1 :
名無し三等兵 :
2001/07/19(木) 20:12
リレー小説?!「日本,統一台湾vs米国vs何とか半島」[三つ巴の戦い!]
>前スレ753 目指す漁港には、予定時刻の3時間ほど前にたどり着いた。 住民はみんな避難したか殺害されたのであろう、人の気配がまったくしない。 それでも、2人は車で直接乗り付けるような愚は避けて、数キロ手前から徒歩で 漁港に接近した。 「はちまき」 漁港を見下ろす高台から、双眼鏡で仔細に観察を続けていためがねが言った。 「なんだよ?」 トラックから引っ張り出した大小の荷物を、必要以上に丹念に検分しながら、 はちまきがこたえる。 「あの娘たち、生きて道南にいけるかな」 「俺達にできるのは、あの場から救い出すことだけだ」 はちまきの口調は、叩きつけるかのようだった。 数時間前の、苦い情景がいまだにこびりついているに違いない。 「あとは運だな」
>>3 トラックの中は、情交時に特有の生臭さとエンジンオイルのあぶら臭さで
息が詰まりそうだった。
その中には、木製のコンテナが半ダースほどと、後ろ手に手錠をかけられた
2人の少女がいた。
その少女達がどのようなありさまであったのか、そして彼女達に降りかかった
災厄がどのようなものであったか、詳しく調べるまでもなかった。
そしてそれは、過酷な経験を重ねてきたはずのはちまきを打ちのめすに十分であった。
俺達は、日本で戦争をしているんだ。
ふいに、その当たり前の事実がはちまきの脳裏に強烈なインパクトを伴って打ち込まれた。
少女の片方は、精神がどこか遠くに行ってしまったらしく、
トラックのサイドパネルの錆を熱っぽい視線で見つめながら、
おねがいですなんでもしますからいのちだけはと繰り返している。
取り合えず、20ページめくらいでボクが出てくる。
>>4 どうにか正気を保っていたもう一人に、状況を飲み込ませるのに30分ほどかかった。
着替えを与え、ドライブインで飲み物を飲ませることで落ち着かせたのだが、
おおむね想像がつく状況を詳しく聞く気にもなれなかった。
少女たちの看護をめがねにまかせたはちまきは、再びトラックの中に入る。
どうやら、あのロシア人はこのトラックで移動していたらしく、比較的調べるべき
ものがたくさんあった。
目的地の状況を把握できるような文書の類は見つからなかったが、そのかわり持っていける
装備はそれなりにみつかった。
>>6 数十分かけてトラックの中を改め、持っていくものをきめた。
装備一式を数回に分けてトラックの外に持ち出したはちまきのもとに、めがねが
近寄ってきた。
「どんな感じ?」
「けっこうつかえるものがあるぜ。たとえばこれだ」
そういいながら、はちまきは手にしたドラグノフ狙撃銃をかざす。
「スナイパーライフルか。これなら遠くでもうてるね」
めがねはうれしそうな表情になった。
さっきは、100メートルの距離からAKで敵を狙撃せざるを得なかったのだ。
敵が烏合の衆も同然であったからうまくいったようなものの、統制の取れた部隊で
あったら確実に反撃されていたであろう。
>>7 「あとの掘り出し物はRPGの弾頭だ。持ってきた3発じゃこころもとなかったが、
これだけあればなんとかなるだろう」
はちまきは、地面に置いたコンテナを顎で示した。
「ほかには?」
「AKの弾とか、食い物だな。全部担いでいくことはできないが、車に積めば」
そこまでいって、はちまきは唐突に言葉を切った。
「どしたの?」
めがねの問いを無視して、はちまきは振り返った。
視線の先にあるドライブインの入り口から、正気を保っていたほうの少女が
よろめくように出てきた。
>>8 少女は、こわごわとめがねに問い掛けた。
「あの・・・・みなさんはどちらにいかれるのですか?」
めがねがなにか言いかける前に、はちまきがこたえた。
「あっちだ。ここから20キロほどの漁港にいく」
掌を口元に当て、少女が声を詰まらせた。
「でも、あっちはもうロシアが」
「俺達は戦争しに来たんだ。だから敵のいるほうに行く」
少女は下を向いてしまった。
「そうですか・・・・・」
とりつくろうように、めがねが明るく尋ねた。
「車の運転、できる?」
「は、はい・・・・・・」
めがねは、乗り付けてきたマーチを親指で指した。
「あれに乗ってきなよ。ここらには、まだ敵も味方もほとんどいない。
うまくすれば、道南までいけるかもしれないよ」
「わかりました・・・・・・」
少女の声は、どこまでも沈んでいた。
無表情に2人のやり取りをみていたはちまきは、めがねにいった。
「話は決まったな。めがね、おまえはドライブインの車を適当に見繕って
エンジンかけとけ。俺は荷物を用意する」
九州戦線 福岡県と熊本県の県境に面する筑肥山地。ここには中国軍の移動式早期警戒レーダー6基が 展開していた。九州南部から飛び立つ自衛隊機は殆どは、このレーダー群に探知されることを 前提に北九州攻撃に向かわねばならなかった。 有効な対レーダー攻撃装備を持たない自衛隊は、巧みに移動し、巧妙に偽装されたこのレーダー群を 捕捉できなかった。北九州上空における航空優勢を確保し、対地攻撃を有効に行なうためには このレーダー群を壊滅させることが必要だった。 7月20日、この日も6基の中国軍レーダーは相互に電波管制を繰り返し、逆探知を避けつつ 日本側の航空機の動静を監視していた。 未明、突然多数のミサイルが全てのレーダー基地に撃ち込まれた。レーダーアンテナ、トレーラー、 電源車、諸々の装備・車両が次々に爆発、炎上した。 「敵だ!」「どこだ!」中国兵達は見えざる敵からの攻撃に驚き、混乱した。ミサイル攻撃が続く中、 彼らは暗い山間にヘリの音をかすかに聞いた。 その直後、中国兵達は30ミリ機関砲弾によってしらみ潰しに殺されていった。 中国軍レーダー基地を攻撃したのは湯布院を飛び立った米陸軍第17航空旅団のAH−64 攻撃ヘリコプター24機だった。「カミカゼ・アタッカーズ」と呼ばれるそのAH−64部隊は それぞれ2〜4機の編隊を組み、暗夜の山間を這い回るようにして筑肥山地の中国軍レーダー基地 に殺到し、基地施設をヘルファイアATMで撃破し、中国兵達を30ミリガンで皆殺しにした。 敵が九州南部を監視できる「目」を失った直後、北九州上空にBQM−34標的ドローン6機が侵入した。 豊後水道に展開した海上自衛隊訓練支援艦「くろべ」「てんりゅう」から発射されたその標的ドローンに、 北九州市とその周辺の中国軍レーダーが一斉に立ち上がった。 しかし多数の早期警戒レーダー、SAM捜索レーダーは強力なジャミングにより、すべて 使用不能になった。米海軍のEA−6B電子戦機が電子妨害を始めたからだ。 さらに空自のRF−4E偵察機が北九州上空に大量のチャフを散布し始めた。中国軍の防空指揮官は 敵の対レーダー攻撃を察知し、各部隊にレーダー停止を命じた。しかし遅かった。 電子妨害を行なっているEA−6Bと、米空軍第354戦闘航空団のF−16戦闘機が HARM約60発を中国軍レーダーに撃ち込み、その殆どを破壊した。 また東シナ海に展開した米原潜からはトマホーク巡航ミサイル約30発が発射され、 中国軍の指揮施設、通信施設を破壊した。 北九州上空には福岡空港を基地とする北朝鮮空軍のミグ29戦闘機4機が警戒飛行していた。彼らは レーダーをジャミングされ、暗い空を右往左往するだけだった。地上のGCIとの交信は関門海峡 上空を飛行する米空軍のEC−130「コンパス・コール」によって妨害され、敵機の位置がまったく 分からなかった。そして4機のミグ29は何も分からないまま、空自のF−15Jが発射したスパロー AAMによって撃墜された。 F−15Jや電子戦機による支援の下、空自臨時集成第5飛行群のF−4EJ改・26機、 米空軍第8戦闘航空団のF−16・48機、自由韓国空軍第161戦闘飛行隊のF−16・18機の 計92機に及ぶ戦術戦闘機が中国軍の対空ミサイルや対空砲の陣地へ攻撃を開始した。 「こんな攻撃は始めてだ」 「敵は本気だ」 地下シェルター内の中国軍司令部の将校達は青ざめた顔で口々に言った。 この日、航空自衛隊は多国籍合同軍の航空反撃作戦「ドラゴン・バスター」と連携し、 「第4次航空総攻撃」を開始した。これは第1次から第3次までの航空総攻撃をはるかに 上回る規模であり、自衛隊の総力を挙げた航空作戦だった。 そしてもちろん、作戦が実施されているのは九州戦線だけではなかった。
北海道戦線 この正面においても、航空攻撃の主力は米軍だった。 米空軍の地上目標監視機E−8「ジョイント・スターズ」は、札幌〜千歳間で陸自第7師団を 圧迫するロシア軍機甲部隊の動静を監視し、それに基づいて空自臨時集成第3飛行群のF−2や F−4EJ改、それに米空軍第35戦闘航空団のF−16が激しい攻撃を行なった。 そしてロシア軍の後方地域に対しては第3戦闘航空団のF−15Eによる猛爆撃が実施され、 予備兵力や補給物資などを徹底的に破壊した。 激しい爆撃にさらされるロシア軍の上空をカバーする戦闘機の姿は無かった。数機の スホーイ27やミグ31が米軍機への反撃を試みたが、AWACSによって管制された 米空軍第18戦闘航空団のF−15Cや空自臨時集成第2飛行群のF−15Jによって 例外なく撃墜された。 そしてロシア本土も米軍の攻撃にさらされていた。 日本海に展開した空母「キティホーク」と「ハリーS.トルーマン」を中心とした 2個空母戦闘群を構成する4隻の巡洋艦、7隻の駆逐艦、そして8隻の原潜からトマホーク 巡航ミサイルが次々と発射され、ロシア軍の防空施設を破壊した。 またグアムから飛来した第2爆撃航空団のB−52Hも巡航ミサイル攻撃に参加した。 核攻撃にも耐えられるように設計されたハバロフスクの極東軍司令部に対しては、米本土から 飛来した第509爆撃航空団のB−2爆撃機が4700ポンドGPS誘導爆弾を投下した。 そして2個空母戦闘群から飛び立ったF/A−18Cはウラジオストクなどの港湾施設を爆撃した。 ロシア軍の防空部隊は米軍機数機を撃墜したが、米軍の攻撃を阻止することはできず、ほぼ 一方的な展開となった。 ロシア軍の進撃は止まろうとしていた。
朝鮮半島の統一朝鮮軍や中国軍に対しても攻撃が行なわれていた。 空母「ジョンC.ステニス」と「エイブラハ・ムリンカーン」の両空母戦闘群からは多数の トマホークが発射され、防空施設を攻撃した。 そして特に強力な防空網が構築されているピョンヤンに対しては、嘉手納から飛び立った 第49戦闘航空団のF−117が攻撃を行なった。また地下施設に対してはハバロフスクと 同様にB−2が攻撃を実施した。 さらに第27戦闘航空団のF−16や空母戦闘群のF/A−18も攻撃に参加した。 また、広東省や福建省、海南島に対しても第388戦闘航空団のF―16とオーストラリア空軍の F−111Cによる攻撃が行なわれた。 15日間わたる大航空攻撃作戦「ドラゴン・バスター」はこうして開始された。
13 :
で :2001/07/20(金) 04:48
読売新聞朝刊より 「アメリカ軍反撃開始 ハバロフスク・ウラジオストクを空爆」 「都庁前広場にて捕獲兵器のT−80戦車を公開」 「野菜等の出荷量下がり気味」
>>9 「そろそろ時間だぜ」
めがねの声に、はちまきは我に返った。
腕時計をみると、確かに予定時刻-少なくとも、サングラスから教えられた時刻の
数分前を指していた。
俺としたことが。ぼんやりしちまってたな。
自嘲気味にはちまきは思った。
「でさ、とりあえずどうすんのさ?」
ドラグノフを構えためがねが尋ねた。
もちろん、わからないから尋ねているのではなく、あらかじめ打ち合わせた方針を
確認するためのめがね独特の言い回しだ。
それがわかっているはちまきは、落ち着いた声で返した。
「予定通りだ。俺がRPGをぶち込んで奴らを混乱させる。めがね、おまえは目立つ奴を
片端から撃ってしまえ」
「混乱させればオワリってわけね。了解」
そういいながら、めがねはドラグノフのスコープを覗き込む。
はちまきは、RPGの発射準備を整えながら、サングラスの言葉を思い出していた。
>>14 「実に簡単な任務だ」
サングラスは、そう前置きした。
「一言でいえば、亡国の輩による売国的行為の妨害だな」
「何時代の言い回しだよ、それ」
めがねが突っ込んだ。
いささか気分を害した表情を浮かべたサングラスは、それでも声を荒げることなく
懐から数枚の写真を取り出して言った。
「見たまえ」
隠し撮りと思われる写真は、半分がいかにも怪しげな白人が被写体であり、もう半分は黄色人種だった。
黄色人種のほうも、どうみても堅気には見えない。
「そこに写っているのは、シベリアを根城とするマフィアの日本担当幹部と、新宿で勢力を誇る博徒の末裔だ」
「ロシアン・マフィアとヤクザねえ・・・・・・」
めがねが、何を思ったか写真を手に取り、蛍光灯の明かりに透かし見る。
「われわれは、とある情報源から彼らが非合法な取引を行う旨知らされた」
>>15 「スパイ・・・・か?」
ソファの上で前かがみになったはちまきが、サングラスをねめつけながら問う。
「ありていに言えばな。取引日時はXX日の22時、場所はここだ」
やや過剰ともいえる身振りではちまきの問いに応じたサングラスは、芝居がかったしぐさで
軍用地図の一点を指差す。
そこは、北海道の北にある小さな漁村だった。
「ふーん、戦場で非合法な取引、ねえ・・・・・・」
感心したようにめがねがいう。
「物はなんだ」
畳み掛けるはちまきに対して、サングラスは、そっけなくかぶりを振った。
「詳しくはわからん。だが、ロシア原産のものでないらしいことははっきりしている」
「なら、核弾頭とかそのへんじゃねえな」
>>16 「このへんは推測になるが、おそらく北朝鮮もからんでいる」
サングラスはソファから立ち上がった。
「独裁体制である北朝鮮においても、戦争を行うにあたっては海外と取引をしなくちゃならん。
それに、親愛なる指導者の威光だけでは、ブローカーは納得しないしな」
「だから、取引先であるロシアにモノで支払いをして、ロシアはそれを換金しようとしている」
はちまきが後を引き取った。
「最終的に支払われる金は、日本国民の稼ぎということだ」
売国云々の言い回しを使う理由を納得しただろう、といいたげにサングラスが締めくくった。
「君達の任務は、この取引を妨害し、可能ならば写真の男達を一人残らず抹殺することだ」
「・・・・・・・・」
「アメリカがはいってくればこの戦争もすぐ片付くだろうが、それにはもう少し時間がかかる。
そのあいだ、日本国民の稼ぎを侵略者どもに譲り渡すことは到底容認できないからな」
>>17 流れ者の愛国者と左翼くずれの国会議員が、売国奴を処刑か。
引き金を引けばいつでも発射できる状態にしたRPGを肩に担ぎながら、
はちまきは思った。
ふと、となりのめがねを見る。
めがねがかぶっていたM1ヘルメットには、いつの間に用意したのか、
極太マジックで「露帝粉砕」と角張ったフォントで手書きされていた。
「おまえなあ・・・・・なんだよ、左翼のくせに露帝って」
さすがにあきれた声音で、はちまきがいう。
「これ?別にいいじゃん。ロシア人は敵なんだし」
「まあ、おまえがいいならいいんだけどよ」
ぶつぶついいながら、はちまきはRPGを構えなおす。
照準は、漁港のすぐわきにある駐車場と思しき広場につけた。
これといった特徴がない漁港で、初めて奴らが顔を合わせるなら、あそこが
目印になるだろうからだ。
スコープを覗き込んでいためがねが、押し殺すようにささやいた。
「きたぜ、ロシア人が先だ」
漁港に通じる道を、数台のトラックと2台の装輪装甲車が走ってくるところだった。
19 :
名無し三等兵 :2001/07/21(土) 02:40
あげますです
20 :
19 :2001/07/22(日) 01:10
さ、再度あげさせていただきます(~_~;)
21 :
ファン :2001/07/22(日) 02:25
超優良スレ。続編求む。あげ。
22 :
世界最悪最強軍 :2001/07/22(日) 02:28
∩ |~~| ,,,,,,,,,,,,, |~~| [,,|,,,★,,|,] | | / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ( `Д´)/ / 人民軍は世界最強の軍隊ニダ! /|\/| / \______________ / |~~|:~~ / ____| | |: | __ \  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ \ ||\ \ ||\|| ̄赤化統一! ̄|| ̄ || || ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|| .|| ||
23 :
245 :2001/07/22(日) 07:58
>>18 「マフィアというから、てっきりリムジンか何かで乗り付けてくると思ったんだけどな」
はちまきのほうをふりかえろうともせず、ドラグノフを構えたままめがねがつぶやいた。
「規模は?」
同じく、RPGを漁港のほうに向けたままはちまきがたずねた。
「装甲車が2両だ。BTR−80ってーのかな、8輪のやつが1両と、BRDMが1両。
あとは幌付きのトラックが3台といったとこだな。人数のほうはよくわからないが、
あまり周囲の警戒には熱心じゃないみたいだ」
「合計5両、うち装甲車が2両か・・・・・・」
「少なくとも、この鉄砲じゃあれは無理だと思うよ」
24 :
245 :2001/07/22(日) 08:09
>>23 はちまきは、ほんの数秒思案した後で言った。
「めがね、位置を変わろう。おまえは漁港の見張りを頼む」
「今2人でやっちまったほうがよくない?」
スコープから目を離さずに、めがねが提案した。
「ゲストを確認してからだ」
そういいすてながら、めがねの隣に移動する。
めがねが、はじめてスコープから顔を上げ、今まではちまきがいた位置に移動
しながらぼやいた。
「敵の数は少ないほどいいけどね・・・・・・・」
それにはこたえず、はちまきはRPGを構えなおす。
敵の数は、めがねが報告したとおりだった。
漁村の入り口付近で、装甲車は左右に別れて停止し、トラックだけが漁港目指して
進んでいく。
その様子を確認したはちまきは、めがねに告げた。
「装甲車は入り口で止まった。トラックだけが漁港に向かっているぞ」
「了解、確認した。ゲストは・・・・・・・なんてこった」
「どうした?」
25 :
245 :2001/07/22(日) 08:20
>>24 めがねは、呆れたような感心したような、妙な声を上げた。
「ゲストを確認した。聞いて驚け。なんと漁船で直接乗り付けてきやがったぜ」
「本当か?」
さすがにはちまきも驚く。
漁村から外部に通じる道が一本しかないため、来るならマフィアと鉢合わせしないような
経路を選ぶであろうとは想像していたが、まさかここまでノコノコ船でくるとは予想だに
していなかったのだ。
「本当さ。おっと、トラックから人が降りてきたな・・・・・・お、あれは写真で見た白人だ。
お供を20人ばかりはべらせてるな。軍人らしい格好じゃないから、マフィアの一味だね」
「ゲストのほうは?」
「今桟橋から人が降りてくるところだ。写真の主はまだ確認できない」
さて、どうすべきかな。
はちまきは自問した。
すんません。むちゃ忙しくて情勢つかむのに時間かかりました。 私もカキコしていいっすか? 皆さんの見ていると自信が・・・
27 :
245 :2001/07/22(日) 10:57
>>26 さん
私がこたえるのもなんですが、全然問題はないと思います。
といいますか、今書き込みしてるのが私と398さんだけみたいなので、
ぜひともお願いいたします。
(このスレは、多くのひとが加わってこそ面白くなりますし)
28 :
245 :2001/07/22(日) 11:11
>>25 照準眼鏡ごしに見る2両の装輪装甲車のクルーは、あまり周囲に注意を
払っていないようだった。
2両とも砲塔ハッチを無造作に開け、車長と思しき人間が身を乗り出していた。
他にもいるはずのクルーは、外に出てくる気配がない。
「めがね、予定通りにやるぞ」
はちまきは、RPGのトリガーに指をかけた。
「1、2の3で俺が装甲車をやる。おまえは、写真の男を撃て。余裕があれば俺もRPGを
そっちに打ち込む」
「わかった。今写真の男を全員見っけた」
めがねの返事を聞いたはちまきは、RPGの照準をBTR−80に合わせた。
ねらいは砲塔につける。
トリガーを引きさえすれば、BTRはその薄っぺらい装甲をぶち抜かれて燃え上がるだろう。
その後、可能な限り素早く次弾を装填し、BRDMだ。
大きく深呼吸したはちまきは、ゆっくりと言った。
「よし、じゃあいくぞ。1、2の・・・・・」
「待て!」
めがねの声は、静寂の中で飛び上がるくらいの勢いだった。
いったいなにが?
