あずまんが大王で仮面ライダー龍騎

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876王蛇:02/12/03 23:44 ID:vkVRufrW
ここか…祭りの場所は…
>名無士郎さん
>オーディソさんのサイトに行く前には訂正させて頂きたい…。駄目でしょうか。
いいですよー。 こちらは全然問題なしです。

他の方も掲載された物を手直しを希望でしたら、訂正版を下記のアドレスへ送って下さい。
[email protected]

このままでいくと次スレが必要な感じですが、どうしましょうか?
878メロン名無しさん:02/12/04 00:22 ID:???
漏れは別に次スレ立ってもかまわん気がする。
なんだかんだでここまで育ったスレだし、期待してなかったのに職人さん来たし(しかも大勢)
大阪板に立てるという話もありましたが、漏れかちゅ使いなんで、
かちゅで読み書きできる板なら他の板でもいいかなと思う。
879鷹 ◆f.SwudF.K6 :02/12/04 05:34 ID:???
ミネルバの梟さん、名無士郎さんおっつ!こういうもしも・・・のSS
はすごくイイ!これからも頑張ってください。期待してます。
後、当方次スレは900を踏んだ人に任せていいと思います。

オーディソさんへ
マイパソが修理から戻り次第第1話から修正したSSを送りたいと思いますので
ホントお待ちください。^^;
880ミネルバの梟:02/12/04 12:45 ID:???
>名無士郎さん
いやー、やっぱりうまいですね
続きを期待して待っています

私ももっと精進しなくては…
>877で書いたアドレスが使えないっぽいです……すみません。
代わりのアドレスが取得できるまで、訂正版の投稿はちょっと待ってください。
882名無士郎 ◆aW17j5Fl/g :02/12/05 01:45 ID:???
 まだ途中ですが、書きこんでみます。
 >>869-874の続きです。
――――――――――――――――――――――――――――――

「なんだ、声聞いて判ってくれないのか?」

 その声に先に気付いたのは龍騎―歩―だった。

 「あー、よみちゃんやー!」

 「水原…さん…」

 榊も水原 暦の事はよく覚えていた。彼女がライダーになっているであろう事も、ある程度予測はしていた。
 しかし、まさか彼女から本気の殺意を感じようとは…。

 「ライダーになるって、意外に面白いもんだね…。普段の自分に出来ない事が出来るのは爽快だ。特にモンスターを
 血祭りにあげた時なんて、柄にも無く…ぞくぞくするよ。ましてや…」

 榊の背中に冷たいものが走った。声こそ暦のものだが、その言動は明らかに榊の知る彼女のそれではなかった。

 「ましてや…ライダーを倒した時の、あの快感ときたら…ふっ、ふふ…」

 榊の心臓が早鐘の様に打たれる。彼女は既にライダーを倒している…もしかしたら殺しているのかもしれない…。
 暦が片手に剣を提げ、悠々とした足取りで近付いてくる。身じろぎもせず榊はその場に居た。
 いや、動けなかったというのが正確かもしれない。動けない足で、それでも剣を構え、上段から振り下ろされた暦の剣を
受けとめた。想像以上に重い剣の一撃、榊の動揺はまだ続いている。

 「どうしたんだい? 榊ってのはそんなに弱い奴だったっけ?」

 暦が剣に全体重を乗せる。未だ気圧(けお)された状態の榊はあっさりと片膝を着いてしまった。
 二つの剣の接点が暦と榊の間で小刻みに震えながら、ゆっくりと往復する。
883名無士郎 ◆aW17j5Fl/g :02/12/05 01:46 ID:???
 「榊ぃ、あんたが強い事はちゃんと知ってるんだ。そろそろ本気だしてくれない?」

 「み、水原さん…」

 ―戦えない―
 榊はまだ、ライダーを倒した事がない。それは彼女の迷い…心の弱さが原因だった。

 しかし…。

 同時に誰一人死なせないという、強い決意によるものでもあった。

 「水原さん…、ライダーを…他のライダーを…………殺したの!?」

 「そうだと言ったら?」

 次の瞬間、暦の足が激しく地面を擦る。榊が立ちあがり、暦の剣を彼女ごと押し戻したのだ。

 「さ、榊…!?」

 榊が剣を構え、暦に向かい突進する。
 無論、殺意はない。彼女の決意がそれをさせない。
 しかし、それで暦を倒せるのか。
 止めを刺す事は出来ない。

 ―ならばどうする?―

 決意と迷いの中、榊の剣が暦の胸に到達する事はなかった。

 「はっ!?」

 暦は軽やかに身をかわし、擦れ違い様に剣の柄を榊の肩に振り降ろした。
884名無士郎 ◆aW17j5Fl/g :02/12/05 01:48 ID:???
 よろけて足が止まる榊、暦はその瞬間を逃す事無く、榊の腹を蹴り上げた。

 「うあ!」

 激しい痛みに榊はその場にうずくまる。
 そして、混乱した頭で考えていた。
 何故、暦にこんな動きが出来るのか…!?

