がり「美墨さんの隣が空いてまーす!!」と叫んだ。
しかし、ほのかは「美墨なぎさ」と言う名前を聞いた瞬間、懐かしさと共に
今日学校に来て一番胸が締め付けられそうになるくらいの緊張が全身を襲った。
「あっ!そうだったわね・・・じゃあ雪城さん?あの一番後ろで悪いんだけど
あそこにいる美墨さんの隣に座ってくれる?」と担任は言うと指を指した。
それまで、緊張のあまり俯いていたほのかは、先生の指先を指した方を
ゆっくりと見上げると・・・確かにそこにはかつての【親友だった】
美墨なぎさが座っていた。なぎさはほのかと目が合うとそれまでキョトンと
して無表情だったが、軽く微笑みながら会釈をした。
本来なら、大親友だったほのかが帰って来たのだし自分の隣に席がなったのだから
喜んでもいいはずの二人だったが、やはり半年前の事がまだ二人の間に大きな
壁となっていたのだった。
「雪城さん?聞いてる?」
あまりの突然の事に呆然としていたほのかに
担任は再度声をかけた。ほのかもはっと我に帰って
「あ!はい!分かりました!」と答えた。
ほのかは緊張のあまり足が震え出して、中々一歩を踏み出す事が出来なかったが
勇気を振り絞り、ゆっくりと教壇から降りると、自分の席に向かって歩き出した。
ほのかが歩いている筋の両側の生徒はほのかに注目していたが、ほのかの視界には
もはや入っていなかった。
ほのかは、少し呼吸が荒くなってるような変な気もしたが、これは心臓の
鼓動があまりにも早くなってるせいよと、元化学部ならではの当たり前な
論理的思考が働きそう自分を言い聞かせていたが、とうとう自分の席に
着いた途端、嫌が追う無くなぎさに顔を向け「宜しく・・・」と小さく呟くように言った。
するとなぎさも何かよそよそしい感じで作り笑いをしながら「こちらこそ・・・
宜しく・・・」と言った。
ほのかは震えた手で椅子を引くとゆっくりと腰を下ろして
授業の用意をすぐにした。
すると教壇から「雪城さんは美墨さんに教科書を見せてもらって下さいね」
と声がした。
ほのかは自分が今日転校初日だと言う事をすっかり忘れるくらいに
気が動転してしまっていた。
ノートと筆記用具だけ机に並べると、隣からすっと手が伸びてきた。
なぎさが教科書をほのかの前に差し出してきたのだった。
そして自分も見るためになぎさはすぅっと体をほのかの方へ擦り寄るかのように
椅子をずらしながら寄って来た。そしてほのかの方を少し見ると
軽く笑みを浮かべた。
ほのかの頭の中はもう、殆ど何も考えられない状態になりかけていた。
「ど・・どうしよう・・・・なぎさが・・・なぎさの顔が・・・わたしの顔のすぐ隣に・・・」
ほのかは顔を教科書に向けたまま目だけをゆっくりとなぎさの方へ向けた
すると・・・なぎさも同じように目だけをほのかに向けていた。
その瞬間、お互いぱっと視線を背けると教科書の半分を持っているほのかの
手がガタガタと震え出してた。教科書のもう片方を持っていたなぎさはすぐに
そのほのかの手の震えが自分の手にも伝わり、「ほのか・・・やっぱり
緊張してるんだ・・・・」と思った。
215 :
207:2006/02/24(金) 16:03:31 ID:???0
>>209 どうもです。
確かに自分でもそうしたいのですが
ちょっとPCの都合上、一気に長文を投稿するのは
困難なので、途切れ途切れになりがちですが、ご容赦下さい。
出来るだけ、区切りのイイ所で投稿していく努力はしますので。
ちなみに
>>210−
>>214は自分の投稿です。
216 :
207:2006/02/24(金) 16:15:17 ID:???0
なぎさは、「やっぱり自分が中学の卒業式の日にあんな事を言ったからだ」と
ほのかに申し訳ない気持ちで胸がキュンと締め付けられる思いで一杯だった。
そして震える手で教科書の片方を握り締めてるほのかの耳に顔を寄せ
「ほのか・・・?あの時はゴメンね・・・」と小さく囁いた。
その瞬間、ほのかはビクっと体を震わせたかと思うと、恐る恐る
なぎさの方をゆっくりと向いた。
なぎさは目をうるわせ、少し頬を赤らめながらほのかを見つめていた。
しかし、なぎさのその表情を見た瞬間、ほのかは脳裏にあの日の事が
鮮明に浮かび上がり、我慢できずにまるで何かの恐怖から背けるかのように
顔を俯け目を思い切り閉じた。
なぎさは、「あっ・・・・」と言うと、ほのかがやはりまだあの日の事で
傷ついている事を知らしめられた思いがした。
その後、結局二人はその授業中はそれ以来目も合わせられないまま
終わるのを待った。
wktk
218 :
207:2006/02/24(金) 16:34:34 ID:???0
そして、二人は教科書を握ったままこの重苦しい状況から
速く逃れたいと思いつつ、早く授業が終わってくれ事を
願っていた。
すると、休み時間のチャイムがようやく響き渡り
二人の耳に入ってきた。
すると、「ありがと・・・」となぎさの隣で手を震わせながら教科書を
握っていたほのかはなぎさに言うと、慌てた面持ちで急いで筆記用具を
机の中に押し込むと教室から出て行こうとした。
しかし、走り去ろうとしてるほのかの後ろからなぎさが「ほのか・・!!」
と弱々しいが、大きな声で叫んだ。
「あの・・・あたし・・・ほのかに話があるの・・・きちんと話したくて・・・」
とまだ全部言い終えるのを待つ様子も無く
「あ・・ご・・ごめんなさい・・・わたし・・ちょっと先生に話があるから・・・」
となぎさから逃げるように教室から走り去っていった。
なぎさはその場で一人呆然と立ち尽くしていたが
机の上の教科書を直そうとしてそれを持つと「はっ!」と
違和感に気づいた。
先ほどまで、ほのかが握っていた部分が汗をたっぷりと含んで
しわしわにふやけてしまっていた。
なぎさは「ほのかったら・・・こんなにも緊張していたの・・・」
そう言うとなぎさは何となくその部分を指で触ってみた。
べっとりとほのかの汗の感触と臭いがなぎさの指先と鼻に
強烈な刺激を与えた。なぎさは頭がボォっとして
そのまま思わずその部分に顔を近づけようとした瞬間
はっ!と我に帰り「あたしったら!こんな時に何考えてんだバカ!
こんなだから、ほのかにきらわれちゃったんじゃないか!!」
と自分で心の中で叫びながら教科書を急いで机に押し込み
椅子に座るや、机の上に顔を突っ伏した。
219 :
207:2006/02/24(金) 16:58:29 ID:???0
そして、そんな常態で一日の授業が終わろうとしていた
終礼の時間、担任が突然クラスの全員に声をかけた。
「あのね、ちょっとみんな聞いて頂戴!誰か一番前の席で座ってる人で
雪城さんと席を替わってくれる人はいないかしらー!!」
担任のあまりの唐突な発言にクラス全員ざわめき出した。
特になぎさの驚きようは大きかった。
なぎさはほのかの方を「どういうこと?」と言う表情で見つめたが
ほのかは横目でチラッとなぎさを見ると、すぐに目を背けるかのように俯いた。
「あのね、一時間目が終わった休み時間にね雪城さんからちょっと
相談があってね・・・やっぱり一番後ろの席じゃぁ黒板も見にくくて
先生の声も聞こえづらいんだって・・・!!それに雪城さんは転校してきた
ばかりだから、まだここでの授業にも慣れていないしね・・・
だからやっぱり、授業が聞きやすい一番前の席がいいと思ってね・・」
少し相談する時間を与えていると、一番前の席の一人が
「わたし、替わってあげてもいいですよー!!」と嬉しそうに手を挙げて
叫んだ。
「ほんと?良かった助かるわ!じゃあ雪城さんはこの一番前に
席を移動してくださいねぇ!!」
担任がそう言うと、ほのかは「あ!はい!」と俯いていた顔を慌てて上げ
机の中のモノやカバンを持って、急ぎ足で一番前の席に座った。
その一部始終を見せ付けられたなぎさは、声をかけることも出来ずに
一体何が起こったのかといった様子で呆然とほのかの方を見るしかなかったが
暫くするとその顔もみるみる泣きそうなくらい悲しい表情に変わっていった。
前から、ほのかと席を替わったクラスメイトがやってきて
「宜しくね、美墨さん?」と声をかけて来たが
なぎさは上の空でじぃっとほのかの方を見つめていた。
そのクラスメイトも「変な感じ・・・」と思いながらそのまま
もう声もかけずになぎさをそっとしておいてあげた。
「はい!じゃあ今日はここまでにしましょう!!学級委員?」
と担任が言うと、学級委員らしき生徒が「起立!礼!」と言った。
そして物騒がしく一斉に生徒が教室から退出し下校していった。
一番前の席のほのかも他の生徒の群集に紛れ込まれながら教室から出て行った。
なぎさはほのかの姿が見えなくなるまでそこでじっと見つめていたが
やがて自分も教室から出て下校した。
せ、せつね〜
続きが気になる…(*´▽`)
222 :
207:2006/02/24(金) 20:31:17 ID:???0
そろそろ続きです。
223 :
207:2006/02/24(金) 20:31:56 ID:???0
その日の晩から、なぎさはずっと暗い表情をしていた。
夕飯の席でも、あまりのなぎさの暗い表情に、父親と
母親は心配して「どうしたの?」と尋ねてきたが
「ご馳走様・・・」と言うと、まだ全部食べ終わっていないまま
なぎさは自分の部屋へと戻った。
なぎさはベッドの上にうつ伏せに寝転ぶと、今日一日の事を
思い返していた。
「ほのか・・・やっぱりまだ怒ってるのかな・・・?はぁ・・・あたし・・・
どうして、あの時あんな事言っちゃったんだろう・・・しかもキスまで
無理やり迫って!バカバカ!あたしのバカア!!」
なぎさは両手で枕を叩きながら、喚く様に言った。
「ほのか・・・そんなにあたしの隣が嫌だったんだなぁ・・そりゃ・・・
気持ち悪いよね・・・女の子が女の子に告白したりキスを迫ったりしたら・・
でも、あの時の気持ちは本気だったし・・・確かに藤p先輩が好きだったけど
卒業が近くなって・・ほのかと一緒にいたことを思い出すうちに・・・急に
ほのかの事が愛しくなってきて・・気がついたら・・・あたしにはほのかが恋愛対象に
なっていたんだもん・・・でもほのかは普通の女の子だもん・・あたしみたいな
異常じゃないから・・・・」
なぎさは延々と心の中で自分に言い聞かせるようにほのかを
好きになった理由を確かめていた。
「もし・・・ずっと、ほのかと仲直り出来ずに・・このままだったらどうしよう・・・・」
なぎさはそう思うと、不安と恐怖で胸が一杯になって来てしまった。
ワクテカ(゚∀゚)がんがれ〜
こ…こんなの俺の知ってるなぎほのじゃない!なぎほのにはもっと…強い絆があって…うぅ
――でも目が離せねぇ(;´Д`)
たまにはこういうのもイイネ(゚∀゚)
227 :
207:2006/02/24(金) 21:12:40 ID:???0
ほのかの転校初日と同じような気まずい雰囲気のまま
一ヶ月がたっても、なぎさとほのかは未だに教室で顔を合わせても
会話すらまともに出来ない関係にあった。
そんな状況の中、放課後なぎさはラクロス部での部活中の事だった。
ラケットにボールを受け取ったなぎさは、そのまま一気にゴールを目掛けて
走っていた時、急に目の前が霞んできた。
「あれ?」となぎさは走りながら片方の手で目をこすったが、目だけ
霞んでいるのではなく、頭もぼぉっとしてくる感じがした。
明らかに、目眩の現象だった。なぎさはその場で立ち止まると。
頭を手で抑えながらしゃがみ込んだ。
すぐになぎさの異変に気づいた、チームメイト達がなぎさの元に駆け寄ってきた。
中等部からの親友の志穂が「ちょっと!ちょっと!ちょっと!なぎさぁ!
どうしたの!大丈夫?!」と声をかけて来た。
なぎさは目眩をしながらも、力を振り絞って志穂の方を向くと、「う・・うん・・
大丈夫だよ・・・ちょっと目眩がしただけだから・・平気平気・・!」と
立ち上がろうとした時だった。
急に今まで経験した事の無いような、強烈な吐き気がなぎさの胸を襲い
思わず口を手で塞いだが、我慢できずにそのまま胃の中のモノを全て
嘔吐してしまった。なぎさは咳き込みながら息を荒くして、今自分が
吐いた物を見るとそのまま、ぐったりとその場で倒れこみ気を失ってしまった。
228 :
207:2006/02/24(金) 21:13:52 ID:???0
「な・・!なぎさぁー!!!」
「美墨さーん!!」
志穂やチームメイトが自分達の目前でなぎさが今まで見せた事も無い
姿を見て驚いてしまい、中には腰を抜かしてその場にへたれ込んでしまう
者もいた。
「早く!誰か保健の先生を呼んできて!!」
志穂が大声で叫ぶと数人の部員が慌てて走っていった。
そして、保健室でなぎさを検査すると何と40度近い発熱を
起こしていた。
保健の先生は「ちょっとこれは危険だわ・・・救急車を呼んだほうがいいわね・・・」
と言うと、急いで119番した。
なぎさは最寄の総合病院に運ばれる事になった。
そして、学校から連絡を受けた、母親と弟と父親の3人が
息を切らしながら、慌てて走って来た。
志穂は付き添いと言う事で、部員を代表して顧問と一緒に
来ていた。
家族は軽く顧問に挨拶すると、事情を説明された。
父親は「そうですか・・・まさか・・・なぎさが・・今まで一度も部活中に倒れる
なんて無かったのに・・・」と驚きを隠せないでいた。
「でも最近元気が無かったから心配してたんだけど・・・まさかこんな事に
なるなんて・・・」
「お姉ちゃん・・・・」
と母親と弟の亮太も不安そうに言った。
229 :
207:2006/02/24(金) 21:16:54 ID:???0
えっと・・・続きは風呂に入ってから書きます。
いい風呂を(`・ω・´) シャキーン
なぎさ・・・。・゚・(ノ∀`)・゚・。
久しぶりだな…
こういう雰囲気の話
最近ちょっと甘ったるいのが多かったから
スゲーいいよ
233 :
207:2006/02/24(金) 22:52:38 ID:???0
今、風呂から出ました・・・・。
風呂に使ってる間にラストの構想が出来てしまい
自分でも泣いてしまった・・・バカみたいだ・・・・。
では続きです。
気体hage
235 :
207:2006/02/24(金) 23:23:37 ID:???0
なぎさは、治療室で呼吸器を付け眠っていた。
そして、その部屋から医師が出てきた。
なぎさの両親は、慌てて医師の元に歩み寄ると
「娘は・・・娘は大丈夫なんでしょうか!先生!」と聞いた。
医師は少し難しい顔をしながら、「お父さん、お母さん落ちついてください・・・
お嬢さんは今眠っています。」
「そうですか・・・」と両親は少し安心した様子で言った。
しかし、その後すぐに医師は「あの・・・ここでは何ですので、診察室に
来ていただけますか?そこでお嬢さんの具合について説明しますので・・・」
と医師が言うと、「あ、はい・・・」と両親は答えた。
そして、弟の亮太も後をついて行こうとした。
すると「あの・・・出来れば、ご両親のお二人だけで・・・」と
医師は真剣な面持ちで答えた。
母親は「ゴメンね・・亮太・・・ちょっとここで待っててくれるかな・・」と言うと
最初は嫌がったが父親が説得し何とか納得した。
236 :
207:2006/02/24(金) 23:24:55 ID:???0
そして、診察室に呼ばれた両親は深刻な面持ちで椅子に座った。
医師も相変わらず口数が少なく、真剣な表情をしていた。
両親は何か妙な胸騒ぎに襲われながらも医師の説明を待った。
医師はカルテのような物を一枚一枚見ながら口を開いた。
「あの・・・お嬢さんは今16歳なんですよね・・・?」
医師がそう言うと「はい・・・」と両親が口をそろえて言った。
「そうですか・・・?まだ16歳なんですか・・・」
と、やはり何か含みを持った言い方に一抹の不安を感じた父親は
「あの、娘に何かあったんですか?先生!隠さずにおっしゃってください!!」
と父親は、かなり声を荒げ興奮した様子で医師に質問した。
「お父さん、落ち着いてください・・・私は何も隠すつもりはありませんよ・・・
ただ・・・どんな結果であっても驚かれない様に・・・その・・・覚悟して頂きたいのです。
お嬢さんの病名を受け入れる覚悟を・・・」
医師は厳しい口調でそう言った。
「やっぱり・・・」と父親は額から汗を滲ませながら、がっくりした表情で俯いた。
すると、医師は意を決した様子で口を開いた。
「では、お嬢さんの病名を宣告します・・・・
お嬢さんの病名は・・・・・・急性骨髄性白血病です・・・・・・」
その言葉を聞いた瞬間、俯いていた父親は思わず顔を上げると
震えた声で「は・・・白血病・・・・!!」と医師に向かって言った。
母親も「本当なんですか・・・先生・・・」と信じられない様子で言った。
「ええ・・・間違いありません・・・しかもかなり進行しています・・・
一刻も早い手術が必要です・・・・」
医師は両親を諭すように言った。
何となくラストが読めてキタw
とにかく続きに期待。
238 :
207:2006/02/24(金) 23:40:08 ID:???0
両親は、全身から言いようの無い虚脱感に包まれたまま
診察室を後にした。
途中、母親が顔を塞ぎ泣き崩れるといった事もあったが父親が
そっと背中をさすりながら支えながら、亮太や志穂、顧問が待ってる
場所へ移動した。
そして、「あの、先生・・今日はどうもありがとうございました・・・
今日はもう、遅いのでご心配なさらずお引き取りください・・・」と
母親が言った。
顧問も「そうですか・・・お父さん、お母さん・・・どうか元気を出してください・・」
と両親の様子から事の重大さを察したのか、慰めにも似た言葉をかけた。
そして顧問は志穂にも一緒に帰るように言った。
二人を見送ったあと、両親と亮太もとりあえず家に帰ることになった。
家に着くと、母親は「どうして・・・なぎさが・・・こんな目に・・・」
とテーブルに突っ伏して咽び泣いた。
父親がやはり背中をさすりながら、「今は・・・信じるしか無い・・・
骨髄を提供してくれる人が見つかるまで・・・でないと、手術が出来ないんだから・・」
と慰めた。
亮太は部屋の外から両親が話している内容を聞くと
「お姉ちゃん・・・思い病気なのかな・・・」と小学生ながらも
鋭い勘が働きすぐに察してしまった。
239 :
207:2006/02/24(金) 23:41:44 ID:???0
>>237 そのラストを良い意味で大きく裏切れる様に
頑張ります。
うん、期待させてもらうよ。ファイト!
241 :
207:2006/02/25(土) 00:42:55 ID:???0
>>240 今日はもう勘弁して・・・。
次は来週の月曜日に書きます。
生殺しGJ!!期待に胸がワクテカ(゚∀゚)
ああ〜切ない
そしてここで焦らしとはやってくれるなw
楽しみにしてるぞ
244 :
メロン名無しさん:2006/02/25(土) 11:23:44 ID:Y6Cw+U390
続きがは、激しく気になるー!!!
スウィートな話もいいけど、たまーにこういう重い話もいいよな〜
207カモン
ちょっと聞きたいんだが、このスレ住人の中に軍事(航空)系の物に興味がある人いる?
それ方面でいいアイディアがあるんだが、もし誰もわからずにスルーされたら悲しいなと思ったんで。
俺はわからんけど、投下してみればいいんじゃない?
分からないけど興味が湧いたし。
ノシ
こちら管制塔。とりあえず投下せよ。
期待ノシ
251 :
246:2006/02/26(日) 08:27:01 ID:???O
そうか。
まだ原案程度なんで、2、3日くらいで仕上げてみる。
期待しないで待っててくれw
じゃあ207さんと246さんが来る前に投下してもいいかな?
14レスもあるけど
252カモン!!
252マダー?
wktk
「ホワイト…」
懐かしいその響きに、声の方へと振り返る。
視線の先に居たのはキュアブラック。そしてふと気がつくと、自らもキュアホワイトの衣装を身に纏っている。
―――なるほど。だからホワイトなのね…
何となく納得し、にこやかに「何?」とブラックへと近寄っていく。
「ちょっと話があるの…」
「話って?」
「うん。あのね……消えて欲しいの」
「消え…えっ!?」
意味を理解できなく思わずブラックの顔を見返す。だがブラックらしくないその不気味な瞳の光に、背筋にゾクと震えが走る。
と次の瞬間、無防備であった腕を掴まれ勢い良く地面に叩きつけられた。
「……っ…!」
呼吸すら困難になる程の激しい衝撃。だがその痛みと苦しさに耐えながら
「ブラック!?どうしたの…まさか操られてるの!?正気に戻って!」
と必死にブラックに呼びかける。しかし
「あたしは正気だよ…」
そんなホワイトに冷たい笑みを向けながらブラックが答える。
「あなたが邪魔だから。だから消えて欲しいの」
「そんな何で…。私たち―――」
「―――友達。本物の友達。そう言いたいんでしょ?」
ユックリと拳を持ち上げながらブラックが言葉を続ける。
「そう本物だね。本物“だった”…」
「“だった”?」
「本物だっていつまでも輝いてはいられない。傷つき、衰え、朽ちていく。そして新しい本物に取って代わられるの…。だから―――」
そして、顔の辺りまで振りかざした拳にグッと力を込め、笑顔で
「サヨナラ」
―――ガッ
「どれから乗ろうか!?」
「やっぱやっぱやっぱジェットコースターでしょ!?」
「いやー、まずはお化け屋敷なんてどう?」
「えーっ!?莉奈マジで?…そうだ、ほのかはどれが良いの?」
「…え?私?」
なぎさの声にほのかがハッと我に返る。
「そうだよ。どうしたの、ボーッとしちゃって?」
「ううん、何でも無い!」
考えていたのは今朝見た夢の事。ブラックに拳で殴られた所で目覚めたアノ夢。
不愉快で不可解な胸騒ぎを伴うその夢を、ずっと忘れることが出来なかったのだ。
だが、なぎさの明るい笑顔に救われたような気がして
―――せっかく遊園地に来たんだから楽しまなきゃ
と、そのモヤモヤを振り払うようにグルリと周囲を見回しながら考える。
「そうね…アレにしない?」
指し示す先に見えるは新調されたばかりの綺麗な建物。
「ミラーハウス?うん、OKOKOK!」
「じゃあ、まずは私と志穂ね?それで次がなぎさと雪城さん」
「じゃあ皆でレッツゴー!」
「そう言えば、昔こんなところで戦った事あったよね?」
一面に映る自分達の姿を見ながら、懐かしそうになぎさがほのかへと振り返る。
「そうね。確か中間テストの時だっけ…」
「あの時はビックリしたね!中に閉じ込められちゃって、どうしようかと思ったよ」
そして苦笑いを浮かべてポンポンと鏡を叩く。
「意外と今日も出たりして!?ホラそこ!…なんちゃって」
「もぅなぎさ!」
プンプンと頬を膨らますほのかに、なぎさがアハハと笑いを零す。
だがその時、どうしたのかメップルがコミューンから顔を出してきた。
「なぎさ、悪い予感がするメポ!」
「ちょっとメップル、冗談だってば!どこにもザケンナーなんて……」
とは言うものの、メップルの言葉になぎさが注意深く辺りの様子を伺う。
しかし視界に入ってくるのはどこまでも自分達の姿のみ。やがてホッとしたようになぎさがメップルに視線を戻す。
「ホラね、どこにも居ないじゃん!そこに映ってるあたしだって笑ってるよ!?……ん?」
何かおかしいな…そう思って鏡の自分をジッと見る。と突然、その目がギラッと光り―――ザケンナー!!
「なぎさ!」
「うわわ、ホントに出たー!」
「二人とも変身するメポ!」
「急ぐミポ!」
「うん!」
『デュアル・オーロラ・ウェーイブ!!』
―――闇の力の僕たちよ!
―――とっととお家に帰りなさい!
「ザケンナー!」
叫び声を上げながら、鏡に憑依したザケンナーが二人に襲い掛かってくる。
しかし久しぶりとは言えそこは歴戦の戦士の二人、次々と繰り出される攻撃を紙一重でかわしていく。
そして一瞬の隙を見逃さずホワイトがザケンナーの足をスッと払う。
バランスを崩すザケンナー、その背中に今度はブラックが「ハッ!」と蹴りを食らわせる。
見事な二人のコンビネーションにザケンナーが前のめりに倒れ込む。
「ホワイト、一気に行くよ!?」
「ええブラック!」
その様子を見て、二人がギュッと手を握る。そして互いに手をかざし白と黒の稲妻を召喚すると
「プリキュア・マーブルスクリューマックスー!!」
掛け声と共に放たれた二色の閃光が、ザケンナーへと向かって行く。
今まで幾多の闇を倒してきた必殺の一撃。だが―――
「ザケンナー!!」
「ウソッ!マーブルスクリューが跳ね返された!?」
信じられない光景にブラックが唖然として立ち尽くす。
とその隣で
「まさか…」
ホワイトがハッと気付いたように呟いた。
「鏡だから。だから…?」
「てコトは、手段は一つ…」
呟きを聞いたブラックが、パンと両の拳をぶつけ合わせる。
「鏡なら割る!」
言うや否や、気合と共にザケンナーの懐に潜り込むとボディーに一撃を放つ。
一瞬動きが止まるザケンナー、だがスグに「ザケンナ!」と反撃してきた。
「まだダメ?ならもう一回…でやーっ!」
攻撃を掻い潜りながら近付いて、再び同じ箇所に拳を当てる。
手応え有り、ザケンナーがガクッと膝をつく。
次が恐らく最後の一撃。それに向け「はぁぁ」とブラックが気合を入れ直す。とその時、すっとホワイトが並んで来た。
「ブラック、私も一緒に!」
「うんホワイト、行くよ!」
頷き合い、二人同時に地面を強く蹴りつける。
「だぁーっ!!」
「はぁーっ!!」
唸りを上げる黒い拳と白き脚。そして次の瞬間―――ザケンナーが砕け散った。
「終わったのかな…?」
「みたいね」
いつも通り元に戻った周囲を確認して、ホッとしたようにほのかがなぎさに話しかける。
「急ぎましょう?久保田さん達きっと待ってるわ!?」
「そうだね、行こう!」
もう大丈夫とばかりに、二人が立ち去って行く。
だが二人は気が付かなかったのだ。破片が二つ、割れたままで残されていた事に。
どす黒い妖気が、その破片から立ち昇り始める。そしてやがて、それはある姿へと形を変えた。
「行こうか、ホワイト…」
「いきましょ、ブラック…」
「なぎさ、明日課題の提出日だけどちゃんとやった?」
遊園地での出来事から一週間、あれ以降何事も無く日々は平穏に過ぎて行った。
闇の復活の気配は微塵も無く、二人とも安心して日常を過ごしていた。そう、今のように…
「えっ?莉奈マジで明日だっけ!?どうしよう、まだ何もやってない…」
「え〜!?マジマジマジで!?あの先生チョー怖いじゃん!」
「写させてあげたいけど、問題は個人で違うしね…」
「やっばー…。しょうがない、かくなる上は最後の手段で…」
「ねぇほのか?今日この後暇?」
放課後の帰り道、なぎさが顔色を窺うようにほのかに話しかける。
「暇だけど、どうして…?」
「いやー実はね、かだ……」
「凄い気配を近くに感じるミポ!」
なぎさが何事かを言いかけた時、遮る様にミップルが震える声を上げた。
「え、ミップル本当に!?」
「メップルも感じるメポ!物凄い不気味な気配メポ!」
「メップルまで…一体ドコに!?」
「…後ろミポ!」
振り返る二人。するとそこには不気味な黒い何かが。
「なぎさ、変身よ!?」
「分かってるって!」
『デュアル・オーロラ・ウェーイブ!!』
変身を終え地面に降り立つ二人。そしてソレに向かい身構える。
「……」
しかしそんな二人に対し、ソレはただジッと黙って佇んでいるだけ。
だが、二人が訝しげに思い始め、少し集中力を欠いたその瞬間―――
「あっ!?」
「逃げた!?」
遠ざかるソレを「待てー!」と二人が追いかける。
だがその外見からは想像出来ないような猛スピードに、やがて見失ってしまった。
「まったく、ドコ行ったんだろ?」
ビルの屋上に立って辺りを見渡しながらブラックが悔しそうに呟く。
「アレなんだったのかしら?ザケンナーとも違うようだったし…」
「分からない。でもとにかく見つけるのが先!あたし、あっちを調べて来るね?」
「そうね…じゃあ私はこっちに行くわ。あそこの木の下で30分後に集合しましょ?」
「分かった。ホワイト、気をつけてね…」
「うん、ブラックもね」
無事を祈り合い、二人はそれぞれの方向へと散って行った。
―――
―――
―――そして30分後
「こっちには居なかったみたいね…」
一人呟きながら、ブラックが約束の場所へと道を急ぐ。
そして、その場所まで残り僅かになった時
「あっ!やっぱりホワイトってばもう居るよ。ホワイト!」
ホワイトを視界に捉え、その下へと駆けて行った。
「ホワイト」
「あっブラック。どう、見つかった?」
その問いかけに、ブラックが無言で首を横に振る。
「そう…どこに行ったのかしら?」
うーんと首をひねるホワイト。とその時
「ねぇホワイト?」
ブラックが静かに呼びかけてきた。
「ちょっと話があるの…」
「話って?」
何かしら―――不思議に思いながらもブラックへと近付くホワイト。
だが突然、ある光景が頭の中に鮮明に浮かび上がってきた。
―――まさか…!?
ハッとして足を止める。そして黙ったままのブラックを注意深く観察してみる。
するとそこに見えたのは、あの時の夢と同じ不気味な光を湛える瞳。
「あなた…誰!?」
言葉と共に後ずさりをし、そして身構える。
「あたし?ホワイトってば何言ってるの?あたしはキュアブラックだよ」
「違う!あなたはブラックじゃ無い!あなたは…」
「いいえ、キュアブラックよ。私のパートナーのね」
背後から聞こえてきた声にホワイトがビクと振り返る。
「……え、私!?」
紛う事なきキュアホワイトが確かにそこに居た。
「私がもう一人…」
信じられないといった感じでホワイトがまじまじともう一人の自分を見つめる。
だがその視線をふと相手の足元に落とした瞬間、もう一つの信じたくない光景が目に飛び込んできた。
「ブラック!?」
「ああコレね。あなたのパートナーだったわね、はい」
もう一人のホワイトがブラックを無造作に放り投げる。そして冷たく言い放つ。
「あなたとは違って、私をあなただと信じてたわ」
「…どうして?どうしてこんな事を!?世界を闇で支配するため!?」
ブラックを抱きかかえながら涙ながらに叫ぶホワイトを、フッと二人が鼻で笑う。
「世界を支配?そんな事に興味は無いわ。あなた達が消えれば、私達が本物になれるから…」
「だから邪魔なの。さあ次はあなたの番…行こうかホワイト」
「行きましょ、ブラック」
そして、二つの衝撃がホワイトを貫いた。
倒れ込むホワイト。だが地面寸前で二人が腕を掴み、そして引っ張り起こす。
「まだよ、まだ倒れちゃダメ」
「もう一度食らわせてあげる。私達二人の攻撃を…」
「ほ…ほのか」
隣に吹き飛ばされてきたほのかに、なぎさが涙を流しながら消え入りそうな声で呼びかける。
「ゴメンね…あたし、アイツが偽者だって気付かなかった…情けないよね」
そんななぎさの手に自らの手を重ねながら
「そんな…なぎさのせいじゃ無いわ…。私だって偶然気付いたんだもの…」
と、ほのかが弱々しいながらも微笑みを向ける。
重なった手を握り合わせる二人。そして互いを支えにしてヨロヨロと立ち上がる。
「まだ倒れないんだ、二人とも凄いわね…」
そんな二人の様子に、感心したようにホワイトが呟く。
「あなた達に…聞きたい事があるわ」
その言葉にキッと睨みつけながらほのかが問いかける。
「一緒に何かをしたり、一緒に泣いたり、一緒に笑ったり…そう言う思い出ってあなた達には無いわよね…」
「無いけど、それがどうかしたの?」
その答えに今度はなぎさが口を開く。
「一生懸命努力する。何かをやり遂げる。誰かを好きになる…そんな経験てあんた達にある訳無いよね…」
「また同じような質問?そうね、そんな下らないモノ、あたし達には必要ないから!」
「そう、私達が望むのは本物になる事だけ。何度も同じ事を言わせないでよ!」
二人の質問に少し苛立ちを見せ、ブラックとホワイトが声を荒げる。
「やっぱりね…例え私達を倒せても、あなた達は本物にはなれない…!」
「うん、絶対に…!」
確信を込めて二人がブラックとホワイトに言い放つ。
「本物にはなれない?フフッ、何言ってるの?」
「あなた達が居なくなれば、必然的に私達が本物になるじゃない」
「いいえ。私達は一人しかいないから本物だっていう訳じゃない…」
「あたし達には積み重ねてきた幾つもの大事な思い出や経験がある…」
「それが私達だって言う証拠であり、私達を形作るモノなの…!」
「そんな大切なモノを下らないなんて言うアンタ達なんか、本物になんかなれっこ無い!」
「うるさい!あたし達が本物になるにはあなた達が消えればいいだけ!」
「そう!だから今度こそサヨナラよ!」
怒りにまかせ飛び掛かって行くブラックとホワイト。
だがその時、二人は既に念じていた。
「私たちの目の前に希望を…」
「私たちの手の中に希望の力を…!」
眩い光が辺り一面に広がって行く。そして二人を優しく包み込み、二人の傷を癒していく。
やがて次第に光が互いの手に集まって行き―――スパークルブレス装着完了
「アレは何!?」
「分からない!だけどそんな事はどうでもいい…私達はあいつ等を倒すだけ!」
突然現れたブレスに一瞬怯むブラックとホワイト。だがすぐに気を取り直すと、再び二人に猛然と向かって行く。
しかし、最早二人はさっきまでの二人ではなかった。
「攻撃が当たらない!?」
「そんな!?あんなにボロボロにしたはずなのに!」
驚き戦慄くブラックとホワイトに二人が力強く説明する。
「これは希望の力!」
「あなた達には決して手に入れることの出来ない力!」
「決めるよ、ほのか!」
「うん、なぎさ!」
そして、二人で天に手をかざし
「ブラックサンダー!」
「ホワイトサンダー!」
「プリキュアの美しき魂が!」
「邪悪な心を打ち砕く!」
「プリキュア・マーブルスクリューマックス!!」
放たれた渾身の一撃。しかし
「こんなもの、弾き返してやる!」
「本物になれるならば出来るはず!」
避けようとはせずに、向かって来るマーブルスクリューを弾き返そうと、互いに両手を突き出し迎撃体制を取る。
そして驚くべきことに、徐々に押し返し始めた。だがその事実に、ブラックとホワイトがニヤリと笑みを浮かべたその瞬間―――
「スパーク!!!」
更に強大な光が押し寄せて行く。そして、とうとう限界を超えた。
「そんな。やっぱり私達は……」
「本物にはなれな―――」
「もしあたし達が負けてたら、あいつらがあたし達になってたのかな?お父さんとか、お母さんとか、亮太とか…皆に気付かれずに―――」
全てが終わった激戦の跡を見つめながら、なぎさがポツリと呟く。
しかしそんな呟きに「そんな事ない!」とビックリする位大きな声でほのかが答えた。
「ほのか?」
「私達の代わりになんか絶対になれないわ!それにそんな事考える必要無い。だって私達は負けないんだから、でしょ!?」
「うん…そうだね」
救われたようになぎさがそっと笑みを浮かべる。そしてほのかもそれに笑みを返す。
そんな二人の手は、いつまでも握られたままだった。
「ほのか!」
肩をポンと叩かれると同時のその明るい声に、笑顔でほのかが振り返る。
「あっなぎさ、お早う!」
「うんお早う…あの、ちょっといいかな?」
しかし挨拶もソコソコに、なぎさが何だか申し訳なさそうにモジモジと聞いて来る。
「何?」
「あの…実はね」
「実は…?」
「課題、やって欲しいんだけど!?」
両の手を合わせ、ひたすらお願い。
「ダメよ」
しかしそんななぎさのお願いを、ほのかが笑顔で拒否する。
「えー何で!?提出は午後だし、今ならまだ間に合うんだよ!?」
「だって自分でやらないと本物の実力にならないでしょ?」
「でも怒られ…」
「あら、そう言う経験が大切なんだって、昨日なぎさが言ってたのよ?」
「それとこれとは話が違うよー!」
「そう?きっと後から振り返ったら、怒られることもいい経験だしいい思い出よ?」
「そんな!?…あーもう」
―――ありえなーい!
以上でおしまい。
たまには甘々じゃなくてシリアスで。長くてゴメンね
GJ!
本編見てるみたいで、楽しませてもらいました(*´Д`)
この戦いで二人が引き離されるのか?続き期待age
うう…俺アホス吊ってくる
まぁ生`
すっげーよかった!GJ!!
いつも乙です。ありがとう!
読んでてドキドキハラハラしたよ
素晴らしい!GJ!
GJGJGJ~!
これはそのままアニメにできそうだ
277 :
246:2006/02/26(日) 22:55:13 ID:???O
ども… 現在SS製作進行中の246です
期待してくれてる人が居るようでとても嬉しいんだが、
実はこれが初SSなんで、結構苦戦中。
なかなかイメージ通りに書けないorz
とにかく精一杯頑張らせてもらうよ。
最近はレベルが高いな。
ここまで全部一気に読んだ…素晴らしい!
萌え、燃え、ドキドキ、ハラハラ、笑い、涙…もう最高
神の皆様これからもよろしく!
207さんの続きを楽しみに待ってる俺がいる
283 :
207:2006/02/28(火) 00:05:54 ID:???0
翌日の学校・・・・。
なぎさのクラスでは昨日なぎさが部活中に急に嘔吐して
倒れ、そのまま長期入院することになった話題で持ちきりだった。
「あんなに元気な美墨さんがねえ・・・」
「一体、どうしちゃったのかな・・・何か思い病気じゃないよねぇ?」
クラスではそんな話し声が朝から引っ切り無しに飛び交っていた。
しかし、ほのかはただ一人なぎさが入院した話題の中に入っていく
事は無かった。
朝の担任の挨拶で昨日、なぎさが部活中に嘔吐し倒れた事を
知らされた時は、ほのかも確かに心配はしたが、しかしだからと言って
あの卒業式の時の出来事を許せると言ったそこまでの気持ちには到底なれなかった。
担任は「美墨さんはちょっと容態がかなり重いので・・・入院はかなり
長くなると思いますが・・・みんなで一日も早く元気になるように手紙を書いて
出してみたらと思うんだけど・・・」と提案した。
迷わず、賛成の意見が出てみんなでなぎさに励ましの手紙を書く事になった。
ほのかは正直、迷った今の自分がなぎさに一体どんな言葉を書けばいいのか・・・?
あんなに避けるような行動をしておいて、今更口も聞けないし手紙ですら
自分の気持ちを正直に書ける様な気持ちには到底なれなかった。
284 :
207:2006/02/28(火) 00:21:48 ID:???0
かつて、中学時代になぎさと喧嘩をして手紙でお互いの
気持ちを書きあって仲直りした事があるが・・・。
今回のそれは、あの時の状況とは原因も質もあまりにも違いすぎてるためか
ほのかの心の中で「あの時とは違うのよ・・・あの時とは・・・!」と
何度も何度もそう自分に言い聞かせて、罪悪感から逃れようとしていた。
そして心の片隅ではなぎさが何の病気か分からないが、大げさに長期入院
なんかするから、こんな手紙なんて書かなきゃいけないのよと、これまでの
自分、いやなぎさとの関係の中でも考えた事の無いほどおぞましい気持ちが
一瞬頭の中の脳裏をよぎった。
ほのかは「わたしったら・・・一体何てことを・・・考えてたの・・・?」
とすぐに先ほどのおぞましい気持ちを撤回しようとするが
次から次に真っ黒な気持ちが溢れ出してくる・・・・。
「本当は大した事無いんでしょ・・・大げさに倒れて・・それでわたしに
心配してもらって・・・仲直りしようとする魂胆なの?」
そんな信じられない言葉が頭の中で駆け巡り続けていた。
「もう・・・いや!! なぎさのバカ!!どうしてわたしがこんな事考えなきゃ
いけないのよ!!どうしてわたしがこんなに苦しまなきゃいけないのよ!!
みんな・・みんななぎさのせいよ!!なぎさなんか・・・なぎさなんか・・・
いなくなっちゃえばいいのよ!!! はっ・・・・・!!!」
ほのかはとうとう思ってはならない事を考えてしまった自分に
言いようの無い、失望のようなモノをひしひしと感じていた。
285 :
207:2006/02/28(火) 00:25:08 ID:???0
すいませんです・・・。
今日は書くのが遅れた上に
少ししか更新出来なかった・・・・。
げぇー!ホンマ生殺しやでぇ!
心理描写がスゲー
こういう気持ちってほっとくと増幅していくよね
おいおいBADエンディングの臭いがプンプンするぜ…ラストまで目が離せん!
ども…とりあえず前半執筆完了です。
諸事情により今は投下できないので、しばらく待ってください。
遅くても明日には投下できるはず…。
初SSなのと、高校生なので文が稚拙なのは勘弁して下さい。
>>246 文が稚拙?んなこたー気にするな!俺はどんな作品でも楽しませてもらっている。
ようは、投 下 し て く だ さ い 職 人 様 ワクワクテカテカ
>>289 同じく俺も楽しませてもらってる。
職人様いつもありがとう&これからも期待してます!
本日の207さんwktk待ち
12:50時 茨城沖空域A-7―
「なぎさーっ、6時に”敵機”、援護お願い!」
「OK志穂、まかしといて!」
”敵機”に食い付かれた志穂の援護に向かう、垂直尾翼に赤いストライプの入ったF-15J。
襲い掛かる何機もの”敵機”を、鮮やかなマニューバーで軽くかわしていく。
なぎさの操るF-15Jは、あっという間に”敵機”の後ろに付いた。
”敵機”もなぎさに後ろに付かれた事にすぐに気付いた。
しかし、回避行動をとろうとはしない。
ベストポジションに居る今、前方の志穂を確実に仕留めるためだった。
「ロックされた!なぎさ、早く、早くしてぇ!」
”敵機”にロックされた志穂が悲痛な声を上げている。
「よし、もう少し……あと少し…!」
”敵機”を確実に仕留めるため、敵機を正面に捉えることに全精神を集中する。
なぎさの機のミサイルシーカーが敵機をロックした。
タイミングを計り、トリガーを引く!
「Lacrosse7、FOX2!」
ピ―――――
”撃墜”を知らせるビープ音。
同時にHUD上から”敵機”の機影が消えた。
しかし、その姿は誰からもはっきりと視認できた。
「Lacrosse7、スプラッシュ1!」
「すっごーい、さすがなぎさだね!」
「ナイスキル、なぎさ!」
「あーあ、”撃墜”されちゃった。やっぱりなぎさにはかなわないよ〜」
仲間たちから”敵機撃墜”に賞賛の声が上がる。
赤いストライプのF-15Jが翼を振ってそれに応える。
管制塔から無線が入る。
「Lacrosse7のLacrosse25”撃墜”を確認。ナイスキル。
訓練終了です。全機帰投してください。」
「了解ベローネコントロール。空戦訓練終了。ラクロス隊全機、帰投する。」
”ラクロス”と呼ばれる形式の12機対12機の大規模空戦訓練が終了した。
この日、Lacrosse7こと美墨なぎさは3機を”撃墜”する活躍を見せた。
美墨なぎさは航空自衛隊第252実配備訓練飛行隊―通称「ラクロス隊」の2番機。
ベローネ基地きってのエースだ。
14:00時 航空自衛隊多摩基地― 通称「ベローネ基地」
空戦訓練を終え、基地に着陸したラクロス隊。
それぞれが機を降り、ブリーフィング室へ向かう。
「なぎさ、お疲れ〜」
「あ、志穂、莉奈。お疲れ!」
声を掛けてきたのはベローネ基地ラクロス隊の同僚パイロットの二人。
「なぎさ、さっきはありがとね。もう駄目かと思ったよ。」
Lacrosse55こと久保田志穂が先程の援護について感謝を述べる。
「しかし凄いよね〜 あんな遠くから援護に来れるなんて。
さっすがラクロス隊のエース!」
Lacrosse23こと高清水莉奈が賞賛の言葉を送る。
「えへへ、そうかな〜。ありがと〜」
なぎさは照れ笑いしながらそれに答える。
「そういえばさ、昨日の流れ星見た?すごかったよね〜」
ブリーフィング室へと向かう廊下で、莉奈が話しかける。
「あ〜!あたしも見た見た見た!ほんとすごかったよね!