そう問い掛けるより早く、めがねがさらに畳み掛けた。
「ボウイだ、ボウイがいる!」
29 :
245 :2001/07/22(日) 11:32
>>28 RPGを地面に置き、すばやくめがねの隣に並んだ。
ウェストポーチから双眼鏡を取り出し、めがねと同じ方向に向ける。
双眼鏡の向こうでは、マフィアとヤクザが親しげに何か語り合っていた。
その背後では、双方の手下がそれぞれ実に重そうにジュラルミンケースと
金属製のコンテナを運び出している。
「どこだ?」
「ジュラルミンケースを運んでいるデブから数えて3人左。一番漁船に近いところ」
いた。
十数年ぶりに再会したボウイは、ニューヨークヤンキースのヘルメットが帽子に
変わっただけで、そのほかはまったく昔のままだった。
ポケットに手を突っ込んで、興味なさそうに煙草を吹かしている。
腰にさげた拳銃は、どこで手に入れたのか昔と同じS&WM29だった。
ボウイ・・・・・なんでこんなところに。
思いがつぶやきとなっていたのだろう。めがねがはちまきの方をみていった。
「こりゃ、予想外もいいところだよ」
>>26 40普連さん
お久しぶりです。暑いし、忙しいでしょうが、ぜひ書いてください!
当方も245さんに同意であります。
休みだからもっと書けると思ったのですが、当方も家族サービスやらなんやらで・・・。
とほほ・・・。でもがんばります。よろしくお願いします!
32 :
海の人 :2001/07/22(日) 16:19
>>26 全然おっけーですよ:-)
別に締め切りありわけじゃないですし、のた〜っと週一とかですすめていけばよいのでわ:-)
・・・それにしてもプーチンいよいよ核ボタンに向かって歩みだし、北海道では思わぬ
再開を果たし・・・これからさきも楽しみにですね〜:-)
33 :
で :2001/07/23(月) 00:52
九州方面に展開中の中国軍も気になります。
そのMig-31B「隼1」は高度9000メートルをマッハ1.8で飛行していた。 眼下には沿海州の山岳地帯が広がっていた。はるか前方の厚い積雲がなければ日本海も見えるだろう。 大げさな宇宙飛行士のような与圧服に身を固めたパイロットは、後席のレーダー員の指示を受けつつ 45トンを超える鋼鉄の鳥を操っていた。 巨大な2基のターボファンエンジンはアフターバーナーのオレンジ色の火焔をテイルパイプから 噴き出しながら、1基あたり10トンを越える推力を発揮していた。 もちろん対比物が無いから、高速飛行をしている実感はない。振動と機体のきしむ音が若干気に障るだけだ。 エンジンは機体を高速で推し進める代償に、大量のジェット燃料を飲み乾している。 ミッションの殆どを高速で飛行する予定なので、空気抵抗になるだけの増槽は初めから搭載していない。 帰投時に予定されているタンカーとのランデブーに失敗すれば、基地までたどりつけない。 (タンカーどころか、基地だって無事かどうか・・・) パイロットは心の中でため息をつきながら思う。20日から開始された敵の航空大反攻によって、 極東ロシア空軍の飛行場や防空施設はことごとく破壊されている。 「隼1」が所属する防空飛行連隊もホームベースはほぼ完全に破壊されてしまった。事前に分散配置 された「隼1」を含む数機が、野戦飛行場で生き残ったに過ぎない。 「隼1」は離陸した直後からヤンキーのAWACSに探知されていた。レーダー警報装置が米空軍の AWACS・E−3のAPY−2レーダーの電波を探知したことを離陸直後から知らせている。 なんとか存在を秘匿してきた野戦飛行場も、これで敵の知るところとなっただろう。 (イマイマしい奴だ・・・) パイロットは思った。あいつさえいなければ。あの背中にレドームを背負って、こちらの動きを始終 追い続けるあのAWACSさえいなければ。味方の迎撃機はことごとく返り討ちに遭っている。 敵の戦闘爆撃機は我が物顔でロシアの大地を飛び回り、爆撃して回っている。 もちろんイマイマしいのはAWACSだけではない。津波のようなジャミングを仕掛けてくるEA−6B、 僚機との交信さえ許さないEC−130コンパスコール、執拗にこちらを追い立てるF−15・・・。 みなイマイマしい。 (しかし・・・) パイロットは思う。とにかくあのAWACSさえ撃ち落せば、味方が有効な迎撃を行なえる。たとえ短時間で あっても・・・。 「隼1」の任務はまさにそれだった。決死の覚悟で敵の電子の要塞、AWACSを撃墜するのだ。 吸い込まれるような蒼空をMig−31Bは自らを探知している電波源に向かって飛び続けた。
>>34 「隼1」のザスロン・レーダーは前方を捜索していた。ダークグレーに塗られた大きなレドームの
中で、ザスロンの大口径のフェーズドアレイ・レーダーアンテナが電波の目で敵を探している。
E−3のAPY−2レーダーは捜索距離400キロ。ザスロンの捜索距離は200キロ弱、追尾距離は
120キロ。AWACSはこちらを探知しているのに、こちらはまだ探知していない。
とにかく高速で飛行し、AWACSをザスロンの探知範囲に入れなければならない。
本来なら敵の逆探知を防ぐためにザスロンを停止してパッシブでAWACSの電波源を目指せばいいのだが、
「隼1」はその前に立ちはだかってくるであろうF−15の動きも追わなければならない。
だから逆探知を覚悟でザスロンを使用しているのだ。
パイロットはチラリと右側方を見た。見えるはずはないが、はるか右の同高度を「隼2」が飛行してるはずだ。
「隼2」のザスロンは低空を捜索している。低高度から上昇してくるかもしれない敵戦闘機を警戒しているのだ。
データリンクで両機は互いのレーダー情報を共有している。こちらにAWACSが存在しない以上、自らがAWACSの
代役を果たさなければならない。
敵はすでにF−15を向かわせているだろう。探知範囲ならF−15のAPG−70もMig−31Bのザスロンも
似たようなものだ。APG−70の電波を探知するか、F−15そのものを探知したら、出来るだけ交戦を回避し、
AWACSに向かわねばならない。
「探知!APG−70だ!近くにF−15がいるぞ。警戒!」レーダー員が報告する。
「了解」パイロットは冷静に答える。兵器システムON。兵器選択スイッチを長距離AAM・R33にセットする。
するとすぐにレーダー員が報告する。
「『隼2』レーダー探知、方位30度、距離150キロ。低空より高速で上昇してくる航空機2機。F−15と思われる」
(来やがった・・・!)パイロットは心拍数が上がるのを感じながら思う。
その直後、さらにレーダー警報装置のブザーが鳴る。
「さらに前方にレーダー探知!15度、距離160キロ。高速で対進する航空機2機。これもF−15だ」
レーダー員が報告する。今度は「隼1」のレーダーが探知したのだ。
「くそっ!F−15が4機も来るのか!」
パイロットは思わず毒づく。とても逃げ切れない。
(こいつらと戦わなければ、AWACSに近づけない・・・)パイロットは覚悟した。
「長距離戦闘、F−15を攻撃する。『隼2』にも伝えろ」パイロットは指示する。
レーダー員はデータリンクで「隼2」に戦闘開始を指示する。
相対速度はあまりに高速だ。F−15との距離はどんどん詰まっていく。120キロを切った。
ザスロンは捜索モードから追尾モードに変わる。
間隔を開けて高速で突進する2機のMig-31BはF−15に対し攻撃を開始しようとしていた。
36 :
名無し三等兵 :2001/07/23(月) 22:03
>前スレ398さん 読ませていただいている当方の心拍数も上がっております! 詳細な描写が形作る緊張感に拍手!
37 :
名無し三等兵 :2001/07/23(月) 22:19
よっしゃ!頑張れMig−31!!
38 :
>>4 :2001/07/24(火) 00:43
少女がロスケになにされたのれすか? 詳細キボ〜ン
39 :
331 :2001/07/24(火) 01:12
「閣下、・・閣下!?」 「・・ンン、あぁ君か。」 「どうかなさいましたか」 「うむ、今考え事をしていた。大丈夫だ。ところで準備のほうはどうかね」 「閣下、その報告を今携えてまいりました。準備は全て整ったとのことです なお、わが軍は反乱軍を各所で制圧し、極東地域の30%を奪還しました また各国の軍隊の攻撃により反乱軍は留萌−旭川−紋別ラインまで退却した との通信を受け取りました 」 「わかった。ありがとう。」 どうやらこの指令ボタンを使うことはなくて済みそうだ。 少し安心が男の顔に浮かんだ。しかし、ガガーモフ参謀長が持ち出した例の ものを探し出して破壊するまではまだ気を緩めるわけには行かなかった。 男は電話機を見つめつづけた。
40 :
331 :2001/07/24(火) 01:15
「同志」 「なんだ?」 「退却指令が入った」 「・・・失敗に終わったか・・残念だ」 「ともあれ資本主義の小猿どもが襲ってこないうちに退却だ!急げ!」 彼らは自分たちの証拠を一切残さないように気を使って装備を片付けた。 そして闇と共に一人、また一人と消えるように去っていった。 このNHK帯広支局だけでなく、日高地域や大雪山系地域からも同じように 同志はひそかに退却しているはずであった。 うまく行けば、彼らがやったことは全てアイヌの若者たちの無謀な行い として片付けられるはずだ。 あとはロシア人どもが報酬を払ってくれるかどうかが気がかりだ。 負け戦だかしらんが、「危険手当」はしっかりもらわなければ。 川の茂みに隠してあったボートに乗りこみ、ボスらしき男の「出せ」と いうささやきと共にナナイ族の男たちは工作船にむかって進んだ。 ついさっきまで男たちが立てこもった部屋の戸口や機器の上には床に アイヌ民族の伝統的な髪飾りや衣装がいくつも脱ぎ捨てられていた
>>35 「隼1」の火器管制システムがR33を自動発射しようとした瞬間、操縦席と後席のレーダースコープが
突然ノイズだらけになった。接近してくるF−15とAWACSがジャミングを開始してきたのだ。
ザスロンの電波が追尾モードに変わったのを感知した敵は、攻撃を受けると判断し、即座にジャミングを
仕掛けてきたのだった。
ジャミングは最初、広域周波数帯を妨害するバラージだった。ザスロンは直ちにレーダーの出力を上げ、
バーンスルーを試みる。一瞬だけレーダー画像が回復する。しかし4機のF−15のコンピューターは
次々にザスロンの電波の周波数を解析し、特定の周波数を「狙い撃ち」するスポット・ジャミングに
切り替えてくる。ザスロンは周波数を小刻みに変えて敵のジャミングからなんとか逃れようとする。
だがF−15の方が一枚上手だった。ザスロンの周波数変更を執拗に追い、ジャミングを継続してくる。
この間、数十秒。ロシア製のコンピューターとアメリカ製のコンピューターは、蒼空で目に見えない電子の
戦いを展開していた。
しかしこのままではF−15が搭載しているであろうAMRAAMの射程に入ってしまう。
ジャミング合戦では勝てないと判断したレーダー員は、R33をHOJ(ホーム・オン・ジャミング)で
発射する事を通告してきた。
「発射!」レーダー員が宣言する。
胴体下でくぐもるような轟音が響き、機体がビリビリと振動する。直後にレドームの向こうからAAM
としてはアメリカのフェニックスと並ぶ巨体を誇るR33が、猛烈なロケットモーターの火焔を放ちながら、
飛び出していく。一瞬遅れて第2弾も「隼1」から飛び出していく。2発のAAMはみるみる加速し、
白煙を残しながらF−15が存在するであろう空域に飛んでいく。
「隼2」もミサイルを発射したらしいが、ここからは見えない。
こちらがHOJで発射した事を敵に悟られないために、レーダー員はザスロンのミサイル管制電波発射を継続する。
敵はジャミングをしているにも関わらず、電波を発射してくるMig―31の行動を愚かしいと感じているだろうか。
「間も無く命中」レーダー員が報告する。
(早く・・・早く命中してくれ・・・・・)パイロットは心の中で呟く。
マッハ2近い速度で向かってくるF−15に向けて、マッハ3以上でAAMが突進しているのだ。
命中までの時間はそう長くない。しかしパイロットは早くレーダーを停止して回避運動に入りたかった。
そうでないと今度はMig−31がHOJモードで発射されるAMRAAMの標的になってしまうのだ。
しかしここはR33をHOJで発射した事を悟られないように、命中までザスロンを停止するわけには
いかなかった。
「命中した模様!」いつも冷静なレーダー員が少々言葉に感情を込めて報告する。
こちらに接近していた4個のジャミングおよびレーダー電波源が1個に減少する。「隼1」と「隼2」は
一挙に3機のF−15を撃墜した。HOJモードによる攻撃は見事成功したのだ。
(よし・・・!)パイロットは勝利を確信する。F−15は残り1機。なんとかなると彼は思った。
レーダー員はザスロンを停止させる。あとはレーダー警報装置によるパッシブ探知のみでAWACSを
目指すのだ。電子戦では勝算が薄いから、残りのF−15はIRST(赤外線捜索追跡装置)で捜索する。
2機のMig−31はAWACSまで100キロに近づいていた。
残りのF−15、つまり低空から上昇してきたうちの1機はレーダーを停止した状態で 向かってきた。AWACSに誘導されているのだろうか。IRSTには1機だけになっても 猛然と接近してくるF−15の機影が映っていた。 その直後、レーダー警報装置のブザーが鳴り響いた。 「ミサイル警報!回避!」レーダー員は叫ぶ。パイロットは機体を右にバンクさせる。背面姿勢に なった「隼1」はそのまま急激な急降下に入る。 レーダー警報装置はAMRAAMのアクティブレーダーの電波を受信し続けている。 F−15はレーダーも使わずに、どうやってAMRAAMをロックオンしたのだろうか? AWACSからのデータリンクだけで発射できるのだろうか? 「隼1」はチャフを投射しながら石のように落下を続ける。雲が低く垂れ込めているので 海面は見えなかったが、高度計はどんどん0に近づいていく。 雲に突っ込む。パイロットはエアブレーキのレバーを力任せに引く。沿海州の海岸地帯が 目の前に迫る。開いたエアブレーキはすぐに利き始める。落下しようとする「隼1」をまるで 上空に引き戻すかのような急制動がかかる。海面ぎりぎりでパイロットは機首を引き起こす。 フルアフターバーナー。2基のエンジンは轟然と焔を噴き出し、機体を再び上空へ突き上げようとする。 凄まじいGに機体のあちこちのフレームが悲鳴を上げる。その直後、後方で爆発が起こる。 AMRAAMの近接信管が作動したのだ。しかし爆発のエネルギーは急激な引き起こしをした 「隼1」を捉えられない。湿度の高い海面上を上昇する機体の上面からは猛烈なベイパーが発生する。 Gスーツが激しく収縮を繰り返し、Gに揉みくちゃにされる一番脆弱なユニット−パイロットとレーダー員の 肉体を保護しようとする。 「『隼2』のデータリンク途絶。撃墜された模様」レーダー員がうめくような声で報告する。 「くそっ!」パイロットは上昇を続けながら小さく毒づく。 IRSTはAWACSを捉えた。パッシブ測定なので距離は分からないが、現在の赤外線量とE−3の赤外線画像 データを照合する事によって、おおよその距離は推測できる。コンピューターは約50キロ という解析値を出した。 後方からは依然としてF−15が追ってくる。レーダー警報装置はAPG−70の近距離モードの電波を受信している。 敵は近い。AMRAAMではなくサイドワインダーを撃ってくるかもしれなかった。 パイロットはフルアフターバーナーを続行し、最高速度を目指す。燃料が信じられないような速さで消費されていく。 このままの消費量では、任務終了後、とてもタンカーとのランデブーポイントまで飛行することはできない。 しかし今はAWACS撃墜が何よりも優先する。機体はマッハ2・3に達する。「隼1」はありったけのチャフや フレアを投射しながら、F−15の追尾を振り切ろうとした。 パイロットは左側方を突っ切っていく一条の航跡に気づいた。それは空しくフレアを追尾するF−15が発射した サイドワインダーだった。 視界のはるか彼方に小さな機影が見えた。(あいつだ・・・!)パイロットは心の中で叫ぶ。AWACSを視界に 捉えたのだ。「隼1」はミサイルを発射しようとする。 その時だった。パイロットはキャノピー越しに巨大な物体を感じた。 「あっ・・・!」レーダー員が絶句する。 それは背面姿勢で「隼1」に覆い被さってくるF−15だった。
そのF−15はミサイルを撃ち尽くしていた。しかし何としてもAWACSは守らねばならなかった。 高速飛行でのバルカン砲射撃は難しい。ならば残された手段はひとつしかなかった。 パイロットは一瞬、時間が止まったかのような感覚に襲われた。濃淡の2色のグレーに塗られた F−15のディテールが細かく見えた。尾翼に描かれたZZというテイルレターも見えた。 バイザーに覆われたアメリカ人がこちらを見上げているのも見えた。一瞬のことだった。 それが「隼1」のパイロットとレーダー員が見た、最後の映像だった 次の瞬間、F−15の鋭い機首は「隼1」の尾部に突き刺さった。マッハ2以上の速度で接触した 2機の戦闘機は大爆発を起こし、原型をとどめないほどバラバラに分解した。 破片は薄く黒煙を吐きながら日本海へ落下していった。 マッハ2における空中分解で、無事に脱出できるような幸運の持ち主は存在しなかった。 その後、ロシア空軍によるAWACS攻撃作戦が2度と行なわれる事はなかった。
楽しく拝見しましたm(__)m
46 :
36 :2001/07/26(木) 00:39
あ、さげちった、あげ
47 :
禁断の名無しさん :2001/07/26(木) 15:02
age
48 :
名無し三等兵 :2001/07/27(金) 23:08
週末なのでage
∧∧ (=゚ω゚)ノ 皆様に感謝age 〜( x) U U
50 :
名無し三等兵 :2001/07/28(土) 01:09
新作はまだか!
