天地と久しきまでに万代に萌え祭らむ〜慶祝スレ18章

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1醍醐旅団長@少女形態
 世界の名だる艦隊が日本近海に集結し、新潟では戦死者たちを祭る還魂の祭が
繰り広げられる。激動する国際情勢の中で疲弊する皇国日本はいかなる命運を辿るのか?

前スレは256kbの新スレッド容量制限のために、新スレ移行致しました。
・sage進行を守って軍事板のみなさんにご迷惑をおかけしないように致しましょう
・軍事板に間借りする意義を忘れず、軍事を学び楽しむ姿勢を保ちましょう
・慶祝スレ内のルールと礼節を尊重してくださいませ

なお皇式サイトはこちらですので打ち合わせや問い合わせはこちらにて。
http://www30.freeweb.ne.jp/play/keishuku/index.html


なお皇式サイトはこちらです
2醍醐旅団長@少女形態:2001/08/19(日) 03:23
・第壱スレッド
「慶祝!!皇太子妃ご懐妊」
http://yasai.2ch.net/army/kako/987/987394714.html

・第弐スレッド
「〜萌宮様の辺にこそ死なめ〜慶祝スレッド第弐章」
http://yasai.2ch.net/army/kako/988/988353583.html

・第参スレッド
「〜海ゆかば萌える屍〜慶祝スレッド第参章」
http://yasai.2ch.net/army/kako/989/989685827.html

・第肆スレッド
「〜萌えよ剣〜慶祝スレッド第四章」
http://yasai.2ch.net/army/kako/990/990026056.html

・第伍スレッド
「萌えよ!!勝利は我に在り 慶祝スレッド第五段」
http://yasai.2ch.net/army/kako/990/990284251.html

・第陸スレッド
「〜新潟は萌えているか!?〜慶祝スレッド第伍章〜」
http://yasai.2ch.net/army/kako/990/990789692.html

・第七スレッド
「〜起て! 萌えたる者よ〜 慶祝スレッド第七章」
http://yasai.2ch.net/army/kako/990/990987120.html

・第八スレッド
「〜倭の国は……萌えの幸はふ国〜慶祝スレッド第八章」
http://yasai.2ch.net/army/kako/991/991328032.html

・第九スレッド
「〜海と萌えと妄想と〜慶祝スレッド第九章」
http://yasai.2ch.net/army/kako/991/991497749.html

・第壱拾スレッド
「〜萌え出る国の皇女たち〜慶祝スレッド第十章」
http://yasai.2ch.net/army/kako/991/991546790.html
3醍醐旅団長@少女形態:2001/08/19(日) 03:24

・第壱拾壱スレッド
「大君の御笠の山に萌える花〜慶祝スレッド第十一章〜」
http://yasai.2ch.net/test/read.cgi?bbs=army&key=992249963

・第壱拾参スレッド
「天気晴朗ナリテ萌エ高シ〜慶祝スレッド第十三章」
http://yasai.2ch.net/test/read.cgi?bbs=army&key=992799264

・第壱拾肆スレッド
「我征くは萌えの大海〜慶祝スレッド第十四章」
http://yasai.2ch.net/test/read.cgi?bbs=army&key=993330869

・第壱拾伍スレッド
「萌えの世になれこし契りくちずして〜慶祝スレ第15章」
http://yasai.2ch.net/test/read.cgi?bbs=army&key=994533830

・第壱拾陸スレッド
萌え花や、宮は東に院は西に〜慶祝スレッド第十四章
http://yasai.2ch.net/test/read.cgi?bbs=army&key=995826495

・第壱拾七スレッド
既に得し萌や逃げて月ひとり〜慶祝スレッド第十七章
http://yasai.2ch.net/test/read.cgi?bbs=army&key=997532937
4葛城:2001/08/19(日) 03:27
旅団長殿。新スレ制作、ご苦労だった
5醍醐旅団長@少女形態:2001/08/19(日) 03:27
http://teri.2ch.net/test/read.cgi?bbs=saku&key=996802190
前スレの倉庫行き申請完了いたしました。
>>1
どうもご苦労さまでした。
それでは、これからもどうぞよろしく(笑)
>醍醐旅団長@少女形態殿
 ご苦労様でした。

 はっ、岩田と少女形態殿(仮称名:深山 奏子)……可愛い!?
 ハァハ……って、いやイカン!
 ワタシは六九式教授に全ての萌を捧げているのに(自爆)

 自己批判です!(超絶熱核自爆)
8善行忠孝@休暇中:2001/08/19(日) 03:31
>>1
新スレお疲れさまでした。
毎回々々どうもありがとうございます。
9葛城萌香:2001/08/19(日) 03:32

「お祭りか、・・・久しぶりやね」

真っ黒いタートルネックのサマーセーターに黒のタイトミニ、といういでたちで、葛城萌香は「親皇教団」の主催する宴会の雑踏の中を歩いていた。
手にしたジャケットもハンドバックも黒い。

「確かに、特定の政治団体に加担できへんちゅうのも判るけど、ああもけんもほろろに断るかい」

どちらかというと東北系の彫りの深い美貌が、子供っぽく拗ねてみせる表情のせいで実年齢よりもかなり若く見える。
ふらふらと人混みを楽しみつつ歩く彼女の目に、ひっそりと明りの漏れているバーが目に入る。

「ふん、ええやろ。一杯引っ掛けて、憂さ晴らそ」
10葛城萌香:2001/08/19(日) 03:33
>>1
ども、旅団長さん、ご苦労さんです(笑)
これからもどうぞよろしゅう(笑)
11葛城萌香:2001/08/19(日) 03:41
前スレ>>262 のバーに入って、感心したように内装を見回す。

「ふーん、ええ趣味やね」

そのまま、カウンターの一番奥の席に座り、ひじをついて両手の指を交差させ、顎をその上に載せる。

「・・・誰かおるん?」
12皇女:2001/08/19(日) 03:41
>>1
ごくろうさまですー。
13葛城:2001/08/19(日) 03:49

[無情深夜]
(原曲:ミッドナイト・シャッフル 原典:平家物語)

無常堂(むじょうどう)に 響く鐘の音が
真萌(しんじつ)の 響きに聞こえる
境内の すみっこで
涙した その萌えを
震えつつ 抱きしめた 冷たい瞳で

沙羅双樹(さらそうじゅ)の 色の散りざまに
おごる者の 末路をかさねる
現実は 何処なのか
真萌(しんじつ)は 何なのか
悩むほど 遠ざかる 萌えの道

真萌(まこと)のような 虚実(きょじつ)の萌えが
常世(とこよ)から 溢れいでくる
挫けそうでも 迷いそうでも
見つけだす 必ず
本当の 萌心(こころ)を

強き者も いつしか消えゆく
まるで春の 夜の夢のよう
あきらめるな、その萌心(もえ)が
支えてて くれるから
迷わずに その萌心(もえ)を 信じてろ

真萌(まこと)のような 虚実(きょじつ)の萌えが
聞こえてる オマエの胸に
罪もないのに 苦しんでいる
その萌心(こころ) せつなく
萌(もえ)を呼び続ける…

現実は 何処なのか
真萌(しんじつ)は 何なのか
悩むほど 遠ざかる 萌えの道

真萌(まこと)のような 虚実(きょじつ)の萌えが
常世(とこよ)から 溢れいでくる
真萌(まこと)のような 虚実(きょじつ)の萌えが
聞こえてる オマエの胸に
罪もないのに 苦しんでいる
その萌心(こころ) せつなく
萌(もえ)を呼び続ける…
14師匠と炎上:2001/08/19(日) 03:51
   ∧ ∧
   (.´Д`)ハァ
  .< y >
. . ( ̄ ̄)

          . ∧ ∧
   ∧ ∧    (゚ω゚丶)ぃょぅ
 (.;゚Д゚)   ⊂、y  )       .
  .< y >    || |==|
. . ( ̄ ̄)   || |__|

  シ、シショウ   . ∧ ∧
   ∧ ∧    (゚ω゚丶)ぃょぅ
 (.;゚Д゚)   ⊂、y  )       .
  .< y >    || |==|
. . ( ̄ ̄)   || |__|

師匠入れ歯入れて下さいヨ
___ _______
    V     . ∧ ∧
   ∧ ∧    (゚ω゚丶)<ふぉまえはぁぃょぅ
 (.;゚Д゚)   ⊂、y  )       .
  .< y |つ   || |==|
. . ( ̄ ̄)   || |__|
15師匠と炎上:2001/08/19(日) 03:52
師匠、死んだはずじゃ…
___ ______
    V     . ∧ ∧
   ∧ ∧    (゚〜゚丶)モゴモゴ
   (.;゚Д゚)   ⊂、y⊂)
  .< y |つ   || |==|
. . ( ̄ ̄)   || |__|

          . ∧ ∧  /
   ∧ ∧    (゚Д゚丶)< まあ、今日だけょぅ
   (.;゚Д゚)   ⊂、y .) \      .
  .< y |つ   || |==|
. . ( ̄ ̄)   || |__|

師匠、お、俺
___ __
    V     . ∧ ∧  /みなまで言うな
   ∧ ∧    (゚Д゚丶)< お前は適当にやってりゃいいょぅ
   (.;゚Д゚)   ⊂、y⊂) \
  .< y |つ   || |==|
. . ( ̄ ̄)   || |__|

   ヒデエヤ   . ∧ ∧  /
   ∧ ∧    (゚Д゚丶)< ホラ最後に手品見せてやるょ
   (.;゚Д゚)  日⊂日⊂) \どっちにボール入ってるょ?
  .< y |つ   || |==|
. . ( ̄ ̄)   || |__|
16師匠と炎上:2001/08/19(日) 03:53
俺が選ばなかったほうですよ
___ _____
    V     . ∧ ∧  /
   ∧ ∧    (゚Д゚丶)< 当たりだょ
   ( ゚Д゚)  日⊂日⊂) \
  .< y |つ   || |==|
. . ( ̄ ̄)   || |__|
         .
   ∧ ∧      \|/  /
 ( ゚Д゚)  日  ―  ― <500円入れといたからタコヤキでも食えょぅ
  .< y |つ     /|\  \
. . ( ̄ ̄)  
        
   ∧ ∧  
   ( ゚Д゚)<・・・・
  .< y |つ   
. . ( ̄ ̄)  日 ストン
17醍醐旅団長:2001/08/19(日) 03:58
「そう……萌えているか……」
 麦藁帽子を傾けて、少女は幼い顔立ちに不釣合いな大人びた微笑みを周囲の死者に投げかける。
「私も……ずっと、そうありたいものだ……」
 少女は今度は年相応に幼く優しい微笑みを浮かべながら周囲の魂たちにそう呟く。
 涙一筋が微笑みの中で一滴。
「じゃあ……また、私は……殿下のところへ戻る……から」
 うわりとサマードレスに空気を含みながら立ち上がり、ひらひらと手を振る。
 周囲の霊たちは、そんな彼女に妙に和んだような安らいだ笑顔で敬礼する。
「……ガッチリガーター!」
 それに答えて、少女も答礼して。
 ふわりと少女は彼女の主への元へ帰っていった。
18みなぎ:2001/08/19(日) 04:00
>>11
さあて、誰が来るかなあとか、見ていたらば・・・・・・
「いらっしゃいませ!・・・・・・・・・・!!」
やあ、びっくりしましたね。まさかここで会うとは思いもしませんでした(笑)

「どうも。萌原さん。いらっしゃいませ。・・・・何にします?たいていのご注文は対応できますよ
これが本業ですから(笑)」

電波
新スレ移行お疲れ様です。・・・・・・・しっかし早いなあ・・・・・・
Look ahead,look astran, look a weather and a lee

(choir)
Blow high! Blow low! and so sailed we!

I see a wreck to windward and a lofty ship to lee
a sailing down all on the coast of High Barbary

(choir)
Blow high! Blow low!

”Oh are you a pirat or man o‘war?”cried we

(choir)
Blow high! Blow low! and so sailed we!

”Oh,I‘m not a pirate but a man o‘war?”cried he
a sailing down all on the coast of High Barbary


(choir)
Sailing sailing, Sailing sailing

For broad side,for borad side we fought all on the main

(choir)
Blow high! Blow low! and so sailed we!

Until at last the frigate shot pirate mast away
a sailing down all on the coast of High Barbary

But,Oh it was a cruel sight and grieved us full sore

choir)
Blow high! Blow low! and so sailed we!

To see them all a drowning as they tried to swim a shore
a sailing down all on the coast of High Barbary!
20(超意訳):2001/08/19(日) 04:11
前を見ろ!後ろを見ろ!海の天気は変わりやすいぞ!

(合唱)
風よ吹け!おれたちの航海はまだ続くぞ!

目の前にぶっ壊れた船が見えるぞ!あれは風上の方だ、注意しろ!
7つの海をまたにかけるハイ・バーバリーへの航海だ!

(合唱)
風よ吹け!強く!弱く!

「おまえらは海賊か?それともやられちまった船か?」壊れた船に乗っていた連中に聞いた。

「海賊だなんてとんでもねえ!!やられちまったよ、注意しな!」連中は言った。

(合唱)
ほら行け!出動だ!おれたちの出番だ!

大海原でおれたちは海賊どもと大立ち回りさ!
当然おれたちの大勝利!やつらはちりぢりに逃げていった!

でもこうも、見事に勝ってしまうとちょっと悪い気もするなあ。

連中は海岸まで泳ぎつけるはずはないが、まあ一応確認にいくぞ!
7つの海をまたにかけるおれたちの航海はまだまだ続くんだ!

(イギリスあたりの船員の歌だそうです。 )
21葛城萌香:2001/08/19(日) 04:14
>>18
「あんちゃん、女の名前間違えるなんて、この場でパチキ噛まされても文句言えへんで(笑)」

苦笑気味に目を細めてカウンターに出てきたマスターに流し目を送る。

「ま、うちはここは初めてやからね。そうやね、「スプリングバンク・1965」でてぇ打ったろ(笑)」
22みなぎ:2001/08/19(日) 04:23
>>21
「失礼しました。・・・・・・・・・あれ?・・・・・・・・(キャラがかぶって見えるのは私の気のせいですか?)」

気を取り直してスコッチのバックバーを漁る。
「しかし、いきなりすごいの頼みますね(笑)普通の店じゃ置いてませんよ。」
と、言いつつ引っ張り出してくる。
「ワンショット、サービスさせて頂きます。シングルがよろしいですか?」
23葛城萌香:2001/08/19(日) 04:26
>>22
「(キャラ被ってって、そやろね(笑) でも、慶祝スレデビューはうちの方が早いんよ(苦笑))」

「うん、ハイランドモルト飲(や)るのに、シングルっちゅうのもつまらんやろ(笑) ダブル」
24みなぎ:2001/08/19(日) 04:31
>>23
(確かにそうですね。しゃべり口調で判断してしまいました。失礼)
「かしこまりました。どうぞ。越後の名水がありますからチェイサーにどうぞ。」

(サービスで出す値段の酒じゃないですやね。つくづく(笑))
25萌原玲:2001/08/19(日) 04:36

突然barの扉が開き、萌原が現れる。
「誰か呼んだ?>>18辺りで確実に呼ばれた気がしてんけど?」
26葛城萌香:2001/08/19(日) 04:41
>>24
置かれたショットグラスを手に持つと、目線まで掲げて口の端を微笑の形に歪める。

「Strength and honor」

>>25 で入ってきた萌原に向かって、面白そうな色をたたえた瞳で流し目を送る。

「お嬢はん、よければ一杯引っかけていかへん? 女の名前ひとつ覚えられへんマスターが一杯奢るって(笑)」
27みなぎ:2001/08/19(日) 04:41
>>25
「あははははは。これはこれは(大苦笑)いらっしゃいませ。どうぞ飲んでいって下さい。」
もう笑うしかないやという状況。
「今日はお祭りです。ひょっとしたら久しい人たちと会えるかもしれませんよ。
とりあえず一杯どうですか?呼び付けてしまったお詫びにワンショットサービスいたしますよ(笑)」
28萌原玲:2001/08/19(日) 04:45
>>26, 27
肩をコキコキッと言わせながら。
「いやエライ目におうた。
吉野からここまで原チャリでどんだけかかるか知っとお?」
とカウンターに腰かける。

葛城萌香を見て。
「ほな、一杯つきあわさしてもらおか。
化け猫、うっとこギネスな。缶とか出すなよ?」
29葛城萌香:2001/08/19(日) 04:50
>>28
「ふーん」

入ってきた萌原玲を、上から下までゆっくりとためすすがめつ見ながら、ちろちろとハイランドモルトを楽しんでいる葛城萌香。

「ま、しゃあないわな。こんな別嬪さんに間違えたんなら、ここはあんちゃんの面子たてたろ(笑)」

「うちは、葛城萌香。嬢はんは?」
30みなぎ:2001/08/19(日) 04:53
>>28
「想像したくもありませんね、いや本当に。」
よっく冷えたグラスにギネスを注ぐ。泡をかぶせるのは勿論イギリス製のサーバー。
クリーミーさが本場のものは違う。

「はい、どうぞ。チェイサーにされるのでしたら冷えてないのもありますよ」

(実生活でも女の名前が覚えられない私・・・・・・・・(大汗))
31萌原玲:2001/08/19(日) 05:00
>>29
いつもの仏頂面を崩さぬまま、ちらりと葛城を見る萌原。
「萌原いいます、よろしゅう」
ほんのかすかに微笑らしき物を口元に湛えている。

>>30
「お、おおきに」と一口。「ああ、イギリスもんやな。
惜しいな、次は本物のアイリッシュ・ギネス期待してるで
(悪戯っぽい微笑)」
不透明な黒い液体を半分ほど流しこみ、再びみなぎを見る。
「どんぐらいかかるんやろな。私も知らんけど」

でむぱ
旅団長閣下、スレ立てお疲れ様です。
さっき忘れてました(笑)
32葛城萌香:2001/08/19(日) 05:05
>>31
「嬢やん、折角の別嬪がだいなしやね(苦笑)」

ゆっくりとカウンターの上にかかめていた身体を起こすと、葛城萌香は口の端に浮かべている微笑を微苦笑に歪めて、ちろりと舌先でグラスの縁のスプリングバンクを舐める。

「ま、ええやろ。マスターこの嬢やんに同じもンを出したってや。うちの奢り」
33萌原玲:2001/08/19(日) 05:13
>>32

「ちょっと待ってな」とふと呟いて、しばらく考え込んでから。
ふとみなぎを見る。
「やっぱ口説かれてるんやと思うか?」
とくそ真面目な顔で訊ねる。

そしてちょっと眉間に皺をよせて葛城の方を見て。
「…やっぱ口説かれてるん、これ?
まあそれならそれで、別にええねんけど。
ごっそうなります」
34みなぎ:2001/08/19(日) 05:17
>>31
>>32
「あははは。失礼しました。今度はアイルランドの機械にしますね。イギリスのも
捨てたもんじゃないと思いますよ?(負け惜しみ)
はい、スプリングバンク1965のダブルです。チェイサーはギネスをそのままどうぞ。」

グラスを置くと、自省気味に自分の頭を小突いてもう一つグラスを出してくる。
「どうも、地雷を踏みまくっていけませんね。私も頂くことにします。」
自作の梅酒を持ち出し、グラスに注ぐと目の高さまで掲げる。
「では、乾杯。」
35みなぎ:2001/08/19(日) 05:19
>>33
「・・・・・・・考えすぎ・・・・・って事にしておきませんか?」
グラスを置く時、そんな事をこっそり言ってみたり(笑)
36葛城萌香:2001/08/19(日) 05:23
>>33
「女が女口説いてどないするんや!!(爆)」

思わず笑い転げる葛城萌香。
軽く目尻の涙を指先でぬぐうと、今度はするっと萌原玲の傍に近寄る。

「ま、ベットに引っ張り込む込まないは別にして、うちは綺麗なもンはなんでも好きやけどね。だから、嬢やんも気に入ったんは本当よ(笑)」

そのままふわりと身体を離し、もといた席へと戻る。

「ま、けど酒のつまみにするなら、見目麗しおのこの方がええんよ(自爆)」

そのまま、一気にグラスを煽り、綺麗な音をたててカウンターに置く。

「だから、これで一杯で終わらせとこ」
37萌原玲:2001/08/19(日) 05:26
>>34
「Cheers」とグラスを軽くかかげる。
それから葛城の方へ会釈をしつつグラスをかかげて、
「Strength and honour」
萌原の英語はピュア・アイリッシュ・アクセントである。
Rの音を言うと口の中で舌が回転するような、
舌ったらずな印象すら与える。

一息でグラスを空けると、カウンターにそっと下ろし。
再びみなぎを見る。
「なんか嘘っぽくないか?やっぱ図星やろ、あれは」
そして葛城に向き直り。
「いや、ごっそーさんです」
38葛城萌香:2001/08/19(日) 05:32
>>34
「ほい、ごちそうさん(笑)」

と、つっと指先で唇をなぞり、目を細める。
ちろり、と舌先で指先を舐めてから、くすりと笑った。

>>37
「亭主いた女が、女口説いて楽しいもんかい(苦笑)」

けらけらとひとしきり笑ってから、ちろりと舌を出す。

「ま、でも可愛いやね。だから、嬢やんさかなにも一杯いこか(自爆) マスター、同じものをもう一杯」
39みなぎ:2001/08/19(日) 05:35
>>37
「Skal」
スウェーデン式に乾杯を発声して梅酒ロックをくい、とあおる。

「どうでしょうね。でも、ネタとしては未出ですからありかもしれませんねえ(謎)」
コソーリ、と。
40萌原玲:2001/08/19(日) 05:39
>>37
「亭主おったって、過去形やんか。
またどないしはったん?
やっぱ保険金?埋めたん、沈めたん?

あ、化け猫、このお姉ちゃんにもギネス出したって。」

そして葛城を見て。

「ゴメンな。辛気臭い話キライやねん。
ある意味大好きやねんけどな。
私の周りでは自然に話したがるやつ少ななるな。

ていうかコラ化け猫、何一人で美味そうなモン飲んでんねん?」
41みなぎ:2001/08/19(日) 05:42
>>38
「あ、そうだったんですか。失礼しました。お若いのにご苦労されましたねえ。」

ボトルに栓をしつつ、ふい、と見る。あれれ、もうこんなかい・・・・・・

「もう残り少ないですが、ボトルごと差し上げますよ。プレゼントです(笑)」
42葛城萌香:2001/08/19(日) 05:44
>>40
「亭主ね、あれこの前の戦争で逝ってもうたン(苦笑) ま、きっちり仕事してあの世逝ったから、ミノスも悪い様にはあつかわんやろ(苦笑)」

「そやね、うちも辛気くさい話は好きやないんよ。だから、ぱっと景気づけでもしよか(笑)」

そして、ひらりと立ち上がる葛城萌香。
見られることに馴れている女ならでは堂々とした、そして優雅な足どりでバーの中央に置いてあるピアノへと近づく。
43みなぎ:2001/08/19(日) 05:47
>>40
「化け猫、化け猫って・・・・・・・(苦笑)それに保険金はまずいでしょう・・・・(半笑)
はい。ギネスもどうぞ」
グラスを出してから萌原に向き直ると、梅酒のボトルを取り出す。
「自作なんですよ。これ。いいでしょう。飲んでみますか?」

グラスを二つ出して注ぐと二人に差し出す。
44葛城萌香:2001/08/19(日) 05:48
カウンター席に一人きりで座っているのにも飽きたのか、バーの中においてある古びたピアノに向かう葛城萌香。

「ふ〜ん、なんや調律はしてあるんやね」

その白く長い指で鍵盤を撫でるように鳴らし、音階と音律を確かめていく。

「マスター、借りるよ」

「Ave verum corpus natum de Maria virgine,
Vere passum immolatum
in cruce pro homine.
Cujus lautus perforatum un da fluxit
et sanguine.
Esto nobis praegustatum in mortis examine.」

ふう。
歌い終わると同時に軽く息をついた葛城萌香は、少しだけ上気した顔を二度三度とふった。
と、なにやら悪戯小僧めいた表情を浮かべると、もう一度同じ曲を奏で始める。

「めでたし、皇国の萌え為に生まれ給いし
 まことの御皇女
 萌えのために、まことのハァハァ……(;´Д`)を受けたまい、
 ハァハァ……(;´Д`)の対象となり給うた。
 その御玉体をハァハァ……(;´Д`)され給い
 多くの汗と光る液体を流させ給えり
 ハァハァ……(;´Д`)のもだえに先立ち、我等の萌えとなり給え」

綺麗なソプラノで一気に歌い終わると、少しだけ不安そうにきょろきょろとあたりを見回す。

「ん、ま、気も晴れたし、今日はこれぐらいにしておいてやろ(笑)」

「嬢やん、楽しかったよ。また機会があったらうちと遊んだってな(笑)」

>>40 マスター、ありがと(笑) でも、それは二人で空けたってな。死んだ亭主さかなに飲むのは、ちょっちね(苦笑)」

ちろり、と舌を出すと葛城萌香は、カウンターに置いておいたジャケットとハンドバックを取り、バーの外へと出て行った。
45萌原玲:2001/08/19(日) 05:57
>>44
葛城萌香の去って行った方をぼんやりと眺めながら、ちびちびと黒い液体に
口をつける。
ふとみなぎを見て。
「何言うてんねん、惚れた女に殺されるんやったら本望やろ。
それぐらいの覚悟ものうて結婚してどないすんねん。
あー、辛気臭。
死人死人言うて、なんでそんな暗なるねん?
死に際いうんはいっちゃんでかい舞台やど?そこでどんだけ
デカイ花火打ち上げられるか、そのために生きてんねん。
よかったなあ、言うて死なすんが筋やねん。
そこで暗なっとってんな。そいつらがええ花火上げれたんを
前提として否定してるようなモンやんけ」
そう言いつつ、しばらく視線を空でさまよわせた後、
残っていたギネスを飲み干して。

「ほな、帰るわ。朝までに着かんとヤバイさかいな。
ごっそーさん、なんぼ?」
答えを聞く前に、半分に折った一万円札の束を取り出して、
ポンと投げる。
「祝儀や。とっとき。ほなな」
46みなぎ:2001/08/19(日) 05:59
>>44
「アヴェ・ヴェルム・コルプスですか・・・・・・・はあ・・・・・・いや、確かにそんな意味ですけどねえ(爆)
あ、ピアノはいつでも使えますよ。私が使ってますので(自爆)
また気が向いたらご来店くださいな。いつでもお待ちしております。」

萌香女史を見送ると、ボトルを引っ込め、手をつけていないギネスをくい、とあおった。
まるで「もったいないから」と言わんばかりに(爆)
47みなぎ:2001/08/19(日) 06:07
>>45
万札を残して萌原女史は去っていった。
・・・・・・いや、おつりの方が多いですよ・・・・・実際。

一人になった店内で残った梅酒のグラスを空けていく。

まあ、猫である我々にとっては死は日常の一こまである。
明日にも死ぬことは有り得る。別に大層なことでもない。
死に花という概念すらないのだから「犬死に(この場合は猫死に)」って言葉がある訳で。
だからこそ、生きているうちに好きに生きよう、とか思うのである。

さて、私も帰らなくちゃ行けない。帰られる前に宮様にお蕎麦打ちを教えてさしあげねば。
48さんぷらざ中野@善行忠孝:2001/08/19(日) 06:10
宴もほとんど終わりに近づき、皆がまたーりとし始めたその瞬間。

真っ暗な舞台の上に七色のステージライトがともり、あたりを色とりど
りに照らし出す。と、ギターの激しいアタック音が周囲のスピーカーか
らあたりに響き渡り、ステージの背後に高々と花火が打ち上げられる。

「こなさんっ!! みんっばんっわっ!! サンプラザ中野っでーっすっっ!!」

と、白い人民服を着て、丸サングラスをかけ、つるつるのハゲづらをか
ぶった善行忠孝が、舞台の上に登場。同様にハゲづらをかぶり、人民
服を着た筋肉科連帯戦闘団の漢達が、思い思いの楽器を手にかき鳴
らしている。

「でわでわっ!! メンバーの紹介をするぜいっ!!」

「ドラムスっ!! ふぁんきぃ・若宮!!」

見事な上腕二等筋をさらした若宮康光一等陸曹がドラムを叩く。
ただしハゲづら。

「ばぇえすぅっ!! 瀬戸口・ほーじんんっっ!!」

綺麗に引き締まり盛り上がった臀筋をふりつつ、ベースのアタック音
を響かせる瀬戸口隆之三等陸曹。しかしハゲづら。

「ぎとぅわああっ!! ぱっぱら・来須ぅうっ!!」

しなやかな太股筋を見せつけつつ、32ビートのギターソロを奏でる
来栖銀河陸曹長。こいつもハゲづら。

「そりでわっ!! 今日は宴会の最後の最後、トリをとらせてもらいまし
たHAGEFU−SLUMP! 一曲逝かさせていただき、まーっすっ!!
みなさんっ、聞いてちょんまげっ!!」
49Barder:2001/08/19(日) 06:11

  ハゲを避けた ウィッグショップで
  君はすこし うつむいて
  もう戻りはしないだろう といったね

  瞳の中 ハゲを映した
  悲しいほど 誠実な
  君に何を いえばよかったのだろう

  かげりのない俺様の
  髪は抜け落ちてく
  風はいつも強く吹いてる

  ハゲるハゲる 俺たち
  輝く頭もそのままに
  いつかたどり着いたら
  君にうちあけられるだろ


  薬屋に忍び込んで
  育毛剤買い込んで
  髪の数を かぞえて眠った あの頃

  かかえきれぬ 思いを胸に
  君は かるくほほえんで
  ふり返らず この店を 出て行くのか

  飾りのない 俺様の
  髪は 引き抜かれて
  頭はいつも 輝きみえてた

  ハゲるハゲる 俺たち
  輝く頭もそのままに
  いつかたどり着いたら
  君にうちあけられるだろ

  たとえ今は 少なく
  儚い髪の毛だとしても
  言葉もない 俺たち
  ひどく暑かった日の夕立


  かげりのない俺様の
  髪は抜け落ちてく
  風はいつも強く吹いてる

  ハゲるハゲる 俺たち
  輝く頭もそのままに
  いつかたどり着いたら
  君にうちあけられるだろ

  たとえ今は 少なく
  儚い髪の毛だとしても
  言葉もない 俺たち
  ひどく暑かった日の夕立
50謎の司会者ペント・ミノ:2001/08/19(日) 06:44
 ありがとう! ありがとう! 今日はみんなよく歌ってくれた!
 死者も生者もひとしくこの宴に参加して、歌い思い萌えてくれたと思う!

 みなさまのおかげで、なんと1億円を越える募金もあつまりした!
 みなさまへりの募金は全世界の恵まれない人たちのために使わせていただきます!

 そろそろ24時間マラソンのほうはいかがでしょうか?
 東京から新潟まで親支派侍従氏は走り辿りつけられるのでしょうか?
 まもなく24時間が過ぎようとしています。
 侍従氏はまだ会場に姿を現しません!
「がんばれー」、「がんばれー侍従さん!」、「あと少しだー」
 ゴール間近まで迫っておりますが、誠に申し訳ありませんが放送時間を過ぎようとしています。

(例の前奏が流れ始める)
イントロ:C F C G7

C       F    C  Am G7
遠い萌え すてきれずに 故郷をすてた
 C  G   Am   Em   F      G7sus4-G7
穏やかな 春の陽射しが ゆれる小さな宮城(しろ)

 はたして歌の最中に侍従氏はゴールインできるのか?
 みなさま、最後はいつものように、この歌で侍従さんを迎えましょう!
(「萌えは地球を救う」と書かれた黄色いTシャツを着た東朝のボランティアたちの合唱が始まる)

別離(わかれ)より悲しみより 憧憬(あこがれ)はつよく
淋しさと 背中あわせの ひとりきりの旅立ち
動き 始めた 駐車場の行列を 流れてゆく カタログだけを じっと見ていた
幕張 晴海の コミケの空は 哀しい程青く 澄んで 胸が震えた

応募をして落選は 眠れずに過ごす
サークルの 修羅場越し 見てた大手の星
この会場で萌え追うなら もう少し強く
ならなけりゃ 締め切りに 負けてしまいそうで
動き始めた 朝の輪転機 オタクの群れに埋もれながら 空を見上げた
幕張 晴海の コミケの空へ流れてゆく白い雲に 胸が震えた

離れれば離れる程 なおさらにつのる
この想い 忘れられずに ひらく古いカタログ
若げの至りの同人誌に 包まれて過ぎた
やわらかな 日々の暮らしを なぞりながら生きる
まぶたとじれば 浮かぶ景色が 迷いながらいつか帰る 萌えの故郷
幕張 晴海の コミケの空へ いつか帰る その時まで 萌えはすてない
51名無し三等兵:2001/08/19(日) 07:06
52名無し三等兵:2001/08/19(日) 07:08
間違えた
53醍醐旅団長@少女形態:2001/08/19(日) 07:17
 慌しくも賑やかな祭りは終わり、人々は様々な思いを廻らしつつ、ある者は家路に帰り。
 ある者はカトデラルへと帰り、そしてある者は死者の住むべきどこかへと去って行った。
 私たちは東朝のご好意で宿舎の一角を借り受け、そこで一夜を過ごさせてもらった。

 翌朝。
「帰投準備整いました!」
 疲れの欠片も感じさせない中佐の声が朝霧の漂うカテドラル郊外に響く。
 我々と善行閣下は、東朝の面々に丁重にお世話になった例を述べ、吉野への帰途につかねばならなかった。
「楽しんでいただけたかな?」
 見送りに、まだ眠気を漂わせて目を擦っている萌姫殿下を連れた葛城女史が私たちに問う。
「ええ、とても。こちらこそ、ウチの廣瀬が、いろいろとお騒がせして申し訳ございませんでした」
「実に有意義な休日を過ごさせていただきました。ありがとうございます」
「どうも……すいませんでした……」
 三者三様の言い回しで答える
 中佐の号令で向こう側に見えるKa-29汎用ヘリ4機のローターが回りはじめ、
ガスタービンエンジンの高周波音が話し声を圧倒するように響き渡る。
「それはなによりだ、こちらとしても招いたかいがあったというものだ」
「だいご…………ぬいのねえさん…………また…………きてほしいの……」
 萌姫が、ちりんちりんとヘリの大きな音の中でも不思議とはっきりきこえる鈴の音とともに、そっと近付いてくる。
「萌姫ちゃん、また吉野にいらっしゃい。新しい“ぬいさん”のお友達を紹介してあげるからね」
「……萌姫殿下……わ、私は……だいご……ではなく……」
「……? 深山奏子さん? と言われましたよね?」
 案の定、善行閣下が胡乱げに私を見る。
「閣下、彼女に関しては吉野に戻ってから御説明いたします。さあ、早く中佐が焦れておりますわ」
「では、そうさせていただくとしましょう。なにか深い事情があるようですし」
 そんな会話をしつつ、我々はヘリへと向かう。
「さらばだ! 萌之院殿下、善行どの、そして醍醐旅団長どの!」
「………………ばいばい」
 悪戯っぽい笑いながら葛城さんははっきりと言い、萌姫殿下が小さな手を控えめに振る。
 善行閣下が目を丸くして私を見ていた。
54みなぎ:2001/08/19(日) 11:54
まあ、最初からヘリに乗ってきた訳でも無し。
で、彼らより早く帰ってきている私。朝食時にはもちろん萌原女史もいた。
「間に合うもんやね。やってみるもんや。」
本当です。ていうか、どうやって帰ってきてるんでしょうね私ら(笑)

ごおりごおりと石臼は回りつづける。

宮様はずーっと石臼が回るのを見ている。しゃべりつづける私。
今日、善行閣下がいらっしゃるということを宮様はまだ知らない。
私も伝えてはいない。

「で、これでそば粉は出来上がりです。じゃ、打ちましょうね。」
篩にかけていくと、お盆の上には大量の粉。石臼引きの場合は粉のより分けが出来ない
代わりに香りのいい蕎麦が出来上がる。
「ううん、いいにおいなのです。」
宮様の目がキラキラしている。そろそろ宮城が恋しい頃であろうに。
それをあまり感じさせないのは宮様なりに周囲に気を使っている為であろうか。

大きなこね鉢が用意される。
「本当はですね、蕎麦粉だけで打つのがおいしいんですけど、難しいですからね、
2割ほど小麦粉をつなぎに使います。これを二八そばって言います。
まあ、昔お蕎麦が16文で売られていて、2X8だからっていう話もあるんですけどね。」

水を注ぎ、軽く混ぜていく。ぽろぽろとした固まりが次第に大きくなる。
「いいですか?軽く混ぜていって下さいね。水は入れすぎないように。」
「うわあ、ねんどみたいなのです。おもしろいのです。」
感触が楽しいらしい。

なにやってるんだ?といった感じで人がすこしづつ集まってくる。
そうしている間に作業は延ばしに入る。

「丸めたらですね、つぶして薄く延ばして行きます。破れないように注意して下さいね。」
「・・・・・・けっこう・・・・・・つかれるのです・・・・・・」
「なんや、もなか。だらしないのう」
萌原女史が乱入し、玉をバスンバスン叩き付ける。力強いのはいいけれど、見ててちょっと恐い。
「もなこのおそばとっちゃだめなのです!」
蕎麦打ち棒を取り返す宮様。ずいぶんとまあ、たくましいご様子で。

「お出汁できましたえ。」
織部さんが厨房から顔を出した。
「関西風はこの際却下ですからね。」
「わかってます。ようこんな黒いので平気どすなあ。」
それは文化の違いって奴ですよ。一応田舎蕎麦ですから。
55みなぎ:2001/08/19(日) 11:57
打ちあがると、板をかぶせて切っていく。
トントントンと小気味のいい音を立て、蕎麦が切りあがる。
「うわあ、すごいのです。細ーいのです。」
「ほーーーう。やるのう化け猫。」
「こんな感じです。どうぞ。切って見て下さいな。」
言うと天ぷらを作りに立ち上がる。

天ぷら粉は冷水で混ぜる。できるなら氷水を入れたボウルで冷やしながら。
鉄製の菜箸を使うのもひとえに熱を伝えない為。そして粉は混ぜすぎてはならない。
天ぷらにするなら伊勢エビは高級すぎる。車海老あたりがうまい。かき揚げを作るなら小柱で。
ネタを仕込んでいく。天ぷらは食べる直前に揚げるのが鉄則。だから茹で上がりまで待つ。
少し、多めに作ろう。今日はお客が来ることであるし。

「うー、むずかしいのです。」
見ると宮様は悪戦苦闘している様子。それをほほえましげに見ている一同。
「はははは、下手やのう。もなか。」
「もなこ、なのです!」
切りあがっていく蕎麦は太かったり細かったり。バラエティに富んだものになった(笑)

表でヘリの音がしている。そろそろ帰ってきた頃か。もう昼近いし、これは昼食にお出しすること
にしよう。宮様も自分の作ったお蕎麦を食べてもらいたいことでしょう。

「宮様、お客様がいらしたようですよ。」
56大日本帝国駐台大使館:2001/08/19(日) 12:57
「……ふぅ。しかし、あれだね。なんというか、この種の仕事は疲れるものだ。少なくとも我々軍人のやるべき任務ではないように思う」
「ですが、大島大使。閣下は帝国の国益を担って初代大使として赴任されたのです。慣れていただかなくては困ります。
 もはや、海自の練習艦隊も昭南島より出航したのですから、今更変更も効きません」
「わかっている、しかし……国益。国益、か。私には、この策謀が国益に適っているかどうか疑問に思うことがあるよ。
 ……牟田口君、本当に与党の先生方は、この計画を御承知しているのかね。まさか、君達の暴走と言う事はあるまいな」
「それは間違いありません。なんなら、閣下から直接確認していただいても結構です。
 なにぶん、部外に漏れると多少騒ぎとなりうることゆえ閣議決定などはなされておりませんが、閣下におかれては統一された政府決定と信じていただいて間違いありません」
「……そうか、ならば確認には及ばない。君の言うことを信じるとしよう。
 すまんが、慣れないことをしたので疲れたようだ。確か、今日はもうスケジュールもなかったな。休ませてもらう」
「は、おつかれさまであります、閣下。

 ……腰抜けめ。それでよく帝国陸軍中将の階級章をぶら提げている。
 しかし、寝まわししていない政治屋どもに確認を取られたりするとコトではあるな。留意せんとなるまい」
57F国ツーロン海軍工廠:2001/08/19(日) 21:24
アルノー・ド・ヴィルヌーヴ教授
「さてと共和国の栄光と名誉を守護する武具の担い手たる諸君。いかなる所以をもって、この世界に冠たる共和国科学アカデミーの理事たる我輩をこの様な僻地へと呼びつけたのかな?」
ジャン・ボタン司令
「これはこれは、偉大なる共和国の知性の担い手たるド・ヴェルヌーヴ教授。御身の壮健なるご様子、共和国の忠良なる我等は心よりの祝福を捧げさせていただきましょうぞ」
アンリ・ボゲ参謀長
「いかさま、いかさま。御身の高貴なる知性こそ神より賜われし共和国の至宝なれば、我等揃ってその健勝なることを神に感謝いたしましょう」
アルノー・ド・ヴィルヌーヴ教授
「ふむ、共和国の信任厚き諸君等の言葉に偽り無き事、現世の些事に疎き一学究たる我輩にも判るというもの。なれば我輩の灰色の脳細胞を諸君等の為に使うもまたよしとなるか」
ジャン・ボタン司令
「おお! おお! 御身の寛容さこそ幸いなれ!! なれば我等共和国海軍は、教授の光輝なる知性と教養の輝きに征く道を照らし出されつつ真理へと近づきましょう!!」
アルノー・ド・ヴィルヌーヴ教授
「なんと!! つまり我輩は、よりにもよって麗しき欧州の首都巴里を、かの未開なる蛮族の地に送りこまれんが故に離れさせられたというのか!! 神は死んだとはよくぞいったものよ!!」
アンリ・ボゲ参謀長
「これはこれは!! 天上の大いなる父より恩寵賜りし共和国を代表する知性とは思えぬお言葉!! それはまさしく異端の咎をして責められる言葉ですぞ、教授!!」
ジャン・ボタン司令
「左様!! まさしくこれぞ、かつて明けの明星をして堕落せしめた七つの大罪をも彷彿とさせる言葉!! 我等、地上に天にまします父と子と精霊の御名において偉大なる共和国より異端を滅ぼし尽くさん事を使命とするが故に、その言葉は看過し得ませぬぞ!!」
アルノー・ド・ヴィルヌーヴ教授
「黙らっしゃい!! みだりに神の御名を唱える諸君等こそ、神の御心にば逆らう不心得者なり!!」
アンリ・モンゴルフェ技官
「皆さん。それはそうとして、よろしければ第13任務艦隊に新規編入された各艦について、そろそろ説明申し上げたいのですがよろしいでしょうか? なにしろ、教授と僕が提督の司令部といっしょに極東にいくのは、共和国政府の命令なんですから」
58F国ツーロン海軍工廠:2001/08/19(日) 21:55
アンリ・モンゴルフェ技官
「さて、今回極東に派遣される艦隊は、ボタン提督が率いられる戦艦「クレマンソー」と「ジャン・バール」を主力とし、
あとオリゾン・フリゲート艦「デュプレクス」「ドュゼ」、原潜「シュルクーフ」、補給艦や輸送艦が2隻なわけです」
ジャン・ボタン司令
「左様!! だが、それをそなたのごとき一介の技官に講釈される所以もまた無し!! 我等こそ栄光の共和国海軍の精兵なれば!!」
アンリ・モンゴルフェ技官
「はいはい、仰る通りです。それで、艦隊旗艦となる「クレマンソー」と僚艦の「ジャン・バール」ですが、基本的に対地攻撃と水上打撃戦を担当する事になります」
アンリ・ボゲ参謀長
「まさしく司令の御言葉通りなりと小官もまた思わざるにはおれませぬ!! この若造奴は、まさしく舌の油ののりたる事異教徒もかくやと云わんばかりなれば!!」
アルノー・ド・ヴィルヌーヴ教授
「なんと!! まさしく失敬千万なるかなこの武人共奴は!! 我輩の弟子たるモンゴルフェ君を如何に侮辱せんか!!」
アンリ・モンゴルフェ技官
「はいはいはい。お三方とも、ここで私闘を起こせばそれは共和国国防省の不興を買うことになりますよ」
「さて、話を前に進めさせていただきましょう。まずは、「クレマンソー」と「ジャン・バール」の改装後の性能からですが」
59「クレマンソー」@F国戦艦:2001/08/19(日) 22:59
アンリ・モンゴルフェ技官
「はい。改装後の「クレマンソー」ですが、なんといっても主兵装の全面的な変更が大きいです」
「主砲の1935年型38サンチ砲は、これはまあ特に変更はありません。なにしろ884キログラムの砲弾を4万1700メートルの彼方に撃ち込めるんですから。これに勝る対地攻撃兵器はそうそう無いですからね」
「ただし、副砲は全廃し、空いた空間に「ANF」対艦ミサイルの発射器と「アスター15/30」対空ミサイル用の「シルヴェール」VLSを搭載します。
とりあえず「ANF」SSMの4連装発射器を8基、「シルヴェール」VLSを8基64セル搭載することになります」
「高角砲は、1945年型10サンチ連装高角砲を4基残し、代わりに「クロタール」8連装対空ミサイル発射器を4基搭載します」
「そして、これらの兵器を管制するセンサー類ですが、基本的にはオリゾン・フリゲート艦と同じものを搭載します」
「長距離捜索レーダーは、「SMART-L」を後部艦橋上部に。多機能レーダーは、「EMPAR」を前部艦橋上部に搭載します」
「ちなみに「SMART-L」の性能ですが、アンテナは5秒で1回転し、Dバンド波を使って距離400キロメートル高角70度の空間内の最大1000目標を追尾することが可能な性能を持っています」
「「EMPAR」の性能は、航空機なら120キロメートル、ミサイルなら50キロメートル探知追尾可能です。特に、水面を飛行してくる対艦ミサイルは、23キロメートルで探知追尾可能ですね。
そして、追尾可能な目標数は最大で300目標であり、このうち50目標と同時交戦可能となっています」
「固有の航空機は、NH90を2機艦内に格納可能なようになりました。これらは、基本的に連絡、輸送、哨戒に使用される事になります。対潜哨戒は、基本的にオリゾン・フリゲートに任せる、という形になりますね」
60「クレマンソー」@F国戦艦:2001/08/19(日) 23:12
アンリ・モンゴルフェ技官
「船体ですが、基本的に舷窓を廃止し、艦内の照明と換気機構を一新しました。とにかく、直接防御力はまず完璧なのですから、間接防御力を向上させる必要がありましたからね」
「艦内にCICを設置し、かつオリゾン・フリゲート艦と同じ中央戦闘管制機構を搭載して、統合化された艦隊戦闘が可能になっております」
「機関等は、発電量を強化した以外は基本的にいじってはおりません。元々十分な出力を持っていましたから」
「おおざっぱな説明ですが、大体においてこうなりました。そうですね、この極東派遣艦隊を撃破しようと思ったら、それこそA国の機動部隊が丸々一つ必要になるでしょう」
61夜明けて炎上:2001/08/20(月) 00:38
一夜明けて
炎上は野宿デシタ

⊂(・∀・;)「起きてください炎上さん。」
( -Д゚)「うう・・・」
(・∀・ )「一晩中さがしましたよ。もっとも10時以降はあの大きい建物に泊めてもらいましたけど。」
( ゚Д゚)「お前ナア・・・」
(・∀・;)「イヤアしかし驚きました、僕のお爺さんに会いまして。」
煤i ゚Д゚)「何!憲兵君もか!俺は師匠に会った。」
(・∀・;)「なに言ってんですか、延焼師匠さんは亡くなったじゃないですか。」
(;゚Д゚)「え、憲兵君のじいさん生きてるの?」
(・∀・ )「ピンピンしてますよ…あ、見てください小遣いもらいました!一万円。」
( ゚Д゚)「・・・・・。」
(・∀・ )「タコヤキおごりましょうか?」
( ゚Д゚)「・・・・・。」
( TД;)「・・・・・。」
(・∀・;)「なにも泣かなくても。」
……本筋とは関係ありません。スレ参加の皆さんへの檄文という事で。
例のアレです。



諸君 私は萌えるのが好きだ
諸君 私は萌えるのが好きだ
諸君 私は萌えるのが大好きだ

もなこ様に萌えだ
もえみ様に萌えだ
ともえ様に萌えだ
萌姫様に萌えだ
69式嬢に萌えだ
モエナ嬢に萌えだ
M0-eと妹達に萌えだ
南朝の新キャラ達に萌えだ
東朝の新キャラ達に萌えだ

宮城で 吉野で
硫黄島で 新潟で
戦場で 司令室で
秋葉原で 甲子園球場で
露天風呂で 帝都で

このスレに書き込まれるありとあらゆる萌えネタが大好きだ

涙を浮かべたもなこ様のお願いが悲惨な戦争を吹き飛ばすのが好きだ
今まで殺しあっていた国防軍と反乱軍が
もなこ様への萌えでひとつになった時など心がおどる

漢達からの忠誠という名のさだめを負ったもえみ様が凛と立つ姿が好きだ
その黒髪を断ち切り死者達に手向けた時など胸がすくような気持ちだった

善人をそろえた西朝の連中がともえ様のまわりでほのぼの、どたばたするのが好きだ
あまりに善人過ぎて何度も何度も自爆している様など感動すら覚える

寡黙ではかなげな萌姫様が、傍らの大人の袖をぎゅっと握って
上目遣いに相手を見つめる様などはもうたまらない
重くのしかかった血と呪いに耐え、やっと心を許せる相手にめぐり会えるようになって
彼等にこくこくと精一杯うなずいて見せるのも最高だ

色々なキャラが69式教授に滅茶苦茶にされるのが好きだ
必死に萌えるはずだった69式様の手で人外の者に改造され
女官供にまでおもちゃにされている様はとてもとても悲しいものだ

筋肉連帯と善行、キザーロフ両閣下の筋肉を見せ付けられて悶絶するのが好きだ
第五旅団長と中佐の関係を曲解し、腐女子の様にイケナイ想像をしてしまうのは
屈辱の極みだ

諸君 私は萌えを、ダメ人間の様な萌えを望んでいる
諸君 祝賀スレ参加者戦友諸君
君達は一体何を望んでいる?

更なる萌えを望むか?
情け容赦のない削除人の様な萌えを望むか?
ハァハァ……(;´Д`)の限りを尽くし三千世界のサーバーを落とす
荒らしの様な萌えを望むか?
『萌え! 萌え! 萌え!』

よろしい ならば萌えだ

我々は渾身の力をこめて今まさに荒げられんとするハァハァ……(;´Д`)だ
だがこの巨大掲示板の片隅で4ヶ月もの間このスレを育て続けてきた我々に
ただの萌えネタではもはや足りない!!

大萌えを!!
一心不乱の大萌えを!!

我らは所詮1スレの住人 20人に満たぬネタ職人に過ぎない
だが諸君は一騎当千の古強者だと私は信仰している
ならば我らは諸君と私で総力2万と1人のネタ師集団となる

我々をDATの彼方へと追いやり眠りこけている連中を叩き起こそう
髪の毛をつかんで引きずり降ろし眼を開けさせ思い出させよう
連中に萌えの味を思い出させてやる
連中に我々のハァハァ……(;´Д`)の声を思い出させてやる

天と地のはざまには2ちゃんねるの常識ですら思いもよらない
馬鹿がいることを思い出させてやる
20人の萌え鬼のネタ集団で板を萌やし尽くしてやる

「祝賀スレ愛好者より全ネタ参加者へ」
目標「4皇朝対抗大運動会」の開催!!

第1次ブルーマー作戦 書き込みを開始せよ

逝くぞ 諸君



原典:ヘルシング/平野耕太/OURS2001年9月号20P




……しかし、4皇朝対抗大運動会を開催するには、
こなさなければならない伏線というか、終らせなければならない出来事が
いっぱいですね。
もなこ様の宮城への帰還、東シナ海の平定、核攻撃からの復興、
そしてなにより西朝の復権。
僕も今ひとつ状況を把握し切れていなくて、書き込みがままならない。
……道は遠いかな……
64陸幕幹部防衛部:2001/08/20(月) 23:35
「服部大佐、牟田口大佐より連絡です。『今度出産予定の赤ん坊は、男子だろうと期待している』とのこと」
「そうか。経過は順調だな。しかし、土肥原から連絡はまだなのか。現地の状況はどうなってる」
「支那の公安のガードが固いようで。さすがに前世紀の国民党政権とは違います。特に今は、上海の連中も北京の浸透工作に対する警戒を強めておりますから」
「ふん、食う寝る殖える以外にはなんの能のない支那人も、60年に渡る独裁のもとで公安活動だけには長じたと言う事か」
「ええ、そのようで。それに、こちらも情報本部や公安の組織全てを活用できるわけではありませんから」
「まだ、我々は多数派ではないからな。菊水の動きも気にかかるが」
「しかし、大佐殿。鉄の意思を持つ少数者です。我々の強固なる愛国心は、必ずや惰弱な多数者の惰眠を破り、愚かな敵対者の悪意を砕く事でありましょう」
「その通りだ。そして我らは東亜に日米による新秩序をもたらし、皇国千年の繁栄を築く尖兵となる」
「不肖この辻、そのためには粉骨砕身、一命を持ってお国に報じる覚悟であります」
「無論、俺もそのつもりだ。だから今度の策はしくじるわけにはいかん。赤色分子が弱まり、また芝村に連なる腰抜けどもの多くが帝都を空けている今こそが好機なのだ。世界は東亜に興る新たな烽火に括目するだろう」
「そしてその烽火の中からこそ皇国は、60余年前の敗北より不死鳥のごとく蘇るのです。我ら少数の愛国者の手で」
65葛城:2001/08/20(月) 23:38
>>63
>>「4皇朝対抗大運動会」

実に素晴らしい。

その素晴らしき萌心、本日11時37分を持って我が『親皇教団』が承認した。

運動会か。考えたが現実としてはなかなか、、難しい所だ。
そんな貴殿に耳寄りな情報をお教えしよう。
今度、みなぎ殿が開かれるBARにはカウンターに
『帝都萌学院設立出資ボトル 一口500円 一人最大一口まで』
と書かれた空のボトルと出資帳が置かれている。
是は、今は亡き菊十字こうめい殿が育てた者を育成するために
廃校を買いたたいていたのを彼の死去時に権利が揉めた際に
私がバブルの処理にかこつけて知り合いのトレ−ダーに
二束三文(捨て値)で買い取ったもらったものだ。
現在は所有主は藍前殿になっている。教団の者は個人からの資金はうけぬのでな。
萌姫様にしろ、もなこ殿下にしろあまりにも友人が少ない上に、
危険に対して無防備なのでその教育用にもえりあ殿などを教師に招き学校を
と言う(ネタの)流れで考えていたのだが
最近の経済低迷(と展開にかみ合わないの)で開校の目途が全く立たなくなってしまった。
此の時勢にはどのみちうれんしな。現在、塩漬け(企画凍結)にしてある。
其れでも先の萌夢は多きに越したことはない。
焼け石に水だが、『萌想いの貯金箱』として置かせてもらっている。
道とおき為れば歩めばいい
一日500円 一週間で3500円
一年為れば182500円
目標運営資金まで1096年在れば到達できる。

(遠くに目を泳がせる。善行が忘れていった金太郎の前掛けを牛がしている)

     とおいな

気にするな。何時かは何とかなるモノだ。
さぁ、貴殿も一口いかがかな。
66野々村:2001/08/21(火) 00:21
「それじゃ、おじさんありがと」
トラックの運転手は軽く手をするとそのままトラックを走らせた。
野々村は軽く自分の服装を見る。
まるで一昔前のアニメの登場人物みたいだね、と内心つぶやく。
此処から西朝のひむかいとの待ち合わせ場所までは
10分弱、待ち合わせには30分近くあった。
「着替えてもいいけど…めんどうだね。いいや。どうせ『人間を送る』としか言ってないし、ひむかいさんってどんな人か知らないんだよね」
そのまま、野々村は待ち合わせの喫茶店まで道々のい商店のウインドウを覗きながら進む。
覗く度にふわりと少し前に広がるロングスカートとジーンズ柄の上着。セミロングの、鬘は困ったことに、よく似合っていた。
しばしのウインドウショッピングの末喫茶店に着くと指定されている窓際のレジから一番離れたテーブルに座る。
やがて、ウェイターが注文を取りに来る。野々村は迷わず注文をした。
「チョコレートパフェを」
やがて、注文の品が届く。
何の躊躇もなく口に運ぶ。
野々村にとっては一人で食べるそれはけして甘くはなかった。
習慣でつい頼んでしまった自分に少し苦笑する。
もうすぐ待ち合わせの時間になろうとしていた。

そして、喫茶店の入口ドアに付けられた鈴が涼やかな音を立てる。
野々村はそちらを見た。口にスプーンを運んだ状態で。
67皇女:2001/08/21(火) 02:15
>>55
「おそば」をつくるのは、とってもたいへんでむずかしかったのです。
ほうちょうで、とんとんって、まっすぐにおそばをきるのが、
もなこ、すごくむずかしくって、なかなかできなくって、
なんだか、ひょいってもってみたら、ひっついてたりしてすごーくながかったり、
とってもふとかったりして、あんまりじょうずにできなかったのです…。

それで、だけどがんばってぜんぶおそばをきったとき、
ねこさんが、もなこにおきゃくさまですよ、って、もなこをよんだのです。
だから、もなこ、だれがきたのかな、って思って、ねこさんにきいたら、
そしたら、ねこさんが、もなこのおにいちゃんですよ、って言ったのです!