まるで星が降ってるみたいでさ!」
「え?そうだったの?全然気付かなかった〜見たかったな〜」
「でもでもでも〜、流れ星って何か悪いことが起きる予兆とも言わない?」
「あら、そうかしら?」
少し後ろを歩いていた女性が穏やかな声で話し掛けてきた。
彼女はベローネ基地科学隊のF-14Jパイロット、雪城ほのか。
ベローネ基地女子部至上稀に見る秀才と言われる彼女は、
研究だけでなく、空戦技術も優れた非の打ち所のないパイロットだ。
その博学ぶりから、女子部内では「薀蓄女王」と呼ばれていた。
彼女は流れ星に関する解説をひとしきり言った後、
「何かいいことがあると良いわね」と微笑み、去って行った。
「は、はあ…どうも…」
その博学ぶりに圧倒された3人は、半ば呆然としていた。
「あれ全部頭に入ってたんだよね… すごい…」
「さすが薀蓄女王…」
(ふーん、雪城さんかぁ… あんまり関わった事ないタイプだなぁ…
私の周りにはああ言う人居ないしね…)
そんな事を考えつつ、3人はブリーフィング室へ入って行った
14:30時 ベローネ基地第4格納庫―
「はぁ〜… 」
なぎさは人気の無い格納庫内で自分の機のドロップタンクにスコアマークを描きつつ、ため息をついた。
「今日アラート待機だったなんてすっかり忘れてたよ〜 かったるいなぁ…」
「昨日の流れ星見てればこうはならなかったかな… なんて」
「28、29、30。あ、今日のLacrosse25でスコア30機目だったんだ… ちょっといい事かな。」
スコアを描き終え、ちょっと背伸びをしつつ、なぎさは格納庫の外の空を見た。
そこには驚くべき光景があった。
「え…!何で昼間なのに流れ星が…!?」
なぎさは疲れているのかと思い目をこすってみたが、やはり間違いなく流れ星が降っている。
それも尋常では無い数だ。「星が降ってくるみたいだった」との志穂の言葉を思い出した。
なぎさはしばらく呆然と立ち尽くしていたが、
「…そうだ、願い事しなくちゃ!えーと、えーと…」
必死でいくつも願い事をつぶやくなぎさ。
「えーっと、あれも、これも… ……?え?」
星の中の一つが、こっちに落ちて来るように見えた。
「そんなバカな…あれ…でも確かに近付いて……キャーッ!!」
”星”はなぎさのすぐ頭上をかすめ、地面でバウンドすると、
格納庫の中を幾度も跳ね回り、再び地面に落ち、やっと止まった。
「な、な、何なのよ、これ!?」
同時刻 ベローネ女子第2宿舎―
「ただいま〜忠太郎」
「ワンワンワン!」
忠太郎と呼ばれたゴールンデンレトリバーがほのかにじゃれつく。
忠太郎は第2宿舎で合同で飼っている犬で、とても賢く、人懐こい女子部全体の人気者だ。
「ワンワン!ワン!」
突如忠太郎が駆け出す。
「どうしたの?忠太郎?」
忠太郎はほのかの方を向くと、付いて来いという風に走り出した。
後を追うほのか。
忠太郎は基地の隅にある倉庫の前で止まった。
「はぁ、はぁ、どうしたの忠太郎?ここに何かあるの?」
「ワン!ワン!」
「5号倉庫… 確か今は使ってないはず…」
ほのかは倉庫の扉を引いてみた。鍵はかかっていなかった。
使われなくなった車両や、用廃機の残骸など色々なものが転がる倉庫。
その中に一つ、まぶしい光を放つ箱があった。
ほこりをかぶったその木箱には何も書かれておらず、中身を推するのは不可能だった。
「何かしら、この箱…」
ほのかは、恐る恐るその箱を開けてみた…
14:40時 ベローネ基地第4格納庫―
なぎさは、落ちてきたその”星”を手近にあった棒でつついてみた。
ビビビッ!
”星”が光を放つ。
「うわわわわ!!あわわっ!!」なぎさが尻込む。
光が消えると、その”星”の形がはっきりと見えた。携帯電話の様なその姿。
「な、何だ、ケータイか…」
ちょっと安心したのも束の間、突如”ケータイ”の蓋が開いた。
「えっ!?な、何!?」
中から、ぬいぐるみのような姿の生き物が現れた。
「君だれメポ?女の子メポ?」
「しゃ、しゃべったぁ!しかも日本語…」
その生き物がケータイごとなぎさに近付いてくる。
「うわーっ、来るな来るな!」
なぎさが後ずさりする。
「僕のお世話するメポ」
「はぁ…?」
「自力で動くのは疲れるメポ…
おい、そこの女子!僕を希望の姫君ミップルのところへ連れてくメポ!」
「な、何であんたの言うことなんか聞かなきゃいけないのよ!?」
なぎさの態度に、突如生き物の態度が変わる。
「お願いメポ、他に頼る人居ないメポ… お願いメポ!」
泣き出す生き物。困り果てるなぎさ。
「あ〜もうわかったわよ!連れてきゃいいんでしょ、連れてきゃ!
でもこの後3時からアラート待機だからそれが終わってからね!」
「…どうしてもそれが終わってからメポ…?」
「ど・う・し・て・も・!」
「わ、わかったメポ…」
「ところでこの横にあるでっかいのは何メポ?」
「え?これ?これはF-1…戦闘機っていうの!」
「せんとうき…メポ?それ何メポ?」
「国を守るための飛行機の事!」
「国を守る…?なら僕と一緒メポ!」
「ハァ…?」
「僕は光の園の選ばれし勇者メップルメポ!」
なぎさがポカーンとする。そして冗談でこんな事を言ってみた。
「あんたが勇者?ふーん…じゃあ一緒に乗る?」
「乗る!乗るメポ!僕も乗るメポ!」
「でもとっても速くてあんたには無理だと思うけどぉ?」
「速いの大好きメポ!早く乗るメポ!」
メップルが機体に向けてピョコピョコと駆け出す。
「ちょ、ちょっと待ちなさい、こら!」
なぎさが追うが、メップルはドロップタンクに登りはじめてしまった。
「こら、降りなさい、こら!」
なぎさの手がメップルに届きそうになった瞬間、突如ドロップタンクが光り始めた。
「きゃっ!眩しい!」
なぎさがのけぞる。眩しくて目が向けられない。
「何、何なの!?」
光はすぐにおさまり、なぎさはドロップタンクに目を向けた。
「な、何これ?」
そこには、今までのグレーのタンクとは違う、純白のタンクがあった。
前方3分の1くらいまでが赤で塗られている。
そしてタンク中央には何かハートのようなマークが描かれている。
「え、な、何でこんなになってるの?」
「ちょっとあんた、中に居るんでしょ?出てきなさい、出てきなさいよ!」
「嫌メポ、ここがいいメポ!」
「そうは行かないの、ちょっと…」
「なぎさ!あんたが塗ったの、これ!?」
「アカネさん!」
なぎさに声を掛けてきたのは整備班長の藤田アカネ。
彼女は昔はベローネラクロス隊の戦闘機パイロットだったが、
現在は空中給油機のブーマーと整備班長を兼任している。
「へぇー、凄いねこれ!いつの間にこんなに…
スコアマークすら歪んで描くあんたがねぇ…」
「あ、や、は、ま、まあ…」
とりあえずごまかすなぎさ。
「なぎさこの後アラート待機でしょ?機体アラートハンガーに牽引していかないと。」
「あ、そっか。はい、よろしくお願いします。」
(大丈夫かなぁ…あいつ)
不安を感じつつ、なぎさはアラート待機室へ向かった…。
15:00時 ベローネ基地アラートハンガー/アラート待機室―
「あ、なぎさ!やっと来たね。」
なぎさが待機室に入ったとき、志穂は既に待機室にいた。
「もう遅刻ギリギリだよ!気をつけてよ!」
「志穂!ゴメンゴメン。ちょっと取り込んでてさ。」
「取り込んでてって… 何が?」
「あ…いや、何でもないよ、アハハ…」
ため息をつきつつなぎさはソファに座った。
「てゆーかてゆーかてゆーか、アラート待機ってすっごく暇だよね〜」
「まー仕方ないでしょ、これが私達の仕事なんだからさ。」
「まーねー、それもそうだけどさ…」
暇で静かな時間が流れていた。
「今日は何も無いといいな…」
なぎさが一人つぶやいた。
15:42時 ベローネ基地アラートハンガー/アラート待機室―
ジリリリリリリリリリリリリリリ!!
静寂を切り裂き突如待機室に鳴り響くサイレンの音。
「スクランブル発令、領空へ不明機接近、待機機は直ちに発進せよ、繰り返す、…」
「なぎさ!!」
「志穂!行くよ!」
自分のヘルメットを掴み、それぞれの機へ駆け出す二人。
待機室からアラートハンガーへつながるドアを開け、自分の機へ駆け寄る。
急いでタラップを駆け上る。すぐに整備員がタラップを外す。
発進のため、急いで準備を行う整備員達。
1分1秒を争うスクランブル発進だけに皆の動きがめまぐるしい。
準備が出来るまで何も出来ないので、ヘルメットをかぶるなぎさ。
(ひえ〜っ、スクランブルかかっちゃったよぉ〜 やっぱりついてない〜)
そんな事を考えつつ、自分も発進準備を整えた。
アラートハンガー正面と後部のシャッターが開いた。
整備員からインターコムで連絡が入る。
「Lacrosse7へ、準備完了。誘導員と管制塔の指示に従え。」
「Lacrosse7、了解。」
機の前方へ誘導員が出る。
”エンジン始動”の手信号を確認し、エンジンをスタートする。
タービンの回転数が徐々に上昇していく。
「各計器チェック、OK、各動翼、OK…」
自分の機のチェックを済ませる。
「全て異常なし、オールクリア」
誘導員に連絡する。誘導員が手を挙げ応える。
あとは管制塔からの指示を待つだけだ…
15:44時 ベローネ基地アラートハンガー
ガッ、と無線の繋がる音が聞こえた。
「こちらベローネコントロール、Lacrosse7、Lacrosse55、状況報告せよ」
聞こえてきたのはベローネ基地の管制官、竹ノ内よし美の声。
いつも的確に指示を与えてくれる、有能な管制官だ。
「Lacrosse7、スタンバイ」
なぎさが答える。
しかし、いつもなら間髪入れず報告する志穂からの報告が無い。
「Lacrosse55、聞こえてますか?Lacrosse55?報告を」
「こちらLacrosse55、エマージェンシー!繰り返す、エマージェンシー!」
「Lacrosse55、どうしました?」
「こちらLacrosse55、エンジンが始動しない、繰り返す、エンジンが始動しない!
現在整備員がチェック中!」
アラートハンガーに緊張が走る。
「了解Lacrosse55、変化があり次第報告せよ。Lacrosse7はそのまま待機!」
「了解。」
落ち着いた声で答えてみたものの、なぎさもかなり動揺していた。
(そんな、エンジントラブルなんて!こんな時に…)
(ああ〜やっぱりついてない〜)
「こちらLacrosse55整備担当、エンジンに致命的なトラブルを確認、
現状では手に負えません!」
(ええ〜!!そんな、どうすんのよ!!)
「こちらLacrosse7、管制塔、指示を!」
当然、「待機せよ」の指示が来るはずだった。
しかし、その返答は予想外のものだった。
「…Lacrosse7、直ちに離陸してください」
「…え!?」
「繰り返します、Lacrosse7、直ちに離陸しなさい!
Lacrosse55はミッションアボート、15分待機の機を繰り上げ発進させます!
整備班はただちに代替機の準備を!」
なぎさはかなり動揺した。スクランブルは2機発進が原則であり、いくら後続機が来るとは言え、
1機で国籍不明の機にコンタクトするのは、とてつもない恐怖だった。
万が一敵性航空機の場合、攻撃してくる可能性はゼロではない。
(そんな、一人で発進なんて、怖すぎる、そんなの私には、そんなの…)
いくら命令、そして任務とはいえ、新人の彼女にはあまりに大きすぎる不安だった。
ヘッドセットのスピーカーが何か言ってるが、なぎさの耳には入っていない。
操縦桿とスロットルを握る手に汗がにじんでくる。
(どうしよう、発進しなきゃ、でも… 怖い…!)
「国を守るのが君の役目じゃないメポ!?」
突如聞こえてきたメップルの声。
「国を守るためにお前も僕もいるんだメポ!
よくわからないけど怖がってたら駄目メポ、今すぐ行くメポ!」
(そうだ、こいつも一緒だったんだ。)
(頼れるかどうかはわからない、でも、少なくとも私は1人じゃない!)
(あんな小さい奴がこんなに勇気を出してるんだ、あいつに負けるもんか!)
「了解、ベローネコントロール、」
「Lacrosse7、発進する!」
「了解Lacrosse7、滑走路はランウェイ36を使用せよ。
離陸後は方位150へ向かえ。指示は追って下します。」
「こちらLacrosse7、了解」
操縦桿とスロットルを再び掴みなおし、キッと前を見る。
(やってやる、絶対にやり遂げて見せる!)
誘導員が”前進”の指示を出す。
それに従い、ゆっくりと機を進め、アラートハンガーから出る。
数メートル誘導したところで、誘導員が離れる。
なぜなら滑走路と繋がる誘導路はすぐそこ、これ以上誘導の必要はないからだ。
誘導員が親指を立てた手を高く挙げる。なぎさも操縦桿を左手に持ち替え、敬礼する。
ラダーペダルを踏み込み、滑走路へ進路を向ける。
誘導路の突き当たりで90度回頭して、滑走路に入った所で一旦停止して指示を待つ。
「Lacrosse7、クリアードフォーテイクオフ。グッドラック!」
管制塔から指示と激励の言葉が入る。
「Lacrosse7ラジャー、テイクオフ!」
滑走路の先を見つめ、スロットルを一気に前方へ倒す。
アフターバーナーに点火。轟音と共に凄まじい加速で背中がシートに押し付けられる。
180kt、190kt、200kt、210kt…!
操縦桿を一気に引く。機が浮き上がり、今度は体が下に押し付けられる。
翼に力を得たF-15Jは、まるで矢のように加速上昇して行く。
一定高度まで達したところで、機を方位150へ転進させる。
不安を振り払うかのように加速するなぎさのF-15J。
彼女の運命は、このスクランブルから大きく動き出した…
Lacrosse7 15:47時、離陸。
とりあえず今日はここまで。
続きはまた今度に投下させていただきます。
>>291-304 (*゚∀゚) カ、カコイイ…
Lacrosse7って「アタシの歌を聴け〜〜!」とか想像してしまったw
307 :
207:2006/03/01(水) 15:23:44 ID:???0
>>291−304
凄いイイ!!
まるで福井晴敏の小説を読んでる様だった・・・・。
続きに期待!!
っと!自分もそろそろ投稿しなきゃ・・・・。
308 :
メロン名無しさん:2006/03/01(水) 20:59:41 ID:sUW3t5GSO
良作降臨age
207さんワクワクテカテカ(*゚∀゚)
>>309 すんません・・・今日はちょっともう・・・書く気分じゃないんですよね・・・。
なんて言うか、自分でもかなり重い内容を扱ってると思うので
気分がハイな日は中々思うような文章が書けないんです・・・何でだろう・・・。
多分明日か明後日にはまた鬱な気分になってるので、書けると思います。
平にご容赦を・・・・。
311 :
207:2006/03/02(木) 01:24:49 ID:???0
別に逐一の報告してくれなくてもできた時に投下してくれればそれでいいですよ
あと画像とかは貼ってくれなくてもいから
気長に待ってます。ガンガレ
314 :
207:2006/03/02(木) 14:24:33 ID:???0
病室のベッドの上で、背もたれの椅子にもたれながら
なぎさは漫画を読んでいた。
しかし、その顔には笑みなど一切無く終始浮かない表情をしていた。
暫くすると、両親と担当医がなぎさの病室に入ってきた。
そして、担当医がなぎさに「気分はどうかな?」と優しい声で聞くと
「今は・・・大丈夫です・・・」と元気の無い声で答えた。
両親もそんななぎさの様子を心配そうに見ていたが
なぎさは両親と担当医に泣きそうな顔で尋ねた。
「ねえ・・・先生・・・あたし・・どうして倒れたんですか?
お父さん・・・お母さん・・・知ってるんでしょ?」
なぎさは、まるで自分が白血病と言う重病にかかってる事を見透かしてるかの様に
重苦しい声だった。
しかし、担当医はなぎさをこれ以上不安にさせまいとわざと
明るい声で「ははは!なぎさちゃんは心配性だな・・・そんなに心配しなくても
大丈夫だよ、すぐに治って元気になるから!」と励ますように言った。
そして父親も「そ・・!そうだぞ!なぎさ!こんな病気すぐに治せるって!」
と勇気付けるように言ったが、母親だけはそんな二人の励ましの言葉を
聞いてるうちに、目に涙を浮かべながら手で口を抑えて泣くのをぐっと堪えていた。
なぎさは、そんな母親の様子を冷静に見守りながら、下を俯いて
「いいよ・・・そんなお芝居しなくても・・・あたし・・・何か重い病気なんでしょ・・・?
隠さなくても分かるよ・・・だってあの時だって・・・あんな風に急に倒れたなんて
あたし初めてだもん・・・自分の体なんだから・・・大体の事は分かるよ・・・」
とやはり言葉では言い表せないほどの感情を凝縮したかのような重い言葉を
淡々と答えた。
きたー!待ちわびたぞい!
316 :
207:2006/03/02(木) 14:43:14 ID:???0
「それに・・・さっきからみんな・・何か必死にあたしの病気の事を
隠そうとしてるもん・・・」
なぎさは核心を突くかのような鋭い一言を浴びせた。
これには流石に担当医も少し驚いた表情を見せたが
すぐに冷静さを取り戻すと、両親も含めてなぎさにも語りだした。
「そうか・・・確かになぎさちゃんの体だからね・・・そこまで分かってるんなら・・・」
そう言うと、両親の方を振り返って言った。
「お父さん?お母さん?少し早いですが・・・なぎさちゃんもこう言ってます・・・
もう教えてあげてもいいんじゃないですか?」
両親は互いに顔を見合わせながら、担当医の質問に頷いた。
担当医は真剣な面持ちでなぎさのベッド横にある椅子に腰をかけると
静かに語りだした。
「あのね、なぎさちゃん・・・これから先生の言う事がなぎさちゃんにとって
つらい気持ちを与える結果だとしても・・・決して弱気にならずに・・・
最後までこの病気と闘い続けると、約束してくれるかな・・・?」
今度は担当医の重苦しいが、真剣な言葉になぎさが少し緊張した
様子だったが、その言葉の重要性を理解したのか力強く頷いた。
「良かった・・・絶対に約束だよ・・・?」
「はい!!!」
再度の確認にも、もはや迷いは無いかのように答えた。
「じゃあ言うよ・・・なぎさちゃんの病気はね・・・簡単に言うと血液の癌と言われる
病気なんだ・・・・」
「えっ・・!血液の・・・癌・・・?」
「「うん・・・」
流石に覚悟をしていたとは言え、なぎさは「血液の癌」と言う言葉に
一瞬顔を真っ青にした。
317 :
207:2006/03/02(木) 14:56:18 ID:???0
「あのね・・・もう分かると思うけど・・・なぎさちゃんの病名はね正しくは
急性骨髄性白血病と言うんだ・・・」
「・・・白血病・・・・・・・・」
とうとうなぎさは、今まで必死で担当医の言葉がどんな結果でも
それを受け入れる勇気と覚悟を持って挑んでいたが、やはりまだ16歳の
少女の心にはそれはあまりにも重すぎたのか、担当医のその一言に
生気を無くしたかのように愕然と下を俯いたまま黙り込んだ。
そしてその様子を見ていた母親が、遂に我慢しきれなくなったのか
その場で顔を抑えて泣き崩れた。
父親も声を押し殺すかのようにすすり泣いた。
しかし、なぎさの耳には恐らく二人の泣き声は聞こえていなかったのだろう。
ただ、魂が抜けたかのように下を俯いたままだった。
担当医は、そんななぎさを呼び戻すかの様に大きな声で言った。
「なぎさちゃん!!」
「あっ・・・!はい・・!!」
なぎさは突然の担当医の大声に我に帰り、顔を上げて振り向いた。
「いいかい、なぎさちゃん・・・さっき先生と約束したよね?
どんな結果でも落ち込まず病気と闘うと・・・確かになぎさちゃんにはまだ
酷かも知れないけど・・・・でも頑張るしか無いんだよ・・・先生も全力で
なぎさちゃんが治るように頑張るから・・・それに・・お父さんもお母さんも
ついてくれてる・・・」
なぎさは、泣いている両親に向かって呟いた。
「お父さん・・・・お母さん・・・・」
318 :
207:2006/03/02(木) 15:06:38 ID:???0
なぎさに声をかけられた、両親は泣きながらなぎさの所に
駆け寄り、なぎさを力いっぱい抱きしめた。
「ごめんね!ごめんね!なぎさぁ!お母さん・・・黙ってて!!」
母親はなぎさを抱きしめなぎさの頭を摩りながら、叫ぶように言った。
「なぎさぁ!お父さんも・・・!お母さんも!そばについてるからなぁ!!
いや、俺達だけじゃない!亮太もついてくれる!だから一緒に病気と闘おうな!」
父親もなぎさを抱きしめながら叫んだ。
「うん!ありあとう!お父さん!お母さん!あたし・・・!あたし!
絶対に頑張るから!!絶対にこんな病気なんか治して見せるから!!」
なぎさも両親の言葉に答えるかのように、二人を抱きしめながら大声で
答えた。
担当医も流石に目の前の情景に目頭が熱くなったのか眼鏡を上げて指で
目をこすった。しかしなぎさと両親の決意を聞いて
「これなら大丈夫だ・・・必ず治せる・・・」と心の中でそう思ったのだった。
319 :
207:2006/03/02(木) 15:08:46 ID:???0
とりあえず、今日はここまでです。
続きは明日になると思います。
本当に少しずつの投稿で申し訳ありません・・・・。
いい展開だ・・・グスン
まってるよー207
ほのか
早く行ってだきしめてやれよぉおお!!
神キター!!
まずい、続きが投稿しにくい雰囲気だ…orz
いい雰囲気ぶち壊しにするようで申し訳ないですが、
まとめて続き投下させていただきます。
15:50 東京湾上空―
アフターバーナーを吹かし、音速を超えて対象機へ向かうなぎさのF-15J。
未だ不安は残っているが、とにかく今は目の前の任務に集中しようとしていた。
「Lacrosse7、こちらベローネコントロール。聞こえますか?」
「こちらLacrosse7、感度良好、どうぞ。」
「了解。現在の状況を報告します。」
「対象機の国籍、機種は不明。機数は1。
速度1300kt、高度15000ft、方位150(南東)より接近中。」
(速度1300kt…かなりの高速機…きっと戦闘機だ…)
「対象機は方位330…東京方面へ向かっています。」
なぎさははっとした。
先程までは全く気づいていなかったが、今自分は南東へ向かっている。
今まで、北西方面での対ロシア機のスクランブルは幾度と無く経験していたが、
日本列島の南東に敵対する国はおろか、戦闘機が航続できる距離に国は無いはず。
背に汗が滲む。一直線に東京方面へ向かう国籍不明の高速機。
これが、管制塔があれだけ発進を急かした理由だったことに今気が付く。
なぎさを、振り払いかけていた不安が再び襲う。
「対象機はあと7分で領空に入ります。貴機とコンタクトまであと9分。
領空内でのコンタクトとなります。空中給油機を手配したので、
そちらは常時アフターバーナー使用で急行してください。」
「指示あるまで発砲は厳禁。繰り返す、発砲は厳禁です。」
「後続機がまもなくこちらの基地を離陸します。
貴機が対象機とコンタクト後、2分後に到着します。
なお、到着を待たずに貴機が対象機に無線警告を行ってください。」
「報告終了、了解ですか?」
「Lacrosse7、了解。進路を維持する。」
15:52時 ベローネ基地第2管制塔―
先程のスクランブル発令から、ここにも慌ただしい空気が流れていた。
それもそのはず、東京へ一直線で向かう国籍不明機の存在、
そんな時に最悪のタイミングで起きたLacrosse55のエンジントラブル、
そして、たった1機で上がって行った新米パイロット―
あまりに悪い事が続き過ぎていた。
落ち着いた声で指示を出す竹ノ内管制官も、内心かなり動揺していた。
ベローネ基地返還以来未だかつて無い緊急事態。
「…塩谷基地司令と米槻副司令に連絡は?」
竹ノ内が隣の通信員に尋ねる。
「先程行いました。すぐ管制室に来ると仰っていました。」
「そう…わかりました。」
全ての行動には基地司令の許可が必要なスクランブル発進―
この緊急事態下では、管制塔に基地司令に来てもらう必要があった。
「こちらPhysic2、スタンバイフォーテイクオフ。」
後続の15分待機の機から無線が入る。その機は既に滑走路上で待機していた。
「こちらベローネコントロール。Physic2、クリアードフォーテイクオフ。グッドラック」
「Physic2、ラジャー。テイクオフ。」
翼を大きく開いた特徴的なフォルムの戦闘機が、赤い閃光を曳いて加速する―
垂直尾翼に青いストライプの入ったF-14J”Physic2”が地面から浮き上がる―
(二人とも、どうか無事で帰って来て…)
Physic2、15:53時、離陸―
15:56時 房総半島沖海上―
なぎさのF-15Jは、少し進路を変更し、対象機と正面で向き合う形となった。
機はますます加速し、まもなくM2.0に達する。
先程まで晴れ渡っていた空に、少しずつ雲が現れ始めた。
なぎさは、計器を何回も神経質にチェックした。
これくらいしか出来ることが無いのと、この先への不安を紛らわすため…
武装のチェックはもっと入念に何回も行う。
AAM-3赤外線誘導短距離空対空ミサイル2発、20mm機関砲940発。
万が一、対象機が攻撃してきたときに自分を守る武器はただこれだけ―
いわば、自らの命を守るための切り札。
「こんなものを使わないで済みますように…」
なぎさは、今まで信じたことも無い神に祈った。
耳に入るのは、スイッチをいじる音とエンジンの咆哮、
そして、自分の心臓の速い鼓動の音―
なぎさは、一人で飛ぶことがいかに孤独であるかを実感していた。
「Lacrosse7、」
しばしの静寂の後、管制塔から無線が入った。
「Lacrosse7、たった今対象機が領空に入りました。
貴機との距離30nm、コンタクトまであと2分。
現進路のまま進めば、1分50秒後に右前方に対象機が見えます。
十分警戒しつつ、対象機の後方から接近してください。」
「Lacrosse7、了解。」
操縦桿から手を離し、もう一度しっかりと握り直す。
これ以上倒しようのないスロットルレバーを強く奥へ押す。
まもなくレーダー探知距離に対象機が入る。
コンタクトまで、あと1分30秒―
15:57時 太平洋上空―
コンタクトまで1分30秒―
心臓の鼓動が速まるのをはっきりと感じた。
気が付けば体中、汗をかいている。
これは興奮の汗か、それとも恐怖の冷や汗か…
コンタクトまで1分20秒―
距離20nmまであと少し、もう対象機の姿がレーダーに映ってもいい頃だった。
なぎさは、対象機とコンタクトした後の事を何回も頭の中でシュミレーションした。
対象機の後方につけるまでの機動―
警告無線の内容―
対象機の反応とこちらの対応―
ただ、そのどれもが、すべて自分に都合の良いように考えられたシュミレーションだった。
彼女は、もう一度神に祈った。
コンタクトまで1分10秒―
レーダー画面に目を凝らす。この距離ならもう映るはず…
―その時だった
突如レーダー画面が乱れ、何も映らなくなる。
何が起きたのか、なぎさには一瞬理解できなかった。
「こちらLacrosse7、ベローネコントロール、応答を!」
反射的に管制塔に通信を入れる。ほぼ同時に、管制塔から通信。
黙っていたヘッドセットから聞こえてきたのは、確かに竹ノ内の声。
しかし、その声は不快なノイズに遮られた声だった
「こち…ベローネコン…ール、…acr…se7、対象機か…強…な…EC…!
そち…と対…機の機影がレ……ー上…らロスト!
コン……トま…あと50…、現…の進路…維……よ!
発……指示……るまで不許…!
コ…タク…の際…は十…警戒せ…!」
「も…一度繰…返……す、こちら…」
そこまで聞こえたところで、完全に通信が途絶えた。
恐らく、こちらからの通信も管制塔には聞こえていないだろう。
ヘッドセットはもはやただのノイズしか発していない。
なぎさには現在の状況がすぐに判断できた。
対象機からの強力なECM(電波妨害)。
自分以外の機、そして管制塔との一切の連絡手段を失い、
さらにレーダーが使えなくなり、自分の位置すらわからない。
気が付けば、周りの空には奇妙な色の雲が立ち込めていた。
(そんな、私はどうすればいいの…?怖い、怖いよ…)
彼女は不安と孤独に押し潰されそうになっていた…
15:58時 ベローネ基地第2管制塔―
「Lacrosse7、聞こえますか?Lacrosse7、応答を!」
管制塔には、先程にも増して緊迫した空気が流れていた。
「だめ… 完全にロストしてしまった…!」
竹ノ内は、ノイズで乱れたレーダー画面を見つめ、苦渋の表情を浮かべていた。
周囲の通信官達は竹ノ内の方を見たまま何も出来ない。
しばしの静寂の後、竹ノ内は顔を上げ、後ろで椅子に座っている塩谷司令の方を向いた。
「司令、男子部と百里に増援発進の要請許可を!」
「うーむ…」
「そんな事は許可できませんぞ!」
すぐに司令ではなく米槻副指令が口を挟む。
「まだ交戦状態にも入っていないのですし、それにもう一機、
優秀な後続機が向かっているではないですか!
もう少し様子を見ても良いではないのですか?」
「しかし、もし交戦状態に入ったら…!」
腕を組み、悩み込んでいた司令が口を開いた。
「わかりました、百里基地に増援機待機の要請を出して下さい。
ただし、対象機が領土上に入るまでは待機です。」
「男子部にも二機のスクランブル発進を要請してください。
二機には基地上空で待機してもらいましょう。」
増援の許可に、竹ノ内の表情が少し明るくなる。
「ありがとうございます!」
彼女はすぐに通信官に指示を出した。
「百里基地に増援待機の連絡!男子部のSoccer10とSoccer4にスクランブル発令!」
15:59時 計算上、Lacrosse7と対象機がコンタクトする時間だ―
15:58時 太平洋上空―
通信が途絶え、レーダーも使用できなくなったLacrosse7。
コンタクトまでの時間が刻々と近づいていた―
(落ち着け、私… 落ち着け…!)
(とにかく対象機にコンタクトしなくちゃ!)
コンタクト予定時刻 15:59時まであと30秒―
(対象機にはヘッドオンで接近中だから、見失うはずはない…)
(視認したら旋回して、後ろに付けて、それから…)
あと20秒―
(やってやる、やってやるんだ!やり遂げて基地に帰るんだ!)
あと10秒―
管制塔からの報告ではこのタイミングで右前方に対象機が見えるはず―
見えた!
右前方から高速で接近する対象機の姿。
反射的に機をハーフロールさせる。
相対速度M5.0ですれ違う2機―
なぎさは一気に操縦桿を手前に引いた―
15:59時 太平洋上空―
「コンタクト!」
聞こえていないと知りつつも、なぎさはマイクに叫んだ。
旋回のGで体が下に大きく力を受ける。
視界が段々暗くなってくる―いわゆる”ブラックアウト”だ。
G表示計は8Gを指している。普通の人間なら失神してしまうだろう。
しかし、人一倍Gに強いなぎさは何とかこのGに耐え、旋回を終えた。
本来なら、真正面に対象機が見えるはずだった。
しかし、そこに対象機の姿は無い―
代わりに、そこには奇妙な紫色の雲があった
普通はバーティゴに入る危険があるため、避けて飛ぶ雲。
しかし、対象機を追うためにはそんな事は言っていられない。
なぎさは危険を承知で、雲に突っ込んで行った。
機体が雲に包まれ、完全に視界が遮られる。
そこには外とは別の、不思議な空気と時間が流れている感じがした―
(雲を抜けたら、まず対象機の位置を確認しなきゃ!)
永遠とも感じられた時間の後、突如雲が途切れた。
雲を抜けた後に見られたのは、紫の空と黒い雲の浮かぶ不気味な世界。
その光景に一瞬圧倒されつつ、対象機の姿を探すなぎさ。
しかし、その姿はどこにも発見できない。
(どこ?どこへ消えたの?確かにさっき視認したのに…!)
ふと、嫌な予感がして思いきり後方を振り返る―
そこには、自機の後方に占位する対象機の姿があった―
今日は以上です。
理解できない用語などあったら聞いてくださいね。
>>306 >>307 ありがとうございます!
そう言って頂けると執筆の励みになります。
>>207 ちょ…すげーよ…泣けた(つд`)
>>246 カコイイ!!GJ!
ほんと皆様GJで頭下がりますよ。
>>207 くぅ…重いなあ…
いつも明るい美墨家を、優しい岳さん理恵さんを知ってるだけに重いよ…
>>246 なんかテンポがよくて、緊迫した場にどんどん自分が引き込まれていく。
しかしまったく副司令はどうしてこう…w
まだ話は続くけど、この設定でベローネ側のキャラを演じるTRPGとかやるのも面白いのでは、
とか思った。(知り合いの話を聞くだけで、自分でTRPGをしたことはないけど)
>>207、246
ついにキタ━━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━━!!!!
なんかあれだ、毎週プリキュアを待つような、そんな感じ。一日千秋
336 :
メロン名無しさん:2006/03/03(金) 00:03:20 ID:bA/OwnkG0
冬季Pオリンピック、超極秘必殺技6回転ジャンプをひっさげ、国民の期待を背負い
金メダルに挑んだ期待の女子フィギアスケートルーキー美墨なぎさは、まさかの転倒
で失格、メダルどころか18位で予選敗退の失態をかました。 そして帰国した彼女を
待ち受けていたものは、マスコミの彼女や競技会に対する冷酷非常な非難合戦と
彼女をいままで育て上げてきたヘッドコーチ雪城の怒りの仕打ちであった・・・
「ごめんなさーーい、コーチ・・。 あんなに練習で頑張ったのにあんな風な結果出して・・」
と、ぶっとい眉毛の左右を山のように吊り上げ、なんとか怒りの感情を抑える雪城コーチ
「返すことばも出ないわ・・・」
「すみません・・・あの時は凄く体が重かったんです、わたしが試合前にたらふくお弁当たべなけりゃ・・」
「あなた、あれほど言ったわよね?試合前には食べるなって」
「ごめんなさーい、だってオリンピックの大舞台だったから、つい緊張しちゃって食べたくなって」
バチッ!コーチの張り手が飛ぶ
「いっ痛ーーい・・・・!」
「あなたのせいで競技会や私がどれだけマスコミから叩かれたと思ってるのよ!」
「ごめんなさーーい」
「あやまればすむってもんじゃないでしょ!!」パン!
「ひいいいーーーー!!!!」
「まあ、これでわたしもコーチをクビにされたわ、今日からあなたは競技会とは関係なく
わたしの自宅に4年間住んでもらうわ!二人で4年後の金を狙うのよ」
「なっ・・・なに言ってるんですかコーチー!?」
「いやなの?」
「そんな・・・そんなこと競技会とかファンとかが許さないと思います」
「おだまりなさい!!」恫喝するコーチ
「ひいいいーーー!!」
「あなたに足りないものは何でも我慢する強い精神力よ!わたしの自宅に居候して強い精神を鍛えてもらうわ!」
「いやだーーー!コーチの家になんかいくたくない・・・」
そのとき、どこから持ち出したのか、長いSM用の鞭がなぎさに飛ぶ
パシッ!
「あなた、まだそんなこと言ってるの、オリンピックの自己反省が不十分なようね。そうだこれから
たっぷりとお仕置きしてあげましょうか」
「いやあ〜そんなあ・・・やだよ鞭なんて辞めてよ、ありえなーーい!」
コーチに目隠しされ両手をロープで固定され宙吊りにされるなぎさ
「ありえない、ありえない」
「いい?なぎさ、わたしだってしたくてこんな酷いことするんじゃないのよ、すべてはなぎさのためなの」
鞭をふるう
「痛いよーーー!!」
もういっちょ
「もうやめてーーー!!」
涙と鼻水で顔をぐちゃぐちゃにさせ必死に許しを請うなぎさ
「
(゚д゚≡゚д゚) な、何だ?放送事故か!?
338 :
メロン名無しさん:2006/03/03(金) 00:08:40 ID:tuGv0ubT0
「ぷっ・・wふふふふふ・・・なぎさ効いてる?」
パシッ!
「うわあああーーーん!!もう限界ですコーチーーーありえなーーい!」
放心状態で首を垂れたまま崩れるなぎさ
「なぎさ、これでわかったわよね?コーチに恥をかかせたり逆らうとこうなるの。
続きはわたしんちに帰ってからやりましょう?」
なぎさ、無言で小さくうなずく
END
シリアス長編が続いていた流れで
こういうのもたまには緩急ついていいなw
わけ分からんけどw
340 :
メロン名無しさん:2006/03/03(金) 01:23:09 ID:Q5IevI+y0
>(゚д゚≡゚д゚) な、何だ?放送事故か!?
いかん!不覚にも萌えた!今日は神降臨の日か。ひな祭りだからか。
てことで神期待age
懲りずに続き投下行きます。
―なぎさは、背筋が凍る思いをした。
国籍不明機とのコンタクトの鉄則、後方からの接近。
なぜなら、こちらの背を向けることは、攻撃の格好の的になる事だから―
対象機の国籍は確認できなかったが、機種はMiG-31のように見えた。
敵性かどうかはわからない、しかし、少なくとも味方ではない―!
(―とにかく、とにかくこの状況から逃れなくちゃ!!)
操縦桿を右に倒し、手前に引く。右急旋回―
対象機もそれに追従してくる―
左に切り返す―
こちらの動きが読めているかのように軽々と追従してくる―
速度で振り切ろうにも、速度はあちらに利があるので振り切れない―
「ふふ… やっと見つけたぞ…」
突如対象機からの通信が入る―
「だ、誰なのあなたは!?すぐに私の6時方向から離れて!!」
「我が名はピーサード。そうはいかん、プリズムストーンを渡してもらうまではな!!」
「プリズムストーン…?何のことよ、訳わかんない!」
「逃げるメポ、絶対に逃げるメポ!」
今まで沈黙を保っていたメップルが突如騒ぎ出す。
「あ、あんた、プリズムストーンって何よ!?」
「とにかく逃げるメポ、話は後メポ!」
「あんたに言われなくたって逃げるわよ、もう!」
なぎさは持てる限りの技術を駆使して、
”ピーサード”の操るMiG-31を振り切ろうと試み始めた―
”ラクロス”で鍛えた技術を駆使し、MiG-31を振り切ろうとするなぎさ。
自分のベストを尽くし、機と自分の身体を限界まで追い込んで操縦する。
対象機が武装しているかどうかはわからない―
しかし、もし武装しているとしたら―
それ以上、なぎさは考えなかった。考えたくなかった。
今まで経験したことの無いような緊張感。
これが、実戦―
いつもの訓練とは違う、生か死か、二つに一つの世界―
逃げるF-15J。追うMiG-31―
操縦技術には自信のあったなぎさ。
しかし、ピーサードの技術も相当なものだ。
まるでこちらの動きが全て読まれているかのよう―
とても振り切れそうにない!
「いい加減諦めてプリズムストーンをよこせ!無駄な殺生をするつもりはない!」」
「何が何だか知らないけど、とにかくそうは行かないの!
領空から出て行きなさい、早く!」
「貴様、今の状況がわかっているのか!?
俺が今トリガーを引けばお前は墜ちるんだぞ!?」
「俺は貴様に猶予を与えてやってるんだ、早くしろ!」
「バカにしないで!いらないわよ、そんなもん!」
「ならば力ずくで奪うのみだ!」
「やってみなさい、このバカ!」
なぎさは自分でもなぜこんな事を言ったのかわからなかった。
―なぜたった数時間前に出会った得体の知れない生き物のために自分の命をかけるの?
―なぜ?ここで”プリズムストーン”とかを渡せば、私は助かるのよ?
―渡せばいいじゃない、渡せば私だけは助かるんだから
―なのに、なぜ…?
一瞬の隙を突き、MiG-31がベストポジションにつく―
これはかわせない―!
覚悟を決めるなぎさ―
「終わりだ…!」
なぎさは、目を閉じた。
これで私は墜とされる。
偉そうなこと言っといて、結局こいつに負けた。
顔は見たこと無いけど、ほくそ笑むピーサードの顔が見えた。
見えないはずだけど、逃げ惑う自分を追うMiG-31の姿が見えた。
弾け飛び粉々になる、自機の姿が見えた。
自分が死んで、悲しむ家族と仲間の顔が見えた。
頭の中を、今までの思いが駆け巡る―
幼い頃の思い出―
飛行機に乗りたい一心で必死で勉強した学生時代―
入隊したときの、将来の希望への胸の高鳴り―
初めて飛行機を操縦した時の興奮―
鬼教官にしごかれた中等操縦訓練―
初めて訓練で”撃墜”した時の喜びと、
初めて訓練で”撃墜”された時の悔しさ―
そして、家族とベローネ基地のみんなの笑顔―
それも全て、消え去ってしまうのだ―
えっと、まだ続きあるんですが友人から呼び出し入ったのでまた後で…
すげー気になるww。
友人〜〜〜〜ww期待ワクテカ(゚∀゚)
16:01時 房総半島沖太平洋上―
MiG-31が自分を前方に捉えてから、永遠とも思える時間が経った。
実際にはほんの1秒も経っていないだろうに―
………………
「Lacrosse7、ブレイク!ブレイクレフト!」
沈黙していたヘッドセットからはっきりと聞こえてきた無線通信。
頭ではなく、身体が反射的に操縦桿を思い切り左に傾ける。
直後、大きな衝撃波が機体の右を駆け抜けた。
「うっ!?」
突然の衝撃にひるむピーサード。
彼も反射的に機首を下げた。
なぎさのすぐ右をかすめ飛んで行ったのは、見覚えのあるフォルムの戦闘機。
赤い閃光を曳き飛び去る、垂直尾翼に青いストライプの入ったF-14J。
「こちらベローネ科学隊所属、雪城ほのか。コールサイン”Physic2”
Lacrosse7、大丈夫ですか!?」
後続の15分待機の機、”Physic2”雪城ほのかの2分遅れの到着。
絶望していたなぎさの目の前に現れた大きな希望―
「こちらベローネラクロス隊所属、美墨なぎさ。コールサイン”Lacrosse7”
Physic2、貴機の支援に感謝!よろしく!」
「こちらPhysic2、了解Lacrosse7。こちらこそよろしく!」
(―私は孤独じゃない、私には仲間がいる!)
なぎさは、先程まで頭にあった雑念を全て振り払うと、
再び操縦桿を強く握り締めた―
(よし、とにかく落ち着け、私…!)
なぎさは自分に言い聞かせ、今の状況を確認する。
自機は現在高度13000ft、速度760kt。機にも自分自身にも異常はない
MiG-31は、自機の2時方向低空、高度7000ft辺りを飛んでいる。
そしてその後方に占位しようと、上空約12000ftからスライス・ターンに入るPhysic2が見えた。
この状況で最も必要な行動は、MiG-31の後方に付こうとするPhysic2を援護すること―
スロットルレバーをA/Bポジションに叩き込む。
AAM-3と20mm機関砲の安全装置を解除する。
2機を正面のHUD上に捉える。無線のスイッチを入れる―
「こちらLacrosse7、Physic2、援護する!そちらは追尾に入ってください!」
「了解Lacrosse7、対象機を追尾します!」
「チッ、新手か!」
アフターバーナーを全開にし、MiG-31を追うF-14J。
MiG-31も機を反転させ、すぐさま回避行動に入る。
回避したMiG-31の後方を取ろうと、反転するF-14J
それをまたかわし、減速してオーバーシュートを狙うMiG-31。
F-14Jもすぐさま減速する。みるみる開いていくその主翼。
オーバーシュートに失敗したMiG-31は、再び加速する。
それを追い、加速するF-14J―
2機が互いに後方を取ろうと、激しい機動を繰り返す。
いわゆる、”ドッグファイト”だ。
なぎさは、そんな光景を眼下に見つつ、急速に2機に接近する。
良い位置につけても、決して攻撃は行わずに無線警告を続ける律儀なPhysic2。
『こちら日本航空自衛隊。警告、貴機は我が国の領空を侵犯している。
領空外へ誘導する。直ちに領空より退去せよ。繰り返す…』
無機質な声の、テープ録音の航空自衛隊で規定の警告無線。
対象機がそれを聞くとははなから思っていない。
しかし、発砲許可が出ていない今、二人の”武器”はこれだけ―
(もし無線が使えれば、発砲許可を貰えるかも知れないのに…!)
二人は、歯痒い気持ちでいっぱいだった―
激しいドッグファイトを続ける2機。
それに追い付こうとする、なぎさのF-15J。
HUD上の距離表示の数値が、どんどん小さくなっていく―
兵装選択スイッチを、AAM-3にセットする。
HUDに円形のシーカーが表れる。
もちろん、許可が出ていない現状でこれを発射するわけにはいかない。
しかし、これでロックをかければ、相手はきっとひるむはず―
撃墜することなく領空から追い払うことが出来れば、それがベストだった。
MiG-31とF-14Jに1.5nmまで接近する。
この距離からなら、2機をはっきりと視認出来る。
今のうちに対象機の確認を行う。
対象機は間違いなくMiG-31。国籍表示や機番は無い。
黒い塗装に赤いマーキング。機首付近は白く塗られている。
不気味な塗装だ、となぎさは思った。
主翼下に、何か筒のような物が見える。
ロケットポッドのようにも見えるが、それとはちょっと違う。
あれは何なのか… なぎさの不安が増す。
わかった事は、あいつはまともな奴じゃない、それだけ。
あと1.0nm。もう両機がすぐ近くに見える。
2機を追い越さないように、アフターバーナーをカットする。
なぎさは、少し下から2機に接近する。
その時、なぎさは自分の目を疑った―
Physic2の胴体下にも、自分のと同じドロップタンクが吊られていたのだ。
違いは、自分のではピンクの部分が水色になっているくらい―
「なぎさ、ミップルを感じるメポ!すぐ近くにいるメポ!」
突如騒ぎ出すメップル。まさかあの中に…!?
近付いてきたF-15Jを確認するため、後ろを振り返るほのか。
彼女もなぎさのドロップタンクに目が行った。
「ほのか、メップルミポ!すぐ近くミポ!」
「美墨さん、あなたも同じ物持ってるの!?」
「やっぱり、雪城さんも!!」
ほのかが後ろを振り向いた。その数秒に一瞬の隙ができた―
二人が互いに気をとられていた一瞬だった。
MiG-31が大きく減速する。と同時に、F-15JとF-14Jが前に出る―
オーバーシュートだ。
しまった!!
自らの愚かさを呪う二人。しかし、もう遅い。
再びMiG-31に後方に占位されてしまった2機。
「もう一匹揃ったか、ちょうどいい!まとめて奪い取ってやろう!」
無線から聞こえる、いわば”死刑宣告”―
編隊を組んだような状態で、MiG-31の前を飛ぶ2機。
このままでは、格好の的だ!
すぐに右に急旋回する2機。
しかしこうなっては、もはやどんな機動も無駄だった。
ぴったりと後ろに付かれた2機、もう逃れられない―
もうだめ、撃墜される。
二人がそう考えたときだった―
「二人とも、変身するメポ!」
「へ、変身…!?こんなときにそんなギャグ笑えないって…!」
「早く、早くぅ!兵装選択でドロップタンクを選択するミポ!」
当然の、二匹の突拍子の無い発言に戸惑う二人。
それに、ドロップタンクは兵装選択ウィンドーに表示されないはず。
―しかし今、表示されないはずの”ドロップタンク”が表示されている―
…もはやMiG-31に手も足も出ない今、二匹の指示に従うしかなかった。
一か八か、二人は兵装選択で”ドロップタンク”にカーソルを合わせ、トリガーを引く―
HUDに点滅表示される"DUAL AURORA WAVE"の文字―
直後、周囲が眩い虹色の光に包まれた―
今日はここまでです。
続きは書けてないのでしばらく先です…
超展開の予感w
wktk
>>246様
マーブルスクリュー吹いたw
>>204様がいらっしゃるかと心の準備をしてきたのところに
>HUDに点滅表示される"DUAL AURORA WAVE"の文字―
は効いたよw
ども〜
こんな下手なSSに感想頂けて、大変嬉しいです。
で、とりあえず一通り読んでくださった方々にお聞きしたい事があります。
もう皆様にはこの後の展開はおわかりかと思いますが、
実はこの続きの部分がどうも上手く書けないのですorz
そこで、この際バッサリとわかりきった展開は削って、
帰還の情景から続けるのもアリかな〜とか思い始めています。
ただ、やはりこの後の展開の描写は、やはり「プリキュア」である以上
必要かな…とも思うし、でも… というわけで混乱しております。
どうか皆様のご意見、ご要望など頂けると幸いです。
もし、この後の展開が読みたいという方が1人でもいらっしゃれば、
精一杯頑張って書かせていただこうと思ってます。
246タン、ほんとに乙乙乙です。
個人的には、なぎほの機のパワーうp後の超機動&超飛び道具を見てみたいです。
やはり「そこ」に向かって期待が高まってきてるので。
格闘戦シーンが今すぐにはまとまらない、ということでしたら、
「なぎほの無事帰投」→「基地でのレポート作成」→「格闘戦の回想」
みたいなエヴァ第2話風の構成で、格闘戦シーンを後ろにもっていく…というのもアリかも
と僭越ながら愚考してみましたが、どうでしょうか。
もちろん、246タンの納得いく展開が一番ですし、時間がかかってもいくらでも待ちます!