52 :
245 :2001/07/28(土) 16:09
>>29 「予定を変更する」
はちまきはめがねに向き直った。
ボウイが、ヤクザのボディガードとして道北の漁港にいる理由はわからない。
だが、まぎれもなくあそこにいる以上、RPGとドラグノフで取引現場そのものを
吹き飛ばしてしまうことはできなかった。
ボウイを巻き添えにすることなく、かつ取引そのものは妨害しなければならない。
少しの間、はちまきは宙を睨んで考え込んでいた。
53 :
245 :2001/07/28(土) 16:21
>>52 「俺が漁港に接近する。めがね、おまえはここにいろ」
はちまきは、決然とめがねに告げた。
「たった一人でどうすんのさ?」
至極当然の疑問を、めがねがぶつけた。
この計画は、もともと遠距離から取引を妨害し、マフィアとヤクザが混乱している
隙に脱出するもので、だからこそたった2人で挑む気にもなれたのだ。
しかし、今やボウイという想定外の要素が入り、行動は大きく制限されている。
ありていに言えば、昔の戦友を巻き添えにできないため、遠距離からのロケット
で一撃という作戦が不可能になってしまったのだ。
本来なら、ここは行動を中止してトンズラするのがもっとも安全である。
それを、はちまき一人で接近して何とかしようなど、無謀としか言い様がなかった。
めがねのそうした言外の疑問にこたえるように、はちまきはゆっくりといった。
「めがね、おまえはここで奴らの様子をワッチするんだ。なにかおかしな動きが出たら、
即座にドラグノフをぶっ放してくれ」
そこで呼吸を区切り、地面に置いたRPGを指差す。
「こいつはここにおいていく。装甲車が出張るようだったら遠慮なく吹き飛ばせ」
54 :
245 :2001/07/28(土) 16:29
>>53 だから、おまえは何しに行くつもりなんだよ。
めがねがそう問い掛ける前に、はちまきは身を翻して高台を駆け下りていった。
その右手には、いつの間にかAKが握られている。
猫を思わせる敏捷さで、たちまちはちまきの姿はめがねの視界から消えた。
さすがというべきか、茂みをかき分ける音はほとんど聞こえてこなかった。
「ボウイを助けて、おまけに取引まで妨害しようというつもりかい」
めがねは憮然とした口調でつぶやき、ドラグノフを構えなおした。
55 :
245 :2001/07/28(土) 16:48
>>54 よりにもよって、戦場のど真ん中で禁制品の取引とはな。
そこはかとない居心地の悪さを感じながら、ボウイはシマダと怪しげなロシア人
の会談を眺めていた。
あいも変わらずハイライトをふかしながら、感触を確かめるように、腰のS&W
M29に手をやる。
漁船の中で、シマダがくれたものだ。
『ウチの若い衆にガンマニアがいてな』
M29をホルスターごと渡しながら、どこか照れくさそうにシマダはいった。
『前々からいろんな銃を密輸で手に入れてたんだが、こういうときのお守りとして
持ってくるよういっといたんだ』
『シマダさん、あんたは銃をもっていかないのか?』
ボウイが問い返すと、シマダはジャケットの前を開いた。
腋に吊られたショルダーホルスターの中に、オートマチックが覗いている。
『グロックとかいうらしい。ま、おれにはこんぐらいがちょうどだよ』
ジャケットのボタンをとめながら続ける。
『そんな大砲は、ボーイさんじゃなきゃあつかえんだろ』
『ありがたく頂戴するよ、シマダさん』
56 :
245 :2001/07/28(土) 17:05
>>55 シマダとロシア人が天気と商売の具合についてどうでもいいような会話を続けている
傍らで、双方の手下が相手の持ってきたケースを開けて中を調べていた。
ロシア人はジュラルミンケースを開け、中の札束をチェックしている。
日本人のほうは、やけにごついつくりの金属製コンテナをあけ、中からヴィニールで
パッケージングされた何かを取り出していた。
トラックのヘッドライトにそれが写り、真っ白なパッケージが反射する。
麻薬か。
はすにくわえた煙草を幾分強くかみながら、ボウイは見当をつけた。
あれだけの量なら、末端価格で戦闘機が買えるに違いない。
本物ならば、シマダは随分安い買い物をしたことになる。
チェックを終えた手下が、それぞれのボスに小声で何かささやき、うなずいた。
それを確認したロシア人が先ほどまでよりもさらににこやかな表情を浮かべる。
シマダは、むっつりした表情のままうなずき返しただけだった。
57 :
245 :2001/07/28(土) 17:22
>>56 「こちらが提示した金額の2割増とは、なかなか剛毅なお方だ」
ロシア人は、大げさにシマダの肩を抱きながら言った。
「今後の付き合いもあるしな。まずはサービスといったところだ」
シマダは無表情に返した。
「釣りはいらない。そのかわり、今後とも顔つなぎよろしく頼むぜ」
ロシア人は、まかせとけとばかりに自分の胸を叩いた。
「もちろんだとも。君のところとの取引は最優先事項だ」
「じゃ、今日のところはこれまでだ。次の取引はおって連絡する」
シマダは振り返り、手下に合図を送った。
数人の男が、声を合わせてコンテナを持ち上げる。
そのわきを通り抜けたシマダは、ボウイのところまでやってきた。
「どうやら無事に終わりそうだ。感謝するよ」
58 :
245 :2001/07/28(土) 17:31
>>57 埠頭に放置されていた軽自動車にもたれかかっていたボウイは、シマダに向けて右手を上げた。
「おれは、特に何もしちゃいないぜ」
答えながら、シマダの背後に目をやった。
トラックの前では、先ほどのロシア人が、携帯電話を取り出して何事か話をしている。
その顔つきと声音が、見る見るうちにエビス様の偽装をかなぐり捨てていっていることに
ボウイは気づいた。
電話を切ったロシア人は、先ほどとは打って変わった恐ろしげな表情でこちらをみている。
右手を大きく振り上げ、何事か叫ぶ。
その様子にただならぬものを感じたボウイは、とっさにシマダを突き飛ばし、自分も
寄りかかっていた軽自動車の影に飛び込んだ。
ホルスターからM29を抜き出し、ハンマーを起こしたところで、ロシア人がさらに叫ぶ声が聞こえる。
「アゴーン!」
59 :
245 :2001/07/28(土) 22:36
>>58 射撃は、コンテナを抱えていた男達にまず集中した。
もっともマフィア達に近い位置でコンテナを抱えていた2人の組員が、数十発のライフル弾
を浴びてその場に崩れ落ちる。
支えの3分の1を失い、重量のある金属製のコンテナが鈍く、硬質な音と共にコンクリート製
の埠頭に転がり落ちた。
「!」
なにが起こったのか把握しきれない組員が、とっさに後ろを振り向き、銃を構えているマフィアに気づいた。
慌てて腰のベルトにさしたオートマチックを引き抜こうとしたが、グリップを握る前にライフル弾をくらい、
後ろにいた組員の後を追った。
ドキドキドキ・・・・
61 :
245 :2001/07/29(日) 00:46
>>59 「な、なんだってんだ!」
ようやくのことで身を起こしたシマダが、混乱しきった表情でボウイに尋ねた。
ボウイが何か言おうとする前に、着弾が軽自動車に集中する。
これまでよりもさらに激しいライフル弾の嵐に、あっという間に軽自動車はボロボロになっていった。
ウィンドウに罅が入り、ボディに小さな穴が無数にあき、タイヤがちぎり取られていく。
ガコン、という間の抜けた音と同時に車高が下がってしまった軽自動車の陰で、ボンネットのほうへ
シマダを引きずっていった。
ここなら、ライフル弾をエンジンが受け止めてくれる。しばらくは時間稼ぎになるだろう。
ボウイが落ち着いた口調で言った。
「シマダさん、どうやら連中は金だけもらっていくつもりらしいぜ」
62 :
245 :2001/07/29(日) 00:59
>>61 「そんな馬鹿な、これは取引で、俺達はちゃんと金を払ったじゃないか!」
シマダは、ヒステリックに叫んだ。
命のやり取りなら、いくらでも場数を踏んできたはずの男が、恐怖に表情をこわばらせていた。
パニックの一歩手前にいる人間だけが見せる特有の表情だ。
「これはなにかの間違いだ、そうだ」
叫んで、シマダは踵を浮かし、膝を曲げた。
意図を察したボウイが、やおらシマダの襟首をつかんで地面に引き倒す。
「あんた、死にたいのか!」
何か叫び返そうとした島田のすぐわきで、ボゴンと言う音と共に軽自動車のボディに
大穴があいた。
おそらく、車体を貫通したライフル弾に違いない。
真っ青になったシマダから視線をそらしたボウイは、素早く可能な限り周囲の様子を探った。
「3メートルほど離れたところに、コンクリート製の車止めがある」
ボウイは、シマダのほうを見ずにいった。
「あそこまで走れば、防波堤のかげにもぐりこめるだろう」
「こんな状況で、どうやっていくんだ!」
シマダの声は、なかばうわずっていた。
63 :
245 :2001/07/29(日) 01:11
>>62 確かに、今の状況で遮蔽物から身を乗り出すのは自殺行為だ。
ボウイはM29を握りなおしながら思った。
だが、ここにいてもいずれはやられる。
エンジンがライフル弾を食い止めてくれるといっても、それほど長くは続くまい。
それに、これだけ無茶な射撃を喰らいつづけていたら、そのうちガソリンタンクに
火がつくだろう。
どうすべきか?
ガソリンタンクの存在に気づいたことで、急に噴きだした脂汗をぬぐおうともせず、
ボウイは考えつづけた。
そのとき、漁船のほうから散発的な銃声が響いた。
漁船に残っていた組員達が、ようやく事態の深刻さを思い知り、かなわぬまでも
反撃を開始したのだ。
一瞬、ほんの一瞬だが、マフィアの隊列に動揺が走る。
それにともなって、着弾が一時軽自動車からそれた。
「今だ!」
一言叫んで、ボウイはシマダの背中を強く押した。
64 :
で :2001/07/29(日) 03:16
どうなる・・・!?
65 :
名無し三等兵 :2001/07/29(日) 05:18
シマダは蜂の巣になり、ボウイは左足に激痛を感じた。
66 :
245 :2001/07/29(日) 12:05
>>65 (笑)
数秒前まで軽自動車であった物体の影から、シマダとボウイが飛び出した。
わずか3メートル。
ふだんなら、1秒もかからず移動できるそのわずかな距離が、果てしなく遠く思えた。
過酷な労働を人生の生業とした老婆のように腰を極端にかがめ、銃をしっかり保持しながら
すべるように走る。
漁船に気を取られていたマフィアのうち何人かが、飛び出す2人の影に気がついた。
あわててAKを向け、引き金を引いたときには、すでに2人は車止めの影に飛び込んだ後だった。
「グッ!」
車止めの影で、ボウイが左足を押さえて顔をしかめる。
シマダは真っ青な表情を浮かべて尋ねた。
「だ、大丈夫かボーイさん!」
ボウイはどこか決まり悪そうな口調でこたえた。
「心配するな。左足のすねをコンクリートに思い切りぶつけただけだ」
「な、なんだ。撃たれたんじゃなかったのか・・・・・・」
「それよりも、漁船のほうは?」
ボウイの問いに、シマダは首を振った。
「何も聞こえてこない。たぶん、シマダたちは蜂の巣だな」
「シマダ?」
「同姓の弟分さ。あいつがボーイさんの銃を用意してくれたんだよ」
67 :
海の人 :2001/07/29(日) 13:07
Aの乗った大型輸送ヘリCH−47は30分の飛行の後、群馬県相馬原駐屯地にある 第12旅団のヘリポートに着陸した。 Aは早くヘリから降りたかった。しかし案内役の自衛官は降りることを許さなかった。 (早く・・・早く降ろしてくれ・・・・・!)Aは心の中でうめいた。 窓から外を見る。外では1台の化学防護車と2台の除染車が待機したいた。 数人の自衛隊員が除染車からホースを引っ張ってくる。そしてAの乗ったヘリに向かって 放水を始める。自衛隊員はまるで愛車を洗車するかのように、入念に水霧を浴びせている。 洗車―、そう自衛隊員たちはヘリを洗っているのだ。化学防護衣に身を固めて・・・。 その化学防護衣は男も着ている。それは自衛隊員の説明によれば、冬でも汗だくになる シロモノだった。7月のこのクソ暑さの中でそれを着るなど酔狂に等しかった。 しかし、Aが仕事を全うするためには化学防護衣を着るしかなかった。 ヘリの機内では数人の男が洗浄の終わるのを待っていた。彼らは、Aと同じ仕事の連中だった。 Aも男たちも自衛隊員ではない。各マスコミから派遣された記者だった。 防護マスクに隠された表情は分からないが、たぶんAと同じく青い顔をしているに違いなかった。 洗浄はなかなか終わらない。永久に終わらないと思うくらい、長い時間を感じる。 (早く・・・早く終われ・・・・・!)Aは胸に込み上げる不快感を最大限の忍耐で抑制しながら、 怨念にも似た心の叫びを上げる。 「洗浄が終わりました。ヘリから降りたら、ただちに防護衣の洗浄を受けてください」 機内の自衛隊員が告げる。 後部のハッチが開く。マスコミの男たちは二日酔いの千鳥足のようにヘリから降りる。 Aはすぐに防護衣を脱ぎたかった。しかしホースを持つ自衛隊員が歩み寄り、彼らに 放水を浴びせる。脱水症状になるほど汗だくになった今、全裸になってこの放水を浴びれば 気持ちいいだろう。しかし洗浄が終わるまで脱ぐことは許されなかった。 バンザイの体勢のまま、Aを始めマスコミの男たちは放水とブラシによる入念な洗浄を受ける。 これも長く感じた。 洗浄が終わると、こんどは自衛隊員に防護衣を脱がしてもらう。自衛隊員は慎重に脱がせる。 まくりあげた防護衣の表面が、Aの素肌に触れないよう、腫れ物に触るかのような慎重さだった。 (早く・・・早く脱がしてくれ・・・・・)イライラ感が理性を吹き飛ばしそうになるのを Aは必死でこらえる。5分ほどかかって防護衣が脱がされる。 シャツとパンツだけの姿になったAが現われる。彼は顔面蒼白、汗まみれだった。 最後の体力を振り絞って物陰に走る。そして芝生の上にうずくまり、これまでこらえていた 不快感を一気に解放する。胃から嘔吐感が突き上げる。Aは胃液まで吐き続ける。 「ハア・・・ハア・・・・」Aは口の汚物を拭うこともせず、先ほど見てきたものを思い出す。 彼が見たのは(静止した街)だった。すべてが日常と変わらない、夏の日差しが照りつける住宅街だった。 しかし人間の気配がしなかった。その街の住民は、その「瞬間」に居た場所で、静かに絶命していた。 夏のせいか、死体は早くも静かに腐敗が始まっていた。 大人も、老人も、男も、女も、そして子供も・・・。すべてが静かに死んでいた。 敵が放ったと思われる化学剤気球。被害は群馬・埼玉県境のとある住宅街だけに止まったが、 その現場は酸鼻を極めた。 (あの現場を、どう記事にしたらいい・・・・・) Aは麻痺しそうな思考を必死に覚醒させながら思った。
69 :
245 :2001/07/29(日) 22:21
>>66 銃声は、はちまきの耳にも遠慮なく飛び込んできた。
少なく見積もっても2ダース近い突撃銃が発砲されている騒音に、はちまきの胃は
急に締め上げられた。
畜生、始まっちまったか。
体勢を低くし、懸命に駈ける。
物音に気を使わなくてよくなったのは不幸中の幸いだった。
「はちまき、マフィアが発砲した!」
めがねが、無線機ごしにどなった。
「マフィアをやれ!」
「だめだ、トラックの陰に隠れてる!」
めがねの返事を聞き、はちまきは唇をかんだ。
漁港までのこり100メートルあまり。
「マフィアの配置はどうなってる」
落ち着け、自分に言い聞かせながら、はちまきは尋ねた。
もちろん、走りながらだ。
「コンクリートの出っ張りに隠れたボウイを囲んでいる。あのままじゃマジでやばい」
残り30メートル。
そろそろ姿を隠せる遮蔽物が途切れる頃だ。
もう30メートル走ったら。そう、もう30メートルだ。
「めがね」
はちまきは乱れてきた呼吸を治そうともせず言った。
「おれが合図したら、マフィアじゃなく装甲車をやれ」
70 :
245 :2001/07/29(日) 22:30
>>69 轟音と共に、手の中のM29が跳ね上がった。
同時に、頭部から血液と黄色い何かを撒き散らしながら、AKを構えた
マフィアの手下がのけぞる。
彼に続いて、車止めの影が見える位置に回り込もうとしていたマフィアが
あわてて身を伏せた。
「シマダさん、そっちはどうだ」
グロックを乱射していたシマダは、振り向きもせずにこたえた。
「なんとかこっちは持たせてる。だが、数が多い」
シマダの声は、先ほどまでの恐慌が嘘のように平板だった。
それは、すでにシマダが生きてここから出る気を失ったことの現われかもしれない。
「ボーイさん、すまないな」
シマダが、ボソリといった。
「おれが何とか援護する。ボーイさん、あんたは」
「黙れよ」
ボウイが遮った。
「そんなことができないくらい、あんたもわかってるはずだ」
71 :
245 :2001/07/29(日) 22:53
>>70 「・・・・・・そうだったな、詮無いことを言っちまった」
シマダの声は、深く暗かった。
「まったく、なんでこんなことになっちまったのかな・・・・・・」
「運不運という奴さ。しかたない」
シマダの問いが誰かに向けられたものではないということは百も承知だったが、
ボウイはあえてこたえた。
シマダは、一時射撃を止めてボウイをみた。
意図的に視線を無視したボウイは、車止めの影からそっと周囲の様子を観察する。
先ほどまで隊列を組んでトラックの陰から好き放題発砲していたマフィア達は、
いまやそこを出て、半円状にトラックを包囲しつつあった。
おそらく、圧倒的な兵力差がありながらいっかな決着をつけられない事実に
あのボスがいらだってしまったのだろう。
しかし、ボウイたちに顔を上げさせないように、常に交替でAKの弾丸を車止めに
浴びせつづけている。
ボウイたちにできるのは、ときたま勇み足で回り込もうとする愚か者を射殺する
ことだけだ。
72 :
245 :2001/07/29(日) 23:00
>>71 このままじゃ、ゲームセットだな。
シリンダーをスイングアウトさせ、ポケットから取り出した.44マグナム弾をこめながら
ボウイは思った。
「ボーイさん」
シマダが、妙に落ち着いた口調で言った。
「こっちのマガジンは、あと1個きりだ」
「俺のところは、もう少し余裕がある」
ボウイは、ハイライトに火をつけていった。
「せめてもう4,5人は道連れにしてやろう」
シマダは、その答えを聞き唇をゆがめた。
トラックの陰に隠れたボスが、甲高い声で何か叫ぶ。
それを聞いた手下どもが、一斉に車止め目指して駆け出した。
きやがったな。だが、おれはただじゃやられないぜ。
ボウイが覚悟を決め、車止めから飛び出そうとしたときだった。
「ボウイ! 顔を伏せろっ!!」
73 :
245 :2001/07/29(日) 23:12
>>72 ボウイにとって、その声はこんなところで耳にするはずのないものだった。
最後にその声を聞いたのは、今から10年以上も前、アフリカから帰還する
貨物船の甲板だった。
それから長い年月が過ぎ、風の噂でその声の主が中国東北部に出かけた
ことを聞いただけだった。
だが、その声は紛れもなくボウイの耳に飛び込んできた。
「シマダさん、伏せろ!」
叫んで、ボウイはシマダを引きずり倒す。
自らも、銃はしっかり握ったまま、顔を伏せた。
顔を伏せる直前、視界の隅にマフィア達がせまってくるのが見える。
その半円状の隊列の中心部に、小さな何かが放り込まれた。
小さな何かは、拍子抜けするほどささやかな音を立てて炸裂する。
だが、その何かを中心にして真昼のような閃光が周囲にほとばしった。
74 :
245 :2001/07/29(日) 23:22
>>71 >半円状にトラックを包囲しつつあった。
これはトラックではなく車止めですね・・・・・・・。
鬱ですもう寝ます。
>>68 ・9行目
>その化学防護衣は男も着ている。
↓
>その化学防護衣はAも着ている。
に訂正です。
76 :
名無し三等兵 :2001/08/02(木) 01:00
倉庫行き心配なのであげさせていただきます
77 :
名無しサン :2001/08/02(木) 01:08
>>73 それは、中性子バクダンでした(中国供与)。
連合軍は負けました。
***************************昔まっこう、猿まっこう*****************
78 :
名無し三等兵 :2001/08/02(木) 01:53
79 :
名無し三等兵 :2001/08/02(木) 04:51
あほじゃない話をもっと聞きたい胃。 ドキドキハラハラですな。
80 :
前スレ333 :2001/08/02(木) 18:12
東京 新首相官邸 「総理、大統領からホットラインがつながっています」 「かわろう」 「大統領閣下、よくぞご無事で」 「総理、ご心配をお掛けしたようだが。私は間一髪で無事だったよ」 「それよりも、化学兵器攻撃により多大な犠牲者が…こころより哀悼の意 を表します。」 「結局三日間で4000人が犠牲になった…貴国の核被害に比べればまだ少ないが…」 「結局この攻撃で全世界の世論は中共と統一朝鮮に対する怒りで沸騰している 我軍は明後日統一朝鮮に対して報復攻撃を行なうことにしているが…」 「待ってください、大統領。報復は日本が自ら行いたい。」 「…あれを使うのか」
81 :
245 :2001/08/03(金) 02:23
>>77 閃光は、顔を伏せたボウイですら網膜に突き刺さるように感じたほどすさまじく、
ボウイの閉じたまぶたごしに真紅の幕が降りた。
「うわっ!」
地面に伏せたシマダが、悲鳴をあげた。
爆風と弾片を覚悟して身をすくませたが、閃光以外何もボウイたちのもとへは襲い
掛かることなく、発生したときと同様急速に閃光が終息した。
顔を上げ、車止めから身を乗り出したボウイの視界に、先ほどまでボウイとシマダ
にとどめを刺そうと群がり寄ってきたマフィアたちが、戦闘力を喪失してのた打ち
回っている風景が広がっていた。
「なんだこれは」
眉をしかめて起き上がったシマダが、間の抜けた声を上げた。
「マフィアどもがもだえ苦しんでるのに、回りには何にも被害がない。まるで中性子
爆弾じゃないか」
「違うな」
ボウイは答えた。
「閃光手榴弾だ」
ゆっくりと周りを見渡したボウイの視線が、一点でくぎ付けになった。
漁港の隅からAKを乱射しつつ駆け寄ってくる男の姿−タンクトップにカーゴパンツ、
そして背中には日本刀と思しき細長い影。
間違いない、いや、間違えるはずがない。
「は・・・・・・・・はちまきか?」
ボウイは、何か夢を見ているかのような浮遊感を四肢に感じていた。
信じられない。まさか、ここにあいつがいるなんて。
「ボーイさん!」
シマダの声に、我に返った。
見ると、マフィアたちがどうにか体勢を整えようと四苦八苦しながら起き上がりつ
つある。何人かは反撃を試みようと銃を撃ちまくっていたが、視力を完全に奪われ
てしまったらしく、まったくあさっての方向に弾をばら撒いているだけだ。
詮索は後だ。まずはこいつらを片付けなきゃな。
ボウイはM29を構えた。
同時に、漁村を見下ろす高台から何かを噴き出すような音が響き、爆発が間を置い
て2度発生する。
マフィアとロシア叛乱軍の「連合軍」は、敗北しつつあった。
82 :
名無し三等兵 :2001/08/03(金) 08:08
あげ
83 :
名無し三等兵 :2001/08/03(金) 08:08
あげ
84 :
海の人 :2001/08/03(金) 10:04
>>68 :398さん
むむ〜考えてみれば「大日本帝国」の歪んだ直系が北朝鮮という国と
いう考え方もできますから、風船爆弾を持ち出してくるのはありそうな
ことではありますよね。
これ、実は米国をねらったものが誤って日本に落ちたなんて話だったり
すると何とも悲惨なことですよね。
>>80 :333さん
九州戦線から海を渡って朝鮮半島に戦場が移動するんでしょか。
北海道は、すでに追撃戦に移ってますし今度は西部戦線ですなぁ。
>>81 :245さん
う、うますぎる中性子爆弾(笑)
それにしても、はちまきってどう考えてももう40越えてますよね。
あいかわらずタンクトップにカーゴパンツで元気なおっさんだなぁ(笑)
そういえば「気分はもう戦争」届きました、表紙が紅白ののし袋状態で
笑えました、気のせいか大判になったみたいで絵の迫力が増したような
気がしたです。
85 :
名無し三等兵 :2001/08/05(日) 23:18
週末ももう終る・・・
このスレの読者ってどれくらいでしょうか? 一時よりははるかに少ないのは分かっているのですが・・・。 別スレで「あんなの読んでるのいるのか?」なんて書かれてましたし・・・。 いちおう戦争終結までのアラスジは考えてあったのですが、 もう旬を過ぎたようなので、執筆を終了させていただきます。 当方の駄文、拙文を応援してくださったみなさん有難うございました。
87 :
海の人 :2001/08/06(月) 17:35
>>86 あんな煽りにメゲちゃやですよ〜。
それじゃ、あの頭の悪い煽りの思うつぼじゃないですか(^_^;
戦争が進んでいく中で切り取られた寸景というスタイルは結構新鮮だと思い
ますよ。
今はメゲちゃったかもしれませんが、そのうち鋭気が充実したら是非また書いて
みてください:-)
88 :
名無し三等兵 :2001/08/06(月) 18:13
>>86 いやああああああああああああああああ
やめないでえええええええええええええ!!