もなこ、おにいちゃんがくるなんてしらなかったから、びっくりしちゃったのです!
それで、もなこ、"いえで"なんかして、おにいちゃんも来てくれるなんて思わなかったから、
おにいちゃんが、もなこがいなくてさびしいからきてくれたのかな、って思って、うれしかったのですけど、
でも、もしかしたら、おにいちゃん、おとうさまやじいやに言われてきただけなのかな、とか、
だったら、もなこ、やっぱりおこられちゃうのかな、とかいろいろかんがえて、
どきどきしちゃって、おにいちゃんになんていえばいいのかな、って思って、
それで、ねこさんや玲おねえさんにどうしたらいいかなぁ、ってきいてみたのです。

そうしたら、ねこさんが、
「うーん、そうですね。そうだ、宮様、折角ですから、とりあえず閣下に、
宮様のお作りになったお蕎麦を食べて戴いたらいかがですか?」
って言ったのです。
あんまりじょうずにできなかったおそばをおにいちゃんにたべてもらうのは、
やっぱりはずかしいから、もなこ、やだな、っていったのですけど、玲おねえさんが、
「もなか、男ってのは基本的に女の手料理が好きなもんなんや。
なんぼへんな蕎麦でも、もなかの作った蕎麦や、て聞いたら、玄米君もきっとイチコロやで」
って言ったから、おにいちゃんがよろこんでくれたらいいな、って思って、
それで、もなこ、もなこがつくったおそばをおにいちゃんにたべてもらうことにしたのです。

でも、へんなおそば、って、やっぱり、じょうずじゃないのかなぁ…
アンリ・モンゴルフェ技官
「さて、お次は極東艦隊の対潜戦闘の主軸となるオリゾン・フリゲート艦の「デュプレクス」と「デュゼ」ですね」
「オリゾン・フリゲート艦は、21世紀前半の共和国艦隊の洋上防空の主軸となる戦闘艦です。
今回派遣される極東艦隊では、「クレマンソー」「ジャン・バール」の両艦の洋上防空力がかなりのものですから、あくまで対潜作戦や哨戒、警備活動を担当することになります」
「オリゾン・フリゲート艦の具体的な要目ですが、満載排水量6500トン、全長148.4メートル、全幅19.9メートル、平均吃水4.8メートルになります。機関はCODOGで、28ノットの最大速力が出せますね」
「武装ですが、対空兵装は基本的に「クレマンソー」と同じものを搭載します。すなわち、長距離捜索レーダーに「SMART-L」を、多機能レーダーに「EMPAR」ですね。
「アスター15/30」対空ミサイルを搭載する「シルヴェール」VLSは6基48セルとなりますが、余程のSSM飽和攻撃でも仕掛けられない限り十分な数でしょう」
「近接防御火器は、6セルの「サドラル」を2基、砲腔兵器としてOTOブレダの新型のステルスシールド付き62口径76ミリ砲を2基搭載します。
「サドラル」は後部ヘリ格納庫の上に、76ミリ砲は前部艦橋前に、双方並列で搭載されます。対艦ミサイルは、同じく「ANF」対艦ミサイルを4連装発射器2基搭載します」
「対潜兵装は、NH90対潜ヘリを1機搭載します。あと、4110CL型ソナーに、軽魚雷MU90用魚雷発射管2連装2基を左右に搭載することになります」
「オリゾン・フリゲート艦は、本来は「シャルル・ド・ゴール」級空母と艦隊を組んで洋上防空を担当するための護衛艦です。
まあ今回は、なにしろ金がなくて大規模な艦隊を派遣できませんから、個艦性能を向上させることで必要な戦闘力を発揮できるようにしよう、と、そういう事なのですね」
69醍醐旅団長@少女形態:2001/08/21(火) 02:40
ヘリの機内で善行閣下の目が私に突き刺さる。
「深山奏子さん? いや、廣瀬閣下……ですか、この場合。いったい、どういったことなのでしょうか?」
 一見、穏やかではあるが、深く真実を貫かんとする眼光は休暇中にあっても同じであった。
「あの、えと……」
 その眼光にいたたまれず、私は俯いて東朝で葛城さんが「侍女と謂うならばこれを着ねばなるまい」と貸してもらった着替え―――紺地のメイド服のフリル付きのエプロンをぎゅっと掴んで返答に詰まる。
 そーっと、傍らの殿下を見上げると殿下は私を安心させるように、カチューシャの乗った私の頭を撫でてくれた。
70萌之院:2001/08/21(火) 03:20
萌之院は廣瀬の肩にそっと手を置いたまま、善行閣下に語る。
「閣下を前にしてごまかしきれるとは思っておりませんでした。詳しい事情をお話
 することはできないことを申し訳なく思います。申し訳ありません。
 この少女は、わが南朝醍醐旅団の旅団長です。いまは故あってこのような姿になっ
 ておりますが、そのことについてはわたくしが保証いたします。もともと、廣瀬
 は、様々な改造により、人間離れした形態を取ることや、はては幽体離脱まで可
 能になっておりました。そこに、噂はご存知かもしれませんが、わが醍醐旅団の
 私的懲罰組織である重営倉の折檻が加わり、旅団長は本能的に折檻をもっとも加
 えられにくい存在に、つまり今の形態に変身してしまったのです。閣下は不審に
 思われるでしょう。なにゆえ、このような男性の嗜虐心を刺激しかねない形態な
 のか、と。
 わたくしは二つの理由があると考えます。一つは、折檻が男色を嗜む者たちによっ
 て行われたということ、そしてもう一つは、このような形態は、嗜虐心と同時に
 庇護欲も刺激するということです」
善行閣下は萌之院の説明を静かに聞いていたが、説明が終了すると、鋭い眼光で萌之
院を見つめ、口を開く。
「なるほど、その少女が旅団長閣下の変身した形態であることについては了承いた
 しました。しかし、殿下、あなたはそれでよろしいのですか?」
萌之院はわずかに微笑んで、
「はい、どのような形態をとろうと廣瀬が廣瀬であることに変わりはありませんか
 ら。事務を滞らせることもありませんし」
微妙にはぐらされたことに気がつきつつも、善行閣下はそれ以上の追求をすること
はなかった。萌之院は、廣瀬を安心させるようにわずかに肩に置いた手に力を入れる。
71気付け!炎上:2001/08/21(火) 03:41
( ゚Д゚)「そろそろ帝都に帰ろうか。」
(・∀・;)「そうですね…結局旅館はキャンセルになってしまいましたね。」
( ゚Д゚)「まあ滅多に味わえないこと味わえたからよしとするか。」
(・∀・;)「二度とはしたくないですが。」
( ゚Д゚)「さて荷物とってきて あとは物騒な腕章外してもらおう。」
(・∀・;)「まったくです。」
( ゚Д゚)「ああ、すいません南朝の本部はどこですかネェ?」
( ´∀`)「南朝の本部と言えば吉野らろ?」
(゚Д゚)「ハァ?」
( ´∀`)「なら、奈良ら。」
( ゚Д゚)「ナララって…。」
( ´∀`)「もう、イイ?」
( ゚Д゚)「ハァ」
(・∀・;)「なんだか要領を得ませんね。」
( ゚Д゚)「まったくだ。」
(・∀・;)「ああっ!アレを見てください!」
カンпバン「ようこそ新潟へ」
( ゚Д゚)「意味がわからんな。」
(・∀・;)「さっきの人の喋り方は新潟の方のですよ!『デカスロン』で読んだことあります。」
( ゚Д゚)「て、ことはここは・・・」
(;゚Д゚)(;・∀・)「新潟なのかー!?」
アンリ・モンゴルフェ技官
「今度は、極東艦隊の事実上の主力である「シェルクーフ」級攻撃型原子力潜水艦です。
洋上索敵能力は限定され、昨今の対潜哨戒機の性能向上著しいものがありますが、それでも対艦や対潜戦闘能力ならまず最強ですからね」
「「シェルクーフ」の性能要目ですが、水上排水量6025トン、水中排水量6675トン、全長98.1メートル、全幅10.1メートルになります。
乗員数は「アメティスト」級とほぼ同様の76名ですが、特殊部隊等の輸送も考えてさらに18名分の余裕があります」
「機関は、「ル・トリオファン」のものを改良したものを使用しています。もっぱら、運用期間の延長と、静粛性の向上ですが。
タイプK15型原子炉一基とターボ発電機2基で150MWを発揮し、1万6000馬力を出せる永久磁石モーターを使って30ノットを発揮できます。公称は25ノットですがね」
「武装は、533ミリ魚雷発射管を艦首に6門、F17P/L7魚雷、「ANF」対艦ミサイル等を35発、機雷ですと72発は搭載できますね。
センサー類は、DSUV22パッシブアレイソナー、DUUA2Bアクティブソナー、DMUX20船体アレイソナー、DSUV62C曳航式ソナー等を搭載します」
「吸音タイルの外装や、ポンプジェット推進の採用、あと機関や人員の載っている甲板を船殻から浮かせてみたりと、あれやこれやで静粛性はかなり向上しました。
現時点ではA国の「シーウルフ」級や「ヴァージニア」級には劣りますが、南シナ海に展開する各国の対潜能力では、「シュルクーフ」を発見し撃沈することはほとんど不可能同然ですよ」
73ひむかい:2001/08/21(火) 04:49
>>66
炎天下の最中にだらだら汗を流しつつ、ドラム缶のようなでかい体引きずって約束の待ち合わせ場所に向かう自分
「『人間を送る』」と待ち合わせの場所と時間だけの簡潔なメール…
簡潔過ぎてどうやってその人に合うのか全然見当がつかん(笑

「しかたない…」
近くみやげ物屋に立ち寄り、蝶のキーホルダーと剣の交差したキーホルダーそれとプラスチックの虫篭を買って虫篭の中に2つのキーホルダーをぶら下げる。

「なんかナゾナゾみたいだな、これで気付いてくれると良いけど…」
虫篭ぶら下げつつ目的地に向かう自分、これで短パンとランニングシャツを着て大きなリュックでもあったら〇の大将に見えなくも無い(苦笑


「にしても暑い…連絡くれたお人は何処に居るんだろう…てか、まだ時間までに30分ある…
一寸休もうかなぁ〜、けど先に行って待っておくのが礼儀だし…けど暑い…5分前に着けば問題ない、決めた!そこの喫茶店でちと涼んで行くか…」
ドアに付けられた鈴の音色と冷房の涼しさが暑さを忘れさせてくれる
奥に一人女性客がチョコパを食べてるのが見える。
その女性客からじっと見られてる気がする…やっぱり虫篭は不味かったか?

自分は窓際のレジ近くに座るとウェイトレス嬢に白熊一つ注文する。
品物が来る間、腕を組んで空の藍をぼーっと眺め呟く
「殿下や皆さんは無事かなぁ…」
74鈍行で炎上:2001/08/21(火) 05:02
(・∀・;)「ど、どどどうしましょう。」
(;゚Д゚)「あうあうあ…」
(・∀・;)「ととととにかく帝都に帰りましょう。」
(;゚Д゚)「ううう、うむ。」
(・∀・;)「腕章は服脱げば取れます。」
(;゚Д゚)「だ、だめだこれ師匠の形見なんだ…着られないと困る。」
(・∀・;)「師匠の形見の着物で山に登らんで下さい。」
( ゚Д゚)「うるせえ!さっきの一万円よこせ。」
(・∀・ )「ああ、ひどいなあ。」
( ゚Д゚)「1万もあれば帝都に戻れるだろう。」
(・∀・;)「あ、ダメです…乗車券で5500円はかかります。」
( ゚Д゚)「うう、500円足しても足りん。しかしなんでそんなこと知ってるんだ。」
(・∀・;)「そういう記憶力はあるもんで。」
( ゚Д゚)「憲兵君、逆さになってみるんだ!」
(・∀・;)「無駄ですって」
( ゚Д゚)「俺は何とかなった。」
(・∀・;)「10円しか出てこなかったじゃないですか、しかたないなあ」
 ∩ ∩
 |  |  |
 | __|      .∧ ∧
 | l__W__l_    煤i゚Д゚ )
 | i ・∀・) <ヤー  < y >
 U  U〜ロピラ  ( ̄ ̄)
( ゚Д゚)「1000円だ!」
(・∀・;)「出てくるもんですねえ。」
( ゚Д゚)「よし、これで…。」
(・∀・ )「帝都に帰りますか。」
( ゚Д゚)「青春18切符で吉野まで戻る!」
(・∀・;)「ゲゲ!」
75「ソンム」@F国補給艦:2001/08/21(火) 05:18
アンリ・モンゴルフェ技官
「さて、これらの艦艇の補給ですが、補給艦を常時1隻は艦隊に張りつける事になりますか」
「一応、本国から「デュランス」級補給艦の「ソンム」を、インド洋艦隊から「ヴァル」を交代で張りつけます。これで、燃料、糧食、その他の消耗品が不足するということは無いはずです」
「一応要目ですが、基準排水量17900トン、全長157.2メートル、ディーゼル2軸で20800馬力を出し、速力は20ノットを発揮できます。またNH90ヘリコプターを1機搭載し、輸送や連絡業務に使用します。
補給品の総搭載量は液体貨物とドライ貨物の合計で1万200トンとなります。これだけの補給物資があれば、まず30日程度の活動は可能なはずですからね。一応カムラン湾は使わさせてもらえるそうですし」
76塩山 清十郎:2001/08/21(火) 15:52
永田町から少し離れた場所に暫定の議員宿舎は借りられていた。
核投下時の混乱に全ての衆参議員の宿舎として借りられたその場所は
今は時折通りかかる議員以外は人気が無くひっそりと静まり返っていた。
新潟から戻った葛城 萌香は党の役員の部屋の寄ると必要な名簿や書類をあわただしく受け取り玄関に舞い戻ってきた。
先ほどまで晴れ上がっていた空は急激にその容貌を崩し周囲の明度を黒へと変えつつあった。

「うわぁ、やっぱり、雨ふりそうやな。持ってきといてよか…」
自分の傘を取ろうとした萌香の手が止まる。
先ほど5分前に置いたはずの場所には見慣れた傘はなかった。
彼女の脳裏に先ほどすれ違った萌黒兄弟の姿が浮かぶ。
「あいつら、小学校のいじめっ子ちゃうんか」
ちょっと困った仕草が彼女を実年齢よりも幼く見せる。
振り上げ掛けた拳が力を失い下がる。どうせ言ったところで根拠がないと言われるだけだと萌香には分かっていた。

   ゴロ…

まるで見計らったかのように一粒、また一粒と水滴が地面を濡らしていく。
やがて、周囲は一面振り注ぐ水に満たされた。
時折激しい音と光が届く。

「最悪ゃ…新幹線の予約、まだキャンセル掛けられるかな」

肩を落とした彼女のすぐ横に黒いこうもり傘がにゅっと飛びだしてきた。
振り返ると其処には萌香より少し背が低く、左手に杖をつき眼鏡を掛けた細身で縦長の顔の老人の姿があった。
きょとんとした様子で萌香が老人を見つめる。老人がゆっくりと口を開いた
「急ぐんじゃろ]
その言葉に誘われ瞬間、萌香の頭の中にみっしりと詰められた立候補者探しのスケジュールが浮かぶ。
だが、彼女は老人の手の中に一本しか傘がない事を見て取った。それと、此処数日に及ぶ萌え黒兄弟の候補者探しの邪魔も彼女を慎重にさせた。
「ご厚意ありがとうございます。ですけれども、見ず知らずの方に傘を貸していただくようなわけにはいきません」
老人はその態度を見て苦笑したように見えた。
「そう守りを張っては馬鹿兄弟につけ込まれるわい。未熟者めが」
唐突に突きつけられた売り言葉に彼女は一瞬絶句する。次の瞬間、彼女は反論していた。
「あんた、なんなん?いきなり…」
頭を少し前に出し手を握り彼女がくってかかろうとしたその鼻先に老人は傘を出す。
「部屋に折り畳みの予備があるから持っていけというんじゃ。葛城 萌香嬢」
自分の記憶にない人物から議員宿舎で声を掛けられ再び彼女はタイミングを外した。
77塩山 清十郎:2001/08/21(火) 15:54
政治家にとって人の顔を覚えるというのは物事の初歩である。もしくは得意とする秘書を連れ歩く。
彼女が一人で行動するのは当選回数の少なさもあるがなによりも彼女が記憶に自信があったからであった。
呆然とする彼女の手に老人が傘を持たせる。
「今度は選挙区のぶつかる議員だけではなく名簿の上位は思えておくんじゃな」
そのまま、老人は背を向け廊下を戻ろうとする。
「萌黒みてるで、どっかで、ええんか?」
萌香が部屋の戻ろうとする老人に問いかける。
老人は静かに歩みを止め振り返り答える。
「余剰に持つ者が、足りなく必要とする者に分け譲る。人間として当たり前のことをしただけじゃ」
その言葉には聞き覚えがあった。彼女は記憶から一人の人名を掘り起こす。
「あんた…たしか…ずっと前に政界引退した民主共産党の…」
老人はまるで孫に諭すかのように静かにはなしかける。
「塩山 清十郎じゃ。今度あうときには立候補者くらい一度で思い出してほしいものじゃな。萌香嬢」
「嬢!?人のこと馬鹿に…」
塩山は意に止めず20メートル先のロータリーに止まったタクシーを杖で指し示す。
「お前さんの呼んだタクシーじゃろ。新幹線に遅れるぞ。その書類が濡れてもいいというのならば傘を置いていくんじゃな」
萌香の視線がタクシー、書類、時計、空へと移り歩く。
「傘お借りします!」
それはやけっぱちなお礼だった。
それを見送ったあとで清十郎はつぶやく。
「やれやれ…田中の所もろくなのがおらんな。あれでは、からかってくれと言ってるようなものだ」
そう言うと、近くのゴミ箱のそばに落ちていた丸められたチーズバーガーの包み紙をゴミ箱に丁寧に入れる。

すぅ っと息を吸い込む。
そして…

「たわけがぁ!」

物陰でドタンという音とバタバタと遠ざかる二つの足音が聞こえる。

「どこも似たようなものじゃな。難儀な時代になったんもんじゃ」

そうぼやく老人の口元に苦笑と共に楽しそうな笑が浮かんだ
78海軍練習艦隊:2001/08/21(火) 23:49
「神司令、マニラ湾であります!」
「四ヶ月ぶりだな……ふん、変化と言えば米国の第77任務部隊が来とるくらいのものか」
「南沙海戦にも、フィリピン海軍は艦艇を出していないそうですから」
「しかたあるまい。フィリピンの海軍力なぞ、せいぜい海域を荒らしまわる海賊に睨みを利かすのが関の山、というところなのだからな。戦後の発言力維持を睨んで艦艇を出したくとも、出せるフネがないのが実状だろう。
 まったく馬鹿どもが、やれ民主革命だ、市民の力だ、フィリピン人のフィリピンだと騒ぎ立てて考えなしに米軍を追い出すから良ろしくない。
 軍事的にも経済的にも、そして政治的にも子供に過ぎん連中が自己肥大して大人を追い出すから、ガキ大将の中共が地域でデカい面をすることになるのだ。
 今度のことで、この国の連中も思い知ったことだろうよ」
「まったくです。
 アブ・サヤフやMILFを制圧するどころか、このマニラの港湾施設の中を跋扈する海賊すら取り押さえられん連中ですから。
 ひょっとすると、恥も外聞もなく再びフィリピンに米軍が戻ってくれるよう懇請するかもしれませんな」
「それはそれで、あまり歓迎できたことではないがな……我々海軍が米軍の露払いとして引き回されることも多くなるだろう。
 いかんせん、中近東あたりの、帝国の国益に直接関わらん戦争の手伝いと言うのは面白くは無いぞ。
 それに、マレーシアのマハティールは中共も嫌いだがそれ以上にアメリカを嫌っとるからな。どう動くかしれたものではない。
 ……それはまぁいい。我々も迎えの第四護衛隊群が到着するまでここに逗留するわけだ、せいぜい海賊どもに備品を掠め取られんよう気をつけねばならんな」
「は……しかし、一個護衛隊群。
 南洋の緊張状態をかんがみ、我が練習艦隊の安全を企して……とのことですが、逆に諸国を刺激するだけのような気がしますが……
 東京はなにを考えているのでしょう? 我々だけなら戦力と呼べるほどでもなく、諸国、というより中共をこれ以上刺激することもないでしょうに」
「そんなことは知った事か。
 我々は良いのだ。付けてくれるものはありがたくもらっておけば良い。
 ……ふふん、仮に火の粉が降りかかって来るなら遠慮なく振り払えば良い。
 我々につけられる護衛は、そのためのものなのだからな」
79皇女:2001/08/22(水) 16:05
もなこ、おはなしをしたすぐあとに、もえみおねえさまと、ちゅうささんと、しらないおねえさんと、
それに、おにいちゃんが歩いてくるのをみたのです。
おにいちゃんだけがこっちにきて、ほかのひとは、おねえさまのおうちのほうにいっちゃったのです。

それで、もなこが、おにいちゃんになんておはなししたらいいかな、
って思ってたら、おにいちゃんからおはなししてきたのです。

「…お久しぶりです、もなこ様。お元気そうで何よりです。
良く焼けて、本当にお元気そうで…。
…それでですが、今日は、私がもなこ様のお迎えに上がりました。
皆、もなこ様の事をお待ちしております……どうかおうちにお戻りください」

…もなこ、ちがうといいな、って思ってたのですけど…やっぱり、なのです。
やっぱり、おにいちゃんはみんなに言われたから、もなこをつれてかえりにきただけみたいなのです。
それで、かなしくなっちゃって、もなこ、そんなおにいちゃんはやだから、かえりたくない、って思ったのです。

「…やなのです」
「しかし、もなこ様がお帰りになられないと…お父様やお母様、じいやなど、皆、心配致しております」
「じゃあ、みんなもよしのにくればいいのです。もなこ、かえりたくないのです」
「そんなご無理を申されても…(少し目線を下げて眼鏡を直す。その様がやや狼狽した様に見える)」
「おとうさまもおかあさまも!じいやもじじゅうさんもへいたいさんも、みーんな、こっちにくれば、
おむかえなんていらないのです!みんながこっちにくればいいのです!」
「(萌原、そこに小走りでやってきて)…な、玄米君、
惚れた女が欲しいんやったら、引っ掴んででも連れて帰らなあかんねんで」
「…は?」
「玲おねえさん、たいせつなおはなしなのです!じゃましちゃだめなのです!」
「はーい、わっかりましたー。(善行を見てニヤニヤと笑いながら立ち去る)」
「…おにいちゃんも!よそみしちゃだめなのです!」
「は…は、失礼致しました。昔世話になった医者だと気づかなかったもので」
「…みんな、もなこがおうちにちゃんといれば、それでいいのでしょう?
もなこはこっちにいたいのです。だから、みんながこっちにきて、こっちにおうちをつくればいいのです」
「そんな、おうちに居さえすればいいなどとは」
「じゃあ、どうしてほしいのですか?」
「…それは、おうちにはお帰りいただきたいですが、ただ」
「ほら…やっぱりなのです。おにいちゃんだって、おんなじなのです」
「ですからそんな事は…お聞き分けください」
「やなのです!…もうおはなしはおしまいなのです!もなこ、玲おねえさんとおひるのうんどうにいってくるのです!」
80皇女:2001/08/22(水) 16:36
で、>>79から一時間ほど経った、新兵達が走り続けている日の高いグラウンドで、萌原ともなこ、二人並んで。

「…せっかく、おにいちゃんがきてくれたのに、もなこ、わがままいっちゃったのです…」
「気にせんでええて。外から見てたら、なかなかおもろかったで?」
「もなこ、おもしろくないのです…おにいちゃんにも、きらわれちゃったかもしれないのです…」
「…そか、んー、そやなぁ…玄米君も、乙女心が判ってへんから、また、なぁ」
「おとめごころ、なのですか」

少し、会話の途絶えた二人。そこに新兵の一人が走ってくる。
「あの、宜しいですか、大尉…ランニングは終わりましたが、次もいつも通りで宜しいのでしょうか」
「…自分、乙女同士の大切な会話の邪魔する気か。
そんくらい気使えへんから童貞なんや自分。うちがええて言うまで全員走っとけ」
「マ、マジっすか(泣」
「返事が遅い。折角やから背嚢と小銃背負ってやれ」
「は!行って参ります(泣」
兵卒達の固まっている所に着いた途端、全員から全力でツッコミを入れられる彼の姿があった。
それはさておき。

「…まぁ、あれやな。もなか、自分、気使いすぎやねんや。玄米君好きなんやったら、わがままも言ったらな」
「でも、でも、そしたら、もっとおにいちゃんにきらわれちゃうかもしれないのです。もなこ、それはやなのです…」
「けどな、好きやからって、相手に合わせてばっかやったらタルいやろ?
大丈夫やて。今の事やて、もなかが悪いんと全然ちゃうねんから。
それに、玄米君も、もなかのわがままやったら余裕で聞いてくれるて」
「でも、おにいちゃんをこまらせてるのはもなこだから、やっぱりもなこがわるいんだと思うのです」
「それがあかんねんて。ガキはもっとわがまま言わな。
そんで、そのわがままを聞くのが男は好きやねんて。もなかはほんまに、気、使いすぎやねや」
「…そうなのですか?」
「せや。自分が譲ってもええことあれへんて。玄米君の場合、尚更もっとグイグイ行ったらな。
ま、なんにせよグジグジしとってもあかんて、な(軽くもなこの頭を、ぽんぽんと叩いて立ちあがる)。
…おらー!お前ら何時まで走っとんや!ちゃっちゃと次行かな日暮れるど!」

立ちあがった萌原、まだ俯き気味のもなこを見て、善行に頼まれて、忘れていた用件を思い出す。

「…そうそう、玄米君、蕎麦めちゃ美味かったて言ってたで」
「そうなのですか?」
「うわ、もなか、めちゃ嬉しそうや。いや、ほんま玄米君羨ましいわぁ」
自分でも思わずの反応を弄くられ、恥ずかしそうにするもなこの傍で、
けらけらと笑う萌原の声がグラウンドに響いた。
81名無し侍従長:2001/08/22(水) 23:55
崩宮の執務室にて、侍従長と崩宮二人。内容は先のリストラ、給与カットに関しての話だ。

「…ですから、例え私どもの罷免権を持つのが殿下とは言え、
全くの私心からとしか思えぬ大量解雇などを断行されようとしている事から
起こる風評を、私は憂慮しているのです」
「…ふむ…風が、秋だな」
「はぐらかしている場合ではありませんぞ。
無駄かもしれませんが、貴方の養育者として赤心より諫言致しておるのです」
「…よい、判った。考慮しよう」

…おおきなため息がひとつ、思わず吐かれる。
私は、これ以上の諫言は彼に全く効果を持たない事を知っている。
何を思っていようが彼は結果的に自分の思うが侭にしかしないのだ。
全く、判っていながら、無駄骨を折った。
「…は、では私はこれで」

しかし殿下の仰った如く確かにそろそろ秋の気配の見えつつある宮城だが、
控えに戻る途中の庭の方で、その気配の和にあまりに無粋な騒ぎ声が聞こえ、
その騒ぎの方へ確かめに行った。
どうも近づくに連れ、その声が先に殿下に諫言した
侍従達の不満を発する内容である風に思える事から、私の不安が煽られる。
ともあれ、少しの雑木林を越え、騒ぎの源に近い開けた部分に着いた。

「…ワー!ワー!」
「諸君!座してリストラを待つよりも、今こそ立ちあがろうではないか!」
「ワー!ワー!」
「全くの皇族横暴を許してはならない!諸君!我らは我らの給与カットには断固反対する!」
「ワー!ワー!」

即席の台に立つのはかの不満分子にして問題児侍従C、
そしてワー、ワー、と叫ぶ声のその源は……ひとつのカセットテープだった。

……ひどく、疲れた一日だった。
82親王崩宮:2001/08/23(木) 00:09
>>81
 クドクドといつものように諫言を繰り返す侍従長を不思議な生き物でも見るような目で崩宮は聞いている。
 そして諫言が一段落した後で、おもむろに彼は口を開いた。
「侍従長、アデリーペンギンを知っているかね?」
83侍従長:2001/08/23(木) 00:17
少しさかのぼったと思ってください(笑

>>82
突然、思いも寄らない質問に一瞬怪訝な顔をし。
「…は?テレビで良く見かける類のペンギンだとだけ、存じておりますが。
話を逸らすのはお止め下さい」
84親王崩宮:2001/08/23(木) 00:28
>>83
 アデリーペンギンとは主に南極大陸周辺部に棲息するペンギンの事だ。
 南極の各国の基地などの周囲にいるペンギンが彼らであり、その意味ではもっともメジャーなペンギンだ。
 まあ、普通ペンギンと言ったらこのアデリーペンギンを差す事が多いな。
 体長は70〜75p、体重は5〜6s。
 頭部と喉は黒い羽毛におおわれ、喉の下縁はV字型をなしている。
 短く暗褐色のくちばしは、半分程度が羽毛におおわれており、足は白またはピンクで裏側は黒色。
 目の周囲まぶたが白いのが特徴で、目を開けていると虚ろな目をしているとしか思えないのがなんとも愛らしい。
 http://www.port-authority.minato.nagoya.jp/garden/aq-pic/aderi-p.jpg
 彼らは海の上を跳ねながら泳いぐのだが、その海の上でのジャンプを“ポーポジング”と呼ぶのだ。
 なんとも可愛らしい名称だとは思わないかね? 侍従長。

 ちなみにこれがアデリーペンギンが歩いている姿だ。これも可愛いな。
 http://www.isc.nipr.ac.jp/~penguin/oogataHP/workAs/imgf/adph_wa.JPG
85名無し侍従長:2001/08/23(木) 00:36
>>84
「その…殿下の博識は存じております。
臣もひとつ新たな知識が増えました。
しかし、それと今の話は関係ありませんぞ?
まさか、ペンギンとリストラに関係があるとでもいうのですか?
侍従の代わりに、ペンギンを雇う、などと申される気ですか?
戯言はおやめください」
86第四護衛隊群@呉:2001/08/23(木) 00:39
「わかっとるだろうな? 貴様のことだからぬかりはなかろうと信じとるが……」
「あんたもしつこい男だねぇ。ガキの使いじゃないんだから、何度もくりかえし念を押されなくてもわかってるさね。
 あんたは帝都で朗報を待ってりゃ良いんだよ」
「……うむ、期待しとるぞ」
「任しておいてもらおうじゃないか。
 ……それより、例の約束、きちんと護ってもらえるんだろうね?」
「心配するな。貴様が事を上手く運べば、約定は護る」
「どうだかね、あんたの口約束ほど信用できないものはないんだけどねぇ……
 ま、いいさね。あたしも派手なドンパチは嫌いじゃないからね。せいぜい大きな花火を打ち上げてやろうじゃないか」
「くれぐれも、打ち上げた花火で貴様自身が火傷をすることがないようにな。
 帝国が亜細亜に新たな覇権を打ち立てるも、全世界に恥を晒すも貴様の手腕一つに掛かっておるのだからな、柄這椎真第八護衛隊司令代行」
「その心配が杞憂だってこと、じきにわかるだろうさね、辻政信参謀中佐」
87親王崩宮:2001/08/23(木) 00:41
>>85
 関係はある。
 ようするに、だ。
 不満げな侍従を全て粛清して、新たに雇い直せばよいのだろう?
 世に失業者は溢れているのだから、さしたる問題でもあるまい。

 それよりも今はアデリーペンギンを愛でるほうがよっぽど有益だと思わんかね?
88名無し侍従長:2001/08/23(木) 00:48
>>87
「それは、戯言…ですな?
臣下に不満有る事を聞けば自ら傍によりその源を除き改めるが、
上に立つ者としての度量、と臣はお教えした筈ですが、
まさかその意味を取り違えて覚えられた訳でもありますまい?
(崩宮の持っている、ペンギンの絵の載った雑誌を剥ぎ取り)ペンギンは関係ありません!
ですから、貴方のそのような立ち振る舞いが、
臣下の不満を覚えさせていると申しておるのです!」
89親王崩宮:2001/08/23(木) 00:59
>>88
 ふむ、侍従長。
 なるほどな、命を惜しむ感情ばかりは一人前、というわけだな。

 六九式@猿面冠者からの情報だが、彼の国防軍の英雄が休暇を利用して吉野に向かったらしい。
 あやつめは新潟での戦いで、吉野の叛徒どもとも親しいらしい故な。
 無事、吉野に入ってもなこの説得を開始しているという事だ。
 まったく、南シナ海での戦いで得たせっかくの己の夏季を使ってまで、もなこに忠義を尽くすとはな。
 まさに人臣の鑑と言うしかあるまい。
 多少の紆余はあろうが、まもなくもなこも宮城に戻るであろう。

 しかるに、だ。
 侍従たちは、これまで何をしていたのか?
 与える俸給に相応しき働きをしていると言えるのか?
 彼らに与えられている俸給は宮内省、即ち国民の血税にて支払われている。
 この意味を侍従長並びに侍従たちは理解をしているのか?
 ストライキだと? リストラ反対だと?
 そのような事を言える状況に果たして皇国はあるのか?

(表情こそ変わらないが静かな怒りを湛えた声で)
 まずはそれから考えよ。
90親王崩宮:2001/08/23(木) 01:05
>>89
(一転して普段のマイペースに戻る崩宮)
 だからペンギンの話をして「聞かなかった」事にしようとしてやったのだ。
 聞けば私としては、安くても忠誠心にあふるる人員と取り替えると言うしかないのだ。
 侍従長、それでも私にそのような報告を聞かせるつもりかね?
 そして、まだ侍従たちはストライキを敢行するつもりかね?

 どうだ?
 
91蛯原御幸:2001/08/23(木) 01:23
国防軍海上護衛総隊所属、独立特殊戦隊〈タイフーン〉。
この艦隊に変わった役職が一つ存在する。戦隊司令部付き副参謀補佐代理。という。
誰がどう考えても名誉職。実権などどこにもない。通常なら存在さえしないこの職にある者が
「あすか」に乗艦している。名を、蛯原御幸。またの名を「浮沈艦」

貿易商の末娘に生まれた彼女は船に乗ることが多かった。もはや数え切れぬほどになった乗船歴の中で
どんな状況下にあっても彼女の乗った船は沈んだことが無いという。
国防軍に「なぜか」入隊した彼女が配属されたのは日英共同対潜戦隊。
そう、北陸戦争で壊滅寸前まで行った戦隊である。ところが彼女の乗っていた艦だけは
なぜか、生き残った。艦長が負傷で動けなくなってしまっていたのにもかかわらず、である。

これには噂を半信半疑に聞いていた司令部も仰天した。恐ろしい強運である。
軍務というのは基本的にはリアリズムであるべきであるのだが、縁起とはいえ担げるものは
担いでおきたい。という事で彼女を求めて各隊が競った。しかし、苦労して手に入れた隊は
ほとんど数週間のうちに彼女を手放すことになる。それには理由があった。

彼女は・・・・・・・・軍事的にはまったくの「お荷物」だったのだ。
92名無し侍従長:2001/08/23(木) 01:33
>>89‐90
「……」
目の前の男を見つめる。全く、明哲で正論だ。
なんとしても、最後にこちらが愚を晒す結果になる。
それ故に私を始め宮中の者達は耐えられない、という部分もある。
私も、これ以上は耐えられない。

「…畏まりました。これ以上、申し上げる事は御座いません。
されば、この後は臣らの頭の上の蝿を追った後に申し上げると致しましょう」
「それが良いだろう」
「では、臣はこれにて失礼致します」

結果…不満を叫ぶ侍従達への成果を得る事ができたどころか、
負担を逆に増やすだけに終わった。
正論だけに反論はできず、部下へ説明はせねばならず…
まさか、部下に辞表を薦める事だけは避けたいのだが…
…胃が痛い。

で、>>81後半に連結した、という事にしてください(笑
「司令さん、お茶がはいりましたよお。」
きびきびと仕事をしている岩田司令の執務室に緊張感0の声が響く。
ドアを開けて育ちのよさそうな、温厚そのものといった(悪く言えば緊張感の無い)
ロングヘアの女性が入ってくる。手にしたお盆にはコーヒーカップが乗っている・・・が
ずいぶんこぼれているように見える。
「あ、ありがとう、蛯原君。置いておいてもらえる?」
「だめですよお。そんなに根をつめてもいいことありませんからね。」
ほんわかと微笑んでみせる御幸。

彼女は「あすか」艦内ではほとんど何もしていない。というより、してもらっては困るのだ。
なにしろ、以前いた艦では打電はミスる、ソナーも使えないどころかパソコンも駄目。
銃を触れば暴発させる。だから砲雷長に至っては「お願いだから来ないで」というありさま。
掃除をすればごみを更に増やし、料理をすればなんだかよく分からない物を作ってくれる。
そして本人に悪気は一切無く、いたって一生懸命である。よけいたちが悪い。

・・・・・・つくづく、よく除隊になっていないものだ。

彼女が戦隊に在籍できるのは一重にこの「浮沈艦」の伝説によるものなのだ。
そして、いろんな所をたらい回しにされ、最後に行き着いたのがここ、タイフーンの司令室なのである。
当然、「まあ、「あの」岩田ならあれを抱えても何とかやっていけるのでは」
という上層部の勝手な判断によるもので、岩田司令自身もどうしたものかなあという感は否めないのだが。

だから彼女は今、司令室で雑務の手伝いをしていたりするのである。
そして彼女が配属されて以来、艦隊は台風が吹き荒れる季節だというのに
被害は一切無い。先の東シナでも・・・・・・・

「どうしました?お気分でもわるいのですか?」
「あ、心配ないから。うん、ありがとう。」
「気をつけてくださいね。」

御幸が立ち去った後、岩田司令は一人、溜息を吐いた。
「もうちょっとなぁ・・・・・・・」
艦長クラスの人間には頭痛の種な彼女だが、乗務員(男)には人気があった。
彼女はいわゆる「美人」で気立てもよかったので、ハァハァ……(;´Д`)な人間も多かった。
しかし彼女、「大天然」な為に口説かれていることに気づかず、28年間「浮沈」を貫いてしまっていたり
するのだった。

やる気をすっかり寸断されてしまった岩田はコーヒーに砂糖を入れ、一口すすって・・・・・・吹いた。
「塩・・・・・・」
悪気がないのは知っている。だから始末に終えないのだ。
何か彼女に出来ることを探さないといけない。これは意外に難事業であろう事は岩田にはよく分かっていた。
それゆえ、それを考えるたび溜息を禁じ得ないのであった。
>>93
「塩はココアに入れるものなのですがねぇ………」

 溜息混じりに小さく呟きながら、思いっきり塩を入れてしまった珈琲を啜る岩田。
 何とも素晴らしい味である。
 例えるならば、電波の受信効率が通常の1,3倍にはなるかと、感じる程の代物なのだ。
 ふと脳裏には、蛯原の“お手伝い”によって、引き起こされた数々の失敗が過ぎった。

「ホント、悪い子じゃ無いんだけどねぇ〜」

 深く深く嘆息する岩田。
 気立がて良く、骨惜しみしない良い性格なのでは在ったが如何せん、こればっかりは
どうにもなり様が無かった。

「ハァ……塩珈琲が旨いですねぇ」

 貧乏性からか、残さず珈琲を啜る岩田。
 だは彼は知らなかった。
 星野中尉に蛯原御幸が加わり、諸般の事情で六九式教授も良く来艦すると云う「あすか」の人気は
今、鰻登りで在ることに。
 そして、「あすか」の乗組員達の士気は凄まじく高いと云う事も。
 叩音。
 その時であった。
 司令官公室の扉が叩かれたのは。

「参謀長です。司令、すこし宜しいですか?」
「どうぞ」

 それは、ある意味で嵐の始まりであった。
>>91 >>93
 どうも初めまして。
 〈タイフーン〉戦隊を預かっている岩田です。
 慶祝スレッド及び〈タイフーン〉戦隊への参加を心から歓迎いたします。
 そして、これから宜しくお願いします。
 と云いたいところですが、本当に良いんですか、こんな所(〈タイフーン〉戦隊)を
選んじゃって(核爆)
 後悔されないと良いのですが(熱核爆)
 では!
>>94
 国防軍内部にて、不穏な動き在り。
 そのが、参謀長のもたらした報告であった。

「……その話、裏は取れているのか参謀長?」
「残念ながら…」

 言葉を濁した参謀長。
 詳細は一切不明。
 殆どうわさ話程度の精度しかない、裏が取れ居ているとはとても言えない代物。
 実際、通常で在れば参謀長とて、新進的文化人や護憲派と呼ばれる人間が存在すると吹聴する、
国防軍が国民に黙って世界征服の野望を抱いていると言われるような、三文陰謀劇の類と鼻で嗤った
事だろう。
 だが、今回の話だけは違っていた。
 情報本部。通称、“フーチ”と呼ばれている組織に在籍していた事もある参謀長は、その情報に、
何らかの感触を得ていた。
 故に、幾ばくかの表に出ている情報から、隠されている物を掘り起こそうとしていたのだった。

「一つ一つは、何のことは無い情報−動きです。ですがその流れには一つ、埋もれている様に見えて、
 仕方がないのです」

 それが、自らの動きに気付いた岩田への、参謀長の答えだった。
 要領を得ない言葉。
 その事を本人とて歯痒く感じているのだろう。
 参謀長の表情には、幾ばくかの焦燥にも似たものがあった。

「今は仕事中の時間だよ、参謀長」
「はい。ですから任務には支障をきたさない範囲で行いたいと思います」
「………そう云う仕事は、それこそ参謀長の古巣のフーチ何かがする事じゃ無いのか?」
「そうです」
「古巣の連中を信用出来ないのか?」
「彼等の能力には信頼を置いています。ですが、今の情報本部々長をご存じですか?」
「いや。知らないが?」
「反芝村派で知られる……」

 参謀長の上げた名は、国防省内の状況に疎い岩田すらも知る、極めつけの反芝村派の将官であった
>>96
 参謀長は、己が得た情報を幾つか提示していく。
 参謀長が口にする通り、その一つ一つの情報は、さしたる重要性など無いように見える物である。
 だがしかし、何らかの筋が通って見える事も事実であった。

「…………芝村派、芝村次官等はこの動きを察知しているのだろうか?」
「恐らくは。ですが、放置する可能性も捨て切れません。
 彼等は、己に刃向かってくる人間には一切容赦しませんが、同時に、表だって何らかの行動を起こさない限りは、
 無視、或いは放置する事も多いですから」
「不可解とも言われる、“芝村の温情”……か」
「はい。或いは非公式に彼等も動いているのかもしれませんが、私の調べた範囲では察知し得ませんでした」
「………皇国の楽しき現実だな。だが、今だ確たる証拠は無いのだな?」
「はい。残念ながら。ですから、星野中尉を……」
「……あの子に強力を要請するのか?」
「星野中尉の能力で在れば、情報を収集する事は容易いですから」
「非公式に……自分の判断で参加させる、か。確かに、星野中尉は君の誘いを断る事は無いだろう。そして、
確実に情報を拾ってこれるかもしれない。
 だが、君の動きが白日に曝されるとなった時、あの子はどうなる」
「全責任は私が負います」
「君らしくない判断だな、参謀長。それは無理だ。参謀の職務とは、助言をする事であり、命令を下す事では、
無い」

 殆ど滅多に見せる事のない、岩田の軍人としての貌が浮かんだ。
 苛烈。
 一言で言い表すならば、その表現こそ相応しき、戦人の顔であった。

「………ならばどうしろと仰られますかな、司令」

 対する参謀長も、姿勢を正し、職務、階級に相応しい態度で岩田に臨む。

「簡単だ。公務とすれば良い。〈タイフーン〉戦隊参謀長並びに同技術士官たる星野中尉に対し、
私からの命令とするのだ。上官からの命令を受けての行動で在れば、星野中尉も微罪で済む筈だ」
「手荒い発想ですな……最悪の場合、〈タイフーン〉戦隊解散の可能性も在りますが?」
「構わないさ。皇国あっても我々だ。我々の為に皇国が在る訳じゃないから。違うかな」
「同意します。はい。立派な判断であると思います」
「有り難う。後で正式な命令として辞令を下す。あらゆる機材。人員を動員して構わない。ああ。云うまでもないが、
外に察知されない範囲でね。それ以外は全権を預ける。宜しく頼むよ、参謀長」
「はっ!」
「私は、非公式に芝村次官等に確認を取ってみよう………何事も無ければ良いのだがね」

 小さな呟きは、夕焼けに染められた司令官公室に染み入る様に響いていた。
>>95
こちらこそ、よろしくお願いいたします。
おみかけする限り、お一人でさみしそうに見えましたもので・・・・・・
まあ、イロモノなキャラではありますけれど、遊んでやって頂ければと思います。

なお、彼女の「浮沈」は能力ではなく「偶然が度重なる」タイプ、いわゆる「運がいい」
ということにしておいてください。
99今ごろ着きました炎上:2001/08/23(木) 03:43
   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\ __  /
  | ⊂⊃  (〇〇) [南吉] |l__W__l_<長かったなあ…。
  |┏━━┯━━┯━━┓|(;・∀・) \
  |┃    |    │   ┃|∧ ∧  /
  |┗━━┷━━┷━━┛|( ゚Д゚)< 着いた!!吉野だ!!
  |──────────| /つ  \
  |──────────|
  | 〇          〇 |
  |__________| ┌────
   │   │[=.=]|   |  │
   └────────┘ │
     /       \
    /         \
アア、のまず喰わずでまた吉野に
登るとは…。
___ _______
    V        _____
     ∧∧    __l__W__l /
    (´Д`;)ヾ  (・∀・;)< まあ水ぐらいは飲んだけど
     //)    (   /) \
      ((    .| | |

憲兵君は平気そうだな…
___ _______
    V        _____
     ∧∧    __l__W__l  /
    (´Д`;)ヾ  (・∀・ )< ハァ、苦労が顔に出ないもので…
      //)    (   /) \
      ((.    .| | |

     ∧∧ギョ!    いきなり倒れたりします…
   (;゚Д゚)      ___V
     〜〜)     __l__W__l___
      ((    . ⊂(-∀- )_\_)
              バタ  ∪
101白熊伝説:2001/08/23(木) 13:27
>>73
からん

涼やかな音を立てて一人の人物が入ってくる。
高めの身長に虫かごに奇妙なキーホルダー。
口にパフェを運びながら野々村は口に出さずにつぶやく

  ふ〜ん 檻の中の姫君にナイト二人 みんななぞなぞ好きだねぇ おまけに白熊さんですか。気が合うかもしれないね。

野々村は意に介さずパフェをほおばり続ける。
瞬く間に容器は空になった。
来る前にロッカーにバックを入れ軽装の野々村はそのままふんわりと立ち上がると日向のテーブルへとよった。
そしてふんわりと笑みを浮かべ話しかける。
「こんにちは、ねぇ、あなたさっき『白熊』頼んでたよね」
突然見ず知らずの女性に声をかけられ日向が驚いた様子で見る。
「メニューに書いてあったけど『白熊』って10sもあるビックパフェなんだよね?」
「ご、5きろぉ!?」
日向が声を裏返す。野々村が表に出さずにクスリと笑う。

  やっぱりね。メニューが来る前に頼んだから入り口の『新メニュー 白熊 ひんやり涼しい当店名物』みて頼んじゃったんだね。値段書いてなかったし

野々村が驚いたような表情で日向を見る。
「もしかして…しらなかったの?」
「!」
野々村が差した店内の『伝説のマウンテンからの使者 ビックパフェ 白熊 3000円』の張り紙を見た日向が絶句する。
「ボクはてっきり、あなたが知ってて挑戦するんだと思ってすごいと思ったんだけど……違うみたいだね(顔に苦笑をちょっとだけうかべる)」
夏の怪談を思いっきり味わった日向はよほど涼しい感覚に襲われたか、その場に凍り付いていた。
「お待たせしました。白熊です」
タイミングを見計らったかのようにウェイトレスが『白熊』を運んでくる。
どこの辺りがどう白熊なのはいまいち掴みかねる所はあったが、特注の容器に入ったビックパフェはその質量に関してはまさに『白熊級』であった。
「すごいねぇ」
無邪気に感想を言う野々村。
その声にはっと我に返った日向は自分の時計を見た。
引くつった表情を浮かべる彼女に野々村が声をかける。
「もしかして、誰かと待ち合わせ?」
「え、えぇ、後十分後に…」
「それって、もしかして大切な人?」
意図的に焦点をぼやかした野々村の問いかけに日向が頷く。
たぶん、この女性の意図するところとは違うだろうが、大まかにはあってる、そう日向は思った。
野々村が両頬に両手の手のひらを当てていけしゃーしゃーと日向に聞く。
「それって…これ食べている途中に来られたら、すごぉぉく恥ずかしくない?」
「う”…」
102白熊伝説:2001/08/23(木) 13:29

しばしの沈黙

破ったのは野々村だった。
「ねぇ、二人で食べない?一度こんなおっきなパフェ食べてみたかったんだよね。(ぱたぱたとてをふりながら)もちろん割り勘だよ。どう?」
見知らぬ女性に一緒に食べないかと声をかけられる。日頃の日向なら断っていただろう。
だが、目の前にそびえる『白熊』、そして迫り来るタイムリミット。
「……お願いします」
野々村は満面の笑みを浮かべた。
残り時間は8分30秒。『白熊』タイムアタック記録は未だレコードがない。
後ろではウェイトレスがストップウオッチを準備し待機していた。

今ここに、西朝、東朝 初の共同戦線がしかれた。
対するはあまたの歴戦の勇士を沈めてきた難攻不落の『白熊』

野々村が右手を挙げる。
その手にスプーンが手渡される。

天衣無縫の姫君と、それに続く強者達。

果たして、その明日がどっちか?