357 :
207:2006/03/03(金) 23:41:04 ID:???0
それから二日後、学校では担任がなぎさに対して
お見舞いの手紙を生徒に提出させていた。
「はい、この間も言ったように今日は美墨さんのお見舞いの手紙を
出してもらいます。明日、先生が美墨さんの病院に行って直接渡してきますので
今日中に提出してくださいね」
担任が言い終わるとクラスは再びざわざわしだして、どんな事を書こうか
とか相談し合う生徒達の声で騒がしくなった。
しかし、一番前の席に座っているほのかは、俯いたまま全く浮かない
表情をしていた。そんなほのかが気になったのか、担任は「どうしたの?
雪城さん?」と声をかけて来た。
ほのかは担任の声に一瞬ビクっとしたが、「あ・・・いえ・・別に何でもありません」
と、無理やり笑みを作って言った。
しかし頭の中では、まだなぎさに対して送る手紙の内容など
全く考えていなかった。と言うより考えられなかった。
「今更、一体なぎさにどんな言葉を書けばいいのだろうか?」
考えれば考えるほど、ほのかの頭の中ではそんな返事ばかりが
堂堂巡りするのだった。
しかし、そう考えると以前からずっとなぎさに対して、何か一種の
嫌悪感のようなものが沸々と沸き起こってくるのだった。
「ああ・・・面倒くさい・・・・」「どうしてわたしがこんなにも悩まなくちゃ
いけないのかしら・・・」「いっそ、少しきつい事でも書いてあげようかしら・・・」
ほのかの心の中で、そんな自分でも嫌気が刺すほどの、どす黒い感情が
どうしても沸き起こってくるのだった・・・・。
そして、ほのかはようやく気づいた。
「もう・・・これしか無いんだわ・・・・いくら我慢したって・・・
いくら嫌がったって・・・こんな嫌なことばかり考えてしまうんだもん・・・」
358 :
207:2006/03/03(金) 23:56:45 ID:???0
ほのかは心の中で、硬く決心したかと思うと周りを少しきょろきょろと
見回し、誰も自分を見ていないのを確認すると、手紙を隠すように身を屈め
今まで白紙の手紙を目前にして、全く動かなかった手をゆっくりと動かし鉛筆で
手紙に字を書き始めた。
そして、書き終わると震える手で手紙を便箋に入れ、担任に渡した。
その時、ほのかは「これで・・・いいのよ・・・これで・・・!!!」と
心の中で叫んだ。
しかし、何故か額からも、手にもそして体中もう汗でびっしょりになっていた。
たった、数行の文字を書くのに、体力を使い果たしてしまったからだった。
まだ、心臓の鼓動が激しく脈打っているのが容易に分かった。
そして、その日の終礼の時間。
「はい!これで全員ですね!!では明日、この手紙を美墨さんに届けますので
いいですね!!?」
担任は確認するかのように、集めた手紙を大きな紙袋にまとめて入れた。
ほのかは「とうとう・・・・書いてしまった・・・ハハ・・・本当に・・・書いちゃった・・・・」
と、今日提出した時とは打って変わって、少し後悔の念が浮かび上がってしまった。
が、「違う!後悔なんか・・・後悔なんかしてないもん・・・あれで・・あれで
良かったんだもん!」とすぐに自分に反論し、言い聞かせた。
359 :
207:2006/03/04(土) 00:16:41 ID:???0
その日、ほのかは帰宅してからも一日中部屋に篭りっ放しだった。
両親や祖母が話し掛けても部屋からは小さな返事すらも返ってこなかった。
「わたし・・・どうして・・・あんな事・・・」
ほのかはやはり、まだ今日自分が書いた手紙の事を後悔するかの様に
ベッドに横になったまま、まるで今にも泣きそうな表情で呟いた。
そのままほのかは疲れたのか、深い眠りについた。
次の日、担任はなぎさの病院を訪れていた。
病室をノックし担任がなぎさのいる病室に入ってきた。
「美墨さん・・・こんにちは」
「あ、先生・・・こんにちは」
「具合はどうですか?」
「あ・・・はい・・・今の所は大丈夫です・・・」
360 :
207:2006/03/04(土) 00:45:14 ID:???0
そして二人は軽い挨拶を交わした。
担任は学校での話や、なぎさが居なくなってクラスのみんなが
悲しがっていることなど、話してから手紙がぎっしり入った
紙袋をなぎさに渡した。
「あ、これねクラスのみんなから美墨さんに。
早く元気になってほしいって言う気持ちを込めて書いた手紙よ。」
「ええ!あたしにですか?嬉しいです!みんなにありがとうって言っといて
下さい!」
「よかったわ、喜んでくれて」
「あ、あの・・・あとで読んでいいですか?」
なぎさは照れくさそうに言った。
「ええ、どうぞ。後で一人でゆっくり読んでちょうだいね」
担任も笑いながら答えた。
暫く、二人は和やかな雰囲気で会話していたが
担任も学校に戻らなければならなくなり
なぎさは再び、病室に一人になった。
>>207 ほのか…何を書いたんだ…!激しく気になる。ええい続きはまだか!
すみません○| ̄|_ 興奮しすぎた
>>246 変身か?変身なのかー?それとも違う構想なのかーッ!!いずれにせよ
クライマックスだ!
>HUDに点滅表示される"DUAL AURORA WAVE"の文字―
やべえ
何度読んでも吹いてしまうwww
何かツボに入っちゃったんだろうなw
俺はカッコいい映像を想像したけど
おお!神降臨していたか!いつもありがとう
207氏の降臨はまだですかね?(´・ω・`)
俺は246氏にも期待wktk
期待age
ageてねEEEEE!!!
371 :
207:2006/03/08(水) 16:05:53 ID:???0
病室のベッドの上で、一人になったなぎさは
さきほど担任から手渡された、手紙の入った紙袋から
徐に一つ取り出した。
「何て書いてるのかなぁ・・・」
なぎさはちょっと緊張したが、すぐに皆からの励ましの言葉が
頭に浮かび、緊張は解き解れ、期待に変わっていった。
「ええと・・・美墨さん、早く元気になってください!!美墨さんがいないと
クラスがとても暗くなった様な気がして淋しいです・・・・か。」
なぎさは小声で読みながら一枚ずつ手紙を次々に開封しては読んでいった。
すると、やはり自分が予想していた通り、皆とても嬉しくなるような
励ましの言葉がぎっしりと書かれていた。
そして、次の一枚を袋から徐に取るとなぎさの顔色は急に変わった。
それはほのかの手紙だった。
なぎさはその手紙をしばらくじっと見詰め、今まで笑みを浮かべていた表情から
一転して急に不安げな表情になった。
「ほのか・・・・ちゃんと書いてくれたんだ・・・・でも、何て書いてあるのかな・・・?」
なぎさは、そう言うと急に手が震え出した。
そしてその震える手でゆっくりと手紙を取り出して開いた。
372 :
207:2006/03/08(水) 16:21:13 ID:???0
なぎさは、その震える手でしっかりと手紙をつかみながら
紙をゆっくりと開いた。
そして、視線を紙面に向けると一瞬体が凍りついた様な気持ちに
襲われた。
そしてなぎさはその手紙に書かれている文言をまるで無意識の内に言った。
「・・・・・ごめんね・・・・・・。」
これだけであった。なぎさは手から力を奪われたかのように
手紙をその手からぽろっと落とした。
だが、顔は全く動かず俯いたまま呆然とした様子でいた。
しかし、暫くするとなぎさの目から、ツウっと一筋の涙が零れた。
「ほのかが・・・・・・・ほのかが・・・・・許してくれたの・・・・?ほのかが・・・」
なぎさは何度も何度も、無意識のうちにほのかの名前を繰り返し
言い続けた。
「ほのかが・・・・!!ほのかがぁっ・・・・!!!ほのかぁぁ・・・・・!!!」
すると、今までの様子が嘘のようにあるいは今まで溜まっていたのモノを
吐き出すかのように、なぎさは両手で顔を抑えながらその場で突っ伏して
泣き崩れたのだった・・・・。
そして何度も「ほのか・・・ゴメンね!!ゴメンね・・・ほのかぁ・・・!!」と
なぎさもまるで目の前にほのかがいるかのように、何度も何度も
謝り続けたのだった・・・・・。
373 :
207:2006/03/08(水) 16:26:47 ID:???0
長い間、更新できなくて申し訳ありませんでした。
手紙の内容ですが、最初は残酷な内容の言葉にしようと
思ったりもしたのですが・・・・、やはり自分には無理でした・・・。
何と言うか、ほのかは、こんなにも残酷で黒い心はやはり持っていないと
思って。結局はこういう内容になってしまいました。
ダークな展開を期待していた人、ゴメンなさい・・・・。
374 :
207:2006/03/08(水) 16:46:33 ID:???0
その日の夕方、ほのかはベッドに横になりながら物思いに耽っていた。
「今ごろはもう・・・なぎさにわたしの手紙が読まれてるのかしら・・・・。」
ほのかは今でも少し後悔していた。
どうして手紙に「ごめんね」なんて書いてしまったのかを。
「わたしって・・・バカだわ・・・どうしてあんなこと・・・あれじゃわたしが悪かった
みたいじゃないの?なのに・・どうして・・・どうしてなのよぉ!!」
ほのかは枕に顔を埋めると、シーツをぎゅっと握り締め言った。
「あんなに、なぎさのこと避けてたのに・・・なぎさにあんなに酷い事言ったのに・・・」
ほのかは自分が書いた手紙の言葉に未だに納得できなかった。
しかし、それはなぎさに許して貰えるかとか、もっと酷い事を書いてやろうと
思ったりしたり、そう言う感情が様々に交錯しあって、自分が何を書きたかったのか
あるいは自分がこの苦しみから、逃れる為だけに許しを請うてしまったのではないかと
言う疑問から生まれて来るのであった。
「わたしは・・・本当はなぎさと仲直りしたいの?
わたしは・・・本当は許してもらいたいの?
まだ・・・なぎさの事・・・全部許したわけでもないのに・・・
なぎさにも謝ってもらっていないのに・・・・どうしてわたしが先に謝っちゃったのかしら・・」
ほのかはそんな事を考えているうちにそのまま眠ってしまった。
ただほのかの目からは、一筋の涙が零れていた・・・・・。
375 :
207:2006/03/08(水) 16:47:48 ID:???0
今日はこのくらいで、またまた中途半端かつ
途切れ途切れで申し訳ありません。
376 :
メロン名無しさん:2006/03/08(水) 17:57:51 ID:tCi3axk90
続きが凄い気になる。ラストは一体どのような展開でシメるのか期待。
やっとキタ―!!
予想していた方向とは全く別方向に話が進んでる…
どうやって話が展開していくのか楽しみです!
続き期待してますよ!
>>207 手紙の内容ですが、最初は残酷な内容の言葉にしようと
思ったりもしたのですが・・・・、やはり自分には無理でした・・・。
おまいのやさしさに惚れた。
残酷にしてもそれはまたそれで良かったかも知れないが。
キタ───(゚∀゚)――─!!!!
続き投下乙です!!期待してるぜ!
どうもです。
まだ途中で何なんですが、新しいSSの構想が思い浮かんだので
明日当たり書いても良いでしょうか?
381 :
ひみつの文字列さん:2024/12/28(土) 23:47:57 ID:MarkedRes
日本国またはアメリカ合衆国、もしくはその両方の著作権法に触れる内容であると疑われることから表示できません。
382 :
1/4:2006/03/09(木) 17:55:38 ID:???0
「!?」
「どうしたの?お姉ちゃん…?」
仲良く手を繋いで歩く買い物からの帰り道。突然後ろを振り返ったひかりに、ひかるが不思議そうに声をかける。
「何かあったの?」
「ううん、何でも無いの。きっと風の悪戯ね」
自分を見上げるひかるを不安がらせまいと、ひかりがニッコリと微笑みを向ける。
「さ、いきましょ!?アカネさん、きっと首を長くしてまってるわ」
「うん!アカネさん普段はとっても優しいんだけど、怒ると鬼みたいに怖くなるもんね」
「もう、ひかる!そんな事言わないの!…でも、フフッ、確かにそうかもね!」
クスクスと笑う二人。そして再び仲良く並んで歩き出す。だが―――
―――でも…
ひかるに気付かれないよう、再度チラッと視線を後ろへ向ける。
―――でも、確かに気配が…
383 :
2/4:2006/03/09(木) 17:56:28 ID:???0
「誰かに見られてるような気がする!?」
お風呂上りのお肌の手入れの手を止めて、アカネがひかりの言葉を繰り返す。
「はっきりとは言えないんですけど、最近そんな感じがするんです」
「そう……あ、意外とひかりの事が好きな男の子だったりして?」
「いいえ、そんなんじゃありません。何かこう、上手く言えないけど、もっと別な感じなんです…」
真剣な表情でその感覚を伝えようとするひかり。
そんな様子にアカネも思わず姿勢を正す。
「ゴメンゴメン、冗談だよ……そう言えば、最近ここら辺で痴漢が出たって話をお客さんから聞いたっけ…。
ひょっとしたらソイツかも知れないね。うん、きっとそうだよ!ひかりはカワイイから気をつけなきゃ!
何かあったらスグにあたしやなぎさ達に知らせるコト。分かった!?」
「…ハイ。ごめんなさい、心配ばかり掛けて…」
アカネの言葉に、ひかりが思わずうつむいてしまう。
だがそんなひかりの額を、アカネが指でツンとつつく。
「何言ってるんだい!大切な家族なんだから、そんな事当たり前だって!それより明日も学校でしょ?もう寝なきゃ!?」
アカネの言葉に、ひかりの顔にようやく明るさが戻って行く。
「ハイ…!アカネさん、おやすみなさい!」
「うん、オヤスミ!」
384 :
3/4:2006/03/09(木) 17:57:21 ID:???0
―――そして暫らく経ったある夜
「はい、おしまい。もう一度お湯に浸かりましょうね?」
体に残った石鹸をザバンと流し終え、ひかりが湯船の中へとひかるを優しく促す。
それに「うん」と素直に従うひかる。続いてひかりも一緒に湯船に入る。
「ちゃんと肩までね?…じゃあ20数えたら上がりましょ?1……2……3……」
「いーち、にーい、さーん……」
姉弟そろって仲良くカウント。しかし、それが10を数えた時
―――ガタン!
すぐ外から不審な物音が聞こえてきた。
「何、今の音…」
不安に思いアカネを呼ぼうとひかりが立ち上がる。
が、思い直し、勇気を出してガラリと窓を開けた。
―――キャーッ!!!
385 :
4/4:2006/03/09(木) 18:02:38 ID:???0
「どうしたの!?ひかり!!」
ひかりの悲鳴に、アカネが慌てて浴室に駆け込んでくる。
「今、そこに誰かが居たんです!」
「なに!?まさか本当に痴漢…!?よーし、捕まえてとっちめてやる!!」
ひかりの指差す方を確認して、アカネが鼻息荒く外に飛び出そうとする。
だがその時―――「待って!!」
「お願いだから、追いかけないで!」
ひかるのその言葉に、えっ?と二人が振り返る。
「追いかけないでって、どう言う事?」
「あの人達は悪い人達じゃないから…。だからお願い、許してあげて…」
その説明に、アカネとひかりが思わず顔を見合わせる。
「ひかる、知ってるの?」
「…お願い」
「いや…でも…」
「お願い……」
ひかるの眼差しにもう一度顔を見合わせる二人。やがて「フゥ」と息を吐き出して
「マッタク、今回だけだからね…」
「そうよ、分かった?」
「ありがとう!アカネさん、お姉ちゃん!」
―――ボクに会いに来てくれたんだね。ありがとう…
「見つかったザケンナー!お前のせいだザケンナー!!」
「何で俺のせいなんだザケンナー」
「罰として屋敷に戻ったら一人で掃除だザケンナー!」
「ええっ!?もう掃除は飽きたザケンナ…」
以上でおしまい…だザケンナー
執事ザケンナー…(つд`)今頃どうしてるんだろ。
彼らにも幸せになってホスィ
GJっす!!
386GJGJGJ~~!
憎めないやつらだったなぁ
389 :
メロン名無しさん:2006/03/09(木) 23:42:10 ID:FdCWPnAI0
ある日、なぎさとほのかがデートしていると大量の男どもが寄ってきた
オタ1「プリキュアめっけーー!写真撮らせてください!」いきなりシャッターを押す
ほのか「きゃっ!まぶしい」
なぎさ「なにすんのよ!人をいきなり撮るなんて失礼じゃない!」
オタ2「うへへへへ・・・こんなチャンスめったにないからね」シャッターを切る
オタ3、パシャッ
ほのか「あなたたち、やめなさいよ!」ほっぺたをふくらませて怒るほのか
オタ1「うんうん、その怒った顔もいいよ、もっと怒ってw」パシャッ
なぎさ「ありえなーーい、この人たち変人だよ・・・」パシャ
ほのか「いい加減にしなさい!!!」ほのか激怒
オタ2、無視してパシャッ
なぎさ「ほのか、行こうよ、コイツらマジで変態だよ」
オタ1「逃がすか」パシャ
ほのか、怒りのあまりとうとうオタ1のカメラを取り上げ、中に入ったフィルムを取り出し踏んづけてしまう
オタ1「なっ・・なにすんだよーーー!」
ほのか「おだまりなさい!勝手にひとをカメラで撮っていいと思っているの!」
オタ2「プリキュアを撮影してなにが悪いんだ!」逆ギレ
なぎさ「あんたたち、ふざけてるとあたしが相手しようか?」
オタ2「そう、被写体になってくれるんだ」パシャ
なぎさ「うわあああーーーー、辞めてよ、これ以上撮らないでよーー」泣き出すなぎさ
オタ3「泣き顔のなぎさちゃん最高!」パシャ
ほのか「オタ3に飛びかかりカメラを強奪しようとする」が途中でバナナですべって転倒パンツが見えてパシャ
なぎさ「ほのか大丈夫?」
オタ2「今のは決定的でしたねw」
なぎさ「なにいってんのよ!!」
ほのか「逃げましょう、なぎさ」
なぎさとほのかはそのまま逃走した
だがどこまでも追ってくるオタクたち、その数は十に二十にと次第に増え最終的には100万に増えた
絶体絶命のプリキュア。 もう逃げ道がない! とうとうオタクに捕まってしまったふたり
なぎさ「ありえない(涙)・・辞めてよ」
ほのか「わたしたちを食べてもおいしくないわ・・・」
なぎさとほのかそのまま気絶。
胸糞悪いです
391 :
メロン名無しさん:2006/03/10(金) 10:32:29 ID:AFt+Mdut0
>380さんに期待して待ってます
このスレて男女カプの話も投稿しても良いのか?それとも百合だけ?
百合でも男女でも過度なエロじゃなければ
どっちでもイイんでないかい?
394 :
207:2006/03/10(金) 14:49:00 ID:???0
では、約束通り新しいSS書かせて頂きます。
ただ、所々で音楽が入ると思いますが、これは
どうしても、臨場感やイメージを感じ取っていただく為です。
395 :
207:2006/03/10(金) 15:10:24 ID:???0
396 :
207:2006/03/10(金) 15:22:30 ID:???0
第一話「覚醒」
「おかしいなぁ・・・・ふぅ、何だか今朝からずっと頭がガンガンして痛いなぁ・・」
クリスマスのパーティをする為に、ほのかの家に向かうなぎさは
今朝からずっと頭痛に悩まされていた。
頭を抑えながら、痛みを我慢してそれでもほのかの家に向かっていた。
「ああ!もうまったっくツイてないんだからぁ!
折角、フジピー先輩も来るって言うのにぃ・・・!!もう!!」
ゴツンッ!!
「イタッ!!!」
なぎさはこの頭痛に、耐え難いまでの腹立たしさが沸き起こり
勢い余って自分の頭をゲンコツで叩いた。
「もう!余計に痛くなっちゃったじゃないのぉ!!
ありえないーい!!!」
そんな風に、頭痛に腹を立てながらもパーティが行われるほのかの家に
足を運んでしまうなぎさは、やっぱり先輩の藤村が来るというのを考えると
居ても立っても居られなくなってしまい、早足で急いで行った。
397 :
207:2006/03/10(金) 15:38:23 ID:???0
「あっ!なぎさぁ!遅かったわね?もう藤村君も来てるわよ!」
「えっ!ほ・・本当に?」
「さぁ、早く上がって上がって!!」
「う!うん!お邪魔じゃしまーす!!」
頭の痛みに我慢しながらも、何とか無事にほのかの家に着いたなぎさは
早速、ほのかに言われるままに、藤村が居る部屋へと急いだ。
しかし、胸の中は藤村に会える喜びと、緊張とで張り裂けそうになっていた。
「あれ?どうしたのなぎさ?」
ほのかは廊下で急に立ち止まったなぎさを不思議そうに見て言った。
「う、うん・・・何だかやっぱり・・いざフジピー先輩に会えると思ったら・・・その・・
緊張しちゃって・・・アハハ・・・」
「もう、なぎさったらぁ!ここまで来て緊張なんかしちゃダメよ!!
なぎさが藤村君とクリスマスパーティしたいって言うから、他の人は
呼ばなかったのにぃ、ひかりさんやアカネさんも本当は来たがってたのよ?!」
「そ、そうだね・・ハハ。ゴメンゴメン!!よーし!ここまで来たら腹をくくるぞぉ!!」
なぎさはほのかに、そう言われてやっと藤村と会う決心がついた。
元はと言えば、自分がほのかに藤村を家に呼んで欲しいと頼んだのだから
ほのかの言う事は最もであった。
398 :
207:2006/03/10(金) 15:47:31 ID:???0
そして、震える足でようやく部屋まで来たなぎさは
固まったように体をピンと伸ばすと、大きく深呼吸をし、
固唾を飲んで部屋をノックした。
「はい、どうぞぉ!」
中から藤村が返事をした。
「あ・・・!あの!なぎさです!! 美墨なぎさです!!」
「あ!美墨さん?! 待ってたよ!入ってよ!」
「は、はい!失礼します!!」
なぎさはコチコチに固まった表情でゆっくりとドアを開けた。
すると、綺麗に沢山の飾り付けをされた部屋に、藤村は
座っていた。
「あ、あの・・・!遅くなってすいません!」
「ハハハ!そんなの気にしなくてもいいよいいよ!!」
藤村は全く気にしない素振りで、終始満面の笑顔で答えた。
「ほら、なぎさ!早く入って入って!!」
「ああ!ほのか!押さないでぇぇ!!」
中々部屋に入ろうとしないなぎさに業を煮やしたほのかが
なぎさの背中を両手でグイっと押して部屋に押し込むように入れた。
399 :
207:2006/03/10(金) 16:05:06 ID:???0
「どうぞ、座って座って!」
「あ、ど!どうも・・・!!」
部屋に入ったなぎさは、最初突っ立ったままおどおどしてたが
藤村に真正面に座るように言われて、やっとのことで腰を下ろした。
「あ、わたしケーキとお菓子とお料理持って来るね!!
二人はここでちょっと待っててね!!」
「あ!ほのかぁぁ!!」
そう言うと、ほのかはなぎさに軽くウィンンクして部屋を出て行った。
「もう・・ほのかったらぁ・・・!!あたしとフジピー先輩の二人っきりに
なっちゃったじゃないのよぉ!!」
400 :
207:2006/03/10(金) 16:06:27 ID:???0
なぎさは心の中でほのかが、自分に気を使ってくれて、藤村と二人きりに
してくれたのはすぐに分かったが、やはりあまりの押し寄せてくる緊張の
大きさに、そう言う状況に追い込んだほのかを恨めしくも思った。
「ああ、どうしよう・・・!何か・・・何か喋らないとぉ・・・・」
なぎさは目前の藤村を上目遣いでチラッと見て、そう思った。
しかし、なぎさにそんな気を遣わせまいと思ったのかは分からないが
体よく、藤村のほうから話を切り出してくれた。
「ねえ、美墨さん?もうこんな時間だから、外は寒かったでしょ?」
「え?あ!はい!でも大丈夫ですよ!ハハハ・・・元気だけが取り柄ですから!アハハ・・!!
(あちゃぁ!あたしったら何言ってんのよぉ!これじゃまるでバカみたいじゃ
ないのよぉ・・!!)
なぎさは今、言った事に少し後悔をしたが、言ってしまった事はしょうがないと
思い、笑って誤魔化した。
そうやって、藤村が何気ない話題で時間を取り持ってくれてる間に
ほのかがやっとの事で、戻ってきた。
401 :
207:2006/03/10(金) 16:08:39 ID:???0
ああ!!まただ・・・自分で始めたくせに
前置きだけで大分長くなりそうだ・・・・。
続きはまた次回と言う事で・・・・ホントに申し訳ありません。
>>207さん
今後の展開に期待してます…が
もしやと思いますが、
前までのはあれで打ち切りでは無いですよね?
無いですよね?
無 い で す よ ね ?
403 :
207:2006/03/10(金) 17:08:14 ID:???0
>>402 勿論ですよ!
打ち切りになんて絶対にしませんからご安心を!
てゆーか、一つを完結させてからの方がいいんじゃないの?
そうだなー確かに。404に賛成。わかりづらくなるもんな
406 :
207:2006/03/13(月) 14:30:11 ID:???0
>>404 >>405 すいません・・・・。
言われてみればそうですよね。
自分もあの後、「ああ・・・これはもしかして先に書き上げてからの方が
よかったかなぁ・・・」と思ってました。
なので、先に最初のほうを書いていきますね。
407 :
メロン名無しさん:2006/03/13(月) 21:16:18 ID:kwVXXfHz0
207さん期待age(*´▽`)
408 :
メロン名無しさん:2006/03/14(火) 11:14:49 ID:CkgYtsF20
>>207 気持ちが先走りしちゃったね。まあまあドンマイ。どちらの話の展開も楽しみに
しているよ。
>>393 ふむ、じゃあ男女カプでもOKという事なら書いてきますがよろしいか?
藤なぎか木なぎか亮なぎか、あるいはマイナーでキリなぎかで
どうも〜。246です。
現在続き製作中ですが、何とかまとまって来ました。
後押ししてくださった方々、こんなSSを読んでくださった皆様に感謝です。
来週までには投下できるかと思います。
精一杯頑張って書きたいと思いますので、よろしくお願い致します。
411 :
メロン名無しさん:2006/03/15(水) 23:13:48 ID:PKxbHXE6O
期待ワクテカ(゚∀゚)ガンガレ!!
412 :
409:2006/03/16(木) 11:10:15 ID:???0
やっぱりやめた
413 :
メロン名無しさん:2006/03/18(土) 10:25:39 ID:hiY/tPnF0
神が待ち遠しいな
414 :
1/2:2006/03/21(火) 20:21:44 ID:???0
―――これにしようかな?それともコッチ…?
「お姉ちゃん何やってんの?」
朝から洋服を並べて悩むなぎさに亮太が不思議そうに声をかけてくる。
「洋服なんか選んじゃって、まさかデート!?……んなワケ無いか」
「そうよ、デート…う〜ん」
「ホラねヤッパリ………えっ!?ホントに!?だって…」
まさに瓢箪から駒な訳で、飛び上がらんばかりに驚く亮太。そんな弟を
「もぅしつこいな…」
となぎさが横目でジロリと睨みつける。
「あたしだって高校生なんだし、デートの一つや二つするって…よし、コッチに決めた!」
「お、お、お母さ〜ん!お父さ〜ん!お姉ちゃんが―――」
慌てて部屋を出て行く亮太を尻目に、なぎさが着々と支度を終えて行く。
そして玄関へ行こうと部屋を出ると―――
「なぎさ!?」
「なぎさ!」
通せんぼするように父と母が廊下に立っていた。
「あなた本当にデートなの!?」
「相手は誰なんだ?お父さんも知ってる子か!?」
問い詰めるような二人。しかしそんな二人の間をスルリと潜り抜けて、なぎさが玄関へと早足に向かって行く。
そして靴を履いて、騒ぐ後ろを無視して
「誰でもいいでしょ!?それじゃ行って来ます!」
とドアを開ける。だが突然、その途中で「あ…」と振り返った。
「それと、今日は帰ってこないから…じゃあね!」
―――バタン!!
「…帰ってこないって」
「泊まってくるってことか…?」
ヘナヘナヘナ……
「お父さんお母さん!?どうしたの!?」
415 :
2/2:2006/03/21(火) 20:23:01 ID:???0
「急がなくっちゃ…!」
ハッハッと息を弾ませながら、なぎさが待ち合わせ場所へと道を駆けて行く。
気持ちはとっくに着いているのに、カラダはまだまだこんな所…
―――もぅ、あの鳥みたいに飛べればいいのに!
もどかしさの中、上空で優雅に舞う鳥を見て、ココロの中で叫び声を上げる。
でもそんなの無理だから、代わりに「ヨシ!」と気合を入れ直してスピードアップ!
―――早く、もっと早く!一秒でも早く会いたいから…!
抑えきれない気持ちをそのままに、周囲の景色を風に溶かして飛んで行く。
赤信号の待ち時間は、一秒が一時間になってしまったかのよう。
だけどふと気がつくと、夢中で走る内にいつしか目的地の目前までやって来ていた。
「ハァ…ハァ…」
乱れた呼吸を整えようと足を止め、「フゥ」と一つ深呼吸をする。
―――あそこを曲がれば…
だが休憩もそこそこに、溢れる想いを胸になぎさが再び走り出す。
角を曲がると、目に飛び込んできたのは、いつ自分に気付いたのか輝く笑顔で手を振るその姿。
だからなぎさも、そんな姿に飛び切り笑顔で手を振り返して―――
「ほのか!お待たせ!」
以上でおしまい。
帰ってこない → 一線を越える! → (*゚∀゚)=3
418 :
416:2006/03/21(火) 21:54:02 ID:???0
>>417 ちょ、ちょっと!そんな事全然考えてなかったんだから!本当だからね!
>>418 ほのか「もう、そんなこと言って…ほんとみずくさいんだから、なぎさったら♥」
>>414-
>>415 久々の投下、お疲れさまです(´д`*)GJ!!ハァハァ
>>207氏の続編が気になって夜も眠れん!!
生殺し・・・o...rz
422 :
207:2006/03/22(水) 17:41:24 ID:???0
>>421 今、続きを必死で構想中です。
どうやってラストに繋げようかと・・・・。
423 :
メロン名無しさん:2006/03/22(水) 18:21:21 ID:2j3Bf7jY0
柏田真由はいつも放課後美術館に通い、絵の研究のための絵画鑑賞に精を出していた。
「さあて、今日は春休み特別企画、モネと印象派画家たち展の開催日、早くいかないと間に合わないわね」
真由は電車から降りると急いで美術館に向かった、美術館は春休みでひとだかりが多く、企画展のチケットを買うための
行列ができていた。 「わあーー、もうこんなに並んでるよー」思いもしなかった長蛇の列に唖然とする真由だが
ふと、どこからか香ばしいたこ焼ソースの匂いがした
「ん?この匂いどこからかしら?」真由が周囲を見渡すと、なんと美術館の門の前の路上に一軒の出店が開いていた
「たこやきいかがすかーー?」菊池あかねは、創業30年の老舗たこ焼店の4代目・・
今日の企画展開催日の期を狙って、最近売り上げが落ちている実家の見せの稼ぎの足しにするために許可を取り出店していた
「たこやきー♪たこやきいかがですかーー♪」威勢のいいあかねの掛け声が響く
早めに家を出るために朝からなにも食べてこなかった真由は、つばを飲んだ
「ごく・・たこ焼きかあ・・」
「たこやき〜♪おいしいたこやき〜♪」香ばしい自家製ソースの匂い、若い女店主の掛け声に負けて
真由はたこやきを買うことにした。 だがそれが悲劇のはじまりだった・・・
「あの、たこ焼ひとつください」「まいどーー!」「ええと、ソースは?」「甘口でおねがいします」
「甘口ね・・マヨネーズはかける?」「いいえ」「ねぎと紅しょうがは?」「ねぎはいいです、紅しょうがを」
「ねぎはいいの?」「はい」「まいどーー!8個入り500円ね?」「ご百円・・」なんと真由の財布には入場料と帰りの電車賃
ぎりぎりのお金しか入っていなかったのだ!
「どうしたの?お金足んないの?」「え・・はあ・・あのう・・すいませんが、たこやきやっぱりいらないです」
「なんだってーー!」「お金が・・」「もっと早く言ってよーー!作っちゃってからじゃ遅いじゃないのよコレ!」
「すみません!」「そうかあ、じゃあ、弁償代わりとして・・ニヤニヤ・・・」
「ええ?!」「この衣装着て営業手伝ってもらおうかしら?」そこで店主が出したものは!!
「こっ!これを着るんですか?!今から・・」「そう、今ちびっこに大人気のふたりはプリキュアってマンガに出てくるなんだっけ」
「キュアブラック?しかも初代のへそ出しのやつ・・」
424 :
メロン名無しさん:2006/03/23(木) 00:04:38 ID:xj20ZY/o0
「よく知ってるねえアンタw」にやけるあかね。
「あのう・・こんなこと出来ませんから、やっぱりこのたこ焼買います」
「なに?一旦買わないって言ったもんはウチの店じゃ撤回できないんだよ」
「えーーー?」眉毛を吊り上げ困った顔をする真由
「いいから、とっとと着替える!ここじゃあムリだからあっちの公園の公衆トイレで着替えてきなよ
「いやです!これから美術館で企画展を見なきゃならないんです!」
「そうか、そこまでいうんなら仕方がない。 ひかり!」あかねは娘のひかりを呼ぶ
「この子、洗脳のプロなんだよ」「菊池ひかりです」軽く挨拶すると菊池ひかりは真由の瞳を見つめる
「なに?」一瞬ひかりの視線に硬直する真由「洗脳完了です」いわれるまま真由はあかねからプリキュアのコスプレ衣装を受け取ると
公園のトイレに向かってとぼとぼ歩いていった
「かっこいいじゃんコレ」トイレの鏡で衣装を着た自分の姿に見とれ、外に出ると
「あーー!へんなお姉ちゃんだーー!」少年が指差す、「こら、太郎ちゃんだめよ」と母親が制する
「お姉ちゃんね、プリキュアなのよw」もうすっかりなりきってる真由
「来た来たwさあ、たこ焼いかがですかーって客引きしなよ」戻ってきた真由に命令するあかね
「はい」すっかりハイになってる真由
「たこ焼いかがですかーー?美味しいプリキュアのたこ焼ですよー」
「コラ!声が小さい、こんなんじゃ聞こえないって!」叱咤するあかね
「たこ焼ーー!プリキュアも大好きなたこ焼きーー!」
だが途中で1メートル先にクレープ屋が出てきたため、結局たこ焼きは売れず
あかねは店をたたんだ「さあ、もう今日はおしまい」「あの・・この人は?」
「ま、このままここに置いとこうか」「そういうとあかねは真由の衣服から財布のみひったくると
ハイになったままのコスプレした真由をそのままにして去っていった。
207氏と246氏マダー?
投下準備完了です。まだ完結には遠いですが…orz
今日はちょっと都合悪いので明日の昼頃にでも。
wktk
これで1週間キュアキュアできるってもんよ(?
投下開始します。
房総半島沖 16:03時―
2機が衝突しそうな位に近づき、横に並ぶ。
それは互いの意思で操縦したのではない。
しかし、操縦したのは明らかに自分の身体―
HUDに点滅表示される"DUAL AURORA WAVE"の文字―
「デュアル・オーロラ・ウェーブ!!」
二人の口が勝手に意味不明な言葉を発する。
もはや身体が自分の物ではない。
直後、2機が眩い虹色の光に包まれた―
光の中で機が急速に加速する。
今まで体験したことのないような加速。
機体がきしむ音がした。
息が詰まり、視界が狭まる―
「な、何だ、何が起こった!?」
突然の出来事に、ピーサードがひるむ。
何が起きたのか、彼にも、もちろん二人にも分かってはいない。
―ここは…どこ?
―何が起きてるの?
―この虹色の光は何?
―世界が真っ白だ
―頭も真っ白で、何も考えられない
正面の計器は、もはや意味のある表示をしていない。
ただ、視界の端に、はっきりと互いの機影が見える―
―どれくらい時間が経っただろうか
―もしかしてもうこのまま死んでしまうのではないか
二人は漠然とそんな事を考えた。
―突如、ホワイトアウトしていた眼前が、再び実体を取り戻し始めた。
急激な減速。
二機を包んでいた虹色の光が消える―
―二人の目の前に広がったのは、先程まで飛んでいた空。
―本来見えるはずの夕焼けの遮られた、暗い空。
二機は急速に減速し、再び編隊を組む。
『光の使者、キュアブラック!』
『光の使者、キュアホワイト!』
『ふたりはプリキュア!』
口が勝手に何かを言っている。
まだ身体が自分の物ではない。
『闇の力のしもべ達よ!』
『とっととおうちに帰りなさい!』
―ひとしきり言い終えた後、不意に身体が自分の支配下に戻った。
なぎさはすぐさま自分の機体の確認に、後ろを振り向いた。
「…ちょ、な、何これ!?」
そこに見えたのは、今まで自分が乗っていた地味なグレーの機体ではない。
フォルムは確かにF-15Jだが、黒基調の機体に鮮やかなピンクのライン、
主翼にはタンクと同じエンブレムの描かれた、今まで見たことも無いような機体。
そして主翼下パイロンには、MiG-31と同じような”筒”が1本ずつ吊られている―
左を向けば、すぐそこに見えるのはF-14J。
しかし、あちらも今まで見た事の無い塗装に変わっている。
白基調の機体に水色のライン、主翼には同じエンブレム、
そして、やはり自分と同じ”筒”をグローブパイロンに吊っている。
互いを気遣っていた二人の目が合った。
「ねえ、もしかして私達…」
「本当に…変身しちゃったの…!?」
「そうメポ!二人は変身したメポ!」
「二人は今、伝説の戦士『プリキュア』ミポ!」
「伝説の戦士…!?私達が…!?」
呆然とする二人。二人には全く状況が読めていない。
それは至極当たり前の事だろう。
突然身体の自由を奪われ、わけのわからない空間に放り込まれ、
そこを出た途端にそんな事を言われては。
「ちょっと、一体何の事よ!ちゃんと説明し…」
「そんな暇は無いメポ!」
「前から来るミポ!」
ミップルの声で二人が前を見る―
「伝説の戦士か、ならばこちらも容赦はせん!」
真正面から、ピーサードのMiG-31がこちらに突っ込んで来るのが見えた―
正面から高速で突っ込んでくるMiG-31―
一瞬反応の遅れる二人―
直後、MiG-31の翼下のガンポッドが二機へ向け紫の光弾を放つ―
反射的に操縦桿を手前に引き、バレルロールに入った―
世界がひっくり返る―
この機動はもう日常的に行ってきた機動。
しかし、今回のバレルロールは今までとは決定的に違う―
「うわわわっ!」「きゃああっ!」
今までと全く違う高い機動性能に、二人が驚きの悲鳴を上げる。
二機が、とてつもないスピードでバレルロールする。
当然、そんな二機に光弾が当たるはずはなかった。
「なにぃっ!?」
狙いをつけ放った弾を軽々とかわされ、ピーサードも驚きの声を上げた。
二機を仕留められなかった事をすぐに悟った彼は、すぐさま上昇反転する
「凄い…何て機動性なの!?」
「ど、どうなっちゃってるの、これ!?」
「これがプリキュアのパワーメポ!」
「後ろから来るミポ!」
後方上空からMiG-31が光弾と共に再び襲い掛かる
「”ブラック”、分散行動にしましょ!」
「ええ、”ホワイト”!」
即座に左右に分散する二機―
上空から降下したためスピードが出すぎてしまったMiG-31は、
機動に対応できず二機が分散したその間を通り過ぎてしまった―
MiG-31のオーバーシュート。
絶好のポジションについた二機が、反撃に転じる―
二人を追い越し、オーバーシュートして行ったMiG-31。
それを追うため、機首を下げ、スロットルレバーをA/Bポジションに叩き込む。
今までとは比べ物にならない、凄まじい加速が二人を襲う―
しかし、二人はその加速にびくともしない。
なぜなら、今までと比べ物にならないほど二人はGに強くになっているから。
今になって気付いたが、先程のバレルロールでもほとんどGを感じなかった。
機体も、身体も、全てがパワーアップしている。
(凄い… これならあいつに太刀打ちできるかも…!)
降下し、加速して一旦離脱しようとするMiG-31をHUD上に捉える―
自機高度18600ft、速度840kt、MiG-31の予測高度14200ft、速度790kt、距離2.1nm、―
この距離なら、AAM-3が使える。
武装選択スイッチをAAM-3に―
…しかし、兵装選択ウィンドーにはAAM-3は表示されていない。
表示されているのは、"GUNPOD"と何かのゲージだけ。
(え?…そうだ、そういえばあの”筒”が…)
("GUNPOD"って何?ちゃんと使えるのかな…)
しかし、これしか表示されていない今、これ以外に選択肢は無い。
武装選択スイッチを"GUNPOD"に合わせる―
HUDに、機銃レティクルに似た円が表示される。
(…多分これが照準なのね。)
機銃を使用する時と同様に、そのレティクルの中心にMiG-31を捉える。
どこへ行ったか、ホワイトのF-14Jの姿は見えない。
距離1.5nm、狙いを付けつつMiG-31に接近する―
距離1.3nmまで接近。
向こうが引き起こしているのに合わせて、こちらも少しずつ降下角を下げる―
距離1.0nm、もうすぐそこにMiG-31が見える。
狙いを澄まし、トリガーに指を掛ける―
距離0.7nm、レティクルの中心にMiG-31が入る。
―こちらの目的は対象機を領空から追い払うこと。
―パイロットを傷つける必要は無い。
彼自身を負傷させないため、狙いを機体後部へつける。
意を決し、ブラックがトリガーを引く―
翼下のガンポッドがMiG-31へ向けて無数の光弾を放つ―
―と同時にMiG-31が急激に引き起こし、急減速する。
光弾はわずか数メートルをかすめ、光の尾を曳き海面に吸い込まれていく―
「…っ!!」
即座に機を引き起こし、MiG-31の後方につけようとするF-15J。
しかし、MiG-31を追うことに気をとられていたせいで速度が出すぎてしまっていた。
ブラックの力一杯の操縦も空しく、光弾と同じコースをオーバーシュートするF-15J―
光弾のように海面に突っ込まないよう、エアブレーキを展開し、フラップを下げる。
「ふっ、このバカが!」
まんまとオーバーシュートに引っ掛かったブラックをピーサードがあざ笑う。
F-15Jの後方に付こうと、MiG-31がそのまま機を引き起こしループに入る。
―追うものが、再び追われるものになる。
(そう簡単にやられるもんか!)