ただでさえ書いている人少ないのにこれ以上減っては…
読んでますぞ。
90 :
今は学生の夏休みなので、夏厨の煽りは気にしない。 :2001/08/06(月) 19:43
ある日のN捨て。
組め:つぎはスクープ映像です
まり:FNNでは戦地より持ち出されたテープを他局に先駆けて入手しました。
これはまさに北朝鮮と中国軍が北九州地区占領作戦を行っているとき
のNHKニュースの映像です。
----------------------------------------------------------------------
福岡市内では、北朝鮮兵が占領を実行中であった。ここNHKも重点占領対象として、
北朝鮮兵が大挙押し寄せていた。
「もはや我々の局内にもにも彼らは侵入してきました。民主的な放送は今日が最後と
なるでしょう。では、ニュースです。」
淡々としたNHK口調で、アナウンサーはニュースを読み始めた。内容は、北朝鮮と中国
が北九州に上陸したこと、政府が未だ自衛隊の出動を決めかねていることなど、住民
にとっては絶望的な内容だった。
そして、ニュースの声と重なるように乾いた銃声と、機材が倒れる音が放送に乗る。
「このスタジオにも敵兵が侵入して参りました。自衛隊の反撃によりこの敵が駆逐され
るまで、放送を・・・」
そのとき画面に映っていたのは、何かをわめきながら68式拳銃を突きつける北朝鮮兵
と、頭に突きつけられた拳銃におびえつつ、しかし淡々と原稿を読むアナウンサーだった。
そして、一瞬の後にNHK福岡3chは砂嵐となった。
(北朝鮮兵のわめき声には「放送を中止しろ!この糞日本人」という字幕が表示されて
いた。)
----------------------------------------------------------------------
組め:ひどいもんですねぇ。
解説委員:このアナウンサーは立派です、最後の最後まで、報道人たる自覚を持って
毅然とした行動をとりました。我々もこのように強い意志を曲げず、報道を行
っていきたい。
(ここ↓からネタを拝借)
http://yasai.2ch.net/test/read.cgi?bbs=army&key=994923535&st=119&to=119&nofirst=true
91 :
名無し三等兵 :2001/08/06(月) 19:49
92 :
今は学生の夏休みなので、夏厨の煽りは気にしない。 :2001/08/06(月) 19:53
>>90 ×FNN→○ANN FNNなら安藤優子とか木村太郎とかだ。鬱駄氏農。
>>86 詳細なディテール、かつ迫力のある戦地の描写をいつも楽しみにしています。
夏厨が去る秋になってからでも良いので、執筆の再開を願っています。
>>86 いつも楽しみにして読んでおりました。
ヘタな煽りはほっといて是非、再執筆を希望しております。
私もファンです。 執筆力が無いので読んでいるだけですが、毎日チェックしています。 作家の方々、頑張ってください。
96 :
245 :2001/08/07(火) 01:57
>>90 畜生、どうして俺はここにいるんだろう。
その日何回目か、いや、何十回目かの、膨れ上がる一方の疑問をもてあましながら、彼はTVカメラに視線を向けた。
デスクに置かれた原稿に刹那目を落とし、何百回も繰り返した前口上を述べようと口を開いた。
「もはや我々の局内にもにも彼らは侵入してきました。民主的な放送は今日が最後となるでしょう。では、ニュースです。」
しまった、何を言ってるんだ俺は。いつものように淡々としてないと。落ち着け、落ち着け。
彼は、自らの脳が白色の薄い膜に覆われたかのような感覚を覚えていた。
生まれて初めてカメラの前でしゃべったときも、これほどあせりはしなかったのに。
「政府は本日の閣議で、北朝鮮による武力侵攻に対して・・・・・・・・」
よし、なかなかいい出だしだ。少なくとも裏声になってはいない。あ、北朝鮮の制式名称をいい忘れた。
ええいくそ、かまうものか。今更誰も気にしやしない。
「次は北九州に上陸したと見られる・・・・・・」
自らの眼前にある放送機材が、やけに遠く近く揺らぎ、その周囲はすりガラスを通した風景のようにぼやけている。
デスクの原稿に添えられた手は黙っていても小刻みに震え、ともすれば声が上ずりあらぬことを口走りそうになる。
そうだ、奴らはもうすぐそこまで迫ってるんだ。ここも後わずかでおしまいなんだ。わかってたじゃないか。だのに。
ああ、どうして俺はここに残るなんていってしまったんだろう。
すぐそこまで奴らはきているというのに。1時間前のクジ引きでは、俺は脱出組に当たってたのに。どうして、どうして、どうして。
スタジオに志願して残留していたディレクターが、フリップを彼のほうにかざした。
「朝鮮兵がきた。放送は続けろ」
本当かよ・・・・・・・・・。
彼は、涙腺が一気に緩むのを感じていた。だが、予想に反して涙は一滴も流れることなく、
表情は能面のまま、原稿に書かれたニュースを読み上げていた。まるで、自分
ではない誰かが体をのっとってアナウンスを続行しているかのようだった。
俺は、ここで死んじゃうのかな。せっかく地方局とはいえ、アナウンサーにまでなれたのに。
地方のドサ周りを続けて、ジイさんやバアさんの機嫌をとって、むかつくガキにまで笑顔を振り撒いて、やっとここまできたのに。
そりゃ、確かに俺は一流どころの大学も出てないし、多分この先これ以上の出世も望めない。
だから、ここに俺は残ったのか?そうなら、俺はよほどのバカだぞあははははは。
豆を炒るような音と重くて硬質な何かが倒れる音。そして、悲鳴や怒号が、ふと我に返った彼の耳になだれ込んできた。
き、来やがったよ・・・・・・・。
スタジオのドアが手荒く開けられ、銃を構えた兵士が数人駆け込んでくる。
クルーのうちあるものは逃げ出し、あるものは果敢にも兵士に詰め寄ろうとするが、兵士は訳隔てなく銃弾をクルーに送り込んだ。
士官と見られる軍人がセットを回り込み、彼の方に詰め寄ってくる。
畜生、みんな逃げろ、ここはもうおしまいだ、早く逃げろ、どこでもいい、とにかく逃げろ!
銃口をこめかみに押し当てられたとき、彼の意識は確かにそう怒鳴ったはずだった。
だが、口をついて出てきたのは、自分でも予想だにしないアドリブだった。
「このスタジオにも敵が侵入して参りました。自衛隊の反撃によりここに平和が戻るまで、放送をいったん中断いたします。
みなさま、どうかその日までお元気で」
97 :
245 :2001/08/07(火) 02:03
>>86 (=398さん)
うーん、そうですか・・・・・・。
私のように本編とあんまり関係ない妄想で盛り上がってる人間にとっては、
398さんのように本編をきっちりつないでくれる人がいないと辛いんですが・・・・・。
それに、煽りなら私も前スレから結構いただいてますし(笑・・・・・えないか)
あまり気に病まれる事はないんじゃないでしょうか?
なんにせよ、再執筆お待ちしてます。
またその気になったら、いつでもどうぞ。
私は、もう少し続けてみようかと思います・・・・・。
私も毎日チェックしています。 煽りに負けないでください。 再執筆お待ちしています。
途中からサイドストーリーばっかで なんか戦争って感じしなくなったのも事実 でもこのスレは好きだから続けておくれよ
100 :
名無し三等兵 :2001/08/07(火) 05:08
あげ
是非再開して下さい。サイドストーリーの面白さもさることながら、本編があって こそサイドストーリーは光るのです。2CHでの煽りは日常茶飯事ですよ。勿論、 気分はあまり良くないのですが・・・ 追い詰められている日本のまま終わるのは、あまりにも忍びないです。 毎日仕事の合間にチェックしております。一服の清涼剤として、楽しく読んでおります。 どうか、再執筆して下さい。お願いします。
102 :
前スレ333 :2001/08/07(火) 15:40
夏厨が何しようと無視です。 わたしもつなない文ですががんばりたいと思います
予想外の反応スレに驚きました。 みなさん、あのような事を書いて大変申し訳ありませんでした。 「読む人がいないから終わり」という考えは間違っていました。 ちょっと自意識過剰になっていたような気がします。 他の執筆者の方々に対しても大変ご迷惑をかけたと思います。 中途半端なまま終わらせてしまうのは読んでくださる方々に失礼だと 考え直しました。 たいへんヘタレで恐縮のかぎりではありますが、再開させていただきます。 みなさん大変申し訳ありませんでした。お詫び申し上げます。
ありがとう398! 楽しみにまってるよ〜ん。
106 :
94 :2001/08/07(火) 20:48
頑張ってください398さん!!! 私も楽しみにしております。 他の執筆者の皆さんも続編を期待しております。
107 :
名無しの読者 :2001/08/07(火) 22:25
>>81 6つの空薬莢が、場違いなほど澄んだ音を立てて地面に落ちた。
素手で持つにはいささかどうかと思われるほど熱を持ったシリンダーを左の掌に受けながら、
ボウイはポケットから取り出した.44マグナム弾を器用な手つきで滑らかに装填した。
2秒もかからず再装填を終えたシリンダーをそっと戻し、M29をホルスターに納めると、
ハイライトを取り出して火をつけた。
その間無言のまま、なにをどうきりだそうか考えていたが、すぐに面倒くさくなり、はす向かいで
AKの弾倉を交換しているはちまきに向き直った。
「はちまき」
AKを右手にもちかえたはちまきは、ゆっくりと顔を上げた。
「ひさしぶりだな、ボウイ」
再会したはちまきは、いくらか老けた顔つきになっている以外は何もかも昔のままだった。
一瞬、2人の間に流れた長い長い年月が錯覚ではなかったかのような思いにボウイは囚われる。
「あ、ああ。そうだな・・・・・・10年ぶりになる」
「いや、10年以上になるな。だが、まだ20年にはならない」
>>108 「そこまでロートルになったわけじゃないってことか」
苦笑しながら、ボウイは答えた。
「で、めがねは?」
はちまきは、漁村の入り口で燃え殻になっている2両の装甲車を親指で示した。
「あれを吹き飛ばしたのが、めがねさ」
「なるほど。・・・・・・まさか、ここで3人そろうとはな」
感に堪えない口調で、ボウイがつぶやいた。
「ボーイさん」
遠慮がちに、シマダが声をかけた。
「よければ、そちらの兄さんに礼を言いたいんだが・・・・・・」
「紹介するよ、シマダさん。はちまきだ」
ボウイは、右手をはちまきのほうに伸ばして言った。
「俺の、昔からの戦友さ」
>>109 「はちまき・・・・・さんですか。危ないところをどうもありがとうございました。
私は、新宿でちょっとした商売を預からせてもらってるシマダといいます」
シマダは、大時代な身振りではちまきに首をたれた。
「以後、何卒お見知りおきを」
「礼を言われるようなことはしてないぜ」
はちまきは、ぶっきらぼうに答えた。
「俺達がここにきたのは、シマダさん、あんたが目的でもあったんだ」
「私がですか?」
「シマダさんが?はちまき、そりゃどういうこった?」
シマダとボウイが、同時に口走る。
はちまきは、視線を落としてここに来る羽目になった経緯を語り始めた。
>>110 「・・・・・だから、俺とめがねはあの高台に陣取って用意してた。ところがだ、
見てみたらボウイがここにいるじゃないか」
はちまきは、そこで言葉を切ってボウイを指差した。
ボウイは無言のまま肩をすくめる。
「で、どうしたもんかと思いあぐねてるところで、いきなりロスケどもがあんた達に
銃をぶっ放しやがった。その後は、いうまでもないよな」
「・・・・・・・・なるほど、そういうことですかい・・・・・」
シマダは、がっくりと肩を落としていた。
「うまくいくと思ってたが、所詮は井の中のなんとやら、桜吹雪はお見通しってわけだ・・・・・」
ちらりとシマダを哀れむようにみやったボウイが、ひとりごちた。
「なんでロスケどもが俺達をいきなり皆殺しにしようとしたか、それがわからんな・・・・・」
「ああ。あのままだと、俺達が引き金をひかなきゃならんところだったからな。いってみれば、
御用提灯かかえた岡ッ引がなんだかわからんうちに騎兵隊になってしまったってとこだ。
その意味では、ボウイたちを撃たずにすんだともいえるが」
はちまきがそこまで言ったときだった。
「そのへんはさ、こいつに聞けばわかるんじゃない?」
暗がりから、ドラグノフを構えためがねが姿をあらわした。
その膝元には、足を抱えたあのマフィアのボスが引きつった表情を浮かべながらはいずっていた。
>>111 「めがね!」
ボウイがびっくりした表情を浮かべた。
はちまきからここにいることを聞かされてたとはいえ、本人を現実に目の当たりにすると、
やはり驚かずにはおれなかった。
「手際がいいな」
ニヤリと笑ってはちまきがいう。
「まあね。こいつが一人で逃げようとしてたから、とりあえずひきとめといたんだよ」
ドラグノフをかざした。
「これでね」
「シマダさん」
そういってシマダのほうをみたボウイは、一瞬たじろいだ。
シマダの表情は凶暴な歓喜に彩られており、グロックをもつ右手はワナワナと震えていた。
「・・・・・話を聞く前に、殺すなよ」
いくぶんためらいがちに、ボウイは忠告した。
シマダは聞いているのか聞いていないのかわからないような角度でうなずきを返すと、ゆっくりと
ボスに向けて歩み寄った。
>>112 マフィアのボスは、拍子抜けするほどペラペラ白状した。
先日からアメリカ軍を中心とした航空機による反撃が激化し、もはやロシア人が
北海道にこのまま留まれる可能性が限りなくゼロになってしまったこと。
そのため、戦争が終わった後は日本との縁が暫くは戻らないであろうと判断した
上層部が、稼げるうちに荒稼ぎしておくべしという指示が出たこと。
そして、取引の直前に密告電話が入り、シマダの所属する組織が壊滅してしまっ
たことを知ったこと。
「・・・・・だから、ここであんたたちを殺って金だけ手に入れても、あとくされがないと
判断したんだ。それに、俺の弟がロシア叛乱軍にいたんだが、それがゲリラに殺さ
れたと電話が入って、かっとなってしま」
シマダは、最後まで聞いていなかった。
グロックの引き金を無造作に搾り、弾丸をボスの頭部に叩き込む。
至近距離から9ミリパラベラムを受け、盛大に血液をほとばしらせながら横倒しになった
ボスを冷たく見つめながら、シマダはつぶやいた。
「よくわかったよ、おれが馬鹿だった」
>>113 銃声のこだまが消えると、石のような沈黙があたりを支配した。
「シマダさん。これから、どうする?」
ボウイは、うつむいたまま肩を震わせているシマダに問い掛けた。
シマダは答えない。
無理もないな。
その様子を見守っていたはちまきは、シマダになかば同情していた。
あの年齢で一家を構えるまでには、さんざん辛酸を舐めてきたはずだ。
それがなんだかわからないうちにパアになってしまったんだ。麻薬と金は残っちゃいるが、それを
ここから運び出す手段がない。おまけに、頼りになる子分は全員屍。
まったく、な。
そのまま、彫像のように固まっていたシマダが、ふいに顔を上げた。
「ボーイ・・・・・いや、ボウイさん」
「なんだ?」
言葉を捜している風だったシマダは、意を決してゆっくりとたずねた。
「あんたたちは、これからどうするんだ?」
>>114 「どうもこうも」
ボウイが何か言いかけ、口ごもった。
あとを引き取るように、はちまきが決然と言い放つ。
「俺達は戦争をしにきた。もうすぐ終わるかもしれないが、今すぐ終わると決まったわけじゃない」
「・・・・・これからも、戦争するってことですかい」
「ああ」
数時間にも思えるほど長い数秒ののち、シマダがかすれた声で言った。
「よければ、私もまぜちゃくれませんか?」
キャンプデービットで行なわれた多国籍連合軍首脳による共同宣言 共同宣言参加者 アメリカ合衆国大統領(宣言者代表)、日本国総理大臣、自由大韓民国臨時大統領 中華民国総統、カナダ首相、オーストラリア首相 オブザーバーを派遣した諸国および国際機関 インド、インドネシア、シンガポール、タイ、フィリピン、ベトナム、マレーシア、 ニュージーランド、イギリス、イタリア、オランダ、ドイツ、フランス、ウクライナ、 ロシア、NATO、ASEAN、国連 宣言文 我々6ヶ国代表は自由と平和と正義を愛する諸国および国際機関の協賛の下、 全人類および国際社会に対して以下の共同宣言を行なう。 1)現在、極東地域で行なわれている残虐なる侵略行為は、国際平和に対する重大な 挑戦であり、かかる行為は平和と正義を愛する国際社会の何人も許さないであろう。 2)このような残虐なる侵略行為を行なう一部国家および勢力は国際社会および全人類 にとって許されざる敵である。 3)6カ国代表およびこれに協賛する諸国および国際機関は、このような侵略行為を 全人類に対する敵対行為と断定し、共同でこれを阻止することを決意した。 4)6カ国代表およびこれに協賛する諸国および国際機関は、中華人民共和国、 朝鮮民主主義人民共和国およびロシア共和国から離反した一部極東勢力を 全人類に対して敵対行為を行なう勢力として認定する。 5)6カ国代表は日本の全領土を日本国の施政権下に回復させ、朝鮮半島を 民主的国家として統一させ、ロシア極東地域をロシア中央政府の施政権下に 回復させ、中華人民共和国が民主的平和的政策を実行するよう、政治的、 軍事的に必要な全ての措置を講ずる。 6)アメリカ合衆国、日本国、大韓民国、カナダ、オーストラリアの各国は、 中華人民共和国が国連安全保障理事会常任理事国にもとる国際平和破壊行為を 行なっている現状に鑑み、国際連合に対し中華民国の国際社会復帰を勧告する。 さらに必要ならば、中国の代表権を中華民国と交替させるよう勧告することも 考慮する。 7)5)における政治的、軍事的目標はあくまでも現段階のものであり、今後の事態の 推移によっては、政治的、軍事的目標は変更されることもありうる。 8)4)に定める敵対勢力が、我々の行動に対し、究極的破壊手段による妨害を企図 または実施した場合、我々は蒙った被害の同等か、あるいはそれをはるかに上回る 大規模な破壊をもって応ずる。 2001年8月1日 共同宣言代表 アメリカ合衆国大統領
117 :
名無し三等兵 :2001/08/08(水) 22:44
こちら種子島宇宙センター。 例の準備は整った。
118 :
前スレ333 :2001/08/09(木) 00:07
統一朝鮮 平壌郊外 電撃的に占領した南から米軍や民間企業の持っていた重機がやってきたことにより 長らく荒れ果てていた「元」北朝鮮の農地の再整備と新規開拓が急ピッチで進んでいた さすがに統一朝鮮の首脳も馬鹿ではない、インフラ整備が世界でも高いほうに位置して いた「南」に工業生産をまかせ「北」は農業に専念させるという方針を立てたのは 至極当然の結果だったであろう。 ここ平壌郊外でも今まで人海戦術で開拓と修復を行なっていた農地に重機が入り、 これまでとは桁違いの速度で作業が進んでいた。 しかしその結果をすべて無駄にする災厄が空からやってくるとはここにいる誰も 想像していなかった
119 :
前スレ333 :2001/08/09(木) 00:26
種子島 宇宙センター 発射台に用意されたH-2が南国の陽光を浴びて白く輝いていた。 しかしその先端のペイロードのカバー部分をよくみれば、そこには なにやら文字やイラストが記入しているため黒光りしているのが見 えるだろう。 「くたばれ金正日!!」 「独裁者に死を!!」 「逝ってよし!!(゚Д゚)」 「死ねや!!チョ○公!!」 ありとあらゆる誹謗中傷の言葉とイラストが書かれている。 先日の気球による化学兵器攻撃により婚約者を失った一技術者が 怒りを込めて言葉を書き殴ったのが発端だった。普段だったら上司が 叱責するところであったが「発射スケジュールに影響しない範囲で行 なうなら」と黙認した。するとその噂は宇宙センター内中に伝わり、 技術者の後を追うように書き込みをする者が大勢やってきた そして発射のカウントダウンが進み発射台付近から退避命令が 発せられるその時まで化学防禦服に身を包んでまで書き込む人間は後を絶 たなかったのである。
120 :
名無し三等兵 :2001/08/09(木) 00:30
>化学防禦服に身を包んでまで書き込む人間 もし私がそこに居てそれが可能な立場なら絶対にやってそうです、あんまり洒落にならないけど(笑)
121 :
前スレ333 :2001/08/09(木) 01:17
種子島 宇宙センター 侵略者に対する日本国民の憎悪を一心に担って、H-2は発射台を飛び立とうとしている。 機体整備担当の技術者は誰もが「頼む。飛んでくれ」と祈らずにはいられなかった。 今回は静止軌道に衛星を載せるわけではなく弾道飛行を行なうだけなのでこれまで のような精密な挙動を必要としているわけではないが、積んでいる荷物の中身と設 計時に想定もしなかった20トンもの重量を打ち上げるという難関を考えると憂鬱に なるのであった。あの失敗したH-2 7号機が地上からの指令で散華し、海の藻屑と 消えていく光景がフラッシュバックする者もいた。 「あの時は衛星とロケット合わせて数百億が吹っ飛んだだけですんだ。保険も降りたし しかし今回失敗すると日本本土全体に「あの混合物」が降り注ぐことになりかねん。」 所長はつぶやいた あのオメガが運んできた「盛んに熱を発している物質=高レベル放射性廃棄物」と 三宅島で製造された「化学式でC12H4O2Cl4と呼ばれる物質=ダイオキシン」 は混合されH-2のペイロードのフェアリングの中の特殊容器に10個に分けられた。 万が一の臨界事故を避けるためである。さらにジェット気流で日本本土に「混合物」 が流されてくることを極力防ぐため重量があり揮発性の低いPCB廃液と混ぜられている。 そのため日本中に残されていた昭和40年代以前に作られたトランスや変圧器、蛍光灯が かき集められるという一幕もあった。 ちなみに「混合物」の溶剤に日本中で厄介者扱いされていたPCB溶液を用いることを 進言した技術者には金一封が送られたという。
復興後の韓国のことを考えると、かなり過激な作戦ですね。中華人民共和国にのみ 攻撃するのならともかく・・・でも、ダイオキシンとPCB(ポリ塩化ビフェニール でしたっけ)を使用するあたりはなかなかに面白いです。うまくいくことを祈って。
NHK7時のニュース 「・・・以上、第3次物資統制計画についてお伝えしました。 次のニュースです。 今日午後、陸上自衛隊立川駐屯地で、自由韓国陸軍第3師団の編成完結式が行なわれました。 この編成完結式には日本側から小泉首相、中谷防衛庁長官、竹河内統幕議長、アメリカ側から クリスチャンセン駐日公使、へスター多国籍連合軍司令官らが列席しました。 自由韓国の大統領兼国防大臣兼陸軍参謀長の李孫邸大将は「一時壊滅的状態に陥った我が軍は 盟邦アメリカおよび日本の多大なる支援を受け、再建されつつある。我が軍の任務は 日本の領土から侵略者を撃退し、父なる大地半島へ帰還することである」と演説。 小泉総理も「我が国は韓国再建のために可能な限りの支援を惜しまない。我が国は極東の平和を 回復するために韓国および同盟国と共に最後まで行動する」と演説しました。 自由韓国軍は旧韓国軍将兵や北朝鮮軍から逃亡した将兵、それに在日韓国朝鮮人によって再建 再建されており、装備弾薬等は日米両国から供与されています。すでに陸軍2個師団、海兵1個旅団、 空軍2個航空団、海軍艦艇16隻が多国籍連合軍の一員として戦闘に参加しており、北九州における 勇猛果敢な戦いぶりが報告されています。 以上、自由韓国陸軍第3師団編成完結式についてお伝えしました。 続いて、「尋ね人」の時間です・・・・・。
総理官邸 トイレにて 小便器の前に立つ総理と防衛庁長官 防衛庁長官「総理もですか」 総理 「ああ、ミネラルウォーターの飲みすぎだ」 防衛庁長官「渇水の上に水源汚染テロですからね」 総理 「水道水よりうまいから、つい飲んでしまうよ」 防衛庁長官「私もです・・・。ところでさっき李将軍に会いましたが、第5次武器援助協定を 喜んでましたよ」 総理 「そりゃ、これまでで最大規模の援助だからね。しかし実質的には日本がアメリカの 旧式装備を購入して、韓国にくれてやるだけだ。我が国の防衛産業はほとんど 機能麻痺だからね」 防衛庁長官「党内からも批判が出てます。そんな金があったら自衛隊用の装備購入費を増額せよと」 総理 「そんな事は百も承知なんだがね」 防衛庁長官「ところで、韓国はまた何時ぞやかの軍事政権国家になるんでしょうかね」 総理 「どうかな・・・しかし国家再建のためには独裁色の強い強力な政府を造らねばならないだろう」 防衛庁長官「そのまま統一させていいものですかね・・・」 総理 「今は『盟邦日本と共に』なんて言ってるが、統一したらどうなるか・・・」 防衛庁長官「戦後のことを考えて、なんらかの予防線は必要ですよ。彼らを強くしすぎないように・・・」 総理 「まあ、それはそうだが・・・半島の統一には韓国人の軍隊が必要だ・・・・」 防衛庁長官「そうですね・・・・・」 総理 「おっと・・・どこで誰が聞き耳を立てているか分からんよ。長話は無用だ」 防衛庁長官「では、お先に失礼します」
398さん、がんばれ〜〜〜〜!!