 「驚いた? あたしもビックリだよ。なんかね、ライダースーツってのは着る人間の動きを補助してくれる様に
 なってるらしいんだ。重要なのは基礎体力、あとは相手の攻撃に合わせて動きを最適化してくれるんだって」

 「………」

 「皮肉なもんでさ、榊…あんたみたいに自分の動きの型が決まってる人間…体が勝手に動いてくれるような人間には
 その、最適化が働かない事があるってさ」

 「な、なんで…水原さんがそんな事…」

 「なんでだろうね? でも…ちよちゃんがそう教えてくれたんだ。ふふふ、あたしに期待してるのかな?」

 暦が剣を振り上げ、榊を滅多打ちにする。遠目に見ていた龍騎―歩―が思わず目を瞑ってしまう光景だった。
 凄まじい剣の応酬に為す術なく、榊は這いつくばっていた。

 「あああ、どないしよ…このまんまじゃ榊ちゃんえらい事に…」

 歩は榊をなんとか助けようと考えた。
 思考は何度も袋小路にはまり、何も思いつかなくなった時、最後に思い当たったのが…カードデッキだった。

 「こ、これや!」

 早速カードを一枚引こうとする。しかし、失敗。
885名無士郎 ◆aW17j5Fl/g :02/12/05 01:51 ID:???
 理由は彼女の右腕にあった。そこには、真っ赤な龍の顔が…。

 そう、歩は既にカードを引いていた、それを今まですっかり忘れていたのだ。
 歩はそれを見つめ、榊達を見つめ、意を決した様に、その場に仁王立ちになった。
 そして左足を榊達の方に向け、右腕を引き、王蛇―暦―に狙いを定めた。

 「え、えーい!」

 歩が右腕を突き出すのとほぼ同時に、上空から降りてきた龍―ドラグレッダー―が火球を吐き出した。
 火球は歩の右腕が向いた方角を正確に追いかける。即ち、王蛇の頭めがけて…!

 直前にカードを引いていたのでは多分、認証音声を聞かれて相手に気付かれていただろう。
 今回は歩の「トロさ」が幸いしたと言える。
 多分、暦にとっても…。

――――――――――――――――――――――――――――――
 取り敢えずここまでで…。
 よみを悪役にしてしまいました。
 よみファンの皆様方、誠に申し訳ありません。

 
886メロン名無しさん:02/12/08 00:37 ID:???
>885
ハラハラドキドキ・・・続きが楽しみ。
折れもよみ萌えだけど、悪役もまた良し!
散り際が美しければ・・・
887メロン名無しさん:02/12/08 09:08 ID:???
やっぱり殺しちゃうんすか?キャラクター…
888鷹 ◆f.SwudF.K6 :02/12/09 17:07 ID:???
珍しく早く帰ってきたので修正。早速掲示したいと思います。どぞー。
889鷹 ◆f.SwudF.K6 :02/12/09 17:08 ID:???
あずまんがー龍騎!
「第10話 契約」

「グワァァァ!」
そう叫ぶと榊を襲っていたディスパイダーはさらさらと砂のように溶けたかと思うと、
その砂すら消え、まるで存在していなかったかのように痕跡が無くなった。その時ディ
スパイダーがいたと思われる場所から淡く輝く球体が現れ、穏やかに天へと目指して飛
んでいたが、後ろからディスパイダーを襲った2足歩行型のモンスター=デストワイル
ダーがそれに向かって跳躍したかと思うと次の瞬間にはその球体は消えていた。

(銀色の、モンスター・・・?)

榊の存在に気付いたデストワイルダーはしばらく榊を見つめていたが、突然榊へと一気
に加速して距離を縮め始めた。

(く、状況は変わってない・・・)

榊は内心そう思いながら、ふと、まだ手に持っていたカードを見つめた。その時、ちよ
の言葉を思い出した。

《ライダーはモンスターと契約することによって、真の力を持ったライダーとなるんで
 す。このCONTRACTのカードを何らかの形でモンスターと接触させてみてくだ
 さい。それが、契約すべきモンスターだった時、効果が現れます。》
890鷹 ◆f.SwudF.K6 :02/12/09 17:09 ID:???
(やってみるしかない・・・)
榊はカードを握りしめ、襲いかかってきたデストワイルダーに向かって走り出した。

「はぁ!」

互いに加速しながらぶつかりあう榊とデストワイルダー。交差した瞬間に榊はデストワ
イルダーの額に契約のカードを素早く接触させた。すると、デストワイルダーの榊へと
振りかぶっていた腕が動きを止めた。

「ゴァァ!!」

その状態のまま、デストワイルダーは天に向かって咆哮した。榊は少し遠ざかりながり
どうなるかとその様子を見ていたが、自分に向き合ったデストワイルダーが先程のよう
に殺気が無いことを知り安心した。やがて、デストワイルダーの声が榊の心に響いた。

(我ハ・・・ですとわいるだー・・・契約ハ成立シタ・・・汝ハ・・・らいだーたいが
 トナリ・・・ 我ハ汝ニ・・・呼バレシトキ・・・何時デモ・・・現レル・・・汝ハ
 ・・・我ニ魂ヲ・・・)
(魂・・・?)