ある程度減速し、一気に旋回するF-15J―
しかし、それが裏目に出た。
こちらに向かってくるMiG-31に、その背面を見せる形となってしまったのだ。
MiG-31のHUD上のレティクルに、F-15Jが捉えられる―
ピーサードが、冷酷な笑みと共にトリガーを引く―
MiG-31の翼から放たれた無数の光弾が、ブラックを襲った
大きな衝撃が、ブラックを襲った―
一瞬、気が遠のいた。
機体が大きく右へ傾く―
右手が操縦桿から弾き飛ばされる―
血の色を暗示するかのようにHUDの表示が赤に変わる―
無機質な合成音声が警告を発する―
「ハハハッ、ざまあ見ろ!」
後方に占位したピーサードが、非情にもブラックに第二弾を浴びせる―
仕留めかけた獲物を逃すまい、と。
再びブラックを光弾が襲う―
機を操縦できないブラックは、甘んじて光弾を受けるしかない。
また、機体に大きな衝撃が走る―
操縦桿を握りなおそうにも、両足の間を暴れまわる操縦桿をなかなか掴めない。
機体が段々と右へロールしつつ、降下を始める―
コントロールを失ったF-15Jは、もはやかろうじでバランスを保っている程度の状況―
あと一撃食らったら、もう機を立て直すことは不可能だろう。
その先に待つのは、墜落。 ――そして、死。
そんな状況のブラックをレティクルに捉え、冷酷な笑みを浮かべるピーサード。
「あの世で自分の愚かさを怨むんだな、ハハハッ!!」
とどめを刺すため、F-15Jのコクピットに照準を合わせる―
しかし、自分を追うもう一つの白き翼に、彼は気付いてはいなかった。
随分間が空いた割にはあまり進んでませんorz
期末テストやら何やら色々と重なりまして…
とりあえず今日はここまでです。
437 :
207:2006/03/28(火) 00:00:49 ID:???0
そうやってすぐ脇道に逸れるからお前は…
439 :
207:2006/03/28(火) 02:00:22 ID:???0
いやいや別に好きにやってくれていいんじゃないの〜
441 :
1/3:2006/04/02(日) 19:39:45 ID:???0
「今日はゴメンね?」
日も落ちかけた夕暮れ時、なぎさが並んで歩くほのかに申し訳なさそうに声をかける。
「折角の誕生日パーティーだったのに、なんだかメチャメチャになっちゃって…」
「そんな事無いよ、皆の気持ちが伝わってきて凄く楽しかった」
微笑みながら首を振ってほのかが答える。そして
「それに―――」
と静かになぎさへ視線を向けた。
「なぎさがずっと一緒に居てくれたから最高の一日だった…」
「ほのか…!」
その言葉に、ハッとした様になぎさがほのかの顔を見る。
だがすぐに笑顔に戻ると、ポーチから小さな包みを取り出し、スッと差し出した。
「これ、プレゼント!」
「本当に!?なぎさ、ありがとう!」
「ウフフ!開けてもいいよ!」
その言葉にほのかが包みを丁寧に開けて行く。そして―――
「なぎさ、これって―――」
442 :
2/3:2006/04/02(日) 19:43:07 ID:???0
「お父さん、お母さん!」
「ほのかちゃん!」
「ほのか!」
笑顔で手を振るほのかに、ロビーの人込みの向こうから両親が走り寄ってくる。
そして窒息させんばかりに強く抱きしめると、一年ぶりの愛娘の姿を感慨深げにしげしげと眺める。
「ほのかちゃん、この前会った時よりも、ちょっと大人っぽくなったんじゃない?」
「そうかな…?」
「そうとも!ますます綺麗になったみたいで、お父さん嬉しいよ!」
成長に喜ぶ両親。とその時、母がほのかの首筋にとあるモノを発見した。
「あら?このネックレスどうしたの?」
「これ?これはね、昨日誕生日プレゼントで貰ったの!」
嬉しそうに答えるほのか。だがその表情に、父が少し表情を曇らせる。
「誰からのプレゼントなんだい?…まさか、ボーイフレンドからとか…」
「ちょっとあなた!?誰からだっていいじゃありませんか。ほのかももうすぐ高校生なんだし…」
「いや、でも…」
母の言葉にもイマイチ煮え切らない態度な父。
そんな父の様子に、ほのかがクスクスと笑いをこぼす。
「フフッ、大丈夫よ。男の子からじゃないわ!そんなプレゼントじゃないから…」
「そ、そうか!いや、別に誰からのプレゼントでも良かったんだけど…」
「もぅ、あなたってば…」
言い訳をする父と、少し呆れた表情をする母。
そんな二人のやり取りを笑顔で眺めていたほのかだったが、フゥと息を吐き出すと、
ネックレスを軽く指で触れて小さく呟いた。
「そんなんじゃないのよ…。これはもっとずっと大切なモノ。これは―――」
443 :
3/3:2006/04/02(日) 19:44:09 ID:???0
「あれ、お姉ちゃん?」
なぎさの首に光るモノをジッと見ながら、亮太が不思議そうな顔をする。
「ネックレスなんかしちゃって珍しいじゃん!?」
そして触ろうと手を伸ばす。だが
「ちょっと、触らないの!」
と、パチンとその手を叩かれた。
「これは大事な証なんだから触っちゃダメなの!」
「証…?一体何の?」
「それは…秘密!亮太には関係ない事だからね」
「ちぇっ。何だよもぅ…」
つまらなそうに呟いて、亮太が居間から去って行く。
一人になった部屋の中で、なぎさがフッと微笑んでネックレスへと視線を落す。
そして静かにそれを握ると、そっと目を閉じた。
「証なんだよね、あたし達の―――」
・ ・ ・
「―――愛情の証」
「ん?ほのか、何か言ったかい?」
「!…ううん、なんでも無いよ!それより早く行きましょ!?」
「そうだね。今年はほのかの高校入学祝いも兼ねて、お父さん達凄いのを用意してるんだよ!」
「本当に!?うわぁ、楽しみ!」
「さ、行きましょうか。お義母さんもまってるでしょうし」
「うん!」
笑顔で頷いて一足先に出口へとほのかが駆けて行く。
その胸元では、小さな愛がキラリとまばゆく輝いていた。
以上でおしまい。
なんか上手く纏まらなかったような気が…まあ気にしないようにしよう、うん
>>443 >お義母さんもまってるでしょうし
ちょwwwwおまwwwww気ィ早過ぎwwwwwwww
いいなあ・・・こういう雰囲気。癒されるよ
449 :
207:2006/04/04(火) 02:46:58 ID:P1XJugZT0
翌日、学校ではなぎさのクラスで正式に、なぎさが
白血病で入院している事が知らされた。
やはり、重病には違いないのでクラス中一気に暗い雰囲気に包まれた。
ほのかは、なぎさが白血病だと聞いた瞬間、今まで自分がなぎさに対して
抱いて来た嫌悪感や憎悪の様な気持ちはが一気に、かつての否、今でも
やはり自分にとっては大切な親友であると言う感情を奮い立たせられた
なぎさの身に蔓延る病魔に対して、不安や恐怖に変わっていった。
「そんな・・・・なぎさが・・・白血病・・・・そんな・・・!!」
ほのかは、心の中であんなに元気だったなぎさが、白血病と言う
病魔に体を犯されてしまっているにも関わらず、どんなになぎさに
辛く酷い仕打ちをしてしまったかと言う事に、強烈な後悔の念の波が
押し寄せて来た。
「わたし・・・わたし・・・なぎさに・・・謝らなくっちゃ・・・・わたし・・・・」
ほのかは茫然自失にも似た様子で、顔を俯けながら独り言の様に
呟いていた。
正直、もう誰も読んでないような気がするので
打ち切りにしようかと思ってましたが、やはり完結させないと
自分として納得が行かないので、今後もスレ汚しではありますが
完結するまで書かせていただこうと思います。
というわけで続き投下行きます。
狙いを定め、ピーサードがトリガーに掛けた指に力を入れた―
その時だった。
突如、MiG-31を後方から激しい衝撃が襲った。
MiG-31のHUDが赤く染まる。
直前に放った光弾はF-15Jの直ぐ下をかすめ、虚空へ消えていく。
「ッ!?」
反射的に機を加速させ、右急旋回に入るピーサード―
その後方から、容赦なく無数の光弾が追いすがる―
「…?」
第3弾の着弾に備え身構えていたブラックが異変に気付く。
いつまで経っても、MiG-31から来るはずの攻撃が来ない―
(撃って来ない…!?…なら今のうちに!)
暴れる操縦桿を無理やり脚で挟み込み、再び手で握り直す。
右にロールし始めていた機を水平に戻し、MiG-31の姿を確認する。
MiG-31は自機の4時方向上空。
そして、その後方に占位し、容赦なく攻撃を浴びせるホワイトのF-14Jの姿―
「クッ、またお前か!ござかしい奴だ!」
「さあ、撃墜されたくなかったら早く領空を立ち退きなさい!」
必死で逃げるMiG-31と、それを追うF-14J。
尋常ではない機動を駆使しつつ、激しい空戦を繰り広げる2機。
特異な可変翼を稼働させつつ、MiG-31の後方に占位し続けるF-14J。
その姿は、まるで翼をはばたかせ舞う鳥のようだ。
光を照り返す翼、2機の後ろに描かれる飛行機雲―
思わずこの光景に見とれてしまいそうになるブラック―
(違う違う、見とれてる場合じゃないでしょ!私!)
ブラックはすぐさまCRTに損傷状況ウィンドーを開き、機の状況確認に入る。
(被弾箇所は多分右主翼と胴体よね… って、え?)
ウィンドーに表示される"PLANE:NO DAMAGE"と"RIGHTWING SHIELD:DAMAGED 7%"の文字。
「何これ!?損傷無しって… あんなに当たったのに…」
「それにこの"SHIELD"って何!?もうワケわかんない!」
「これもプリキュアのパワーメポ!二人の機体は光の力で守られてるメポ!」
「多少なら当たっても自動的に修復してくれるミポ!」
暫くの間黙っていたメップルとミップルが言う。
「そうならそうと早く言ってよ、ホントにもう!」
(…でもこれなら安心してあいつと戦える… よし、やってやろうじゃん!)
容赦なくMiG-31に攻撃を加えるF-14J―
加速性以外は圧倒的に劣るMiG-31に、この状態から逃れる術は無い。
「領空外へ誘導する、いい加減にあきらめなさい!」
「そうはいかん、プリズムストーンを奪うまではな!」
この状況まで追い込まれつつも、一向に引こうとしないピーサード。
しかし、そう言う無線のバックから、せわしなく警告音が聞こえる。
レティクルの中心にMiG-31を捉え、トリガーを引き続けるホワイト。
無数の光弾がMiG-31の胴体や翼に命中し、光を放つ―
いつもは冷静、しかし温厚な印象の雪城ほのか。
しかし、今ここに居るのは守るべき物を背負った一人の戦士。
その守るべき物を守るためには一切容赦はしない―
迷いを全て捨て去り、目の前の敵を仕留める事に集中する。
その姿には鬼気迫るものがあった。
「ホワイト、貴機の援護に感謝!支援する!」
F-14Jの左後方に上昇して来たF-15Jがつき、編隊を組む。
「了解ブラック、私が対象機に攻撃を加えます!サポートお願い!」
攻撃はホワイトが行い、その後方からブラックが不測の事態に備える。
MiG-31に光弾を撃ち込み続けるホワイト。
遠目には闇雲に撃っているだけに見えたが、この距離から見て初めて気が付いた。
動翼部と翼を中心に狙い、敵の機動性を奪うことだけを目的にしている―
この切迫した状況下でこのような余裕を見せられるとは、さすがとしか言いようが無い。
「クッ、忌々しい小娘どもめ!」
光弾による攻撃なので、目に見える損傷は無いが明らかに機動が鈍ってきている。
機体が少しずつ振動しているのがわかる。
流れ弾が命中したのか、右エンジンが薄く黒煙を曳き始めた―
もう、この状況でMiG-31に勝ち目は無い―
不意に、ホワイトが攻撃を止めた。
「これが最後の警告だ!直ちに進路を変更し、領空から立ち退きなさい!」
「了解したら10秒以内にギアダウンせよ!さもなければ撃墜する!」
「繰り返す、指示に従わなければ撃墜する!」
しかし、警告に対するMiG-31からの返答は無い。
あと10秒―
あと9秒―
「ブラック、照準をMiG-31に合わせて!」
「了解!」
2つのレティクルがMiG-31を捉える。
5秒―
4秒―
3秒―
2…
その時、突如MiG-31がフラフラと降下を始めた。
重力に従って機首が下がっていく。
2機もそれを追って機首を下げる。
10秒経ったが、2人は撃とうとはしない。
力無く降下していく機に、止めを刺す気にはなれなかった。
一体何が起きたのか―
損傷して操縦不能になったのか、あるいは負傷したか―
損傷している場合、爆発する危険があるので少し距離をとって監視を続ける。
高度8000ft、段々と機首下げ角が大きくなってくる―
速度が出過ぎないように、エアブレーキを展開して速度を調節する。
「国籍不明機に告ぐ、直ちに脱出しなさい!」
ホワイトがピーサードへ警告する。
いくら敵とはいえ、目の前で人が死ぬのを見るのは忍びなかったから。
しかし、やはりピーサードからの返答は無い。
死を覚悟したのか、それとも返答すら出来ない状況なのか―
みるみるうちにMiG-31との距離が離れていく―
機首下げ角60度以上、もうM2.0は確実に超えている。
このままでは確実に海面に突っ込むだろう。
「これ以上追ったら危ない、5000ftで引き起こそう!」
「ええ、そうしましょう!」
高度5000ftに達したところで2機が引き起こす。
MiG-31は煙を曳いて海面に向かって一直線に墜ちて行く。
2人がその最期を見届けようとした―
その時だった。
「フハハハッ、呆れるほどお人よしな奴らだな、お前達は!」
「!!?」
突如、MiG-31が海面スレスレで引き起こした―
海面に衝撃波で水柱が立つ。
MiG-31は高度はそのままですぐさま旋回し、進路を変更する。
「ああっ!!」
「騙された!?ええい、もうっ!!」
機を加速させ、すぐさまMiG-31の追跡に入る2機。
しかし、降下で速度をつけていたMiG-31は海面スレスレをあっという間に彼方へ飛び去っていく。
「追うよ、ホワイト!」
「ええ!!」
出力全開でMiG-31を追う2機。
しかし、速度性能では確実にMiG-31が勝る。
HUD上の距離スケール表示がみるみる大きくなっていく―
もはや、その姿はここからは目視できない。
「ブラック、」
ホワイトから無線が入る。先程とは違う、少し慌てたような声。
「どうやらまずい事になりそうね…」
「え?何が…? …!!」
HUD上に表示されるMiG-31の進路は、方位330―
その先にあるのは、日本の本土―
2人が航空自衛隊員として、絶対に守らなくてはならない場所―
そして、その場所へ向け海面スレスレを疾走するMiG-31―
何が目的か知らないが、これは阻止しなくてはならない、絶対に!
これ以上出力が出ないことは分かっていても、速く速くと機を急き立てる。
そして、なぜさっき止めを刺せなかったのか、自分達の甘さを悔やむ。
しかし、そんな事を考えている暇は無い。
すっかり視程から外れた、見えるはずのないMiG-31を見つめて2人は心に決める。
(日本の空を守る、それが私達の任務!絶対に任務を達成する!)
この速度、この位置だとMiG-31が本土に到達するまであと2分―
とりあえず今日はここまでです。
207氏、246氏キタ━━━(゚∀゚)━━━!!!!
今思ったけど高校でなぎほのが別々のクラスになったらどうなるんだろう。
部活の方も多分時間がバラバラだろうし一緒にいる時間があまりなさそうだな
459 :
207:2006/04/05(水) 17:42:45 ID:tm/yjaSU0
>>458 そんな事はありません!!(キッパリ)
例え、なぎさが外でラクロスに夢中になっていても
理科室の窓からちゃんとほのかが見守ってくれていますよ・・・・。
>>458 ちょっと書いてみよう
ほ「なぎさ・・・・・早くあいたいな・・・・」
先生「雪城さん・・ちゃんと授業聞いてる!!」
ほ「あっはい・・すみません・・」
な「・・・・・なんかほのかが教室にいないと変な感じだな・・・」
先生「美墨さん・・・ちゃんと授業聞きなさい!!」
な「はい!!すみません!!」
休み時間
ほ「なぎさ〜!!会いたかったわ」
な「ほのか〜!!会いたかったよ」
ほ「私なぎさのことばかり考えてて先生に怒られちゃったの」
な「へーあたしもほのかのこと考えてて先生に怒られちゃったんだ」
キンコンカーン
ほ「あっチャイム!!」
な「ほのか・・次の休み時間会えないんだ家庭科2時間ぶっ続けだから」
ほ「そうなんだ・・じゃあお昼休みに屋上でね、なぎさのために今日はハンバーグ
作ってきたの」
な「うわーハンバーグ!!家庭科終わったら飛んでいくよ」
ほ「それじゃあねなぎさ」
そして昼休み
な「おいしい!!このハンバーグ絶品だよ」
ほ「うふふ・・ありがとう」
な「ほのか・・・あしたは・・あたしがほのかにお弁当作ってあげようかな・・」
ほ「なぎさ・・・」
な「うまくはできないと思うけど・・お母さんに手伝ってもらってきっとおいしいの作るから」
ほ「じゃあ明日はお弁当交換しましょうね・・なぎさの手料理を食べられると思うだけで
私は幸せよ」
な「ほのか・・・」
先輩「今日もやってるねあの2人・・」
先輩B「私今日こそあの2人がキスするにかけるはいつもより雰囲気がいいし」
先輩「でもなぎさの方は奥手だからね・・・」
先輩B[だからこそ雪城さんがリードしなけりゃいけないのに・・・はやくキスしちゃいなさいよ」
ギャラリーもたくさんいた
461 :
207:2006/04/06(木) 02:19:15 ID:SzhzLg+/0
病院では、なぎさの適合骨髄ドナーが見つかるまでの間
少しでも白血病の進行を遅らせる為に、抗癌剤治療が
行われようとしていた。
「じゃあ、これから抗癌剤って言う薬を点滴していくんだけど・・・・
ちょっと副作用があるから説明しておくね」
「はい・・・」
なぎさの担当医がベッドに横たわっているなぎさに抗癌剤の説明をし始めた。
なぎさは、少し不安そうな表情で頷きながら答えた。
「以前にも話したけど、白血病は白血球の数が異常に増えすぎて
本来、体に必要な細胞まで殺してしまって、免疫力が低下する病気なんだけど
この、薬はその白血球の異常な増加を抑える効果があるんだ・・・わかるね?」
「はい・・・」
「それで、これを一日、3回点滴することになるんだけど・・・病気の進行を
抑える事は出来るんだけど、幾つかの副作用があるから説明しておくね・・・」
「・・・はい・・・」
担当医も流石に、抗癌剤の副作用の説明をするのは気が重いのか
いつもより、言葉が重かった。
なぎさも、不安を隠しきれない様子でいた。
「まず、一つ目が強い吐き気、嘔吐が発生する事。
二つ目が、体に痛みが出る事、三つ目が微熱が出る事。
そして四つ目が・・・・髪の毛がね・・・抜けてしまう事・・・。
この四つの副作用に、我慢できるよね・・・?」
担当医は先ほどまでの暗い様子から、今度は一転して
真剣な表情で聞いた。
「・・・分かりました・・・我慢します・・・」
なぎさも、担当医の真剣な表情に答えるかのように
落ち着きながら静かに答えた。
「じゃあ、早速点滴するけど大丈夫だね?」
「はい!!」
なぎさは今度は一転の曇りも無いと言った感じで
大きな声でキッパリと答えた。
そして担当医はなぎさの腕に点滴の針をゆっくりと
注射すると、抗癌剤を投与し始めた。
なぎさの辛くも激しい闘病生活の始まりである。
462 :
メロン名無しさん:2006/04/06(木) 15:59:42 ID:ocGqlxmr0
>理科室の窓からちゃんとほのかが見守ってくれています
いや、確かにそうだろうけど、なぎさとほのかが「一緒にいる時間」がないだろう
ヒント:寮生活
464 :
207:2006/04/07(金) 21:14:32 ID:FQaxaWi20
>>462 心の中では、ず〜っといっしょだから大丈夫だよ。
最近プキュアがギャグアニメに感じるのは私だけ・・・?OlZ
二回目突入した時点で話題性に欠けてきた希ガス・・・?
それならば、おじゃ魔女の再放送キボンw
466 :
207:2006/04/07(金) 22:39:10 ID:iNzcXWUM0
>>465 ギャグアニメかどうかは分からないけど
俺は逆に、SSは無印やMHに比べて、どれみ臭さが
プンプンするんだけど・・・・。
共学になって、ケンタとか言う奴が小竹に見えるし、
みのりがぽっぷに見える・・・・。
SSはベースは確かにコメディなんだけど、咲舞はコメディのキャラにしては随分おとなしい。
咲は変顔担当だけど、変顔どまりという感じ。ギャグで一番印象に残ってるのは咲舞の
じゃなくて「カレッチと呼んでくれ」だし。
なぎほのはノリのいい漫才コンビって感じで、特になぎさは序盤から街中を直進行軍したり
彫刻の腕を折ったり急流にダイブして子熊と格闘したりコスプレして職員室潜入したり、
積極的に笑いをとりに行ってた。かっこいいときとのギャップも面白かった。
468 :
メロン名無しさん:2006/04/14(金) 12:02:59 ID:EpWY3Z910
咲舞はなぎほのの妹分だと思ってみる。
皆の続きまだかな?
リアクション薄いからいじけちゃったのかな?
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\ _____-''" _-''"
\ ', ',"゙!、"""""ヽ、
\ ', ', ゙'z ゙!
\ ', ', \ ゙!、
\ ',___', \ ゙i
\ ' , l、 \___,、〉
\ ',__゙l、
\ _-''
゙-''"
「Lacrosse7、FOX2!」
__
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、`´ ソヽ ゙!、l | / |
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゙''ー-、ノ レ‐'´ "''-'''
「Lacrosse7、ブレイク!ブレイクレフト!」
472 :
メロン名無しさん:2006/04/20(木) 19:58:56 ID:x3aAwGmj0
保守age
この期に及んで、まだなぎほのの出番があると思ってる椰子いる?
>473
俺も
俺はまだOVAがでることに期待をしている。
絶対にあきらめない!
つうか俺はSSに出ると思って疑わないのだが。
いるんか・・・
どんなに今がつらくても希望だけはけっして失わない!
…ミポ
480 :
1:2006/04/21(金) 23:15:15 ID:???O
携帯から&初書きなので読みにくいです。そんな人はスルー推奨します。↓
──いつもの帰り道。いつもの様に二人は帰宅していた。
止まぬ話が続いていたが、ふいに話が途切れ、しばらくの間沈黙が二人を包んだ。しかし気まずい沈黙ではなく二人の雰囲気を感じられる心地よい空気だった。
「…そういえばさぁ。」
ふいになぎさは何かを思い出した様に沈黙を破った。
「…ん?」
ほのかもそれに反応する。
「最近…その、してないよね…私達…。」
下を向き、少し恥ずかしそうに手をもじもじさせながらなぎさが小さく声を出す。
「え、あ…な」
何を?…と聞きそうになったが、その必要は無かった。ほのか自身も感じていたから。
「…うん、そうだね。」
代わりに賛同。
お互い同じ事を感じていた。
「私ちょっとヤバいんだ。やっぱりほのかじゃないと…」
なんだかなぎさは少し寂しげな様子だった。
「私も。なぎさの事ばっかり考えてたよ。」
「ねぇほのか…」
「なぁに?」
「今日…ほのかの家に泊まってもいいかな?」
「もちろん。なぎさが言わなきゃ、私が誘おうと思ってたの。」
「ほんと!?やったぁ!」
なぎさにいつもの太陽の日差しの様なまぶしい表情が戻った事を確認したほのかは、自分の表情も明るくなった様な気がした。
2に続く。
すんません。携帯&下手文が嫌な方はスルーして下さいって事です。
いいから早く続きうpしろや(゚Д゚)ゴルァ!!
どうおとすか期待してるから。
483 :
2:2006/04/22(土) 09:58:07 ID:???O
───雪城家を夜の闇が包んだ。二人は向かい合わせに座り、なぎさは若干緊張した面持ちだった。
「恥ずかしがらなくていいから見せてくれる?私、けなしたりしないから。」
久しぶりだという事でほのかは確かめたいのだと言うのだ。
「ほのかに見てもらうのも久しぶりだね…なんかやっぱり恥ずかしいよ。」
「でも見ない事にはどれくらい出来るのか分からないわ。さぁ早く。」
ほのかは少しせかす様に、そしてあくまでも優しくなぎさを促した。
しばらく躊躇っていたが、そのほほ笑みになぎさは安心したのか、やっとその気になった。
──3に続く
短くてごめんね。3で終わりです。
484 :
3:2006/04/22(土) 22:08:19 ID:???O
───「…これ。」
なぎさはほのかに数枚の紙を渡した。
「……え…っと、数学、英語、国語、科学…それに社会…なぎさ、五教科全部じゃない!?」
「うん。」
「うん。じゃないよ…しかも5枚とも赤点…」
ほのかは落胆した様に1枚ずつなぎさに手渡された紙を眺めた。
「なぎさ、試験前なのに勉強しなかったでしょ。」
「う…だって部活が忙しくてさ…」
「夜まで部活があったのかしら?」
「うぅ…夜はどうしても観なきゃいけないドラマがあって…」
「誰かがあなたに観なきゃダメって言ったのかしら?」
「いや、誰にも言われてないけど…」
「つまり自分の意志でやらなかったのね?」
「………はい…。」
ばつの悪そうな顔でなぎさは追い詰められ、とうとう観念した。
「もう!どうして日頃から計画して勉強しないの!?試験前に一気にやったってほとんど身につかないのよ?」
どんどん立場の危うくなるなぎさ。
「うわ〜ん、ほのか怒らないって言ったのにぃ!」
「けなさないって言っただけで、怒らないとは言ってません!」
「まっ、まぁまぁ…。怒った顔も可愛いナリ…なんちゃって…」
「聞きません。五教科完璧になるまで今夜は寝かせないからね。さっ、まずは今日出された宿題から片付けましょ。」
ほのかは久々になぎさと二人きりで勉強会が出来る事に、やはり喜びを隠せずにいた。
「えぇ!?そんなのありえな〜い!!やっぱり勉強会の事言うんじゃなかった…でも次赤点取るとレギュラー落ちだもんなぁ…」
それに対し、これから訪れる事に素直に喜べないなぎさ。
「あ、そうそう。」
ほのかは宿題を机に広げながらくるり、となぎさの方を向いた。
「もう一つの方も久しぶりにしてなかったよね…。だから勉強が終わったら…ね?」
いつもと代わらず優しいほほ笑みだったが、なぎさはその笑顔からただならぬ雰囲気を感じ取り、魅了され、頷かざるをえなかった。
以上です。
このスレでエロはまずいと思い勉強会オチにしたけど、先の読める展開になっちゃってごめんねw
もっと精進します。
>もっと精進します。
溢れる情熱があればおk
「ねえ、なぎさ達はどう思う?」
「はい!?」
とある昼休み、莉奈の突然の一言に、なぎさが目をパチクリさせる。
「一体何のコト?」
「だからだからだから、なぎさと雪城さんだったらどうするかってコト!」
「ほのかとあたしが?…ゴメン、あんま聞いてなかった。ほのか何のコトだか分かる?」
続く志穂の言葉にほのかに助け舟を求めるなぎさ。だがほのかも
「ゴメンなさい。私も良く聞いてなくて…」
と、二人に申し訳なさそうな顔を向ける。
「なぎさだけじゃなくて雪城さんまで!?」
驚く様な呆れる様な顔をする二人。
そして、やれやれといった感じでワケを説明し始めた。
「今ね、もし莉奈とルームメイトになったらって話をしてたの」
「いつかそんな日が来るかもしれないでしょ?それでなぎさ達にも意見を聞こうとしたってワケ」
「で、で、で、なぎさと雪城さんがそうなったらどうする?」
「どうするって、あたしがほのかと…?」
「私がなぎさと…?」
思わず顔を見合わせる二人。
そして腕組みをして考えた―――
(ほのかと一緒に暮らしたらかぁ…)
(なぎさと一緒に住む、ね…)
・
・
・
「ただいま!もうお腹ペコペコ…!」
「うふふ、おかえりなさい!ご飯の支度はもう出来てるわよ」
「マジで!?ありがとう、ほのか!」
「あ、それと、お部屋のお掃除もしといたからね!」
「ええっ、ホントに!?何だか悪いよ…」
「別にいいのよ、だって私達の家だもん!あ、ついでに宿題も私がやろうか?なぎさ、練習で疲れてるでしょ?」
「やったー!!サンキューほのか!!」
―――なーんてコトになるかも!?
「ただいま!もうお腹ペコペコ…!」
「うふふ、おかえりなさい!ご飯の支度はもう出来てるわよ。それとも、まずはお風呂にする?」
「う〜ん…汚れてるし、まずはお風呂にしようかな?」
「ホントに?じゃあその間に洗濯機回しちゃうね?」
「あ、ほのか!?」
「なに?」
「一緒に入らない…?」
―――もぅ、なぎさったらぁ!
・
・
・
「ねえねえねえ、二人共どうしたのかな?」
「さあ?何想像してるんだろ、なんかニヤけてるよね…」
「誰かと一緒に生活するなんて、なぎさには絶対に無理メポ」
「どう言う意味よ!?」
自身あり気に言い放つメップルに、風呂上りの濡れた髪を乾かす手を休めて、ジロリとなぎさが鋭い視線を向ける。
「まあいいけどね。どうせメップルには縁の無い話だし……それにしても、実際に家族じゃない誰かと一緒に暮らすってどんな感じなんだろう?」
「なら丁度いい機会メポ。この連休中ほのかに来てもらえばいいメポ!」
「え?」
「だってなぎさ以外は旅行に行って誰もいないんだし、ほのかなら心配もないし、いいチャンスメポ。
それにそうしたら、ミップルとずっと一緒に居られるメポ!」
「マッタク、あんたってそればっかりね…」
呆れるように息を吐いて、再び鏡に向かいドライヤーのスイッチを入れるなぎさ。
だがすぐにその手を止めると、ポツリと呟いた。
「でも、電話してみようかな……」
ピッポッパッ―――プルルルル…プルルルル…
「あ、もしもし―――」
「お早うなぎさ!」
「雪城さんお早う!」
若葉の香りが仄かに漂う朝の通学路。並んで歩く肩を、志穂と莉奈がポンと軽く叩いてくる。
「あっ、おはよ―――」
「お早う、久保田さ―――」
笑顔で挨拶を返そうとする二人。だがそんな事はお構い無しに
「で、一緒に過ごした感想はどうだった?」
「知りたい知りたい知りたい!」
と瞳を輝かせながら、志保達がズイと身を乗り出して来た。
「え?うん、まぁ…アハハ…」
「だから、ねぇ…オホホ…」
「あれ?その様子だとあんまり芳しくは無かったみたいね?」
その曖昧な笑いに意外な表情をする志穂達。そして、なぎさがその笑いの意味を話し始めた。
「実はね―――」
―――ホラなぎさ、休みの日だからっていつまでも寝ないの!
―――ほのか!宿題ぐらい手伝ってくれたって良いジャン!
―――はい掃除機。お部屋のお掃除くらい自分でやらなきゃね?
―――えーっ!?何でこんなに玉ネギが一杯入ってるの!?
―――………!!
―――……
「―――てな具合だったんだ…」
「へー、なぎさと雪城さんでもそんなになっちゃたんだ…」
「やっぱこういうのって難しいのかな?ナンかナンかナンか残念…」
なぎさの話につまらなそうに顔を見合わせる二人。そして何事かを会話しながら先に学校へと歩いて行く。
「でも―――」
しかし、そんな二人の姿が坂の下へと消えた時、なぎさがほのかの方へとニッと笑いながら軽やかに振り返った。
「今回で予習できたし、いつか本当に一緒に住む時は大丈夫だよね!?」
「フフッ、そうね…!」
「さ、あたし達も行こうか!?」
「うん!」
以上でおしまい。
なんか久しぶりに書いたらグダグダな気が…
ほのほの家で勉強、なぎなぎ家で予習……
他にもいろいろ勉強したんだろうかどうだろか…(*´Д`)
放課後。誰もいない教室、なぎさとほのかはいた。
「二人っきりだね…ほのか。」
「そうね。」
「誰もいない事だし…久しぶりに…いい?」
なぎさのお願いに快く承諾するほのか。
「えへへ、じゃあ…」
なぎさがほのかの側へ歩み寄り、距離をつめ、そしてその手を─────
───ちゃらちゃっちゃちゃらららちゃっちゃっちゃ♪♪
「へへ〜!久々の黒板消しダンスは楽しいね!」
「あの時は小田嶋先輩が来たから中断したけど、今日なら思いっきりやれるわね、なぎさ!」
いや、正直スマンかった。
だが心からの謝罪はしない!!
謝らんで良い(;´д`)
「志穂、莉奈!ふたりはプリキュア!って知ってる?」
「知ってる、知ってる、知ってる!毎週見てるよ!ね?莉奈!」
「それじゃあ誰が作者か知ってる?」
「確か東堂いづみ…でしょ?」
「半分正解」
※※※ ※※※ ※※※ ※※※ ※※※ ※※※※ ※※※
「なぎさ、ほのか、ふたりにお願いがあるんだけどナア…」
学校帰りのいつもの公園いつものタコカフェ、
美味しいたこ焼きを食べていたなぎさとほのかのテーブルに
タコカフェの店長藤田アカネがやって来た
「お願い、って何ですか?」たこ焼き頬張りながらなぎさが聞き返すと
「実はさ、私の遠縁の子が入院しているんだけどサア
ちょっとお見舞いに行ってあげて欲しいんだ」
「お見舞い…アカネさんのお願いなら喜んで行きますけど…
私たちで良いんですか?」ほのかはなぎさの口についたソースを
ハンカチで拭きながら聞き返す
「いや、ふたりじゃないと駄目なんだ…」
「私達じゃないと駄目?」
「うん、××病院って知ってるでしょう?ベローネの通学路で坂の途中にある
あの病院に入院してるんだけど、いつも病室から窓の外を眺めていたら
ラクロスのクロス持ったオンナノコと
何時も本を読んでるオンナノコが手をつないで歩いているのを見て
是非お話をしてみたいそれならなぎさとほのかに間違いないな!って」
――というわけで…
「こんにちは、九条さん!」
「こんちわ!ひかり!」
白いカーテンが風に揺れる明るい病室のベッドにオンナノコが居た
ピンクのカーディガンを肩に羽織りふたりを見て小さく微笑んだ
「…我がまま言ってスミマセン…アカネさんにちょっと話しただけなんですけど
いえ!おふたりにお会いできてスゴク嬉しいんですよ」
真っ白い肌が長い入院生活を感じさせる
病室の窓から何時も坂の上に在るベローネ学院に元気に通う生徒達を羨ましく
眺めていたこと、その中でも特別仲の良さそうなふたりがとても気になっていた事
自分の病気のこと……
「ひかり!今日は調子が良いみたいね!でもそろそろオクスリの時間だよ!」
いつの間にか病室に入ってきていたアカネさんがひかりをベッドに寝かせた
「なぎさ、ほのか…今日はアリガトウ!あんなにひかりが明るい顔して
話すなんてはじめて見たよ!よかったらまたお見舞いに来てくれる?」
――それからなぎさとほのかは放課後時間の許す限り
九条ひかりの病室を訪ねるのが日課となった
そんなある日――
「――ん?ひかり、このノートは何?」
テーブルに置かれた黄色いノートに手を伸ばすなぎさを
慌てて押さえようとしたひかりだったが、
一足早く、いや一手はやく「いーじゃん!いーじゃん!」
黄色いノートを開いて中身を覗く
なぎさとほのかそしてひかりはそれ位の事が出来る親しい仲になっていた
「"ふたりはプリキュア"なぎさとほのかは光の園から来た伝説の戦士…」
それはひかりがなぎさとほのかをモデルとした、ファンタジー物語
普通の女子中学生なぎさとほのかはひょんな事から伝説の戦士プリキュアとして
邪悪王と戦うというお話
「なぎささん、もう良いでしょう?返して下さい…」
真っ赤にした顔をシーツで隠したひかりの声
「ひかり…コレ…スッゴイ面白い!」
「本当ですか!?」
「本当、本当!ほら!ほのかも一緒に読もう」
可愛らしい字でビッシリと黄色いノートに書かれた物語を夢中になって
読むふたりの姿に照れ臭いようなとても嬉しいような…
「私、小さい頃からずっと病気で空想ばっかりしていたんです…
ココの病院に入院しておふたりに出会ってから…こんな物語を書いてみたんです
ゴメンナサイ…勝手にモデルに使ってしまって…」
「ゴメンナサイなんて謝る事無いよ!スゴク可愛く書いてくれてる!」
「本当、素敵な物語ね!」
――それから、なぎさとほのかはひかりの御見舞いがもっと愉しみになってきた
訪れるたびに新しい物語が読めるからだ
時にはひかりのアイディアが煮詰まっている事もあるが
そんな時ふたりはひかりに思いついたアイディアを話してみたり…
――そして物語は終わりを告げる
ふたりのオンナノコが力を合わせて終に邪悪王を倒し世界に平和が訪れた…
「ふぅ…面白かった…」
「…好かった…お二人にもいろいろ教えてもらったから出来上がったんです!」
――病気で何一つ出来なかったひかりが初めて最後まで完成させる事が出来た事
「ねえ、続きは無いの?」
「え?続き?」
「うん、今度は私たちだけじゃなくってひかりも物語に出演しなよ!」
「私が…物語に登場するなんてありえませんよ…」
「どうして?」
「だって…私は身体がこんなんだし、戦うなんてありえませんよ」
「バッカねえひかり!物語なんだから何でもあり!でしょ?」
――何でもあり?
――私がふたりと一緒に戦う…そんな事が出来るならどんなに素敵な事だろう
「なぎさ、ほのか…今までアリガトウ…」
タコカフェに寄り道したふたりにアカネさんが
あらたまった様子でお礼の言葉
そのアカネさんの様子にただならぬ様子を感じたふたりは
「何かあったんですか?」
「あの娘は…昨日の夜…」
真っ暗な病室で一人っきり…
看護婦さんがくれたオクスリを飲んでも眠る事が出来なかった
――手術…麻酔をすれば眠って、目を覚ました時手術は終わっていると言う
――でも…目が覚めなかったら…
――私の心臓…生まれつき欠けた心臓…
真っ暗な病室のドアがそっと開き廊下の無機質な光が差し込む
「誰…ですか?」
逆行の中ふたりの少女の姿が浮かび上がる
「――!――なぎささん!?ほのかさん!?その姿はいったい?」
ふたりはひかりの綴った物語の主人公プリキュアそのモノだ
「うふふ、ひかり!ちょっとお散歩しょうか!」
「お散歩って…」
なぎさとほのかは驚くひかりにかまわず左右から手を握り病室の窓を開けると
ひかりがあっと言う間もなく跳び出した
「――きゃッ!」
堕ちる!と思い両手でふたりの手を握り目をぎゅっと閉じたが
何時までも衝撃がやって来ない
「目を開けてごらん?」
「――!――」
恐る恐る目を開いたひかりが見たものは遥か下に広がる街の灯り
「嘘…」
「…じゃないよ!私たちふたりがプリキュア!」
「嘘…」
「じゃないわよ、ひかりさん」
「ひかり!手を離すよ!」
「両手を広げて風を受けて!」
上昇気流に押し上げられてひかりの小さな身体はなぎさとほのかの
更に上へと舞い上がる
――飛んでる!私!飛んでる!
病院の建物がマッチ箱に、アカネさんがお店を出している公園も見える
そして…なぎさとほのかふたりの姿も
遥か下で宙に浮かぶふたりが笑ってひかりに手を振っている
――アリガトウ…なぎささんほのかさん…
青い空に白い煙が高い高い煙突からゆっくりと漂っているのを
なぎさとほのかが静かに見つめていた
「なぎさ、ほのか、いろいろアリガトウ…
あの娘…最期までふたりの名前を呼んでいたんだよ…
どんな夢を見ていたんだろうね…」
「アカネさん…」
「コレ、このノートなんだけどなぎさとほのかにって書いてあるんだけど」
アカネさんがふたりに渡した真新しい黄色いノートの表紙には
"ふたりはプリキュアMax Heart"とだけ書かれて白紙のノート
「Heart…心臓…ひかりは…自分の欠けた心臓を…」
なぎさの言葉はそれ以上は涙で声にならない
「きっと…ひかりさんのートを充たされたのよ…きっと…」
夭折した九条ひかりが遺したその後に無印と呼ばれるノートと
完成する事のなかったMax Heartと呼ばれる物語が
巡り巡って東堂いづみの手に渡り、
多くの人々により充たされて"ふたりはプリキュア"は創られたのです
おしまい
「…という理由なのよ」
「それってそれってそれって悲しすぎるよ…」
「志穂!騙されているわよ!ひかりさんはちゃんと生きてるでしょ!」
久々に乙です!
簡単に騙される志穂w
>>495 gj!しかしこのなぎさはナイショ12話でも見たのか?
ノンチャン…(TдT)
泣かす…
それにしても、薄幸なのが妙に似合うひかりタン…
>>503 なぎさがあれを見たら、ボロ泣きだろうな。
「あ…飛行機雲」
ふと空を見上げた私の目に映る一筋の白い雲。
それは幾度と無く見てきた、極々ありふれた光景。
でも、それであるはずなのに、何故だか私の心に不安と寂しさが押し寄せて来る。
一体どうして?―――ううん、理由は分かってるの。それはきっと、あの日の光景とそっくりだから。
そう、あの
―――…ヒック…どうして?…どうして行っちゃたの?
幼い日の
―――おとうさんおかあさん…
悲しい日と…
あの日、飛行場から見上げた空も今日と同じように青空で、そして同じように飛行機雲が浮かんでいた。
おばあちゃまは、お父さんとお母さんはお仕事なんだよって教えてくれたけど、
当時の私にはそれは永遠の別れのようで、ずっと泣いていたっけ…
大好きな人と離れ離れになる辛さ。その象徴の一片が、あの日のあの空。
だから―――
「ほのか、どうしたの?」
「なぎさ…!」
「ぼんやりと空なんか眺めちゃって…」
ハッと振り返るほのかに、なぎさが優しく微笑みを向ける。
「ちょっと…思い出してたの」
「思い出すって、何を?」
「それは…何でも無いよ」
静かに首を振るほのか。そして
「ねえなぎさ?」
と逆に問いかける。
「うん?」
「なぎさは…なぎさはずっと一緒にいてくれる?」
唐突に思えるほのかの質問。けれどなぎさは間を置かずに力強く答える。
「モチロンだよ!それに、例え離れ離れになったって心はいつでも―――」
「ダメよ!!」
しかし、そのなぎさの言葉をかき消すようにほのかが声を上げる。そして
「離れちゃダメなの…心だけじゃダメ、ずっと側にいてくれなきゃダメなの…」
と今度は俯いて、消え入りそうな声で小さく呟く。
だがそんなほのかを、なぎさが包み込むようにそっと抱きしめた。
「どこにも行かないよ…。ずっとほのかの側にいる。どんな事があっても絶対に…」
「……約束してくれる?」
「うん、約束する。忠太郎も聞いてたよね!?あたしの約束」
「ワン!」
「だってさ」
「…ありがとう」
もう一度空を見上げると、そこにはさっきよりも長く伸びた飛行機雲。
でも、もう嫌な気持ちは微塵も感じない。
だって私にはなぎさがいるもの!
「ほのか、また空見てる!一体どうしたの?」
「フフ…秘密!」
「え〜!?ズルイなぁ…何が見えるのか教えてよ!?」
「だーめ!ウフフッ!」
以上でおしまい。
>>504 何か一生懸命で健気なイメージがあるんだよね>ひかり
なぎさ男前やなあ・・・
惚れるぜ!GJ!
なぎさ!即答できる所がうらやましい
某所からのパクリ&改変だが…
ほ「なぎさ、ひかりさんも段々クイーンらしくなっていくわね。」
な「うん、頼もしい限りだよ。…で、ちょっと気が付いたんだけど」
ほ「はい?」
な「私達の周りって黒髪の人があまり居ないよね」
ほ「あ、そういえば…」
な「ほのかは黒髪でサラサラストレートヘアーで見た目も髪質も触りごこちもいいよね。大好き。わーい」
「ちょ、ちょっとなぎさっ、意味もなく撫でないで、頬ずりしないで、嗅がないでっ」
「えー、別に嫌がってないくせにー」
「も、もうなぎさったらぁ…」
アハハハハ
ウフフフフ
あまりにもなぎほのに当てはまってしまったんで、つい…正直スマンかった。
↑誤爆した…orz
欝…
満「あのなア、薫ちゃん」
薫「なんやねん?」
満「何でわてら転校せなあかんねん」
薫「そらプリキュアっちゅー悪い奴等をやっつける為やがな!」
満「プリキュアって奴等、そんなに悪いんか?」
薫「そらア、この世を滅ぼそう!っちゅー、わてらの邪魔ばっかししよるんやで?」
満「そら悪い奴等やナア!」
薫「そやろ?だからやっつけたらなあかんねん!」
満「カレハーンのおっさん殺されてしもたけど…ひょっとして…?」
薫「そうや!カレハーンのおっさんプリキュアに殺されてしもたんやで」
満「わてカレハーン嫌いや!ざまあみさらせっ!ちゅーんや!」
薫「…満ちゃん、あんた血も涙もない奴やナア」
満「そらアクダイカーン様の手下やからナ!」
薫「怖いわア…殺されてしもたんやデ?人の死をゲーム感覚やナ
あんた最近流行の"キレル若者"って奴かいな?」
満「そんなん知らんわ!だけどモエルンバの兄さんも居ったやないか?」
薫「モエルンバの兄さんはこの間やっつけられてしもうたんや!」
満「ホンマか?わてモエルンバ兄さんの事スキやったのになア」
薫「あんたオトコの趣味悪いわ!」
満「なんでやねん!あんたこそゴーヤーンのおっさんを見る目が違うデ!」
薫「満ちゃんにはオトナのオトコの魅力がわからへん!
まだまだお子様っちゅーこっちゃ!」
満「知りたないわ!」
満「だからってなんで転校するねん!?わて転校するの嫌や!」
薫「そんなこと言うたかて仕方あらへんがな!アクダイカーン様が
お前らはよ転校せー!言うたんやから!」
満「それじゃ仕方ないなあ…」
薫「あんたアクダイカーン様の親心が判らんのかイナ?」
満「オヤゴコロってなんやねん?」
薫「わてら中学生やろ?」
満「そうや!ぴっちぴちの女子中学生や!」
薫「そんなわてらに人並みの学校生活を体験させようっちゅー事やがな!」
満「嬉しい話やナ…涙でてくるわ…」
薫「そやろ?だから一生懸命勉強して立派な成績残して
良い高校良い大学に入学してアクダイカーン様を喜ばせナあかんねん!」
満「判ったわ!薫ちゃん!わて一生懸命勉強するねん!
そんで友達も百人作ったるねん!」
薫「そうや!その意気や!」
満「ところで薫ちゃん?わて判らんことあるねん」
薫「なんやねんな、もう!」
満「わてら勉強だけすればええんかな?他に大事な事もあるような気がすんネン」
薫「アホやナア、満ちゃん!学生の本分は勉強やデ!」
満「そやな…」
薫「そうやで!」
満「でも…わて勉強苦手や!」
薫「わてかて苦手や!
でもアクダイカーン様の親心に報いるため頑張らナあかんねん!」
満「ホンマに難儀やなあ」
不確かな筋からの話なんだけど関西キャラらしいぜ!
おしまい
咲「ねえ、舞…」
舞「なあに?」
咲「やっぱりイイや…」
舞「ちょっと!気になるじゃない!隠し事は無し!何でも言って!」
咲「じゃあ…あのね、舞って絵を描くじゃない?」
舞「絵を描くの大好きよ!美術部にも入ったしネ!それがどうかしたの?」
咲「絵を描く時ってモデルさんって居るじゃない?」
舞「そう!モデルさんをよく見てシッカリとデッサンするの!」
咲「オトコの人をモデルにして描いた事ある?」
舞「あるわよ!」
咲「…それってひょっとして…ヌ・ヌ・ヌード?」
舞「そうよ」
咲「そうよって…あっさりしてるわねえ…!」
舞「イヤだ!咲ったら!えっちな事を考えているんでしょう?」
咲「え・え・えっちな事なんて…ちょっとダケ…」
舞「絵を描く時は真剣!いちいちえっちな目で見てられないわよ!
それにもう毎日の事だから慣れちゃったカナ?」
咲「慣れるほど…見ちゃった訳?…ごくり…」
舞「まあ、最初はびっくりしたけどネ」
咲「…あのね…それで…オトコの人のアレって…どう?」
舞「ぱおーんって感じね」
咲「ぱおーん…って感じ?」
舞「最初はシオシオだけどジッと見てると…ぱおーん!よ!」
咲「最初はシオシオでジッと見てると…ぱおーん…!」
舞「モデルさんによってソレゾレだけどね」
咲「ごくり…」
舞「例えばこの間のモデルさんはドリルみたい」
咲「ドリル!!??…怖ッ!」
舞「別のモデルさんは先っちょがぐわっとなってるのよ!」
咲「よく判らないわ…」
舞「あっ!ちょうど良い所に健太君が居るわね!健太君!健太くーん!」
>>514 ネタバレSSなんて書く人間始めて見た
いい趣味してますね
>>516 あせるな、不確かな筋って言ってるし妄想だろ
>>514みたいな余計なこと書かなきゃ
余計なこと考えるやつが現れなかったのに
保守
521 :
メロン名無しさん:2006/05/09(火) 22:19:01 ID:8/rEsD6gO
保守age
お久しぶりです。
>>246です。
現在も一応続きのSSは書き続けてるんですが、
完成したらまた投下してもよろしいですかね?