127 :
90 :2001/08/10(金) 11:31
128 :
名無し三等兵 :2001/08/10(金) 13:23
「こちらブラボー6、38度戦より攻撃を開始する」
129 :
名無し三等兵 :2001/08/10(金) 14:41
東京裁判は、いっさいの正当性の無い連合国の一方的なでっちあげ裁判だ。 亜米利加が太平洋戦争を巻き起こしたくせに、マッカーサーやルーズベルトは 一切の罪が、問われないのはおかしい。
日韓米連合軍=アホか?
>>129 『・・・・・・・・一切の罪が問われないのはおかしい、しかし、それが歴史です!
ですから、今度の戦争では我々に正義がある以上、かの腐った半島の独裁者
にいかなる正義の鉄槌を正義の怒りをもってふりおろそうとも、我々が裁きの』
「もういい、消せ!」
電通の旧第9営業局長であり、今は総務省戦時統合広報局長として、この混沌の
中、辣腕を振るいつづけている神保は、だれもがたじろがざるをえないほどの怒り
に顔を染め上げて怒鳴った。
あきらかに血圧が上昇しつつあることを隠そうともしない神保は、眦を吊り上げた
まま、傍らに控える彼の秘書-長谷川に怒鳴りつける。
「こんなオナニー演説のオンエアを許可した大馬鹿は誰だ!今すぐ呼べ!」
戦争がはじまり、第9営業局が統合広報局になってからというもの、見る間に頭角を
表した長谷川は、 少し昔の気楽な態度が嘘のように如才なく受話器を差し出した。
「プロデューサーにおつなぎいたしました。呼び出すより早いでしょう」
無言で受話器をひったくり、2、3度空咳をしてのどの調子を整えた神保は、受話器の向こう
に控えているプロデューサーに話し掛けた。
口調は、ほんの数秒前とは打って変わって穏やかなものになっている。
「ああ、統合広報の神保ですが、H山さん?うん、うん。・・・・・あんた、なんであんな番組流したの?
そう、あの演説だよ。ひどいもんじゃないか。・・・・・・・・・私が出した指示をまるっきり無視してるよね。
ガイドラインにははっきり書いといたでしょうが。やっちゃいけない放送の例だって。・・・・・・・・・・・・
はぁ?スポンサーの?息子だからってなによ、今は非常時でしょ?・・・・・・・・・・・ふーん、そうなんだ。
はっきりいって、指示に従えない奴はいらないの。うん。君のおかげでこっちのプランもかなり影響受けるよ。
いまどきの視聴者なめてない?あれじゃみんな引いちゃうでしょうが。そんなこともわかんないの?・・・・・
あ、もういいよ、もういいです。うん。君、明日からこなくていいから。・・・・・・・・退職金とかは、総務に話
通しとくからね。じゃ、お元気で、さよなら」
受話器を置いた神保は、唇を決して笑いではない方向に捻じ曲げた。
「馬鹿が」
>>131 苦笑いを浮かべて受話器を取り上げ、電話機に戻した長谷川は、そればかりは
昔と変わらない口調で神保に言った。
「これでもう4人目ですよ。局長が首とばした責任者は」
「どうせスポンサーから何かもらってあんな馬鹿な番組作ったんだ。首じゃおさまらんよ」
神保は、いくらか怒りをおさめた口調になった。
長谷川と話をしていると、それまでどれだけエキサイトしていても不思議に冷静になる。
何か、彼の口調で怒り狂っている自分の馬鹿馬鹿しさに気がついてしまうのだ。
神保が彼を引き上げたのは、仕事の才能もさることながらこうした目に見えない部分を
買ってのことだった。
「ま、戦争がはじまるまではテレビ局の人事に口なんかだせっこなかったですからね。
その意味では、今は思い通りの仕事ができていいともいえますが」
>>132 「そのかわり、要求される仕事もシビアになっている。ま、そこが面白いんだが」
いつもの冷静さを取り戻した神保は、それまでの怒りをすっかり忘れたかのような
口調で長谷川に尋ねた。
「で、例の件だがどうなっている?」
心得たりとばかりに長谷川はA4のペーパーを神保のデスクに置いた。
「概ね、計画どおりです。調査によれば、過半数の国民がピョンヤンを魔窟か何かと
思うようになっておりますな」
「ふん」
ペーパーに目を通した神保は、軽くうなずいた。
「これならまあいい。資料つけて国防省の清水さんに送っとけ」
「わかりました」
立ち去ろうとする長谷川の背中に、神保がつぶやいた。
「なあ、ピョンヤンのイメージダウンを企図したネガティブ・キャンペーンってのは、
どういう意味があるんだろうな・・・・・・?」
長谷川は、振り向かずに肩をすくめた。
「さあ。自衛隊がピョンヤンにでも乗り込むつもりじゃないですか?だから、悪の帝国
に仕立て上げたかったとか」
「・・・・・・かもしれないな」
ドアの閉まる音を聞きながら、神保はふと疑問に思った。
本当に、それだけなのか?
>>131 -133
ここのレスは、宮大工さん@前スレのキャラクターをお借りしました。
ネタということで、なにとぞお許しを>宮大工さん@前スレ
>>130 陸上自衛隊・立川駐屯地
「今、何と言った?」
李孫邸大将は、明らかに不快そうな様子で目の前のソファに座っている人物をねめつけた。
「日韓米連合軍など、正気の沙汰じゃない。丁寧に言えば、そう申し上げたのです」
ソファの人物-自由韓国政府の事務方、その実力者と目される金征哲国務総理(旧国務会議
副議長)は、侮蔑を隠そうともせずに言い放った。
「よろしいですか?わが自由韓国軍とアメリカ政府が手を携えてことにあたるのは大いに結構です。
条約もあることですしな!ですが、よりにもよって日本と組むなど、どうかしてるとしか言えません。
閣下は、ウェノムがどういうやつらであるかをお忘れになったらしい。36年間の恨みはきえたわけでは
ないのですぞ?」
そこで言葉を区切り、たっぷりと間を置く。
「いずれ統一がなったとき、このことは閣下の汚点になるやも知れませんな」
奴らの膝下にひざまずくなど、ごめんうむりたいですな!
しないで
いいつのった。
>>135 「我々は、20世紀初頭に生きているわけではない」
李大将は、辛抱強く返した。
「我が自由韓国政府と、日本国はいまや一蓮托生だ。それに、いまさら日本人も
わが国の国民ををもう一度おかしな苗字にしたいとは思わないだろう。それが
歴史のたどる道だ」
「閣下は理想主義的傾向が過ぎますな」
金はまったく態度を改めなかった。
「ならば、今現在我々が日本の領土内で生き長らえている現実をどうする?」
「それは、やむをえないことです。ほかにいくところがないからここにいるしかない。
ハワイが九州の隣にあれば、私は喜んでそこにいきますよ」
>>136 「いずれにせよ」
こんな不毛な会話はこれで終わりだ、そう言外に強く匂わせて李大将は言った。
「反撃の計画は進んでいる。まさか、いまさらチャラにしろとはいうまいね?」
じっと金の目を見る。
「もしそのつもりなら、つるし首になるのは君だぞ」
「わかっておりますよ」
金はまったく悪びれる様子がなかった。
「計画は粛々と進めます。私だって子供じゃない。ですが、今の意見は私一人の
ものではないことを十分ご理解ください」
金はそういい捨てて部屋を出て行った。
後に残された格好の李大将は、大きなため息をついた。
このぶんだと、祖国に帰るまでにはまだまだ波乱があるか・・・・・・・。
>>135 >奴らの膝下にひざまずくなど、ごめんうむりたいですな!
>しないで
>いいつのった。
消し忘れです・・・・・。鬱だ今日はもう寝よう。
>>398 さん
キャラクターとシチュエーションを一部お借りしました。
なにとぞお許しを。
>>130 の煽りをみて、「何かネタに使えないかな ・・・・・」とちょっと思いまして。
本当は、煽りは何事もなかったように無視するのが一番なんですがね。
>本当は、煽りは何事もなかったように無視するのが一番なんですがね 御意。 でも今回は素敵な切り返しなので問題無し!!
>>124 ,
>>125 :398さん
なんか絵が浮かびますな〜
首相官邸の厠は、やはり危機管理室の隣にあるのだろうか(笑)
自由韓国軍、陸軍2個、海兵隊1個ってことは、やはり「白馬」「青龍」「猛虎」
なんでしょか。
前スレでも統一朝鮮軍兵士と、同部隊兵士とのやりとりがありましたね。
それにしても、「続いて尋ね人の・・」って敗戦後にNHKラジオが流してたあれですね、
しみじみ。
>>131 -133,
>>135 -137:245さん
おつかれさまでした(笑)
よく考えてみれば、1億人以上いる日本に住む人たち一人一人で感じ方も関わり方
もちがうのだから、戦争に筋の通った話なんてあるわけないですよね。
こういう寸描の積み重ねが歴史の年輪になっていくのかも。
141 :
名無し三等兵 :2001/08/11(土) 09:06
あげ
142 :
名無し三等兵 :2001/08/12(日) 20:41
日本海某所 「ふむ。なかなか司令部も面倒な仕事を押し付けてきたな」 「といいますと?」 「現在、種子島にて発射準備が整えられつつあるH-2とかいう日本製のロケットを 壊してしまえ、とさ」 「種子島?それは無茶ですよ。自殺しに行くようなものです」 「そうですよ。今、あのへんの海域は日本海軍と空軍が十重二十重に取り囲ん でます。うかつに近づけば、あっという間に袋叩きになるのは火を見るより明らかです」 「私も同意する。だが、こればかりはどうしてもやらなければならんことらしい」 「理由はなんです?」 「あのロケットには、放射性廃棄物だのなんだのいった、物騒な代物がつまっているそうだ。 電文には『日本国の政府上層部筋より入手せる情報』とあるから、おそらくかの国の外務省 あたりから流れてきた情報だろうな」 「馬鹿な・・・・・日本人は、政治的に自殺するつもりですか?仮にうまくいったところで、 彼らが袋叩きにされてしまいますぞ?」 「だろうな。我々としては、黙って見過ごして日本人の自滅を待つ手もある。だが、司令部は ピョンヤンが死の都市になることを望んでいないようだ」 「・・・・・・次は我々かもしれないから、ですか」 「そういうことだろう。では、こちらも準備にかかってほしい」
「その日」の1週間前 北海道苫小牧市国道36号線ウトナイ沼付近 「すごいな・・・」 「さっきから1時間、途切れが無いな・・・」 「あれは90式戦車じゃないな」 「もう自衛隊にあれほどの90式は残ってないよ」 「ではやはり米軍の・・・」 「M1A2エイブラムス。米陸軍の主力戦車だ」 「すごい数だな・・・」 「今朝、岸壁に行ったら『アルゴル』級が停泊していた。沖にも1隻いた。 たぶんあれから降ろされたんだろうな」 「『アルゴル』級?なんだそりゃ」 「まったく・・・前に説明しただろ。アメリカの車両貨物輸送艦だ。高速 コンテナ船を改造したヤツで、排水量55000トン、速力30ノット のバケモンだ。本に書いてあったが車両500両以上、ヘリ180機を 運べるらしい。『アルゴル』級は全部で8隻だが、港湾事務所で聞いたら 今来てるのは『カペラ』と『アンタレス』らしい」 「それじゃ、それから降ろされたんだな?あのエイブラムスは」 「そうだよ。米軍介入の本格的反撃が間近に迫っているってことだよ」 「今撮影したテープ見せれば、ロシア軍も納得するかな?」 「信じるか信じないかは連中の勝手だ」 「でも情報の信憑性がなければ金はもらえないぞ。今回は米ドルでくれる っていう話じゃないか」 「俺がよく説明するよ、大丈夫だ。それより連絡係が待ってる湯ノ沢温泉に 行くまでの車は大丈夫なのか?警察や自衛隊の警戒線もあるぞ。万一の ための武器はあるのか?それはお前の仕事だぞ」 「わかってるよ、心配はいらない。何度も工作員の手引きをしてきたんだ」 「よし、じゃあ行くぞ」
>>115 トラック10台ほどのコンボイが、数メートルの間隔を空けて燃え上がっていた。
朦々と黒煙と炎を吹き上げるトラックの傍らでは、かつて兵士であった物体が
点々と横たわって、ピクリとも動かない。
トラックが燃え上がる以外の物音は何一つしないまま、夏の日差しが白くそれら
の風景を浮かび上がらせていた。
「まあ、こんなもんだろ」
RPGを肩から下ろしたはちまきが、傍らを振り向きながら言った。
つい先ほどまでコルト・パイソンを構えてはちまきをバックアップしていたシマダが、
うなずいて大きく息をつく。
「こんなもんでしょうね」
シマダはコルト・パイソンをホルスターに戻した。
あの漁港で使っていたグロックが、ボスへのとどめで弾切れになってしまったため、
漁船の中を漁って手に入れたものだ。
シマダは、着ていたデニムシャツの胸ポケットから丸フレームのサングラスを取り出し、
レンズを磨いてからかけた。
普通、サングラスをかけるとたいていの人間は威圧感がますものだが、シマダに限っては
どういうわけか面長の顔が幾分やわらいで見える。
職業さえ言わなければ、堅気でも通じそうなほどだ。
「これで、大体トラック30台に戦車が3両、装甲車が6〜7両ってとこですか」
「そんなところだろう。まだまだこれからだけどな」
シマダは、ため息をついた。
「それにしてもまあ、数が多いですね・・・・・・」
その大学は今や閑散としていた。 普段であれば日帝主義を批判する学生や看板、そしてそれらを監視する私服の公安はなりを潜 め、それどころか構内を歩く学生さえも少ない。代わりに、軍服にはちまき、帯刀した姿の集団 が我が物顔でキャンパスを闊歩していた。 彼らが現れたのは一週間ほど前のことである。当時、大学は普段と変わりない活動を営んでい た。変化と言えば左翼系学生の数が減り、残った学生の活動が派手になったこと。右翼系集団が 左翼系学生と時々もみ合いをしていたこと。公安や機動隊が出動していたこと。しかし、往年の 学生運動を連想させるほどの規模ではなく、学生達はいつも通り講義に、あるいは研究に励んで いた。 一週間前のその日、彼らは大型バス数台に分乗してやってきた。彼らは機動隊や右翼のように、 スピーカを使った説得やアジテーションは一切しなかった。その代わり、腰に帯びた日本刀によ って実力を行使し、瞬く間に左翼学生を虐殺した。その後も左翼系学生の掃討が続き、キャンパ スはあたかも幕末の京都の様相を呈した。 学生の血で赤く染まったキャンパスは、閑散としていた。 志知は研究室で実験の準備をしていた。志知の研究室は超音波を用いた非破壊測定をテーマに しており、その応用分野は広く建築、土木、機械、そして軍事にも応用されていた。特に志知の 研究は学会で注目を集めており、博士過程卒業後の進路について複数の大学からスカウトが来る ほどであった。 実験室の外から複数の足音が聞こえてきた。 「ああ、もう、こんな時間に・・・」 志知は舌打ちをして作業を中断した。志知は試料にプローブを貼りながらテスト信号を送り、 測定系が正常に機能しているかを確認する作業を行っていた。この作業に限らず、実験そのもの が振動を測定するものであるため、微妙な振動、例えば足音があるような環境では不可能である。 そのため、余分な振動が多い昼間は作業せず、主に深夜、しかもできることなら人の居ない週末 を狙って実験が行われた。幸い、と言っては不謹慎だが、一週間前の出来事でめっきり人気が減 り、彼の実験は素晴らしい進捗を見せている。贅沢を言えば、他の学生やスタッフが来ていない ため、一人で実験をしなくてはいけないのが難点か・・・。 足音が実験室の前で止まった。そして、ドアを殴るのとほぼ同義の乱暴なノック。 「志知博士はこちらですか?」 こんな夜中に誰だろう?と疑問に思いつつ、志知はドアに向かった。 「未だ博士じゃありませんが」 ドアの向こうには、学生にかわってこの大学の主となっている、軍服姿の集団が並んでいた。 その数およそ20名。 「こちらには博士課程3年と書いてありますが」 先頭に立った男が、手元のA4用紙を見ながら志知を睨んだ。 「博士課程を卒業しないと博士とは名乗れないんですよ」 恐らく、相手はそんな事を聞きに来たのではないだろう。志知は混乱しそうになる自分を懸命 に抑えた。志知には、彼らと関わり合いになるような心当たりが全くなかった。学部時代は軽音 サークルに所属していただけで、政治的な活動は全くしていない。政治思想についても理系の研 究者らしい現実主義的なもので、特に偏ったものではないと自分では思っているし、政治に関し て語ったことは今まで一度もない。治安維持か何かの情報収集だろうかと思ったが、非合法の極 右集団と思われる彼らが治安維持というのも笑わせる話だ。そこまで考えて、志知は少し落ち着 いた。
「何か御用ですか?」 「いえ、大したことではないんですがね」 先頭の男が少し笑った。志知には、それが人を威圧するための表情であるように見えた。 「この大学の学生、しかも優秀と評判の志知先生に限ってそんな事は無いと思うんですけどねぇ」 志知は全身に鳥肌が立つのを感じた。先頭の男の両脇に立っていた二人の男が、それぞれ志知 の右腕と左腕をつかむ。 「ある人物の報告に、あなたには左翼系グループとの密接な繋がりがある、例えば研究内容や三 菱との打ち合わせ内容を漏らしているなんていう事が書いてありましてね・・・いやいや、多分先生 の才能に嫉妬した愚物が、根も葉もない噂をばらまいているだけだと思いますがね」 「そんなことは、して、いません」 からからに渇いた喉を振り絞って、志知は答えた。脳裏にはキャンパスのあちこちにこびりつ いた血痕が浮かんだ。五分前までは他人事だった血痕だが、今は自分の将来で有るかのように思 えた。足が震えてきた。 「わかっています、わかっていますとも。あなたの無実を証明するために」 男が部下達に合図した。 「我々の事務所に来ていただきます」 「警察は、自衛隊は」 「無実だとわかっているのですから、彼らを煩わせることもないでしょう」 志知は引きずられるように、実験室を後にした。実験室の中から、ピッ、というセンサの電子 音が聞こえた。志知は思わず振り返ったが、男達によって視線と動きを封じられた。 「相変わらず白衣が似合うな、志知。亜紀は元気かい?」 彼らによって連行されたバスの中で、志知は知った顔を見つけた。 「川端・・・」 志知は全てを理解した。頭に血が上っていくのを感じた。 「あのときの措置入院は失敗だったけどな。やっぱり平時では学会の実力行使には限度がある。 このまま亜紀がお前の毒牙にかかるかと思うといてもたっても居られなかったが、最高のタイミ ングでの戦時体制だったよ。戦時なら左翼狩りに紛れて大体のことならできるからな」 志知の婚約者を暴力で奪おうというのだ。川端は教団内の高い地位と教団に強く結びついた自 治体を利用して、志知を精神病の処置入院命令で強制的に連行しようとしたことがあった。その 時は志知の激しい抵抗で失敗に終わったのだが、今度は右翼の姿をした教団の武力集団の手によ って、志知を葬ろうというのだ。 「貴様ぁ!」 志知は川端に襲いかかろうとしたが、川端の周りを固めていた軍服達に取り押さえられた。 「安心しろよ志知。亜紀は幸せにしてやるよ・・・もっとも、お前はもう亜紀の姿を見ることは出来 ないんだがな」 再び川端に襲いかかろうとした志知は、不意に後頭部に強い衝撃を感じた。 「がっ・・・」 志知は遠のく意識の中、自分を殴った軍服の腕に三色で彩られた腕章を見た。 戦後、日常を取り戻した大学に彼の姿は無かった。研究室や友人、親類が方々をあたってはみ たが、結局行方は判明しなかった。彼の婚約者も行方不明になっていることから、二人でどこか に疎開するときにテロに巻き込まれたのではないかと推測されたが、あくまで推測に過ぎない。 こうして、彼らは数多くの行方不明者のうちの二人として埋葬された。
147 :
名無し三等兵 :2001/08/13(月) 13:26
緊急浮上
種子島 宇宙センター H-2の発射カウントダウンが進んでいる。発射予定時刻は3:00。 目標到着時間を夜明け前にするための設定である。 普段ならこんな深夜に打ち上げなどしようものなら種子島の住民から苦情が 殺到するのは必至だが、既に住民は九州本土に疎開している。誰も文句を言 うものはいないはずだ。 また周辺海域と空域を警備している各艦艇や航空機は深夜視界が効かないた め、各種センサーに頼って極度の緊張を持って監視活動を行なっている。 しかし一番緊張を強いられているのは地上で直接宇宙センターとその周囲の 警戒にあたっている第一空挺団と松本第三普通化連隊を主力とした陸上自衛 隊であった。
149 :
猫 :2001/08/13(月) 14:34