それは、誰にも分からない。

何故為れば、歴史は常に変わるからだ。
残り7分12秒。

日向と野々村がスプーンを構えた。今、日向が号令を発する。

彼らにて描かれる後に『西朝黄金伝説(G−West)』と呼ばれる伝説。
その一ページ。『白熊』が幕を開けようとしている。

「いきます!」
103ど忘れ:2001/08/24(金) 06:53
     ∧∧オイオイ
     (;゚Д゚)      ___
     (〜〜     __l__W__l____
      ))    . ⊂(-∀- )_\_)
              ・・・  ∪  ̄
         /
     ∧∧<ど、どうしよう憲兵君なんか運べないぞ。
    .(゚Д゚;) \    ___
     (〜〜     __l__W__l____
      ))    . ⊂(-∀- )_\_)
              ・・・  ∪  ̄
           /
      ∧∧ < うわ、ハァハァセンサー!そうだ、これを反応させれば誰か来てくれるぞ。
◎   (゚Д゚;) \    ___
‖     (〜〜     __l__W__l____
‖      ))    . ⊂(-∀- )_\_)
‖              ・・・  ∪  ̄

◎     ∧∧デハサッソクハァハァ
‖    (´Д`;)
‖      //)
‖      ((.
         wwww
●<ビー.   《《∧∧》》
‖    《《《ヽ((。Д゚))ノ<ウワァァァァァァァァ
‖       《《()ヘ》》
‖         ).ビリビリビリ

  シュー ∫ ∫      ___
∫___ _∧ ∧     __l__W__l____
⊂|___|| つ。Д゚)つ . ⊂(-∀- )_\_)
                  ∪   ̄
104日向:2001/08/24(金) 11:37
>>101
さぁて、さくさくっと白熊食べちゃって
東朝の人を迎えにいかんとな…

「こんにちは、ねぇ、あなたさっき『白熊』頼んでたよね」
『!?』
さっきまで一番奥に座ってた女性が何時の間にか目の前に居る奥の席のパフェの容器は空になっている、さっきまで器一杯だったのに…

「メニューに書いてあったけど『白熊』って5sもあるビックパフェなんだよね?」
「ご、5きろぉ!?」
じょ、冗談じゃ無いぞ、しかも『ビックパフェ』だって?、自分はカキ氷の『白くま』を食べに来たはずだぞ・・・
「もしかして…しらなかったの?」
「!」
……普通『白くま』って言ったら練乳たっぷりかけたフルーツ一杯のカキ氷か、北極の本当の白熊しか思いつかないぞ外の看板にも『新メニュー 白熊 ひんやり涼しい当店名物』って書いてあったし…
ん?
彼女が指差した方には一枚の品書きが…
『伝説のマウンテンからの使者 ビックパフェ 白熊 3000円』
うああああああああああああ…
うあ確かに「ビックパフェ」って書いてあるよ、しかも3000円!
なんで、3000円も出してパフェ食わんなならん(苦悩

そ、そうだ! キャンセルしよう、うんそうしよう!
…遅かった
「お待たせしました。白熊です」とヨタヨタとウェイトレス2人掛りで持ってきたよ…
にしてもデケェ、『白熊』なんて名前じゃなくそのまんま『雪山』と名づけた方が適切だ…
「もしかして、誰かと待ち合わせ?」
「え、えぇ、後十分後に…」
呆然としている自分に目の前に座ってる女性が笑いながら話してくる
普段なら、ハァハァ…(;´Д`)と「萌ぇ〜」の一つでも言いたくなるような女性が前に座っているのに、今はそれ所じゃない東朝の人を迎えに行かねば…
「それって…これ食べている途中に来られたら、すごぉぉく恥ずかしくない?」
「う”…」
時計を見た…残り10分程度だった。ドウシヨウ
105日向:2001/08/24(金) 11:38
>>102
どうしようどうしようどうしよう…
残すって手も有るけど、それは絶対にやってはいけない事だと親から叩き込まれた事だから却下…
うーん…何か良い手は無いかなぁ。

沈黙を破って、彼女が言って来た
「ねぇ、二人で食べない?一度こんなおっきなパフェ食べてみたかったんだよね。(ぱたぱたとてをふりながら)もちろん割り勘だよ。どう?」
何か割り切れないものが有るのだけど…うーん、けど残すのは嫌だしなぁ。
東朝の人を迎えに行く時間がもうない「・・・・・お願いします。」
彼女は満面の笑みを…自分は精一杯の苦笑をしながら時計を見る残り8分か・・・
何時の間にかウェイトレスがストップウォッチ片手に待機してる…会話聞いてたのかずっと(汗

まぁ彼女のご助力ありがたく受けましょうかね、でわ・・・
「いきます!」
残り7分!!
106日向:2001/08/24(金) 11:42
ハイペースでビックパフェ『白熊』に挑む自分、向こうはゆったりとしながらも中々のハイペース

食べていると、クリームの中から「うさぎさんリンゴ」やら「桃の半割」など、とても一口サイズとは言えない
物ばかり出てくる、洒落を効かせて人の形をしたお菓子なども出てきた…なんだか雪崩に巻き込まれた
人みたいだ(苦笑
まぁ自分が5分の3か4程食べれば良いだろう、残りをお嬢さんに食べて貰えば丁度良いかな…
そんな事考える自分、とても大誤算だった。
一向にペースの落ちない彼女
「♪〜」
それに引き換えどんどんスプーンが進まなくなる自分…
「う…」
気が付けば、半分以上を彼女が平らげていた

待ち合わせまで残り3分、最後の一すくいを口に入れた時の自分…なんかとっても鬱です。
不味い訳でもないのに鬱になるこの大きさは食べ物とは呼びたくない…ぞ。
「ごちそうさま」
と〜っても満足そうな表情を浮べている彼女を横目にレジに行く自分
「あ・・」
「良いですよ、時間はお金じゃ買えませんから…そいじゃ有難うございました」
きつい体を引きずりつつ、待ち合わせ場所に走る…時計はもう約束の時刻を過ぎている
「怒られるかなぁ…自業自得だからしょうがないな」
けどあの子、何者なんだろうか? 今度会った時は、甘酒飲み比べ勝負でもしてみたいな・・・
あ、虫篭忘れてきてしまった。まぁいいか帰りに取りに行くとしよう

歩いてるのか走ってるのか解らない状態で目的地に到着
「あ…やっぱり…」
待ち合わせ場所には人影一つ無かった…
107陸幕監部防衛部:2001/08/24(金) 12:45
「支那艦隊の基地撤収は……ここに来て予定が繰り上がる恐れか。ふむ。やはり慌しいな」
「現地の土肥原大佐の連絡では、寧波に対艦誘導弾が連隊単位で移動しているとのことですから」
「上海側の部隊か?」
「ええ、南京軍区の四野系に加えて広州軍区の部隊も混じっているとのことですから、間違いありません。
 少数ずつ分散移動させることで、北京側に事を知られまいとしているようですが……露見も時間の問題でしょうな」
「もう叛意を隠す段階ではなくなりつつあるか。ならば、本当に繰りあがる危険性もあるな。
 艦隊の出航日時ははっちり把握しておかんと、今までの根回しがとんだ笑い話になるぞ」
「武藤装備部長も、その点を気にかけておられましたが」
「まだ、第四護衛隊群が那覇に入るまでは余裕がある。それまでに確実な情報を抑えんとな。
 それよりも、我々の意図秘匿の方は大丈夫なのか。かなり強引にことを進めたからな。いい加減、勘付く輩が出てきてもおかしくはない」
「それは心配ない。情報本部はあの通りだし、軍内は外山少将の警務隊と富永大佐の中央調査隊が情報漏洩に目を光らせている。
 政府も金にしっぽを振る先生方が、きっちり押さえてくれているからな。問題はあるまい」
「雌伏を重ね、人脈を密かに各所に配することに成功したのが大きいですな。
 例え我らが少数派であっても、要所要所を抑えれば多少の無理を通す事も利く転々」
「ふむ。まぁ、油断はしないほうが良い……」
水沼喜一。旗艦「あすか」でコック長を勤める男の名である。
そして他方では蛯原萌えを公言する「みゆきたんファンクラブ」会長でもある。
(なお、「あすか」内には最大派閥「六九式教授ファンクラブ」がある。会長は・・・・・言うまでも無い)

事件は金曜日に起きた。
その日、午前中の幹部会議を終えた岩田は腹を空かせて食堂へ向かった。
会議に同席した六九式教授と食事を共に出来るとあって彼の心はブラジリアンサンバを躍り狂わんばかりであったという。
「お、今日は「タイ風スパイシーカレー」ですか。凝ってますねえ」
「あははーっ。海軍カレーのメニューには見えませんねーーっ(爆)」

この時、気づくべきであったのであろう。食堂の異様な雰囲気に。
そして、うかれきった水沼の顔に。メニューの異常さに。
食事の時間を知らせに来た蛯原のうれしそうな顔に。

スパイシーと銘打つだけあってカレーは強烈な香辛料の香りをさせていた。
岩田は六九式教授の正面に席を取り、うきうきとした気分を隠し切れない表情のまま一口目を口に運んだ。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「・・・・・・・・ぐおおおおおおおおおおーーーーーーーっつうっつううつつううtっつう!!!!」
それは、人間が火を吐くという行為を行った場合どういう状況になるか、実験したかのような。
それは、これ以上大きい声は出せぬであろうというほどの声をあげたかのような。
それは、脳が沸点を迎えたらどうなるか、体現してしまったかのような。
・・・・・・・そんな叫びであった。
「・・・・・・なんだ!?これは・・・・・・・・」
悶える参謀長。のたうつ星野中尉。・・・・・・・・カレーは・・・・・異常に辛かったのだった。
「どうです?今日のカレー、私がお手伝いさせてもらったんですよ。」
にこにことして言う蛯原。

彼女は料理と編み物が趣味であった。そのうち編み物、裁縫に関してはなかなか才覚があった。
しかし・・・・・・・悲しいかな、「料理が好き」と「料理が上手」というのはイコールとは必ずしもなり得ないのだ。

そして、岩田はようやく気づいたのだ。水沼の惚けきった顔に。周囲で苦しみのたうつ乗務員の面々に。
「・・・・・・・み、水・・・・・」
「はいどうぞ。」
渡された水を一気に飲み干すと岩田はなんとか呼吸を整え、厨房の水沼の所へ向かった。
「水沼君・・・・・・・あの子に手伝わせちゃ駄目って・・・・・・言ったよねえ?」
顔はかろうじて笑っているが、やや引き攣っている。
水沼は、意を決したかのように向き直る。
「どうしても・・・・・・・・みゆきたんの水玉エプロン(フリル付き)が見たかったんだあ!!
コック長である私が手取り足取り料理を指南して差し上げる!!これ以上の役得!これ以上の
ハァハァ……(;´Д`)がありますか!!ああ!!私はみゆきたんのエプロン姿が見られるのならば!!
たとえ乗務員全員を地獄に落とそうとも!・・・・・・・」
ここまで力説したとき、水沼は両腕を兵士二人にガッシリ捕まれた。
「抜け駆け・・・・・・か?」
「それだけの為に・・・・・・・・か?」
岩田は水沼の萌え狂った顔を見据えると、溜息を一つ。
「・・・・・・・・逝ってよし」
「わが生涯に一片の悔い無しーーーーっ!!・・・・・・・・・・」
水沼はそのまま営倉へ引きずられていった。

席に戻る岩田。そこで彼は再び目を丸くする。
この「死ぬほど辛いカレー」を平然と食べつづける二人の女性がいた。
一人は製作者である蛯原。もう一人は六九式教授その人であった。
「あはははーっ!!カレーはこのくらい辛くないとおいしくありませんねーっ!!(核爆)」
「そうですよね。これでも少し甘いかなあって思ったんですよお。」

平然と食べつづける二人。岩田が唖然としていると、教授はふいに岩田に向き直った。
「むーっ!!どうしたのです?イワタマン司令!!食べない子は大きくなれませんよーっ!!(謎核爆)」
言うなりカレーをたっぷりすくったスプーン(ハラペーニョのおまけ付き)を岩田の口につっこんだ。
「!!!!!!!!!!!」
ひっくり返って悶える岩田。でも、岩田の顔は苦しそうではあったが嬉しそうでもあったという。
(状況はどうあれ、間接キスをしたということに変わりはないのだから・・・・・・)

その日、売店のミネラルウォーターは「あすか」就航以来最高の売上げを記録したそうである(笑)
110哀号旅団長:2001/08/25(土) 03:03
(その頃、SK国の非主流派、慶尚道においてとある民族運動が盛り上がっていた)

大和は萌えの咲きはう国とはとんだ妄言ニダ!
萌えの起源は半万年の歴史を持つウリナラに決まっているニダ!
古えかん美人の産地としてアジアに知られるウリナラこそ!
真の萌え出ずる国の名に相応しいニダ!
ヘタレで弱腰の百済野郎ども(全羅道の事)の頭領金大中は、先の戦いで日帝相手に醜態さらす始末ニダ!
ここは我々新羅の好漢(慶尚道)たちが朝鮮民族の誇りを賭けて、ウリナラの萌えと強さを知らしめるニダ!
日帝36年と百済の支配に虐げられし我等新羅の魂を世界に轟かすニダ!
来るべき日帝との戦いにおいては、我等新羅の好漢たちが先鋒となってイルボンに思い知らせてやるニダ!
日帝に思い知らせてやれるのは大昔の白村江の戦いでチョパーリどもを全滅させた、我等新羅の勇者だけニダ!
さあ! 義勇軍を編成するニダ!
我等の虐げられた歴史に対する“恨”の心に因んで「哀号旅団」と名付けるニダ!
行くぞ我等哀号旅団の栄えある結団ニダ!

求めよ謝罪と賠償<丶`∀´>!
叫べよマンセー!

合言葉は!?


いつか、イルボンどもに「ウリのキムチを舐めろ」と打電する日も近いニダ!
「「「「ウリナラマンセー!」」」」
「「「「ガッチリニーダー!」」」」
「「「「アイゴー! アイゴー!」」」」
111SK国哀号旅団兵:2001/08/25(土) 03:06
哀号旅団長「合言葉は!?」

ガッチリニーダー!!!
112哀号旅団長:2001/08/25(土) 03:41
イルボンには“醍醐旅団”というウリのキ゜クリみたいな私兵集団があるニダ!
まったく、日帝は剣道といいトンチャモンといい、ウリのオリジナルをなんでもパクるニダ!

親愛なる部下、
哀号旅団中佐@チマチョゴリ付黒キムチ!
日帝の“ナンチョ”とかいう組織に抗議のメールを送るニダ!

(旅団長、近くにいるシーズー犬を招いて)
“きよまさ”こっちに来るニダ!

中佐、今夜は結団祝いとしてコイツで一杯やるニダ!
113あきいえ:2001/08/25(土) 03:51
そのころ吉野では……

あきいえ「(ブルブル)くぅ〜ん」(な、なんだ今の悪寒は……)
114黒龍江省奉天:2001/08/25(土) 04:16
「それでは同志将軍、よろしいですね? 一ヶ月だけ、もたせて頂けばよいのです」
「わかっている。同心土肥原大佐、我々はこの国がもはや限界に来ていることを知っている。あなたがたの申し出は渡りに船だ」
「それは重畳です。同志上将、この土地には膨大な地下資源がある。東亜の同朋と輝かしい未来を迎えることができる。
 なにも、好んで落ち目の中央と運命を共にする必要は無いのですからな」
「然様、歴史的に見ても、この地は決して北京に従属する謂れのない土地であります。
 閣下の決意は、満州に輝ける未来をもたらした英断として将来称えられることとなりましょう」
「うむ。かつて満州王と呼ばれた高同志が、萌沢東の……北京の手で処断された恨みもある。
 かつてのR国軍や国連軍侵攻の時も、我々は無茶な作戦指導を強いられたしな。今こそ積年の恨み晴らしてくれよう」
「閣下のその憤り、大いに理解し、賛同いたします。
 ところで同志将軍、その憤りをより多くの同志と共有できませんでしょうか。
 例えば、指令員同志とか」
「……あれは、無理だ。残念だが、無理だ。
 指令員はガチガチの党員だ。あれを懐柔しようとするなら、よほど政治将校を説得するほうが楽なくらいだ」
「なるほど……わかりました。同志将軍、閣下が無理とおっしゃるなら無理なのでありましょう」
「すでに定まりたる計画に、今から変更を入れるも危険でありますからな。
 では閣下、くれぐれもよろしくお願いいたします。
 次に会う時は、我が皇軍が、閣下の集団軍が立て篭もるこの奉天に同盟者として入城したその日とあいなりましょう」
115様子見:2001/08/25(土) 07:50


  シュー ∫ ∫      ___
∫___ _∧ ∧     __l__W__l____
⊂|___|| つ。Д゚)つ . ⊂(-∀- )_\_)
                  ∪   ̄
116哀号旅団長:2001/08/25(土) 11:07
「イルボン進駐の暁には、大陸国家らしく装甲列車で乗り込むニダ!
新幹線程度で威張っている島国根性丸出しのチョパーリ共に、ウリナラの誇る
KTXの優秀性を教えてやるニダ!ウリナラマンセー!!」
「アイゴー!旅団長、K日トンネルは計画凍結状態の上、ウリナラとイルボンでは
線路の幅が違うニダ。」
「ケンチャナヨ−、これを見るニダ!
http://blinda.hoops.livedoor.com/vkg_300.html#vkg_01
これを朴るニダ!幸いKTXは同胞F国のTGVを『参考に』設計された物。
馬力が足りなければ機関車を十台ぐらい連結して引っ張れば済むことニダ!
敗戦国ドイツに出来た事がウリナラにできないわけがないニダ!ウリナラマンセー!」
「ガッチリニーダー!」
 所用にて、海上護衛総隊総司令部を訪れる事と成った岩田。
 さしたる重要な用件でもなければ、急ぐような種類の事では無かったが、気分転換的な意味からの、
行動で在った。
 最近お気に入りと成った93式高機動車を駆って。
 気楽と評しても良い、都内の短距離クルーズ。
 只、予想外で在った事は“鞄持ち”と称して蛯原が付いてきた事だった。
 否。
 正確に表現すれば、あすかの艦長代行に泣きつかれたのだ。
 連れて行って欲しいと。
 蛯原だけが理由ではない。彼女に萌えている面々の仕事効率が悪化するのだ。

「司令もアレですがね、今の若い衆は萌の相手が傍にいるとどうにも自制心が働かんのですよ」

 叩き上げの海軍士官である艦長代行に言われては、否応も在るはずはなかった。
 第一、コック長がハァハァ……(;´Д`)と萌暴走したばかりなのだ。
 反論など出来よう筈もなかった。

「司令とならば、被害は小さく済みますな」
「ですね」

 他人事のように呟く参謀長。
 極辛カレーが余りにもきつかったのだろう。星野中尉の言葉にも一切の容赦が無い。

「皆さん、冷たいですねぇ〜」

 岩田は、嘆息と共に呟いただけであった。


 そんな国防省行き。
 最初、蛯原は自分が運転手をする事を主張していた。

「やっぱり、司令さんにハンドルを握らせる訳にはいきませんよぉ」

 素直な、凄く良い子である。
 その点に於いて、岩田に異存は無い。
 だが、衛門を出て100m走った時点で、運転手は交代する事となった。

「………あの〜やっちゃいました」
「…うん、そだね………流石はトヨタ製……93式が頑丈で良かったね」

 少しだけ泣きべそが入った蛯原。
 思いっきり平坦な口調で呟いた岩田。
 何が起きたかは、敢えて記すまい。
 国防省内を一人歩く岩田。
 所用自体は極簡単なものであった為、もはや用事もなくのんびりとした風情であった。
 蛯原は居ない。
 幾ばくか、重要度の高い用件でも在った事から、国防省内に設けられている喫茶店に待っている様に
言ってあったのだった。
 粛々とした雰囲気の国防省。
 それが破られたのは、喫茶店の傍であった。
 何かが割れるような、澄んだ破壊音。
 罵声と悲鳴。
 諸々の混ざり合った混声曲。
 その中で岩田は、一つの言葉を聞いていた。
 状況からすれば場違いなほどに落ち着いた言葉。

「はらはらまあまあどうしましょう……」

 その一言で、岩田は全てを察した。
 理解してしまった。
 誰を中心にして発生した騒動かと云う事を。
 故に、その場で回れ右をし、喫茶店を離れる。
 今までの経験から、蛯原が絶対に無傷である事は想像出来ていた。
 それがどの様な場所であろうとも、どの様な状況であろうとも蛯原が怪我などを身に受ける事は無いのだ。
 幸運の天才。
 或いは、不幸という名のパンドラの箱の奥から勝手に這い出してくる少女等と云う異名は伊達では無いのだ。
 恐らく蛯原は、かすり傷一つ負うこともないだろう。
 普通ならば、それでも喫茶店に赴くものではあるが、岩田にその考えは無かった。
 冷たい訳ではない。
 只、自分が行った場合、まず間違いなく巻き込まれる事が−そして酷い目に遭うであろう事が、過去の
経験則から明確に判っていたからだ。
 ほとぼりを冷ます為、行く宛ても無く彷徨う岩田。
 ふと、足は在る場所を目指していた。
 其処は階段。
 只の階段。
 だが、岩田には非常に重要な意味を持つ場所であった。
 なぜならば、岩田が六九式教授と初めて出会った場所なのだから。

「懐かしいですねぇ」

 ゆっくりと階上へと続く階段を見上げてゆく岩田。
 出会いは、殆ど冗談の様なものであった。
 当時、士官学校を出たての新米であった岩田は興奮と緊張に包まれながら歩いていた。
 そして階段を上ろうとした、その時であった。

『はーっ! はわわわわーっ!?』

 奇声と共に、上より降り注いでくる大量の書類。
 視界が、真白に埋められる。

『なっ、なんですとぉ!?』

 階段で、回避するような余裕はない。
 衝撃。
 何か、重たいモノがぶつかってきた感触。
 その衝撃で岩田も又、足を踏み外して階段を転げ落ちていた。

『あははーっ!? やってしまいましたーっ』

 極至近−真上から聞こえてくる声。
 腹の辺りに柔らかな感触。
 頭を振って眼を開けたとき、女性が岩田の上にペタンと腰を降ろしていた。
 年の頃は……高校生から大学に入り立てと云う位であろうか。
 栗色の長い髪。
 化粧っけの無い顔には厚い、正しく壜底のような眼鏡を付けていた。
 その身を包むは白衣。

『やっぱヒールは駄目ですねーっ! パンプスが一番ですーって、あははーっ、大丈夫ですかーっ!?』

 ずれて、ちょこんと鼻に乗った壜底眼鏡を直さぬまま問い掛けてくる少女−六九式教授。
 散らばった書類と白衣に、岩田は六九式教授が浮かび上がっている様にも見えた。
 故に、その感想を正直に漏らそうとする。

『……あっ、白』
『駄目ですよーっ! 乙女の秘密ですーっ!!』

 言い方が悪かったのだろう。
 顔を真っ赤にした六九式教授は、岩田に乗ったまま恐ろしい勢いで掌底を放つ。
 脳天へと突き刺さる衝撃。
 それが「運命の恋(岩田主観)」の始まりであった。
「あの頃から可愛らしかったですからネェ〜」

 勤務中では在ったが。思わずクイックイッと腰を振る岩田。
 場所は国防省内。
 だが、誰も何も言って来る事はない。
 実力も在るが、電波も凄い。
 海軍最強のイロモノ部隊〈タイフーン〉戦隊の勇名は、岩田の“少しばかり”の奇行など、看過させていた。
 尤も、看過の代償として様々な部隊が持て余した人材が〈タイフーン〉戦隊へと流れてくる事も事実であり、
その余りの濃いさに、少しばかり嘆いている事も事実ではあったが。

「イイ!
 イイ!!
 凄くイイ!!!」

 ローリングまで入れて、クネックネッと腰を振る岩田。
 凄まじく淫靡だ。

「あははーっ! その声はイワタマン司令ですねーっ、アブナイですよーっ!!」
「って、六九式教授!?」
「はいですよーっ!」

 振り返れば其処に、六九式教授が居た。
 相変わらず、凄まじい量の書類を抱えて。
 尚、この電子化が進んだ現代で、これだけの書類を抱えている理由は、何でも、六九式教授の趣味である
との事であった。

『あははーっ! やっぱり資料は紙でないとですねーっ(爆)』

 軽く、身の丈は在りそうな書類の束を抱えて、よたよたと歩いてくる六九式教授。
 腕時計を確認する岩田。
 時間はまだ在る。
 いや、時間などどうでも良い。
 此処で手伝わずして、どうすると云うのか。

「手伝いますよ、六九式教授」

 ひょいと、六九式教授の手から書類の束の大半を抱き上げた岩田。

「行き先は、六九式教授の研究室ですか?」
「あははーっ! では御願いしまーす!! 後で、ビーカー珈琲でも出しますよーっ(爆)」

 その言葉に、更に相好を崩す岩田。
 六九式教授謹製のビーカー珈琲は、塩ココアに並ぶ、岩田の好む嗜好品だったのだから。
 何故、只の珈琲が彼処まで旨いのかは判らない。
 だが岩田は、気にするつもりも無かった。

「それは楽しみデスネェ♪」

 六九式教授の後を、重い書類を抱えたままクネックネッと腰を左右に振りながら歩く岩田。
 それは良く晴れた夏の、昼下がりの出来事だった。
121:2001/08/25(土) 19:25
>>106
「ごちそうさま」
慌てて日向がレジに向かう。
その側で野々村はのぉんびりと食べた後の満足に浸っていた。

  うん、やっぱり腹八分目医者いらずだね。加藤さんや藍前さん達との勝負と比べるとまだまだ軽いよね。

「あ・・」

 割り勘しないとね。

「良いですよ、時間はお金じゃ買えませんから…そいじゃ有難うございました」

そう言うと、日向は急いで喫茶店から飛び出し、ふらふらと歩いていく。
それを見送りながら野々村は追加注文するかどうか考えていた。

 さすがに遅刻しちゃうけど、もう二人とも遅刻だね。

席に座る際に意識的にテーブルの下に下げた虫かごを見る。
じゃ、なんか一緒に食べる物でも持って一緒に歩こうかな。
野々村が視線を外に向ける。そして小さく微笑した。
ふんわりと立ち上がると虫かごを持ってレジの方に向かう。

「ごちそぉさま。お会計ね」

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
「あ…やっぱり…」
日向ががっくりと肩を落とす。
その肩を少し下の方からつんつんとつつかれる。
「?」
日向が後ろを見ると先ほど分かれた女性がふんわりとほほえみながら虫かごを日向に差し出していた。
「わすれもの、だよ」
待ち合わせに遅れた以上役に立たない物であると思いながらも日向は虫かごを受け取る。
「あ、すいません」
律儀に謝る日向に野々村がぱたぱたと手を振りながら、こたえる。
「きにしないで。ボクも遅刻しちゃったし」
ボクも…その言い方に日向が怪訝な表情を浮かべる。
「はい?」
間の空いた返答をした日向に野々村が右足を後ろに少し下げ、両手でロングスカートを少し摘むと少し腰を落として会釈する。
「さっきも逢ったけど改めて初めまして。東朝より参りました『皇統お助け係(インペリアル ヘルパー:Imperial helper)』の野々村です。(上目遣いに見上げて、ちょっといたずらっぽく笑う)でも名字だと堅苦しいから良ければ雪って呼んでね」


〜〜でむぱ〜〜
以降よろしくね。日向ちゃん(笑)
122醍醐旅団長@少女形態:2001/08/25(土) 23:36
 それはいつの事だから定かではない、とある醍醐旅団長の少女時代(笑)の思い出。

「ん〜しょ……、ん〜しょ……」
 まさか、この身体だとこんなに大変だとは思わなかった。
 相変わらず少女形態の廣瀬は、身に余る大きさのバスケットを手に坂道を登っていた。
 肩には大きな魔法瓶を下げている。
 黒を基調に白いフリルや刺繍でそこかしこに豪奢に飾られたワンピース、いわゆるゴスロ
リ(ゴシック・ロリータ)スタイル、もちろん帽子もつばの広い漆黒で、三つ折りの靴下に
栗色のローファーという隙一つない姿で身を固めた彼女は、そのスタイルに慣れないため、
どうしても服装が着崩れないように静かにちょこちょこと歩くしかない。
 髪の一部分だけを三つ編みにして、両側に垂らした髪が揺れる。
 十歩ぐらい進んでは足を止め、また十歩ぐらいすすんでは一息つくというと大袈裟かもし
れないが、印象としてはそのように見えてしまうようなペースだ。いっそ、こんな姿の少女
が山道をここまで登ってきたのがいっそ奇跡的と言えたかも知れない。
 そのせいで普段より完全に3倍は時間と労力がかかってしまっているようだった。
「ふぅ……」
 また足を止めて、道端の草むらにバスケットと魔法瓶を置いて小休止。
「あ、……でも、殿下が待ってる……いそがなきゃ……」
 小休止とは言っても、気が急いてしまうのか30秒も立たないうとに、バスケットを手に、
魔法瓶を肩にかけて再び歩き始めてしまうのであった。これではかえって疲れる。
123醍醐旅団長@少女形態:2001/08/25(土) 23:37

 やがて、彼女はいつもの桜の樹の見えるところまで辿り着く。
「でんかぁ」
 満面の、本当に視界にその姿が入ったこと自体がこの世全てを明るく包むとでも言いたげ
なほどの、全身から歓喜を発して彼女は思わず声を上げる。彼女の声帯にしては大きな声な
のであるが、それでも控えめになってしまうのはその小さな口のせいだろうか?
「……?」
 桜の樹のふもとでいつものように文庫本を紐解いている萌之院が、その小さな声を耳にす
る。聞き慣れたその声に、振り向くと、小さな……すらりと均整のとれた長身の彼女よりも
ずっと小柄で華奢で人形のような姿が目に入る。
「……かなこ……」
 と声に出して確認したところで萌之院は、少女姿の廣瀬が大きなバスケットをむしろバス
ケットに運ばれているような危なっかしさで持っているのに気が付いた。
 彼女は“かなこ”に駆け寄り、奪い取るようにしてバスケットを持ってやる。
「あ……」
 “かなこ”は驚いて萌之院を見上げる。ちょっとだけ怯えた風情も見せたが、萌之院の顔
が穏やかだったので、ほっと安心したようににっこりと萌之院に向かって百合のようなひっ
そりと微笑む。
「……あ、……ありがとう……ごさいます…………。…………ねえさま…………」
 最後の“ねえさま”と、躊躇いながら口に出すと“かなこ”は顔を真っ赤にして俯いて顔
を背けた。
 そのまま二人は桜の樹の下に辿り着き、バスケットと魔法瓶をおく。
「ところで、かなこ。この大荷物はどうしたのです?」
「あ……、あの! お茶と……サンドイッチ作って……持って、来たんです……」
 何か必死に、なぜか弁護するようにかなこは焦りながら説明する。
「えと……、そのぉ。お昼には……間に合いませんでした、けど……」
 しゅん、と頭を垂れる姿勢はまるで叱られた子犬のようだ、と萌之院は思った。
「そう。で、どのようなものを作ってきたの?」
 萌之院が自分の作ってきたものに興味を示してくれたのが実にに嬉しそうに、表情を一転
させて、かなこはバスケットを開き、シートを開いていそいそとお茶の用意を始めた。萌之
院はそんなかなこのくるくる変わる表情や態度を楽しそうに見ながら、かなこの作業を手伝
った。
124醍醐旅団長@少女形態:2001/08/25(土) 23:37

「えっと……。まず英国風のお約束としてキュウリのサンドイッチ……。あ、と定番として
卵サンド、ハムサンド、BLTサンド、ツナ、スモークサーモン、アンチョビー、てりやき
チキン……。あと変り種として、枝豆とツナ、コンビーフパテ、レバーペーストとチーズの
……。甘いものとしてチョコレートと生クリーム、小倉あんとマーガリン、クリームチーズ
といちごジャム、オレンジとヨーグルト……」
 ……の後にも数品並ぶ。そんなかなこの嬉しそうな説明に、萌之院はさすがに焦ったよう
に、止める。
「か、かなこ……。ちょっと多過ぎはしませんか?」
「あ、どれも小さな一口サイズにしたり、くるくると巻いた形にして食べやすくしたんです
けど……ちょっと作りすぎた……かも」
 言われて気付くあたり、迂闊としか言えないが、かなこはバスケットのいくつかの可愛ら
しいタッパーに分けられた、ミニサイズのサンドイッチの数に今更ながら気付いたように呆
然と見詰める。
「あ、あのっ……!! 朝……えと……初めて殿下に……。ごはん作れるのが……嬉しくて
……つい……」
 また、しゅん、とうなだれるかなこの髪を萌之院は優しく撫でる。
「いいのです。余ったら持ちかえって、旅団の者たちやあきいえのお土産にでもしましょ
う?」
「……はい」
 萌之院のほっそりと美しい指に髪が梳かれるのか気持ちよくて溜まらないように、かなこ
はうっとりと目を閉じたまま答える。
「それにしても驚きました。かなこは、料理も出きるのですね……」
「はいっ! あの……。自炊できないとならない環境でしたので……」
 とその先は言いたくないようにかなこは口篭もる、だが萌之院はそれ以上追求しようとせ
ずに、言う。
「そうですか。ではお茶を頂きましょう。用意はできているの?」
「はい! 紅茶は暖かい魔法瓶入りのと……、冷たく凍らせた水筒入りのがあります……!
どちらにいたしましょう……?」
 と少女は嬉しそうに魔法瓶とバスケットに入っていた水筒を抱えながら答える。
「まずは、暖かいお茶をいただきましょう」
「はい!」
 まるでおままごとのような、愛らしい所作で用意してあるティーカップ(綺麗な熱いタオ
ルで包んでありカップも暖めてある)に紅茶を注ぎ始めるかなこの姿を、萌之院は樹を背も
たれにして寛ぎながら微笑んで見詰めていた……。
125入院炎上:2001/08/26(日) 03:09
Λ◎Λ
( ´Д`)「急患だー!」
{ ..+}
( ´Д`)「二名とも意識不明です!」
Λ◎Λ
( ´Д`)「状態は?」
{ ..+}
( ´Д`)「大きいほうはすべて正常、小さいほうはすべてが異常です!」
Λ◎Λ
(;´Д`)「ハァ?でかいほうは寝てるだけじゃねえのか?オイ起きろ。」
__|__W___|
.(・∀・;)「ああどうも、腹へって倒れてました。ここはどこですか?」
Λ◎Λ
(;´Д`)「醍醐総合病院だよ。あんたの連れは意識不明だよ。」
∧ ∧
(。Д゚ )「・・・・・・。」
Λ◎Λ
(;´Д`)「とりあえずこの人は入院、あんたは飯でも食いなさい。」
{ ..+}
( ´Д`)「先生、とりあえずどうします?」
Λ◎Λ
( ´Д`)「なんかよくわかんないけど集中治療室にでも入れとけ。」
__|__W___|
.(・∀・;)「飯食わせてぶん殴ればいいのになあ。」
126日向:2001/08/26 07:13
>>121
さて、困った(汗
東朝の方は一体何処に行ったんだろうか? まさか怒って帰っちゃった!? とほほぉ・・・
つんつん・・・ん?
振り向いて見れば、先程の喫茶店のお嬢さん…?
「わすれもの、だよ」
あ、虫篭を持って来てくださったんだ、けどもう使い道が無いのだよねぇ。 しかし、お礼は言わなきゃね。
「あ、すいません」
「きにしないで。ボクも遅刻しちゃったし」
「はい?」
ん?お嬢さんもココらで待ち合わせしてたのかな? しかも、同じ様に遅刻してるし・・・なにかと縁があるねぇ…
そんな、事をぼーっと考えてる自分の前でゆったりと礼をする彼女、その姿に見とれてる私に彼女がこう言った、
「さっきも逢ったけど改めて初めまして。東朝より参りました『皇統お助け係』の野々村です。でも名字だと堅苦しいから良ければ雪って呼んでね」



はい?え?え?ええ!?
「ええと・・つまり、貴女が東朝からのメールの『人間を送る』って文に該当する…方?」
「はい、そのとうりです」(微笑)
少し顔を傾け「彼女」は笑って見せた。

〜〜でむぱ〜〜
こちらこそ宜しくお願いします(笑
127醍醐旅団長@少女形態:01/08/26 12:28
えっと、お知らせでっす……。
先日の転送量の増加による閉鎖騒ぎですが、
調べてみたところ、“>>”によるスレ内リンクはかなり容量(100バイトほど)を食うそうです。
それに256kb制限においても、容量の無駄になにりかねませんので、
これ以降は容量と転送量を説やスするためにスレ内のやりとりにおけるレス番指定は“>>”を使わず、
“>”や“>”を使ったリンクしないものにいたしましょう。
ちょっと不便かも知れませんが、ご協力お願いいたします。
あと、リロードも控えめにしたほうがよろしいそうです。
長文SSスレですので、我々も転送量の減少に出きる限り協力いたしましょう。
それでは、よろしくお願いいたします。
ペコリ(スカートの裾を掴んで可愛く一礼)
128野々村:01/08/26 20:51 ID:CMIXMiqs
>126
 うん、混乱してるね。
 面白かったから、誤解させるままに、この格好でいたけどそろそろ教えて上げた方が善いかな?
 日向さんこっちみてるね。

「はい?え?」

 声に出しているのも自覚ないんだろうなぁ。うぅん、男だって言うタイミングは外してるよね。まいっか。

野々村は混乱している日向にあわせて少し小首を傾げる。
小柄でなで肩、色白の野々村のするその仕草は全く違和感がなく日向をさらに混乱させる。


「ええと・・つまり、貴女が東朝からのメールの『人間を送る』って文に該当する…方?」
「はい、そのとうりです」

野々村がふんわりとつかみにくい笑みを浮かべて、萌姫と一緒に鍵盤を弾くのに散々苦労したその小さい手を差し出す。
慌てて日向がその手を掴みかえす。
身長に落差があるために野々村が日向を見上げる形になる。
日向の位置から野々村の顔が良く見える。

   睫毛長いな…って、なに考えてるんだ

ぶんぶんと頭を振る日向に野々村が再び挨拶する。
「よろしくね。日向さん」
「え?は、はい」

そして、ちょっと照れたような、それでいて寂しそうな笑みをこぼす。

「やっぱり雪は変かな。萌姫様がそう呼んでくれていたからすっかりなれちゃって……」

再び、日向が慌てる。

「いや、そんなことは…」
129野々村:01/08/26 20:54 ID:CMIXMiqs

野々村はともえには海で逢っている。
ともえにあったときには、素直に『野々村 幸彦』の名をかたることだろう。
その時、日向はどう反応するのだろうか。
そんなこととは関係なく、マターリとした時が流れていく。

くるりと体を反転させて野々村が商店街の方を指さす。
支点を変えずに移動したためにスカートが少しだけふわりと上がる。
日向の目にペパーミントカラーのスニーカーと、三つ折りにされたソックス。手と同じく日焼けしていない白い足が見える。

「日向さん。もう夕方だし、どっかごはんたべいきません?」
「え"?」

甘いモノは別の胃に入る。
その言葉を日向が知っていただろうか?
知っていたとして思い出す余裕があっただろうか?

「あの…」

 夕食どこにしようね。

野々村が首を少し傾げる。

「はい?」

少し不思議に思う頃があると萌姫は小首を傾げる。
それは元々は側に長くいた野々村の癖だった。

「なんでしょう?」

野々村 幸彦、彼も又、東朝のセオリーに外れないマイペースな人であった。
130都内某所:01/08/26 23:51 ID:F0QcV/ko
「新陽軍区の一個集団軍の篭絡は確実か。土肥原め、やったな」
「しかし、さすがにぎりぎりだな。
 これ以上長引かされては危ういところだった」
「急ごしらえの計画としては、まぁ満足すべき経過だろうよ」
「ですが、南京軍区の部隊を懐柔できなかったのは画竜点睛を欠きますな」
「かまわん、あそこはこの間の米軍の攻撃や台湾に備え、北京も忠誠を信用できる人材が配置されておるからな。予期されたことだ。
 江蘇省に樹立する『学生政府』の軍事的後ろ盾には、我々が直接立つまでだ」
「むしろ軍閥を介するよりも、そのほうが国際社会の受けが良いかもしれません」
「うむ、大陸に生まれた民主主義政府を擁護する日本を中心とした国際部隊。
 かつて、大陸を侵略した『罪』を贖おうと、共産主義の暴悪から自由で開放された人民の盾となる。美談じゃないかね?
「はは、まったくです。例え、建設されるのが我が国の傀儡政府であろうと、今よりひどい政府ではありますまい。
 支那人には感謝してもらいたいですな。犬にも劣る彼らにそんな期待をしてはならんとはわかっておりますが」
「つまらん。それより、『天安門の学生』どもを攫う準備はできているのか?
 CIAはともかく、FBIに気付かれてはいないだろうな?」
「現在のところ、その兆候はありません。
 仮に気付かれたとしても、今回の我らの計画は国際社会、とりわけ米国の利益となる義挙ゆえ、米国は口を挟みますまい」
「そうであればいいが。
 まぁ、ともかく海外でのお膳立ては、支那艦隊の正確な予定把握を除いてほぼ整ったわけだ。あとは国内の準備だな。
 朝霞と練馬の準備を急がせろ。いくら秘匿に気を使っているとはいえ、今のペースでは到底予定に間に合わんぞ。
 今この千載一遇の好機を逃せば、貴様らの責任だと伝えてよこせ。
 まったく、河辺に土橋、あののろまどもめ……」
旅団長があの姿になってからと言うもの、ほとんどの事務処理は関が処理するようになっていた。今日も今日とて、書類が右に左に行き交う。とはいえ、そんなに量があるわけではないが…。

「ふぅ………」

一息ついたあと、廣瀬がバスケットを持って走って行った方向を見る。

「それが閣下にとっての幸せなのでしょうか」

一言呟き、席に戻る。
愛用のノートパソコンを開き、各方面の情報を処理する。廣瀬が戻ってきた際にすぐ行動を起こせるように………。


関は窓から吉野の山々を眺める。なにか(>125)を忘れているような気がするが、気のせいであろうと一笑にふす。


(お久しぶりです。関です。情勢が動いているなぁ。復帰でのとりあえずな書き込み)
132日向:01/08/27 03:16 ID:MBKxONM2
>128
彼女から差し出された手を慌てて近付き握手する自分
(睫毛が長くて綺麗だなぁ…ハァハァ(;´Д`))
・・・今はそれ所じゃない、西朝の皆を救わなきゃと頭をぶんぶんと小さく振る。
「よろしくね。日向さん」
「え?は、はい」
殿下や皆さんの事考えながら返事をしたので少し曖昧な返事になってしまった

「やっぱり雪は変かな。萌姫様がそう呼んでくれていたからすっかりなれちゃって……」
「いや、そんなことは……ないですよ、ののむ・・・えっと雪さん」(笑)
さて、御宿に案内いたしますかね、そんな事考える自分をよそに野々村さんも何か考えてる、

>129
くるりと回り商店街を指差す野々村さん、自分はその何気ない仕草で見えた白いくて細い足に見とれてる
「日向さん。もう夕方だし、どっかごはんたべいきません?」
「え"?」
ぼーっと野々村さんのスニーカーなどを見てた自分は、問い掛けに対して普段と違うテンションの声で返答する
(さっき…ビックパフェを二人で食べたじゃないですか…しかも貴女の方が私よりも多く食べてるのに(汗))
商店街を遠目に見つつ、手ごろな飲食店を探す野々村さん。
「あの…」
「はい?」

「なんでしょう?」(微笑)
首を傾げつつこっちを見る

…そんな姿見ていたら、何言おうとしたのか忘れてしまった。(笑)
「・・・いえ、何でも無いです。 それより、良い店が見つかると良いですね」(笑)
133日向:01/08/27 03:17 ID:MBKxONM2
>128
彼女から差し出された手を慌てて近付き握手する自分
(睫毛が長くて綺麗だなぁ…ハァハァ(;´Д`))
・・・今はそれ所じゃない、西朝の皆を救わなきゃと頭をぶんぶんと小さく振る。
「よろしくね。日向さん」
「え?は、はい」
殿下や皆さんの事考えながら返事をしたので少し曖昧な返事になってしまった

「やっぱり雪は変かな。萌姫様がそう呼んでくれていたからすっかりなれちゃって……」
「いや、そんなことは……ないですよ、ののむ・・・えっと雪さん」(笑)
さて、御宿に案内いたしますかね、そんな事考える自分をよそに野々村さんも何か考えてる…
134日向:01/08/27 03:18 ID:MBKxONM2
>133
あれ?

ごめんなさい(謝)
135首都警本部会議室:01/08/27 13:13 ID:02lpVwyA
首都圏治安警察機構には、日村拝二総監の個人スタッフである総監幕僚部
の他に、俗に首都警六本部と呼ばれる部署が存在し、それぞれが総監幕僚
部の指揮・統制下にて混沌とする首都圏の治安維持に当たっている。

六本部。即ち公安警察本部、刑事警察本部、治安警察本部、警備警察本部、
内務管理本部、人事徴募本部の各本部長に加えて、警備警察本部隷下にあ
る重装備の戦闘部隊である首都警特務部隊指揮官。保安警察本部隷下の公
安警察局長の両名。
これらの各本部長、指揮官、局長が集うのは定期的に首都警本部にて日村
総監の召集によって開催される総監・本部長会議の場のみであり、それ以
外では各本部間の交流は殆どない。それどころか、四警察本部は始終、お
互いの管轄を食らい合い、内務管理本部と人事徴募本部は人事権闘争を繰
り広げている。

「来年度の新規警察官の確保に関して、人事徴募本部は一層の徴募キャン
ペーンの拡大を図る予定です」

芳しくない徴募状況の報告を終えて着席しようとする報告鈴賀人事徴募本
部長に対して、柱内務管理本部長は不愉快さを隠さない声でまくしたてる。

「最近の人事徴募本部のやり口に関して、内務管理本部に非難がいくつも
届いている。国防軍、消防の人事関連部署。それに、首都圏近郊の県警か
らもだ。人事徴募本部はいつから首都圏外まで範囲を広げたのかね?それ
に、国防軍や消防の募集活動への妨害じみた行動までしていると言うじゃ
ないか。特に、国防軍は特務部隊へのヘッドハンティングでかなり態度を
硬化させつつある。そうだろう?羽佐君」

元は国防軍の歩兵将校であった特務部隊指揮官は無言のまま、小さくうな
ずいた。その険しい表情は、俺を巻き込むな。と雄弁に語っている。

延々と続く人事徴募本部長と内務管理本部長の口論。

背戸保安警察本部長は、端正だがどこか爬虫類じみた顔に嘲けり混じりの
微笑を浮かべ、村井公安警察局長は得体の知れない無表情。
音部刑事警察本部長はなんとも判断つきかねる表情で二人の様子を見つめ、
柚都警備警察本部長と来戸治安警察本部長は二人を無視してなにやら密談
をしている。

そして、上座に座る男。
こぢんまりとした顔に丸眼鏡。鼻の下の神経質に整えられた髭。どう見て
も埼玉か千葉の田舎の村役場の窓口係か、中小企業の係長。大目に見ても
小学校の校長先生が精一杯に見える小男。
彼こそ、首都圏治安警察機構総監。日村拝二その人である。
136首都警本部会議室:01/08/27 13:18 ID:02lpVwyA
「貴官らに残ってもらったのは、他でもない」
結局、人事徴募本部と内務管理本部の間の関係を抉れされるだけの会議の
後。残った瀬戸保安警察本部長、羽佐特務部隊指揮官の二人に対し、総監
は彼独特の甲高い声で切り出す。
「今回、帝都を襲った災厄に関して、巷では諸説溢れている。貴官らの耳
にもその内、幾つかは入っているだろう」

総監の意図を読めない羽佐特務部隊指揮官は、厳つい顔に怪訝な物を浮か
べながらも首肯する。
それとは対照的に、背戸保安警察本部長は自分以外の全てを馬鹿にしてい
る印象を与える笑みを浮かべる。

「よろしい。ここで、君達に真実を教えよう。今回の災厄は、C国による
物でも、NK国によるものでもない。あれを引き起こしたのは、我が国の
内部に存在する反政府分子の引き起こした物である」

同様の噂を聞いていた羽佐特務部隊指揮官は、苦い顔で唸る。
全てを知っているかのような背戸保安警察本部長は軽く鼻で笑う。

「この事は、第一級の極秘事項である。守秘義務は永遠。これを破った場
合、命はないと思え」

一息ついて。ぬるいお茶で喉を湿らした総監は改めて二人を見据える。

「そこで、我々の仕事だ。硫黄島に居を構えていた組織の基地は既に海軍
が押えた。しかし、基地、活動員。それらは硫黄島が全てではない事は確
実だ。わかるだろう。本件は言うなれば都内で発生した騒擾事件である。
犯行勢力の捜査、逮捕、身柄に関する優先権は我々にあるのだ。いや、我
々に手になければならない」

「しかし、その組織に関する情報は極めて少ない。末端なら何人かは軍が
拘束し、情報もある程度は入ってきてはいる。しかし、重要な部分は完全
に霧に包まれている。即ち、幹部構成員の情報がまるでないのだ。
ここで一つ、重要な事がある。ある組織が、複数の幹部クラスを現在拘束
している。その情報的価値は計り知れない」

「総監。その、ある組織とは?」
羽佐特務部隊指揮官の質問に、あからさまな嘲りを含めた声で背戸保安警
察本部長が割り込む。
「決まっているだろう。軍なら断片とはいえ情報が来ないはずはない。警
察ならなおの事だ。君だって名前くらいは聞いた事があるだろう。菊水だ
よ」

「その通りだ。我々は、彼らから身柄を譲り受けなければならない。そし
て、速やかに反政府分子を一気に撃滅しなければならないのだ。この捜査。
いや、作戦は断じて公には出来ない質のものである。であるが故に、君達
に話したのだ。この作戦は首都警総監の直接の指揮の下。保安警察本部と
特務部隊によって行われる。治安の敵は、すべからく絶滅させなければな
らない。本件に関しては、寛容こそが敵である。以上だ」
137大隊指揮官:01/08/28 00:15 ID:DUACAdDs
書類を手にして菊水@甲の報告を受けている大隊指揮官。菊水@甲が息を継ごうと
言葉を止めた瞬間に質問を投げかける。
「ところで、地下の囚人はどうしてるかな?」
「は、囚人ですか?」
「いや、お客さんでも、情報提供者でもいいよ。あの西朝の連中、どうしてる?」
「ああ」
菊水@甲の目にわずかな嘲笑の色が浮かぶ。
「生きています。生命に異常はありません」
大隊指揮官も片頬にだけ、肉の引き攣れるような笑いを浮かべる。
「生命に異常はないね。いや、それ以外のことには触れないのには何か理由がある
 のではないか、と思わせるような言い方だね」
「ご存知でしょうに。処置について命じられたのは、あなたです」
「あいかわらず、指示は守られている?」
「はい。自殺を防ぐために無気力化ガスを吸わせ、食事には強力な鎮静剤。しかも、
 食事の際にも逃亡を図る恐れがあるという理由でナイフもフォークも箸も使わせ
 ず犬食いさせる。さらに、一切の会話を禁じ、独房に閉じ込め、拘束衣を着せて
 暗所に放置。すでに廃人同様だという話です。あと、二、三日で本当の限界が来
 るでしょう。よろしいのですか?、尋問に耐えられる状態ではありませんよ」
「いいんだよ。どうせ、あいつらは下っ端だ。ろくな情報はもってないだろう。第一、
 ここに連行されたときからして、ともえ様はどこだ、とか我々は関係ない、だろ。
 おそらく、本当に何も知らんのだろう」
「では、なぜ拘禁を?」
「個人的にああいう連中は許せないのでね。まあ、業火に焼かれて死んだ人々の復
 讐を代わりにやっているのだと思ってもらえばいいよ」
「……楽しんでおられるだけでしょう?」
「否定はしないね。……ところで、日村おじさんたちの動きは?」
「色々とやっておられるようです。勢力拡大に余念がないようで」
大隊指揮官、笑みをさらに大きくして、
「やってくれるよねえ、こっちがここまで部隊を大きくするのにどれだけ時間
 をかけたと思ってるのだろうねえ。ま、うちは鵺みたいなものだから、まと
 もな権限と予算を持ってる連中には絶対叶わないんだけどね。にしてもさ、
 連中、重武装の特別行動隊まで持ってるっていうじゃない。うちの存在価値
 もいよいよなくなってきたかな。いっそ、解散して店たたむかい?(笑」
138F国ツーロン海軍工廠:01/08/28 00:32 ID:68IZNxNU
ジャン・ボタン司令
「いかなる所以をもってか、随分と諸卿等と久しく会っていないような気がするが?」
アンリ・ボゲ参謀長
「いかさま、いかさま。ですが閣下、これもまた天上の大いなる御方の御心故かと。ならば我等のその信仰をもってすれば、いかなる不合理もまた天上へと近づく試練となりましょう!」
ジラール・ド・ギー艦長
「いかにも、いかにも!! 我等はこの地上にて異端と異教とを殲滅し、永遠の御国のこの地に来たらん日に備えることこそ聖なる使命なれば!!」
アルノー・ド・ヴィルヌーヴ教授
「これぞ時代錯誤、これぞ思考停止!! まったくもってこれが偉大なる大革命を担った共和国の選良かと思うと、まったくもって我輩を巴里より引きずり出した世界に冠たる科学アカデミーの決定を、今ほど恨めしく感じた事はないわい!!」
アンリ・ボゲ参謀長
「おお!! なんたる侮辱、なんたる傲慢!! まさしく邪悪なる蛇に惑わされ、グノーシスの異端に魂を汚された者ならでは言い様なれば!!」
ジラール・ド・ギー艦長
「まったくもって、これぞ異端の傲慢なれば、我等それを見逃すわけには参りますまい!! されば今こそ清涼なる世界の為にも乞奴めの魂を聖なる炎で浄化せねば!!」
アルノー・ド・ヴィルヌーヴ教授
「黙らっしゃい!! みだりに神の名を唱え、共和国の知性と科学の最先端を担う我輩を悪魔も同然と呼ばわるとは、はっ、片腹痛いというものじゃ!!」
アンリ・モンゴルフェ技官
「お待ちください、皆さん。なんで教授がわざわざこの艦隊と一緒に極東くんだりまで同行されると思っているんです? それも海軍の要請で用意した秘密兵器のためではないじゃないですか。それとも、艦隊の首脳部は海軍総司令部の決定に異論があるとでも?」
ジャン・ボタン司令
「あいや待たれよ諸卿!! 我等は高貴なる共和国に忠誠誓し軍人なるぞ!! 例え異端の疑いあろうとも、それもまた我等の信仰に大いなる父より与えられたもうた試練と思えば」
アンリ・モンゴルフェ技官
「まあ、そういうことですので教授、よろしければ教授が開発された秘密兵器についてお話を伺いたいところなのですが、よろしいでしょうか?」
アルノー・ド・ヴィルヌーヴ教授
「ふむ、モンゴルフェ君がそう言うのなら我輩に異論は全く無いぞ。よろしい、本来ならば艦隊が出撃して後の演習時にその威力おばご覧に入れるつもりであったが、説明くらいは今この場でも構うまいて」
139F国ツーロン海軍工廠:01/08/28 00:47 ID:68IZNxNU
アルノー・ド・ヴィルヌーヴ教授
「さて諸君!! 我輩がここ数年ひたすらに研究を重ねてきたのは、今世紀中には共和国独自の技術によって、現在産業用エネルギーの供給源となっている核分裂反応発電に代わる次世代の発電機構を実用化することじゃ」
「まあ、こればっかりは我輩個人で一朝一夕にどうにかできるものではないのでな、とりあえずその研究成果の一端なりとも祖国の為に役立てんとしたのが今回の秘密兵器なのじゃ!!」
「さても現代戦においては、電脳制御の誘導兵器が幅を利かせておる。なにしろ、一発一発がほとんど必中という恐るべき代物じゃからな。撃てば勝手に飛んでいって当たってくれるのじゃ、それは皆飛びつくのも致し方なかろうて」
「よって我輩は、あえて発想を逆転したのじゃよ。すなわち、電脳と誘導が無効化されれば、まさしくこの巨大戦艦とても無敵に兵器となり得ようとな」
「そう!! 我輩がこの灰色の脳細胞を酷使することで考察し、研究に研究を重ねた結果、開発された兵器とは!!」

「プラズマ兵器じゃ!!」
140F国ツーロン海軍工廠:01/08/28 01:08 ID:68IZNxNU
ジャン・ボタン司令
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
アンリ・ボゲ参謀長
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
ジラール・ド・ギー艦長
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
アルノー・ド・ヴィルヌーヴ教授
「!! 待てい!! なんじゃ、その表情は!! ええい、なんで我輩から目をそらす!!」
アンリ・モンゴルフェ技官
「・・・ああ、その、教授。ここから先は、実際に「クレマンソー」に兵器を設置した僕が説明しますから」
「さて、教授の開発されたプラズマ兵器ですが、基本的には紫外線レーザーなんです。ただし、ご存じの通り強力な紫外線は、空気中を通過する際に空気をプラズマ化させるのにエネルギーの大半を奪われ、事実上至近距離を照射するので精いっぱいでした」
「また、待機中は水蒸気や塵埃といった各種の浮遊物が多数存在しています。これが邪魔をしてビームを収束させる事が極めて難しいのですよ」
「ここで教授が思いついたのは、紫外線レーザー発生装置から目標まで大気があるから問題である、という事なのですね。つまり、なんらかの手段で目標までの真空空間を確保出来るなら、出力はそこまで高くしなくても実用化は可能だ、と」
「つまり、このプラズマ兵器は、まず目標までの大気を紫外線レーザーでプラズマ化させ、自由運動状態の分子の運動に方向性を持たせます。そして、それらの分子を目標へ向かって押し出すことで、目標の電子機器を破壊するのです」
141F国ツーロン海軍工廠:01/08/28 01:21 ID:68IZNxNU
ジャン・ボタン司令
「・・・・・・良いのではなかろうか? これもまた世界を七日かけて作りたもうた大いなる創造主の御心の故なれば」
アンリ・ボゲ参謀長
「・・・・・・左様ですな。まったくもってこれもまた慈悲深き我等が父と子と精霊のおぼしめしでありましょう」
ジラール・ド・ギー艦長
「・・・・・・いかさま、いかさま。されば技官、その「ぷらずまへいき」は、どれほどの性能を持ち、どれだけの電力を消費するのか説明されんことを願うが?」
アンリ・モンゴルフェ技官
「そうですね、とりあえず今搭載しているのは試験機ですので、5000メートルで電子機器を破壊することができるくらいですね。ただし、待機状態が悪ければさらに射程は落ちますが」
「ですが、プラズマビームを照射できるならば、破壊できない電子機器はありません。なにしろ、元々は絶縁体である大気を、導電体に変える為の兵器なのですから。当然電子機器は簡単に破壊可能ですね」
ジラール・ド・ギー艦長
「それで、遥かに信頼性高く、その威力も証明されている副砲一基分の空間と重量が消えたというのか? なんと!! なんと!! 確かに新たなる時代を象徴する兵器とはかくなるものであるが!!」
アルノー・ド・ヴィルヌーヴ教授
「ええい!! 我輩が黙っておれば言いたい放題好き放題!! 実際の威力を戦場で己の目で確かめてから戯言をほざくがいいわ!!」
142サン・ジェルマン伯爵:01/08/28 02:22 ID:DUACAdDs
ふむ………。一昔前興味深い会話を交わしたユダヤ人の哲学者が語っていたように、
文明は新たな野蛮を用意しつつあるのだろうか。不死の妖精よ、貴女は定命の者たち
が自ら作り出した煉獄の中で、一体何をなそうと考えているのだ?はるか昔に人にか
かわることをやめたわたしには見えないものが、あなたには見えているのか?それと
も、あなたは、この神の作り賜いし者たちが、飽きることもなく繰り返すあまたの愚行
を目にしながらも、いまだあきらめてはいないのだろうか?再びまみえることがあれ
ば、そうしたことどもを、心行くまで語り合いたいものだ。かつて、我らがそうして
いたように。
143『鳥串連続殺人事件』:01/08/28 15:37 ID:0cyIPXos
>132
「いや、そんなことは……ないですよ、ののむ・・・えっと雪さん」
野々村がちらりと遠くに視線を動かし戻す。そして微笑する。
「うん、ありがと」
先ほど視線を向けた方には最早見向きもしない。
野々村が食事の話をすると日向が絶句する。
当然と言えば当然である。
「・・・いえ、何でも無いです。 それより、良い店が見つかると良いですね」
「じつはね、さっき美味しそうな所見つけたんだ。そこじゃどうかな」
野々村が先ほど遅くなった理由は二つあった。
その一つが見せ探しの寄り道だった。
少し、間をおいてから再度方向を変えると来る孫と移動する屋台の焼鳥屋を指さす。
身長差のある日向をいたずらっぽく見上げながら野々村が畳みかけるようにはなす。
「結構おなかいっぱいでしょ?あれなら自由に食べれるしお酒も飲めるしね」
ふんわりと微笑を浮かべる野々村に日向が躊躇する。
「いや…ですけど…」
野々村が少し寂しそうな困った顔を浮かべる。
「…そうだよねぇ、いそいでるんだもんね。うん、ごめんね」
「そ、そういうわけでは…どっちみち今日はこの待街に宿取ってますし…」
「じゃぁ、いこうか」
野々村が笑顔で日向の手荷物を勝手に持ち先に進む。
「あぁ、ちょと…」

−−−−−−−−−−2時間後−−−−−−−−−−−−−−−−
できあがっていた。それも何故かメニューにあった甘酒で…
「何で、こんなに酷い目にあわなくちゃいけないんです!」
「いうねぇ、ひむかいさん」
「だってそうでしょ。たかだか原潜もって海移動しまくっただけじゃないですか!」
「それって結構不味いと思うんだけど…それに、あっちから見れば偽皇統だしね」
「あぁ、そう言うこと言いますか。じゃぁ、そっちの姫様はどうなんですか?」
「萌はいいの、可愛いから」
「ともえ様だって可愛いですよ!」
「そう?」
「そうです!ここだけのはなしでね…」
日向は野々村を手まねきする。野々村が場所は動かずにススッと日向に近づき耳を寄せる。
日向の側に野々村の顔が近づく。母親似のその顔に一瞬日向が行動を止める。
「で?」
「あっ…はい、あのですね…」
「うん……うん………」
「で……だったんですよ…」
「……それは…いいね…」
野々村の顔が少しだけ上気する。
「外にはないの?」
不意に正面を向いた野々村を見つめた日向が再び行動を止める。そして少し離れてぶんぶんと頭を振る。
野々村が少し怪訝な顔をして見つめる。
「ひむかいさん?」
「な、なんでもないです」
野々村が楽しそうな笑みを浮かべる。日向から見えないように焼き鳥の串を一本隠す。
「そう?あっと、ちょっとまっててね。すぐ戻るから」
そのまま立って移動しようとする野々村に日向が慌てて声をかける。
「ど、どこいくんですか?移動するんでしたら、一緒に…」
「やだ」
「やだって、どこにいくんですか?」
「…………化粧室」
「…………………………………………………………いってらっしゃい」
144『鳥串連続殺人事件』:01/08/28 15:42 ID:0cyIPXos