(モンスターの魂・・・アルイハ・・・人間ヲ・・・我ニ与エヨ・・・ソレガ契約・・
 ・破ラレシ時・・我ハ・・・汝ヲ襲ウ・・・契約ハ成立シタ・・・)

言い終わるとデストワイルダーの体内から爆発的な光が出現し、榊が目を開けたとき、
そこには1枚のカードだけが残っていた。そして榊は新たな力を手に入れていることに
気が付いたのであった。モンスターと契約した真の仮面ライダーの力、タイガの力を。
891鷹 ◆f.SwudF.K6 :02/12/09 17:09 ID:???
『次回予告』

(私も帰ろう・・・)
「これはカードデッキ!?・・・ということはあなたも仮面ライダーなの?」
「私神崎優衣っていうんだけど、この写真の男の人を見たことない?」
『優衣さん、私がちよです。』

生き残らなければ真実も見えない。ライダーよ、生き残るために戦え!
892メロン名無しさん:02/12/09 21:21 ID:???
デストワイルダーとの契約シーン、かっこエエなぁ・・・
続きが楽しみや。
893いらだとばる ◆5jrOzGUTic :02/12/11 22:14 ID:???
第二話、逝きます。とりあえず、前半だけ。
894いらだとばる ◆5jrOzGUTic :02/12/11 22:18 ID:???
『仮面ライダー 神楽』 第二話 <壱>
 安否を気づかう神楽の手が触れると同時に、屈強な戦士の体は、鏡が割れるような音とともに砕
け散った。その後には、同じ姿勢で横たわるひ弱そうな青年の姿があった。あまりのギャップにと
まどいつつも、神楽は声をかけてみた。
 「えっと、あの、貴方は・・・?」
 「そうだ、僕はこんなに強い。なのに、おかしいよね。負けるなんて・・・」
 「負けたって?誰に?ど、どこかやられたのか!腹か、胸か?」
 「僕は、僕は英雄な・・・んだ・・・」
 「あ、あんたなぁ、人の話を聞けよ!とにかく、今すぐ救急車を呼ぶ・・・えぇ!?」
 驚愕のあまり、携帯で119番しようとした彼女の手が止まる。いつの間にか青年の体は、細かい
粒子となって蒸散し始めていたのだ。
 「な、何だこれ?おい、あんた、しっかりしろ。おい、おい、あああ!」
 みるみる彼の肉体は目減りしてゆく。しかし、神楽には何もできなかった。何が起きているか理
解することすらも。
 「えいゆ・・・うに・・・なれば みん・・・なが ぼくに・・・やさし・・・く・・・」
 ついに、青年は最期まで神楽に一瞥すら与えることなく、ただ虚空をうつろに見つめながら消滅
していった。後には、呆然とその場にへたり込んだ神楽がひとり残される。
 「消えちまった・・・」
 のろのろと命の恩人が消えた場所に這いより、地面をなでてみる。血痕どころか、何の痕跡もな
い。・・・いや、あった。ただ、ひとつだけ。乾いたアスファルトの上に、四角いケースのようなもの
が残されていた。
 「何だ、これ?」
 おそるおそる手にとってみる。その色は美しいブルー。そして、動物の顔を意匠した金の浮き彫
りがなされていた。その動物の名は・・・
 「猫か・・・?」
 「・・・虎だ」
 唐突な第三者の声に神楽があわてて振り向くと、そこには一人の男が立っていた。陽炎のように。
 「だ、誰?」
 男は答えず、深い思慮と憂いを帯びた表情のまま、逆に神楽に問いかけた。
895いらだとばる ◆5jrOzGUTic :02/12/11 22:21 ID:???
「・・・その男の戦いを引き継ぐのか?」
 「え、何だって?戦いって、あの化け物との?」
 「・・・選べ。時間がない」
 「あんたもかよ!どうしてこう、人の話を聞かない奴ばかり・・・って、あああ、私の体も!」
 またしても噛合わぬ会話に苛立つ暇はなかった。神楽の手足も先ほどの青年同様、蒸散を始めて
いたのだ。
 「・・・選べ!」
 「くそっ、わけがわかんねぇ!でも、ああ、減ってく!ちっくしょう!やる、やるよ!」
 神楽のいらえを聞くと男は薄く笑い、その右手を前に突き出した。神楽もつられるように、青い
ケースを持った右手を突き出す。
 「え?なんだこれ!」
 いずこから、そしていつの間にか現れたベルトが、神楽の腰にあった。同時に、脳裏に為すべき
動作のイメージが閃く。
 「ええい、こうなりゃヤケだ。とことんつき合ってやるぜ!こうか!」
 イメージをたどり、流れるように両の腕を動かしてゆく。
 「変身っ!」
 気合を入れるように叫けび、ベルトのバックルに青いケースを差し込む。・・・すると!
 「うわわわわわ!こ、これはさっきの!?うわ、うわぁ」
 神楽は思わず声をあげた。一瞬のうちに、己の姿が先ほどの異形に変わっていたのだ。驚愕、そ
して歓喜。バックルの辺りから全身へと、爆発するような勢いで『力』がみなぎってゆく。
 「仮面ライダータイガ。それがその姿での名だ」
 男はおごそかに言い、彼方の一点を指差した。そこには強く輝く一枚の鏡があった。
 「行け。・・・時間だ」
 「時間って?あー、まだ消えてる!これじゃあ意味がないじゃんか、おい!あれ?」
 なお収まらぬ蒸散に神楽が抗議しようと振り向くと、すでに男の姿は消えていた。選択の余地も
迷っている暇もない。彼女は渋々、男の示した鏡へと走り出すしかなかった。
 しかし、その、ただ走るという行為が、彼女に新たな驚きを与えてくれた。
 (す、凄ぇ!なんて加速だ!チャリで下り坂飛ばしても、こうはいかねえぞ、ヒャッホー!)
 何があったかも一時忘れて、神楽は歓声をあげながら光る鏡に飛び込んでいった
896いらだとばる ◆5jrOzGUTic :02/12/11 22:36 ID:???
第二話 <弐>
閑静な住宅街の一角にその喫茶店はあった。落ち着いた造り。センスの良い調度。そして美味し
い紅茶。隠れた名店として常連客に愛されている所以だ。しかし、今は店内に客の姿はなかった。理由は簡単、ドアにぶら下がっている『臨時休業』の札がそれだ。
ひとり、店内に女性の姿があった。まだ若い。二十歳前だろう。耳のやや下で真っ直ぐに切り揃
えられた黒い髪が揺れている。テーブルに頬づえをついて、可愛い顔をもったいないぐらいに歪
めて、ご機嫌斜めの様子だ。
その娘が、ため息をひとつついて立ち上がろうとした時だった。大きな窓ガラスの一枚からまば
ゆい光がほとばしるや否や、そこから何者かが「ヒャッホー!」と飛び出してきたのは。あまり
に異様な、というかバカげた事態だった。しかし、彼女は平然とそれに近寄って声をかける。
「やっと戻ってきた!東條くん、ちょっとあんたねぇ!!」