天津小湊町,高光山誕生寺.風光明媚なこの寺の境内には故人を弔う人々の列が絶えなかった. 墓地にはこの戦争のため新たに墓碑に刻まれた名前が目立つ. もちろん戦死した自衛隊員は軍人としては靖国に祀られる. ここにいるのは市民の犠牲者,また技術者など多数の軍属や文民公務員の身分のまま戦闘に 巻き込まれた人,その他行方不明のまま死亡宣告がなされたなど様々な悲しみを抱える遺族たちである. そして,その中にある墓前で一心に読経している若い尼がいた.頬には一筋の涙. そして墓石には「志知家代々の墓」それは,婚約者の死を悼む一人の女性の姿だった. 遡ること数ヶ月前.まだ日本が混乱のまっただ中にあった頃. 帰宅中の亜紀は数人の男たちに拉致された.麻袋に詰められ輸送される内に気を失っていたのだが 気づいたら何故かベットの上だった.ラブホテルのような品のない装飾のなかに 何故か薄汚い禿げオヤジの肖像写真があった.そして視線をずらすとそこには, 気色悪い笑顔をたたえたあの男がいた.「川端君!!」よく見ると川端は半裸であった. 悲鳴を上げる亜紀.川端の体が亜紀にのし掛かろうとした,まさにその瞬間,ドアが蹴破られ 黒い一団が男を取り囲んだ.あっけにとられる亜紀に一団の内の一人が囁いた. 「お助けに参りました」それは聞き覚えのある声だった.「正木さん?」 亜紀が問うと男はうなずいた.何故地元のお団子屋さんの主人がここに? しかも,こんなまるで特殊部隊のような格好.混乱する亜紀を後目に正木は言った. 「さぁ,差し当たってはご実家にお送りします.詳しくはお父様から...」
亜紀の実家は南房総にある誕生寺という寺である.歴史上,何度か名前は登場することはあったが それ以外,亜紀にとってはたいした寺だとは思っていなかった. ましてや父親には本堂で経を読み,よく解らない説教を言う堅物のイメージしかなかった. 婚約者の志知を連れて帰ったときには,対面したは良いが殆ど話をしなかった. ただ,帰り際に一言だけ「娘を頼む」と言っただけである.それほどの堅物なのである. しかし,誕生寺には知られざる裏の実体があったのだ.亜紀の育った町には教団の人間は 一人もいなかった.過去何度か入り込んだことはあったが,いつの間にかいなくなっていた. もちろん町の人は誰も騒がない.探しに来た人間が地元民に尋ねても 高波にでも浚われたのだろうと返されるだけだった.それがこの町の隠された実体を物語る... 実家に戻った亜紀は住職でもある父のいるという部屋に通された.亜紀が知らない部屋だった. そこは数々のモニターなど情報機器が並び伝令や解析員とおぼしき団員であふれていた. その中には見知った副住職や小坊主の姿もあった. 一番奥にいた父は僧衣であったが,普段見る姿とまるで違って威厳に満ちていた. 「亜紀か.災難だったな.亜紀よ,心を落ち着けて聞くのだ」 そして父が亜紀の一番望まない言葉を発した.「志知君は死んだ.いや,殺されたと言うべきだな.」 亜紀は嗚咽を漏らした.「嘘・・・」突如涙があふれる. 「犯人はおまえをさらった連中と同じだ」打ちひしがれた亜紀は,鳴き声のまま言った. 「お父さん.何故そんなことが解るの?どうしてそんなこというの?」 娘が父に詰問する声が響く.室内は,その声に静まりかえった. ある解析員が書類を落とす.その書類には誕生寺警備団と記されていた.
151 :
猫 :2001/08/13(月) 14:37
誕生寺警備団.その名を聞けば地元の人は消防団だとか自警団だとか教えてくれる. 構成人員も門前の商店主や町役場の職員などであったから,誰も何も疑わない. しかし,詳しい人間なら彼らの家に伝わる家系図を見れば,彼らがただの商店主達などではないこと がすぐわかった.彼らは門前町の住民として家業の傍ら訓練を行い各々の技術を磨いてきた. 日蓮を信仰するこの寺は1276年の開山以来,体制からはそれなりの弾圧を受けていた. 弾圧をかわし門前町を守るためにはそれなりの力が必要だった. ところが幸いなことに,季候の良い南房総には農業,漁業による安定した潤沢な収入があり, また明治期に入ってからは里見家の隠し財宝が発見されるなど資金には事欠かなかった. 寺は紀伊へ転封された里見家遺臣の国人衆をはじめ各地の浪人衆を加え,明治期には維新から あぶれた者までを幅広く吸収し僧兵として養っていた.もちろん体制側には 気づかれないように門前住民を中心とした表向きは講として或いは自警組織,消防組織として この武闘組織を維持してきた.それが現代となった今でも受け継がれてきたのだ. そして,700年余り,いよいよ手のつけられなくなった教団の伸張に対応するように, この組織は誕生寺警備団として改組された. 亜紀を助けた正木を始め全身黒づくめのその男達は,まさに現代の僧兵だったのである. 彼らにはその鍛え上げられた武力により,仏像破壊のタリバン壊滅作戦にも従事した実績も持つ. しかし驚くべきはそれだけではない.警備団の真の実力はその諜報能力である. 上忍とも言われた里見義堯の技を伝えた警備団は来るべき教団との戦いに備え創宗戦争を静観し 情報収集に余念がなかった.その情報内容は公安機関も上回っていた. 解析員が書類を拾う.しばらくの静寂の後,ふたたび部屋は騒がしさを取り戻した. 父は亜紀の詰問には応えず言った.「あの男は知っているのか?」川端のことである. 当然亜紀には忘れられない男であった.陰気でただ亜紀を見つめるその冷たい視線. 何度となく送られた人間革命などと書かれたラブレター,また自宅アパート前で待ち伏せされる等, 度重なるストーキングのため志知の勧めもあって大学当局に訴え出たことがあった. しかし,何故かそれらは全て揉み消されてしまうのが常だった. そんな怪しいとか得体の知れないとしか形容できない男.その男に亜紀は汚されるところだったのだ.
152 :
猫 :2001/08/13(月) 14:38
亜紀は父に今までの経緯を話そうとしたが遮られた.父親は既に事情を知っているようであった. 「安心せい.あの男も死んだ.自白剤を多用し過ぎてな.」 二人を沈黙が覆う.部屋の騒々しさとは,全く別の空間であった.不意に父の目にも涙が光った. 「志知君は残念だった.儂が知って手勢を向けたが遅かった.すまない」 亜紀は初めて父親の感情を見たような気がした. 「志知君のかたきは,我々で取る.おまえは志知君を弔ってあげなさい.よいな」 亜紀は黙ってうなずいた.振り向くと背後には母がいた. 亜紀は感情の糸が切れたように,母の胸で泣きじゃくった. 住職は母に付き添われた娘の後ろ姿を見送ると伝令に指示した.「すぐに正木を呼べ」 ...そういう家柄である亜紀を標的にしてしまったのは,単に川端の調査不足でしかなかった. もちろん川端の勝手な思いこみ的な恋愛に調査も何もない. 普通,教団幹部の配偶者については調査部門が事前調査をするのが常である. もちろん本人の意に添わない拉致等も調査部門が行う.ところが,性格もあって川端の行動は 教団の手の及ばないところにあった.それが彼とそれだけではなく教団の破滅をも早めたのだ. 亜紀の一族について正式な調査させ然るべき手を打っていれば, 彼と教団の野望も成就していたことであろう. かくして2人の遺体は,この町に葬られることとなった.志知は愛する婚約者の側で. 川端は,砂浜の中で...
東京 靖国神社 戦後新たに御霊を増やすことになってしまった全国戦没者追悼式の後、小泉純一郎内閣総理大臣 は靖国神社に参拝していた。小泉の胸中には無念の想いで8月15日でなく13日参拝という中途半端な 妥協を強いられた昨年の夏のことがまじまじと思い浮かんでいた。 中国・韓国の反対、当時連立相手だった公明党の反対などあり自らの想いを貫き通すことが 出来なかった無念。一回弱みを見せてしまったためにその後の改革路線も「抵抗勢力」により あわや潰されてしまうところであったこと・・・ そしてこれ以上戦争犠牲者を出さないと誓ったにも関わらず、今回自衛のためではあるが 戦争が勃発し新たな英霊をここに加えてしまったこと・・・ 深深と頭を下げる小泉の目からは涙が溢れ出し、足元の床板に雫がいく粒もこぼれていった
[NASDA:0972] H-IIA ロケット2号機の打上げ日時 ================= * 宇宙開発事業団からのお知らせ * =================== National Space Development Agency of Japan News Release ====================================================================== 平成14年6月**日 宇宙開発事業団 H-IIAロケット試験機2号機の打上げについて 宇宙開発事業団は、H-IIAロケット試験機2号機の打上げについて、下記のと おり宇宙開発委員会に報告し、了承されましたので、お知らせします。 記 打上げ日 : 平成13年6月**日 予備期間 : 平成13年6月**日 (**) 〜7月**日 (**) 打上げ時刻 : 13:00〜18:00 打上げ場所 : 種子島宇宙センター 大型ロケット発射場 目的 :DRTS-W(データ中継技術衛星)の打ち上げ なお、この計画、及び今年度予定の情報収集衛星打ち上げは以前から立 案されていたものであり、戦闘目的で打ち上げを行うものではないことを明 言いたします。
>>144 「はちまき、こっちも片付いたぜ」
茂みをかき分け、ボウイが姿をあらわした。
手にしたPRD分隊支援機関銃を軽く持ち上げる。
米軍のM60に相当する機関銃で、縦に圧縮したような円筒形のドラムマガジン
以外はAKとさして見掛けが変わらない。
今では旧式化した装備だが、ロシア叛乱軍では未だにかなり見かける代物だ。
「お疲れ」
RPGを背負い、右手を上げてはちまきが答えた。
「とりあえず、ここいらで遊ぶのも潮時かもね。
いくらロスケが切羽詰ってるとはいえ、こんだけ派手にやっちまえば
さすがに何か手を打ってくるだろうし」
頭上から声が降ってきた。
ほぼ同時に、声がしたあたりの枝がざわめき、ドラグノフを背負っためがねが
器用に手足を使って広葉樹を滑り降りてくる。
「そうだな・・・・そろそろ河岸を変えるか」
はちまきが同意し、地図をザックから取り出そうとしたときだった。
ザックの中に突っ込まれていた無線機がランプを点滅させ、着信を知らせた。
4人は、思わず顔を見合わせた。
2週間近く、まったく音沙汰がなかったため、その存在すら忘れかけてた無線機が、
今ごろになって鳴り出している。
「・・・・・?」
はちまきは訝りながら、無線機を手にした。
>>155 『2週間ぶりになるかな、元気かね』
サングラスの声は、はちまきにとっては嫌悪を催すだけのものだった。
この声を聞かされるくらいなら、黒板かガラスに爪を立てる音を聞かされたほうが
よほどましだと思った。
「何か用かよ」
そっけなく返事を返した。
『ご挨拶だな。まあいい。任務を果たしてくれたことにつき、まずは遅ればせながら
ねぎらわせてもらうよ』
「報告なんかした覚えはないぜ」
『こちらでもある程度モニターはしている。いくらか齟齬はあったようだが、取引の妨害
はうまくいったようじゃないか』
「お見通しってわけかい」
>>156 シマダの表情が険しくなるのを横目でみながら、はちまきはサングラスが
なぜ今ごろになって連絡をよこしてきたのかを考えていた。
そうしたはちまきの考えを見透かすかのように、サングラスは尋ねてきた。
『まあね。ところで、君達の現在位置はどのへんかな?』
はちまきは、不承不承地図のグリッドを読み上げた。
「これでわかるだろ。ロスケのど真ん中だ」
『・・・・・・ほう、そんなところまで浸透していたか・・・・・・。さすがは、だな』
腹の中で不快感がますます膨れ上がるのを懸命に我慢しながら、
はちまきは尋ねた。
口調も、自然と険しくなってくる。
「いったい何が言いたいんだ?」
『新しい任務だ。今度は少しばかり厳しいと思うが』
サングラスの声音は、硬い何かを断ち切るかのようだった。
『もちろん、否やはあるまいね?』
158 :
_ :2001/08/14(火) 16:55
あげます!
159 :
:2001/08/15(水) 14:06
終戦記念日あげ
160 :
官僚きんむ〜月月ぶる〜〜 :2001/08/15(水) 15:02
課長補佐豊田の決心 自由韓国軍へ 豊田課長補佐は相模原補給敞で修理のために収容した軍用車両の 廃油を活用して石鹸・洗剤などをカネボウ、資生堂などが戦時下で 合併した太平洋油脂化学会社の作成した製品検討会議の席上で省庁 間のエゴ、国策会社の暴利と無能ぶりとその片棒を担がなければな らない自分の立場、そして幹部候補生学校の同期の相次ぐ戦死の報 に接し、義兄からの自由韓国軍と国軍の連絡将校に志願をすること を補給敞の帰りに決断をした。 即座に辞職届をだしたが、課長は不審げに豊田に尋ねた、「召集 指定除外者がわざわざなんでまた…」しかし、豊田は気負うことな く「少々考えるところがありまして自由韓国軍に志願します」と 答え「今日は光復節の8月15日で日取りも良いですから」などと 普段の豊田では考えられない冗談まで口にした。 独身で係累の少ない豊田には別れを告げる人は少なく、数年前か ら肉体関係のある子持ちの年上の恋人に少々芝居がかった第一種軍 装で儀式めいた別れを告げるぐらいであった。 家財道具を仲間内で分け、蔵書はその恋人に預けて身辺整理 は終わりであった。 李孫邸大将 自由韓国軍司令部付日本国軍連絡将校が豊田の新しい職務であった。 夕暮れの立川駐屯地で李大将はソファーに座りペーパーバックのコ ナンドイルの推理小説を読みながらキャメルを盛んに吹かしていた。 「豊田国軍一尉ただいま到着いたしました」と赴任の申告をすると 李大将はにこやかに、しかしコナンドイルを読みふけっていた姿を 見られたことに対する照れを見せながら答礼をして「両軍の連絡を 密にするために貴官の赴任を歓迎する」と慈父のような笑みを浮か べ、深い人間的な魅力を感じさせ、迎入れてくれた。 「ところで、豊田一尉の任務であるが国連軍等会議全てに随行し、 特に日本国軍との全ての問題についてコンサルタントとして李を補佐 してもらいたい」と一気に言われて豊田は緊張に背がこわばった。 「閣下、そうしますと、現下の場合、小泉首相、中谷防衛庁長官、 竹河内統幕議長、へスター多国籍連合軍司令官等との会談に一介の 尉官が出るのでありいますか」と、李大将は悠々とした口振りで、 「会議に出ないと補佐は出きんだろうハハハ」と豊田は御殿女中の ような霞ヶ関の上司に比べてずば抜けてスケールの大きな人物に仕 えることを実感し、緊張感のなかに安心感がわき出てきた。 豊元田課長補佐は職階順に申告をするために司令室から退出した 8月15日17時過ぎ、日はまだ高く基地内には緊張感があふれて いた。 豊田は数年後、李大将とともにサンパルソンまで随行をする第一 歩を踏み出して行ったのである。 ※この話はアレクサンダー・シュタールベルク著「逃れ得ぬ義務」 より粗筋を借りております。
161 :
名無し三等兵 :2001/08/16(木) 00:47
あげときます
162 :
:2001/08/16(木) 14:25
あれ?皆さん夏休み?あげ
163 :
官僚勤務〜月月ぶる〜〜 :2001/08/16(木) 16:35
自由韓国軍での第一夜 豊田は職階順に申告をしていった。参謀長の康国安少将はアメリカ帰りの 韓国陸軍のエリートコースを歩んで来た人物であるが、身長が180p 体重が100sを越える三国志の武将のような雰囲気があり、戦地でも 常に第一線に近い場所に位置をするようにし、時間があればジープで前線 を視察するタイプであった。 豊田に対しても韓国軍人にありがちな日本人に対する妙な感情もなく、 参謀長が申告してきた一尉に着任申告を自然に受け、雰囲気そのまま豪 快に「来年の8月15日はソウル奪回だな、よろしく」と言ってのける 海を追い落とされ少々消極的な自由韓国軍将兵とは思えない様子であった。 高級参謀の金谷完爾大佐は在日韓国人であり、防衛大学を卒業後に 陸上自衛隊の幹部として勤務後、自由韓国軍に派出された人物であった。 金谷高級参謀は康参謀長とまたタイプが違い、几帳面な参謀を体で具現 したような人物であった。 申告の挨拶にも「着任ご苦労」と一言でおわり、なにやらとりつく島の ない雰囲気であった。 もっとも彼は誰に対しても同じ対応であり、格別悪感情を抱きはしない が、補佐をするのはなかなか大変だと豊田は感じたが、実際は柔軟な人物 でり、上司と部下というよりも莫逆の仲となろうとはその時、予想がつか なかった。 夕暮れが押し迫り、食堂で李大将以下司令部将校が夕食を取り始めた。 以下次号
総理官邸 日付が17日に変わるまで、あと30分。内閣危機管理室には小泉総理以下、閣僚や 自衛隊、米軍、多国籍軍、自由韓国軍などのスタッフが詰めていた。 災害対処に主眼を置いて整備された複数の状況表示盤は改良が加えられ、自衛隊や 多国籍軍の各部隊の展開状況が表示されていた。その表示板は関係者がふかす煙草の 煙にかすんでいた。 小泉は落ち着かない表情で、表示板や手元の資料を繰り返し見ていた。 そんな彼の様子を、少し離れた席で秘書の飯島は見ていた。小泉が初当選して以来、 4半世紀以上付き添ってきた彼は、その姿に改めて驚いた。 戦争が始まって以来、元々細身だった小泉の体躯はますますやせ衰え、まるで人骨標本が スーツを着ているようだった。とくに顔は目が落ち窪み、頬はこけていた。無残な表情 だった。しかし眼光だけは鋭く、小泉は何かに憑かれたかのように職務をこなしていた。 前任の外務大臣の一連の独走が大きな要因だったとは言え、九州と北海道への同時侵略を 許した事実に、小泉は苦悩していた。 本来ならば内閣総辞職が当然だった。しかし急転直下の事態の推移はそれさえも許さなかった。 岡崎外相就任や野党党首数人を閣僚に起用するなどの挙国一致体制を造り、小泉は戦争を 遂行してきた。自らの責任を問い続けながら・・・。 飯島はそっと席を立ち、小泉の傍らに行った。 「総理、大丈夫ですか?」 飯島は小声で訊いた。「ああ、大丈夫だよ」と、小泉は小さく笑いながら答えた。 その表情は飯島は一瞬驚いた。まるで般若のように見えたからだ。 「やはりここではなく、中央指揮所に行った方がいいかな?」小泉は訊いた。 「どうしてですか?」 「なんだか、落ち着かなくってね。中央指揮所の方が、より戦線に近い感じがするんだよ」 「この作戦のお膳立てをするために総理はこれまで東奔西走してきた。あとは現場に 任せて、ここで成り行きを見守るしかありませんよ」 飯島がそう言うと、小泉は黙ってうなずいた。彼は姿勢を正し、マイクのスイッチを 入れた。飯島はそっと席に戻った。 「間も無く作戦開始です」 小泉の言葉にスタッフたちも姿勢を正す。吸っていた煙草を灰皿に押し込む。 『こちら防衛庁です。作戦準備完了です』 防衛庁中央指揮所に詰める中谷防衛庁長官がマイクで知らせてくる。 『こちら合同司令部。作戦準備完了しております』 座間の多国籍軍合同司令部に詰める竹河内統幕議長も答える。彼はへスター多国籍軍 司令官の参謀長だった。 時計の針は零時に近づいていく。すでに各部隊は作戦発起点に展開を済ませており、 作戦行動そのものはすでに開始されている。だから17日零時という作戦開始時刻は あくまでも便宜的なものに過ぎなかった。 しかしそれでも全ての関係者にとって、大きな区切りであることは間違いなかった。 零時まであと10分だった。
165 :
_ :2001/08/18(土) 00:38
あげます
age
167 :
名無し三等兵 :2001/08/19(日) 22:19
ネタも出尽くしたしそろそろ新しい展開に行きません? だれか新しい状況考えてスレッド立てて
>>157 『君達の目標は、ロシア叛乱軍参謀長ユーリ・ガガーモフだ』
サングラスが言葉を区切ると同時に、液晶画面にロシア人の顔写真が写る。
一見、人間味のありそうな穏やかな顔立ちだが、その目つきはどこまでも怜悧
で、頭が切れそうに見えた。
『我々の入手した情報によれば、彼がこの度の北海道侵攻に大きな役割を演じた
とのことだ』
「そいつを殺れってのかよ」
ガガーモフの顔を頭に焼き付けながらはちまきが問う。
『殺す必要はない』
「どういうことだ?」
『彼は、ロシア反乱軍がどうして北海道侵攻を決断したか、その証拠となる
"何か"を持ち歩いているらしい。そして、それは場合によってはロシアの政権
をも揺るがしかねない代物だとのことだ』
>>168 「文書か何かか?」
『そこまではわからなかった。だが、持ち歩けるところを見ると、そう
かさばるものでもないらしい』
わざとらしいため息をつき、はちまきは言った。
「つまり、このおっさんが持ち歩いている何かを見つけてかっぱらって
来い、そういうことだな?」
『そういうことだ。うまくいけば、この戦争が終わった後の対ロシア政策に
使えるかもしれないからな』
畜生、いつまで俺達はこの尊大な野郎の言うことを聞かなければいけないんだ。
はちまきの表情は悔しさに満ちていた。
170 :
:2001/08/22(水) 02:18
誰か書けやアホ!