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
日向が座り直したのを見て野々村が駅の方に向かう。
いつしかすっかり日は暮れ、商店街は7時前にすべて閉まっていた。
その中で遠くでもはっきりと明かりの見える駅に向かって野々村が足取りを進める。

満月の下野々村が曲を曲を口ずさみながら移動する。

  「ねぇ おしえてよ 誰もが…」

不意に野々村が路地をくるりと回った。
一人の男が慌てて足取りを速め路地を曲がる。
瞬間、その男は低い位置から腕で喉を押さえられ、同時にとがったモノが首筋に当たっているのを感じた。
「君、どこのひとかな?」
「……………………………」
野々村が少し力を入れる。
「ぐぅ」
「ま、答え期待してないけどね。人間って弱いね。こんなんでも死ねちゃうんだよね。串でこの柔ら無いところ貫いて、全部同じやり方したら『鳥串連続殺人事件』になるのかな?」
首を絞められている男は答えられない。
「………」
「善行さんの関係者…じゃないみたいだね。職業人の癖に雑すぎ。足音と気配を周囲に散らしたまではいいんだけどね。ローテーション人数が少なすぎだね」
男が驚いた顔をする。
「……………」
「覚えられるはずがないって?顔はそうだね。でもね、君たち『萌えの波動』が、ぎすぎすしすぎ。その分だと好きな皇女とかいないでしょ?寂しい人生送ってる、おじさん達だね」
にこにこしながら野々村は勝手に人に人生を決めつける。さらに首を絞める。。
「萌えがない時点でボク的死刑確定なんだけど、『初めはおとなしくしてろ』って言われてるから今回だけ解放してあげる」
「…………………」
「ほぉっておいても良かったんだけど、君の仲間が昼間、小さい女の子にぶつかったでしょ?泣いてたよね」
「………………………」
「だから、連座と言うことで君にその子の分、仕返しね。大丈夫、安心して、死ねないようにはするから」
「…………………………」
「覚えてたら、君たちのボスに伝えてくれる?『寝ぼけてる余裕があったら、顔洗ってどっかいけや。ボケ』ってね」
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
本当に手洗いに寄ってから帰り際に野々村が呟く。
「聞かなかったけど、どこの人だったのかな?いいや、どうせうちも厄介かけてくるとこ多いし、その内のどっかだね。さっきのおじさん風邪引かないといいね」
そう言って屈託のない微笑を野々村は浮かべた。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

焼鳥屋の暖簾をくぐる。
「ただいま」
近くに座るときに日向の顔に少し髪がさらりとかかる。
「あ、日向さん、ごめん」
何故か顔を赤くして答える日向。
「い、いえ。随分時間かかりましたね」
野々村はちょっと照れくさそうに首をすくめて日向に答える。
「ちょっと、いろいろとね」
「い、いろいろですか」
その様子を見て野々村が問いつめる。
「あ!日向さん変なこと考えてるな」
「!考えてません」
ぶんぶんと首を振る日向に野々村がわざとらしく怒った顔を見せる。
そして、追加注文した。
「じゃぁ、さっきと同じルールで勝負して負けたら自白してもらうよ。おじさん。甘酒ついか!」
14569式:01/08/28 23:56 ID:XzZA8alQ
>142
(何処か知れぬ塔の頂上に立ち、風に髪をなびかせ、両手を掲げるように拡げて)

あははーっ!! これはサン・ジェルマン伯爵様っ、お久しぶりですねーっ
あの魔術的な魅惑の夜の、「五月革命」の巴里でお会いして以来ですねーっ(笑)

諦める、ですか?
69式はですね、日々人の営みを楽しんでいるのですよ?(微笑)
あのフィレンツェの陽気な書記官が語ってくれたよに、歴史は繰り返されるのではないのですからっ
同じ様な事件に直面したときにっ、人の反応が同じだけなのですよ?
だからこそっ、螺旋階段を一歩づつ登っていくよな眺めを楽しんでいるのですーっ(笑)
それが、同じ人の血で汚される手であってもっ、でも、その手が69式が登る螺旋階段を作ってくれるのですーっ(笑)

69式は、この人の世の営みを、心から愛しているのですよ?(微笑)
146沖縄・那覇市:01/08/29 00:21 ID:Je5BDdkw
「長少将! 第四護衛群です!!」
「言われんでも、見ればわかる。自分の両眼は盲いてはおらん。
 落ち付かんか、情けのない。貴様、それでも帝国軍人か」
「はっ、申し訳ありません。なにぶん、その……緊張は隠せません。
 ……いよいよですありますね……」
「ああ、いよいよだ。我が国が、腑抜けの状態から武人の誇りを取り戻すための義挙がはじまるのだ」
「我が第一混成団には、それに寄与する機会が与えられていないのが残念でなりません」
「それはやむを得まい。我々の位置、装備ではなんの役にも立てん。
 ことが順調に進み、支那への派兵が本格化すれば、最前線の防人として我々の出番もあろう。
 前世紀にそうであったように、沖縄は皇国の水城として、異国より祖国防衛、そして大陸への足がかりとしての任にあたるのだ」
147大隊指揮官:01/08/29 01:52 ID:dLeJcjTA
特別警務隊隊長執務室。年代ものの革装の椅子に腰掛けている大隊指揮官の机をは
さんで反対側に警官が三人。しかし、三人の顔には普通の警察官にはない暗い影が
ある。大隊指揮官は不機嫌な顔で書類を読んでいる。やがて顔を上げ、
「なるほど、日村長官の「命令」については了承した。ところで、彼がわたしに、
 このような命令を下す法的な権限がどこから出てくるのか教えて欲しいのだがね。
 うちは、確かに内務省の指揮下にあるけど警察とは独立した組織だからさ、もう
 ちょっとちゃんと筋は通したほうがいいんじゃないの?」
「ですから、要請と最初に申し上げたはずですが。こちらでの取り調べは終了して
 いると聞いております。警務隊とは協力関係を築いていきたいと我々も考えてい
 るのです」
「なるほどねえ、どこからそんな情報が漏れたのかな。おかげでこちらはモグラ狩
 りをする必要が出てきたじゃないの。組織が大きくなるとネズミも増えるってこ
 とかなあ。協力関係というのも素敵な言葉だね。ま、いいけどさ」
三人の顔に抑制できない焦りと怒りの表情が浮かぶ。
「閣下……」
「あははは、そんなに怒らなくてもちゃんと渡しますよ。情報は全部吸い出して、
 ダシガラ同様だからね。いや、あんな状態になっても生きているなんて生命の
 神秘だよねえ」
それから、人の悪い笑みを浮かべ、
「担架とベッドの用意してるよね?多分、自力じゃ歩けないと思うよ。しばらく、
 拘束状態で歩かせもなかったからさ」
どこかに無線で連絡をはじめた三人を、頬のゆがみを大きくして見守る大隊指
揮官。しばらくすると、追加の車が到着したらしく、表でブレーキをかける音
が響く。
「では、お渡しするとしよう。玄関で待っていただきたい。内部構造は機密指
 定なのでね、部外者にはお見せできない」
玄関口で待つ彼らのもとに、収監されていた西朝の二人がつれてこられる。二
人は憔悴しきったなどという生易しい状態ではなく、目はいかなる精神の活動
も示していないようにみえた。
「では、あとはよろしく。それにしても一式軽装甲機動車とはうらやましいな
 あ。うちなんてドイツの国防軍のお古を使いまわしてるっていうのにさ。で
 は、よろしく。まあ、三両もあれば大丈夫でしょ。じゃ、気をつけてね」
そういって、ふざけた調子で右手を高く掲げて敬礼する大隊指揮官。彼らは、
どう答礼したものかしばらく迷っていたが、やがて、通常の敬礼をすると装甲
車に分乗して去っていく。
148みなぎ的日常生活:01/08/29 02:12 ID:McKX2v..
南朝にいた時のある日の日記。

5時半
食堂、いつもの場所にて起床。だいぶ眠い。
6時。
たいてい身支度はしない(意味がない)食堂の仕入れのチェック。
足りないものは市場に連絡を入れるが、今日は問題なし。
7時。
神崎女史(オババ)が登場。朝食の仕込みをする。
麦飯、麩の味噌汁、焼き魚(鰆)、納豆山盛り、のり、沢庵。
中佐は今日も朝食抜きになってしまいそうだ。
8時半。
朝食。給仕の合間を縫って食べる。
9時半。
片付け。神崎女史は市場へ。
10時〜11時
寝る。
11時。
昼飯の仕込み。
A定(中華丼とラーメン)B定(マグロカツと豚汁)C定(サーモンフライとボルシチ)
13時。
片づけをしてから昼飯。今日は宮様のお部屋で頂く。宮様は絵日記を書いていた。
学校の宿題だったのだろうか。恥ずかしがって見せてはくれなかった。
14時〜16時
今日はあきいえ氏と散歩をする。「例の一件」以来よく散歩を共にするようになった。
彼の萌えにはつくづく感心させられる。猫には到底真似はできぬことだ。少々うらやましくもある。
今日は吉野山を北へ向かう。紀州梅の生産家を発見。品質なかなかよさそう。
17時。
夕食仕込み。同時に明日の仕入れの確認。
キムチチゲの鍋定食。なんでも旅団長あてに文書とキムチが大量に送られてきたらしい。
ただ、旅団長がハングルを読めず、中佐に渡した所、「キムチだけもらっておきましょうか。」
と言って手紙はくずかごに放ってしまったのだそうだ。
で、大量のキムチは処理に困るので皆で食ってしまおうと・・・・・・安易だなあ。我ながら。
18時半
夕食。チゲ鍋定食はおおむね高評。まあ、さすがは本場という所か。
どうせなら肉を送って欲しかった。あの国は食に関してなら評価は出来る。
しかし、手紙ってなんて書いてあったんだろうなあ。
20時
片付け終了。
宮様の夏休みの宿題の手伝い。このせっぱ詰まってからはじめるあたり、宮様も
小学生らしい(微笑)
簡易BARの開店準備。
22時
開店。客は常時2,3人くらい。まあ、いつもの感じ。
今日はキツネ耳織部さんも手伝いをしに来てくれた。
24時。
だいたい客がはける。まあ、旅団の消灯時間はとっくに過ぎているのでこんなものである。
織部さんとしばらく飲む。最近中佐が「でえと」してくれないので寂しいのだそうな。
まあ、相手がいる人にはそれなりの苦労というものはあるもので。
2時。
就寝。今日も特筆すべき事はなし。
149萌浜ともえ@皇居:01/08/29 03:00 ID:7wlKf8iQ

耳をつく蝉時雨が皇居の森全体に響き渡っている。
むせ返るような真夏の空気に、萌浜ともえは、ぼんやりと部屋の窓から外を眺めていた。
戦前に建てられた建物には、当然の様にクーラーなんて文明の利器は付いてはいない。
彼女の部屋にある冷房器具は、古ぼけた東芝製の扇風機だけであった。

「・・・暑いよ。海で泳ぎたいな・・・」

汗ばんだ額に張りつく髪の毛をうざったそうにかき上げると、そのままぐったりと窓枠に両腕をひいて顎を乗せた。
じりじりと照りつける日差しに全身が汗ばみ、着ているTシャツと短パンが肌に張りついている。

「あははーっ、ともえ様、冷たい飲み物をお持ちいたしましたよ?(笑)」

と、脳天をつんざくような笑い声と同時に、六九式@メイド服女官が、盆に真白い清涼飲料水のなみなみとつがれたピッチャーとコップを載せて入ってきた。
一体どういう身体をしているのか、彼女は一滴の汗もかかずに涼しげな様子でいた。

「・・・いいよ、汗かくだけだもん」

ぐんなりとしたまま、萌浜ともえは振り向きもせずにだるそうに答える。

「はぇ〜、そうですか? ならっ、お飲物は冷蔵庫に入れておきますからねーっ(笑)」

そう言って、あっさりと部屋の片隅でぶんぶんうなりを上げている冷蔵庫にピッチャーとコップをしまい込む。
そして、なんとはなしにさりげなく萌浜ともえに近づいた。
150六九式@メイド服女官:01/08/29 03:09 ID:7wlKf8iQ
あははーっ!! ともえ様、元気を出して下さいませっ(笑)
とゆか、実は耳よりなお話を持ってきましたーっ(笑)

そです、西朝の事ですーっ(笑)
中隊長さんと上等兵さんの事ですよ?(笑)
151六九式@メイド服女官:01/08/29 03:11 ID:7wlKf8iQ
あははーっ!! 申しわけありませんっ、ageてしまいましたーっ(自爆)
皆様、ごめんなさいませーっm(_ _)m
152萌浜ともえ:01/08/29 03:19 ID:I15aVs8.
>150
えっ!? ちゅーやんとじょーくんがどうしたって!?
ねえ、教えてよ、みんな、あれからどうしちゃったの!?

誰もボクに何も教えてくれないし、ここから外へ出ることも許してくれないんだ・・・・・・
あの日、一体全体何があったの?

教えてよ、ねえ、いいでしょ!!
153六九式@メイド服女官:01/08/29 03:30 ID:YcPTA9Oc
>152
はぇ〜、そですか、ともえ様は何も聞かされてはいらっしゃらなかったのですねーっ

んん〜、実はですねっ、西朝は、持っていた核兵器を帝都東京に発射し、永田町界隈を完全に破壊してしまったのですよ?
これで、約4万人の人が亡くなられた、とゆ事ですっ
そして、中隊長さんと上等兵さんはっ、菊水に逮捕されてこれまでずっと拘禁されていたのですよ?
そして、今日、お二人はこれから新しく発足した「首都圏治安警察機構」に引き渡され、西朝残余の組織の情報全てを強制尋問で引き出される事となるのですーっ
154萌浜ともえ:01/08/29 03:42 ID:I15aVs8.
>153
・・・そんな、だって、ボクがここにいて、なんでミサイルを発射するの!?
西朝の偉い人達は、議長のお姉さんとか評議会のおじさん達は、ボクの事がいらなくなったんだ・・・

でも、なんでそれならなんにも関係ない人をまきぞえにしたの!?
だって、わかんないよ、そんな、ひどい・・・・・・

うっ、んくっ、ううっ、あっ、ああっ・・・・・・

(両手で顔を覆って泣き伏す)
155六九式@メイド服女官:01/08/29 03:54 ID:1/MO8bEI
>154
はぇ〜、んん〜、それはですね、今善行閣下が独自に調査中でいらっしゃいますよ。
だから、泣くのをおやめ下さいませ、ね?

ですから、耳寄りな話、と申し上げているのですよ?
ともえ様、すでに西朝の残った皆さんは、お二人とともえ様をお助けするべく動いていらっしゃいますっ
詳しいお話は、善行閣下にお聞きするとしてっ、今はまずここから脱出する事を考えませんとっ!

よろしいですねーっ?(笑)
156萌浜ともえ:01/08/29 04:03 ID:I15aVs8.
>155
(ぐしぐしと拳で目をこすり、真っ赤に泣きはらした目をあげる)

・・・うん、判った。ボクが泣いていたって、ちゅうーやんもじょーくんも助からないんだね?
それで、ボクはどうすればいいの? だって、ここからどうやって出て行ったらいいのか、そんなのわかんないよ・・・

それに、勝手に出ていって、善行のおじさんに西朝のみんなが怒られてひどい目にあったら、やっぱりボクがいけないんだし・・・

ねえ、善行のおじさんに会わせてよ!!
ボクがみんないけないんだって、怒られるのはボクだけいいんだって、そう言うから!!
だから、西朝のみんなを助けて欲しいって、そうお願いするからっ!!
157六九式@メイド服女官:01/08/29 04:17 ID:FEjApGZk
>156
あははーっ!! あのヒゲ眼鏡にそゆふに言っても、絶対に話を聞いてはくれませんよ?(謎)
ですからっ、あの方はっ、中隊長さんとの約束を果たすためにっ、今全ての責任を負って悪役になろうとしておられるのですよ?

そですーっ、中隊長さんと善行閣下の約束、それはっ、ともえ様を助ける代わりに、西朝はどうなってもいい、とゆものだったのですよ?(謎)
だからこそっ、今の今まで、西朝の皆さんは動こうとはされなかったのですーっ
けれどもっ、今あのヒゲ眼鏡が吉野山中に家出したっ、もなこ様を迎えに行っている間にっ、帝都で話が勝手に進行し始めたのですよ?
だからこそ、こうして、皇統のための存在、六九式がともえ様の前に推参つかまつったのですよ?(笑)

とゆわけでっ、この六九式にお申し付け下さいませーっ(笑)
「中隊長さんと上等兵さんを助け出し、善行少将との会談をセッティングせよ」とーっ!!(笑)
158萌浜ともえ:01/08/29 04:26 ID:I15aVs8.
>157
(泣きはらした真っ赤な目を、それでも真っすぐに六九式@メイド服女官に向け、力強くうなずく)

うんっ! じゃあ、ボクからのお願い!
ちゅーやんと、じょーくんを助けるのを手伝ってよ!!
そうしたら、善行のおじさんにボクが直接謝るからさ!!

だって、みんなボクがいけないんでしょ?
だったら、ボクが怒られるのがあたりまえだよねっ!
159六九式@メイド服女官:01/08/29 04:33 ID:0uoZEdQ2
>158
あははーっ!! 萌浜ともえ殿下のお言葉、この六九式@メイド服女官、しかと承りましたよ?(笑)
それではっ、今少しお待ちくださいませーっ、そですね、すぐにも西朝の手の者が参上つかまつりますからっ(笑)

とゆわけで、冷たいお飲物でもいかがですーっ?(自爆)
160日向:01/08/29 05:57 ID:v/.UJVNE
>144
辛かった…とても辛かった、あの後、甘酒の飲み比べで何とか野々村さんを辛勝し
赤面の理由を聞かれずに済んだが・・・・・・自分も相当酔ってしまった。

酔いつぶれた、野々村さんをお姫様だっこで持ち抱えつつ宿にもどる…
宿の入り口で聞き覚えのある声が聞こえた
「どこいってたの?こんな遅くまで、それに酒臭いわね…あらあら、ついに日向くんもついに彼女を見つけたのね、で、これからベッドイン?」(怒)
振り向けば小早川さんが…かなりご立腹の様子だった。
まぁ、怒られても仕方ない、ただ「ちょっと、人を迎えに行きます」と書置きだけで置いてその後、電話の一つも入れてなかったのだから。
「こ、小早川さん、ちッ違います、こちらの方は東朝の『お助け係』野々村 雪さんです…少々夕食をしてきまして遅れました…後で胃薬貰えますか? それと…明日の朝食は自分は要りません」

話し声で目覚めたか、野々村さんが私から降り小早川さんに向かい、先程自分にしたようにロングスカートを少し摘むと会釈した、かなりふらふらだが…。
「東朝の…『お助け係』…野々村 雪と申します…苗字だと堅苦しいので…名前の方の雪と呼んで下さい…」
それだけ言うと、フラ〜っと自分の方に倒れこむ、髪の匂いが自分も深い眠りに落ち込むほど心地好い…。
「と、とりあえず、野々村さんの部屋に送って自分も部屋に戻ります、明日も早いでしょうから…」
「そうね、じゃあ私も寝るわね。日向、変な事したら、ただじゃおかないからね?」
それだけ言い含めると小早川さんはさっさか自分の部屋に戻っていった、自分は野々村嬢の部屋の鍵を受け取って、部屋へ…
「さ、着きましたよ野々村さん、じゃあおやすみなさい…」
161佐賀県萌隠郷にて:01/08/29 06:31 ID:BhEvLeoU
―――佐賀 萌隠郷
「どうしても行くのか?」
 萌隠郷の村長、中野求馬は僧形の男に尋ねた。
「知れた事」
 笠の奥の淡々とした表情を小面憎いほどに変えず男は答える。
「しかし、西朝は事実上の潰滅状態にあり、帝都は一時期戒厳令下にあったというほど、西
朝に対して神経を尖らせている。さらに言えば、ともえ殿下や西朝の重要人物たちは、国防
軍もしくは菊水の厳重な防備の下で囚われているというぞ……」
「それがどうかしたか?」
 僧形の男―――斉藤萌之介は、表情も変えない。己の萌えのために生死を考えない、とい
うよりも萌え以外の全ては些事とする。まさに『萌隠』武士そのもののこの男にとっては、
まさに求馬が言ったような事は些細な事でしかなかった。
 ともえ殿下に萌え、救いたいと考えれば、救う。
 それだけである。
 その為に彼は死んでおく。「萌え心とは死ぬ事と見つけたり」という『萌隠』の心得とし
て、あらゆる死を想定し、毎朝死を迎える。現在では、もはや守る者とて彼ぐらいな萌隠萌
道の心得を忠実に守り続けて爾来26年。
 死人に政府も国防軍も菊水も関係がある筈がなかった。
「仕方のない奴だ。だが、せめて聞いてくれ。帝都で西朝の残党が、ともえ殿下たちを奪回
する計画を立てているらしい。彼らの数少ないシンパとして、我が郷にも密かに連絡がきた
よ。どうせ行くなら、彼らを助けてやってくれ、なんなら奪回したあと、彼らをここに匿っ
てやってもいい。幸いここは“隠れ里”と言ってもよいほどの田舎だし、ちょうど良いだろ
う。これが連絡先だ」
 求馬は友に対するたむけとして村長の胸に仕舞っておこうと考えていた秘中の秘を明か
す。明かしておかねば、単身で宮城に斬り込みかねない男であった。そうなれば確かにこの
男は死ぬだろう、だが死ぬまでに確実に夥しい屍山血河を築く。存分に『萌隠』武士の凄ま
じさを示して平然と犬死するだろう。
「そうか、ありがたく聞いておこう」
 求馬の忠告にそっけなく、だが確かに笑って萌之介は答える。
 その笑顔で求馬は救われたようにほっと息をつく。平然と死を忘れ無謀をする男だが、萌
之介は決して考えなしの男というわけではない。なければ平然と行動して死ぬが、活路があ
れば目的のためには手段を問わない“いくさ人”でもあるのだ。
「ああ、くれぐれも無駄死にはしないでくれ。そしてともえ殿下たちを助けてやってくれ」
 無駄と知りつつも求馬は萌之介にそう言った。
「わかった」
 そっけなく答え、その大柄な僧形の男は萌隠郷の境に位置する山中へと入っていくのであ
った。萌之介を見送りながら一方で求馬は、その身軽さを羨ましくも思うのであった……。
162あさぁ〜、あさだよぉ:01/08/29 11:20 ID:63OrMXno
>160
日向が夢を見ている。
それは記憶の見せる一時の夢。
 彼がだんのうらに居た頃の夢。


  それは 夢の 欠片

  『あっさだぁぞぉ!みんなーーっ、おっきろぉーー!』
  (がんがんがんがん)

       忘れ得ぬ 昨日

        『ともえ様!計器を叩かないでくださいぃ!!(涙)』

    いつか見た 情景

 『お、早いね、じょーくん』

           いつか 自分の いた場所

          『……海の藻屑はいやです』

        そして 失われた 過去

     『ちゅーやん。かたいこといわないの。今日はみんなの早いね』

          あの日の おもひで
 ( ともえは制服にエプロン姿のまま叩くのに使ってたお玉を振る。)

             『みんなを起こされたのは、ともえ様です』  

      しあわせな 夢の 欠片

   (ともえがお玉を顔の近くに寄せ、あははは、とわらう)
   『そうだったね。じゃ、あさごはんにしよっか!』

      


「あさぁ、あさだよ〜♪」
「ぅぅん…ともえさま…………」
「朝ごはん食べて、戦場に行くよぉ〜♪」
「…はぃ……いま…おきます……ですから……計器を叩くのは…」
日向がゆっくりと目をあける。
目の前には、水色に白の水玉パジャマを着た野々村が居た。
……………………
「結構お寝坊さんだね、日向さん」
ベットの端に両肘をついた野々村がふんわりと笑いかける。
163あさぁ〜、あさだよぉ:01/08/29 11:26 ID:63OrMXno

 …………………
   ………………………
    …………………………

日向ががばっと飛び起きる。
「おぉう!?」
「あははーっ。おじゃましてますぅーっ(謎)」

さらにはその背後にゆっくりと朝のティータイムを楽しむダッフルコートに鼈甲ぶち眼鏡の少女の姿が目に入る。
「は、はいぃぃい?!」
「混乱してますねーっ。こういう特は『何時』『誰』が『どこで』『なにを』『どうした』でまとめるといいですよーっ(笑)」
「い、いったい…今何が起こっているんですか」
野々村がふんわりと微笑する。
「次は誰かだね」
「六九式ですよーっ(謎)」
「雪くんだよ」
野々村が手を向けて日向に進める。
「は、はい。日向です。じゃなくって…ここは?」
野々村がのぉんびりとこたえる。
「ひむかいさんの部屋」
部屋に沈黙が流れる。
「じゃ、じゃぁ…なにが…」
野々村が下から見上げる。
「日向さん、覚えてないの?」
「あははーーーーっ(謎)」
「………さっぱり………」

「日向君?起きてる?なんか騒がしいけど?」
考える間もなくドアのノックされる音が聞こえる。
鍵がかかってなかったのかそのまま開かれる。
「いつまで、寝て…」
小早川が硬直する。
「こ、小早川…さん…」
小早川の視線が3人の間を行ったり来たりする。
室内の3人がその視線を追いかける。
徐々に小早川の視線移動の速度が上がっていく。
それに応じて室内の3人の追いかけるスピードも上がっていく。
そのまま小早川は無言で後ずさりするとバタムとドアを閉めた。

早朝のホテルに日向の絶叫がこだまする。

「ごかいですぅうううううううううううううううううううう!」
背後から野々村がおっとりと、たたみかける。
「昨日は楽しかったね」
「う、わぁぁぁぁぁぁあああああああああああああ!」

果たして彼(ら)の身(?)に何があった(または 何をした?)のか。それを語るには前日夜間まで時を遡る必要がある。
164首都警総監室:01/08/29 12:41 ID:lwyZJXq.
首都警本部内総監公室。権限と組織の関しての貪欲さとは正反対に、一種
みすぼらしさすら感じさせる簡素な室内。クッションの擦り切れた椅子に
収まった日村拝二首都警総監は、苛ついた顔で書類に目を通していた。
その様子はひどく落ち着かない。書類に向けられている視線も、時に天井
へ、時に壁へとあちこちへ移ろう。

「総監。少しは落ち着かれたらどうですか?」

背戸保安警察本部長は、部屋の主である総監よりよほど落ち着いた態度で
応接用のソファに腰掛けている。北欧系かと見間違える程端正な顔は、元
結婚詐欺師というのも納得させるものがある。しかし、滲み出る人間性が
爬虫類めいた酷薄な表情となって現れている。

「羽佐君の部下なら大丈夫でしょう。無事にやり遂げるでしょうね」

まるで他人事の様な背戸本部長の態度だが、日村総監は気にしない。この
男を前にしてそれくらいを気に掛けているようでは、首都警の総監など出
来ない。

「私も、特務部隊の能力に関しては疑問を抱いていない。彼らなら、まさ
しく戦場にあっても、彼らの様な兵士にしか出来ない突撃によって任務を
達成するであろう。その事に私は疑問を抱いてはいない。しかし、だ」

比較的冷静だった長官の顔が「しかし、だ」と同時に変貌する。声も一オ
クターブ高くなり、ただでさえ甲高い声が次第に熱を帯び始める。

「貴様も知っているだろう。国防軍と、内務官僚達だ。結局、奴等の干渉
のせいで、我々は空の銃架の装甲車と僅かな短機関銃で組織犯罪との闘争
を行わなければならないのだ。今も着々と先の戦でC国やNK国が放棄し
た重火器が闇のマーケットに流出しているという情勢下で、だ!」

次第にエキサイトしていく日村長官に、背戸本部長は内心で「このおっさ
んの軍コンプレックスもなー」などと突っ込みつつ、真剣な表情であいず
ちを打つ。

「私は、首都圏治安警察機構の総監として、全ての部下の生死に責任を感
じている!不十分な武装で、遥かに強力な火器で武装する犯罪者に貴重な
部下を対峙させなければならない私の気持ちがわかるかね!彼らこそは、
日本人の中でも最も優れたエリートであるというのに!」

日村総監のヒートアップと、背戸本部長の白け具合が最高潮に達したその
時。彼らの待っていたものが総監室へと駆け込んだ。
165首都警総監室:01/08/29 12:45 ID:lwyZJXq.
「総監。『護送』部隊より連絡がありました。被疑者二名を確保。これよ
り移動を開始するとの事です」

滑稽にしか見えないが、本人は鷹揚と思っている態度で通信文を受け取っ
た総監からは、さっきまでの熱狂は微塵も残っていない。

「背戸君。始まったわけだが、彼らの仲間が、二人を救出に乗り出すよう
な徴候は伺えるかね?」

「現状では不明。という他ありませんな。装甲車はひどく目立ちます。あ
れでは電飾つけてパレードする事と殆ど変わりません。それに、我々でも
知っていた事を、彼らが知らないという事は無いでしょうからな。奪回を
狙ってくる可能性は高いと言えるでしょう」

「まさしくその通りだ。まあ、だからこそ護送には特務部隊を使用したの
だ」

如何にも嬉しげに話す長官の態度に、背戸本部長は疑念を感じる。いや、
この作戦に特務部隊を使うと聞いた時から感じていた疑念。
奪回作戦があるとして、相手は原潜と正規歩兵を保有していた勢力。も
はや残党といえども、突撃銃や対戦車ロケットの類の装備は、当然とし
て見るべき。それが保安本部の出した結論。
それに対して護送部隊には短機関銃が精々でしかない。大きな損害は避け
られないのではないか?
ならば、もっと目立たない様に、密かに事を進めるべきではないか?
その場合、戦闘部隊と装甲車の使用は、であると彼は推論している。

果たして。
総監はそこまで考えた上で、何か企んでいるのか?
それとも、ただ手のうちにある玩具を使っていたいだけなのか?
166大隊指揮官:01/08/29 15:08 ID:S7jFiu0M
「よろしいのですか?」
首都警からの客人が帰ったあとあらわれた菊水@甲が大隊指揮官に尋ねる。
「え、何が?主語ははっきりさせてくれないと答えられないな」
「あの二人です。貴重なコマではないのですか?あれがここにあるかぎり、我々は
 西朝の行方をコントロールできたのですから」
「え、ああ、そんなこと?完全に死に体の皇統を押さえたからって何の得にもなら
 ないでしょ。下手をするとババになる危険性だってあるしね。まあ、せいぜい
 もったいつけて渡してやるのが一番だと思ったんだよねえ。失敗するに決まって
 るけど、残党がうちを襲撃してつまらない犠牲出すのもかなわないしさ」
「そのことです。残党が護送部隊を襲撃するという可能性は考えられませんか?見た
 ところ、彼らの武装は短機関銃がせいぜいのようです。あれでは、小銃で武装した
 敵には対抗できませんよ。最近の防弾ジャケットの耐弾性は非常に高くなってます
 し、9mmパラベラム弾では至近距離でも………」
「だから、うちは8mm口径の貫通力上げた携行性の高い機関銃の開発始めてるじゃな
 い。すでに装備しているFNミニミでもいいのだけどさ、あれは、狭いところでの取
 り回しができないからね。まあ、しばらくはショットガンのスラグ弾で対抗するさ。
 本当は首都警の連中も小銃くらい装備したいのだろうね。どうにか、国防軍が警察官
 を受け入れて、本格的な戦闘訓練行うことを始めたばかりだから、時間はかかるの
 だろうけども。数で言えばあちらの方がずっと多いんだから、各機動隊の一個中隊が
 本格的な対テロ戦闘部隊になっただけでもずいぶん違うと思うよ」
「失礼ですが」
饒舌に無駄話を始めた大隊指揮官を菊水@甲は制止する。
「万が一ですが、彼ら護送部隊が襲撃されて奪還されるようなことがあれば、どうするの
 ですか」
大隊指揮官は片頬だけで笑ってみせる。
「もう彼らは我々の手を離れた。どうなろうが我々の知ったことではない」
「はあ?それでよろしいのですか?」
「いいんだよ。彼らには価値がないとわたしは判断している。ならば、それがどの
 ように移動しようと我々の知ったことではない。それにさ、彼らだって帰還経路
 の秘匿くらいしてるでしょ。西朝の残党に複数襲撃かける余力はないだろうから、
 経路の秘匿だけでも安全性は非常に高くなるよ」
「理屈はそうですが……」
大隊指揮官は暗質の笑いを浮かべる。
「いやあ、一応尾行は付けてるよ。何かあったときにはすかさずそれを撮影するためにね。
 高く買ってくれるところもあるんじゃないかなあ」
「………」
「それにさ、もしかしたら連中も襲撃を望んでいるかもしれないね。短機関銃のみしか所
 有していなかったために襲撃を防げなかった。われわれにもより強力な装備を、ってわ
 けだ。ここに来た連中を犠牲の羊にするつもりなのかもね、首都警の連中は」
「……まさかそこまで……」
「しないと言い切れるかい?あの日村のおじさんと、背戸君だよ。何をしたって不思議で
 はないさ」
167ねぇ…:01/08/29 16:54 ID:ooW6HVR.
−−−−−−−−−−先日の深夜−−−−−−−−−−
「さ、着きましたよ雪さん、じゃあおやすみなさい…」
日向がベットに野々村を置き立ち去ろうとする。
「ねぇ…ひむかいさん……」
野々村の手がするりと日向の首に回る。
「えっ…あの…雪さん?」
野々村の目が日向をとらえる。
日向の目もまた野々村の目をとらえる。
日向は雪の瞳を見て、まるで底のない水のようだと思った。そしてゆっくりと眠気に捕らわれていく。

「…もぉ…こんなんじゃいやだよ…やめてよ」

野々村が拗ねたような声を出す。
「………………………………………………」

「………やだってば…でないと…」
甘みを含んでいた野々村の声が最後に不意に重くなる。
「遊んじゃうぞ(はーと)」
日向の脇の下から野々村がナイフを投げつける。

       …すとん

ホテルの壁にどうやってっ刺さったのか不思議なくらいあっさりとナイフが刺さる。
と、刺さったはずのナイフがゆっくりと持ち上がり床に落ちる。
壁の一部が見る見る色を変え、盛り上がっていく。

   ばさぁ

「あははーっ。見つかっちゃいましたーっ(笑)」
そこにはダッフルコートに身を包んだ鼈甲ぶち眼鏡の少女が現れる。
野々村が日向の下から声をかける。
「今度は六九式さんが鬼だね」
「あははーっ。それは又、今度ということでぇーっ(謎)」
「よいしょっと…」
野々村が先ほど首筋に麻酔をうって眠らせた日向を横に転がす。
「で、貴女が来たってことは急ぎなんでしょ。『皇統の危機』が無ければ動けないものね」
ふんわりと野々村が微笑する。
あははーっ、と笑う六九式に野々村が飲み物を勧める。
野々村はコップに水をくみちびちびと飲む。
「ちょっとのみすぎたかもね。六九式さん日向さんの部屋まで運ぶの手伝って」
168ねぇ…:01/08/29 16:56 ID:ooW6HVR.
「ふーん。で、どうするの?」
野々村が日向の手の位置を動かす。手と足がそれぞれ6を描く形になる。小さく野々村がシェーと呟く。
「ですからーっ、西朝の皆さんに中隊長さんと上等兵さんのお二方の救出を手伝っていただきたいんですっ」
「私たちと貴女か別の六九式さんで?」
「そうですっ」
野々村が再び日向の手足の位置を変える。『命』の形になる。
「それ、根本的な解決になってないよ」
「ほぇ?」
「二人を助けたいのは、六九式さん達じゃなくて、ともえちゃんなんでしょ?だったら、ともえちゃん本人が救出作戦しなくちゃだめだよ」
六九式が野々村の言葉を聞く。
「貴女がやっても、ボクがやってもだめ。ともえちゃんでなくちゃ。力を貸す分にはいいけどね。人に頼んで、見物しているような子にはボクはついていきたくないね」
六九式がニパァとわらう。
「ですからーっ。まず、あなたと小早川さんのお二方にはメイド服女官としてまずともえ殿下の所に行っていただきたいんですーっ(謎)」
野々村が軽く肩をすくめる。
「誘導尋問なわけね」
「あははーっ」
「後は行ってからでいい?少し仮眠取っておこうかと思うんだけど」
「それじゃ、おやすみなさいませ…ほぇ?!」
野々村がふいに、六九式@ダッフルコートの手を取ってそのまま日向の側に倒れ込む。
「な、な、な、な……」
「さっき隠れてたペナルティー」
野々村が六九式の手を掴んで離さない。
日向を挟んで、六九式と野々村が挟み込む形になる。
日向は起きれない。
「うぅ〜ん」
野々村は、そのまま、どこに持っていたのか手錠を六九式の片手とベットの上に固定されていたスタンドに容赦なく、くくりつけた。
「たまにはゆっくりしてもいいでしょ。それ、使い捨てだけど巨力な『封印』が施されているんだ。どうせ持っていっても使い道ないし貴女みたいな可愛い子に使った方が、それも喜ぶだろうしね。」
六九式@ダッフルコートが顔を真っ赤にする。
「ほぇ〜。は、はずしてくださいぃーっ」
「8時間経てば外れるよ。あんまり動くと怪我しちゃうからじたばたしないでね。じゃ、おやすみ〜♪」
そのまま野々村は少し丸まると寝息を立て始める。
「あ、あははーっ。捕らわれちゃったのは、はじめてですーっ(謎)」
−−−−−−−−−−次の日の朝−−−−−−−−−−−−−
少しむくれながら六九式がティータイムを過ごす。

「じゃ、そろそろ日向さんを起こそうね」
一旦、身支度を整えわざわざパジャマを着た野々村が日向の耳元に口を近づける。
「あさぁ、あさだよ〜♪朝ごはん食べて、戦場に行くよぉ〜♪」
169皇居:01/08/29 16:58 ID:ooW6HVR.
フーシー ウマウマ
「ほぉら、えさだよ、だから侍従Cさんつつくのやめようね」
雪@メイド服女官は皇居のフケイに餌を与える。
後ろでは小早川@メイド服女官がミャーちゃんにミルクを与えている。
小早川が雪に話しかける。
「それにしても良く面接通ったわよね」
雪がのほほんとしながら小早川にだけ聞こえる大きさで答える。
「何でも六九式さん経由でつながりのある崩宮様が推薦してくれたそうです」
「それって、後で責任問題にならない?」
「だから、わざと新人の面接に侍従長様を指名なされたんだと思いますよ」
「わざと?」
雪が少し肩をすくめた。
本来なれば男っぽい仕草なのだこの格好の雪がすると妙に不似合いで、逆にかわいらしく見えた。
「崩宮様が侍従長と相性が悪いと言うお話、聞いてませんか?」
「…初耳だわ。なるほどね。本気かしら?」
小早川がトレイに再びミルクを足す。
「さぁ、ボクとしては崩宮様特有のゆーもあなんじゃないかと思いますけど。あの人、人事権掌握していますし」
「侍従長虐め?」
雪がたのしそぉに頷く。
小早川がやれやれと言った感じでため息をついた。
「それにしても雪くん落ち着いてるわね。正体ばれたらどうしようとか思わないの?」
雪がフケイに餌をやるのを止めて小早川の方を向いてこっそり話しかける。
「その時は逃げます。それに今のとこ、ボクが東朝の人間で男だって知ってるのは、小早川さんだけですしね」
小早川が一瞬沈黙した。
「…めちゃくちゃ驚いたわよ」
「ボクだって驚きましたよ。まさかあんな早朝のシャワールームにシャワーに来る他の人が居るとは思いませんでしたから」
「朝のトレーニングは日課なの」
「加藤さんみたいな人だね」
ぼそりと呟いた雪の台詞を小早川が聞き止める。
「え?」
「なんでもないですよ」
野々村が手に餌を持ってひょいっと振りまく。
170皇居:01/08/29 17:04 ID:ooW6HVR.

「それにしてもよ。履歴書とから、ばれたりしないかしら」
「心配性ですね。小早川さんのは六九式さんの作った物だし、ボクのは限りなく本物だから大丈夫でしょ」
「本物?」
野々村がふんわりと微笑みを浮かべながら小早川を見つめる。
「三年前に萌姫の住んでいた町が襲われたのは言いましたっけ?」
「それは聞いたけど…」
大きな雲が頭上を多い日光を遮る。
「戸籍上はその時に近所の駄菓子屋の『雪彦』くんも死んで居るんです。死因は脳挫傷とその後の火災による焼死です」
正面向いて対面しているにもかかわらず表情が読めない。
「でも、その時ボクだけ『奇跡的』に助かってしまったんです。」
小早川はそんな不思議な感覚に捕らわれた。
「その時、『皇統のため』にと言ってある人にその時の火事で死んでしまった近所の女の子の戸籍を貰ったんです。」
そのフレーズに小早川は聞き覚えがあったがあえて口にはしなかった。
「それ以降、ボクはずぅっと戸籍上は『野々村 雪』です。親皇教団では『性別を見分けるだけ』の萌え術に目覚める者も居たから『野々村 幸彦』でいましたけどね」
「不便じゃなかった?」
「初めは酷かったですけどね。病院にも保険証ではかかれないですしね。でも、何事も慣れです」
雪はそう言うと微笑を浮かべた。
「でも、隠れ里の生き残りから隠れるにはもってこいでしたから。萌姫もはじめの頃は男の子の格好をしていたんですよ」
再び、雪が小早川にふんわりと笑いかける。
小早川には何故かその笑みは本当のような気がした。
「もうすぐ、ともえちゃんにあえるんでしょ?ちゃんと『変わり身の札』と変装衣装は持ちましたか?代わりはないですからね」
小早川が頷く。
「それじゃ、いってらっしゃい。『変わり身の札』が3日しか持たないこともちゃんと言ってくださいね」
再び小早川が頷く。
「それじゃ、行って来ます」
「いってらっしゃい」

手を振った後でぽつりとつぶやく
「……ぎりぎり…ともえちゃんが間に合うかどうか…かな……ダメだったらそのまま逃げだね。どっか善い場所があるといいんだけど…」
171みなぎ:01/08/29 20:00 ID:I29RSPvc
どこからともなく宮城のひみつきちに登場。
「・・・・・・・・まあ、借りは返さないと・・・・・・ねえ。」
独り言。戦闘向きでないのは承知の上だが、なにもしないのは不義理に過ぎるであろう。
猫モードのまま庭を進む。
「すっかりDAT落ちしちゃったなあ・・・・・ここも・・・・・・」
いかな庭でも主がいないのはやはり点睛を欠くものだ。

ふと、見た顔を見つけた。
「あれは・・・・・・・新潟で見たっけ・・・・?」
でも、こんな所にいるのもおかしい。・・・・・・とすれば。
まあ、とっかかりはこの辺かな?と大体見当をつける。

そして野々村@メイド服女官の膝元に擦り寄ってみる。
向こうもなんとなしに気がついたようだった。
『役に立てるかどうか分かりませんが、まあ、よろしく』
猫語で言ってみた。
172寝不足…:01/08/29 20:49 ID:EDvN379Y
「それじゃぁ、日向さん私達は小早川さんの所に行ってきますね」
「あははーっ、でわ失礼しましたーっ」(謎)
野々村さんとコートを着た少女が部屋を出て行く…
パタン…
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
どうも、思い出せない。
昨日、野々村さんの部屋に野々村さんを連れて行ったまではしっかり覚えてる
その後…その後は…野々村さんが自分の首に手を回してきて…瞳が綺麗で…
自分も眠くなって…誰かの話し声が…

    「…もぉ…こんなんじゃいやだよ…やめてよ」
          「………やだってば…でないと…」
「遊んじゃうぞ(はーと)」

「・・・・・・・・・」(汗)
あのコートの少女は何時何処からやって来たのであろうか?
それにどうして野々村さんが私の部屋に居るのであろうか?

「昨日は楽しかったね」

「・・・・・・・・」(滝汗)
もう考えるのはよそう、考えちゃいけない、それにまだ酷く眠い…もう少し寝てそれから考えよう。

次に起きた時には、小早川さんと野々村さんは下関を立った後だった…置手紙を残して。
『日向、これから私達は宮城に向かいます。』

遠くに巌流島を眺めつつ呆然と呟く。
「どうしよう…」
173六九式@ダッフルコート@鼈甲ぶち眼鏡:01/08/29 22:55 ID:zfARtnf6
>172
あははーっ!! 初めましてっ、そして、おはようございますーっ(笑)
おや、どうなさいましたか? そんな人を見るのに大きな口をあけて?(笑)

あ、先程出て行かれた六九式さんはですね、身代わりなのですよ?(謎)
この六九式@ダッフルコート@鼈甲ぶち眼鏡の(笑)
あははーっ!! ごめんなさいっ、またageてしまいましたーっ(自爆)
175皇居:01/08/29 23:11 ID:mnq/ZiiY
と、野々村の表情からふんわりした微笑みが消える。
「小早川さん、こっちへ!」
離れて歩き始めた小早川の手を取り、路地へと引きずり込む。
「なにっ!?」
「……早い、まさか最初からマークされていた? いや、違う、そうすると、そうかっ!? ミスった!!」
小声で何ごとかつぶやいた野々村に、怪訝そうな視線を向ける小早川。
「だから、なんなの!?」
「張られています。あの辻に二人、そっちの繁みに二人。多分、完全編成の監視チーム丸々。崩宮の手の者でしょうね」
はっとして、全身に緊張を行き渡らせる小早川。だが、彼女はすぐに肩の力を抜いた。
「なら、ここは引きましょう。まだ引き返し不能点ではないわ」
「そうですね、そうすると……」
「ええ、雪ちゃんと日向君が抑えた六九式さんは」
「六九式@ダッフルコート@鼈甲ぶち眼鏡本人じゃ、なかった。やられましたね」
「とりあえず、まずは監視チームをまくことを考えましょう。ともえ殿下は」
「ええ、あのテロリストに任せますよ」
>172
日向の前にちょこんと座っている、この真夏の厚い最中にダッフルコートを着込んでいる少女。
大きめの鼈甲ぶち眼鏡を鼻の上に乗せ、にこにこと相変わらず何を考えているのか判らない表情をしている。

「あははーっ!! 大丈夫ですよっ、別にここでどうこうするつもりはありませんからーっ(笑)」

相変わらずの、脳天を突き上げるような笑い声で楽しげに話をする六九式。

「それよりっ、これから日向さんにはっ、帝都に向けて出発していただきますよ?(笑) 明日、中隊長さんと上等兵さんがっ、菊水の管轄を離れて首都警に移送されますーっ(笑) それの奪回をお願いいたしますよ?(笑)」

そして、どこから取り出したのか、A1サイズの巨大な地図を日向の座り込んでいるベットの上に広げる。

「さてっ、崩宮殿下の注意は、野々村さんと小早川さんが引き付けてくださっていますーっ そしてっ、今なら善行閣下は吉野でもなこ殿下のお相手をなさっていますよ? さらに、菊水の大隊指揮官殿も、本部で警務局絡みの書類仕事に追われていますーっ」

その広げられた地図は、なんと首都圏治安警察機構の本部の敷地と、その周辺の市街地図であった。

「だからこそ、日村総監は内相を動かして中隊長さんと上等兵さんの身柄を手に入れようとしたのですねーっ(笑) 鬼の居ぬ間になんとやら、ですーっ(謎)
上層部は潰れましたがっ、まだ全国に残っている西朝の下部組織の全容を解明し、その情報を独占することでっ、事実上首都警を創設した善行閣下の影響下から自由になろうと画策しているのですよ?」
「さてっ、中隊長さんと上等兵さんはっ、菊水の本部から、首都警の輸送車と装甲車のコンボイで都内の首都警本部に輸送されますーっ(笑)
当然、輸送ルートは秘匿されていますねっ(笑) だから、待ち伏せをする場所は、必然的にコンボイが「絶対に」通過する場所、つまり首都警本部の近くにならざるを得ませんねーっ
ただし、それでも予測されるルートは限定しきれないですからっ、可能な限りルートを限定させるように罠を張らないといけませんねーっ(謎)」

「ここで重要なのはっ、首都警の本部の近くでの襲撃となる以上、中隊長さんと上等兵さんの二人を救出する事に成功したとしてもっ、すぐに追っ手がかかることですねーっ
だからっ、いかに安全地帯に脱出するまでのルートを確保するか、が最大の問題になるのですよ? とゆわけでっ、まずそこから考えてみましょu-っ(笑)」

「追っ手のかかり方はっ、まず直接追跡と追撃に当たる部隊とっ、逃走ルート上に検問を張ってこちらの逃走を阻止しようとする部隊の二通りに別れますねーっ(笑)
このうち、追跡に当たる部隊はっ、対処は不可能ではありませんねーっ(笑) なにしろ、まだ首都警は重火器による武装強化を行っておりませんーっ(笑)
そすると、最大の問題はっ、都内各所にひかれる検問などの沮止線ですねーっ(笑) つまりっ、この沮止線を事実上無力化することっ、それが今回の救出作戦では最も重要な課題となりますーっ」
「帰投中のりゅうおうを派遣しろ、と?」
「はい。第一潜水隊群と任務を交代し、横須賀に帰投中のりゅうおうの現在地は、事前の予定通りであれば、
バシー海峡を通過中の筈です。ならば、幾ばくか航路を変更する事で、練習艦隊と合流する第4護衛隊群を
追尾する事が可能です」
「星野君の進めている調査だけでは駄目か?」
「星野中尉の協力によって収拾した情報は、この資料に纏めていますが……」

 実用性一辺倒の机に差し出された、ファイルの束。
 表題には、第3次中間報告書とのみ記載されている。
 無論、その内容は参謀長と星野中尉が集めた国防省内の動向調査書であった。

「裏をとる為に、か…………糧秣や燃料の方は大丈夫ですか?」
「本年度内の訓練計画の一つに、将来的な遠洋作戦時を想定した洋上での補給訓練が在りますので、
これを利用します」
「事前計画が無いのは、緊急事態に対応する能力を確認する為、だな?」
「はい。国防省内でも、実戦的な想定による訓練を推奨していますので、まず問題は無いと思われます」
「何処のフネを手当するか、決めているな?」
「はい。佐世保のはまなを確保しております。国防省へと提出する訓練案も起案済みです」
「…………」

 参謀長の提出した各種資料に目を通して、しばし熟慮する岩田。
 一つ肯くと、口を開いた。

「良いでしょう。りゅうおうの行動は、高度な対潜能力を持つ艦隊への追尾訓練として提出します。
 はまなに関しても、君の案通り、それに付随する形での訓練として提出する事としましょう。
 但し、何が在ったとしても、状況への介入は不可だ。現状で任務は、情報収集のみ。それで良いですね?」
「はい。情報の裏付け等が主任務で十分だと思います。又、実験的に装備しています技本製の試製UUV−
グランパス・システムの運用試験も同時に実施して宜しいのではないでしょうか」
「相変わらず、何事も無駄にはしない主義ですねぇ参謀長」
「性分ですから」
179日向:01/08/30 11:08 ID:NS9UYqf6
>176
>177
夏なのに暑そうなコートを着た少女の話を聞きつつ、地図をじっと見る自分…

この際この少女が何故自分の部屋に泊まりこんだ事や、
この資料はどうやって手に入れたのか
小早川さん達と一緒に出てったのに何故ココに居るのか…などを考えるのは一切よそう。
彼女の機嫌を損ねてこの資料を持って帰られたら、大変である(苦笑

一通り説明が終ったようなので、地図から目を離さず質問する。
「その善行閣下の下から独立しようとする警察機関の事は善行閣下は知ってるのでしょうかねぇ?
大きなミスをすれば独立しようとする警察の上層部の首を入れ替える、もしくは警告を与えるには持って来いな事だと想うけど…
子供がお痛したら、それを叱るのは親の役目でしょう?
うーん…上手く説得して、逃走の障害である有事の際の検問の配置図とか教えてもらえないかなぁ…」

「すぐに追っ手がかかるなら、一時帝都かその周辺に潜伏し時を見て遠くへ
逃げる方策も用意していた方が良いかも知れませんね・・・」

「それに、幾ら軽装とは言え銃で武装してる事には代わりは無いので、
少なくても相手を上回る火力が必要です…ね」

ふいに顔をあげ少女を見る
「あっ!すいません、お茶の一つもお出ししてませんね、冷蔵庫に入ってる冷たい飲物で宜しいでしょうか?」(微笑)
「ええっと、後貴女お名前をお教え願えませんでしょうか?自分の名は日向(ひむかい)と申し…あれ?さっき自分の名前呼びましたよね?なんで知っているんだろう…?、姓も…言わなきゃ駄目…ですか?」(苦笑)

「さてこの話、まだ先が有るのでしょう?お聞かせ下さい」
180大日本帝国駐台大使館:01/08/30 23:18 ID:FVNtOch2
「牟田口武官! 上海の土肥原機関より報告です!」
「なに、ようやく来たか。寄越せ!
 ……ふむ、なるほど。支那東海艦隊の舟山群島出港は……
 広州の南海艦隊の所在は現在不明。基隆と高雄を始めとする海空の戦力に動きあり、か……」
「南海艦隊の動きは、すでに米軍が把握している模様です。
 こちらへ情報が流れてこないのが気になります」
「……ヤンキーにはヤンキーの心算があるのだろう。ここは独力でなんとかするしかあるまい。
 事が進めば、連中も慌ててバスに乗り遅れまいと乗ってくるに決まっておる。
 空軍の南西航空混成団は? AWACSは出しておらんのか。
 長少将は、混成団長の取り込みに失敗したのだったな」
「AWACSですが、支那軍機に加えて台湾軍機のガードも厳しく……
 不測の事態を警戒して、海峡部の情報収集を十全に行える空域への進出は差し控えているとの事です。
 混成団長に関しては、政治的な性格の一切を持たない男だそうで。
 ですが、事を起こせば策に乗らせる自信はあると」
「いささか不安だが、その言葉を信じるしかないな。
 まぁ、南西航空混成団が動かずともなんとでもなるだろうが。
 ともかく、この情報を至急朝霞と那覇に送れ。第四護衛隊群は今日出港だったな?
 出港までに、柄這中佐に直接情報を伝えるのだ」
「武官、大島大使にはお伝えしなくともよろしいので?」
「捨て置け。あれは信用できん。
 事後承諾でよろしい」
「はっ、了解しました」
>>179
あははーっ!! よいポイントを突かれましたねーっ(笑)
はいっ、あのヒゲ眼鏡が知っているのか知らないのか、はっ、今回はあまり関係ないのですよ?(爆)
つまり、ヒゲ眼鏡にしてみれば、たかだか西朝の残党程度にあしらわれるような組織ならっ、あっさり切り捨ててしまえば良いのですしっ、
西朝の襲撃のいかに対処してみせるか、によって、これから先の首都警と現上層部を自分の派閥の駒として使っていくかいかないか、だけなのですーっ(笑)

そしてっ、それは西朝の皆さんにも言えることなのですよ?(笑)
西朝の皆さんがっ、今回の日村長官の動きにいかに対応するか、それにあわせてともえ殿下をいかに扱おうとするか、まさしくあのヒゲ眼鏡はじっと全てを見つめているのですよ?
とゆわけでっ、あのヒゲ眼鏡の助力は一切考えるべきではありませんねーっ(笑)
いざとゆ時には、自分に泣きつくことしかできないお子ちゃま、と思われたくなかったら、ですよ?(笑)

さてっ、この地図に記してある×印はっ、陽動のための爆発物の設置位置なのですよ?(笑)
あははーっ!! さすがは生き残った中隊長さんの部下さん達でしたねーっ(笑)

とゆわけで、この電話番号が、都内潜伏中の皆さんへの連絡先ですっ
合い言葉は、「私はカモメ」
よろしいですね?(笑)
さてっ、実際の現地での行動ですがっ、基本的に使える時間は「2分」以内ですよ?
ですので、最初の爆発が起きてから皆さんが撤収するまで2分未満で収めなければなりませんーっ(笑)

四輪の軽装甲車2〜3輛とっ、護送車の組み合わせでコンボイは組まれそうですねっ(謎)
警備の人員は一個分隊8〜9名、運転手や指揮官その他で、全部で15〜20名いると考えてよい様ですよ?(謎)

まずっ、コンボイの進行方向で爆発を起こし、かつ障害物を瞬間的に設置してっ、移動を妨害しますーっ(笑)
そですね、簡易設置型の地雷なんか、最高ですねーっ(謎)
そして、止まったところをすかさず制圧班が火力で制圧して行動不能にしっ、奪回班が護送車から中隊長さんと上等兵さんを奪回してっ、用意してあった擬装ウニモグ四輪トラックで東京港に待機している漁船で脱出ですよ?(謎)

さて、何か質問はありますかーっ?(微笑)
あははーっ!! ちなみに、これらの情報の出所は、大切な女の子の秘密なのですよ?(謎)

とゆ訳ですので、それではお二人の身柄、見事取り返してくださいねーっ!!(笑)
ここまで六九式@ダッフルコート&壜底眼鏡がお膳立てしてっ、それで失敗するなんて、西朝の恥もいいところですからねーっ(爆)

それではっ、いってらっしゃいませっ(謎)

(ぺこり、と少女は頭を下げると、そのままふわふわと部屋の外へと出て行く。日向が後を追って廊下に出てみると、すでにそこには少女の姿は見ることはできなかった)
184シスター・モエリア:01/08/31 02:19 ID:nRmrnGZ.
「本当に……何をどうしたらいいものでしょうか……」

宮城の部屋に戻り、トランクを置いたシスターは、またひとつ溜め息をついた。
変わり果てた帝都。なのに、なぜか美しい緑の杜であり続けていた宮城。
そして、もなこ様の家出。

一時は自分を責めたものの、皇后様じきじきに慰めの言葉を頂いたとあっては、
落ち込み続けているわけにもいかなかった。

しかし、もなこ様がいらっしゃらないのであれば、どうする事もできない。
宮城に帰ったその日のうちに、皇后様へご挨拶をするとともに許可を頂いて
旅装も解かず、それどころか部屋に戻る事すらせずに
教会の被災者救援活動のほうに出向いた。

……しかし、救援活動も一段落し、そろそろもなこ様もお戻りになられる頃と
聞いて、宮城に戻っては来たものの……

「もなこ様をどのようにお迎えしたものでしょうか?」

うんときつく叱るべきなのでしょうか……
それとも、優しくお迎えして差し上げるべきなのでしょうか……
……どちらもそぐわないような気がする。

何も無かったかのように。それが一番かもしれない。
だけど……

「……ずいぶんと様子が変わってしまいましたね……」

宮城の様子がおかしい。
もちろん、コレだけ色々な事があったのだから当然といえば当然……
もなこ様がいらっしゃらないだけで、火の消えたようになるのはわかるのだけれど
それ以外にも、何か……色々あるみたいな感じがする。

「崩宮様……とかおっしゃるお方が、いらっしゃったせいなのかしら?」
185シスター・モエリア:01/08/31 02:20 ID:nRmrnGZ.
ご挨拶に行かなくては。でも、何と申し上げればよいのやら。
侍従たちはおどおどしている。厳しい方なのでしょうね……
だけど、それだけじゃない。

「……あの子はいったい誰だったのかしら?」

ついさっき、廊下ですれ違った少女……といっていいものかどうか。
見かけは確かに少女なのに、どこか正体が解らないような、そんな雰囲気の娘。
まだまだ、暑さは厳しいというのに、ダッフルコートを着込んで……

「……そういえば……汗ひとつかいてはいませんでしたね……」

会釈を交わしただけではあるのだけれど……妙な違和感がいつまでも残った。
こんな、宮城の奥まったところに、どうにもそぐわない……というだけではない。

「……何かが起こっているのでしょうか?」

……どうしても気になる。気にしたところで、解るわけもない。
解ったところで、どうにもできないだろうけれど……
とにかく、私はもなこ様のことだけ考えていればいいのだ。

そう……何がどうなったところで、私にも、もなこ様にも、
そんな事に関わっている余裕は無いだろう。

「……もなこ様……早く帰ってこないと、ますます苦しむ事になりますよ……」

……学校の夏休みの宿題、まるっきり手をつけていないんですから……
そしてシスターは、またひとつ溜め息をついた。
186日向:01/08/31 10:21 ID:30UP64U.
>181
相変らず地図を見つつ話す…
「ですよねぇ、そんなに甘く行くはず無いですものねぇ…下手したらこっちが捕まる恐れも有ますね。それに自分達の方がよっぽどお子様軍団だった訳ですし…、このx印の所で陽動の爆発があるのですね・・・。」

少女が一枚の紙切れに潜伏中の仲間の連絡先を書いて自分に渡す
「ああ、はい、有難う御座います、合言葉は『私はカモメ』ですね……ソ連の宇宙飛行士の言葉と記憶してますけど…何か関係があるのかな?」

>182
少女はサラサラと相手戦力の事を話している…
「(内心:2分で全てを完了するには…相手の戦闘能力を奪うだけに集中した方が良いのかな?、指揮官だけを狙って戦意を無くすのも手かな?…後、追撃戦力の漸減も考えておいた方が良いのだろうか?)」
「ああ、ええ、はい、逃走車両と船をご用意してもらってるのですか? 有難う御座います。」

>とゆ訳ですので、それではお二人の身柄、見事取り返してくださいねーっ!!(笑)
>ここまで六九式@ダッフルコート&壜底眼鏡がお膳立てしてっ、それで失敗するなんて、西朝の恥もいい>ところですからねーっ(爆)

「……凄いプレッシャーですね、なにはともあれ、この情報ありがたく活用させて頂きます、
時に…貴女様はどなたで…」
顔を上げてみてみると、そこに少女は居なかった、廊下にでて見たが人影すらもう無かった…


「ふぅ…なににせよ、帝都に行かないといけませんね、宇部の空港から小型旅客機で…か」
187みなぎ:01/08/31 20:24 ID:QGEoYVJA
>175
あれれ・・・・・・行っちゃった。しょうがないなあ・・・・・・
ふと、気づく。監視がいるようだ。4・・・・・5人か・・・・・・
ふん・・・・・しょうがない、かな?