何とか完結させられそうなとこまで漕ぎ着けたんですが、
何か最近投下しにくい雰囲気が漂ってる気がして…
雰囲気なんか気にしないで、気の赴くままに落とせばいいよ
524 :
メロン名無しさん:2006/05/12(金) 00:50:51 ID:y1QO3Xij0
なぎ「もうやだ〜!こんなバイト辞めたいよ〜」
ほのか「うん・・わたしも辞めたい」
監督「こら、泣き言はちゃんと仕事してから言え!」
なぎ「だってさあ・・こんなに沢山の人としたら体壊しちゃうし」
ほのか「もう、壊れてます」
監督「ふざけるな!まだ3人!」
なぎ「もう服着たい!」
>>246氏
待ってマシター───(゚∀゚)――─!!
526 :
1/3:2006/05/13(土) 14:20:13 ID:???0
星野屋―――夕凪町の海沿いにある、家族経営の小さな釣り船屋。
だけどそんなトコロにも意外なお客さんは来るワケで…
「ふぁーあ…」
「おう健太?」
欠伸をしながら居間へとやってきた健太に父親が声をかけてくる。
「ナンだよ、父ちゃん?」
「ちょっと今日船乗るの手伝わねえか?」
「えーっ!?今日は友達と約束があるんだよな…」
父親のお願いを渋る健太。とその時
―――すいませーん!
店の入り口の方から女性の声が聞こえて来た。
「いらっしゃい!もしかして、予約してた―――」
父親の言葉に女性がコクと頷きを見せる。
「藤田です」
「やっぱりそうか!で、そちらは娘さん?」
「ちょっとオジサンそんな訳ないでしょ!?この子はあたしのイトコ!」
呆れたように言い返すアカネに続いて、少女がペコリと頭を下げる。
「始めまして、九条ひかりです」
「おっ礼儀正しいね!しかしイトコか…そうだよな、こんなに若くて綺麗なお嬢さんが、子連れな訳ないもんな!?」
「アハハ!口が上手いね〜!」
お世辞に満更でもない様子のアカネ。そしてその横を通り
「じゃあ俺は出かけてくるからさ」
と健太がドアへと向かう。だが、ひかりの顔をチラリと見た瞬間―――「!?」
「どうした、健太?固まっちゃって…」
「ととととととと父ちゃん!俺手伝うよ!!絶対に手伝う!!」
「え?でもお前、約束があるんじゃ…」
「何言ってるんだよ!お客さん第一だろ!?ホラ、さっさと説明を始めようぜ。時間がもったいないよ!」
527 :
2/3:2006/05/13(土) 14:21:40 ID:???0
「お魚さん、釣れませんね…」
「焦るなって、これからだよ。釣りは焦ったら負けだぜ?」
水面を見つめながら少し寂しそうに呟くひかりに、健太が励ますように声を掛ける。
「焦ったら負けですか…そうですよね、お魚さん相手ですモンね?健太さん分かりました!」
ニコッと微笑むひかり。そして
「それにしても気持ちいい風…」
と頬を撫でる潮風に目を細める。
―――……!!
そんな横顔に思わず見とれてしまった健太。だが慌ててうつむくと、
ドキドキする胸を押さえて先程から気になっていたコトをひかりにぶつけてみる。
「…なぁ、この町に住んでるのか?」
「いいえ、今日は旅行で来たんです」
「そうか…旅行でか…」
戻ってきた回答に心なしか残念そうな健太。
しかし、もう一度ひかりの横顔へと視線を向けると
―――なら、尚更いい思い出を持って帰ってもらわなきゃダメだろ!?
と心の中で強く思ってグッとコブシを握り締める。
とその時
「あの、健太さん…?浮きが動いてるんですけど、あれって…?」
少し戸惑いを見せながら、ひかりが海面を指差した。
「え…?……おい!来てる来てるよ!かかってるって!」
「え、えー!?どうしたらいいんでしたっけ!?」
「とにかくリールを巻いて!」
「こうですか!?」
「そうその調子!」
健太のアドバイス通りにひかりがリールを巻いて行く。
段々と強くなっていく手応え。そして―――
「あっ!釣れました!」
「やったな!!」
528 :
3/3:2006/05/13(土) 14:24:28 ID:???0
「健太おはよう!」
「なんだ咲か…」
「なんだは無いでしょ!?どうしたの、なんか様子が変だけど?」
いつもと違う反応に、咲が心配そうに健太の顔を覗き込む。
「このお休みの間に何かあったの?」
「いんや、何もねえよ…」
「何もないハズ無いでしょ!?何も無いのに健太がそんな顔する訳ないもん!」
「う〜しつこいなぁ!…そうだな、まあしいて言えば『出会いと別れ』ってヤツかな」
「出会いと別れ?」
「そう。俺も大人の階段を一歩上ったって事だよ」
しんみりとした表情で語る健太。だが―――
「プ…アハハハッ!!健太ってば何言ってるの!?」
「な、何で笑うんだよ!?」
「だってそれ全然似合わないよ!?」
そして再び笑い出す咲に、ムッとした様に健太が言い返す。
「お、失礼なヤツだな!あーそうか、お子ちゃまの咲には関係の無い話だもんな」
「チョット!?それどういう意味よ!?」
「お子ちゃまだからお子ちゃまなんだよ!この、お子ちゃまお子ちゃまお子ちゃま!!」
「あーっ!そう言う健太こそ、下らないギャグばっかり言ってお子ちゃまじゃない!」
「なんだと!?」
「何よ!?」
目からバチバチと火花を出しながら言い合う二人。そんな二人を見て
「マッタク、咲も星野君も本当にお子様なんだから…」
と、呆れたように苦笑いしながら舞が呟いた。
・ ・ ・
―――今度来た時は、今日よりももっとでっかい魚釣らせてやるからよ!
―――あと、飛び切りのギャグも聞かせてやる!だから絶対にもう一度来いよ!?
「どうしたのひかり?ボーッとしちゃって…」
そのアカネの言葉に、ひかりがハッとした様に顔を上げる。
「いいえ、何でもありません」
「そう…。ねえひかり、またいつか釣りに行こうか?」
「アカネさん…ハイ、是非!」
「フフフ、じゃあそれまではシッカリと働かなきゃね!という訳で、注文お願いね!?」
「ハイ!」
明るく返事をして、ひかりがお客の下へと歩み寄っていく。そして飛び切り笑顔で―――
「いらっしゃいませ!」
以上でおしまい。
おぉ…なんか新鮮だ。GJ!!
渡さん、健太ごときにひかりはわたさんぞお!!w
「プリキュア…面白くなってきたわね」
「プリキュア…面白くなってきたわ」
夕凪中学からの帰り道、
舞と咲、ふたりの後姿を見つめるふたり―みちると薫―である
紅い夕日が映える海からの波風が冷たい
「みちる、帰ろう」
「薫、帰りましょう」
そう言うとふたりは歩き出した
薫は坂を上り、みちるは坂を下り…
「みちる、何処に行くのよ?」
「薫、何処に行くのよ?」
「何処って…?」
「何処って…?」
――私達、何処へ帰ればいいの?――
泉の見張り役なんて言う退屈な仕事から逃げ出したくてアレコレ言い訳つけて
やって来たのは良いものの、何処を棲家とするかまでは考えていなかった
「薫がこういう事はちゃんと考えておいてくれなくちゃ!」
「みちるこそ何にも考えていなかったくせに!」
「何よ!」
「何よ!」
――ぐぐぅぅぅ〜…
――きゅぅぅぅ〜…
「お腹空いたわ…」
「お腹空いたわね…」
「何か食べ物持ってない?」
「持っているわけないでしょう」
――ぐぐぅぅぅ〜…
――きゅぅぅぅ〜…
ふたりそろってペコペコのお腹をさすりながら
出てくるのはため息ばかり
「お昼のオニギリ美味しかったわね…」
「お昼のオニギリ美味しかったわ…」
――ぐぐぅぅぅ〜…
――きゅぅぅぅ〜…
美味しい美味しいオニギリの事を思い出した分余計に
お腹が空いて辛い…
――タッコ焼き〜!美味しくって熱熱のタコ焼きはいかがですかァ―
途方に暮れるみちると薫のふたりの目の前で
移動タコ焼き屋台が美味しそうな香りをふりまいていた
「タコ焼き…?食べ物かしら?」
「タコ焼き…?食べ物みたい…」
熱く焼けた鉄板の前で赤いバンダナを巻いた女性がクルクルと忙しく
いい香りのするモノを焼いていた
「いらっしゃーい!よかったら食べてかない?」
ジッとタコ焼きを見詰める、みちると薫に気が付いた店主が声をかけた
「頂くわ」
「頂きましょう」
鰹節が熱気でひらひらと踊り、香ばしいソースがたっぷりかかった丸いモノ
「オニギリと違うわね?」
「オニギリは冷たかったわね」
ふたりそろって口に頬張ると…
冷たい波風に凍えたふたりの身体に熱いタコ焼きが堪らなく…
「美味しい…!」
「美味しい…!」
夢中でタコ焼きを頬張るふたりをニコニコにながら見つめる店主
「美味しい?良かった、実はこの辺で商売するの初めてでサー
お口に合うかどうか心配だったんだよネー」
たちまち一皿平らげたふたりはようやくお腹も落ち着き身体も温まった
「ごちそうさま」
「ごちそうさま」
ふたりは身を翻し立ち去ろうとすると…
「ちょ…ちょっと!お二人サン!何か忘れてない?」
「忘れ物?」
「忘れ物?」
「そうそう忘れ物!」赤いバンダナの女性は苦笑いを浮かべながら
ふたりの前に片手を拡げ「タコ焼き二皿で1000円!」
「何を言ってるの?」
「何を言ってるのかしら?」
「判らないわ」
「判らないわね」
「私達から用は無いわね」
「私達から用は無いわ」
「帰りましょう」
「帰りましょう」
「ちょ〜っと待った!アンタ等ふたりもしかして食い逃げ?」
赤いバンダナの女性が立ち去ろうとするみちると薫の前に立ち塞がり押し止めた
「食い逃げ?何を言ってるのか判らないわ?」
「何を言ってるのか判らないけど…かなりヤバイ雰囲気ね?」
タコ焼き屋台の車内に押し込められたふたりの前に怖い顔して
「お金が無いなら…体で返して貰おうか!」
「ピンチね?」
「ピンチだわ」
「でも、ピンチの後にはチャンス在り」
「どうするのよ?」
「コイツを洗脳してこのオンナの家に潜り込むのよ!」
「いい考えね!」
「ふふふ…」
「ふふふ…」
ふたりの目が妖しく光り睨み付けると
赤いバンダナの女性は先程までの勢いが無くなりたちまち瞳がとろ〜ん…と
「アカネさ〜ん!配達終わりました!ただいま戻りました〜!」
元気な明るい声でやってきたのは金髪をおさげに結んだオンナノコ
「お・か・え・り…ひ・か・り…」
ひかりと呼ばれた少女を迎えるアカネの曇った声
「アカネ…さん?どうかしたんですか?コチラのふたりは?」
見知らぬふたり組に訝しい目を向ける
「このふたりは…私の…従姉妹で…名前は…」
――薫
――みちる
「薫にみちる!今日から家で世話する事になるからよろしくね!」
「ふふふ…よろしく」
「ふふふ…よろしく」
「コラァ!薫!みちる!サボってたら承知しないよ!
ひかりを見習ってテキパキ働いた働いた!」
「え…?」
「え…?」
おしまい
これ以上アカネさんの所に居候が増えたら
アカネさん破産しちゃうよw
無理だ、あのふたりに客商売は無理だww
どっかのMさんたち相手ならどもかく。
おかしい、某職人さんのサイトへ行こうとすると似た名前の妙なところに繋がる???
>>540 ごめんね。サーバー更新しわすれてちゃった・・・テヘッ
明日やります
(´∀`)
安心しました。
ところで、書きかけなままの二人はどうしたんだろ?
バックレずにちゃんと最後まで終えて欲しい
>>543 《246より管制搭、現在完結に向けて執筆中。》
《今月中には投下出来ると思われる、しばらく待機してくれ。》
545 :
メロン名無しさん:2006/05/26(金) 22:21:21 ID:qEe4w/WLO
207氏は早く続きを書いて物語の中のなぎさを救ってやってくれ
怒りのひかりちゃん
ひ「最近お客さんめっきり減りましたね」
ア「仕方ないよ・・角にできたたこ焼き屋にお客さん取られてるんだから」
ひ「どうしてですか」
ア「あそこは本場大阪の味だし、しかも一箱10円で安いからね」
ひ「じゃあうちも10円にしましょう」
ア「それじゃあたこ焼き売れても全然もうからないって・・・」
ひかりは角のたこ焼き屋を偵察しにいった・・そこでひかりに衝撃が走った
ひ「ウソ・・・今までうちの店にきてたベローネの生徒がみんなこっちのたこ焼き屋に・・
え!!奈緒と美羽まで・・・・そんな・・・・・」
そしてきわめつけは
な「ここのたこ焼きおいしいし量も多いし安いしで文句のつけようがないよね・・・おかわり!!」
ほ「もう〜なぎさったら・・食べ過ぎると太るわよ」
ひ「・・・なぎささんとほのかさんまで・・・・・・・・・」
次の日
な「ひっかり〜おはよう!!」
ほ「おはようひかりさん」
ひ「私に話しかけないで下さい」
な、ほ「!!」
奈緒美羽「おはようひかり〜!!」
ひ「・・・フンだ・・・」
な「ちょっ!!どうしたのよひかり!!なんでそんなに怒ってるの」
ひ「なぎささんにはわからないんですね・・・」
ひかりは走り去った
な「ひかりーーー!!」
ほ「(はっ!!そうだったのね・・・)なぎさ、そっとしといてあげましょ・・」
な「え?どうして・・・」
ほ「ひかりさん・・・ついにあれがきたのよ・・」
奈緒「・・・あ〜そうか、だからひかりあんなに機嫌悪かったんだ」
美羽「ついにひかりにもきたんだね・・」
ほ「うふふ・・明日お赤飯作っていってあげましょうね・・」
奈緒美羽「はーい!!」
な「???あれって何??お赤飯って・・なんで??意味わかんなーい!!」
そのころひかりは・・
ひ「反省するまで許してあげないんだから・・・」
「フンだ」…って言うひかりカワイすぎ(´д`;)
――明日は三者面談ですから忘れないように親御さんに伝えておいてね
「サンシャメンダン…って…何?」
「三者面談知らないの?」
「三者面談って言うのはご両親と先生と私たちで学校の事とか
進路の事とかについて話し合う事よ」
「ご両親…」
「くだらない」
プリキュアの強さのヒミツを探るべく、咲と舞の通う学校に
まんまと潜入を果たしたダークフォールの薫と満
子供の姿をしたふたりだけれども、ダークフォールじゃちょっと名の知れた怖いふたり
アクダイカーン様ですらふたりの行動は束縛できない
そんな怖い怖いふたりだけれども、人間の世界の事って判らない事だらけでタイヘン
「サンシャメンダン…まずい事になったわね!?」
「何が?」
「ご両親を呼べって言われたじゃない」
「それで?」
「それでって…私達に親なんていないじゃない…」
「それがどうかしたの?」
「薫…」
ため息ひとつ――頭脳労働はもっぱら私、満の担当…
これ以上薫に相談しても仕方が無い――と、諦めて…
――明日の三者面談をどう切り抜けたら良いのか?
…必死に頭を捻る満であった
「薫殿!みちる殿!早く泉に戻られたら如何ですかな!?」
薫と満の背後の地面から音も無くゆらゆらと影が揺らめきやがてその影は形を成して
一人の怪人の姿となって現れた
「ゴーヤーン!」
「まったくアクダイカーン様は何故か薫殿にみちる殿には甘いがこの私は違いますゾ!」
――煩い奴が来たな…否…丁度良いところに来た…と言うべきかしら?
「ゴォ〜ヤァ〜ン、お願いがあるの、オ・ネ・ガ・イ!」
ふうう…三者面談の次は…転校してきた霧生さんね…
西日差す放課後の教室で三者面談最後の生徒、霧生満と薫を迎えようと廊下に
向かって声をかけた
「それでは次の方、霧生さん、お入りください」
――ガラガラ…
「はじ…はじめまして、薫とみちるがお世話になっております
母親の霧生…ゴヤ子…です…」
「ぎゃっ!」
突然目の前に現れたちっちゃいおっさん?
いや…高島田に結った古風な日本髪に真っ赤な紅を大きな口の先にチョコンとつけた
――霧生さんの…お母様?
「何か?」
「いいえ…何でも…ただ…」
「何か?」
「いいえ…本当に…その…あの…あまり似てらっしゃらないものですから…」
「やはりそうですか!私も無理があるとふたりには言ったのですが…痛ッ!
みちる殿!おしりを抓らないで…いえいえ、コッチの話で…それよりも
薫殿にみちる殿はしっかりやっておりますかな?」
「あ、はい…勉強は…良くお出来になるのですが…ちょっと協調性に欠けるというか…
エヘン!一言で言って友達を作ろうとしないんですくどくどくど………
くどくどくどくどくど………」
「薫殿、みちる殿!早く泉に戻られ…」
――昨日は酷い目にあった、しかし!ふたりの母親役を演じる事を条件に
泉に戻っていただく約束!今日こそは連れ戻さなくては…!
と勢い込んでやってきたゴーヤーンの目の前に突き出された一葉の写真…!!
――コレは!何時の間に!昨日の三者面談の写真!
「ハァイ!ゴーヤーン、昨日はご苦労さん、カツラ姿も似合ってたわよ」
「コレ焼き増しでもして皆に配ろうかしら?」
「ちょっ!そんな事されたら私の威厳というものが…」
「だったら取引よ、写真と引き換えにもう私たちに煩い事言わないって」
「くっ…騙された!」
「騙したなんて嫌な言い方!私たちは自由でいたいだけ!判った?じゃあねー!」
「…という訳でして…満殿に薫殿にしてやられまして
連れ戻せなかったのです…この上はアクダイカーン様に
直接言っていただくしか他ありませぬ」
「むううう…薫に満…まァ…好きにさせておけ…」
「ふううむ…?なぜアクダイカーン様とあろうものが薫殿に満殿には甘いのか…
まさか…アクダイカーン様も何か弱みを…!?まさかまさかまさか?」
おしまい
553 :
メロン名無しさん:2006/06/05(月) 13:39:27 ID:5QjiW7mz0
207氏・・・早く頼むよ・・・
そうだね・・・続きが気になるよ。っていうかマジでお願いしますよwww
フレーフレー、246。ガンバレガンバレ207。
わああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
―――キンコーン
「帰りましょう、薫」
「そうね、満」
終業の鐘が鳴り、帰ろうと席を立つ満と薫。とその時
「ねえ満!薫!」
と、咲がニコニコしながら話しかけてきた。
「明日皆でネズミーランドに行くんだけど、満と薫も来ない!?一緒に行こうよ!」
「…ネズミーランド?満、知ってる?」
「ここら辺じゃ一番人気のあるテーマパークらしいわ」
「へーそう…興味無いわ」
「そんな事言わないでさ?スッゴク楽しいんだから!ね、一緒に行こう!?」
「しつこいわね…」
と、ドアへと向かいかける薫だが、それを制するように満が口を開いた。
「いいわよ、行きましょ」
「ホントに!?嬉しいなー!じゃあ明日はコノ場所にコノ時間に集合ね!?」
「分かったわ」
そして喜ぶ咲の説明に相槌を打って、二人が「サヨウナラ」と教室を出る。
「満、何で…」
「だってプリキュアの事、もっと分かるかも知れないじゃない…」
―――そして翌日
「あんなに並んじゃって、バカみたい」
「マッタクよね。何が楽しいのかしら…」
アトラクションに並ぶ行列に蔑んだ視線を送る二人。しかしそんな二人を
「ホラ、満も薫もそんなトコに立ってないでコッチに来て並ぼうよ!」
と咲がグイッと引っ張り無理矢理行列に並ばせる。
「まったく、いつまで列に並ぶつもりなのかしら…」
「いい加減にして欲しいわ」
ブーブーと文句を言い合う満と薫。
しかし待てば順番は必ずやって来るモノ。
そしてとうとう―――ヒュー…スプラッッッシュ!!
―――
――
―
「面白かったね、咲!」
「うん!満も薫もドキドキして楽しかったでしょ!?」
「ま、まあそうね…」
「ちょっとだけね…」
「フフッ、満さんも薫さんも楽しかったみたいね!」
「うん!じゃあ、次あれに乗りに行こう!?」
「今日は本当に下らなかったわね」
いつもの様にひょうたん岩に立ち、月光を浴びながら満が呟く。
「そうね…」
同意する薫。だがその後で
「…でも満?」
と、満に静かに視線を向ける。
「何?」
「いつまでそのネズミの耳のカチューシャしてる気なの?」
「……薫こそ、そのマスコットのリストバンドずっと腕に着けたままじゃない」
「……」
「……」
「…まあ、中々だったわね」
「そうね、また行ってもいいかもね」
「…次に行くことがあったらいつかしらね?」
「……明日?」
「決まりね…」
―――そしてまた翌日
「すいません、その帽子下さい」
「私はこのポーチを…」
「お一つずつですね!?ありがとう御座いました!」
以上でおしまい
ネズミーランド楽しぃー!
満薫可愛いなァーもぅ!
561 :
1/3:2006/06/17(土) 03:15:45 ID:???0
「ねえねえねえ!イイかな!?」
朝の教室。ドアをガラリと開けて室内に入って来るなり、志穂が鼻息荒くなぎさ達に近寄って行く。
そして、手にしていたノートを少し誇らしげに胸の前に突き出して
「ジャーン!コレ見て!」
「見てコレ…って」
「ただのノートじゃん?」
「久保田さん、何か特別なノートなの?」
「フフフ…これはね、私のシナリオ帳!いつか監督になれた時の為にね、オリジナルな物語を考えて書き留めてるの!」
皆の疑問に、エヘンと一つ咳払いして志穂が答える。
「おー」と感心する三人。そんな三人に更に志穂が続ける。
「それでそれでそれで、みんなにお願いがあるの。実はシナリオを一つ聞いて欲しくて…」
「いいよ、どんなの?」
「激しいアクションものなんだけど、主役は何と女の子二人組みなんだ!」
「へー、面白そうじゃん!ね、ほのか?」
「うん、そうね」
その反応に、志穂がキラリと瞳を輝かせる。
「でしょでしょでしょ!?ちょっと自信作なんだ!内容はね―――」
そしてパラパラとノートをめくりだす。
562 :
2/3:2006/06/17(土) 03:17:07 ID:???0
「内容は―――この宇宙にはね、私達が住むこの世界以外に光と闇の世界が存在しているの。
二つの世界は互いに影響し合ってて、微妙なバランスの下で平和は保たれていた。
だけどある日、光の世界に在る『全ての源である七つの石』が、闇の魔王に奪われてしまった…」
―――はっ!?
―――えっ!?
どこかで聞いたような内容にギクリとするなぎさとほのか。が、モチロン志穂は話を続ける。
「でも全部奪われた訳じゃなくて、何とか守った二つの石を持って光の世界の勇者達がこの世界へと逃げて来るの。
そこで運命に導かれたかのように二人の少女と出会う。そして彼女達は光の力で変身して戦う事を決心するの。
勇者達を、光の世界を、それに何より彼女達自身の日常を守る為に―――」
「…どう?」
「うわぁ…何かイイかも!なぎさもそう思うよね?」
「そ、そう?何か突飛じゃない?ねえほのか…」
「う、うん。そうかも…」
563 :
3/3:2006/06/17(土) 03:19:27 ID:???0
冷や汗を流しながら顔を見合わせる二人。
しかしそんな声など志穂にはお構い無しだった。
「エヘヘ…実はタイトルももう考えてるんだ!知りたい!?」
「あたしはあんまり…」
「私もちょっと…」
「えー!?なぎさも雪城さんも何で!?私知りたい!ねっ志穂、早く聞かせて!?」
おねだりする莉奈。その声にニッと笑って志穂が一つ息を吸う。
「じゃあ行くよ?これはプリティな女の子二人がみんなを助けるっていう物語なの。だからタイトルは―――」
「うんうん!」
「はわわ…」
「…っ!」
なぎさはオロオロとうろたえ、ほのかは観念したように目を瞑る。そして
「二人は―――」
―――ゴクリ……
「プリキュラ!」
「『ア』だっつーの!!」
なんか良く分からないまま以上でおしまい。
565 :
メロン名無しさん:2006/06/17(土) 10:18:00 ID:rolmtIO8O
ワロスwww 久々にGJ!
本編のときも思ったけど、「プリキュア」より「プリキュラ」の方が
言い辛いような気がするんだがw
お二方GJ!!
>>556 まもなく来る結末を考えると切なくなるな…
>>561 落ちにワロスwww志穂、お前もかwwwww
ひかり「最近お客さんめっきり減っちゃいましたね」
あかね「しょうがないんじゃない?」
ひかり「仕方ありません私が何とかします
ルミナリオー!! 」
毎週のように襲い来るジャアクキング
彼等との戦いで私の小さな身体は何時の間にか傷つき、悲鳴を上げていたのだ
身体の異変に気がついたのは朝、何時もの様に目覚めた時だ
全身を襲うかつてない倦怠感、そして…
私はまだまだプリキュアと供に戦い続けなければならないのに
「ひかり?…朝ご飯食べないの?」
この虹の園で生活を共にする藤田アカネが心配そうな顔で私に問う
「なんでもありません」
そう言うのが精一杯の私にはこれ以上の言葉を発することすら出来ない
顔を伏せ、重い鞄を持ち学校へと向う
ベローネ学院までの通学路、長く急な坂道が私の傷んだ身体を攻める
「ひかりー!おはよー!」「ひかりさん、おはよう」
共に戦うプリキュアであるふたり、美墨なぎさと雪城ほのかの声
「…どうしたの?顔色悪いよ」
大きく澄んだ瞳で私を見つめる美墨なぎさ
「ひかりさん、何か心配事でもあるの?」
優しい瞳で私を見つめる雪城ほのか
私は…私には…ふたりの胸の中で泣く事しか出来なかった
「一体何があったの?」
空き教室に鍵をかけ、私はなぎささんとほのかさんに全てを話した
全身を襲う倦怠感、そして私の下腹部から流れる赤い鮮血
私はもう…お終いなのだと…
――な・の・に!!!
「ぷぎゃ〜!!」なぎささんが大きな口をあけて私を指差して哂う
――酷い!
「ぷっ…クスクス…」
――ほのかさんまで!
怒りが込み上げ我を忘れて立ち上がった
目の前が暗くなり膝をついて其の場に座り込んでしまった
「なぎささんも、ほのかさんも…酷いです…私の事をキライなんですか?」
「うふふ、あのね、ひかり、それはね、あのね…」
そしてふたりの口から語られる驚異の人体!
オンナノコだけの不思議な秘密
虹の園って…スゴイ!
※※※ ※※※ ※※※ ※※※ ※※※
「いらっしゃい!いらっしゃい!今日はタコカフェ特別セール!
お赤飯の無料サービスでーす!」
――お赤飯?
――ああ!成る程
――そうかァ、ひかりちゃんも遂に…
――あっ!ひかりちゃんお帰り!
――ひかりちゃんおめでとう!
「あ、ひかり〜!今朝元気ないから変だなって思ってたら
ベッドのシーツ見てさア!ひかり!おめでと…」
「ぎゃう!ア…アカネさん!や・止めて〜!!!!!」
おしまい
ええ、叱られました。
一回りも歳の違う子に正座させられて小一時間泣くまで
それはもうけちょんけちょんに叱られました。
またシリアスネタかと思ったからハゲワラタwwwww
そーだな、確かに仕組み知らなきゃビビるよなw
ともかくGJ!そしてひかりおめでとう!
如何に「光の国のクイーン」といえども
虹の園で人間体になったら来るモノは来るんだなw
瞬時に白い衝撃というタイトルが浮かんだ俺
主役はもちろん亮太・・・
・・・ゴメン
「黄色い衝撃」
…ルミナリオー
誰か俺のプリキュア不足分を満たしてくれ
576 :
メロン名無しさん:2006/06/27(火) 01:08:53 ID:zBxfEoHh0
長編のつづきまだ?
最菌プリキュアちゃんねる
盛り上がる
ここもみんなで盛り上げようぜ
SS職人大募集
ルミナリおー
―――ドサッ!
「はぁ〜疲れた…!」
「でも楽しかったね!?」
手にした買い物袋を床に置き、座布団へと座りながら二人がニコッと笑顔を交し合う。
「うん、ホント楽しかった!欲しかった服も買えたしね!」
「あら?買い物の方?てっきりお昼の方かと思ってた…」
「ちょっとほのか!?そんな事…!」
「ゴメンゴメン!でも、デザート食べてる時の顔の方が嬉しそうだったよ?」
悪戯な笑みを浮かべるほのか。
そんなほのかになぎさがプクッと頬を膨らませる。
「もぅまた!」
「冗談よ!…ってなぎさ、ひょっとして怒ってる?」
「うん、怒ってる!」
プイ!―――とそっぽを向くなぎさ。しかしほのかをチラリと横目で見ると
「でもね、あたしのお願い聞いてくれたら許してあげてもいいカナ…」
「え…お願いって?」
「ん、それはね…」
「うーん、ほのかの膝枕ってば気持ち良い!一度やってみたかったんだよね!」
シッカリと膝に頭を乗せて、なぎさが嬉しそうに声を上げる。
「もぅ、お願いって何の事かと思ったら…」
そんななぎさに思わず苦笑いを浮かべるほのか。
しかし
「それで…オホン…」
とわざとらしく咳払いすると
「お怒りは収まりましたか、お姫様?」
「ダーメ、まだ許してあげない!もう少しこのままでいるの、分かった!?」
「ハイハイ、かしこまりました……フフ」
「…プッ」
「ウフフッ!」
「アハハハッ!」
他愛のないやり取りに、もうこらえ切れないとばかりに笑い合う二人。
そしてそれがひと段落つくと、「はぁ」とほのかがなぎさの隣に寝転がる。
「気持ち良い風ね…」
「うん。ホントだね…」
頬を撫でるそよ風に二人が静かに目を閉じる。と、やがて―――「スー…スー…」
「…なぎさ?」
「ムニャムニャ…ほのか、もう食べられないならそれちょーだい…」
「ウフフ、なにそれ…」
そんな無邪気な寝言にクスリと笑って、ほのかがなぎさの寝顔をじっと見つめる。
―――なぎさ…
あどけないその寝顔に、ほのかの中で一つの気持ちがどんどんと膨らんで行く。
そしてとうとう
―――ゴメンね…。寝てる間にだなんて私ズルイよね?でも、もうムリみたい…
「おやすみなさい…」
チュッ…
「今日はありがとうね?買い物に付き合ってもらった上に、昼寝までさせてもらっちゃって…」
靴を履きながら、なぎさが少し申し訳なさそうに声をかける。
「気にしないで。私だって楽しかったんだから」
「ホントに!?良かった…!」
そのほのかの言葉に、なぎさがホッと胸を撫で下ろす。
「さてと…じゃあまた明日ね?」
「うん、また明日…」
どこか切ない視線で別れの挨拶を交わす二人。そしてほのかに背を向けて、なぎさが扉に手をかける。
だが、その手がそれを僅かに開きかけた時
「でも、忘れモノしちゃったかも…」
と呟きながら、ユックリとほのかへと振り返った。
「忘れ物って何?私が取ってこようか?」
「うん…じゃあほのか、ちょっとこっちに来てくれる?」
「え…?いいけど忘れ物は…?」
「いいからいいから」
そう手招きするなぎさに不思議に思いながらもほのかが顔を近づける。
「なぎさ、一体ナニ?」
「んー、それはね―――」
―――ちゅっ♪
「えっ!?」
「フフッ、これが忘れモノ。さっきのお返しだよ!じゃあね!」
そしてガラガラとドアを開け、ダッシュで遠ざかって行くなぎさ。
「…あ」
そんな後ろ姿を茫然と見送りながら、ほのかヘナヘナと腰砕けに座り込む。
「ほのかほのか、しっかりするミポ!?」
「ミップル、今の…。まさかさっきの気付いてて…!?」
真っ赤になる顔。そしてその頭から湯気が……ボッ!
「ウソーーーッ!?」
「あー!?ほのかが壊れたミポォー!!」
そんなこんなでその夜、ほのかは色々な意味で眠れぬ夜を過ごしましたとさ
そんなこんなで以上でおしまい。
GJ!
ほのぼのなぎほの最高!
(*´Д`)'`ァ'`ァ
俺の頭からも湯気がでたわけだが。
こういうほのぼの系もいいなあ!激しくGJ!
586 :
メロン名無しさん:2006/07/04(火) 07:03:12 ID:EQrlI+ow0
うっしししししししししししいししししいししししs
今日の夜11時頃登校するか(fwwwf)/
588 :
メロン名無しさん:2006/07/05(水) 19:09:27 ID:Xz5tx7OS0
587
ごめん今日こそ登校するよm(-_-)m
出席日数足りなくなって留年しても知らないぞ
590 :
207:2006/07/06(木) 02:11:24 ID:???0
みなさん・・・・お久しぶりです・・・・・・。
ちょっと、事情があって顔を出せませんでした。
おお!!待っていましたよ!無理せず続きをお願いしますね!
≫207さんカモンカモン!
\(>ω<)/
593 :
207:2006/07/07(金) 23:13:02 ID:2qRlXH9B0
test
594 :
207:2006/07/07(金) 23:14:07 ID:2qRlXH9B0
なぎさが抗癌剤治療を始めて、2週間ほどが経った。
既に、薬の副作用で頭髪の大半は抜け落ちてしまった為に
それを隠すために、母親が編んでくれた季節外れのニット帽を被っていた。
しかし、今日は抗癌剤の点滴の日の為に、どうも吐き気を中心にした気分の悪さで、なぎさは
ずっとベッドに横たわったままだった。
青白い顔で吐き気を我慢しながらずっと病室の天井を見ていた。
すると、なぎさの担当医が病室に入ってきた。
「なぎさちゃん、気分はどうかな?まだ吐き気がするかな?」
「はい・・・でも大分慣れて来ましたから・・・大丈夫です・・・」
なぎさは担当医の質問にぐったりとして、虚ろな表情で答えた。
「そうか・・・でもなぎさちゃんなら大丈夫だよ、必ず元気になるからね」
「はい・・・」
担当医は、元気付けるかのようになぎさに励ましの言葉を贈った。
なぎさも、青白い顔で軽く微笑みながら答えた。
「あ、そうそう、それからさっきお母さんから電話があってね、
明日、家族でお見舞いに来てくれるらしいよ!!
友達も一緒に来てくれるって言ってたよ」
「ほ・・・本当ですか・・・?」
なぎさは、気分の悪さを一瞬忘れたかのように急に
明るい表情で尋ねた。
無理も無い、考えてみればもう既に2週間も、殺風景な病室で
腕に抗癌剤の点滴針を注射したりしなかったりの繰り返しで
吐き気を伴う2週間だったのだから、この知らせは今のなぎさにとって
何よりの嬉しい知らせだった。
まっ待ってました!
596 :
207:2006/07/07(金) 23:37:52 ID:2qRlXH9B0
その日、なぎさは嬉しくて中々眠れなかった。
「みんなどうしてるのかな・・・・。
お父さん・・・お母さん・・・亮太・・・
志保・・・莉奈・・・
・・・・・・ほのか・・・・・・・ほのかは・・・・・来ないよね・・・・・?」
なぎさは、虚ろな表情で呟いている内に、段々と眠くなってきたのか
そのまま静かに目を閉じて深い眠りについた。
次の日、約束どおりなぎさの家族と、クラスメイトの志保と莉奈が
なぎさの見舞いに訪れた。
しかし、まだ抗癌剤治療する前に会ったきりの
なぎさの家族や志保と莉奈は、あまりにも痩せこけて
青白い顔色のわるさや、抜け落ちたであろう頭髪を隠しているニット帽などを
見て、皆、一様に戸惑いと不安を隠せない様子でいたが
なぎさが、にっこり笑って元気そうに声をかけた。
「みんな・・・久しぶりだね!!!」
「あ・・ああ!!なぎさも元気そうだな?具合はどうだ?」
なぎさの言葉に最初に答えたのは父親だった。
「うん・・・ちょっと吐き気が辛いけど、大丈夫だよ・・・!!」
「そ・・・そうか!! 良かった・・・!!」
父を心配させまいとして、気遣った健気ななぎさの言葉に
父親は目頭を熱くさせて言った。
「なぎさ・・・食事はちゃんと食べてる?
随分と痩せたみたいだけど・・・」
母親は心配そうに聞いた。
「うん・・・食べてるけど、副作用ですぐに吐いちゃうから・・・・
でも、気にしないで・・・!!これでダイエットもしなくて済むし、エヘヘ・・・・」
「お姉ちゃん・・・・」
なぎさの苦笑いしながらも、強がった言葉には弟の亮太も心配した。
「亮太・・・ちゃんと勉強してるの?」
なぎさは心配そうな表情をしている亮太に尋ねた。
「うん!やってるよ・・・だからお姉ちゃんも早く元気にならなきゃ
ダメだからね!」
「うん、約束・・・」
なぎさと亮太は指切りをした。
「なぎさ・・・久しぶりだね?」
「あれからやっぱり志保と、ずっと心配してたよ、具合どう?」
志保と莉奈が自分たちが知ってる元気ななぎさとは
変わり果てたなぎさの姿に、心配そうに尋ねた。
「ありがとう、二人とも・・・まぁ何とかね・・・頑張ってるよ・・・アハハ・・・」
なぎさは、やはり吐き気を隠すように、我慢し苦笑いしながら答えた。
597 :
207:2006/07/07(金) 23:51:20 ID:2qRlXH9B0
それから、一時間ぐらい久しぶりの家族や友人と
長い事話したなぎさは、少し疲れたのか息が荒くなってきた。
「だ!大丈夫かなぎさ!!」
父親は、慌ててナースコールを押した。
しばらくして担当医と看護婦がやってきた。
すぐに呼吸器を付けて応急処置に入った。
そして、なぎさの様子を見て言った。
「ああ・・・大丈夫ですよ、ただ久しぶりに沢山話したものだから
疲れたんですよ、薬の副作用もありますし、今日はこの辺で
休ませてあげた方がいいでしょう。」
「じゃあ、あとはお願いします先生・・・」
家族と志保、莉奈は心配そうに病室を後にした。
廊下で父親が母親にそっと言った。
「まさか、あれだけ喋っただけで・・・あんなに元気だったのにな・・・」
「あなた・・・大丈夫ですよ・・・なぎさ強い子なんですから・・・」
両親は苦悩に満ちた表情で互いに慰めあった。
ほのかはほのかは?
599 :
メロン名無しさん:2006/07/08(土) 15:20:37 ID:O7W9EUdfO
続きマダマダマダー?
あまり急かしすぎて焦らせるのもどうかと…
マターリ待ちましょ
>あまり急かしすぎて焦らせるのもどうかと…
マターリ待ちましょ
はい!PCの前で正座して気長に待ちます(違
>>207
気楽にね
「志保」ではなく「志穂」なんだが、もはやうるさいことは言うまい。
GJです!
207氏のペースで頑張って下さい。
603 :
1/2:2006/07/09(日) 13:06:53 ID:???0
満天の星々が七夕の夜空に美しく瞬いている。
その輝きの下
「これでよし…と」
ワゴンの脇に立てかけた笹に短冊をキュッと結んで、アカネが満足そうにパンパンと手をはたく。
「ひかるのお願いきっと叶うよ。ただし、おりこうサンにしてたらね!」
「ほんとう!?ぼくイイコにしてるよ!」
「お、言ったね?約束だよ!?」
「うん!」
「よーし!」
「フフ…」
そんな二人のやりとりをニコニコして聞いていたひかり。
やがて自分の短冊に願いを書き終えると、それをそっと握りながら空へと視線を移す。
「それにしても綺麗…。ほのかさん、あそこに見えるのが織姫と彦星ですよね?」
「そうよ。でもこんなにハッキリと見えるなんて…!」
満足気に答えるほのか。だがそんなほのかに
「おりひめとひこぼしって…?」
と、ひかるが不思議そうに問いかけて来た。
「え?ひかる知らなかったんだ…。ちょっとなぎさ、あんた教えてやりなよ?」
「あ、あたしが!?そういうのはほのかの方が…」
アカネの呼びかけに、「助けて…」とばかりになぎさがほのかをチラリと見る。
「もぅなぎさったら…」
そんななぎさに思わず苦笑いするほのかだが、スグにひかるへと向き直り
「そうね…」
と、夜空に一際輝く二つの星を指差す。
「あそこに他の星よりも光ってる星が二つ見えるでしょ?あれが織姫であっちが彦星よ。
あの二つの星には物語があってね―――」
604 :
2/2:2006/07/09(日) 13:08:47 ID:???0
「―――これが七夕に伝わる物語よ」
「ふーん、そうなんだ…」
ほのかの話を聞き終え、小さく頷いてひかるが改めて星空を見上げる。
「そう言う特別な夜だから、短冊に願いを書けばそれが叶うって言われてるんだよ。ひかる分かった?」
そう言いながら、アカネがひかるの頭をそっと撫でる。そして
「それはそうと、なぎさは何をお願いしたの?」
と、なぎさへと振り返る。
「え!?あ…それはその…まだ秘密です!」
サッと短冊を背中に隠しながら、どこか恥ずかしそうになぎさが答える。
「なによそれ!?…じゃあほのかは?」
「私もその…」
「ほのかまで!マッタク二人ともケチだね…ひかりはどう?」
二人の答えに呆れたように声を出して、アカネがひかりへと顔を向ける。
「私ですか…?」
一瞬キョトンとした表情を浮かべたひかり。だが、自らの短冊をそっと胸に押し当てると、瞳を閉じて優しく願いを口にした。
「みんなとずっと笑顔で一緒に居られますようにって…そうお願いしました」
「ひかり、あんた良い事言うねぇ…ん?どうしたの二人とも、そんな驚いたような顔しちゃって…?」
「ひかりさん…私も同じ事お願いした!」
「あたしもだよ、ひかり!」
「なぎささん、ほのかさん!」
互いに短冊を見せ合う三人。タコカフェ全体が感動的な空気に包まれて行く。
「ふーん、そう言う事か…まぁでも、三人がお願いしたんだ、きっと神様が叶えてくれるよ」
「ハイ!そう思います!…ところで、アカネさんは何を短冊に書いたんですか?」
「アタシ?そりゃアタシのは決まってるじゃん!」
「何です?」
「もっとたこ焼きが売れますように、もっとお客さんが来ますように、もっと―――」
「また随分と現実的なお願いね…」
「さすが商売人、恐るべし…」
以上でおしまい。
まあほら、愛・友情>現実 な年頃という事で
ああ怒らないで…
GJ!!
怒らない起こらない(笑)
アカネさんのたこ焼きには、値段の付けられない愛がトッピングされてるからな。
流石にアカネさんはオトナだw
Д・)ジーッ
610 :
メロン名無しさん:2006/07/10(月) 00:02:18 ID:2L4uLNrl0
夕凪公民館で舞の個展が開かれることになった
咲「わー!すごいね、個展だなんてまだ中学生なのにすごいナリー!」
舞「えへへ・・・自信はないけど、お父さんと役所の部長さんが知り合いで・・w」
薫「へえ?それってコネ?」
舞「コネっていえば・・コネかな・・。」
満「いいわね、恵まれてて・・。」
咲「まあ、まあ、いいじゃないw で、さあ・・どんなの展示するの?」
舞「うん・・この前描いたキャベツ畑の風景とか、砂浜の風景、それに、学校のふうけ・・・」
薫「風景画ばっかりじゃない」
満「風景画ばっかしじゃ飽きるわよ」
舞「うん・・でも、描きためてたのこんなのしかなくって・・・」
咲「そうか・・・、んでも舞、今からでもいいから何か違うテーマで絵を描いてみない?」
舞「違うテーマ?だって・・もう個展に飾る作品は全部決まっちゃったし・・今更変更をお願いしても無理よ」
咲「そうか・・そうね・・・。でも、舞の絵すごいから風景だけでも、きっとみんな感動してくれるよw」
そして個展の日
なぎさ「ありえない!ここって、人とか動物が描いてる絵、ひとっつもないじゃん!」
ほのか「ええ・・それに、どれも殺風景というか・・感情がこもってないというか・・」
真由「こんな絵を描いた画家って昔にもいたわ」
なぎさ「それって誰?」
ほのか「かの独裁者、アドルフ・ヒットラーよ、彼も画家を目指してた頃はこんな奇妙な風景画ばかり描いてたの」
なぎさ「なにそれ・・ルドルフ・・なに?」
611 :
メロン名無しさん:2006/07/10(月) 16:51:12 ID:mB9g5M2M0
>>610 舞って実はチョビヒゲ総統の生まれ変わりだったりしてww
_______
д・){207氏いる?)
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
613 :
207:2006/07/10(月) 21:00:10 ID:mB9g5M2M0
>>612 いますよ、定期的に覗いてますよ。
今日の深夜辺り、更新予定です。
д・)待っております。
正座して待っている俺がいる
>>610 >この前描いたキャベツ畑の風景
どう見てもおばあさんの絵です
616
うん 確かにそう思った
618 :
207:2006/07/11(火) 00:40:16 ID:0PWT9Gtg0
それから、一週間後。
再び、両親だけでなぎさの病院を訪れた。
すると、両親が病院の入り口まで来た時、父親が一人の少女に気づいた。
「おい・・・あそこにいるの、雪城さんじゃないか?」
「あら、ほんとだわ・・・」
両親はなぎさの見舞いに来てくれたのかと思いながら
ほのかに近づいて行った。
すると、ほのかもなぎさの両親に気づき、その場で固まってしまった。
「こんにちは、雪城さん。」
「あ・・あの・・・こんにちは・・・」
ほのかは、言葉に詰まりながら挨拶した。
「あ、もしかして・・・なぎさに会いに来てくれたの?」
母親はしどろもどろな様子のほのかに尋ねた。
「あ・・・あの・・・その・・・はぃ・・・・・」
ほのかは、小さく頷いて言った。
「そうかい!いやぁ、なぎさの奴喜ぶなぁ!!ははは!!
さぁ、じゃあなぎさの所にみんなで行こうか!!」
父親は嬉しそうにそう言うと、ほのかを中に案内していった。
しかし、ほのかはそれとは逆に、不安な表情でいた。
「(わたし・・・・どうして来ちゃったの・・・?)」
心の中で、そう何度も自分に問い掛けては押し寄せる不安と
緊張に、胸が締め付けられるようだった。
よっしゃ!ありがとう!
何回もごめん
できれば「今日はここまで」というのを付けてくれると助かるのでよろしく!