一方、それ――タイガである神楽は、困惑の極みにあった。てっきり鏡を抜けたら元の場所、球
場外周に戻るのかと思いきや、見知らぬ喫茶店に現れてしまったのだから。窓ガラスに映る自分
の容貌は、室内の景観から明らかに浮いていて・・・なんだか、ものすごく恥ずかしい。
(えっと、あうう、いったい、どーなってんだ)
娘の方も、問いかけを無視されて頭にきたようだ。タイガの肩を掴んで、声を荒げる。
「こらっ、こっち向きなさい!あんた、いったい・・・」
神楽はやっと彼女の存在に気づき、振り返る。同じタイミングで変身が解け、生身に戻った。
「ええっ?と、東條くんじゃあ・・・ない。え、あ、あんた、もしかして神楽、神楽なの?」
「かおりん!お、お前、かおりんじゃねぇか!」
二人はしばし目をパチクリさせて見つめあい、やがて、声を合わせて叫ぶにいたった。
「「ええ〜なんで!?」」
神楽と彼女――かおりは高校時代のクラスメイトだったのだ。
897いらだとばる ◆5jrOzGUTic :02/12/11 22:45 ID:???
 ――数分後、やっと落ち着いた二人は、向かい合って店内の一卓に座っていた。不思議な体験の
経緯を話し終えた神楽は、一息いれるように、かおりが淹れてくれた紅茶をすすった。
 「う、美味ぇ!うちの編集部のティーバックとは、えらい違いだ」
 「ふん、当たり前でしょ。葉っぱからして違うのよ。第一、淹れ方だってねぇ・・・」
 「はいはい。ところでさぁ、今度は私が聞いていいか?一体、何がどーなってるのか」
 かおりは大きくため息をつくと、天井を仰いだ。
 「はぁぁ〜、何から話せばいいものやら」
898いらだとばる ◆5jrOzGUTic :02/12/11 22:51 ID:???
――三杯目の紅茶を神楽が飲み終える頃、かおりの話はやっと一段落ついた。
鏡の向こうの異世界、ミラーワールド。
そこから襲いくる、人肉を糧とするモンスター達。
その捕食行動こそが、一連の失踪事件の実態であること。
そして人の身であるながら唯一、その悪鬼どもと戦う力を持つ仮面ライダーの存在。
いずれも、先ほどの体験がなかったら、現実主義者の彼女には到底受け入れられない内容だった。
 「あれがミラーワールドだったのか。そこで私を食べようとしたのがモンスター。くっ、じゃあ
失踪した人たちはああやって奴らに食われて・・・畜生ぉ!」
神楽の目に涙が浮かぶ。取材の過程で何人も会った失踪した人々の関係者。皆、その生存を信じ
て疑っていなかった。なのに、なのに!
「私は運良く助けられた。仮面ライダーのタイガに。そして、今は私が」
 ジーンズの尻ポケから件の青いケースを取りだして、神楽は言った。涙をぬぐいながら。
 「私がその仮面ライダータイガ・・・!あのクソ野郎どもと戦う力がある・・・よぉし!」
 「落ち着きなさいよ、まだ話しとかなきゃならないことが・・・」
 いますぐにでも戦いへと走り出しそうな旧友を制し、かおりは話を続けた。
 「そ、そうだ。ねぇ神楽。そのケース――カードデッキって言うんだけど、ちょっと見せて」
 「ん、いいけど」
 かおりはデッキを受け取ると、いそいそとカードを取り出してテーブルに並べ始めた。
 (やった、とうとう中が見れる!どれどれ、これが『封印』、これが『召喚』・・・手強そうな虎ね。
『ストライク』・・・あの鉤爪か。『フリーズ』・・・何かな?氷?そして『ファイナル』・・・一体、どん
な技?東條の奴、教えてくれなかったし。ほんとあのバカ、聞かれもしないことは自慢げに話すく
せに、肝心なことは何一つ・・・)
 「しっかし、かおりんの家がサテンだったなんて知らなかったぜ」
 「はいはい、どうせ興味もなかったんでしょ。私の家のことなんか」
 のん気な神楽の問いに生返事をしつつ、かおりは真剣な表情でカードの分析を続ける。それは一
体何の、そして誰のためなのか?
 (まー、デッキを他人に見せて平然としてるバカよりましかもね。・・・でも、嘘、これだけなの?
これがベルデとファムを連破したタイガのデッキ構成?)
899いらだとばる ◆5jrOzGUTic :02/12/11 22:58 ID:???
「ところでさぁ、そのカードって何?」
「ええ!えっと、これはねぇ」
 聞いて当然の質問が、やっと神楽の口から出た。かおりは内心の動揺を必死に抑えて答える。
「か、仮面ライダーはね、このカードに描かれた武器や技を使えるのよ。た、例えば・・・」
 かおりは、あわてて並べたカードの一枚を手に取った。
「これ、『ストライク・ベント』を使えば、大きな鉤爪を装着できるのよ」
「鉤爪、あれか!私も見たよ。あいつ、えっと、東條っていうのか?その爪でモンスターを倒し
てた!格好良かったぜ、へへへ。で、カードをどうすれば爪が出てくるんだ?」
「そ、それはね・・・」
瞬間ためらった後、彼女は答えた。
「デッキから引き抜くだけでいいのよ。あとね、抜くときも頭の中で使いたいカードを念じてや
れば、自動的に望んだカードが引けるそうよ」
「へー!そいつはスゲぇや!わくわくするぜ。でもさぁ、なんでそんなに詳しいんだ」
「聞いたのよ。と、いうか、勝手に語ってくれちゃったんだけどね。東條くんが」
うんざりとした顔で、かおりは答えた。しかし鈍い神楽はそれに気づかない。
「へぇ〜、東條ってもしかして、かおりんの彼氏?ここで一緒に暮らしてたとか?」
それどころか逆に、致命的に『逆撫で』な問いかけをしてしまった。
「ば、ば、馬鹿ぁぁぁっぁぁ!んなことあるかぁぁぁ!なんで私があんな気色悪い男と!」
立ち上がり、神楽の胸倉まで掴んでかおりは叫んだ。
「わ、悪りぃ悪りぃ!私が悪かった。落ち着けって」
さすがにマズいと思ったのか神楽もわびをいれ、かおりの口調も少し和らいだ。
「ふー、まあいいわ。死んじゃったんだし。もうあの顔見ずにすむんだから」
「・・・おい、それはないだろう」
今度は逆に神楽が聞きとがめる。東條は彼女にとって、命の恩人であることには変わりないのだ。     
「ふん、何も知らないくせに。あんな奴、一分一秒でも早く死んだ方が、世のため人のためなの」
「おい、いい加減にしろ!!」
激昂して、かおりに掴みかかろうとする神楽。しかし、その手が彼女に届くことはなかった。
900?}?b?N?I?h?i?[???h:02/12/12 15:52 ID:3Lrz4Ayz
900ゲットーーーーーーーーーー!!!
901男万個:02/12/12 15:56 ID:???