171 :
こんなのどう? :2001/08/22(水) 02:57
<NHK朝のニュース> 昨夜20時頃、国内の防衛、各官庁、金融、マスコミ各社のネットワークシステムに、 中国、朝鮮軍ハッカーによるとみられる大規模なサイバーテロがあった模様です。 対策の取られていた防衛関係のシステムにはほぼ損害は無かったようですが、 対策の遅れていた金融、マスコミ関係ではいくつかのサーバーがダウン、特に 今朝からの金融市場では混乱が発生している模様です。 これを受けて小泉総理は先程緊急記者会見を行い、金融市場の混乱を最小限に 留めるよう早急に手を打つと発言すると共に、国内ネットワークを防衛するため、 警視庁ハイテク犯罪捜査課が設置する協力機関への、在野のIT技術者の登録を 呼びかけました。 また、インターネット上に存在する有名巨大掲示板サイトに、政府関係者を名乗る 人間による、国内ハッカーへの報復サイバーテロを呼びかける書き込みがあった という未確認情報も入ってきております。 それでは小泉総理の緊急記者会見の模様をVTRで・・・
ニュース速報@2ch掲示板 ■戦時規制中■ ■掲示板一覧■ 1: 本日の自衛隊戦果Part82 (324) 2: 美穂ちゃん連れ去り事件被疑者 逮捕!?パート2 (624) 3: カンボジア首相曰く,小泉総理の靖国参拝 は当然 (183) 4: 中国・北朝鮮によるサイバーテロが!Part4(908) 5: 左翼を殲滅せよ (19) 6: 政府公認?中朝に報復サイバー攻撃だ! Part2 (938) 7: 北海道戦線は今Part138(333) 8: へたれ【自由韓国軍】 を糾弾するスレ (168) 9: ア×ヒの偏向報道が憎い。 (16) 10: あな たの周りの北チョン工作員 (340)
続きが書かれない・・・。 あげます・・・。
お詫び 読んでくださる皆様、最近書いておらず申し訳ありません。 当方仕事が忙しく、体調も悪いためこんな状況であります。 この板には名無しか「とら」のHNで少しだけ書いている状況です。 現在、自衛隊による逆上陸作戦ネタを構想中であります。 ヘタレなことで大変申し訳ありませんが、しばし長い目で 見ていただくことをお願いいたします。 失礼いたしました。
>>169 俺がサングラスのいうままになるのはしかたない。なかば自業自得でもある。
だけど、3人をこれ以上巻き添えにしてもいいのか・・・・?
はちまきは、思わずシマダの方に視線をめぐらした。
通話モードをスピーカーに切り替えたために、はちまきとサングラスの会話は
さきほどからシマダの耳にも入っている。
彼にとってサングラスは、取引を叩き潰そうとした怨敵のはずだ。
そんな彼に、サングラスの言うことを聞けといえるのか・・・・?
はちまきの煩悶が頂点に達しかけたとき、シマダが険しい表情のまま、インターコムを渡すよう
身振りではちまきにしめした。
>>174 =前スレ398さん
了解いたしました。当方も、最近仕事にターボがかかって板を除くことすらまま
ならない状態です。お互い、ゆっくりいきましょう。
時節柄、御身お大事に。
>>174 楽しみにしてます、それまでスレッドが倉庫行きにならないように確保sage
しときますので:-)
245さん、しつこい粘着がいますけど気になさらずに、マイペースでまた
「気分はもう戦争2001」読ませてください、よろしく:-)
>>176 =245さん
お心遣い有難うございます。
なにとぞ健康にはお気をつけください。
お互いに頑張りましょう。
>>177 =海の人さん
有難うございます。感謝の言葉もありません。
>>175 何を話すつもりだ。
シマダの意図が読めないことにいくらかの不安を抱きながら、
はちまきはインターコムを手渡した。
受け取ったシマダは、せりふを考えているかのようにしばし宙をにらみ、
それからおもむろにマイクに語りかけた。
「どうも。通話をかわりました。私は、はちまきさんの舎弟でシマダと申します」
おい、舎弟ってなんだよ。
あわてたはちまきに、しばらく静かにするようゼスチュアで伝え、
シマダはサングラスの返事を待った。
『・・・・シマダ?君は誰かね』
当然ともいえようが、サングラスの口調はいくらか混乱していた。
口元に皮肉な笑みを浮かべて、シマダは答えた。
「あなたがおじゃんにしたがった取引を主催してたヤクザですよ。
その後、ちょっとした縁ではちまきさんたちから杯を頂きまして」
『そうか、それはそれは。なぜ君が彼らと行動をともにしているかは
わからないが、謝罪はしないぞ?』
「まあ、世間様に顔向けできないようなことですからね。その点については
何もいえませんや」
そこで言葉を切って、シマダは間をおいた。
「ところで、さっきからそちらさんが命じている件について少し話をしたいんですがね?」
>>177 =海の人さん
どもども。
まあ、こういう妄想を垂れ流している以上批判やあてこすりは仕方ないと思います。
ですが、よんでくださっている方がおられる以上、なんとか戦争終結までもって
いきたいなと思っておりますので、なにとぞ生暖かい目で見守ってくださいまし(笑)
>>180 『何がいいたいのかな?』
「いえね、ちょっとお話を脇で伺ってたんですが、これはもうちょっと私らの
手にあまる仕事のように思うんですよ。いやー、ロシアの司令部にカチコミ
なんてねえ・・・・」
『引き受けられない、そういうことか』
「ま、単刀直入にいえば。ちょっと私らも死に急ぐ趣味は持ってませんしね」
はちまきたち3人は、顔を見合わせた。
いったい、何を言い出すかと思えば。
その思いはサングラスも同様だったようだ。
数秒間の沈黙が流れた後、スピーカーから再び声が流れた。
『シマダとかいったな。残念ながら、その種の要望にはこたえられない』
「命令、ってわけですかい?うちら、正規軍じゃないんですぜ?」
『まあな。だが、サボタージュを働いた場合、君の兄貴分が生涯後悔するはめになる』
サングラスの声からは、混乱が消えうせていた。
「・・・なーるほど。つまり、はちまきさんの弱みを握ってるってこってすかい」
『そういうことだ。わかったら、はちまきに無線を』
サングラスの得意げな言葉を、シマダはあっさりさえぎった。
「じゃあ、こちらもカードを出しましょ。新宿歌舞伎町"L・P"ってヘルスの、3号店
で、昨年何があったか覚えておいでですか?」
>>182 『何があったか、ぜひとも知りたいところだが?』
サングラスの声は、不自然なほど平板になっていた。
「昨年の4月でしたかね。ちょっと素行の悪い若いお客さんが、
うちの女の子に無茶言いましてね。
で、私んとこの若い衆がいきり立ってたことがありまして。
まあそのときは私が間に入ってとりなしたんですが・・・・そのお客さんの
親がわざわざ事務所までお見えになったことがあったでしょ?」
サングラスは、沈黙したままだった。
「これは多分私の気のせいでしょうが、どうもその親御さんの声が今話している
方にそっくりでしてねぇ。アクセントとか、言い回しとか。
まあ私も神経が細かいもんで、気になったことははっきりさせたいんですわ。」
シマダの長広舌に、やっとサングラスが口を挟んだ。
『・・・・・・どうやって、確かめる?』
「簡単なことです」
シマダは、いまやはっきりと笑いを口元に浮かべていた。
「うちの若い衆はまだ何人か歌舞伎町に残ってます。電話一本入れて、監視カメラの
映像をここまで送ってもらえばいい。土下座してるとはいえ、顔ははっきり映ってますから、
はちまきさんたちに確認を取ってもらうことは可能でしょう」
『・・・・・・・・・』
「なんという偶然か知りませんがね、どうもその女の子は素性がずいぶん怪しくてね・・・
どうも、大陸の方の出身かもしれないんですよね。ええ。最近はどうにもその辺の人間が
胡散臭くみられてることは先刻ご承知ですなぁ?」
>>183 「ま、ここまでいえばもうお分かりでしょう。あんまりそちらさんが
無茶言うようなら、こっちもこれを戦後公にさせてもらいます。
証拠つきですから、マスコミも喜ぶと思いますね。
そちらさんがはちまきさんのどんな弱みを握ってるか知りませんが、
ご自分の身の上と比較できるようなものですか?」
口調こそ軽いものの、シマダの声音ははっきりと獲物を追い詰めるハイエナ
のそれだった。
やりとりを聞きながら、ボウイはなぜシマダが40にもならない年齢で歌舞伎町
に一定の地位を築けたか、その理由が見えたような気がした。
『・・・・・わかった・・・・・』
サングラスは、やっとそれだけを搾り出すように答えた。
口調には言い知れぬ敗北感があふれている。
『だが、この件に関しては妥協はできん。なんとしても、ガガーモフ
の"手荷物"は奪ってもらいたい』
そこが譲れない線、てわけか。
シマダは唇をすぼめ、答えた。
「まあそれなら仕方ないでしょ。ですが、必ずやれるとはいえません。あと、今後
の行動には一切口を挟まんで下さいよ」
『了解した。この作戦に関するデータはのちほど送信する』
それだけこたえて、サングラスは一方的に通話を打ち切った。
>>184 「出すぎたまねをしました。お許しください」
シマダは深々と頭を下げ、インターコムをはちまきに返した。
「出すぎたまねも何も。あんたすごいひとだったんだね」
目を丸くしながら、めがねが大げさな身振りを示して言った。
「すまねえな、シマダさん」
無線機を、無造作にザックにつめてはちまきがぼそりと言う。
「あんたに、借りができちまったみたいだ」
「いいえ!」
シマダは、びっくりするほど強い調子で言い返した。
「みなさんには、危ないとこを助けてもらいました。このくらいは当然です」
「そっか・・・・・」
ザックを背負い、菊一文字を落としざしにしたはちまきがシマダを見やった。
「とりあえず、ガガーモフとやらから何か奪ってくるか。できるかどうかは別として」
RPDを肩に担いだボウイが3人を均等に見ながら言った。
「そだね。なんだか面白そうな話だし」
ドラグノフの弾倉を交換しためがねが、にやりと笑う。
「私も、お供させていただきますよ」
ホルスターのパイソンを軽くたたきながら、シマダも同調した。
「それじゃ、行くか」
はちまきは、AKをぶら下げたまま歩き出した。
2,3歩歩いたところで足をとめ、シマダのほうを振り返る。
「それとさ、シマダ」
「なんです?」
「俺たちゃ兄弟分でもなんでもない。ただの戦友だ。もっと気楽な口調で頼むよ」
シマダは、一瞬虚をつかれたような顔になったが、すぐに大きな笑みを浮かべた。
「わかったよ。はちまき」
186 :
名無し三等兵 :2001/08/23(木) 16:14
九州某所 物資集積所を預かる北朝鮮の軍人は恐怖のどん底にあった。 ここ連日正体不明の戦闘部隊に後方基地が次々と襲撃されているからだ。 「畜生!後方は安全じゃなかったのか?」 富豪の家に生まれ今回の戦争においても比較的安全な地域に配備された彼 にとってそれがどれほどの恐怖を呼ぶか想像に難くない」 前線では今なお激戦が続き後方に兵力をまわす余裕も無く現有戦力で正体 不明の部隊との戦闘を余儀なくされているのだ。 「こうなったらさっさと逃げないとやばいぞ、ん?また物資を運んできたの か?こんな次期にご苦労なこったな」 20分後、其処には崩壊した基地のみが残されていた。 EU諸国がNATOでの発言権を強めるため、また自国の軍備の強さを見 せつけるために派遣した英国SAS等の特殊部隊により、九州の北朝鮮・中国 連合軍は湾岸戦争でハイテク兵器に無残にも敗れ去ったイラク軍の如く この襲撃に対し成す術も無くその戦力確実にを減らされていった。
毎日ここに来て読んでます、とても面白いです。 応援してるのでがんばってください。
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【業務連絡>執筆者各位】 なんだか、2ちゃんねるがなくなりそうな勢いで騒ぎになっておりますが、 今のところ具体的にどうなるかはまだはっきりとしてないようです。 (雑談系の板をリストラするとか言うことですが、別スレにはyasai鯖死亡 とありますから、予断を許しません) とりあえず、現時点では我々にはなすべきことがないようですので、淡々と 続きを書いていきましょう。 もしものときは、どこに避難するか、また2ちゃんねる内で打ち切りにするか、 執筆者各位のご意見を伺いたく思います。 ※ここにかきこんだ私のレスがとり越し苦労ですめば、一番いいのですが・・・・・・。
>>185 拡大された視界一杯に、敗勢が広がっていた。
2車線のさほど広くない国道一杯にロシア叛乱軍の各種車両や人員が
満ち溢れ、うごめいていた。
それが昔日の栄光を具現する風景でないことは、泥と埃にまみれ、どこかが
破損している車両と、疲労しきった兵士達のありさまを見れば一目瞭然であった。
しかし、そこにいるものたちが未だ戦う意思を捨てていないことは、国道わきに展開
している対空車両の宙を睨む大口径機関砲や殿に控えるT-80の擬装、そして銃を
捨てていない兵達のありさまからもまた、明らかな事実である。
先日行われた航空攻勢により、戦闘力を極端に減じた叛乱軍は、それでもなお
組織としての統制を保ったまま北へと逃れようとしていた。
「こりゃすごいな。うかつに手も出せねえ」
感心したような口調で、はちまきは双眼鏡から顔を上げた。
めがねに双眼鏡を手渡し、視線はボウイとシマダにむける。
「ロスケにゃ、あとがないからな」
くわえたハイライトを上下させながら、ボウイが言った。
「今ここで手を上げても、ロシアに送還されりゃ犯罪者。だからといって、
"日本軍"やアメリカ軍に手をうかうか上げることもできまい」
「降伏した後で、戦犯裁判が待ってるからな」
シマダが、後を引き取った。
「それでさー、どうやってガガーモフの居場所見つけるの?」
双眼鏡から顔をあげ、めがねがはちまきに尋ねた。
はちまきは、思わず顔をしかめた。
191 :
名無し三等兵 :01/08/26 21:01 ID:GQKYTHmI
あげ!