そうしたら安心して寝られるからさ(‐∪‐)
621 :
207:2006/07/11(火) 01:03:17 ID:0PWT9Gtg0
あれ、急に書き込めなくなったぞ・・・。
スレが重い・・・。
ごめん、もしこのスレ見てる人がいたらちょっと2、3分離れて
くれませんか?
そしたら書き込めるかも?
622 :
207:2006/07/11(火) 01:04:50 ID:0PWT9Gtg0
そうこうしてる内に、3人はなぎさの病室の前に
辿り着いていた。
ほのかの緊張は、一気に頂点に達した。
今まで、なぎさに冷たい態度を取ってしまった自分を
はたして、なぎさが許してくれるだろうか?
辛うじて、この間、学校で書いたたった一言「ごめんね・・・」の手紙。
あんな物で、なぎさの傷付いてしまった心を癒す事が出来ただろうか・・・?
一瞬の内に、ほのかの頭の中でそんな考えがぐるぐると駆け巡っていった。
しかし、両親はドアをノックするとドアを開け、中に入っていった。
ほのかの心臓の鼓動が一気に激しい脈を打ち出した。
「元気だったか?なぎさぁ?」
「あ、お父さん・・お母さん・・・来てくれたの?」
「ああ、おっ!そうだ、なぎさ喜べ、今日はな雪城さんも
来てくれてるんだぞ。」
「えっ・・・・・?・・・・・・・ほのかが・・・・・?」
623 :
207:2006/07/11(火) 01:07:11 ID:0PWT9Gtg0
さっきまで嬉しそうにしていたなぎさの顔から、一気に笑みが無くなり
更に血の気まで引いて行ってしまったかのように、青ざめた顔になった。
まだドアの外にいたほのかも、自分に存在が伝えられると
ここから逃げ出したい気持ちで一杯になってしまった。
「(でも・・・だめ・・・今日は・・今日は・・・・なぎさにきちんと謝りに
来たんでしょ・・・・?)」
ほのかは自分の心の中で、今日家を出発する時の決心を
確かめていた。
「ははは・・・なぎさの奴、びっくりして言葉も出ないのか・・・?」
父親は母親に苦笑いしながら言った。
まさか、なぎさとほのかが、喧嘩しているとは知らないからである。
624 :
207:2006/07/11(火) 01:08:19 ID:0PWT9Gtg0
はい、今日はとりあえずここまでです。
兎に角、この時間帯は何故か鯖が重いね。
うむ、お疲れさまです!
と言うワケで寝ます。
満「ねえ、薫…」
薫「なに?」
満「同級生に健太っているでしょ?」
薫「…健太…確か転校初日にやかんでお茶持ってきた子の事?」
満「そう!お茶持ってきても湯呑み持ってこないって
バカじゃないの?私達にやかんから直接飲めって言うつもり?」
薫「バカだけど優しい子じゃない」
満「薫、あんなバカ庇う事無いわよ!」
薫「だから何があったの?」
満「あいつ、将来お笑い芸人になりたいんだって!」
薫「本当のバカね…」
満「そうでしょ?」
薫「でも、本人の問題で私達が口を出す筋合いのもんじゃないわ」
満「それがほっとけないのよ」
薫「どうして?」
満「あのね、あいつのネタをこの間見たのよ
それがね、―余計だにゃ〜―だって…」
薫「寒っ!」
満「そうでしょ?―余計だにゃ〜―それで終わり!何が面白いの?
それだけじゃないの、そのネタが教室中でドッカンドッカン、ウケてるのよ!?」
薫「本当に!?」
満「本当よ!仁美ちゃんも大笑いしてたわよ!」
薫「仁美って、弁当を忘れた私達にオニギリくれた優しい子でしょ?
愛想笑いでもしたんじゃないの」
満「舞も咲も笑ってたわよ!」
薫「咲は…本当のアホの子だから仕方ないけど、
舞も笑ってたの…
アノ娘はお笑いの判る娘だと睨んでたんだけどなァ…」
満「ココの子らの笑いのツボが判らないわ」
この間こんな事もあったの、仁美ちゃんがやって来て、
―ソフトボール部に入らない?―って誘ってきたのよ」
薫「優しい子ね」
満「それで私は言ってやったの―ソレって命令?―って!」
薫「満ちゃんお得意のシュールボケね、仁美も大笑いでしょ?」
満「泣いてた…」
薫「なんで?―ソフト部入らない?それって命令?―大笑いじゃない?」
満「泣いてた…」
薫「本当…ココの子の笑いのツボは…」
薫・満「判らんにゃ〜」
おしまい
「あ、今日発売日なんだー!」
咲と一緒の帰り道、本屋さんの店頭に並ぶ"なかよし"最新号。
付録で分厚く膨らんだカラフルな雑誌を咲が手に取った
「――!――咲もソレ読んでるの!?」
レジへと向かう咲に舞が声をかけた
舞も"なかよし"が大スキ!
特に"ふたりはプリキュア"というふたりの女の子の百合百合で萌え萌えな
連載漫画を毎号楽しみにしている
「えええ?私が?違うわよ!みのりよ!
幼稚園の頃は私も読んでいたけれど、さすがに中学二年にもなるとねぇ…」
「幼稚園……の頃…」
ちょっぴり咲との距離を感じた舞であった。
「薫、ちょっとアレ見て…」
満と一緒の帰り道、本屋の店頭に並ぶ"なかよし"と書かれた本
「――!――プリキュア!?」
カラフルな表紙に小さく書かれた憎き敵!プリキュアの文字!を
薫は目ざとく見つけ妖しく蒼い眼が光った
「これは人間達が知識を得る為に読む"本"というものね
そしてコノ本にはプリキュアの事が書かれているらしいわ」
「コレを読めばプリキュアの力の秘密が解る…というわけね…!」
「ふふふ…馬鹿な人間達、よりによって私達の目に触れる場所に
こんな大事な情報を不用意に置いておくなんて!」
――ふふふ…
――ククク…
「あれ?満!薫!二人も本屋さんに来てたの?」
レジに並ぶ満と薫の背後からプリキュア!咲と舞のふたりが!
「あ…二人もソレ…"なかよし"を買うの?」
おずおずと舞が問いかけてきた
「満と薫って妹いたっけ?」
「いもうと?…ふふふ…コレは私達が読むのよ!」
「…え?満と薫が?」
「ふふふ…もう遅いわ、隅々まで読んでやるんだからね」
――ふふふ…
――ククク…
「ふたりともニヤニヤしちゃってよっぽど"なかよし"読むのが
愉しみなのね…」
冷たい印象の満と薫だがちょっぴり二人との距離が縮まった気がした舞であった
おしまい
629 :
メロン名無しさん:2006/07/12(水) 07:20:47 ID:0LdBuH+L0
プリキュアワールドカップ
なぎさとほのかとひかりは引退後、することがないのでドイツまでワールドカップを観に行った・・。
な「ありえなーーい!オーストラリアに土壇場で逆転負けだよーー!」
ほ「そ・・それにクロアチア戦で同点なんて!」
そして、運命のブラジル戦後・・・
な「ちょっ・・涙・・中田選手かわいそうだよ・・」
ほ「やっぱりブラジルは強いわね・・・」
ひ「世界の壁を痛感しました・・。」
そして、スタジアムを去った三人は、ニュルンベルグのカフェで夕飯をとった。
な「ビール一丁!」
ほ「こら、なぎさ!ビールなんて駄目でしょ!」
な「いいじゃん、日本負けたんだし、ビールくらい気晴らしに飲んだって」
ほ「もう、しょうがないなー、わたしもビールひとつ!」
ひ「わたしも・・・ビール・・」
だが、ほのかはひかりには飲ませなかった
店をでると、近くの路上でフーリガンが乱闘しているのが見えた
だが、よく見るとそのドイツ人フーリガンの着ているTシャツにキュアブラックが印刷されていた
な「ありえなーーい!あたしがプリントされてるシャツをフーリガンが着てるし」
ほ「世界は狭いものね・・」
するとなぎさたちをさっきからつけてきた男が声を掛けた
「ネオナチだ、ちょっと来て貰う」男はほのかに名刺を差し出した・・・
つづく
2代目プリキュアの紹介
左の赤髪の元気な女の子が日向咲(ひゅうがさき)
キュアブルームに変身するのだ
ソフトボール部に所属しており妹がいる。
その妹が可愛すぎて仕方ない
右の子が美翔舞(みしょうまい)
キュアイーグレットに変身する
部活は美術部に所属している
兄がいる(どうでもいい)
二人は五年前に出会っており、これはその時の画像
≫629
どうなるのか続きが楽しみだ
207氏
GJ!次の展開どうなるんだ〜!気になる気になる
632 :
メロン名無しさん:2006/07/12(水) 21:07:20 ID:KNbO2go+0
プリキュアワールドカップ
男は流暢な日本語を操っていたが、服装は時代遅れと思われるナチス親衛隊の軍服を着ていた。
「軍人さん?」ほのかが一瞬どぎまぎするもつかの間、なぎさとひかりはクロロホルムを嗅がされ、
男が乗ってきたフォルクスワーゲンにいつの間にか乗せられ、ほのかもその男にクロロホルムで眠らされてしまった。
三人が連行されたところは、どこかのアパートの地下室らしく、数名のナチの軍服を着たドイツ人の男と、白衣を着たあやしい
老人がなにやら魔法瓶で実験をしていた、三人は手術台のようなところに寝かせられていた。
な「一体ここは?!」
博士「フフフ・・グーテンモルげん」
ほ「わたしたちをこんなとこ連れてきてなにするつもりよ!!」
兵士1「ふふ・・プリキュアの秘密を暴くために君たちを拉致したのだよ」
ひ「プリキュアの秘密ですって?!」
な「そんなの知ってどーするつもりよ?」
兵士2「プリキュアのスーツは元々ナチスドイツと光の園が共同で開発したものだ」
な「嘘つけ!」
博士「嘘じゃない、ホレ、博士はなにやら記録写真のようなものをスクリーンに映した」
そこには、ヒトラーユーゲントの少女たちが、連合軍のベルリン侵攻を食い止めるべく、
次々とプリキュアに変身する人体実験を受けている映像があった。
ほ「ひどい!!」
な「そんなのどうせ作りモンよ!」
兵士3「うるさい!これは本物だ!」
兵士2「お前等にはこれから、第三帝国復活のために役に立つ実験台になってもらう!」
ひ「そんな・・・」
な「ふざけるな!そんなことして一体何する気?」
兵士1「ヒトラー総統の生前の夢だった世界制服を成し遂げるのだ」
ほ「ふん・・死んだってあなたたちに強力なんてするもんですか!」
博士「ふふん、強気じゃのう・・電流でも流すか」バババ・・
ほ「いやあああーーーー!!」
な「ありえなーーーい!!」
ひ「これはききます!!!」
兵士1「どうだ、わかったか、わかったら我々の言うとおりにするんだぞ?」
つづく
633 :
207:2006/07/12(水) 21:34:17 ID:xXCnAvwC0
>>632 ヤバイ・・・激しく続きが気になる・・・・・。
ああ… 皆さんに触発されてまた再開したくなってきた…
246氏ぜひ再開を待っているよ
636 :
1/4:2006/07/12(水) 22:33:45 ID:???0
『ゴーヤーンがうるさいから一度ダークフォールに行きましょう』
薫は満から渡されたメモ用紙をくしゃりと握りつぶすとそのまま
手の中から消し去った。6時間目、英語の授業中である。
彼女たちが緑の郷で学校に通うようになってからまだそれほど月日はたっていない。
しかしもともと高い能力を誇る彼女たちのこと、授業の内容は教師に
当てられた時に困らない程度に聞いて、後は別のことを考えていることが
多かった。それで十分過ぎるほど成績は良かった。ちらりと薫は目を動かして
窓際に座っている2人を見る。プリキュア――彼女たちの敵。
(また、寝ている)
キュアブルーム――日向咲は本格的に眠っていた。立てた教科書に顔を隠したり、
机の上に置いた教科書を読んでいる振りをしたり、といった小細工を弄することなく
机に突っ伏して眠り込んでいる。潔い。
もう一人、美翔舞の方はというと。こちらは教師の話を真剣に、
たまに頷きつつノートをとりながら聞いている。
(よくあんなに熱心になれるわね)
半ば呆れながら薫は視線を元の通りに教科書に戻した。
緑の郷の伝説の戦士、プリキュア。伝説など持ち出さなくとも、すでに
ダークフォールの手から3つの泉が奪われていることを考えれば
彼女たちが侮れない存在であることは誰の目にも明らかだ。
しかし彼女たちが見せる顔はどこか間抜けな人間のもので、
これまでダークフォールの刺客たちを倒してきたということも
実際の彼女たちを見るとどこか現実感がなかった。
「じゃあ……」
「満ー!ちょっと待って!」
授業が終わり、2人が学校を出ようと立ち上がりかけた時。
日向咲の声が2人を呼び止めた。
「なに?」
「さっきの英語の宿題、ちょっと教えてもらえない?明日当てられそうだから」
「いいけど……別に」
満はちらっと薫を見る。薫は微かに頷いて「わたしは先に出ているわ」
と答えた。
「あれ?満と薫、ひょっとして何か約束してた?だったら……」
「いいのよ、別に。大したことじゃないから。
さっさと済ませちゃった方がいいでしょ」
薫が鞄を持って出て行くと満は自席に座った。
咲は薫の席に座り、満が身体を半分ほど捻る。
「ありがと〜。今度お礼に家のパン持ってくるよ」
「それで?どこが問題なの?」
637 :
2/4:2006/07/12(水) 22:36:07 ID:???0
「遅かったわね、満」
満が海に戻ってきたとき、薫はひょうたん岩の上で髪を解いて風を浴びていた。
薫は海の上を吹いてくる風が好きだ。
――今も、どことなく嬉しそうにしているのが満には分かった。
「先に行ったかと思ってた」
「ゴーヤーンの嫌味を一人で聞く気にはなれないわ。
ここでこうしていた方がずっと気持ちいいし。
……キュアブルームと何かあった?」
やや物憂げに見える満に薫は尋ねる。
「別に。……ただ圧倒的に物覚えが悪いだけ」
突き放したような口調で満は答えた。
「なに?それ」
「Youに続く動詞はareでしょ。Be動詞なら。過去形はwere」
「それがどうしたの」
「なぜかisを続けたがるのよね」
「指摘すればいいじゃない」
「したわよ、何回も何回も。それでも直らないのよ」
抑えた口調。しかしどこか苛立ちのような焦りのようなものが篭っている。
そんな満に薫は少したじろいだ。
「そ、そう。……でもそんなこと、あり得るの?1回聞けば分かるものじゃない、普通」
「あり得るのよ、日向さ……キュアブルームに限っては」
「ふうん」
「ああいうの鳥頭って言うのよ」
「鳥頭?なにそれ」
「3歩進むとあらゆることを忘れるような頭を鳥頭って言うのよ。
そういう言いまわしがあるらしいの」
「へえ。ある意味便利な頭ね。鳥ならキュアイーグレットのような気もするけど」
「そういう問題じゃないでしょ、言いまわしなんだから」
薫は単に緑の郷のことをよく知らないだけなのだが、
満には薫が意図的にとぼけているようにも感じられた。
「それなら、逆にキュアイーグレットは花頭なのかしら?」
「はなあたま?何それ」
「頭の中がお花畑みたいになっているとか」
頭の中がお花畑の美翔舞ことキュアイーグレット。
「……良く分からないけど、なんかやだ」
「そうかしら」
「そうよ。――薫、行こう。ダークフォール。
早くしないと、ゴーヤーンの嫌味が増えるだけ……」
「待って、髪、直すから」
薫はひょうたん岩の上で姿勢を直すと長い髪をゆっくりと留めた。
髪留めがぱちんと音を立てたころには2人の姿は虚空へと掻き消えていた。
後には波の音が残るばかりである。
638 :
3/4:2006/07/12(水) 22:37:26 ID:???0
「でもね、満」
「何?」
アクダイカーンに謁見する場へと続く道を歩みながら薫が
思いついた、というように突然口を開く。
「作戦かもしれないわ」
「何のこと?」
「キュアブルームが馬鹿に見えるってことよ。
ダークフォールを油断させるための巧妙な作戦……」
「……」
満はしばらくの間無言で考えた。Be動詞を間違える日向咲。
授業中眠っている日向咲。店で働いている日向咲……。
「そうね。油断だけは危険だわ」
単なる性格のような気もするけど。満は小さく呟いた。
薫も小声で「そうね」と答える。
2人が緑の郷から姿を消した時、日向咲は自室で机に向かっていた。
「あれ?」
鞄から2冊の教科書が出てくる。
自分のものと、何も書き込みのないまっさらな教科書と。
(あ〜、間違えて満の持って帰って来ちゃったんだ)
明日忘れずに返さなくちゃ、と思ってぱらぱらとめくると。中から1枚のメモ用紙が落ちてきた。
『今日はこれからどうするの?』
見るつもりはなかったが、拾い上げるときに文字が目に入ってしまった。薫の字だ。
(今日って、今日のことかな。満と薫、やっぱり何か約束してたのかな……)
悪いことした、と思い、言ってくれればいいのに、と思い、
でも満と薫も授業中にメモ回したりするんだ、と思うと
咲はふふっと笑ってしまった。
満と薫の2人は何でもできる――だけにとっつきにくいところがあるが、
また一つ2人の姿が見えたような気がした
639 :
4/4:2006/07/12(水) 22:38:33 ID:???0
「仰せのままに」「アクダイカーン様」
ゴーヤーンからしつこくダークフォールに呼び出されていた理由は2人の思っていた通りだった。
プリキュア抹殺。満と薫は正式にその任を担うこととなった。
翌朝すぐにでも、倒すつもりだったのに……。
「満、本当に星なんて見に行く気?」
(動揺しているの、満……?)
薫は満が攻撃を夜まで引き伸ばしたことを意外なようにも、
当たり前のことのようにも思った。
――どちらか、自分でも決められなかった。
1時間目は英語。満は天体観測のチラシを机の中に入れ、
咲から返してもらった教科書を開く。メモがはらりと舞った。
(ん……?)
拾い上げると、咲の字で。
『満、教えてくれてどうもありがとう!』
(ありがとう……ね。どうでもいいけど)
裏をひっくり返すと、今度はアルファベットで。
『You is very kind!』
(だからareだってば!何回言えば分かるのよ、本当に!)
「霧生さん!霧生満さん!」
「あ、え……と」
英語教師の声で満は我に返った。
「67ページの第2パラグラフから読んで」
「はい」
(やっぱり動揺してるのね、満……)
薫の思考をよそに、満が読む英文が教室に響いていく。
"When I was 14 years old, I had three friends......"
太陽が窓から差込み、咲と舞を照らしだす。
授業はゆっくりと進んでいた。
―完―
咲+満薫のほのぼの日常1コマ……を目指したのですが。
あんまりほのぼのしてないな。
641 :
メロン名無しさん:2006/07/12(水) 23:52:13 ID:XogdXwdd0
プリキュアワールドカップ
ネオナチどもが行った、なぎさ、ほのか、ひかりへの人体実験は酷かった。
その一部始終を・・。
な「いやあーーちょっと!」目隠しされロープで両腕をつるし上げられたなぎさは
黒い拘束着を着せられあえいでいた。 と、そこにナチの軍服を着た女が入ってきた
咲「これから実験はじめるナリ〜」
な「あなたは?」
咲「なに、怖がることはないよ、わたしもあんたと同じ日本人ナリ」
な「なんで、日本人がこんなことしてるの?!」
咲「うるさい!」女はしなったムチをなぎさの背中に叩き込んだ
な「いったーーー!!(涙)」
咲「ほれ、もういっちょ!」パシッ!
な「ほえええーーーー!!!(涙)」
咲「さらに!」パシッ!
な「うがげええーーー!!!(涙)」
咲「ふふ・・あたしも家族でたまたまドイツにサッカーを観に来てたら、ここに拉致されて
今ではここの一員ナリよw」
な「どうして?家族のところに帰らないの?」
咲「洗脳されたからもう関係ないナリ!!」女は腰のポーチからパンを出すとなぎさの口にむりやり突っ込んだ
な「ぐっ?!!」
咲「美味しいナリか?」
な「うん、うん」なぎさは大きくかぶりをふった
咲「まずい?」
な「うげええーーーーー!!」なぎさは口に押し込まれたパンを汚物と一緒に吐き出した
咲「うわ!!これはたまらん」女はあまりの臭いに退場した
な「ざまあ見ろって!」
だがその背後からムチを撃つ者がいた。
ほ「なぎさ、実験を続けるわよ?」ナチの軍服を着たほのかがいた
な「いやあーーありえなーーい!」なぎさは失禁し、その場で失神した。
ほ「さあて、次は他の二人をやるか」そういうとほのかは別の檻に移動した。
その檻では、世界中を放浪していた美少女画家美翔舞がネオナチ兵士との激しい性交
をし、それを他の兵士達がデジカメで撮影していた。
「あれはなにかしら?」ほのかが兵士の一人に尋ねた。
兵士「ふふ・・あれはね、プリキュアと兵士の健全な子孫作りの様子を撮影しているんだよ」
ほの「そう・・・じゃあ、わたしの出る幕はないわね」
ほのかはそっけなくそこを通り去ると、ある独房まで来た。
ベッカム「おい?」
ほの「ふうん?」
ベッカム「試合に間に合わないんだ、僕をここから逃がしてくれないか?」
ほの「どうして?」
さらにつづく
夏真っ盛りの暑いある日、掃除を終えた理恵ママが、冷房のスイッチをポチッと押して
ティーカップを片手にソファーに軽やかに腰掛ける。
「ふぅ…少し休憩ね」
そして紅茶で喉を潤しながら時計をチラッ…
「あら、もうこんな時間…。マッタクあの子ったら朝からドコに行ってるのよ?」
夏休みとは言え遊んでばっか、帰ってきたら少しお灸でも据えようかしら―――
なんて考えていると…「ただいま!!」
「ちょっとなぎさ!あなたいくら休みだからって―――」
「お母さん聞いてよ!あたしね、デキちゃったの!」
「少しはしゅくだ………え?今なんて言ったの!?」
「だ・か・ら、デキたの!」
少し恥らいながらもニコニコと嬉しそうななぎさの顔。
その表情、そして「デキた」って言葉からしてやっぱりコレは―――おぎゃー!?
「デキたって…相手は、相手は誰なの!?」
「相手?ほのかだよ」
「ほのかって……まさか雪城さん?」
「もぅお母さんてば何言ってるの!?当たり前ジャン!」
「だってなぎさ、雪城さんは……そんなの絶対に無理よ」
「そう?そんなのほのかの力を持ってすれば楽勝だって!アハハッ!」
可愛い娘の屈託の無い笑い声。
頭の中がグラグラ揺れて、顔から血の気が猛スピードで引いて行く。
「イヤーそれにしてもビックリだよね!?だって―――」
なぎさが何か言葉を続けているが、もう聞こえない。
ヨロヨロとよろめきそうになる体を必死にこらえて、やっとの思いでママがなぎさに呟いた。
「なぎさ…雪城さんを家に連れて来て、今すぐに…」
「それで雪城さん…」
ひんやりと冷えた部屋の中、チクタクと聞こえる時計の音を打ち消すように、
理恵ママが少し詰問口調で問いかける。
「なぎさがデキたって、本当なの?」
「ハイ、もちろん!私もとっても嬉しいです!」
そう笑顔を見せるほのかに、なぎさもニコッと笑顔を合わせる。
「でも、なぎさはまだ子供なのよ!?それなのに―――」
「ちょっとお母さん!?いつまでも子供扱いしないでよ!あたしだってもう高校生なんだから…」
なぎさの反論に理恵さんがハッとした様に口をつぐむ。そして
「…二人とも、これからの事は決めてるの?」
「これから…?一応は決めてるよね、ねぇほのか?」
「ええ」
なぎさの呼びかけにほのかがコクリと頷く。
「そうなの…」
そんな二人の様子に大きく息を吐きながら、観念した様に目を閉じる。
「分かったわ。二人がそう決めたんなら、お母さんもう何も言わない。お父さんにもまだ黙ってるわ―――。ねえ雪城さん?」
「はい?」
「なぎさを…宜しくお願いしますね?」
「は、はい…」
ガチャリ―――とドアを開けて廊下に出た二人。と、ほのかが不思議そうになぎさに話しかける。
「なぎさのお母さん、何か様子が変じゃなかった?」
「そう?きっとビックリしちゃったんだよ!?だってこんなに早くデキただなんて誰だって思わないもん!」
「そうかな?…そうかもね、ウフフ、二人で頑張ったモンね!」
「いやー、でもデキて良かった!夏休みの宿題。じゃあ予定通りアカネさんトコでも行こうか!?」
・ ・ ・
「……」
二人が去った居間、入れ直した紅茶をゆっくりと口に運びながら、理恵ママが遠い目で窓の外を眺めている。
そしてやがて、そのカップをコトリとテーブルに置いて―――
「名前は何がいいのかしら?女の子だったら『なのか』ちゃん、なんてどう!?」
だから勘違いですってば!奥さん!
以上でおしまい。
おおお、何かイッパイ来てるなぁ
GJ!
おかーさん天然すぎw
今日はまだ職人さん達は居ないのかwww
649 :
207:2006/07/14(金) 18:39:46 ID:???0
理恵ママに萌えた・・・・。
650 :
メロン名無しさん:2006/07/15(土) 21:56:49 ID:dI2C15Hh0
207氏、246氏カモン
650と同じく待っている私が居るorz
いじけていいですか?
д;`)\
いじけないでくださいよ…
明日には投下できると思いますから。
654 :
246 ◆Ed5pVPso76 :2006/07/17(月) 14:16:59 ID:j5bqnOuU0
かなり間が空いてしまいましたが、続き投下させていただきます。
実は、一度は最後まで書き終えたのですが
どうしても納得が行かず全て書き直していました。
今回の物も決して上手く書けているとは思えませんが、
これでも精一杯努力したつもりです。
温かい目で見守っていただければ幸いです。
完全に視界から消えたMiG-31を追い、海面スレスレの低空を疾走する2機―
衝撃波でたつ波を曳き、フルスロットルで追跡を行う―
MiG-31との距離は、もはやHUDに表示されないほど離れてしまった。
ECMで乱れる頼りないレーダースクリーンに映る点を頼りに追跡を続ける。
進路は依然、方位330―
どうやら進路を変更するつもりは無いらしい。
真っ直ぐに、房総半島方面への進路をとっている。
MiG-31、本土到達までおよそ1分―
機体がきしむほどエンジンを全開にしても、とても追い付けない―
しかし、今の二人にはこれ以外に何も出来ないのも現実であった。
ますます、2機とMiG-31の距離は離れて行く―
F-15Jのレーダースクリーン上の点が、円の上端に移る。
まもなくスクリーンから消えてしまうだろう。
もし両方の機のレーダーから点が消えてしまえば、
それ以上の追跡は不能になってしまう。
「ホワイト、もうすぐMiG-31がこっちのレーダーの探知範囲を抜ける。
そっちのレーダーにはまだは映ってる?」
「大丈夫、まだしばらくはこっちのレーダーの探知範囲内だわ。
そちらの探知範囲から消えたらこちらから指示を出すからついて来て!」
「了解!リードよろしく!」
「ええ!任せて!」
その直後、ブラックのレーダースクリーンからMiG-31が消えた。
誘導を受けるために、F-14Jの左後方につくF-15J。
まもなく、MiG-31が房総半島の沿岸に差し掛かる―
本土到達まで、あと15秒―
MiG-31、本土到達まであと10秒―
その時だった。
「…!?ブラック、MiG-31がレーダーから消えた!」
「えっ!?レーダー探知圏外に逃げたって事!?」
「違う、まだレーダー圏内だけど今突然スクリーンから消えたの!」
「そんな、どういう事!?ECM?まさか…墜落した!?」
「そんなはずはないわ、損傷はしていたけど墜落に繋がるような損傷は無かった。」
「それに、私の機のAWG-9は科学隊特製の対ECM仕様なの、ECM妨害は関係ないわ。」
「一旦上昇しましょう、そうすれば多少探知能力が高まるはず!」
「了解ホワイト、5000ftまで上昇する!」
極力速度を落とさぬように緩やかに上昇する2機。
しかし、高度が上がってもMiG-31は探知できない。
気が付けば、先程MiG-31が消えた地点まで来ていた。
もうすぐそこに房総半島の沿岸が見えている。
海面に目を凝らすも、MiG-31が墜落したような形跡は一切見られない。
『…?』
突然、二人の右前方で何かが光ったのが見えた。
「ホワイト、2時方向に発光体視認!」
「ええ、こっちでも見えた!急行する!」
編隊を組み、発光体の方向へ旋回する2機―
その先に待つものが何か、二人には知る由も無かった―
発光体を正面に、その方向へ急行する2機―
不気味な紫色の空の中、はっきりと見えるその黄色い発光体。
アウトラインは良く見えないが、何となく丸みを帯びているように見える。
「ねえホワイト、あれ…何だと思う?」
「さあ… わからない。でも、何か嫌な予感がするわ…。」
段々と大きくなってくる光―
だが、どうも様子がおかしい。
先にそれに気が付いたのは、ブラックだった。
「ねえホワイト、向こうもこっちに向かって来てない!?」
「えっ?私にはそう見えないけど…?」
「さっきより接近速度が増してる気がする…少しずつだけど…」
そして直後、それは確信へと変わった。
突如、発光体が恐ろしい雄叫びと共に二人めがけて突進してきたのだ―
「ホワイト!!避けて!!」
「ッ!!」
急上昇するブラックと急降下するホワイト―
間一髪のところで輝く物体をかわした2機―
すぐさま編隊を組みなおし、急旋回して輝く物体の姿を確認する。
全体を覆っていた光が段々と弱まり、その外形があらわになる。
その姿を見た二人は、思わず絶句した。
「な… 何あれ… 嘘でしょ…?」
「イ、イモ虫…?」
光の中から現れたのは、赤い目を持つ、黄色いイモ虫のような形をしたおぞましい姿の生命体。
それが元々、沿岸の遊園地のジェットコースターだったことなど、二人には知る由もなかった。
≪ザケンナー!!!!≫
再び雄叫びを上げる"イモ虫"こと、ザケンナー。
ザケンナーは二人の姿を確認すると、その場で転向し、2機を追い始めた―
赤い目から光線を放ち、身体をくねらせ2機を追いまわすザケンナー。
「ひいいぃ!!いやぁっ!!虫は嫌いなの!!来ないでっ!!」
光線を寸前のところでかわしつつ、思わず悲鳴を上げるブラック。
「ブラック!落ち着いて!相手を良く見て!」
「そんなこと言われたって、嫌いな物は嫌いなのぉ!!いやあぁっ!!」
「子供みたいなこと言ってないで!いい、よく聞いて!」
「ひいいぃぃ、来ないでぇ!!ぃやめてええ!!ぎゃあああぁぁ!!」
「聞きなさいって言ってるでしょ!!!静かにしなさいっ!!!」
「は、はいぃ…」
「私がおとりになるから、ブラックが攻撃して!
カウント3で左にブレイク、後方に回って!
コレを倒すにはこの方法しかないわ、分かった!?」
「え?でも…」
「私は大丈夫だから、さあ、早くして!」
「…OK、わかった!ホワイト、気をつけてね!」
「ええ!まかせて!」
ホワイトに向け、右手の親指を突き上げるブラック。
敬礼でそれに答えるホワイト。
『3、2、ブレイク、ナウ!』
合図と共に、F-15Jが左急旋回で編隊を離れる。
同時に、ザケンナーの気をF-15Jから逸らすため、
尾部のディスペンサーからチャフとフレアを放つホワイトのF-14J。
明るく輝く無数の小片に気をとられたザケンナーは、ブレイクしたF-15Jには気付かなかった。
「さあ、あなたの相手は私よ!追って来なさい!」
その隙に、ブラックのF-15Jがザケンナーの後方に回り込む―
上手くザケンナーの後方に回り込んだF-15J―
ホワイトに弾が命中しないように、慎重に狙いを付けるブラック。
出来るだけダメージを与えられるように、レティクルの中央に頭部を捉える。
ザケンナーは正面のF-14Jしか眼中になく、後方のF-15Jには気が付いていない。
慎重に狙いをつけ、ブラックはトリガーを引いた―
翼下のガンポッドが無数の光弾を放つ―
光弾は、吸い込まれるようにザケンナーの頭部を直撃した。
命中箇所で眩しい光が炸裂する―
≪ザ、ザケンナー!!!!≫
突然の攻撃に驚き、ザケンナーが悲鳴の如き叫び声を上げる。。
ホワイトへの攻撃を止め、苦しむように降下していくザケンナー。
そこにさらに容赦なく攻撃を続けるブラック。
先程MiG-31を逃してしまった事を気にし続けていた故に、
こいつだけは逃すまいと心に決めたのだった。
もっとも、相手が虫(っぽいもの)なので、先程よりは随分と気が楽なのだが。
「いいわブラック、効いてる!」
ザケンナーが攻撃して来なくなったのを見計らい、ホワイトもブレイクする。
≪ザ、ザケンナー!!!ザケンナーッ!!!≫
身体をくねらせ悶えるザケンナー。
先程にも増して大きな悲鳴を上げる。
と同時に、降下しつつ急激に減速する。
急減速に対応しきれず、ブラックが一旦スロットルを上げてザケンナーから離れる。
再び編隊を組み、ザケンナーの様子を見る二人。
攻撃は殆どが頭部への直撃弾、これは致命傷かと二人には思われた。
だが、そんな期待は直ぐに打ち消された。
≪ザケンナー!!!!!≫
ザケンナーが反転と共に急上昇、何事も無かったかのように再び襲い掛かってきたのだ―
「ええっ!?」
「ありえない、全然効いてないじゃん!!」
動揺する二人、そこに、容赦なく再びザケンナーが襲い掛かる。
急上昇してくるザケンナーに対し、一旦急降下してやり過ごそうとする二人―
急速に接近する2機と1匹―
凄まじいスピードですれ違う両者、衝撃波が2機を襲う―
その一瞬、ザケンナーから2機へと何かが放たれたのを、ホワイトは見逃さなかった。
「ブラック、アレが今何か射出した!」
「えっ?私は何も気付かなかったけど…」
「いいえ、確かに何かこっちに向けて射出したわ、気を付けて!」
その直後、2機のコクピット内にけたたましく警報音が響いた。
「!! ミサイルアラート!?」
「ブラック、弾体を視認できる!?」
「待って…、見えた!4時方向に高速の飛翔体2つ!こっちに向かってくる!」
「きっと誘導弾だわ、着弾寸前に回避して!」
2機の後方から、回転しながら高速で追いすがる2発の黒い扁平な楕円形の飛翔体―
急上昇するF-15Jと急降下するF-14J、それぞれを1発ずつが追う―
(ミサイルをかわす要領でしょ、それなら…!)
着弾の寸前、タイミングを見計らいチャフとフレアをばら撒きつつ急旋回するF-15J―
それに幻惑された飛翔体はあさっての方向へと飛んでいく。
同時に、ブラックのコクピットに響いていたミサイルアラートがぱっと鳴り止む。
ブラックと同じ要領で飛翔体をかわしたホワイトのF-14J―
だが、こちらのミサイルアラートが鳴り止むことは無かった。
「ブラック、こちらのアラートが解除されない!!まだ弾体が来るわ、確認できる!?」
機体をハーフロールさせ、ホワイトの周囲に目を凝らすブラック―
その瞳に、ホワイトの真後ろから急速に接近する2つの飛翔体の姿が映った―
「ホワイト、後ろ!!6時方向から高速の飛翔体2機接近中、回避して!!」
ブラックからの無線に、反射的にスロットルを全開にして回避行動に移るホワイト。
チャフとフレアをばら撒きつつ、急旋回で回避を試みる―
1発はそれに幻惑され、彼方へと飛び去っていく。
しかし、もう1発はそうはいかなかった―
先程のコースを維持し、再びF-14Jの追尾に入る飛翔体―
すぐさま、もう一度回避行動に移るホワイト―
しかし、飛翔体との距離が近付き過ぎてしまっていた。
この距離では、もうチャフもフレアも効かない―
飛翔体の速度は思ったほどではないものの、
いくらスロットルを上げても振り切れる速度ではない―
急旋回を繰り返し、引き離そうとしても無駄だった。
ジリジリと、F-14Jとの距離を詰めてくる飛翔体―
「ホワイト、持ちこたえて!今行く!」
ブラックがスロットルを上げ急降下、ホワイトのもとへと急行する。
「ブラック、こっちに来ちゃダメ!破片であなたの機まで損傷してしまう!
私はいいから、あなたは早くアイツを仕留めて!」
ホワイトが、ブラックの身を案じて制止する。
一瞬ひるむブラック。しかし―
「そうはいかないわ、あなたは私の僚機なんだから!
必ず守ってみせる!それで絶対に二人揃って基地に帰るの!」
そう言い放つと、ブラックは再びその機首をホワイトへと向けた。
不思議な絆で結ばれた、新たな、"僚機"のもとへ―
機首をほぼ真下に向け、ホワイトのもとへと急行するブラック―
みるみるうちに2機の距離が近付いていく。
距離が近付くにつれ、少しずつ機首を上げていく。
F-14Jと高度が重なる寸前に、スロットルを下げ操縦桿を思い切り引くブラック―
機首が急激に上がり、惰性で機体がF-14Jの後方に滑り込む。
ぴったりと飛翔体の後方につけたF-15J―
F-14J、飛翔体、F-15Jの順に数珠繋がりになる。
「ホワイト、今弾体を撃ち落す!待ってて!」
レティクルの中心に飛翔体を捉え、トリガーに指をかける。
しかし、すぐにその指を離すブラック。
飛翔体が、小さ過ぎる―
このまま撃てば、流れ弾がホワイトに直撃してしまう。
しかし、撃たなければ飛翔体がF-14Jに命中する。
(…どうすればいいの!?撃つべきなの、それとも…!?)
究極の選択を迫られるブラック。
迷っているその間にもジリジリと飛翔体がF-14Jに近付く。
しかし、そのどちらもブラックには選べない―
(何か、何か方法は無いの?ホワイトを傷つけずに弾体だけ落とす方法は…?)
その時不意に、昔に本で読んだ逸話が思い出された。
第2次世界大戦中、ドイツから飛来するV1ロケットを落としたイギリス空軍のパイロットの話。
既に機銃弾を撃ち尽くしてしまっていた彼は、祖国へと一直線に向かうV1を見て、ある行動に出た―
(これしかない、やるっきゃない!)
ブラックはそう心に決めると、操縦桿を強く握りなおし、スロットルを奥に押し込んだ―
とりあえず今日はここまで。
ゴロゴロ…ビシャーン!!
「きゃっ!?」
「ちょっとどうしたのほのか!?イキナリ抱きついて来て…」
雷鳴と共に身を寄せてきたほのかに、なぎさが戸惑いの視線を向ける。
「…まさかほのか、カミナリが怖いとか?」
「え?あの…」
「そうか〜ほのかカミナリが怖かったんだ…。フフフ、じゃああたしが守ってあげる!」
頼もしげななぎさの言葉。
「あ…うん」
少し頬を赤く染めながらほのかが頷く。と再び―――ガラガラガッシャーン!!
「きゃあ!?なぎさ…!」
「コラッ、カミナリ!ほのかを怖がらせるの止めなさい!…ほのか大丈夫?」
「うん、なぎさが傍に居てくれるから大丈夫だよ」
優しいなぎさの眼差しに、そっと頷くほのか。だけど
―――なんてね。本当はさっきのもただビックリしただけなんだけど…。なぎさ、ゴメンね…
と、心の中で舌をペロリ。
「…ねぇなぎさ?」
「ん、なーに?」
「もっとギュッてして…」
「は!?」
ほのかの言葉になぎさが戸惑いを見せる。でもスグに―――ギュッ
「これで…大丈夫?」
「うん。ありがとう…」
そしてなぎさの温もりを感じながら、ほのかが静かに目を閉じる。
―――ウフフ、もうちょっと真実は黙っていようカナ?だってそうすれば、こうしていられるものね…
「それにしても、なかなか鳴り止まないね」
「フフ、別に鳴り止まなくてもいいけどね…」
「ん?ほのか何か言った?」
「ううん、何でも―――」
ガラゴログワッシャーン!!
「あーん、なぎさ!コワーイ!」
・
・
・
―――フフ、実は知ってるんだ。ほのかがカミナリ怖く無いってコト。でも黙っていよう、だってそうすれば…ね!
以上でおしまい。
>>663 臨場感タップリな描写だなぁ。こんなの自分には無理だ。羨ましい…
みなさんGJです。
246さん続き楽しみにしています!
>>246 な…生殺しGJ!!続き期待wktk
>>664 いつも乙です。なぎほのかわいいよなぎほの。
207さんを待ってる
669 :
メロン名無しさん:2006/07/26(水) 10:48:14 ID:Vp2jkQho0
207氏、住人の何人かは続きが知りたくてイライラする人もいるだろうが、気にせずゆっくりやりたまえ。
俺は応援しているぞ
670 :
メロン名無しさん:2006/08/01(火) 21:45:19 ID:ZEqzCCdVO
あげとこ
続きマダー?
ブラックがどうやって飛翔体落とすのか気になって仕方ない。
スレのタイトルがプリッキュアッーに見えた
_,,-‐'"` `'-,,、
.,,/ `''―-、,、
.,,i´ `'i、
,,i´ __、 `i、
./ 、 .,/ ̄^ `゙゙""^''''''ー, : ゙l、
丿 ,/ 丿 │ │
../ /│/` │ .|
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! i| / .|/ | : , |
、 メ'|/=r,|ヽ,,,,,、 _,,,,,,,,,,,,,,,, | .|゙l.|
| /.,,,レニi,,!'ミ"'''゙' :''彡=ニ,、 │ ,! 〕
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>>673 | 、 、 ヽ、 `''ー--―'" .,/ l゙ 罰としてしゃぶれよ
'/'i、.|:! `|ー、、 ,,/ ,.|
.″ り.| .| `゙'-、、 _,-''| : ,i´'i|
".|'゙l、 | `゙'―-‐′ .| .,∨
.` .ヽ,| |/ `
.,,ノ ゙l
誰かSS書いてくれんと俺プリキュア分不足して死ぬよ?
ひかりの少し不良日記
奈緒「ねえねえ・・今日うちに泊まりこない」
美羽「うん・・いいよ」
奈緒「ひかりもくるよね」
ひ「うん」
そして
ひ「今日奈緒の家に泊まりますから・・夕食はいりません」
ア「あ〜そう・・・迷惑かけちゃだめだよ」
ひ「はい」
そして奈緒の家にいったひかり・・
奈緒「ひかりが家に泊まり来るなんて初めてだよね」
ひ「うん・・・なんかわくわくしちゃう」
美羽「でもお楽しみはこれからだよ」
ひ「え?」
奈緒「これから外に出て遊ぼう」
ひ「えええ!!だめだよ・・もう9時だよ」
美羽「大丈夫だよひかり・・いいよ〜夜外で遊ぶって」
奈緒「大人になったって感じがするんだよね」
ひ「でも・・・・」
奈緒「いいからいいから・・さあいこう」
結局夜遊びすることになったひかり
ひ「わ〜夜の街ってきれい・・・」
奈緒「でしょ〜」
美羽「これからどうするの」
奈緒「ゲームセンターにいこう」
ひ「え・・・・でもアカネさんが6時以降は中学生は入れないって」
奈緒「大丈夫・・中学生でも入れるゲーセン知ってるから」
三人はゲーセンにいった・・たしかにそこには同年代風の子が何人かいた
ひ「私ゲームセンター初めてなんだ」
奈緒「そうなんだ・・・あれやろうよあれ」
美羽「私はUFOキャッチャーがいいな・・」
三人は思い思いにゲームを楽しんでいた、そして
奈緒「ひかり・・結構グチグチいってた割りにゲーセン楽しんでたね」
ひ「うん・・でもなんか不良になった気分・・・こんな時間に外出てるなんて」
時刻は10時半を回っていた、そこに
「君たち!!中学生かい・・・」
奈緒「やば!!夜回り隊」
三人は夜回り隊に見つかってしまった、そして夜回り隊は家族に連絡をした
当然ひかりの保護の連絡をうけアカネさんがやってきた
ア「・・・・・・・」
ひ「アカネさん・・すみませんでした」
ア「まさかひかりがね・・・夜遊びする悪い子だったなんて・・・」
ひ「・・・本当にすみませんでした・・・反省してます・・もう絶対しません」
ア「・・・約束だよ・・・今後一切夜遊びは絶対しちゃだめだよ」
ひ「はい・・・・・・」
一週間後
ア「ひかり〜!!今日私夜同窓会でいないから家のことよろしくね〜」
ひ「はい」
そして夜・・アカネさんは同窓会に出かけた
プルルル・・・プルルル
ひ「はい・・」
奈緒「あっひかり・・・これから遊ばない?」
ひ「え!!だめだよ・・もう7時だし・・この間しかられたばっかだし」
奈緒「今日は大丈夫だよ・・夜回り隊出てないし・・カラオケいこうよ・・
中学生でもこの時間入れるカラオケボックス見つけたんだ」
ひ「・・・・でも・・・・・・」
しかし・・ひかりの心の中で悪魔が囁いた・・「ちょっとだけならいいよね」と
ひ「うんわかった・・これからいくね」
そして
奈緒「ここだよ・・このカラオケだけ学生も小学生も幼児も保護者同伴なしで
入れるんだよ」
美羽「へえ〜すごいね〜」
ひ「私夜のカラオケって初めて・・」
三人は二時間カラオケを楽しんだ後、各々家へ帰った、時刻は9時すぎだった
ひ「はあ・・はあ・・・はあ・・」
ひかりは走った・・
ひ「アカネさん、帰りは10時ごろとかいってたし・・大丈夫だよね
10時まであと40分もあるし・・はあ・・はあ・・」
そしてひかりは家に到着した、しかしそこには
ひ「!!鍵が開いてる!!」
恐る恐るドアを開けるとそこにはアカネさんが立っていた
ア「ひかりーーー!!!!(怒怒怒)」
ひ「ああ・・・・・(ガクガクブルブル)」
ア「あんた・・約束破ったね・・・」
ひ「ご・・ごめんなさい・・つい出来心で・・・」
ア「いいわけはいいの!!・・今日という今日は許さないよ!!」
ひかりはアカネさんからきついお仕置きをうけた
ひ「グスン(泣)・・・本当にすみませんでした・・・・」
ア「あたしのほうが泣きたいよまさかひかりはこんな不良になっちゃうなんて・・」
ひ「・・・・本当にすみませんでした・・・もう絶対に必ず約束は守ります」
ア「絶対だよ・・・もし今度また約束破ったらさっきの5倍の威力でお仕置き
するかんね!!」
ひ「は!!はい!!・・・・」
それからひかりは夜遊びしなくなりましたとさ
どんなお仕置きが…(*´Д`)
ルミナリオするまでクリをクリクリ
ひかりのちょっぴり不良日記2
奈緒「ひかり・・ごめんね・・・・無理に夜遊びに誘ったりして・・」
ひ「いいの・・私も夜遊びしてみたいって思ってたから」
奈緒「アカネさん家にもういたんでしょ・・・」
ひ「うん・・・奈緒や美羽は怒られたの・・・」
奈緒「すっごく怒られたよ・・・おこづかい3ヶ月なしっていわれちゃった・・」
美羽「私なんか物置に閉じ込められたんだから・・・」
奈緒「ひかりも怒られたの・・」
ひ「うん・・・アカネさんすごく怒ってて・・私お尻を100回ぶたれたの・・」
ここから回想
ア「今日という今日はゆるさないよ・・お仕置きするよ・・・」
ひ「お仕置きって・・何するんですか・・・・・」
ア「お尻ぺんぺん」
ひ「ええええ!!!!!」
ア「このくらいしないと夜遊びぐせは直りそうもないもんね・・さああたしの膝の上
でうつ伏せになりな」
ひ「・・・・・・は・・はい」
ひかりはアカネさんの膝の上でうつ伏せになった
ア「100叩くからね・・覚悟しな・・・」
パーン!!!