 大学どこ?

902??????????:02/12/13 11:53 ID:5/21GXIS
ディスパイダーが一番出てるね。あずま士郎のを抜かすと。
903鷹 ◆f.SwudF.K6 :02/12/13 12:09 ID:???
何故ageるか当方は小一時間ほど問い詰めたい。
904鷹 ◆f.SwudF.K6 :02/12/13 13:25 ID:???
【あずまんがー龍騎!作/鷹】
【第11話想い】

榊はつかつかと近づき、そのカードを拾った。カードにはCONTRACTという文字
の代わりにDESTWILDERという文字と今にも動き出しそうなデストワイルダー
が力強く描かれていた。

《汝ニ・・・呼バレシトキ・・・何時デモ・・・我ハ・・・現レル・・・》

デストワイルダーの会話を思い出す榊。その手にもっていたカードがディスパイダーの
時と同様に痕跡1つ残さず消えていった。
(あ・・・消えた。大丈夫かな?)
そんな榊の内心に答えるように彼方からデストワイルダーの咆哮がかすかに聞こえた。
(私も帰ろう・・・)

榊はちよが指し示した鏡の中へと入った。すると榊のライダースーツからガラスが砕け
るような音が聞こえた。途端に変身が解け、先程のアトラクションの前へと戻っていた。
ゆっくりと立ち上がった榊を、心配そうにかおりんが見つめていた。

