>>281 『中国の安全保障戦略』は平松先生が長く続けた共産中国の国防政策研究の集大成本。
建国から現在まで、中国が自国の安全保障を守る際に考えてきた脅威、手段、目的という三つの点からコンパクトにまとめてる。
細かな議論でなく、自分のやってきた実証研究に裏打ちされた戦略思想史みたいなものに結果的になってる。脚注・文献情報もない。
個人的には目的のところの「中国は過去に支配した地域をなんとしても回復しようとする膨張主義を持つ」という議論は
実証が不十分というか、必ずしもなじめない感触があるけれど、後は概説としてはこんなもんかなという印象。
歴史についての体系だった入門だったら、矢吹先生の本より古いが平松先生の
『中国人民解放軍』(岩波新書、1987)
『中国の軍事力』(文春新書、1999)の二冊から手をつけてもいいと思う。コンパクトで入門書としては申し分ない。
特に『中国の軍事力』と『中国の安全保障戦略』は内容が重なる部分も多くて、しかも個人的には『軍事力』の方が
まとまっている印象がある。
松井さんのは数に数えないほうがいいかもだ。他のは手許にないので今回はご容赦。