ひ「ああ!!!痛い!!!」
パーンパーンパーンパーンパーン!!!!!
ひ「あああ・・・ぐう・・・・いたっ・・・」
パーンパンパンパンパンパーーーーンパンパン!!!!!!
ひ「痛い・・・あああ・・・ごめんなさい・・許して・・アカネさん・・あああ」
ア「お尻の痛みは3日で消える・・でもねあたしの心の痛みは3日じゃ消えないんだよ」
パーンパーンパーンパーンパーンパーン!!!!!
ひ「ぐ・・・ああ・・・・痛い!!!・・あああ・・・・」
ア「これで50回・・・後半分だよ・・・」
ひ「まだ・・グス・・・叩くんですか・・・グスン・・・・・」
ア「当たり前でしょ・・・今度は生で叩くからズボンとパンツを脱ぎな」
ひ「・・・え・・・・・・」
ひ「お願いです・・せめてズボンだけははかせてください!!(泣)」
ア「だめだよ・・・これはお仕置きなんだから・・あんたはそれだけのことを
したんだから」
ひ「グスン・・・・でも・・・」
ア「はやくしないと回数増やすよ!!」
ひ「はっはい!!!!」
ひかりはズボンとパンツを脱いだ
ア「いくよ・・・ひかり」
パーーン
ひ「いっ痛い!!!!!(泣)」
パーンパーンパーンパーンパーンパーン
ひ「痛い痛いいっ痛い!!!!ああああ」
パーンパンパンパンパンパンパン!!!!!!
ひ「あああ・・・痛い・・・アカネさん・・・・・ごめんなさい・・・」
ア「これが最後の一回だよ・・・」
パーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!!!!!!!!!!!
ひ「ああああああ!!!!!!!(泣)」
お仕置きが終わり・・・
ひ「グスン(泣)・・本当にすみませんでした・・・・」
ア「今度約束破ったら今日の5倍の威力で叩くかんね・・・・」
ひ「は!はい!!」
回想終わり
ひ「ということなの・・・・・」
奈緒「アカネさんってやっぱり怖いんだね・・・」
美羽「ひかりお尻平気なの・・・」
ひ「うん・・まだヒリヒリして・・・イスに座ると結構痛いけど・・だいぶ
痛みは引いたよ」
そして昼休み
奈緒「ひかり・・・ひかりの赤くなったお尻みたいな・・・」
ひ「え・・・やだよ・・恥ずかしいよ・・」
美羽「いいじゃん・・・減るもんじゃないし・・・」
ひ「でも・・・」
奈緒「ひかりのプリプリのお尻が真っ赤になってるのみたいの」
美羽「見るまで教室もどらないかんね・・・」
ひ「・・・わかった・・ちょっとだけだよ・・・」
ひかりは二人に真っ赤になったお尻を見せ・・
奈緒「ひかり・・明日クリームぬってあげるね・・・自分で塗っちゃだめだよ」
ひ「え・・・・う・・うん・・・・・」
バスの中で吹いた。
ほのかとケンカした…
いやまぁケンカって言うか、その、ちょっとした意見の交換みたいなモンだけど
……ウソ、やっぱりケンカ
ハァァ、何であんな事言っちゃったんだろ?
ほのかはちっとも悪くない。悪いのはあたし、あたしなの!
だけど、「ゴメンね」って言いたいのに、変な意地張っちゃって言えなくて、それで余計に気まずくなって…
結局お昼から全然口きいてないし、それどころかほのかの顔も見れてない……サイアク
何やってんだろあたしってば?自分がイヤになるよ…
…そうだ、家に帰ったらほのかに電話しよう。それでちゃんと言うんだ、「ゴメンね」って。
だってこんな気分で今日を過ごすなんてイヤだから。それに、明日は朝から一緒に笑いたいもん。
だから―――
「…あ」
アレコレと思いながら下駄箱から外へと出ようとしたなぎさ。
しかし、目の前の光景を茫然と眺めながら、ポツリと呟く。
「雨…。傘持ってないよ、どうしよう…」
なぎさとケンカしちゃった…
あ、でもケンカって言うか、ちょっとした意見の相違を議論しただけなのよ!?
…ううん、違うよね。やっぱりケンカよね
ハァ…なんでこうなっちゃったのかしら?
でも、なぎさのせいじゃ無いの。悪いのは私、私が悪いの!
だけど、「ゴメンなさい」って言いたいのに、何故か素直になれなくて…
結局あれから一言も話してないし、それどころかつい避けちゃったりして……ダメよね
フゥ、私ってば何やってるんだろ?何だかスゴイ自己嫌悪…
…そうだ、家に戻ったらなぎさに電話しよう。それでちゃんと言うの、「ゴメンなさい」って。
だってこんな気持ちでずっと居るなんて嫌だもん。それに何より、明日も一緒に居たいから。
だから―――
「…あれ?」
色々と考え事をしながら下駄箱までやってきたほのか。
だが、玄関口の人影に気付くと、その足を止めてポツリと呟く。
「あれってまさか…」
「雨降ってるんだ…」
「…!?」
背中越しに聞こえて来た声に、なぎさがギクリとしながら振り返る。
そして「ほのか…」と、ドコか困ったような顔をするなぎさの横に、いつもよりも間を空けてほのかが遠慮がちに近寄って来る。
「なぎさ、傘持ってないの?」
「う、うん」
「私も持ってないんだ…」
「へぇ、そうなんだ…」
「うん……」
「……」
ギクシャクとした会話、そしてその後に訪れる沈黙…。雨音と共に気まずい時間が過ぎて行く。
―――なぎさ、何やってんの!?今謝らなくちゃいつ謝るの!?ホラ、早くほのかに「ゴメンね」って言うの!
そんな空気の中自らを叱咤するなぎさだが、いざ声を出そうとすると、口がパクパクと動くだけで言葉が一つも出てこない。
そして、そうこうしてる内にとうとう雨は止み、結局何も言えないまま
「あの…じゃあね…」
と、なぎさが俯きながら一歩前へと足を踏み出す。がその時―――「あれ?」
「見て、虹!」
「え、虹?ドコに?」
「ホラ、あそこ!」
と、興奮気味のほのかの言葉の先には、見事なアーチを描く七色の橋。
「あ、ホントだ!綺麗…」
そして暫しそれを見つめる二人だが、やがて何かを思いついたのか、なぎさがクスクスと笑いながらほのかへと振り向く。
「ねぇ!もしかしたら、あの虹から光の園へ行けるかもね!?」
「光の園に…?フフッ、まさか!」
「でも、ひょっとしたらひょっとするかもよ!?」
「じゃあ側に行ってみる?」
「え!?いやぁ…本当に行っちゃっても困るしさ、それはイイよ…」
「もぅなぎさったら何ソレ!?ウフフ!」
「フフ…アハハ!」
他愛の無いやり取りに、二人が声を出して笑いあう。そしてその笑いが収まると―――
「ねえほのか…、昼間はゴメンね?」
「うん…私もゴメンなさい」
素直な気持ちで互いにペコリ。
「さ、帰ろう!?」
「うん!」
日差しが戻ってきた空の下、二人が手を取り合って良く歩き出す。
空に残る虹に負けない位鮮やかな虹を、互いの心に架けながら―――
―おまけ―
ちなみにケンカの原因は……
「でもほのか、お弁当余分に作ってくれるのはホント嬉しいんだけど、やっぱタマネギ入れるのだけは止めない?」
「だめよ、栄養のバランスをちゃんと考えて入れてるんだから!」
こんなんでした。
『なんちゃらケンカは犬も食わない』とはよく言ったモノで…
以上でおしまい。
これはGJ!
いつも仲良しの二人でも、たまにはこういう話も良いなと思った。
まさに『雨降って地固まる』だね。うん、気に入った!
揚げ
連載の二人はマダかな
691 :
メロン名無しさん:2006/08/17(木) 20:55:09 ID:5FgEyVfaO
唐揚げ
692 :
1/9:2006/08/20(日) 04:15:46 ID:???0
それは、夏休みも終わりに近づいたある日のこと
少年は母親の言いつけで部屋の片付けをしていた。
少年にとってそれは珍しい事だったが
今年は宿題も全部やっつけ、友達とも散々遊び倒した。
要するに、他にすることが無いのだ。
気だるさが支配する部屋。
少年は次に、机にかかることにした。
まず、1番上の引き出しを開ける。
中は色々なガラクタで、ごった返していた。
捨てなきゃダメか、と思いながら
そのガラクタを玩んでいると…
「…!」
少年はガラクタの中に2枚の紙を見つけた、これは短冊だ。
1枚には「一人前になる。」とある。
そして、もう1枚には…
少年は、地元の町から遠く離れた大きな公園に来ていた。
昨年、少年はこの町でひとりの少女に出会った。
学校の同級生にはちょっといない、不思議な雰囲気を持った
その少女は、少年が空腹で難儀をしていた所に、おいしいたこ焼きをくれた
いわば、命の恩人。いやそれ以上のものを少年に与えてくれた人だ。
その少女は、この公園で営業しているたこ焼き屋を手伝っていた。
しかし、小一時間探してみたが、その姿は見えない。
もっとも、そう都合よく見つかるものでもないのだろうが
「ま、しょうがねえか」
多分、定休日かなにかなのだろう。
少し残念ではあるが、これ以上あの少女を探す術はない。
少年は諦めて部屋の片付けに戻ることにした。
愛用の自転車にまたがり、公園の出口に向かい方向を変える。
すると
「大輝さん?」
「…ひかりか」
少年の名は大輝、少女の名はひかりといった。
693 :
2/9:2006/08/20(日) 04:31:51 ID:???0
「背、伸びたんですね」
「まぁな」
去年は、大輝よりもひかりの方が背が高かったが
1年で、それは逆転していた。
たこ焼き屋、タコカフェで大輝はたこ焼きを食べながら
ひかりと雑談に花を咲かせていた。(今度はちゃんとお金を払ってだ。)
その様子を、ひかりの弟のひかるは苦々しいといった顔で見ていた。
「でも、今日はどうしてここへ?」
「ああ、それは…」
そこまで言って、大輝は答えに窮した。
何故かあたふたしている大輝を、ひかりはきょとんとして見ている。
「じ、実はさ、また家出してきたんだ。」
「えっ、じゃあお母さんと」
「そー、ケンカしちゃって、相変わらずうるさくってさあ」
「そうなんですか…」
ようやく、ひねり出した答えにひかりの表情が若干曇る。
(家出にしては、随分軽装だこと)
タコカフェ車内にいるが、しっかり聞き耳を立てている
アカネさんだけは、大輝のウソを看破していた。
やがて、大輝はたこ焼きを食べ終わった。
大輝以外にお客はない、連日の暑さからか
タコカフェも、一部の常連を除いては客足が乏しかった。
「ひかり、せっかくだしさ、大輝君と遊んできなよ」
「えっでも、いいんですか?」
「いーの、いーの、今日もお客さん少ないだろうし、いいでしょ?大輝君」
「え、あ、はいっ」
「決まりだね、夏休みも残り少ないんだし、楽しんでおいでよ」
「はい、アカネさん、ありがとう」
ひかりも、久しぶりに会ったともだちとゆっくりしたいという気持ちはあったので
アカネさんの厚意に甘えることにした。
「夕方までには帰るんだよ」
「はーい」
ひかりは楽しげに手を振りながら、出かけていった。
ひかるは、ふくれっ面でアカネさんに抗議の視線を送る。
「妬かない、妬かない」
ひかるとは対照的にアカネさんは、上機嫌だ。
694 :
3/9:2006/08/20(日) 04:35:46 ID:???0
ひかりと大輝が出かけた後、タコカフェにふたりのお客がやってきた。
ベローネ学院中等部女子部の2年生で、ひかりの親友である多幡奈緒と加賀山美羽だ。
「ええ、ひかり居ないんですか」と、がっかりした様子の奈緒
「一足違いだったねぇ」と、ニヤニヤしているアカネさん
「今日お店行くって言っといたのに、どこへ行ったんです?」と、美羽
「男の子と、出かけていったよ」と、未だ機嫌の直らないひかる
「!!」
ひかるの発言に、奈緒と美羽は一瞬言葉を失ったが
「ふぅん、ひかりが男の子とねぇ、それじゃあ仕方ないよね」と、奈緒
「そうだね、帰ってきたら、たぁっぷりとお話聞かせてもらいましょ」と美羽
ふたりは、悪魔のような笑みとも、鬼のような怒りとも取れるような
表情で、出されたたこ焼きをほおばり始めた。
夏休みの昼下がり、セミがいっそううるさく鳴き始めていた。
695 :
4/9:2006/08/20(日) 04:50:16 ID:???0
ひかりは、大輝と色々な所を回った。
去年行った、高台やきれいな石のある川原
商店街ではちょっとした買い物もした。
他にも、この1年でひかりが見つけたお気に入りの場所に
大輝を連れて行った、楽しかった。
あんまり楽しくて、いつのまにかふたりは、見知らぬ町に迷い込んでいた。
「あそこで、ちょっと道聞いてくるから」
「うん」
大輝は交番に向かい、走っていった。
迷ったといっても、ふたりはそれほど心配していなかった。
楽しいという感情の方が、はるかに勝っていたからだ。
ふと、ひかりは大輝の自転車に目をやる。
いわゆる、ママチャリである。
これを乗りこなす大輝を、とても器用だなとひかりは思っていた。
(乗れるかな?)
そう思いながら、ひかりは自転車のスタンドを外してみる。
ガチャンッ!自転車の重量がひかりにかかってくる、思ったよりも重たい。
(たしか、こうやって…)
見よう見まねで、サドルにまたがる。
つま先がやっと地につく、ちょっとアンバランスだ。
続けてペダルに足をかけ踏み込む。
自転車がゆっくりと動き出した。
しかし、しだいにフラフラとブレだして
ガシャーン!
と自転車は大きな音を立てて、倒れてしまった。
ひかりはそれに巻き込まれはしなかったが
バランスを失い、尻もちをついてしまった。
「痛ぁ…」
「プッ、ククク…ハハハハハ」
「!」
ひかりが振り向くと、いつ帰ってきたのか
大輝が腹を抱えて笑っていた。
見られてた、と思うとひかりの顔にみるみる赤みが差す
同時に笑っている大輝に怒りが湧いてきた。
しかし、その様子もはたから見れば可愛らしいものだった。
「そんなに、笑わないでください。」
「わ、わりいわりい、でもひかり自転車乗れないんだな、プ」
「もうっ」
「じゃあさ、練習するか?」
696 :
5/9:2006/08/20(日) 05:04:37 ID:???0
「絶対に、放さないでくださいね」
「わかってる、わかってる」
自転車の後部を大輝に持ってもらい、ひかりはまたペダルを踏み込む
自転車は、フラフラと前に進んでいく
「いいぞ、もっとスピード上げて」
「放さないでね」
「わかってるって」
スピードがあがると、バランスがとれてくる、風がなんだか気持ちいい。
知らない町並みが、次々と目に飛び込んできた。
海に浮かんだ瓢箪のような岩、部活帰りらしい女の子がふたり
「ねえ咲、あれ星野君じゃない?」
「ああホントだ…えぇぇぇ!!誰あの娘?」
「この辺りでは、見ない娘ね」
「うわぁ、あんなかわいい娘と、健太も隅におけないねえ」
自転車に乗れるようになったひかりは、すっかり気をよくして、走っていた。
既に手を離していた大輝を、置いてきぼりしていたことに気づいたのは
森の中の大きな木にたどり着いた時だった。
「大きな木」
大きいだけではなく、見ているとなんだか不思議な気分になる
「ひかりー」
遠くから声がする、大輝の声だ。
「大輝さーん」
ひかりにしては大きな声で答える、やがて大輝の姿も確認できてひかりは手を振る
遠目からでも、大輝はちょっと怒っているのがわかった。
でも、これでお相子だ。とひかりはあまりすまない気にはならなかった。
森の中は心地よい風が吹き、木々を揺らしていた。
なんて、楽しいんだろう、ひかりはしみじみ、そう思うと
アカネさんや、なぎさ、ほのか、お世話になった人たちはもちろん
この平和な世界にも、なんだか無性に感謝したくなってきた。
「ずっと、このまま…」
(シャイニールミナス)
ゾクッ!!
不意にひかりを、嫌な気配が襲う。
懐かしいというには不適切な、むしろ思い出したくない気配。
「ひかりー」
同時に大輝も近づいてくる。どうしよう、彼を巻き込むわけにはいかない。
楽しいはずの時間が、一変した。
697 :
6/9:2006/08/20(日) 05:14:55 ID:???0
「ひかり、調子のりすぎだぞ、まっ乗れるようになってよかった…ん、どした?」
「…その、ちょっと気分が悪くて」
「ッ!!大丈夫か?!」
「うん、少し休めば、よくなると思う」
「とにかく、日陰で休んでろ」
大輝はひかりを木陰に座らせると
「飲み物とか、買ってくるから」
「…ごめんなさい」
「バカ、何いってんだよ」
自転車を走らせて、行ってしまった、その後姿を、ひかりは申し訳なさそうに見送った。
本当に気分が悪いわけではない、でも大輝を危険に巻き込むわけにはいかなかった。
ひかりは立ち上がり、森の奥を見据える。やがて、それは姿を現した。
「久しいな、シャイニールミナス」
「……」
その名はサーキュラス、かつてひかりがシャイニールミナスとして
キュアブラック、キュアホワイトと共に、相対した闇の戦士。
「どうして、あなたが?」
「フッ、あのお方がご健在なのだ、不思議はなかろう。」
あのお方という言葉を聞き、ひかりは身を強ばらせる。
サーキュラスのいうあのお方とは、今ではひかりの大事な弟、ひかるの事なのだ。
「あなたに、ひかるはわたしません。」
「ひかる?それがあのお方の名か、随分とふざけた名をつけてくれたな。」
「もう、あなたには、関係の無いことです。」
(随分と、嫌われたものだな)
サーキュラスは、少し自嘲気味に笑う、それがひかりには、非常に不愉快だった。
だが、ここでひかりは重大なことに気づいた。
ポルンがいない。
ひかるが来て以来、ポルン(とルルン)は年齢の近い
ひかると一緒にいることが多くなっていた。
(どうしよう…変身できない)
「どうやら、あの小生意気なモノ共もいないようだな」
ひかりの動揺を、サーキュラスは察知していた。
ポルンはもちろん、ここにはなぎさもほのかもいない
ひかりは本当にひとりで戦う他なかった、二者の間に緊張が走る。
そこへ
「ひかりぃ」
息の詰まりそうな状況を、破ったのは大輝だった。
ひかりの為に大急ぎで、行ってきたのだろう
ゼエゼエと息を切らしながら、自転車をこいでくる。
「大輝さん!」
まずいと思った、変身も出来ない状態では
大輝を守ることは出来ない。
せっかく、出会えたともだちを危険にさらしてしまう
ひかりの動揺は、頂点に達しようとしていた。
698 :
7/9:2006/08/20(日) 05:25:16 ID:???0
「ひかり、起きてていいのか?っん、な、なんだぁあんた?!」
ひかりの後ろに立つ、2mをゆうに越す大男を見て大輝は声をあげた。
たまらず、ひかりも叫ぶ。
「大輝、逃げて!」
「え、逃げてって、あーさてはこいつヘンシツシャだな!」
「……」
「てめえ、ひかりに変なことしたらただじゃおかねぇぞ」
ぎゃいぎゃいと叫ぶ大輝を、サーキュラスは冷ややかに見ていたが
(無粋なやつだ…)
「何とか言ったらっ……」
サーキュラスが拳に力を加えると、大輝はあっけなく気を失い倒れこんだ。
「大輝!」
ひかりは大輝を抱きとめ、サーキュラスを睨みつける。
「許さない…」
「力を持たぬお前に、何ができる。まして、ここにはプリキュアも居ないのだぞ」
脅しをかけるサーキュラス、だがひかりも引かなかった。
「それでも…大輝は、私の大切なともだちは、絶対に守ってみせます!」
いまや、ただの少女となったひかりの言葉に、決意に燃える瞳に
サーキュラスは気圧されていた。
この力に我々は負けたのか、そう思うと悔しさよりも
なにか別の感情が、サーキュラスの思考を支配した。
そして次の瞬間、ひかりは信じられない言葉を耳にする。
「……あのお方は、元気か?」
「え?」
それは今までにない穏やかな声だった、ひかりは言葉に詰まる。
「あのお方は、元気かと聞いているのだ。」
「はい…あ、あたりまえです。」
「そうか」
今まで場に張り巡らされた緊張がとけていくのを、ひかりは感じた。
「光と闇はこれからも争い続ける、我々もその運命から逃れることはできん。」
「……」
「いずれまた、お前と相対する時が来るだろう
その時まで、あのお方は…ひかると言ったか、お前に預けておく
健やかにお育ちになるよう、励めよ。」
「あなたに、言われるまでもありません」
「フッ、言うようになったな」
そこまで言うと、サーキュラスはひかりに背を向けゆっくりと歩き出した。
ひかりには、その姿が名残を惜しんでいるように見え
なぜだか、呼び止めてしまいたくなる衝動にかられた。
サーキュラスの体は、だんだん木々の影と同化していく
「さらばだ、シャイニールミナス…いや・・・」
699 :
8/9:2006/08/20(日) 05:30:29 ID:???0
木陰で、大輝は目を覚ました。
「ひかり…」
目の前には、ひかりの顔があった、心配そうにこちらをのぞきこんでいる。
「大丈夫ですか?」
「ああ、あれ?どうして…あっ、あの大男は?」
「えっ、な、なんのことですか?」
「なんのって、ここにいただろ、バカみたいに長い髪の変なかっこうした」
「さあ…夢で見たんじゃないですか?」
「…そう、なのかな」
いまいち釈然としない大輝だったが、すぐにもう1つ重大なことを思い出した。
「そうだ、ひかりは大丈夫なのか?気分は?」
「うん、もうすっかり良くなりました。」
「そうか、よかった。」
心底安心したように、大輝はへたり込んだ。
その姿に、ひかりは少しむねが痛んだ。
「ごめんな、ひかり」
「そんな、大輝さんは悪くないです。私が…」
「いや、去年の事もそうだし…ほんとごめん」
「……」
帰り道、ふたりの間には気まずい空気が流れていた。
戦いに巻き込みたくなかった為とはいえ、よりによって
気分が悪い、などというウソをついてしまったことを
ひかりは後悔していた、そして優しい大輝にかえって
重荷を背負わせてしまった自分が許せなかった。
ふたりを乗せた自転車は、夕焼け空の下
いつも見る、川の土手まで来ていた。
もうじき、タコカフェに着いてしまう。
こんな気まずい状態のまま、別れたくはないとひかりは思っていた。
しかし、言葉が見つからない、そうやってまごまごしていると
「ひかり、あのさ」
ひかりの想いが通じたのか、大輝が口を開いた。
700 :
8.5/9:2006/08/20(日) 05:44:55 ID:???0
「はい?」
少しビックリして、声が裏返ってしまった、しかし、大輝は気にせずに続けた。
「今日は、家出してきた、っていったよな」
「うん」
「あれ、ウソなんだ、本当は家出とかじゃなくて」
「……」
「…ひかりに、会いに来たんだ。」
「えっ」
「去年の七夕の短冊、あれ見たら懐かしくなっちゃって、それで」
「よかった。」
「!」
「家出じゃなかったんですね、お母さんとケンカしたんじゃなくて」
「あ…もしかして、心配させてた?」
「……少し」
「ごめん」
「…私の、話も聞いてくれる?」
「ああ」
「あの時、私気分が悪いって言ってたよね」
「うん」
「あれ、ウソなの、どこも悪くなかったの」
「そ、そうなのか?!」
「だから、ごめんなさい」
「ひぇ〜よかった〜、でもなんでまた、そんな…ま、いーや
じゃあ、これでおあいこだな。」
「…うん」
701 :
9/9:2006/08/20(日) 05:52:40 ID:???0
「ふふ…」
「ん、どうした?」
「今日は、本当に楽しかったなって思って」
「そっか」
「いつまで、こうしていられるんだろう」
「ん…………いつまでも、だろ」
「えっ」
「おれは、いつまでもひかりのともだちだからさ」
「…うん」
「だから、ひかりさえよければ、また自転車でどこまででも付き合うぜ」
「…っふ、ふふ、ふふふふふ」
「でぇ!わらうとこかよ」
「ふふふ、ごめんなさい、でも嬉しい」
「ったく。」
(なんでかな、ひかりといると、いつもおかしな事口走っちまう)
「…………大輝」
「ああ」
「ありがとう」
702 :
おまけ:2006/08/20(日) 06:00:38 ID:???0
大輝はひかりを送り届けたら、直ぐ家に帰ることにしていた。
「今日はありがとうね、はいよ、お土産。帰ってからみんなで食べるんだよ」
「ありがとうございます、そんじゃまたな、ひかり」
「うん、またね大輝」
笑顔で別れを告げるふたり、その微笑ましいやり取りを見て
アカネさんの口元も思わず緩んでしまう。
「ひかり」
「はい?」
「よかったね」
「ぁ…はい!」
「そんじゃまたな、ひかり」
「うん、またね大輝」
ちょっぴり感傷に浸っているひかりの背後から、聞き覚えのある声がした。
ギクリとしたひかりは、恐る恐る振り返る。
そこには、満面の笑み?を浮かべたふたりの天使?が立っていた。
「な、奈緒、美羽…」
「ひかり、今日は本当に楽しかったみたいだね」
「今夜は、そこんところよーーく聞かせてもらうね」
「こ、今夜って?」
「ああ、ふたりとも今夜は家に泊まりに来るんだって」
「そ、そうなんですか…」
「「よろしくね、ひ・か・り」」
「ぁ、ぁ、ぁりぇな〜ぃ」
あたりは夕闇が迫り、蜩の音が響きわたっていた。
703 :
692:2006/08/20(日) 06:05:26 ID:???0
その夜、ひかりの部屋の灯りがきえることはなかった。
というわけで、人知れず投稿完了であります。
>>703 ミタヨ
ひかりたんの関係者(サーたん含む)総出演の大作GJ!!
大輝が健太と勘違いされるネタまで仕込むとはおぬしやるなw
大物キター!!
これでOVA出たら面白いだろうと思った。
つーか、サーキュラスいい人w
706 :
692:2006/08/22(火) 22:35:00 ID:???0
ご拝読、ありがとうございました。
ネタはまだいくつか脳内にありますので
何とか出力できたら、また投下したいと思います。
707 :
692:2006/08/23(水) 18:46:02 ID:???0
訂正
×…ご拝読、ありがとうございました。
○…ご一読いただきまして、ありがとうございました。
大変、失礼いたしました。
>>692氏
別にそんなに丁寧にならんでも…w
長編ばかりの中で、なかなか読みやすい作品でした。
次回作にも期待させて貰います
ここってエロネタOK?
直接的な描写はまずいんじゃないの?
21禁板へなら堂々とカモン!
wktkして待ってます。
失禁ネタはダメですかそうですか
ルミナリオはOK
715 :
メロン名無しさん:2006/09/04(月) 12:27:56 ID:6Dco7LGd0
花電車のプリキュア
鳥姦のプリキュア
風俗のプリキュア
月経のプリキュア
くそっ、ことごとく性的なパワーを駆使しやがる……!
あ、ごめん。スレ誤爆した。
717 :
メロン名無しさん:2006/09/04(月) 18:14:44 ID:EC7h+gD2O
ここを定期的にチェックしてる人ってどれくらいいるの?
とりあえず挙手 ノシ
(^-^)/
鳥姦がとびぬけてマニアックですね
ノ
五人目か
ノシ
おいらも。ノシ!
725 :
717:2006/09/05(火) 18:16:18 ID:???O
大体一日経ったが、そこそこ人居るんだな。
まあ何が言いたいかって、これだけ期待してくれる人達が居るんだから
是非とも現在も執筆中の二人には頑張って欲しいなと!
待ってるよ〜!
ノシ
727 :
207:2006/09/06(水) 16:20:20 ID:???0
がんがります。
2日に一回はここを見ています。
728 :
メロン名無しさん:2006/09/06(水) 17:27:04 ID:T5SupNgD0
濃い恋愛ものでもシリアスでも良いけど
最近は純愛が読みたいな…純愛好きなんだよ
>>727 207氏頑張れ
207氏頑張ってね
プリキュアで純愛物と言うと例えば?
メップル×ミップル
は冗談だけど、純愛になりそうなカップリングなんてあったかな?
そうか、なぎさ×ほ(ry
ノシ
毎日チェックしてますよ〜
次回投稿で最後に出来るよう執筆中です。
期待せずにお待ちくださいw
732 :
メロン名無しさん:2006/09/10(日) 11:17:59 ID:Z5pVwEGk0
なかなか咲舞の話がこないな…
もうなぎほのなんていらん。正直過去の奴らだし。
実際本編でもなぎほのより咲舞の方がDANZEN萌えるしな。なかよしでもイチャイチャ度が違う。
733 :
メロン名無しさん:2006/09/10(日) 12:05:49 ID:qUNUOS8gO
(・~д・)
プリchの小説スレでも同じこと言ってたな。お忙しいことでw
なぎほの派だけど、なかよしでのイチャつき度は咲舞が上というのは同意。
なんか、なぎほので完全につかんだ成果を咲舞にぶつけてる感があるw
プリchはアンチS☆Sが必死こいて「ダメなのか」スレをageまくってるんで
嫌気がさして最近見てない…
ageてるのは、アンチじゃなくて荒らしだろ。
まあどっちにしてもあまり目にしたくないスレタイではあるが。
つか732のアホ絡みでプリchの名が出ただけだから、気にすんな。
誰も載せないorz
orz
乗せてあげようorz
741 :
1/5:2006/09/18(月) 12:01:48 ID:???0
長い長い、溜息の出るような坂道の上に、その建物は存在している。
屋上に向かうに従い空を突く様に鋭く尖る三角形をした、独創的なデザインのこの建物はしかし、美術館やカラクリ屋敷では無い。
『夕凪中学校』―――それが名前であり、れっきとした公立中学である。
その形状以外は何の変哲も無い普通の学校である夕凪中。今朝も外では、遅刻ギリギリの生徒が坂道でヘロヘロになりながらも
校舎に駆け込んで行く…と言った、いつもの光景が広がっている。
一見、特別な事など何も無いように思える月曜の朝。しかし実は校内、特に2年B組では、とある話題で持ちきりなのであった。
―――キンコーン…
「はぁ、間に合った!」
始業のベルが鳴る中、嬉しそうな声と共にキュキュッと上履きブレーキの音を鳴らして、一人の少女が教室に入って来た。
そして、ハァハァと荒い呼吸を鎮めつつ「お早う!」と元気にクラスメイトに挨拶をしながら席に着くと
「ねえ、今日ウチのクラスに来る留学生ってどんな子なのかな?」
と、ワクワクと瞳を輝かせながら後ろへと振り返る。
「留学生?咲ってば勘違いしてない?」
そんな咲にクスリと笑って、少し離れた空席へと舞が視線を向ける。
「佐藤さんが相手の学校に行って、その代わりにその学校から生徒が一人、私達の学校に来るんでしょ」
「そうそう。確か、舞の家に泊まるんだよね?」
「うん。でもね、お母さん殆ど教えてくれないの。お兄ちゃんもお父さんも知ってるのに、私には内緒みたいで…」
「お楽しみって事なのかもね。そう言えばさ、先生の話だとその子の学校って私立のスッゴイ名門校なんでしょ?
何だかドキドキしない!?きっとお嬢様だよね。庭にプールがある豪邸に住んでて、車で送り迎えして貰って、
ご飯は美味しくて、おやつは―――」
大きなジェスチャーで広がる妄想に、咲がウットリと目を細める。だが
―――起立
残念ながら宮迫君のその声に、直ぐに現実に引き戻された。
742 :
2/5:2006/09/18(月) 12:03:20 ID:???0
「―――着席」
生徒達が席に座ったのを確認して、篠原先生がオホンと咳払いをする。
「えー、知っての通り今日から金曜まで、ウチのクラスに佐藤さんの代わりに学生交流の生徒がやってくる」
その言葉に改めて「オォ」と、どよめきが沸き起こる。
「それじゃ、皆待ち切れないみたいだし、さっそく紹介しようか。……入っていいよ」
廊下に向かい呼びかける先生。と、少女が一人、恥ずかしそうに少し俯きながら教室に入って来る。
「うへ…可愛い」
「お人形さんみたい…」
少女の佇まいに、生徒達から感嘆の声が漏れる。
「ハイハイ静かに!」
そのざわめきを収めようと、先生がトントンと教壇を出席簿で叩く。
「…さ、自己紹介して?」
「あ、はい…」
そして促され、少女が緊張気味に口を開く。
「あの…九条ひかりです。短い間ですけど、宜しくお願いします」
ペコリと頭を下げるひかり。その動きに合わせて、三つ編みが可愛らしく揺れた。
743 :
3/5:2006/09/18(月) 12:04:51 ID:???0
「九条さんの学校って何ていうの?」
「綺麗な髪の色ね。コレって地毛?」
「制服のリボン、カワイイ〜」
「ねえねえ―――」
可愛い転校生が質問攻めに会うのは当然である。多分。
そんな質問の山を掻き分けてひかりの席にたどり着いた舞、ニコッと微笑みながら声をかける。
「私、美翔舞って言います。よろしくね、九条さん」
「美翔さん!?あの、これから一週間、お世話になります!」
慌てながらも律儀に起立してお辞儀をするひかり。
良い子そうで良かった…と、舞の胸に安心感が広がっていく。
だってなんと言っても、一週間近くも同じ屋根の下で暮らさなければいけないのだ。良かったね、舞。
とまあ、そんなこんなでホッとしながら一歩下がる舞だが、それと入れ替わりに、今度は咲と健太が争うように飛び出して来た。
「私、日向咲!咲って呼んでね!?ねえそれで―――」
「俺は星野健太!ヨロシクな!」
「ちょっと健太!?割り込まないでよ!」
「イイじゃねえかよ、別に」
「ダメよ。どうせつまらない駄洒落言うだけなんだから」
「おい!俺のはつまらなくないぞ!?そんなつまらないダジャレ言うヤツはダレジャ!?」
「…あんたよ」
「ウフフッ」
744 :
4/5:2006/09/18(月) 12:06:23 ID:???0
意外にも、健太の駄洒落にひかりがクスクスと肩を揺らす。
「今の面白いですね!」
「そ、そう?」
「はい!」
無邪気なその笑顔にドキッとする健太。おまけに何故か赤面までしてしまった。
「健太良かったね。って、何赤い顔してるの?」
「う、うるせーな!赤い顔なんてしてねーよ!」
咲のツッコミに、必死の形相で健太が反論する。
ちなみにその時、後ろで優子が複雑な表情をしていたのは秘密である。
「してるって!ははーん、まさか受けると思わなかったからビックリしたんでしょ!?」
「んな事あるかよ!俺のギャグはいつだってバカ受けだぜ?」
「それこそ『んな事あるかよ』よ!」
仲が良いんだか悪いんだか…。しかしそんな二人のやり取りに、再びひかりが「フフ」と笑い声を上げた。
(一週間、楽しくやっていけそうです、アカネさん―――)
一方その頃、佐藤さんは―――
「佐藤サン教えてあげるね!このベローネにはスーパースターがいて…」
「美墨なぎさセンパイと雪城ほのかセンパイって言うんだけど…」
早速、奈緒と美羽に捕まってたりしてた。これは染まるのも早そうですネ。
745 :
5/5:2006/09/18(月) 12:07:42 ID:???0
夜になった。
まるで音楽会でも開いているように、庭のあちこちから虫の声が聞こえてくる。
「うん、大丈夫よ。ポルンもルルンも大人しくしてるから。…うん?フフッ、心配ないわ。……ええ、お休みなさい」
そう言って、ほのかが受話器をそっと置く。
「ひかり、なんだって?」
そんなほのかに、隣にいたなぎさが心配そうに声をかける。
「みんな優しくて良い人だから心配しないでって」
「そう、良かった」
まるで自分の事のようにホッと胸を撫で下ろすなぎさ。そして、ほのかの部屋へと戻りながら、空に浮かぶ月を見上げる。
「明日も晴れるかな…」
「あんなに月が綺麗なんだもん、きっと晴れるわ」
「だよね」
フッと優しく微笑んで、ほのかへと振り返る。
「さて、あたし達も寝ようか?」
「まだダメよ」
「え!?何で?」
「だってなぎさ、まだ宿題終わってないでしょ?」
ゲフン
以上でおしま…いやいや、続けます。きっと。続き何も考えてないけど
>>746 乙。続き楽しみにしてます。
現実を突き付けられたブー子に少し同情したw
748 :
メロン名無しさん:2006/09/19(火) 09:26:58 ID:Z2p7xakC0
おいおい、ブー子とか言うなよ。
―――翌日
「ひーかり!」
「何ですか、咲さん?」
「もぅ!『咲さん』じゃなくて『咲』でイイってば」
「あ…スミマセン」
「それよりもさ、今日舞と一緒に私の家に来ない?おいしいパンご馳走してあげるから!」
「え、いいんですか?」
「もっちろん!」
という訳でやって来ましたPANPAKAパン。香ばしいパンの香りが全身を心地良く包み込む。
「あ、お姉ちゃんおかえり!」
門を入ると、タタタタと可愛い足音が駆け寄って来る。
「舞お姉ちゃんもいる!」
「こんにちは、みのりちゃん」
「うん、こんにちわ!……あれ?このお姉さんは?」
みのりが不思議そうにひかりを見上げる。
「みのり、この人はね、お姉ちゃんの新しい友達で―――」
「九条ひかりって言います。ヨロシクね、みのりちゃん」
「ひかりお姉さんって言うんだ。うん、よろしく!」
人懐こい笑顔でぴょこんと挨拶をするみのり。そんなみのりに、ひかりが腰をかがめて優しく問いかける。
「みのりちゃん、何年生なの?」
「2年生だけど?」
「2年生かぁ。なら、ひかる…私の弟よりも少しお姉さんね」
微笑みながら、みのりの頭をそっと撫でる。その優しい感触に、嬉しそうにみのりが笑った。
「はいどーぞ!」
チョココロネにメロンパン、それに瓢箪パンにクリームパン…
焼き立てのパンが入ったカゴを、みのりがテラスのテーブルにでんと置く。
「それにしても…」
部屋に戻るみのりを横目でチラリと見ながら、その一つをヒョイと口に頬張って、咲がひかりに話しかける。モグモグ。
「ひかりにも弟が居たんだ?」
モグモグ
「ひかりさんのご両親てどんな方なの?」
「知りたい!ひかりの感じだと、きっと素敵な両親なんだろうなぁ」
モグモグ
「私、お父さんとかお母さん知らないんです」
モグモ…
「え?」
「だから親戚、アカネさんって言うんですけど、その人のたこ焼き屋を手伝いながら、三人で一緒に暮らしてるんです」
「う…」
何だかとってもマズイ事を聞いてしまった様な気がして、咲と舞が思わず顔を見合わせる。
「でも、本当のお父さんとお母さんは知らないけど、アカネさんは誰よりも私の事を思っててくれてます。
ちゃんと心配してくれて、ちゃんと怒ってくれて、不安な時はいつも側に居てくれてて…。
だからそんなアカネさんが私は大好きで、かけがえの無い大切な家族なんです」
曇りの無い、澄んだ瞳で、ひかりが誇らしげに語る。
その力強さに、まるで時が止まったかのように、二人が身動きを忘れる。
「ごめんなさい!私変なこと言っちゃいましたか…?」
二人の様子に、ひかりが思わずうろたえる。
「ううん。そんな事無い…」
「ひかりさんてスゴイのね…」
ふぅと呼吸しながら二人が答える。
「そうですか?」
「そうだよ!私、ひかりの事、ずっとずっと好きになった!」
「うん!私も!」
好きに?…一瞬キョトンとするひかり、だがスグに笑顔になる。
「ありがとう!」
そしてパンをパクリ。
「美味しいですね、このたこ焼きパン!」
「…それ焼きそばパン」
確かに凄いけど、ひょっとしてちょっと天然?なんて思ったりして。モグモグ。
752 :
3/3:2006/09/21(木) 23:21:11 ID:???0
空は美しくオレンジ色に染まり、月が申し訳なさそうにちょこんと顔を覗かせている。
「咲、みのりちゃん、それじゃあ」
「今日はご馳走さまでした」
「また明日ね!」
「バイバーイ!舞お姉ちゃん、ひかりお姉さん!」
夕焼けの中、後ろ髪を引かれつつも、舞とひかりが家へと帰っていく。
そんな二人の姿が見えなくなるまで手を振っていた咲とみのり。やがて静かにその手を下ろし、二人一緒にホッと息を吐き出す。
「行っちゃったね」
「うん…」
咲の一言に、みのりが寂しそうに返事をする。
「みのり…」
そんなみのりの手をそっと握ると、咲がニコッと笑顔を見せる。
「さて、家に入ろうか。そろそろ夕ご飯だしね。今日は何かな〜?」
「え〜!?お姉ちゃんまだ食べられるの?」
驚くみのりに、自分のお腹をポンと叩きながら答える。
「当たり前じゃない!お姉ちゃんのお腹はいつだって絶好調なり〜!」
「なり〜!」
アハハと笑って、二人が玄関のドアを開ける。
と、その隙間から、ハンバーグの焼ける匂いが漂って来た。
まだ続く
あ、追記。
もし長くてウゼーよ!って思う人が居たらプリchに行きますけど、どうでしょうか?
何を仰いますやら(´∀`)
ぜひ続けてください。
>>754 このスレにそんな野暮な事をのたまう人間などいないからご安心を
>>754 過疎ったスレをその美しい文章で潤わしてやってください
758 :
754:2006/09/22(金) 22:22:44 ID:???0
>>755-757 どうもっす
んじゃ、これからもマイペースでチロリチロリとやらせてもらうっす
759 :
メロン名無しさん:2006/09/28(木) 02:29:20 ID:BNXs73GyO
ラブラブ〜
SS職人が減少している/(>д<)\ナンテコッタイ
761 :
メロン名無しさん:2006/09/30(土) 10:25:08 ID:pbtb9RI40
今、自分は話を考えている。時間が掛かるけど
書いてもコメント少なくて虚しいから書かない。
ほめてほしいってわけじゃなく、感想が聞きたい。
と言うよりは、多分あまり感想ばっかり書いてもいいものか悩んで書かない人も多いと思われますが。
「パスパース!」
「ソレッ」
「ナイスナイスナイス!」
「やばっ!みんな戻って!」
「なぎさ、シュートォ!」
「OK!でぇぇぇいやぁぁぁ!!」
ブンッ―――ピィィィィィィッ
「よっしゃぁ!」
「やりぃ〜!」
「たは…決められちゃったかぁ」
「よーしみんな、ちょっと休憩にしようか?」
バンダナを巻いた少女が、気持ち良さそうにタオルで汗を拭いて、部員達に声を掛ける。
「それにしても―――」
そしてなぎさに近付くと、その肩をポンと叩く。
「絶好調みたいだね、なぎさ。日曜の試合でもこの調子でヨロシクね!」
「はい頑張りマス、弓子センパイ!」
「期待してるからね。三点くらい頼むよ?」
「え、三点!?」
彼女の言葉になぎさが思わず目を丸くする。
「フフ、冗談よ冗談。でもウチのエースなんだし、期待してるのはホントなんだから」
「もう…プレッシャーかけないで下さいよ…」
「あら、そんなタイプだったっけ?」
「ま、まあ違うかも…」
「でしょ。さて、それじゃあ半になったら集合だからね!?」
笑顔でそう言って、弓子センパイが他の部員の方へと去って行く。
―――そうだよね
その後姿を眺めながら、なぎさが身を引き締める。
―――なんてったって秋のリーグ戦の初戦だもんね。うん、頑張らなくっちゃ!
そして、グッとコブシを握る。とその時
「なぎさ〜!」
お馴染みの声が、グラウンドの外から聞こえて来た。
「ほのか!」
振り向くとほのかが手を振っているのが見える。「今そっちに行く!」と手を振り返すなぎさ。が、スグに「?」と首を傾げる。
―――あれ?ほのかの横にいるのって奈緒と美羽だよね。何でいるんだろ?それにその隣のコって、誰?