「榊さん、大丈夫でしたか?」
「ちょっと痛むけど、平気・・・」

その言葉を聞いて青くなるかおりん。
「どこか痛むんですか榊さん!?」

榊はミラーワールドでの出来事を話した。話し終え、榊が空を見上げると、雲が金色を
帯びており、もうすっかり夕暮れとなっていた。
905鷹 ◆f.SwudF.K6 :02/12/13 13:26 ID:???
「・・・そうなんですか。榊さんはもうモンスターと契約したんですね。」
「うん・・・まだ、気付いてないの・・・?」
「ええ。って榊さんその人を背負ってどうするんですか?」
「心配だから今日は私の家に連れて行くよ・・・」
「な!!だったらこの人は、私の家に泊めます!絶対ダメー!!」

榊は今まで見たことがないくらいのかおりんの強気な態度に驚いた。しかし結局は榊の
「私は一人暮らしだし・・・それに、その、心配だから・・・」
と言う一言に渋々うなずくかおりん。名残惜しそうに榊を見つめながら家に帰るかおり
んを見届けた後、大学に進学した時から借りているマヤーの待つ部屋へと歩き出した。

「ただいま、マヤー」

榊の帰りをイリオモテヤマネコでもあるマヤーはすぐに気付き、奥の部屋から飛び出し
てきて榊の足へとじゃれついた。そんなマヤーを嬉しく感じながら、自分のベットの上
に女性とカードデッキを置いて、マヤーに食事を与えた。元気一杯に食べるマヤーに優
しい笑みを浮かべながらじっと見ていた榊だが、ベットの上から微かな声が聞こえてき
たので急いでベットへと向かった。

「う・・・ん」
「・・・気がついた?」
「・・・あなたは誰?それに蓮は・・・?」

強い意志を眼に宿した若い女性、神崎優衣は周囲を見回した。
(この人の部屋なのかな?でも、なんで私はここに?・・・!!)
優衣は自分のすぐ近くに置いてあった榊のカードデッキに気がついた。

「これはカードデッキ!?・・・ということはあなたも仮面ライダーなの?」

榊はうなずき、ディスパイダーに優衣が襲われていたこと、いつまでも気絶から覚めな
いから自分の家に連れてきたこと等を話した。
906鷹 ◆f.SwudF.K6 :02/12/13 13:26 ID:???
「・・・そっか、あの白い糸はやっぱりモンスターだったんだ。あなたが助けてくれた
 の?」
「友達と一緒に・・・」
「ありがとう。私神崎優衣っていうんだけど、この写真の人を知らない?」

そう言うと優衣は大事そうに小さなカバンから1枚の写真を取り出した。そこには悲し
そうな、寂しそうな不思議な笑みを浮かべている1人の男の姿があった。

「士郎って言うんだけど、どこかで見たことない?」
「・・・見たことはないと思う。」
「え・・・?だったらそのカードデッキはどこで手に入れたの?」
「これはその・・・ちよちゃんから」
「ちよちゃん?」
『優衣さん、私がちよです。』

突然の第3者の声に戸惑う2人。榊は壁に取り付けた全身鏡の中にミラーワールドで自
分の運命を変えた友人、ちよがいることに気がついた。

「ちよちゃん・・・」
「あなたが・・・?でも、何で鏡の中に?それにその姿は・・・?」
『榊さん大変申し訳ないんですけど、少し席を外してもらえますか?』

今までに無いちよの態度に戸惑う榊。だが榊はうなずくと部屋の外へと向かった。
(ちよちゃんの知り合いなのかな・・・?)

榊は夜空を見上げて、1つの流れ星を発見した。流れ星は尾を引いてゆっくりと消えて
いった。
907鷹 ◆f.SwudF.K6 :02/12/13 13:27 ID:???
【次回予告】

「・・・パラレルワールドって聞いたことありませんか優衣さん?」
優衣は手に握り締めていたカードデッキを床に落として泣き始めた。
「どうして、教えてくれないの?」
「・・・わかったわ。あなたの話を信じる。私も、戦いを終わらせる為に戦う!」

【生き残らなければ真実も見えない。ライダーよ、生き残るために戦え!】
908??????????:02/12/13 13:46 ID:5/21GXIS
あずまんがー龍騎!と仮面ライダー神楽も本編の人物が出てきたな。
909メロン名無しさん:02/12/13 22:00 ID:???
>907
乙〜!しかしアプのペース速ぇぇ!もうラストまで考えてあるんですか?
910鷹 ◆f.SwudF.K6 :02/12/13 23:13 ID:???
>907 流れとED・エピローグぐらいは・・・^^;
早く全話を書き上げて修正&UPの流れに入りたい今日この頃。
関係ないけど龍騎の劇場版サントラの神崎士郎はイイ!ね。
911鷹 ◆f.SwudF.K6 :02/12/14 03:19 ID:???
【あずまんがー龍騎!作/鷹】
【第12話優衣】

「あなたが優衣さんなんですね・・・」
「私を知っているの?なら答えて!ここはどこなの!それに蓮は一体何処にいったの?」
「・・・パラレルワールドって聞いたことありませんか優衣さん?」
「パラレルワールド?」

「自分の今生きている世界とは違う無数の可能性の世界。ここもそんな世界の1つなん
 です。ここではカードデッキを使って戦う必要も無いしモンスターから人を守る必要
 もありませんでした。皆が自分の生活を生きる、そんな世界でした。それが士郎さん
 が現れたことによって変化してしまったんです。」

