自衛隊がファンタジー世界に召喚されますた 第63章

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24亀蜻蛉 ◆aDC37xH6dI
http://hobby11.2ch.net/test/read.cgi/army/1181167154/757-758 の続き
これまでのあらすじ
 異世界へと移転してしまった196X年の日本は資源確保のために異世界の戦争へと入り込む
 そんなさなか、消息不明となる船が相次ぎ、それは海の怪物クラーケンの仕業とわかる
 海上自衛隊はその討伐のたまに出動するが…
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 <ゆきかぜ>から戻り、艦橋に入った吉沢を副長が出迎えた。
「どうでしたか?艦長」
「別になにも無いさ。艦の方は?」
「問題はありません。全力でいけます」
 副長の報告を聞きつつ、吉沢は甲板上で作業をする乗組員たちを眺めていた。先ほどの<ゆきかぜ>の海士のように
談笑するものはいない。皆、必要最低限のことしか口に出さず黙々と目の前の作業に傾注している。
「これが敵を見た者と見ない者の差か」
 ここまで差がでるものなのか、と吉沢は思った。彼らは敵の恐ろしさを知っているのだ。


 海上自衛隊の作戦海域より南、大陸に近い霧に包まれた海域を進み1隻の帆船があった。マストには中立国の旗が掲
げられていたが、その実態は大国が日本の補給線を断つ目的で東シナ海(と日本が呼称している海域)に放った私掠船
であった。
「なぜ逃げ出した?」
 帆船の薄暗い船倉の奥、黒い服の女は水晶の前に座っていた。突然怒鳴り込んできた男に対してもなにも言わず、
ただ水晶を覗き込むだけだった。
「とにかく戦果をあげろ!」
 男はそう言い残すと船倉から出て行った。
25亀蜻蛉 ◆aDC37xH6dI :2008/09/03(水) 03:24:44 ID:???
 哨戒機S-2Fは空母搭載の対潜機としてアメリカで開発され、1957年より海上自衛隊に配備された新鋭機であり、
PV2-7とともに海自航空隊の主役となっている。だが、主敵であったソ連潜水艦隊は消滅しておりロケット弾を装備して
専ら水上目標の探索・攻撃を行なっていた。
「友邦の船団です」
 副操縦士が双眼鏡で海上に浮かぶ帆船群を眺めていた。どんなにテクノロジーが進歩しても最終的には人の目で確認
しなくてはならないのだ。
「レーダーに感。0-4-0、距離16,000。大型船」
「確認する」
 S-2Fは針路を僅かに東に向けた。

 日本に片手の指で数えられるほどしか存在しない10万tタンカーは巡航速度で東シナ海を北上していた。このあたりの
海域には危険も多いが、タンカーはあらゆる敵帆船を蹴散らし、逃げ切る能力を持っているので、乗組員たちは平穏な航海
を楽しむことができた。敵も獲物は選ぶし、わざわざ無謀なことはしないのである。だが、今回の敵はいつもと違った。
 突然の下からの衝撃。多くの乗組員がその場に崩れた。
「なにがあった!」

「畜生。あいつめ!やりやがったな!」
 Sー2Fのパイロットが思わず叫んだ。彼は今、双眼鏡越しに沈み行くタンカーの姿をその眼で捉えた。
 クラーケン出現の情報は航空集団経由で護衛艦隊に知らされた。
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