うーんムムム、と頭をフル回転。
「…ま、行けば分かるか」
しかし考えても分からないので、頭から煙が出る前に、ほのかの下へと駆けて行った。
「はい、これスポーツドリンク」
駆け寄ってきたなぎさに、ほのかがペットボトルをスッと差し出す。
「え、いいの?」
「もちろん。お水よりもこういう物の方が体にも良いでしょ」
「サンキュー!」
その優しさにお礼を言って容器を受け取ると、さっそく蓋を開けて飲み口を唇に当てる。
冷えた液体の感覚が口から喉へと広がり、そして全身の渇きを潤していく。
「はー美味しい!なんか生き返るってカンジ!」
「フフ。そう言えばね、田幡さんと加賀山さんも、なぎさの練習を見に来たんですって」
「ふーん、そうなんだ。じゃあいいトコ見せなきゃね。…ところでそっちの子は?」
「ハイ!それは私達が説明します!」
待ってましたとばかりに、奈緒と美羽が手を挙げる。
「この子、佐藤さんって言うんです!ひかりの代わりにベローネにやって来たんですよ!」
ああこの子が…と、なぎさが納得する。
「それで、美墨センパイと雪城センパイに会わせたくって連れて来ちゃいました!ほら、佐藤さん…」
「あ、うん……始めまして!私、佐藤と言います。美墨センパイと雪城センパイの事、色々二人から聞かされて、
一体どんな凄い人達なんだろうってドキドキしてました。お会いできるなんてホントに光栄です!」
どんな事を聞かされてきたのか知らないが、何やら興奮して二人を仰ぎ見る。
「そ、そう…。どうも」
「あ、ありがとう」
思わず圧倒される二人。若さって凄いですね。
767 :
3/3:2006/10/02(月) 06:23:42 ID:???0
「それにしても、随分と練習頑張ってますね」
話も弾んだ頃、なぎさの額に光る汗を見て、美羽が感心したように呟く。
「え?あ、うん。今度の日曜日試合だからね。最後の追い込みかな」
「4日後ですもんね。凄いなぁ」
「まぁね。でも、他のチームもあたし達に負けない位に練習してるから。それを思うとこれ位は当たり前だよ」
ニコッとなぎさが微笑む。しかしそれも一瞬で、すぐに真剣な表情に戻る。
「それにね、ふと不安になる瞬間ってのがあるんだ…。本当にやり残した事はないのかな、これで大丈夫なのかなって。
だからそんな気持ちを吹き飛ばす為に、余計に頑張っちゃうのかもね…」
フッと息を吐くなぎさ。と、そんななぎさの手を、ほのかがそっと握った。
「なぎさ」
「ん?」
「ファイト…」
「…うん」
繋いだ手を通して、ほのかの気持ちが流れ込んで来る。
とても温かくて、とても優しくて、本当にずっとこうしていたい――そんな思いが膨らんでいく。
「なぎさー、ホラ集合〜!」
しかし時の流れは冷酷で、休憩の終わりを告げる弓子センパイの声が、グラウンドから聞こえてくる。
「あ、行かなくちゃ…」
「そうね…」
ドコか寂しそうな二人の瞳。そして、どこまでも名残惜しそうに互いの指が離れた。
「さ、私達も帰りましょうか?」
やがてなぎさの姿が再び部員達の間に溶けた時、ほのかが皆を静かに促す。
「佐藤さんも行きましょ?」
奈緒と美羽が歩き出した後もジッと立ったままの彼女に、ほのかが改めて声をかける。
しかし依然として反応は無く、何かを思う表情で一点を見つめている。
一体どうしたのだろうか?どこか具合でも悪くなったのだろうか、それとも何か悩んでいるのだろうか?
いや違う。別れを交わす二人を見ていた時、彼女の中であるモノが弾けたのだ。それは……
―――うひょー。何今の!?付き合っちゃったりしてんじゃないの!?そうか、今のがベローネの実力かっ!スッゴー
「佐藤さん?」
「あ、はい!雪城センパ…いえ、お姉さま!」
お姉さまって、何?
と、今回は以上でおしまい。まだしつこく続きます
GJ!なぎほのにも出番が!!
しつこくだなんて、とんでもない!
続きを楽しみにしてます!
771 :
メロン名無しさん:2006/10/03(火) 23:52:28 ID:3qHzQvKp0
つまんね
772 :
メロン名無しさん:2006/10/03(火) 23:54:33 ID:3qHzQvKp0
>1>2>3>4>5>6>7>8>9>0>1>2>3>4>5>6>7>8>9>0>1>2>3>4>5>6>7>8>9>0>
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773 :
メロン名無しさん:2006/10/04(水) 00:02:03 ID:3qHzQvKp0
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こんな所を荒らすなんてずいぶん暇だね
775 :
メロン名無しさん:2006/10/07(土) 00:08:01 ID:VWCUUfPi0
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777 :
1/3:2006/10/09(月) 00:52:34 ID:???0
「―――短い間でしたけど、本当にありがとうございました!」
少し瞳を潤ませながら、ひかりが深くお辞儀をする。そんな彼女に「パチパチパチ」と拍手の雨が降り注ぐ。
そう、今日はひかりの夕凪中での最後の日。短いようで長かった、長いようであっという間だった5日間が、とうとう終わるのだ。
「ありがとう、九条」
拍手が鳴り止むと、篠原先生がひかりにお礼を言って、それから皆へと語りかける。
「この5日間、私達は―――」
「元気でね」
「バイバイ!」
お別れ会も終わり、一人また一人とクラスメイト達が放課後の教室から去って行く。
「はい、みんなも元気で」
その一つ一つに丁寧に返事を返すひかり。そして、二度とは訪れないだろうこの教室の風景を心に刻み込むように、グルリと周囲を見回す。
―――サヨウナラ
机、椅子、黒板……そこにある全ての物にお別れの気持ちを伝える。
「ひかり」
とその時、そう声を掛けられると同時に、ポンと肩を叩かれた。
「私達も行こうか?」
咲に促されて振り向くと、ドアのところで皆が笑顔で待っている。
「はい!」
だから、ニコと微笑んで席を立った。
778 :
2/3:2006/10/09(月) 00:54:01 ID:???0
皆で帰る最後の帰り道。空を流れる雲がとても美しくて、いつまでもこのまま歩いていたくなる。
「それにしてもさ、最後だなんてホント残念だな…」
ふと、いかにも残念そうに健太が呟く。
「なに突然…。お、分かった!健太、やっぱりひかりのこと…」
「な!?ち、ちげーよ!変な事言うなよ!」
冷やかすような咲の言葉に、健太がブンブンと激しく首を振る。
「星野君、そうなの!?」
「な、何だよ太田、その目は!?違うって言ってるだろ!」
「でも、マジ当たりかもよ?」
「ちがーう!!」
真っ赤な顔で必死な健太に、アハハと皆が笑う。
「あの…」
しかしそんな中、何故だか戸惑い気味にひかりが口を開く。
「皆さんどうして笑ってるんでしょうか?私、健太さんに何か変なことしちゃいましたか?」
「フフッ。ひかりさんは何もしてないわ」
「私は何も…?」
舞の答えに余計に訳が分からなくなる。
「それに、ひかりさんだけじゃなくて、星野君もね」
「健太さんも…。……???」
「はいはい、もういいだろ?その話はさ」
何が何だかサッパリなのだが、健太が強引に話題を変える。
「それよりもさ、俺の家って釣り船屋やってるんだけど、明日乗りに来ないか!?」
「え?船に、ですか?」
「おうよ。すっげえ楽しいぜ!咲たちも一緒に来るだろ?」
「もちろん!…って言いたいけど、ひかりは明日帰っちゃうんだよね。残念だけどそんなのムリに決まってるよ」
「そうなのか…。いい思い出になると思ったんだけどなぁ…。ひかりちゃんだけじゃなくて、俺たちにとってもさ」
ハァと肩を落とす健太。が、次の瞬間―――
779 :
3/3:2006/10/09(月) 00:55:18 ID:???0
「いいですよ」
「えっ!?いいの!?」
「だってひかり、家の人が迎えに来てくれるんでしょ?そうだよね、舞?」
「う、うん」
予想外のひかりの返事に、今度は皆の頭が?で一杯になる。
「それは大丈夫です。明後日にしてもらいますから。訳を話せばアカネさん、きっといいよって言ってくれます。
あ、でも、舞さんのお家が良ければですけど…」
「そんな、むしろ大歓迎よ!お母さん達も私と同じくらいにひかりさんの事が好きなんだから」
申し訳なさそうなひかりに、ニッコリと舞が笑顔を向ける。
「よーし、それなら決定だな!」
そんなやり取りを見て、健太がパチンと手を叩く。
「楽しみにしてなよ、ひかりちゃん」
「ハイ!」
そして、嬉しそうにひかりが頷く。
「ところで―――」
「ん?」
「健太さん、さっきは何をあんなに一生懸命に否定してたんですか?」
残念、10マス戻る。それはそんな感じだよ、ひかりちゃん。
今回は以上でおしまい。
あともうちょっとだけ続くんじゃ
GJは次回にとっとこうか
しかしそれはかなり続きそうな「ちょっと」ですねw
いい感じだな〜。あともうちょっとの続きを楽しみにしてるよ(・∀・)
ブロロロロ―――
高らかに鳴り響くエンジン音と共に、岸の向こうに見える屋根が遠ざかって行く。
空は何所までも青く、穏やかな海面は太陽の光を受けて、まるで宝石を散りばめた様にキラキラと輝いている。
「太陽丸」―――それが海を走るこの船の名前であり、と言う事はつまり、星野屋の船なのである。
「結構スピード出るんですね!」
潮風に髪を揺らしながら、ひかりが楽しそうに健太へと視線を向ける。
「だろ?」
と、いかにも自慢げな声。しかしこれは健太のソレではない。
「ん?」と振り返ると、舵塚を握りながら、健太の父親がいかにも嬉しそうに「ニッ」と歯を見せる。
「お嬢ちゃん、そりゃそうよ。俺の自慢の船だからな!でもな、凄いのはスピードだけじゃないぜ。
魚だってジャンジャン釣れるし、それになんてったって、船長がまた最高なんだよ!ウワッハッハッハ!」
「最高って…自分で言うなよな、父ちゃん」
恥ずかしそうに呟く健太に、ひかりがクスリと小さく笑う。
「まあそれはともかく、今日は思いっきり楽しんでいって欲しいな。いいポイントに連れてってやるからさ。
そうだ、鯛なんか釣れるかも知れないから、期待してるんだぜ。うん、タイをキタイしタイ…なんてな!ダハハハッ!!」
「父ちゃん、今のは80点だな」
ああ寒い。
急にこんなにも寒くなったのは、きっと今強く吹いた風のせいだろう。
だから風のせいなので、何事も無かったかのように、咲がひかりに話しかける。
「…それにしても良かったね、ひかり。家の人が許してくれてさ」
「はい。アカネさん、気持ちよく賛成してくれました」
「ふーん。アカネさんって人、マジいい人だよね」
「昨日ひかりさん言ってたもんね、きっと賛成してくれるって。お互いにそうやって信頼できるって凄いなって思う」
「フフッ、でも本当は電話する時、ひょっとしたら…なんてドキドキしちゃいましたけど」
舞の言葉に、ひかりがはにかみながら告白する。
「何だ、やっぱり!」
そしてそれに釣られるように、皆の笑い声が青空の下に響き渡った。
船は進み、陸に見えた街並も遥か彼方になった。と、そんな時
「おい健太」
と、再び父親の声が聞こえて来る。
「もうすぐポイントに着くから、皆の準備をよろしく頼む」
「OK。それじゃあみんな、そろそろ仕度いいかな?おっと、ひかりちゃんは初めてだっけ?」
「あ、はい」
「なら俺と一緒に釣ろうか?コツとか色々と教えてあげるからさ」
ドンと胸を叩く健太、お願いしますとひかりが頭を下げる。
「よし!じゃあまずは餌の付け方からだけど―――」
ひかりの横に並んで、健太が一から説明し始める。
「ウフフ」「アハハ」と楽しそうな二人の後姿。
そんな背後で優子が何だか不満そうな顔してたけども、それはまあ気にしない。
「好きです」
「はい!?」
突然の事に、健太が素っ頓狂な声を出す。
このコ(ひかり)は一体何を言っているんだろう?好きって何なのだろう?何が好きなのだろうか?
いやひょっとして「鋤です」と言ったのかも知れない。それなら「鍬です」と返事をした方が良いのではないだろうか……
とまあ、真面目な事からどうでもいい事まで、色々な事が健太の頭の中をグルグルと飛び回る。
そしてそんな混乱の中、勇気を出して一つの言葉を口にする。
「…何が?」
「あ、ゴメンなさい。私は船に乗るの初めてなんですけど、こういう感じ凄く好きです」
なんだそんな事か…。ホッとするやら残念やら、複雑な思いを込めてフゥと息を吐く。
「健太さんは好きですか?船に乗るの」
「ん、そりゃ好きだよ。でも突然どしたの?」
「私のお家もたこ焼き屋さんやってるんですけど、私はそのお店が大好きなんです。だから健太さんはどうなのかなって思って。
でも、やっぱり好きなんですね。良かった」
そう言ってフフッと微笑む。
「ところで、健太さんは将来お父さんの跡を継ぐんですか?」
「俺?俺が父ちゃんの?いや、俺はお笑い芸人になりたいんだ」
「お笑い芸人に?」
健太の答えに、ひかりが意外といった顔をする。
「ご両親知ってるんですか?反対されないんですか?」
「もちろん父ちゃんも母ちゃんも知ってるよ、それに反対なんかされない。それどころか逆に励ましてくれるんだ。
好きな事をやれ、夢があるならそれに向かって思いっきり頑張れって」
「へぇ、凄いなぁ。そんなご両親で健太さん幸せですね」
「まーね」
ひかりの一言に照れたのか、健太がポリポリと鼻をかく。
「で、そう言うひかりちゃんはどうなの?何か目指してるの?」
「私ですか?私は……」
うーん、と指をあごに当てて考える。
「私は……」
そう言えば、そんなの今まで考えた事も無かった。今までずっとアカネさんの所に居たし、これから先もそうだと思ってた。
だけど、多分それは違ったんだ。いつかきっと、アカネさんの下から離れて行く時がやって来る。
その時私は、一体何をしているのだろうか?私は、何をしたいのだろうか?
いや、でも、そもそも本当にタコカフェから巣立って行かなくてはいけないのだろうか?
私は―――
「…私は、分かりません」
「そうか…まだ分かんないのか」
「ダメ…なんでしょうか?」
不安そうな視線を健太に向ける。
「いや、そんな事ないよ。俺はたまたま目指すモノが見つかったけどさ、ひかりちゃんはそれで良いと思うんだ。
そう言うのってさ、釣りと一緒なんじゃないかな。釣りはさ、焦っちゃいけないんだ。焦ったら釣れるモンも釣れなくなる。
焦らずに、流れに任せてじっと待つ。回りくどい様だけど、それが一番の方法なんだ。だからそれと同じ。
自分が本当になりたい、やりたいって思う物が出てくるまで、それまでは自然に任せれば良いんじゃないかな。
ムリに考えたって、上手く行きっこ無いって思うんだ。俺はね」
普段の健太からは想像もつかないような真面目な答えに、思わずひかりが目を見張る。
「健太さん、意外と考えてるんですね」
「ちょっとひかりちゃん、それって誉めてるの?それともバカにしてるの?」
「もちろん誉めてるんですよ」
ごく自然に、ニッコリと笑顔で答える。
「そうなの?そうは聞こえなかったけど……ってホラ!引いてるぜ!?」
「え!?あ、どうしましょう!?」
「しっかり竿を握って!こりゃ、結構大物なんじゃないの!?」
「おじさん、今日は本当に有難うございました!」
「ありがとうございました!」
可愛らしくお礼を言う少女達に、健太の父親がチョチョイと手を横に振る。
「いやいや、イイってイイって。それよりもお嬢ちゃん、しっかり楽しめたかい?」
「もちろんです!とっても楽しめました!」
「そうか、そりゃ良かった!」
ウンウン、と頷く父親。そんな彼に、健太がドアを開けながら振り返る。
「じゃあ父ちゃん。俺、皆を見送るからさ」
「そうだな。咲ちゃん達またおいで。お嬢ちゃんも、な」
その言葉に、ひかりがニコッと微笑みを返す。そして星野屋を出た。
少し傾きかけたお日様の下を、皆と一緒に並んで歩く。これが本当に最後の最後。
だけど、最後の最後だけど、不思議と寂しさは感じない。ただ単に、まだ実感が湧かないだけなのかも知れないけど。
「それじゃあ、私達はココで…」
「皆さん、本当に色々とお世話になりました」
やがて、それぞれの家へと向かう分かれ道へと着き、ひかりが感謝の気持ちを込めて頭を下げる。
「マジ元気でね」
「私達の事、忘れないでね」
そんな仁美と優子にコクリと笑顔で頷き、皆にもう一度「サヨウナラ」とお辞儀をする。
がその時
「なあ、ひかりちゃん!」
と、健太がタタタと駆け寄って来て、サッと何かを差し出した。
「これ、やるよ」
それはタコの形をした『浮き』で、小さく『星野屋』とロゴが入っている。
「え、いいんですか?」
「おうよ。いつかまたここに来る時、必ずそれを持ってくるんだぜ!?それ使えば、今度もきっとタコさん釣れるからさ!」
「タコさん…沢山?ウフフッ、はい!」
最後のギャグに、気持ち良く笑い声をあげる。そしてバイバイと手を振って、舞と一緒に道を歩き出す。
どれ程歩いただろうか、ほんの数分、あるいは数十秒かも知れない。
ともかく、それ位経った時に、ふと後ろを振り返ってみた。でも、当然そこには誰の姿も見当たらなかった。
昨日までは、さっきまでだって、振り返ればそこには誰かの顔があったのに、今はもう誰も居ない。
その当たり前の事実に、何だか急に寂しさが押し寄せて来る。胸の奥が熱くなって来る。
だけどそんな時、手の中にあったタコさんをギュッとを握ると、不思議と心の波が静まるような気がした。
そして日が沈み、月が昇り、サヨナラの朝がやってきた。
今回は以上でおしまい。
>>781 スンマセン。次で終わります
>>782 いやー、かなり行き当たりバッタリなので、どう締めたらいいもんかと…
GJ!
健太の名言良かったです。
ひかりに釣られたタコさんは勿論アカネさんの手によって・・・・・( ̄□ ̄;)!!
おもしろいのが連載されてる。
期待してますよー。
792 :
メロン名無しさん:2006/10/23(月) 17:54:34 ID:3kuZb0ATO
ほっしゅー
793 :
670:2006/10/25(水) 15:31:34 ID:???O
自分プリ今までchで投下してた人間なんですが
もうあそこにはうんざりなので、次からはこちらに投下させてもらってよろしいでしょうか?
794 :
670:2006/10/25(水) 15:33:34 ID:???O
誤爆しましたorz…
→今までプリchで
です
諸手を上げて歓迎
プリCh、もう滅茶苦茶だな…
マイナス思考と集団心理の恐ろしさを改めて見せつけられた気がするわ。
こっちはマターリ行こうや
797 :
メロン名無しさん:2006/10/26(木) 15:00:43 ID:FKx38S7E0
ようこそ670氏。これからよろしくお願いします
>>796 同意。こっちはマターリしようね
670氏のあっちでの立ち去り方には、ちと幻滅。
まあ作品ではいいものを書いてください。
670氏の立ち去り方って、昨日の書き込みの事ですか?あれはアラシの演出だと思うのですが。
おまいら、向こうの話を引きずるんじゃあない
801 :
670:2006/10/26(木) 21:47:29 ID:???O
あっちでの最後の2レスは荒らしに勝手に名前を使われたんです…
弁解するとさらに荒らしがひどくなりそうなので敢えて何もレスりませんでした
気分悪くされた方いましたらすみませんたm(__)m
それから新しいの投下します
802 :
670:2006/10/26(木) 21:49:35 ID:???O
@
「ねぇ舞~?」
ある日の昼下がり、咲と舞は大空の樹の下でのんびりと日頃の闘いの疲れを癒していた。
季節はすでに秋に入っているにも関わらず空からは暖かい光が降り注いでいる。
「ねぇ舞ってば~?」
だが涼しい秋の風のおかげで、決して暖かくなりすぎるようなことはなく、外で休憩するにはもってこいの環境となっていた。
「聞いてるの~??」
先程から咲はずっと舞に呼びかけている。
だが舞はいつものように絵を書く事に集中しきっているようであった。
「もぅ~」
咲は一人つまらなさそうに口を膨らませる。
そしてひょいと後ろから覗き込むと、目前に広がる景色を描いた絵はほぼ完成しかけていた。
(絵が完成したら舞がかまってくれる…)
それを見て、今まですねていた咲は少し安心するのであった。
とはいったものの、やることがなくて退屈であることにはかわりない。
咲は体を倒してその場に寝転がった。
首を傾けると隣では舞が相変わらず真剣な顔つきでスケッチブックと向き合っている。
そして今度は正面を。
空から差し込む光の形はそよ風で葉が揺れるたびに刻々と変わっていき、その一帯は大空の樹らしいなんとも神秘的な雰囲気をかもしだしていた。
そしてしばらく目を閉じて肌で自然を感じているとふと思い出し、咲は鞄から手帳を取出すと何やら書き始めた。
だが何を書いているのか、時にはペンを口に当てて考え込んだり、時には頭をかきむしったりと悪戦苦闘している。
結局、長い時間をもたずしてボンッという効果音とともに頭から煙が上がると、早々に手帳をほったらかして今度は大空の樹の根元のほうに走って行ってしまった。
804 :
670:2006/10/26(木) 21:52:31 ID:???O
A
(ふふ、咲ったら可愛い)
咲が行ってしまうと、舞は思わず小さく吹き出してしまった。
どうやら咲に気づかれないように機会をうかがっては横目でその行動を見ていたようだ。
その証拠に絵はほとんど進んでいなかった。というよりそれは以前に描きかけていた絵であったのだ。
ふと見ると咲はいつものように樹に体をくっつけて話をしている。
彼女は話相手がいないことによっぽど退屈していたのであろう。
少し可哀相な気もしたが、大好きな咲が自分と話せずにふくれている姿に嬉しく思う舞。
そんなことを思いながら目を逸らすと、今度は先程まで咲が持っていた手帳が目に入る。
(そういえばさっき何書いてたのかしら?)
舞はそれを手に取るとそっと開いてみた。
始めのほうは特に何も変わった事もなく、可愛らしい字で予定が書かれている。
パラ パラ パラ
舞はざっと目で文字を追いながらページをめくっていく。
(う~ん、さっき書いてたのはどこにあるのかしら?)
パラ パラ パラ
「あっ!!」
しばらくパラパラとめくっていると、あるページで舞の手が止まった。
そしてそのページには先程の可愛らしい字には程遠い走り書きが残っていた。
805 :
670:2006/10/26(木) 21:54:11 ID:???O
B
『舞の誕生日計画』
実際、舞の誕生日はまだ二ヵ月も先であった。
(もう…咲ったら気が早いんだから~)
だが思っていることとは裏腹に嬉しさを隠せない舞。
そして見てはいいものか迷いつつも、結局我慢できずに続きを読み始める。
『朝は舞の家に迎えに行って一緒に学校に』
『昼はあたしの手作りのお弁当を二人だけで食べる。
全部あたしが舞に食べさせる』
『放課後は二人になれる場所に………あたしの部屋?大空の樹?海?
そこでプレゼントを渡す』
『プレゼントは………プレゼントは……?』
そのまわりには色々とその候補があげられていた。
おそらく先程はここで頭が爆発したのであろう。
それから作戦はもう一行残っていた。
『帰りは舞を家まで送り届け、別れ際にキスをする』
クスッ
咲の可愛らしい作戦の全貌を知ると、思わず笑みがこぼれた。
(……そうだわ)
それから舞は何かを思いつくと、その作戦に少しだけ手を加えた。
最終的に作戦の一部はこう変わる。
『プレゼントは…あたし。
舞に大好きだと伝える』
『帰りは舞を家まで送り届け、そのままお泊り。
舞のベッドで一緒に寝る』
(これで完成ね)
舞は新しく改良された計画を一度通して読み返し、それに満足すると手帳を元の位置に戻した。
806 :
670:2006/10/26(木) 21:57:19 ID:???O
C
(そろそろ描き終わってるかな?)
咲は樹から体を離して舞の元に戻ってきた。
そして先程と同じように後ろから絵を覗き込んでみる。
(あれっ!?)
だがよく見るとその絵は先程から何の変化もないような気がする。
「ねぇ、舞~?」
「………」
だが、その声は舞の耳には全く入らない。
もちろん本当は入っていたのであるが…
「……つまんない」
一息吐くと、今度は強行策にでる咲。
両手で肩を掴むと、舞の体を揺らし始めた。
「ねぇ、舞ってば~
気づいてるんでしょ~?」
「………」
(ふふ、当たり前じゃない。咲ったら)
だが、やはり舞の反応はない。
こうなれば意地でも舞を振り向かせようと、咲は次なる作戦を考え始める。
(う~ん……)
(じゃあ次は……)
807 :
670:2006/10/26(木) 21:59:06 ID:???O
D
しばらく考えると何か浮かんだのか、その顔に怪しい笑みが浮かんだ。
そして今度は隣に移動し、舞の足とスケッチブックの間に強引に自分の頭を滑り込ませた。
(これなら絵も描けないし完璧でしょ~)
「ま〜いっ!!」
今度こそと顔を上に向けると…
(あれっ!?)
目の前に見えるのはスケッチブックの裏側だけであった。
舞は抱え込むように器用にそれを持ち、絵を描き続けていたのだ。
(残念でした~。
次は何をしてくれるのかしら?)
スケッチブックの上では嬉しそうな笑顔が。
一方その下で咲はまた膨れっ面を…
と思いきや意外にも落ち着いた穏やかな表情をしていた。
(……舞の膝枕…気持ちいいかも)
咲は目を閉じてみる。
頭からは舞の体温が、耳からは風で揺れて擦れる葉の音が、そして全身で穏やかな昼下がりの暖かさを感じることができた。
なんだかずっとこのままこうしていたくなる。
スー スー スー
しばらくそうしていると咲の寝息が聞こえてきた。
どうやらそのまま眠ってしまったようだ。
808 :
670:2006/10/26(木) 22:00:37 ID:???O
E
スー スー スー
(寝ちゃったのかしら?)
そろっと覗き込むと咲は可愛らしい寝顔を見せていた。
舞はスケッチブックを閉じて脇に置く。
それから頭を撫でながら、自分の膝で寝息をたてる咲をうっとりと眺めていた。
「…う~ん」
すると急に咲が反応する。
舞は驚き、慌ててスケッチブックを取ろうとする。
が、咲はにやけた表情を見せてそのまま寝息をたて続けていた。
(寝てる…よね?)
視線を落とすと相変わらず咲の表情はにやけている。
クスッ
(咲ったらこんな顔してどんな夢見てるのかしら?)
つられて舞にも自然と笑みがこぼれる。
そしてその一帯だけが周りとは切り離された空間であるかのようにゆったりとした時間が流れていた。
(どうして咲はこんなに可愛いのかしら…)
舞は少し日に焼けた小麦色の頬に手を当ててみる。
手からは咲の暖かさが伝わってきた。
「咲…大好き…」
普段なら面と向かって言う事もないような言葉が自然と出てきた。
それからその顔を指でたどってみる。
頬から鼻、そして唇まで。
よく考えればこんなに咲の顔を隅々まで触ったのは始めてかもしれない。
舞は咲の唇に置いた指をそのまま自分の唇に当てた。
809 :
670:2006/10/26(木) 22:03:33 ID:???O
F
「ねぇ舞、今のホント??」
「えっ!?」
見下ろすと大きく目を見開いた咲がいた。
「ちょ、ちょっと咲、起きてたの!?」
にっこりと笑う咲。
「ねぇ、ホントに~?」
「寝たフリなんてずるいわ」
「舞だって聞こえないフリしてたじゃない~
それより今度はあたしの目を見て言って。ねっ?」
相変わらず笑顔で舞を見つめている咲。
「しらないっ!」
だが舞はプイッとそっぽを向いてしまった。
「ねぇ、早く早く~」
「もぅ…じゃあ咲が言ってくれたらもう一度言ってあげるわ」
「舞?それおかしくない?」
「いいえおかしくないわ。
早く私の目を見て言って。でないと言ってあげない~」
「うう…」
まさかこんな展開になるとは…と咲は顔を赤らめながら困っている。
「私は別にいいのよ。
咲が言わないと私も言ってあげないから~」
逆に舞は楽しそうに追い打ちをかけてくる。
「うう…」
(……さっきは自分から言ったくせに)
結局はどれだけ咲が頑張ろうと、いつもこの展開になるのだ。
「ほら~、咲?早く言って」
そして促されるがままに咲は舞の目を見つめる。
それから決意を固めて…
「舞…大好き…」
最後の言葉が風に消えた後一瞬時間が止まる。
だが恥ずかしさをかき消すようにすぐに咲が口を開いた。
「じゃあ次は舞の番だからね~」
「えっ!?なんのことかしら?」
「もぅ~。やっぱりこうなるんだ…でもさっき言ってくれたし今日のところは我慢するよ」
それから二人は顔を見合わせて笑った。
810 :
670:2006/10/26(木) 22:04:56 ID:???O
糸冬
そして再びゆったりとした時間が流れ始めた。
と、膝枕をされながら咲が口を開く。
「ねぇ舞?」
「どうしたの?」
「しばらくこうしてていいかな??」
「………ええ」
咲は再び目を閉じた。
そして舞はさっきと同じように咲の頭を撫でている。
それから舞は言った。
「咲…大好き…」
咲は目を閉じたまま小さく笑顔をつくった。
811 :
670:2006/10/26(木) 22:08:53 ID:???O
改行規制がうるさくて変な所で切れてすみませんorz
前回から結構重い系を連投してたので今回は軽くのんびりとしたのを投下してみました
812 :
メロン名無しさん:2006/10/27(金) 15:51:23 ID:S54eHMMZ0
670氏向こうのは荒らしの勝手な行為だと俺には分かってましたよ
今回の話も楽しませて頂きました。
784氏
続き楽しみに待ってます
うむ、どっちかってーとこういう軽めが好み
670氏乙
814 :
670:2006/10/28(土) 22:43:39 ID:???O
プリch.で坂体氏が連載してた『夏休み』を引き継ぐことになったので、無印MHネタはしばらく連載モノにします~
無謀にも自分の芸風飛び越えた書き方しようと思うので、見苦しかったらプリch.戻るから言ってください
815 :
6日目-@:2006/10/28(土) 22:44:51 ID:???O
ピピッ ピピッ ピピッ
バンッ!!
………………
……………………
ピピッ ピピッ ピピッ
バンッ!!
な(………まだ八時じゃない………寝よ……)
今日は部活は昼から。目覚ましの時間を変更し忘れたみたいだ。
たがもう一眠りしようとするとドアが開く。
理「ちょっとなぎさ!!いつまで寝てるの!?」
な「………今日はラクロスは昼からなの…」
理「今日は宅配が来るから起きてて欲しいのよ」
な「……そんなのお母さんが出ればいいでしょ~」
理「お母さん、今から亮太の用事で出かけるから出られないのよ。」
な「なんで亮太ばっか…」
理「とにかくなぎさ、頼んだわよ」
バタン……
な(……もぅ…………顔でも洗うおう)
カチャ
ペタ ペタ ペタ…
理「お昼前には帰ってくるから」
な「……はいはい」
亮「お姉ちゃんしっかり留守番してなよ」
な「…はいは……ってあんたね~。帰ってきたら覚えてなさいよ」
理「なぎさっ!!
じゃあよろしくね」
816 :
6日目-A:2006/10/28(土) 22:46:29 ID:???O
シャカ シャカ シャカ…
目の前には歯ブラシをくわえて冴えない顔をした自分がいた。
まったく……最近ついてないよ。昨日なんて、ほのかの姿見つけてからはもう遊園地どころじゃなかったしさ……
もしやとは思ってたけど、ホントにつけてきてたなんて……
しかもわざわざ自分の相手に藤P先輩連れて来るとかさ………見せしめだよ見せしめ……
絶対怒ってる……よね?ほのかさん?
しかも今日は科学部も昼からじゃん……会ったらどうしよう……
な「はぁ~、ありえない…」
カクッという効果音とともに折れるなぎさの体。
それにひかりの友達にはカッコイイなんて言われちゃうし。あたし女なんですけど……
鏡に映る自分をまじまじと見つめるなぎさ。
まぁたしかにこの短さじゃね……。
な「………はぁ」
鏡に映っている、まだ自分でも見慣れていないほどのショートヘアの少女の体は再び折れる。
それよりほのかに何て言えばいいんだろ……?
ごめん……は変だよね?
ひかりに頼まれて一緒に遊園地行っただけだし……
色々考えてみたが結局答えは出なかったようだ。
な(とりあえず学校で誰かに相談しよ)
なぎさは顔を洗い終えると、朝食の準備を始めた。
818 :
1/5:2006/10/29(日) 17:25:24 ID:???0
「うーん…」
柔らかに差し込む朝日を浴びながら、ひかりが気持ち良さそうに伸びをする。
窓の外では鳥達が楽しそうに歌っており、空には丸まりかけの綿飴のような雲が浮かんでいる。
何の変哲もない朝。だけれども、これがこの家で迎える最後の朝なのだ。
「あ、お早うございます」
「あら、ひかりちゃん。お早う…」
身支度を整えて居間へとやって来ると、舞と舞の母親が既に朝食の準備をしていた。
もっとも、準備といってもやっているのは舞だけで、可南子ママは椅子に座り眠たそうな目でコーヒーをすすっているだけなのだが。
「あの、昨日も遅かったんですか?」
「それがね、また徹夜しちゃったんだって」
欠伸をしている母親に代わって、忙しく動きながら舞が答える。
「またですか!?体の方は大丈夫なんですか?」
「あら、心配してくれるの?アリガト。でも大丈夫よ。どうしても気になる事があったから、ついね」
マイッタマイッタと苦笑いする可南子ママ。そして、静かにカップをテーブルに置く。
「…それはともかくひかりちゃん、とうとう今日でお別れね。寂しくなるわ…」
「そうですね…。私、舞さんのお家に来て、家族って良いなって改めて感じました」
「そう?フフ、随分と嬉しい事言うのね」
「でも本当の事ですから。…あ、舞さん、私も手伝います」
笑顔でそう言って、ひかりがお皿を取りにキッチンへと向かう。
とその時―――プルルルル!と電話が鳴った。
819 :
2/5:2006/10/29(日) 17:26:40 ID:???0
「はい美翔です。…あ、咲!朝からどうしたの?」
受話器の向こうから聞こえて来た元気な声に、舞が意外な顔をする。
「……え、今から?私は良いけど……ちょっと待ってて」
一旦咲との会話を止めて、ひかりへと振り返る。
「ねえ、ひかりさん。お家の人っていつ頃迎えに来るんだっけ?」
「アカネさんですか?確か、お昼頃って言ってましたけど」
「それなら、私と咲と一緒に来て欲しい所があるんだけど。お昼までにはちゃんと戻るから。ね、行かない?」
「いいですけど…?」
「じゃあ決まりね!……もしもし?うん、ひかりさん大丈夫だって!……分かった、それじゃあ行くね。バイバイ!」
弾む声で約束を交わして、そして電話を切る。
「朝ご飯食べたら、まず咲の家にいきましょ!?」
「はい」
素直に頷くひかり。ドコへ?とは聞かなかった。もちろんそれは、咲と舞を信頼しているからである。
だから何も聞かずに、朝食の準備を二人でテキパキと続ける。
「お早う」
そんなひかりの横を、爽やかに挨拶しながら和也が通り過ぎる。
だけどその爽やかさにも関わらず、ひかりが何故かクスッと笑った。
―――あっちは冷蔵庫だし、やっぱり牛乳なんだろうな
820 :
3/5:2006/10/29(日) 17:27:54 ID:???0
坂道を登り切ると、そこには巨大な古木が悠然と佇んでいた。
「うわぁ…大きい…」
周囲を包み込むようなその圧倒的な存在感に、ひかりが思わず感嘆の声をあげる。
「何だか空に届きそう。まるで、この森の王様ですね…」
「でしょ!?だって『大空の木』だもん!ここでね、私と舞は初めて出会ったんだよ」
「うん。五年前の夏祭りの時にね!」
うふふ、と顔を見合わせる二人。「へぇ」と頷くひかりに舞が言葉を続ける。
「でも、私はその後すぐに違う町に引っ越しちゃって、ずっとそれっきりだったの…」
「そうだったんですか。てっきり、二人は昔からの友達だと思ってました」
「フフ。だけどね、この春にまたここで、この木の下で―――」
「出会ったんですか!?凄い…。なんて言うか運命的ですね…」
二人の話に感動して、ひかりが再び木を見上げる。
空を覆うように伸びた枝が風に揺れ、まるで言葉を話しているようにサワサワと音が聞こえる。
「でしょ!?ホント運命の出会いって感じだよね!だけど、それも不思議じゃないんだよ。
だってこの大空の木には、この下で出会った人達は強い絆で結ばれる、って言い伝えがあるんだもん!ね、舞!?」
そう言いながら、咲が舞へとクルリと体を回転させる。
「もう咲ったら、少しはしゃぎ過ぎ!」
「咲さん、フフッ」
楽しそうな二人に、ひかりも共に笑みをこぼす。
頭上では再び枝が鳴り、今度は大空の木も一緒になって笑っているようである。
「それじゃあ、この場所は二人にとって大切な場所なんですね。…あ、でも、何で私をここに連れて来てくれたんですか?」
頭にふと浮かんだ疑問に、ひかりが「?」と小首を傾げる。
「ん、実はね…」
しかしそんなひかりに咲が近付くと、その右手をしっかりと握る。
「言い伝えはもう一つあるの。この木に強く願えばきっとその願いは叶う、って言い伝えが…」
そしてニコッと微笑み、スゥと大きく息を吸い込む。
821 :
4/5:2006/10/29(日) 17:29:12 ID:???0
「ねえ、大空の木!」
天にも届きそうな咲の声が、辺りにコダマする。
「私、ひかりとまた会うよ!また会って、この場所でまた一緒にこうする!だって、ひかりは友達だから!
そりゃチョットだったけど、でも一緒に居たこの一週間はスッゴク楽しかった!もう絶対に大切な友達!だから、ね、イイでしょ!?」
そう言い終えると「はぁ」と、満足そうにもう一度深呼吸をする。
「咲さん…」
突然の行動に、ひかりが呆気に取られたように咲を見る。
「え…!?」
しかしその左手を、今度は舞がキュッと握ってきた。
「私もお願いする!ひかりさんと、また一緒に帰れますようにって!私達、まだひかりさんのこと全然知らないもん!
もっと知りたいし、もっと分かり合いたい!だって、大切な友達だから!だから大空の木、お願い!」
精一杯の声で木に語りかけ、そして咲と同じように深く呼吸をする。
「大空の木、私と咲のお願い聞いてくれるよね?」
「モチロンだよ!だって、大空の木だもん!」
大切な友達―――ああそうだったのか。この場所に自分を連れて来てくれたのは、そう言う事だったのか。
二人と出会ったのはこの木の下では無かったけど、でも、だからこそココに連れて来てくれたんだ。
胸の奥がジンとして、瞳に熱いモノが込み上げて来る。
「咲…舞…!」
二人の名前を呟き、その手をギュッと強く握り返す。
「私も誓うよ!きっと戻って来るって!だって、みんな私の大切な友達だから!」
二人に負けないくらいの声で、ひかりが誓いを口にする。
そして、その言葉が森の中に溶けた時、大空の木がザワザワと大きく揺れた。
そう、確かに揺れたのだ。その時、風なんか吹いていなかったけども、確かに。
822 :
5/5:2006/10/29(日) 17:30:12 ID:???0
「有難うございました!」
とある良く晴れた休日。いつもの公園に、ひかりの元気な声が響き渡る。
そして、嬉しそうに帰っていくお客の背中を見送ると、ワゴンを指差しながらアカネに笑顔で話しかける。
「私、ちょっと中片付けてきますね?」
「うん、お願い!」
車内に入ると今まで忙しかったせいか、色々な物が色々な所に散らばっている。
その光景を見て「ヨシ」とひかりが小さく気合を入れる。だがその時、大事に飾られているあるモノが、ふと瞳に留まる。
「タコさん…」
それは健太から貰った、例の浮きであった。
あの夕凪での日々から、もう間もなく一ヶ月が過ぎる。
しかしたったの一ヶ月なのに、なんだか遠い昔の出来事のように思える時がある。
ひょっとして、こうやって人は大切な事を忘れていってしまうのだろうか。
ハッキリしていたのにだんだんと遠くなって、蜃気楼のようにユラユラと揺らいで、そしてある時フッと……。
でもね―――と、ひかりは思う。
でもね、私は忘れないよ。だって約束したんだもん。また戻るって、また釣りをするって、また一緒に帰るって。
「だからその時まで、もうちょっとここで我慢しててね、タコさん」
フフッと微笑みながら、浮きをツンと指で突付く。
「さて…!」
そしてスクッと立ち上がる。
「その前にここを綺麗にしなきゃ!」
そう、今はそれをやっつけるのが先なのだ。
だって早くしないと、お客さんが来ちゃうからね。
以上でおしまい。
行き当たりバッタリだったから変なトコ一杯あるけど、そんなのキニシナーイ
670氏
( ゚д゚) …
(つд⊂)ゴシゴシ
_, ._
(;゚ Д゚) …ケータイ!?書くのにどれだけ時間かかるんだろう?
824 :
6日目-B:2006/10/29(日) 19:55:05 ID:???O
志「なぎさ~!いったよ!」
志穂からのボールをキャッチし、ゴールに向かって思いっきり投げるなぎさ。
だがボールはポストに当たり跳ね返った。
志「ちょっとちょっとちょっと~、なぎさ今日は全然気合い入ってないよ~!!」
莉「まあまあ、志穂。
それよりなぎさ、今日はこれくらいにしようか」
そしてなぎさのが号令をかけると各々部員達が散っていった。
な「……はぁ」
莉「なんかあった?」
な「うん、ちょっとね……」なぎさが汗を拭っていると両隣に志穂と莉奈が座る。
莉「どうしたの?」
な「いや……それは…」
志「ちょっとなぎさ、あたし達親友なのに水臭いぞ」
莉「そうだよ、なぎさ。私達くらいのは話しもいいんじゃない?」
な「……そうだよね…
実はね……」
それからなぎさほここ数日の事情を話し始める。
・・・・・
莉「なるほどね……」
志「でもでもでも、それって雪城さん怒ってるわけじゃないでしょ?」
莉「うん。確かに」
二人は腕組みして勝手に納得している。
な「えっ!?じゃあどうして?」
志「なぎさは鈍いからいいの。とにかくはやく雪城さんのところに行ってきなよ」
莉「そうそう、きっと大丈夫だから」
そしてなぎさは二人に促されるままほのかのもとに行ってしまった。
二人はそんな後ろ姿を見送る。
莉「志穂?これでいいの?
なぎさ鈍いから気づいてくれないよ?」
志「………」
莉「………帰ろうか…」
志「……そうだね」
825 :
670:2006/10/29(日) 20:03:19 ID:???O
なんか危ない方向に走りそうの気がしますが気になさらず(笑)
携帯は、私1日の2時間以上電車にいるので、その暇潰しにかちかちするのにちょうどいわけですよ~
826 :
670:2006/10/29(日) 23:06:42 ID:???O
読み返したら誤字のオンパレードだったので修正しときますm(__)m
志「なぎさ~!いったよ!」
志穂からのボールをキャッチし、ゴールに向かって思いっきり投げるなぎさ。
だがボールはポストに当たり跳ね返った。
志「ちょっとちょっとちょっと~、なぎさ今日は全然気合い入ってないよ~!!」
莉「まあまあ、志穂。
それよりなぎさ、今日はこれくらいにしようか」
そしてなぎさが号令をかけると各々部員達が散っていった。
な「……はぁ」
莉「なんかあった?」
な「うん、ちょっとね……」なぎさが汗を拭っていると両隣に志穂と莉奈が座る。
莉「どうしたの?」
な「いや……それは…」
志「ちょっとなぎさ、あたし達親友なのに水臭いぞ」
莉「そうだよ、なぎさ。私達くらいには話してもいいんじゃない?」
な「……そうだよね…
実はね……」
それからなぎさはここ数日の事情を話し始める。
・・・・・
莉「なるほどね……」
志「でもでもでも、それって雪城さん怒ってるわけじゃないでしょ?」
莉「うん。確かに」
二人は腕組みして勝手に納得している。
な「えっ!?じゃあどうして?」
志「なぎさは鈍いからいいの。とにかくはやく雪城さんのところに行ってきなよ」
莉「そうそう、きっと大丈夫だから」
そしてなぎさは二人に促されるままほのかのもとに行ってしまった。
二人はそんな後ろ姿を見送る。
莉「志穂?これでいいの?
なぎさ鈍いから気づいてくれないよ?」
志「………」
莉「………帰ろうか…」
志「……そうだね」
827 :
メロン名無しさん:2006/10/30(月) 16:49:37 ID:tBihFOhI0
828 :
6日目-C:2006/10/30(月) 22:57:51 ID:???O
ちょうど同じくらいに部活が終わったのか、ほのかは下駄箱の所で帰る準備をしていた。
な「ほのか~」
ほ「あら、なぎさ。昨日は楽しかったかしら?」
いきなり意味深気な笑顔を見せるほのか。
な(ちょっと~、ホントに大丈夫なの……?)
な「あのさ、今日は一緒に帰らない?」
ほ「私と?ひかりさんじゃなくてもいいの?」
な「だから昨日は……とりあえずたこ焼きでも…」
な(あっ!!しまった……)
慌てて口を塞ぐが時すでに遅しであった。
ほ「あら、たこ焼きじゃなくてひかりさん目当てじゃないの?」
やはり予想通りの返事が返ってくる。
な「……ほのかさん?…やっぱり怒ってます?」
ほ「いいえ、全然怒ってませんよなぎささん」
そして再び例の笑顔を見せるほのか。
な(………どうしよう?)
な「じゃ、じゃあとりあえずタコカフェはやめで…」
ほ「えっ!?ひかりさんに会いにいかなくてもいいのかしら?」
な「……もぅ……とにかく行こう」
なぎさはほのかの手をとると、そのまま歩き始めた。
ほ(ふふ、なぎさったら…)
そしてその後ろでほのかは意外にも楽しそうに微笑んでいたのであった。
たぶん6日目はオチもなくつまらなく終わりそうです…7日目から話作っていきますので長い目で見てやってくださいませ(ノД`)
西の空は薄っすらとオレンジ色に染まり、東からは月が顔を覗かせている。
これは、そんな夕暮れ時のお話。
「いやぁ楽しかったね、ハロウィンパーティ」
舞台は雪城家、そしてここはほのかの部屋。
ベッドにトスッと腰を下ろしながら、なぎさが笑顔で話しかける。
「うん。ひかる君のオバケかぼちゃ、とってもカワイかった」
「あと、アカネさんのドラキュラも良く似合ってた!でも一番最高だったのは志穂だよ。
あれは仮装っていうよりも、タヌキそのものって感じだったし!」
ウシシと笑うなぎさ、そんな彼女にほのかが思わず苦笑いを浮かべる。
「もぅなぎさったら!そんな事いったら久保田さんに怒られちゃうよ?」
そして薄暗くなってきた空を見て、障子を閉めようと立ち上がる。
とその時
「ほーのか!」
ん?と振り返ると、衣装の魔女のマントを纏ったなぎさが、両手をちょこんと突き出していた。
「トリックorトリート!お菓子くれないと悪戯しちゃうゾ!?」
「なぎさ…フフッ。まあ大変!家にはもうお菓子がないわ!どうしましょう!?」
クスリと笑って、なぎさに付き合うように大袈裟に困ったフリをする。
「えっ?お菓子ないの?」
「ゴメンね、無くなっちゃったみたいなの」
「むむむ……よーし。それならば…こうだ!」
腕組みをして考えると、エイッ!とほのかに飛び掛る。
「きゃーっ!」
「まてまてーい!」
もちろん本気じゃなく、他愛の無いおふざけの追いかけっこ。
「つーかまえた!」
そして、二人一緒にゴロリとベッドに倒れこむ。