「ハープーン用意、テーッ!」 号令一下、未明の宗谷岬沖に進出した護衛艦「ゆうばり」「ゆうべつ」は次々にハープーン SSMを発射した。 目標は樺太・大泊湾のから出撃した反乱ロシア軍のミサイル艇4隻だ。この4隻は多国籍連合軍の 監視の目を逃れ、巧みに偽装した泊地に温存してきた貴重な迎撃戦力である。 反乱ロシア軍にとって、この4隻のミサイル艇を全滅覚悟で出撃させねばならないほど、「ゆうばり」 「ゆうべつ」が前衛を務める多国籍軍艦隊は迎撃しなければならない相手だった。 しかし―。空母「コンステレーション」のE−2Cや哨戒ヘリの支援を受けて発射されたハープーン は正確に4隻のミサイル艇を屠った。 反乱ロシア軍にとって、もはや多国籍連合軍艦隊―すなわち第76任務部隊を阻止する手段は完全に 失われた。 大小多数の艦艇が、白みはじめた宗谷海峡を進んでいった。
>>192 陸上自衛隊第301沿岸監視派遣隊の高山2曹は、覗き穴から双眼鏡を出して海峡を
見ていた。
稚内市声間岬にあるレストランの天井裏。ロシア軍上陸以来、空き家となったこの
レストランの天井裏が、高山2曹の生活の場であった。
東の空が僅かに白みはじめた宗谷海峡は、薄いシーフォグに包まれていた。平時であれば
イカ釣り漁船で埋め尽くされる北の漁場は、悪夢のような静寂に満たされていた。
彼は現在の戦況を知らない。ロシア軍上陸時に稚内駐屯地を脱出して命からがら、ここに
逃げ込んできたのだ。装備も双眼鏡や小銃、若干の弾薬を持ってきただけだ。無線機すら
持ってこなかった。
それから一ヶ月、彼は稚内港に入ってくるロシア軍艦船を監視してきた。味方の反撃が
始まったのか、ここ一週間ほどロシア軍艦船は入港してこない。湾内には数日前に飛来した
戦闘機によって撃沈されたロプーチャ型揚陸艦が艦首を海面に出しているのが見える。
あの戦闘機が自衛隊機だったのか、米軍機だったのかは彼には分からない。しかしF−15
であったのは間違いないようだ。
とはいえ、無線機も何も無い高山にとって、これらの情報を味方に通報する手段は全く無かった。
彼にとって敵の捜索隊に発見されないことが唯一の生きる目的だった。
だが、彼は孤独ではなかった。頼るべき仲間がいた。深夜12時までの見張りを終え、今は高山の
傍らで寝息を立てる北地士長が彼の部下であり、仲間であった。高山は北地と交替し、見張りに
就いている
「ゴトッ」天井裏の下、つまりレストランの2階で物音がした。高山は弾かれたように、しかし
冷静に小銃を握る。天井裏の床に銃を向ける。
すると下から床を叩く音が5回響く。合図だった。床がずれる。一人の男が登ってくる。
「メシだぞ」
男は飯盒を持って入ってくる。高山の3人目の仲間、平木3曹だ。
平木は政治的混乱により部隊進出が遅れ、壊滅的打撃を蒙った第2師団の偵察隊員だった。
第2偵察隊は稚内に進出した第2師団唯一の部隊であったが、ロシア軍の猛攻の前に壊滅し、
平木は仲間とはぐれていたところを、偶然高山と出会ったのだった。
飯盒の中身は蒸かしたての馬鈴薯だった。
「こりゃ美味そうだ」高山は熱々の芋を早速頬張る。そして任務を続行する。
平木は北地を起こし、食事をする。「こりゃ美味い。これでバターがあれば最高なんだけどな」
北地は寝起きにも関わらず、食欲旺盛だった。
この食事は逃げ遅れた住民が、ロシア軍の監視の目を盗んで差し入れてくれたものだった。
見つかればその場で処刑確実な行為を、一部の住民は危険を冒してやってくれていた。
「一日も早くロスケを追い出して欲しい」そんな住民の本音に、応えてやれないまま、
食料をもらっていることが心苦しかった。
(いつか味方がやってくる・・・そのときは・・・・・)
馬鈴薯を味わいながら、高山は心に誓った。
その時だった―。
湾内に低くくぐもったような爆発音が響いた。
>>193 「!」高山は双眼鏡を湾内に向けた。そして全神経を視力に注いだ。
いつの間にか湾内には5〜6隻の艦船が入っていた。沿岸監視員としての艦型識別能力を
フルに発揮する。
信じられない光景だった。
湾内にいるのは米軍のフリゲイトや、海自の掃海艇だった。掃海艇が敵前で掃海作業を行なう―。
これが何を意味するかは、高山にとって分かりすぎるほど分かりきったことだった。
「おい!平木、北地!味方だ、味方がやってきた!」
興奮で上ずった高山の声に、二人は馬鈴薯を放り出して、覗き穴に駆け寄ってきた。
「平木さん、早く貸してくれよ」
なかなか双眼鏡を離さない平木に、苛立った北地が言う。
「すごい!自衛艦旗を掲げてる!海自だ!」
双眼鏡を北地に渡した平木のヒゲ面が、子供のように破顔した。
「沖合いにもいるぞ!すごい数だ!信じられない!」
双眼鏡を覗く北地は声を裏返らせて叫ぶ。
そんな二人の肩を、高山は顔をくしゃくしゃにしながら叩く。
「味方だ!味方の反攻だ!やったー!」
平木が叫ぶ。
「やっと来た・・・やっと来た・・・・!」
北地も叫ぶ。
高山は二人の肩を叩き続けながら、声も出せなかった。
ヒゲ面で垢まみれの三人の男は、涙をこらえ切れなかった。
第76任務部隊の編成 揚陸艦部隊 強襲揚陸艦「エセックス」(旗艦)「ボノム・リチャード」「ベローウッド」 ドック型揚陸艦「クリーブランド」「デンヴァー」「ジュノー」 「ジャーマンタウン」「フォート・マクヘンリー」 輸送艦「おおすみ」「おじか」「さつま」 無人機運用艦 訓練支援艦「くろべ」 予備指揮艦 試験艦「あすか」 揚陸部隊 第1海兵師団(米海兵隊)、独立混成第101連隊(陸上自衛隊第34普通化連隊基幹) 護衛部隊/火力支援部隊 ミサイル巡洋艦「ヴァリー・フォージ」 ミサイル駆逐艦「ポール・ハミルトン」「オカーン」 駆逐艦「カッシング」「フレッチャー」 ミサイル護衛艦「きりしま」「はたかぜ」 護衛艦「むらさめ」「はるさめ」「はつゆき」「さわゆき」「ゆうばり」「ゆうべつ」 掃海部隊 掃海母艦「ぶんご」 ミサイル・フリゲイト「ヴァンデグリフト」「ゲアリー」 掃海艦「ガーディアン」「パトリオット」「やえやま」「つしま」「はちじょう」 特殊部隊・水中障害破壊隊揚陸部隊 哨戒艇「ハリケーン」「スコール」 空母戦闘群 空母「コンステレーション」 ミサイル巡洋艦「カウペンス」「プリンストン」 ミサイル駆逐艦「ジョン・ポール・ジョーンズ」 駆逐艦「キンケイド」「ジョン・ヤング」 その他、潜水艦部隊・補給部隊あり。
196 :
245 :01/08/28 02:28 ID:ShZvr2GY
>190 「そうさな。ドアをノックして『こんにちは、ガガーモフ氏はおられますか?』 ってなわけにもいかねえしな・・・・・・」 視線を国道に戻し、はちまきがひとりごちる。 「はちまき」 不意に表情を硬くしたボウイが、親指を南の空に向けて呼びかけた。 頭をやや傾げ、耳をすませている。 「聞こえるか?」 ボウイの声に、はちまきは思わず空を見上げる。 そのすぐれた視力は、すぐさま南の空に見える小さな点を捕らえた。 同時に、実体のない何かを激しい勢いで切り裂くような音が遠くから迫ってくる。 轟音と共にその姿をあらわにした軍用機の編隊は、隊列のすぐ真上を通り過ぎた。 翼の付け根から何かが外れ、隊列の密集した部分に向けて落下していく。 隊列に吸い込まれるようにして消えた何かは、コンマ数秒後に巨大な爆炎を吹き上げた。 戦車が、装甲車が、トラックが、そして兵士達が軽々とちぎれとび、その役目を強制的に 終了させられてゆく。 おっとり刀で反撃を開始した自走対空機関砲の攻撃を、あざ笑うようにかわしながら、 その編隊は飛び去っていった。 「自衛隊だ・・・・・・」 地獄をもたらした航空機の日の丸を目ざとく捕らえためがねが、うめくようにつぶやいた。 「反撃開始、ってわけだ」 シマダが硬い表情のまま皆に告げた。 「今がチャンスだ。もしかすると、逃げようとする将校を捕らえられるかもしれない」 はちまきはうなずいた。 「そいつに、ガガーモフの居場所をはいてもらうってこったな」
>>194 作戦実施日2週間前 多国籍連合軍司令部にて
統幕議長と第34普通科連隊長の会見
連隊長「両用戦連隊の編成ですか?!」
統幕議長「そうだ」
連隊長「いよいよ反攻ですか?」
統幕議長「そうだ」
連隊長「どこに上陸するんですか?」
統幕議長「稚内だ」
連隊長「逆上陸ですか?!」
統幕議長「そうだ」
連隊長「しかし1個連隊程度では、敵の反撃を・・・」
統幕議長「実施される反攻は上陸作戦だけではない。北部方面隊と来援する米陸軍が
千歳付近から反撃を開始する。空挺作戦も実施される。上陸作戦はそれらの
作戦を支援するため、敵の後方を突くのだ。成功すれば敵主力を包囲殲滅
することができるだろう」
連隊長「稚内の敵守備兵力はどのくらいですか?普通科が1個連隊程度上陸しても、
逆に撃退される恐れが・・・」
統幕議長「もちろんだ。稚内は1個ないし2個の敵の狙撃連隊が守備していると思われる。
とくに空港には敵守備隊の主力が展開している。したがって上陸するのは
君らだけではない。というよりも、上陸部隊の主力は米軍だ。現在米本土
から急行中の第1海兵師団だ」
連隊長「師団規模の海兵隊が来るんですか・・・ならば大丈夫でしょう・・・。いや
むしろ我々が1個連隊を派遣する必要はないでは?」
統幕議長「そうはいかん。奪還すべき土地は我が国の領土だ。それを奪い還すのに自衛隊
が参加しないのでは世論が納得せん。アメリカの世論もだ。『なぜ日本人の
ためにアメリカの若者が・・・』と言った意見が出ている。しかし我々には
戦力の余裕が無い。本当は1個連隊どころか1個中隊を出すこともできん。
しかしそこを血の出るような思いで1個連隊を捻出するんだ」
連隊長「わかりました。それでその稚内上陸の大役を我が連隊が担うわけですね」
統幕議長「そうだ」
連隊長「しかし、我が連隊にも警備区域があります。政経中枢師団たる第1師団の隷下
部隊である我が連隊は現在の任務を遂行するだけで手一杯です。こうして連隊
を留守にして、ここに来ているヒマもないのが本音です。警備任務を投げ打って
両用戦部隊に改編するなど、とても不可能です」
統幕議長「相変わらず遠慮の無い口の聞き方だな。私が中隊長だったころと全然変わらん。
警備任務については第1師団長ともよく話し合った。君の担当地域は残りの3個
連隊になんとか分担してもらう」
連隊長「問題はそれだけではありません。統幕議長も百も承知でしょうが、他の連隊と同じく
我が連隊も人員および装備、いずれも定員、定数を満たしていない状態で任務に
就いています。それに両用戦部隊に改編するには訓練などの練成期間に半年は要する
でしょう。陸自は敵前上陸なんてほとんど考えてきませんでしたからね。私自身、
これから上陸作戦の勉強をしなくてはならないでしょう。難問は山積しています」
統幕議長「作戦実施は2週間後だ。人員、装備は優先的に充足する。陸自の総力を挙げて
君の連隊をバックアップするつもりだ」
連隊長「2週間後?!ムチャクチャです!とてもムリだ!部下を無駄に殺すだけです」
統幕議長「これは政治的決定だ。それも多国籍連合軍首脳会談における決定だ。私も反対
したよ。中谷さんもだ。しかしどうにもならん。とにかくやらなくてはならない。
今こうして君と議論している余裕もない。これは命令だ。少なくても1週間以内
に両用戦部隊として編成を完結しなくてはならない。時間以外に必要なモノは
なんでも供給してやる。大変だろうが、ぜひやってくれ」
連隊長「・・・・わかりました。最善を尽くします」
うわ〜、今、自治スレ読みました。 >>は避けた方がいいのですね。これからは>で書きます。 当方コンピュータのことはまったく素人なので、 ここ数日の2ch閉鎖問題に関するスレもほとんど チンプンカンプンです。 皆さん、お許しください。 スレ違いですみません。
>198で読んだと書いたのは自治スレではなく質問スレでした。 重ね重ねすみません。
200 :
245 :01/08/29 23:14 ID:EHWQFfPc
>196 自衛隊機による襲撃は、その1編隊に留まらなかった。 おそらく、はちまきたちが目撃した部隊がこのあたりでもっとも戦闘力を維持して いると判断されたのであろうか、入れ替わり立ち代りジェット機が大小さまざまな鉄 製の暴力を哀れな群れに叩きつけていく。 ほんの数十秒前までそれなりの士気と秩序を維持していたロシア叛乱軍は、たちま ちのうちに混沌と混乱と狂熱の只中に放り込まれた。 生き残りの中でもいまだ行動の自由を保持している兵たちが、あるものは地面にうず くまり、あるものは遮蔽物を求めて右往左往する。 戦意旺盛な指揮官がせめてもの対応として乱れた隊列を組みなおそうにも、自衛隊 機-しばらくして、それは合衆国空軍を主力とする多国籍空軍機に取って代わられた- は執拗に襲撃を繰り返し、命あるものを根こそぎにせんばかりの勢いで地表をなめま わすため、なすすべなく身を隠しているよりない。 そして数分後、空から叩きつけられた暴力のひとつが国道脇に停車していたタンク ローリーを吹き飛ばし、引火したガソリンが巨大な火球を膨らませるに及んで、地上 からは統制が失われた。 「ここはもう終わりだ、逃げろ!」 その言葉を誰が叫んだか、戦後の調査においても判明していない。 だが、絶叫によってパニックに陥った兵士たちは、後天的に身に付けた知識や経験の すべてを捨て去り、各自が一匹の獣となって本能の赴くまま散り散りに逃走を開始し た。
201 :
名無し三等兵 :01/08/29 23:25 ID:4EKYBRB2
あげ
あげ
あげ
204 :
名無し三等兵 :01/09/01 03:32 ID:QD63p8mM
205 :
:01/09/03 07:51 ID:Sm/5.g9.
\;;\ // \;;;;;\ /::::::::::: ̄ ̄ ` /;; / \;;;;;;;; ⌒ |::::::::::::::: \ー;;;;;;;;;/ ヽ;;;;丿 \::::____ _丿 );;/ (______ Y_____/ [ | |ミ\ ・人・丿| | (日] |ミミミ >⌒ ∋Y| | ザーボンさん、チョン人を殺しなさい! L ヽミ | ≦≧ ト|/ \ \ミ| / /ヽ /\
206 :
うざすぎ :01/09/03 08:58 ID:.f87HTNk
韓国なんて滅ぼせばいい。朝鮮は再び植民地化だ
あげ!
208 :
海の人 :01/09/06 17:05 ID:IBXiU0R2
戦線維持sage:-)
209 :
名無し三等兵 :01/09/07 22:06
あげとかんとあかん
210 :
245 :01/09/09 07:57 ID:veyolLmI
>200 「どうやらチャンスだな」 決壊したダムから溢れる奔流のように崩壊しつつある叛乱軍をじっと見据えながら、 ボウイがつぶやいた。 その言葉を待っていたかのように全員の視線が叛乱軍の残骸を撫で回す。 沈黙は、長く続かなかった。 「いた!」 短く鋭い警告を、シマダがあげる。 「500メートル北の交差点、細い裏道を西へ入っていくあたり。おそらく佐官級。 お供は5〜6人だ。軍用自動車に乗ってる」 「そいつをひっ捕まえるぞ」 はちまきが応じ、立ち上がるやいなや斜面を駆け下りだした。 「めがね」 あとに続きかけたボウイが呼びかけ、めがねのドラグノフを指差した。 「そいつで足を止めろ」
あげ
212 :
前スレ333 :01/09/11 22:55 ID:WXyGDAkQ
いつかここで書いた(前スレだったかな?) アメリカ本土へのテロ攻撃が現実のものになってしまいました。 アメリカは報復をためらうことはないでしょう。 亡くなった方に哀悼の意を表します
ああ…確かに。 >(前スレ?) ここのリレー小説の筆者って皆すごい…
214 :
前スレ333 :01/09/12 01:37 ID:OJxVfX52
しかし・・・「事実は小説より奇なり」とはよく言ったものだと つくづく思いますね。今回の凶行は さすがの我々も無差別爆弾テロとか新幹線ジャックとか 旅客機撃墜までは想像していたけど、まさか旅客機を10機以上も ハイジャックしてカミカゼアタックを行なうなんてことまでは想像も できえませんでした。 犯人(組織か国家かはわかりませんが)に対する憤りを非常に感じて います。
215 :
:01/09/12 01:44 ID:TFtGGXuk
北朝鮮が民間航空機でカミカゼ攻撃
216 :
245 :01/09/12 02:08 ID:xH1wilyE
うーん、まさかこんなことがおこるとは・・・・・・。 私も、亡くなった方に黙祷をば・・・・・・・。
217 :
海の人 :01/09/12 06:54 ID:qBeO1GcY
>214,>216 リアルタイムか、リアルタイムでないか、という違いこそあれ、きっと先の世紀の 様々な事件と同時代に生きた人も、同じような世界が自分たちとは違うところで 大きく流れを変えていく瞬間を感じたのでしょうね。 歴史的事件の前には、人間は無力だと感じます。
218 :
名無し三等兵 :01/09/13 17:31 ID:GyacvlVs
あげ
219 :
名無し三等兵 :01/09/13 17:53 ID:/TzljLAs
あるアメリカ市民の日記より 2001年9月11日.今日この日まで僕らアメリカ人は戦争というものの 本質を理解していなかった. 僕らにとって戦争とは,いつもどこか遠く,テレビの画面の向こうで行われ 軍人に多くの犠牲者を出すことはあっても, 僕ら一般市民にとっては,生活と遠く離れた存在であった. でも今日,僕は理解した. アメリカが敵の都市に対して攻撃するのと同じように,僕らの都市もまた 敵に攻撃される可能性があることを. もうミサイルが敵の司令部に命中する映像を,前のように素直には喜べない. この光景は邪悪な敵を倒す喜びと同時に,常にあの場面を思い出させるだろう. 高層ビルに飛行機が激突し,炎上するあの場面を.
220 :
名無し三等兵 :01/09/15 03:43 ID:/IQIxmpY
応援アゲ
221 :
名無し三等兵 :01/09/16 20:16 ID:GyVxnM26
あげ
222 :
名無し三等兵 :01/09/18 12:34 ID:JrtkUfWw
楽しみにしています。あげ
保守sage・・倉庫落ちは最終書き込み(age.sage関わらず)により判断されます。
224 :
名無し三等兵 :01/09/20 22:25 ID:/HE42SDU
ニュース速報 アメリカの核爆弾テロはウサマ・ビンラディン氏が黒幕と断定。
225 :
名無し三等兵 :01/09/20 22:34 ID:0A2bMSj2
■▲▼ 【1:4】北朝鮮が回天を使うだろう。 1 名前:少佐 投稿日:02/09/20 22:25 ID:/scuD42DU 北朝鮮は特殊潜航艇を持っている。 海軍力が限界になるとそれに爆薬を積んで特攻魚雷として使い、米艦を止めようとするだろう。 2 名前:名無し三等兵 投稿日:02/09/20 22:27 ID:4k1.ga34 今だ!2ゲットォォ!!  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ (´´ ∧∧ ) (´⌒(´ ⊂(゚Д゚⊂⌒`つ≡≡≡(´⌒;;;≡≡≡  ̄ ̄ (´⌒(´⌒;; ズザーーーーーッ ゲット!!! 3 名前:名無し三等兵 投稿日:02/09/20 22:27 ID:6;ak74nb 効くの? 4 名前:名無し三等兵 投稿日:02/09/20 22:30 ID:hInD24Of 特殊潜航艇ってどのくらいあるの?
226 :
245 :01/09/21 23:14 ID:HWf.X1gA
>210 「ほい」 めがねがドラグノフを構え、スコープを覗き込んだ。 その様子を横目でちらりと見たボウイは、はちまきとシマダの後を追いかけた。 斜面をすべるように駆け下り、丘陵の麓に停車したパジェロに乗り込む。 エンジンに火を入れ、サイドブレーキを緩めたところでパジェロの隣を2人の乗った バイク-スズキハスラーTS250がカタパルトにかけられたかのような勢いで飛び出 していった。 「急ぎすぎだぜ」 ボウイは、ぼやくと同時にアクセルを勢いよく踏み込む。 剥き出しの大地にテイルを滑らせながら、パジェロもまた突進を開始した。
227 :
245 :01/09/21 23:26 ID:HWf.X1gA
>226 シマダのライディングは、玄人さながらの確かさだった。 不整地、重装備、そしてリアシートに載せたはちまきという数々のハンデを ものともせず、100キロ近い速度を出して疾走を続ける。 目指す軍用自動車までの距離が瞬きする間に狭まってきた。 「はちまき!」 たたきつける風圧とエンジンの轟音に負けまいと、シマダが大声を張り上げた。 「奴さん、感づきやがったぜ!」 見ると、目標の周囲を護衛するかのように走っていた数台の車両から、何人かの 兵士が身を乗り出してこちらを指差し、何かをわめいていた。 「まかせろ!」 はちまきは叫び返すや否や、荷台をつかんでいた手を離し、AKを構えた。 意図を察したシマダがさらに叫ぶ。 「荒っぽくいく、振り落とされるな!」
228 :
245 :01/09/21 23:45 ID:HWf.X1gA
>227 はちまきがAKを撃ち始めるのとほぼ同じタイミングで、目標も射撃を開始した。 軍用自動車群のサイドウィンドウや荷台に閃光が走り、ほんのわずかな間を 置いてバイクめがけて曳光弾が豆粒のような光と共に飛来する。 シマダは、まったく怖気づく様子を見せず、曳光弾が形作るまばらなバリアの 只中にハスラーを飛び込ませた。 「右、左、右、右、ちょいまっすぐいって左・・・・・・」 はちまきに聞こえる程度の声量で、言葉と同時にバイクをその方向にターンさせる。 両手がお留守のはちまきが振り落とされないようにするための合図だ。 それにあわせて下半身のバランスをとりながら、はちまきはさらにAKを発砲する。 だが、不整地を高速で移動しているため、弾丸はまったくあさっての方向にばらまかれた ままだった。 それは目標の側も同じと見え、牽制と威嚇以上の役割を自らの射撃に期待しているようには 見えない。 「いいぞ、このぶんじゃまず向こうの弾はあたらない!」 揺れる荷台の上でマガジンを器用に交換しながら、はちまきが叫んだ。 「こっちの弾もあたってねぇぞ!」 シマダが叫び返す。 「あたらなくてもいいんだ!」 はちまきの声は、奇妙に明るかった。 「見ろ!」 目標のすぐ前を走っていた自動車が突然傾き、進路を大きくゆがめた。 そのまま道路わきの用水路に頭から突っ込む。 銃声とエグゾ−ズトノイズが支配していたシマダの聴覚にも、乗用車が 突っ込んだときにあげた金属製の重く鋭い絶叫ははっきりと伝わってきた。
229 :
海の人 :01/09/22 10:50 ID:2HVG86Gc
わ〜い、お待ちしておりましたです〜:-) それにしても、50に手が届くというのに元気なおっさんたちですな(^_^;
231 :
名無し三等兵 :01/09/24 20:35 ID:kWJfJPPs
あげ!
233 :
名無し三等兵 :
01/09/27 00:22 ID:e4JVazOo なんです?