溜息を一つ。首を振って歩き出す。
猫にまで警戒するようには見張りの連中は指導されていないので素通りだ。
(猫がしゃべることも知らないのだろう)
行き先は・・・・・宮城の内部。ともえ殿下の下へ。

中隊長たちの救出作戦が始動しているらしいことは想像がついた。
となれば、騒動のさなかにともえ殿下の身柄を拘束されてしまうのが一番危険だ。
もとも子もなくなってしまう。
となれば、及ばずながらもガードをつとめようではないか・・・・・と。

宮城の内部。外側の壁伝いに歩く。宮城は宮様と歩いたこともあるので見知った景色だ。
さて、居場所だけど・・・・鼻は利くほうではないが、見当はつく。見張りを出すくらいだ、
警備だって強化しているに決まっている・・・・・・・
188第五旅団兵@いきものがかり:01/09/01 00:29 ID:.ij7YyPc
>187
みなぎ記す
その時でした。
「みなぎぃー!ひさしぶりー!殿下は御息災か?」
がばちょ(突然後ろから抱き付く)
ぎにゃー!
頼むから離れて下さい。私にそっちの趣味は無いんですから(汗)。
「寂しかったんだよー!さくら君は菊水に拉致られるし、西朝の核ミサイルであたり一面
焦土と化すし、ゴンも水戸少尉も生死不明だし、殿下は吉野へ家出してしまうし。」
やっと解放された私は彼の愚痴に付き合う事にした(一応かっての保護者役だ)。
……
なになに?もなこ殿下の御出奔直後に岩田司令に「萌道不覚悟」の宣告をくらって、それ
以来殿下へのお手紙を書こうとしていたけれども、何を書けばいいか迷いに迷って、しま
いにはスランプに陥った?
……
アホですか、あなたは。
もうじき殿下は戻って来てしまいますよ?
ところでともえ殿下の事なんですが…。
「ああそういえば、連れがいるんだ。紋斑(もんぶち)、みなぎ君だぞー。」
その斑猫には見覚えがあった。あの七夕の惨劇前に無事母猫となった紋斑(命名、いきも
のがかり)だ。
彼女はいきものがかりさんに首根っこを掴まれたまま、私に訴えた。
「ちょっと、この人間に何とか言ってやっておくれよ。こいつらときたら、私の子供達を
連れ去って、お乳をあげに忍び込む度に邪魔をするんだよ。」
ええといきものがかりさん…。
だが、彼の言葉の方が先だった。
「みなぎ君、紋斑に説明してやってくれないか。
君は被爆しているから、子猫達に君の母乳を飲ませる事は出来ないって。」
…。
「核ミサイルが落ちた後に、皇居の外に出たんだよ。引き剥がしても引き剥がしても、隙
を見ては子猫達に母乳を飲ませに来るんだぜ。やりきれないよ。」
そして彼は、青空を見上げて呟いた。
「…あんまりですよ中隊長殿。俺らの周り、ぜーんぶ吹っ飛ばされちまった。」

(でむぱ)
おひさしぶりです。長らく執筆意欲が最低にまで落ち込んでいたいきものがかりですが、
ぼちぼち復帰いたします。
189みなぎ:01/09/01 01:57 ID:d4zAnyUo
>189
いや、すっかり忘れていた。この人の存在を(笑)
てか、宮城の壁を歩いている私をそんなに容易に見つけないで下さい。(汗)
まあ、いい。久しぶりであることだし。
この人の愚痴を聞くのも硫黄島以来だし。

でもね・・・・・・・

30分も話し込まないで下さい。
傍目に怪しすぎですよ?気づいてますか?侍従さんやメイド女官さんたちの目を。
「あーあ、あの人あんなに猫に向かって話し込んじゃって。友達いないのかしら?」
とか、「電波はいっちゃったんだ、かわいそうに」とか思われてますよ?
あげく私がしゃべれるなんて内部にばれたら面倒じゃないですか。
といいつつ30分しっかり付き合う私も私か・・・・・・・

さて、宮城の猫仲間に会うのも久しぶりだったりする訳なのだが、
実の所ほとんど音信不通(てか、無理)なので生きている事が分かっただけでも
ほっとした。まあ、生きているのが必ずしも幸福とは言えないのが辛い所だが。

紋斑は以前よりかなり痩せたようだった。奇麗な斑の毛並みを誇っていた彼女も
艶を失っていた。自覚症状はまだなさそうだが、被爆となれば長くはなさそうだ。
てか・・・・・・・被爆した猫を手掴みにしないほうがいいと思われ・・・・・
『ひさしぶりだね。』
『久しいね、あんたも。死んだとばかり思っていたよ。顔も見せないでどうしたんだい?』
『まあ、いろいろとね。』
猫は基本的に群れの維持ということは考えない。が、自分の子となれば話は違う。
加えて私はオスである。母の気持ちは一生理解することはないのである。
190萌浜ともえ:01/09/01 02:05 ID:k.jZYk.U

「……ふう、やっぱり身体がいうこときかないや」

額から汗の雫が床にしたたり落ち、小さな水たまりをつくる。
荒い息をゆっくりと何度も深呼吸をすることで沈め、それから全身の筋をゆっくりとほぐしていく。
萌浜ともえは、タオルで顔から首回りの汗を拭くと、大きく息を吸った。

「……でも、もうすぐ海に帰れるもん」

>187-188

シャワーを浴びて汗を流した萌浜ともえが、久しぶりに外の空気を吸おうと部屋の外へ出た時だった。
警備の歩哨の立っている廊下の向こう側に、兵士とじゃれあっている二匹の猫が彼女の目に入った。

「……あ」

可愛い(@ω@)

思わず、ネコぐちになってうずうずとしてくる萌浜ともえ。
実は、かわいいもの好き、とゆ彼女の特性が、思わず何も彼も忘れて飛びつかせてしまう。

「やあああっ、かわいいっ(はあと)」

なりふり構わず、雄ネコの方をむぎゅっと抱き締め、ほおずりしてしまう。

「ねえねえ、キミ、名前をなんてゆうのっ?(すりすり)」
191みなぎ:01/09/01 02:20 ID:d4zAnyUo
>189
『で、どうしたんだい?浮かない顔をしてるじゃないか。』
彼女はいきものがかりさんの話していることは分かっていない。多分、説明しても分からない。
『紋斑・・・・・キミね・・・・・・病気にかかっているそうだよ。』
『ふん・・・・・・持って回った言い方をするじゃないか。頭よさそうに見えるくせに考えてることが
丸分かりってのはいただけないよ。名無し。』
彼女は私を「名無し」と呼ぶ。(まあ、他にといっても「ねこ」とかであるが)
『・・・・・・理解が早くて助かるよ。結論から言おう。キミの病気は授乳で移る。
それがこの人が子供を引き離す理由さ。』
辛い役目であるが、仕方ない。誰かが言わねばならないのだ。
『・・・・・・・・・・・・・・・・・』
『理解・・・・・・・してくれるかい?』
『やれやれ・・・・・・・だね・・・・・・・まったく』
彼女は深く、溜息を吐いた。
『ま、あんたが気休めの嘘はを言わない猫だってのは知ってるからねえ・・・・・』
ええ、猫モードの時はね。人の時は人の事情がありますから。
『しばらく養生した方がいいよ。決して治らない病気じゃない』
私は「ごめん。」と心の中でつぶやいた。
『わかったよ。名無し。』
彼女はふっと笑った。あるいは見透かされたかもしれない。でも彼女がそれを口にすることはなかった。

私は紋斑が去るのをじっと見送っていた。
「・・・・・・彼女のこと・・・・・頼みますね。」
ふいと、それだけ言った。

「今日は暑くなりますよ。一仕事が終わったらビールでも行きませんか?バーが
もうじき開店できそうなんですよ。」
私はいきものがかりさんの眺めている、抜けるような青空に視線を合わせた。

今日は・・・・・・・・本当に暑くなりそうだ。

(でむぱ)
おひさです。心配してましたよ。本当に。
192第五旅団兵@いきものがかり:01/09/01 03:26 ID:0wLGSk3I
「ありがとう、みなぎ君。」
泰然と歩み去って行く紋斑を眺めつつ、俺にはそれしか言う言葉が無かった。
…はずだったのだが。
「と、ともえ殿下ー!何故こんな所にナチュラルに姿を現しているのですかー!?」
彼の運命は、さらに転がり続ける可能性が無いと断言できないのがまことに遺憾で
あり、今後はより一層の指導強化を(以下省略)。
193萌浜ともえ:01/09/01 03:35 ID:PfbWmXSw
>192
「あ、ええとっ、いきものがかりさんだったよね? だって、猫だもん。かわいいんだ(すりすり)」

とりあえず、なんだかな〜、という表情をした猫みなぎを抱き締めてすりすりしている萌浜ともえ。
というか、第五旅団兵@いきものがかりの言葉なんて全然耳に入っていない様子である。

「ねえねえ、ごはん食べさせてもいいかな?」
194萌浜ともえ:01/09/01 03:38 ID:PfbWmXSw
>193
あっ、みんなごめんっ、ageちゃった!!
ううっ、これも吉野で善行さんに怒られるのかな?(しゅん)
195NHK大阪支局:01/09/01 03:53 ID:j71JFpFw
この秋から、NHK大阪支局が送る大河ドラマ、「大塩平八郎」

……天保年間(1830-)、このころ、江戸に開府した徳川幕府の政治は行き詰まりを
見せ、大阪を中心として起こりつつあった経済構造の変動に対処できない幕府は、
その場しのぎの弥縫策を取るのみで、根本的な対策を打ち出すことができなかった。

民衆の間でお陰まいりが流行し、おりからの飢饉に伴う物価の高騰がもたらした打
ちこわしと一揆の頻発は、政情不安をもたらし、幕府に対する信頼を低下させていった。

大阪で代々与力を勤めてきた大塩家。なかでも大塩平八郎は陽明学者として高名で
あり、同時に、汚職を行っていた同僚を告発するという正義感の強い人物であった。
その彼の目に、幕府の無策によって物価高と食糧不足に悩む大阪の町人たちが映る。
持ち前の正義感から幕府とその政策に怒りを抱く平八郎。その彼の耳に、将軍宣下
の噂が飛び込んでくる。

餓死者があふれているにもかかわらず、将軍宣下の式典のために幕府から派遣され
ていた大阪町奉行は、大阪の町人たちの窮状を無視して江戸に金穀を送り込む。そ
れを目の当たりにした平八郎の決断は?

豪華キャストで送る大河ドラマ「大塩平八郎」。ぜひ、ご覧下さい。
196海軍練習艦隊@南洋:01/09/01 04:39 ID:brP3eRZI
「本艦隊はこれより中国軍の制空権下に入る。
 知っての通り、帝国と中国とは現在もまだ法的に交戦状態であり、先日の南支那海での鞘当てもある。
 不測の事態が生じることもありうる、対空及び対潜警戒を厳にせよ」
「しかし、相変わらず海幕の指示は無茶苦茶ですな。
 護衛群を回収に差し向けたと一方的に通告してきたかと思えば、合流は敵の支配海域に入ってしばらくしてからだなどと……」
「心配せずとも、明日には合流できる。
 大体、帝国に歴史的な敗北を喫した上に国土の半分を喪失し、さらにどうもきな臭いことになっておるらしい中共に、何か自分から他国へちょっかいをかける余力などあるとでもおもっておるのか。
 さっき言った不測の事態の恐れ何ぞと言うのは建前にすぎん。
 そもそも護衛自体が不要なのだ。護衛と称する艦隊の役割を、本当に護衛の任にとどめるつもりであるのならばな」
「ですが、神司令。以前のフランスの支援船団への雷撃も……」
「あれは中共ではあるまい。
 連中のやる軍事行動は何時の時代でもお粗末だが、それでもあそこまで意味不明の行動は取らんだろう。
 発覚したときのリスクが高過ぎる上に嫌がらせ以上のなににもならん」
「では……犯人は、南支那海に緊張状態を作り出すことを望んだASEANでしょうか?」
「おそらくはな。そうでなければ、再び東南アジアに基地を作りたいアメさんであろうよ。
 とはいえ、アメリカもやるなら自国の艦艇に攻撃を加えるであろうしな。まかり間違ってもフランス船を狙ったりはせん。
 フランスの自演と見るにも、あの後一時的にとはいえ艦隊を引き上げておるからな。手際が悪過ぎる。これは可能性として排除して問題あるまい」
「その後、国連の名のもとに英国などと共に再び艦隊を送りこんで来るようですが……確かに二度手間ですな。
 しかし、やれやれ。東南アジアはわずか半世紀で、再び列強の草刈り場と貸すのですね。
 まったく、当該諸国民には不幸なことです」
「帝国も、バスに乗り遅れるべきではないと思うのだがな」
「は? いま、なにかおっしゃいましたか?」
「なんでもない、独り言だ。
 ああそうだ。ひよっ子どもに、艦隊がおかれておる現状を直接説明してやらねばならんな。
 将来帝国を、そして帝国が盟主となるアジアの未来を担うべき若造どもには良い経験となるだろう。
 不幸にして、『かしま』が沈められるような事態が起こらなければの話になるがな」
197みなぎ:01/09/01 07:07 ID:4.D0QAIQ
>193
いや、びっくりした。マジで。
だってもうちょっと警備されてると思うじゃない?
フツーに外に出られる訳ないと思うじゃない?
もっとこう、スパイ大作戦とは行かなくても・・・・・・(無理するな)

しかし・・・・・・おかしいことが一点。ともえ殿下は仮にも私の名付親である。
私の顔・・・・・・見忘れたのだろうか?そういうことは普通・・・・・ない。
身代わりのニセモノ?とも考えるが、意味がない。と思い直す。
ニセモノが必要になるのは見せゴマとして使用する(例えば輸送時)物であり、
こんなただでさえ入り込むのが難しい宮城に置く必要がないのだ。

普段であれば「おひさしぶりです、お元気でしたか?」とか言うシーンなのだけれど、
とりあえず、今はだまって頬擦りされていた。
・・・・・・監禁(飼育)生活ってのはよくない。人格(キャラクター)に影響を及ぼしてしまう・・・・
そんな事を真剣にかんがえたりもした。

・・・・・・・今日は・・・・・・・・暑くなりそうだ(笑)
198萌浜ともえ@でむぱ:01/09/01 13:18 ID:q46ymEQM
>197
あ、ごめん、そうだったんだ、ごめんね。
実はボクのOVER'Sが変わったんだけど、過去ログを読み落としていたんだって(自爆)

じゃあ、あらためてよろしくね!(笑)
199中南海@北の京:01/09/02 00:22 ID:dyt2RLwI
萌豹「……はっ。どうしてアルか、何故アルか! なんで船山群島撤収準備してるアル!?」
張萌川「はっ、いや、あの、その。えーと……なんでだたカ?」
呉萌憲「あのな……海軍司令員がそなことでどするアルか。それは……なんだたかナ?」
萌立果「ぉぃぉぃ。親父殿、親父殿。上海クーデタの気配濃厚、艦隊残しておくと地対艦ミサイル雨あられ、危ないのこと」
萌豹「……むぅ。周同志、アナタ祖国が窮地の時彼ら叛乱起こさない言たナ。これはどう言うことアル?」
周萌来「彼ら、南沙で戦闘起こてる間は動かなかたネ。私の言た通りナ。その後のこと、彼らの動き強まるのは分かてたことヨ」
萌豹「…………(じとーっ)」
周萌来「……全然信じて無いアルな(;´Д`)」
萌豹「信じてるアルヨー? ええ、そりゃもう胡散臭げに殺意の視線を全力で投げ掛けるくらいに」
周萌来「全然信じてねぇだろ、それ……」
萌豹「ともかく。南京軍区と済南軍区の部隊の出動準備を進めるアル。蘭州軍区の部隊は北の京に進出させるヨロシ。武漢方面への予備として待機させておくのコト。反逆を試みるものに、身のほど重い知らせてやるネ」
200萌浜ともえ:01/09/02 04:31 ID:x./AGqEw
>197
「う〜ん、どこかで見た顔だよね、キミ」

さんざんすりすりするして満足したのか、萌浜ともえはネコを持ち上げて顔をのぞき込んだ。
しばらく眉根をよせて考え込み、はたと気がついたように叫ぶ。

「あ、思い出した! 12章の71-108で出逢った、みなぎ君だ!(笑)
お久しぶり、元気してた? ふ〜ん、なんか変わったね? 最初見たときわかんなかったよ、ゴメンね(自爆)」

「萌浜様、そろそろお部屋に戻られませんと」

と、警備の兵士が萌浜ともえをうながす。

「……うん。じゃあ、みなぎ君も一緒に来てよ。一人きりでつまんなかったんだ」
201みなぎ:01/09/02 06:32 ID:MMkgaAw.
>200
殿下はどうやら「度忘れ」をしていたようだった。
まあ、よくあることだ(笑)気にしない方がいい。

警備の人間がやってきたようだ。
この様子からすると警備自体は宮城内ではそんなにきつくないということか。
もっとも、脱出までが大変というのが一番の問題であることを知った上なのだろう。

私は殿下の肩にひょいっと乗った。
「いきものがかりさん、「また」色々とよろしく」
軽微には気づかれないような声で言うとお辞儀をする。

ま、なんにしても目的の第一段階は成功・・・・かな?
202侍従的日常:01/09/02 16:17 ID:.Dd6vRts
侍従A「そ〜いや、殿下の教育係のお嬢ちゃん、宮城に戻ってらっしゃったらし〜な」
侍従C「らしーな。相変わらず、カトリックの修道女やってらっしゃるようだが」
侍従B「……いや、そりゃ彼女の本業なんだからそう簡単に職を変える訳にもいかないだろ」
侍従A「しかし、なんだな。神武正統2700年に迫ろうかという皇統の後継者たる御方の教育係に、耶蘇の信徒が携わると言うのは如何なものかと思うわけだよ俺は」
侍従B「珍しくしかめつらして、似合わないよ……。しかもそれって今更だろ……」
侍従C「んー、でもAの言うコトにも一理あるぞ。そうだなぁ。いっそのこと、巫女さんに転職してもらうとか」
侍従A「それ、転職じゃなくて宗旨替えっつーんじゃないか?」
侍従B「むしろコスプレイヤーハァハァ……(;´Д`)」
侍従C「いーじゃん、どうせとっくに神なんか死んでるんだから」
侍従A&B『おいこら、黙れやそこのマルキスト』
侍従C「なにおぅ、無神論や理神論の類はマルキシズムが興る前から存在してるんだぞ〜。レッテル貼りは良くないぞ〜」
侍従A「いや、おまえの場合すでにレッテル貼りってレベルじゃないし」
侍従B「その上どっちにしても問題発言だし。自分の立場弁えろよ……」
侍従C「うーむ……怒るなよ、怖い顔して。わかった、わかった。こう言おう。日本は陛下を中心とした神のくぶっ!?」
(A&B、無言でCを殴り倒す)

@フケイ? フケイですか?
ええ、そりゃもう俺は忘れました(自爆)
203西朝陸戦隊残党:01/09/03 00:40 ID:P2BRYGrU
六九式@ダッフルコート&鼈甲ぶち眼鏡を名乗る少女と、モエナ・スヴェトラーナ大佐に指示されるままに都内某所にたむろしている西朝陸戦隊残党。
長きにわたった逃亡生活のせいか、誰の顔にも疲労の色が濃かった。

「それで、下関から本当に増援は到着するんスか?」

疲れきった表情の若い兵士が、くたびれたジャンパーの襟をかき合わせつつつぶやいた。

「少人数だが、手練が来るらしい」
「だが、俺達はたったの20人しかいなくて、しかも実際に首都警の装甲車を襲えるのは7人だけっス」
「大丈夫だ。あのモエナ大佐が太鼓判を押したテロリストがお膳立ては全部済ませてくれている。それどころか」

この場にいる連中の指揮官らしい男が、顎をしゃくって傍らに積んである木箱をさした。

「C国製の五六式突撃銃や、RPG7まで弾薬と一緒に用意してくれたんだ。あと、陽動のための爆薬や対車輛用地雷までな。あとは「私はカモメ」って電話がかかってくるのを待つばかりさ」
204日向:01/09/03 00:56 ID:2HDHgQ0Y
>203
帝都の荒廃を眺めつつ、昨日ダッフルコートの少女より貰った紙切れに書いた電話番号をプッシュしていく自分…
電話の向こうから、少々くぐもった声の男が出た。
「もしもし…」
次にメモに書いてた、合言葉を言う…
「あ、もしもし?『私はカモメ』『私はカモメ』…」
(内心:間違い電話だったら、嫌だなぁ…)
205西朝陸戦隊残党:01/09/03 01:01 ID:P2BRYGrU
>204
「・・・「私はカモメ」「私はカモメ」」

電話の受話器の向こう側の声に、受け取った兵士が親指を立てる。
同時に、わき起こる歓声。
指揮官が電話を受け取り、高ぶった感情を抑え込むように低い声で答える。

「「ヤー・チャイカ」「ヤー・チャイカ」、大丈夫だ、味方だ。そっちは今どこにいて、何人いる? すぐ迎えを出す」
206日向:01/09/03 01:18 ID:2HDHgQ0Y
>204
>「「ヤー・チャイカ」「ヤー・チャイカ」、大丈夫だ、味方だ。そっちは今どこにいて、何人いる? すぐ迎えを出>す」

電話の向こうの男、どうやら同朋であったようだ…。
「そうですか、でわ迎えを…まぁ結局行ける所まで来たので探してください。
自分現在地が解らないのですよ…なんだか古本屋が一杯な所なんですが…近くに高速道路が走ってますね」
「で、人員ですが…私…私ひとりです…」
(内心:どうしよう、仲間集めてくるの忘れてた!!)(汗)
207西朝陸戦隊残党:01/09/03 01:25 ID:P2BRYGrU
>206
「判った、じゃあ何か目印になるものは持っているか? JRの御茶ノ水の駅まで出てくれ。そこで接触する」

指揮官は、必死の形相で注視している兵士たちの中から最も疲れが顔に出ていない兵士を選びだし、命令する。

「よし、お前が迎えに行け。合い言葉は向こうが「私はカモメ」、こっちは「ヤー・チャイカ」だ」
この日、蛯原は休暇を取っていた。
海軍属の人間のほとんどがそうするように、彼女も陸に上がったのだった。

横浜の実家を出ると都心まで東横線で渋谷へ買い物に。
しばし楽しんだ後、霞ヶ関へ向かった。
都警察本部に学生時代(高校)の友人が勤めているのでランチを一緒に
という約束をしていたのだった。

手には109の紙袋、プチガトーのキャミワンピにプラダのバック。
受付氏には少なくとも彼女が海軍属の人間には見えなかったことであろう。
そして28歳だということも。似合っていなければ恐ろしい光景となる所だ。

「蛯原ですけど、土方さんいらっしゃいますかあ?」
受付氏は異常なまでに怪訝な顔をした。
「土方・・・・・・というと保安部の?」
「はい。土方朋子さんですよお。」
唖然とする受付氏。しかし、気を取り直して連絡を取った。

程なく、彼女は現れた。170センチを越える長身。ショートカットに縁無し眼鏡。
保安部の幕僚に28にしてその名を連ねる土方朋子である。
「ごめーん!待ったあ?」
「ううん、全然ーん。ひさしぶりー。」
手を取って飛びはねる二人。キャミと制服。とんでもなく異様な光景である。
「お仕事、いいのお?」
「うん、午後から休みにしちゃったあ(はあと)」

二人は大の仲良しであった。周囲の評判は秀才と天然。
凸凹コンビと言われてはいたがどちらかというと似たものどうしという側面が
強かった。つまり、彼女も強運の星の下に生まれた女であったのだ。

二人は高校生のような喋りに戻ったまま庁舎を出ていった。
土方の普段との余りの落差に、受付氏は呆然とするしかなかったという。

「ねえねえ、どこいくう?」
「イタリアンもいいけどお、アジア系も捨て難くない?」
「じゃ、銀座までいこっかぁ?」
二人のギャル(もしくはOL)は日比谷公園へ消えていった。

この日、保安部トップには密命が下っていた、が、その内容の機密性ゆえに
土方には指令は出ていなかったという。(彼女を疎んじた誰かの嫌がらせだという人もいる)
そして、1ヶ月も前から出ていた半休を取り下げさせる理由を説明することも出来なかった。

彼女の不在が引き起こした影響、それは誰も分からないことであり、誰にも説明できることではなかった。
事実、保安部は普段どうりに機能していたのだから。あえていうなら、
この時都警察は運を手放した・・・・・・としか言い様がないのだ。
209大日本帝国駐台大使館:01/09/03 01:32 ID:rQl5HTRk
「台湾軍の動きが慌しいな……どうやら予備役の動員が段階的にはじまっているようだ」
「対岸があの調子ですからな。恐らくはとばっちりを警戒しておるのでしょう。
 揚陸艦や輸送船舶の徴用もはじまっておる気配がありますから、大陸反攻を試みる心算なのかもしれません。
 あるいは、上海と連携を取っている可能性も」
「なに……それなら、あのような策を用いる必要もないのではないか。
 牟田口武官。危うい策を取らずとも済むのなら……」
「確かに、何も為さずとも我々の目的の半分は果たせるかもしれません。しかし閣下、それでは帝国は残り半分の目的を達せますまい。
 主たる目的、帝国が大陸に独占的経済圏を作るには、事を支那の内だけの問題にしてはならんのです。
 それに閣下、以前も申し上げましたが全ては動き出した策です。今更変更は効きません。祖国のためと、腹を括っていただきたい」
「……腹ならとうに括っておる。政府の命ならばやむをえん。
 愉快ではないが、道化を演じつづけることとするか。それが祖国の栄光のためであるならば」
210日向:01/09/03 01:34 ID:2HDHgQ0Y
>207
>「判った、じゃあ何か目印になるものは持っているか? JRの御茶ノ水の駅まで出てくれ。そこで接触する」

「解りました、御茶ノ水駅ですね。」
次は目印…バッグの中から虫篭を取り出し、懐かしむ…
「目印は…蝶のキーホルダーをぶら下げた虫篭です。でわまた、後程…」
211西朝陸戦隊残党:01/09/03 01:40 ID:P2BRYGrU
>210
そして、電話から20分程たってから、改札口の前で所在なさげに立っている日向の前に、一台の冷凍トラックが止まる。
そして、そこから下りてくる、Tシャツにゴムの前掛けという魚屋ルックのあんちゃん。

「ヤー・チャイカ」
「私はカモメ」
「・・・乗ってくれ、仲間のところまで案内する」
212日向:01/09/03 01:48 ID:2HDHgQ0Y
>211
虫篭を持つ姿を、人目以上に気にする自分…
(早くきてくれ…)
数分後、私の前に冷凍トラックが止まった。
中から、Tシャツにゴムの前掛けという魚屋ルックの男が…
(アレよりはマシかな…)
なんて思いつつ、合言葉を言う
「ヤー・チャイカ」
「私はカモメ」
これで、やっと合流できる。
213西朝陸戦隊残党:01/09/03 01:57 ID:P2BRYGrU
>212
「よく来てくれた、心から礼を言う」

日向が案内されたのは、東京都中央区の魚河岸市場の倉庫群の一画だった。
それらの倉庫の一つが、なんと西朝陸戦隊の残党の秘密拠点の一つだったのだ。
そこで日向を出迎えたのは、約20人ばかりの兵士達だった。

「来てくれたのは一人きりだそうだが、それは別に構わない。要は俺達が孤立しているわけじゃない、という事が実感できただけでも十分なんだ」

疲れて、実際の年齢よりも老けて見える指揮官が抑えた声で話し続ける。

「今日、首都警の本部から装甲車3輛と救急車が1台出発した。六九式とモエナ大佐から入ってきた情報だと、中隊長と上等兵の二人を誤送する為だそうだ。俺達は、これを襲って二人を奪回し、海へ脱出する」
214シスター・モエリア:01/09/03 01:58 ID:cC3s/4M6
自室にて。

あちこちから借りてきた資料を山と積み上げ、教科書と、辞書とノートを前に、もなこ様の宿題と格闘中……
といっても、代わりに「さんすうドリル」や「かんじドリル」を解いているわけではなく。
問題文を自国語に翻訳、また生活科その他については、正しい答えを教えられるよう自力で
猛勉強中……といったところ。

「……はあ……元々日本で教育を受けた方なら、常識なのでしょうけれど……」

今になって、知らない事ばかりだという事に気付く。もちろん、日本については色々と
学んでからこちらへきたのだけれど、外から見て日本について学ぶのと、
日本の中で、日本人であるもなこ様が学ぶべき事を指導する……というのは、やはり違う。

……もちろん、夏休みいっぱい使ってもなこ様と一緒にお勉強するのであれば、
一緒に調べ物をするなどして勉強を進める事はできた。その計画も立てていた……

けれど、突然の帰国命令。そしてもなこ様の出奔……
結果……まるっきり手付かずの宿題。

まさか、もなこ様に「宿題を忘れました」なんて言わせるわけには行かない。
どんなやり方であろうとも、とにかく締め切りは守らせなくては。

「締め切りを守れない人間なんて……いえ、そんなのは人間ではありません!
ゴミクズ以下ですわ!」

……ふとつぶやいて、きょとんとする。今、私は何を言ったのかしら?
(答え:OVER’Sのデンパが混ざりました)
215シスター・モエリア:01/09/03 02:06 ID:cC3s/4M6
……気を取り直して。

「算数、理科は大丈夫……社会も、なんとか……問題は」

国語。シスター自身は、話すのも読み書きするのも、不自由はない。
下手をすればそこらの日本人より丁寧な言葉づかい。漢字も知っている。

とはいえ……やはり不安だ。

「どなたかに、答え合わせをしていただくのがいいでしょうね……」

国語の問題集と、漢字ドリルと、自分で解いた答えを書きこんだノートを持って部屋を出る。

「でも、どなたかいらっしゃるかしら?」
216日向:01/09/03 02:09 ID:2HDHgQ0Y
>213
>「よく来てくれた、心から礼を言う」
「若輩者ですが宜しくお願いします」
20人前後の兵達を前に深々と礼をする

>「今日、首都警の本部から装甲車3輛と救急車が1台出発した。六九式とモエナ大佐から入ってきた情報だと、中隊長と上等兵の二人を誤送する為だそうだ。俺達は、これを襲って二人を奪回し、海へ脱出する」

「了解いたしました…で、どの辺りで始めますか?」
217西朝陸戦隊残党:01/09/03 02:17 ID:P2BRYGrU
>216
「今は、まだ護送車が皇居を出発するのを待っているところだ。皇居から首都警本部まで最短ルートでいけば20分もかからないが、途中ルートを変えるなら30分はかかるだろう」

そういって、指揮官は山積みになっている木箱の一つに地図を広げた。
日向が持っている、六九式@ダッフルコート&鼈甲ぶち眼鏡からもらった地図と全く同じものであった。
もっとも、あちこち書き込みや消しゴムで消した跡があって、そうとうぼろぼろになってしまってはいたが。

「とりあえず、ここと、ここと、ここの3箇所のどれかで仕掛ける。足止め役の爆薬を載せた車はすでに運び込んである。あとは、二人が皇居を出たという情報を受け取るだけだ」

そして、顔をあげて日向を見据える。

「で、あんたの得意な獲物はなんだ? ここにはC国製だが、大抵の武器は揃っている」
218名無し侍従@親支派:01/09/03 02:17 ID:ROU.uc3M
>215
 ……おろ?
 や、これはシスター。お久しいことです。
 そういえば、宮城にお戻りになられておられたのですな。
 お困りのようですが、なにか手助けできることはありますかな?
219シスター・モエリア:01/09/03 02:29 ID:cC3s/4M6
>218
「まあ、お久しぶりでございます。大変な時期に留守をいたしましてご迷惑をおかけしました……
ええ、実は……」

と言いかけ……突然、不思議そうな顔になって、侍従@親支派をじっと見つめるシスター。

「あの……お怪我をなさっていらっしゃるようですが……どうかなさいましたか?」
(>202)
「酷いですわ……痛みます?」
220名無し侍従@親支派:01/09/03 02:36 ID:ROU.uc3M
>219
 ん? どうかなさったので……?
 ……ああ。(今更ながらにたんこぶを確認しつつ) これならご心配には及びません。
 この宮城に仕える侍従どもはみな、怪我と馬鹿騒ぎには慣れておりますからな(爆
 ええ、人にどつかれるくらい、蟲やら妖鳥につつかれるのに比べればなんともありませぬよ(核爆

 ……して、いかがなさったので?
221日向:01/09/03 02:39 ID:2HDHgQ0Y
>217
「とりあえず、ここと、ここと、ここの3箇所のどれかで仕掛ける。足止め役の爆薬を載せた車はすでに運び込んである。あとは、二人が皇居を出たという情報を受け取るだけだ」

ぼろぼろの地図を指差す指揮官、その指を目で追いかける自分
どうやら準備は万端と言うところである。

指揮官が説明の後に顔を見上げこう尋ねてきた。
>「で、あんたの得意な獲物はなんだ? ここにはC国製だが、大抵の武器は揃っている」
「…でわ、小太刀と、その突撃銃を…小太刀はいざという時の護身用に…銃は実戦部隊に居た期間が短かったので携行弾数の多い銃なら何でも良いです」
そう言って、少し苦笑する自分。
222シスター・モエリア:01/09/03 02:48 ID:cC3s/4M6
>219
>220
「まあ、そんな乱暴な。慣れているだなんて……放っておいてはいけませんわ」

ごく自然に、侍従@親支派の頬に両手を沿え、胸元に抱き寄せるように下を向かせて
その頭を覗き込んで、細い指先で、そっと侍従@親支派の髪を掻き分ける。

「まあ、大変。コブがいっぱい……まるで殴られたみたいな……少し、血も出ていますよ。
すぐに手当てしなければ。いえ、私の方の用事は、後でも結構ですので……」

侍従@親支派の手を取り、自室へと引いて行く……
難民キャンプで使っていた救急箱がある。確か、まだ薬も包帯も充分残っていたはず……
223西朝陸戦隊残党:01/09/03 02:51 ID:P2BRYGrU
>221
「小太刀か。すまんが、この山刀で我慢してくれ」

そういって、指揮官が手渡したのは、刃渡り70センチはある鉈のような山刀だった。
それこそ、兜ごと相手の頭蓋をぶち割れそうな重ねの厚い、実戦向きの代物である。

「あと、あんたはガタイはいいな。なら、この軽機関銃を使ってくれ」

そうしって、手渡されたのは、側面に「六七式両用机槍」と刻印された、全長が1.2メートルはある軽機関銃だった。
持った感触からすると、10キロ以上はある代物である。ベルト給弾式で、250発の弾帯が何本か渡される。

「すまんが時間がない、試射は無しだ。動くことだけは確認している」
224名無し侍従@親支派:01/09/03 02:55 ID:ROU.uc3M
>220
 ……えー、いや、あの、その。
 お気持ちはありがたいのですが、マジで大丈夫なのですが……てゆか、この職場ほとんど戦場ですし。
 この程度の怪我を気になさっていては、なかなか今後務まりって、おおうっ!?(ずるずる;笑)
 
225日向:01/09/03 03:12 ID:2HDHgQ0Y
>223
>「小太刀か。すまんが、この山刀で我慢してくれ」
刃渡り70か80と言う所の長さの山刀を手渡された…
お、重い…ずっしりと手に来る重量感を疎ましく感じる…
さらに追い討ちをかけて指揮官が銃を手渡してくる。

「六七式両用机槍」と刻印の見えるなんとも、でっかい銃である…
その重さを隠すように、ぎこちない笑みで礼を言う
「あ、ありがとう…」
重い重い重い重い重い…

果たして、コレを上手く使いこなせるか……疑問だ。
仕方ない…山刀は諦めよう。
「ありがとう、ご、ございます…」
重い…
226シスター・モエリア:01/09/03 03:20 ID:6CB9xnWs
>224
ずるずる……軽いですわ。体重そのものじゃなくて……
難民キャンプで散々味わった、背負った不幸と苦労で疲れ果てた人の軽さ。

改めて、自分のいない間に色々なことがあったと思い知らされる。
もなこ様の宿題も何とかしなければいけないけれど、とりあえず目先の不幸な方に
できる事をしなければ。私の責任でもあるのだわ。

……部屋に連れ込んだ侍従@親支派をベッドに座らせる。
洗面器に水を汲み、冷凍庫から氷を取り出して落とすと、その氷水にタオルを漬ける。
タオルを冷やしている間に、湿布を用意して……

「あの、しみるようでしたらおっしゃってくださいね」

侍従@親支派の頭を胸元に抱き寄せるようにして、髪の上から、うんと冷やしたタオルで
頭の傷を拭う……
改めて見ると、ついさっきできたらしいコブのほかにも、鳥につつかれた穴のような傷や
獣に食われたような歯形のような傷や……古い傷があちこちにある。
……いったい、何があったのかしら?

よほど酷く殴られたらしい。頭のコブは皮膚が破れている。もう血はとまっているようだけれど。
一応、気休めに化膿止めを塗っておく。
その上から湿布をして、くるくると包帯を巻きつけながら、聞いてみる。

「あの……もしかして、他にも痛むところなど、ございますか?」
227名無し侍従@親支派:01/09/03 03:36 ID:ROU.uc3M
>226
 いや、もうほんと心配なさらず……っていうかそう抱えられますと胸が微妙な位置にいやいやいやそうではなくして(汗

 ……こほん。あー、そのですな。
 これしきの傷、学生時代にハザマ私兵グループの内ゲバでボコられた時にくらべたらって、げふんげふん(汗)

(うぅ、調子が狂うな……むぅ、なに故にここまでこの女性は生真面目なのだ(汗)
 でも、悪い気はしないが……)

(数瞬の間)
 ええと、その、シスター。
 ありがとう……その、わざわざ治療して頂いて(照れくさげに苦笑)
 でも、本当に大丈夫ですから……っと。
(立ちあがり、シスターの携えるいくつかの本やノートに目をやる)
 それは……殿下の宿題ですな?
 先ほどからお困りのようでしたが、それがなにか、問題なので?

@と、こっからっぽいのですがすんません、仮眠時間なので落ちます(自爆
228シスター・モエリア:01/09/03 04:03 ID:6CB9xnWs
>227
……1時間くらいたって。

「……助かりましたわ。またよろしくお願いいたします」

国語、社会などの答え合わせをしてもらって、侍従@親支派を送り出した。
ふう、と一息ついて机に向かい、添削してもらったノートをパラパラとめくる。

コレで何とかなりますでしょう……国語は……
でも、社会はどうしましょう?

色々と調べた本によって、歴史記述に色々な食い違いがある……
特に、近代史に関するあたり。ここ50年の歴史は、同じひとつの国の歴史を書いたものとは
思えないくらい、本によって違っている。
一番食い違っているのが、侍従@親支派の書いた答え。

……これは、また他の方のお話も伺わなければならないかしら?
シスターはまたひとつ、ふうと息をつくと、ノートを閉じた。

@お付き合いありがとうございました>親支派
@おやすみなさいませ。
229みなぎ:01/09/03 21:10 ID:oAnMwtKE
警備(監視)付きとはいえ、殿下はまだお元気そうである。
むしろ動き回れないストレスからか、いやにハイな印象を受ける。
囚われの身でスキップしてる人なんて見たことがない。
おかげで肩に乗っている私は何度となく振り落とされそうになった。

>228
と、親支派侍従Cさんが部屋から出てくるのが見えた。
私が覚えている限りそこは家庭教師のモエリアさんの部屋のはずである。
(ちなみにみなぎは一時帰宅は知りません)
おやぁ?これは・・・・・・・・にやありと笑う私。そして殿下(笑)

「Cさーんっ!どうしたのっ!?」
こっそり近寄り、後ろから声をかける。しかもおもいっきり。
「うわああああああっ!!!!」
仰天して走って逃げていくC氏。途中壁にぶつかって階段を転げていった。
よっぽど後ろめたかったのか、慣れぬ役得に動揺したのか、はてさて(笑)

そしてやっぱり警備の兵を無視してモエリアの自室へ入っていった。
「こんにちわー。」
「ども、久しぶりですね。」
彼女は宿題の山と格闘をしている真っ最中だった。ちょっと引く二人。
でも逃げることももはや不可能であった(笑)
230萌浜ともえ:01/09/03 22:11 ID:7MHa1mU.
>229
「……うんっ、ボクは用事があるからさっ、じゃっ!」

思わずまわれ右して奪取して逃げる萌浜ともえ。
ジョイナー(ふる(自爆))真っ青のダッシュで自室へと逃げ去っていった。

そして、一人、いや一匹だけ取り残された猫みなぎ。

さあ、この絶体絶命のピンチをどう乗り切る!?(謎)
231宮城内:01/09/03 23:33 ID:/ArIidvs
宮城にそれが現れたのは、ちょうど萌浜ともえが久方ぶりの外界の空気を満喫
していた頃だった。宮城正門を警備していた近衛第五旅団の兵士に誰何され、
それは柔和な笑みを浮かべて軽く会釈する。

それは、黒い女だった。
腰まで伸びた艶のある髪も黒い。
どこか眠たげな瞳も黒い。
見につけている修道着も黒い。

その中で、僅かに露になる不自然に白い肌と、首に巻かれたチョーカーに繋が
れた小さな銀のロザリオだけが浮き上がっている。

「一つお尋ねしたいのですが、宮城という場所はこちらでよろしいのでしょうか?」

ゆったりとした口調で黒衣の女が尋ねる。
彼女の容姿に一瞬だけ見とれていた兵士が慌てて肯定すると、黒衣の女は丁寧な謝礼
を述べて、宮城内へ向かおうとする。

戒厳令は解除されたとはいえ、今もなお宮城の警備は平時より遥かに厳しい物となっ
ている。第五旅団の兵士は、すぐさま女を呼び止める。

「なにか?」

「関係者以外の方を宮城内へとお入れする訳にはいきません。身分証明証と、来訪の
理由をお教え願えますか?」

はいはいと呟きながら、女は兵士にパスポートを手渡す。
I国籍。モエラ・ルーチェ

「実は、ここにシスター・モエリアという方がいらっしゃると思うのですが。私、そ
の方に宛てての急な伝言を頼まれまして」
232みなぎ:01/09/03 23:58 ID:VpRr3V3U
>230
「ああっ!ずるい!!」
あせったけれど既に遅い。殿下は逃げていった。足・・・・・はっやあ・・・・・・・

「ああ、おひさしぶりですね、ねこさん。どうされました?」
「いやあのそのですね・・・・・・・・・」
「ちょうどよろしいですわ。今もなこ様の宿題を教える為の勉強をしているのですけれど
ねこさんも見て頂けませんか?」
あああああああ・・・・・・・無理だぁ・・・・・・これを断るのって相当無理・・・・・
「・・・・・・・えと、ですね・・・・・ええい、しょうがないなあ」
見ると実はほとんど終わっている。あとは社会科だけの様子。

て、いうか「猫の手も借りたい」ってこういう状況を言うのかなあ・・・・・
(あ、ちょっとうまいかも。座布団自分に一枚・・・・・って違う!!)

問題集には侍従Cさんの答えが書き込んである。
うーーーーーん・・・・・・・・・これは宮様が出す答えとしては問題がないですかぁ?
いくらノンポリな猫とは言え、ちょおっと首をかしげますぜ、これは。
しょうがないなあ。ここは一つ文系の私が猫視点による歴史解釈をば・・・・・・

「・・・・・・・・近現代における日本が国際社会においてどのように立ち振る舞ったかについては
各諸国においてしかもその内部でさえ各論あるわけでその一つ一つをですね云々・・・・・・・」
30分ほど喋り捲ったみなぎ。ふと、止まる。
気づく。違う。
私はここに宿題をする為に来ている?。違う!
私はここで歴史論をぶつ為に来ている?激しく違う!!

立ち上がる(4本足だけど)と、あわてて部屋を飛び出す。
が、すぐ戻る。
「すんません。ちょっと用事がありますんで。また飲みましょうね。こんな店
はじめますから。」
と、BARの名刺を置いて走り去っていった。

あああ、見失っちゃったよ。まったく。探さないといけない・・・・・・??