「兄さんが何をしたの?」
「士郎さんが、ミラーワールドをこの世界に持ってきたんです。それ以来モンスターが
 現れるようになってしまいました。あなたはその時、モンスターに襲われていたので
 この世界に一緒に来てしまったと思います。ですからこの世界ではあなたの知ってい
 る人は私と士郎さん以外は誰もいないと思いますよ。」
「・・・」

あまりのことに黙り込んでしまう優衣。そんな優衣を見ながら、ちよは鏡の中から榊の
ベットの上にカードデッキを置いた。思わず優衣はちよが置いたと思われる場所に振り
返った。その場所には白鳥を象った絵が描かれている白色のカードデッキがあった。

「真実を知るためにはあなた自身がライダーとなりこの戦いの中に身を投じる必要があ
 ります。何故なら、真実はライダーの先にしか見えませんから・・・」
優衣はカードデッキを手に取ったが、ちよを強く睨みつけてそれを一蹴した。
912鷹 ◆f.SwudF.K6 :02/12/14 03:19 ID:???
「ライダーになるなんて・・・絶対に、いや!ライダーは願いを叶えるためにライダー
 同士で戦わなきゃいけないって蓮が言ってた。私は自分の願いのために人を殺すなん
 て出来ないよ・・・真実を知るためにはライダー同士で戦わないといけないの?私は
 唯、兄さんがどうして何も言わずに消えたか知りたいだけなのに・・・」

そう言うと優衣は手に握り締めていたカードデッキを床に落として泣き始めた。そんな
優衣の様子を見てちよは言葉を付け加えた。

「そうでしたか。でもこの世界では、そんなライダーは一人もいませんよ。今は・・・
 でも士郎さんはあなたの為にカードデッキを作ったんですよ」
「私の為に?」
少し落ち着いてきて泣き止んだ優衣はその言葉を聞いては問い返した。

「優衣さんは何も知らないんですね・・・それなら、知らない方が良いと思います。」
「どうして、教えてくれないの?」
優衣の質問に静かな笑みを浮かべながらちよは話を逸らした。

「・・・優衣さん、私はライダーになっても誰も傷つけずに戦いを終わらせる方法を知
 っています。あなたもライダーとなって協力してもらえませんか?」
「それは、本当なの!?」
「ええ・・・その方法はミラーワールドの中心にある、コアミラーを破壊することです。
 そしたらミラーワールドは粉々に砕けてゆきます。」

「コアミラー?」
「モンスターの生まれる場所のことです。コアミラーはミラーワールドを常に移動して
 いますので私1人ではとても見つけれません。だから私はみんなにモンスターから身
 を守ってもらうため、そして一緒にコアミラーを探してもらう為にカードデッキを渡
 しました。」
913鷹 ◆f.SwudF.K6 :02/12/14 03:20 ID:???
「でも、その人達がライダー同士で戦い始めたらあなたはどうするの?」
「そんなことはないと信じています。でも、もし万が一そうなった場合・・・私が全力
 で止めます」
そう言うとちよは自身の持っているデッキを優衣に見せた。

「あなたも、ライダーなんだ・・・」
「ええ。私1人だけ見ているわけにはいきませんから。優衣さん、あなたが元の世界に
 戻る方法も私が探しておきますから、その間、デッキを使ってコアミラーを探してく
 ださい。皆で協力してコアミラーを探した方が、効率もいいしそれに・・・早く見つ
 かるほど、モンスターの犠牲となる人も減ってくれます。優衣さん手伝ってください。
 お願いします・・・!」

そう言うと鏡の中からちよは優衣に向かって頭を下げた。そんなちよを見て、優衣は床
に落としたカードデッキを再び拾った。

「・・・わかったわ。あなたの話を信じる。私も、戦いを終わらせる為に戦う!」
「ありがとう、優衣さん・・・」

それを聞いてちよはほんの少し微笑んだかと思うと現れた時と同じようにすぅっと鏡の
闇の中へと消えていった。

(私が仮面ライダーになるなんて・・・。ふふ、蓮が聞いたらきっと驚くわね。そうだ、
 部屋の外に何も言わずに出て行ってくれた女の子を呼ばなきゃ。榊さん、だったかな)

優衣は立ち上がった。途中で茶色の大きな猫に遭遇して驚いたが、そのまま家の外で待
っていた榊に話が終わったことを伝えた。
914鷹 ◆f.SwudF.K6 :02/12/14 03:21 ID:???
【次回予告】

『ファイナルベント』
「プリズムベント・・・」
《奪った8つのデッキを返せ・・・》
「・・・」

【生き残らなければ真実も見えない。ライダーよ、生き残るために戦え!】
915メロン名無しさん:02/12/14 22:40 ID:???
>914
速っ!と思てたらすでに次の話がアプされてるし!
TVスペシャルの設定生かしてるのも面白い。ちよのデッキが何かも気になる。
916鷹 ◆f.SwudF.K6 :02/12/15 01:17 ID:???
>915 そういうレスは嬉しいです。もっと頑張ります!
次スレは・・・どうするんだろ?
久しぶりに来てみたら新人勢の勢いが凄い……負けそう、つか負けてます(w

