>>626 こちらにもコピペしておきますか。
2003年3月27日、読売新聞朝刊17面
論点:重要な“自前”の偵察衛星
江畑 謙介 軍事評論家
最初の情報収集衛星二基が、二十八日に打ち上げられる予定である。状況を知るには上から
見るのが一番で、領空権が及ばない宇宙からの観察は最良の手段であるのは言をまたない。
日本でも一九七〇年代から、自前の偵察衛星を持つ必要性を唱える声はあったが、技術的問
題や、冷戦下で米国から独立するような行動がとれなかったなどの事情から、計画は具体化し
なかった。政府、国民がこの種の情報収集手段の必要性を本気に考えるようになったのは、九
八年八月に北朝鮮がテポドン1を発射した以後である。
九九年からは米国のイコノス1をはじめ、高分解能(画像識別能力)を持つ商業衛星が実用
化され、だれでも精密衛星写真が入手できる。しかし、それは原則的な話であって、その会社
がある国の政府が好ましくないと考える場所の画像は入手できない場合がある。米国防省は同
時テロ後、二〇〇一年十、十一月、イコノスを運用しているスペース・イメージング社と、ア
フガニスタン及び周辺地域の画像を買い占める独占契約を結んでいる。
また商業衛星写真の購入で、どこの地域に関心を持っているかが分かり、日本の外交方針や
対外経済戦略などを推測できる。自国にとって都合が悪ければ干渉や妨害に出るだろう。外交
の独自性を保つには、自分で衛星を持たねばならない。
二基の情報収集衛星のうち、光学写真撮影型衛星の分解能は一b。夜でも曇っていても撮影
できるが、影が映らないため、高さが判定できない合成開口レーダー写真衛星のそれは一―三
bといわれる。
前者の分解能はイコノス1と同じで、商業画像衛星クイックバード2の七十aよりも低い。
でも相当なことは分かる。乗用車とトラックの区別はもとより、トラックの長さや特徴のデー
タがあれば、会社や型式の特定もできる。米国の偵察衛星は十―十五aの分解能を持つとされ
るが、そのような高い分解能の写真を日本にくれることはない。見せるだけか、くれるにして
も分解能を落としている。自前の衛星を持てば、米国の言う話が本当なのか、ある程度の裏づ
けを得られるようになる。