目の前が、殿下の部屋だった。ごていねいに「ともえの部屋っ」とイルカの表札付き。
(どこから持ってきたのだか)
はてしなーーーーーーく、脱力した。
233萌浜ともえ:01/09/04 00:06 ID:LiExthrw
>232
「うっ、みなぎくん、ごめんね。ボクあんまり勉強って好きじゃないんだ(てへ)」

思いっきり照れ隠しに笑ってみせる萌浜ともえ。
ついでにとどめにこつんと頭を自分でこづいてみたりする。

「じゃ、今度は一緒に表に出てみよっか?」
234みなぎ:01/09/04 00:19 ID:30oVM5xs
>233
「いや、まあ、私も勉強はむしろ嫌いな方ですがね・・・・・・
だからといって猫に勉強を押し付けるのも相当どうだろうって気がしますよ(苦笑)
一応まだ殿下も世間的には「学生」なんですからね?・・・・・」
なんかこういう喋りをしていると侍従みたいだ。しかもCさんよりの。
これはマズイな・・・・・・・・いや、いろいろと(爆)

まあ、とりあえず。一緒にいるのが今は大事だ。

「じゃ、行きましょうか。」
235宮城内:01/09/04 00:20 ID:olR5lDZk
「良い所ですね。緑も多いですし心が和みます」
結局、黒衣のシスター。モエラ・ルーチェはちょうど交替だった兵士が先導とお目付
け役を兼ねるという事で、宮城をシスター・モエリアの私室へ向けて歩いていた。
その道中。モエラは見る物全てに感心の言葉を述べ、ついで今日という日の幸運を神
に感謝する。

いい加減、モエラへの警戒心も薄れた頃。穏やかな声でモエラは切り出した。
ちょうど、周囲は木々に囲まれて、周りに人の気配もない。

「ところで、兵隊さんはもう非番なのですか?」

質問の意味を掴みかねながらも、兵士は肯定する。
と、前を歩いていたモエラは一動作で瞬時に振り替える。その貌に、さっきまでの柔
和な雰囲気はない。研ぎ澄まされた氷の刃の様な視線が兵士を射る。

「それは、とても都合が良いです」

兵士は、一瞬。氷で出来た能面の様な顔にたしかに微笑みを見た気がした。
それを最後に、彼の意識は途絶えた。

気を失った兵士を出来るだけ下生えの深そうな場所へとまるでゴミ袋でも放りなげる
ように打ち捨てる。両手両足は縛られ、猿轡を噛まされた兵士の持っていた小銃も、
林の奥へと投げ捨てる。

手提げ鞄の二重底から取り出した革のホルスター二個を、スカートを捲ってあらわに
なった左右の大腿に括り付ける。片方がスチェッキンAPS。片方がC国製の67式
微声拳銃。

モエラ・ルーチェ。それは、偽名でしかない。
黒衣の女は、氷点下の笑みを浮かべて林の中へと消えていく。

モエナ・スヴェトラーナ大佐。
それが彼女の、今の本名である。
236シスター・モエリア:01/09/04 00:31 ID:rm3JvSLs
>232
……バタバタと出て行くみなぎを、ちょっと呆然として見送る。

「まあ、あわただしい事ですわね……」

視線を落とす。BARみなぎの文字。

「皆様いらっしゃるのかしら? 改めてご挨拶するには、良いかもしれませんわ」

故郷のワインの味を、少しだけ思い出す。もう何年口にしていないだろう?
ご挨拶代わりに、ローマから少し送って頂こうかしら?
……お酒を頂いた次の日は、いつもごいっしょさせていただいた方の態度が
おかしくなるのだけれど……

……そんな事を考えていると、部屋のドアがノックされた。
自分に来客。今、こちらに向かっているとの事。

……モエラ・ルーチェ? どなただったかしら……
237西朝陸戦隊残党:01/09/04 00:36 ID:LiExthrw
首都警本部に近い幹線道路の交差点。
平日の日中であるだけあって、それなりの交通量で一般車輛が流れている。

「隊長、報告です
「よし、・・・・・・目標がここの交差点を通過するまであと10分だ。各自装備点検」

路駐している冷凍トラックのコンテナの中で、10人に満たない兵士達が装備を点検し始める。

「よし、聞け。目標が交差点を通過しようとしたら、周囲をトラック等で包囲し、動きを止める。すかさずRPG班が装甲車のエンジンかタイヤを破壊し、足を破壊する」

C国製のRPG7を持った3人の男が黙ってうなずく。

「続いて、突撃班が救急車を襲撃、二人を奪回し、近づいてきたウニモグ改造の冷凍トラックに乗せて全員で脱出する」

56式突撃銃を持った男達が、同じ様に黙ってうなずいた。
日向は、隊長と一緒に反撃に出てくるであろう首都警の警官を制圧する役目である。

「よし、2分でカタをつける」
238日向:01/09/04 00:44 ID:n4pR2zOU
>237
冷凍トラックの奥でじっと待つ自分…

「成功…すると良いですね…」
239萌浜ともえ:01/09/04 00:47 ID:LiExthrw
>234
「えへへっ、ちょっとごめんね」

と、言うが早いか、ともえは廊下に出ると廊下の窓を開けた。
二階の窓に外から入る風が、ある意味ともえにとって心地好い。

「みなぎくん、あの木の枝まで跳び移れる?」
240西朝陸戦隊残党:01/09/04 00:49 ID:LiExthrw
>238
「まったくだ・・・」

日向の言葉にうなずく指揮官。
落ちくぼんだ眼窩と、目尻によった皺が深くなる。

「隊長、来ました! あと20!」
「よし、全員待機。陽動班行動始め!」
241シスター・モエリア:01/09/04 00:52 ID:rm3JvSLs
>236
「困りましたわ……」

来客、という事で反射的にお茶の用意をしてしまったシスター。
とっておきの紅茶と、トラピストの修道院から送られたクッキー。
ロシア出身の修道院長から送られた、バラのジャムを紅茶に添えて……

「……でも、ちょっと多かったみたい」

お茶の支度をするのもひさしぶりだったせいか、さっきのみなぎのあわただしい雰囲気に
飲まれたせいか……

「どうしましょう?」

さっき、みなぎと一緒にいた女の子を思い出す。ついでといっては何だけど、
お招きしてみましょうか。

「お茶は、大勢で頂いた方が美味しいですしね」

……廊下にでると、すぐそこに「ともえの部屋」とプレートのかかったドアがある。
ちょっと控えめにノックしてみる……

「ともえ殿下、いらっしゃいますか?」
242みなぎ:01/09/04 00:52 ID:30oVM5xs
>239
「もちろん。」
ひょいっと窓枠に飛び乗ると胸を張る。
下の方に静かな気配。この感じを私は知っている。

「お出迎えが、来たようですね。行きましょうか。」
243日向:01/09/04 00:54 ID:n4pR2zOU
>240
指揮官の号令と同時に
自分はポケット中から一枚の布切れを取り出し、顔に巻く…
「流石に顔を晒すのは不味いですからね」
244某幹線道路交差点:01/09/04 00:56 ID:LiExthrw
>240
首都警の三頭犬のエンブレムを鈍く光らせた、小松の一式軽装甲機動車3輛に前後を挟まれるように走ってくる救急車に、突然赤信号を無視して突っ込んできたトラックが激突する。
それと同時に、前後左右をコンテナ車やトラックが激突するかのように突っ込み、包囲する。

「貴様等!! 何をする!!」
「ナニさ」

手に短機関銃を持って装甲車の外へと出た首都警隊員に向かって、突っ込んだ冷凍車のコンテナから飛び出した隊員の突撃銃が火を吹いた。
さすがにこの近距離から口径7.62ミリの重量弾の掃射を喰らって平気な防弾チョッキはそうそうありはしない。
さらに、開いた扉から撃ち込まれた銃弾が、中の首都警隊員を挽き肉へと変えていく。

「よし、救急車だ、急げ!」
245萌浜ともえ:01/09/04 01:00 ID:LiExthrw
>242
「じゃ、跳んで」

ともえの声と同時に、猫ならではの軽やかな跳躍で枝に跳び移るみなぎ。

「あぁ〜! 逃げちゃ駄目だよ、みなぎくん!」

なんというか、いかにも白々しい声をあげ、今度は自分も窓枠から外へと飛び出す。
が、さすがに枝に向かっては跳び移らない。
そのまま地面へと飛び降り、着地の瞬間身体を丸める様に地面を蹴って衝撃を逃がす。

「へへっ、脱出成功!」
246日向:01/09/04 01:01 ID:n4pR2zOU
>244

銃声に驚き逃げ惑う人々と次々に車両を制圧していく西朝兵達を見ながら

軽機関銃持ち、辺りを見回し警戒する自分
247西朝陸戦隊残党:01/09/04 01:07 ID:LiExthrw
>246
「貴様等っ、西朝の叛徒かっ!!」

残った二台の装甲車のルーフが開き、中から短機関銃の掃射が救急車へと向かって走る兵士に向かって伸びる。
その一撃を喰らって、二人が地面に転がる。
248みなぎ:01/09/04 01:07 ID:30oVM5xs
>245
「おみごと。10点ですね。」
さすがは4皇女一の運動神経はダテじゃない。
木からひょいっと降り立つと前方を見渡す。

・・・・・・衛兵は・・・・・・100M以内では3人くらいかな?
さて、ここから「あの人」の所までが私のお仕事・・・・・だね。
「行きましょう。あっちですよ。」
249シスター・モエリア:01/09/04 01:08 ID:rm3JvSLs
>245
……ドアの向こうで、何か奇妙な物音。ノブに手をかけると、軽く開く。
頭の上に、たくさん「???」マークを浮かべながら、そっとのぞいてみる。

「ともえ様? どうかなさったのですか?」

開けっ放しの窓に、カーテンが揺れている。何気なく下をのぞいて見ると、
ともえがみなぎを抱き上げているところだった。

あらまあ。お元気ですこと……
何が起こっているのかわからない
(そもそも、なぜともえがここにいるのかも知らない。遊びに来ているのだろう程度と考えている)
シスターは、ニッコリ笑って、大きな声でともえに呼びかける。

「ともえ様。お茶が入りましたの。ご一緒にいかがですか?」
250首都警特務隊員:01/09/04 01:10 ID:i3I/D4bA
「くそっ、連中は素人じゃないぞ!」
「本部に報告だ! 増援を出してもらえ、急げ!!」

運転手が、なんとかトラックの包囲網を外そうと装甲車のアクセルを全開にして前後を行き来する。

「本部!! 本部!! 西朝残党の襲撃です! 敵の装備火器は突撃銃と軽機!! 至急増援を乞う!!」
251日向:01/09/04 01:14 ID:n4pR2zOU
>247
「ちっ!余計な事を!!」

一台の装甲車の開いたルーフめがけて、軽機の引き金を引く…
装甲車の人間はうめき声一つもなく沈黙する。
「余計な事しなけりゃ、命存えたのに…」
252萌浜ともえ:01/09/04 01:17 ID:LiExthrw
>248
「へへっ、実は3階までならケガしないで飛び降りられるんだ。みんなが心配するからやらないけどね(笑)」

みなぎ猫を抱いたまま得意そうに胸を張るともえ。

>249
と、今しがた飛び降りた窓から、さっき会ったばかりのシスターが顔をのぞかせている。

「ごめんなさーいっ、ボク、ちょっと用事があるから、またそのうちねーっ!!」

みなぎ猫を左手で抱き、右手をぶんぶんと振り回しながら、答える。
そして、みなぎを地面に降ろすと、両腕を天に向かって伸ばし、身体を二度三度左右にひねる。

「じゃ、よろしく頼むよ、みなぎくん!!」
253西朝陸戦隊残党:01/09/04 01:22 ID:LiExthrw
>251
「すまんっ!」

装甲車を軽機の掃射で制圧する日向に声をかけ、一番最初に彼を迎えに来た魚屋ルックだった兵士が救急車へと取りついた。
最初の格好とはうってかわって、OD色の戦闘服に黒い目出し帽を被った彼は、扉のロックを突撃銃の一連射で破壊すると、大きな音をたてて扉を開く。
と同時に、中から短機関銃の掃射が外へ向かって行われる。

「がはっ!」

救急車に飛びつこうとした彼は、そのまま腹に何発か喰らって地面に転がり落ちた。
254首都警特務隊員:01/09/04 01:27 ID:wAregfls
>253
「ちっ! なんだこいつらはっ! 本部からの増援はまだ来ないのかっ!」

手にしていたMP5短機関銃の弾倉を交換しつつ、二人の隊員が外へ出ようとする。
と、爆発音があがり、最後尾にいた一式軽装甲機動車が、爆発炎上しているのが見える。

「くそっ!!、こうなったら!!」
255日向:01/09/04 01:31 ID:n4pR2zOU
>253
あの私を迎えに来てくれた男が救急車に取り付きドアの鍵を打ち破ってる…
次の瞬間、開いたドアから銃弾が男をお迎えしてきた…
「嗚呼!!」
考えろ、考えろ…
救急車の真ん中は通路になってるはず…
走り出し救急車の真正面に陣取り軽機をぶっ放す。
中の人間に当りはしなかったが、出てきた所を他の兵士にとどめを刺された…
256西朝陸戦隊残党:01/09/04 01:35 ID:LiExthrw
>255
「よし、よくやってくれた!」

指揮官も、突撃銃を乱射しつつ、日向の側に駆け寄る。
そのまま、救急車の中に一連射を下から叩き込んで、中に飛び乗る。

「日向!! 手伝ってくれ、二人を外に運び出す!!」

257みなぎ:01/09/04 01:36 ID:kFu1Ik9I
>252
「宮城の正門からモエナさんが突破してきてます。
まだ今なら皇宮警察も動き出していません。ここから500くらい・・・ですね。
さっきの声で衛兵が気づいた可能性がありますから人の少ない所を突破していく
方向で行きましょう。橋がいくつかありますけど、どれか一つ。すぐに抜けましょう。
封鎖されると厄介ですから。」

言うなり先導して走り出す。
直線距離で走るとモエナさんまで警戒させるので45度に。東南へ進路を取る。
進行方向に一人、衛兵がが見えた。まだ、気づいていない。
「援護してくださいね。」
言うなりとびかかり、爪で目をつく。目を押さえた所へ殿下のケリが急所に入る。
瞬殺。であった。
「おみごとです。」

途中、三毛坊さんに再会する。事情を簡単に説明し、伝令を頼む。
伝令は人でない方がこの際、いい。
258日向:01/09/04 01:43 ID:n4pR2zOU
>256
>「日向!! 手伝ってくれ、二人を外に運び出す!!」
「はい只今!」

指揮官が中隊長を、私が上等兵を担ぎウニモグ改造冷凍車に運ぶ…
車内で拘束具を外しつつ声をかける
「指揮官殿、撤収の合図を!!」
さあ長居は無用だ。
259萌浜ともえ:01/09/04 01:44 ID:LiExthrw
>257
「あ、待って」

勢いのまま、衛兵の股間を蹴り上げたともえだったが、ふとそこで足を止める。

「ちょっとこっち」

そのまま、みなぎ猫が行こうとした方向とは逆方向に向けて走り出す。

「なんだか、そっちに行ったら駄目な気がする。ちょっと隠れよ?」
260シスター・モエリア:01/09/04 01:44 ID:LkRjRyyM
>252
……猫と少女が走り去っていくのを見送りながら、首をかしげる。
本当に、自分の居ない間に色々なことが変わってしまったようですわ。
とはいえ、シスターの目は笑っている。
……よくはわかりませんけど、元気なのはよい事。
そう思ったとき、ドアが乱暴に押し開けられて、数名の兵士が部屋に入ってきた。

「あら、どうなさいましたの?」
「シスターこそ、どうしてこちらにおられるのですか? ともえ殿下はどこに?」

兵士達の険しい表情に、シスターは眉をひそめる。

「……年頃の女性の部屋に、突然入ってくるような事はおよしなさい。ノックもなしに……そんな方とは、お話はできません」
「シスター?」
「失礼、そこをどいていただけます? 私、部屋に帰りますので……来客があると伺いましたので」
「シスター、その来客のことですが……モエラ・ルーチェという方はご存知なのですか?」
「……お話はできません、と申し上げたはずですわ」

自分が意地になっているのが解る。難民キャンプで働いている間、何度も渡り合ったせいだ。
……偏見は良くない。それは解っているけれど……どうしても、軍人には心を開けない。

「シスター。どうしても、お話していただけないと?」
「私の日本語は通じないのでしょうか?」
「シスター……失礼ですが、一緒に来ていただきます」
「お断りしますわ」
「お願いしているのではありません。これは私の任務です。
現在の状況から、あなたには西朝のテロリストに協力していると疑わざるを得ません」
「……何の事でしょうか?」
「これ以上の説明はできません。あなたの身柄を拘束させていただきます」
「……結構ですわ。それがあなたの義務だというのでしたら、そのようになさって下さい」
261西朝陸戦隊残党:01/09/04 01:47 ID:LiExthrw
>258
「ああ! よし、全員撤収! 負傷者も死体も乗せたな? いけ!!」

指揮官の命令と同時にウニモグ改造の冷凍車の扉が閉まり、大排気量のディーゼルエンジンの轟音がコンテナ内にまで響いてくる。
そして、首都警の装甲車や救急車を囲んでいたトラックやコンテナ車が、派手な爆炎をあげて爆発炎上する。
262みなぎ:01/09/04 01:53 ID:kFu1Ik9I
>259
殿下は割と勘が鋭かったのを思い出し、足を止めた。
「了解です。じゃ、これをっと。」
と言ってとりだしたのは「じゅうえいそう」。宮様自作モデル。
そのあからさまに怪しいダンボール箱に入るみなぎ。

「というわけで、これはおとりです。まあ、このつくしんぼのついた箱に銃を
ぶっ放せる人なんてそうはいないと思いますがね。」
263日向:01/09/04 01:56 ID:n4pR2zOU
>261
走る車内から後方を見ながら指揮官に呟く…
「来ますかね?お客さんが…まぁこの場合、こっちがお客ですけど」(苦笑)
264近衛第五旅団参謀長:01/09/04 01:59 ID:XX84Lm5.

「なんだと? 萌浜ともえが脱走した?」

近衛第五旅団司令部で、善行少将がいない間の留守を預かっている
参謀長が、地の底から響くような声で報告に応えた。集まってきてい
る幕僚達も、皆一様に渋い表情をしている。

「また、シスター・モエリアに面会を求めたモエラ・ルーチャというシス
ターですが、入国の記録は無いそうです。さらに、拘束したシスター・
モエリアは、今に至るも黙秘を続けており……」
「判った。引き続き彼女の尋問に当たってくれ。善行閣下のいない間
に萌浜ともえを奪取されたとあっては、冗談では済まない事になる。
それで、すでに各門には警戒線を張ったな?」
「はい。とりあえず、萌浜ともえを確保するまでは、皇居内から外へは
誰も出さないし入れないように指示しておきました」
「よろしい。命令!! 第一大隊は一個中隊を進発させ、いまだ皇居
内にいると思われる萌浜ともえを拘束、司令部に出頭させるように!
火器の使用は基本的に禁止とする。潜入した敵が発砲するまでは、
実包の装填も、だ」

と、そこに通信兵が駆け込んでくる。

「参謀長閣下! 首都警の通信を傍受しました! 西朝の残党組織
が菊水から首都警に引き渡した西朝の幹部二人を奪取、逃走したと
のことです!!」
265萌浜ともえ:01/09/04 02:04 ID:LiExthrw
>262
「うん、ありがとうみなぎくん」

そのまま段ボールの中に入り込み、体育座りする。

「でも、よくモエナ大佐が来ているって判ったよね?」
266西朝陸戦隊残党:01/09/04 02:07 ID:LiExthrw
>263
「よくやってくれた、礼を言う」

初めて歯を見せて笑い、指揮官は日向の肩を叩いた。
そうして笑った表情を見ると、彼が実はまだ30にもなっていない若者であることが日向にも見てとれた。

「君が来てくれたおかげで、助かった。今、あちこちで爆破事件が起こって、首都警はてんやわんやのはずだ。俺達を追いかけるだけの余力はないだろう」
267みなぎ:01/09/04 02:12 ID:kFu1Ik9I
>265
「・・・・・・そういえばなんでなんでしょう。なんとなくあの人の感じがしたんですよ。
不思議ですよね(笑)」

いいつつダンボールの上に座り込む。
猫とダンボール。実はひみつきち(宮城の森)ではありふれすぎた光景である。
そして近衛兵はそれを撤去しないのが慣例になっている。
なぜなら、そのほとんどは宮様が設置したものだからである。

「さて、三毛坊さんがうまく伝えてくれるといいのですがね・・・・・・」
268貫上等兵:01/09/04 02:17 ID:EEMME7j.
人間としての尊厳を根こそぎ殺ぎ落とさんとするかのような部屋で、
いったい幾日をすごしたのだろうか・・・・・・そのようなことは、
もう気にもならなくなった。
浅い眠りから無理やり起こされた。
「おい、起きろ!これから首都警に移送だ!よかったな、これで人並みの尋問も受けられるぞ」
その皮肉にも、もはや返す気力など残っては居なかった。
拘束着のまま、車へと載せられる。半ば荷物のような扱いだった。

居心地の悪い車内でごつごつと頭をぶつけながら座っていた。
突然、車が急停止した。外からは銃声と怒号が聞こえる。
何が起こっているのか・・・・・・
暫くすると、私が乗っている車の扉を開いた。中から監視の人間が銃弾の雨を降らす。
が、その抵抗もすぐに止んだ。
黒い人影が中に入ってくる。
「大丈夫ですか、上等兵殿?」
焦点の合わない目で彼をぼんやりと見上げる。
「よかった、ご無事なんですね!」
彼はそういうと私を担ぎ上げ、別の車へと運んだ。
何が起こったのかはわからないが、どうやら私は二度目の移送を受けているようだ。
まぁ、成り行きにまかせるしかないか・・・・・・
そう思って、私はまた目を閉じた。
269SK国軍新品少尉@哀号旅団志望:01/09/04 14:05 ID:zr7KlYvg
 旅団長閣下国軍最精鋭を誇る当旅団に配属をお願いするニダ。
無論「感謝の気持ち」は見せるニダ。(出世のための賄賂は惜しまない
ニダ。SK国は学歴社会でその上裏口入学がとても激しいことで有名です)

 3日後 マンセー 配属辞令が届いたニダ。早速赴任するニダ。
・・・・・・ニダ?ガッチリニダ?わけが分からないニダ。でも士気は
高いニダ。まあ気をとりなをし行軍演習をするニダ。小隊集合ニダ。ニ、ニダ?
何故みな倭奴の99式改小銃をもっているニダか?今はSK戦争
ニダか?(注 現地では朝○戦争とはいいません)
ウリナラの誇るK1ライフルは何処ニダ。ない?所詮予備役中心の
臨時部隊には回ってこない?SK最強ではなかったのかニダ。
なんかの間違い?アイゴーーー。教官にだまされたニダ。もはや
首都警護師団(SK版近衛師団と言われています。各地から選抜)
の配属ではなく哀号旅団配属こそエリートの道とは嘘だったニダー。
教官に謝罪と(以下略)

 落ち そう陸軍士官学校の教官はこの少尉が虚栄心にあきれ体よく
追い払ったのであった。

 私信 というか電波。というわけで旅団長閣下に配属を認めて
ください(笑)無論気にくわなければ賄賂の発覚(旅団長はなぜか害が及びません)で
逮捕。あるいは配属辞令が間違ったものであったなどと言うのも一興でしょう。
折角の新興組織ぱっと消えるのは勿体ないようなので時々やって参ります。
270SK国軍新品少尉@哀号旅団志望:01/09/04 14:06 ID:zr7KlYvg
申し訳ありません。過失です。あげてしまいました。
271名無し三等兵:01/09/04 14:12 ID:naYpfTNM
272首都警中央管制室:01/09/04 23:11 ID:7NrNJRrM
首都警本部内に設けられた仮中央管制室。後々、本部敷地内に建設される核シェル
ターを兼任する首都警中央指揮統制所が稼動するまでの仮の設備ではあるが、複数
の大型プロジェクターを始めとして、必要な設備は整えられている。

「第一大隊は現場に向けて急行中。道路混雑の為、到着まで十分。現在、交通規制
を内勤者から編成した部隊で実施中ですが、現場周辺の混乱の為、上手く行ってい
ません」

「現認のヘリ。コールサイン『シェラゲーター』より現場上空の映像入りました。中
央プロジェクターに送ります」

首都圏の地図が映し出されていた壁面が切り替わり、粒子の粗い動画が現れる。
既に、犯人グループは撤収にかかろうとしている所だった。す巻き状の物を二つ。
ウニモグの荷台に放り込んだ突撃銃を持つ男が助手席に消えると、猛スピードでそ
のウニモグは視界から外れる。
ヘリの視界は、一瞬ウニモグを追尾しようと動くが粗い視界を幾筋もの光が通り抜
けて行く。

「『シェラゲーター』より入電。我、対空射撃を受けつつあり。現場への滞空は困難」

首都警航空隊指揮官。割田登子上級警視がインカムを片手に矢継ぎ早に指示を出して
いる。彼女も事故で視力が低下する前は国防軍でスカウトヘリのパイロットだった。
「こちら『グリーン・ハート』。『シェラゲーター』。回避行動を行いながら地上部隊
到着まで戦域上空を維持しなさい。今から『エーザウ』と『ホリドー』が向かいます。
『エーザウ』は逃走車両の補足、追尾を。『ホリドー』は『シェラゲーター』と合流」
上空からの映像とは別のプロジェクターをちらりと眺めたグリーン・ハートこと割田上
級警視は良く通る声で「おそおーいっ!!」と大声を上げる。彼女の見たのは、本部を
出た特務部隊第一大隊と、市ヶ谷で訓練中だった第二大隊の現在位置である。
既に、少なくない部下を失っている羽佐特務部隊指揮官は不機嫌な顔でプロジェクター
を見据えている。彼としては、すぐにでも現場へ出たかったが、それを止めたのは背後
の雛壇に収まった日村総監であった。
常にテンションの高いグリーンハートと、不機嫌に押し黙る羽佐特務部隊指揮官。
その二人とは別に、次々と指示を出している男がいる。某県警より治安警察本部警備部
(首都警警備警察本部警備局とは別の組織である)に引き抜かれた男。片倉警視はプロ
ジェクター上の地図に示された幹線道路へ次々と「封鎖完了」の表示を付け加えていく。

盤石の警備。猫の子一匹逃さない。

しかし、沈まない船はなく、クリスマス前に終わる戦争がない様に、完全に隙のない警
備などは存在しない。
時間が経つ事に、逃走車両の予想潜伏域は拡大していく。それが拡大しすぎる前に、ど
れだけ予想潜伏域に検問を集中させれるか?それが大きな問題である。

比較的潜伏可能性の薄い地域から、部隊を割くか?

片倉警視がそこまで考えたところで、投影された地図上に次々と毒々しい紅い点が現れる。
それは、首都警本部を中心に、かなりの数に昇る。

紅い点と、その上に記されたコードの意味に気がついた誰かが呟いた。
「爆弾、テロ?」
273カミンスキー部隊:01/09/05 00:07 ID:8sqzp94M
「臭いんだよなー。これがまた」
スヴェトラーナ機関戦闘部隊の指揮官。カミンスキー大尉はどこか投げやりな態度で呟く。
細長い通路に並ぶ九名の部下達も鼻をつまむなり、ティッシュを詰めるなりしてその難敵
と苦闘している。R国製の本物のAKMにSVD。分隊支援機銃であるRPKまで装備す
る彼らにとって、今や最大の武器は、鼻に積めるティッシュである。
じめじめとした上に、何か得体の知れない粘液状の何かが壁一面に張りつき、足元ではゆ
ったりと流れる汚水が編上靴を通して染み込む。その全てが、鼻が曲がるような異臭を発
している。
「たいひ」
鼻の詰まった声がする。浅黒いモンゴル系の顔。その中央に見える白いティッシュが真面
目な表情とそぐわない。名状しえない違和感を放っている。
「我々はいつまでここで待機するので?」

「大佐から指示があるまでさ」
大尉は、迷彩服の胸ポケットからごるばちょふ☆ミのストラップ付きの携帯電話を取り出
して、しみじみと見つめる。
「便利だわなぁ。これ」
むさい男十人が一つのフレームに収まったプリクラを貼り付けた携帯電話。

まだ鳴る気配はない。
274みなぎ:01/09/05 01:06 ID:GRypCAAw
つくしんぼうのマーク入りダンボールはふたを閉じ、みなぎはその上で見張りをしている。
(もっとも、傍目には箱の上で森林浴をしているようにしか見えない)

「殿下ぁ。どやって逃げるつもりだったんです?勢いでここまで来ちゃいましたけど、そろそろ
まともには出られなくなってそうな感じですけど。大佐もこっちに向かってると思いますが・・・・」
ぼそっと、中に向けて言う。

今ごろは宮城内で私以外で唯一人語を解する三毛猫、三毛坊さんが伝令を
伝えていてくれるはずだ。あとは脱出。モエナさんなら心配要らないのだろうけど。

「狭くないですか?てか、暑くありません?」
275萌浜ともえ:01/09/05 01:26 ID:/ZUzrrJc
>274
「逃げるって、う〜ん、モエナ大佐が助けに来てくれるって六九式さんから聞いていいたし……」

段ボールの中で体育座りをしたままごろんと横に転がるともえ。

「あと、ボクが皇居の中で兵隊さん達とおいかけっこしてれば、ちゅーやんやじょーくんを助けやすくなるかなって、思ったんだ。みんなが皇居の中でおいかけっこしていれば、その分二人の監視もゆるくなるかな、って」

なんとなく、もどかしそうに段ボールの中でごろごろと左右に体育座りしたまま転がる。

「……そういえば、さっきの兵隊さん、悪い事しちゃったな。ケガとかしていないかな?」
276SK国@金ニ大萌:01/09/05 02:49 ID:p72uRzUI
>269

 ニダニダ!
 ウリはSK国大統領の金ニ大萌ニダ!
 SK国新品少尉、その心意気や良し、ニダ!!
 “感謝の気持ち”、君のお父上からも頂いているニダ。

(窓の外を眺めながらの金ニ大萌。
 その机の脇には黒光りする、長毛のカーペットに半ば沈んだ皮のアタッシュケースが
 置かれている………金塊か?)

 哀号旅団長は今、休暇中故に、ウリが話すニダ!
 良いニダか、SK国新品少尉。
 哀号旅団の目的とは、来るべきチョパリ懲罰作戦に於いて半万年の歴史を持つ、
偉大なるSK国陸軍の先鋒となって、働く最精鋭部隊ニダ!!
 表向きは、義勇軍と云う事も在って装備その他で極めて優遇されているとは、
とても言い難いニダ……
 チョパーリの99式改小銃を装備している所など、涙を誘うニダ。
 だが、それは今一時の事。
 我慢して欲しいニダ!
 ウリナラは今、戦艦2隻と空母2隻を中心とする一大海洋艦隊建造計画“栄光”を
F国の極めて部分的克つ技術的協力の下、実施しているニダ!!
 ウリナラマンセー!
 最新鋭のシステム艦を含む、次世代の外洋艦隊となったSK国大機動部隊ならば、
チョパーリの美式艦隊なぞ、鎧袖一触する事が可能ニダ!!
 戦艦や空母は、元々はF国が建造した艦ではあるが、ウリの世界一の造船技術によって
改造され、世界一の能力を有する艦へと生まれ変わったと確信するニダ!!!
 ウリナラマンセー!!!!
 愚かなるチョパーリは、自称世界一の戦艦なんぞと云うものを保有し居るが、所詮は
虚仮威しニダ!!!!!
 敢えて言おう、カスで在ると!!!!!!

(………ちょっとセルフコントロールニダ:汗)

 兎角、新羅の好漢達ならば必ずやこの劣悪な条件を突破し、ケンチョナヨ精神の下、
SK国の新たなる歴史の1ページに、橋頭堡を気付くことが可能であると、確信している
ニダ!
 君は、その栄えある哀号旅団の団員として、粉骨砕身、ウリナラの為に努力するニダ!!

 所で、哀号旅団の真の目的は、今の所秘密ニダ。
 バレた場合………判っているニダね?(邪笑)

 期待しているニダよ、SK国新品“中尉”
 ニダ!
 それも又“感謝の気持ちに”対するウリからの気持ちニダ。
 鋭意励むニダ!!
277SK国軍新品中尉@哀号旅団:01/09/05 13:46 ID:ectEbSLI
SK国@金ニ大萌 閣下感謝いたしますニダ。早速階級章を付け変えたニダ。
わけのわからない連中が多いのと旧式装備は悲しいニダが兵員の錬度と士気
は素晴らしいニダ。正直小隊勤務が楽しいニダ。

 ところで哀号旅団長閣下に抗議するニダ。SK国軍に「中佐」なる階級は
存在しないニダ。中領ニダ。(佐官が領官であることと准将があることをもぞけば
ほぼ日本とおなじはずです。)む、装備同様日帝殖民化もくろむ陰謀ニダか?
日帝に謝罪と(以下略)
278みなぎ:01/09/05 20:57 ID:0YtjJIhw
>275
「うーん・・・・・・・ここにいるのは旅団の人たちと皇宮警察の人たちで、
外のは首都警察ですから、あんまり関係がないように思うのですけどねえ・・・・」

こうなってくると、動くのはあんまり得策ではなかったようにも思える。
大佐が見つけにくくなってしまったのだから。

「動きにくくなりましたし、変装でもしてみます?いろいろ用意はありますけど。」

あたりを見回す。人の気配はまだない。けどねえ・・・・・・・・

「衛兵さんは気の毒でしたね。ちょっと私も興奮してたようです。柄にもないことは
するもんじゃありませんね。すみませんでした。」

見えない所で「反省」のポーズをする。(古いなあ・・・・・)

「多分あの人は大丈夫ですよ。しばらく身動きは出来ないでしょうけど。「あれ」は
痛いんです。こればっかりはオスにしか分からない・・・・・・(爆)」
279ラジヲの時間:01/09/05 21:15 ID:xVk3wnKc
ラジオからラジオドラマの終わりを示すしんみりとした曲が流れる。

時報がなる。

 ぷっ ぷっ ぷっ ぷっーーー。

軽やかな音楽が流れる。
『こんばんはーーーー!』
ラジオから三人の女性の声が聞こえる。

「葛YANのどこまで行くのにゃあああ!」
「ちがうわぁ!」

ズパーーーンと何かの音がする。

「そうですよぉ、そこで間違えちゃだめですっ」
「そうそう。百合ちゃんも言って、でないとコイツ懲りないから」
「はいですっ。この番組には〜ちゃぁんと、世界グルメ発見って名前が、あるんですぅ☆彡」
「ちがうわぁあ!」

ズパーーーー−ン

「い、いたいです…」
「いたくしとんじゃから当たり前じゃい!」
「(きぃぬけた声で)ろっくやぁん。ディレクターがてぇふってるでぇ」
「は!い、いけない。み、皆さん今晩わ。『ラジオ人生相談』の時間です。パーソナリティーは私、六条と…」
「みずさわでぇ〜す☆彡」
「西郷たけもりじゃぁ!」

ズドン!

「偽名使うなぁ!おまけに間違えとるわ、ぼけぇ!!!」
「そぉですよぉ。ちゃんと東郷たけもりっていわないと、失礼ですぅ!」

ズガーーン!

「はぁ…はぁ…はぁ………みょ、名字じゃない…おまけに……わけわからん…名前になってるし…た、ただでさえラジオは…描写キツイのに……擬音だらけにする気か……おまえら」
「いやぁ、それほどでも(笑)」
「ほめとらんわ!………いや…お、落ちつけ私…今日も一枚しか紹介しない気か?……違うだろ…学習するんだ………よし…じゃぁ、早速相談はがきに行きましょう」

『おぉ〜』
後ろで二人の声と 拍手の音がする。
280ラジヲの時間:01/09/05 21:17 ID:xVk3wnKc
「さて、一枚目の相談は…

ペンネーム  おもちゃの軍隊のお父さん

拝啓
  いつも楽しく聞かせていただいております。今回、相談に乗ってい
  ただきたいのはムスメの事についてなのです。最近、仕事のことも
  ありなかなかムスメにあうことが出来ず、又、ムスメの方も何かと急
  がしらしく顔を合わせることがありません。元々、無口な子なのです
  が最近は口も聞いてくれなくなりました。実はこの前、偶然、街角
  で顔を合わせたときに、ムスメのボーイフレンドが近くにいまして、私
  はつい、ムスメとその彼に向かって酷い皮肉を言ってしまいました。
  それ以来、話しかけても以前のようには返答が無く、正直困って
  います。一度、ムスメのアルバイトしているBARに会いに行ったの
  ですが結局謝ることは出来ませんでした。私としては、何とかムスメ
  に謝りたいのですがいい方法はないでしょうか?
  よろしくお願いします。                             』」


「はっ、はっ、はっ、このクズヤンにはすでに答えが分かったにゃぁ!!」
「(つめたぁい声で)ほほぉ。で、どんなこたえなのかな、いってみぃ?」
「(作った低い声でハードボイルドに)全部遅すぎたのさ。あきらめな、べいべー」

どーーーーーーーーーん

「あきらめさすな!それじゃ相談なってないだろうが!」
「ははーーーーーい。アイディアがありまぁす☆彡」
「よっしゃ!」
「(まじめな声で)整形して、変声器とぉして話しかけるんですぅ☆彡気付かれなかれば、嫌われません!」

ゴンっ

「あ、あのね…百合ちゃん?…それじゃ、そもそも謝れないでしょ?」
「あぅ?!……え、えへへへへへ……失敗しちゃいました」
「ここは一発ヒットマンでムスメッコをそげきにゃぁ!」

べちっ

「ころすなぁ!」
「そぉですよぉ。やるんだったらちゃんと生命保険かけなきゃだめですっ」
「それも、ちがーーーーーーぅ!」

エンディングテーマ『夢であえたら』が流れ始める。

「あぁ、もうじかん?!」
「まったらいしゅーーーーっ☆彡」
「だにゃ!」

「……勝手にしめるし」
281第四護衛隊群@南支那海:01/09/06 02:10 ID:Pm8YTmtE
「群司令! 左舷に練習艦隊を視認しました」
「うむ……無事合流できたようだな。当たり前と言えば当たり前だが。
 しかし、台南沖でロメオ級の追尾を受けたときはさすがにひやりとしたぞ。
 海峡のこの緊張下でどちらかを刺激するような真似をするわけにはいかんが、さすがに攻撃を受ければ反撃せざるをえんからな。
 追尾だけで済んで本当に良かった」
「第64護衛隊はやる気満万でしたが……」
「柄這中佐か……あの馬鹿女め。
 まるで狂犬のように立ちまわってくれる。そんなに戦争がしたいのか……」
「ぷ〜ちん大統領の暗殺騒ぎのときも、彼女の名前が出ていたと記憶しております。
 中央調査隊が周辺を調査したものの、陰謀の主体となったとされる陸自側の中央調査隊の邪魔が入ったとか」
「あの女なら、さもありなん。
 いつなにをやらかすかしれたものじゃないな。『ちょうかい』の動きには常に気を配っていろ」
「問題はこれからです。台湾海峡を通らねばならないのですから」
「連中にとっては絶好の遊び場、と言うわけか。
 絶対にへまはやれんな。連中の暴走で、我々まで責任を問われるのはかなわない」
「同感です。帰航後更迭で済むならまだしも、最悪の場合台湾海峡に自ら漁礁とならないとも限りませんから」
「ふぅ。練習艦隊のお守と言い、二重三重にお荷物を抱えさせられているな、我々は……」
「群司令! 『かしま』より練習艦隊の神司令がヘリでいらっしゃいます」
「……そうだった。この上、練習艦隊の司令はあの男か。
 とことん気が滅入るな……」
「司令」
「ああ、わかっている。着艦次第、艦橋にお通ししろ。
 どうせ狭い船の上、逃げ場所なぞどこにもないのだからな。嫌な相手との対面は、できる限り手早く事務的に、綺麗に終わらせたいものだ……」
282SK国軍新品中尉@哀号旅団 :01/09/06 15:11 ID:EOtBB2oE
哀号旅団 の現状
 台湾海峡の緊張、西朝をめぐる騒動などで激しくゆらぐ日本帝国とは
うってかわって哀号旅団はマターリした日々が続いていた。とはいえ
組織編成がおこなわれつつある状況に伴う仕事の増大で士官達は激務
に追われていた。

 新品中尉の例外ではなく士官学校で並みの成績しかとれず小隊長勤務が
見合ったものであるのにもかかわらず人員不足のため(曹長が小隊長勤務
しているケースまであった。)中隊長勤務をせざるをえなくなっていた。
せざるおえなくなれぬ仕事に四苦八苦していた。だが軍務になれがでてきて
周りが見えてくようになりあらためて哀号旅団の現状の酷さに驚くこととなった。
無論これが一時的で金大統領が再編を約束してくれているのは承知しているが。
控えめにみても哀号旅団はSK戦争で時がとまっていた。編成は旅団司令部以下
歩兵4個大隊(うちわけは4中隊プラス M1 81ミリ主力の迫中隊 APCはM3半軌装
装甲車第1大隊のみ他はトラック。しかも各大隊は1中隊欠。第4大隊は基幹人
員のみ。小銃はM1と99式改(無論30年式銃剣付き 笑)分隊支援火器は
BAR,対戦車装備は106ミリ無反動砲に57ミリ対戦車砲。)旅団砲兵大隊はM2
105ミり榴弾砲が主力、それでも足りずパックハウザー75ミリまでもちだす始末。
旅団戦車隊は1中隊のみしかもM4(ただしIシャーマン並みの改造はほどこして
いる)中隊本部用にはM48が回ってきてはいるがあまり救いになっていない。
偵察中隊は建軍期の主力装甲車M8 防空部隊は少数のスティンガーとM16
ミートチョッパー。へり部隊はさすがにUH1、AH1などまともだった。その他に戦闘
工兵部隊、兵站関係、通信部隊がくっついている。
 しかしどう贔屓目に見ても倭奴に勝てるとは思えなっかった。

でんぱ 設定に関わることは掲示版の方へ1度とありましたが入れなかったので
ここに直接かきました。念を押しておきますが上に書いたように一時的なもので
す。話にとって都合が悪ければ金大統領命令で改編してしまえばよいのです。
哀号旅団は登場からしてお笑い担当のように見えたので滅茶苦茶な編成にして見
ました。
283宮城内:01/09/06 23:07
宮城内の森の中にはまだ第五旅団による追跡の手は伸びてきてはいない。そこは、
これまでと同じ。そして、恐らくはこれからも同じであろう静寂がある。
下生えを踏む足音。色こそ同じだが修道着には似合わない分厚いゴム底の編上靴。

一見すると、只のシスターでしかない。

しかし、照門と照星の向こうを見据える眼の冷たさは、神の慈愛を説く者には見
えない。

元西朝情報部大佐モエナ・スヴェトラーナ。まんまと宮城へと侵入に成功した彼
女は、最初の目的は既に完遂し、次なる行動へと移ったところだった。

萌浜ともえの身柄の確保。

ここにおいて。大佐の事前計画と違う事が一つあった。
萌浜ともえは現在行方不明であり、その居場所は大佐も知らないという事が。

微かな物音を感じて、大佐はその方向に視線と銃口を向ける。

そこには、不自然極まりないダンボール箱が放置され、その上に座した猫がじっ
と大佐を見つめている。
284みなぎ:01/09/06 23:17
>283
ふと、気配に気づく。
意外にそばにいたその人は黒衣の修道女姿をしていた。
しかし、その眼光と立ち振る舞いはとても聖職者のそれではなく、
冷徹なる軍人のそれであった。

「ようこそ、宮城へ。ここは初めてでしたよね大佐。」
落着いた、というかほっとしたかのように語り掛ける。

「慣れないことをしたおかげでこのありさまです。ご迷惑をおかけしました。」
彼の下のダンボールはがさごそと音を立てている。どうやら暑くて仕方ないらしい・・・・

「どうぞ、よろしく。」
285萌浜ともえ:01/09/06 23:26
>283
「あ、モエナ大佐だ!」

ぴょっこり段ボールから顔を出す萌浜ともえ。
しかも、この緊迫した空気が読めないのか、嬉しそうにぶんぶんと手を振っている。

「ごめんね、捜すのに手間取った?」
(消音拳銃の銃口を猫。みなぎの方に向けたままダンボールに歩み寄る)
多少探しはしましたが、修正誤差の範囲内です。
色々と、こういう場面で言うべき事はあるのでしょうが、今は事態が事態です
ので、黙ってついてきて頂けますか?

(銃を向けたまま、片手で携帯電話を取り出してどこかへと電話をかける)
もしもし?・・・・・・今日どんな下着履いてるの?
287萌浜ともえ:01/09/06 23:39
>286
「うん、そうだね。それで、ちゅーやんとじょーくんはどうなったの?」

ごそごそと段ボールの中からはい出してくるともえ。
そのまま、えいやっと背伸びをして、二度三度と体をひねる。

「みなぎくん、今日はありがとね、楽しかったよ(笑) じゃ、ボクはここを出て行くから、またどっかで会おうね(笑)」

そういって、ともえはみなぎ猫の右手を取った。
288みなぎ:01/09/06 23:42
>286
「では、殿下の身柄、お引き渡しします。じゃ、出ましょうか。
どうやって出るか、それはお任せしましょう。ね?」

ほっとしたように箱を飛び降りると、ひゅっ。と一声。
一匹の猫が現れる。
「じゃ、代わりをお願いできる?あまねさん。」
あまねと呼ばれた猫はこくりとうなずくと、箱の上に飛び乗った。

「じゃあ、行きましょうか。」
289カミンスキー部隊:01/09/06 23:43
悪臭に耐えつつも待機を続けるカミンスキー大尉以下十名。
いい加減に待ちくたびれた頃。大尉の迷彩服のポケットから、底抜けに明るい
電子音が流れ出す。
大尉は電話を耳に宛てて、真剣な表情で耳を傾けている。

”今日どんな下着履いてるの?”

微かだが、そんな言葉が他の隊員の耳に届く。すわ悪戯電話か?と隊員が溜息
をついたその時。おごそかとも言える声で大尉が答える。

「紫色のスキャンティ」

何事も無かったかの様に電話をしまう大尉。まじまじと、なにかまずい物でも
見るかの様な部下の視線に気がつく。
全員の疑問を代表して、曹長が恐る恐る問いただす。

「大尉。そ、それは本当で?」

「馬鹿野郎。ありゃゴーサインの符丁だ符丁!!」

「し、信じて良いんですね!?」
290みなぎ:01/09/06 23:52
>287
「はい。あんまりお役に立てなくてすみませんでした(笑)」
にこやかに笑う。が、猫なので表情がイマイチ分かり難い。

「じゃあ、脱出までお見送りさせて頂きますね。BARをここに作りますから
遊びに来て下さいな。」
と、名刺を渡した。
291萌浜ともえ:01/09/07 00:05
>290
「うん、それじゃまたね」

もう一度握手をすると、その場を立ち去るモエナ大佐についていくともえ。
振り返りつつ、何度も手を振っている。

「それで、モエナ大佐、どうやってここから出ていくの?」
迎えが来る予定になっています。どんな厳重にしようと、完全な閉鎖系でも構築
しない限りは必ず脱出の通路はあるのです。
それに、今回は。親切なテロリストが笑いながら色々と吹き込んでくれましたか
ら仕事が楽でし・・・・・・失礼。

(携帯電話を取り出すして、一言二言呟くとすぐにそれを仕舞う。続いて、テレ
ビのリモコン状の機会を取り出すとなにやら操作をする。どこかで小さな爆発音
が響く)

それでは行きましょうか。迎えと合流しないといけません。

(と言って、ともえより遥かに速い足取りで歩いて行く)
293萌浜ともえ:01/09/07 00:17
>292
「そっか、モエナ大佐がそういうんなら大丈夫だよね(笑)」

大股であるいていくモエナ大佐の後ろを、小走りについていくともえ。

「でも、親切なテロリストって、なんか変な感じだよね(笑)」
294カミンスキー部隊:01/09/07 00:22
宮城内の一角。人気のない上に、見通しもあまり良くない場所にあるマンホール。
幾つか明けられた水抜きの穴から、金属質の棒が生える。それは、何回か回転す
ると直ぐに引っ込んだ。

「大尉殿。上の視界は良好です」
「よっしゃ、いくべか!」

素早く、静かに重いマンホールが持ち上げられ、脇へと押しのけられる。
旧式のドットパターン迷彩服に黒い覆面で統一した十名の兵士が、次から次へと
飛び出す。その動きは素早く、油断がない。
携帯電話を構えたカミンスキー大尉が小声で話す。
「第三建築ですが。おたくの木戸は腐ってませんか?」
しばらく間を置いて、モエナ大佐の声が届く。
”ええ。家が崩れそうですわ”

その瞬間。モエナ大佐の”最初の目的”。宮城の外から内部へと電力を送る引き
込み線が爆破、切断され外部からの電力供給が遮断された。

カミンスキー大尉のハンドサインにしたがって、十名の兵士がまるで一つの群の
ように素早く第五旅団の警備兵を避けながら宮城内を合流点へと進んでいく。
295カミンスキー部隊:01/09/07 00:39
「いるのですよ世の中には。奇怪で、厄介な始末に困るテロリストが」
萌浜ともえを引き連れた大佐は森から出て、第五旅団の警備兵が徘徊している筈
の兵舎などが集中する地区へと向かう。萌浜ともえ脱走を報を受けた警備兵達は、
よもやこの地区には来るまいと思っているのか、人の姿は殆ど無い。

「大佐!」

車両倉庫の脇まで来たところで、小声で呼びかけられる。

「ご苦労様です大尉。道中護衛よろしくお願いします」

了解。と呟いた黒覆面のカミンスキー大尉が、ともえに向かって眼だけ笑わせる。

「ようお嬢様。元気だったかい?おい、お嬢様はお疲れなんだ。誰か担いで差し
上げろ」

大尉の指示で、一際巨漢の兵士がともえをむんずとお姫様だっこする。
296萌浜ともえ:01/09/07 00:44
>295
「うわっ、わわっ!!」

突然のことに慌てふためくともえ。
さすがにこういう事になるとは思ってもみなかった様である。

「大丈夫だよ、自分で歩けるよっ!!」

顔を真っ赤にして両手両足をじたばたさせて抵抗するが、さすがに体格の差はいかんともし難い。

「ううっ、恥ずかしいよう・・・」
297カミンスキー部隊:01/09/07 00:53
「まーいずれ、そっちの方が良かったってわかるさ」
ウシシシシ。という笑い声を残したカミンスキー大尉が先導して部隊が動き出す。
建物の間を縫う様にして、駆け出し、時に壁に張りつくようにして移動する。
その間中。ともえは巨漢のグルジア人軍曹にお姫様だっこされて恥かしそうにう
つむいていた。
モエナ大佐は、そんな事にはわき目もふらず。
カミンスキー大尉は、時々振り返ってはその様子にウシシシと笑いを漏らす。

そして、奇跡的にも警備兵と遭遇する事なくたどり着いたそこは、来た場所とは
また違うマンホールであった。

曹長がバールで蓋を開けている間。だっこされたともえにカミンスキー大尉はニ
ヤリと笑いながら質問する。

「ところでお嬢様。鼻は効く方で?」
298萌浜ともえ:01/09/07 00:57
>297
「鼻? うん、やっぱり料理するのに鼻がきかないと味がわかんなくなるもん」

それが何を意味する質問か、全く理解しないまま答えるともえ。
彼女は、これから自分がどういう目にあうのか、全く判っていない。
299みなぎ:01/09/07 01:01
>298
「では私はここで。ごきげんよう、殿下。またお会いしましょう。」

手を振るみなぎ。さすがにマンホールの下は付き合いたくないぞ・・・・・と。

「さあて、一通り済んだから・・・・・次はどうしましょうかねえ・・・・」
300カミンスキー部隊:01/09/07 01:06
こじ開けられたマンホールに、次々と兵士達が潜っていく。モエナ大佐も涼しい
顔で黒々としたその中へと身を投じた。

そして、ともえの番が来た。

それは、ざぶん。とかばしゃ。という音ではない。
あえていうなら。ずぼ。

ウシシシと笑うカミンスキー大尉が「グ〜ッドスメ〜ル」とのたまう。
黒いハンカチを顔に当てたモエナ大佐が、どこかの誰かに凄まじい呪詛の言葉を
吐いている。その顔は珍しい事に僅かに青ざめていた。

脱出行の本番。宮城地下の下水道が、ライトの光りの届くはるか先まで。まるで
永遠に続くかのように存在していた。
301萌浜ともえ:01/09/07 01:17
「○●(*△※↓♪‡≪∂∇◆!!!」

匂いがどろりとした瘴気となって肌にぬめりとまとわりつく。
まさに、他に言いようのないその刺激に、目を回して思わず倒れかけるともえ。
だが、このまま倒れ込んでしまえば、頭から瘴気をかぶることになる。

「ふにゃあああ、ひ、ひどいよ、せめてさきに教えてよぉ……」

ふにゃふにゃになりながら、口をとがらせて文句を言うともえ。
だが、口を開けた瞬間、瘴気がのどに入り込み思いっきりむせてしまう。

「ううっ、最低だよ……」
302侍従的非日常:01/09/07 01:19
侍従A「ん? 停電かぁ?」
侍従B「そうみたいだなぁ。予備電源に切り替わるまでしばらく……あれ? 床が柔らかい?」
侍従C「いでででででっ、踏んでるっ、踏んでる!」
侍従B「あ、すまん。なんでそんなとこで寝てるんだ、お前」
侍従C「今が深夜でっ! ここが宿直の仮眠室だからだっ!!」
侍従B「ああ、そう言われてみればそうかもしれないな」
侍従A「……相変わらずだな、お前ら……ん? なんだ? えらく外が騒がしいな」
(どたどたどた)
近衛兵「おい、貴様ら! 不審な人影を見なかったか?」
三馬鹿『ああ、それなら今目の前に……ってわぁ、銃を向けるなっ!!?』
近衛兵「冗談を行ってる場合じゃないことは理解してもらいたい。見たか、見なかったか」
三馬鹿『見てない、見てない!』
近衛兵「ふむ。一応この区画も捜索させてもらうぞ。おい!」
侍従C「どっちにしても家捜しするなら最初から聞くな、官憲横暴〜……冗談っス、だから血走った目で俺に銃を向けるなお願いだからっ!」
侍従A「……なんだかなぁ」
侍従B「やれやれ、今日は仮眠もとれそうにないねぇ」
303カミンスキー部隊:01/09/07 01:42
「そうさ。俺達は最低な野郎共。ボトムズとでも呼んでくれ。なにせ
俺ぁ不器用な男なんでな」
日本に着てから、なにか色々な物にはまったらしいカミンスキー大尉
がのたまう。格好つけてはいるが、鼻にティッシュを詰めたその姿は
なんとも形容しがたい。

汚水をかき分けながら一行は進む。
どれだけ進んだだろうか?壁面は古い煉瓦からコンクリートへと変わ
る。
「曹長。行け」
カミンスキー大尉がウシシシと笑う時とは別人の様な張り詰めた声で
指示を出す。汚水をかき分け、大柄な体型からは予想もつかない素早
さで梯子を上った曹長が「異常なし」と報告する。

カミンスキー大尉はウシシシと息も絶え絶えなともえに笑いかける。
「お嬢様。到着しましたよ。よろしければ、下から支えてさしあげま
しょうか?」
304萌浜ともえ:01/09/07 01:50
>303
「……ううっ、大丈夫だよぅ、自分で登れるよう」

瘴気でへろへろになりながら、やっとこさマンホールから身体を引きずり出すともえ。
なにしろ、ぬるぬるの下水道を進み、手すりを登っていったのだ。

「あうう、空気がおいしいよぅ、ううっ、やった、助かったよ……」

そのままごろごろとアスファルトの上を転がる。
そして、むっくり起き上がり、続いて出てくるモエナ大佐やカミンスキー大尉に向かい直った。

「それで、次はどうするの?」
「次ですか?とりあえずそこのトラックの荷台へどうぞ」
まだ青ざめた顔をしたモエナ大佐が、すぐ近くに停車している二台の
冷凍トラックを指差す。既に、元西朝情報部員がエンジンをかけてい
る。
「では大佐殿。港で」
カミンスキー大尉は、部下達を狭苦しい荷台に押し込める。とても、
軽トラック改造の荷台に十人の兵士達が収まっているとは信じがたい。

「殿下はこちらの方に。この車で検問をすり抜けて港まで向かいます。
中に着替えも用意してありますので」

ともえを押し込める様にして荷台へ突っ込み。続いて大佐がその狭苦
しい空間にもぐり込んでハッチを閉鎖する。

そこには、二人分の着替えと水の入ったポリタンク。それに、漁協の
ネーム入りのタオルが何枚か置かれている。
306萌浜ともえ:01/09/07 02:10
>305
「うん、ありがとう」

そのままコンテナの中でぱっぱと服を脱ぎ、タオルでごしごしと身体を拭き始める。
が、さすがにそれくらいではあの下水の瘴気の匂いがとれるはずもない。

「ううぅ、早くお風呂に入りたいな。ねえ、モエナ大佐、匂い取れるかなあ。とらなかったら嫌だな……」

いいかげんタオルでごしごし拭いていても匂いが取れないことにあきらめたのか、しぶしぶとモエナ大佐が用意した服に着替える。

「それで、あとはちゅーやんやじょーくんと合流して、船で東京を離れるんだよね?」
左様です。恐らく、我々の目的を軍も警察も既に気がついているでしょ
う。そうなりますと、我々の拠点があった瀬戸内や九州に向かう可能性
くらい、当然考えているでしょう。
そうなりますと、海上に警戒線を張る事は当然考えられます。悪い事に
この国の海軍と国境警備隊の戦力は侮れません。
ですので、一度北へと向かい、そこで中隊長達を救出した班と合流しま
す。よろしいですか?