次スレはどうしましょうかね? 出来れば名無しの方に立ててもらうのが公平で良いかと。
一応テンプレみたいな物は作ったほうが良いんでしょうか?
918鷹 ◆f.SwudF.K6 :02/12/15 08:35 ID:???
じゃあ当方少しテンプレでも作っときマス。

あずまんが大王で仮面ライダー龍騎2

みんな、ずっと、一緒…の筈だったのに、どうしてこんな事に!?
こんなの、酷すぎるよ…だが、それがお前達の運命だ
戦え、ライダーは戦わなければ生き残れない…
果たして、彼女たちはどう戦い、どう生き残るのか!?
919鷹 ◆f.SwudF.K6 :02/12/15 08:35 ID:???
前スレ
あずまんが大王で仮面ライダー龍騎
http://comic.2ch.net/test/read.cgi/asaloon/1023956889/l50
関連HP
あずまんが大王で仮面ライダー龍騎(オーディソ氏のSS保管所)
http://members.tripod.co.jp/AzumangaRyuki/index.html
920鷹 ◆f.SwudF.K6 :02/12/15 08:46 ID:???
後思いつかんなー・・・だれか補完お願いします。
>鷹さん
まだ1スレ目ですし、テンプレはこれで良いと思います。

そろそろ容量も危なくなってきたようです。
>930辺りの方、新スレの方を宜しくお願いします。
922鷹 ◆f.SwudF.K6 :02/12/16 17:33 ID:???
オーディソ氏へ
修正した第一話とプロローグを書き込んでおきますので、よろしければ保管所に
保管して下さい。
923鷹 ◆f.SwudF.K6 :02/12/16 17:34 ID:???
【プロローグ】

高校の卒業式を終えた、春。泣いて、くしゃみして、お礼して、写真をとって・・・
穏やかな卒業式を迎えた後、かつての友人達は最後にマジカルランドへと行った。

『また会おうね!』

という言葉と共に、それぞれの道を歩き始めた。
・・・舞台は太陽の恵みの季節でもある、夏から始まる。彼女達はこれから自らの運
命を大きく変える出来事に出会うことになる。ちよと。ミラーワールドと。そして仮
面ライダーの力と・・・
924鷹 ◆f.SwudF.K6 :02/12/16 17:37 ID:???
【あずまんがー龍騎!作/鷹】  
【第01話榊と神楽】

始まりは榊の高校時代からの友人でもある、神楽からの一本の電話だった。

「はい・・・」
「よ!榊。神楽だけどさ、明日会えねーか?実は頼みたいことがあるんだー。」
「明日・・・」
榊は取り付けてあるカレンダーに視線を向けた。

「・・・大丈夫」
「よっしゃ!待ち合わせ場所だけどさ、マジカルランド前の喫茶店で時間は・・・」
「・・・わかった」
「よしと。じゃ榊、明日また会おーな!」

神楽は詳細を榊に伝えて電話を切った。次の日榊は待ち合わせ場所でもある、マジカル
ランド前の喫茶店へと向かった。そこではすでに待っていた神楽が榊に手を振っていた。
「おーい榊こっちだー」
「神楽・・・」
「おはよう!・・・すっげー久しぶりだけどお前全然変わってないなー」
「そうかな・・・?」

再会した榊と神楽はそのまま喫茶店へと入った。注文を終え、店員が去った後、周りを
気にしながらこっそりと神楽が榊に言い出した言葉がこれだった。

「なあ榊、仮面ライダーって知ってるか?」
「かめんらいだー・・・」
「ほら変身!とか言って悪の組織と戦うやつ。」

神楽は立ち上がると、右手を引き左手を斜め上に向かって伸ばして変身ポーズをとった。
そんな神楽に対して、顔を真っ赤にしながら榊は慌てて言った。
925鷹 ◆f.SwudF.K6
「その、少し恥ずかしい・・・。」
「あ、悪い悪い。それでさ、今、こんなの持っているんだ。」

神楽は椅子の下に置いていたカバンをテーブルの上に置きごそごそと何かを探し始めた
が、やがて見つけたらしく嬉しそうな表情をしながらテーブルにそれを置いた。
『カタン』
軽やかな音が鳴った。神楽は満面の笑みを浮かべながら榊がそれを手にとるのを見ていた。

(何だろう?名刺入れかな・・・)
「これさ、たくさんあるんだー♪」
神楽はそう言うと、もう1つテーブルの上に置いた。

「・・・これは?」
「さー私もよくはわからないんだけどさ、テレビには写ってたよ。日曜日の朝のチャンネ
 ルって、特撮とかがやってて弟と一緒に時々見るんだけど、その時、これとそっくりな
 ものが写っていたんだ。あ、そうそう特撮って、えーっと・・・ウルトラマンとか。」

「・・・どこで、見つけたの?」
「ん?これか?これは今朝机の上に置いてあったんだ。で、弟に聞いてみたら仮面ライダ
 ーりゅき?が変身するときに使う「カードデッキ」ってさ。つまり、これがあったら変
 身できるかも知れないってことだぜ!」
「変身・・・」

榊は今まで聞いたことが無かった変身という言葉に空想の翼を広げた。