さて、もうすぐ港ですね。お風呂に入るのはしばらく後にはなりますが
それに関しては、我慢して下さい。
308市ヶ谷駐屯地:01/09/07 02:33
「同時多発テロだと?」
「はい、都内各所で爆発が。同時多発テロかと思われます。
 現在の所、警察の対応は後手後手に回っております。関連は不明ですが、宮城でもなにか騒ぎがあったようです」
「ふむ……」
「閣下、これは好機であります!
 今こそ御命令下さい、もののふよ起て、と。
 治安出動の御命令あらば、ただちに二個連隊2600名のもののふたちは維新断行のため立ち上がることでありましょう」
「……無茶を言うな、辻。
 大陸、海峡には今だ烽火上がらず、決起のため極秘裏に行なっておる人員の再配置や物資の移動は完了しておらん。
 準備が整わぬうちに決起に出ても、失敗を招くだけであろう」
「失礼でありますが閣下、そのようなことは、些事に過ぎぬことであると愚考いたします!
 兵が尊ぶのは神速にて、巧遅ではありまっせん!
 物的な準備が足りぬのであれば、その分は不撓不屈の精神で埋め合わせることは可能であります。我が兵であれば、それは不可能ではありますまい!」
「小官も、辻と同意見であります。
 かかる不逞のやからの跳梁跋扈を首都警が阻止できず、治安破壊者に対する警察の無力を露呈した以上は国民は一日も早い皇軍による治安掌握を望んでのるに相違ありません。まさしくこれこそ天の配材であります。
 予定を繰り上げ、今すぐ自主的な治安出動に出るべきかと」
「服部防衛部長、君もか……
 何度も言うが、計画のこれ以上の変更は認められん。
 すでに大川や橋本の大衆動員計画も実行に移り、海外の要員もそれぞれの任務、期日に従って行動している。
 そして実行部隊の出動準備も済んではいないのだ。この上計画を変更すれば、いったいどんな混乱が起こるか」
「はっ、ですが……」
「くどい。ともかく、今更計画に変更は認められん。
 今はただひたすらに準備を進めるのだ。それには帝都と警察の混乱は実に都合が良い。
 あの自己の組織の権限の拡充に余念のない小男は、ハイエナのように四方に目を光らせているからな。
 芝村の一族が帝都を留守にしておるのと同様、奴も忙しければ我々にちょっかいをかける暇もなかろうさ。
 ……わかったな、辻、服部」
「はっ……」
309萌浜ともえ:01/09/07 02:34
>307
「うん、それじゃもうしばらくこのままだよね。じゃあボクは寝てもいいかな? なんか疲れちゃった……」

さすがに、一日でこれだけの冒険をこなせば疲れもするというものだろう。
モエナ大佐の返事も待たず、ともえは、荷台の片隅に寄りかかるとすぐにすうすうと寝息をたてて眠り込んでしまった。
怪しい蒸気が立ち込める漁港の一角を、ヘッドライトを輝かせ
ながら二台の冷凍トラックが徐行していく。

トラックの向かう先には、恐ろしく古ぼけた小型の貨物船が停
泊している。排水量200tほどの錆だらけの船体には孤北丸
という船名が描かれている。

「降車ぁ!」
一台の冷凍荷台の扉が開き、全員がいかにも怪しいスーツ姿に
着替えたカミンスキー部隊がわらわらと這い出してくる。

もう一台のトラックからは、これまた黒いスーツ姿に着替えた
モエナ大佐が降りるが、ともえが降りてくる気配はない。

「あら?大佐。お嬢様は?」

「寝ています。もう少し放置しておいても良いでしょう。それ
より大尉。先に、向こうと話をつけましょうか」

接岸する老朽船に向けて歩いていくモエナ大佐。小さな声で後
に続くカミンスキーに囁く。

「大尉。武器は?」

「全員スチェッキンですが」

「わかりました。いざという時の準備をよろしくお願いします。
さて、こんにちわ!麻取海運の萌名光と申しますが。船長の方
はいらっしゃいますか?」

冷徹な表情から一点した営業スマイルを浮かべたモエナ大佐が
ほぼ完璧な日本語で老朽船へと呼びかけると、船から二人の男
が降りてくる。
大柄な船長らしい中年男と、一見船乗りにはとても見えない理
知的な顔をした男である。
311萌浜ともえ:01/09/08 00:09
>310
「……ふにゃ?」

ごしごしと半分寝ぼけた様子で目をこすって起き出してくる萌浜ともえ。
いつのまにかトラックが停まり、モエナ大佐がいなくなっているのに気がつく。

「……あれ? みんなどこに行っちゃったんだろ?」

あふ、と小さくあくびを一つ洩らすと、ごそごそと荷台の奥から四つんばいになって出てきてトラックの冷凍庫の開いた扉から顔を出す。

そこは、古ぼけた倉庫や工場から漏れ出てくる蒸気で白く空気が濁り、汚れきった船ばかりが桟橋につながれている、漁港育ちのともえの知らない港の光景であった。

「うわぁ…… 本当にこんな港ってあったんだぁ。映画の中だけだって思ってたよ……」
「船長の包木一膳だ」大柄の中年男が名乗る。
「斯波源二郎です」船乗りに見えない男が名乗る。探るような
視線でモエナを見据えているが、当の本人は明るい営業スマイ
ルを崩さない。
「それで、依頼の方ですが」
モエナ大佐が用件を切り出すが、斯波と名乗った男が遮る。
「その前に一つ。人を運んで欲しいとの事ですが。それは、何
か犯罪に関わる事ではないのですね?」

「はい。私どもが懇意にさせて頂いている下関漁協の方から、
孤北丸の事を紹介されまして。船こそおんぼろだが、非常に信
頼の出来る船と。犯罪に関係無い事は保証しますよ」

「キャプテン?」
難しい顔をした斯波が問い掛ける。こちらも難しい顔で押し黙
っていた船長が口を開く。

「で、誰を運んで欲しいんだ?」
313萌浜ともえ:01/09/08 00:39
>312
「あれ、みんなここにいたんだ」

モエナ大佐の用意した黒いジーンズとTシャツを無造作に着たともえが、三人の前にひょっこりと蒸気の中から現れる。
きょろきょろともの珍しそうにあたりに視線を向け、興味深そうに三人を見上げた。

「ふーん、この船で東北にいくんだ。……あ、初めまして、短い間ですけど、よろしくお願いします」

憮然として見ている包木一膳と斯波源二郎に向かってぴょっこり頭を下げる。
そのまま、ぴょこと下げた頭を戻すと、緊迫した空気に気づいているのか気づいていないのか、楽しそうに付け加える。

「ボク、東京より北に行ったことってないんです。やっぱり、東北って流氷とか流れてくるんですか?」
「あんた。もしかして、運んで欲しいってのはこの娘の事か?」
「そうですが」
厳しい顔で船長がモエナ大佐を見据える。
「訳ありだろう?」
「はい。訳がないわけではありませんが、けしてあなたがたに
迷惑がかかるような事はありません」

船長が腕を組んで唸る。そして、しばらくともえの顔をみつめ
る。

「ま、いいだろう。お嬢ちゃん。なんだか訳ありみたいだが。
悪い人間には見えないしな。だがな萌名さんか?信頼するのは
あんたじゃなくてこのお嬢ちゃんだぜ。さぁ、さっさと乗って
くれ」
315萌浜ともえ:01/09/08 00:56
>314
「あ、はい。あれ、みんなは?」

一人だけ孤北丸に乗せられようとしている事に気がつき、ともえは不思議そうにモエナ大佐を見上げた。

「…もしかして、乗るのボクだけ?」
ええ、そうです(微笑)
私たちは色々とこちらの方に残してきた仕事がありますので殿
下一人で行っていただきます。東北で、中隊長達とも合流でき
るでしょう。
幾つか注意するとしたら。そうですね。夜寝る時は扉に鍵をか
けておいて下さい。

・・・・・・そうですね。お守りをあげましょう。
(首に巻いたチョーカーを外して、ともえに手渡す)

それでは殿下。ごきげんよう。
317萌浜ともえ:01/09/08 01:16
>316
「え? そうなんだ…… うん、判った。じゃあ、これはボクからの御守護」

ともえは、首の後ろに手をまわすと、Tシャツの下から不思議な色に輝く勾玉を取り出した。
そして、モエナ大佐から手渡されたチョーカーと引き換えに、ともえの手から勾玉が手渡される。

「これって、けっこう霊験あらたかなんだって。だから、きっと役に立つと思うよ」

そして、包木一膳に促されて孤北丸に乗り込んでからも、ともえは、見送るモエナ大佐とその一行にぶんぶんと手を振り続けていた。
318統幕会議:01/09/08 05:32
「衛星写真です。基隆、高雄など台湾の各軍港から、戦闘艦艇がごっそりいなくなっています」
「舟山の中国艦隊も同じく。大は空母から小はミサイル艇まで、艦艇の大半がごっそり消え去っています。
 これは土肥原機関からの未確認情報ですが、艦隊主力の出航後、基地を包囲していた上海派の陸軍部隊が基地に突入。
 短時間の交戦を経て、脱出が遅れていたフリゲイトやミサイル艇数隻を鹵獲した模様です」
「ついにはじまったか。
 他地域ではまだ動きはないのか。台湾の艦隊の動きはなにが目的だ。
 全面的な内戦に発展する気配なのか」
「上海派と目される広州の第41集団軍が、武漢に入城しました。
 現地、湖北省の地方軍とは若干の交戦があった模様ですが、大規模な衝突には発展しておりません。
 北京派の湖北省軍の大半は、河南省に撤退した模様です。この河南省に、北京政権軍は北京軍区部隊を中核とした三個集団軍を集結させつつあります」
「南京軍区でも動きがあります。安徽省は上海派が第42集団軍の一部を入れて抑えましたが、その南の江西省は上海派の部隊の進駐を実力で撃退しました。
 江蘇省は予断を許しません。南京の帰趨は第31集団軍の向背に掛かっていますが、その動きは不鮮明です。
 南北中国は現在華中での多数派工作に奔走している様子ですが、それが一段落すれば確実に全面内戦に突入するでしょう」
「台湾の動きは掴めません。水面下で上海と接触を取っているらしい、ということは伝わって来るのですが……
 どうにも、こう、情報収集に外務省が非協力的で。確たる事が申せません」
「むしろ、こちらが独自に情報収集を進めるのを邪魔立てして来るのだろう。これは我々の職分だ、軍が口を出すな手を出すななどとほざいて。
 まったく、あの連中はいつでも省益しか考えていない。今をどういう状況と考えているのだ」
「台北の大島大使らも、すっかり外務省の呪縛に取りこまれたようで……」
「やむをえんだろう。例えもとの所属がどうあれ、彼らは今、外務省の人間だ。勝手な真似はできん。
 公安や内調はどうだ。連中は何か掴んでいないか?」
「少なくともこちらに伝わって来る限りにおいては、彼らも我々と同じレベルの情報しか掴んでいません。
 米軍からのリークも同じくです。台湾はどうも、アメさんにも真意を伝えていない様子で」
「まるでつんぼ座敷だな。隣国の動きがこうも掴めないとは。情報本部には独力で頑張ってもらうしかないな。
 台湾が内戦に介入し、台湾海峡が戦場とでもなれば我が国の経済にどんな悪影響を与えることか。
 いや、台湾だけではないな。この間の南沙紛争の件もある。下手を打てば、東南アジアも巻きこむぞ」
「その件に関してですが、すでにヴェトナム軍が有事に備えて中越国境に軍を進めたとの情報があります。
 これに対して、北京寄りの立場を取るラオスが軍に動員をかけたとのことです」
「同じく北京寄りのミャンマーや、反北京を主導するマレーシアの動きも不穏です。ASEAN諸国の対応如何によっては、アジア大戦に発展しかねません」
「南シナ海の列強諸国艦隊の存在だけが、唯一の重石というわけか。
 いや、彼らとて内戦発生で予期される、億を超える数の難民を抑制することはできないだろう。状況は今までになく最悪だな」
「とりあえず、武装難民対処の規定を作成しておくことが必要でしょう。
 また、国会やマスコミに叩かれそうではありますが」
「叩かれるのも仕事のうちだ。気にしなければ良い。
 国家、国民のために泥をかぶり、命を張り。それでもこの国で賞賛されることはない。
 この国が徴兵制を布いていない以上、我々自身が望んで選んだ道だ、今更文句は言うまいさ」
319あまね@ダンボール上:01/09/09 16:10 ID:Rd/uzYgs
;;ii'.ノ;;;i;;i'.ノ         _____________________
ノ|;;ii'.ノ  ΛΛ    /
;;;゜ii゜'.ノ   (゚ー゚ )  < にゃ〜ん・・(訳:みなぎさん、また遊んでにゃ-。
:.i;.;ノ     |  ヽ   \______________________
 .       ∪∪ν.──┐
   ┌─────ν ..│
, .  │   σ    │  │
   │    /"    │  │
..w.. ├─────┤  │w,,...v
  .. │          │  │
  .. │          │,..   w..,
 ..v. │          │,.. .. .,...v
,  .v,└w..,...―v ..,...v,..,...v

でむぱ@
はじめまして、ロム専門で楽しませて頂いておりました「あまね」と申します。
ほのぼの板よりみなぎさんに召喚され(笑)たのを機会に、時々お邪魔するかも
しれませんが、よろしくお願いします。
32069式:01/09/09 19:40 ID:nGkGGNug
>319
あははーっ、こんばんわっ、初めまして69式と申しますよ?(笑)
こちらこそ、これからもどうぞよろしくお願いいたしますーっ(笑)
321萌浜ともえ:01/09/10 00:34 ID:.GG0ZLyc
どれくらいの間、船室で萌浜ともえは波にゆられていたのか。
久しぶりの潮の香りに、ともえははしゃぎまわりたいのを必死になってこらえながら、あてがわれた船室のベットの上でころころと転がりまわっていた。

「海、海だよぉ、潮と波だよぅ」

ふにゃ〜んと猫口になって転がっている。

「お嬢さん、そろそろ上陸です」

こんこんとノックのあと、扉の外から斯波源二郎の声がする。
ともえは、その声と同時にベッドから飛び起きると、ドアに向かって直進する。

「ねえねえ、ボクもう外に出ていいの!?」
「構いませんよ、もうすぐ浪江の港です。そこで船旅は終わりです」
322萌浜ともえ:01/09/10 01:10 ID:.GG0ZLyc
「うわっ、海だぁ、海だよっ!!」

甲板に出たともえは、ローリングとピッチングに揺れる「孤北丸」の船首に向かって走ると、目の前に広がる東北の海原の風景に見入っていた。
入港準備の為に甲板で作業していた甲板長が、そんな彼女に声をかける。

「なんだぁ、海が珍しいのかぃ、お嬢ちゃん」
「違うよっ、久しぶりなんだもん、海!」
「ほぅ、なんだ海の産まれかぃ!?」
「うん!、硫黄島!」

両手を一杯に拡げて潮風を浴びるともえは、心底楽しそうに声をあげた。
本当に、心から海を楽しんでいるそんな彼女の様子に、思わず目を細める甲板長。

「漁師かぃ?」
「うん!」
「おぅ! ならまたどこかで会えるなぁ!」
「うん!!」
323統幕会議:01/09/10 01:18 ID:c5TDTjq.
「しかし……呆れたな。帝都で同時多発テロ。この重大事が国軍に連絡されるのが、なぜこうも遅れるんだ。
 しかも、経過報告どころか犯行グループに関する連絡すらない。治安出動もありうる事態だぞ? 国軍がつんぼ座敷に置かれる理由がわからん」
「首都警の日村長官は徹底した機密主義者で権力指向の強い人物ですから。
 この警察の失態も、逆に首都警の権限強化の好機に繋げられると考えてらっしゃるのでは」
「そんなところだろうな。まったく、役人連中はこの期に及んで権限拡大、省益伸張しか考えていないのか。
 ……まあ、それはいい。とにかく今は、我々に許された範囲で対応を進めるだけだな」
「実際に因果関係があるのかは不明ですが、宮城に侵入者があったのは確かなようです。
 近衛第五旅団が対応したようですが……こちらも、はっきりしたことはわかりません」
「そうか、わかった。城の事件に関しては、今はこれ以上考えなくても良い。
 テロと関係があるにしても、政治家レベルの判断がでることだ。
 ただ、情報収集だけは進めておけ。おそらく内務省からの情報提供は、期待できないからな。
 それと……」
「ぎぎっ、議長!! たっ、大変です!」
「大変なのは、この春からこっちずっとだぞ。騒々しいぞ、どうした」
「こ、これを……」
「なんだ、第四護衛隊群からの報告か。
 まさか中共の攻撃を受けたとでも…………っ!?」
「議長? どうされました?」
「……馬鹿な。いったい、連中はなにを考えている?


 ……台湾の潜水艦を、『ちょうかい』が撃沈しただと?」
324萌浜ともえ:01/09/10 01:29 ID:.GG0ZLyc
「ちゅーやん! じょーくん! ひゅーやん!」

「孤北丸」が浪江の港の桟橋に接舷するかしないかした瞬間、ともえは舳先から飛び降り、桟橋の向こう側に停泊している大村漁業組合の漁船に向けて走り出した。
漁船の甲板には、どうやら首都警の追跡を振り切って東京から脱出してきた西朝陸戦隊の残党がところ狭しと並んでいる。

「「孤北丸」の皆さん!! ありがとうございましたーっ!!」

漁船迄の道のりを半場ほども逝ったところで、ともえは振り返ると両手をぶんぶんと振って、あっけに取られている「孤北丸」のクルーにあいさつする。

「おおぅ!! またどこかの海でなぁっ!!」
「うんっ!! またどこかの海でねっ!!」

それにつられて、甲板長も潮焼けしたごりごりと太い腕をぶんぶんと音を立てて振った。
思わず、それにあわせてともえに手を振り返す「孤北丸」のクルー達。

「いい娘さんですね」
「ああ」
325第四護衛隊群:01/09/10 01:35 ID:c5TDTjq.
(時間、若干遡る)
「第六四護衛隊は何を考えてるんだ!?
 すぐに止めさせろ、アクティブ・ピンを打ちまくる奴があるか!
 不明目標を確認しろとは命じたが、挑発行為に出ろとは命じてはおらんぞ!」
「先ほどから何度も警告しておりますが、応答ありません!」
「繰り返しつづけろ! 取り返しのつかんことになるぞ!!
 柄這、あの狂犬め……いったいなにを考えている!」
「隊司令! 目標、魚雷発車管への注水音……あっ、目標魚雷発射しました!」
「いわんこっちゃないっ! 全艦に警告、不明目標、魚雷を発射すれども、此方よりの応戦は禁じ」
「『ちょうかい』アスロック発射!!」
「なにぃっ!!?」

(『ちょうかい』)
「フフフ……予想外のことは起きるもの、ってねぇ。
 ちったぁ刺激のある火遊びのひとつもしなきゃ、せっかく火薬庫に遊びに来たのにおもしろくないじゃないのさねぇ?
 ドンパチ楽しむのが軍人の本分ってもんだろ? ねぇ隊司令閣下……?」
326練習艦隊:01/09/10 02:02 ID:c5TDTjq.
「…………ふむ」
「……神司令……こ、これは……」
「戦、だな」
「……は?」
「馬鹿か、貴様。
 戦になる、といっとるのだ」
「や、やはりそうなりますか」
「ならんわけがなかろう。
 調度我々がこの台湾海峡を通り抜けようとしたところに大陸で内戦が勃発し、支那の主力艦隊が上海政権の勢力範囲を脱しようと近くの水域を北上しておる。
 撃沈した潜水艦は、支那のピケットかそうでなければ支那艦隊の接近を警戒する台湾艦か……」
「ソナー員の報告では、ロメオ級や宋級など、中共の有する潜水艦ではなかったようですが……」
「どちらでもいいことだ。問題は、我が海軍が潜水艦の攻撃を受け、これに反撃を加えて撃沈したと言う事実だ」
「しかし、それに至る過程には我が方の挑発行為が……」
「どうせ敵潜は沈んどる、なんとでも言えるわ。
 これで帝国もアジアの動乱に知らぬ顔ではおれんぞ。どこの馬鹿が考えたのか知らん小手先の陰謀だが、まぁ結果を見れば上出来だ。
 支那の内戦に介入するほかに道はなくなるのだからな」
「神司令! 魚雷接近……四本。全て誘導魚雷のようです!」
「ふむ、なら支那のフネではないな。連中、それほど多くの誘導魚雷は持っておらん。
 台湾のガトー級……ではあるまい。海龍級だろうな。
 しかし。ひよっ子どもには良い訓練になる。実戦こそが最良の訓練だ。
 連中は幸運を得たと思うべきだろうな。帝国の歴史が変わる瞬間に立ち会ったのだ。
 その上、当分支那や台湾の海空軍が演習の相手を務めてくれるのだから」
327貫上等兵:01/09/10 02:35 ID:BRbvcI5w
再びゴソゴソと周りが騒がしくなった。
目的地に着いたのだろうか・・・・・・
すでに私は今まで着ていた拘束着を脱がされ、
さっぱりした服に着替えさせられていた。
日向くんが私の傍らに来て、何も言わずに背負った。
そのまま、彼は私を一隻の船へと運んでくれた。
そのまま、船室の一角に据え付けられているベッドへと私を下ろしてくれた。
「・・・・・・ありがとう・・・・・・」
かすれた声で礼を言うと、彼は何も言わずにサムズアップすると、部屋を出て行った。
そのまま目を閉じた。どこかから、ともえ様の声が聞こえた気がした。
328醍醐旅団長@少女形態:01/09/10 06:00 ID:mTp8MfY6
―――深夜27時、
 醍醐旅団駐屯地の旅団長執務室。

 小さな少女ひとり、ソファを重ねて上げ底状態にした椅子の上で、卓上のPCを駆っている。
 細く小さくなってしまった手では、どうにもキーボードの勝手が違ってしまうのか、
打ちミスに苦労しているらしく、何度も訂正を繰り返している。

「宛 親王教団“お財布係”葛城一子様
 発 南朝皇統政府醍醐旅団旅団長 廣瀬宅雄

 先日は新潟にて誠にお世話になりました。
 萌姫殿下を初めとして、東朝の皆様はお元気にしてらっしゃいますでしょうか?
 我々は相変わらず、夏バテもせずに萌え貫いております。
 さて、いただいたメールの中にありました計画ですが、
 いたく心を惹かれるものを感じました。
 我々としては、これほど惹かれる萌夢はなく、
 また、現皇朝を除く3皇統にとっても欠くべからざる有意義なる計画と心得ます。
 計画の事は話さずに、いくつかの企業や投資家に打診したところ、
皇国における最強にして最大の“産物”であり最高の“商品”になる筈である“萌え”に関するめぼしい投資先というものが存在せず、宝の持ち腐れになってしまっているのは、
現状の日本経済における最大の損失であるという見解は、世界的に一致している模様です。
 その“萌え”の投資先としての計画にも成り得る貴女の計画は、萌えの使徒たるべき我々にとっては、
私たちの身命を賭してでも実行に移すべきであると考えます。
 もう少し計画を詰めたいと考えておりますので、計画の詳細をお送りいただけますでしょうか?

追伸
 その後、萌姫殿下の“夢”についてはいかがでしょうか?
 以前に御覧になられた“こわいくろいかげ”の夢に、
私はなにか恐ろしい予感を感じずにはいられないのです。
329善行忠孝@休暇中:01/09/10 21:21 ID:5yKAPvmA
某月某日 曇 気温34度

もなこ様に皇居にお帰りになっていただくべく、説得に励む。
「もなこのカブトムシより大きなのがとれたら帰ってあげるのです」
と仰られたので、一日かけて吉野山中を彷徨する。
結局、捕まえ損ねる。
330善行忠孝@休暇中:01/09/10 21:24 ID:5yKAPvmA
某月某日 晴 気温36度

暑い。久しくクーラーに浸った生活をしていたために、身体がいうこと
をきかない。
もなこ様は、元気一杯に吉野山中を駆け回っていらっしゃる。
今日は、一緒に山登りすることになった。
帰り、疲れて眠ってしまわれたもなこ様を背負って戻る。
ビールが美味かった。
331善行忠孝@休暇中:01/09/10 21:28 ID:5yKAPvmA
某月某日 晴 気温35度

連日の猛暑に、代えの下着が無くなる。
奈良に買い物に出かけようとしたところ、もなこ様と萌原女史が買い
物に出かけられるというので、荷物持ちとして付き合う。
夕食に懐石料理を御馳走することになった。
何故にそこに廣瀬閣下をはじめとする複数の女性が待ち構えていた
のだろうか? 当然、皆の分も私もちである。
332善行忠孝@休暇中:01/09/10 21:32 ID:5yKAPvmA
某月某日 曇 気温30度

久しぶりに過ごしやすい。
もなこ様が隠れん坊をしようと仰るので、一緒に遊ぶ。
吉野山中を探し回って見つからず、結局憲兵隊重営倉に匿われてい
た事があとで明らかになる。
いかな私であっても、あの青銅の扉をくぐる勇気はない。
完璧な敗北である。
333善行忠孝@休暇中:01/09/10 21:38 ID:5yKAPvmA
某月某日 雨 気温28度

雨のおかげで涼が取れ、過ごしやすい一日であった。
統幕より帰還命令が下る。台湾海峡で4護群の「ちょうかい」がT湾の
潜水艦を誤射撃沈したとの事である。現在、国防軍の各部隊はデフ
コンを3に上げ、動員待機状態にあるらしい。また、先日より芝村次
官より連絡があった桜会の一派がクーデター計画を錬っているらしい
事も明らかになりつつある。皇居より、萌浜ともえが脱走し、首都警が
幹部二人を連行しようとして逆に奪われたという。
日本外人部隊に待機命令を下し、私の帰還を待つよう伝える。
もなこ様は、まだ帰られるおつもりはないようだ。
334善行忠孝@休暇中:01/09/10 21:42 ID:5yKAPvmA
某月某日 晴 気温37度

この夏一番の猛暑と気象庁が発表した。昨日の雨で湿度も高く、一日
へたばる。
もなこ様に皇居帰還の話を切り出そうとするが、勘良く気がつかれる
のか、一度として話しかけることもできないまま終わる。
統幕に帰還はまだ先になることを伝え、斉藤議長に叱責される。
それでも、もなこ様がお帰りになるおつもりになるまで、待つしかない。
335横須賀陸戦団第一特殊偵察隊基地:01/09/10 23:27 ID:uba.HhPo
 一人の女性が、机の上で拳銃の手入れをしている。
 その濃緑色の国防軍作業服の肩には、三頭犬を図案化した部隊章が縫いつけられていた。
 部隊名は、海軍横須賀陸戦団第一特殊偵察隊。
 それは〈ケルベロス〉。
 地獄の番犬の名で知られた三頭犬の紋章と、隊員の身を包む漆黒の強化服(プロテクト・ギア)で
知られた部隊であった。
 否。
 歳を過た者は思い出すだろう。
 嘗てもう一つ、三頭犬の紋章と首都警の名を持った組織が在った事を。

 金属音

 組み上げられたモーゼルが、乾いた作動音を挙げる。
 その澄んだ響きに、女性−〈ケルベロス〉隊第一小隊々長たる鷲尾・翠中尉は満足げに唇の端を歪める。
 その時であった。
 肩に〈ケルベロス〉隊の主力火器であるMG-3を抱えた男が声を掛けてきたのは。

「聞いたか?」
「何を?」
「例の夜の騒動さ。聞いて来たんだが、どうやら首都警が下手をうったって話だ。
 三頭犬の紋章を付けた車がわんさか首都を走り回っているのは、そう云う理由らしい」

 些かがさつな響きと共に、鷲尾の隣に腰を降ろす男−第2小隊を預かる都々目・紅一。

「私は、興味は無いわ………在るの?」

 手元の手入れ道具を片付けながら、気怠げに応える鷲尾。
 尤も、対する都々目とて、口調や表情に覇気と類されるものは含まれていなかったが。

「まさか。“首都警”なんて呼び方に郷愁が在る位ならば、オファーが来たときに移ったぜ、俺ぁよ」

 手慣れた動作で、MG-3の解体を始める都々目。

「三頭犬の紋章、或いはギア(強化服)。そんなモンじゃねぇさ。俺が此処に居る理由はよ……」
「…………そうね」

 実際、旧首都警−それも実働部隊であった特機隊の人員は、殆どが現在の新しい首都警に参加する
事は無かった。
 窓越しに、空を見上げた鷲尾。
 陽光の強さに、眉を柔らかく曲げる。

「今日も暑い日になりそうね………」
「ああ」
336みなぎ:01/09/11 00:05 ID:ey9hDtv2
殿下を見送ると、悠然、宮城を歩いていく。

宮城内はようやく、喧騒に包まれ出していた。
森ではいくつものダンボールと猫のセットが点在し、兵達を混乱させていた。
あまりにも怪しい。でも手出しできない。なかなかのギャグな光景だった。

『あまねさん、もういいよ。用は済んだから。』
『どうだった?おもしろかったでしょう?せっかくだからみんなでやってみたの。』
『最高。』
いたずらっぽく笑うあまね。
親指を立てるみなぎ。
でも猫なのでお互いの仕草は分かり難い。

『じゃ、また行ってくるよ。』
『今度はいつ頃戻ってくるの?』
『うーん・・・・・・宮様次第だと思う・・・・』
『そっか・・・・・・・・』
『ま、気長に待っててってなーちゃんに伝えておいてよ。』
『うん。』

宮城の猫(いきもの)達はある程度の組織を持って形成されている。
その中心にいるのが宮様直属の飼い猫、なーちゃんである。
三毛坊さんやみなぎ、あまねは宮様の遊び相手であると同時に
なーちゃんの近衛に相当する役割も自ら受け持っている。
つまり、いきもの社会(宮城内)の萌えの象徴、なーちゃんを中心とした旅団を形成しているのである。
・・・・・・まあ、そんな格好をしている。というだけのことだけれど。

『いってらっしゃい』
あまねのお見送りを受け、私は宮城を後にした。

さて、宮様はお元気にしていらっしゃるだろうか・・・・・・・
337北C国@不謹慎:01/09/12 02:15 ID:r7REwFsU
周萌来「……? 主席、何書いてるアルか?」
萌豹「!! な、なんでもないアル! 気にする、よろしくないのコト!!」
周萌来「……いいから。見せるアル」
萌豹「ワタシの字汚いから読みにくいのこと、止めるヨロシ、無茶良くないナ!
 だから、あっ、そんなに引っ張ったら破れ……ああっ!?」
周萌来「どれどれ…………げ」

『ざまぁみろ、俺たちゃDFLPだ! 世界貿易セン(以下略)』

周萌来「…………これは?」
萌豹「…………さぁ?」
周萌来「…………もう一度聞くアル。これは?」
萌豹「……さ、さっき届いた犯行声明文アル!!
  我が国の公平な報道機間に目をつけるぷろっ!?」
周萌来「……(無言)」
萌豹「あっ、そのっ、しゅ、主席をっ、無言で、どつく、よくないっ……
  ひぃっ、ワタシが悪かたからっ、許してほぐっ!!?」
周萌来「この大事な時期になにやってやがるスカポンタンっっ!!」
萌豹「うひーーーーっ!!?」
338キネラマ旬報:01/09/12 03:33 ID:4IXZ5E52
スピード3

今度暴走するのはハイジャックされる旅客機!?

昨日、21世紀FOXで新作映画『スピード3』の製作が発表された。
なんと、今度暴走するのは乗客満載の旅客機。
ビル特攻テロを目論むハイジャッカーに乗っ取られた旅客機の中、1以来の出演となるキアヌ・リーブスが活躍する。
今回の見所は、なんと実物大に作られたツインタワービルのセット。このツインタワーの間を潜り抜けるシーンはILMの腕の見せ所だ。
監督であるヤン・デ・ボンは、
「今回のテーマに、不快感を示す人間もいるかも知れないが、あの事故が“救われる結果”があったという事を示すのは、強いA国の活力を取り戻させるためにも絶対に必要だと考える」
と、並々ならぬ意気込みを見せている。
339スクリーソ:01/09/13 00:21 ID:11zFWKpI
スピード3続報

豪華なゲスト出演者と、プロットが公開された。

キアヌ・リーブスとは別の旅客機に乗り合わせた、運の悪い刑事(ブルース・ウィリス)も
活躍する。
また別の旅客機に乗り合わせた拳法使いの刑事(スティーブン・セガール)も活躍する。
それとはまた別の旅客機に乗り合わせていた特殊部隊の兵士(ジャン・クロード・ヴァン・ダム
)も活躍する。
さらに別の旅客機に乗り合わせていたロシアのエージェント(シュワルツネッガー)も活躍する。
当然、別の飛行機に乗っていたベトナム帰還兵のボクサー(スタローン)も活躍する。
その上別の飛行機に乗っていた特殊部隊の拳法使い(チャック・ノリス)も活躍する。
やっぱり別の飛行機に乗っていた秘密組織のエージェント(トム・クルーズ)も活躍する。
ニンジャ(ショウ・コスギ)も別の飛行機に乗っていて活躍する。

しかしそれでも、人数が足りない! 危機が迫る!

間に合うのか……パワーパフガールズ!
続きはぜひ劇場でごらん下さい。
340339:01/09/13 01:19 ID:J9X8HWq6
……茶化していい話じゃないのに。反省します。
現実逃避したかった。いまだに、現実と思いたくない。
どうなっちゃうんだろう?
341キネラマ旬報:01/09/13 17:10 ID:ykrfbSAQ
世の中に茶化して悪い話なんかありません。
すべてはネタのために存在する、というのが慶祝スレ魂。
むしろ、世の中に茶化していいものと悪いものがある、差別するよな発言する人間が、
差別や戦争やテロなどヤバイものを引き起こしていくというものです。
道化は、所詮道化なので人畜無害。
ドンドン世の中の矛盾や愚かさを茶化してネタにしてあげましょう。
だいたい、死者はテロだけでなく今も世界中でいろんなところで事故やら病気などで出ているのですから。
テロの死者だけを配慮するほうが、差別ってもんです。
人間、実感できるのは身の回り向こう三軒両隣だけで、それが自然な感情というものなのです。
342みなぎ:01/09/14 01:33 ID:5Bf3DNM.
その日は昼までは晴れていたというのに午後になるといきなり曇り、
やがて激しい夕立になった。
町に散歩に出ていた私は猫モードのため傘を持っておらず、
たまらず橋の下へ逃げ込んだ。

やれやれ、こいつはしばらく晴れないか・・・・・・・

表を見て溜息を吐いているとふいにがさっという音が聞こえた。
見れば橋のたもと、薄暗い草むらの中にダンボールが置いてある。
・・・・・・見ずとも中身は想像がついた。

箱の中では仔猫が3匹、寒さと飢えに震えていた。生まれてすぐ捨てられたのだろう、
目も開いてはいない。時間が少し経っているせいか、だいぶ衰弱しているようだ。

見慣れてしまった光景である。野良に生きるもののほとんどが実際に体験し、見てきた光景だ。
飼い主の身勝手さだけの為に捨てられ、与えられたばかりの命をすぐ落とす・・・・・
運よく生き残ってもその先は苦難の道のりである。一人で生きる。生まれてすぐの仔猫にそれは辛い・・・・

・・・・・・かと言って見捨てるのはさすがに私の主義に反する。
私は注意深く箱を覗き込んだ。
いるのは白黒ブチのオスと灰色のメス。茶毛のメス。が、白黒と灰色はもうぐったりとして動いていない。
茶毛の仔猫だけがカタカタと小さな体を震わせていた。
『だいじょうぶか?』
仔猫は「にー」と小さく答えるだけだった。いけない。早く何とかしないと・・・・

私はまだ生きている茶毛を抱え上げ外に出すと、箱のふたを閉じてやった。
なにもしてやれないが、せめて死体を好奇の目やカラスにさらされぬようにと。

そして茶毛をかつぎあげると雨の中であったが、急いで吉野の駐屯地まで戻っていった。
こいつだけでも助けてやりたい。
343みなぎ:01/09/14 23:37 ID:WEhUVNxQ
駐屯地につく頃には私はすっかりずぶ濡れになっていた。
仔猫はぬらしてはいけないのでビニール袋に入れて首だけ外に出している。
寒いのだろう、カタカタ震えている。猫の毛に雨は辛い。

駐屯地について、どこに行くか一瞬、迷ったが萌原女史の所にした。
一応、医者だからだ。(専門外は承知の上だが)
医務室に入ると女史は白衣に膝を組み、暇そうに窓の外を眺めて煙草をふかしていた。
「ん?どした、化け猫」
ずぶぬれで首だけ外に出した猫の入ったビニール袋をくわえた私の姿はずいぶんと奇異なものに見えたことだろう。
「こいつ診てやって下さい!衰弱してるんです!」
ビニール袋を差し出す。

萌原女史はビニール袋を開いて仔猫を取り出し、摘み上げた。
「・・・・・・あのな、あたしゃ獣医ちゃうっちゅうねん。専門外にも程がある・・・・・」
ぶつぶつ言いつつ体を拭き、毛布で包む。
「化け猫!牛乳温めて持ってこい!人肌にしとけよ!」
「はいいい!!」
はじかれたようにキッチンへ走る私。

「ふーん・・・・・・生まれたばっかかい・・・目も開いとらんかぁ・・・・・・・??
・・・・・・・まさか、しゃべったりせんよな?お前。」
怪訝そうに尋ねる萌原。しかし、仔猫はか細く「にー」と答えるだけだった。
344萌原玲:01/09/15 00:52 ID:P8KTLxkI
>343
「弱ってんなあ…いけるんかなあ…」
言いつつ小さな注射器を取り出す萌原。薬品の棚から50mlのブドウ糖溶液の小瓶を取り出す。
「確か昔獣医に死にかけた小動物を連れてった時にこんなんしとったけど、
間違っててもツッコミ禁止」と一人でブツブツ呟く萌原。
子猫の背中に薄めたブドウ糖溶液を注射し、酸素吸入器を片手に持って毛布にくるんだ子猫を
抱く。
「猫に拾われた猫なんて、お前はかなり運強いぞ。がんばれ。生きて、四十年ぐらい
生きて化け猫超えようや」
子猫は返事をしない。
真新しいスポイトを取り出し、部下に子猫用の粉ミルクと哺乳瓶を買いに走らせる。
(吉野からどこまで行けばあるというのか・笑)
やがてみなぎが持って戻ってきた牛乳をスポイトに含ませて、子猫の小さな口に
さしこむ。
萌原はゆっくりとスポイトを押さえ、子猫が少しずつミルクを飲むのを確認する。
「よし、よう飲んだ。エライ。お前えらいなあ、チビのくせに。どこぞの化け猫とは
エライ違いや」
苦笑するみなぎ。にこりともしない萌原。
萌原はタウンページを開いてランダムに獣医の番号を見つけて電話をかける。
「おう、おっさん、子猫衰弱して死にかけとんねん。どないしたらええねん?
……はァ?おっさんヤブ医者かい、ボケ、回線切って首吊れ」
チン。ピッポッパッ。
「おう、おばはん、子猫衰弱して(以下略)」
345みなぎ:01/09/15 01:36 ID:BjwMl5wI
>344
牛乳を萌原女史に渡すと、しばらく仔猫の様子を見ていたのだが
どうも気が抜けてしまったらしい。ぱったりと意識が飛んでしまった。

気がついた時には机の上にタオル一枚をかけられて転がされていた。
「・・・・・ずいぶんな扱いですね。」
「贅沢ぬかすな、だまっとれ。」
言いつつダイヤルを押しつづける萌原。口調は乱暴だがその表情はしっかり医師のそれであった。
どうやら、選択は正しかったらしい。ちょっと安心した。

助かってくれよ・・・・・理由はどうあれ、生まれたばっかで死ぬなんて割に合わないだろう・・・・
346萌浜ともえ:01/09/15 05:45 ID:BGbaE.Io
朝ーっ!、朝だよーっ!、起きて朝御飯食べて吉野にいくよーっ!
みんなおっきろーっ!!

(そういって鍋をがんがん)
347貫上等兵:01/09/16 03:43 ID:oCJmMHO2
>346
おや、久々のガンガンですね。おはようごひゃいまふ、ともえ様
(大欠伸しながらのそりと起き上がる)
348葛城 一子:01/09/17 12:00 ID:hPFvwZoU

川崎にある古い古書店には外には客はいない。
その軒先を借り、携帯につないだ簡易キーボードにてメールを打ち込む。

「宛 南朝皇統政府醍醐旅団旅団長 廣瀬宅雄様
 発 東朝“お財布係” 公認会計士 葛城一子

ご返答遅れてしまいまことに失礼した。
一週間ほど単独にて追加下調べ等おこなった結果、度重なる戦禍のにより一般公共事業の比重が落ち軍事を一次受けとする経済の公共循環が強く形成されていることが確認できた。
政府主導の公共事業により、確実にそこを押さえてはいるモノの複数の業態に置いて即時性の高い『事業』を求めていることが分かった。
貴殿には釈迦に説法とは思うが、政府主導による『前倒し』の結果、度重なる運用資金貸借を民間が負担せざるを得なくなり
また、受注における入札時の必要とされる技術水準の高さから、結果としてはターゲット・シェア(底ざさえしようとした産業)の統合の
誘い水となったとみられる。
どうやら北朝や政府の設備関連の受注に関して、個々数年目に見えて精査水準が上がっているようだ。
是が善行どの単独による功績とすれば恐るべき人物と言わざるを得ないな。大したモノだよ。
彼はあくまで第五旅団付きの不安定な地位に過ぎない。そこを逆手に取る所に強かさが見える。
実はそう思う論拠があってな。もなこ皇女の家出以来、目に見えて受注の精査水準が下がっている。
あの時期は本業が合った故にしょうがないとも言えるがな。そもそも本来は彼(等)の精査する範囲ではない。
明らかにオーバーワークだな。其れはさておき、善行殿が不在になり、今度は各企業間の値引き合戦の様相を呈してきている。
最近の入札で際だったのは今年の春に電電公社データ部門と大手電気会社の合併した東芝データが、通信設備にて1円入札したことだろうな。
流石に露骨故に選定外にされたようだが、是が他の省庁だったなれば抜けたやもしれん。
349葛城 一子:01/09/17 12:04 ID:hPFvwZoU

この状況下で横須賀のメガフロートを制作に関わった企業連合に声をかけてみた。
最近の商品の精度お構いなしの値引き合戦にはかなりうんざりしていたようでな、飛びついてきた。
受注額に関しては今回の作成を元にメガフロートの世界標準規格を握りたいという想いが露骨に見えたよ。
本来、自由につないだり話したり出来るのもメガフロートの売りだが、今のところその規格統一は予定ほど進んでいない。
私が声をかけたホニーを核とする企業連合は受注額を技術向上により20%削減する代わりに同額を『雛菊』に出資したいと申し出てきた。
私が初期に立てた概算では萌之院殿下の海上離宮『紫陽花』の作成費用が1兆2000億円。
20%削減による基盤の制作費用は9600億円となる。
企業連合はさらに『脱塩淡水化装置』と『発電処理施設』。『下水処理施設』の入札に入れて欲しいと申し出てきている。
総合力で処理し、後の取り分を得ようとしているのだな。
これらの企業は先の災害にて本社機能をすでに関西に移している。入札を行うのなれば不正監視をすればいいだけだ。
また、この国で少ない勝ち組が投資するというは善いプロパガンダになる。やりやすくなるな。
浮き分を貴殿が『雛菊』への追加投資とし設備建築と維持へとまわす。
まだまだ、足りないところもあるだろうが是でかなりの部分実現性が上がったはずだ。
その他の詳細に関しては添付した情報と、追記した東朝NETないのアドレス位置に論拠にした情報が置いてあるので其方を見て欲しい。

萌姫様は最近は睡眠不足による高い疲労が見える。
我々の総意で行った『野々村の派遣』だったが、8歳児には近くにいた者が急にいなくなるのはやはり辛いだろうな。
『黒い影』に関しても最近は『見える』だけではなく『食い尽くされる』夢に代わってますます酷くなっている。
精神の一部を提供している『もえひと殿』が昏睡状態に陥ってしまったのも実際は萌姫様の呪術処理力が落ちたのが一因だ。
正直、『係』の分散があと、数日、遅れていたら萌姫様も過負荷の昏睡に陥っていたな。
今は数少ない『破魔』属性を持つ水沢がいるのでかろうじて安定しているが、水沢にはその内、別の仕事が待っている。
そのおりには、無意識に『破魔』の属性種である貴殿の元に逃げるかもしれない。
そのおりにはよろしく頼む。」

−送信完了−の表示が出る。
葛城が軒先から立ち上がった。
「おじゃましたな。機会が在れば又逢おう」
350ちょいとミステリー風に:01/09/17 18:21 ID:y0k3Ls3M
 現在、首都を中心に様々な形で同時多発テロが発生している。
 ターゲットは主に国防軍、首都警、菊水のようであるが、無差別テロにも発展しかねない。
 手口は爆破テロや庁舎などへの銃撃が中心の模様だ。
 いずれも水際立った手際と強力な火力によるもので、あきらかにプロの仕業と思われる。
 西朝の救出作戦と米国のテロに乗じた模様であり、ただでさえその二つの事件によって混乱している政府各機関は甚大な被害が出る模様。

読者への挑戦状
 さて、犯人の正体は?
 解答は明日の犯行声明によって明らかに!!
351350:01/09/17 18:22 ID:y0k3Ls3M
 ageてもうた、すいません申し訳ない。
352皇国経済新聞:01/09/17 21:45 ID:gT0fxTfA
醍醐グループを中心に、銀行団、企業グループ新経済首都構想を発表

9月17日 朝刊
 醍醐グループを初めとする各企業グループと主要銀行団は、先日の核攻撃、昨今の同時多発テロなどによる治安と政情の不安を考慮し、
大阪湾上に第二の経済における中心地を建設する構想を発表した。
 大阪湾上に2,000,000uに達するメガフロートを建設し、その島上に東証とほぼ同機能の証券取引場、各銀行と本店機能、
企業グループの本社機能などが置かれる模様。また緊急時には、首都と同一の機能を発揮できるよう各施設が建設され、
さらにはメガフロートを追加する事により空港などの施設を増補する事も考慮されているという。
 この構想に政府は、新たな経済復興策として実現に極めて前向きである。
 つまりこれにより銀行、証券取引上、企業はすべて東京と大阪に双子のシステムを維持する事になる。
「もはや東京に一極集中させていては世界経済の一翼を担う日本経済の主機能を維持するには危険過ぎる」
 との見解は各企業グループ、銀行団の一致する見解の模様だ。
 今後の政府との折衝次第では法人税の優遇、カジノの許可など新経済首府には、活性化のためにさまざまな優遇措置が取られる模様だ。
 なお、このメガフロートの治安維持、及び防備には北陸戦争で勇名を馳せた“醍醐旅団”が担当し、新経済首都防備のために装備の変更及び増強が見込まれている。
353皇国経済新聞:01/09/17 21:50 ID:gT0fxTfA
お詫びと訂正
>>352の記事ですが、
メガフロート構想の面積は、
2,000,000uではなく
6,000,000uの間違いでした。
謹んでお詫び申し上げます。
354ラジヲの時間 :01/09/18 23:16 ID:iYTdqDi2
パソコンのディスプレイに最近人気のフリーのインターネットラジオのウインドウがタイマーによって開く。

 ぷっ ぷっ ぷっ ぷっーーー。

「こんばんわー−−!今週もラジヲの時間がやって参りました……って、なんでわたしひとりなの?…」

バーーーン

「はぁ、はぁ、はぁ、……ち、ちこくしちゃいましたぁ!」
「百合ちゃん、確か関東に一緒に行ってたんじゃなかったっけ?」
「はぁ、は、はいですぅ…資金節約のためにどんこぉで今帰りましたっ☆彡」
「…なんで、そぉまでして交通費だけは節約しようとするの」
「さぁ…あっ、でもでも、川崎の駅弁おいしかったんですよぉ」
「あーー、はいはい、取りあえず二人いれば進行には差し支えないわよね。じゃぁ、今日こそ葉書二枚、目指してちゃちゃっといきましょう」
「えぇ〜。葛の葉さん待たなくていいんですかぁ?」
「(こえがちいさくなって)しーっ。だからね…あの馬鹿がわく前にやちゃうの…」
「(ちいさなこえで)……なんかぁ…ぼぉ○らあつかいですっ…」
「にたような…」

『にゃぁ、はっ、はっ、はっ、はっ、はっ!』(←大音量で)
355ラジヲの時間:01/09/18 23:21 ID:iYTdqDi2
「うをぉ!?」
「どこにもいないのにこえだけするですっ」

『てんがよぶ』
   『ちがよぶ』
       『キムラ屋の肉まんがもぉすぐよんじまぁうぅ!』

「やったぁ☆彡」
「そこ!変な所で喜ぶな!」

  『すべてぇのなぞぉをといちめぇと!』

「な、なに!?そうくるか!」
「どぉしておどろくんですか?」

 『スガット参上、ズガット解決その名も解決!』
           『スガァァァァァァァァァァァァァ−−−−−−−−−−ァァト!』
 (エコー1)          『スガァァァァァァァァァァァァァ−−−−−−−−−−ァァト!』
    (エコー2)            『スガァァァァァァァァァァァァァ−−−−−−−−−−ァァト!』
       (エコー3)               『スガァァァァァァァァァァァァァ−−−−−−−−−−ァァト!』
         (エコー4)                   『スガァァァァァァァァァァァァァ−−−−−−−−−−ァァト!』
          (エコー…)
    『スパァァァァァァァァァァァァァン』

「いたいにゃぁ!」
「くどい!」
「で、伝説のサマーソルトハリセンですっ。始めてみましたぁ〜」
「つーか、その第一生命の赤い服に怪しいマスクは、いったいなにしてんじゃい!」
「別名、なっちゃんですねぇ〜」
「くっ、くっ、くっ…今日のわちきは葛の葉じゃないにゃぁ…謎の解決『ズガット』にゃぁ!」

 (効果音)ズガーーーーーーーーーン!

「謎なのにほんみょうなのってますぅ」
「ほぉっときなさい、つけあがるから」

「………スガット参上!スガット…」

    『スパァァァァァァァァァァァァァン』

「するなぁ!あんな行数消費する技を!」
「あぅ…六条さんも電波受けちゃっていますぅ〜」
「……(こほん…) 百合ちゃん(うしろで 『わぁ、ぴざまんですっ!』という声が聞こえる)そんなことないわよ。さて、じゃぁ今日のお葉書言ってみましょうか」
356ラジヲの時間:01/09/18 23:25 ID:iYTdqDi2
「今日のお葉書は…


>350より抜粋
現在、首都を中心に…(以下略)…
読者への挑戦状
 さて、犯人の正体は?
 解答は明日の犯行声明によって明らかに!! 』

「………………………………」
「………………………………」
「……………………………」
「…これって、相談なんですか?」
「………………さぁ、百合ちゃん答えてみよぉね」
「…だって、わかるわけ…」
「…アンマンついか…」
「ははーーーーーいっ☆。わたし、犯人解っちゃいましたぁ!!!」
「よぉし、そのこたえはぁ!」
「プラズマです!」

『スパパーーーーーーーン』

「ちがうわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!おまえはどこかの教授かぁあああああああ!!」

「くっ、くっ、くっ…わちきにも全ての謎が解けたにゃぁ」
「いってみぃ…きたいえいてねぇから」
「まず、はこれは組織的な犯行ニャ。それも、手口からするにプロの手並みニャ」
「ほぉほぉ…で?」
「一見思想的なはんこーにみえっけんども、じつはそれが犯人のねらいニャ」
「……うん…で?」
「わちきのプ炉ファイ倫愚によれば、外観は身長167センチ、やややせ気味の陰険そうな眼鏡面。夜勤明けなので黒のスーツ姿に毛沢東語録を片手にしている男にゃ」
「なんで、そんなにぐたいてきなの?…ていうか…誰…それ?…」
「はんにんは!」
「犯人は?」
「はんにんはぁぁ!」
「はんにんはぁぁぁぁぁ!?」
「(しぶぅいこえで)おれのことさ」

『ズガ−−−−−−−−−−−−ン』

「おめぇおとこじゃないだろぉがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

エンディングテーマ『夢であえたら』が流れ始める。

「あぁ!またこのおちぃ?!」
「まったらいしゅう☆彡」
357みなぎ:01/09/18 23:56 ID:sxLIWjvs
運がよかったのか、いや、生命力のなせる技であったのだろう。
仔猫は順調な回復を見せていた。三日目にはヨチヨチではあるが
歩き回ることが出来るようになった。
その間中私と萌原女史は仔猫の面倒を見続けていた。お互い猫なんて飼ったことが
ないので(爆)悪戦苦闘の連続ではあったが。

そして、ここの所萌原女史医務室は来客が多い。
まあ、もともと教練で怪我の絶えない旅団兵(好んで怪我するお馬鹿もいるが)
がよく来てはいたのだが、仔猫を見に宮様やもえみ殿下、織部さんから
はては旅団長、獄長に至るまでやって来るようになった。
「いや、ちょっと転んでしまいました。傷薬をいただけるとありがたいのですが。」
と、善行氏がしらじらしくやってきた時など仰天してしまった。

「オイ化け猫。コイツどうするん?ここで飼うんか?」
ある時、萌原女史が唐突に聞いた。仔猫は宮様の手の中でゴロゴロしている。
体調がよくなってきたせいか、毛並みも艶を帯びてきているのがよく分かった。
「うーん・・・・・・拾った責任もありますから。私が育てますよ。」
「なあ・・・・・・・・・一回聞いときたかったんやけど。」
「なんでしょう。」
「コイツ、お前の子供か?」
「!!!!!!!!!」
正直、慌てた。そりゃあ、猫ですから、猫並みに発情期ってのはあるわけで、でもでも
わたしはこの夏にはまあああったく身に覚えがない訳でああでもあのとき飲んだ帰りに
記憶がなかったなあなんてああでもでもでも・・・・・・・・・・

仔猫は私の住み処である食堂に移ることになった。私は呼び名がなくては不便であろうと
「ひな」と名づける事にした。「ベタな名前やなあ」と、萌原女史に笑われたが。
捨て子にしては結構毛並みがよく美猫の素質充分であったので、まあ、それっぽい名を
つけてみたのだ。

やれやれ、天涯孤独の身が嫁もないままに子持ちになってしまったか。
私は「ひな」をなでてやりながら内心溜息した。
「ひな」はまだよくわかっていないらしく、私に「なー?」と首をかしげてみせた。
大阪道頓堀。

通りの喧噪がさざめきとなって聞こえてくる道頓堀川べりの立ち食いうどん屋のカウンターで、
何がどう間違ったのか絶対的にこうした場所には不似合いな二人の男女が抑えた声で会話を交わしていた。
かといって、親密そうな様子もない。むしろ、二人の間には冷え冷えとした緊張した空気が張り詰めている。
店にはこの二人しか客はいない。
濃紺を基調としたカシミアのスラックスとチョッキ、羚羊革のアンクルブーツ、そして白い絹のブラウスを身にまとったの年齢不詳の女性が、
手にした月見タヌキうどんのどんぶりをカウンターに置き、チョッキの胸ポケットから取り出したハンカチで口元をぬぐってから視線だけを男へと向けた。
その深くハスキーな声は背筋を伸ばさせる力を持ち、その深く菫色に輝く瞳には冷徹といってもいい知性の光が浮かんでいる。

「それでは、桓武グループとしては大阪湾のメガフロート計画に全面的に協力するのですね?」

ウーステッドフラノのグレーのダブルに、シルクタフタのオフホワイトのワイシャツ、そして限りなく黒に近い翠の杉綾のタイをつけた男が、
天玉うどんのどんぶりを手にしたまま視線を向けることもなく答える。その声は、冷酷といってもいいさらに温度の低いものであった。

「叔父のおかげですよ。廣瀬宅雄に桓武グループは大きく貸しを作ってしまっています。今更知らぬふりは出来ません」
「多井羅氏ですか。結果的に、貴方が桓武グループの実権を把握する時期は10年は早まりました」
「北朝と南朝の息のかかった役員を複数、グループ内に受け入れた上でです」
「そうですね。そして、五十路以上の老人をことごとくかのロシア人の諜報官が始末した後に」

あくまで淡々と穏やかな口調で、しかしカウンター上のコップに入った水が凍りつかんばかりの冷たい声で女は言葉を紡いだ。
どんぶりに残ったうどんを一筋、音も立てずにすすった男は、声にわずかに心外そうな響きを載せてその遠回しの弾劾に抗議する。

「あの一件は、彼女が萌浜ともえに忠誠を誓うが故のことです。私が使嗾したわけではありません」
「存じております。貴方がそうした無駄使いを好まぬことも。そして、故に無能を最大の悪徳として憎悪していることも」
「それに関しては、御理解いただけた事を感謝しています。しかし、私の手はあくまで白いままですよ。
だからこそ、今回のメガフロートの計画にも堂々と参加することが出来ました」
「そして、西日本に経済的中心がシフトする動きに弾みをつけることも出来ます」

改めて七味唐辛子を振りかけ、どんぶりを持ち上げた女は、振りかけた唐辛子と同程度には声に辛さをにじませて言葉を続けた。

「そうですね、これまで西日本経済は、第二次産業、それも鉄鋼船舶といった重機を中心とした構成でした。
その為に金融と情報を握る東京圏にどうしても従属しなくてはならない構造ができ上がってしまっていました。
住み分けといえば言葉は綺麗ですが、事実上の経済植民地というべきでしょうね。
そして、元々この国の首都が近畿にあった記憶を持つ誇り高い関西の人々は、今回の東京核攻撃を奇貨として
東京からの経済的独立を果たすことを望んでいる様に見えます。
そして、その無言の世論を受けて動き出したのが、今回のメガフロート事業です」
「地方分権は時代の趨勢ですよ。それは、政治的なものだけではなく、経済的文化的なものも含まれます。
そうでなくては、均質化した社会を構成することとなり、状況の急激な変動に対応できずに滅びるしかない」

最後のてんぷらのかけらを飲み込んだ男は、そっとどんぶりをカウンターの上に置くと初めて視線を女へと向けた。
その冷え冷えとした黒い瞳には、何かしらの感情も存在しない爬虫類じみた色が浮かんでいる。

「それで、謝華グループは今回のメガフロート計画にどの程度コミットメントするおつもりなのです? ミランダ謝華総帥」
「桓武グループ、いえ、貴方にが必要とするだけのコミットメントを。多井羅一清総代」

ミランダ謝華と呼ばれた女は、多井羅一清を呼んだ男の視線を正面から受け止めつつ小声で、しかしはっきりとそう答えた。

「謝華グループは、先日の北陸戦争の結果、ロシア経済に全力をあげてコミットメントしています。
現状では、西日本経済に深く関与する余力はありません」
「しかし、日本経済の中枢への影響力は残さねばならない。何故ならば、今や日本の金融こそがパクス・アメリカーナを支えているからだ。
それが、国際ユダヤ資本を背景にした謝華グループが生き残りを計る為には絶対に必要だからです」
「国際ユダヤ資本ですか。まるで全世紀にヨーロッパ大陸で猖獗を極めた疫病の罹患者の様な仰り様ですね。広瀬隆の読み過ぎでは?」

どうしようもなくつまらないアメリカンジョークを聞かされたかの様なしらけた響きを声に載せ、ミランダ謝華はどんぶりに唇を寄せた。

「失礼、誤解を与えてしまったようです。正確には、イスラエル経済界を中心とした国際的ユダヤネットワーク、と言うべきでした。
現在のA国大統領じょんそんは、確固たる中東戦略を持っておらずムスリムの反米感情を煽るばかりです。
そして、その尻馬に乗って事実上中東和平を反古にしたイスラエルのしゃろん首相は、
ムスリム系テロリストとの全面対決がアメリカにも波及し、イスラエルへの援助に影響が出る事を危惧しているとも聞きます」
「貴方もご存じの通り、私はユダヤ教を棄教し、カソリックとなったあげく日本に帰化した人間です」
「存じております。ですが、あなたが結婚した旧財閥系の御曹司を操って構築したネットワークは、
幾度もイスラエルの利益のために働いているとの話も側聞しております」
「それは片手落ちの情報ですね。謝華グループは、あくまでユーザーへのザービスに差別はしないのですから。
私の祖国も、両親が産まれた中欧のあの不幸な国も、そして娘の産まれたこの国も、全て対等に扱っている事に差はないのですから」
「桓武グループ、いえ、私に対する援助もですか?」
「そうです。そして、この国の各皇統に対しても」

二人は、じっとカウンターの上のどんぶりに視線を向けたまま、しばらく黙って何かに思いを巡らせていた。

「それでは、私はあなたの代理人として、西日本経済を影から支えるといたしましょう」
「そして、謝華グループは、貴方に代わって東日本経済の復興に関わることになりますね」
「あなたではなく、ですか?」
「私は次の株主総会で総帥の地位を退き、娘が総帥の地位を継ぎます。ただし、グループの戦略に根本的な変更はありません」
「なるほど、あなたはあくまで自ら先頭に立って戦場におもむくのですね。かつてレバノンの大地でかくあったごとくに」

だが、ミランダ謝華は、それにはわずかに微笑んで答えはしなかった。
そのまま、ごちそうさまの一言とともに、店を出て行く。

「同意には達したか。さて、最後に生き残るのは誰か」
360萌浜ともえ:01/09/19 05:25 ID:y4Dn9AO2
大村漁業組合の漁船「第五小林丸」の舳先で、ともえはじっと水平線の彼方を見つめていた。
彼女ら西朝の残党が目指すのは、南朝の本拠地、吉野。
そこで、醍醐旅団長広瀬宅雄と国防軍の善行忠孝少将と、西朝のこれからについて会談を持つため、である。

「もうすぐだね」
「本当に、いいんですか? やっぱり、このままT湾に脱出してしまった方がいいんじゃないでしょうか?」

困った表情をした貫上等兵が、ともえのすぐ後ろから声をかけた。

「でも、このまま善行のおじさんから逃げちゃっても、なんにも解決しないよ」
「ですが、我々はすでに北朝と全面対決に入っているといってもいいんです。今更善行閣下にあやまりに行って、なんの役に立つんです?」
「役に立つとか、そういうんじゃないんだ。ボクが、すじを通したいだけ」
「判っていますよ。だから、止めないんです。なにしろ、ともえ殿下が決められたのなら、俺達はどこまでもついていくだけですから」
「うん、ありがと」

と、マストからの声が船一杯に響き渡る。

「おかだ、陸が見えたぞ! そろそろ和歌山港だ!」
「……うん、じゃ、じょーくんも一緒に来てよ。あと、ひゅーやんにも声をかけてきて。……ちゅーやん、まだ意識を取り戻さないの?」
「まだみたいですね。とにかく、きちんと医者にかかれば、大丈夫ですよ」
「……そうだね、きっとよくなるよね」
個人の住居のリビングとしては、かなり広い範疇に入る部屋で、中佐は黙々と書類仕事をこなしていた。
醍醐旅団では、中佐は書類仕事は一切しない、というのが通説となっているが、それはさすがにデマというものである。
ただ彼は、与えられている執務室では書類の決済をしない、というだけのことなのだ。
彼にとっては、執務室はあくまで自分を尋ねてくる人間を相手する場所であり、沈思黙考して書類に没頭する場所ではない、という事なのであった。

部屋を、沖縄の三線の弦の響きが満たしている。
中佐の趣味の一つのオーディオシステムが、沖縄ローカルのCDを再生しているのだ。
デンマークのDynaudioのスピーカーと、スイスのGOLDMUNDのアンプ、A国のCELLOのD/Aコンバーター、皇国のESOTERICのCDトランスポートで組まれたシステムは、清麗な音を奏で部屋中を満たしている。
実際のライブの音とは違う、だが耳に心地好い音で満たされた場所に身を置くことで、初めて中佐は書類にぼうっとうすることが出来るのだ。

ふっ、と手を止めて顔をあげる中佐。

「・・・あいつをこの部屋に呼ぶしか、今は暇が作れねえよなあ・・・」
362萌浜ともえ:01/09/19 05:55 ID:y4Dn9AO2
朝ー!っ、朝だよっ、ラジヲ体操だよっ!
みんなおっきろーっ!!

(そして中華なべをがんがん)
363醍醐旅団長:01/09/19 10:36 ID:tmKxpPNA
“男”は、静かに目覚めた。
そして深呼吸をして、世界の空気に“萌え”が足りないのを感じ取った。
“男”は、久し振りの体に久闊を恕する暇もなく、自室のインターフォンに告げた。

「私だ。旅団長だ。ああ、男に戻った。大至急、吉野にいる醍醐旅団構成員全員を集めろ」
 一呼吸置いて。
「ああ、ただの一人の例外もなく、だ。吉野にいる全員に聞かせてやる。久し振りに“あれ”をやるぞ」
 男は一方的にそう告げて、いそいそと軍服に着替え始めた。
364醍醐旅団長:01/09/19 10:41 ID:tmKxpPNA
―――醍醐旅団駐屯地、射爆訓練場

 醍醐旅団総員が整列し、旅団長の訪れを待つ。
 そこには整列する醍醐旅団将兵以外にも、事務員、客員の例外なく集められている。

……やがて、おもむろに現れ、壇上に立つ醍醐旅団長。
旅団長「よーーーーーしっ! 諸君! よく集まってくれた! 今! 世界は萌えが足らん!
 よって全世界に気合を入れるべく“アレ”をやる事にする! 来賓には皇女を初めとして、
 様々な見物客がいるようだ(笑) ヤツラに見せてやろうじゃないか醍醐旅団の萌えを!」

旅団兵「うおおおおおおおおおお!」

旅団長「諸君! 我が軍はなんだっっ!!!!」
365醍醐旅団長:01/09/19 10:53 ID:Rv80Mgq.
旅団兵
「醍醐旅団でありますッ!!!」

醍醐旅団長
「醍醐旅団とはなんだァァーーーーーッ!?」
旅団兵
「最強の萌え軍団でありますッ!!」

醍醐旅団長
「我々の的とはなんだッ! 北朝とは何者だ!!」
旅団兵
「萌えないクズどもでありますッ!!」

醍醐旅団長
「萌えないクズはどォする!!」
旅団兵
「焼く! 焼く! 焼く! 焼く! 焼いてワレズやMXで配布!!!」

醍醐旅団長
「萌之院もえみ殿下の萌えは―――――――ッ!」
旅団兵
「最高最高最高最高最高ォォォォ!!」
366醍醐旅団長:01/09/19 11:17 ID:Rv80Mgq.
醍醐旅団長
「諸君! 我々はいつまで吉野の山奥に逼塞していねばならんッ!?」
旅団兵
「もう限界であります!!」

醍醐旅団長
「我々はいつまで萌えないクズどもの顔色を伺わねばならんッ!?」
旅団兵
「もう我慢がなりません!!」

醍醐旅団長
「しかし、今全世界に喧嘩を売って勝てるか?」
旅団兵
「勝てる訳がありません!」

醍醐旅団長
「しかし、我らは“血とガーターベルトの夜”において勝利を期して動いたか?
 “長いガーターベルトの夜”において生還を期して動いたか?
 貴様らに聞く我らは、なんのために動いたか―――――――ッ!!!?」
旅団兵
「萌え! 萌え! 萌え! 萌え! 萌え!」
367醍醐旅団長:01/09/19 11:19 ID:Rv80Mgq.
醍醐旅団長
「ならば存分に萌え狂ってみせようじゃないか! 聞け、諸君!
 現在、帝都においてはたかだか核攻撃で10万人程度が死んだぐらいで、
 萌えの皇女の一人が不当に監禁されているっ!
 これを見過ごしておいて我らは萌え旅団と言えるだろうか?」
旅団兵
「否ッ!!」

醍醐旅団長
「よろしい……、ならば決起だ。
 今から全世界に萌えの皇女の一人萌浜ともえ殿下の無条件釈放を大日本帝国政府に請求する。
 24時間以内にともえ殿下の釈放が発表されない場合、我らは大日本帝国政府に宣戦布告する」
旅団兵
「うををををををををををををを!!!」

醍醐旅団長
「諸君! 我らが死すは、皇国のためでも、世界のためでもない!
 可愛い娘の笑顔ただそれだけのため! 違うかっっ!?
 孤独な北の皇女を救いし後は、今度は檻の中の西の皇女を救うために戦おう!」
旅団兵
「応っ! 応っ! 応っ!」

醍醐旅団長
「全世界の萌える女の子のために!
 荒げよ!」
旅団兵
「ハァハァ……(;´Д`)!!!」

醍醐旅団長
「全世界の萌える漢たちのために!
 叫べよ!」
旅団兵
「萌え〜〜〜〜!!!」
368ラジヲの時間時間外スペシャル:01/09/19 11:48 ID:ODgc0Q9Y
『こんにちわーーー!』

「みなさん、こんにちは、今日はラジヲの時間外特別バージョンです。
なんと先ほど南朝より皇国政府に対して『ともえ殿下の釈放発表要求』が在りました。
今日はこの場に解説の水沢さんをお呼びしています。」
「ははーーーぃ。えっとですね、ひさっしぶりぃに南朝の萌え馬鹿力がさくれつしちゃったみたいですぅ」
「さ、さくれつ…ってあーたそんな簡単に流しちゃっていいんか?その、あるでしょうに、いろいろと」
「そんなこと言ったら、近代工業国で皇室による王政代理国家なんかせいりつしないですぅ」
「み、身も蓋もない…だって現実に…」
「それは『萌え』というオブラートにくるんだ『カリスマ』でふぉろーしてるからですぅ」
「……はぁ…」
「とりあえずぅ…いえることはぁ、『萌え〜〜〜〜!!!』ってことですっ」
「…人選間違ったかなぁ……とりあえず…実況の葛の葉さん。そちらはどうですか」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「萌え〜〜〜〜!!!バースさいこーーーーー!!!!!」

    ぶつん
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「……それでは、ここでコマーシャルです。」
369醍醐旅団長:01/09/19 11:49 ID:Rv80Mgq.
――――異常な盛り上がりを見せる旅団駐屯地を跡にして、執務室に戻る醍醐旅団長。

 一人、どういう意図でか少女形態、すなわち“かなこ”に変身してふわりと椅子に
深く腰掛ける彼女は、その可憐な顔に悪戯っぽい表情を浮かべて含み笑う。
「ふふ……宣戦布告もなにも、すでに西朝のともえ殿下が脱走された事は知っているのねぇ♪
 んー……、これぐらいの発破かけたほうが何かと面白くなるってものよね♪
 くすくす……」
>364-367
「ようやく、とち狂った色ボケから元に戻ったか」

かなりきつい毒舌を吐く中佐。
だがその表情は、えらく楽しそうだった。
そう、あえて言うならば、腹をすかせた狼がようやく獲物を目の前にした時にでも浮かべるような、とでも形容できるような。

「よしっ!! 全軍出撃準備体勢!! 全ての装具と装備の点検にかかれ!! 補給大隊は実包配布準備!! 各級指揮官は作戦室に集合!! 急げ!!」

中佐の怒声が射撃練習場全体にとどろき渡ると同時に、雄叫びと地響きをあげて醍醐旅団の兵士達が各々の部署へと走り出す。

「楠木正成少佐」
「判っていますよ、今回も私は留守番ですね。まあ、カラビリエ(憲兵隊)とはいえ対組織犯罪捜査班の出身ですからね、私は。楽しんでいらっしゃい」
「ああ、精々楽しんでくるよ」

「名和伯耆大尉」
「アイ、ボス。東京のスリーパーからのレポートに更新は無いですよ。それと、工作班に花火を打ち上げさせる準備も終わっています」
「素晴らしいな。お前さんがあのラングレーのビッグマウスの出身だって言うのが、今でも信じられんよ(笑)」
「だから、ボスの誘いに乗ったんです。ええ、久しぶりに楽しまさせてもらいますから(笑)」
「ああ、せいぜい派手に楽しんでくれ」

「結城親光大尉」
「ウス、中佐殿」
「詳しくは作戦室で話すが、今回は東京港といくつかの橋をヘリボーンで短時間に確保できるかが鍵となる」
「ウス、「遠すぎた橋」にはしないでください(笑)」
「安心しろ、三日もかからん(笑) そうだ、醍醐グループ保有という形で確保してある大型セスナで空挺降下だ頼むぞ」
「ウス、中佐殿」

「千種忠顕大尉」
「了解しております、中佐殿。遊撃中隊は先行して皇居周辺に待機、旅団主力の東京上陸とともに皇居に突入し西朝の皇女殿下を確保、主力の救出を待ちます」
「おう、その通りだ。そうさ、今回は旅団主力をまんま囮として使わさせてもらう(笑) 本当の主力は貴様の中隊だ。任せた」
「了解しました、中佐殿」

「小紫姐さん」
「判っておりますわよ、中佐さん(笑) ええ、妾がいる限り萌之院殿下には何人たりとも指一本触らせるつもりはありませんことですのよ(微笑)」
「おう、そいつに関しては完全に信頼している。任せる(笑)」
「おほほほほほ(笑) それにしても、楠木少佐に指揮させるとは、おつな配慮でございますこと(謎)」
「姐さん」
「なんでございましょう?」
「喰うなよ?」
371福田定一:01/09/19 12:16 ID:zqYc3d4s
犯行声明
「我らは南朝原理派“赤萌隊”である。
 以前のスレで伏線を張られていたにも関らず、完全に放置されていたが、
 ちゃんと存在して、帝都に潜入している。
 我らは南朝の独立のために、北朝に対し然るべき制裁を加えている。
 幸いな事に帝都はザルだ。
 “読者への挑戦状”に答える事もなく、我らの動きどころか存在すら、
 見当もつかなかったようであり、この二日間は好きなように暴れさせてもらった。
 何しろ全く我らに捜査の手が伸びていないのだから、これほど楽なテロもなかった。
 我らの要求は特にない。
 ただ、我らは南朝の指導者廣瀬宅雄の命令に従っているだけだ。
 今後も我らの“制裁”は続くであろう。
 南朝万歳! 廣瀬宅雄に栄光あれ」
372萌浜ともえ:01/09/19 12:19 ID:aeHC0eek
「うわー、すご。これが醍醐旅団なんだ。へー、確かに北朝が一目おくよね、じょーくん、ひゅーやん」

>364-367 の醍醐旅団長のアジ演説を、何故か近くの木の上から眺めているともえが、やはり一緒に木の上に登らされた貫上等兵と日向の二人に向かってつぶやいた。
だが、二人とも醍醐旅団の兵士達の気勢に圧倒され、「はあ」と返事にもならない返事しか返すことが出来ない。

「うーん、これからどうしようか? やっぱり、いくら呼んでも出てきてくれないからって、中に入り込んだのあやまんないといけないよね?」
373野々村:01/09/19 12:32 ID:sRvJSJ9w
>372
「そうだね。でも、忙しそうだし今、誤りに行ったら旅団長さんかえって迷惑何じゃないかな?」
ともえの少し後ろからふんわりと声がかかる。
三人が振り返るとそこには、いつもの格好で枝の上に腰掛ける野々村と幹にしがみついている小早川が居た。
「あっ……」
ともえの言葉を待たずに野々村が器用に太い部分に立ち会釈する。
「東朝 『皇統お助け係』のす。よろしくね、ともえちゃん」
374野々村:01/09/19 12:41 ID:sRvJSJ9w
>373
「東朝 『皇統お助け係』の野々村です。よろしくね、ともえちゃん」
他の二人が状況に付いていけないなか、肝が据わっているのか飛んでいるのかともえは場所のことなど追いかまいなしに無邪気に受け答える
「えっと、前にもあったことがあるよね。ちょっとかわった?」
野々村がふんわりと笑いかける。
「うん、ちょっとね。今度、ともえちゃんのところにお世話になるけどいいかな」
「全然大丈夫!ねっ!」
ともえが二人に同意を求めるが二人はこくこくとくびだけふる。
ここは木の上である。
375醍醐旅団長:01/09/19 12:52 ID:zqYc3d4s
>>371
 “かなこ”形態で喪服姿で現れる。
「まず、この度のテロリズムによって犠牲となられた、全ての方々に哀悼の意を表明いたします。
 (黙祷)
 はじめに、我々南朝皇統政府は、かつての同志たちがこのような凶行を行なった事に対する陳謝するとともに、
犯行声明にあるような関与は一切なかった事を明言いたします。
 むしろ我らの出きる限りでの捜査協力とテロ防止に対する対策を全面的に行なう事を予め申し上げておきます。
 しかし!
 ひとつ言っておきたい事は、我々は彼らが醍醐旅団を脱走した時点で、彼らが悪質なるテロリストになる可能性を指摘し、
 北朝に対して忠告と、全ての捜査協力の約束、そして我々が持っている情報のすべてを提供して参りました。
 にも関らず、北朝と文民政府の治安組織は、まったく彼らに対して手を講じることなく、放置して参りました。
 菊水、首都警、国防軍など強力なる治安組織はいったいなんのために存在するのでしょうか?
 我々が手に及ぶのは吉野周辺だけゆえ、彼らに対して“協力”という形でしかかつての我らの同志の凶行を止める手段がなかったのです。
 そしてあらゆる協力を申し出ながら、手を拱いていた各治安組織の単マンのため、多くの犠牲が生まれてしまいました。
 いったい! なんのために政府は存在し、なんのために強大なる軍事力、警察力を持っているのでしょうか?
 国民の安全と利益を守るためではないでしょうか?
 にも関らず、徒な軍拡と国際情勢に気を取られるばかりに、肝心の自国民を危険にさらし、そして、犠牲にしてきました。
 さらに言えば肝心要の萌えの皇女でさえも、我らの下に参るような状態です。
 いったいこのような政府と北朝に国民の利益と安全を担う資格があると言えるのでしょうか?
 我々はかつての同志が犯した凶行に対する制裁と、国民の利益と安全を守る事を最優先する事を政府と北朝に請求するとともに、
 我らにその一端を担わせる権限を与える事を申し出ます。
 皇国の利益と安全と萌えのために、醍醐旅団はあらゆる全てを投げ打って働く事でしょう」
376醍醐旅団長:01/09/19 13:11 ID:zqYc3d4s
――――執務質に戻って。
 今度は廣瀬宅雄形態に戻って。
 インターフォンで連絡。
「私だ。善行閣下には、帰りのヘリコプターも含めて至れり尽せり、あらゆる便宜をはかってさしあげるように。
 もなこ殿下には、萌原をつけて好きにさせて差し上げるように。あのお二人の行動を束縛する事は一切許さん。
 そして、先ほどから駐屯地をうろうろしておられる、ともえ殿下を丁重にお迎え申し上げるようにな。
 あははははははははははは♪
 ゲームは楽しくやろうぜ、なぁ?
 たかだか皇国1憶だか世界50憶だかしらねえが、いくら悪くても賭かってるもんはそんだけだしな(笑)
 良ければ、この素っ首一つ程度で済む程度の事態だ、ワクワクするな。イヒヒ。
 おう、旅団の軍務については全部中佐に任せとけ(笑) 戦争したけりゃいつでもしていいとな。
 何もかも楽しまなけりゃ損だぜ、一度しかない人生だもんな。
 ああ、私は萌之院殿下に逢いたいな(笑) どこにいらっしゃるかなぁ……。
 一段落したら、ちょっと出かけるぞ、あ? 行き先は内緒だ。
 せいぜい山の中に行くぐらいだから連絡はいつでもできる、安心しとけ(笑)」
377葛城:01/09/19 13:15 ID:dr7cQQ8U
中野の駅で『ラジヲの時間』から中継される>375を聞きながらいすに座りメールを打っていた葛城がぽそりとつぶやく。

「先手を打って哀悼の意を表示し、本来攻めるべき相手の出鼻をくじく。内容こそ違うが昔ぷーちん大統領☆ミが使った手法とほぼ同様だな」

ふと視線を向けると駅の改札に風鈴が付けられ涼やかな音を立てる。

「はっきり言ってしまえば論拠は少ない。
だが、その論拠の薄さを見せなくするほどに政府の対応は全般的に後手に回っている。
実際には内部の派閥論理による相互抑止の結果だがそこまで国民は見ないだろう。
『かなこ』の姿を使用したのは明らかな意図だな。
要石たる善行殿が今吉野にいるというのも拍車をかける。
うまく動いたな、旅団長殿。さて、では次の場所に行くか」
378醍醐旅団長:01/09/19 14:12 ID:3fLPTqLU
諸君 私は殿下が好きだ
諸君 私は殿下が好きだ
諸君 私は殿下が大好きだ

洋服姿が好きだ
和服姿が好きだ
軍服姿が好きだ
私服姿が好きだ
冬服姿が好きだ
夏服姿が好きだ
制服姿が好きだ
夜会姿が好きだ
水着姿が好きだ

端整な 妖艶な
玲瓏な 気丈な
一途な 残酷な
勇敢な 凄愴な
艶麗な 凛冽な

この地上に存在するありとあらゆる殿下の御姿が大好きだ

儀丈兵を並べて粛々とした御所の中で功績あった者に黒リポンを授与されるのが好きだ
御美脚にて摘まれた黒リボンが手に落ちる時、顔も踏んでいただけるかと心がおどる

戦場にて私を踏み台にして雄々しく指揮を取られるのが好きだ
悲鳴を上げて背中にヒールが突き刺さり戦場だという事も忘れて自分のM気質が暴露された時など胸がすくような気持ちだった

萌えキャラをそろえた場面で殿下が男たちを萌えで蹂躙するのが好きだ
興奮状態の男たちが既に殿下が去った後で何度も何度もハァハァ……(;´Д`)している様など感動すら覚える

殿下に縄で縛り上げられて暗い地下室で吊るし上げられるときなどはもうたまらない
泣き叫ぶ自分の身体が殿下の振り下ろした鞭とともにビシビシと血に塗れで張り倒されるのも最高だ

怒り狂った殿下に滅茶苦茶にされるのが好きだ
必死に守るはずだったサイトが蹂躙されデータが抹消され荒らされていく様はとてもとても悲しいものだ

殿下の追求に押し潰されて浮気がばれるのが好きだ
憲兵隊に追い輪姦され害虫の様に地べたを這い回るのは屈辱の極みだ
379醍醐旅団長:01/09/19 14:13 ID:3fLPTqLU
諸君 私は殿下に地獄の様な萌えを望んでいる
諸君 私に付き従う旅団戦友諸君
君達は一体何を望んでいる?

更なる萌えを望むか?
情け容赦のない鬼畜の如きな萌えを望むか?
鉄風雷火の限りを尽くし三千世界の鴉を殺し殿下に萌えるのを望むか?

『萌え! 萌え! 萌え!』

よろしい ならば萌えよう

我々は渾身の力をこめて今まさにいきり立たんとする男根だ
だがこの田舎の吉野の山奥で五年もの間、堪え続けてきた我々にただの萌えではもはや足りない!!

鬼畜なる萌えを!!
一心腐乱の萌えを!!

我らはわずかに一個旅団 五千に満たぬ義勇軍に過ぎない
だが私は諸君を一騎当千の古強者だと信仰している
ならば我らは諸君と私で総力500万と1人の軍集団となる

萌えを忘却の彼方へと追いやり眠りこけている連中を叩き起こそう
ズボンをつかんで引きずり降ろしチャックを開けさせ思い出させよう
連中に萌えの味を思い出させてやろう
連中に我々のハァハァ……(;´Д`)の声を思い出させてやろう

天と地のはざまには奴らの哲学では思いもよらない萌えがあることを思い出させてやる
五千人の萌えバカたちの戦闘団で
世界を萌やし尽くしてやろう
380…くるの…:01/09/19 14:42 ID:dr7cQQ8U
カテドラルで応接間に唯一設置された15型テレビで相馬 小次郎と境 省吾が醍醐旅団長の演説の放送を見ている。
まるで、行く先に全く心配事がないような晴れ渡った空が外に見えるその部屋でテレビはその熱狂的な
『萌え』の熱意をブラウン管越しに伝える。

「なんかすごいっすね!」
「うん…」

その煽りを受けて純粋に楽しんでみている省吾と何か考え込んでいる小次郎が見事に明暗のコントラストを作る。

「小次郎君、やっぱ、こう言うときはのらなきゃだめっしょ!」
「いや…なんか…ね…醍醐旅団長さん…妙に…」
「妙に?なんすか?」

     …ちりん

いつの間にか今の入り口に萌姫が立っていた。
「……………………」
二人が慌てて近くによる。
「ど、どうしたんですか?体弱ってるんですから寝てなきゃだめじゃないですか」
「そぉっすよ」

……ちりん…ちりん

萌姫が小さく首を振る。
「……くるの……」
ぽそりと出てきた萌姫の言葉に二人が首をひねる。
「…くるって…なにがですか?」
萌姫が小次郎の手を少し掴んで日の出る方の反対、西側の壁を見つめる。
「…………おっきなくろいかげ……が……くるの…………」
「かげ…っすか?」

    …ちりん

小次郎は小刻みにふるえているその小さな手をそっと両手でつかんだ。
「大丈夫ですよ。どんな奴だって、加藤さんや葛城さんがいますし僕たちだっています。」

    …ちりん… …ちりん…

萌姫が小さく首を振って今度は南方の壁を見る。
「……ちがう……の……もっと……こわいのが……あっちに……………いるの……」
涙目を通り過ぎて少し涙のこぼれはじめた萌姫の頬をハンカチで拭いた小次郎が省吾と顔を見合わせる。
「南?…なんだとおもう?」
「さぁ、マサカド様は真南ではないし、少し西の方すっよね。道真様でもないし、あと強力な凶津の類になられる可能性のあるかたっていらっしゃいましたっけ?」
「…どうだろう…萌姫様が遠隔で反応するって事は『皇統』関連だと思うんだけど」
381…くるの…:01/09/19 14:44 ID:dr7cQQ8U

   …ちりん  …ちりん …ちりん …ちりん
  
少し目を離した間に萌姫が小走りに外に向かって走り出す。
「「あ”!」」
二人が慌てて飛びついて萌姫を押さえる。
「「汎用萌え術。萌え術封印!!」」
大人げないようだが本気で呪術を発動されたら二人がかりでも止められない
そのためやむを得ず両手をそれぞれが掴み術の発動を集中してかき乱す。

「……ゃ…だ……」
  …ちりん…

「おちついてください、どうしたって言うんです」
「そぉっすよ。ここにいる間はだいじょうぶですって!」

やがてじたばたするのに疲ればて萌姫がぽろぽろと泣き出す。

「……だいご……しんじゃ…やなの……」

小次郎と省吾が困った様子で見つめる。
「「………………………」」

へやに、ひっくっ ひっくっ とすすり泣く声が響く中、今度は「かなこ」の演説が流れていく。
382親王崩宮:01/09/19 15:04 ID:/CUE95lY
 醍醐旅団長の演説をPCのTVで見ながら、崩宮は表情も変えずインターフェンをONにする。
「私だ。
 第五旅団の出撃を準備させろ。
 こうまで我が朝の“萌え”を揶揄されて黙っているのが、宮城の流儀ではない筈だ。
 なに? 国防軍? 日本外人部隊? 芝村派?
 何故、私がそのようなものたちに許可を得ねばならない?
 むしろ我が朝の萌えに敢然と挑戦してくる者たちに対して応えるのが宮城の護り手であろう?
 それとも、我が忠実なる第五旅団は飾り物の木偶の坊なのか?
 常に醍醐旅団の引き立て役に甘んじねばならんのか?
 全員、我が朝廷の萌えを証明せんがために死ぬのが第五旅団ではないのか?
 まあよい。
 ともかくだ。
 所属、階級は問わぬ。
 もなこを奪還せんがために参加せんとする者たちを集めよ。
 馳せ参じた者たちは全て第五旅団に所属する事を許可する、一切の配慮や考慮は無用だ。
 全責任は私が取る。
 繰り返す。
 第五旅団出撃準備、だ」
383第五旅団兵:01/09/19 16:04 ID:kVomQLf.
>>382
「なあ…あの演説、どう思う?」
ぼっとモニタに見入っていた傍らの同僚が、俺に意見を求めてくる。
どうと言われても、俺は一介の航空要員、ただの兵卒に過ぎない。
そして、そもそも俺は誰の為の兵卒なのか?
答えるまでもない。
そもそも、彼女の傍に居ないで、何の為に俺達が要るって言うんだ?
仮に吉野に宮様が居るのだとしたら、俺達も全員、誰が何としようと吉野に居るべきだった。

…今更、何の反省だって考えても仕方ない。
とにかく、誰よりも早く彼女の元へ。今、それ以外を考える必要があるか?同僚。

結局、声に出しては何も言わず、俺は彼の肩を叩いて集合場所へ向かった。
彼は呆けた様に俺の後姿を見るだけだった。
384通信部@第五旅団:01/09/19 16:32 ID:mCu6NuBA
「奴ら…やってきやがりました」

その最後には、忘れもしない、皇室の守護たる旅団を恐怖の底に貶めた一文。
「まさか出元に見間違い様は無いよな?」
「こんな平文でのバカな宣戦は他に考えられません。
というか、そもそも本当に宣戦と考えて良いのかさえ…」
「…全文読み上げろ」
「はっ」

"親愛なる皇室の御楯、第五旅団諸君。
萌えの象徴であらせられる皇女も無しに、元気に萌えて居るのかな?
ごはん食べてる?病気してない?おかずは充実してるかな?
そうそう、私達の要求はもう見てもらったよね。
萌宮殿下は一先ずお返しします。
その上で、隙あらばもなこたんのヨーグルト和えなど頂戴…ハァハァ…(; ´Д`)

あ、そうそう、ついげき:俺のヨーグルトをナメろ

                 ばーい 醍醐旅団旅団長 廣瀬宅雄(はぁと)"

「…宣戦、なのでしょうか、主任」
「…奴等は、本気だ。かつて無くな」
「…全旅団兵に配備用意を要請します」
「頼む。既に上の上でされてはいる様だがな」
「了解しました…それにしてももなこたんのヨーグルト和え…ハァハァ……(; ´Д`)」
「士気昂揚だ、許す。ハァハァ……(; ´Д`)」
「やはり我等はこうでなくては、ですな。ハァハァ……(; ´Д`)」
「(; ´Д`)」
385醍醐旅団長:01/09/19 17:22 ID:z/Uwsk5U
>>384
 何?
 偽作の電文を送っている者がいる、と?
 見せてみろ。

「"親愛なる皇室の御楯、第五旅団諸君。
 萌えの象徴であらせられる皇女も無しに、元気に萌えて居るのかな?
 ごはん食べてる?病気してない?おかずは充実してるかな?
 そうそう、私達の要求はもう見てもらったよね。
 萌宮殿下は一先ずお返しします。
 その上で、隙あらばもなこたんのヨーグルト和えなど頂戴…ハァハァ…(; ´Д`)

 あ、そうそう、ついげき:俺のヨーグルトをナメろ

                 ばーい 醍醐旅団旅団長 廣瀬宅雄(はぁと)"」

 ……私はこれほど文章に芸がなかったかな?
 まったく。私の名を騙っている割には似ておらんな。
 タチの悪い悪戯と見るべきだろう。
 というより、まあ、信じる者もおるまい。
386醍醐旅団兵:01/09/19 17:37 ID:Q4hJHdME
>383
「なあ…あの演説、どう思う?」

おれは同期に入った奴に声をかけた。
奴は何も言わずに俺の肩をたたいて、そのまま奥に進んでいく。

なにがおこってるんだよ。
実感がわかない。

初めて彼女を見たのは修学旅行で東京タワーを見に来たときだった。
偶然にも彼女の「しゃかいかけんがく」に巻き込まれた俺は人だかりに正直うんざりしていた。
こんなに込むくらいだったらコースに入れなきゃよかったと公開したとき目の前に彼女が現れた。
特に何をしたわけでもなく、ただ歩いて周りに挨拶して展望台行きのエレベーターに向かってそのまま消えていった。
文にするとたった一行の代わり映えのしない内容。
気がつくと俺は土産コーナーでぎりぎりまで「ぐっつ」を買い込んでいた。
卒業後俺は第五旅団の狭い門をくぐった。

あのとき、なにがあったんだ?どうして、俺は今こんな所に居るんだ。

テレビがぐるりと会場を撮影する。

俺の目は彼女をとらえていた。

ああ、そうか。言葉は要らないんだ。
簡単なことだったんだ。考えるまでもない。こんな事も忘れていたのか、俺は。

俺は奴の後を追いかけた。
387醍醐旅団長:01/09/19 22:01 ID:CJIi0L3c
(ニュース番組をザッピングしながら)

んー、ふふふ♪
騒ぐねえ♪
みんなとても騒ぐねえ(笑) まだまだ萌えに血を猛らす気力は残っていたか、善哉善哉。
みんすぐにでも戦争になりそうな気でいるけどね♪
あいにく事と私はそれほど単細胞でもないんだけどね。
まあ、知恵の輪を解く気がないのであれば、ドカーンと一発やってみるのも一興かもさ(笑)
んーふふふふふん……。
騒げ騒げ、みんな踊ろぜダンシング、全世界をわけのわからないままに騒擾の台風に巻き込んでくれようじゃないか。

このまま音沙汰なければ、あと13時間で宣戦布告……かね(笑)
中佐もビシっと準備オッケーみたいだし、兵士どもは滾りに滾っているし、善哉善哉♪
388みなぎ:01/09/19 22:10 ID:fdcmDu4I
食堂の片隅。

私はひなを寝かしつけながらテレビモニターを眺めていた。
といっても、このモニターの光景はすぐ外で行われている饗宴そのものなのだが。
旅団長の演説が続く。熱・狂・萌。ああ、そうだった。これこそが彼らの彼らたる所以であったか。

「ふーん・・・・・・・・・嵐が・・・・・・来るな・・・・・・」
独り言を言う。
ひなが目を覚ましてしまったようだ。不思議そうに私の顔を覗き込み、首をかしげる。
私はしっぽでひなの頭をなでてやる。

「ゆっくりおやすみ。お前の安眠を妨げるものなど誰もいやしないのだから。」
「にー。」
ひなはまだしゃべれない。が、私の言葉はなんとなく理解しているようだった。
静かにそのひすい色の目を伏せた。

さて、私はいかにすべきか。とりあえず、かのBARの引継ぎを済ませておこうか・・・・・
私はオババにひなを頼むと新潟の葛城さんのもとへ向かった。
389黒き嵐:01/09/19 23:36 ID:CJIi0L3c
南朝と醍醐旅団長が中心となって起きた皇国の騒擾にスベテのメディアは気を取られていた。
いや、軍や気象台でさえも“それ”への監視が疎かになっていたかもしれない。
もとより軽佻なるメディアが“それ”に目を向ける筈もなかった。
もっとも“それ”に気がついたとしても何らかの対策は取れたかどうかは疑問であったろう。

今、皇国はかつてない、強大な“敵”を迎えようとしていたのである。
日本海を季節風に乗ってわかる巨大なる黒い影、いや、その猛威を考えれば“黒い嵐”と読んだほうが正確であったろう。

ゆうに2憶トンを数えるであろう、その不吉なる“黒き嵐”は大陸を何度も恐怖のどん底に落としいれた恐怖の使者であった。
存在自体が人間達を脅かすために突然変異によって生まれる種。
その名を大陸では、こう呼ぶ。
“飛蝗”と。
2憶トンを数える飛蝗たちは今日本海を越えて、豊かなる実りの秋を迎えようとしている東北の穀倉地帯へ、
その貪欲なる食欲を満足させ繁殖する事にを思い至らせるように飛び続けていた。

蒼茫の大地が……
……今、滅びようとしている……
390みなぎ:01/09/20 00:22 ID:0NdvNApY
某所。

葛城さんにもらった手紙にしたがって進む。
そこはどこにでもあるような、町外れであった。
3階建ての古びた煉瓦作りのビルの角を曲がり、郵便ポストを越えて黒猫のブリキ看板が
かかっているビルと倉庫の間の小道を抜ける。
霧がかかっているかのような幻想的な空気を感じつつ進むと、その店はあった。
看板はなく、扉も古びている。が、手入れを怠っている訳ではないらしい。

ドアを開ける。ベーゼンドルファーのピアノが目に入る。抑え目の照明がいい雰囲気を出している。
何か、時間を超越した空気を感じさせた。
「いらっしゃい。」
カウンター内に老人がいた。チェックのベストに蝶ネクタイ。典型的なスタイルだ。
「葛城さんから紹介を受けた者ですが。」
「おおそうか、あんたか。待っておったよ。」
私はカウンターにかけるとレーベンブロイを頼んだ。
よく冷えたレーベンブロイは疲れた体に染みとおっていくようだった。

「さて、わしはゆくとするよ。」
老人はカウンターを出て出口へと向かった。
「あ、待って下さい。まだいろいろ聞きたいことが!」
「ふふふ、この店はもうおまえさんのものさ。好きに使うがええ。」
言い残して老人は店を出ていった。
後を追って外に出たが、老人の姿は、もうなかった。
私はしばし、店の外で立ち尽くしていた。

でむぱ。
BARみなぎ。本店の開店です。自由に出入りして、語らって行って下さい。
このBARは陣営、立場、位置にとらわれず、すべてを受け入れます。
391醍醐旅団長:01/09/20 00:37 ID:lQkiB//.
>>390
―――花輪なんていらない。

BAR「みなぎ」に届く
ひとつの花束と酒瓶、
メッセージには、
「すべての萌えのために」
と、一言。

花束はオーソドックスに可憐な霞草と全てに映える白バラ。
酒瓶は……、ポート・エレン。

―――――――開店、おめでとう。
392皇女:01/09/20 01:09 ID:XR92tPF6
あるいは、その雰囲気の異常に気づかない程愚昧な少女であれば、どれほど楽だっただろう。
広大な射撃訓練場に集められた精兵達の気焔。
それに怯え全ての思考を閉ざしてしまう程臆病だけがその表に出る少女であれば、どれほど幸せだっただろう。
その中で、少女は一人の姿を探していた。
それは、何故こんなに人が集まっているか、という純粋な好奇心ではない。
何故こんなに皆が怖いのか、という純粋な恐怖でもない。
少女は、今ここにこれだけのこうした人間達が集まる意味を知っている。

その理由は?

それを聞かなくてはならないと思ってしまう事の無いただの一個の少女であれば、どれほど爛漫で居られただろう。
しかし、その理由を知る人間は直ぐ傍に居る。
彼を見上げたその姿に、男も既に気づいていた。
少女は、幼いなりの真剣さを持った瞳で見上げ、口を開く。
「りょだんちょうさん…これから、なにがあるのですか?」
393醍醐旅団長:01/09/20 01:15 ID:lQkiB//.
「りょだんちょうさん…これから、なにがあるのですか?」
 その無垢な視線に、罪悪感を覚えないほど男は無神経ではなかった。
 だからこそ、男は誤魔化しもせず、正直に応えた。
「戦いが始まります。ずっと昔あった、あの雪の日のような……人がいっぱい死ぬ戦いです
 本当は……みんな死にたくないでしょう。誰も殺したくないでしょう。
 でも、かつて我々は貴女と殿下を救うために、戦って……
 人を殺し、仲間を死なせてきました。
 だから、だからまた一人皇女を命を賭けて救わなければならないのです。
 それが私たちの“萌え”なのですから……」
394皇女:01/09/20 01:31 ID:XR92tPF6
>>393
「でも、でも、もなこ、りょだんちょうさんたちがどうしたいのか、よくわかんないのですけど…
でも、あのときみたいにしなくても、いいと思うのです。
あのときだって…さいしょはちがったけど、
みんな、なかよくしようとして、それで、ちゃんとできたのです。
もなこも、いっしょうけんめい、なかよくして、って言ったら、
みんなも、ちゃんと聞いてくれて……

それに、りょだんちょうさんだって、
みんななかよくしたいと思ってる、って、ちゃんとわかってるのです。
だから、もなこ、ぜったい、りょだんちょうさんたちが、
けんかなんかしなくても、みんななかよくできると思うのです」
395醍醐旅団長:01/09/20 01:42 ID:lQkiB//.
>>394
「もなこ殿下に、ちょっとツライお話をしなくてはなりませんね。
 あの時、もなこ殿下と殿下はなんの罪もなく囚われてしまいました。
 でも、今度ともえ殿下は帝都において10万人もの人間が死んだ責任を取らされようとしているのです。
 いいですか? 10万人というのは、もなこ殿下が知っている人たちがみんな死んでも足りない人数なのです。
 その罪に問われるのは当然かもしれません。
 しかし、我々はそれを全く否定するために戦うのです。
 正しいのはあちらです、
 無理を言うのは私たちです。
 でも、私は思うのです。
 でも、我々は信じているのです。
 どんなに世間が否定しようとしても、皇女たちこそが正しく、
 今回の核騒動は彼女のせいではない、と
 まったく根拠も証拠も持ってない我々にできるのは、せいぜい戦うことだけなのですから」
と、ここまで述べ立てて、ほっと溜め息をついて。
「みんななかよく……ですか。
 みんななかよくしていて、それぞれつまらない人生を送るのと、
 みんななかよくなくて、それぞれ楽しんで生きるのと、
 いったいどちらが正しいんでしょうね?
 この世のいろんな戦いやらなにやらは、そのために起きていませんか?」

 
396醍醐旅団長:01/09/20 01:50 ID:lQkiB//.
>>395
「ごめんなさいね、もなこ殿下。
 正直に言ってしまうと、
 実は、今の私はかつてもなこ殿下が“いえで”したときと同じ気分なんです。
 こんな窮屈な国の片田舎に閉じ込められて、静かに萌えもハァハァ……(;´Д`)もせず、
 引っ込んでいるのがイヤになっちゃったんです。
 だから、思いきって“いえで”してみようかと思ったんですね。
 みんな、の事なんで考えずにね(笑)」
397大日本帝国駐台大使館:01/09/20 02:04 ID:vq5ynwZ6
「牟田口くん、本国の状況は聞いたか。
 総統に中国大陸の状況を確認するつもりが、我が国の状況を逆に問いただされたよ……
 まったく、何が起きているんだ。大使である自分がなにも知らないなど、恥さらしも良いところだ」
「無論聞きました、大島大使。本国より詳細の説明はありませんが……中央調査隊におる同期より、大体の状況は連絡されております。
 いささか、まずいことになりましたな」
「いささかまずいことではすまないだろう! どうする、計画の変更」
「まぁ、お待ち下さい大使。むしろ、今回の叛徒どもの暴挙は好都合でありましょう?
 賊軍どもの軍事力はわずかに一個旅団。なにをか恐れる必要もありますまい。
 我々は、この賊軍の存在を今日まで許してきた愚昧な軍上層及び芝村主導の政府与党を糾弾し、来るべき決起のときより多くの同志を糾合することができましょう。
 市ヶ谷……いや、政府の後命もない状況なれば、我らは予定の行動を進めれば良いのであります」
「しかしだな……」
「……閣下。閣下は、よもや恐れをなされたのではありますまいな?」
「なっ……!! この大島は仮にも帝国陸軍の中将に任じられた身だ!
 国家の大事にあたって血を滾らせることはあろうとも、怯みを見せることなどない!!」
「ならば、それを証明していただきたい。閣下の言動を横より拝見しておりますと、いかにもぐらつきがあっていささか心配になります。
 閣下の動静、政府に報告せねばならぬというような事態は小官も避けたいのです」
「貴様は…………
 ……まあ、良い。わかった。計画を進めるとしよう」
398皇女:01/09/20 02:26 ID:XR92tPF6
「あの、おまつりのときのことですか?」
「そうです。本当に、沢山の人が死にました。
ごめんなさい、と謝って、皆が許してくれるようなものではないのです」
「……」

わかってはもらえない。
嫌である事をわからなくてはならない。
その事実への半分の拒絶。
その後の彼の言葉を、少女は殆ど聞き入れてはいない様だった。
ぐっとつむいだ口元、両手はワンピースの裾を強く掴んでいて、
顔は流れた前髪で見えづらくなっているが、その表情の想像は容易だ。

彼は一度、言葉を止めた。
それに少女が反応した一瞬に、彼は少女を呼びかける。

「もなこ殿下」
その呼びかけに、少女が重い瞳を持ち上げた。
399醍醐旅団長:01/09/20 02:30 ID:lQkiB//.
「もなこ殿下」
 廣瀬は静かに笑った。
「全てを……許せるようにできますか?
 善行閣下たちは帝国の被害を与えた彼らを許さない、
 私はなにがあろうとも皇女たちを哀しませることは許さない。
 そんな、合い入れない二者のどちらをも。
 私は……期待しているのもか……しれませんね。
 貴女のそんな、無邪気なやさしさに……」
「はぁ? 第5旅団がいきなり出撃準備を始めただと……」

 その、ある意味で全く予想出来なかった一報に対する岩田の正直な感想は一言。
「馬鹿か…」であった。
 言ってから、自分の失言に唇を歪めて苦笑を浮かべた岩田。

「すまない、星野中尉。それで、それはやはり例の醍醐旅団からの放送からなんだな?」
「はい、その通りです。放送中から通信量増大は始まっています」
「正気の沙汰とは思えないな」
「ですが司令、残念ながら噂から聞く崩宮と云う人物であれば、その程度の行動は、
 起こしかねない人物であると判断出来ます」
「………身内の馬鹿にも手を焼いていると云うに…」

 吐き捨てる様に呟く岩田。
 対する星野は、「馬鹿ばっかり…」と云う己の言葉を口中から出すことなく、小さく肩を竦めて、
岩田に対する賛意を示した。
 そして参謀長は、何事も無かったかの様に、先程行っていた報告の続きを続ける。
 主題は、台湾海峡に於ける一連の戦闘の経緯──りゅうおうが収拾した、各種情報の分析結果が
中心であった。
 分析自体は容易なものであった。
 どの様な申し開きも出来ない様、はっきりとした証拠が残されていた。
 そう、訓練艦隊の司令であった神の名に於いて国防省に上げられた報告では、訓練艦隊が正体不明
の潜水艦によって、一方的に攻撃を受け、その上での自衛行動を行ったとされているにも関わらず、
である。

「今までの所、神准将が桜会に対して直接関わっている様な証拠はありません。ですが…」
「それこそ、かの御仁の性格を考えれば、と云う事か。今回の騒動を気に動いた可能性も在るがな」

 ほろ苦い表情で、唇の端を歪める岩田。
「………まぁいい。参謀長それより今は、第5旅団だ。このまま放置していては、洒落にならんぞ?」
「ですな。現状、第5旅団の方が緊急の度合いが高いですな。その本来の指揮官である善行閣下が、
長期休暇をとっておられ、皇居を留守にしていたのが、災いしましたな。これで崩宮殿下の行動を、
抑えられる御仁が、誰一人として皇居に居られないのですから……」
「星野中尉。現状、第5旅団の状態はどうなんだ?」
「はい。北陸戦で極めて甚大な被害を被った第5旅団は、近衛旅団として緊急性が無いため、人員や
装備面での回復は、国防軍部隊に比べて遅々たるものとなっていました。ですが善行少将が着任によって、
それ以降は、各部隊から、善行少将子飼いと呼べる精鋭が集結している為、連隊戦闘団程度の部隊は
編成が可能な程に回復しては居ます」
「その連中は、考慮しなくていい。あの軍人としての分を弁えきった善行閣下の子飼いだ。如何な状況
だろうとも、今回の様な一種の私闘が如き情勢では動くまい」
「でしたら、今回動くのは一個増強大隊──それも普通科のみによる部隊程度だと思われます」
「………その程度か。ならば〈ケルベロス〉隊でも制しきれるかもしれないな」
「司令?」

 その言葉の意味を図りかねて、怪訝な声を上げた星野。
 だが岩田は、暗い笑みを浮かべたまま、参謀長に対して声を掛ける。

「参謀長、〈タイフーン〉戦隊司令の権限にて、〈ケルベロス〉隊に対して出動準備を掛けさせてくれ。
 全ての火器、及び装備の使用も許可だ」
「……皇室に連なる者に銃を向けるのですか。大逆罪に問われる危険性もありますな」
「だとしても、何もせぬ訳にはいくまい。我らは、皇国、そして皇民の安全を護る義務があるのだから」
「まぁ、大丈夫でしょうな。彼等が文民政府からの指令等無い状況下で崩宮殿下の命令で動けば、そして、
銃器を持ったまま彼等が皇居を出れば、彼等は法的根拠を持たぬ、不法な武装集団となるのですから」

 陰々とした雰囲気で、語り合う岩田と参謀長。
 その時であった。
 軽快な打音と共に、厳重な鍵の掛けられていた筈の司令官公室の扉が思いっきり良く開け放たれた。

「岩田司令、大変です」

 おっとりとした口調に、幾ばくかの緊迫感を滲ませたて報告してくるのは、タイフーン戦隊司令部付き
艦隊副参謀補佐代理と云う、永い上に今ひとつ意味の分からない役職に着いている蛯原女史であった。
402大日本帝国駐台大使館:01/09/20 02:50 ID:vq5ynwZ6
「それで、総統との会見は、いかがでしたか。
 これほど総統との会見を待たされたのは、やはり台湾潜水艦の撃沈がわが国の仕業と知れたからでしたか」
「うむ。それなのだが、総統は、上海の劉萌奇政権を認めるつもりだそうだ。
 その理由が、潜水艦を中共に沈められたからだと。明確な叛乱前から軍に動員をかけておいて、今更と思うのだが。
 ……『両国の健全か友好的な関係維持のために』全面的な支持と協力を求められたよ。気付かれているな、当然と言えば当然だが」
「ふはは、そうですか、そのような反応でしたか。
 宜しい、早速本国へ伝えましょう。大陸の平和に貢献を求められている、とね。
 そう、金だけでは総統は満足なさらんでしょうな。血と汗を流す貢献でなくては」
「大丈夫なのか。我が国は台湾に弱みを握られたのではないか。
 今はまだ良いとして、これから幾らでも、無茶な要求が突きつけられる危険はないのか」
「心配は無用ですな。台湾にあるのは推測だけで、なんの証拠もありませぬよ。
 撃沈以前、かなりの深度を航行していた台湾艦の通信は傍受しておりませんし、悪天候が幸いして周囲にはC国の水上艦隊しか存在しませんでした。
 状況証拠のみならなんとでも言いぬけられます。台湾は、軍事衛星もなければAWACSも持ってはおりませんからな」
「……だと良いが」
「無茶を言われれば、その時は攻守陣営を移って台湾を叩けば宜しいのです。
 その頃までには日本は正しき国へと変貌しておりますからな。案ずることはありません」
「君は、単純にものを割りきれるのだな。羨ましい限りだ。
 正しき国、か。叛徒どもにも理想はあるのだろうか。いったい、我が国はどこへ行くのやら……」
「………まぁいい。参謀長それより今は、第5旅団だ。このまま放置していては、洒落にならんぞ?」
「ですな。現状、第5旅団の方が緊急の度合いが高いですな。その本来の指揮官である善行閣下が、
長期休暇をとっておられ、皇居を留守にしていたのが、災いしましたな。これで崩宮殿下の行動を、
抑えられる御仁が、誰一人として皇居に居られないのですから……」
「星野中尉。現状、第5旅団の状態はどうなんだ?」
「はい。北陸戦で極めて甚大な被害を被った第5旅団は、近衛旅団として緊急性が無いため、人員や
装備面での回復は、国防軍部隊に比べて遅々たるものとなっていました。ですが善行少将が着任によって、
それ以降は、各部隊から、善行少将子飼いと呼べる精鋭が集結している為、連隊戦闘団程度の部隊は
編成が可能な程に回復しては居ます」
「その連中は、考慮しなくていい。あの軍人としての分を弁えきった善行閣下の子飼いだ。如何な状況
だろうとも、今回の様な一種の私闘が如き情勢では動くまい」
「でしたら、今回動くのは一個増強大隊──それも普通科のみによる部隊程度だと思われます」
「………その程度か。ならば〈ケルベロス〉隊でも制しきれるかもしれないな」
「司令?」

 その言葉の意味を図りかねて、怪訝な声を上げた星野。
 だが岩田は、暗い笑みを浮かべたまま、参謀長に対して声を掛ける。

「参謀長、〈タイフーン〉戦隊司令の権限にて、〈ケルベロス〉隊に対して出動準備を掛けさせてくれ。
 全ての火器、及び装備の使用も許可だ」
「……皇室に連なる者に銃を向けるのですか。大逆罪に問われる危険性もありますな」
「だとしても、何もせぬ訳にはいくまい。我らは、皇国、そして皇民の安全を護る義務があるのだから」
「まぁ、大丈夫でしょうな。彼等が文民政府からの指令等無い状況下で崩宮殿下の命令で動けば、そして、
銃器を持ったまま彼等が皇居を出れば、彼等は法的根拠を持たぬ、不法な武装集団となるのですから」

 陰々とした雰囲気で、語り合う岩田と参謀長。
 その時であった。
 軽快な打音と共に、厳重な鍵の掛けられていた筈の司令官公室の扉が思いっきり良く開け放たれた。

「岩田司令、大変です」

 おっとりとした口調に、幾ばくかの緊迫感を滲ませたて報告してくるのは、タイフーン戦隊司令部付き
艦隊副参謀補佐代理と云う、永い上に今ひとつ意味の分からない役職に着いている蛯原女史であった。
404皇女:01/09/20 03:50 ID:XR92tPF6
じっ、というよりは、もっとずっと懸命に見つめた瞳で。

「もなこは…おにいちゃんも、りょだんちょうさんも、だいすきなのです。
それに、ともえちゃんも、なのです。
だって、だって……」

言いたい言葉を見つけるのにもどかしそうに。

「…んーと…もなこ、りょだんちょうさんの言うようにするのがほんとにいいのか、わかんないのです。
でも、やっぱり、やっぱり、みんながなかよくするのがいちばんいいって、もなこ、思うのです。
それで、もなこ、どうしたらみんながなかよくできるかな、って、がんばってかんがえるのです。
だから、だから…」

ぎゅうと掴んだ裾の手に、大きな瞳から涙がひとつぶ落ちた。
405House Divided:01/09/23 22:43 ID:IZ1zqBOY
渋谷ハチ公前。駅前から見える電光掲示板に、突然、一群のアルファベットが
あらわれる。

Suppose ye that I am come to give peace on earth? I tell you,
Nay; but rather division:
For from henceforth there shall be five in one house divided,
three against two, and two against three.
The father shall be divided against the son, and the son
against the father; the mother against the daughter, and the
daughter against the mother;

「汝、我が地に平和を齎すため来たりしと思うや?我汝に告ぐ。然らず、むしろ分争
 なり。これより後、一家に五人あらば、三人は二人と、二人は三人と別れ争わん。
 父は息子と、息子は父と、母は娘と、娘は母と」

同時刻、心斎橋通称ひっかけ橋付近の電光掲示板。

And if a kingdom be divided against itself, that kingdom cannot stand.
And if a house be divided against itself, that house cannot stand.

「もし、国別れて争わば、その存続は叶わじ。もし、家別れて争わば、その存続は叶わじ」

何事かと足を止める人々。
406大隊指揮官:01/09/24 01:35 ID:bJVeJcVM
奈良県吉野郡大淀町吉野大橋近傍

「県道17号線と37号線は奈良県警によって封鎖されています。また、国防軍ですが
 第三師団の全部隊に緊急呼集がかかっています。第十師団も同様です。空軍につ
 いては、小松の航空団のDEFCONが1に上げられました」
「はいはい、ご苦労さん、っと。で、我々の任務は県警の封鎖線が突破されたとき
 のための予備ってことだね。もしかして、時間稼ぎの捨て石かい」
大隊指揮官が唇の端を大きく歪める。菊水@甲もそれにあてられたのか、普段は美
しいその顔にひどく歪んだ笑みを浮かべた。
「警察力で対応できなければ、軍を投入するしかありません。何事も段階を踏んで、
 そういうことでしょう」
「いや、文民統制とは素晴らしいね。いつから殺し合いにそんな面倒な手続きが必要
 になったんだい?FAEの二・三発で片がつくのにさ」
「政府の上層部は混乱の極みですから。我々が派遣されただけでも上出来とすべき
 では?」
「いや〜、でもさ、南朝の機械化大隊が出てきたら我々はどうすんのさ。軽火器でど
 うこうできるような相手じゃないよ」
「転進、ということでよろしいのでは。死守命令は出ておりませんし」
「あ、懐かしい台詞だねえ。思い出したくもないあの1941年の冬。燃料もない、機関
 銃は、潤滑油が凍結して動作しない、冬服なんてないからロシア人どもから奪い取っ
 た血まみれの外套や長靴で寒さをしのぐ。そして、弾薬の割り当ても少ないから敵
 とはスコップでの殴りあい。きみ、そんな戦争のただなかにいることがどんなこと
 か想像できるかね」
「今の状況よりはずっとましに聞こえます」
「そうだねえ。もし一つの家分かれて争わば、その存続は叶わじ、か。知ってるかね?」
「マルコ伝の3:25ですね。たしか、リンカーンの有名な演説もこれで始まっていたかと」
「ああ、あの時は奴隷とその主人だった。今回は……、考えたくもないね」
「司令、全小隊配置につきましたにゃ。ご命令があればいつでも戦闘に参入できますにゃ」
猫耳に迷彩の入った戦闘服というひどくちぐはぐな格好をした隊員が大隊指揮官に告げる。
「はい、ご苦労さん。今日は久しぶりに食べ放題かもね。部下にもそう伝えるように」
それを聞いた途端、隊員の目が輝く。右手を上げる敬礼をした後、隊員は部下の下へと
走り去った。
「食べ放題ですか?」
「ま、それまで生きていられたら、それくらいは褒美にすべきだろうさ」
407名無し三等兵:01/09/29 05:54 ID:IZ2EeDp.
久し振りに“あれ”をやるぞ
408名無し三等兵:01/09/29 19:39 ID:V4T0KckA
 大隊指揮官さんもヘルシング四巻が出たから浮き足立ってるねぇ(笑)
409大隊指揮官:01/09/29 22:43 ID:XaczbfiE
>>408
あんた粛清(笑

#懐かしいフレーズだな……
410名無し三等兵
 旅団長はどうしたんだ??
皇女を助けるんじゃなかったのか??